第4号 平成22年11月12日(金曜日)
平成二十二年十一月十二日(金曜日)午前十時三十一分開議
出席委員
委員長 荒井 聰君
理事 石関 貴史君 理事 泉 健太君
理事 大島 敦君 理事 津村 啓介君
理事 村井 宗明君 理事 塩谷 立君
理事 平井たくや君 理事 高木美智代君
阿久津幸彦君 磯谷香代子君
糸川 正晃君 稲見 哲男君
打越あかし君 岸本 周平君
小林 正枝君 小室 寿明君
後藤 祐一君 坂口 岳洋君
末松 義規君 園田 康博君
高橋 昭一君 富岡 芳忠君
長尾 敬君 橋本 博明君
花咲 宏基君 福島 伸享君
松岡 広隆君 三谷 光男君
森山 浩行君 山崎 誠君
渡辺 義彦君 鴨下 一郎君
平 将明君 中川 秀直君
長島 忠美君 遠山 清彦君
塩川 鉄也君 浅尾慶一郎君
…………………………………
国務大臣
(地域主権推進担当)
(地域活性化担当) 片山 善博君
国務大臣 松本 龍君
国務大臣
(内閣官房長官) 仙谷 由人君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(消費者及び食品安全担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 岡崎トミ子君
国務大臣
(経済財政政策担当)
(科学技術政策担当)
(宇宙開発担当) 海江田万里君
国務大臣
(国家戦略担当)
(「新しい公共」担当) 玄葉光一郎君
国務大臣
(行政刷新担当)
(公務員制度改革担当) 蓮 舫君
内閣府副大臣 末松 義規君
法務副大臣 小川 敏夫君
内閣府大臣政務官 阿久津幸彦君
内閣府大臣政務官 園田 康博君
総務大臣政務官 内山 晃君
政府特別補佐人
(人事院総裁) 江利川 毅君
政府参考人
(人事院事務総局人材局長) 菊地 敦子君
政府参考人
(警察庁警備局長) 西村 泰彦君
内閣委員会専門員 上妻 博明君
―――――――――――――
委員の異動
十一月十二日
辞任 補欠選任
後藤 祐一君 花咲 宏基君
園田 康博君 小室 寿明君
高橋 昭一君 渡辺 義彦君
山崎 誠君 稲見 哲男君
同日
辞任 補欠選任
稲見 哲男君 山崎 誠君
小室 寿明君 園田 康博君
花咲 宏基君 後藤 祐一君
渡辺 義彦君 高橋 昭一君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○荒井委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局人材局長菊地敦子君、警察庁警備局長西村泰彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川秀直君。
○中川(秀)委員 おはようございます。
早速、現下の問題について幾つかお尋ねをさせていただきたいと存じます。
今起きていることについての世論調査は、大体各メディア共通しておりますけれども、簡単に御紹介をすると、今回の尖閣の漁船衝突事件についての政府の対応を評価しない八二%、ビデオは一般公開すべきである八三%、菅内閣の外交に対しては国民が不安を感じる九一%、その他、経済情勢への対応が不適切である八四%、このようなことになっています。
総理の御答弁を聞いていると、今回の事件に関して言えば、五年、十年たったら冷静な対応ということで評価してくれるだろう、このような御答弁でありますけれども、また一方では、そんな不安は聞いていないという官房長官の御答弁もあったようですが、こういう世論調査は素直に受けとめなきゃいけないことだと思います。
むしろ国民は、菅内閣はこういう問題についてろうばいしているのではないか、そういう印象を持っているのではないかと思います。
第一に、巡視船の今回の問題について、政府として中国側に賠償や謝罪の要求も遠慮してしていないのではないのか、あるいは、我が国への中国側からの謝罪、賠償要求に取り消しという要求もしていないのではないのか。ここで何もしないと、歴史的な事実としてそういうことをしていないということが残って、尖閣の領有権の問題について、日本政府の考え方を行動で示したという歴史的事実ではなくて、示さなかったという歴史的事実になって、後世の政権を苦しめてしまうことになります。
そして、そういうことのための情報公開をしていくのが今の時代の思考方法であるべきであるし、そういう情報を国民と共有することが大事であります。そういう国民との情報の共有を制限して、どうして普遍的な価値というものについて相手国に求めることができるのか。
私は、黒船の来襲にろうばいした当時の幕府幕閣と今回のことでろうばいしている菅政権は、下手をすると歴史上同列に扱われるおそれさえある。前者は、日本がアジアナンバーワンになる、ある意味ではナンバーワン国家になる近代史の始まりでした。しかし今回は、中国がアジアナンバーワン国家になる、その時代の、ポスト近代史の始まりの事件として位置づけられてしまうのではないのか。
正直に申しまして、そういう中での日本政府の大方針、これが問われているのであり、また、その決心が問われていると思います。決心をせずにろうばいして、このことを歴史的な一つの事実として新しい時代に入っていくことに対して国民は不安を感じている、その不安が政府にはわからないのかな、私はそう思いますが、総論だけ簡単に申し上げて、答弁を求めます。
○仙谷国務大臣 菅総理を初めこの内閣は、今中川議員がおっしゃったようにろうばいなど一切いたしておりません。
現代での対応の仕方は、十分歴史的な評価にもたえ得るものだというふうに自負をいたしております。現に、アメリカ初め、あるいは東南アジアの諸国からは、今回の対応については評価をいただいているというふうに私は考えております。
○中川(秀)委員 その御答弁は私も予算委員会で官房長官がなさったのを聞きましたが、こだわりませんけれども、しかし、先ほど冒頭に御紹介した、国民が九一%不安に感じている、そのことは重く受けとめて処していかないと、外国がこう言ったからどうだという問題ではない、そのことをしっかり肝に銘じてもらいたい、そのように思います。
それから次に、九日の衆議院予算委員会で、このように長官がみずから手にした資料を総理に見せている、それを新聞が報じたことを盗撮だとあなたは御答弁なさいました。私自身もマスコミ出身者でありますが、これは看過できません。
昨日、日本新聞協会の在京八社写真部長会が、長官に対して盗撮発言の撤回と謝罪を求めた。今ここに現物がございますが、まず、通常の取材の範囲内で公に認められた取材席から撮影したものが何で盗撮なんだ、しかも野党からの質問に答える中で使った盗撮などという発言は到底容認できぬ、謝罪と撤回を求める、こういうことでありました。
私は、まだ撤回も謝罪も長官はしていないようだけれども、これは素直にこの場で撤回と謝罪をされた方がいいのではないか、このように思います。いかがですか。
○仙谷国務大臣 御指摘いただきました私の発言について、十日付で日本新聞協会の在京八社写真部長会から抗議書を受け取ったことは間違いございません。
私の発言は、委員会室内ではあったものの、そのときたまたま見ていた公開をおよそ予定していない私の私的なメモを、マスコミのカメラにより、望遠拡大レンズということなんでしょうが、ひそかに撮影された、このことを盗撮と表現してしまいました。いわば違法な盗撮行為との誤解を生じかねない表現であったと認識をしております。
なお、この件につきましては、十日の夕方の衆議院予算委員会理事会において、各派了承のもとで議事録が修正されたというふうに承知をいたしておるところでございます。
ただ、私は、いまだに釈然としないのは、盗撮という表現は撤回をすることにやぶさかでございません。この場で撤回をいたしますが、ただ、国会内での写真撮影が、包括的に、許可を受けた者に限って撮影が許可されております。そのことは私も認めます。その趣旨は、多分、カメラが今のように非常に細かいものまで拡大をして望遠レンズで撮影ができるという時代の撮影許可ではなかった。
許可そのものは従来と同じような慣行で行われているんだろうと思いますが、しかし、機器が、撮影機器なら撮影機器、写真機が極めて進歩したというこの時代においては、例えば、私の手持ちの資料を私の意思とは関係なしにコピーができる。現にコピー機自身も下にカメラがついておりますね。コピーができるということになるわけでありますから、これは、私はそれを禁止せよとかなんとか言っているわけではありませんが、要するに、時代とともに撮影のあり方というのももう一度考え直してみる必要があるのではないか、そのようにも考えております。(発言する者あり)
○中川(秀)委員 勝手なやじは飛ばさぬでください。
撤回をされたということは私はよかったと思います。しかし、謝罪もされた方がいいのではないか、友人としてそのチャンスだと思ったんですが、それは今の御発言でした。
私は、こう思うんですよ。国家機密に関する認識ということの問題になるかもしれないが、本当に厳秘扱いをしなければならないそういう資料であったかどうかですね、もう一つは。あれは衆人環視ですよ、上から。機器がどうだこうだじゃありませんよ。そういうものの中で広げることができる資料まで極秘、厳秘にするのか。そういうことだったら、これは国民の知る権利の侵害の問題になりますよ。
逆に、本当に極秘資料なのに衆人環視のもとで見てしまう、あるいは総理にこうやって見せる。これは一つの委員会の中での行為ですよ。それを、包括的であれ何であれ、カメラの機能が拡大したであれ何であれ、盗撮だなどと言うこと自身は全く不適切です。そういう中で見てしまうということ、そういう厳秘資料をああいう格好で見せてしまうということだったら、これは危機管理の問題じゃないですか。どっちにしたって問題じゃないですか、そんなことは。
しかも、私的メモの定義が私はよくわかりません。本当の私的メモだったら、予算委員会のあの公の場で、総理と官房長官が前後ろでそんなやりとりをするでしょうか。本当は、やはり質疑に関連のある、そういうことについての資料で打ち合わせをなさったんでしょう。私は、それを国家機密であるなどといって盗撮であるなどと言う論理は成り立たぬと思います。
いずれにしても、この問題について、私の私的メモとして私が私のスタッフに命じてつくらせたもので、私が私的にポケットへ入れているものだ、こういう御説明を予算委員会でなさったようですが、政府の公的資料でないことを強調していますけれども、私のスタッフとはだれですか。あなたの秘書官ですか、イエスかノーか。あるいは、政府の、海上保安庁につくらせたものなのか。資料を作成したのはどなたですか。それとも、秘書官のどなたがお書きになったんですか。
○仙谷国務大臣 私のスタッフでございます。
○中川(秀)委員 仙谷長官の個人のスタッフですか。
○仙谷国務大臣 官房長官のスタッフでございます。
○中川(秀)委員 官房長官のスタッフというのは、まさに政府の職員じゃありませんか、公費が出されている人じゃありませんか。
そういう官房長官の命令によって税金から給料をもらっている公務員が作成をし、それを公の場で総理大臣に見せている。そのメモが何で私的メモなんですか。こんな重要なメモを私的メモとして扱われたら、国民の知る権利も国会の質問権も大きく制約されるじゃありませんか。
私的メモという部分を撤回してください。
○仙谷国務大臣 私の頭の中にあることをいわば私のスタッフに打ちつけて書面にしてもらったものでございますので、私的なメモでございます。
○中川(秀)委員 公的秘書でも私的なことをやっていると。今議論していることが私的なことですか。そんなことをやじを言うやつの神経が知れない。
まさに今回の問題は、国の大事にかかわることについての議論をしているわけでしょう。そういう中で、税金から給料をもらっている公務員が作成をして、そして総理大臣と打ち合わせをしている、そういうメモが私的メモだと。そういうことを認めていたら、政策決定過程の資料がみんな私的メモにされてしまいますよ。国民の知る権利、これは仙谷さんが若いころから一番おっしゃっていたことではありませんか。それを大きく制限することになりますよ。
もう一度聞きます。私的メモという扱いを撤回すべきです。
○仙谷国務大臣 私が頭の中にあることを例えば手元にあるメモ帳にメモしたのと同じ種類のものでございます。
○中川(秀)委員 官房長官、間違っていますよ。
あなたは、小泉政権時代の平成十四年の六月二十六日、この内閣委員会で、情報公開制度、昔のよらしむべし、知らしむべからずから百八十度転換するものだと言いましたよ。そして、憲法あるいは法律でいろいろ努力をしていくことは、権力に対する猜疑の体系だとまであなたはおっしゃった。それこそが近代民主主義の原則だとおっしゃった。
今、あなたは権力の中枢にいるわけですよ。そのあなたが権力に関連して、次々情報が非公開になっているではありませんか。本来のあなたの所信と違うのではないんですか。
十日の衆議院の予算委員会で我が党の小泉議員に、衝突ビデオ映像を全面公開することのデメリットとして、報道機関が、国益より現時点で流したいというビジネス的欲望もあり、我々に批判的になるとお答えになりましたね。政権批判、政権に対する批判になることが、あなたの厳秘メモにある、中国による日本非難の主張を退けることができるというメリット、それよりもなぜ優先するんですか。
もう一度答えてもらいたい。
政権批判、そういうものが国益よりも優先する。そういう政権批判、政府を批判することは国益を損ねることだ。どこの社会主義国家なんですか、それは。私は、政権批判されたくないから情報非公開、そんなことになったら大変な時代になると思いますよ。もう一度答弁してください。
