衆議院

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第2号 平成24年3月7日(水曜日)

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平成二十四年三月七日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 岡島 一正君 理事 後藤 祐一君

   理事 田村 謙治君 理事 津村 啓介君

   理事 若泉 征三君 理事 鴨下 一郎君

   理事 平沢 勝栄君 理事 高木美智代君

      青木  愛君    井戸まさえ君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      磯谷香代子君    稲富 修二君

      大西 孝典君    金森  正君

      金子 健一君    川口  博君

      川越 孝洋君    川村秀三郎君

      木村たけつか君    京野 公子君

      小室 寿明君    斉木 武志君

      柴橋 正直君    園田 康博君

      空本 誠喜君    高井 崇志君

      高橋 英行君    玉城デニー君

      道休誠一郎君    中野渡詔子君

      長島 一由君    野木  実君

      橋本 博明君    畑  浩治君

      福嶋健一郎君    福島 伸享君

      福田衣里子君    皆吉 稲生君

      宮島 大典君    村上 史好君

      本村賢太郎君    森山 浩行君

      矢崎 公二君    湯原 俊二君

      小泉進次郎君    塩崎 恭久君

      平  将明君    竹本 直一君

      徳田  毅君    中川 秀直君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      野田 聖子君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   国務大臣

   (地域主権推進担当)

   (地域活性化担当)    川端 達夫君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)

   (原子力行政担当)    細野 豪志君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            松原  仁君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)   古川 元久君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中川 正春君

   復興副大臣        末松 義規君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   総務副大臣        黄川田 徹君

   法務副大臣        滝   実君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   財務大臣政務官      三谷 光男君

   文部科学大臣政務官    城井  崇君

   国土交通大臣政務官

   兼復興大臣政務官     津川 祥吾君

   環境大臣政務官      高山 智司君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  占部浩一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  香取 照幸君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中村 範明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 藤本 一郎君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    石井 隆之君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    西村 泰彦君

   政府参考人

   (法務省刑事局長)    稲田 伸夫君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            佐々木伸彦君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          厚木  進君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   伊藤 哲夫君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     中野渡詔子君

  金子 健一君     川越 孝洋君

  園田 康博君     空本 誠喜君

  橋本 博明君     井戸まさえ君

  福嶋健一郎君     木村たけつか君

  福田衣里子君     宮島 大典君

  矢崎 公二君     稲富 修二君

  湯原 俊二君     小室 寿明君

  長島 忠美君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  井戸まさえ君     石井登志郎君

  稲富 修二君     矢崎 公二君

  川越 孝洋君     道休誠一郎君

  木村たけつか君    斉木 武志君

  小室 寿明君     湯原 俊二君

  空本 誠喜君     柴橋 正直君

  中野渡詔子君     大西 孝典君

  宮島 大典君     皆吉 稲生君

  丹羽 秀樹君     長島 忠美君

同日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     橋本 博明君

  大西 孝典君     川口  博君

  斉木 武志君     福嶋健一郎君

  柴橋 正直君     金森  正君

  道休誠一郎君     川村秀三郎君

  皆吉 稲生君     福田衣里子君

同日

 辞任         補欠選任

  金森  正君     園田 康博君

  川口  博君     高橋 英行君

  川村秀三郎君     金子 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  高橋 英行君     野木  実君

同日

 辞任         補欠選任

  野木  実君     京野 公子君

同日

 辞任         補欠選任

  京野 公子君     石山 敬貴君

    ―――――――――――――

三月七日

 国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革と共通番号制の中止に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一五二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八五号)

 緊急事態基本法の早期制定を求めることに関する請願(高市早苗君紹介)(第二二七号)

 社会保障・税一体改革の撤回に関する請願(吉井英勝君紹介)(第二三四号)

 日本軍慰安婦問題解決の立法を求めることに関する請願(工藤仁美君紹介)(第二五二号)

 TPPへの参加中止を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二六三号)

 国民生活を破壊する社会保障と税の一体改革の中止に関する請願(穀田恵二君紹介)(第二八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官占部浩一郎君、内閣官房内閣審議官香取照幸君、内閣官房内閣審議官中村範明君、内閣府大臣官房審議官藤本一郎君、警察庁交通局長石井隆之君、警察庁警備局長西村泰彦君、法務省刑事局長稲田伸夫君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君、経済産業省通商政策局長佐々木伸彦君、経済産業省貿易経済協力局長厚木進君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長伊藤哲夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代さん。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 まず、本日、質疑に立たせていただくに当たりましては、与野党の皆様の御配慮をいただきましたこと、まず心から御礼を申し上げます。

 まず、官房長官にお伺いいたしますが、政府・民主党は昨日、特例公債法案を予算案と切り離して、衆院の採決を先送りするという方針を決めたとの報道があります。これが事実といたしますと、二年連続異常事態になります。本来、予算案と根拠法は一緒に参議院に送るべきであるのに、どのようにお考えなんでしょうか。

藤村国務大臣 おはようございます。

 今のお問い合わせの件は、これは私ども政府の立場でいいますと、予算を出し、関連法案を出し、そして、特に予算に係る法律については一緒に審議をし、結論を得ていただきたいという基本的な立場でございます。

 その上で、これは与野党の国会の運びの問題でございますので、さまざまな御議論をされた上でのそういう判断があったのかなと思います。まだ正式にそういうふうになったというふうには聞いておりませんが、報道の範囲で、今おっしゃったとおりだとは思います。

 政府といたしましては、いずれにせよ、予算あるいは関連法案、これは早期に年度内に成立をさせていただきたい、こういう姿勢、立場でございます。

高木(美)委員 こういう大事な話を官房長官がまだ正式に聞いていないということに私は違和感を覚えます。

 本来であれば、政府・与党でございますので、その間で決定されるべき話で、報道によっては、総理が最終的な決断を下したという報道も流れておりますけれども、これはきちんと、大事なことは、官房長官は総理を補佐する大事な立場であられますから、本来であれば速やかに聞かれるべきではないかと思いますが、そのスピードが、私は、こういう重要法案に対して余りに遅いのではないかと今懸念を持ちましたが、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 正式にというのは、これは多分、財務金融委員会における公債特例法の関係はいつその審議をし、最終的にはいつ採決するかというのは、正式に国会の財務金融委員会の中で決めていただくことで、そのことが決まったというふうにまだ正式に聞いていない、こういうことでございます。

 内容的なことは、昨日の政府・民主三役会議というところで議論され、そのような方向は決まったというのは、私もメンバーの一人でございますので、聞いております。

高木(美)委員 例えば交付国債を発行する法案についても、粉飾決算という野党からの反発が強いということは、もう既に御承知かと思います。この交付国債を発行しないで特例公債の枠をふやすというような選択肢は、政府としてはお考えにあるのでしょうか、ないのでしょうか。

藤村国務大臣 昨年暮れ、予算案を政府案として決定する際に、歳入予算、歳出予算それぞれに各府省とのさまざまな議論があり、今おっしゃっている交付国債につきましては、厚生労働省、財務省と最終的に相当な詰めを、私もその間に入ったこともありましたが、行った結果としての判断であった、こういうことでございますので、それが政府の最終的な判断になった、こういうことではございます。

高木(美)委員 交付国債を発行しないで特例国債の枠をふやすというような、今後の国会の運びも、これは与党の話であるかとは思いますけれども、そういう選択肢は政府の中にはあるのでしょうか、ないのでしょうか。また、官房長官の胸の中にはおありなんでしょうか。

藤村国務大臣 今申しましたように、厚生労働省と財務省、それぞれの立場で、それぞれの考え方を持って、相当、最終ぎりぎりまで議論をされまして、そのときにもちろん、片や、交付国債でなしに、いわば収入の、歳入の中にきちんと入り込む形での考え方もあると。一方、四十四・四兆円以内におさめるための一つのこれはやり方であるという主張もあり、それぞれ、双方さまざまな主張をぶつけ合った結果としての判断でございますので、これが政府の判断と考えていただくしかございません。

高木(美)委員 恐らく、国会の運びとして、柔軟にしていかざるを得なくなるのではないかというふうに私は思っております。

 さて、間もなく、三・一一東日本大震災から一年を迎えます。今、防災につきまして、国民の間にはかつてない意識の高まりがございます。やはり、コンクリートから人へという、それはコンクリートも人もとか今までいろいろな議論もありましたけれども、結局は、今回の震災を経験してみて、命の道路と言われるあの三陸自動車道の例もありましたけれども、道路、堤防、やはりこれがなければ国民の命と財産は守れない、このことも一つ明確になったかと私は思っております。

 そこで、まず首都直下地震の発生確率の想定につきまして、政府の見解を伺いたいと思います。

 今、東大地震研とか京都大学防災研究所とか、さまざまなところが、今回の東日本大震災を踏まえ、発生する頻度というのはかなり高まっているのではないかという、こうしたいわゆる確率の想定について計算し直したという例もあります。政府はどのように取り組まれているのでしょうか。

藤村国務大臣 今おっしゃっていただいた各研究所等でのさまざまな推計、推定というものがあります。

 そこで、政府の立場で申しますと、政府は、地震調査研究推進本部、ここが、今後三十年以内の南関東におけるマグニチュード七程度の地震発生確率を七〇%ということで、これも相当高い確率を示しております。

 特に、切迫性の高いとされる首都直下型地震につきましては、東日本大震災の教訓を踏まえ、従前の想定をはるかに超える巨大地震にも耐え得る防災対策が必要との考えのもとで、首都直下地震についても、被害想定の見直し、あるいは首都中枢機能の継続性の確保、あるいは帰宅困難者、この前もございました、などの対策を強化することとしているところでございます。

高木(美)委員 そうしますと、まずこの発生確率の想定ですが、これは見直しはされるということでよろしいんでしょうか。いつごろぐらいまでにおまとめになるということは、官房長官、今御答弁お願いできますか。

藤村国務大臣 今、私を座長に、防災担当大臣あるいは防衛大臣らも加わり、関係閣僚、そして学識経験者も加わっていただいて構成される防災対策推進会議を設置いたしまして、順次議論を積み上げてきているところでございます。

 ただ、ここでも、確率の問題については、先ほど申しました地震調査研究推進本部での確率を想定して、その中での首都直下型地震対策についての対策を今進めておりまして、きょうも、たしか夕方、中間報告取りまとめの段階に至っておりますので、会議が開催される予定でございます。

高木(美)委員 その会議の検討を見守るということでよろしいんでしょうか。わかりました。

 私、やはり、当然あるということを想定した上で、老朽化したインフラの整備、また国民の皆様の命と財産を守るためのさまざまな措置というものは必要かと思いますが、ここが余りにばらばらなので、もう少し政府としてきちんと収束した形で想定を出されるべきではないかということを改めて申し上げさせていただきたいと思います。

 と申しますのが、貞観地震、これはかなり東日本大震災のときに、東日本の各地域で、ここまで津波が来たというモニュメントが残されている等のお話もありました。この貞観地震のとき、これは東日本大震災に震源とかまた地震規模が類似をしていると言われておりますが、八六九年でした。それから九年後の八七八年に、首都直下型である相模・武蔵地震、さらに九年後の八八七年には、東海、東南海、南海の三連動地震と見られる仁和地震が連動し、富士山噴火まで発生した。こういう歴史もあることから、私はやはり、こうした想定というのは政府としてある程度収束をして行われるべきだと考えます。

 さて、中川大臣にお伺いしてまいりたいと思います。

 我が党の女性防災会議、松議長を中心に立ち上げまして、提言を申し入れさせていただき、女性の視点を生かした防災対策についての第一次提言、これも一定の進展が見られているところでございます。また一方で、昨年十月二十五日、私、それから参議院の木庭、我が党の災害対策本部長、障害者につきまして、災害時における障害者児支援と今後の防災対策に対する提言、これを官房長官のもとに伺わせていただきました。その提言を踏まえまして、何点かお伺いをいたします。

 まず、国連障害者権利条約の当事者参加の趣旨からいいますと、中央防災会議、また官房長官が中心であられる防災対策推進検討会議等の委員の中に障害者を加えるべきと私は考えます。昨年六月、障害者基本法を改正いたしまして、その二十六条に、「防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。」、こうした「防災」ということも明記をさせていただきました。どのようにお考えでしょうか。

中川国務大臣 おはようございます。よろしくお願いをします。

 まず最初に、先ほどの地震の想定なんですが、これをもう少し整理してお答えをさせていただきたいと思います。

 御指摘のように、大震災によって想定が変わってくる、全てを見直すということ、この作業をしておりまして、専門家によって検討会議をやっているんですけれども、一つは、直下型の地震について、秋ごろまでに震度分布と津波高を出していくということであります。それで、冬ごろまでに被害想定を行いまして、それから首都直下で想定される最大クラスの地震、津波に備えたトータルな災害対策を検討していくということになります。

 それから、南海トラフについては、今月中に地震の強さと津波の高さの想定を専門家の皆さんによって出していただくということになっておりまして、それを基本にして全ての体制を見直していく、こういうことで始めていきたいというふうに思っております。

 先ほどお尋ねの、いわゆる障害者基本法も踏まえた議論ということでありますが、障害者の視点の配慮が十分でなかった事例があるということ、これを東日本大震災後の避難所の運営等々を含めて反省しなければならないということ、これは基本的な認識を私も持っております。防災全般に障害者の視点を取り入れることというのは、非常に重要な課題だということであります。

 障害者、高齢者などの災害時要援護者に関しては、これまでも、平成十七年三月に災害時要援護者の避難支援ガイドラインを制定しまして、避難に関する情報伝達体制の整備、それから、市町村の避難支援対策計画の策定や避難所における支援等の取り組みを推進してまいりました。

 また、昨年八月に改正をされました障害者基本法において、「国及び地方公共団体は、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。」こういう規定が盛り込まれたということを承知しております。

 お尋ねの中央防災会議の委員は、実は国務大臣、指定公共機関の代表者など、その多くはいわゆる充て職と言われるところで任命をしておりますので、障害者の委員の登用は必ずしも容易でないというところがございます。しかし、一方で、例えば中央防災会議の専門調査会であります災害時の避難に関する専門調査会におきましては、障害者団体の代表の方に委員として参画をしていただきまして、一緒に議論をさせていただいております。

 いずれにしましても、障害者基本法の趣旨も十分踏まえつつ、障害者の御意見もしっかりとお聞きをしていく、その前提としてさまざまな会議に参加をしていただくということ、これを心得ていきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 中央防災会議はまだ女性の参加率も大変低いと聞いております。ぜひともこの改善もあわせて求めるものです。

 官房長官が主宰していらっしゃる防災対策推進検討会議、そこは女性の参加はもう既に三割、配慮をされたところでございます。ぜひ障害者の、当事者の参加がありませんと、障害特性に応じた検討であるとか、要援護者をどのように支援していくのか、いつまでもそれが災害のたびに課題になる、またそれが積み残される、一向に改善されない。この事態を打ち破っていかなければいけないのではないかと考えます。

 官房長官、この会議に障害者の参加、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 高木委員からは、特に女性参加の件は昨年来さまざま御意見をいただく中で、相当大きく考え方が変わってきたことは事実でございますので、本当に貴重な御提言をいただきましたことを感謝申し上げます。

 そして今、新たにまた障害者の参加ということであります。障害を持つ方々が、視覚障害、聴覚障害、非常にさまざまであるということなどは考えながら、御提言を今後慎重に検討したいと思います。

高木(美)委員 ぜひとも御検討をお願いいたします。

 次に、今回の障害者児の被害の実態調査を実施すべきではないかと考えます。いかがでしょうか。

中川国務大臣 この大震災においての障害者の死傷者について、実は、正確な数字は現在に至るまで把握がされていないということがございます。しかし、岩手、宮城、福島三県の障害福祉施設については、全壊の被害を受けた施設が二十、それから一部損壊の施設が二百四十八あったということを承知しております。

 無事に避難された方についても、障害者に配慮した情報伝達が十分に行われていなかったということ、そして、障害者用トイレの整備などバリアフリー対策が不十分であったということ、それから、他の避難者との関係から避難所で避難生活を送ることができずに、在宅で困難な生活を余儀なくされたというふうな問題、こういうところが指摘をされております。

 こうしたことから、平成二十四年度の当初予算、今回の予算において、避難における総合的対策の推進経費として約四千五百万円を計上しておりまして、この中に、障害者など一万人を対象にした実態調査を行うということにしております。それを基本に、新たに対策を進めていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 大臣、三県の方たちを初め、障害者と一度ぜひ懇談をお願いしたいと思います。もしよろしければ、私、セットさせていただきますので。

 例えば、聴覚障害がある、しかし、避難しろという声が聞こえないために座ったまま亡くなってしまったとか、いろいろな現場の話もあります。そうしたことをぜひ大臣がじかに、先ほども大臣は、現場主義が大事だという話、お会いしたときにおっしゃっていらっしゃいましたが、足を運ばれるのはまたお時間が大変でしょうけれども、もしあれでしたら東京でそのようなことも可能だと思います。

 もう一年ですので、ぜひ今回の実態調査、数字ももちろんそうなんですが、どういうところに皆様が障害による困難を感じていらしたか、それを克服するにはどうしたらいいか、その実態調査を私は重ねてお願い申し上げます。

 済みません。時間がだんだん押してまいりましたので、ここからは簡潔な御答弁をいただければありがたいのですが、資料をきょう用意させていただきました。

 ここで、先ほどもお話ありましたが、災害時要援護者制度の有効性の検証及び見直しが必要であると私は思っております。災害時要援護者の避難支援ガイドラインをぜひとも見直していただきたいと思います。

 この1の資料ですが、ここに「いわゆる「災害時要援護者」とは、」という、これがガイドラインの中の一つの例示という形で書かれております。ここに書いてあります「例」という、下の1から3ですね。例えば、介護保険の要介護、要介護三とか、これはかなり重度です。そしてまた障害程度の、身体の一、二級、知的障害の療育手帳A、これは相当重度です。こういう重度の方しか、今、自治体のホームページには資格として載っていない自治体が圧倒的に多いんです。

 ですから、本来であれば発達障害、避難所に行けば奇声を発するので、御両親は心配して軽度の障害であっても車の中で生活せざるを得ない、半壊状態の家の中で。先ほど大臣がおっしゃっていたそのとおりです。そうしたところにどのように支援をしていくか、こうした大きな課題というのが今回また明白になったかと思っております。

 ぜひとも、例えば災害時要援護者、この規定も含めまして、どうあるべきか、こうした見直しに着手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 御指摘のとおり、なかなか市町村レベルで支援計画の策定等が行われていないという現実があるんだと思います。

 それを受けまして、この二十四年度に障害者団体等で構成される検討会を開催いたしまして、実態調査の結果も踏まえて、こうした課題の解決のために検討をしていこうとしております。ガイドラインの見直しも含めてやっていきたいというふうに思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 あわせまして、これは防災基本計画の見直しにも影響してくるかと思うんですが、例えば放送事業者という項目に、私は二百八十ページ全部読みまして、例えばその中に、ほとんど記述というのが余りないわけですが、障害者や高齢者等への情報伝達の配慮とか、もう少し具体的に書くべきではないかと思います。

 これは官房長官に要請をさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 前向きに検討させていただきます。

高木(美)委員 それから、少し質問を省かせていただきまして、福祉避難所の指定につきまして、障害の方たちからは、特に障害児をお持ちの御家庭から、特別支援学校を福祉避難所として活用する取り組みを促し、防災拠点としての機能強化を推進すべきではないかという強い御要請をいただいております。

 今、全体の中で二三・八%、たしかその数字だったかと思いますが、指定をされていると聞いております。これを、やはり通いなれた学校ですので一番過ごしやすいということもあり、推進をお願いしたいと思いますが、これは厚生労働省でしょうか、答弁を求めます。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 福祉避難所の重要性は、委員御指摘のとおりであります。

 福祉避難所の指定状況でございますが、平成二十三年三月三十一日現在でありますが、全市町村の約四割の自治体で一カ所以上の指定を行っており、その施設数は全国で七千五百四十六施設になっておりますが、御指摘のとおり、特別支援学校についてはまだ指定が余り進んでいない状況でございます。

 私ども厚生労働省といたしましては、これまでも、全国担当者会議などを通じまして、福祉避難所について、事前指定の促進とともに、生活必需品でありますさまざまな装備などの備蓄促進、あるいは介助員や心のケアの専門家などの派遣などにつきまして、関係団体との事前協定の締結などを自治体に要請しているところでございます。

 今回の東日本大震災での課題もよく検証し、要援護者の方々の支援強化に向けまして、文部科学省初め関係省庁、地方団体とも連携をしながら、福祉避難所の指定やその活用についてさらに取り組んでまいりたいと考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、公明党は政府にかつて、総合経済対策に関する緊急提言ということで、二月八日、防災・減災ニューディールということで提言を行いました。これは、老朽化したインフラを整備する、そしてまた、それはとりもなおさず国民の命と健康を守ることにつながる、あわせて公共事業による需要拡大でデフレ脱却を目指すという、この二本柱を考えております。

 その中に何点か盛り込ませていただいたことを伺います。学校の耐震化、また防災拠点としての機能強化等、これは長い間公明党が取り組んできた政策でもありますが、現状と今後の取り組みにつきまして簡潔に御答弁をいただければと思います。

城井大臣政務官 おはようございます。お答えを申し上げます。

 御党の御提言はしっかり拝見をいたしております。東日本大震災でも明らかになりましたけれども、やはり学校が地域コミュニティーの中心でありますし、避難所、防災拠点の役割も果たしているということから、御提言いただいております耐震化、防災機能の強化は極めて重要だというふうに考えております。

 耐震化については、文部科学省の把握によりますと、平成二十三年四月一日現在の公立小中学校施設では八〇・三%ですけれども、できる限り、自治体等の協力をいただきながら前倒しを平成二十四年度までに行っていきたいということで、まずは平成二十四年度の予算案の早期成立によりまして耐震化率を約九〇%まで持っていきたい、向上させたいというふうに考えております。

 また、公立学校の九割が避難所となっていることがありますけれども、防災機能がまだ十分ではないという認識であります。その意味では、平成二十四年度予算案におきましても、防災機能強化事業を創設して、備蓄倉庫やあるいは自家発電装置の導入等の整備を補助対象とすることといたしております。

 今後も引き続き、耐震化、防災機能強化の推進を図ってまいりたいと存じます。

高木(美)委員 それでは次に、総務省に伺います。

 今お手元に、2の資料の下の方の内容ですが、3のところに「庁舎」というのがあります。自治体の庁舎の耐震化が最もおくれていると考えております。全棟数八千四百十六のうち五千四百九十七が終了、六五・三%。二十二年度末の数字でございますが、約三千が未実施。

 私は、やはり司令塔の一番拠点になる庁舎の耐震化は急務であると思っておりますが、その理由は何かとお考えでしょうか。また、今後の対応をどのようにされるおつもりでしょうか。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、庁舎の耐震化、これは極めて重要でございます。

 それから、耐震化率でありますけれども、これまた御指摘のとおり、庁舎は六五・三%でありまして、校舎や体育館などの文教施設が七九・一%、それから社会福祉施設が七二・一%でありますので、低いものとなっております。

 その原因でございますけれども、これは、耐震化には多額の費用を要することから、避難所など住民の安全に深く関係する施設から順次、自治体が優先的に耐震化に取り組んでいることも一因と考えられております。

 それで、これまでの取り組みと今後の取り組みでございますけれども、総務省として、地方公共団体の庁舎等の耐震化につきましては、地方債と地方交付税、これでもって財政措置ということであります。起債充当率が九〇%、交付税で措置が二分の一ということでございますが、特に地震による倒壊の危険性が高い庁舎及び避難所につきましては、平成二十一年度より支援措置を拡充いたしまして、交付税の措置を二分の一から三分の二に上げております。

 そしてまた、皆さんのお力によりまして、東日本大震災を踏まえまして昨年十二月に創設されました緊急防災・減災事業、これにおきまして、臨時的な地方税制上の措置ではございますが、これが確保される財源の範囲内で、災害時に災害対策の拠点となる公共施設等の耐震化についても対象といたしまして、さらなる支援措置、強化した支援措置でございます。起債の充当率が一〇〇%になります。そしてまた、交付税の措置も七〇%ということで拡充しております。

 今後とも、しっかりと地方自治体を支えていきたいと思います。

高木(美)委員 ぜひ、黄川田副大臣がもう個人的に自治体に呼びかけながら進めていただきたいと思います。

 最後に、国交省の政務官にお伺いいたします。

 社会インフラ等の老朽化対策を含む災害に強い町づくりのための工程表を策定すべきではないかと考えます。計画的かつ大胆な集中投資が必要であり、自治体への支援など、国交省の取り組みにつきまして簡潔にお願いいたします。

津川大臣政務官 お答えをいたします。

 御党から御提案をいただきましたとおり、私どもも、社会インフラの集中的な更新というものは非常に重要であって、また、緊急的に取り組んでいかなければならないという危機感を持っております。

 そのために、私どもとしては、まず施設の定期的な点検、それから長寿命化ということを現在進めているところでございます。また、この政策につきましては、地方自治体の取り組みについても支援をさせていただいているところでございますし、今後も、財政的、技術的な支援を行ってまいりたいと思っております。

 集中的ということを御指摘いただきました。インフラの整備あるいは維持更新というものが内需拡大に貢献をするというのは、まさにおっしゃるとおりでございます。ただし、整備につきましても、維持管理につきましても、現場の担い手というものが必要でございまして、担い手の現状というところから考えますと、一時的に仕事量が集中をするというのはなかなか問題があるのも事実でございまして、一つの考え方として、平準化をするということもあわせて進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 よろしくお願いいたします。

