衆議院

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第2号 平成22年10月27日(水曜日)

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平成二十二年十月二十七日(水曜日)

    午前十時四分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 石関 貴史君 理事 泉  健太君

   理事 大島  敦君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      阿久津幸彦君    石原洋三郎君

      磯谷香代子君    糸川 正晃君

      稲富 修二君    打越あかし君

      大山 昌宏君    柿沼 正明君

      川島智太郎君    木内 孝胤君

      菊池長右ェ門君    岸本 周平君

      京野 公子君    小林 正枝君

      後藤 祐一君    坂口 岳洋君

      白石 洋一君    末松 義規君

      菅川  洋君    園田 康博君

      高井 崇志君    高橋 昭一君

      玉城デニー君    中後  淳君

      富岡 芳忠君    永江 孝子君

      長尾  敬君    野田 国義君

      松岡 広隆君    三谷 光男君

      宮崎 岳志君    森山 浩行君

      渡辺 義彦君    小渕 優子君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      塩崎 恭久君    平  将明君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      松野 博一君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域主権推進担当)

   (地域活性化担当)    片山 善博君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     仙谷 由人君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   岡崎トミ子君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (科学技術政策担当)

   (宇宙開発担当)     海江田万里君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (「新しい公共」担当)  玄葉光一郎君

   国務大臣

   (行政刷新担当)

   (公務員制度改革担当)  蓮   舫君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   内閣府副大臣       平野 達男君

   財務副大臣        櫻井  充君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   国土交通副大臣      三井 辨雄君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            菊地 敦子君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           塚田 桂祐君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長) 中沖  剛君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         加藤 利男君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  磯谷香代子君     中後  淳君

  後藤 祐一君     白石 洋一君

  園田 康博君     大山 昌宏君

  橋本 博明君     菅川  洋君

  福島 伸享君     石原洋三郎君

  山崎  誠君     川島智太郎君

  小渕 優子君     松野 博一君

同日

 辞任         補欠選任

  石原洋三郎君     木内 孝胤君

  大山 昌宏君     園田 康博君

  川島智太郎君     渡辺 義彦君

  白石 洋一君     後藤 祐一君

  菅川  洋君     稲富 修二君

  中後  淳君     永江 孝子君

  松野 博一君     小渕 優子君

同日

 辞任         補欠選任

  稲富 修二君     柿沼 正明君

  木内 孝胤君     宮崎 岳志君

  永江 孝子君     高井 崇志君

  渡辺 義彦君     野田 国義君

同日

 辞任         補欠選任

  柿沼 正明君     橋本 博明君

  高井 崇志君     玉城デニー君

  野田 国義君     菊池長右ェ門君

  宮崎 岳志君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  菊池長右ェ門君    京野 公子君

  玉城デニー君     磯谷香代子君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     山崎  誠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長菊地敦子君、警察庁警備局長西村泰彦君、消防庁国民保護・防災部長塚田桂祐君、厚生労働省大臣官房審議官唐澤剛君、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長中沖剛君、国土交通省都市・地域整備局長加藤利男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 前回の国会での内閣委員会から約五カ月たちました。強行採決で結果的に幕を閉じた最後の委員会の質問にも私が立たせていただいて、きょうもスタートとして立たせていただいているわけでありますが、まずは、委員長、前回の所管の大臣から、今度は内閣委員会での委員長という職につきました。くれぐれも公正な委員会の運営に努めていただきますことを心から心からまずお願い申し上げます。

 そして仙谷官房長官、今度は大臣としてではなくて官房長官としてですが、前回の強行採決についての反省とか陳謝とかを伺っても意味がないと思いますので、一つお約束をいただきたいことがあります。

 それは、前回、まだ当時の官房長官、平野官房長官から必ずやると約束をいただいていることがあります。それは、大臣政務官の給与の一〇%返納です。これは、五月の十二日、平野前官房長官は必ずやると何度も言ったんです。そして、私が、民主党の必ずやるほど信用できないものはないと言った。そうしたら、平野官房長官はどうか御心配なくと言って、結果、鳩山内閣は壊れちゃったんですよ。

 今、その前官房長官が必ずやると言ったことは実行に移されておりません。これは必ずやりますか。

仙谷国務大臣 御指摘の件につきましては、総人件費改革の議論も踏まえながら、今後検討をしてまいりたいというふうに考えております。

小泉(進)委員 その答弁には納得できませんよ。平野官房長官は必ずやると言ったんです。そして、私はこの質問を五月十二日の質問の前の質問でもしているんです。松野官房副長官は、建設的でいい議論をいただいたからこれは官房長官と相談をして必ずまたお答えしますと言って、その答弁を受けての官房長官平野さん、平野さんが必ずやると何度も言ったことなんです。そして、私は、必ずやるという言質じゃ私は納得できない、いつやるのか言ってくれと言いました。

 仙谷官房長官、いつやってくれますか。

仙谷国務大臣 閣僚等の給与の返納のあり方につきましては、国家公務員の総人件費削減を初め行財政改革への取り組み状況等を踏まえながら、返納の額や対象範囲について検討し、見直していくのが適当であると考えております。

小泉(進)委員 官房長官、平野前官房長官が何と言ったか。それは、大臣、副大臣の一〇%給与返納、これは一割削減をするとそこそこ上積みは出る、でも政務官の上積みの給与から歳費も含めて一〇%カットすると大体三万円ぐらいしか上積みが出ない、それじゃ幾ら何でもということで政務官には手をつけていない。そんなのは納得できませんよ。

 大臣、副大臣、政務官、皆さんはお金が欲しいからやっているんですか。そうじゃないじゃないですか。使命感を持ってやっているんでしょう。

 そして、民主党の公約の一つ、これは公務員の総人件費の二割カットですよ。それを言っている政府側、政治家、なぜ一割カットもできないんですか。まず隗より始めよということ、これができないという意味がわからない。この公約を達成するという本気度をあらわすために、なぜ政務官の一〇%カットもできないんですか。こんなことすらできないで、これからやろうとしている実現不可能に見えるマニフェスト、これがなぜできると言えるんですか。

 この一〇%カット、法改正は要らないんですよ。これは閣議決定で、大臣申し合わせで、官房長官がこれをやりますよと言えば、すぐにでもできるじゃないですか。

 いろいろ今言いましたけれども、そういうペーパーを読んでの議論は要りません。これは、やるかやらないか、やるとしたらいつやるのか、答えてください。

仙谷国務大臣 国会議員、大臣、副大臣、政務官、すべて、志高く、収入のいかんにかかわらず、その志に基づいて仕事をしているということを私は確信しております。しかし、職務に応じた適切な対価というものがあってしかるべきだというふうにも私は思っております。

 したがって、政務官の一割を前官房長官が答弁で小泉議員にお約束したということでございまして、私どもも、大臣、副大臣が今一割返納しておりますので、政務官についてどういう返納をお願いすべきか、このことについては一貫して検討しているということをお答えさせていただきます。

小泉(進)委員 検討してから五カ月ですよ。一〇%カットするのに五カ月間検討期間が要る理由は何ですか。答えてください。

仙谷国務大臣 諸般の事情を検討しなければ、いわば、今我々の内閣の政務官、前内閣の政務官もそうでございましたけれども、二十四時間フル稼働とでもいいましょうか、大変な仕事をされておって、そしてそれなりの持ち出しもあるというふうに聞いております。

 つまり、何にもなしでただ働けということが正しいのかどうなのか。そういう論理でいえば、国会議員も半分にしてもいいんじゃないかという議論だって出てくるんじゃないんでしょうか。私は、公務員法の審議のときにも申し上げましたけれども、引き下げデモクラシーのような議論はある程度慎むべきではないか、そういうふうに思っております。

 私は個人的に申し上げれば、今いただいている歳費あるいは官房長官としての手当、私自身は、傲岸不遜に聞こえるかもわかりませんが、全く高いとは思っておりません。

小泉(進)委員 それは官房長官得意のすりかえの議論ですよ。官房長官の前任の官房長官がやると約束したことなんです。これを、新官房長官の仙谷さんは、前官房長官がやると言ったことはやらないんですね。

仙谷国務大臣 やらないとは言っていない。やらないとは言っていないじゃないですか。やるけれども、諸般の事情を勘案している、検討している、こう申し上げている。

小泉(進)委員 つまり、やる気がないということですよ。

 これは公務員改革担当の蓮舫さんにも聞きたい。二割をカットしたいのに自分たちの一割さえも切れない、これで公務員の皆さんが本気で改革に協力しようなんと思っていると思いますか。蓮舫さん個人としてでもいいですよ、これは何で一割もカットできないんですか。

蓮舫国務大臣 小泉さんが人気があるのが非常にわかるぐらい的確な質問をいただいております。ただ一つだけ、人を指さすのはやめた方がいいのかなと、質問のときのスタイルで思います。

 今おっしゃったように、国家公務員制度改革をした上で、我々は、衆議院議員選挙のときに、公務員の人件費を二割削減すると約束をしている。公務員だけを下げて果たして彼らの士気が上がるかといったら、私はこれは疑問に思います。我々は、マニフェストの中で、国会議員の数あるいはその人件費も含めて下げるというのもあわせて約束をしている。当然これはやっていかなければいけない。やらないとは言っていなくて、今内閣官房長官がお答えになったとおり、検討をさせていただいている、そのことに尽きると思います。

小泉(進)委員 私は、今の答弁を聞いていて、蓮舫さんがなぜ人気があるのかがわかりませんね。全然はっきりしないんですよ。検討するなんか、蓮舫さんの口から全く聞きたくないですよ。だって、二割カットする、これからやりますと言いました。しかし、まず最初に、自分たちの本気度、この覚悟を見せるから改革は進むんじゃないですか。

蓮舫国務大臣 大臣、副大臣は既に一割カットをしていて、今小泉委員がおっしゃったように、政務官の人件費、これを一割カットすると、御指摘になられたとおり、上積み分が手当も入れて大体三万円ぐらいでしょうか。三万円ぐらいでできるできないの話ではなくて、それが本当に内閣としていいのかどうなのか、そこを検討するということは、別に私は特段おかしいとは思っていない。

小泉(進)委員 この問題は、幾ら突いても答えは出てきませんから、もうやめます。

 しかし、前官房長官が、これはやると言って約束したんですよ。この約束さえも、検討するということで、実行することを言わない。しかも、これは前自民党政権時代からの引き継ぎですよ。民主党の政権交代、自民党がやったよくないことはやらない、不十分なところはさらに改革を進めてやっていくと言ったのは民主党政権じゃないですか。だったら、引き継がなくていいものは引き継がないで、新しいことをやってくださいよ。それさえもできない。それを必ずやると約束した前官房長官の方がまだはっきり言っていた。

 小沢さんの問題も全然はっきりしません。小沢さんはこう言いましたよ、国会の決断に従う。小沢一郎さんを尊敬していると言った蓮舫さん、そういうとらえ方で認識は間違いありませんね。

蓮舫国務大臣 間違いないと思います。

小泉(進)委員 だとしたら、証人喚問が実現しない、妨害しているのは民主党ということじゃないですか。小沢さんがボールを民主党に投げたんですよ。民主党が決めれば証人喚問でも何でもできるんですよ。蓮舫大臣も同じ認識だと言った。だとしたら、小沢さんに国会で説明をさせる、これを妨害しているのは民主党だということじゃないですか。

 蓮舫大臣も、なぜ小沢さんの問題になると何も言えなくなっちゃったんですか。国民が蓮舫さんに期待しているのは、聖域を設けず、どんなことであっても、正しいと思うことはみずからが信じてずばっと言うことじゃないですか。

 小沢さんの問題、国民が求めているのは、野党が追及をした結果、渋々民主党が受け入れて、証人喚問なり、参考人招致なり、もしくは政倫審なり、これを実現することだと思いますか、それとも、野党の追及を待たずに民主党がみずからけじめをつけて決着をつける、どちらを国民が求めていると思いますか。

蓮舫国務大臣 民主党のためを思うのであれば、それは答えというのはおのずとわかるんだと思いますが、ただ、国会で決めることに私が口を出せる立場にないというのは、それは百も承知でお伺いになっているんだと思います。

小泉(進)委員 蓮舫大臣は、代表選挙の間、テレビで違うことを言っていましたよ。小沢さんは国会に出て説明すべきだと。

蓮舫国務大臣 どのテレビ番組でも私は一貫して言っているのは、国会がまず決めることだ、それに対して小沢さんは、国会が決めたらそれに従うべきだという話はしています。

小泉(進)委員 国会で決めること、だとしたら、民主党が決められることであります。つまり、民主党がそれに賛成をしないから決まらない。つまり、小沢さんの証人喚問、小沢さんが国会で説明をする場を設けるということを、民主党自体が動かないから、今、国民もこの問題について納得できないんじゃないですか。

 民主党が証人喚問をやらせないということは、小沢一郎さんをかばっている、証人喚問を妨害しているのは民主党だということじゃないですか。これを何で民主党の皆さんはわからないんですか。国民目線、国民目線と言って政権をとった民主党が、クリーンだと言って政権をとった民主党が、なぜ国民から求められている対処ができないのか、私はさっぱりわからない。

 政治献金、企業・団体献金の禁止、これだってあっという間に言うことが変わっちゃった。どうやったら国民は民主党が言っていることを信じたらいいんですか。有言実行内閣と言いましたよ。その有言が変わって、果たしてこの内閣のことを信じることができるんですか。

 企業・団体献金禁止の撤回についても、公務員制度改革を進める蓮舫さん、こんなことで、難しい公務員制度改革、また、きょうから始まる特会仕分け、これを本当に進められると思いますか、国民の信頼を得られると思いますか。

蓮舫国務大臣 ちょっと質問を整理していただきたいんですが、民主党で決めることについて私に聞いているのか、それとも、行政刷新担当大臣として私が今全力で菅内閣のために、ひいては国民のために仕事をさせていただいていることについて聞いておられるのか、もうちょっとわかりやすく聞いていただけますか。

小泉(進)委員 私は、自分の所管だとか民主党ですとか国会で決めることですとか、そういったことで聞いているんじゃないんです。蓮舫さんは今民主党の中で期待を集めているんですよ。国民も関心を持っているんです。だからこそ、国民として、蓮舫さんが何を思うか聞きたいと思うじゃないですか。私は、そういうわかりやすい議論をやっているんです。

 永田町の中でいて、委員会の中で長いこと暮らしていて、そういう論理はわかりますよ。私もだんだんわかってきましたよ。しかし、国民から見たらそんなの関係ないんですよ、政治家は政治家なんですよ。

 その蓮舫さんがそういった問題に対して一つ一つ何を思うか、これをただしていく、これを聞いていくのも、野党の議員、委員会で質問に立つ権利なんですよ。それが蓮舫さんにはわからないですか。

蓮舫国務大臣 小泉委員もだんだんおわかりになってきた、だんだんどころじゃなくて相当おわかりになっていると私は大変な評価を持っております。

 ただ、国民から見て、そこにおいてわからないというところで逃げてはだめで、行政府と立法府はおのずと役割が違う。それを、国民がわからないからそこを乗り越えてすべてのことに答えてくださいというのは、ちょっと乱暴かなという印象を持っています。

小泉(進)委員 今までの議論で私が聞きたかったのは、皆さんの改革に対する熱意なんですよ。前官房長官がやると言ったことはやらない。小沢さんの問題も、みずからけじめはつけない。企業・団体献金の禁止も、やると言ったことはやらない。これを全部横軸でつなげると、結局、民主党はやると言ったことはやらないんですよ。だから、私は聞いたんです。

 さんざん今までその所管の議論になりましたから、やはりきょうからやることについて蓮舫さんにこれから聞きたいと思います。

 事業仕分け、特会の仕分けがきょうから始まります。特会を見直すことをきょうからやる、そういうことですね。

蓮舫国務大臣 はい。事業仕分け第三弾として、きょうから前半部分、四日間の日程で特別会計を取り上げてまいります。

小泉(進)委員 今、はいと言いました。特会の見直しをきょうからやる。

 民主党の参議院のマニフェスト、この二十ページを見ていただきたいんです。「民主党政権がこれまで取り組んできたことを報告します。」というページです。

 実現したことと実現できていないことを列挙しているのが、この参議院選挙のマニフェストです。「実現したこと」の十五番、「特別会計の見直し」。これはマニフェストの信憑性を大きくおとしめていると私は思いますよ。こんなことを書いて、もう既に特別会計の見直しをやりましたというんだったら実現したことの中に含めるのは筋だと思いますよ、理解できますよ。だから……(発言する者あり)

荒井委員長 静かに。場内静かにしてください。

小泉(進)委員 これは、今やじでも飛びましたよ、方針と書いてある、方針でと。方針と書いてあるからいいだなんという論理をしたら、何だって書けるということになりますよ。だから、私は、これは正確に書かないことがマニフェストの信頼をおとしめていると言っているんです。

 この見出しに「特別会計の見直し」。この特会の事業仕分けを終えて、菅総理が言ったような、特会議論に終止符を打つような形の後にあった選挙のマニフェストで「実現したこと」に特会の見直しを書くんだったらわかりますよ。しかし、その前の七月の参議院選挙のマニフェストでこれを「実現したこと」に入れるとは、私は到底マニフェストが信頼できると思えない。

 まず、これに触れたいと思いました。これに関しては答弁を求めません。

 きょうから始まる……(発言する者あり)では、蓮舫さん。

蓮舫国務大臣 ありがとうございます。

 短い質問というのは時として誤解というのがありまして、きょうから特会の仕分けを始めるんですね、見直しを始めるんですねと伺われたので、特別会計の事業仕分けという形態の見直しは確かにきょうから始めます。

 ただ、事業仕分け第一弾は去年の十一月に行って、ことしの四月と五月に第二弾を行って、財源が特別会計から出ているものでおおよそ理解のできないお金の使われ方、天下りやわたりや随意契約やあるいは中抜き団体、こういう問題点は今までもさまざま浮かび上がってきて、そちらは事業の来年度の予算要求の中身に、あるいは独法の改革も今私のもとでフォローアップをして行っていますが、そこにおいての見直しは続けているんです。

 その上で特別会計そのものをどういう形で見直していけばいいのかという視点に立って、きょうから始まるというわけではなくて、去年からそこは継続性を持っているというのはぜひ御理解をいただきたいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 では、きょうからやる事業仕分け、この目標は何ですか。

蓮舫国務大臣 十八の特別会計、五十一の勘定、これは、これまでの旧政権のもとでも改革というのが進んできました。ただ、残念ながら、その改革が進んでくるときに、特別会計の数をまず減らそうじゃないか、減らした結果、勘定にそれが落とされて、特別会計としては数は減っているんだけれども勘定として実は生きているというものも幾つかあるんですね。

 もう一つ決定的なのは、私たち野党時代に、これは実感として思うんですけれども、なかなか情報が明らかにされなかった。入りのお金はわかる、財源が特定されるものは。それが出ていくときに何に使われているのか、どういう形態で使われているのか。税金の浪費は与党も野党も関係なく許せないわけですから。ただ、残念ながら情報がなかった。

 そこを、今回私たちはすべての情報をオープンにしようと思っています。これまで明らかにならなかったものとして、例えば動産、不動産、あるいはどういうものを持っているか、その情報をまずは全部公開して、制度そのものの仕分けにつなげたいと思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 目標は情報のフルオープン化、これは、蓮舫大臣もまた菅総理も、特会の情報を透明化してほしい、これを再三強く訴えているのはわかります。

 では、情報のフルオープン化とは何か。そうなったときに議論が行くのは、やはり話題になっている埋蔵金、そして、この特会仕分けに至る前の段階でもう既に大分話題が出ている埋蔵借金。この二つが情報化に関する主な二つの議論だと思います。

 まず、この埋蔵金。埋蔵金の議論は民主党のこれからを占う部分だと思っています。

 まず、埋蔵金の部分ですが、私が幾つかの特会の中で聞きたいこと、個別に聞くと、一つは財投特会。これは今までも毎年使われてきて、去年、もともと四・八兆円あったところから四・七兆以上繰り入れて、結果的に残っているのは一千億ちょっと、大体一千億ですね。これを、果たしてこれ以上あるのかどうか。この一つの埋蔵金が財投の特会にあるのかということも、きょうから始まる事業仕分けの中で一つの議論になると思います。

 この特会の、特に今、財投の特会からの埋蔵金に関して大臣の見込みはどうですか。

蓮舫国務大臣 御指摘いただいた財政投融資特別会計でございますけれども、その前に小泉委員の考えをちょっと教えていただいていいですか。議論をかみ合わせたいと思っています。

 埋蔵金は、どういう思いで埋蔵金とおっしゃっておられるのか。たしか自民党時代には埋蔵金はないんだということを、私たちは野党のときに相当やりとりしたときに議論がかみ合わなかったんですね。さらに言うと、麻生内閣のときにも、補正を組んだときに、いわゆる埋蔵金というざっくりしたものの中でこの財投からも積み立てていたものは相当使われています。ちょっとまずそこを議論させてください。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 まさか質問者に立って質問を受けることになるとは思いませんでしたが、蓮舫大臣にまず事業仕分けの目的、目標を聞いたのは、私も同じ意図でした。まず、質問する中で認識を共有したい、その上で質問の大前提をつくりたい、そういった思いで聞きましたので、私もあえてお答えをします。

 私は、埋蔵金というのは、簡単な言葉で言えば、そこに置いておかないで使えるお金、これが埋蔵金の一つの定義だと思います。つまり、皆さんがこれから特会の仕分けをやる、そこで見つかる埋蔵金は何かといえば、埋蔵金として特会の中に置いておく必要がなくて、かつ、それを活用可能、利用可能なものが埋蔵金に当たる、それが私の中での埋蔵金のとらえ方です。

