衆議院

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第8号 平成23年4月22日(金曜日)

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平成二十三年四月二十二日(金曜日)

    午後二時十一分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      井戸まさえ君    磯谷香代子君

      岡田 康裕君    岸本 周平君

      櫛渕 万里君    小林 正枝君

      後藤 祐一君    坂口 岳洋君

      末松 義規君    園田 康博君

      中屋 大介君    長島 一由君

      橋本 博明君    福島 伸享君

      松岡 広隆君    森本 和義君

      森山 浩行君    谷田川 元君

      山崎  誠君    甘利  明君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      塩崎 恭久君    平  将明君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      野田 聖子君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域活性化担当)    片山 善博君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          厚木  進君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     櫛渕 万里君

  打越あかし君     谷田川 元君

  西村智奈美君     中屋 大介君

同日

 辞任         補欠選任

  櫛渕 万里君     阿久津幸彦君

  中屋 大介君     西村智奈美君

  谷田川 元君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 総合特別区域法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、総合特別区域法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省貿易経済協力局長厚木進君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井たくやであります。

 きょうは、総合特別区域法案に関する質疑をさせていただきたいと思います。

 私、ちょうど昨日から福島の方に入っていまして、けさこちらに戻ってまいったんですが、新幹線の車窓からいろいろ見ていて、やはり今までの発想ではこの国家はなかなか再建できないなという思いがあります。

 それと同時に、かつて全総でよく言っていた均衡ある国土の発展というのは、国是のようにずっとありましたよね。私自身は、昔の自分の論文を引っ張り出してみたんですが、やはり健全なる不均衡というものがこれからあるんだろうと。つまり、それぞれの地域の差異みたいなものを認めて、そして画一的な価値観だけでいろいろなものを見てはだめだということで、地域の個性や特異性を生かして、そして地域が能動的に国家全体の中で何か役割を担えないかというようなことで、それをかつて私は健全なる不均衡の容認というような言葉を使っていたこともあります。

 しかし、今回の法案というのは、ある意味では今までの考え方を大きく変えるという可能性もある法案だと思います。私は賛成なんですよ。賛成なんですが、いろいろな懸念を持たれている方もいらっしゃるだろうということと、この法案では復興は無理だなという思いも昨日現地に入っていて思いました。税制とか財政的な支援なんかは、今までかつてない、もっと大胆なものも用意をしなきゃいけないだろう、そんな問題意識もあります。

 しかし、被災していない地域にとってみたり、また、これから日本の競争力等々を考えたら、この法案は必要な法案であり、こういうものに本当にいろいろな思いを込めて、日本の各地域が活性化すればいいなというふうに思います。ただ、この特区の新しい考え方はいいにせよ、そこに新たな災害の問題、つまり、日本を取り巻くプレートの問題であるとか、分散型電源にするかとか電源の問題、インフラとか、エネルギーとか、広域災害というようなものもどうもまた関連をしてくるなというふうに思いました。

 そういう意味で、この法案というのはいろいろな問題提起を含む法案だと思いますが、これを非常に前向きに考えていければいいなというふうに思います。効率性とリスク分散、特にサプライチェーンの問題なんかは、今回、本当に如実にいろいろな問題を顕在化させたというふうに思っています。

 かつて構造改革特区では、私の地元小豆島ではオリーブ特区というのをいち早くやりまして、これはもうずっと続いているんです。非常にうまくいっています。ただ、小豆島でとれるオリーブというものの作付面積はやはり限界があるし、実がなるまでに時間がかかったりするんですね。ありとあらゆるものができていますよ、オリーブとかそういうものに関して言いますと。お茶から、しょうゆから、化粧品から、もうありとあらゆるものができていたり、最近ではオリーブハマチなんというのも、抗酸化の作用があるんですね、出荷前に食べさせてそれを出すと、色が変わらない刺身ができるというようなことがあったりするんです。

 そういう意味で、今までやっていた構造改革特区、地域再生制度、これが今まで地域活性化の車の両輪だったと思うんですが、今回、新しい総合特区ができることによって、さらにいろいろな地域が元気になれたらいいなというふうに思っています。

 今回の総合特区制度は、国際競争力の強化や地域の活性化に向けた、地域からのいろいろな提案を国が受けとめて支援をしていくというのが基本的な仕組み。こうした地域のイニシアチブを生かした仕組みとして、さっきお話しした構造改革特区制度や地域再生制度があった。これは確かにいろいろなものをやりましたね。どぶろく特区、うちの先ほどお話ししたオリーブ特区、いろいろありました。これも、省庁の縦割りを排した使い勝手のよい財政支援が実施されて、ある程度の成果を上げてきたということは事実だと思います。

 そして、今回、この総合特区制度を提案された趣旨というものに関して、今までの制度とこの総合特区制度、私が幾つか触れましたけれども、何が基本的に違うのかという基本的なところをまずはお伺いしたいと思います。

片山国務大臣 これまでもいろいろな地域振興といいますか地域活性化の方策を国としてしつらえて提示をしてきたわけでありますけれども、幾つかの特徴を挙げますと、例えば一つは、構造改革特区との関連でいいますと、構造改革特区はどちらかというと単品の規制緩和を承認してきたわけでありますけれども、このたびの総合特区においては単品ではなくて、複数といいますか包括的な特例措置を規制緩和において設けようということ、こういう違いがあると思います。

 それから、規制緩和だけではなくて、そこに財政上の措置でありますとか税制上の特例措置を加味するということもあります。もちろん、この財政上の特例とか税制上の特例というのは、それはそれなりにそれぞれまた既存の制度としてはありましたけれども、それらが規制緩和と結びつくということで、より自治体の方にとっては、それこそ総合的な地域づくり、地域の活性化や国際戦略にのっとった各種の施策を展開できる可能性を持っているという、こんなところに制度面での特徴があるのではないかと思います。

 あともう一つは、これはこれからやってみないとわからないんですけれども、どちらかというと今までは、非常にきめ細かい仕組みを国の方で設けて、あとは手を挙げればいい、そうすると認定されるというような、実態としてはそういう面がないわけではなかったんですけれども、今回は地元のいわば本気度を参酌するというようなことが要件に入っておりまして、そういう意味では、より従来に増して地元、自治体を中心にした地域がイニシアチブをとって国に向かってくる、こういうことを期待している、求めている。

 ほかにもありますけれども、こんなところが一つの特徴かなと思います。

平井委員 そうですね。幾つか違う点があると思うんですが、私自身は、構造改革特区制度と一番違うのは、一国二制度の容認があるかないかというところではないかというふうに思っています。

 構造改革特区では、特別区域における規制改革は基本的に全国に広げるというような前提で進めてきました。それが行き渡ってきたということが今回この法案に行き着く理由だと思うんですけれども、今回の総合特区制度における規制・制度改革は、いわば一国二制度、これは嫌がる役所も多かったんですけれども、この壁を乗り越えた仕組みであるというふうに考えてよろしいですか。

片山国務大臣 その一国二制度論というのは以前からありまして、私は率直に申し上げますと、当時、外におりまして、知事をやっておりまして、いささか奇妙な議論だなと思っておりました。

 というのは、そもそも一国二制度というのは、例えば香港などを見てみますと、国といいますか地域の体制に大きな違いがあるというような、そういう壁を存在させたまま併存させるかどうかというときに使うわけでありまして、片や構造改革特区というのは、そんな大仰なことではなくて、個別の規制の特例が、片や特例がある、片や特例がないものが、観念論としてもずっと永続しますかどうですかというぐらいのことだったと思うんですね。

 実は、構造改革特区以外のいろいろな国の規制だとか特例措置だとかを見てみますと、必ずしも全国展開をしなくても併存しているものは今までもあったわけでありまして、私なんかが率直に感じましたのは、構造改革特区を余り広げないための、嫌がらせとまでは言いませんけれども、歯どめとしてそういう論法が出てきていたのかなと思っております。それは、当然、構造改革特区のときに乗り越えなければいけないいわば壁だったと思います。

 そういう意味では、今回は乗り越えたといえば乗り越えたわけでありますけれども、もともと乗り越えるべきものであったと思っております。

平井委員 私もそのように思います。

 先ほども大臣お話しになりましたが、総合特区制度が既存の制度と大きく異なる点の一つは、先駆的な取り組みをする地域に対して、構造改革特区のように規制緩和という単一メニューで支援するのではなくて、規制・制度改革に加えて、税制、財政、金融面の支援をパッケージで行う、ここがやはり大きな違いだと思います。

 地域限定の特区制度を推進する意味というのは、規制緩和も大胆に活用しながら、ほかの地域のモデルとなるような先駆的な取り組みを、政策資源を集中させてサポートしていくという考えだと思います。逆に言うと、規制緩和措置も必要としない、先駆性の余りない総合特区提案、財政支援の活用のみを目的としたようなものを対象にせずに、大胆な提案にターゲットを絞っていくことが重要と考えますが、そこらあたりは、やはりその中身が大事だというふうな理解でよろしいんでしょうか。

片山国務大臣 非常に重要な視点だと思います。

 先ほど私少し触れたと思いますけれども、今までも区域を区切った地域振興策というのはるるあったわけでありますけれども、それらは財政上の支援措置というものがあったり税制上の特例措置があったりして、そこを目的にして申請するということが多かったわけです。

 今回、もし、本当のこの趣旨を体した申請ではなくて、単に財政上の支援が欲しい、そういう単品としての要望を持って、しかし全体の申請をしなければいけないのでというようなものがあり得ないかというと、潜在的にはあり得る、そういう可能性はあると思いますので、そういうものはきちっと排除をする。本当に、本来のこの制度がねらっている趣旨を体して、自主的に本気で向かってくるというものを見抜かなければいけない、そういう視点が国側には必要だろうと思っております。

平井委員 総合特区制度は、地域の戦略的な取り組みを支援するという制度なので、地域の要望にこたえてフレキシブルに活用できるよう制度設計をしておくという必要があると思います。

 例えば、地域活性化の取り組みに当たっては、昨今、地方公共団体のボーダーを越えて、複数の地方公共団体が連携して一つのプロジェクトに取り組むというようなことも少なくないと思います。地方公共団体の連携というのは、それぞれの強みを持ち寄って相乗効果を生み出すことができれば、総合特区制度を推進する上でも効果的なアプローチの一つではないかと思うんです。

 今回の総合特区制度で、複数の地方公共団体による総合特区の提案というものは可能なのかどうなのか、教えてください。

逢坂大臣政務官 今の御指摘は非常に重要な点だと思います。

 やはり、それぞれの地域は単に自治体の枠の中だけで完結しているわけではなくて、例えばA自治体、B自治体、C自治体が産業面ではある種つながりがある、場合によってはB、C、Fが医療面ではつながりがあるといったような、いろいろな固まりがあるというふうに思っておりますので、今回の総合特区におきましても、複数の地方公共団体からの共同申請というものも予定をしてございます。

 その際に、複数地域で指定をするという方法もありますし、場合によっては飛び地で指定をするということもいいのかなと思っています。それから、その中に幾つかのプロジェクトを包含しておくということも大事だろう、そんなことも可能にできないかなというふうに考えております。