 それでは、時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、秘密保全法制の検討過程に関連して質問をいたします。

 現在、政府は、昨年八月に発表されました秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議報告書、「秘密保全のための法制の在り方について」に基づいて法案を準備しております。この報告書が提起する秘密保全法制については、報告書自身が、「ひとたびその運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない」と書かざるを得ないものであります。国民の重要な権利利益がどのように侵害されるおそれがあるのか、その運用を誤らない政権というのはあり得るのかなど、この法制の本質が広く明らかにされる必要があります。

 そこで、官房長官にお尋ねをいたします。

 有識者会議には、研究者とともに、政府側の出席者として、毎回、内閣情報官が出席をしております。この内閣情報官のポストが内閣官房に設けられたのは二〇〇一年の中央省庁再編時でありますが、歴代内閣情報官の出身官庁を教えていただきたい。

藤村国務大臣 警察庁であります。

塩川委員 歴代内閣情報官のポストは、警察庁出身の官僚によって占められております。有識者会議に出席をしております植松信一内閣情報官も、警察庁出身の警察官僚であります。

 次に、有識者会議の議事概要を読むと、事務局が報告を行っております。秘密保全法制担当の事務局の出身官庁を教えていただけますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 内閣情報調査室が会議の庶務を担当することといたしてございました。内閣情報調査室には、その組織の性格上、警察庁、外務省、防衛省等々の、いわゆる情報に関係している省庁の方からの出向が多うございます。

塩川委員 今ありましたように、警察、防衛、外務ということで、外務、防衛といえば、この間も、秘密を盾にして数々の不祥事を起こしてきた役所でもありますし、警察も報償費の問題が指摘をされてきました。

 ですから、こういった今事務局に名前を連ねているような役所、外務、防衛、警察といえば、秘密の保護よりも、まず何より情報開示の徹底こそ求められている役所であります。その役所出身の官僚が、秘密保全法制という今回の報告書を担当する事務局を担っているということであります。

 有識者会議は全部で六回行われておりますが、第一回の有識者会議では秘密保全法の意義、第二回では秘密の範囲、秘密の管理、第三回では秘密の管理のうち人的管理制度及び物的管理制度、第四回では罰則、第五回では法形式、国民の知る権利との関係、立法府及び司法府との関係についてと議論されてきて、第六回では報告書案の議論を行っております。

 昨年八月八日に提出された報告書の中身を見れば、それぞれの有識者会議は、報告書の目次に沿って審議をしてきたことになっております。そこで、お尋ねしますが、それぞれの会議で、議論すべきテーマについて説明を行ったのはどなたですか。

中村政府参考人 お答えさせていただきます。

 会議のテーマにつきましては、事務局の方から第一回目に御提示させていただきまして、具体的に委員の方において議論していただいたところでございます。

 それから、議事概要に書いてございますとおり、それぞれの回につきまして、冒頭、事務局の方から、議論のテーマについて、具体的な議論していただくべきポイントについて御説明させていただきました。

塩川委員 各回とも、議論すべきテーマについては、説明を行っているのは事務局からということであります。

 第一回会議の配付資料の中に、報告書の内容構成をあらかじめ想定した検討スケジュールがあって、有識者会議は、この事務局が立てたシナリオに沿って、事務局が報告した内容に基づいて議論が行われてまいりました。事務局主導の報告書づくりと言われても仕方がない会議の進行ぶりであります。

 そこで、具体的にお聞きします。

 第二回の会議で秘密の範囲が議論されております。第二回の会議の配付資料、これはホームページ上でも公表されておりますが、この配付資料には、特別秘密として保護すべき事項の範囲という、その項目の名称しかありません。しかし、報告書では、秘密の範囲については、国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持となっています。

 お尋ねしますが、秘密の範囲をこの三つにすべきとなったのは、事務局の提案なんでしょうか、有識者からの提案なんでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの質問につきましては、行政機関が保有する秘密情報の中でも国の存立にとって重要なものとして、国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持の分野を事務局の方から有識者会議において例示した上で、委員におきまして自由に御議論いただきました結果、これら三分野が適当であるとの結論になったものでございます。

塩川委員 ですから、もともとの提案は事務局から提案がされている、事務局がこの三つですよと例示をしているということです。

 かつて、一九八五年、自民党がスパイ防止法の検討ということで、大きな議論となりました。そのときには秘密の範囲は外交と安全保障だったわけですが、今回は、警察にかかわる秘密として、公共の安全及び秩序の維持がさらに追加をされております。今御答弁いただきましたように、その提案を行ったのが警察官僚をトップとした事務局だった、この点をやはり指摘しておかなければなりません。

 次に、第二回の議事要旨には、「大きくいえば国の安全、外交、公共の安全及び秩序の維持といったものになると考えられる。」とありますが、この発言を行ったのは、議事要旨を見る限りは、有識者なのか事務局なのかということはわかりません。第一回の議事要旨では、委員からあった発言は次のとおりと書いてありますけれども、第二回からは、議論の要旨は次のとおりとあって、発言したのが委員か政府側の出席者なのかもわからない。

 これが現状だと思うんですけれども、こういった会議における発言者が誰なのか、事務局が入っているのか入っていないのか、こういうことはこの議事要旨からわからないんですが、事実はどうなっておりますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 第二回目以降につきましては、事務局から配付した資料に基づきまして御議論をいただきました。そのため、委員の間で議論した結果をあくまでも要旨として取りまとめさせていただきまして、これは事務局の意見ではございません。

塩川委員 そういったことは、公表されている議事要旨じゃわからないわけですね。

 また、第六回の会議で、事務局は冒頭の説明をしただけで、会議中、そもそも発言をしていたのかどうなのか。政府側の出席者である内閣情報官についても、第六回の報告書案の取りまとめのときに発言があったのかどうなのか。その点についても確認させてもらえますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 第六回目の資料につきましては、報告書案という形で、第一回目から第五回目までの委員の先生方の御議論をまとめたものにつきまして、委員の先生の間で御議論していただきました。その際に、必要な事実関係等について意見が求められた場合には事務局からお答えすることがあったかもしれませんけれども、具体的な書き方、記述につきましては、これはあくまでも委員の先生たちの御議論をまとめたものでございます。

塩川委員 官房長官にお尋ねしますけれども、官房長官は記者会見で、会議の経緯というのは公開されている議事要旨と配付資料で把握が可能だと述べておられます。

 私は、この報告書の内容の策定の経緯について今お尋ねしましたが、例えば秘密の範囲について誰が提案をしているのか、そういうことなどについてはどこにも、公表されているこの議事要旨と配付資料から見てとることができないわけですね。

 これでは、官房長官が説明されておられるような、議事要旨と公開資料を見ればわかるというふうになっていないわけですけれども、これでどうして、議事要旨と公開資料を見れば全体の把握が可能だなどと言えるんでしょうか。

藤村国務大臣 これは、いわゆる諮問を受け答申をされるという有識者の会議であるということ、この位置づけをまず最初に申し上げたいと思います。

 そこで、この有識者会議について、各委員の率直な意見交換ができるよう、会議終了後に発言者名を付さない形で議事要旨を公開すること、また、配付資料の中には機微な情報を含むものがあること等から、内容に応じて公開の可否を判断すること、これが第一回会合において委員によって決定されたものであって、これは決して何か事務局が決定したものでは全くありません。

 有識者会議の経緯は、公開されている議事要旨、それから配付資料、あわせ会議としての意見を示した報告書、これらの範囲で把握できる、このように考えております。

塩川委員 いやいや、ですから、秘密の範囲を大きく三つということについて、事務局が提案したのか、有識者の提案がベースになったのか、そういうことについては、公表されている議事要旨と配付資料じゃわからないですよねというのを聞いているんですが、どうですか。

藤村国務大臣 事務局の整理で、先ほど報告のとおりであります。それを今度は有識者の皆さんにきちんと議論をしていただいた結果、その三つの範囲が適当である、これが委員における議論であった、こういうことであります。

塩川委員 ですから、今の話は公表されている議事要旨にも配付資料にも書かれていないんですよ。これでどうして、官房長官が記者会見でおっしゃっているように、公開されている議事要旨と配付資料で会議の経緯を把握できる、把握が可能だと言えるのか。そんなことはないということが今のやりとりでもはっきりしているんじゃないでしょうか。議事要旨と配付資料にはそういう点が書いていないわけですから、策定過程の経緯がわからないということになります。

 そこで、重ねて官房長官にお尋ねしますが、今、官房長官の答弁にもありましたように、機微情報との関係で公開の可否を決める云々という説明をされました。ということは、配付資料についても全て公開されているわけではないということですか。

藤村国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、配付資料の中には機微な情報を含むものがあること等から、内容に応じて公開の可否は判断する、これは第一回会合において委員により決定されたものではあります。

塩川委員 実際に公表されていない配付資料があるということですね。

中村政府参考人 お答えいたします。

 報告資料が取りまとめられる前の段階、検討段階におきましては、公表された場合には委員の自由な御議論が損なわれるおそれがあったこと、また、ただいま官房長官から御説明ありましたとおり、機微な情報が含まれていることから、当時においては非公表としたものでございます。

塩川委員 いや、いわば会議における枠組みの話の答弁ですけれども、それを踏まえて、実際に会議で配付された資料の中に公開されたものがあるんですかということを聞いているんです。もう一回。

中村政府参考人 お答えいたします。

 ただいま申し上げましたとおり、公開できるものについてはその会議の後に公開させていただいてございます。また、公開できないものにつきましては、その段階においては非公表とさせていただきました。

塩川委員 ですから、公表されていない資料もあるわけですよね。だから、官房長官が議事要旨と配付資料を見れば会議の経緯がわかるんだと言っても、その配付資料自身が全部出ていないんですよ。これでどうしてきちんと検証できるのか。官房長官、どうですか。

藤村国務大臣 資料の中に機微な情報を含むものがあるということは申し上げたとおりであります。

 それらの資料を踏まえて委員の皆さんがきちんと議論をされた。その議論については、議事要旨あるいは中間報告もございます、それでその他の資料が付随されている、これらで把握できると思います。

塩川委員 いや、ですから、配付資料と議事要旨で会議の経緯が把握できると言うから聞いているわけで、出されていない、公表されていない配付資料があれば全体像がわからないじゃないですか。

 実際、公表されていない配付資料として、第六回の会議では報告書の案が出されているわけですよね。報告書の案が配付資料として出されて、この配付資料に基づいて意見交換が行われているわけですけれども、この第六回会議で配付資料として出された報告書案というのは公表されていないと思いますが、その点、確認させてもらえますか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 第六回の会議におきまして、委員からさまざまな意見が出され修正する必要があったこと、また、報告書が取りまとめられる前の検討段階でございますので、公表された場合には委員の自由な御議論が損なわれるおそれがあったことから、当時におきましては非公表とさせていただきました。

塩川委員 ですから、報告書案は出ていない、今現在だって出ていませんよね。その点で、報告書案での議論を踏まえて、では報告書がどうなったのか、その比較をすることも会議の経緯を検証する上では当然必要な措置であるにもかかわらず、報告書案そのものも公表していないわけであります。

 そういう点でいっても、どう考えても、会議の経緯というのは公開されている議事要旨と配付資料を見ればわかるという官房長官の説明というのは通らない話だと思いますけれども、官房長官、こういう報告書案というのは公開できないものなんでしょうか。秘密なんですか。

藤村国務大臣 先ほど来、当時、当時という言葉が使われております。当時、非公開とされた配付資料でありましても、当然、報告書が確定した後は、現在ですよね、情報公開法に基づく開示請求に対しては、もちろん、不開示部分を除いて開示をすることはできるということであります。

塩川委員 でも、現時点では公表されていないわけですよ。その点にまさに政府の姿勢がはっきりとあらわれているわけで、申し上げてきたように、実際には、有識者会議といっても、役所の方がお膳立てをして、いわば官僚主導というやり方でこの段取りが進められて報告書がまとめられた。そういう官僚主導というやり方が役所の都合を優先することになっているんじゃないのか、こういう危惧が当然出てくるわけであります。

 ですから、こういったあり方そのものが今問われているわけで、冒頭に紹介しましたように、この報告書は、「ひとたびその運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない」と書いております。このような重大な法制を提案しようとする政府が、秘密でないような議事録や配付資料すら国民にオープンにしない。秘密でないようなものすら秘密扱いにしている。つまり、法律の運用においても、秘密でないものを秘密として扱いかねないようなことが、この有識者会議の検討過程でも透けて見えるじゃないか。

 政府がこうした運用をすれば、報告書の言うように、国民の重要な権利利益の侵害となることは火を見るよりも明らかで、しかも、そのような運用を行った官僚事務局を、政治家である歴代の民主党の官房長官も統制できていない。今、藤村官房長官が紹介したように、会議の経緯というのは公開されている議事要旨と配付資料で把握が可能だと言って、結果として、官僚主導のやり方というのを正すのではなく、追認をしているだけであります。

 そもそも民主党政権自体が、マニフェスト違反にとどまらず、この間の原発や大震災の対応ではその記録さえ残しておかなかったわけで、まともな政権運営をできないような政権が運用を誤れば、国民の重要な権利利益を侵害するおそれがないとは言えない。こういう法制に手をつけようなどというのは論外だ。官房長官として、こういった秘密保全法制の具体化は直ちにやめるべきだ。

藤村国務大臣 例えば、当時は枝野官房長官でありましたが、冒頭の発言では、基本的に、秘密保護法制を考える上では、一方で機密の保持という利益があるが、また一方で、国民の知る権利、情報公開という、この政権が重視するオープンな政府の実現という利益もある、その両者をどうバランスをとっていくかが非常に重要であるということは委員の皆さんにずっと申し上げてきた中で、情報漏えいに関するいわゆる脅威が高まっているというこの現状は、外国との情報共有を推進していくことを考えても、それは非常に重要なことであると考えております。

 私どもは、速やかにこの秘密保全に関する法制を整備することは大変必要なことだと。政府としては、国民の知る権利や取材の自由等を十分に尊重しつつ、秘密保全に関する法整備を、法案化作業に取り組んでまいりますが、早期に国会に提出できるよう努力していきたいと考えております。

塩川委員 あの報償費で使い込みをやっていたような警察、あるいは外務省機密費で競馬馬を買っていたような外務省、また、天下り先確保のための官製談合をやったり、防衛事務次官の不祥事のあるような防衛省が、省益のために、秘密という形でみずからの不祥事を覆い隠すようなことにもなりかねないようなこういう秘密保全法制が、まさに事務局、官僚主導で行われているということこそが問われなければならない。

 秘密保全法制というのは、必然的に取材の自由や国民の知る権利を侵害し、民主主義を根本から脅かすものとならざるを得ないという点でも、秘密保全法制の具体化は直ちに取りやめるべきだということを強く申し上げ、次の質問に移ります。

 官房長官、ありがとうございました。

 川端大臣にお尋ねします。

 国の出先機関改革についてですが、先日、三月三日に地方を守る会の総会が行われました。全国の四百四十七の市町村長が会員となっている会で、全国の市町村の四分の一を超える市町村長が加入をしたこの地方を守る会は、拙速に国の出先機関廃止論を進めるなということを決議しております。

 この決議では、「今回の大震災では、発災直後から地方整備局や地方経済産業局と市町村が一体となって、迅速かつ懸命な救援活動やインフラ・産業の復旧が行われるなど、地域における国の出先の役割が改めて認識された。また、昨年、全国各地を襲った水害でも、こうした認識が持たれたところである。」

 そこで、大臣にお尋ねしますが、多くの市町村長は、今回の大震災や全国を襲った水害などで、地域における国の出先の役割が改めて認識されたと指摘をしております。この認識は大臣も共有されるでしょうか。

川端国務大臣 東日本大震災という千年に一度という大災害、あるいは台風による災害も大変大きな規模でありました。こういう場合において、国あるいは地方自治体、民間を問わずに、いわゆる実動部隊としての自衛隊、警察、消防、電力、ガス等も含めて、こういうものを有する部隊が全国から連携して、その能力を最大に発揮して対応したということはそのとおりだというふうに思います。そういう中で、地方整備局や経済産業局等が国の出先機関としての役割をしっかり果たされたことは事実だというふうに思います。

 ただ、この決議文全体のことであえて申し上げれば、この権限、機能、能力が最大限発揮されたということは本当にそのとおりだと思うし、よくやられたと思いますが、これが国の出先機関であることも事実であります。私たちが国の出先機関を、アクション・プランに従って、まず初めはやりたいという意思のある広域自治体を受け皿として移管しようとしているのは、この機能、組織、事務権限、人員そのまま、その組織のまま移管をするということであって、そういう意味では、移管をされてもこの機能がなくなるということでは全くありません。

 その部分は少し、この決議文を読ませていただくと「東日本大震災などの教訓を全く鑑みることなく、」と書いてあるんですけれども、そうではなくて、こういう震災で役に立った機能をいかにしっかり維持するか。

 そして、千年に一度という災害もあれば、毎年起こるような災害もあります。そういう部分に、ここにもお触れになっていますけれども、国や地方自治体を含めて、こういうあらゆる機能がしっかりと緊急のときに対応できるという権能は極めて大事だと思って、そのことは極めて慎重に、そしてあらゆる対応ができるようにということで議論していることだけは、ぜひともに御理解をいただきたいと思っております。

塩川委員 大臣も、この大震災などで国の出先機関が果たした役割を認めておられるわけであります。

 そうであるならば、これは地方を守る会に出席されていた首長さんもおっしゃっておられましたけれども、そもそも、例えば国土交通省の地方整備局、安心、安全という点で大きな役割を発揮した、この安心、安全という立場から見て、現行の地方整備局のどこに問題があるから改革するという話なんでしょうか。

川端国務大臣 今、それぞれの役割を、責任を持って、誇りを持って、そして能力高くやっていただいていることは事実だと思います。そのときに、ここに欠点があるからということの発想ではありません。

 地域に身近な行政はできるだけ地域でやっていただこうという地域主権、そういう大きな流れの中で、この震災対応での決議文にも、表現的には出先と市町村が一体となってと書いてありますけれども、県も含めて、そういうことでいえば、より身近な地域、今回は広域連合を想定していますけれども、そういうところが一体的に組織を持ち、やるということ、そして全国と連携できるということを持つことによって、よりよい行政が実現できる。

 例えば、経済産業局で工業団地等々をやっていこうという計画と整備局における道路計画は、省庁が別ですから基本的には別々にやるというのが、広域連合のもとに一体的にやるということであれば、両方の計画を初めから組み合わせたプランができるというふうなことで、より具体的、身近な行政を進めようという理念のもとに取り組んでいることは御理解をいただきたいと思います。

塩川委員 大臣の答弁にありましたように、安全、安心という立場から見て地方整備局のどこに問題があるのかということについては、欠点があるからという発想ではないということでいえば、欠点があるということではないというお話であります。

 地域の身近なことは地域でという話だということですけれども、こういういわば大災害、災害時、非常時において果たすという点においたときに、国の果たすべき役割がしっかりあるだろうというのが市町村側の要望となっているわけで、そういう意味でも、国の出先の果たす役割というのを認めるのであれば、現行の仕組みについて何らかの欠点があるというわけではないというのであれば、なぜ見直しをするのかという声が全国の市町村長から上がるというのは当然のことじゃないでしょうか。

川端国務大臣 千年に一度のこういう災害というときに、総力を挙げて対応するときにどういう仕組みでやるかということにおいては、我々も、出先機関を移すときにその機能を失ってはいけないということは十二分に意識する中で、そういう非常時対応というのは考えなければいけない。千年に一度、百年に一度、十年に一度、それぞれあると思います。

 そういうときに、私たちは、その出先が今持っている組織や人員、権限、機能をそのまま移すということで、解体するということは一切考えているわけではありませんので、そういう意味では、そういう非常時対応はしっかりと確保するということは当然のことだと思っています。

 ただ、国の出先という形でいるのが大前提であるのかどうかということでいえば、その組織や権限、機能がそのまま移管をすれば、別にそれは国でなくてもいい、そして国との連携がしっかり図られればいい。そういう意味では、それを担保するならば、より地方自治体に近いところにあった方が、よりきめ細かく、現状に合った、そして省庁の壁を乗り越えた部分ができるという、前向きに取り組んでいることでありますので、欠点がなかったら移す必要はないという意味ではないことを改めて申し上げておきたいと思います。

塩川委員 もともと、九州や関西の方で受け皿という話がありますけれども、どこの区域をするのかということ自身も当然議論があるわけで、そのまま移管といっても実際にはそうならないというのが実態というところに多くの市町村長からの不安の声も上がっているわけで、こういう点について、都道府県と国が協議したからいいですよという話にはならないという声も含めて、批判の声になっているわけであります。

 市町村から見ての国の役割ということについてもきちんとした検証を行うべきだ、そういうことを求め、そもそも、こういった国の出先機関の原則廃止という議論が、大枠として、総人件費二割削減ということから出ていることがゆがみをつくり出している。私は、この総人件費二割削減方針そのものも撤回すべきだ、こういうことを強く求め、国の出先機関改革の議論そのものが今行うべき話ではないということを申し上げて、質問を終わります。

荒井委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 民主党の玉城デニーです。

 きょうは、与党として唯一三十分、質問の時間をいただけたことをまず感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 さて、地域主権改革、地域の活性化の本旨の質問に入らせていただく前に、一点、先にこちらをぜひ聞かせていただきたいと思います。きょうは渡辺副大臣に同席をしていただきました。

 このたび政府から、国家公務員人件費の平均七・八%削減案が出されております。復興対策のためを考えるといたし方ないという面もありますが、その国家公務員の特別職として自衛官がございます。

 自衛官には、この日曜日、三月十一日、発災から一年になります東日本大震災の現場において、発災直後から本当に想像を絶するような活動、活躍をしていただきました。まず、そのことに関して私は感謝と敬意を表したいという思いがございます。

 しかし、にもかかわらず、半年間猶予するとはいえ、やはり自衛官も給与削減の対象となっておりまして、そのことにも私は、個人的にはやはりじくじたる思いを抱かざるを得ないわけでございますが、ましてや、気になるのは、派遣された自衛官の方々のいわゆるメンタルヘルスといいますか、心のケアについてでございます。

 やはり心のケアについても、大変大事なところだと思いますので、国としてどのような対策をしているのか、渡辺副大臣にぜひお伺いしたいと思います。お願いします。

渡辺副大臣 東日本の大震災で派遣をされました隊員のメンタルヘルスについて御質問をいただきました。

 昨日、現地、被災地に派遣をされました自衛官のメンタルヘルスのチェックの大体、概要が報告されましたので、申し上げますと、陸上自衛隊で五万八千五十人を帰隊後一カ月調査したところ、PTSD等の原因となる、高リスク者がおよそ三・三%、うつ病等の高リスク者がおよそ二・二%でございます。まだ実施中の調査もございますし、また、ちょうど先生御指摘の一年でございますので、またここで改めてメンタルヘルスチェックを行うこととしております。

 また、海上自衛隊については、六千百十二人を対象に調査したところ、PTSDの高リスク者が四・三%でございます。うつ病の高リスク者の調査は未実施でございまして、今、この理由を問いただしているところでございます。もう既に五名の海上自衛隊の隊員がPTSDと確認をされておりまして、現在はケアを受けながら職場復帰をしているというところでございます。

 また、航空自衛隊においては、三千三百十九名のうち七・五%がPTSDの高リスク者、ちょっと対象人員が違うんですが、うつ病の高リスク者が二千八百二十九人中六・五%。ここではPTSDは確認をされておりません。

 防衛省といたしましては、この後もまたずっと継続をして、まさに国家的な危機に直面をして、本当に不眠不休で活動した自衛官のメンタルケアについては、二十四年度の予算でも、部外カウンセラーの招聘ですとか臨床心理士等の増員等で対応することとしておりますが、とにかく、長期にわたってしっかりと万全の対応、体制を尽くしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、津村委員長代理着席〕

玉城委員 ありがとうございました。

 国の安全保障にかかわるお仕事というのは想像を絶する苦労があると思いますので、ぜひ引き続き、隊員のケアに関しては、給与の削減以上のものをもって当たっていただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。

 さて、それでは、地域主権改革、地域の活性化に関して、内閣提出の沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案及び沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、質問をしたいと思います。

 沖縄は、内閣府が予算なども一括計上してその予算措置も行われておりますし、また、最終年、今年度の三月で十年間の特措法が切れるということもございます。

 これは、一九七二年に沖縄の施政権がアメリカから日本に移る、いわゆる祖国復帰とも本土復帰とも言っておりますが、ことしで四十年を迎え、その間には、社会資本整備、経済振興などさまざまな点において国からも多額の予算をつけていただき、沖縄県の発展のために寄与していただきました。

 特に注目されるのは、この間、音楽や文化に注目される分野で、何度かの沖縄ブームというのがございました。そのはしりは、一九七五年に開催された海洋博覧会、今の美ら海水族館がある一帯での振興が最初ではなかったかと思いますが、今や、国会議員の同僚や先輩にも、それから省庁で働いていらっしゃる皆さんにも、沖縄で働いた、沖縄に関係しましたという方や、あるいは、三線とか泡盛とか、そういうファンが定着しているということを考えると、この間、沖縄の発展もある程度遂げてきたのかなというふうに思います。

