衆議院

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第16号 平成23年8月3日(水曜日)

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平成二十三年八月三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 大島  敦君 理事 岡島 一正君

   理事 階   猛君 理事 津村 啓介君

   理事 村井 宗明君 理事 塩谷  立君

   理事 平井たくや君 理事 高木美智代君

      相原 史乃君    井戸まさえ君

      磯谷香代子君    打越あかし君

      緒方林太郎君    岡田 康裕君

      勝又恒一郎君    川村秀三郎君

      岸本 周平君    小林 正枝君

      小室 寿明君    後藤 祐一君

      坂口 岳洋君    菅川  洋君

      園田 康博君    長島 一由君

      西村智奈美君    福島 伸享君

      松岡 広隆君    本村賢太郎君

      森本 和義君    森山 浩行君

      矢崎 公二君    谷田川 元君

      湯原 俊二君    甘利  明君

      鴨下 一郎君    小泉進次郎君

      塩崎 恭久君    平  将明君

      野田 聖子君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        細野 豪志君

   国務大臣

   (経済財政政策担当)

   (社会保障・税一体改革担当)           与謝野 馨君

   内閣府副大臣       東  祥三君

   財務副大臣        櫻井  充君

   厚生労働副大臣      小宮山洋子君

   経済産業副大臣      池田 元久君

   内閣府大臣政務官     阿久津幸彦君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   内閣府大臣政務官     和田 隆志君

   総務大臣政務官      逢坂 誠二君

   財務大臣政務官      尾立 源幸君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   国土交通大臣政務官    市村浩一郎君

   国土交通大臣政務官    小泉 俊明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  徳永 政道君

   参考人

   (株式会社企業再生支援機構代表取締役社長)    西澤 宏繁君

   参考人

   (原子力安全委員会委員長)            班目 春樹君

   内閣委員会専門員     上妻 博明君

    ―――――――――――――

委員の異動

八月二日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

  浅尾慶一郎君     山内 康一君

同日

 辞任         補欠選任

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

  山内 康一君     浅尾慶一郎君

同月三日

 辞任         補欠選任

  橋本 博明君     菅川  洋君

  松岡 広隆君     相原 史乃君

  本村賢太郎君     緒方林太郎君

  山崎  誠君     川村秀三郎君

同日

 辞任         補欠選任

  相原 史乃君     松岡 広隆君

  緒方林太郎君     小室 寿明君

  川村秀三郎君     勝又恒一郎君

  菅川  洋君     谷田川 元君

同日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     山崎  誠君

  小室 寿明君     本村賢太郎君

  谷田川 元君     矢崎 公二君

同日

 辞任         補欠選任

  矢崎 公二君     橋本 博明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として原子力安全委員会委員長班目春樹君、株式会社企業再生支援機構代表取締役社長西澤宏繁君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣参事官徳永政道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平井たくや君。

平井委員 皆さん、おはようございます。

 きょうは、まずは企業再生支援機構に対する質問、その後、今大綱がパブコメにさらされています共通番号の話等々を一時間で全部、両方お聞きしたいと思いますので、できるだけ答弁は簡潔に、ポイントを明確にしてお願いしたいというふうに思います。

 また、西澤社長には、前回、三月九日でした、震災の二日前に来ていただいて、そしてまたきょうお出ましをいただきまして、ありがとうございます。この委員会が機構の生みの親の委員会でもありますし、やはり機構の情報開示みたいなものはこの委員会でやらないとなかなかできないものですから、御足労をお願いしました。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 まず、企業再生支援機構関連で質疑をさせていただきますけれども、三月九日の質疑では、機構の本来業務、責任の所在のあり方、主務大臣の連携等々、それと政府のグリップが弱いんじゃないかというような問題意識、これは共有していたと思います。そして、JALの再生ということに関して、機構の情報開示の重要性、そろそろ出口が近づいてまいりましたから、さらに関心も高まっていると思うんですね。そういうことを前回お聞きしました。

 そういう状況の中で、今回は、確認しつつ、新しい論点についてお聞きしたいと思っています。

 その三月九日の審議の後、四カ月がたっていますが、震災前後で何が変わったかということについて、まず社長にお聞きしたいと思います。

西澤参考人 西澤でございます。お答えします。

 震災前後で何が変わったかというと、この国難に面している社会の情勢を反映しまして、私どものところへいろいろな形で御相談が参る頻度といいますか、雰囲気といいますか、そういうものは高まっているということは申し上げられると思います。また、我々も、そういう社会の動きに対して幾ばくかでも、我々としてのミッションをどう果たしていくかという意味でのいろいろな議論といったものが中でも行われているということがございます。

 以上でございます。

平井委員 配付資料の1をごらんになっていただきたいんですが、全部で十七社書いてあります。横長の資料なんですが、これは企業名です。ちょうど十二番と十三番の間に線を引いているのは、震災前、震災後ということになります。震災後に支援決定したのが五社ということになるんですね。全部で十七社です。

 内閣府からいろいろな倒産に関する資料が出ているんですが、東京商工リサーチによれば、五月以降、震災の影響で倒産件数が二十二カ月ぶりに増加して、六月末現在、震災関連の倒産は累計で百七十三件に達している。これは、阪神・淡路大震災が発生した一九九五年の一年間の震災関連倒産百四十四件を上回っているということです。つまり、全国的に倒産件数は震災後やはりふえているということなんですね。

 私は思うのですが、この支援決定企業を見る限りにおいて、震災関連で支援機構が対応したということではありませんよね、社長。

西澤参考人 お答えします。

 おっしゃるとおりでありまして……(平井委員「そうですね」と呼ぶ)それだけでよろしいですか。

平井委員 そうなんですよ。ですから、結局、震災後に支援決定した企業には被災地の企業はありません。ですから、震災影響による中小企業と機構の今やっている仕事は別だとも言えるわけです。そのかわり、政府は、またそれ以外に二重ローンの問題とか中小企業対策はおやりになっているということだと思います。

 これは、時限で決められていて、なおかつ、やはり、今JALを抱えている機構が被災地の企業に対して特段の手当てをするというのはリソース的にも非常に難しいんだと思います。そのことを私は責めているわけではありません。

 つまり、この中小企業に、地域力を守っていかなきゃいかぬという本来やらなければならない政府の一つの仕事というものに対して、大臣はどのようにお考えでおられるかということです。要するに、機構担当の大臣として、機構がそういうことでそこまで手が回らないわけですから、中小企業支援、地域力を支えるという本来の機構の立法趣旨の部分をどこかで補完しなきゃいけないはずですよね。その点についてどのようにお考えですか。

与謝野国務大臣 もともと、企業再生支援機構は、人員削減、コストカット等のリストラによって支援企業の短期再生を行うことを目的とした時限組織でございますが、その仕組みになじむ案件については、できる限り支援を行うべく、個別案件の相談等に積極的に取り組んでいただいているものと承知をしております。

 具体的には、被災三県の被災企業からの御相談は五件あり、現在、精査されているものと伺っております。

平井委員 四月六日の報道によりますと、政府・与党が企業再生支援機構の機能強化を検討しているという報道がありました。

 これは、震災の影響で経営危機に陥る企業がふえると判断して、二〇一四年の十月までの存続期間の延長や陣容拡充、再生機構が投融資できる資金枠を現在の三兆円から拡大するという案が浮上しているという報道ですけれども、そんなことは実際今検討されていないですよね、確認です。

和田大臣政務官 事実経緯を御説明するということですので、私の方からお答えさせていただければと思います。

 その当時、いろいろな報道が出ておりました。確かに、平井委員御指摘のように、震災対応として、中小企業の実情を見ながら、どのツールを使うのが一番よいのだろうかという検討の過程でこの再生支援機構を使えないだろうかということを考えておった時期がございます。

 しかし、今大臣から御答弁ありましたように、再生支援機構のもともとのたてつけが、グッド部門とバッド部門とがある中小企業を、バッド部門を切り離してグッド部門だけしっかりと存続させるというようなことを主な柱として再生させるという仕組みでございまして、震災の場合には、企業に帰責事由がほとんどないという実情の中で一気にその企業が苦しくなるという実情だったことから、再生支援機構をそのまま使って支援することはなかなか難しいねという判断に至って、現在はそういう結論をとり得ないと考えています。

平井委員 いや、これは確認の質問でしたから。そういう報道があったけれども、今は違う方法で取り組むということですよね。

 前回、大臣には、機構の総点検も含めて、二つ、私なりに提案させていただきました。それは、機構の中で余りにも比重の大きい日本航空さん、JALさんを別勘定として切り離したらどうかということと、三兆円の保証枠の予算枠、これを見直してはどうだろうかということを提案させていただきました。

 地域力の再生、活性化のためには、本来立法したときの趣旨をどこかがやらなきゃいけないということで、二重ローン対策とか中小企業対策等々はトータルで、政府の中でこのツールを使わずにやっていこうということですから、それはそれでしっかりとお願いをしたいと思います。

 この三兆円の予算枠の設定根拠、前回の質問では、これは余りびしっとした回答というか御説明をいただけなかったんですが、要するに、正確に根拠を持って説明するのは難しいということです。

 資料を皆さんごらんいただきたいと思うんです。資料3、4ですね。

 産業再生機構と企業再生支援機構は趣旨が異なる、前回の質疑でも、これはもう西澤社長がびっしりここで答弁をされています。しかし、よく見ると、予算枠の確保の計算書は、結局、産業再生機構のときのものなんですね。ここをよく見ると、二年間で百六十社をやると言っているんですね。百六十社と言っているんだけれども、今はゼロが一つ違うでしょう。十七社ですよね。これはやはり問題だと思います。

 それで、こういう保証枠をとるときに、このような計算を毎回使って、ふろしきを目いっぱい広げてやるというのをずっと常態化させるのは問題だと思いますよ。だって、書いていることとやっていることが、結果が余りにも違う。半分ぐらいまでたどり着くならともかく、会社数でいえば十分の一ですから。その間に倒産はいっぱいふえているわけですから。ですから、こういう問題意識はぜひ持っていただかなきゃいけないなというふうに思っています。

 それではお尋ねいたしますが、現実的に、現在の予算の執行状況と、支援決定を完了する十月までの執行見込みについてお聞きしたいと思います。

西澤参考人 お答えします。

 今デューデリ等かかっております案件が、いろいろな段階のがございますけれども、十件近くございます。デューデリが既に済んだものが四件、デューデリのある段階のものが数件、プレデューデリと称するものも数件といったようなことで、トータル十件前後の形になろうかと思いますが、その中から正式に決定を見るものがいずれ十月までに出てまいると。

 十月までにもうちょっと時間がございますから、さらにここから先、いろいろ御相談も日ごとにございますものですから、いろいろ出てまいる可能性があるということで、予測を申してもせんないことでございますが、二十件近くまでは行くのかなという感じでおるという、とりあえずそのことがお答えでございます。

平井委員 予算の執行状況とその件数というようなことですけれども、結局、十月までやったとしても、二十がマックスですよね。ですから、そういう現実をやはり皆さん方も考えていただかなきゃいかぬと思います。

 きょうはまたほかの質問もあるので、はしょっていきますけれども、国民の税金で出資しているこの機構は、国会でも当然もっと情報開示していかなきゃいかぬと思います。そのことに関して、ぜひ所管の大臣、これは総理から指名を受けた担当大臣としては主務大臣もやっているというふうに思うんですね。主務大臣が五人ということで、責任の所在が不明確だという話を前回させていただきましたが、このあたりの情報開示等々についても、与謝野大臣、ぜひお願いしたいんですが。

与謝野国務大臣 公の組織でございますし、法律でつくられた組織でございますから、支援機構の、支援の途中経過は別としまして、やはりきっちりとした情報開示を特に国会に対しては行わなければならないと思っております。

平井委員 ぜひよろしくお願いします。それと、省庁連携してこの問題に当たっていただきたいと思います。

 それでは、前回の質疑の中で、JALさんの更生計画のイベントリスクへの対応ということで、イベントリスクについて少しお話をさせていただきましたけれども、まず社長にお聞きしたいのは、今回の震災はイベントリスクに相当するかどうか。どう思われますか。

西澤参考人 お答えします。

 今回の震災がイベントリスクに相当するかということでございましたが、四月の業績の結果を見ますとかなり深刻になるかなというふうなぐあいでおりましたけれども、その後、五月、六月と極めて順当な水準に復しつつございます。その結果を見ますところでは、イベントリスクという認識をしないで済むのかなというふうに思っております。

平井委員 それは本当によかったですね。JALさんの経営努力もあるんだと思いますから、そういう状況を乗り切って、きょう決算の発表じゃないですか。

西澤参考人 四―六の中間的な御報告をきょうの四時に会社側から行う予定でございます。

平井委員 それも、先ほどの答弁から推察するに、イベントリスクという影響がないということですから、恐らく想定の範囲内で推移しているんだということで私も少し安心をしたわけですけれども。

 前回、このイベントリスクの質疑の中で、社長が、燃油が異常な高騰を見せる場合にはイベントリスクの一つと考えなきゃならないというふうに答弁されましたが、それは私はやはりすとんと落ちない。いやいや、燃油の高騰というのはJALさんだけの問題じゃないし、全産業に及ぶことですし、燃油が上がったから国にさらなる追加の融資とか保証を要求するなんということは常識では考えられないと思うので、これはよっぽどの燃油の高騰というようなことであろうと思うんですが、そこをちょっと確認させてください。

西澤参考人 お答えします。

 御指摘が正しいと思います。よっぽどのといいますか、非常なるといいますか、そういうことであろうかと思います。

平井委員 ですから、イベントリスクというのも、概念として非常にあいまいなんです。ここらあたりは政府がきっちりグリップしていただかないと、公平性を欠いてしまうというようなことが十分にあると思うんですね。

 今度は、JALさんの現在やっておられる具体的ないろいろな事業等々についてお聞きしたいんですが、七月一日の報道によると、支援期間中に日本航空がLCC事業に資本参入とありますが、この事実関係はいかがですか、社長。

西澤参考人 お答えします。

 LCCについては、いろいろな形での業務への参画、進出等の検討を始めておられるというふうに承知しております。

平井委員 いや、僕が社長にお願いしたいのは、結局、今再建中の会社ですよ、これは新規事業に対する新たな投資ですよ。こういうものはだれかがきっちり見ないと、幾ら何でも非常に危険じゃないですか。

 例えば、いろいろな形態でのということで国民が理解するとしたら、LCCに参入したらトータルとしてシナジー効果が上がってJALの経営が中長期的に安定するとか、将来発展性があるとかというようなことだったら納得しやすいんだけれども、例えば、連結の対象にならないような出資、例えば三分の一、これは報道ベースでしか知らないですよ。それは単なる、要するに、リターンは出資に対するリターンしかないわけですよ、投資ですから。これは、もしかしたら自分の足元を弱めちゃうという可能性もあるので、そこも社長、しっかり、JALさんが勝手にそういうことにどんどん行かないようにグリップしなきゃいけない。

 大臣もそう思われるでしょう。再建中の会社が新しい事業に勝手にどんどんどんどん。これは大体、国が全部今まで支援して、債権も放棄をし、株主を泣かせて。だから、やはり新規事業がJALさんのプラスになるということがちゃんと確信を持てないと、これはおかしいと思うんです。例えば、JALさんの中に、ANAさんがLCCに行くんだったらうちも行こうかみたいな、そんな乗りでLCC事業に行くんだったら、これはやはり厳にチェックをしなきゃいかぬと私は常識的に思いました。

 ですから、万が一、LCCに出資するなり参入する、その決定をする場合は、新たな事業へ投資する理由、かつ更生計画への影響があるかないか、そのリスク等々をぜひ説明していただくことを、この場で、社長、お約束いただきたいんです。

西澤参考人 お答えします。

 適切なアドバイス、ありがとうございます。

 おっしゃるとおりでございまして、私どもは、モニタリング機能というものを、我々機構の持っている重要な機能の一環と心得ております。

 JALにつきましては、更生計画は終了しましたが、我々は今、大株主ということで、ガバナンスをきちっと持って見守る、立派な経営をやっていただくべく、いろいろな形で御一緒をするということをやっておりまして、そういう中で、今おっしゃる諸点について、まさに私どもも同じような意識を持って、議論を重ねておるところでございます。

 ただし、JALは、更生計画を終了いたしまして、独自に、自主性を持って、大株主のもとではございますけれども、歩み出しておりますので、我々のガバナンスというものと会社の主体性というものの調和を図りながらやっていくということでございまして、また、そういう観点でおこたえをする必要がある場合には、そういう体制でおこたえする必要があろうかと思っております。

平井委員 この問題は、やはりこの委員会で引き続き取り上げますので、国民にちゃんと説明できるような判断をしていただくように、これは大臣にもぜひお願いしたいんです。

 再生期間中の企業が新たな事業に資本を投下して事業を拡大する、こういう問題をどう考えるかということで、これは国土交通省もやはり関心があるところだと思うんですね。ですから、内閣府担当大臣と国土交通大臣は適宜助言をしなきゃいけない立場なんですよ、この法律のたてつけでいうと。勝手にいろいろなものに手を広げて、また後で大変な、苦しくなるというようなことにならないように、主務大臣、所管大臣、そして最終責任者としての機構のガバナンス、ここらあたりのところを明確にしていただきたいというふうに思います。