 これが蓮舫大臣と認識が同じかどうかはわかりませんが、今言ったこの財投の問題、これにお答えください。

蓮舫国務大臣 私は、あえてもう一つ、埋蔵金といいますと、フローの部分の埋蔵金とストックの部分の埋蔵金があるんだと思いますね。

 今、恐らく小泉委員がおっしゃった埋蔵金はストックの部分で、お金がたまっている、まさに埋蔵金になって塩漬けになっているから、これを活用できるんじゃないか、その議論はあると思います。もう一つは、毎年度毎年度入ってきて、それが不用という形で、また歳入に繰り越されて、常に使われないお金がフローである、これも私は埋蔵金だと思っています。

 今、小泉委員が御指摘いただいたような財投特会においては、ここは昨今のいわゆる内外の金利差も含めて、保有している株の金利差が随分と出てきているので、フローで数兆円単位、毎年出てきている、これは私は埋蔵金だと思っています。

小泉(進)委員 つまり、積立金、それと毎年の運用益、剰余金、この二つの部分だと思います。剰余金だったら、運用益だったら、法改正なく一般会計に繰り入れることもできる。積立金の場合、予算関連法案の中で公債特例法の最後の方に書いて、そういう形で法改正が必要になる。こういった議論も進めていかなきゃいけないのがこの埋蔵金の議論だと思います。

 今、財投の特会にも触れました。外為の特会、この外為の特会も、大きな話題になっているのが法改正が必要な部分、つまり、外為特会の積立金の部分、二十・六兆円。これは、前回の予算の部分で見込み額を三千五百億ほどとってきているので、この積立金はことしはふえる見込みはない。大体二十・六兆円のまま推移するでしょう、ほぼ同じぐらいで。

 その中で、きょうから触れる、まあ、きょう自体は外為特会には触れないと思いますが、外為特会について、この積立金の部分、これを今回の四日間の中で議論をして決着をつけていきますか。

蓮舫国務大臣 極めていい質問をいただいています。

 その上で一つだけ、これは共有をしたいんですけれども、外為特会の場合ですと、やはりマーケットに与える影響が相当大きいというところはおわかりだと思っているので、今この場でどこまで表立って議論をするかどうかというのは、私の答えにもしかしたら制限が出るかもしれませんが、そこは御理解をいただきたいと思います。

 外為特会においては、今週の土曜日に事業仕分けそのものを議論しますが、今、小泉委員が御指摘になられた積立金のあり方、その先にはきっと、仕分けをした上で法改正あるいは制度設計の再構築という大きな絵もあるのかもしれませんが、まずは仕分けをしてみないと、どういう形で、例えば、所管しているのは財務省ですから、財務省の方たちがどんな論を張るのか、あるいは、我々の民間評価者の中には専門性の高い方たちも参加をしていただいておりますから、どういう専門の議論ができるのか、ぜひそこは、その議論を経て、また国会においても御質問いただけたら真摯にお答えをしたいと思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 私も、きょうから始まる事業仕分けですから、個別具体的なことが出てくるとは思っていません。今回、このスタートで私が質問をさせていただいたというのは、これから始める上での蓮舫大臣の目標とか一つ一つの考え方についてただしておきたい、そして、これから私以外の同僚の国会議員が質問するときに、蓮舫大臣の最初の部分での考え方、これを大切にしたいという思いからです。

 外為特会、財投特会、そして私がもう一つ触れたいのが年金特会です。なぜ私が年金特会に触れるかといえば、わかりにくい特会の中でも、受益と負担の部分がわかりやすい。つまり、保険料として払われている部分で特会に保険料収入が入る、そして、そこに入った保険料収入が給付という形で使われるという、ある意味わかりやすい一面がある。

 ここで、年金特会をこの四日間の中でどういうふうな議論を進めるのか私はわかりませんが、この年金特会の一つで、事務費の扱い、これははっきりとこの四日間で決着をつけてもらいたい。

 なぜなら、再三、年金の流用はしない、これを言い続けた民主党。衆議院のマニフェスト、参議院のマニフェスト、私、両方かなり読みました。この中で、一つ一つの政策を見れば文言が微妙に変わっているところもいろいろありました。しかし、一語も変わっていない部分、それが、年金流用はさせません、この文言なんです。つまり、年金流用はしないということは一貫してぶれていない。

 ただ、これもトリックで、実は流用したんですよ、二千億。これはもう既にやっちゃったんですよ。ことしの二月、自民党の大村議員も当時の長妻厚労大臣に触れました、これは明らかなマニフェスト違反だと。しかも、民主党は野党時代、年金保険料流用禁止法案というのを出している。そして参議院で通している。こういう状態にあって、政権をとったから二千億流用しますというのは、私は納得できない。

 つまり、この年金特会の部分で、この四日間で蓮舫大臣が決着をつけなきゃいけないと思っているのは、約二千億、これを年金特会の中じゃなくて一般会計として、もしくは年金特会じゃないちゃんとした財源を見つけてやる、これが本来、長妻さんもしくは民主党として、年金流用はしない、事務費流用にはしないということじゃないんですか。

 この年金流用、年金特会、これをこの四日間で決着をつけますか。

蓮舫国務大臣 思いは同じだと思っています。

 年金保険料流用禁止法案も我々参議院で出させていただきまして、残念ながら、ねじれていましたので衆議院では通らなくて廃案になった、これは非常に残念だと思っています。

 その上で、この四日間で決着がつくかといったら、決着はつかないと思うんです。ただ、本当の意味での終止符から始まる議論は始めさせていただきたい。

 もう一つ言えば、事務費でいったら、これは我々は野党時代反対をしました。社会保険庁、それを外出しにして日本年金機構になった。残念ながら、さまざまな事件も報じられました。ここにお金が流れて、今、紙台帳との照合も行われておりますけれども、そこに無駄がないのかどうなのか。おっしゃるような、指摘の事務費だけではなくて、今行われている事務事業が、外出しにされているもので無駄があるかどうか、このチェックも行っていきたいと思っています。

小泉(進)委員 大臣が今言ったのは、恐らく突合の問題、そしてコールセンターの問題とかだと思います。これが、例えば突合だったら突合で、あれだけ経費がかかるもの、コストがかかることをあの一等地で果たしてやるべきかどうかとか、そういう議論をこの四日間で決着をつける、恐らく蓮舫大臣が言いたいことだと思いますが、そういうことですか。

蓮舫国務大臣 あえて結論をつけて仕分けは行っているわけではないので、予断を持って行おうとは思っていないんですが、今、小泉委員が本当によくお調べになられていて、ぜひ同じ党で仕分けをやりたいなと思っていたんですけれども、一等地でやる必要も含めて、経費が節減できるのであれば、その可能性はすべて探りたいと思っています。

小泉(進)委員 誘惑には乗らないように気をつけないといけませんね。厳しくやります。

 財投、そして外為、年金、多くある特会の中でなぜ私がこの三つを今蓮舫大臣に言ったか、それは民主党のマニフェストに大きくかかわるからです。

 最初の二つ、財投と外為、これは財投と外為の特会を明記した上で、四・三兆円を生むと書いてあるんですよ。つまり、埋蔵金の話をするということは、民主党のマニフェストの財源論にかかわるんです。

 年金、この年金特会も、なぜ私があえて触れたか。それは、衆議院のマニフェストでも参議院のマニフェストでも、そこは変わらず書いてある。しかも、年金流用はしない、年金は給付だけに保険料は使うということを法律でちゃんと制定する、ここまで書いてあることで、今回の特会仕分け、菅総理がさんざん言っている終止符を打つということに間違いなくつながる。私はそう思っているから、あえてこの埋蔵金の中でも、実際、年金特会、特にこの三つの中では年金特会の部分、埋蔵金という議論には当たらないかもしれない、しかし触れたのはそういう意味です。

 埋蔵金の議論と、さっき言ったもう一つの埋蔵借金というもの。時々隠れ借金と言われますが、私は、あの言葉自体間違いだと思うんです。もともと隠れていない、あれは隠れていないんです。だから、何で隠れ借金と言ったかがわからない。つまり、あれは、もともとはっきりわかっていたけれども、今回、ただ注目を浴びたから隠れているものが出てきたという印象を与えただけで、もともとはっきりしたものですよね。そこだけちょっと答弁ください。

蓮舫国務大臣 おっしゃる意味も含めて、私はうなずくところが多いんです。

 もともとあった借金、そこにどうして注目が集まらなかったのか。小泉委員が今おっしゃったように、やはり正面から国会でもっともっと議論をしてくるべきだったと私は思っています。それは、我々が野党時代に提案型として足りなかった部分は反省をするし、今、与党となって、この借金とは真剣に向き合わなければいけない責任感を持っていますので、あえて脚光を集めていただいて、議論をして、どうやってだれがどのように返していくか、そこの道筋をつけたいと思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 では、隠れ借金、いや、あえて使うとしたら埋蔵借金ですね、この埋蔵借金、今わかっている限りで幾らありますか。

蓮舫国務大臣 私の頭の中には漠然と、この特別会計にはこれぐらい、この特別会計にはこれぐらい、恐らくという数字はあるんですけれども、委員会の議論ですから、ごめんなさい、これは通告をいただきたかったです。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 私が把握している範囲で、いわゆる埋蔵借金と言われているもの、この埋蔵借金は何かという議論もしなきゃいけないですが、埋蔵借金、いわゆる借入金、この借入金の部分、例えば交付税特会、この中だと三十三兆六千百七十三億円、年金特会、この中でも健康勘定の部分で一兆四千七百九十二億、国有林野、一兆二千七百九十三億、社会資本整備事業特会の空港整備勘定、ここは大体一兆、九千九百億ぐらい、エネ特、エネルギー対策特別会計、ここで四千億、これを全部合わせてみると三十七兆七千億ぐらい。これが、今私が持っている中での埋蔵借金の総額です。

 先ほど大臣は、それぞれの特会の中で大体どれぐらいの埋蔵借金があるかというのは漠然とイメージがあると言いました。そのイメージと変わりませんか。

蓮舫国務大臣 埋蔵借金の議論も実はさせていただかないといけない。今おっしゃったのは、まさに特会それぞれにたまっている部分のいわゆる埋蔵借金ですよね。他方で、一般会計と繰り入れをしたり特会とのやりとりをしたりして、事実上これは埋蔵借金ではないかというのもあると私は思っています。ただ、これは、どの特会でどれぐらいあるかというのは、仕分けを通じてまずはちょっと精査をさせていただきたいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 この埋蔵借金、情報のオープン化、透明化、今回の仕分けでこの埋蔵借金に触れるとしたら、埋蔵借金が幾らありますよ、これで終わることはできません。埋蔵借金が幾らある、では、その埋蔵借金をどうやって処理するのか。これが、菅総理、そして蓮舫大臣が言う、特会の議論に終止符を打つということだと思います。

 埋蔵借金、どうやって処理するかは幾つか方法があると思います。一つは、特会から一般会計に入れて処理をする、言葉をかえれば国民負担。二つ目は、特会にそのまま置いておく、そして独立採算制のもとに長期の形で返済計画を立てる。これは三つ目か四つ目かわかりませんが、特会から一般会計には入れる、しかし、一般会計の中に入れてお金は一色しかありませんという状態じゃなくて、元特会として、ある意味、一般会計の中にミシン目をつくるような形で、そこは、今までだったら、特会だったら担当しているところしかチェックはできなかったけれども、特会から一般会計に入れて政府全体のチェックを行き届かせるようにする。

 こういった埋蔵借金の処理の方法が考えられると思いますが、この埋蔵借金を処理する方法まで行くのが終止符を打つということ、これで間違いはありませんか。

蓮舫国務大臣 いよいよ一緒に仕分けをしたいなと思ったところでございますが、今御例示いただいたいわゆる三パターン、そのどれも可能性はあると思っています。

小泉(進)委員 可能性があるうち、最初のことを聞きたいと思います。一般会計に入れるということ。

 一般会計に入れるということは、国民負担ですよね。そして、国民負担だけで済まないんですよ。これは、国民負担にする場合、国民に対してこれを説明しなきゃいけない。しかし、その一方で、説明をするんじゃなくて、説明を求めなきゃいけない相手が出てくるんですよ。それは、その埋蔵借金を今まで抱えていた特会です、担当省庁です。このけじめをどうつけるんですか。

蓮舫国務大臣 特別会計の中で、どういう理由、どういう事由があるにせよ、膨れ上がったいわゆる埋蔵借金を、特別会計仕分けに乗じて、一般会計につけかえてしまえばいいんだというような甘い考えを持っている省庁を私は絶対許したくないと思っています。

 さらに言えば、借金を、ある特定事由でためていたものを国民に広く負担をお願いするときには、政治家あるいは所管大臣、並びに、その借金を許してしまったと言ったら語弊があるかもしれませんが、積み重ねてきた責任者も当然説明責任が問われてくると思っています。

小泉(進)委員 大臣が今言った、私はけじめをつけない省庁なり担当は許さない、これをどういう形で決着をさせるのか、大臣、考えがあったら教えてください。

蓮舫国務大臣 ちょっと実際に仕分け作業をしてみないと、相手方がどういう説明をするのかが実はわからないんですね。

 今回は、各省庁にお願いを申し上げているのは、仮に一般会計化できる可能性があるのであればという項目を事業シートにつけてあるんです。そこに対して、一生懸命考えた答えが返ってきているんです。これこれこれがために一般会計とはなじまないというものがほとんどなんですが、若干幾つかの事業シートを見ると、特会の意味がそろそろ終わっているんじゃないかとか、まあ、そういうところは借金があったりするんですけれども、ここはやはり細かく丁寧に精査をしなければいけない、無駄に国民に負担を押しつけてはいけない。

 ただ、借金があるから、埋蔵借金を抱えているんだから特別会計のままでいいよね、そこには無駄があったままでいいよね、既得権益化したままでいいよねというのも、これも許してはいけなくて、小泉委員のおっしゃることはわかるんですが、四日間で決着というのは実は難しくて、これまでの仕分けも同じなんです。

 改革が遅いと言われても、国のこれだけのお金を、仕分けして無駄があって、横ぐしがあって、各省庁が似たような無駄をしているのであれば、正すために、やはりもう既に八カ月、一年たっているんです、それでも、私もスタッフも全力で頑張っています。答えを出さなきゃいけない。仕分けは表になかなか見えますけれども、見えない後の地味な作業は何をやっているんだという御批判もありますけれども、ここは私はしっかりとやらせていただきたい。

 この四日間で決着は出ません。でも、ある程度の方向性は出します。そして、我々が政権を担っている、特に衆議院議員の任期の残り期間で必ず形になるものを出したいと思っています。

小泉(進)委員 一番はっきり答弁いただいたのが、決着は出ませんというのがはっきりだったのはちょっと意外でしたが、では、この四日間で出す決着は何ですか。

蓮舫国務大臣 どうやら小泉委員とは随分言葉の確認をまず最初にしなければいけなくて、決着というのは、四日間で特別会計の仕分けの成果が全部出て、まさにこれでもう特別会計の問題はなくなったねと解決するまでの意味だと私は思っていないんです。一つの情報を全部出して、問題点の確認をして、特別会計である意味がないと思える会計は、まさに決着という意味では、一般会計化というまとめは政府に提言をさせていただこうと思っています。

小泉(進)委員 それでは、終止符を打つという菅総理の発言、蓮舫大臣にとって、特会の議論に終止符を打つとは何を意味しますか。

蓮舫国務大臣 私個人で思っているのは、個人というか大臣として思っているのは、まずは、不透明だ、不明朗だ、特会はおかしいと言われている部分は、表に全部情報を出すことによって、まずはそこに終止符を打つ。そこにおいて既得権益がある、あるいは、そこに群がっているさまざまな利権の構造や税金の浪費、そういうものがあるのであれば、それは思いっ切り仕分けをしたい。これはまず終止符を打つことで、終止符を打ったところから始まる再構築の制度があると思っています。

小泉(進)委員 もう一度、丁寧にちょっと確認をさせてもらいますが、終止符を打つというのは、まず、特会の埋蔵金、つまり無駄、それを洗い出すこと、そしてもう一つが、いわゆる埋蔵借金、幾らあって、それを今後どういうふうに処理をするのか、この道筋をつけること。これが終止符を打つこと、これで間違いありませんね。

蓮舫国務大臣 道筋をよく政治用語では方向性という言い方をするんですが、方向性でも道筋でも、やはり一つの問題がある事実が明らかになったときには、それは解決をしなければいけない。どういう形で解決をするのか。その方向性、道筋を、仕分けの現場ではさまざまな評価者から意見が出てくるでしょう、それをまとめて、行政刷新会議でどういう形で私が報告をして御了承いただくのか、それはまず見ていただきたいと思います。

小泉(進)委員 それでは、今回の四日間で、廃止をゼロということはないですね。

蓮舫国務大臣 何度も言いますが、実際に仕分けは答えを持ってやってはいないんですね。ゼロベースで見直すというのはまさにそういうところで、予断を持たないで本当にゼロベースで見直しをして、埋蔵借金も埋蔵金も税金の浪費も、あるいはこの特会の必要性そのものも含めて、それを議論する。公開する場所で、インターネットの生中継もしています。テレビで編集されない本当の生の議論も聞いていただきたいと思っております。その結果で、特別会計が幾つになって、一般会計が幾つになってというのが出てくるのかなと。これは御理解いただけますか。

小泉(進)委員 私がなぜ、特会を廃止がゼロということはありませんねとか、そういうふうに聞くかというと、特会の議論をしていて、蓮舫さんは恐らくジレンマを感じるんじゃないかなと思うんです。それは、特会の議論を進めれば進めるほど、民主党のマニフェストに行き着かざるを得ない。

 つまり、民主党のマニフェストの構造、この基本構造は、一般会計と特別会計、この二つを総予算と呼び、総予算の組み替えなくして十六・八兆円の財源は生まれない。これがマニフェストと特会の関係性、これは間違いありませんね。

蓮舫国務大臣 それは間違いないと思います。

小泉(進)委員 だとしたら、予算の組み替え、つまり、特会から幾ら財源を持ってこれるかがマニフェストの実現可能かどうかの大きな分かれ目になる。大臣も同じ認識ですね。

蓮舫国務大臣 丁寧にやりとりさせていただきたいと思うんですけれども、特会の改革だけですべての私たちが約束をした財源を出すとはマニフェストには書いてありません。そこには、国家公務員制度改革から由来として出てくるものもあれば、あるいは、今私のもとで公共サービス改革分科会も設けましたけれども、いわゆる政府調達と呼ばれているもの、この政府調達も、まだ不透明、不明朗、こんなにコストがかかるのかと思われている部分もある。

 これはあわせて行っているところですので、特会の仕分けさえ行えば我々が約束した十六・八全部出てくるというものでもなくて、それはそれぞれ組み合わせをして、各所掌大臣のもとで今同時進行で動いていると私は理解しています。

小泉(進)委員 大臣に確認をしたいんです。これは、民主党の中でも、予算の組み替えで金は出ると信じている人がいるんです。小沢一郎さんです。小沢一郎さん、代表選挙で、無駄を削れば金は出る、予算を組み替えればお金はあるんだ、政権をとったら、金はない、こんなばかげた話はないと言ったのが小沢一郎さんです。

 私は、ずっとわからないことがあります。それは、小沢一郎さんは、予算の組み替えはできて、お金が出ると言っているんです。無駄を削れば金は出ると言ったんです、代表選挙で。菅さんはそこまで言わなかった。ある意味、現実的なことを言った。そして、この二人、言っていることは違って、結果、選挙を戦った。でも、同じ政党の人ですよね。

 そこで、蓮舫大臣に聞きたいのは、特会、予算の組み替え、無駄を削れば金は出るということを知っている小沢さんに、どうやったらそれができるのか聞いたことはないですか。

蓮舫国務大臣 小泉委員、真摯な質問なのでまじめに答えたいと思いますが、こういう国会での議論のときに一番気をつけなければいけないのは、私は伝聞情報だと思っています。

 御本人がどういうふうに考えておられるのか、その考えについてどういう理論づけがあるのか。それはやはり直接やらないと、特にこの国の財政、この国の財布そのものについて議論をするときに、わかりやすい、確かに小沢さんは代表選ではこう言った、でも、それはやはりある種一言の切り取りであって、その切り取り部分をもって、私はこう思う、それを蓮舫さんは聞いたことありますかと言われたら、これはやはり伝聞のまた伝聞になる。ここはちょっと、もう少し慎重に議論させていただけませんか。

小泉(進)委員 それは私の質問に直接は答えていないんです。民主党という、四百十二人いる内閣の、内閣じゃないですね、まあそれは菅さんが言っていることですが、四百十二人いる国会議員の中で、同じ党にいるんだから、予算を組み替えるやり方を知っている、無駄を削れば金は出てくると言っているその人に、そのやり方をなぜ聞かないのか私はわからない。

 つまり、この総予算の組み替え、これは言いかえれば、特会の仕分けをして幾ら財源がそこから出てくるのかという議論に終止符を打たなければ、いつまでたっても、無駄を削れば金は出る、予算を組み替えれば十六・八兆円のマニフェストはできるんだ、そういうことが延々と民主党の中だけだって出てくるんです。これに終止符を打ってほしい。小沢さんが言っているからできるんじゃないか、こういう議論にも終止符を打ってくださいよ。私は、そういうことです。

