衆議院

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第11号 平成23年5月20日(金曜日)

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平成二十三年五月二十日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      井戸まさえ君    磯谷香代子君

      打越あかし君    岡田 康裕君

      川越 孝洋君    川村秀三郎君

      岸本 周平君    小林 正枝君

      後藤 祐一君    坂口 岳洋君

      末松 義規君    園田 康博君

      高井 崇志君    長島 一由君

      西村智奈美君    橋本 博明君

      花咲 宏基君    平山 泰朗君

      福島 伸享君    松岡 広隆君

      森本 和義君    森山 浩行君

      山崎  誠君    甘利  明君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      塩崎 恭久君    平  将明君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      野田 聖子君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (行政刷新担当)     蓮   舫君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   内閣府副大臣       末松 義規君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 小橋 雅明君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  田中 順一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        澤木 英二君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  本田  勝君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     平山 泰朗君

  岸本 周平君     川村秀三郎君

  後藤 祐一君     花咲 宏基君

  橋本 博明君     高井 崇志君

同日

 辞任         補欠選任

  川村秀三郎君     岸本 周平君

  高井 崇志君     川越 孝洋君

  花咲 宏基君     後藤 祐一君

  平山 泰朗君     阿久津幸彦君

同日

 辞任         補欠選任

  川越 孝洋君     橋本 博明君

    ―――――――――――――

五月十七日

 子ども・子育て新システムを導入せず保育・幼児教育・学童保育などの拡充を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第六一六号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第六二五号)

 同(小泉龍司君紹介)(第六七四号)

 同(田村憲久君紹介)(第六七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第七〇五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官小橋雅明君、総務省行政評価局長田中順一君、法務省大臣官房審議官團藤丈士君、国土交通省大臣官房技術審議官深澤淳志君、国土交通省大臣官房官庁営繕部長澤木英二君、国土交通省航空局長本田勝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田康裕君。

岡田(康)委員 民主党の岡田康裕でございます。

 このたびは、質問の機会をいただきまして、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。本当にありがとうございます。蓮舫大臣が参議院の本会議があられておくれてこられるとも伺っております。きょうは、お忙しい中、末松副大臣にお越しをいただいておりまして、御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 時間もあれですので、早速質問に入らせていただきます。

 私も、有権者の方と選挙区で接させていただいておりまして、本当に課題だらけ、震災もありまして、政治課題という意味では本当にさらに積み上がってきているような状態かと思っております。震災の復旧や復興はもちろんのことながらですけれども、全国的な景気・雇用対策もさらに必要性が高まってきていると思いますし、また、社会保障制度、子育て支援、そしてすべてにかかわる財政の問題と、本当にあれもこれもすべて課題がありといったような状態かと思うんです。

 財政ということになりますと、何か新しいことを始めようといたしますと、その財源をどうするんだという問題にすべてが行き着いてしまう。そして、特に衆参がねじれてしまっておりますと、その財源の種類ももちろんのことながら、同じ種類であっても程度の話で政争の具にもなり得る状態でございますので、本当に厳しい政権運営だとは思っておりますけれども、ぜひとも引き続き御尽力をいただければと思っております。

 そういう厳しい財政状況というのは公共事業費も例外ではなく、これは自民党さんの政権の末期からもそうですけれども、ずっと削減されてくる路線をたどってきていると思うんです。私も昨年、特別会計事業仕分けで国交省さんの公共事業の特会を担当させていただきましたけれども、その折にもBバイCなんかでかなり議論になりまして、また削減というふうな判定になってきました。

 しかしながら、一方で、震災で新たに生じたインフラ整備の需要はもちろんのことながら、高度経済成長期に集中的に投資されていたような、水道インフラですとか、橋なんかもそうだと思いますけれども、そういったものが耐用年数がいよいよ来て更新もしなきゃいけない、そして、その先にもちろん維持管理もずっと続いていく。しかし、公共事業費がずっと下がってくると、いよいよクロスするところが来てしまうんじゃないかという懸念も指摘されてきているわけですね。

 そういう中で、鳴り物入りでと言ってはあれかもしれませんけれども、当時、私はまだ議員ではありませんでしたが、平成十一年にPFI法、まさに政府の財政支出だけでなく民間の資金も使っていただいて、公共事業を早く、量もふやして進めていくことができるのではないか、そういう期待を込めて議員立法で成立してきていたのがこのPFI法だと思うんです。しかし、それが本当に期待したとおりに活用されてきているかどうかというところなんでございます。

 先週金曜日、内閣委員会で大臣の方からこの改正案の提案理由の説明がございまして、短い説明ですから語り尽くせないとは思うんですけれども、第一に、第二に、第三に、第四にと四点ほど挙げていただきました。

 例えばその第一に、対象となる施設として賃貸住宅ですとか飛行機とか船舶とか人工衛星も加えます、こうあります。対象をよりふやすのは結構なことだと思うんですけれども、しかしながら、振り返って紙をめくると、最初からPFI法の対象となっていたものには、道路もあれば河川もありましたし、港湾も空港も鉄道も、上下水道、工業用水道もあれば、地下街とか教育文化施設とか更生保護施設とか産業廃棄物施設とか駐車場とか、いっぱい対象になっていたんですね。

 数字で聞きますと、これまでに、昨年の三月末時点、二十一年度末時点で三百六十六事業、金額は総額にして五兆円弱、VFMというPFI法の中で使われる指標でもたしか六千六百億でしたか、それぐらいに上ったとは書かれています。

 しかし、中身を見ていきますと、いわゆるサービス購入型というのが大半ではないかと。このサービス購入型というのは、例えば我々が使わせていただいている議員会館なんかもいい例だと思うんですけれども、要は、その建設費とその後の維持管理費もまとめて民間事業者の方に持っていただいて、それを国の側、院からということになるのかもしれませんが、分割払いしていく、割賦で払っていくという、財政の支出を平準化するという意味ではもちろん価値もあるでしょうし、管理運営で民間のノウハウが入って効率的になる部分もあるかとは思うんです。

 しかし、本来期待していたいわゆる独立採算型のPFI、つまり、建設、維持管理もしていただきますけれども、その維持管理の中で利用料収入とかもその民間事業者に得ていただいて、そして独立採算をとっていただく、どうしてもとれなくても投入する財政を最小限に抑えるといったような、そういうことがどれほど進んできたのだろうかと振り返ってみますと、ある方の指摘では、それこそ最近話題になったところでは羽田の国際新旅客ターミナルビルぐらいではないだろうか、こんな指摘もあります。

 諸外国の例を見てみますと、例えば道路なんかでも、アメリカのインディアナの有料道路があったり、フィリピンの高速道路がそういう方法でやられていたり、また、空港なんかはもう民営化というところまで行っているところも数多くて、イギリス、イタリア、フランスのEU諸国もあれば、中南米のペルーとかメキシコとか、またインドや韓国のアジア諸国でもあるわけですね。しかし、日本ではなかなかそこまで進んでいないように思うわけです。

 ですから、今回、最初の質問になりますけれども、対象をまた拡大していただくというのはもちろんすべきだと思うんですが、そもそも大玉となり得る基幹インフラも対象となっていながら、十年以上たった今、日本においてなかなかPFIが有効に活用されてきていない、その理由をどういうふうに考えられてこの改正案に臨んでいらっしゃるか、まずそこから御答弁をお願いできればと思います。

末松副大臣 岡田先生が言われたところは、本当にここのPFIの一番の問題点がどこにあるのかという話だと思います。

 おっしゃるとおり、独立採算型の事業というのが、我々が今把握しているPFI事業三百七十五件のうち十六件でしたか、四%しかない、本当にここは遅々として進んでいないというのが実感でございます。これは、一番の理由は、やはり民間金融機関からの円滑な資金調達が容易でなかった。これはどうしてかというと、民間事業者が得る収益が不確実であったということでございます。

 そのために、今回、法律の改正で、公共施設等の運営権、これを物権として抵当権として活用できる、そういうことから民間の資金調達がより円滑化するんじゃないか、こういうふうに見て今回の改正に至ったところでございます。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 今御紹介くださいましたコンセッション方式というものも、大臣の提案理由の説明の中の四点のうちの三番目でまさに御紹介をいただいたものだと思っております。これは確かに、事業を続けていく上で資金調達をより円滑にするという意味では、促進する起爆剤になる可能性がかなりあると思うんですね。

 ただ、これまで進んでこなかった理由として、では、本当にその資金調達面だけがネックだったのかと考えていきますと、景気ももう一つでしたけれども、資金を潤沢に持っている事業者もきっとあったと思うんです。ですから、一点はそういう資金調達面の不十分さというのがあったと思いますけれども、もう一点は、先ほど申させていただきましたとおり、財政的な経緯というのもあると思うんです。

 やはり、建設国債やら借金を重ねることに鈍感であってもよかった時代にはそれでどんどんやればよかったんだろうと思うんですけれども、いよいよ本当に公共事業費も厳しくなってきて、維持更新を十分に将来にわたって賄うことすらこのままでは危ないんじゃないかと言われるようになってきて、民間の資金を何とか活用させていただかなきゃいけない、そういう財政的な歴史というか経緯ももう一つの理由じゃないかと思うんです。

 もう一点、気になっていることがありまして、これは、この質問の準備をさせていただくに当たって民間の金融機関の方々からちらほら言われるところなんですけれども、公物管理権の民間への部分開放をもっと進められないか、こういうお話をよく評論なんかでも読むんですね。

 どういうことなのかなといろいろ考えて探っていきますと、公物管理の権利が、例えば水道だったら水道法があり、道路だったら道路法があり、川だったら河川法があり、下水道でも下水道法がありとそれぞれにあって、そういう個別の公物管理法の中で、管理主体はいわゆる公共団体でありますといったように規定しているようなところが例えばあるとか、そういったことが、民間事業者が入って管理権も含めて運営していくことの法的な障害になっているんじゃないかというふうな指摘をされる方がいまだにおられると思うんですね。

 いろいろな検討委員会とかの議事録を見させていただきますと、例えば、PFI推進室の方でされています委員会等々だと思うんですけれども、昨年の五月二十五日、ちょうど一年前ぐらいですね、そのPFI推進室の中間取りまとめにも、まさにこの公物管理権の民間への部分開放を進めていかなきゃいけないですよね、そういう議事録がしっかり残っておりました。取りまとめがありました。

 その後、この法案の骨子が煮詰まってきたのであろうと思うんですけれども、二十三年二月二十四日、三月ほど前のPFI推進委員会の第二十五回会合の議事録をずっと読んでいきますと、今副大臣が御紹介くださいましたコンセッション方式で、運営権を物権として構成していて、公共施設などの管理者、つまり、これまででいえば自治体等々が持っている管理権限を民間事業者に設定することでその民間事業者は権限を行使することができるんです、ほぼすべての公物管理法にこれは溶け込むことが可能だというふうに事務局の方の答弁がありましたので、この法改正を通じて、そういう障害も心配なく、本当に法的に障害だったかどうかというのは議論があるようなんですけれども、使い勝手が悪かった部分も含めてクリアできることになるのかなというふうに期待をしているんですが、そこらあたりの御答弁をお願いできませんでしょうか。

小橋政府参考人 先ほど委員から御指摘がありましたように、PFI推進委員会でこちらの方から発言しておりますように、今回の法律によりまして、個別の公物管理法関係、例えば港湾法とかいろいろなところに溶け込んでいくということで、いろいろな分野にわたってほぼ、民間の事業者が運営する、管理を行うといったときにそれは可能になるということは、今回の法案の作成の過程でも関係省庁とも話をさせていただいて、そういった確認はとっております。

岡田(康)委員 ありがとうございます。

 その点、クリアできるというふうな御答弁だったと思うんですけれども、先ほど触れました第二十五回の会合で、公物管理法すべてに溶け込んでいくことは可能だと事務局の方も発言してくださっているんですが、その続きで、議事録で公開されていましてネットで拾いましたから裏話じゃないと思うんですが、ただし、道路と空港は個別の事情によりことしはできない、産廃処理施設も適用はできないとのことだが、その他の施設は適用可能との回答を各省庁から得ているという発言があるんです。

 これだけ読みますと、道路と空港はやはりだめですよというふうに読めるんですが、有料道路と空港、そして水道に、この改正を通じて、PFIが独立採算型も含めて進んでいくことができると信じていていいんでしょうか。

小橋政府参考人 今、先生御指摘のありました分野についてなんですけれども、例えば空港につきましては、関西空港と伊丹は、統合する法律案がつい先日成立いたしましたけれども、それによりまして運営権を活用しながらやっていくといったことが可能になっております。

 では、その他の空港についてはどうかというと、今の段階では必ずしもできるということは言えないので、もう少し時間をかけて、ただし、やる方向でやっていくということは国土交通省から聞いております。

 水道につきましては、例えば兵庫県の加西市が今コンセッションを活用した事業ということを考えておりまして、多分、今回の法案が成立しまして法律になりましたら、これを使っていただけるものと思っております。

岡田(康)委員 道路のことも、道路整備特別法というんですか、そこで事業主体を決めていたりとか、そんなこともあるのではないかというふうな御意見も聞いたりもいたしております。

 いずれにいたしましても、これまでなぜ独立採算型のPFIが日本で活用されてこなかったのか。一番最初に御答弁を副大臣からもいただきましたけれども、その反省と言ったら言い過ぎかもしれませんが、そこに立ってこの改正があるとすれば、そういう基幹インフラ、道路も最たる例だと思います。民主党は高速道路無料化とみずから言ってきていたわけですけれども、そういうところも含めて、ぐっと踏み込んで活用していただけるように、やはり必要な、規制の面で変えなければいけないものがあるならば、ぜひともセットで変えていっていただきたいですし、使い勝手が悪いと言われるような難しい側面があるのであれば、そういうところをサポートするような体制もあわせてぜひ講じていっていただきたいと思うんです。

 例えば水道ですと、上水道は、地方公営企業法という法律で公営企業を設けて経営を行わないといけなくなっていますけれども、下水道はそうじゃないそうで、私の選挙区の加古川市でも、下水道は自治体で抱えていたりいたします。例えば、復興の中で、水事業をその地域である事業者がPFIで一体的にやっていこうとしますと、上水道は監督省庁が厚生労働省だし、下水道は国交省だし、工業用水になると経済産業省だし、農業用水になると農林水産省だし、こういうことになるんだろうと思うんですね。

 もちろん、法的には一つ一つ手続を踏めばクリアできるのかもしれないんですけれども、そういうことを積極的に公の立場の方から、ぜひ参入してきてくださいというふうにやっていきませんと、なかなか積極的になれないというか、そういうところがあるかと思うんです。そのあたりもちゃんとクリアしていけるような仕組みを考えていかれているんでしょうか。副大臣、お願いします。