 ただし、この際に留意点が一つあると思っておりまして、複数の地域は指定するけれども、実はお互い何の関係もない、連携もないのに指定のためだけにとりあえず手を結ぼうとか、幾つかプロジェクトは包含しているけれどもプロジェクト同士の連携がない、それについて複数で指定してくれということではなくて、相互に関係のあるものについてやっていくということが重要かなと思っております。

平井委員 そこは本当に知恵を出さなきゃいかぬところだなというふうに思います。

 今お話があったように、総合特区の提案を複数の地方公共団体で行えるという点は、私は、相乗効果を生み出すという意味で大変好ましいことだと思います。ただ一方で、この総合特区制度は、政策資源を特別の地域に集中することに意味があるとも理解するんですね。ですから、余り広域的に総合特区のエリアを設定すると、このコンセプトから外れてくるような気もするんです。

 複数の地方公共団体で総合特区の提案をする場合に、特区エリアの設定はどのような考えで設定すべきものなのか。例えば私の地元でいえば、四国の全エリアを総合特区として設定するというようなことは現実には可能でしょうか。

逢坂大臣政務官 多分、それは中身によっては可能だと思います。

 特に地域活性化総合特区においては、そういったことが、いろいろなことが考えられるんじゃないかなというふうに思っています。例えば私の地元の北海道なんかで、これはそういうものが出るかどうかわかりませんけれども、食料なんかを基本にして北海道全体で地域活性化特区なんというのを、場合によっては、私がもし北海道の知事だったら考えてもいいかななんという思いもあります。

 ただ逆に、国際戦略特区になりますと、余り広い地域になるというよりも、ある種の限定された地域に、まさに今委員が御指摘になったように、技術とか資源が集中していくということになるというふうに思われますので、国際戦略の方はどちらかというと範囲が小さいイメージかなというふうに思います。

平井委員 これも実際、審査してみないとわからないというところはありますよね。だから、これは本当に審査する側も大変だと思います。皆さんも知恵を絞って、何とか指定されたいというようなことでやろうということでしょうから。

 私がこの法案の質疑に立つということが明らかになってから、幾つかの団体から、こうした規制緩和に懸念を表するような方々もいらっしゃいまして、それをちょっと間接的に聞きましたので、急遽、質問をさせていただきます。

 規制緩和のメニューを地域の方々がうまく活用して地域活性化につなげていきたいというのは当然だとは思うんですが、このメニューの一つである通訳案内士制度の規制緩和について、懸念があるということで陳情に来られたようです。

 通訳案内士というのは、外国語による観光案内を報酬を得て行う専門家のことで、こうした外国人観光客に対して我が国の紹介役の役割を担う大変重要で専門性の高い職業であるため、これまでは法律に基づく国家試験の合格というものを条件としておったようであります。

 今回の総合特区法案では、総合特区において実施される研修を受講すれば、国家試験に合格せずとも、総合特区通訳案内士として、報酬を得て外国語による観光案内をすることを可能にしているということです。こうした規制緩和は、通訳ガイドのサービスの低下を招き、外国人旅行者の増加に取り組んでいる中、我が国の通訳ガイドサービスの水準に対する外国人旅行者の期待を裏切り、日本文化の理解の促進にも大きな支障を与えるリスクがあるとの懸念があるんですが、こうした懸念に対する御見解を伺いたいと思います。

逢坂大臣政務官 御指摘の通訳案内士でございますけれども、通訳案内士登録者数が、平成二十二年度現在ですが、一万四千五百五十九人いらっしゃるそうです。このうち実際に就業されている方というのは、登録者のうちの四分の一というふうに伺っております。

 これは、非常に有効な役割を果たしていただいている通訳案内士であるんですが、幾つか問題点があるというふうに伺っておりまして、まず、都市部に偏在をしているということです。案内士のうちの全体の七四%が都市部にいらっしゃるということ。

 それからもう一つが、英語をベースにする方が七割だということです。現在、アジアからのお客様が非常に多いわけですが、例えば中国語とか韓国語というのは、中国語が一一%、韓国語が五%、その他の言語の方が一五%といったような割合になっております。

 さらにまた加えて言いますと、ガイドニーズというのが、地域の一般的なことを説明するというだけではなくて、例えば富士山登山だけに特化したガイドみたいなことだとか、あるいは茶の湯とか生け花みたいなものに特化したガイドが欲しいとかという、いろいろな要望があるというふうに地域からは伺っているところです。

 したがいまして、こういうニーズにこたえられるように、今回、特区自治体が企画、実施する研修を経て、そこである一定のスキルを保った上で特区案内士としてやるということで、今先生が言われたいわゆる通訳案内士資格とは若干別の名称にしてやっていこうというふうに考えているものでございます。

 ただ、その際にやはり重要になるのは、その質がちゃんと保たれるということが非常に大事でございますので、この法律の中に国と地方の協議会というものが設けられますけれども、そこでまず十分に御議論いただいて、しっかり質が保てる研修というものを維持していくことが大変大事ではないかというふうに思います。

 それからもう一つが、今ございます通訳案内士法に基づく通訳案内士とは別の制度である、別のものであるということを明確にするために、その名称についても、別の名前を使うように周知を図るようにしたいなと思っているところです。

 ただ、これは実際にやってみると何か課題が出るというふうなことも場合によってはあろうと思っております。それで、やはりフォローアップというのが大事だと思っていますので、それぞれの特区から実績の報告なども上がってまいりますので、その際には、何か不都合がないかということは丁寧にトレースしていくことが大事ではないかというふうに思います。

平井委員 この通訳案内士というのは私は今回初めて知ったんですけれども、同じようなことが、規制改革、規制緩和の中でいろいろなところに及んでくると思うんです。それはやはり丁寧に対応していかなきゃいかぬというふうに思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 また、総合特区制度の提案というのは、地方公共団体間の連携も重要ですが、それ以上に、地方公共団体と地域の企業等の民間団体との連携というのもさらに重要だと私は思うんですね。地域の活性化は、地域の民間企業等の資金や知恵を有効に活用しない限り、モデル的な取り組みを実現することは不可能です。

 各地域の総合特区において、民間主体における事業と連携をとるということは不可欠でありますが、そもそも、その特区で何を目指すのかという基本的なコンセプトを議論する段階というのはもっと重要だと思うんです。

 そこで、その段階で、地域の企業、NPO等が行政と机を並べて議論をして地域の戦略を練り上げていく仕組みとするということが私は重要ではないかと思うんですが、今回の法案はそうした点にも配慮をしている法案になっているのかどうか、その枠組みについて教えていただければと思います。

片山国務大臣 議員がおっしゃった民間の主体の知恵と活力、これを総合特区の該当の地域の活性化とか国際戦略の推進に役立てるというのは、非常に重要な視点だと思います。お役所だけが参画をして主体的にやっていくというだけでは、やはりその実は上がらないと私も思います。

 そこで、この法案の中では、民間の皆さんとの連携がとれるようにということもありまして、それぞれの総合特区ごとに地域協議会という場を設置することになっておりまして、その中には、自治体はもちろんでありますけれども、総合特区の計画を実施するに当たって密接な関係を有する者という位置づけのもとに、一緒に構成員として加わっていただくということにしております。

 したがって、ぜひ、総合特区に指定されました該当の地域においては、この地域協議会の中で広く民間の企業あるいは公益的な団体などが集いまして、そこでさまざまな計画の策定でありますとかその内容の実施など、さまざまな局面で協力をしていただければと思っております。

平井委員 地域協議会というのは非常に重要だと思います。そのことについては、後ほどまたお聞きします。

 昨年秋の提案募集に四百五十件の提案が寄せられたと聞いています。各地域における総合特区の実施に向けた機運が非常に盛り上がっているということだと思うんですが、本法案に基づく総合特区の指定申請には多くの提案が寄せられると思います。

 一方で、選択と集中のコンセプト、これらの提案を数的に絞り込んでいかなきゃいかぬという非常に難しい作業をされなきゃならぬということなんですが、この総合特区の選定は、残念ながら選定されなかった地域の方々から見て、その選定結果の内容に納得してもらわなきゃいかぬということがあると思います。

 そういう意味で、透明性の確保に特段の配慮が必要ではないかというふうに思うんですが、そのためには総合特区の選定の基準を明確にしておかないと、これは後でもめちゃうと思うんですね。そこにどのような基準をまずお考えになっているのかということについてお聞きしたいと思います。

逢坂大臣政務官 全く御指摘のとおりでございまして、やはり、私自身もかつて自治体の現場にいて、いろいろなことに申請をして、なぜうちが選ばれなかったんだろうかというようなことをいろいろ思うことがございます。

 今回の総合特区は、事前に昨年アンケートもとった上でやることでありますので、それぞれの地域での熟度というか、これへの関心度合いは非常に高いというふうに私も理解をいたしております。

 そこで、幾つかポイントを設けてやろうというふうに思っていまして、閣議決定する総合特別区域基本方針、これは法律の第七条に定めておるものでございますけれども、これに基づいて、選定の基準というものをこの中に入れ込みたいというふうに思っています。閣議決定されるものですから、これは世の中に明らかに公開されて、明確なお墨つきのあるものになると思っています。

 現時点では具体的に六種類の要件を頭に置いております。

 一つが、国と地方で共有できる包括的な政策課題と解決の方向性の提示があること。二つ目が、新しい分野を切り開いていくなど先進的な取り組みであり、かつまた一定の熟度があるというようなこと。一定の熟度ということですから、ある種、夢物語みたいなものではちょっとまずいということかもしれません。三点目が、規制や制度改革に関して有効性のある提案がなされているというようなこと。四点目、その地域の地域資源を活用した取り組みの必然性が示されており、十分な実現可能性があるというようなこと。五点目、これは先ほど大臣からも若干言及がありましたけれども、地方の本気度を示す責任ある関与がなされているというようなこと。それから六点目として、運営母体である地域協議会がしっかり設立をされているといったような、六つの要件を現時点では想定しているところでございます。

 いずれにいたしましても、こうしたものを含めたものを閣議決定して、その方針に沿って、透明性を高めて決定をしていきたいというふうに思います。

平井委員 今の六点、ぱっとお聞きすると、ああ、なるほどと思うんですが、具体的な基準としてこれを当てはめていくとなると大変ですね。頑張ってくださいね。

 これは物すごく競争率が高いことになってしまうと思うんですね、地方の閉塞感から見て。私の周りでも随分この法案に関心を持たれている方々が多い。お客が多い法案なんですよ、一言で言うと。客が多いときには客のさばきが大変だと思うし、今までも、こういう法案というのは試行錯誤でやっていて途中でへたったものも結構あるんですよね。名前を変えて出してきたりいろいろするのがあったんですが、今回は、ここまで踏み切っているんだったら、これはもうラストチャンスだと思うので、ここはきっちりおやりいただくことを望みます。