 しかし、他方、実は、これまで沖縄県と県民が目指してきました自立経済の発展、あるいは、新しい基幹産業と位置づけられておりますが、観光立県政策など、あるいは、全国でも出生率の高い子育てと教育振興の充実などにはまだ道半ばの状況ではないかという県民の不安も内在しておりまして、それに加えて、米軍基地との共存社会ですから、国と国との課題をも抱えたままにあるというのは、これは過言ではないというふうに私は思います。

 そこで、提出されております沖縄県に関する振興特措法案及び軍用地の返還特措法について、今国会に提案するまでの経緯と、そして、この二つの特措法の今法案の主要なポイントについてまず伺いたいと思います。

園田大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 委員今御指摘をいただきましたように、ことしで沖縄が本土復帰四十年を迎えるという、大変記念すべきといいますか、ポイントになる年になったのではないかというふうに思っております。そういった意味では、私ども政府といたしましても、さらにここから十年間、沖縄を、今おっしゃっていただいたような自立型の経済の振興という面をさらに伸ばしていく必要があるという点で、まず今回のこの十年間の特措法をつくらせていただいたということでございます。

 今までは、国が主導で行ってきた法体系でございました。それを、やはり沖縄県の皆さん方が自主的に、私たちでつくっていきたいんだという強い思いがございました。そういった面では、まず、今回の振興の特措法については、これまでの沖縄県とのさまざまな協議をさせていただく中で、やはり沖縄県が策定したい、振興計画をしっかりと沖縄県がその主体となってつくっていくという強い御要望をいただきました。今までの国がそれを決定するという仕組みから、県が策定主体となってつくっていただくといったところに、まずポイントになるものではないかというふうに考えておるところでございます。

 それから、もう御案内かもしれませんけれども、より自由度の高い一括交付金、これを、このたび、沖縄県、全国に先駆けて、さらに深化をさせていただいたこの一括交付金という制度を沖縄にとらせていただいたという点もございます。

 さらには、沖縄の優位性を生かした産業振興のための特別措置といった形で、財政面あるいは税制面の中から国が支援措置を拡充するという内容にさせていただいているところでございます。

 繰り返しになりますけれども、まずこの特措法に関しましては、県の主体性といったものをより尊重する、そういう内容として、このたび政府からも提出をさせていただいております。

 それからもう一点、返還の特措法の改正でございますけれども、こちらは、現行法に比べまして、跡地利用の促進策、これを大幅に拡充していこうといった点で大きく寄与できるものではないかというふうに思っております。これもまたやはり沖縄県の皆さん方の御要望が大きく、十分に踏まえた内容という形でその法案を取りまとめさせていただいたところでございます。

 大きな点といたしましては、これは、今までの沖縄の返還の特措法と、それからあと沖縄振興の特別措置法の第七章の部分と、二つに分かれていたという点がございます。これを一元化するといった点で、駐留軍用地の跡地利用に関する制度、ここの一本化、一元化をさせていただきました。

 そして、給付金制度の拡充、さらには原状回復措置の徹底、そして駐留軍用地内の土地の取得の円滑化のための措置、そしてまた、今、土地利用の協議会を設置させていただくという形で、しっかりと地域の皆さん方の話し合いの中で跡地利用が促進をされるという点で、大きく寄与できるものではないかというふうに期待をさせていただいているところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほどおっしゃっていただきましたように、十年、両法律、制度とも、現行の法律、制度は今月の三月三十一日が期限でございます。そういった意味では、切れ目なく今後この措置法がしっかりと振興できるように私どもも努力をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、ぜひ国会での御審議のほどよろしくお願いを申し上げたいと存じます。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさに、今までは国が基本計画をつくって沖縄県が実施するというふうなことが、私も地域主権の本当に大きな第一歩になるというふうに、恐らく県民の皆さんもそう受けとめると思います。県が計画をつくって、国が基本的な方針さえ示せば、あとは地域の実情に合わせてぜひやってくれということが今回の改正法で提案されている法案の一番大きな中身、それを補うのが一括交付金だ、まさにそのように思っております。

 今、沖縄県の方でも、市町村の実情と合わせて、ではこの一括交付金をどのように利用していくべきかという本当に新しい仕組みについて、一生懸命議論をしているということも、連日新聞などでも報道されております。

 そういうこともありまして、本当に、地域主権の第一歩が、沖縄が全国のひな形になる、私はずっと心にその信念も持って、さまざま、沖縄を中心に日本全体をしっかりと、国の成長エンジンとするべく沖縄も振興計画をつくるべきだというふうに、その協議の中にも加わらせていただいております。

 ここで少し、ちょっと細かい点ですが、お聞かせいただきたいと思います。

 先ほど、財政面、税制面での支援をするということがございましたが、では、産業振興や、特に観光産業の振興についてどのような方向性を持っているのかという、この法案の中での性格をぜひお聞かせいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの産業振興の関係ということで、どういうふうな改正内容にしているかというお尋ねでございました。

 具体的には、現在、特区制度というのがございまして、一つは、IT、金融関係とともに、自由貿易、特別自由貿易という特区制度がございます。自由貿易、特別自由貿易につきましては、これらを発展的に拡充するということで、今般、国際物流拠点産業集積地域という形で制度を改めまして、国際物流特区の創設とともに、先ほど申しましたIT、金融を含めた各特区につきまして、税制措置を抜本的に拡充することとさせていただいております。

 御案内のとおり、これまでの特別措置法におきましては、これらの特区につきまして適用を受ける要件としまして、専ら要件というのがございました。こちらにつきましては、この特区内でしか事業所を持ってはならないというものでございましたけれども、それの緩和をするといったような内容が含まれてございます。

 また、残りの二つの地域制度で、観光面の関係あるいは産業高度化の関係の地域制度がございますけれども、こちらにつきましても、先ほどからお話がございましたように、地域主権の考え方を踏まえていくということで、県の自主性尊重の観点から、その地域の指定に当たりましては、これまで国の同意を求めておりましたけれども、知事による地域指定の仕組みに改めたというふうな内容が主なところでございます。

 以上でございます。

玉城委員 ありがとうございます。

 やはり、税制の優遇面は、先ほどお話にもありましたとおり、国際物流拠点産業集積地域、ちょっと長い名前ではあるんですが、いわゆる沖縄の成長力をもっと高めていこうという意味で、アジア全体を視野に入れた、特に東南アジアを視野に入れて、しっかり沖縄が日本の文字どおり玄関となって、そのハブ機能を果たしていくための港湾の整備、空港の整備等々、いろいろ、これからも求められていくことになると思います。

 先ほど少しお話が出てまいりましたけれども、観光地形成促進地域を指定するというふうなことですが、それを審議官にもう少し説明をしていただきたいのですが、この観光振興の地域指定だけではなく、それ以外で資するものの内容等があれば、お聞かせいただきたいと思います。

藤本政府参考人 お答えいたします。

 観光振興の関係で、地域税制上の措置以外の施策でどういうものが法律で盛り込まれているかということかと思いますが、まず一点、地域創設の関係以外では、通訳案内士法の特例の創設というのを盛り込んでございます。

 御承知のとおり、有償で外国語ガイドを行うためには、全国の仕組みにおきましては、試験を受けて資格を取らないといけないような制度になってございますけれども、今般、沖縄におきましては、県の方で仕組みを整えまして、研修を受講すれば同様の資格が取れるような仕組みとしまして、特例を創設するというのが一点でございます。

 あと、二点目としましては、現在、特定免税店制度というものがございます。これは、本土から那覇空港に来られた空路客に対しまして関税分を免税するということでございます。引き続き、この延長措置をお願いするとともに、空路だけではなくて、クルーズ船等でいらっしゃった海路客も対象に拡充するということでお願いできればと思っております。

 また、三番目でございますけれども、航空機燃料税につきましての軽減措置もこれまでとっていただいておるところでございます。これまでは本土と那覇空港を結ぶ間についてが対象になってございますけれども、その延長とともに、加えて、本土と宮古島、石垣島、久米島とを結ぶ路線も対象に追加するという形で拡充をお願いできればと思っております。

 以上でございます。

玉城委員 今お話にありましたとおり、これからは、インバウンドといいますか、外国人の方が沖縄を経由して、どんどん日本国内での、特に観光面で振興していきたいということで、通訳の養成事業などが入っているというのは、まさに時宜を得たといいますか、少し遅過ぎるぐらいではあると思うんですが、何しろ沖縄には三十以上の国と地域の方々が住んでおりますので、その全ての言語の通訳はどうかとはいっても、せめて、例えば、英語は当然のことですが、北京語ですとかあるいはポルトガル語、スペイン語などなど、世界のウチナーンチュ大会が開催されている土地柄もあわせると、その人材育成のためにこれからも、日本国内全体のその方向性を示すためには、この振興計画の中で沖縄県が策定する計画に国がしっかり後押しをしていただきたいということが、やはり国の成長エンジンになり得る沖縄の最も魅力ある潜在力ではないかなというふうに思います。

 ぜひこれからも、細かいことはいろいろありますけれども、十年間しっかり、この法案を、野党の皆さんの御提案などもしっかりと審議をさせていただいて、まとめることができれば、また新しい時代の幕あけになると思いますので、御尽力をお願いしたいと思います。

 さて、もう一本の軍用地返還特措法ですが、先ほど給付金制度の拡充ということがございました。その給付金制度。

 これまでにもやはり、多くの軍用地主の方々が国の安全保障のために提供している米軍用地の施設あるいは自衛隊用地の施設などなど、全国と沖縄が最も違うのは、公有地ではなくて私有地が多いということなんですね。ですから、基地の跡地利用については、実は、返還して後、物すごく時間がかかってきた。平均すると十五年、最も長いので十九年、二十年と言われておりますので、やはり地主の皆さんの不安は、給付金制度の拡充といいますか、見直しも大きなポイントだったと思います。

 そこのポイントを少し丁寧に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。

    〔津村委員長代理退席、委員長着席〕

藤本政府参考人 給付金制度の拡充に関してのお尋ねに対しまして、お答えさせていただきたいと思います。

 現行の制度におきましては、給付金の支給開始日というのが、返還日から三年以内という形で規定されているところでございます。

 今般、沖縄県の強い要望を踏まえまして、返還された後、原状回復されて引き渡されるというステップがあるわけでございますけれども、引き渡された後の翌日から三年以内というふうに、その支給日を後ろにずらすような内容で改正案を提出させていただいておるところでございます。

 また、給付金の終期の関係でございますけれども、現行の制度におきましては、先ほど申しました三年を超えて給付をするようなケースが法律で定められております。具体的には、特定跡地給付金だとか、あるいは大規模跡地給付金という制度でございますけれども、そちらの終期につきまして、支給の限度となる期間を明確化するということで、今般、改正法案の中では、当該土地の利用が可能と見込まれる時期の見通しを勘案して定めるということで、終期につきましても明確になるようにさせていただいているということでございます。

 以上でよろしいでしょうか。

玉城委員 ありがとうございます。

 実は、返還してから引き渡すまでの間が最も、これまでに不発弾のことですとか、十分な事前の調査ができなかったがために、原状回復に至るまでは物すごく問題がずっと残ったままになっていたということ、これに今回踏み込んでいただいたということは、これが最も原状回復の原点ではないかというふうに私は思っております。

 そういう意味では、これからも地域の声をしっかりと聞いていただいて、特に不発弾などの処理に関しては迅速に、全面的に、公共事業だけでなく、一般の工事についても必ず国の責務で磁気探査を行うということはぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 先週の日曜日、実は首里高校のグラウンドの中で、そこで不発弾を爆破して処理をする、そういう処理がありました。この日曜日、十一日には、私の近所でもやはり不発弾の処理が行われます。毎週というぐらい不発弾の処理が行われている沖縄の民間地域ですので、殊のほか、この基地の跡地というのは、占領下で占領されたままになっていて、そこに何があるのかがわからない。文化財の調査も含めて、しっかり、土地の返還に関しては十分な国の責務をとっていただきたいと思いますが、政務官、その件についてぜひ答弁をお願いしたいと思います。

園田大臣政務官 先週の不発弾の処理に関しましても、住民の皆さん方には大変御不安をお与えしてしまっていたものではないかというふうに考えておったところでございまして、また、不発弾処理、調査も含めてまだまだたくさんあるという状況がございます。

 そういった面では、私どもも、こういったところも含めて、今回の法改正がしっかりと、沖縄の皆さん方の、住民の皆さん方の不安を少しでも解消できるような状況になっていくべく、全力を尽くしてまいりたいというふうに考えておるところでございますので、ぜひまた玉城議員を通じても、さらにはさまざまな御意見を頂戴しながら進めてまいりたいというふうに思っております。

玉城委員 ありがとうございます。

 陸上自衛隊、海上自衛隊それぞれが年間二十トンから三十トン不発弾を処理している、そして、計算ではそれがあと七十年とも八十年とも言われている、そういう状況ですので、ぜひ国を挙げて、総力でこの問題については取り組んでいただくようお願いを申し上げたいと思います。

 さて、あと五分少々の質問時間になりましたけれども、振興と跡地利用に関連して、懸案であります米軍基地に関しての現状を、少しお話を伺いたいと思います。

 これまでにも、SACO合意での土地の返還、それから2プラス2、日米合同委員会での基地及び土地の返還ということが合意されておりますが、先般二月八日に、日米共同報道発表で、また新たな米軍の再編見直しが発表になっております。そのことについて、これまでの計画がどうなるのかということの不安も一抹感じている県民もやはり多いと思いますので、その件に関して、これまでの日米合意と今後の状況について、基地の返還など少しお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

藤本政府参考人 今、二月八日の日米共同発表の件の関連でお尋ねがございました。

 基本的には、防衛省と外務省が中心となってこの間については対応されているということでございます。

 御指摘のとおり、平成七年ですか、SACO合意と、あと、その後のロードマップという形で、沖縄の基地の返還についてのいろいろな合意がこれまでになされておるところでございます。

 御承知のとおり、嘉手納基地以南につきましては、六施設・区域の返還がその中で合意されておりまして、今般の共同記者発表のところでは、嘉手納以南の土地の返還につきましては、「グアムへの移転及びその結果として生ずる嘉手納以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことについて、公式な議論を開始した。」と報道発表がされたというふうに私どもとしては承知しているところでございます。

 いずれにしましても、その二月八日の日米共同報道発表後におきましても、日米両政府は、普天間飛行場を辺野古に移設するとの方針が引き続き最善だと考えておるということで、この方針には変わりないと承知しておりまして、そういう意味で、この返還の動向、今後、進展に応じまして、新たに今般提出させていただきました返還特別措置法の改正が成立いたしますと、それに基づきました対応を適切に対応させていただきたいと思っております。

 よろしゅうございますか。

玉城委員 ありがとうございます。

 これまでの方針をそのまま継続していただく、SACO合意、それからロードマップ、その合意を継続していただくということ。

 なぜ私が最後にこれを聞いたかというと、実は、やはり地域の活性化は、継続的な計画によるものと、その方向性が明確になっていることが大切だと思います。ですから、沖縄県の百四十万人の人口の八割が中南部、いわゆる嘉手納以南の基地が集中しているところに生活しているということを考えると、やはりしっかりとその跡地利用を促進させていただくということが必要です。

 ぜひとも、三月で法案がもう日切れになりますので、それをしっかり成立していただいて、これからも地域振興にしっかり取り組んでいただくようお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

藤本政府参考人 失礼いたします。

 先ほど、SACO合意を平成七年と申し上げましたけれども、平成八年でございました。どうも失礼いたしました。

玉城委員 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、平将明君。

平(将)委員 自由民主党の平将明です。よろしくお願いいたします。

 岡田大臣と初めて議論させていただきます。今まで機会がなかったんですが、ぜひ聞いてみたいことがたくさんありましたので、きょうはよろしくお願いいたします。

 まず最初に、民主党マニフェストについてお伺いをしたいんですが、我々が選挙を戦ったこの民主党マニフェスト二〇〇九年でありますけれども、私は当時一期生でありましたが、財政の合理性といったところには、これはかなり無理があるなと正直思いました。

 岡田大臣は、私は、政治家になる前からの印象でいくと、物すごく誠実で、実務能力が高い方だという認識を持っていたんですが、そもそも、岡田大臣は、このマニフェストは読まれて選挙に臨みましたか。

岡田国務大臣 当時、私は幹事長でした。二〇〇九年の五月に幹事長になりまして、選挙まで三カ月ないし四カ月ございました。この間、マニフェストの作成にもかかわっておりますので、当然中身は読んでおります。

平(将)委員 今、この実現できる、できないといったところがかなり問題になっておりますが、それでは、きのうの予算委員会でもやりとりがあったと思いますが、このマニフェスト、どのぐらいできているという感触をお持ちでしょうか。

岡田国務大臣 これはなかなか数字で言うことは難しいんですけれども、我々、私、三回目の幹事長を去年やりましたので、そのときに中間評価というのをいたしました。

 その中で、具体的項目についてもいろいろ申し上げましたが、金額でいいますと、二〇一〇年度は、マニフェスト実施目標額が七・一兆円ということでしたが、それに対して財源の捻出は九・九兆円と、むしろそれを上回った。しかし、実は、リーマン・ショックで税収の大幅な減がございましたので、マニフェストの実行に充てたお金は三・一兆円であるということであります。

 二〇一一年度は、目標額が十二・六兆円に対して、六・九兆円を捻出いたしましたが、マニフェストに充てられたお金は三・三兆円ということでございます。

平(将)委員 そういう話を聞くと、そうかなと国民の人は思ってしまうと思うんですが、まさに我々は、本来民間でできないところ、国家もしくは公がやるべきところを、税金をいただいて、そして、その必要な政策に予算を充てていく、プライオリティーをつけて全体のマネジメントをしていくということだと思うんですね。足りない分は国債を出して。それで今問題になっているのは、その国債が、では、いつまでこのような構造的な赤字の中で、累積赤字の中で信頼を得られ、市場で消化ができるのかというところが問題だと思うんです。

 まずは、マニフェストといったものは、今まで政権公約といって、ぼやっとこういうことをやりますと言っていたけれども、そこに期限の設定もないし、財源も示されてこなかった。結果として、守られたのかもよくわからない。そういった中でマニフェストの議論になってきたと思うんです。

 今岡田大臣がお話をした部分というのは、マニフェストのところで財源の項があります。平成二十五年度までには十六・八兆円出します。その支出先は、子ども手当であったり農家の戸別補償であったりいたします。

 しかしながら、これを見てまず真っ先に思うのは、民主党政権が約束をした政策というのは毎年毎年の支出ですから、その財源はフローでなければいけないと思います。ですから、そこにストックを、いわゆる埋蔵金のような税外収入を一時的に持ってきても、まあ税外収入はフローもありますけれども、大きな単位はほとんどストックだと思います。ですから、そういった意味からいけば、この十六・八兆の財源の中にそもそもストックが入っていること自体、私は無理があると思います。

 この十六・八兆を国民の人が見ると、ああ、細かく書いてある、なるほどそうか、できるかもしれないと、多分、余り細かいことがわからなければ、そう思うと思うんですよね。しかしながら、ここには、プライマリーバランスの二〇二〇年度黒字化のために、そのギャップをどう埋めていくかといった財源の議論も入っていませんし、最低保障年金、実現するのは何十年後かというふうに言っておりますが、マニフェストを見た人は、民主党が政権をとればすぐにでもできる、もしくは、すぐにはできなくても四年のうちにはできると多分思っていたんだと思います。しかしながら、それも大変大きな財源が必要になってくる。

 そういったものがすっぽり抜け落ちていて、さらに、今おっしゃったのはその十六・八兆円の約束の部分、それは経年でふえていくわけでありますけれども、さらに、そこにはフローではなくてストックで持ってきた部分も入っているということで、私は、そもそもこれは財政上は破綻していると思います。

 これが出てきて私は非常に不思議に思ったのは、民主党には岡田先生のような先生がいながら、なぜこのようなできもしないものを出して、そして国民から票をとったのか、その辺が全く理解できない。岡田大臣、どうですか。

岡田国務大臣 今委員御指摘の中で、確かにプライマリーバランスを黒字化していくための費用とか、それから社会保障費が毎年一兆円ずつ、このマニフェストの期間後に増額になっていくこととか、そういったことはマニフェストの視野には入っておりません。これは、むしろこの四年の後の話として考えていたということでございます。

 年金については、これはマニフェスト上も制度設計ということにしてあるんですね、四年間は。ですから、お金は出ていかないということで、そこは整合性がとれた説明にはなっていると思います。

 我々は、このマニフェストの中で、年金制度の改革については、記録問題の集中的対応にまず最初の二年間は充てます、後半の二年間は新たな年金制度の制度設計に充てますということで、お金の面で実際に動き出すのはもう少し先というふうに考えていたということでございます。

平(将)委員 私は、民主党が政権をとったのは、期待を受けたのは、やはり民主党というのは誠実な政党だと多くの人が思っていたと思います。岡田先生のような誠実そうに見える、政策通に見える先生方がいて、こういう数字も出してきて。

 今確かに、細かく見れば、年金については制度設計をしますと書いてあります。しかしながら、その字の大きさと、このページに書いてある「年金制度を一元化し、月額七万円の最低保障年金を実現します。」というこの字の大きさから見て、それは、国民の人はこっちをぱっと見ますよね。それで票につながるんだと思います。

 よく悪徳商法で、ちっちゃく何か都合の悪いことは書いてあるようなことがありますよね。民主党は消費者問題に熱心だと思いますけれども、そういうパンフレットと変わらないじゃないですか。

 そこはどうですか、幹事長をやられていた。

岡田国務大臣 このマニフェストの工程表というのは非常に大きなもので、皆さんがごらんになるところだと思いますが、その中にはっきり、制度設計が平成二十四年度、二十五年度であるというふうに書いているわけでございます。

 ですから、そこをごらんいただいた方には、これはすぐスタートするものではないということはおわかりいただいたと思いますし、国会の答弁の中でも何度も我々は、これがフルに動き出すのは四十年後であるということは、いろいろな場で、この国会も含めて申し上げてきておりますので、もし選挙のときに、すぐ動くようなことを言った候補者がいたとすれば、それは事実に反するわけですが、基本的に党としてはそういうことは申し上げていないということでございます。

 もう一つだけ。

 実は、私、幹事長になりましたときに、このマニフェスト、もうかなりでき上がっていたんですが、もう一回見直そうということで、当初は、これは二十兆円と言っていたんですね。それを、全体を十六・八兆に圧縮いたしました。

 そして、これは歳入のところでは十六・八兆ということですが、実は歳出の方で、そのうちの一部については、つまり三・六兆円部分については、ペイ・アズ・ユー・ゴー、つまり、具体的に財源を確保しつつ順次実施をするというふうにこの工程表の中でも書いておりまして、実際にお金を使うものとしては十六・八兆から三・六兆を引いた十三・二兆円について、これは子ども手当とか高校無償化とか暫定税率の廃止とか戸別補償とか、そういうことに充てるということにして、いわば三兆円ぐらいのバッファーをとっておくことにいたしました。

 つまり、我々が予想する十六・八兆の歳入改革が全部はできないかもしれないということで、そういった書き方にしたということでございます。

平(将)委員 繰り返しますけれども、マニフェストを見る人は、これは町で配ったわけですよ。それで、いろいろな多くの国民の人に、これを見てもらって判断をしてください、その人とおつき合いがあるからとかそういうことじゃなくて、政策で選んでくださいと。中には、お年寄りもいるし、それほど政治に興味のない人もいるわけですよ。だったら、年金制度一元化、月額七万円最低保障年金を実現します(四十年後)と見出しに入れなきゃだめじゃないですか。そう私は思います。

 さらに言えば、ペイ・アズ・ユー・ゴーとおっしゃられたけれども、一般会計予算を見れば、サブプライムというちょっと特殊な事情がありましたが、それまでも自民党は、それなりに歳出削減、プライマリーバランスの黒字化に取り組んできました。一般会計でいえばアベレージで十兆円ぐらいふえちゃっていますから、ペイ・アズ・ユー・ゴーでここはイコールだと言ったところで、マクロで見れば支出がふえている。

 さらに言えば、フローは、いろいろな議論があるかと思いますが、私も事業仕分けとか一生懸命やっていたので、私の計算では三兆弱ですよ、フローで出ているのは。だから、十六・八兆に対して、片やこっちは三兆円。そこには、プライマリーバランスの黒字化はその先だといって入っていない。最低保障年金七万円やりますと信じた人は多かったけれども、その財源も入っていない。

 プライマリーバランスも、その四年の後だというお話がありましたが、この国家財政、政治家を一年もやっていれば、このプライマリーバランスを二〇二〇年度にはバランスさせなければいけないというのは大きな課題であるというのは、普通に政治家をやっている人間なら当然わかっていたはずで、自由民主党の人間だって、プライマリーバランスがあるから、あれもこれもやる約束できないよねと。

 例えばガソリンの暫定税率、二・五兆円ぐらいあると思うんです。それは下げられるなら下げられるにこしたことはないけれども、二〇二〇年のプライマリーバランスもある、毎年社会保障も一兆上がっていくというのは、政治家同士としては基本的な知識として入っているから、なかなかいろいろな約束ができないところに、民主党さんは、ほとんど、こんなむちゃくちゃなマニフェストを出さなくても政権はとれたと私は思いますよ。にもかかわらず、プライマリーバランスのことは後回し、最低保障年金の財源は示していない、そしてこの十六・八兆も、結果としては三兆弱しか出ていない。