末松副大臣 ただいま先生御指摘の、手続が複雑だとか、あと各省間で縦割りで困っているというのが大半の意見でございますので、この問題点をクリアするために、ことしの予算から、PFI実務経験者等の専門家を地方に派遣して、そしてこの事業をもっと習熟してもらうというのが一つあるのと、もう一つは、ワンストップサービスというんですか、推進室の方でワンストップで、いろいろと問い合わせとかリクエストが来る、それをこちらの方で各省に投げて、こちらでまとめて、そこで地方自治体のところに返す。

 こういうことで、本当にそういった意味で便利なようにやりたいと思いますし、また、手続の複雑性については、しっかりと、どこまで簡単にできるか今検討中でございます。

 さらに、推進会議というのがこの法改正について出ておりまして、これは政治家でなっているんですけれども、規制緩和とか大きな視点からもっと便利にこれを活用できないか、それを今検討することになっております。

岡田(康)委員 内閣府さんの方で、検討したい自治体さんが出てきた場合に問い合わせを受けて、そしていろいろアドバイスもしていただけるような体制、各省間の調整も担っていただけるような体制をあわせて講じていただけるというふうに今聞こえましたので、ありがとうございます。

 そこで、いろいろなことを感じるんですけれども、ちょうど今蓮舫大臣も到着してくださいまして、私も蓮舫大臣のもとで一緒に特別会計事業仕分けをさせていただきました。公共事業関係の社会資本整備特会で空港整備勘定、あれはまさにメディアでも話題になった領域でございました。

 今回、この間の本会議でも航空法の一部改正とかありまして、関空と伊丹空港についてはコンセッション、だれか入ってきてくれませんか、そういう準備をやってきているわけですけれども、先ほど小橋審議官のお話でも、ほかの空港についてはまだちょっとこれから検討というふうなお話がありましたが、例えば提案制度を設けるというのが第二に書かれていたりもするわけですね。要は、これを、公の側が自分たちが切り出したいものだけをちょろっと出すようだと、根本的にPFIは活用されていかないと思うんですね。それを、むしろいろいろな提案が集まってくるようにしてあげなきゃいけないと思うんです。

 例えば国管理空港、私もあの仕分けのときに新潟空港に行かせていただきまして、そこで働かれている方はそれぞれに役割があって一生懸命お仕事をされているように拝見しましたけれども、しかし、そこにいらっしゃるお役所の方が、この空港を単体で黒字化しなきゃいけないんだとか、そういう感覚でいらっしゃらないわけです。言い過ぎかもしれませんが、公民館にいらっしゃる方のような印象を受けました。

 例えば、これから、新潟空港だけに限定してしまうとまた変なふうに聞こえてはいけませんが、国管理空港について、赤字のものも、何とか採算がとれているようなものも、こういう経営の仕方をしているからこういう財政、財務状況なんですとか、そういった情報を民間企業の方にどうやって情報公開をしていただけるのかということなんです。

 この間、参議院の質疑を議事録で見ましても、国土交通省の局長さんの御答弁だったと思いますけれども、関空、伊丹で一・三兆の負債をセットにされてコンセッションしようとしていますね。ただ、伊丹空港だと過去に幾ら幾ら億円の売り上げが出たことがあります、関空だと幾ら幾ら億円の売り上げが出たことがあります、だから何十年かかければ一・三兆円の負債とセットで買っていただけるんじゃないでしょうかというんですが、それは、売る側の中でそういう試算をするのはいいと思うんですが、やはり買いに来る側が、本当にそれを自分たちが買って、何十年か先にトータルで、ネットでプラスになるというところまで自信が持てないと絶対来ないわけです。

 ですから、公の方が自分たちが切り出したいものだけをちょろちょろっと小出しにするとか、また、水道事業でもそうです、いつ更新需要がそこの自治体でどれくらい発生するのかとか。もっと言えば、国管理空港、個別に一つ一つバランスシートがちゃんとできているのかということ。水道事業のバランスシートも、そのBS上の価値も含めてちゃんと整備されているのかどうかというようなこと。ここら辺は、提案制度はありますけれども、提案しようにもできないことにならないだろうかという心配をちょっとしているんですが、大臣の方で御答弁をお願いできませんでしょうか。

蓮舫国務大臣 お答え申し上げます。

 まさに岡田委員の御指摘は正しいと考えております。PFI法案、御審議いただいておりますが、お認めをいただいて、新しく運営権という形あるいは民間事業者の方々からさまざまな提案をいただくという一つの大きなスキームはできることになるんですが、実際にその公的施設を所有している自治体等が考え方を大きく変えていただかないと全く使えない制度になってしまいますので、民間の皆様方からさまざまな提案を提供していただけるためには、公共事業の側から、この部分は開放していきたい、どういうふうに改善をしていけばいいのかという積極的な情報提供をしていただくことが望ましいと思っております。

 今回の法案をお認めいただきましたら、私どものところでガイドラインをつくる、あるいは、ガイドラインに盛り込む以前に関係省庁と連携をとって、自治体にはこういうふうに積極的に行動していただきたいという旨をしっかりと周知徹底することも考えておりますので、岡田委員の御指摘、承知させていただきたいと思っています。

岡田(康)委員 積極的な御答弁ありがとうございます。

 私も社会人時代に、DCF法というやり方で、企業の事業計画書を現在価値に割り引いてどれくらいの現在価値、企業価値があるのかとか、それを発行株数で割って株価がどれくらいが理論的な価値なのかとか、そういう計算を半年ぐらいひたすらやっていた時期があります。

 そのときの感覚からしましても、民間同士のそういう事業の売買だと、有価証券報告書も出ていますし、ホームページでも堂々と中期経営計画とかも出ていますから、株主もいらっしゃるのでうそをつけないわけですし、それをもとにちゃんと計算もできます。非上場の企業でも、帝国データバンクさんとか、最新じゃなくても情報があったりするわけですけれども、公と民間との売買において、今御答弁いただきましたけれども、そういう情報をどう積極的に開示していただけるのか。

 また、公の団体が、それまで借金をつくってきたにしろ何にしろ、税金や保険料をいただいてそういうことをやってきているわけですから、やはり株主という、国民が後ろにずらっといるわけでもあります。ですから、本来ちゃんと経営すれば黒字化できたようなものをただ同然で上げてしまって、そっちでは利益が出るけれども、それでいいんだろうか。本来は、売る側は高く売りたいと思うべきだし、そこら辺のそういうマインドもちゃんと働くんだろうかとか、その辺がちょっと気になっていたりもいたしますので、ぜひとも引き続き検討いただければと思います。

 時間もあとわずかになりましたので、最後の質問にさせていただきたいと思うんですが、これから被災地の復興に向けて相当の公共事業が補正予算等々で行われていくことになろうかと思うんですね。先ほど大臣が来られる前にも水道のことをちょっと取り上げさせていただきまして、監督省庁の縦割りのこととかも申させていただきましたけれども、やはり被災地でこのPFIがうまくできれば相当な加速するエンジンになり得る法律だと思うんです。

 これから被災地の復興に向けましてこのPFIを進めていっていただこうといたしますと、仮設で臨時にお役所機能を復帰させているようなところでは、なかなか新たに検討するということは人的に難しいと思うんです。そういう面のサポートとかも含めて、震災の復興に向けてどんなふうに今検討されているか、副大臣の方で御答弁をお願いします。

末松副大臣 東日本の大震災、ここでPFIをいかに活用できるか、そういう思いでやっております。

 とにかくモデルにしていきたいというふうに考えておりまして、特に我々、先生が今御指摘されたように、積極的にいろいろな公共的なものの情報を公開していくと同時に、まさしく対象に新たに含めました賃貸住宅とか、あるいは民間からの提案を活用するとか、さらに、先ほど申し上げた運営権、これを導入して、どこまで民間が収益構造をしっかりと計算してもらって、そこで参入できるか。それに対する情報の公開、提供と同時に、先ほどの専門家の派遣、そういったものを通じて、しっかりとそこはやっていきたいと思っております。

岡田(康)委員 あと二、三分あるようですので、これは通告していないことですから質問ではないんですけれども、民間の事業者の、PFIをやってみよう、そういうインセンティブをつくっていただく、情報公開も積極的にしていただくということはもちろんのことながら、地方自治体の側からも、例えば空港のコンセッションも負債とともに切り出していくわけですから同じだと思うんですけれども、バランスシートをきれいにしていこうというふうなインセンティブが地方自治体にも働いていくんじゃないかと思うんです。

 将来、地方分権なんかも進んで、地方自治体さんが独自に民間の金融機関から地方債でお金を調達するようなことがもっともっと出てくるのであれば、やはり一つの事業体としてバランスシートがどうかということも見られていくと思いますので、そういう意識も持っていただくべきなのではないかと思っています。

 そんな中で、過去に水道インフラなんかで、財政投融資の特会から五%を超えるような高い金利でお金を貸して、そして地方自治体で公共事業をやって、その高い金利の利払いをいまだに払わされている自治体がたくさんあるわけです。五%以上の分については、繰り上げ償還したら補償金を免除しますよということを既に実施していただいておりますけれども、三%、四%の金利分についても何とかしてもらえないか、こう言われるわけです。

 しかし、それは財投特会の方では、実は、金融業じゃないですけれども、その利ざやがまさに利益で上がり、マニフェストの財源の一部にもなってきているわけですから、ちょっと国民から見れば違和感も覚えるところではあるんですけれども、そういうインフラをPFIでコンセッションで切り出していくときに、高い金利がついていた財投からの借り入れ部分の繰り上げ償還の補償金を何とかしてあげるとか、そういうこともいいインセンティブになるのではないか、そういうふうな御意見を下さった方もおりましたので、一つここで触れさせていただきました。

 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

荒井委員長 次に、平井たくや君。

平井委員 自由民主党の平井でございます。

 このPFI法案の質疑の前に、蓮舫大臣、節電担当大臣ということなので、これは質問ではなくてエールを送る意味で、一つ私の方から情報提供をさせていただきたいと思います。

 五月十三日、夏期の電力需給対策というのが経産省から出ました。いよいよ節電担当、啓蒙する役目ですから、これから蓮舫大臣の出番だと思うんですが、パソコンの省電力設定という話なんです。これは実はマイクロソフトさんは記者会見しているんだけれども、余り世の中に知られていないんです。

 ざっくり言いますと、一般家電に比べて消費電力の少ないパソコンでも、設定により節電効果が認められて、積算するととんでもない大きな数値になるんですね。東京電力管区内の二千四百五十五万台のパソコンのうち、ウィンドウズXP以降のパソコンは二千二百八十四万台なんですね。特別な省電力設定をしない場合は百二十万キロワットを必要とするんですが、OSの省電力設定をすると平均三〇%の電力削減が可能となる。これは、計算してみると約三十三万キロワットの省電力化なんですよ。そうすると、福島の一号機の発電量が四十六万キロワットですから、結構すごいでしょう。これは資料をお渡ししますので。

 私、思うんですけれども、結局、計画停電するぞするぞとおどしながら節電させるというのもいかがなものかと思うんですよ。そういう意味で、共感を持てる節電協力というものというと、それはみんな知ればやると思います。ちょっと画面が暗くなったりとかいろいろあるんですけれども、私もその設定にいたしました。

 そういう意味で、大臣みずから、情報発信力がおありですから、ぜひそれを記者会見、そして自分で設定するところをPRする等、やっていただけますか。

蓮舫国務大臣 極めて積極的な前向きな御提案をいただいたこと、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。

 計画停電は実施をしないという大前提のもとで企業あるいは家庭の皆様方に節電をお願いするんですけれども、こうしたマイナス三〇%もの削減ができる、オフィスで使われている、あるいは御家庭でも使っておられると思いますが、パソコンで省電力ができるのであれば、ぜひ取り入れていただきたいと思います。

 これはたしか自分で設定をしなければいけないんですよね。OSが合致している場合に、自分でそこにアクセスをして設定をすることによって、設定をしたパソコンの省電力ができる。恐らく手順も簡単なものになっていると思いますので、私のホームページあるいは会見でも積極的に提案をしていきたいと思いますので、連携をとらせていただければとお願いいたします。

平井委員 本当に、節電の話は我々国会議員が機会あるごとにいろいろなところでテーマにしないと、もしブラックアウトなんかしたら。それと、計画停電はやはり絶対に避けなきゃいけない。経産省のペーパー、小泉進次郎先生がきのう言っていたけれども、あれはセーフティーネットという言い方はおかしい、ラストリゾートじゃないかと。ああいうディスインセンティブみたいなことで節電を強いるというよりも、やはりできることからみんなでやろうというムーブメントを喚起していただきたいと思います。

 それではPFI推進法の改正について質問させていただきますが、これは参議院先議ですから、結構論点は出尽くしているんですね。そういう意味で、私の方は、従来の法律でなぜPFIが推進されなかったのかということを総括した上で、今回の法改正の目的をもう一回明確にしたいなというふうに思います。

 私自身が感じていることですが、これまでのPFIが推進されなかったという理由は、制度上の問題よりも、運用上の課題の方が非常に多いと思います。これらの課題に取り組まない限り、制度を変更しても大きな成果は期待できないのではないかというふうに思うんです。

 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、PFI法が施行されて十年以上たつ中で、政府において、従来のPFIの実施状況を踏まえて今回法改正を行うことにしたと思いますが、どのような問題点があったとお考えですか。

蓮舫国務大臣 PFIは、公共施設に関する事業を行う場合の一つの手法として定着しつつあると思っております。ただ、サービス購入型が大半を占めておりまして、私どもが推進していきたいと考えている独立採算型についてはPFIの活用が進んでいないというのが正直なところです。

 これまで我が国で実施されたPFI事業は三百七十五件ございます。このうち、独立採算型はわずか十六件、全体の四%にとどまっている。行政主導でPFIは実施されてきているんですが、やはりそこに、民間の知恵といいますか民間のアイデアを相当活用し切れていないという理由、あるいはPFIの対象となっている施設が限られているという理由があると考えています。

 そこで、今回の改正案の中には、運営権、コンセッションの制度を導入する、民間事業者に提案をしていただく制度を導入する、PFIの施設も対象を拡大していくということを行うことにしておりまして、これによってPFIのさらなる推進を図っていきたいと考えているところでございます。

平井委員 私も、この質疑をする準備に当たって、成功した事例、破綻した事例集というのをいろいろ見てみたんですね。ああ、そうかなというようなことも多いし、私に比較的近いところでは、高知医療センターの整備運営事業なんというのは、スタートするときは非常に期待が高かったんだけれども、何で破綻しちゃったんだと。これはやはり問題点があったんだと思います。

 そういう中で、言いづらいとは思いますが、大臣の個人的な考え方として、今まで、PFI事業の中で成功して、これはよかったんじゃないかなと思われるものがもしあれば、事例を紹介していただければと思います。

