衆議院

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第1号 平成22年8月3日(火曜日)

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本国会召集日(平成二十二年七月三十日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    泉  健太君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      打越あかし君    緒方林太郎君

      大島  敦君    岸本 周平君

      後藤 祐一君    笹木 竜三君

      園田 康博君    田村 謙治君

      高野  守君    津村 啓介君

      寺田  学君    中島 正純君

      中林美恵子君    橋本 博明君

      平岡 秀夫君    甘利  明君

      小渕 優子君    金田 勝年君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      橘 慶一郎君    中川 秀直君

      長島 忠美君    漆原 良夫君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

平成二十二年八月三日(火曜日)

    午後三時二十分開議

 出席委員

   委員長 田中けいしゅう君

   理事 井戸まさえ君 理事 大泉ひろこ君

   理事 小宮山洋子君 理事 松本 大輔君

   理事 村上 史好君 理事 井上 信治君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      石毛えい子君    泉  健太君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      打越あかし君    緒方林太郎君

      柿沼 正明君    岸本 周平君

      工藤 仁美君    後藤 祐一君

      笹木 竜三君    園田 康博君

      田村 謙治君    高野  守君

      津村 啓介君    寺田  学君

      中島 正純君    中林美恵子君

      橋本 博明君    平岡 秀夫君

      松岡 広隆君    甘利  明君

      金田 勝年君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (消費者及び食品安全担当)

   (経済財政政策担当)   荒井  聰君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   玄葉光一郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   内閣府副大臣       平岡 秀夫君

   内閣府大臣政務官     泉  健太君

   内閣府大臣政務官     田村 謙治君

   内閣府大臣政務官     津村 啓介君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月三日

 辞任         補欠選任

  泉  健太君     松岡 広隆君

  打越あかし君     柿沼 正明君

  園田 康博君     工藤 仁美君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     打越あかし君

  工藤 仁美君     園田 康博君

  松岡 広隆君     泉  健太君

    ―――――――――――――

七月三十日

 地域住民等による安全で安心して暮らせるまちづくりの推進に関する法律案(井上信治君外三名提出、第百七十三回国会衆法第一一号)

 死因究明推進法案(下村博文君外五名提出、第百七十四回国会衆法第三〇号)

 国家公務員法の一部を改正する法律案(井上信治君外六名提出、第百七十四回国会衆法第三二号)

 政府の政策決定過程における政治主導の確立のための内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出、第百七十四回国会閣法第一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 内閣の重要政策に関する事項

 栄典及び公式制度に関する事項

 男女共同参画社会の形成の促進に関する事項

 国民生活の安定及び向上に関する事項

 警察に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

田中委員長 この際、仙谷内閣官房長官、荒井国家戦略担当大臣・内閣府特命担当大臣、玄葉公務員制度改革担当大臣・内閣府特命担当大臣及び蓮舫内閣府特命担当大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。仙谷内閣官房長官。

仙谷国務大臣 内閣官房及び内閣府の事務を担当する大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。

 菅内閣の果たすべき使命は、政治、行政に対する国民の信頼を回復し、二十年近く続く我が国の閉塞状況を打ち破り、元気な日本を復活させることであります。

 菅総理の強力なリーダーシップのもと、全閣僚が一丸となって、強い経済、強い財政、強い社会保障の一体的実現などに政治主導で取り組み、無駄遣い根絶の一層の徹底や行政の密室性の打破など、戦後行政の大掃除を本格的に実施していくとともに、国民の皆様が現在と未来に対し希望を持てる社会づくりに全力を注いでまいります。

 内閣官房におきましては、新成長戦略の着実な推進を図るとともに、国家公務員制度改革などの喫緊の課題に対して積極的に取り組むほか、内閣の重要政策に関して総合的な観点から調整を行ってまいります。

 また、大規模自然災害、テロ、重大事故等の緊急事態などに対し政府一体となって対応できるよう、危機管理に万全を期するとともに、我が国の外交、安全保障政策の基礎となる情報の収集分析機能の強化や情報保全の徹底を期してまいります。

 内閣府におきましては、行政刷新会議を初めとする政治主導のための政策決定の仕組みを活用しつつ、各特命担当大臣のもとで総合的、戦略的に政策を推進してまいります。

 また、私の直接の担当分野でございます政府広報、栄典行政、国際平和協力業務などについても適切に推進してまいります。

 田中委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をお願いいたします。(拍手)

田中委員長 次に、荒井国務大臣。

荒井国務大臣 国家戦略担当大臣、経済財政政策、食品安全担当大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。

 我が国の景気は着実に持ち直してきており、自律的回復への基盤が整いつつありますが、失業率が高水準にあるなど、依然として厳しい状況にあります。また、海外景気の下振れ懸念やデフレの影響など、先行きの景気を下押しするリスクが存在しています。

 政府は、強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現し、我が国の閉塞状況を打破するため、本年六月に新成長戦略及び財政運営戦略を取りまとめました。

 新成長戦略の推進により、日本経済を本格的な回復軌道に乗せるとともに、デフレを終結させるよう政策運営を行ってまいります。特に、当面は、デフレからの脱却を喫緊の課題と位置づけ、日本銀行と一体となって強力かつ総合的な政策努力を行います。

 新たな需要と雇用の創造により、二〇二〇年度までの年平均で名目三%、実質二%を上回る成長を目指すこととしております。特に、二〇一一年度中には消費者物価上昇率をプラスにし、速やかに安定的な物価上昇を実現させ、デフレの終結を目指すこととしております。また、需要・雇用創出効果の高い政策、事業を重視して、需給ギャップの解消を目指すこととしております。

 財政運営戦略においては、新たな財政健全化目標を定め、その実現に向けた第一歩として、今後三年間の歳入歳出にわたる取り組みを盛り込んだ中期財政フレームを定めております。今後は、これらの戦略の着実な実行に内閣一丸となって取り組んでまいります。

 こうした取り組みとあわせ、新しい成長及び幸福度についての調査研究、GDP統計の充実も進めてまいります。

 国家戦略室の役割については、政治主導、官邸主導の強化、内閣全体のガバナンス強化を目指す体制づくりの一環として、その新しい機能等を検討しているところであります。

 次に、食は、私たち一人一人の生命、健康の維持に不可欠なものであり、食品の安全性の確保は、国民の関心も非常に高い、極めて重要な政策課題だと考えております。このため、国民生活の身近に存在する食品のリスクについて、科学的知見に基づき、消費者の意見にも十分配慮しつつ行政を進めていくことにより、食品の安全性を確保し、国民の信頼も得られるよう、精いっぱい尽力してまいる所存でございます。

 障害者施策については、障害者基本法の改正や障害者制度改革の推進体制について、必要な法整備のあり方を検討し、次期通常国会への法案提出を目指してまいります。

 あわせて、いのちを守る自殺対策緊急プランに加え、今般策定した薬物乱用防止戦略加速化プランに基づく取り組みを進めるとともに、食育、交通安全対策、犯罪被害者等施策などにも取り組んでまいります。

 田中委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をお願い申し上げます。(拍手)

田中委員長 次に、玄葉国務大臣。

玄葉国務大臣 公務員制度改革担当大臣及び「新しい公共」、少子化対策、男女共同参画を担当する内閣府特命担当大臣として、一言ごあいさつを申し上げます。

 公務員制度改革は、縦割り行政を排除し、政治主導による行政運営を実現することにより、国民のニーズに合致した効率的で質の高い行政サービスの実現を図るとともに、公務員の天下りに対する国民からの厳しい批判にこたえていく上で、大変重要な課題であります。

 このため、幹部人事の内閣一元管理や退職管理の一層の適正化を図るとともに、労働基本権のあり方の検討や定年まで勤務できる環境の整備など、公務員制度の全般的かつ抜本的な改革に取り組んでまいります。

 鳩山前総理が最も力を入れ、菅総理も引き続き重点的に取り組むことを表明されている新しい公共については、大胆な制度改革や仕組みの見直し等を通じ、これまで官が独占してきた領域を公に開くことを目指します。

 このため、新成長戦略に基づき、市民公益税制の具体的制度設計やNPO等を支える小規模金融制度の見直し等、国民が支える公共の構築に向けた取り組みを着実に実施、推進します。

 少子化対策については、子ども・子育てビジョンに基づき、バランスのとれた総合的な子育て支援策を推進してまいります。また、本年六月に取りまとめた子ども・子育て新システムの基本制度案要綱に基づき、幼保一体化を含めた包括的、一元的な制度の構築について検討を進めます。

 また、仕事と生活の調和については、このたび、政労使トップの合意により策定した新たな憲章及び行動指針に沿って、労使等との連携を図りながら、その推進に努めてまいります。

 男女共同参画について申し上げます。

 男女共同参画は国民一人一人にかかわる課題であり、職場、地域、家庭など、さまざまな場面で男女がともに活躍できるよう、しっかり後押ししていくとともに、男女共同参画のすそ野を広げていきます。あらゆる政策に男女共同参画の視点が反映され、女性がその能力を発揮でき、男性にとっても暮らしやすい社会が実現されるよう、力を尽くしてまいります。

 特に、本年は、新たな男女共同参画基本計画を策定する重要な年です。先般、男女共同参画会議から答申された基本的な考え方を踏まえ、実効性のある基本計画を策定してまいります。

 田中けいしゅう委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をお願いいたします。

 以上です。(拍手)

田中委員長 次に、蓮舫国務大臣。

蓮舫国務大臣 行政刷新を担当します内閣府特命担当大臣として、一言ごあいさつ申し上げます。

 行政刷新会議による事業仕分けにより、これまで国民に見えなかった予算編成の過程や独立行政法人等の政府関連法人の事業内容、これらを一つ一つ公開の場で確認し、国民によく見えるものにするなど、大きな成果を上げました。

 今後とも、こうした改革の取り組みを続行します。本年秋には、事業仕分け第三弾として、主に特別会計を中心に徹底した検証を行ってまいります。また、こうした事業仕分けを各府省の中に定着させていくため、国丸ごと仕分け、行政事業レビューの取り組みを一層推進してまいります。

 行政は、不断の刷新が肝要であり、真に透明、公正かつ効率的な行政を目指して、国民及び職員から引き続き意見を募り、行政全般の刷新に生かしてまいります。

 独立行政法人につきましては、すべての事務事業について、事業仕分けの結果等を踏まえ、抜本的な見直しを行うとともに、独立行政法人制度自体を根本的に見直すことを含め、制度のあり方を刷新してまいります。

 政府系の公益法人については、事業仕分け第二弾の評価結果を踏まえ、公益法人への支出や権限付与の見直し等を進めてまいります。

 これまで大きな岩盤に突き当たっていた規制・制度改革につきましても、新政権のもとで政治主導を発揮して、医療、介護、環境、農業等の分野において大きな成果を上げてまいりました。今後も、新成長戦略に関連するテーマ等を中心に、行政刷新会議のもとに設置をしました規制・制度改革に関する分科会等により、改革をさらに強力に進めてまいります。

 あわせて、構造改革特区の積極的な活用に取り組むとともに、新成長戦略に基づきまして、規制の特例措置及び税制、財政、金融上の支援措置等を一体として実施する総合特区制度の創設を検討するなど、我が国の国際競争力や地域力の向上を推進してまいります。

 公共サービス改革については、政権交代後、政務三役のコミットメントを強化するとともに、担当大臣がみずから改革対象の重点分野を選定することなどにより、改革を進めてまいりました。今後は、PFI等を含め、公共サービス改革法の範囲を超えた広義の改革をも視野に入れ、今般決定した基本方針に基づいて、行政刷新会議のもとに分科会の新設を検討するなど、さらなる改革に努めてまいります。

