衆議院

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第5号 平成23年4月13日(水曜日)

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平成二十三年四月十三日(水曜日)

    午後零時十五分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      阿知波吉信君    井戸まさえ君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      打越あかし君    江端 貴子君

      岡田 康裕君    岸本 周平君

      小林 正枝君    後藤 祐一君

      坂口 岳洋君    末松 義規君

      杉本かずみ君    園田 康博君

      長島 一由君    西村智奈美君

      橋本 博明君    福島 伸享君

      松岡 広隆君    森本 和義君

      森山 浩行君    湯原 俊二君

      渡辺 義彦君    甘利  明君

      鴨下 一郎君    塩崎 恭久君

      平  将明君    橘 慶一郎君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      野田 聖子君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    吉井 英勝君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域主権推進担当)

   (地域活性化担当)    片山 善博君

   国務大臣         松本  龍君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (公務員制度改革担当)  中野 寛成君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (行政刷新担当)

   (節電啓発等担当)    蓮   舫君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (「新しい公共」担当)  玄葉光一郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   国土交通副大臣      池口 修次君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   経済産業大臣政務官    田嶋  要君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  樋口 建史君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           佐々木克樹君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局次長)           黒羽 亮輔君

   政府参考人

   (水産庁長官)      佐藤 正典君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     寺坂 信昭君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   中村幸一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           井上 俊之君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長代理)          久木田 豊君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     阿知波吉信君

  井戸まさえ君     石井登志郎君

  岸本 周平君     渡辺 義彦君

  後藤 祐一君     江端 貴子君

  福島 伸享君     杉本かずみ君

  山崎  誠君     湯原 俊二君

  小泉進次郎君     橘 慶一郎君

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     阿久津幸彦君

  石井登志郎君     井戸まさえ君

  江端 貴子君     後藤 祐一君

  杉本かずみ君     福島 伸享君

  湯原 俊二君     山崎  誠君

  渡辺 義彦君     岸本 周平君

  橘 慶一郎君     小泉進次郎君

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

四月十二日

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

同月六日

 子ども・子育て新システムを導入せず保育・幼児教育・学童保育などの拡充を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第四七二号)

 同(田野瀬良太郎君紹介)(第四七三号)

 同(服部良一君紹介)(第四七四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四七五号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第四九二号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第四九六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第五〇三号)

 同(服部良一君紹介)(第五〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第五九四号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第五九五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理久木田豊君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として警察庁生活安全局長樋口建史君、警察庁警備局長西村泰彦君、消防庁国民保護・防災部長佐々木克樹君、文部科学省研究開発局長藤木完治君、厚生労働省職業安定局次長黒羽亮輔君、水産庁長官佐藤正典君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長寺坂信昭君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官中村幸一郎君、国土交通省大臣官房審議官井上俊之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。

 きょうは、せんだっての経産委員会で枝野長官にお聞きしたことに引き続いて、原子力災害の問題について伺いたいと思います。

 最初に政府参考人の方に伺っておきますが、今回、東京電力は低レベル放射性の汚染水を大量に放出いたしました。この場合、すべての核種について、汚染水の核種は何なのか、それぞれの放射線量と半減期は幾らなのかということを明らかにすることが必要だと思うんです。

 しかし、実際には、沃素131とセシウム134、セシウム137については公表されているんですが、ずっとこの間私も提出を求めておいたんですけれども、コバルト58、モリブデン99、テルル132、バリウム140とか、バリウム140を検出しますと、これは溶融した核燃料がどれぐらい出ているかということにかかわってくるわけですね。それから、ストロンチウム90とか、これらは溶融の可能性はどれぐらいのものであったかということがわかってくるわけなんですが、ランタン140も含めて、まず、すべての核種について全面的にきちんと明らかにするということが必要なんですが、保安院の方はこれらについて今発表しておられますか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力からの発表に関しましては、今現在は、委員御指摘のとおり、沃素131とセシウムの二つでございますけれども、その他の核種に関しましても、モニタリングの結果、その後の核種分析等を踏まえまして、分析、発表をされることになると考えてございます。

 少し時間がかかる点は御理解願いたいと思います。

吉井委員 簡単に低レベルだからといって放出しているんですけれども、そもそも何が放出されているのか、さっぱり国民に公開されていない、東京電力の言いなり、私はこれはとんでもない話だと思うんです。

 実は、一九九六年五月の国会でロンドン条約にかかわる法案を審議したときに、外務委員会と科学技術委員会の連合審査を行うことになりました。このときの五月十六日の科学技術委員会で、私は、スリーマイル島原発事故で、原発から放射能汚染水が河川に流され、それが海洋に汚染が広がったという問題を取り上げたんです。

 改めて伺っておきますが、ロンドン条約の目的では、陸上発生の廃棄物の投棄による海洋汚染の防止を示し、附属書1の第四項により、放射性廃棄物の投棄禁止が定められていると思うんです。なお、この審査をする前には、一九九三年十一月二日に原子力委員会の方で、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄については選択肢としないとしていると思うんですが、これは原子力保安院長に確認しておきます。

寺坂政府参考人 御指摘のように、本件に関する条約といたしまして国連海洋法条約があるわけでございますけれども、いずれの国も、海洋汚染を防止する一般的義務を負っていると承知をしてございます。

 放射性物質による汚染についての明文の規定はございませんけれども、放射性物質による汚染も当然防止する必要があるわけでございまして、このような一般的な義務のもとに、いずれの国も、あらゆる発生源からの海洋汚染の防止、軽減、規制するために実行可能な最善の手段を用い、自国の能力に応じて、海洋汚染の発生源からの放出をできる限り最小とするための措置をとることとされているわけでございます。

 今回の措置自体、国際法上の義務との関係で問題となるものではないというふうに認識はしておりますけれども、拡散低減のための措置と並びまして、近隣国に対する丁寧な説明、国際社会に対する情報提供を一層丁寧に進めてまいりたいと考えてございます。

吉井委員 二〇〇五年の国会でも、原子炉規制法の改正のときに、当時の松永保安院長は、九三年ロンドン条約改正により、海洋投棄禁止の対象を、高レベルの廃棄物から低レベルを含めた放射性物質も含めて禁止なんだと、このことをちゃんと政府として方針をとっているわけなんです。

 それで、私は、九六年五月十六日の科学技術委員会で、日本の原発において万一事故があっても、放射性物質の外部への流出、海洋汚染にならない対策は必要だということを主張しました。これに対して当時の宮林科学技術庁原子力安全局長は、原子炉規制法に基づき、多重防護の思想で、最近聞きなれた言葉ですね、多重防護の思想で厳格な安全審査をやっております、原発からの冷却材流出については、当然、安全審査の際にチェックしていると言っているんですよ。しかし、今回は、法律もあり、チェックしていると言っておったんだけれども、流出をやっているわけですね。

 これは、高レベルであれ中レベルであれ低レベルであれ、すべての放射性物質の海洋投棄を禁止するという方針をとっているんです。そこで、官房長官に伺っておきますが、今回の東京電力のやっている措置は、ロンドン条約違反、原子炉規制法違反ということになってくるんじゃありませんか。

枝野国務大臣 今回の低濃度の放射性排水の海洋排出は大変遺憾なことであるというふうに思っておりますし、また、その判断自体、大変厳しいものでございました。

 ただ、御理解をいただいているとおり、原子力発電所からは直接、より高濃度の水が海に注ぎ込んでおりました。この濃度は、一立方センチ当たり五百四十万ベクレル程度の高濃度の水が海に直接注ぎ込んでおりました。これをとめ、なおかつ、これが建屋などに大量にたまっていて、ほうっておけば、いずれさらに、一たんとめてもこれがあふれ出すことが想定されるという状況でございました。

 何らかの形でこれらの水をしっかりとプールするということについて対応しておりましたが、今回、排出せざるを得なかった施設、正確に申しますと、たまり水等、ここのところの、集中廃棄物処理施設をあけて高濃度の水をプールする場所を確保しないと、この五百四十万ベクレル・パー・立方センチの水が将来あふれ出る。現に漏れていたわけでありますけれども、同時に、その漏れをとめたとしてもさらにあふれ出る可能性が高いという状況の中で、約二十七万分の一と聞いておりますが、相対的に低い濃度の水を放出することによって高濃度の水の受け皿を確保する、相対的には影響の小さい方法を緊急避難的にとらざるを得なかったということで、今回の放出をやむを得ない措置と判断いたしました。

 原子炉等規制法による対応としては、六十四条一項に基づく危険時の措置として、緊急避難として許されるものであるというふうに考えております。また、条約等の関係については、外務省の方から、当然望ましいことではないことではあるけれども、直接条約に違反するものではないという報告を受けております。

吉井委員 そもそも、今度流した低レベルと言っているのは、高レベルをそっちへ移すためと言っているが、高レベルと低レベル、どこが違うのかということをはっきりさせなきゃいけないんですよ。

 低レベルのデータはないと言っているんです。低レベルに今はなっているというけれども、例えば放射性沃素の場合、これは半減期が八日間としますと、大体三カ月もたてばレベルがぐんと落ちるのは当たり前なんですよ。しかし、問題は、セシウムとかストロンチウムとか、どれぐらいのものが低レベルと称して流されてしまったかということが大問題なんですよ。私は原子炉規制法の今おっしゃった条項もよく知っていますけれども、それを理由にして簡単に出しちゃいけないんですよ。これはロンドン条約の違反なんですよ。

 やはり大事なことは、私が一九九六年に科学技術委員会で指摘したように、例えば石油タンクだって、わかりやすい話ですが、これは今度壊れていますから話になりませんが、石油タンクだって第一の防油堤があるんです。タンクの油が仮に全部漏れたとしても、防油堤におさまる。第二次防油堤としては、海岸線に堤を設けて、絶対に海洋に原油が出ないようにする。そういう対策をとっているわけなんですよ。

 ですから、今度の場合だって、低レベルだからといって簡単に捨てちゃならないんです。そういう対策をとってこなかったということは、やはり重大な問題ではありませんか。

枝野国務大臣 吉井委員からこの間御指摘をいただいておりますとおり、今回のような津波に対する対応を準備してこなかったこと、それから、今御指摘いただいたとおり、やむを得ず原子力発電所から放射性物質を含んだ水が出ることになっても、それが海洋中に拡散しないように準備、備えをしておくこと、こうしたことをあらかじめしておかなかったことは、これは適切な対応ではなかったと私も思っております。

 今後こうしたことのないように、あらゆる原子力発電所についての対応を今しっかりと見直させているところでございます。

吉井委員 いずれにしても、今回の低レベルと称する廃棄物、中身は本当は、線量は仮に低いとしても、放射性核種によっては長期にわたって生物に被害を及ぼすようなものが放出されたということについては、これは私は明白にロンドン条約違反だと思います。こういうことは絶対許してはならないということを申し上げておきたいと思います。

 次に、三月十二日の日に、原子力保安院は、消防庁長官に対して施設を冷却するための装備を持った消防隊を派遣してほしいと要請しております。それに基づいて、東京消防庁、仙台消防庁に、海水利用型消防放水システムを持つ部隊に緊急消防援助隊として派遣要請が行われて、官房長官は保安院に、保安院は消防庁にということで、消防庁は各自治体消防庁へ、あるいは消防局へ派遣要請しているわけですが、同時に、同じ十二日の日の十五時三十六分には福島第一原発の一号機で水素爆発があって、出動した消防車は途中で戻りなさいという指示が出ているんですね。

 そもそも、まず最初に原子力安全・保安院が消防庁長官に対して施設冷却のために消防車の出動を依頼したのは、十二日の日の何時何分になるんですか。

寺坂政府参考人 お答え申し上げます。

 正確な何時何分という時間についてはちょっと今持ち合わせてございませんけれども、私どもの方から消防庁の方へ御依頼を申し上げたことは事実でございます。

吉井委員 私は、そういう時系列についてはちゃんと持っておいてもらわぬと困ると思うんです。なぜそれが大事なのかといったら、つまり、圧力容器に真水を注入することができるのかできないのか、この判断ともかかわってくるんですよ。

 それで、消防車が駆けつけて、消防車の力をかりて真水を入れるのか、海水を入れるのかという判断にかかわってくるんですが、改めて枝野長官に伺っておきますが、当初は、ECCSがだめになっても、圧力容器へ真水を注水するライン、そこには消火栓、消防配管も活用して真水を注入するということも最初は検討していたんじゃありませんか。

枝野国務大臣 正確かつ詳細なことについては経済産業省、保安院にお尋ねをいただければというふうに思いますが、早い段階から、つまり冷却がとまったという段階から、とにかくあらゆる手段を使って水を注ぎ込んで冷却を続けなければいけないということで、具体的に特定の手段に絞ってではなくて、注水の方法も含めて、さまざまなやり方を同時並行で、何なら一番早くできるのかということで作業を進めていただいていたというふうに認識をしております。

吉井委員 それでは、私もあらゆる手段で冷やさなきゃいけないと思うんですが、そのときに、本来、消火栓配管が原発の中にいっぱいあるんですよ、それが使える状態だったのか。地震の第一撃で、柏崎刈羽のときのように切断されてしまっておったのか。その状況はどのように把握しておられましたか。

寺坂政府参考人 消火栓の状況に関しましては、事態の推移の中で必ずしも十分な把握ができていない部分があったかと思いますけれども、消火栓は使用ができるというふうに私どもは考えてございました。

吉井委員 消火栓が使えるか使えないかということは、真水で注水できるのか、海水を使わなきゃだめなのかということにかかわってくる大事な要素なんですね。東電の判断がどうも経営判断中心で、海水を注入すれば廃炉にしなきゃいけませんから、株主代表訴訟等で訴えられることを恐れているという個人的な思惑や東電の利益をどう守るかということが働いて、冷却が非常におくれたというふうに思うんですよ。

 これは重大な問題だと思っているんですが、一方で、まず基礎的なデータをちゃんとつかまなきゃいけないんです。

 この真水か海水かという問題もそうなんですが、原子炉基盤面だけでなくて、タービン建屋を初めとする各所に設置されていた地震計の示した振動データですね。どうも、いただいているデータを見ておりますと、針が振り切れてしまってよくわからないとか、非常に大きな規模の地震動で、後の津波の問題だけが中心になっておりますけれども、巨大な地震に備えるだけの原発じゃなかったと。第一撃で地震計の針も振り切れたり、データも出てこないようでは、最初から話にならないと思うんです。

 中には、宮城県栗原市の震度七のところのデータで二千九百三十三ガルというのがあるというふうにも伺っているんです、これは私、今確認中なんですが。原発敷地内で最大を記録した振動数が幾らであったのか、針が振り切れてしまっておったらそもそもわからないんですけれども、何かわかっていますか。

寺坂政府参考人 現時点におきまして、基準地震動に対します加速度において、基準地震動を超えているものがあるということまでは確認できておりますけれども、それ以上の、周波数等の分析にはまだ至っておりません。できるだけそこはきちっとしなければいけないものだと承知してございます。

吉井委員 枝野長官にもお聞きいただいて大分感じてはると思うんですけれども、要するに、基礎的なデータがまだ何にも公開されていないんですよ。地震動も出ていない、低レベル放射性廃棄物の、流した汚染水の核種も濃度も何もわからない、そういう状態が続いているんです。

 私は、なぜこういうことを取り上げるかといいますと、配管や格納容器あるいは圧力容器、バルブとか、その健全性が地震動のような基礎的なデータと物すごくかかわってくるんですよ。これが公開されていないものですから。窒素封入で空気をパージしている格納容器の圧力が上がらないというのは、多分漏えいがあると思うんですよね。それから、圧力容器の下部から制御棒案内管や核計装案内管などが多数圧力容器に入っているわけですが、ここが放射能汚染水の漏えい箇所になっている可能性が十分あるわけですね。これは自然な見方なんです。

 だから、破損箇所のデータが、どこがどうなっているのか、地震動を含めたそういう基礎的なデータを全部公開しないことには、学者、研究者もエンジニアも、みんな対策の協力のしようがないんですよ。なぜこれが出てこないのか。これは、東京電力が情報を出さないのか、政府が出させることができていないのか、データは出させているんだけれども政府が情報を公開しないのか、伺っておきます。

枝野国務大臣 政府としては、私から、まず行政機関、これは広い意味での行政機関である原子力安全委員会も含めて、持っているデータはすべて公表をする、あるいは、詳細にわたる部分については、お尋ねがあったらそれをお知らせするということをするように繰り返し指示をしてきているところでございます。また、東京電力に対しても、必要な情報は政府に対してしっかりと報告をするように、また、求めがあったら情報を提供するようにということを繰り返し申し上げてきております。

 したがいまして、政府あるいは東京電力が持っていながら、お求めに応じて出していない資料があるとすれば、それは許されないことだというふうに思っております。データそのものがないとか、あるいはデータそのものの整理をするのに若干の時間がかかるということであれば、そのこともしっかりとお伝えをした上で、必ず、できるだけ早く、求めがあって、なおかつ持っているデータは公表させるように改めて指示をいたします。

吉井委員 これだけ危機の時代に、東京電力がぐちゃぐちゃ言ったら話にならぬと思うんですよ。だから、もう政府が乗り込んで指示してでも全部やらせ切る、ぐちゃぐちゃ言うようだったら、ぐちゃぐちゃ言う連中をほうり出してでもやるぐらいの構えを持たないと、今、国民の危機なんですよ、その危機に対応できないということを申し上げておきたいと思うんです。

 官房長官に伺っておきたいのは、今回の大地震、津波、原発災害は、これは大規模災害に当たると思うんですが、認識を伺っておきます。

枝野国務大臣 まさに大規模な災害だと思っております。

吉井委員 情報収集衛星というのは、大事な目的に掲げているのは大規模災害への対応だと思うんです。これはちゃんとうたってあるんですが、この点は大臣も認識は一緒ですね。

枝野国務大臣 情報収集衛星は、今御指摘の点を含めて、幅広い目的のために保持しているものでございます。

吉井委員 情報収集衛星を利用している関係省庁というのは、内閣官房のほかに、外務省、防衛省、警察庁、公安調査庁、海上保安庁、国土地理院、経済産業省、消防庁なんですが、今回の大地震、津波、原発災害の対応に直接関係がある省庁にそれぞれ私は尋ねてみたんです。この省庁に聞いたら、情報収集衛星の画像の提供は受けているが、どのように活用しているかお答えできないというところから、提供を受けているかどうかさえ答えられない、活用しているかどうかも答えられないという省庁まであるんですよ。

 それで、ここに地図を持ってきているんですけれども、これは国土地理院の方が当日の津波について出した資料なんです。これを見れば、女川原発についても、それから福島第一、第二原発についても、津波をかぶっている資料はちゃんと出ているんです、国土地理院の方は。ところが、内閣官房内閣情報調査室の方から出てきた網がけ資料では、津波をかぶっている女川原発の津波のデータがないんですよ。福島第一原発以降、関東に至るまで、津波の被害は全く出てこないんですよ。

 これはだれが考えてもおかしいんじゃないですか。何のための情報収集衛星なんですか。こういう大規模災害に備えて役割を果たすのが、今まで八千億円を超える国民の税金を使ってきた情報収集衛星の本来の目的なんじゃないですか。

枝野国務大臣 情報収集衛星については、今回のような大災害等への対応もその目的としており、必要な情報を収集し、官邸を初め利用省庁に提供することになっております。

 ただ、これは吉井先生とは御意見が違うかもしれませんが、情報収集衛星は一方で外交、防衛等の安全保障目的にも運用をしているものでありまして、その能力等について、あるいは運用の具体的な中身について公開することは、安全保障上の観点からできない性質をも帯びているものでございます。

 したがいまして、個別具体的な運用実態については安全保障上の観点からお答えすることができませんが、利用できるものについてはしっかりと利用させていただいているということは申し上げたいと思います。

吉井委員 枝野さんにしては何か珍しく官僚の作文を読んでおられる感じなんですが。

 内閣情報調査室は、災害を受けた場所について、今も示しました被災状況推定地図というのをつくっているんです。それで、関係行政機関に配付しているということに一応なっているんですが、まず、津波の被害を受けた箇所を地図上で、ここにあるように赤い線で引っ張っているんですけれども、地図の縮尺は約五万分の一です。

 そもそも、津波をかぶって被害を受けたところで、こんな地図をもらったって何にもわからないんですよ。実際に現場で使うに当たっては、こんなものは間尺に合わない。衛星が撮影した画像というのは細かい部分まで映っているんですよ。最前線の現場で苦労しておられる消防の皆さんとか警察庁の皆さんとか、救援活動をするには、少なくとも、例えば千分の一とか五百分の一程度の地図でなければ役に立たないんです。しかも、被災地は道路も何にもないわけですから、とにかくこの衛星画像というのが重要なんです。

 どこかの国やらの、ほかの情報を出せと言っているんじゃないんですよ。これだけの原発災害の起こっているところについて、だって、放射線を浴びながら消防活動をやっているんですよ。そういう人たちに、衛星写真でないとわからない映像を出して、ちゃんと提供して働けるようにするとともに、学者や研究者の皆さんにも、この間言いましたように、研究者番号を言っていただいたらその人には公開するとかして、いろいろな知恵を結集するということをやらなかったら、情報収集衛星なんというようなものは八千億円余りの全くのがらくたにすぎませんよ。

 こんなことをやっておったらだめなんじゃないですか。もう一度伺います。

枝野国務大臣 本当に外交、防衛、安全保障上の観点から、具体的な能力あるいは具体的な運用についてお答えすることができない、こういう性格のものであるというふうに私も思っております。

 したがいまして、具体的にどう使ったのか使わなかったのか云々についてはお答えできませんが、ただ、この間、私からは、こうした事態でありますので、外交、防衛、安全保障上の観点からという配慮は必要最小限のところにとどめて、使えるものについては最大限使うようにという趣旨のことは指示をいたしておりまして、その指示に基づいて、使えるものについては最大限使わせていただいているというふうに思っております。

吉井委員 まあ、どこかの国の独裁者か何かのしりを追っかけるぐらいに八千何百億円は使うんだけれども、これだけたくさんの国民がこれだけ大地震、津波で苦しんで、その上、まだ放射能汚染の見えない恐怖におびえているときに、その画像すら対策に使えないというのは本当に情けない話だと思うんです。

