衆議院

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第10号 平成22年4月23日(金曜日)

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平成二十二年四月二十三日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    石津 政雄君

      石森 久嗣君    泉  健太君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      今井 雅人君    江端 貴子君

      小原  舞君    緒方林太郎君

      大島  敦君    逢坂 誠二君

      岡島 一正君    岡田 康裕君

      加藤  学君    笠原多見子君

      金森  正君    金子 健一君

      岸本 周平君    小宮山泰子君

      後藤 祐一君    瑞慶覧長敏君

      菅川  洋君    園田 康博君

      空本 誠喜君    田村 謙治君

      平  智之君    高橋 昭一君

      橘  秀徳君    津村 啓介君

      中島 正純君    中野渡詔子君

      中林美恵子君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    古川 元久君

      三宅 雪子君    宮崎 岳志君

      谷田川 元君    吉川 政重君

      甘利  明君    小渕 優子君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   議員           塩崎 恭久君

   議員           柴山 昌彦君

   議員           菅原 一秀君

   議員           山内 康一君

   国務大臣        

   (公務員制度改革担当)  仙谷 由人君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   内閣官房副長官      松井 孝治君

   内閣府副大臣       大島  敦君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   総務大臣政務官      階   猛君

   外務大臣政務官      吉良 州司君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      江利川 毅君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            菊地 敦子君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            尾西 雅博君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        中島 秀夫君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 村木 裕隆君

   政府参考人

   (国土交通省北海道局長) 奥平  聖君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  上瀧  守君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  石毛えい子君     笠原多見子君

  市村浩一郎君     高橋 昭一君

  打越あかし君     瑞慶覧長敏君

  緒方林太郎君     石津 政雄君

  逢坂 誠二君     空本 誠喜君

  岡島 一正君     三宅 雪子君

  園田 康博君     金森  正君

  田村 謙治君     宮崎 岳志君

  津村 啓介君     加藤  学君

  寺田  学君     菅川  洋君

  中島 正純君     中野渡詔子君

  橋本 博明君     花咲 宏基君

同日

 辞任         補欠選任

  石津 政雄君     石森 久嗣君

  加藤  学君     津村 啓介君

  笠原多見子君     石毛えい子君

  金森  正君     今井 雅人君

  瑞慶覧長敏君     橘  秀徳君

  菅川  洋君     寺田  学君

  空本 誠喜君     江端 貴子君

  高橋 昭一君     小原  舞君

  中野渡詔子君     平  智之君

  花咲 宏基君     谷田川 元君

  三宅 雪子君     小宮山泰子君

  宮崎 岳志君     田村 謙治君

同日

 辞任         補欠選任

  石森 久嗣君     岡田 康裕君

  今井 雅人君     園田 康博君

  江端 貴子君     逢坂 誠二君

  小原  舞君     市村浩一郎君

  小宮山泰子君     岡島 一正君

  平  智之君     中島 正純君

  橘  秀徳君     打越あかし君

  谷田川 元君     金子 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     緒方林太郎君

  金子 健一君     中林美恵子君

同日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川 政重君     橋本 博明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第九号)

 幹部国家公務員法案(塩崎恭久君外四名提出、衆法第一〇号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長菊地敦子さん、給与局長尾西雅博君、公正取引委員会事務総局審査局長中島秀夫君、総務省人事・恩給局長村木裕隆君、国土交通省北海道局長奥平聖君、防衛省人事教育局長上瀧守君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大泉ひろこさん。(拍手)

大泉委員 おはようございます。たくさんの拍手をありがとうございます。民主党、大泉ひろこでございます。

 公務員改革の議論も煮詰まってまいりました。公務員改革は、ほかの政策と同じでございますけれども、国民の皆様の視点で何が行われるべきかを決めていかねばならないというスタンスは、きょう御出席の皆様、全員同じだろうと私は思います。

 公務員は、一方で社会的信頼の高い職業でございますけれども、他方で、昨今は激しいんですけれども、バッシングの対象となりやすい職業でもございます。

 しかし、今回の改革は、国民の皆様にとって、明治憲法時代の、大臣まで上り詰めることができる官僚でもなく、あるいは、戦後の復興をなし遂げて、一九九〇年ごろはGDP国民一人当たり世界一でございましたが、世界一の国をつくったひところの官僚でもなく、今の現代官僚というのは、九〇年代に始まった財政赤字あるいは不況のときの政策の行き詰まり、そうした対応で、政治家と並んでその責任を問われるようになった、これが現代官僚でございますが、この現代官僚が将来に向かっていかに力を発揮してもらえるかが今回の立法のねらいであると私は思います。したがって、公務員改革というのは日本の存亡にかかわる問題であると認識しております。

 そもそも、官僚システムというのは、昨日、参考人の方は、天下りとセットが官僚システムという御意見もございましたけれども、人生五十年時代の代物であろうと思います。人生五十年ならば天下りも要らなかったわけでございますけれども、今も人生五十年と見て早期退職勧奨が習慣化いたしまして、雇用保険もない世界でございますから、この雇用保険もない世界に生きてきた職業人が生き残る策として天下りという慣行をつくってきたのは、むしろ政治の責任と言わざるを得ないと思います。これは、年金制度においても、少子高齢社会対策についても同じことが言えます。政治の責任でございます。

 まず最初に、仙谷大臣にお伺いいたします。

 今の人生八十年時代の公務員像をつくる作業を現在ここでしているのであって、公務員バッシングが目的ではないと私は思いますが、いかがでございましょうか。

仙谷国務大臣 かねてから申し上げておりますように、日本の公務員が国民全体の奉仕者として国民から感謝をされる、そういう公務員になっていただくために、公務員が士気高くといいましょうかモチベーション高く仕事ができる環境、それを制度的につくっていこう。まずは、幹部から範を示していただくために、幹部人事の内閣一元化ということから始めようということでございます。

大泉委員 ありがとうございます。

 国民に感謝される公務員をつくるということでございまして、国民に感謝される政治家にもならなければならないというふうに思います。

 その意味で、採用から退職に至るまでの公務員のあり方というのを計画しつつ、今回の法案では、まず幹部人事を内閣主導でやる、天下り慣行をやらない、この二点に焦点を当てた第一歩の改革であると認識しております。明治以来の制度でございますから、これから第二歩、第三歩と次々にやっていかなければならないと思います。

 そこで、本日は、六点ぐらいの論点について伺いたいと思います。時間の制約で全部できるかどうかわからないんですけれども、一番目に天下りをなくす方法、二番目に既に天下りした人の扱い、三番目に幹部人事のあり方、四番目に新たな採用と公務員像、そしてまたそのコスト、それから五番目に労働基本権の付与、最後の六番目に今後の行政改革ということで順次伺っていきたいと思います。

 まず、最初の天下りをなくす方法でございます。

 官民交流というのが基本法の路線であるというふうに思いますけれども、その交流相手といたしまして、民だけではなくて、独立行政法人の派遣とか、あるいは法科大学院の派遣、それから研究休職、国際機関の派遣、民間派遣、地方公共団体の出向というように、たくさん派遣相手があって、現職出向でその後出身省に戻ってくる公務員を大量に、大規模に行うようにしたらどうかと私は思うわけでございます。

 しばしば公務員は、出向すると、これは左遷だと思うような人がいるわけでございますけれども、むしろこれからは、いろいろな経験をしなければ、そういう出向という経験をしなければ幹部にもなれないというようなシステム化を図っていった方がいいのではないかと私は思います。

 そこで、階政務官に伺いたいのでございますけれども、この間も委員会で数をおっしゃっていただきましたけれども、現在、今申し上げた独法とか研究休職とか国際機関、民間、地方公共団体、それぞれの出向数はどのくらいあるか、教えていただけますでしょうか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 今把握している、それぞれの機関等への出向状況の数字でございます。

 まず独立行政法人の役員への出向八十五人、研究休職、大学や公益法人等に関する研究休職でございますが、三百五十六人、それから国際機関等への派遣が三百九十五人、民間企業への派遣が六十一人、最後に地方公共団体への出向が千六百十七人。

 以上でございます。

大泉委員 もっと十倍ぐらいにふえたらなという感想を持ったわけでございます。

 こうして出向者を持ちますと、その際の人件費というのは総人件費から削減されることになるわけでございます。したがって、人件費二割カットというのが目標になっておりますので、この数を、現職出向をふやしていくことによって人件費二割カットに貢献していくというふうに私は考えます。

 ただし、出向にはいろいろ不利益になることもあり得るので、再び階政務官に伺いたいんですけれども、これらそれぞれの機関に出る出向のすべてが、共済組合の長期給付などの扱いで法的措置ができているかどうか、教えていただけますでしょうか。

野田副大臣 大泉委員のお尋ねは、いわゆる現職出向者に対する共済組合の長期給付の取り扱いということだと思いますが、独立行政法人や国際機関等への現職出向者に対する共済組合の長期給付については、国家公務員共済組合法等により、共済年金の算定期間として通算するための措置が講じられております。手当てをされているということでございます。

大泉委員 答弁者を間違えて、大変失礼いたしました。お二人、全然似ていらっしゃらなかったんですけれども、大変失礼を申し上げました。

 出向しやすい条件づくり、あるいは、先ほど申し上げたように、出向が昇進につながる環境づくりというのをぜひしていってほしいなというふうに思います。

 その出向の中でも、先ほど申し上げた国連機関、国際機関なんですけれども、国連機関や国際機関にはもっと日本政府が大量に人を送るべきだと私は考えます。といいますのは、国連機関、国際機関というのはたくさんの情報を持っておりまして、その情報を活用すべきであるというふうに考えます。インドが経済発展を遂げたのは、いろいろ理由はありますけれども、その少なからぬ理由の一つに、国際機関にあるいは国連機関に大量のインド人を送り込みまして、その情報を活用したからだということも言えるわけでございます。

 そこで、まず人事院に伺いたいのでございますが、国際機関派遣法という法律がございますが、この派遣法による公務員の派遣数がここ数年伸びているかどうか、その数字を教えていただけますでしょうか。

菊地政府参考人 お答え申し上げます。

 過去五年間の国際機関等への派遣職員数は、各年度末現在で見ますと、十六年度四百六十六人、十七年度四百二十七人、十八年度四百一人、十九年度三百八十八人、二十年度三百九十五人となってございます。

大泉委員 ありがとうございました。

 思ったよりもやはり数は少ないなというふうに思うわけでございます。

 それでは、これに関連しまして外務省に伺いたいのでございますけれども、一般論としまして、日本人の国際機関への派遣というのが伸びない理由は何でございましょうか。

吉良大臣政務官 お答えいたします。

 一般論ということでございます。

 まず、大泉先生のような一定の語学力も備えた有為な人材のすそ野がそもそも日本自体狭いのではないかという問題意識を持っております。

 それともう一点、やはり日本が豊かになった、一方で、いい国だというふうにも言えると思うんですけれども、海外へ雄飛するという意欲を持った、若い人を中心とした人材のすそ野も少なくなっているのではないかというふうに思っております。

 ただいまの先生の御指摘の背景には、恐らく有為な公務員を国際機関に送り出すべきという御提案が内在しているのではないかというふうに思っておりますけれども、外務省としては、国際機関に人をできるだけ採用してもらうべく、ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー、JPO制度というのを設けておりまして、一定期間、国際機関に若い人を送り出して、働いてもらって、そこで国際機関への就職の道を開く、このような制度も設けているところでございまして、今言った御懸念があることを前提の上で、国際機関への就職をできるだけ強く推し進めていく、このような制度も設けておるところでございます。

大泉委員 大変ありがとうございました。

 いろいろな制度を設けていますけれども、なかなか問題が克服できないようでございますので、将来に向かって、語学を含めたさまざまの問題を克服していただきまして、国連とか国際機関が、今までインド人がいっぱいだったのが、いつの間にか日本人がいっぱいになった、日本人の公務員がたくさんそこで働いて、日本に情報が持ち帰れる、あるいは日本もそこの場で発信することができるというような状況を期待したいというふうに思います。

 人事院、外務省、あと財務副大臣、質問が終わりましたので、ありがとうございました。

 次に、既に天下りした人の扱いについてお伺いしたいと思います。

 私自身も公務員の出身なんですけれども、現職時代、先輩が特殊法人等に行かれて、いわゆる天下りでございますが、OBがいつまでも役所にやってきて政策に口を出し、あるいは人事に口を出しということは実際に見てきましたので、私はそういう人にはならないと思って現職時代を過ごしました。

 同僚の岸本議員からも質問がございましたけれども、総務省で天下りの実態調査をしていらっしゃると大臣答弁がございましたが、この実態調査を踏まえまして、過去に天下りして現在六十五歳以上になった方々、そうしたOBはやめていただくとか、あるいは、六十から六十四歳で天下りと見られる方々の給与について世間並みにそろえていただくとか、総務省の所管の法人に限ってでよろしゅうございますが、何らかのガバナンスをお考えかどうか。階政務官になりましょうか、伺いたいと思います。

階大臣政務官 お答えいたします。

 先日、岸本議員からも同様の御指摘があったところでございますけれども、同じような問題意識を持っておりまして、これから、定年まで働いていただける環境をつくるという中で、逆に言うと定年まで働くための席を用意していかなくてはならないわけでして、そういった場合に、高齢の、六十歳を過ぎていろいろなところに天下りしてポストを占有されている方がいると困るわけです。

 そういった問題意識から、今、六十五歳以上でやめていただくというお話もございましたけれども、六十五歳なのか六十歳なのか、そういう問題もあるかと思いますが、具体的な年齢はともかく、今後そういう取り組みを進めていかなくてはならないと思っております。

 総務省におきましては、総務省で所管しております特例民法法人、昔で言う公益法人の常勤役員について、七十歳以上の公務員OBの就任状況について今調査を実施しているところでございますが、さらに進めまして、独立行政法人及び公益法人の役員についている退職公務員の年齢構成及び給与水準について追加調査を行って実態を把握した上で、政府全体としての対応についても検討していきたいというふうに考えております。

大泉委員 ありがとうございました。

 これに関連いたしまして、仙谷大臣にもお伺いしたいのでございますけれども、今回の立法責任者といたしまして、大臣、OBの働きかけなどがなくなるように、監視委員会が機能するようにOBのガバナンスをお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

仙谷国務大臣 この天下り問題を、まさに、人事といいましょうか、公務員の適正配置というふうな観点から見ておりますと、これは私に言わせれば何か寄生虫のような存在、権力と、それにまつわる独立行政法人の一部それから公益法人、特に政府関連公益法人の実態というのはそういうふうに、国民から見たら見えるんだろうと思うんですね。

 それから、市場論といいましょうか市場の観点からいいますと、これはネポティズムというか仲間内主義というか、そこで、世間からは余り見えないところで、随意契約なのか、あるいはあうんの呼吸契約なのかわかりませんが、官製市場というものが随分この国にはあるんだなと。つまり、自由な公正な競争で物事が決まるのではなくて、旧来からのコネ、それも官僚経験と各役所の持つ権限、それは、法律にもあえて規定されたような指定法人というようなやり方とか、あらゆる手を使ってこの種の官製市場がつくられておる。これを早く、まさに官を開く一環としてメスを入れなければならない。

 今おっしゃられるように、OBの方々が現時点でそういうところに多々存在するのを、年齢制限というふうな格好で、強力に行政指導をしながらそこは適正化していく。

 さらに、交付金とか委託金とか補助金とかいろいろなことで税金が流れているのは、これは事業仕分け等々によって切っていくということ。

 それから、次に大事なのは、会計検査院の検査も大事でありましょうが、やはり国会で、とりわけ決算行政監視委員会というふうな場で、もちろん内閣委員会でもいいわけでありますが、全体的に、やはり国会の議論として適切な監視がそこで行われる、そして、国民の皆さん方にこれがオープンになって、世論の力でこういう官製市場というものをできるだけ小さくしていくということが必要だと私は思っております。

大泉委員 ありがとうございました。

 次に、幹部人事のあり方について伺いたいと思います。

 幹部候補者名簿の出口といたしまして、あるいは時には一般職からの就任も含めまして、スタッフ職というのが考えられるわけでございますが、この委員会でももうスタッフ職については多くの方が指摘されてまいりましたが、こうしたスタッフ職を私も設けるべきであるという考え方でございます。設けるときには給与法の改正が必要でございますし、不利益処分でない方策もとらなければならないと私は思います。

 私自身の経験で恐縮ですが、国連機関におりましたときの経験では、次の職に移るときはポストに応募する、みずからポストに応募するという方法で次のポストに移っていくという仕組みをつくっておりますので、もちろん、降格する場合も多々あるわけでございます。ただ、日本では、不利益処分にならないように制度を仕組む必要があると私自身は思います。

 例えば、局長からスタッフ職になるというのは、本当に似ているかどうかわからないけれども、あえて言えば、勤務医から開業医に転ずるということに類似しているわけでございまして、できれば、ラインからスタッフ職に行ったときには、国民の皆様の相談役になるような仕事ができればなおいいというふうに私は考えているわけでございます。

 このようなスタッフ職について検討されているかどうか、大島副大臣に伺いたいと思います。

大島副大臣 大泉委員にお答えをさせていただきます。

 今回、公務員制度改革について担当を命じられたときに、今から二十年前の、私、鉄鋼業におりまして、丸の内の本社の講堂に集められたことを思い出しました。当時、二十年前だと思うんですけれども、団塊の世代がこれから管理職に上がっていくに際して、主任部員制度を導入するということを宣言したわけです。もうそれは、十年後を見通しながら人事制度の設計に取りかかるぞ、もう課長にはみんななれなくて、主任部員として今後処遇されるということを人事が宣言したのを覚えていまして、今回、公務員制度改革を担当するに当たって、そのようなことかなというのを思い浮かべました。

 今、大泉委員からの御指摘なんですけれども、鳩山内閣においては、天下りあっせんの根絶にあわせて、公務員が天下りをせず定年まで勤務できる環境を整備すること、これは公務員制度の抜本的改革についても検討しております。

 それで、定年まで勤務できる環境を整備するに当たっては、職員のやる気を生み出していくために、優秀な職員を新たな幹部職に登用しやすくするなどの観点から、人事を活性化していくことが必要であると考えております。その際に、複線型人事管理の推進のため、専門スタッフ職の活用、整備が必要であると考えておりまして、さまざまな行政ニーズに対応しつつ、現に幹部職にある職員を課長級に降任させるのではなく、転任により幹部職の外に異動をさせられるような、高度の専門性を評価した専門スタッフ職の整備等について、組織管理部局等々、今、連携協力いたしまして検討を進めているところでございます。

大泉委員 ありがとうございました。

 もう一つ、大島副大臣に伺いたいと思います。

 幹部候補者名簿での人事は、この委員会でも、恣意的人事、情実人事をもたらすという懸念を指摘されておりますけれども、恣意的人事というのはこれまでも、今までのシステムでも行われてきたというふうに私は思います。族議員が内定人事をひっくり返すということも私はしばしば見てまいりました。むしろ、今回は、内閣に一元化したことによって恣意は避けられる、そういう仕組みをつくったというふうに私は思います。

 その意味で、政治家と官僚というのは常に一線を画す必要があると思いまして、その二者の接し方に一定のモラルを持つべきであろうというふうに考えます。有名ですけれども、イギリスの官僚制度では政官の接触は禁じられておりますけれども、日本において現在の政治家と官僚の接触のルールというものがあれば、それを教えていただけますでしょうか。副大臣、よろしくお願いします。

大島副大臣 お答えをいたします。

 接触のルールは、政権発足時の平成二十一年九月十六日に、政と官の適切な役割分担と協力関係を目指し取りまとめられました「政・官の在り方」、これは閣僚懇談会申し合わせの中に定められております。

 具体的には、政策立案の過程における政から官への具体的な要請、働きかけは大臣等に報告すること、官から政への働きかけは原則禁止すること、ただし、大臣等の指揮監督下で、その方針に沿って働きかける場合は例外としております。

 官が政に接触した場合における記録の作成、保存その他の管理、公開については、個別の行政執行に関する要請、働きかけであって、政府の方針等と甚だしく異なる等のため対応が極めて困難なものについて記録し、大臣等に報告することとしておりまして、大臣等は、国会議員に内容の確認を行う等適切に処理することとしております。記録を保存する場合、大臣等の確認を経まして、詳細な場合は議員本人等に確認することとされております。

 現政権下においては、この方針を踏まえ、各大臣の判断と指示のもとに、各府省において適切に対応されているものと考えております。

大泉委員 ありがとうございました。

 引き続き副大臣にあと二問ほど伺いたいのでございますけれども、新たな採用と公務員像と、そのコストについて伺いたいと思います。

 再三委員会で申し上げましたが、私自身は、この改革というのは、専門家集団をつくってプロフェッショナリズムを発揮してもらうのが改革のねらいであると思っております。

 基本法では、公務員に総合職、一般職、専門職の区別を設けておりますけれども、副大臣、その試験区分と、幹部の養成の仕方はいかがでございましょうか。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 大泉委員御指摘のとおり、複雑困難な政策課題が増す中で、将来にわたって優秀な人材を公務に確保していくことは極めて重要な課題でございます。こうした中、国家公務員制度改革基本法に基づきまして、現行の1種、2種、3種試験を廃止して、重視する能力に着目した総合職試験、一般職試験、専門職試験を設けるなど、採用試験の種類及び内容の抜本的な見直しを行うこととしております。

 この中で、民間等における有為な勤務経験を有する者を係長以上の職への採用をすることを目的とした中途採用試験を創設することとしておりまして、また、管理職員としてその職責を担うにふさわしい能力及び経験を有する職員を総合的かつ計画的に育成するための仕組みである幹部候補育成課程を整備すること等の取り組みを行うこととなっております。

 こうした取り組みを通じまして、優秀な人材の確保、育成が図られるようにしてまいりたいと考えております。

 以上です。

大泉委員 ありがとうございました。

 引き続き副大臣に伺いますけれども、今までのキャリア制度みたいに、すべての人が一定レベルまで一緒に昇進するというシステムさえやめればいいのであって、優秀な人は採用しなければならない、これは当然のことであろうと思います。六十歳まで働く環境をつくるということで、一時的にだと思いますけれども、採用全体を削減するのはやむを得ないと私は思うわけでございますけれども、優秀な人材の枠はやはり確保しなければならないというふうに思います。

 公務員は国のために働くのであって、そもそも霞が関というのは全体が政策集団でございます。この政策集団をよく見ますと、一定レベル、例えば、管理職になっていなくても、課長補佐とか専門官とか、こういう方々ももう既に管理職並みということが言えるんじゃないかなと思います。

 この霞が関の政策集団、一定レベル以上の政策集団に、いわばホワイトカラーエグゼンプションの給与体系、ホワイトカラーエグゼンプションという言葉にアレルギーのある方もおいでになるので、あえて日本語で訳せば政策集団給与体系みたいなものをつくって、残業と関係なく仕事の成果物で評価されるシステムをつくり、人件費の二割削減に貢献してもらってはどうかと思うんですけれども、これは将来の制度設計でございますので、仙谷大臣に伺いたいと思います。

仙谷国務大臣 ホワイトカラーエグゼンプション、これは、私の理解するところでは、人件費には直接関係しないのではないか。ホワイトカラーといいましょうか知的労働の、働く方の多様化そして自由度を高めていくという制度だというふうに思っておりますので、残業代を払わない、払わなくてもいいということから人件費削減ということには直接、余りつながらないのではないか。

 例えば、霞が関の一番の問題は、今、労働基準法をまともに適用しようとした場合に、多分すべての省庁が労働基準法違反に問われる部分が相当あって、厳格に法適用すれば、例えば、これの管理責任者が各省の大臣だとすれば、あるいは管理の責任者が各省の事務次官や官房長だとすれば、すべて直ちに刑事罰に問われるということになってしまうぐらいひどい残業状態にある部署が相当ある。管理職でなくても、そういう仕事、例えばこの国会開会中などは特にそういう仕事に従事させられていて、労働基準法違反が常態化していると言えば言えると思います。

大泉委員 ありがとうございました。

 どうも私の質問の仕方がちょっと悪かったかなというふうに思いますけれども、最後のところで大臣がおっしゃいました、労働基準法違反がもう常態化しているということでございますから、公務員の皆様のためにも、早くこの法律を上げなきゃいけないなと思ったところでございます。

 それに関連して、ホワイトカラーエグゼンプションはちょっとかみ合いませんでしたけれども、人件費二割削減というときには、先ほど私が申し上げた現職出向を利用するとか、給与体系の工夫、あるいは天下り先の人件費を削減するというようないろいろな工夫をして、人件費にかかわるさまざまな費用を実質人件費と見て削減していくことがふさわしいのではないかな、これはコメントでございますが、そう思う次第でございます。

 次に、労働基本権の付与について伺いたいと思います。

 労働基本権を付与することが前提で次の立法が行われるという答弁を伺ってまいりましたけれども、労働基本権を付与したときに問題になるのが労使交渉という仕事でございます。

 内閣に人事局を設けますと、その主務大臣が官房長官になるわけでございますけれども、内閣官房長官が労使交渉をやったら、国の機能がストップしてしまうんじゃないか、それほど多忙な職であるわけでございます。したがって、労働基本権を付与したときには新たに別の組織をつくらなければならないんじゃないかなと私は思うんですけれども、そういうお考えはあるかどうか伺いたいと思います。仙谷大臣、よろしくお願いいたします。

仙谷国務大臣 日本の戦後の歴史の中で、自律的労使関係というのをつくってこなかった、つまり人事院にすべてお世話になるという制度の中でやってきたわけでありますから、これは政府全体としても、あるいは各省としても、職員団体を労働組合として認めて、集団自治という建前で物事を進めていくといいましょうか、勤務条件決定から、いわゆる労働環境の整備というふうな、あるいは各職場における細々とした問題も労働組合と協議をするということになりますと、これはやはり相当当事者の使用者というところの機能を強化しなければならない。

 政府全体の中では、おっしゃるように、官房長官は、内閣人事局、つまり幹部人事をまずは扱うわけでありますが、これが労働組合との協議をするということになりますと、日常業務の多忙性から、腰が入った交渉ができるのか。あるいは、その交渉する前提として、交渉担当者を補佐する事務局機能というのはどのぐらいの機能を持った部署をつくればいいのかというふうな、これから早急に煮詰めなければならない問題があると思います。

 私は、これはちょっと個人的な見解でありますが、官房長官が、あるいは総理大臣が全般的な管理統括をするにしても、民間の大きい各会社にあるように、やはり人事労務担当副社長なのか、あるいは専務取締役なのか、そういうイメージの、政治判断ができる責任者が官房長官のほかに位置づけられないと、使用者性を持った当事者というのはうまくできないだろうなと思っておるところでございまして、そういう当事者をつくるということが何よりも前提問題だと思っております。

大泉委員 時間が迫ってまいりましたので、最後の質問でございます。

 前にもこの委員会で質問させていただいたわけでございますけれども、基本法には書かれておりませんけれども、重ねて中央省庁の再編のお考えをお聞きしたいと思います。

 よく、西洋では、新しい革袋に新しい酒と申しますけれども、新しい公務員に新しい組織と私は考えますが、再編について今後どういうふうにお考えでございましょうか。仙谷大臣、よろしくお願いいたします。

仙谷国務大臣 私は、幾ら考えても、今の省庁の担当の仕方というのは、やはり工業化社会に対応するといいましょうか、これでできておったんだろうと思います。そこから、ある種、産業構造が、知識経済化といいましょうかサービス産業化といいましょうか、そういうふうに変わってきた、大きく変わってきた。これは、従業員の就労構造の方から見ると明らかに変わっております。そしてまた、市民として、あるいは生活者としてのポジションといいましょうか、そこでつくられるものというかみずからつくり出していくものを大事にするというふうに国民の意識も変わってきているわけです。

 それに対応するような機能的な省庁がつくられないと、今の内閣府の各担当大臣や、いろいろな担当と称される部署を見てみますと、省際問題というんですか、省と省の間というか重なり合った部分の問題が大変多くて、内閣府がタコ足のように九大臣も大臣を一方で持つ。一方では、その隅っこで旧態依然としたことをやっておって、本格的に重要なことが処理されていかない。

 これはかねてから言われておりますように、少子化問題であり、かつ子育て問題であり、かつ人づくり問題であり、あるいは、若いあるいは若くなくても子育て中のお父さんやお母さんの働き方の問題である幼保一体化を核とするこの課題になかなか本格的に取り組めなかったということが、今の省庁のあり方が、機能的というよりは旧来型の、上から目線の、学制とかそういうものに縛られてきた。再編をするとすればやはり機能的にもう少し考えなければいけないというふうに私は思っております。

大泉委員 これで終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、橘慶一郎君。

橘(慶)委員 おはようございます。

 冒頭、万葉集をやった方がいいという声を幾つかいただきましたので、あえて、ちょっと審議時間をいただきまして、させていただきたいと思います。

 私の出身の富山県というところに、大伴家持卿、万葉集の編者と言われております、この方がいらっしゃって、歌もたくさん詠まれたということで、私どもの町では、一年間に一回、万葉集を全部、三昼夜かけて詠み通すというイベントもあるということであります。そういうことがありまして、かといって、いつも富山県の歌では、これまた余りにも我田引水。やはり、きょう、答弁席を見まして、四国の歌がいいだろう、こういうことでございます。

 巻の一の八番に、額田王が歌った歌がございます。「熟田津に船乗せむと月待てば潮もかなひぬ今はこぎ出でな」そういう気分じゃないかと。

  熟田津に船乗せむと月待てば潮もかなひぬ今はこぎ出でな(拍手)

 ありがとうございます。

 それでは、七十分間のクルージングにおつき合いをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 大分質問も進んでまいりましたし、きのう、参考人四方、いろいろなお話もいただいて、いろいろな問題点、あるいはいろいろなことを勉強させていただいております。少し幾つかまだ指摘されていないところを指摘させていただきながら、きょうは、さすがに幾つかは私の思いといいますか、こんなことも考えたらという運用面の提案というようなことも含めて進めてみたいと思います。

 まず最初に、平成二十一年二月三日、国家公務員制度改革推進本部決定、これは前政権下でありますが、幹部職員賞与の傾斜配分化の実施を予定されたわけで、人事院に勧告の要請を行うということになっております。

 それから一年ちょっとたっております。現状をお答えいただきたいと思います。

尾西政府参考人 御指摘の指定職職員の特別給、いわゆる賞与につきましては、能力、実績に応じた人事管理を徹底する必要があるとの観点から、新たな人事評価制度がこういった指定職職員を含めて導入されましたことにあわせまして、指定職職員の特別給にも成績査定分を入れるのが適当と考えまして、昨年、平成二十一年五月一日に、指定職職員の特別給について勤務実績を反映させるよう勧告を行いまして、その後、給与法の改正を経まして、昨年六月期の特別給から査定が実施されておるところでございます。

橘(慶)委員 改革はやはり一つずつ基本法の中で進めていかなければいけない、そういうことで進んでおるということでお答えをいただきました。

 次に、これは仙谷大臣の前回の答弁にもございましたが、内閣人事局をつくりますと、内閣官房の内閣総務官室でも若干いろいろな、同意人事とかいろいろなことをやっておられる、そういったものも人事局の方への移管の可能性があるというようなお話もあったかと思います。

 これは、昨年の閣法の中でもそういうことが考えられておられたようですが、この辺、どういうふうにお考えなのか、お答えください。

階大臣政務官 お答えいたします。

 内閣官房組織令において、内閣総務官室の所掌事務というものが定められております。二条の三号において、「内閣の主管に属する人事に関すること。」これが今回の内閣人事局創設に伴って移管されるのかどうかということでございますけれども、今回の内閣人事局は、内閣官房に新たに加わる幹部人事の一元管理を行う、一元管理を担うということにしておりまして、内閣総務官室については従来どおりの機能を維持する、こういう整理にさせていただいております。

橘(慶)委員 そうすると、確認ですが、前回の御答弁では、例えば同意人事の関係とか、あるいは独法の理事長さんなどといったことも扱う云々というような御答弁であったと思うんですが、今回は、発足当初はそういうことは予定されないというふうに理解していいんでしょうか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 前回、橘委員への四月九日の答弁だったかと思いますが、仙谷大臣の答弁は、内閣人事局や内閣総務官室を含む内閣官房全体として担う事務が重要かつ困難な事務であるということの例として申し上げたということでございます。

 したがいまして、現在内閣総務官室が担っている国会同意人事の事務というものは、引き続き内閣総務官室が担うということで問題ないと考えております。

橘(慶)委員 そういうふうに確認させていただきました。

 それでは、次は、国家公務員総人件費二割削減云々ということの中で、よく、地方移管、そのときにどういう負担になるのかという議論がこの委員会でも何度かあったかと思います、仮定の話の部分ですが。そこで、その実例となり得るものを一つ、私なりにそうじゃないかと思うものがありましたので、きょう、ここで、披露かたがた御質問させていただくわけであります。

 皆様のところには、この道州制特別区域における広域行政の推進云々というパンフレットが行っていると思います。開いていただきまして、四番の「交付金制度のイメージ」というところの下の「交付金のイメージについて」というポンチ絵のところにあるわけですが、ここに「開発道路の改築事業を委譲する場合」ということで、一番下に米印で「移籍する人数に応じて人件費を交付金に積算」とあるかと思います。

 それが、言ってみれば、例えば国の事業を地方へ移す場合の一つの事例になる。事業を地方に移すことによって人員も地方に移し、そのことによってどういう人件費の負担をするかという一例になっているかと思います。

 まずは、奥平北海道局長さんに来ていただいております。私の古巣ということになるわけでありますが。

 二十二年度から交付金化されておると理解しております開発道路、指定河川。都府県の方々にはなじみの薄い制度かもしれませんが、北海道では、道道とか二級河川の部分で、ある部分、直轄事業で北海道特例としてやってきた部分があるわけであります。これを、今回の道州制特区の中で国に戻して、そしてそれによって人件費等の計算もしておるわけでありまして、これの運用はどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。

奥平政府参考人 お答え申し上げます。

 パンフレットにございますように、道州制特別区域における広域行政の推進に関する法律でございます。いわゆる道州制特区法でございます。この法律に従いまして、開発道路、指定河川等に係る事業につきましては、平成二十二年度から北海道に移譲するということにしております。同法第十九条に基づきまして、北海道が行う事業の実施に要する経費に充てるための交付金を交付するということになっております。

 人件費の取り扱いにつきましては、同法五条一項の政府が定める基本方針の中で、国の職員の受け入れ人数に応じて措置するということになっておりまして、具体的には、受け入れ人数に応じて事業費の一部を当該受け入れ職員の人件費に充てることができるということとしたところでございます。

 事業費に対する国の交付金につきましては、北海道におけるそれぞれの事業の国の負担割合を限度に交付するということで措置をいたしておりますが、パンフレットにあります開発道路では百分の八十、それから指定河川につきましては百分の八十五ということでございます。

