第4号 平成23年3月25日(金曜日)
平成二十三年三月二十五日(金曜日)午後二時二分開議
出席委員
委員長 荒井 聰君
理事 大島 敦君 理事 岡島 一正君
理事 階 猛君 理事 津村 啓介君
理事 村井 宗明君 理事 塩谷 立君
理事 平井たくや君 理事 高木美智代君
井戸まさえ君 磯谷香代子君
稲見 哲男君 打越あかし君
大泉ひろこ君 岡田 康裕君
岸本 周平君 小林 正枝君
後藤 祐一君 坂口 岳洋君
末松 義規君 園田 康博君
長島 一由君 西村智奈美君
橋本 博明君 浜本 宏君
福島 伸享君 松岡 広隆君
村越 祐民君 森本 和義君
森本 哲生君 森山 浩行君
山崎 誠君 甘利 明君
鴨下 一郎君 小泉進次郎君
齋藤 健君 坂本 哲志君
塩崎 恭久君 平 将明君
中川 秀直君 長島 忠美君
野田 聖子君 遠山 清彦君
塩川 鉄也君 浅尾慶一郎君
…………………………………
国務大臣
(地域主権推進担当) 片山 善博君
内閣府副大臣 末松 義規君
内閣府大臣政務官 園田 康博君
総務大臣政務官 逢坂 誠二君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 中西 宏典君
内閣委員会専門員 上妻 博明君
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委員の異動
三月二十四日
辞任 補欠選任
浅尾慶一郎君 山内 康一君
同日
辞任 補欠選任
山内 康一君 浅尾慶一郎君
同月二十五日
辞任 補欠選任
阿久津幸彦君 村越 祐民君
岸本 周平君 大泉ひろこ君
末松 義規君 森本 哲生君
西村智奈美君 稲見 哲男君
福島 伸享君 浜本 宏君
小泉進次郎君 齋藤 健君
長島 忠美君 坂本 哲志君
同日
辞任 補欠選任
稲見 哲男君 西村智奈美君
大泉ひろこ君 岸本 周平君
浜本 宏君 福島 伸享君
村越 祐民君 阿久津幸彦君
森本 哲生君 末松 義規君
齋藤 健君 小泉進次郎君
坂本 哲志君 長島 忠美君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)
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○荒井委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、内閣府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官中西宏典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○荒井委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂本哲志君。
○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。
内閣府設置法の一部を改正する法案の質問に入らせていただきますが、その前に、今回の東日本巨大地震・津波災害で被災された皆様、地域に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。また、お亡くなりになられました方々に哀悼の誠をささげますとともに、今なお行方がわかりませぬ皆様方に一刻も早い捜索が進み、そして安否が確認されますよう祈っております。
また、避難生活を強いられている皆様方が一日も早く安住の地を得られますように、私たちも尽力をしなければなりません。そして、被災地の復興と日本の復活のために、まさに国民総力を挙げて一致結束して立ち向かわなければならないと改めて誓うところでございます。
それでは、内閣府設置法の一部を改正する法律案の質問に入らせていただきます。
それぞれの自治体が自由に使えるお金が欲しい、これは年来の要望であります。このことを財源が非常に厳しい中でいかに満たしていくか、いかに達成させるのか、これはやはり国の役割であり、そしてまた自治体そのものの努力でもあります。
国がやれる方法としては、二つあると思います。一つは、地方交付税の法定率を引き上げること。これは地方財政審議会あたりでも再三言われているところでありますけれども、なかなか思うようにはいきません。そして、二つ目は、国の補助金を統合して、それを一定程度自由に使えるようにするということであります。
今回の一括交付金、いわゆる地域自主戦略交付金というのは、この後者の方に入るわけであります。ですから、この考え方そのものは私たちも賛成であります。
しかし、補助金の統合、そして自由化あるいは選択制、耳には非常に聞こえいいんですけれども、このことについては、やはりそれを実行に移すためには、なぜ補助金があるのか、なぜこれまで補助金という形で事業が行われてきたのか、そして、なぜ各省庁が補助金というものを交付しながら、配分しながら一つの事業や政策を行おうとしてきたのか、このことを十分考えた上で、補助金の統合なり使途の裁量の拡大なり、こういったものを制度設計していかないならば、言葉だけでとにかく自由に使えるお金あるいは補助金を統合と言っても、それは絶対、実行に移したとしても混乱を招くだけである。そして、国と地方の間でスムーズな交付金の執行というものができないと私は思っております。それほど詳細な制度設計が必要であるというふうに私は思っております。
本来ならば、補助金というのがなくて地方でいろいろなものが裁量的にやれるなら、それが一番いいわけでありますけれども、我が国を国家としてどう組み立てていくか、どう社会基盤を充実させていくか、食料を自給していくか、あるいは人材を育成していくかということにつきましては、やはり国の責任がありますし、国の政策としての政策誘導がそこには必要であります。その政策誘導も手伝って、補助金制度というのがあり、そして各省庁ではみずからの政策に使命感を持ってそれに突き進んできたというふうに思います。
しかし、その補助金が、いわゆる補助金のための補助金のようになってしまって、行き過ぎた面がある。そして、各省庁の権限争いあるいは予算獲得競争、そういったものになり、補助金ありきの政策になっていたという面も私は見ておりますし、長い自民党政権の中で、知らず知らずのうちに、補助金を獲得するための政策というのがかえって自治体に非常に重荷になっていたということも、これは反省として挙げなければならないというふうに思っております。
そうであるならば、新たな地域自主戦略交付金の理念というものを、これまで長年補助金の中で政策を執行してきた霞が関で省庁横断的に十分にその理念やあり方というものを論議しなければ、スタートが切れない。拙速にこれをスタートさせたならば、それはまた霞が関同士の、あるいは国と地方の権限の争いになって、もとのもくあみでしかない、振り出しに戻るだけであるというふうに私は思います。
そして、その上に立って、やはり二年、三年、五年かけて制度設計をし、その工程表もきちんと示して、霞が関、国、地方さらには国民の皆さんたちの合意のもとでこの制度をスタートさせなければならないというふうに思います。
今回の地域自主戦略交付金、そういうことを考えますと、果たしてどこまで省庁間で十分な論議がなされたのか、そして合意形成がなされたのか、そのための時間をどれだけかけられたのか、疑問でなりません。そのことについて、まずお答えいただきたいと思っております。
そして、いずれさらに自由度を高める交付金にするつもりであるならば、どのくらいをかけて本当の意味での自由に使える交付金にするのか。地方のために、各自治体のために最も使いやすいような、あるいは効果的、効率的に使えるような交付金に何年かけてやるのか、この工程表を示すべきであるというふうに私は思います。しかし、それも今のところ出ていません。
どれだけの論議をして、どれだけの時間をかけて各省庁間の論議をされたのか。そして、工程表がなぜ出てこないのか。大臣にお答えいただきます。
○片山国務大臣 一括交付金について、るる坂本議員の本質にわたる議論といいますか、課題の提示があったと思います。私も伺っていてうなずく面も多かったわけでありますし、それから、今回これを担当しまして、ここまでやってきてまとめてきた者として、少し考え方が異なるという面もあります。
一つは、各省間できちっと合意を形成して全体像を明らかにして工程表をつくってという考え方、これはわからないでもないんですが、もしそれをやろうとしますと、どれほど時間をかけても実はこの問題は実質的な合意には達しません。私も長い間この分野に携わってきまして、役人をやっていた時代から携わってきまして、霞が関の間で合意を実質的に形成するというのは、私はまず無理だろうと思っています。やはり政治的なリーダーシップで、ある程度の割り切りをしながら進めていくということがどうしても必要な分野だと思っております。
そういう意味でいいますと、まず一番大切なことは何かということを提示して、それを実現する、その過程を通じて徐々に改善をしていくというやり方の方が、私は、恐らく到達も早いし、より賢明なやり方だろうと思っております。
何が一番大切かといいますと、私も自治体の長を経験しまして、この種の補助金等の活用をして、この種のというのは既存の縦割りの補助金を活用していろいろな事業をやりましたけれども、何が問題かといいますと、手続が煩瑣だとか面倒くさいというのはいろいろあるんですけれども、一番私が問題だと感じましたのは、ある分野ではお金が足らなくて困っている、もっとお金をもらって事業を進捗したい、ところが、ある分野では、もう予算を十分つけているのに、補正などがあると、もっとこれをやらないかといって、押しつけとまでは言いませんけれども、やや押しつけぎみな予算も流れてくる。ならば、有無相通ずるで、余っている方から足らない方に別の形で使えるようにしてくれたらいいのにと思うけれども、それはできない、こういう問題であります。ですから、せめてその問題だけは解消すべきではないかというのは、私の体験上出てきた考え方であります。
そういう意味で、今回の一括交付金というのは、まず各都道府県において一定の配分枠の中でどの事業を優先するかということを、各省にお伺いを立てなくても、自分の範囲内で、自治体の範囲内で決められるということ、この一番重要な点を今回何とか実現させたいと考えているところであります。
そうしたときにどういう状況になるのか、これは見てみないとわからない面もあります。坂本議員がおっしゃったように、確かに国は国として補助金を出す一つの政策意図があります。そうすると、例えば農業だったら、食料確保のためにどれほどの土地改良事業が必要かというのは多分あるんだろうと思います。それを自由にしたときに、自治体が草の根的に事業を積み重ねてきたときに、国の思惑とどれほど違うのか、一致するのかということは、実はモニタリングしてみないとわからない面もあります。
そういうことを見ながら、もし極端に何か国の政策と全く相反するような結果になるということであれば、それは見直さなきゃいけませんし、ほどほどで、ある県は例えば農業の予算を大分縮めたけれども、ある県はもっとふやしたというようなことで、いいぐあいにあんばいできればそれにこしたことはないわけで、今の全国一律、画一化よりは、地方の事業選択の結果によって、いいぐあいに配分がなされるというのが一番結構なことであります。
そういうふうになることを望んでおりますけれども、それもこれも、モニタリングをしながら少しずつ段階的にこの制度を改善していきたいということでありまして、最初から全体像をきちっと示して終着点まで工程表で全部示す、そういうやり方はとっておりませんけれども、それは今私がるる申し上げたような事情であるということを御理解いただければと思います。
○坂本委員 今の答弁を聞いていて、三つほど、やはりおかしいな、間違っているなと思うことがあります。
霞が関の壁が厚いのはよく知っております。合意形成がなかなかできるものじゃない、それは無理だ、だからまずスタートさせることだと。それは、大臣が役人を長くやられたので、やはり役人としての考え方である。最初からそういう考え方でスタートするならば、これは何も恒久法にする必要も何もないわけでして、いろいろなスタートの仕方があるというふうに思います。
それから、余っている方から足りない方へというようなことを言われましたけれども、地方にとってそういうことはめったにありません、一方がじゃぶじゃぶ余って使い切れなくて、一方が足りなくて困っている。地方はこれをやりたいということで申請をし、そして予算を獲得します。ですから、いつもやはり予算が足りないのが地方でありますので、そんなにプラスマイナス逆転するような、そういった状況はないというふうに思います。
それから三番目に、どれを優先するか各省庁にお伺いしなくてもいいというようなことを言われましたけれども、これは最終的には交付金でありますので、交付金という形の総合助成金でありますので、やはりお伺いを立てるわけです。そして、いろいろな指導を受けるわけです。そして、いろいろな審査も受けるわけです。