 公的資金で再生中の企業が、みずからイグジットをする前に新たな事業に資本を投下して事業を拡大する点について、市場の公平性という観点からはどう考えられますか。この観点もあると思うんですよ。大臣、どのように思われますか。

和田大臣政務官 今、平井委員御指摘の、市場との関係でJALがどうあるべきかということですが、最初の御指摘にあったように、今再生中の企業でございますので、あくまで、やはりその歴史を踏まえてやっていただく必要はあるんだろうというふうに思っています。

 先ほど御議論ありましたLCCのような議論、実は私、役所時代に担当したことがございますけれども、本当の意味でメリット、デメリットをしっかりとチェックする必要があるというのは、御指摘のとおりです。

 しかし、可能性として、全く新しい分野に行ってはならぬということではまたそれもないんだろうというふうに思っていまして、要は、本当に、もとの収益を上げられる企業に再生するのにそこの部分をとるべきかどうかの判断をしっかりチェックしながらするということに尽きるんだと思っています。

平井委員 そういう問題意識をお持ちなら、ぜひそこは担当としてチェックしてください。

 この中で、こういう問題に関して政府がどのようにグリップしていくか、そして、その意思決定過程のプロセスも含めて情報開示をぜひお願いしたいなというふうに思います。

 もう一つ、先ほど社長も言われていましたけれども、JALさんに関しては、二〇一〇年度は利益が大幅に上振れしましたよね。二〇一一年も当初計画どおりに七百五十七億の営業利益を確保するということは、非常に順調で、きょう発表の決算に関しても想定内の状況だということです。

 ですから、これは大臣にお聞きしたいんですが、JALの案件に関しては、計画どおり、予定どおりのスケジュールで、つまり、終わりも含めて、支援を完了するというふうに考えてよろしいですね。

与謝野国務大臣 支援期間は、原則として、支援決定、すなわち平成二十二年一月から三年で終了することとされており、支援終了に向けて、企業再生支援機構を預かる立場から、日本航空の再建の状況については引き続き注意深く見守ってまいりたいと考えております。

平井委員 私がお願いしたいのは、これだけ順調に来ているんだから、予定どおり支援は終了するでしょうと。これから何が起きるかわからないというより、これで終わらなかったら終わりようがないじゃないですか。

 ですから、予定どおり終わらすんですねというその一言の確認ですから、相違ないと答えてくれればそれで終わる話なんですけれども、大臣、いかがですか。

与謝野国務大臣 予定どおり終わらせたいと思っております。

平井委員 西澤社長、それでよろしいですよね。

西澤参考人 先ほど、今後何が起こるかわからないと平井議員おっしゃいましたけれども……(平井委員「いやいや、としても、ここまで来たら」と呼ぶ)としても、その前言つきで、そのとおりでございます。

平井委員 そんなことを言っていては、世の中、隕石が落ちてくるか、何が起きるかわからないわけで。しかし、ここまで順調に来たんだから、ずるずるに期間を延長したりすることはやめましょうということなんです。

 きょうは、支援機構に関する質問はちょうど三十分ぐらいでやめようと思っていたんですが、では、次回に幾つか置いておいて、あと一年半に迫った出口の問題に関してお聞きをしたいと思います。

 上場に向けて国内販売分の主幹事社五社を選定という報道がありました。スケジュールどおりに上場させるということだと思うんですけれども、現時点でその情報に関して説明できることはございますか、社長。

西澤参考人 お答え申し上げます。

 現時点で、まだ事実関係が進んでおりませんので、お答えすることがほとんどございません。

 今おっしゃいましたように、五社については一応の決定を見たということは公表済みでございまして、そこまででございます。

 それと、再上場というのを一つの重要な手段と考えておりますけれども、そのほかいろいろな選択肢もあるということもございますので、これからいろいろな検討が行われていくということでございます。

平井委員 社長、再上場以外の選択肢というのは、具体的には何と何と何でしょうか。

西澤参考人 今のところ、申し上げる内容はございません。

平井委員 再上場以外の手法というのはないということですか。

西澤参考人 ないというのではなくて、再上場というのが一つの方法である、そのほかの方法もいろいろあり得るだろう。これから研究する、あるいは今までも研究しつつある。

 一般論的にはいろいろなことがございますけれども、平井先生も御存じのように、いろいろな方法があるということをこの案件についても例外なく考えていくということでございます。

平井委員 つまり、この三千五百億を回収するということに関しての方法はいろいろあるということですね。確認です。

西澤参考人 お答えします。

 そのとおりでございます。

平井委員 過去、産業再生機構の案件でも、上場廃止の企業が再び上場したという例はないんですよ。これは、今回もし上場するのであれば、初めてのケースだと思うんですね。

 つまり、政府または政府関連機関が上場させる、いわば政府系株式を公開するということですから、今回、指針をやはり金融庁としても持っておかないといけないのではないかなというふうに思うんですが、いかがですか。

和田大臣政務官 金融庁を所管しておりますので、その立場の方から御答弁させていただきます。

 今委員御指摘の、再生支援機構が支援決定した企業の中で、確かに、再上場した例はございません。しかし、どうも、調べさせましたところ、上場廃止した企業がもう一回再上場を図るということは当然ございます。一般的に、取引所の上場審査というものが、今までの、過去の企業の経歴から、一たん上場廃止になったかどうかということをプラスにもマイナスにも材料として考えるかということは、そうではございませんで、やはりそのときそのときの企業の実情を見た上で、それが審査基準をクリアしていれば上場を認めるということになっております。

 そうしたことから、金融市場を見ている観点から申し上げる限り、JALという会社が過去にどのような経歴を持っているかによってそれを区別するようなことは余り適切ではないと考えております。

 あとは、恐らく委員のお気持ちの中に、JALは一〇〇%減資して、今までの株主であった方々には相当心も経済も痛むようなことを経験させてしまっているので、そうしたこともしっかりと踏まえて、その方々にもしっかりと再生を期すということをわかっていただけるようなオペレーションが必要だろうというふうに思います。

平井委員 もう一つは、やはり株式市場の公平公正な観点から、チェックポイントもちゃんと持っていただきたいというのと、さっきお話しになった、つまり、五千二百十五億の債務の放棄と四十万人と言われる株主の一〇〇%減資でつぶれた、だから、政府は二度国民をひどい目に遭わさないだろうというので買い手がつく可能性もあるんですね。いや、これはそういう見方もなくはないと思います。

 この問題を言い出すとまだいろいろあるんですけれども、出口戦略の中に外資参入による再生があるのかと。

 私は、基本的に外資に売っ払うのはやはり反対なんですね。それはなぜかというと、JALの公共性とかそういうことをかんがみて今回の再生スキームになっていて、結果、外国資本に安くたたかれるようなこと、外資規制はありますよ、外資規制はありますが、そういうふうにならないようにしてほしいなというふうに思います。

 これは、国土交通省が以前、カボタージュ規制とか外資規制、例の行政刷新会議、規制改革において、カボタージュ規制及び外資規制は、安全、保安、環境等に関する基準を遵守させることが困難であり、引き続き維持するというふうに国交省の方では回答しているんですけれども、そのスタンスにはお変わりないですよね。

市村大臣政務官 変わりありません。

平井委員 せっかく来ていただいて、この一問だけで申しわけないんですけれども。

 JALに関しては、借金が消えて、合理化した方のも、私みたいな素人から見ても、ビジネスモデルがぼんと変わったような気はしないんですよ。あげくに、LCCというような、自分で自分をいじめるような出資は、抑止効果なのか何なのかわからないんだけれども、やる。それより、やはりもっとJALが事業としての継続性とか安定性とか発展性というものを訴えられるような御指導を、ガバナンスをきかせていただきたいということをお願い申し上げまして、本件に関しては質問を終わらせていただきます。

 では、社長、お帰りいただいて結構でございます。

 それでは、きょう、私、メーンの質問にさせていただこうと思っていたのは、実は共通番号、番号制度の話です。

 この番号制度の話というのは、実は物すごい歴史があるんですよ、長い歴史が。私も考えをまとめるために、番号制度のいろいろな過去の状況を勉強しました。

 さかのぼれば、一九六八年、佐藤内閣の省庁統一コード研究連絡会議、ここからスタートしたんですよね。一九八九年、税務等行政分野における共通番号制度に関する各省庁連絡会議、こんなのが立ち上がって、要するに、全国民に個人コードを付与する計画は六八年に立てた。

 八九年の時点では、国民一人一人にIDをつけて、官民で使える基盤、住基カードの保有義務づけを目指したんですよ。ところが、当時の野党、今の民主党の中にもその方々が大分残っておられますけれども、結局、国民総背番号制、国民監視社会だ何だかんだということに押され、またマスコミもそういう反対の論調になっちゃったために、自由民主党としては妥協に妥協を重ねて、そしてこの番号制度みたいなものを今まで進めてきたんです。

 年金の問題もそうだったんですよ。年金も、国民IDで管理せずに、手帳管理になっちゃったんですね。ですから、これはいずれ大変なことになるだろうとみんな思っていたんですよ。結局、基礎番号を導入した九七年、名寄せしようとするが、三億件名寄せできなかったんです。それからずっとやっていて、宙に浮いた五千万件の年金記録が長妻さんに、問題になって、大騒ぎになって、いわば自民党の失態として、結局、政権交代にもつながったと思うんです。

 ですから、この話は、さかのぼれば、やはり今までいろいろな議論があったんですね。

 そういうことを踏まえて考えますと、今回、今の政府・民主党が賛成をする、番号を導入するというのは、これはすごいことだなと。我々、ずっと番号をやろうやろうと言っていたのに、今回やろうということになって、これはよかったんですが、ここからなんですよ。よかったんですが、この番号というものを本当に今、民主党の議員の皆さん、今やろうとしていることを、議員の皆さん一人一人、本当に理解しているかどうか。

 我々だって、番号を振るということには賛成なんですよ。しかし、番号の振り方、番号の管理の仕方、連携の仕方、幾ら金かけるんだ、国民は幸せになれるんだ、要するに、費用対効果とか全部考えて、次の新しい日本社会をどうやってつくっていくのかという、その基盤になるものなんですよね。

 きょうは、IT担当政務官が来られていると思うんですが、IT戦略本部では、かつて最大六千百億円という見積もりを発表したっきり、このシステムに関してはほとんど、何の議論も進んでいるようには思えません。今、私、言葉をきつく言いますと、官僚の官僚による官僚のための番号と。これをもっと勉強すると、総務省の総務省による総務省のための番号というふうにわかってきちゃうんですよ。(発言する者あり)そう思うでしょう。これは、やはり与党がもうちょっとチェックしてほしい。

 それで、この大綱、今パブコメにさらされているんですけれども、大綱を読んだ国会議員はほとんどいないと思います。こんな長くてぐじゅぐじゅ書いているものをまじめに読もうなんというのは、私、今回質問に立たない限り読んでいませんでした。しかし、読めば読むほど、こんな不可解なものはないなというふうに思うし、皆さん、まず見てもらいたいのは資料ですよ、お配りの資料。

 お配りの資料のAというのがありますね。これはホームページからコピーしたものだから、字がちっちゃくて、何が何だかほとんどわからないと思います。何が何だかわからないけれども、私がIT担当の政務官だったら、ぱっとこれを見て、こんなものが本当に動くだろうかという疑問をまず持ちます。それと、これに幾らコストがかかるんだろうか、何でこんな複雑なことをしなきゃいけないんだと思うわけですよ。

 今まで、国はシステム投資にはことごとく失敗しているわけです。自民党の反省も踏まえて言えば、もともと共通番号というものを佐藤内閣時代につくっていたら、システム投資のあり方もがらっと変わっていたんです。もっと効率性の高い、利便性の高い国家ができていたんですよ。それを我々が妥協したことがまずかった。これはもう反省しなきゃいけない。

 しかし、今度一緒になってやるのであれば、過去の反省も踏まえて、やはり、将来、本当に行政コストが下がり、国民が幸せになって、そして確実に動くようなシステムをつくらなきゃいけないと思うんですが、IT担当大臣というのは、今の民主党政権の中では、何をやっているか正直わかりません。多分、ほかにたくさんやらなきゃいけないこともあるだろうし。

 ただし、一つだけきょうお願いしておきたいのは、もう答弁は求めませんから、決意だけ聞かせていただきたいんですが、所管の人間として、これを勉強してください。このシステムは本当に可能なのかどうなのか、それを自分の目で、自分の耳で確かめてください。

 もう一つお願いしておきたいのは、そのときにベンダーを呼んじゃだめですよ。こんなおいしい仕事はないはずです。これは、どう見ても、六千何百億と言うけれども、維持管理コストなんてとんでもないことになっちゃうんですよ。そう考えると、これは、バルセロナにある聖家族教会、サグラダ・ファミリアと同じなんですよ。八〇年代に着手して、いまだに完成しない。(発言する者あり)笑い事じゃなく、そうなんです。

 そういうことを、民主党の方々も私に同意していただいていますので、きょうをもってこの番号については徹底的に国民の議論にしなきゃいけないと思うんですが、まず、現時点でのパブコメの状況について、どのようになっているか、お聞かせください。

和田大臣政務官 パブリックコメントに付しましたのが、この大綱をつくりました後、本年七月七日から八月六日までの一カ月間ということで募集させていただきます。

 二日時点までで約三十件の御意見が寄せられているというところでございまして、当然のことながら、慎重な御意見も、また、やるべしという御意見もたくさんございます。

 先ほど委員御指摘のように、本当に国民にとってフィージブルなシステムにするためには、どれだけのことが利用可能になるのか、そこら辺、国民の皆様方、非常に御関心の高いところでございまして、現在は社会保障と税の分野から始めるということで取り組んでいますが、将来的にどこまで利用を広げられるかということも非常に中心的な検討課題だと考えています。

平井委員 パブコメ三十件。これは、こんなことはないと思うんですけれども、要するに、原発関連のシンポジウムか何か知りませんよ、そんなときみたいに、パブコメに返ってきたのが全部業者さんの代理とか業者さん系だったりしたら笑うに笑えないでしょう。

 それで、普通の国民はこれを読んでわかりませんから、多分、ああ、番号、何となくいいな程度の理解ですよ。この連携の図なんか見ちゃうと、本当にわからないですよ。要するに、住基コードをベースに新しい番号をまたつくるんですよ。この番号を見えなくして連携するんですよ。こんなことをよくもまあ考えるなというふうに思うんですよ。これをやったところで、結局、税と社会保障がつながった程度ということなんです。

 時間が余りなくなってきたので本丸のところへ行きたいんですが、この大綱を見ていて一つ気になるのは何かというと、主語がないんですよ、主語が。つまり、だれがやるかを書いていないんです。これは、調整がつかずに書けなかったんだと思います。

 しかし、こういうものは、だれが責任を持ってやるかが一番大事です。システムなんかは後で考えればどうにでもなるんです。だれが責任を持って管理する、だれが責任を持って監視する、ここらあたりのところを明確にする必要があるんですね。そのあたりが全く今回の大綱の中には出ていなくて、当時IT戦略本部が発表した六千百億円というお金、幾らかかるかもこの大綱からは消えちゃいましたね。いろいろなやり方があるから、いろいろな柔軟な予算になるということなんですが。

 ただ、ここで僕が一つだけどうしても確認しなければならないと思っていることがあります。それは、監視機関をどうするかということなんですよね。この監視機関をどうするかということに関して言うと、日弁連の三宅先生が、これはやはり独立した機関にしなきゃいけないということを、三条委員会の表記が盛り込まれなかった、それは省庁側の巻き返しのような動きがあったからではないか、省庁の諮問機関的性格の委員会になる懸念が払拭できない、それでは経産省と原子力安全・保安院の役割と同じじゃないかと。

 ですから、連携を監視する機関に関しては三条委員会でやるんだということは、皆さん賛成でしょう。(発言する者あり)当然でしょう。それぐらいはグリップしていただかないと。そこは大臣、言い切ってください、それは三条委員会で、独立した機関でやるんだと。そうじゃないと、また省庁で取り合っちゃいますよ。ややこしくなっちゃう。ここは大臣のリーダーシップで、それこそ三条機関でやるということになれば、それはそれで立派な政治主導だと思うんですね。せっかく大臣を務めていただいておりますので、ぜひ一言。

与謝野国務大臣 第三者機関の位置づけや組織形態、機能、権限等については、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会等のもとに置かれた個人情報保護ワーキンググループにおいて専門的な検討がなされ、監督対象機関から強い独立性を担保する観点から、内閣府設置法第四十九条第三項の規定に基づくいわゆる三条委員会とすべきとの結論を御報告いただいております。