○仙谷国務大臣 今のくだりは、もう一度質問の流れや文脈を読んでお答えしたいと思いますが、先ほど先生がおっしゃった情報公開法の議論の中での私の議論、これは、行政情報について一般的に公開すべきだということを申し上げたわけであります。
先般から私は、公開について、いわゆる捜査情報は一般の行政情報とは異なるということを申し上げているはずであります。あるいは、一般の行政情報にしましても、外交上の問題やその他国益上の観点から、リアルタイムで直ちにそれを公開すべきなのかどうなのか。それは、時期を置いてから公開することも情報公開のあり方の一つです。あるいは、個人のプライバシーにわたるところを墨を塗って公開することも公開のあり方の一つです。全く丸裸で、リアルタイムですべてを公開するというようなことは、情報公開のあり方として、いつの場合でもそういうことが言えるなどというふうには私は考えておりません。
本件の場合には捜査情報が問題になっているわけでありまして、これは、しかるべき期間、つまり公判廷が開かれるまでの期間は、原則として、捜査情報は捜査の密行性の観点から公開されない、公判廷が開かれれば公判廷において公開をされる、こういう原則のもとで取り扱われるのは、これは事の常識といいましょうか、当然であるというふうに私は考えております。
本件の場合は、それを解除する手だてとしては、国権の最高機関たる国会は部分的に解除することができる、それが刑事訴訟法四十七条のただし書きであったり、それにあわせて、国権の行使たる、要するに国会の持つ国政調査権の行使で国会法百四条を行使すればそれは部分的に解除できる、こういうことになっているということを先般から申し上げているわけであります。
公益上の必要性というのは、まさに、国会審議のために必要であれば、それは公益上の必要性を一応はというか原則として満たすということになるので、国会がまずそういう判断をしていただければ、内閣としてもそれに沿うような手だてを講じる、こういうことになるんじゃないんでしょうか。
○中川(秀)委員 何で問題をすりかえるんですかね。ビデオの公開の話は、まだ私、質疑に入っていないんですよ。あなたの私的メモと言ったところに対して言っているわけです。あなたが今言ったのはビデオの話じゃありませんか。
私的メモというものが、あなたの頭にあることを官費で給料も出ている公務員が書き起こした、それを総理と公の前でやっておる、それが私的メモと。そんな私的メモなんというのは、そんなことを言ったら、政策決定過程の資料なんか全部私的メモになる。そんなことはだめだと言っているわけであります。
そして、報道の機関がビジネス的欲望で我々に批判的になる、そんな批判的になることが、あなたの厳秘メモにある、中国による日本非難の主張を退けることができるというメリットよりも優先するんだ、そんなことを言ってはいけません、そういうことを申し上げている。あなたの答弁では、私の言っていることと全然違うことを言っています。
では、ビデオのことを申しますよ。
ネット時代の、あなたの情報公開への恐怖心は古過ぎますよ。どうやって公開するのか、官邸のホームページに登載すればいいじゃないですか。一遍で伝わる時代なんです。山県有朋以来の知らしむべからず、よらしむべしという伝統を大転換すべきという平成十四年の、あなたなら賛同してもらえたであろう原則にのっとって、それではこれからそのビデオのことを聞きますよ。一つ一つ事実を確認したいと思います。
まず、「海上保安庁では、」、かぎ括弧の中を申し上げますが、これは何かというと、情報公開・個人情報保護審査会、いわゆる情報公開法に関連をしてつくられているものですが、そこに対して海上保安庁が平成十七年二月十四日に、「広報ビデオ作成に関する事務処理関連文書の不開示決定(不存在)に関する件」で答申をした文書です。海上保安庁が、まず、そういう中で、日ごろやっているこのビデオ等々の扱いについてこう答えている。政府に出している公文書です。
その主な活動の場が、海上という国民の耳目に触れ難い場所であることから、積極的な広報により、国民の理解と協力を得て海上保安業務を遂行するよう努めている。特に、事件、事故等に係る広報にあっては、捜査上の支障の有無をも考慮しながら、再発防止や防犯効果も期待して行っているところである。
このため、広報の実施に当たっては、広報文を配布するほか、より効果的であると考えられる場合には、ビデオ等の映像提供も積極的に実施しているところである。
これが平成十七年に答えたものです。
官房長官、海上保安庁がこういう認識に立って、報道機関に対して積極的なビデオ等の映像提供をしていることは知っていますね。
○仙谷国務大臣 現在「海猿」というドラマもつくられているようでございますが、これなども海上保安庁が多分協力をし、情報を提供して、映画、あるいはこれはもうテレビでも放映されておるようでありますが、つくられたものだというふうに私自身は理解をしております。
それから、海上保安庁の業務は、人命も含めた救難救助という活動が相当ございますので、この点も広報をしている。洋上、通常の日本人から見ることができない活動であるということで、そういう広報活動をされるのは、ある意味で相当大きな予算を海上保安庁自身も、艦船をつくり、その艦船を使い、そして海保の保安官の方々の活動自身も大変な訓練と非常に苦難に満ちた活動でございましょうから、これを国民によく知っていただくというための広報活動は重要だというふうに考えております。
○中川(秀)委員 端的に答えてください。
さて、その上で、小泉政権時代の平成十三年十二月二十二日に九州南西海域北朝鮮工作船事件というのが起きました。そして、そのとき海上保安庁は報道用ビデオをつくり、事件発生の平成十三年十二月二十二日から二十四日までにそういうビデオを作成した、それは間違いありませんね。そして、その広報用ビデオはいつ公開されましたか。私の知るところでは、事件発生直後からこのビデオは作成され、公開をされている、二日以内にされている。事実、間違いありませんね。
○仙谷国務大臣 九州南西海域工作船事件のビデオ映像は、十二月二十二日から二十四日にかけて公開をされたということでございます。
○中川(秀)委員 海上保安庁が広報用のこういうビデオ、先ほど長官もそういうことは重要だとおっしゃったが、何を重視しているか。それは迅速性なんですよ。事件の内容を国民に速報することを目的に、現場から報告された映像を直ちに編集するのです。
そのことで、これは平成十七年、先ほど言った情報公開・個人情報保護審査会に海上保安庁が同じような広報ビデオ作成に関する件の答申書を出しているんですが、こう言っています。広報用ビデオとは、事件、事故の迅速性を要求される広報用ビデオの作成、そのことは、「その目的が達せられるよう、現場から送信される映像を基に、直ちに、編集するが、この作業は、当該事案を担当する課の責任においてされるものであり、また必要に応じ、更に上位の職にある者の判断を求めることもある。」
私は、今回の事件で、尖閣漁船衝突事件が発生した九月七日午前、海上保安庁はこういう流れで行政をやってきていますから、体制をとってきていますから、いつものように広報用ビデオを公開する準備を進めたのではないかと考えますが、いかがですか。
○仙谷国務大臣 この中国漁船衝突事件の映像記録については、刑事事件にするということにしたわけでありますから、当然、刑事事件の証拠ということにもなります。検察当局と海上保安庁が協議の上、刑事手続にのせるということで公開しないという判断をした、私はそういうふうに伺っておりますし、承知しております。
○中川(秀)委員 今さっき申し上げたようなことで、この小泉時代にあった北朝鮮工作船事件についても、発生と同時につくり、二日以内に公表している。
従来、海上保安庁は、こういう広報用ビデオについて、捜査等への支障と事件の内容を国民に説明するという公益上の必要性について慎重に比較考量を行った結果、公表が相当であると判断した範囲について公表している。これも平成十七年の、先ほど言った審査会に対する答申書で答えています。
九月七日の尖閣漁船衝突事件以降、なぜ、いつもつくっている、迅速性を求められる広報用ビデオを作成しなかったのか。いつ、だれがその決定を下したのか。
毎日新聞の報道によると、十一日ですが、海上保安庁は、関係閣僚の視聴用に編集したのと同様の映像を報道機関に提供する方針だった、だが、半日もしないうちに提供は取りやめになった、海保は理由を説明していないが、ある政府関係者は、官邸からストップがかかったと聞いていると明かすとあります。
事前通告をしておりますが、政治家及び官邸スタッフがこのようなストップをかけた事実はあるのかないのか。いずれ、これは事実として検証されますよ。歴史にも残りますよ。正確に答弁してください。
○仙谷国務大臣 そのような事実はありませんし、私は少なくとも承知しておりません。
○中川(秀)委員 これは、議事録に残る答弁として、あなたが責任を負わなければならぬ答弁ですよ。官邸の責任はすべてあなたにあるんですから、あなたが責任をとらなければなりませんよ。
報道では、映像を流出したと自分で言っている保安官は、「うらなみ」の主任航海士、四十三歳ですか、九月七日、那覇の第十一管区海上保安本部で中国語の研修を受けていたという。そして、十一管区には事件直後に、石垣海保で編集された映像が電送されていた。これは朝日の十一日の報道ですが、事実ですか。
○仙谷国務大臣 現在捜査中で、私どもは当然そういう情報に接する機会もなければ、立場もない、こういうことであります。
○中川(秀)委員 捜査中といったって、政府の職員のことですよ。捜査は捜査、海上保安庁のその職員は現職の主任航海士ですよ。そういうことが事実であったかどうか、こう聞いているわけです。捜査中だから知りません、それじゃ政府の答弁にならぬじゃないですか。
石垣海保の職員は研修用として編集したと話しているそうですが、研修用ビデオが編集された可能性を引き続き完全に否定されますか。これも正確に押さえておきたいので、答弁してください。
○仙谷国務大臣 さっき中川先生おっしゃったけれども、もし、我々のところへ、捜査が始まって逐一捜査機関が捜査で得た情報を持ってくるとなると、これは捜査の公正性が疑われるんじゃないでしょうか。むしろ、そういうことはあり得ない、あってはならないことだと私は思っております。
○中川(秀)委員 だれが捜査機関の情報を持ってこいと言いましたか。海上保安庁の行政として那覇で中国語の研修を受けていた、その事実を確認しているんです。捜査機関の話じゃないじゃないですか。海上保安庁の行政としてそういうことはあったか答えなさいと言っているんです。何が捜査情報ですか。答弁になっていませんよ、そんなの。
○仙谷国務大臣 研修の有無については存じ上げておりません。
○中川(秀)委員 何でもそういうことをすり分けて答弁するのは、これは間違いですよ。
さて、流出を名乗り出たその保安官の発言として、事情聴取前にいろいろな取材に答えているんですね、いろいろな方に、報道陣に。その発言として伝えられるところでは、映像の入手経路について、ほぼすべての海上保安官が見ようと思えば見られる状況にあった、さして国家機密扱いにされていなかったと話していると伝えられています。
現に、九月七日に事件が起きて、そして二十何日ですか、船長が釈放されて、馬淵国交大臣が厳重情報管理を指令したのは何と十月の十八日ですよ。事件から四十日もたっている。捜査の話といったって、船長も釈放しちゃった、その後でも二、三週間ある。その間も、情報管理の指示なんか政府は出していない。
そういうところにも、いろいろ今申し上げていることが非常に大事なこととして出てくるのであって、通常は広報用ビデオの作成が行われていた、普通は行われていた。半日たってストップしちゃった。あなたは、官邸や官房長官から指示は一切出していないと明言をされたが、歴史的事実としてこれはいつか明らかになると思います。
そういう広報用ビデオは作成する。そして、漁船衝突事件に関する映像は、海上保安庁文書管理規則に基づく秘密文書指定など特別な扱いをしなければ、国家公務員法上の実質秘というものにはならないんです。いつから、何を根拠に、漁船衝突事件の映像は国家公務員法上の実質秘となったんですか。
○仙谷国務大臣 この映像記録が刑事訴訟法四十七条に規定する「訴訟に関する書類」に該当することは間違いないんじゃないんでしょうか。
そうしますと、同条の規定によって、公判の開廷前には公にしてはならないものとされているということになりますから、捜査機関にお勤めになっている方がもしそれに触れる機会があるとしても、通常は極めて捜査に従事する職員以外はそういう訴訟関係書類に触れるということは考えられませんけれども、これは国家公務員法第百条の「職務上知ることのできた秘密」に該当するのではないでしょうか。
○中川(秀)委員 私は、捜査機関の職員のことは言っていませんよ。海上保安庁の保安官が見ようと思えばほぼすべて見られる状況にあった、国家機密扱いされていなかった。先ほど言った海上保安庁文書管理規則に基づく秘密文書指定されたのはいつなのか。馬淵大臣が十月十八日に指示を出していますが、これが秘密文書指定なんですか。
海上保安庁の職員が見られる状況にあったと当該の人が言っている。そういう中で、捜査機関の職員が知り得たものを公表したら、それはあなたの言うとおりですよ。ここは法廷ではないから、その捜査の、そういう事件の守秘義務のことを言っているんじゃない。さっきの話と同じですよ。何でも捜査だ捜査だ、だから、だめだだめだとあなたは言うけれども、行政機関の話じゃありませんか。
行政機関の国交省、海上保安庁、そこで国家公務員法上の実質秘、秘密文書指定をいつしたんですか。
○仙谷国務大臣 海上保安庁は、行政機関であると同時に捜査機関であります。全体としても捜査機関であります。そこで捜査を担当する者以外に、捜査に関する書類がその機関の中でも一般に流布するなどということは考えられないわけであります。それは、当然のことながら、捜査が始まった以上、刑事訴訟法四十七条に規定する「訴訟に関する書類」であります。