蓮舫国務大臣 何をもって成功と自画自賛というのは難しいところでございます。

 そういう意味では、政府のビルでいいましたら金融庁のビルであるとか、あるいは衆議院の先生方の赤坂の宿舎もPFIで行われているところでございまして、ただ、成功というか、数値で見ますと、例えば昨年の十月に開業した羽田空港の新国際線ターミナルなんですが、これもPFIで事業が展開されていまして、整備費用を民間資金のみで賄う、いわゆる独立採算型がとられています。国の財政支出にはこれは明らかに削減につながっているという意味では、成功と言ってもいいのかなと思います。

 あるいは、長野県長野市に温水プールがありまして、これもPFI事業で、ここは、老人福祉センターとの併設ですとか、あるいは高齢者向けの水泳講座を一緒に行っております。そのことによって、当初は一年間でお客様が五万人と見込まれていたものが、実績では、その三倍、十四から十五万人のお客様が来てくださったことになりまして、予定を大幅に上回る利用者数を実現している。これは、私は成功モデルではないかと考えています。

平井委員 私がなぜそんなことを言うかというと、やはり成功事例のノウハウみたいなものを広く共有したいなと。それと、いろいろな自治体でそういうものに関心を持っていただくためにも、うまくいっているケースを広く紹介すべきではないかと考えています。

 PFIの問題点といいますか、従来、PFI方式を導入するとかしないというのは行政側が決定していたわけですよね。内容的に非常に専門的であるということもあって、特に業務担当部局の意思が強く影響していた。まあ、それもしようがないことだと思います。

 私が知る限り、PFIを導入した事例の多くは、首長さんがそれをやれと言ってトップダウンでおろして、部局が、やろうかというようなケースも多い。つまり、今までは、何か首長さんが意思決定しない限り、担当部局から積極的にあれをやろう、これをやろうなんていうのは、実際はなかなか上がってきていなかったんです。

 そういう問題点も踏まえて今回の改正があるということですけれども、要するに民間からの提案を受け付けるというのが今回の改正案の目玉の一つですよね。しかし、民間からは、現場レベルの、現場に対していろいろな提案というのは、既に今までにやっていたんですね。しかし、聞きおくだけで別に何もなかった。今回は、そういう提案があったら、ちゃんと白黒つけるところまで責任が発生するわけですよね。だから、門前払いがなくなるという意味では大進歩だと思うんですが、しかし、担当部局に採用されないと実現しないということを考えると、役人任せではなくて、提案を中立的に評価するような機能がやはり必要だなと私自身は思っています。

 そのことはおいておいて、今回の改正の中では、賃貸住宅や航空機、船舶、人工衛星等をPFIの対象に追加することになっていますが、私は、これから時代が変化したり、震災復興のためにいろいろなアイデアが出てきたりということになると、今後、可能な限りいろいろな広い範囲、いろいろな施設に対してもPFIが活用できるようにする必要があると思うんです。何とか等という中で読み込むのじゃなくて、柔軟に広げていくというようなことをやはり検討していただきたいなというふうに思うんですが、これは小橋さん、どうぞ。

小橋政府参考人 委員御指摘のとおり、今回の改正案におきましては、今のところ、幅広くPFIを活用していただくために、これまでの現行法の対象外となっておりました賃貸住宅、船舶、航空機、それから人工衛星等をPFIの対象に追加することにしております。

 現時点では、PFIの活用が想定し得るものというのは大体これで今のところ尽きているかなと思っておりますけれども、ただ、今後、先生御指摘のとおり、社会経済情勢が変わって、もっとこういったものもあるじゃないかということになってきましたら、そういったニーズが発生したときには、もちろんもっと柔軟に対応していきたいと思っております。

平井委員 これは、参議院の委員会の中で質疑されていたので私からも質問をさせていただくんですが、今回の法改正においては、民間事業者への公務員の派遣等に関する配慮規定が第十八条の二で追加されています。また、内閣総理大臣を会長とする民間資金等活用事業推進会議を新たに設置することになっています。このような規定が、天下り禁止の観点あるいは行政改革の観点から問題ではないかということを参議院で質疑があったと思いますが、この点に対して、蓮舫大臣、どのようにお考えですか。

蓮舫国務大臣 公務員の派遣等に係る規定、委員御指摘の十八条の二なんですが、ここについては、現行法の枠組みの範囲内で、主に事業の初期段階において行政の有しているノウハウを伝達することを目的としています。このため、PFI事業者への公務員の派遣は、一定期間出向した後に官署に復帰することを大前提としておりますので、天下りに当たるものではございません。

 こうした法改正の趣旨を明確にし、本規定が天下りにつながるものではないということを、基本方針の策定などにより徹底的に周知徹底を行っていきたいと考えています。

 御指摘の民間資金等活用事業推進会議についてでございますが、基本方針案の作成や関係行政機関相互の調整を行いまして、政府一体としてPFIをより強力に推進することを目的として設置するものでありまして、行政の効率化あるいは簡素化に向けて、関係省庁間の意思疎通が十分に図られ、PFI事業が効果的に推進されるよう、その運営には慎重に当たっていきたいと考えています。

平井委員 よろしくお願いします。

 今回の改正の一つの目玉にコンセッション方式というのがありますが、私は、コンセッション方式というのは、事業そのものに市場性がないと成立しないと思うんですよ。市場性があるのであれば既に民間が自主的にビジネスをやっているはずで、人口の少ない地域でPFI事業を行う場合は、市場性の課題というのもあると私は思うんです。

 市場性がない場合は、公共によるサービス購入型か、優越的な事業権利、独占権を付与することになるんですが、サービス購入型は、安易な公共事業により、将来への借金をふやすリスクもある。優越的な事業権利を付与すると、効率的なサービスや、その質が低下するおそれがある。これは独占サービスを行う外郭団体も同じなんですが。

 結局、基本となる事業モデルを公共側が企画すると、公共側の事情ばかりが反映されて、民間にとっては魅力のない、言いかえれば市場性のないものになる可能性がある。私は、自治体の境界を越えた広域事業とか、役所の管轄を越えた事業というのは、自治体からなかなか出てこないので、民間側から提案が出てくるケースしかないと思うんですよ。それをうまく組み合わせるなり応援するというようなことも、ぜひお考えいただきたいなというふうに思います。

 PFIは国民に対してよりよい公共サービスをより安く提供するという理念に基づいて行われるということですが、繰り返しますが、これまでのPFI事業は、役所の発想の延長線上で立案されるケースが多かった。民間事業者にとって魅力的なPFI事業が実施されるためには、さっき私が言ったように、広域にするとか役所の縦割りを廃止するとか、そういう大胆な発想が必要だと思います。それに対してどのようにお考えになるか。どちらでも結構ですから。

小橋政府参考人 委員御指摘のとおり、PFIを推進していくに当たってのかなめの一つは、民間事業者がどれくらいそのプロジェクトに対して魅力を感じてくれるのかということだと思っておりまして、そうではない限り、資金も提供いたしませんし、積極的に参加してノウハウを提供しようということもないわけであります。

 これまでは、先生御指摘のとおり、公共の側がまずこんなものをつくろうとかそういったことを考えて、それから始まっていたわけですけれども、今回の法律ができましたら、民間からの提案制度によりまして、民間の事業者が大胆なアイデアを出していただける。それに対して公共の側もついていけるように、大胆に発想を転換して、受け入れてやっていくということも必要だと思っておりますので、我々自身も、地方公共団体も含めて、そういった大胆な発想の転換が必要だということの趣旨をガイドライン等で周知徹底してまいりたいと思っております。

平井委員 つまり、例えば広域で何かをやろうといった場合、受け手はばらばらでしょう。だから、全部に話をしに行かなきゃいけない。それで合意形成をするというのは、民間事業者にしてみたらなかなか大変ですよ。このあたりにちょっと手をかしてあげるなり、大きな絵をかくのはPFI推進室等々が支援する必要があると思うんですね。例えば廃棄物とか上下水道とか、そういうものだってそうだと思います。そういう大胆な発想の転換というのがないと、この法律、恐らく大きな成果が得られないと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 PFIが公営より有効であるという前提としては、民間による柔軟な業務改革と人員管理、マネジメントというのがやはり重要だと思います。これは欧米のPFIの企業のトップなんかがよく言っていることですが、おおむね公共が運営するのに比べて半額でできる、これはちょっと言い過ぎかもわかりませんが、そういう主張もあります。

 ところが、日本の公共団体は、人員削減とか業務フローの変更に消極的なんですよ。徹底した業務改革ができないので、そこに新しいPFIのモデルができないということがある。逆に、今までのPFIを見ていると、公共の都合に合わせた方が、高く、よい案だと評価されるということがあります。

 このあたりのことも今回見直さなきゃいけないのかなというふうに思うし、海外では大きく評価されているマネジメント能力みたいなものが国内の事業提案では余り評価されていないというケースがあって、最終的に、入札とかになったときには活動実績みたいなものが一番に言われたりするというのは、どこの自治体でも同じだと思います。だから、このあたり、マネジメント能力みたいなものをきっちり問わないと、事業破綻ということにつながりかねない。ここも一つ考えなきゃいけないというふうに思います。

 PFIのメリットである本質部分を失わないためには、先ほど少しおっしゃいましたけれども、実施のためのガイドラインがやはり要ると思うんです。その評価方法というものも、基本的には、よりよい住民サービスをいかに負担を少なく実現するかということが一番に来て、既存の役所組織や業務を守るということが先に来ちゃうとちょっとおかしくなってしまうと思うんですね。

 私、さっき高知の病院の話をしましたけれども、破綻した理由が何かを本当に精査しているわけではないんですが、PFI事業とサービス・レベル・アグリーメント、これはもう一体なんですが、そのサービス・レベル・アグリーメントの中身はやはり重要ですよ。普通は破綻は避けられたと思います、契約をちゃんとしておけば。

 だから、そういうことを精査していかなきゃいけないし、やはり、この法律の趣旨に合わせたガイドラインをきっちり作成して、そういうサービス・レベル・アグリーメントみたいなものに関しても、注意事項みたいなものをちゃんと指摘しておく必要があるのではないかと思うんですが、いかがですか。

小橋政府参考人 先生御指摘のとおり、質の高いサービスが継続的に行われるということのために、二点必要だと思っております。

 一点目は、サービス水準について明確な形で契約を結ぶ。例えば、先ほど御指摘のあった高知の病院については、数字は忘れましたけれども、一定割合の材料費、そこまで抑えますということになっていたのが、そうならなかった。では、それがちゃんと契約になっているのかどうかというと、単なる目標にすぎないか契約かというのをいろいろ議論があったと聞いておりますので、そういったことはしっかり契約に明記していく、そういった明確な契約をするというのが一点であります。

 二点目は、さらに、事業が実施されてから、今どんな状況なのかということをしっかりモニタリングしていくということが非常に重要だと思っております。

 この二点がしっかり押さえられることによって、質の高い、かつ、それが継続的に行われる、そういったサービスになると思っておりますので、そういったことをガイドライン等の中でしっかり周知してまいりたいと思っております。

平井委員 先ほど私、広域的に進める、自治体がまたがるとか複数分野横断的な事業の方が市場性があり、魅力的で、民間が参入しやすいというお話をさせていただきましたが、大臣はどのようにお考えですか。

蓮舫国務大臣 御指摘、ごもっともだと思っております。PFI事業に資する公的施設が自治体の線の枠内だけでおさまっている、そんな都合のいい話ばかりではないと思っております。

 先ほど平井委員が例示をされましたけれども、例えばごみ焼却場など、複数の自治体にまたがるものもございまして、これまでにも、複数の地方自治体が一部事務組合を設立して、共同でPFI事業をこうしたごみ焼却場などで行っている事例、あるいは、複数の用途の施設をPFIで一括して整備している事例、これは先ほど御紹介した温水プールと老人福祉施設というものですね、こういうこともありますので、こうした成功事例がふえていくように、今般の法改正による環境整備は進めていきたいと考えています。

平井委員 もう一つ、昨年の六月に閣議決定した新成長戦略では、二〇二〇年までの十一年間で少なくとも十兆円以上、従来の四・七兆円の二倍という目標が掲げられていたわけですが、一方で、ついこの間、新成長戦略を見直すと。これは五月十七日、政策推進指針を閣議決定し、新成長戦略も適宜見直すということになりましたね。

 私自身思うんですけれども、PFI事業の規模に関しても、大震災があったりとかいろいろする中で数字がもっと積み上がる可能性も出てくると思うんですが、この数値に関して見直す予定はおありでしょうか。

蓮舫国務大臣 委員御指摘のとおり、昨年の六月十八日の新成長戦略の閣議決定では、PFI事業規模を二倍以上にふやすという目標を掲げました。そして、先日、五月十七日に政策推進指針を閣議決定して、新成長戦略は柔軟な見直しという内容を言及しておるんですけれども、今とにかく私たち政府が最優先しなければいけないのは、やはり被災地の復旧復興、被災者の生活再建、その中においてPFI事業もぜひ積極的に活用していただきたいという思いは変わらないんですが、ただ、この目標の見直しについては、復興に向けた動きを常に見ながら、弾力的に総合的に判断をしていきたいと考えています。

平井委員 この復興事業にPFIをぜひ使っていただきたいんですが、問題が一つあるのは、従来のPFI事業というのは、調達に三年、構築に数年という、つまり時間がかかっちゃうんですよ。ここを短くするということが必要なので、これは御検討ください。やはり手続に時間がかかり過ぎるとかスタディーに時間がかかるとか、そういう問題があります。それで結局復興に使えない、被災者の皆さんに長期間不便、負担を強いることはできないわけですから、そこは御検討をお願いすることを最後に申し上げておきたいと思います。

 最後に、きょう逢坂政務官に来ていただいているんですが、IT系というのは、要するにPFIでやってはならぬというのはないんですけれども、やられていなかったんですよ。それはなぜかというと、施設系に比べて情報通信分野は後年度負担の割合が高いというのと、技術革新が速いというのと、制度改正のたびにいろいろなシステムを改修しなきゃいけないということで、PFIの特徴である中長期的な見通しの事業というものが設計が非常に難しいというようなことがありました。しかし、このIT関連事業というものをこれからの時代はPFIでやらなきゃいけないだろうというふうに思っています。

 特に東日本大震災の教訓としては、地方公共団体において住民のデータのバックアップの必要性が改めて認識されたし、この分野はこれから、要するに広域でどのようにデータセンターをつくり、そして自治体クラウドをつくっていくかという大きなテーマだし、どうも私の感覚では、PFIは広域で当てはまるなというふうに思います。

 一方、今、日本のデータセンターがどうなっているかというと、七二%が関東圏なんですね。これもまた異常で、もっと言うと、政府系で二千幾つシステムがあって、バックアップを曲がりなりにもしているのは六十一ぐらいしかない。完全に業務がバックアップできるのは一個ぐらいしかないというのが政府のレベルなんですよ。