 時事通信社の記事によりますと、JAXAの滝口防災利用システム室長は、被災地の実情は地元の人にしかわからない、自治体の人や研究者が画像を見れば役立つこともあると。東工大の翠川三郎教授、地震工学の教授ですが、衛星軌道などは既に知られている話で、公開のデメリットもあるだろうが、この大震災で全く情報が出ないのは不思議だと。ネット上も、毎日観測できるからこそ情報収集衛星は有用だ、同じ条件で一日二回観測できる環境だからこそ災害復旧には必要なデータがとれるんだということが言われていますよ。

 これを、一九九八年度から二〇〇九年度までの決算トータルに昨年度予算と補正予算、今年度予算を合わせますと、八千二百四十八億円使っているんですよ。これだけの大きな金を使って、情報収集衛星の目的は大規模災害対応なんだけれども、全く活用できていない。こんな予算の無駄遣いは全部ゼロにして、地元の復興予算に回したらどうですか。私は、こういうことこそやるべきだと思うんですが、官房長官の決意を求めて、質問を終わりにしたいと思います。

枝野国務大臣 これはまさに安全保障の観点でございますので、今、私の一存でどこまでどう申し上げていいのか難しいところはあるんですが、先ほど申しましたとおり、安全保障上の観点から、能力や運用実態の具体的なところを公にすることはできないというふうに思っておりますが、そうした配慮は必要最小限にとどめて最大限活用するようにという指示をいたしまして、それに基づいて、利用できるものについては最大限利用するようにという姿勢で対応をいたしておりますので、全く利用していないという状況ではないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 また、御指摘の趣旨は非常に理解をいたしますので、現状の対応が外交、安全保障上の観点で本当に必要最小限の配慮であるのかどうか、それは改めて確認をしてみたいと思います。

吉井委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この無駄遣いは、こういうものこそ事業仕分けをして、今回の被災地の復興支援に使うべきだと重ねて申し上げて、質問を終わります。

荒井委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、きょうは枝野官房長官に来ていただきました。東日本大震災の中で、本当に大変な大災害、未曾有の大災害の中で、また情報が錯綜する中で冷静に丁寧に対応されていたと思いますし、震災直後はまさに不眠不休で対応されていたんだと思います。私は、本当にこの時期に枝野さんが官房長官でよかったなと思いますし、そのことに敬意を表したいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、枝野官房長官には、原発対応と、あと各省をまたがる案件についてお伺いをしたいと思うんです。

 きのう、原発事故の評価が5から7に引き上げられました。これはかなり以前からいろいろなところから、各方面から、いや、レベル5ということではないんじゃないか、もっと深刻ではないかというのがありました。反面、レベル5なんです、そんな慌てることはないんですということを信じていた国民も多かったと思います。

 いきなり5から7にレベルが上がったということに対してかなり不信感が高まったと思いますけれども、これについて官房長官の御所見をお伺いします。

枝野国務大臣 ちょっと丁寧に説明させていただきますが、今回、レベル7に相当する、それは、原子力発電所から放出された放射性物質の量の推定値に基づくものでございます。

 この推定値のうち原子力安全委員会の推定が高い方の数字ですが、これは、この間累積されているさまざまなデータ、これはその都度公表しております、放射性物質の大気中におけるさまざまなデータあるいは放射線量に基づいて出ている放射線量を推測したものでございます。まさにその推測のもとになっているデータはこの間どんどん積み重なってきているものですし、その都度公表し、また、政府における対応においては、そうしたデータに基づいて、安全性を考慮して、例えば避難などの指示のお願いをしてきたりとかしているものでございます。

 したがって、きのう新たな事態が生じたということではなくて、今まで積み重ねられていたデータに基づいて、正確にはわからない放出量についての一定の確からしい推測が出たということで、レベル7に該当するということになったものでございます。

 この点については繰り返し御説明を申し上げておかなければいけないことだと思っておりますし、また、従来、5だからこれぐらいの対応でいいとか、6だからこれだけの対応でいいとかという意味合いで私ども自身が対応してきたものでは全くございませんので、そうした意味では、結果的に7に当たるんだなということが確認をされたので報告をした、こういう性質のものでございます。

平(将)委員 政府の対応は、都度都度、適切に行ってきているという話だと思いますが、レベル7と聞くと、国内もそうですけれども、海外の人たちが受けとめる印象というのは大きく変わってくると思います。日本の地理にも詳しいわけでもありませんし、細かく子細を調べるわけでもないと思います。チェルノブイリと同等の評価がされたんだということになるんだと思います。

 そういった中で、今、海外のビジネスマンはほとんど東京からいなくなりました。私は大田市場で仲卸を昔やっていたんですが、大田市場でタマネギとかジャガイモの袋詰めをやっている中国のアルバイトの方もいなくなりました。この四月から交換留学生の人たちも来ない、もう見事なぐらい来ないというような状況になっています。

 そこで、海外に日本が適切な情報提供をしているのかというところと、あと、海外に対してやはり信頼を回復しなければいけないと思います。

 そんな中で、私が問題だなと思ったのは、政府と東電のリスクコミュニケーションです。東電が汚染水を海に放出するに当たって韓国への事前通知がなかった、農林水産大臣さえも知らなかった。こういうことがあると、ただでさえレベル7であって、どうも日本政府は情報をちゃんと出しているのかという思いがあって、こういうことを繰り返されるとさらに不信感が増しますので、こういうことはないようにしていただきたいと思います。

 官房長官、コメントを。

枝野国務大臣 今の、水の放出の件のときの状況については全く御指摘のとおりでございまして、東電からの申し出に基づいて、当然のことながら関係省庁との連携をしっかりとり、関係省庁の一つである外務省が関係諸国との連携をとりということが当然されてしかるべきでございましたが、若干その点のところについての確認等が十分になされないまま公表が先行、あるいは放出が先行してしまったと受け取られる側面があったことは、大変遺憾に思っておりますし、今後そうしたことのないように指示を徹底しているところでございます。

平(将)委員 ぜひ、こういう非常時だからこそリスクコミュニケーションのところはしっかりやっていただきたいと思います。

 あわせて、不安に思っている一番の原因は、例えば、原発はさまざまな問題を抱えているんだと思いますが、この対応をした後に、うまくいくとこういくとか、うまくいかない場合はこう対応するとか、その先の展開が見えない、国民の側から見て。また、東電側にすれば、工程表、これからこうやって、ああやって、ああしますと。それは、確かに不測の事態もありますから、期間は延びたり縮んだりするんだろうと思いますけれども、その展開が見えない、そこに私は一番の不安の原因があるんだと思います。

 我々自民党も関係者を呼んで話をしますと、東京電力は全く保守的なことしか言わないですよね。最後にこれは間違いなくできるなということは言うんだけれども、その先の可能性のことは全く言わない。だから、ここはやはりその展開を見せるということ、それは多少の変更も当然あってもいいですから、その展開を見せることが大事だと思いますけれども、官房長官、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 特に周辺住民の皆さん初めとして、関係者の皆さんは、この先どうなるのかということに物すごい御心配と御関心があるというふうに思っております。一方で、余り実際にそうはならない可能性の高い見通しを無責任に申し上げることも問題だというふうに思っております。

 しかし、今御指摘いただいたように、一定の幅を持った中でこういうふうに向かって進んでいるんだという見通しは必要だというふうに思っておりまして、今、特に封じ込めとか冷却に向けての直接の当事者は東京電力でありますので、東京電力に指示をしてというのが形式的にはなりますが、東京電力と政府と連携をしまして、できるだけ早い時期に、それも月単位とかではなくて、できるだけ早い時期に一定の見通しをお示しできるようにという作業を今急いでやらせているところでございます。

平(将)委員 東電に任せておくとなかなか出てこないと思います。また、東電の発表した工程表は、東電の思惑と言ったらおかしいけれども、こういうふうにしたいという流れになってくると思います。

 ただ、そうはいかないときもあるわけですよね。そのときにはこういう手を打つとか、そういうときにはどういう状況が生まれるという予見可能性みたいなものを、国民も物すごく今情報を集めていますから、そういうものをぜひ責任を持ってやっていただきたいと思いますし、きょう新聞を読んでいたら、総理がそういう見通しを月内に出すという話もありましたので、しっかりやっていただきたいと思います。

 次に、各省庁にまたがる案件についてお伺いをしたいんです。

 実は、農産物の風評被害についてちょっと私は対応していたんですが、特に、被災をされた県で風評被害があって、野菜が値段がつかない、流通に乗らないという出来事がありました。

 私、農水省に問い合わせをして、産地のどこを、どういう頻度で、どういうやり方で放射性物質がついているのかついていないのかを検査するのかということと、それを農水省がしっかり共有して、問題のあるものはまだしも、問題のないものは問題がないんだということを農水省がしっかりと言って、それを市場、量販店、消費者に流通させるようにすべきだという話をしました。少なくとも、農水省のホームページにはその時点では鳥インフルエンザが一番上に来ていたわけですから、そうではない、放射能の検査結果を農水省のホームページに載せろと言いました。

 そうしたら農水省は何と言ったか。厚生労働省が責任を持ってやっていますから、厚生労働省のホームページに載っていますと。それはそれで載せていいから、農水省にも載せろと言ったんですよ。そうしたら、できませんと言ったんです、できませんと。頭にきて、藤末参議院議員と園田衆議院議員に、あんたたちの言う政治主導は何だ、こんなのかと言ったら、何とその翌々日にバナーができたんですよ、農水省に。

 ここで私が懸念するのは、役所はそれぞれ専門知識を持っているんだけれども、それは民主党の議員が言うとすぐできるのかもしれないけれども、役所が積極的に対応しようとか、役所が積極的にこうやったらいいんじゃないですかという提案が上がっていないんじゃないかと思うんですね。その辺、いかがですか。

枝野国務大臣 今御指摘いただいた点はまさに残念な話でありまして、当然、隣の省のものをバナーを張りたいなんという話はちょっと上のレベルに上げていただければすぐに、一分で解決する話だというふうに思うんですが、そうしたことが上がってきていないことは大変残念に思っております。

 全部を一概に申し上げることはなかなかできなくて、この間、官僚の皆さん、行政各部のそれぞれの部局の皆さんがこういう事態を踏まえて大変積極的にさまざまな提起を上げていただいて、その結果として対応が前に進んだということも少なからずあったと思っておりますが、こういった場合には、まさにうまくいかないことがいかに小さくなるかということが重要でございますので、せっかくの御指摘でございますので、改めて関係各省というか全省庁に、さまざまな提案、初めからだめだと思わないで、できる余地がないかということで、上に上げるなり政務に相談するなりということを積極的に行うように改めて指示を出したいと思います。

 御指摘ありがとうございます。

平(将)委員 農産物は、私ももともと議員になる前は流通をやっていましたので、大事なのは、各当事者がどこがボトルネックであるかということを共有することが大事なんです。市場の人間に聞けば市場の人間の理屈があって、あそこがだめだからだめなんだと。量販店に聞けば量販店の理屈があって、あそこがだめだと。消費者に言えば消費者で、だってそもそも置いていないじゃないかという話になるんですね。

 これは前から言っているんですが、役所サイド、厚労省、農水省と都道府県、さらには出荷の関係者、市場の関係者、量販店、消費者、これが一つのテーブルで、どこにボトルネックがあるのかと。残念ながら放射線が検出されたものは別として、そうじゃないものはそのテーブルで共有をして積極的に売っていく、そこで突破をするというのが大事だと思います。これは税金はかかりません。やろうと思えばできます。風評対策協議会、評議会みたいなものを、小さなところでいいと思うんです、そんな大々的な組織じゃなくてもいいと思いますが、そういうものをぜひつくっていただければと思います。

 官房長官、もう質問はありませんので、よろしかったらどうぞ退席してください。

 それでは、お待たせしました、蓮舫大臣にお伺いをします。

 蓮舫大臣、この間、節電啓蒙担当大臣になられました。そもそもこれは何をする役職なのか、教えてください。

蓮舫国務大臣 今回の地震によりまして、東京電力管内、東北電力管内が電気供給量が平時に比べて絶対的に足りなくなった、国民の皆様方にやはり相当節電をしていただかなければいけない事態、そうでなければ、いつ、どこで、どのような大規模な停電があるかわからないという非常事態でありましたので、総理から拝命をしまして、国民の皆様方に節電を初めとした呼びかけ等の啓発活動と、それに関連した経済産業大臣への支援というのが任務と思っております。

平(将)委員 これは蓮舫大臣かどうかわかりませんが、この間、計画停電で、緊急時にこれをやらなければいけないといったときに、ほかのオプションみたいなものを示して、これをやったらこうなります、逆に、これをやらない場合はこういうリスクがあるけれどもこういうやり方がありますと、幾つかのオプションの中で政治判断をしないと、言われるがままにやりますねということだと思うんです。

 今回、私なんかが聞いている話だと、需給調整契約とか緊急時調整契約などもあり、それで事前にぱしゃっと切れるのがどれだけあるかとか、そういう検討もなくやったのかどうか。そもそも、ほかのオプションなく、東電に言われてばたばたと計画停電をやったのかどうか。それは蓮舫大臣でも、経済産業省、田嶋大臣政務官が来られていますので、どちらでも。

田嶋大臣政務官 平委員に御答弁申し上げます。

 今おっしゃっていただきました需給調整契約でございますが、これはもちろん検討をいたしました。

 事実関係は、電力需給が逼迫をし、そして需給調整契約を活用して大口の電力需要家の電力消費を削減する、もちろんそういうことは可能でございます。

 今回、地震発生後に、東電は、この活用それから一般的な節電要請ということでやろう、乗り切ろうとしたわけでございますが、しかしながら、供給側の落ち込みが二千万キロワットでございまして、需要側を削減してもまだ一千万キロワットのギャップがございました。そして、それに対して、需給調整契約において抑制できた部分というのはわずかに三十万キロワットでございます。

 いずれにいたしましても、この大幅な供給力の低下に対する中で、需給調整契約の活用というのはそれだけでは有効な対策とはならずに、やむを得ない緊急措置として計画停電を実施したということでございます。

 以上です。

平(将)委員 この点については、我々もいろいろ意見がありますので、引き続きやらせていただきたいと思います。

 事業仕分けについてお伺いします。

 今、こういう大震災の中で非常時だと思いますが、今後、事業仕分けはどういうスケジュールになっているか、教えてください。

蓮舫国務大臣 これまで事業仕分けを行ってきて、そして、その評価結果に基づいて各省庁には予算対応等をしていただいております。また、独立行政法人、政府系公益法人あるいは特別会計におきましても、事業仕分けの評価を踏まえて各省において適切な改革の努力を行っていただいておりますが、今回の三月十一日の震災を受けまして、今まで進めてきた行政改革の部分は、震災への対策を優先していただくことによって一たんとめている。そして、いつごろ再開していくのかは、適時適切に各省と話し合いをしながら、その結果を踏まえて行っていきたいと考えています。

平(将)委員 これは蓮舫大臣に何回も申し上げていますが、日程化をする、年間スケジュールに事業仕分けをビルトインするのが大事だと思います。ビルトインしないと、民主党政権がかわっちゃうとなくなってしまう可能性があるので、ビルトインをしていただきたいと思います。

 さらには、先ほど共産党の吉井さんからも指摘がありましたけれども、やはりこれから財源をつくっていかなきゃいけないわけですよ。そういった中で、事業仕分けのような手法で、これは不要不急だということを判定して財源を生み出していくというのは大事だと思います。

 関連でお尋ねを申し上げますが、各省庁の行政事業レビューというのがありました。これは各省庁が自主的にやりました。こつこつ小さいのを積み上げて結構な額になったと思いますが、これはスケジュール化というか、機能としてビルトインはされているんですか。

蓮舫国務大臣 去年の四月に、行政事業レビュー、国丸ごと仕分けと呼んでいるんですが、試行的に行わせていただきました。その結果として、一兆円を超える削減というのが各省みずからの努力によって実現することができました。事業自体を効率化する、あるいは結果として財源を生み出す手法としては、まさに平委員おっしゃるように、ビルトインとして最適だと私は今でも確信をしております。

 本来、ことしの四月からこの事業レビューは実現化、本格化しようとしておりましたが、こちらも、震災を受けまして、事務事業が、事業シートをつくっていただいたり、あるいは決算と合わせていただいたりするものもありますので、まずは震災対応を優先していただく。ただ、五月、六月と時期を見まして、ある程度落ちついてくるのか、あるいはそうではないのかという状況も冷静に見させていただきながら、これは私は行っていきたいと考えております。

平(将)委員 今後、政権がかわっても事業仕分けをやるべきだと私は思っています。それは、やはり予算というのは肥大化するし、既得権益化しますから、どの政党でも。

 そういった中で、例えば政府でできないときは、議会を活用した事業仕分けもあると私は思っています。そのときに、蓮舫大臣よく御承知だと思いますが、事業シートが大事なんですよ。事業シートがあるかないかで、すぐできるかできないか。ですから、各省の行政事業レビューはぜひ閣議決定していただいて、時期を見て、これはやるんだと。各省庁が常にそれを頭の中に入れて自分たちの事業をやるようにしていただきたいと思います。

 それでは、この間の第三弾の特会仕分けについてちょっとお伺いをします。

 地震が起きました。地震再保険特別会計というのがあります。これは今回の地震においてもかなり有効に機能をすると思います。現在の積立金のレベルでも、この保険のスキームで二兆三千億円ぐらいが支払い可能になっていますねということだと思います。今後、首都直下型地震とか東南海・南海地震などが予想される中で、広くこれは国民が活用すべきものだと思いますが、この間の特別会計仕分けでは、「特別会計の廃止(国以外の主体への移管)の検討」ということになっています。

 中身を見ると、僕もこれを読んでよくわからないんだけれども、国の関与はするんだけれども、何か廃止みたいになっていて、しかも政府保証だと。政府保証よりは、私は、これを積み立てておいた方が機能としてすぐれていると思うんですが、とりあえず蓮舫大臣のもとで廃止の検討ということになりましたけれども、これについて、今コメントがあれば教えてください。

蓮舫国務大臣 これも考え方があると思うんですけれども、さまざまな議論をさせていただきました。

 もともと、この地震再保険特別会計、民間のみでは巨大地震が起きたその補償においては対応ができないので、国家が関与した形で対応していくという前提は据え置いたままで、いかに効率的に運営をしていくかという議論が行われました。

 取りまとめにおいては、保険契約者への安心、これを損なわないことが大前提です。それ以外で、国以外の主体へ移管をすることが、国が政府保証をすることで関与することを条件に可能かどうなのか、それをまず制度設計として考えていただく。それによって特別会計の廃止が可能かどうかもあわせて早急に検討していただくと結論づけたものであって、廃止が前提に再設計というものにはなっていない。

 平議員御指摘のように、積み立て方式で特別会計を立てているんですが、本来、その推計では、関東大震災並みの地震が起きた場合には五兆五千億円積み立てなければいけない。これは、民間だけで大体ざっくり一兆、国においては一・二、三兆ですけれども、既にそこでもう二兆ぐらい足りないんですね。だから、この積み立て方式というやり方が本当に機能をしていくのかも含めて、幅広く議論は行われました。

平(将)委員 足りないんですよ。でも、足りないからといって政府保証にすれば、いざ震災が起きたら、どこかから金を持ってこなきゃいけないという話になるんです。

 しかも、この仕組みがあれば、今後、みんなの意識が高まりましたから、今地震保険に入っていない人も、では入ろうと。これは、国がキャンペーンとしてやるべきだと思います。入れば入るほどリスク分散になり、入れば入るほど特別会計の財務内容がよくなりますから。

 これは、行政刷新会議本体がその組み立てを検討となっているんですね。しっかりとやっていただいて、私は、この際ですから早く検討して、このスキームでいくならいくということを出して広げるという措置が必要だと思っています。御検討をいただきたいと思います。

 あわせて、エネルギー対策特別会計の電源開発促進勘定ですね。こちらは、原子力施設等防災対策等委託費、その中の環境放射能水準調査等委託費や防災訓練実施調査費などを含めて、一〇%から二〇%、全体として予算の圧縮を図るということになっています。

 いろいろな議論がありますからわかりますが、このような件に関しては、ただただ減らすではなくて中身の精査が大事だと思いますので、指摘だけして終わっておきたいと思います、ちょっと時間になりましたので。

 では、蓮舫大臣ももう結構です。

 済みません、玄葉大臣、いつもお待たせして失礼しました。

 復興財源についてお伺いしたいんですが、今お話ししたとおり、やはり、今あるところから削って持ってくるというのが物すごく大事なことだと思います。今、復興財源についていろいろな議論がありますが、復興財源についての基本的な考え方と、あと、事業仕分けに対する評価がもしあればお聞かせください。

玄葉国務大臣 今、平委員がおっしゃいましたけれども、まさに事態はいまだ進行中でありますが、これだけの事態が起きたわけでありますから、我々は、まずは歳出の見直しということについて柔軟性を持って対応していかなければならないというのが基本原則だと思っております。

 したがって、事業仕分けも大事だし、また今回も、具体的に第一次補正予算案の編成に当たって、例えば、私たちが提案をしていた子ども手当の上積み分の見直しであるとか高速道路の無料化社会実験の一時凍結であるとか、あるいはマニフェスト関連以外でも、先ほど話が一部出ておりましたが、エネ特などからも歳出見直しによって財源を捻出するとか、そういった提案を自民党など野党の皆さんにもお示ししているところでございまして、まずは、若干話は飛躍しますが、第一次補正予算案についてスピーディーな対応をぜひ自民党さんにもお願い申し上げたいというふうに思います。

平(将)委員 財源論はいろいろな議論がありますが、まずは、不要とまでは言いませんが、不急のものは棚上げをするということが大事なんだと思います。

 エネルギー特会は、もう電力政策を抜本的に変えなきゃいけないと思うので、これは歳入歳出、全面的見直しだと思います。自民党の中ではまだ少数意見ですけれども、そういうことだと思います。

