衆議院

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第15号 平成23年7月29日(金曜日)

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平成二十三年七月二十九日(金曜日)

    午前九時二十五分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      相原 史乃君    井戸まさえ君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      打越あかし君    岡田 康裕君

      奥野総一郎君    金子 健一君

      工藤 仁美君    小林 正枝君

      後藤 祐一君    坂口 岳洋君

      園田 康博君    田中美絵子君

      竹田 光明君    中根 康浩君

      長島 一由君    西村智奈美君

      橋本 博明君    浜本  宏君

      樋口 俊一君    福島 伸享君

      松岡 広隆君    水野 智彦君

      本村賢太郎君    森本 和義君

      森山 浩行君    山崎  誠君

      湯原 俊二君    甘利  明君

      小泉進次郎君    塩崎 恭久君

      菅原 一秀君    平  将明君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      野田 聖子君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

      山内 康一君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (行政刷新担当)     枝野 幸男君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (節電啓発等担当)

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣         与謝野 馨君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     玄葉光一郎君

   内閣官房副長官      福山 哲郎君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   内閣府副大臣       山口  壯君

   財務副大臣        五十嵐文彦君

   防衛副大臣        小川 勝也君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   清水  治君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  大辻 義弘君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十九日

 辞任         補欠選任

  阿久津幸彦君     本村賢太郎君

  末松 義規君     湯原 俊二君

七月二十七日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     穀田 恵二君

同日

 辞任         補欠選任

  穀田 恵二君     塩川 鉄也君

同月二十九日

 辞任         補欠選任

  岡田 康裕君     竹田 光明君

  岸本 周平君     石井登志郎君

  園田 康博君     水野 智彦君

  福島 伸享君     工藤 仁美君

  松岡 広隆君     相原 史乃君

  森本 和義君     奥野総一郎君

  湯原 俊二君     田中美絵子君

  鴨下 一郎君     菅原 一秀君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     松岡 広隆君

  石井登志郎君     樋口 俊一君

  奥野総一郎君     森本 和義君

  工藤 仁美君     金子 健一君

  田中美絵子君     湯原 俊二君

  竹田 光明君     岡田 康裕君

  水野 智彦君     中根 康浩君

  菅原 一秀君     鴨下 一郎君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  金子 健一君     福島 伸享君

  中根 康浩君     園田 康博君

  樋口 俊一君     浜本  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  浜本  宏君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

六月十六日

 戦時慰安婦問題の最終解決を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五二七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五二八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五二九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五三〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五三一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五三二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五三三号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五三四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五三五号)

 TPPへ参加しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五三六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五三七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五三八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五四〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五四一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五四二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五四三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五四四号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七二〇号)

 日本農業と地域経済、暮らしと雇用を壊すTPPに参加しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五四五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一五四六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五四七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五四八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一五五一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五五二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一五五三号)

 子ども・子育て新システムを導入せず保育・幼児教育・学童保育などの拡充を求めることに関する請願(田中康夫君紹介)(第一五五四号)

 同(高市早苗君紹介)(第一五五五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六八九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六九〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六九一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六九二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六九三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六九四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六九五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六九六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六九七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八〇〇号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一八〇一号)

 同(石川知裕君紹介)(第一九四六号)

 同(城内実君紹介)(第一九四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九四八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九四九号)

 同(塩崎恭久君紹介)(第一九五〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九五一号)

 同(竹下亘君紹介)(第一九五二号)

 同(竹本直一君紹介)(第一九五三号)

 同(谷畑孝君紹介)(第一九五四号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一九五五号)

 同(長島忠美君紹介)(第一九五六号)

 同(服部良一君紹介)(第一九五七号)

 同(福田康夫君紹介)(第一九五八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九五九号)

 障害者権利条約の批准にふさわしい国内法の整備に関する請願(金子健一君紹介)(第一五五六号)

 同(木村たけつか君紹介)(第一五五七号)

 同(佐藤茂樹君紹介)(第一五五八号)

 同(田中康夫君紹介)(第一五五九号)

 同(高邑勉君紹介)(第一五六〇号)

 同(西村康稔君紹介)(第一五六一号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一五六二号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第一六九八号)

 同(大西孝典君紹介)(第一六九九号)

 同(梶原康弘君紹介)(第一七〇〇号)

 同(木村太郎君紹介)(第一七〇一号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一七〇二号)

 同(坂口力君紹介)(第一七〇三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七〇四号)

 同(階猛君紹介)(第一七〇五号)

 同(神風英男君紹介)(第一七〇六号)

 同(高木毅君紹介)(第一七〇七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七〇八号)

 同(竹本直一君紹介)(第一七〇九号)

 同(永岡桂子君紹介)(第一七一〇号)

 同(仁木博文君紹介)(第一七一一号)

 同(西野あきら君紹介)(第一七一二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七一三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七一四号)

 同(渡部恒三君紹介)(第一七一五号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八〇七号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八〇八号)

 同(北村誠吾君紹介)(第一八〇九号)

 同(郡和子君紹介)(第一八一〇号)

 同(塩谷立君紹介)(第一八一一号)

 同(下条みつ君紹介)(第一八一二号)

 同(白石洋一君紹介)(第一八一三号)

 同(高木毅君紹介)(第一八一四号)

 同(浜本宏君紹介)(第一八一五号)

 同(福田康夫君紹介)(第一八一六号)

 同(古川元久君紹介)(第一八一七号)

 同(皆吉稲生君紹介)(第一八一八号)

 同(山本公一君紹介)(第一八一九号)

 同(山本有二君紹介)(第一八二〇号)

 同(大串博志君紹介)(第一九六〇号)

 同(玉置公良君紹介)(第一九六一号)

 同(富岡芳忠君紹介)(第一九六二号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第一九六三号)

 沖縄県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一五六三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八二一号)

 同(照屋寛徳君紹介)(第一八二二号)

 憲法改悪反対に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一五六四号)

 愛知県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六七一号)

 大阪府における国の出先機関の体制・機能の充実を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一六七二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八二四号)

 鹿児島県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(徳田毅君紹介)(第一六七三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八二五号)

 岐阜県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六七四号)

 憲法とILO基準に沿った労働基本権の回復を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六七七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一六八二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六八三号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八二六号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八二八号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八二九号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八三〇号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八三一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八三二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八三三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八三四号)

 静岡県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六八四号)

 TPP交渉に参加しないよう強く求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一六八五号)

 TPPに参加しないことに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六八六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九六四号)

 鳥取県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一六八七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八三五号)

 兵庫県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一六八八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八三六号)

 日本国憲法第九条を守ることに関する請願(志位和夫君紹介)(第一七一六号)

 同(服部良一君紹介)(第一七一七号)

 三重県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一七一八号)

 同(坂口力君紹介)(第一七一九号)

 香川県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(大野功統君紹介)(第一八〇二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一八〇三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八〇四号)

 熊本県における国の出先機関の体制と機能充実を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八〇五号)

 同(中島隆利君紹介)(第一八〇六号)

 秋田県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一八二三号)

 青森県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九一六号)

 石川県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一九一七号)

 茨城県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九一八号)

 岩手県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九一九号)

 愛媛県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(塩崎恭久君紹介)(第一九二〇号)

 同(高橋英行君紹介)(第一九二一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一九二二号)

 同(村上誠一郎君紹介)(第一九二三号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九二四号)

 岡山県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九二五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九二六号)

 高知県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九二七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九二八号)

 佐賀県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九二九号)

 島根県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九三〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九三一号)

 徳島県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九三二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九三三号)

 富山県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一九三四号)

 日本軍慰安婦問題の解決を目指す法制定に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九三五号)

 広島県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九三六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九三七号)

 福井県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第一九三八号)

 福岡県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九三九号)

 北海道における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九四〇号)

 同(松木けんこう君紹介)(第一九四一号)

 宮城県における国の出先機関の体制・機能の充実を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第一九四二号)

 宮崎県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九四三号)

 山口県における国の出先機関の拡充を求めることに関する請願(宮本岳志君紹介)(第一九四四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一九四五号)

は本委員会に付託された。

六月二十七日

 障害者権利条約の批准にふさわしい国内法の整備に関する請願(第一二五九号)は「亀井静香君紹介」を「下地幹郎君紹介」に訂正された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 委員派遣承認申請に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 この際、枝野内閣府特命担当大臣、細野内閣府特命担当大臣・節電啓発等担当・原発事故の収束及び再発防止担当大臣及び山口内閣府副大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。枝野国務大臣。

枝野国務大臣 行政刷新を担当する内閣府特命担当大臣として、一言ごあいさつ申し上げます。

 行政刷新会議では、国民的な観点から、事業仕分けの手法を用いて、予算、独立行政法人、公益法人、特別会計等の事業・制度の見直しを推進してまいりました。この改革の流れは、今後、より強化していく必要があると考えております。

 その一環として、各府省に仕分けマインドを定着させていくことが重要であり、行政事業レビュー、いわゆる国丸ごと仕分けを先般の閣議決定に従って毎年実施する等、引き続き無駄の排除、予算の効率的、効果的な活用に向けて取り組んでまいります。

 独立行政法人や公益法人についても、事業仕分けの結果を踏まえ、改革を実施してまいります。特に独立行政法人については、昨年末に閣議決定した独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針のフォローアップを行うとともに、制度、組織の抜本的な見直しの検討も進めてまいります。

 また、公益法人に関しては、新たな公益法人制度のもとでの公益認定等の早期申請を促すとともに、迅速な審査を実施してまいります。

 公共サービス改革については、行政刷新会議の分科会が取りまとめた、調達の改善などの公共サービス改革プログラムの具体化に向け、政府の一体的な取り組みを進めているところです。また、先般、公共サービス改革基本方針を改定し、公共サービス改革法に基づく入札の対象事業の追加等を行ったところであり、今後、この方針に基づき、行政刷新のさまざまな取り組みと連携しつつ、公共サービス改革をさらに進めてまいります。

 規制・制度改革については、本年四月及び先週に、政権交代後第二期の検討を踏まえ、改革方針を閣議決定したところです。

 今後は、本方針に沿った取り組みが確実に実施されるよう、しっかりフォローアップを行うとともに、震災復興や再生可能エネルギーの普及等喫緊の課題にかかわる事項については、できる限り前倒しで改革が実現するよう働きかけてまいります。また、できる限り早期に第三期の検討に着手し、必要な規制・制度改革をさらに進めてまいります。

 オープンガバメント、開かれた政府の実現に向け、情報公開制度の充実を図るため、情報公開法改正法案を今通常国会に提出しております。

 情報公開等に係る不服申し立ての審査については、国民の権利利益の迅速な救済が図られるよう、引き続き着実にその任務を果たしてまいります。

 また、公文書の管理については、本年四月に施行された公文書等の管理に関する法律に基づき、適切に推進してまいります。

 さらに、国民の権利利益の救済制度をより実効性あるものとするため、行政不服審査法の見直しを進め、本年十一月をめどにその改革案を取りまとめてまいります。

 PFI、民間資金等活用事業については、制度の拡充を内容とするPFI法改正法が今国会において成立したところであり、円滑な法施行を図るとともに、東日本大震災からの復興にもPFIが積極的に活用されるよう必要な支援を行ってまいります。

 荒井委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

荒井委員長 次に、細野国務大臣。

細野国務大臣 このたび国務大臣を拝命いたしました細野豪志でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 初めに、東日本大震災により亡くなられた方々とその御遺族に対し深く哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 さて、原発事故の収束及び再発防止担当大臣、節電啓発等担当大臣、内閣府特命担当大臣(食品安全)として、一言ごあいさつ申し上げます。

 六月二十七日、菅内閣総理大臣から、東京電力福島原子力発電所の事故の収束と再発防止の担当大臣を拝命いたしました。同事故は、我が国にとって未曾有の原子力災害であり、国民の生命財産を保護するという国家の役割が問われる事態であると認識しております。かかる事故の早期収束及び再発防止のため、全力を尽くします。

 私は、三月十一日の事故発生以来、海江田経済産業大臣と協力しながら、事故対応の最前線で日夜取り組んでまいりました。

 現在、政府は東京電力とともに、いわゆる道筋に沿って事故の早期収束を目指し、全力で取り組んでおります。これまでのさまざまなトラブルは、現場の大変な努力によって乗り越えました。現在、今月十九日に発表したとおり、ステップ1をほぼ目標どおりに達成し、ステップ2へ移行したところです。

 一、二、三号機では、原子炉から漏出した放射性汚染水を処理、循環させて原子炉へ戻す、いわゆる循環注水冷却を本格的に稼働させています。また、水素爆発を予防するための窒素封入については、一、二号機に続き三号機でも開始し、安定的な封入を継続しています。

 こうした取り組みを進める上で最も重要なことは、現場の作業環境の改善や作業員の健康管理です。政府としては、地下水汚染の拡大防止策といった課題とあわせて、責任を持って取り組んでまいります。

 また、被災者の方々の一日でも早い帰還や安心できる生活に向けた取り組みも必要です。そのため、環境モニタリングの強化、放射性廃棄物の処理、除染の実施などの取り組みを一層加速させてまいります。

 さらに、事故の状況や事故収束に向けた取り組みについて、被災者、国民の皆様及び世界に向けて透明性を確保して説明することが必要であり、わかりやすい情報発信に尽力します。

 事故の早期収束に向けて世界の英知を結集することが重要であり、米国などの関係国や国際原子力機関などの国際機関と密接な連携協力を進めてまいります。

 原発事故の再発防止のためには、関連行政機関の体制整備、強化が重要な課題です。今後、原子力安全・保安院を経済産業省から独立させ、一元的な原子力安全規制機関の創設を念頭に、原子力安全規制に関する新たな組織や制度の青写真を早期に示したいと考えています。

 原子力安全委員会には、今回の事故を踏まえて、原子力発電所に関する総合的な安全評価への関与、安全審査指針の見直しを含め、原子力安全に関する専門家集団としてその使命を果たすことを期待します。

 食の安全は、国民生活に身近な重要な政策テーマの一つです。特に、食品を介した放射性物質の健康影響について、現在、科学的な知見に基づき評価が行われているところであり、これらを情報発信すること等により、国民の安全、安心につながるよう全力で努力してまいります。

 東日本大震災以降、電力の供給力が限られる中、今後とも積極的な情報提供等を通じ、国民の節電への御理解、御協力の確保に努めてまいります。

 障害者施策については、障害者権利条約の締結に向けた制度改革を推進し、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を目指します。その一環として、今通常国会に提出した障害者基本法の改正案は、委員の皆様の御尽力により、修正の上、衆議院では全会一致で可決されました。現在参議院において御審議いただいており、法案が成立しましたら、その着実な実施に取り組んでまいります。

 自殺対策については、自殺対策タスクフォースを中心に、関係省庁や地方公共団体等と連携して必要な対策を強力に推進してまいります。

 あわせて、新たな基本計画に基づく食育、交通安全対策、犯罪被害者等施策の推進のほか、薬物乱用対策、日系定住外国人施策の推進等に取り組んでまいります。

 荒井委員長を初め、理事、委員各位の御理解と御協力をよろしくお願いします。(拍手)

荒井委員長 次に、山口内閣府副大臣。

山口副大臣 おはようございます。内閣府副大臣を拝命いたしました山口壯です。よろしくお願いします。

 内閣委員会との関係では、国家戦略、地域主権推進、地域活性化等の施策を担当させていただきます。

 関係大臣を支え、精いっぱい力を尽くしてまいりますので、荒井委員長を初め、理事、委員、先生方の御指導と御協力を何とぞよろしくお願いします。(拍手)

     ――――◇―――――

荒井委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官清水治君、内閣府沖縄振興局長大辻義弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 おはようございます。民主党の森山浩行です。

 まず、東日本大震災の復旧復興に関しましては、私自身は、民主党の震災ボランティア室、また茨城県の担当というようなことで活動してまいりました。何分にも被災地が広大であるということ、またそれぞれの状況が多様であるということを現場で感じてまいりまして、現場からのニーズが日々刻々と変わる中、なかなか十分な、皆が満足できるような対応というのは難しいところではありますけれども、自治体、警察や消防、あるいは自衛隊、また中央、地方の政府、皆様の日ごろの御努力、御奮闘にまずは敬意を表させていただきたいと思います。一日も早い復興に向けまして、引き続き御努力をお願いいたします。

 ところで、震災の後の状況でございます。今回は東北、東日本の地方で地震が起こった。そして、津波が起こった。もちろん被災地の状況というのは大変です。すべての被災地において、それぞれの復興をしなければならない。しかしながら、そのコントロールセンターがどのように機能するかということが重要であります。

 今回は、東京電力の電力が、原発が動かないということによって非常に減るという事態になりました。計画停電をやったり、あるいはその後もずっと節電という形でやっていく中で、東京という都市の機能、まず一日目は、帰宅困難である、あるいは集まってくることができない、こういう中では首都としての機能、コントロールをする機能自体が著しく低下をした。一番大事なときに集まれないというようなことが起こる。また、その後の電力不足によっては、日々がんがん回さなきゃいけないコンピューターをちょっと節約しなきゃいけないとか、いろいろなことも含めまして、首都としての機能が大幅に低下をしてきたというふうに感じております。

 首都は東京だけでいいのか。一つは、電気の問題あるいはインフラの問題、これで、ほかの地域が被災地であっても影響を受けることがある。もう一つは、首都の直下型地震が言われています、東京自身が被災地になったときに、一体どこがコントロールセンターとしての役割を持つのか。これにつきましては、首都以外、かなり離れた場所に代替機能を持つ部分が必要になってくるのではないかと考えますが、まずは官房長官、必要性についてお聞きをしたいと思います。

枝野国務大臣 今回の大震災、三月十一日から、官房長官として官邸の危機管理センターでの対応を担当させていただきました。この場には私の先輩の官房長官も何人かいらっしゃいますが、率直に申し上げて、これだけの大規模な災害というものに対する対応として、ハード、ソフト両面にわたって現状の危機管理センターが十分であるのか、これは今回しっかりと検証して今後に備えなければならないというふうに思っております。