先生がおっしゃるような事態があったかなかったかも、これは改めて、流出事件に対する捜査の核心でありますから、そこは今ある種の前提を置かれて質問されていますけれども、我々としては、そういう状態であったかなかったかということは確定もできませんし、徹底した捜査の結果を待つとしか言いようがないじゃありませんか。
○中川(秀)委員 いずれにしても、しっかりした答弁をしていただけていないような気がしますね。保安庁は一部捜査機関の部分もありますよ、全部ではありませんよ。その海上保安庁の文書管理規則に基づく秘密文書指定されたのかどうか、馬淵さんが大臣として指示を出したのが文書指定なのか、それについては御答弁がありません。
さらに伺います。
海上保安庁が広報用ビデオを作成するのが常だったとすると、ユーチューブに流出した四十四分ビデオの国家機密はどこの部分なのか、これが問題になりますね。
実は、広報用ビデオについては、「不開示とすべき部分を極力開示しないよう、ビデオを短時間の部分に切り分けて編集したものであり、また、そのような編集をした後にも残る不開示とすべき部分については、公益的観点から最小限の範囲で開示したものである」。これは、先ほど申し上げた、九州の北朝鮮不審船のときに二日以内にビデオを公開したんです、事件が起きてすぐですね、それについての海上保安庁が審査会に出した答申書です。つまり、不開示とすべき部分はちゃんと切り分けて出さないようにして、それでも公益上の観点から開示すべきものは開示する、そういうことでやった。
流出した四十四分ビデオには国家機密があるという答弁を官房長官はしていますが、四十四分ビデオについても、私も拝見しましたが、全体として、九州の北朝鮮の不審船事件のときに海保が先ほどの方針に基づいて直ちに公開したものと同じ程度のものだったのではないんですか。もしそんな国家機密に関するものがあるというんだったら、何で総理が見ていないのか、それも全く納得ができません。いかがですか。
○仙谷国務大臣 いわゆる四十四分ビデオというのは、国会から提出を求められた際にも、私どもにもそういうものがあるということは那覇地検からも、あるいは海上保安庁からも報告はなかったわけであります。
つまり、私どもが推察いたしますと、これは、那覇地検そしてその後海上保安庁から聞き及んだところによりますと、捜査の過程で那覇地検から求められて、そしてそういうものを作成して那覇地検に海上保安庁の方から渡してあった、一部控えをとっておいた、こういうものだそうであります。
つまり、捜査の過程で、通常は警察と検察の関係でありますけれども、警察が検察庁に対して捜査報告書というのを時々書かれることがあるわけでありますが、その捜査報告書類似のビデオといいましょうか、そういう電子的な記録として四十四分物を作成して、極めて内部的な関係で渡してあった、こういうものであるそうでありますから、私どもがそれを知らなかったというのは当然のことだと私は思っております。
○中川(秀)委員 いずれにしても、これから政府は真剣に、先ほどの世論調査に出ている国民のそうした声にもこたえて、単にこの場を何とか切り抜けようではなくて、国益を考え、国民の知る権利も考え、外交も考えて、大局的な対処をしていただかなければなりません。
私は、その点でもう一つだけ、きょう、時間の範囲内で尋ねたいことがあります。
九月二十一日、中国外務省の報道局長が、ビデオを最初から最後まで一部始終公表すべきだと、これはちゃんとしたプレスに対しての報道局長の公式発言として出しているのであります。日中関係を配慮するならば、このときに公開しておけばよかったのではないかと思います。中国が公式的に公開を求めているにもかかわらず、日中関係への配慮をする菅政権がなぜ映像公開をしないのか。こういう表現はなるべく使いたくはないんだけれども、でも、あえて質問だから聞かなければなりません。実は、秘密裏に映像を非公開にすることを求められていたのではないのかという疑惑があります。
具体的に聞きますが、九月二十九日に細野さんが訪中していますね。この訪中には、篠原令さんという民間コンサルタントと須川清司内閣官房専門調査員が同行していますね。官房長官は篠原令さんと面識があるんですか。今回の細野訪中は、官房長官が篠原氏に依頼してセットしたものなんですか。
○仙谷国務大臣 篠原さんとは面識がありますが、後段中川議員が言われた、そういうふうにセットされたのかという問いについては、全く私のあずかり知らないところでございます。
○中川(秀)委員 これも事実として、答弁として議事録に残りますよ。官房長官、御覚悟の上で御発言いただきたいと思います。
内閣官房専門調査員須川清司氏は、官房長官の指示で同行させたんですか。
○仙谷国務大臣 私の指示でもございませんし、須川専門調査員が中国に行かれたことは承知しておりません。
○中川(秀)委員 ことしの三月十六日の政府答弁書で、須川さんは、公務としてそれまで米国には、意見交換と、それから当時の松野内閣官房副長官等に随行していますね。沖縄県には二度行っています、平野官房長官に随行している。これは政府の答弁書で出ている事実です。
では、須川さんは、九月二十九日と三十日、公務で訪中したんですか、休暇扱いですか、公用パスポートを使ったんですか、都心と成田空港の往復は公用車を使っているんですか。
○仙谷国務大臣 いろいろな質問や問い合わせがありますから、調べてみました。
当時、須川専門調査員が行かれたのは、公務としてではなくて、公用旅券の申請も行われていないとのことでございます。
それから、当然のことながら、公用車も使用していないということであります。
それから、この専門調査員は非常勤でございます。当然、国から給与は出ておりません。したがいまして、国家公務員法の規定に基づく職務専念義務は免除されておることから、休暇をとって行かれる場合も、そういうふうな動き方をされる場合にも、休暇取得の申請は必要としないということであります。この間、休暇取得の申請も出ておりません。
○中川(秀)委員 渡航申請は出したはずですね。どのような渡航申請をし、どのような観点から須川さんの渡航を認めたんでしょうか。また、これについて官房機密費を出した事実はありますか。
○仙谷国務大臣 渡航申請というのは、内閣官房に対するですね。
海外渡航承認ということでありますが、内閣官房においては、これは一般職の常勤職員を対象に運用しておりまして、非常勤の諮問的官職である内閣官房専門調査員を対象としておりませんので、申請も受けておりません。
それから、後段の話、費用関係についても、一切私どもは関知しておりません。
○中川(秀)委員 一部新聞報道ですが、細野さんが九月三十日に帰国した後に官房長官らに報告したとございますね。長官は、細野さん、篠原令さん、須川さんが帰国後、訪中報告をいつどのような形でお受けになりましたか。
○仙谷国務大臣 報告というふうなものは受けておりません。
ただ、細野さんとは友人でございますから、その後、事実上、電話で事情を聞いたことはありますが、それは細野さんの報告をいただいたとは私は受けておりません。
○中川(秀)委員 何となく私は印象として強く思うのは、お帰りになったのが三十日ですね、何か、そのころから政府はビデオ提出に慎重になったんじゃないかと思いますね。細野さんが行って帰ってきた、そして、それからビデオ提出にいろいろ慎重な御発言が長官からも出るようになった。
では、細野さん、篠原さん、須川さんは、北京でだれと何の会話をしたのか。そして先ほど、電話で事情を聞いた、事情は報告を受けた、友人であるからという御答弁ですが、その中で、だれと何の会話をしたのか、ビデオ非公開の要請、そういうものはなかったのか。それについて、その電話のやりとり、その他ある種の報告かもしれませんが、どういう事実関係ですか。
○仙谷国務大臣 ビデオがどうのこうのという話は、私は細野君から、先ほど申し上げた電話で話をしたときも、一切受けておりません。
○中川(秀)委員 いずれにしても、長官はその当時、関係大臣、法務大臣、外務大臣、国交大臣、官邸で協議して、このビデオの公開については対応の一任を受けておられますね。そして、九月三十日に衆議院の予算委員会、参議院もそうですが、提出を求めることを決めましたが、そういう流れの中で対応されておられましたね。
官房長官、ビデオの非公開、首脳会談での菅総理のスピーチまたは発言内容についての話は、十月一日の戴秉国国務委員とあなたとの電話会談、私も直接何回もやり合ったことのある国務委員ですが、あるいはまた十月二十二日の程永華駐日大使との会談、これで話題が出たんですか。この二点。
○仙谷国務大臣 中川議員も御高承だと思いますが、日本と中国の間ではふだんからさまざまなレベルで調整といいましょうか情報交流が行われておりまして、その一々についてコメントすることを差し控えたいと思います。
今、戴秉国国務委員と話をしたかどうかという点についてでありますけれども、これについては、その存否を含めて、コメントすることは差し控えたいと存じます。(中川(秀)委員「大使との話は」と呼ぶ)
大使との話も、そういうお話を大使としたかどうか、その存否を含めて、コメントすることは差し控えたいと存じます。
○中川(秀)委員 菅総理は官房長官を中曽根政権の後藤田官房長官に例えられたことがあった記憶がありますが、当時の状況をちょっとだけ申しますと、一九八三年の八月三十一日に大韓航空機事件というのが起きています。そして、このとき、約一週間後、六日後ですか、九月六日に国連安保理で、米国によって我が国自衛隊の傍受テープが公開された。もちろん、これについては日本政府も直ちに、同時期、記者会見も後藤田さんがしていたと思いましたが。そういうことで、ソ連も撃墜の事実を認めたんですよ。
中国にだって実事求是という言葉があります。私は、日中関係の打開のときにも常に、戦略的互恵というのは小事を大局に影響させないことが互恵関係だ、そういうことで中国の首脳とも何時間もやり、そういう関係を築く努力をしてまいりました。事実をちゃんと言って、あなた方は葫芦島から百万人日本兵を無事に帰した、誇りを持つべきではないのか、歴史という問題は歴史家同士で共同研究をして事実を確定していくものだ、こういう話をしましたよ。それに比べますと、何となく今回の対応は、こういうビデオの公開でもそうなんですが、そういう事実関係の確定をこそそういう両国関係の発展の礎にするということを忘れている対応だと思う。
一部報道では、細野訪中で伝わった中国側の意向を踏まえ、十月一日の所信表明演説が変えられたという報道までなされたじゃないですか、日本で。そんなことでだれが日本の外交を信頼しますか。それは報道が悪いんだと言うかもしれませんけれども、そういうような報道がなされること自身、政府が十分な対応や説明をしていない証拠じゃありませんか。九一%が日本外交に不安を持っている、国民がそう言っているんです。もっと真剣にそういうことを考えないといけないですよ。政権のための外交じゃないんだ、日本のための外交なんだ。
そういう意味で、例えば、ASEM首脳会談で、菅総理のスピーチ原稿の内容について、尖閣諸島問題はお互いに直接言及しないとの水面下の確認事項があったと伝えられる、そんな報道まであるじゃありませんか。それは事実なんですか。事実でないのなら、ちゃんと説明されたらいいじゃないですか。
○仙谷国務大臣 中川先生も官房長官をお務めになられていますから、対外的な、つまり実事求是で本音をぶつけ合ったんだというお話ですが、それをリアルタイムで外に全部お話しになるようなことはなかったんだろうと推察しながら、今、先生の御質問を聞いておりました。
そしてまた、各報道がいろいろなことをお書きになりますけれども、それは私どもから見れば事実でないことも多々含まれている。つまり、いろいろなところから、揣摩憶測、うわさのたぐいもお聞きになったのを結びつけて物語を構成されている場合も大変多い、このことは先生もよくおわかりじゃないですか。私ども、それに一々全部抗議をし、あるいは内容証明郵便をぶつけるなどということをするべきではないと考えておりますので、そこまでしていないだけでございます。
○中川(秀)委員 いずれにしても、政治主導の名において、政府・与党の二元外交で混乱を招くなんということがあってはなりません。外務省外しとも言われるような官邸外交のそういう報道のされ方、その実態も解明しなきゃなりませんが、政治主導法案を審議する前提条件ですよ、そういう問題は。正直言って、先ほどの問題提起にとどめますが、こういうことはきちっと審議しなきゃいかぬです。
委員長、私は、そういう意味で、関係委員会との合同審査を含めまして、細野さん、篠原令さん、須川清司さんの参考人招致を求めます。
○荒井委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○中川(秀)委員 一九七一年に、官房長官も多分、ああ、そんなこともおれも関心を持ったなと思うと思うが、アメリカの国防総省がベトナム戦争への介入についての批判的な総括をした秘密報告書、ペンタゴンペーパーというのがあるんです。これを入手したニューヨーク・タイムズに対して裁判所が掲載禁止の仮処分を下したんですが、すぐ追いかけてワシントン・ポストがこの掲載を開始したんです。そして、政府との全面対決の末、連邦最高裁判所が国民の知る権利を優先する判決を下して、報道側が勝訴したんですよ。覚えていますか。
国民の知る権利というのはそのくらい民主主義にとっては重要なんですよ。国家機密が国民の知る権利より優先するというなら、よほどの国益の侵害がなければならないんです。
