衆議院

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第12号 平成23年5月25日(水曜日)

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平成二十三年五月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      阿久津幸彦君    相原 史乃君

      井戸まさえ君    磯谷香代子君

      岡田 康裕君    岸本 周平君

      小林 正枝君    小室 寿明君

      坂口 岳洋君    園田 康博君

      玉城デニー君    長島 一由君

      西村智奈美君    野田 国義君

      橋本 博明君    福島 伸享君

      松岡 広隆君    森本 和義君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      渡辺 義彦君    甘利  明君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      塩崎 恭久君    平  将明君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      遠山 清彦君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  中野 寛成君

   国務大臣

   (節電啓発等担当)    蓮   舫君

   農林水産副大臣      筒井 信隆君

   経済産業副大臣      松下 忠洋君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      内山  晃君

   法務大臣政務官      黒岩 宇洋君

   外務大臣政務官      山花 郁夫君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   厚生労働大臣政務官    小林 正夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  荻野  徹君

   政府参考人

   (内閣府男女共同参画局長)            岡島 敦子君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 團藤 丈士君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      辰野 裕一君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      渡辺  格君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           朝日  弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    高原 一郎君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長代理)          久木田 豊君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     野田 国義君

  岸本 周平君     渡辺 義彦君

  後藤 祐一君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  玉城デニー君     相原 史乃君

  野田 国義君     小室 寿明君

  渡辺 義彦君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     後藤 祐一君

  小室 寿明君     打越あかし君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長代理久木田豊君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官荻野徹君、内閣府男女共同参画局長岡島敦子君、法務省大臣官房審議官團藤丈士君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長辰野裕一君、文部科学省科学技術・学術政策局次長渡辺格君、経済産業省大臣官房審議官朝日弘君、中小企業庁長官高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いをいたします。

 まず、官房長官にお伺いをしたいと思いますが、内閣官房参与の発言について、さまざまな発言があって、それを言った言わないという話もあって、国民も非常に不信感を高めておりますし、また、自分の考え方は違うということで原子力関係の専門家が涙の辞任会見をする、異様な事態まで起きております。

 先般、四月十五日の内閣委員会で官房長官とやりとりをさせていただきましたが、その二日前の四月十三日に、内閣官房参与の松本健一さんが菅総理と会談した後に、避難指示の地域には当面住めないだろう、十年、二十年住めないだろうと菅総理が発言をしたと松本参与が発言をしたんですね。その後、松本さんは訂正をしました。まだ福島原発の収束が見えない中で国民の緊張感や不安感が大変高まっている、そういった中で、言った言わないということで、総理に対する信頼感というものも低下することになったわけであります。

 私は、こういうような不用意な発言は、国民に対して非常に不安感をあおるし、パニックすら起こりかねない、非常に重要な問題だという指摘をさせていただきました。官房長官のそのときの答弁は、内閣官房参与は官僚でも政治家でもないのでという御発言があられたけれども、いやいや、そうではありません、まさに国家の中枢にいる方の発言ですから十分に気をつけてくださいという指摘をさせていただきました。たしか、そのとき官房長官は、その指摘に対しては重く受けとめて、二度とこのようなことがないように指示するというように私は答弁をいただいたと思います。

 それではお伺いいたしますが、具体的にどういう指示をされたんでしょうか、官房長官。

枝野国務大臣 御指摘の松本内閣官房参与の発言については、特に福島の原発周辺の皆さんに結果的に大変な御迷惑をおかけしたというふうに認識をいたしております。この委員会でも平委員からの御指摘もいただきまして、私から仙谷官房副長官に指示をし、仙谷官房副長官から松本参与に対して注意をいたしました。

 また、その後、最近になりまして、平田オリザ参与がソウルで、これまた事実と異なること、誤って受け取られるような御発言がありましたものですから、これについても私から仙谷官房副長官に指示をし、仙谷副長官から注意をいたしたところでございます。

 今後、他の参与についても、十分留意をするように折々に申し上げてまいりたいというふうに思っております。

平(将)委員 私が指摘をした時点で、松本参与だけに注意をするのではなくて、内閣官房参与はたくさんいるんですから、異常なぐらい人数がいるんですから、それを全員集めてもう一度確認するのが私は当たり前だと思うし、きっとそうしていたんだと思うんですが、今お話を聞くと、仙谷官房副長官を通じて松本参与にだけ何か注意をしたような話がありました。それはもう全く不十分だと思います。

 今、官房長官がお話しになりましたけれども、今度は五月十八日、内閣官房参与平田オリザさん、東京電力が四月に福島第一原発から放射性物質を含む汚染水を海に放出したことについて、彼は、アメリカ政府からの強い要請で海に流れた、そのようにソウルで言っています。その後、撤回をして謝罪をした。

 この件も、私、四月の内閣委員会で官房長官に申し上げたと思います。放射性物質を含む汚染水を出すときに韓国や隣国に通報していなかった、おくれた、それどころか閣内で農林水産大臣すら知らなかった、このリスクコミュニケーションはどうなっているんだ、おかしいじゃないかと言ったときも、官房長官はそれは重く受けとめますと。そういうやりとりがあったものですから、平田オリザさんがアメリカの強い要請でやったんだと言われて、私は妙に納得したところがあったんですよ。しかしながら、結果は、撤回して謝罪だということですね。これはどうなっているんですか。

 一番の問題は、こういうことが繰り返される。そして、韓国もあのとき不信感を強めていたんですね。強めていた韓国に行って、アメリカに言われて流したと言って、その後、それを謝罪、撤回した。それで、今のお話だと、仙谷官房副長官を通じて注意をした。それで済むんですか、官房長官。

枝野国務大臣 結果的に事実と異なる内容で受け取られるような御発言があったということで、これも韓国の皆さん初めとして御心配と御迷惑、またアメリカにも御心配と御迷惑をおかけしたかというふうに思っております。

 そういった意味では、本当に厳しく、誤解を招くような発言のないようにということについて、今の御質問の中でも、他の参与を含めて、まあ集めてというところまでできるかどうかは別として、すべての参与の皆さんに、ここは気をつけないといけないのは、それぞれ内閣官房参与という立場を超えて社会的に大きな影響力、力をお持ちの方ですので、何か内閣の側が発言を規制するようなことと受け取られてもいけないとは思っておりますが、特に事実関係や内閣官房参与として知り得ることについての御発言について誤解のないようにということについては、今の御指摘も踏まえて、他の参与の皆さんにも改めてしっかりと注意喚起をしたいというふうに思っております。

平(将)委員 今回の内閣官房参与の松本さん、平田オリザさんの発言で、これはもうそれなりの大変な方ですし、特に、前回も指摘しましたけれども、松本さんは評論家であり、作家ですよね。平田オリザさんだって、その世界で日本語でコミュニケーションをとるのはプロフェッショナルだと思います。そういう人たちがそういう発言をして信じる国民は多いと思いますよ、ああ、そうなんだ、そういうことだったんだというふうに。結果、それが後になって、いやいや、あれは違いましたということが重なっていく。これは結果的にはどんどん政府の言うことを信用しない国民をふやしているんだと思います。

 さっきも言いましたけれども、緊張感がすごく高まっているんです、国民の中に。そういう緊張感が高まっている中に、内閣官房参与をあれだけたくさん任命して、その内閣官房参与がいろいろなところで発言をして、結構国民はそれを信じたら、翌日になったら、済みません、あれは間違いでしたと撤回をする。総理の方が、本当は言ったんだけれども、これはまずいからといって後で撤回させているんじゃないか、そういうような思いを国民に持たせる可能性が大だと私は思います。

 これは二回目、三回目ですからね。一回目ならまだ、これは注意してくださいよという話をしました。もう二回目ですから、私は、間違った情報を出した方をちゃんとやめさせるべきだと思いますよ。官房長官、いかがですか。

枝野国務大臣 松本参与も平田参与も含めて、内閣官房参与それぞれの専門的な立場から、総理に対して直接また間接に情報提供や助言をいただいております。総理に直接情報提供や助言を行っていただいておりますので、私自身、直接具体的な内容にまでここで御紹介、踏み込むことはできませんけれども、その情報提供や助言、参与としての大変重要な役割を一方で果たしていただいてきているのも事実でございます。

 また、内閣官房参与は、基本的に総理への助言ということで総理がお願いをしているところでございますので、平委員からそうした御指摘があったことについては、総理が帰国されましたら、私から、委員会でもこういう御指摘があったということを伝えさせていただきたいと思います。

平(将)委員 これは、私はまた起きると思いますよ。内閣官房参与、総理に助言でしょう。意見具申ですよね。でも、外でこういうことをいろいろ言っていて、こういうことを繰り返している。また繰り返すと思います。私は、どちらかがちゃんと責任をとらなければいけないと。

 おとといぐらいの日経新聞に出ていましたけれども、民主党政権の体質として、説明をしない、責任をとらないということがありましたけれども、私は、間違った情報を出した方をちゃんと特定し、明らかにした上で、その人間に責任をとってもらう。というのは、本当に重い情報ですよ。この松本さんだって、十年、二十年、避難指示地域には当面住めないと総理が言ったという言い方をした、もしくはそうとらえられた。平田オリザさんについては、アメリカ政府から強い要請でやったと。これはとんでもない発言だと思います。私は、撤回して陳謝すれば済む話ではないと思います。

 続けて指摘をさせていただきますが、さらに四月二十九日、ちょうど真ん中、内閣官房参与の小佐古敏荘さん、東京電力福島第一原発の政府の対応を場当たり的だと批判して、涙の会見まで行って辞任をした。さらには、緊急時迅速放射能影響予想システム、いわゆるSPEEDIによる影響予測がすぐに運用、公表されなかったことを指摘した。法律を軽視してその場限りの対応を行い、事態収拾をおくらせていると述べた。これも物すごく国民に不安を与えています。

 内閣官房参与が総理に助言をする、それはいいことだと思います。総理の口から、セカンドオピニオンだということであれば、それを生かしてこの緊急事態に対応していただくのはいいんですが、たくさんの内閣官房参与を採用して、この内閣官房参与が国民の不安感をあおり、結果として、官邸の信頼感を失い、そして国を混乱させている。そういうふうに思いませんか、官房長官。

枝野国務大臣 御指摘いただいたような印象、思いを多くの皆さんにお与えしたということに対しては、大変申しわけなく思っております。

 内閣官房参与、いろいろなお立場、あるいはいろいろな御専門の皆さんにお願いをしています。特に原発事故に関連しては、専門家の皆さんでもさまざまな御意見がある中で、まさに多様な御意見をしっかりと拝聴させていただいた上で、もちろん、最終的には国の正式な機関であります原子力安全委員会の判断というものが重いわけでありますけれども、まさにそうした意見とも異なる意見も十分に聞かせていただいて判断するということの上で、今回おやめになった小佐古前参与を含めて、異なった意見の方の意見を聞かせていただく。

 その考え方自体は決して間違っていなかったというふうに思っておりますが、異なった意見の方の意見を伺っていたことの結果として、それが採用されなかったということを含めて、こうしたことになったというその経緯と結果については、むしろ、当初多様な意見を聞くことのプラス面を相殺するようなマイナスの面があったということは十分反省しなければいけない。

 しかし、本当にこの手のことについては、異なった意見をどうやって十分に聞かせていただいた上で判断するかということは重要なことだと思いますので、こうしたマイナス面が生じないような形での意見の拝聴の仕方ということについて考えていかなければならないというか、小佐古前参与がおやめになって以来考えているところでございます。

平(将)委員 今は平時ではありません。非常時です。ですから、本当に一つ一つのコメントを十分注意していただかなければいけないと思います。

 本当にもう未曾有の大災害で、しかも原発事故が重なって、その後の官房長官の記者会見の対応は極めて冷静だし、淡々と、そして本当にしっかりと対応していただいたと私は思います。それは私は評価をしています。枝野さんが官房長官でなければ、私は、菅内閣の支持率はもっと落ちていると思いますよ。でも、そんな中で、内閣官房参与が次から次へとこういうことをやる。指摘したにもかかわらず、また同じような、さらにはかなりもっと深刻なことを平気でしゃべってしまうというところは重く受けとめていただきたい。

 今は平時ではありません。非常時だということを再認識していただき、内閣官房参与の皆さんには徹底していただきたいと思います。本来の仕事は総理に対しての意見具申でありますので、しっかりとお願いをしたいと思います。これは、また起きたら、官房長官、本当に責任をとってもらいますよ。お願いしますよ。

 さらに言えば、原発の事故で、班目委員長、ここのところ話題になっておりますけれども、福島原発の東日本大震災発生翌日に行われた海水注入が中断した経緯をめぐって、官邸側、これは政府・東電統合対策室だと思いますが、原子力安全委員会の班目委員長が三月十二日、菅首相に、海水を注入した場合再臨界の危険性があると意見を述べた、それをもとに政府が再臨界防止策の検討に入ったと。しかし、班目委員長は、再臨界のおそれなどと言うはずがないと真っ向から否定をした。さらに、私に対する侮辱だと言い切って、それが紙面を飾りました。

 そしてその後、班目委員長は官邸に抗議をし、ちょっと私、記憶が定かじゃないですが、細野首相補佐官もしくは福山官房副長官が対応されたのかと思いますが、そこで、再臨界のおそれがあるということではなくて、再臨界の可能性はゼロではないという文言で合意をしたということになっています。しかしながら、きのう、二十四日午前の衆議院の復興委員会、班目委員長はその真意を問われて、みずからの発言を、事実上ゼロだということだと説明をしたとなっているんですね。

 これは、政府は自分たちの都合の悪いことをどうもねじ曲げているんじゃないか、自分たちの都合のいいようにいいようにコメントを曲解して、それを組み立てて発表しているんじゃないか、国民の多くはそう思うんじゃないでしょうかね。

 あわせて、班目委員長は侮辱だと言って怒り心頭で官邸に行って、でも、まあまあまあという話になったんだと思いますよ、結果として、再臨界の可能性はゼロではないという文言で合意したんだけれども、これは本人は納得していないんじゃないんですか。納得していないから、きのうの委員会で事実上ゼロということだと本人がおっしゃっている。再臨界の可能性はゼロではないということと、事実上ゼロだということとは全然違いますよね。

 ですから、こういうことに対して、本当に国民の信を失うし、政府は自分の都合のいいようにつくっているんじゃないかというふうに思われますよ。どう思われますか、官房長官。

枝野国務大臣 班目委員長は、その場において可能性はゼロではないとおっしゃったというふうにきのうの委員会でもおっしゃっておられましたし、私もそういうふうに報告を受けておりますが、ゼロではないというおっしゃり方をされたということと、受けとめる側が、ゼロではないということは可能性があると受けとめたということで、専門家である班目先生のお立場からは、可能性があると言ったということとゼロではないと言ったということでは意味が全然違うんだということで、それは事実を訂正しろという御指摘を受けて、そこはまさにかぎ括弧の中のような話でありますので、それは御本人の御指摘どおりにやることがより正確を期すことだということで、委員長からのお申し出に基づいて、ゼロではないとおっしゃったというふうに訂正をさせていただきました。

 受け取った側では、ゼロではないという御発言だったと思われますが、それを、ゼロではないということは可能性があるということと受けとめたということでございます。

 ただ、まさに班目委員長、きのうの委員会でも、ゼロではないと言ったということの上で、ゼロではないという言い方は御本人の思いとしては限りなくゼロに近いという意味でゼロではないとおっしゃったんだということの御説明を、委員会で私の目の前でもされておられました。

 つまり、御本人としては、ほぼゼロなんだけれどもゼロではないという発言をされたということと、受けとめる側は、ゼロではないという御発言だったので可能性はあると受けとめたというところにそごがあったという、どこにそごがあったということについてしっかりと御説明をさせていただく結果になった。先にどういう正確なかぎ括弧であったかということを確認すべきではなかったかという御指摘はあろうかというふうに思いますが、そういうのが私のところに報告されている経緯でございます。

平(将)委員 これはすごい大事なことなんですね。当初は、再臨界の危険性があるという指摘があったと。その後、この文言は、何か今官房長官のお話を聞くと、班目委員長から再臨界の可能性はゼロではないという申し出があったからそうしたというようなことを言われていますけれども、官邸側から言ったんじゃないんですか。再臨界の可能性はゼロではないという文章でひとつここはどうでしょうと。そういうことじゃないんですか、官房長官。

枝野国務大臣 班目委員長が、再臨界の可能性があるというのは違うということで訂正を求めてこられたところでのやりとりは直接は私伺っておりませんが、班目委員長が、自分の発言はゼロではないという言い方なんだということで御確認をされたという報告を受けております。

平(将)委員 とにかく、非常に重要な問題について、再臨界の危険性があるから再臨界の可能性はゼロではないに移行して、きのうの発言では、事実上ゼロだということになっているんですよ。私は、こういう重要なことは後で検証できるようにしておかないといけないと思うんですね。言った言わないの話になるんですよ。

 ですから、本当にこれは何か政府が都合のいいようにやっているんじゃないかと。それで班目委員長は、しようがないな、じゃ、ゼロではないという文章で決着するかと思ったけれども、何か気分が悪いからきのうになってやっぱりゼロだと言ったようにも見えるんですね。だから、これは検証できるようにしておいてくださいよ。