 と同時に、まさに今回のような大規模な災害が起こりますと、官邸危機管理センターそのものの安全性その他については十分確保されているものというふうに思いますが、周辺地域、電力、水道、ガス等の供給を含めて、そうしたことがかなり広範囲にわたって十分ではない状況が生じたときに、果たして官邸で指揮ができるのかどうかということについては、率直に申し上げて、必ずしも万全とは言えないのではないかという問題意識を持っております。

 立川にもバックアップセンターがございますが、広域、広範な災害等を考えた場合には、東京からある程度の距離が離れたところに一定のバックアップ機能があるということが、今後の大規模災害等に備えた場合において必要ではないかという強い問題意識を持っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。強い問題意識があるということでございます。立川でも近過ぎるんじゃないか、こういう問題意識も含めましてお答えをいただきました。

 ところで、このバックアップシティー、首都機能の代替につきましては、実は議員連盟が超党派でございます。昔から研究を続けてこられたということですが、今期につきましては、去年の十一月から十九回にわたりまして勉強会を重ねております。

 危機管理都市推進議員連盟ということで、私、事務局の次長を務めさせていただいておりますが、その中でも、やはり今の立川は近過ぎるんじゃないかというのが一つ、また、ふだんお使いになっていない、ほとんど使っていなくて建物を管理しているだけで、例えばコンセントの位置がどこにあるのか、電源の状況がどうなっているのか、こういったことをすべて把握している人の人数が少な過ぎるんじゃないか、このような問題意識も出ております。

 そんな中で、ちょうど先週でありますが、首都代替機能の整備の推進に関する法律案の検討に入っております。できれば次期国会に提出をしたいということで議論を進めておるところなんですが、国会側としては、議員連盟という形でありますが、検討を進めてきている、具体的に御提案をしたいと思っている中でございますが、政府の方ではどのように対応をされるのか、体制をつくっていくというお考えはないか。

 六月の三十日で国土交通省の首都機能移転企画課というのが廃止になっております。これは、これまで中央省庁あるいは国会の首都機能を移転するという形、これで進めてきたものは政策局の総合計画課に移転をされているとお聞きをしております。

 そんな状況の中で、私は首都の移転とバックアップ機能というのは別だと考えています。東京を丸ごと移してしまおうという話ではなくて、東京が何かあったときにはバックアップをきちんとしていかなければならないという意味でございますから、このこと自体は後退であるとは受けとめておりませんけれども、政府全体あるいは内閣官房として、リーダーシップをとって体制をつくるなんというようなことはお考えになりませんでしょうか。

枝野国務大臣 先ほども申しましたとおり、そもそもが、まず官邸の危機管理センターのソフト、ハードを含めた体制についても検証が必要であり、見直していくべきところを見直していく、強化をしていく必要があるだろうと。同時に、今申しましたとおり、そのバックアップについてかなりの問題意識を持って検証、検討が必要だろうというふうに思っております。

 そうした意味では、内閣官房の危機管理監のもとで今回の三月十一日以降のさまざまな対応についての検証を行っていく中で、今申しました両面について具体的な検討作業を進めていくことが一番適切ではないかなというふうに思っております。

 率直に申し上げて、まだある意味では危機管理のフェーズが若干残っているという状況でございまして、危機管理監を先頭に、二十四時間、交代で幹部が危機管理センターにいるという状況がつい先ごろまでございましたので、まだ、率直に、具体的にどういう体制でどれぐらいの期間で検討しようかという段階に入っておりませんが、議員連盟における大変緻密な熱心な御検討の資料もいただいておりますので、そうしたことも参考にしながら、ある段階から、今回の危機管理を踏まえた検討の中の大事な柱として、バックアップ機能について検討をまずはしていきたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 非常に大きな問題です。また、首都機能の移転ということであれば東京都が反対だというような状況もあったようでございますが、バックアップということであれば、都知事を含めまして自治体の側も十分受け入れられる、十分検討していこうということであるというふうにもお聞きをしておりますので、今回の震災の後の危機管理という本来業務は当然あるわけですが、危機管理監を中心に今回の具体的なさまざまなことを検討した上で、次の体制をつくっていくんだと。地震というのはいつあるかわかりませんから、それはそれで今の状況を確認しつつ、次に向けても検討を急いでいただきたいと思います。

 例えば三次の補正予算で調査費をつけるとか、そんなことというのは可能なんでしょうか。

枝野国務大臣 大変重要なことでありますので、必要があれば、これは補正を含めて予算をお願いしなきゃならないというふうに思っております。

 ただ、今申しましたとおり、まず、どういう体制でどういう検証を始めていこうかという段階でございますので、そうした検証の中で、予算を確保して、例えば外部にいろいろ検討していただくとか、そういったことが必要な段階になれば、また国会あるいは財務省にいろいろ御相談をしなければならないと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。日本の国全体のために、これはぜひ取り組んでいただきたいと思っております。

 私は関西の選出でありますから絶対関西に持ってこいというような話ではございませんで、ただ、どこがふさわしいのかということをしっかりと考えていただきまして、日本がいざというときにどのようにバックアップしていくかということ、今回のことで本当に我々も痛感をしていますし、政府の皆さんはもっとお感じになっておられると思います。ぜひお願いをしたいと思います。

 続きまして、海洋基本法についてお伺いをいたします。

 日本は、我々、社会の教科書では、小さい国である、島国である、こんなふうに教えられるわけなんですが、実は、アメリカ、オーストラリア、インドネシア、ニュージーランド、カナダに続きまして、世界第六位の領海及び排他的経済水域を持つ大海洋国家であります。この大海洋国家におきまして、基本法をつくって各省縦割りの各法律を改正していくという手法で、抜けがないような形で法整備をするという形で、平成十九年、海洋基本法が制定をされております。

 このやり方というのは、改正の仕方としては、どうしても省庁縦割り、その場その場の問題に対応するという法律のつくり方に対しまして、模範的な改革の仕方ではないかなと考えておりますが、平成十九年以降のこの海洋基本法に基づく本部の実績、法改正などの実績についてお伺いしたいと思います。

市村大臣政務官 森山委員、本当に御質問ありがとうございます。

 まず、海洋基本法において、基本計画を平成二十年三月に決定しております。これまで、海洋の安全につきましては、平成二十一年六月に海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律、そして離島保全管理につきましては、平成二十二年五月に、排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律、つまりこれはいわゆる低潮線保全法でありますが、こうした各法が成立しております。具体的政策を今そうして推進中であります。

 また、経済産業省におかれましては、鉱物の探査に関する許可制度の創設などを内容とします改正鉱業法が、ついこの間、七月十五日に成立したということでございます。このほか、平成二十一年三月には海洋エネルギー・鉱物資源開発計画を本部了承するとともに、平成二十一年十二月には海洋管理のための離島の保全・管理のあり方に関する基本方針を本部決定するなど、海洋基本計画に盛り込まれた施策の実現を図ってきたところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 まず、外に向けて、外国との関係できちんと各省足並みをそろえて交渉していく、あるいは対応していく。海賊行為なんかそうだと思いますが、あるいは乱開発を防ぐために、海底の資源というのは公のものであるということをきちんと定めていくというような形で、領土あるいは領海、こういったものを一体として海洋基本法できちんと線引きをしていく。

 今回は、ARFの会議などでも、中国、アメリカなども含めて海賊についてのお話もされてまいりましたけれども、やはり国としてどのように話をするかというようなこと、対外的なことについては、きちんと一元的にできるようにしていくということで、今の三点については平成十九年のときの宿題であったと認識をしておりますが、今後、こんな課題があるんだということはございますか。

市村大臣政務官 これからは、何といいましても、海洋再生可能エネルギーの開発利用というものを進めていくことが大切だというふうに思っております。洋上風力発電等でありますけれども、海洋基本計画におきましては、こうした技術開発に取り組むこと等が求められております。

 また、昨年閣議決定されております新成長戦略工程表におきましても、洋上風力開発の推進が求められているところでありまして、現在、経済産業省、環境省、また国土交通省におきまして、洋上風力発電等の技術開発を行っております。

 また、今後、海洋再生エネルギーの導入を進めていくためには、これらの技術開発に加えまして、海洋利用におきます関係各者での円滑な合意形成が必要であるということでありまして、関係省庁と協力しまして、これらの諸課題を解決することによりまして、こうした海洋再生可能エネルギーの普及に向けて取り組んでまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 各省の連携が必要だということで、本部に法制チームを置いて、そこに大臣が集まって話をするんだというところで決めていくということが非常に大事な部分かなと思います。省庁縦割りの中央行政というようなことを言われることがないように、各分野でも取り組みをいただきたいというふうに思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、磯谷香代子さん。

磯谷委員 民主党の磯谷香代子です。本日は、質問の機会をいただいて、本当にありがとうございます。

 本日は、震災後の被災地の自殺対策を含むメンタルヘルスケアの体制についてお伺いをした上で、今までとは別の観点からの手法の導入を提案させていただきたいと思っております。

 今、女性議員の一期生で、子どもたちの未来を守る女性議員ネットワークという活動をしておりまして、先週末に私は岩手の陸前高田市に行って、若いお母さんたちや小学生にも意見を聞いてまいりました。震災から四カ月半以上がたちましたが、多くの人々の心はなかなかまだいえません。ただ、今回の震災は、もちろん、規模が広範囲な上に、原発被害はいつ収束するかわかりませんし、先が見えないため、人々のストレスも甚大で、過去の経験の延長だけでは解決できない問題がまだあると思っております。

 また、四月以降、震災後、自殺者数が全国的に増加しているということも大変気になるところです。阪神・淡路大震災以降、こういった大きな被害を出した災害後の心のケアの重要性というのは認識されております。被災後に何年もたってからケアを必要としたケースもありますので、こういった問題に対しては、長期にわたる対策が必要だと思われます。

 そこで、まず細野大臣に、現状の自殺対策と長期的視野での自殺予防対策についてお伺いしたいと思います。

細野国務大臣 磯谷委員御指摘のとおり、被災地では、本当に多くの皆様が家族や友人を亡くし、さらには家をなくされたという状況でございますので、心のケアの問題は大変重要であるというふうに認識をしております。

 政府といたしましては、被災地以外の自治体から心のケアチーム、これは専門家でございますが、派遣調整をこれまで行ってまいりました。また、被災自治体においては、地域自殺対策緊急強化基金、これは積み立てられている基金でございますけれども、これを活用いたしまして、相談窓口の機能強化などを行っているところでございます。

 さらに、この大震災は、かなり長期間にわたりまして被災者の皆さんの心のケアが必要になっているというふうに考えております。そこで、まずは内閣府におきまして、保健師などを中心に、実際に被災地域で活動されている精神科医によるファーストエード講習会というのを開催いたしまして、長期的な人材の育成というものにも努めております。

 政府といたしましては、今後とも、各県並びに関係省庁との連携を一層密にいたしまして、必要な支援を可能な限り迅速に行ってまいりたいと思っております。

磯谷委員 ありがとうございます。

 次に、岡本政務官に現状のメンタルヘルスケアについて伺いたいと思います。

 今、細野大臣のお話もありましたけれども、現地では保健師さんを初めとした専門家のチームの方々がいろいろな対応をしていらっしゃるわけですが、例えば、保健師さんを初めとして、具体的にはどのような体制で活動をしていらっしゃるのでしょうか。少し重なる部分もあるかと思いますけれども、お伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 今御質問がありました被災地における心のケアにつきましては、先ほど細野大臣からお話がありましたけれども、現在、心のケアチームというチームを構成してその任に当たっています。精神科医、精神保健福祉士、看護師等、また保健師の皆様方にも、後ほど御紹介をしたいと思いますけれども、心のケアチームは保健師の活動ともリンクをして活動しております。

 どういった活動をされているかというと、まず一つは、やはり避難所の巡回。そして、今、仮設住宅も随分できてきておりますけれども、もちろん、自宅に避難をされている方も見えますので、こういったお宅への戸別訪問、お邪魔をして、支援をする。それから、行政職員等の支援者の支援をするというようなこともやっております。必要に応じて医療機関との連携をしながら、そのニーズにこたえていきたいというふうに考えています。

 現在の派遣人員の数は、七月二十六日まででありますけれども、延べ五十六チーム、二千八百五十七人の皆さんに活動を行っていただいておりまして、同じく七月二十六日現在、十二チーム、四十一人が現地で活動をしている、このように承知をしております。

磯谷委員 ありがとうございました。

 充実した体制がとられているものと考えております。

 ただ、こういった中で一つ気になっていますのは、今ちょっとお話がありました職員支援者の支援ということなんです。被災者をケアする側の、例えば保健師さんたちの疲れというか負担ですね。多くの方が、御自分も被災しているにもかかわらず被災者の対応を続けていくということは、行政の職員の方も当然ですけれども、そういった方をバックアップする側の保健師さんたち自身も非常に大きな負担がかかっていると考えられます。

 こういった保健師さんを初めとする、ケアをする側へのメンタルヘルスケアについてはどのような対策がとられているのか、お伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 先ほど御紹介しました十二チームというのは、基本的には、被災県ではないところからお越しをいただいて、都道府県ごとに、その都道府県が支援する県を決めまして、例えば愛知県であれば宮城県に行って継続的に支援をしている、こういう絵姿になっています。

 もちろん、被災をされた現地の精神科医の先生が活動していただいている、こういった事例もあるわけでありまして、おっしゃるとおりで、被災された方がまた被災地でそういった心のケアの活動をされている、こういう状況もあると推測されますから、こういった皆さんへの支援ももちろん必要だと思います。

 一方、御質問いただきました、保健師の皆さん方についての、いわゆる、疲労するのではないか、大変な思いをされているんじゃないかということについてのケアでありますけれども、保健師を含む被災自治体の職員について、先ほどの心のケアチームがより専門的な対応を含めて精神的なケアを行っております。

 逆に、実際に派遣をされる皆さん方の派遣の期間について、もちろん、愛知県から宮城県に行く方についても、余り長くお一人の方が行くことのないように、目安としてですけれども、七日程度というような目安をお示しし、また、その方が地元、今の話だと例えば愛知県に戻られた場合には、派遣した自治体において、活動報告とあわせて健康状態の報告を受け、さらに面談を行うなど、適切なフォローがされるようにお願いをしているところであります。

 今後とも、保健師等の皆さんが被災地でしっかり活動できるような取り組みの支援をしていかなきゃいけないというふうに考えております。

磯谷委員 ありがとうございました。

 やはり、こういった方々で、疲れて体調を崩して仕事に出られなくなっている方もいらっしゃるということも伺いますので、そういったケアが充実しているということで、お願いしたいと思います。

 次に、今度は、今のお話にもありましたように、そういった現地に、愛知県から宮城県とか、他県からいろいろ入っている方々が今いらっしゃるわけですけれども、長期的な視野での体制づくりということについて伺いたいと思っております。

 今は各地から支援の職員の方とかボランティアの方がいらっしゃっているんですけれども、今後、当該自治体への引き継ぎということが必ず必要になってくると思います。やはり、一年とか数年後、また五年後ということを考えますと、ずっと外から派遣に来てもらうというのも難しいことだとは思いますので、これらの自治体の自立した保健福祉体制を構築する必要が出てくると思っております。

 こういった引き継ぎなどを今後どのように移行していくのか、具体的に対応を考えられているのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

岡本大臣政務官 先ほどお話をしましたように、同じ都道府県の方が同じ自治体を支援するという絵姿にしているのは、まさにそういう継続性を一つ重要視しているからでもありまして、いずれにしても、今委員から御指摘がありましたように、中長期にわたる継続的な心のケア体制をどうつくっていくかというのが重要です。

 まず、やはりどういうふうに人員を確保するのかというところがありまして、そういう意味では、地元の医療機関等、保健福祉サービスの機能を持っているところ、こういうところにやはりお願いをしていくということになろうかと思います。こういうところの皆さんにしっかりと引き継いでいくということももちろん重要でありますが、長期間活動できる専門職の皆さん方をどのように確保していくかとかいう課題については、厚生労働省職員を被災三県等に派遣するなど、地元自治体の御意見を踏まえながら今後検討していくべき課題であろうというふうに考えております。

磯谷委員 ありがとうございます。

 そういった長期的視野での体制について、今後ともスムーズに進んでいくことを期待しております。

 そして、体制について今ちょっとお聞きいたしまして、ここからは、私の新しい、新しいといいますか、今までとは別の観点からの手法の導入の御提案なんです。

 まず、ストレスというのはやはり人によって内容が当然違いますし、また、同じような内容でも影響を受ける度合いというのが全く違うもので、個別対応じゃないとストレスの解消というのはなかなか難しいということをよく言われております。

 そして、もう一つ大きな問題が、今度、援助する側、例えば保健師さんだったらいろいろと知識があるからいいんですけれども、援助する側の聞き方とか態度によって、やはり被災者に不快感を与えてしまうという現実もございます。

 五月ごろなんですけれども、ある同僚議員がある避難所に出向いたところ、入り口に、まずメディアの取材お断りというものと、心のケアお断りという張り紙がしてあったということなんですね。これは多分心のケアのプロのことではないと思うんですけれども、被災した後にいろいろな方がいろいろなスタンスで被災地に入っていらっしゃったという中で、心のケアということが非常に現地で、中には、ちょっと立ち入ったことを聞いてしまうとか、あと、専門家の方であっても、アンケートをいろいろととってしまって、あなたの今の心境はどうですかというサンプルにしてしまうようなアンケート調査を行った人がいるということもあったらしいんですね。

 こういった被災者の心を傷つけるようなケースがその避難所ではあったのかなと思うと残念ですし、やはり被災直後なんかですと支援に入る側も非常に興奮状態で入っているものですから、被災している側の方の微妙な変化とかそういうことに気がつけずに、カウンセラーというある程度学習をしている方であっても、自分が興奮状態で相手に接してしまうと、やはり受け取る側というのは非常に不快感を持ってしまうということが考えられると思うわけです。