 他方、独立性の観点から、いわゆる三条委員会よりも独立性の高い会計検査院や人事院のような組織形態があるほか、いわゆる八条委員会の組織形態でありながら、三条委員会と比しても遜色のない独立性と強い権限を有する証券取引等監視委員会の例もあることから、具体的なあり方について引き続き検討することとしたわけでございます。

 今後、諸外国の例も参考にしながら、有効な監督機関となるよう、予断を持って物事を決めていくようなことはしないつもりでございます。

平井委員 これは、役所のつくったペーパーが非常にわかりづらかったので、私の資料のA、B、CのCという紙を見ていただきたいと思います。

 情報保有機関A、B、Cと書いてあって、情報連携基盤運営団体とあって、IDコード付番機関、そして住基ネット運営団体等々あって、左に、先ほどお話のあった第三者機関、監視委員会というのが書いてあります。

 ここで、今ぱっと見て、住基ネット、LGWANも含めて、今LASDECという組織がやっているわけですね。これは地方自治情報センターです。これは住基ネットもやっているわけです。今度はここを改編して、新しい番号をまた振る機関として、ここもLASDECがやる、公的個人認証もやるということなんです。

 七月の日経の新聞を見ていますと、総務省は近く新組織の構成などについて自治体との協議に入って云々とあって、次の国会には組織の設置に関する法律を出すということなんですけれども、要するに、だれがやるかということ、こんなところは非常に熱心にやっているけれども、肝心なところは全然できていないと私は思うんです。

 まず、この左側の情報連携をするところ、そして監視するところというものをつくるに当たっては、これは物すごく慎重につくらなきゃ、はっきり言えば、ここがおざなりになって、内閣府の下にぶら下げるようなものを二つつくったりすると、これはもう何やっているんだと一発で言われます。ですから、民主党さん、この問題に関してはもっと徹底的に党内でも議論してくださいね、岸本先生。徹底的にやってください。場合によってはそこに私も呼んでください。(発言する者あり)

 そういうことなので、ちょっと意を強くして、またこれからいろいろと皆さん方と一緒に勉強させていただきたいんですが、国民の今度の番号、新しい番号、全員に振るんですよね。

和田大臣政務官 基本的に、日本国内にお住まいになっておられる方々すべてに振るつもりでおりますので、あえて申し上げれば、国民という定義から、さらに、日本国内に在住していらっしゃる外国人の方々も対象と考えています。

平井委員 カードはどうされますか。

和田大臣政務官 まだ、具体的にカードの候補をどの方までにするかというところまでは決めておりません。

平井委員 本当に懲りないなと思うのは、住基コードと住基カードを見てください。あれだけお金を使ってさんざんやって、四%しか普及していないんですよ、カード。同じ年にスタートしたTSUTAYAのカード、Tポイントカードは三千五百万枚出ているわけですよ。いかに魅力がないかじゃないですか。違いますか。本当に私はそう思うんですよ。また同じことをやろうとしているんですよ。そうでしょう。要するに、新たな番号を振って、新たなカード。カード屋を助ける事業としか見えないじゃないですか、これでは。

 それと同時に、カードをもらいに行くのは申請主義ということになると、カードは振り切れないわけでしょう。そんなことをまたやるんですか、どうですか。これはだれに聞いたらいいの。

和田大臣政務官 今委員御指摘の、この番号制度についてのカードの概念は私どもの所管でございますが、先ほどおっしゃっていたのは、住基カードとある程度一緒にお話しになっておられたのだろうと思います。

 住基カードのお話は、また総務省さんにしっかりといろいろお聞きいただければと思いますが、今考えておりますのは、そのカードそのもののところまで来ておりませんで、どうやって皆様方に付番するのが一番適切なのだろうかというところでして、今後の検討とお考えいただければと思います。

平井委員 結局、国民の知らないところで振るという話になるんですよ。カードを申請した人は、今度のカードには、もしかしたら裏に番号を希望者は書くということですよね。ということになっているんです。やはりそのあたりのところが非常にあいまいです、これは。みんなに振り切らなきゃ、みんながその番号をちゃんと理解しなきゃ、中国なんか、十六けた、みんな個人が頭で覚えているらしいですよ。

 だから、そういうことを考えると、今回のこの計画に関して言えば、全然住基ネットワークの反省がない。その住基をもとにつくるんでしょう。戸籍をもとにつくるわけじゃないんですよ。

 ですから、そういう根本的な話、これは時間がなくなってきたのでもうそろそろやめなきゃいけないので、私ばかりしゃべっちゃったんですが、この問題だけで、岸本先生、ぜひ集中審議でも、参考人も呼んで、委員長、提案させていただきます。

 これは、自民党の議員にも知っていただかなきゃいけないし、民主党の議員にも知っていただかなきゃいけないのは、このまま役所が暴走したら、国民は不幸になります。これは、後で説明がつかないようなものに取りかかってしまう可能性があるんですよ。では、国民の具体的なメリットは何だ、行政の効率はどれだけ上がるんだ、BバイCを出してみろと言ったって、こんなもの出っこないでしょう。

 ですから、私が今回お願いしたいのは、番号を振っていくんだということを基本的には合意のうちに決める、そして独立性がちゃんと担保された監視機関を設置するというところまでは決める、しかし、あとのシステムの開発の仕方や、それは要するに手段が目的を追い越しちゃっているんですよ。そういうところの利権の話ばかり各省庁の話題になっているけれども、根本の国民の側から考えた視点というのは抜けちゃっているんです。大綱の下には、「主権者たる国民の視点に立った番号制度の構築」というんだけれども、笑わせるなという話なんですよ。国民の視点に立った番号制度の構築だったら、こんな、主語のない、わけのわからぬ難しい話を、丁寧な説明もせずにパブコメにさらして、さあ、それで前へ行くぞみたいな話はないです。

 それと、税と社会保障の改革の話、これと番号制度というのはやはり不可分ですよね。そうなったときに、こっちの番号だけ先に走っちゃうという、今まで長年番号というのはできなかったものだから先に走りたい気持ちはわかるんだけれども、間違った番号で走ったときには、これはにっちもさっちもいきません。

 それと、民間利用のところですよ。民間利用をどこまでさせるかということも非常にあいまいです。情報保有機関A、Bと書いているんですよ、これは政府の資料を見てくれたらわかるんですが。このA、Bとは何ぞやとなったときに、もう私は全部自分で答えを言っちゃうように話していますけれども、つまり、国税庁と社会保険庁ということではなくて、そこにつながるところの団体も入ってくるわけですね。ですから、保険組合だったら何千とあるんですか、医療機関だったら三万とかそこらあるわけでしょう。そこに連携していくという話で、では民間利用がどこまでできるのかということ、ここをきっちり決めていかなきゃいけないんです。

 そういう状況をかんがみながら、住民基本台帳法というのは、この番号制度導入に当たって、どういう点で今改正をしていこうとお考えですか。

逢坂大臣政務官 多様な視点をいろいろとありがとうございます。

 多少事務的になりますけれども、四点、お話をさせていただきます。

 今回決められました大綱におきまして、住民基本台帳法に関係する部分が四つございまして、まず一つは付番でございます。

 付番については、市町村長が、出生等により新たに住民票に住民票コードを記載した場合には、番号生成機関から指定された番号を書面により個人に通知をするとともに、住民基本台帳法に基づき住民票に当該番号を記載する、これが一つです。

 それから、二つ目。番号生成機関については、住民基本台帳法に規定する指定情報処理機関を基礎とした地方共同法人とする、これが二つ目です。

 三つ目でございますけれども、番号の告知を求めることのできる情報保有機関は、利用者に係る基本四情報を住基ネットの基本四情報と突合した上で、番号生成機関に対し、当該四情報に係る番号の提供を求めることができるものとする。

 最後、四つ目です。番号に係る個人情報についてのアクセス記録の確認等を行うことのできるマイポータルにログインするため、住民基本台帳カードに記載されている事項に加え、番号及び公的個人認証サービスの電子証明等が記録されたICカードを交付する。

 以上の四点が、住民基本台帳法にかかわるポイントだと理解しております。

平井委員 私は、この住民基本台帳法にかかわる目的外利用でいいますと、例えば消えた年金の突合のときにやりましたよね。四情報プラス一番最新の住所、つまり、正確性がないと突合もできなかったわけですよ。ですから、そういうものをきっちり仕上げて管理していくというところの基本がもっと重要だと思います。

 それと、この住基は、残念ながら裁判をいろいろ抱えてしまいました。今回のシステム開発でいうと、最高裁の判決等々がシステムの開発の根拠になっているんですよ。これもおかしな話で、要するに、最高裁でいろいろ提起された問題を、これは確かにいろいろあります、しかし、これはやはり現行の住民基本台帳法にのっとればというふうに考えなきゃいけないと思います。要するに、最高裁の問題もあるということ。

 ですから、住民基本台帳法を正面から改正するところに関して、将来、日本の発展に資する番号をつくるとなったときには、形式的な議論ではなくて、争点を避けるのではなくて、もっと正面からこの改正の論点をもう一回整理する必要があると思うんですよ。そうじゃないと、嫌なことをよけるがために、番号を見えなくしたり、見えない連携をしたりしているわけでしょう。結局、本末転倒なんです。

 本来、政治家は、制度とかそういうのを見直して法律改正すべきなんですよ。ところが、法律改正すべきところをせずに、全部システムに負荷をかけるから、だれが見てもわからないようなスパゲッティ、それがサグラダ・ファミリアになってしまうというのはもう間違いないことなんです。

 百歩譲って、IT業界に対する需要政策だとしたら理解できます。これは、雇用も抱えられるだろうし、完成しないからずっとお金を払い続けますよ。そんな政策じゃないでしょう。もっと長い間、これはもう我々も、自民党時代から積み上げてきたものだし、今回のこの問題というのは、システムだから政治家が関心を持たなくなっちゃうんですよ。システムの話に逃げ込まれるから政治家が問題点を指摘できなくなる。そこをもう一回引き戻してもらえませんか。

 そして、今、民主党の議員の多くの方々も、私の意見に賛同してくださる方がほとんどだと思います。ですから、もう一回、国民の視点に立ってチェックすることに関して言えば、例えば、パブコメなんか閉じて、はい、これで終わりみたいなことでどんどん法案が進むというようなことに待ったをかけてほしいんですよ。その方が絶対にシステムコストも下がるし、シンプルなものになるし、国民の利益につながるし、変な役所の利権につながらないと胸を張れるんですよ。

 それが本当の政治主導だと私は思うので、この問題は、きょう私は問題提起させていただきまして、これからは民主党の岸本先生なんかと連携して徹底的にやろうと思っていますよ、超党派で。この番号の問題は看過できません。本当にできないです。このままでしたら、しつこいようですが、官僚の官僚による官僚のための番号になりますよ。それを防げるのは我々政治家しかいないんです。

 そのことを最後に申し上げまして、きょうは、私のこの問題意識を知っていただくという意味でお話をさせていただきましたが、この問題に関しては、この委員会で徹底的に今後とも取り上げていきますので、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

荒井委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自由民主党の小泉進次郎です。

 きょうは六十分間の時間をいただきましたが、細野大臣とは初めての質問になります。よろしくお願いします。

 いきなり、初めての質問でどういうことを聞くのかと思うかもしれませんが、細野大臣は桃は好きですか。

細野国務大臣 私、果物は好きなんですけれども、実は、これは本当に偶然ですけれども、一番好きな食べ物、果物が桃でございます。

小泉(進)委員 私も桃は大好きなんですが、福島県、今、細野大臣が毎週足を運んでいるところですが、桃の農家は、出荷期を迎えている今、本当に大変な状況ですね。

 例年だったら、桃が実をつけて、もしもそれが地面に落ちちゃった場合、それはジュースになるんですね。そのままでは売り物にならないから。でも、ことしは、そのジュースにもできない。それはもう捨てるしかない。そして、普通だったら、かごを地面において、収穫した桃をかごの中に入れることになりますが、ことしは、そのかごさえも地面には置くな、そういう指示が来ています。桃は汚染されていないんですよ。それにもかかわらず、こういう状況です。出荷も、例年に比べたらがた落ち。観光農園もお客さんが来ない。そして、今までだったら香港に輸出をしていたのに、もう輸出はなくなってしまった。

 ただ、その中で一つありがたいなと思うのは、実は、この福島の桃というのは一九九四年から十七年間連続で皇室に献上されているんです。それはことしも例年どおり献上されることになっています。

 きょう、この桃の話をしたのも、汚染されていない桃の農家でさえも毎日一喜一憂しなければいけない放射線の値、それに対する除染のあり方、こういった問題がいかに今福島県民の皆さんに不安を与えているか。これについて、今、内閣の中でも一番、福島県に足を運び、時間を、またエネルギーを費やされている細野大臣を中心に質問をしたいと思います。

 まずは除染の問題ですが、今紹介した桃の農家も、除染に対しては大変ジレンマを感じています。余り下草を長く放置しておくと、そこから木に、もしくは実に汚染されるんじゃないかという懸念がある。一方で、短く草を刈り過ぎると、今度は土が舞ってしまうかもしれない。ということで、導き出した解が二十センチ。そういうふうな長さを決めて対応をしているという現状があります。

 これを聞いても、福島県というのは、私は、被災三県という言葉でよく一くくりにされますが、一くくりにできない、福島はやはり岩手、宮城とは状況が違う、そういう認識を持っています。

 大臣もかかわられた復興の基本方針、これは七月の二十九日に決まりました。その中で、復興の期間は十年、集中復興期間は五年。しかし、私は、この十年というのは決して楽観できるとは思えません。

 死者は約一万六千人、行方不明者は約五千人、そしていまだに避難者等は約九万人。岩手、宮城だって大変でしょう。しかし、十年後、私は今三十歳ですから十年後ちょうど細野大臣の年になります、その福島県の十年後を考えたら、復興を遂げたと果たして言える段階にあるだろうか。岩手、宮城は、もしかしたらあれだけの荒廃の中から、私たち頑張りました、復興を遂げました、そう言えるかもしれない。でも、福島は、十年後、ようやく廃炉に行けるかどうかですよ。

 その福島に対する危機感、あるいはまた特殊性、こういった認識を大臣はどのようにお持ちですか。

細野国務大臣 小泉委員も何度か被災地に入っておられる。小泉委員の場合は、入るとやはり非常にいろいろなうわさにもなりますので、私も話を聞いております。

 きのう数えてみたら、これまで六週連続、私、週末は福島に行っているんですけれども、除染の現場は、田んぼにヒマワリを植えてそこで除染をしているところ、さらには学校の除染を地域の方が集まってやっておられるところ、二カ所見たことがあったんですが、その桃農家の皆さんの御苦労というのは今伺って初めて知りましたので、次の機会にぜひそういう現場に伺って、やはり一番苦しい思いをしている方々の気持ちをしっかりと受けとめることができなければ政治は動きません、特に今回はそれが大事だと思っておりますので、行ってみたいなというふうに思っております。

 福島と他の二県、それに違うところも含めての違いなんですが、やはりこれは根本的に異なると思っております。被災地に行きましていろいろな話を聞いておりますと、要するに、まだスタートが切れないという方が圧倒的に福島は多いですね。まだ続いている。ですから、まずはこの事故そのものを収束させること、これなくして福島の復旧復興はないと思っています。

 ただ、その一方で、小泉委員にぜひここは御理解をいただきたいんですけれども、廃炉に至らなければ安全を確保できないとは考えていないんです。廃炉までには十年以上かかると思います。ただ、十年待つなんということはあり得ない。しっかり事故を収束させて安全を確保して、確保された中で廃炉はしっかりと専門家と協力をしてやる、これが基本的なスタンスであるということをぜひ御理解いただきたいというふうに思います。

 したがいまして、第二ステップが終了する十月の半ばから一月の半ば、これをできるだけ早く実現したいと思っておりまして、そこまでに除染もやるところまで徹底してやって、その第二ステップが終わったときには、いよいよ福島の復興だと言えるような状況をつくるべく全力を尽くしたいと考えております。

小泉(進)委員 大臣はたびたび、廃炉と復興はイコールじゃないと。これは私もわかります。しかし、福島県民の皆さんの思いに立てば、それはなかなか単純にそう受けとめられないと思います。

 復興は復興でやります。しかし、その片一方ではまだまだ現在進行形の、福島県の方、お会いしたある方は、原発のことを竜だ、動きが制御できない、そんなことを言った方もいましたが、確かに廃炉と復興は同時進行でやるんだというのはわかりますが、そう単純なことじゃないという意味での福島の特殊性だと私は思います。

 除染の話もありました。そこで大臣に伺いますが、おとといの八月一日、BSの番組に大臣は出演をされて、その場で、警戒区域内、二十キロ圏内の大規模な除染を九月から始めるんだ、そういうお話をされましたが、それはそのとおりで間違いありませんか。

細野国務大臣 除染に福島の未来はかかっていると考えています。特に農業をやっている方そして若い世代の方、もちろんそれだけではありません、多くの皆さんが、きれいな福島に戻してくれ、もとの生活を取り返したい、そういう非常に切実な思いを訴えられますので、この除染にまさに福島の未来をかけておられるわけですから、それにこたえるのが政府の責任であると思っております。