 そして、今まで何が言いたいかというと、今は非常時で、物すごく一つ一つの発言が重くて、それによって事態の対応も大きく変わってくるし、その対応によって出てくる結果も大きく変わってくる。国民はそれをかたずをのんで見ている、緊張感を持って、毎日、日々ですよ。だから、この辺の、内閣官房参与の発言で言った言わない、班目委員長が言った言わない、延々繰り返して、結果、国民の不信感を高めているんですよ。

 報道で見ると、政府に原発事故調査委員会を設置すると。今これだけ、政府が言った言わない、班目委員長の件も結局事実はわからない、やぶの中なんですよ。政府の都合のいいように何か変えているんじゃないかと多くの人が思っている。私は、この原発事故調査委員会、議会に設置すべきだと思いますけれども、どうですか、官房長官。

枝野国務大臣 この原発事故についての事故の原因調査と検証については、本当にこれは国内的にももちろんですし、国際的にもしっかりとしたものを行っていかなければならないというふうに思っております。

 その際において、政府としてのしっかりとした検証はいずれにしろ不可欠だというふうに思っておりまして、そうした意味で、できるだけ最大限の独立性を持った形で検証をしていただくということで、きのう閣議決定をして調査・検証委員会を設置いたしました。

 それに加えて、国会というお立場から検証されるということについては、これは国会でお決めをいただくことだというふうに思っておりますし、もしそうしたことがあれば、内閣としては全面的に協力をさせていただくつもりでございます。

平(将)委員 今、議会に設置をすることに対しては反対しない、政府としても協力をするということでございますので、そのようにお願いをしたいと思います。

 次にお伺いしますが、東電の救済スキームの問題であります。これも報道ベースですが、枝野長官、東電に対する金融機関の債権放棄に言及していると聞いておりますが、その真意をお聞かせください。

枝野国務大臣 まず、このスキームについての関係閣僚決定では、すべてのステークホルダーに協力を求めるということにいたしております。

 そして、私の発言は、記者から債権放棄等がなかった場合に国民の理解を得られますかというお尋ねがありましたので、それは国民の理解を得ることは難しいでしょうということを申し上げたものでございます。

平(将)委員 東京電力がさまざまな賠償をした結果もし債務超過になるということであれば、例えば会社更生法を適用してやれば、それは株主もしくは銀行の責任というのは明らかになると思うんです。多分、政府のスキームというのはそうはなっていなかったと思います。そうなっていないにもかかわらず金融機関に債権放棄をさせるということは、法的根拠はあるんでしょうか。

枝野国務大臣 まず、私は求めてはおりません。認識を尋ねられたので、私自身、今もそう思っておりますが、国民的な理解を得るためには、すべてのステークホルダー、それは金融機関も含めて、一定の御協力を得られなければ国民的な理解は得られないだろうと私は思っております。ただ、私から求めたものではございません。

 その上で、会社更生等の場合になりますと、これは御承知のとおり、債権者の優先順位として、今回の原発事故の被害を受けられた皆さんに対する賠償は他の債権などに比べて劣後いたしまして、ほとんどその支払いがなされない結果になるだろうということは十分に想定されるところでございます。

 さらには、今、原発事故の収束に向けては、福島の原発の現場においては、東電の現場の職員の皆さんも大変頑張っていただいておりますが、いわゆる関連企業、関係企業、それも大手だけではなくていわゆる下請的な中小企業を含めて、そうした皆さんの一体となった御協力をいただいて収束に当たっています。これも、会社更生等の手続になれば、優先権がありませんのでそうしたものが確保されないということになって、今現に御協力いただいていることの御協力を得られなくなって原発事故の収束が困難になるということがあります。

 私どもは、この原発事故の収束に向けて御努力いただいている関連企業、それから、当然それに先立って原発の賠償ということをしっかりと確保する、そしてもう一つはしっかりと東京電力管内の電力供給の安定を図る、この三つについてしっかりと確保するためには、会社更生等の法的整理手続ということは残念ながらとれないというふうに考えております。

 ただ、東京電力等に限らず、一般的に民間の企業体がさまざまな事情で経営困難になった場合には、まずは株主や債権者等のステークホルダーの皆さんに御協力をお願いし、多くの場合はそうしたステークホルダーの皆さんは、例えば倒産等という事態に陥る、より大きなマイナスを防ぐために一定の協力をする。それがまずは民間企業として当然先になされることでありまして、東京電力においては、今申し上げた理由で、国としてもしっかりと責任を果たしてまいらなければいけないと思っておりますが、民間企業として当然やっていただくべきステークホルダーに対する御協力をいただくことは当然だと思っております。

平(将)委員 法的根拠はないということでよろしいですね。

枝野国務大臣 法的根拠も何も、私は求めておりません。

平(将)委員 今、求めておりませんという発言がありましたが、官房長官は、銀行がそういう協力をしなければ国民の理解が得られないと。では、民主党政権としては、国民の理解が得られないような状況が発生をしてもちゃんと今のスキームを進めるんですか。

枝野国務大臣 国民の理解を得られなければスキームは前に進まないと思っています。

平(将)委員 では、実質、求めているのと一緒じゃないですか、官房長官。

枝野国務大臣 ステークホルダーの皆さんに協力をお願いすることについては、求めております。そして、それは東京電力もそうするとお約束をいただいております。

平(将)委員 金融機関もそうすると言っているんですか、官房長官。

枝野国務大臣 東京電力に対して、ステークホルダーに対する協力、これは債権放棄ではありません、協力を求めるということを求めて、東京電力はそうすると確認をいただいております。

 そこから先は東京電力がいかに努力をしていただくかということだというふうに思っておりますし、民間企業と民間企業の関係であれば、国に対する支援を求める前に、まずは債権者や株主などのステークホルダーに経営が厳しい状況になったときに協力を求め、金融機関においても倒産等に至るリスク等々をしんしゃくした上で一定の協力をされるのは、他の民間企業においても一般的にされていることで、そうした一般的にされていることは当然なされるものと私は期待をしております。

平(将)委員 私は、官房長官が金融機関の債権放棄は求めていないんだけれども、そういうことがなければ国民の理解は得られない、国民の理解が得られなければそのスキームは進められないということだと思います。

 私は、これは党の意見じゃありません、私の個人的な意見で言えば、しっかり会社更生して、今、例えば銀行の貸し付けだって期日が来ればどんどん返していくことになります。株主の責任もしっかりとってもらわなければいけない。それで足りなければ、送電部門が、多分、土地、鉄塔、電線、それを減価償却した分がバランスシートの資産の部に載っていると思うんですよ、それは送電部門ということでいけば物すごく付加価値の高いものですから、それを売却してでも原資をつくる。

 それでも足りないところをしっかりと政府が補完していくという考えをすべきであって、そういう王道を行かずしてそのスキームをつくって、それは官房長官は要請はしていないけれども、結果的に受け取る方は、浜岡原発と一緒ですよ、もう実質は命令と一緒だということで対応せざるを得ない。これは、資本主義や法治国家としてその体系をゆがめると思いますよ。それを指摘しておきたいと思います。

 次にお伺いをします。

 メルトダウンだったという報道がここのところ、きのうぐらいからなされておりますが、これは早くから専門家は指摘をしていました。実は、我々、衆議院の決算行政監視委員会で来てもらったIACという原子力コンサルタントの佐藤さんも、私は三月二十八日に会った時点で、いや、もう一号機、二号機、三号機、一〇〇%メルトダウンしていますという話をしていました。

 ここに来て、いきなり、実はもうその翌日もしくは翌々日にはメルトダウンであったというふうにようやく東電が認めたようでありますが、これはいかにも遅過ぎるし、そのことによって対応が変わったことはないんでしょうか。

枝野国務大臣 まず、いわゆるメルトダウン、つまり炉心全体が溶けている状況であったということについては、その可能性が高いというか、ほぼそうであろうということが、最近になって、例えば原子力発電所の建屋の中に人が入ってさまざまな計器等を補正することができるようになり、それに基づいて専門家の皆さんが解析をした結果として、そういう可能性、ほぼ間違いないのではないかという報告を受けたところであり、直ちに公表をしたところでございますが、もっと早くそうしたことの分析ができなかったのかという御指摘については、私もそういう思いを持っておりますし、それについてはしっかりと検証がなされる必要があるというふうに思っております。

 ただ、政府といたしましては、例えば私自身も、三月十三日だったと思いますけれども、さまざまな情報がなくて未確定な状況の中でありますが、炉心溶融の可能性は高いというような趣旨のことはしっかりとアナウンスメントしているところでございます。

 なおかつ、炉の中の状態がどうなっているかということはその段階ではなかなか確度の高い推測ができない状況でございましたからこそ、周辺の地域の放射線量やさまざま想定される事態を考慮して、今になって思えばいろいろな御意見はあるかもしれませんが、相当早い段階から周辺地域の皆さんに対する避難の指示等を出させていただいたということでございます。

平(将)委員 かなり早い時期から、もうほとんどメルトダウンは避けられないという専門家の意見があったと思います。

 私は報道ベースでしたが、ずっと格納容器、圧力容器の健全性は保たれているという発表を東電はされていたと思います。ただ、メルトダウンであれば、格納容器、圧力容器には当然損傷が出てくる。そうすると、放射性物質がいっぱい出てくる。であれば、かける水にもさまざまな細工、例えばガラス繊維をまぜて少しでも亀裂をふさぐとか、世界の知見を集めればそういうことが可能だったと思います。しかしながら、ずっとメルトダウンを認めないという中で工程表をつくって、そして水棺だと言うけれども、メルトダウンだということになって、格納容器、圧力容器に亀裂が入っていれば水棺もできないということだと思うんですね。

 実は、原子力コンサルタントの佐藤さんに私は話を聞いたときに、もう間違いなくメルトダウンをしていますと。ではそれを官邸にしっかり伝えてほしいということで、実名は言いませんが、中枢の政治家の民主党の皆さんにもこの情報は行っています。行っていますが、なかなか相手にされなかったという現実もあります。

 ですから、これはやはりもうちょっと適切な、メルトダウンを前提とした検証を、東京電力は認めなくても、政府側としては何らかの対策なり対応なり指導なりをすべきだと思いますけれども、官房長官、いかがですか。

枝野国務大臣 早い段階から、メルトダウンをしているのは間違いないのではないかという専門家の皆さんがいらっしゃって、そういった御意見があるということは承知をいたしておりました。

 だからこそ、私も三月十三日の記者会見でも、その時点で、東京電力や原子力安全・保安院等からの報告をさらに踏み出して、そうした可能性が高いと言ったか十分あると言ったか、きょう直接持ってきておりませんが、そういう趣旨のことはしっかりと国民の皆さんにもお伝えをいたしましたし、また同時に、例えばいわゆるメルトダウンで大きな穴があいている可能性がないかどうか、つまり、放射性物質そのものが、燃料そのものが格納容器の外側に大きく流れ出しているような状況がないのかどうかということについては、東京電力や保安院等からの報告を受けるに当たって常に留意をしてきたところでございます。

 また、何らかの形で格納容器から放射性物質が漏れ出ているということについては、いわゆるベントをした時点だけではなくて、放射線の量、一定の量が周辺地域にあるということも把握をしておりましたので、したがって、何らかの形で、それが大きな穴なのか、メルトダウンによるものなのか、どういったものなのかはその時点ではわからなかったわけでありますが、だからこそ、周辺部の放射線量に基づいて、しっかりと周辺地域の皆さんに健康被害が生じないような避難指示等をお願いしてきたところでございます。

平(将)委員 それでは、私は工程表をつくり直すべきだと思います。内閣委員会で、私は工程表を出してほしいと。それは、展望が開けない、わからないからということでお願いをしました。それで、出していただきました。しかしながら、多分もう前提が違うんだと思います。水棺もできないと思います。ですから、これは工程表を変えていただく。

 きょうの議論で、再度繰り返しますが、政府の中枢の人間が、本当にこの緊張感が高まっている非常時の中で、言った言わないということを繰り返すことによって国民の不安を増すようなことは絶対やめていただきたいし、私はどっちかやめさせるべきだと思いますけれども、官房長官はやめさせないというんだったら、二度とこういうことのないようにしていただきたいし、またこういう同じようなことが起きたときはやはりそれなりの責任をとっていただきたい、そのように思います。

 あと、もう時間がありませんので、残り幾つかあるんですが、ちょっと問題提起だけして終わりたいと思います。

 まず、農産物の放射線の検査体制ですが、毎日新聞の夕刊に、結局、原発事故を受けて厚労省が農産物などの放射性物質の検査を求めている十一都道府県の自治体のうち、約三割に当たる百四十六市町村が五月中旬まで検査を一度も実施してこなかったという報道があります。

 この問題、農産物の風評被害についてはずっと私言ってきましたけれども、どうも厚労省と農水省の連携が悪い。それは、産地のことは厚労省、流通段階は農水省ということになっているんですね。結果として、厚労省は市町村もしくは自治体にちゃんと検査をやれと言っても、機器が足りない、人が足りないということで、できていないんですよ。だから、これは厚労省、農水省、しっかり連携をとって、必要な検査体制はどうあるべきか、そのための機器の調達、人員の調達、その予算はどのぐらいかかるんだということを、市町村任せにしないでしっかり対応していただかないと、これから季節的には東北の野菜ですからね。ですから、これをしっかり対応していただきたいと思います。

 済みません。きょう、副大臣、政務官がいらっしゃっていますけれども、ちょっと時間がないので、指摘して、また次回に譲りたいと思います。

 また、中野大臣も毎回毎回済みません。時間がなくなりましたのであれですけれども、一点だけ。

 要は、民主党さんが、これはけしからぬと枝野さんや細野さんが野党のときに国会で言っていたことと、今政府が言っているルールは、若干そごがあるんです。ルール上はセーフだけれども、民主党政権としてはこんなのは許せない、菅総理もそういう発言をしています。そのそごをどうやって仕組みとして埋めるのかといった問題がまだ残っていますので、また次回やらせてください。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 きょうは、三十五分の時間をいただきました。経産副大臣の松下さん、お忙しい中、他委員会に足を運んでいただいて、ありがとうございます。

 きょう、質問に入る前に、まず私が冒頭申し上げたいことは、三月十一日の地震、津波、そして原発の事故、これを受けた上で、まず、自民党の議員として、長年原子力行政を担ってきたその責任と、またその反省をはっきりと言わなければいけない、それなくして自民党に対する信頼の回復はない、私はそういうふうに感じて、前回、予算委員会の派遣でも、五月の十八日、福島県にも行きました。その際、知事、副知事、議会関係者にお会いしたときにも、同じことを申し上げました。その会談後、退室の直前、福島県の副知事から呼びとめられて、その際に言われた言葉は、その言葉を聞きたかった、自民党の口からその反省を聞きたかった、言ってくれてよかった、そういうふうな言葉をいただきました。

 そのことを自民党は強く認識をして、今、その自民党の責任として果たすべき使命は、何よりもまず、原子力事故の収束に、野党からも政府に対して、その責任を果たすように強く訴えることも一つです。そしてもう一つは、被災地の状況、被災者の生活環境、これを一歩でも前に進めてほしい。この二つを、私は、きょう、今までの自民党の責任と反省も踏まえた上で、三十五分間、質問をしたいと思います。

 きょう私が質問で取り上げることは、一つは、その原子力事故の収束作業の最前線、Jヴィレッジのことについて、そして二つ目が、被災地の生活環境の改善のために何よりも今ニーズが高いボランティアについて、そして三つ目が、これは時間があれば触れたいと思うんですが、電力の需給、これをこれから夏季に向けてどうやって確保するのか、また、その中で、計画停電の位置づけ、これについて、時間があれば蓮舫大臣にお伺いをしたいと思います。

 まずは、Jヴィレッジについてです。

 このJヴィレッジのミッションというのは、主に三つです。一つは、原子力の放射線の拡大の防止、もう一つは、現地に駐在している自衛隊、そして、もう今は既に引き揚げましたが、そのときは消防隊、この駐在部隊との連絡調整、そしてもう一つが、福島第一、第二、そことの人員の派遣、資材の調達、これを担っているのがJヴィレッジです。

 私は、今回、五月の二十一日、Jヴィレッジに行ってきました。そして、現場の状況を自分の目で見なければわからないということで、忙しい中、現地の東電の関係者、自衛隊の方に御協力をいただいて、Jヴィレッジの中を見てきました。そして、私が行った二十一日の翌日Jヴィレッジに視察に行ったのが、きょうお呼びした松下経産副大臣です。

 副大臣に伺います。副大臣の視察の目的は何ですか。

松下副大臣 私は何回も現地を訪ねておりますし、発災当初から現地の現地災害対策本部長もしておりました。そういう意味で、一番新しい、最前線のJヴィレッジがどういうふうになっているか、それをこの目で確認したいことが一つ。

 同時に、もう一つの目的は、避難していらっしゃる住民の方たちを抱えている市町村、関係の八、九市町村、そこを回りまして、現在国がとっている政策、今度新しい工程表ができましたけれども、それに対する説明といろいろな課題、そういうものを意見交換する、それが主な目的でございまして、その足で広野町に入りましたので、一緒にJヴィレッジも見てきたということでございまして、二回目でございます。