蓮舫国務大臣 よくわかりました。

 確かに、党には多様な意見があって私はいいと思うんですね。いろいろな考え方がある。みんなが同じ考え方、これはある種、どういう政党なんだと思いますが。

 今おっしゃったように、いろいろな知恵を持っている方がおられるのであれば、その知恵すべてを総結集して、政府として参考になるものはすべて参考にさせていただきたい。その部分では、きょう玄葉政調会長も来ておりますけれども、党の中で、政策調査会を経て、今、行政刷新プロジェクトチームも立ち上がっておりますので、その中で議論はしております。

小泉(進)委員 私がなぜこのマニフェストの議論と特会の議論をするかといえば、特会の仕分けをすると、結局、マニフェストの財源は見つからないという議論に行くはずなんですよ。

 十六・八兆円をトータルで生まなきゃいけない。その基本構造になっているのは、二百七兆円と二〇〇九年のマニフェストで書いた、あの一般会計と特別会計を合わせた純計、この総予算の中から大体一割は生まれるだろうという議論があった。そして、そこで二十兆となったけれども、公約を書く前に、さすがに二十兆までは出てこなさそうだなと思って、圧縮をして十六・八兆円と書いた。つまり、このマニフェストを実現するためには、特会の仕分けに終止符を打たなきゃいけない。私は、この特会とマニフェスト、これは不可分だと思いますよ。マニフェストを実現するためには、この特会で幾ら出るかが勝負の一つなんですよ。

 だから、本来、この事業仕分けの目的が情報のフルオープン化、丸裸にする、これはいいことですよ、これは崇高なことですよ。しかし、マニフェストの中に財源を生む一つとして事業仕分けを組み込んだことで、そこで財源を見つけなかったら十六・八兆円は出てこないという構造になっているんですよ。だから、私は、蓮舫さんが抱えているんじゃないかというこのジレンマは、特会の議論に深く行けば行くほど、果たして本当に思ったほどマニフェストの財源は出てくるのかということに行き着かざるを得ない。

 大臣は、この特会とマニフェストの財源論の関係、これを今の私の認識と同じようには思いませんか。

蓮舫国務大臣 余りにもたくさんのことの御指摘ではございますけれども、まず、一つだけこれは訂正というか、私たちは、マニフェストを衆議院議員選挙のときにつくるときに、すべての一般会計、特別会計を合わせた二百七兆の大体一割だろう、そこからこれは難しいから削るだろう、だから十六・八という議論はしていません。ここはしっかりと積み上げてきている。

 御指摘のように、特別会計の仕分けをすることによって、私は、フローの財源というのがきれいな形でどういう形で出るのかやってみなければわかりませんけれども、そこはマニフェストで約束した財源捻出機能というのもありますので、考えていきたいと思っています。

 ただ、もう一つ。特会を仕分ければすぐ財源が出てくるということよりも、例えば、特別会計が意味をもう失っていて、一般会計に戻す。一般会計に戻したときに、実は特会と一般会計で、財源、入り口は違うけれども似たような事業をしているのは、それは当然圧縮される。この圧縮をすれば、その部分で余剰になる部分も出てくる。これはすぐさま四日間では出ませんけれども、私はそこの効果もあると思っています。

小泉(進)委員 そういう圧縮効果も含めた上で十六・八兆円を生むんじゃないんですか。その十六・八兆を生まなかったら、民主党は公約違反なわけですよ。

 今、蓮舫さんも言いました。この特会仕分けの一つの機能は、財源捻出は一つの機能としてあると。しかし、私は、これは一つの機能じゃいけないと思うんです。民主党として事業仕分けをやる以上、マニフェストの基本構造が、財源をどこから持ってくるかにかかっているんですよ、実現可能か不可能かが。

 ですから、今回、この特会仕分けで議論になっているのは埋蔵金、そしてもう一つが埋蔵借金、この二つで、しかも、今の時点でわかり始めてきたことは、埋蔵金よりも埋蔵借金の方が多そうだ、こういう議論になってきた。つまり、この議論をしていること自体が、十六・八兆、これはなかなか難しい、思ったほど金は出ない、こういうジレンマを私は抱えざるを得ない。

 このマニフェストの自己矛盾、自己否定につながりかねない議論に終止符を打ってほしい。これに蓮舫大臣が特会仕分けで決着をつけていただきたい。どう思いますか。

蓮舫国務大臣 純粋に埋蔵金があって、埋蔵借金があって、それを相殺したら借金の方が多いじゃないかという議論は実は間違いで、この借金においては、当然、将来返済し得る債務というのがあるものもあって、そこは引き当てられますから、純粋に今の額そのものが埋蔵借金でもうどうしようもないんだというものではないと思うんですね。それも仕分けでは明らかにしたいと思っています。

 その上で、この特別会計の仕分け、ここで民主党は全部の、一年前の衆議院議員選挙の片をつけるというわけではなくて、あと残り三年かかって、あと三年の衆議院議員の任期を含めて、フォローアップも含めてマニフェストを達成するための努力を私は全力でやっていく、それは今も私の中では全く動いていない思いでございます。

小泉(進)委員 それでは、蓮舫大臣は、今まで事業仕分け第一弾、第二弾、第三弾、今回やります。思ったほど埋蔵金、財源は出てきていますか。

蓮舫国務大臣 四百四十七事業を去年一月かけて事業仕分けで見直しをしました。これは、いい悪いはわかりませんけれども、情報公開をして見える形で行ったという意味では、私は意味があったと思っている。そこにおいて、出ていくものを、ざっくりですよ、数字は今手元にございませんが、一兆とめて、たまっているものをその後法改正してお戻しいただいて、二兆の効果があった。

 二兆といったら消費税一%弱です。前の政権のときには、お金がないから二千二百億の社会保障費を削減するというのを続けてきた。でも、一カ月議論をしたときに二兆の経済効果が出たというのは、私は、これは自分の中ではやってよかったと思っていますし、与党、野党関係なく、旧政権、前政権がどうだということではなくて、責任を持った国会議員同士が今こうして議論をさせていただいているのであれば、私は、いい知恵があればそれは全部聞かせていただきたいし、実現できるものがあったらさせていただきたい、改めて思っています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 私が、このマニフェストの議論をなぜここまで特会の議論と絡ませるか。それは、例えば子ども手当、このマニフェストの一つの大きな政策の子ども手当、この子ども手当をどうするかによって、今回の特会の中での児童手当・子ども手当勘定の扱いも変わってくるんですよ。そして、年金特会。この年金特会も、果たして年金制度をこれから民主党がうたったとおりにやるのかどうか、こういった年金制度改革、この議論によっても年金特会のあり方というのは変わってくるじゃないですか。だから、マニフェストの政策をどうやって進めるのか、それと同時に特会のあり方をどうやるのか、これは不可分だということを私は申し上げたかった。

 つまり、マニフェストの進行状況、特会仕分けの方向、これは同じ方向に進む。特会仕分けでお金が見つからなかったら、マニフェストだってそのとおりにはできないかもしれない。そういう思いがあるから、最後、マニフェストと特会の議論をさせていただきました。

 また、この四日間が終わったら、質問の機会をいただいたときにさせていただきますが、今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

 玄葉大臣、せっかくお呼び立てしたのに済みません。実はちょっとマニフェストのことで聞きたかったんですが、申しわけありませんでした。

荒井委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。衆議院の森山浩行でございます。この秋から内閣委員会ということで、質問をさせていただきます。

 市民活動などへの寄附優遇税制というようなことで、政権交代でどのような国をつくるのかということにおきまして、新しい公共というのが一つの答えであると私は思っております。

 江戸時代には、村々に寺子屋があった、あるいは庶民が助け合って物事を解決してきた、そういった公があった。また、私の故郷であります堺市では、四百年前、自治都市として栄えたような歴史もございます。

 そんな中で、公というものは、明治以来、中央集権国家においては、官が独占をする、そして民は依存をする、このような形でお上意識というのを醸成してきた。富国強兵あるいは高度経済成長、一つにパワーを集めるんだという中では成功していったという反面、キャッチアップはうまくいっても、その後ではどうやって成熟した社会にしていくのか、この面では甚だ十分ではない。

 失われた二十年というふうに言われたりもしております。自民党をぶっ壊すというような総理大臣もいらっしゃいましたけれども、自民党だけじゃなくて、経済も非常に疲弊をしてしまった。この間、では今後どうしていくのかというのが日本のかじ取りにおいて大きな問題になってくると思います。

 私自身も、十一年前に市議会議員として政治活動を始めて以来、政治を変える基本姿勢というのは、情報公開と並んで、市民参画あるいは協働ということで、カンボジアの学校建設に学生時代にかかわっておりましたが、NPOあるいはNGOの活動と並行して活動してまいりました。NPO法ができて十年、NPO法人はただいま四万を数えるというふうになっております。

 まずは、二十一世紀の国の形としての新しい公共、この概念、それから大臣の思い、方向性をお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

玄葉国務大臣 森山委員から、よい指摘というか御質問があったと思います。

 これからの新しい社会をあらわす一つの言葉としての新しい公共。私も、この新しい公共という言葉は鳩山前総理がある意味提唱されたというところがありますけれども、これは民主主義を新しくつくり直すくらいの大きな概念ではないかというふうに考えています。

 つまりは、先ほど寺子屋という話が委員からありました。寺子屋というのは、恐らく、今の小学校とか中学校の数の間くらいあったんですってね、あの江戸時代の人口で。しかし、それは藩のお金でつくったわけじゃない。それぞれの地域の皆さんが、ある意味、篤志家がお金を出し、つくられた。しかし、明治になって中央集権国家が進んで、どうしてもお上依存というか行政依存というか、そういう社会の風潮というのがつくられてきたんじゃないか。

 今、改めてこれからの社会のあるべき姿を考えたときに、お上依存ではなくて、自分たちで幸せをつくり出す、あるいは人に役立つ幸せというものを考えていく、結果として、居場所とか出番とかきずなとか、そういうものを生み出していく、そういうことが大切だろう、そういう社会をつくり上げていくことがこれからの一つの大事な方向性なのではないかという思いであります。

 実は、私は、勝手に造語をいたしまして活私豊公という言葉を言っていまして、かつては滅私奉公という言葉がありました。今もあります。それはそれで私は否定いたしません。

 私を滅して公に奉る、崇高な言葉だと思いますけれども、滅私奉公もいいけれども、これからは活私豊公で、私を活用する活私、つまりは、みずからの得意分野を大いに活用して、公を豊かにする、公、社会を豊かにしていく。結果として、行政から頼まれたからというんじゃなくて、NPOが、企業が、住民がみずから動いた結果、結果としてそれぞれの地域の住民の皆様の幸せにもつながっていく、そういう社会をつくり上げたい、そういう思いなんですね。

 ですから、そういった担い手の皆さんを応援しようということでございまして、先ほど森山委員がいみじくも、NPO活動をずっと応援してきたんだという話がありました。四万件になったという話がありましたけれども、ただ、税制の優遇措置を受けられるのは百七十九団体なんですね。非常に少ない。私の出身の福島県も一団体しかない、こういう状態。

 ですから、やはりここは、そういった認定の基準を見直ししていったり、あるいは、今度は所得税の税額控除というものを見直していったりとか、そういったことを通してその担い手をインカレッジしていく、勇気づけていく、また、ふやしていくということを考えていきたい。

 ちなみに、非常にタイムリーなんですけれども、きょう、菅総理主宰で「新しい公共」推進会議の第一回を開催いたします。それは、これまで円卓会議というのがあったんですけれども、円卓会議のいわば結果を受けて、税とか予算とかでそれをきちっとフォローアップしていく。同時に、さらにその新しい公共をどう浸透させていくかということをしっかりその場で議論して、さらに目指すべき社会に近づけていきたい、そう考えております。

森山(浩)委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。

 滅私奉公といいますと、どうしても、自分の目の前の組織、ここに私を滅して仕えるというイメージが私はありまして、全体の、大きなことは見えないけれども、どうも目の前の組織に忠誠を誓ってしまうというような、狭いようなイメージもございますが、活私というところにおいては、社会全体を豊かにするんだというような形で今後もお使いをいただきたいなというふうに思います。

 たくさんの、それぞれの主体で頑張るんだというお話の中で、きょうは財務省からも来ていただいておりますが、寄附という税制におきまして、物あるいはサービスにおいても寄附ということがあり得ると思います。基本的には現金というのが普通で、企業の場合では損金算入をするという形で税制上の優遇がございます。

 では、そうでない場合。NPOの現場でいろいろやっていますと、例えば、会社でつくっている商品を百個上げるよという話、あるいは、減価償却途中なんだけれども、うちの会社でもう余り使わないから、いすを上げるよ、机を上げるよ、棚を上げるよというような形でいただくことがあります。これは物の寄附ということになります。

 あるいは、会社の余っている部屋を使ったらいいじゃないか、家賃要らないよということ。もしくは、飛行機の座席を航空会社が提供してくれる。被災地に行きたいというようなときに、海外なんかでも随分ありますが、百席、二百席いただくようなこともある。

 あるいは、NPOをやりたいという人は現場で働きたい人が多いですよね。現場で働きたい人が多いから、書類をつくったり会計をやったりするのは苦手やねんというような場合も結構ある。ですから、会計処理のために、ではうちの会計の職員を一週間あるいは一カ月貸してあげるよというような形で協力をしていただくようなことがNPO側からしたらあるかと思うんですが、こういう場合、物あるいはサービスを無償で提供するという場合の税務上の取り扱いというのはどうなるのか、教えてください。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

尾立大臣政務官 森山委員にお答えいたします。

 まず、森山委員におかれましては、学生時代から今日までNGO、NPO活動にみずから積極的に参加をされ、そして、今では御支援されつつ新しい公共実現のために頑張っておられることに、心から敬意を表したいと思います。

 お尋ねの件でございます。

 企業が資産の贈与や経済的利益の無償の供与をNPO法人に行った場合の税務上の取り扱いでございますが、法人税法第三十七条の規定によって、まず寄附金とされます。

 そして、この寄附金の額は一体幾らなのか。今さまざまな御例示をいただきましたけれども、基本的には、その贈与または供与がなされたときの価額、すなわち時価で評価をし、これを統一的に取り扱っておるところでございます。

 そしてまた、その寄附金が幾ら損金の額になるのか。これも企業にとっては大きな課題でございますが、まず、一般のNPO法人に寄附をした場合については、一般寄附金として取り扱われます。これは政令で損金算入限度額というのが決まっておりますが、一方、もう一つは、認定NPO、これは国税庁の認定を受けたものですが、これに関しては、一般寄附金の枠とは別枠で特別損金算入限度額というのが決められております。この範囲で損金として処理されることに統一的になっております。よろしくお願いします。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 統一的にという御返事をいただきましたけれども、実は税務署ごとに扱いが違うんじゃないかというような説もあったりして、企業とNPOの間で議論になったりいたしております。

 ですので、これは統一的だという確認をさせていただきたいのと、あと、寄附として計上をし、売り上げが上がったというような扱いになるようですけれども、これも確認なんですが、消費税はかかりませんよね。

尾立大臣政務官 お尋ねのとおり、対価を伴う売り上げについて消費税はかかりますので、対価がないものについては消費税はかからない、そういう統一的な取り扱いになっております。

森山(浩)委員 ですから、企業がどこにあるかはこだわらずに寄附はどんどん受けても大丈夫だというふうに現場のNPOの皆さんにも言えるということでございます。

 一方、受ける側のNPOの方ですけれども、税制優遇を受けられる特定非営利活動法人、先ほど大臣からも御紹介ありました百七十九法人、全体の〇・五%にも満たないという状況です。

 プロジェクトチームの中間報告書というのが出ていて、特に、税額控除方式に変える。あるいはパブリック・サポート・テスト、これは大事だと思うんですが、パーセント以外にも、三千円以上の寄附者百人以上で判定できるようにする。そして、始めるときには、寄附をもらうのはゼロから始まりますから、仮認定で何とかスタートをする。こういったところについて導入することという要望がありまして、これはぜひここで改革をしていただきたい、早急に改革していただきたいと思いますが、最後、御決意をいただいていいですか。

玄葉国務大臣 森山委員がこの問題に大変熱心だと。

 私も、新しい公共の担当大臣であるわけですけれども、同時に、特別枠要望の評価会議の議長という立場でもあります。ですから余り軽々に申し上げるわけにはいかないのかもしれませんけれども、ただ、私は、今回のこの認定団体の認証基準の見直しであるとか、税制上、特に所得税の税額控除を認めていく、このことは大変大事なことであるというふうに思いながら最終的な調整を進めてまいりたい、そう考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。新しい公共をぜひ一緒に進めていきたいと思います。

 続きまして、障害者権利条約ということで、どんな境遇にあっても、子供たちも、そして大人も、未来と可能性を信じることができる、そのような基盤をつくっていくというのが政治の役割であると思います。弱肉強食の、生の競争でよければ政府は必要ありません。

 日本が三年前に署名をいたしました障害者権利条約、これにおける障害者というのは障害者手帳を持っている人だというようなことはないと思いますけれども、これはいかがでしょうか。

 また、条約締結に向けた国内制度改革のスケジュールについてお伺いをします。

岡崎国務大臣 森山委員にお答えいたします。

 この障害者権利条約の目的のところに、「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含む。」とされておりまして、この規定は手帳制度というものについてはとらわれないものというふうに考えております。できるだけ幅広い観点から救済していくという考え方にあると思っております。

 具体的には、横断的な課題について、改革の基本的な方向といたしまして、一つ、障害者基本法の改正について、次期通常国会へ法案を提出すること。二つ目に、障害者総合福祉法、仮称でありますけれども、これを制定して、平成二十四年の通常国会へ法案を提出することを目指しております。そして三つ目に、障害を理由とする差別の禁止に関する法律、これを制定するということにつきまして、平成二十五年の通常国会へ法案を提出していくというふうに考えております。

 各施策分野では、労働ですとか雇用ですとか、あるいは教育、福祉等のそういう分野におきまして、所要の期間内に結論を得た上で、必要な措置を講じていきたいというふうに考えております。

 今後とも、一人一人を包摂する社会を掲げております内閣といたしまして、全力でこうした問題に取り組んでまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 条約の中なんですけれども、条約では移動の自由というのを認めております。

 移動権というのは、国内法では、第一義的にはバリアフリーの理念を具現化するという交通基本法、これが中心になるかと思うんですが、公共機関の施設整備、それから自動車の運転補助具などという形で推進をしていくということなんですが、菅政権におきましては、雇用を政策の大きな柱としておるという状態の中で、障害者雇用にとって、満員電車に乗ることができないというような、通勤が就職の障害になることがあるのではないかというふうに思いますけれども、どのような援助をしておられますでしょうか。

中沖政府参考人 お答えを申し上げます。

 障害をお持ちの方が就職いたしますと、先生御指摘のとおり、通勤の問題が出てくるわけでございます。このため、障害者雇用促進法におきましては、通勤を容易にして職場定着の確保を図るために、現在、重度障害者等通勤対策助成金という制度を設けております。

 具体的に、この助成金におきましては、例えば、職場の近くで障害者の方が住居を借りた場合に住宅手当を出す、こういう場合には助成をする。また、住居を借り上げる場合、あるいは通勤用のバスを購入してその運転手を雇用する場合、さらには、通勤用の自動車を購入したり、障害者のために駐車場を借りるような場合には助成をしているところでございます。

 それに加えまして、先生御指摘のような、障害者が公共交通機関を利用して通勤する場合に、通勤経路等になれるまでの間、一カ月間、通勤援助者を委嘱した場合の費用も助成をしているところでございます。

森山(浩)委員 自動車とか、公共交通機関以外の方でかなり整備をされているようですが、一カ月の援助で十分でないんだ、あるいは、身体介助を含めてずっと要るんじゃないかというようなケースについては検討されていますでしょうか。

中沖政府参考人 先ほど御答弁申し上げたとおり、現在、雇用納付金制度におきましては、通勤対策助成金でございますが、住宅手当の支給、住宅の新築、賃借に対する助成、あるいは通勤用のバス、通勤用の自動車の購入助成など、さまざまなメニューがあるわけでございます。

 先ほど先生御指摘になりました、通勤援助の関係の助成金を使い終わった後であってもこうしたメニューを使えるわけでございますので、私どもとしては、こうしたメニューも活用しながら、事業主としていろいろ工夫をしていただきたいというふうに考えております。

 なお、これはもう先生御承知のとおりだと思いますが、六月に閣議決定をいたしました障害者制度改革の推進のための基本的な方向の中で、障害者に対する通勤支援のほか、職場介助、コミュニケーションの支援、あるいはジョブコーチの支援のあり方などにつきまして検討するということになっておりますので、こうしたものを踏まえてやってまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 障害者という部分でありますが、例えば、うつ、これは病気と障害の境界があいまいです。あるいは高機能自閉、LD、ADHDのような発達障害。教育や就労においては個別に一定の配慮が必要ではありますが、いわゆる障害者という中には入っておらないという状況の中で、障害者基本法における定義も見直しが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

岡崎国務大臣 今、森山委員御指摘のように、制度の谷間にある人たち、このことを十分に配慮していかなければいけないというふうに思っております。

 今回の、障害の種別の問題ですとか、あるいは、特性に応じて可能な限りきめ細かい、そうした支援をしていくということが望ましいというふうに考えておりますけれども、現在開催されております障がい者制度改革推進会議、この中で障害の定義について議論が行われておりまして、その観点をしっかりと踏まえて議論を続けているところでございます。

 推進会議での検討結果を受けまして、必要な施策が講じられるように障害者基本法を策定してまいりたい、改正していきたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 本当に、基本法というのは非常に大事でして、ちょっと分野は違いますが、フリースクール、行ってもいいよという形で国で決まった、紹介もしますよという形になっているが、実際、現場に行きますと、教育委員会に行って、ちょっと中学難しいんですと言ったら、君、中学ぐらい出ぬとどうするんや、頑張って行きなさいというような指導をする。フリースクールを紹介してくれませんか、そんなのうちは関係ないから知りませんというような指導が日常的に行われているというようなことがあります。