橘(慶)委員 事前に通告してあるわけでありまして、実際、道庁へ何人移籍されて、そのことによって、それこそ国から地方へということでありますので、どれくらいの交付金が国から出るのかということでお答えをいただきたいと思います。

奥平政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な受け入れ人数でございますが、これは、道庁の方から出されてまいります交付申請の中で確定はするということでございますけれども、国といたしましては、開発道路の関係で三名、指定河川の関係で一名、合計四名を想定いたしております。

 現在、どういったグレードのどういった立場の人間を移管するかということを道庁の方と詰めておりますので、具体的な金額につきましては、道庁から提出されます交付申請の中で確定するということでございます。

橘(慶)委員 局長、ありがとうございました。

 四名と。中堅職員、いろいろな職員ありますが、仮に、例えば八百万ぐらいで、グロスですから、計算しますと四名で三千二百万円となりますが、そのうち八割は国が持つということですから二千五百万ぐらい。言ってみれば、総人件費、一・一兆円の中で二千五百万ぐらいそれがあるということになるわけです。

 ただ、一面、実は、八割ということですから、ここでは二割は地方に負担してもらうということになったので、職員が行ったことによって、逆に道庁さんの方では、計算したら七、八百万ぐらい負担をいただくということになるわけであります。この辺が私、一番危惧といいますか心配するところであります。

 北海道は非常に国の補助率が高いですから、八割国が持った形で行きました。それと同じことで、いわゆる都府県でやりますと、十分の五の事業、二分の一事業、いっぱいあります。そういった補助事業をもし持っていったときに、では五割は地方で負担してくださいねというのは、ちょっとそれはひどいんじゃないかと。本当は、道庁さんにすれば、多分、十割全部、四人来るんだから全部持ってよというのが道庁さんの立場だったと思うんですが、せめぎ合った結果、八割、八割五分、まあそれぐらいならいいでしょう、こうなったんだと思うんです。

 この辺、ですから、これから権限仕分け云々ということをこの間原口大臣がおっしゃいました、事業を移すと。では、今こういった一つの、これは財務省さんや国交省さんみんな含めての、四名、小さいですが、ここに一つの事例としてあります。さあ、実際、これをこれから本当に都府県でも、地方整備局とか農政局、いろいろなところでやるとしたら、これは前例になるのか、あるいは、これは特例であって、そのとき考えるのか。

 本来、地方から、国と地方の協議の場をやれば、当然、十割下さいと言われる声は強いと思うんですが、この辺の御見解をここで一度確認をしていきたいと思います。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 ただいま委員御指摘の点なんですけれども、国の出先機関の見直しについては、今後、地域主権戦略会議において検討が進められるものでありまして、人員の地方移管等の取り扱いについてもその中で検討をされるものと承知をしております。その際、財源措置のあり方についても、国民負担の軽減につながるよう、国、地方公共団体を通じた行政の簡素化、効率化の観点を踏まえ、検討がなされるものと考えております。

 以上です。

橘(慶)委員 一応確認いたしますが、この事例は参考というふうに考えられるんですか。これはこれ、それはそれということでしょうか。一応確認させてください。

大島副大臣 なかなか難しい問いだとは思うんですけれども、委員の理解されることかなと考えております。

 以上です。

橘(慶)委員 なかなかそれ以上追いかけるのもどうかなという御答弁でありましたので、ここはこれで、そういうことがあるということを多くの委員の方に認識しておいていただければよろしい。

 とにかく、本当は十割じゃないと地方はなかなか受けないと思うんですが、いわゆる国庫とすれば八割とか、でも五割はひどいなということを申し上げておいた、そういう議事録が残ればそれでいいかと思います。

 さて、問題、次へ進みます。

 給与水準をどうしていくかという、例の、今大きな問題ですね、労働基本権の問題とも絡むわけですが。これは、まず現状認識ということで、提出者と政府、それぞれお伺いをしたいと思います。

 国家公務員の給与、人事院勧告により民間準拠というのが今までの大原則ということで戦後やってきたわけであります。しかし、今、国の財政も大変厳しいという状況でございます。こういった中で、この間から出ておりますように、地方公共団体では、それぞれの事情に応じて、既にもう人事院勧告どおりということにはならなくなって、いろいろな事情で給与カットということも、時限を切ったりして、住民に納得をいただく形、職員の方に納得をいただく形でやっておると、仙谷大臣も何度もお答えいただいているところであります。

 そこで、この国家公務員の給与について、人事院さんはちょっと耳をふさいでいただくとして、民間準拠ということではなかなかもうやっていけないんじゃないかなという認識であるかどうか、あるいはそうではないのか。まず提出者の方に、続いて政府の方にお伺いしたいと思います。

塩崎議員 お答え申し上げます。

 今の民間準拠ということをどう考えるかということでありますけれども、御指摘のように、従来のような民間準拠に基づく人事院勧告をそのまま反映して給与を決めていたのでは、人件費を削減しようというのはなかなか実現ができないということだと思います。それがために、我々は、それだけではありませんが、今回の議員立法でも、幹部職については人事院勧告の対象から外すということにしておりまして、人件費の削減という意味でも、早急に実現を図っていきたいと思っております。

 考えてみれば、民間準拠ということであれば、普通の会社で業績が悪いなというときに、一番先に切るのは、やはり役員の報酬、給与であり、またボーナス、これを大幅にカットするというのが普通でありますから、そういうことを含めた、国民から見て、官がやはり率先垂範をして、民だけに苦しみを味わわせるというようなことではないような、そういうことをやらなければいけないんじゃないかと思っています。

仙谷国務大臣 民間準拠というやり方で私はいいんだろうと思うんですが、今の時代、なぜこんなに矛盾が出ているのかというと、民間は、中央値で約百万円、年間の収入が下がっているわけですね。それから、雇用者所得から見ても、大体百万円ぐらい平均値で下がっておるわけですね。さらに、もう少し言えば、営業成績の悪い、経常利益がなかなか上がってこない会社は、幹部職を先頭にもっと下がっている会社がございますね。

 これは国の世界ですから、毎年毎年あるいは四半期ごとの決算を見てあたふたする必要はないのかもわかりませんけれども、しかし、営業成績、すなわち税収が低い、あるいは累積債務残高が非常に高くなってきた、こういう状態でむしろ考え方として民間準拠をするとすれば、幹部であれ一般の方であれ、そこでの勤務条件としての給与あるいは報酬というものがどういうふうに考えられなければならないか、そこも民間準拠ということにしなければならないのではないかと私は考えております。

橘(慶)委員 それぞれに少し理屈立ては違いましたけれども、やはり、今の水準ではなくて、民間準拠というだけではできないというか、あるいは、民間準拠であっても、それは中央値ではなくて、やはり非常に経営の厳しいところというものに準拠していくということであれば、結局、なかなか中央値という数字はもうできないんじゃないかという御認識だったと思います。

 そこで、基本的な質問ですが、人事院さんは中央値ということになってくると思うんですが、人事院勧告を下回る、いわゆる勧告を下回る形で給与体系の設定をすることが可能であるかどうか、そのための条件というものは何であるかというところだと思うんですね。今までも、過去、凍結をしたとか、時期を延ばしていろいろなことをやってきたこともあるわけですけれども。

 今度は、人事院さんに、まずそのあたりの人事院としての見解をお伺いさせていただき、その後、仙谷大臣から、何度かこの部分は聞いておりますけれども、もう一度、そういう中央値じゃない給与体系の設定のための条件ということをお伺いしたいと思います。お願いします。

江利川政府特別補佐人 人事院の立場では、おのずと法律に基づいて権限が決められておりますので、答え方は限られてくるわけでございますが。

 まず、民間準拠に対してやっていくということで、これまでも、過去十年分を見ますと、モデル的なケースでございますけれども、平成十年と平成二十年を比較しますと、四十歳の国家公務員のモデルでは、本省勤務で約一二%ぐらい給料が減ってきているわけでございます。これは、不況の中で民間の賃金が減っていますので、それに合わせて減ってきているということでございます。

 財政事情の問題もございますけれども、現在の国家公務員法上の人事院の役割としては、それは考慮事項に入っておりませんで、情勢適応の原則に従って勧告をするということになっているわけでございます。

 そういう仕組みの中で人事院は勧告をしているわけでございまして、人事院の立場といたしましては、労働基本権の代償措置としての勧告でございますので、情勢適応の原則に基づいて行った勧告につきましては尊重していただきたいというのが基本でございます。

階大臣政務官 お答えいたします。

 委員からの御質問は、人事院勧告を下回る給与体系の設定は可能かということでございます。

 憲法二十八条で、すべての勤労者について、労働三権、すなわち団結権、団体交渉権、団体行動権というものが保障されておりますけれども、公務員につきましては、その憲法二十八条の保障は及ぶとされながらも、職務の公共性であるとか市場抑制力の欠如等々の理由によって一定の制約が許されるとされているのが最高裁の判例です。

 その一定の制約を課す上で、憲法二十八条にかわって国公法の二十八条、すなわち、今江利川総裁からもお話があったような情勢適応の原則というものが定められているわけです。この情勢適応の原則に関する条文を見ますと、二十八条の一項ですけれども、「この法律に基いて定められる給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。」というふうにされておりますけれども、その後に続けて、「その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠つてはならない。」というふうに明文で規定されております。

 すなわち、変更に際しては人事院の勧告というものが必ず予定されているわけでございまして、勧告があるということは、それを重んじなくてはならないというのが、そもそも、憲法二十八条の労働基本権の保障を制約する、その正当化のために国公法の二十八条が設けられた趣旨というものからかんがみると、そのように人事院勧告は尊重されなくてはならないのではないかというふうに考えているところでございます。

橘(慶)委員 なかなか大事なことをお話しいただいたと思うんです。

 そうすると、もう一度、政務官で結構なんですが、結局、先ほどちょっと冒頭申し上げたように、幹部職員の賞与を弾力化する際も人事院勧告を要請した、人事院勧告に基づいて今、賞与の弾力化をしたんだと。

 ですから、せんだってからいろいろ話が出ております。例えば、伊東良孝委員がここへ来られて、地方公共団体の事例も出されました。そのときは、労使、いわゆる市の当局と職員団体の協議の中で三年間とか時限を切って、そういうのはあちこちでやっている事例だ、こういう話でした。

 しかし、国の場合はなかなか、そうすると、国公法の縛りからすると、人事院にやはり下方勧告をしてもらわなければいけないということになりますと、この給与体系の見直しの前に法的措置が要るという認識になるということでしょうか。どうでしょう。

階大臣政務官 先ほど申し上げたのは、労働基本権が制約されている以上は、代償措置である国公法二十八条の規定を重んじなくてはならないということでお答えしました。

 したがって、裏を返せば、労働基本権が民間と同じように保障されて、そして憲法二十八条がそのまま適用される、あるいは準用される、あるいは、いろいろなバリエーションはあるかと思いますが、その職務に応じた適用がされるということになってきますと、おのずとこの国公法二十八条の縛りもとれてきて、労働者側との交渉によって給与水準の引き下げということも可能になってくるのではないかと思っております。

橘(慶)委員 ありがとうございます。大事な部分だと思います。本府省業務手当のところは飛ばします。それはいいとして、今大事な答弁をいただきましたので。

 そうなってくると、給与をいじっていくといいますか、二割削減であろうが、あるいは財政再建のため、あるいは、地方の公共団体とある意味で一緒ですから、今、国をよくしていくためにみんなで頑張るからよろしくお願いします、こういうことをやろうとすると、どうしても労働基本権の問題に入っていかなきゃいけないと論理的にはなる、法解釈上そうなる、こういうお話だったと思います。

 そこで、そうなった場合に、今よく言われる集中改革期間といいますか、政権的にいうと四年間、私に言わせるともう三年半しかない、こうなるわけです。来年の二月、三月には法案提出予定もされるということになった場合には、この労働基本権の問題に本気で立ち向かう、もしそういう決意をされるとすれば、これは必ずしもほかの委員の皆さんと意見が一致するかどうかわかりませんが、先ほど仙谷大臣も何度も言われております。

 政治主導である政府における使用者責任といいますか、当事者能力といいますか、ではだれが親方なんだという部分を考えたときに、そこはもちろん、職員団体も各府省、ある意味で分権型の霞が関になっていますから、ばらばらではあるんですが、やはり労働側の代表の方と政府の代表の方はひざ詰めで話をされなきゃいけない。それを役所に、いわゆる公務員の方に任せておくということでは、これは別に変な意味じゃありません、何か引き込まれていくとかそういうことではなくて、本当に矜持を持ってやるとすれば、やはりそこは何らかの形でそういう話し合いをされていく、そういう実績を積まなきゃいけない。

 労使交渉ではありません。要するに、懇談であれ何であれ、こういうことをやりたいんだ、これはどうなんだということについては、やはり政府が顔の見える形で進めていく、そういう時期に、別にマスコミに向かってという意味じゃありません、いわゆる使用されている側に対してそういうものを見せていく時期に立ち至っているのではないかと橘は思うわけです。

 なぜこの質問をするかというと、私、これは別に絵そらごとで言っているのではありません。私は高岡市の市長の仕事を五年間やりましたので、その際、職員団体の委員長さんとは四半期ごとに懇談をやっております。労使交渉ではありません。懇談ということで昼食時間の一時間ずつです。一時間ずつ、計二十回くらい懇談を実際して、それをベースに労使交渉をしたという、実際、自分の経験に基づいて申し上げるわけであります。そうすれば、官房長官だって、忙しいということは理屈にならないと思います。もしこの課題が重要であるとすれば、やはりそういったことに踏み込むべきではないか。

 そういう決意があるかどうか、やり遂げるんだということについては、どちらかというと大臣からお答えいただいた方がいいですね。

仙谷国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。

 特に、基本権を付与するという方向での公務員体系を制度設計するわけでございますから、そういう制度ができた段階での相手方になるわけでありますから、その方々の御意見を適切に聞きながら制度設計をしていくということでなければ、制度ができた後の良好な、あるいは健全な自律的労使関係が築けるということはないのではないか。

 したがって、現在審議中の幹部人事の法案を御協力で成立させていただきましたら、次は、その作業に向けてのこちらの体制づくりというのが極めて重要になってくるだろうなと私は思っております。

 その仕事が官房長官であるのか、そういう部分についての担当を改めて総理大臣が指示されるのか、それはちょっとまだわかりませんが、要するに、そういう部署といいましょうか、担当者が必要になってくることだけは間違いないと思います。

 もう一点、実は、この間、いろいろな情報が入ってくる中の一つにILOとの関係がございます。これは何十年も勧告を出されているわけでありますが、ILO本部における、労働組合側は労働組合代表として自立をしておるわけでありますが、政府側代表は、いわばジュネーブの代表部があって、そこに厚生労働省から派遣をされている。ところが、この厚生労働省の部署というのは、日本の公務員制度改革に今までほとんど関与してこなかったという、まことに不可思議な政府内の関係がございます。

 つまり、ここも、国際的な標準としてのILOにおける議論なり日本の立場なり、こういうものを今後どう発信し、そこでどういうポジションをとるのかも含めて、公務員部局に、公務員の労使関係といいましょうか労働関係の政府側当事者になる予定のところは、労働組合とも協議しつつ制度設計をし、さらに、政府代表として、ジュネーブでの日本政府の発言なり対応についての、そこと非常に強い連携を持って進めていかなければならない、こういうふうに考えております。

橘(慶)委員 これからの進め方ということのお話はいただいたんですが、前に出ていくというか、変な意味ではなくて、これから給与の問題も絶対さわっていかなきゃいけないという御認識を皆さんはお持ちであるということであれば、やはり顔が見えるという形で前へ出ていかなければいけないんじゃないか、このように思うわけです。

 ぜひ、そこについては、だからいつやるということでなくても、その決意だけはやはり聞いておきたいなと思います。

仙谷国務大臣 その決意を持って政権全体として取り組んでいきたいというふうに考えますので、橘議員を初め自民党の各議員の先生方におかれましては、適切な助言と適切な御協力をお願いしたいと思います。

橘(慶)委員 ありがとうございました。

 この項の最後になります。

 新年度の採用の問題も何度かお話が出ております。トータルとして統一的な形になかなかなりづらい、あるいは、今までそういう状態であったという感じでのお話を聞いております。そこで、ここでは二つに分けてお聞きしたいわけです。

 技術的になりますが、公務職場もいろいろな職場がございます。それこそ、医療関係もあれば、あるいは海上保安業務もあれば、税関業務もあれば、いろいろございます。本来、試験採用については、職種ごとに、それぞれの実情に合わせた補助率を決めて、科学的に積み上げをして、採用数というものを純減的な計画も含めて考えていかなきゃいけないんじゃないか。そういう科学的なやり方を、原口大臣もこの間お話がありましたが、将来に向かってはしていく時期に来ているんじゃないかと思うんですが、その辺の考え方をお伺いします。

階大臣政務官 お答えいたします。

 新規採用の採用数を決めるに当たっては、職種ごとにきめ細かく考えるべきではないかという御指摘でございました。

 まさにそのとおりだと考えておりまして、今私が所管している人事・恩給局がそのような考え方に基づいてたたき台をつくり、そして今、実はきょうも、けさやってまいったんですが、四大臣、すなわち官房長官、仙谷大臣、原口大臣そして枝野大臣、この四大臣で協議をして、新年度の採用についてどういうふうな方針をつくるかということを、最後の詰めの作業をしているところでございます。

 委員の御指摘は私どももしっかりととらまえながら、こういう採用方針を今協議しているところだということを申し上げます。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 四月末ということで、だんだん近づいています。連休前、来週はもう四月末ですから、ぜひまた、お示しをいただいて、議論の素材にしていただければと思うわけです。

 この採用の、やはり今から絞っていかなきゃいけないということは理解しながらも、ちょっと矛盾したことを一つだけ申し上げます。やはり議論は一方的であってはいけないと思うわけであります。

 というのは、毎年毎年、二十二とか十八を迎える方は、自分は将来こういうことをしたいんだ、中には、公務職場を期待して一生懸命勉強に励んでこられた、そういう方もいるわけであります。そういったときに、一部の議論はありますけれども、厳しいから採用抑制というのは当然として、しかし、全くなかったり採用をやめちゃったとかなっちゃうとまた気の毒なというか、今まで若い人には何の責任もないことで、いや、ごめんね、ことしは採用ないんですよというのもまた、これは本当に公務職場としていいのかどうかという、ちょっと相矛盾したことを申し上げますが、そんな感じもするわけであります。

 まして、労働市場が非常に厳しい、こういう時期であります。そうすると、ワークシェア的な話に立ち至るかもしれませんが、全体の給与水準は見直すとして、やはり有為な人材についてはまた入れていくということについても配慮があっていいんじゃないかなとも思うんです。

 ちょっと相矛盾しますが、このことについての見解をお伺いしたいと思います。

階大臣政務官 新規採用の数を一定程度確保することが若者に夢を与えるかということにつきましては、私は若干異論を持っております。

 と申しますのは、私、平成三年に、当時、日本長期信用銀行という銀行がありましたけれども、そこに就職しました。バブル採用で、非常に入社しやすかった、そして待遇もよかった。それで夢を持って入ったつもりだったんですが、実は、それからほどなくして破綻した、こういうこともあるわけです。

 むしろ、数は少なくても、少数精鋭で新規採用を行い、そして、その方たちはちゃんと活躍する場を与えられ、頑張れば報われる、こういう形で採用を行った方が公務を志す若者には夢を与えられるのではないかと考えております。

 そのような観点に立って、先日、総務省でも、原口大臣がみずから、新規採用を希望する若者たちに対し、総務省の仕事が多岐にわたってダイナミックな仕事であるということで、総務省の仕事を紹介するなどして優秀な人材の確保に努めている、こういうことでございます。

橘(慶)委員 ここはやはり、それぞれ経験ということもありますから、そこはそれで受けとめさせていただきます。

 幹部公務員制度の問題に入ります。

 ここで、後半戦に入っていきますし、もう一山持っているものですから、そこまではぜひ進んでおきたいと思います。

 最初に、転任、降任、私も大分質問しましたので、きょうはもうこの辺は終局させていきたいという意味で、最後に確認を含めて幾つかちょっと聞かせていただきます。

 これは転任ということでありますので、仮に、例えば次官さんから審議官、そういう極端なことはないと思いますが、そういう人事があったとしても、それは格下げ人事ではないということであって、あくまで転任である、そういう解釈になるのではないか。確認です。

 それから、その際は、あくまで成績主義でやるということでありますから、よく懸念される、例えば大臣の意向に逆らったとか、まあ職務命令に違反するのはだめでしょうけれども、何か感情的に合わないとかそういうことではなくて、あくまで成績主義という中で人事はされる、そういうことではないかという理解をいたします。ここについて、一応確認をさせてください。

階大臣政務官 大臣の意向に沿わない、そのことだけをもって降格ということは、確かに恣意的な人事ということにつながるわけでございまして、ただ一方で、恣意的人事を避けつつも、政治主導を実現するという観点も大事でございます。私どもとしては、そういう恣意的人事を避けながら、政治主導を実現するというための幹部職員人事の一元管理だというふうに考えております。

 そこで、常々申し上げておりますとおり、適格性審査につきましては、公平中立に行った上で名簿をつくります。名簿から各ポストに任命する段階では、職務の適性をしっかり見ていく。有識者の方にも面接に参加していただきながら、しっかり見ていく。最終段階で任命を決めるに当たっては、ひとり任命権者だけではなく、総理大臣あるいは官房長官と協議をした上で決めていくということで、今申し上げた、恣意的人事を避けながら、政治主導の人事を実現していくということを心がけていきたいと考えております。

橘(慶)委員 そこで、あとは、この転任という制度設計を閣法の方は選択されたわけであります。当然、その際には、政務三役会議になるんでしょうか、いろいろなパターンを、利害得失というものも考えられたと思います。

 恐らく、私ども思うのは、転任ということにした場合のデメリットというのは、それが世の中に出たときに転任と受けとめてもらえるかどうかというのがデメリットじゃないかなと。要するに、人の常識となかなか合わないという部分がそこにあるんじゃないかな、こういうふうに思うわけであります。

 当然、そういうことについても議論をされて、降任という道ではなくて転任という道を、どういう理由にしろ選ばれた、そういう会議をされておると思うんですね。その中で、これがこうだ、これはこうだ、そしてやはりこっちを選択するんだ、そういう真摯な議論がなされたものと思います。

 その辺の苦労話というか、なぜそうなったのかということについてお答えをいただきたい、こういう趣旨であります。

仙谷国務大臣 苦労話になるかどうかわかりませんが、昨日も、たまたまなんですが、自宅に帰り着いてテレビのチャンネルをひねったら、伊藤忠の丹羽さんの、要するに経営人材の育て方といいましょうか、それについての、勝間和代さんという方と丹羽さんとのやりとりも随所に入ったレポートがありました。

 私、つくづく思いますのは、霞が関というか役所の場合も、あるポジション以上になってくると、後輩を育てるというか、自分はいつまでも生きていられないわけでありますから、若い世代を育てる、そのことも仕事の大きな部分だと思うんですね。

 後輩を育てる最大のものは、丹羽さんは、要するに若い人の力を信頼することだと。自分がどかないで頑張っている、偉いと称する役職者は、これは若い人を信頼していないからだと。信頼をして、しかるべきポジションにつけて、しかるべき仕事を与えない限り、若い人の力がついてくるなんということは絶対にあり得ないと。

 だから、年寄りはという表現を彼はしていましたけれども、上司に立った人は早く自分の席をあけて、余り早過ぎてもいけないんでしょうけれども、自分の後輩にしかるべきところについてもらう。そして、経験を積ませ、あるいは困難な仕事をやり遂げて、そこで力がついてくる。これをするのも先輩というか上司の役目だというようなことを彼は言っておりました。

 私も、ほう、なるほどなと。つまり、一たんポストが上に立てば、そういうことも、これは組織としても、あるいは役所の場合は日本国というのを考えてもそうでありますが、やはりそういう部分も霞が関の一つの常識にしてやっていく。

 つまり、みんながみんな、転任という格好でちょっと外れたということで、地位にしがみつくかのように、おれみたいな優秀なのを外しやがって何ということだみたいな話が主にあるということじゃなくて、私は、従来から霞が関の尊敬する先輩たちも拝見したり仄聞したりしておりますが、そういう気持ちで対処をされてきた官僚の方々も相当数いらっしゃると思いますので、転任で実質的に給料が下がったり、あるいは職務権限の幅が少なくなったり、役所の中の影響力が落ちたりされても、そのこと自体で不平不満を持つという方ばかりではないような、そんなふうに考えております。

橘(慶)委員 今おっしゃった部分でいいますと、しかし、当然、いや、おれはそれはおもしろくないんだとか、おれはこんなに給料が下がってどうしてくれるんだとか、そういう問題も逆に言うとあるということなんですね。

 大島さん、お答えになりたいですか。どうぞ。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 まず、検討過程における詳細についてはなかなか答弁をできないものですから、私的な考え方として述べさせてください。

 今の時代は、例えば二十年前、三十年前ですと、女性の上司の下で働くことについて違和感を覚えられる方が多かったと思うんです。今は、女性の上司の下であってもスムーズに皆さん仕事をされる方、私も、仙谷大臣にお仕えしているとともに福島大臣にもお仕えしていますから、別に違和感なく大臣あるいは副大臣というこの縦の系列の中で働く、まずは時代が変わってきたのかなと思います。

 今の会社においても、入社年次が後輩でも、先輩を抜いて後輩が上司になることも多々ありまして、この点についても、今の働くサラリーマンの方たちは納得して働いているのかなと思っていまして、柔軟につかさつかさの仕事を行っていただくことが大切かなと考えています。

 たまたま、きのうの夜、寝るときに読んでいた本がありまして、塩野七生さんの「マキアヴェッリ語録」というんですけれども、読んでいましたら、この中に先生の問いに対する答えが載っていました。「古代のローマ人は、名誉を尊ぶ気持が非常に強い民族だったが、それでもなお、かつての部下に命令される立場になっても、不名誉なこととは少しも考えなかった。」「共和国にとって信頼できる市民とは、下位から上位に昇進する者よりも、上位から下位にさがっても不満なく任務をまっとうする人物である。」ということで、やはりこういうことが、私たちの時代では、それぞれつかさつかさに応じて一生懸命働いてもらうということが大切なのかなと個人的には思っております。

 それで、今度は答弁というわけじゃないんですけれども、国家公務員制度改革基本法の第五条二項においても、多様な人材の登用及び弾力的な人事が行えるよう、幹部職員を対象とした新たな制度を設けることとしておりまして、このために、今回の法案においては、幹部職人事を弾力的に行うことを実質的に可能にするために、事務次官級、局長級、部長級の官職を同一の職制上の段階に属することとみなして、これらの官職間の異動を転任としておりまして、できるだけ優秀な方にその時々の政策の優先課題に応じて仕事をしていただく、そういう趣旨で柔軟な仕組みにさせていただいていると考えております。

 以上です。

橘(慶)委員 夜寝るときも私の質問を考えておいていただいて答弁、それは本当にありがたいことであります。

 ぜひ、そういうお気持ちの中で、私どもにするとツーレイヤー、スリーレイヤーということでないかな、ワンレイヤーなのか、その辺はぜひこれから理事さんたちの皆さんでよくまた考えていただきたい。

 私にすれば、要は、おっしゃることを理解しながらも、そういう立場にもし立たれる方、いわゆるポストが動いちゃう人の立場に立った、その人の人権というか、その人の思いということを考えたときにどうすべきかということが、最後に考えなきゃいけない、あるいは法律をつくる前にお互いに見詰めておかなきゃいけないことだと思っておるということであります。

 その観点で、三点、順番にお伺いします。

 残念ながら、仮に本人が、いや、この転任は不満だ、おれはどうしてこんなことになるんだと御不満になられた場合に、これは仮定の話で、そういうことがないことをもちろん祈るし、ないようにやらなきゃいけないんですが、そういうふうに、例えば今、某民間会社の社長さんでそういう方もいらっしゃるように新聞では見ますけれども、それはそれとして、そういう場合の手続というのは論理的にはどういうことが考えられるんでしょうか、お答えください。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 国家公務員法において、その意に反して甚だしく不利益な処分を受けた職員は、人事院に対し不服申し立てをすることができると規定されております。仮に、甚だしく合理性を欠く異動がなされた場合には、不服申し立ての対象となることはあり得ると考えております。

橘(慶)委員 でも、ここで大事なところは、不服申し立てをしたとき、その不服申し立てを受け付けていただけるかどうかという、そこでまた裁かれるわけですね。

 しかし、転任の基準が何もなければ、いや、それは転任であって全然問題ないんですよ、給料が下がりました、それは当然でしょうと。そうすると、門前払いにされて、次は裁判所へ行ってください、そんな話もありました。それで、地裁、高裁の判決が出てから、いや、この法律はどうだったというのは余りにもみっともない話でありまして、やはり今が大事だ。

 仮に、不服申し立てということまで考えると、政府案でいく場合は、やはりそこに何らかの基準、公正性、あるいは、不服申し立てを言ってみれば裁く何らかの基準、それが標準職務遂行能力では余りにも抽象的という議論もありましたけれども、それにしても、何もルールがないということではいけないんじゃないかという感じはここで持つわけであります。やはり、人事の公正性を担保する必要があって、そのためには統一的な運用方針が必要と思うわけであります。

 そこで、ここはどうしても僕は、これはこの質問の、きょうのハイライトでありまして、仙谷大臣はまたお戻りになると思います、それをお待ちしながら、でも、いらっしゃらないところで人事院総裁の話を聞いてもいけないので、済みません、皆さんお聞きになったので、ここでストップしまして、先へ進んで、お戻りになるのをちょっとお待ちしたいと思います。

 少し飛びますね。お戻りになるのをお待ちしながら、速記をとめるわけにもいきませんので、先に行きます。

 提出者側には、突然飛びまして申しわけございませんが、天下り規制の方の話を先にちょっとお伺いをして、三項目めの一問目から少しやらせていただいて、仙谷大臣のお帰りを待ちたいと思います。

 天下り規制の一点目。

 内閣案、議員案ともに、民間人材登用・再就職適正化センターについて、センター長は国務大臣である。副センター長というものが当然補佐する立場で置かれるわけで、技術的ですが、どのような人物像でお考えになっているか、提出者、政府という順番でお願いいたします。

菅原議員 お答えをいたします。

 民間人材登用・再就職適正化センター、この副センター長、現在の官民人材交流センターの副センター長は民間から起用いたしておりますので、このセンターにつきましても、やはり民間人の人材登用ということを考えますと、同様に民間人であるというふうに考えております。

大島副大臣 お答えをいたします。

 民間人材登用・再就職適正化センターの副センター長は、国務大臣が充てられるセンター長が再就職規制違反行為の監視、組織の改廃等の場合の再就職支援等のセンターの業務を統括するのを助けるものであり、この業務が適正に遂行できる高い見識を有する人物を充てることが必要と考えております。

 副センター長の人選は、任命権者である内閣総理大臣がセンター長の意見も聞いて行うことになると思われますが、民間からの登用も含めて適任者を選定されるものと考えております。

橘(慶)委員 ちょっと区切りのいいところまで進めます。

 議員案、衆法では、センターは分限免職時の再就職あっせんも行わない、こういう形になっております。それは私は納得はしながら聞くんですが、では、そういう場合の政府案にかわる代替措置はどのようにお考えになっているか、お伺いします。

柴山議員 お答えいたします。

 分限免職時の再就職あっせんを行わないことの代替措置についてのお尋ねですが、民間企業ならば、整理解雇を回避するために、まず、判例上もこれは言われていることですが、役員報酬の削減などの努力を行うべきだというように考えられております。政府においても、まず、役員報酬の削減に相当する幹部職員給与改革を初めとした給与制度の抜本改革などに取り組むことが筋だというようには考えております。

 その上で、やむを得ず整理解雇に相当する分限免職を行わざるを得ないという場合には、これも何度か答弁を申し上げているとおり、外部の、民間のアウトプレースメント会社の活用ですとか、また、大規模な整理解雇が、あるいは分限免職が必要となるようなケースでは、かつて国鉄の整理の際に設けたように、特別な組織を設けるといった個別の方策を講じるべきだと考えております。

 少なくとも、整理解雇に対応するための再就職あっせんの官制の組織というものを恒常的に維持しておく必要はないのではないかというのが我々の考え方でございます。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

橘(慶)委員 その部分は全く私も認識を一にするわけで、分限免職、たまたま今、社保庁改革があったので非常にクローズアップされましたが、過去の政府の歴史を見ても、分限免職なんて実はほとんどやっていないんです。

 せんだって、レクを受けたときに聞きますと、昔、姫路城の修理が終わったときに、そこにかかわっていた人をしたことがあるけれども、それはもう何十年前のことで、分限免職ということはそうそう、やはり本当に行き詰まったときの話であって、めったにやることではない。だから、それを予定した組織をつくっておくというのは、またこれは気持ちの悪い話でありまして、この辺はぜひもう少しよくお考えをいただきたい。

 おっしゃるように、何かあったときに、それは大変なことですから、それぞれの改革法なり特別法で幾らでも手当てできることじゃないか、それは認識を一にいたします。

 この項をもう一つだけ聞かせておいてください。

 二十一年度に退職勧奨に応じた者の議論がこの間ございまして、一千百人程度ということで数字が上がっておりました。二十一年度はまだ数字が固まりませんが、二十年度でいいんですが、私は、これは一応、認識を、ひとつ頭の中の整理をしておきたいんです。

 この退職勧奨の話は、いつもは霞が関のいわゆる1種採用、昔で言う上級職の方の話のようにどうしても聞こえてくるんですが、私はそうでもないんじゃないかと。一千何百人という数に対して、今、幹部公務員でくくるのが六百人ということであれば、多分、もっと違う人物像で実は退職勧奨がなされているんじゃないか。それはぜひ、委員の方々にも認識を持っていただきたいという思いがございます。

 この千百人程度の内訳をここでお示しいただきたいと思います。本府省、出先、そして1種、2種、3種、昔で言うと上級、中級、初級となりますが。お願いいたします。

村木政府参考人 お答えいたします。

 細かい内訳になりますと二十年度の数字しかございませんので、二十年度の数字でお答えさせていただきます。

 行政職俸給表適用者、一般的な事務職と考えていただいて、これが二十年度で勧奨退職者が千六百四十三名ございました。これを試験種別で申し上げますと、1種相当職に対応する者が百九名、2種に対応する者が七十名、3種に対応する者が千百九名、そのほか三百五十五名ということでございます。

 これをまた、所属機関別に見てまいりますと、本府省所属の者が二百七十三名、それ以外の地方支分部局等に所属する者が千三百七十名でございます。

橘(慶)委員 どうかお考えいただきたいのは、いつも言われているのは、この1種の本府省というところがいろいろ注目され、いろいろな問題があるわけであります。もちろん、出先でも何も問題ないとも言いませんが、今おっしゃったように、初級職、3種の方で退職勧奨に応じておられる方が実は多いということであれば、この辺をどのような措置をしていくかというのは、もう少しそこについての光も私は当てていただきたいという思いがあるわけです。