 カウンセリングというのは、通常、会話で相手の心をほぐすとか悩みを聞くとかという形になるんですけれども、なかなか会話だけでは解決しない問題というのもたくさんありまして、こういったことにどのように今後対応していくかというのもすごく大きな問題だと私としては思っております。

 そこで、私が申し上げたいことというのは、まず、ストレスの内容は人それぞれなんですけれども、ストレスを受けている人というのは、非常に体に力が入っていて、かたくなっているという傾向があるんですね。この場合は、体に直接アプローチしてリラックスをしてもらうことで心も体も軽くなるということが考えられるわけです。一般的には、例えばストレッチみたいな軽い運動をすると体がほぐれます。

 もう一つは、私は、十年前に、二年弱ですけれども、リフレクソロジーという足裏健康法の全国展開のサロンで働いておりまして、そこで足裏刺激の施術者として、なかなか評判もよかったんですけれども、働いておりました。自分で言っちゃうんですけれども。

 薬事法の関係でいくと、効果、効能というのは余り言えないんですけれども、足の裏というのは、一応、第二の心臓と言われていまして、そこを刺激することで全身の血行がよくなるんですね。そうすると、体調が整って、睡眠も深いというか、朝、目が覚めるときに大変楽であるというお話なんかもお客さんからはよく聞いていました。

 こういった心と体の両面に直接働きかける新しい手法として、もう一つ、本日、私が一番申し上げたいんですけれども、東洋医学のはりのつぼを軽くタッピング、たたくことで、ストレスとかトラウマ、あとPTSD、それからうつを数分で軽減させることができる心理療法で、TFTという手法があるんです。これは、経絡のつぼをたたくというのを発見したアメリカの心理学者、キャラハン博士という人がいるんですけれども、日本語では思考場療法と呼ばれておりまして、最近注目されています。日本に導入されたのは、多分十年前ぐらいなんですけれども。

 これについてなんですが、私自身の最近の経験でいきますと、ちょうど半月前ぐらいに、ちょっと怒りで手が震えるぐらいの思いをしたことがあって、久しぶりにノルアドレナリンという怒りのホルモンを脳内に感じることがあったんですよ。こういう手が震えるような怒りであっても、具体的には、目の少し下、二センチぐらい下のつぼを五回ぐらい軽くたたいて、わきの下、十センチぐらい下のところを五回ぐらいたたいて、鎖骨下のつぼを五回ぐらいたたいて、これはストレスを消すTFTの手法なんですけれども、これを五回ぐらいやっていたら、何とか平常心に戻ってきたわけです。昨今、何かとストレスの多い永田町の皆さんにもぜひ活用していただきたいテクニックだと本当に思っているんです。

 このTFTというのは、二〇〇七年の新潟中越沖地震の被災者であるとか、二〇〇七年の十二月に長崎県佐世保のスポーツジムで起きた猟銃乱射事件の関係者に活用されていまして、佐世保の事件というのは、猟銃を持った犯人がスポーツジムの中を走り回ったりして、それを目撃した人とかいろいろな人がもう大変な衝撃を受けていたわけですね。通常、こういったショックを受けると割とPTSDを発症することが多いんですけれども、このTFTの手法を使うことで、今、だれもPTSDを発症せずに勤務を続けることができているんです。

 こういうこともありまして、今回の東日本大震災でも、被災地の医療機関でも既に一部活用されているんです、セルフケアでも使えることで紹介されています。ただ、まだちょっと認知度が少ないものですから、つぼをたたいてストレスを消すということを直接紹介しても、聞いた側がなかなか理解できずに、受け入れてもらえていないという実態もあります。精神科医の先生方がいろいろと使ったりしていただいているんですが、なかなかまだうまくいっていないのが実態です。

 ただ、このように自分でケアできる手法を各自が知ることで、住民同士で対応することができますので、私が今一番考えているのは、これをどのように皆さんに知っていただくかということが一番の大きな課題なんですね。例えば、これは厚労省さんになるかなと思うんですけれども、リラックスするためにというようなリーフレットをつくっていただいて、ストレッチをするとかマッサージをするとか足裏健康法の刺激をするとか、こういったTFTもありますよというようなことをお伝えいただけるといいのではないかと思っています。

 セルフケアを使うことで医療費や福祉費の削減などにつながるものと思っておりますので、こういったことを広げていきたいと思うんですが、岡本政務官に、こういった活動、新しいというか、直接体に働きかけるような活動を広めていくことについて、前向きな取り組みをお願いしたいと思うんですけれども、御意見をお聞かせいただければと思います。

岡本大臣政務官 今、御自身の体験を含めていろいろお話をいただきまして、恐らく、このTFTの話は、ここに見える委員の皆さん、大分御認識が深まったんじゃないかと思っております。

 私も、浅学にて、このTFTというのは委員からの御質問を受けて知ったところですけれども、実際にこういうさまざまな方法でそういった心のケアをしていくというのは、いろいろと提案をされていると思います。

 我々も、生活支援ニュースなどを通じて被災地の皆さんにいろいろ御紹介していますし、また現地でペーパーをつくってお配りをしたりしています。簡単なものですと、今委員がおっしゃらなかったもののうちでいうと、例えば深呼吸してみるというのも一つのリフレッシュの方法かもしれません。そういうそれぞれの方々に合ったリフレッシュの方法。

 それから、先ほどのメンタルケア、心のケアでもそうですけれども、やはりどんなにすばらしいカウンセラーの方でも、その相手との、人と人との波長というんでしょうか、この人とだとうまくいくんだけれども、すばらしい先生でもこの人とはちょっとうまくいかないとか、そういう人と人との関係というのもありますし、さまざまなファクターがあるとは思いますが、いずれにしても、被災地の皆さん方の心のケアは大変重要だと思っておりますので、しっかり対応をしていきたい、このように考えております。

磯谷委員 ありがとうございます。これは本当に自殺対策にも応用できることですので、細野大臣にもぜひ御活用いただければと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

荒井委員長 次に、階猛君。

階委員 民主党の階猛です。本日は、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 先ほど磯谷議員の方からTFTという私にとっては耳なれない言葉が出ていましたけれども、きょう、私の方は、ILC、こちらも耳なれない言葉かもしれませんが、このアルファベット三文字を中心に御質問させていただきたいなと思っております。

 私は岩手県選出の議員でございますけれども、岩手県の被災地、今も大変な状況で、例えば陸前高田市でいえば、被災前二万三千人だった人口が、死者・行方不明者が二千人、それ以外の社会的な流出も含めると、二千人プラス三千人、五千人減って、今一万八千人ぐらいしか人口がいなくなっているそうです。

 また、きのうは農業の方々と意見交換をする機会がありましたけれども、御案内のとおり、今セシウムの肉牛の問題がいろいろ問題になっていますけれども、それを受けて、やはり米づくりをされている農家の皆様も、堆肥が田んぼにいろいろ入っているということで、これから稲作にも影響が出るのではないかということで大変不安に思っている、そういうお話も聞きました。

 いろいろな不安が広がる中で、明るいニュースというのもなかなかないわけでございますけれども、きょう皆様に御紹介したかったのは、このILC、資料の一をごらんになっていただきたいんですが、与謝野大臣が先日、岩手の地元紙に、「科学の未来 岩手中心に」という大きな見出しが出ておりますけれども、国際リニアコライダー、ILCを日本に誘致したい、そして岩手にその拠点を置きたいということをインタビューで答えられております。

 今、世界最大の加速器というのは、スイスのジュネーブにあるLHC、これもアルファベット三文字ですが、ラージ・ハドロン・コライダーというものだそうです。今回のILCというのはそれをさらに上回るものでございまして、資料の二を見ていただきたいんですが、「一兆分の一秒の世界を再現し更に初期の宇宙を解明する」と一番下に書いておりますけれども、加速器の性能が上がれば上がるほど、初期の宇宙の状態がどういうものかということの解明につながるわけでございまして、今最先端を行っているのがLHCでございますけれども、それをさらに上回る、世界にただ一基というリニアコライダーを誘致したいと。

 ちなみに、日本は、BファクトリーとかJ―PARCというのが有名でございまして、例えばBファクトリーの方ではノーベル賞の小林さん、益川さんの理論の証明に役立ったり、あるいはJ―PARCの方では小柴さんのニュートリノ理論に役立ったりということで、既にこの加速器の分野ではかなり成果を上げているということでございます。

 これを導入することによっていろいろな波及効果があるということで、資料の三でございますけれども、この拠点、国際素粒子・エネルギー研究所というふうに仮に呼ばせていただきますけれども、これを岩手に設ければ、その研究で得られた成果を利用して、重粒子線治療装置というのが一番下に書いてありますけれども、「正常な細胞をあまり傷付けることなく、病巣へ直接照射できる高度ながん治療装置」、こういうものができるようになる。これを活用した国際先端医療拠点というのを福島の方につくる。復興構想会議の方でも福島に医療拠点をつくると言っていますけれども、それにも資するのではないか。

 また、原発の問題で、六ケ所村等々で核廃棄物の処理をどうするんだということが議論になっていますけれども、新エネルギー研究拠点ということで、「核廃棄物中の半減期数万年の長寿命核種に中性子を照射し、半減期数百年の短寿命核種にして環境負荷を低減」、これは右の上の方に書いていますけれども、そういう核廃棄物の安全化にも資するということで、多方面に活用できる。

 ちなみに、先般、平泉が世界遺産に選ばれましたけれども、世界遺産に選ばれた白神山地もありますし、そういう東北の観光資源と結びつけることも可能ではないかというふうな構想もあります。

 そういったことを踏まえまして、次の資料四をごらんになっていただきますと、見込まれる効果ということで、経済効果として、ILC関連で国際科学研究都市をつくった場合に、初期段階、おおむね十年で約五・二兆円。ちなみに、この初期段階というのは、大体二十年ぐらいはこの活動はやられるそうなので、単純計算しますと十兆円ぐらいの効果はあるだろう。それから、雇用効果についても、これは研究都市をつくる段階で二・五万人、それから運用段階に入ると一・一万人、それぞれ一年当たりの雇用効果が生まれるということでございます。

 もちろん、それなりにコストもかさむわけでございまして、このページの左下に書いていますけれども、ILCの建設コスト約八千億円、運営コスト約二百から四百億円、これはいずれも国際分担でありまして、大体半分ぐらいが日本の負担になるだろうということです。

 それから、注意していただきたいのは、ここで言っている試算というのは二〇〇七年八月の円レートで計算したものでございまして、私がちょっと計算すると、今の例えば一ドル七十七円の世界でいうと、建設コスト約八千億円は五千億円ぐらいになりますから、日本の負担分は二千五百億円ぐらいで済むということになります。

 そういったことを踏まえてこれからこの検討を進めていくと、資料五にありますけれども、二〇一二年に、それまでの検討の結果を踏まえて具体的なこのリニアコライダーの設計の方針みたいなものが固まってくる、そこから政府間の協議が始まりまして、どこに設置するかというのが決まってくる、こういうタイムスケジュールでございまして、残された時間はもう余り多くないということでございます。

 前置きが長くなりましたけれども、与謝野大臣、与謝野大臣は財政再建派だということで、ふだんお金を出すことには厳しいというふうに私は認識しておるんですが、そうした中で、この資料一の岩手日報の記事のような、非常に未来に向けて、私は復興の大変目玉になるプロジェクトだと思います。これを推進していくというふうに決断された理由をお聞かせ願えますか。

与謝野国務大臣 実は、スイスのCERNの研究所にも日本は相当資金を提供して、このCERNというのは国際的な研究所です。日本も世界じゅうの人たちが集まってくる研究所が欲しいな、そこで世界最先端の研究をするということは、日本にとっても意味があるし、世界人類のためにも意味がある、そう思っておりまして、最初の試みは、核融合炉を日本で次世代のものを建設したらどうかということで運動したんですけれども、これはフランスにとられてしまいました。

 このリニアコライダーというのは、電子と陽電子を加速して直線的に当てるという素粒子の研究の本当に最後の最後、非常に世界じゅうがやりたいと思っている研究なんですが、各国とも、ヨーロッパは既にCERNを持っている、アメリカは予算からいってなかなか難しいというので、世界の期待は実は日本に集まっている。

 その中でも、岩手県というのは日本の中では最もかたい、非常に安定した地盤を持っている、そういうことで、国会の中でも、私が会長で、鳩山由紀夫先生を副会長にして、リニアコライダー推進議員連盟というのを今から六、七年前につくりまして、遅々として進まなかったんですが、今回の震災の後、達増知事の方からこういう案が出てまいりましたので、私は、驚くと同時に大変喜んで、達増知事がそういう発想を持っておられるのなら、一議員としても、また、今は閣内におりますけれども、達増知事あるいは宮城、福島の方々のそういう熱意を全面的に応援したい、今そういう気持ちでおるわけでございまして、岩手県初め東北の皆様方の熱意が特にこういうことには財布のひものかたい財務省を動かすということを期待しておりますし、私も一役買いたいと思っております。

階委員 ありがとうございます。ぜひ、財務省の手のうちを知り尽くしている与謝野大臣、財布のひもを緩めるお力添えをお願いします。

 それで、きょうは復興担当の山口副大臣にもいらしていただいております。復興の目玉としてほしいという私の思いなんですけれども、現に復興の方針などの中にもこの点は十分反映し得るのではないか、ILCは復興の方針の中に十分取り込まれているんじゃないかと思えるような記述があるので、若干紹介します。

 例えば、資料の六を見ていただきたいんですが、まず「基本的考え方」として、ローマ数字3で、「復興は、復興基本法第二条の基本理念及び復興構想会議が定めた復興構想七原則にのっとり推進。」とありまして、しからば、基本法第二条はどういうことを書いているかというと、資料七でございますけれども、第二条第一号、上から六、七行目です。「単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策及び一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることを旨として行われる復興のための施策の推進により、新たな地域社会の構築がなされるとともに、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべき」、こういうくだりがあります。

 それから、復興構想七原則、資料八でございますけれども、原則の三に、「被災した東北の再生のため、潜在力を活かし、技術革新を伴う復旧・復興を目指す。この地に、来たるべき時代をリードする経済社会の可能性を追求する。」同じく原則五で、「被災地域の復興なくして日本経済の再生はない。日本経済の再生なくして被災地域の真の復興はない。この認識に立ち、大震災からの復興と日本再生の同時進行を目指す。」といったような記述がございます。

 そのほか、資料六の中には、「地域経済活動の再生」の中で、研究開発の推進により産業集積、新産業創出及び雇用創出などを促進していくとか、「世界に開かれた復興」ということで、日本ブランドを再構築したり、あるいは外国からの投資促進やポイント制活用により高度外国人材の受け入れ促進をしたり、あるいは、先ほども申し上げました、福島県での医療拠点を設けて、こういうこともあります。

 ですから、こういったもろもろの復興基本方針に沿うものとして、このILCプロジェクトをぜひ復興本部として取り上げていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

山口副大臣 先ほどの基本法、確かにこの二条等、これは私も修正協議をやらせていただいて、自民党あるいは公明党の方からこういうアイデアも、人間の復興という言葉も入れながら、入れさせていただいたような次第です。その中で、今までに戻すだけではなくて、もっといいものをつくろう、それからまた、東北の復興を契機にして日本に突破口を開けていこう、こういう理念を盛り込ませてもらったような次第です。

 東北において科学技術の振興を図るということは、被災地の復興のみならず日本全体のこれからの再生にとってはとても大事だということは、私も存分に共有させてもらいたいと思います。

 このリニアコライダー、実は、階議員の資料の三ページ目になるんですけれども、播磨というのは私のところになりますが、SPring8というのが書いてあります。これは、今まで見えなかったところが見える、そういう光を放射光ということでつくっていくんですけれども、そのことによって、今、階議員から説明のあった重粒子の治療の件、これは今三百万円かかるんですけれども、でも、前立腺がんとかはほとんど一〇〇%治るんです。これは手術なしで治せるものですから、世界からもいろいろ来たりしてということで、階議員の今の説明をお聞きして、確かに、世界の人、物、金をこれからどうやって回していくかという中で大きな突破口になるんじゃないかということはよくわかります。

 何か費用的に、先ほど換算したら大体五千億円という話もあったんですけれども、昔の値段で八千億円、あるいは運営費を入れればもうちょっと高いかなということで私の頭もできていたんですけれども、今、階議員のおっしゃっていただいたことも踏まえて、じっくり検討させていただければと思うんです。

 達増知事もそうやって言っておられる、あるいは、地元でそう言っているのみならず、私たちも全国でのこの意味もよくわかりますので、文部科学省も交えながらしっかりと検討させてください。お願いします。

階委員 国家戦略担当の玄葉大臣にもぜひお伺いしたいんですが、資料の九というのをごらんになっていただきたいんですが、この加速器のプロジェクトを進める場合にいろいろな省庁がかかわってこられます。内閣府とか経産省とか文科省とか厚労省。先ほど申し上げました既存のJ―PARCなどは文科省がやっているわけでございますけれども、文科省の年間のこの分野の予算というのは三百億程度でございまして、とても文科省だけでは対応し切れない。

 また、復興本部にもぜひ中心になってやっていただきたいんですが、ちょっと期間的に長かったりするものですから、復興本部という枠だけじゃなくて、十年、二十年というふうに期間がかかるということも考えれば、国家戦略として、ぜひ国家戦略担当大臣のところで、司令塔としてこのプロジェクトも推進していくということを表明していただけるとありがたいというふうに思っております。玄葉大臣の方からぜひ御見解をお願いします。

玄葉国務大臣 国家戦略担当大臣と同時に、実は科学技術政策の総合調整をさせていただく担当もしているところでございます。

 まさに本日、総合科学技術会議を開きまして、第四期の科学技術計画の見直しについて総理と関係閣僚に意見具申をさせていただいたところでございます。

 同時に、毎年毎年、科学技術の予算をどう使うかということについて、概算要求前に、こういう方向で使うようにという、いわば重点化の方針を、実は民主党政権になってから、ここにいらっしゃる津村さんなども中心になったんですけれども、事前に示すということで、実はきょうお示しをした、こういう状況にございます。