そういうことで、霞が関で合意形成するのが無理であるからスタートをする、そしてお伺いを立てなくてもいいというようなことがもし頭にあるのなら、私はそのしわ寄せは全部地方に行くと思います。地方の都道府県の現場で、あるいは農政部で、あるいは土木部で、継続事業、この一括交付金を使った事業をやるときに、どれだけ内閣府に、あるいは各予算をつけかえた省庁に頭を下げて、そして問い合わせをしなければならないか、どれだけうるさく言われるか、そのことが今現場の担当者の中には一番あるというふうに思っております。
それを反映しますかのように、ことしの一月、全国知事会が地域自主戦略交付金に対しまして緊急声明を出しました。余りにもこの制度が拙速で、そして未成熟な制度であったために、地方としてはやはり不安でしようがないということで、三点の要望というような形をとったのであります。
一つは、不安は、いつごろ、どのくらいの交付金が来て、その後どれだけ各省庁からうるさく言われるんだろうか。これが、先ほど言いましたように、現場の担当者の一番の不安でありますし、それぞれの都道府県の不安でもあります。
そこで、具体的にでありますが、今回の交付金の対象外となる事業、これがどういうものであるかをお聞かせいただきたい。
一方で、対象事業になる場合に、補助事業の中で対象事業の細目が決まっていなくては現場としては非常に戸惑うばかりであります。例えば、補助事業の裏負担に使えるのか使えないのか、規模要件を設けるのか設けないのか。自治体としては使途の裁量権をできるだけ広げたいわけでありますので、ある程度いろいろな逃げ道を考えると思います。そこで、その逃げ道を通過するための国と地方の方のさまざまなあつれき、こういったものが出てまいります。
そして、省庁の方ではそれを一つ一つこの法にのっとってチェックをしていくのか、そうではなくて、ある程度大まかに、弾力的に運用するのか。その辺のところが地方の方にわからないならば、なかなか地方の方としても事業を組み立てられないということでありますし、地方をいじめようと思ったらどれだけでもそのことでいじめられるわけでありますので、この辺の細目について御答弁をお願いしたいと思います。
○片山国務大臣 まず、私の方から概略的な話をさせていただきますが、地方の方から不安があるということは私も伺いました。
それは一つは、新しい制度でありますから、現場の担当者、都道府県の事業部局の担当者からしますと不安があると思います。国が決めて、その決めた仕組みの中でこれから予算の決定とか執行をやっていかなきゃいけないわけでありますから。しかし、これは制度を変えるときは必ずあるわけで、従来と全く同じで不安のない制度ということは改正としてはあり得ないわけで、これはしようがないと思います。できるだけ早くその不安を解消するようにしたいと思います。
それから、各省からまたいろいろこれによって新しい作業が加わって面倒くさくなるのではないか、そういうことも寄せられておりますけれども、それは全く誤解であります。
従来からの仕事のやり方でいいますと、県は、ある事業をやりたい、例えば道路事業をやりたいとした場合には、それぞれの箇所ごとに、補助金を所管している関係省の事業部局のところに行くわけです。それで、ここをやっていいかどうかというチェックを受けるわけであります。そのチェックを受けて、やっていいということになって初めて予算を執行できるということになりますが、それから後は、各省が決めたその補助金に関する規定に従った手続をとるということになって、終わった後は会計検査院のチェックを受けるということになります。
今回の一括交付金は、この事業をやっていいですかという、どうしてもやりたい事業について、道路をやりたいとした場合に国交省にお伺いを立てる必要はありません。これは内閣府にお伺いを立てる必要もありません。内閣府に陳情することもありません。内閣府の方で客観的な指標に基づいて配分枠を決めます、総枠を。その中で、優先的に事業をやりたいところがあれば、その事業を自分で決めればいいわけであります。
決めた後は、道路事業をやる補助金についての基準、国交省が決める基準がありますので、それに従ってもらわなければいけない、それは従来と同じであります。従来よりふえることは決してありません。
それから、終わった後、会計検査も受けます。これは国費でありますから、会計検査を受けます。しかし、それは割り当てた事業にちゃんと使っているかどうかのチェックであって、そこで従来よりもさらに何か煩雑な手間暇がかかるというものではありません。
以上、るる述べましたけれども、一番肝心な、私が自治体の首長をしていて一番気になっていた、この事業をどうしてもやりたいのにそれをやれるかどうかを各省にお伺いを立てなきゃいけないというところが、そこがもう要らなくなるわけでありまして、これは都道府県にとっては本当に大きな自由度を与えられるものだと思いますので、私はその点をぜひ評価していただきたいと思うのであります。
今、いろいろなところに不安とか不満とか出ておりますのは、専ら事業部局の方から出ているように私は印象を持っております。事業部局にしてみますと、もう一つの不安があるんです。今までは、農林省なら農林省で補助金はある程度もらえたのに、今度は、県の中で、知事なり副知事なり財政当局の政策判断、優先順位づけで自分のところが劣後するのではないか、そういうふうな不安を持っておられます、事業部局は。しかし、それは県の中でどれが優先するかを決めていただくべきであって、その不安は県の中で解消していただきたいと思います。
それから、いじめに遭うんじゃないかと。それは今まで以上にいじめに遭うことはありません、今まであったかどうかちょっと言いにくいですけれども。今までより少なくなることはあっても、多くなることは決してありません。
それから、この一括交付金化について、何か各省から事前の関与をしてはいけないということになっているんですけれども、事前の関与がもしあったら、それは、駆け込み寺を設けることにしておりますので、その駆け込み寺に来ていただいて、ちゃんと成敗するということにしております。
具体的な質問につきましては、政務官の方からお答えを申し上げます。
○逢坂大臣政務官 坂本委員の御質問にお答えいたします。
私も、長い間自治体の現場におりまして、少しでも自由度を高めて、有効な補助制度、交付金制度をつくっていきたいという気持ちでやらせていただきました。
そうした中で、先ほど大臣の方から、予算について、地方の方で多少余裕のある分野とそうでない分野があるという説明をさせていただきましたけれども、予算が余っているというよりも、少しでも優先度を高めてもっと多く使いたい分野があるのに、予算が縦割りになっているとこれはなかなかそちらへ配分できなかったという事情があるのは、自治体の現場では間々あることでありました。坂本委員の御指摘のように、自治体の現場で財政的に余裕があるということではない、きゅうきゅうとしているというのは事実だと思いますが、より優先順位を高めたいという分野があるのは、これは事実だというふうに思います。
それからもう一つ、どれぐらい各省と議論をしたのだという話、さらにまた、十分話し合ってよく合意をしてからというような話もございましたけれども、私はこの制度設計に一昨年の十二月あたりからかかわらせていただいております。
そして、昨年の三月に各省のヒアリングも行いました。この時点では、各省からはほとんど色よい返事というものがなかったのは事実であります。それらを踏まえまして、五月でございますけれども、地域主権戦略会議に今回の一括交付金に向かっての考え方というようなペーパーを出させていただきましたが、各省からは必ずしもこの時点でも色よい返事ではなく、どちらかといえば否定的な声が非常に強かったわけであります。
しかしながら、そこを、ある種政治の判断で、六月の二十二日に地域主権戦略大綱というようなものを決定する中で、一括交付金に向かっての考え方を整理させていただいたところであります。そして、この六月二十二日の地域主権戦略大綱を決めるに当たって、一括交付金については特に重要と思われる一番事業量の多い国土交通省と直接私が向き合って議論をして、その大綱も決めさせていただいたところであります。
このプロセスの中で私がやはり感じましたのは、これはなかなか壁が厚いぞというかハードルが高いぞ、各省の皆さん、なかなか簡単にはうんと言ってくれそうにないなという、そんな印象を持ったところでございます。具体的な事象ではなくて印象で大変恐縮ですけれども、そんな思いでございました。
それから次に、知事会からの話がございましたが、実は知事会とは非常に密接に連絡をとらせていただいておりました。特に、知事会の中で岐阜県の古田知事が窓口になってくださいましたので、私の部屋にもよく古田知事がお越しになって、実際に制度設計はどうなる、考え方はどうなるというやりとりをさせていただきました。
その中で、対象事業については、社会資本整備総合交付金、これは国土交通省所管のものでございます。さらに、農山漁村地域整備交付金、これは農林水産省が所管しているものでございますけれども、これらの交付金との仕分けがなかなか膨大な作業になるということもございまして、これについては整理ができたものから順次、地方の側に情報提供をしてきたところでございます。
一月二十一日に主な対象事業を情報提供する、さらに二月の二日、七日に詳細な対象事業を情報提供するというようなこともやらせていただく中で、少しでも、国会の予算の審議もございますが、国会の予算の審議の妨げにならない範囲で、地方の側に情報提供をさせていただいてきたというのが包み隠しのない状況でございます。
以上です。
○坂本委員 大臣は、制度が変わるときはだれでも不安があるというふうに言われました。しかし、今回のものはその不安が大き過ぎるんです。各自治体が、予算編成のときになってもまだ制度設計がはっきりしない、あるいはどれだけ配分されるのかわからないというようなことでありますので、これまで、制度が変わるときは自治体としては非常に不安がある、不安があるけれども問い合わせればそれなりの返答があるというのが実情でございますけれども、それがなかなかないというのがその不安をなお一層かき立てているんだろうというふうに私は思います。
それから、選ぶことは自由である、決めることは自由である、ただ、決めた後は各省庁の法令に従って、あるいは事業に従って進めてもらわなければならない。そこはそれでありますけれども、ここのタイミングといいますか間のとり方というのが一番難しいところで、自分たちではこれをやりたい、あれをやりたいということで自由に決める、しかし、決めた後それを持って各省庁の方にお伺いを立てる、そのときにいろいろな制度上の問題がある、あるいは制度上ひっかかってくることがある、自分たちが考えたのとはやはり少し違う、そういうケースが出てくるというふうに私は思います。今のような、制度設計が非常にあいまいなままであるならば出てくると思います。
それから、三番目に言われました、各事業部局で、都道府県庁の方で財政当局の優先順位がどうなるかということに戦々恐々としているのではないかということでありますけれども、地方ではそういうことはありません。
それはやはり自分たちの事業をいかにスムーズに執行できるかということを考えているわけで、今、自治体というのは非常に予算上も厳しいし、そして、知事や総務部長やそのほかの優先順位あたりがしっかり示されているわけですので、その辺の、都道府県の中における各部局の予算獲得合戦、そういったもので不安に陥っているというか戸惑っているというか、そういうのは、大臣の地方に対する一つの、偏見とまでは言いませんけれども、何か固定観念的な考え方であるなというふうに私は思います。現在はそういうものはないというふうに考えます。
それで、そういう非常に制度設計があいまいなままのスタートになるわけですけれども、恒久法でありますので、これが次年度からまたどうなるのか、平成二十四年度からどのようになっていくのか。これも、私は、スタートに当たって、あと一年もないわけでありますので、少なくとも各省庁間の合意がされておらなくてはいけないというふうに思います。
今回は、投資的補助金の三・三兆円のうち五千百二十億円を配分するということでありますが、平成二十四年度は市町村分を加えて一兆円にするというふうに言われております。今回の五千百二十億円は、継続事業が九割ということで財源が捻出されました。二十四年度の市町村分についても、これは継続事業を中心にということで財源を捻出されるんでしょうか。
都道府県の場合は、一定の継続事業を持っております。ボリュームもあります。しかし、市町村になりますと、千七百ぐらいの市町村があるわけでして、事業もそれぞれであります。継続事業を持っている市町村もあるし、全然持っていない市町村もあります。まず、どういう計算、方法で市町村分の財源を捻出するのか、その際の省庁間の内々の合意というのはもう得ておられるのかどうか、これをお伺いします。
そして、二点目でありますけれども、市町村の場合に、これはさらに配分が都道府県以上に難しくなります。先ほど言いましたように、市町村の事業は多種多彩であります。継続事業があったりなかったり、あるいはそのほかの事業もいろいろな形で組み込まれております。人口三百万人以上の政令都市から千人の超小規模自治体まで、さまざまな規模の市町村が存在をしております。それにどういう配分の仕方をするのか。