 たまたま中央省庁の出身でありますが、何せ北海道開発庁ということですから、北海道の現地ということをどうしても思うわけであります。そういったところで仕事をしておられる方々ということも含めて考えた場合には、そしてまた、その人たちの将来ということを考えた場合には、やはり、そこには何かもう少しいい方法、あるいは六十まできちっと勤めていただく方法、いろいろな方法をとっていただきたい。このことはちょっと、私の個人の思いとして、実はこの場で申し上げておきたかったということであります。

 さて、最後、十分あります。戻ってまいります。仙谷大臣を実はお待ちしておったわけでありまして、私は、きょうはここがどうしても聞いておきたいところであります。いわゆる転任の問題であります。

 実は、そうした転任で不満のあった方は不服申し立てだと。不服申し立てを裁くためにはやはり基準が要る。要は、ここはほとんどあってはいけない事例ですが、あってはいけないことにきちっと対応しておくのが、やはり立法者としての務めではないかと思うわけであります。

 この転任ということに対して、人事の公正性を担保する必要があると思います。そのためには、統一的な運用方針が当然必要であると考えます。内閣として各省に共通の指針をつくるべきではないか、そしてまた、人事院も何らかの基準を設けることが必要ではないか、それぞれにつきまして、ここはぜひ仙谷大臣、そしてまた人事院総裁から、それぞれお考えをお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 形式的に、政令とかあるいは運用のガイドラインというふうなものをつくるのか、実質的に、議論をして、各閣僚及び内閣総理大臣、官房長官の、つまり任命権者の共通のものであるようなコードをつくるのかは別にして、これは、私どもは、先ほどからも議論になっておりますように、やはり民間の今の人事労務行政がうまくいっていると思われるところ、あるいは経営人材をきっちりと育てて、会社のガバナンスというかマネジメントが適切に行われていると世の中に評価されているところなどなどの経験を踏まえて御議論をいただいて、何らかのコードはつくるといいましょうか、あるいは各閣僚の共通の認識といいましょうか、理解はしておかなければいけないな、こういうふうに考えております。

江利川政府特別補佐人 具体的な人事権者であります大臣の人事発令につきまして、先ほど階大臣政務官からも御説明がありましたし、ただいま仙谷大臣からもお話があったとおりでございます。そういうお考えに立って行われれば、各任命権者におかれましては、十分留意をされて、恣意性のない人事が行われるものというふうに思っております。

 ただ、そうでありましても、外部とかあるいは組織内部でどうつくるかという問題もございます。本人が不服を感じたらどうするんだというお話が、先ほど御質問にもございました。

 そういう疑念とか誤解が生じますと、組織活力あるいは職員の士気の問題も出てまいりますし、それが効率的な業務の遂行にも影響するということもあるわけでございます。そういうことが生じないように、また人事の公正性、あるいは本人の納得性、そういうものを確保する観点から、何らかの対応が要るのではないかというふうに私どもも思っております。

 人事院といたしましては、人事院は職務に関する人事行政の公正性の確保等の事務をつかさどる、任務としてあるわけでございますし、また、任用に当たっての原則的なルールを、国家公務員法第三十三条に基づきまして、人事院規則で定めることもできるようになっているわけでございます。

 まだ検討ということでございますが、具体例を挙げながら申し上げますと、例えば、つけようとする個別の官職、その職責に求められる能力、専門知識あるいは経験、そういうものを考慮いたしまして、人事評価に基づいて適正性を厳正に検証していただくとか、あるいは、組織法令上の下位の官職に転任させる場合には、適当な方法により職員に対して異動の理由を明らかにするとか、そういうことにつきまして人事院規則で定めることを検討してまいりたいというふうに思っております。

橘(慶)委員 お二方の答弁、それぞれちょっとほっとした部分がありまして、私、前から、御答弁の中で、何となくこれは英米法的にいっちゃうのかなと心配をしておりました。

 要は、判例を積み重ねてとなると英米法でありまして、不服申し立ての審査をしながらだんだんコードが決まっていく、これではちょっと困るわけで、やはり大陸法的に、最初にある程度コードを決めておいて、その中で、そういったいろいろな不測の事態にも備えられる、それがやはり日本の法体系としては望ましいんじゃないか、このように思うわけであります。ぜひ、コードあるいは人事院規則、その検討をお願いしたい、このことを申し上げておきたいと思います。

 さて、そうであったとして、あとは、恣意性のない人事は当然としましても、やはり事後的チェックの担保ということも要るんじゃないかと思います。何かお考えになっているのか、お伺いいたします。

階大臣政務官 お答えいたします。

 事後的チェックの担保ということでいえば、国家公務員法において、その意に反して著しく不利益な処分を受けた職員は人事院に対し不服申し立てをすることができるというふうに規定されておりまして、この規定が適用されることによって事後的チェックがなされると考えております。

 そこで、仮に職員から審査請求があった場合には、人事院が処分の適法性、妥当性を審査し、その承認、修正、取り消しの判定を行う、こういうことがなされることになります。

橘(慶)委員 ありがとうございます。

 そういう一つのシステムであるということが大事だと思います。

 しかし、それにしてもやはり、ツーレイヤー、スリーレイヤー、ワンレイヤーの問題についてはもう少しよく御検討いただきたい、こう思うわけであります。

 あと五分ということになりまして、もう一度質問に立つ機会があれば個人的にはうれしいな、こう思いながら、しかし、きょうはやはり、ぜひ聞いておいていただきたい部分、飛び飛びになりますけれども、もう少しお願いをしたいと思います。

 実は、今回の制度は、地方支分部局を抜いた幹部公務員制度になっております。

 そこで、またこれも、皆さんの認識、委員の方々の認識を一にしたいので、お伺いをしたいと思います。質問の通告でいいますと、二項目めの十三項目であります。

 地方支分部局の幹部は制度から外れるわけです。しかし、現状、指定職の方も結構いらっしゃると思います。中央の幹部職員、指定職六百人と言われております。

 地方の出先でどれくらいいらっしゃるのか、そして、職制的には、局長、副局長、次長、部長、いろいろございますが、どの程度まで指定職が適用されているのか、ここについて、運用の実態を人事院からお答えいただきたいと思います。

尾西政府参考人 適格性審査の対象の全体像、あるいは何が外れるかということは私ども承知はしておりませんけれども、今お尋ねの数字について申し上げますと、平成二十二年四月時点におきます本省以外の指定職ポスト数は約三百十ございまして、そのうち、地方支分部局の指定職ポスト数は約二百二十でございます。この中には、管区機関の長あるいは管区機関の副局長、そしてまた大規模府県の長などが含まれておるというところでございます。

橘(慶)委員 ちょっと確認をさせていただきます。

 大規模府県の長というのは、いわゆる所長のようなものでしょうか。

 それから、管区機関においても、部長職でもなっている部分があると思いますが、いかがですか。

尾西政府参考人 大規模府県の長というのは、大きな県にあります出先機関の長ということになります。

 それから、お尋ねの管区の部長クラスでは、数は少のうございますけれども、部長で指定職というケースもございます。

橘(慶)委員 ここは基本法の方に戻っちゃうわけですか、私よくわかりませんが。基本法の最終的な形態としては、ここは抜いちゃったわけですね。

 そこで、私がどういう問題意識を持っているかというと、幹部公務員、いわゆる指定職からこちらへ移る方もあるわけです。人事でよく、審議官から地方の出先の局長になって、また本省へ戻るとか、あるいは、課長から、要するに本省の幹部公務員の名簿に載らなくても出先の局長になるケースも、これは今回の法律の規制からは抜けていくわけです。

 そうすると、出先の局長からまた戻ってくるとか、この辺がちょっと、一元人事ということについて考えた場合に、本当に、そこをどうして抜いちゃうのかなという素朴な、これはどなたというか、基本法の立法者まで戻っちゃうわけですか、私よくわからないんですが、そこがどうなるかというところが気になっている。

 これは通告していませんので。ただ、そういう問題意識を持っていると。お時間があったらまたお伺い、あるいは、何かお答えがありますか。階さん、ありますか。

階大臣政務官 幹部職の範囲を区切ってしまったわけでございまして、それで、地方の出先機関に行ったり来たりするときに、幹部職から出たり入ったりという現象が起こるわけです。戻るときには、そのときは名簿に載っていないわけですから、また名簿に載っけてから本省の幹部職についていただかなくちゃいけないということになりますので、一たん戻る際には適格性審査というものを経なくてはいけない、こういうことになるかと考えております。

橘(慶)委員 その辺がまた変な意味での抜け道になっていかないかということも、逆に、ちょっと意地悪く考えると、思うわけであります。そこで年功序列みたいなことを担保しようと思えば、中央に残る方と、そっちでお部屋に入る方で、結局、気がついたら年功序列だったという話もないわけではありません。

 それは、あくまで推測で申し上げるわけですから、いろいろなことをぜひ運用上はお考えいただきたい、こういうことであります。

 大体、時間が参りました。ぜひそれは野党の理事さんにもお願いせぬといかぬのですが、残ったものはもう一度させていただきたいと思いますが、もうちょっと申し上げると、六十以上の方々にどういう問題があるかといえば、要は、退職後、いわゆる定年後の給与も随分、現役と同じような給与を払う場合が多いということであります。定年後の給与もタリフを設けて、定年まできちっと働いたんだから、その後のタリフは思い切って切り下げるということをやれば、余り国民の方々からの、天下り云々、あるいは、独法へ行った、役員になった、そういうことの批判というのはぐっと減ると思います。

 ぜひそういったことをお考えいただければということをちょっと申し上げて、あとは、ぜひもう一度ここへ戻ってくることを願いつつ、終わらせていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

田中委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎でございます。

 きょうは、四月の二十三日、事業仕分けも始まりました。私は野党の一員として、野党の仕事というのは、一期間、一時期だけ事業仕分けをするつもりではなくて、野党にいる間、すべて与党がやっていることをチェックする、つまり事業仕分けをするような気持ちで、法案、またこのような質疑に臨みたいと思っておりますので、きょうもよろしくお願いいたします。

 最初に、きょうは松野官房副長官に御出席をいただく予定になっていると思いますが。ありがとうございます。十一時二十分までこちらにいることができるということですので、あいさつもそこそこに質問に入らせていただきたいと思います。

 先日の総務委員会との連合審査会において、松野官房副長官には、自民党からは西村康稔議員が質問をされました。それは、民主党がマニフェストの中で公務員の総人件費の二割カットを掲げている中、大臣、副大臣そして政務官、この政務三役がみずからどのような取り組みを、襟を正していらっしゃるか、これをただしたわけであります。

 改めてお伺いしますが、大臣、副大臣、この二つの職に対しては一〇%の給与の返納ということでよろしいですか。

松野内閣官房副長官 小泉委員にお答えを申し上げます。

 こうやって小泉委員の質問を聞いていると、何かお父様をほうふつさせるような感じがいたします。私、政策的には立場は違うんですけれども、非常にすてきな政治家だなというふうに、当選二期のころに眺めておりました。

 お答え申し上げますけれども、まず、九月の十六日、内閣発足のときの最初の閣議におきまして、その後の閣僚懇で、大臣に関しては給料の一〇%、俸給を自主返納しよう、そして、その二日後、九月の十八日の副大臣会議におきまして、副大臣の中で申し合わせをいたしまして、やはり副大臣に関しましても給料の一〇%を返納しようということを決めさせていただいたところでございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 いろいろと思い出話等に花を咲かせるとちょっと刀も鈍りますので、質問を野党らしくいきたいと思います。

 大臣、副大臣は一〇%の給与の返納ということがありました。

 政務官はいかがですか。

松野内閣官房副長官 一昨日の委員会でも申し上げましたように、私ども議員としての歳費、これは小泉委員も一緒ですけれども、小泉委員の、私どもの議員としての歳費、そして副大臣、大臣政務官としての俸給が乗った金額がいわゆる私どもの今の給料という形になっております。

 その中で、要は、副大臣の給料が約十五万五千五百八十円。それで、もしこれを一〇%返納すると、十二万三千百円。また、そこから若干上乗せされた分の所得税が上がりますので、その差額三万二千四百八十円から税金を引かれますと、大変少ない金額になってしまう。これは余りにも少な過ぎるのではないかということで、政務官に関しての自主返納は、私ども、とめているところでございます。

小泉(進)委員 私は、これは国民には理解されないと思うんです。大臣、副大臣は一〇%カットする、しかし政務官は、政務官としてもらっている給与と議員としての歳費、これを合わせたところから一〇%引くと、政務官としての給与が大体三万円ぐらいしか残らない、だから政務官に対しては給与の返納は求めない。私、これは国民はわからないと思いますよ。

 本来、政務官だって副大臣だって大臣だって、別にお金を高くもらいたいからやっているわけじゃないじゃないですか。その中で、そういった理由で、大臣、副大臣は一〇%を返納させるけれども、政務官はちょっとかわいそうだからここはやりませんというのは、私は政権としての二割カットする覚悟が問われる問題だと思うんです。

 そもそも、お伺いしたいんですが、大臣、副大臣に対して、これはなぜ一〇%なんですか。

松野内閣官房副長官 先ほど申し上げたように、閣僚懇談会そして副大臣の申し合わせということで、この一〇%カットというのは、安倍内閣、麻生内閣で一〇%カットというのを実現していたところであります。そのときも、政務官としての一〇%カットというのはやっておりませんでした。

 ですから、内閣を発足するに当たり、これから私ども、行政改革なり、おっしゃっていただいたように本日から事業仕分けというものがスタートして、行政の無駄を省くということで、まずここから、それを踏襲して一〇%カットを実現しよう、こういうことを決めたわけであります。

 また、もう一つ、私もいろいろテレビで拝見をして、小泉委員の発言、非常に一般的な感覚をお持ちだなというふうに感じております。きのうの発言なんかも非常にわかりやすく、極めて一般的な発言だなというふうに思っております。もし、その小泉委員が、この三万円を削らないのはちょっと一般的な感覚でおかしいというようなことをお思いであれば、これは私ども真摯に考えてみてまいりたいというふうに思っています。

小泉(進)委員 前向きな答弁をありがとうございます。

 この二割カットを民主党がマニフェストとして掲げている中で、私は、役所の皆さん、官僚の皆さん、自分たちには二割カットをすると言って、大臣、副大臣、政務官は二割と言わない、これはちょっと調子がいいんじゃないかと思う方も中にいると思うんです。

 そして、そもそも一〇%はなぜかといったときに、安倍政権そして麻生政権からそれは引き継いだものだ、そのときから政務官に対しては一〇%の返納もないというお話がありました。だったら、政権交代時にそれこそ変えるのが政権交代の意義じゃないですか。麻生政権から引き継がなくていいものもあるじゃないですか。(発言する者あり)そうです。

 二割カットとマニフェストで決めているんですから、私たちも二割やります、だから皆さん、一緒になって協力してくださいと言って霞が関に協力を仰ぐ、これが、まず隗より始めよということで、一般的な、国民からしたらわかりやすい感覚じゃないでしょうか。

 この二割カットとか政務官に対する給与の返納の申し入れ、これは閣議でできるじゃないですか。ぜひ、閣僚の皆さん、協議し合って、これはやってくださいよ。

松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 今おっしゃっていただいた公務員人件費の二割カット、これは、私どもマニフェストの中で申し上げているのは、決して、今の給料を二割カットしますよということではないんですね。もちろん給料の減額というのも含めておりますけれども、そういう中で、全体の給料、例えばこの行政サービスは果たして要るのかな、ではこれはやめよう、また、それぞれの仕分けをした形で、約五兆数千億円の公務員人件費総額の中で約二割を四年間の間にカットしておこう、ですから、約一・一兆円をカットしようということを私ども考えているところなんです。

 実は、私は、そちらの席に、まさにこの十五委員室、財務金融委員会の野党のときに、一つ申し上げました。例えば天下り云々の問題が随分出ております。ただ、自分は納税者として、まずそこに無駄な事業がつくられて無駄なお金が流れていくこと、これは許せないことである。ですから、ここをまず、本当にこの行政サービスは必要なものなのか、また、この事業にかかっている経費は必要なものなのかということをもう一度精査して、いかに無駄を省いていくか。その結果、四年間の間に、行政サービスがなくなるわけですから、それに伴って、では人員は要りませんねということで減っていくような形を私はどんどん推進するべきだというふうに思っております。

 きょうから事業仕分けが始まっておりますので、ぜひ、私どももしっかり応援をして、行政の無駄をどんどん省いていきたい、そして、その行政サービスが減った分で、四年間の間に総人件費が二割カットできるような、こういう施策を推進してまいりたい、このように思っているところでございます。

仙谷国務大臣 閣僚としてというお話でございますが、結局、こういうことだと思うんですね。

 つまり、行政コストのうち人間にかかっているものというのがあります。これについて、国民の皆様方が、払っている税金に対応するしっかりとした仕事ぶりになっていない、あるいはそんな値打ちがない、こういうふんまんというか不満があるとすれば、それにもしっかりとおこたえをしなければならない、おこたえするのが政治だろうと私は思っております。

 マニフェストの中で国民の皆さん方が非常に関心が強いのは、一つは、国会議員の、とりわけ私どもが約束をしました衆議院議員の八十議席減であります。これも何でやらないんだという突き上げというか大きな声が我々のところにございます。

 それから、おっしゃるように、総人件費二割減というふうに我々は約束しておるわけでありますが、これは、自然減も含めて人数をどのぐらい減らしていくのか、それから給与の水準をどういうふうに低減していくのか、いろいろな手法があります。

 そこで、私どもが申し上げておるのは、国の公務員を地方移管させていただける部分が、我々の言葉で言うと地域主権改革とともにあり得るわけでありますから、そこで行う、その部分でも行うということであります。

 しかし、行く行く、多くの公務員の皆さん方に、この段階で単価を下げるというか水準を下げることをお願いしなければならない局面も来る可能性は大いにあると私は内心思っております。しかし、そのためには、ちゃんと自律的な労使関係の中で協議をし、交渉をし、決定をする、この方式がないと、あとは、私どもが、閣僚が何割カットする、だから人事院勧告も、人事院が給与水準をこれだけ下げる勧告をせよと言うことは今の制度上できません、あるいは、してはならないという話になるはずであります。

 そうだとすると、私は個人的に、小泉議員がおっしゃるようなことをやるのは全くやぶさかではありません。つまり、この種のことをやろうとするときに、まずは隗より始めよということでない限り絶対にできない、そういうふうに思っております。そのための条件づくり、制度づくりが必要なのではないかということをかねがね申し上げてきているつもりであります。

小泉(進)委員 大臣がおっしゃったこと、少しだけ私と認識が違うんです。私は、別に、閣僚申し合わせで自分たちの、大臣、副大臣、政務官の給与を二〇%返納したから、人事院の勧告はそのとおり、君たちも二割でやってもらいますよなんて言ってくださいとは言っていないんです。そこは別の問題です。

 私が言っているのは、まさに今大臣がおっしゃったとおり、まずは隗より始めよなんですよ。自分たちの覚悟を示すこと、それが今の政権の改革に対する本気度を、改革される側に立つ役所の皆さん、官僚の皆さんにとっても一番わかりやすい。

 そして、松野官房副長官から大臣への答弁、大変長かったので、できればそこら辺も二割カットで答弁はお願いしたいなと思うんですが、松野副長官の御答弁、結局は、これは大臣申し合わせで、政務官には手をつけない、そして大臣、副大臣は一〇%返納の据え置きで、こういう結論ですか。

松野内閣官房副長官 先ほどもお答え申し上げたように、大臣、副大臣、今一〇%カットです。そして政務官には今手をつけていないという段階であります。

 ただ、先ほども申し上げたように、本当に一般的な感覚をお持ちの小泉委員、真剣にそういうふうに、これは理解を得られないというふうに申されているようでございますので、これは真剣に、少し内閣の中で、これから行政改革がどれだけ進んでいくかということを、進捗状況を見ながら前向きに議論してまいりたいというふうに思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今、前向きな答弁をいただいたのでこれから見ていきたいと思うんですが、今まで、鳩山政権が発足して七カ月ぐらい、やるやると言って結局やらなかったことで、多くの国民もがっかりしてきました。私たち野党もそうです。そして、私も民主党の政権交代で期待した部分がありました。今まで自民党ができなかったことを民主党がやってくれればいい、自民党が越えられなかった既得権益の壁を民主党が越えてくれれば日本にとってこれほどいいことはない、そういうふうな思いで見てきましたが、がっかりさせられることが大変多かったです。

 そして今、副長官は、これからの行革の進捗状況を見ながら、大臣、副大臣そして政務官の給与の返納も考えると言いましたが、進捗を見ながらではなくて、まずやってください。進捗状況は、皆さんが、政務三役がみずからに手をつけてから、そこから進捗状況を見てください。そのことの方がよっぽどわかりやすいですよ。

 そして、政務官の給与と歳費を合わせて一〇%カットしたら余り議員歳費と変わらないという話がありました。今、私たち国会議員、給与は、歳費は二千百三十九万円。先ほど副長官がおっしゃった、一〇%を政務官からカットした場合、大ざっぱに言って、二千百四十一万円ですね。大体二万円強ぐらいの議員歳費との差になることだと思います。

 私は、国民は、たとえ政務官が一般的な私たち国会議員と給与の差額が二万円、三万円しか変わらなくても、みずからの覚悟を示すんだったら、それはやることが当然じゃないか。そして、国民は、大臣、副大臣、政務官、こういうランク、余り関係ありませんよ。大臣、副大臣も一〇%やっているんだったら、何で政務三役もそのまますっぱりやらないんだ、私はこれが普通の感覚だと思いますよ。

 ぜひ、副長官はあと五分ぐらいありますので、もう一度前向きな答弁をいただきたいと思います。

松野内閣官房副長官 しっかり前向きに、私、官房長官とも相談しながら前向きに考えてまいりたいというふうに思います。

 といいますのは、私たちも別に、給料があるからといって、多分小泉委員もそうでしょうけれども、歳費があるからといって議員になった人は多分一人もいないと思うんですね。多分、実際に言われている給料とかかるコストを考えたらば、とてもとても、私は、そういう面でいいというような仕事ではないと思います。多分、ほとんどの、全員の議員と言ってもいいと思います。やりがい、また自分の思い、そしていかに人のために尽くすかということでこの場に出てこられている方がほとんどではないかというふうに思っております。

 あと、もう一点申し上げさせていただければ、先ほど、民主党の政権に失望したというふうにおっしゃいました。私たちも、自分たちがやっていることがうまく伝わらないこと、これは非常に内閣の中でじくじたる思いでおります。

 最近、幾つかのメディアが民主党のマニフェストの達成度というのを評論していただいておるんですけれども、それによると、大体八五%着手はしている、達成したのが二割である。正直、私たちも政権運営してまだ半年なんですね。六十数年続いたこの国の形を、半年で答えを出せというのは、僕はとても無理だと思う。

 そういう中で、正直言って、この半年間、政務三役、本当に朝から晩まで働きながら、もちろん一〇〇%ではない部分、たくさんあると思います。そして至らない点、たくさんあると思います。でも、自分たちなりには全力でやっているつもりでありますし、半年だという期間をどうか御理解いただければありがたいというふうに思います。

小泉(進)委員 副長官の発言はごもっともだと思います。政務官また政務三役の皆さん、昼夜を問わず一生懸命働いていらっしゃると思います。それは、党は違えど国会議員として敬意を表す次第です。

 しかし、今の発言で、それこそ私はがっかりだと思うんです。国民は、政権交代をしてまだ半年もしくは七カ月だからちょっと待ってくれという発言を聞きたいわけじゃないんです。ほかの外国だって政権交代はあります。しかし、政権交代をしてまだ間もないから、ちょっとここら辺は大目に見てくれなんと言う方はいませんよ。いや、これは答弁を求めていません、委員長。済みません。

 すぐ結果は出ないと言う方もいますが、政権交代をする前から、政権交代後どうするかということは皆さん考えておられたじゃないですか。それを含めて、政権交代したら自分たちはこうやるんだと考えたから、民主党は昨年の選挙でマニフェストを訴え、政権とった後はこのマニフェストをやりますよと言ったんじゃないですか。

 だったら、政権交代してからの七カ月で、七カ月しかたっていないからまだちょっと待ってくれと言うんじゃなくて、その前の準備期間も含めて、政権交代と同時にスパートをかけるというのが国民が望んだ、わかりやすい政権交代の姿じゃないですか。いや、これはもう答弁求めていませんから。

松野内閣官房副長官 済みません、一言お答えさせていただきたいと思うんですが、決して待ってくれなんということを言っているんじゃないんですね。全力で今やっているところだということを申し上げているのと、もう一つは、私たちはマニフェストで四年間の約束をしているんです。これはマニフェストにも書いてありますし、何度も申し上げている。四年間の中での約束をしている。

 そして、もう御承知のように、国会は大体一月から予算審議が始まって、この予算が通ったのが、四月からなんですね、この予算の執行が。ですから、私たちが約束した子ども手当、また農業の戸別補償、そしてまた高校無償化、こういう政策が実行されるのが四月の一日から、これは制度上当然こういうことになっているわけですから、今七カ月間、当然全部はできておりませんけれども、四年間のマニフェストの約束の中で全力で実行しているということをどうか御理解いただきたいと思います。

小泉(進)委員 余りこういうところまで触れたくはなかったんですが、私たちは約束したのは四年後のことだと。四年間でやるんですということだって、もしも今までの期間の中で本当にやっているその真剣度、本気度が見えている中での、四年後まで待ってください、四年間でこれはやる約束なんですというんだったら国民はわかりますよ。その思いを信じますよ。

 しかし、今までの間だって、このマニフェストでやると書いた、一年目でやると書いたことでさえ、そのとおりできていないこともあるじゃないですか。それにもかかわらず、四年後までにやるんですからそれは信じてくださいというのは、国民からしたら、一年目からできていないことをどうやって四年待ってくださいと言うんだと、そうやって思いますよ。

 私は副長官にここまで言うつもりはありませんでしたが、出てくる言葉が、今国民が聞きたくない言葉が多いんですよ。四年後を待ってくださいというんじゃない、今何をやるかを国民は見ているんです。

 副長官はもう時間も大してありませんので、十一時半から官邸の方でお仕事があるそうですので、もしこれで時間がいっぱいでしたら御退席いただいて結構です。ありがとうございます。

 私は、前回の連合審査会、この連合審査会の中で一つ驚いたことがあったんです。この給与の問題、返納の問題以上にこれは正直にびっくりした。国民の皆さんも恐らく、あの連合審査会を聞いていたらびっくりしたと思うんです。

 ことしの四月の一日、新規採用で各省に新卒者が入りました。それをパソコンで管理していないということがわかった。(発言する者あり)いや、そのパスを待っていたんです。だれがしてこなかったんだ、これは自民党政権でもやってこなかったんですよ。だから、私は単純にびっくりしたんです。新卒者が、各省に入った人たちが全体で何人いるのかというのを政府が、日本政府がパソコンで管理していない、私はこれは本当にびっくりしましたよ。国民からしたら、えっ、政府ってそんなので動くの、それもパソコン管理もしていないのというのは、私は率直な感想だと思うんです。

 だから、民主党政権にはこういうところもぜひ変えていただいて、行政のスリム化を進めて、e行政にして、効率的な強い政府にしていただきたいと思うんですが、このパソコン管理、この前の連合審査会では結局内閣委員会での預かりになったと思うんです。この四月一日に一体何人の新卒者が各省に、あれはどうなったんでしょうか。(発言する者あり)

 わかりました。けさいただいたということですが、もしありましたら、そこに一言触れていただければと思います。

仙谷国務大臣 平成二十二年四月一日の一般職国家公務員の採用者数でございますが、六千三百八十五人であったということでございます。

 それから、長く答弁するとまた御注意を受けるかもわかりませんが、さっきのIT管理の問題というか、ITをどう霞が関というか、全公務職場といいましょうか、政府の中で使うか。これは、あそこに岸本さんという、我が党の議員で、従来霞が関の中で奮闘をして、eガバメントとかIT化をやろうとして、一生懸命やられて、しかしこれが挫折をした、こういう方がおりますので、その反省というか、メスをちゃんと入れてやらなければいけない。

 私の所管でいえば、出張旅費の精算が全くパソコンとは関係のないやり方でやられて、霞が関の職員の方々は精算が三カ月後、六カ月後ということもほとんど、少なくないという実態が、例のハトミミ、職員の声で出てきて、これは早く直すようにということを大声で言いました。やや短くなったようですが、これが普通の会社がやっているようなパソコン処理で行われるということにはなっていないということのようでありました。そういうことは多々ある。

 そして、ソフトが九百種類ぐらいあるんですか、各省庁、各課でばらばらにソフトを組んだり、あるいは端末ももちろん別のものでしょうけれども、何かほとんど連動しないパソコンのシステムになっているというふうに私は聞いておりまして、eガバメントとかなんとか言われてもう十数年たつと思うんですが、一体全体だれがこんなにしてしまったんだろうというふうに思っているところです。

小泉(進)委員 仙谷大臣からは、前回の質問でも、再三お答えの中で、だれがこんな状態にしたんだ、そういう、自民党がと暗におっしゃるのがよくわかります。そして、岸本さんのことに触れましたけれども、岸本さんにはぜひ、政権についたということで、かつて霞が関でできなかったことをリベンジしていただきたい。

 そして、仙谷大臣には、そういう岸本さんの御意見だけを指摘するのではなくて、岸本さん、そしてお隣に座っている後藤さんが再三おっしゃっているよう、二割カットは、地方移管等甘い手法でやるのではなく、人を減らす、金を減らす、こういうやり方でどうですかという、その与党内の声もしっかりと聞いていただきたいと思います。

 そして、仙谷大臣、前回私が質問した中で私が二割カットのことに触れたときに、大臣は、なぜ今まで自民党がそれをできなかったのか、それをしっかり押さえないとこれからの議論なんてできないとおっしゃいました。私は与党時代の自民党を知りません。だから大臣に伺いたい、なぜ自民党ではできなかったんですか。

仙谷国務大臣 私はこう見ております。

 つまり、事業を大胆に改変するといいましょうか、極端に言えば、ことしの予算で一番見られるのは、公共事業約二〇%カット、それから農業土木半減、あるいはダムの工事は十数%だったでしょうか、あるいは七%台だったかもわかりませんが、要するに、そういうことをできないように、族官僚と族議員がそれぞれ監視し、それぞれ牽制し合いながら、そして、ある意味で日本人の美風かもわかりませんが、隣のところには絶対に口を入れないという、このあうんの呼吸とか相互了解のもとに、隣の省のこと、隣の局のこと、隣の課のことはお互いに批判し合わないようにしようねというかばい合い、もたれ合いの麗しい精神でここまで来た。

 それは、この十年間は多分戦後の経済成長の余禄の部分、あるいは十五年もそうかもわかりませんが、余禄で、ストックを食いつぶしながら、まあ何とかなるだろう、何とかなるだろうというのでここまで来た、そういうふうに私は見ております。

小泉(進)委員 自民党が改革をできなかったその理由として、大臣は今、自民党に自己改変の力がなかった、そして、コンクリートから人へという、ああいう大胆なこともできない、また、族官僚、族議員のもたれ合い、あとは縦割り、これの、旧弊の打破をすることができなかった。

 これだけはっきりと自民党の、かつての政権下での、自分たちのよくないところを挙げていただきましたから、民主党には、そこを繰り返さない、自民党がやったことをやらないで、自民党ができなかったことをやってほしい。これは、自民党の、まだ国会議員になりたての、七カ月の私だけではなくて、多くの国民が政権交代と同時に民主党に期待したことだと思います。だからこそ、民主党だったらできるかもしれないと思って、多くのマニフェストの項目を期待したと思うんです。

 しかし、総人件費の二割カット、これだって、今までの法案審議でわかったとおり、決して楽なマニフェストではない。普天間の問題でもそうですが、民主党はいろいろな部分でかなりハードルを高く上げ過ぎた。そして、期待を上げ、実際実行段階になったときに、現実を見たときに、さすがに現実はそんなに楽ではなかった、こういうことを、普天間の問題もそう。そして、私は、この国家公務員の総人件費二割カットもそうならないことを望んでいるんです。だからこの法案審議においてはっきりさせるところははっきりさせていきたい、不明瞭なところを、大臣の答弁を通してはっきりさせていきたいということで、前回の質問も、またきょうの質問もやりたいと思います。

 前回の質問の続きですが、前回の質問の中で、大臣の答弁で、今この国の、日本政府の中で人事労務管理責任者はいない、一体だれなのか大臣御自身もわからない、もし知っているんだったら教えてほしい、そういう内容の答弁がありました。

 大臣が知らないことを私も知りませんから、ちょっと調べてみたんです。そうしたら、大臣のおっしゃるとおり、これも国民からしたらびっくりするかもしれませんが、人事労務管理の責任者、会社でいうと人事課かもしれない、また総務かもしれない、そういうところが今の日本政府にはない。

 大臣は答弁の中で人事労務管理責任者という言葉を使いましたが、これは恐らく、国家公務員法の中で言う中央人事行政機関のことだと思うんです。そして、この中央人事行政機関というのは、国家公務員法の中では、人事院そして内閣総理大臣ということになっています。しかし、それは、大臣も前回の答弁でおっしゃったとおり、ある意味形式的、実際は各省ばらばらにやっている部分もあります。そして、その各省では一体だれが責任者かといえば、任命権者かといえば、やはり各省のトップ、大臣、そうなるわけであります。

 つまり、国家公務員法というのは、民間の総務とか人事課とか秘書課とかといったように、人事労務の一元的な管理を目指すものではなくて、各省ばらばら、ある意味分権的に、分散的にやる方がいいんじゃないかというのがこの国家公務員法の、書いてある中身だと思うんです。

 今回、国家公務員法の改正に伴って本来考えなきゃいけないのは、まずそこをどうするか。今分権的に広がっているものを、これから時代に合わすような形で一元管理していきましょうよとするのか、その議論がされないままに、基本法は自公民の超党派で合意しているにもかかわらず、今は政府案対衆法という、一つの案にガチンコみたいな形になってしまうことは私は非常に不幸なことだと思うんです。木を見て森を見ずもいけない、そして森を見て木を見ないのもいけない、ただ、両者歩み余っていけばできることはきっとあると思うんです。

 大臣は、前回の私に対する答弁の中で、人事労務管理責任者はいない。そして、私の調べた結果、そうだった。総理大臣と人事院、この二つが事実上の、ある意味責任者である、しかし国家公務員法という法律のもとでは各省が分権的にやる。この大もとの部分を語らずして本当の意味での国家公務員改革はできないと思います。