情報革命の時代に、公開こそが公共性なんですよ。新しい公共というのは情報を共有するところからスタートするんじゃありませんか。あなたは公開を恐れているけれども、逆に言うたら、時代の流れに反する反動ですよ、そんなものは。
本当に、政権が都合の悪い情報を何でも機密扱いにする恐ろしさというのは、だれよりもあなたは知っているはずですよ。国民の知る権利とのバランスは常に考えなければなりませんけれども、いいサンプルです、今回のことは。そういう意味で、これからもしっかり議論する必要があります、これは。本当に大事なことだと思っています。
何でもかんでも国家機密にする、政権の判断ミスを証明する物的証拠まで永久非公開にする、そんなことで本当に民主主義とは言えないです。その意味で、問題が政権に及ぼす影響を食いとめたい、そんな考え方はいけません。問題が国益に及ぼす影響を食いとめたい、それを考えなきゃなりません。
官僚の平時の処理、官僚は平時のことを処理する人たちなんです。今は緊急時なんです。一切の判断の全責任をとるのが政治家、そうでしょう。その意味で、危機管理で全精力を傾ける、しかし失敗したら責任をとる、平時担当の役人に責任なんか押しつけない、これが緊急時の対応の、危機管理の基本ですよ。そんなことを役人に負わせていて、本当の政治家なんかこの政権にはいないのかということになりますよ。
私は、権限への逃避とかこういう既成事実への屈服で、そういうことならば、もう二度と政治主導などという言葉は使ってほしくありませんね。あなたはビデオ取り扱いの一任を受けた閣僚ではありませんか。あなたが全責任をとって、この問題についての責任を明らかにする、私はそれを友人として勧めますよ。そのことが、あなたの政治家としての本懐でもないかと思います。残念だけれども、友人として忠告をいたします。もし、そうでないということであるならば、これはやはり国民が、あるいは我々野党が介錯するしかないということになりますよ。よく考えていただきたいと思います。それぐらい重要な話だということです。
以上で私の質問は終わります。ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、平井たくや君。
○平井委員 先月、私は、古賀茂明氏を政府参考人として呼ぶことを認めていただけずに、質疑を打ち切りまして、やむなく退席することになりました。
参議院予算委員会で政府参考人として認められたものが本委員会で認められなかったことは、私自身、今もって納得しているわけではありません。公務員制度改革の経緯についてよく知っている古賀氏を国会に呼んで話を聞くことができないというのでは、菅総理の言う熟議の国会にはならない、私はそのように思っております。
当委員会で政府参考人として認められない理由としては、平成十一年の申し合わせを挙げておられます。しかし、その申し合わせは、委員会運営で必ずしも厳守されているわけではなく、当時と今とでは政党会派の構成もさま変わりしています。その申し合わせの中にも国会活性化のための見直しもうたわれていますし、そういうことを考えると、今回の政府参考人が認められない理由、根拠としては、申し合わせ事項は十分ではないと私自身は思います。これからこの委員会を活性化、委員長もよく言われておりますが、過去の古文書のような申し合わせに固執していたのでは新しい政治情勢には対応できないのではないか、そのように思います。
また、私の途中退席に自民党ほか野党議員が同調していただきました。これは、ねじれ国会では与党の強引な委員会運営では何も成果を上げられないという危機感を野党の皆さん方が共有していたからではないか、私はそのように思っています。
また、昨日から国会で議論が始まった給与法改正の本会議の質疑を聞いていても、与野党が苦労して成立させた公務員制度改革基本法がもともと想定していたスケジュールが大幅におくれている、その認識はお持ちだと思います。
私は、菅政権は当面の諸問題に追われて重要課題を先送りすることが多いですが、今までの議論を台なしにしないためにも、前向きな、迅速な委員会運営を望みたいと思います。
そこで、委員長に三つのことをまず提案、要望させていただきたいと思っています。
一つは、申し合わせの見直しに関して、政府参考人に関して、執行する施策及び業務に責任を持つ者のほかに、その他政策論争の前提となる事実関係の確認のために必要と認められる者も認めていただきたい。過去の因習的委員会運営から脱却して、ねじれ国会における開かれた委員会運営を、建設的な議論の場にしていただきたいというのが一つの私の提案でございます。
二番目には、理事会でも提案させていただきましたが、公務員制度改革のような継続して審議する重要なテーマに関して言えば、内閣委員会の中に小委員会を設置して、常に問題意識を共有しながら、また、広く参考人の意見を聴取して議論を積み上げるべきではないかと私は考えています。ですから、重要テーマに関する小委員会の設置を強く望みます。
三番目には、実は今国会で、自民党とみんなの党では、先日、国家公務員法改正案と幹部公務員法案を提出させていただいています。
この中には、給与制度の抜本的改革、例えば、次官や局長などの幹部は人事院勧告の対象から外すという措置が実は盛り込まれています。幹部公務員法案の考え方は、次官や局長など幹部の給与まで人事院勧告を全面尊重するべきではない、対象から外すべきだ、それだけの給与体系になっていると考えています。
ですから、思い出しますと、民主党のマニフェストの中には、政治家、幹部職員などが率先し、国家公務員の総人件費を二割削減するとありました。これは覚えておられると思います。また、代表選における菅総理の政見の中には、国家公務員の人件費の二割削減に向け、人事院勧告を超えた削減を目指すとともに、労働基本権付与を含めた公務員制度改革を加速させるとありました。国会議員の歳費カットとともに、管理職に関しても給与をカットすべきだというこの意見は、実は民主党の中にも多いと私は思っております。
そうなりますと、総務委員会における給与法改正と同時に、我々の提出法案の審議を速やかにスタートさせていただいて、できれば連合審査等を開いていただくことをここで要望させていただきたいと思います。
いずれにせよ、今のままでは民主党の言う国家公務員の総人件費の二割削減への道筋がやはり見えないですよ。我々の法案をてこにしていただいても結構ですから、問題を来年の通常国会に先送りするのではなく、できることから始めていただく、そのように私はお願いをさせていただきたいと思います。
また、官房長官におかれましては、公務員制度改革に関する参考人に関して、たとえ意に沿わない発言をする者であっても認めていただきたく、委員会の決定に官房長官として異を唱えないことをぜひお約束していただきたい。また、政府職員の言論を抑圧したりするようなことのないように、これもぜひ約束をしていただきたいと思います。
また、前回の委員会で私が指摘したとおり、将来に傷がつくと恫喝した、言葉は恫喝とあえて言わせていただきますが、古賀氏に関しては、国会での自由な発言のゆえに首になったり、左遷されたり、あるいは能力を発揮できないポストにつけさせられるような嫌がらせをしないように我々は監視をしていくつもりでございますが、凍りついてしまった本人の心を安心させるためにも、一言、官房長官に謝罪していただきたく、できれば、恣意的な人事をしないことを、しないとは思いますが、お約束をしていただきたいと思います。
○荒井委員長 今、平井委員から当委員会委員長に対する要望がございました。
昨日の理事懇談会で初めてその御提言を受けまして、その際に、私の方から、両筆頭理事でその件に関しては議論を深めていただきたいということを申し上げました。理事会ではありませんので正式なものとはちょっと認めがたいと思いますけれども、両筆頭間でこれからもその三点について議論を深めていただければと思います。
それでは、それ以外の件について、仙谷官房長官。
○仙谷国務大臣 国会、内閣委員会でお決めいただくことは、これは国会の、まさに内閣とは関係ないことでございますので、それはお決めいただければというふうに思っております。
それから、古賀さんの人事は、もちろん私には何の権限もございませんので、これは私が関知するところではございません。
○平井委員 古賀さんが凍りついたということについて、そういう意図はなかったということだとは思いますが、官房長官から一言追加して発言をしていただければと思います。
○仙谷国務大臣 こういう場でそういうことを申し上げるつもりはありません。
○平井委員 先ほどの中川元官房長官と現官房長官のやりとりはなかなか見ごたえがありまして、後で皆さんもビデオでごらんになったらいいと思います。
官房長官は、今まさに権力の中枢におられるわけです。ですから、その一言一言が非常に重い。特に、一般の公務員に関して言えば、一言で震え上がるというような状況だと思います。ですから、そういうことに関しては、できるだけ受けとめる側の気持ちも推しはかっていただきながら、慎重な御発言をしていただきたい、そのことを要望させていただきたいと思います。
それでは、蓮舫大臣に質問をさせていただきます。
今国会で再就職等監視委員会の人事案はまだ提示されておらず、ちょうど十月十二日の衆議院の予算委員会で、蓮舫大臣は、自民党政権下でできた再就職等監視委員会には再就職のあっせん承認機能がついていたためもとより反対してきたと答弁をされましたが、今もその理由で監視委員会の制度に反対をされておりますか。
○蓮舫国務大臣 お答えします。
あっせん承認機能は、あったことで、過去、野党時代の私たちが反対していたことを述べたものでございます。
○平井委員 御存じのとおり、あっせん承認機能は昨年末で既にもう消滅しているんですね。ですから、かつて野党時代に反対していた理由は消滅をしていますよね。
恐らく、再就職等監視委員会の監視機能を強化することを検討するので今回の国会では人事案を出さないというお考えのように私は推察をするんですが、それでよろしいですか。
○蓮舫国務大臣 再就職等規制違反の監視機関については、次期通常国会に提出することとしております国家公務員法改正法案におきまして、再就職等監視委員会を廃止しまして、新たな監視機関を設置する方向で考えています。その部分では、今平井先生がおっしゃった考え方で私たちは今法案をつくろうとしています。このため、廃止する予定の再就職等監視委員会の人事案の提出は現在見合わせているものでございます。
○平井委員 この問題は、前通常国会でも随分議論をさせていただきました。これは、当時の階総務政務官が、設置しない状態が長期間続けば違法状態になるかと思いますというような答弁も実はされているんですね。
鳩山内閣発足から通算して十四カ月たっちゃったんですよ。これは幾ら何でも、今度の国会で出すからとは言うものの、十四カ月もほったらかしにしているこの状態というのはやはり異常だと私は思うんですね。例えば、同じ国家公務員法百九条で、人事官の場合は六十日間空席を放置した閣僚は一年以下の懲役または五十万円以下の罰金と定められているんですよ。
確かに、強化してつくりたいという、あと、ついこの間大臣になられたばかりだから、過去のいきさつからいって放置した責任はないかもわかりませんが、幾ら何でも、十四カ月も放置しているということは問題だと思いませんか。
○蓮舫国務大臣 再就職等監視委員会には人事官のような規定は設けておりませんで、何カ月というような御指摘に対して私がどうこう言うものではないんですけれども、いずれにしても、廃止をする予定の委員会の人事案を出すよりも、新たな、監視機能をさらに強化した組織を盛り込んだ法案を今作成し、次期通常国会に提出することとしています。
○平井委員 大臣は、十二日の予算委員会で、再就職等監視委員会の委員長などが任命されるまでの間、暫定的に総理大臣が委員会の監視権限を行使することも認めないというふうに答弁をされていますが、まあいいんですよ。監視委員会は立ち上げず、総理は権限を行使しないというのでは、実は裏下りは野放しになってしまうんですね。
そしてまた、法令に基づく監視をしないということは、これは政権交代後の大量の裏下りが発覚する可能性もあり、私たちは政権にいたころ予備的調査とか質問主意書でさんざんやられました。同じように、これから我々も同じ調査を要望することになります。そのときに、監視委員会が十四カ月なかった間に大量の裏下りとかそういうのが出てくると、これはやはり問題だと思いませんか。
○蓮舫国務大臣 今、平井委員がお話しになられた問題意識は、全く共有しています。これは与党も野党もない問題だと思いますし、国会議員として国民の声をしっかりと受けとめて、国家公務員が裏下りという手法で、再就職あっせんがある、ない、ない形で行われたとしたら、それは理解が得られませんから、当然、各大臣のもとで、自府省の国家公務員が裏下りをすることがないように適切に監視はしております。
なお、これも何度も総務大臣等が答弁されているとは思いますけれども、同一府省庁出身者が何代にもわたって特定の団体等のポストに再就職している実態を総務省で今調査をしています。そのほかにも、独立行政法人の役員ポストの公募による後任者の選考などの措置を講じる中で、ここは政府として適正化を図っているところでございます。
○平井委員 この天下り根絶の話は、我々、ずっと責められ続けていて、それなりに安倍内閣、福田内閣、麻生内閣と対処してきたんだけれども、いざ政権交代すると、何か肩透かしを食ったみたいな形で、つまり、天下り根絶というのがどこからかおかしくなってしまったと私は思うんです。
そのように考えている民主党の議員も非常に多いと思うんですが、皆さん、これはぜひ胸に手を当てて考えていただきたいんですが、このきっかけをつくっちゃったのは、やはり日本郵政の人事だったと思うんですよ、どう考えても。