 PFI制度については、民間の資金や創意工夫を十分に活用し、真に必要な社会資本整備や既存施設の維持管理、更新を確実かつ効率的に進めるため、コンセッション方式の導入等の見直しを行ってまいります。

 新しい公益法人制度については、早期の公益認定等の申請を促すとともに、委員会と協力をしながら、柔軟かつ迅速な審査を実施し、民による公益の担い手となる法人を積極的に世の中に送り出すよう努めてまいります。

 公文書の管理については、公文書が民主主義の根幹を支える基本的インフラであることを踏まえまして、公文書管理法の施行に向け、公文書管理委員会でも御議論いただきながら、適切な管理体制の確立を図ってまいります。

 情報公開等に係る不服申し立ての審査については、国民の権利利益の迅速な救済が図られるよう、引き続き着実にその任務を果たしてまいります。

 田中委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をどうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。(拍手)

田中委員長 次に、古川内閣官房副長官、福山内閣官房副長官及び平岡内閣府副大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。古川内閣官房副長官。

古川内閣官房副長官 内閣官房副長官の古川元久でございます。

 田中委員長を初め、委員の先生方の御指導、御鞭撻を賜りながら、福山副長官とともに仙谷官房長官を補佐してまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

田中委員長 次に、福山内閣官房副長官。

福山内閣官房副長官 内閣官房副長官の福山哲郎でございます。

 田中委員長を初め、委員の先生方の御指導、御鞭撻を賜りながら、古川副長官とともに仙谷官房長官を補佐してまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

田中委員長 次に、平岡内閣府副大臣。

平岡副大臣 内閣府副大臣の平岡秀夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 経済財政政策、科学技術政策、行政刷新、国家戦略等を担当いたしております。

 関係大臣を支え、力を尽くしてまいりたいと考えておりますので、田中委員長を初め、理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

田中委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件及び国民生活の安定及び向上に関する件について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大泉ひろこさん。

大泉委員 民主党の大泉ひろこでございます。

 まずは、新大臣、新副大臣、御就任おめでとうございます。この難局に御就任なさいましたこと、祝福申し上げますと同時に、その勇気に敬意を表したいと思います。

 最初に、仙谷官房長官に二つほどお伺いしたいと思います。

 今マスコミでいろいろ取り上げられております国家戦略局でございますが、現実には国家戦略室でございますが、国家戦略局の今後の政府の中における機能についてお伺いしたいと思います。

 政治主導法が上程される中でございますので、今後も政治主導をリードする組織として国家戦略局があるかどうかということをまず教えていただきたいのと、もう一つ重ねて伺いますけれども、新成長戦略は国家戦略局の業務としてお進めになるかどうか、以上二つでございます。

仙谷国務大臣 昨年の段階の国家戦略担当大臣は、副総理である菅副総理でございました。菅副総理が、副総理としてなのか、あるいは国家戦略担当をあわせてなのかはともかくとして、なさった仕事は、まずは補正予算の大玉の調整、それから本予算の、マニフェストの大玉の総合調整をされたわけであります。それから、その過程で、新成長戦略の策定、さらには財政運営戦略の策定、中期財政フレームの策定、これを多分、戦略担当としても副総理としても行われた。さらに加えて、一つは、緊急雇用対策本部の本部長としても行われた。さらに、新成長戦略の策定会議の、これは議長だったと思いますけれども、あるいは鳩山総理が議長だったかもわかりませんが、それの策定を主導された。そして、一月に財務大臣になられて、そこは私にかわられたということであります。

 私は、その作業も引き継ぐと同時に、さらにEPAを総合調整せよとか、B型肝炎、これを要するに訴訟追行を総合調整しながら管理せよというようなことがあったわけでありますが、気がつきますと、これは、総合調整の仕事がこんなに総理の特命で戦略担当大臣にあればあるほど、我が国の戦略的な課題は何なのか、戦略設定をどうすべきなのか、戦略室の職員を動員しての作業が一体全体どうなるんだろうかというふうに私も考えておりました。菅副総理も、経験上、その時点でそう考えていらっしゃったと思います、財務大臣としてもそう考えておったと思います。

 私自身は、戦略担当をやっているときに、これは鳩山総理の特命として総合調整にいろいろ入ったわけでありますが、戦略担当大臣あるいは戦略室、戦略局の事務といいますか所掌として、そういう日々の現実の政策課題の総合調整ということに身を乗り出すことが果たして国家戦略室の課題というか任務として正しいのかどうなのかということは、現在も大変私も悩みながら考えております。経験的にもそのことを考えております。

 菅総理は、総理になられて、やはりここは総理直属の、戦略的な課題を考える、あるいは、そういうシンクタンク機能の方を重視したいというのが、彼が去年の春ロンドンへ行かれてイギリスのポリシーユニット等々をごらんになってきて、その結果ずっと考えてこられたことだと思います。

 今度は、非常に戦略的なテーマ、あるいは、戦略的に必要なことを総理の知恵袋として上げる部分を、主としてそこをテーマとして行うというのが、多分、今総理が考えられていることでございまして、それは、現在、政治主導確立法案として出されている戦略局の任務は経済運営あるいは税財政の骨格の基本方針の企画立案というようなところとまさに照応しているというふうに私は考えております。

大泉委員 大変御丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 ちょっと時間がございませんので、平岡副大臣に一問お伺いしたいと思います。

 今度の新成長戦略でございますけれども、これは二つのイノベーション、グリーンイノベーションとライフイノベーションによって推進されると思いますけれども、そのためには科学技術が国家戦略的に使われなければいけないというふうに考えられます。民主党のマニフェストでは、総合科学技術会議を改組して、総理を本部長とする本部組織にするということが約束されていますけれども、このことは、いつ、どのように着手されるのか、教えていただけますでしょうか。

平岡副大臣 お答えいたします。

 今、大泉委員御指摘のとおり、民主党の政策集、あるいは、かつて川端担当大臣の方からも、現在あります総合科学技術会議については科学技術戦略本部といったものに発展的に改組をしたいということでございました。これを踏まえて、六月に閣議決定いたしました新成長戦略の中で、科学・技術・イノベーション戦略本部というものをつくっていこう、今年度から来年度にかけて実施していこうという、重要な課題として位置づけているところでございます。

 できるだけ早く成案が得られるように努力をしたいと考えておりますけれども、必要な法案の作成、そしてその法案については国会の審議等がございますので、具体的なスケジュールを今お示しできるような状況にはございません。できるだけ早く頑張っていきたいというふうに思っています。

大泉委員 大変ありがとうございました。

 最後の質問になると思いますけれども、蓮舫大臣にお伺いしたいと思います。

 既に御発言の中にございましたけれども、改めて、今回新たに創設された総合特区という仕組みでございますけれども、これは今度の新成長戦略を推進する観点から、どういうふうに役立てていかれるかということをお伺いいたします。

蓮舫国務大臣 地域の責任ある戦略、あわせて民間の知恵と資金、国の施策の選択と集中の観点を最大限生かしまして、規制の特例措置を行うと同時に、税制、財政、金融上の支援措置等をパッケージとして実施する。そのことによって総合特区制度をつくり上げて、結果として、新成長戦略を着実に実行してまいりたいと思っております。

 今現在なんですが、七月二十日から九月二十一日まで、地方公共団体あるいは民間法人、NPO等、幅広く御意見、御提案を募集しているところでありまして、その募集して提案していただいた皆様方の知恵を勘案しながら、どういう形で迅速に、最大限効率的に新成長戦略をこの特区を使って進めていけるかを考えてまいりたいと思っています。

大泉委員 ありがとうございました。

 新大臣、新副大臣、なお頑張っていただきたいと思います。

 これで質問を終わります。

田中委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 新大臣、副大臣、御就任おめでとうございます。仙谷大臣には引き続き御指導のほどよろしくお願い申し上げたいと思います。

 この内閣委員会は、前国会、後半戦が非正常な状態で、はっきり言って、しり切れトンボで最後はよくわからないような状態で終わってしまって、こうしてちゃんと質疑ができるというだけでもよかったなと私は思っています、正直なところ。この状態が最後まで続くことを心から祈りながら、国会審議に臨みたいと思います。

 特に前国会では、仙谷大臣はもう本当に何度も答弁に立っていただきましたけれども、公務員制度改革は四十時間を超える質疑をした。参考人もやったし、公聴会もやったし、まあ、いわばフルセットでやって、最後が滑った転んだの強行採決だったんですよ。この法案は最終的に廃案になってしまったということです。

 そこで、玄葉大臣がテレビでよく発言されている中に、みんなの党と公務員制度改革の考え方の方向性は一致しているというフレーズがよく出るんですけれども、前回の法案はみんなの党と自民党共同提案。実は、これは正直に申し上げますと、自民党内でも合意を得るのは大変だったんです。共同提案に持ち込むまでには、それは党内のちゃんとした手続を踏まなければならないので、反対意見もたくさんある中で、私、行革の事務局長としてあの法案を取りまとめて、提出をさせていただきました。したがいまして、自民党としては、みんなの党と一緒に出したあの法案が自民党の決定だという前提で今後ともお考えをいただきたいんです。

 そうなりますと、さきの国会で自民党とみんなの党が共同提出した法案を民主党がのんでしまえば、これはそのまますっといくんですよ。そういうことなんですよ。

 そこで、大臣が言われる方向性の一致というところが一体どこなのだと。我々が一致していると唯一言えることは基本法のところですね。基本法にのっとってというところまで下手したら今回さかのぼってもう一回考え直さなきゃいけないものも多いと思うんですが、このままいきますと公務員制度改革というのは全然進まない。というのは、法案が廃案になった以上、工程表もつくり直さなければならないということだと思うんです。

 そこで、幾つかの点についてお聞きをしたいんです。

 給与制度の抜本改革、要するに給与カットに踏み込めるかどうかというのは、民主党さんのマニフェスト、国家公務員の人件費二割削減というのは、やはり人を減らして給与をカットするしかないというのはわかっていながらも、これは当時の仙谷大臣が発言されていたんですが、給与を下げればいいじゃないかみたいな議論は慎むべきだというような答弁もされておりました。給料をただ下げればいいとは我々は思っていませんが、しかし、下げることを考えておかなきゃ、二割というのは並大抵のことではできないんですよ。

 ですから、ここを本気で取り組むとなると、そこらあたりのところの給与の抜本改革にどのようなお立場で臨むのかということ、これが第一点。

 二つ目は、天下りの話は、先ほど予算委員会の質疑も聞いておりましたけれども、結局、何だかんだいろいろなことを言ったとしても、鳩山内閣では政務三役のあっせん、OBのあっせんというのはオーケーになってしまったんですよね、天下りのあっせんの中でも。これはもう間違いないですよ。政務三役のあっせん、大臣、副大臣、政務官がするもの、またOBのするもの、これは要するに今までの概念から取り除いたものですから、事実上の裏下りを許してしまったということ。民主党内にも、このことを問題視する議員の方々も大変いらっしゃると思います。

 ここで、自民とみんなの党では、裏下りを防ぐにはやはり刑事罰を科さなきゃいかぬのではないかというようなことを提案させていただきました。これも私は今後十分議論の余地があると思います。

 それと、三点目について。これは非常に大きなところなんですけれども、内閣人事局を国家公務員制度改革基本法どおりにつくるかつくらないかという問題なんですよ。我々が政府の法案は基本法違反だというふうに言い続けたのは、やはり人事院、総務省などの機能移管の問題なんですね。この機能移管の問題をどのように取り組むか。

 大きくこの三点、ここらあたりをやはり、法案を通していこうというのであれば、この方向性というものが一致している、方向性の中に入っているのかいないのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。