 大臣は、一元管理か、分権の今の形か、どのような方向にしたいというもとで今回の法案を出していらっしゃいますか。

仙谷国務大臣 イメージの問題ですけれども、大会社でいった場合にどのようにガバナンスをとっていったらいいのか。

 先ほどから、橘議員の御質問でも、実は出先の国家公務員のことも大変大事なんだというお話がございました。今も、各省の、霞が関にある本体のみならず出先にいらっしゃる人、ここが国民との接点でありますから、この方々が国民から感謝されるような働き方をしていただく存在にならなければいけないということを考えると、おっしゃるように、人事労務を分担管理にした方がいいのか一元的に集中した方がいいのか。

 どの範囲までは一元的に集中した人事労務行政をやり、どこから先は各部署の責任者を決めてその人に任せた方がいいのか、こういう問題提起になるんだと思います。

 民間の会社も、事業本部制がいい、あるいはホールディングカンパニー制にして子会社をつくった方がいい、いろいろなやり方をこの間暗中模索してやってきたと思います。事業本部制にしても、多分、役員人事というか、ある一定程度以上の幹部人事は本社が一元的に情報を集約しながら管理をするというか、そこの人事をすることでガバナンスを果たしていくというやり方のところが多いのではないかというふうに私は見ております。

 まだまだ勉強しなければいけないところはありますけれども、どうも、ホールディングカンパニーと子会社という関係ではなくて、やはり大会社でいう事業本部制のような形でガバナンスの形を考える、したがって、人事労務行政も、やはり、幹部になって働いていただく方とそうではない方は、人事労務行政の実務の担当者、責任者というのは違ってもいいし、あるいは、同じ部署でやるにしても分けて考えなければいけない話だろうな、こういうふうに思っております。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣の答弁を聞いていると、まだ考えは煮詰まっていないけれども、流れとしては、やはり、ガバナンスをしっかりときかすためには一元管理をしていく方向に持っていった方がいいだろう。私は、これは与野党問わず、今多くの方が共有認識として持っていることじゃないかと思うんです。

 きのうの参考人質疑、私は、国会議員になってから初めての参考人質疑がきのうの参考人質疑でした。ですので、今までの永田町の常識とかそういったものはわかりませんので、もしかしたら私の意見は永田町の常識とは違うのかもしれませんが、そこに政府の法案の提出者である大臣もいない、そして法案提出者である自民党、みんなの党側も出席をされない、後ろに副大臣はいらっしゃったということですが、私はそれも非常に残念だなと思ったんです。

 そして、きのうの参考人質疑を聞いていて、四人の参考人の方から率直な意見がありました。政府案に対する賛否、そしてまた衆法に対する賛否、これは両方ありました。私は、あの議論を聞いていて、なぜ参考人質疑をもっと早い段階でやらないんだろう、もっと……(発言する者あり)理事の間でのやりとりは私はわかりません。それはいつか理事になったときにわかることだと思いますが。

 私は、参考人質疑も、あれだけの深い議論が有識者や専門家の方から聞けるのであれば、まずあの議論を全員で共有認識のベースとして持った上で法案の審議に当たれば、特に今回の問題のような、基本法、自公民で、超党派で合意があるものですよ。きのうの参考人の皆さんだって、大体共通しているのは、政権交代がいつでもあり得る時代に入った今、公務員法というのは与野党でやらなきゃいかぬ、これは参考人の方も同じですよ。だったら、そういう法案であればこそ、参考人質疑というものをもっと早い段階で、そこをお互い共有認識のベースにしましょうぐらいの考えはできないのかな、素人考えとして私は単純にそう思いました。

 今まで、前回の質問もそうですが、私は、マニフェストの二割カットというのをどうやって実現するんですかということを大臣に聞いてきました。前回私が質問で触れたのは、地方移管そして横異動、肩たたき、この三つでした。結局、自分の議事録を読み返しても、大臣の御答弁はわかったようなわからないようなだったんです。

 そこで、きょう皆さんのお手元にお配りをした資料の二枚目を見ていただきたいんですが、この二枚目の資料は、民主党が野党時代、衆議院に提出をした天下り根絶法案の資料です。これは出典は民主党のホームページです。

 大臣は、前回の質問で私がこの横異動について伺ったとき、肩たたき、いわゆる早期退職勧奨、これも横異動の一つだとおっしゃって、再就職あっせんを伴う早期勧奨退職はやらない、これははっきりしていて、それ以上でもそれ以下でもない、そう述べています。

 しかし、民主党が野党の時代に提出した天下り根絶法案、このポンチ絵を見てもわかるように、大臣、それ以上もそれ以下もあるじゃないですか。ここで書いてあることは、「早期退職勧奨(肩たたき)禁止」ですよ。これは明確に禁止ですよ。それを、今回はここに余計なものをつけているんです。再就職あっせんを伴うというものをつけたんです。かつての民主党が出した天下り根絶法案と違うじゃないですか。

 この天下り根絶法案に書いた早期退職勧奨禁止、これは撤回されたということでよろしいですか。

仙谷国務大臣 天下り根絶法案を提案した当時は、早期退職勧奨というのは必ずと言っていいほど天下りあっせんというか再就職あっせんがセットになっているという実態があったと我々は見ておりました。そういう前提のもとで、この天下り根絶法案は立案されたものでございます。

 今の鳩山内閣では、天下りあっせんは原則行わないこととしております。原則というのは、再就職のあっせんが、例の分限免職になるようなケース、この場合には再就職のあっせんを分限回避努力といいましょうか、その一環として行うことにしておりますので、原則というわけでありますが、それを除けば、現内閣では天下りのあっせんは行わないこととしております。

 当時とは実態、実情が全く違うということが、私どもが今申し上げていることが文言上ちょっと違うように感じられる、その理由じゃないでしょうか。

小泉(進)委員 今まで自民党が与党にいたときに、野党のときの民主党は、恐らく、言葉の端々に、それは実際は骨抜きじゃないかというようなことを、ニュアンスをつかんでいたから、反対意見も批判も、また野党として当然のチェック能力を果たそうと思ってきたと思うんです。今の私が同じです。

 大臣は、原則肩たたきはしないとか、基本的にとか、全面的にとか言います。しかし、根絶という言葉は、基本的にも全面的にもないんですよ。根絶というのは、ゼロにするということが根絶なんですよ。

 当時の天下り根絶法案、このときの民主党の主張、早期退職勧奨禁止、これは明快です、わかりやすいです。だから、あのときに自民党も、民主党の政権になったら天下りもわたりもなくなるな、まさに法案の名前にふさわしい、根絶されるな、そう期待をしたと思うんです。

 しかし、今の答弁を聞くと、現状が変わったから別にこの法案との差はない、そういうことですが、だったら私ははっきりしてほしい、肩たたきは続けていくんですね。

仙谷国務大臣 早期退職勧奨をするかしないかと言われれば、これは先ほど来申し上げておるように、後進に道を譲っていただきたい、それから、個人的な御事情もありましょうから、どうぞ不同意、拒否をしていただいてもいいけれども、そろそろおやめになっていただきたいというようなことが、それが行われる、それを推奨するわけではありませんけれども、そういうことが組織内部の事情によって行われることを否定はしません。

 ただ、いわゆる再就職のあっせんとセットになる、あるいは再就職のあっせんつきで退職勧奨が行われるということがあってはならないし、それはやらせないということであります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 大臣は、肩たたき、これは今、二種類言ったんですね。一つは、禁止する肩たたき。再就職のあっせん、つまり天下りのあっせんとセットになっている肩たたき、これはやらせない。これが一つ。しかし、そうじゃない場合の肩たたき、これは温存する。これでいいですね。

仙谷国務大臣 温存ではありませんけれども、組織の活性化といいましょうか、あるいは組織全体の士気を維持し高めるための人事の政策、その政策の執行として早期勧奨退職ということはあり得る。そして、もっとその制度自身を、今行われている制度からより充実させるといいましょうか、発展する形態も考えていかなければならないかなと思っているところであります。

小泉(進)委員 では、肩たたきはすると。

 それは、大臣御自身、答弁しながら自覚されていると思いますが、マニフェストの、定年まで働ける環境をつくるということとの矛盾、これはわかっていらっしゃいますね。

仙谷国務大臣 人事というのはそんな硬直したものじゃないと僕は思っています。

 環境をつくるということは、そこにやりがいがなくてもい続けたいとおっしゃるのならば、勧奨されても、どうぞ拒否をして、いていただければいい。

 ただ、人生というのはそういうものじゃないというお考えに達する方も相当数いらっしゃるのではないか。つまり、あなたもお父さんにお聞きになって、六十を超え、六十五を超え、七十に近づいてきたときの体力とか物の考え方とか、それから、さっきも申し上げたんだけれども、後輩を、後進を育てるとか、後進に任せるとか、そういうことを年とともに考えるんですよ。

 この間から問題になっている、人生八十年なり、七十五年でもいいんだけれども、次の十年、十五年をどういう人生を送るかというふうに問題を立てたときに、それを自分で実行するためには、六十までどこかにい続けるよりも、五十何歳かで思い切ってそのことを始めた方がいいという方々も相当数いらっしゃるし、そういう時代が今の時代というか、この間始まっていると僕は思っているものですから、こういう早期の勧奨退職といいましょうか、もっと、民間でいえば希望退職募集、そこで数年分の賃金、つまり、リスクをとって新たな業を起こしたりNPOを起こしたりして新たな活動をするためのある一定期間の資金が出るような制度をつくっていく、そういう会社も相当ふえてきているというふうに私はお伺いします。

 そういう人事の新陳代謝ということが行われると、双方にとってウイン・ウイン、ハッピーな関係ができるのではないか、そう思っているから今のような答弁をしているわけであります。

小泉(進)委員 結局、長々と答弁いただきましたが、マニフェストとは違うということは明らかじゃないですか。大臣、そこははっきりさせてくださいよ。国民は、定年まで公務員が働ける環境ということと、途中で肩をたたき、ほかのところに行ってもらうということは同じ意味だととっていませんよ。それは、大臣、はっきり言ってくださいよ。今の答弁は言いわけです。マニフェストとは違うことをはっきり認めてください。大臣、そこは違いますね。

仙谷国務大臣 マニフェストを私が今申し上げたように読み込むことができると思います。

 私は、少なくとも、形式的な言葉をごりごりと主張するような原理主義、教条主義者ではありません。

小泉(進)委員 その答弁は、マニフェストに書いた文言はいずれ変えるということで読めますよ。(発言する者あり)マニフェストに書いてありますよ、定年退職まで働かせる環境をつくると。

仙谷国務大臣 定年まで働ける環境をつくるという言葉と、私が先ほどからお答えしている答弁が、どこが矛盾するんですか。環境はあってもおやめくださいと言うのは自由だし、反対に、それを拒否するのも自由だと僕は申し上げているじゃないですか。

小泉(進)委員 大臣、それは全然違いますよ。

 肩をたたくって、たたかれた側は出ていくしかないに決まっているじゃないですか。それでも私は嫌だからいますよなんて居残っていられるなんて、そんな無神経な人は、そんなに優秀な官僚の中で余りいないと思いますよ。大臣、これはマニフェストとの逆行は明らかなんですよ。大臣御自身じゃなくても、民主党は言ってきたんですよ、肩たたきはしないと。

 今月中に、退職管理基本方針、これは発表されると思いますが、その中に肩たたきは入れるんですか。

仙谷国務大臣 これは私の所管でありませんので、ここで確定的なお答えをすることを避けたいと思いますが、今検討中であります。

 それから、もう一遍申し上げますが、いいですか、マニフェストの記載の文言はこういうふうになっているんですよ。「定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する。」こう書いてあるじゃないですか。

小泉(進)委員 そうやって、マニフェストの文言を自分たちのいいように解釈すると国民は思うんですよ。

 今マニフェストを見て、私は、正直言って、国民の皆さんは今マニフェストを見たくないと思っていると思いますよ。そして皆さんも、今地元に帰って集会やったときに、あのマニフェストを配りたいかといったら、私は配りたくないと思っていると思う。だって、やりたいと言ったことと、やっていることは違うんですから。あれだけはっきりマニフェストに書いてあることを、国民が読んでそのまま受け取るメッセージのとおりにやるのが新しい政治の姿じゃないですか。それが、私は違うと思うんです。

 前回私が質問で触れた中では、横異動の中で、大臣が横異動の例を幾つか挙げました。その中で、配置転換というものもあったんですね。

 きょうお配りした一枚目の資料ですが、これは配置転換のマスタープランというものです。私の質問の中で大臣は、自公政権の中で行われた配置転換、この横異動の一番典型的な例として挙げたのは、食糧庁というのは廃止をされましたが、食糧庁が廃止となったときに税務大学校の研修を受けさせて、その後、税関職員もしくは国税庁に配置転換をしたこととおっしゃいました。

 大臣、これが典型的に当たる、その典型的な理由はなぜですか。

仙谷国務大臣 多分、このケースがようやくにしてなされた、省庁を超える配置転換だった。私のこの二十年の歴史でありますが、そういうふうに見ております。

小泉(進)委員 この象徴的な、大臣が言った典型的な配置転換ですが、内訳は、四年間で税関に百八十二人が配置転換、国税庁には四年間で三百五十六人が配置転換です。合わせて五百三十八人。これは、四年間で行われた配置転換の総数が、定員は二千九百人ぐらいですが、実数としては二千五百八十八人の中の約二割、これが五百三十八人の配置転換ですが、大臣、そもそもこの配置転換を行う理由は何ですか。

仙谷国務大臣 このケースですと、国税あるいは税関もございましたか、ここが欠員といいましょうか、需要に応ずる人員がいない。それで、食糧庁関係の方はお仕事がだんだん少なくなってきて、まあ、余剰と言えなくもない人員が相当数いらっしゃる。こういう事態で、余っているところから足りないところへということをやったということでございます。

小泉(進)委員 大臣、このケースはと言いましたが、配置転換に関する全体計画の中で、これは平成十八年の六月三十日の閣議決定でもありますが、配置転換というのはこういうものだと述べているんです。関係職員の雇用を確保しながら、行政機関の定員の純減を進めるために行うものだと。それが配置転換だと思います。

 きょうお配りしたこの一枚目の資料、左側の赤の枠で囲ってあるのが「国の行政機関の定員の純減について」ですが、上から二番目、「農林統計」の下の「食糧管理」というところ、この「食糧管理」というところが大臣がおっしゃった典型的な例の食糧庁が入っている部分ですが、これが、右側の青い部分の中の黄色い枠、「配置転換送出し部門」、この中での二千八百プラス百、この二千九百の中で、先ほどは、実数として二千五百八十八、その中の五百三十八だということを私は言ったんです。

 十八年度から二十二年度までの五年間で五%以上の純減をする、つまり一万八千九百人。この一万八千九百人の目標が、民主党政権下で閣議決定されて、一万八千九百人、五・七%カットから、一万六千七百人、五%カットに削減幅が削減されちゃったんです。これは、この配付資料の一番下の注釈を見ていただきたいんです。一番下の注釈に、小さい文字ですが、「二十一年十二月の閣議決定により、」ということで書いてあります。これは二千二百人減っているんです、自民党政権が出したところから。

 これは、大臣、なぜ削減幅が減ったんですか。

仙谷国務大臣 ちょっと、余り勢い込んでそういうふうに言われると困っちゃうんですが、十八年から二十二年の間の五年間も五%以上の純減計画です。結果として五・七%になったんですか、それで、民主党政権になってからの平成二十一年十二月の閣議決定も、そのときと全く同じように、五%以上、一万六千七百人というふうに決定をしました。

 もう少し正確に言いますと、自民党内閣時代の平成十八年から二十二年度までの五年間で五・〇%、一万六千七百二十一人以上を純減することとしていたわけですね。実績としては、目標を上回る五・三%、一万七千四百六十人の純減を現時点でしている、こういうことでございます。

階大臣政務官 総務省の方で定員管理を担当しているものですから、お答えします。

 今委員から御指摘があったのは、五・七%という目標を下方修正したのではないかということでした。

 これは、新政権になって、昨年の十二月の閣議決定で、独立行政法人の抜本的見直しをしようということで、廃止も含めて見直していく中で、国の業務を独法化するということについては基本的に凍結しましょうということでした。

 それで、前政権の時代に、林野庁は二千四十一人、それから気象研究所は百七十四人、こういったところを独法化するということになっていたわけでございますが、これを凍結した関係で、その独法化を除いた部分だけ定員削減を行った結果、数字が減っているわけでございまして、それ以外は、むしろ目標を上回る程度、積極的に削減したということでございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 独法の見直しに伴う定員の削減幅の減、これは、民主党は野党のときに、行政の定員削減の中で独法化をすることはごまかしだと言いました。だからこそ、今、独法の見直しをやっているのは、そこは論理的だと思うんです。しかし、行政のスリム化を掲げ、公務員の総人件費二割カットをする中で、結果、国が抱える中でその大胆な二割カットがどこまでできるのかということに私は不安を覚えざるを得ないんです。

 そして、私がこれに触れるのは、民主党の中からもこういう発言がありましたが、わかりやすく、人も減らす、金も減らすじゃなかったらできませんよ、それをやってくださいよという思いは、いろいろこういうつじつま合わせみたいなニュアンスにとられることを、皆さんは自民党からかつて感じたんじゃないんですか。

 目標値を設定して、それを達成するために、いろいろと理由をつけるけれども、結果、その定員と実数で差があって、結局どこまで達成されたかが何となくよくわからない。そういうわかりにくさを排除するために、二割カットと言ったときに、わかりやすい手法で、甘い手法じゃなくて、人を減らす、金を減らすでやりましょうよというのが、民主党の中での何人かの方の意見だと私は思うんです。

 私がこの法案の審議の中で、二割カットの実現の手法は何ですかと聞いたときに、大臣は必ずこの三つをおっしゃいます、地方移管そして労使交渉、給与改定や定員の見直し。しかし、私は、この三つともはっきりとした姿が見えないんです。

 地方移管も、結局、きのうの参考人質疑で参考人の方のお一人が言いましたよ。あえて触れたくはなかった、暗に触れただけだ、しかし、私も地方移管というのが何を言っているのかがよくわからない、それが実際に総人件費のカットにつながるかどうかわからないと言う参考人の方もいましたよ。

 そして、給与改定と定員の見直し。これだって、結果、人を減らす、金を減らすとやろうと思ったら、給与法の見直し、そして定員を削減するためには、最終的にはやはり労働基本権、人事院のあり方の議論、こういったところまで行くでしょう。これもはっきりしない。

 そして三つ目、労使交渉。この労使交渉の部分も、四月九日の質疑で公明党の高木委員が大臣に質問しました、労働組合との協議で本当に賃金を引き下げることができるんですかと。大臣の答弁はこうでした、それはやってみなきゃわからない。やってみなきゃわからないことを、マニフェストを達成する、実現の主張に挙げるのはおかしいと思いませんか。

仙谷国務大臣 断固やるという決意のもとに、そういう制度のもとで断固やらなければいけないということにしかならないんじゃないですか。

 やってみなきゃわからないともし私が言ったとすれば、それは、すべてのことはやってみなければわからないんです。

小泉(進)委員 大臣、それは、鳩山総理が言っている、思い、決意、覚悟、これと変わりありませんよ。ロードマップをしっかり示して、これはロードマップで、こういう工程でやります、だから、そういう決意ですという、決意はわかります。しかし、ロードマップを示していない中で、やってみなきゃわからないと言われるのは、これは私は不誠実な答弁だと思います。

 民主党の議員が言っているように、はっきりと人と金を減らしてほしい、その方がわかりやすいというのは、この三つの議論を見ていてもはっきりしないから、これは与党の中からも声があるとおり、はっきりわかりやすいようにやるには、人を減らすか金を減らすしかないと言っているんじゃないですか。

 しかも、昨年度から今年度まで千四百億円の総人件費のカットだった。しかし、本来だったらこれは約二千億円減らせたんですよ。なぜかといったら、約四百億円、子ども手当でこれは加算されたんですよ。だから、民主党は、一つのマニフェストで国家公務員の総人件費の二割をカットしたいと言う、しかし、もう一つのマニフェストで子ども手当などのばらまきをやると言う、この二つが方向性として同じ方向を見ていないんですよ。だから、そのわかりにくさを排除するためには、与党の中からも出ているような、人を減らす、金を減らすのわかりやすさを私も求めているんです。

 この国家公務員の改革は、超党派での基本法の合意があるんですから、ぜひ超党派で話し合うような心を持っていただきたいと思います。

 以上申し上げ、私の質問の時間も来ましたので、質問を終わらせていただきます。長い時間ありがとうございました。

仙谷国務大臣 超党派でお話をすることも全く否定をしませんけれども、やはり、二〇〇五年の選挙以降、自民党さんが全く超党派での議論というふうなものに積極的にならなかった、私は、このことが日本の政治を今のような状態にしている、こういうふうに思います。

 そして、私どもも、三百八議席という、ある意味で衆議院の大きい議席をとった、ここにあぐらをかいたり、ここにある種の過信をして国会運営をしてはならないなというのが私の個人的な見解であります。

小泉(進)委員 だったら、自民党のまねをしないで、民主党は、権力にあぐらをかかず、しっかりと向き合えばいいじゃないですか。それを、自民党の二〇〇五年からの超党派に歩み寄らなかったことが原因だと言うのは全然理由になりませんよ。自民党がやった悪いことは変える、それでいいじゃないですか。そういう姿勢でやっていただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中川秀直君。

中川(秀)委員 委員長またこういう質疑の時間を与えていただいた同僚議員の皆さんにお礼を申し上げます。

 仙谷大臣、前回、前々回の質疑に続いてよろしくお願いします。

 前回の質疑で、私から、公務員制度改革の担当部局と政務三役と内閣官房、事務局、そうした政府側と、労働組合関係団体の公式、非公式のすべての協議について、日時、参加者、議事録、特に先方から法案内容に関する要望その他があった場合は、漏れなく、記載された議事録、その資料を提出することを求めるということで、委員会に提出されたものが今手元にございます。

 二十二日までにこの資料が提出されているんですが、読みますと、議事内容、公務員制度改革について申し入れを受けた、要請書、三ページから四ページ。五回にわたる公務員労協との協議で、要請書がこういうものだったと。それから二月一日の場合は、法案の骨格について説明し、質疑応答した、議事内容はこの一行でございます。これが二月一日の午前の部と午後の部の、委員会に提出された資料です。それから二月五日は、法案について申し入れをいただいた、意見書の六ページから八ページという資料をつけて御報告をいただきました。

 本当に、こういう協議を行った五回について、なぜ議事録というやりとりが提出されないのかと私は思います。内部では当然そういうものはつくっているはずであります。例えば一月二十日の公務員労協からの事務局審議官らへの申し入れについては、当然政務三役にも報告しているでしょう。その文書をなぜ提出しないのか。政府側に聞きます。

仙谷国務大臣 協議というふうに今おっしゃいましたが、協議というふうに位置づけられるやりとりをしているわけではありません。

 申し入れを受けたり、申し入れ書を渡されたりしたことは事実でございますし、ほとんど事務レベルでやりとりをしていたようでありますが、私も事務当局から直接、文書等々で報告を受けたりしたことはございません。多分、私的なメモなどは持っている方もいらっしゃるのかもわかりませんが、議事録はないというふうに聞いております。

中川(秀)委員 議事録はないということですが、例えば一月二十日の公務員労協の申し入れは、調べてみると、単なる申し入れではありませんね。もうこれはホームページで公開されていますから、あえて申し上げます。

 ここに、二〇一〇年度公務労協情報ナンバー十三、二〇一〇年一月二十日、公務公共サービス労働組合協議会というものがございます。内容は、公務員事務局への申し入れ、そして、いろいろ要求をした、そしてまた、いろいろ説明を求めて、政府側は審議官が次のとおり答えたと。それに対して労協側はさらに検討状況をただした。そういう上で、このままでは納得できませんよということも言った。それに対してまた事務局側は次のとおり答えたと。四点にわたってありました。「交渉を締めくくった。」と最後には書いてあります。

 以上のように、具体的に納得できる説明を公務員事務局側が行わなかったことから、公務員労協の副事務局長は強く要請し、これに対して審議官が、いろいろな、「「法案についてはタイミングを見ながら、話し合っていくこととしたい」と約束したことから、これを確認し、交渉を締めくくった。」と。これは単なる申し入れなんですか。「交渉を締めくくった。」と書いてあるんですよ。

 そして、公務員労協側は、こういう議事概要を公表しておるんです。そういう議事録が向こう側にあるのに、政府側は、メモ程度はとっているかもしれませんが、そういうものはありませんと。国会に対して不誠実じゃないですか、そんなこと。

 相手側が公開していないものだってあるかもしれませんよ。確認してみればいいじゃないですか。これは、ホームページで、私でも手に入るものですよ。国権の最高機関、憲法の定める国会というものを何と考えておるんですか。

 委員長、改めて、早急に対応を求めてください。

仙谷国務大臣 中川議員は、労働組合の組合員であったり執行部であったり、あるいはそのお世話をしたことがあるのかないのか存じ上げませんけれども、組合というのは、組合員に対する、組合費をいただいている関係上、サービスとして彼らなりの情報提供をしなければならないと思っている。あるいは、もう少し言えば、どの労働組合にも情報宣伝部というのがあったりします。つまり、みずからの活動、行動を宣伝するというのも彼らの大きなお仕事であります。情報提供ということを超えて、宣伝をするということも彼らの仕事のうちだと思います。

 したがって、彼らがみずからメモをとり、あるいはそれを、こういうやりとりの、彼らなりの理解のもとに記事にして、ビラをつくり、配布する、もしくはホームページでこういうふうに宣伝をするということは、労働組合という組織の性格上、当然といえば当然だと私は思います。

 政府の場合にはこの段階でのやりとりを議事録に残さない、あるいはこれを国会に議事録として報告しないということが、そんなに不思議なことだとは私は思いません。

中川(秀)委員 私に対する御質問でもあるから、私だって労働組合で中闘議長というのもやったことがあります。そんなことはわかっておりますよ。

 私が大臣に聞いているのは、国務大臣として政府を代表するお立場だから、政府のことを聞いているんです。労働組合のことを聞いているのではありません。

 向こう側が議事内容をこうやっているのに、政府の方はそういうものを、メモぐらいとっているでしょう、当然、だれだって。それを、委員会の質問に対して、資料要求に対して、おこたえできない、向こう側は出しているのにこれはできない。おかしいじゃないですか、それは。やはりもっとちゃんとした、誠実な対応をすべきじゃないですか。委員長、対処してください。

仙谷国務大臣 この段階では、つまり、我々が策定し、国会に提出をしようとしていた法案の守備範囲からいっても、そして、この段階での、このやりとりを事務レベルでしたことが、中川議員が言われるような、そういう段階ではないというのが私の理解でございます。

 現に、私がこの接触、やりとりを指示したものでもなければ、文書で報告を受けたものでもない。そういう中身と段階において、この段階はその程度のものである、こういう理解です。

中川(秀)委員 委員長、資料要求の話は、委員長に私お願いしているんです。早急に対処してください。

田中委員長 資料は、先日、資料要求に対して理事会で決定させていただいたものは、出させていただいていると思います。

 なお、再度、資料要求があるのであれば、それは後日理事会を持って精査をする、このように……(発言する者あり)

 中川君、どうぞ。

中川(秀)委員 相手側は、それは仙谷さんがおっしゃるとおり、情報宣伝部で、交渉を締めくくったという表現も使うでしょうという意味かもしれないが、単なる申し入れではない、こういうふうな書き方であります。それに対して、果たしてどうだったのかと国会でする義務がある、それに対して、メモも政府側にはあるでしょう、どういう内容だったか出していただきたいと。

 当たり前のことじゃないですか。仙谷さんが逆の立場だったら同じことを言ったじゃないですか。

 では、質問を続けます。

 公務員労協との間では、今回政府が提出した法案に関して五回も協議を行っているわけですが、最終的に法案について納得は得られたのでしょうか。御自身では折衝していないかもしれませんが、どう聞いておられるでしょうか。

 この一月の二十日の議事内容では、「改革の全体像明確にしてもらわないと納得できない。」と労協側は言っているようです。これはもう、まさにこの委員会審議で問題になっている点です。工程表らしきものは政府側に出していただきましたが、まさに、全体像はまだ全く明らかになっておりません。

 公務員労協側が、どこかの段階で納得して法案提出に反対しない立場になられたのだとするならば、どのような全体像を説明したんでしょうか。我々の委員会には示していないような全体像を公務員労協側には示したんでしょうか。こういうこともきちんと明らかにしてもらう必要があるから、最低限、これに対応するようなメモは出してくださいと言っているわけですよ。当たり前じゃないですか。質問に答えてください。

仙谷国務大臣 きょう提出をいただいておるこのホームページの文章も、私は初めて見るものでございますので、それほど精査したわけではありませんが、「不満である」とか、そういう表現が出てきますよね。

 公務労協側に納得いただいたんでしょうか、こう聞かれると、多分、納得いただけてないんだろうと思いますね。最後のところ、「今日の説明は具体性がなく不満である」、こう書かれておりますね。だから、この時点では不満だったんじゃないんでしょうか。

 全体像をどうのこうのと言われても、今回、我々が段階を追って公務員制度の改革に取り組む、第一段階としては幹部人事の問題であるからして、全くとは言いませんが、ほとんど公務労協側の守備範囲ではないし、また、我々は、今回出す法案について、公務公共サービス労働組合協議会ですか、ここに納得や御同意をいただかなければ国会に提出できないというふうには考えておりませんでしたし、現在もそう思っておるので、そこの納得とか同意とかということはいただいていないと考えております。

中川(秀)委員 今、資料でお手元に届けてあるのは、一月二十日の労協ニュース、ナンバー十三であります。

 先般、委員会で、交渉が何回行われたかというのをやりますと、一月二十日が最初の会合でありまして、最後は二月の五日、この会合をやって、そしてそれについて、資料にございます二月の十日の日に公務員法改正法案に対する意見というのを全労連公務員制度改革闘争本部が出し、最後のところ、二月の五日、意見書、六ページ―八ページというのが多分それなんでしょうね。二月五日に出しているんですね、発表が二月十日なんですか、そういうものを出したと。

 結局、そういうことは、いろいろ意見は出したけれども、最終的に反対というふうにはなっていないんですね。

 つまり、今仙谷大臣が言われた、不満だということ、それはもう最初の会合の労協ニュースであって、そして、最後の、二月の五日に政府側に出したという意見書、十日に発表になったもの、これは、指摘があって修正をいろいろ検討することということで終わっている。そしてまた、この修正を検討するという内容は、おおむね今回の政府案に大体大枠でいって取り込まれておる、そういうような感を私は受けております。

 繰り返して同じことを聞きませんが、いずれにしても、こういう経緯があるからきちんとした議事録を出していただきたい、これをよろしくお願いしておきます。

 次に、これまでならばこうしたさまざまな関係者との意見交換を行うときにはオープンな場で行ってきたと仙谷大臣は先般答弁されました。

 公務員制度改革推進本部に、これは、超党派で合意した基本法に基づく政令で、顧問会議を置いているわけであります。ここに学者、労働組合の関係者、経済界の関係者、ジャーナリストなどさまざまな関係者が入って、オープンに議論をいただいていたはずです。顧問会議に連合の高木前会長も入っていましたね。間違いありませんね。もちろん、屋山太郎さんや堺屋太一さんなんかも入っておられました。経済界も入っていた。学者も入っていたんです。こうした審議会や懇談会は御用学者たちの集まりなんという失礼なことを言う人もいますが、とんでもない話です。

 これはもう本当に、ホームページも、会議の様子を動画で見られるようになっておりましたから、私も見ましたが、見たらいいと思います。予定調和で、シナリオどおりに進行なんというのとは全く正反対の会議の運営が、この顧問会議はなされています。ホームページが必要だったら民主党の皆さんに後でお教えしますよ。www.gyoukaku.go.jp、こういうようなアドレスですが、動画で見ることができます。

 まさに、この顧問会議は、官僚機構の根回しなど決してきかないような、筋金入りの人たちが入っていたわけであります。

 そこで、聞きますが、手続論としてもおかしいと思いますよ。基本法の政令は改正されていないはずですね。基本法は超党派でやったはずですね。そして、その政令では、こういった法案づくりのときは顧問会議の意見を聞くことになっていましたね。なぜ、新政権発足以降、一度も開かれていないんですか。

 開きたくないのならば、そういう政令を変えなきゃいかぬはずではないですか。人選をやり直したいのならやり直して開催すべきだったのではないんですか。かわりに労働組合関係者とはこのような意見交換が、向こうは交渉と言っておりますよ、行われている。だから、その詳細は示してほしいと言っているんですよ。民主党の諸君、やじっておるけれども、それはどう思うの。

 はっきり言って、労組だけ特別扱いするんですか、これは法令、政令違反ではないんですか。

仙谷国務大臣 この種の顧問会議というふうなものについて、政権交代をした政権がそのままこれに依拠するかどうかというのは、まさに政治選択の問題だろうと思います。

 個人的には、この顧問会議に記載されている高名な方々は私はよく存じ上げている方々が過半でございますが、新しい政権としては、前政権がつくったこの顧問会議という方式、ここに依拠して私どもの改革推進の法体系をつくるということは考えなかったということでございます。

 もちろん、当然のことながら、そこまで議論をされてきた議論の中身、あるいは検討委員会の検討結果を十二月の末までお待ちして、この報告書をいただいて、その報告書に記載されていることを一つの重要な参考資料として私どもの政治判断を加えていく、そういう段階、時期でもあったということで、私どもが麻生政権あるいはその前の政権の時代にできた顧問会議を開くということをお願いしなかったということにとどまる、私はそう考えております。

中川(秀)委員 基本法は、民主党も含む超党派というよりも、与野党で協議をして合意をして成立したものです。それに基づく政令です。

 今の仙谷大臣のお話は、法治国家としての議論にもなるんですが、国会が決めた現行法に書いてある規定であれば、政権交代して、内閣としてこのメンバーじゃ賛成できないと思っても、法理論的には、従わなきゃならぬですよ。もしその人選が嫌であるならば、メンバーを入れかえればいいんです。少なくとも顧問会議は開かなきゃいけないというのが基本法の究極の、定めたところじゃないですか。その手続をやらなかった。一方、組合とは五回も協議をしておる、連合まで入れれば十回も協議している。これでいいんですか。

 法律的に、それは合法なのか違法なのか、内閣の法令担当の人、ちょっと答えてください。

仙谷国務大臣 労働組合と協議をした、こうおっしゃいますけれども、少なくとも、労働組合法で言う協議でもなければ、労働組合の言う協議でも団体交渉でもないということははっきりしているじゃないですか。そういう紛らわしい用語の使い方はやめていただきたいと私は思います。