 先ほどお話しになっていましたように、選定に関して必要なのは、基準も必要ですけれども、選定のプロセスですよね。密室で不透明なプロセスで選定が行われるようなことがあると、総合特区制度に対する地域の信頼性が揺らいでしまうと思うんですね。地域の活性化や国際競争力の強化に貢献できる制度にしなきゃいかぬというふうに思います。先ほどお話のあった基準の明確化も必要であると思います。

 そこで、選定のプロセスを各地域の申請者から見て透明かつ公平なものとするというような方法を現段階でお考えでしょうか。

逢坂大臣政務官 まさに選定のプロセスというのは大事だと思っております。

 従来の私のイメージでいくと、いろいろなものが役所の中だけで決まって、最後、結果だけがぽっと表へ出て、私が町長だった時代には、地元の代議士から、あれ決まったぞ、つけたぞみたいなことがあるわけですが、やはりそれではまずいだろうというふうに思っています。

 そこで、今回、選定に当たっては、分野ごとの専門家といいましょうか、有識者みたいな方に入っていただくということも一つの方法だと思いますし、さらに議論の状況を公開していくということも一つの方法だと思っております。それから、これはなかなか難しいことなのでありますけれども、ある種、点数化というものが、本当に有効かどうかといういろいろな議論があると思うんですけれども、そういったものも一つの手法ではないかというふうにも思います。

 いずれにいたしましても、客観性、透明性、そういったものにしっかり配慮しながら選定をしていくべきものというふうに考えております。

平井委員 今聞いていても、かつてのいろいろなこういう選考に私もかかわったことがありますけれども、これは大変ですよね。議論を公開するというのも収拾がつかなくなる可能性もあるし、客観的な点数化というのも非常に難しいと思うし、お話しになっていたように政治家の関与も出てくるように思います、応援団がね。当然、やはり地元を応援したいみたいなことになってくるんだと思うんです。

 そこで、今回、分野ごとの、だれが見ても間違いない専門家、これがやはり必要だと思います。そして、日本の未来を見据えて、ある程度大胆な決断ができるような方をぜひ選考していただきたいなというふうに思いますし、プロセスの透明化というか、そこが、今回の法案に魂が入るかどうかというところの一つの大きなポイントではないかなというふうに私は思っています。

 今回の法案の一つの特徴として、既存の制度と違うポイントの一つとして、規制・制度改革の提案に対して、提案をした地域の関係者と提案を受けた関係省庁とが直接議論を行うことができる、国と地方の協議の場というものが設置されるというふうに理解をしております。

 総合特区制度が地域の先駆的な取り組みを真にサポートするものとなるかどうかというのは、この協議の場が意図したとおりに機能するかどうかという点にかかっていると考えますが、この協議の場は、どのような頻度で、どのようなメンバーで開催されるのかについてお教えいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 今回の総合特区の一つの肝は国と地方の協議会との御指摘、まさにそのとおりでございます。

 今回、これにつきましては、法案の案文をごらんいただければ、実は、余り法律の中では細かいところまで規定はしてございません。

 まず、構成員として、内閣総理大臣、あるいは、国務大臣のうちから内閣総理大臣の指定する者及び指定地方公共団体の長ということを法律のまず一番先に規定をしてございますけれども、その他必要と認めるときは協議会に幾人かの方を、例えば先ほど指摘が出ていました民間の方でありますとか、場合によっては、この事業にかかわるNPOなどの方なんかも入ることができることになっております。

 そういう方たちにお入りいただいた協議会を実際にはどう運営していくかということについては、それぞれのいわゆる特区の状況に応じて、それぞれの協議会の中でお決めをいただくということになるのが一番合理性があるのではないかというふうに思っております。

 ただ、私が一番懸念いたしますのは、従来、私自身もいろいろな会議に参加をしておりますけれども、あらかじめ結論が見えていて、ペーパーが配られていて、ある種、それを読み上げて終わるというような会議にだけはならないようにしなければいけないのではないかなというふうに思っております。

平井委員 イメージですよね、どんな協議会になるのか。これはやはり、しゃんしゃんの協議会にしないためにはある程度の頻度が必要だと思うんですよ、手間がかかっても。そういう意味で、一回のしゃんしゃんじゃなくて、実際に多くの方々が意見を言えるというような形にしていただけないかなというふうに思います。

 地域からの規制・制度改革の提案に関しては、民間事業者等の提案を踏まえたものが非常に多いと思います。この場合、地方公共団体よりも現場感覚のある民間事業者等が協議の場に着いて、関係省庁の改革の方向性について議論を直接深めた方が効率的だと考えるんですが、この協議の場にそういう民間事業者等々も入ることは可能でしょうか。

逢坂大臣政務官 結論から申し上げますと、可能でございます。いろいろな事業にかかわる方が入っていただく、あるいは、先ほども一部言いましたとおり、NPOの方に入っていただくというようなことも可能だというふうに思います。

 それから、協議そのものを、協議会の構成員が大臣ですとか公共団体の長というふうにはされておりますけれども、やはり実務的に話し合うには、そこだけではなくて、もうちょっとそれぞれが指名した人たちがまず中心になって話し合ってというようなことも、場合によっては考えられるのかなというふうに思っております。

平井委員 地域からの提案というのは、いろいろなものが想定されると思うんですね。規制を所管する官庁側から見ると、それは幾ら何でもというようなものも非常に多いと私は思うんですよ。しかし一方で、せっかく協議の場に民間の方々を巻き込んでつくっても、規制緩和してくれということに最初からだめだだめだというようなことでは、余りにもこれは寂しいことになってしまうと思うんです。

 この協議の場がポジティブにずっと回転していくようなことが必要だと思うんですね。そういう前向きな姿勢で参加者が議論できる対策というものも考えるべきで、最初からだめだというふうにやっちゃうと話すこともできなくなってしまうと思うんですが、その辺に関する御見解なりアイデア等々がございましたら、お教え願いたいと思います。

逢坂大臣政務官 前向きにいろいろな会議が動いていくということのためには、一つは具体性といいましょうか、一般論だけで話をしていてもなかなか実感がわきません。やはり、当該特区における課題あるいは目指す方向、そういったものについて具体性を常に意識しながらやっていくということが一つ大事なことだというふうに思います。

 それからまた、いろいろと方針を確認するとか、こういう方向でいこうということを協議会の場で共有しても、全く協議が、全くといいましょうか、なかなか協議が進みづらいななんという場面が場合によってはあろうかというふうに思っております。そういう場合には、ちょっと強い言い方かもしれませんけれども、内閣府設置法に基づく、関係行政機関の長に対するいわゆる勧告のようなこと、そういったものも視野に入れながら、協議が円滑に進むように配慮してまいりたいというふうに思っています。

 以上です。

平井委員 今までの既存のいろいろな枠組みを乗り越えていくというところに、今回非常に期待が集まっていると思うんですね。

 もう一つ、必要とする規制・制度改革の支援措置に関しては、省庁をまたがるということに絶対なりますよね。そうすると、またいつも出てくる縦割りの話を排除しなきゃいけないし、一体的に前向きに進めていかなきゃいけないというふうに思うんですが、そのあたりのお考えはどうでしょうか。

逢坂大臣政務官 私自身も、いろいろな場面で、各省の縦割りの弊害の中でいろいろこの間も苦労してきた過去がございます。ちょっと変なことを言いますと、下水道も所管がいろいろあって、農業の下水があったり漁業の下水があったり厚生労働省の下水があったりというようなことで、本当に縦割りの壁というのはなかなか厳しいものだなというふうに思っているところです。

 しかしながら、今回の総合特区は、そういうものではない、地域の視点で地域の総合性を持っていろいろなことをやっていこうということでありますので、それを排除していくのがまさにこの国と地方の協議会だというふうに認識をいたしております。

 したがいまして、この場においては、各省の立場で物を考えるのではなくて、地域が目指したいものは何なんだという視点で物事の価値判断をしていくことが大事ではないか。その際においては、いわゆる各省庁の専門性というのは非常に有効でありがたいものではありますけれども、その専門性の枠だけにとらわれないでやっていけるように、これは政治の力でいろいろと推し進めていくということになろうと思います。

 したがいまして、この協議会の場には、大臣、首長ということを申し上げましたけれども、場合によっては各省の政務三役にも入っていただくというような場面もあろうかと思います。

平井委員 確かにそうです。これはぜひ、運用の中でそういう前向きな方向を出していただきたいなというふうに思います。

 では、同時期に出された特定多国籍企業による研究開発事業等の促進に関する特別措置法案、いわばアジア拠点法との連携について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 国際戦略総合特区は、単に地域の活性化を進めるということではなくて、国際競争の中で通用する産業競争力の拠点形成を通じて我が国経済全体を牽引することを目指すものと理解しております。逆に言えば、国際戦略総合特区で成長を促す産業は我が国経済全体を牽引するポテンシャルを有するものに限定されると考えますが、具体的にはどのようなものを想定されておられますか。

逢坂大臣政務官 国際戦略特区に関しましては、先ほども言いましたとおり、ある種、限定的な地域を想定するということが一つだと思っています。そして、限定的な地域ではありながら、そこに、その地域の持っている地域特性だとか交通の特性でありますとか、あるいは技術とか知恵、知識、そういったものの特性を出発点にしながら、ある一定の分野についてほかとは違った突っ込んだ取り組みがなされるということが国際戦略特区においては大事だなというふうに思っています。

 そこで、現在、昨年の実態調査で幾つか出されているアイデアがございまして、それらをちょっと御紹介させていただきますと、医薬品あるいは医療機器産業の拠点、これを形成するというようなことはどうだろうか。あるいは環境・エネルギー、こういった産業の拠点の形成はどうだろうか。あるいはアジア拠点化の推進、あるいは広く一般的に研究開発の拠点の形成。こういった分野に関する取り組みが数多く検討されているというふうに承知をしております。

平井委員 今お話しになったのは確かにポテンシャルのある分野だと思います。そのほかにもあると思いますので、またこれはおいおい別の機会にお尋ねしたいというふうに思います。

 我が国の経済を牽引する産業拠点の形成では、グローバル企業等の誘致を図ることも非常に重要だと思います。この際、立地企業に対して十分な税制上のインセンティブを与えることが有効な手段というふうに考えるんですが、こうした税制上のインセンティブは、近隣のアジア諸国との競争ということを考えると非常に出おくれているということですよね。

 御存じでしたら、韓国では法人税についてはどのようなインセンティブを用意されているんでしょうか。

逢坂大臣政務官 私も韓国の税制は余り詳しくなかったものですから、事務方に調べてもらいました。

 そうしたところ、韓国の平場、いわゆる一般の地域での法人税実効税率が二四%程度というふうに聞いております。その際に、特に外国人投資地域というようなものを設けまして、外国人の投資を促進しようというふうにしているそうでございます。製造業だとか観光業によって幾つか種類があるそうですが、製造業では、三千万ドル以上の投資を行った外国法人に対しては、最初の課税年度から五年間は法人税を免除する、ゼロ。それから、その後二年間は法人税が五〇%に軽減される。こういう措置が講ぜられるというふうに聞いております。