加えて、その使途について、都道府県よりさらにこれは複雑になってまいります。対象事業あるいは非対象事業を一つ一つ都道府県あるいは各省庁の方で確認作業をしていくというようなことになりますと、これはまた大変な労力が必要になってまいります。その辺のところもある一定程度理解をしながら今回の法の設計ができているのかどうか、その辺の合意はあるのかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
○片山国務大臣 最初に指摘された件についてちょっと触れさせていただきますけれども、不安があるということで、わけても、どれぐらいの金額になるのかがわからない、これは初年度ならではの不安の一つでありますけれども、確かにそれはあると思います。新しい制度のもとで、これまでとは違った、いわば客観的指標によって配分枠を決めるということになりますので、何がしかの不安はあると思います。
ただ、その不安を解消するために、全体の配分枠のうちの九割相当分は、これまでの事業実績といいましょうか事業量といいましょうか、具体的には継続事業の量と言っていますけれども、要するに、これまでどれぐらいの事業をやってきたかということとほぼパラレルになるわけでありますから、初年度の場合は、大体九割相当分は従来の事業量に比例したというか見合ったようなものが来るということで、恐らくその点は、その考え方を示した段階で多くの自治体、都道府県の皆さんの不安はなくなっているんだろうと思います。
あとの一割分が、客観的な指標によりますから、今までのやり方とはがらっと変わったようなやり方になる可能性もありますので、その点がどうなるだろうかということで不安はあると思いますが、これも一割分であります。
それから、従来の、既存の補助制度の中で全く不安がなかったかというと、そんなことはありません。私も予算をずっとやってきましたけれども、補助事業については、つくのかつかないのかわかりません。おおよそ、去年までのことで、趨勢でいえばこれぐらいの道路事業費はつくだろうなとか河川事業はつくだろうなというのはありますけれども、ある大きいプロジェクトが新規の場合に本当に採択されるかどうかというのは全然わからないんです。当初予算をつけても、それがわかるのは大分後になってきたりします。
ですから、そういう意味でいいますと、五十歩百歩とは言いませんけれども、今までよりは、事業量、国費の予算額は、一括交付金化した方が初年度はともかくとして次年度以降はわかりやすくなるのではないかと私は思っております。
それから、事業選定後の各省とのつき合いはあります。事業を選定するのは自治体が自由に選べますけれども、各省とその後つき合いがあります。
これはどういうつき合い方かといいますと、各省の方で、道路事業なら道路事業、河川事業なら河川事業をやるときに、どういう基準でやってくださいよというルールをつくります。道路ならば最低限こういうルールは守ってくださいよというのをつくりますから、そのルールに従うということでありまして、各省のお役人の人の恣意に従うということではありません。ルールに従う、これはあります。会計検査のチェックも、ルールに従ってチェックを受けるということであります。
あと、助言を求めるということは自由であります。あるプロジェクトをやろうという場合に、各省の持っている知識、経験を生かしたいということで官僚の皆さん方に助言を求める、これはあると思います。それをやるとどういうつき合い方になるかというのは、それぞれの判断だと思います。
それから、県の中で、例えば私がちょっと申し上げましたのは、ある部局の担当者にしてみれば、一括化されると他の方の部局に優先的に回されてしまって自分のところが劣後するのではないか、今までならば縦割りの中で農林省、国交省からダイレクトにもらえた補助金が、県の中の財政当局によってよそのところへ持っていかれるのではないかという不安を持っていると私が申し上げましたら、そんなことはないとおっしゃいましたけれども、やはりこれはあります。
これは本当にあるんです。補助金の方がいいという方も結構多いんです、都道府県、市町村の担当者の中には。補助金だったらちゃんとくれるのに、一般財源化されたらもう自分のところはかき消されてしまう、だから補助金のままにしておいてくださいという陳情も随分受けました。
ですから、そういう面がないわけではないということは事実でありますから、そういう方々にとっては、この一括交付金化は確かに不安の要素もあるかもしれませんけれども、それは都道府県の中で解決していただきたいと思います。
それから、長々お話ししましたが、肝心の質問の答弁ですけれども、市町村分については非常に重要な視点を御指摘いただきました。実はまだ、これから市町村分は決めますので、現時点では全く、全くとは言いませんけれども、ほぼ白紙であります。それで、二十四年度は、市町村分を約五千億程度加えて、都道府県分と合わせて一兆円程度の投資的経費の一括交付金化を図りたい、そう考えております。その考え方のもとでこれから検討を始めます。
では、財源はどうするのかということでありますけれども、これは既存の、各省が持っております市町村に対する投資的な補助金の一部が財源になります。これは確かであります。
それから、配分をどうするのかということで、これが非常に、都道府県分ほど容易ではないと思います。千八百もありまして、大きい横浜市の三百数十万から、人口が数百という小さな村までありまして、これを等し並みに扱うことはなかなかできませんので、配分基準を決めるのは非常に難しい。したがって、一年間かけて、市町村の意見も聞きながら検討して決めようということにしたわけであります。
それとの関連で、対象事業をどうするのか、これも非常に難しい問題です。大体、毎年恒常的に普遍的に行われる事業でありましたら比較的簡単なんですけれども、相当期間の中で一回出てくる、二十年に一回出てくる事業とか、地域的にも事業をやる団体とやらない団体とが分かれている、こういう事業をどうするかというのはよくよく考えなければいけない。何でもかんでも一括化していいというものではないと私も考えておりますので、都道府県の場合よりは、この対象事業の選定という作業も労力を要するだろうと思います。
これらを、市町村の意見をよく聞きながら、また各省の意見も十分踏まえながら、これから、まだ時間がありますので、都道府県分よりは市町村分の方が検討する余裕時間がありますので、よく検討したいと思っております。
○坂本委員 市町村分についてはこれからまた聞いてまいりますけれども、時間は私はないと思うんです。今の時点で白紙同然だと思うんですけれども、本当にこれをどうされるんだろうなと、私自身はやはり不安といいますか、不思議でなりません。都道府県分だけでこれを拡大していった方が逆にいいのかもしれないし、果たして、千八百近くの市町村の財源なり配分なりをどのようにしていくか、内閣府でできるのかどうか。これは非常に私は不安でありますし、時間はそれほどないというふうに思います。
それから、最初の答弁でいみじくも、継続事業が中心であるので、九割が継続であり、残りの一割について選択をするということで、不安についてはそれほどないはずだと言われましたけれども、まさにこの辺が一番の今回の矛盾点であって、自由に使える交付金、交付金と言いながら、一方では、九割が継続事業に使う、そして残り一割を、結果としてそれは継続事業の上乗せにしか使わないというふうに思いますので、私は、これは歴史的転換に立つような自主戦略交付金制度ではないというふうに位置づけなければならないと思います。
次に、客観的指標の問題につきまして御質問をいたします。
客観的指標が公表をされました。これは、五千百二十億の約一割、四百四十億であります。四百四十億円のうち、三百四十二億円は社会資本整備率から案分されます。しかし、道路延長あるいは港湾係留施設の延長、公営住宅管理戸数などが算定要因でありまして、結果として、事業をやっている自治体あるいは大規模自治体に有利にはならないんですか。外形標準をとったわけでありますので、本当の意味での客観的指標なのかどうか、私はこの客観的指標というものにやはり疑問を感じます。
そして、整備がおくれている地域、条件不利地域を手厚くするということでもないでしょうし、客観的指標の性格づけが非常に不明確であると私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○片山国務大臣 最初にお触れになったことですが、時間が余りないよというのは確かにそうなんですけれども、少なくとも、都道府県分の検討をしたときよりは時間的余裕はあると思います。
正直申しまして、都道府県分の制度設計を具体的に始めましたのはもう十月もたしか終わりのころだったと思います。とにかく、それまではどれぐらいの金額をこのために捻出できるかということにかなりの精力を費やしておりまして、それが決まったのが内閣改造後かなり時間がたってからでありまして、それからいろいろな細かいことを始めました。
ですから、本当に予算の最終編成までの間に時間的余裕がなかったというのが私の実感でありますが、今度は一応もう枠組みは決まって、市町村分も二十四年度は五千億円ということがほぼ合意できておりますので、その前提で、市町村分の重要な、しかしきめ細かくやらなければいけない制度設計をしたいと思っております。
それから、継続事業九割、新しい指標一割、こういうことをずっと言っているんですが、これは実は、継続事業をそのままやりなさい、やることを前提にして初めて交付額が決まるというものではありません。あくまでも、各都道府県に対して配分枠を決める際の基準として継続事業の存在量というものを考慮しましょうというだけのことであります。
その結果、ある県に百なら百の交付額が決まったとします。そうしますと、今度の制度はそれを全部新規事業に使っても構わないんです。もちろん、従来の継続分に全部つぎ込んでも構いません。ですけれども、考え方を改めて、別の事業で新しい事業に相当部分をつぎ込もうということも、これは自治体の自由であります。
ですから、交付額の枠決めの際にはこれまでの事業実績というものを相当加味しますけれども、その決まった枠の中でどの事業を優先するかは都道府県の自由裁量に任せる、こういうことでありますから、都道府県にとっては大きな自由度を得ることになると思います。
それから、客観的指標というのも、必ずしも人口とか面積とかという意味での客観的な指標ではないのではないかと言われると、そのとおりであります。私などが客観的指標と従来から言ってきましたのは、国の箇所づけという、補助金を持っている官庁のお役人の皆さん方の恣意と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、お役人の皆さんの選択の余地をなくすということであります。ですから、客観化されたといいますか、恣意性のまじらない指標によって決めていく。
では、その恣意性のまじらない指標を何を使うかというと、単純に人口、面積とかというやり方もあるかもしれませんが、やはり国策として、国費として、ある一定の投資的事業は実施していただきたいという意向もありますので、それに見合ったような指標が望ましいだろうということで、例えば河川の要改修の延長でありますとか、道路の延長でありますとか、港湾の係留施設の延長でありますとか、そういうものを今回取り入れようとしているわけであります。
そこのところは物の考え方だと思うんですね。全く割り切ってしまって、事業の潜在的ニーズとはかけ離れたものをつくるというのも一つの考え方かもしれませんけれども、従来からのやり方のことを考えますと、実際にそれぞれの地域での事業の潜在的需要というものはやはりある程度反映させた方がいいのではないかと私は思っております。しかし、これも、今後やり始めて、それぞれの都道府県にいろいろ意見がおありでしょうから、知事会などの総意もこれから伺って、その上でまた改善を施すことにやぶさかではないと考えております。
それから、条件不利地についても一定の配慮が必要だろうと思います。人口、面積だけでばさっとやってしまいますといろいろな弊害も出てまいりますので、条件不利地についてもやはりそれなりの配慮が必要だろうと思います。
現にこれまでの補助金でも、例えば、私が関係しておりました鳥取県なども、後進地域のかさ上げなどといって、余りいい名前ではないんですけれども、公共事業がやりやすいような財政上の特例措置も設けられておりましたことにかんがみましても、条件不利地域や財政力の弱い地域については一定の配慮があってしかるべきではないかと思って、これまでお示ししたような基準などを考えているところであります。
○坂本委員 大臣の答弁に一々やっていますと、その倍の時間の答弁がまた来てなかなか前に進まないんですけれども。
今言われました、継続事業は一つの基準として、そして積算するんだから、それはあくまでも基準である、だから、来たものについてはそれぞれ自由に選べるんだ、継続事業をやめてもいいんだというようなことを、それは理屈としては言えますけれども、現実論としては、そういったことはやはりできないわけですね。