 今のリニアコライダー、ILC、まさに与謝野大臣がおっしゃったように、私の記憶でも、ITERの誘致があって、その後このILCの話が出てきたというふうに記憶をしているところでございます。

 この素粒子物理学は、まさに、スイスで研究が行われているということですが、こういった国際関係の動向をやはりよく見きわめなきゃいけないというのと、先ほど階議員がとてもわかりやすい解説をされておられましたけれども、確かに、日本はこのBファクトリーという分野は得意分野だということに今なってきていまして、実のことを言いますと、現時点の位置づけは、この大型の学術研究のプロジェクトについては、まさに今は研究者レベルで検討が行われている段階なので、このBファクトリー高度化の終了後の計画として位置づけるべきだというふうになっているということであります。

 ですから、もちろん、先ほど、財務省の手を知り尽くしている与謝野大臣にきちっと切り込んでほしい、こういう話もありましたけれども、科学技術予算全般の中でどう重点化していくか、この素粒子の問題、そしてこのILCそもそもの問題についてどう位置づけていくべきかということについては、総合科学技術会議も含めて、あるいは、これから科学技術イノベーション戦略会議に改組しようと思っていますけれども、そこでしっかりとやはり議論して位置づけをしていかないと、せっかくの立派な絵図も、結局のところ、またITERみたいになっちゃうということになりかねませんので。

 ただ、急ぐという気持ちはよくわかるので、このあたり、ステップ・バイ・ステップと言いつつ、大事な問題提起をいただいたというふうに認識をしたいというふうに思います。

階委員 時間が来たので終わります。

 私は、このプロジェクトというのは、単に岩手のためにやるのではなくて、東北全体のためであり、また日本全体のためであり、さらには世界のためにもなる、こういう大きな広がりを持つプロジェクトなので、先ほど言ったように、省庁縦割りの中で、ここではできません、あそこではできませんということではなくて、ぜひ国家戦略の一つとして、玄葉大臣、国家戦略担当として何とぞ御英断の方をお願いしたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

荒井委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

荒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 本日は、内閣委員会の一般質疑の時間を使わせていただきまして、理事の先生方の御配慮で一時間もいただきまして、今年度末に期限切れを迎えます現在の第四次沖縄振興計画、これは今年度で切れますので、その後に、来年度以降の新しい振興のあり方を今議論しなければいけないわけでございますが、この沖縄振興をどう推進していくのかということにつきまして、政府の関係各省の皆様と議論をさせていただきたいと思っております。

 本来この議論は、私も今理事を務めております沖縄北方特別委員会でされるべきものなんでございますが、実はこれは自公政権時代からそうなんですけれども、なかなか沖縄北方特別委員会が開催されないということで、こういう沖縄や、あるいは北方領土も同じですけれども、大事なテーマがあっても、実は国会の場でなかなか議論されない。

 そこで私、悩みまして、実は私も今、公明党沖縄方面議長をさせていただいておりまして、参議院に初当選した十年前から那覇市に事務所を置いて政治活動をしてきているわけでございますが、内閣委員会は内閣府も所管しておりますので、ぜひこの委員会でじっくりと議論させていただきたいということでございまして、委員長初め委員会の同僚議員諸兄の御理解を賜りたく、冒頭お願いを申し上げます。

 さて、早速一問目でございますが、沖縄県の方から、来年度以降の沖縄振興につきましては、県民各界各層の英知を結集する形で、昨年、沖縄二十一世紀ビジョンが策定され、公表されております。そして、さまざまな提言が政府になされているわけでございますが、その中でも最も大事なのが、仮称でございますけれども、沖縄振興一括交付金というものの制度の創設でございます。

 お手元に資料をお配りしておりますが、資料一を見ていただきたいと思います。五点、重点事項が書かれておりますが、これが昨年の暮れ以来、沖縄県から政府に出されている重点的な要望項目でございまして、この二番目に、私が今申し上げました「沖縄振興一括交付金(仮称)の創設による予算の確保、及び使途の自由度の確保」という項目があるわけでございます。これは、与党民主党の地域主権改革の一丁目一番地とも呼ばれている一括交付金制度導入の公約、与党の公約を踏まえて、沖縄側が、ぜひとも、沖縄県への今までの補助金、交付金を原則廃止して、国が使途を限定しない自由度の高い交付金として沖縄振興予算を直接県に交付してもらいたい、こういう制度でございます。

 沖縄県は、このような形で十分な財源を確保した上で、沖縄に合った形で、これからの振興を主体的に自立的に進めていきたいと希望しているわけでございます。公明党の中でもさまざまな議論をさせていただきまして、結論から申し上げますと、沖縄県のこの方針を支持するということを決めたわけでございます。

 私も先日、六月一日でございますが、きょう御出席の福山官房副長官もいらっしゃいましたし、逢坂政務官もいらっしゃいましたが、沖縄北方特別委員会で枝野沖縄担当大臣に、この一括交付金の実現に向けてどういうお立場か伺いました。枝野大臣の御発言をそのまま引用しますと、「沖縄の御要望を、来年度から一気に、全部できるかということは別としても、踏み込んでまいりたい」と、文字どおり踏み込んだ発言をされたわけでございます。

 それから、もう一点御紹介したいのは、七月の八日に、民主党沖縄協議会という組織があるのを初めて知りましたけれども、この名前で、一括交付金の創設に関する申し入れを枝野沖縄担当大臣・官房長官にされているわけでございます。

 私が民主党の文書を資料で配るのもなんだと思ったので配っておりませんけれども、民主党の政策文書から引用させていただきますと、こう書いてあります。「内閣府沖縄担当部局予算として計上されている補助金・交付金を原則廃止し、使途を限定しない自由度の高い交付金として交付すること。 なお、概算要求にあたっては、各省別ではなく内閣府が一括して要求し、予算計上するとともに、交付金の交付にあたっても各省への移替えは行わず、内閣府が直接交付すること。」

 まさに、私ども公明党も全面的に支持する表現で政府に民主党が申し入れているわけでございます。

 そこで、まず、福山副長官に改めて、これは私は六月一日に枝野大臣と議論しているわけでございますが、その後に民主党さんもこうやって申し入れをされている。我が党も、実はあした山口代表が沖縄を訪問しまして、県知事とお会いした上で、明確にこの政策を支持することを表明するわけでございますが、民主党も公明党も言っているわけでございまして、政府としてどういう現在の立場なのか、お答えをいただきたい。

 また、その後に、玄葉大臣の方には民主党の政調会長としても、この政策についてどういう方針なのか、お答えをいただきたいと思います。

福山内閣官房副長官 遠山委員にお答えを申し上げます。

 遠山委員におかれましては、本当に長年にわたりまして、沖縄の発展、そして住民の皆さんに近いところで御発言をいただき、御意見をいただいておりまして、心から感謝を申し上げる次第でございます。

 今の一括交付金の問題でございますが、御案内のように、さまざまなところからこの一括交付金については提言を承っておりますし、一番大きなものでいえば、沖縄県の二十一世紀ビジョンの中にやはりこのことが含まれているというのを政府としては重く受けとめなければいけないと考えているところでございます。

 そして、現実には、先日、七月の二十五日に沖縄振興審議会において政府に対する意見具申も行われているところでございまして、政府としては、この沖縄振興審議会の意見を受け、そして公明党さん、さらには民主党の提言を受けた中で、国の責務としての沖縄の振興策を勘案しながら、より自由度の高い沖縄の一括交付金化を検討してまいりたいと今鋭意検討しているところでございますので、そのように御理解をいただければと思います。

玄葉国務大臣 いつも内閣委員会で遠山議員に建設的な御議論をいただいて、本当にありがとうございます。

 ただいまの質問でございますけれども、おっしゃるとおり、一括交付金というのはもともと民主党が地域主権の一丁目一番地にしていた。さまざまな評価がございますけれども、約五千億、まず県に対して、これは沖縄県というよりは全国の県に対して、最終的には、先ほどの鋭い質問の一つのワードなんですけれども、移しかえはしたんですが、一括交付金という形で配らせていただいた。最初、都道府県知事から実は評判が悪かったです。しかし、だんだん使ううちに、あるいは運用するうちに評判がよくなってきたというのが率直なところではないかというふうに思います。

 それで、今お尋ねの沖縄の一括交付金につきましては、実は、私のもとというよりは幹事長のもとにこの沖縄協議会というのがございまして、ここにいらっしゃる大島委員が責任者でこの提言をまとめたということでございます。

 実現するということにしなければなりませんから、当然、官房長官とも話をしながら、この問題について今検討しているところでありまして、まさに現実的に最も効果的な方法は何かということをきちっと見定めながら、今おっしゃったように、移しかえする、しないというのは結構最終的には大事なポイントになってくるかというふうに思いますけれども、一年ですべて、一回で済むかというと必ずしもそうはならないんだろうというふうに思いますので、そこは現実的かつ段階的に、最も効果的な方法を県とも相談しながら、また、ぜひともこれは遠山議員とも、あるいは公明党全体とも御相談をさせていただきながら進めていければな、そう考えておりますので、むしろよろしくお願いを申し上げたいと思います。

遠山委員 大変前向きなお答えだと思いますが、一方で、福山副長官がおっしゃったように、まだまだ検討中という表現が出てきてしまう段階だと思いますが、時間はだんだん迫っていると申し上げざるを得ないわけでございます。

 それは、つまり、来年度の概算要求、この後質問させていただきますが、その期限が、通常八月の中旬ですが、今回は大震災の対応がありますから九月中旬と仄聞しておりますけれども、それを考えますと、今はもう七月の末ですから、来月中には来年度の概算要求でこの沖縄振興予算をどう扱うのかということについて考え方を与党・政府の中でまとめていただいて御提示をいただかないと、なかなか今の前向きの御答弁も裏づけがとれないということになりますので、その辺の努力をお願いしたいと思います。

 その上で、今、玄葉大臣がおっしゃったように、この一括交付金化するという改革は非常に重要な改革だと思っておりますし、これができれば、私は、民主党政権に政権交代をしたことの積極的意義がもう一つ加わるんじゃないかなと。余り数多くないんですよ。数多くないんですけれども、加わるんじゃないかと思うぐらい。

 ただ、それはなぜかといったら、官僚機構から相当抵抗があるんです。抵抗があります。実は、沖縄の地元の新聞の報道では、かなり官僚の皆さんに取材をして、匿名でいろいろな言葉が引用されているんですね。

 沖縄北方特別委員会でも私は紹介しましたが、沖縄が要求している、今年度予算では二千三百億ですが、沖縄県は三千億円にしてもらいたいと。これも後で聞きますけれども。そのお金を県に直接交付なんてしたら、お金がブラックボックス化して、つまり使途不明金がたくさんふえるから、そんなものは財政規律の上からできませんよという批判をある官僚が匿名でしたとか、あるいは、一括交付金として県に渡した場合に、今度は市町村分が減るんじゃないかと。つまり、県に全部裁量を預けたら、市町村の今まで国から直接もらっている補助金、交付金が減らされるんじゃないかという懸念がある。あるいは、国の直轄事業というものが今年度ベースの二千三百億のうち一千億円あるわけですけれども、国の直轄事業ですから各省庁が直接沖縄を舞台にやっている事業を、果たして本当に県ができるんですかと。

 こういったさまざまな懸念がありまして、最初のブラックボックス化するなんというのは、私は、典型的な役人のためにする批判であって、ぜひ民主党の政務の皆さんにも関心を払わないでいただきたいと思うわけでございますが、他方で、ほかの批判については、私ども公明党の中でも真摯に議論して、反論を考えていかなきゃいけない。

 そこで、資料二を見ていただきたいと思います。

 実は、この資料二というのは、平成十四年から平成二十三年まで、内閣府の沖縄担当部局の予算とその内訳をグラフ化したものが左の真ん中に大きく出ているわけでございます。平成十四年には、沖縄振興予算、トータルで三千百七十九億円ございました。当然このころ自公政権でございますが、これが漸次減らされていきまして、今年度は先ほど来申し上げておりますとおり二千三百二億円ということでございます。

 ただ、玄葉大臣にも福山副長官にも注目していただきたいのは、総額が八百億円以上削られているのに、この一番下のところは国直轄分なんですね、国直轄分はほとんど減っていない。二十三年度でいうとふえているということでございまして、減らされているのは市町村分と県の分が実は減らされているわけでございます。このことを認識していただけば、国が配分を決めているから沖縄県の市町村の補助金や交付金が減らされないというのは、このグラフを見る限り全く幻想にすぎない。

 裏を返して言えば、これはこれからのこともありますけれども、仲井真県知事が、おとといだったでしょうか、地元の琉球新報の新聞のインタビューに答えて、市町村に懸念があるのはよくわかっている、今まで県と市町村が対話をしなかったことについて反省をしていると述べながら、決して市町村の分を恣意的に県が削るということはしないということを県知事も明言しているわけでございまして、私は、市町村が懸念していることは実は当たらないと。

 逆に、特に官僚の皆さんも、いい人、悪い人、それは政治家と一緒でいろいろいるんですけれども、国の官僚機構に任せていれば安心だというのは、このグラフを見る限り、市町村の立場に立ってそれは言えないと私は思っておりまして、この点について福山副長官の御見解を伺いたいと思います。

福山内閣官房副長官 遠山先生におかれましては、大変沖縄の実態に沿った資料も御提示をいただきまして、ありがとうございます。

 市町村分について一括交付金化するというのは、一方で我々今検討をしております。つまり、昨年は都道府県に対する一括交付金の制度をつくらせていただきました。市町村をどうするかという議論は並行して動いていまして、それとあわせて、今回の沖縄に対する一括交付金をどのように市町村の配分にするのかというのはセットになってきます。ですから、仕組みを考えるに当たっては実は非常に複雑なプロセスになってきますので、そのことも含めて考えなければいけません。

 一方で、国の直轄事業は一定水準で推移をしている、遠山先生の御指摘はそのとおりでございますが、沖縄の事情を考えたときに、インフラの整備とか港湾の整備とか、これはもちろん県としっかりと協議をしながらですが、やはりそういったものは経済に対する波及効果も大きいということもあり、雇用に対しても大きいということもあってこういった配分になっているというふうに存じていて、国が自分たちの縄張りをとにかく守りたいんだといってこういうふうに維持していることではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。

 そういった観点の中で、先ほど玄葉大臣が言われましたように、一括交付金の制度をどのような形にしていくのか、そして、さらに言えば、今全国ベースで議論をしている市町村への一括交付金化の議論と、沖縄の一括交付金の中で市町村をどういうふうに交付金化していくかという議論を並行して、本当に遠山先生御指摘のように時間がありませんが、我々としては早急に議論を詰めていきたいというふうに思っておりますし、そのように御理解いただければと思います。

遠山委員 今の福山副長官のお話は理解できます。

 理解した上で、ちょっとこれは通告していませんが、多分、逢坂政務官の所管なんですよね。市町村への一括交付金を、都道府県はやりましたよね、これは地域自主戦略交付金だと思いますが、まさに福山副長官おっしゃるとおり、沖縄も四十七都道府県の一つですから、いわゆる都道府県分の地域自主戦略交付金が終わったので次は市町村分だ、それは沖縄の市町村も入る。そうすると、福山副長官がおっしゃっているのは、その全体の、全国の市町村への一括交付金をどうするかという議論を横目で見ながら沖縄の市町村の交付金をどうするか議論しないといけないので、ちょっと複雑だと。それはわかりました。

 ただ、そうしますと、ちょっと通告なしの質問で恐縮ですが、総務省において、いつ市町村分の一括交付金化の基準とか制度設計とかというのはお決めになるんですか。それがもしおわかりでしたら。

逢坂大臣政務官 大変重要な質問をいただきました。

 現在、ことしの都道府県の五千百二十億に続いて来年市町村分にどのように拡大をしていくかということについて、自治体の皆様といろいろな場を通して意見交換をしていこうというふうに思っています。

 さらに、実はこの一括交付金の担当は総務省ではなくて内閣府の地域主権戦略室がやっているんですが、そちらの方から各省に対して、市町村分に拡大する際の課題、問題点についてどのようなことがあるかといったようなことも今照会しつつあるところでありまして、そんなことを踏まえて全国制度を検討してまいりたいと思っております。

 その際に留意点が幾つかありまして、時間がございませんので簡単に言いますと、市町村の規模が、例えば人口二百人程度のところから三百六十万までを含めて、全部を一括して市町村というふうに呼んでいるわけですので、毎年国から行くお金の多い少ないに非常にばらつきがあるわけであります。こういうのをどう取り扱うかといったようなことを含めて、越えなきゃならない課題が多いというふうに思っています。

 ただし、その際に、全国制度ができなければ沖縄の方をやらないのかとか、そのあたりはまだ整理がついておりません。沖縄の方を先に先行してやっていただくというようなことも場合によっては視野に入れながら、虚心坦懐に検討してまいりたいというところでございます。

遠山委員 逢坂政務官、突然の質問にもかかわらず、すばらしい御答弁、ありがとうございました。

 そして、一番最後のところは非常に重要なポイントで、つまり、全国の市町村の補助金、交付金をどうやって一括化するかという議論を待っていたら、恐らくかなり時間がたつのではないかというふうに思います。そうすると、沖縄の振興予算というのは、先ほど来申し上げているように、考え方ぐらいは来年度の概算要求に間に合わせないといけないわけですから、そこは沖縄の方だけ別枠でしっかりと議論していただいて、来年度に全部間に合わないにしても、少なくとも考え方はしっかりさせておかないと。

 つまり、県に一括で渡してそこから市町村に行くのか、それとも、ダイレクトに国から沖縄の市町村に行くのか、そして県と国の直轄のところだけ沖縄の一括交付金としてこたえるのか。その辺の整理を、副長官、ぜひ枝野沖縄担当大臣にもお伝えをいただいて、できれば可及的速やかにこの検討をしていただきたいということを要望させていただきます。