平井委員 確かに韓国はすごいんですよね。

 そういう流れの中で、我が国の法人税の水準については、国際競争力強化の観点から引き下げの必要が長年指摘されてきたことがあって、法人税の五%引き下げというものが民主党の中でも検討され、しかし一方で、今回の震災後には、経団連の会長が法人税の引き下げをやめて復興財源に回すべきとの発言があるなど、正直言って、不透明になってしまいました。

 そういう中で、仮に五%引き下げが実施されると想定した場合、国際戦略総合特区における法人税の水準と先ほどお話しになった韓国における一般的な水準とは、どのような比較になるんでしょうか。

逢坂大臣政務官 今回の法人税五%引き下げが実施されることになりますと、東京都における税率を使用して試算をいたしますと、その際の、所得控除制度の適用を受けたときの実効税率が約二九%になります。

 なお、認定地方公共団体が独自に地方法人二税を免除すると仮定をいたしますと、この二九が二三%になります。

 したがいまして、先ほどの、韓国のいわゆる指定地域ではない平場の法人税実効税率が二四・二というふうに承知をしておりますので、ほぼこれと似た水準になるのかなというふうに思います。

平井委員 今のは五%の引き下げがされてということでしょう。そうすると、五%下がらなかったらこれは一体どうなるんでしょうか。

逢坂大臣政務官 もし五%引き下げが見送りになった場合、端的に言いますと、先ほどのように東京都における税率を適用しますと、所得控除制度の適用を受けたときの実効税率が約三三%。それで、先ほどと同じように地方法人二税を当該地方公共団体が仮に免除をしたとすれば、実効税率が約二七%でございます。

平井委員 そうなるといま一つというようなことになっちゃうので、このあたりのところは、やはり財務省ともいろいろ打ち合わせをしながら、魅力あるものにしていただきたいというふうに思います。

 では、国際戦略総合特区における法人税の特例措置の減収見込みが幾らで、減税による経済効果をどのようにとらえたらいいか、そういう考え方は当然やられていると思いますので、御報告願えたらと思います。

逢坂大臣政務官 国際戦略総合特区における法人税の特例措置の減収見込みは、平年ベースで年間六十一億円というふうに見込んでおります。

 それから、逆に今度は、国際戦略総合特区による経済効果は、内閣府において把握可能なデータをもとに若干大胆な仮定を置いて推計をしておりますが、特区内の企業活動が本格化する平成二十六年度以降の五年間で約二千百億円というふうに見込んでいるところでございます。

平井委員 二千百億円ね。そうなったらいいなというふうには思いますが。

 ここで経済産業省の方にお聞きをしたいと思いますが、今国会には、グローバル企業の研究開発拠点やアジア本社の誘致促進を目的としたいわゆるアジア拠点法が上程されていますが、この法案の関連で、グローバル企業等の誘致のためにどのような税制上のインセンティブが盛り込まれているか、教えてください。

厚木政府参考人 お答え申し上げます。

 アジア拠点化推進法案におきましては、グローバル企業の研究開発拠点やアジア本社の我が国への立地を促進するための税制上の促進措置として、主務大臣の認定を受けた事業者に対しまして、一つは、法人税について、認定後五年間、所得の二〇%を控除する措置、もう一つ、所得税について、外国親会社が付与するストックオプションに対する課税を日本企業と同等の取り扱いとする措置を講ずることとしております。

平井委員 これは別々の法案なんですけれども、今、ただでさえ震災の影響で外資系企業が日本を脱出しているというような状況で、我が国の国際競争力強化ということを考えると、使えるものは全部総動員して、相乗効果をつくり出していくということが非常に重要だと思うんですね。

 こうした観点から、国際戦略総合特区に関する税制の特例措置とアジア拠点法案に基づく税制措置をいいとこ取りでうまく組み合わせるということは可能だと思うんですが、国際戦略総合特区の目標を実現する上で、アジア拠点法のこの枠組みをそこに乗せていくというようなことについてどのようにお考えでしょうか。

片山国務大臣 これはそれぞれの制度をそれぞれの企業なりが使われればいいわけでありますから、併用というのは変ですが、税制上のそれぞれの特例項目を使うわけですから可能でありますし、これが成立しましたら大いに使っていただいたらと思います。

平井委員 経済産業ではまだこの法案審議が始まっていないんですよね。経産省さんにもこれはしっかりやってもらわなきゃいかぬなというふうに思うんですが、当然、この総合特区の法案というものの審議が進んでいる中で私がこうやって質問をしている以上、要するにセットで売り込むというような話じゃないと、客がつかないと思うんですよ。

 経産省はよく客がつかない法案をつくるので、今回はちゃんと客がつくようなものをつくってほしいなという意味で、これはいろいろなところを個別撃破するという意味でも、その企業が、この法案というか総合特区に乗っていってアジア拠点法も使うというようなことを、ちゃんと情報として得て、それに対する相談窓口みたいなものがちゃんとあって、スムーズに連携できるというようなことが私は必要だと思うんですが、経済産業省ではどのようにお考えでしょうか。

厚木政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の経済を牽引する産業の育成という観点からは、まさしく先生御指摘のとおり、アジア拠点化推進法案によるグローバル企業の高付加価値拠点の立地促進と、総合特区法案による地域ごとの立地環境整備をあわせて講じ、相乗効果を発揮することが重要だと考えております。韓国においても、両方の措置がとられているというふうに聞いております。

 このため、総合特区法案に加えまして、今国会に提出したアジア拠点化推進法案に基づく、税制、特許料軽減、投資手続迅速化等のインセンティブを講じていく必要があると考えております。

 現在、経済産業省といたしましては、地域活性化統合事務局を初めといたしまして、関係省庁、地方公共団体等と密接に連携いたしまして、アジア拠点化推進法案及び総合特区法案の各種支援措置を総合的に、まさしく今先生がおっしゃったようにセットとして、パッケージメニューとして提示いたしまして、国内投資を促進することによって、我が国経済を牽引する産業の育成につなげてまいりたいというふうに考えております。

逢坂大臣政務官 せっかくですから、具体例みたいなことを若干一つだけお話しさせていただきますと、例えば大型の投資を行うときは、この総合特区制度の特別償却でありますとか税額控除を適用する、そして投資後は、今度は経産省さんのアジア拠点化推進税制の所得控除を適用するといったようなことをやることによって、相乗効果が生まれるというふうに思います。

 ただ、その際に、事業者にとって、あるいは自治体にとって非常に煩わしいのは、内閣府の地域活性化統合本部へ行かなきゃいけないとか、経産省に行かなきゃいけないというようなことになると、これは非常に煩わしいことになりますので、そこは内閣府と経産省さんとよく連携をとって、一つの相談でやれるようなことは配慮しなければいけないというふうに思います。

平井委員 まさに私の問題意識はそこで、それぞれ役所が別々に考えたけれども、使い勝手から、使う側から見ると、相談窓口を一本にしてもらわないと、何だということになるんですね。こういうものはまさにワンストップ化をぜひ御検討いただきたいと思うし、セットじゃないと、経産省の方のアジア拠点法はなかなか売れないですよ。そういう意味で、ぜひお願いをしたいなというふうに思います。

 時間もなくなってまいりましたので、最後に、震災関係で少しお聞きしたいと思います。

 今回の東日本大震災では、東北地方の地方公共団体の行政機能も大きな影響を受けて、また、被災地域の復旧等に、緊急対応にマンパワーの多くがそがれています。東北地方においても、総合特区制度の提案に向けた準備を進めていた地域があるんですね。今回、被災の影響によって、すぐに申請が難しいというところも当然出てくると思うんですが、こういう総合特区制度の推進にあって、被災地域に対して特段の配慮が必要ではないかと思うんですが、大臣、いかがですか。

片山国務大臣 今の点はよく注意しなきゃいけないと思います。

 もちろん、現在、壊滅的な被害を受けた自治体は、当面の目下の急務は復旧復興でありますから、なかなかこういう方面まで力が入らない可能性が高いということは推測されますけれども、しかし、スケジュールなどの設定に当たりましては、それなりの十分なる配慮をしなければいけないと思います。

 また、一回目の指定がなくても、その次のチャンスもありますので、そんなことも含めた配慮をしていきたいと思います。

平井委員 当然そうだと思います、特別な状況なので。かといって、では被災地域がこういう総合特区を使えないかといえば、当然使っていかなきゃいけないと思います。

 そして、被災地域に関して言うと、東日本に関して言うと、この法案というものも当然使えるんですけれども、さらに大胆な規制・制度改革や税財政支援等を特定の地域に集中させて、本法案の枠組みも踏まえながら、さらに思い切った措置をやらなきゃいかぬということになってくると私は思うんですね。これは平時の法律ですから。要するに、復興に関して言うと、さらに思い切った財政措置が当然必要だと思うんです。

 そこで、最後に財務省にお聞きをしたいと思うんですが、将来に夢、希望を持ってもらう復興プランをつくるというのは、希望というのは、実現可能な案が動き出して、みんながそれに参加できて本当に希望を共有できると思うんです。そういうためには、ちまちませずに思い切った財政、税制上の支援が不可欠で、今までいろいろな支援をやっていましたね。沖縄とか奄美とかいろいろあったけれども、この復興に関しては、その辺の、今までの物差しをさらに超えたところの思い切ったことをやるという意気込みを示すときではないかと私は思うんですが、いかがでしょうか。

尾立大臣政務官 お答えをいたします。

 私も平井委員同様、一政治家としても、この総合特区制度が地域の創意工夫によって活用されて、そして日本の新しい成長の源になるということを非常に強く願っている一人でございます。

 そこで、もう制度については説明は省かせていただきますと、予算上、税制上の措置として二十三年度予算にどのようなものがまず盛り込まれているかでございますが、一つは、予算上として、関係省庁の予算制度を活用して、さらに不足する部分を補完するという意味で、内閣府に総合特区推進調整費百五十一億円が措置をされております。二つ目は、今さんざん御議論がございましたが、国際戦略総合特別区域、さらには地域活性化総合特別区域におきまして、税制上の支援措置が図られているところでございます。ただ、これは委員がおっしゃったように、平時の措置でございます。

 それで、今回御提起いただいているのが、震災の復興に当たって、特区制度をもっと拡充してその復興に当たるべきではないかというお考えでございますが、確かに地域の皆さんからもそのような御要望、また各界からも御提言をいただいております。さらに、復興構想会議というものを政府においてつくっておりますので、また与野党の皆さん方の、先生方の御意見も取り入れながら、前向きに検討させていただければと思っております。

平井委員 時間が来ましたのでこれで終わらせていただきますが、この特区制度、これは非常にいい法案だと思います。ただ、予算にも限りがありますし、復興というところにこれを当てはめていくのなら、やはりさらにお金も必要ですよ。そのあたりの特段の配慮をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

荒井委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 私は、被災県であります岩手の選出の国会議員であります。きょうは、総合特区法案、この法案自体については私は全く賛成でございますけれども、その法案について少しお尋ねした後、震災の復興の関係でこの総合特区法案がさらに前進できないかということをお尋ねしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 まずは、総合特区法案についてお尋ねします。資料をお配りしております。一ページ目をごらんになってください。