小泉(進)委員 Jヴィレッジのどこを見られましたか。

松下副大臣 私と十数名の一緒にいた実務の人たちも含めて、一階から二階を回って、自衛隊の人たちがやっている仕事の場所、除染作業をしている場所、それからグラウンドの一部を少ない時間でしたけれども回ってまいりました。

 以上でございます。

小泉(進)委員 私は、Jヴィレッジに行きまして、本当に隅々まで見せていただきました。

 今副大臣が行ったと言ったセンターハウス。ここは、作業員の方々が、防護服、作業に使うゴム手袋、長靴、こういったものを次々に受け取る場所です。そしてまた、食事も受け取る場所。

 食事の内容を見ました。サトウのごはんみたいなのがありますね、チンでやるもの。あのサトウのごはんみたいな御飯と、その隣に、僕が行ったときはレトルトのカルビどんのもとでしたよ。カルビどんのもとが段ボールごとに入っているんです。それを一個一個とって、そしてその次にペットボトルの飲み物、その後に、カロリーメイト的な何か栄養剤の食べるもの、そして最後に、熱中症防止のあめが置いてある。

 そういうところがこのセンターハウスで、センターハウスの中には、駐在している自衛隊、また保安員、この方々がいる部屋もあって、テレビの会議で、九分割で、東電本店や第一、第二とつながっているところ、こういう会議室もあります。

 また、メディカルセンターも私は見せてもらいました。あとは除染場。これは人のスクリーニングもそう、除染もそう。その他、車両、ヘリの除染場も見せていただきました。それと、使用済みの防護服、マスクのフィルター、これが大量にごみ袋になっている部屋、これも恐らく一年以内には満杯になるでしょう。

 そういったところを隅々まで見せていただきましたが、私が印象に残ったのは、原発で収束作業に当たってJヴィレッジに戻ってきた作業員の方々がその場にいて、その方々とお話をしたことでした。大臣、そういう時間はありましたか。

松下副大臣 今回はごあいさつ程度でございましたけれども、最初に、三月二十日、あの消火作業でごった返しているときに、田浦陸将補、司令と一緒に現地に入りまして、そのときはつぶさにいろいろな形のものを見てまいりまして、そういう意味では、現状はそれから随分改善されているなと。上水道、下水道がしっかり回復している。当時は、水もなく、そしてシャワーもなく、下水もなくというところで本当に大変な状況であったこと、それから比べれば、今おっしゃいましたけれども、この二カ月の間に随分状況が変わってきたなという印象を持って帰ってまいりました。

 まだまだ改善すべきことはある、そう考えています。

小泉(進)委員 副大臣がおっしゃるとおり、かなり改善はされました。私が行ったときも、シャワーは一部復旧されました。しかし、まだまだです。

 なぜ、きょう、私が実際に見たJヴィレッジのことを取り上げるかというと、原発の事故の収束は今急務です。そのために必要なのは作業員。そして、作業員の方がしっかり栄養をとって、睡眠も確保して、力いっぱい働いてもらえる環境を整えること、これは急務ですよ。だから、私はきょうJヴィレッジのことを言ったんです。

 そして、まだまだ足りない部分があると副大臣はおっしゃいましたが、私は、Jヴィレッジを見た上で、これはすぐに変えなきゃいけない、もしくは、新たに調達する必要があるものがそこにはあると感じたものがありました。

 その一つが、防護服の中に着ているベストです。これはクールベストと呼ばれるもので、実際に私も働き終わった作業員の方に見せていただきました。(写真を示す)これは余り配るなと言われたので、行った大臣、多分わかると思います。作業員の方がわざわざ脱いで私に見せてくれた、これがクールベストで、要は、鎖かたびらみたいな形で、保冷剤のようなものが背中と前についているんですね。これは冷えるので、暑い作業の中、大変有用だと。私がお話しした作業員の方、恐らく五、六十代の方だと思います。どうですか、それを着ているとやっぱり違いますかと。全然違うね、楽だね、そういうふうに言いました。

 これをよく見たら、こっちの胸のところにマークがあるのは、スウェーデンなんです。ああ、これはではスウェーデン製なんだと思って、私、外務省に聞きました、これはスウェーデン政府から支援物資として届いたものですかと。そうしたら、違いますと。ではどうしているんですか。承知していません。ということで、ではこの物資調達はどこがやっているんだろうと思って、Jヴィレッジの調達はどこなんですか、そういうふうに聞いたところ、東京電力資材部だというふうに私は伺いました。

 このクールベスト、必要性はこれからますます上がりますよ。私が現地に行って車両の除染場を見たときに、車両の除染場で働いている作業員の方が休憩中でした。そして、そのことを聞いたら、まだこの車両の除染場で働いている人たちのクールベストはないんだというふうに言っていました。

 ですから、このクールベスト、必要であれば、それは東電の資材部がやっているから政府はそこに関与しないとかじゃなくて、東電任せにしないで、作業環境の改善のためにも、まずこのクールベストの作業員に対するしっかりとした提供、これを副大臣として決意を述べていただきたいと思います。

松下副大臣 しっかり検討して、実現するように、国として関与してまいります。

小泉(進)委員 検討してというか、もしも補正でしっかり組めば、東電の新しい工程表に新しく追加された項目が作業環境改善ですよ。これは直でつながるものです。ですから、こういった個別具体的なものをしっかり補正で手を打って、作業してもらう人たちには万全の体制を整える。これは、実際に現地に行かれた、二度も行かれた副大臣の口から政府内部に言って説得力を持つんじゃないですか。ぜひこれはよろしくお願いしたいと思います。

 この問題については、大臣が実際に進めていただければいいですが、もう一つ、私がJヴィレッジに行ったときに、これはちょっとまずいだろうと思ったことの一つが、Jヴィレッジ内に車が多過ぎるんです。大臣も行かれましたよね。(写真を示す)こういう状況です。大きなバスは、東京からJヴィレッジまで職員また作業員をピストン輸送しています。その奥に、林の中に見える車は東電関係の職員さんとかの自家用車ですよ。現地に私が行ったときも、実際、バスの移動とその車の行き来でどちらかが一回バックしないと通行できないようなケースもありました。

 これは、もし何かあったときにスムーズに車両が通行できるような体制を整えないと危険ですよ。こんなの、東電の方の車のかぎを預かってとりあえず外に出すということをやればすぐできますから、これもやってください。

 それと、もう一つ大きいのが、Jヴィレッジのセキュリティー。これは私、正直言ってびっくりしました。センターハウスまで私も車で行ったとき、スルーですよ、だれもそこにいませんよ。このセキュリティーの問題というのは、私、だれでもそこまでは行けちゃうと思う。

 そしてもう一つ、そのセキュリティーの部分で、ここもまずいと思ったのが、Jヴィレッジというのは、敷地内が二十キロの中と二十キロの外、両方あります。では、その境目はどうなっているかというと、地面に赤い線が引いてあるだけなんです。そして、そこにいるのは、(写真を示す)ここにちょっとだけ写っていますが、民間の警備員の方。だから、これはだれでも、もしもテロリストとか、車で突っ込んでいこうと思えば中に入っていけちゃうわけですよ。

 ウィキリークスでも、これは別の原発のことですけれども、だれも武器を持った警備員がいない、そういう情報が流れたということがありましたけれども、ここは今世界が注目しているところですよ。そこのセキュリティーの甘さ、大臣、感じませんでしたか。

松下副大臣 確かに、おっしゃるところはあると思っています。至急検証して、そしてしっかりと万全を期すようにやってまいります。

小泉(進)委員 最後に私が気になったのは、このJヴィレッジに対する政府の関与の薄さなんです。東電本店にある統合対策室、それと、まさに最前線の免震重要棟、このラインは情報共有をやっているでしょう。この間にあるのがJヴィレッジなんですよ。作業員が原発に行く、その中継基地ですよ。それがJヴィレッジ。

 しかし、そのJヴィレッジに詰めている人たちはどれぐらいいるか。政府関係者、自衛隊、五十四人。自衛隊を抜かせば政府関係者は何人だと思いますか。二人です。保安院の二人。それ以外だれもいませんよ。東電職員さん、これは本部の統括責任者の方が一名、その一名のもとに五十三人。この五十三人の中は、調整班、総務班、厚生班、資材班、保安班、人員輸送班、配電班、建設班、通信班、これだけ多くの班が分かれていて総勢何人いるかというと、統括責任者を含めて五十四人。政府関係者は二人。

 幾ら東電が民間の会社とはいえ、この原発の収束は急務で、国家の総力を挙げてやらなきゃいけないことなのに、ここに関する政府の関与が弱過ぎる。もう少しグリップを強くきかせてコントロールするようなことをやれば、セキュリティーの問題、作業員の環境の改善、これは私は改善できる部分が多々ある、そのように感じましたけれども、副大臣は現場を見て、もう少しここは政府の関与を強めた方がいいんじゃないか、そういう感想はお持ちにならなかったですか。

松下副大臣 そういう感想は持ちました。

 そして、発災当初、消防関係、警察関係、そして自衛隊関係、それぞれが消火作業に当たる、中の放水作業に当たるということで大混雑しておりまして、それを全体として、あそこを前線基地にして、そして自衛隊があの全体の総指揮をするということを決めて現場の第一線の活動の指揮をお任せしてきたわけですけれども、全体のマネジメントというところでは、おっしゃるような指摘も当たっていると思います。そこはしっかりと検証して、よりよいマネジメントができるようにしていきたい、そう考えています。

小泉(進)委員 検証して対応してくださるということですが、その上で私が申し上げたいのは、今回、この原発事故に対する一人の責任者的な役割を担っているのが細野首相補佐官であります。きょうも私は理事会に、細野補佐官に出てきていただくようにお願いをしましたが、自民党政権時代から、首相補佐官というのは答弁をしない、こういうふうな位置づけであるそうです。

 しかし、この細野さんの役割は、今までの自民党政権下の首相補佐官の役割とはまた違う。毎日テレビに出、メディアで発信をして、質疑応答も受けているのにもかかわらず、国会の中で質疑は受けないというのは成り立たない。

 私は、きょうはこの後ボランティアの問題も触れますが、ボランティアの問題も、責任者は辻元さん、辻元さんは首相補佐官、だから質疑は受けません、こんな状態で本当に聞きたいことを聞けますか。松下経産副大臣だって直接の責任者じゃないかもしれませんよ、経産の副大臣であっても。

 だから、私は、これから、この原発の事故の収束化のためにも、細野補佐官が委員会に答弁として立てるような対応を政府としてぜひ前向きに検討していただきたいんですが、官房長官、どうですか。

枝野国務大臣 内閣総理大臣補佐官の位置づけとか、それから国会における対応のあり方等については、委員も御指摘いただいたとおり、これは政権交代前からさまざまな位置づけや整理がなされております。

 現政権においても、細野補佐官、イメージとしての見え方の問題はありますけれども、内閣総理大臣補佐官として、定められている権限、権能の範囲内において、なおかつ、重要な部分についての補佐官の役割を果たしているのは間違いありませんが、法律等に基づいたところをかなり留意しながら進めているところでございます。

 その上で、国会における補佐官の位置づけということについては、また各党間で御議論いただければというふうに思っております。

小泉(進)委員 細野補佐官はイメージだけじゃなくて、実質、しっかり前へ出ていますよ。質問も受けて、陣頭指揮をとっているのは細野さん。これはイメージじゃなくて、実質的なものですよ。

 ですから、本来、首相補佐官というのは、総理に対するアドバイス、助言、この役割だというのは重々承知をしていますが、今回、細野補佐官が担っている役割というのは、私は、総理に対するアドバイスの範疇を、その枠を超えていると。明らかに、対国民そして対メディア、この役割も果たしているのが補佐官であり、その補佐官は、アドバイスだけだったらいざ知らず、そうじゃないんですから、これから恐らく、この委員会じゃない、他委員会でも、原発に関する情報提供を政府からしてほしいとあるでしょう。その中で、細野補佐官の委員会への出席、また答弁をできるような政府の対応を望みます。

 ボランティアの問題も、これは本来であれば、辻元ボランティア担当補佐官においでをいただいて聞きたかったんですが、きょうは視察の方でいないということですから、私はボランティア連携室の室長の湯浅さんにおいでいただきましたが、湯浅さんも質問には答えられないんですね。これは傍聴だけなんですよ。傍聴ですよ。蓮舫大臣もちょっと失笑しちゃうという感じですけれども。

 これは、実際にボランティアのことで聞きたい当事者に聞けない制度になっている委員会なんですよ。ボランティア連携室は内閣官房ですから、きょうは官房長官に聞きますが、官房長官はボランティアのことを実際に統括するなんて無理ですよ。ですから、私は聞きたかったんですけれども、仕方がありませんので、枝野官房長官に聞きます。

 ボランティア担当補佐官の辻元さん、何をやっているんですか。

枝野国務大臣 まず、本当に、国会において、政府からどういった人間がどう出てくることができて、どういう立場で発言できるかというのは、私も内閣に入るまではいろいろな意見を持っておりましたが、まさに今、行政府の立場におりますので、それは国会の中において各党で御議論をいただくべきと思っております。行政府の立場から立法府のあり方について何か申し上げると、逆にこれは一つ問題だというふうに思っておりますので、そこは御理解いただければというふうに思います。

 辻元補佐官には、ボランティア対策室について、そこでのさまざまな動き等をしっかりと把握していただき、また、御本人自身がさまざまなボランティアの御経験や、ボランティア関連の人たちとのネットワーク、人脈をお持ちでございますので、内閣官房は大きな意味では総理のもとにございますので、直接、間接にそこでの、ボランティア対策室のさまざまな動き、あるいはボランティアの皆さんのさまざまな動きであるとか御意見、特に、ボランティアの皆さん、いろいろな幅広い皆さんがこの震災への対応のために既に御尽力もたくさんいただいておりますが、もっとこうすればよりその力が発揮できるのにといった情報や知見等をお寄せいただいて、直接に総理あるいは私、そして日常的には、全部総理のところに直接上げるわけにいきませんので、ボランティア対策室等につないでいただいているというのが主な役割だというふうに承知をしております。

小泉(進)委員 何をやっているか全然わからないんですよ。これは国民みんな思っていますよ。総理大臣が任命した辻元ボランティア担当補佐官、あれ以来何をやっているかわかっている国民はほとんどいません。

 私が言いたいのは、ボランティアの担当の補佐官、辻元さんが何をやっているかわからないと言うと、必ず言ってくる論理は、ボランティアは自主性が大事ですから、まずはその自主性を尊重して、余り前に前に出ないように黒子的にやるんです、そういったことを言います。そのとおりでしょう。でも、もしそのとおりだったら、担当補佐官なんて命じないで、動いてもらえばよかったじゃないですか、普通に。担当補佐官に命じた以上は、被災地で求められているボランティアのニーズを国民に対して発信して、被災地に対してボランティアが協力をいただけるように、また被災地の声に合ったマッチングをするように、もっと全面的に前に出るべきじゃないですか。

 私は、余りにも本来のボランティアの建前、無理やりやれやれと言ってやらせるのがボランティアじゃない、そのとおりだとは思いますが、担当補佐官になった以上、そんな建前に縛られないで、ゴールデンウイークが終わったからといってボランティアの必要性は薄まったわけじゃありません。ぜひ、ボランティア担当補佐官、もう少し前に出てきていただいて、国民に対する周知徹底、これをやるべきじゃないですか。

枝野国務大臣 ボランティア対策室をラインとして所管をしている私の立場からは、今御指摘いただいた、ボランティアは自発的なものだから引いているというか、余り前に出ないというような考え方は余り重く見るべきではないと私自身思っております。まさにたくさんの皆さんがボランティアとして協力したいという思いをお持ちで、ただ、どういうふうにやったらいいのかとか、では実際にどういうところで求められているのかとか、さまざまな情報が必ずしも十分でないということの中で、意欲を持ちながら実際にはボランティアに携わっていらっしゃらない方も少なからずいるというふうに思っております。

 そうした意味では、ボランティア対策室、そして内閣官房としても、これまでも官邸のホームページや政府広報、あるいは民間のウエブサイトなどとも連携して、参加者に対する、あるいは参加の意欲を持った方に対する情報提供をしてきたところでございますが、特に、今御指摘のとおり、ゴールデンウイーク明けからかなり実際に参加をされる方の数が減っているのではないかという状況もございますので、今週中には改めて、ぜひボランティアの御協力をということで、重要な情報を発信していこうという準備をしているところでございます。

 ただ、辻元補佐官については、これは、先ほど逆に細野補佐官は一種、補佐官の本来の役割を超えて出過ぎではないかというようなニュアンスの御指摘もございましたが、本来的に補佐官の役割は総理に対する助言等でございますので、特に辻元補佐官は、これは端的に申し上げると、辻元補佐官に補佐官をお願いしたとき、同時に蓮舫大臣に節電啓発の担当大臣を総理が任命されたときに、一種パフォーマンスではないかという一部の御指摘もいただきました。