 現在、除染に関する基本方針を政府として取りまとめをしております。もちろん、取りまとめをするのが終わった後に除染を開始するということではなくて、もうさまざまなところで除染活動はしておりますし予算もつけておりますが、特に二十キロ以内の警戒区域の除染というのは極めて困難を伴いますので、そこはしっかりと計画を立てて、着実に実施できる方法も確立をしてやらなければならないと思っております。

 その中で、まずはモデル事業をやっていきたい。比較的線量の高いところ、人が十分に入れていないところについて、このやり方ならできるという確実なスタートを切りたいと思っておりまして、まずはそのモデル事業から、九月に入ったできるだけ早い段階で実行していきたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 九月から警戒区域内でモデル事業をやるということですが、順番を間違えているんじゃないですか。

 警戒区域内は人は住んでいませんね。しかし、人が住んでいるところで、どこの区域にもまた地点にも指定はされていないけれども、グレーというか、放射線の測定値が比較的高い、福島市、郡山市、こういったところもそうですよ。なぜ、人が住んでいない地域を最優先にして、人が住んでいる地域に大規模な本格的な除染をまずやらないんですか。

細野国務大臣 人が住んでいる地域につきましては、既に除染活動を始めております。具体的には、比較的早くスタートしたのが伊達市でございますが、ここは町が先行する形で、町内の皆さんに声をかけてスタートをしておりまして、国もJAEAを初め専門家を数多く派遣しまして、それを共同歩調でやっております。

 したがって、プロがやるべきところと、一方で地域の皆さんにお手伝いをいただくところと、そこは分けて考えなきゃならないと思っておるんです。今人が住んでいて比較的安全が確保できているところについては、できるだけ町内やPTAの皆さんに御協力をいただきたい。そして、危ないところについては、そこは事業者がしっかりやっていく。一方で、警戒区域は、生活をされていませんから、そこはもうまさに国が前に出て全面的にやるべきところです。

 ですから、そこは、警戒区域を優先するという考え方ではなくて、それぞれの地域に応じた除染活動をやっていく、そういう方針でございます。

小泉(進)委員 私は、もしも福島県内で放射線量が比較的高いところに住んでいたら、まずこっちを国もしっかりやってくれよ、警戒区域、それはわかるよと。特に小さなお子さんをお持ちの家族、そういった方はそういう思いを持つと思いませんか。そこは、プロとそうじゃないコミュニティーとやり方を分ける、そういう対応じゃないと思いますよ。大臣、どうですか。

細野国務大臣 ちょうど先週、私、福島市内で幼稚園と小学校の父兄の方と話をしまして、全員お母さんでしたけれども、やはり涙ながらに子供の生活を心配されている方、話を伺いまして、これは本当に何とかしなきゃいかぬと思いました。

 同時にやりたいと思います。ホットスポットも含めて、人が住んでいるところで除染をする。それが例えば道路や公園のような公的な場所、もちろんそこは優先ですけれども、それが例えば一部私有地に入っていようがなかろうが、生活空間を汚していることは間違いありませんから。

 そこには今回補正予算で非常に大きな予算をつけておりますが、それを着実に、この予算を使って、地域の皆さんには除染活動をしていただける、事業者にもしっかり発注をして、それが地域の経済の活性化にもつながる。それはもう待ったなしの課題でございますので、しっかり抜かりなくやっていきたいと考えております。

小泉(進)委員 そうはいっても、なかなか国の本気度が見えないんです。

 国は、除染はこういうふうにやってくださいというやり方、指針みたいなものを出していますね。これは福島県も出しています。その中で、清掃活動における留意事項というのがあって、「マスク、ゴム手袋、ゴム長靴、長袖等を着用する。」こういう留意事項を国が示しているんですが、これはみんな個人負担ですよ。

 もしも国がしっかり予算をつけているというのであれば、なぜ、こういう最低限の必要な道具、器具を提供したりしないんですか。これは、予算は全く動いていませんよ。もう既に補正予算で大規模な予算はつけたと言いましたが、大規模な予算と言うのであれば、なぜこういうところがつかないんですか。町内会単位とかでまとまって、皆さんのコミュニティーの力をかしてください、そういうふうに言うのであれば、それぐらいやるのは当然じゃないですか。

細野国務大臣 小泉委員御指摘のとおり、それは当然国が負担をすべきものだと考えます。

 町内の活動とはいっても、もともと原因がどこにあるかというと、極めて今回の事故の場合は明確ですね、事業者そして国に最大の責任があります。したがいまして、町内で除染をされたときに必要となる経費は国が持つというのがあるべき姿だと考えます。

 仮に、そういったところで自己負担をしていただいていて、予算が出ないような仕組みになっているとすれば、すぐ改めます。予算としては、町内会を含め六千団体に対して、それぞれ活動していただいた場合には一団体について五十万円ずつ予算がつく、そういう枠組みになっておりますから、今、小泉委員が指摘をされたようなことはあってはなりませんので、しっかり確認をしたいと思います。

小泉(進)委員 町内会単位だけじゃなくて、これは大臣がよくわかっていると思いますが、個人で皆さん勝手にやるんです。それをやはり不安なく、町内に行けば道具はあって、しかも、今までなかなか顔を合わせなかった人とも町内のコミュニティーがそこを一つのきっかけとして生まれる、そういったことにもつながるんじゃないですか。ぜひ、そこはしっかりやるということですから、これからスピード感を持って対応していただきたいと思います。

 国ができることはまだまだ多くあると思います。きょう私から提案をしたいのは、この除染活動というものを雇用創出基金の事業として活用できないかということです。

 そこで、きょうは小宮山副大臣にお越しをいただきました。ありがとうございます。副大臣にまずお伺いしたいのは、今、私が提案をした、除染活動を雇用創出基金事業を活用した震災対応事業の一つとして活用することは可能ですか、不可能ですか。

小宮山副大臣 それは可能だと思います。

 御承知のように、雇用創出基金事業というのは、被災された皆さんの雇用創出につなげる、そして被災地の復旧復興に向けてつくったものでございまして、自治体の判断でいろいろできるように県に基金を積んでやっているんです。

 当初は、避難所の見守りですとかパトロールだとか、何でも仕事にしてとにかくつないでいくということだったんですが、例えば福島県では、仮設住宅での入居者の安否確認、子供の一時預かり、それから地域の安全パトロール、こうしたようなことも自治体が直接、あるいは企業やNPOなどへの委託でやっていますので、そういうやり方で、当然、除染事業もこの対象になると考えています。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 可能ということでしたが、実際に活用する場合、これは主に二つのやり方があると思うんです。一つは、雇用した方を県もしくは市町村の臨時職員として雇用をする。そしてもう一つが、NPOなどの委託事業としてお願いをする。この二つで間違いありませんか。

小宮山副大臣 今申し上げましたように、そういう両方のやり方があります。

小泉(進)委員 それではお聞きをしますが、第一次補正予算でこの基金の事業は幾ら福島県に交付をされていますか。

小宮山副大臣 交付額は百三十八・七億円です。

小泉(進)委員 そのうち、県からその基金が市町村に幾ら計画の額として行っていますか。

小宮山副大臣 ほぼ全額に近い百三十八・六億円です。

小泉(進)委員 ほぼ全額に近いということは、一見して聞くと、もう使い切っちゃったというふうに理解をしかねないんですが、これは聞いてみると、そうとも言えないんですよね。

 計画額ということで、計画段階ではそれぐらいの額を見積もっていたけれども、実際にまだその事業が実行されていなかったり、もしくは、その時期時期によってニーズがまた別の事業に出た場合、その事業の内容も変更できる。したがって、百三十八・七億円のうち百三十八・六億円ですか、これが計画額としておりていることは、使い切ったとも限らない、こういう理解でよろしいですか。

小宮山副大臣 委員が言われるとおりです。

 福島県での現状では、計画として一万一千人分、それが今の額になるんですが、求人数は五千六百十人、採用実績は三千八百七十四人ということですので、おっしゃるとおりだと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございます。一つ一つ丁寧に確認をさせていただきました。

 そこで、細野大臣にお伺いをしたいんですが、小宮山副大臣の御答弁にもあったとおり、除染活動をこの創出基金事業として、被災者の方、また福島県で避難生活を強いられている、そして職を失っている方、そういった方に、働く一つの手段として、国が責任を持って給料も払い、自立への第一歩として活用していただくことは可能だという答弁がありました。大臣は、これを福島県内で活用するお考えはありませんか。

細野国務大臣 雇用創出基金事業の中で除染活動できるのであれば、それは最大限活用していきたいというふうに考えます。

 同時に、厚労省の持っている、自治体が持っているこの基金だけではなくて、除染事業本体でも委託ができるような仕組みになっておるんですね。ですから、まだなかなか事業者の皆さんにしっかり委託をしてやっていただけている状況ではありませんけれども、モデル事業として警戒区域の中でできる部分、さらには人が住んでいるところで、例えば森とか林の除染なんかはいろいろな危険も伴いますのでなかなか地域の方ではできませんので、そういったところで事業者の皆さんにお願いをできないだろうか。

 また、アスファルトを削るというようなこともかなり重要な方法の一つでございまして、通学路などはそういう形をすれば随分放射能の濃度が下がるんですね。ですから、そういったところで事業者に活躍をしていただく余地もあるというふうに思います。

 経済も大変厳しい状況でございますし、やはり人というのは、働き場所があって、そこでしっかりとやりがいを見つけるというのが極めて大事な要素だというふうに考えますので、単に町内の皆さんに手弁当でやっていただくということだけではなくて、これが経済の再出発の機会にもなるような、そういう運営をしてまいりたいと思います。

小泉(進)委員 簡潔にもう一度確認したいんですが、除染活動をただのボランティアベースというわけではなくて、国が、それを仕事の一つ、給料を払って、そういった形で実行に移す、それでよろしいですか。

細野国務大臣 そういう形をとってまいりたいと思います。

小泉(進)委員 そういうことでしたら、その次の段階で大変重要なのは広報。

 やはり、それぞれ皆さん勝手にやっている方もいますから、そして中には、避難生活を強いられている方でも、仕事がないということで家にもしくは仮設にいられる方もいますが、その方々が、除染をしながら、自分たちの町を自分たちできれいにしながら、それで稼ぐこともできるんだということを広く周知徹底しなければいけません。これは力を入れて、細野大臣が足を運んだ際、また、毎日やっている記者会見の場でも、こういった稼ぎ口がありますと、これはしっかりと言ってください。

 きのう、実は福島県の幹部の方にお会いをしました。この方は細野大臣もお会いしたことがある方です。その方にエピソードをいろいろ聞かせていただいたんですが、さっき私が原発のことを竜と言っていると言ったのはその方のことなんです。

 最初、福島県民は、竜からどうやったら逃げられるのか、それを考えた。しかし、今この時期になって、竜をどうやったらやっつけられるのか、そういう気持ちになってきた、そういう人も出てきた。その人たちにとっては、除染を、自分たちの町を自分たちの手できれいにするというのが、稼ぎ、それが仕事として認められるとなったら、こんなにありがたいことはありません、そんなこともお話をしてくれました。

 やるということでしたので大臣の言葉を信じたいんですが、実は大臣の言葉を信じて、これは細野大臣じゃないんですが、ほかの大臣で、やると言われたことを信じたら裏切られちゃったこともあるので。これは義援金のときなんですけれども、私は、一次配分を最初から三十五万、十八万と分けたことはよくなかった、一律配分で二次でやるべきだと言って、大臣もやると言ったんですが、結果的にはそれは実行に移されませんでした。そういったことがないように、やると言った以上、責任を持ってそれは実行に移していただきたいと思いますので、今後の推移をしっかりとチェックしていきたいと思います。

 もう一つ、私は大臣に伺いたいのは、これは福島県民、特に避難を強いられている方々の純粋な思いに関する質問です。いつ我が家に戻れるのか、そういった避難解除に向けての質問なんです。

 七月の十九日、原子力安全委員会は、「今後の避難解除、復興に向けた放射線防護に関する基本的な考え方について」という文書を発表しました。

 きょうは班目委員長にもお越しをいただきましたが、これは私も読みました。ざっくり考えたときに、こういう条件が整っていくことが避難解除に向けたステップですよ、簡単に言うとそういう内容だったと思いますが、班目委員長、それでよろしいですか。

班目参考人 そのとおりでございます。

 基本的には、避難解除ということは緊急時被曝状況から現存被曝状況への移行を示しますので、内部被曝までも含めて一ミリシーベルトから二十ミリシーベルト・パー・年という中で下の方の値を参考レベルにしっかりとした放射線防護が行われること、究極的には一ミリシーベルト・パー・年を目指してしっかりとした除染活動が行われること、それに際しては、例えば、今小泉委員がおっしゃるような住民の参加などもどんどん促すこと、そういうことをるる書き連ねたものでございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 結構この問題というのは専門用語が多くて、日ごろ耳にしない言葉も多いので時々理解に苦しむ場面もあるんですが、ちょっと丁寧に確認をしたいんですが、班目委員長は、緊急時被曝状況から現存被曝状況に移行すること、これがまず第一ステップだと。

 そこで、緊急時被曝状況というのは警戒区域と計画的避難区域のことを指す、そして現存被曝状況というのは緊急時避難準備区域と特定避難勧奨地点、つまりこれはホットスポットと俗に言われることですが、これを指すということでよろしいですか。

班目参考人 実際には避難準備区域も、警戒区域と同様、緊急時被曝状況にあると考えてございます。現存被曝状況というのは、例えば福島市、二本松市、郡山市等々において一ミリシーベルト・パー・年を超えるようなところが出ておりますが、こういうところはむしろ現存被曝状況にあるというふうに原子力安全委員会の方では考えてございます。

小泉(進)委員 つまり、警戒区域と計画的避難区域、この二つをあわせたものが緊急時被曝状況、そしてそこから緊急時避難準備区域と特定避難勧奨地点に移ること、それが、最初に言った段階の、緊急時被曝状況から現存被曝状況へ移行することがまず第一歩だということが原子力安全委員会の基本的な考え方です。

 そして、その次にどういったことを求めるかというと、内部被曝を含めて毎時三・八マイクロシーベルト、これが一つの目安だと。委員長、これもこれでよろしいですか。

班目参考人 あくまでも原子力安全委員会としましては、現存被曝状況というのは年間一ミリシーベルトから二十ミリシーベルトの中に入っていることというふうに考えてございまして、三・八マイクロシーベルト・パー・アワーという値は、これは行政庁の方から出た数値だというふうに考えてございます。

 特に、内部被曝は当然この被曝の中には含まれなきゃいけないものでございまして、三・八マイクロシーベルト・パー・アワーという値を使う場合には、これは、それがずっと一年間続くというのではなくて、その後、除染等がしっかり行われて、そこからどんどん下げていくということが明らかだという場合にのみ使っていいものだというふうに考えてございます。

小泉(進)委員 この原子力安全委員会が出した文書の中にはまた専門用語というか日ごろ聞きなれない言葉があって、一つは、全被曝経路という言葉があります。全被曝経路からの被曝を総合的に考慮する必要がありますよと。

 これは、説明を受けた段階で聞いたら、つまり、外部被曝だけで判断しちゃだめですよ、全被曝経路というのは、経口摂取から内部被曝から、そういう部分も含めた考え方をしないとだめですよ、そういった御説明を受けましたが、そういう認識でよろしいんですか。

班目参考人 そのとおりでございます。

小泉(進)委員 それで、この三・八で、しかも全被曝経路を考慮した段階でその目安をクリアしたら、その次に環境モニタリングと個人線量推定のためのシステムを構築しなければいけない、これがその次の踏むべき段階になる、これでよろしいですね。

班目参考人 環境モニタリングシステムと個人線量の推定システム、それからあと健康評価システム、この三つは必ず構築していただかなきゃいけないものだというふうに考えてございます。

小泉(進)委員 今、委員長が最後に触れたもう一つのシステム、健康評価システムですね。この健康評価システムは、環境モニタリングと個人線量推定のための二つのシステムに基づいて設計される、構築されるシステムだということです。

 そして、このシステムが構築をされた後に、最後、ついに避難の解除を行う、そういうことに当たっては適切な防護対策と除染・改善措置を策定すること、こういった最後の避難解除に向けた段階を示したのが、七月十九日に原子力安全委員会が示した避難解除に向けて、つまり、避難を強いられている方々がもとの自分たちの町にこういう段階を踏めば戻ることができますよ、この考え方を示したものだ、私はそうとらえました。

 この委員会の基本的な考え方を受けて、細野大臣はどういう理解を、また受けとめ方をしていますか。

細野国務大臣 原子力安全委員会が示したこの七月十九日の考え方は、これから安定化に向けてさまざまな判断をしていく、これがまさに基準ということになってまいりますので、今、班目委員長の方から話がありましたそういったこと一つ一つを確実に実行していくということでございます。