 これは、内閣官房地域活性化統合本部の資料ということで、会議の場に出されたものですけれども、今まで構造改革特区にどういう問題点があったかということを整理されたものでございます。

 一つ目として、施策の効果、インパクトということで、個別の規制一つ一つの特例措置、あるいは規制の特例措置と支援措置が連動していない、したがって、効果、インパクトが限定的だという問題点。

 二点目として、全国展開を見据えた制度であるがゆえに規制官庁が消極的ではなかったのかという問題点。

 三点目として、計画の作成主体が地方公共団体に限定されているために民間の有する機動性や専門性が十分引き出されていない、こういう問題点。

 四点目として、縦割り、ワンストップ。業務や各省の施策が縦割りとなっているために施策の一体的展開が希薄であったという問題点。

 そして最後に、五点目としては、関係省庁が反対すれば実現されず、利用者等の声の反映がおろそかではなかったか。

 こういう問題点が指摘されていたわけであります。

 翻って、今回の総合特区法案でございますけれども、今申し上げたような各問題点をいずれも克服して、改善、解決して、発展させたものであるというふうに理解していいのかどうか、お尋ねします。

片山国務大臣 御指摘の点でいいますと、制度的に、これを法律でもって解決しようという課題と、それからもう一つは、政府として、今までの姿勢といいますか、各省の考え方を改めなければいけないという問題、両方があると思います。

 克服したという面でいいますと、個別の規制一つ一つから、そうではなくて、パッケージといいますか、複数のものを一括してということでありますから、これは、この法律案が通りますと制度的に解決される問題だと思います。

 それから、全国展開を必ずしも見据えなくて、個別の地域で完結するという面、これもそういう文脈でとらえられると思います。

 ただ、私も、構造改革特区というものを外から、申請したり、攻めたりしていた立場からいいますと、制度面の問題もさることながら、各省の縦割りの中でなかなか動かなかったというものがあります。それを、今風に言いますと政治主導でそこの扉を開いてもらいたいということを働きかけたにもかかわらず、以前はうんともすんとも答えがなかった、そういう経験がありまして、それは政治主導という運用の問題としてこれから私どもがよく注意をしなければいけない問題だと思います。それは、必ずしも、この法案が成立しましたら制度的にすべて解決できるというものではないと思いますので、よく注意をしなければいけないと思います。

階委員 残り三つにつきましては、制度的に今回解決されたのかどうか。もしコメントがあればお願いできますか。

逢坂大臣政務官 今御指摘のありました点につきましては、残りの点についてはほぼ解決されているというふうに理解をいたしております。

 計画の作成主体は、確かに地方公共団体が行うことになっておりますけれども、先ほど説明しましたとおり、民間でありますとかNPOなどもこの中に一緒に入ってやれるということになりますので、専門性、機動性といったようなものも確保されるというふうに思います。

 それから、縦割り、ワンストップについては、先ほどの説明の中でもありました。そもそも内閣府そのものが各省横ぐしでやらなきゃなりませんし、例えば、これから議論されるであろうアジア拠点化の仕組みと連携する場合も、総合的な窓口を持つということになろうかと思います。

 それから、最後の、各関係省庁が反対すれば実現されずというところが実は場合によっては一番難しいところかもしれませんが、ここについては、最大限の、地域の目的を念頭に置きながらやっていくということが大事だと思います。

階委員 制度だけでは必ずしも万全ではない、運用もしっかりしていかなくてはならないというお二人からのお話でございました。ぜひ、その運用面についても万全を期していただくようお願いしたいと思います。

 そして、もう一点だけお尋ねしますけれども、今回の法案ができて、先ほども申し上げたとおり、構造改革特区の法律については、もはやこの法案の中に溶け込んだといいますか、発展的に解消していいものではないかというふうに思ったわけであります。しかしながら、構造改革特区の法律の方も依然存続するように言われておりますけれども、果たして、もはやこの期に及んで存置する意味があるのかどうか、これをお聞かせください。

逢坂大臣政務官 私が自治体の現場で仕事をしているときのイメージ、あるいは今もししていたとすれば、例えば、ある種面的広がりを持って地域のさまざまな要素を組み合わせて立体的に地域の活性化を図りたい、しかも、国のいろいろな資源を選択的に、集中的に、よそとは違った形で投入してもらいたいと思ったら、この総合特区というものをやはり活用する。

 しかしながら、それぞれの地域は、すべてのところが総合的、立体的に地域の活性化を図る案件ばかりではございませんので、一点集中的に、この規制だけを全国に先駆けて外してもらえばまだよくなるのになという思いを持つところも多いと思います。その意味では、自治体の立場、地域の立場からすれば、現時点では二つあっても悪くないのではないかというふうに私は思っております。

階委員 今申し上げたような私の問題意識は、私は首長の経験とかはないものですから、首長の皆さんにとっては両方併存するのが当たり前とひょっとしたら思われているのかもしれませんけれども、私は併存することが結構意外だったんですが、今の御説明は納得のいくところでございます。

 ぜひその点は周知されて、何でもかんでも総合特区、ただでさえお客様が多い法案だというふうに先ほど平井先生からもお話がありましたけれども、そのあたりをきれいに仕分けがされるようにしていただければ、総合特区を本当により意味のあるものにしていけるのではないかと思いました。

 次のテーマでございますけれども、震災の復興に関して少し議論をさせていただきたいと思っております。

 大臣、政務官も御承知のとおり、あの東北、東日本の大震災の後、この地域の復旧復興のために特区制度を用いるべきではないかという声が各方面から上がりました。自治体の方からは、総合特区を活用できるのではないか、あるいは経済団体などからは、別途、復興特区を設けるべきではないか、大体そんなふうな流れがあったかと思います。

 私も、ひそかに、この総合特区法案というものが震災の復興のために活用できないかどうか少し検討しておったんですけれども、修正すればいいのかなとも思ったりもしたんですが、よくよく法文を見ると、今回の法文、総合特区と言っていますけれども、法文の中身に目を転じますと、「産業の国際競争力の強化及び地域の活性化」というフレーズが至るところに出てきております。私がざっと数えても八カ所ぐらい、冒頭の一条から始まりまして、そういうフレーズが出てくるわけでございます。

 いわば、この法案というものは、平時における対応、また、もともとプラス、悪くてもゼロぐらいの水準にあった地域がさらに上を目指す、プラスの幅を拡大するための制度ではないか。一方で、震災復興というのは大きなマイナスからのスタートで、これを何とかプラスに持っていかなくてはならない。

 そういう法律の理念あるいは条文の立て方から見ましても、私の結論としては、別途、復興特区法案というものが必要ではないのかなと思ったわけであります。この点について、大臣の御見解をお願いします。

片山国務大臣 結論においては、私も今議員がおっしゃった推論とほぼ同じであります。

 この総合特区というのは、まさに平時のときに考えたわけでありまして、今、それなりに経済の活性化なり、それから国際拠点づくりを目指そうとしているところがこの総合特区を活用してぐんと飛躍をする、そういうことを想定したスキームであります。

 一方、被災地、特に壊滅的な被害を受けた被災地は、本当に、その落ち込んだ、ほとんど灰じんに帰した被災の状況から、もとに戻り、さらにもっと、こういうプロセスをこれから経ていくわけでありまして、今この法案で想定していますスキームには必ずしもなじまないと思います。

 具体的には、例えば、復旧復興する過程で既存の平時の法体系というものがいろいろ阻害要因になってくる、復興のスピードを妨げるとか柔軟な取り組みを妨げるというようなことが現行の法律にはありますので、それらを、何らかの特例を設けるということは私は必要だろうと思います。その際に、個別の規制を取り除いていくとか特例を設けるというやり方ももちろんありますけれども、包括して、その地域を限定して一種の特区ないし特区的なものを設けるというのは、一つのアイデアとして有力だろうと思います。

 その際には、やはり今回のこの法案ではないスキームが立法措置を通じて実現されるべきだと思います。

階委員 ぜひ復興特区についても法案化を進めてほしいと思いますけれども、その場合、スピード感が問題になると思います。

 仮に、今回の総合特区法案、今審議が進んでいますが、この段階で復興特区についても何らかの手当てがされるということであれば、これも、先のことはわかりませんけれども、ある程度成立時期は見えるかもしれません。しかしながら、これから法案をつくるとなると、今復興構想会議というものも立ち上がって、そこでもさまざま、復興のやり方などについて議論がされてくるだろう、法案の立て方などについても議論がされてくるだろう、こう思うわけであります。

 しかし、具体的に言えば、今、被災地では、住む場所も避難所にまだとどまっている、瓦れきの処理もなかなか進まない、そういった状況を一刻も早く解決していくためには、復興特区法案、仮にそういう名前で言わせていただきますけれども、復興特区法案というものも一刻も早く国会に提出して成立を期さなくてはいけない、このように思います。

 そういった早い時期での復興特区法案の成立についてお願いしたいと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

片山国務大臣 ついせんだってから復興構想会議がスタートをしました。これは事実上の問題でありますが、おっつけ、その根拠法というものが国会に提案されて、審議されることになると思います。

 そこの場で、万般にわたります復興における重要な政策課題というものが整理をされて、必要なものは予算化され、必要なものは法案化されるということになるのだろうと思います。土俵ができたわけでありますので、そちらでの検討が急がれると私も思っております。

階委員 復興構想会議の方は六月までに何らかの提言をまとめるということなんですが、なるべく早く、その提言を待つまでもなく、復興構想会議にむしろこちらといいますか政府の方から、こういうことを進めていくべきではないかというふうにしかけていくような、そういう積極的な姿勢もぜひ政治主導でお願いできればと思っております。

 また、復興構想会議というのは国の組織でありますから、トップダウンといいますか、大きなビジョンといいますか、そういうことを打ち出すのかなと。一方で、復興特区というのは、ボトムアップで地域のさまざまなニーズ、そういったものを取り込めるのではないかということでございます。

 過去に三陸沿岸は津波にたびたび襲われてきました。私がこの間視察に行ったところで、そのときに津波に遭った場所で大船渡の吉浜地区というところがあります。この地区は、上から言われたわけでもなく、行政から何か指示があったわけでもなく、地域の方が自主的に、これからは高台に住むようにしようということで集団移転をしたわけであります。一方で、今回津波に遭ったほかの地域の中には、行政主体で高台に家を移したようなところもありますけれども、中には、年がたつにつれて津波の記憶というものも風化して、また海の近くに集落ができてきた。

 こういう過去の事実も考えますと、やはり地域の方の自主性を重んじることこそが、実は、今回被害に遭った地域の方々が、これから、将来にわたって二度とこのような災害に遭わないようにするためにも大事なのではないか。

 ですから、私は、復興構想会議、これはこれで大いに議論されればいいと思いますけれども、一方で、地域の声を生かすような復興特区、この仕組みづくりも早急にやるべきだと思っております。いま一度、その点について御見解をお願いします。

片山国務大臣 復興構想会議の議論と検討を待つまでもなく、政府内において必要な検討は進めるべきではないか、必要な政策課題は早く法案化すべきではないかというのは、私もそのとおりだと思います。