 決してそうではなくて、それぞれ重要な役割であり、なおかつしっかりとした経験、知見と、さまざまな役割があるということで総理がお願いをされたわけでありますけれども、パフォーマンスというような誤解を招くことのないように留意をして、むしろ裏方的に、しっかりとボランティアの皆さんの力が発揮できることをやっていくことが重要だというふうに御本人もおっしゃっておりますし、そういった視点は重要であろうということでありますので、辻元補佐官御本人が前に出てということが必ずしも、むしろ抑制的であったというのは間違いありません。

 ただ、辻元補佐官のさまざまなこれまでの御経験や知見をしっかりと生かした中で情報発信をこれまでもやってきておりますし、さらに、今、強化をする準備を進めていることを申し上げましたし、今後、必要に応じて、御本人の発信力も生かしていただくように相談をしていこうと私の立場からは思っております。

小泉(進)委員 官房長官は、本来の首相補佐官の役割はという発言をしましたが、辻元さんが任命されたのは震災後ですよ。危機のときに任命をされた補佐官なんですから、そこは、本来の建前にこだわらないで、危機の中の、有事の補佐官なんですから、ばりばり働いていただきたいと思います。

 そして、パフォーマンスの批判、これは私も時々受けますよ。しかし、そういう批判を受けたって、政治家は、何をやったって一〇〇%の賛成も一〇〇%の反対もないんですから、そんなの気にしないで、がんがんがんがんやっていただきたいと思います。

 私がなぜボランティアのことを取り上げたかというと、石巻に行って、あの有名な専修大学のキャンパス、キャンパスの中にテントがいっぱい敷き詰めてあって、私が行ったときは千人いくかいかないかぐらいの方々がいました。そのボランティアを統括しているリーダーの方に会って、その事務局でお話を伺ってきたんです。

 きのう、きょうの質問に立つということで、改めて連絡をとって状況を聞きました。非常に今のボランティアのニーズに対する発信が弱いことを危惧していました。

 一例を挙げます。ボランティアの方々がやってくれている一つの作業が、土のう袋に泥を入れる、これを現地では何と呼んでいるかというと、マッドバスターズ、マッド、泥ですね。泥をかき出す。これのニーズがいっぱいあるんだけれども、これに対する人員もまだまだ必要ですと。

 そしてもう一つが、炊き出し。炊き出しがどれだけ減っているか。ピークは、一日、炊き出しの支援だけで二万食。一日ですよ。今、来週の五月の三十日から、その週の一週間で炊き出しが見込めている、一日で提供できる食事、三千食です。私の地元、横須賀の仲間たち、三浦の仲間たちも炊き出しの支援に行っているので、その三千食という数がどれぐらいの規模かはわかります。一つの炊き出しの支援部隊で千食ぐらいできるんですよ。そう考えると、三つのグループが、石巻という大きな地域でたった三つしか炊き出しをやっていない。

 これを考えたときに、今だって被災地は危機の状況が続いているんです。ですから、もちろん、ボランティアだけが食事の提供をする主体ではありませんよ。自衛隊だってやっています。そして町内会、また地域の行政もやっています。しかし、それだけに頼っていては十分な栄養が足りないという部分もあるんです。

 ぜひ、この発信を改めて政府からもしてほしい。これは現地からの要望でもあります。政府広報等を使ってしっかりこれをやってくれと。テレビの報道でも、ゴールデンウイークを過ぎてから報道は確かに減っています。こういったところを埋めるのも政府の役割じゃありませんか。

 それと、一つ現地が困っているのは、ボランティアを回す事務局、その運営の大変さですよ。聞いていると、行政とほぼ同じような役割をしていますよ。石巻なんかは特に、石巻の話を例に出すと、ベストプラクティスで、あそこは、自衛隊ともNPOとも行政とも社協とも、みんな連携ができている、ちょっと特殊な例だと言われるんですが、それゆえに行政が頼っている部分があるんですよ。仕事が何かあると、頼んでくるのはそっち。そういう中で、事務局の運営では、持ち出しでやっている方もいます、パソコン、コピー代。そういったものを、現地は、ボランティアを回す私たちに金をくれだなんて、大きな声で言えないと。

 そこで出てくるのが政治の出番じゃないですか。例えば、県に対する基金を積んで、その基金からボランティアの運営費に回せるような、そういう使い回しをやってあげる。これだって、これからの二次補正で考えられる部分だと思いますよ。一次補正でそこの部分は手が行っていません。

 ですから、こういった部分、二次補正のニーズはあるんですから、さっきのJヴィレッジのクールベスト、足りない物資、そしてボランティアの運営のための経費とかこういったこと、ぜひ今国会の会期中、官房長官、前向きに二次補正で対応していただけませんか。

枝野国務大臣 特に今、ボランティアのことについて、発信力のある小泉委員からこういった形で取り上げていただいたということで、政府としても、先ほど申しましたとおり、今週中には改めて御協力、御参加のお願いを広く呼びかけようと準備しているところでございますが、もしかすると、それ以上の発信力を持ってきょうこうやって質問で取り上げていただいたことが大きな意味を持つのではないかと感謝を申し上げます。

 また、まさにボランティアの皆さんをしっかりと回すというか、ロジをしていく部分のところの仕事が実は大変な作業であって、一定のノウハウも要りますし、一定の費用もかかるということについては見落とされがちの部分でございます。

 湯浅室長や辻元補佐官もそうしたことについての十分なノウハウ、知識を持っているからこそ今回こうした役割をお願いしているところでございまして、具体的なやり方は、これからさらにそうしたノウハウ、経験、そして現地にも何度も辻元さんが行っていただいて、現地の具体的ニーズを踏まえて、先ほどのJヴィレッジの件も含めて、おくれることのないような対応はしっかり進めてまいりたいと思っております。

小泉(進)委員 時間が来たので、最後に、蓮舫大臣、本当に申しわけありませんでした。電力の需給のことについて一言伺いたかったんですが、私が申し上げたかった点は、経産省が発表した「夏期の電力需給対策について」、これの中で、計画停電のことをセーフティーネットと位置づけているんです。

 私は、これは間違いだと思います。もしも本当に計画停電をやらなきゃいけないときに、医療機関とか町の工場とかでも、自分たちがそこで働くこと、また医療のサービスを受けることが自分の生命のセーフティーネットになっている方にとっては、計画停電をやったときに、いや、これはセーフティーネットです、こんなことは言えませんよ。

 ですから、ネーミングというのは発するメッセージが込められているものですから、私は、経産省に対して、節電啓発担当大臣として、もう少し言葉、ニュアンスを考えて発するべきじゃないのか、そういう閣内での御提言、御指摘をお願いしたいと思って蓮舫大臣を指名させていただきましたが、時間が来てしまいましたので、お願いをして、これで終わりたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。

荒井委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 私は、本日、学校の校庭の暫定基準値につきまして、そしてまた、もう一つは中小企業の問題、また復興ファンド等の今後の資金調達の問題につきまして、官房長官に質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、昨晩福島から連絡がありました内容で対応いただきたいと思うのですが、今、中小企業の方たちは大変苦しんでいらっしゃる状況です。もとより風評被害等の四重苦でここまで頑張っていらっしゃったわけです。

 例えば、雇調金の期限が九月である、その後の再開のめどが立たない、中には、雇調金だけもらって再開できないと詐欺みたいで嫌だから思い切ってリストラに踏み切った、こういう事業者もいらっしゃいます。

 また、三キロ圏内の事業者の方ですが、問屋さんから品物を預かった代金は催促はされる、品物は避難区域にある、帰れないなら帰れないとはっきり言ってもらいたいと。それをほかの地域でという案も経産省はおつくりになられましたけれども、そこで開業すると同じ業種の地域割りが崩れてしまう、遠慮せざるを得ない、しかし借金だけが残る、東電からの補償は全く見えない、こういうさまざまな課題が今寄せられておりまして、我が党の地方議員もこうした対応に走り回っているという状況です。

 そこで、地元の県会議員等から話がありましたのは、今後の事業をどのような形で継続するのか、また廃業するのか、まさに原発の状況によるところも大きい、しかしながら、資金繰り、ローンの問題、雇用調整助成金、また東電からの仮払い等に対して、相談窓口を一本化して対応してくれるワンストップサービスを実施していただきたいという強い要望でございます。

 この対応につきまして答弁を求めます。

高原政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに高木委員御指摘のとおり、被災をされた中小企業者の方々の御心配というのは、資金繰り、雇用、そして事業再建への支援、最近ですと特にまた東電からの賠償の問題、本当に多岐にわたっております。

 このため、例えば、私どもでは、各省のいろいろな支援策を一冊にまとめたガイドブックを数十万部、広く全国にお配りするとか、あるいは、公的金融機関、商工会、商工会議所内に設置いたしました特別相談窓口の設置、それから、一つの、同じ、全国共通の電話番号で幅広くすべての相談を受け付けさせていただく中小企業の電話相談ナビダイヤルというものも実施をいたしております。被災以来、これらの御相談件数は、数えられるものだけで、今までの特別相談窓口とか全部合わせますと、七万三千件ほどに及んでおります。

 また、いろいろな支援策を講じる各省の側も、ちゃんと、それぞれの各省の、お互いの支援策をよく理解しているということが必要だということで、中小企業の対策連絡協議会というものを設けまして、各省はもとより、商工会、商工会議所に加えて、各省の関係する業界団体の方にもお入りいただいた会議をしておりまして、支援策などの情報交換あるいは周知徹底などに努めているところでございます。

 ただ、御指摘のとおり、これで十分ということでは全くないと私ども思っておりますし、発災から日にちがたつにつれ、いろいろな御相談、タイプの新しいものも出てきておりますので、ぜひ改善点などを含めて委員からの御指摘をまたいただきながら、一生懸命その充実に努めていきたいと思っております。

 以上でございます。

高木(美)委員 各省ごとに、それぞれ出向していらっしゃる職員の方がいらっしゃるかと思います。ただ、こうしたワンストップサービス、例えば、厚労の関係に聞いても中小企業のところにきちんとつながるとか、やはり出先機関のところで速やかに対応できることを求められていると思います。

 例えば、金融機関の窓口に行って経営相談をしようとしても、まず、金融のための、資金繰りのための相談、係官に会うのに二週間。今やっと少しずつ人員を派遣してそれを短縮しているという状況ですが、今、中小企業は、このまま続けるか、やめるか、まさに分かれ道に立たされているという状況があります。そうしたことに、ぜひとも官房長官のリーダーシップを発揮していただきまして、こうしたワンストップサービスが実現しますようにお取り組みをお願いしたいと思います。御答弁、お願いできますでしょうか。

枝野国務大臣 今中小企業庁の方から御答弁させていただいたとおり、ワンストップサービスの重要性ということで努力はしてきておりますが、今の御指摘を踏まえますと、それが人員その他の点含めて、必ずしもまだまだ十分に実際のニーズに対応できていないというふうに受けとめさせていただきました。

 実際に相談をお受けして対応ができる人員というのは、さまざまな幅広い知見を持った一定の能力が要りますので、そうした人を集めること自体がなかなか大変ではございますけれども、しかし、実際の被災者の皆さんの立場、状況を考えれば、さらに強力にこのワンストップサービスが実効性を持つように、中小企業庁を初め各省を督促したいというふうに思います。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、学校の校庭の年間ミリシーベルトの暫定基準値につきまして、官房長官に質問させていただきます。

 この基準値の引き下げにつきましては、多くの関係者が引き下げを求めているところでございます。医師免許を持つ国会議員が政府への申し入れを決定したり、また、小佐古教授の涙の記者会見も国民に大きな疑問を投げかけたと思います。また、先般は父兄が国会に陳情に来ざるを得ないという状況もあり、私は、それはやはり政府の対応のおくれとして実にみっともない姿だ、そんな思いでおります。

 不安を抱える保護者の方たちからは、私のところにも、電話、メール、数多く寄せられております。暑くなってまいりました。今、この福島の学校の校庭、そしてまた授業の状況、このままでいいとはとても思えないと思います。

 実は、先日、青少年問題特別委員会におきまして、放医研の米倉理事長にお越しいただきまして、この引き下げにつきましてさまざま議論が交わされました。その中で、ICRP、IAEA、こうしたところのデータに基づいて検討されたわけですが、事態が収束してきて住民が居住する場合は、一から二十ミリシーベルトの範囲で参考レベルを設定して、防護策をとって、最終的には一ミリシーベルトを目指す、そういう考え方の内容となっております、このように答弁をされております。

 私は、もう今の段階で一ミリシーベルトへの引き下げを決断いただきまして、その上で、それに対する対応策を政府としておとりになるべきではないか、いつまでもこの議論がずっと、文科委員会でもさまざまな委員会でも続いているという事態はいかがかと思います。そうしているうちに、二十ミリシーベルトのさまざまな影響について、いろいろな人がいろいろなことを言って、どれを信じていいかわからない、まさに国民は国を信じない、そういう状況がどんどん広がっていくと思っております。

 この一ミリシーベルトへの引き下げを決断されるべきと思いますが、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

枝野国務大臣 学校の一年当たり二十ミリシーベルトということが、そこまで許容しているんだ、そこまでは仕方がないんだというふうな受け取られ方をするような説明、発表の仕方になったことは、私は大変遺憾に思っております。ここを出発点に年間一ミリシーベルトを目指して努力をスタートさせるという趣旨と私は承知をしておりましたし、それで了解をいたしました。

 実際に、年間二十ミリシーベルトというのは一時間当たり三・八マイクロシーベルトでございますが、既に大幅にこの三・八マイクロシーベルト・パー・アワーというのを下回っておりますし、さらにこれを下回らせる努力をそれぞれの地域を含めて進めているところでございまして、きょうは正確な数字を持ってきておりませんが、このままでも、恐らく、事故発生からの一年間のシーベルト量は、多く見積もっても十ミリシーベルト程度の状況にもう既になっているということでございます。

 これを限りなく一ミリシーベルトに近づけるということについては、最初の発表の時点からやっていることでもございますし、さらにそのことを強化して、限りなく近づけていく努力を進めてまいりたいというふうに思っています。

高木(美)委員 これは、その放医研の米倉理事長のそのときのお話ですけれども、「今回のように事態が刻々と変わっていくときには、当然その値はどんどん変わっていっていいものだと思います。 そういう意味では、私としては、二十ミリシーベルトというのは苦肉の策でとられた値であろうというふうに推測しておりました。当然、それに対して、今後速やかに一ミリシーベルトに持っていくという努力が必要なんだろうということです。」このように明快におっしゃっております。

 ということは、やはり政府として、一ミリシーベルトにするという強い発信というのは、私は必要ではないかと思います。

 既に日本医師会もコメントを五月十二日に出されております。「この一〜二十ミリシーベルトを最大値の二十ミリシーベルトとして扱った科学的根拠が不明確である。また成人と比較し、成長期にある子どもたちの放射線感受性の高さを考慮すると、国の対応はより慎重であるべき」、このようなお話をされておりまして、そこは今官房長官が、最大値でいくというような誤解をされたと、そのことについて御答弁がありました。

 であるならば、やはり、いつまでも学校に対して対策をとらないという形ではなく、ましてや市町村における自主的な対策というところに任せるのではなく、国としても、この基準値に変えます、そのかわり、例えば汚染土壌の除染措置等についても、今まで市の負担で、志のある市が順次やってきましたけれども、それも国でちゃんとやりますと、強いメッセージをもうお出しになる段階ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 まず、改めて、三・八マイクロシーベルト・パー・アワー、これを計算すると最大でも年間二十ミリシーベルトというところの数字をスタートラインにいたしましたが、これを年間で一ミリシーベルトに近づけるということが我々の目標であって、そのための最善を尽くすということは政府の意思として明確に申し上げたいというふうに思っております。

 また、それを実際に進める進め方についても、それぞれの自治体、教育委員会の皆さんが、まさに生徒さんと直接接する、親御さんと接するという立場でいろいろな御努力をいただいておりますが、まさに国として、その手法や財政面を含めて、しっかりと国の責任でこうしたそれぞれの地域の自治体、教育委員会の努力というものをリードし、あるいは支えていくということで進めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 それでは、もう少し伺わせていただきますが、この汚染土壌の除染措置につきまして、国の負担にした場合、総額の見積もりがあるのかどうか。きょうは文科省はお越しでしょうか。お願いいたします。

辰野政府参考人 校庭等の土壌対策につきましては、それぞれの学校の設置者において、先般文部科学省からお示しした空間線量の低減策、まとめて土に埋める、ないしは上下置換というようなことを参考にしながら、適切に判断し、実施していくというものだと考えております。その場合の財政的な支援等につきましても、学校教育の円滑な実施を確保するという観点からどのような支援が可能かということについて、現在検討を進めているところでございます。

 ただ、その総額につきましては、これはやはり、それぞれの学校の状況とか対策の立て方、それから、どこまでそれを見ていくかということなので、特に総額という形で今の段階では試算しておりませんけれども、財政的支援のあり方についてどのようなことにするかということについては、今現在検討を進めているところでございます。