 あわせて、不要不急のものなんですが、どうしても政局絡みになるんだけれども、事業仕分けは自民党でもやっているんです。ちょうど去年の今ごろ、事業仕分けをやりました。ほぼ同じような手法で、同じように仕分け人を入れてやった結果が、子ども手当は廃止、高速道路無料化実験も廃止、戸別所得補償制度も廃止です。これは事業仕分けでそういう結果が出ています。

 それで、答えは、目標達成指標がなかったり、高速道路については、何をもって成功として、次のフェーズにどうやって、どういう条件を満たしたら行くのかというのが国交省の担当の役人ですらわかっていないというようなこともありました。戸別補償についても、明確な数値目標、政策目標がないということで廃止になりましたので、一応お知らせをしておきます。

 あと、財源論ですね。増税か日銀引き受けかという話になっていますけれども、そうじゃない、ど真ん中に王道がいっぱいありますので、これはまた別の機会に議論させていただきたいと思います。

 それでは、中野大臣、ここが実はメーンだったんですけれども、一、二分しかないので、もう問題提起だけして終わりたいと思います。

 この間、予算委員会でやりました。現役の官僚、府省庁のあっせんはだめです、OBはセーフです、OBならいいです、政務三役はルール上はセーフなんだけれども、それを認めちゃいけないと言ったんですね。その後、私が、五代続けて同じ役所から行っているじゃないか、もしくは事務次官も含めて典型的な天下りポストに行っているじゃないか、総理、これでいいんですかと言ったら、菅総理は、それじゃいけないと言ったんです。それじゃいけないと。早急に検討するということになりました。

 それで、その後どうなったかということと、だからといって、多分、今言った、民主党が野党時代に言っていたことを今のルールで実現はできないでしょう、正直言って。これはまた議論しますけれども。ですから、その辺のところをまたしっかり時間をとってやりたいと思いますが、総理が早急に検討すると予算委員会の場でおっしゃいましたので、その後の経過だけお答えください。

中野国務大臣 この四月五日に、新しく進めてまいります、公務員制度改革推進本部で全体像を決定いたしました。今それに基づいて法案化作業を進めておりますが、それらの過程の中で、それらにつきましても厳しく対応するようなシステムにしていきたいというふうに思っております。

 現在行われております現行の国家公務員法の再就職あっせん規制というのは、平成十九年に自公政権下で決められました法律に基づいてやっておりますが、これは歴代政権が、現在の与野党を問わず、それぞれ公務員制度については前向きにいろいろな形で切磋琢磨して、それをより一層毅然としたものにしていこうという努力の積み重ねのプロセスの中に今あると思いますので、先生方の御指摘も踏まえて、より一層それを発展させていきたいというふうに思っております。

平(将)委員 では、時間が来ましたのでまたやりますけれども、多分全然だめだと思いますので、準備しておいてください。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 最初に、福島第一原発の件について、幾つか技術的なこと、そして政策的なことを伺っていきたいと思います。

 昨日、レベル5からレベル7に引き上げたということでありますが、まず、このことについての事実関係も含めた確認をさせていただきたいと思います。

 原子力保安院は三十七万テラベクレルだろうというふうに推測をされておられまして、原子力安全委員会は六十三万テラベクレルだろうというふうに推測をしています。数字が大きな値で、倍近く違っているということについて、普通の、全く原子力の専門家でない人からすると、かなりそこに不安を覚えるのではないかなというふうに思います。

 まず、そもそも原子力保安院がこの三十七万テラベクレルという数字を得た経緯というか事実を確認させていただきたいと思います。

 もともとの数値は東京電力が現場ではかっています、それを原子力安全基盤機構というところが解析をして、原子力保安院は解析結果に対して判こを押している、お墨つきを与えているということで、原子力保安院として、何かそこに、付加価値というとあれですが、チェックをするということが名目になっていますが、実態的に何か作業をされているかどうか、その点について伺いたいと思います。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力安全・保安院といたしましては、東京電力の方から原子力発電所のプラントのデータについて入手をし、それについて、原子力安全基盤機構の方で、具体的に、そのデータをもとに、原子炉の中でどのような形で事象が進展をしていったのかということを解析しております。そして、そういった解析結果を保安院の方として入手をいたしまして、その解析結果が具体的な事象の進展あるいは東京電力がとった措置との関係において妥当であるのかどうかということを検証した上で、先ほどおっしゃられましたその数字についての妥当性というのを確認してございます。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

浅尾委員 これは現在の事象についての話ですけれども、内閣委員会ということで、行政のあり方ということも考えますと、では、原子力保安院がどういう役割を果たしているのかなと。要するに、原子力安全基盤機構が数値を出しているのであれば、もう一つ屋上にいる意味というのがどういうところにあるのかなということについてお答えいただけますか。

中村政府参考人 お答えを申し上げます。

 原子力安全基盤機構の本来的な役割としては、原子力安全・保安院の技術的な支援組織でございます。そういった意味で、現場の方から、事業者の方から得られた生のデータにつきまして、具体的にそのデータを用いまして、炉の進展状況でありますとか、それを用いて、将来的に事象がどういうふうに進展をしていくのかということを解析いたします。

 そういった解析結果の妥当性について、我々としては、事業者からのデータ、その他、行政上行ってきた、いろいろな組織との関係で、その妥当性というのを確認している、そこに保安院としての役割があるというふうに思っております。

浅尾委員 この機構のあり方については、また別途やります。

 次に、原子力安全委員会は六十三万テラベクレルという数字になっています。これは、要するに独自にデータを集めている。つまりは、原子力保安院の方は、原子力安全基盤機構が東京電力から生の数値をもらってそれを解析した、原子力安全委員会の方は、独自に空気中その他にある放射性物質を解析して六十三万ベクレルという数値を得たという理解でよろしいかどうか、端的にお答えください。

久木田参考人 御指摘のとおり、原子力安全委員会におきましては、文部科学省において取りまとめられました地上におけるモニタリングデータを用いまして、御指摘の数字を取りまとめたということでございます。

浅尾委員 これは、まずは科学技術の専門家に伺った方がいいのかもしれませんが、後で官房長官にも伺います。

 テラというと片仮名ですけれども、京という数字なんですね。兆の上の京という数字で、その京という単位において倍近く違っているということが、普通の素人からすると、どっちの数字が正しいんだろうということになるわけです。

 まず、これは、科学技術的なことについて、両方可能性があるというお答えになるのかもしれませんが、どういうふうにわかりやすく国民に対してその違いを説明されるつもりですか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの方の試算に当たりましては、原子炉の状態の解析結果というところから、大気への放出物質の総排出量を推計いたしました。一方で、安全委員会の方につきましては、先ほど委員長代理の方からお答えなさったとおりでございます。

 両試算につきましては、当然のことながら、根拠それから条件というものが異なっておりますので、おっしゃいましたような形で想定放出量に倍近くの差異があるということは事実でございますけれども、やはり、今現在におきまして、発電所からの直接的なデータというものも限られていることも考え合わせますと、オーダーとして同程度ということであれば、ある程度やむを得ない範囲なのかなというふうには思っております。

 いずれにしましても、これから計測計のデータ等も出されてくるかと思いますので、そういったものを用いまして、より精度の高い評価につなげていきたいというふうに思っております。

浅尾委員 官房長官に伺う前に、もう一点、事実関係を聞いておきたいと思います。

 この三十七万とか六十三万という数字は、何もきのうとかおとといに出てきたわけではなくて、少し前にはわかっていたということだと思いますが、それをきのうの段階で保安院として発表した理由は、どういう理由ですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 この総排出量の試算につきましては、相当程度のデータが蓄積された段階でできるというふうに思ってございます。原子力安全委員会と原子力安全・保安院でございますけれども、これまでに蓄積されたデータというものをそれぞれの手法で、現段階で一応の試算値が出せるようになったということでございます。

 また、二つの異なった指標によります試算結果を照らし合わせることによりましてクロスチェックをするということも必要でございましたので、そういった意味合いにおきまして、現時点で総放出量の試算というのが公表できたということでございます。

浅尾委員 事実関係はそういうことだと思いますが、多分、二つ、一般の国民あるいは海外からも不安に思われることがあるんだと思います。

 一つは、レベル5と言っていたのがレベル7だったと。要するに、悪かったのが少し下がるというのであれば印象としていいのですが、少し低い数字が上がるということは、かなりこれはいろいろな意味で、ひょっとしたら実態とかけ離れて、さらに悪い印象を与えることになるかというふうに思います。

 それから、先ほども申し上げましたように、三十七万と六十三万という、そもそもその数字がそれぞれ、推測ですけれども、倍近く離れているということについて、きのうの発表になったけれども、国民あるいは外国に対しても、大丈夫なんだという何かそういうメッセージを官房長官に発していただけると日本としてもいいんじゃないかと思いますので、何か発言をいただけますか。

枝野国務大臣 お尋ねありがとうございます。

 何度か申し上げておりますが、大変大事なポイントだというふうに思います。

 原子力安全委員会については大気中の放射性物質や放射線量に基づいて、そして原子力安全・保安院については、なかなか直接的データは少ない中でありますが、原子炉の状況に基づいて、それぞれ試算をしていただいたものでございますが、それらのもとになっているデータはこの間公開をし、またそれらのデータに基づいて、原子炉に対する対応、周辺住民の皆さんに対する対応を判断してきているところでございます。

 したがいまして、推算をした結果こういう数字になるもとになっているデータに基づいて対応してきておりますので、今回の放出量の推定結果にかかわらず、従来の対応がこのことによって変わるものではないという性質のものであります。

 そして、まさに原子炉から直接出た量を測定できないという状況の中で、できるだけ早く、しかもきちっとした推算をして、出す以上は、思ったよりも少なくてよかったねならいいんですけれども、万が一、出した数字よりも実際は高かったというようなことはできるだけ避けなければならないという中で、しっかりとした積算、推算をして、そしてそれに基づいて対応するということで、それについては、正確に言いますと、おとといの夕方、私のところに、こういうことでほぼ確からしいということで出てきたんだということで報告がございまして、さらに精査をした上で、昨日の午前中に公表したというものでございます。

 なお、両者の数字が違っていることについては、今申しましたとおり、ある意味、積算の推測のやり方が全く逆方向からのアプローチでございますが、それについて、十万単位ということでは一致をしているということで、ずれていることについて一般の皆さんからは御心配等もあろうかというふうに思いますが、逆に、こうした数字の違いそのものも含めて、出てきたものについてはしっかりと公表するということで、透明性を確保するべく全力を挙げているということで、長い目で見たら御理解いただけるのではないかというふうに思っております。

浅尾委員 一点だけ、最後に事務方に伺います。

 六十三万という高い方の数字は外部で集積されたものからの推測、低い方は原子炉の状態からの推測ということなんですが、外部で積算されたものの方が高いということは、そもそも原子炉の状態が本当に見ているとおりなのかどうかという疑問を生じさせると思うんですが、持っておられる情報で原子炉の状態は間違いないということは言えるわけですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの数字につきましては、原子力発電所の一号機から三号機までについての状況をもとに算出してございます。一号機から三号機までにおけます事故の進展状況というのを具体的に解析いたしまして、そしてまた対応措置というのを考慮した上で積み上げてございますので、そういった意味におきまして、原子炉の状況については、その得られるデータの範囲の中で把握をしたものでございます。

浅尾委員 聞いても同じなので。

 国民に安心していただくためには、原子炉の状態は推測値が違うけれども大丈夫だというようなことをできれば説明していただいた方がよかったんじゃないかなというふうに思います。そのことを指摘だけさせていただきます。

 それで、原子力安全委員会の担当大臣は松本大臣でございます。今政府の方で、この震災を踏まえて大臣の数をふやすという議論もありますけれども、では、原子力安全委員会担当の松本大臣として、今具体的にどういうことを原子力安全委員会に関してやっておられるかだけ伺いたいと思います。

松本(龍)国務大臣 三月十一日の地震、津波発生以来、原子力の事故があって大変厳しい状況の中で、原子力安全委員会は五名の常勤の委員がおられます。また、緊急事態応急対策調査委員という方が十数名おられますけれども、専門委員あるいは外部の協力者等々を含めて、収束ができないような状況の中で、しっかり日本国じゅうの知見を集めるようにという指示をいたしたところであります。

浅尾委員 では、次の質問に移らせていただきます。

 自主避難というのがございました。二十キロ―三十キロの間の方は屋内退避あるいは自主避難ということになっておりましたけれども、これを今度、計画的避難区域と緊急時避難準備地域に定めたというふうに発表がありましたが、この発表そのものは、原子力災害対策本部が原子力安全委員会の助言を踏まえてそういう発表をしたという理解でよろしいですか。

枝野国務大臣 御指摘のとおりでございます。

浅尾委員 ですから、今、四段階、何にも避難しなくていいところも含めると五種類の地域があるということになりますが、そういう理解でよろしいですか。

枝野国務大臣 今まさに、従来の指示から移行期間中でございますので、その部分をどう数えるかでございますが、新しい指示に基づけば、避難をしていただく避難地域、それから、緊急時に避難をしていただくための準備をした上で一定の方々が生活していくことは大丈夫ですという二十キロから三十キロの大部分の地域、そして、計画的に避難をしていただきたいという地域、そして、それ以外の地域と、四つになろうかと思います。

浅尾委員 五つと言ったのは、二十キロから三十キロの中でも、計画的避難区域にもならず緊急時避難準備地域にもなっていないところがあって、そこは引き続き屋内退避だという理解ですけれども、そういう理解でよろしいですか。

枝野国務大臣 ここは、実は、今回は、かなり放射線量の測定のモニターなどもいろいろな地域でできるようになってきておりますし、必要に応じて緊急にやるということもできるような体制になっておりまして、今、地元の自治体等とも御相談をして、その放射線量を前提にしながらも、市の、地区のある部分だけが二十キロ―三十キロに入っている部分、幾つかのところについては、緊急時の避難準備区域でなく、一般の、普通の地域にしてしまっても大丈夫かどうか、最終的な詰めをしている、こういうことです。

浅尾委員 なぜこういうことをいろいろと聞いているかというと、まず、自主避難地域には、一時期、物資がなかなか入らないという問題もありました。あるいは、屋内退避だと言われて、では、どっちなんだということで、かなり住民の皆さんが混乱をされたということもありましたので、そうすると、今度は、その二十キロ―三十キロの間で、全く大丈夫ですよというところもできる可能性があるという理解でよろしいですか。

枝野国務大臣 その可能性、できるだけ、安全性さえ確保されれば、全く普通にしていただいて結構ですという地域にできた方が望ましいとは思っておりますので、最後の安全性の詰め、これは、最終的には地理的条件とかいろいろなこともありますので、地元とも御相談をしながら詰めをさせていただいているということです。

浅尾委員 そこから次の質問に移ってまいります。

 きょうは池口副大臣にもお越しいただいておりますけれども、まず、自主避難であったところになかなか物資が入らなかった。物資が入らないところについて、きのう、国土交通省からのレクでは、三十キロ地点に物資を置いてそこから自衛隊に運んでもらっているというような話もありました。

 あるいは、これは後ほど片山大臣にも伺いますけれども、地元の自治体の首長さんが地元の運送会社に頼んで、志願をしてもらって乗り合いタクシーのようなものを動かしていたというような話でございましたけれども、よくよく法律を読んでみますと、例えば、道路運送法という法律を読むと、八十四条に、輸送命令というのが出せるというふうになっております。

 それを読み上げますと、「国土交通大臣は、当該運送が災害の救助その他公共の福祉を維持するため必要であり、かつ、当該運送を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、一般旅客自動車運送事業者又は貨物自動車運送事業法による一般貨物自動車運送事業者に対し、運送すべき旅客若しくは貨物、運送すべき区間、これに使用する自動車及び運送条件を指定して運送を命じ、又は旅客若しくは貨物の運送の順序を定めて、これによるべきことを命ずることができる。」ということが書いてあって、その二項に、「前項の規定による命令で次条の規定による損失の補償を伴うものは、これによって必要となる補償金の総額が国会の議決を経た予算の金額を超えない範囲内でこれをしなければならない。」ということが書いてあります。

 政府の方で、自主避難とか、あるいは今度の計画的避難で、もしバスでそういった地域の住民の皆さんに移動していただくのであれば、この輸送命令を出した方がいいだろうと私自身は思うんです。

 なぜかというと、二項に損害の補償というのが入っていまして、事業者からすると、政府の命令によって人あるいは物を中に入れる、中の方を避難させるということで、短期的にそこの地域に入ったところで実態的にはどうということはありませんが、この輸送命令が出れば、実際に運転される運転手の皆さんも、万が一のときには損失の補てん、健康被害が出たというようなこともそこで見えると思います。

 逆に言えば、政治の責任において事業者にそういうことを依頼したということが読み取れるわけでありますから、今の計画的避難地域の方を出す、あるいは緊急時避難準備地域に物を入れるなどの事業者にはそうした輸送命令を出したらどうかなというふうに思いますが、その点について、まずは、所管の池口副大臣に伺いたいと思います。

池口副大臣 私の方から、道路運送法による搬送命令を出すことについてのみお答えをしたいというふうに思っております。

 この中身については、委員が説明していただきました。運送を行う者がない場合もしくは著しく不足する場合には命令することができるということになっております。

 その上で、現状はどうなっているかということで、確かに、委員が御指摘のように、以前は、三十キロのところまでは民間が行くけれども、三十キロから二十キロのときは自衛隊が運ぶという事例がありました。ただ、福島県知事等からもいろいろ要請をいただきながら、民間の人にお話をして、今はそれは大分改善をされております。

 具体例を言いますと、南相馬市内でのコンビニ業者の配送についても、荷主の手配により一部のトラック業者において対応をしております。さらには、支援物資の輸送についても、地元の業者が対応をしております。そして、避難輸送についても、民間バス事業者も従事をしております。

 ということで、改善がされているという状況を踏まえて、我々としては、現時点では搬送命令を発する状況にあるというふうには考えておりませんが、状況が変わった場合には、また別途、それなりの検討はさせていただきたいというふうに思っております。

浅尾委員 事実関係の説明は池口副大臣のとおりかもしれませんが、形として、県の知事さん、あるいは市長さんが民間の事業者にお願いをする、依頼をするという形よりも、法律がありますから、その法律に基づいてやっていただく、その結果の責任は国がとりますという方がより安心度が高いのではないかなというふうに思いますし、より責任の所在が明らかになるんじゃないかなと思います。

 その点について、官房長官は、法令解釈もされるということでしょうし、内閣の官房長官ですから、むしろ政策論、政治論として、今の、輸送命令を出して、命令と言うとちょっと仰々しいんですが、責任の所在を明らかにして運んでいただくということについてどう考えられるか、伺いたいと思います。

枝野国務大臣 お伺いをしておりまして、一つの考え方だなと思いながら伺っておりました。

 ただ、ここまでの間は、特に原子力、放射能ということでもございますので、関係者の皆さんも安全性について大変強い関心をお持ちでございました。そうした中であるだけに、しっかりと御説明をして、御理解をいただいて、そして、危険がそんなに大きいものではないんだという御納得をいただいて対応していただくことの方が望ましいという思いで、命令等については、国土交通省に対しても具体的な指示などは出してきておりませんでした。

 逆に、かなりいろいろなことを御認識いただいて、特に計画的避難区域などに一時的に入ることについては心配ないんだということが関係者の皆さんにも共有がされれば、今おっしゃられたように、いずれにしても、何かあったときには国が責任を持つという前提でやってきておりますが、そのことの裏づけとして考慮をする余地はあるのかなというふうに思っております。

 いずれにしろ、関係者と相談をさせていただきたいと思います。

浅尾委員 片山大臣に来ていただいておりますのは、大規模な災害、大規模でなくてもそうかもしれませんが、災害のときに実際に陣頭指揮を現場でとられるのは市長さんであり知事さんということになると思いますが、この道路運送法によりますと、その輸送命令が出せるのは大臣ということになっています。

 これは、将来的な課題として、その命令を出す権限というか、その法律を、災害時に市長や知事にその権限を委任できる仕組みをつくった方が、場合によっては、今回のケースでいうと相馬の市長さんがタクシー会社に頼んで乗り合いバス的なタクシーをつくったということでありますけれども、結局、どうも私が聞いている話によると、大きな会社よりもどっちかというと小さな会社の方がそういう場合に協力をしやすいということのようですけれども、会社の大小関係なく協力ができる、あるいは協力するときに責任の所在がはっきりするという意味で、ここの国土交通大臣はそういうことを命ずることができるというところ、地方分権という観点から、災害時においては地方のそれぞれの自治体のトップにその権限を委任するということについてどのように考えられるかということを伺いたいと思います。

片山国務大臣 私も県の知事をやっておりました経験からいいますと、緊急時にそういう法的な権限が明確に備わっているというのは一つのやり方だろうと思います。ただ、これも経験から言いますと、突発的なときに急に権限を行使するというのは、日本の社会ではなかなかうまくいかないのではないかと思います。

 今回のケースでいいますと、陸運行政について自治体がどういうかかわりをしているかということと関係が深いと思いますので、この権限移譲の問題を論ずる場合には、むしろ平時の陸運行政について、そのあり方をあわせて検討する必要があるだろうと思います。

浅尾委員 多分、私もそうだと思います。もっと言うと、例えば、どこにバス停を置くのかといったようなことも含めて、一番わかっているのは市長さんであり知事さんですから、平時からある程度、権限を持っている、その信頼関係の上で、いざというときの責任は市長あるいは知事がとる、あるいは行政としてとるという観点で輸送命令が出せるように変えた方がいいのではないかなというふうに思います。

 そろそろ時間ですので、ぜひ内閣として、平時それから災害時あわせて、そうした緊急時にも機能するような形で、実態に即したような形で権限を移譲することを検討いただけないかと思いますが、その点について、どちらかお答えいただきたい。

片山国務大臣 私、地域主権改革担当大臣としまして、こういうことも含めて、現在、国に属しております権限を自治体に委任をする、ないし移譲する、そういう作業をやっておりますので、その中の一つの項目に取り上げたいと思います。

浅尾委員 終わります。

荒井委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 質問の機会、時間をいただきましたので、特に災害対応について質問をさせていただきたいと思います。

 官房長官を初め、それぞれの大臣には、日ごろ災害対応に大変お疲れさまでございます。そのことを踏まえて、私は基本的なことを少し再確認させていただいて、もし今修正がきくんだったら修正をしておいた方がいいんじゃないかなと思うこと数点について少しお聞かせをいただきたいなと思うんです。