 次の質問ですが、資料三を見ていただきたいと思います。

 先ほどの福山副長官の御答弁では、国の直轄事業予算が沖縄でずっと一定の水準を、一千億円前後を保っているのは、沖縄の重要性にかんがみて国もやっているんだ、それはそうだと思います。ただ、では、国の直轄事業、特に公共部分が沖縄県内の経済の活性化につながっているかどうかという視点で見ると、この資料三を見ていただくと若干違うんですね。

 資料三の左側のグラフは、平成二十年度の公共工事の契約状況について、国の公共事業として発注された事業のうち県内企業に発注された割合と、沖縄県の公共工事として発注された工事の中での県内企業の受注割合を、実額ベースで出しています。

 これはもう衝撃的に違うわけで、国の公共事業で発注した事業のうち沖縄県内の企業に発注されているのは四八・六%にすぎません。一方で、沖縄県が発注している公共事業については、それは工事の規模が違うとかいろいろな反論はわかりますけれども、しかし、九〇・五%。約倍なんですね。

 ですから、こういう数字を見ながら沖縄県でしっかり勉強して議論をしますと、やはり県発注の事業をふやした方が沖縄県の県内企業の受注がふえるんじゃないか、それがひいては地元の雇用の拡大、雇用の安定化にもつながるわけでございますから、福山副長官、この数字をごらんになって、コメントしにくいかもしれませんが、ぜひ。

 私が申し上げたいのは、国の予算が、直轄が多いからだめだとか少ない方がいいとか言っているわけじゃないんです。要は、これはほかの地方の県でも同じ現象が起こっているわけですが、ある県で国が公共事業をたくさんやっていても、実は受注している企業の多くが県外から来ているということに対しては、民主党の先生方もそれぞれ地元でそういう陳情を受けていると思いますけれども、沖縄もこういう現状なんですね。

 だから、沖縄は公共事業がたくさんあっていいですねなんてほかの県からよく言われますけれども、半分以下のお金しか実は発注されていないということがありますので、この点について、副長官、御答弁お願いします。

福山内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 これは、それぞれの地方においてもこの議論はあるので、今の遠山先生の御指摘の議論があることは私も理解をしております。

 また、きょうは一括交付金の議論をいただいておりますが、県への一括交付金化をした方が、この遠山先生の資料を拝見する限りは、より地域に根差したところに受注がおりる可能性が高いのではないか、さらに言えば、そのことによって経済により資するのではないかという仮設が成り立つのではないかということも含めて、この一括交付金が沖縄県側からも非常に多く求められているということも、私は一定理解をさせていただきます。

 しかし、これは遠山委員も御案内のように、やはり公共事業の発注は透明性が重要になります。それから、工事の規模の大きさ等によっては、その能力や品質保証等の問題も出てきます。

 一方で、国としても、沖縄の総合事務局における発注については、地元の中小の企業になるべく、しっかりとやっていただけるところにはそこは分け隔てなくやるべきだということは注意喚起をもちろんしておりますし、さらに申し上げれば、沖縄の総合事務局以外の国の発注機関についても、県内企業にでき得る限りの受注機会の拡大を図るように要請をしているところでございます。

 いずれにしても、実は遠山先生のおっしゃっておられることと我々の考えていることはそんなに差がないと思っておりまして、公共工事の契約というのは、とにかく沖縄の振興計画をまず踏まえることが重要です。それは沖縄の意向ですから。さらに言えば、それがきっちり地元の企業の受注機会の拡大に努めていけるように、引き続きやはり積極的に我々も意識したいというふうに思いますし、そして、そのぎりぎりのところでどう透明性を担保するかとか技術的なものの安全性を担保するかということは、より工夫をしながらやっていきたいと考えております。

遠山委員 透明性の担保等については、私も全面的に賛同でございます。その上で、ぜひ地元の企業にしっかりと仕事が回るように、努力をお互いの立場でしていかなければいけないということを確認したいと思います。

 その上で、次に、逢坂政務官、これは通告をさせていただいている質問でございます。

 今までは予算のお話をしてきたわけでございますが、特に、沖縄における国直轄事業の事務権限を持ち、実際に執行もしているところとして、先ほど来出ております内閣府沖縄総合事務局という出先機関があるわけでございます。

 これは沖縄の地元でも、先ほどお見せした資料にあるとおり、一千億円の規模の国の直轄事業が沖縄の振興予算の中にある、それをいきなり沖縄県の方に事務権限を移管して現実にそれができるのかという懸念を言う方も、沖縄にも永田町にも霞が関にもいるわけでございます。

 他方で、今の政府、民主党政権が昨年の十二月二十八日に閣議決定をしました出先機関の原則廃止に向けてのアクション・プラン、これを拝見いたしますと、一つの原則というか考え方として、一つの都道府県内でおおむね完結する事務権限については都道府県に移譲するという基本方針が示されているわけでございます。

 沖縄はどことも陸でつながっておりません。海しか周りはないわけですから、ほとんどの事務が沖縄県内でおおむね完結するととらえていいわけでございます。そうしますと、やや原理主義的な解釈でございますけれども、この政府がお決めになった、閣議決定したアクション・プランを見ても、内閣府の総合事務局は、まあ段階的になるのが現実的だと思いますけれども、最終的には出先機関として廃止をして、その持っていた事務権限を沖縄県に移譲するというのが今の政府の既定方針だととらえても間違いないのではないかと思いますが、その点、お答えいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 似たような状況が実は北海道にも当てはまるわけでございますけれども、この出先機関の問題というのは、当然、受け手といいましょうか、自治体の側の皆さんがどう考えるかということが非常に重要になってくると思います。

 御案内のとおり、政府の方で昨年の十二月二十八日に、一つの都道府県内でおおむね完結する事務権限については都道府県に移譲するということを、大きな方針として掲げさせていただきました。そして、現在は、そのうち速やかに移譲すべしという権限について、昨年、各府省が自己仕分け、自分のところでどの権限が渡せるかということを自分みずからが検証した自己仕分けというのをやっておるんですが、それを参考にしてこれを進めるということにしておりまして、現在その方向で作業が進んでいるところでございます。

 一方、実はもう一つ出先の問題がございまして、それはブロック単位で出先機関を、どの権限ということではなくて出先を一括ごそっと移譲するというような考え方も、このアクション・プランの中には載せているところでございます。

 現在、それにつきましては、関西でありますとか九州の知事会の皆さんがその方向でいろいろ作業を進めておりまして、私ども地域主権戦略室にもお越しいただいて、ヒアリングをしたことがございます。あわせまして、沖縄からも、そうした点について事務的に検討するような意向が伝えられましたので、一度知事さんにお越しをいただいて、考え方なども伺ったという経過もございます。

 以上でございます。

遠山委員 逢坂政務官、今おっしゃったところで私がちょっとひっかかったのは、要するに、出先機関を地方に持っている各省庁に、自己仕分けということで、どの事務権限を都道府県に移管できるかという作業をしてもらっていると言っていますが、似たような作業を自公政権時代もやった記憶があるんですよ。私はそんなに詳細に覚えていませんけれども、各省庁から出てきたこれぐらい移せますというのは、ちょぼちょぼで、全くやる気が感じられない話が多かったんですね。

 今、余りこの問題でいくと脱線しますから、沖縄に絞って聞きますが、例えば、内閣府の方で、沖縄総合事務局の事務権限をどこまでは、あるいはどの事務、どの権限は沖縄県に移譲できるかという検討は今されているんですか。

逢坂大臣政務官 遠山先生御指摘の、確かに、一の都道府県内でおおむね完結する事務権限についての自己仕分けは、私が見ても、必ずしも芳しいものだというふうには感じられません。現に、自治体の首長さんからも、これでは実に玉が小さいといいましょうか、そういう指摘もございまして、自治体の側からは、今度はもっと目玉になるものを自治体の方で提示するから、それをしっかり移譲してくれというような話に今なっているところであります。

 一方、遠山先生の問題意識をひもといていくかぎは、やはり、ここのパラグラフ、この閣議決定のこの部分ではなくて、出先機関のブロックごとの一括移譲といいましょうか、そこのところで御議論をいただくということによって問題の糸口がつかめるのかなというふうに私は思っているところであります。

 以上です。

遠山委員 それでは、政務官、何度も聞いて済みません、今おっしゃったブロック単位の移譲のところ、これは閣議決定の最初の一項目なんですけれども、そこで、二点まとめて伺いたいんです。

 一つは、まさに政務官が今、重要なところはここだとおっしゃったところの、1の(4)のところにスケジュールがあるんですね。これは、平成二十四年、来年の通常国会に法案を提出して、準備期間を経て二十六年度中に事務権限の移譲が行われることを目指すと明記されているんですね。

 そうしますと、実は、沖縄県の仲井真知事は、私が先ほど言及した琉球新報とのインタビューの中で、国直轄事業については段階的に県に移譲してもらって構わない、その目安として、この閣議決定のこの部分に着目をして、大体三年ぐらいかけて内閣府の出先機関も整理廃止というか縮小廃止というかされていくんだろうから、それに合わせて事業規模もだんだん沖縄県に移してもらっていいというような趣旨の御発言を示唆しているんです。私は、恐らく仲井真知事も、しっかりとこの民主党政権のアクション・プランを勉強されて、タイムスケジュール観を持ってそういう発言をされていると思うんですね。

 ですから、私、これもちょっと通告していない質問ですが、今、政府としては、来年の通常国会にしっかり法案を出して、二十六年度には出先機関の整理を抜本的にする、そういう方向で進んでいるのかどうか、これが一点です。

 それから、あわせて、余り政務官ばかりに質問すると次の質問に行けないので、もう一つの質問は、まさにこのブロック単位の移譲の中で、職員の身分の取り扱いについても記述があるんですね。

 これも非常に難しい問題なんです。例えば、沖縄にある内閣府の総合事務局も、本省から出向しているキャリアの官僚もいますよ。その方々は、沖縄の総合事務局がなくなれば本省に戻ればいいんです。ところが、その本省から来たスタッフを支えるスタッフは、現地採用で、しかし身分は国家公務員で採用されているわけですね。そうすると、総合事務局がなくなると職場を失う。では、その方を県で預かってくださいといったら、国家公務員から地方公務員に身分も移管しなければいけない。

 これは恐らく、突き詰めていくと憲法で保障されている財産権の問題とも絡んで、非常に難しい身分制度の問題になるわけでございます。それから、そういう方々を受け取る県の方も、税源を移譲してもらわないと払う人件費の財源がないですから、これは財源論の問題もあるんですね。

 ですから、このアクション・プランはさすがにそこまで細かく踏み込んでは書いていませんけれども、そういった非常に現実的な難しい問題がある。だから抵抗も強い。

 しかし、私は、この点で公明党を代表できるかどうかわかりませんが、私個人としては、これは今の民主党政権が提示している非常に大事な改革で、将来的な道州制とかも考えたときにやらなきゃいけない、乗り越えなきゃいけない一里塚なんですね。そういう意識で、政務官にちょっと簡潔に、今私が大きく言った二つ、工程と、それからその職員の身分の取り扱いについてどういう検討状況なのか、お話しいただきたいと思います。

逢坂大臣政務官 まず最初の御質問ですけれども、ブロック単位でいわゆるごそっと出先機関を移譲するということにつきましては、現在、関西それから九州の皆さんと話をしておりまして、スケジュールどおり進めたいということで準備を今やっているところでございます。

 ただし、今回、三・一一の大震災もございまして、多少作業が滞った部分もありますが、現時点での目標としては、来年の通常国会にはその受け皿となる体制づくりの法案を国会に提出すべく、準備をしているというところでございます。

 それから二点目でございますが、人員の移管の点については、これは非常に慎重にやらなければいけないというふうに私は思っております。そこで、現実に、このアクション・プランの中にも、事務権限の地方自治体への移譲に伴う人員の地方移管等の取り扱いについて、人員移管等の仕組みを検討、構築するというふうにされているところであります。

 それで、先般、七月七日に開催いたしました地域主権戦略会議におきまして、人材調整準備会合というものの設置を決定いただきました。この場のトップはまだ決めておりませんけれども、関係する府省の政務官を中心にお集まりをいただいて、あるいは自治体の方にもお集まりをいただいて、どういう形で人材の移管というものをしていくべきなのかということを検討してまいりたいと思っております。この会合は早々に開いてまいりたいというふうに思っています。

遠山委員 政務官、ありがとうございます。

 実は、きょうここで私が政務官や副長官あるいは玄葉大臣と議論させていただいたような中身が詰まらないと、沖縄の振興予算をどうするかということもなかなか決めがたいというのが実情なんですね。でも、そこが今まで国会の論戦で余り深く掘り下げられてこなかったので、地元の方でもいろいろな間違った情報や誤解も含めて飛び交っているわけです。ただ、一点だけはっきり言えることは、沖縄県の方は、だんだん時間がたっていって、今非常に不安に思っております。

 それで、次の五十嵐財務副大臣への御質問につながっていくわけでございますが、要するに、政務官がおっしゃったようにいろいろな議論を続けている中で、時間がたっちゃって、概算要求しましょうよとなっちゃうと、結局、前年度と同じやり方での概算要求になって、今している議論は全く飛んじゃうんですね。

 そこで、私、副大臣にお伺いしたいのは、来年度の概算要求の仕組み、これは沖縄について言えば、一括交付金制度の創設を前提とした来年度の概算要求の仕組みやガイドラインをいつお決めになって沖縄県や内閣府にお示しになるのか、それを財務省の立場でお答えいただけますか。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

五十嵐副大臣 御質問ありがとうございます。

 私のところにも、それから野田財務大臣のところにも、六月下旬だったと思いますが、仲井真知事さんがおいでになりまして、今、遠山委員が御指摘になったことについてしっかりとお聞きをいたしました。

 ただ、来年度の予算編成につきましては、本来ならば、六月中に大きな基本方針、それから中期財政フレームが出てきて、七月の下旬には概算要求基準というのを示して概算要求を各省庁にしていただく、こういう手順なんですが、まさしく先生御指摘のとおり、おくれておりまして、まだ全体としての基本方針も概算要求基準もお示しできる状態になっていない。ですから、これからということになります。

 それから、査定当局といたしましては、やはり内閣府さんの方からどういう考え方で要求するのかという考え方が出てこないといけない、それが先だと思っております。

 ですから、まさしく先生御指摘のとおり、二十三年度末に切れます沖縄振興特別措置法、そして沖縄振興計画、その後継計画を決めなければいけない。その計画の中で、沖縄県が要求されています沖縄振興一括交付金という制度をどう位置づけ、どう仕組んでいくかということが一番大切なことだと思っておりまして、それを内閣府とキャッチボールしながら検討していくということになるし、まず内閣府の方で、現在の担当部局、枝野担当大臣の方でどういうお考えを持っているかということをよくお聞かせいただきたい、こう思っているところでございます。

遠山委員 では、福山副長官、今、内閣府が考え方を財務省に示さないとなかなか査定側としてできないというお話がありましたが、これはいつごろ示されるんですか。

福山内閣官房副長官 遠山委員の御指摘は本当に本質的な御指摘だと思っておりまして、先ほどの出先機関改革も重々御承知の上だと思いますが、御案内のように、先ほど逢坂政務官が言われましたように、順調にアクション・プランが我々実現ができたとしても、権限移譲は二十六年度中になります。それで、先生何度も御指摘のように、新沖振法によるスタートは二十四年の四月からになります。ことしの秋から来年にかけては、新沖振法の議論をきっちりしなければいけません。

 その手前の今の段階で、一括交付金を一体どの程度にしていくのかとか、出先機関の権限移譲を、沖縄の特殊な事情にかんがみて国の責務として沖縄の振興をやらなければいけませんし、仲井真知事からも、国の責務としてやる分についての権限の事務の問題についてはしっかりすみ分けて議論してくれという要望もいただいていますので、このことを先を見越した上でこの時点でどこまで具体的に詰めていけるかということは、実は我々も大変悩んでおります。

 ですから、先を見た上の一里塚であったり、先を見た上での一つの方向性の形になるような状況で、この夏から秋にかけてについては検討を早急に進めたいというふうに思っておりますが、おっしゃっていただくように、大変、いろいろ多層的な状況をかんがみて考えなければいけないので、そこは一生懸命早く検討していきたいと思っております。

遠山委員 わかったようなわからないような御答弁でしたが、大変悩んでいるというのはよく理解しました。それは、私が副長官の立場にいても相当深く悩まざるを得ない状況ですし、問題だと思っています。

 ただ、一点だけこの点で御要望させていただければ、確かに、アクション・プランどおりいっても二十六年度中に出先機関の整理の仕方が決まっていく、実施に移される、しかし新しい沖振法は来年度からやらなきゃいけない、もう既にそこで二年のタイムラグがあるから難しいんですよというのはよくわかります。ただ、であるならば、逆に、二十四年度、来年度から一気に全部できなくても、少なくとも工程表を示して、段階的にこうやっていきますと。どこの仕組みの中で議論して結論を出して、総合事務局の権限の縮小だとか、逆に言えば、沖縄県側がそれを受け取ってどう実施するのか、その体制がどう整うのか、その工程表ぐらい出していかないといけない時期が迫っているという点だけは申し上げたいと思っております。

 さて、大分時間が押しましたので、若干質問を幾つか割愛しながらですが、米軍から返還をされた跡地の利用の問題につきまして伺いたいと思います。

 済みません、一問目に用意していた総論的なところはちょっと割愛をさせていただいて、具体的な問題点に幾つか入りたいと思います。

 まず、福山副長官、沖振法と軍転特措法、これは防衛省も一部所管が入っているのできょうは小川副大臣に来ていただいておりますが、現行法では、返還される前の米軍基地内への立ち入りというのは原則許可されていないんですね。一部例外はありますよ。例外的に米軍から許可された立入調査というのは今まで行われてきておりまして、私、内閣府からもリストをもらいました。しかし、原則だめなんです。