 自治体に至ってはもっと大変な事態で、どうせ東北でこのクラウドをやるのであれば、最先端のものを広域でやる、要するに全国に広げられるようなモデルをやる。例えば東北でつくるデータセンターは政府のバックアップも一部引き受けてもらう、また、私が住んでいる四国のバックアップだって受けられるというようなことをこれからやはり考えていくためには、政務官がリーダーシップをとって、自治体クラウド、データセンターのあり方、そして、ここは蓮舫大臣に協力してもらいたいんですが、そういうものにPFIが使えるかどうか、使えないのであれば障害は何か、整理していただいて、大胆な発想で進めていただきたいという私の提案でございますが、政務官、いかがですか。

逢坂大臣政務官 貴重な御提言をいただきまして、ありがとうございます。

 御案内のとおり、住民基本台帳データは、自治体がサービスを提供する上で基本になるものです。今回の大震災でこのデータをすべて失った自治体あるいは一部失った自治体がございまして、それをどうやって復旧するかということが、その後の復旧復興に向かって非常に大きなファクターになっているわけであります。

 その意味で、日ごろから住民基本台帳データを安全に管理しておくこと、そして、万が一毀損した場合には、いち早くそれがバックアップできる体制を持っていくことが非常に大事だと思っています。その意味で、今御指摘のクラウド化というのは非常に大きな可能性を秘めているものだと思っております。

 総務省、昨年七月でしたか、総務大臣をトップにして、このクラウド化を進めるための組織体をつくってございます。その中で、当然、先生の御指摘、PFIによる調達というのも一つの選択肢になろうと思っておりますので、今後、そういった研究会の場などでもしっかりと検討してまいりたいと思います。

 以上でございます。

平井委員 ぜひ頑張ってください。私も協力させていただきます。

 それでは質問を終わります。

荒井委員長 ただいま、平井たくや君の冒頭の発言で、パソコンにかかわる節電効果について御発言がございました。

 ここで聞かれている皆様は御理解をいただけたと思いますから、ぜひ内閣委員会のメンバーの皆さん方は、平井たくや君の要請にこたえるように努力をしていただきたいと思います。そしてまた、事務総長を通じて、パソコンのサポート室というのがありますから、そこもまた各議員のパソコンのレベル設定についてサポートするように要請をしてあげていただきたいと思います。

 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いをいたします。

 今の平井議員、荒井委員長の続きですが、デスクトップですよね。我々はノートブックを使っているので、昼間は電池でやる、夜に充電する、そういう生活習慣をつければ何の問題もないということだと思います。

 これは意外と誤解をされていて、電力はピークのときをいかに避けるかなので、ピークが過ぎたときは、積極的に使うと言ったら語弊があるかもしれませんけれども、経済活動をずっと節約モードでいくと停滞しますから、極端な話、夜十時過ぎに飲んだり食べたり遊んだりするのは別にピークではありませんので、それを推進しろとは言いませんが、その辺をちょっと切り分けて考える必要があるのかなと思います。

 きょうは、蓮舫大臣と質疑をさせていただきますが、PFIの前に、せっかくですので、ちょっと幾つか議論をさせていただきたいと思います。

 先般の内閣委員会だったと思いますけれども、地震再保険特別会計のお話をさせていただきました。東日本大震災が起きて、甚大な被害でありますから、国家として、公がさまざまな支援をしていくのは当然でありますけれども、保険でカバーできるものは当然保険でやるべきであって、我が国には地震再保険特別会計があり、民間会社が負えないところは保証会社が負い、保証会社が負い切れないところは国家が下支えをするという仕組みがございます。

 こちらが事業仕分けにかかりました。我々も事業仕分けをやっていましたので問題認識は一緒だと思いますが、その際に、特別会計の事業仕分け結果は、ワーキンググループの評価結果のところで、「特別会計の廃止(国以外の主体への移管)の検討」ということになっております。

 今、このような東日本大震災が起きて、やはり保険は重要だということで、私も選挙区を歩いているときに、皆さん地震保険に入ってくださいねという話をしています。このときはまだ地震発生前ですから、そういう結果を受けて、そのときにこういう評価をされて、今、その後どのような展開になっているのか、途中経過を教えていただければと思います。

蓮舫国務大臣 今回の東日本大震災を初めとする当面の地震への対応につきましては、現行の地震再保険制度のもとで、財務大臣において保険契約者の安心という観点からしっかりと対応をされています。他方で、今御指摘いただいた事業仕分けにおいて、新たな枠組みが可能なのかどうなのかという検討は、財務大臣のもとで行われていました。

 ただ、東日本大震災の対応に政府一丸となって取り組んでいることにかんがみまして、その検討は今一時停止をしています。作業再開のタイミングについては、各府省の震災状況の対応を見ながら改めて検討することとしておりますが、再開後においては、今回の震災も踏まえた適切な対応が行われるものと承知しています。

平(将)委員 今、財務大臣のもとで検討していたんだけれども、震災が起きて一時停止をしているという話がありました。しかしながら、最近の報道を見ても、国民の不安感を見ても、いつ地震が来るんだろうという意識は大変高まっています。

 ですから、これは早急に議論をして結論を出さなきゃいけないと思うんですね。ましてや、総理御自身が大変大地震のリスクがあるということで原発をとめていらっしゃるわけですから、そういうことを考えれば、これはできるだけ早く方向性を出して、そして、できるだけ多くの、もう日本国じゅうの人にできるだけ入ってもらうことによってリスク分散をして、この地震保険は盤石なんだということをアピールして入っていただくのが喫緊の課題だと思います。

 今、蓮舫大臣は、事業仕分けの結果を受けて、財務大臣のもとで検討していたという話がありましたが、私の手元にある行政刷新会議の事業仕分けのペーパーを見ると、これはお役所が出しているんだと思いますが、取りまとめの内容の一番後ろ、制度の組み立てについては「財務省ではなく行政刷新会議本体がその組み立ての検討をしてもらいたい。」という評価結果になっていると思います。これは、野田大臣じゃなくて蓮舫さんのところでやらなきゃいけないんじゃないですか。

蓮舫国務大臣 御指摘のとおり、取りまとめのところにおいては、制度の組み立てについては国民の皆様方の信頼を損なわない、それで、「財務省ではなく行政刷新会議本体がその組み立ての検討をしてもらいたい。」となっている。最終的には行政刷新会議で組み立てを提案していきますが、まず論点整理という討議は財務省のもとで行っていただいている。

 委員御指摘のように、やはり地震再保険の加入率、阪神大震災を受けて、その後相当伸びました。ただ、伸びましたといっても、やはり八割、九割、それこそ一〇〇%という形になっていないのが現実でございますので、ここをどうやって高めていくかというのを進めていくと同時に、地震再保険のあり方、特別会計のあり方も早急に検討を再開していくべく努力をしていきたいと思っています。

平(将)委員 今、蓮舫大臣から加入率の話がありました。直近はよくわかりませんが、私の手元の資料は二〇〇九年でちょっと古いですけれども、世帯加入率二三%、火災保険の附帯率が約半分ということになっております。

 ですから、言いたいことは、スキームが明らかになっていない、今後変更があるかもしれないというところで、この保険に入ってくださいとはやはりなかなか言いにくいんだと思います。

 ですから、私も、事業仕分けをやって、いろいろな可能性があるだろうと思いましたが、ここは一たん、今のスキームでやりますよ、ただ、その保証額を拡大するとかそういう検討は必要だと思いますけれども、スキームは今のままでやりますと。その上で、日本の国民の皆さんに、こういうリスクは日本全国でありますから皆さん入ってくださいということで、加入率を飛躍的に高めることによって保険自体の財政を強化していくことが大事だと思います。

 さらに言えば、自分のために保険に入るのと同時に、これはやはり日本全体で痛みを分かち合うということでもありますから、今必要なのは、新たな検討で思い切った改革ではなくて、では、これはこのままいきますということを決めて、そして、日本全国の人に地震保険に入ってくださいというキャンペーンをまさにやるべきだと思いますが、大臣はいかがお考えでしょうか。

蓮舫国務大臣 今御指摘いただいた考え方も極めて有力な考え方だと思っております。

 その上で、仮に一〇〇%近い地震再保険の加入率になったとしても、今回のような東日本大震災規模の地震が発生した場合には、民間保険事業者だけでは恐らくカバーし切れない、それぐらいの被害規模になると思っております。

 いずれにせよ、国の関与というのは当然欠かせないものであり、国の再保険という制度の観点は外せないというのは仕分けのときの大前提でもありましたので、その上でどのような対応をするのか、これは早急に検討をさせていただきたいと思っています。

平(将)委員 当然、国の関与は当たり前なんです。あと、長い期間でそのリスクを分散するということと、日本全体でリスクを分散していくということが大事なので、たくさんの人に入っていただくということであります。

 早急に検討されるというお話でしたから、次回質問をするときにもう一回聞きますので、そのときにまた、早急に検討するでは困りますので、よろしくお願いをいたします。

 あわせてお伺いをしますが、蓮舫大臣御承知のとおり、私は、自民党の中にあって、事業仕分けには物すごく前向きで、評価をしている数少ない議員なので、頑張っていただきたいなと思いますが、政治主導確立法案、国会で急に取り下げになりました。これは、行政刷新会議の法的位置づけなど、また、民主党は政治主導でやるんですよということを国民に約束されたと思うんですけれども、私は目玉の法案であったと思いますが、急に取り下げられた、これはどういうことでしょうか。

蓮舫国務大臣 自民党内においても仕分けに対しての評価をしていただける議員をもっとふやしていただきたいというのは、ぜひ平委員にお願いをしたいと思います。

 政治主導確立法案は、行政刷新会議の設置等を盛り込む私たちのマニフェストでも約束をさせていただいた重要なものではあります。その部分では、認識はいささかも変わっていません。ただ、その一方で、大震災からの復旧復興はほかの政策課題に比べても最優先事項であるというのは、大多数の国民も同じ思いだと思っています。

 そこで、こうした観点を持った中、菅内閣としては、大震災対策を当面の最優先課題と判断し、各政党の御理解をいただけるよう、法案の取捨選択をしたものだと認識をしています。

平(将)委員 事業仕分けの支持者を我が党の中でふやしていきたいと思いますが、今、復興財源がさまざまな議論になっています。大変なお金がかかります。それには、例えば国債を発行して一時的な借金で賄う、もしくは増税をして賄うという議論がありますけれども、やはり一丁目一番地というか、王道は、既存の政策の歳出削減だと思います。不要不急なものはとりあえず棚上げをして、そして復興財源に充てる。そうなると、今、プライオリティーが今の法案は若干低いからというお話かもしれませんが、こういう時期だからこそ、私は、事業仕分けを淡々と今やって、既存の歳出を削り取っていかなければいけないんだと思います。

 しかしながら、こういうような日本じゅうの空気の中で、どうも事業仕分けという雰囲気じゃないよね、何となくそういう空気がある。そこの一番の問題は、パフォーマンスとは言いませんけれども、どうも、淡々とやるんじゃなくて、マスコミも含めて、すごい注目の中でショーアップされ過ぎてしまった。だからこそ、今やりにくい状況になっているんだけれども、本来であれば、淡々と事業仕分けをやるべき時期なんだと思います。

 ですから、自民党にアンチ事業仕分けが多いのは、何だ、パフォーマンスじゃないかというような意見も多いわけですよ。ですから、ここは腹をくくって、蓮舫さんにもちょっと地味目の服を着ていただいて、事業仕分けを淡々とやることが重要だと思います。

 あわせて、今の流れでいくと、政権交代をしたら、私は、事業仕分けがなくなってしまうんじゃないかなという危惧を持っています。

 前回、委員会の質疑でも言いましたが、私は、これは日程化をする、法定化をする、ルーチン化をすることが大事だと思っていて、特に一番効果が高いのは行政事業レビューですね。行政事業レビューを毎年毎年、ある時期に、各省庁が自発的にやる。そのときに、各省庁が予算のついている事業をちゃんと事業仕分けのベースの事業シートに落とし込んでいくということが必要なんです。例えば、政府ができなくなっても、行政監視委員会とか決算委員会で、事業シートさえあれば、議会でもできるんです。

 ですから、前回、閣議決定されましたかと聞いて、ちょっと答えを忘れましたけれども、これは閣議決定しているのかどうか。していないんだったら、せめてこれは閣議決定して、ルーチン化していただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 御指摘、本当にすべてうなずくところばかりなんです。ただ、事業仕分けというのは、行政の透明化を高めるための最大の手段として外部性と公開性を持っているものですから、なかなかそれが、パフォーマンスと御批判をいただけるところと、どういうふうにしたら淡々と、静かに仕分けが行えるかというのは、恐らくどの政権になっても課題になってくると思っています。

 そこの問題認識も共有した上で、効率的に今進めていくのは、仕分けというよりも行政事業レビューだと私は考えています。これまでにも、国の税金で行われている事業、五千四百枚の行政事業レビューはホームページを通じて公開をしています。すべての税金が何に使われているのかを国民の皆様方が一目でわかるようになって、添付の資料もすべて公開をしています。ですから、これから予算編成が行われるときにも、あるいは補正予算で行われた事業が効果的に、どういうふうに発展的に使っていけるかという観点からも、行政事業レビューは有効だと思っています。

 前回、御質問のときに、閣議決定すべきだというのを、私もそのとおりだと答えたと記憶をしておりますが、大変申しわけございません、その後、地震が発災をいたしまして、すべての進んでいた業務よりも最優先すべきが震災対応となっておりますので、まだ閣議決定はしておりませんが、私はしていきたいと引き続き考えています。

平(将)委員 事業仕分けが外部の目を入れるのは当然であって、国民の目を入れるというのは、まさに、そこで変な業界寄りの発言を国会議員がすれば政治生命にもかかわるということで、それは当然だと思います。

 ただ、たくさんやられてわかっていると思いますが、これを言ったらマスコミに受けるだろうなというような、そういう誘惑に負けないように、淡々とやるというのが大事だと思います。

 特に、繰り返しになりますけれども、予算は肥大化します、既得権益化します。こういう復興のときに、火事場泥棒みたいなことにもなってきます。だから、被災者本位でやるのはそうですが、その実効性なんかは、やはり淡々とやって指摘したらいいと思いますよ。時間は、それは迅速にやらなければいけないということはそうだと思いますが、みんな、つけろつけろ、どんどんやれと言っているときに、やはり議会の中、政府の中に冷静にそれを見ている人たちがいる、もしくは機能があるというのは大事なので、こういうときこそぜひ淡々とやっていただきたいと思いますし、行政事業レビューもぜひビルトインをしていただきたいなというふうに思います。

 それでは、PFIの問題に入りたいと思います。

 PFI、これは当初、導入時期は大分盛り上がったですよね、PFI、これで日本は変わるみたいな。物すごく盛り上がった割には、実際、その後、余り聞きませんということになったと思うんですけれども、今なぜPFIのこういった拡充が必要なのか、大臣の御認識をお伺いいたします。