 ですから、福祉の分野であろうが教育の分野であろうが、基本法がこのようにある、だから谷間を救うんだという強い意思、これが当事者に届くということが、現場でもし誤解があったとしても、闘える武器になるかと思いますので、どうかきちんと間を救えるようにお願いをしたいというふうに思います。

 さて、次ですが、自殺の対策ということでございます。

 年間三万人を超える自殺者を出しているという我が国の中で、政権交代後の状況、取り組みについて、まずはお知らせください。

岡崎国務大臣 今、森山委員御指摘のように、自殺者の数でありますけれども、平成十年から十二年連続して三万人を超えるという大変に深刻な状況が続いておりまして、自殺対策担当大臣といたしましても、大変深刻に受けとめているところでございます。

 政権交代があった昨年の九月以降の月間の自殺者数でありますが、ことしの七月、八月を除いて前年同月を下回っておりまして、ことしに入って九月までの累計の自殺者数は二万三千八百八十五人と、前年同月期に比べまして千百三十九人、約四・六%下回っております。

 政府といたしましては、ことし二月にいのちを守る自殺対策緊急プランを策定いたしまして、施策を推進しているところでございますが、さらに一人でも多くの自殺者を救っていくという観点から、ことし九月に自殺対策タスクフォース、これを立ち上げました。年内に集中的に実施する自殺対策として、相談窓口を整備していく、あるいは広報啓発活動、これにしっかり力を入れていきたいというふうに思っております。

 今後とも、このタスクフォースを機動的に開催して、自殺対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 私は、経済産業委員会と兼務で所属をさせていただいておりまして、去年からずっと中高年の男性の自殺というのに注目をしてまいりました。四十歳、五十歳代の男性、経済問題が原因の一位です。会社のために生命保険で返済してくれという悲痛な決断をされる方もある。また、社会もそういう圧力をかけている部分もあると思います。

 生命保険については、契約後一定期間の時間が経過しなければおりないという部分が自殺についてはありますけれども、また、生命保険を担保とした融資というのも当然許されていないわけですけれども、それでも、何年かたったらいいんだろうということで自殺をされて、それでお金を返すんだ、こういう意思を持つ方が多いのではないかというふうに実感をしております。

 事業をしておりますと生活を普通にしているよりもお金が要る、だから金融機関からの融資の返済に追われる、そして多額の借金から貸金業を含めて多重債務に陥るという場合が多いのではないか。そして、これが自殺して会社の借金を返すんだという自殺の誘因になっているのではないかというふうにも思います。

 相談窓口ということなんですが、相談窓口なんかに行ったって金を貸してくれるわけじゃなし、そんなもの役に立つかというようなのも一方で風潮としてあるかと思います。

 多重債務者対策を担う金融庁に関連する相談窓口の現状について、お知らせください。

和田大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、森山委員御指摘のとおり、自殺の実態、先ほど岡崎大臣からもお話がありましたとおりでございますが、もう少し私の方からブレークダウンして御説明しますと、昨年の数字で三万二千有余人がみずから命を絶たれているうち、先ほどお話のあった、ごく限定部分でいっても、多重債務による負債を抱えて、それを苦に亡くなられた方が千六百三十人ほどいらっしゃるという統計でございます。その他、連帯保証債務など負債全般にわたって苦しんで命を絶たれた方を数え上げますと、合計三千人を超えておりまして、つまりは、亡くなられている方々の一割はこういった理由に基づくという深刻な状況でございます。

 そういったことを受けまして、この点につきましては、前政権時代からもかなり深刻に受けとめて取り組んでおられるようでございます。前政権下においては、多重債務者対策本部というものを設置されて、平成十九年の四月に改善プログラムを実施されておられます。

 我々が政権を受け取ってからも、それをさらにしっかりと取り組んでいかなきゃということで、本年四月には、借り手の目線に立った十の方策というものを取りまとめて、実施いたしております。

 さらに、御存じのように、本年、改正貸金業法が完全施行になりましたので、その関係でいろいろお悩みを抱えていらっしゃる方々のフォローアップとして、改正貸金業法フォローアップチームというのをことし六月に設置いたしました。

 そこから先、多重債務を抱えられる方々に対しまして、先ほどおっしゃっていただいたとおり、相談機能の強化等を内容としたキャンペーン二〇一〇というものを張りまして、関係各機関にも働きかけているということでございます。

 例えば、一例として申し上げれば、先ほど窓口に行ってもというお話もございましたけれども、そこは、我々としては、幅広く悩みをお聞きしまして、その悩みに対してお答えしていく、それが債務の問題であろうが、ほかの人生の問題であろうが、そこを幅広く受けとめられるような対策を打っているつもりでございます。関係機関として、自治体とか、それぞれの金融機関の業界などに働きかけまして、そういった活動をやっております。

 ちなみに、せっかくですので御紹介しますと、このようなパンフレットも業界の方でつくっていただいておりまして、今ここで一人で悩まずにということで、必死に呼びかけを続けております。

 そういったことで、今悩んでおられる方々には、本当に、一人で悩まず、ぜひ相談窓口に行っていただきたいというふうにお願いいたします。(森山(浩)委員「金の問題で死ななくていいんだよという話」と呼ぶ)はい。

 ですから、この多重債務などの負債の問題で命を絶つということはぜひしないでいただきまして、我々、社会全体でその方々に対して支援の手を差し向けていきたいというふうに考えています。

 以上です。

森山(浩)委員 つまり、借金のこと、金で死なぬでいいんだよというメッセージをしっかり発信をしていくんだということだと思います。これは、ドラマなんかでも、死んで返せやというようなものが横行しているという状況でございますから、お金の問題で死ななくていいんだ、これを政府としてもどんと強く言っていただきたいというふうに思います。

 最後、青少年の話をしようと思いましたが、時間になりましたので、ケーススタディーをきちんととってもらって、こうやったら親としていいんだよというようなことも含めて、冊子なりホームページにやっていただきたいということを御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 衆議院の岸本周平でございます。

 先ほど、同僚の小泉進次郎委員と蓮舫行政刷新担当大臣の間で、事業仕分けをめぐって白熱した議論がございました。

 事業仕分けの結果として財源が出てくるという面もありますが、きょうは、もう一つ、先ほど蓮舫大臣も指摘されておりましたが、政府調達という部分から財源をひねり出すことが相当可能であるということについて御質問をさせていただきたいと思います。

 私は、昔、経済産業省で情報関連産業の担当課長をしておりました。そのときに、政府がやるIT調達がいかにずさんであるかという現実を見てしまいました。つまり、一万円のものを百万円で買わされているのが政府の実態でありました。

 ちょうど、当時ですと、大手ベンダーさん、これは四グループあるんですが、これだけで霞が関のIT調達の七割ぐらいを独占されている状況でありました。もちろん、その四グループは大量に天下りを受け入れておられました。私は、そのときに、このベンダーグループをITゼネコンと名づけまして挑戦をしたわけでありますが、結果として、各府省にCIO、チーフ・インフォメーション・オフィサーを置かせていただいたり、CIO補佐官という制度もつくらせていただいたわけであります。

 しかしながら、久しぶりに霞が関、永田町に戻ってまいりますと、全く事態は変わっていないというわけであります。当時、一番ひどかったのは社会保険庁であります。先日も社会保険庁を継いだ日本年金機構と大手ベンダーとの汚職事件が起きたばかりであります。全く変わっていない。

 こういうことで、IT調達だけではありません、政府全体の調達を見直すことで相当な財源が浮いてくるはずであります。私もその後トヨタに勤めておりましたが、乾いたぞうきんを絞っているようなトヨタの調達から見ますと、本当に政府は倍ぐらいで買っているというような感じを受けました。

 そこで、本日、調達や契約の実態について御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、調達や契約の実態自体が余り変わっていないという中で、民主党が今力を入れております事業仕分けでも、公益法人、独立法人などでいいかげんな調達、随意契約などがクローズアップされているわけであります。

 そこで、今般、行政刷新会議のもとに公共サービス改革分科会が設置されました。公共調達に焦点を当てて調達制度や仕組みの改革を進めると聞いております。これはまさに、今私が申し上げた問題意識と通ずるものであります。ようやく、政権交代の結果、政府全体としてこの問題に正面から取り組むことができたと感無量であります。

 まず最初に、去る九月三十日の行政刷新会議で設置が決定されました公共サービス改革分科会についてお尋ねいたします。

 まず、今回、行政刷新会議の中に公共サービス改革分科会を設置された趣旨、目的、そして、なぜ政府調達改革が必要だとお考えになったのか、基本的な認識をお尋ねいたします。

平野副大臣 お答えいたします。

 各府省あるいは独立行政法人などの政府の機関が行うさまざまな財・サービスの調達、これは年間十兆円を超えております。その十兆円を超える調達の中で、先ほど岸本委員から御紹介がございましたけれども、やはりさまざまな問題があるというふうに認識しております。これを効率的、効果的に行うということは、予算の節減をするというだけではなくて、国民に対する多様で質の高いサービスを提供するという意味からも大変重要なことだというふうに思っています。

 調達につきましては、先ほど岸本委員からも御紹介がございましたけれども、会計検査院からも、あるいは事業仕分けの中でもさまざまな問題が指摘されておりまして、こうした指摘を踏まえまして、ことし九月に行政刷新会議のもとに公共サービス改革分科会というものを設置することを決めまして、私がその分科会会長を務めさせていただくことになっております。その先頭に立ってこの調達の改革に取り組んでまいりたい、このように考えております。

岸本委員 今、平野副大臣からお答えいただきました。調達に焦点を当てて本格的に検討をいただくということであります。

 しかし、調達といいましても、範囲は大変広いわけであります。平野副大臣、具体的に、どのような内容について御検討されるおつもりなのか。さらには、これは検討してもしようがないのでありまして、実行に移す、その実行に移すのに具体的にどのような工程でなさっていくおつもりなのか。この二点についてお聞きしたいと思います。

平野副大臣 御指摘のように、公共調達には本当にいろいろあります。

 その一つが、まず随意契約あるいは一社応札など、この問題については、もう何回も何回も委員会で問題が指摘されてまいりました。あるいは、共同調達や旅費等の内部管理事務の改善など、こういったものについてもまだまだ効率化、改善の余地があるというふうに思っています。

 それから、民間で行われているいわゆる競り下げ、リバースオークションというふうにも言われておりますが、こういった手法の導入等々、こういったこともこれから検討してまいりたいというふうに考えています。

 それから、調達全般を横断的にチェックしフォローアップする仕組みとか、あるいは、調達情報の共有、人材育成など、調達改革を推進するための基盤についても検討していきたいというふうに考えております。

 分科会では、来年の春を目途にいわゆる公共サービス改革プログラムというものをつくっていきまして、そのプログラムができたときには、そのプログラムに沿って各省がしっかりと改革に取り組んでいくよう促してまいりたいというふうに考えています。

岸本委員 ありがとうございます。

 今、平野副大臣からも御指摘をいただきました具体的なお話をさせていただきたいと思います。

 競り下げ、競り下げ入札、今リバースオークションということでおっしゃっていただきました。私も、これは本当に、予算を節減するための切り札の一つになるだろうと確信をしております。

 現実に、民間企業では、競り下げ、事務用品を初め各種物品・サービスの購入についてはやっているところが多うございまして、調べた限りでも、二割から三割、従前より価格が下がっている。もちろん、単に競り下げをやればいいというだけではないようでありまして、前提条件としていろいろなことはあるわけでありますけれども。

 今、私も競り下げ、大臣もリバースオークションとおっしゃいましたが、一般国民にはなじまない、初めて聞くようなお話でもあろうかと思います。ぜひ、競り下げというやり方、オークションのやり方がどういうものなのか、そして、なぜそれをやると二割から三割価格が下がるのか、御説明をいただきたいと思います。

平野副大臣 リバースオークションと申し上げましたけれども、一般のオークションを考えていただければわかるかと思いますが、一般のオークションでは、例えば、ある物があったときに、これにいろいろな買い手の買い取り価格を言っていただきまして、それで次から次へと言っていただいて、限られた一定の時間内で最高の金額を入れた人がそれを落とすというのがオークションであります。

 リバースオークションというのはこれと全く逆のことでありまして、ある一定の品物でも何でもいいですが、それを調達するときに、一定の時間内で売りたいというところの業者から次から次へと価格を入れていただきまして、その価格が一番安いところから調達をするというような、そういったシステムでございまして、インターネット上のシステム等によって実施されているものだというふうに理解をしております。

 それで、今現在では主に民間企業なんかで実施されておりまして、御指摘のとおり、調達する財・サービスにもよりますけれども、従前と比べて落札価格が二ないし三割程度低下した事例もあると聞いております。これはネット上で多数の応札者がオープンな状態で競りを行うことによる効果であるというふうに考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、事務用品を初め各種の物品・サービスの購入というのは、これは政府も民間会社と全く同様の立場で購入しているわけであります。仮に、政府がそういう調達の努力を怠り、リバースオークションもしないということで、乱暴に言えば民間企業より三割も高く購入しているということであるならば、これは事業仕分けどころではなくて、国民の血税を無駄に使っていると言わざるを得ません。

 競り下げ、これをぜひ中央省庁あるいは地方支分部局、独立行政法人などの政府機関でも導入すべきではないでしょうか。実際、独立行政法人や国立大学法人でも試行的に競り下げ入札をしている実例もあると聞いております。平野副大臣、いかがでしょうか。

平野副大臣 まず、事実関係だけをお答えいたしますと、競り下げは、先ほど申しましたように、民間企業では広く実施されています。あと、郵便事業株式会社においても行われているというふうに聞いておりますし、政府機関では、独立行政法人労働者健康福祉機構、独立行政法人都市再生機構など幾つかの独立行政法人とか国立大学で競り下げの実績があるということでございます。

 ただ、一言だけ申し上げておきますと、競り下げは確かに効果がありますけれども、一方で、政府は予定価格というものを決めます。その予定価格というのは一体何なのかということを考えますと、やはり適正な価格で、売り手側についてもある一定の利潤が保障されるんだ、そういう考え方で予定価格を設置しているんだろうと思います。

 確かに、この競り下げを入れますと、二割、三割という引き下げ効果はございますけれども、そういった場合に、では予定価格とは一体何だろうかといった議論もあわせてやっていく必要があるというふうに思っています。

 今回、競り下げについては、御案内のとおり、例えば鉛筆とか万年筆とか、こういった器材の調達に主に適用されるわけであります。

 競り下げとはちょっと関係ございませんけれども、例えば、公共事業の発注の世界の中では、低価格入札というのが最近かなり起きています、予定価格の六割、五割で落札するという。国の制度ではそういった余りにも低価格入札というのははじくようになっていますけれども、地方自治体ではまだまだそこまでいっていません。五割、六割というふうになったときには、予定価格が一体何なのか、それでもって受注した場合にどこにしわ寄せが行くのか、そういった問題がやはりあるだろうと思います。

 それと個々の物品の調達というのはちょっと性格が違いますが、いずれ政府調達をやるときには、常に安ければいいんだという観点のみで考えるわけにはいかない面もあるんだということをちょっと申し上げておきたいと思います。

岸本委員 ありがとうございます。

 その点は全くおっしゃるとおりでありまして、物品の購入は、英語で言うとバイイングというかパーチェシングなんですけれども、例えば、まさにITのシステム開発でありましたり、橋や道路の公共事業、これはメーキングというかビルディングというか、そこが欧米では調達の発想が全く違うものですから、そこはぜひこの検討会でも踏まえて御議論をいただきたいと思います。(平野副大臣「肝心な点を答弁するのを忘れまして」と呼ぶ)では、次の質問とあわせて。ということであります。

 実は、今副大臣がおっしゃったのでありますが、ビルディングとかメーキングの場合はプロジェクトマネジメントというのが大変重要になってくるわけでありますが、残念ながら、日本の政府の官僚の皆さんにはプロジェクトマネジメントを理解している方がほとんどおられないし、また、そういう人材育成もこれまで全く行われてきておりませんでしたので、その辺もあわせてお願いしたいと思います。

 今のおっしゃったことに加えて、そのとおりなんです、そのとおりなんですが、少なくとも、物品・サービスとかバイイング、パーチェシングを中心に、会計法令の問題もありますけれども、中央省庁で導入することに向けてこの分科会で御検討いただけるのかどうか。どうぞ。

平野副大臣 基本的には、分科会としては、この競り下げのシステムというのはかなり有効なものだというふうに認識しておりまして、そういった事例を参考にしながら中央省庁における競り下げの導入に向けた検討を進めるということにしております。

 その際、今、岸本委員から指摘のあった人材の育成とかそういったものをどうするかといったこともあわせて検討してまいりたいというふうに考えております。

岸本委員 ありがとうございます。大変前向きな御答弁をいただきました。

 それで、私が十年前にITゼネコンと闘っておりましたときにいろいろな勉強をしたわけでありますが、そのときに、どうしても、現行の会計法令、大変古い法律でありまして、信じられないような古い法律でありまして、使い勝手も大変悪いのですが、私が在籍しておりましたころから、大蔵省主計局は、会計法は変えたくないの一点張りで今日まで来ておるのでございます。

 競り下げも、実は予定価格の問題を考えますと、法令上できるのかできないのかということについては実はなかなか難しいということでありますので、きょうは櫻井副大臣に来ていただいていますので、会計法令を所管している財務省にお尋ねしたいと思います。

 ただ、もう法解釈はいたしません、法解釈すると大蔵省の役人が書いた変な答弁が出てくるだけでありますので。むしろ、政権交代をして、事業仕分けもそうです、旧弊を見直す、これまでの古い政治を打ち破っていく絶好の機会でありますので、会計法令の改正を含めて、ともかく公共調達改革に財務省としても全面的なバックアップをいただけるのかどうか、櫻井副大臣にお聞きしたいと思います。

櫻井副大臣 岸本委員にお答えしたいと思います。

 まず、端的に申し上げれば、全面的にバックアップさせていただきたい、そう思っています。

 恐らく会計法の二十九条に当たるんだろうと思います。調べてまいりましたが、確かに、今のリバースオークションなどをやっていく上においてかなり問題になる条文がございましたので、この点は分科会の結論を踏まえた上で適切に措置をとらせていただきたいと思っています。

 今ずっと委員から御質問があった内容をお伺いしておりましたが、私も本当に大事な視点だと思っていまして、特に予算をお預かりしている財政当局からすれば、調達コストの引き下げというのは極めて重要なことだとは思っています。

 ただし、一方で、現在のデフレ経済というものが過度な価格競争によって生まれてきている現実もあって、今、平野副大臣からその点についての御答弁もありましたが、こういった、必ずしも何でもかんでも安くなればいいということではなくて、政府として適正な価格で入札できるようにしていく、そういう観点を持ってこれから財務省としてもバックアップをさせていただきたい、そう思っております。

岸本委員 櫻井副大臣、前向きな御答弁ありがとうございました。もう質問はこれまでですので、御公務おありですから、御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。

 それでは、最後に、政府全体を統括する立場であられる官房長官にお尋ねをしたいと思います。

 民主党は、昨年の衆議院選挙で国民の支持を得て政権についたわけであります。そのマニフェストでは、税金の無駄遣いを根絶すると国民に約束しております。事業仕分けによりまして一歩前進しておりますけれども、それだけではなお不十分でありまして、国民は、まだまだ行政の無駄があるんじゃないか、とてもそれがなくなったとは信じていません。

 諸外国でも、調達改革は予算の効率化の重要な手段として認識されております。例えば、英国がそのトップランナーでありますけれども、アメリカでも、オバマ政権が昨年、調達契約改善計画というものを策定しております。その計画は、何と年間四百億ドル、日本円で三兆円を超える効率化を目標にしているわけであります。民間企業では、もちろん、調達は戦略的な経営事項であります。大変最重視されております。私がさっき言いましたが、トヨタではサプライチェーンいうものが非常に重要視されているわけであります。

 そこで、内閣官房の長の官房長官にお聞きいたしますが、内閣官房では、これまで、随意契約の見直し、IT調達の改善、特に旅費等、内部管理業務の見直しなどに取り組んでいると聞いております。今回、調達改革は、行政刷新会議のもとに設置される公共サービス改革分科会で検討されるわけです。しかし、内閣官房と言おうと内閣府と言おうと、政府は一つであります。政府全体としてやっていただかなければいけないわけであります。

 そこで、官房長官にお聞きしたいのであります。

 今後、国民に御負担をお願いしなければいけない、その大前提としてこの調達改革をする。その際に、米国のように、例えば三兆円という目標を立てる。今、平野副大臣おっしゃいましたように、政府の調達は十兆円を超えるわけであります。約十一兆円であります。三割カットしても、まさに三兆円節約できるわけであります。もちろん、安かろうではないですよ、ちゃんと仕様をそろえてやる、正しいリバースオークションを行った上でということでありますけれども。

 ただ、残念ながら、日本では、これまで政府全体で調達する司令塔がなかったわけであります。アメリカやイギリスや韓国では政府調達庁というものがございまして、調達ガイドラインをつくったり、あるいはベストプラクティスなど調達の情報を集積する、さらに、さっき平野副大臣も言っていただきましたが、人材育成もしています。

 一方、日本では、時代おくれの会計法令や契約実務のために、今民間では当たり前のバリュー・フォー・マネーという考え方が全くありません。今、十万円の購入も十億円の調達も、基本的には手続は同じなんですよ。管理コストという概念が全くないわけであります。