仙谷国務大臣 私は記者会見でもこの種の話を聞かれておるんですが、別にみんなの党さんだけが、最近声が大きいという感じはしますけれども、それからメディアの方がそれを大きく報道するということはありますけれども、公務員制度改革の対案は自民党さんとみんなの党さんが一緒になって出されてきた、だから別にみんなの党さんの専売特許でも何でもない、こういうふうに思っています。

 これは、今、平井議員がおっしゃっているように、どうしてもこの局面で通していかなければならないということを私は思っております。

 一つは、今、平井議員がおっしゃった中の最後の部分が大問題というか、ここを両党が協議できるかどうか。つまり、あの幹部人事の一元化を対象にした、我々の法案もそこを対象にしている、自民党も主としてというか、余分な部分があるのかもわかりませんが、結局、対象範囲をどうするのか。

 つまり、対象範囲を限らないで労働条件部分をさわろうとすると、これは基本権問題といいましょうか代償措置問題が出てくる。ということは、代償措置問題が出てくる範囲になってきたときに、その人事院の権限を一部、つまり賃金を主とする労働条件決定を担当する人事院の権限を半分、半分というよりも、もっと言えば三十万分の六百分だけ権限を持ってくるというふうな規定の仕方ができるのかどうなのか。つまり、そこがすぐれて前回の法案の中の最も悩ましい部分で、修正協議に入るについては、その範囲をどう限定するのかということが最大の問題だと思います。

 そこが、範囲について両当事者間の協議ができれば、三十万全部やるとおっしゃるのであれば、これは、みんなの党さんは、労働基本権を与えて、それで労働条件も低下させたり、あるいはリストラもやったらいいじゃないかみたいな大胆なことをきょうもおっしゃっていましたけれども、事ほどさように、労使協議を通じてそのことを実現するというのであれば、労働基本権を認める、つまり、労働基本権をどこまで認めるか、そしてそのことを法案上どういうふうに書くのか、そして労使協議というか労使交渉をするとすれば、政府の側の当事者機能をどこに持たせるのか。ここまでやらないと整合性のとれた法案にならない、こう思っております。

 そのことについて修正協議に応じていただけるのであれば誠意を持って協議に応じたい、こう考えております。

平井委員 官房長官ですから、担当大臣は玄葉大臣なのでこれは玄葉大臣に本当はお答えいただきたかったんですが、今の話は、要するに基本法の精神にのっとる、ここまでは合意できているわけです。そうすると、基本法に書いてあるとおりに内閣人事局をつくるのであれば、機能移管はするんですよね。ですから、そこの原点に返ってもう一回話し合うという必要があろうかと思います。

 官房長官は、公務員制度改革はさんざん答弁したのでその延長線の答弁なんですが、本当は大臣がかわったのでフレッシュな答弁が欲しかったんですね。要するに、一回仕切り直した上で、新しい、大臣は今度、政調の、政策決定の責任者でもあるわけですから、前回のいろいろな答弁を乗り越えて頑張っていただけると我々は思っていますから、先ほどの同じ問題ですけれども、玄葉大臣にお答えいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 平井委員から、ある意味、ぜひ話し合ってよりよい結論をという思いも込めたお話だというふうに思っております。

 よく記者会見で、みんなの党の公務員制度改革に対する考え方についてどう思いますかというふうに聞かれるものですから、みんなの党とは方向感が一致しているのではないか、こういうふうに答えているだけでございますので、それは自民党と共同提案ということであれば自民党さんも同じ考え方であると。ただ、内部ではいろいろな議論があるということも先ほど平井委員から教えていただきましたので、そこらあたりも、ある意味、時々実情も含めて議論させていただければというふうに思います。

 まず、どこがどう方向感が一緒なのかというのは、まさに方向感でありまして、私がみんなの党そして自民党の共同提案の法案を読んだときの最初の思いは、つまりは、まずは政治主導の、幹部人事を一元化するんだなと。若干の違いはありますが、若干と言っていいのかどうかという議論もあるかもしれませんけれども、基本的にはまずそこだな、そして給与カットは、労働基本権を与えて給与カットをしていく、あるいは給与交渉をしていくんだなと。まさに骨太のところは変わらないのではないかという思いで、方向感は一致しているということを申し上げたということでございます。

 その上で、二、三、お尋ねがありましたので申し上げますと、この一・一兆の人件費削減というのは並大抵のことではありません。おっしゃるとおりでございます。

 一つは、やはり給与の問題というのは避けて通れない。したがって、まずは給与の構造改革をしていく。そして定削、定員削減、あるいは地方移管、手当、退職金、こういった問題も当然対象にしていかなきゃいけないだろうというふうに思います。そして、大どころは、やはり基本権を与えて、そして労使交渉をするというのがまずは基本だろう。それ以外にできることがないかということを私のところで今検討しているということでございます。

 さらには、我々は天下りあっせんをやめました、確かに府省によるあっせんということかもしれません。ただ、これは先ほど申し上げましたけれども、そうはいったって、民主党政権になってできたことだと私は胸を張りたいと思っているんです。

 この出口のところは、ぜひ一緒に考えていただきたいと思うんです。本当に大リストラが公務員の皆様に対してできると自民党さんもお考えになられるかどうか。一定程度ならできる、退職金の積み増しならできるんじゃないかとか、希望退職を募れるんじゃないかとか、そこはまさに建設的に一緒に話し合っていくのがよいのではないかというふうに思います。

 あわせて、裏下りの監視。これは、先般我々は法案に用意をしておりました。しかし、このことについては、国家公務員法百六条の二と三と四にも書いてあります、三規制が書いてありますが、その監視の問題については、これは残念ながら廃案になっていますので、ある意味、監視機能が正式にないという状況をどうするのかということについても、今まさに検討しているところでございます。

 最後に、まさに機能移管の話がありましたけれども、これは、私は、我々がこの間提案したのは全体像の一部でありますので、全体像をお示しするというときには、今の財務省、総務省、人事院、そういったそれぞれの機能をどういう形で移管して新しい組織体制をつくるのかということを考えていくのは当然のことだというふうに思っております。

平井委員 きょうは時間が少ないので、本当にごあいさつ程度の質問ということでございますが、最後に、玄葉大臣、いろいろ今お話をいただきましたけれども、秋の臨時国会に法案を提出されるのか、それとも話し合いをしながら来年の通常国会を目指すのか。大臣としての工程表というか、イメージがあれば御答弁ください。

玄葉国務大臣 ここは、率直に申し上げて、労働基本権を付与するということになりますと、当然付与するんですが、先ほどの官房長官の話じゃありませんが、これは詳細な制度設計が必要なので、そうなると、そういった全体像の法案になれば、やはり秋の臨時国会はなかなか間に合いにくいというふうに思います。しからば、前回出した法案をそのまま秋の臨時国会に出すことが適切なのかといえば、恐らく、なかなかそれは話し合いがつかないのではないか。

 したがって、そこらあたりは、まさに平井先生などとも話し合いながら、公務員制度改革が完成するのにどういう形が一番よい方法なのかということも含めてしっかりと検討していきたい、そう考えております。

平井委員 質問を終わります。

田中委員長 次に、井上信治君。

井上(信)委員 自由民主党の井上信治です。

 きょうは、十五分と時間が大変限られておりますので、国家戦略局の機能縮小、格下げの問題について、仙谷官房長官、そして荒井大臣に伺いたいと思います。

 率直に申し上げて、選挙が終わってからの国家戦略局をめぐるさまざまな動き、わけがわからないんです、見ていまして。我々としても、真の政治主導を実現する、これは賛成ですよ。国家戦略局というものも、ちゃんと中身を精査して、ちゃんとしたものをつくっていく、これは賛成なんです。しかし、政権交代後、一年たっても法案がたなざらしされて、法的な権限がない。どうなってしまったんだと思っていたところに、参議院選挙後、いきなり格下げ、機能縮小という話が出てきたわけです。

 政府の閣僚の方とかあるいは民主党の幹部の方々、いろいろなことをおっしゃっています。私にはやはり一致した見解というふうには見えません。そして、お互いに批判も出ている。ですから、そういう意味では、本当のところはどうなんだということをやはり教えてもらいたいと思っています。

 菅総理は、いわば総理直属の提言機関、シンクタンクとしてやっていこうということ。しかし他方で、国家戦略ということですから、国家のさまざまな、税財政の骨格とか予算編成とか、そういったことに対してちゃんと方針をつくっていくというのがもともとの案だったと思うんですね。ですから、これは一体どっちなのか。

 先ほどの大泉委員の質疑におきましても、そこは照応はとれているというのが官房長官のお答えでしたけれども、これは一体、違うのか。違うのであれば、どちらでやっていくのか。あるいは、本当に照応がとれていて、いや、実は同じことなんですということなのか。これをちょっとわかりやすく、しかし、時間がないので簡潔にお願いいたします。

仙谷国務大臣 一時間ぐらい講義したいところでありますが。

 違うのかというのは、何と何が違うんですか。ちょっとその御趣旨がよくわからなかったんですが。

井上(信)委員 総理が言っている、総理直属の提言機関、シンクタンクとしての機能に変えていくんだというお話、それと、もともと民主党のマニフェストなりあるいは法案の中で言っている、国家の戦略をきちんとつくって、そしてそれを運営していくという、この話の違いです。

仙谷国務大臣 わかりやすく言えば、経済財政諮問会議型のボードがあって、その支えとしての戦略室、戦略局がある、それを主導する大臣を置く、このタイプでいくのか。総理直属の、総理のポリシーユニットというか、知恵袋的な、シンクタンクとしての方に純化していくのか。その方が戦略を描きやすいというか、描くことについて効果的なのか。こういう判断だと思います。

 菅副総理が戦略担当大臣をやったこともあって、先ほど申し上げたように、現実の政策の調整に、あるいは予算の調整に入ったというのが昨年の姿ですね。ことしも、私になってから、私、いっときは行政刷新と国家戦略を一緒にやっていました。要するに、自分でやっても、これはどちらの仕事なのかようわからぬけれども、とにかく総理からEPAをやれとか地球温暖化対策法案の総合調整をやってまとめろとか、いろいろなものが次から次に来たけれども、まあ、それはやろうと。それは、国家戦略室あるいは国家戦略担当大臣の本来の仕事ではなくて、実は鳩山総理の特命で、この問題については国家戦略担当大臣が総合調整の役割をしなさい、こういうことだったんだろう、あるいは、だったと私は考えております。

 国家戦略局は、もう一遍読ませていただきますけれども、マニフェストを読むと、「官邸機能を強化し、総理直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する。」と。「政治主導で予算の骨格を策定する。」というのの主語は、「官邸機能を強化し、」でありますから、官邸が、総理が、総理主導で、政治主導で予算の骨格を策定する。その作業の中に総理直属の国家戦略局が設置されて、国家ビジョンをつくって、総理が政治主導で予算の骨格を策定する、こういうことなんだろうなと思います。(発言する者あり)いや、そうじゃない。

 それで、この国家戦略局の法案を見ると、「経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」ということになっていますね。そうすると、例えば予算ということに特化しても、「予算編成の基本方針の企画及び立案」あるいは「並びに総合調整に関する事務」という部分は、一体全体、我々が具体的にイメージするどの部分なのか。

 例えば、国家戦略室の、あるいは担当大臣の職務として、私も行ったわけでありますが、財政運営戦略と中期財政フレームは、確かに、財政運営の基本、租税に関する政策の基本、予算編成の基本方針の企画及び立案というところが、中期財政フレームをつくったところまでは私はそうだと思います。そして、つくるについて、例えば各省庁間の御意見の違いがあれば、それを総合調整した、戦略担当大臣がしたということでありますから、それはこの条文に従ったことをやった。

 ただ、次に今度、概算要求に関する組み替え基準ということになってくると、これは予算編成の基本方針の企画及び立案になるのか、予算編成の基本方針じゃなくて予算編成そのものの企画立案になるのか、この辺は非常にその境目があいまいであるなというのが、この間の論議を聞いていて私が感じているところであります。