蓮舫国務大臣 おっしゃるとおり、PFIが当初法案化され、法律化されたときには、民間の中でも、国民の皆様方の中でも、非常に関心が高かった。ただ、残念ながら、それから時が経て、なかなか話題に上ってこないというのは、どこかやはり使い勝手がよろしくないという反省点がなければいけないと思っています。

 それは、きょうの委員会冒頭で岡田委員から御指摘があったように、やはり法律の縦割りであったりとか、あるいは手続の煩雑さであったりとか、なかなか民間事業者にとって魅力的ではない運用がされていた側面も率直に反省しなければいけないというのが改正の大前提にあると私は思っています。

 その上で改正をするわけですから、より使い勝手のいい、民間事業者に魅力のあるためにコンセッション方式を導入するであるとか、民間事業者から提案をいただいたら自治体はそれを検討しなければいけない、そして自治体の意識も変えていくというある種の手法を取り入れさせていただいたところでございます。

平(将)委員 PFIは、今大臣おっしゃった部分もありますし、もっと大枠でいくと、公的セクターは効率が悪い、ですから、民間の知恵、発想、ノウハウを入れて効率よくやりましょうと。また、公は、利益を生み出すとか、生産性というところににぶいものですから、一等地にいい土地を持っていながら、財務省みたいにいまだに五階建てで平気な顔をしてやっているということが起きるので、そういうのも活用していきましょう、そういうことだというふうに思います。

 今まさにおっしゃったとおり、公の枠組みの中で民間に頑張ってねと言っても、枠組みをつくる公の方がそういう感性がないんですから、そこにやはり問題があって、民間の知恵を取り入れることが必要なんだということで、まさにそのとおりだと思います。

 そういうことで、今回の法律はどんどん推進していただきたいんですが、ちょっと各論に入っていきますけれども、皆さんのところに参考資料でPFI法一部改正案の概要という、一枚紙の下の四角に概要が入っておりますが、PFIの対象施設の拡大ということになっています。これは拡大するのは大いに結構だと思います。しかしながら、ちょっと気になるのは、賃貸住宅というのが入っているんですね。この賃貸住宅というのはどういうものを想定されているんですか。

蓮舫国務大臣 現行制度の対象である賃貸住宅は、低所得者向けに地方公共団体が整備をします住宅である公営住宅でございます。これに加えまして、今回の法改正で高齢者向けの優良な賃貸住宅を対象に含めることによりまして、既に老朽化の進んでいるニュータウンの更新、あるいは行政のニーズに応じた幅広い分野でPFIの活用が可能になると考えております。あるいは、東日本大震災の被災地における被災者向けの賃貸住宅、こうした整備においてもPFIの活用が可能になると考えています。

 その際、どうしても、恐らく委員の御指摘は、民業圧迫につながらないようにという御懸念をお持ちだと思います。これは私も再度事務方にも確認をしました。とにかく、PFIの対象に賃貸住宅を追加する趣旨というのは、高齢者向け賃貸住宅あるいはニュータウンの再生など、行政が整備する賃貸住宅について民間のノウハウや資金を活用するものであるという趣旨を徹底したいと考えています。

平(将)委員 私は質問通告をするときに問題認識までちゃんと大臣にお伝えをしておりますので、的確な答弁になっているんだと思うんですが、ただ、我々、事業仕分けをやっていて、公の住宅とか公務員向けの住宅を何でこんなにいっぱい持っているんだと。低所得者向けも、入れる人はいいけれども、入れない人と入れる人の差が大きくなってしまう。であれば、家賃補助という形でやるべきだろうというのは、多分、大きな、事業仕分けをやっていたときの仕分け人の人たちなんかの感覚だと思うんですね。

 PFIをつくったことによって、拡充をしたことによって、やらなくていい公の住宅をまたばんばんつくるということになったら本末転倒ですから、その辺は十分注意をしていただきたいと思います。

 次に、同じ枠の中で気になったのは、四番目、民間事業者への公務員の派遣等についての配慮ということでございますけれども、これは派遣したらいいと思いますが、さまざまなほかの国家公務員の法律など、いろいろあるんだと思うんですが、民間でできます、民間が運営します、そこでノウハウが必要だから役人をそこに派遣しますということ以上に、転籍をさせて、その人はもう民間人で、片道切符でやってくださいねというのが一番合理的なんだと思うんですが、どうでしょう、大臣。

蓮舫国務大臣 御提案は斬新だとは思いますが、転籍を官がさせて民に配置をするというと、そうすると、その方の職業選択の自由等もございますのでなかなか現実的かどうかわかりませんが、ただ、今回、PFI法改正をお認めいただいた上で、新たな事業、例えば長年行政が独占していた事業を民に開放して民間がその事業を行うときの、その継続性も含めて、やはり地方公共団体が持っている知恵をしっかりとお伝えするというスキームは私は大事だと思っておりますので、これはあくまでも出向という形で出ていっていただいて、そして一定期間を過ぎて、知恵をお伝えした後は戻ってきていただく方が現実的ではないかなと考えております。

平(将)委員 例えば、役所が何か施設を運営しておりました、そこをPFI方式で建てかえました、運営は民間がやります、民間の人たちはそこで回すんだけれども、そこから役所の人が派遣で行きますということですね。

 ただ、そういうので派遣というと一時的なものかもしれませんが、では、民間の人は民間だけで十分できますといったときに、今度は今まで施設で運営をしていた公務員がこちら側には残ってしまう、それで役人だからなかなか首も切れませんね、給料も下げられませんねということになるんだと思うんですね。

 確かに、いろいろな法律の壁はありますよ。ありますが、これから国、地方の役人の人件費をトータルで削っていかなきゃいけないんですよ。そうしたら、何をやらなきゃいけないか。今、蓮舫大臣は事業仕分けをやりました、規制仕分けをやりました。次は公務員の仕分けですよ。本当に公務員じゃなきゃいけない仕事は公務員にやってもらうけれども、公務員じゃなくてもできる仕事まで公務員が今やっているんですよ。だから、いろいろな法律の障壁はありますけれども、次の課題としてちょっと頭に入れておいてください。そのときは逆の立場になっているかもしれませんけれども、頭に入れておいていただきたいと思います。

 続いて、コンセッション方式についてお伺いします。

 今回、運営権が担保にできますねということで、これはそれでいいんだと思いますが、ちょっと実務的にわからないのは、担保といっても、じゃ、銀行が差し押さえて売っちゃうわけにはいきませんねということなんですよ。それと、事業者が破綻したとき、担保ですと銀行が言われても、コンセッション方式の担保の価値がありますと言っても、転売もできないし、許可も必要だし、本当にこれは担保として機能するんですかねと。

 事業者が破綻したときにどうなるのか、銀行が抵当権を行使したときはどうなるのか、その辺をちょっと教えてください。

蓮舫国務大臣 これまでのPFI事業を率直に反省したところで今回のコンセッション方式というのが出てきている問題意識は何かというと、独立採算型によるPFI事業がなかなか進んでこなかった、民間事業者にとってなぜ進まないのかというと、得ることとなる収益が不確実であるということから、金融機関にとりましては円滑な資金調達が容易でないという課題を抱えていることが代表的に挙げられました。

 そこで、今回の法改正によって、金融機関は、運営権に抵当権を設定することによって、PFI事業の状況が悪化し、返済が滞った場合にも、抵当権の実行を通じて運営権を移転することによって資金の回収が可能になる。これによりまして、金融機関にとってのリスクが低減をいたしますので、民間事業者に対して資金を供給することがこれまでより進むのではないか。そこで、結果として独立採算型のPFI事業がふえていくと考えたところでございます。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

平(将)委員 ないよりはいいとは思いますが、ちょっとその辺の実務的な課題があるのかなと思いますので、今後、その辺はよく注視をしていただきたいと思います。

 最後に、このPFIの法案改正のときに、実は関空もやるんですよみたいな話をいつも御説明いただきます。そこで、お伺いをしたいと思います。

 きょうは国土交通省から市村政務官が来られていますが、ちょっと気になったのは、コンセッション方式をとるのはいいんだけれども、そもそも何で関空と伊丹をくっつけるのと。そうすると、関空はどうも調子が悪いですね、伊丹は結構好調ですね、関空は株式会社ですね、伊丹は国ですね、キャッシュフローは伊丹がよくて、関空は調子悪いから、くっつけちゃえばうやむやじゃないかみたいなことになるといけないと思います。

 何が言いたいかというと、私は今回の政府が出した東電のスキームは全く評価していません。本来であれば、株主にちゃんと責任をとらせる、銀行の債権についてもちゃんとルールにのっとって責任をとらせる。だから、会社更生をして、その後再生のスキームに入っていくのがあり方だと思うし、会社更生をしたって電気なんかとまりませんよ、一部そう言っている人がいるらしいけれども。JALですら飛んでいるという状態ですからね。ですから、そういうことを考えて、そういうことはない。

 社債市場は大混乱をすると言うけれども、それほど大混乱はしないです、あれは担保つきですから。価格は多少変動します。しかも資金調達が難しくなったりします。でも、それはマーケットですから当たり前なんですよ。

 ですから、本来なら、会社更生をして、その後再生しなければいけないのに、無理筋のスキームをつくってきて、そこから後になって、銀行に債権を放棄しろなんて官房長官がかなり強引なことを言うから、日本は法治国家なのか、資本主義なのかと。今、海外の連中で、ある程度わかっているのはひっくり返っていますよ。ですから、そういうことを考えてもらわないといけない。

 そこで、御質問は、これはちゃんと伊丹も責任をとってよねと。株主、銀行、そして需要予測を間違えた政府、当時自民党政権ですけれども、そういうのをちゃんと整理整頓して、説明を果たしてからの合併でなければ、国民の理解は得られませんよ。どうですか。

市村大臣政務官 実は私に与えられた質問とは違うんですが、今の御指摘は本当に重要だと思います。

 ただ、今回、このPFI法改正によってコンセッション方式というものができる、運営権というものを譲渡できる、売れるということになっているわけでありまして、一応このスキームで進めてきました。これでまずやらせていただきたい、こういう思いであります。

 私も、いろいろ思いもあるところではありますけれども、ひとつ、民間の知恵、ノウハウ、発想、資金、こうしたものを活用するというスキームの中で、また、今御指摘のことも含めて、さまざま検討してまいりたいと存じております。

平(将)委員 最後になりますけれども、今指摘をしましたので、政治の責任として、ちゃんと、よくチェックをしていただきたい。

 何か最近、民主党政権の中で、いろいろな法案が出てきて、ちょっと怪しいものもするする通っているような気がします。しっかりやっていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

大島(敦)委員長代理 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 きょうは、福山副長官にお越しいただきました。ありがとうございます。

 私は、PFI法の審議に入ります前に、まず、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約、いわゆるハーグ条約につきまして伺わせていただきたいと思います。

 実は、このハーグ条約を懸念する声は強いものがあります。政府は、ハーグ条約を締結する方針を固めて、本日、閣議了解の手続を終えられたと聞いております。この中では、これから国内法を整備する、その上で条約を締結するという、一見手順を踏んでいるような話でございますけれども、私は、順番が逆ではないかと思っております。

 本来であれば、国内法をまず整備し、特に連れ去り親と言われる日本人女性につきましては、ほとんどがDV被害者という状況がありますので、その当事者の方たちがきちんと守られるのか。日本と諸外国と、共同親権であるとか、かなりの制度の違いもあります。その中で日本はどのようにしていくのか。そうしたことを提示した上で、もしくは方向性をはっきりさせた上で締結に向けての方針を決めるべきではないかと考えております。

 報道の中でも、米国等の諸外国の外圧に屈して政府がハーグ条約を締結する方針を決めるのはおかしい、こういう話もあり、また、そうした声明も私のところにも多く届いております。

 G8でアピールするために、特にフランス、アメリカにつきましては、日本に早期の締結を求めて、強い圧力といいますか要請をされていたということは周知の事実でございまして、日本における十分な国民的議論を尽くすことなく早急に条約の締結を決めるというのは問題ではないかと思っております。慎重な議論を求める声が大きかったのではないかと思います。副長官の答弁を求めます。

福山内閣官房副長官 高木委員にお答えをさせていただきます。

 御指摘のとおり、いろいろな声があることは私も承知をいたしております。また、私もいろいろな方から、この議論を始める前からお話を承っておりました。もちろん、反対の方、それから賛成の方、子供をやむなく、いろいろな事情で、国際結婚したけれども国内に一緒に帰国をされた方、逆に言えば、日本で結婚していたけれども、自分の子供を海外に連れ去られた方、多くの方々がいらっしゃるので、課題は多いと思っております。

 そういった面でいえば、やはり一番重要に考えなければいけないのは子の福祉だというふうに私は思っておりますので、子の福祉を最優先するという考え方のもとで、七回にわたって副大臣会議を開催し、真剣に検討させていただきました。基本的には、もともと加盟ありきとか、もともと加盟をしないとかということではなくて、ニュートラルな状況で今の国内の情勢や実態を把握したいと思って副大臣会議を開催させていただきました。

 その結果、賛成の方、反対の方、それから日弁連の皆さん等のお話も承りながら、政府としては、ハーグ条約を締結していこうという方針のもとで必要な法案作成作業を進めることで意思統一が図られたところでございます。

 本件については、国内でも大きな関心が寄せられているところでございますし、これまでの検討を踏まえて、この段階では、政府としては、方向性を閣議了解という形で示させていただくことになりました。アメリカの外圧に屈したとかということではございません。しっかりと我々自身の判断として考えさせていただいた、きょうの閣議了解に至ったということでございます。

高木(美)委員 私が条約締結ありきと申し上げましたが、国内担保法に関する十分な検討が国民に公開されていません。副大臣会合で検討されたとおっしゃいますが、それについては非公開です。どのような検討が行われたのか、どういう方向性を政府が考えているのか。特に民主党政権になってからは、そうした、政治主導という名のもと、本来であれば公開されるべき内容が、経緯が全く見えない。ですから、十分な検討は経ていないというふうに判断せざるを得ません。その上で条約を締結する方針を閣議了解するというのはおかしいと私は思います。

 こうした前例があるのかどうか、伺いたいと思います。

福山内閣官房副長官 高木委員にお答えをさせていただきます。

 きょうは、あくまでも、条約を締結し、そのための国内担保法に対する骨子というか、こういった考え方で法案を策定しようということの閣議了解をさせていただきました。当然、これから条約の審議や、我々がこれから策定をさせていただく国内の担保法について各界各層からの御議論をいただきますし、何よりも国会で審議をいただくことになるというふうに思いますので、その中で皆さんには御理解をいただきたいというふうに思っております。

 先ほども申し上げましたように、やはりこの問題は当事者の方の意見が重要だというふうに思っておりましたので、賛成、反対の立場からも、専門家の立場からもお話を承りました。先ほど申し上げましたように、これから法案の策定作業を進めることをきょう確認したということでございます。