 そういう意味では、内閣を統括する立場におられる仙谷官房長官におかれまして、今のような現状を踏まえて、各府省大臣に調達改革に協力するよう指示をしていただくなど、ぜひとも指導力を発揮していただきたいと思います。

 この間の質疑の流れを聞いていただきまして、官房長官の御所感と御決意をお聞きしたいと存じます。

仙谷国務大臣 岸本議員の問題意識、問題提起に全く同意しますといいましょうか、岸本議員の御指導もいただいて、これから大胆にこの公共調達に関する政府のマネジメントを改革していかなければならないと改めて感じ入ったところでございます。

 昨年、行政刷新会議の担当ということで大臣に就任させていただいたわけでありますが、そのときに、職員の声という部局をつくって、日本の国家公務員がどういう問題意識を持って、どういう矛盾とぶつかりながら仕事をしているのか、すべて言ってくださいということをやりました。

 その中で、寄せられた声で、数も多かったし、最も不合理だと思われたのは、さっきの財務省の会計法等会計諸規則みたいなものと関係するようでありますが、のぞみに乗れないとか、精算が三カ月かかるとか、いや私は半年かかったとか、極めてばかばかしい旅費の精算が手続的になされていると。

 私は、それを聞いておりまして、一つは、今民間のシステムはどうなっているんだということを調べてもらいました。それから、今もまだほとんど是正されていないと思うんですが、各省各部局で旅費精算に携わっている人間がどのぐらいおるのか、数ですね。そして、そのことが最後には財務省の会計課か何かに集約されて、何か古証文のような手続に従ってみんな書類に多分判を押すというやり方で決裁されている。ここにかかる手間、あるいは人件費換算をすれば、これも大変無駄な話だなと思いました。

 つまり、旅費は、このごろは、民間はほとんど、社員が一人一人持っているICカードですっと、ITを使えば次の日か遅くとも一週間後にはその本人の口座に立てかえた分が振り込まれるとか精算されるということですが、日本の場合はそうなっていない。聞いていましたら、例の審議会の、つまり有識者や、あるいは企業の方々やいろいろなところから来ていただいている方々も精算に三カ月から六カ月かかると。東京都以外の人であれば、多少金を持っていないと審議会の委員もなかなかできないとか、そういう話にまでなっておりました。

 これは、直ちに改善するようにということを申し上げて、例えば、ことしの八月六日に、旅費支給の原則化、原則として旅行から一カ月以内に旅費を支給の申し合わせをしたというのであります、これはCIO連絡会議だったようでありますが。しかし、一カ月というのもまたこれもいいかげんな話で、私に言わせれば、遅々として進むという感じであります。

 そして、各省各局のITが、多分ベンダーさんの関係だろうと思うんですが、区々に分かれて、ソフトもハードも統一されていないというようなこともあるようであります。

 これは、IT問題も含めて、抜本的に公共調達の世界を切りかえていく。そこで、例えば、さっき平野副大臣おっしゃった、十兆円のうちどのぐらいカットできるのかと。今推測がつきませんけれども、人件費も計算をすれば相当の額がカットできる、合理化できる、そして本当に意味のある仕事に公務員の方々についていただける、こういうふうに信じておりますので、今後、早急に、この種の、つまり改革プロジェクトを岸本議員の御協力もいただいて立ち上げて、本格的にがんがんといきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

岸本委員 ありがとうございます。

 今お話しになられましたように、ITを使えば相当な改革ができます。アメリカ連邦政府は、もう既に十年前に連邦政府職員の旅費の決済それから一般の物品の購入はVISAカードで行っております。その結果、三割の経費節減が行われているわけでありますから、日本政府も本当に、官房長官の御指導のもと、平野副大臣、ぜひ頑張っていただいて、政府調達で三兆円の財源をひねり出していただきますようお願い申し上げまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

荒井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時九分開議

荒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。内閣委員会で初めて質疑をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 まず、今月二十日に奄美地方で集中豪雨がありまして、奄美大島を中心に甚大な被害がもたらされました。お亡くなりになられました三名の皆様、心から御冥福をお祈りするとともに、被災されました島民の皆様に心からお見舞い申し上げたいと思います。

 公明党は、二十一日に緊急対策本部を立ち上げまして、翌二十二日早朝五時には、対策本部の事務局次長の秋野公造参議院議員が地元県議とともにいち早く現地入りをいたしました。マスコミで報道されている以上に現地の被災状況は深刻で、各地で水及び土砂が集落を襲いまして、想像を超える規模の被害があったというふうに秋野議員から聞いております。

 一行はそこで三日間滞在をいたしまして、現地の状況の把握と被災者のお見舞いに回られたわけでございますが、その中から三点に絞り込んで伺いたいと思います。

 まず、政府として、奄美大島全体の被害の規模についてどの程度掌握されているか、御答弁をいただきたいと思います。

阿久津大臣政務官 先ほど遠山委員の方から御指摘のありましたとおり、奄美地方の年間の平均降雨量の四分の一以上に当たる降雨量がわずか三日間で集中的に降ったという、大変な記録的な大雨だったというふうに感じております。全島的な道路の寸断や通信の途絶のために、連絡がとれずに孤立した地域が発生し、少なくとも初期の段階では被害の把握が困難であったことは事実でございます。

 これまでにおおむね被害の状況が判明したものは、人的被害、死者三名、負傷者二名、道路のうち国県道七カ所が通行どめ、固定電話は八百回線程度が不通、携帯電話は現在三社合わせて十局の基地局が停波中です。電力はすべて復旧済みでございます。水道については二百五十五戸が断水中でございます。建物被害は、全壊七棟、半壊四棟、床上浸水五百九十一棟、床下浸水八百八十三棟となっており、さらなる調査により今後も多少ふえる可能性があります。

 市町村道、河川、農林水産関係の被害については、一部は判明しているものの全容は把握されておらず、これから被害が徐々に明らかになるものと考えております。特に、農林水産関係の被害額については調査中の段階というふうに聞いております。

 引き続き、鹿児島県とも連携し、被害の全容について把握に努めてまいりたいと考えています。

遠山委員 政務官ありがとうございます。ぜひ全力を尽くして、まず被害の全容を解明していただいて、その上で万全の支援策をとっていただきたいと思います。

 今、阿久津政務官のお話の中にもありましたけれども、今回の災害では、通信、電気関係のライフラインの断絶が大きな問題になりました。特に電話につきましては、固定も携帯も全く通じない状況になって、連携がとりにくい。しかも、奄美大島は高齢者が大変多いわけでございますので、災害時における脆弱性がここで端的に浮き彫りになったというふうに思っております。

 また、現地から聞いた話ですが、災害が起きた初動の段階で防災無線が通じないエリアがあったと。役場同士も連絡がつかず、スピーカーが使用できなかった地域もあって情報の混乱が起きていたと、現地に入った皆さんから指摘を受けております。

 防災無線が機能していれば避けられた混乱もあるのではないかというふうに思いますけれども、これは消防庁ですかね、初動段階で機能しなかったのはなぜなのか、また、今後どういう対応をされるのか、御答弁いただきたいと思います。

塚田政府参考人 市町村防災行政無線、御指摘の無線でございますが、市町村の庁舎と地域住民を結ぶ同報系というものと、市町村の庁舎と車両や職員を結ぶ移動系、両系統ございます。奄美大島の五市町村におきましては、この同報系、移動系が整備されてございます。

 それで、初動時にというお尋ねでございますが、奄美市役所に電話にて確認しましたところ、御指摘のとおり、同報系は警戒情報の伝達等に活用されておりましたが、住用地区など一部の地区で、停電の影響によりまして屋外拡声機や各戸に配付されている戸別受信機がふぐあいが生じたというふうに報告を受けております。

 現在でございますが、防災行政通信網は、車が水没してしまった移動系の部分はおきまして、それ以外につきましては復旧しているというふうに報告を受けております。

 消防庁では現在、現地に対する調査を続けておりまして、今後、詳細な現地調査を行うとともに、有効な災害教訓や対策などについて全国に周知するなど、必要な対策を講じてまいる所存でございます。

遠山委員 委員長、指名するときはぜひしっかりやっていただきたいと思います。きょうは開始もおくれていますからね。与党議員はほとんど来ていないですしね。ぜひ緊張感を持ってやっていただきたいと思います。

 今回の奄美地方の記録的豪雨は豆台風のようなものが原因だという指摘もあるようでございますが、今、台風十四号が近づいているということでございまして、あさってごろには現地付近に来るということでございますから、二次災害の危険性が高い。地盤も緩んでおりますし。ですので、政府の方には、そのことも踏まえて、できる限りの御支援をこれから二日間やっていただきたいと思いますが、政務官、何かありますか。

阿久津大臣政務官 遠山議員から貴重な御指摘をいただいたというふうに考えております。

 この台風十四号は極めて大きい台風で、中心気圧が九百五十五ヘクトパスカル、最大瞬間風速五十五メートルで、奄美地方に最も接近する二十九日から三十日にかけてもほとんどその勢力が衰えずに到達するというものでございます。

 きのう、松本防災担当大臣とも相談の上、台風十四号の接近に伴う今後の二次災害発生のおそれに備えるため、政府現地連絡対策室を現地に設置し、より一層の情報収集と連携強化に努めるよう私からも指示したところでございます。政府現地連絡対策室は本日午後から活動に入っており、今後とも、鹿児島県と緊密に連携しながら、政府一体となって迅速な復旧対応に取り組んでまいりたいと考えております。

遠山委員 ありがとうございます。

 続きまして、また鹿児島県で災害、これは今後起こり得る災害についてございますが、桜島の火山の活動が今大変活発になっております。

 私は先日、鹿児島県の桜島火山活動対策議会協議会の代表の皆様とお会いをいたしまして、ことしの桜島の異常な活動状況についてつぶさに報告を伺いました。

 お手元の資料にあると思いますが、一九五五年以降の観測史上で最大の数の爆発が、ことし桜島で起こっております。十月十八日時点で七百九十三回ということでございまして、グラフを見ていただくとわかりますように、昨年が過去最大数を更新したのですが、それをかなり上回るペースでいっております。

 京都大学の防災研究所、火山活動研究センターによりますと、桜島にマグマを供給している姶良カルデラの下でマグマが蓄積されつつある状況となっておりまして、これは五十八人が犠牲になりました大正大噴火の約九割まで回復してきているということでございます。あくまでも可能性でございますけれども、ことしの爆発活動を客観的に分析すれば、二億立方メートルのマグマが噴出をしたと言われております昭和二十一年の大噴火に匹敵する噴火が近い将来起こってもおかしくないということでございます。

 まず、これも阿久津政務官になるかと思いますが、桜島火山活動対策についての政府の対処方針と現在の取り組みを伺いたいと思います。

阿久津大臣政務官 私も、今の桜島の状況は大変心配をしております。

 内閣府におきましては、火山災害から住民等の生命財産を守り、さらに効果的な噴火時等の避難体制に係る火山防災体制の充実を図るため、これまで噴火時等の避難に係る火山防災体制の指針を策定しております。具体的には、噴火警戒レベルの導入とか避難体制の構築などであります。これを行うとともに、平常時より、噴火時の円滑な住民避難に不可欠な火山ハザードマップの作成など、火山防災対策の取り組みを推進してきたところでございます。

 桜島火山については、以前より先行的に取り組みが進められており、既に鹿児島市の地域防災計画の中で、噴火時の円滑な住民避難を可能とする避難計画が策定されています。また、地元関係機関から構成される桜島火山防災連絡会が中心となって火山防災対策について定期的に検討を実施しているところであり、火山防災対策のある意味では先駆的な取り組みがなされているというふうに考えております。

 内閣府としては、これらの活動がさらに促進されるよう最大限の支援をするとともに、今後も、的確な監視観測体制のもと、気象庁、国交省、文科省など関係省庁と連携を図りつつ、住民の安全確保対策に万全を期してまいりたいと考えております。

遠山委員 それでは、国土交通省から三井副大臣においでいただいておりますけれども、先ほど御紹介した地元の協議会は、この桜島の爆発の回数を受けまして種々の要望を政府に既に伝えているかと思いますが、特にきょう私が指摘したいのは、これだけ爆発しておりますので灰がかなり地元では降っておりまして、既に国交省の補助事業でもあると思いますが、降灰除去事業が行われております。

 ただ、桜島周辺の地元の住民の皆さんのお話を伺うと、道路降灰除去車両の数が足りない、またあるいは非常に老朽化していて効率が悪いという問題が指摘をされておりまして、ことしの噴火数が最終的に千に行くのかどうかわかりませんけれども、ぜひ対応をしていただきたいと思いますが、御答弁をよろしくお願いします。

三井副大臣 今、遠山委員からこの資料もいただきましたけれども、まさに二十一年度は大変な爆発が続いているということも報告を受けております。

 そこで、今、降灰量が千グラム以上ということになれば、当然、補助採択基準に達しているということでございます。道路の降灰除去車両の買いかえについては、当然、採択基準に達しておりますから、補助の対象になるということでございます。

 それで、鹿児島市においては、先ほどお話ございましたように、降灰除去車両は年内に一台買いかえる予定でございます。また、国土交通省では、この車両については地方公共団体の要請に応じまして貸し出しできる体制をとっておりまして、現在、鹿児島市に二台、それから垂水市に一台貸し出しを行っておるところでございます。

遠山委員 ぜひ三井副大臣のお力でもうちょっと台数をふやしていただければありがたいということを地元住民に成りかわってお願いを申し上げます。

 また、官房長官、お疲れのようですが、もし桜島が大噴火しますと官邸も危機管理をやらなきゃいけない。官房長官は責任者でございますので、ぜひ桜島を忘れずにお願いいたします。

 続いて、玄葉大臣にお伺いをいたします。

 前国会で、ネット選挙運動の解禁につきまして、インターネットを利用した選挙運動の解禁に関する各党協議会の合意を受けた法改正案が国会に提出をされておりました。きょう出席いただいている海江田大臣と私が答弁者で、準備万端、海江田大臣の事務所で準備をして、委員会室まで来たんですけれども、会期末の鳩山前総理の辞任騒動の中で審議が行われずに廃案となり、大変残念でございました。

 私は、また公明党もそうですが、ネットを利用した選挙運動の解禁は、有権者の国民の皆様に選挙のときに公正な判断材料をさらに提供するという意味で、非常に重要な改革であるというふうに考えております。私は一刻も早く成立させるべきだと考えておりますが、民主党の政調会長でもある玄葉大臣の御決意を、今国会でやる方針なのかどうか、明快な答弁をいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 ただいま遠山委員がみずから御尽力されたインターネットの選挙運動の解禁の話でありますけれども、私も、また私たちも、このインターネットの選挙運動の解禁というのは、かつてから議論はあったんですけれども、いよいよ本格的に一歩踏み出すべきだということで、まさに金のかからない選挙、あるいは政策本位の選挙ということでやろうじゃないかと。

 ただ、御存じのように、成り済ましとか誹謗中傷をどうするかとか、こういった議論があったんですけれども、まさに遠山委員や海江田現経済財政担当大臣などの御努力あるいは各党の御努力で先国会で合意したというふうに私も聞いておりますので、ぜひ今国会で各党が、これは私が政調会長という立場でどこまで申し上げたらいいのかということはあります、つまりは国会の運びの問題でもあるものですから、ぜひ成立に向けて各党の御努力を私自身も期待したいというふうに考えておりますし、当然、民主党としては成立が望ましい、そう考えております。

遠山委員 これはもうほぼ全党一致しておりますし、今玄葉大臣が御指摘になった技術的なところも、ペンディングにしたところもあれば解決策を考えてあるところもありますので、ぜひとも民主党政調会長としてもリーダーシップを発揮していただいて、速やかに衆参で、当然補正予算の審議の前はできませんけれども、やっていただきたいと思います。

 それからもう一つ、玄葉大臣、これもちょっと政調会長として伺う話になるかと思いますが、さきの参院選直後の短い国会におきまして、参院選のことしの当選者が給与の一部について自主返納できる法改正を行いまして、ことしの参議院選挙の当選者については事実上の歳費の日割りが実現をしたわけでございます。これも各党一致して取り組んだことでございます。

 ただし、前国会の措置は一度限りの暫定的な措置でございまして、これを恒久的な措置とする抜本的な法改正は先送りをされました。当時の報道にも見出しに出ていますけれども、それは次の国会、つまり今の臨時国会でやるということも私は合意ができていたというふうに思いますが、与党側からも余り積極的な動きがまだございません。

 私ども公明党といたしましては、これは国民への約束だと思っておりますから、今国会でぜひ成立をしなければならない。民主党さんも参院選のマニフェストで明確に国会議員の歳費を日割りにすると簡潔に掲げていらっしゃるわけでありますから、ぜひともこれをやりたいと思いますけれども、御決意のほどを伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 これも遠山委員が御熱心に取り組んでいただいたと思います。

 今もお話ありましたけれども、新人議員はもう差額を国庫に返納ということなんですけれども、恒久化しようということだと思うんですね。我々ももちろん積極的であります。

 ちなみに、これは幹事長部局での検討になるものですから、私も詳細を知っているわけではありません。ただ、私が聞くところによれば、議員は当然のこととして、実はこれは秘書の皆さんにも及んでしまうということで、えいやというわけに簡単にいかないということは聞いています。

 ただ、実は民主党の中に、これまで政治改革本部が、この間、一時期設置されていませんでした。でも、今度改めて設置されたものですから、この政治改革本部で検討していただくように、政調会長という立場からも幹事長の方に、本部長は幹事長なものですから、要請をしたい、そう考えております。

遠山委員 今、玄葉大臣が御指摘になりました公設秘書の給与も、日割りになった場合に、議員は議員で、解散の場合、選挙に入る、その間、公設秘書たちも給与を失って無給になってしまうという問題がありますので、ここは私も、各党でしっかりと知恵を出して協議をしなければいけないと。

 ただ、やはりほとんど全国の都道府県議会や市町村議会でもう歳費は日割りになっているわけでございまして、民主党の皆さんも地方議員の方々とお話しする機会は多いでしょうけれども、市町村合併で議員の数が減っている。今、地方議員の年金の問題が大きく懸念をされている状況もあります。そして、地方議員は歳費も日割りになっているという状況の中で、やはり、私たち国会議員が範を示した改革をしていない、あるいは後からやっているという現状は、私は、これはちょっと国民全般から見ても納得いかないところじゃないかと思います。

 ただ、地方議員の皆さんは公設秘書がいませんから、そこの違いは当然あるわけですから、しっかりと中身のある議論をした上で、しかし議員の歳費の日割りについてはしっかり実現をしていくということが大事だと思っております。

 さて、続きまして、また玄葉大臣ばかりで恐縮でございますが、予算委員会等でも何度も議論になっております国家戦略担当大臣と経済財政担当大臣の所掌の問題についてお伺いをしたいと思います。

 正直申し上げて、私も、玄葉大臣や海江田大臣の御発言とか委員会での答弁、あるいは総理大臣の御答弁も伺っておりますけれども、いまだにお二人の役割分担がよくわかりません。

 玄葉大臣の、ことし九月十八日の記者会見の御発言だけは明快だったんですね。何とおっしゃったかというと、ちょっと引用いたしますが、足元、短期の、また単年度の経済対策の責任を担うのが経済財政担当大臣で、国家戦略担当大臣の経済面での役割は中長期の基本方針をつくることとおっしゃっております。

 これは中学生が聞いてもわかる説明でございまして、海江田大臣は短期の、単年度の経済対策をやる、玄葉大臣は中長期の基本方針をつくるということをおっしゃっているんですが、このお考え、玄葉大臣、今も変わっていませんか。

玄葉国務大臣 基本的には変わっておりません。

 よりわかりやすく申し上げると、例えばこの間の経済対策、これは海江田担当大臣が責任者でございます。ただ、例えば、中期財政フレームとかあるいは財政運営戦略とか、あるいは財政運営戦略をつくるに当たっての、例えば新成長戦略での、どのくらい我々は成長させていかなければならないか、つまりは、十年平均三%で名目、二%で実質、GDPデフレーターで一%、ああいうふうに数字を基本的に策定していくのは私のところの担当である。

 ただ、実際、率直に言って、旧経企庁、海江田担当大臣のところに行っているわけですね。ですから、マクロの分析とか試算、シミュレーション、そういったところはやはりそういったところも活用させてもらいながら、ただ最終的な責任は私が負う、こういうことだと私は思っています。

遠山委員 玄葉大臣の御意見はわかりました。

 それで、海江田大臣にお伺いしたいんですが、海江田大臣は、先ほど私が御紹介した玄葉大臣の記者会見の発言の同じ日に、御自身の記者会見で、必ずしも明確に短期の経済政策と中長期の経済政策で役割分担しているわけではないと御発言をされているんですね。

 玄葉大臣、申し上げにくいんですが、経済財政担当の内閣府特命大臣の所掌についての根拠法を見ますと、海江田大臣の方が正しいと思うんですね。

 具体的に言います。内閣府設置法第四条第一項には、経済財政担当大臣の所掌について規定されております。その所掌事務項目を具体的に申し上げると、一つは「短期及び中長期の経済の運営に関する事項」。だから中長期も入っているんですね。それから、二番目が「財政運営の基本及び予算編成の基本方針の企画及び立案のために必要となる事項」。三番目が「経済に関する重要な政策(経済全般の見地から行う財政に関する重要な政策を含む。)に関する事項」と明示されているわけでございます。