 今、税と社会保障の一体改革で、消費税の部分は一緒にやりましょうよと言われていて、我々も参議院選挙で消費税を増税すべきだというのは挙げていますから、そこは一緒なんですよ。しかし、歳入と歳出で見なければいけないので、これをまだまだ諦めていません、我々はいつかこれをやるんですという歳出のところが十兆、二十兆、三十兆の単位で変動する可能性があって、歳入の五%消費税のところだけ一緒にやりましょうと言っても、これはなかなかできません。

 もう、マニフェスト、リアリティーがないんですから、破棄したらどうですか、大臣。

岡田国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、マニフェストの中でも、もちろん実現できたこともたくさんあります。ですから、全体ができていないということは、それは全くございません。

 そういうことではありますが、去年の中間検証の中では、歳入改革について一部甘い見通しがあったということは認めて、私は、幹事長としてその点について国民の皆さんにおわびを申し上げたいというふうに申し上げたところでございます。しかし他方で、東日本大震災とか予想しない事態もあります。そういったことで実現できていないものもある。もちろん、実現できたものもあるということです。

 このマニフェストについて、これから、また次の総選挙も、そう遠くない将来、少なくとも一年半の間にはあるわけですけれども、やはり各党それぞれ、よりいいものをきちんとつくって、お互い訴えていく選挙をしなければいけないというふうに思っています。

 これは言いわけで言うつもりはないし、悪口ではないんですが、実は、二〇〇五年、私、代表をしておりましたが、あのときの郵政選挙の自民党さんのマニフェストも、郵政民営化すれば地方もよくなるし、そして外交もよくなる、こういうふうに言われたわけで、お互い、有権者に対してより誠実な政策の訴えをしていかなければいけないんじゃないか、そういうふうに思っているところです。

平(将)委員 私は、自民党のマニフェストはもっとリアリティーのあるものにしていく必要があると思います。しかし、その反面、小泉政権は消費税を一%も上げずにプライマリーバランスは劇的に改善をしています。

 それと、岡田大臣にぜひ申し上げたいのは、厳しいことを言うと、そうはいったって自民党はという答弁をよくされますけれども、確かにここは自民党、民主党の議論の場であると同時に、我々は国民から選ばれて議員としてこの場にいて、政府・与党が国民に約束したことと違うことをやっているのか、やっていないのかというチェックをする場面でもありますから、ですから、そういう立場で質問をしていることに対してはしっかり答えてもらわなければいけません。

 そして、さらに言えば、このマニフェストは、さっきも言ったようにフローでいったら三兆じゃないですか。それは、できたものもあるし、できないものもある。あと、サブプライムを言っていますが、確かに税収は落ちました。落ちましたが、それは税外収入の埋蔵金で持ってきているじゃないですか。さらには、復興は当然やらなければいけません。しかしながら、復興の財源は特別会計と復興債で持ってきているじゃないですか。

 あなたたちが約束したのは、僕はこれが二兆、三兆なら言いませんよ。十六・八兆約束をしておいて、しかも、最低保障年金も、もう普通の人が見たらすぐでもやるように見えていて、その財源も書いていなくて、プライマリーバランス黒字化は国家的な課題だというのは普通の政治家なら誰でもわかることを、それも入れていなくて、そしてバラ色の未来を示して票をとってしまった。

 しかしながら、今やらなければいけないのは税と社会保障の一体改革だというのであれば、これは、リアリティーのある議論をするために、歳出面を、リアリティーのないものをまだまだやると言われていたんじゃできない。

 もう一つは、私は、一番罪が重いのは、岡田さんのようなタイプの政治家が罪が重いと思っているんですよ。岡田さんみたいな人がいるから、みんな信じるんですよ。あの人は絶対政策をわかっているし、言うことは間違いないと思うんですよ。だから、そういう政治家がいながらこういういいかげんなマニフェストを出したということに対して、私は非常に怒りを感じます。

 ちょっと時間がないので、次に行きます。

 それでは、いろいろあるんですが、まず事業仕分けについてお伺いをします。

 ちょっと時間も足りませんので、事業仕分け、今後どうするのか、端的にお答えください。

岡田国務大臣 事業仕分けは今まで非常に効果を上げてきたというふうに思います。ただ一方で、我々、各府省が本気になって仕分けをしてもらう必要があるというふうに考えて、各府省における事業仕分けともいうべき行政事業レビューの取り組みも、他方で推進してまいりました。

 ですから、これを軸にしながら、その取り組みにいろいろ問題、課題が出てくれば、事業仕分けでそれを補完するという基本的な考え方で今後進めていきたいというふうに考えております。

平(将)委員 行政事業レビューは、私はすごく評価をしていて、あれだけの、フローで歳出削減をしていますので評価をしています。

 その一方で、やはり後ろに、政府として、全体として事業仕分けをやるというのがあって、世の中の、総理も含めて、政権として事業仕分けをやるんだというような背景があって初めて、私は行政が各省庁でやる行政事業レビューが、実効性が生まれてくると思うんです。

 ですから、本体はやらない、役所にやらせるんだとなれば、これは時間とともに、また、世の中が興味を失っていくのにつれて、私は形骸化してくると思うんです。

 ですから、これは、行政事業レビューをちゃんと機能させるためにも、問題があったらやるではなくて、事業仕分けはやるんだという日程化が必要だというのを、蓮舫大臣とも議論をさせていただきましたし、枝野大臣とも議論をさせていただきました。去年は、東日本大震災があるからできないかもしれないけれども、確かにその指摘はそのとおりだという答弁もいただいております。

 問題があったらやるではなくて、やはり、最後に事業仕分けをしっかり、これは提言型じゃないですよ、従来型の、歳出削減型の事業仕分けをちゃんと政権が情熱を持ってやるんだという背景がなければ、私は行政事業レビューは形骸化するおそれがあると思いますが、大臣はいかがですか。

岡田国務大臣 まず、事業仕分けについて御評価いただき、そのことはありがたく思います。

 事業仕分けということになると、与党を何年か続けた後の事業仕分けの位置づけというのはなかなか難しいところもございます。それから、国会においても同様のこと、取り組みがスタートしているということもあります。そういったこと全体を見ながら、どういうやり方がいいかということはしっかりと考えていきたいと思います。

 それから、行政事業レビューにつきましては、これは、行政刷新会議できちんとフォローアップをいたしまして、そこで指摘されたことが果たしてどれだけできているかということは、行政刷新会議で指摘をし、目を光らせていきたいというふうに考えているところです。

平(将)委員 今、岡田大臣から、与党を長く続けるとなかなか事業仕分けは難しいという指摘がありましたが、私は逆だと思っているんです。

 というのは、今まで民主党さんは野党でした。今、与党です。税金の仕組みも変えられるし、予算もつけられます。そうすると、民主党議員、いわゆる与党議員にはさまざまな働きかけが出てきます。今まで民主党が持っているしがらみとは別の、新たなしがらみも出てくるかもしれません。

 ですから、政治的に敵対する自公政権がつくった予算を事業仕分けでばさばさ切るというのは、ある意味、誰でもできるんです。しかしながら、民主党政権がつくった予算といえども、事業仕分けを使って、活用して切り込んでいくというのが大事で、これはもし民主党が与党が続けばの話ですよ。政権交代すればまた違うのかもしれませんけれども。

 ですから、そういった意味では、日程化をして、民主党政権が何年か続けてつくった予算といえども、事業仕分けの感性を使ってやるのが大事だと私は思っているので、それを、自公政権がやった予算は大抵もう切った、あとは俺たちがつくった予算だと、無謬性みたいなことで事業仕分けをやめてしまってはいけないと思うし、まさに今大臣が答弁されたように、行政刷新会議の事務局が各事業レビューをしっかりグリップするということと、大臣がそれを情熱を持って見ている。どうも何か、岡田大臣は余り事業仕分けに興味がなさそうに見えるので、そこはやはり情熱を持って見ていかないと、やはりこれは形骸化すると思いますので、ぜひその辺はそういう認識でお願いをしたいと思います。

 続いて、公務員制度改革についてお伺いします。

 公務員の定年延長の問題が出ておりましたが、報道等では、定年延長は断念をして、再雇用で拡充をする方向だというふうに私は聞いておりますが、それはその認識でよろしいでしょうか。

岡田国務大臣 これは、まさしく今、政府の中で議論をしているところです。先般、外部の有識者の皆さんにお集まりいただいて、第一回目の議論をしていただきました。もう一回議論が必要だというふうに考えております。

 そういった議論も踏まえながら、定年延長でいくのか、それとも再雇用という形でいくのか、結論をなるべく月内には出したいというふうに考えております。

平(将)委員 私は、定年延長はやはり民間と足並みをそろえていく必要があると思っています。公務員制度改革の肝は何かというと、どうも民間と比べて公務員の方が優遇されているんじゃないかというような背景もあって、公務員だけ定年延長するということはあり得ないんだと私は思います。それはやはり再雇用で、普通の企業もほとんどそれで対応していますので、再雇用で対応すべきだ。

 もし定年延長するのであれば、大企業だけではなくて、中小企業も大方そういう定年延長で対応しているねという状況が生まれて初めて、公務員の定年延長をすべきであって、まずは国が率先してやるんだといって公務員の定年延長をやるというのは筋が違うというふうに私は思います。

 私は、もう定年延長は断念したとばかり思っていましたが、やはり、公務員制度改革、これから人件費も削っていくという話もありますし、そういった中で、これは定年延長ではなくて再雇用でやるべきだと私は思いますけれども、もう一度、大臣、答弁をお願いします。

岡田国務大臣 人事院の方からは、六十五歳までの定年延長、そして退職金は七〇%程度という御意見をいただいているところです。他方で、委員御指摘のように、民間の多くは再雇用という形で対応しておられるということであります。

 先般の有識者会議でも、多くの有識者の皆さんからは、やはり定年延長ではなく再雇用が民間では一般的である、そういう御指摘が出ました。そういった議論も踏まえつつ、これは政府の中で今意思決定をする過程にありますから、余り私が先走りして言うべきではないと思いますが、なるべく月内にはきちんと結論を出していきたいというふうに思っております。

平(将)委員 まさに岡田大臣が行革を担当されるというのは、やはり歳出削減は待ったなしだ、そこの一般管理費、人件費のところを切り込んでいかなければいけない。後でまた議論させてもらいますけれども、人件費を二割削減するというマニフェストもあります。

 これはどう考えても、定年延長じゃなくて再雇用。そのときに、厳しく、全員をそのまま再雇用するのではなくて、基本的には年金の肩がわりですから、低い給料に抑えて、必要なだけを再雇用すべきだと思いますし、公務員だけ定年延長で対応するというのは、これはもう全く国民の理解を得られないと思うし、行革の観点からも、私はこれはそぐわない。

 また、人事院のお話がありましたけれども、人事院、言うこと聞いたり聞かなかったりの状態の中で、それで人事院を出されても困る話なので、これはもう少し突っ込んだ答弁をしていただかないと、この先の議論へ進めないので、大臣、もう一回答弁してください。

岡田国務大臣 現段階では、先ほど申し上げましたように、月内になるべく結論を出すということで議論を行っているところです。有識者の中では委員の御指摘のような声が強かったということだけは申し上げておきたいと思います。

平(将)委員 私の意見を言わせてもらいますけれども、定年延長はあり得ないと思います。再雇用だと思います。再雇用も、全員そのままオートマチックに再雇用することも私はあり得ないと思います。そのときは厳しく能力を審査すべきであると思いますし、年金代替ですから、給与の水準もおのずと決まってくるんだと思います。

 きのうの新聞で、新規採用を抑制する、〇九年度比四割削減という報道がありましたが、これはこういう理解でよろしいんでしょうか。公務員の新規採用。

岡田国務大臣 昨日、行政改革実行本部を開きまして、私と総理の方から新規採用についてお願いをいたしました。総務大臣からもお話をいただいたところでございます。

 四割とかいう数字が一部報道されておりますが、それは正しくございません。申し上げたことは、二十三年度の採用は二十一年度比四割弱、それから二十四年度は三割弱、これらを大幅に超える削減をお願いしたい、抑制をお願いしたいということを申し上げたところでございます。

平(将)委員 これは仕事量にもよると思うんですが、人件費を全体で抑えていこうということにも資する政策だと思いますが、このことによってどのぐらい人件費は抑制されるんでしょうか。

岡田国務大臣 特に計算しておりませんが、一年間で限ればそう大した額ではございません。

 全体の人件費を削るためには、やはり定員を減らさなければいけないので、この結果も、実員は減りますからその分の予算は減るんですけれども、やはり全体の定員をどう考えていくか。そこはやはり短期ではなくてもう少し中長期の視点を持って、そして、必要がない仕事はどこにあって、どこでどのぐらい減らせるかということをしっかり議論いたしませんと、本来、政府というのは一定の仕事をすることが期待されておりますので、そこに支障が出てもいけない。しかし、無駄はたくさんまだ残っている。そこはきちんと削らなきゃいけない。

 今回の新規採用の抑制は、応急措置といいますか、まずそういった議論の前提としてできることをやろうということで、来年度、そして再来年度もそれに準じて行っていきたいというふうに考えているところでございます。

平(将)委員 会社経営が厳しくなってトータルの人件費をコントロールしなければいけないというときに、そこそこ優秀な会社は何をやるかというと、若い人を減らすよりは、給料の高い層に、早期退職者制度みたいなものをつくって多少割り増しの退職金を払って、給料の高い人にやめてもらう、若い人は入ってもらう。

 そうしないと、上だけ詰まっちゃって、若い人は入れない。今いる若手は、部下は入ってこない、上司はやめない。さらに言えば、再雇用になんてなった日には、若いやつは入ってこない、ずっと上司はい続ける。これだと組織は停滞しますよ。やるべき順番が違うんじゃないですかね。

 まずは、幹部職員、給料の高い職員の早期退職者制度をつくって、減らして、さらには、その次に新規採用を削る。さらに言えば、定年延長なんてあり得ないですよ。再雇用にして、そこはぎゅっとコントロールをして人件費を下げる。これは一体だと思うんですよね。だから、逆に、若い人を採るのを減らして、これから将来を担う連中を減らして、それでじいさんたちは定年延長、私はあり得ないと思いますよ。これはどうですか、大臣。

岡田国務大臣 委員は順番だとおっしゃいましたが、私は、それは一体でというふうに考えております。

 全体として、再雇用であれ定年延長であれ、六十歳から六十五歳で働く方は、これは今まではなかった方々が働かれるわけです。そうすると、全体の定員が変わらないとしても、やりくりは窮屈になります。ですから、従来と同じように採用していたのでは、そういったものも成り立たなくなるわけであります。ですから、私は、一定の採用削減というのは、これは不可欠だというふうに思っております。

 ただ、おっしゃるように、六十歳以下でももう少し年齢のいった方々、そういう方々についてどう考えていくか。大体、今四十代、五十代ぐらいの層はかなり多いんですね、国家公務員。そういったことについて何らかの対応というのは求められるのではないかというふうにも思っておりまして、そういうことも含めて、現在、さまざま政府の中で議論を行っているところです。

平(将)委員 今、大臣、すごい重要な答弁をされていますよ。というのは何かといえば、定年延長する、もしくは再雇用する、そうすると、人がやめないわけだから若い人を削ったと今おっしゃった。それでいいんですね。

岡田国務大臣 そうではなくて、全体を、つまり、新しく採用された人から六十歳までの全体をスリムにしないと、六十から六十五の受け皿がなくなるということでございます。別に、新人に特に大きなしわ寄せをするわけではございません。

 今回の採用の削減は一時的なもので、これを長く続けるつもりはもちろんございません。より重要なことは、全体の人事構成をどう考えていくかということだと思います。

平(将)委員 今、大臣、多少答弁を修正されたと思うんですよ。要は、定年延長もしくは再雇用して、全体の数が減るんだから、全体を見て新規採用は絞らざるを得ないというのがその前の答弁だったと思います。

 いずれにしても、要は、今の時点で再雇用もしくは定年延長は結論が出ていなくて、まだ定年延長も諦めていないという認識でいいのか。

 もう一つは、結局、若い人の就職機会を奪って、そして、定年をする人の定年延長もしくは再雇用の人の部分を、新規採用を削って全体の定員をコントロールするということでいいのか。

 さらに言えば、その結果として、では、人件費は下がるんですか。下がらないですよね。偉い人たちが残って若い人たちを制約して、定員が一緒なら、それは、定年延長では少なくとも全体的な人件費は下がりませんよね。再雇用にしてかなり絞り込んで、必要な人だけ再雇用してもらう。その辺の整合性を説明してください。

岡田国務大臣 これは、ですから、いろいろなことをこれからやっていかなければいけないので、全部一緒にということが望ましいかもしれませんが、一つ一つ議論しながら着実に進めていきたいというふうに考えております。

 今の委員のお話は、必ずしもそうではないと思います。つまり、六十歳から六十五歳の方々は、どの程度かということは別にして、やはり賃金水準は一般的には下がるわけです。人事院の勧告だと七掛けになるわけですが、七掛けかどうかは別にして、そういう方々が全体の定員が変わらない中で入ってこられるわけですから、そういう意味では、人件費はむしろ減る方向に作用すると思います。

 それから、あとは、六十歳までの全体の賃金カーブをどういうふうに考えていくかということもこれは当然考えなければいけないことで、どちらかといいますと、公務員の場合には年功序列といいますか、次第に賃金が上がっていくモデルが一般的だと思いますが、民間は必ずしもそうなっていない。賃金のピークがもっと早く、五十ぐらいで来るという会社も多いわけでありますから、そういうことについて今後どう考えていくかということも検討課題であります。

平(将)委員 繰り返し言いますけれども、これからよく注視をしていきますが、定年延長はあり得ません。やるとしたら、大企業もしくは中小企業のほとんどがそれができる環境を政府がつくった上でやるべきで、再雇用でいくべきだ。再雇用は年金の代替ですから、賃金は低く抑えて、本当に必要な人だけを採るべきだ。

 そして、まかり間違っても、新規採用を抑えてその分、年配、ベテランがい続けるというような仕組みにしたら、組織は本当に停滞しますから。年配の人ばかりいて、若い人がいなくなって、中堅がやる気をなくす組織になります。何か自民党みたいですね。余り言うと怒られちゃいます。

 とにかく、ここは厳しく見させていただきたいと思いますし、私は、このままいったら、間違いなく、新人、若手の雇用の機会を奪って、今ある幹部の連中が結局は楽をするという構図になると思います。

 短く。

岡田国務大臣 実は、きのうの行政改革実行本部でもう一つお願いをしておりまして、それは、仕事のやり方を変える、霞が関文化を変えるということであります。

 具体的にはこれからですが、例えば決裁のとり方。民間はかなりフラット化しているというふうに認識をしておりますが、たまに大臣のところに上がってくる決裁などを見ても、判こが十五個も二十個もついてある。そういうものも、もう少し決裁について合理化して、時間の短縮とそして労力の短縮を図るというようなこともしっかりと政府全体で考えていかなければいけないことだというふうに思っています。

平(将)委員 本当に再三になりますが、間違っても、若い人の採用を減らした分がベテランの人たちの定年延長やそこの再雇用のところにお金が回って、トータルは減りませんということは絶対にないようにしていただきたいと思いますし、私は、定年延長はない、再雇用しかないというふうに思います。

 あと、行革の観点で一点お伺いしますが、国家公務員宿舎。

 私も、行政監視委員会の理事をやって、事業仕分けをやらせていただきました。跡地売却ということで、安住大臣は胸を張ってやっていましたが、私が理解できないのは、五年で売却すると言っているんですね、五年で。何で五年もかかるのか。すぐ売却すればいいじゃないですか。

 東電が今、経営危機になっていて、政府と激しいやりとりをしていますけれども、東京電力、報告書を見たら、三年以内に売ると言っていますよ。

 我々の業界の五年というと、総理が四人も五人もかわって、政権も交代をして、やらないというのとほとんど一緒です。これは三年でやってください。大臣、いかがですか。

岡田国務大臣 これは、昨年の十二月に決めた方針についてお話しになったんだと思います。五年ということですが、ただし二五・五%、五・六万戸程度の削減ということで、従来と比べればこれはかなり踏み込んだものだというふうに思っております。

 なお、昨日、これも実行本部の中で決めたことでありますが、独立行政法人の宿舎につきましても、国家公務員の宿舎の基準に準じて基準を作成し、その売却を進めることとしているところでございます。

平(将)委員 大臣、何で五年だというところのロジックをよく見ていただいて、何かそのころには政権もかわっているしという役人の側の思惑が透けて見えますから、なぜ五年と三年なのかというところをぜひ大臣としてチェックをしていただきたい、そのように思います。

 それでは続いて、ちょっともう時間がないので質問を飛ばしますが、地方分権推進の視点から、地方行政の効率性とか信頼性について川端大臣にお伺いしたいと思うんです。

 先般、大阪市役所が第三者調査チームというのをつくって、調査をいたしました。「大阪市役所で発見された違法ないし不適正行為について」という調査中間報告書でございます。

 きのう、質問通告のときに、この質問をさせてもらいますというお話をしましたけれども、大臣はこれを読まれていますか。

川端国務大臣 報告内容の詳細まで、全文を読んだわけではございませんが、違法行為等の実態を解明するために第三者調査チームをつくられて、中間報告が公表されたということは、もちろん知っておりますし、その部分で事務方から、抜粋した概略は読ませていただきました。

平(将)委員 その概略を読まれて、大臣、どういう御感想を持たれましたか。

川端国務大臣 これは、大阪市において市長の権限と責任においてこういう第三者委員会に出されたものでありまして、この個々の中身に関して私がコメントをする立場ではないことは御理解いただけるというふうに思います。

 いずれにいたしましても、やはり、それぞれの地方公共団体においては、一番地域住民に近い組織でありますだけに、地域住民の信頼がしっかり得られるように組織は運営されなければならないということだというふうに思っております。

平(将)委員 またぜひ委員の皆さんもホームページなどで見ていただければと思うんですが、この報告書を見ると、まだ中間報告でありますけれども、大阪市役所内では、労働組合に対して闇便宜供与、実質的な闇専従、違法な政治活動、人事介入、規則に違反する疑いのある随意契約など具体的事例が載っています。最終報告が出てくるんだと思うんですが、そして、結果として、役所の一部の施設、建物の中がスポーツジムに変更をされていたり、卓球室に変わっていたりしています。やるにしてもどちらにしても、事前に申請を出して許可を得なければいけないことが、そういう許可もなしに行われているわけであります。

 私は、正直言って、これはまだ疑い、中間報告の段階ですから断言はできませんが、しかしながら、その報告書の内容を見ると、非常にずさんでひどいことが行われている、労働組合がやりたい放題のような状況が見てとれるわけであります。これから地方分権をしていきましょう、国家の仕事をさまざま地方に、一番住民に近いところでやってもらいましょうといったときに、こういうことが公になって、これに対してしっかり手当てをしなければ、地元の住民も、そういうところにどんどん仕事を移管されても困ると思うのが自然な感情だと私は思います。

 これは、大臣、ぜひよく見ていただいて、第三者委員会という新しいやり方で調査をしたから出てきたと思うんですね。私は全ての市町村でやるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 よく御承知の上で聞いておられるんだと思いますが、当然ながら、地方の任命権者であり管理責任者が市民の負託を受けてやる行政が、例えば今言われたような部分でいろいろなことが起こって信頼を損ねることはあってはいけない。そして、基本的には、法に基づいて、法令はしっかり守らなければならないと同時に、例えば労使における約束事やそういうものはしっかり守るというガバナンスが一番問われていることは事実だというふうに思っております。

平(将)委員 当然そういうたてつけにはなっています。いますが、国家全体として、国会議員の議論として、これから地方分権をしていきましょう、地域主権でやりましょうと言っているわけですから、これは大阪市だけなのかもしれませんけれども、このようなひどい状態が出てきた以上は、それに何らかの大臣としての思いを持ってもらわないと、これから国の方はどんどん仕事を出すといったところで、地域の住民がそれは困ると言われたのでは、地域主権、地方分権は一歩も進まないというふうに思います。

 立場はわかります。立場はわかりますが、だからといって、いやいや大阪市のことだということではなくて、ちょっと注意深く見守っていただいて、その範囲で、国政は国政でできることが当然ありますし、政府は政府であるわけですから、ぜひその辺は注意深く監視をしていただきたいと思いますけれども、大臣の答弁をお願いいたします。

川端国務大臣 私たちが進めようとしている地域主権改革というものは、委員御指摘のように、できるだけ身近な行政は身近な自治体が担うというときのその大前提として、住民からその行政が信頼されているということが大前提であることは事実でありますので、いろいろな動き、いろいろな事象が全国いろいろ起こるときに、基本的に自治体がより信頼をされて、もちろん、当然のことながらしっかり法令を守るということでなければならないという観点では、私自身も非常に意識をして進めてまいりたいというふうに思っております。

平(将)委員 時間が参りましたので終わりますが、また話は戻りますけれども、要は、国家財政が、資金繰りさえついていれば赤字でも会社は潰れません、しかしながら、国家構造的な赤字で、資金繰りの国債の方も、すぐにということではないかもしれませんけれども将来的には不安が多い、そういったときには、緻密な、リアリティーのある歳入歳出の議論をしていかなければいけないと思いますので、このような何十兆の財源が載っていないとか、そもそもそれは考慮に入れていないというマニフェストに固執されると、リアリティーのある議論はできませんので、その辺はぜひ御理解をいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 民主党の岩手の畑浩治でございます。