 そして、先例の問題でございますが、条約の国会提出に先立って閣議了解を行った先例としては、一つの例を申し上げますと、例えば、国連海洋法条約締結及び海洋法制整備についてというのを平成八年の二月の二十日に閣議了解されたという例があるというふうに承知をしております。

高木(美)委員 このことはG8で総理がおっしゃるという予定ですか。

福山内閣官房副長官 G8での総理の発言については、今検討中でございますので、まだ政府としては決めておりません。

高木(美)委員 先ほど来申し上げていますように、国内担保法の中身が見えない。恐らく、当事者の方たちにとっては寝耳に水という状況ではないかと思います。どのような配慮を現政権がされたのか、また、何が課題として残っているのか、その整理の状況も、情報が全く見えないという中で、G8で総理がもし締結するというお話をされれば、それはまさに国民の不安を払拭することなく、ともすれば、国内の担保法につきまして、条約の範囲を超える内容も必要かと思います。

 これは、もしそういう条約の趣旨の範囲を超える内容であれば、諸外国からバッシングを受けるのは当然のことでありますし、そうしたことが全く見えない中で締結するということをもし総理が宣言されることがあれば、DV被害者の方たちは犠牲になるということをあえて私は申し上げさせていただきたいと思います。

 副長官、どう思いますか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

福山内閣官房副長官 高木委員にお答えを申し上げます。

 御指摘の課題、懸念というのは、先ほども申し上げましたように、当事者の方にとっては大変重要な問題だと思っております。だからこそ、きょうは、我々、骨子案ということで、了解事項ということで、法律案の策定に当たって、法制上の問題について、こういったことを観点にやりたいという了解事項を発表させていただきました。

 恐らく高木委員もお持ちだと思いますが、そこには、委員御懸念の子の返還拒否事由について、いわゆるDV等で国内に子供と一緒に御帰国をされた方々が無理やり、何もなく、条件もなくその国に戻されるのではないかという御懸念については、我々は、返還の拒否事由として考慮に入れるべきものを今回の考え方の中に入れ込ませていただきましたし、一方で、先ほども申し上げましたように、日本国内で国際結婚をして、子供を連れ去られて非常に苦しい環境、悲しい環境にある親御さんもたくさんいらっしゃって、そういった方々のお話も承りました。

 我々としては、そういったことを含めて、子の福祉を優先するという立場で、中央当局の任務、それから、子の返還命令にかかわる手続について、委員御指摘のようなことを踏まえた上で、きょう、一定の閣議了解に至ったということでございます。

高木(美)委員 私がなぜこのように申し上げるかといいますと、私は、やはり政治は手順が大事であると思っております。合意をどのようにとっていくか、特にこうした当事者の方たち、DV被害者の方たちがこれで守られる、そのように安心できる見通しが必要ではないかと思います。

 私も、障がい者福祉委員会の委員長を務めているという党内の経緯もありまして、二年前、二〇〇九年の三月、このときに、当時の外務省が国連の障害者権利条約を批准する、その方向を打ち出し、準備をずっと進めてきました。当然、障害者団体の方たちに根回しもされたわけですが、当事者の方たちはそれは正式な根回しとは受けとめていない等々のさまざまな経緯があったようで、最終的に、今、制度改革推進会議、JDFの方たちが中心になっていらっしゃいますが、その方たちから、自分たちは聞いていない、了承もしていない、国内法がきちんと整備をされていない中で批准するということは自分たちはとても容認しがたいという強いお声がありました。

 そうした中にありまして、私も党内に働きかけを行い、そごがあった、また行き違いもあった、いろいろなことがあったとは思いますけれども、結果として、当事者の方たちが認めないまま批准するというのはいかがなものかと強く要請をいたしまして、我が党の議員のお力をいただき、そしてまた当時の自民党もそれを了承してくださり、その上でこれをとめたという経緯があります。閣議決定が翌日という、その前日だったと記憶をしております。

 そういうことを考えますと、今回のこの事例についても、私は、政治の姿勢として、私の手元には確かに、先ほど外務省に要請しておりましたので、閣議了解の紙はいただきましたけれども、当事者の方たちがこれをごらんになって、そうですねという、やはりそうしたある程度の了解を得た上で、もしくは、今までヒアリングもしていらしたという先ほどのお話ですから、そうした手順を踏んだ上で、しかるべき、こうした条約を締結する方針ということをおっしゃるべきではないかと考えます。副長官、いかがでしょうか。

福山内閣官房副長官 一定の方向性として、我々は条約を締結したいということが閣内で一致を見ました。そのときに、まさに委員が御指摘のように、いろいろな当事者の皆さんが御懸念をしていることについて政府はしっかりと検討しています、考慮していますということをお知らせしたいと思ったので、逆に言うと、これは法律ではありません、まだ、法律をつくるに当たってのいわゆる検討事項としてこういうことが必要だということで表に出させていただきました。

 そして、これから法律の制定そして批准の手続が始まるわけですが、その中で、我々としては、この骨子というか了解事項をしっかりと検討した上で対応していきたいというふうに思いますし、一方で、ハーグ条約を締結してもらって自分たちの子供たちと何とか会いたいんだというような方々もいらっしゃることも事実です。そして、一方で、DVによって、もともといた国、結婚された国に子供と戻ることは非常に自分らにとってよくないんだ、子の福祉にとってよくないんだと言われている方もいらっしゃることを十分に我々としては踏まえながら、きょうの閣議了解に至ったということでございます。

高木(美)委員 G8を前にして締結する方針を決めたということは、明らかに、G8のお土産としてアピールをされるんだろうなということはもう容易に推察できる話です。

 それに当たってこういう骨子をお決めになったのであれば、それをきちんとその前に関係者に提示するべきではありませんか。その手順が違うというお話を申し上げているんです。閣議了解として、締結をする、中身はこうです、これを見てください、意見があったら言ってくださいと言われても、締結するという方針をお決めになったところは覆せない、そういう当事者の思いではないかと思います。

 私もこの内容をざっと読みましたけれども、DV被害を受けて子供を連れて日本に逃げ帰ってきた女性に対する救済措置は果たして与えられるのかどうか。要するに、ハーグ条約の中では、DV被害の母親に対して、女性に対しての配慮は全く行われていないという状況です。そこが一番、担保されるのかどうなのか。

 この方たちは、もうやむを得ず、最後の手段として、中には、ある国の大使館は、日本はハーグ条約に加盟していないのだからこれ以上DVをあなたは受けてはいけない、だから日本にとにかく帰りなさいと言ってパスポートさまざま用意をしてくれ、それも、まさに超法規的な措置で帰ってきたという女性が多くいるということも恐らく副長官は御存じかと思います。

 さまざまな課題があります。今内容までお話がありましたので、あえて申し上げさせていただきますが、ハーグ条約は、国境を越えた子の移動ないし子を国外に留置することを違法とし、残された親などが申し立てた場合、拘束時にその国に残された親のところに返還することを義務づけるという内容になっております。

 問題点として今までも挙げてまいりましたので十分御承知かと思いますが、一つは、要するに、残された親の同意のない移動また留置は原則として違法。移動、留置の理由を問題とすることはできない。また、DVや子の虐待による移動も違法。これらは例外事由とはされていないというのがあります。また二つ目に、子の福祉をと先ほどおっしゃっていらっしゃいましたが、移動した親と残された親、そのどちらがより子の監護にふさわしいのか、福祉に適合するか、これを審査することはできないというのがこの条約の一番の問題点だと考えております。また、返還後の子の福祉が確保できない。

 ここから、スイスは、二件にわたって大きな反省事項があり、そこで、国内法を整備し、昨年施行となったと聞いておりますけれども、条約の範囲内ですので、やはりどうしてもそれを超えるものはできず、やむを得ず条約にのっとった形の厳しい内容にせざるを得なかったというような話もあり、現実、スイスの連邦法に詳しい学者からは、日本は加盟すべきではない、そうした警告も受けております。

 こうした問題点に対して、果たして政府が検討している担保法がこのような懸念にこたえる内容になっているのかどうか。それは、詳細をこれから詰めなければ、締結する、しないというのは言えないのではありませんか。いかがですか。

山花大臣政務官 今るる御指摘をいただきましたが、まず、先ほど副長官からもお話があった点について少し、外務省の立場からもお話をさせていただきたいことがございます。

 政治主導ということについては、御意見をいただきましたが、その一つの理解は、セクショナリズムによることなく、政治家の視点から役所を指導するということもあろうかと思います。

 ハーグ条約については、先ほど副長官からもありましたように、外務省としては、もちろん、外交当局ですので、外交上のことを一切無視せよという指示はできませんけれども、子の福祉の観点から検討せよという指示をこれまでもしてきたところでございます。また、今るる御指摘いただいた点につきましても、そうした観点からもやはり懸念があるということについて、それをいかに払拭するかということでこれまでも検討してまいりました。

 これから法制上の作業にということですので、現段階で今御指摘があったことについてすべてこうですとお答えすることにはなりませんけれども、ただ、一例を挙げますと、ハーグ条約が成立した時点というのは三十年ほど前のことですので、当時、DVであるとか、あるいは子供の虐待ということがそれほど深刻に、違法であるという認識がなかった時代の条約であると承知をいたしております。ただ、その後、各国でこうしたことについて違法化され、あるいは犯罪化される中で、ハーグの条約事務局というところがございまして、そこで、例えば各国で返還拒否が認められた事例などについてもこれまで検討をしてまいりました。

 個別、このケースがということはちょっと今の時点ではお答えを差し控えさせていただきますけれども、DVがあった、あるいは、それが子の福祉に反するということで返還拒否が認められたというケースも存在していると承知をいたしておりまして、今後、国内担保法の制定におきましては、特に法務省にも御協力いただいてということが必要になってまいりますけれども、そうした点も留意をして議論してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 ただいま、さまざまな事例のお話もありましたが、要するに、各国における運用実態、また返還後に子が置かれる状況、政府は十分な実態調査を行ってきたのかどうか。実態について十分把握せず、またそのことを公開せず、国民のことを考えずに締結するという結論を出したのではないか、こういう問いにつきましてはどのようにお答えになるんでしょうか。

山花大臣政務官 ハーグ条約の締約国における運用状況については、今、条約事務局のお話をさせていただきましたけれども、実際に赴いての調査を行ったりとか、あるいは外務省としてということになりますと、在外公館や在京大使館を通じての調査、また条約事務局が公表しているデータの分析などを通じまして、締約国における状況についての情報収集に努めてまいりました。

 また、昨年五月から十一月にかけて、これはプレスにも発表したことですけれども、当事者となった経験のある方々のアンケート調査を実施いたしまして、返還後に子が置かれる状況であるとか子を連れ去るに至った事情について、実態の把握に努めました。ただ、申し上げるまでもなく、これは答えていただいた方だけですので、氷山の一角ではないかと思っています。

 こうした情報収集や調査結果について、先ほど出ておりました副大臣会議等の場で関係省庁と情報を共有して検討を行ってまいりまして、今後、締結に向けた作業に当たっても、引き続き実態把握に努めてまいりたいというのが一般的な話であります。

 それと、条約事務局のことですけれども、条約事務局の事務局長さんに私自身がお会いをして実態などについても聞いてまいったということもございますのと、あと、先ほど紹介があった、政府の副大臣会議の中でヒアリングを行いましたという話とはまた別に、私が、外務省でこの問題を担当しているものですので、当事者の方々とも直接お話を伺う機会というのを何度かつくりました。

 また、弁護士の方、これもいろいろで、連れ去ってきてしまった側の弁護をされている方、あるいは逆の立場の方、さらには、外国で離婚訴訟をしているんだけれども、ハーグ条約に日本が加盟していないということによって、なかなかそれで大変な思いをしているというような方のお話も伺ったりしてまいりまして、まだ十分でないという御指摘かもしれませんけれども、また御指摘いただければ、直接そういった方々からもお話は伺ってまいりたいと思っております。

高木(美)委員 今、実態調査を行ったという答弁でございました。その実態調査の提出を求めたいと思います。

 外務省がどういった実態調査に基づいてそのような判断をされたのか、実態調査の提出を求めたいと思います。いかがでしょうか。

山花大臣政務官 ちょっと検討をさせていただきたいと思うんですけれども、多少プライバシーにかかわるところであるとか、あと、実際に同意を得てでないとというところもございますので、そこは工夫をさせていただければと思います。

 ちょっとそこは留保させていただきたいと思います。努力はいたします。

高木(美)委員 この条約にのっとって、要するに、残る親のもとに帰った子供がその後どういう処遇を受けているのか。中には、DVに遭っているとか、連絡がとれないとか、さまざまな事例があります。そうしたことにつきましても、しっかりと調査を、また把握をしていただきまして、この実態調査の提出を重ねて要請させていただきます。これは政府がどのように認識しているかという一番の大もとの話ですので、お願いをいたします。

 あわせて、本来であれば、こうした閣議了解、また、いつもは閣議決定で行われる内容ですので、和訳、それから仮訳が必ず発表されるわけですけれども、今、和訳も仮訳もないという状況と聞いています。締結に向けて決定をするといいましても、それではとても当事者の方たちの理解が得られるものではないと思いますが、この訳文については、どのようにお考えでしょうか。

山花大臣政務官 これなんですけれども、ちょっと技術的というか、難しいところがあって、今までのケースですと、大体、国会に提出をしますという閣議決定をするに際しての訳文をつけるということになっております。

 と申しますのも、例えば、外務省ということで一度公式に訳文を出しますと、それが、ある程度、仮ですといっても、公的なものとなってしまうというところもございますので、これも、御指摘を受けまして、従来の形で出すのはいささか困難かとは思いますけれども、何らかの、サマリーなりなんなりという形は工夫ができるのかなと思っておりますので、そこも努力をさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 方針をお決めになったわけですから、そうであれば、当事者の方たちにもすべて公開をしていただいて、ここからスタートしていただきたいと思います。

 そういう意味では、先ほど来、副長官また政務官からお話ありましたように、これを締結してほしいという強い要請、また、それでは自分たちの命が危ないというDV被害者の女性の方たち、まさに真っ二つというこの状況の中で、やはり両方の折り合いをちゃんとつけて、納得できる形で最終的な締結という方向に持っていくのが、私は、政治家としての当然の責務であると思っております。そうでなければ、国民を犠牲にしてG8で発表する、こういうそしりを免れないということになるのではないかと思います。今後さらに、双方しっかりと説得をしていただきまして、また、その内容が、これならばという、そのような形で進めていただければと思います。