井上(信)委員 ちょっと相変わらず、本当に何をおっしゃっているか、私の理解力が悪いのかもしれませんけれども、わからないですね。

 要は、予算の骨格を策定する、やるかやらないか。では、荒井大臣、やるんですか、やらないんですか。

荒井国務大臣 私も、総理大臣補佐官として国家戦略担当の補佐官をいたしました。これは鳩山総理から指示を受けて、実質は、菅副総理の、国家戦略担当の大臣の補佐をするという業務をしておりました。大きな仕事は、今議員がおっしゃった予算の基本的な件でありますとか、あるいは総理から直接指示のあった件、大きな件を、菅副総理をお手伝いするという感じで仕事をしていたんですけれども、大変難しいポストでした。

 副総理の、国家戦略担当大臣あるいは国家戦略室、そういう機能が法定化されていないということもあると同時に、そこのところが上手に仕分けをされていないということが非常に難しい仕事の仕方になりました。どこが調整をするのが一番すとんと落ちるのかということに何度も何度も悩まされながら、暮れの予算編成や、成長戦略あるいは財政運営戦略をつくっていきました。これはやはり法定化しなければできないだろうなと思うと同時に、この法律自体も非常に難しい国家行政法上の法律の仕組みになるだろうな、そういう思いがありました。

 一方、総理になりますと、総理が直属で使える部隊、変な話ですけれども、直属でいつも、諮問をしたりというか相談をしたりとか、あるいはこういうものを少し調べてみてくれないだろうかということを直接言う部隊というのは、総理の部隊にはないんですね。全部、官房長官を通じる、あるいはほかの省庁を通じるということになって、直接、秘書官は別です、秘書官がその役になるんですけれども、そういう状態になっているのが官邸であります。

 ですから、官邸というのは、そういうこともあって、私は、官邸機能というのが弱体化する、あるいはなかなかきちっとした意思の決定ができかねていたんだろうというふうに思います。ですから、官邸機能の強化というのは、総理の判断の材料、あるいは決定する、そういうものを強化するということが私は一番必要なんじゃないかなというふうに思っておりました。

 そんなときに、もともと国家戦略局の発想は、総理と古川元久さんがイギリスへ行って、イギリスでポリシーユニットというのを見てきて、これが官邸機能を強化するためのキーの組織であるという認識で戻ってこられたわけでございます。

 私は、総理直属のそういうシンクタンク的な機能を強化する、そういう機能がやはりどうしても必要なんだろう、それをつくるとすると、国家戦略室あるいは国家戦略局がその役割を担っていくというふうに考えてございます。

井上(信)委員 申しわけないんですが、本当にお二人の大臣のおっしゃっていることが全く違うものですから、私はこれが食い違いだというふうに思うんですね。

 総理がおっしゃっている提言機関、シンクタンクとしてという方向で荒井大臣が今答弁されて、しかし、官房長官は、そうではなくて、予算の骨格についても何らかの形で携わっていくんだというお話でありましたので、やはりこれはよく詰めていただかないと本当に混乱してしまうと思いますよ。

 なぜそういうことになっているかというのは、荒井大臣がおっしゃったように、一年たっても法定化されていないからですよ。それがやはり鳩山政権、菅政権の一番の大きな罪悪ですよ。だからそうなってしまった。だから、そういう意味では、今継続審議になっておりますから、次の国会でぜひしっかりこの法案を審議させてもらいたいと思います。

 特に、官房長官、きのうの会見で、法案の審議について、この法案をやっていく、しかし一部修正の可能性もある、あるいは、ちょっととんでもないなと思うのは、成立させていただいた上で運用で何かやっていくみたいな話もありましたけれども、この法案の扱いについてどうお考えなのか、これだけ最後に聞かせてください。

仙谷国務大臣 現実には、今国会は大変期日が、もう実態的には審議をする時間もなかろうかと思いますので、何とか継続審議にしていただいて、その次の国会で成立をお願いしたいと心からお願いを申し上げます。

井上(信)委員 一部修正の可能性というお話をきのう会見でされたわけですから、そこについて、一体どういったことを念頭に修正ということを考えておられるんでしょうか。

仙谷国務大臣 先ほど荒井さんがおっしゃった話と菅さんが最近おっしゃっている話と、つまり、国家戦略局のイメージという意味でありますが、私がこの間申し上げていることと全くそごはありませんのですが、法案として今のままでいいのか悪いのか、これはまた別問題であります。

 それから、先ほど江田さんにも申し上げたんだけれども、江田さんのところからも法案を出していただけるということでありますし、法案までいかなくても、お考えや何かがあって、これは、この法案を通していただいて、まさに政務参事も含めて、あるいは政務調査員だったですか、要するに、民間から政治任用というかしようとしても、それは枠がないんですよ、そのための法案でもあるし、戦略局あるいは戦略局長の位置づけの法案でもありますので、ぜひこれは政治主導、特に内閣主導というか、内閣、官邸の負う本当の意味での政治主導で行うための機構づくりでありますから、これを何とか自民党あるいはみんなの党の皆さん方にも御理解いただいて、国会として成立をさせていただきたいと思います。

井上(信)委員 ありがとうございました。

 もう時間ですのでやめますけれども、やはり、法案修正の可能性があるということは、最初の国家戦略局の理念から変わってしまったということ、あるいはマニフェストから変わってきてしまったことだな、そんな印象を持ちました。いずれにせよ、次の国会でいろいろ質疑をさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美です。

 十五分、質問の機会をいただきました。

 まず、蓮舫大臣には大臣就任おめでとうございます。今までは行政刷新会議ということで国会でこうやって直接やりとりをすることができませんでしたので、大臣に御就任ということでやりとりをしていただけるということで、きょうは質問させていただくことにいたしました。

 今や国民的なヒロインでございますので、決して私は悪者になるつもりでここで質問に立たせていただいているわけではありません。大臣がいつも言っておられる無駄の削減あるいは疲弊した組織の改廃については、私ども決して反対をする立場ではないということだけ冒頭理解をしていただきたいな、そんなふうに思います。多分、十五分だと二、三回のやりとりで終わると思いますので。

 最初に、私は、蓮舫大臣が仕分けをされた、その仕分けのことについて少しお伺いをしたいと思います。

 多分、当初つけられた予算が適正に執行をされているのか、そしてその組織が適切に運営をされているのかというところで事業仕分けを始めていただいて、そのことがやはり国民に大きな関心と成果を上げてこられたんだと私は思うんです。

 ただ、一方で、国会議員の一人として、どうしても、そういった形でいくと、事業仕分けというのは政策決定の過程ではなかっただけに、そのことがどういう影響を及ぼすのかと今日まで見守ってまいりましたけれども、やはり長期的には政策に影響を及ぼしてきている。考えたら、今度大臣に御就任ですから、多分、これからは、政策をあるいは誘導しながら、政策決定にこの仕分けのことも考えていかれるんだろう、私はそんなふうに思うんです。

 そこで、大臣に少しお伺いをしたいと思うんです。

 どうしても、予算の適正執行というところからいくと、短期的な視線が少し否めないんじゃないか。やはり中長期的な視野で、政策なり日本の国の形を変える仕分けなり、政策決定がこれからは必要になってくるんだろうと思います。今度大臣に御就任ですから、多分、国会の場所での議論もこれからは必要になってくるんだろうと思いますので、一部、新聞で報道されておりましたように、広く人材を求めと言っている中に我が党の河野太郎議員も入っていたようでありますけれども、いろいろな立場の人から意見を聞きながら仕分けをする、そのことに対してやはり大臣として責任を果たしていくということについて、少し見解と覚悟のほどをお聞きしたいと思います。

蓮舫国務大臣 長島委員からの非常に前向きな御意見、あるいは、今後、いろいろな場面を通じて国会で審議をさせていただいて、いい御意見がありましたらお互いそれは歩み寄っていって、結果的に無駄を削減する、国民の皆様方から納めていただいた税金が本当にいい意味で使われていると信頼をしていただけるような政治を、行政をともにつくらせていただきたいと、まずもって、これは私からもお願いをさせていただければと思っております。

 まず、委員最初に御指摘をされました事業仕分け、恐らく、短期的な見方で一事業一事業の仕分けという部分を考えた場合には、中長期的にどういう形でつながっていくのか、この御懸念を持つのも当然だと思っております。

 ただ、去年の十一月に、政権交代を受けて初めて事業仕分けを行政刷新会議のもとで行わせていただいたときには、まずは情報公開、国民の皆様方に見える形で、予算が適正に執行されているのか、あるいは、皆様方が納めた税金が一体どういう形で何に使われているのかを見ていただく。さらに言えば、外部の方の仕分け人の皆様方の視点も盛り込みまして、民間並みのお金の使われ方に正していきたい、こういう思いもございました。

 事業仕分けは、先生御案内のとおり、廃止あるいは削るというのが目的ではなくて、お金がどのような形で適正に使われているか、その使われ方を目的よりも手段に着眼をして仕分けした結果を予算に反映していくというところが、その一つのツールだと私たちは思っているところでございます。

 去年の十一月の仕分けを受けまして、やはり独立行政法人あるいは公益法人、国のお金が、各省庁から一たんそういういわゆる天下り団体であるとか外部の団体を通じて、そして本当にその予算を必要としている方に行くまでに幾つか迂回をされているという経緯がありましたので、ここは正さなければいけないという思いで、恐らく、先生が御指摘された短絡的ではない、中期的な部分で仕分けをさせていただいている。そして今、各府省には、横ぐしといいますか、仕分けの結果で問題となったところ、あるいは正していただきたいところをまずは概算要求で反映させていただきたいというお願いをさせていただいております。

 秋には、特別会計を含めて、再仕分けも含めた事業仕分けの第三弾も予定しておりますので、ここから先は本当に国家戦略という形で、私たちが中心となって、あるいは、国会で野党の皆様方から前向きな御提言を入れていただいたものはぜひ取り組んでいきたいと思っております。

 なお、私自身は、河野太郎先生に仕分けを呼びかけたということは一回もないのですが、いろいろな部分でゼロベースで、いろいろな形があり得るということは否定はしないと思っています。

長島(忠)委員 仕分けの再検証もというふうに今お答えをいただきました。

 国民が、強い意思を持って仕分けをしておられる蓮舫大臣の姿勢にやはり大きな共感を覚えたことも一面確かなことだと思いますけれども、一方では、余りに強い意思で仕分けられたために、場合によっては夢を失いかねないところも実はあったんだろう、私はそんなふうに思うんです。

 ですから、中長期的な視野で、教育だとか研究、いい例が「はやぶさ」に例をされるJAXAとか、そういったものは率直にやはり反省すべき点は反省して、そして新たな制度を構築するということも私は仕分けという性格上必要なことなんだろうと思いますので、再仕分けということを今お答えとしていただきましたので、その辺もぜひ整理の一端としてお受けとめをいただきたいなと思います。

 時間がないので、少し次の質問に入らせていただきたいと思うんです。大臣には、選挙で大勝した方に少し耳ざわりな質問になるかもわかりません。

 参議院選挙、いろいろなことが言われながら、実は自民党が獲得議席では一番上位にランクをさせていただくことができました。民主党が敗れたことの中で、いろいろなことが原因として言われているようであります。例えば、菅総理が消費税について発言をされたこと、そして、その後そのことについていろいろなぶれた発言をしたことが大きな原因だったろうとか、小沢さんと鳩山さん、政治と金の問題についてやはり信頼を失ったことがこの選挙の結果につながった、いろいろな意見がやはりあるんだと思うんです。