これはやはり、わたりのチャンピオンを社長に据えちゃう、それを解禁にして、それは違うと言える神経がおかしくて、このことに、特別の人事、これは亀井さんがやったから本来の公務員制度改革の我々の考え方とは違うけれどもということでやるならよかったんだけれども、結局、考えてみると、一般職員があっせんするのはだめだけれども、政務三役はオーケー、OBもオーケーということにしちゃったんですね。これが質問主意書に対する答えでした。ですから、ここがみそのついたきっかけだったと思うんですよ。
このときに内閣支持率が下がらなかった。これは、鳩山さんが余人をもってかえがたしというようなことで正当化するような発言をされていたけれども、そこを救っていたのは、蓮舫大臣、あなたが事業仕分けで民主党を支えたんですよ。本当なら、この天下りの百八十度転換というのは政権にとって大きなダメージになるはずだったんだけれども、このことは通り過ぎていっちゃった。しかし、実はこの問題は、天下りの解禁につながる、役人にとっては非常にありがたい一つの既成事実をつくってしまった、私はそのように思います。
これはこれで、民主党の若手の人たちにも同じような気持ちでいる方を私はたくさん知っています。あれは失敗したな、ああいう説明をしたがために後々苦労するなと思われている方はたくさんいます。ですから、もし本当に蓮舫大臣が悪い部分をさらにリセットしようとするのであれば、要するに、天下りの定義、もう一度再点検をしていただく必要があるのではないかと思うんです。
だれがどう考えたって、天下り、わたりのチャンピオンが日本郵政に行って、私から見ても、余人をもってかえがたい仕事をしているのではなく、はっきり言って、現場にふなれな人が組織を危機に陥れているのではないかという懸念も持っています。そのような印象はお持ちではありませんか。
○蓮舫国務大臣 御指摘の日本郵政にかかわる人事なんですが、大変申しわけないんですけれども、私はそのとき内閣にいなかったもので、どういうやりとりが閣内で、議論が深められ、そして指摘のような結論に至ったのかを詳細に把握していないもので、今踏み込んだ答弁というのはできない、それは御理解いただきたいと思います。
○平井委員 蓮舫大臣ならこれは理解していただけると思いますので、過去のいきさつをぜひ御自分の目でチェックされてください。また別の機会に私の方から質問をさせていただきたいと思います。
それでは、現役出向についてちょっとお聞きをしたいんです。
なぜ天下りがだめで現役出向がいいのか、端的にお答えいただければと思います。
○蓮舫国務大臣 現役出向がなぜいいのかと言われましたら、やはりそれは、官僚の皆さんはさまざまな場所で仕事の経験を積むことによって自分のスキルを高めることにもつながると思います。それは人事交流の一環ではないでしょうか。
○平井委員 現役出向と人事交流、これは、人事院の皆さん方、きょう来ていますので、まずその話を聞いていただく中で、このことについてもまた後ほど時間があれば答弁をしていただきたいんです。
人事院規則の改正について、人材局長がおいでなので、ちょっとお聞きしたいんです。
部長、審議官について、在籍する局庁と所管関係のない民間企業とは交流できるようにするとのことでありますが、例えば国土交通省の部長がゼネコンに官民交流で出向することができるということですよね。
○菊地政府参考人 今までも、指定職の職員でございましても、在職する府省と所管関係にない企業との間の交流は可能でございましたところ、今般の改正で、指定職職員のうち審議官級職員に限っては、公務の公正性の確保を図りつつ、交流推進に資するよう、新たに所属する局等と所管関係にない企業との間でも交流を行うことができるようにいたしました。
そういう意味では、御質問の国土交通省の場合にも、いわゆる統合省庁として幅広い所掌を有するところでございますけれども、過去二年間、派遣先企業と所管関係にある局に所属していない審議官級職員は、交流派遣することは可能でございます。
ただ、この措置に当たりましては、民間企業の効率的業務遂行を学び、行政課題に柔軟かつ的確に対応できる人材を育成し、公務の能率的な運営に資するといった制度の趣旨に即した運用が確保できるようにということで、派遣元府省の策定いたします交流派遣実施計画に復帰後の継続勤務あるいは活用方法の人事方針等を記載させるというようなこと、あるいは、仮にその制度の趣旨に反するような利用が行われた場合には、一年間、新たな指定職の派遣を認めないというようなことを科す、さらに、年次報告で、派遣前二年間、復帰後の官職につきましても、国会、内閣に対して御報告をする、そういう透明性を図るなどの措置をしたものでございます。
○平井委員 この人事交流というのは、そんな上の幹部を行かせる話じゃなくて、若い人たちに民間の知見を踏ませて、役所で役に立てるというのが大もとの発想だったと私は思うんです。
今の話を聞いていただいたらわかるように、この交流基準の六条一項、二項を見ると、直近二年間ゼネコンと直接関係のない部局にいれば、それまでずっと土木建設畑の人でもゼネコンに派遣することができるんですよ。今認めましたよね。そのとおり、できるんです、二年間だけ直接担当する部局にいなければ。これは、ちょっと幾ら何でもやり過ぎじゃないですか。
○蓮舫国務大臣 平井委員も大変御尽力をされました国家公務員制度改革基本法の中にも、官民の人材交流を推進する、対象の拡大を行うことと規定をされています。あるいは、私ども政府の退職管理基本方針におきましても、官民の人材交流の一層の推進を図る。その部分で、どういうふうにしたら、さらに民間に官の人たちが行っていただけて、その経験によって、公務員のコスト意識、現場感覚を高めて、専門的知見をしっかりとほかの分野で活用していただけるのか。それを人事院の中で考えていただきまして、そのときにも公務の公正性が確保されることを前提に基準を見直したものと承知をしています。
○平井委員 ぜひ、人事院の今回のこの改正はよく大臣の目でチェックしてください。
人材局長にもう一度お聞きします。
役所に一たん復帰した後、退職勧奨や自己都合等で派遣先企業に再就職することは原則だめということですけれども、一たん役所に戻ってしばらく過ごした後、定年退職して派遣先企業から請われたとかいって再就職すること、これは可能ですよね。
○菊地政府参考人 私どもの規制といたしましては、復帰後、役所の方が勧奨退職をするような場合にはペナルティーを科しますと申し上げております。それから、自己都合の場合にも、その後、当該企業に就職するような場合には、これは御本人を罰するわけにはまいりませんので、やはり任命権者の方についてのペナルティーを科しております。
ただ、実際に、五十代初めに派遣をされまして、復帰後、公務に相当期間勤務をして成果を十分に還元された後、定年退職までわずかな期間を残したところでやめたケースあるいは定年退職をされたようなケースについてまで何かペナルティーを科すというような制度にはしておりません。ただ、これにつきましては、十九年の国家公務員法改正で、それまでの再就職規制の事前承認制が廃止となったということによるものだと理解しております。
○平井委員 これは、人事院に任せておいたら本当に危ないですよ。恐らく、考えている方向とは逆に行っちゃう。
この規則改正の最後のなお書きで、要するに、退職勧奨や自己都合退職のケースも、問題ないと認められる場合はこの限りでないとわざわざ書いてあるんですね。だから、結局、退職勧奨して派遣先企業に再就職することも認められるということになっちゃうんですよ。わざわざこんなことを書く必要もないと私は思ったんですが。
このなお書きの中には「既に交流派遣の成果を公務に十分還元したと認められる場合など特段の事情があり、」と書いていますが、この十分に還元というのは期間なのか内容なのか私よくわかりませんが、よく読んでいただくと、はっきり言って、今回は、天下り先を拡大する、いわば解禁の引き金を引いてしまう、つまり、当初民主党が言っていたことからは全部逆行してしまうのではないかというふうに思うんです。
時間も余りなくなって申しわけないんですけれども、公務員の話に関して言うと、論点も非常に多いし、法案が出てきてからというのではなく、我々が今ちょうど法案を二本出しています、つるされていますが。ですから、ぜひ議論をしていただいて、この公務員制度改革というのは、与野党を超えて進めていかないとおかしなことになりますよね。
難しい問題もたくさんあるので、ついつい先送りしたい気持ちになるのもわかります、ほかにいろいろな問題も起きちゃっているから。しかしながら、さっき言った、政治家の関心がちょっと薄れる、もしくはほかに関心が移ったときに、この天下りというものに関して言えば、着々と微修正が行われている。
つまり、人事院のこの問題もそうです。その他いろいろ考えますと、私は、この天下り、さっき引き金を引いたのは天下りの定義の問題というふうに指摘させていただきましたが、裏下りを阻止できない監視委員会の問題、また、現役出向、独法と公益法人、本当は全部やらなきゃいけないんですね。
公募するとかしないとか言っていたけれども、公募だって、役員の一部だけだったんですよ。ですから、公益法人全部に当てはめて公募をするというような形にはなっていないんです。それとまた、役員というのは、要するに、役員と言われない形の、顧問とかそういう肩書のポストもあるし、そういうところもぜひチェックをしていただきたいと思います。
それと、人事交流に関して言っても、今、人事院の説明を聞いていても、ちょっとおわかりにならないところがあったと思います。よく聞いてください、こういうケースはできるのね、できるんですか、できないんですか、どうやってそれをやめさせるんですかということを。
そして、もう一つは、これは民主党の中に非常に私と同じ考え方の人がいると思うんですが、退職管理基本方針の中の高位の専門スタッフ職というものなんですよ。こんなものをまたつくっちゃうとなると、国民の理解は得られないと思います。
ですから、ぜひ、天下りの問題に関しても、事業仕分けに取り組まれているような厳しい姿勢でもう一度総点検をしていただいて、与野党を超えて議論を深めていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○荒井委員長 次に、長島忠美君。
○長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。
きょうは、時間をちょうだいいたしましたので、若干質問をさせていただきたいと思います。欲張って大勢の大臣にお越しをいただいたものですから、時間内で全員に質問ができるかどうかわかりませんが、最終的にできなかったらお許しをいただきたいと冒頭お断りを申し上げておきたいと思います。
冒頭、委員長に、前回、委員会が流れて、先ほど平井委員の質問にお答えがありました、古賀さんの参考人招致についてこれから委員会の中で議論をしていくんだという発言がありましたけれども、その結果を踏まえることなくこの委員会を再開するに当たって、委員長から一言の言葉もなかった。私は、謝罪ぐらい要求をしていきたいと思っていたわけですけれども、そのことがなかったことについて非常に残念な思いを実は抱いております。
ぜひ、今後、内閣委員会の運営に関しまして、大臣経験者でもあられる荒井委員長でございますから、公平な立場で委員会運営に努めていただけるように、冒頭、要望させていただきたいと思います。
それでは、早速質問に入らせていただきます。
私が通告した内容と若干違うかもわかりませんけれども、先ほど中川委員あるいは平井委員とのやりとりの中で、やはり尖閣の問題ということを私も最初に少し官房長官にお伺いしたいと思うんです。
そもそも、国民が知りたいと言うと私が国民の世論を全部把握しているようですから、そこまでは申し上げません。私の周りの大多数の人がそう思っているというふうに私は申し上げておきたいと思うんですけれども、最初、尖閣の問題が起きたときに、当時、前原国交大臣は、これは国内問題なんだ、国内で処理をすればいいんだということで逮捕をされて、そして起訴をするんだという方針の中で、私の周りの多くの人はやはりそのことを是としてきたんだと思うんです。
ところが、ビデオがある、ビデオを公開する公開しないの問題が出てきたときに、これは司法の問題なんだ、那覇地検の問題なんだということで少しすりかえられたのではないか。その次にすりかえられたのは、外交上非常に重要なのでやはり公開をすることには少し当たらないんじゃないかというようなお答えが続いて、結局、公開をしないまま流出をしてしまった。
私は流出したビデオを見たので、それが犯罪になるかどうかちょっとわかりませんけれども、その流出したビデオを見た今の段階で、流出したことと、当時、政府がそのことを公開しなかったことの大きな理由は何だったろうかなということが、やはり私の周りの大多数の人は再び疑問に思っているところがあります。
ですので、官房長官から、先ほどもお答えいただいたそのお答えになるんだろうと思うんですが、当初のことについて若干お考え方をお聞かせいただければありがたいなと思います。
○荒井委員長 長島忠美君に申し上げます。
長島さんからの冒頭の御発言についてでございますが、参考人の申し合わせ事項については、現在、それが適正なのかどうかも含めて政党間で協議をするようにお話をさせていただいて、両筆頭理事を通じてそれぞれ各政党に持ち帰っているというふうに理解をしております。
それから、前回の委員会は、そのまま継続をして持ち時間を終了しております。つまり、中止をしたわけではございません。しかしながら、公平な委員会運営を心がけていましたから、それぞれの委員の持ち時間を復活させたということでございまして、これは私の権限でさせていただいたものでございます。
そのように理解をください。