 ですから、いずれにしても、私は、これをG8のお土産にすることには反対を強く要請するものでございます。いかがでしょうか。

福山内閣官房副長官 高木委員にお答えを申し上げます。

 先ほどおっしゃられましたDV等については、きょうの閣議了解の事項に、考慮した上でとした上で、子に対する暴力、これはもちろんです。それから、子供だけではありません。片方の相手方、これは男性か女性かわかりませんから相手方といいますが、相手方に対する暴力の問題、それから、相手方と子とともに帰国することができない事情等があるような事案、さらには包括条項みたいなものを、我々としては、きょうの了解事項の中に入れさせていただいて、先生の御指摘をいただいているものについては、十分に配慮、検討していきたいと思います。

 しかし、先生の御指摘にあるように、条約の範囲内というのがどこかというのも非常に重要な論点でございますので、条約の範囲内で、外務省から先ほど御紹介がありましたように、判例や調査、そして各国の運用の状況について、実は、返還拒否のパーセンテージも各国によってまちまちでございます。それぞれの各国の運用があるということも踏まえた上で、我々としては、当事者の皆さんの御意見も聞きながら対応していきたいというふうに思います。

 また、G8について、総理がどう言うかという話については、まだ政府としては決めておりませんので、この場ではコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

高木(美)委員 蓮舫大臣には、PFI法の質問でありながら、あと一分になりましたので、申しわけありません。恐縮でございます。また改めてお願いをさせていただきます。

 最後に、今の要請の続きでございますが、国内担保法を作成する担当省庁、それから制定のスケジュール、簡潔にお答えいただきたいと思います。

山花大臣政務官 担当するいわゆる中央当局でございますけれども、これについては、外務省ということできょう閣議了解をいただいたと承知をいたしております。

 この中央当局につきましては、恐らく、いろいろな選択肢はあり得たんだと思うんですけれども、ハーグ条約が第七条で中央当局の任務について規定しておりまして、具体的には、子の所在の特定であるとか、子に対するさらなる害の防止、子の任意の返還または当事者間の問題解決の促進、司法上の手続のための便宜の供与、子の安全な返還の確保等について定めております。

 いずれにしても、恐らく、大体、法務省がやるか外務省がやるかというようなことなんですけれども、それだけではなくて、いろいろな省庁と協力をしてやらなければなりません。そういった関係各省庁、特に法務省ということになりましょうけれども、協力をまちながら体制整備を図ってまいりたいと思っております。

 スケジュールについては、現時点では、報道ではいろいろ出ていますけれども、いつまでということについてはまだ正式には決まっておりませんので、我々としては、できるだけ早く努力をしたいと思っております。

團藤政府参考人 ただいまお尋ねの国内担保法の制定につきましての担当省庁について、私の方から補足的に御説明を申し上げます。

 国内担保法につきましては、子の返還等を援助いたします中央当局の任務等を定めるほか、子の返還手続を定めるということになろうかと思っております。この中央当局の任務等を定める部分につきましては、先ほど来お話がございますように、中央当局を担う外務省において立案作業が進められるものと承知しております。

 子の返還手続等を定める部分につきましては、私ども法務省におきまして立案作業を進める予定にしておりまして、その上で、法案全体の取りまとめにつきましては法務省の方で担当をするということとされてございます。

 今お話がございましたように、スケジュールは未定でございますが、私ども法務省において立案作業を進める予定となっております子の返還手続等を定める部分につきましては、法制審議会に諮問をする方向で現在検討を進めておるところでございます。

高木(美)委員 もう時間が来ております。

 外務省が作成されるということですが、児童虐待防止法それからDV防止法、我が国におきますスキームもまたしっかりと踏まえていただきまして、さまざまな当事者の方たちの御意見も、またお声も聞かれたということですから、涙ながらのその女性たちの訴えがきちんと守られますように、今後の適正な手順を踏んだ政権運営を心からお願いするものでございます。

 以上です。

荒井委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 PFI法の改正案について質問いたします。

 最初に内閣府にお尋ねをしますけれども、このPFIの事業におきまして、バリュー・フォー・マネーという指標の持つ意味が大きいというふうに承知しております。このバリュー・フォー・マネーという指標の持つ意味について、簡単で結構なんですが、最初に説明をいただけますか。

小橋政府参考人 PFIで事業を行うかどうかといったときに、従来型の公共事業と比べてどちらが優位にあるのかといったことを考えるときの一つの指標としてVFMが使われております。

 そういったことで、VFMというのは、一つの指標ではあるんですけれども、PFIを行う上では極めて重要な指標となっております。

塩川委員 PFI推進室が昨年九月に発表した基本方針におきましても、「VFMが存在することがPFIの核心であることから、VFMの算出方法について、客観的で透明性の高いスキームが共有されなければならない。」としております。VFMとは、いわばPFIを行うかどうかを決める決定的な指標の一つだということになります。

 この間のPFIにおいて、このVFMのトータルは、PFI推進委員会中間的とりまとめにおいて、二十一年末、この間生じたVFMは約六千六百億円に上るとしております。

 そこで、総務省にお尋ねします。

 総務省行政評価局で、二〇〇八年一月に、PFI事業に関する政策評価を行っております。このVFMについて、この政策評価において、どのような問題があったと指摘をしているか、その該当部分について説明をいただけますか。

田中政府参考人 今御指摘の調査でございますが、平成二十年の一月に勧告をいたしましたPFI事業に関する政策評価でございます。

 この中では、VFMにつきまして、事業選定時や民間事業者の選定時のVFMに関する情報の公表が不十分であることであるとか、コストの削減率やいわゆる割引率の根拠が不明確であることなど幾つかの論点を提示いたしまして、先ほどの御指摘からいきますと、「客観性及び透明性が確保されているとは認め難い」という状況であると評価をいたしております。

塩川委員 今答弁ありましたように、この評価報告書におきましては、PFI事業において重要となるVFMについて、幾つかの事例を挙げながら、「客観性及び透明性が確保されているとは認め難い状況になっている。」と述べているわけであります。透明性、客観性に問題があったという指摘であります。

 続けてお尋ねしますが、この中でも割引率の問題を今述べておりました。割引率の問題は、VFMが黒字になるのか赤字になるのか、直接大きく左右する重大な内容であります。

 この政策評価書の六十五ページに掲載されております割引率の分布状況、表があります。この表で実際のPFI事業に適用された割引率がどうなっているのかを挙げてありまして、その中の一番右の欄、平均値がそれぞれ、各年どういうふうになっていますかというのを、そこだけちょっと紹介してもらえますか。

田中政府参考人 ただいまの御指摘は、内閣府の作成いたしましたガイドラインで「リスクフリーレートを用いることが適当である。」という指摘がありまして、その実態につきまして個別の事業を調べまして、今御指摘のように、それぞれの個別事業につきまして、平成十一年から十七年までの間、実際のPFI事業に適用された割引率とその平均値を調べまして、数字を掲載して、おおむね四%程度というふうになっているということでございます。

塩川委員 今答弁がありましたように、四%程度にずっとなっているんですね。毎年毎年四%に近い数字になっています。

 こうした数値になっている理由は何なのか。この点についても政策評価書で指摘があると思うんですが、四%の割引率が多い理由についてはこの報告書でどのように指摘をしておられますか。

田中政府参考人 このときの政策評価書におきましては、その多い理由につきまして、国土交通省が平成十六年の二月に策定をされております公共事業評価の費用便益分析に関する技術指針におきまして「割引率は、全事業において当面四%を適用する。」というふうにされておりまして、このときの評価では、公共施設等の管理者等がこの数字を参考にしたのではないかというふうに指摘をいたしております。

塩川委員 実際に行われているPFIの事業で割引率が四%中心となっているというのは、その国交省の技術指針を参考に適用しているからだという指摘であります。

 続けて、この評価書におきまして、六十六ページに図表二の10とありますけれども、実際にVFMの計算に割引率四%が適用されている、そういう四つの事業を例示して、これについて、総務省として、このVFMが算出された年の長期国債利回りの平均値を示してVFMを試算しております。

 この試算にVFMが算出された年の長期国債利回りの平均値を用いた理由は何か、確認で御答弁ください。

田中政府参考人 ただいまの御指摘のくだりは、私どもが調査対象といたしました四事業につきまして、先ほどの御指摘のように、いずれも割引率四%ということで実施をされた事業につきまして、一方で、内閣府が作成されたガイドライン、先ほどもちょっと触れましたが、割引率につきまして「リスクフリーレートを用いることが適当である。」ということで、その中の例示といたしまして、長期国債利回りの過去の平均でやるということが指摘をされておりました。

 そこで、私どもの方で、いわば試算といたしまして、先ほども御指摘がありましたが、VFMが算出された時期の過去十年間の長期国債利回りの平均値で試算をしてみたということでございまして、そういたしますと、一番低いもので一・六九、高いもので二・九〇であったということでございます。

塩川委員 内閣府のVFMのガイドラインどおりに割引率を試算して当てはめた結果がこの数字に出ているわけですけれども、実際、こういった事業についてリスクフリーレートに基づいて試算をしたわけですけれども、その結果としてVFMはどのようになったのかについて、この表の数字を示していただけますか。

田中政府参考人 失礼いたしました。

 先ほど御指摘の個別事業につきまして、実際のレートは割引率四・〇でございますが、試算結果では、一番低いものが一・六九%、一番高いもので二・九〇%という結果でございました。(塩川委員「VFMの額について」と呼ぶ)

 VFMの金額をここで計上いたしておりますが、これで、額が一番高いもので、平成十七年にVFMが算定された年の事業で申しますと、四億七千万円違うということでございます。

塩川委員 そのまま読んでもらえばいいんですけれども。私の方で言いますから。

 つまり、割引率四%ではじいたVFMと、いわゆるリスクフリーレート、つまり内閣府のガイドラインに基づく試算で出したVFMの額で見ますと、四つの事業とも全部下がるわけですね。そのうち二つはマイナスになるということがここに挙げられているわけであります。

 つまり、VFMがマイナスになるということは、PFI事業とするということは不適格、公共でやった方がいいということを示している数字になるわけであります。つまり、割引率の設定がPFIをやるかどうかのまさに適否を左右しているということをここでも改めて示しているものであります。

 そこで、具体的に国交省のPFI事業で検証してみたいんですが、国交省にお尋ねしますが、合同庁舎の八号館がPFIで行われていますから、その八号館のPFI事業におけるVFMと割引率が幾らだったのかについてお示しいただけますか。

澤木政府参考人 お尋ねのありました中央合同庁舎第八号館のPFI事業におけるVFMと割引率でございますけれども、VFMについては五・五五%、金額にいたしますと十四億一千百万円ということになります。また、割引率につきましては四%を使用してございます。

塩川委員 つまり、国交省は四%。それは、国交省の技術指針が四%としているということが割引率四%の根拠でもあるわけですけれども、国交省からこの割引率四%を適用してVFMを算出する算出式をいただいて、うちの事務所で計算してみたところ、合同庁舎の八号館を公共事業で行うと三百二十五億円で、PFIで行うと三百五十五億円で、総額はPFIの方が三十億円多くなります。

 しかし、公共事業は最初に多くの支払いを済ませるので、将来に払う金額はPFIよりは少なくなる。割引率四%の場合、将来多く払うPFIの現在価値が少なくなるということでもありますので、この割引率について、うちの事務所で二%を適用して計算してみたところ、PFIの現在価値は四%のときほど小さくならないので、VFMはマイナスの四億五千三百万円となりました。つまり、総務省が行った試算と同じように下がるわけですね。

 つまり、四%か二%か、その割引率で結果が大きく左右される。この間の国債の平均利回りより高い二%でマイナスとなるということは、やはりよく見ておかなくちゃいけない。

 そこで、国交省にお尋ねしますが、この割引率については、内閣府のVFMのガイドラインにおいて「リスクフリーレートを用いることが適当」とされているわけですけれども、長期国債利回りの過去の平均とか長期的な見通し等を用いる方法が例示されているわけですが、この間の長期国債利回りの過去の平均は一%台であります。

 ところが、国交省は、割引率を現在も四%に据え置いたままであります。この点については、過去、有識者会議で検討も行われて、例えば二〇〇三年の有識者会議では割引率を引き下げる議論もあったと聞くけれども、なぜ引き下げずに四%を維持することになったんでしょうか。

深澤政府参考人 お答えいたします。

 公共事業の評価におけます社会的割引率につきましては、御案内のように、経済の関係それから工学の関係、いろいろな学識経験者の方の御意見も踏まえまして、国債の実質利回り等を勘案しまして、御指摘のあったように、平成十六年に四%ということを定めたわけでございます。

 公共事業は長期間にわたって効果それから便益が発生するということで、この社会的割引率の設定は非常に難しいといいますか、いろいろな御意見があるところでございます。

 平成十六年当時も、今委員御指摘ありましたように、三%とすべきという意見もありました。また一方、これを引き下げることでBバイCが逆に大きくなるので慎重に扱うべきという御意見もありました。また、割引率については、これはかなり長期間にわたる話なので、長期的に考える必要がある、そういう中で四%ということで現在に至っているわけでございます。

 これにつきましては、今申し上げたようにさまざまな御意見がありますが、今後、この社会的割引率も含めまして、事業評価手法については適宜、点検、見直しを行ってまいりたいと考えておりますけれども、四%につきましては、現時点でこれを変更する方向にはまだ至っていないというふうに認識しております。

 以上です。

塩川委員 最後に大臣にお尋ねしますけれども、金利はどんどん下がっているのに、割引率四%のままというのが国交省なんですね。それは、公共事業についての割引率を下げるとBバイCが大きくなる、公共事業の評価が高くなるということもあって、今の今日的な社会情勢のもとで公共事業の価値が大きくなるようなことをやるのかという議論が有識者会議の中でも行われたところであります。

 ですから、国債の利率が下がっているにもかかわらず割引率を下げないということは、公共事業のBバイCについて厳し目に評価しているということを意味するものですけれども、しかし、この技術指針の割引率をVFMに適用してPFI事業に当てはめると、公共事業より費用が少なく評価をされて、VFMがプラスになってくる。つまり、公共事業に厳し目の割引率を設定することが、PFI事業に甘目に出るということになっているわけであります。

 そこで、大臣にお尋ねしますが、過去に国交省の技術指針を用いて四%の割引率でVFMを算出した大半のPFI事業というのは、内閣府のガイドラインどおりに割引率を適用すれば、総務省が試算をしたとおりに、PFI事業に不適格なVFMマイナスとなるんじゃないのか。国交省の技術指針に従った四%の割引率の適用というのはPFI事業推進に当たって不適切だったんじゃないのか、このように考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

蓮舫国務大臣 PFI事業を行うに当たりまして、従来の公共事業ではなくてPFIで行った場合に、その事業コストが金額にしてどれだけメリットがあるかというのがまさにバリュー・フォー・マネーですから、非常に大事な指標でございます。

 私どもとしましては、総務省の政策評価の結果を踏まえ、透明性と客観性を確保するためにガイドラインの改定を行って、それぞれの公共施設の管理者等で適切にこれは守っていただきたいと要請をしている立場でございますから、今いろいろ議論を聞かせていただいておりましたが、まずは国交省の中で、今委員御指摘の部分の四%という一律で本当によかったのかどうなのかを考えていただくのが始まりではないのかなと思っております。