 この災害から一カ月が過ぎて、見えてきたところと、実は見えそうで見えてこないところがあるんだと思うんです。ふだんから官邸が機能として有していたところの中で、内閣の危機管理室、中央防災会議等について、この災害の中でどのように活用されているのか、また活用をされていないのかについて、官房長官からあらかじめお聞かせをいただきたいと思います。

枝野国務大臣 まず、危機管理室、危機管理センターでございますが、地震発生直後に官邸対策室を設置しまして、危機管理監を先頭に関係省庁の局長クラスで構成される緊急参集チームを招集いたしております。そこには松本防災大臣や私なども適宜加わりまして、この間、あえて言えば一カ月余り、もちろん途中で交代をしたりとか休憩をしたりとかありますけれども、ずっと動かしております。

 ここの局長クラスによるチームのもとには、百人以上の関係省庁の連絡員というものが常時詰めておりまして、初期の段階では二百人近いメンバーが詰めて、各省庁と、あるいは例えば警察や消防などについては各自治体との連絡、情報の収集整理等を含めて行いまして、また、そこを通じて指示を出すということでやってきております。

 途中で例えば生活者支援本部等がつくられましたのは、緊急物資の輸送などについてのオペレーションが、その危機管理センターで、危機管理監のもとでやっているだけでは到底間に合わないような大量の量になりまして、緊急対応というよりは、少しそうした一つのオペレーションとしてのまとまりができましたので、これはそこから出して生活支援特別本部という形にして、関係省庁の連携のもとに、そういう緊急物資を現地へ送るなどのオペレーションを切り離したということでございます。

 もう一つ、中央防災会議についてのお話もございましたが、中央防災会議は、基本的には防災計画の作成等の審議を行うとされております。また、緊急時におきましても、非常災害に際し、緊急措置に関する計画を作成し、及びその実施を推進することという会議体でございますが、著しく異常かつ激甚な非常災害の場合には、緊急災害対策本部を設置するとなって、今回の場合は、その本部が直ちに設置をされまして、総理を本部長のもとで、実際に直ちに具体的なオペレーションに入ったケースでございますので、中央防災会議の規定で予定をしておる緊急措置に関する計画を作成し、それを実施することという役割を通り越して、その上の段階にいきなり入ってしまっているということで、中央防災会議は開催しておりません。

 むしろ、今回の災害対応についての検証と、それを踏まえての防災体制の見直し等について、中央防災会議においてしっかりとした対応を協議して、それを推進していっていただくということが、役割上、これから重要になっていくというふうに思っております。

長島(忠)委員 そこで、私は、先ほど同僚の平委員からも御指摘がありましたけれども、災害のときにはやはりスピード感だと思うんですね。判断を誤らないことも大事ですが、スピードを持ってやらなければいけないときに、今お聞かせをいただくと、せっかくここで局長クラスを含めて関係省庁の連絡会議ができている。だから、一つの問題が出てきたときに、また省庁をたらい回しにするのではなくて、そこできちんと答えを出して責任をとれる体制が望ましいと思うんですが、私も、連絡をした時点では少しまだそこのところが機能していないかなという気がするんです。先ほどの同僚の平議員の指摘も多分そのことだと思うんですね。

 それと、中央防災会議については、その先を通り越したというふうに今お聞かせをいただきましたけれども、私は、実は、中央防災会議が提言をしていただいて、それを具現化して国民のために使っていくのが政府の一義的な仕事だと思うんですね。だから、開催をする、しないではなくて、やはり、一カ月過ぎた時点で、中央防災会議の指摘事項についてきちんとできているか、できていないかも含めて、開催をして提言を受けるのも私は大事なことだと思うんですが、その辺について少し考え方を聞かせてください。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、今回の対応、ここまでの対応についても、いろいろな検証はいろいろな段階で必要だと思います。原子力については一種現在進行形的な側面もありますが、そうだとしても、ある段階で、抜本的な防災体制の見直しということの前に、今御指摘いただいたようなことはあってしかるべきじゃないかと思いますので、今の御提言を含めて検討してみたいと思います。

 それから、各省庁の連携についてでございますが、率直に申し上げます。危機管理センターでの、緊急参集チームというんですが、そこのチームの関係省庁の担当者の皆さんは相当頑張っていただいたというふうに思っております。ただ、阪神・淡路などと比べても、また議員が大変御苦労された新潟の地震などと比べても、規模、範囲等が非常に大きくて、そこだけでは省庁間の連携がとり切れないぐらいの大量の仕事といいますか調整事項があって、その結果として、ある部分を切り離して生活者支援特別本部をつくったことを申し上げました。

 そうした意味では、膨大な量の省庁間調整が必要なことに対して、今の危機管理センターの体制については、今後しっかりと検証して、見直しが必要であるならば見直しをしなければいけないというふうには思っております。

長島(忠)委員 後で総務大臣と議論をしようと思っていたんですが、政府における省庁の連絡会議、あとは現場における省庁の連絡会議というのをやはりリンクさせないといけないと思っていますから、そこのところも踏まえて、私は後でそのことは総務大臣に少しお聞きをしたりお聞かせをいただきたいと思っていたので、ぜひそこのところは、スピード感を持つために、危機管理室というものを使って省庁間の連携をよくしていただくことがやはり大切なことなんです。

 被災地は、多分、縦割りの行政ではもうもたなくなってしまっていると思うんです。政府はきちんと専門分野があるから、縦割りの部分を残して、それで災害対応に当たるということだと思うんですが、私は、ある意味、そこの垣根を越えた部門、総合的に判断できるところが絶対に必要だと思っていますので、ぜひそこのところをお受けとめいただきたいと思うんです。

 それで、一点、先ほども議論になったんですが、計画的避難区域と緊急時避難準備区域という文書を、きのうですか、いただきました。原則論かもわかりません。これを見たときに、先ほどは原子力安全委員会の提言を受けて災害対策本部がこれを決断したというふうにお聞きをしましたが、この文書、これはどこが出しているのか全くわからないんですよ。こういう姿勢が、政府の責任問題が希薄じゃないかというふうに受け取られるんだと思うんです。これはだれが責任を持つ文書ですか。

枝野国務大臣 方針について固まった段階で、特に地元の皆さんに御説明をするべくつくった文書で、責任主体としては原子力災害対策本部ということになると思います。

長島(忠)委員 原子力災害対策本部だったら原子力災害対策本部と明記をしないと、自治体であろうが被災者であろうが、これがどこから出てきた文書かわからないじゃないですか。そういう姿勢だと私は思うんですね。

 それで、避難指示ということについてお聞かせを願いたいと思います。

 自然災害において、避難指示区域の設定なり発令は市町村長がいたします。ですから、避難指示をした時点で市町村長がきちんとその地域に対して責任を持つ、最後まで責任を持つという役割を担うわけです。

 ところが、原子力災害についてこういう文書が出たときに、この計画的避難区域についてのすべての責任はだれが果たすことになりますか。

枝野国務大臣 避難をされているそれぞれの住民の皆さんとの関係については、全域避難を既にしていただいているところについても、地元の首長さんあるいは役場の皆さんに大変御苦労をしていただいて、頑張っていただいております。

 ただ、全体としての責任については、原子力災害でございますので、一義的には東電でありますが、実質的には、政府としてしっかり責任を持ってやっている、あるいはやっていくということだというふうに認識しております。

長島(忠)委員 そこで、お聞かせをいただきたいんですが、この文書が出てマスコミ発表をする以前に、飯舘村の住民なり村長なりにきちんとこのことは説明をして、理解を得て、計画的避難区域という発表をされましたか。

枝野国務大臣 関係自治体の皆さんには、こういう方針について前日には御説明を申し上げて、御理解のお願いをいたしました。

 できれば、もうちょっと地元の皆さんとの御相談に十分時間をかけて発表したいと思っておりましたが、残念ながら、報道等で部分的に不正確なものが報道されておりまして、また、それを見た関係住民の皆さんが動揺されているというふうな情報もございまして、それを受けて発表することになった。

 発表することについても、あらかじめ、こういう事態なのでやむを得ないので発表いたしますが、詳細、詰めなきゃならないことについてはしっかりと御相談をさせていただきたいということを含めて御連絡させていただいております。

長島(忠)委員 その時点で、なぜ避難をするのか、避難の必要性、それから、その原因は何なのか、そして、その原因の責任はだれがとるのかということをきちんと自治体に説明をされましたか。

枝野国務大臣 今の点も当然含まれると思っておりますが、こういった形で避難をお願いしたい、ついては、これはこれこれこういう理由であってというようなことを含めて首長さんには前日のうちに御連絡をさせていただいて、それも、一方的な御連絡ではなくて、直接会ってお話をさせていただいて、十分な時間もとらせていただいております。

 ただ、本来であれば、首長さんなどが地元の住民の皆さんなどに御説明をしたり御報告をしたり、さらに、地域ごとのさまざまな事情がございます、人間は計画的避難だけれども当該地域にいる家畜はどうするんだとか。そういった細かい、具体的な詰めの御相談を前日からしていたところでございます。

 そういった意味では、最低限のことはあらかじめ首長さんにはお伝えすることができましたが、先ほど申しましたとおり、できれば、もうちょっとの時間、首長さん等とのそうした調整や御相談、あるいは御理解をいただく時間をとりたいと思っておりましたが、残念ながら、不正確なことを含めて報道がなされて、それによる住民の皆さんの動揺ということについても対応せざるを得ないということの中で、昨日発表させていただいた、こういう経緯でございます。

 さらに引き続いて、首長さん初め関係住民の皆さんに対しては丁寧な説明をしてまいりたいということの指示はその時点から出しているところでございます。

長島(忠)委員 しつこいようで悪いんですけれども、自治体に前日話をされても、多分自治体は、計画的避難区域ということ、突然出てきた言葉ですよ、私も初めて聞きましたから。このことを住民に周知させて、今官房長官が言われたとおり、家畜はどうするのか、人はどうするのか、学校はどうするのかも含めてやはりきちんと対策をしなかったら、市町村長は住民に説明できないんですよ。そのことを唐突に前の日、市町村長に電話したのか文書を送ったのかわからないけれども、それでわかってくれというのは、政府はちょっと傲慢じゃないですか。

 一番困るのは被災者ですよ、住民ですよ。その住民を守る市町村長が住民と信頼関係をなくしたら、被災地を守ることなんかできないんですよ。だから、さっき言ったように、文書に名前が何にもないのを一つ送ってこれでやれというのは、ちょっと無理な話だと思いますよ。

 だから、対策本部が発令をしたということですから、このすべての責任をだれがとるのかだけ明確にしてもらえませんか。

枝野国務大臣 文書を送ったりとか電話ではなくて、現地対策本部長に今時点はなっていると思いますが、経産省の松下副大臣、それから福山副長官に直接現地に出向いていただきまして、現地の首長さんと、少ない方でも一時間以上の時間、お目にかかって御説明を申し上げてということでございます。

 今御指摘いただいたとおり、当該首長の皆さんにとっては、住民の皆さんに説明をするに当たってさまざまな心配事が多々あるということも、あらかじめといいますか、それぞれ、放射線量が高い等の情報がございましたので、いろいろなことを御心配されて、政府に対しても、関連する地域の首長さんやあるいは県などからも御心配事項については御報告をいただいてきておりまして、それらの対応についても、ある部分については、こういったことを想定しているというようなことも御相談の中でお話をさせていただいてきたところではございます。

 ただ、今申しましたとおり、ここはなかなか難しいところで、現地の皆さんに御説明申し上げれば、当然、現地においてしかるべく関係者の皆さんで御相談をされたり御連絡をしたりということがございますし、また、こういう時期でございますので、関係する政府の者が現地に行けば、マスコミの皆さんもどういうことなのだということでいろいろ取材をされまして、中途半端な形の段階で報道がされてしまい、それでも黙っているという選択があったかもしれませんが、不正確なことが広まっての動揺よりは、こういう方針でやろうと思っていますということをきちっと御報告申し上げた方が逆に動揺は少ないのではないかという判断をいたしました。

 まだ実は政府としての指示は出しておりません。原子力災害対策本部として最終的に計画的避難区域の指定等の決定を、もう少し地域の皆さんとの調整を詰めた上で出させていただくということでございまして、今、その方針、方向性をお示ししているということでございます。

 最終的には、原子力災害対策本部としての決定としてしっかりと対応してまいりたいと思っております。

長島(忠)委員 しつこいようで済みません。私が村長だったら、ちょっと今の説明だと住民を説得する自信がないので、もう一回聞かせてください。

 だれが避難指示をするんですか。避難をする原因は何ですか。責任はだれがとってくれるんですか。避難をする方向は、どこに行ったらいいんですか。そのことを聞かないと、多分、説明に行かれた方はその説明をされて村長さんに話しているはずでしょうから、そのことを聞かせてください。

枝野国務大臣 本来、御説明申し上げる所管は経済産業省だというふうに思っておりますが、私も政府の官房長官という立場から、詳細については本来経済産業省から申し上げるところでございますが、私の把握している限りでお答えを申し上げます。

 まず、特に今回の計画的避難区域については、これまでの避難指示等について、そして従来予定されていた原子力発電所事故に対する避難の対応については、爆発等によって短い時間で大量の放射性物質あるいは放射線等が周辺に出るということを想定してつくられておりました。訓練等もそうしたことを想定してされていたものと思います。

 ところが、今回は、それによって出た放射性物質、あるいは、その後も長期間にわたって、少なくとも一カ月にわたって放射性物質が、量は大変少なくなったとはいっても出続けているという状況を踏まえて、沃素のように八日が半減期のものはまだ相対的にはいいわけですけれども、セシウムなどは半減期が年単位でございますので、年単位で、降った放射性物質から放射線が出て、当該地域には高い放射線量が観測されるということが想定をされる。

 そういたしますと、一日、二日そういった地域にいて受ける放射線量については問題なくても、半年、一年とそういった地域にお暮らしになれば、結果的に一年間で受ける放射線量というのは高くなる。そして、それについてのデータがさまざまな形で蓄積をされてまいりました。

 その結果として、同心円とは全く違って、恐らく、これは専門家にお答えいただくべきところかもしれませんが、高い濃度の放射性物質が出た時期の天候、風向きの結果として、二十キロとか三十キロとかという同心円とは関係ない形で、具体的に言うと北西方向あるいは北北西方向の谷合い部を通ってそうした部分にたくさんおりている。したがって、そうした地域については、一日、二日とか一週間、二週間という単位では問題ありませんが、そこに半年、一年とおられた場合、一番悪いケースですと二十ミリシーベルトを超える年間での被曝を受ける可能性があるということがわかったということでございます。

 したがいまして、もちろん、今後、放射線の量は日々モニタリングしてまいりますので、思ったよりも低くて大丈夫だということになればいいんですが、現時点では、一年間で二十ミリシーベルトを超える可能性があって、そして、国際的な関連機関の指標によっても、二十から百ミリシーベルトの間にとどめるべきであるという勧告がございましたので、その二十ミリシーベルトを超える可能性が出てきているということであるので、したがって、健康の安全を確保するために当該地域から出ていただくことをお願いせざるを得ないということで、それがお願いをする理由でございます。

 そして、どういった地域に出ていただくのかということについては、まさに地元の皆さんの地域の事情と要望に基づいて、政府としてしっかりと責任を持ち、対応もする。

 今、飯舘村が一番注目されておりますが、隣の川俣町は町の一部の地域がこの対象になっております。これについては、ぜひ同じ町の中に避難をしたいという強い御要望がありまして、同じ町の中に仮設住宅等を建てることができないか、建てる方向で調整を進めているところでございます。

 それから、先ほど申しましたが、このあたりは畜産業の盛んなところでございまして、牛等についても、一たんその地域から人間と同様に牛も出すのか、それとも、牛の世話等に部分的に入ることについては、安全性の観点から大丈夫だし、畜産業を営むという観点からも大丈夫であるならば、そういったことのオペレーションができないか。

 まさに、きめ細かく今地元の皆さんと調整をさせていただいて、できるだけ生活に影響を与えないようなやり方での避難をしていただくべく、これについては、繰り返しになりますが、一日とか一週間とかということで健康に被害が出るレベルに達するとかという問題ではありませんので、そういったことはきめ細かく対応させていただいている。そのことについて、これはまさに政府として決定をして、政府としてお願いをするわけでありますので、政府として責任を持って対応していくということでございます。

長島(忠)委員 専門的なことはいいんです。私は、この避難指示をだれが決定して、だれが発令をして、だれが責任をとるのかということを聞いたんです。

 政府がとるということでいいんですね。どこが。災害対策本部なの。

枝野国務大臣 政府として、具体的には原子力災害対策本部として指示をお願いするのであって、それについては、原子力災害対策本部、これは総理大臣が本部長で全閣僚がメンバーでございますので、内閣としてお願いをし、内閣としてしっかりと責任を持って対応してまいります。

長島(忠)委員 組織図からいくと、原子力対策本部は総理が本部長ですから、大震災対策本部の菅総理ということですから、対策本部長じゃない立場で、総理大臣が責任をとるとおっしゃった方がいいんじゃないですか。

 それと、避難指示は本来市町村が出すべきところを、そういう形で国が出して国が責任をとるというんだったら、より当該市町村ときちんとした連携と協議をしない限り、安易に避難指示を出してもらったら、私が村長だったら怒りますよ。そんな、前の日に来て、だれが来たかわからぬけれども、ここはこうなったから出てください、計画的に出てください。村長だったら怒りますよ。そのことをどう思いますか。

枝野国務大臣 繰り返しになるかもしれませんが、事故の直後の周辺地域、これはもう時間単位で出ていただかなければならないということで、地元との調整等もとる時間もなく、とにかく急いで出てくださいということでお願いいたしました。しかし、今回は時間をかけて出ていただくということが可能でありますので、あらかじめ地元の皆さんと御相談をし、そして、具体的なやり方についても、地元の皆さんの御要望を踏まえてできるだけ柔軟な対応をしようということで、その御相談を始めたところでございます。

 なお、現時点でこの指示はまだ出しておりません。そうしたことについての調整が整った上で指示を出すということでございます。

 ただ、この御相談を始めたということは、当然、御相談を始めたこと自体が外に報道を通して出ておりますので、我々の立場は報道に対してうそをつくわけにもいきませんので、それについてはしっかりと認めてというか、きちっと公表をさせていただいたということでございまして、具体的な避難の仕方等については、まさに今地元の皆さんと御相談をさせていただきながら、そして、できるだけ地元の事情に適した形で調整、御相談が済んだ上で指示を出すという段取りを踏んでいるところでございます。

長島(忠)委員 私は、総理が責任を持つということをきちんとおっしゃっていただいたというふうに受けとめます。

 その上で、地元市町村の立場を考えてあげなかったら、災害対応なんかできませんよ。国が飯舘村とその近隣の市町村のすべてのこれからの行政事務をつかさどるんだったらいいでしょう。だって、市町村長が信頼をなくして、何にもわからないうちに指示や対応策を発表されて、市町村長は住民対応なんかできませんよ。総務大臣、どう思いますか。

片山国務大臣 長島議員のおっしゃったとおりでありまして、率直に申し上げまして、最初のころは、今官房長官からも答弁がありましたように、なかなかじっくりとした相談ができないような事情がありましたので、これはやむを得なかったと思います。

 私も、例えば庁舎の移転を余儀なくされた八カ町村の町村長さんなどのお話を伺いますと、今おっしゃったことと全く同じことを伺いまして、政府内では、ぜひ、現場の市町村長さんを戸惑わせることのないように、窮地に陥らせることのないように、あらかじめ時間的な余裕を持って情報を伝達して、その上でしかるべき手続を進めていただくようにということを申し上げてきました。

 したがって、今回の計画的避難も、先ほどるる官房長官から説明がありましたように、一月の余裕を置いて、報道には出さざるを得ないような事情がありましたけれども、地元の皆さんに相談をいただいたり、考えていただいたりする期間を持って接していただいたので、私は、初期のころに比べますと、随分政府の対応は変わったと評価しているところであります。

長島(忠)委員 では、私は、今いろいろな意味で議論をして、このことだけをやっておると一時間過ぎてしまうので、官房長官と総務大臣に要望をします。

 さっき、政府では関係省庁の連絡会議をつくったと言うから、本当は全被災地につくってほしいんだけれども、ここで、政府が仕切って避難指示を発令しようという市町村に対して、関係省庁の連絡会議をつくってくっつけてくださいよ。そこでサポートをして市町村長が機能するようにしてくださいよ。原子力のことも、農林、牛や馬の避難のことも、厚生労働省が生活のことも避難先のことも、そこで一義的にやれるように各市町村に関係省庁連絡会議をつくってつけてやってください。要望です。どうですか、考え方は。

枝野国務大臣 大変適切かつ重要な御指摘だというふうに思っております。これまでも県庁には現地対策本部があったんですが、必ずしも市町村との連携のところで十分に御期待に沿えていない部分があったというふうに思っておりますので。

 特に今回は、時間をかけて計画的避難をしていただく地域については、今御指摘いただいたように、幾つかの省庁に関連する問題がありますので、それについてしっかりと地元の皆さんの窓口になり、なおかつ、その対応について政府の窓口としての責任を持てる人間がだれなのかということも明示をさせて、お話し合い、相談をさせていただくことは重要だと思いますし、今の段階で具体的な期間のめどを申し上げられませんが、少なくとも、避難していただくのが半月とか一カ月というレベルでない可能性が高いわけでございますので、今後、継続的にしっかりと国としての責任を果たしていく必要もございますので、そうしたことを含めて、国の側の責任を持って対応する体制、ある程度はつくっておるんですが、今の御指摘も踏まえて、さらにより強化をするべく至急対応したいと思います。

 御指摘ありがとうございます。

長島(忠)委員 ぜひ前向きに、市町村をバックアップということは市町村民をバックアップすることになりますから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 少し議論を進めさせていただいて、総務大臣に、今回被災した市町村の中で、行政機能を失った市町村が随分あるわけですね。そのことについて、行政機能をバックアップする体制について、随分、市町村職員を派遣しろとかいう議論はあったと思うんですけれども、現状としてどんなふうに対応されているか、ちょっと聞かせていただけませんか。