仙谷官房長官。
○仙谷国務大臣 行政情報を原則として公開する、国民の知る権利があるんだ、国民の知る権利にこたえて行政の情報を公開する、それから、行政に携わる者については説明責任がある、これは全くそのとおりであります。これは一般的にはそのとおりであります。
しかし、行政がその機能に応じて行政作用を行う場合に、リアルタイムでそのすべてを公開するということが、むしろ、行政作用を行う場合、それにとって都合が悪いというか不可能である、そういう機能も行政は持っております。警察というのはまさにそうであります。あるいは検察もそうであります。つまり、捜査には密行性が必要だということが言われるのはそのことであります。
したがって、捜査関係の書類は、公判廷になれば、国民がよくわかるように、公判期日になればそのことが公開をされる。つまり、その期間に限っては、あるいは公判請求されなかった、不起訴になった事件の記録については、これは原則公開しないということになる。
つまり、よくお考えいただければわかると思うんですが、捜査の過程で警察や検察があたかも、ある意味で公的な権威のもとにどんどん証拠を流していって、今逮捕されている、今被疑者とされている人の犯罪事実を証明するものだということをやり出したら、それはその被疑者とされている方にとっての人権が容易に守られないことになるかもわからないという配慮もあって、捜査中はといいましょうか、公判期日までは訴訟関係書類というのは公開されない、そのことによって捜査も真実究明に近づくんだ、こういう歴史的な知恵でそうなっているんだと私は思っております。
したがいまして、本件の場合も、一般の、先ほど中川秀直先生もおっしゃったけれども、広報活動をすべき行政機関としての海上保安庁という側面もありますけれども、しかし、捜査機関としても、海上保安庁はそういう側面も持っているわけであります。
したがって、捜査機関としてのみずからの立場、そして刑事事件捜査というふうに立件をして物事を立てたときには、その捜査関係書類というのは、ある時期までは、つまり公判請求をするとかしないとか、ある時期までは非公開にするという法規制がかぶってくるわけであります。それは仕方のないことであります。
そういう期間内に国会の方でも公開せよという要求が高まってきたわけでありますけれども、それは、その前に部分的に、公開しないという制限を解除する手だてが、申し上げているように、刑事訴訟法四十七条のただし書きと国会法百四条を使えば部分的に解除できる場合もあり得る、こういう仕方で今までのところ進んできているわけでありますから、私は、国民の皆さん方が知りたい、知る権利があるんだとおっしゃるけれども、それはそのとおりかもわかりませんが、おのずから制約もあって、それは御辛抱いただかなければならないことだと思っております。
○長島(忠)委員 もう十分過ぎてしまったので。
尖閣の問題は、多分、歴史が証明するとかいろいろな言葉をあちこちで言っていらっしゃいますから、これから参議院でも衆議院でもビデオの公開を求めながらやっていくところでそれぞれが明らかになってくると思いますが、そのときに、私は、やはり政治は国益のためにある、国民のためにあるという観点で真摯に対応してほしいなという要望だけをとりあえずしておきます。
私がきょう聞きたかったのは、マニフェストの関係と今の政権の関係、そして、今回のビデオ流出事件でも明らかになったように、危機管理の体制について、それぞれの立場でお伺いをしたいと実は思っていました。
官房長官に少し端的にお答えをいただきたいと思うんですが、昨年の衆議院選挙のマニフェスト、ことしの参議院選挙のマニフェスト、そして総理としての鳩山総理の発言、菅総理の発言、もちろん、総理大臣の発言ですから内閣がその上に立っていることは承知をしておりますが、昨年のマニフェストとことしの参議院選挙のマニフェスト、現内閣の意識づけというか受けとめ方を端的にお答えください。修正したんだとか修正しないんだとか、四年間で実現するんだとかで結構ですから。
○仙谷国務大臣 菅内閣は、鳩山内閣の官を開き、国を開き、未来を開くという基本的な考え方、これについては全く変わっておりませんし、国民の生活が第一とうたった〇九年のマニフェストに書かれている各項目については、誠意を持って、誠実にできる限りこれを履行するといいましょうか、実行をしたいと考えております。
ただ、先生も御承知のように、前向きの施策といいましょうか、施策については財源の問題というのも当然ございます。したがって、当時、マニフェストでお約束をしておりましたスピードや期間でそのとおり事が運ぶかどうかという点については、やや修正が必要な部分も出てきているのかもわかりませんが、しかし、その余は、菅内閣も、基本的には総選挙でお約束したことを実行しよう、こういう基本的な姿勢、態度でございます。
○長島(忠)委員 玄葉大臣に少しお聞きをしたいんですが、多分、予算委員会だったと思うんですが、平委員が質問したときに、マニフェストの修正等について、通告がなかったのでお答えができないというような発言があったというふうに、そのときはお答えができなかったようでありますけれども、それから時間も過ぎて、その辺の検証は大臣として今お済みなんでしょうか、どうなんでしょうか。マニフェストの修正というか、マニフェストをどう受けとめているかについて。
○玄葉国務大臣 今の長島委員の御質問の趣旨は、特に、参議院選マニフェストで見直した部分と衆議院選挙のマニフェストはどういう関係になるのかということも含めてだと思うんですね。
一言で申し上げれば、参議院選挙のマニフェストは見直しを一部いたしました、つまりは衆議院選挙のマニフェストについて。ですから、参議院選挙のマニフェストでは、すべて実は網羅的には書いてございません。つまりは、参議院選挙のマニフェストは、見直しをする部分と強調する部分だけを書いたのが参議院選マニフェストでございますので、一言で申し上げれば、参議院選挙のマニフェスト以外は衆議院選挙のマニフェストを、今官房長官がおっしゃったように誠実に実行できるように努力をしてまいりたい、そう考えております。
○長島(忠)委員 それでは、参議院選挙のマニフェストの上に立って今の内閣は予算編成に臨まれているということですね。(玄葉国務大臣「見直しをした部分ですね」と呼ぶ)はい。
大きな話の中で、私もあのマニフェストを見せていただいて、コンクリートから人へという項目があったと思うんですが、そこのところは参議院選挙前後に見直されたんでしょうか、どうなんでしょうか。
○玄葉国務大臣 コンクリートから人へという言葉遣いについての議論が党内であったことを記憶しています。つまりは、できる限り、先ほど官房長官がおっしゃったように、生活が第一であるという中でコンクリートから人へという基本的な考え方が生まれてきたわけでありますけれども、ただ、コンクリートという言葉が関係者の皆様からすると果たしてどうなのかという声があったものですから、そういう表現は避けようということで、参議院のマニフェストでは使わなかったというふうに記憶しています。
○長島(忠)委員 この問題は別の場所で質問させてもらおうと思ったんですが、ある会と言うと信憑性がないですから、特豪地帯、特別豪雪地帯町村議会議長会という会があります。そこに各党の代表、私も代表で臨ませていただきました。民主党さんからも代表がおいでになっていて、その場所でお話しになったことの中で、民主党はコンクリートから人への政策を転換した、公共事業をもうやるんだという発言をされていたものですから、そのことについて、内閣として、現内閣は大きく方針転換をされたのかどうかというふうに聞きたかったんです。そのことについてどうですか。
○玄葉国務大臣 私がどのくらい答える立場にあるかということもあるんですけれども、基本的には、公共事業について、平成二十二年度予算というのは実は約束どおり、たしか一・三兆削減をしたんですね。その上で、今度、平成二十三年度予算ということになりますけれども、言うまでもないことではありますけれども、もちろん、公共事業というのは全く不必要だというものは少ないと思うんですね。優先順位の高い公共事業については、社会資本整備についてはやはりやっていかなくてはいけないというふうに思っています。
その上で、例えば、では大幅にもとの予算に戻すのか、そういう問いであれば、そこまでは、我々は基本的な考え方としては以前から変わっていませんので、そういう方向性の中で考えていかなくてはいけないのではないか、そう考えております。
○長島(忠)委員 前国会から、コンクリートから人へということが余りにも言葉として躍ってしまって、そのことで業界も国民も少し混乱をしたんだと思うんですね。そのときに御党の議員さんからそういう言葉が出るということは、そのことに対してやはり政府として何らかの、方針転換をしたのだったら、国民に対して、我々に対してもそこのところを、公共事業もどんどんやるんだという政党に変わったんだよということだったら、そのように……(発言する者あり)そういうふうに受けとめますよ、あの場所でああいう発言をすると。
だから、そこのところを私は指摘しているので、もし変わったんだったら、私は、人のために使うならコンクリートも鉄もやはり必要、人の命と財産を守るためにやるべきものが公共事業だと受けとめていますから、きちっとそのことは方針を訴えてほしいなと思います。
時間がないので、私、聞きたいことが二つあるんです。
蓮舫大臣に、事業仕分けと政策コンテストという関係をどういうふうに受けとめていらっしゃるのかを少し。蓮舫大臣なのか玄葉大臣なのかわかりませんが、もしお二人だったら、お二人から端的にお答えをいただきたいと思うんです。
○玄葉国務大臣 それはなかなか鋭い質問だと思っております。
つまり、今、事業仕分けを蓮舫大臣のもとで実施しているわけですね。先般の特会の仕分け、そしてこれから再仕分けということで二つあるということなんですが、これも、多分お時間ないでしょうから結論だけ申し上げると、できる限り、この再仕分けあるいは特会仕分けの結果を平成二十三年度予算に反映させたい。
もっと言えば、実は、特別枠要望の中にも去年仕分けの対象になったようなものも、中には看板のかけかえで、あるいは引っ越しという表現をされる方もいらっしゃいますけれども、出てきている。それはやはり当然、評価の一つの大事なポイントになる、そう考えております。
○長島(忠)委員 蓮舫大臣に、仕分けをして、そして政策コンテストという兼ね合いがあるわけですが、その辺はどういう受けとめ方をしていらっしゃるか。もう時間がないので、端的にお願いします。
○蓮舫国務大臣 今、玄葉大臣から答弁させていただいた内容どおりだと思います。
私としては、行政の刷新の観点から、税金を財源にして行われている事業に浪費があってはいけない、それを開かれた場所で事業仕分けという形で行わせていただいている。その評価結果を来年度の予算、概算要求にできる限りやはり反映させていくというのが我々の内閣の仕事だと思っていますので、そこにおいて、玄葉大臣のお立場で政策コンテスト、元気な日本復活特別枠に関する評価会議へ反映させていただけるということをお願いしています。
○長島(忠)委員 もう質問できないので、問題意識だけ言っておきますよ。
仕分けということで、国民に公開をされるということで蓮舫大臣が今国民から非常に大きな声をいただいているんだと思うんです。その一方で、いわゆる団体だとか行政だとか、この政策コンテストに自分たちの思いを込めることがあって、では、そこのところはどうなるんだろうか。我々の思いがあれしても、やはり事業仕分けにかなわないものはまた落とされてしまうのではないかというような思いもあって、その辺の関係と、これからやはり、どんなに仕分けをされることがあっても必要なものは私は必要だと思うんです。
だから、そこのところをきっちり、復活折衝とは言わないけれども、やはりきちんと国民の声を受けとめるために政策コンテストがあるんだ、政治家が自分の権利を主張するための政策コンテストであってはならないと思うので、そこだけ端的に。
○玄葉国務大臣 まさに評価のポイントの大事な一つではありますが、最終的には、おっしゃるとおり総合的な判断をしなきゃいけない、そう思っております。
○長島(忠)委員 この議論、これからこの委員会でぜひ深掘りをしていっていただきたい。そして、多分、御党でも、仕分けと政策コンテストの関係の議論をこれからしていかなきゃいけないんだろうと思うので、ぜひ国会という場所でやはりやっていってほしいなというふうに要望しておきます。
岡崎大臣と松本大臣に来ていただいていますので、きょう、私、本当は聞きたかったんです。
というのは、この前の奄美のこともあったし、今回のビデオ流出のこともあったし、これから日本の国の中で、外交というものの危機、そしてテロというもの、それから災害というもの、非常時において内閣は、政治家はどうやって危機管理をしていくべきなのか、その危機管理の中心はどこにあるべきなのかということをそれぞれやはり大臣が受けとめていただかなければいけない。
多分、内閣官房長官が仕切られるんだと思うんですが、国家公安委員長として、そして、本当は防災大臣に聞きたいんだけれども、それは災害特でやるとして、ここは原子力の安全を守る立場の担当大臣としてそのことをどう考えているか。一言ずつでいいですから、端的にお答えいただけますでしょうか。
○岡崎国務大臣 委員にお答えいたします。
警察におきましては、大規模災害に備えて、平素から、関係機関とも連携をいたしまして、まず実践的な訓練を実施する、そして装備資機材の整備を充実させていく。これは必要なものに応じて予算要求もしていっている状況でございますし、防災業務計画を初めとする災害対応のための各種計画を策定しましたり改定したりする、その対策を推進していると認識しております。