小泉(進)委員 私が聞きたいのは、原子力安全委員会が示したこの基本的な考え方を受けて、事故収束の担当大臣である細野大臣は、こういう段階を踏めばもとの我が家に戻れます、そういったロードマップみたいなものを、福島県民の、特に避難を強いられている方々にお示しをするお考えはありませんか。これをお聞かせください。

細野国務大臣 それをできるだけ早く出すのは政府の責任であると考えております。

 班目委員長の方からもしかしたら後ほど答弁があるかもしれませんが、木曜日には原子力安全委員会が開かれて、東電の福島第一原発、この発電所の状況についての一定の分析を保安院が報告し、安全委員会にもそれをチェックしていただく、そういうことになっております。そこで、さまざまなリスクを踏まえた上でも一定の安全性が確認をできれば、いよいよ、二十キロ―三十キロの緊急時避難準備区域、ここについてのさまざまな判断ができるというふうに考えております。

 ただ、これは、政府がひとりよがりに判断をしても最終的に住民の皆さんに行動を起こしていただくことは難しいですから、まずは国としてできるだけ早い段階で判断をして、その後、自治体との協議に入りまして、自治体の皆さんにまずはしっかりと考え方を整理していただいて、国も考え方をすり合わせして、その後の手続について進めてまいりたいと考えております。

 一方で、警戒区域の方なんですが、ここは現段階ですべてのスケジュールをまだ確立できておりません、率直に申し上げて。今やれることは、モニタリング、除染、そしてそれと並行して、インフラがかなり傷んでおりますので、インフラの確認、それを第一ステップから第二ステップの中で行う中で、第二ステップが終わった時点では警戒区域についても何らかの判断ができるように努めてまいりたいと考えております。

小泉(進)委員 私も、細野大臣が何度もテレビと記者会見等で言っているような、いつ戻れるのかという、そのいつかというのはなかなか言えない、この思いはわかります。原発の状況も日々ニュースで変わりますから、これはわかるんです。しかし、いつかはわからないけれども、そこまでにクリアしなければいけない要素はこういうことですよ、この必要条件というのは県民の方にわかりやすく示すべきじゃないですか。

 そこで、私は、この七月十九日の原子力安全委員会の避難解除の基本的な考え方を読んだときに、あるじゃないかと。これを読んだときの私なりの基本的な避難解除に向けたステップというのは、一つ目が、緊急時被曝状況から現存被曝状況に移行すること、二つ目が、環境モニタリングと個人線量推定のためのシステムを構築すること、三つ目が、この二つのシステムに基づいて健康評価システムが構築をされること、そして最後に、避難の解除を行うに当たって適切な防護対策と除染・改善措置を策定すること。こうやってこの文書を読んでいくと、一つわかりやすいステップが見えてくるなと思うんです。

 そうすると、いつかはわからないけれども、例えば、まずこの第一条件、緊急時被曝状況から現存被曝状況に変わったな、それが県民の皆さんにわかったら、ああ、一段階越えた、そして、さっき言った二つのシステムも構築をされた、ああ、二つ目も越えた、こういった感じで段階的に、自分たちが登っている山というか、自分たちの位置を把握しやすいと思うんです。

 ですから、いつというのは明確に言えないとしても、こういう条件をクリアすることが、結果として、いつというその時期につながってくるんだ、このわかりやすい工程表を私はできる限り早くお示しすべきだと思いますが、いつこれはお示しできますか。

細野国務大臣 先ほど答弁をいたしました中身というのは、これにかなり沿ったものなんですね。

 具体的に申し上げると、緊急時被曝状況から現存被曝状況というのは、それぞれお住まいになっているところで、原発の今の事故のリスクがあるかないかという違いなんです。ですから、炉の評価をして、二十キロ―三十キロについてのリスクがないということになれば、いよいよ緊急時避難準備区域については緊急時被曝状況から現存被曝状況に移行する、すなわち、普通の生活をできる前提が整うということになるわけです。

 ですから、私どもがやらなければならないことは、安全委員会という専門家の皆さんがしっかりつくった基準に基づいて、あとは、それをできるだけ実情に応じて、わかりやすく、そして皆さんに、これならいけるんだと思っていただけるような具体的な道筋を示すことだろうというふうに考えております。

 今、小泉委員から、解除についてのロードマップをというお話がございましたので、政府内でさまざまな検討も進めてはおりますけれども、できるだけ早い段階で福島県民の皆さんにお示しをできるように進めてまいりたいと思います。

小泉(進)委員 できるだけ早い段階というのは、年内もしくはもっと早くですか。

細野国務大臣 ロードマップという意味でいうならば、誤解をしないでいただきたいんですが、年内にすべての方に帰っていただくとか、そういう無責任なことは言えません。言えませんが、こういうスケジュールで物事を決めていきますというロードマップについては、そんな先のことではなくて、できるだけ早い段階、まさにそれほど時間を置かずに出してまいりたいということでございます。

小泉(進)委員 例えば、東電が発表している原発のステップ1、ステップ2、ステップ3のあの工程表みたいな形で、わかりやすくできればいいと思うんです。私はそこに時期を明示する必要はないと思いますよ。必要な条件を示して、これが終わればここに行く、こっちが終わればこういう段階に行く、私は、それを示すということが、いつ我が家に戻れるのかという純粋な思いのためのロードマップと言われるものになると思います。

 大臣、年内とかじゃなくてもっと早くできるということでしたから、これは、お盆が終わって、九月あたりから警戒区域の大規模除染も始まるということでしたから、それぐらいに合わせて、時期は示さなくとも必要条件は示す、そういうロードマップを示す考えを持っているということでよろしいですか。

細野国務大臣 時期はできるだけ急ぎたいと思います。

 ただ、小泉委員にぜひこのことは申し上げたいんですけれども、私も福島に余り行っていないころは、できるだけ早くいろいろな区域を解除して帰ってきてもらう、そのために事故を収束させるんだというこの一念でやってまいりました。ただ、毎週のように福島に行って多くの皆さんとお話をする中で、それぞれ皆さん人生を抱えておられて、思いはやはり微妙に異なるということもわかってきたわけですね。ある方は、多少リスクがあっても戻って、そこで生活をしたいという方もいらっしゃるわけです。御年配の方には結構そういう方も多いですね。逆に、もう絶対に安全が確保できない限り私は戻らないという、お子さんを抱えているお母さんもいらっしゃる、このお気持ちもよくわかります。

 ですから、そういういろいろな思いを持っていらっしゃる方々に対して、どういう時期にどういうメッセージを出すのかというのは、原発の安全性、その安定ということとはまたちょっと離れて、極めて難しいし、そこで例えば誤ったメッセージを出してしまった場合には、また現場に大変な混乱をもたらしてしまうという面があるんですね。ですから、こういった問題のロードマップについては、非常に慎重にこれまで対応してまいりました。

 ただ、もう五カ月になろうという時期になっておりますし、避難をされている方にも疲れが見えます。やはり、将来に向かって何らかのめどを立てたい、出口を見出したいという思いを持っていらっしゃる方が非常にふえてきているということは痛感をしておりますので、そこは、明確に時期は明示をできないかもしれませんけれども、こういう考え方で物事を進めますということについては、早い段階で整理をしてまいります。

小泉(進)委員 大臣がおっしゃる気持ちはそのとおりだと思います。それぞれの方の思いがあって、一概に早く避難を解除してくれという思いだけじゃないと。ただ、それは、県民の当事者の方にそれを決断する自由があるわけで、その前提として、戻る戻らないはその方々の意思だとしても、戻れるか戻れないか、このための必要な条件を示すというのは、私は、政府として可能な限り早く示すことは、個人個人それぞれの方の思いとは別に、間違いなく必要なことだと思います。

 きのうお会いした福島県の幹部の方はこういうことも言いました。私たちは北極星が見えないんです、どこに向かっていったらいいか、それがわからない、だから、少しでもその北極星が見えるように霧や雲を早く取り除いてほしいと。

 そういった思いで、私は、この避難解除に向けた一つのロードマップ、必要条件を示すということは早くやった方がいい、そういうふうに思いますので、そんなに先の話じゃなくてやるということでしたから、これもできる限り早く大臣がやっていただけることを望みます。それが県民の方の思いでもある、私はそうとらえています。

 さっき、除染の話、これを雇用の一つとしてやるという御答弁もあり、そして今、避難解除に向けたロードマップもできる限り早く示しますということもありました。この二つの話も、要は、毎日の日常の中で、目が覚めると放射線の値に一喜一憂をする、日常が全く変わってしまったという福島県の皆さんの思いは、避難を強いられている方、また、避難はしていないけれども日常が変わってしまった、その方々共通の環境だと思います。

 恐らく、細野大臣のもとにはいろいろな福島県の状況が入ってきていると思います。私も何回か行っていますから、現地にいる知人の方、関係者の方からよく情報は入ってくるんですが、余りこれは言わない方がいいとは思うんですが、よくない事例も起きていますよね。

 例えば、今、個人の方で、グレーな、放射線が高い地域の中では、家の前の庭の土を自分たちではいで、それを盛り土に、家の前に置いておく。それをどこに持っていくか、これはまだ国も示していません。それをどのように扱っているか。国が言うように、そのまま置いている方もいますよ。しかし、残念ながら、そうじゃないケース。これはあえて言いませんよ。むしろ、そういう方法があるのかと、多くの方がこれで見たら逆にマイナスだと思いますから。後でそれはお話しをすればいいことだと思います。

 こういった負の事象を放置しておくと、私は、思わぬところにホットスポットが出てきたり、予想しないところに汚染が広がったり、そういう可能性は排除できないと思います。だからこそ、個人個人でやっている方の、例えば盛り土なり、そういった処分を、また扱いを早く国が手をつけなきゃいけないと思うんです。

 大臣、これに対しては、申しわけないけれども当面はそのままにしておいてくださいと言っていますね。当面というのは、どれぐらいのタイムスパンで見ていますか。

細野国務大臣 これまでいただいた質問も結構難しい質問がありましたが、多分この御質問が一番難しゅうございます。

 今、例えば、地域で空き地に仮置きをしていただいていたり、個人の御自宅で庭の隅に置いていただいている、この状況が望ましいことではないというのはよく承知をしております。その一方で、現段階において大規模な一時保管場所が果たしてできるだろうかというと、なかなかそういう状況ではないし、場所も含めて、御理解いただくことは大変な難しい問題があるということでございます。

 ただ、ここで手をこまねいて見ているわけにはいきませんので、それぞれの市町村の皆さんと相談をしながら、単なる仮置きではなくて一時保管、もう少し規模が大きくて、まとめた量を一時的に保管できる場所を確保しなければならないと考えております。そして、そこはあくまで一時保管である、最終処分や最終的な処理方法については、これは改めて国がやり方を示すということをしっかりと申し上げた上で、もう少し規模の大きい一時保管をやっていかなければならない、その問題意識は持っております。

 また、自治体の皆さんともそういう話し合いをしておる状況でございますが、まだこの問題については出口が明確に見えているという状況ではございません。

小泉(進)委員 つまり、自分たちで土をはいでもらったりして、今、シートをかぶせるか、もしくは盛ってそのままにしてもらっている状況は、いつまでそれが続くか見えない。そういう苦しい今の状況だと思いますが、これは恐らく環境省と他省庁との協議も必要ですね。

 ただ、さっき私、あえて具体例は出しませんでしたけれども、本当にこれは一刻の猶予もないと思いますよ。もちろん、人の善意を信じるというのは、政治の世界で、また、政治だけじゃなくて人間社会の中では必要で、大切な美徳だとは思います。ただし、残念ながら、そうじゃない事例は起きているわけで、そして、さらに不幸なことは、福島県の方はそれを見聞きして知っているということですよ。それを見ながら生活をしていて、でも、国は、当面そこに置いておいてくれと。この日々が続くことがどれだけ政府に対する信頼をおとしめ、自分たちの自立心を折らせ、復興十年だと言っても、そんな気になれないよ、そういう思いを醸成しかねない。

 私は、そういう憂慮すべき一つの事例が、この個人個人で除染等改善措置をやっている方々の今の立場だと思いますので、いつそれを国が責任を持って一時保管場所に移動するとかまだ言えないにしても、そういう状況を国はしっかり把握をしている、何もやらないわけじゃない、今皆さんの玄関の前にあるその盛り土、除染したものは必ず責任を持って撤去します、これを示すことが不可欠じゃありませんか。

細野国務大臣 私も、そういう処理に困っていろいろなことが起こっているという話は直接耳にしておりますので、承知をしております。福島県内では、そういったことはもう皆さんいろいろと見聞きされているという状況も聞いておりますので、今の状況が好ましい状況ではないということはよく承知しております。

 恐らく何段階かあるということを明確にお示しすることができていないんじゃないかと思っているんですね。一時保管というのも、保管場所を考えていただいて、しっかりそこに本当に簡易でもいいので遮へいをすれば、随分それは安全に確保できるんですね。単純にそこにぼっと置いておくだけだと、そこが放射線が高くなってしまいますので、好ましいことではありません。ですから、仮置きの方法についてもう少ししっかりとお示しをして、それを町内なんかで徹底していただく、それはまず第一段階としてやらなければならないだろうと思います。

 そして、その次の一時保管なんですけれども、できれば最初の事例をつくりたいと私は思うんですね。そういう答えがまだ出ていないと、もうどうなるのかわからないということになってしまうので、福島県内で幾つかの事例をつくりたい。その事例ができれば、こういうやり方をこの場所でとっているんだから、こっちでもこういうやり方ができるのではないかという声が必ず出てくるというふうに思うんです。

 日本人のこういう地域社会に対する思いというのは非常に強いですし、福島の方はなおさら強いですね。そういう中でも、残念ながらそういうことも出てしまっている。これを放置することは決していいことではありませんので、今申し上げたような第一段階と第二段階、そして、第三段階は国が全面的に責任をとりますよという、ここを正確に皆さんにお伝えする必要がある。そして、第二段階をできるだけ早く実現する必要があると思います。

小泉(進)委員 今の状況だと大変お答えにくい質問もあったと思いますが、ぜひ、さっき大臣が九月に警戒区域内でモデルの除染事業を始めたいと言いましたが、私は、そういうところのモデル事業よりも、今生活を続けている方の環境の中でモデル事業を早く始めて、こういうことができますよとお示しすべきじゃないかな、そう思っています。

 きょうは細野大臣中心に質問をさせていただきましたが、これから多分ほぼ毎週、今までのように大臣は福島に行くと思います。その中で、細野大臣が、この前テレビでこう言っていたことが私はすごく印象に残りました。周りにつけるスタッフの話で、大臣は若い人をつけてくれとお願いしていると。

 つまり、審議官クラスの方になるともう大体五十代だ、そうすると、これから長期にわたってしっかりと責任を持たなきゃいけないこの福島の状況、これに責任を持てない、私は周りに若いスタッフをつけるようにと言っているんです、そういったお話が私は非常に印象に残りました。

 大臣がお願いしたとおり、そういう仲間はつけてもらっていますか。

細野国務大臣 はい。皆さんに御配慮いただいて、若いスタッフがそろっております。

 大臣の秘書官というと、どちらかというとシニアの方がつくケースが多いようですけれども、私の秘書官は、今、それぞれの役所からついていただいている方が六人いるんですが、一番上が四十代の半ばから後半ですので、私より年下の方が多うございまして、非常に若いスタッフがそろっています。

 なぜそういうことを言うかというと、やはり本当に十年、二十年先にも責任を持って、今のことがわかっている人が必要だと思うんですね。新しい人が入ってくることももちろん大事なんですけれども、初めのこの時点の何が起こったかということを知っている人がいることは、将来、物事を解決することに必要だというふうに考えておりますので、そういうことを申し上げてまいりました。そういう体制を整えていただいております。しっかりやります。

小泉(進)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、そういった仲間と一緒に、福島の一日でも早い自立の方向へと導いていただきたいと思います。

 残り約五分以内ですけれども、お越しいただきました東副大臣に、防災担当ということですから、きょうは地震のことについてお伺いをしたいと思います。

 先日、七月の十一日、三浦半島断層群、私の地元も横須賀、三浦で、まさに三浦半島の中にあるんですが、そこでの大規模な地震の可能性が高まっているという分析の発表がありました。それに伴って、先日、私は質問主意書を赤澤議員と連名で出したところ、その返答として返ってきたのは、想定しているのは津波は一メートル未満、そういうお答えでありました。これは三・一一後も変わらない、そういう想定で中央防災会議の方でも考えているということでよろしいですか。

東副大臣 お答えさせていただきます。

 七月十一日に文部科学省から発表されました三浦半島断層群については、平成十六年に中央防災会議首都直下地震対策専門調査会において、首都直下で発生する地震の一タイプとして被害想定を行っており、首都直下地震対策大綱等に基づいて建築物の耐震化等の地震防災対策を推進しているところであります。

 そこで、今御下問の、その場合には津波が一メートルぐらいというふうに言っているわけでありますが、これも今回の三月十一日の東日本大震災を踏まえた上で変わらないのかということであります。