 いずれにせよ、我々はPFI事業を今回の法改正をもってさらに推進してまいりたいと思っておりますので、私のもとでは、この客観性あるいは透明性というのは引き続き各公共施設の管理者に守っていただきたいと思っているところでございます。

塩川委員 実際には内閣府のガイドラインどおり行われていない。だって、国交省は四%でずっとこれからもやると言っているわけですから、まさに乖離が生まれているわけですよ。それが結果として、今の金利が低いもとではPFI推進のいわば推進力にならざるを得ないということにもつながってくるわけですから、実際に多くの自治体や国で行われているこういうPFI事業が四%で当てはめてやっているわけですから、こういった実態についてきちんと検証することこそ先に行うべきだ。

 推進ということじゃなくて、やはり検証してこそ、本当の意味でPFI事業が生きていくのか、こういうことが問われるわけで、実際には、こういったいわば意図的に設定されたような割引率によってPFI事業を加速させる、そういう事態にもなっているという点でも、厳しく事態を見なくちゃいけない。

 こういう点について見直しを強く求め、検証をしっかりするということを改めて求めて、質問を終わります。

荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 通告していないんですが、今の塩川さんの話を伺っていて、ちょっと大臣の御認識を伺いたいなと思ったことが一つあります。

 PFIというのは、そのメリットが二つあります。一つは、資金が大変逼迫している現在の国、地方において、当座の資金が小さくて済みますということが一つのメリットでありますが、もう一つは、民間でやった方が効率よくできるだろうということだと思います。

 前段の、資金が逼迫しているからという中であっても、仮に四%という数値を適用するとなれば、ひょっとしたら、単純な例でいえば国債を出した方が安くできるというようなこともあるんだろうなというふうに思います。

 そのことはそのこととして今後の検討課題だというふうにお答えになられるんでしょうけれども、では、後段の、民間がやった方が効率がいいということと、今御担当の行政刷新をしっかりやっていったら実は民間にやらせなくても官でもできるんだということなのか。これは哲学的な話ですけれども、行政刷新をどこまでやってもやはり民間の方が効率がいいというふうに考えられるか、それとも、そうではなくて、行政刷新をとことんまでやったらPFIは要らなくなるんだというお考えなのか、ちょっとその哲学的なところを伺いたいと思います。

蓮舫国務大臣 私は、行政刷新に終わりはないと思っています。その時々の時代背景に合わせて、その時々に適切な行政刷新というのが適切に行われ続けていくことが大切だと思っています。

 その結果、民間の方たちといい意味でどういうふうにすみ分けることができるのか。効率だけではなくて、公でなければできないサービス分野もございます。逆に、公でなくてもできる部分は民間に開放して、ただ、結果として、民間に任せたら効率化ができなかったという事態もあると思いますので、適切にその都度その都度見直して、公と民、官と民のすみ分けというのを行っていくべきものなのだと考えています。

浅尾委員 今の話をもう一度別の角度から申し上げますと、普通に考えると、民間がやる場合には利益を上げなきゃいけない。なおかつ、民間が資金調達をして何か建物を建てた例でいいますと、国が調達するよりもコストはかかるわけですね。にもかかわらず民間の方が安くできるというのは、官が発注したり実際にオペレーションをやるとよほどまだコストがかかっているんだろうなということだと思いますので、大臣が行政刷新をやっておられるということでいえば、できるだけPFIが少なくなることを目標にすべきなんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点についてどういうふうに思われますか。

蓮舫国務大臣 正直、大変難しい質問だと思っております。

 効率化が最大限図られて、官が行った方が民間が行うよりも事業コストが安いというのは、ある種理想かもしれませんが、もう一つ見なければいけないのは、その行政サービスを受け取る側の国民の満足度というのをどれぐらい高めていくのであろうか。

 それは、やはり利益を生み出すためにさまざまな努力をして、だれよりもお客様のためのサービスの提供の手法にある種なれておられる民間の方が、もし同じ価格で事業コストが行えるのであれば、公が行うよりもお客様の満足度は高いと思っておりますので、何をもってPFIのその事業がどちらが適切かというのは一概に言えるものではなくて、一つ一つ個別に対応していくものではないかなと考えています。

浅尾委員 それでは、通告してある方の質問に移らせていただきたいと思います。

 これは、行政刷新担当の大臣をされる前という数字になりますから、ふえていても全然お仕事の評価には関係ないという理解ですけれども、我が国のPFI事業の実態とその評価ということで、過去五年間の件数と事業費の推移及びそれに対する評価を教えていただきたいと思います。

蓮舫国務大臣 お答えいたします。

 PFI法が施行されてから約十一年が経過しております。この間、件数でいいますと三百七十五件、事業費でいいますと三兆三百六十九億円の事業が施行されています。委員御指摘の直近五年間では、百五十七件、額にしまして一兆七千八百七十八億円の事業が施行されておりまして、PFIは、公共施設に関する事業を行う場合の一つの手法として定着してきていると思っております。

 ただ、他方、従来のPFI事業はサービス購入型が大半を占めておりまして、独立採算型についてのPFIの活用は進んでいません。三百七十五件のPFI事業のうち、これまで我が国が実施した総数ですが、独立採算型はわずか十六件、四%にとどまっています。これは、行政主導でPFIが実施をされてきている等、民間のアイデアが活用されてきていないこと、あるいはPFIの対象となっていない施設があることなどがその理由ではないかと指摘をされています。

 今回、こうした課題を受けまして、コンセッション方式であるとか、あるいは民間からの提案というような新しい観点の法改正をお願いするに至ったところでございます。

浅尾委員 それでは、次の質問に移ります。

 PFI対象施設が拡大されております。本改正では、賃貸住宅、船舶、航空機、人工衛星等が追加されておりますけれども、こうした分野を対象としたことについての合理性そして適合性というのはどのように検証をされたのでしょうか。

蓮舫国務大臣 改正法案におきましては、より幅広い分野でPFIの活用を可能にしたいと考えております。そこで、今御指摘も、例示もございましたが、現行法の対象外となっております賃貸住宅、船舶、航空機、人工衛星等をPFIの対象に追加させていただきたいとお願いをしております。

 具体的な事業としましては、人工衛星については、例えば、防衛省におきまして、PFIを活用した通信衛星の製造、運用が検討されていると聞いています。また、航空機や船舶につきましては、例えば地方自治体が所有をします防災ヘリ、こうしたところでPFIの活用が想定をされています。また、現行制度の対象であります地方公共団体が建設をしている低所得者向けの賃貸住宅に加えまして、今回の法改正では、高齢者向けの優良な賃貸住宅、あるいは老朽化がだんだん進んでおるニュータウンの更新など、行政のニーズに時々に応じることができる幅広い分野でPFIの活用が可能になると考えています。

浅尾委員 では、次の質問に移ります。

 今回、民間事業者の提案制度というものが入れられるということで、これは一つの大きな前進だと私自身は思いますが、同時に、当然、民間ですから利益を考える。その民間が考える利益というものが、その裏側に、公が求めていることとどの程度ずれがあるかというのはどのように判断をされるつもりでしょうか。

蓮舫国務大臣 御懸念、よくわかります。どうしても、公というのは利益を求めない、他方、民というのは利益を求めるわけですから。これがPFIという一つの手法を通じてうまくマッチングをする、それがひいては成功例につながっていくんだと考えています。

 これまでのPFI方式ですと、民間のアイデアを多様に活用していくと言いながら、先ほど平井委員からの御指摘もありましたけれども、どうしても官主導といいますか行政主導で運用が行われていたがために、なかなか広がらなかった、広まりを見せなかったと思っています。

 そこで、今回の法改正の中には、民間からのある種の提案、さまざまな提案をぜひ出してくださいということをお願いしています。提案を受けたら、その提案を受けた側の行政はそれを検討しなければいけない、検討したものを民間の業者にお返ししなければいけない。そのことによって、民間が求めている利益の追求並びに官が求めている公共の行政サービスの担保という部分が、そこでうまくマッチングをされるのではないかと考えています。

浅尾委員 今の点で、具体例を今御答弁を聞きながらちょっと考えてみたんですけれども、例えば、ある市の市長さんが、財政的な制約はあります、しかしいろいろな選挙公約をやっていると。では、PFIをいっぱいやって公約を充実させた結果、将来への負担が残るということは考えられるのかなというふうに思いますが、チェックするのは最終的にはもちろん有権者ということになりますが、有権者以外にそれを未然にチェックするとしたら、どういうふうにチェックをしたらいいと思われますか。

蓮舫国務大臣 チェックをするのは有権者でもあり、やはり地方公共団体を監視する議会であると私は考えております。

 PFIは、まさに、破綻を求めるものではなくて、限られた財源の中で、より効率的、効果的、そして市民の皆様方に御満足をいただける行政サービスを提供するために適した施策だと思っております。市長の方の思いでさまざまなPFIを実施したとしても、その施設を保有している公共団体を監視する議会がしっかり動いていただく、あるいは事務方においても、この手法をすることによって自分たちの施設が適切に使われないと判断した場合には、一度契約をした場合でもその契約というのは打ち切ることができるようになっているので、幾つかの段階を踏んで先生の御懸念は担保できると考えております。

浅尾委員 もう一点、民間事業者が提案をした場合に、その提案内容が他の人に漏れないようにするということについてはどういう手だてがあるんでしょうか。

蓮舫国務大臣 御指摘、まさしく私も懸念をしているところでございます。

 民間事業者がそれぞれの独自の努力でためたさまざまなアイデアを今回公共部分に提案して、そしてその後、実際にどなたが受けるかというのは、それはまだ自分のところで受けるかどうかもわからないわけではございますが、行政としてもこの提案を検討して体制を整える。その際に、民間事業者の技術、ノウハウに関する事項が漏えいされると事業者の利益が明らかに損なわれますので、どうやったらこの提案制度そのものの信頼性を担保しながらそうした情報が漏れないような形が行えるのかは、法案をお認めいただいたらガイドラインを策定することとなっておりますので、そこで周知徹底を図っていきたいと思っております。

浅尾委員 時間の関係で最後の質問になりますけれども、このPFI事業の今後の課題ということを少し伺いたいと思います。

 今の質問の一個前の質疑の中でもさせていただきましたが、恐らく後年度にわたっての行政側の負債になるわけですよね。それを要するに各行政がしっかりとバランスシートに載っけておけば、借金ではない形の負債として計上されるということだと思いますので、ガイドラインをつくられるということであれば、そういったことについてもぜひ配慮をしていただきたいと思いますが、その点も含めて御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

蓮舫国務大臣 確かに、後年負担は随分と従来の公共事業と比べて軽減されると思っております。ただ、その部分においても、しっかりとした見通しを立てておかないと、結果としてPFI事業が私たちが求めている形で普及することはできないと思っておりますので、浅尾委員の御指摘は真摯に受けとめて、こちらで対応させていただきたいと考えております。

 その上で、これまでにPFI事業を実施したことのある地方自治体は、全国の自治体の中を見ますと約九%程度にとどまっているんですね。これまでPFIを実際に活用したことがないという自治体に、どうやって使っていただくように、あるいはもっと積極的に対応していただけるように私どもからお願いをするかというのが課題になると思っておりますので、その部分も含めて適切な対応をさせていただければと考えております。

浅尾委員 終わります。

荒井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、PFI法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。

 反対する第一の理由は、欠陥、問題点が明らかになってきたPFI事業を、対象範囲の拡大や推進体制の一層の整備によってさらに推進を図るものとなっているからです。

 一九九九年の法制定以降、三百を超すPFI事業が行われてきましたが、それらの事業が、そもそも地方自治体などの公共団体が直接行うよりPFI事業で行うことが適切だったかどうか、検証が求められています。きょうの質疑でも明らかにしたように、大半のPFI事業で、PFI事業の適否を決めるバリュー・フォー・マネーの算定が不適切に行われてきたからです。これは、同時に、国も含めてPFI事業を行った大半の公共団体にPFIの適否を適切に判断する力量さえなかったことを示しています。

 そして、病院PFIでは、高知医療センター、近江八幡市立総合医療センターと次々に破綻しました。近江八幡市立総合医療センターの院長は、PFIには構造的欠陥とも言える問題が内包されている可能性が見えてきましたと指摘をしています。PFI推進委員会でも、PFIは必要ない、これが恐らく地方自治体の本音ではないかとの発言も出ています。求められているのは、PFIの推進ではなく、これまでの事業の検証と撤退です。

 第二の理由は、関空と伊丹空港を統合した新会社に空港の運営権を設定することを可能とするコンセッション方式の導入を図るものだからです。関空の巨額債務返済のためにその権利は売却することが計画されており、これによって、関空の巨額債務の責任があいまいにされるとともに、国民の財産である伊丹空港が民営化をされ、空港の安全性や公共性が後退する重大な懸念があるからであります。

 以上、討論を終わります。

荒井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

荒井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大島敦君外二名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。平井たくや君。

平井委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 我が国の厳しい財政的制約や東日本大震災の甚大な被害が存在する中、必要な社会資本整備を効率的に実現するため、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した公共施設等の整備等(以下「PFI事業」という。)を十分活用すること。

 二 地方公共団体等におけるPFI事業の活用をより一層推進するため、政府は、実務上のノウハウが地方公共団体等の職員に十分理解されるよう、必要な支援策を講じること。

 三 公共施設等の対象に、賃貸住宅並びに船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星を追加することに伴い、PFI事業の一層の活用が図られるよう努めること。

 四 民間事業者による提案制度の運用に当たっては、民間事業者が経営上のノウハウの漏出をおそれ、萎縮することのないようにするための対策を検討すること。

 五 公共施設等運営事業の活用に当たっては、事業の需要予測等を厳格に行い、事業の収益性を確保するよう、公共施設等の管理者等が事業の適正を期すこと。また、制度の運用状況を検証し、不適切な運用が生じている場合には、改善のための必要な措置を講ずること。

 六 公共施設等運営権を最大限活用するため、金融機関からの円滑な融資、民間事業者による提案等民間の創意工夫の活用、必要に応じた国や地方公共団体からの円滑な職員派遣等につき適切な措置を講ずること。また、国や地方公共団体が保有する社会資本の実態等の把握につき必要な措置の検討を行うこと。

 七 民間資金等活用事業推進会議については、民間資金等活用事業推進委員会が設置されていることを踏まえ、行政の簡素化の観点から、その設置の意義について検討して年内に結論を得ること。

 八 民間事業者への公務員の派遣等に当たっては、民間事業者の必要性を十分踏まえて実施するものとし、公務員の新たな天下りの手段との疑念をもたれないよう、その運用に万全を期すこと。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いします。

荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

荒井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。蓮舫国務大臣。

蓮舫国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

荒井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十二分散会


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