都道府県の行政、今までダムをつくっていて、あるいは道路をつくっていて、あるいは圃場整備をしていて、あるいは学校の施設整備をしていて、では、今度はこれに使いましょう、あれに使いましょうと。それは継続事業を一つの基準とはしてやりますけれども、執行そのものもやはりこの継続をやり遂げなければならないということから配分されるわけでしょうから、自由に使えるんだ、だから継続事業をやめてもいいんだ、そういう答弁のあり方はない、現実的ではない、現実を踏まえていないというふうに私は思います。
客観指標の点でいいますと、客観指標がことしは一割でありますが、今後この割合をどこまで高めていかれますか。そして、二十四年度から市町村分が加わりますけれども、この客観的指標も同様の指標を使われますか。
○片山国務大臣 これは、とりあえず、客観指標で配分するのは二十三年度は一割ということになるんですが、二十三年度に各都道府県でこの予算を実行してみてどういう結果になるのか、見てみたいと思っております。基本的には一割というものを順次上げていきたいと思っておりますが、その上げ方について、どれぐらいの期間で十割ないしそれに近いところまで行くのか、その改定については少し考えてみたいと思います、実績を見て。
仮に二十三年度にやってみて、全部継続事業に使うということも想定されますし、それから、かなり柔軟化して自由化されることも想定されます。そういうものを見ながら、継続事業に対する配慮を、どの程度、これから何年間かけてやっていったらいいのかということも見てみたいと思っております。
○坂本委員 その辺の制度がきちっとなっていないところが、また都道府県や各自治体の不安を大きくしていると思うんです。これから客観的指標の割合をどこまで引き上げるかというのは、知事会やそれから地方三団体あたりと協議しながら決めていくおつもりなんですか。
○片山国務大臣 当然であります。
二つ、この分野での大きな論点があると思います。順次引き上げていく期間をどれぐらいとるのかということ。それから、さっきちょっと答弁が漏れておりましたが、客観指標を、順次引き上げていく中でも同じものを使うのかということでありますけれども、これは変えていいと思うんです。変えていいと思うんですが、都道府県分ですから、それも知事会などの意見をよく聞きながら、その総意も踏まえてやりたいと思っております。私などは、本来ならば、知事会で意見がまとまるならば、それを基本的にはそのまま使ってもいいと思っているほどでありまして、できるだけ知事会などの意見を尊重したいと思っております。
ただ、現実には、知事会も、大きな東京都から私がおりました小さな鳥取県まで多種多様でありますので、なかなかここも一様ではありませんので、直ちに総論がまとまるというわけでもないんですけれども、できる限り知事会などの意見を踏まえて、この基準について、それからどれほどのピッチで客観基準の割合をふやしていくのかということは決めたいと思っております。
○坂本委員 そこが一番難しい問題だと思うんですね。
これから客観的指標の割合をふやしていく。今言われましたように、その使い道というのは、客観的指標の割合が高くなればなるほど、さらに多種多様、多岐にわたります。
それから、地方の社会資本整備の需要は、都道府県さらに市町村になりますと、ダイナミックにこれが変化してくるんですね。同じ知事あるいは市町村長であっても、自治体の財政事情によって、あるいは社会資本の緊急性によって、各年度予算は大きく変動いたします。加えて、知事、市町村長がもし入れかわったりすれば、社会資本に関する優先順位が変わってきますし、考え方そのものがまた大きく転換されることになります。自治体の方の需要額は急激に変化をするわけであります。
その中での一括交付金、地域自主戦略交付金の対象事業に限っては、自治体の需要があってもなくても、これは客観的指標が高まれば高まるほど、外形標準によって決まった額が毎年送り込まれてくるわけですね。ある自治体にとっては余計な配分となる可能性がある、ある自治体にとっては圧倒的不足が生じる可能性がある。
そういう中で、地方の裁量がどれだけ高められるのかというような問題が出てきた場合に、例えば自治体ごとに繰り越しができるのか、あるいは地域自主戦略交付金を基金化して、積み立てて、そして交付金としての適用事業に使えるのかどうか。この辺のところはどうなりますか。
○片山国務大臣 これも本当に基本的に重要な指摘だと思います。
ニーズは変化をいたします。それは、選挙などによって政治的な分野でニーズが変化するということもあるかもしれませんし、そもそも地域の住民の皆さんの真のニーズが変化するということもあるかもしれませんが、いずれにしてもニーズは変化します。
その変化にどう対応するかといったときに、国がそれをすべて差配するという従来型の個別補助金制度がいいのか、それとも、ニーズが変化するのであれば、自治体でそのニーズの変化に対応して柔軟に事業選択できるような一括交付金のような仕組みがいいのか。これも選択だろうと思いますが、私は、他の条件がうまくいくのであれば、ニーズの変化に対応して自治体が事業選択できる方がいいだろうと思っております。
その際に、これが基本的な問題なんですけれども、小さな自治体で事業量がかなり年度間で変化をしますので、そうしますと、繰り越しということをおっしゃいましたけれども、年度間調整の必要があるのではないかというのはそのとおりであります。これをどういう形でやるのかということが一つのポイント、検討の対象だろうと思います。
それを、自治体の中で例えば繰り越しとか基金とかということでやれるようにするのか、それとも、何らかの形で、内閣府といいますか、枠配分のときに国の方で何らかの調整をする仕組みにするのかというようなことが一つの選択肢だろうと思いますし、さらに言えば、都道府県が調整するというやり方もあるんです。県内を当該年度の過不足調整するということはありますが、これは実は市町村は非常に嫌がっております。市町村は都道府県の調整は願い下げというところがかなり多いように私は印象を受けております。
そういう基本的な問題についても、市町村の意見を聞きながら、また各省の考え方なども踏まえながら、できるだけいい、よりいい案にまとめていきたいと考えております。
○坂本委員 市町村による調整、のり代をどれだけ残すか、どれだけの調整の弾力性を持たせるかというのは非常に大きな問題であり、そして市町村にとりましては、大体、振興五カ年計画というのをつくります、そういう中でいろいろな事業が執行されていきますので、これは弾力的に運用できるようにぜひやっていただきたいと思っております。
それから、東日本巨大地震・津波で、特に宮城、岩手、福島、壊滅的な打撃を受けました。これまでの継続事業などは崩壊したものも多いんです。今後、国直轄で進めなければならない事業は、私はかなり今まで以上に出てくると思っております。また、茨城・東北太平洋沿岸においては、国の補助事業ということで新たな政策誘導、政策推進が必要になってくると思います。
これらは、当該自治体に限らず、東日本全体の自治体が今後頼りにするのは、これは国を頼りにせざるを得ないというふうに思いますし、こういった被災県あるいは被災自治体にとりましては、自分たちの裁量権の拡大どころではないんです。まず基礎的なものをきちっとやってほしい、国直轄でやってほしいという要望が私はこれから出てくると思います。
同時に、被災自治体以外の全国の自治体におきましても、ここ数年は社会資本整備あたりが非常に厳しくなるということは私は覚悟をしていると思います。被災地域の復興をまず第一に考え、そして国と地方が一体となるというような手法を、これから五年間、六年間、あるいは十年間になるかもしれませんけれども、とらざるを得ないというふうに私は思います。そのために、予算配分については国の弾力的な運用が求められますし、そうでなければ、被災県に重点を置いた効果的な復興事業というのは望めないというふうに思います。
このような時期に、自治体の裁量拡大という、言ってみればこれは美名であります。なるほど、自由裁量権を持つ交付金をスタートさせるということは一つの民主党政権の方針かもしれませんけれども、果たしてそのことが今のこの災害後の日本にとってためになるのかどうか。日本の将来を考えるのに、これからの復興を考えるのに、その制度が本当に有効に機能するのかどうか、私は非常に疑問であります。
国難のときであります。ここは、国の強力なリーダーシップのもとで、自治体を支える部分、あるいは一方で自治体に我慢していただく部分、こういったものをしっかりと自治体に対してメッセージを発すること、これがまず優先順位の第一でありますので、私は、今回のこの制度については、地震ということもあって凍結をすべきであるというふうに思いますけれども、いかがですか。
○片山国務大臣 私は、こういう大災害が起きたときに被災自治体でいろいろな行政上のニーズ、財政上のニーズが出てまいりますけれども、その際に、すべて国直轄で国がやる、そういうことではないと思います。もちろん、国の直轄事業の割合は随分ふえると思います、被災地におきましては。それから、直轄でやる災害復旧、自治体が行う災害復旧、これも被災地は大幅にふえると思います。それはそうだろうと思います。
逆に、被災地であっても、国の縦割りの補助金ではなくて、まさにおっしゃったような、弾力的に、自由な裁量で、きめの細かい施策をやりたいというニーズは、これまで以上に被災地であってもふえると思います。そういう意味では、今回の、額は全国で五千億程度でありますけれども、これは被災地であっても生きると思います。
それから、もう一つ議員が言われた重要なことは、こういうときは、被災地の方に国の公共事業関係の予算というのは直轄も補助金もかなりシフトをさせるべきで、残余の地域はある程度我慢すべきではないか、そういう趣旨のことをおっしゃられたと思いますが、そういう面はあるだろうと思います。そうしますと、それは、既存の補助金もまだ相当残っておりますので、その面で、ある程度の、議員のおっしゃる国の弾力的な配分というのは可能になるのではないかと思います。
○坂本委員 私は、これから五年間あるいは十年間は、戦後復興期と同じように、やはり復興予算編成だと思います。子ども手当もあるいは高速道路の無料化等も、その時々に応じて、是正すべきものは是正する、選択と集中をやるべきであるというふうに思います。
そういうことを考えますと、今回のこの地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金、やはり制度そのものが未成熟である、そして、こういう国難の時期である、将来の見通しも通せないということであるならば、私は、まず凍結をして、改めて地方とお話し合いをし、制度設計をやり直すべきである、そして、その執行については震災復興と兼ね合わせながら今後いろいろと考えていくべきであるということを強調いたしまして、質問を終わります。
○荒井委員長 次に、高木美智代君。
○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
まず、このたびの東北地方太平洋沖地震によりまして亡くなられた皆様、そしてまた、被災された方々に、心よりお見舞いを申し上げます。被災された方々、そしてまた、自主避難の方々も含めまして、生活を支えさせていただき、そして、日本経済の一日も早い復興のために全力で働いてまいりますことを、まずお誓い申し上げたいと思います。
まず、片山大臣にお伺いいたします。
内閣府設置法の改正案、この法案が成立をしない場合どうなるのか、答弁を求めます。
○逢坂大臣政務官 この法案が成立しないということになりますと、内閣府に計上した一括交付金を地方公共団体に交付することができなくなるというふうに見ております。結果として、今回の五千百二十億のみならず、今回のは交付金でありますので、それによっての事業全体が約一兆円程度ということになると思いますので、一兆円規模の公共事業が滞ることになるというふうに見ております。
○高木(美)委員 一部に、例えば、こうした内容について、これから恐らく、今準備中と伺っておりますけれども、補正予算の中につけかえればいいではないかといった議論もあります。そのことにつきましては、どのようにお考えでしょうか。
○逢坂大臣政務官 今回の地域自主戦略交付金というのは、単に事業を執行するということだけが目的ではございません。これまでの縦割りの、ひもつき補助金の持っているさまざまな弊害を取り外して自治体の自由裁量権を拡大していく、その入り口に立つものでありますので、単に、補正予算に計上すればよいではないかということではこれの目的は達成されないのではないかと思っております。
○高木(美)委員 私ども公明党も、地方分権というのは進めるべきだという観点でおります。
しかしながら、今私が質問しましたのは、これから恐らく、ゴールデンウイーク明けという新聞報道もありますけれども、補正予算をせっかく組むのであればその中に入れていけばいいではないかということに対しまして、当然、法案を提出された政府といたしましては今のような答弁かと思いますが、地方の側にとってみたらどうなるのかということを重ねて伺います。