大規模災害が発生した場合には、速やかに指揮体制をとにかく確立するということ、情報収集を行うということ、そして、広域に緊急援助隊、この隊をしっかりとつくるということ、各種部隊を被災地に派遣いたしまして、関係機関と連携をして、救出、救助、そして避難誘導等を実施しているものと認識しておりまして、こういったことについては、とにかくあらゆるところの体制を確立するために、警察庁、広域緊急援助隊を初めとする各種部隊の能力向上を図っていくという意味でも、しっかりと対処してまいりたいと考えております。
○松本国務大臣 防災担当大臣として、中越地震を経験された長島先生のことですから、しっかりやってくれということだと思います。
そういう意味では、国民の身体、生命、財産を守るためにしっかりこれから取り組んでまいりたいと思いますし、原子力の安全にもしっかり取り組んでまいりたいと思います。
○長島(忠)委員 欲張って五大臣も来ていただいて、本当は、内閣委員会はこういった議論を徹底的にさせていただきたい委員会ということで、委員長からお計らいをいただいて、一般質疑ということをやはりきちんとやらせていただきたいなと。
今、岡崎大臣、松本大臣から、先ほど官房長官の方からもお答えをいただきました。国民にとって、非常時において情報をどう、集めるということは内閣は考えがちですけれども、どう伝えるかによって、国民は安心することもあるし不安に陥ることもある。場合によっては、非常時に、さっき言ったようにテロだとかいわゆる外交上の問題だとか災害時に、その情報をきちんと伝えないことによって暴動や治安体制が不安に陥って、日本はまさかないと思うことが起きるかもわからない。
たった一つだけ例を言いますと、私のところが村を空っぽにしたときに、東京みたいに人口はいっぱいいませんよ、村を空っぽにしたときにだれもが不安になります。だれもいないんだから、泥棒が入った、うちに火をつけられるんじゃないかと。そのときに、全国から駆けつけた警察官を初めとして新潟県の警察官が、空っぽになった村を守るために隊を組織してくれてその中でいてくれたということが、実は、そこから情報を得たことをつぶさに毎日毎日、今、村はこういう状態になっている、あそこのがけ崩れはこうだということで伝えてくれたことが、非常に安心感を得た。
だから、災害だけではなくて、すべての情報はやはり集めるだけではなくて、取捨選択することは必要かもわからないけれども、情報としてきちんと伝えることが国民に信頼を得る内閣になるのではないかと私は思いますので、そんなことを最後に要望させていただいて、ぜひまた深掘りさせていただく時間を委員長に御配慮いただけることをお願いしながら、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。
○浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。
最初に、尖閣の事件について質問をさせていただきたいと思います。
せっかく、今法務副大臣が入ってくるところなので、いろいろと那覇地検に調べていただきましたので、具体的な質問通告をしておりますので、少しそのことについて伺っていきたいというふうに思っております。
小川法務副大臣が入ってこられたので、冒頭、法務省の皆さん、あるいは那覇地検の皆さんに御尽力をいただいて数字をいただきましたので、それを伺ってまいりたいと思います。
まず、平成二十一年に検察庁が受理した外国人被疑事件の人数は何名でしょうか。
○小川副大臣 二万九百七十五人でございます。
○浅尾委員 全国で二万九百七十五人ということでありますが、では、沖縄、那覇地検管轄分は何人でしょうか。
○小川副大臣 八十三人でございます。
○浅尾委員 私は、この数字をいただいて、二万九百七十五分の八十三、沖縄の、あるいは皆さんにもぜひ御理解いただければと思うんです。これは二十一年だけですけれども、何となく、世間に誤解があるといけないので申し上げますが、沖縄は外国人の犯罪が多いという誤解があるかもしれません。かなり少ないということになるんじゃないかなということだけは数字の上で申し上げておきたいと思います。
では、平成二十一年で、今回と同じ公務執行妨害罪で逮捕した那覇地検管轄分の外国人のうち、接見禁止としなかった外国人は何名かというのを伺いたいと思います。
○小川副大臣 まず、公務執行妨害罪で逮捕された外国人は、平成二十一年には一名でございます。その一名については、接見禁止は付されておりません。
○浅尾委員 一人のうちの一人だとなかなかわからないので、もしわかれば、調べるのは大変だと思いますけれども、これは通告していませんから後で結構です。二十一年中、全体の外国人の中で公務執行妨害罪で捕まえた者が何人か、うち接見禁止がついていなかった者が何人かという数字もいただければということは、お願いだけさせていただきたいと思います。
最後に、公務執行妨害罪で逮捕した那覇地検管轄分の外国人のうち、処分保留で地検が釈放した人数は何人でしょうか。
○小川副大臣 処分保留で地検が釈放した人数ということでございますね。
先ほども申し上げましたように、対象が一名だけでございますので、処分保留で釈放した者はいないということでございます。
あと、申しわけございません、一番最初に答えました二万九百七十五人の数字でございますが、これは在宅も含んでおります。
○浅尾委員 私は、いろいろな仮説で議論するよりは、具体的な数字に基づいて検証した方が今回の対応が適切だったかどうかということの立証にもなるのではないかと思いますので、ぜひ今申し上げた数字をいただければと思います。
加えて、これは通告しておりません。ただ、検事の経験もある小川副大臣でありますから伺わせていただきたいと思います。
接見禁止がついていない場合でも、弁護士以外は秘密接見というのがなくて、通常、だれかが立ち会って接見をするということであります。外国の領事はもともと接見禁止の対象外ですけれども、もしおわかりになれば、今回、横に立ち会っていた人がいるのかどうか。これは通告していませんから、わからなければ調べていただければ結構です。
なおかつ、通常は、横に座っている人は、日本人の場合は日本語をしゃべっているから危険性のない会話がなされているかというのはわかることになっているんですが、外国人の場合は、当該外国語をしゃべられるとわからないケースもあるのではないかというふうに思いますので、もしその状況についておわかりになれば教えていただければと。そうでなければ、後ほど御教示いただければと思います。
○小川副大臣 まず、基本的に、個別の事件に関しまして、接見の内容がどうだったかということは説明できないということの御理解をいただきたいと思いますが、委員の御要望につきましては、しかるべく検討したいと思います。
○浅尾委員 申し上げた理由は、外交問題を理由に釈放した今回のケースのような場合は、逆に言うと、接見禁止がない、あるいは領事接見は自由だということになると、しゃべっている言葉が結果として我が国の国益を害するようなことにもなる。しかしながら、刑訴法を読めば、接見禁止がない場合、あるいは秘密接見が認められているのは弁護士だけでありますので、そこはぜひ政府の中で、これは官房長官に伺っても、多分、法務省が決めることということでしょうから、御検討いただくように申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。法務副大臣への質問は以上でございます。
次に、人件費について、人事院勧告の深掘りも含めて伺っていきたいと思うんです。
私、内閣府、旧経済企画庁がつくっている数字だと思いますが、資料を皆様方のお手元に配付しておりますので、ぜひこの資料を見ていただければと思います。政府がつくった数字だということで申し上げたいと思いますが、各産業別のいわゆる一人当たりの雇用者報酬というのが出されております。
一人当たりの雇用者報酬を見て私が一番びっくりいたしましたのは、四けたの雇用者報酬をいただいているのは公務員だけであります。ぎりぎり四けたでありますけれども、一千一万円。日本で一番と言うと語弊があるかもしれませんが、要は、日本が輸出国であるという中で、ある種、日本の富を、付加価値を得ている自動車産業を含む輸送用機械は六百三十五万。例えて言えば、直接部門の一・五倍、間接部門がもらっているのが今の日本の実態だ。
よく公務員の人件費が高いか安いか聞くと、なかなかお答えいただけないんですが、今お手元に数字がありますので、官房長官、この数字を見てどういう印象を持たれるか、伺いたいと思います。
○仙谷国務大臣 印象的なことでよければお話ししますが、必ずしもいいことではないのでありますが、民間を含めて、この十年間で、つまり一九九七年をピークにして、平均賃金も、平均給与あるいは人件費というふうに言いかえてもいいかもわかりませんが、それから所得の中央値、これも約百万強、すべてが下がっております。そういうことで、とりわけ民間は、中小を中心に下がり方がやはり厳しいんだなというふうに思います。
公務員の方々も約百万ぐらい減っているんだろうと思いますけれども、それでもやはり民間に比べて、急激に落ち込んでいくという業種でない分だけ、公務員が四けたになっているということなんだろうなと思います。
○浅尾委員 この数字、要するに、公務員が一番高いということ自体は過去十年間変わっていないという印象を持っています。私ずっとこの問題を取り上げてまいりまして、変わってきておりません。
しかし、一方で、日本の国の財政を考えると、あるいは日本を会社に例えると破綻寸前だという中で、破綻寸前の会社の賃金が一番高いというのは、これはどう考えてもいかがなものかなというふうに思います。
きょうは人事院の江利川総裁にもお越しいただいておりますけれども、まず、人事院勧告の性格というのは、労働基本権が制約されているので民間と比べて遜色がない給与体系にするためにあるという理解でよろしいかどうか、端的にお答えいただきたいと思います。
○海江田国務大臣 浅尾委員がSNA統計をお示しいただきましたので、一応、この統計の性格と申しますか、そこは正確に把握をしていただきたいわけでございます。
これはマクロの統計でございますので、今お示しいただきました計数は、働く方々の属性と申しますか、例えば勤続年数が何年ぐらいあるんだろうか、あるいは雇用の形態でありますとか学歴でありますとか年齢でありますとか、こういうものがその意味では一々区別をしてございませんので、やはりお示しをいただきました公務員という方々は、その意味では、勤続年数も、特に今、民間の雇用が非常に流動化しておる、それに対して公務員の雇用が流動化していないとか、あるいは学歴でありますとか、あるいは臨時雇いと正規雇いとの数の差でありますとか、そういうものが反映されているということは御理解をいただきたいと思います。
○江利川政府特別補佐人 人事院勧告の性格についての御質問だというふうに思います。
公務員は労働基本権の一部が制約されておりますので、その関係で代償措置が必要ということになっております。それで、国家公務員法の規定に従いまして、情勢適応の原則に基づき、同種同等の職務を比較して、人事院勧告という形で給与の改定につきまして勧告をしているところでございます。
○浅尾委員 勧告をしているけれども、海江田大臣いろいろおっしゃいましたが、公務員だけ定年まで勤めているから高くなっているんだというような言い方に聞こえますけれども、先ほど申し上げましたように、では、我が国の財政の状況を考えたときに、一番高くもらっている人たち、国、地方入れて百九十九万という人が平均で一千万と。これは別に私がつくった数字じゃなくて、政府がつくった数字ですから、その数字は間違いないんだと思います。
果たしてそれでいいのかどうかということもあるわけでありますけれども、そもそも人事院勧告がちゃんと機能しているのであれば、もっと、例えば今回はマイナス一・五%でありますけれども、こういう実態を見れば、もう少し下がるレベルになるんじゃないかと思います。
そういうふうに言えば、御答弁がいろいろあるでしょうから、そこは求めませんけれども、まず、こういう話というのは数字に基づいてやるべきだと思いますので、公務員制度そのものを所管されております片山総務大臣、この数字を見て、あるいは、鳥取県知事のときはかなりいろいろな課題を指摘されてまいりました。地方の中ではかなりやっておられるところもあると思いますが、まず、この数字を見た中での率直な御感想を伺いたいと思います。
○片山国務大臣 先ほど海江田大臣が御答弁されましたけれども、例えば、雇用の形態が必ずしも同じでない、そのこと自体が民間は非常に厳しいということだとも思います。それは、具体的に言いますと、民間の場合には非正規雇用の割合が非常に高くなっているということ、それに対して、国家公務員の場合には必ずしもそうではないということ、そういう問題でありますとか、その他、事情は必ずしも同じでない、それを一緒に比較をしているとこうなりますので、もっと詳細な分析が必要だろうと私は思います。
○浅尾委員 雇用の形態が一緒でないということがそうであるとするならば、別に雇用の形態が違う前提でもって人事院勧告をするべきじゃないかなということを、まずは申し上げておきたいと思います。
あわせて、今のこの数字には地方公務員も実は含まれておりまして、地方公務員は、本来は地方の人事委員会が地方のそのレベルの給与水準を調べればそれなりの数字になってくるはずなんです。
きょうはその数字をお持ちしておりませんが、例えば、日本で一番民間の人件費が低いのは沖縄であります。沖縄では、平均支給月額の倍の賃金が沖縄県庁の職員の給与になっている。