高木(美)委員 その検討はいつ結論が出るんでしょうか。

辰野政府参考人 できるだけ速やかにと思っております。

高木(美)委員 私は、いつと伺っております。

辰野政府参考人 これは、関係する省庁との検討ということもございますので、その中でできるだけ速やかにということで進めてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 官房長官に申し上げさせていただきますが、やはり、放射線量ははかれても、そこに住んでいらっしゃる福島県民の方たち、保護者、住民、子供たち、その悲しみ、恐怖というのははかることができないわけです。今の文科省の答弁、役所の方ですのでそこまでしか言えないかもしれませんが、やはりそこに政府の心、子供たちに対する強い意思、そしてまたリーダーシップで解決していくという、福島県民を守るという強い意思が全く感じられない、そういう思いでおります。

 やはり、国がリーダーシップをとっていただきまして、先ほど官房長官は、国の責任で教育委員会を支援し、進めていくと答弁をされました。私は、やはり、除染措置をとりたい場合にはこれだけ国がきちんとお金を用意しますよ、まずこのメッセージをはっきりと教育委員会に伝えていただくというところから始まるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 文部科学省の立場からは今のような答弁しかできなかったのかなというふうに思いますが、今回の原子力発電所事故は、東京電力のみならず、これまでの原子力政策含めて、政府としても大きな責任を負っているというふうに思っております。

 いわゆる生じてしまった損害の賠償については、法律に基づいて東京電力にしていただきますけれども、これを政府が支援するというスキームですが、まさに今、現に、健康被害は生じないと私は思いますけれども、少なくとも、さまざまな、学校の関係者、お子さん、親御さん等は、ある意味での精神的な被害をこうむっている状況でございますので、この被害をいかに小さくするかということは政府の責任でしっかりと進めるべきことであるというふうに思っております。

 どういう形式でお出しをするかとか、それから、どういう範囲、今よく言われている福島市、郡山市、伊達市等については当然範囲に入ると思っておりますが、範囲と、どういうやり方まで出せるかということについては、これは事務的にいろいろな検討が、若干の時間必要かというふうに思いますけれども、少なくとも、高い線量、ある時期、スタートのラインで年間二十に達する可能性のあったようなところの土壌の改良についての経費は最終的には国が持つ、これは当然のことだと私は思っております。

高木(美)委員 大変強い官房長官の御意思を表明していただきまして、感謝いたします。

 その上で、一ミリシーベルトへの引き下げも、これはされるんですね。確認をさせていただきます。

枝野国務大臣 これは、年間一ミリシーベルトに向けた最大限の努力をするということで、では実際にいつの時点で年間一ミリシーベルトに相当するような一時間当たりの量になるのかということをまだ残念ながら現時点で申し上げられる状況ではない、ここは率直に、正直に申し上げたいというふうに思っております。

 ただ、年間一ミリシーベルトに近づけるべく最大限の努力をする。そして実際に、いろいろと御心配をされているところでも、当初、最初に発表した四月の下旬の状況と比べればおおむね半分程度の見通しになっておりますので、放射性物質の性格等から、ここからむしろ困難がなかなか多いのかなというふうにも思っておりますが、しかし、さまざまな専門家の皆さんのお知恵もおかりしながら、一ミリシーベルトにできるだけ早くなるように最大限努力をするというふうに考えております。

高木(美)委員 野口さんとおっしゃる日本大学の専任講師の方のお話では、放射性沃素については、五月の初めには全体の放射能の中で五%に減っています、さらに六月初めには恐らく〇・三から〇・四%にまで減る、これは半減期に入りますので、七月の初めには〇・〇二%まで減っていくというわけですと。それは途中でもし何か不測の事態が起これば別ですけれども、順調にいけばこういう形になるでしょうと。問題は、放射性沃素の消滅後、今度はセシウムだけが残る、このセシウムをどうするかということで、一番効果的なのが今申し上げた汚染土壌の除染措置という話になります。

 放医研の米倉理事長も、いわゆる内部被曝のデータをお出しになりましたけれども、それについても、一番それが懸念されるその中身は何かというと、やはり風によって土壌から舞い上がって内部被曝をするということが一番心配であり、それをもとに試算をしていると。しかし、だんだんそうした措置がきちんととられればそうしたことには当たらないという趣旨の答弁もされております。

 そのことを考えますと、もう一度、学校の校庭の一ミリシーベルトへの引き下げの問題につきましては、どのように、いつごろ、どういう対策をとれば可能なのか。私は、やはりスケジュール表、工程表をはっきりおつくりいただきまして、その上で試算をし、また、それに係る経費につきましても総合的に、明快に、早急に結論を出すべきではないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 具体的なことについては、文部科学省において福島県やそれぞれの市町村と御相談をしていただいているところでございます。

 いろいろと報告を受けているところによりますと、学校の校庭も学校ごとにいろいろな事情があるようでございます。例えば、水はけのために何センチかのところにパイプ等があってなかなか上下を入れかえるのが難しいとか、あるいは、場合によっては、地域によっては上下入れかえるということで地下水への影響をある程度考慮しなきゃならないとか、いろいろな事情があるようでございまして、一律のやり方はなかなか難しそうでございます。

 だからこそ、地元の皆さんとの相談、連携をしっかりと強化しなければいけないというふうに思っておりますが、いずれにしても、お子さんはもとより、親御さんが大変御心配をされている状況でございますので、文部科学省を督促いたしまして、できるだけ早く先の見通しというものが示せるように努力したい。

 ただ、最初の年間二十ミリシーベルトという数字も、例えば、今のままの放射線量がずっと続いたりとかということを前提に、非常に、最悪でもということを踏まえて、いろいろな数字をこの間出してきております。結果的に、数字が大きいということで御心配をおかけしているということはありますが、これまでそういった形での概算、推測値を出してきておりますので、これからの努力によってあの数字は相当下げることができると確信をいたしておりますし、努力をしてまいります。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

高木(美)委員 あわせまして、今子供たちは長ズボン、長靴でまだ学校に通っているという話を聞いております。マスクをして、帽子をかぶって登校している。これから暑い夏を迎えるのにいつまでこういう格好をしなきゃいけないんだという父兄それからまた教育関係者からの質問があります。

 この野口専任講師がおっしゃるには、もう空気中を放射性物質が漂っている状況ではないのでそれは必要ないと思うと。半ズボン、半そで、帽子も要らない、マスクも要らない。ただ、風が強いときは、やはり子供についてはマスクは必要でしょう。教室の窓を閉めっ放しにして学んでいるけれども、それも、暑ければどうぞあけてくださいと。三月のときの対策は、窓を閉めて防備をしてというのが必要だったけれども、今、ここまで来た段階で、それも必要ないのではないか、対策を変えなければいけないのではないかという指摘があります。

 こうしたことについて、今後、文科省もさらに努力をしていただきたいと思いますが、答弁いただけますでしょうか。

渡辺政府参考人 先生御指摘のとおり、いろいろ季節も変わってまいりますので、学校に対する、子供たちに対してどのような注意をしなきゃいけないかということは、その状況に応じて適切に指導その他の対応をしてまいりたいと思います。

高木(美)委員 たしか、最初の暫定的な考え方についてお出しになられましたのは、八月下旬をめどにした対策だったと思っております。九月以降の新たな施策につきましても、また、今答弁いただきましたように、暑さもあり、また事態も刻々と変わっておりますので、それに対応した施策を一日も早く提示していただきたいということを申し述べさせていただきます。

 官房長官、今の内容につきまして御答弁いただけますでしょうか。

枝野国務大臣 今御紹介いただいたとおり、もう既に、現在の状況では、本当に砂ぼこりが舞うような状況とかの強い風のときでなければ、大気中に放射性物質が漂って、それで内部被曝という心配はない状況であるというのは、多くの専門家から私も報告を受けております。

 したがって、もちろん、目に見えないものでありますので、御心配は非常によくわかる一方で、政府として、的確な情報と対応策について御指示をして、もちろん安全は確保しなきゃなりませんが、安全の観点から必要のない対応によって子供たちに余計なプレッシャーをかけることのないような、その点の配慮はしっかりと文部科学省においてしてもらうように相談をしてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 あわせまして、先ほどの除染措置に係る費用負担ですが、ぜひ第二次補正を早くお組みいただきまして、そこできちっと対応するという方策も大事であろうかと思います。政策的にやるとおっしゃいましても、その財源となるもの、また予算がきちんと確保されませんと現場は動きませんので、ぜひとも第二次補正を早くお組みいただきたいと思います。

 あわせて、中小企業につきましても、資金繰り支援も、今かなり金融も、我が党もさまざま主張いたしまして、第一次補正で五千百億入れていただいておりますが、これも九月までという形になっておりまして、その先がどうなるのかというお声ももう出始めております。さらに、貸し店舗それから貸し工場、これも十億入っておりますが、これも、仮設ではなく本格的な貸し店舗、貸し工場に移りたい、それには当然もう十倍ぐらい予算が必要なわけで、今ちょうど、その先をどうするか、もう少し先が見たいという大事なところにかかっていると思います。

 第二次補正を今国会でという要請、先ほども、平先生だったでしょうか、ありましたけれども、私も、第二次補正、速やかに今国会に提出すべきということを申し上げさせていただきたいと思います。

 官房長官、お考えはいかがでしょうか。

枝野国務大臣 二次補正の編成時期については、いろいろな報道がなされておりますが、政府として何か具体的に、いつまではやらないとか、いつやるとかということを決めたことは全くございません。きょうの委員会も含めて、いろいろなところで、実際にこういうところにお金が必要だ、実際にこれが必要になる時期はこのころだというようなさまざまな情報等は集約、集積をしておりますので、そうしたことを踏まえて、必要な時期におくれることのないように対応する、こういう方針でやっております。

高木(美)委員 展望を描きたいというのがちょうど今の時期かと思います。ぜひとも、おくれたタイミングではなく、速やかに、先を描けるタイミングで提出をお願いしたいと思います。

 時間が大変なくなってまいりましたが、私は、最後に資金調達につきまして質問をさせていただきます。

 この東日本大震災復興の財源といたしまして、政府資金、それから民間資金、個人資金、三通りあると思っております。政府資金を調達するには、コストは安いものの、今度は負債として政府のバランスシートに残ってしまう。また、民間資金については、調達コストは高いけれども、政府の負債とならない。また、もう一つの個人の資金につきましては、志ある個人の資金、今また、支え合う社会、日本は一つ等々、何とか復興のために役立ちたい、そうした個人の志も多くあるところでございます。

 そうした意味から、私は、財源としては、政府、民間、今まではこの二種類がずっと言われてきたわけですが、まず、民間資金の調達につきましては税制等の優遇措置が必要ではないかと思います。また、個人資金の調達につきましても重要であり、その際の税制等の優遇措置について検討を進めるべきと考えております。この見解を伺いたいと思います。

尾立大臣政務官 委員御指摘のとおり、この復旧復興に当たっては、政府資金のみならず、民間資金、また個人資金をいかに活用するかというのは大事な視点だと思っております。

 そういう意味で、震災対応の税制上の措置といたしましては、まず、四月の二十七日に国会で成立させていただきました震災税特法におきまして、例えば、事業者が被災した資産の代替資産等を取得する場合の特別償却制度の創設など、さまざまな免税措置を講じたところでございます。また、個人の寄附に関しましても今回大幅に拡充をさせていただきまして、震災関連寄附については、寄附金控除の控除可能限度額の大幅な拡大といったところを手当てさせていただきました。

 また、総理からも、復興構想会議の諮問に当たりまして、以下のようなことを諮問されております。一つは、国民の相互扶助及び連帯のもと、国、地方公共団体、民間事業者、NPO等の適切な役割分担と協働、もう一つは、日本経済の総力を挙げて、単なる復旧ではない未来志向の創造的な取り組みを進めていけ、このような御指示がございますので、第二次対応の税制におきましては、復興政策全体の中で適切な税制対応をしてまいりたいと思っております。

高木(美)委員 もう時間になりました。

 私は、東日本復興ファンドというような形で、例えば、民間、個人、法人からの拠出、また第三者による運営。また、そこから利用する際は、実抜計画の提出など一定の審査基準に基づきまして企業に出資をしていく。また、出資の際は寄附金控除の上限額の特例もさらに拡充したものが求められると思いますが、拠出を促しまして、これは、例えば、経団連がファンドをつくり大企業を支援するとか、日本商工会議所がファンドをつくり中小企業を支援するとか、重層的なファンドの仕組みも必要ではないかと思っております。

 きょうは、時間も参りましたので、提案のみさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

大島(敦)委員長代理 次に、井戸まさえさん。

井戸委員 民主党の井戸まさえでございます。

 まずは、東日本大震災にかかわり質問させていただきたいと思っています。

 私は神戸が選挙区です。一番大きな被害がありました神戸市の中央区、灘区、東灘区というところが選挙区で、今回の東日本大震災にかかわっては、一方では、私の出身地であります宮城県の仙台市若林区、大きな被害を受けました。同級生や家族、そして知り合いなど被災をしたわけですけれども、そうした中、現地にも行きまして、非常に心に残ったことがありました。

 それは、同級生の一人が医師になっていて、今回、津波の被害に遭われた方々などの検視の作業を行ったんですけれども、医師であれば死の場面というのはよく遭遇することなんですけれども、その御遺体を見たときに、表情が皆さんびっくりしていた、どなたも安らかに眠られていらっしゃる方がいなかった、そうしたことを印象として述べていたこと。

 そしてまた、山形県の米沢市では、今回の原発のことに関しまして、放射線の被害から避難をしてきた方々のお話も伺いました。そうしたところ、ある方が、私の存在というのは一体何なのかということを今回の震災被害の中で考えたと。国にとって何なのか、地域にとって何なのか、そして家族にとって何なのか、いない方がいいんじゃないか、そう思うこともあるということをおっしゃっていました。

 政治の役割は、こうした本当に悲惨な状況の中で、それでも必死で生きようとしている方たちを応援していくのがまさに求められている役割だということを肝に銘じながら、きょうの質問をさせていただきたいと思っています。

 まずは、災害復興における男女共同参画についてお伺いをいたします。

 先ほども申しましたとおり、私の地元の神戸市は、阪神・淡路大震災で壊滅的な被害を受けました。目覚ましい経済復興、十六年たちますけれども、それとは対照的に、人々の生活の復興には大きな困難がありました。特に、被災を受けた女性たちからはさまざまな指摘もあって、この震災を契機に、復興には男女共同参画の視点が重要であるという認識が持たれるようになったと思います。その後、二〇〇五年の防災基本計画には女性の参画、男女双方の視点が明記をされて、昨年十二月に閣議決定された第三次の男女共同参画基本計画でも、具体的施策の一分野に「地域、防災・環境その他の分野における男女共同参画の推進」が挙げられました。

 ところが、今回設置されました東日本大震災復興構想会議では、構成員が十六人中、女性がたった一人ということでございます。これには私もショックを受けて、官邸サイドにもっと被災女性のことを理解する女性の委員を入れるべきではないかと申し上げたところでもございます。また、女性団体からもこれに関しては反発や批判の声も上がってまいりました。検討部会においても十九人中女性は二人と、ジェンダーバランスに問題があると思います。

 政府は、二〇二〇年までに指導的地位の女性を三〇%にするということを目標にしていますが、足元からこれでは、女性を軽視しているのではないかと批判されても仕方がないのではないでしょうか。

 政策や方針の決定の場に女性を積極的に登用すべきだと思っています。復興会議は二十五人以内で組織することとなっていますので、増員も可能です。ぜひとも男女共同参画の視点、ジェンダーに敏感な視点を持った委員を増員するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

荻野政府参考人 お答え申し上げます。

 復興構想会議の委員につきましては、東北ゆかりの方を軸にいろいろな方にお願いをしているところでございますけれども、結果的に女性が少なくなっているというのは事実でございます。また、復興構想の策定に当たって女性の視点が重要であるということも、御指摘のとおりでございます。

 この件につきましては、先般の予算委員会におきましても総理からも同様の御答弁がございましたけれども、復興構想会議の運営に関しまして、今後のさまざまな議論の中で女性の視点がしっかり受けとめられるようにお願いしたいというふうに御答弁がありましたところでございまして、事務局としても、その趣旨に沿って対応してまいりたいと思います。

井戸委員 具体的にぜひお願いしたいと思っています。

 神戸の震災があって、その後も神戸は、インフルエンザの被害などで突然学校が休校になったりとか、そういったことで、生活が、ライフラインも含めて、いろいろなところでの不備があったところでも、そこを支えて、立ち直りへ向かってのいろいろな意見を出して具体的に行動していった原動力は、やはり女性なんですね。そうしたところをしっかりと施策の中に盛り込んでいくことが、まさに日本の復興に非常に大きな力になっていくと思いますので、ぜひともここは具体的に進めていただきたいと思っています。

 続きまして、政務官もお越しですので、ハーグ条約について伺いたいと思っています。

 先般の内閣委員会でも、公明党の高木委員の質問がございました。政府は、今月二十日の閣議で、ハーグ条約の締結に向けた準備を進めるとの文書と法案骨子を了承いたしました。翌日の新聞には、「ハーグ条約加盟を閣議了解」「国際結婚破綻で親権ルール」というような、大体同じような見出しなんですけれども、これで報道されました。私は、このハーグ条約がいつも国際結婚そして離婚というのが限定のように報じられることに対して大変違和感を持っています。