 本日は、私も与党議員として三十分もいただきまして、本当にありがたく思っております。ありがとうございます。

 さて、私、被災地議員の立場から、関係する施策について質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今問題になっている被災地の瓦れき処理、広域処理ということであります。

 岩手県では、東京都、山形県、秋田県、八戸市に受け入れていただいておりましたり、また受け入れを決めていただいているということで、厚く感謝を申し上げる次第でございます。そして、議員そして委員各位におかれても、働きかけをやっていただいていること、被災地の議員として、この場をおかりして御礼を申し上げます。ありがとうございます。

 そして、静岡県島田市と埼玉県でも、受け入れに向けて試験焼却などの調整をしていただいているということで、静岡県島田市は、きょうおいでいただきました津川政務官の御地元でございまして、本当にありがたいなと思っております。ありがとうございます。

 そういう努力がされておりますが、やはり広域処理は難しいという状況で、これはもちろん、放射性物質に対するおそれ、それの危惧なんだろうと思います。これに対しては政治としては精いっぱいやるべきであるという思いで、昨日、私たちの党におきまして、東日本大震災・災害廃棄物広域処理推進議員連盟を設立しまして、私も事務局次長にならせていただいたところで、奮闘させていただきたいと思っておるところでございます。

 こういうことをやっていきながら頑張るとして、私は、二点、さらに進めるためにちょっと足りないというか、考えるべき部分があるだろうと思っております。

 それは一つは制度的措置でありまして、これはどういうことかというと、国民の七五%が受け入れを支持しているんだけれども、自治体の八割ぐらいですか、受け入れにちゅうちょしている。多分、その辺のところの後押しをするようなシステムだと思うんです。

 どういうことかというと、国が受け入れを求める法的根拠なり、あるいはそれを踏まえて自治体が受け入れをするという法的根拠、こういうところがないと多分首長さんは言いわけができないというか、そういう部分も本音はあるんだろうと思います。とともに、それに基づきまして、国が一定の調整権限を行使するようなこともあってもいいと思いますが、そこをどういうふうに考えているのかというのが一つ。

 それから次に、二点目に必要なものは、やはりこのインセンティブ、メリットを与えることなんだろうと思います。

 瓦れき処理施設をつくったり、追加施設が発生した場合の補助とか、あるいは放射性物質をはかる場合の費用とか説明会の費用は措置するということで伺っておりますけれども、これももちろん必要ですが、そこから進めて、例えば交付税措置とかあるいは周辺の公共施設みたいな、これはあめを与えるということ、そういうことも考えると進みやすいのじゃないかなという思いもあるんですが、その点についていかがお考えか、お伺いいたします。

高山大臣政務官 畑委員には、本当に御地元で、今岩手県では、広域処理の前に、まず自身のところで仮設焼却炉を建てていただいたり、非常に瓦れきの処理に取り組んでいただいておりまして、本当に頭の下がる思いでございます。

 まず、今委員から御質問のありました件でございますが、東日本大震災に係る災害廃棄物の処理に関しましては、この特措法の六条におきまして、国が、受け入れ自治体に対して、広域的な協力の要請等の必要な措置を講ずることができるというふうにされております。

 こうした立法趣旨を踏まえまして、環境省では、各自治体に積極的に協力を求めているほか、自治体間のマッチングや説明会への専門家の派遣など、また、科学的知見のある専門家の派遣、また、広域処理に関するガイドラインを作成して、安全性の説明にはこれまでも努めてきたところでございます。

 今後ですけれども、今後、広域処理を行う自治体への追加的支援策といたしまして、災害廃棄物の処理単価の、既存施設の減価償却分も含めるということにしまして、現存施設における受け入れ量に見合った建設コストの回収を可能にする支援措置を講ずるということで、方針を決めたところでもございます。

 さらに、受け入れ自治体への、今度は最終処分場への支援といたしまして、災害廃棄物を埋めたことにより処分場が減少してしまうということがございますので、その減少した容量に対応するため、それに見合った最終処分場の建設が新たに必要となる場合に、これに対する支援措置を具体化させていこうということも今検討しております。

 いずれにいたしましても、この広域処理を進めるために、今までも国も前面に立っておりましたけれども、今まで以上に国がやっていかなければいけないというふうに任じております。

畑委員 当面、そういう形で進めていくんだろうと思います。それはそれでしっかりやっていただきたいんですが、事の進みぐあいを見て、今私が申し上げたような制度もしっかり検討を引き続きやっていただきたいと思います。

 必要な協力を要請するというのは、これはよくある規定ですけれども、恐らく、受け入れる根拠としては何か弱いというか、ちょっと言いわけというか、地元に対する説明としては、自分の立場から、首長の立場からすると何となくこれは言いにくい部分があるんだろうと思うので、そこのところもまた課題を引き続きお願いします。

 瓦れき処理をする場合にはあらゆることをしなければいけない、本当にそのとおりだと思うんです。一つ考えられるのは、民間の主体を活用できないかということであります。

 というのは、私の地元でちょっと相談があったんですが、内陸の民間主体なんですが、沿岸の被災地の瓦れきを受け入れてもいいと。要は、民間主体が焼却炉をつくるという計画があるわけです、五十トンだそうですが。被災地の瓦れきを受け入れたい、その場合に何かの補助制度があるかという質問を受けまして、関係機関に聞いたところ、民間主体に対する直接補助金というのはないということをお伺いしました。

 現行の制度は、これはもちろん市町村が中心になってやって、それで民間に委託するという形でやっているわけですが、民間が直接やれるようなことも含めて、これは今回の被災地対策ということもあるんですが、中長期に、この民間主体の活用とかは、規制改革という観点を含めても有益な観点だと思うんです。

 そこに対して補助金が、今回の場合は、被災地の瓦れき処理という条件をつける、あるいは契約を結ぶとか、そういう審査が必要でしょうが、そういう場合に民間に直接補助金を出すということも考えていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

高山大臣政務官 畑委員御指摘のとおり、実際に災害瓦れきの処理をやるのは、主体は自治体ということにはなりますが、多くの場合、もう今現在も民間企業の協力をいただいているところでございます。

 その場合、この災害等廃棄物処理の補助金に関しましては、民間の恒久的な焼却施設等の整備の補助対象にはなりません。しかし、自治体が民間企業の焼却施設を活用して処理を実施した際の委託料というのは、補助の対象にはなっております。また、さらに加えまして、自治体から委託を受けた民間企業が、その事業のために一定期間仮設焼却炉を設置、運営する場合についても、補助対象にはなっております。

 畑委員が御指摘のような、直接のということは、今のところは行っておりません。

畑委員 今の答えで、委託を受けた場合にはいいということなわけですね。そういう方向を通じて活用を探るということで、当面、私も話したいと思います。

 そして、これはいろいろ努力するとして、そもそも、被災地が第一に努力するということはもちろん言うまでもありません。

 被災地の首長たちが最近声が出ていますのは、例えば岩手県は、土地が広大でありますので、あと二年で片づけるという政府の方針にこだわらずに、人里離れたところにまとめて置いて、そして現実的な範囲で年数をかけて進めたらどうかという声も出ております。あるいは瓦れき処理なんですが、よその地域に持っていって焼却してもらう、これはこれでいいとして、二度手間になりますが、またそれを戻して、最終の焼却灰の埋設処分等は地元、被災地でやってもいいんじゃないか、そういう声も上がっております。その点についての御見解をお伺いします。

高山大臣政務官 畑委員おっしゃるように、実際、岩手県では十一年分の瓦れきが今出ております。ですので、十年かければ、それは確かに岩手県内で処分はできるのかもしれません。しかし現在は、発災から三年以内に処理しようということを目標でやっております。これはやはり、逆に岩手の方からも、一日も早く瓦れきを処理してもらいたいという声もいただいておりますので、広域処理のお願いになっているわけなんですけれども。

 また、最終処分場に関しましても、現在の岩手県の最終処分場ではもう明らかに足りないということで、今、広域処理の中では、それは当然全国の最終処分場も利用させていただいてということで話を進めさせていただいております。

畑委員 本当にいろいろな万全の対策、ありがとうございます。私たちもそれなりに頑張りたいという思いの中で、いろいろお願いしてやってまいりたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 さて、これは質問で通告しておりましたが、質問というよりも私の考えを述べたいと思うんですが、問題の本質というのは、広域の瓦れき処理が進まないということだけではなくて、そもそもの瓦れきの処理が進まないということにあるわけですね。

 二千二百万トンのうち四百万トンを広域処理だということで、千八百万トンは地元で処理する。全体の、二千二百万トンの六%ですから、計算すると百三十二万トンですが、千八百万トンからしても進んでいないということになりますので、仮設処分場、処理施設を、これはどんどんできていくでしょうから、これからそれを加速する。

 あるいは、規制の部分があるのかもしれません。環境省が絡むと規制が厳しいという部分がありますので、そこの規制緩和的なところもあるかもしれませんが、引き続きその辺のところをしっかり、そもそもの瓦れき処理を進めるようにすることが必要だと思いますので、そのこともよろしくお願いしたいと思います。

 それで、官房長官がいらっしゃいましたので、官房長官にお伺いしたいと思うんです。

 瓦れき処理の件ですが、この問題は、もう言うまでもなく、内閣を挙げて取り組むべき課題であると思います。細野環境大臣と津川復興政務官には本当に御尽力をいただいておるわけですが、私、さらに総理や官房長官あるいは副総理の立場で必要なこと、つまり、全国を行脚して、顔の見える形で汗をかいていただくということも必要なのではないかなと思っております。

 例えば、今、税と社会保障の一体改革の全国行脚、盛んにPRをして、説明会をしております。こういうことを、しっかりと政府として、この瓦れきの広域処理についてのお願いということでもやれないのかな、やるべきではないのかなと思うんです。

 ちなみに、私、税について、税を上げるということは、その根本の原理は、皆で支え合えるという、きずなだろうと思っております。そのきずなということでいいますと、それが典型的にあらわれているのが今回の瓦れきの広域処理なんじゃないかと思っております。

 人によっては、成長なくして増税なし、あるいは行財政改革なくして増税なしと言う方はたくさんおられますが、私、被災地の議員の立場として、復興なくして増税なしと言いたいと思いますし、また、きずななくして増税なしだと思います。その復興の目に見える形が瓦れきの処理なんだろうと思うんです。

 であれば、官房長官にお伺いしたいと思うんですが、被災地の瓦れき処理について、今申し上げたように、総理も含めて政府全体としてこの説明会を、PR、キャンペーンをやるとか、そういうことも含めて目に見える形で取り組みを見せるようにしていただきたい、やっていただきたい、そう思うんですが、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 広域処理の推進につきまして、これは、細野環境大臣それから平野復興大臣、そして、それぞれ副大臣、政務官、非常に精力的に、現地にも顔を出し、お願いをし、やっていただいているところではありますが、さらに、実は総理が今先頭に立って、政府を挙げて取り組んでいこう、こういう強い指示もございました。

 具体的には、受け入れ自治体への支援措置を進めるとの総理からの方針表明で、一に、処分場における放射能測定に係る費用を国が負担し、あるいは受け入れ自治体からの要請により国も自治体とともに放射能測定を実施すること、二に、受け入れ自治体での処理費用や最終処分場の容量の減少分への国の支援を行うなどの措置を講じることなど、つい先日、これはほぼ決まってまいりました。総理においても、これまで、全国知事会あるいは記者会見の場で、あるいはテレビ出演の中で、繰り返しこの広域処理の協力をお願いしてきているところでございます。

 御指摘の、総理あるいは副総理が行脚ということで、なかなか行脚というのは時間的制約がございますが、まずは官邸が音頭をとって関係閣僚の会合を開いて、政府を挙げて取り組む姿勢を明確にしていきたいと考えております。

畑委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 行脚というのは一つの象徴的な意味で申し上げたのであって、税と社会保障の説明会を開いたような形で、これは手分けしてもいいんですが、そういう仕組みが目に見える、汗をかいている人が見えるということが大事だと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に、地域主権について、議論というかお伺いしたいと思うんです。

 今回の広域的瓦れき処理から見て感じたことは、地域主権は当然の大前提としつつも、災害等の有事の場合のあり方というのはまた別に考えなければいけないなということだろうと思います。国の調整権限も必要でしょうし、または、ある意味では実際直接国がやるようなことも必要なのかもしれないな、そういう場面もあるんじゃないかと思います。

 今回、災害対策という面でもそうなんですが、私は、今回の災害復旧で果たした国交省の整備局の役割は大変大きかったと思っております。というのは、震災から一時間でヘリを飛ばして被災状況をチェックしておりますし、また、大きな道路は大体一日で啓開、開いて、そして後ほどの自衛隊とかいろいろな支援部隊が来られるようにした。私は、それがあったから緊急の復旧は早かったというか、うまくいったと思っております。

 こういうことにおいて、なぜできたかというと、指揮命令系統がしっかりした組織であるということでありまして、とともに、大きな災害というのは、個人なり公共団体にとってみれば一生のうちに一回か二回あるだけです。だから蓄積もないわけですが、国のこういう組織だと、いつも経験しているのでノウハウがある、そして一元的な機材がある、人材もあるということであって、そこの部分が大きかったなというふうに思っております。

 今、広域的な地域主権の枠組みというのは広域連合を土台にして議論しているということは承知しておりますけれども、この広域連合というのがちょっと私は、このやり方がどうかなと思う部分が個人的にはあるんです。

 と申しますのは、きょう資料をお配りしておりますけれども、二十三年十二月五日、地域主権調査会の総会で、これは党の地域主権調査会ですが、ここで達増拓也岩手県知事が発言している資料をお渡ししていますが、こういうことを踏まえていろいろ考えなければいけないんじゃないかというふうな思いを持っております。

 例えば、一段落目なんですが、今回の大災害のようなときには、まず知事が集まるということはできない。では、電話で連絡できるかというと、それも容易じゃないというか、つながらないわけでした。ああいった場合に、例えば自分が岩手の立場を超えてオール東北の復旧ができるかというと、それはまず無理かなと。

 これは、能力とかキャパシティーの問題ももちろんあるんですけれども、どういうことかというと、下の方の最後の段落にありますが、忠誠心の問題だというんですよね。

 つまり、岩手県知事というのは、岩手県の住民から選挙されていて、日常は岩手県のこと以外は見ていないということで、実態も他の地域は知らない。忠誠心という問題があるというのは、例えば、虎の子でヘリが一台しかないときにどこに飛ばすかということを考えたときに、水害対策を考えた場合、北上川というのがありまして、それは上流が岩手県、下流が宮城県なんですが、どっちを救うかということを考えれば、岩手のことを考えれば下に流してしまった方がよくて、宮城を犠牲にした方が守れるという判断もあるかもしれない、そこを悩むんだと。

 そこを悩まないようにするためには、各都道府県への忠誠心じゃなくてオール東北への忠誠心を持った人、そういう体制をつくることが重要だと。今の広域連合ではそれがなかなかしがたいのではないかなということなんだろうと思います。今、それは国に忠誠心を持った人が東北で働いてやっているという形でありますけれども、平時の県知事の連合体として対応するのはなかなか難しい感じがするとおっしゃっておられますが、これに対しての川端大臣の所見を伺いたいと思います。

川端国務大臣 まず、東北の大震災においては、国あるいは地方自治体、民間、個人も含めて、あらゆる機能が総合的に総力を結集して対応していただいた。そういう中で、国の出先機関も地方事務所も大変頑張っていただいたことは事実だというふうに思いますし、御苦労があったと思います。

 達増さんの御意見を今御紹介いただきましたのに対してお話しする前に、地域主権で出先機関を権限移譲しようという部分は、権限も機能も人も全部丸ごと移管をするということでありますので、そういう部分では、出先機関の廃止というと何かばらばらになくしてしまうような御議論が時々あるんですけれども、そうではないことを念のため申し上げておきたいと思います。

 その辺を踏まえて、今御紹介ありましたように、交通の手段がなかったり電話がつながらないから集まれないと。これは、体制の問題ではなくて、何か災害があったら電話がつながらないことは起こり得るし、そして交通手段が途絶して行けないことも起こり得るというときには、どういう仕組みでそれに対応するのかという危機管理体制のあり方の問題であって、必ずしも広域連合という体制だったらだめだというものではないというふうに私は感じました。

 それと、忠誠心のお話がありました。オール・ジャパンで判断するときに個々の部分はというときに、二つあります。

 一つは、意思がある広域連合には渡そうという議論をしていますけれども、それは、広域連合という法定で決められた部分で権限と責任を持つ長を選ぶということにしようというときには、基本的にはその自覚を持っていただかなければ困るというのは大前提でありますけれども、このときに、権限と責任と判断のあり方でなかなか難しいと達増さんが言われるのは私もわかります。

 ただ、そういう部分でいうと、これは、いみじくも言っておられますように、平時の県知事の連合体として対応するのは難しい感じがするとおっしゃっています。

 今度の東北の大震災は、緊急災害対策本部という総理が本部長になるものまで設置をした、千年に一度と言われているものです。そういうものに対応すること。あるいは百年に一度のものもあるでしょう、十年に一度のものもあるでしょう、毎年いろいろ起こる災害もあります。そういう災害に応じて、今ある権限、機能、能力、人、今言われた蓄積を含めて、国民の安全と安心を守るためにいかに有機的に機動性を持って一体的に行動できるかということは、これは出先機関を移管することによって毀損してはいけないということは当然のことでありますので、この部分は、そういう平時と有事というんですか災害時ということにかけて、しっかりとその機能を移すように今真剣に、最大の注意を払いながら議論をしているところでございます。

畑委員 単に物理的に連絡をとれなかったということを私は言っているんじゃないんです。体制の問題なんです。広域連合をつくったとしても、これは多分知事と兼任ということになるか、あるいは理事会の合議制ということになれば、そこの部分は、ふだん責任を持っていない、しかも知見のない人がいざ災害のときにやらざるを得ないということ、これがどうかということを申し上げているんです。

 私は、地域主権は否定しませんし、進めるということは重要だと思います。これは、やれるところから、しかもやれる手法でやるということはどうかなと思うんです。広域連合というやり方、例えば地域主権を進めるに当たっては、国家体制のあり方も考えなきゃならぬ、あるいは災害対応のあり方も考えなければいけません。さらに言うと、広域連合の民主的正当性も考える。そういうことを考えた場合には、道州のようなしっかりとした受け皿をつくって、トップは住民から選ばれたり、そして日常的に当該受け皿の業務実施を専門的に責任を持って行う、そういう責任のある人をつくる、トップに置く、そういうことも含めた体制が必要なんだろうと思うんです。

 そこのところを、これは時間がないので議論していてもあれですが、引き続き地域主権調査会等で議論させていただきたいと思いますが、そこはしっかり議論すべきだという私の問題意識を申し上げておきたいと思います。

川端国務大臣 二つあると思うんですが、一つは、広域連合においても専任の執行役、専任の執行役というのは仮称ですけれども、そういうことでの責任者を置く。これは当然ながら、想定としては、例えば関西でいえば、今の近畿地方整備局の局長レベルの人がまさにその部分の専任の執行役として位置づけられるわけです。今回、東北の場合でも、局長が最高責任者となって指揮をされたという部分でいえば、その上司である国交大臣は、全てを多分任されたんだと思います。

 そういう意味では、道州制とよく言われるんですが、道州制の機構であっても、こういう広域連合であっても、そういう実動部隊を束ねて責任ある人がいて、その上にいわゆるガバナンスを行う機構があるということにおいては、私は、実動部隊の上では別に変わりはないというふうに思いますので、広域連合だったらだめで道州制だったらいいという議論は、実態としてはそういうことではないのではないかというふうに思っております。

畑委員 そこを議論すると時間がかかるのであれですが、私の考えをちょっと申し上げておきますが、その執行役を置くということは、本来の、責任を持って全面的にそのエリアを見られるという前提ではないのかもしれないと思うんですよ。だから、そういう曖昧な組織とか曖昧な体制でなくて、広域連合だって曖昧な中で三層制の地方自治体構造になるわけですから、そこはやはりしっかりした議論をしてほしい、私はそう思っております。

 時間もあと五分なので、ほかの部分はおいておいて、ちょっと先に進めさせていただきたいと思います。本当はこの地域主権をもっと三十分ぐらい議論したいところであるんですが。

 さて、個別論に入ります。本当に個別論なんですが、JR東日本の復旧ということであります。

 大船渡線、山田線と、なかなか復旧が進まない。これは、JR東日本が黒字の民間会社だからであって、経営支援ということでお金は入れられない、そういうところに原因があるわけであります。もちろんJR東日本の経営判断ですが、JR東日本だって、これを全額自分で持つのはきついというのは、もちろんわかります。

 どうすればいいかというと、これから鉄道復旧は町づくりとともに進めていくということになります。であれば、町づくりのお金というのは、復興交付金も浮かびます、かさ上げ等をする場合とあわせてとか。あるいは社会資本整備総合交付金の復興枠ということもあるんだろうと思います。これは論理的には、津波防災地域づくり法の津波防護施設ですかね、そういうのを使いながら、安全対策ということでお金を入れられる余地があるかもしれない。もちろん、現行はそういう要件にはなっていないということも承知しておりますが。

 今後、考えられるのは復興交付金と社会資本整備総合交付金だと申し上げましたが、そこは何らかの方法で、これ以外の方法でもいいですが、何らかの補助ができるような、支援ができるようなことを考えていくべきじゃないかなと思うんです。

 去年、液状化対策をやったときには、やはり個人の敷地には公共のお金は入れられないという前提の中で、周辺の道路とか公共施設の液状化対策をやる中で実質個人の負担を低くしたということもとられました。そういうことで何らかの工夫が必要だと思うんですが、その辺を今後とも検討いただきたいんですが、いかがでございましょうか。

津川大臣政務官 委員長からは国土交通大臣政務官と指名をいただきましたが、復興大臣政務官も兼ねて御答弁させていただきたいと思います。

 御案内のとおり、鉄道の災害復旧につきましては、鉄道軌道整備法に基づきまして、鉄道災害復旧事業費の補助制度というものがございます。これは、もちろん民間であっても補助させていただくわけでありますが、JR東日本につきましては、経営が大幅な黒字であるということから、原則、みずからの責任で復旧をしていただくというところでございます。

 一方で、今委員から御指摘がありましたとおり、今回の東日本大震災からの復旧の中で考えた際には、町づくりそのものも大きく見直しをするという、いわゆる復興のステージの中で鉄道の復旧についてもあわせて考える必要があると思っております。その中で、例えばルートを変更する必要があるときなど、そういったときには何らかの支援もあり得べしということで、これまで検討させてきたところでございます。

 ただ、まさに町づくりとしてどういった形でつくるのかということがまず大変重要なところでありますので、これは国土交通省の東北運輸局が中心となりまして、各自治体と一緒に復興調整会議というものを立ち上げて、JRにも参加をしていただいて議論を進め、中には議論が進んでいる部分もあるところでございます。さらに、これに今後、復興庁、復興局も新たに参加をさせていただく中で、どういった形での地域の復興が必要かということを検討させていただきたいと思っております。

 復興庁、復興局におきましては、これまである既存の制度を十分に活用するということもさることながら、地元の被災地の皆様方の思いを形にする復興をいかにして実現するか、その中で、必要とあれば制度そのものも見直しをする、そういった中で議論をさせていただきたいというふうに考えているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。ぜひとも今後ともよろしく検討を賜りたいと思います。

 時間もなくなりまして、最後に一問、お伺いしたいと思います。

 済みません、さっき川端大臣との議論の中で中身の議論をして、手続論という部分で一つ質問したかったのを飛ばしちゃったので、それをちょっと最後に質問させていただきます。

 昨年末に広域的実施体制の枠組みをまとめたということになりますが、この過程で、政府のアクション・プラン推進委員会というのがあって、ここで、被災地の知事とか市町村長等がメンバーに入っていないわけですね。このメンバーというのは、近畿とか九州とか、広域連合を出発にして、欲しい権限をもらいながらできるところから進めていこうという考えの知事さんが入って議論をした。今回のこういうことであれば、震災の教訓は生かされないし、バランスのとれた議論という意味でどうかなと思っております。

 なぜ、そういう被災地の知事等がメンバーに入らなかったのか、そして、今後、こういうメンバーを入れるなどの方法で意見を聞いていくべきじゃないかと思うんですが、その手続論についてお伺いします。

川端国務大臣 現在、アクション・プラン推進委員会を設けて、地域主権推進担当の政務、それから関係府省の政務、関西、九州の代表知事も出席いただいて、出先機関の事務権限のブロック単位での移譲に係る検討を行っているところでありますが、アクション・プランでは「移譲を受けようとする具体的意思を有する地域との間で、十分な協議・調整を行う。」とされておりますので、同委員会の場に、具体の移譲希望機関を提示している関西、九州の代表知事にも出席をいただいているというのは、そういう背景がございます。

 したがって、丸ごと移譲を受けようとする発意が生じていない地域の知事等に出席いただくことは、この仕組みとしては想定していませんが、検討を進めるに当たっては、そういう意思をまだ示しておられない地域の方々を初め、関係者に幅広く御意見を伺うことは必要だというふうに思っておりますので、既に意見聴取の場を設けて、聴取結果を委員会に報告して議論しております。