○逢坂大臣政務官 今回の地域自主戦略交付金で自治体の皆さんが予定をしている事業の中に、これは推測でございますけれども、去年の社会資本整備の一括交付金でありますとか農山漁村の交付金、これらの継続事業も含まれているというふうに思います。したがいまして、補正予算に計上するということになりますと、これらの執行が四月一日からできなくなるというおそれがございまして、自治体に多大な影響を与えるということになろうかと思います。
○高木(美)委員 先ほど政務官から、一括交付金化をして自由度を高めるというお話がありました。
しかし、ただいまの坂本先生の質疑等々を伺いましても、また、都道府県等が心配しておりますのは、今まで小沢先生等の御発言もありました、一括交付金化にして要するに補助金を減額できるではないかといった大きな影響というのは私はあると思います。
一括交付金化を補助金減額の手段にしているのではないか、それに対して知事会は再三再四、一括交付金の対象となった現行補助金等と同額以上を確保すること、このことを要望し続けてきたわけでございます。このことにつきまして、見解を伺います。
○片山国務大臣 この一括交付金化は、決して、財政上の観点で、財源を捻出するためにこれを削減する、その手段として位置づけてはいけません。一部に誤解があって、何か一括交付金化することによって国費を浮かすというようなことが喧伝されたことがありましたが、それは間違いであります。一括交付金化の趣旨は、あくまでも、先ほど来お話を申し上げましたように、自治体の決定権の範囲を広げる、自由度を広げるということであります。
前年度同額以上というのは、知事会から要望がありましたけれども、昨今のような財政事情で、これは災害が起きる前でもそうですけれども、いろいろな分野を同額ないし同額以上とするということはなかなか困難でありまして、できるだけ前年同額を守る、その中でも、しかし若干の査定はやむなしというのはどの予算も同じであります。
そういう面では、この予算も前年度などと比べて多少減っていますけれども、それはあくまでも世間並みのと言うと変ですけれども、一般的な査定率の範囲内だろうと思っておりますし、これからもその範囲内を出るようなことは決してないように努力をしたいと思います。
○高木(美)委員 文科大臣に対して総理が、恐らく指示書といいますか、そういう内容だと思いますが、その中で、平成二十三年度予算編成における投資的経費の一括交付金の創設に積極的に協力するとともに、創設の際に補助金の総額を一定程度減額するといった文言があります。これをどのように読むかということですが、このような、協力を、減額するということが書かれている大臣と書かれていない大臣と、さまざまだったという実は状況のようでございます。
現実に、このように、補助金の総額を一定程度減額すると総理が書かれていることに対して、片山大臣はどのようにお考えでしょうか。
○片山国務大臣 私あての指示書には書かれてありませんでした。一括交付金化を推進するという地域主権担当大臣として任命をされました。
私も、予算編成過程でそういう指示書があるということを認知しましたので、そういうことも踏まえた上で、これを財源捻出の手法として決して使ってはいけない、あくまでもこれは自由度を高めるためのものだということで、関係方面をいろいろ説得したり、お話をしたりした結果、合意を得たのが来年度の予算編成に計上された五千百二十億円ということで、これについては全国知事会なども評価していただいているところであります。
○高木(美)委員 きょう、資料をお配りさせていただきました。これは一括交付金の対象補助金等という資料になっております。
これをどう読むかといいますと、左側がそれぞれ対象になる事業、次の縦の列が一括交付金に拠出された額、トータル五千百二十億です。その隣が平成二十三年度予算案。この両方を足しますと、ほぼ、一括交付金化しなくても、今年度、その事業に対して政府としてどう予算を考えたかという合計額が二兆三千四百八十三億という形で出ております。
しかしながら、平成二十二年度予算額、ここと比べますと、今年度は二兆四千四百四十六億円ですので、その差額というのは九百六十三億円という数字に実はなっているわけでございます。これを恐らく、大臣は先ほど、当然世間並みにというお話もありましたけれども、これは余りに減額し過ぎではないか、そんな思いがいたします。
これは、それぞれ費目別に、果たして省庁としてどのような査定をしたのか詳しく見なければいけない大変微妙な資料とは思いますけれども、単純にこれを見ますと、約六千億必要な予算を約一千億削減して五千百二十億充てた、このように読まれても仕方がないのではないかと思います。このことについて、どのようにお考えでしょうか。
○片山国務大臣 いろいろな見方があると思いますが、私どもが考えております、削減額と言っていいのかどうかわかりませんが、要するに査定をされた額というのは三百二十七億円であります。その結果、五千百二十億円になったものでありまして、細かい事業の出入りとか各省の流儀の違いなどがありまして、必ずしも、対前年度ぴったり比べるということがなかなかできない実情にはあるんですけれども、ごく常識的に、前年度の一括交付金化する前の予算額と、一括交付金化としてこちらに供出してもらったものを比べた場合には、三百二十七億円、約六%減少している、査定をされているということであります。
○高木(美)委員 恐らく、その際に、この際一括交付金化するのだから査定も少し厳し目にとか、そうした心理が働いたのかどうかということは、今大臣おっしゃったように、これは事業別に細かく見ないといけないと思うのです。
少し話の角度は違うんですが、実は、総務省の消防防災施設整備費補助金というのが今回のメニューに入っております。
これは、二十二年度予算額は、ここにもありますが、約三十一億でした。厳密に言えば三十・六億円。それが二十三年度は、二十一億円減額されまして九億円になっています。そのうち都道府県分が〇・一億円。もともとは、二十二年度は一億円あったものを、一括交付金として〇・一億円だけ出している。
一千万円で、一括交付金化というふうになりましても、果たしてこの消防防災施設、ここにありますのは耐震性の貯水槽であるとか備蓄倉庫に係るものとか、そうした事業に対しまして、恐らく、今こうした厳しい状況下にありますので、そこから見ると、ここを削るというのはいかがなものか、こういう議論になってしまうんだと思うんですが、これにつきましてはどうでしょうか。
○逢坂大臣政務官 まず最初に、先ほどの高木先生がお示しになった資料の関係、若干補足をさせていただきますと、今回、地方向けの投資的補助金というのはほかにもメニューがございます。それらの二十三年度当初というのは三兆六百十七億円というふうになっておりまして、二十二年度当初と比べますと、それの減り額が九・三%ということになっております。したがいまして、地方向け補助金全体から見ると、今回の一括交付金の減りというのは逆に少ないという判断もできるのではないかと思っております。
いずれにいたしましても、先ほど大臣が答弁したとおり、一括化することによって財源捻出の手法にしようという考え方は我々には全くないということを御理解いただければと思います。
さて、そこで、お尋ねの消防の関係でございますけれども、今回、実は消防予算全体で見ますと対前年比二・四%増としているところでございます。要するに、今回は予算の中でめり張りをつけようということでございまして、例えば緊急消防援助隊の充実といったようなところに力点を置いたということでございますので、御指摘の都道府県の額一千万を一括交付金化の方へ供出したということと今回のことは特に関連はないということでございます。
○高木(美)委員 関連は余りないのですが、そうしますと、市町村分の、減額された二十一億円、これは恐らく、こうした耐震性貯水槽であるとか備蓄倉庫であるとか、先ほども申し上げましたが広域訓練拠点施設整備事業とか、まさにこれから各地域における防災の施設の整備のために必要な金額であって、こうしたものは補正予算に盛り込まれるんでしょうか。
○逢坂大臣政務官 まず、二つお話ししたいと思うんですが、今高木先生がおっしゃった、市町村の耐震性の貯水槽等の整備でございますけれども、これは、今回の補助金に加えて、さらに地方債などの財政措置もあるということもございますし、さらに、私も自治体でこういう仕事をしておりましたけれども、その他の財源調達の手法もあるというようなことも含めて、そういう中で整備が図られていくというふうに認識をしております。
加えて、率直に申し上げまして、消防予算全体が、今回の震災に見られるように、私は必ずしも十分ではないというふうにも思っております。補正予算の中で盛り込まれるかどうかは別にしても、今回のさまざまな事象を見ますと、さらに拡充の方向で考えていくべきものではないかと思っております。
○高木(美)委員 さまざま御答弁いただきました。
そうであれば、やはり総理の、創設の際に補助金の総額を一定程度減額する、片山大臣のところにはそのような指示はなかったというお話でございましたが、これをまずきちんと総理御自身が撤回されるべきだということをあえてここで申し述べさせていただきたいと思います。
さらに、ひもつき補助金を廃止して基本的に地方が自由に使える一括交付金にする、これが地域主権戦略大綱の中身でございました。これまでもさまざまな議論があったところでございますが、今回のこの一括交付金化というのはこれと少し趣旨が違っているのではないかと思います。
ひもがなくなる、自由度が高まる、これは皆さん、大変期待したわけでございますが、結局、使い方が省庁の条件つき、これでは自由度を増すことにならないのではないか。地方の主体性に任せて自由度を高めるための制度というのが本来の考えではなかったかと思います。どのように御認識でしょうか。
○片山国務大臣 まず、総理の指示書の件ですが、いろいろな経緯を踏まえて、最後は、そういう削減の手段としては使わない、あくまでもこれは自由度を増すということで最終的な決着をした仕上がりでありますので、仕上がりを見ていただきますと総理の考え方がそこに込められているというふうに御理解いただければと思います。
それから、自由にするというのも、これは言葉のあやとは言いませんけれども、どこまでのことを意味するかということでありますけれども、例えば、何に使ってもいい、もう何でもいいですという考え方もあるんです。しかし、国のこういう厳しい財政事情の中で、国費を、何でもいいです、もう自由にお使いくださいと言って自治体の方で勝手に使うというのは、これは財政秩序の観点から私は好ましくないだろうと思います。
自治体が、農道に使うのか、港湾に使うのか、学校に使うのか、道路に使うのか、そこは決めてください、これが一番大きな自由度です。その上で、仮に道路に使うとなった場合には、道路構造令とか、道路として安全な基準はやはり最低限守ってくださいよというのは国として決めなきゃいけないし、それは自治体にも守っていただかなきゃいけないし、それを最後に、事後にチェックするということはあってしかるべきだろうと思うんです。
やはりそういう最低限の基準には従っていただくということであって、一番基本の何に使うのかというところ、これが一番自治体にとっては重要なところなんですけれども、メニューにある対象の範囲内ですが、そこのところを今回かなり自由化するということ、これをぜひ評価していただければと思います。
○高木(美)委員 そうしたメニュー、今後どういう事業を対象にされるのか、また、この制度を定着されるのかどうなのか、また、一括交付金化は将来財源移譲のところまでの間なのか、その展望というのが全く見えない。やはりその全体表、工程表というものを求めるお声というのも強いと思います。
こうした展望につきまして、お考えを伺いたいと思います。
○片山国務大臣 メニューは、今回は、各省に協力をしてもらいまして、とにかく供出をしてもらいました。したがって、とりあえず初年度は、供出をしてもらったその対象事業の範囲内で都道府県には事業を選択してもらおうということにしております。
ただ、これを未来永劫続けるということではないと私は思います。もっとこれから、社会情勢の変化に伴って、今まで持ち寄ってもらった事業以外に、より優先度合いの高い投資的事業というのはあり得るはずですから、自治体の皆さんの意見をよく聞きながら今後の対象事業の範囲というのは考えていきたいと考えているところであります。
○高木(美)委員 そうしますと、地域主権戦略大綱で言っている、ひもつき補助金を廃止して、ここのところは大臣はどのようにお読みなんですか。ひもつき補助金というのはどういう範囲とお考えなんでしょうか。自由度を高めると思ったら、皆さん、それは何にでも使える、これが終着点だ、そのように思うに決まっていると思うんですが、どうでしょうか。
○片山国務大臣 これは、先ほど来申し上げておりますように、初年度であって、完成型ではありません。順次これを自治体の皆さんの意見を聞きながら改善をしていきたい、より自由度の高い範囲に持っていきたいと考えております。終着点は、かなり今よりも、初年度よりももっともっと自由度の高いものになると思います。