 ただ、私は、自民党議員ということではなくて、地元を回って、私と同じようにあの地域で農業をしながら生活をしている国民の声として聞いたときに、昨年、自由民主党には鉄槌を下した、民主党に大きな期待をした、ただし、その期待を、いわゆるマニフェストという形で我々は信じたんだけれども、なかなかそのことを、約束を果たしていただけない。そして、十カ月過ぎたときに、そのことが財源というやはり大きな壁の中で実行できない段階にあるにもかかわらず、まだマニフェストを聖域に置いているのではないか、そのことは政党として誠実ではないのではないかという声を多く聞きました。

 ですから、私は、民主党さんが議席を大きく減らした要因の中に、やはりこのマニフェストということが一つ大きな要因としてあるんだろうと思うんです。私が自民党議員として言葉を言わせていただくとすれば、財源なきばらまき、このことが、国民に一回は大きな夢を見させたけれども、それは現実にかなうことのない夢であったということを国民の多くがやはりわかってしまったことだと思うんです。

 マニフェストのことに関して、蓮舫大臣の御見解を伺いたいと思います。

蓮舫国務大臣 かなえられない夢を掲げて総選挙を戦ったわけではないと私は思っています。

 去年の衆議院の総選挙が八月三十日にあって、政権交代を実現していただいて、あのときに掲げた民主党のマニフェストは、四年間かけて私たちがお約束をさせていただいたことを一つ一つ実行させていただく、その中で、財源も含めて、四年間かけて、工程表をお示しして、そして進めていくということを約束しました。

 今回の参議院議員選挙は、政権交代から八カ月半、九カ月弱たったところで、四分の一のところで一つ皆様方の御審判を賜りました。私は、私自身も候補者であったので客観的に評論をする立場にはありませんが、せっかくのお問い合わせですので答えさせていただくとなると、突然の総理の誤解を招く消費税の発言ももちろんあった。政治と金の問題ももちろん影響があった。普天間に代表される総理の指導力への不安というのももちろんあった。

 そして、それよりも、去年の夏に民主党に期待をした声にまずはこたえ切れていない、その中間評価として大変厳しい声をいただいたものだと私は思っていて、一つ一つを取り上げて、その一つ一つがだめだったから民主党が全面的にだめだったと国民の皆様方はまだ思っておられないと私は思いますし、その意味では、何が何でも民主党がずっと政権を担うということを実は私は思っていなくて、選択制、国民が選べる政治が民主主義だと思っています。

 自民党に匹敵するもう一つの政権交代可能な政党として、民主党は政権交代を訴えてきた。そして今回、国民の皆様方は、その中間、まさに参議院でねじれ。このねじれの結果を、自民党、民主党がどういう形で国民の声にこたえていくのか、次の総選挙でまさに大きく問われてくるところだと思っています。

長島(忠)委員 私が先ほど申し上げたように、私が回った国民の声として私は大臣にお伝えをしたつもりです。政治家の一人として責任を持つ覚悟というのがやはり国民には大きな信頼につながるんだと私は思うんです。

 きょうも予算委員会の質疑をずっと聞かせていただいておりました。例を挙げたら、子ども手当の問題で、上積みをするんだ、ただしその上積みについては現物支給になるかもわからない、形を変えるかもわからないという答弁をされていたように記憶をしておりますけれども、それは、民主党が掲げたマニフェストからいったらやはり変わるということなんだろうと、国民はですよ、私も含めて国民は理解をするんだと私は思う。

 だとしたら、マニフェストは聖域なんだそうですけれども、決して、選挙で公約をしたこと、我々はまだ、四年間かけてやる公務員改革の工程表も、先ほど聞いていただいたように、正直言って実は示されていないような気がする。民主党に期待した国民の声というのはもっと大きくて、やはり、かわったら、何か直接我々に与えてくれるはずだということだったと思うんです。そのマニフェストがこういう状況になったときに、率直に、そういうふうに小手先で、上積みはするけれども形は変えるみたいな発言をするんじゃなくて、マニフェスト自体を仕分けしたらどうかと私は思うんですよ。

 そのときに大臣は先頭に立っていただいて、約束のできる、実現のできるマニフェストにこの辺で、四年間国民に夢を与えて引っ張るよりも、ここで仕分けをして必要なことをやった方が私はいいような気がするので、仕分けをするのなら我が党も協力しますよ。その辺の御見解を聞かせていただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 国民に夢を与えて四年間引っ張るつもりは全くありません。私たちは、マニフェストはまだ実現可能だと思って、それに対する挑戦はあきらめません。その部分の手段の一つとして事業仕分けがございます。

 事業仕分けはあくまでも、国家予算、国民の皆様方が納めてくださった税金が行政で適切に執行されているのかどうなのか、天下り、わたりの団体に使われていないんだろうか、無駄な事業に今なお使われていないんだろうか、本当に意味のある使われ方をされているのかどうなのかをまさにチェックする手段として使っているわけであって、私の担っている事業仕分けは我が党のマニフェストを仕分けるためにあるものではないというのはぜひ御理解をいただきたいと思います。

長島(忠)委員 四年間かけてやるんだという言葉を余りにも答弁されています。ただし、責任として、国民に形を見せることはやはり必要なんだろうと私は思うんです。

 なかなか形が見えないから、何をやっているんだ、率直に、だまされたという声を言っている国民もいるわけですから、四年間かけて実現できないつもりはないんだ、必ずやるんだという意思は大臣の意思としてお受けとめをしましたけれども、やはり国民の声としてそのことは率直に受けとめて、我が党が鉄槌を下されたように、反省すべきところは反省をしながら、事業仕分けじゃないけれども、見直す先頭に立つ覚悟があるんだったら自民党もきっちり協力をさせていただくということを申し上げて、入り口の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は四大臣それぞれに質問をさせていただきたいと思っておりますが、先ほど来、国家戦略室また局の設置につきましてさまざま議論がございました。もしかしたら時間いっぱいになるかもしれません。御了承いただければと思います。

 まず、官房長官にお伺いいたします。

 参院選での民意で、ねじれ国会となりました。今後、野党とどのような姿勢でやっていかれるのか、内閣の方針を伺っておきたいと思います。

仙谷国務大臣 この話は、余り国会の運営について内閣の方がお話をすると、国会の運営に口を出すなという、大体そういうのが伝統的に国会の慣行のようでございますので、あくまでも個人的な意見としてお聞きいただきたいのでありますが。

 私は、野党の時代から、議運の理事をしておりましたときから、今や時代は、私の言葉で言えば熟議の民主主義という時代に入ってきた、したがって、与党も野党も、百五十日の会期を前提にして時間を人質にとるというか時間の攻防戦をやるという時代は終わって、もうそれぞれ国会で議論をやりながら新しい合意形成をつくっていくということに国会を変えなければいけないということをずっと申し上げてきたわけであります。

 それは、基本的に私は、ねじれようがねじれまいが、とりわけ参議院が、つまり政権をつくらせていただく衆議院と別の院が、政権をつくった与党と別の、与党以外の方々が多数を形成しようがしまいが、国会のあり方としてはそういう熟議で新たな合意形成をつくっていくということが一番大事だというふうに思っておるものですから、私どもも与党も野党も、ぜひそういう基本をモットーにしたいものだなと思います。

 私は、ねじれたときが二回、要するに、大きい法案の修正に参加というか関与させていただいた経験があります。金融再生法が、これは九八年ですから、ある意味でねじれておりました。それから、去年の消費者庁法案のときが、昨年でありますから、これも衆参ねじれておった。ただ、二〇〇六年の国会では、がん対策基本法を自民党、公明党さんと我が方で成立させていただいた。

 こういう経験がたまたまありますものですから、これは、国民世論の後押しがあって、そして国会で真剣に議論をすればしかるべき合意に到達する、そういう時代になっている。要するに、価値観がそれほど右と左に百八十度変わるような話ではないだけに、そういう法案やある種の政策が現在必要だということをそれに関与する党派の方々が決意して決断していただければ、必ず少々の差は幅寄せできて新しい合意ができるというふうに私自身は思っております。

高木(美)委員 これは、与党、特に内閣、そしてまた政党も一つというお話が当初あったと思います。

 私がなぜこう申し上げるかといいますと、例えば、今まで、法案の説明を求めましても、先ほど来話題になっております政治主導確立法案また国家公務員法、政務三役の内閣部会に対する出席は一切ありませんでした。必ず、そこで役人の方が見えて説明になるわけですが、これ以上は申し上げられませんとか、自分たちではわかりませんとか、そういうお話でした。

 今後は、国会に対しましても、当然これは国対も絡むお話でございますけれども、政府の方向として、また御意思として、丁寧に説明をなさる、こういう確認でよろしいんでしょうか。

仙谷国務大臣 多分、事前に公明党さんの部会に政務三役が出ていかなかった、こういうことをおっしゃっているわけですね、今の、部会にお見えにならなかったというのは。私、その辺の事情は全然わかりませんものですから。

 政務三役が手分けをして、与党、野党を問わず説明あるいは御同意をいただくために努力をするというのは、私は、やるべきかやるべきでないかということを一般論として言われれば、それはやった方がいいし、やるべきだと。あるいは、国民の皆さん方にもあらゆる機会をつかまえて説明をすべきだということであるということは私自身も思います。

 ただ、これは、絶対的な時間のもとでそこまでしっかりと時間が割けるかどうかというのは悩ましい話でありまして、うちは副大臣が来たけれどもこっちは政務官しか来ないとかいう話になってきたらまたまた紛糾の種になるのかなと思ったりもしますものですから、そこはある種、国会対策委員会とかこの委員会の理事さんにいろいろお願いをしなければいかぬなと思っているところであります。

高木(美)委員 それでは、丁寧な法案説明等をお願いいたします。

 続きまして、先ほど来話題になっております国家戦略室、局につきまして質問させていただきます。

 そもそも、今まで経済財政諮問会議を廃止してまで設置するとおっしゃっていたこの国家戦略局、いわば政治主導の象徴です。昨年の夏の選挙におきましてそのような流れを説明していらしたと思います。それをあえて縮小するというこの理由は一体何でしょうか。

 私は、申しわけない言い方ですが、荒井大臣が頼りないからということではないかと思っております。キャミソール大臣、このようによく言われておりましたけれども、そういう方に国家戦略を任せられない、こういう隠す意図があったのではないかと思います。いわば、国民から批判を受けて信用を落とした。

 大臣につきましては、秘書がというふうにおっしゃいますけれども、秘書が事務所のお金を個人的に流用すれば当然首になるわけです。処分は、また処罰はきちんとされたのか。

 私は、こうした事務所の経費の使い方につきましても原則をはっきりさせるべきと思いますが、この縮小された理由につきまして伺いたいと思います。

荒井国務大臣 ただいま私の事務所費問題について御指摘がございました。

 先般、私の東京の政治活動後援会については、四期、約六千万弱でありますが、そのうちの四十四万円、約十万円弱について私的な流用とみなされてもやむを得ないという件が法律事務所あるいは監査事務所から報告がございました。

 全体で約三千件以上の領収書の中で、そういうような領収書が十八件、うち十三件がコミックでありました。コミックは必ずしも私的なあるいは娯楽のものだというふうには思われませんけれども……(高木(美)委員「概要は存じ上げていますので」と呼ぶ)いやいや、質問されましたから私答えております。という事態でございました。

 この件に関しまして、私は、官房長官から厳重注意を受けましたので、調査をした結果、一部であっても私的な流用が認められたということで、修正申告をすると同時に、当該事務所のスタッフに対して厳重注意をしたところでございます。

 ただ、四期分のこの間、私は知事選に出ておりまして、実際は東京におりませんでした。そして、当該スタッフも公設秘書の身分ではありませんでした。したがって、厳しい監査というか管理状態に置くことができなかったのは私の一つの責めでもございますけれども、そういう状況にあったということを御理解いただきたいと思います。