 政府内で、これをどこで検討するかということになりますと、これは恐らく、復興担当相というものが巷間言われておりますけれども、これがどうなるのかということによると思いますけれども、いずれにしても復興を担当する大臣のもとで進められることになると思いますので、差し当たっては、今は防災担当大臣がとりあえず復興構想会議の担当をされているわけでありますので、今の議員の御提言というものを速やかに伝えて、認識を共有したいと思います。

階委員 ありがとうございます。

 復興に当たっては、今申し上げた防災の観点というもののほかに、いかに雇用の場を確保して、そして若い人を中心にこの地域ににぎわいを取り戻すか、こういうことが大事だと思っております。仕事をつくるためには、やはり企業がどんどん立地していくような、そういう環境を整える必要があると思います。

 例えば、今の総合特区法案、国際戦略特区の方では、法人税の減税措置というものが定められております。これは、資料をつけております。四ページ目でございます。「国際戦略総合特区(法人税)」ということで、所得控除、丸の二つ目ですけれども、「当該事業による所得の二〇%を課税所得から控除できる制度を創設。」とあります。

 二〇%をさらに超えて、ただでさえ経済力の弱い地域でございますから、企業が立地するインセンティブをより高めるためにも、法人税の特例措置というものを強化して、でき得るならば、期間限定でも結構です、また、雇用の一定数の増加ということを義務づけるという要件を付しても結構ですが、法人税を当分の間ゼロというようなことも御検討されてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

逢坂大臣政務官 今回被災された地域の復興に向かって、今まであった企業が引き続きそこでいろいろな企業活動を展開していけるということは、私は非常に大事なことだと思います。さらに、当該地域においては、多分、国民の皆さんが感じている以上にいろいろな製造業も多くあるというふうに伺っております。

 実は、今私自身が使っている携帯電話の裏ぶた、これも当該地域でつくられておりまして、私が欲しい機種がなかなか入らないと言ったら、実はこの部分だけは今回の被災地でつくられているんだ、本体は別のところでつくられているんだけれども、裏ぶただけを専門的につくっている企業なんかもあるということも伺って、企業力の回復というのは非常に大事だと思っております。

 今回、復興のプロセスを相当上手にやらないと、別のところで企業活動を開始するということも場合によっては懸念されるわけであります。現在、それらは税法などによっていろいろな措置を講じているところですが、今後、多分、今我々が想定する以上のことも出てくるのではないかというふうに思います。

 したがいまして、復興会議での議論ばかりではなくて、今の御指摘、あるいは地域の実態、実情、それらも踏まえて、先へ向かって必要な検討というのはされるべきだろうというふうに思います。

階委員 ありがとうございます。

 次の質問ですけれども、総合特区法案を立案する段階で、民主党の中でも、この法案についていろいろな議論を行いました。一番大いに議論した点が、条例が法律を上書きするといいますか、もちろんこれは、今回の法案にそのような条例に対する上書きの委任規定を置くという前提なんですけれども、その委任規定が設けられることによって、条例によって法律の特例措置を設けるべきではないか、こういうことを、私やこの後質問に立たれる後藤さんなど、同僚の議員たちで一生懸命議論したものであります。

 そして、その中で、内閣法制局の方たちもいろいろ議論に参加してこられて、憲法四十一条に国会は唯一の立法機関だという規定がございまして、それがネックになるのでなかなかできないんだということでありましたけれども、憲法の明文規定上、明文で政令や省令の委任立法の限界というのが定められておりますけれども、条例については、法律の中で委任規定を置けば法律の特例措置を条例で設けることも可能であるかのようにも読めるわけです。憲法学者の意見などもいろいろ調べてみますと、実際にそのような見解を唱えている学者さんもおられました。

 最終的には、政策決定の一元化ということで、政務三役の御意見に従って、この点については見送って、今回は、法律の上書きは認めず、一定の場合に政省令の上書きを条例に認める、こういう結論になったわけであります。

 しかし、今回、復興特区におきましては、やはりスピード感が求められると思います。一刻も早く復興のために必要な措置を行うために、法律でもし障害があるならば、そういったものを条例で取り除いていく、こういう余地も認めるべきではないかと思っております。

 この点について、御見解をお願いします。

逢坂大臣政務官 今回の復興に当たっては、多分これからも、いろいろな法律の規制といいましょうか縛りによってうまくいかないぞというところが出てくるというふうに思われます。その際には、地域の実態、実情に合わせて、実効性の上がる対応をしていくことが大事だと思っております。

 それから、今委員御指摘の、いわゆる条例の上書き権というものでございますが、実は私自身も、自治体の現場にいたときに、条例の上書き権のようなものが実現できれば相当地域の実態に合った施策の展開がやれるのになというふうに、これは、自治の現場の世界では、いろいろな場面で語られているところでございます。

 しかしながら、今般の法案策定の過程に当たっては、最終的に、そこはいろいろな議論のプロセスを経て、今回御案内のとおり、政省令で規定される規則の特例を条例である種の変更ができるというふうになったところでございます。

 今の御指摘のことが直ちに実現できるかどうかということについては、今、私の時点では何とも言いがたいところではありますけれども、今後ともさまざまな議論を重ねていくべき案件だろうなというふうに思います。

階委員 ありがとうございます。

 資料の三ページをごらんになっていただければと思います。

 総合特別区域法案のスキームということで、総合特別区域というものが指定されて、そして、実際にそこで行う事業の計画が立てられ、いろいろな措置がされるまでのプロセスを書いてあるわけであります。これは、総合特区、今の法案についてのものでございますけれども、多分、復興特区法案なるものができる場合も、これに類似したスキームが想定されるのではないかというふうに思うわけであります。

 仮にそうだとした場合、私が必要だなと思うのは、先ほど申し上げました、トップダウンである国の復興構想会議と、その提言を受けて実際にいろいろな施策を実行していく復興対策本部というのが今言われていることです。復興庁になるか復興院になるか、これはこの先わかりませんけれども、何がしかの実施本部ができるわけであります。

 この実施本部というものが、例えば、このスキームの図でいいますと、総合特別区域の指定申請というのが左側の上から三つ目にありますけれども、この申請に対して総合特別区域の指定というもの、「推進本部の意見を聴いて内閣総理大臣が指定」とありますけれども、ここで「推進本部の意見」と言っているのは総合特別区域の推進本部のことですが、ここを例えば、復興の場合は復興対策本部なのか、復興庁なのか、復興院なのか、そういったところの意見を聞いて指定すれば、国と地方、トップダウンとボトムアップの連携というものがより図られるのではないかということが一つ。

 それから、もう一つのプロセスとして、このスキーム図でいいますと、右側の真ん中のあたりに国と地方の協議会というのがありますけれども、この構成というのが、国の関係行政機関等と入っております。この国の関係行政機関というのも、復興の場合は、復興対策本部あるいは復興院、復興庁、こういったものが入ることによってよりよいスキームになるのではないか、このように思ったりするわけです。

 こういう国と特区との連携のあり方、この点について最後にお尋ねしたいと思います。

片山国務大臣 これから復興についての手だてというのは考えていくことになると思いますが、その際に、総合特区的な仕組みというのは非常に有力な考え方になると思います。その際には、今お示しになられたような総合特区法案に盛り込まれたスキームというのは非常に重要な参考材料になると思います。

 ただ、これは平時でありますので、よりスピード感と、それからもう一つは、より地元の意向を酌み上げるということが必要になると思いますので、そういう改変といいますか、そういうものを加えることによって、さらに有効に機能するようなものにする必要があると思います。

 いずれにしましても、政府の中で早く方針を決めなければいけないというのが目下の課題だと思います。

階委員 きょうはいろいろと復興に関して御議論させていただき、ありがとうございました。

 私は、復興特区というものを主張しておりますけれども、注意しなくてはいけないのは、復興という名をかりて特定の地域が我田引水あるいは焼け太るというふうなことになってはいけない。やはり復興というものが、その地域の復興だけではなくて、日本全体の再生につながっていくような、そういう取り組みをしていかなくてはならないというふうにも思っております。

 ぜひ、そのような思いを込めて、復興特区法案の早期の提案、そして早期の成立を皆様にお願いして、きょうの質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 私、十年ほど前に、おふろの中で、法律を適用除外していい条例を自治体がつくってはどうかということをあるとき突然思いつきまして、おふろを上がってから紙にして、当時の総合規制改革会議のメンバーなんかにばらまき始めたら、これでやっていこうよという話になって、後ろにおりますけれども、そのころ同僚だった福島伸享議員も経済産業省にいたんですけれども、二人でいろいろなところに営業に行きました。私は、逢坂当時ニセコ町長、実はその関係で平井先生の高松なんかにも行ったり、福島議員は恐らく片山知事のところに行かれたり、そういうことを特区営業と称してやりまして、日本じゅうに構造改革特区ができていったという経験を持っております。

 先ほど、総合特区とどこが違うんだというお話がありましたけれども、構造改革特区がそれまでの話と一番大きく違うのは、自治体が、あるいは民間が、あるいはNPOが、一個人でも、国の制度について企画立案できる、自分からこういう制度はこう変えた方がいいんじゃないかということを提案できる、法律とかそういったものというのは、お国から与えられるものじゃなくて、おかしければ変えたっていいんだということを日本全国の人がおわかりいただいたということ、これは非常に大きな効果としてあったんじゃないかなということをあえて申し上げたいと思います。

 ただ、総合特区というのは具体的なイメージとしてどういうものなんだということが意外に伝わっていらっしゃらないんじゃないかというふうに思いまして、きょうは参考資料で、最初の二枚ほど、国際戦略総合特区の一つの例として医療関連産業をつくっていこうというもの、二枚目に、地域活性化総合特区の例として森林、林業の再生をやっていこうというもの、これを資料として配付させていただきましたが、これは具体的にどんな感じのものを想定しているのか、大臣に少し御紹介をいただければと思います。政務官でも結構です。

逢坂大臣政務官 当時はお世話になりました。ありがとうございます。

 今話を聞いておりまして、私も当時のことを思い出したんですが、まさに御指摘のとおり、あの構造改革特区が世に出たときには、ああそうか、国の制度を我々の発案で変えられるんだということで、非常に私も画期的な思いをした記憶がよみがえってまいりました。

 しかし、その後、構造改革特区も、いろいろやってみる中で、非常にいい提案もあったというふうには承知をしておりますけれども、もうちょっと、どうかなと思うような、小ぶりなものも結構あったようにも感じておりまして、その意味では、自治の力をもっと高めなきゃいけないなというふうなことも思ったことを今思い出しております。

 さて、そこで、今回の特区でございますけれども、まず、地域活性化の方の特区でございますけれども、これは、ある一定程度面的広がりがある、そして地域のさまざまな要素がある、それを組み合わせて地域全体の経済を活性化していこうというようなイメージだ、そういうふうに考えております。