 まずは、山花政務官にお聞きをいたします。

 ハーグ条約に加盟をした場合、このルールが適用されるのは国際結婚に限られるんでしょうか。

山花大臣政務官 このハーグ条約の問題につきましては、井戸委員からも大変いろいろ御指摘を受けてまいりまして、委員も大変お詳しいことと存じますけれども、国際結婚に限らず、日本人同士のカップルが子供を有している場合であったとしても、国境をまたいでトラブルになったケースには適用があるものであると承知をいたしております。

井戸委員 まさに、ここがハーグの一つの大きな問題ですよね。

 例えば、日本人同士のカップルで国内で別居になったときに、子供を、片方の親の了承がなくて実家に帰っても、それは別に犯罪にもならない、連れ去りにもならない。しかしながら、国境をまたいだ瞬間にそれが犯罪になっていく、紛争の大きなもとになっていくということ。

 これは別に、国際結婚をしている人たちだけが対象でなくて、例えば留学だとか、または転勤などで海外に行く、そうしたことがふえていく中では、日本人にとっても、いつ何どき自分にかかわってくる問題かもしれないということで、だからこそ、広く、しっかりとした意味で周知も必要だと思いますし、なぜ今回このハーグを締結するに至ったかということの説明責任が私は必要だと思っています。

 枝野官房長官は、閣議後の記者会見で、我が国においても、いろいろな意味で国際社会との交流が深まっている中において、こうした基準についての整合性をとることが望ましい、そうした中でしっかりと子の福祉が確保されるということの担保も今回同時に合意ができたと思っていると発言なさっていますけれども、これだけでは、条約の批准の方向へと大きくかじを切った理由、経緯が十分に説明されているとは私は思いません。

 ぜひとも、この経緯、なぜ今回これに入ることが子の福祉にとって有効なのかということを含めて、御説明をいただきたいと思います。

山花大臣政務官 先ほど来、ハーグ条約、ハーグ条約と、新聞の見出しもそういうことになっておりますけれども、ハーグ条約という名前のものについてはこれだけではなくて、これは子の親権の民事的側面に関するハーグ条約というものでございます。

 これは黒岩政務官からお答えいただいた方が適切かもしれませんけれども、民法上の親権は、法文では親権と書かれておりますが、講学上、これは子の福祉と読みかえて運用しようというような議論もございまして、親の権利というよりも、子の福祉の観点から考えることが適切であろうというのが民事上も非常に潮流となっております。

 こうした中で、今問題となっておりますハーグ条約についても、子の親権に関するというのが公定の訳となっておりますけれども、そうした子の福祉という観点から実際の運用がどうなのかということ、また、ハーグ条約が結ばれた当時というのは今とやはりいろいろな物の考え方が違ったりとかしておりましたので、これも今回議論をしてくる中で、また詳細については議論をさせていただければと思っておりますけれども、非常に、わかってきたこと等々ございました。

 また、関係副大臣会合などでも、賛成の方あるいは反対の方からもヒアリングを行う中で、一つは、国境を越えて離婚が問題となり、かつ親権が問題となっているというときに、とかく親御さんの側の立場というのが、賛成側、反対側の意見の方も強く出てしまうところがあるんです。

 ただ、そういう中で、そもそもそうしたことがトラブルになっているということ、また、その際に、今法的な解決の道筋がはっきりとしていないということ、そのことが争いになってしまうということも子の福祉にとって好ましいことではないのではないか。むしろ、はっきりとした法的な枠組みの中で紛争の解決のルールがあるということも一つ大事なことではないかということ。

 それとまた、あわせまして、先ほど官房長官も御指摘いただきましたけれども、もちろん、井戸委員の御指摘も踏まえて検討していきたいと思っておりますが、国内担保法については、細部についてはまだこれからの議論ではございますけれども、いろいろ寄せられた御懸念については、何とかそのデメリットを最小化するという方向で国内担保法も制定をすることができれば、より子の福祉にかなうであろうというような判断をいたしまして、今回こういう方針になったものと承知をいたしております。

井戸委員 まさに、おっしゃった国内担保法、これが、このハーグ条約に加盟をした中で、いろいろな意味で消極的な方々に対しての、例えばDVの被害者の方々に安心を与えるためには、絶対にこの国内法というのは大事なところだと思うんです。

 ところが、ハーグ条約というのは、返還をすることがその条約の中身ですから、返還拒否の事由というのが十三条と言われるところでございますけれども、ここを国内法でどのように担保していくのかというのが非常にキーになってくるわけです。子の福祉にとって害がないことが前提ですから、当然、そこのところの条項の中身というのは大事だと思うんですけれども、基本的には返すところを返さない理由をつけていくわけですから、ここの相反するところが非常に微妙なところにもなってくると思うんです。

 この十三条のb、特に返還の拒否事由について、法務大臣も会見の中では、法制審議会にかけて議論もしていただくということだったんですけれども、具体的にはどういう形でこれは審議をされていくんでしょうか。

 というのも、やはりハーグにかかわった当事者なり、またはその弁護士さんなり、関係者というのは非常に少ないんですね。そうした中で、いろいろな今までの積み重ねもない中で議論をしていくために、法制審議会も含めて、どのようにこの国内法の担保づくりをしていくのか。これは黒岩政務官にお伺いをしたいと思っています。

黒岩大臣政務官 井戸議員にお答えいたします。

 まずは、法制審議会云々の手前の段階で、先ほど山花政務官からもお話ありましたけれども、関係省庁の副大臣級会議というところでさまざまな議論が行われました。これは井戸議員も御承知のように、ハーグ条約に加盟するに当たっては、もちろん、積極的に賛成する方と、非常に消極的、慎重な方々がいらっしゃる。ですから、そういった議論はさまざまな方から私どもはお聞きしてきました。

 法務省としては、子の福祉及び子そしてその親の人権を所管する省庁といたしまして、子の返還拒否事由というものがどういう形であり得るのかということを特に中心的に議論をしてきました。

 この条約の十三条一項のbですか、この文言は非常に抽象的でありますので、やはりこれをいかに具体的に、そして、非常に懸念されている方たちの懸念自身を払拭するような、そういう内容を何とか具体化していきたいということで、官房長官の表現について私が申し上げることではありませんけれども、ある程度子の福祉が担保されたという見解が示されていると思います。

 具体的には、特に子供へのDV、暴力、これは当然、返還拒否事由になりますけれども、その親、相手方、特に日本の場合ですと多分母親が多いと思いますけれども、母親に対するDVが返還拒否事由になるのか、これも非常に懸念されておりましたけれども、基本的には、相手方に対するDV事案の場合においても、条約の規定を踏まえまして、子の返還拒否事由として適切に規定していく、こういう方向が示されました。

 そのほか、相手方が子とともに帰国することができない、子の親ですけれども、親が子供とともに帰国することができないようなさまざまな事情、こういった事情も返還拒否事由に入れていこう、こういった規定も方向づけされましたもので、その点においては、懸念を持たれた方たちにもそれ相応の理解が得られるものと思っております。

 今後は、法制審議会、これは、いつ、どういうタイミングでかけるかについてはまたこれから諮っていきますけれども、もちろん、そう長々と、何年もかけるという形ではなくて、今言ったいろいろな懸念も払拭できるような議論をしていただくように、これから法務省としても取り組んでいきたいと思っております。

井戸委員 国内法というのは、条約を超えてつくることは当然できませんよね。そうしたときに、官房長官もおっしゃったように、子の福祉に対して担保されたと言うということは、この内容に関して言ったらば、ハーグのほかの加盟国なり条約の事務局なり、何かそれは、この項目については大丈夫であるというようなお墨つきみたいなものがあったんでしょうか。

山花大臣政務官 あくまでも、これはこれから進めていく国内法でございますので、それについて逐一、例えばハーグ条約の事務局であるとか他の国に対して参照して大丈夫ですかと問い合わせる筋合いのものではございませんので、あったかなかったかと聞かれれば、ないというお答えになります。

 ただ、やはり返還拒否事由についてはちゃんと規定をしないとという一方で、条約違反じゃないかと言われては困るという御懸念かと思います。その点につきましては、条約の解釈については国内的には外務省の方で責任を持ってやらせていただきたいと思っております。

 その上で、先ほど、ハーグ条約が締結された当時と比べるといろいろ状況が変わってきましたと申しましたのは、ハーグ条約の事務局というところがございまして、そこで、例えばドメスティック・バイオレンスがあった、このことが子の福祉に反するということをもって返還を拒否したという判例がありますとか、あるいは、お子さんが二人いて、お兄さんが嫌だと言っている、下の子はまだ判断能力が十分でないだろうというケースでも、お兄さんの離れたくないという思いをもって子の福祉という判断をしたというケースであるとか、そういう幾つかの判例なども参照した上で、今回、骨子のさらに案の段階ですけれども、項目で掲げられている中身については、私どもとしては条約の範囲内であるという認識でございます。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

井戸委員 今御説明ありましたけれども、逆のケースの報告も上がっているんですね。例えば、子供に対しての性的虐待があったとしても、それは返還拒否事由にならなかった例、これはハーグの事務局が出している報告書にも入っています。

 そうした中で、やはりここの十三条にかかわるところでの国内法というのは非常に大事なところでもあると思いますので、ぜひとも私はこの中に、やはりDV被害者なり、またそれに寄り添った形で活動してこられた方たち、そうした意見が反映できるような、そうした委員なりなんなりというのを入れていただいて、そしてよりよいもの、本当に子の福祉にかなうものにしていただきたいと思っています。

 ちょっと時間がなくなったんですけれども、短くお願いしたいんですが、中央当局についてです。

 この組織づくりに対しては、例えば、今まで外務省がやっていました子の親権問題担当室、これを発展させるような形でいくのか、もしくはほかの形で、どのような形で組織づくりを進めていくのか、これをお願いいたします。

山花大臣政務官 現時点で、外務省の中の子の親権担当室を拡充してということかと聞かれると、そこまで具体的には検討はいたしておりませんけれども、しかし、やはり各省庁それぞれ御協力いただかなければいけないところ、特に法務省さんということになろうかと思いますけれども、こうした関係当局の御協力を得まして、円滑にその役割を遂行できるように準備を進めたいと思っております。

井戸委員 山花政務官、ありがとうございました。

 それでは、女性差別撤廃委員会の最終見解について伺いたいと思っています。

 お配りした資料一をごらんいただきたいと思います。

 日本政府は、選択的夫婦別姓制度導入や婚外子差別撤廃などを行わないために、国連の各種人権機関から再三勧告を受けています。とりわけ、女性差別撤廃委員会は、二〇〇九年八月、勧告に従わない日本政府に対して、差別撤廃の法改正はもちろん、ことしの八月までに政府がどのような措置を講じたのかを報告するよう勧告しています。

 既に、男女共同参画局で取りまとめの作業を進められていると思いますけれども、フォローアップ報告の進捗状況と今後のスケジュールについてお伺いをしたいと思います。

岡島政府参考人 平成二十一年八月に、女子差別撤廃委員会から、我が国の女子差別撤廃条約の実施状況につきまして、最終見解が公表されました。この最終見解で指摘されている項目のうち、選択的夫婦別氏制度の導入などの民法改正、女性の参画拡大のための暫定的特別措置につきましては、二年以内にフォローアップを行うこととされています。

 現在、関係各省と協力しながら、ことしの夏の報告に向けまして準備を行っており、一昨日の二十三日には、男女共同参画会議監視専門調査会におきまして、報告に盛り込むべき項目を示し、御議論をいただいたところでございます。

 今後、同専門調査会の議論を踏まえつつ、NGOの方々などとも意見交換を行いながら、報告書を取りまとめてまいる予定でございます。

井戸委員 それでは、黒岩政務官にお伺いをしたいと思っています。

 先般、法務委員会でも質問させていただいたとき、法制審議会で答申が出たもので、それから法改正をしていないのはこの民法改正だけだという御答弁もありました。

 民主党は、この法制審議会の答申の翌年から法案をずっと出し続けてきているわけですけれども、政権交代をした後には、このことに関してとまってしまっている。私自身も法改正を願う議員の一人でございますけれども、NGOやほかの団体からも、厳しく、何で出さないんだと言われるような立場、批判される立場にもなって、大変じくじたる思いです。

 民法改正は、内閣府も法務省も推進してきたものですけれども、ここで私たちが動かないということになってしまってストップさせてきた問題であることを非常に責任も感じながら、江田法務大臣は、玄関まで来ているとこの間おっしゃっておりました。黒岩政務官も賛成とお答えになっています。

 どうか、扉をあけていただく、民法改正、法改正が実現するよう尽力をいただきたいと思いますけれども、御決意をお聞かせください。

黒岩大臣政務官 今、井戸委員が御指摘ありましたように、法制審議会におきましては、平成三年からこの議論を始めまして、平成八年、今からもう十五年前ですか、選択的夫婦別氏制度を導入することや、女性の婚姻年齢を十八歳に引き上げること、そしてさらには、女性の再婚禁止期間を、これは撤廃ではなくて百日に短縮すること、そして四番目として、嫡出である子と嫡出でない子の相続分を同じにすること、こういう答申をされました。

 当然、法務省としては、この法制審議会の答申というのは大変重要視して、それに取り組んできておるわけですけれども、なかなか今まで、いろいろな関係者の御理解が得られずに法案が提出されなかったりとか、そういったことを繰り返してきたというのは事実でございます。

 当然、今後とも、法務省としては、同じ方針のもとに、この民法改正の内容等を十分に、関係各位にしっかりと説明しながら御理解をいただく、その努力をしていくつもりでございますし、何とか扉を開けるように、また井戸委員からもお力をかりて前に進みたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

井戸委員 くしくも、きょうは、夫婦同姓の規定の違憲性を問う初めての裁判の第一回口頭弁論が開かれます。原告がきょうは傍聴にもいらしているんですけれども、五十年間、事実婚や通称使用など、生まれたときから使い続けてきた姓で生きていきたいと思っていらっしゃる七十五歳の女性なんですけれども、法改正していればすることがない裁判を行わなければいけない。私も、民法七百七十二条にかかわって、今だったらしなくてもいい裁判をやった経験があります。お金も時間も本当に大変、何よりも精神的な苦痛があります。

 私は、政権交代されて、ここで今裁判が起こったということを非常に重く受けとめながら、きょうの質問もさせていただきました。国連中心主義だったりとかチルドレンファーストを私たちの政権は言ってまいりました。そして、ハーグでは、国際社会を強く意識してこれを前に進めていくということでもございましたので、こちらの民法改正の方も、男女共同参画の視点を持ってしっかりと前に進めていけるよう、私も頑張りますし、ぜひとも皆さん、政府案をよろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、森本和義君。

森本(和)委員 民主党・無所属クラブの森本和義です。

 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 原子力発電事故について、今現在も予断を許す状況ではなく、政府、関係省庁におきましては全力で対策に取り組んでおられると思います。きょうも忙しいと思いますので、ここにはいらっしゃいませんが。

 また、先日、第三者による原発事故対策についての調査委員会も発足しました。事故対策は現在進行形であり、同時に検証を始めるということで、大変な状態であるということは認識しつつ、本日の質問をさせていただきます。

 原発事故対策については本当にいろいろとお尋ねしたいことがあるわけですが、当内閣委員会の管轄にある原子力安全委員会について本日は質問させていただきます。

 原子力安全委員会の役割とSPEEDI運用とのかかわりについてであります。今ここで事故対策の検証をしようという意図ではございませんが、今後の対策において原子力安全委員会がどのような役割を担っていくのか、担うことができるのか、また、役割が極めて限定的、制限されており、大きな期待をすることそのものが的外れなのか、きょうは少しでもはっきりできればいいなと思っております。

 私は、原子力については素人でございますが、素人的には、当初、サッカーに例えると、原子力安全・保安院がゴール前で守るバックス、守備陣で、原子力安全委員会はゴールキーパー、原子力安全行政の最後のとりでというようにとらえておりました。

 しかしながら、事故発生以来、発災以降の国会審議や報道を見ていると、特に原子力安全委員長の答弁や発言を聞いておりますと、どうも原子力安全委員会はそもそもフィールドに出て原子力利用の安全を守るのではなく、防災指針という守備についてのルールブックをつくり、事故が起きた場合は何か相談されたら初めて答える。つまり、フィールドでわきにいるコーチや監督でもなく、顧問みたいなものだというようにおっしゃっているのではないかなと感じております。そのあたりについて本日は整理させていただきたいと思っております。

 大変残念ながら、ちょうど官房長官は記者会見で御不在でありまして、また、班目委員長も震災復興特で答弁に立っているということで御不在ですので、本当に残念でございますが、久木田委員長代理にいろいろ御質問したいと思います。

 四月二十七日、決算行政監視委員会において参考人質疑がありました。その際に住田参考人がこう述べております。住田先生というのは大阪大学の名誉教授で、ジェー・シー・オー事故の際、当時の安全委員会の副委員長だったかと記憶しておりますが、現地で陣頭指揮を務めて事故の収束に大変御尽力をされたという方でございます。その住田参考人がこう述べています。