ただ、やはり国費である以上は、それが本当に無駄遣いされていないかどうか、それはチェックしなきゃいけないと思いますし、それから、先ほど言いましたように、道路に使うのであれば、安全基準は守ってもらわなきゃいけないというチェックもなければいけない。それは、幾ら自由といっても、最低限の基準というものはやはり守っていただくことになると思います。
それから、しからば、最終的に税源移譲とかのところまでいくのかというのは、これは現段階では決めておりません。税源移譲は税源移譲で非常に有効なんですけれども、これはこれでまた副作用もありまして、税源移譲にかえますとどういうことが起こるかというと、東京都には税源があって税収がいっぱい入ってきます。鳥取県は税源を移譲していただいても税収がほとんど入ってこないという空振りになるわけであります。
ですから、税源移譲というのは、一般的には非常にいいんですけれども、実際の具体論に当てはめてみますと貧富の差が非常に拡大してしまうという面がありまして、そういう面を考慮しながら、これからの一括交付金と、先ほどもちょっと出ましたけれども、地方交付税との関係とか税源移譲との関係などは考えていかなければいけない課題だと思います。
○高木(美)委員 今の大臣の御答弁にありました、私は東京都ですが、別に東京都だから自分たちの、そこに出てくる税金を全部丸々東京都が使うなんということは全く考えていないです。むしろ、地方から多くの労働力をいただきながら本社を構え、やっているのが東京都ですから、今までも多くのことを拠出してまいりましたし、災害といえば真っ先に飛んでいくというのが東京都の一つの誇りでもあります。したがいまして、ちょっと今のその御答弁はいかがかと思います。
私が申し上げているのは、ひもつきのひもが残ったままじゃないかという、ここの議論につきまして、今後、さらに国と地方とよく協議をしていただきながら考えていただきたいと思っております。
その国と地方の協議のあり方ですけれども、これをどのようにお進めになるのか、お考えを伺いたいと思います。
○片山国務大臣 ひもつきのひもはできるだけなくしたいということでありますから、今後とも、ひもを取り去りたいと思います。その上で、最低限の、国費を無駄遣いしていないですねというチェックなどは、やはりこれはしようがないと思います。対象事業も、私などは、やはりメニューはより広げていきたいと考えておりますけれども、これも自治体の皆さんの意見を聞きながらやっていきたいと思います。
国と地方との協議は、これは実は今でも事実上やっているのでありますけれども、これをいわば法定化して、国と地方が法律に基づいて協議をする場があってもいいのではないかということで、既にこれに関連する法律案を昨年国会に提出しておりまして、これが継続審査になっております、地域主権改革関連法案ということで。これをぜひ早く成立させていただきますと、名実ともに、制度的にも実態としても、国と地方との協議の場が開かれるということであります。
○高木(美)委員 先ほど坂本議員からも御質問ありましたが、投資関係補助金につきまして、来年は都道府県分、再来年は市町村分、このようにおっしゃっていらっしゃいます。私は、これは拙速ではないかと思います。
まず、例えば、平時でありましても市町村事業は年度間の幅が大きい。これはどの役所の方に聞きましても、また市町村の方に聞きましても、そのようにおっしゃる話で、これは客観的指標になじまないのではないか。菅総理は不退転の決意でそこまでやりますと述べていらっしゃいましたが、それはいかがかと思います。ましてや、現下の多大な被災状況、また日本経済の痛手を考えますと、粛々とこれをそのようなスケジュールだからと進めるのはいかがかと思います。重ねて大臣の御答弁を求めます。
○片山国務大臣 これは、今般、非常に大きな災害がありましたので、この予算に限らず、既存の予算それから新年度予算に盛り込まれている予算につきましても、今後、従来どおりであるかどうか、これはわからないと思います。やはり弾力的といいますか、柔軟な物の見方をしていかなければいけないと考えております。
そういうことを一方で前提としながら、一括交付金について市町村分まではという点に関しましては、御指摘の懸念は非常に重要なことだと私も思います。市町村は都道府県と違って規模が小さくて、しかし、大きな事業をやる場合には年度間の変動が非常に大きいということは確かでありまして、なかなか一括化になじまないものも多いと思います。
しかし、一方では、なじむ事業もあります。毎年度、定例的といいますか、定常的にある一定程度の事業を進行させている、そういう事業分野もあります。他方で、なじまないものもあります。ですから、なじむものとなじまないものをよくえり分けをしながら、できるところからやっていくというのが現実的な姿ではないかと思います。
ただ、最初に言いましたように、今後、震災を踏まえてどういう財政のあり方にするのかというのは、かなり柔軟な考え方をしなくてはいけないということは確かだろうと思います。これは一般論でありますけれども。
○高木(美)委員 もう一つ、これは学校関係者からのお声ですが、文科省の学校施設環境改善交付金、そのうちで都道府県立高等学校の産業教育施設整備事業、これは、例えば、工業、農業、水産高校の実習施設の建てかえや設備を更新するというものでございますが、これがいわゆる社会資本整備と一緒の袋に入ると進まなくなるんじゃないか、よほど理解のある県知事さんは別だけれども、老朽化した施設で頑張っているのも現状です。これを検証していただいて、次からは外すとか、弾力的な運用があるのかどうか。
また、水産高校の実習船、これは恐らくなかなか買いかえも進まなくなるのではないかと思います。これも対象になるのかどうか、答弁を求めます。
○片山国務大臣 教育の方に一括化することでお金が回らなくなるんではないかという御懸念、よく私も伺っております。逆に、ちょっと失礼ですけれども、今までの文科省の乏しい補助金で細々としかやれなかったのが、一括化されて、いろいろなお仲間が入ってきてどっとやれるのではないか、やれる県はやれるのではないかという期待もあるわけであります。だけれども、御懸念のように、何かかき消されてしまうのではないかという懸念があることも確かだろうと思います。
これは、よく見てみたいと思います。モニタリングをしまして、幾ら何でもこれはひどいありさまだということになりましたら、おっしゃったような選択も含めて考え直す必要があるだろうと思います。
ただ、私は、恐らく、教育については、皆さん、各都道府県の知事さん、それぞれ教育が非常に重要だとおっしゃっておられますから、きっとこの一括化によって今までよりは事業のシェアが高まるのではないかと期待しておりますけれども、よくモニタリングしてみたいと思います。
○逢坂大臣政務官 済みません、実習船については私の方から。
実習船の買いかえも今回のこの地域自主戦略交付金の対象になってございます。これも、これまでですと文科省の予算の範囲内でということにどうしてもなるわけでございますけれども、もし船の老朽化の進みぐあいが非常に激しくて優先順位が高いということであれば、逆に、都道府県の判断の中で先んじてやるということも今回の制度であれば可能ということでございます。
○高木(美)委員 我が国の産業人材育成のための大事なポイントですので、注視していただきたいと思います。
大臣、これだけ重要な国と地方のあり方にかかわる法案がわずか八行、タイトルを入れても八行です。これは私はいかがかと思います。むしろ、これは、こんなやり方ではなくて、一括交付金化法案とか、別途、将来展望も含めて、どのような権限でやるのか、ひもつきにしても、どういう条件でそこを緩めていくのか、こうしたことをきちんと姿として、やはり日本は法治国家でございますので、そうした法律にのっとって粛々と進めるというのが必要なのではないかと思います。
それがないから、皆さん、疑念もある、そしてまた、いつまでたっても客観的指標もなかなか出てこない、こういう議論になってしまうわけで、私は、確かにこれは、未熟な制度としてスタートするこの制度自体を実はちょっといかがなものか、一括交付金化、こんな未熟な段階で出すのはいかがかと思います。
いずれにしても、これはきちんとした法律で出すべきだということを考えますが、大臣、短くお願いいたします。
○片山国務大臣 私が県知事をやっておりました経験からいいまして、都道府県の場合は支障ないと思います。ただ、これを市町村分に拡大するときには、いろいろな条件とか要件とか課題が出てまいりますので、それを検討する際には、あるいは議員がおっしゃったような法案を用意しなければいけないということも十分考えられると思います。これはよく検討したいと思います。
○高木(美)委員 最後に、私は、また我が党は、例えば、ひもつき補助金のひもが切れていない、そしてまた、財源移譲に至る道筋がいまだ不明確である、そしてまた、一括交付金化が補助金減額の手段にされるのではないか、こうした疑念がまだ払拭されていない、まだ制度が未成熟であるということから、平時であればこの法案に我が党は反対をするところでございます。
しかしながら、冒頭に政務官から御答弁がありましたように、東北地方太平洋沖地震による被災のこうした甚大性そしてまた広域性にかんがみまして、現下の状況におきましては、むしろ地方に速やかに配分し、地方に痛手を受けさせない、このことが必要であると判断をいたしまして、今回、附帯決議を提案させていただき、我が党としては、今回は賛成、このような立場をとらせていただきたいと思います。
あわせまして、国の出先機関を統廃合するという、これも、言いながら何も進まない。これもしっかりと進めるべきであるということをあえて申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。
まず最初に、東日本大震災の被災に遭われた方々に、心からのお悔やみとお見舞いを申し上げるものであります。被災者の方の生活再建のために全力を尽くすことを改めて申し上げます。
今回の法案は、地方自治体が地域の実情に即した事業または事務をより的確に実施できるようにすることを目的として、内閣府の所掌事務の規定を改正するものであります。地域の実情に耳を傾けることが必要で、今でいえば東日本大震災、また福島原発事故でそのことが問われているときではないでしょうか。
まず、その関連で、福島原発事故によって、震災、地震や津波を含め多くの住民の方が避難をし、結果として町村役場が移転を迫られる事態が生まれております。
最初に経産省にお尋ねしますが、この福島原発事故に伴い町村役場を移転した自治体はどこか、また、それぞれどこに役場機能を移転させたのか、その点について、まずお答えください。
○中西政府参考人 お答えいたします。
今般の原子力災害に伴いまして、避難を行うということで災害対策本部を町外に移転し、実質的には役場機能を移転したのが八町村ございます。例えば、皆様も御案内のとおり、双葉町はさいたまスーパーアリーナ、大熊町は県内の田村市の体育館にそれぞれ移転してございます。
○塩川委員 八町村。七町村は福島県内でありますが、双葉町は埼玉県に移転をする、さいたま市のスーパーアリーナで。これは四月から予約が入っているそうで、そのままいられないということで、実際には、その後、加須市の方に移転をするということになっているわけであります。
重ねて経産省の方にお尋ねしますが、この役場の機能の移転、災害対策本部の移転というのは、要するに、原子力災害対策特別措置法に基づく原子力災害対策本部長つまり総理の二十キロ圏内の避難指示、三十キロ圏内の屋内退避指示によって生じたものとなっている、そのように思いますが、御答弁をお願いします。
○中西政府参考人 お答えいたします。
ただいまの委員の御指摘のとおり、原子力災害特別措置法の指示に伴いまして、今般、このような役所の移転が結果的に行われたというふうに認識してございます。
○塩川委員 大臣にお尋ねします。
こういった一時避難ということではない、要するに、先の見通しが立たないような住民の避難とともに役場機能の移転も伴わざるを得ないということは想定をされていなかったわけであります。そういう点でも、自治体の苦労はいかばかりかと思うわけですが、この点についての大臣の御認識をお聞かせいただけないでしょうか。
○片山国務大臣 本当にこれは大変なことでありまして、今回の津波被害で役場機能をほとんど喪失したという自治体もありますけれども、一方では、こういう原発関連で、原発によって役場を移転せざるを得ないところが出たということで、本当に大変なことだと心を痛めております。
実は、この役場の移転に関連して一番私が心配しておりますのは双葉町でありまして、これは八町村のうちの一つでありますけれども、県外に移転をされているわけです。県内でありますと、まだ福島県のケアといいますか、目が届く範囲内でありますけれども、県外でありますと、そこがなかなかおぼつかないと言うと失礼かもしれませんけれども、目が行き届かなくなるということもありまして、一番心配しております。
この双葉町の現状についてよく把握をして、国としてできる限りのサポートをしたいと今考えているところでありまして、実はきょう現地に総務省の課長を派遣しておりまして、実情を聞き取っているところであります。
○塩川委員 今お話しのように、実際に心配されるような状況があります。