 今の、これまでの科学的知見というのは、基本的には津波というのは、地震の規模、これはマグニチュードでありますが、それとその地震が起こるもとになる形状がどういうふうになっているかということによって変わってきます。基本的には、規模そしてまた形状が変わらないという前提の上では、一メートル前後なんだろうというふうに想定されています。

 ただ、御指摘のとおり、今回の三月十一日のマグニチュード九の、これはちょっと三浦半島断層群とは違うメカニズムでありますけれども、この知見を踏まえた上で改定が必要であるとするならば、それに基づいてきちんとした対策をとっていかなくちゃいけないというふうに思っております。

 現段階においては、一メートル以内という形で想定しているところであります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 きょうの産経新聞にもありましたが、ある識者の方の見方では、今、もしかしたら千年に一度の地震活動期にあるのかもしれない、そういう分析もありました。

 今、東日本大震災後の復旧復興と並んで、首都直下、もしも三浦半島断層群の地震が起きた場合は、三浦半島では震度七、東京でも六、そういったことが起きるということですから、これは今までの想定にとらわれないで、地震対策、復旧復興とあわせてやっていただきたいと思います。

 きょうは、細野大臣、また他委員会から副大臣、小宮山先生、また東先生、ありがとうございました。

荒井委員長 次に、村井宗明君。

村井委員 民主党の村井宗明です。

 私は与党なんですが、この数カ月間、一つのある資料を請求していて、ずっと出なかったので、きょうだけは野党的なことを言わせてもらうので、御理解いただきたいと思います。

 皆さんに新聞記事をお配りしています。日曜日の東京新聞の記事です。

 国会議員の皆さん方は御存じのとおり、国の支出というのは二種類あるんです。高額支出と少額支出です。高額というのは工事二百五十万円以上、物品で百六十万円以上、賃貸で八十万円以上、それ以下のものは少額という扱いになるんですが、今回の情報公開法でも我々はこういう説明を受けていました、少額のものというのはわずかなんですと。だから高額のものだけ公開すれば十分で、少額なんて全体から見たらほんのわずかですというふうに聞いていました。

 今回の情報公開法が通ってもそうなんですが、いや、びっくりしましたね、実際、新聞記事に明らかなように、高額なものというのは全体の〇・六%しかないんです。支出ベースで〇・六%、金額ベースでいっても一・八%しかないんですよ。それで、高額なものだけ情報公開すれば、国会議員なんて少額なんてわずかだと思っているからもうこれで情報公開法はだれも議論せずにすうっと通るだろう。とんでもない話ですよ。

 さて、そこで尾立政務官にお聞きします。

 いわゆる少額随契、二百五十万円以下の工事、百六十万円以下の物品購入、八十万円以下の賃貸など、少額随契は一体何件、幾らぐらいあるんでしょうか。

尾立大臣政務官 村井委員にお答えいたします。

 まずは、村井委員におかれましては、公共調達の適正化に向け常日ごろ本当に真摯に御尽力いただいておりますことに、同僚議員としても心から敬意を表したいと思います。その上でございますけれども、財務省として答えられる範囲でお答えをさせていただければと思います。

 まず、御案内のとおり、今御説明ございましたように、少額随契というのは、例えば財産の購入であれば百六十万円以下、こういった一定の基準に満たないものについては随意契約で購入してもいいということになっております。これは、契約事務の軽減、簡素化という観点でこのようなことが法律上許容されてきたということでございます。

 ちなみに、百六十万というのがいつごろ決まったかというと、昭和四十年ぐらいというふうに聞きまして、当時としては相当高額だったんだろうなと改めて私も実感したところでございます。

 一方、平成十八年以降に関しましては、政府において、随意契約の見直しを主な内容とする公共調達の適正化にかかわる財務大臣通知というものを発しまして、各省庁の長から毎年契約実績の報告をいただいておるわけでございます。

 そんなものを使ってこの新聞記事もでき上がっていると思うんですけれども、ただ、残念なことにといいますか、この少額随契については、公共調達ではございますが、契約金額が少額であるということ、そして客観的な基準がもう決められているということで、この対象から除かれている、含まれていないということでございます。さらに、事務の簡素化という面からも含まれておらないということでございまして、財務省としては、政府全体の少額随契の金額及び件数を現状では把握していないということでございます。

村井委員 実は、もう事前のレクからこうやって、高額分はちゃんと公表していますが、情報公開法が通っても少額分は件数も金額もわかりませんという答弁しかできませんと。野党の皆さん、納得いきますか。与党の私ですら、これはかりっときていて。

 さて、そこで、ADAMSというソフトがあります。(資料を示す)これはマニュアルなんですが、国の支出はすべてこのADAMSのソフトに、二千八百四十一万件、一回全部入力をしているんですよ。これがCSVデータであって、これを公表してもらえたらわかるじゃないですか。昔の手作業の時代と違うんです。この中から百六十万円以上だけを抽出して今公表しているような形にはなっているんですが。

 確かに、入力のときに二つの支払いの請求書が一個で来たら、ADAMSの入力は一個になっているから正確な数字は出ません。不正確な数字でも、このADAMSの二千八百四十一万件に関数をちょっと掛けただけで簡単に少額随契の契約と金額の概算値は、不正確ながらも概算値は出ると思うんですが、その作業をしていただけませんか。

尾立大臣政務官 今回の質問をいただきまして、私も改めてADAMS2の構造等々を勉強いたしました。

 委員おっしゃるように、ADAMS2にデータ入力する際に、例えば少額随契だというようなフラッグを立てておけば集計など私も簡単にできるのではないかと思って聞いてみたんですが、残念ながら、そういうフラッグが立っていないということです。しかしながら、今委員御提案のとおり、例えば、一定の条件を置いて、百六十万だ、二百五十万だというような支払いを基準にデータをエクセル形式で集約することは可能だというふうに聞いております。

 ただ、委員今おっしゃったように、二つの支払い、例えば五十万と五十万のものが一つになって百万で支払う場合、逆に三百万のものを百万、百万、百万というふうに分割して払う場合も、すべて、そういう意味では、このエクセルデータに出てまいりますので、そういった整理は必要かと思います。

 ただ、私の立場、会計センターを財務省は所管しておりますが、そもそものデータの管理権は各省庁にございますもので、勝手に我々の会計センターの立場でデータを集約するということができないということは御理解をいただきたいと思います。

 ただ、私も、勉強のために、自分の財務省のデータについて一回研究をしてみたいと思っております。

村井委員 尾立さんは公認会計士ですよね。きょう一日、野党でいさせてもらうんですが、尾立さんの公認会計士の事務所で、普通、民間企業は全部出しているのに、いや、私のところは百六十万円以下はわかりませんということで許すのか。百六十万円以下は件数も金額もわかりませんと言って、そんな民間企業は許されなかったですよね。これは質問じゃないんですけれども。

 あと、国会議員の皆さんの事務所を見てくださいよ。国会議員の皆さんの事務所、一万円以上は領収書を公開していますよね。それで、国は百六十万円以下は公表できません、そんなのが許されると思いますか。できるじゃないですか、私らですら一万円以上やっているんです。請求されたら、一円から一万円以下の領収書も公開されているんですよ。委員長、一番よく知っていますよね。私ら国会議員、六百三十円のキャミソールで批判されていて、何で国は百六十万円以下だったら公表できないなんて言って許されるのかが私はどうしても理解できない。

 最後に、内閣官房に、今こうやって財務省では言えないと言っているので、せめて過去のものは何とかかんとか、ADAMSでちょっと簡単に計算したら、これは細かいフラッグがいろいろ立っているし、マニュアルを読んだけれども、概算値は絶対出せますから、過去の概算値を出していただきたいということと、正確な数字を出せるように、今後、ADAMSの改善も含めて、大体の数字が出せるような改善。

 少なくても、私は、この〇・六%だけしっかりと公表するという情報公開法に納得はできないし、百六十万円以下はもう今後もやみの中ですなんていうのは納得できないんですが、内閣官房に最後にお答えいただきたい。

徳永政府参考人 村井委員の御質問にお答えいたします。

 現在、政府全体といたしましては、国家戦略室の方でまとめました予算監視・効率化チームに関する指針というものがございまして、平成二十二年の三月三十一日に出されたものでございますけれども、これに基づきまして、副大臣をトップといたしまして、各府省庁に予算監視・効率化チームというものが置かれております。

 また、これも国家戦略室なんですけれども、予算執行の情報開示充実に関する指針というものがございまして、これに基づきまして、それぞれの各府省庁で、チームでいろいろ頑張っていただいている。

 また、これは行政刷新会議決定でございます、ことしの四月でございますが、公共サービス改革プログラムというものがございまして、これに基づきましても、各府省庁におきまして、情報開示のあり方や随意契約の見直しなどに関して検討を現在鋭意進めているところでございます。

 こうした取り組みなどの中で、各府省庁さんの実態も踏まえながら、あるいは情報開示に伴う負担というのも勘案しながら、情報の公表のあり方について検討してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

村井委員 検討してまいりますという答弁というので、きょう、初めから聞いていたんですが、少なくても、与党の私ですら釈然としないし、野党の皆さんが本当にこんな〇・六%の部分の情報公開だけで満足するような情報公開法で今後の審議を賛成されるのかどうか、私は非常に疑問に思っています。

 検討されるというのはもちろんそれで結構なんですが、本当の情報公開法の審議のときまでには、少なくても、細かいものは全部は出さなくても結構ですが、少額随契が一体幾らぐらいあって、何件ぐらいあるのかの概算値だけは出していただきたいと思うんですが、委員長、どうでしょうか。

荒井委員長 この件については、後ほど理事会で協議をいたしましょう。

村井委員 きょう一日だけ野党の村井でした。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、福島伸享君。

福島(伸)委員 民主党・無所属クラブの福島伸享でございます。

 きょうは、忘れられた被災地であります茨城県を代表いたしまして、地震後三度目の質問に立たせていただいたわけでございます。委員長、理事の皆様方の御配慮のおかげで三度目、立たせていただいたんですけれども、質問をさせていただきたいと思っております。

 先ほど小泉議員が桃の話をしましたが、私は、牛の話と高速道路の話をさせていただきたいと思っております。

 同時間に農林水産委員会でやはり牛の問題に関する審議が行われています。私は、きょうはあえて農林水産省の関係の皆さんはお呼びしないで、財務省、文部科学省、そして細野担当大臣にこの件について御質問させていただきたいと思っております。

 セシウムの基準値を超えた稲わらが流通し、かつ、さらに牛肉からも基準値を超えたセシウムが検出されたということが日本の畜産業界に大きな影響を及ぼしております。

 我が茨城県でも汚染されたセシウムの稲わらが流通をしたわけでございますが、今までの検査では、幸いというか、何と申したらいいかわかりませんけれども、牛肉自体からは規制値を超えたものというのは出ておりません。しかしながら、実際に市場でつく値段というのは、もう既に三分の一、四分の一。値段がついたとしても、市場からは、茨城産の牛肉は要りませんということで、ほとんど受け取ってもらえないという状況ですから、県内で出荷が今の段階でされているという状況ではございません。

 牛というのは生き物でございますし、和牛、私の地元は常陸牛でございますけれども、サシの入った牛肉をつくるためには、えさの管理を厳格にして、出荷日を見据えてえさを変えて、この時点で出荷するためにというのを数えながら、極めて緻密に肥育していくのが畜産であります。したがいまして、一週間、二週間出荷がおくれたということでその牛の値段は下がってまいりますし、何よりも、牛一頭は百万近く値段がつくものでありますから、それが売れないことに伴う農家の収入の減少というのは非常に厳しいものがあるわけであります。

 特に、畜産農家というのは、私の地元ではみんな後継者がいるんですね。二十代、三十代、東京で大学に行った後、家に戻ってきて、さあ、これからお父さんと一緒になって頑張るぞ、そうした農家の皆さん方にとっては、今回の事件というのは非常に大きいということでございます。

 そうしたことを受けまして、農林水産省さんは七月二十六日に対策をつくりました。きょうお配りさせていただいている資料の牛肉信頼回復対策のスキームということでございますけれども、私はこれは全く不十分であると思っております。

 消費者の信頼をかち取り、生産者の皆様方に安心していただくためには、汚染した疑いのあるもの、あるいは消費者が食べたくないような牛肉はすべて市場から隔離した上で、これから出す牛についてはすべて全頭検査をするということを国がきちっと明確に、前面に立って説明すべきであると思っております。

 例えば、肉の買い上げでございますが、左の矢印がありますが、買い上げ対象となっているのは、明確に五百ベクレルの基準値を超えた、汚染された牛肉だけでございます。一方、汚染された稲わらを与えたものの肉からは基準を超えるセシウムが検出されなかったものは、保管をするということになっております。

 でも、考えてみたら、保管された後の牛肉はどうするんですかと私が事務方から聞きましたところ、まあ、ほとぼりが冷めたらまたどこかで、市場で流通させるんです。まあ、農林水産省さんも懲りない役所だなと思うわけでございますけれども、消費者にとってみたら、たとえ基準値は超えていないにせよ、いつまたこの稲わらを食べた牛肉が出回るかわからないという段階では、なかなか安心して牛肉を買っていただくことはできません。

 しかも、このスキームをごらんになってみたらわかるように、国は一銭も投じていないんですね。東京電力に損害賠償請求を食肉流通団体が行う、利子補給をALICが行うということで、全く国はお金を出しておりません。

 一方、風評被害等に遭って、困って、牛がなかなか売れない、安い値段であるということに対しましては、次のページの肥育経営の支援対策というものが講じられます。これは、左下の矢印に立てかえ払いというところがあります。こうして値段が下がっているような農家の皆さん方に、前年同月の出荷頭数掛ける五万円の立てかえ払いを行う。これも、例によって国は一銭も払うことなく、ALICの利子補給と東電の損害賠償であります。

 農家というのは、大体、月に五頭出す農家は百頭ぐらい飼育しているんですね。一頭当たり、えさ代は月に二万円です。ですから、全部で月に二百万円えさ代がかかります。前年同月に出荷した頭数掛ける五万円ということですと、五頭出荷する農家は二十五万円の仮払いなわけですから、二十五万円仮払いいただいたとしても、えさ代すら出ない。この間一頭も牛が売れないわけですから、収入がないという状況でございまして、この仮払いも、前年同月の出荷頭数掛ける五万円というのでは著しく低い値段だと言わざるを得ないというふうに思っております。いずれにしましても、なぜここまでけちけちするのかと。

 農家の皆さん方にとってみたら、稲わらから放射性セシウムが出ることは予想されたとはいえ、ほかのホウレンソウや原乳のように出荷制限や流通の管理を行っていなかったんですね。農林水産省は、紙っぺら一枚を出して、農家に通知してくださいという紙を県に出しただけだ。それが結果的に伝わらず、流通ルートを管理しなかったことで起きたという意味では、これは東電の責任である以上の二次災害なんです。国の不作為の責任であるんじゃないか、そういう思いを皆さん持っているんです。にもかかわらず、もっと国が前面に出ていいんじゃないかというふうに私は思うわけです。

 七月十九日の衆議院の予算委員会で、長島忠美議員の質問に答えて、菅総理自身も、今回、牛の肉の中に基準以上のセシウムがあったということについては、それを事前に防止できなかった、その意味では、私自身含めて責任を感じており、大変申しわけなく思っていますと、国の責任を認めております。

 私は、そうであるとするならば、疑いのある牛は全頭買い上げたらいいと思うんです、国の責任で。今、基準値を超えた牛は六十五頭、百万円で買い上げたとしても六千五百万円です。汚染された稲わらを与えられた牛というのは三千二百四十四頭。これを仮に百万円で買い上げたとしても三十億円です。与野党の皆さんで成立させた第二次補正予算には予備費というのが八千億円あって、まさにこういうときに支出するために八千億円の予備費を私たちは与野党一緒になって議論して成立させたんじゃないかと私は理解しております。

 そうしたことも踏まえて、消費者、生産者に安心感を持っていただく、そのために、今言っているような、放射能の基準値を超えた牛肉だけじゃなくて、汚染された稲わらを与えられた三千頭を超える牛、このすべてを国が責任を持って予備費をもって買い上げていただきたいと思うんですけれども、櫻井副大臣、どのようにお考えでしょうか。

櫻井副大臣 福島委員にお答えしたいと思います。

 私も宮城の選出でございまして、地元の畜産農家初め関係者の方々から、一日も早い解決をということを言われているところでございます。

 このスキームについては、現在、農水省を中心に新たな買い取りスキームなどを検討しているやにお伺いしておりまして、このことについては、ぜひ農水省からお答えをいただきたいと思っております。

 財務省といたしましては、今回の震災の関連に関して、今までのような本予算の査定とは全く違ってやるべきだということを強く申し上げているところでございます。勝事務次官以下、幹部は全員被災地に入りまして、被災地の状況を十分把握していると思っておりまして、そういう意味では、これまでは、どうも財務省というのは渋ちんで、財務省が全部律速段階になって物が進まないんじゃないかというふうに言われているようなところがありますが、現在は決してそういうことではございません。私の方も積極的に国の方で財政出動をするようにという指示を出させていただいているところでございます。