 それから、労使の、合意で修正提案されても、そして政令がつくられても、政令に基づいて、法を執行するというのは政権与党の権限と責任である。

 私は、相当大きな修正の法律をつくったけれども、野党として修正協議に臨んで、そして修正を成立させ、その後の政令についても多少監視をしながらしましたけれども、その時点での政権与党が、一々、法執行の運用について、修正協議をした野党に協議をし、あるいは同じ格の立場で法執行を協議しながら進めた、そんな例がどこにあるんですか。すべて、ある意味で、野党から見れば、それは与党が権限と責任に基づいてちゃんと運用している、こういうことじゃないですか。

田中委員長 階政務官。(中川(秀)委員「ちょっと待ってください。答弁になっていないですよ、それは」と呼ぶ)

階大臣政務官 私が指名を受けました。

 違法ではないかという御指摘について、私の方から説明させていただきます。

 この国家公務員制度改革推進本部の顧問会議というものは、基本法の二十三条、「この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。」とありまして、それを受けた政令で、国家公務員制度改革推進本部令、平成二十年七月九日というものがございます。

 ここで言っておりますのは、「顧問会議」ということで、「国家公務員制度改革推進本部に、顧問会議を置く。」という規定は確かにございますけれども、その置いたものをいつ開催するか、また、そこで述べられた意見を政府としてどのように採用ないし反映させていくか、このようなことは一切触れられておりませんので、今現在、顧問会議、特に廃止したわけでもございません、全く違法ではない、このように解釈しております。

中川(秀)委員 最初からそう答弁されれば、それでいいんですよ。労働組合法なんというのは出す必要もない。

 私は、政令というものは、つくった意味ということがあると思いますよ。やはり委員の先生方は、そういう大事なことを我々顧問会議で諮ってくれる、ずっとそういう流れで来ましたから、当然そういうものも開かれると思っておられたはずです。

 廃止もされていないのに一度も開かれていないというのは、これは仙谷大臣に聞きますが、こうしたさまざまな関係者の意見交換を行うのはオープンの場でやるというふうに答弁でもおっしゃったはずです。とするならば、やはりこういうものもちゃんと開くべきだったと思います。

 もう一点だけ。

 仙谷大臣は、自分は労働組合の関係者と会っていない、こういうことですが、連合の古賀会長が、これは私の友人ですけれども、民放のテレビ番組で、今回の政府提出法案について、法案についてのことですが、松井、仙谷、いや、松井さん、仙谷大臣とも話していると。これは平井さんが本会議でも質問しましたが、我々の意向を最大限尊重した法案になっていると語っている映像がテレビで、民放の番組で流れました。

 六日の本会議で、仙谷大臣は、「本法案の策定に当たりましては、連合、公務労協とさまざまなレベルで話し合いを行ってきております。」「が、私自身は、まだ協議の衝に当たったことはございません。」と答弁されました。

 また、二十二日に政府から委員会に出された、国家公務員法一部改正案に係る職員団体やりとり経緯、今のお手元の資料ですが、この資料でも、組合関係者と接触したのは基本的には事務局の審議官以下であった、最後の十九日、初めて副大臣が接触したということのようです。

 もう一度確認するが、仙谷大臣は一切接触していないんでしょうか。

仙谷国務大臣 今回のこの国家公務員制度改革基本法について、古賀連合会長とお会いしたこともなければ、お話し合いをしたこともありません。その他、パーティーの席上とか、あるいは、今、政労の、何と言いましたか、ちょっと忘れましたが、つまり、総理大臣以下の出席する官邸の会合では、二回ぐらい私も出ておりますので、多分、そのうち一回は古賀連合会長が御出席をされておると思います。その席には私もおりましたので、一般的な雇用の問題あるいは労働問題ということをテーマにした会議には出ております。

中川(秀)委員 要は、連合の古賀会長にはお会いになったと、パーティーの席であっても。そして、一般的なそういう雇用問題、労働関係の話はしたと。当然、その中に公務員の話も入っていたということですね。そうでなければ、古賀会長がうそをついた、あるいは勘違いしている、そういうことになってしまいますよ。そういうことですね。

仙谷国務大臣 古賀代表がどういう根拠でこういう声明といいましょうか発言をされているのか、私にはわかりませんが、多分、事務方との先ほどのやりとり、六度に及ぶだったでしょうか、もうちょっと多かったでしょうか。(中川(秀)委員「全部で十回です」と呼ぶ)九回ですね、法案提出までは九回。

 つまり、二月十九日の閣議決定の後に大島副大臣が会っておりますので、公務公共サービス労働組合協議会の方からそういう報告を聞かれて、あえてそういう公式の場で鳩山内閣を批判がましく言うということも避けなければいけないという政治判断でこういう発言をしたのかなと推測をしておりますが、私は、何ゆえに古賀代表が御指摘の発言をしたかは、私の方からはわかりません。

中川(秀)委員 釈然とはいたしませんね。

 松井副長官、古賀会長は、まずあなたの名前を言っております。法案について、松井、仙谷、いや、松井さん、仙谷大臣とも話している、我々の意向を最大限尊重した法案になっているとテレビで語っている。もう映像で流れております。確認も私はいたしました。

 松井副長官は、この公務員制度改革に関する話を古賀さんや組合関係者と一切していないんですか。

松井内閣官房副長官 御答弁申し上げます。

 今仙谷大臣からお話もございましたが、政府と連合とは定期協議を持っております。そのような場で法案策定前に意見交換があったことは記憶しております。それ以外に、パーティーの席上などで古賀会長とお会いしたことはあります。ただ、この法案の具体的内容について私があれこれ申し上げたことはございません。

 一般論でございますが、私は、労働基本権の回復、これについては、御指摘ありました国家公務員制度改革基本法案、あのとき私は野党側の修正実務担当者でございましたが、「自律的労使関係制度を措置する」という条文がございます。それは委員もよく御存じのとおりの条文でございましょう。これに向けて、民主党として、鳩山内閣としてしっかりと取り組むべきだという話が、例えば政府と連合の定期協議の中であったことは覚えております。

 私は常々、自分の主張でもございますが、労働基本権をきちんと回復して自律的な労使関係において給与その他の労働条件をきちんと整備すべきであるというふうに考えております。

 これは、逆に言うと、その基本法案で明記したことでありますが、このことをやることは、むしろ労働組合にとっては非常につらいことになりますよ、今の人件費の水準その他のことからいうと非常につらい話になりますよという話は、一般的に、連合関係者とは、私はいつもお会いするたびに、皆さんがそれに向けて取り組むことは敬意を表します、なぜならば、それは皆さんにとって非常に厳しい環境に身を置くこと、しかし、それでも自律的労使関係制度をつくるということは大事なことだという皆さんの主張には理解をするし、我々は基本法でそれを合意しておりますし、この法案の先には、そこの自律的な労使関係制度を整備する、すなわち、労働基本権、どこまで回復するのかわかりませんが、その道を歩まなければいけない、これは政府の方針であると考えております。

 以上です。

中川(秀)委員 いずれにしても、この公務員制度改革法案に、その根底にそういう基本的な話があるわけだから、政府と連合との定期協議の場でこの法案の関係の議題もあった、そういうことですね。基本的には、だって、そういうことはあるわけですからね、自律的労使関係の確立という意味では、あるわけですから。

 松井さん、忙しいからいいですよ。

 さて、今の労働基本権の話とそれから給与法の改正の話は後ほど、重要な論点ですから、仙谷大臣がいらっしゃるところでお伺いします。

 裏下りの問題についてちょっと聞きたいんです。

 先日、西村康稔委員が当委員会で、損保協会副会長人事について質疑がございました。速記録でよく読みましたが、簡単に申し上げれば、田村政務官の方から、坂前副会長に相談したところ、後輩の牧野氏を坂さんから推薦されて協会として検討したと言っておると。仙谷大臣から、現在の定義では、官僚OBが後輩を推薦する、そういうことはあっせんに伴うわたりではないということだ、こういう御答弁があった。

 今議事録で見ているんですが、官から全くお金が出ているわけでもない、あるいは委託を受けているわけでもない、そういう純粋の団体の場合に、OBの方々あるいは団体の方々、そういう方々からこれこれの人をという話があっても、これはあっせんに基づくわたりとかあっせんに基づく天下りとは言わないと思うと仙谷大臣はお答えになられました。そして、一刻も早く法案を通していただいて、再就職監視・適正化委員会で、独立した調査権限を持つ委員会で調査させていただくことが最もよい姿だと思っている、こういう答弁です。

 そこで、質問なんですが、田村政務官に聞きますが、先ほどの御答弁は議事録に出ているからいいんですけれども、調査というのは、何の権限に基づいた調査なのか。総理権限なのか。私のかつての質問主意書には、政府答弁は、確認とありました。その確認と、あなたが言った調査とはどう違うのか。これが第一点。

 二点目。調査は、あるいは確認でも結構ですが、いつ行ったのか。何年何月何日と、ちょっと教えてください。

 どのように行ったんでしょうか。電話でしょうか、面談でしょうか、文書でしょうか。

 だれが行ったんでしょうか。あなた御自身なのか、大臣なのか、副大臣なのか。具体的にお答えをいただきたい。

 五点目に、だれに対して行ったんでしょうか。事務次官、官房長、秘書課長、損保協会、そのだれか。損保協会のだれかなんですか。それ以外のだれに行ったのか。具体的に教えてください。

 六点目。あっせんの行為はなかったという結論になったということだったが、どういう事実を確認して、どのような理由で結論に至ったのか。具体的に教えてください。

 七番目。調査の前に、これは省庁による天下りあっせんではないかと思わなかったのか。

 もう少し補足すれば、坂前副会長が協会に対して牧野さんを推薦したという説明があっても、普通の人だったら、坂さんは牧野さんがいらっしゃった財務省と一切相談していないのかなということを確認しようとするはずですが、それは、先ほどのあっせんはなかったという答えを出すためにも必要不可欠なことだと思いますが、その確認はどのようにしたんでしょうか。

 なぜなれば、何らかの情報提供を財務省、現職の府省庁がしていたら、国家公務員法上のあっせんに当たりますよ。そういうことが本当になかったのかをどうやって調べたんでしょうか。例えば、人事担当の部局の財務省の幹部の書類やパソコンの記録、メールの交信、そういうものは調べたんでしょうか。

 以上八点にわたって答えてください。

田村大臣政務官 お答えいたします。

 まず最初に、先日の西村委員からの御質問に対しましては、私は調査と申し上げましたけれども、いわゆる権限に基づく調査という意味で私は申し上げたわけではございません。そういう意味では、調査をする権限があるというわけではございませんで、あくまで日本損害保険協会に対しまして確認を行ったということでございます。

 それから、それはだれがだれに対してということでございますけれども、担当の課、金融庁ですと保険課になりますけれども、保険課の担当者、そこは申しわけございません、現時点では担当者のだれかということまでは把握してございませんが、担当者が損保協会の相手方に確認をしたということでございまして、それは実際に協会の人に会ったのかどうか、会ったのか電話かということに関しましては、申しわけございません、現時点ではまだ私は把握をしていないところでございます。

 そして、それがいつかということでございますけれども、明確な日にちを把握していなくて恐縮でございますが、三月下旬に確認をしているということでございます。

 それから、あっせんがなかったという話でございますけれども、そこは金融庁の担当、保険課の担当者の方から財務省に確認をさせていただきました。その財務省の相手方は私は現時点では把握はしておりませんが、本件について、この人事につきまして財務省からの再就職あっせんはあったのかという確認をしたところ、財務省の方からは、そのあっせんはないという回答を得ているということでございます。

 それから、天下りとは思わなかったのかという御質問は……(中川(秀)委員「あっせん」と呼ぶ)あっせんとは思わなかったのかということですか。それはどの時点でということですか。それがわかった時点でということ……(中川(秀)委員「確認の前に」と呼ぶ)確認の前にですか。そこは、現在の政府の定義によりましては天下りには該当しないというふうに私も認識をしているところでございます。

 以上です。(発言する者あり)申しわけございません、大変失礼いたしました。あっせんはしていないというふうに認識をしております。

中川(秀)委員 調査ではないと訂正されて、確認ということだと。私の答弁書との整合性が初めてついたわけですが。

 幾つか具体的事実関係で、もう細かいことは言いませんが、不明確なところがあるので、委員長、その不明確なところはまた後刻ちゃんと答えていただくようにお願いします、委員会に。文書でもいいですよ。委員長、よろしいですね。

田中委員長 それでは、理事会で協議します。

中川(秀)委員 財務省の相手方もだれだかわからない、把握していないということですが、日時もそうですし、損保協会、保険課の担当者もわからぬということですが、ないという回答だったと。普通、聞けば、ないと言うでしょうね。しかし、何らかの情報提供をしたら、これは国家公務員法上のあっせんに当たるわけですね。

 最後の質問で、いろいろと書類やそういうものは調べたのかという質問にお答えがなかったですが、結局、調査ではないからそういうものは調べていないということですな、確認ですからね。お答えはなかったけれども。

田村大臣政務官 はい、ございません。

中川(秀)委員 いずれにしても、何度も大臣に申し上げたが、委員会がないために、総理にそういう調査権限は今政令で委任されて、その政令は今も生きているんですが、鳩山総理の調査権限を使ってすぐ調べればいいのに、結局は、それは確認にとどめた、そういう調査をまじめにやったということではなかったと。やらなかったとしか言いようがないわけです。事実を明らかにすると、やはりそういう裏下りが白日のもとにさらされてしまう。勘ぐれば、そうなると、財務省、財務官僚を敵に回すようになることを恐れる、そういうふうに勘ぐる人も出てくると思いますね、こういうことは。

 最近の政府のいろいろな発言を聞いていると、いろいろな意味で、私個人の感想ですが、あえて申しますよ。財務省の官僚諸君が喜ぶようなことばかり言っているような気がするんですね。公務員のリストラはしないで、消費税増税だけは必要と言い始めている。事務次官廃止を撤回して、これを副大臣に格上げするという。印刷局は独法からまた国に戻すとも示唆している。その資産はまた現物で国庫に移管をすると言っている。

 もうまさに財務省の御機嫌取り以外の何物でもない。少し厳しいことを言いますよ、野党ですから。ばらまきでにっちもさっちもいかなくなって、財務官僚に頼らないと政権がもたないから必死に財務省の機嫌をとっている、こんな声も出てきていますよ、今。

 やはり、今質問した事項に、後で理事会で協議していただくから結構ですが、与党の理事も、しっかり頑張って、ちゃんと調査結果を出してもらうようにやってくださいよ。野党の理事も。

 こういうことをすべて具体的に答えていただかないと、民主党の裏下りに関する考え方がわからないんですよ。国民に対して天下り根絶ということを、口先だけできれいごとを言って、実は裏下りを全面的に容認しているということでは、この法案そのものが詐欺法案だということになるじゃないですか。

 仙谷大臣が二十一日の質疑で、どんなやりとりを坂さんと損保協会との間で行われたかつまびらかにわかっていないから判断のしようがないと答弁されていましたが、私は、確かに、今伺っても、つまびらかにわかっていないことがたくさんあるということが確認できましたよ。仙谷さんが判断のしようがないと言うことも無理はないです。

 しかし、政府として判断ができるように調査をやり直すべきではないですか。政府として裏下りかどうか判断のしようがないというのでは全く話になりませんよ。今すぐ政府の調査権限を行使してしっかり調査して報告する、これが本当ではないですか。田村政務官、どうですか。

仙谷国務大臣 別に、縦割りの所掌事務にこだわるわけではございませんけれども、中川議員がそういうことをお聞きになるのであれば、これは官房長官でもお呼びになって聞いていただかないと正しい答えはできないと思います。

 つまり、私ですらそういうことを責任を持って答える立場には実はないわけであります。田村政務官に至っては、損害保険協会に対する、これは社団法人でございましたか、社団法人に対する金融庁の一般的な監督権限に基づいて事実確認をするということはできても、おっしゃるような、書類を提出させ、あるいは証人として喚問をし、あるいは質問を発し、そしてこれを拒否した場合に罰則を加えるというふうな強力な権限を持った調査権限は、多分、損害保険協会に対しては金融庁といえどもないんだろうと思います。

 今おっしゃられたようなことは、完全な法律違反の非違行為を調査するということでありますから、私どもといたしますれば、私どもがこの法案でお願いしております再就職等監視・適正化委員会が設置されれば、そういう法律上の調査権限を持った委員会ができます。

 そして、第三者的で公正かつ独立の委員会でありますから、総理が、そういう公平で公正で独立した委員会でない、つまり、中央行政機関の長あるいは官房の主任の大臣としての総理大臣、そして今度は、みずからが形式的に行ったことになるとも限らないことを監視すると。つまり、総理のポジションというのは、外から見るといろいろな立場があるものですから、利害相反といいましょうか、衝突するんですね、監視を総理の権限だからやれなんということをおっしゃっても。

 したがって、第三者機関である監視・適正化委員会ができたときに調査権限を行使させようと思います。

 それから、私は、中川議員がこの損保協会の副会長人事をめぐって何か私どもが裏下りを常態化しているとか常套手段にしているかのような質問をされるのは、ちょっと行き過ぎだと思いますよ。つまり、政権交代までは裏下りが常態化されていたんじゃないですか。

 では、この損保協会の人事以外に裏下りとあなた方が疑惑を持っている例を摘示してくださいよ。一生懸命調べますよ。

中川(秀)委員 仙谷大臣、ちょっと幾ら何でもそれはロジックからいって成り立ちませんよ。そういう裏下りは我々だって反省して、今質問しておるわけです。

 少なくとも、今度の人事は鳩山内閣下で行われた人事なんです。そして、皆さんは、総理自身がそういう裏下りを根絶しますと国会答弁でおっしゃった、だから、なぜ調査しないんですかと言っている。

 この人事は鳩山内閣になって行われた。今後一切なくしていくべきであって、西村君も聞いたけれども、確かに社団法人で民間法人かもしれませんよ。しかし、少なくとも、損保協会にはさまざまな税制上の優遇がある。そこに、元国税庁長官その他財務省のOBが歴代ずっと、あっせんでそういうポストについた。これは問題がありますか、ないですか。問題があるということでしょう。

仙谷国務大臣 自民党政権下でこういう関係が続いてきたということですよね。

 改めて、その時点で我々が、つまり私にとってみれば二十年間の歴史で、こういうある種のロビー活動をされている団体の常勤に次から次に行かれるというのは、協会にとっては便利がいいんだろうなというふうには見ておりましたし、果たしてこれが世間から見たときに好ましい姿であるのかどうなのか。あるいは、アメリカのように、こういうことを業とすることを大っぴらに認めて、そのかわり青天白日のもとでやれ、報告を随時やれという制度をつくるか、一切こういうことをやらせないか、それはどちらかしかありません。

 つまり、こういう民間の団体が自由にスカウトしてきているという、これが強弁であるのか事実であるのか、それを調べるということであれば、おっしゃるように、再就職等監視・適正化委員会を早く立ち上げていただいて、ここで権限を持った委員会が調べるということにさせていただきたいと思います。

中川(秀)委員 その点も今ちゃんと聞きますから、ちゃんと答えてくださいよ。

 二十一日の合同審査会で仙谷さんは、今のニュアンスと同じようなことを答弁されていますね。OBの人たちが、一つの、同窓会か何か知りませんけれども、いろいろなところに盤踞して幹部人事を事実上やる、あるいは、そこのあうんの呼吸に基づく承認がないと幹部人事はやっちゃいかぬのだというふうな雰囲気でどうも動いているのではないか、そういうことを言われましたね。官僚OBのあっせんを認めておいて、これは裏下りじゃありませんと言っておいて、どうしてこういうあうんの呼吸の幹部人事をとめることができるんでしょうか。

 つまり、OBのあっせんならば裏下りでないと言われたんです。言われたんですよ、前の答弁では。しかし、一方では、こういう同窓会みたいなのがあって、そして実質上決めたあうんの呼吸でやっている、そんなふうになっているんだと思います、そういうことも答えておられる。

 総理は、裏下りをなくすと言い、その調査は総理に権限があるのになさっていない。単なる確認で、具体的なことも要するに判断のしようがないというぐらいの確認しかしていない。そして、あうんの呼吸の幹部人事もとめていない。

 それは、過去、歴代、前内閣までやってきたことは我々だって猛省しなきゃなりませんよ。しかし、あなた方は、根絶すると言われたそのことも、根絶なんか真っ先に、第一回の人事からやっていないじゃないですか。そういうことをとめていないじゃないですか。あうんの呼吸というのも、そのまま続くのは当たり前ではありませんか。

 もう一点言いますよ。

 今のことは、もう何回聞いても同じことだから、その再就職委員会で、早く法律ができて、そしてつくって、調査したいという答弁ですから、その答弁について聞きます。これは階総務政務官に聞きます。

 まず、現行法で定められていることを確認しておきたいんですが、役所の職員が再就職あっせんを行うことは禁止されていますね。それを監視する役割は、法律上は再就職等監視委員会ですね。現在の法律です。間違いありませんね。

 しかし、国会の同意人事が不成立のまま、再就職等監視委員会は立ち上がらなかった。民主党が反対したからです。その後、鳩山内閣になってからは、人事案が国会に提出されることもなく今日に至っている。つまり、再就職等監視委員会はできていないわけですよ。

 では、鳩山内閣になって人事案を出せばいいじゃないですか。それをなぜ出さないんでしょうか。

 そして、法令上は、その権限は総理が行使できることになっている。このことを定めている退職管理政令については、かつて仙谷大臣は憲法違反と言ったが、この前の質疑でも現在でも、政令は廃止されずそのまま維持されているという御答弁でした。

 そして、この再就職等監視委員会の「委員長及び委員は、」「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」と現行法の国家公務員法百六条の八で規定されていますね。なぜ七カ月以上にわたって総理大臣が委員長、委員を任命しようとしないんでしょうか。それは法律違反ではないですか。

 現行法の所管は総務省だと思いますが、いかがですか。

階大臣政務官 お答えいたします。

 確かに、現行法では再就職等監視委員会の設置が定められているわけでございますけれども、その設置までの期間は総理大臣に権限を委任するというような条文もあるわけです。ですから、施行と同時にすぐ設置というたてつけにはなっていないということが条文から読み取れるわけでございます。

 ただ、そうはいっても、法律で要請されていることをいつまでも放置するというのもおかしいことでございまして、私どもとしましては、今回の法案の成立後直ちに今の再就職等監視委員会は廃止しまして、それにかわる新たな、より監視機能を強化した再就職等監視・適正化委員会を設置すれば、おっしゃるような違法の問題は回避できるのではないかと考えております。

中川(秀)委員 確認しますが、違法状態であるということですね。今、違法の問題は解決できると言ったのは。

階大臣政務官 設置しない状態が長期間続けば違法になるかと思いますが、私どもは、別に違法状態ということを今考えているわけではございません。違法にならないようにするために法的な措置をとるということで、今、法案を御審議いただいているわけです。

中川(秀)委員 去年の秋に臨時国会がありましたね。この通常国会。もう七カ月をはるかに超えましたね。そういう委員会を、人事案を出さない。

 例えば、人事院の人事官の場合、六十日人事案を出さなきゃ刑罰がかかるんですよ。そういう法律があるのを知っていますか。人事院の人事官の人事を政府が出さなかったら刑罰がかかるんですよ。そういう法律まであるんですよ。

 これだって、退職管理政令に関する、あなた方があれほど天下りや裏下りはなくすと言っていた重要な問題の委員会の人事も出さないで、それが今でも違法状態でないと。おかしいじゃないですか。少なくとも、この通常国会で直ちに人事案を提出するのが本当じゃないですか。それじゃ総理の権限があるからと。総理の権限も、調査権限も発揮していないじゃないですか、さっきの仙谷大臣のおっしゃったとおり。

 いずれにしても、前にもお話ししたが、この法律でもっとより権限を強化したものをつくりますから、改正しようとしているからその後でという答弁は、改正しようとするかしないかは関係ないんですよ。国会で決めた現行法に書いてあれば、内閣として賛成できないと思っていたって従わなきゃならないんです。その意味で現行法との関係で合法か違法かと聞いているわけで、もし違法状態なら直ちに人事案を出すべきじゃないですか。

 いずれにしても、政府案だって再就職等監視・適正化委員会というほぼ同種の委員会を設けることになっているんだから、今立ち上げたって人選をやり直すようなことにはならないはずじゃないですか。それをやらぬということは、裏下りや天下りのあっせんを当面は放置する、総理の権限も使わない、これもやらない、そう言って総理の施政方針演説を撤回したらどうですか。そうじゃなきゃ納得いきませんよ、こんなの。

仙谷国務大臣 中川議員の熱い思いはわからないでもないんでありますが、日銀の審議委員の欠員を一年も二年もほったらかしにした内閣が我々の前の内閣でございまして、私どもは、こう言っては失礼に当たるかもわかりませんが、従前の再就職等監視委員会でございましたか、現行の法令がそういうふうになっておるわけでありますが、これは機能させることを認めないというのが国会の当時の意思であったから、同意人事に少なくとも参議院の野党が反対して機能が発効しなかったというふうに考えております。

 政権交代になったら、その再就職等監視委員会の機能を発効させないと考えていた政治勢力である我々が多数になったからといって、なぜそれを機能させなきゃいけないんですか。それは論理矛盾も甚だしいじゃないですか。むしろ、そんなことをしたら、皆さん方から、あなた方が今まで否定してきた委員会と同意人事を自分たちで今度はその言をひっくり返してやるのか、こういう非難をされるのは目に見えているじゃないですか。今までの論法がそうじゃないですか。そういう、あれもいけない、これもいけないというような論法を幾ら言われたって、これはしようがない。

 そして、この五名の委員については、法案を通していただければ、直ちに国会に提案できるように今官房長官が準備しております。

中川(秀)委員 田村さん、今大臣がいろいろ言ったが、余計なことというか、全く、日銀の人事とは全然関係ない。天下りや裏下りを皆さんがなくすと言ったその人事に関することですよ。そして、この再就職等監視委員会、法律上は置くことになっている。それが現行法で成立している。現行法ですよ。それが、人事ができていない。

 それは、今仙谷さんのおっしゃることは開き直りですよ。現在施行されている法律を、そんなもの何でやらなきゃいけないんですかと。そんなのが法治国家ですか。施行されている法律ですよ。同意人事には反対だ、そんなものは、はっきり言ってそういう委員会が機能するのは反対だと。

 機能するのに反対するのは野党として自由ですよ、当時のあなた方野党は。しかし、現在の法律ですよ。法律になっているものを、機能するのを我々は反対していたからその人事案も出さないのが当たり前だ、そんな法治国家なんてありますか。質問なんかできない、それじゃ。

階大臣政務官 確かに、野党時代は、この再就職等監視委員会の人選について、私どもは必ずしも協力的ではなかった。なぜならば、この再就職等監視委員会というものが、各省のあっせんの承認を続ける、これを前提として、各省があっせんをすることの承認機能も含んでいたわけです。ですから、我々は、再就職等監視委員会というものはおかしいということで反対しておりました。

 そして、新しい政権になって、こういう各省のあっせんと、あっせんの承認機能を持たない、あくまでも再就職の監視、調査、勧告、そういった機能に特化したものを設けるということですので、私どもは、この新しい法律をちゃんとつくって、そして早期に提出し、今仙谷大臣もお話ししましたけれども、法律が成立すれば直ちに人選を行うということで、違法な状態には当たらないと考えております。

中川(秀)委員 細かく細かく聞けば、それは承認する権限も含んでいるから反対したと。しかし、調査する権限もあれば、いろいろな権限、今皆さんが今後残そうという権限もあるんですよ、天下り、裏下りを許さないための。間違いないでしょう。現行法の所管は総務省が担当だから聞いているので、仙谷大臣に聞いているわけじゃないんだけれども、いずれにしても、結局、そういう調査権限のことも発動しない、委員会も設けない。

 私は、鳩山総理が、裏下りの根絶を唱えている中で、現行法の執行すらやろうとしないのは許されないのではないかということを聞いているんですよ。総理の調査権限も行使することを否定しているでしょう。人事もやらないでしょう。同じような委員会で今度、現行法では承認する権限もあるからというんだったら、承認させることはさせなきゃいいじゃないですか。そういう人事をやって、ちゃんとやっていったらいいじゃないですか。皆さんが政権をとられたんだから、そういう人事をやられたらいい。そして、それを再就職等監視・適正化委員会に、同種の委員会ですから、そういうふうに移行されたらいい。

 私は、そういう意味で、やはり退職管理政令も現在でも生きているのに、総理はきょうにでも調査権限を行使できるはずだが、なぜ行使していないのか。任務懈怠ではないか、怠慢ではないかと思いますよ。先ほどの損保協会の副会長の人事でも同じ。

 もうこれは、いろいろやりとりしていたって、先ほどは違法状態と言われ、議事録で精査、今は違法状態ではないと言われ、仙谷大臣の答弁も全く、これは専門家が聞いたら、ええっというような、とても整合性のとれる答弁ではありませんが、もう時間も、次へ行きたいのでこだわりませんが、ちゃんとそこはしなきゃだめですよ。言っていることとやっていることが違い過ぎる。

 早期退職勧奨の事例調査について、ちょっと幾つかお話しします。これは階さんに聞くのかな。

 階さんのこの前の答弁は、いろいろよくわからないんですよ、ずっと読んだが。いろいろな役所の慣行で、退職勧奨を断った人は、企画官以上ではいない、企画官以下でもわずかである、その理由は、なぜそうかといえば、いろいろな役所の慣行で、大体見た上で声をかける、この人だったら応じてくれるかな、声をかけられる人も、自分の先輩とかを見ながら、そろそろ自分も声がかかりそうだなということが何となくわかるんだそうです、そういう中で退職勧奨が行われている点で、必然的に断る人は少なくなるということだそうですと。

 あなたが言ったこの慣行とは、役所の定期人事、早期退職勧奨、天下りが一体の慣行のことですよ。自分の先輩を見ればわかるということは、そこが早期退職勧奨ポストであり、次の天下り先も定期異動のようにわかる。だから早期退職勧奨がわかるんです。そうでなきゃ、さかのぼること、九日の内閣委員会で行われた、階さん、あなたの答弁は、高木さんに対する答弁ですが、おかしい、整合性がとれなくなりますよ。天下りあっせんとセットでなければ、それはもう、退職勧奨をもしやるとしても、おのずとそこで、それに応じてやめられる方というのはごくわずかになる、そういう試算もしております、計算もしておりますと。

 また、二十一日の合同審査会では、あっせんつきの退職勧奨がなくなります、これからはあっせんのない退職勧奨しかしません、必然的に声をかけることは少なくなりますしという答弁をなさって、実際の退職勧奨については先ほどのような慣行のもとで行われますから、それは断る人は少ないのはさもありなんと申し上げました、こんな答弁にもなっている。

 ここで言う慣行とは何ですか。私が先ほど言った実態でよろしいんですか。天下りあっせんだと認めない限り矛盾しているということではないんですか。

階大臣政務官 私も銀行で働いておりましたのでよくわかるんですけれども、銀行でも、ある程度の年齢に行くと、そろそろ後進のために道を譲ってくれないかということを人事部から言われるわけでございます。それと同じようなことも、別に天下りあっせんとセットでなくても、役所でも行われるということで、先日のようなことを申し上げました。

 天下りあっせんとは関係なくそういう肩たたきということがあるわけでございまして、それは、何もあっせんをするからやめてくれというような言い方ではありません。そろそろどうかねということを言われる。それに対して、受ける方も、別に天下りあっせんがあるとかないとかではなくて、周りを見ていれば、そろそろ同じような人たちがやめていくという中で、それは言われてもそんなに意外感はなく受ける。こういうことの中で、あっせんがなくても退職の勧奨というものはほどほどはある。ただし、その数というものは、当然のことながら、あっせんとセットのときに比べると激減している、こういうことでございます。

中川(秀)委員 私は、あなたの今答弁したことは、過去の答弁であなたの言ったことも触れて、最近の答弁も触れて申し上げましたよ。同じようなことを言ったって、質問の答弁にはなりませんよ。

 つまり、何かというと、二、三週間前には、天下りあっせんとセットでなきゃごくわずかになる、そう試算をしていると。それから、今言ったような答弁を連合審査会ではあなたがなさった、今ただいま答弁されたことをね。そして、この矛盾を聞かれて、断る人が少ないのは、実際の退職勧奨については先ほどのような慣行のもとで行われているから、それは断る人が少ないのはさもありなんと申し上げましたとあなたは答えたんです、連合審査会で。そうですね。

 だから私は聞くんですよ、その慣行は何なのかと。

階大臣政務官 今、慣行というものがどういうものかという御質問でした。

 私のそのときの答弁の文脈においては、ちょっと言葉の使い方が不正確だったかもしれませんけれども、役所の中において、ある程度の年代になれば、人事課の方で、そろそろやめてほしいという人を探して、そして、この人だったら大丈夫、やめてもやっていけるだろうということで声をかける。それに対して、声をかけられる方も、周りの状況などを見ながら、ある程度それは予期していたことなので余り抵抗なくそれを受けることもある。

 私は、この答弁の際に、事前に実際に官僚の人たちとお話をしていたら、そういうことがあるということを確認しました。

 それが、広く霞が関全体の慣行、慣行と言うと、何か慣習法というか不文の法律みたいな印象があるわけでございますけれども、そういったかたい意味での、慣習法的なものという意味で申し上げたわけではございませんが、現実には今申し上げたようなことが行われているということで、慣行という用語は使わせていただきました。

中川(秀)委員 そんな答弁していて、良心に恥じませんか。慣習法のことなんかだれも聞いていませんよ、今。法治国家で我々はちゃんと、国会、三権分立でやっているわけですから。

 慣行というのは、あなたは今、肩をたたく際に、この人だったら自分の先輩とかを見ながらそろそろ自分も声がかかりそうだと何となくわかる、そういう中で退職勧奨が行われている、そういう定義だと言いましたね。大体そういう趣旨でしたね。

 しかし、先輩を見ながらというその先輩は、それはもう皆OBで天下っているわけですよ。早期退職勧奨。次の天下り先が定期異動にあるんですよ、さっき言ったように。損保協会の副会長の一例を出しましたが、歴代行く。そういうのを見ているわけです。だから、役所の定期人事と早期退職勧奨と天下りが一体の慣行のことなんですよ。そんなことはもう、るる言わなくたってわかっている。

 ちょっと、これはもう一回聞きたいが、天下りあっせんとセットでなければ退職勧奨を拒否するだろうが、断りそうにない人を選んで声をかけたので全員受け入れた、今の言い方だったらそう理解しますが、そういうことですか。

階大臣政務官 これは、あっせんが廃止された中でのことを、私の方で、あっせんが廃止されても退職勧奨というのはあるんでしょうかということを聞きました。あっせんがないんだったら、そういうことをやっても受けられないんじゃないかというふうに聞きました。それで、実際、官僚の人に聞いたら、あっせんがなくても、もういい年になってきたら、この人だったらやめられるだろうという人に声はかけるということを確認しました。