 原子力安全委員会というのは諮問委員会でありますから、諮問委員会が前へ出るということは、これは日本の行政あるいは政治の体系からいいますとやはり出過ぎでありまして、要するに、質問されたことに対してきちっと答える、それから、もし非常に重要なことがあれば、原子力安全委員会は総理に意見を申し上げることができるということだと思っております。ただ、申し上げたいことは、原子力安全委員会の方には、必要だと考えたときは原子力安全委員会は総理にそういうことを申し上げてよろしいという条項が以前はあったんですが、なぜか行革のときにそれが削られてしまったんですね。ただし、やはり重要だと思うことは私どもが進言をするという立場でありまして、ですから、現在の原子力安全委員会の役割というのは、やはり諮問に答えてベストを尽くすということです。余りにも安全委員会が行政委員会であるかのごとく確認されて、国家公安委員会とは違うんだということをぜひ覚えておいていただきたいと思うんです。

 このような御発言がありました。

 この発言に対して班目委員長は、「まさに私の思いを代弁していただいたという感じでございます。」「政府に対する助言役に徹しているということをどうか御理解いただければと思います。」と答えておられます。

 そこで質問です。以上の答弁と、原子力安全委員会設置法の第十三条、原子力安全委員会の仕事は、原子力安全の確保のための規制の政策の企画、審議、決定ということになっていることを踏まえて、久木田委員長代理にこの役割についてお答え願います。

久木田参考人 お答え申し上げます。

 原子力安全委員会の基本的な立場については、議員が住田先生の言葉を引いて申されたとおりでございます。

 今回の事故に関しましては、原子力安全委員会は事故発生後直ちに委員会を開催いたしまして、緊急技術助言組織を立ち上げております。その後につきましては、班目委員長ほか私も含めてでございますが、官邸におきまして、総理、経済産業大臣に対して直接助言を申し上げているところでございます。

 さらに、委員会は、原子力災害対策本部や関係省庁からの要請に応じまして、幅広い助言、百数十件に及ぶ助言を行ってございます。ここでは、助言というだけではなくて、みずからの判断によって調査あるいは提言といったものも行っているわけでございまして、その内容や影響につきましては今後の調査において明らかにしていただければというふうに考えてございます。

 それから、若干御質問の趣旨からはずれるかもしれないんですが、原子力安全委員会におきましては、事故の直前まで、原子力安全確保の基本的な考え方についての根本に立ち戻った議論を実は行っておりました。残念ながら今回の事故の防止には間に合わなかったわけでございますが、今回の事故を踏まえて、このような議論を再開し、指針の改定等に反映することも原子力安全委員会の重要な使命であるというふうに考えてございます。

森本(和)委員 ただいま、助言プラス提言をしているという回答だったかと思います。

 まず、助言について確認をしたいんですが、あえて今、提言を別にしていますというお話だったので確認です。助言をするというのは、あくまでも聞かれたら答える、聞かれなければ黙っておくという範囲にとどまるのか。細かい質問ですが、お答え願います。

久木田参考人 もちろん、ルール上は法律に基づく助言というのが基本でございます。しかしながら、今回の事故におきましては、さまざまな問題、いわば想定されていない問題が発生したわけでございまして、それについては、問題の内容についての御相談に応じることから含めまして、安全委員会としてはできるだけ懇切に対応してまいったというふうに考えております。

森本(和)委員 例えば、安全委員会がみずからつくっております防災指針があります。その防災指針にのっとって全体が行動していない場合、明らかに逸脱しているなというようなことを認知した場合に、これはみずから進んで提言をしていくということも職責としてあるのかどうか、お願いします。

久木田参考人 これも御質問の趣旨に沿うかどうかよくわからないところがございますが、例えば防災指針におきましては、屋内退避の基準として十ミリから五十ミリシーベルト、避難の基準として五十ミリシーベルトという数値が書いてございます。

 それに対しまして、今回の事故につきましては、特定の地域におきまして長期間にわたって外部被曝の線量が高い状況が続いていた。御承知のように、原子力発電所から北西方向の地域でございますが、この地域について最終的に計画的避難という判断がなされたわけでございますけれども、この判断におきまして、この地域での線量が継続的に高い状況にあるということを見出して、原子力安全委員会としては、二十ミリシーベルトという新たな判断基準に基づいて計画的避難を行うことを提言しているといった一つの例がございます。

森本(和)委員 ちょっと質問の趣旨と違っているんですけれども。先に言いますけれども、後でSPEEDIの当初段階での単位放出について安全委員会がどのように行動したかということを確認させていただきたいので、ちょっと細かい話ですが、最初に一連の質問をさせていただいております。

 中央防災会議策定の防災基本計画において、原子力安全委員会緊急技術助言組織等の活動として、資料の一の方ですが、下線は私が引かせていただきましたが、特定事象発生の場合、直ちに緊急技術助言組織を招集するとともに、原子力安全委員会委員及び緊急事態、ちょっと読みませんが、等々で、必要な技術的助言を行うものとするというふうにあります。

 先ほど来、助言ということの内容について明確にお答えをいただいていないような気がするんですが、ここで言う技術的助言というのは、先ほど来質問しているとおり、例えば防災指針にのっとっていないものについては能動的にそれは違うよと言っていく、あるいは、提言に入るのかもしれませんが、防災指針とは関係なく、今現状こうだからこうしていけばいいんじゃないかというようなことまでも含まれているのか、あるいは、そこまではいかなくて、これもあくまでも聞かれたらお答えしますというレベルの話なのか。どういう認識か、お答えください。

久木田参考人 そのような御質問の趣旨でございましたら、先ほど私が申しました、計画的避難区域についてのいわば原子力安全委員会としての自主的な問題意識に基づいた調査、それから最終的には提言といったものは、本来の防災指針において明示的に書かれている内容以上の内容であったというふうに考えてございます。

森本(和)委員 加えて、地元住民の被曝回避行動、すなわち避難ということは、極めて重要な事柄だというふうにだれしもが思うと思います。また、先ほどの中央防災会議策定の防災基本計画において、例えば地方公共団体に対しても必要な助言をすると書いてあります。大体、地方公共団体の方で原子力の技術者、専門家という方はほとんどいらっしゃらないと思います。

 そういうことをかんがみても、この文意として、防災指針にのっとった行動をしているかどうかはもちろんのこと、それを仮に逸脱したとしても、踏み込んで自分の考えで提言をしていくということに読み取れるんですけれども、その辺の御認識はどうでしょうか。

久木田参考人 適切なお答えができるかどうか迷うところでございますが、こういった防災指針の適用に関すること、例えば住民の避難誘導等についてはそれぞれの関係省庁が行うところでございまして、私どもとしては、そういった状況について間接的に情報を得るという立場でございます。

 そういった状況の中で、先ほど来申し上げておりますような、特定地域における線量が高いということについて我々として見出したことによって最終的に提言を行うようなことがあったということでございますけれども、基本的には、防災指針等にのっとってそれぞれの省庁において、あるいは自治体において実際の対応をしていただくということが基本であるというふうに考えておりまして、その中で問題が見出されたときには助言を求めていただいてそれに対応するということが基本であるというふうに考えてございます。

森本(和)委員 今の御答弁ですと、やはり、助言をせよと求められたら対応するというところに徹しているというような御答弁と解釈をいたしたいと思います。

 次に、時間がなくなってきましたけれども、本題ですが、公明党の斉藤鉄夫先生を初め多くの先生方から既に何度か質問されておりますが、改めてSPEEDIの運用について御質問します。

 これは資料の二の方ですけれども、原子力安全委員会がみずから策定をした防災指針の中で、「事故発生後の初期段階において、放出源情報を定量的に把握することは困難であるため、単位放出量又は予め設定した値による計算を行う。」というふうに書いてあります。

 放出源情報が入手できていない、信頼し得る推定値が出せないなどという話を何度もお聞きするわけでありますが、この文言を読んだ限り、みずからが策定した防災指針の中に、そういう場合があるので、そういう場合のことまで考えて、一応単位放出量を入れて対処しなさいというように書いてあるというふうに私は読めるんですが、この文の解釈についてお願いします。

久木田参考人 ただいま御指摘のとおり、今回の事故のように放出源情報が特定できない場合には、いわゆる単位放出、あるいはあらかじめ定めておいた放出源に基づいた計算を行うということが定められております。

 実際に、御承知のように、SPEEDIは文部科学省によって、原子力安全技術センターによって運用されているものでございますが、そのような単位放出に基づく計算というのが、事故の発生いたしました三月十一日の十六時からであったと記憶いたしますが、一時間ごとに計算が行われ、防災関係者に配付されていたというふうに理解してございます。

森本(和)委員 文科省の管轄であったとか、十六日以前は権限移譲されていなかったとか、されているとか、そうでもないとか、そういう議論もありますが、そもそも文科省の統轄であろうとなかろうと、これまでの御答弁の中で考えると、原子力安全委員会の役割である、そのことについて適切に処理するように積極的に助言するというようなことが明文化されていない限り、極端な話、質問をされなければ対応しないというような姿勢だったんでしょうか。

久木田参考人 最初に申し上げましたように、委員長、私、当初の数日間は官邸に詰めて総理、経産大臣に対する助言を行っておりましたし、残る委員あるいは緊急時助言組織の皆さんは、二十四時間体制で合計百数十件に上る助言にこたえていたということでございます。

 その中で、すべての面にわたって思いが至っていたというふうには考えないわけでございますが、SPEEDIについては、単位放出の情報が文部科学省、経済産業省、それから地元の対策本部に配付されていたということでありまして、その活用についてはそれぞれの方々の裁量にゆだねられていたというふうに理解してございます。

森本(和)委員 ということは、単位放出で計算した結果については、関係省庁、関係者で共有をしていた、それについては特に助言を求められていなかったので、当然それを活用してさまざまな対策を打つであろうというふうに認識をして、特に何も助言をしなかったということでよろしいんでしょうか。

久木田参考人 単位放出の計算についてはそのとおりでございます。

 さらに、SPEEDIの活用については、先ほど御指摘がありましたように、三月十六日以後、原子力安全委員会にゆだねられたわけでございますが、その後は、私どもの独自の努力といたしまして、放出源情報の推定を行い、それに基づいて内部被曝、外部被曝についての計算を行った結果を順次公表してまいったという形でSPEEDIを使ってきたということでございます。

森本(和)委員 私は、諮問機関であるとかいろいろな法的な立場があるということでありますが、トータルに考えても、そういう形で、こういう情報はこのように解釈をしてこうすべきだということは、事柄が重要であれば、安全委員会は当然政府に対して意見を能動的に積極的に述べていくというふうにあるべきだと思いますけれども、そういうふうにはなっていない、あるいはそうではない、質問をされれば答えるんだというような姿勢だというふうに、きょうちょっと答弁で感じさせていただきました。

 時間もなくなりました。最後にお聞きします。

 仮に、質問されれば答えるという役割だから余計なことは言いません、しませんというなら、それはそれでよいとしましょう。しかし、であればこそ、その答弁をする場合は、聞かれたんですからお答えをするという場合はかなり慎重にならなければいけないと思います。

 その意味で、再臨界の可能性はゼロではないという極めて専門的に重要な言葉を、主観性の部分がかなり残るような形で発言したり、要するに科学的に厳密に定義せずに発言するということは、その重要性からかんがみて、私は科学者ではありませんが、科学者としてはまことに遺憾じゃないのかなというふうに感じております。最後に御感想をお願いします。

久木田参考人 伝えられておりますように、再臨界の可能性がゼロではないという発言につきましては、塩水を注入することによるデメリットについての御質問に対して、さまざまな考えられる問題点について列挙したものでございます。

 科学的に厳密でないという御批判がございましたが、あえて確率がゼロではない、可能性がゼロではないというのは、いわば専門家の厳密さを求める習性ともいうべきものでありまして、可能性が極めて小さいということを意識しつつもそういうことをコメントしたというふうに御理解いただければというふうに考えております。

森本(和)委員 時間がなくなりました。まさに本当に水かけ論みたいになるんですが、最後に、私、非常に残念に思っておりまして、何だか原子力安全委員会というのはやはりゴールキーパーでもないんだなというふうに認識しております。今後、それはさりながら、この原発事故収束のために尽力していただきたいと思います。

 きょうはありがとうございました。

荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 想定外という言葉が随分とマスコミ等々でも報じられておりますし、官房長官も何回か想定外という言葉を使ってマスコミに対する会見で答えておられるというふうに認識をいたしておりますが、四月十日に、正確な日にちまでは覚えておられなくても結構ですけれども、東京にいられる外国のメディアと日曜日に会見をされたと思いますが、そういう会見をされた事実自体は覚えておられますね。

枝野国務大臣 日にちはよく覚えておりませんが、外国のプレス向けに記者会見をしたことはございます。

浅尾委員 ここに、そのときに会見に応じられた対象の一社でありますニューヨーク・タイムズの記事があります。ニューヨーク・タイムズの記事ですけれども、記者会見自身は日本語でやっておられますよね、官房長官。

枝野国務大臣 残念ながら私は英語は全くできませんので、日本語でやっております。

浅尾委員 当然、通訳が入ってやられたんだろうというふうに思いますが、ニューヨーク・タイムズの記事を読みますと、これは記事は英語で書いてあるんですけれども、要するに、日本の政府の規制当局や東京電力が、この第一原発が非常に津波に対して弱いのではないかということに対して、官房長官が、津波は我々の想像を超えている、想定外ということを言ったんだと思いますが、想像を超えたものであるということで、その批判は当たらないというふうに答えております。

 これは英語の方は、「He said the tsunami was beyond anyone's imagination, rebutting critics who have said that government regulators and the Tokyo Electric Power Company, which operates the Daiichi plant, ignored warnings that the reactors were vulnerable.」というふうに、今申し上げたとおりのことが書いてあるわけです。

 これは、多分もとの日本文の原稿を出していただいた方がいいと思いますけれども、私が問題にしているのは、海外には想定外だと言いつつ、四月二十九日の官房長官の日本語での会見で、想定外という言葉だが、二つの意味がある、想定して準備をしていなかったという意味の想定外と、そもそも想定することすらできなかったという意味の想定外と二つの意味があるということを言っておられますけれども、どうも海外に対しては想定外だという印象を少なくとも与えている記事になっています。

 ですから、まずは、当時の記者会見の日本語の原稿は官邸でもとっておられると思いますから、それをお出しいただけませんか。

枝野国務大臣 残っているはずでございますので、それは提出をさせていただきます。

浅尾委員 これは実はかなり重要な話でありまして、今後、賠償の議論をしていく中で、原子力賠償責任法は、御案内のとおり、第三条に「ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない。」と規定されております。

 海外等のメディアにおいては、今回のは想定外、異常に大きな津波だということは少なくとも言っているわけですから、という発言をしながら、国内向けには、先ほど申し上げましたこちらの方を読み上げますと、想定外という言葉だが、二つの意味がある、想定して準備をしていなかったという意味の想定外と、そもそも想定することすらできなかったという意味の想定外と二つある、私は前者の意味でしか使っていない、大変大きな津波であり地震であったが、特に原発事故は、国会などでも、大きな津波で当該原発が事故に陥る可能性があることは国会でも指摘されていた、全くだれもそんな指摘をしていなければ想定できないような被害と言えるが、国会などでも指摘されていながら備えていなかった以上は、免責条項に当たるとは考えにくいというふうに答えているわけですね。

 つまりは、この英文の方では、英文しか手元にありませんが、ですから出してくださいということを申し上げているんですが、海外のメディアの人に対しては、政府の規制当局や東京電力が事前の注意喚起に対して対応しなかったことに対して、いや、これは想定外の津波だったんだ、非常に大きな津波だったんだと言いつつ、国内向けについては、そういう指摘があったにもかかわらずやっていなかったからこれは問題がないんだというのは、多分、少なくとも発言としては二重のことを言っているんじゃないかなというふうに思いますが、その点について、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 済みません。そのニューヨーク・タイムズのことは、事前に御通告いただければ私なりにきちっと、どういう発言をしたか整理をして、記憶喚起をしてやってまいったんですが、この後、戻ってしっかりと記憶喚起をしたいというふうに思っております。

 私自身、今回の地震、津波については、準備をしていなかったという意味での想定外であったということは結果的にも間違いないわけでございますが、では、だれも想定することすらできなかったのかと言われれば、そうではない、実際にそういったことを指摘されていた方が有力な方でもいらっしゃったということでございますし、というふうな認識で少なくとも現時点でおります。

 ニューヨーク・タイムズにそうした形で記事がなっているのは、その時点、時点というのは、私が今申し上げたような認識を持った時期がいつであったかということについて確認をしなきゃいけないなというふうに思っておりますし、また、どういう文脈で申し上げたかということも確認をしたいというふうに思っておりますが、いずれにしても、ある時点から今申し上げているような認識であるということは明確でございまして、そうではないニュアンスでの報道が海外で出ていることについては、これをどういう形で訂正したらいいのか難しいところはありますけれども、少なくとも現時点の認識とは異なるということでございます。