 特に、先般行った市町村からの意見聴取については、福島県相馬市長、宮城県南三陸町長といった被災地の市町村長の方々にも御出席をいただいていまして、引き続き、こうした幅広い意見聴取の場を設けて、丁寧な検討を進めてまいりたいと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 まだしっかり聞いていただきたいんです。出先機関の原則廃止ということを標榜するのであれば、政府は、そういうアクション推進委員会のような、やりやすいところからやるようなところを入れて意見を聞きましたということは、本当はどうかなと思うんですよ。そこは、本当はしっかりと、同じような土俵で両方の意見を聞くような場を、表の場でやっていただきたいなという思いがありまして、そのことも含めて要望しておきます。

 ありがとうございました。

荒井委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

荒井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 きょうは、細野大臣と岡田副総理、岡田副総理におきましてはきのうときょうと連続ですけれども、よろしくお願いします。

 まず、きょうは、細野大臣に瓦れきの広域処理について伺います。

 実は、大臣が午後の質問に来る前に、午前中最後の質問は民主党の畑先生でした。同じくこの瓦れきの問題を取り上げましたが、まさに畑委員の方は、瓦れきで苦しい思いをしている被災地の立場からの質問でした。私は、神奈川県横須賀市ですから、今、瓦れきの受け入れの表明を県がして、どうやったら地元の理解を得られるか、こういう立場からの質問をさせていただくいい機会だと思いますので、まさにこの問題、超党派で全国民の皆さんに理解を得たいという思いで質問をしたいと思います。

 まず前提として、瓦れきの広域処理、どこまで進んでいないのか、受け入れ自治体の数を教えてください。

細野国務大臣 小泉委員には、瓦れきの処理について本当に前向きに取り組んでいただいてありがとうございます。

 きのうも、黒岩知事を初め神奈川の関係者の皆さんが来られて、ぜひとも瓦れきの受け入れをしたい、国にあと一歩踏み込んでさまざまな取り組みをというお話がございましたので、こうやって党派を超えて御支援をいただいていますので、何とか結果を出したいと思っております。

 御質問をいただいた件でございますが、広域処理として災害廃棄物を既に受け入れていただいている自治体は、青森県、山形県、東京都の三都県でございます。また、受け入れについて前向きな表明を既に行っていただいている自治体は、府県レベルでいいますと、秋田県、埼玉県、神奈川県、静岡県、大阪府、沖縄県の六府県がございます。

 あとは、個人的なレベルで何人かの知事と連絡をとっておりまして、思いは持っているけれどもまだ表明に至らない、そういう知事の皆さんが何名かおられますが、まだその段階にとどまっております。

 これらの府県内の市町村はそれぞれ新たな動きが出ておりますが、それ以外の府県で独自に動いていただいているのが、群馬県の中之条町、石川県の輪島市、福井県の敦賀市そして高浜町というこの四市町が、九都道府県以外で四市町が手を挙げていただいている、そういう状況でございます。

小泉(進)委員 瓦れきの総量に対する今の受け入れ状況、受け入れ総量ですね、これはどうなっていますか。

細野国務大臣 岩手県、宮城県、それぞれの広域処理の希望量というのがございます。岩手県が五十七万トン、宮城県が三百四十四万トン、合わせると約四百万トンということになってまいります。現在、このうち実際に受け入れが行われている量というのが約五万五千トンということでございます。

 本格的な広域処理を実施している東京都では、平成二十五年度末までに約五十万トンの受け入れが予定をされておりまして、これからふえてくる可能性はありますが、今のところ、実際に受け入れられている量が五万五千トン、こういうことになります。

小泉(進)委員 これは読売新聞の全国世論調査なんですが、岩手、宮城両県の瓦れきの処理を自分が住む都道府県で引き受けるべきだと思うか、この問いに対して、七五%の方が、政府が人体に影響がないとする範囲内の放射線量なら引き受けるべきだと。

 これだけの支持の声があるのに一向に進まない理由は、どういうところにあると思っていますか。

細野国務大臣 私も週末の読売の世論調査を見て、正直、率直に言いますと非常に驚きましたし、これだけ支持があるということで意を強くしたという部分もございます。

 確かに、そうやって冷静に見てみると、かなり多くの方が賛成をしていただくわけですね。ただ一方で、例えばそれぞれの市町村で受け入れを検討して説明会をすると、どうしても、来られる方というのは反対の方が多数であります。これも、反対の方についていろいろなことをおっしゃる方がおられますが、私は、本当に、原発の事故があって、何とか子供を守りたいとか、そういう思いというのは、これはしっかり受けとめなきゃならないと思っています。ですから、しっかりとその安全性についての、みずから確認をしていただくことも含めて、説明をするというのが大切であるというふうに思っております。

 ただ、そういったことについては続けていきながらも、賛成という声は、世論調査などでは数字で出るんだけれども、表に出にくい。ですので、例えば受け入れを本格的に検討していただいている自治体の首長さんにとっては、これだけ反対があるのでは厳しいのではないかということで、なかなか前に進んでいただけない状況が全国の各所で今見られている、そういう状況でございます。

小泉(進)委員 細野大臣がおっしゃるとおり、こういうのは、反対の方は声が大きいんだけれども、賛成する人は声を上げないんですよね。まさにノイジーマイノリティーとサイレントマジョリティーのこういう構図になるんです。そこでどうするかですね。

 そこで、私は、総理が打ち出した広域処理を行う側の自治体への追加支援の中身について、ちょっとお伺いをしたいんです。

 これは、リストを幾つか見ると、一つが地域住民の方々の安心の確保。これは、放射線の測定を国が出ていってやりますよとか、そういった中身ですね。そして二つ目が、災害廃棄物の処理費用の支援。三つ目が、受け入れ自治体の最終処分場への支援。大きく分けてこういう三つになっていると思いますが、これで間違いありませんか。

細野国務大臣 受け入れ自治体への支援につきましては、これまでも、実は、被災地を通じてお金をしっかりと出せるような仕組みにはしておったんです。ですから、今一つ目に御指摘をいただいた、例えば放射線量の測定などの費用は、これはしっかりと負担をできるようにという仕組みにはしておったんですが、これは間接的なものでしたので、そのことが十分伝わっていなかったり、また、国が直接的に関与できるわけではありませんでしたので、時間がかかったりしておりました。したがいまして、考え方を変えて、受け入れをしていただく自治体に対して、こういった形で直接的に国がお金を出せる仕組みをつくることによって前に動かしたい、そういうことであります。

 御指摘の三点が、今、予算について準備をしている、そういう項目でございます。

小泉(進)委員 風評被害に対する具体的な支援とかは考えていますか。

細野国務大臣 風評被害というものは起こしてはならないと思っております。

 私が地元でいろいろ説明をした市町村というのは、静岡ですからお茶どころでございまして、特にこれから新茶の季節ということで、風評被害に対する懸念が実は非常に強うございます。万一損害が出たらどうするのかというような、そういう御意見もあったんですが、こういうことを申し上げてまいりました。

 お茶を購入される方々の中に、風評被害でお茶の購入を手控える方が一人もいないとは申し上げません。ただ一方で、被災地にしっかりと寄り添って、広域処理に御協力をいただくということ自体は非常にありがたいことで、例えば、静岡県のお茶であれば岩手県で積極的に飲んでいこうじゃないかという動きが出ておりますし、私も、ささやかではありますが、環境省のお茶は全部島田に切りかえて、今、がばがば飲んでおります。

 そういったことも含めて、いわゆる原発事故による損害という直接的なものと違って、間接的に何が損害と見るか非常に難しいわけですね。ですから、そこは、いわゆる風評被害の損害に対する賠償という考え方ではなくて、まずはそうならない状況をつくる、万々が一それでも損害が出た場合については環境省として責任を持って対応したい、そういうことを申し上げています。

 もう一つ申し上げたいことは、今お願いをしているのは宮城県と岩手県の瓦れきなわけですね。そこから瓦れきを受け入れて、それで風評被害が出るということになると、これから宮城県や岩手県はどうやってやっていくのかということなんですよ。

 我々はやはり、もちろん福島県もそうですけれども、これからこの日本という国をしっかりと復興させなければならないわけですし、そのためには被災地が元気になってもらわなければなりませんよね。それがあくまで風評だということなわけですから、それはみんなで乗り越える、日本全国で安全な瓦れきについては受け入れるということになってくれば、風評というのは全国で乗り越えることができるわけですから、そういう状況をつくらなければならないというふうに思っているところでございます。

小泉(進)委員 細野大臣は、島田市の方のお茶をがばがば飲んでいると言いましたけれども、これから受け入れる先の特産品をがばがば飲み続ける、食べ続けるわけにはいかないでしょう。私の地元神奈川県横須賀市の、県が持っている最終処分場がある地域は、海産物もあります、農産物もあります。それらのものを食べます、私は別にそういうことを求めているわけじゃないんですね。

 それで、風評被害も起こしませんと。それは確かにそうなんです、起こしちゃいけないんです。でも、ここは難しいのは人の心理ですから、そこの部分の不安を何とか乗り越えていかないと加速して進まないなと、私も地元でいろいろな声を受けながら、この問題の根深さを本当に感じているんです。

 そこで、大臣にちょっとお伺いをしたいのは、きのう、神奈川県の黒岩知事が、総理大臣、そして細野大臣同席のもと、要望書を手渡したと思います。そこの中で、国の責任をどういう形で明確化するのかと。これはどういう形で明確にしますか。

細野国務大臣 国の責任という面では、既に特措法を通していただいておりますので、そこで国の役割というのは明確に位置づけられているわけですね。

 その中で、特にこの特措法の中で、広域処理というのも明示をされておりまして、市町村に対して要請をする、そういう条文も含まれております。そして、もちろん財政的な支援についても、これは国会で提起をいただいたものですので、しっかりと書かれております。技術的なことも、もちろんやらなければなりません。ですから、技術面、財政面、そして処理においての責任ということはもちろんあるわけです。

 ただ一方で、悩ましいのは、国が直接的に処分できる処分場を持っているということではないわけです。仮に、今からどこかの民間の処分場を例えば国が持つとか、自治体のものを分けていただくということができたとしても、そこには住民の方がお住まいですから、やはりどうしてもその所在の都道府県なり市町村の理解というのがないと前に進まないわけです。

 ですから、もうこの特措法に基づく国の責任という意味では、基本的には全ての責任を国が果たしている中で、あと一歩のところで、それぞれの自治体の皆さんに御理解をいただいて、前に進めなければならないというところまで来ているというふうに考えております。

小泉(進)委員 知事や受け入れようとしている側が求めている国の責任という意味は、法律を、しっかり根拠となるものをつくってくださいという意味なんじゃないですか。大臣、どうですか。

細野国務大臣 私どもが現段階で考えておりますのは、国会で特措法というのをつくっていただきました。これはまさに、今回の甚大な被害で大量に発生した廃棄物を処理するための、もう既に特別措置法なんですね。この特別措置法をしっかりとやり抜くことで結果を出すというのが我々の責任であるというふうに私は考えております。

小泉(進)委員 ちょっとそこは微妙に、きのう要望書を手渡した側の知事と受けとめ方が違うなと私は思うんですね。

 きょうの新聞で、黒岩知事は、きのう総理と細野大臣とお会いをした後に、記者団に対して、国が責任を持って受け入れることを法的なメッセージで出すことが大事と伝えた、相当早く出してもらえると思うと、期待感を持って受けとめているわけですよ、法的なメッセージがこれから新たに出ることを。この認識の違いはどう考えていますか。

細野国務大臣 黒岩知事とは、これまでも何度もこういったことについて話をしておりまして、黒岩知事の具体的な御指摘に対して、この法の中で何ができるのかということについて、さまざま検討はしております。検討はしておりますが、私は、黒岩知事の御認識も、全く違う法律を新たにつくるということを言われているわけではなくて、では、この法律の中で具体的にさらに何ができるのかということについてのいろいろなお考えを、恐らく知事自身も持たれているのではないか、そのように感じております。

小泉(進)委員 今の御答弁ですと、新たに法律をつくるんじゃなくて、今の法の枠組みの中で最大限どれだけ進めていけるかという考えだそうですが、実はそこも一つのポイントだと思うんですよ。さっき、畑委員が最初にちょっと言ったんですけれども、制度的措置、法的根拠。国が一定の権限を行使すべきだという点というのは、私も同じような、ここが一つのポイントかな、そんな印象は持っているんです。

 今、国が自治体に対して広域処理を要請していますよね。要請で、これから受け入れようとしている側が果たして十分できるのかなと。要請ではなくて、例えば国が前面に出て、委託とかそういった形のことというのは、今考えている、そういうことはないですか。

細野国務大臣 委託とおっしゃっているのは、自治体に対して委託をする、そういう考え方ですか。一つの考え方としてはあり得ると思います。ただ、委託というのは契約ですので、双方の意思がしっかりと一致をしないと委託契約になりません。

 今の段階で、要請でなかなか受け入れていただくことが難しいところについて、委託で前に進むかというと、それはちょっとどうか、むしろ厳しい面があるのではないかというふうにも感じております。

小泉(進)委員 それで進むかどうか、厳しい面というのは、具体的にどういうことですか。

細野国務大臣 自治体の首長の方にとって、処理がなかなか難しいと思っておられる方が、国とそういったことについて契約をしていただけるかどうかということについて、確信がないということです。

小泉(進)委員 でも、もし委託となった場合、向き合うのは政治家同士ですよね、国と自治体の首長。これが向き合うことの意味と、国や行政側と、そうではない、例えば自治会、町内会、こういうところが向き合うという意味は、全く別の次元なんですよ。

 これはどういうことかというと、実は、きょうの瓦れきの広域処理の問題で私が一番重きを置いているのは、このポイントなんです。私の地元の横須賀のケース、これをぜひ、これから地元で説得をして理解を求めていく皆さんにも、この点を御理解いただきながら全国に御協力をいただきたいと思っているのは、最後、瓦れきを受け入れますというときに、誰がゴーサインを出すかなんですよ。

 私の地元の場合は、最後、焼却灰を受け入れますとなるとしたら、県と地元の町内会なんです。皆さん、最後にその決断を町内会に任せて、進むと思いますか。そして、それだけの責任を町内会側が負えると思いますか。私はこれは無理だと思いますね。そこを出ていってあげて、責任をとるのが政治の役割じゃないですか。

 特に瓦れきの問題、どう考えたって、やらなかったら復興は進まないんですから。そこの部分の政治のリーダーシップが見えないから、私はこの問題はなかなか進まないと思うんですよ。総理が追加的な支援を打ち出しました。しかし、金銭的な支援をしたって、単純に進みませんよ。

 そこの、手続上、最後、誰がゴーサインを出すのか、ここの観点、ぜひ考えてください。

細野国務大臣 私も黒岩知事といろいろ話をしておりまして、非常に厳しい説明会をずっとやってこられたのを、私も行って一緒に御説明をさせていただきたいということもお伝えしたことがあるんです。そうしましたら、あそこは県の施設なので私が責任を持ってやりますということで、御自身で行かれた、そういう経緯がございます。

 したがって、本当に黒岩知事を初め、関係者の皆さんに苦しい苦しい思いをしていただいているということに関しては、私も幾つかの説明会には出ておりますけれども、あれほど激しい説明会には出ておりませんので、本当に申しわけないなという思いを持っております。

 今御提案の件ですが、当事者が誰か、最終的に決定権が誰かということでいうならば、それは、当事者は、横須賀の処分場の場合は、これは神奈川県知事に当たるわけです。ですから、仮に処理をしていただくということになれば、例えば岩手県のごみを処理していただくのであれば、岩手県と神奈川県、さらには、岩手県のある町のものを処理していただくのであれば、その町の市長さんと三者の覚書のようなものを交わして、それで、こういった形で進めていきましょう、そういう形になるんですね。これまでも、既に始まっているところはそういう覚書を交わしていただいています。

 ですから、そういういわゆる契約上の当事者という面では、地元の町内会の方々というのは入ってはこないんです。ただ、今御指摘の部分というのは、神奈川県がその町内会と受け入れのあり方、処分するごみの種類についてもともと交わしている、そういうものがある場合に、どうしてもそれが一つの大きな制約要因となって前に進まない、そういう形になっているわけです。

 今、御質問いただいたので、私が感じているところを率直に申し上げると、仮に委託というような形にしたとしても、そこの処分場の覚書というかそこで交わされている約束事というのは恐らくどうしても残ってしまうんですね。それで越えられないわけです。

 ですから、これは横須賀のケースだけではなくて全国で起こっていることではあるんですけれども、そこを、本当に今回の震災という特別な事情があるわけですから、何とか乗り越える方法がないかなというのは私も非常に悩んでいるところで、今、小泉委員の提案は一つの考え方だと思いますが、そのやり方をとったから全てクリアできるというものでも必ずしもないというふうにも思います。

小泉(進)委員 確かに今言ったとおり、その協定なんですよね。県が持っている処分場とその処分場がある地元自治会が結んでいる協定。震災の瓦れきを受け入れるに当たっては、県と当事者の地元の自治会、町内会で、この協定の書きかえの作業が必要になるんですよ。ここが非常に大変なんです。

 ですから、今細野大臣おっしゃったように、これは畑委員にもぜひ御理解をいただきたいなと思うんですが、結果としてなかなか進まない状況になっていますが、被災地の復興を支援したい思い、これはみんなあるんです。その中で私は、これから国がやらなきゃいけない、私たち政治家みんながやらなきゃいけないのは、受け入れたいと思っている、受け入れることができるならと思っている、そういう人たちが受け入れやすい環境をどうやってつくれるかだと思うんですよ。

 それを考えたときに、民主党が瓦れきの広域処理の議連をつくりましたね。いい動きだと思います。そして、過去の環境大臣経験者の皆さんが超党派でこの問題に取り組もう、そういう動きも出ています。これもすばらしいことです。そして、今受け入れを表明されている自治体間、首長間で、これは、みんなで瓦れきを受け入れるプロジェクトというんですか、これを環境省もバックアップをして、三月十一日の一年を迎える前に発起人会みたいな、そういったものをやるという報道があります。

 こういう動きを、今の細野大臣が言ったいろいろな難しい状況を乗り越えるための推進力として、あともう一歩、これはどこの党の国会議員とか関係なく、何ができると思いますか。国会での決議とかいろいろなことが考えられると思いますよ。実際、その決議をやったから進むというわけじゃないと思いますけれども、これはやはり党派を超えて、政治家からの本気になっているんだというメッセージが必要じゃないですか。そこら辺、どう考えていますか。

細野国務大臣 昨年の九月から、私、環境大臣を拝命してやっておるんです。当初からいろいろな首長の皆さんに働きかけたり、事あるたびに会見で申し上げたりしてきたんですが、現実にはなかなか、本当に被災地の大変な状況というのは伝わってこなかったという面がございます。

 その中で、ちょうど間もなく一年という時期になるんですが、ここへ来て、国民の皆さんも七五%もの方々が処理が必要だという声を上げていただけるようになってまいりましたし、この国会でも、さらには地方でも、そういう動きが広がってきています。ですから、前には進んでいるというふうに思っています。

 あと一歩前に進むには何が必要なのか、そこは私も全ての知恵を絞ってやらなければならないと思っているんですが、やはり最後は、本当に被災地の状況が伝わるかどうか、ここが一つ、鍵になるのかなというふうに思っています。

 したがいまして、被災地の状況を、この一年を迎えるに当たって、できるだけ国民の皆さんに知っていただきたい。もちろん量の部分もありますけれども、被災地がこの瓦れきの処理に大変な努力をしているということをもっと知っていただきたい。

 瓦れきからまきをつくった方もいました。子供たちがそこからいろいろと卒業作品をつくった幼稚園なんかもあるわけですね。仮設の焼却施設が今海辺にばっと並んできていますよ。そこでどんどん燃やす。当たり前な話ですけれども、再利用はあらゆる可能性をしているわけです。二万二千トンあって、一万八千トンは、再利用したり、現地で燃したりしているわけですから、もうあらゆる手段も尽くしてやっているんだということを知っていただくこと。

 そして、そのことによって、これまで必ずしも声になりにくかった七五%の賛成という人たちが声を上げていただく、これが、私は、推進力として、あと一歩前に踏み出すということであれば重要なのではないか、そのように感じております。

 間もなく一年たちますので、どうすれば国民の皆さんに本当の意味で直接的に訴えられるかということのやり方については、今、さらに検討しておりまして、できれば多くの皆さんに御協力をいただいて、そうした実情を知っていただくということに力をかしていただければ、そのように思っております。

小泉(進)委員 この問題は、もう全力で支援をしたいと思います。

 細野大臣、三月五日の産経新聞の朝刊に、インタビューを受けて、「がれきの広域処理がなぜ進まないのか」という問いを受けてこう答えていますね。「被災地の実情を国民の皆さんに知らせることができていない。被災地へ行くと愕然とする。全国の皆さんが実情を知ってもらえば、踏み込んでもらえると思う」。

 私も地元でいろいろな方とお話をしている中で、被災地に行っている側が感じていることと、行っていない方がどう捉えるか、やはりここというのは落差がありますよ。これは訴える側、伝える側も力不足なのかもしれませんが、今、細野大臣も言いましたけれども、私も最後はそこだと思う。

 今どれだけ被災地の現状がまだ厳しいか、これはもちろん今の政府に、遅々として進まない状況を、復興庁もできて、加速してもらわなければいけないんですよ。その責任は政府です。しかし、私は、この瓦れきの広域処理の問題、よく勉強をしていろいろな方とお話をする中で感じていることは、結局、瓦れきを受け入れないということは、そういったものは被災地に置いておいてくださいね、そういう議論に行き着いちゃうんですよね。本当にそれでいいのか。

 まさに細野大臣さっき言いましたけれども、風評被害の問題も行き着くところは、では、そこにいる人たちはどうするんですかと。本当に深い、ここまで行くんですよね。だからこそ難しい問題なのかもしれませんが、改めて、この問題というのは、私は、最後は政治の信頼とかこういったものが一番のポイントだと思います。

 細野大臣、一番当事者ですからよく感じていると思いますが、いろいろな説明会に行って、対話集会に行って、何を言っても、今の行政、今の政治が言うことは信じない、こういう行政不信、政治不信、やはりこれを、私は、この問題を通して、党派を超えてみんなが本気になっているというのを見せて、政治の信頼を高めていくこと、これも大きな推進力になると思いますので、この問題は引き続き全力で支援します。

 大臣も、大きな気持ちと、今までの法的枠組みとかしがらみにとらわれないで、これはぜひ、大胆、果断に取り組んでいただきたいと思います。最後にお願いします。

細野国務大臣 本当にありがとうございます。

 そうやって皆さんに一緒にやっていただくことは大きな力になります。

 一点、先ほどの答弁で二万二千トンと申し上げましたが、二千二百万トンでございます。済みません、ずっと二千二百万トンと言い続けたつもりなんですが、大変失礼いたしました。

 今、小泉委員が指摘をされたところは非常に大きなポイントではないかと思っていまして、今回新たに予算措置として設けました項目の中に、住民の理解、この項目がございます。その項目の中では、明確に明示はしておらないんですが、私の口から補足をいたします。

 受け入れをしていただく自治体で、その中で意見が分かれている場合、現地に行っていただいて現地の実情を見ていただく、これが非常に前に進める大きな推進力になります。実際に町内会長さんがバスで被災地に行って二日か三日現地を見て回れば、これはもう大変なことだとわかるわけですね。実際にそこで放射線量をはかっていただければ、それが安全なものであるというのもわかっていただけます。ですから、例えばバスで行っていただいて現地を見ていただく、そういう費用についても国がしっかり責任を持って見ていきたいというふうに思っています。

 ですから、そういったものも活用していただいて、被災地の実情を国民の皆さんにしっかりと知っていただくという努力は継続していきたいと思います。

 そして、一般の方々にしっかりとお伝えをするという意味では、やはり我々政治家が本当に大きな役割を握っているというふうに思っています。七五%の人が賛成しているのにできないというのは、これは私は政治の無力さをあらわしていると思います。

 ですから、何としてもやり切りますので、ぜひ御支援をいただきますようにお願い申し上げます。

小泉(進)委員 実は、私も最後の部分を考えていたんですよ。どうか、受け入れる側の町内会長さんとかそういった方々と一緒に被災地に行けないかなと。

 今の細野大臣の御発言ですと、これは国がお金も負担をしてそういった被災地の現状を見てもらうような、ツアーと言ったらおかしいですけれども、そういったことをやるということの理解でよろしいですか。

細野国務大臣 そのことを私が発想しましたのは、島田市がそれをやっていただいたんです。

 今、試験焼却をしていまして、灰を市役所に置いて、一般市民の皆さんにもはかっていただける状況になっています。ですから、心配をされている方も自分ではかってみて、周辺と変わらないし、島田のごみと受け入れる山田町のごみは変わらないというのを見て、安心をされる方も出てきている。さらにそこから踏み込むためには、被災地のことを見て、やはりやらないかぬという声が徐々に出てきているのは、市長さんが先頭になってバスで行って現地を見ているからなんですね。

 ですから、そういう状況を全国でつくらなければならないというふうに思っておりますので、処理を考えておられる自治体で現地をみんなで見ようということがあれば、国がしっかりそれをサポートしてまいります。

小泉(進)委員 非常に前向きな支援策の検討をありがとうございます。

 ぜひそのことを多く周知していただいて、少しでも早く、一日でも早く、この瓦れきの広域処理が進むことを私も全力で御支援するということで、次の問題に移らせていただきます。