片山国務大臣 今回の災害の大きな特徴の一つは市町村の機能が壊滅的な被害を受けたということで、実は災害対策基本法の基本的な仕組みというのが、市町村が中心になって救助や避難されている皆さんの生活支援を行うという仕組みになっているものですから、ここのところがなかなか機能しづらいということがあります。

 そこで、まず私は、十三日に岩手県、宮城県に伺いまして、知事さんにお会いをして、今のようなお話を申し上げました。市町村がやるべきことがやれないので、ぜひそこは県が相当部分を代替していただきたい、それを国としてバックアップしますということを申し上げました。

 その後、例えば町長さんがお亡くなりになっているとか、役場の幹部職員が数十人単位で命を落とされているとか、いろいろなことがありまして、それに応じて県の方からもしかるべき人材を派遣していただくとか、それにあわせて全国の都道府県、市町村から人を応援する。国家公務員はもちろん応援していますけれども、一番ふさわしいのはやはり同種の仕事をされている経験豊富な市町村の職員ですから、そこで、知事会それから特に全国市長会、全国町村会と連携をとりまして、人材の派遣ネットワークシステムをつくっていただきました。これがかなりワークをしております。

 今後は、少しじっくりと、腰を落ちつけて、いろいろな専門分野の仕事を担当していただく職員が欲しいという要望がありまして、今、被災市町村から要望をとりますと、七百名弱ぐらいのそれぞれ専門的な職員の派遣要請が来ておりまして、これを全国市長会、町村会のネットワークの中でいわゆるマッチングをしているんですけれども、実は、六百七十人ぐらいの求人に対して全国の市町村からは二千人を上回るレスポンスがありまして、順次これを、市町村の受け入れ体制が整うに応じて送ることにしております。

 そのほか、これから技術的な助言とかいろいろなことが出てまいりますので、総務省が中心になりまして、県と相談をしながら全面的なバックアップをしていきたいと準備をしているところであります。

長島(忠)委員 私も、当時、他自治体から職員を派遣していただいて随分助かりました。

 それで、明確に今メッセージとして伝わっているのかどうかという心配点があるんです。派遣をしていただいた職員に対する費用は自治体できちんと負担をするけれども、特別交付税なりできちんと担保してくれるんだということが当該自治体にどうも伝わっていなくてちょっとちゅうちょしている部分があるんじゃないかなと思うんですね。だから、そこのところはきちんと伝えてあげた方がいいんじゃないかなというふうに思うので、総務大臣として、きちんとその辺は伝えていただきたい。

 それと、被災をした自治体の職員がやはり非常に激務になっていると思うんです。被災を受けた自治体の職員の健康、労働環境対策というのも非常に大きな課題になってくるんだと思うんです。その辺を踏まえて、多分派遣要請はぎりぎりの線で来ると思うので、そこのところは勘案をして、ぜひ、きちんと特別交付税で面倒を見るんだから、十人必要なところは二十人やるから、必要でなかったらまた返してくれればいいみたいな指導をしてもらわないと、ぎりぎりの線でしか多分要請は来ないと思うので、その辺、考え方を聞かせてください。

片山国務大臣 応援をする自治体が気持ちよくといいますか、快く応援をしていただける体制づくりが必要でありますので、財政支援はちゃんと政府としてやっていきたいと思います。

 現に、実は既にもう四月の八日に特別交付税を配分しておりまして、これは、従来、年末、年度末の特別交付税を、交付税法の改正によりまして随時交付できることにしていただいた成果でありますけれども、七百数十億円の特別交付税を今回の災害に対応する形で交付しました。

 そのうちの六十億円弱は、実は、被災はしていないけれども応援をしている自治体の方に対する配分でありまして、これはもちろん、これだけに限らず、これから集計をしまして、精査をしまして、必要額はすべて見るということにしておりまして、特別交付税が足らなくなりますから、一千億を上回る額の特別交付税の増額補正も今回の一次補正に盛り込んでいただきたいということで、今財政当局と折衝しております。そういうメッセージは既に市長会や知事会を通じて伝えておりますけれども、念のため、改めてまた周知をしたいと思います。

 それからもう一つは、被災した市町村に派遣をされた職員の健康の問題とか労働条件の問題とかもありまして、これも実は気になっているところであります。

 といいますのは、リーダーのもとに集団で行った場合はいいんです。例えば消防なんかはそういう仕組みをとっているんですけれども、保健師とか税に詳しい人とか、専門の職員がぽつんと行った場合には、懸念、危惧されるところもあります。そこは、厚生労働省の発出した文書などを、念のため、総務省の公務員部からも、応援をする自治体にいわば注意喚起の意味で流したりしておりますけれども、これも改めて、応援する自治体、派遣された職員の労働条件とか健康管理とか、そういうものによく注意をしていただくようにお願いしたいと思います。

 本当は、願わくは、私は、被災されたそれぞれの自治体、特に、大きな被害を受けた自治体に県の方から一人しかるべき人を出していただいて、もう出していただいたところもあるんですけれども、外部から応援をしに来た職員の皆さんたちの管理といいますか、ちょっと言葉は悪いですけれども、差配をするような人をぜひ置いていただきたいと思うんです。

 というのは、逆の面もありまして、いろいろ職員が派遣されたところに行くんですけれども、何をやっていいかわからないので手持ちぶさたになっているというような声も聞こえてまいりまして、せっかく行った職員が本当に必要なところに適切につくようにしていただくように、地元の実情に詳しい県の方を置いて、そのもとで、過重な労働にならないように、宝の持ち腐れにならないようにするとか、そういうあんばいをしていただくように、これも改めてお願いをしたいと考えております。

長島(忠)委員 議論をしている時間が余りないので、少し確認をしたいんですが、多分、方向として、国がきちんと制度や予算や人を手配してくれる、県はその仲立ちをしながら、県でも考えていく。市町村は、何よりも、自分たちの市町村がどう立ち直っていくかというメッセージを発信できるようにしてあげることが一番だと思うんです。

 私、自分で宣伝するわけじゃないんですけれども、当時の復興計画の私のメッセージは「帰ろう山古志へ」なんです。隣の長岡市、今全国市長会の会長のところは「前より前へ」なんです。そういったメッセージを市長なり村長が発信することによって、遠くから来てくれる職員も、そのことに参加をして地域をよみがえらせるという使命感と達成感を持ってやってくれる。

 そういう職員の派遣の仕方、職員の住民に対する向き合い方をぜひ総務省が指導していってあげないと、ただ仕事をしているだけで、達成感や使命感のない仕事になったのでは地域にとっても救われないことになると思うので、ぜひそんなことを心がけていただきたいなと思うんです。

 聞きたいことが山ほどあるんですが、何かコメントがあったら。

片山国務大臣 今のことは非常に重要だと思います。

 実は、今回、私が見て非常に印象深いのは、自治体の中には、少なからぬ自治体はかなり使命感を持って、出す方も出されております。例えば、私の関係の深い鳥取県では、南部町というところがありまして、ここは病院を持っているんですけれども、鳥取で地震があったときに被災をしまして、助けてもらった宮古市に女性の医師などを派遣する。その女性の医師からの報告を見ますと、おっしゃったような非常に高い使命感、モラールを持ってやっております。大阪市が全面的に釜石市をバックアップするとか、最近では名古屋市が陸前高田市に相当規模の人数を送り出すとか、それぞれがある種の使命感を持って対応しようとしておられますので、これは非常にありがたいことだと私は思います。

 もちろん、それですべてが網羅されるわけではありませんので、それ以外のところを市長会のネットワークなどを通じて、総務省も連携しながら必要な人数を送る、援助をするということをしたいと思いますが、その中で、今おっしゃったような、現場の市町村長さん方の再建といいますか地域の復興に向けたメッセージが、できるだけ派遣先とか派遣元とか、それから多くの他の市町村にも伝わるような工夫をちょっと考えてみたいと思います。

長島(忠)委員 ぜひそうやってくださっても、多分、職員の中には、私らのときもそうでした、被災者に向き合うわけですから、普通の人に向き合うわけじゃないですから、つらいものを背負ってしまう人がかなり出てきます。そのときの対応も必要だということをあえて申し上げておきます。被災地ですから思いどおりのことができるわけじゃない、そのことだけはお受けとめをいただきたいと思う。

 きょうは国家公安委員長も来ていただいているので、お聞かせをいただきたいことが二、三あるんですが、後で避難所のことについては岡本政務官にお聞きをしたいと思うんです。

 避難指示を市町村長が出します、その地域は空っぽになります。先ほどのあれでは、今回、原子力のことについて、国がこれから調整をして、場合によっては避難指示を出していくということでありましたけれども、空っぽになったところの地域の保全は一義的にどうやっていくべきだというふうにお考えでしょうか。

中野国務大臣 警察としては、それらの避難指示が出されたところにつきましては、警察として、当然、任務として治安を守っていく、その任務を背負っているというふうに考えておりますので、警察の力の限りを尽くしてパトロールを初め検問等を努力してやっていく、そういう認識は持っているところであります。

 それからもう一つ、今、岩手、宮城、福島、合わせて八千名の警察官、それにあわせて連日三千名の応援部隊を全国から動員しているわけでありますが、その中に、特に後半は、いわゆるパトカーによるパトロール、そして、作業服というのではなくて、むしろ本来の警察の制服を着て、住民の皆さんに安心していただける、または、それこそよこしまな心を持つ人には牽制効果ということも含めて、今パトロールもさせていただいているところでございます。

 あわせまして、特に福島の原発から二十キロメートル圏内、これは避難指示が出されているところでございますので、防護服を着てパトロールをするというようなことにつきましても、いろいろな努力をしているところであります。特に、福島県警によるパトロール、警戒は、各地からの特派部隊、特別機動捜査隊を全国からこれまた動員をいたしまして、そういうパトロールなどもさせているところでございます。

長島(忠)委員 実は、この議論は余り見えたところでしたくないと思っていたんです。余りするといろいろなことが起きるでしょうからと思っていたんです。

 ただし、被災者にとって、自分がふるさとにいられなくなった、空っぽにしてしまった、場合によっては遠距離に避難をするというときに、やはり一番心配なのは自宅だったり自宅周辺のことだと思うんですね。そこをどう守ってくれるかという姿勢が、やはり住民に安心して避難をしていただけるかというところにかかわってくるんだと思うんです。

 だから、例えば、避難をしたら、一時帰宅みたいな議論もあるようですけれども、その中に入れる人たちを限定してしまって、その人たちに市町村がステッカー交付をする、その人しか検問から入れないというような形をとってやったらどうかなというふうに思うんです。それは警察にとっては大変大きな負担がかかると思いますよ、入り口を検問しろということですから。でも、それが、これから例えば長期避難に備えたときに結構安心につながることだし、場合によっては、警察だけではなくて、地元雇用をして、そこに立ってもらうガードマンとして一緒にいてもらうことも考えて、ステッカーのある車、地元の車とそこに仕事に行く車以外は通さないみたいな対策をとったらどうかなという思いはあるんですが、どんなものですか。

中野国務大臣 貴重な御提言だと思いますので、検討させていただきたいと思います。

 既にやっておりますのは、いわゆる避難地域への出入り口になります主要な道路の二十キロのところには、それぞれパトカーまたは警察の車両を置いて、そして当番制で二十四時間検問をし、出入りをチェックするようにいたしております。また、それ以外にも、中に入るときには防護服を着てパトロールをするというようなことなどもやっております。

 また、警備をより一層充実させるために、例えば、雇用の問題と兼ね合わせて先生おっしゃっている意味もあると思いますが、警備会社などについてはむしろサポートをしていく。また、厚労省とも連携をしながらその雇用関係については充実させていただくというようなことなどもやっていただく。また、警察として必要な認可その他のことにつきましては、委託事業などとして市町村と相談をしながらそれを充実させていくというようなことも考えております。

西村政府参考人 ちょっと補足させていただきます。

 先ほど、大臣が検問につきまして二十四時間体制ということを御答弁申し上げましたけれども、これはちょっと、時間はいろいろな警察活動に支障がありますので申し上げにくいのでありますが、基本的には二十四時間体制ではございません。検問はしっかりやっておりますが、二十四時間体制ではないということだけ訂正させていただきます。

長島(忠)委員 そのことは余り深く追及しませんが、一つだけ約束してほしいことがあるんです。避難所に、安心してください、我々が守りますからというメッセージを発信できるような体制だけはとってほしいということです。

 というのは、中に一人不届き者がいて、それが何かあれしたというと、風評というのはばあっと広がって、夕方には避難所じゅうそういう人だらけだという話になってしまうので、我々がきっちりこういう体制で守ります、場合によっては民間も活用して守りますというメッセージをやはり発信することが被災地を一番守ってくれることなのかなと思いますので、ぜひ。体制とかそういうことについて、深くは追及はいたしません。

 それで、避難所のことなんですが、少し岡本政務官にお聞かせをいただきたいと思うんです。

 もう既に一カ月が過ぎました。仮設住宅が少し完成をしたところもあるようですけれども、七万棟という計画だそうですが、少し再編をされたりするみたいですが、家族単位ではない避難生活をあとどれぐらい被災者は続けたら避難所から出られる見通しなのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

岡本大臣政務官 今、それぞれの避難所で暮らしてみえる皆様方には、いろいろと御不便があることだろうと思います。できるだけ早く仮設住宅、また安心して暮らせる場所の確保というのは図っていかなければならないとは思いますが、現実的に、今、いつまでというその期限を区切るというのは、なかなか難しい状況にあります。

 災害救助法の適用のある市町村の中で、避難をされている皆様方からのニーズにつきましては、我々としてもしっかり把握をしていきたいとは思っておりますけれども、委員からの御質問の、期限を区切ってということは今のところ考えておりません。

長島(忠)委員 官房長官もお聞きをいただいたので、避難所において、その辺がこれから一番問題になってくるんだと思うんです。なぜかというと、目標のわからないところで、どうしていいかわからない人たちはどう行動をとるかわからない状況になってくると思うんです。

 改めて岡本政務官に、仮設住宅の完成は、国土交通省がやるんでしょうが、その目標はいつだからいつまでということは、やはりある時期言わないと、目標が定まらない、定まらないだけでは、避難所で、このまま劣悪な環境の中で、家族というコミュニティーも保てない、地域というコミュニティーも保てない中で、私は限界が四十日から五十日だと思っていたんですが、そのことを踏まえて、やはり、いつまでにやり上げるという目標は定められませんか。

岡本大臣政務官 委員の御質問の御趣旨は本当にごもっともだと思いますし、我々も、この日までにということをお話ができればそれはいいんだと思いますけれども、用地確保の問題が一つありますし、また、さまざまな避難所のニーズの把握等もありまして、全力を尽くしておりますけれども、残念ながら、現時点で、この日という明確な日を申し上げる段階にないということはお許しをいただきたいと思います。

長島(忠)委員 官房長官、いつまでに目標が立ちますか。被災者は、このままこんなことを聞いていたって、どうしていいかわかりませんよ。仮設住宅、まだ全部着工しているわけじゃないでしょう。着工してからだって四十日ぐらいかかりますよ。避難所の人たちにこのまま言えますか、残念ながら用地の確保ができないからまだ目標が立ちませんと。いつまでにやり上げるという覚悟がなかったら絶対にできないと思うんですよ。いつ目標を示せますか。

枝野国務大臣 御指摘のとおり、避難所におられる皆さんにとっては、いつになったら仮設住宅に入れるのかという見通しは切実な思いだというふうに思います。

 今の御議論も踏まえて、少なくとも、見通しをいつ出せるかということについて、これは御指摘のとおり、確かに覚悟の問題だと思いますので、見通しを早く出すことについて指示をしたいというふうに思います。

長島(忠)委員 私は、これから被災者にとって一番大切なことは、その日暮らしではなくて、目標のあるところに置いてやることだと思うんですよ。その日暮らしで人間は生きていけないです。ひとりぼっちとその日暮らしだけは絶対に避けなければいけないことだと思うんです。いつになったらこうなる、いつになったらこうなる、それがたとえ先でも、目標を責任ある立場の人が示してあげることが被災者にとって一番ありがたいことだ、私はそう思うんです。

 だから、例えば、仮設住宅の完成が六カ月後でも九カ月後でもいいじゃないですか。その目標をこの四月に示したんだったら、その間、災害救助法を使って、全国の旅館や公営住宅に仮設住宅ができるまで二次避難をしてくれという方法だってできるわけじゃないですか。そういう形だったら目標を持って少し遠距離でも避難をしていられるし、そういう目標がないから、今自分たちのふるさとから、遺体捜索もあったりして、離れにくいところがあるわけだと思うんです。

 だから、覚悟を持って、いつまでに目標を示す、目標を示した以上は、その間、家族単位に戻しますよということをやはりそろそろ言わないと、その日暮らしでは私はいけないと思うんですが、どうですか。

枝野国務大臣 全く御指摘のとおりだというふうに思っております。

 また私が独断でここで答えるとほかの役所から怒られそうですが、少なくとも一週間ぐらいの間には今の目標についてはしっかりと出すように関係省庁に指示をいたします。

長島(忠)委員 ありがとうございます。力強い御答弁で、御期待を申し上げておきたいと思います。

 そこで、もう一つ目標を示してほしいことが実はあるんです。

 というのは、依然として行方不明者が大勢いらっしゃいます。そして、火葬の見通しの立たない御遺体がまだいっぱいあります。この行方不明者の捜索と火葬の見通しについて、やはりきちんとした手当てが必要なんだと思うんです。

 私の知り合いの東京の火葬場の経営者が手を尽くして、何とか自分のところでだびに付したい、それだけはとうとい命を犠牲にされた方たちの最後の尊厳を守ることになるということで、地元市町村にもかなり呼びかけたんですが、運ぶ方法がない。いろいろな問題で一カ月ほど実現をしませんでしたが、おとといから、実は車で運ぶようになって、きょうは多分、三社、七十二体、東京に運んでだびに付しているはずです。

 そういう業者が車を使うときに緊急車両の指定がなかなかとれないということが実はございます。民間が協力することも、そういう意味では、政府として、死者の尊厳を守るための車両や制度に対してはきちんとした手当てをしてほしいなというふうに思っているんです。

 今、緊急車両の指定はしていないようですが、余震が続いて、通行どめになって、遺体を積んだまま足どめを食らったこともあるんだそうですが、そのことを再考していただいて、そういう車には緊急車両の指定を出していただくわけにはまいりませんでしょうか。

岡本大臣政務官 今御指摘の広域火葬についてでありますけれども、委員からお話がありましたように、私たちで確認をしているところ、岩手県と宮城県で行われておりまして、岩手県の方は、三日に一回をめどにトラック二台で一日最大三十八体の御遺体を搬送しているとか、また宮城県においては、東京都が宮城県内から千体の御遺体を四月二十五日までに受け入れをして、一日最大百体の御遺体をトラック四台で四月十一日から搬送されているということを承知しております。

 そういった中、御指摘の、いろいろな事態の中で、通行どめ等が想定をされる中、緊急車両の指定ができるかどうかは、関係省庁と連絡をとってみなければわからないところもありますが、委員からの御指摘もありますので、検討させていただきたいと思います。

中野国務大臣 緊急車両については、警察の仕事でございますが、今おっしゃるように、緊急車両の指定はもう既にしておりません。すべて解除いたしております。

 道路がもし壊れておりますときには通行どめになっているわけでございますので、これが修復されれば、警察としては、別にそれにストップをかける気持ちは全くありませんので、現段階で緊急車両の指定が必要な段階にあるというふうには今思っておりません。すべて今解除しております。

長島(忠)委員 一言、緊急車両でなくても、こういう車両が通りますからということを周知できるようなシステムにしていただければ、多分、今は緊急時ですから、被災地には警察の方がいっぱい立っていらっしゃるでしょうから、そういう方が地震によって立ち往生したら、こっちを回れよという指導をしていただくだけでもかなり楽に運べることになろうかと思いますので、大変でしょうが、そういう御配慮をいただきたいなと思います。

 最後に、私は、この災害、市町村に目標を立ててもらうということが、これからしばらくの間、やはり大きな役割になるのだろうと思うんです。そのことをきちんと県や国が受けとめて、制度として張りつけてあげるということになるのだろうと思うんです。大きな被害で、そして複合型の災害なので我々は大きく考えがちですが、逆に言ったら、市町村ごとの復興計画を取りまとめさせる、それをきちんと横断的に調整する機能を国や県が持っていくという方法も一つの方法だと私は思っているんです。

 逆に、私は小さな村の村長でしたから、そういうふうにやらせてもらった方が住民と市町村長がより対話ができて、そして、より身近な復興計画を取りまとめることができるので、私の立場からいったらありがたいと思っているんですが、そんなことも踏まえて、これから災害復旧にぜひ官邸は臨んでいただきたい、そんなふうに思いますので、ぜひ官房長官から最後に御所見をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

枝野国務大臣 私も、今長島委員がおっしゃられたところは全く同感でございます。

 特に、被害地域が非常に広範にわたっておりまして、市町村ごとに地域事情が相当異なっておられます。私は仙台に五年ぐらい住んでおりましたので、仙台のようなある意味大都市の場合と、そのころよく遊びに行った海岸沿いの小さな町や村とでは、本当に全く状況が違っている。

 そうしたことを踏まえるならば、一般的なこと以上に、それぞれの自治体ごとの独自の目標や独自の再興計画、復興計画というものを大事にして、それをいかに国がサポートして、なおかつ、全体として調和のとれた形にしていくのか。あくまでも、主体はそれぞれの地域の自主性、独自性だという姿勢で臨んでまいりたいと思っております。

長島(忠)委員 最後に余計なことを言います。

 私は法律を知らない村長でした。法律を知らなくてよかったと思うんです、被災者の立場で発言できましたから。そのことを受けとめる覚悟を国も持っていただきたいということを最後に申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村政府参考人 長島先生、済みません。

 実は、先ほど、原発の避難指示区域につきまして二十四時間では検問をやっていないと申し上げたのですが、私の手持ち資料の誤りでございまして、二十四時間でやっております。おわびして訂正させていただきます。申しわけございませんでした。