 今、福島先生から予備費のお話がありました。必要であれば予備費を使ってくるのは私は当然のことだと思っております。ただし、今後買い上げするにしろ何にしろ、ALICの方に相当なたまり金がございますので、今の独法に対して税金をどんどん投入していくという流れとはちょっと違っておると思いますので、必要であればもちろんきちんとした形で対応させていただきたい、そう思っているところでございます。

福島(伸)委員 政治主導の本当に前向きな答弁、ありがとうございます。

 このスキームを見ますと、すべてが東電に損害賠償請求をすることとなっております。ただ、実際、この五万円の仮払いをやろうとしている団体が金融機関にこのためのお金を貸してほしいと言ったところ、指針の対象にまだなっていないのでお金を貸すことができませんと言って断られたという話を聞きました。私は、このスキームに、きちんと指針の中で、農家に対して立てかえ払いをやる事業実施主体の負担した額は東電が損害賠償するというふうに書き込まないと、絵はきれいなんですけれども、この絵はまさに絵にかいたもちに終わってしまうというふうに思っております。

 このスキームがきちんと実行されるような損害賠償審査会の指針ができるのかどうかということについて、文部科学省さんの方から御答弁をお願いいたします。

林大臣政務官 福島先生にお答えをさせていただきたいと思います。

 この農水省さんのスキームは、これまでの指針に沿った考え方を踏まえて策定されたものだというふうに理解をいたしております。

 その上で、七月二十九日に開催をされました原子力損害賠償紛争審査会において、先生御指摘のセシウムに汚染をされた肉牛の問題について、農林水産省の方々初め、ヒアリング、報告を聞かせていただきまして、中間指針の素案についての議論を行ったということでございます。

 この中間指針の素案の審議において、御承知のとおり、セシウムに汚染されて出荷制限がかかったものについては、当然、これまでの指針の考え方に沿えば補償の対象ということになるわけでございますけれども、セシウムに汚染をされた風評被害という部分についても基本的には指針の対象に含めることというふうにして、次回が今月の五日になるんですけれども、この審査会で示す中間指針の案において、賠償の対象となる風評被害の範囲というものもきちっとお示しをいただけるのではないかなというふうに思っております。

 以上です。

福島(伸)委員 ありがとうございます。

 各省間で微妙なずれがある部分もあると私は思っております。特に風評被害のものについては、何県のものを対象にするかというのでずれが出るだけで、全部の、満額が補償されるということがなくなる場合もあると思いますので、その点、しっかり対応いただきたいと思います。

 この問題は、口蹄疫で去年ありましたけれども、それ以上に大変な問題だと思っております。そして、所管する役所が農林水産省、厚生労働省、文部科学省、財務省、消費者庁、さまざまな役所が絡む問題だと思っておりまして、私は、これこそまさに、細野大臣、多くの担当で大変だと思いますけれども、原発担当であるとともに消費者、食品安全の担当でございますので、各省一丸となって対応する体制をぜひつくっていただきたいと思っております。

 そして、何よりも我々がやらなければならないのは、消費者に信頼を持ってもらうことなんですね。

 今まで、出荷制限のときは、直ちに健康に問題がないとか言いながらやりながら、一向に安全宣言というのは出されたことがないんですよ。せっかく私と同世代の細野大臣でございますから、しっかり全頭買い上げる、全頭検査をする、そうした体制が整って、各省間の連携が整った段階で、今出ている牛肉は安全ですからぜひ食べてくださいということを細野大臣の方から、国内だけじゃなくて、今や和牛は世界でもブームですから、世界の皆さん方へ発信していただきたいなと思うんですけれども、その決意のほどをお聞かせください。

細野国務大臣 福島委員とは同世代でございますし、特に、御地元で農業が盛んで農水の問題を一生懸命ずっとやっておられるので、お気持ちはよくわかります。

 また、暫定規制値を上回った、こういう問題が出てきているということに関しては、消費者担当の大臣として、消費者の皆さん、そして農家の皆さんに御迷惑をおかけしていることに対して、本当に申しわけなく思っております。

 消費者担当大臣として何ができるのかということについては、この一カ月と少しの間、この問題もありましたので、いろいろ私なりに努力をしてまいりました。

 最低限やらなければならないのは、もちろん、福島委員おっしゃるとおり、安全宣言を出したいですね。出したいですけれども、その前に、暫定規制値を決めているわけですから、それ以上のものは出回っていないという状況を少なくともつくらにゃいかぬと。これは牛肉だけではありません。ほかも含めて穴がないかどうかをしっかり確認して、今、これは厚生労働省ということになるわけですけれども、しっかりと見ていただくように、既に要請をさまざまな形でしているところでございます。

 どうしても、縦割りで逃げることは許されないとは思いながらも、牛をどういうふうに買い上げていくかとか、どういうふうなことをしていくのかということについては、そこは農林水産省が責任を持ってやっていくという形になりますので、これからも農水大臣、三役、さらには厚労省の皆さんとも連携をして、消費者の皆さんに本当の意味で安心をしていただけるような状況をつくれるように努力をしたいと考えております。

福島(伸)委員 菅内閣の目玉閣僚でございますので、ぜひ、細野さんの発信力を生かして、安全宣言をしていただけたらと思います。

 次に、高速道路の無料開放措置に関する話題に移りたいと思っております。

 被災者の支援ということでありまして、高速道路の無料化、忘れられた被災地である茨城県も、私の地元の水戸のインターチェンジまで無料開放をしていただいております。地図がありまして、この被災者無料化区間の北の部分、私の選挙区から、大畠国土交通大臣の選挙区から北が無料となっていて、これは非常に地元は助かっております。本当にみんな喜んでおります。

 ただ、若干の混乱が生じておりまして、今、祭りを回っても、どこでも、おい、福島、どうなっているんだということをいろいろな方がおっしゃられます。せっかく被災者にとって助かる制度がちょっとしたことで評価されないというのは非常に残念なことだと私は思っておりまして、今地元で起きていることを若干紹介させていただき、提案をさせていただきたいと思っております。

 この地図をごらんになっていただいたらわかるように、私の地元は、田舎といいながら、高速道路はおかげさまで充実しております。無料化区間ではないインターチェンジが水戸の周辺には、ひたち海浜公園という海沿いから、ひたちなか、水戸大洗、水戸南、茨城町東、茨城町西、友部と多くあります。

 ふだんはこのインターで乗降する人が、水戸で乗りおりすれば無料になるということで、みんなこの水戸インターに殺到しております。その結果、どうなっているかというと、まず、この水戸インターに通じる五十号と書いてある国道が一日じゅう大渋滞してなかなか動きません。うちの妻も幼稚園に送りに行くのに時間が間に合わないとぶつぶつぶつぶつ私に文句を言います。

 そして、さらに問題なのは、水戸がひげの先みたいに、ここから無料の区間が始まるものですから、トラックはみんな無料になっておりますので、東京の方から来たトラックが、岩間とかでおりるトラックですら、水戸で一回おりて、もう一回Uターンして戻って無料にするということをやっています。

 次のページに地図がありますけれども、「コンビニから生活道路に入る大型車」と、赤い矢印が書いてありますけれども、民家の中をぐるっと回ってUターンしてやることで非常に危険な状況になっております。

 何よりも、無料化区間を水戸で区切ったことによって、海側というのは実は大きな被害を受けているんですね。「茨城県大洗町で発生した大渦」とありますけれども、これがまさに、今回無料化対象になっていないところでございまして、陸地の方をごらんになっていただいたらわかるように、四・二メートルの大津波が来ております。

 もともと、このあたりは、無料化の実験をしていたところ、今回、その実験が終わっちゃって無料でなくなった上に、無料開放区間から外されて、おれたちはこんな大きな被害を受けているのに何でという思いを皆さんしております。床上浸水だけで四百戸。大洗水族館というのがありますけれども、そこの団体観光客は例年の一割から二割しか入っていません。一割、二割減じゃなくて、一割、二割しかいない。七月十六日に大洗サンビーチというのが海開きしましたけれども、来たのはふだんの半分以下。売店も、例年十五店出るのが八軒しか出ていないということであります。

 そうした被災の状況を考えると、恐らく、このルートというのは地元のことを知らない官僚の皆さんがつくられて、小泉政務官も当然茨城の地元でございまして、見逃されちゃったのかなというふうに思っております。

 いろいろな状況を勘案すると、予算も大してかかりませんから、ひたち海浜公園から友部ぐらいの北関東道を無料化すれば、出入り口がいっぱいふえて、一カ所の水戸インターにすべての車が殺到するということもなくなりますし、何よりも、県内で多くの被害を受けた大洗や那珂湊の皆さん方にとって非常に大きな経済効果があるという意味では、もう一度この区間の見直しをされてはいかがかと私は提案したいと思います。

 大畠大臣は、やめちゃうよみたいな発言もされて、それもまた地元の皆さんが不安に思っておりますので、被災地を元気づけるためにも、この区間の見直しというものに対するお考えをぜひとも政務官からお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

小泉大臣政務官 福島委員にお答えさせていただきます。

 御案内のように、東北地方の無料開放につきましては、歴史的な甚大な被害を受けました被災地域の一日も早い復旧復興を願って実施をさせていただいたものであります。そしてまた、対象とする区間の設定に関しましては、東日本大震災におきます被害の状況や交通状況等を勘案して設定をさせていただいているところであります。

 具体的には、北関東自動車道を含むエリアを対象とした場合、東北自動車道の栃木県内の渋滞ポイントが含まれてしまう等の課題があるため、北関東自動車道より北のエリアで、渋滞する区間を除いて設定をさせていただいたものであります。しかし、地元の被災の状況を考え、極力南におろすということで、水戸インターまで無料開放させていただいたものでありまして、ぜひともその点の御理解をいただきたいと思っております。

 また一方、無料開放後、先生御指摘いただきましたように、渋滞等いろいろな弊害も出ているわけでありますけれども、まず、料金所の渋滞に関しましては、御案内のように、水戸インターもETCを有人の料金所にかえさせていただきましたし、そしてまた、脱法行為、趣旨を逸脱した、生活道を通ってまた戻ってくる、Uターンするようなトラックに関しましては、Uターンの禁止、そして生活道路への進入の規制等の対処をさせていただいているところであります。

 今後も、地域の要望、そして交通状況等を踏まえて検討してまいりたいと思っております。

福島(伸)委員 ありがとうございます。

 東北道の渋滞を考えているということでありますけれども、北関東のひげの先っぽの方は渋滞も余りしない道路でありますので、ぜひ交通事情を緻密に検討した上で、かつ地元の思いも配慮いただいた御判断をいただきますことをお願い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございます。

荒井委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 まずは、貸金業法改正についてお伺いをしたいと思います。

 貸金業法改正は、多重債務者が社会問題化をいたしまして、自殺に追い込まれる人もたくさんいるという中で業法の改正が行われたわけでありますけれども、多重債務者の救済につながっていないのではないか。実際に金利も、世界に類を見ない、上限の制限を超えましたし、総量規制などというものは世界じゅうどこにもないんだと思いますが、そういうかなり経済をスポイルする思い切った政策を打った割には、多重債務者、要はそういう人たちが救われていないのではないかと私は思っております。

 本来、社会保障政策でやるべきところを金融政策、経済政策でやってしまったということではないかと思うんですが、決算行政監視委員会で、この間、この件について大臣と議論をさせていただきましたが、余り大臣は御興味がないようでありましたので、きょうは東副大臣を指名させていただいて、ちゃんとした中身のある議論をしていきたいと思います。

 この貸金業法改正は、昨年の六月に完全施行をされました。一年間たって、この影響をどう考えるか、フォローアップチームができたやに聞いております。報道によると、東副大臣が座長を務められた、そして、やみ金も減っている、自殺者も減っている、現時点で直ちに見直すべき点はないというふうに報道がされておりますが、東副大臣の御見解をお伺いいたします。

    〔委員長退席、大島(敦)委員長代理着席〕

東副大臣 平議員が、貸金業法のこの問題については前々から鋭い御提言、御意見を発されていることに対しては、心からまずもって敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、今御下問にありました、制度につき直ちに見直すべき点はないと六月の二十七日に申し上げたことは事実でありまして、その結論は基本的に変わっておりません。

 まず、改正貸金業法の完全施行、御指摘のとおり昨年の六月でありますが、これまた自見大臣も積極的でありますので、自見大臣の指示によって改正貸金業法フォローアップチームを設置して、今日まで五回やらせていただいておりますが、きめ細かいフォローアップを行ってきたところであります。この一環として、関係者へのヒアリングや利用者への意識調査等の実態把握を進めてきたところであります。

 これによりますと、基本的に二つポイントがあるんですが、多重債務相談を含む貸金業またはやみ金に関する相談等は、改正貸金業法の完全施行以降落ちつきを見せてきている。二つ目は、日本信用情報機構によれば、貸金業から五件以上無担保無保証借り入れの残高がある人数は、多重債務問題が問題となった平成十九年と比べて減少してきている。平成十九年三月に百七十一万人であったものが、平成二十三年三月時におきまして七十万人となっている状況であります。

 こうした現状を踏まえますと、当初懸念されていたような深刻な状況にはなっておらず、現時点においては、先ほど申し上げたとおり、制度につき直ちに見直すべき点はないと考えております。

 ただし、金融庁としては、今後も実態把握を進めて、貸金業の借り手、貸し手の状況をよくフォローしていきたいというふうに思っています。

平(将)委員 この間、私が具体的に指摘をさせてもらいましたから、金融庁の答弁も微妙にやり方を変えてきているんだと思いますが、グレーゾーン金利、上限金利を制限しました。そこには二十兆円ぐらいのマーケットがあったわけです。それを、大体七割八割は正常に回っているのに、多重債務者の問題で全部を禁止してしまいました。では、その二十兆は一体どこに行ったんですかという問題意識を持てば、今のような答えにはなりません。

 さらには、今、副大臣、多重債務者が減ったと。それは当たり前ですよ、借りないように仕組みをつくったんだから。でも、貸金業者から借りられなくて、二社目がやみ金だったら、これは多重債務者の数字には出てまいりません。

 報道等を見ると、金融庁が制度見直し不要だと言った一番の理由は、一つは、自殺者が減りましたと。確かに、多重債務で自殺をする、これは社会問題ですから、政治が手を差し伸べる、必要な政策を打つのは当然のことです。自殺者が減ったんですよというのが一つの論拠でありました。

 二つ目は、お金が借りられなくなって、やみ金に行った人が減りましたということを金融庁は言っていたわけですね。インターネットで調べましたけれども、産経新聞などでも、金融庁は制度の見直しは不要だと。その中で言っていることは、やみ金に手を出した人は減っているじゃないかという数字を挙げています。これは、産経新聞が挙げている以上は、多分そういうことを積極的に金融庁の方で発表したんだと思います。

 配付資料をごらんいただきたいと思います。別にけんかをするつもりはありませんので、よく見ていただいて御判断をいただきたいと思うんですが、皆さんに配付をしている資料の五ページを見ていただきたいと思います。

 五ページの赤枠で囲ったところ、これが、金融庁の貸金業利用者に関する調査結果の概要として、要は、希望どおりお金が借りられませんでした、それでどうしましたかという問いに対して、二番の一番下の赤い四角、やみ金から借りましたという人が、二十二年の三月では三・〇%。しかしながら、二十二年の六月に貸金業法を完全施行した。そうしたら、二十二年の十一月に調べてみたら、何と〇・三%、劇的に減りました。そして、その五カ月後に調べたときは二・一%と、ふえてはいますけれども、その前の三・〇%に比べたら減っていますね、そういう説明をしていたんですね。

 私もそういう説明を受けましたから、ああ、そうか、では、このもとになったアンケート用紙を持ってこいというお話をさせていただきました。それで、もとになったアンケート用紙を持ってきました。

 では、解説をさせていただきます。

 この三・〇%の問いは、二十二年の三月に実施をしていますけれども、過去三年間の間でやみ金に行った人はどのぐらいいますかと聞いているんですね。二十二年の十一月実施のアンケートは、二十二年の六月に法律を完全施行した後、やみ金に行った人は何%いるんですかと。六月完全施行ですから、わずか五カ月後ですから、調査なんかしているのは三、四カ月ですね。その間にやみ金から借り入れをした人は何%いるんですかと。二十三年四月実施、これも、二十二年の六月、完全施行後にやみ金に手を出した人は、借りた人は何%いるんですかということですね。

 これをぱっと出されて、時系列で見たら、おお、減っているじゃないかというけれども、質問の内容が違うじゃないですか。三年間と三カ月と五カ月を横に並べて、はい、減りましたと。私は、これはひどいんじゃないかと思いますよ。私が資料を取り寄せなかったらだれもわからないですよ。