中川(秀)委員 要するに、もういい年になった、いい年といったって、あなたよりも、あなたが幾つか知らないけれども、若い人かもしれないよ。五十代そこそこ、四十代だっているんですよ。そういう人に、いい年になったからやめてくれないかと言ったらやめる、そう思って、そういう人を選んで勧奨するということでしょうか。要するに、気の弱い、断りそうにない人を人選してやるということですか。それだったら整理解雇と同じじゃないですか。

 まだ質問を続けます。

 仙谷大臣の経験によれば、再就職あっせんをやらないと、そういう場合は労働法違反の、これは確かに、判例がありますね、私も知っておりますよ。前任者も代々同じように退職勧奨された人と階さんは言われたが、それでは、代々同じ天下りルートに乗ることが暗黙の約束になっているということですか。

階大臣政務官 先ほど私が幾つかということをお尋ねになりましたけれども、今私は四十三です。

 ちなみに言いますと、銀行では、四十五歳ぐらいになると、みんな一斉に集められてセカンドキャリアの研修をやります。そこで、あなたたち、役員になれる人はほとんどいないんだからちゃんと自分の将来は自分で考えろよということを人事部からきつく言い渡されるわけです。そうやって、そこでもう事実上、自分はこの銀行に長くはいられないんだなということを悟って、いつ声をかけられてもいいように、セカンドキャリアをちゃんと有意義に過ごすべく、しっかり準備をして日々過ごしているわけです。そして、五十前か五十ぐらいになると声をかけられて、それで退職するということでございます。

 先ほどのようなお話だと、四十五ぐらいで声をかけられるというのはとんでもないことだということをおっしゃったのかもしれませんが、別にそれは不思議なことでも何でもなくて、民間であれば普通にあるわけでございまして、再就職あっせんに限らず、事実上、四十五ぐらいでは退職勧奨の準備行為みたいなことが行われている、こういうことでございます。

中川(秀)委員 今聞いているのは、民間の銀行のことじゃない。私も民間のサラリーマンをしていたから、あなたの言うことはよくわかりますよ。逆に言うと、四十半ばぐらいになると、もう後のことを考えて、民間の方は守りに入るというか、どう逃げ切るかということを考えなきゃならない、そんな心理も、私は直接そういう人たちからも聞いています。私自身だって、そういう姿はもういっぱい見てきているわけだから。

 今、民間のことを聞いているんじゃない。であるならば、公務員だって、普通の職業にして、スキルアップも上げて、同じようにしてあげるべきなのであって、公務員だけ特別扱いにするなんていうことはおかしい話ですよ。

 しかし、私は、今、民間のことを聞いているわけじゃない。今、公務員の世界で、それじゃ、どうやってそういう人を、慣行でやっているのかということをただしているわけで、それをあなたは、いい年になってきたら大体みんな気がついてそうなるんですということを答えて、民間との比較でそうおっしゃったんだが、いい年というのはあなたの年でいうと幾つなのか、こう聞いたわけです。

 何を言いたいか。どういう人を選んで、どういうせりふで退職勧奨をやっているのか。全員が受け入れたという調査結果でしたが、合理的に納得できるような事実関係をきちんと説明してもらわないと、断る人はいませんでしたということがなかなか胸にすとんと落ちないということですよ。

 わからないならば、退職勧奨を行った人にもう一回聞き直して、そしてもう一度説明してもらわないと、この慣行というのは、先ほど言ったように、どこまで誠実に退職勧奨を受け入れさせることができるのか、どういう慣行があるのか。慣行という言葉を使ったのは階さん自身だから責任のある答弁をしてもらいたい、そう申し上げているわけです。

階大臣政務官 お答えいたします。

 再調査を行うべきではないかという御趣旨でございましょうか。

 私の方で、この委員会での御議論を踏まえて、指示を出しました。それで、各府省に退職勧奨を行ったが拒否された事例があったかを確認して、その回答を取りまとめました。

 その結果、前回の、委員御指摘の、八十三人の中では拒否した事例というのはなかったわけでございますけれども、それは企画官以上の方の例でございまして、それ以外の、企画官未満の方たちについても調べましたところ、拒否された事例はあったという事実も出てまいりました。

 そういったことでございますので、ちゃんと調査をしております。そういったことで御理解をいただければと思います。(発言する者あり)

中川(秀)委員 つまらぬやじをしなさんな。

 退職勧奨を行った人数の企画官相当職未満の者、千百三十八人。資料を読んでいますから、私も。御調査をいただきました。その労は多としたいと思います。

 しかし、断った人は法務省のお二人だけ。千百三十八人で千百三十六人は応諾をし、拒否した人は法務省のお二人だけ。そういう結果でしたね。いたということを強調されるから。たった二人ですね。

 いずれにしても、こういうこともちゃんと調査をして、本当に、先ほどの裏下りの話もそうですが、早期退職、退職勧奨というものも、あっせんがなければいいんだではなくて、肩たたきそのものをあなた方はやめると言われたんだから、やめるべきなんですよ。私はそう思いますよ。

 ついでに、もう一つ質問します。

 天下りあっせんNPOというものをつくろうという動きがあるという報道があります。これはだれに聞いたらいいんだろうな。参考人の田中一昭さんもこの前、同様の発言をされておられましたね。財務省を中心としてと、こう報道には書かれていますので、財務副大臣か財務省の政務官、いらっしゃったら答えてくれますか。財務省を中心として天下りあっせんNPOをつくろうという動きがあるという報道があると。(発言する者あり)通告していませんでしたかな。要求大臣としては、確かにそうですね。

 それでは、違う観点から聞きます。

 鳩山内閣は、再就職あっせんの伴う早期退職勧奨はやらないというが、再就職あっせんの伴わないものは続けるということの方向でありますけれども、そう聞いておりますが、そういう答弁でもありましたが、ところが、ここで言う再就職あっせんというのは、役所の行うあっせんに限られる。結局、役所は素知らぬ顔で早期退職勧奨を行い、水面下では、役所主導でこういうあっせんNPOをつくって、横断的に天下りあっせんNPOがあっせんをする、そういう仕掛けになっていくんですか。

 これはちょっと、私は報道を見て驚いたんですが、こういう動きがあるのかないのか。これはやはり法案審議との関係がありますから、これは調査をして委員会に報告していただきたいと思いますが、これについては、委員長、理事会でも協議してください。

仙谷国務大臣 忙し過ぎて、新聞等々拝見していないのかもわかりませんが、私は、そういうものがつくられつつあるというのは、寡聞にして存じ上げません。

階大臣政務官 大臣と同じでございますが、私の方で承知している限り、そのような構想はございません。

中川(秀)委員 仙谷大臣は、さっきもちょっと裏下りのところで聞きましたが、やはり、OBの方が、一つの、同窓会か何か知りませんけれども、いろいろなところに盤踞をして、そこが幹部人事を実質上やる、そこのあうんの呼吸に基づく承認がないと幹部人事はやっちゃいかぬというふうな雰囲気でどうも動いているんではないか、現状をそのように二十一日の合同審査会で答弁されましたね。

 天下りあっせんNPOを寡聞にして知らないということのようですが、もし認めるということになれば、まさに大臣の言う同窓会を正式機関にするということですよ。

 見解はどうですか。

仙谷国務大臣 私自身は、割と、いろいろ頼まれたら、人のお世話を、余り断ってはいかぬのじゃないかと思っています。

 もし官の側にいた人じゃない人が、お気の毒な人が役人の方に多いな、それじゃ、我々がNPOをつくって、どこか次の勤め口を御紹介申し上げようかというNPOをつくる。それで紹介をする。それを、プロフェッショナルの業としてではなく、一つのボランティアの活動として、NPO活動として行う。あっせん先が官庁の用務と全く関係のない、つまり、いろいろな要件がつけられると思いますけれども、あっせんをされていく。例えば会社なり民間法人、全く利害関係が官庁とないところに紹介をするという、けなげなNPOが出てきたら、それはひょっとすればすばらしいことかもわかりませんねと言いたいところですね。

 あるいは、もっと言えば、民間の方でも、既に官をやめられた方でも、自分の友人や、友人の友人の友人でもいいんですが、そういう人が役所をおやめにならざるを得ないというときに、おい、一緒にこういう仕事をやろうやというのをもし誘う人がおったら、私はそういう人を尊敬いたしますし、私が今このポジションにいないで、小さい事務所でありますが、そういうのを開いているときに、私の極めて親しい友人が、何々省をやめて、そこに、何か仕事したいよ、金をもうけるだけが目的ではないけれども、何か仕事したいよということであれば、一緒に何か仕事をつくるということに私は励むかもわかりません。

中川(秀)委員 大臣が言われたことは、そういうケースであるならば、だれも問題にはしませんよ。つまり、OBが全くいない、民間の人が、役所をおやめになる方の能力、識見、そういうものを評価して一緒に仕事をしよう、そういう声をかける、あるいは、本当にそういう能力を見て、全く民間の人が全く利害の関係ないところにお世話する機関がある。

 でも、民主党の皆さんは、それもハローワークでやればいいと。ハローワークだって政府機関じゃないか、何で、改めて何とかセンターまでつくって分限処分だけ世話するんだと私は思いますが、ハローワークへ行けばいいとおっしゃったんですよ。そういうことを考えれば、今の御答弁は私が求めた答弁ではないんです。

 現実に、大きな雑誌でそのような記事が載り、また、OBでもあられた田中一昭さんが参考人として、そのようなものができつつある、このようなお話もされているわけで、改めて、私は、こういうものはちゃんと政府としても調査しておくべきだと思います。

 これは委員長にお願いでございますが、山内君もかつてこれについて質問書を出していますが、知らない、役所が関与していなければ関係ないというような趣旨の答弁書が出たようですが、当法案の審議にも絡んで、これはしっかり政府に調査してもらって、報告をしてもらいたい、そのようにお願いをいたしておきます。理事会でこれはまた御協議ください。

田中委員長 後刻理事会で検討させてもらいます。

中川(秀)委員 次に、次官廃止の問題についてちょっと伺います。

 二十一日の内閣委員会の質疑で、仙谷大臣が、仕事をしていないということに対して、西村議員の言うような事務次官もいる、どこの次官かお答えしかねる、こういう御答弁があったので、議事録で拝見しました。

 この答弁は、私はちょっと驚いたんですね。仕事をしていない次官がいるのに、閣僚として、放置して、どこの次官かという情報を明らかにしない。そんなことは普通はあり得ないことです。次官の給料は一律二千三百万円です。仕事ぶりがいま一つなら給料を下げるといった制度に今なっていないのでございます。

 仕事をしていない理由というのは、現内閣になって、次官会議もなくなり、次官会見もやめ、政策決定は政務三役で行うことにしたからだと思いますけれども、それは、その意味では次官の責任ではないですね。だから、私は、仙谷さんが唱えていたように次官廃止はやらなければいけなかった、こう思うんです。

 大臣は、かつての、十四日の委員会で、熟していなかったので今回の法案に盛り込まなかったと答弁をされましたが、熟さないからといって二千三百万円をどぶに捨てられては困るわけで、議論はこの委員会で熟せばいいんじゃないでしょうか。

 まずは、各省の事務次官が現状でどういう仕事をやっているのか、それぞれ、麻生内閣以前にやった仕事と変わったのか変わっていないのか、やはりそれはきちんとこの委員会でも明らかにして、今後議論をしていくべきだと私は思います。場合によっては、事務次官を招致して現状を聞く機会をこの委員会でも設けなければいけなくなりますよ。いかがですか。

仙谷国務大臣 国会の審議の方法は、これは国会にお任せしなければいけないと思います。

 それから、事務次官の現状についての評価は、これは多分、各省大臣、評価に、ちょうど先般、私は事務次官の評価者になっていないようでありますが、その他の、局長クラスと部長クラスの評点をつけてくれというのが来ましたので、多分、次官についても、今各省次官については任命権者に評価を求めてきているところだと思いますので、これは、仕事をしていない次官には厳しい評価点がついておるのじゃないかと思いますが。

中川(秀)委員 そういうことであるからこそ、僕は初心をどうして貫かなかったのかということを仙谷さんに言いたいんですね。

 十二月七日に、会社でも、社長などのほかに事務方のトップがいるという組織形態は見たことがない、常識的な格好があるはずだと。記者団から、事務次官がいなくて局長が並ぶ台形の組織を目指すのかと問われて、仙谷さんは、そうでないと政治主導のガバナンス、組織統治などできないと発言されましたね。さらに、必ず次の通常国会の早い段階で幹部人事の法案は出すのだから、当然この事務次官廃止も含まれると発言していました。

 確かに、民間企業であれば、取締役の下に事務次官、事務方トップなんというポジションはありません。

 それでは、なぜ事務方トップが必要だと思うようになったのか。労働基本権の付与とセットで検討するなどという、そんな考え方は通用しませんよ。民間企業の職員には労働基本権はあります。しかし、事務方トップというポストはありません。なぜ役所で労働基本権を与えると事務方トップが必要になるのか。そんな理屈はない。

 また、あえて言っておきますけれども、外国にもそういう担当する次官を置いている、そういうことをおっしゃる方もいるようですが、日本では役所のマネジメントは政治家が行う、そういうことを言われて政権交代したのではないんでしょうか。政治主導ということならば、そんな外国の例を出す必要はないのであって、なぜそれをやめたのか、私はそれを仙谷さんに聞いているわけです。

仙谷国務大臣 もう何回もお答えしたと思いますが、今回の法案の附則でも、「事務次官その他の幹部職員の位置付け及び役割について検討する」という旨を明記していることは、御承知いただいていると思います。

 まだ審議にお入りいただいていないわけでありますが、政治主導確保法案というのも一方では国会に提出をしてございます。これによりまして、いわゆる政治主導を実現するために、政治の側から政府の中にどのように入るか、内閣人事局の問題もそうでありますが、戦略局、あるいは政務参事、それから政務調査官ですか、そういう配置をして、さらに、今度は事務方の方の再定義をする。

 つまり、職務の位置づけ、中身、そして、今くしくも中川議員がおっしゃったマネジメント、ガバナンスという観点から、今事務次官と言われている職についていらっしゃる方のポジションが、名前が事務次官であれ副大臣であれ、どのような職務の内容をちゃんと与えればというか位置づければいいのかという議論をこれからしていかなければならない。

 要するに、国家行政組織法上の事務次官の規定をばっさり切れば事が済むという問題ではないというのが、私の問題提起に対して、官房あるいは総務省、総務大臣、その他閣僚との現時点での討議の段階ということでございまして、ここは、何十年もつのか、ある程度恒常的なガバナンスのあり方をじっくりと議論する。

 それは、間接的ではあるかもわかりませんが、公務員の世界に労働基本権というものを与える。では、一体全体、各省でだれが相手をする責任者になるのかということも含めて、この事務次官と呼ばれる存在の役割あるいは職務内容というものをちゃんと設定しなければならない、そういう意味でございまして、今回の改正案の附則に書いたことをそのまま素直にお受け取りいただきたいとお願いを申し上げます。

中川(秀)委員 いろいろおっしゃいましたが、政治主導法案は、今国会に提出をされて、場合によっては、これは民主党の国対がお決めになられたんでしょうが、この公務員法よりも先に審議しようかと、当委員会のことですから。そういうお話もありましたね。つまり、それが逆になられたのも与党の方針なんですが、一体として出されたわけでしょう。だから、事務次官の廃止も、当初、仙谷大臣が昨年十二月に言われたような御方針で貫けばよかった、こう私は申し上げている。一体として出せばいいわけですから。

 それから、労働基本権の話は、先ほどお尋ねしたとおりです。結局、民間にだって労働基本権はありますよ。あるけれども、そんな事務方トップなんていませんよ。要は、決断の問題であったと。政務三役がこれを、不十分かもしれない、そういう意見が内部であったのかもしれないとさえ勘ぐります。

 この前の私の質問に対して仙谷さんが、事務系副大臣という位置づけもあっていいのかなと、検討しているということを明確に言われましたね。そして、その理由は、官房副長官とのアナロジーだと言われました。

 もう少し具体的に伺いますよ。政務三役が政治家だけでは不十分かもしれないと考えたんですか。もしそうであれば、政治主導がうまくいっていないということになります。これはどういう趣旨で言われたのか。下手をすると、今大臣が言われたこの附則の九条の一項、これが、次官の廃止なのか、事務系副大臣などへの格上げ、焼け太りなのか、方向性が不明であります。少なくとも、現時点でどっちの方向に向かおうとしているのかはっきりしない、期限もわからない。それでは法案審議はできませんよ。よくそこを考えて答弁してください。

仙谷国務大臣 いろいろな角度から、現在、事務次官と言われる方が担っている職務について検討を加えて、もう少し申し上げれば、多分、政務三役あるいはその他の政務参事等々ということになろうかと思いますが、そういう政治主導のもとでの、現在事務次官という位置づけの方々の職務をいろいろな角度から検討して位置づけるということに尽きると思っております。

中川(秀)委員 ともかく、方向性も期限も、どっちへ行くのか全然わからない。場合によっては、どんどん官僚ポストに格上げをされ、焼け太りしてしまうおそれさえあるとも思う。

 政務三役に事務方も入れた方がいいという話ならば、普通で考えれば、事務系政務官というのが考えられるはずですが、なぜそれを考えなかったんでしょうか。今後あるんでしょうか。事務系政務官、さすがにこれは言葉としてもおかしいよね。

 さらに、事務系副大臣に格上げすることにした。そうすると、政治家政務官よりも事務系副大臣の方が上だ、政治家政務官はその下だということに普通はなりますね。事務系政務官などということの考え、そういう議論は今後あるんでしょうか、ないんでしょうか。

 いずれにしても、私は、冒頭に返りますが、附則の九条の一項もこんなあいまいもことしたものではだめだと思いますね。どちらの方向へ向かおうとしているのか、焼け太りなのか、格上げなのか。いつ結論を出すのか、時期もこれは入っていません。あとのことは三年以内とか入っているんですが、これは時期も入っていません。こんな不明確では法案審議になりませんよ。お答え願います。

仙谷国務大臣 余り質問の趣旨がよくわからないのでありますが。

 まあ、中川議員の御意見は貴重な御意見として承って、できる限り、政府全体のガバナンス、それから各省庁のガバナンスが、事務方ともその補佐のよろしきを得て、政治主導のもとに行われるような体制を構築しなければならないというふうに思います。

 先ほど、事務系政務官とおっしゃられておるんですが、私にもこれは意味はわかりません。

中川(秀)委員 しかし、副大臣、政務官と政治の方はあるんですよ、三役に。事務で事務の副大臣というのが、官房副長官の事務がいるからというアナロジーでそうするといって事務の副大臣がいれば、事務の政務官だって出てくるじゃないですか。だから、事務系副大臣というのはあるんですか、そんなおかしな言葉はないでしょう、こう申し上げているわけであります。

 もっと本当は突っ込みたいんですが、時間がありますから。

 本当に、現政権になって事務次官の仕事がどう変わったのか調査すべきですよ。それでなければ、さっきの九条の一項の結論も出せませんよ。方向も決まらないんでしょう。そういうことをちゃんと委員会にも提出してください。それは法案の審議の前提ですよ。(発言する者あり)余計なことを言いなさんな。

 総人件費改革について申し上げますよ。

 前内閣の出した法案では、内閣人事局の事務として総人件費の管理という事務が入っていたんです。今度の法案は、これは削除されています。この総人件費の管理というのは、労働基本権の付与とはかかわりなく、待ったなしで進めるべき課題なんですよ。

 さっき松井さんが、自律的労使関係ですか、自律的何とかと言いましたね。基本権の話の関係の言葉ですね。そういうものをやれば総人件費の問題等々が厳しくなりますよ、そういうことを連合に言っているんだということを、組合側に言っていると言いましたが、総人件費の管理というのは、労働基本権の付与とはかかわりなく、待ったなしで進めるべき課題ですよ。これを内閣の責任で進める体制をつくろうとしないというのは、結局、この人件費削減、皆さんがおっしゃる二割削減、そのこと等々も真剣に進める姿勢がないというふうに言わざるを得ませんね。

 なぜか申します。

 原口さんは、これもテレビ番組でしたが、映像が残っておりますけれども、給与法改正を今国会で出すように事務方に指示していると。総務政務官、いらっしゃるが、あなたの上司は一月二十五日にそう言いました。なぜやめたのか。それとも、ほかの人から反対があったのか。

 仙谷大臣はこう言いました。これまでの委員会質疑で、人件費削減に対して、労働組合がなければ、個々人の同意がなければ、賃金のような基本的勤務条件の変更をするということは、これは原則として許されない、したがいまして、労働組合との交渉ができるような環境を早くつくらなければならないと言われましたね。九日の委員会でした。この答弁の意味するところは、労組との交渉ができる環境ができるまで、つまり、労働基本権の拡大が施行されるまで給与引き下げの検討はやらないということだと思います。そうだと思います。

 そうすると、労働基本権拡大にかかわる法案の提出はいつになるんですか。

仙谷国務大臣 現行制度のもとでは、給与の基準といいましょうか水準については基本的に人事院に任せてある、そして、人事院の作業について、政府が上から押し込んで、何かこのぐらいの給与水準にせいというふうなことが言えるような制度上の構造になっていないということは、中川議員もよく御承知だと思います。

 つまり、人事院勧告を尊重しなければいけないのは政府の方でありますから、給与の水準が動くとすれば、人事院勧告がなされなければそれは動かない構造になっている。つまり、労働基本権を付与していないことのある種代償措置として、そういうふうな賃金の決定構造になってしまっている。そうしない限り、憲法上大きな疑義が出てくるというところで、今まで賃金水準の問題は来ているんじゃないんでしょうか。だから、私は、せんだってからそのことを強調しているんですよ。

 給与法の改定問題というのは、みんなの党と自民党の皆さん方の改正法案にも書かれています。だけれども、その際の改定というのは、組合員資格を持っているというか、組合所属の職員の方々の給与を改定するという部分まで含むんでしょうか。もしそういう含んだ給与法の改正案を政府が人事院と全く関係なく出せるとすれば、そうすると今度は、代償措置としての人事院勧告制度というのは一体全体何なのか、こういう議論になってくるんじゃないんでしょうか。

 私は、だから、自民党とみんなの党の皆さん方にもこの点を、給与法の改正を六カ月以内に行うという極めて一般的な書き方で、果たして幹部だけなのか、幹部を除く圧倒的多数の公務員の皆さん方の給与も変えるという意味での給与法の改正案なのか、よくわからないんですよ。そこだけ教えていただきたいと思いますね。

中川(秀)委員 仙谷さんのおっしゃることも、一部、私は理解しております。であればこそ、繰り返しになるけれども、原口さんが国会の始まる前に、今国会にも必ず出すなんて簡単に内閣から別の大臣が、しかも総務相ですよ、おっしゃるなどということは、少し軽率であると思いますよ。

 と同時に、もっと聞きたい。

 結局、今の、労働組合と交渉ができる環境ができるまで、要するに、逆に言えば、基本権問題が拡大されるまでということでしょう、人事院勧告なんかなくなるということでしょう、それまでは給与引き下げの検討はなかなかできないんですよという意味ですね。

 だとすると、労働基本権拡大にかかわる法案の提出はいつなのか。これがもし次期通常国会、仙谷大臣、ちょっとそういうことも言われましたね、次期通常国会としますよ。つまり、来年の、二〇一一年の通常国会ですね。そうなってくると、それがまた施行されるのはいつなのか。その法律が通ったとして、労働基本権拡大の法律が通ったとして、施行されるのはいつなのか。常識的には、施行に少なくとも一年ぐらいかかりますよ、これだけの大変なことは。仙谷大臣が今言われたこと、野党側の意見でもどうなんだと言われたことは一部理解するということは、後で議案提出者にも答えていただきたいと思うけれども、普通ならそういう期間になりますよ。

 そして、逆に、百歩譲って、すぐ、来年の夏以降それが実施されたとしましょう、法案が来年の通常国会で通ったとして。そして、これから給与改定の労使交渉をやるんでしょう。今度は、当然、労使交渉が必要ですね。やるんでしょう。地方もありますよ。地方もあるんですよ、人事院が地方に事務所を持っているように。あるんですよ。

 そんなことをずっとやっていて、給与法改正が、基本法の定める、皆さんが今度、基本法で三年以内ということに変えたわけです、一年以内を。それをどうやっておさめるんでしょうか。おさまるんですか、そんなに。

 仙谷さんが本音で考えているプランは、二〇一一年通常国会では労働基本権の拡大だけ、その他のことはすべて労働基本権が施行された後、組合と交渉した上で決める。もっと言えば、言いなりになるということで、労働基本権拡大以外の積み残し事項は、基本法に定める三年以内におさまらない。来年になったら、また基本法を改正して三年以内を五年以内にしたり、あるいは労使交渉で決めることだからといってうやむやにする、そういうことじゃないんでしょうか。

 私は、委員会に出た工程表というのを見ました。三年以内の期限内に法制上の措置を全体に仕上げる、こう仙谷さんは言われたけれども、実際出てきたものは、単純に項目を並べて、結局、今回対応していないものは次期通常国会に提出すると単純に書いてあるだけですよ。これは、基本法上そうなっているということを書いただけで、そんなことは基本法を見ればすぐわかることです。

 今言ったような給与削減の交渉はいつになるか。皆さんは、もう人件費二割削減まで言われたわけですから、定数だけでは済まないでしょう。そういうことも含めて、いつになるのか。

 そういう意味で、本当にきちんとした工程表や全体像を出さなければ審議にならぬではないですか。私は、そういう意味でそのことを申し上げます。

 私は、野党の委員が一年以内に出すというのは、そういうことも含めて今急がなければならぬということで、今国会でそういう給与法の改正も議論に入ろうという趣旨で出されたんだと思います。

 まず、議案提出者からちょっと答えてください、今の私の理解でいいか。

塩崎議員 法律に明記いたしましたように、特に幹部の給与体系につきましては年内に措置をするということでありますから、法律を通すということで想定をしております。

中川(秀)委員 というように、議案提出者の方は、幹部の人事からそういう形態に一刻も入って、民主党の皆さんの言うような状況、総人件費二割削減。私は、国家公務員だけじゃ済まぬと思います、これからのことを考えれば。

 正直、ことしの財政なんか、間違いなく、消費税三〇%ですよ、これは仙谷さんも言っているとおり。国家が破綻してしまうではありませんか。そういう意味では、そういうところにも、国も地方も、やはり時間は相当かけなきゃ、十年、十五年かけなきゃいけないかもしれないが、きちんとした方向でそうした人件費の削減をやらないと、国、地方合わせれば三十数兆円ですから。避けられないですよ、それは。

 そういう意味で、ちゃんとした工程表、全体像を出さないと、この総人件費抑制なんてできっこない、そしてまた改革もできっこない。

 今、仙谷さん言われたように、いろいろな労働基本権の拡大の関係はございますが、これは今のままのやり方でいったら、三年以内の二〇一一年六月までというのはどうやったっておさまりませんよ。

 これについて、大臣、先ほど私は細かく一、二、三と申しましたが、そのステップを考えて、いいかげんな話でない答弁をしてください。

仙谷国務大臣 今、塩崎議員のお話を聞きましたが、給与法の改正の中で、幹部と残りのいわば三十万人近い人たちの分を切り分けた給与法の改正案というのが論理的にできるのかどうなのか。そしてまた、そのことが人事院の勧告体制という前提を崩さないでできるのかどうなのか。私には少なくとも理解できない。

 つまり、だから、野党さんがおっしゃっても、中川議員のおっしゃる、この残された実質上三年間の間に、一体全体、今の日本のこの財政的な危機を前にして、しかるべき交渉を持って賃金を決定していけるのかという質問については、それは非常にタイトでしょうと。タイトだけれども、これは明らかに、労務人事管理の当事者を、使用者側の当事者を確立して、そこがそのことに専念をするというような体制ができない限り前へ進みませんよ。

 だって、自民党の皆さん方は、結局は、この十数年やってきた公務員制度の改革問題で、どこかでつまずくのは、労働基本権を付与するというところに踏み切れなかった。だから、人事院と総務省と、それと政治というか内閣の、そして労働組合のこの三つどもえ、四つどもえの関係が整理できないから最後のところで前へ進まない、基本法までできても、その次に行こうとしたらどこかでひっかかってくる、このことだと私は見ております。

 どうぞ、揣摩憶測のたぐいの観測とか予測をされるのは結構でありますけれども、我々は、腹を決めて、当事者をつくってこの問題をオーソドックスに、労働組合とも協議をしながら、日本がギリシャのようにならないように、ギリシャの労働組合のような存在ではないと思いますので、私は、日本の財政の健全化にも資するような、そういう交渉ができる、協議ができる、そう確信しておりますので、労働基本権の付与から入らなければこの問題は解決しないということを申し上げているわけであります。

中川(秀)委員 私、野党をすべて代表するわけじゃありませんが、私は、労働基本権の、基本権にもいろいろありますけれども、付与、拡大、個人的には一部は容認しておるわけです。本当にそういうような時代が来ている。普通の職業になるためにもそうだ。公務員の失業保険のこともこの前申しましたね。だから、それはそうなんです。

 ただ、今仙谷大臣のおっしゃった、私がともかく時間的に大変ですよと言ったら、そんなタイトであるけれども、あらゆる努力をして、三年以内、二〇一三年の六月までにおさめる、そういう決意と伺いました。それでよろしいですね。

 それと、議案提出者、議案に対して仙谷大臣が質問されたこと、ちょっと先に御答弁ください。

塩崎議員 一つ訂正をしなければいけませんが、先ほど私は、幹部は半年と申し上げましたが、半年は一般職の皆さんの給与法の措置の期限でありまして……。ごめんなさい、幹部が六カ月で、そして年内が一般職でありました。

 そして、先ほど、人事院勧告がなくてどうするんだ、こういう話がありましたが、我々は、幹部職は人事院の勧告の対象から外すということですけれども、一般職については何も変わらないわけであります。

 それがどうしてできるのか、受け入れ体制がという話ですが、そこは何も変わらないのでありますから、全く問題なく私はできると思うし、来年の、新年度、そのころには新しい給与体系に移ることは十分可能だというふうに考えております。

仙谷国務大臣 そのことをやり切ることができなければ、日本は相当厳しい状況になっているというよりも、奈落の底に落とし込まれる可能性もあるなというのが私の個人的な観測であり、危機感であります。

 何か、中川先生は、民主党が労働組合の言うなりになるということをしきりにおっしゃいますけれども、私どもは私どもの立場であります。労働組合は労働組合の立場であります。

 当然、日本の労働組合でありますから、日本という国のその時点での経済の状況、あるいは組合所属の、あるいは日本の雇用されて働く人々の生活環境をちゃんと見据えて分析をして、さらには日本国政府のこの財政状況を真剣に勘案していただいて協議あるいは交渉に臨んでくるであろうと私は推測をしておりまして、国民注視の前で、そういう危機状況にある日本の現状を率直に話し合って交渉すれば、そして、そのことを国民によく知ってもらえれば、合意形成というのは必ずできると私は思っております。

中川(秀)委員 私も強くそう願いますよ。

 きょうは、長い時間をいただいて同僚議員に感謝しますが、欠陥条文問題とか、まだ聞きたいことがいっぱいあるんですが、もう時間がほとんどなくなりました。

 欠陥条文問題のところは、これはぜひ考えてもらいたいのは、何度も国家公務員法の条文を読み直しましたが、せんだって仙谷大臣が言われた、内閣官房の主任の大臣たる内閣総理大臣と、内閣府、内閣官房じゃなくて内閣府の主任の大臣たる内閣総理大臣との書き分けというのが、条文上そんなものはどこにもないんですよ。条文上、そこには、どこにもないんです。

 私、あえて建設的に言いますが、これは公法学者やいろいろな方々にもちょっと聞きました。常識的には、これは総務省設置法の条文上で、総務省設置法の四条ですね、内閣総理大臣の所掌する事務について補佐をするというのの「所掌する事務」に、内閣官房長官に委任する事務を除くと書くべきなんですよ。そうでなければ二重行政になるんです、そんなものは。法律論でいって当たり前なんですよ。それを認めもしないで、相変わらず、内閣府の主任たる内閣総理大臣、内閣官房の長たる内閣総理大臣と。そんなの、総務省設置法や国家公務員法のどこに書いてありますか。条文で我々は審議するんですよ。

 こんなことは、やはりちゃんとしなければいけない。あえて、関連条文に、ここに書いてありますから、よく委員の皆さんも研究してください。そうでないと、これは、役所が、このときはこっちの大臣でやります、このときはこっちの大臣でやります、今のままでいったら、総務省も両方関連しなければ、任務懈怠、怠慢になりますよ。

 その他、いろいろ伺いたいんですが、きょうはもう時間がないので、人事院の総裁、お越しいただいているんでしょうか。江利川さんに一つだけ伺いたい。来ていただいてお尋ねしないのは本当に申しわけないので。

 私は、人事院が任命権者に対して意見を述べる場合は決してないわけではないと思っているんです。例えば、国家公務員法三十三条で、人事院規則で決めるようなことは書いてありますし、そういうような原則的なことを決めることもあり得るような御答弁をこの前、二十一日の委員会で総裁はなさいました。

 それを否定するものじゃないんですが、原則を言うと、参考人質疑で長谷川幸洋さんも言っておられるけれども、官僚の中立性というのは、バッジの皆さんのもとでの中立性、内閣の方針と離れて官僚がふわふわとした宇宙に存在しているような中立性というのは私はないと思うというのは、全くそうだと思うんです。

 同時にまた、政治家も客観評価を無視して情実任用を行うことがあってはならぬと思います。だからといって、官僚の中立性と称して、結局、官僚が同意してくれない限り内閣主導の人事が貫けないような制度にしてしまったら、これは本末転倒、何のための改革かわからない、このように思うんです。そういう意味では、我々も十分これを認識して国会での議論あるいは法案の修正も考えなきゃいかぬ、そう思うんです。

 総裁に伺いたいのは、一点だけ。総務省も内閣人事局も人事院まで複雑に絡むのでは本当に政治主導にはならぬと私は思いますが、総裁に伺いたいのは、そういう意味で、任命権者側の対応というやり方と人事院が関与する二つのやり方があるという答弁をされていますが、人事院の関与に関して、どういう形を考えているのか、最後にお伺いをしたいと思います。

江利川政府特別補佐人 ただいまの御質問は、金田先生に対する私の答弁だと思います。

 あのときに、幹部人事につきまして、恣意性を排するというような観点からどういうことができるのかということでございました。それについて、私は、任命権者の立場から考える考え方が一つありますということを申し上げました。それはもう任命権者の方で考えることですから、人事院としては何も申し上げませんということで、答えておりません。

 一方、人事院としては、三条あるいは三十三条で、人事院に与えられた任務、権限があるわけでございます。そういう任務を果たす中で、非常に一般的、原則的なルールを定めることはできるのではないか、きょうは橘先生にもちょっとお答えを申し上げましたけれども、そういう趣旨で申し上げたところでございます。