 その際に重要なのは、先ほど、若干、バイオマスという話をされましたけれども、単にバイオマスならバイオマスの分野だけに言及するのではなくて、地域のありとあらゆる資源との連関を考えて、地域のストーリーというんでしょうか物語というんでしょうか、例えば、森林の下草刈りをきれいにやる、それを集めてペレットにしてバイオ燃料をつくる、一方で、例えばストーブをつくる製造業が小さくてもいいからそこにあったとするならば、それとも絡み合わせる、場合によっては、ペレットをつくったりストーブをつくったりするのを人に見てもらうプロセスなんかも組み合わせてある種の観光の要素も入れていくというような、さまざまな資源を考えて、組み合わせてつくっていくというものが地域活性化の総合特区じゃないかな、私はそんなイメージを持っております。

 それから、国際戦略特区の方でございますが、それは、やはり地域が限られて、限定化されている。しかしながら、その地域の独自の出発点というものがある。例えば、もともとある分野について人材の集積があったとか、あるいは輸送などについて有利性があったとか、あるいは気候の面でもある特定のものをやるときには有利点があったとか、そういうところを出発点にして、ある特定の分野について国際的に突き抜けられるような分野をやっていくというのが国際戦略特区ではないかなと思っています。

 その際に、今般、非常に重要というか有力視されているのが、医薬品でありますとか医療機器の分野についてどうかということだと思っております。ただ、医療の分野というのは、今の日本の現状を思うと、必ずしも諸外国と比べて、基礎的な、ケミストリーといったような意味では非常に日本は技術力というか、蓄積はあるんですが、医薬ということになると、今、諸外国の方も非常に力が強うございますので、そういったことも頭に置きながら、突き抜ける分野をどうつくっていくかということではないかなと思います。

後藤(祐)委員 政務官、ありがとうございます。

 例えば、今の医療の関係でいいますと、配付資料の一枚目でございますけれども、工業地域なんかに治験、すなわち新しいお薬なんかを調べて使えるようにするための実験をするわけですけれども、この治験のための病院をつくろうというと、今はできないわけですが、これをできるようにするというのは、今回の総合特区法の後ろの方の各論で既に法律事項を改正する話が入っているわけでございます。ただ、一方で、その上にありますドラッグラグ。これを承認するために適合性調査権限、これなんかは政令以下の話でありまして、政令以下の話についてはこれからになるわけでございます。

 二枚目の森林、林業の関係でいいますと、例えば、左側の三つ四角があるうちの一番下のところの小水力発電といったところは、これは河川法の改正が今回の総合特区法の中で各論として入っています。法改正が既になされます。

 ただ、一方で、その上の、バイオマスの廃棄物の話ですとか有害鳥獣をもう少し捕獲できるようにしようというような改正については、これから政省令ということになるわけで、こういったものをパッケージで、まさに政務官がおっしゃったように全体として取り組んでいくためには、これはできたけれどもこれはできないというのではなかなか、しり抜けになってしまうので、まさに、これから政省令以下についてもしっかりやっていただくということが必要になるわけでございます。

 では、これからどうやって、各省がなかなか認めていただけないようなものを政治主導で、あるいは内閣府に頑張っていただいてこれを進めていくのかという上で、この法律の運用のところで工夫することでかなりそこはできるんじゃないかなというふうに思っている点がありますので、それを幾つか質問したいと思います。

 一つは、国と地方の協議会というのは、先ほど質問でもありましたけれども、例えば、申請を出された各自治体の首長さんとその法律を所管している省の大臣の方がお二人で座って、この規制を外してくださいと言っても、なかなか進まない。逆に、例えば国土交通省に、その規制を外してくださいなんて変にけんかすると、補助金をくれなくなっちゃったりするかもしれない。自治体側からすると、怖くて、これは結構重要な問題なんですね。国の役所とけんかなんて自治体は普通はしたくないんですね。

 そのときに大事になるのが、まさに間に入って、総合特区を担当する大臣がそこにおられて、申請を出してこられた自治体がここまで、こうやってやろうと言っているんだから、熟度もあるんだから、これは国土交通省さん、何とかやらせてくださいよと自治体側の味方になって国の方で調整していただく。

 総合特区大臣というのは大変大事になるわけですが、法律上は、国と地方の協議会に総合特区大臣が入るとは明示されていないんですね。これは当然、三十四条に「国務大臣のうちから内閣総理大臣の指定する者」というのが条文上書いてあるんですが、ここに総合特区担当大臣は指定されるのかどうか、お答えいただければと思います。

逢坂大臣政務官 御案内の点でございますけれども、国と地方の協議会は、国と地方公共団体が対等な立場でいろいろなことを話し合っていこう、それで、地域がどんなことを求めているかというのを協議する場でございます。その際に、内閣総理大臣が調整役を担うことを想定してございます。

 総合特区担当大臣は、御指摘のとおり、国務大臣のうちから内閣総理大臣の指定する者として協議会に参加し、内閣総理大臣を助けて、必要な調整を行うことを予定してございます。

後藤(祐)委員 予定をしているということで、必ず指定していただくようお願い申し上げます。

 それで、この総合特区担当大臣は内閣府設置法上の特命担当大臣になるんでしょうか。これは細かい議論のように思えますが、特命担当大臣にならないと各省に対する勧告権というのが発生しません。つまり、この総合特区法の条文の中には勧告権は記載されておりません。これは恐らく、内閣府設置法上の特命担当大臣に指名して、特命担当大臣として内閣府設置法上の勧告権を行使するということではないかと思います。

 先ほどの質疑の中で、逢坂政務官から、勧告のようなものも視野に入れてというようなお話もありましたので、これは特命担当大臣として置くというふうに思いますが、いかがでしょうか。

逢坂大臣政務官 総理の御判断によりまして、どなたかが内閣府特命担当大臣に任命されて、六十三条の総合特別区域担当大臣を務めることになるというふうに考えております。

 それで、本法案によりまして内閣府設置法に加わる総合特区に関する所掌事務については、後藤委員御質問のとおり、内閣府設置法第九条の「第四条第一項及び第二項に規定する事務並びにこれに関連する同条第三項に規定する事務」、条文だけ読んで非常にわかりづらいんですが、これに該当することになっておりまして、御指摘の特命担当大臣が掌理することとなります。

後藤(祐)委員 明快な答弁、本当にありがとうございます。

 二十四条に、政令で規定された規制についての特例措置というのを一般的に規定した条項がございます。政令により規定された規制に係るものにあっては政令で改めるということなんですが、前者の方の政令で規定された規制というのは、各個別法の何とか法施行令という、先ほどの例でいえば国土交通省が所管している政令になるわけですが、それを今回は、総合特区法施行令、すなわち内閣府が所管する政令で改正するというふうに理解していいでしょうか。

 これも細かいことのように思えますが、実は、構造改革特区のときは各個別法の施行令の改正だったんです。だから、結局、原案執筆権は各省にあって、そこでやられちゃうんです。原案執筆権は内閣府あるいは統合事務局さんが持って、各省に、自治体がここまでやってくれと言っているんだから当然これでやるんでしょうねといって、原案執筆権を握りながら、そんな中途半端なことでは我々は政令改正の閣議は起こさないよという伝家の宝刀を持ちながらやるということ、実はこれは交渉の上ではすごく大事なことであります。

 内閣府所管の政令で改めるということでよろしいかどうか、確認したいと思います。

逢坂大臣政務官 後藤先生は非常に詳しいものですから、丁寧に答弁をしたいと思いますけれども、第二十四条の政令等で規定された規制の特例措置を定める政令については、御指摘のとおり、総合特別区域法施行令となり、内閣府において立案することとなります。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。これも条文にははっきりとは書いていないんですね。

 さらには、条例で外せるところ、二十五条ですが、「内閣府令・主務省令で定めるところにより条例で、」というふうにあるんですが、これはちょっと残念な規定なんです。

 つまり、政省令以下の規定は条例で好きに変えていいというところまでできるかなと思いきや、「内閣府令・主務省令で定めるところにより」あるいは「政令で定めるところにより」と。要は、国で決めたところだけは条例で変えていいですよという書きぶりになっていますが、この「定めるところにより」という意味は、何法何条の、あるいは何法施行令何条についてはという法令上の条文の場所を特定するだけであって、そこをどういうふうに改正するかという中身のところまで政令とか省令で書いてしまったら、それは条例で変えることにはならないわけですね。

 要は、ここの部分は条例でやっていいですよというところまでは国が決めるというのはしようがないとしても、その改正内容まで指定してしまったら、これは二十五条が存在する意味がほとんどなくなってしまうので、これは場所の特定までと期待したいと思うんですが、いかがでしょうか。

逢坂大臣政務官 今後どういう形になっていくか、いろいろ議論の分かれるところだとは思いますけれども、まず、第二十五条の条例による特例措置については、総合特別区域法施行令または内閣府令・主務省令において対象となる規制の根拠条項を定めることとすることにしております。

 なお、今後、これからということになりますけれども、国と地方の協議会においてさまざまなやりとりがされるというふうに思います。その際に、地方公共団体が条例で特例措置を定める際のやり方といいましょうか、基準等も定めることも想定をしておりますので、なるべく自治体の条例での自由度といいましょうか、そういうものを高めるような運用ができないかというふうに思っております。

後藤(祐)委員 大変前向きな答弁、ありがとうございます。これは、国と地方の協議会がどう運用されるかというのを、まさに今の答弁なんかで、非常に方向づける、大変ありがたい答弁だと思います。

 配付資料の三枚目をごらんいただきたいんですが、総合特区がどういう段取りで決まっていくかというと、今までのやり方とかなり違うんです。右側のフローチャートですけれども、各自治体なりが申請をして、まず指定をしてしまうんですね。まず総合特区の指定をしてしまって、それに基づいて推進方針というものを決めます。その後、国と地方の協議会というのが開かれて、今政務官の答弁があったような形で、前向きな規制特例措置を決定していって、その後、必要なら政省令なんかを変えていくということになるわけです。

 国と地方の協議会で、せっかくここまでいい提案が出ているんだからやってあげてよということを実質的にここで決めるためには、特区の指定の段階で厄介な話は全部落としてしまえということをしてしまったら元も子もないんです。

 もうちょっとわかりやすく言うと、これは各省調整が多分難しい話だろう、いや、これは熟度もあって、ここは総合特区になっていただいたらいいなと思うけれども、この規制を外すのは、多分厚労省はここまではおりないだろうということを逆算して、国と地方の協議会まで行っちゃうとやれという話になっちゃうから、そもそも指定しないというところで切り落とされちゃうんじゃないかということを大変懸念いたします。

 ところが、この指定をする、しないという基準は、先ほどの質疑のところでもありましたけれども、別の基準があって、先ほどの階先生の資料にありましたか、指定の基準がはっきり決まっているわけですが、法令の各省との調整が難しいかどうかというのはあくまで指定の基準になっていないわけですから、各省調整が難しい案件であっても、熟度が高いとか、指定基準に合致しているものについてはしっかりと指定するというふうに理解しておりますが、この確認をしたいと思います。

片山国務大臣 それは、そのとおりであります。

 どうもあの省がこの部分については難しそうだからちょっと外しておくかというようなことを考え出しましたら指定できませんので、そうじゃなくて、本当に総合特区にかなっているところを指定して、それについて実現を図っていく、こういう方針であります。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 後ろに事務方がおられますが、必ずその方向で指定をしていただけるよう、よろしくお願いいたします。少なくとも、当然、きょう資料に出ているようなものについては全部やっていただくということでお願いしたいと思います。