原発事故による移転自治体に対して二十キロ圏内の避難指示、三十キロ圏内の屋内退避指示を行った国の責任を持った対応が問われているわけで、きょう官房長官が記者会見でも説明しておりましたが、二十キロから三十キロの屋内退避の地域についても自主避難を促すと。屋内退避と指示しておきながら自主避難を促すという点で、非常にちぐはぐな対応で、住民の皆さんの対応というのは本当に深刻な状況だろうと推察されます。
そうしますと、その三十キロ圏内には南相馬市の市役所の庁舎もありますから、これは役所の機能が十分果たされるのか、こういう問題が当然新たに浮かび上がってくるわけであります。八町村に加えて、南相馬市の事態というのもどうなっていくのか、これはやはりしっかりと実態をつかまなければならないと考えています。
移転自治体にはさまざまな課題が持ち上がっておりまして、人手が足りない、そもそもパソコンが足りないとかいうこともあります。
例えば、三月二十三日付の日経の夕刊に、二本松市の支所に臨時役場を置いた浪江町の話が取り上げられておりました。人口約二万人のほとんどが町外に避難をした、二本松市内などに町が設けた避難所に二千八百人が身を寄せている、職員は泊まり込みで避難所への物資配達、避難者の健康管理、住民の安否確認などに追われている、罹災証明書の発行や介護保険、年金などの問い合わせがふえてくる、必要なデータが手元になく答えられないとか、財務会計システムを置いてきたので現金支出ができず今はすべてツケ払いだ、こういう事態で、住民データのバックアップを取り寄せようとしているけれども、業者も震災で混乱し順調に進んでいないという報道でありました。
その点で、大臣にお尋ねします。
今、双葉町については課長を派遣して実態を把握しようという話でございました。その他の町村も含めまして、このような丸ごと移転の自治体及びその住民のニーズをどのように把握しようと考えておられるのか、その点についてお聞かせください。
○片山国務大臣 これは、既に市町村行政機能サポート窓口というのを総務省につくりまして、こういう原発で移転されていろいろな問題に遭遇している自治体の相談を個別に受けて支援をしたり助言をしたりするという機能を今もうつくっております。もちろん、これは原発以外の被災市町村からの照会も受け付けるということでありますけれども、原発関連の市町村も特に念頭に置いております。
それから、先ほどは双葉町のことを申し上げましたが、既にもう該当の自治体の首長さんに政務三役から電話を差し上げて実情を伺ったり困難なことを聞き取ったりもしておりますし、これからも、移転をしているところを中心に、総務省として、よく連絡を密にして、課題を吸い上げて、国としてしなければいけない必要なことを迅速に行うようにしたいと考えております。
○塩川委員 小野町に役場機能を移した広野町なども、町民の方は各地に分散して避難をされておられる。ですから、福島県内の小野町に役場機能を移転しているけれども、住民の方は例えば埼玉県の三郷市などを初めとした各地に分散しての避難という状況ですから、町民と連絡をとること自身に大きな苦労を伴うという事態であります。
その上に、被災地においては、自分のふるさとの再建、復旧復興のために力を尽くしていきたい、こういうことで努力が始まろうとしているところですけれども、しかしながら、この原発の事故に当たりましては、いつ戻れるかという見通しが見えてこない。ですから、戻りたいけれどもいつなのか、こういう点についてはっきりとした見通しがない中での、展望が持てない中での状況に置かれているということにやはりしっかりと心を寄せることが必要だと思っております。
そういう点でも、原発神話を振りまいてきた国の責任は重大で、将来展望が見えない移転自治体と避難住民の要望にしっかりこたえていくという点での努力をお願いしたい。
そういう意味で、この間の自治体の丸ごと移転ということでいいますと、例えば三宅村の例などがございます。全島避難した三宅村の集団移転の教訓というのはしっかり踏まえる必要がある。二〇〇〇年九月から二〇〇五年二月までの四年五カ月の避難生活で、東京都内の二十三区、二十五市、二町、二村に避難、さらに、全国、東京都外の十六県に広域の分散の避難をしたというのが実態でありました。コミュニティーを維持したり、生活資金の確保や仕事の確保など、幾つも課題があります。
実際、その人口を見ますと、全島避難前には、二〇〇〇年の一月では三千八百四十五人だったものが、全島避難が解除をされて戻られた、その後の二〇〇七年の一月の時点では二千九百人であります。つまり、千人も人口が減少した。この事実は大変重いものであります。
今回の移転自治体の多くは原発の城下町でもあり、仕事の場でもあったということを考えても、どう再建をしていくのか、やはりそういう将来展望も含めて考えていかなければいけない。地方財政上の困難もあるでしょうし、住民の仕事がないという問題もあるでしょうし、放射性物質の汚染をどうしていくのかという問題もあります。
こういった移転自治体の行政上の要望や意見に国としてどうしっかりこたえていくのか、このことが問われていると思うんですが、その点についてのお考えをお聞かせください。
○片山国務大臣 このたびの新しい事態にきちっと対応していく体制をつくらなければいけないと私は思っております。
当面、役場の問題については、これは事柄の性格上、総務省で対応しておりますけれども、それに限定されるものではありません。したがって、政府全体としてこの問題に対応していく、その中で、総務省として、やることはかなり多いと思いますけれども、全力を挙げて支えていきたいと考えております。
○塩川委員 想定外の財政需要も当然発生することと思います。三宅村の場合にも、特別交付税のかさ上げの措置などが行われたり、ちょうど国勢調査の期間に丸ごと移転ということもあって、人口そのものが村そのものにはその時点でゼロだったとかという、そのカウントの仕方についても特例を行ったりとかいう措置もあったそうです。
今回の災害に当たっても、いろいろな地方財政措置のことが言われております。そういう中には、地方に対して一括交付金的なお金で使い勝手のいいようにとか、そういうことなども報道はされているわけですけれども、こういった想定外の財政需要も発生するような移転自治体に対してしっかりとした地方財政措置が求められると思うんですが、この点についての大臣のお考えなどがありましたら、お聞かせいただけますか。
○片山国務大臣 支援措置といった場合に、財政的に何がしかの仕組みを設けるということももちろん考えられますけれども、今、差し当たって念頭に置いておりますのは、例えば福祉の分野でも、災害救助法というのは住所地で救助することを前提にしております。しかも、市町村が健在で被災者を救助するということを前提にした仕組みであります。役場機能が失われたり、役場機能が分散といいますか移転をせざるを得ないようなときに住民の皆さんが域外に分散をしているというようなときに災害救助法の適用はどうなるのかとか、地元負担はどうなるのかとか、介護保険はどうなるのかとか、実は全く新しい問題が提起されております。
そういうことを早く解決しなければいけないということで、昨日の事務次官を集めた会議でも私の方から関係府省の次官に要請したところでありますが、そういう問題から含めて、一体どういうニーズがこれから起こってくるのかということを、全貌を把握しなければいけないと思っております。
その上で、地元の福島県、それから、当面双葉町は埼玉県でありますけれども、埼玉県の御協力も得ながら、住民の皆さんのための役場機能というものができるだけ円滑に運営されるような、そういうサポートをしていくということがこれからの課題だと思っております。
○塩川委員 あの双葉町の場合にも、さいたまスーパーアリーナから加須市の旧騎西高校の跡地に移ると。自分たちの学校を開きたいと思ったけれどもそのスペースがどうもとれそうもないということなども町長さんはおっしゃっておられたということも聞いております。そういう点で、文科省など関係府省のしっかりとした連携のもとで対応することが必要だ。
そういうことを考えますと、東日本大震災の生活再建や復旧復興のために、公共事業の執行も見直して、大企業、大金持ち減税や米軍への思いやり予算をやめるなど、全体的に予算を組み替えることこそやるべきことであって、被災自治体にとって使い勝手のいい地方財政措置を行うということが求められている。住民福祉の基幹である地方自治体の機能確保が住民生活を支える一番の力だと思います。国として全力を挙げていただきたい、このことを求めて、質問を終わります。
○荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。
○浅尾委員 冒頭、私からも、このたびの東北太平洋沖地震の被災者の皆様方に心から、亡くなられた方には御冥福をお祈りいたしまして、また、お見舞いを申し上げて、質問を始めさせていただきたいと思います。
まず初めに、今回の内閣府設置法の一部を改正する法律案につきまして、もう既にさまざま議論がありますが、簡単に総務大臣に、一括交付金と地方交付税あるいは税源移譲、この三つの地方自治体にとって使い勝手が比較的幅広いお金の種類というのがあるわけでありますけれども、総務大臣の理解で、そのメリット、デメリットを整理していただきたいと思います。特に税源移譲については、税源の偏在性というのがありますから、そこの部分は後ほど細かく議論させていただきますので、それを除いて、その三点のメリット、デメリットを整理していただけるとありがたいと思います。
○片山国務大臣 メリット、デメリットは、置かれた立場といいますか地域によって異なると思います。
例えば、地方交付税をふやすことのメリット、デメリットでいいますと、私は鳥取県の知事をやっておりましたから、地方交付税がふえますと大きなメリットがあります。しかし、これは東京都にとっては何のメリットもありません。
それから、税源移譲は、さっきちょっと申しましたけれども、税源の多いところは税収が多いという結果をもたらしますけれども、税源の乏しいところは税源移譲が幾らあっても税収が乏しい。したがって、本来は税が一番自由度が高いんですけれども、元手、元金が非常に乏しくなる、こういう問題があります。
それから、一括交付金の場合には、これは一定程度の国の意思が働く。それは、ある一定の枠の範囲内の投資的事業をこれだけ確保したい、全国で確保したい、こういう国の意思がある程度実現できる。自治体にとっては必ずしも自由度は一〇〇%ではありません。ソフトには基本的には使えないとか、そういう問題はありますけれども、かなりの程度の自由度が得られる。
ざっと概観すれば、そんなところかと思います。
○浅尾委員 ありがとうございます。
確かに、税源移譲については、先ほどもお話がございましたように、税源が比較的薄いというふうに申し上げた方がいいかもしれませんが、そういうところには移譲されてもなかなか難しいというのは、そのとおりかもしれません。
しかしながら、例えば、既存の制度のもとでも、偏在性が比較的少ない税というものがあるわけでありまして、一番少ないものの代表的なものを二つ挙げますと、一つは恐らく消費税、もう一つは所得税の一番低い部分の税率。つまりは、東京都には収入の多い人も住んでおられますけれども、そうでない人もいる。その中で、収入がある程度ある人は最低限一〇%の税率の部分は払うだろうということなので、まずはその低い部分の税率を地方自治体に振るのか、あるいは消費税を地方自治体に渡していくのかという考え方もあるのではないかと思います。
もっと言えば、共同税的な考え方を取り入れて、各自治体で税源は偏在がある、その一定割合を自動的に国に戻す形を取り入れて、そしてそれを、余りいろいろな要件を入れますと不公平とかなんとかという議論があるでしょうから、人口ぐらい、あるいは人口に面積ぐらいの要件で機械的に割り振るというのが多分、税源移譲をする場合に、もしそこに偏在性があるということであれば、そういう要件を入れるべきだというふうに思います。
そういった人口と面積というような形で、そしてそれを共同税という形で、例えば、消費税を全額地方に渡すけれども、その一定部分については国にプールをし、そして人口と面積割りで税の均衡を図るという考え方もとれるのではないかと思いますが、そういった考え方について、片山大臣のお考えを伺いたいと思います。
○片山国務大臣 これは、税制を考える場合の非常に本質的な問題だと思います。偏在性がより少ない、これは地方税を考える場合に非常に重要な観点であります。できるだけ偏在度の小さいもので地方税は構成すべきだということであります。
今、現実には、一番偏在度の小さいのは消費税でありますが、わけても、消費課税の中でもたばこ消費税が一番偏在性が少ないということになっております。消費税の場合は実はちょっと特別でありまして、国で取ってそれを分けるというわけでありますから、できるだけ偏在性がないように分けているだけのことであって、消費税については、偏在があるなしは実は論ぜられないわけです。
そのほかの税でいいますと、おっしゃるとおり、個人住民税の一定税率部分、今は一定税率になっていますから、その基礎部分、これも偏在性は比較的少ない。あとは固定資産税の家屋とか、そういうものであります。地方税はできるだけそういうもので構成をすべきであるということは確かであります。