浅尾委員 ぜひ、その原稿というか、官邸側で持っている、日本語でお答えになられた部分についてお出しいただきますようにお願いしたいと思います。

 後段の方が大事だと思いますが、後段というのは、国会で指摘をされながら想定をしていなかったと。これは、実は、当然、事業者である東京電力は原子力発電所を運営しているという意味でその責任があるわけですけれども、同時に、国会で指摘をされる対象は、御案内のとおり、国会の審議に直接東京電力が来るわけではありませんから、保安院であれ、安全委員会であれ、そういう人が指摘を受けたということであります。その指摘を受けた規制当局が、それに対して、いや、大丈夫なんですというようなことを答えているわけでありますから、そのことについての責任というのは、官房長官はどのようにとらえておられるんでしょうか。

枝野国務大臣 国会でもというのが正確だというふうに思っておりまして、いろいろな専門家の皆さんが以前からそういった指摘をされていたということ全体について、東京電力はもちろんでございますが、政府としても、こうした津波に対応できなかったということについての責任は、総理もおっしゃっておりますとおり、政府としての責任も大きいというふうに認識をしております。

浅尾委員 まず、今の話の中で、原子力賠償責任法の三条ただし書きを使うか使わないかの当面の解釈は政府の側にあると。そのとおりだと思います。ですから、最終的にはそれが裁判所の中に持ち込まれる可能性というのは否定はできないわけでありますけれども、その解釈は政府の側でできるというのは、そのとおりだと思います。

 一方で、今、政府の側に責任があるということは総理も答弁をしておられるという話をされましたが、では、具体的に、政府の側の責任というのはどのような形でとっていかれることを考えておられるんでしょうか。

枝野国務大臣 この間も、事故発生以来、事故の早期の収束、これはもちろん東京電力が頑張っていただかないと、いろいろな知見その他、東京電力の側に大部分がございますので。でありますけれども、政府としても、例えば海外からの御協力についてお願いをしたり、その窓口、調整などを行ったり、あるいは、広い意味では、自衛隊、消防等の皆さんに危険の中でいろいろやっていただいた、これも政府の機関あるいは政府から自治体にお願いをしてということでございます。

 そうしたことを含めて、また、今のいわゆる工程表にかかわるさまざまな問題、きょうも先ほど小泉委員から御指摘いただいたJヴィレッジの環境改善等、政府として、直接的に政府がやれることについては対応してきているところでございますし、また、被災をされている皆さん、避難をされている皆さんの、ここまで生活支援、そして今後、直接的な金銭賠償以外にも、これまたきょう御指摘いただいている例えば校庭の土の改良とか、既に計画的避難地域等における将来の農業の再開に向けた土壌改良等の研究、検討、将来にわたってそれが有効であるならば実施等、少しでも生じる損害が小さくなるようにということについて、政府としてしっかりと役割を果たしてまいりたいと思っております。

浅尾委員 私の質問の仕方が悪かったのかもしれませんが、私は、政府としてどう責任をとられるのかと。多分、今のは政府としてどう対策を打つかという答弁だと思います。

 もう少し具体的にお話しした方がわかりやすいかもしれませんが、責任のとり方はいろいろあると思います。東京電力の社長は退任を表明いたしました。先般、報道ベースでいいますと、各省の幹部については、事務方の幹部というふうに申し上げて局長以上、震災の対応があるので、基本、留任というようなことが報じられております。

 ところで、現在の菅内閣においても、局長級以上の幹部職員の任免に関する閣議決定は引き継いでいるというふうに思います。この任免に関しては内閣がまさに官房長官のところで最終的に決めるということでありますが、現在、経済産業省の事務次官は、まさに国会で指摘をされたときの保安院の院長であります。ですから、当然、指摘をされたけれども対応をとってこなかった責任があると私は思います。その人も含めて留任をさせるというのは、責任のとり方としてどのように思うのか。まさに、幹部人事は内閣一元化をするという閣議決定を引き継いでいるということからいたしますと、その点について何らかの発言があってもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 まず、政府全体としては、先ほど申し上げたような対策をしっかりととっていくということでまずは責任を果たしてまいりたいというふうに思っております。

 それから、幹部人事のことについては、原則として動かさないことが現在の状況においては望ましいということで、私の方から、各大臣それから事務次官の皆さんに、そういった方針で官房として対応するのでということをお伝えしているところでございます。

 御指摘をいただいた個別人事については、まさに人事でございますので、今の段階で具体的なことを申し上げるべきではないというふうに思っておりますが、今申し上げましたとおり、原則としてということでございまして、例えば定年その他の事情等を含めて、個別の事情によっては、できるだけ震災対応等で今人事を動かすべきではないということの原則を踏まえながらも、柔軟に対応するところはあるということも含めて、各閣僚あるいは事務次官等にはお伝えをしているところでございます。

浅尾委員 一般論としては、人事だから今申し上げるべきではないというのはよくわかります。しかしながら、政府として責任があるということをはっきりと言っておられて、政府の中で、まさに責任の当事者について申し上げるべきではないということについては、責任を具体的にどうとるか。

 先ほども申し上げましたように、対応をとっていくということと責任をとるということは私は違うと思いますので、そこについてもう少しはっきりと発言をされた方がいいのではないかというふうに思いますが、その点について官房長官にもう一度質問をさせていただいて、時間になりますので、私の質問を終わりたいと思います。

枝野国務大臣 事務次官等の幹部職員の任免に際して内閣の承認を得るということになっておりますが、直接的な人事権者は経済産業事務次官については経済産業大臣でございますし、内閣全体としては総理等とも御相談をすべきことでありますので、そういった意味では、きょう初めてそういう御指摘をいただきましたので、こういう御指摘が国会であったということは経済産業大臣及び総理にもお伝えをして、その上で、それについてどういうふうに受けとめさせていただくかということを申し上げたいと思います。

浅尾委員 ぜひ、国民にもわかりやすい形で政府としての責任ということをとらえていただくようにお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

荒井委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 四月の内閣委員会で、経済産業省から電力会社への天下りが事実上の指定席となっている問題を取り上げました。

 指定席ということでいえば、公益法人等への五代連続天下りポストの調査があります。総務省の、各府省庁からの再就職者が五代以上続いている独立行政法人、特殊法人等、公益法人のリストであります。配付をしました資料の1、「各府省庁別 いわゆる「五代連続ポスト」数」であります。広い関連業界を持つ経済産業省ですが、それにしては指定席ポストが少ないなという印象を持つ調査結果となっております。

 そこで、経済産業省にお尋ねをします。経済産業省が所管をする法人の一つ、社団法人海外電力調査会の専務理事ポストは、五代以上続けて経産省のOBが再就職しているのではありませんか。

朝日政府参考人 お答え申し上げます。

 確認させていただきました。社団法人海外電力調査会の専務理事につきましては、過去五人、当省OBがいることを確認してございます。

塩川委員 五人、経産省のOBが在職していたということであります。

 二枚目の2を見ていただきたいんですが、「経産省所管公益法人の「指定席」ポスト」ということで、二つの法人を紹介しています。上の段の「社団法人海外電力調査会の「指定席」ポスト(専務理事)」ということで、ここに名前が挙がっている方々が、右側にありますように、専務理事就任期間を見ても、連続して就任をしているというのが見てとれると思います。設立当初から五代以上続けて経産省のOBが再就職している天下りポストであります。

 そこで、総務省の内山政務官にお尋ねをいたします。この総務省の調査にあります五代連続ポストということで、海外電力調査会の専務理事ポストというのはいわゆる五代連続ポストに入っているんでしょうか。

内山大臣政務官 お答えいたします。

 御指摘のございました社団法人海外電力調査会の専務理事ポストにつきましては、公表した五代連続ポストには該当しておりません。経産省よりそもそも報告を受けておりません。

塩川委員 五代連続ポストには入っていないし、経産省からも報告を受けていないということであります。

 経済産業省にお尋ねをしますが、なぜ総務省に報告をしていないんですか。

朝日政府参考人 お答え申し上げます。

 二年以上前の調査でございます。詳しいことははっきりしないところもございますけれども、二十一年の五代連続の調査、極めて限られた時間の中で対応させていただいたものと認識してございます。その中に、在職期間に一部空白期間がある専務理事がおりましたものですから、対象にしなかった可能性があると考えてございます。

塩川委員 一部空白期間があるというんですけれども、どのぐらいなんですか。

朝日政府参考人 一カ月でございます。

塩川委員 重大ですよ。連続ポストと言っておいて、一カ月あいていれば連続じゃないということを経産省は言っているということですよ。

 総務省はこういうのを認めているんですか。一カ月あいていれば連続じゃないということなんですか。

内山大臣政務官 全く認めておりません。

塩川委員 この点で、ごまかし以外の何物でもないことはもう場内の皆さんだれもがお感じだと思いますけれども、五代連続ポストの法人を少なく見せようという意図が見え見えであります。

 この海外電力調査会というのは、基本的に電力会社からの会費によって成り立っている公益法人であります。ここへの天下りというのは、事実上、電力会社への天下りと同じです。こうした経産省と電力業界の癒着を継続するための天下り法人を経産省は報告をしていなかった、ここにまさに癒着を押し通そうという姿勢がはっきりと見えてくる。

 官房長官にお尋ねしますが、この五代連続天下りポストというのは、かつて民主党が野党時代にも追及していたことであります。政権について徹底して是正したかと思えば、見過ごされたままであります。経産省については当然のことでありますけれども、この五代連続ポストの調査、やり直す必要があるんじゃありませんか。

枝野国務大臣 今、三代連続ポストで調査を行っておりまして、実は、本来、昨年度末、つまり本年三月にそれを公表すべく準備をしておりました。ただ、今のようなミスといいますか落ちがないように最終段階の精査をするタイミングのところで東日本大震災が生じたということで、一たん作業をストップしておりますが、できるだけ早く公表するべく最終的な準備を進めているところでございます。

 今御指摘いただいた経産省の例のようなことがないように、しっかりと該当するものは全部公表するべく、できるだけ早く準備を進めたいと思っております。

塩川委員 指定ポストを明らかにするという点では、今官房長官おっしゃったように、三代連続の調査を行っているということであります。五代以上続いているという調査方法では不十分だということであるわけです。

 二枚目の資料の後段ですけれども、「財団法人電源地域振興センターの「指定席」ポスト」、理事長のポストであります。ここは、役員の経歴について経産省から資料をもらって作成をいたしました。

 理事長は、一九九〇年、平成二年から四代続けて経産省の幹部OBであります。この電源地域振興センターの沿革をホームページで見ると、平成二年設立とありますから、一九九〇年設立。つまり、設立から今日に至るまで、理事長ポストは経産省OBの指定席になっております。設立以降、途切れることなく指定席ポストであるにもかかわらず、四代しか続いていないために五代連続のリストに出てこないという点では、今言った五代では不十分だということは明らかであります。

 この電源地域振興センターでありますけれども、二〇〇二年に、電力会社が作成した原発立地給付金の受け取り拒否者リストを自治体が所持していて大問題となったことがありましたが、そのリストを電力会社から自治体に流していたのがこの電源地域振興センターだったわけであります。原発推進のためには住民の思想調査にまで手をかすようなことを行っているという点でも、まさに原発推進ありきだからであります。このような電力業界と経産省の癒着によって、エネルギー政策がゆがめられているということを示しております。

 設立から今日まで経産省OBの指定席ポストとなっていながら、電源地域振興センターは天下りリストから漏れている。こういった三代以上のものをしっかりと出していただきたい。その点と、あわせて、二〇〇〇年以降とかで少なくとも二代でも連続をしているようなこういうOBポスト、そういった法人についても出すことによってすそ野を広くチェックしていく、こういうことも必要じゃないか。

 三代続けてのものをいつ公表する予定なのか、また、二〇〇〇年以降について連続しているようなポストの調査についても新たに行うということが必要だと思いますが、この点について、官房長官、いかがですか。

枝野国務大臣 五代では不十分だ、三代でということで、当時の原口総務大臣の指示のもとに、平成二十二年四月一日現在のもので年度内に発表したいということで準備をしておりましたが、先ほどのような事情で一たんとまっておりますのは、動かし始めましたので、そう遠くない時期に公表できるというふうに思っています。

 そして、引き続き、これは一回、単発ではなくて定点的にしっかり見ていきませんと、一たん途切れたものがまた復活したりとかということがあり得ると思っておりますので、そのやり方については、何年以降ということがいいのか、何代というのがいいのか、ここはちょっと検討、精査をさせていただきたいというふうに思っておりますが、この間調査をしてきたものの公表をできるだけ早くした上で、引き続き、最も効果的な調査のやり方についてできるだけ早く整理をして、そしてこういうやり方でやっていきますということは御報告したいと思います。

塩川委員 しっかりとした調査をさらに重ねることを強く求めるものであります。

 四月十三日の内閣委員会で、私は、東京電力の副社長ポストが経産省、エネ庁幹部経験者の事実上指定席ポストになっていることを示して、石田前エネルギー庁長官の天下り問題を質問した際に、官房長官は、「資源エネルギー庁と東京電力の間について国民の皆さんから広く疑義を持たれているのは、私は当然のことだというふうに思いますし、まさにそのことについては、天下りをした、天下りとされることをした当事者においても東京電力においても、しっかりとこの事態を受けとめていただかなければならないと思っております。」と答弁をされました。

 私は、さらに、電力会社の副社長ポストが指定席になっているのは、東電だけではなくて、癒着の問題というのは電力業界全体と経産省との問題だということを提起いたしました。これに対し、官房長官は、「少なくとも原子力発電、原子力の安全ということについては、万が一の事態が起こったときの影響が大きいということが今回改めて裏づけられたものでありまして、その点に関して、それを指導監督する行政の側と指導監督を受ける側との間にいささかも癒着を生じているというような国民的な疑義があっては許されるものではないというふうに私は思っております。」と答弁をしておられます。

 さきの質問で、私が電力業界への経産省からの天下り状況の調査を要求したところ、それに官房長官はこたえ、経産省として調査結果を明らかにいたしました。そこを見てみますと、石田前エネルギー庁長官は東電の顧問をやめましたけれども、この経産省の調査によると、電力会社にはまだ十三人の経産省幹部OBが現職として残っている。これは三枚目の資料であります。

 それは単なる経産省OBではなくて、十三人中十一人は資源エネルギー庁や原子力安全・保安院の役職を歴任している、このことは右側の欄を見ていただければおわかりだろうと思っております。一番上の北海道電力の場合におきましても、この常務取締役はエネ庁の電源立地企画官ですとか、一連の幹部が天下っているということが見てとれます。

 そこで、官房長官にお尋ねしますが、こうしたエネ庁、保安院の役職を歴任した経産省幹部が電力会社で役員や役員含みの顧問に天下って、現に在籍をして高給を取っているという実態は、石田前エネ庁長官同様、指導監督する行政の側と指導監督を受ける側との間に癒着が生じているという国民的な疑義を惹起する。いささかも癒着が生じているような疑義があってはならないといった趣旨に反するようなことが現在も続いているということじゃありませんか。

枝野国務大臣 塩川委員には大変貴重な御指摘をいただきまして、それを踏まえて、私の発言、そしてその後、海江田経済産業大臣において「電力会社への再就職の自粛について」という指示を出したところでございます。

 その上で、現在の法律のもとでどこまで行政的にあるいは政治的に、過去において再就職をされた方、それもいろいろな事情、経緯があるようでございますが、どこまで踏み込んで申し上げることができるのかどうかというのは、率直に申し上げて、なかなか悩ましい問題だというふうに正直思っております。法律、制度をどう変えるかという話と、現行法では違法ではない問題についてどこまで踏み込んで物を申し上げることが許されるのか。この間、浜岡の件とか、先ほど債権放棄を求めたと受けとめられかねない私の発言等についてもいろいろ御指摘をいただいているところでございます。

 そういった意味では、どこまで申し上げるのが適切か非常に悩ましいところでございますが、まさにこの間のさまざまな国会での議論あるいは国民の皆さんの受けとめ等を踏まえて、それぞれの当事者の皆さんがそれぞれ適切に御判断をされることというふうに期待をしているということにとどめさせていただきたいと思います。

塩川委員 民主党がかつて野党時代に主張していたような、天下り禁止そのものを行うという法改正こそ必要だということを申し上げたい。

 最後に申し上げたいのが、私の追及を受けて、海江田経済産業大臣が電力会社への再就職の自粛を打ち出しました。これは極めて不十分ですけれども、その不十分な基準に当てはめても、現状の天下りに大きな問題が出てくる。

 例えば、資源エネルギー庁の指定職を経験した者が電力会社の役員、顧問に再就職することについて自粛を促すとしていますけれども、例えば関西電力の迎陽一常務は、エネ庁の指定職である電力・ガス事業部長を歴任しています。この点でも、自粛を本当に貫くのであれば、自粛にそもそも反する状況が残されているわけで、指定職以上の地位を経験した者が電力会社の役員に再就職することについては離職後三年以内は自粛を促すともしていますが、これらの幹部OBはほぼ全員が指定職以上の地位にあって、短期間で天下っている。

 ほとんどが不十分な経産省の自粛基準にも抵触しているということで、こういった経産省OBが電力会社で役員を続けていることは石田氏自身同様許されない、こういう癒着をきっぱりと断ち切る天下りの禁止こそ行うべきということを申し上げて、質問を終わります。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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