中川(秀)委員 時間が参りました。結びにいたします。

 いずれにしても、委員長また委員の皆さんにもお願いをいたしたいと思いますが、総理自身も、修正協議に応じるつもりは全くないというのは事実上撤回を仙谷大臣を通じてしていただいたわけですが、今、高速道路の問題でも、新しい政治論というのがいろいろ出てきていますね。

 つまり、別段、国会へ法律を提出する前の政府・与党の調整はなくて当たり前、国会の修正もあって当たり前、それが新しい考え方だというのであるならば、党の考え方というのは与党だけでは困るわけで、そういう意味では、私は、やはり本当に、政府・与党二元体制というのが新しい官僚主導体制になってしまってはいけないのであって、大臣主導で国会へ提出して、泣きついたのは与党で、結局また二重権力なんて、そんなことが新しい政治だとは思いませんが、もしこういう仮説を否定するならば、あらゆる法案において、委員会レベルで、与野党協議で法案修正しなければおかしいんです。

 したがって、まだ、連休もあります、二週間ぐらいあります。修正、いろいろ議論をする、協議をするのは当然のことであって、私は、この連休を使いながら、与党理事、野党理事、各党代表、政府、四者でそういう協議をしっかりやってほしい。これは、馬淵さんも、二〇〇八年に、同じ、逆の立場で、そういうことをやれとおっしゃいました。そういうことをしっかりやっていただくことをお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、まず、情実人事また恣意的人事を防ぐ方策につきまして若干質問をさせていただきます。

 その前に、本日の一般紙でございますが、民主党がマニフェストの今検討段階と伺っておりますが、公務員庁というものを設置するということを公約に掲げる、こうした内容を検討項目と伺っております。

 私は、先般も、今回の公務員制度改革につきまして、工程表をはっきりと示していただきたい、全体像が見えなければ、その一部分である今回のこの法案、残るところはすべて来年の通常国会に提出しますと言われましても審議のしようがないということを申し上げました。重ねまして、改めて、全体像につきましてお示しいただくことを要請させていただきます。

 このような形で公務員庁というふうにぱらっと出てくる、そしてまた、先ほども労働基本権につきましてもさまざまな審議がございましたけれども、それもどのような過程を経て、またどのような検討の会議を経ていつまでに決定をされるのか、こうしたことも当然、工程表また全体像の中に示されるべきと思っております。重ねて要求をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、小宮山(洋)委員長代理着席〕

小宮山(洋)委員長代理 理事会で協議させていただきます。

高木(美)委員 はい、よろしくお願いいたします。

 それでは、今までもさまざま議論が行われた、政治的応答性と国家公務員の持つ専門性、この両立が重要なポイントであるということは議論があったところでございます。

 省庁のパフォーマンスの低下、いわゆる政策の企画立案、実施機能、また組織マネジメント機能の低下は、国民の福祉向上にとっても大きな問題であり損失であると思っております。したがいまして、先般も、岸本議員からだったでしょうか、中立性と専門性を担う公務員と、政治性また応答性を担う公務員とを峻別することであるといった質疑もなされました。国家戦略スタッフ、政務スタッフは政治任用、そしてまた一方で、次官に至るまで、専門性、中立性を基準とする資格任用、このような形で、両者がそれぞれ役割を発揮できるような人事管理制度を構築することが必要であると私も考えております。

 そこでまず、本日は人事院の江利川総裁にお越しいただきました。情実人事、恣意的人事を防ぐ方策につきまして、先般も金田議員からの質問に対しまして答弁もいただきました。重ねまして、適格性審査と幹部候補者名簿の作成に当たりまして、公正性確保のための留意点につきまして伺わせていただきます。

江利川政府特別補佐人 今度の法律改正が通りますと、幹部人事は二つのステップをとるわけでございます。

 まず一つは、幹部グループというんでしょうか、次官、局長、部長クラスがまとめて職務遂行能力の適格性審査を受けるわけでございます。これにつきましては、まとめて一つの基準で判断するということになりますが、できるだけ客観的にその能力を評価することが必要でございます。

 現在、公務員になっている人間につきましては、人事評価制度が動いておりますので、その人事評価制度などをもとに能力を客観的に評価してもらう。また、幹部候補者名簿には、民間の方の応募も可能でございます。民間の方につきましては、現在、民間の方の採用につきましての基準があるわけでございますが、それに準じたような客観的な基準を設けて、同じように能力評価をしてもらうことが必要だというふうに思います。今までの議論の中で、あるいは第三者を入れてというふうな御議論もありましたけれども、そのような形で客観性がとられたらすばらしいことではないかというふうに思っております。

 第二ステップの方でございますが、これは、その幹部グループから個別の人事をするということになるわけでございます。個別の人事になりますと、そのポスト、ポストにふさわしい専門性、能力、経験、そういうものが求められるわけでございます。そういうポスト、ポストに求められるその職の適性を厳格に判断してもらうということが必要ではないかと思います。

 これはポスト、ポストで考えますので、そういう意味で、個別の大臣の、人事権を持ちます大臣の御見識ということがまず基本だと思いますし、また、制度上は総理大臣、官房長官とも相談をしながらという形になっておりますので、そういう形での客観性の担保も必要であると思います。

 それ以外に、やはり一つのルールがあった方が適当ではないかというふうに思っておりまして、きょう橘議員の御質問にもお答え申し上げましたが、人事院といたしましては、例えば、つけようとする官職の職責に求められる能力、専門知識、経験等、それを考慮して、人事評価に基づき、今申し上げたような適正な厳正な検証というものをきちんとやってもらう、そういうルールを考えるとか、あるいは、組織法令上、下位の官職に転任させる、そういう場合には、適当な方法によりまして職員に対して異動の理由を明らかにするとか、そういうような一つのルール、やり方を人事院規則で定めることも検討できるのではないかというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 ただいまの、ルールを適正に定めていくということは私は大事であると思っております。ルールにのっとってそこに人をプールされる、そこをどのようにピックアップしていくかという、ここのルールづくりというものがありませんと、ここにやはり恣意性、情実性が入ってくるというふうに考えております。

 そこで、少しずつお伺いしたいのですが、仙谷大臣にお伺いいたします。

 今回、第六十一条の二にありますが、「当該一定の行政分野における職務の遂行に欠くことのできない要件として内閣総理大臣が定めるものを満たす者」、いわばこれが標準職務遂行能力というふうに言われておりますが、この標準職務遂行能力自体は見直すお考えがおありなのかどうか、答弁を求めます。

大島副大臣 ありがとうございます。

 今回の法案において、適材適所の人事を柔軟に行えるようにするために、先生御指摘になりました標準職務遂行能力、事務次官級、局長級、部長級の官職を同一の職制上の段階に属するものとみなすこととしていることから、先ほどの事務次官、局長、部長の幹部職の標準職務遂行能力を一つと定める必要があると私たちは考えております。

高木(美)委員 要するに、それは、部長級にすべて合わせる、こうした考え方になるかと思いますが、それでよろしいのですね。

大島副大臣 これは検討中なんですけれども、同一の職制上の段階に属する官職であれば、その職務を遂行する上で求められる能力については共通して一定のものが必要になることから、幹部職の標準職務遂行能力は、現行の部長の標準職務遂行能力を基礎とする方向で検討する方向でございます。

高木(美)委員 部長の標準職務遂行能力をクリアできれば次官もできる、要するに、一つレベルを下げる。当然、次官であれば省庁内をすべて見なければいけないとか、そうした内容であると思いますが、それが、部長をクリアできれば何でもできるということは、これは恐らく、低いところに合わせるしかないというのは当然の原理でございますので、こうした最低ラインを決める、こういう考え方につながるかと受けとめさせていただきます。

 また次に、有識者が関与するという御答弁もいただきました。この有識者といいますのがどういう方を指すのか。当然ここには人事院も関与すべきではないのかというふうに私は考えますが、この点につきましてはいかがでしょうか。

大島副大臣 お答えさせていただきます。

 幹部職員の適格性審査は客観的かつ公正に行われることが必要と考えておりまして、適格性審査の基本的な進め方については、民間有識者等の意見も聞いてまいりたいと考えております。個別具体の審査についても、例えば、人事評価、職務履歴等に関する書類や面接の結果をもとに、必要に応じ、民間有識者等から意見も伺いながら審査を行うことを想定しております。

 意見を伺う民間有識者としては、例えば、民間の、幹部の育成、登用、配置の仕方の幹部人事に精通している方等から意見を伺うことを想定しております。

 以上のような方法により適格性審査の客観的かつ公正な実施を確保することを考えていることから、人事院の関与については考えてはおりません。

高木(美)委員 有識者が関与するとおっしゃいましても、役所のことも、それから人も知らない。民間並みとよくおっしゃいますが、その部分も大事であると思いますが、要するに、企業が、会社の役員を選ぶときに、その判断を外部に任せるのかということでございます。

 そうなりますと、公務員にとりましては、株主は国民です、そして代表は国会議員です。この内容につきましても、当然、国会同意人事にすることを求めます。答弁はいかがでしょうか。

大島副大臣 高木委員御指摘の、民間の有識者がだれであるかについては今後検討することとしておりますが、民間の企業の人事労務にすぐれている方、あるいは役所の、要は、人事あるいは組織運営にすぐれている方等も考えられるかと思いますけれども、具体については今後の検討とさせてください。

 先生御指摘の点なんですけれども、国会同意人事は、個別の法律で、その必要性に応じ定められているものでありますが、基本的には、行政委員会のように、独立性が高く強い権限を有しているものや、不服審査に関するものなど、特に高い中立性が要請される審議会等が対象となっていることにかんがみまして、適格性審査に関して意見を伺うことを想定している民間有識者等については、国会同意人事とするまでの必要性はないものと考えております。

高木(美)委員 ただいまの副大臣の答弁につきましては、例えば不服審査であるとか、中立性を持たなければならない、そうした部門については国会同意人事ということを法律に盛り込んだ上で考える、こうした趣旨と受けとめさせていただいております。

 ただ、公務員の人事というのは、私は、むしろ国の根幹にかかわる重要なところであると思っております。ですから、今までも、そこに情実性、恣意性があってはいけない、これを排除しなければならない。

 そこに、例えば、適格性審査に各省の人事評価がどのように反映されるのかということもこの次にお伺いしたいと思っているのですが、当然、各省は、人事評価、いい内容で送ってくると思います。その送られた紙を見て、適格性審査ですから、プールの中に、どのような人物をきちっとそこに入れていくかということにつきましても、当然のことながら、やはり、多くある人事評価の中でだれが適格でだれが不適格なのかという、ここはまさに公務員のモチベーションを決める大事な関門ではないかと私は思っております。

 むしろ、そのような重要性をきっちりと認識していただきまして、その上でこうした適格性審査に当たるべきと申し上げたいと思います。大臣、見解はいかがでしょうか。

仙谷国務大臣 今、一つは、人事院が関与すべきじゃないか、こういうお話でありますが、ここは、人事院の本来の業務の内容からいえば、特に不服審査などを担当するということからいえば、むしろ、後々、利害相反的な問題が出てくる可能性がある。したがって、我々も、人事院の、この間のいろいろな経験や蓄積された知見には学ぶものは大変多いというふうに思っておりまして、お知恵をかりるということはしなければいかぬなと思っておりますが、人事院そのものが適格性審査に関与するというのはむしろお避けいただいた方がいいだろうというふうに思っております。

 それから、どういう人がという話でありますが、これは、私自身のイメージにあるのは、民間だけということじゃなくて、もちろんそこには官僚OBの方々も、その経験に基づくお知恵をかりなければいかぬな、あるいは、会社経営を、特に非常に大きい会社の経営者として幹部の人事あるいは幹部の人材養成というようなことをなさってきた方のお力もかりなければいけないな、あるいは、ジャーナリズムあるいは大学の先生で、こういう件を専門的に研究されたり、知見があると我々が見て感じる方、こういう方のお世話をいただかなければいかぬな、こんなふうには思っているところでございます。

 同意人事にするかどうかでありますが、どちらかというと、独立性と、ある種の、そのことによって、政権や各省庁の仕事そのものとは距離があって、やや牽制的とでもいうんですか、行政執行の牽制的役割というか色合いがあった方がいいような委員会といいましょうか審議会といいましょうか、そういうところは同意人事をして、国会が人事同意権という方からチェックしていくということが望ましいわけですが、幹部人事は、一つの内閣の、政治にやはり従うといいましょうか、そのもとで専門職として補佐をするということが一つの大きなテーマでありますから、適格性審査をする有識者の何らかの集まりをつくるとしても、それは同意人事というイメージとはちょっと違うのかなと思う。研究はしてみたいと思いますが、現段階では同意人事の対象にするということは考えておりません。

高木(美)委員 適格性審査に各省が持っている人事評価はどのように反映されるのでしょうか。たしか本会議のときの大臣の御答弁では、そうしたことも踏まえてという言葉がございましたけれども、そのとおりでよろしいのでしょうか。

大島副大臣 先ほどの高木委員の、適格性審査に対する第三者の関与なんですけれども、二つございまして、一つは、適格性審査をどのような仕組みで行うのかというシステムに関しての助言、もう一つは、具体に適格性を判断するときに、そこに面接官として関与するかどうか、二つあるかなと考えております。

 高木委員おっしゃるとおり、適格性審査は、やる気の問題等々ございますから、極めて大切なものであると考えております。

 御質問なんですけれども、幹部候補者名簿には、適格性審査に合格し、幹部職の標準職務遂行能力を有すると認められた者が記載されることになります。適格性審査は、人事評価、職務履歴等に関する書類や面接の結果等をもとに行うものと考えております。適格性審査は、客観的かつ公正に行われることが必要と考えており、審査における人事評価の活用も含め、適格性審査の基本的な進め方については、先ほど述べましたとおり、民間有識者等の意見も聞いて考えてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 確認ですが、まずシステムづくり、その段階で民間有識者が関与する、実施も関与をする、両方ですか。

大島副大臣 高木委員おっしゃるとおり、適格性審査をどのように行うかについては、私どもも悩みながら今制度設計をしております。

 いろいろな会社について、役員の人事をどうするかということについてヒアリングも行ったりもしております。これは例示なんですけれども、こうするかどうかはわかりませんけれども、ある三十万人の外資系の企業の人事担当に聞いたところ、済みません、短く答弁します。要は、六百人がワールドワイドな役員で、それについては、面接を徹底的に行って、一冊本をつくるようなことまでやっているというところもあります。

 適格性審査については、適格性審査の手順について有識者のお考えを聞くことと、具体個別に、もしも面接するとすれば、面接をしたりするときにそこに第三者の方が入っていただくことも考えられるのかなと考えております。

高木(美)委員 それでは、私からの提案ですが、人事院の関与というのは、何も院を挙げて関与という必要はなく、むしろ、そうした人事のプロの代表一人その中にしっかり入り、そこから知恵をかりるということも十分あるのではないかと思っております。

 あと、また次の、今ありました幹部候補者名簿につきましては、当然のことながら、個々の官職への任用に当たって、記載されている者の中から任命しようとする幹部職についての適性を判断して行うというふうになっております。当然、そのときには専門的な知識、技術、経験等の有無を各官職ごとに検討して行われる、このような本会議での答弁もいただいております。

 まず、幹部候補者名簿、この政令の作成という手続があるかと思います。この作成に当たりましては第三者は関与するのかどうか。いかがでしょうか。

大島副大臣 適格性審査の手順あるいはその仕組みについては有識者の意見を伺いながら、政令をつくる段階は政府内で政令をつくっていくことになるのかなと考えております。

高木(美)委員 やはり、ここにも第三者が関与しながら、どのような名簿の作成の進め方にするのか、また、その後の、今度はリストアップする作業というのは、ここでもうすべて決まるわけですから、どういう基準でどのような人物をそこに考えていくのか、また、例えば各省が持っている今の人事評価、これも、そこでまたさらに評価シートが反映されるのかどうか、適格性審査で終わってしまうのか。

 ただ、私が懸念しますのは、幹部ポスト一つ一つの職務とか役割の定義とか、これがまずなされなければ、プールで候補者名簿、次の任用段階のときにポストに合った人をどう選んでいくか、そのリストアップする段階で、やはり今申し上げたように、それぞれの職務につきまして、役割の定義等々、またその周りにどういう人物がいてどういう組み合わせでそこの部局が回っていくのかとか、それを本来考えていかなければ、そこから適正な人をピックアップするということはなかなかできないのではないかというふうに考えます。その点、いかがでしょうか。

大島副大臣 高木委員にお答えをさせていただきます。

 適格性審査を通った後、そこにプールされている方の中からどの方をどの官職につけていくかというのは、これまでも答弁させていただいております人事評価、今委員も御指摘ありましたとおり、去年からようやく国家公務員で始まりました能力評価あるいは業績評価をもとにした人事評価及びそれに類似するものの書面による評価があると思います。それを参考にしながら、あるいはその他の情報も参考にしながら、任命権者たる大臣が総理大臣あるいは官房長官と協議をしながら決めていくことになるのかな。

 もちろん、政権によりましてそれぞれの優先課題があるものですから、人材の配置というのは、人材の活用が我が国の一番の資源の活用でございますので、政権の意思がそこには反映することになるのかなとも考えております。

高木(美)委員 ですので、まずリストアップの段階で、やはりそこにきちっと載る人でなければ、そこの政治判断というのは私はすべきではないと思います。そのリストアップの作業が大変重要で、先ほど申し上げたように、人事評価、評価シート、各省庁とも一人でも多くの人たちを送り込みたいというのは当然の気持ちですので、みんないいことを書いてくるわけです。そうなりますと、内閣人事局に顔を知られているとか、大臣からの覚えがめでたいとかという形でどうしても最終的に選ばれてしまうのではないか。

 ですから、リストアップするときの客観性、公正性というのをある程度申し開きができるようにきちんとしておかなければ、この人事における中立公正性というのが担保できないのではないですかという質問でございます。

大島副大臣 委員のおっしゃることは人事の根幹だと考えております。私も会社での長い経験の中で、どうしても本社の役員の近くにいる人が出世をする傾向が多々ありまして、本当に現場の一線あるいは営業の一線で汗を流している方がなかなか評価をされないという人事も見ております。

 ですから、先生おっしゃるとおり、これから、去年から始まりました役所における人事評価というのは、これは今後徐々に制度が熟成されてくるとは思うんですけれども、その人事評価については、同じ部局内あるいは他の省庁からの意見等も踏まえて公正に行われ、的確に人事評価が行われることが、この制度、特に適格性審査における基礎データのもとにあると私は考えております。

高木(美)委員 ぜひ、ただいま副大臣から答弁いただきましたことをしっかりと実行に移していただきたいと思います。

 私がそれぞれ役所の方たちを拝見していても、やはり、例えば面接といいましても、面接が不得意な方もいらっしゃる、だけれども個別の交渉、専門性が高い方も多くいらっしゃる。こうした公平な人事評価というものがなされ、その上で適格性審査、そしてまたさらには幹部候補者名簿への登載、そしてその先のリストアップというふうに、きちっと、なるほどなという人事がそこで行われていくということが、これがやはり公務員の制度におきまして重要かと思います。

 当然そこには、先ほど何度も申し上げました第三者の関与ということが必要で、やはりイギリスでもアメリカでも、こうした名簿の作成についても第三者が行っているという事例もあるわけでございます。こうしたことをしっかりと踏まえていただきまして、今後のさらなる検討を進めていただきたいと思います。

 続きまして、定年制につきまして伺わせていただきます。

 先般、独立行政法人、公益法人も定年制にすべきという提案があり、私も大賛成でございます。六十五歳定年ということを提案させていただきたいと思いますが、閣議決定していただきまして、独法、公益法人、六十五歳定年、そして、それ以上の方は、後はもうそれぞれ御自分の利害関係のない企業に行っていただく等々検討をしていただければと思いますが、仙谷大臣、いかがでしょうか。

仙谷国務大臣 きょうから枝野行政刷新大臣のリーダーシップのもとに、独立行政法人それから政府関連の公益法人の事業仕分けが始まりました。当然、独立行政法人なら独立行政法人の、今の役員体制そのものが効果的で合理的なのか、あるいは職員の数もこんなに要るのかどうなのかというふうな観点からも検討というか仕分けがされるのではないかと期待をしております。

 当然のことながら、高木議員の定年制をしくべきだというのは、もうそこを超えたような人を延々と囲うみたいなことはやらぬでほしいということならば、独法や公益法人も、本来はそれなりの目的というかミッションがあるはずで、それにふさわしい体制として現在成立しているかということがまずは問題であります。

 仕分けの結果、独法、公益法人についての、特に公益法人の方は民間法人でありますから、これは所管大臣の行政指導的な、ガイドラインみたいなことになるかもわかりませんが、独法については、独法のガバナンスを改革する。従業員がモチベーション高く本来の使命に向かって邁進できるような独法にしてもらわなければならないという観点からいえば、おっしゃるような役員の定年制、そしてプロパーの人ならプロパーの人が意気盛んに働いていただく、そして抜てきをすべき人は若かろうが抜てきをしていく、そういう人事、ガバナンスができるようにしなければいけないと思っております。

 今、高木委員の御提案も持ち帰って、独法改革をガバナンスという観点から、基準をつくるときに重要な観点として検討項目に入れておきたいと思います。

高木(美)委員 初めて大臣から前向きな御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 重ねまして、その場合に公務員の定年をどうするかということです。私が主張しておりますのは、独法、公益法人、ここにやはり現役出向という形ができるようにすることが必要なのではないか。そうすると、早期退職勧奨、先ほど来の課題も少し解消できるのではないかという考えでおります。

 したがいまして、今、平成三十七年度までに六十五歳に引き上げる、こうした案でございますが、この定年制につきましては、人事院総裁に伺わせていただきますが、独法そして公益法人と歩調をとるためにも公務員のスケジュールを早めてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

江利川政府特別補佐人 公務員の定年延長につきましては、基本法第十条の中に、「雇用と年金の接続の重要性に留意して、」ということで「定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討すること。」と書かれております。基本法の考え方は、年金の支給開始年齢が順次六十から六十五に上がってくるのに合わせて段階的に上げていくようにということでございます。

 基本的には、この基本法の考え方に沿って我々今検討しているところでございますけれども、今のような御指摘についてどういう工夫があり得るのか。これは、ただ、六十五歳に年齢を上げていきますと、そこの人件費の問題や、六十歳までに到達しない五十歳代の人件費の問題とかも含めてトータルとして考えていく必要がございますので、そういう中でどういう工夫ができるか、あり得るのか、検討してみたいと思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 次に、天下りにつきまして何点か質問いたします。時間もだんだん迫ってまいりましたので、簡潔な御答弁をいただければありがたいと思います。

 まず、再就職等監視・適正化委員会の権限につきましてです。再就職等規制違反の疑いがある場合、書類の押収というのはできるのか。また、民間会社が自発的に協力する場合は別としまして、拒否した場合は、書類の入手というのはできないのではないでしょうか。また、調査の強制力というのはどの程度なのか。証人等有力な証拠がなければ現実的に困難なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 再就職等監視・適正化委員会は、再就職等規制違反行為の調査のために、必要な場合には、民間の方も対象となり得る書類の提出要求権や証人喚問の権限などが認められており、これに対して虚偽の陳述や正当な理由のない提出拒否等を行った場合については、刑事罰、三年以下の懲役または百万円以下の罰金が措置されております。このように、事実関係を解明するため、必要な書類や証言を確保するための間接的強制力を持った調査権限を活用しつつ、事実関係の解明を行っていくこととなります。

 なお、事実関係の解明のために証人等有力な証拠が必要となることは犯罪捜査であっても同じでございます。

 以上です。

高木(美)委員 再就職の届け出がない場合ですけれども、どの時点で公務員法の百十三条の罰則が適用されるのでしょうか。これは階政務官にお答えいただくことかと思います。

階大臣政務官 お答えいたします。

 国家公務員法百十三条の罰則が適用される場合ということですけれども、本府省の企画官相当職以上の管理職職員であった者が離職後二年間に再就職した場合には、国家公務員法において、速やかに再就職の届け出をしなくてはならないということでございます。

 そこで、速やかにというのはどの程度かという問題が出てくるわけでございますけれども、先日の委員会でも答弁しましたが、明確な期限を区切っているわけではございませんで、遅延の程度や遅延に至った理由等をしんしゃくして、社会通念上合理的な期間を経過したと判断される場合は罰則の適用対象になるというふうに解しております。

高木(美)委員 とてもあいまい、それぞれ事情がありますのでやむを得ない場合もあるかと思いますが、本来であれば、調査といいますのは当然、届け出で毎年何月とか、どのような形で適正化委員会において調査を行っていくのかとか、そうしたやはり基準というものが示されてしかるべきではないかというふうに考えます。やはりそれが、どの時点できちんと届け出を出さなければいけないと、公務員の方たちの、言葉にはならない一つの基準としまして心の中にとどめられるかと思っております。ですから、どの時点かわからないという、そのちょっとあいまいな形では、私はいかがかと思っております。

 やはり、天下りを根絶しよう、こういう与野党を挙げての考えでございますので、ここも、どの時点で百十三条の罰則が適用されるのか、半年なのか一年なのか、ある程度のめどというものは示されなければならないのではないかと思いますが、もし重ねての答弁がありましたらどうぞ。

    〔小宮山(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

階大臣政務官 先ほど答弁したとおり明文の規定がないので一概には申し上げられませんけれども、おおむね一カ月以内に届け出がなされる必要があるのではないかということを、先日、この委員会で渡辺副大臣がおっしゃっておられます。ですから、一カ月以内というのが大体適切な範囲ではないかというふうに考えております。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 先ほど来ずっとお話がありました裏下りの実態調査でございますけれども、この裏下りをどういうふうに定義するか、先ほど中川議員からもるるお話がございました。私は、特にOBのあっせんによるというのは、これは新政権においては天下りとはみなさないという、当初の閣議決定等の定義で伺っておりますが、いずれにしても、この実態調査というのは当然定期的に行われなければいけない話ですし、特にこういうOBのあっせんによるものというところは、ここは避けては通れない話ではないかと思います。

 昨日の参考人の、田中参考人だったでしょうか、裏下りというここの話から、当然、罰則を設けたり、違反した人たちを監察官が行うというのは、一体どういう情報、あり得るのは垂れ込みだけですよね、そのために常時目を光らせている、その人も大変だろうなと私も思いますと、さまざま、るるおっしゃりながら、しかし、例えば、OBがそれこそNPOでもつくって、団体でもつくって、おい、おまえ、そろそろやめたらいいじゃないかと言って、そういう、OBが就職をお世話するようになるのではないか、現に、役所から一つもお世話になっていない、おれは先輩が呼んだから来たんだというような人もおりますと。ここのところは放置されるのかどうか。

 また、大事なところは、継続的に行っているとか政府のお金が出ているとか、そういうところを一回すべて実態調査されてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

階大臣政務官 なかなか裏下りという定義は難しゅうございまして、私どもは、裏下りという言葉を明確に定義してそれに当てはまるかどうかという演繹的な思考方法ではなくて、まず裏下りに当たりそうなものはどういうものかということを広く調査して、その上で帰納的に裏下りの概念を確定していきたいと考えております。

 そこで、今調査にかかっているわけでございますけれども、総務省としましては以下の三つの調査をしております。

 一つは、平成十九年から二十一年に退職し再就職した本府省企画官相当職以上の約四千名を対象としたあっせんの有無、国からの金銭交付状況及び所管関係等についての調査です。二つ目は、独立行政法人及び政府関連公益法人を対象とし、その役員への退職公務員の就任状況及び国からの金銭交付状況についての調査です。三つ目は、独立行政法人、特殊法人、認可法人、政府関連公益法人等を対象とし、いわゆる五代連続ポスト、これは本年四月一日時点を基準日としますけれども、その五代連続ポストの再調査と、その所管関係、国からの金銭交付及び再就職の経緯等について調査をするということに既に取りかかっておりまして、結果は本年六月をめどに取りまとめまして、しかるべき時期に公表しよう、こういうことで進めております。

高木(美)委員 恐らく、これは調査されましても、適正化委員会等がまだ動いているわけではありませんので、これを速やかに設置してというのがこれまでの大臣の答弁でございました。その点から考えますと、やはりしっかり調査をしていただいて、その後に、一件一件またこれがどういうことに該当するのか。適正化委員会の五名という委員の方たちがそれだけのスキルをきちんと持っている、これは同意人事になっておりますので、そういう方たちが選任されることを望みます。

 その上で、この調査、そしてその上でのさらに強い権限を持った立ち入り等、また書類の提出等を強く求めていただきまして、そうしたスケジュールを、いつまでにどういうふうにしていくのかということも、ここも含めて大臣はどのようにお考えでしょうか。この委員会の設置、そしてその先の六月にはという総務省からの今答弁でございますが、それに対していつまでにどのような調査をしていくのか。あらあらお考えをお示しいただきたいと思います。簡潔にお願いしたいと思います。

仙谷国務大臣 もし再就職監視・適正化委員会が法案成立によって設置されましたら、国会に同意人事ということで同意を求めなければならないと思います。

 そこで、独立性の高い、第三者性の強い委員会といううったてでございますので、例えば、法律家の方であるとか調査能力を持った方、あるいは事象を監視的に、鑑別的に見る能力というか習性のある方とか、あるいは何か田中さんのお話にも出ましたけれども、こよなく霞が関的かばい合いというか何かの慣行について、嗅覚の鋭い人とか、そういう人で委員が構成されましたら、その委員会の中で、やはりある種の独立した委員会でありますから、そこで自発的な方針をお決めいただくということになろうかと思います。

 権限行使についても、細部の規定が必要であれば、何らかの政令というふうなものも必要になるかもわかりませんが、そういうのも事務方がある程度は用意すると思いますが、さらに独立の委員会としての規定も、あるいは内部規定も事務処理規定も定めていただいて、そして、そこに、かねてからいろいろ疑いが持たれている案件について職権を発動して行うかどうか、これはその委員会の御決定になることでございましょうが、いわゆる内部告発といいましょうか公益通報といいましょうか、そういうのが来れば当然そこから動き始める、あるいは国会で論議になる懸案があるとすれば、それは当然のことながら調査に着手するということになろうかと思います。

高木(美)委員 いずれにしましても、空白期間はまさによくありませんので、速やかに設置されることを望みます。

 重ねまして、労働基本権について伺いたいと思います。

 先ほど来議論がございました。私は、労働基本権を付与するに当たりまして、その議論の経緯については情報公開により透明性が確保されなければならないと思っております。特に、現政権におきましては政策決定の透明度が大変低いと申し上げざるを得ない状況が続いております。どこかの一声で変わるとか、そうではなく、どういう議論の積み上げがあって、そしてどういう調整が行われたのか、この情報公開を求めるものでございます。

 大臣のお考えを簡潔にお伺いできればと思います。

仙谷国務大臣 透明度が低いという議論があるわけでありますが、法律案ということになりますれば、最も透明度の高い場所がこの国会でありますから、私は、国会でおおらかに議論をするということが最大の透明化作用であろうと。そこに至るまでの過程で、これは、私は審議会の御意見というのはそれほど、嫌いではないんですけれども、結局は、事務局が絵をかいて審議会を進めて、文章を審議会がつくるというふうな審議会であってはほとんど意味がない。かといって、収れんのされない議論をこもごもなさる審議会的なものも、これまた余り意味がないと思っております。

 ただしかし、この労働基本権の問題というのは少々専門的な分野もございます。それから、積み重ねられてきた分野もございます。これはある意味で、公務員の労働問題という格好では、日本の歴史上ほとんど裁判例以外は直接はないわけであります。公共企業体という存在がありました。そして今は、独立行政法人が国家公務員から離れることによりまして、これはある種の、体質的に公務員に近いところでの労使関係というのがつくられているというふうな経験もございます。その辺を参考にしながら論点整理をしながら進めていく。

 そのときに、なるべくその審議の模様が、インターネット中継をした方がいいのか、あるいはブリーフ等、そのときに示された資料は必ず公開する、あるいは議事の概要を公開していく、そういうことがいいのか、その辺はよく考えて、今度の労働基本権を付与する方向での公務員制度改革というのは、国民の多くの皆さん方、つまりタックスペイヤーにできる限り理解をしていただく、そういう制度改革、制度設計でなければならないと思っておりますので、高木議員のお話をぜひ受けとめさせていただいて、これからの議論を進めていきたいと思っております。

高木(美)委員 やはり、透明度が低い、またそういう労働基本権の議論になりますと、組合が裏取引しているんじゃないか、こういうふうにせんさくされるということは組合の方たちにとっても本当に残念なことと私は思いますので、これは透明度の高い議論を、審議会なり、そこに有識者の方たちを入れていただくなり、またこれまでの専門家等々の意見も踏まえまして、その積み上げた意見がどういう過程でどうなっているのか、なぜこういう言葉が出てきたのか、そこがわかるような議論をお願いしたいと思います。

 はっきり申し上げて、今回の公務員制度改革の中身につきましても、どういう積み上げになったのか全くわからないので、それでこんなに長時間の議論を要しているということもあえて申し上げさせていただきます。

 大臣にもう一点お伺いします。

 基本法第十二条の便益と費用。先ほど大臣からも、国民に開かれた議論が大事である、タックスペイヤーである国民の皆様の理解を得なければならないという御答弁もいただきました。それと関連いたしますが、当然「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」、この費用と便益、これについてどのように認識していらっしゃるのか、簡潔にお願いしたいと思います。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 基本法第十二条に規定する便益及び費用の具体的な内容については、今後、自律的労使関係制度の全体像を検討する中で検討してまいりたいと考えております。

 なお、昨年十二月に取りまとめられました労使関係制度検討委員会報告書においては、「想定される便益及び費用の基本的視点」としては、便益は、「内閣の人事管理機能の強化」「行政改革への対応と総合的な人事政策の推進」など、そして費用は、「交渉に係るコストの増大」「交渉不調の場合の調整コスト」などを掲げております。同報告書では、制度設計が固まっていない現時点では、全体像に係る便益及び費用を示すことは困難、制度設計が固まった後に別途検討することが必要とされております。

 以上です。

高木(美)委員 これをぜひ明確に国民にお示しいただきまして、その上での国民を巻き込んでの大きな議論をお願いするものです。例えば協約締結権、これを付与するだけでも諸外国ではストライキができるといった事例も多くございます。こうした派生するもの、そこも含めて国民に提示をしていただくことを求めます。

 そして、大臣にお伺いしたいのですが、労働組合法における労働組合、この定義を考えますと、当然ここにありますのは、やはり組合員の利益のために、こうした文言でございます。「「労働組合」とは、労働者が主体となつて自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体をいう。」というそもそもの定義から考えますと、大臣が何度も御答弁いただいています人件費の削減が本当に労働基本権付与によってできるのかどうか、私はいまだにその疑念を払拭することができません。