 そうしますと、返還前から、今返還前と言っているのは、普天間基地を含む嘉手納以南の基地については、普天間飛行場の移設でもめておりますのでなかなかいつ実現するかわかりませんけれども、しかし、日米が合意したプランの中では、嘉手納基地以南の基地についてはいずれは全部沖縄に返還するとなっているんですね。そうしますと、沖縄県、地元が要求しているのは、嘉手納基地以南の基地について返還前から基地内への立入調査を認めてもらって、その調査に基づいて跡地利用計画案を作成して、地権者がいますから、その地権者の合意形成を図りながら返還を迎えたいという希望がありまして、ですから返還前からの立ち入りを原則認めていただきたいと。

 ただ、当然、軍用機がばんばん飛んでいる滑走路で調査することは現実的に不可能ですから、それは一定の条件のもとでですけれども、この返還前の立入調査について政府がこれまでどう対応されてきたのか、また来年度からどう改善されようとしているのか、お答えいただきたいと思います。

福山内閣官房副長官 遠山先生御指摘のように、日米の間には一九九六年に合衆国の施設及び区域への立ち入り許可手続合意がありまして、これまでも、地方公共団体からの要請があれば、この合意に基づいて国を通じて在日米軍に対して申請をしてきております。実態として、立ち入りをしてきた例もあります。

 先生御指摘のように、返還特措法が本年度末で期限を迎えるので、現在、関係省庁間で今後の跡地利用のあり方について検討を行っているところであって、その中で、この申請手続そして立ち入りの問題については今調整に努めているところでございまして、問題意識としては共有をしておりますが、今の段階ではまさに調整中ということでございます。

遠山委員 ちょっと細かい要望ですが、一点だけ指摘させていただきます。

 それは、ことしの五月十八日の参議院の決算委員会で自民党所属の島尻安伊子参議院議員が指摘をしているわけですが、返還特措法第九条に基づいて、地元の市町村が米軍基地の基地内に入りたいというあっせん申請を行うことができるという条項があるんですが、実は、五月十八日の政府の御答弁で、政府のどこにその窓口があるか決まっておりませんという答弁をしているんですね。

 これは小川副大臣もぜひ覚えておいていただいて、副長官、これは御答弁要りません、今まさに検討中ということですから。だから、地元の市町村から見れば、いや、政府は今まで立ち入り許可を認めた例もありますよと言うけれども、恒常的にあっせんをしてくれる窓口がないという答弁を政府参考人がしちゃっているんですね。ことしの五月ですよ。これは大問題なので、早急に窓口を決めていただきたいという要望をさせていただきます。

 その上で、小川副大臣、お待たせをいたしました。副大臣にぜひお伺いをしたかったのは、資料の四を見ていただきたいと思います。

 給付金制度のイメージ図、今いろいろな給付金がありますので何の給付金かということになりますから、まず上を見ていただきたいんですけれども、左側が、駐留軍用地として沖縄の地権者が米軍に用地を提供している賃貸借契約の期間です。それが日米の合意に基づいて返還をされたところが返還日となるわけですね。

 返還をされますと、現行法では、軍転法に基づいて三年間その地権者に対して給付金が支給をされます。なぜならば、米軍基地というのは、その土地利用の性格上、返されてすぐ使えるものではありません。原状回復をしなければいけない、後で時間があれば聞きますが、埋蔵文化財の調査もしなければいけない、環境アセスもしなければいけない、いろいろな作業がありますから、その期間、なかなか渡せないということで三年間認めているわけです。

 それから、沖振法に基づく給付というのが右側に書いてありますが、これは、私の理解では最長一年半ということでございます。

 そうしますと、現行法では、軍転法の給付金の支給が返還日から三年間、それから沖振法に基づく特定給付が大体一年半、だから、マックスで、返還されてから四年半は国から補償金的なお金が給付金として地権者に出される、こういう仕組みになっているんです。

 ところが、これは問題があるんですね。このグラフを見るとおわかりのとおり、返還されてから地権者に土地が実際引き渡されるまでは時間がかかるんです。当然、例えば、アスベストはないかもしれないけれども、PCBとか、軍事基地ですからいろいろな土壌の問題があったりして、それを原状回復する。その作業をやっている期間は、特別管理費等補償金という名目でお金が出るんです。ところが問題は、軍転法の支給期間三年間にそれが組み込まれちゃっているんですね。

 そこで、下を見ていただきたいんですが、今、沖縄県の方で要綱案をつくって、新しい法律案を政府に提示しております。その法律ではどうなっているかというと、米軍との賃貸契約が終わった返還日から引き渡し日までは原状回復に伴う補償金という位置づけで補償金を出して、現行の軍転法の三年間の支給は、その引き渡し日を起算日として三年間出すべきだと。そして、その後にほかの給付金も出していけば、実際に原状回復にかかっている期間は別の補償金を出して、その後に給付金で対応するということで、より長くその補償をすることができるということを盛り込んだ法案を沖縄県側が要綱をつくって出しているんですね。

 私、非常に妥当な案を沖縄県は出していると思いますが、この給付金の部分を所管している防衛省の副大臣としてのお答えをいただきたいと思います。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

小川(勝)副大臣 御答弁を申し上げます。

 給付金のスキームにつきましては、遠山委員から丁寧に御説明がありましたので、重複を避けたいというふうに思っておるところでございます。

 防衛省といたしましても、給付金の事務にわたる関係を沖縄で担当させていただいておりますので、さまざまな地元の皆さん、地権者あるいは県庁職員の皆さんからの御懸念や問題点など指摘を受けているところでございます。問題点の一部は共有をさせていただいておりますけれども、沖縄県から示された案の中にも幾つか検討を要する点があるというふうに現在のところ認識をいたしておるところでございます。

 一つは、年限は長い方が使い勝手がいいわけでありますけれども、まずは、予算には限りがあるということでございます。また、返還された跡地の再利用に係るインセンティブと申し上げますか、またその利用促進に関する速度、このことを、給付金等の給付に長くかかることによって阻害するという懸念も指摘をされているところでございます。

 また、下の図で書き込まれております引き渡し日。さまざまな土壌汚染の問題、原状回復で、それぞれの土地に応じて、回復がスムーズにいく場合、問題がある場合、いろいろあるわけでありますけれども、この引き渡し日が確定をしないとなかなかその給付の終わりまで時間がいたずらに過ぎていくということなどから、また、給付に係るモラルハザードの問題が生じてくるのも問題点として指摘をされているところでございます。

 また、沖縄県からは、ここの下に限度額が書いてありました、年・一人当たり一千万円という限度額を廃止してはどうかという提案でございますけれども、これは九八%の地権者がほぼ一千万円以下の給付ということでございまして、一部特定の、たくさんの土地を所有されておられる方にとって特にプラスになる制度改変になっているということで、問題点を指摘させていただいているところであります。

 いずれにいたしましても、現状に対する問題点があるということは共有をさせていただいておりますし、冒頭申し上げましたとおり、沖縄県のさまざまな団体あるいは行政と防衛省との間でさまざまなチャネルがございますので、委員からの御指摘も踏まえて、さまざまな形で意見交換をさせていただきたいというふうに考えております。

 また、沖縄振興に関しては、内閣の枢要なテーマでございますので、枝野沖縄担当大臣の御指導もいただいて、防衛省全体で頑張ってまいりたいというふうに思っております。

荒井委員長 逢坂政務官より、先ほどの答弁で訂正をしたい旨……。訂正をしてください。

逢坂大臣政務官 委員長のお許しをいただきましたので。

 先ほどの私の答弁の中で、人材調整準備会合のトップが決まっておらないという話をしましたけれども、七月七日の地域主権戦略会議において、総理からの指名で、地域主権戦略会議の構成メンバーである北川正恭早稲田大学教授がトップになっているということでございます。訂正させていただきます。失礼いたしました。

遠山委員 小川副大臣、丁寧な御答弁ありがとうございました。

 先ほど、今いろいろ沖縄側の声も聞きながら検討中ということだったんですけれども、財政に限りがあるのはもう当然のことでございます。

 他方で、私たちが忘れてはならないのは、在日米軍基地の七四%が沖縄に集中をしている。沖縄県自体の国土面積に占める割合は一・六%にすぎないわけで、歴史的経過はあるにしても、一・六%の県に七四%集中している。それも、日米安全保障という大きな国防上の枠組み、国策としての枠組み上、そういう基地負担が生じているわけでございますので、通常の国と民間の地権者との契約関係とは質を異にするという点から、きちんと地元の要望を踏まえて。

 特に私がきょう指摘した点は、決して無理な話をしているとは思っておりません。返還をされてから原状回復をして引き渡しをされたところから起算をして給付をした方がいいということをまず申し上げているわけで、その点をぜひ御理解いただいて検討していただきたいと思います。

 それから、福山副長官、最後に、時間がありませんので、私の方から二点申し上げたいと思います。

 実は、普天間基地の中で、今まで立ち入りを認められていろいろな遺跡の調査をしてきました。千七百カ所で試掘をしてきたわけでございますが、県側としては全体で五千百カ所調査したいと言っております。ですから、まだ三分の一程度です。

 さらに、千七百カ所しか調査していないんですけれども、既に普天間基地の下に遺跡があるだろうと明確にわかったところだけで百二カ所あるわけでございます。これは総面積が出ていまして二百十四ヘクタール、普天間飛行場の実に四割の面積の下に遺跡があるということが既に指摘をされておりまして、ということは、普天間基地が返還をされても、その後相当な時間がかからないと跡地の整備ができない、跡地の整備が終わってからじゃないと地権者は使用収益を得られないという状況である。

 さらに、普天間基地の地権者の数が、平成八年が二千四百人だったんですが、平成二十一年には三千二百人にふえている。八百人、地権者もふえております。地権者の数がふえればふえるほど、合意形成が跡地利用に関して難しくなることは火を見るより明らかでございます。

 こういったことも含めて、沖縄側が今、最後に聞きますけれども、例えば公共用地の先行取得の制度化、つまり、普天間基地で土地を持っている民間人の方からあらかじめ公共用に土地を取得するような制度も沖縄県は求めているわけでございますが、こういった点も含めてどう対応されるか、最後に御答弁を簡潔にいただいて、私の質疑を終わりたいと思います。

福山内閣官房副長官 駐留軍用地内の地権者数が増加をしているということについては我々も承知をしております。特に、相続等によって所有権の移転が行われているというふうに承知をしております。

 現実には、おっしゃられた先行取得でございますが、具体的な用途が確定していない段階で国として用地を取得するというのはなかなか難しいと思っております。

 ただ、一方で、地権者との権利調整を踏まえた具体的な跡地利用計画の策定等が行われて、国として実施する事業内容が特定されれば、そのことについては対応できると思いますが、遠山先生おっしゃるように、地権者がふえればふえるほど、権利調整、それからいろいろな事業の計画が立ちにくくなりますので、我々としても、先生の御指摘をしっかりと留意して対応していきたいと思っております。

遠山委員 ありがとうございました。終わります。

荒井委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 五月二十五日の当委員会で、私は、経済産業省所管法人の指定ポストへの連続天下りの問題を取り上げました。五代連続の指定ポストのことでしたけれども、委員会では、海外電力調査会の専務理事ポストについて、経産省は在職期間に一カ月の空白があるということで五代連続指定ポストの調査からこのポストを外したということが明らかになるなど、ずさんな調査ぶりが判明をいたしました。私が再調査を求めたのに対し、枝野官房長官は、三代連続ポストの調査をできるだけ早く公表すると答弁をされました。

 その三代連続ポストの調査結果が、七月の二十二日、先週発表されたわけであります。五代連続ポストから漏れていた海外電力調査会の専務理事ポストも、今回の三代連続の調査では指定ポストとして加えられております。

 こうした結果、指定ポストは、例えば経産省では、五代連続ではわずか十二法人、十二ポストだったわけですけれども、三代連続では二百四十三法人、三百九ポストと二十倍以上に増加をしました。全体でも、五代連続では三百三十八法人、四百二十二ポストだったものが、三代連続では千二百八十五法人、千五百九十四ポストと四倍近くに増加をしたわけであります。

 最初に、この三代連続天下り指定ポストの調査についてお尋ねをいたします。

 資料の一枚目をごらんください。国交省所管の幾つかの法人の連続指定ポストについて私が調査をしたものであります。

 まず、左上の日本小型船舶検査機構について。

 今回発表されました三代連続ポスト調査では、日本小型船舶検査機構は、理事長と監事の二つのポストが三代以上の連続ポストとされております。この資料の左上をごらんいただければわかるように、常勤の理事、業務担当については、現在は現役出向の方でありますけれども、そこからさかのぼって、吉海さん、松本さん、北村さんなど、三代以上連続して業務担当の常勤理事ポストが国交省の出身者によって埋められているわけであります。

 ですから、業務担当の常勤理事のポストも三代連続のポストに当たるんじゃないでしょうか。この点、国交省は報告はされなかったんですか。

市村大臣政務官 このたびの調査におかれましては、独立行政法人、認可法人、公益法人等の長、次長、専務役員、常務役員及び監査役員を対象としておるということでありまして、日本小型船舶検査機構の理事は専務役員等ではないため、これらの調査対象ではなく、公表された結果には含まれておらないということであるようであります。

塩川委員 ここがだめなんだと思うんですね。

 つまり、理事でも、非常勤はまだしも、常勤の理事ですよ。常勤の理事ポストについて、業務担当という担当も決まっているその役員について、連続して国交省から天下りが来ているというのがこの結果に明らかであります。ですから、その点でも、政府としての調査のあり方そのものが問題なんだ、このことを言わざるを得ません。

 国民的な関心というのは、こういう法人に常勤のポストで高級官僚が天下りをする、それも連続して天下っている、こういう実態を改めてほしい、こういうことが大きな声であるわけですから、こういう調査の不備の問題についてまず指摘をするものであります。

 次に、右下になりますが、海技振興センターという法人があります。海技振興センターは、二〇〇七年の四月に、左側にあります日本海技協会と日本海洋振興会の統合によりスタートをいたしました。発足以後は、つまり二〇〇七年四月以降、理事長と常務理事のポストは二代連続で国交省のOBが再就職をしております。

 確かに、二代ではありますけれども、統合前の日本海技協会と日本海洋振興会の役員の状況を見ると、この海技振興センターの役員ポストも三代以上になるんじゃないのかと思いますけれども、これについてはいかがですか。

市村大臣政務官 今委員御指摘のとおり、財団法人海技振興センターは、財団法人日本海洋振興会と財団法人日本海技協会が統合して平成十九年四月に発足したという法人でございます。その前身である両法人には、今御指摘のとおり、常勤役員として国土交通省OBの再就職者が存在していたということでございます。

塩川委員 しかし、これは二代までですから、今回の三代以上連続のポストの中にはこの海技振興センターは入ってこないということであります。

 こういう点でも、統合された法人というのは、統合以前と統合後とやはり連続しているものと位置づけて発表することこそ必要で、この点でも先週発表した調査のずさんさということを言わざるを得ません。

 もう一点、右上ですけれども、日本冷蔵倉庫協会の理事長ポストは、ことし六月に船員中央労働委員会事務局長を務めた桑原さんという方がついて、三代連続になっております。

 これは、こういう役員の再就職ということで誤りがないと思うんですが、その点だけ確認させてください。

市村大臣政務官 御指摘のとおり、本年六月の異動で三代連続となったところでございます。

塩川委員 これももちろん、先週発表しました今回の調査に入ってこないわけですね。といいますのは、今回の調査というのは昨年の四月一日の時点をもってはかっているわけですから、ことし六月で三代になるものは当然含まないという整理ですけれども、このことも含めて、三代連続ポストの調査が極めて不十分だ、ずさんだと言わざるを得ません。そもそも、調査に一年以上もかかって発表がおくれたことに政府の本気さが問われているんじゃないでしょうか。

 官房長官にお尋ねしますけれども、私が最初に指摘をした二つの点、常勤理事のポスト、常勤理事についてもきちんと、連続はどうなっているのか、こういう調査が必要なんじゃないのか、また、統合されたような法人であれば、統合前と統合後と連続したものとみなして三代以上の連続というポストになっているかどうかということをきちんと調査するということは、いわば、今回のこの三代連続天下り調査、指定ポストの調査について、やるべき政府としての当然の取り組みだと思いますが、この点いかがでしょうか。

枝野国務大臣 今回の調査は昨年四月一日時点のものでございまして、本来であれば昨年度中に、つまり三月までに最終的な発表をしようと準備をしていたものでございますが、御承知の東日本大震災がありましたものですから、最終的な確認、整理の段取りがおくれまして、若干発表が遅くなったものでございます。

 そして、御指摘のとおり、今回の調査が完璧なものである、完璧といいますかベストの調査の手法であったというふうには思っておりません。

 今後、こうした調査は、ただ、一方で、物すごい時間とコストがかかるのも正直なところでございます。逆に、各役所がいわゆる天下りについて一括管理をしてやっているのであればすぐに出てくるんでしょうけれども、個別にそれぞれのいわゆる天下り先についてきちっと情報をとって整理をしてということをやる上で一定の時間とコストがかかるのは間違いありませんので、今の状況では毎々簡単にやるわけにはいかないわけですが、しかし、今回の御指摘も踏まえて、今後、こうしたチェックといいますか、推移をしっかりと見ていくことは重要だと思っておりますので、その折には、御指摘いただいた点もしっかりと踏まえた上で対応したいと思っております。

 あえて理想を申し上げれば、改めて調査をしなくても、こうしたことが日々、何かあれば、例えばホームページ上で常にチェックができる、何か変動があればすぐに出てくるようなシステムを組むことが本来理想形だというふうに思っておりまして、そうしたことも総務省と行政刷新会議とで検討してみたいと思っております。