 細野大臣、ありがとうございました。どうぞ次に行ってください。

 それでは、残りの時間、約十分ちょっとですか、きのうの続きということで、岡田副総理に、税・社会保障の一体改革の問題について質問をさせていただきます。

 きのう、私は、大きく分けて二点の問題について副総理初め関係閣僚の皆さんに質問をしました。

 一つは、医療費の窓口負担、七十から七十四歳の方々の御負担を、今一割で凍結しているものを本来どおり二割に戻すべきだという問題、そしてもう一つが、窓口で、自己負担をしてもらう部分に加えて窓口百円、この当初あった案を、私は賛成だ、やるべきだ、そういうことを副総理に言いました。

 そうしたら、副総理は、きのう、こういう御答弁をしたんです。私、百円やるべきだと。副総理はこう言いました。例えば、これが病院に必要以上に行くというようなことに対する一つの歯どめになるということであれば、私は意味のあることだというふうに思います。

 これはどういう意味ですか。

岡田国務大臣 窓口のプラスの負担部分という議論は従来から行われておりまして、今はプラス百円ということですが、あるいは少額のものは自己負担を最初からしていただくとか、そういう議論がなされたこともございます。つまり、本来、診療所、病院に行く必要がないにもかかわらず行くということを抑制するためにそういったことを考える、そういった議論が従来ございましたので、そのことを申し上げたところであります。

小泉(進)委員 きのうの答弁にあるように、必要以上に病院に行くという言葉が今、副総理の言葉からありましたけれども、これは、例えばどういうイメージですか。例えば整形外科に行っている方とか、膝とか腰が痛いとか、そういう方々の感じなのか。眼科とか内科とかなのか。どういう部分で、ちょっとそこは健康的な生活でやっていただかないと若い人は大変なんじゃないかなとか、どういうイメージで大臣はおっしゃっているんですか。

岡田国務大臣 本来、病院、診療所に行かなくても済むような、そういう状態ですね。病気でない、あるいは自分で薬を買って治せる、そういった方々が診療所、病院に過剰に行く、そういうことを意味して申し上げました。

小泉(進)委員 それを抑えてというか、それで医療費の抑制を図る、そういった感じのことでよろしいですか。

岡田国務大臣 従来、そういう窓口のプラスアルファの負担であるとか、少額のものは自己負担とかいう議論は、そういうコンテクストの中で議論されてきたというふうに私は承知をしております。

小泉(進)委員 それだけこうやってかみ合うんだけれども、何で今回これができなかったんですか。なぜこれが実行できなかったんですか、この百円の案。

岡田国務大臣 きのう申し上げたのは、そういうことであればわかる、しかし一方で、これは党内の議論でも出てきた話で、私も若干同感なところがあるんですけれども、今回は高額療養費、その負担を軽減するための財源を探している、その財源を、病院に行った人にプラスアルファで百円取って賄うというのがいいのか、それともそれは一般の保険料なり税で賄うことがいいのか、そういったところは議論があるところだというふうに申し上げたわけです。

小泉(進)委員 医療費の負担を誰がするのかというのは、結局三つしかないです、税と、保険料と、そして自己負担。その中で、自己負担ではなくて税と保険料、このどちらかでやるべきだというのが私の考えだというふうに、きのう岡田副総理はおっしゃったんですよね。ただ、きのう、私、納得できないのは、個人の立場として言っていると。やはり大臣は副総理という立場でこの委員会に臨んでいるんですから、そういった立場から改めて伺います。

 今みたいに、それだけ、このままずっと伸びていく医療費を何とか抑えなくちゃいけないなと思っている問題意識は共通しているにもかかわらず、こういったことを税・社会保障一体改革の大綱に盛り込むことができなかったんですか。

岡田国務大臣 まず、きのう最後に、私は発言しようと思って手を挙げて、時間がなかったので申し上げられなかったんですが、私は、委員が非常にいい議論をされておられるので、ある意味では大臣という立場を超えて、議論の途中の、私自身の意見も申し上げました。

 それがよくないということであれば、これはもう形式的な、今決まったことだけを申し上げることになりますから、そこは若干、やはり国会の議論をある程度深みのあるものにするために、時には個人の考え方も申し上げることはお許しをいただきたいと思います。ただし、それはもちろん決まったことではありませんので、そういう前提で聞いていただきたいというふうに思います。

 それから、私は、そういった高額療養費、それを補うために何らかのことが必要であるというふうに考えているわけですが、基本は、やはり本来であれば保険料の中でやっていくのが基本ではないかというふうに思います。ただ、そのことと、先ほどの一定額、例えば百円とか、そういった負担をするということは別の問題として議論できるんじゃないか。過剰な医療を抑制するためにそういったことを導入するというのは、それはそれで考えられることではないかというふうに思っているところです。

小泉(進)委員 ただ、大臣が考えているように保険料で負担するべきだという考えをとると、若い人や現役世代の保険料負担はますますふえるんですよ。そこの部分を考えているから岡田副総理は、私のこの窓口百円はやるべきだった、そういうことに対する意見について、必要以上に病院に行くことを抑えることができるんだったら意味がある、そういう御答弁をされたんじゃないですか。

 意味があるという意味は、保険料の負担が非常に重くて大変な思いをしている若い人、現役世代、これらの方を考えた上でのことだったのではないですか。

岡田国務大臣 それはそのとおりなんです。ただ、高額療養費の負担を百円でというのはダイレクトには結びつかない話なので、何でも取りやすいところから取るということでいいのかな、そういう気持ちを私自身は持っているし、党の中にもそういう議論はあったというふうに思っているわけであります。

小泉(進)委員 いや、それは大臣、答えになっていませんよ。取りやすいところから取るという話じゃなくて、この百円の窓口負担というのは、今までのことを考えたら、むしろ取りにくいところ、自己負担のところから取ろうとしているんじゃないですか。

 それを真っ正面から向き合わないと、これから医療費というのは年金以上に伸びますよ、伸び率。医療と介護は物すごい伸び率で伸びていくんですよ。それを考えたときに、医療費は、自己負担、保険料、税、この三者のどこかにお願いをしなかったら回らないんですから、なぜ自己負担は聖域であって税と保険料はやっていく、そういう発想になるんですか。

岡田国務大臣 重要なことは、きちんと説明がつくかどうかということだと思います。

 私は、自己負担について、聖域だとは思っておりません。私が厚生労働委員会の野党の筆頭理事をしておりましたときに、小泉元総理が厚生労働大臣だったんですが、あのときに健保法の改正をして、一割の自己負担を二割に上げたということであります。我々は最終的にたしか反対したとは思いますが、審議はきちんとして、採決すべきときには採決をして、結論を出したつもりであります。

 自己負担そのものが悪いというふうには全く思っておりません。

小泉(進)委員 それでは、こういう負担に向き合うような議論を、大綱を閣議決定してしまった後にどうやって与野党で協議していくんですか。

 このことについて、結構きのうは前向きな、これから議論したいみたいなことを言っていましたけれども、そこはどう考えているんですか。

岡田国務大臣 いつでも議論したいと思います。

 大綱は閣議決定しました。しかし、協議はこれからやるわけですから、閣議決定したものがそのまま最終的な、成立する法律になるわけではありません。その間に法律が出るまでの協議もありますし、法律が国会に出てから協議もある。最終的には、そういう協議を経て、法案が修正されて法律になるわけですから、それは別に、大綱を閣議決定したから一字一句変えられない、そういうふうに考える必要は全くないと思います。

小泉(進)委員 では、例えば、今私が言ったようなこの窓口百円、どうか民主党の皆さんに聞いてみてください。恐らくそれで反対が多かったから大綱に書けなかったんじゃないですか。そこら辺、答弁をお願いします。

岡田国務大臣 慎重論が多かったと思います。

 ただ、それが自民党の御主張ということになれば、もう一度真剣に受けとめさせていただいて、きちんと協議すればいい。結果は、それはやってみないとわかりませんが、野党第一党である自民党がそういうふうに主張されるということであれば、そのことはきちんと受けとめなきゃいけないというふうに思います。

小泉(進)委員 結果はやってみなきゃわからないというのは、大綱になる前に皆さんまとまって、大綱にして、それで持ってくるというのが筋の話なんじゃないですか。

 だって、もし、この話を、わかりました、では一回持ち帰りますと党に持って帰って、今も反対だという声が結構ありましたけれども、そうしたら、明らかにまとまらないのは目に見えているじゃないですか。

岡田国務大臣 当然、いろいろな議論はあるわけです。それは、党を代表する者が出てきてそれぞれ協議をするわけですから。もちろん、それを持ち帰って意見を聞くこともあるでしょうけれども、どこかの段階ではそれは授権されて、与野党でお互いに妥協し合って合意に達する。これは普通の交渉だと思います。それが全くできないなら協議する意味がありませんから、そういうことは考えていないわけです。

小泉(進)委員 もう時間が来たということですけれども、私が、例として、窓口百円、そして、七十から七十四歳の方々の自己負担を本来どおり二割に戻すべきだと言うのは、大きな目で見たときに、明らかにこのままじゃもたないんです。若い人は誰もがわかっているんです。それに向き合わないことに対する若い人の政治不信があるんですよ。

 だから、これはいろいろ意見があるのはわかりますよ。私も地元で反対を受けますし、きのうも、ああいう質問をした後に、その御負担を受ける側の世代と思われる方々から抗議の電話もありましたよ。

 でも、これはいずれ、民主党がこれから与党にい続けたって、自民党がいつかとることがあったって、向き合わなきゃいけない問題ですから、副総理にはぜひ、原則、副総理らしく守って、ここら辺はぶれないでいただきたいと思いますね。最後、どうですか。

岡田国務大臣 我々、党の中でいろいろ議論しまして、きのうも申し上げたんですが、年金については物価スライドを、マイナスのスライドですが、反映させてこなかったことをきちんと是正するということを決めました。

 これもなかなか大変なことなんです。年金受給者の皆さんからは厳しい御意見も一部いただいています。だけれども、それはやはり与党の責任としてやらなきゃいけないということで決めましたので、そのほかの問題についても真剣に議論して、やはり持続可能な制度ということは非常に重要なことですので、ぜひ議論を歓迎したいと思います。

小泉(進)委員 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、平沢勝栄君。

平沢委員 自由民主党の平沢勝栄でございます。

 最初に、原発事故の関係について質問させていただきたいと思いますけれども、民間の事故調査委員会、先日、調査・検証報告書というのを出しました。先ほどから津村さんも見ておられますけれども、この本を見てみますと、まだ全部見ていませんけれども、危機管理にいかに大きな問題があったかということがるる書かれているわけです。

 ちなみに、きょう、自民党にこの調査の責任者であられた北澤委員長が来られていろいろお話しされていましたけれども、この報告書について、外国からもいろいろぜひ欲しいという声が来ているらしいし、いずれ近いうちに、これは英文に直して全世界に配られるらしいんです。

 ですから、一言で言えば、この中には日本として恥ずかしいなということもいっぱい書いてあるんです。しかし、恥ずかしいことも含めて正直に全てを出して、そして、その中で改めるところはしっかり改めていかなければならないと思いますけれども、まず、きょうは官房長官においでいただいていますので、官房長官、この本を読まれましたか。

藤村国務大臣 平沢委員が今かざされた本、私も、官邸にも実は北澤さんほかでお届けをいただきまして、以来、全部熟読したかと言われたら熟読はしておりませんが、例えば経験談があるところ、これなんかはなかなか本当に真に迫っているなということで、さっと読ませていただきました。

平沢委員 さっとじゃなくて、これはやはり熟読玩味、これからぜひしてもらいたいなと思います。

 この中で、危機管理が全くできていなかった、そして、官邸の現場への過剰な介入が無用の混乱と事故がさらに発展するリスクを高めた、こういった可能性もあるということも書かれているわけです。あわせまして、官邸の初期対応は危機の連続であった、専門知識、経験を欠いた少数の政治家が中心となり、次々と展開する危機に場当たり的な対応を続けた、稚拙で泥縄的な危機管理であった等々がずっと書いてあるんです。

 これが全世界に流れるわけですから本当に恥ずかしい限りでございますけれども、官房長官はこういったところは当然読まれたと思いますけれども、こういったところを読まれまして、もう一度、御感想をお聞かせください。

藤村国務大臣 東電からほとんど聞かれていないというのは、ちょっとそこが欠けているなという気はいたしました。

 先般、民間事故調ということでの報告書が公表されていて、その中で、危機対応に対する認識不足の問題や、情報収集、伝達のあり方、あるいは首相のリーダーシップのあり方等、官邸における原発事故対応に関してさまざま御指摘をいただいている、このように貴重な御指摘だとも思っております。

 政府といたしましては、今、一方では政府の事故調、それから国会でつくっていただいた事故調などもまだ今からの御報告、政府事故調は昨年暮れ中間報告がされましたが、さまざま御報告をいただく中で、やはり、生々しいといいますか、刻一刻と変化する状況に最大限対応したとは思いますが、政府や国会の事故調の委員会の報告なども含め、各事故調査委員会の検証内容や提言を本当に真摯に受けとめ、教訓として今後に生かすべきものであろう、そのように考えております。

平沢委員 この報告書の中にも書いてありますけれども、菅前総理は、震災の翌日、三月十二日、現地に飛んでいるんです。これは周りがみんなとめたんです。

 ここに現地対策本部長の池田元久議員の覚書がありますけれども、池田さんも、絶対来てはいけないということで、とめたと。危機管理の上からしたら、大勢の方がまだ行方不明、そんなときですから、最高リーダーが動いているときじゃないんです。やはり情報の一番集まるところにいて、的確な指示を下さなきゃならない。そういうときに危機管理の最高リーダーが現場に行ってしまうということは、現場の対応自体にもいろいろな問題を生じますし、ほかのところの指示もできなくなるといういろいろな問題があるわけでございます。

 その中で、池田元久議員が書いておられるのは、菅前総理が視察を終わって、総理がこの時期に現地視察をしたことと、現地での総理の態度、振る舞いについて、指導者の資質を考えざるを得なかった、こういうことを言っておられるんです。まさにそのとおりなんですけれども、私は思いますけれども、何で、これはおかしいということで、体を張ってとめる人がいなかったんですか。

 私は後藤田官房長官の秘書官をやりましたけれども、後藤田さんは、中曽根さんがおかしいというときは、いつも辞表覚悟で、体でとめるという覚悟をいつも持っておられたんです。実際にそういったことがあったときには、総理の方が折れたんです。中曽根さんの方が折れたんです。

 今回の件で、周りでは今になって、みんなが、これはおかしい、おかしい、行っちゃいけない、行っちゃいけないということで、とめたというんですけれども、それを菅さんは聞かなかったというんですけれども、官房長官、もし野田さんがおかしなことをやったとき、体を張って、辞表覚悟でとめる覚悟はございますか。

藤村国務大臣 仮定の問題でありますので、具体的に想定して何かを答えるという案件ではないかと思いますが、私は、総理大臣のさまざまな、発言も含めて、これはこうすべきああすべきという私なりの意見を申し上げるという立場ではございます。ただ、最終的に判断されるのはやはり総理大臣であろうかとは思います。

平沢委員 ただ、今回の件では、この報告書に出てきますけれども、三月十二日に、本来なら行っちゃいけないときに現地視察したことも含めて、そして、いわば次々に内閣参与という形で、役所を信用できない、東電を信用できないということで、いろいろな専門家を周りにぐっと置いた。そういう方たちと結局いろいろなことを決めていったというようなことも含めて、いろいろと書かれているわけです。

 そして、一番最初の時点で、アメリカから、米軍から支援の申し出があったときに、これを断った。これについては、最大の問題ではないかということを言っておられたのは、前参議院議長の、お亡くなりになられた西岡さんでございます。

 こういう、本来なら体を張って、これはおかしいということでとめなきゃならないところで周りが全然動いていない、機能していないということは、また同じようなことが、きょう起こるかもしれない、あした起こるかもしれないんですよ、官房長官。そのときにしっかりした覚悟がなくて、この国を守っていけるんですか。

 ちなみに、この本の中を見てみますと、私は驚いたんですけれども、官邸のある職員は何と言ったかというと、この国にはやっぱり神様がついていると心から思ったというんです。なぜならば、結果的には、原子炉の連鎖爆発や大規模な放射性物質の拡散といった事態にはならなかったものの、一歩間違えば大災害につながりかねない危険な状況が何度も出現していたと。要するに、結果的には大きな大きな事故にはならなかったけれども、なってもおかしくなかった、それはたまたま運がよかったからだ、こういうふうに書いてあるんです。

 官房長官、きょう起こるかもしれない、あした起こるかもしれない、こういった危機管理に、官房長官そして今の内閣は、しっかり、間違いなく国民の生命や安全を守る、その危機管理対応ができるのかどうか。それをちょっともう一度お聞かせください。

藤村国務大臣 さまざまアドバイスをいただいております。

 これは民間の事故調ということで、先ほどもお答えしたとおり、さまざま書いていただいていることに対して、当然、真摯に受けとめ、提言を受けとめ、そして教訓として今後に生かすべきものということはもう間違いないことだと思います。

 今後、さらに政府事故調、あるいは国会での事故調などもさまざま検証していただける、こういうことでありますが、今すぐどうかというときに、昨年三・一一以降、危機管理に関しては、政府が、ある意味では本当に考え直すといいますか、これは、あらゆることを想定しながらも、常に国民の生命財産を守る、こういう意識は大変高まっていると思いますし、それに付随して、今さまざまな検証、検討、そしてさまざまな委員会等もできております。そういうことで対応していきたいと思います。

平沢委員 官房長官、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に移りたいと思います。

 慰安婦の問題で、アメリカで慰安婦の記念碑みたいなものができて、それが次々にこれからあちこちに建設される予定があるということで聞いておりますけれども、きょうは外務省を呼んでいますけれども、外務省、ちょっと事実関係を教えてください。

中野大臣政務官 お答えします。

 ニュージャージーでは、確かに、二〇一〇年の十月二十三日に慰安婦の記念碑が建設されました。それで、アメリカにあります韓国の有権者評議会からは、二十ぐらい記念碑を全米でつくりたいという意向があるようでございますが、現在のところは、その後は確認はされておりません。

平沢委員 このニュージャージーにできたもの、これはベルゲン郡パラセイズパーク市というところにできたんですけれども、公共の図書館の敷地を提供して、そこに郡が御影石を寄贈して、そして慰安婦のいわば記念碑みたいなものができたということなんですけれども、では、この慰安婦の記念碑には何と書いてあるんですか。

中野大臣政務官 英語でよろしいんでしょうか。(平沢委員「いや、英語じゃなくて日本語でやってください」と呼ぶ)

 日本語でいきますと、約二十万以上の女性と少女が、一九三〇年代から四五年にかけて、日本軍によって辱めを受けた。それはいわゆるコンフォートウーマン、慰安婦ということでございますね。私たちはそれを決して忘れてはいけない、そういう趣旨のことが。ごめんなさい、今ちょっと直訳しているものですから。

平沢委員 この碑に書いてあるのは、二十万人以上の女性とそれから少女が日本軍によってアブダクトされた、拉致されたと。そして大変な辱めを受けたということが碑に書いてあって、それが公の場所に置いてあるんです。これをどんどんこれから建設していく。

 ちなみに、今度、ニューヨークには、通りの名前に慰安婦の記念碑に関連した名前をつけるという動きもあると聞いているんですけれども、今のその記念碑に書いてある中身、二十万人以上のどうのこうのというのは事実と違うでしょう、外務省。

中野大臣政務官 二十万人という数字については、特に今まで議論をされたというふうな認識ではございません。(平沢委員「ちょっと聞こえない。はっきり大きい声で」と呼ぶ)二十万人という数字においては、今まで特に議論をされたということではないと思っております。

平沢委員 何を言っているかわかりませんけれども、これは事実じゃないんですよ。事実じゃないことを、こうやってどんどんこういう形で、今、アメリカ内で既成事実をつくるかのごとくどんどん韓国系の団体が動いているんです。

 この運動をしている団体が言っているのは、ナチの大虐殺とこの慰安婦の問題を同列に並べてやっているんです。ナチの大虐殺、ホロコーストと一緒に並べているんです。こういう動きがアメリカの国内でどんどん広がっている。先ほど言いましたように、もう通りの名前までそういうふうにつけようということまで来ている。

 そもそも外務省は、先ほどのニュージャージーのもの、これは二〇一〇年の十月二十三日でしょう、それを知ったのはいつなんですか。そして、そのときにどういう対応をしたんですか。

中野大臣政務官 認識をしたのはその一週間、十日後だというふうに伺っております。

平沢委員 それを認識してから、ではどういう対応をしたんですか。

中野大臣政務官 外交上のことがありますので、ちょっと詳しいことは申し上げることができません。申しわけございません。

平沢委員 だめだ、それは。何を言っているんですか。外交上の問題じゃないじゃないですか。

 こういう事実と違う文言を書いた記念碑が公の場所に置かれる。日本に対する大変な侮辱でもありますよ。そういったものを、置かれたものを、外務省として知って、そしていろいろと動くのは当たり前じゃないですか、働きかけて、これはやめなさいとかいろいろ動くのは。それに対して、外交上の秘密もへったくれもないじゃないですか。

 何ですか、外交上のことがあるというのは。

荒井委員長 外務大臣政務官、もう少し丁寧に答えてください。

中野大臣政務官 今、適宜検討中でございます。済みません。

平沢委員 これは二〇一〇年の十月二十三日の話ですよ。ですから、一年半前の話なんですよ。今、検討中というのはどういうことなんですか。

中野大臣政務官 二〇一〇年の十月に残念ながらそのような記念碑が建てられてしまって、その後、どのような形でその先にまたその記念碑が建たないようにしていくのか、そういうことも含めて総合的に対応しないといけないということで、今、検討させていただいております。

平沢委員 ですから、どういう検討をしているんですか。もう一年半たっているんですよ。

 このニュージャージーにできたものも含めて、どういう対応をしているのかというのをもうちょっと具体的に教えてください。

中野大臣政務官 そこも含めて、今後、しかるべき申し入れはしっかりとしていきたいというふうに考えております。

平沢委員 何を言っているのかさっぱりわからないんですけれども、外務省はやる気があるんですか、ないんですか。ないなら、ないとはっきり言ってください。この問題、おかしいと思っているんでしょう。全然おかしくないと思っているのならこれは仕方がない。おかしいと思っているのなら、きちんと動かなきゃおかしいでしょう。

 今の政務官の話を聞いていると、何を言っているかさっぱりわからない。はっきり答えてください。要するに、今までの外務省の対応は生ぬるかった、これからしっかり取り組みますと言うなら、またそれでいいんですよ。はっきり答えてください。

中野大臣政務官 玄葉大臣のもとではしっかりと対応していきたいというふうに私は考えております。

平沢委員 よくわかりませんけれども。次は政務官じゃなくて上を呼ばないと、これは何を言っているかわかりません。

 官房長官、今の話を聞いていて、いかが思いますか。

藤村国務大臣 本件について、私も知るところは最近ではありました。ただ、今、平沢委員おっしゃるとおり、これは重大な問題だと思います。

 そこで、政府としてはこれは重大な関心を持ってフォローしており、今具体的にちょっと聞いている話は、ニューヨーク総領事館において、全米で韓国系が最大の割合を占めるパラセイズパーク市においての、誰にどのように申し入れをするのか、抗議するのかなど、適当かを調査しているとは聞いております。

 しかるべき申し入れをする考えである、このことを申し上げたいと思います。(発言する者あり)

平沢委員 今言っているとおり、官房長官がちゃんときちんと答えているんですから、外務省、しっかり答えてくださいよ。

 官房長官、この問題はどんどんどんどん広がりますからね。こういう形で、日本は悪だ、悪だ、悪だ、ナチスと同じことを日本はやったんだ、やったんだというのがどんどん広がるということは、日本にとって、特に在米日本人にとっては極めて大きな問題ですし、もちろん日本におる我々にとっても大きな問題なので、これはしっかり取り組んでもらいたいと思います。

 松原大臣もおられるから、松原大臣、今の話を聞いていて、どう思いますか。

松原国務大臣 私は、一般論として、日本の名誉というのは極めて大事に尊重されるべきだということを申し上げるにとどめたいと思います。

荒井委員長 私も外務省に出向していたことがありますから、その立場で外務省の中野君に言っておきます。

 事実でないならば、事実でないということをしっかりと外交ルートを通じてアメリカ政府に申し入れるべきであります。

平沢委員 ですから、今委員長が言われたとおり、しっかり対応しないとこれはどんどんどんどん広がっていきますので、そういう既成事実をつくられないように外務省はしっかり対応してもらいたいなと思いますし、官房長官もぜひよろしくお願いしたいと思います。

 では、外務省、これで結構です。

 次に、名古屋で起こった交通事故についてちょっとお聞きしたいと思います。

 これは中島議員が予算委員会でも質問していますけれども、大変に許しがたい、極めて悪質な事故があったわけです。これに対して、きょうは被害者の御家族の方も来られていますけれども、要するに、危険運転致死の罪が適用されないで自動車運転過失致死になっている、これはおかしいんじゃないかということなんです。

 まず、この名古屋の事故の概要について、警察、ちょっと説明してくれますか。

石井政府参考人 御指摘の事件は、昨年の十月三十日、名古屋市北区において、運転免許を有していないブラジル人が、飲酒の上、無車検、無保険の普通乗用自動車を運転し、信号のない交差点で自転車で通行中の男性をひき逃げし、死亡させたものでございます。