これは、なぜ維持できるのかなということを私もいろいろと調べて納得したのは、基準財政需要の単価は国家公務員準拠になっている。本来は地方のそれぞれの平均の月額に変数を掛けた方がいいと思いますが、基準財政需要を所管されております片山総務大臣、どういうふうに思われますか。
○片山国務大臣 これは、交付税の性格で、基準財政需要額に算入されているからそれがそのままそれぞれの該当の費目に行くということではありません。
具体的に言いますと、給与費として基準財政需要額に確かに算入されておりますが、それがその基準財政需要額どおりに公務員の、県庁の職員の人件費になるということではありません。それはほかの費目も同じです。
具体的に、地方公務員の給与はどうやって決まるのかといいますと、国の人事院があるように、県には人事委員会がありまして、そこが調査をするわけです。官民比較をするわけですが、その際に、民間の給与の水準も調べますし、国家公務員の水準も調べますし、それから生計費、その他の事情という幾つかの要素で決めるわけです。
したがって、該当の地域の民間の給与水準がきちっと反映されていればそんなに大きく差が出ることはないと思うんですが、そこのところのメカニズムが必ずしもうまくいっていないところが多いのではないかという印象を私は持っております。
○浅尾委員 この議論は次回に譲りますけれども、正確な数字を私も持っています、数年前の数字ですけれども。今も余り変わっていないと思いますが、各地において、地方公務員の方も含めてその地の平均支給月額よりかなり多くなっているということ、それは、その自治体の財政力にかかわらず、基本的には基準財政需要に算入される人数の部分の単価が国家公務員準拠であるということだけは申し上げておきたいと思います。
その上で、なぜこういうふうに高くなるのかなということについて、雇用者報酬というのは総人件費ということになってまいりますから、その制度もいろいろと調べてみました。
もう一枚、官民比較というものを出させていただきました。
例えば、福利厚生の部分もかなり違っている。年金の官民比較をしますと、厚生年金の総支給額は十九兆九千三百三十五億円、受給者二千百七十七万一千九百十四人ということですが、平均月額が、これは報酬比例部分ですけれども、七万六千二百九十七円になっております。それに対して、国家公務員は平均月額が十四万一千四百三十四円、地方公務員になりますと十六万五千百二十七円と、同じ勤労者が、年金をもらうようになると、七万六千二百九十七円と十六万五千円ですから、倍違う。
この実態について、これもいろいろと言えば、勤務年数が違うんだとかなんとか言いますが、では、民間の方はやめた後どこへ行くんですか。やめた後、厚生年金のない事業所へ行くんですか。そんなことはあり得ないでしょう。だって、厚生年金のない事業所というのはない。みんな民間の人は早くに独立するということでない限りそのことは説明できないわけであります。
この差があるというのは、実は、月々例えば一万円給与から天引きされると一万円会社が負担するというのが厚生年金の世界です。しかし、官の方は、月々一万円給与から引かれたら一万円国あるいは自治体が負担し、さらに、それとは別に、その他の追加費用というのが約一万円分あるから、最初の財源が倍あるわけです、一・五倍あるからこういうふうになっている。
こういうことについてメスを入れていかれるおつもりがあるかどうか、あるいは、まずこの数字を見た感想。官房長官、今、後ろでスタッフの方から教えていただいているわけでありますから、まずこの数字、こういうところにメスを入れていくというのが本当の意味で私は改革だと思いますが、そういう決意はあるかどうか、伺いたいと思います。
○仙谷国務大臣 いつも浅尾先生から数字が出されるわけですが、この「厚生年金」と書いてある欄の平均月額のところは、通常は、基礎年金部分も含んでいるんですか。(浅尾委員「いや、基礎年金は除いています」と呼ぶ)「国家公務員共済年金」の方は……(浅尾委員「除いています」と呼ぶ)基礎年金は別につくんですか。(浅尾委員「基礎年金は別になっています。これは報酬比例部分です」と呼ぶ)別につくんですか。(浅尾委員「別です」と呼ぶ)
ちょっとその辺、わかりませんし、厚生年金の平均月額で出てきている方々、七万六千二百九十七円で出てきている方々が、加入期間がどのぐらいの方なのか、そういうことも考慮をしないと、つまり、報酬比例部分だけだとしても、このままの比較で端的にこんなに違うんだよということが言い得るのかどうなのか、ちょっと私にはわかりません。
ただ、私の母親も高校の教師でございまして、これは公立学校共済組合に移行したわけですが、その前は恩給とかいうふうな言い方をしておりまして、歴史的に顧みますと、いい人材を教員や公務員、あるいは戦前であれば軍人、特に幹部とかそういうところに採るために公務員を優遇というか、そういう非常に手厚く保護されるというインセンティブをつけて公務員を募集したといいましょうか採った歴史があって、それが官尊民卑と言われるんでしょうけれども、今なんかも、例の勲章なんかも官の方々が大変多いですよね。
そういう名残が給与体系の中にも残っているのかもわかりませんし、そのことを我々が、公務員の方々をより手厚く処遇することが本当の意味でいいのか悪いのかというのは、これはやはりその原理的な観点から考えてみなければいけないなと改めて思っております。
○浅尾委員 今の官房長官の御答弁は、多分、後ろにいらっしゃるスタッフの方の知恵によるものの御答弁なんだろうというふうに思いますけれども、これは私がつくった数字ではありません。政府がつくった数字であります。ですから、そういうふうにおっしゃるのであれば、政府の数字のつくり方がおかしいということであります。単純に、年金の総額が幾らで、受給者で割っている。
ですから、そこの説明は、民間の人は早くやめるからという説明を人事院なりはしているわけですけれども、先ほど申し上げたように、では、民間の人はやめた後どこに行くんですかということなんです。では、やめた後行かれるところは厚生年金がない事業所なんですかというと、少なくとも、法律上は、各株式会社、有限会社すべて厚生年金に加入義務があって、本来はこんなに差がつくはずはないんです。
なぜこういう差がつくかというと、先ほど申し上げましたように、そもそもの財源のところで、予算書を見れば、国でも地方でもありますけれども、その他の追加費用というものが入っていて、これが国で大体五千億、地方でも一兆円ぐらいあるんだと思います。
この、その他の追加費用というのは何かというと、いろいろな難しい説明をしますけれども、単純に言えば、その余計な財源があるから今、年金というのは賦課方式になっているわけでありまして、その財源を今の受給者で割っているからこういう金額になるということでありまして、そういうところに手をつけるのがいいのではないかということを再三再四申し上げてまいりました。
しかしながら、既裁定者の年金を減らすというのは憲法上の問題があるとかということになりますので、では、その対応策としては、退職金のところで手当てをするのがいいのではないかということも、かつてこの内閣委員会でも申し上げさせていただきました。
それはどういうことかというと、人事院が総務省の調査対象の指示に基づいて民間企業の退職金を調べるときに、いわゆる企業年金、退職一時金とは別の企業年金を一時金でもらうことができますから、それも調査の対象にしている。だけれども、そもそも年金が優遇されているのであれば、職域加算の部分は残しながら、企業年金を一時金でもらうのを調査対象から外せばいいんじゃないかということを申し上げておるわけでありますが、そういう考えについて、総務大臣が多分御担当でありますので、片山大臣にまずは伺いたいと思います。
○片山国務大臣 退職手当をどういう水準にするかというのは、やはりこれも官民比較が基本になると思います。その際に、民間企業の退職に伴う経済的給付と公務員の場合とはいささか仕組みが違いますので、それを同等になるように置きかえて比較すればどうなるかということを作業しているわけで、現在の、民間企業の年金、退職したときの一時金と、年金、今おっしゃった部分と足したものと公務員の退職手当を比較するというのは、私はこれは決して合理性がないということはないと思います。
それから、一方、先ほど来出ております、公務員の年金についてはどうかというのは、先ほど資料がございましたが、よくこれは精査をしてみたいと思います。その上でどういう比較になるかということです。
例えば、私の方の資料で言いますと、同じような勤続年数、加入年数で、同じような学歴で、その人たちを比較すると、そんなに遜色がないんです。似たようなものなんですね。ですから、そういうような、少し具体的、詳細な比較が必要だろうと思います。
○浅尾委員 ですから、申し上げておきますと、同じような勤続年数で比較した場合でも、約四万円ぐらい差が出てくるという数字になると思います。この四万円の財源は、さっき申し上げたように、その他の追加費用という別の財源があるんです。民間にはないんです、そういう財源が。そういうものを入れているからそういうことになってくるわけであります。
そういうことを含めて、恐らく、直観的には、一般の方々は、やはり日本の国が会社に例えて言えば破綻寸前の中において、先ほどお示しした統計、数字を見ても、唯一四けたなのは官の世界なので、ここにメスを入れる。だから、民主党のマニフェストにあった公務員人件費、これは国家公務員だということになっているらしいですが、恐らく、二割削減ということを支持している人が多かったから去年の衆議院選挙の結果になったんだろうというふうに思います。
この間も予算委員会で質問しました。民主党の代表選挙で菅首相が公約で出されていた、先ほど平井さんも言っておられましたけれども、深掘りをするんだ、目指すんだということを言っておられる中で、その女房役であります仙谷官房長官は、きょう資料としてお出しさせていただいております朝日新聞の、古賀連合会長に対して、言えば代表選の投票日前ですよ、「仙谷氏は「誤解を与えたかもしれないが、政府の立場は変わっていない」」と。
政府の立場は変わっていないというのは、要するに、人事院勧告というのは労働基本権の代償措置だからそれを深掘りすることはないということを言っておられるということなので、表と裏とで使っている言葉が違うんじゃないかということについて、少し御説明をいただきたいと思います。
○仙谷国務大臣 何回もお聞きいただいておりますので、改めて事実関係を、私の周囲におる者も含めて調べてみました。
そして、古賀さんのこの発言についても、古賀さんに問いただしてはみておりませんけれども、なぜこういう発言が新聞紙上でなされているのかということを、私の記憶と、あるいは私の周辺におる者のメモなりなんなりの記憶と、あるいは公式の日程、これを踏まえて、頭の中で整理してみました。
この新聞記事を見ますと、この間、私が、ああ、そうだったのかと思ったのは、ここに「伝えた。」という表現があります。それから「見解だった。」という表現があります。
浅尾先生の一番最初の予算委員会の御質問が、九月の三日か六日、古賀会長と会い仙谷長官が深掘りしない旨発言したのは事実か、こういう質問だったですね。
私の頭には、ああ、その日に会っていたのか、そういうふうに思ったわけで、会話内容は記憶にないと。話したとすれば人勧という代償措置を吹っ飛ばすには労働基本権、組合協議が必要ということだろうという答弁をしておるわけですが、これはちゃんとした記録が残っておりまして、実は古賀さんには会っておりません、その日は。九月六日は、連合との定期協議という、何にもこれは隠したり裏で会ったりする話ではなくて、正式の連合との定期協議であります。
このときにお会いした、私の対面に座りましたのは南雲事務局長であります。南雲さんのそのときの発言は、労働基本権を回復し労使交渉をするというあるべき順序もないまま代償措置の人勧を否定することは労働者の権利の否定である、連合としては見過ごせない、こういう発言を、代表選挙の菅総理の、ある種の、書いてあるペーパー、それについておっしゃったと思います。
私は、それに対してはこういう発言をしました。政府は給与関係閣僚会議を開き現行制度に基づく検討を開始している、これは従来と同じである、仮にそういうこと、深掘りですが、そういうことを行わざるを得ない場合は、実質上の誠意を尽くした労使協議が前提になければ、制度、法律、憲法上の問題としてはあり得ないというふうに発言をいたしました。
その相手に対しても、ただ、この文章、菅候補の政権公約を見て、きついなというふうに受けとめられるだろうなと私も思いますと。
こういうことをちゃんとその当時の南雲事務局長にお答えをしたことは間違いはありません。それが古賀さんの、「見解だった。」と。
つまり、自分が聞いたわけじゃないけれども、南雲さんに、六日の段階で、正式の連合との労使協議の中で、こういうふうに言わせたらこういう見解だった、こういうことがこの朝日新聞のインタビューで書かれているのかなと私は今の段階で思っている次第でございます。
それから、古賀会長とお会いしたのは、官房長官室に九月の二十七日にお越しになったときには……
○荒井委員長 簡略に答弁してください、官房長官。
○仙谷国務大臣 ちゃんとお会いをいたしております。
○浅尾委員 時間が参りましたので質問を終えたいと思いますけれども、質問ではなくて、私の意見だけ申し上げておきたいと思います。
労働基本権の制約のかわりに人事院勧告があるということはわかっている話でありまして、だとすれば、政府がそれに縛られるとすれば、菅さんが民主党の代表選挙で言ったということは、できないことを代表選で公約したということになるということだけ申し上げておきたいと思います。
○荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後一時一分散会