 それと、予算の関係です。

 先ほどの百五十一億円の推進調整費でございますけれども、実は、これはどう運用されるのかということを調べますと、若干使いにくいんです。つまり、既にある各省の補助金制度に乗っかって、要は、そこに百五十一億円のお金を移しかえてその補助金を交付するという形になっていて、逆に言うと、既に各省の補助金として用意されているものにしかこの百五十一億円の推進調整費は使えないかのような説明を少なくとも事務方から私は受けました。

 ところが、この推進調整費は内閣府に計上されていて、使途に制限はないわけです。既にある各省の補助制度ではなかなか合致しないようなところに対してもお金を出したらいいんじゃないかというふうに思うわけです。

 この後、先ほど階先生の質疑でもありましたように、震災特区の話も出てくるわけですけれども、お金がせっかくあるのに、その使い方が、制度論がゆえに使いにくくなっているというのは大変もったいない話で、百五十一億というのは大変大きなお金でございますので、例えば、既に補助制度があるものについてもこの総合特区については補助率をちょっと上げるということはできないか。

 あるいは、いろいろな補助金というのは自治体が裏負担をしなきゃいけない。例えば、国が半分見てくれるけれども残りの半分は出さなきゃいけないとかなっているときに、余りお金がない自治体はその残りの自治体負担分が出せないわけです。そうなると、お金を持っている自治体しかこの総合特区には手を挙げられない。要するに、富裕団体優遇制度になっちゃうんじゃないかという批判が出てくる可能性があります。特に、構造改革特区と違って、総合特区というのは、選択と集中で絞って、絞ったところに集中投入しようという制度ですから、公平にやる必要がありまして、財政の非常に厳しい自治体でもこれに手を挙げられるようにするためには、この裏負担分をどうするかというのは大変深刻な問題です。

 あるいは、一括交付金、地域自主戦略交付金ができるわけですけれども、これに移しかえて自由な形で渡す。

 いろいろなやり方があると思いますが、この推進調整費を自由度を持って運用する方法について少し御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

片山国務大臣 できるだけ自治体の自由度が高まるようにするということは重要だと思います。

 それから、各省に移しかえて使う場合でも、それぞれ、地方財政においては裏負担についての、ハード事業ならハード事業なりの仕組みがありますし、また、地方交付税で特段の配慮をするというようなものもありますので、そういうことも活用しながら、かつ、自由度を増すようなそういう工夫をしてみたいと思いますが、今回の総合特区では、先ほど来少し触れておりますように、従来の、ともすればお金を国から引き出すという地域活性化のスキームではなくて、ある種の自治体の意気込みといいますか本気度を試すというものもあるわけであります。

 そういう意味でいいますと、多少の自前の金を用意して、工面して、それでもって各種の規制の特例それから国の財政上の支援、税制上、金融上の支援とあわせて実現していくということになりますので、多少の自己負担というものは準備をしておいていただきたいなと考えております。

後藤(祐)委員 多少は仕方がないかもしれませんが、お金がない自治体でもこの総合特区に手を挙げられるように、そういった工夫はぜひしていただけるよう、私からも要望を申し上げたいと思います。

 それでは、残り短くなりましたが、震災復興に関連して少し質問をしたいと思います。

 先ほど階先生からもこの話がありましたけれども、震災関係の特区的な対応、これについては、各経済団体あるいは宮城県、いろいろなところから、ぜひやってはどうかというお話があって、先ほど片山大臣からも大変前向きな御答弁をいただきました。

 このときに、では、その復興特区というのは一体何が中身なんだろうということになってくるわけですが、総合特区でやったようなものにプラスアルファでいろいろなものを乗せなきゃいけなくなってくるわけです。

 個別法はもちろんいろいろあると思うんですけれども、これは四月十二日の総務委員会で泉田新潟県知事からあった言葉で、山古志村の関係で大変御苦労されたわけですが、やってみないとわからない、やってみるといろいろなところで規制がひっかかって、それを迅速に変えてほしいというのが本質なんだということをおっしゃっておりました。

 そのためには、まさに今回の総合特区法で提案されているような、政省令事項はぱっとその場で変えられるわけですけれども、法律事項を政令なり条例なりで改められるという工夫は、ぜひこの震災特区でやられてはいかがかなと思うんです。

 先ほど憲法論もありましたけれども、必ずしも、これは工夫をすれば憲法に違反しないようなやり方が可能ではないかと思うんですが、これについての御見解をいただければと思います。

片山国務大臣 これは、やはり総合特区を検討する過程でいろいろな議論がありました。本質的な問題というのは、仮に復興特区なるものを考える際にもやはり出てこざるを得ないんだろうと思います。特に、復興という非常にナイーブで、微妙な問題を含む事柄でありますので、法的な疑義が生じるようなことがありますと被災地自身も戸惑うことになりますので、そこはやはりきちっと国において整理をしてあげる必要があると思います。

 ただ、いろいろな工夫はあると思います。細かいことも法律でいろいろ決まっておりますけれども、細かいことを一々、一つずつ全部法律改正をしていく、順次していくというのは大変な手間がかかりますので、その辺を一括して何か整理できないかというのを私も問題意識を持っておりまして、具体化する段階で、これは復興担当のところで整理することになると思いますけれども、そういうときに御意見を申し上げたいと思っております。

後藤(祐)委員 制度については、まさに今おっしゃったように、できれば後で法律を変えられるようにしてほしいと思いますが、迅速に対応できる仕組みというのはお願いしたいと思います。

 次に、お金についてですけれども、これはやはりもう少し柔軟に使えるお金というのが現場に必要だと思います。既存の補助金制度、あるいは交付金、あるいは特別交付税というのをもちろん生かしていくのもあるんですけれども、特に、ハード事業は一次補正でもかなりやったと思いますし、既存の補助金制度が合うと思うんですが、それに合わないようなソフト的なもの、現場に行くとこういうのがちょっと必要なんだよねというもの、たくさんあると思うんですね。

 ぜひ、復興特区的なものをやるときは、基金的に、復興基金みたいな形で、各自治体ごとなんだと思いますが、ある程度使途の自由なお金をお渡しするという形でやってはどうかというふうに思いますけれども、これについて御見解をいただきたいと思います。

片山国務大臣 私も、知事をやっておりましたときに大きな災害に見舞われまして、そのときの体験も踏まえて申し上げますと、お金というのは幾つか重要なポイントがあります。一つは、潤沢とまでは言いませんけれども、十分の原則、十分お金があるということが一つでありますし、もう一つは、自由ということが重要な課題になります。

 その自由といいますのは、使い道が自由になるということ、それからもう一つは、時期でありまして、年度内に使わなければ返還するというようなそういう不自由さがありますと、復興のプロセスにうまく合わないということになります。したがって、年度を越えて自由に使える、そういう条件が必要になってくると思います。

 こういう、十分の原則と、二つの意味での自由の原則というものを満たすような、そういう財源の付与というものが求められるんだろうと思います。

 いろいろな手法がありまして、基金というのも一つの有力な手法であります。現に、阪神・淡路のときも、雲仙・普賢岳のときにも、基金を設けました。ただ、これは運用型で金利を生み出すというタイプでありましたけれども、今のような金利情勢のもとではなかなか財源の捻出ができないという面もありますので、また違った工夫も必要だろうと思います。

 いろいろなことがあるんですけれども、私などは、体験上一番ありがたかったのは特別交付税であります。欲を言えばもっとたくさんというのはありますけれども、自由度でいいますと、特別交付税が最も自治体にとっては使い勝手のいい、先ほどの自由の原則は少なくとも満たしたものだと考えておりますので、こちらをできるだけ充実したいというのが目下の課題だと思っております。

後藤(祐)委員 ぜひ、年度をまたいだというお話もありましたので、自由で、十分なお金が使えるような仕組み、できれば基金的な仕組みを検討いただければと思います。

 そろそろ質問は終わりの時間ですので。

 この復興特区も、やはり具体的なイメージを出す必要があると思っております。きょう、私、総合特区の関係で、資料として、例えば、持っている具体的なイメージとしてこんなのがありますよといって配ったのは、まさにそういう趣旨でありまして、早い段階で、例えば、今、目下、一番必要なのは仮設住宅なわけですけれども、なかなか平らな土地がない。でも、平らな土地というのはあるんですね。それは農地です。農地に仮設住宅が建てられないか。これなんかは農水省さんに対応していただいて、どうも既にそこはできるような対応をされているというふうに聞きました。

 でも、その農地を失った方はどうするんでしょうか。しばらくの間は、仮設住宅に土地をお譲りして、その分、賃貸料をいただくのかもしれませんが、やはり希望、夢、要は、この土地に住み続けて、おれは何をするんだ、これをやりたいんだ、農業をやりたいんだという方の希望というのはやはり大事だと思うんですね。

 仮設住宅に土地を譲った方は、例えば、津波で流されちゃった海沿いの方のもう住めなくなっちゃった土地を物すごい大規模な田んぼにするとか、そういったある程度イメージできるようなビジョンというものを早くつくっていただいて、逆に言うと、そういうものを具体的にイメージしていかないと、必要となってくる法律、制度、予算といったものはイメージできないと思うんですね。

 二次補正を早くつくらなきゃいけない、復興特区法案をつくらなきゃいけない。できれば、復興特区法案を出すときに、今回の総合特区法案の各論のところみたいに、法律事項は早く入れちゃった方がいい、そのためには、今言ったような、今のはあくまで例ですけれども、具体的なものを入れていかなきゃいけないわけですね。

 今のような話もそうですし、あと一つ、階先生が先ほど、やはり復興するところで会社が立ち上がっていただかなきゃいけない、税をまけられないかというお話がありましたが、一つ加えさせてください。

 最初は赤字なんです、会社は。法人税なんか払っていないんです。ところが、最初にお金を取りに来るのは社会保険庁なんですね。この社会保険料を減免するというのが被災地の赤字企業にとって大変重要になると思うので、きょうは厚生労働省に通告しておりませんので答弁は結構ですが、社会保険料の減免なんかも含めた復興特区、あるいは復興全体の法案、法令の中で積極的に、迅速、十分な対応をしていただきたいと思いますが、最後に大臣の御決意をいただきたいと思います。

片山国務大臣 これからも、いろいろな政策分野にわたってスピーディーに対応を求められることが出てまいりますので、それにおくれないような対応をしていきたいと思っております。

 今までも、厳密な意味での復興ということではありませんけれども、日々、復旧のこれまでのプロセスの中でも、瞬時とまではいきませんけれども、できるだけ早く対応を決めなきゃいけないということがありまして、今、毎日、被災者生活支援本部を開いておりまして、そこで決めて、実施をして、フォローアップするということをやっております。

 同じようなことが復興のプロセスでも当然求められると思っておりますので、政府全体としてそのようなことが実現しますように私も努力をしたいと思います。

後藤(祐)委員 それでは、終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十七分散会


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