 そうしますと、海江田大臣がこの内閣府設置法で定められているところの御自身の所掌事務を忠実に行われた場合には、短期の経済政策だけではなくて、中長期の経済の運営にも責任を持って当たらなければならない、こう思うわけですが、とりあえず海江田大臣、これでよろしいですか。

海江田国務大臣 遠山委員にお答えをいたします。

 私が、九月の十七日でございますけれども、経済財政担当大臣を命ずると言われまして、そこで真っ先に見ましたのが、今お話のございました内閣府設置法に基づく所掌事務の項目でございます。今、委員から明確におっしゃっていただきました。

 先ほど、私がその記者会見をする前に実は玄葉大臣の会見があったんですかね、そして、その中で短期と中長期という時間軸での区分がございましたから、私はそれを受けて、中長期も私がやはり責任を持って、そして玄葉大臣と連携をとりながらやらせていただくということで、ああした発言をしたわけでございます。

 さらにつけ加えるならば、これまでは、まさにきょう委員長席に座っておられる荒井大臣が国家戦略担当で、そして経済財政の担当でございましたから、一手に担ってやっていたわけでございますが、今回、人格的には二人になりますが、ただ、そこはお互い、先ほど玄葉大臣からもお話がございましたマクロ分析などの点で私どもがアドバイスをするということもございますので、そこは、私は漢詩が好きでございますので、連理の枝という言葉、あるいは比翼の鳥という言葉がございますので、お互いそうした関係で力を合わせて今の難局を乗り切っていきたい、そんな思いでおります。

遠山委員 二人で力を合わせるというと何かすごくうまいまとめ方なんですが、これは、政治主導確立法案がもし今国会で議論されたら大きな問題になると私は思っておりまして、玄葉大臣にも後で答弁を求めますが、その後官房長官にちょっと聞きたいんですけれども、要するに、実は両大臣に余り責任はないと私は思っているんです。

 つまり、内閣府の経済財政担当大臣の根拠法は明確に今あるわけで、所掌もしっかり決まっているわけです。ところが、国家戦略担当大臣については、実は、根拠になっているのは総理による発令ですね、官報に載った。ここで、「税財政の骨格や経済運営の基本方針等について企画立案及び行政各部の所管する事務の調整」というふうに、総理の発令があるわけです。

 実は、この総理の発令と経済財政担当大臣の根拠法がもともと重複しているので、お二人の仕事が重複するのは当たり前なんです。そこを整理しないでお二人でやると何が起こるかというと、例えば海江田大臣の立場に立てば、幾ら今の補正予算あるいは来年度の予算の短期の経済政策担当だと言われても、それは、中長期のフレームとか経済運営方針を考えずに短期を決められるわけがないわけですから、結局は、海江田大臣のスタッフも玄葉大臣のスタッフも同じ仕事をしているんじゃないかなというふうに私は思うんですね。

 そこに加えて、さらにややこしいのは、政府が今国会に提出しております政治主導確立法案が仮に成立した場合に設置される国家戦略局は、今度は仙谷官房長官の指揮命令権のもとにある。

 それから、今までの国会答弁を私、俯瞰をしましたら、国家戦略担当大臣は各省庁への直接的な指揮命令権はないと政府答弁でなっております。また、国家戦略担当大臣が立てる予算編成の方針とか財政運営の方針と財務省のそれが対立した場合、どう対応されるのか、いま一つよくわからない。それから、税制調査会との役割。これは、今までの御答弁では、恐らく玄葉大臣のところで決められた税制に関する基本方針に基づいて税制調査会がやるような印象を受けておりますが、そこも何となく不明確。

 私が何を申し上げたいかといいますと、司令塔が複数あるような印象をぬぐえません。官房長官もそうです。総合調整、最終的にできる。それから玄葉大臣もそう。海江田大臣もそう。財務大臣もいらっしゃるということで、それぞれがそれぞれに責任を持っているような持っていないような形でやっておりまして、きょうは蓮舫大臣は今おりませんけれども、特別会計の事業仕分けもいいですけれども、官房の中で、内閣府の中で事業仕分けを先にやらないと、同じ仕事をされている方がそれぞれの大臣のもとでいらっしゃるんじゃないかなというふうに私は思っているわけでございます。

 こういったところが払拭されないと、何をもって政治主導確立なのかよくわからないというふうに思っておりまして、この点について玄葉大臣と官房長官の御見解を求めたいと思います。

玄葉国務大臣 もちろん、重複するところが全くないかといえば、そんなことはないと思います。ただ、それぞれの担務について役割分担をしているわけです。

 例えば、わかりやすく言うと、では予算編成をどうするのかということでありますけれども、予算編成の基本方針は私のところで責任を持ってつくります。そして、私と官房長官と財務大臣でその基本方針をもとに予算編成全体はいたします。実際の事務作業は、これは財務大臣。例えばそういう形で我々の中では分担をし、最終的にまさにまとめ上げていくんだ、官邸全体、もっと言うと政府全体でまとめ上げていくんだというふうに考えております。

 ですから、税もややそれに近い形になるかもしれませんけれども、ちなみに、政府税調というのが我々にはありまして、政府税調の中で私は会長代行。これは実は総務大臣もそうでありますが、私も会長代行の一人、海江田担当大臣もそうでありまして、そこは議長は実は財務大臣です。ですから、それぞれ役割分担をしながらやっているというふうに考えていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 どのようにお答えをしましたら遠山議員の質問の趣旨にかみ合うのか、ちょっと考えておるのでありますが。

 官房長官の仕事は、内閣の重要政策の基本方針、あらゆることに総理大臣を補佐する役割として調整が必要な場合には調整に入っていくということでございますが、そういう中でも、経済財政政策担当大臣自身は、マクロ経済政策、その調査分析、あるいは経済政策、経済対策等々を総合的につくっていただくというのが経済財政政策担当大臣の基本的なお役目だと私は思っております。戦略大臣は、今回の場合には、もう少し具体的になった予算、税制、あるいは経済運営などの、この基本方針についての企画立案、総合調整であります。

 そこで、例えば予算をとりますと、予算の編成作業自身の実務は、これは財務大臣の指揮下で、その基本方針を戦略大臣がお立てになった場合に、その枠内で財務大臣が予算編成作業を指揮して行うということになるのでありましょうが、さはさりながら、そこは今玄葉大臣もおっしゃったように、重複といいましょうか、上下左右、重なり合う部分は当然のことながら出てくるんだろうと思います。

 そのときは、総理大臣あるいは官房長官が調整作業のある種の司令塔部分を担わなければいけないなと思っておるわけでありますが、我が菅内閣におきましては、そこは玄葉大臣、それから財務大臣、それから私のところで、まあ、私は必要があればということでありましょうが、調整作業に入りたい。

 そういう枠組みでやらなければならないというのは、今の内閣府の大臣のあり方をごらんいただいてもわかるように、やはり省庁をまたがって調整作業が必要な事項がやたらと多くなっている。つまり、一省単位でできないという事情もこの間の社会経済情勢の、あるいは構造の変遷に伴うものなんだろうなと私は理解をしております。

 したがって、法律の書き方、それから各大臣の位置づけ方いかんにかかわらず、やはりそこは重なったり、あるいは文言として截然と分けることができても、現実の世界の中ではやはり連携をし、協調をし、統合し、調整作業に当たらなければいけないんだろうな、そういうふうに考えているところであります。

遠山委員 官房長官、ちょっとわかりにくかったんですが。官房長官に私は申し上げたいんですけれども、先ほどの玄葉大臣の御答弁も、わかりやすいようで、まくら言葉に例えばと言ったり、終わるときに、かもしれませんがとか、それから官房長官も、さはさりながらとか言って、いろいろ言うんですね。

 官房長官、いろいろな大臣が業務で重なりがあるというのは、それは前の自公政権のときもそうですからいいんですけれども、私が問題になり得るなと思っているのは、責任とそれから司令塔役が重なっていると、結局はだれも最後に責任をとらなくていいという無責任主義の温床になりかねないというところなんですね。

 ですから、その点については、また政治主導確立法案の審議もあればもっと深くやりたいと思いますが、指摘をさせていただきたいと思います。

 官房長官、ちょっと簡潔に御答弁いただきたいんですが、この政治主導確立法案の中で規定されている政務参事と政務調査官ポストについてお伺いをしたいと思います。二点お伺いしようと思ったんですが、まとめて一点にします。

 私は、ことしの五月十三日の本会議の質問でも当時の鳩山総理にも質問をさせていただいたんですが、各省庁に入れるとされている政務参事と政務調査官ポストというのは、結構高い給与になっているんですね。政務参事の給与は月額七十二万六千円から八十五万円、政務調査官は月額三十七万六千円から六十二万一千円と規定されているんです。

 私、国家公務員の俸給制度に詳しい方に聞きましたら、これは、国家公務員特別職のうち、特定任期付職員の給与体系と同じなんですね。では、どういう人を特定任期付国家公務員特別職として政府は採用してきたかといいますと、高度な専門的な知識経験を持つ方、例えば弁護士の方あるいは公認会計士の方、そういう方々をこの給与基準で採用してきているわけでございます。

 問題は、今までの政府の御答弁では、この政務参事と政務調査官は何をやるんですかというと、行政と政治の調整と政務の補佐。極めてあいまいな業務なんですね。何で、政治と行政の調整に当たる政務参事と政務調査官ポストに特定任期付国家公務員特別職という非常に高度な専門的な知識を持っている方と同じ給与体系を充てなきゃいけないのか、理解ができないんですね。

 この点について、給与水準がどうかというのは、官房長官、後でまとめて答えてください。

 さらにもう一点、私が聞きたいのは、私の本会議質問では、民主党の皆さんに大変やじを大きくいただいたわけですけれども、この政務参事や政務調査官ポストを民主党政権で設けるのは、民主党の党職員ばかりを採用するんじゃないかと。当時は政策調査会がなかったですね、民主党は。ですから、私は、政調を民主党で勝手に政党として廃止して、そこで仕事がなくなった方々を各省庁で雇う気なんじゃないですかと。しかも、あの給与でですよ。先ほど御紹介した非常に高額な給与で国家公務員特別職として雇うのであれば、それは政党による行政の私物化と言われても仕方ないんじゃないか、こういう指摘をしたわけです。

 これに対して、鳩山前総理がどういう答弁を本会議場でしているかといいますと、こうおっしゃったんです。

 内閣政務参事等は、「官房長官等の国会議員任用職を直接補佐する重要な官職であることから、政務面に精通した民間の有識者、与党職員」、ちゃんと言っているんですね、総理は否定していない。与党の民主党、あるいはほかの政党もあるのかもしれませんが、「職員、さらには議員秘書等」、これは私ちょっと驚いたんですが、私の質問では、与党職員を雇うんですかと聞いているんですけれども、議員秘書も省庁の政務参事や政務調査官ポストに登用を想定しているところでございますと。

 ただし、給与については、二重支給になるようなことは行わないようにしておりますと総理はおっしゃっていて、「すなわち、もし与党の職員を採用することになれば、言うまでもありません、非常勤ということでございます。非常勤でありますから、基本的な給与を払うことはありません。」と。

 先ほど私が言及した給与は、民主党の職員を政務参事や政務調査官で省庁に入れたときには払わないと。つまり、政党職員としての給与を引き続き継続してもらう、こういうことを当時の鳩山総理がお答えをしているわけでございます。

 そこで、仙谷官房長官、確認をしたいんですが、まさにこの法案を出されようとしている今の政府として、まず、この二つの、政務参事や政務調査官ポストに与党職員や議員秘書を登用するという方針を維持されているのかどうか、また、それをされたときには全部非常勤で雇うということをお決めになっているのかどうか、菅内閣の官房長官としてお答えください。

仙谷国務大臣 政治主導確立法案を成立させていただいた際の政務参事と政務調査官ポストでありますけれども、これは、端的に、今遠山議員がお話しなさったケースからいきますと、常勤のそういう政務調査官もおれば、非常勤の方も存在する。政務参事についても、同じように常勤の方もおれば非常勤の方も存在する。それから、いわゆる政務調査官、内閣政務調査官のほかに政務調査官というのも存在するわけでありますが、これも、常勤の方も存在すれば非常勤の方も存在する。

 政党職員であっても、常勤になるのであれば政党職員はやめていただかないと、国家公務員の職務専念義務に反する、こういうことになりますから、政党の例えば政務調査会の職員でもあって、なおかつ政務調査官で仕事をしようとすれば、それは非常勤でやっていただくしかない、こういうことになろうかと思っております。

 定数は、内閣官房では常勤が六人、それから各府省では全部合わせて十六人というのが、せんだっての政治主導確立法案での規定でございました。そのほかに非常勤のこの種の職員がいらっしゃる、こういううったてといいましょうか、建前になっております。

遠山委員 官房長官、だから、鳩山前総理は、与党の職員を採用する場合にはすべて非常勤で採用しますと言っているんです。

 今の官房長官のお答えだと、常勤で雇う場合には、職務専念義務があるから与党の職員はやめてもらわなきゃいけない。それはそうですけれども、私は、与党職員を入れることを想定してこういう高い給与の公務員ポストをつくること自体、問題だと言っているんですから、今の答弁はちょっと違いますよ、前の政権の答弁と。

 与党の職員を採用するときには全部非常勤で雇うと時の総理が言ったんですよ。その方針でいいんですか。

仙谷国務大臣 現時点では、当然、まだ法律は通っていませんから、いわゆる非常勤の職員として、専門調査員という身分といいましょうか位置づけで、政府の仕事もし、あるいは党の仕事もしている。この場合には、鳩山総理がおっしゃっているように、現時点では、すべて国からは給与、手当は出さないということにしているわけであります。

 もし、鳩山さんが、一般的に、党の職員を政務調査官にする場合にはすべて非常勤でしかあり得ないという意味のことを言っているとすれば、それは少々間違っておるわけでありまして、常勤の政務調査官なり政務参事にするのであれば、そういう位置づけにするのであれば、党の職員をやめていただかなければならない。これは、常勤という身分からして当然であります。(遠山委員「そんなことは聞いていないですよ」と呼ぶ)いやいや、だから、党の職員を、遠山さんの言い方によれば、常勤の政務参事や政務調査官にしてはならない、しないんだということをもし鳩山さんが言ったとすれば、それは勘違いであります。

遠山委員 要するに、では、官房長官は、鳩山前総理は本会議の私の代表質問の答弁で間違いを言ったというふうにおっしゃっているんですね。いいんですね。(発言する者あり)いやいや、私、また引用しますよ。そういう、いいかげんじゃないですか。だって、政治主導を確立するというのは民主党の柱の政策でしょう。仙谷さんだって、その鳩山内閣の一員だったわけでしょう。

 もう一回言いますよ、官房長官。よく聞いてくださいね。

 さっきの官房長官がおっしゃっているのは、専門調査官というのは今の話でしょう。そうじゃなくて、鳩山前総理は、「内閣政務参事等」、これは要するに政務調査官も含めてですね、「等」について、こういう仕事の人ですとおっしゃった後に、「すなわち、もし与党の職員を採用することになれば、言うまでもありません、非常勤ということでございます。」と。常勤とは言っていないじゃないですか。「非常勤でありますから、基本的な給与を払うことはありません。」とおっしゃっていますから、これは、普通に解釈したら、非常勤で与党の職員でしか採用しないんだから、そんな、あなたが言っている高い給与が与党の職員に払われることはないんです、こういう答弁をされているんじゃないですか。どうぞ。

仙谷国務大臣 もうちょっと前後をお読みいただきたいと思うんですね。僕も遠山議員がお読みになったところを今いただいて読んでおりますが、「その際、当然のことながら、給与の二重支給になることは行わないようにしております。すなわち、もし与党の職員を採用することになれば、言うまでもありません、非常勤ということでございます。非常勤でありますから、基本的な給与を払うことはありません。」こうなっていますね。これは、多分、舌足らずで、もし与党の職員を職員の身分あるいは地位を維持させたまま採用することになれば非常勤ということであります、その場合には基本的な給与を払うことはありませんということなんですよ。

 だって、さっきも申し上げているように、常勤の職員になってもらう場合に、その人に、では国から常勤だけれども給与を払わないということになる。常勤になるということは党の職員をやめるということでありますから、これはやめないと常勤の職員にできないわけですから、党の職員をやめるから二重払いにならないじゃないですか。理の当然じゃないですか。

遠山委員 官房長官、そんなことを聞いているんじゃないですよ。鳩山総理は非常勤で採用するということしか言っていないわけです、ここでは。だから言っている。

 では、今の官房長官の答弁が正しいとしましょう。ということは、可能性として、要するに、先ほど私が申し上げました、政務参事、月額七十二万六千円から八十五万、政務調査官、月額三十七万六千円から六十二万一千円、これは法律に書かれている給与体系でしょう。高度で専門的な知識や経験を有する国家公務員特別職と同じ給与体系で民主党の職員を採用して、職員をやめさせて常勤で入れる、そういうことはあり得るということですね。

 私は、それを、官房長官、まあ一人や二人だったら許しましょう。しかし、たくさんやったら、それは政党の職員をそういう形で中に入れて行政の私物化だと言われてもおかしくないですよ。何かありますか。では、簡潔に一言。

仙谷国務大臣 ここに堂々と、内閣政務参事、政務調査官の給与、もしこの法律が通ったときに適用される給与の一覧表を掲げております。別に隠したりなんかしているわけではありません。これは常勤の給与表も非常勤の表もございます。つまり、政党の職員であろうが民間の方であろうが、あるいは、もう少し言えば、霞が関のキャリアの方であろうがノンキャリアの方であろうが、それにふさわしい力量のある方はここに採用をするということになります。

 これは、遠山さんも政務官をなさっていらっしゃった御経験がございますから、もし、過去、政党の職員が、政と官の間にいわば連絡や意思疎通やコミュニケーションを図る、そのために仕事をするという政務参事や政務調査官の役割というのは、それほどある種の専門性がなくても、つまり、早い話が使い走りの秘書類似の方のような人でこんな仕事ができるとは私は思っていません。反対に言えば、弁護士の資格を持っていても、なかなかそういうことが苦手な方、そういうのに似つかわしくない方もいると思います。

 つまり、政治の仕事といいましょうか、行政庁の中でいわゆる政務と言われていることを業務とするというのは相当程度専門性が高いと私は思っておりまして、そこに、政党の職員の中で、政策に通じながら、政務的な調整作業をうまくする人というふうな人は相当数いらっしゃるわけでありますから、その方々が抜てきをされて、あるいは本人は嫌がって断るかもわかりませんが、常勤の政務参事や政務調査官に抜てきされる方は相当出てくると見ております。

 あるいは、政策秘書を務められている方がここに抜てきされる可能性というのも大いにおありになる。あるいは、シンクタンクでかねがね研究や調査あるいは勉強を政治家と一緒になさっている方がここに抜てきされるというようなケースも相当ある。あるいは、キャリア、ノンキャリアの方々もここに抜てきされるという方は相当ある。これは今の時点での想像でありますが、そういうふうに想像しております。

遠山委員 官房長官、いろいろ長々とおっしゃいましたが、私と意見は違います。はっきり言っておきます。

 それはなぜかといいますと、確かに、私も外務大臣政務官をやりましたから、政務、行政と政治の調整が必要だというのはわかりますよ。しかし、では、どういう客観的基準でこの人は政務調整にたけていると判断して、私が申し上げたような高度な専門知識を持った国家公務員と同じ給与を与えるに値するということ、これは主観的、恣意的にならざるを得ないでしょう。だから、もしそういうことをおっしゃるんだったら、本当にこの給与体系でいいかどうか、法案提出する前にもう一回考えてくださいよ。

 私は、官房長官はそういうお考えだから、官房長官個人として納得するかもしれませんが、これは国民の多くの皆様から批判を浴びると思いますよ、悪いけれども。だから、そのことは指摘させていただきます。

 私の持ち時間、あと二分しかなくなりまして、たくさんの方に来ていただいておりましたが、また次の機会に、予算委員会もありますので、伺いたいと思いますが、一点だけ、海江田大臣に最後に伺います。

 菅総理が予算委員会でよくおっしゃる、企業の内部留保金が二百兆円、手元資金が約六十兆円あると。これは財務省の企業統計資料によるとそのとおりでございますが、問題は、企業の内部留保金二百兆円といっても、それはすぐ現金化できるものじゃありません。逆に、手元流動性と言われている六十兆のお金を動かすことができるわけですけれども、菅総理は予算委員会の答弁の中で、例示として介護分野を挙げて、介護の分野にこういう企業のお金を流し込んで雇用を生むということをおっしゃったんですが、社会保障の柱の一つである介護の分野に六十兆の企業の手元資金が簡単に流入するわけは私はないと思っておりまして、そこは知恵と工夫が必要だと思います。

 経済財政担当大臣として、どういう方針でこの企業の内部留保二百兆あるいは手元資金六十兆を経済活性化に使おうとされているのか、お答えをいただきたいと思います。

海江田国務大臣 お答えいたします。

 もうつとに御案内だろうと思いますが、私どもは三つの段階の、スリーステップの対策をとるところでございまして、これから国会に提出をします補正予算、これがセカンドステップでございます。

 ファーストステップは予備費を使ったものでございますが、このファーストステップ、セカンドステップのところでは、特に、総理がお話をしておりますが、医療、介護、保育、その中でも介護に重点を置いておりますが、ここは潜在的な需要があるところですね。そこにやはり人をきちっと雇って、そしてその人々にきちっとした支払いをするということによって、その人々がやはりまず消費をするだろう、消費をすれば税金も納めるだろうということで、これは介護だけではありません。さっきお話をした医療も保育もそうでありますが、そういうところは、手当てを講じれば、それがすぐ税収の増あるいは所得の増という形ではね返ってくるということでありますので、今のセカンドステップのところではそれに重点を置いた施策をしている。