 その上で、国家戦略室にかかわるものでございますが、今まで、国家戦略室の機能というのは必ずしも総理直属ではございません。担当大臣がいて、その担当大臣が直接指揮をとるという形をとっていて、総理直属の機能、機関という形ではございません。どんな政治権力でも、最終の意思決定者のところに附属している、あるいはその機能を助けるというのが私は最も強い権能を持つものだというふうに思っております。

 今回、菅総理から、総理直属のシンクタンク、セカンドオピニオンを出してくれるような、官邸にいるとよくわかるんですけれども、大体、各省庁は自分に都合のいいような、そういうものをいろいろと出してくるものであって、それが果たして本当に正しいのかどうかということを判断するすべがなかなかないものでございます。

 そういう意味で、この国家戦略室にそういう機能を持たせたいという総理の意図が今回の機能変更にあらわれているのだというふうに思います。

高木(美)委員 それでは、伺いますが、機能変更をされるのであれば、当然、今出されているこの法案は取り下げられて、また新しい法案を出されるということでしょうか。

荒井国務大臣 機能を付加することも含めた状況でございますので、それも含めて現在国家戦略室の機能について検討をしているというところでございます。

高木(美)委員 それでは、重ねてお伺いしますが、先ほど来、直属のシンクタンクというお話がありました。また総理のスタッフというお話もありました。では、なぜそれは総理補佐官では務まらないんでしょうか。この法案では五人から十人に拡充するとおっしゃっているではありませんか。しかも、経済財政諮問会議を廃止してまで今回この国家戦略局を設置するという話です。

 先ほど来お話ありましたが、今回のこの国家戦略局を置く、その事務の内容としては、「経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整に関する事務」、ここまで書いてあります。

 実は、経済財政諮問会議にプラスされている機能は、租税に関する政策の基本、総合調整、この二つは経済財政諮問会議にもなかったんです。それをあえて付加して、見える形で戦略局を置くという話です。しかも、経済財政諮問会議は、会議の内容が全部オープンでした。議事録等全部残っています。政策のプロセスが明確になっていました。

 今回は、まさに、総理のもとのスタッフということは、官房長官が「行政の密室性の打破」ということを先ほど来あいさつの中でおっしゃっていらっしゃいましたが、それに逆行することになるではありませんか。答弁を求めます。

仙谷国務大臣 先ほど、何かすべて一緒におっしゃられたんですが、五人から十人にふやそうというのは総理大臣補佐官の話であります。

 それから、国家戦略局の話は、内閣官房に国家戦略局を置く、そして内閣官房副長官を一人増員してもらって国家戦略局長に充てる、さらに国家戦略官をその下に置くということでございますし、さらに、国家戦略局の構成員に、民間からも採れるように内閣政務参事とかあるいは政務調査官を非国会議員として置きたいということでありまして、そういう形で、全体として官邸を強化して、官邸主導、政治主導の実を上げたいということであります。

 そして、もう一つは、この政治主導確立法案と言われているものの中には、内閣府設置法の一部改正ということで行政刷新会議を設置する、さらに税制調査会も設置する、こういうことでございまして、私どもが考えておりましたのも、そもそも、高木議員がおっしゃられたような、経済財政諮問会議型のものとして国家戦略局をイメージしたり想定したりしておるものでは全くありません。

 つまり、具体的な税の話は税制調査会で当然のことながら議論されて、そのプロセスは当然のことながら公開される、こういうことで昨年の税制調査会についてはちゃんとそのようにさせていただいたと思いますし、さらに行政刷新会議のプロセスも、これもすべてオープンにしておるわけでございますし、予算編成の過程も、これもその場を全部事業仕分けのようにお見せしたということではありませんけれども、それでもこれが密室の中で行われたというふうなことはありません。

 先ほどから申し上げておりますように、「経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、租税に関する政策の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案並びに総合調整」というふうに書いてあるわけでありますが、この点に関して、ポリシーユニット型でそういう事項について行うか、それとも、高木さんがおっしゃっておるように、ここにオープン型のボードをつくって、つまり、もっと言えば、行政刷新会議のようなボードをつくって、その事務局を担うのがこの戦略局というふうにするのか、戦略局の構成員そのものが、ここに言う政務参事とかなんとかを民間から登用したときに、その人たちが戦略局の会議を行うことを公開するのかどうなのかというふうな議論は、法律上は全く想定されていませんし、そんなことが書かれているわけではありません。

 それで、私どもは、ずっとこの八カ月、国家戦略の仕事をしてまいりまして、実は皆さん方が戦略担当大臣とか戦略局が行った仕事というのをどうもイメージされておるんですが、縮小というふうなことを言われるのはそういうことだと思うんですが、十五条の二項の二号に「前号に掲げるもののほか、第十二条第二項第二号に掲げる事務のうち内閣総理大臣が指定するもの」、この内閣総理大臣の特命で行ったものがどうも戦略局の仕事だ、あるいは戦略室及び戦略担当大臣の仕事だというふうにイメージをされているのではないか。

 したがって、戦略局自身を縮小するとかなんとかという話ではないということであります。

高木(美)委員 それは、官房長官、ごまかしではありませんか。これは鳴り物入りの、昨年夏の政権交代のときに、政治主導の目玉として経済財政諮問会議を廃止してやる、国会議員が主導して民意を受けてやる、こうおっしゃったのがこの国家戦略室ですよ、しかも局ですよ。

 これは、一番最初に、政治主導の理由説明の冒頭に、第一に国家戦略局を設置します、こう書いてあって、しかもマニフェストに、先ほど紹介ありましたので再び読み上げませんが、「政治主導で予算の骨格を策定する。」と書いてあって、それが今になって総理のシンクタンクで終わるというのは、だれがどう見てもこれは縮小というしかない話だと私は思いますが、委員の皆様もお聞きになってどういうふうに思われるか。私は、まさに政治主導の後退ではないかと。

 これは、官房長官、大事なところなんですよ。政権がどうかわろうがという話が先ほど蓮舫大臣からありました。というように、むしろこれは、やはり国会議員としてどう主導権を握っていくか、ここが一番大事なところなわけです。そこに国民は期待をして、昨年政権交代を果たされたわけです。

 ですから、当然、ここが一歩でも二歩でも後退するようなイメージではなくて、さすがだ、ここで中身の議論の様子もよくわかる、透明化されている、自分たちの意見もまたここに、意見のボックスに言っていけばいいんだというぐらいにオープンにされてしかるべきでありまして、それが後退ではありません、縮小ではないとおっしゃるのは、私は、それはとても国民は理解をしていただけるものではないのではないかと思います。

 重ねて、先ほど機能変更というお話も荒井大臣からございました。今回、機能変更されるのであれば、この中にあります、例えば総理補佐官との兼ね合いをどういうふうにしていくのかとか、そうしたところも当然そこにかかってくる話かと思います。

 総理補佐官でなぜ、五名から十名までふやします、それではシンクタンクは足りないのですかという、これももう一つ質問をまずさせていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 官邸主導の政治主導をやるためには、総理補佐官の場合には、これは国会議員の場合もございますし、民間の方々でも十分でありますけれども、それでは不十分だ、やはり戦略局の中での議論というものが重要だと。

 多分、戦略局の中にも、担当補佐官と先ほど荒井さんがおっしゃっていましたけれども、そこが加工するといいましょうか、関与して練り上げて、その中での、ポリシーユニットでの提言とか意見とかというものを総理に上げていく、こういうことになるんだろうと思います。

高木(美)委員 それでは総理補佐官とそんなに大きな差はないのではないですか。なぜあえて、総理のシンクタンクなのに、そこに大臣という名前で置く必要があるのでしょうか。

仙谷国務大臣 それは、リーダーシップ、つまり、戦略局の議論の取りまとめといいましょうか、あるいは問題提起、リーダーシップのために戦略担当大臣を置くという決断をその時点での総理がされれば、戦略担当大臣を置くということになるんだと思います。

高木(美)委員 大変苦しい答弁を伺いました。

 それでは、今後、だれがどうやって目に見える形で国家戦略を練り上げていかれるのでしょうか。先ほどありました新成長戦略のフォローアップ、これも、では、だれがするのか。そしてまた、さまざま、もとより、おっしゃっていた省庁縦割りから省庁横断の、官邸主導の国益を目指している、こういう状況だったはずです。これが国民に全く見えない形で政治主導が行われる、官邸主導が行われる、おかしいとお思いになりませんか。

仙谷国務大臣 やはり、皆さん方にも高木先生にも大変誤解があると思うんですね。

 成長戦略のフォローアップ、こういうふうにおっしゃいましたよね。だけれども、成長戦略策定会議を当時の副総理、戦略担当大臣である菅さんが主宰をされて、私が引き継いで新成長戦略をつくりました。この執行をまさか戦略局が担うということにはならないことは、よくおわかりいただけると思うんですね。(高木(美)委員「それはそうですよ」と呼ぶ)それはそうですよね。

 ということは、今フォローアップとおっしゃられたけれども、フォローアップも何も、それは戦略局で今度は、PDCAを回してCを戦略局がやるという話には多分ならない。戦略局は、改めて成長戦略、もちろん、どこかで総括が出てきたときにそれを踏まえて新しい成長戦略を考える。こういうふうな成長戦略を考えるということを総理に直言あるいは進言するということになるんでしょうけれども、成長戦略を執行するのは、これは別の部隊をつくらないとできません。私は実感としてそう思います。

 戦略局の仕事でそんなことをやっていたら、戦略局は戦略を考えるというところに行かないことは間違いがないと思います。執行は執行で別の部隊を、それは内閣官房につくることも十二分にあり得ると思いますけれども、あるいは内閣官房が各省庁の部局を束ねて行うような組織をつくるということもあり得ますけれども、多分、戦略局の仕事はそこまで踏み込んでいくわけではないんだと思います。それが、今の戦略局の規定の仕方で「基本方針」というふうに書いてあるところがそういう意味だと私は思っております。

高木(美)委員 作成をして、そしてその後、当然フォローアップというのがありますね。これを別部隊でやるというお話ですが、ただ、この新成長戦略の中身を拝見しますと、まさに菅政権の、今後どうなっていくか、また日本国がどのようになっていくかという重要な政策があります。

 したがいまして、そこには総合調整というのも、フォローアップにつきましても当然進めなければいけないという話だと思います。別部隊をおつくりになるかどうかというのはともかくといたしまして、それは単なる新成長戦略の話ですから、そうではなくて、私はもっと根幹の国家戦略、これもやはり国家戦略室、局、どこでやるんですか。

仙谷国務大臣 私は、ある意味で、日本の戦略課題をある種情報収集して、いろいろな御意見を聞いて、それを総理に直言というか進言する、あるいは問題提起するということを戦略局がやることが本務であるとするならば、余り国会で、説明に来ることもやぶさかではないんですが、延々と国会で時間をとられるようなことをあわせてやるような大臣とか、私がこの間の国家公務員法の改正案で毎日のように国会で質問をお受けする、それはそれで大事な仕事なんだけれども、これは戦略の仕事はほとんどできなくなります。

 あるいは、もっと言えば、現実の地球温暖化対策法案取りまとめの総合調整、EPAの総合調整、何とかの総合調整ということを戦略担当大臣の仕事にした瞬間に、国家戦略とは何なのか、今の戦略的課題を我々がどう設定するのかというふうな議論をするのは、現実には不可能になります。これだけは御理解をいただきたいと思うんです。

 そんなに人間は、二十四時間寝ないで、何日間もぶっ通しでできるなんという話にはなりません。例えば、私が国会で質問をされるということになれば、これはお気の毒なんだけれども、当時の戦略室の職員はほとんど毎晩徹夜で仕事をされておりました。ということは、本来の戦略の仕事、戦略的課題を考えたり情報収集したりする仕事というのはほとんどできなくなるんですよ。