荒井委員長 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 官房長官初め閣僚の皆様には、不眠不休で大震災の対応また原発問題の対応に当たっていただいていることに対して、深く敬意を表したいと思います。

 また、官房長官も仙台にお住まいだったということですが、私も小学校、中学校時代に、父親の転勤に伴って仙台、青森、東北に一時住んでおりまして、今回の震災には大変ショックを個人的に受けております。

 また、私自身、今、公明党の対策本部の中で復旧復興支援チームの座長をさせていただいておりまして、きょうはその立場から、震災復興関連の質問をさせていただきたいと思っております。

 まず一点目でございますが、復興構想会議について、その役割について官房長官にお伺いをしたいと思います。

 官房長官の表現をかりれば、オール・ジャパンの専門家、有識者を網羅したということでございますが、確かに構成メンバーを拝見いたしますと、大変深い見識の方が入られていると思っております。

 私ども公明党としましても、先般、山口代表から菅総理の方に第二回の緊急提言をさせていただきましたが、その中で明示をさせていただいたように、単なる復旧、もとに戻すということではなくて、より安全で、また震災前よりも活力のある東日本、東北の地域を復興させるためのグランドデザインとなるような復興ビジョンをつくることが急務であるというふうに申し上げているわけでございます。

 そこで、これは後ほども言及しますが、各政党の中にも、復興ビジョンを考えよう、それは、私も私の党でやっておりますし、民主党さんの中にも復興ビジョンチームかプロジェクトチームがあると伺っておりますけれども、政党の中でも復興ビジョンについていろいろと検討されている中で、この復興構想会議の役割というものは何なんでしょうか。

枝野国務大臣 まさに復興のためのビジョンをかいていただく。それについては、もちろん政治ベースでいろいろなことを考えなくてはならない、それを実行していかなきゃならないのと同時に、いろいろな専門家の皆さんの英知を結集して、日本のさまざまな知恵やアイデアを生かさせていただく。その取りまとめの仕事は、政治が直接行うよりも、まさにそうしたことに造詣の深い、あるいはそういったことの経験のある関係者の皆さんに取りまとめていただいて、それに基づいて政府としては復興を進めていくという形が望ましいのではないか。阪神・淡路のときもそういった形でうまく、あのときは委員会だったと思いますが、復興委員会が大きな役割を果たされたということを踏まえております。

 今回、御党初めさまざまな政党、あるいは政党以外でも、いろいろなところで復興に向けたいろいろな御提言が既に出されてもおりますし、今後も出てくるものというふうに思っております。

 具体的な運営そのものは、これは、五百旗頭議長を初めとして委員の皆さんに最終的にはおゆだねをするべきだというふうに思っておりますが、まさにオール・ジャパンの知恵を結集する場として、あえて言えば、政府の中でもこんなことを考えている、与党もこんなことを考えている、そして、各党、野党の皆さん含めて、できれば民間も含めて、さまざまな提言というものをこの復興構想会議のところに集めていただいて、それを集約した形で、東北の皆さん、被災地の皆さんはもとより、日本国民挙げて、あしたに期待の持てるような復興ビジョンを描いていただくというのが望ましい形ではないかというふうに思っております。

 今後、具体的なことは、五百旗頭議長とも御相談をした上で、委員の皆さんで御相談いただいた上で、各党にもいろいろな御相談があるかもしれませんが、そのときはぜひ御協力をいただければというふうに思っております。

遠山委員 官房長官、今の御答弁はそれでいいんですが、二点御指摘をしたいと思っております。

 まず一点目は、これは新聞等でも指摘されておりますが、阪神・淡路のときの復興委員会には、後藤田正晴先生、もうお亡くなりになりましたけれども、お入りになって、また、たしか事務次官経験者の官僚OBも入っておりました。ですから、復興ビジョンをまさに政府の外側から、政治の外側からも専門家に立てていただいたものを、実際に実施する行政機関との調整とかあるいは執行の促進について、きちんとパイプがあった、ラインがあったというような指摘があるんですが、今回はそれがない。

 官僚OBもいない、政治家OBも入っていないということで、だから、立派なビジョンを立てることはできるかもしれないけれども、それを本当に実現できるかどうかというところについて不安があるという点、これについて、御見解があれば後でお伺いします。

 それからもう一つは、これは私の想像ですが、復興構想会議の専門家の皆様が具体的に、あと東北の知事の方も入っていますので、地元の声も当然聞いて出すんですけれども、大体想像にかたくないわけですが、各政党からもいろいろなビジョンとか案が出てくる、マスコミも出す、それから復興構想会議に入らなかった専門家からもどんどん出る。これは恐らく、各論のレベルになってくると、賛否両論、ばあっと出てくると思うんですね。

 そういう中で、それを調整して、実際に決断をして実行していくということを考えたときに、大事な点は、これはもう一部の識者とかマスコミが主張しておりますけれども、まず政府・与党が基本的な哲学というか復興にかけるコンセプトを示して、そのコンセプトの上で各論をしっかり決めていくという形にしないといけないと思うんです。

 菅総理がきのう記者会見で、野党にも青写真をつくる段階から参加してほしいと呼びかけられました。呼びかけることはいいんです。だけれども、まず大事なことは、我々野党も意見を言いたいけれども、政府・与党として、総理としてどういうコンセプトで復興するのかということについては、正直、こんなことを言っちゃいけないかもしれませんが、きのうの総理の記者会見では全く不十分ですよ。そんな、津波から避難して高台に町をつくるとか、エコの町にしたいとか、弱い人に優しいという抽象的なスローガンで、これがコンセプトですなんということになると、それは何でもいいわけです、各論は。

 そうではなくて、これは私個人の周辺でも、多分、官房長官のところにもいろいろな人が進言を今してきていると思いますけれども、例えば、東北を期間限定でシンガポールのようにして経済特区にして、要するに東北の人たちの雇用を創出するならば、外資も税は極力安くしてどんどん誘致をする、そういう特別なところにして復興させなきゃいけないよ遠山さんとか言ってくる民間の社長さんとか、いろいろいらっしゃるわけです。

 それは世間にはいろいろな意見があっていいんです。しかし、やはり今国をつかさどっている政府・与党として基本方針をしっかり示した上で、各論については復興構想会議やいろいろなところの意見を聞いて取りまとめるという形にしてもらわないと、これはまた混乱するんじゃないかと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 まず前段についてでございますが、実際に復興を進めていくに当たっては、官僚の皆さんあるいは官僚システムの皆さんに最大限力を発揮していただいて、復興ビジョンとの連携が重要であるというのは、全く御指摘のとおりでございます。

 率直に申し上げて、阪神のときの下河辺委員長、役所の大物OBの方が委員長になられたというのも参考にいたしまして、それも検討いたしました。ただ、ビジョンをつくるところについては、必ずしも官僚OBの方にこだわらなくても、民間のさまざまな方、そして知事さんが入っていただくというようなことで、むしろ、それを支える事務方、復興構想会議も、運営をするに当たっては当然事務方がサポートいたします。これは官房副長官補室のもとで行いますが、そうした構造が、いずれこれの実行体制における事務方へと移行していくことになっていこうと思っております。

 そこにおいては、現役に必ずしもこだわらずに、まだ具体的な固有名詞を検討している段階ではありませんが、OBも含めて、行政経験の豊かで力のある官僚の皆さんに存分に力を発揮していただける体制をつくろうということで、これについては、私や瀧野副長官のもとで今その検討にも入っているところでございます。十分に霞が関の力を生かして進めてまいりたいと思っております。

 それから、後者についてでございますが、まさに御指摘の御趣旨は非常によく理解をいたすところでございます。

 これが、総理あるいは内閣、あるいは与党として出すのがいいのか。それとも、早い段階で復興構想会議のメンバーの皆さんともしっかりとある意味での事実上のコミュニケーションをとって、復興構想会議そして政府としての大きな柱の部分というか方針をまずしっかりと固めて、そしてその上で、今御指摘いただいた具体的な各論に当たるような部分については、さまざまな知恵を復興構想会議で集約していただくというような手順がいいのかなと今伺いながら思っておりますが、いずれにしても、しっかりとした方針をまずは第一段階でお示しをすることは重要だと思っております。

遠山委員 官房長官、今の話の続きになりますが、阪神・淡路のときは、実は、私、今手元に当時の年表を持っておりますけれども、一月十七日に兵庫県南部地震が発生いたしまして、ちょうど五週間目、三十六日目に、国会で、阪神・淡路大震災復興の基本方針及び組織に関する法律案、いわゆる通称すれば復興に関する基本法律を全会一致で通しているんですね。それを皮切りに、その次の一週間で六つの関連法案も国会で上げているわけです。

 今回の事態は広域で起こったし、より規模が大きかったということもあります。それから、地方統一選挙と重なった、また原発の問題が収束しないという別の要素がありますから、私は何も、野党だから、一週間おくれているからとんでもないとか、そういうことを言うつもりはないんです。だけれども、阪神・淡路のときは、五週間で基本法律をつくって、関連法案六本をとりあえず通して、さらにその後手当てしていったというスピード感はあったわけですね、村山内閣ですけれども。

 そこで、こちらの方は今ちょうど四週間過ぎたところでございますが、この基本法なんですね。つまり、今、これまでの質疑でやりとりしたビジョン、これからという話をしているときに、時間軸でいったときに、復興構想会議のビジョンが出てから復興に関する基本法律を国会に出して通すのか。それだと相当先になるわけですね。先ほど申し上げたように、阪神・淡路のときには、今でいったら来週、国会で通っているわけです。

 公明党も緊急提言に入れています。恐らく自民党さんも表現は違っても同じことを言っていると思うんですが、復興基本法と、とりあえずやらなきゃいけない関連の個別の法律の改正、それをできれば一括にして、だから、公明党案では災害復興一括法案という名前をあえて仮称ですけれどもつけていますが、早急にすべき法的手当ては、これはやはりゴールデンウイークの前にもやった方がいいんじゃないかというふうに私は思います。

 官房長官はよく御存じのとおり、弁護士でもございますし、いろいろな震災後の被災者を救援する法律の中には、発災後二カ月だけで認めるというものが非常に多いわけですね。それは、政令の発令で変えられる、運用で変えられるものもありますけれども、そうじゃないものもありますから、ぜひその辺は政府の方でおまとめになって、基本法と、それからまずイニシャルに必要な災害復興に関する改正の一括法案、これをやはり出すべきだと思いますが、いかがですか。

枝野国務大臣 まず、さまざまな具体的な法案については、御指摘のとおり、できるだけ早い方がいいと思っておりまして、もう既に私のところにも第一弾、この辺の線で出せそうだというような報告も上がってきております。これは国会の日程等との調整等も要るのかもしれませんが、準備は相当進めておりますので、できれば本当は今月中には国会で御採決をいただけるようなことが望ましいと思っていますので、それを目標に鋭意作業を進めさせます。

 それから、基本法とかの関係でございますが、恐らく、大変具体的な理念を書こうという基本法だとやはり時間がかかるだろうというふうに思います。ただ、阪神・淡路のときぐらいの一定の方向性と復興に向けた体制ということであれば早い段階で出せる。今、どちらかというとそちらの方向でまずは一つつくって、そして、基本理念については、具体的に書く法律が必要であればそれは二段階目で、こういう線を軸に今調整を進めているところであります。

遠山委員 官房長官、それでいいんですが、私の個人的な所感を申し上げますと、きのう記者会見を開いてこんなことを言うのもあれですが、やはり総理の方できちんと、理念をもう一度ちゃんと出していただく。これは政府・与党主導でいいんですよ、政府・与党なんですから。

 それを出していただいて、今、官房長官がおっしゃったような復興の基本方針、行政府としての基本方針と組織体制を書いた法律案をしっかり国会に出していただいて、それを通す。その後に、イニシャルに手をつけなきゃいけない関連法案を処理する。その上で、補正予算、そして復興構想会議なんかから出てくる具体的な、そういうきちんとした日程感覚をてきぱきと、まあ、原発対応で多分お疲れなんだと思いますけれども、大変だと思いますけれども、やっていただかないと、私ども野党も協力しますといっても、そういう具体的な日程と仕組みが見えないとなかなかどの部分で協力するかということもわかりませんので、よろしくお願いをしたいと思います。

 それから、そのまさに組織体制のところですが、今一部のメディアでほぼ連日、官邸の方に司令塔が不在なのではないか、つまり、会議とか何とか本部とか何とかチームとかが林立して、どの役人が言っているのかわかりませんよ、匿名で引用されていますからね。しかし、自分が会議に出ていて、この会議は何だったっけというふうに思ってしまうというようなコメントまで報道されておりますけれども、官房長官、まさにど真ん中にリーダーとしておられて、この御指摘についてどう思いますか。

枝野国務大臣 御指摘の趣旨はわからないわけではないんですが、実は、これは多分皆さん御理解いただけるかと思いますが、今回のような事態の対象は各省間の調整の仕事がほとんどでございます。一つの省で完結するような仕事は、逆に言えばそれぞれの省でやっていただいておりまして、省庁間の調整を要する仕事が非常に多い。

 それについて、それぞれのレベルごとにというか分野ごとに、いろいろなレベルでの各省間の調整が必要だということの中で、ここはここで、こういうチームで責任を持って各省間調整しましょうとかということがある程度のところは明確になっていませんと、例えば災害対策本部、それから原子力災害対策本部と、法律に基づく大きな本部が二つあるわけですが、すべてをそこの閣僚級のところで調整することは当然あり得ませんし、あるいはそこで全部クリップをして各省間の調整をやろうと思っても、なかなか現実的に動かない。

 そうしたことで、例えば災害対策本部のもとに生活者支援、これは量的にもべらぼうに膨大で、各省、相当な人員を出してもらってチームを組みました。そこについては、では、ここが責任を持ってしっかりと対応していこうというようなことで、チームが幾つもできているという状況でございます。

 そういった意味では、全体の司令塔は、災害対策については災害対策本部、原子力対応については原子力災害対策本部、いずれも本部長が総理でございまして、そこのもとでの指揮体制といいますか、所管体制というものはしっかりとさせた上でしているところでございますが、御指摘もありますので、それぞれを担当している事務方の関係者の中には、その辺の趣旨が十分に伝わっていない、理解をされていない方がいるのかもしれませんので、そうしたそれぞれのチームの役割とか位置づけというものをさらに共有化できるように努力をしてまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

遠山委員 官房長官、省庁の調整が大事だし、恐らく大変なんだと思います。

 その上で、幾つか質問を割愛して一つ伺いたいのは、内閣危機管理監、伊藤哲朗さんが今おやりになっているんですけれども、この内閣危機管理監が、本来は、法律を見ても役割を見ても、危機管理の司令塔としてまさに省庁の調整等を担う役割のはずが、余り機能していないのではないかという指摘がございます。

 危機管理センターというのは、百名ほどのスタッフを持って内閣官房を補佐するところでございますから、ここがしっかりしていなきゃいけないんですけれども、そこがしっかりしていないがゆえの何か問題も起こっているという指摘がマスコミで一部あるわけです。別に私は、伊藤さんが余りメディアに出てこないとか目にしないから頑張っていないと言うつもりはないんですよ。つもりはないんですが、本当にこの内閣危機管理監が危機管理監に与えられた職責をきちんとこなす体制に今なっているのか。その点、どうですか。

枝野国務大臣 伊藤危機管理監には、震災発生直後から、危機管理の先頭に立ちまして、官邸地下の危機管理センターで危機管理の指揮をとってきていただいています。私は、伊藤危機管理監はこの間しっかりと職責を果たしてきていただいているというふうに思っております。

 ただ、先ほどもちょっと申し上げたんですが、今回の震災、そして震災に加えて原子力発電所の事故ということで、危機管理として対応すべきボリュームが、率直に申し上げて、想定されているものよりも、直観的に言うと三倍ぐらいのボリュームになっているというのが正直なところだというふうに思っております。

 したがいまして、そうした全体のボリュームをどういう形でしっかりと対応していくのかということの中で、広い意味では危機管理監のもとで最初調整をしていた、この避難所にこういう物資を届けるみたいな話については、これは直接危機管理監でなくても、しっかりとしたチームができれば、省庁間の調整と、それをさばく人間がしっかりいればできるということで、生活者支援の特別本部をつくって、それを切り分けて危機管理監の仕事を軽減する。

 あるいは原発の方についても、これは避難との関係があるので危機管理監の直の仕事となかなか切り分けにくいところはあったんですが、それでも、原発周辺地域の皆さんのところに物資を届けるとか、そのあたりのところはうまく切り離せる職種があるので、そこは切り離してチームをつくるというような形で、できるだけ危機管理監あるいは危機管理対応チームが本来の危機管理の仕事、コアの危機管理の部分のところに対応できるように、この間、できるだけ切り分けられる仕事は切り分けるというオペレーションをやってきたところでございます。

 今後に向けては、危機のボリュームによって一人の危機管理監ですべての危機管理の集約を必ずしもできないということは、今回の事態である意味では裏づけられておりますので、危機管理体制のさらなる強化ということ、あるいは初動の危機管理とある時点からのオペレーションということとか、これは、今後の検証と、それを踏まえた体制として考えていかなければならないだろうというふうには思っております。

遠山委員 官房長官、まさに今官房長官の御答弁に最後あったんですが、今回のような大震災はなかなか想定しにくかったわけでして、初動の、つまり、まだ生存者がいるとされる最初の七十二時間の対応で、私も、これはだんだん検証されていろいろな具体的な問題点が明らかになってくると思います。

 きのう、たまさか超党派の病院船を建造する議連が発足しまして、私も呼びかけ人の一人でございまして、そこに出ました。そのときに偶然にわかった事案を一つ官房長官に御報告したいんですが、今、日本には、いわゆるすべての機能を病院とした船というのは一隻もありません。民間で済生丸というのが瀬戸内海を回っている、医療法人が持っている船がありますけれども、政府所有では、防衛省の何隻かの艦船に医療設備等が一部ある。

 ただ、実は、私も浅学で最近知ったんですが、海上保安庁に阪神・淡路の大震災を受けてつくられた三千五百トン級の災害対応型巡視船というのがあるんです。二隻あるんです。これは海上保安庁の方に聞きましたけれども、明確に、阪神・淡路を受けてつくりました、予算をとってと。

 これは、装備は結構すばらしいんです。輸送については被災者を千五百名輸送する機能を持ち、手術台等があるから医療行為もできる。そして、宿泊も百二十名程度できますし、二百名程度に対して給食もできる。それから荷役クレーンもあるし、ヘリポートもあってヘリコプターで患者も搬送できる。私の手元に資料がありますが、こういう立派な船なんです。

 それで、きのうそれが紹介された超党派の議連で、今回の震災に出動したんですかと。しました、海域に行きましたと。ところが、こういう災害救助型巡視船とされながら、ほかの巡視船と同じ仕事をして終わっているんです。全く患者さんも運ばれてきていない。被災者を預かって一泊泊めたとか、そういうのもない。

 しかも、何でそんな仕事をしていないんだと言ったら、いや、港が壊れて接岸できませんでしたと。ヘリポートを持っているんですよ。ヘリコプターはどうしたんだ、いや、どこからも飛んでこないと。その七十二時間のとき患者さんを何で受け入れなかったんだと聞いたら、官房長官、ここが省庁縦割りなんです。みんなざわめいたんですけれども、医者が乗っていませんと言うんです、この船に。

 それはどういうことかというと、要は、大震災が起こりました、海上保安庁は自前の医者を持っていないんです。ということは、厚生労働省で二百ぐらい、災害のときの医療チームを持っていますよね。今回それを陸上で派遣しているでしょう。その一つのチームか二つぐらいのチームを海上保安庁が要請をして乗せなきゃいけないんです。乗せて出動する手はずが、それを海上保安庁はしていない。

 今度、その場に厚生労働省がいたから、厚生労働省の役人に、あなた方、海保の船を使うということは全く考えていないのかと。全く頭にありません、海保から要請がなかったと。海保は、厚生労働省から医療ニーズがなかったと言うんです。典型的な見合いですよね。それで、とりあえず船を派遣して、ほかの巡視船と同じことをやっているんです。

 これは建造費が幾らかかったか知りませんよ。前の政権時代につくったんでしょうけれども、結局、宝の持ち腐れですよ。

 私が言いたいのは、今回のことで教訓にしなきゃいけないんですけれども、だから、私たちが今つくろうとしている病院船だって、病院船をつくってもこういう連携がなければ、つまり、官房長官、ドクターヘリとか消防庁のヘリとか自衛隊のヘリが、わあっと被災地に行ったわけです。いろいろな患者さんを連れていったときに、いろいろ聞くと、消防庁のDMATとか厚生労働省の広域医療圏の中で、ヘリコプターに乗せた患者を運ぶ先に海上保安庁とか防衛省の病院機能を持った船はもともと入っていないんですよ。データがシナジーされていないんです。だから、飛んでいかない。全部陸上の病院に行くんです。それで、使われませんでしたと。しかも、海保に至っては医者も乗っていないんです。来られても困りますでしょう。

 私は何でこんな話をするかというと、内閣危機管理監が、本来、緊急事態になったときに、海上保安庁の持っているリソース、防衛省が持っているリソース、厚労省が持っているリソース、消防庁が持っているリソースをどこかでシナジーして指示を出さないと、やらないですよ。これは、多分、我々が政権をやっていても、目配りできなかったらまた同じことになっていたと思います。

 ですから、ぜひここは教訓にしていただいて、最初の七十二時間のときに、やはり各省庁が持っているリソースとかデータを全部集約して、共有化して、的確な指示を。こんなのは簡単なんですよ。厚生労働省の医療チームを一チームか二チーム、海保の船に乗せればいいんですから。それで後は搬送させればいいんですね。ヘリコプターの運転手たちにデータを上げて、ここもあるよ、海にいるよということでやればいいわけで、これは非常に残念だったなというふうにきのう思いましたので、御指摘をさせていただきます。

 最後に、時間がなくなったので、蓮舫大臣にお越しいただいたので、一、二問伺いたいと思います。

 ことしの夏は節電をしなければいけないということでございまして、まず一つは、範を示すという意味も含めて、この国会において、既に大分クールビズは男性の方は進んでいるわけですけれども、本会議場はいまだにネクタイをつけて上着を着ておりますし、私は沖縄に事務所を構えておりますから、国会でみんなアロハシャツを着ろとは言いませんけれども、やはり国会の中で冷房も余り使えない状況になっていくと思いますから、こういった服装のこと。