 しかし、委員御指摘のように、では、それだけで、今お話のありました企業にあります手元流動性、もちろん全部が全部預金ではありませんけれども、この二百兆あると言われているものがすぐ実際に需要となって出てくるというものではありません。ですから、そこは、第三ステップでは今度は特に、これまでの第一ステップ、第二ステップで触れられていませんのは、例えば減税などについては全く触れられておりません。だから、そういうものを講じることによって、これをやはり世の中に回していって景気をよくしようという考え方でございますので、この局面だけを見ていただかずに、ぜひこれは、ワン、ツー、スリーと続く動きの中で御判断をいただきたいと思います。

遠山委員 ありがとうございます。

 きょうお呼びをしておりました岡崎大臣また松下経済産業副大臣、ちょっと時間がありませんので、後日の機会にまた質問をさせていただきたいと思います。申しわけございません。

 以上で終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明でございます。よろしくお願いいたします。

 昨年の夏、衆議院選挙があって、大変熱狂の中で民主党政権が誕生をしました。これで大きく政治が変わるという国民の期待のもと、民主党政権がスタートをしたんだと思います。私は自民党の議員ですけれども、選挙をやっていて、そういう国民の期待を感じました。特に、民主党というのはクリーンな政党だ、また、自民党に比べて誠実な政党じゃないか、やはりそういう国民の期待が私はあったんだと思います。

 あれから一年以上たって、その国民の期待はどうなったのかといったことも含めて、ちょっと議論をさせていただきたいと思います。

 まず、仙谷長官にお尋ねをしたいんですが、不適切な答弁があったということで参議院で陳謝をされたということでありますけれども、ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

 その陳謝の内容は、山本一太参議院議員の質問に対する答弁の部分と、経済産業省の古賀さんが参考人として意見を述べられた、それに対する御発言、その二つでよろしいでしょうか。

仙谷国務大臣 先日、参議院議院運営委員会理事会で、さらに参議院予算委員会の冒頭に陳謝いたしましたが、今後二度と不適切な答弁がないように、国務大臣として真摯な答弁に努めてまいります、そういう意味です。

平(将)委員 その不適切というのは、事実に基づかない発言をされたということなんだと思いますが、特に経産省の古賀さんの発言に対して、官房長官の発言が恫喝だというような指摘も多くされているわけでありますけれども、そういう御認識はお持ちでしょうか。

仙谷国務大臣 お読みいただいても、ビデオテープをちゃんと見ていただいても、私は恫喝をするという意思もございませんし、恫喝というふうに受けとめられるというのは極めて不本意でございます。

平(将)委員 恫喝という認識はなかったということですね。

 さらに、これは国会でのやりとりで、我が党の丸山参議院議員とのやりとりがございました。これは事実であれば大変重大な指摘だと思いますが、その後、官房長官は、どの席かわかりません、記者会見の席かもしれませんが、いいかげんな人間のいいかげんな発言だ、そういう発言をされたと思いますが、これは間違いありませんか。

仙谷国務大臣 記者会見の席上、そのように申し上げました。

平(将)委員 この発言の際に、もしくは国会の答弁だったかもしれませんが、健忘症かもしれぬと。健忘症かもしれぬけれども、そういうことは覚えていないというお話をされました。

 覚えていないのであれば覚えていないでいいと思うんですが、仮にも参議院議員、我が党の議員をつかまえて、いいかげんな人間だ、いいかげんな発言だと。覚えていなければ、そうむきになるほどのことじゃないと思うんですね。

 これはかなり失礼な話だと思いますが、何でこういう発言をなされたんですか。今でも丸山参議院議員はいいかげんな人間だということで御認識はよろしいですね。

仙谷国務大臣 私は、少なくとも、私的な会話を国会の質問で、それがうそであれ本当であれ、使って質問をするということはあってはならないと。

 私も、若いころから御党の幹部の先生と私的な勉強会や会話をさせていただくことがございまして、国家の機密に触れかねない部分やいろいろなことを聞かされてまいりました。そういう意味では大変大事にお育てをいただいたというか、御教導というか御教育をいただいたと私は感謝いたしておりますが、そのことを、あのときこの先生がこういうことを言ったと。これは、我々の世界というか法律家の世界では伝聞証言といいます。伝聞の伝聞ということになります。この種のことを言われても、これはだれも検証しようがない。つまり、水かけ論争になるのであります。言った、言わない。それも非常に間接性の高いことを国会の場でやるというのは、これは聞いている方から見ても見苦しい。ただ、おもしろがる方々はいらっしゃるでしょう。

 僕は、そういうこともあり、かつまた、そういう私的な部分で聞いた話は、もしそれを質問に使われるとしても、名指しで、あのときこう言ったじゃないか、これは身もふたもありません。これは、私は、政治家である以上、あるいは法律家として法廷に立っても、その種の質問の仕方も含めて、やってはならないというふうに思っているものですからそういうことを申し上げた次第でございます。

平(将)委員 私的な会話をベースにして、それを公のところで暴露のような形で言われる、これは確かにマナー違反だと私も思います。思いますが、極めて重大な指摘であって、マナー違反はマナー違反でちょっとおいておいて、この指摘は重大な指摘。

 だから、官房長官、そこまで怒っていらっしゃるというのは、実際話したことを暴露されたからそんなに怒っているんじゃないですか。だって、健忘症らしい、覚えていない、それでいいじゃないですか。それを、とんでもない、こんないいかげんな人間のいいかげんな発言に対してと。

 あの様子を見ていると、官房長官は大分怒られているな、かなり腹を立てているなと思いましたが、逆に言えば、何でそんなことをばらんすだ、おまえとおれの友情関係でおれは本当のことを言ったのに何でばらすんだ、そういうことじゃないですか、官房長官。

仙谷国務大臣 この場で私と丸山先生のある種の、数年のおつき合いの中で私が感じていることや知っていることを言うわけにいかないじゃないですか。そうでしょう。それこそまさに私的な部分を公の場に持ち出すということになるわけであります。

 私はマナー違反にも怒っておりますけれども、その種の所作、そして、私がそういう言葉を言ったことがあるとかないとか、そういうニュアンスであるとかないとか、違う、こういう表現だったんじゃないかとかなんとか言ったところで、それはだれも記録にとっていない話であれば水かけ論争になるだけの話じゃないですか、さっきから申し上げているように。そういう議論の仕方をする場なのかと。

 丸山先生は私と年が同じで、経歴もよく似た経歴を踏んでいらっしゃる。そのぐらいのことはおわかりなんじゃないですかという意味で私は言っているわけであります。

平(将)委員 余り続けてもしようがありませんが、丸山先生と同じ年と聞いて驚きました。全然官房長官の方が威厳があるというか迫力ありますから。

 私は、これが本当だったら重大な指摘だと思いますよ。ですから、それはそれとして、これだけのことを丸山弁護士に対して言っているわけですから、水かけ論になりますが、もし本当だったら、それは責任をとってもらわなきゃいかぬということだと思います。官房長官への質問はこれで終わります。

 続きまして、岡崎国家公安委員長にお尋ねをいたします。

 先般、二十二日の衆議院の法務委員会で稲田朋美同僚議員とやりとりをしていますが、非常に重大なことだと思います。時間がなかったということもあり、また所管の委員会でもなかったということがありますので、もう一度お尋ねをしたいと思います。

 二〇〇三年、ソウルの日本大使館前で行われたデモに参加をされた。その参加をされたことに関していろいろな指摘があるわけでありますが、先般、国会の代表質問で菅総理がこういうことをおっしゃっています。本人も、本人もというのは岡崎国家公安委員長のことでありますが、本人も、過去の言動に配慮に欠けた面があり、誤解を招いたことについて深く反省をし、以後注意をしており云々とあります。

 ぜひ、日本の治安を守るトップでありますので、国民のつまらない誤解はこの際解いていただきたいと思います。この過去の言動、もしくは、ここで出てくる誤解、誤解があったと。これは、どういうこと、何に対して誤解があったと。どういう誤解があって、過去どういう言動があった、具体的にどういうことがあったということをちょっと教えていただけますか、それに対して深く反省をしているということだと思いますので。よろしくお願いします。

    〔委員長退席、津村委員長代理着席〕

岡崎国務大臣 平議員にお答えいたします。

 誤解という問題でありますけれども、自分の行動について反日だと誤解をされている、つまり、私は、誇りある国として、過去に向き合って、戦争の被害者であるおばあさんたちに寄り添って、そして尊厳の回復をしようとしている、そのことについての取り組みが反日だと誤解されたことでございます。

 実は、あの日は二月でございまして、大変寒いときでございました。韓国の全土から被害者のおばあさんたちがその場所に集まってこられていた。七十五歳前後の皆さんたちですから、外にいすを置いて、そのいすに座って自分たちの要求を言おうという、その集会に私は出向いたわけですけれども、その中で、間違いなく、おばあさんたちに対してねぎらいの言葉をかけたと思います。

 そして、これはもう既に、この問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけたという問題である、これは政府の見解でもございますし、一九九三年以来の自民党政権時代からも同じことでございます。そういった点について多分触れたであろう。

 七年前のことでございますので、間違いなく、ねぎらいの言葉をかけたということと、私自身の活動について報告をしたということと、また、過去に率直に向き合うということと、おばあさんたちの尊厳の回復、名誉の回復を訴えたと思います。

 以上です。

平(将)委員 官房長官、どうぞ。もう質問はありませんので。

 今御答弁いただきましたが、では、名誉の回復をするために具体的にこういうことをやる、こういう政策をやる、そういうのはなかったんですか。それと、その当時先生が熱心に取り組まれていた政策、また議員立法という形もあったと思います。ですから、そういうようなことは、どういう内容のことを、先生は議員のまさにライフワークとしてやっていらっしゃるんだと思いますけれども、どういうような政策をやられていたんでしょうか。その辺をちょっとお答えいただけますか。

    〔津村委員長代理退席、委員長着席〕

岡崎国務大臣 平議員にお答えいたします。

 私、閣僚といたしまして、この問題がもう法的には解決済みだという政府の立場を承知しております。そして、議員として、政府の立場は立場といたしまして、被害者の声にこたえるために一体何ができるかということを考えてまいりました。私は、そういう中で、この問題について考え続けていたということでございまして、決定されたものはございません。

平(将)委員 政府の見解、今おっしゃったとおりですが、それは、多分、日本国政府に対して、個人補償をしろ、そういうデモであり、要求であったと思います。

 先生は、こういう個人補償をすべきだというお考えに、今閣僚ですから政府の方針に沿っていらっしゃると思いますが、閣僚になる前は個人補償をしろという立場にいらっしゃったんですか。

岡崎国務大臣 この問題について一つだけ申し上げれば、議員立法では個人補償という言葉は使っておりません。名誉の回復の措置というふうに言っております。

平(将)委員 それでは、お尋ね申し上げますが、名誉の回復の措置とは具体的にどういうことでしょうか。

岡崎国務大臣 この法案は、各国の国々に対して、つまり被害を受けたそのおばあさんたちに対して、被害者の声やら、あるいはそれぞれの国の政府やら、そうした皆さんたちの声をしっかり聞いて、どういうことがいいのかというようなことについてしっかり決めていくということでございますので、固まっているというわけではございません。

平(将)委員 政府としては解決済みだと。でも、先生は解決していないと思っているわけでしょう。名誉の回復が必要だということですよね。

 では、その後のアクションも具体的な政策もなく、ただ名誉の回復というのを唱えているということでよろしいですか、今までの政治家としての活動は。

岡崎国務大臣 私、その問題について詳しく言う、つまり、所管の委員会ではないというふうに思っておりますけれども、今おっしゃったことについて申し上げますと、私も委員会で質問をしております。当時の福田官房長官は、例えば法律で決まったとしてもそのままでいいわけはないというお考えをお持ちでございまして、何かおばあさんたちのために考えていかなければならないという考えを自民党の皆さんもお持ちだったと思います。

平(将)委員 所管ではないし、答える必要はないような、そんな答弁でありましたけれども、この国の治安のトップですからね。

 いろいろな状況の説明はいただきましたけれども、反日的なデモの真っただ中に先生はおられたわけだから、それに対して少なからず不安を抱えている国民の方々はいるわけです。ですから、どういう考えを持った国会議員が国家公安委員長になっているんだというのは、これは関心事項です。ですから、やはりこれは誠実に答えていただかなきゃいけないんだと思います。

 ですから、具体的な政策とか具体的な解決方法は今お答えにならなかったけれども、先生としては、とにかくそういうのは考えているんだということで、具体的な政策やそういうものは持っていなかったということでよろしいですね。考えている、考えてきたんだということですね。

 では、これもこれで終わりたいと思いますが、ただ、ぜひ、実際不安に思っている方は結構いますので、これからまたいろいろな議論になると思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、次に、経済財政の中長期試算についてちょっと議論をさせていただきたいと思いますが、お手元に資料、行っていますでしょうか。見にくくて済みません。

 きのう、急遽グラフをつくりましたが、六月二十二日、内閣府の経済財政の中長期試算というのをベースにつくらせていただきました。それで、数字が、グラフと別表になっているものですから、ちょっと、手書きで、汚い字で恐縮ですが書き込ませていただきました。

 今、政府は、財政の健全化目標という言い方でいいかわかりませんが、二〇一〇年度をベースとして、二〇一五年にプライマリーバランスを今の比率の半減にする、二〇二〇年にプライマリーバランスを収支とんとんに持っていくということだと思います。

 下に年数、縦軸にGDP比のパーセントが入っております。この図一は国と地方の基礎的財政収支の対GDP比でありますが、これと同じ目標を国単独の基礎的財政収支にも持っているということですね。

 二〇一〇年度は、GDP比でいうとマイナス六・四%、要は赤字ですね。金額にすると三十・八兆円。二〇一五年度はマイナス四・二%、二十一・八兆円足りません。しかしながら、二〇一五年度はプライマリーバランスの赤字幅は半減するということですから、その目標に対しては五・二兆円足りません、そういう書き方です。二〇二〇年にはプライマリーバランスをバランスさせるということでありますから、マイナス三・八%、二十一・七兆円足りません。

 そして、その下に「国のみ」と書いてありますが、このグラフ自体は国と地方の基礎的財政収支を書いておりますので、国だけでいくと、慎重シナリオでいくと二〇一〇年でもっと幅が大きくなりまして、GDP比でマイナス六・八%、三十二・九兆円。二〇一五年ではマイナス四・九%、二十五・七兆円、財政健全化目標に沿うと七・九兆円まだ足りません。二〇二〇年にはマイナス四・六%の二十六・四兆円。こういう試算がこの六月に出てきました。

 財政再建は、もう本当に待ったなしだと思います。大変厳しい中でやっていかなければいけない。この試算でいくと、わずか十年後に、国のレベルでいくと二十六・四兆円を何とかしなければいけないということであります。

 これに対して、成長シナリオと慎重シナリオがありますが、皆さんの閣議決定の文章も、財政再建は慎重シナリオをとっていきましょうという考え方であると思いますので、二〇一〇年、かなり大きな額、大きなギャップを埋めていかなければいけないわけでありますが、このグラフに対する感想と、具体的に、埋めていく方策をお伺いしたいと思いますが、これはちょっと、さっきからいろいろ議論になっていますけれども、どちらの大臣に聞いていいか私正直わからないのですが、海江田さんでいいですか。(海江田国務大臣「はい、いいですよ」と呼ぶ)では、海江田大臣、お願いします。

海江田国務大臣 お答えを申し上げます。

 先生がグラフにしましたのは、経済財政の中期展望、六月の二十二日、まずこれがございまして、これを受けまして、平成二十三年から二十五年度を対象とする中期財政フレームをしっかりとつくりました。

 まず、この中期財政フレームの中で、例えば、ペイ・アズ・ユー・ゴーと言われておりますけれども、財源確保のルールを決めた。それから、歳出見直しの基本原則、これにはやはり無駄の削減ということも入っております。それから、思い切った予算の組み替えということも入ってございます。

 こうした財政運営の基本ルールを定めまして、そして、その後、七月の二十七日でございますが、閣議決定いたしました平成二十三年度予算の概算要求組替え基準でございます。この中で、先ほどの中期財政フレームにおいて示しました歳出の大枠、これももう何度も議論されておりますけれども、全体で七十一兆円、そのうち国債発行額については平成二十二年度の当初予算の発行額四十四兆円を上回らないようにしようという原則を定めまして、これに基づいて、今、来年度の予算の概算要求をしているところでございます。

平(将)委員 昨年の選挙で、民主党さんのマニフェストというのは衝撃的で、子ども手当もかなり手厚くやります、農家の戸別補償もやります、高速道路も無料にしますと。

 小泉さんがさっき指摘していましたが、新たな歳出規模というのは十六・八兆円になるということですね。その中でどう財源を出すんですかと我々は言ってきたんだけれども、それは予算の組み替えと無駄の撲滅とあらゆる政策を導入してやりますと。しかしながら、十六・八兆円というのは大変大きな数字だと思います。

 ちなみに、いわゆる経済財政の中長期試算のこの数字、民主党のマニフェストの予算、新たな政策の予算は入っていますか。

海江田国務大臣 これは、御指摘のように、入っておりません。

平(将)委員 入っていないんですね。

 先ほど示したとおり、二〇二〇年で慎重シナリオでいくと二十六・四兆円あります。それで、民主党の政策がもし全部約束どおりやるんだといったら、十六・八兆円かかりますと。

 もしかしたら、今、海江田大臣がおっしゃったように、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則があるから、十六・八兆円というのは今ある特別会計や一般予算、そういったものを組み替えて出すんだというのであれば、これでいけると思うんですよ。これは横置きですからね。ことしの予算をずっと横置きに置いて、人口が少子高齢化で変動していく分だけ社会保障の増額を見た数字ですから。

 ですから、そういうことは、十六・八兆円はペイ・アズ・ユー・ゴーで、新たな財源というか、今ある財源の中で組み替えて出せるという判断でよろしいでしょうか。

海江田国務大臣 まさに、平先生御指摘のように、その意味では、先ほど置きましたこの財政運営の戦略、これに沿って、今おっしゃったように、社会保障は自然増、しかし、そのほかの経費は横ばい、こういう形で試算をした数字でございます。

 これとは別に、先ほどお話をしましたけれども、マニフェストで約束をした点がございますから、これはまさに、一つ一つの、毎年の予算の編成の過程の中でどれだけ実現できるか、どれだけの財源が出てくるかということを考えていけばいいことだと思っております。

荒井委員長 玄葉大臣もいいですか。

平(将)委員 どちらでも結構ですから。政府として答えていただければ結構なので。

 それは結構無理があると思うんですね、今の答弁は。私は、事業仕分けもがんがんやってもらいたいと思いますよ。我々もやはりメスを入れ切れなかったところもたくさんあるし、いろいろな形で歳出改革もしたらいいし、本当に費用対効果もはかったらいいし。それはもうどんどんやったらいいと思います。

 しかし、海江田さん、十六・八兆ですからね。だから、今、皆さんの中で、マニフェストをやるんだ、もしくは、現実路線というか、全部はできないから取捨選択でやるんだという議論があるかもしれませんが、今の時点でもう一年たっているわけですよ。一年と三カ月たって、実際に政権をやってみて、国民と約束したのは十六・八兆です。それで、いろいろな切り込みの効果が出てきて、これはいけますねという話になっていますが、それは十六・八分の幾つですか。それは五とか十とか十五の話じゃないですよね。

 それを、いまだに、では、十六・八兆を頑張ってやります、できなかったら皆さんに相談しますと言うけれども、もう十四、五カ月たっているんだから、さすがに、もう十二、三まで見当がついた、今後二、三年であと何兆だという世界なら我々もそうかなと思うけれども、全然、十五分の幾つ、一けたのかなり前の方の数字ですよね。

 ですから、これには反映していないと言うけれども、そろそろこういう反映した誠実な試算を出さなきゃいけないじゃないですか。どうですか。

玄葉国務大臣 平さんの御指摘でありますけれども、私、通告がなかったので今手元にありませんけれども、おっしゃるように、たしか五兆とか六兆とか十兆とかという単位ではなかったと思います。約三兆ぐらいだったかなと思うんですね。

 おっしゃるとおり、財源捻出もマニフェストであります。同時に、それらの財源を使って約束をした支出もございます。ですから、ベースは当然、捻出できた財源に応じてマニフェストの政策を実行するというのがやはりベースでなければ誠実ではないと私は考えております。

平(将)委員 繰り返しますが、十六・八兆ですよ。それで、一般会計の税収の規模を見れば四十兆前後なんだと思います。ですから、四十兆のうちの十六・八兆、これはさすがに無理だねと、だれが見てもわかりますね。

 そこで出てきたのが、さっき議論に出た、特別会計も合わせればいっぱいあるよという話です。特別会計をこれからやられると思いますけれども、それは、前回、予算で一時的な税外収入として繰り入れていますし、我々も補正予算で使わせていただきました。

 しかしながら、十六・八兆を堅持し続けるということは私はさすがに無理だと思うし、でも、国民の皆さんは信じたんですよ、あのマニフェスト。当時、鳩山さんは、財源については全く心配していないと言っていたんですよ。でも、四年でやると言うけれども、皆さん、政権とられて一年何カ月たって、絵をかけていないじゃないですか、十六・八兆の。かけていないですよね。だからみんな不安に思っているんですよ、どうなんだろうと。