 そこは、私は、現実の政治課題の総合調整などということをやらない部署があることが必要だというのが、むしろポリシーユニットであり、戦略室であり、戦略局ではないかというふうに考えております。

高木(美)委員 官房長官のお話、よくわかりました。

 そうしましたら、総合調整をされない戦略局であれば、やはりこれは法案を一回取り下げていただいて、もう一回その点をしっかり盛り込んでお出しいただくことをお願いしたいと思います。先ほど、大臣がとられて大変だというお話ありましたが、そのために官房副長官を一人充てて国家戦略局長にするという、それが法案の内容なわけですから、その点をよく含んでいただいて、再構築をお願いしたいと思います。

 あわせまして、この法律とセットでした国会法につきましても、私は取り下げるべきであるということを最後に主張させていただきます。

仙谷国務大臣 ぜひ、改めて高木先生にも皆さん方にもお願いしたいのですが、現実の政策の総合調整をやるのはいかがなものかということを私は言っているんです。法案に書いてあるのは、要するに、基本方針の企画立案、総合調整であります。基本方針というのは、まさに基本的にはこういうふうに考えるべきだ、こういうことでありましょうから、私は、高木先生が言うように、そこを修正にかけるかどうかというのはこれから相談をさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 最後に、官房長官にお願いですが、先ほども申し上げましたように、やはり政策決定のプロセスがはっきりわかる形にお願いをしたいと思います。それはもう国民の皆様にしてみれば、企業、団体、それぞれそうですが、政府が何を考えているのか、どういう方向に行くのか、委員会の質疑を聞かなければわからないというのではなく、やはり決定される間のプロセスの明確化を最後に求めまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 二大臣の方、大変申しわけありません。蓮舫大臣、玄葉大臣、今後ともよろしくお願いいたします。

田中委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 十分ですので、端的にお答えいただけるとありがたいと思います。

 まず、公務員制度改革、これはもう論点はほぼ明らかになってきていると思いますが、基本的には、公務員制度改革をやるに当たって二つの考え方があろうかと思います。一つは幹部公務員、天下りで言われる幹部公務員と、それから一般的に数の多い公務員と分けて考えたいと思いますが、一般的に数の多い方からお話をさせていただきたいと思います。

 ここでの論点は、再三この委員会でも申し上げてまいりましたけれども、今の国、地方の平均の人件費、平均にどれぐらいの意味があるかという部分もあるかもしれませんが、これが一千四十七万円であり、九百三十三万円であるという数字。そして、そういうふうになっていることはいろいろな人事制度の課題があるわけでありますけれども、それを変えていくに当たっては、やはり労働基本権を付与しなければいけないと。

 そこについては、多分、もう既に考え方の上では合意ができているんだと思いますが、まず第一点、ちょっとその考え方の確認をさせていただきたいと思いますので、官房長官並びに玄葉大臣に、先ほど申し上げました平均で一千四十七万円という国家公務員の数字、あるいは平均で九百三十三万円という地方公務員の数字は他の産業と比べて高いと思うか安いと思うか、端的にお答えいただきたいと思います。

仙谷国務大臣 これは、多分、諸経費も含めて、私がこの十五年、二十年ぐらい、例えば新たな役所をつくるときに、例えば消費者庁なら消費者庁、あるいは金融再生委員会なら金融再生委員会、調べた記憶からすると、目の子で大体一人一千万見当で考えればいいと。

 これは、給料だけとか、あるいはそれに福利厚生も含めた人件費だけとかというんじゃなくて、建物の建築費とか備品とか、日常の運営に係る経費含めて、予算として大体職員一人一千万ぐらいで計算すると日本の中央政府の運営経費が出る。だから、例えば二百人の新たな部署をつくる、新たな役所をつくるというふうに考えると、二百掛ける一千万ですから二十億円ですね。二十億円ぐらいの予算をつければ専任の役所、部局ができて、運営ができる、大体そんなふうには私はずっと見ておりました。

玄葉国務大臣 一般の公務員の給与が高いか低いか……(浅尾委員「平均人件費です」と呼ぶ)人件費が高いか低いかということでありますが、まさに九百万とか一千万という数字は退職金などを入れた数字だと。モデル給与だとたしか六百万とか、そんな感じだと思います。

 率直に申し上げて、さまざまな評価はあろうかと思いますが、私たちは、総人件費、四年間で一・一兆削減するということを申し上げています。その際は、定員削減のみならず、給与にも当然、労使交渉でカットするということを入れているわけですから、私たちの評価としては、給与カットすべきではないか、そういう認識です。

浅尾委員 確かに、その給与あるいは退職金、共済年金をいただくそれぞれの立場からすれば、それは貴重な給与であり、貴重な退職金であり、貴重な共済年金であるということは間違いないと思います。

 ですから、これをいたずらに下げるということ自体が自己目的化するということについては、私もそれはいかがかなというふうに思いますが、一方で、さきの参議院選挙でも、財政が厳しいということが言われている中で増税論議も出てきた。では、普通の民間の会社が値上げをする前に何をするかといえば、まず社長の給与を減らし、役員の数を減らした上で、従業員にも御協力を求めるというのがごくごく当たり前の道筋なのではないかと。

 では、そういうふうに考えた場合に、果たして産業別で一千万を超える産業が、これは人件費ですから当然その会社側が払う福利厚生費も含めた、あるいは退職金も含めて平均一千万を超えるところが、それでは官房長官、先ほど余りはっきりとお答えいただけなかったので、あるとお思いですか、ないと思いますか。

仙谷国務大臣 したがって、玄葉さんがおっしゃった六百数十万の平均賃金額が高いか安いかと。(浅尾委員「コストでは平均一千万です」と呼ぶ)コストは。だから、それを絶対額として高いか安いかというのは、まさに私がいつも申しておる、国民から感謝をされる、喜ばれる公務員であるかどうかによって決まってくるのではないか。

 我々衆議院議員、参議院議員の歳費やあるいは文書通信交通滞在費、これが絶対額として高いか安いか。きょうも、先ほどの予算委員会で共産党の笠井さんが、日産のゴーンはこれぐらいで、ソニーの何とかはこれぐらいだという、それでもアメリカに比べたら二けたあれば絶対額としては安いわけでありますから、絶対額として高いか安いかというのは、私は、その公務員の働きによる、こういうふうにまず思います。

 私は、今浅尾さんがおっしゃったことで一つ首肯できるのは、さはさりながら、この財政状況の中で、まさに国債を発行してもし賃金というか給与を支払っているということになり得るとすれば、それはお互いに辛抱をしていただく、辛抱をしなければならない。それは期間限定なのか、あるいは当分の間なのか、そういうことがあり得なければならない。

 ただ、公務員問題の難しさは、給与法定主義という原則がありながら、しかし、これは民間の会社でも同じですが、一方的にあしたから賃金を何割カットするということを通告しただけでそんなことができるのかという問題が近代社会にはある。このことが大変悩ましい問題である、こう思います。

浅尾委員 時間が非常に短いので。

 今官房長官が言われたように、一方的にという形にしないためには、労働基本権を付与し、そして労使交渉の上で合意を得ていくということが必要だと思うんです。本来は、その労働基本権付与ということについてのタイムスケジュールを伺おうと思って、来年の通常国会までにはその法案を出すということでありましたので、タイムスケジュールを伺おうと思ったんですが、時間の関係で次の質問をさせていただきたいと思います。

 労働基本権を付与しなくても、政府が行う調査については、調査対象がおかしければ調査対象を変えるということは法律を改正しなくてもできるわけでありまして、現在、公務員の退職金を調査するときに、いわゆる退職金だけを調査対象にすればいいものを、退職金に加えて、企業年金を一時金でいただいた場合も調査対象にしている。これを調査対象から外すのは法改正は要りません。

 なぜそれを外すべきだと私が思うかといえば、公務員の共済年金には職域加算という民間には存在しないものがあって、これは一般的に考えれば、企業年金とほぼ同等だというふうに考えれば、まあ同等以上かもしれませんが、調査対象をいわゆる退職一時金だけにすればいい。その結果、急激に、例えば来年度退職される方の退職金が四割減になるということは社会通念上困るということであれば、そこは、実際の数字はこうだけれども、何年間かの暫定措置においてならしていくというのがあるべき姿だというふうに思います。

 その点について、そうすべきだということも私の方から提言をさせていただいて、玄葉大臣からお答えをいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 これは昭和六十一年に設けられたんだそうですね、この職域加算制度というのは。そして、人事院によれば、平成十八年に公表した数字によれば、いわゆる民間と均衡が図られていると。今、浅尾委員の意見は、そのもととなる数字をきちっとしなさい、こういうことだと思います。

 私も、公務員制度改革の担当になりましたので、さまざまな議論を最近聞いております。

 率直に申し上げて、この問題については、年金の問題でもあるということ、公務員制度改革全般の問題でもあるということ、そして総人件費削減全般とも関連するということもありますので、私としては、問題意識を持ってこの問題を検討していきたい、そう考えております。

浅尾委員 時間が参りましたので終わりますが、いわゆる二重支給部分を一重支給にするだけで、単年度ベースで一兆五千から一兆八千億円のお金になる。これは二重をやめるだけですから別におかしな話ではないということだけ申し上げさせていただいて、質問を終えたいと思います。

田中委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 政権交代以降、内閣官房報償費、いわゆる官房機密費の問題について取り上げてまいりました。新任の仙谷官房長官にもこの官房機密費の問題について伺いたいと思っております。

 この間、野中広務元官房長官や、あるいは鈴木宗男元官房副長官などの証言が大きくマスコミでも取り上げられているところでございます。

 それとの関係でまずお聞きしたいんですが、鈴木宗男衆議院議員が、先日のTBSの番組におきまして、一九九八年の沖縄の県知事選挙での官房機密費の使用について証言をしておられます。小渕内閣の官房副長官の時代に沖縄知事選挙の稲嶺陣営支援のために官房機密費を三億円使ったと聞いていると証言をしておられます。

 まず最初にお聞きしますが、そもそも、この内閣官房報償費、官房機密費を選挙に使うということ自身が許されることではない、違法なことだと思いますけれども、まず仙谷長官の認識を伺います。

仙谷国務大臣 私は、鈴木宗男議員がそのようなことを伝聞の伝聞のような格好で言われたというのは耳に挟んでおりますけれども、そういう私どもが確認できない事実を前提にしてお話しすることは差し控えたいと思います。

塩川委員 そもそも、官房報償費の使途として、選挙に充てること自身がどうなのかということについての認識はいかがですか。

仙谷国務大臣 官房報償費というのが存在が許されるとすれば、その点についてもお答えをしないということになろうかと思います。

塩川委員 従来の自公政権時代以来の答弁と同じなわけですけれども。

 この問題がかつて、二〇〇一年に報道されたときに、我が党の赤嶺政賢衆議院議員を初めとして、沖縄選出の四人の国会議員が声明を出しました。その中でも、国民の血税が一候補者の選挙資金に投入されていたとすれば民主主義への冒涜であるとして、その疑惑を否定する根拠を県民や国民に説明する責任があると強調したけれども、まさにそのとおりだと思います。この件につきましては、二〇〇一年当時も、毎日新聞やあるいは琉球新報が、官房機密費として一億円以上が支出をされたという政府関係者の証言を紹介しているところであります。

 こういった経緯のある沖縄県知事選挙における、官房機密費が使われたという件について、改めて調査をしようという考えはございませんか。

仙谷国務大臣 さっき塩川議員が証言という言葉を使われました。証言というのは、私にとっては裁判所で宣誓をした上で行う供述が証言という言葉でありまして、テレビカメラの前でもし何かおっしゃったとしても、それは証言でも何でもございません。そしてまた、そのことを前提にして何らかの認識を組み立てるということもできないと思います。