そうはいっても、それでもやはり偏在はあります。その際にどうするかということで、そこで消費税というものが着目されて、これを地方消費税としてできるだけ偏在性のないような形で清算したらいいのではないかというのが現行の仕組みで、この割合をもっと高めたらどうかというのは議論として出てきます。
それからもう一つは、共同税というような、水平調整といいますけれども、地方税自体を地方間で客観基準で分けたらどうかということはあります。
これは、財政調整という面では非常に有効なんですけれども、私は実は、税については、かつて国税の税務署長をやっていた経験もあるものですから、その点で申しますと、やはり税というのは、人の懐に手を突っ込んで取るという、権力の契機というのもあります。したがって、その段階で住民の皆さんとの緊張感、納税者の皆さんとの緊張感が出てきて、そこで、無駄遣いをしてはいけない、より有効に使わなければいけないという観念が実は課税庁には生まれるわけであります。そこは非常に私は重要だと思います。
これを、地方消費税で全部配ってしまう、分けてしまうとか、共同税で、自分で取らなくてもだれかが取ってくれて、もらえるということになりますと、納税者との間の緊張感がだんだんだんだん薄れてしまって、財政の規律がなかなか行き届かなくなるということがあるものですから、こっちの方も実は重要なんです。
税源の偏在を少なくしてなるべく偏在性の少ない税財政の体系にしなければいけないという要請と、しかし、税の本質である権力の契機はやはり失ってはいけない、納税者との緊張関係というのを保ちながら、そのバランスをどう考えるかということだろうと思います。
○浅尾委員 おっしゃるように、本質的には、税を集めた自治体が税を使うというのが一番緊張関係も出ますし、責任が明確になるということだというふうに思いますので、目指すべき方向性としてはそういうことだと思いますが、すぐには、要するに、税源が豊かなところとそうでないところがあるというのが多分その議論の中でのボトルネックになるんだろうと。
だとすると、一定期間を区切って、共同税的なことをして段階的に減らしていく、その間に各自治体が努力をしていくというのが多分折衷案として出てくるのではないかなというふうには思っておりますが、この期間をどれぐらいにするかというのはなかなか難しいところだろうというふうに思います。
このことについて、もし何か御所見があれば、期間を区切って、その間は共同税的な形で、その期間を何年にするかというのが相当議論になるでしょうけれども、そういう考え方について、もし何か御所見があれば伺いたいと思います。
○片山国務大臣 実は、ある意味では地方交付税が本来の理念はそうなんです。共同税というのは国税で取ってそれを分けるわけですから、共同税とは違いますけれども、交付税が実はそういう財源保障と財源調整の機能を担っているわけです。
私は、当面は地方交付税の改善が必要だろうと思っています。
どういうことかといいますと、今、地方交付税というのは、例えば、財政力が低ければ低いほどたくさん手厚く行くといいますと、できるだけ低い方がいいという、経済学で言う貧困のわなに陥る可能性があるわけです。過疎化が進めば手厚くなるという。これを、徐々に自主性を増して力をつけるような方向に促していくという仕組みに変えるということが私は必要だろうと思っていまして、そういう意味で、何年ということは言えませんけれども、地方交付税が自立促進型にできるだけ変革されるような、そういう制度設計に変えていくべきだろうと思っております。
○浅尾委員 当面、そういうことであれば、ぜひ基準財政需要の計算式も簡素化して、今おっしゃったようなわなにはまらないようなインセンティブを基準財政需要の計算式の中に入れていくべきなんだろうなというふうに思います。
そのことを申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。
今回の震災で、復興における財源というのが膨大なものになると思いますし、必要額が膨大なものになると思いますが、では、これを地方にどの割合で負担していただくのかというのが大きな議論になるだろうと。最終的に、その地域の皆さんはもちろん震災で被災をされておりますので、大部分は国費で面倒を見るべきだろうというふうに思いますけれども、しかしながら、その先の復興ということを考えた場合に、地域の自主性あるいは責任ということを考えると、一定割合は地方に負担をしてもらわなければいかぬということになるんだろうと思います。
では、負担をするといっても、すぐには払えないということに当然なるわけでしょうから、その点について、まだとてもそういう議論が始まっているわけではないと思いますけれども、方向性について何か考え方があれば伺いたいと思います。
○片山国務大臣 若干の検討は始まっております。
基本から申しますと、災害のときに国と地方がどういう負担割合で復旧をして復興していくかというのは、基本的な考え方は決まっております。それが大きな災害になってダメージが大きいときには、いわゆる激甚災害の指定ということで国の負担割合をぐっと高める、そこまでも決まっております。
ただ、今次の災害は、恐らくそれでも対応できないだろうと予測をしております。
それはなぜかといいますと、ダメージを受けた自治体が、余りにもと言うと失礼ですけれども、総じて財政力の非常に弱いところでありまして、したがって、それに対する配慮が必要だということ。それから、余りにも甚大な被害で、例えば、瓦れきという言葉はよくないかもしれませんが、処理しなければいけない、家の壊れたものでありますとか、いろいろなものが余りにも莫大で、これだけでも相当な額になりまして、こういうこと一つをとっても今までのルールどおりにはなかなかいかないだろうということが言えます。
それからもう一つは、例えば原発の問題で、これは新たな災害でありまして、しかも、これは国が責任を持って処理すべき一種の災害でありますから、従来とは違う。
こんなことを考えますと、今次の災害に対する財政措置というのは、従来の決められた原則、それから激甚の特例だけでは対応できないものだと現時点でも思っております。
○浅尾委員 私どもも、今の大臣と同じように、とても現地だけに、従来の割合で現地に負担させるということを主張するつもりはありませんし、それは無理だと思いますし、そうすべきでないと思います。
その上で、今回被災に遭った自治体の中でも財政力の格差というのがあるでしょうし、東北地方の太平洋側が広範囲に被災されているということでしょうけれども、例えば、県単位ということになりますでしょうけれども、岩手、宮城、福島で、原発の部分を除いて債券の共同発行か何かをして、それに政府が保証をつける、その上で、償還財源については、別途、保証割合に応じて政府の方でつけていくというような新たな発想、つまり、東北のその三県の中でも財政力の差があるでしょうから、そういう新たな発想を入れていかないといけないのではないか。
その入れていく趣旨というのは、地元の住民の意向をできる限り反映させるということは、その反映をさせている割合に応じて、ある意味では地元の責任というのもあるでしょうから、それをすべて求めるというか、しかし、大部分は国が負担するにしても、地元の意向を反映させるという範囲においては、その自治体の広域連携の中で負担をしていただくということも考えなきゃいけないのかなというふうに思っております。
最後に、もし何かその点について御意見があれば伺いたいと思います。
○片山国務大臣 当然、従来よりは国の負担割合はふえるだろうと私も考えておりますけれども、そうは言っても、まだ、自治体が債券を発行することによって資金を調達するということは当然出てまいります。そのときの市場関係者の評価ということが非常に重要になってきますけれども、それは、地方債の発行が滞らないように、円滑にするように、総務省としては、責任を持ってこれに臨みたいと考えております。
その際に、共同発行でありますとか、それから、恐らく政府の保証はなくとも円滑に市場消化できるだろうと踏んでおりますけれども、いずれにしても、円滑な発行については十分心がけたいと思います。
○浅尾委員 終わります。
○荒井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○荒井委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。
○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、内閣府設置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
政府は、国から地方へのひもつき補助金を廃止し、基本的に地方が自由に使える一括交付金にするとして、一括交付金化を進めました。
しかし、地域自主戦略交付金の内容は、社会資本整備総合交付金、農山漁村地域整備交付金など、九つの投資補助金、交付金の都道府県分五千百二十億円を束ねたものであり、そのうちの九割は今年度事業の継続であります。しかも、地方自治体は九つの補助事業の範囲内で事業を選ぶというもので、これでは、地方自治体の自由度を特段に拡大するとは言えません。
今問われていることは、こうした地域自主戦略交付金を措置することではなく、東日本大震災の復旧復興のために全体的に予算を組み替えることであります。公共事業について言えば、住民の命や暮らしを中心とした地域密着型の方向に思い切って向け、そのために必要な地方財政を確保していくことであります。
最後に、地域主権戦略会議の議論などで、一括交付金化の効率化、合理化が打ち出されてきていること、また、社会保障、義務教育分野でナショナルミニマムを保障する国庫補助金も対象となっていくことも看過できないことを指摘し、討論を終わります。
○荒井委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○荒井委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、内閣府設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○荒井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○荒井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大島敦君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。遠山清彦君。
○遠山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
内閣府設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に伴い、地方公共団体による自主的な選択に基づいて実施される事業又は事務に要する経費に充てるための交付金(以下「地域自主戦略交付金等」という。)を交付するに当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 平成二十三年東北地方太平洋沖地震による被害の甚大性・広域性にかんがみ、平成二十四年度以降の地域自主戦略交付金等の取扱いについては、国と地方の協議を通じ、その存続の是非についても検討すること。
二 地域自主戦略交付金等については、当該交付金等の創設によって地方税財源の充実確保に向けた議論が後退することのないよう留意するとともに、将来的には、国から地方への税源移譲や地方交付税の充実・強化等に資するものとすること。
三 地域自主戦略交付金等の配分に係る客観的指標の策定に当たっては、地方公共団体の意見を十分反映しつつ、公平で透明性の高いものとすること。
四 地域自主戦略交付金等に係る交付要綱の作成に当たっては、当該交付金等の目的が地方の自由度の拡大であることにかんがみ、国による事前の関与をできる限り排除するとともに、国及び地方公共団体双方の事務の簡素化を図ること。
五 市町村向け補助金等の一括交付金化については、平成二十三年度に創設される地域自主戦略交付金等の執行状況を踏まえ、市町村と十分な協議を行うこととし、その協議結果に基づいて当該一括交付金化の是非を判断するものとすること。
六 今後の補助金等の一括交付金化に当たっては、補助金総額の削減手段との疑念を持たれることのないよう、適正な執行に必要な予算総額を確保すること。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○荒井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。片山国務大臣。
○片山国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○荒井委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十三分散会