塩川委員 国民の疑念、不信にしっかりこたえる、それは最低限の情報公開によってまず保障されるという観点でも、今申し上げたような、担当が一連でつながっている常勤ポストですとか、あるいは、統合前、統合後のその法人の連続性の問題についてはきちっと把握をして公表する、このことを求めたいと思っています。

 その上で、きょうの質問というのは、要するに、役所が一括して天下りの問題を管理しているんじゃないのかと。官房長官はそうじゃないというニュアンスのことを前提におっしゃっておられましたけれども、そのことを問いたいという質問であります。

 菅内閣が昨年六月二十二日に「退職管理基本方針について」を閣議決定いたしました。官房長官に確認ですけれども、この退職管理基本方針の趣旨の一つは天下りあっせんの根絶にあると思いますが、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

塩川委員 先ほどの国交省の三法人をごらんいただきたいんですけれども、日本小型船舶検査機構の常勤理事ポストや海技振興センターの常務理事ポスト、日本冷蔵倉庫協会の理事長ポストは、いずれも三代連続ポストの調査から今回漏れていますけれども、正真正銘の三代連続ポストであるか事実上の連続ポストとなっています。

 退職管理基本方針によれば、この三代以上連続の天下りポストについて、「事実上の再就職あっせんの慣行があるのではないかとの疑念を解消し、適正化を図る」、このことが必要だとうたっているわけであります。

 そこで、資料の二枚目をごらんください。

 「国土交通省所管法人等における玉突き人事」というタイトルをつけましたが、一枚目でも紹介しましたそれぞれの法人がここにも改めて出てまいります。

 まず、日本小型船舶検査機構の常勤理事にことし二月二日に澤山健一さんという元九州運輸局次長が出向いたしました。この役員出向は、今回の退職管理基本方針で現役出向の対象法人が拡大されたことにより行われることが可能となったものであります。つまり、国交省が現役出向を行うという人事を行った。ですから、当然のことながら、役所の人事として、役所として管理をしている人事ということでよろしいですね。

市村大臣政務官 現役出向という点では、役所が管理しているということだと思っています。

塩川委員 当然であります。

 それで、澤山さんがことし二月二日に日本小型船舶検査機構の常勤理事に出向することになりまして、澤山さんを理事に受け入れるためにはポストをあけなければならないという事情が法人側に発生をいたします。日本小型船舶検査機構の常勤理事の国交省ポストのうち、ことし三月末で一つのポストが廃止をされております。その関係で、澤山さんが現役出向するのと合わせて二人の国交省OBがはじき出されることになりました。

 国交省にお尋ねしますが、このはじき出された方のお一人であります吉海浩一郎さん、元国交省の海事局安全技術調査官の方は、その後どこに就職をされたんでしょうか。

市村大臣政務官 先生の御資料にもありますように、原燃輸送株式会社に就任されたというふうに聞いております。

塩川委員 この吉海さんは、四月一日に原燃輸送株式会社に再就職いたしました。原燃輸送株式会社というのは、ウランですとか放射性廃棄物あるいは使用済み燃料などの輸送業務を行うという特殊な会社であります。電力会社が株式のほとんどを所有し、商社あるいは運輸関係の事業者が出資をしている特殊な会社であります。

 国交省及び人事院の資料で確認しますと、国交省から原燃輸送株式会社には、二〇〇四年と二〇〇六年に再就職の実績があります。国交省はかつて原燃輸送株式会社にOBの再就職をあっせんしたことがあると思いますが、確認をさせてください。

市村大臣政務官 今おっしゃったのは、再就職あっせんとお聞きになられたのでしょうか。(塩川委員「はい」と呼ぶ)

 あっせんというのではなくて、再就職をしたという事実があることは聞いておりますが、それがあっせんであったかどうかは、私はちょっと存じ上げません。

塩川委員 人事院にも確認していただきたいんですが、人事院から、平成十六年営利企業への就職の承認に関する年次報告というのが出されております。その中に、青木さんという、前の前の方ですけれども、原燃輸送に再就職されている方、この方が、国交省OBの方ですけれども、この人事院の報告書によりますと、就職に至る経緯としては、「官の斡旋、仲介などによる就職」という形で、国交省としての再就職のあっせんということで行われていると。当時の話ですから。ということで、国交省の関与というのは明らかなものであります。

 それで、国交省は、二〇〇四年、今紹介をした青木さんという方についての再就職のあっせんを行っております。原燃輸送株式会社というのは、指定ポスト法人としては挙げられておりませんけれども、先ほど言いましたように、使用済み燃料ですとか放射性廃棄物の輸送について、いわばそういう輸送業務についての権限のある旧運輸省、国交省の海事局の関与が行われる会社ということもあって、国交省のOBをあっせんによって受け入れたことがある会社であります。国交省の天下りのあっせんの中で生まれた人事ということで、今回の吉海氏の原燃輸送への天下りについても、国交省の関与が疑われるところであります。

 さらに指摘をしたいのは、二枚目の資料の下側の方ですけれども、はじき出されたもう一人の方、山内さんは、やはり四月の一日に海技振興センターの常務理事に就任をしています。そうすると、当然はじき出される人が生まれて、ごらんいただいてわかりますように、三月三十一日付で退任をした桑原さんが、どこに行ったかといえば、日本冷蔵倉庫協会の理事長に六月の六日に就任をしております。そして、これまで理事長を務めていた芳野さんは、桑原さんの就任に伴って退任をする。資料では省略していますけれども、この桑原さんは五月一日に既に日本冷蔵倉庫協会の嘱託となっていますから、六月で理事長就任というのは既に内定をしていたということであります。

 先を読むような人事がずっと行われているわけですけれども、澤山さんを日本小型船舶検査機構に現役出向させたその後の一連の人事というのは、だれかがシナリオを書いたかのように、ぴったりと玉突きが続いて、おさまるところにおさまる、はじき出されたOBがしかるべき役職におさまっていくということが非常に見てとれるものではないでしょうか。

 今私が紹介したこの説明について、国交省として、間違いはないと思うんですが、いかがですか。

市村大臣政務官 今委員御指摘のとおり、間違いございません。

塩川委員 枝野官房長官にお尋ねしますが、ここに「玉突き人事」と書きましたけれども、まさに退任した人が皆さん運よく次々と後のポストを、就職先を見つけたと言えるのか、そういう偶然の結果がこういうものになったとお考えになりますか。

枝野国務大臣 御指摘のような疑義を持たれるのは、ある意味でむべなるかなというふうに思っております。

 私自身は、独立行政法人の人事の案件について上がってきますときに、特に公務員OBの方がやめられる場合には、やめた後どうなるのかということを確認するように意識をいたしておりますが、疑義を持たれないような対応が各省において必要だろうというふうに思っておりますし、また、大変おくればせながら再就職等監視委員会の人事案を国会に提示しているところでございますので、ぜひ、同委員会を速やかに立ち上げ、再就職等監視委員会において、違反行為ではないのかという疑義を持たれるような案件についての監視の体制を確立したいと思っておりますので、御協力をいただければと思っております。

塩川委員 そんなことをしなくても、この人事についてぜひ調べていただきたいんです。

 この資料に登場する玉突き人事の主要法人というのは、一枚目の資料で明らかにしましたように、三代以上連続とか、事実上の三代以上の指定ポスト法人であります。そういう意味では、国交省の関与というのが強く疑われるというのは当然のことですけれども、この一連の玉突き人事が、最初の一突き目が国交省の現役出向という形で始まっているということなんです。いわば国交省が原因者としてこういう人事をつくっているわけです。ですから、そういった玉突きというのが、いずれも三代連続などの指定ポストにおさまっている、これだけでもこの玉突き人事には国交省によるあっせんの疑いというのは極めて濃厚だ、これは原燃輸送株式会社の事例をもっても見てとれることじゃないでしょうか。

 これに加えて、この人事につきましては、国交省OBの方から重大な内部告発を私の方にいただきました。この国交省のOBは、海技振興センターの理事長さんからこの桑原さんと山内さんの人事異動の件で国交省の審議官から連絡があったという話を聞いて、この海技振興センターの理事長さんに確認をしたそうであります。その電話でのやりとりをメモしたものがここにございます。

 ここでどういうふうにやりとりしていたかというと、このOBの方は、山内さんが入ることで桑原さんが出るという関係、ですから、山内さんと桑原さんの異動の件で審議官から連絡があったと理事長さんはおっしゃっていたけれども、どんな感じで審議官の方は言っていましたかという問いに対して、この理事長は、審議官から呼ばれて言われたのは、桑原をかえる、つまり審議官が桑原さんをかえると言ったと。理事長さんは、こちらからは、では桑原さんにやめるという希望を出させてくれ、桑原さんが申し出た格好にさせてくれというふうに法人側の立場として述べたということでありました。また、このOBの方が、山内さんが桑原さんの後任で来るという話はあなたが選んだわけですかと理事長さんに聞いたわけです。理事長さんに、あなたが選んだわけですかと聞いたわけですけれども、理事長の方は、いえいえ、これは、審議官に、では後はどうしてくれるのかという話をしたら、こういう人がいますよという話ですと。

 これは、特定の審議官の名前は明らかであるわけですけれども、この言った現役官僚が実際に天下りのあっせんを行っていたという重大な指摘であります。海技振興センターの理事長は、この審議官、国交省の現役官僚から桑原さんをかえるとか後任は山内さんと言われてこの人事を行ったと語っているわけであります。

 この一連の玉突き人事は、役所がシナリオを描いたものだ、だから、はじき出されたOBがみんなおさまるところにおさまって、ぴったりと玉突きが続いた。当然ながら、現役官僚によるこうしたあっせんは国公法違反であります。

 官房長官、改めてお尋ねしますが、今回のこの玉突き人事への現役官僚の関与についてしっかりと調査をしていただきたい。いかがですか。

枝野国務大臣 今の御指摘は今初めて伺いましたので、できれば資料等を提供いただければ、まずは、一義的には国土交通省の政務三役においてしっかりと調査をいたさせたいと思いますし、それについては官房においてもしっかりと見ていきたいと思っております。

 また、繰り返しになりますが、できればそうした疑義を持たれるようなケースがないように、あるいはそうした場合にもできるだけ透明性と中立性を持った形でチェックができるように、再就職等監視委員会の人事についての御協力をよろしくお願い申し上げます。

塩川委員 やるべきことをやるということが大前提であります。

 この件についてもう少し補足しますと、このOBは、法改正によって天下りあっせんが禁止されたということもあって、OBのいわゆる玉突き人事の方はOBのどなたかがやっているんだろうと思っていた、ですから、その大物のOBの人に声をかければいろいろ事情がわかるかということを推測していたということだそうですけれども、事情はどうも違うようだということに気がつきまして、国交省の現役の担当課長にも電話で確認を行ったと。そのときにも、このOB人事はだれが決めているのか、裏で決めているのは審議官か、こういう問いに対して、課長は、そうですと。いわば自分の役所の先輩に当たる方の指摘ですから、こういう事情も出てくるんでしょうけれども、そういうふうに答えたそうであります。

 役所は、このOB人事情報を共有し、裏で事実上のあっせんを行っているんじゃないのか、だからこそきれいに玉突き人事が行われ、はじき出されたOBがみんなおさまるところにおさまったということになるわけで、このことについて、先ほど枝野官房長官から答弁がありましたように、資料をお渡ししますので、ぜひ、国交省だけではなく、官房としてもしっかりと後追いの調査を行って、こういった違法行為が行われるような、国民にとって恥ずべきような行為が行われているということであれば、しっかりと正す、この点を申し上げておくものであります。

 その上で、やはり、天下りあっせんの根絶だけでいいのかという問題が当然出てくるわけであります。

 我が党は、天下りのあっせんの禁止ではなくて、そもそも天下り禁止という立場でありますが、そのあっせんの根絶を掲げる菅内閣のもとで現役幹部官僚によってあっせんが行われたという重大な疑惑が明らかになったわけであります。きっかけは現役出向による玉突き人事で、これは、今回の例に限らず、全省庁でそうした人事になっている可能性を示唆しています。

 退職管理基本方針も、天下りあっせんの根絶をうたいながら、一方で、現役出向を拡大するとか民間企業への出向を拡大するとか、こういう点では一層官民癒着を拡大しかねないような、天下りを拡大しかねないような中身も含まれているという点も極めて重大だということも指摘せざるを得ません。

 そういう意味でも、あっせんの禁止では今回のようなイタチごっこを繰り返していくだけですから、天下りそのものを禁止する、こういうことをかつては民主党もおっしゃっておられたわけですから、この立場での対応を改めて求めたいと思いますが、枝野官房長官、いかがでしょうか。

枝野国務大臣 あっせんの禁止で足りるのか、天下りそのものを禁止すべきなのかということについては、私も一国会議員としては強い思いがございますが、政府としては、国会でお決めをいただいた法律に基づいて今行政執行を行っているところでございます。将来の立法論としては、いろいろな考え方があるだろうと思います。

 その上で、現行の法制度の中においても、特に今回御指摘いただいたいわゆる公益法人については、いわゆる予算とか権限とか、そういったものが役所との絡みでつながっているからこそ、役所のOBを引き受けた方が得だとか引き受けたがるとか、そういった構造があります。

 したがいまして、行政刷新会議において、こうした問題点を断ち切る、つまり、役所のOBを抱えていたからといって得にはならないんだという公益法人のあり方、そして、どうしても行政代行的な業務を公益法人で行わなければならない場合には、むしろ、行政代行的な業務を行っているのですから、退職金の二重取りとか、いつまでも務めるとかということではなくて、行政代行的な業務を行っていることにきちっと着目して、堂々と現役出向で、退職金の二重取りなどのないような形でやっていただくということで整理を進めているところでございます。

塩川委員 厳格な調査と天下りそのものの禁止を改めて求めて、質問を終わります。

荒井委員長 次に、山内康一君。

山内委員 最初に、PKOについてお尋ねします。

 南スーダンが独立しました。日本に対してもPKO派遣の検討要請というのは来ているかと思いますが、政府としての検討状況をお尋ねします。

枝野国務大臣 以前にもお答えをさせていただいたかというふうに思っておりますが、PKOが国際社会の平和と安定に貢献する有効な手段の一つであるということを踏まえながら、我が国が適切に対応することが可能であるか等の観点をしっかりと検討する中で、可能な限り積極的に取り組んでいきたいと考えておりまして、PKOの事務局や関係省庁において、特に我が国が適切に対応することが可能であるかという観点で検討を進めていただいているところでございます。

山内委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 今ちょうどPKOの在り方に関する懇談会というのを政府の方でやられているかと思いますが、私も日本としても積極的に貢献するためにPKOをぜひ拡充していただきたいと思いますが、その中で、自衛隊、自衛官以外のPKOに力を入れていくということが必要ではないかと思います。具体的には、文民の分野での貢献というのもPKOではできます。自衛隊だと非常に制約が多いということもあるかもしれませんが、文民であれば比較的自由に協力できる可能性もありますし、また、特に日本の警察は、国連のPKOの文民警察で大変高い評価を得ております。

 そういった文民の派遣の拡大に向けて、政府として何か取り組みがなされておりますでしょうか。

枝野国務大臣 御承知だと思いますけれども、過去十九年間の二十六件の国際平和協力業務の中で、文民の派遣は、選挙監視要員あるいは警察要員の派遣で十五件実施をしているところでございますが、こうしたこれまでのPKO活動の実績を踏まえ、さらなるPKO活動の適正化、推進のためにPKOの在り方に関する懇談会を開催しておりまして、東副大臣を中心に中間取りまとめを行って、先般公表したところでございます。

 この中においても、「自衛隊でなければできない活動は引き続き自衛隊に委ねた上で、国連PKOミッションによっては、文民の専門家や警察要員等の積極的な参加を得ることにより、我が国全体として国際平和協力の実を一層上げていくことが期待できる。」というふうにまとめておりまして、こうした観点を踏まえ、この中間取りまとめをさらに具体化して、実際の文民の皆さんのさらなる参加によるPKO活動の充実につなげてまいりたいと思っております。

山内委員 PKOは、軍事部門と警察部門以外に、一般的なロジとか事務とかいろいろな職種がありますので、そういった分野では、個人の自由意思で日本人が雇われているケースもたくさんあるかと思います。そういった日本人職員の採用増に向けて、例えば、外務省に、国連の職員をふやすために、JPO、アソシエートエキスパートという制度があります。これは、若手の国連職員になりたい人の人件費を日本政府で二年間なり三年間補てんするという制度ですけれども、その国連のJPOのPKO版みたいなものを検討するといったことも日本人のかかわりをふやす上で必要だと思いますので、ぜひ前向きに検討してもらいたいと思いますが、その点に関して質問します。

東副大臣 お答えさせていただきます。

 山内委員が十代のころから発展途上国の貧困の問題やあるいは環境の保全の問題、あるいはまた、フィリピンの大学にも留学されて国際の平和と安全あるいは環境の問題に対して幅広い知見と、また、その後就職された後もJICA等で技術協力、あるいはNPO等でも難民救済のために御尽力されている、そういう経験と知見に基づいて発出されている御質問だというふうに思います。

 ちなみに、私も元JPOでありまして、その後国連の職員になったということで、JPO制度というのはとてもいい制度だろうと思います。

 その上で、現在、PKOに派遣するための有為な人材の育成は大変重要であるということで、平成十七年度から、内閣府におきましては、国際平和協力分野の実務経験のある者を国際平和協力研究員として採用いたしております。実績でいきますと、二十八名のうち、大半の方々が国連機関に入ったり、あるいはまた、例えば国連のスーダン・ミッションの選挙担当官になったり、国連アフガニスタン支援ミッションのガバナンス担当官等で採用されていて、その研究の仕組みが極めて生かされているというふうに思っております。

 これらの研究員というのは、みずからの専門分野を深めるとともに、その研究を行い、内閣府におけるPKO関連業務や国際的選挙監視業務等のいわゆるオン・ザ・ジョブディスクリプション、この経験をすることによってさらに知見を得るようになっていて、国際平和協力分野、国連PKOを含む就職もさせていただいている。