 また、最近、石原都知事が、自動販売機等々の、なくても困らないのではないかという電力を使う機器を具体的に挙げながら、私なりに解釈しているのは、石原都知事が言っているのは、便利至上主義のライフスタイルを今回の震災、電力問題を契機に見直すべきじゃないか、こういうことをおっしゃりたいんだろうと思いますけれども、節電担当の大臣として、いかがでしょうか。

蓮舫国務大臣 既にクールビズ、ウオームビズにおいては、これまでの政府においても極めて積極的に取り組んでくださった結果、一般的に定着するに至ったと認識をしています。

 ただ、ことしの夏は電力の供給量におのずと制限がございますので、需要が供給量を上回った場合に、東京電力管内あるいは東北電力管内で、いつどこでどのような大規模停電が起きるかわかりませんので、やはりそれは確実に節電をしていただくことが大事。その中の一つとしては、さらなる節電ビズが行えないかということを政府の電力需給緊急対策本部でも提言をさせて今検討しているところでございます。

 自動販売機の件はよく象徴的に出されるんですが、私は、節電をするときに、何が何でも節電をすることが最優先という考え方はあるんですが、他方で、経済社会活動に対する影響というのは最小限に抑える、その調整というのも大事だと思っているんですね。

 自動販売機の電力というのは二つありまして、照明の電力と冷やすための電力がある。地震が起きた直後、業界の方とも話をしましたが、照明の部分はもう消してくださるような取り組みをしている。これは、夜歩いたら、自販機が暗いからおわかりになると思います。

 冷やす部分はどうかというと、実は、今の清涼飲料自販機、これは缶とペットの自販機ですが、すべて午後一時から四時まで冷却機の運転を停止するピークカット機能がついています。つまり、午前中に冷やした分の余熱といいますか保冷効果を一時から四時までは続けることができる。これを既にもうやっていただいている。一台当たり、ピークカット時は十七ワットしか使わない。最大で三百ワット使っておりましたので、東京電力管内の清涼飲料自販機は八十七万台ありますから、単純計算すると、ピーク時最大で二十四・六万キロワット今削減しています。

 つまり、これだけの努力を実は自動販売機業界みずから取り組んでいただいている。

 他方で、清涼飲料業界の規模をちょっと調べました。業界動向によりますと、これは主要十九社で約四・五兆円の売り上げがあるそうです。清涼飲料の自動販売機は日本に二百五十七万台あります。その売り上げは一・九兆円。それだけで四二%を占めるんですね。

 つまり、ではこれをなくしてしまうのか。そこで働いておられる方たちもいる。この部分の経済効果も考えながら、石原都知事がどういう思いで言ったのか私にはわかりませんけれども、節電をすることと経済効果に支障を最小限に抑える知恵というのは、私は同時進行で取り組むべきだと改めて思っています。

遠山委員 大変的確なデータに基づいた御答弁、ありがとうございました。

 官房長官、本当に原発で大変だと思うんですが、きょう私が冒頭から前半で申し上げました、復興プロセスについての理念と、それから法的手当てと体制、また、当然、具体的な理念、各論、そこに向けてぜひとも政府・与党がきちんとリーダーシップを発揮して、だれかに任せるのではなくて、この流れをしっかりとそろそろ本腰を入れてつくっていただきたいということを要望申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島(敦)委員長代理 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 福島第一原発の事故を受けて、今、原子力政策のあり方が根本から問われております。国の原子力政策の基本方針を策定する原子力委員会も、四月五日の会合で、安全確保の取り組みに対する信頼を根本的に揺るがすものとして極めて重く深刻に受けとめているとして、原子力政策大綱改定の検討を中断することを決定したとのことであります。

 菅総理も、先月三十一日の我が党の志位委員長の申し入れに対して、今後の原子力の利用について根本的に安全性の議論が必要だと表明をし、原発の新増設計画については、白紙というか、見直しも含めて検討したいと述べておられました。我が党は、これまでの安全軽視の原子力政策の根本的転換を求めてきましたが、まさに今日の政治の最大の課題の一つとなっていると言えます。

 あわせて、原発事故の背景を明らかにしていくことも求められます。その点でも、いわゆる政官業、政官財の癒着構造の問題が問われます。

 きょうの委員会では、癒着構造の一つとして、経産省と東京電力、電力業界との癒着構造について政府の認識を問いたいと思います。

 まず、今国会でも何度も取り上げられてきました、経産省の前資源エネルギー庁長官の石田徹氏の東京電力への再就職問題であります。

 エネルギー政策、原発政策を所管する経済産業省の資源エネルギー庁長官が所管される電力業界に再就職するということはどこから見ても典型的な天下りだと思いますが、官房長官の認識はいかがでしょうか。

枝野国務大臣 何度か申し上げてまいりましたとおり、法律上の天下りに当たるか、あるいは、この間、天下り規制として、するべきこととして問題にされてきたいわゆるあっせんによる天下りに当たるかということで、それには当たらないということを御答弁してまいりました。

 しかしながら、まさに今回のような事故が発生をし、それに対して国民の皆さんからさまざまな目で見られているということの中で、資源エネルギー庁と東京電力の間について国民の皆さんから広く疑義を持たれているのは、私は当然のことだというふうに思いますし、まさにそのことについては、天下りをした、天下りとされることをした当事者においても東京電力においても、しっかりとこの事態を受けとめていただかなければならないと思っております。

塩川委員 エネ庁、電力会社間、こういう関係について疑義が持たれるのは当然だという話でありますけれども、あっせんには当たらないという話でありますが、やはり、そもそも癒着の問題というのが問われているわけであります。

 資料を配付いたしましたけれども、そもそも、ことしの二月四日の予算委員会で枝野長官は、この石田氏の天下りの経緯について、「例えば、よく言われている指定ポストのような形で、特定の官庁からあるポジションに順番に同じような人たちが行ってというような経緯でも必ずしもない」と答弁をしておられます。そこで、電力各社の天下りの実態について調べてみたわけですが、配付資料の一枚目をごらんいただきたい。「経産省(通産省)から東京電力への「再就職」の経過」であります。

 特徴というのは、左端の石原武夫氏から石田氏まで、五人の経産省、通産省出身の方が東京電力にいわば再就職、天下りをしておられます。最初の天下りと思われる石原武夫氏は通産省の次官だったわけですが、この石原氏は官僚時代に、原子力局をつくれと主張し、原子力行政のまとめ役と言われていたと当時の新聞でも報道されております。その後は、石田氏まで、資源エネルギー庁の長官または次長の経験者がそれぞれ東京電力に天下っている。さらに、東電の中でも、顧問から始まって最後は副社長まで上り詰めているわけであります。

 そこでお尋ねしますが、こういった資源エネルギー庁の幹部経験者が東電の副社長ポストについている、これを世間では指定ポスト、指定席と言うんじゃありませんか。

枝野国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。

 率直に申し上げまして、一般的に、独立行政法人等で問題にされてきた指定ポストについては、当該ポスト、ある方がかわるとすぐにまた同じような肩書、経歴の役所のOBの方がつかれるという意味で、連続的に当該ポストにいわゆる天下りと称される人がついているということを想定しておりまして、私もこの件について報告を受けましたときに、副社長をやっている人、経験している人がいるけれども、決して、そのポストが指定されて、資源エネルギー庁等のOBが副社長ポストを常に占めているわけではない、今回は顧問であるという報告を受けました。

 今回、塩川委員からこうした非常に詳細な過去の状況について分析をいただきまして、こうした状況であっても、私は社会的にはいわゆる指定ポストという評価をせざるを得ないというふうに思っておりますし、前回御質問いただいた段階でこうしたことについて把握をできなかったことの不明を恥じたいというふうに思っております。

塩川委員 この点では、東京電力だけではありません。電力会社すべてでこういう事態が行われていた。

 配付資料の二枚目をごらんいただきたい。これは、北海道電力から沖縄電力まで、各電力会社に対して経産省、通産省からの再就職のリストであります。

 それぞれ全部で四十五人の天下りになっているわけですけれども、ごらんいただいてわかりますように、各電力会社において、切れ目なく通産省、経産省からの天下りが行われておりますし、天下った官僚の方は、基本的に顧問から常務となり、最終的には副社長まで上り詰めているわけであります。これは最終ポストとして副社長しか書いておりませんけれども、経緯とすると、電力会社内部でそのような昇進を経て副社長にたどり着いているということであります。

 今回の福島の原発事故で東京電力がクローズアップされておりますけれども、この天下りの癒着構造というのは東電だけではなくて、電力業界全体を覆っている問題なんだと。

 ですから、こういった石田前資源エネルギー庁長官の天下りを認めるということが、所管する官庁から所管する業界への天下りをいわば公認したものになっているということが問われてくるわけで、この間、予算委員会でも言われていましたように、経産省から電力業界に行くということを容認するということになれば、国交省からゼネコン業界、あるいは厚労省から製薬メーカーへの天下りを容認することにもつながってくるわけです。

 ですから、天下りのあっせんではなくて、所管する官庁から所管する業界への天下りそのものを禁止すべきなんだ。それがやはり、今回のような癒着が問われる、疑義が問われているときに行うべき教訓ではありませんか。

枝野国務大臣 一般的に、あっせん等でない形で関係する業界に再就職をされるということについてどうするべきであるのかということまでは申し上げられませんが、少なくとも原子力発電、原子力の安全ということについては、万が一の事態が起こったときの影響が大きいということが今回改めて裏づけられたものでありまして、その点に関して、それを指導監督する行政の側と指導監督を受ける側との間にいささかも癒着を生じているというような国民的な疑義があっては許されるものではないというふうに私は思っております。

 法律上こうしたことを今後やめさせることができるかどうか、法律上できないとすれば、それ以外の方法でどうしたらやめさせることができるかどうか、しっかりと検討してまいりたいと思っております。

塩川委員 その点でぜひ、こういった経産省、通産省から電力会社への再就職、天下りの現状について、私はこういう資料を出しましたが、政府としても改めて調査をし、国会に対してしかるべく報告をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

枝野国務大臣 政府としてしっかりと調査をさせていただいて、しっかりと報告させていただきます。

 と同時に、まさに先ほどの東京電力の時系列による表のような視点や問題意識等について、ぜひ塩川委員の御知見等についてもサジェスチョンをいただいて、効果的な調査になるように御指導いただければとお願い申し上げます。

塩川委員 資源エネルギー庁というのは、経産省においてエネルギー政策を担当する、いわば原発の推進を担当する部署になります。

 ことし一月、東京電力の顧問に天下った石田前長官の経歴を見ますと、資源エネルギー庁、幾つも重ねて昇進をしていかれているわけですけれども、そういった中では、例えば一九八九年に資源エネルギー庁の原子力広報推進企画官という役職も務めている。いわば、この間大問題となっている原子力に係る安全神話、これに携わるような、そういう人物でもあったということであります。

 この石田氏が資源エネルギー庁長官の時代に取りまとめたのが、昨年六月のエネルギー基本計画であります。温暖化対策の中心に再生可能エネルギーを置くのではなくて原発を据えたというのが一番の特徴のエネルギー基本計画だったわけであります。このエネルギー基本計画の中では、二〇三〇年までに少なくとも十四基以上の原子力発電所の新増設を行う、また設備利用率、原発の設備の利用率を約九〇%を目指すとしています。

 石田氏は、昨年、長官としてみずから取りまとめたエネルギー基本計画について、日刊工業新聞のインタビューで、「国民世論では、まだ原子力より再生可能エネルギーを期待する声の方が強いかも知れない。再生可能エネルギーは最大限導入に努める必要はあるが、客観的には現状では不安定でコストも高い。温暖化対策を進める上で原子力を抜きには考えられない」と述べているように、国民が願う再生可能エネルギーを推進するのではなくて、原発の新増設を推進してきた人物の一人でもあったわけであります。

 原発の新増設とそれから原発の設備の利用率の向上というのは、東電を初めとした電力業界の要求どおりであるわけです。このエネルギー基本計画見直しに向けてのパブリックコメントで、電力会社の業界団体である電気事業連合会、電事連は、原子力は、エネルギー安全保障の確保と地球温暖化問題の一体的な解決を図る上での切り札である、原子力の新増設と設備利用率の向上を目指して、国による積極的な取り組みも不可欠と要求をしております。

 このように、電力業界の要求にこたえた人物が、原発推進政策といういわば手土産を持って電力会社に天下っていく、こういった天下りというのがこの間の日本のエネルギー政策をゆがめてきたのではないのか。この点についての認識と、この問題についての検証が必要だと考えますが、官房長官のお考えをぜひお聞かせください。

枝野国務大臣 ゆがめてきたかどうかということについては、端的にお答えをすることはなかなか難しいんだろうというふうに思います。

 しかしながら、多くの国民の皆さんから、ゆがめてきたであろうという疑いを持たれることは間違いないというふうに思っておりますし、また、原子力というものの性格、万が一の場合の影響の大きさということを考えたときには、国民の皆さんからそうした疑義を持たれること自体が許されないことだというふうに私は思っております。

塩川委員 ですから、今回のような天下りを容認することになれば、官僚が天下り先に気に入られるような政策を実施することになってしまう、業界サイドの政策が行われることで国民の利益が侵害されることになる、こういうことが問われるわけで、こういった政治をゆがめる政官業の癒着をきっぱりと断ち切るためにも、天下りの禁止が必要であるわけです。

 我が党は、福島の原発事故の教訓からも、政官業の癒着構造を断ち切るために、天下りそのものの厳格な禁止を強く求め、質問を終わります。

大島(敦)委員長代理 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 平成二十三年度の第一次補正予算がこれから議論されることになろうということでありますけれども、その第一次補正予算はもちろん震災復興ということでありますけれども、それと関連して税の議論も出てくるということで、与謝野大臣に幾つか伺っていきたいと思います。

 まず、政府として、この震災が日本経済にどういう影響を与えるのかということから伺ってまいりたいと思いますが、内閣府、まさにこれは与謝野大臣の所管のところだと思いますけれども、内閣府の推計ですと、建造物と機材の倒壊、消失に伴う損失額というのが大体十六兆から二十五兆というふうに発表されております。阪神・淡路のときが九兆六千億から九兆九千億ということですから、その倍ないしは倍よりも大きいという推計を内閣府が発表されております。

 それから、今申し上げたのはあくまでも建造物と機材が損失した直接の被害額ですけれども、その損失とは別に、今回もそうですし、阪神・淡路のときも、しばらくの間生産活動がとまるとか、あるいはいろいろな理由で売り上げが減るといったようなことで、それが阪神・淡路大震災では七兆円という推計があったそうですけれども、内閣府の今回の十六兆から二十五兆というのと阪神・淡路のときの九兆六千億から九兆九千億を、その七兆との比較でいうと、間接的な被害額というのは大体十一兆から十八兆ぐらいになるだろうというふうに推計ができるわけであります。

 加えて、多分、阪神・淡路との大きな違いは、今回は電力が少なくとも三月中は計画停電でなかなかフルには使えなかった。それから、夏に向けては二五%の削減ということになりますから、電力が経済に大きな影響を及ぼすだろうということが予想できるわけです。

 まず、与謝野大臣は、経済財政担当として、この震災が経済に与える、今申し上げた直接、間接的なことも含めて、そして上期、下期まで見据えた上で、どういう影響があると今判断されておられるかということを伺いたいと思います。

与謝野国務大臣 全体像がまだわかっておりませんが、直接的な被害、ストックの毀損、損傷というのは十六兆から二十五兆ぐらいだと推定されております。

 そのほかにいろいろ経済にマイナスの要因になりますのは、あそこはいろいろなものの生産拠点でもあったわけですから、やはりGDPには最小でも、あの地域だけでマイナス一%ぐらいの影響があるだろうと。それから、日本全国に引き伸ばして考えますと、あの地域でつくっている部品等が必要な産業が幾らもありまして、典型的な例が自動車等がございますが、ここでの生産が停止している、あるいは減少するという予想があります。

 それから、原子力発電の直接の被害、これも考えなければなりませんし、また、原子力による風評の被害というのは、国内だけではなく国際的にも広がるということを我々は懸念しなければなりません。

 それともう一つは、国民が自粛という形で被災地の皆様方の立場を考えて行動されておられますけれども、これも余り長く続きますと消費という面からは日本の経済にマイナスの影響を与えるということでございますが、専門家の意見をお伺いしますと、震災直後数カ月はマイナスであるけれども、年末から来年の年初にかけては日本の経済は力強く復興していくだろうというお話を伺いますので、そういうお考えに今大変勇気づけられているところでございます。

浅尾委員 ぜひ、震災からの経済的な影響がそう長くならずに、その後の復興によって力強く回復してもらいたいと私自身も願う一人でありますけれども、多分、震災からの回復のためのボトルネックといいますかネックは、一つは、その地域でつくられている部品がどう回復するかということ。東北地方でつくられている部品が、今まさに大臣がおっしゃった、自動車等に使われる部品がどう回復してくるかということだと思います。

 もう一つ大きなのは電力ですね。電力が、夏場のピークで千五百万キロワットが不足と言われています。五百万キロワットは新規の供給力増強ということですが、この一千万キロワットの需要抑制というのは、まさに今おっしゃった消費抑制にも、あるいは生産抑制、生産の方はうまく調整すればできるかもしれませんが、消費抑制になると、かなりそこは影響が大きいのではないかというふうに思います。

 そういう中にあって、この第一次の補正予算、今四兆円という規模で考えておられるということでありますけれども、その補正予算自体は経済にもその範囲においてはもちろんプラスになるということですが、経済にプラスになるためには一つ条件があって、補正が、四兆円出ていくのが真水で出ていく。要するに、どこかを崩して、あるいはどこかで負担をふやしてということになると、ネット、経済に出ていく需要ということでいうと変わらないということになりますから、その点についてどういうふうに考えておられるのかということをこれから聞かせていただきたいと思います。

 今回の第一次補正予算の検討中の中身の中に、年金の国庫負担率が、これは税と社会保障御担当ですからまさに大臣の御担当のところだと思いますが、御案内のとおり、基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げる部分の財源として二兆五千億を、いわゆる旧国鉄の債務の残りの埋蔵金的なものを充てるということで当初予算では組まれていた。この債務の残りの埋蔵金をこちらに回すということになると、年金財源の部分の三分の一から二分の一部分がとりあえずは足りなくなるということなんですが、とりあえず足りなくなっても、これ自体は別にことしの年金の支給額に影響を与えるということではないので、そのまま走るのか、あるいは、例えば平成二十四年度に予定されていた税制の抜本改革を早めるのか。

 税制の抜本改革を早めるということは、要するに税を上げるということですけれども、需要不足の中で税を上げれば、これは景気に冷や水をかけるということはだれが考えても明らかなので、その辺を大臣としてどういうふうに見ておられるのかということと、どういうふうにコントロールされたいのかということについて伺いたいと思います。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

与謝野国務大臣 まず、国民年金法に何が書いてあるのかといいますと、国がこれに入れるお金を三分の一から二分の一に引き上げると。これは約二兆五千億かかるわけですけれども、この法律には実は条件が書いてありまして、安定財源を求めて三分の一から二分の一にするということが書いてあります。

 したがいまして、過去二年間それをやってまいりましたけれども、これは決して安定財源を求めて二兆五千億にして、それを入れたわけではありません。ですから、問題は二つありまして、ことし入れた分を補正に使うという問題と、安定財源を求めないで三分の一を二分の一にしていいのかどうかという問題が実は両方あるわけでございます。

 一つの考え方は、震災対策は喫緊の課題であるから、ことしは補正の中でそういうことを流用することは許されても、やはりなるべく早い時期に安定財源を求めるということが政府や国会の義務であろうと思っております。

 加えまして、税法の附則百四条には、二十三年度中に税制の抜本改革の法的整備をするということを書いてございますので、少なくとも政府に課せられている課題は、法的整備をするための準備をして、国会に御審議をお願いすることだと思っております。

浅尾委員 今の一番最後に御答弁いただいたことについてちょっと確認をさせていただきたいんですが、大臣としては、この震災ということがあってもなくてもという言い方がいいのかどうかは別として、二十三年度中に、法律に書いてあるので、その準備をしたい、していく覚悟だということですか。

 というのは、先ほども申し上げましたように、震災による、少なくとも半年、多分一年ぐらいは経済の落ち込みというのが見込まれる。それに対して、いろいろな復興のための補正予算でそれを返していくということは考えられると思いますが、その落ち込みが見込まれるという異常事態の中でも、当初の計画どおり今年度中に、税制の抜本改革ということは、すなわちその分の負担増。

 ただし、それは社会保障ですから震災とは関係ないということでいえばそうですけれども、国民からすると、景気が落ち込んでいる中で税が上げられるということでいうと、取られる側からすれば一緒ということなんですが、それは震災と関係なくやっていくことをしたいというふうに大臣としては考えておられるという理解でよろしいですか。

与謝野国務大臣 法律に書いてありますことは、法的整備をやれという命令を法律が下しているわけですから、政府がやらなければならないのは、いつから税をどうするかということは別にしまして、抜本改革の名にふさわしい税制改革案を国会に提出するというのが政府に課せられた法的な義務だというふうに考えております。

浅尾委員 確認ですが、確かに法律にはそう書いてありますね。ただし、政治はもちろん、法律はその当時予見していなかったことも踏まえて動いていかなければいけない。当時、まさにこんな大きな震災があるということを予見していなかったわけですけれども、震災があっても、法律に書いてあるとおり、これは抜本改革をするべきだと。今、最後に言われたことで、そういうことだと思いますけれども、そういう案を出す用意がある、出したい、出さなければいけないし出すべきだと考えておられるかどうかということの確認だけ最後に求めたいと思います。

与謝野国務大臣 国会が法律という形で別の意思を決められる場合にはそのようなことはいたしませんけれども、現在のところ生きている法律に基づいて政府が行動するとすれば、法的整備をする、そのための法案を作成して国会の御審議をお願いするということが政府に課せられた責任であると思っております。