 しかも、皆さんのマニフェストに書いてあることは、ここに全然入っていないんです。入っていなくても結構やばい状態なんですよ。十年後ですから、二〇二〇年。二〇二〇年、慎重シナリオでいくと、国ベースで二十六・四兆円を何とかしなきゃいけないんです。そこで皆さんのマニフェストに載ったものをやろうとしたら、そこに財源をどれだけ出すかによりますけれども、十兆を超える単位で上乗せになってくる可能性があるんですよ。そうすると、完全に破産シナリオです。だから、それを誠実に出すべきだと。

 もしくは、玄葉さんがおっしゃるとおり、財源が見つかった分だけやりますよと言ったら、今度、これもやります、あれもやりますと言ったことは一部不履行になるんだから、それも私は誠実に示すべきだと思うんですね。

 さらに言えば、予算を組み替える、無駄をなくす、それで財源を出すと言えば、無駄はなくせばいいけれども、政策的判断で、これはやった方がいいけれども、でも不要不急だから後に回そうとか、縮減しようとか、あと、これは今まで払っていたけれども、社会保障に回そうとか。それも国民に大きな影響があるわけですよ。

 だから、やることだけ約束して、削る方だけは今後やりますと言って、削られる方だって国民生活に直結しているんだから、それをあわせて出さなきゃ全くフェアじゃないじゃないですか。

玄葉国務大臣 今の平委員の御指摘でありますけれども、一つは、財源捻出の十六・八というのは、これは四年間でということがまず一つありますよね。当然のことだというふうに思いますけれども。その中で、できる限りの努力を今している最中だということであります。

 同時に、ことしの参議院選挙で、これは私もかかわりましたマニフェストでありましたけれども、そのときは、さまざまな現状を勘案して、特に、昨年夏のマニフェストから、強調すべきところと変更すべき、つまりは修正すべきところを書いたんですね。ですから、本来であれば、ことしから、つまりは来年度から子ども手当は満額二万六千円です。でも、あえて夏の参議院選挙ではそう書かずに、一万三千円をベースに上積みを目指すという書き方に変えたり、あるいは高速料金の無料化、あるいは戸別所得補償等々についても表現を変えました。

 ですから、短くしますけれども、残念ながら、実はその参議院選挙で負けたんですね、我々。ですから、この信憑性を実は問う声がありました。ですけれども、それを、改めて代表選挙で戦って今の総理が勝ったわけですから、私は、その部分については参議院選挙のマニフェストがベースになるべきである、そういうふうに考えております。

平(将)委員 マニフェストは、基本的には政権選択選挙のときに出したのがベースですよ。多分、民主党の先生方も、昨年の夏の衆議院のマニフェストは、それは当然堅持していますという立場にいらっしゃると思うんですよ。

 それと、四年間でやると言ったけれども、もう一年ちょっとたっているわけですよ。何か決めてやるにしたって、それは時間がかかるわけですよ。あれを削る、これを削る、例えば税収をふやす、いろいろなことをやって時間がかかるんだから、今の時点で絵がかけていないものを、しかも十六・八兆ですよ。それは削るなら削ったらいいですよ。今の時点で絵がかけていないものが、三年後、四年後、現実的にできるわけないじゃないですか。それを本当にできると思っていますか、玄葉さん。

玄葉国務大臣 これは、平委員、私も、マニフェストについては、この国会で最初からかかわってきた人間であります。その導入のために議員立法も仲間と超党派でいたしました。

 では、マニフェストとは一体何なんだということですね。おっしゃるとおり、政権選択の夏のマニフェストというのがベースです。これは私も今もそう思っていますよ。ただ、先ほども申し上げました、繰り返しますけれども、では参議院のマニフェストの位置づけは何なのかといったら、あえて全部をそのまま書かずに、強調すべきところと修正すべきところをあえて書いたその意味はぜひ御理解をいただいた上で議論してもらえると大変ありがたいと思います。

平(将)委員 だったら、やはり同じ書式で書かなきゃ、幾ら削って、幾らやりますよと。子ども手当も、上乗せをサービス給付でできるだけやりますよということではなくて、政権とりました、一年間やってみましたと。皆さんが言っていたことは、二百ccのコップに四百ccのジュースを入れてみせるという話をしていたわけじゃないですか。できないのがわかったんだから、それは直さないと誠実じゃないですよ。

 私は、民主党という政権は、さっきも言ったけれども、自民党と違って何か誠実な政党だ、クリーンな政党だとみんな期待したんだと思うんですよ。でも、小沢さんの問題、鳩山さんの問題、全然、金、クリーンじゃないじゃないですか。

 それで、僕は、もっと罪が重いのは、玄葉さんとか海江田さんみたいに、政策通で、見た感じ誠実そうで、そういう人たちがこういうできもしないことを黙認した方が罪重いと思うんですよ。小沢さん、もういいですよ。鳩山さんもいい。でも、皆さんみたいな政治家がいるから、いや、海江田さんが言うんだからできるだろう、玄葉さんが言うんだからできるんだと思ってしまうんですよ。でも、どう考えたって、入りと出、合わないじゃないですか。

 だから、僕は、二兆とか三兆とか四兆とか五兆だったら言いませんよ。十六・八兆ですよ。もう時間がないからやめますけれども、またやりますけれども、これは本当にできると思っていたんですか。僕はそうは思えない。

 またやりますよ。ここは一番、僕は、民主党が国民を裏切ったのは、皆さんのような誠実そうに見える議員が裏切ったと思っていますから。

海江田国務大臣 誠実そうに見える、では、誠実でないところがどこなのかということをぜひこれは指摘をしていただきたいと思います。

 それから、もう一つ。(平(将)委員「委員長」と呼ぶ)まだ待ってください。それから、私どもは、確かに、昨年の夏、政権をとりまして、そして本年度の予算をつくりました。ただ、御案内のように、この予算につきましては、これはもう概算要求がスタートをしておりましたから甚だ不十分なものでありまして、その意味では、これからまさにつくります来年度の本予算が第一歩だと考えておりますので、それを見て、一つ一つ、やはり私どもは、政権をとった政権与党の責任というのは、まさにしっかりとした予算をつくって、それを御議論いただくということでございますので、その意味では、ぜひ、その予算の編成過程について、できたらお力添えをいただきたい、そのように思っております。

玄葉国務大臣 一言で申し上げると、仮に、できないことがあれば、それは誠実に、しっかりと説明をするということも当然必要なことですし、確実に実績を上げてまいりますので、よろしく御指導ください。

平(将)委員 単年度の予算は、それはやりますよ。今、中長期でこういう数字が出ているわけですよ。さらには、皆さん、十六・八兆の新たな政策の支出を約束しているわけ。だから合理的な説明をしてほしいと。ちょっと時間がないので、続きをまたやりますよ。

 最後に、もう時間がないので、もう一枚の資料をごらんいただきたいと思うんです。

 民間と公務員の格差、退職金の件ですけれども、これは実は、大変恐縮ですが、元民主党の、今はみんなの党の浅尾さんの資料を転用させていただきました。もう時間がないので説明だけさせていただきますが、浅尾さんがつくった資料だから間違いないと思います。そういう前提でお話をさせていただきます。

 国家公務員の給料や退職金は、民間をよく調べて、それとある程度均衡するようにしなさいということになっていると思います。

 これを見ていただくと、退職金、民間の方は二千九百八十万、国家公務員は二千九百六十万ということになっています。これを見ると、大体民間とイコールですね。民間会社も、どこを調べるかというのは、ある程度、人事院なり総務省の指示があると思います。

 しかし、その中身を見ると、民間の方は企業年金一時金と退職一時金があります。国家公務員の方はすべて退職一時金です。民間の方の企業年金一時金というのは、これを選ぶか、もしくは月々年金でもらうかという選択制になっています。ですから、この企業年金一時金をもらわなければ、下の、年金の月額というところにさらにそれが付加をされるわけです。では、月額の方を見ると、まだ付加をされていない時点ですが、民間は約八万円、国家公務員は、月額、それよりも八万円近く多い金額になっているわけですね。意味わかりますよね。

 そうすると、これは、一時金としてだけ見るのであれば、企業年金一時金のところは入れるべきじゃないと私は思うんですね。退職一時金のところだけやって初めて民間とイコールになると私は思うんです。

 これを浅尾さんが質問をしたときに、当時、原口さんという方が大臣で、前向きにやります、前向きに検討しますという御答弁をいただいておりますが、これについては、それは引き継いでいただいて、そして、その後、前向きにやると言ったんですから、今どういう進捗になっているのか、教えてください。副大臣。

内山大臣政務官 平議員にお答えいたします。

 委員の今提出をしております資料の二千九百六十万円、国家公務員の中には実は職域加算分の二百二十一万円が含まれているという数字でございまして、二千九百六十万円がすべて退職一時金とされているけれども、平成十八年の官民比較結果によれば、二千九百六十万円には共済年金の職域部分二百二十一万円も含まれており、事実誤認がございます。したがって、下の、年金欄の、国家公務員の職域部分を含めるのは誤りでございます。

 また、年金欄の金額をどのように計算したのかが、これもやはり非常に不透明でございまして、官民の年金の二階部分というのは、同一の加入年数、同一の平均標準報酬月額であれば、制度的にはほとんど変わりません。ここで職域加算の部分が幾らか変わるかといえば、おおよそ月額二万円程度でございます。ですから、表の部分は比較的正しく表示されていないというふうに御認識をしていただきたいと思います。

平(将)委員 浅尾さんが民主党時代につくったものがだめだということかもしれませんが、いろいろな議論があるんです、いろいろな算出の仕方があるんです。

 ですから、出してください、そちらはそちらで。あなたの主張のものをしっかり出してください。(発言する者あり)違う違う。算出の仕方で違うんだ、算出の仕方で。

 ですから、出してください、そちらの言い分は。算出の仕方によりますから。ですから、出していただくことをお願いしたいと思います。

 時間が来たので、終わりたいと思います。

荒井委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 私は、前国会から、この公務員制度改革に関しては、仙谷大臣と本当に長い委員会の時間を過ごさせていただきましたので、いろいろなことを思い出すわけですが、この間、十月十二日の予算委員会で、官房長官が、河野太郎議員の公務員制度改革法案に関する質問に対して、内閣委員会の自民党理事が自民党案を丸のみしなければ修正協議には一切応じられないと要求した、だから与野党で何も協議できなかったという趣旨の答弁をされました。

 しかし、私は、現場の理事としてずっと本件にかかわっているわけで、これはやはり事実無根だとすぐ思いました。当時の自民党の担当理事は井上さん、そして、我々は、自民党、みんなの党の改正法案の主要三項目、天下りの廃止、幹部公務員制度、内閣人事局への機能移管のうち、天下りの廃止だけは絶対に譲らないが、ほかの項目については協議に応じる旨を、当時の民主党の大泉ひろこ議員に再三にわたって提案していたんですね。むしろ民主党側から、閣法の修正には一切応じられないというゼロ回答が返ってきたんです。

 その前に、この法案を出したときに、鳩山総理が、要するに、民主党の案が一番いい、だから修正協議には応じない、これでいくんだと言ったことで、入り口でももめたことですから、私はすべての経緯を記憶しております。

 そのあげく、いろいろあったにせよ、強行採決ということになったわけで、仙谷官房長官には、ぜひ、この十二日の予算委員会の答弁はまずは撤回をしていただきたい。これは事実誤認であるということで、できれば謝罪をしていただきたいと思います。

仙谷国務大臣 当時のことを思い返しながらあのときも答弁したのでありますが、河野太郎議員がおっしゃるような単純な話ではなかった。

 そして、最後の、皆さん方が強行採決と言われている場面も、皆さん方が強行採決という形をつくろうとして延々と質問時間を過ぎてから、あのときは小泉さんだと思いますけれども、質問をされて、採決に至って、そのときにはもう、ちゃんと皆さん方も、強行採決であるということで、何かゼッケンみたいなものをいっぱい持ってきて、なさっていらっしゃった、こういう時の経過を思い出しました。

 それは、強行採決なら強行採決とおっしゃるのはいいんですよ。だけれども、強行採決をさせようとして延々として時間外の質問を続けたということも事実ですから、これは私は申し上げたい。

 そして、そこに至る経緯でありますが、最後の段階での、延々とと言ったら語弊がありますが、まさに積み重ねた議論が、相当濃厚な議論が続けられて、私もそれなりに、私自身のない知恵を振り絞って答弁をしたつもりであります。

 そこに至る過程で、与党側からどういう条項を修正したらいいのかと自民党に確認をしましたら、これは理事間ですよ、自民党案の丸のみでないとだめだという返事があって修正協議という雰囲気にならなかったということでありました。私は、それは民主党の理事からちゃんと聞いておりました。

 ゴールデンウイーク明けごろに、自民党から二、三項目の修正事項が提示されたとのことであります。今の段階で我が党の当時の理事の方々にそのことを確認いたしましたら、内容はよく覚えていないけれども、当時の与党内のルールにのっとって、政府側とも相談し、受け入れられない内容であったため、国対と相談の上、採決に至ったということであったようであります。

 つまり、あの採決の直前にそういうお話があって、これは、要するに、採決前に、そのことで今度は修正協議を密度濃くやるかどうかということには至らなかったという話がありました。そのことが私にお伝えいただいていたのかどうなのか不明であるということであります。

 その他の理事に伺いましたら、やはり丸のみでないとだめだという返事があったことについての印象は残っているという方々もいらっしゃいます。そしてまた、その他の点については、つまり、自民党から二、三項目の修正事項が提示されたということもあったけれども、それも、その時点に至っては、割と原理原則的なことで、これではお話になりませんねという物別れになったというふうにも、聞いておる人と聞いていない人がいるということでございます。文章で出されたのかどうなのかは確認をいたしておりません。

 事実としてはそういうことでありますから、もし私のせんだっての予算委員会での答弁がそのことと大きく相違するものでありますれば、その旨訂正いたしますけれども、私は、あの河野太郎さんの質問というのは、物すごく極端な、二項対立の中でああだこうだとおっしゃったから、それはちょっと違うんじゃないんですかと。あのときの強行採決というのはこういうものであったはずだし、そもそも、基本的に、私が受けとめていた印象は、丸のみじゃないとだめだ、修正協議をやるならそれが前提だというふうに聞かされておりましたし、私も理解しておりましたので、ある種の項目について、修正すべきことはここだということでありますればもっと記憶があるんですけれども、そういう記憶がないものですから、ああいう発言をした次第であります。

平井委員 恐らくそういう答弁をされるだろうと思っていましたけれども、結局、自民党案を丸のみしなければ修正協議には一切応じられないという要求はしていませんから。していないんですよ、それは、間違いなく。丸のみせよなんて言っていないんですよ。そのことはもう間違いない事実なんですが、最近もいろいろなところで謝罪や陳謝や、どっとされ続けておりますから、もう結構ですよ。これ以上そういう不機嫌な顔を……(発言する者あり)いやいや、毎回全部そうなんですよ。

 私は、官房長官の答弁をずっと聞いていて、突然声を大きくして威喝したり、この間の古賀さんに対する恫喝なんというのは、まさに真骨頂だったんだと思いますよ。

 官房長官、きょう私が参考人として古賀茂明さんを招致していることを御存じですか。

仙谷国務大臣 先ほど与党理事から伺いました。

平井委員 この問題に関しては、先ほど平議員の方からも、官房長官の言論封殺問題についていろいろ発言というか質問がありました。私も、これをちょっとおさらいさせていただきたいんです。

 十月二十二日金曜日の議院運営理事会での陳謝の内容はこうでした。鈴木委員長を初め理事の皆様方の御了承を得て一言申し上げます、参議院における質疑において私から不適切な、本院決定事項について異を唱えるような答弁がありましたことについて陳謝します、今後国務大臣として真摯な答弁に努めてまいりますので何とぞよろしくお願い申し上げます、このとおりお話しになったと思います。

 その後の仙谷長官の記者会見、参議院の議院運営理事会で謝罪したのはどの答弁のどの部分が不適切として謝罪したのかということに対して、今申し上げたことをあるがまま受け取っていただければ結構だ、そのほかはノーコメント、謝罪した今の気持ちは、ノーコメント、議運の理事からの発言は、ノーコメント、国会で与野党協議がもめている中、長官自身の発言が議運で問題にされることについては、ノーコメント、なぜノーコメントなのかということに対しては、ノーコメントだからノーコメント。

 このノーコメントの連発というのは、これは私は大したものだなと思いますよ、ある意味。これは、マスコミの追及が頼りないというか、もっと突っ込めよと言いたくなるけれども、これはやはり官房長官の威厳というか、最近ますます怖くなられておりますから、それで引いたんだと思います。

 そして、それ以外にあるのは、きょうは片山大臣には司法試験のお話を聞こうと思っていたんですが、質問するわけではありません。片山総務大臣が予算委員会で裏下りを事実上認めるような答弁をしそうになったら、したら、中井委員長が注意されましたよね。これもやはり、何か最近の民主党というのは、率直な答弁でも自分たちの都合の悪いようなものに関しては職権を濫用して制止するのかな、そんなような気さえするんです。

 そして、十月二十五日の参議院の予算委員会、これは先ほど平議員がお話しになったことですが、十月十四日の本委員会における山本一太議員の質問に対し事実に反した答弁や不適切な表現を使用した答弁がありましたら改めて陳謝いたします、また、十月十五日の本委員会における小野次郎議員の質疑中、委員会で決定された政府参考人に関し不適切な答弁がございました、委員会の運営に異を唱え、また政府参考人に圧力を加えたと思われても仕方のない不適切な答弁であったことを認め陳謝いたします、今後二度と不適切な答弁がないよう国務大臣として真摯な答弁に努めてまいりますので何とぞよろしくお願いを申し上げます、このようにお話しになっております。

 そして、結局、我々はやはり恫喝発言と言わせていただきますが、彼の将来に傷がつくという言葉、人事というか官僚を束ねている官房長官がこのように言うのは、これは、官房長官がどういう意味で使ったかというより、言われた方がどう受けとめたかということの方が大きくないですか。私は、これでもう本当にやはりこれはびびったんだなというふうに思います。

 それで、官房長官の発言を聞かれたときのことを、古賀参考人はテレビ番組で凍りついたと言っているんですね。これは、恫喝された、怖い、自由にしゃべると自分の身に不利益が及ぶと感じたということですよ。凍りついたんですよ。ですから、こういう一連のこれを見ていると、民主党というのは、言論封殺、言論の自由を侵害する政党だと言わざるを得なくなっちゃうんですよ。

 私自身も、きょうの古賀さんの参考人というのは、本来だったら呼ぶつもりはありませんでした。しかし、この一連の流れの中で、しかも、参議院の予算委員会の中で、参考人として呼ばれ、発言をされていて、今回、私、この参考人に対する、招致を、委員長を初め強く申し入れました。しかし、頑として聞き入れられない。これでは私は質疑ができない。言論封殺、そのように思うわけですよ。これは幾ら何でも、無言の恫喝、怖いですよ。古賀さん、夜も歩けなくなるかもわからない。ですから……(発言する者あり)いや、本当にそうですよ。そのことを考えると、今回……(発言する者あり)

荒井委員長 静かにしてください。静かにしてください。どうぞ。

平井委員 これは、私は、ぜひこの問題のけじめをつける意味においても、本委員会での古賀さんの参考人を改めて要求いたします。委員長、よろしくお願いいたします。

荒井委員長 後刻、理事会で検討いたします。

平井委員 この要求がのめないのであれば、私は昨日からこのことは申し入れしているんですよ。そのときには何にも別に、呼ぶ呼ばないに対して何もなかったです。だから、そう考えると、今私自身が質問を続けることも無理なんですよね。ですから、この質疑は私はここでとめさせていただきます。ぜひ古賀参考人の……(発言する者あり)

荒井委員長 静かに。静かにしてください。どうぞ。

平井委員 私は、本当に、民主党の皆さん、情けないと思うよ。天下りの問題や現役出向の問題、一体どうしたんですか、皆さん、本当に。言っていたことと全然違う方向に進んでいるから、私は今回の言論封殺はこのままでは認められないと言っているんです。

 ですから、私は、絶対に、委員会を継続する意味において、古賀さんの参考人招致を委員長に求めます。さもなければ、これで私の審議は終わらせていただきます。

荒井委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

荒井委員長 では、速記を起こしてください。

平井委員 参議院で呼べて、なぜこの委員会で呼べないんですか。

 皆さん、本当に、質問する人間の立場になって物事を考えてくださいよ。参議院の予算委員会で出ていて、ここに呼べないと。

 皆さん、そんなことを言っていますと、この問題はもっとほかの委員会にも影響しますよ。そういうお覚悟でこの委員会に呼ばないということでありましたら、私は質疑をここでとめさせていただきます。

荒井委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

荒井委員長 速記を起こしてください。

 本件については、先ほど、お昼の理事会で、理事の皆さんからいろいろ御議論をいただいて、その結果、私が、今回については古賀参考人についての招致は取りやめにするということを決めさせていただきました。

 引き続き、どうぞ質問を続けてください。

平井委員 これは、私の、質問者の権利の侵害であるし、参議院の予算委員会で来ている方が、この内閣委員会で、しかも、官房長官が出席されているこの場に来ないというのは、だれがどう考えても普通じゃないです。これは明らかに何らかの圧力で、要するに参考人を阻止したとしか思えません。

 ですから、私は、古賀参考人の招致を条件でなければ質疑に応じることができない、そのことを申し添えて、退席させていただきます。(発言する者あり)

荒井委員長 平井たくやさんの質問時間が続いていますので、そのままお待ちください。

 暫時休憩いたします。

    午後三時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時四十八分開議

荒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 再開に先立ち、理事をして御出席を要請いたさせましたが、自由民主党・無所属の会、公明党及びみんなの党所属委員の御出席が得られません。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十九分散会


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