 いずれにいたしましても、今後とも引き続き人材育成にしっかり取り組んでまいりたい、このように思います。

山内委員 ホームページで平和協力研究員という制度を見ましたけれども、どちらかというと東京勤務が多いので、もっとフィールドの割合をふやして、現場の経験を積むための制度にした方がいいのかなというふうに思いますので、ぜひやり方をもう少し御検討いただければと思います。

 もう一つ、PKOに関して、物資協力というスキームをPKO事務局でやっておりますが、ホームページを見る限り、二〇〇九年以降はやられておりません。しかも、ホームページの実績を見ると、テントが五百六十張りとか毛布が二万何ぼとか、規模でいうと日本の中堅のNGO一団体分ぐらいの活動の規模しかないと言えると思います。その割には、しっかりと物資の備蓄倉庫があったりとか体制はしっかりしているようですけれども、実績は余りないと。

 コストパフォーマンスの面でいって、本当に備蓄倉庫を置いてやる必要があるのかなというふうに疑問に思うんですが、その点はいかがでしょうか。

東副大臣 これも、経験を踏まえてやっていることなんですが、山内議員御案内のとおり、平成九年度以前というのは備蓄倉庫を持っておりませんでした。その都度その都度JICA等の協力を得て物資支援をさせていただいていたんですが、やはりPKOにかかわる備蓄倉庫の意義というのは、御案内のとおり、JICAの場合ですと自然災害を対象にしている、そして、PKOにかかわる備蓄倉庫に関しては、いわゆる紛争でありますから、その紛争が起こったときに即座に対応しよう、そういう意味で、一方において国外に、そしてもう一つは国内に、二つ倉庫を持っている。ただ、経費の関係上、国内における、これは横浜にあるんですが、これはもう廃止をするという形になっております。

山内委員 今お話ありましたけれども、法律で自然災害はJICA、紛争に起因する難民はPKOというすみ分けがあるんですけれども、そもそも、こんなすみ分けが意味があるのか。実際、災害であろうと紛争難民であろうと、必要なものはテントであったりビニールシートであったり毛布であったり、全く変わりません。こういうばかなデマケーションというかすみ分けはやめて、もう統合してしまった方が明らかにいいと思いますし、正直言って、内閣府のPKO事務局の人員を考えると、専門性が高い人がそんなにたくさんいるとも思えませんので、むしろ物資協力に関してはもうやめてしまってJICAに統合していくとか、あるいは、規模自体大して大きくないですから、もうやめてしまうというのもオプションだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

東副大臣 それは一つの考えなんですが、PKOの現場に山内さんがもし行かれればわかるとおり、世界各国がPKOに対しての協力を行い、物資援助をする場合というのは、その物資がどこから来ているかということをマーキングするということも極めて重要です。自然災害を代表とするJICAの場合は、一々そこにマーキング等をしていません。

 さらにまた、紛争を対象としているPKOの場合ですと、数カ月単位で、例えば毛布、あるいはまたテント、あるいはまたビニールシート、主要五点のものを備蓄しているわけでありますが、当然、日本発ということを前もって縫いつけておかなくちゃいけない、こういう問題もあります。

 そういう意味で、一つの山内さんの視点は視点としてわかるわけですが、基本的に、国連に加盟している日本として、PKOというそのデマケをしていくということは極めてある意味で重要なことなんだろうというふうに思っております。

山内委員 恐らく、他国の例でいうと、自然災害と紛争災害を分けている援助機関というのは余りないんじゃないかなと。たまたま日本では、昔PKOに対する抵抗感があったので法律で決めて分けちゃったんだと思うんですが、目的と用途を考えると余り分ける意味がなくなっていますので、これは統合の方向でぜひ、せっかく政権交代したわけですから、しがらみにとらわれず、よりよい方向にやってほしいと思いますし、別に日本の倉庫から送らなくても、日本の日の丸つきのロゴシールを後で国際機関に言って張らせるということもよくやっていることですし、お金とマンパワーをかけている割にはそんなに効果のない事業からは撤退していくということもぜひ検討していただきたいと思います。これはもうお答えは要りません。意見ということで申し上げます。

 次に、青年国際交流事業について細野大臣に質問します。細野さんが担当と知らなくて、放射能災害以外のことでお呼びして大変申しわけないんですけれども。

 青年国際交流事業、聞くと、年間八百九十人の人が対象です。事業費を見ると、一人当たり百六十万四千円かかっています。一人の国際交流事業のコスト百六十万円、これを見て、いかが思われるでしょうか。

細野国務大臣 私は、共生社会という内閣府の仕事をやっておりまして、その中で青年交流がございますものですから、山内委員の方から御質問がありました青年国際交流事業というものも担当いたしております。

 事業の概略はもうよく御存じの上で質問されているんだと思いますけれども、船による多国間交流事業と航空機による二国間交流事業、それぞれかなり、長いもので四十年ぐらいの歴史、もしくは三十年ぐらいの歴史がございまして、それこそ、例えば船による交流であれば、ASEANの国々の若い人たちと日本の若者が長年にわたって交流をしてきた、そういう意味は大きなものがあったんだろうと思っております。

 経費の中身というのは、見てみますと、航空運賃であるとか、用船費であるとか、船を借りるお金ですね、そういう一般的な経費が主なんでありますが、百六十万という経費、効果自体は非常に大きなものがあると思いますけれども、適切なものかどうかという検証は絶えず行っていく必要があると思っております。

 ボランティアを活用したり、あとは、国際的にも大きな意味のある事業ですので、寄港地で入港関係費の減免をお願いするなどの措置もしておるようでありますけれども、そういったことをさらに進めて、国民の税金ですから有効に活用していくという視点は必要だと考えております。

山内委員 歴史があって非常に効果のある事業であることは私も理解しておりますが、ただ、もうそろそろ、三、四十年たって見直す時期じゃないかと。恐らく三、四十年前は航空運賃より船の方が安かったんじゃないかな、そういう背景があって船の交流事業ということをやって、結果的に結構コスト高になっているという事情があるんじゃないかと思います。

 これは、別に国がやらなくても、今や民間でもやっているし、自治体もやっている。例えば、ちょっとインターネットで調べてみたら、この夏やっている若者向けのスタディーツアーというのがあります。フィリピン二十日間、現地の子供たちと一緒に交流する事業、これがコスト十七万九千円です。それから、これも同じく、フィリピンで国際協力を学ぶというNPOがやっているスタディーツアーは十三日間で九万五千円です。それから、バングラデシュ、農村で子供の権利や母子保健を学ぶ一週間、これで十五万円。大体、夏休みのワークキャンプとかスタディーツアーというと、二、三十日で十五万、二十万というのがほとんどです。

 これをみんな自腹を切って行っているわけですけれども、こういう民間でやったら八分の一ぐらいのコストでたくさんやれる、あるいは、場合によってはプロポーザル型で、民間のNPOが政府に対して申請をして、半分補てんしてあげる、半分補助してあげる、そういう事業にするだけで、恐らく同じコストでより多くの人たちがこういう国際交流事業にかかわれるんじゃないかと思うんです。

 一人百六十万お金があったら、八人、同じ期間、例えばバングラデシュ、例えばフィリピンみたいな国に送れるわけで、そういうやり方、国がどこまでかかわるか、そして船というやり方は本当にいいのかどうか、そういったところも含めて、三十年、四十年たっている今こそ見直していく時期じゃないかと思うんですけれども、大臣のお考えをお聞きします。

細野国務大臣 私も学生のころNGOのスタディーツアーみたいなものに行ったことがありまして、十数万円で一カ月ぐらいいた覚えがありますから、やりようによっては本当にコストを下げて若者にいろいろなチャンスを提供するということはできるんだろうと思います。

 この事業そのものは、例えばASEANの国なんかも、選抜をして、非常にやる気のある、それぞれの国にとって重要な若者を送ってくるという面があるようでございまして、そういういろいろな草の根のやり方があっていいと思うんですけれども、国がやることによってより質の高いツアーになっているという面があるというふうに承知をしております。また、例えば、外国に行った場合に、そこで政府のさまざまな要人と会える、これも政府がやるからできる部分があるというふうに承知をしております。

 そういった面で、この事業自体に国が関与する意味というのは私は失われていないというふうに思いますけれども、山内議員が指摘をされたような、幅広い、もっと多くの若者にチャンスを与えるという方法も大いに検討に値するというふうに思いますので、事業の中身そのものも含めて、そこは私、担当大臣として、改めていろいろな確認をしてみたいというふうに思います。

山内委員 特に途上国の人たちが参加するときは、恐らく、日本政府でコストを負担するというのは非常に重要なことだと思いますので、招く方は今でも非常に大きな意義があると思いますが、日本から出ていく分に関しては必ずしも政府にこだわる必要はないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひ前向きに見直しをしていただきたいと思います。

 次に、国家戦略担当大臣にインフラの整備についてお話を伺いたいと思います。

 これからの日本を考えていくときに、インフラを考えるキーワードは少子高齢化じゃないか。人口が減っていく、そして、高齢化というのは、人間も高齢化するんですけれども、インフラも高齢化していく。恐らく東京オリンピックあたりにつくった橋とか道路が大分古くなってきている、そういう更新のことも考えていかなくてはいけない時代だと思うんですね。

 そのときに、インフラの更新といっても、いろいろな省庁にまたがっています。国交省がメーンですけれども、学校は文科省かもしれないし、上水道は厚生労働省かもしれないし、農水省のかんがいもあるでしょう。いろいろなインフラをトータルで見る部署というのは、実は、今回調べてみたら、余りないようです。昔は経企庁がやっていたようですけれども、その経企庁がやっていた公共投資基本計画というのも、最近、ここ何年もやらなくなったようです。

 私は、国家戦略というときに、十年、二十年、三十年先のインフラの更新需要とかメンテナンスなどを考えると、やはり玄葉大臣のところでしっかり全体像を見て、それから長期のプランを考えなくてはいけないと思うんですが、そのための組織とか制度が今余り整っておりません。それについて大臣のお考えをお聞きします。

玄葉国務大臣 山内委員がおっしゃる意味はとてもよくわかります。

 ちなみに、国家戦略室は今約五十人。二十人は総理直属のスタッフなので、私の直轄でいるのは約三十人ということで、例えばエネルギーの問題とか新成長戦略とか、あるいは食と農の再生実現会議とか、さまざまな分野を統括しているというのが実態でございますから、さまざまなことを国家戦略室でやるということになれば、できれば、ともに考えていただいて、ともに法案をつくり上げて国家戦略局にするというのも一つですし、このままの状態で国家戦略室を大きくしていくというのも一つの考え方かなというふうに思います。

 今お尋ねの中長期的な公共投資のあり方は、おっしゃったとおり、私もよく覚えていますけれども、かつて、十三年で六百三十兆円という公共投資基本計画がつくられた記憶があります。調べてみたら、実態は四百八十兆弱であったということでありますし、たしか小泉内閣のときは、逆に、今おっしゃったように、戦略的に物事を進めよう、そういうことで、骨太の方針ということで公共投資のいわば一定の計画がつくられた、あるいは戦略がつくられたというふうに思います。

 今回も、全くないかといえば、実はそうではなくて、年々公共投資は減っているんですけれども、新成長戦略の中に幾つかポイントを書き込んでおります。今、内閣委員長をやられている荒井聰さんが担当大臣だったころにつくり上げたという側面も実はあるんですけれども、例えば、観光と安心というポイントでのインフラ、そしてもう一つは、まさに大都市圏の空港とか港湾、こういったいわゆる投資効果の高いところのインフラ、そしてもう一つは、今、山内委員がおっしゃったような、まさに戦略的なメンテをする、そういう観点からこそインフラの公共投資は特に行われるべきであるということが実は書いてございます。

 ですから、そういう観点は盛り込んでいるんですが、お尋ねの本旨の、いわばどこがしっかりと統括をするのかということに関しては、今も旧経企庁の担当者はいるんです、そこで分析はしているんですけれども、そういう意味では、一つの問題提起として受けとめて、ある意味、そういったインフラの計画を具体的につくり上げるということも一つの建設的な提案かなというふうに感じております。

山内委員 従来は、公共投資、インフラの計画というと、どうやって充実させるかというところが中心でしたけれども、これからは、もう少子高齢化時代ですから、どうやってインフラを維持していくか、あるいは、場合によっては、人口が減るんですから、ある程度絞り込んで縮小して、ここは更新するけれども、このインフラ施設に関してはもう更新もしないといったような、ある意味後ろ向きですけれども、インフラ仕分けというか、施設仕分けみたいなもの。

 きょうは事業仕分けの枝野官房長官もお越しですけれども、今後長い目で見たら、仕分けていって、本当に必要なものと必要じゃないもの、あるいは必要性が全くないとは言いませんけれども、必要性が低いものに関しては思い切ってある程度施設を統合したり、つぶしたり、そこまで考えないといけないという事態が五年、十年、二十年たつと必ず来ると思うんですけれども、そういった、後ろ向きなので余り楽しい仕事ではありませんが、長期的には必要だと思います。

 そういうインフラ仕分け、あるいは施設仕分け、箱物仕分け、そういったことも政府として取り組むべきだと思いますが、大臣のお考えをお聞きします。

玄葉国務大臣 これは、まさに先ほども申し上げましたけれども、公共投資も、真に必要な社会資本整備とは何なのか、あるいは、おっしゃったとおり、メンテでもより必要性の高いものは何なのかということを今、旧経企庁、つまり内閣府で分析はきちっとさせておりますので、そういった分析を続けつつ、今、仕分けという言葉を使われましたけれども、どこで、どういう形で総括をし、統括をするのかということについて考えていきたいというふうに考えております。

山内委員 今、東日本大震災の復旧復興ということでいろいろな公共事業、インフラ整備をやっていると思いますが、将来の、二十年先の東北の人たちが維持管理できるようなサイズとか、しやすい工夫とか、単にもとに戻すという視点ではなくて、選択と集中という意味の戦略がこれから日本には必要だと思いますので、ぜひ、そういった部門ももっと力を入れていただきたいと思います。

 もうすぐ時間がなくなりそうなので、最後に内閣官房の震災ボランティア連携室にお尋ねします。

 これまで、震災以降、どのような活動を行ってきて、これまでのところどのような成果が上がっているか、お尋ねします。

枝野国務大臣 ボランティア連携室、三月十六日に発足をいたしまして、直接的にたくさんの人がいるわけでも予算を持っているわけでもございませんで、大きく言えば、関係者の皆さんから御用聞きをしてきて、関係省庁を初め関係者の皆さんに伝えて、それをうまく調整をしていくという仕事を進めてきていただいております。

 連携室の室員は、辻元補佐官含めて、相当頻繁に現地に、きめ細かく、市町村単位あるいはボランティアセンター単位に入っていただきまして、それも何度も入っていただいて、さまざまなボランティア団体等あるいは自治体等の声、あるいは現場のボランティアをされている皆さんの声を伺ってきていただいております。また、全国から被災地を支えようというボランティアのチームの皆さん、六百を超えるボランティア団体が参加している東日本大震災支援全国ネットワークとは、定期協議を既に東京で五回、それから東北三県で一回ずつ行っております。

 こうした声を踏まえて、関係省庁などとさまざまな連携をして、例えば国の助成制度、ボランティア団体が使える助成制度、雇用創出基金事業とか地域支え合い体制づくり事業、新しい公共支援事業などさまざまな事業、ボランティアの皆さんの活動のために使える資金がございます。こうした制度の使い勝手の問題とか、あるいは、こうした制度そのものをボランティア団体に対し周知し、活用を呼びかける、あるいは、民間団体からの助成制度についても情報を集めて、情報提供もいたしております。

 あるいは、ボランティア活動の円滑化を図るに当たって解決すべきさまざまな問題があります。一例だけ挙げさせていただきますと、ボランティア車両は高速道路無料通行になっておりますが、この手続が大変煩雑であって迷惑をかけているということ、国会でも御指摘いただきましたが、現場から声をいただきまして、これは何とか来月早々には手続の簡素化につなげていくことが今できているところでございます。

 さらには、ボランティア活動に対するさまざまな情報発信を官邸ホームページを中心に、連携する民間のウエブサイトとも協力をしまして、受け入れ先や活動ニーズ、交通情報、ボランティアツアー、注意事項などの情報を発信しているほか、ハンドブックやチラシを活用して情報提供を進めているところでございます。

 さらには、ボランティアニーズを掘り起こすために、早い段階では、各府省、霞が関の皆さんにも、土日には行けるという人は行ってくださいというようなことを呼びかけたり、さまざまな経済団体にもボランティア活動への参加と協力を呼びかけているところでございます。また、観光庁を通じて、ボランティアと観光を結びつけたツアーの設定を呼びかけた結果、具体的な商品が展開されつつあるところでございます。

 引き続き、いよいよこれから息の長い活動が必要になってくる状況になっておりますので、特に地元のボランティア活動の皆さんのニーズをきめ細かく把握して、政府が協力連携することによってそれを押し上げることができる部分がないかどうかという情報の収集にさらに努めてまいりたいと思っております。

山内委員 もう時間が来たようですので、最後に要望だけ申し上げて終わりたいと思います。

 今回、ボランティア連携室が急遽できましたけれども、ぜひ、次の大きな災害が起きたときには、仕事がやりやすいように、今のうちから次の災害に向けたマニュアルづくりとか組織づくりをやっていただきたいと思いますし、今、官房長官から、公務員のボランティアというお話がありました。私は、公務員でNPOやボランティアのことをわかっている人間がもっと多いとNPOとの連携というのは非常にうまくいくと思いますから、一週間とか十日とか、けちなことを言わずに、二カ月、三カ月単位で国家公務員や地方公務員が休暇をとってNPOなりボランティアとして被災地に行けるような、そういう制度をぜひつくっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

荒井委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。

 東日本大震災の発生に伴う原子力発電所の安全対策等の実情調査のため、宮城県に委員を派遣することとし、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十二分散会


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