 先ほど松井副長官の御答弁の中で、組合の方たちにお会いするたびに厳しいことになりますよと再三申し上げているといった趣旨の答弁がございました。ということは、労働組合はこうした人件費の削減等に協力するということを納得していらっしゃるんでしょうか、そのように認識をされているのでしょうか。大臣にお伺いいたします。

仙谷国務大臣 労働組合にもいろいろな執行部の方々がいらっしゃるし、いろいろな労働組合がありますから、そういう御質問に一概にお答えできないと思いますが、高木議員がおっしゃるような労働組合の定義規定というものを読みましても、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上」ということが主たる目的でありますけれども、このこと自体も、私の表現でいえば、目先、ちかよくでいくのか、少々中長期的な、労働条件の維持改善その他の経済的地位といいましょうか、あるいは経済的、社会的地位の向上を図るというふうな観点で労働組合の方々が対処するのか。

 そしてまた、何よりも、もう今の時代は、労働組合の方々といえども、うちまだけに通用する論理でがんがん闘っていくということができるような時代環境ではない、あるいは情報環境ではないということは相当おわかりになっていらっしゃるのではないか。したがって、これは当事者としての使用者側をどのように構成するかもかかわるわけですが、使用者側もタックスペイヤーの目が光っているということを意識しなければならないし、労働組合側もそのことを意識して行動をしなければならないということでありましょう。

 労働組合法も、これは何年ぐらいでございましたか、割とオーソドックスな書き方ですけれども、労働組合法ができたのは多分昭和二十三、四年ですか、そのころからは意味内容が変わってこざるを得ない、こういうふうに思っておりまして、それは労働組合の執行部を構成される方々はすべておわかりいただいている。つまり、今のギリシャの労働組合のようには絶対にならないだろうと私は観測しております。

高木(美)委員 私は、そのようなことを労働組合の方たちと確認をされたのかどうかということをお伺いしたいと思います。

仙谷国務大臣 本格的に交渉すれば、そういう話も担当者がしなければいけないんだろうと思いますけれども、今の時点でそんなことをまともな顔をしてやったらどうなるかというのは私もわかりませんし、現時点ではそんな話はしておりません。

高木(美)委員 大臣、やってみなければわからないとした御発言、そしてまたただいまの御発言、私は、給与を、何を基準に考えていくのか、そこをやはり考えていかなければいけないのではないかと思います。当然、労使交渉、手段はそうですけれども、でも、基準はどの辺にあるべきか、ここの提示というものも必要ではないかと思うんです。

 例えば、今民間ベースというふうによく言われておりますが、この民間というのはどの範囲の民間なのか。私は、これは採用のときに競合関係にある民間企業、例えば一部上場三千社なのかどうなのかということですが、当然、採用試験に臨まれる方たちが、給与であるとか休暇、また女性であれば継続就労の条件はどうなのか、こうしたことを踏まえて、大体この辺のベースなんだなという、やはり一つの基準というものを持っていなければいけないのではないか。

 その意味では、恐らく、労働基本権が付与されたときには人事院の勧告等はどうなのかという発言があるかと思いますが、ただ、私はやはり、その中で、人事院がある程度の基準の提示をしていく、そこからスタートをするということも十分あるのではないかと思っております。

 そういう一つ大きな考え方でいきませんと、新しい考え方でいきませんと、公務員を志望する人間が少なくなる、民間よりも下の成績の人が公務員として国を動かしていけるのか、企業を相手に、各団体を相手にさまざまな政策を実現できるのか、国を背負っていく仕事を果たしてできるのかという、このことを私は危惧しております。

 最後に大臣の御所見を伺って、終わりたいと思います。

仙谷国務大臣 でき得ればもう少しはっきりと、一部上場の大企業よりは高額の給与を払わないといい人材が集まらないという御趣旨でおっしゃったのか、それとも、一部上場企業であろうがそうでなかろうが、こんな財政破綻の危機に瀕する会社の給与水準は一部上場企業の給与水準よりもはるかに下でないといけないとおっしゃったのか、ちょっとその辺はわかりませんのですが、私は、人事当局というのがもしできますれば、やはり、その都度その都度の経済の動向や、あるいは財政、税収の見込みということも十二分に勘案しながら、そして民間の水準と比較をしながら賃金、勤務条件その他を提起する、問題提起をしながら、そこで交渉して決定をしていくということになるんだろうなと思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 国公法に関して、防衛省・自衛隊への天下り規制に関連して質問をいたします。

 大臣、最初に公正取引委員会や防衛省にお尋ねしますので、それをお聞きいただいた上で、最後に大臣に何点かお尋ねしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 まず、公正取引委員会に、防衛省の職員が関与した談合事件について質問をいたします。

 まず、航空自衛隊の官製談合事件についてでありますが、この航空自衛隊の官製談合事件について、航空自衛隊の隊員はどのように関与をしていたのかについて御説明いただけますか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 委員がおっしゃいました、入札談合事案の調査におきまして認められた入札談合等関与行為は、航空自衛隊第一補給処の職員が、航空自衛隊が発注、調達いたします什器類、いわゆるオフィス家具でございますが、それを対象にいたしまして、過去の取引実績や航空自衛隊の退職者の在職状況等を考慮しまして、調達要求目標を設定し、その目標を達成できるよう、事業者側にあらかじめ、調達を希望する事業者についての意向を示し、これにより入札談合を行わせていたということであります。

塩川委員 第一補給処の職員が、過去の取引実績や防衛省・航空自衛隊の退職者の状況等を考慮して、事業者別の調達目標を定め、事業者に入札談合を行わせていたということであります。

 続けてですが、今回の官製談合事件に関して、航空自衛隊の自衛官が事業者に対し情報漏えいをしていた事実があると指摘をしていますが、これはどのようなものでしょうか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の調査におきまして、航空自衛隊第一補給処が実施する什器類の入札を対象として行いました防衛監察本部による防衛監察の結果、これを、防衛省が私ども公正取引委員会に通報する前に、第一補給処の職員が関係事業者に対しまして、この防衛監察の内容及び公取への通報の予定を漏らしていたという事実などが認められております。

塩川委員 防衛省の防衛監察の結果を公取に通報する前に、通報の予定を関係事業者に漏えいしていたということであります。

 続けてお尋ねしますが、今回の官製談合事件に関連して、オフィス家具以外の物品についても官製談合防止法上問題となりかねない事実もあったと聞きますが、これはどのようなものですか。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 本件の調査におきまして、航空自衛隊第一補給処は、今申し上げました什器類以外のOA機器、コピー機、トナー等の物品につきましても、過去の取引実績、航空自衛隊の退職者の在籍状況等を考慮いたしまして、事業者別の調達要求目標を設定した事実というものが認められました。

 このような行為は、第一補給処が調達いたします什器類以外の今申し上げた物品の入札につきましても、第一補給処が調達を希望する事業者に当該物品を受注させる行為、その存在を疑わせるものでありまして、入札談合等関与行為防止法上の問題につながりかねないものであると認識しております。

塩川委員 オフィス家具以外の契約でもOBの在籍状況などを考慮した官製談合防止法上の問題事例があったということであります。

 以上の空自の官製談合事件について、防衛省として、この事実関係について何か異論はございますか。

上瀧政府参考人 ただいまそれについては調査中ということで、今の段階で申し上げることはありません。

塩川委員 これは公正取引委員会が事実関係を認識しているわけで、その指摘を踏まえて防衛省に対し措置要求が行われている、そういうことになっているわけであります。

 引き続き公正取引委員会にお尋ねしますが、過去、防衛省職員が関与した談合事件にどのようなものがあるのか、関与の内容について説明をしていただきたいと思います。

中島政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省の発足以前に、旧防衛施設庁が発注する土木建築工事の入札談合事件におきまして、同庁の職員による入札談合等関与行為が認められた事例がございます。具体的には、防衛施設庁の職員が、同庁OBが在籍する建設会社が継続的に受注できるようにすることなどを目的といたしまして、同庁が発注する土木建築工事のうち一定のものにつきまして、入札の執行前に落札予定者の選定を行い、その結果を窓口役の同庁OBなどを介しまして事業者側に伝達していた事実が認められたものであります。

 この件につきましては、平成十九年六月に、防衛施設庁に対しまして、本件について入札談合等関与行為等についての通知を行ったところでございます。

塩川委員 もともと二〇〇六年に発覚をした防衛施設庁の談合事件であります。これは地検の告発で事件となって、その後防衛庁内で調査、対策をとったということでありまして、その後ということでありますので公正取引委員会からは通知という形にはなっておるわけですけれども。

 この防衛施設庁の談合事件について防衛省にお尋ねをいたします。

 防衛施設庁の談合事件に関連をして調査を行ったわけですけれども、防衛施設庁の本庁建設部企画課が関与をした再就職について調査をしております。平成十八年二月ごろに在籍をしていた関連企業への防衛庁職員、施設庁職員、自衛官は何人だったのかをお答えください。

上瀧政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年二月下旬のOBの在職状況について、当時取りまとめました。その内容は、百四十四社に二百四名のOBが在籍しておりました。その内訳については、約半数が建設系技官のOB百二名、施設系職員のOBが二十二名、旧防衛庁本庁の事務官等のOBが十一人、そして自衛官のOBが六十九名となっております。

 以上です。

塩川委員 技官、事務官そして自衛官と、満遍なくといいますか、広く天下りをしているということがここでもうかがわれるわけであります。

 事前の通告をしていないんですが、事実関係の確認をしております。その当時の報告書にあります発注配分額の算出方法についての数字がもしわかればお答えいただきたいんですが、各企業に仕事の割り振り表というのを防衛施設庁の方で行っていた、その際に、OBの再就職先の企業ごとにどれだけの仕事を発注するのか、発注の配分額というのが事前に決められていた。この報告書の中では、技官における発注配分額、それから事務官についての発注配分額についても報告書に出ておるわけですけれども、自衛官についてはございませんでした。

 自衛官についても発注配分額が決められていたわけですが、そこで、自衛官OB一人当たりの基準額というのはどうなっていたのか、年間の単位で、その企業に天下りをしているOB一人当たりおおよそ年間幾らぐらいの発注の配分額があったのかについてお示しください。

上瀧政府参考人 先生が今御指摘になりました件でございますが、当時、防衛施設庁に置いた調査委員会がありまして、その中で調べた結果を報告しているわけでございますが、発注配分額の算出方法についてですけれども、自衛官につきましては事務官と同等ということでありまして、将補の場合は、六十歳までは年間五・六億円、約六億円ということでございます。

塩川委員 いただいた資料でいいますと、将補のクラスでは六億円、事務官でも六十歳までは六億円ですけれども、同様に、年齢が上がるに従って毎年来る金額が少しずつ減っていくわけですけれども、六十一歳から六十三歳の場合でいえば、将補の場合には四億五千万円、六十四歳から六十五歳の場合には三・三億円という格好で、持参金というのは一回ですけれども、誕生日のプレゼントのように毎年毎年一定規模の仕事が天下りをした企業に渡されるということが機械的につくられていたというのが防衛施設庁の入札談合事件で明らかになった事例であります。これは土木建築関係ということでありますけれども、こういう形で予算、契約を背景とした天下りの押しつけとも言える事例というのがここでも大きく問題となったわけであります。

 こういう事件を踏まえて、調査を行っています、平成十八年六月十五日の「防衛施設庁入札談合等に係る事案の調査について」の調査委員会報告書では事件の原因、背景を分析しておりますが、この原因、背景、どのような指摘を行っているのか、防衛省からお答えをお願いします。

上瀧政府参考人 原因の背景について御説明いたします。

 その報告書において、原因の背景については四つほど挙げられております。一つは、再就職先の確保と再就職したOBへの配慮、二つ目が、建設系技官の仲間意識と法令遵守意識の欠如、三つ目が、平成十年に明らかになりました調達実施本部事案を踏まえた教訓、反省の認識の欠如、そして四つ目が、入札契約制度に係る審査監視機能の不備というものがあったというふうに報告ではなされております。

塩川委員 原因、背景の分析の筆頭が、再就職先の確保と再就職したOBへの配慮が直接の原因とみずからでも認めておるわけです。それに加えて、調達実施本部、調本事案、この事件を踏まえた教訓、反省の認識の欠如ということで、いわば、教訓、反省が全く生かされていなかったということであります。過去の教訓、反省が全く生かされずに不祥事を繰り返してきたのが防衛省・自衛隊であります。背景には、指摘もされている再就職先の確保と再就職したOBへの配慮があったわけであります。

 当時、防衛庁ではこの調査を踏まえて、翌日の日付、平成十八年六月十六日付で「防衛施設庁入札談合等再発防止に係る抜本的対策 報告書」を出しております。ここで対策を打ち出したわけですが、一連の対策のうち、再就職規制についての部分ですけれども、再就職の自粛を打ち出しておりますが、この再就職規制に係る再就職の自粛というのは、どのような対策をとったのかをお答えください。

上瀧政府参考人 お答えします。

 今御指摘ありましたように、平成十八年の六月十六日付でその報告書は出されておりますが、その中で、再発防止策として、建設工事の入札手続等の見直し等々と並びまして、再就職の問題がございます。

 再就職につきましては、再就職の自粛の要請ということで、対外的には関係企業、また対内的には我々職員に対して、それぞれ防衛施設庁、当時の防衛庁長官、あと事務次官から通達等が出されております。

 その再就職の自粛の具体的内容でございますが、四つほどあります。離職前五年間に建設工事の発注業務に関与していた職員、これは本庁課長相当職以上の幹部職員については、離職後五年間、建設工事の受注実績を有する企業への職員の再就職を自粛する。また、事案に関連いたしました企業、これらは談合等に関与するおそれがないというふうに認められるまで、その会社には全面的に再就職は自粛する。また、財団法人防衛施設技術協会については、職員の再就職の全面的な自粛。また、それ以外の防衛庁所管の公益法人に再就職する役員においては、離職後五年以内に防衛庁と密接な関係のある営利企業に就職することを前提とした当該公益法人の退職を自粛するという四項目でございます。

 それらの現在の状況でございますが、防衛施設技術協会については解散しております。残りの三点については現在も継続しておるところでございます。

塩川委員 事前規制ですから、事前規制で離職前五年間にかかわった企業との関係で離職後二年間は再就職できませんよという規定を、離職後五年間と延ばしたわけですね、これは自粛ということですけれども。実際は、今最後に御答弁いただきましたように、今でも生きているんですよ、今でも生きているんです。

 つまり、当時防衛庁、今の防衛省においても、この防衛施設庁の談合事件について、今なお、いわば謹慎中の身として、こういった事前規制を強化する措置が全部にかかっているわけですね。ですから、防衛省の本省課長クラス以上については、こういう措置が現にとられている。いわば過去のこういう問題について反省をしているという身分というのが今の防衛省の実態であります。

 当然、防衛施設庁の談合事件について調査も行い、対策もとった。その対策が本当に妥当だったのかどうかということの検証も当然必要ですけれども、今回新たに航空自衛隊の官製談合事件が起こりました。官製談合防止法に基づいて、公正取引委員会から防衛省に対し、調査結果と改善措置の実施と公表が求められております。

 公正取引委員会にお尋ねしますが、防衛省の再発防止策を求めているわけですけれども、官製談合にOBが関与しているようなことであれば、再就職のルールを見直すことというのも対策のうちの一つとしてあり得ることだと思いますけれども、公正取引委員会としてはいかがですか。

中島政府参考人 お答えします。

 このような談合関与行為の再発防止の施策につきましては、防衛省におきまして検討委員会をつくって検討されるものと承知しておりますけれども、一般論として言えば、あるいは、今まで他省庁に対しましても改善措置要求等を出してきております、その中におきまして、当該省庁から改善措置、再発防止策として掲げられた項目の一つの中に、やはり退職者の就職の監視あるいは管理というものにつきましても項目が出ていたことは事実でございます。

 いずれにしましても、今回の件につきましては、防衛省の方におきまして、今回の談合関与行為が行われた背景等を十分調査した上で適切な再発防止策が講ぜられるものと期待しております。

塩川委員 冒頭、公正取引委員会にお尋ねしましたように、今回の航空自衛隊の官製談合事件についても、過去の取引実績や防衛省・航空自衛隊の退職者の状況等を考慮して、事業者別の調達目標を定め、事業者に入札談合を行わせていたということであります。ですから、防衛施設庁の入札談合事件の場合において、いわば発注配分額が決められていた、天下りOBに対して発注配分額が決められていた、これと同じことが航空自衛隊の官製談合事件でも行われていたということが当然推定されるわけであります。

 そこで、一点防衛省に確認ですけれども、公正取引委員会から防衛省に対し改善措置要求が出されているわけですが、防衛省としてどのような改善措置を行ったんですか。どのような改善措置を行ったのか。

上瀧政府参考人 第一補給処の関係ですか。

 現在のところ、先ほど申し上げましたように事実関係を調査しているということなので、今の段階では特にやっているとは承知しておりませんが、ちょっと確認してみます。

塩川委員 先ほども言いましたように、防衛施設庁の入札談合事件についてもいまだに事前規制を強化するという謹慎身分中なんですよ。加えて、新たに加わった航空自衛隊の官製談合事件については、これから調査も行い、対策も打つんです。謹慎身分中の立場でありながら、新たに不祥事を起こして、この問題についても新たに調査、対策もとらなくちゃいけない。

 こういう状況の防衛省・自衛隊について、過去の不祥事への教訓、反省も生かされない、事件を繰り返している。ですから、若年定年隊員も関与した不祥事へのけじめもつけられていないときに、あえて今、防衛省・自衛隊に対し、事前規制廃止の法改正を行う必要があるんですか。仙谷大臣、お答えください。

仙谷国務大臣 今お伺いしていますと、これは鶏が先か卵が先か、ちょっとよくわけがわかりませんけれども、つまり、取引をしたいがために再就職を受け入れる、再就職を受け入れているから仕事がとれる、仕事がとれたからまた再就職を受け入れる。今、公正取引委員会から摘発を受けられておるわけでありますが、どちらの方をとめればいいのか。

 つまり、再就職を、この会社なら会社に、こういう不祥事を起こした会社に、さっき五年の話がありましたけれども、五年といわず十年でも禁止する。つまり、そこからの調達というか契約で買い入れるサービスや物がほかに代替性があるものならば、それは何回も何回も繰り返すんだったら、そのぐらいのことを防衛省が自己規律としてやってもらわなければならないと私は思いますね。

 塩川議員がおっしゃられるように、今、五年間自粛ということで禁止していますか、そうだとすると、こういうところに、再就職がこの種の会社にされるから、極めていかがわしい談合までしての物品調達というか発注がされるんだ、そのどっちが原因で結果かわかりませんが、それならば、防衛省がそういう会社には十年間一切人もお願いもしない、このぐらいのことをまず自分でやってみせるというか、示していただかなければいけないんじゃないかと私は思います。

 ただし、今調査中とおっしゃっていますから、調査がちゃんとつけば、そういうことをやらなければいけないのではないかと思います。

塩川委員 予算、契約を背景として、それこそ毎年バースデープレゼントのように何億という仕事をつけて、当該企業に発注をする、そこのOBとの関係で。このことは、防衛施設庁の入札談合事件でも指摘をされているところですから、鶏か卵の話じゃなくて、この因果関係ははっきりしているわけであります。

 その上で、建設工事の天下りの規制強化は確かに行いました。しかし、今回は、新たに航空自衛隊の物品調達で起こっているわけですよね。そういう点でもモグラたたきですよ。そういうときにそもそも事前規制を廃止する必要があるのかということを問うているわけです。いかがですか。

大島副大臣 お答えをいたします。

 航空自衛隊第一補給処におけるオフィス家具等の事務用品談合事案については、防衛省において、政務官を長として部外有識者も参加する調査検討会が設置されており、事実関係の解明がなされていくものと承知をしております。

 今般、一般職国家公務員に準じた行為規制を導入し、また厳格な監視を行うことにより、特別職たる自衛官についてもより適正な退職管理を行うため、自衛隊法についても改正を行うこととしております。

 他方、仙谷大臣が申し上げましたとおり、防衛省をめぐる不祥事が過去発生している中、たとえ若年定年等隊員であっても、その再就職に対する国民の厳しい目が向けられていることは認識しなければならず、今後の再就職の支援の実施に当たっては、職務の中立性、公正性に一片の疑問も抱かれないよう、防衛省において、自己規律としてしっかりとした制度運用を行うべきであると考えております。

塩川委員 いや、だから、それはこの間もやってきたわけでしょう。調本事件もそうだったし、また防衛施設庁の入札談合事件も、やってきたはずなんだけれども、また起こしているんですよ。だから、大もとである事前規制をしっかり担保する、これを強化する方向でしか本当の意味での打開はできないんじゃないのか。

 それを、事前規制をやめて行為規制に切りかえるというんですから。行為規制に切りかえることでこれはなくせるという話なんですか。行為規制もしっかりやるし事前規制も強化をする、この両面からやるということじゃありませんか。

仙谷国務大臣 だから、六億円の何か発注が行くんでしょう。では、十年間発注をやめたらいいじゃないですか。そっちの方が早いじゃないですか。何で、あっせんの行為規制みたいなちまちました話じゃなくて、取引をとめればいいじゃないですか、そんなもの。それを防衛省がちゃんとやれば、そんなもう再就職なんか採りませんよ。そんなちまちました話。そこから行くのが本筋でしょうと僕は言っているわけ。

塩川委員 だから、行為規制でやっている限り、建設工事だ、次は物品調達だ、次は役務かと、どんどんどんどん動くだけじゃないですか。それは大もとを規制しなくちゃだめでしょうということを言っているわけですよ。

仙谷国務大臣 大もとを規制するというのは、全業者に対してすべての発注を禁止するということですか。(塩川委員「事前規制ですよ」と呼ぶ)何の事前規制ですか。(塩川委員「天下りについての事前規制」と呼ぶ)

 だから取引の方が本体なんでしょう。あなたの議論も、取引が六億円発注されるんだ、お土産が行くんだ、プレゼントが行くんだと。その前提が天下りというか、若年雇用が、再就職があるんだと。ただ、行くからまた採るんでしょう、若年雇用を。要するに、仕事が発注されるから若年雇用を採るわけでしょう。だから仕事をやめさせればいいじゃないですか。絶対ここはもう出入り禁止というふうにすればいいじゃないですか。

塩川委員 再就職をやめればお金が動く話がなくなるわけですから、そういう疑いもなくなるわけだから、事前規制をしっかりやるという方向でこういう癒着を断ち切るということが本筋だということを言っているわけです。

 改めて言いますけれども、こういう事件を繰り返しているときに、謹慎蟄居の身の防衛省に対して、事前規制をやめて行為規制で、さらに言えば防衛人事審議会の体制だってお粗末なもので、こういうのでどうしてまともな規制ができるのかということが問われている。

 そういう点でも、今回の天下りの拡大法案ともいうべき中身は撤回をしろということを申し上げて、質問を終わります。

上瀧政府参考人 先ほど調査と言ったんですけれども、一言。

 先ほどのお尋ねで、第一補給処の今回の関係で何か手を打っているかということについてですが、再就職の関係では、とりあえず調査を待つということで、まだ何もやっておりません。

 以上です。

田中委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 国家公務員法等の一部を改正する法律案は、内閣提出の法律案と衆議院の提出の法律案と二案がかかっておりますが、いまだその違いということを具体例に基づいて議論しておりませんので、きょうは、具体的なケースに応じて御答弁いただきたいというふうに思います。

 まず最初に、この両法律案とも、ある程度のことができるようになったところから始めたいと思います。

 例えば、政権の最重要政策を早急に実行する観点から、環境省の局長ポストに、官民を問わず、地球環境問題に最も精通した人材を充てたいと考えた場合に、公募という手法をとったとしましょう。応募してきた人材を内閣人事局で適性審査を行い、合格した数名の中から、総理、官房長官、環境大臣が任免協議という流れになるんだと思いますが、そこはそういう理解で、まず内閣法はよろしゅうございますか。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 浅尾委員御指摘ありましたとおり、例えば環境省の局長を、一番最適な方を民間から採るといった場合には、今回のポストが公募に付された場合には、先生おっしゃるとおり、内閣官房長官が、公募に応募した者について標準職務遂行能力の有無を適格性審査において判定し、審査の合格者について幹部候補者名簿を作成いたします。

 任命権者は、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、人事評価等に基づき、任命しようとする幹部職についての適性を判断し、任用を行います。幹部職員の任命を行う場合には、御指摘ありましたとおり、あらかじめ、内閣総理大臣及び内閣官房長官と任命権者が協議をするといった流れで任用が行われることになります。

 ですから、公募の場合には、そのポストが決まっておれば、そのポストに求められるものについて周知をした上で公募が行われることになると考えております。

浅尾委員 それじゃ、衆法の提出者はいかがですか。

山内議員 これまでのところに関しては、今御説明になった政府案と同様です。

浅尾委員 今のところで一点だけ確認をさせていただきたいと思いますが、公募の場合の人事評価というのはどういう形で行われますか。

大島副大臣 公務員の場合ですと、これは役所における人事評価があります。一般から公募する場合には同種のものはございません。したがいまして、応募された方のこれまでの職務履歴、そしてその専門性を評価させていただくということになります。

 もちろん、書類審査とともに、国の根幹となる政策決定に携わる者ですから、面接等も含めて慎重に、かつ中立公正に適格性審査が行われるものと承知をしております。

浅尾委員 次の質問に移らせていただきます。

 局長級のポストを、どうしてもこれは内閣の重要課題だということで新しくつくろうと思った場合は、内閣法の場合はどういう手続になりますか。

大島副大臣 浅尾委員の御指摘はそのとおりだと思います。

 今、大体六百のポストがあります。このポストについて、固定的に考えるのか、あるいはその時代時代の行政の需要あるいは政策のニーズに応じて改廃していくかということになるかと思うんですけれども、行政需要の変化に応じ、新たな行政課題に対処すべく、各府省においてしかるべき職責を担う局長が必要と判断されれば、現状では、総務省行政管理局に対し機構・定員要求をすることとなります。

 実際に局長が配置されるかは、当該局長が担う業務の必要性や行政組織の効率性、肥大化抑制等の観点も踏まえ、政府全体の見地から総合的に判断されるものと考えております。このことは、一つのポストをふやすのでしたら、一つのポストを減らすということも含めてかと思います。そして、仮に要求が認められなかった場合には、先ほど申し上げましたとおり、既存の体制で対応することになります。

 以上です。

浅尾委員 したがって、現行の閣法ですと、総務省と局長級ポストの改廃の協議をするということですね。

 衆法の提出者、衆法の場合はどうなりますか。

山内議員 議員立法法案の場合は、定員管理の機能、級別定数の機能を内閣人事局に移管することとなっております。したがいまして、総務省に定員要求をやると一年ぐらい時間がかかってしまって、まず便宜的にあいているポストを使うといった便法は使う必要がなくなります。

 内閣人事局で必要に応じて定員を改定し、必要なポストに人を配置できるようになります。級別定数についても同様で、人事院と調整する必要はなくなります。

浅尾委員 したがって、内閣人事局で一元的にできるか、総務省と協議をするかという違いだというふうに思います。

 では、仮にどこかの局長ポストを廃止できなかったといたします。それで、先ほどおっしゃったように、とりあえず便宜的にほかのポストを使うことを考えた場合に、いわば省内のポストをつぶし切れなかった場合、省内でつぶし切れなかった場合はどうするんですか。付加的に今あるところにつけていくのか。そうすると公募にならないわけですから、どういうふうな対処をされるんでしょうか。

大島副大臣 私の理解ですと、基本的にはポストをふやすことは避けたいと思っていまして、やはりポストは、もしも新しいポストをつくるのであれば別のポストをなくす、改廃していくという理解でございます。(発言する者あり)

浅尾委員 局長なんかふやしちゃだめだ、そういうことを言っておられるんですが、ですから、局長をふやせない場合に、総務省が抵抗した場合はどうするのか、一元管理したら一カ所でできるわけですから。そのことを申し上げているわけでありますが。

 では、正式にポストをつくることを目指したとします。そうすると、機構・定員要求を総務省に行うことになるということだと先ほど御答弁になられたとおりですが、まず確認ですが、そういう形で機構・定員要求を総務省に行うという理解でよろしいですね。

大島副大臣 今回法律が通った上で、今後次の法案を提出したときにもう一度組織の改編が行われて、人事のあり方についての組織ができた場合には異なる形だとは思うんですけれども、現行においては、浅尾委員御指摘のとおり、行政管理局に対して機構・定員を要求する。

 ただ、人事局としては、この点については、新しいポストをふやすことはないという方向で考えております。

浅尾委員 逆説的に言うと、新しいポストをふやすことをせずに仮に公募を行うような事態になった場合は、公募じゃなくてもいいんですよ。わかりやすく言うと公募を行うような事態になった場合には、必ず既存のポストをつぶした上で新しいポストをつくるということですか。

大島副大臣 これは一つの政治の意思かと思います。

 浅尾委員おっしゃるとおり、今、六百のポストがあって、新しいポストをつくる、六百一にするかというのは、現行において非常に、極めて批判が多くて、そういうことは考えられない。制度的には考え得るとしても、制度の運用としては考えられないのかなと考えておりまして、やはり既存の定員の範囲内において、要は工夫しながら新しいポストを捻出していくということになるかと思います。

浅尾委員 衆法の提出者に確認をいたします。

 衆法の場合は、内閣人事局でもって、既存の定員をふやさないという中で、人事局がポストをつぶしていく、既存のものを一つつぶして新たなものを一元的につくれる。つまり、総務省にその点要求をしなくても、人事局の判断でできるという理解ですが、そういう理解でよろしいですか。

山内議員 基本的にはそういう理解で問題ないと思います。

 以上です。

浅尾委員 御理解いただいたように、どこの局で、内閣人事局でやるか、人事局と、総務省の行政管理局に要求するかという違いだというふうに思いますが、その違いについては、副大臣もそういう違いだという御認識でいらっしゃいますか。

大島副大臣 今回の法案が成立した後の現行法制度においては、浅尾委員の御指摘のとおりでございます。

浅尾委員 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 ポストを仮につくるというふうになった場合には、機構・定員とは別途、人事院で級別定数の枠を確保しなければならないというふうになりますが、例えば、格付の高い重要局長のポストの枠を追加してほしいのに、人事院の給与局が絶対にだめととめた場合はどうするかという質問も含めてなんですが、まず、わかりやすくするために、ポストをつくる際に、機構・定員とは別途、人事院で級別定数の枠を確保しなければならないが、この場合はどうなるかということについて、大島副大臣にお答えいただきたいと思います。

大島副大臣 浅尾委員御指摘のとおり、この点が現行制度の非常にわかりにくいところだと思っていまして、ポストの管理は行政管理局が行い、そこにどういうような給与体系を当てはめるのかは人事院が行っているということで、これが一元化していないのが問題だという御指摘だと思っています。その点については、今後私たちも一つにまとめて、今後の議論は浅尾委員の御指摘の方向かなとは思っております。

 行政需要の変化に応じて、新たな行政課題に対処すべく、各府省においてしかるべき職責を担う局長が必要と判断されれば、総務省に機構・定員要求をするとともに、人事院に対し、その職務と責任に応じた指定職の、これは号俸格付の要求をすることとなります。実際に要求した号俸格付が措置されるかは、機構・定員が措置されることを前提に、当該局長が担う職務と責任に応じ判断されるものと考えております。

 以上でございます。

浅尾委員 一応、衆法の提出者に、衆法の場合は、今のお話で、機構・定員とは別に、例えば局長職を担う人にどういう号俸で仕事をしてもらうかということについても人事局で決められるという理解ですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

山内議員 そのような理解で結構でございます。

 総務省の、行政機関の機構及び定員に関する機能、それから人事院の、級別定数に関する機能を、内閣人事局に一元化するという案でございます。

浅尾委員 政府案、大島副大臣に伺うのがいいんだと思いますが、今まさに副大臣もおっしゃいましたように、総務省にも要求し、また人事院にも要求するということは、権限と責任が分散するということになると思います。

 特に人事院の場合は、具体名を申し上げるといろいろあるかもしれませんが、時々というか、たまに内閣に対して反旗を翻すような方も出ないことはない。(発言する者あり)そこにその権限を持たせておくということがいいのかどうか。そんなことはないというふうにおっしゃいましたけれども、昨年そういう例もあったわけでありますから、そういうことを持たせておくのがいいのか、それとも一元化するのがいいのか。

 先ほどの答弁では、方向性としては一元化だというふうに言っておられたと思いますが、その点について、今申し上げましたように、権限と責任を分散させておくのがいいのか、一元化する方がいいのか、どういうふうに考えておられるか、副大臣に伺いたいと思います。

大島副大臣 浅尾委員が今御指摘になった点は、今後の基本的な議論の中で一つの解答が出ていくかなと考えております。ですから、この時点でこれを一緒にするかどうかの判断は、この議論を積み重ねる中で多分方向が出てくるのかなと考えております。

 今のこの指定号俸についても、級別定数とは違って、それほど多くのカテゴリーがないと承知をしておりまして、おおむね運用ができるかなと考えております。

 以上です。

浅尾委員 今回は六百人程度の方が対象の法改正でありますから、今おっしゃったように運用で対応ができるということかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、権限と責任を別のところに置いてあるメリットというものもあるかもしれない。そのメリットがあるとしたら、どういうところにそのメリットがあるというふうに考えておられるか、伺いたいと思います。

大島副大臣 なかなか、メリットとしては、難しい質問だと思いまして、それぞれのつかさつかさがそれぞれの職務に応じて忠実に仕事をしていただくということかなとは思うんですけれども、ただ、先ほど述べましたとおり、冒頭の、これは私の個人的な見解を述べさせていただいたんですけれども、今後の議論の中で、この点については一つの解が出てくるのかなと承知をしております。

 この程度までしか答えられないので、申しわけありません。

仙谷国務大臣 これは多分、私は公務員の身分保障と絡んでいると思います。公務員の身分保障をするために、その専門の、つまり人事院という存在がこの級別定数という管理の仕方で管理する。

 もう一つのメリットがもしあるとすれば、別の部署でやるということは、お手盛りを防ぐ、そういう作用が生まれる可能性があるというか、生まれることも含んでこういう形にしておるということだろうと思います。

田中委員長 浅尾君、時間が参りました。

浅尾委員 時間が参りましたので、多分六分までということですから、ここで終えたいと思いますが、申し上げたい点は、六百人の方々と、その先の大きな固まりを考えた場合に、いずれにしても、その一元管理がいいのか、それとも別にしてやっていくのがいいのかについて、はっきりとそのメリット、デメリットを明らかにしていかないといけないだろうと思いますし、今お話があった労働基本権その他については、少なくとも幹部職員についてはまた別の考え方があってもいいのではないかなというふうに私自身は思いますので、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。

田中委員長 次回は、来る二十八日水曜日午前九時から公聴会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時七分散会


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