 ですから、こういうことはちゃんとやりましょうよ。この見方は、三年間の間で三・〇なんです。三年間から、さらにわずか三、四カ月で三・三になったんですよ。さらにそこからわずか五カ月で五・一になったという見方をしなければいけないんです。それと、今、副大臣は多重債務者は減ったと言ったけれども、それは借りられないんだから。二社目がやみ金なら、多重債務者の数値には出てきません。

 ちなみに、後ろに資料の設問がついていますので、見ていただければと思います。

 そして、九ページを見ていただきたいと思いますが、警察も、いやいや、多重債務者の自殺者が減ったんだからいいじゃないですか、この法律はきいているんですよと言っています。では、その資料を全部持ってこいということでいただいたのが、この九ページの資料です。

 真ん中辺、経済・生活問題というところに多重債務ということがあります。平成十九年は千九百七十三人いましたが、二十二年には六百七十人減って一千三百六になりましたと。これは確かにいいことだと思います。

 しかしながら、先ほども言ったように、法改正をして、多重債務自体ができないんですよ。多重債務ができないから、二社目は借りられないからやみ金に行ったら、それはデータは出てきません。行き詰まっちゃえばそこで終わりです。親から借りて親との関係も悪くなるかもしれない、夫婦の関係も悪くなるかもしれない、職場でお金を借りてトラブルになるかもしれません。

 ですから、多重債務者だけが減りましたといったら、我々、ぐうの音も出ないんですよ。自殺者が減ったといえば、それはいいことだと。しかしながら、これを見ていただけば、その一個上、生活苦は五百人ふえています。一番上、親子関係は百七十人ふえています。夫婦関係も二百二十人ふえています。下の、職場の関係も七十三人ふえています。

 ということは、この多重債務者の自殺が減ったということは、かなり論拠としては弱い。だから、ふえたとは言いません、ふえたとは言いませんが、当然、法律がやれば多重債務者というカテゴリーには入らなくなるんだけれども、それが周辺ににじみ出て、結果として決して減っていることにはならないんだと私は思います。

 そういうことを踏まえて、我々の視点は、多重債務者もしくは本当に困っている人たちには手を差し伸べなければいけないと思います。しかしながら、経済活動を、過度の規制を加えてマーケットを壊してしまう、ゆがめてしまう、これは私は理屈が違うんだと思います。

 私は、金融庁は、厚生労働省じゃないんですから、やはり問題を直視して、本当に多重債務者とその周辺の人たちを助けるための政策はどうあるべきで、本来の金融のマーケットはどうあるべきかという議論をするべきなんだと思います。

 それで、一ページを見ていただきたいと思いますが、実は、超党派で貸金業法改正の影響と対策の勉強会というのをつくらせていただきまして、やっております。これは、民主党は、衆議院では樽床さんとか田村さんが入っています。参議院では大久保さんや藤末さんが入っています。公明党は、遠山さんとかも入っています。賛同者が五、六十名います。

 ちょっと提言について触れさせていただきたいと思いますが、上限金利というのをぎゅうぎゅう押し込める、貸さない親切がありますねということでやるんだけれども、私はこれは全くナンセンスだと思います。

 率で見ると大きいですけれども、実は、少額で短期でお金を借りる人ほど、金利が高くなければ借りられないんです。ですから、お金に困ったことのない人たちが頭で考えて、金利が高いのはけしからぬと言うけれども、それを抑えることによって、少額、短期のお金が供給されない。さらに言えば、大きな金額でいえば、大きなお世話ですよ、国が何%でやれなんというのは。ということから考えても、上限金利は国際標準並みに緩和をすべきだと私は思います。

 二つ目、総量規制、これはもう世界に類を見ません。国民全体を準禁治産者扱いにするような法律です。この総量規制、なぜ所得の三分の一なんですかという問いをしたら、大体モデルの平均収入はこのぐらいありますね、そうするとキャッシュフローでこのぐらいは返せますね、そのモデルのアベレージの数字自体が上限になっているんですよ。それを上回ると法律違反です。これも本当に大きなお世話ですね。

 これは全会一致で賛成をした法律ですから、全員に責任があると思いますが、この上限金利、総量規制、これだけぎゅうぎゅうやってきて、でも、多重債務者が救われたからいいじゃないかと言っているけれども、実際どうも救われていないように見える。これはそろそろ、副大臣、金融庁として、やはりあのときは間違っていたと、与謝野先生もあのときは推進派でしたけれども、問題直視をして対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔大島(敦)委員長代理退席、委員長着席〕

東副大臣 平先生から前々からの御主張というのを僕は理解させていただいておりますから、うん、なるほどという部分もないとは言えません。ただ、今お話しになったことの中でもたくさんの要素が入っておりますので、そのまま受け流してしまうと平さんの主張の方向に引っ張られてしまうので、ちょっとそれは整理させていただきたいというふうに思います。

 まず、順序は別として、一つは、多重債務を原因とする自殺者が減少しているという一方で、生活苦や家族関係を原因とする自殺もふえている、こういう御指摘がございました。

 この点に関しては、統計資料によりますと、経済・生活問題を原因とした自殺者数は横ばいとなっています。経済・生活問題のうち、多重債務を原因とするものは減少してきていることは確認できます。一方、御指摘のとおり、生活苦や家族関係を原因とする自殺者数が増加していることも見てとれます。それが改正貸金業法の影響である可能性を否定するものではありませんけれども、他の要因も十分考えられるところだ、これがまず一点です。

 それから、確かに、このアンケート調査に関しては、誤解を招いたこと、また説明が十分でなかった面があります。これは、今後きちんと留意していかなくちゃいけない。また、そういう誤解を与えてしまったことに対して本当に申しわけないというふうに思います。

 その上で、平先生御指摘になっているとおり、この改正貸金業法の完全施行後に実施したアンケート調査においては、貸金業法改正の影響を把握するため、希望どおりの金額で借り入れができなかった者のやみ金の利用実態については、完全施行後の行動を問うているわけであります。

 その上で、金融庁としては、平先生以下国会議員の有志の皆さん方でまとめていただいたそのところにあるとおり、種々のカウンセリング等、きちんとした制度をさらに強化していくべきではないのかと。この部分に関しては、ある意味で先取りさせていただいてやらせていただいているわけであります。

 やみ金の利用に関しては、財務局あるいはまた弁護士等の相談件数や、警察による金融事犯の摘発の状況も見て判断しているところでありまして、これからすれば、改正貸金業法の完全施行後に直ちにやみ金が急増しているような状況にあるとは言えないというふうに考えているところでございます。

 さらにまた、この中間取りまとめにおいて、基本的な前提も平先生がおっしゃってくださっているわけでありますが、基本的には、この改正貸金業法、平成十八年十二月、国会において全会一致の賛成によって成立したものです。おかしなことに、それが終わった後、今、平先生が言われているようなことで私のところに来て、そして、何とか一部地域においては利子を変えてもらえないだろうかとか、こういう話が来ています。

 あのとき、多重債務者問題を解決するに当たって、多くの方々がどれだけその心を悩まし、それに基づいてこの決断をしたわけでありますから、そのことをやはり深く蔵した上でやっていかなければならないというふうに思います。

平(将)委員 自殺者の分析なんというのは世界ではやっていないんですよ、それはわからないから。日本だけやっているので、それが減りましたねというのを殊さら出して、この法律がきいていると言うのは違う。

 それと、全会一致であろうがなかろうが、もうあれから何年過ぎているか、四年、五年過ぎているわけです。完全施行からも一年過ぎているわけですよ。だから、そういうことを考えて、それを議論するのは当然。

 しかも、二十兆円のマーケットがあって、警察もとらえ切れていないんですよ。世界で合法な金利で金を借りても、この国では違法なんです。金を借りた人が被害者意識を持っていない。この間、NHKの報道で、五億円、五千人が借りたやみ金がいたけれども、感謝しているんですよ、金を貸してくれてありがとうと。だから、やみ金の態様も変わってきているんです。

 結果、何が起きているか。多重債務者は助かっていないじゃないですか。それで、世界で異常な規制を加えて、結果、何が起きたか。過払い返還請求、三兆円ですよ。弁護士、司法書士に入ったのは一兆円。

 この議論をやっているときに、いや、もっと経済は自由にやるべきだと言ったら、おまえら貸金業者の回し者か、どれだけ献金を受けているんだという批判をされました。私は受けていません。政治資金パーティーもやっていません。

 しかしながら、弁護士さんも利害関係者ですからね。今まで、一兆円の資金がわずか三年から五年の間に、短期間に右から左に動いた例はありません。しかも、二〇〇九年六月、国税庁の調査では、過払いの代理権をやった弁護士、司法書士八百人を調査したら、七百人が申告漏れですよ。

 さらにあわせれば、グレーゾーンのマーケットは二十兆円あったんですよ。やみ金のデータはとれないけれども、母数二十兆ですよ。それを考えれば、恐らくやみ金の新たなマーケットも数兆円ですよ。

 弁護士業界、司法書士業界に一兆円行きました、やみの勢力に数兆円のビジネスチャンスをつくりました、そういうことを直視せずに、さらにこういう規制を加えることで、世界に類を見ないような規制を加えてマーケットを機能させなくなりました。

 個人事業主、急な資金繰りがつきません。この人たちだって、大きなお世話ですよ。ちゃんと自分で金を借りてやっていたわけですよ、だれの世話にもならずに。確かに、多重債務者は問題があるから手を差し伸べなきゃいけないけれども、この普通にやっていた人たちまでが、お上がだめだと言って、あるとき違法になる。そこまでやる傲慢さを我々は考える必要があるんだと思います。

 それは全会一致でやりましたよ。政党のガバナンスが崩れているのは今の政治で一番問題だから、どっちの党も。私もこの間、戒告処分をもらいましたけれども。党の中で議論して決まったら、それはしようがないです。しかしながら、私は、この問題意識に対してまともな答えを聞いたことがないですよ。合理的な、なるほどそうか、ではこの二十兆円の人たちはどこへ行ったんだ、ここに行きましたと。

 ですから、今の答弁は役所の答弁なので、わざわざきょうは副大臣に来ていただいたのは、大臣とやってもそういう答弁になると思ったから副大臣においでいただいたわけでありますから、指摘で終わらせていただきますけれども、また我々、これは超党派で議員立法も含めて検討していきますので、ぜひまた議論をさせていただきたいと思います。

 それでは与謝野大臣、お待たせをいたしました。

 前回、決算行政監視委員会でも議論をさせていただきましたが、税と社会保障の一体改革について、かなり御苦労をされて、党内でもいろいろな議論があって、まとめられたということであります。この件について、菅総理から、ねぎらいの言葉か何かもらいましたか。

与謝野国務大臣 閣僚としての仕事ですから、やるべきことを当然のごとくやったわけでございますから、特段、御褒美をいただいたわけではありません。

平(将)委員 ねぎらいの言葉はなかったということです。

 そこでお伺いをしますが、今回の年金制度の、税と社会保障の一体改革は、この間も指摘しましたが、ほぼ自公案の延長上にあると思っています。その反面、我々が大惨敗をした二〇〇九年衆議院選挙で、そのときは与謝野先生も我々の側でありましたが、マニフェストでは、皆さんこれで戦ったわけですけれども、「年金制度を一元化し、月額七万円の最低保障年金を実現します。」と書いてあります。よくある保険証の裏書きみたいな感じで、後ろの方に小さく、平成二十四年から二十五年には法律をつくりますとマニフェストには書いてあります。

 一方で、与謝野大臣が中心でまとめられた税と社会保障の一体改革は、二〇一五年度を目途にして消費税を一〇%に、いろいろな条件がつきましたけれども、上げていきます、その五%はおのおのこういう使い道をしますというのが書いてあります。

 そうすると、マニフェストで約束をしたことと今回の税と社会保障の一体改革は、時間的にも完全にダブっているわけですが、しかしながら、このまとめた案にはマニフェストの中身は反映をされていません。これは全く反映されていないということで、大臣、よろしいでしょうか。

与謝野国務大臣 一体改革の案をよく読んでいただくと、民主党の案もきちんと書いてあります。ただし、そこには注意書きが書いてありまして、年金については、民主党は所得比例年金への一元化と最低保障年金の創設を掲げておりましたけれども、成案では、国民的な合意に向けた議論や環境整備を進め、実現に取り組むということで、まだ環境整備が整っていないと。

 いずれにしても、七万円というのは四十年先の話ですから、まだ時間はあります。

平(将)委員 これは本当にふざけた話だと思いますよ。一般の国民の方がこのマニフェストを見て、これは四十年後なのかと、ここへ四十年後と大きな字で入れておかなきゃ、そうは思いません。しかも、それは四十年後かもしれないけれども、法律をつくるのは来年、再来年でしょう、約束していることは。

 与謝野さんのつくった案は、二〇一五年以降、入っているわけですよ。では、環境はいつ整うんですか。整うんですか。与謝野さん、政治家として整うと思っていますか。

与謝野国務大臣 今回の案でも、まず一元化については、厚生年金と共済年金の統合はちゃんとスケジュールにのせてやりますので、これは民主党も自民党も公明党も言っておられた案というものをやってまいります。

 それから、民主党の年金案は非常に理想に燃えている案なんですけれども、これをやりますと、消費税の税率等が当初考えたよりもはるかに高くなるという結果もあります。

 それからもう一つは、現行制度がありますから、現行制度から新しい制度に移行するのに四十年もかかるという間の、二つの制度が両方存続するという問題もありまして、環境整備というのは、もう少しよく考えてからちゃんとやろうという意味でございます。

平(将)委員 まともな政治家だと、できないのはわかっていたということだと思います。

 僕は、マニフェストというのはすごい大事なことだと思っているんですよ。自民党政権時代に、うやむやな約束というか、明るい日本をつくりましょう、豊かな日本をつくりましょうとやってきて、全部お任せになっちゃった。その反省から、数値を入れて、工程表を入れて、検証可能なものにしましょうというのがマニフェストなので。

 本当に政権をとる可能性の全くない少数政党ならまだしも、ほぼ政権をとることがわかっていた政党が、全くこんな数字の入りと出が合わないものを平気で出してきて、しかも、皆さん優秀そうな、誠実そうな政治家がたくさんいるから、この人たちが言うなら大丈夫だろうと普通の国民は思ったはずですよ、思ったはず。しかしながら、今の話を聞けば、四十年後と思っている人がどれだけいたのかなと思いますね、これを見て。だから、それは本当に反省をしていただいて。

 リアリティーのある議論ができないですよね。これだって、まだ中身は自公案ですよ、見たら合理的な話ですよ。しかし、マニフェストはまだあきらめていない、整合性があるんだと言われたら、まともな、精緻な議論ができないと思います。

 これは、続いてまた決算行政でありますから、もういいです、わかりました。

 最後、園田さんに来ていただいたので、事業仕分けについてちょっとお話をしたいんですが、もう時間がないので一方的にしゃべって、一言コメントを下さい。

 やはり歳出削減が王道だと思いますよ、復興財源をつくるのは。関東大震災のときも、いろいろ調べたら、歳出削減をやっているんですよ。そのときの政治家は、官僚も、軍から命をねらわれるリスクを持ちながらも、やはり歳出削減をやっているんですよ、ちゃんと。

 私は、歳出削減の手法として事業仕分けが有効だと思います。私たちもやってきました。だから、今こそ事業仕分けをやって、それは民主党がつくった予算でも、二兆円も出せば十年やれば二十兆ですよ、五年でも十兆になるわけですよ。

 でも、今こそ事業仕分けをやらなきゃいけないのに、なぜ今事業仕分けができないかといえば、何となくやはりパフォーマンス化し過ぎたんですよ。だから、今ちょっと事業仕分けをやっている場合じゃないよねという空気があるんですよ。

 ですから、私は、ここは淡々と事業仕分けをやるべきで、行政事業レビューで事業シートをつくるのを閣議決定しましたよね。それで、各省庁にやらせると言ったけれども、役所にやらせたって形骸化するんですから、必ずそれは行政刷新会議でやるんだということをやって、基本的には一兆、二兆事業仕分けで出すんだというのが、まさに皆さんの今の役割だと思いますよ。蓮舫さんはいなくなっちゃいましたけれども、そこは王道だと思いますから。

 それと、余りパフォーマンスをやっていると、自民党になるとなくなりますよ、事業仕分け。賛成は河野太郎と私しかいないんですから。河野さんは役職停止中だし、私も戒告処分だから。だから、今ちゃんとビルトインをすべきだと私は思いますので、コメントをいただいて終わります。

園田大臣政務官 いつも平議員には前向きな御指摘をいただきまして、ありがとうございます。

 おっしゃるように、ことしから本格的に、毎年、行政事業レビューという形で国丸ごと仕分け、このシステムをまずビルトインさせていただきました。そして、その結果によって、しっかりと外部性と公開性、これをやはり国民の皆さん方にはっきりと明示して、提示をしていかなければならないというふうに思っておりますが、その場が行政刷新会議の判断という形になろうかと思いますので、ぜひまた御指摘、御指導をいただければというふうに思います。よろしくお願いします。

平(将)委員 終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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