塩川委員 鈴木議員の話で、この三億円という額について、官邸にいた人と確認したとこの番組でも話をしておられます。当時のマスコミ報道でも、沖縄問題を担当していた政府関係者が知事選の最中とその後に官邸から報償費が稲嶺選対に注がれたと聞いた、間違いない、稲嶺選対のごく限られた人は知っていると語ったと報じられています。これは二〇〇一年のころの話ですけれども。

 そのときに、国会におきましてもこの問題が取り上げられまして、当時、小泉内閣のときの福田官房長官が、その質問を踏まえて調査を約束しているわけです。

 ですから、その当時でさえ調査ということがあるわけですから、政権がかわって、襟を正してと、もともとこの官房機密費についての透明化を求めておられた民主党の仙谷長官であるわけですから、そういう点でも、改めてこの問題について調査をする、小泉内閣の福田長官が調べたような、結果はどうだったかは別にしてみても、調査をすることというのはなぜできないんですか。

仙谷国務大臣 当時の福田官房長官は、調査をされて、どういう調査結果が出てきたんでしょうか。

塩川委員 質問をしているのは私であります。

 不適切な使用は見当たらなかったという答弁でありますけれども、それはそのときのそういう判断でありました。

 しかし、改めて、政権がかわって、こういう問題についてクローズアップをされてきているときですから、仙谷長官として、前の政権とは違ってしっかりと調査をするということは言えるんじゃありませんか。

仙谷国務大臣 官房長官のところには調査する手だてはありません。

塩川委員 二〇〇一年の当時の福田長官も、結果とすれば不適切な使用は見つからなかったということであっても、関係者の話を聞いたということはしたわけですから、今の鈴木宗男議員の話にもありましたように、官邸にいた人と確認をしたという話でもありますから、そのことを含めてやるべきことはやれるはずだ。そういうことも行わないということ自身に、情報公開に当たっての民主党の姿勢が厳しく問われてくるんじゃないでしょうか。

 この問題というのは、別の重大な疑惑にもつながっているわけです。この三億円の出所というのが、いわば、外務省にあります報償費、外務省機密費の官邸上納分ではないのかという問題であります。

 もともと、この三億円という金額自身も大変大きいものですが、官房長官取り扱いの官房機密費というのは年間十二億円であります。大体、歴代見ても、ほとんど使い切っているわけですけれども。そういった中で、三億円の額がまとまって出ること自身にも、官房機密費の枠ではなくて、九八年当時、実際に行われていた外務省からの機密費の上納分だった可能性というのはあるわけです。

 外務省機密費の上納分が機密費として沖縄の知事選挙に投入されているとしたら、そういう意味では二重に不正な資金によって、もともと上納そのものが財政法違反に問われてくるわけですし、民意をゆがめる形で、国民の公金、税金が特定の選挙の陣営につぎ込まれるということ自身許されないという点でも、こういった疑惑について、この問題については、この一年間での官房機密費と外務省機密費をめぐる質疑の中で、外務省においての調査ということは行われたわけですけれども、官邸においての調査ということは行われてこなかったわけですから、こういう疑念、疑惑が生まれているときに、官邸としてこの外務省機密費の上納問題についてしっかりと調査をする、官邸自身が調査をするということも今改めて行うべきときじゃないでしょうか。

仙谷国務大臣 多分、松尾元外務省要人外国訪問支援室長による公金横領事件というのがあって、外務省の報償費が総理大臣官邸の外交用務に使われていたとか使われていないとかという話があったように私も記憶いたしますけれども、そのことも含めて、調査をする、調査と簡単におっしゃるけれども、調査をする手だては全くありません。

塩川委員 関係者に事情聴取するということもしないんですか。

仙谷国務大臣 だれが関係者であるか、私にはわかりません。

塩川委員 この間お話の出ているような、例えば野中元官房長官や鈴木宗男元官房副長官も含めて、こういう関係についていわば証言をされている方についてしっかりとお聞きするというのはどうですか。

仙谷国務大臣 おっしゃるように、沖縄の関係で野中元官房長官が何かおっしゃっているんですか。私それは全然存じ上げません。

 私が目にしたのは、何かジャーナリストにお金が渡ったとか渡らないとかというのは雑誌で、週刊誌か何かでちょっと拝見をいたしましたけれども、沖縄関連でどうのこうのと、直接自分を行為者としてお話しされているようなことは、そういう間接性のところでもありませんし、さっき申し上げたように、その種のものを前提にして調査をするという手だてもなければ、私はそういう性質のものではないというふうに考えております。

塩川委員 手だてがないというか、する気がないということなんだと思いますが、この官房機密費の使途の問題については、何も過去の話ではなくて、民主党政権交代以降の対応の問題でも問われてくることじゃないでしょうか。

 沖縄では繰り返し選挙において官房機密費が使われているのではないかという疑惑というのは今も指摘をされておりますし、国会でも追及されてきているわけです。国会で取り上げた議員の中には、民主党の沖縄県連の責任者だった喜納昌吉前参議院議員も含まれているわけであります。

 喜納議員が紹介しているのが、六月一日の参議院の外交防衛委員会では、沖縄では名護市長選挙や石垣市長選挙で自民党支持候補の選挙対策に官房機密費が使われたといううわさがあるんですね、普天間基地移設先の候補地として挙げられたうるま市や徳之島の議員を官邸に呼ぶための経費として使われたとか、徳之島の議員を銀座で飲食させるために使われたとか、さまざまなそういううわさが飛び交っているという話も実際に委員会で取り上げているわけです。

 沖縄では、この九月に統一地方選挙が戦われる、また十一月には知事選挙が行われるわけです。喜納前議員は、選挙に限らず、普天間での地元工作費として官房機密費が使われている疑惑も指摘をしているわけです。

 地元紙の琉球新報は、米軍普天間飛行場の移設候補地としてうるま市の勝連半島沖埋め立て案が検討されている件で、同市議会議員四人が二十一日夜、平野官房長官と都内のホテルで面談していたことが二十四日までにわかった、関係者によると、平野氏からは同案の受け入れについて他の市議を説得するように依頼があったという、基地を受け入れた場合の地元への経済振興策や漁業補償などについても話題に上がった、市議の渡航、滞在にかかる費用は平野氏が持ったと報じているわけです。

 こういった、うるま市議の上京費用ですとか滞在費に官房機密費を使ったのではないのかという指摘が出されているわけですし、身内の民主党の議員からもこの問題についての指摘がある。この一年間において普天間移設にかかわって官房機密費を使用していた、こういう問題についてもしっかりと国民に理解されるような説明が必要ではありませんか。

仙谷国務大臣 先ほどから、うわさがあると言っているというお話でございました。うわさをもとにして先ほどから、菅内閣の官邸にはその種の調査機能はもともとありませんので、もしおっしゃるようなことをやれと言われるのであれば、そういう仕組みそのものから構築しないとできないということになろうかと思います。

 軽々に、塩川さんがおっしゃるようなことを調査するなどということが、できもしないことを言うということは、私はむしろ言ってはならないと思っているからこう申し上げておるのであります。

塩川委員 税金の使い道について国民が厳しい目を向けているときに、まさにその大きな疑念の対象となっている官房機密費についてきちんとした説明責任を果たすことなしに国民に対する不信を取り除くことはできないということは改めて申し上げておきます。

 こういった、うるま市議の上京費用ですとか滞在費用、そういうものを官房機密費で支払った場合には、当然、その領収書とか請求書を官房長官が預かって、事務官がその支払いの手続を行う。そういう場合には、記録そのものが支払決定書と内閣官房報償費の出納管理簿に記録をされる。これは、官房長官が既にお決めになっておられる内閣官房報償費の取扱要領、この中にも実際の支払いについての記録を残すということがあるわけですね。

 こういった官房機密費の記録についての保存期間が五年間だとなっているわけですけれども、もともと透明化を図る、機密費についての情報公開を図るという立場であるならば、これらの官房機密費に係る記録の保存期間を、五年というのではなくて、いわば無期限として、そして将来、この記録について情報公開の対象とすべきだ。五年で保存期間が終わるのではなくて、しっかりとその先まで無期限で延ばして、そして情報公開の対象とする、これこそ必要だと思いますが、官房長官、いかがですか。

仙谷国務大臣 菅内閣といたしましては、鳩山内閣に引き続いて、内閣官房報償費の取扱責任者である内閣官房長官が責任を持ってこれを執行する。その使途等を検証しているところでございまして、官房報償費の透明性の確保を図る方策については、その中で検討することといたしたいと存じます。

塩川委員 一年間かけて検証するという鳩山内閣の方針を引き継ぐという話ですけれども、平野長官が一〇年度の四、五月に受け取った機密費が三億円になるわけですけれども、それが何に使われたのかがわからなければ検証ができないわけです。

 仙谷長官として、平野長官時代に、四、五月、三億円の支出が行われたこの機密費について、何にどれだけ使ったのかということを、その記録は引き継いでおられるんですか。

仙谷国務大臣 これから検証をすべきだと考えておりますけれども、今塩川議員がおっしゃったような件については全く引き継ぎは受けておりません。

塩川委員 そもそも、取扱要領で定めているような支払決定書ですとか出納管理簿、これについても引き継ぎをされていないということですか。

仙谷国務大臣 取扱要領等は引き継ぎを受けております。

塩川委員 取扱要領はそれぞれ官房長官が自分が就任したときにつくっているんでしょうけれども、そもそも、記録として残すと取扱要領で定めているわけですけれども、それそのものを引き継いでいないということなんですか。

仙谷国務大臣 現時点では引き継いでおりません。

塩川委員 もともと、前の政権のとき、麻生内閣の河村官房長官から平野長官が引き継いだときに、金庫の中には全くありませんでした、残額についてゼロだったということを答弁しておられますけれども、平野長官から引き継いだときに、金庫の中、残額は幾らだったか、お答えいただけますか。

仙谷国務大臣 菅内閣の発足は政権を担う政党がかわるという政権交代でもありませんし、報償費の具体の執行にかかわることでもございますので、お答えを差し控えたいと存じます。

塩川委員 従来の、前の政権と同じ答弁であるわけです。

 記録そのものがあるものについて引き継ぎされているかどうかの認識がないということ自身が極めて重大で、その中でも、官房長官の取り扱いで記録も残さなくていいという政策推進費というものについて、まさにどうなっているかわからないと。一年間かけて検証しようというのに、四、五月分についてわからなければ、一年間かけて検証そのものができないじゃないですか。

 ですから、みずからの政策推進費についても、きちんと記録を残して、将来公開をするということを含めて、対応についてお答えいただけますか。

仙谷国務大臣 先ほども申し上げましたように、官房報償費の性格に即して、私なりに執行を適正に行ってまいりたいと思っております。

塩川委員 最後に一問。

 二〇一〇年度の一年間をかけて検証するという立場は変わりないということでいいですね。

仙谷国務大臣 私が官房長官を引き受けまして、一年ぐらいの時間をいただければと思っております。

塩川委員 そんなことを言いますと、一年足らずでかわっているばかりの官房長官だったら、一切、検証そのものができなくなる。

 その点でも、鳩山内閣は二〇一〇年度で検証するということで平野長官はおっしゃっておられたんですから、その立場を引き継ぐというのは最低限の話でもあるわけで、そのことを含めて、平野長官時代の記録もしっかりと記録に残すし、保存もするし、将来情報公開をしていく。それなしに、この県知事選挙の問題についての、こういったお金の使い方についての疑念も晴れることもありませんし、そもそも機密費の使用記録も残さないということでは国民の疑念も晴れない、一掃されないということを最後に申し上げて、質問を終わります。

田中委員長 次回は、来る五日木曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十七分散会


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