浅尾委員 終わります。

荒井委員長 次に、長島一由君。

長島(一)委員 災害関連で日々努力されている政府の方に心から敬意を表したいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきたいと思います。

 私自身、九八年から二〇〇六年まで神奈川県の逗子市長をしておったわけですけれども、結果として、そのときは台風の直撃ということで陣頭指揮に当たったことがあるんですけれども、今回のような大災害あるいは大地震ということはございませんでした。

 しかし、市長になる前にフジテレビにおりまして、ちょうど九五年一月十七日、阪神大震災が起きました。今同僚議員でもあります森山浩行議員も関西テレビで、結果として同じ系列局だったんですけれども、二人とも神戸に入りまして、特に、私も、阪神大震災のときは、震災が起きてから二週間後、それから一カ月後に入りました。結果として、今回も、私は福島県担当なので、二週間後と一カ月後に入って思ったんです。

 森山議員も福島に行ったということで話し合っているんですけれども、阪神大震災との比較でいうと、やはりその質と根の深さが違う。特に、政府の初動態勢でいえば、阪神大震災よりも、今回は、比較すれば、いろいろ指摘はあったとしても早かった。阪神大震災のときは空白の三十二分間というのがありまして、五時四十六分に地震が起きて、NHKが正式に震度六を発表したのが六時十八分なんですね。気象庁のオンラインが切れてしまったので、結局、関西テレビを私は取材したんですけれども、当時、泊まり勤務の人が三人いて、最大の震度が五で、カメラマンが京都の方に行ってしまったんですね。

 実は、三十二分後に神戸が震度六だということがわかって、八尾空港に向かったんですけれども、大渋滞に巻き込まれてしまった。それでヘリが飛ぶのが八時過ぎになってしまって、官邸が動き出すのが九時になってしまったというような要因もあったんですが、今回は、逆に、政府の初動態勢がよかったとしても、地震と津波と、何といっても原発ということで、日本政府として経験したことのない非常に難題ですので、やはりビジョンがなかなか今示せていないんじゃないかなというふうに思っております。

 その前提で、きょうは、現場の状況を踏まえて、今何が必要かという現地への対策、そして、現場への復興支援のためにどのような資金繰りをするのかという、ミクロとマクロの観点から質問と提言をさせていただきたいと思います。

 まず、現地の実態把握として、一番最新で、現地、いわき市に入ったんですけれども、そのときは被災者の方とひざ詰めで意見交換をさせていただきました。携帯番号も教えていただいて、日々連絡をとり合っているんですが、本当に現場で今何が必要なのか。一言で言えば、三つありまして、まずは現金給付、二つ目として住宅の提供、三つ目として雇用の創出とマンパワーの確保ということが喫緊の課題ではないかと思いますので、まずその点の質問を進めていきたいと思います。

 きょうも、けさから昼にかけて、避難所、体育館に寝泊まりしている方に携帯電話で状況を教えていただきました。例えば、細かい話になるんですけれども、きょうのお昼は、おにぎり一個とみそ汁。朝は、おにぎり一個とイチゴが二個、百ccのジュース一個。昨晩は、パック御飯とレトルトカレーとミカン一個。その前の晩なんですけれども、実はおみそ汁があったんですけれども、震度六弱の地震があったということで、こぼれちゃったと。ですから、全く食事がなかったということなんですね。

 それから、ある方に聞いたんですが、年配の男性の方です。その方は、震災時、楢葉町周辺の工事現場で作業をしていた、そのときに地震に見舞われて、津波で家が流れてしまった、所持金も一万二千円。楢葉町の方にいろいろ聞いてみたんですが、とにかく、この一カ月の間に支給されたお金が、楢葉町から直接一万円支給されたということで、ほかは一切ないわけです。

 その工事現場から逃げられた方は、避難所を五カ所転々としたんですけれども、初めの所持金が一万二千円で、楢葉町から一万円ですから、二万二千円ですね。その間に、メニューをさっき紹介しましたけれども、やはりどうしても足らないわけです。いわき市は、二十四日に東北自動車道が開通してから、物流は随分改善したんです。ですから、お店に行けば物は売っているんですが、所持金が余りないので、ぜいたくはもちろんですけれども、必要以上の物が買えないんですね。その方も、お酒は飲まないんですけれども、たばこを吸う、ストレスもたまるでしょうから。ふだんは一箱吸うところを、今は五本で我慢しているというふうな状況があります。

 それから、フクシマ・フィフティーということが言われましたけれども、会った方の中に、ちょうど地震が起きたときに原発の中にいて、地震が起きて、四日間、中央制御室の電源を回復するためにケーブルを引いていたという二十の男性の方がいました。その方も、やはり給料がなかなか支払われないので貯金を取り崩して生活していると。それで、昼間も電話しましたけれども、その方も今も避難所におられるんですね。

 何が言いたいかというと、今の状況を話せば、まずは現金をいち早く届けることが現地の人が本当に求めていることなんです。そういったことを考えると、国として、とにかく、五万円でも十万円でもいいですから、何らかの形で、例えば市町村で仮払いしてくれれば政府が払うよという形で、市町村からまず一万円プラスアルファ届けるということを現場の声から感じていますけれども、いかがでしょうか。

東副大臣 長島先生の御質問にお答えさせていただきたいというふうに思います。

 現場を歩かれてきて、そして被災されている方々の声を直接ここに届けていただいているわけでありますから、それをやはり真摯に受けとめていかなくちゃいけないというふうに思います。

 ただ、今御指摘になったことは、一つの枠組みとして、検討に値するかもしれませんけれども、後ほど質問に出てくるかもわかりませんが、被災者生活再建支援法の中で、被災者生活再建支援金、基礎支援金というのが五十万から百万出る仕組みになっていますから、その手続をきちんとしていただければいろいろなやり方を通して早く出るような形を今至急つくっているところでありますので、そういうことを一方においてやっていただく。

 と同時に、また、僕は金融担当の副大臣でもありますので、貯金等がある場合、今回の震災で流されてしまい、そして判こやその他の必要書類がない場合でも、個人を明確に提示することができれば身分を明確にすることができれば、十万円、二十万円、金融機関を通じてお金を出していただける、そういう措置を施していますので、そういう流れの中で考えていただければなと。その上で、なおかつ、もう近々、お金がないというふうになった場合のお話なんだろうというふうに思います。

 罹災証明等、これも簡便に出るような形で、被災者生活再建支援金をできるだけ早くできるようにということで、種々の事務処理も簡便化させていくという形でやっておりますので、ぜひその旨も、こちらの方からも伝えさせていただきますが、もしそういう情報がなければ、先生の方からも伝えていただければというふうに思います。

長島(一)委員 めどだけでも示せないですか。例えば、今四千円の方、一万でも二万でも、月末なのか、あるいは五月末になっちゃうのか、その辺のめどだけでも示せないですか。本当にもう財布が底を尽きかけているような状況ですから。

 簡潔にお答えいただければと思うんですけれども。

東副大臣 避難所によっても、また、避難所にいられない、自宅で避難されている方、いろいろなばらつきがあります。そして、基本的に各市町村ごとに、どうしてもこうこうこういう理由でお金が必要だといった場合、市町村単位でも何らかの形で工面をしてくださっている方々もいらっしゃいます。

 ただ、今の先生の御質問に対して、ざっくり、国としての一つの基本的なスキーム、そういうものがあるのかというと、それはないわけでありますから、一部分においてそういうことをする、他地域においてはなかなかそういうことはできないとなると、ここにはまた問題が出てくるので、そのことも含めた上で、各市町村単位で、あるいはまた避難所単位でできるかどうかということは考えてみる価値はあるというふうに思います。

長島(一)委員 やはり政治のリーダーシップというのは優先順位と決断だと思いますので、小さいお金かもしれませんけれども、今回のケースに限って言えば非常に大事なお金になりますので、その点を踏まえて、実行の方、スピードと実行の観点でお願いをしたいと思います。

 次に、住居の件をお話しさせていただきたいと思うんです。

 特に福島県の場合、原発を中心に二十キロ圏、三十キロ圏、その警戒区域あるいは避難指示区域が今後変わるかもしれないという流動性があるんですけれども、例えば、避難所の方、特に勿来地区、原発から六十キロ離れているんですが、二十キロ圏内にある楢葉地区の方も避難されているんですが、三十キロ圏内ぎりぎりの例えば四倉高校というところは四月から開校しているわけですね。ところが、避難所にいると、子供が四月で入学したのに行けないわけです。避難所の手当てもないと。特に、いわき市の場合、その方の話だと、当初は楢葉町の人は申し込みさえできなかったと。今、苦情を言ったら申し込めるようにはなったけれども、どうしてもやはりいわき市の市民が優先ですというふうに言われています。

 その流動性に対処するために、仮設住宅をどこにつくるのか、あるいは、つくっちゃってもまた避難指示が出たりすると無駄になってしまうということがあると思うんですけれども、この流動性に対処するためには、実はトレーラーハウスが有効だと思うんですね。

 仮設住宅が一般的に大体五百万と言われていますけれども、きのうもトレーラーハウス協会の理事長にお話を伺ったんですが、とにかくトレーラーハウス協会は利益抜きで協力するということを言っております。それで、今も日本医師会の方から、トレーラーハウスを臨時の診療所に使いたいという申し出があるそうです。トレーラーハウス協会としては、とにかく無償で貸与もするし、設置の協力はする、無償の貸与は百台で、ただ、今アメリカに手配をしているので直近で五百台集められるということを言っております。

 そういったことから考えると、トレーラーハウスを避難区域が流動的な地域に活用するということは検討していただけないでしょうか。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県を初めとする被災各県においては、当面の住まいを必要とする被災者の方々に対しまして、御指摘の応急仮設住宅の建設、あるいは公営住宅の活用、民間住宅の借り上げといった住宅確保の対策を進めているところでございます。国土交通省としましては、現地に職員を派遣するなど、こうした県の取り組みを全力でお手伝いしているところでございます。

 トレーラーハウスについて、大変参考になる御提案をいただいたと思います。これが住宅として活用できるものか、あるいは一時的な避難施設というような扱いになるものなのか、どういう利用が適当かということについては、最終的には、住宅確保、避難所の確保をしております都道府県の方で判断されるということになろうかと思います。

 私どもとしましては、実は、輸入のユニット住宅でありますとか、いろいろな形での提案をちょうだいしているところでございまして、こういった情報を一度しっかりと整理させていただいて各県に提供しようということを今考えているところでございます。

 トレーラーハウスにつきましても、仮設住宅としての活用を前提に御提案をされるということであれば、これを整理しまして被災各県にお伝えしたい、こういうふうに存じます。

長島(一)委員 先ほども言いましたけれども、一般の仮設住宅は五百万で、利益抜きでトレーラーハウス協会がやった場合は、現物の原価が二百八十万円で、アメリカから二週間かかるんですけれども、船便で七十万円程度ということで、コストで比較してもメリットがあるので、今前向きな答弁をいただきましたけれども、ぜひ選択肢の一つとして入れていただければと思います。

 それから、被災者の雇用とマンパワーの確保なんですけれども、例えば、ある女性が広野町にある工場で働いていた、その工場が三十キロ圏内に入って解雇されてしまった、それで、本当は働きたいけれども、失業保険はもらえるんだと。本当は何をしたいかというと、ヘルパーをやりたい。特に、三十キロ圏ラインのところは、若い人たちが出ていってしまって、取り残されているのは高齢者とか障害者の方で、実はヘルパーが非常に足らないんですね。

 私も二週間前に行ったときは、消防団の方がケアをしていたんですけれども、そういったことからすると、ヘルパーも必要で、その方に言わせると、まず資格を取りたいんだと。二級を取るのに七万円かかるんだけれども、二、三カ月かかるという話なんですね。その前提として、本当は働きたいんだけれども、今失業保険をもらえるから、働いてしまうと失業保険をもらえなくなってしまうという、ある種、矛盾ではないんですけれども、そういった実態がある。

 ですから、これは特例中の震災特例として、失業保険について、一時金という形で手当てをして、それで、その方の働くインセンティブを高めるということも有効だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

黒羽政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用保険制度は、労働者の失業期間中の生活保障を図るとともに、求職活動を容易にすることがその基本的な目的でございまして、その後の失業状態を確認しないで、後の失業していない期間まで含めてすべて一時金として前払いするというのは難しいものと考えております。

 一方で、御指摘のように、早期就業のインセンティブを働かせるということは重要でありますので、この観点からは、給付を一定割合残して早期に再就職した場合には残日数に応じた額を一時金として支給する再就職手当という制度がありまして、また、リーマン・ショックの後の厳しい雇用失業情勢を踏まえまして、この給付率についても暫定的に最大五〇%に引き上げているところでございます。

 これらも活用して、失業した被災者の方の早期就業を支援してまいりたいと考えております。

長島(一)委員 私は地方公務員とのつき合いも長いんですけれども、難しいというのは、裏を返すとできるんですね。そういった意味で、今の制度の活用でできることもあると思うんですけれども、どうしてもと。役所というのはやはり例外を設けるのを嫌がるんですが、本当に特例中の特例の状況なので、ぜひそこは、政務三役にもお伝えしていただいて、政治のリーダーシップで特別な対応をしていただきたいということは指摘をさせていただきたいと思います。

 時間が限られておりますので、次に移りたいんです。

 汐見が丘小学校というところに、勿来地区、小浜地区の漁民の方が避難されていて、風評被害とか、それからコウナゴが基準値を上回ったということもあったんですが、今その人たちが一番ネックに思っているのは、例えば、一千万円の船を持っていて、全流失すると漁業共済保険で八割方出るので八百万円補償される。ところが、港の中に船が残ってしまっていると、その部分は逆に自分たちで引き揚げ料を払わなきゃいけないんだ、それが大体七十万円から百万円かかるということなんですね。だから、この部分だけは国が面倒を見てくれということを強く言っていたんですが、その点はいかがでしょうか。

佐藤政府参考人 御説明申し上げます。

 漁船保険の普通損害保険につきましては、転覆、沈没した漁船を引き揚げて修繕を行う場合、修繕費、引き揚げのための経費、通常、救助費と呼んでおりますけれども、これを保険金として支払うことになっているところでございます。

 今委員からありました修繕費及び救助費が保険金額を上回るような場合につきましては、一般の損害保険と同じように、やはり船主さんの自己負担になるのが原則でございます。

 ただし、今回の東日本大震災に係る被災漁船の処理につきましては、損害の防止それから軽減のための応急措置費用として、救助費につきましては保険金額を超えても支払うというようなことで特別の措置をしたところでございます。これによって救われるものもあろうかというふうに思っているところでございまして、こうした柔軟な考え方で対応していきたいというふうに思っているところでございます。

長島(一)委員 漁民の方も、今回は福島漁連からの情報が、見通しとかも含めてとにかく入っていないんだと。ということであれば、今前向きなというか、非常にいい情報をいただいたので私も伝えますけれども、せっかくいいことをやろうとしているわけですから、関係各方面に周知徹底をお願いしたいと思います。

 それから、ちょっと話が戻って恐縮なんですが、ヘルパーの資格の件なんですけれども、政権交代をしてから、働きながら資格取得できるようになったと聞いているんですが、そこもいま一つまだ現場に伝わっていない。私が会った後、携帯電話で電話して友達に聞いたら、実は働きながら取得できるんだということがわかったと。ところが、働きながら取得すると余計に時間もかかるし、施設によって、会社によって研修期間を保障してくれるところと保障してくれないところがあるということなので、せっかく政権交代をして、かゆいところに手が届くような施策を打ち出しても、実態としてまだなかなか改善されていない部分があるので、その点について見解をお聞かせください。

黒羽政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地においてヘルパー等の介護従事者を適切に確保するということは、その際、被災者の方々の雇用促進につなげていくということが重要であると考えております。

 ヘルパーなどの介護分野の資格取得に関しましては、主に二つの制度がございます。

 一つは、各都道府県で地域の雇用機会の創出を図る事業であります重点分野雇用創造事業のプログラムの一つといたしまして、給与を得て、働きながらヘルパーなどの介護資格を取得するプログラムというのが一つございます。

 もう一つは、成長分野等人材育成支援奨励金の支給制度の中で、在職者に対してヘルパーなどの資格取得のための職業訓練を実施した事業主に対する奨励金の支給を行っている、こうしたものを実施しているところでございます。

 さらに、今次災害の被災者等の雇用に関する当面の緊急総合対策として取りまとめました「日本はひとつ」しごとプロジェクトの中で、重点分野雇用創造事業の対象事業に新たに震災対応分野を追加いたしました。この震災対応分野におきましては、原則として被災した方々を雇用することとしておりまして、被災した方々を雇用しながらヘルパーなどの資格取得を図ることも可能となっております。

 これらの施策につきましては、ハローワーク等とのネットワークを通じまして、被災地域、避難所、そういった現場での周知に努め、被災地におけるヘルパーの充足を図ってまいりたいと考えております。

長島(一)委員 もう時間が限られてきてしまいましたので、復興資金のファイナンスについてお尋ねしたいんです。

 今回、震災によって、直接被害に加えて、計画停電による生産低下や消費低迷などが加わって、二〇一一年度の成長率がマイナスになる可能性があります。先ほど与謝野大臣から、年末には少し改善するんじゃないかという専門家の意見を御紹介いただきましたけれども、そういった意味で、海外で、税収の落ち込みと復興資金で赤字国債の発行額が、日本の財政破綻懸念が強まったという指摘、報道もあるんですが、そこで、赤字国債の発行をいかに抑制していくかということが非常に大事だと思うんです。

 まず、直接被害額は内閣府の方から十六兆円から二十五兆円とはじき出されていますけれども、間接的な被害額も含めてどれぐらいの規模と想定されているんでしょうか。

与謝野国務大臣 間接的な被害というのは、一つは計画停電によるもの、原発の風評被害、あるいは自粛によるもの、あるいは被災した地域自体がいろいろな活動をやめてしまったこと、いろいろ数字にあらわれてこないものがあります。これを今精査しておりますけれども、阪神・淡路のときは、直接的な被害が九兆六千億とか九兆九千億、約十兆でしたが、大ざっぱに言って、間接的な損害は七兆から十兆ぐらいだと言われておりまして、今回も、全部を足し合わせると、目に見えないところで相当大きな経済的な被害が発生していると考えております。

 いずれ、いろいろな統計、推計をやって皆様方にも御報告できる時期が来ると思いますが、しばらくの御猶予をお願い申し上げたいと思います。

長島(一)委員 さっき、赤字国債の海外での懸念、日本は赤字国債がふえて財政破綻の可能性が強まるんじゃないかという指摘ですけれども、そういった意味で、赤字国債の海外のマーケットマインドへの悪影響を避けるために、復興基金を創設して、政府保証つきの復興基金債を発行することが有効ではないかと考えます。

 例えば、長期金利プラス〇・三%の個人向けとプラス〇・一%の機関投資家向けの二種類として、特に機関投資家向けについては、発行から一年が経過すれば日銀の引き受けも考慮することが有効ではないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

与謝野国務大臣 赤字国債というものも建設国債というものも、先生が言及された復興国債的なものも、市場からお金を借りるという意味では全く同一の性質を持っていると思います。それに特典をつけるとかつけないとかということは別にして、公債の残高というのはだんだん限界に近づいているというのは、あらゆる方が指摘をされているところでございます。したがいまして、公債を発行する場合、市場との関係を非常に緻密に考えてやらなければならないと思っております。

 そして、国債の日銀引き受けというのは、もともと日銀法では原則やってはいけないということになっております。私は、既発債を売りオペ、買いオペで日銀が扱うことは当然金融政策のツールとして大事だと思いますけれども、日銀が引き受けるということを前提に国債を発行することは、国としての信用、中央銀行たる日本銀行の信認を著しく毀損するものだ、そのように考えております。

長島(一)委員 大臣の見解は見解として受けとめさせていただきますけれども、同じ借金だというのはわかるんですけれども、単なる赤字国債か、復興基金を活用した政府保証つきの復興基金債かということでは海外のマーケットの受けとめ方というのは私は違うんではないかなという気もしますので、ぜひ、選択肢から外さず、御検討はいただければと思っております。

 最後になりますけれども、これだけの規模ですから、もしかすると国民の皆さんに御負担をお願いする場面もあるかもしれませんけれども、そのときに、実質公平性を担保するためには、傾斜配分とか累進とか、そういったことも視野にしっかり入っているかどうかだけ最後に確認して、私の質問を終わります。

与謝野国務大臣 お金をつくりますのは、既定経費を削減するか、新しい税を考えるか、あるいは借金をしてくるか、この三つのうちの一つしかない、あるいはその中の二つ、あるいはそれの組み合わせ。残念なことに、財源は天から降ってくるものではありませんので、こういう際には国民がみんなでそのことを背負う、そのことが私は大事なことだと思っております。

長島(一)委員 ありがとうございました。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

荒井委員長 次に、内閣提出、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。中野国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中野国務大臣 ただいま議題となりました犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、最近における犯罪による収益の移転に係る状況等にかんがみ、電話転送サービス事業者を規制対象の事業者に加えるとともに、規制対象の事業者が一定の取引に際し顧客等について確認しなければならない事項の追加、預貯金通帳の不正譲渡等に係る罰則の強化等を行うことをその内容としております。

 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、特定事業者の追加についてであります。

 これは、顧客あてのまたは顧客からの電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者を特定事業者に加えることとするものであります。

 第二は、取引時の確認事項の追加等についてであります。

 これは、司法書士等を除く特定事業者は、顧客等との間で、一定の取引を行うに際しては、当該顧客等について、本人特定事項に加え、取引を行う目的、職業等を確認しなければならないこととするほか、成り済ましや偽りが疑われる取引等の犯罪による収益の移転防止のために厳格な顧客管理を行う必要が特に高いと認められる取引を行うに際しては、これらの事項に加え、資産及び収入の状況の確認を行わなければならないこととするものであります。

 第三は、本人特定事項の虚偽申告、預貯金通帳の不正譲渡等に係る罰則を強化することとするものであります。

 なお、この法律の施行期日は、預貯金通帳の不正譲渡等に係る罰則の強化に関する規定については公布の日から起算して一月を経過した日、その他の部分については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。

荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十五日金曜日午前十時五十分理事会、午前十一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十六分散会


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