 愛知県警察においては、所要の捜査を行い、十月三十一日、自動車運転過失致死及び道路交通法違反により名古屋地方検察庁に送致し、同年十一月十八日に起訴されたものと承知をいたしております。

平沢委員 警察庁、今の話を伺っていますと、要するに、無免許でしょう、そして無保険、無車検。

 そして、事故は二回やっているんでしょう。テキーラ六杯、ビール三杯飲んで、かなりの酒酔い状態で運転して、それでまず一回目の事故を起こして、そこで追突事故を起こして運転手にけがをさせて、そこから逃げていくわけでしょう。逃げて、二回目の事故を起こす。二回目の事故を起こすときに相当のスピードを出している。そして、一方通行を逆走してぶつかって、自転車で通行中の大学生の方をひいて、その方はお亡くなりになられてしまうんですけれども、そのまま逃げてしまうということですよね。

 これだけいろいろな交通悪というものが全部含まれている事故というのは珍しいんじゃないですか。これは本当に、過失というより、むしろ故意じゃないですか。警察庁交通局長。

石井政府参考人 先生御指摘のとおり、極めて悪質な交通事故だと認識をしているところでございます。

 愛知県警察におきましても、危険運転致死傷罪の立件の可能性を視野に鋭意捜査を進めてまいりましたが、判例等に照らして、危険運転致死傷罪の適用がなかなか難しく、自動車運転過失致死及び道交法の違反で名古屋地方検察庁に送致したものというふうに聞いております。

平沢委員 今いみじくも交通局長が言われたように、これは極めて悪質なケースですよね。極めて悪質なケースで、それで危険運転致死を適用しようとしたけれどもなかなかできない、こういうことですね。

 では、法務省に聞きます。

 まず、危険運転致死傷罪というのは二〇〇一年に新しくできた犯罪です。これは、今までは交通事故は過失だったんだけれども、悪質なものは故意にしようということで、二〇〇一年に刑法を改正してできた法律ですけれども、できたときのいきさつを教えてください。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の危険運転致死傷罪は、平成十三年に刑法の一部を改正して新設されたものでございます。

 その経緯でございますが、改正当時、飲酒運転でございますとか著しい高速度運転などの、悪質かつ危険な自動車の運転行為による死傷事犯が少なからず発生しておりました。

 それまでは、こうした事案につきましては、御指摘のように、不注意な運転行為によるものとして、業務上過失致死傷罪により処罰されていたところでございます。しかし、業務上過失致死傷罪は、こうした事犯の悪質性や重大性に的確に対応していないというような御批判が被害者やその遺族を初め広く国民の間から起こり、その刑が軽過ぎるということで、罰則の整備を求める声が高まったというふうに認識しております。そこで、事案の実態に即した適切な処罰を行うため、危険運転致死傷罪が新設されたものと理解しております。

 危険運転致死傷罪は、悪質、危険な自動車の運転行為のうち、重大な死傷事犯となる危険が類型的に極めて高い運転行為でありまして、刑法で定めております暴行罪の結果的加重犯であります傷害罪、傷害致死罪に準じた重い法定刑により処罰すべきと認められる類型を、いわば切り取って限定した形で危険運転行為としているというものでございます。

平沢委員 今の刑事局長の御説明を聞いていますと、まさにそのとおりなので、極めて悪質なケースを危険運転致死に適用しようということで、そして故意犯として罰しよう、重く罰しようということでこれができたんでしょう。

 今回のこの去年十月の名古屋の事故、これは、先ほど警察庁交通局長が極めて悪質と言われましたけれども、これ以上の悪質なケースというのはないんじゃないですか。

 もう一回言いますよ。無免許、無保険、無車検、酒はテキーラ六杯、ビール三杯、そして運転して、まず事故を起こす、そこで直ちにまた今度は逃げる、逃げて一方通行を逆走していって、そして横断歩道を渡っている大学生をひいて死に至らしめた。これ以上の悪質な事故というのはないので、もしこれが適用されなかったら、そもそも危険運転致死傷罪というのは何のためにあるのかということにもなりませんか。

 これは、法務省の滝副大臣。大臣の方がいいと思うんですけれども、副大臣。

滝副大臣 ただいま刑事局長からこの中身については概略を申し上げましたけれども、確かに、警察庁の交通局長からもお話ございましたように、大変悪質度の高い事案だというふうに私どもも認識をいたしております。

 ただ、具体的に刑法の規定を当てはめるには余りにも制約が多いということも、平沢先生御案内のとおりだと思うんです。当時、この法案をつくるときに、衆参の法務委員会で、拡大解釈をしないように、こういうような質疑が行われました。そして、その質疑をもとにして、衆参の法務委員会で、この刑法一部改正をする際に附帯決議までしているわけですね。ともすれば重罰化という傾向の中で、とんでもないところに行ってしまうんじゃないか、こういうような危惧があったと思います。

 したがって、四類型というふうに申し上げましたけれども、その四類型を拡大解釈せずにその中できちんと起訴をするように、こういうようなことがございましたものですから、一般から見ると、それでは何のためにこういう特別罪をつくったのかというような批判もあるのでございますけれども、当時の立法の趣旨、それに、いわば捜査当局もそれから刑事告発する検察庁も縛られているというのが実態ではないだろうかな、こういうふうに思っております。

平沢委員 今副大臣が言われたのはそのとおりだと思います。確かに立法時はいろいろと国会で議論がありまして、もともと交通事故というのは過失犯なので、それを故意という形でいたずらに拡大解釈すべきじゃないということで、いろいろなたががはめられたことは事実ですけれども、実際に運用してみると、現場を見ますとやはりいろいろな問題があるので、これから、できるだけ酒酔い運転とかこういったもので事故を起こした者は厳しく罰するということで、これをもっと適用すべきじゃないかという声が多くの国民の間に、とりわけ被害者の関係者の方にあることも事実なんです。これは、私は当然のことだと思います。

 そういった声を受けてかどうか、裁判所の考え方も変わってきていませんか。例えば、福岡で二〇〇六年に、橋の上で酔っぱらいが車に追突した、その追突したあおりで前の車は川の中に落っこちてしまって、三人の幼児の方がお亡くなりになられた。これについて、福岡の一審では危険運転致死傷罪じゃなくて自動車運転過失致死を適用しましたけれども、高等裁判所、それから去年でしたか、最高裁の判決では危険運転致死を適用しているんです。ですから、一審段階では確かに厳しいあれだったのが、だんだん解釈も変わってきているんじゃないかなと思います。

 ですから、今、現場はそういう考えなのかもしれませんけれども、それは考え方を変えてもいいんじゃないですか。どうですか。

滝副大臣 確かに平沢議員がおっしゃるように、福岡地裁あるいは福岡高裁、そして最高裁の一連の流れを見ますと、最初、福岡地裁での判決は過失致死傷罪ということでございましたのが、高裁、最高裁、いずれも危険運転致死罪というふうに変わってきておりますから、そういう意味では、判例も少しずつ、条文についての解釈はある意味では確定してきたと言ってもいいような状況ではないかということは、御指摘のとおりだろうと思います。

 そういうような動きも、恐らく、この名古屋地検にいたしましても愛知県警にいたしましても、そういうことを含んで、捜査段階から危険運転致死罪ということを前提にして捜査活動をやってきたことは、これはもう否定できない、そのとおりだろうと思います。ただ、現在の法解釈、立法趣旨からいうと、検察当局がこれを危険運転致死罪として起訴するには、これはやはり制約があったということだろうと思います。

 ただ、判決も少しずつ積み重なってまいりましたから、そういうことを受けて、基本的にこの刑法の扱いをどうするかということは、御指摘のとおり、検討をしていかなければいけない、そんな段階を迎えているんだという御指摘であれば、私はそのとおりだと思っております。

平沢委員 それでは、法務省の刑事局長に聞きたいんですけれども、条文で、例えば「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」、これは具体的にはどういうことをいうんですか。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点は、刑法二百八条の二の第一項前段にあります、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態であったか、こういうことによる危険運転致死傷の成否ということであろうかと思います。

 これは、極めて個別具体の事件における当てはめがどのようにあるかということにもかかわるところでございますが、先ほど御指摘のありました最高裁判所の判例の中では、この状態であったか否かを判断するに当たっては、事故の態様のほか、事故前の飲酒量及び酩酊の状況、事故前の運転状況、事故後の言動、飲酒検知結果などを総合的に考慮すべきであるというふうに指摘されているところでございまして、それらの事情を総合的に考慮して、この二百八条の二の第一項前段に該当するか否かということを判断していくものというふうに承知しているところでございます。

平沢委員 今の刑事局長の説明をいろいろ聞いていますと、今回の名古屋の事故についてもこれを適用してもおかしくないんじゃないかな、むしろ適用するべきじゃないかなという気がします。

 もう一つ、刑事局長、聞かせてください。「その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しない」、これはどういう意味なんですか。

稲田政府参考人 ただいま御指摘のありました部分につきましてでございますが、これは具体的に、これも当てはめの問題でございますが、最初にも申し上げましたように、危険運転致死傷罪というのは、その立法の経緯からいたしまして、暴行罪に準ずるような行為、つまり、具体的に人が人を殴るというような形に近いような運転行為を捉えているというふうに考えているところでございまして、今御指摘の部分につきましても、車の走行のコントロールが困難な状態で運転しているというような状態を指しているのだろうというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、これにつきましても、個別具体に、どういう状況の中でどういう運転をしていたかということによって当てはめていくことになろうかというふうに考えているところでございます。

平沢委員 官房長官、済みません。官房長官は本当はお帰りいただこうかと思ったら、次の竹本委員も呼んでいるということなので、ですから、そのままお願いします。申しわけございません。

 それで、刑事局長、当時、この法律ができたとき、その進行を制御する技能を有しないというのは、必ずしも無免許ということではないということで、いろいろ、何かわけのわからないような議論がいっぱい重ねられて、質問者の佐々木知子議員も、何か意味がさっぱりわからないというようなことを言っているんですけれども、免許を持っていなかったら、その制御する技能を有しないともうはっきり言っちゃったらどうですか。それを言わないから、要するに現場が混乱しちゃうんですよ。

 免許を持っていなかったら、技能を有しないのは当たり前じゃないですか。何でそれがストレートに言えないんですか。免許を持っていなくてもどうのこうのなんという議論をする必要もないじゃないですか。

稲田政府参考人 お答え申し上げます。

 無免許による運転行為、我が国でも多数の無免許運転が検挙されているところでございますが、無免許運転の行為の中にも、運転免許の更新手続を忘れたことなどの、いわばもともと運転技量を有する者が手続上のミスで免許を持っていない場合ももちろん含まれますし、これは多くはないのかもしれませんが、免許を実際に持たずに相当長い間運転手をやっていたような例も仄聞するところでございまして、無免許であるから即、先ほど申し上げましたような、暴行に準ずるような類型的に危険な行為であると言い切れるのかということにつきましては、立法当初の議論の中では、そういうふうにも言い切れないだろうということで、無免許であれば全てが危険運転であるというふうにはされなかったと承知しているところでございます。

平沢委員 立法時に今のような議論があったことはわかりますけれども、私が聞いているのは、その議論はおかしくないですかと。

 そうしたら、無免許で運転していて、ある程度の技能があればこれが適用されないということになれば、無免許である程度運転していたら、そっちの方が本人のプラスになっちゃうということになりますよ。ですから、当時の議論はわかりますけれども、それは今おかしくないですかということを聞いているんです。刑事局長、もう一回お願いします。

稲田政府参考人 繰り返しになりますけれども、危険運転致死傷罪に言います危険運転行為というのは、危険性が極めて類型的に高い運転行為、故意の行為とみなし得るものを類型的に切り出したという形からいたしますと、法的に免許が与えられているか否かという問題と必ずしも一致はしないのだろうというふうに考えているところでございます。

平沢委員 時間があれですけれども、この条文の中には、「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、」こうあります。今回はたまたま横断歩道に信号がなかっただけで、信号があったって無視したに決まっているんです、これは。

 なぜかというと、論告の中に何と書いてあるかというと、現場から五十メーター手前のところで交差点があるということはわからなきゃならないにもかかわらず、本人は全然その交差点をわかっていなかった、交差点の存在に気づいていなかったということが書いてあるわけですから、これは信号があろうがなかろうが無視したに決まっているわけです。

 ですから、論告にここまで書くのであれば、もうこれは明らかに、ここの条文に言う「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、」これに該当するんじゃないですか、刑事局長。

稲田政府参考人 ただいまの御質問は、現在裁判係属中の事件の個別の事実関係にかかわるところでございますので、法務省としてお答えするのは御容赦をいただきたいと存じます。

平沢委員 最後に、官房長官と国家公安委員長と滝副大臣にお聞きしたいと思います。

 今回の件、論告の最後のところに何と書いてあるかというと、本件は、危険運転致死事件にも比肩すべき前代未聞の悪質な自動車運転過失致死傷事件であるから、その悪質さに応じた厳罰をもって臨むことが絶対に不可欠である、こう書いてある。

 前代未聞の悪質な自動車運転過失致死傷罪、そんなのなら何で危険運転致死傷罪を適用しないのかという疑問が起こるんです、ここまで書くならですよ。危険運転致死傷罪にも比肩すべき、これもちょっと意味がよくわからないんだけれども、要するに、危険運転致死傷罪と同じだということを言っているわけでしょう、比肩すべきですから。まず、滝副大臣。

滝副大臣 確かに、公訴の文書の中に、量刑を求めるところでそういう文章がございます。要するに、危険運転致死罪に比するべき悪質な事案だ、こういうことで、そういう意味では、量刑を、十年ですか、それを求める際の理由というか事情説明に使っているわけでございます。

 したがって、当時の検察官も、そういう観点から極めて悪質だというふうに認識をしながら、しかし、今の法律に縛られているとすれば、それはやはり過失罪でいかなきゃしようがない、こういう、にじみ出る文章ではないかと私も思っております。

 私のところにも、実は御家族の方から法務大臣宛てに、てんまつを記された手紙をいただきました。それをずっと見ておりましても、本当に問題のある事件だというふうに認識しておりますし、その手紙の中にも、ユーチューブを見てくださいというものですから、私もきのうユーチューブを見せてもらいました。

 そういういろいろなことを考えれば、確かに御家族の気持ちもわかりますし、大変残念な事件ではあったんですけれども、基本的には検察当局というのはやはり法に縛られる、こういう従来の立法過程から制約があったということで、私どもも、これは御理解をいただかないといけないかなと。

 ただ、判決も出てまいりました。そういうような数次の判決をもとにして、もう一遍、厳格に解釈してきたその中身を洗い直していくということは必要かなというような判断を迫られる今回の事件ではないだろうか。

 ただ、今のところ、三月九日に名古屋地裁で判決が予定されていることでもございますから、具体的に踏み込んだお答えをするのはいかがかと思いますので、この程度で御勘弁をいただきたいと思うんです。

平沢委員 最近は、被害者の方のお気持ちというのを、今までは必ずしも配慮してこなかったけれども、できるだけ配慮しようということになってきたことは非常に喜ばしいことだと思うんです。

 刑事訴訟法を改正して一定の犯罪について時効廃止なんというのは、被害者の方がこれを廃止してくれということで廃止したんです。私たちは時効があることを当然と思っていたけれども、被害者の方が、これはおかしい、廃止してくれということで廃止になったんですよ、これはおととしですけれども。

 ですから、被害者の方のお気持ちというのを十分私たちは考えていかなきゃならない。きょうは被害者の御家族の方が来られていますけれども、やはり御家族の方も、それは当然ですよ、私たちがこの大学生の親だとしたら、とてもじゃないけれども、これはもうとても許せないということになるだろうと思います。

 この問題については、特に名古屋の近辺の方は大変に関心を持っておられて、この問題の行方を注目しておられるようでございますけれども、そういったことを踏まえて、松原大臣、いかがですか。

松原国務大臣 まずもって、今回の事件で御子息を亡くされました御遺族の皆様には、心よりお悔やみ申し上げたいと思います。

 危険運転致死傷罪は、悪質な交通事故事件に対する国民の厳罰化機運の盛り上がりを背景として、平成十三年の刑法改正により創設をされました。

 名古屋における事案については、御遺族の心情を第一に考えると、このような事案について危険運転致死傷罪を適用すべきとの声があること、また、危険運転致死罪の適用を求める約四万九千人の署名が集まっていることも承知をいたしております。このことは、今回の事件を、多くの方々が極めて悪質な交通事故として御遺族の皆様と同じ感情を持って怒り、捉えていることのあかしであり、重く受けとめなければいけないというふうに思っております。

 今回の事案については、御遺族の方が愛知県警察による説明に納得されておらず、御不満をお持ちであることも承知をしており、遺憾に思っております。他方、危険運転致死傷罪創設の際、ただいま滝副大臣からもお話がありましたような立法の段階における議論がありまして、その対象を不当に拡大し乱用すべきではないとの附帯決議もございました。

 今後とも、交通事故の被害者や御遺族に対し、捜査状況の説明やその心情に配慮した継続的な支援などを行うよう、警察を督励してまいります。

 以上です。

平沢委員 今、松原大臣の言われたこと、それから、さっき滝副大臣が言われたこと、全くそのとおりなんですけれども、やはり、恐らく現場は、今までのいわば流れみたいな形で、社会が大きく変わっている、被害者のお気持ちも大きく変わっている、そういうのに必ずしもうまく適応していなかったんじゃないかなと。ですから、今回のケースは、むしろ危険運転致死罪でもう起訴して、後は裁判所の判断に任せるべきだと私なんかは思います。

 いずれにしましても、個別具体的なことについては言えないかもしれませんけれども、とりわけ名古屋を初めとした地域の方は大変に関心を持っておられますし、交通事故で御家族を亡くされた方、そういった方を含めて、全国でこの問題に関心を持っておられる方がたくさんおられるんです。私たちだって、いつその立場に立つかわからないんです。そういったことを踏まえて、官房長官、一言お願いします。

藤村国務大臣 私も個別具体のことに立ち入っては申し上げませんが、交通事故によってかけがえのない家族を亡くされた御遺族の心情については、まさに筆舌に尽くしがたいものがあると考えております。

 平沢先生、御存じかどうか、私が今政治家であるその一番の原点は、実は、昭和四十年代の交通戦争と言われた時代の、家族を酔っぱらいひき逃げで二人亡くしたその方の訴えが全国に非常に大きく広がり、そして、交通事故、交通遺児の問題、それに私も参加した。もう四十年来、この問題に携わってきている者の一人ではございます。

 今議題となっている危険運転致死罪は、今後きちんと適用されるように、厳密な捜査によってこれが的確に適用されるように求めていきたいと思います。

平沢委員 官房長官、ありがとうございました。

 いずれにしましても、せっかく法律ができたんですから、その法律が現場で使い勝手が悪いということでしたら、これはやはり法律を改正するか、あるいは運用を改めていく以外にないんです。私は、法律はこのままでも、運用さえ改めれば幾らでももうちょっと使い勝手がよくなるんじゃないかなと。悪質な交通犯罪というんですか、これは全く後を絶たないわけなので、やはり厳しく社会に警鐘を乱打していくためにも、私は、この危険運転致死罪をもっと積極的に適用してもいいんじゃないかなと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 滝副大臣と官房長官は、もう時間がほとんどありませんけれども、ごめんなさい、結構でございます。どうもありがとうございました。

 それから、松原大臣にお聞きしたいんですけれども、先日、捜査手法、取調べの高度化を図るための研究会が最終報告書というのを出しました。この中で、いわば可視化の問題、取り調べの可視化については、否認事件等も含めて拡大するというような方向性が出ているわけですけれども、この報告書について松原大臣の見解を教えてください。

松原国務大臣 御指摘の最終報告は、治安水準を落とすことなく取り調べの可視化を実現するための検討を行ってきた結果を取りまとめたものであります。

 最終報告では、制度としての取り調べの可視化についてさまざまな意見や考え方が示されるなど、難しい問題であることを改めて認識いたしました。他方、警察における取り調べの録音、録画の試行の拡充、取り調べ及び捜査手法の高度化について大きな方向性を示していただいたものと認識をいたしております。

 取り調べの可視化や捜査手法のあり方については、現在、法制審議会の特別部会において調査審議が行われているところであり、捜査の多くを担う警察としては、この最終報告も踏まえて議論が行われることを期待いたしております。国家公安委員会においては、警察庁に対し、最終報告の提言を踏まえ、法務省とも連携をしつつ、速やかに必要な取り組みを進めていくよう指導してまいります。

平沢委員 可視化の拡大は、それはそれで結構なんですけれども、これはよく言われることですが、欧米は、可視化は確かに日本よりはるかに進んでいますけれども、同時に、いろいろな武器が捜査当局に与えられているんです。可視化がどんどん拡大することによって治安水準が落ちたら何にもならないわけなので、問題は捜査手法の高度化にどう対応するかということで、可視化を進めるなら、そっちの方も当然きちんと検討していかなければならないと思います。

 この報告書の中でも、例えばDNA型のデータベース化、こういったことについては言及されていますけれども、それ以外のいろいろな捜査手法の問題については、検討が必要とか、そういったような形で書かれているんですけれども、これについては、松原大臣はどう思われますか。

松原国務大臣 研究会においては、DNA型データベースの拡充、通信傍受の拡大、会話傍受、仮装身分捜査、量刑減免制度、王冠証人制度、司法取引、刑事免責、証人を保護するための制度、被疑者、被告人の虚偽供述の処罰化、黙秘に対する推定、刑法その他の実体法の見直し等、さまざまな捜査手法について議論がなされてまいりました。

 研究会においては、諸外国では、取り調べの果たす役割は我が国に比べて低い一方で、我が国にない多様な捜査手法が委員御指摘のようにとられていることが明らかにされました。例えば、イギリスでは、DNA型データベースに約五百六十万件のデータが登録、通信傍受については年間千五百件の令状が発付、有罪答弁を行った者については、その時期等を考慮して刑を軽減する制度を導入していることも報告をされました。

 研究会で議論された捜査手法については、有効性、相当性を踏まえつつ警察において取り組みを進められるものであり、その実現に向け検討を進めると認識をいたしております。他方、刑事訴訟法等の改正を要するなど、警察のみの取り組みでは実現できないものも多いことから、法務省を初めとする関係省庁と連携しつつ、個々の捜査手法について検討を進める必要があると認識をしております。

 また、時代に即した新たな刑事司法制度を構築するため、現在、法制審議会の特別部会において調査審議が行われているところ、先般、法務大臣と協議した折、研究会の最終報告を十分に踏まえて検討を進めていただきたい旨申し上げました。

 国家公安委員会としては、できる限り速やかに必要な取り組みがなされるよう警察庁を指導してまいりたいと思います。

 以上です。

平沢委員 松原大臣、いいんですけれども、松原大臣ですから、そんなメモを読まないで御自分の言葉で言ってくださいよ。それは恐らく事務方が。松原大臣らしくない。自分の言葉で言ってくださいよ。

 では、松原大臣に聞きたいことは山ほどあるんだけれども、最後に、御自分の言葉で言えることを質問しますので。

 拉致問題について、記者会見でこういうふうに言われています。最初は大きな進展があった、その後なかなか進展がない、一つは、この十年間の総括をきちんとやっていく必要がある、そうした中で、どういうことが有効か今後真剣に検討していきたい、早い段階でそういったプランを考えていきたい、こういったようなコメントをされています。

 確かに拉致問題というのは、二〇〇二年の小泉訪朝、そして二〇〇四年の五月、七月に御家族が帰国された、それから実質的な進展というのは全くないんです。日朝協議も、二〇〇八年の八月以降、全く閉ざされたままなんです。拉致問題についての具体的な進展は、ともかく、二〇〇四年の七月、曽我さんがインドネシア経由で日本に帰ってこられて以降、具体的なものは何もないんです。

 今度は御自分の言葉でお願いしますよ。これは何が原因で、今後どうしていったらいいか。あの国はああいうことなので、それは向こうが問題があることはわかっているんです。その問題のある国を相手にして、一日も早く解決しなければならない。時間との勝負の面もあるわけです。どうしたらいいのか、松原大臣。

松原国務大臣 拉致問題がこの十年間、非常に、進展がこれといって見られなかったことは事実だろうと私は思っております。

 昨年十二月に金正日国防委員長が死亡したことを受けて、新しい北朝鮮の体制が生まれたことにより、私は、この拉致問題において進展の可能性がある、このように思っておりまして、私の立場からは、あらゆる接触を行い、そしてその解決に向かって進めていきたい、このように思っております。

平沢委員 拉致問題は、いろいろな接触ももちろんあれですけれども、結果が全てなんですね、これは。結果ができなければ、幾ら交渉しても、幾らいいことを言っても、何にもならないんです。結果が出なければ何の意味もないんです。

 相手が相手だけに、結果を出すということは大変に難しいわけですけれども、松原大臣は、結果を出すことにこれから全精力を傾けていただきたい。その自信、自信といったってこれは相手があることですけれども、その決意のほどをもう一回聞かせてください。

松原国務大臣 拉致に関して、私は、さまざまな場面で北側に対してメッセージを発しているつもりであります。

 先般も予算委員会で申し上げたのは、野田総理が、日朝国交正常化という議論も含め、拉致問題が解決しない限りあり得ないということを明言し、私は、関係者の方々がおられなくなったときに拉致問題は永久に解決できなくなる、そのことはどういうことを意味するかというのは、総理の発言と文脈をあわせれば明らかであると。こういったメッセージも出しながら、時間がないのは双方でありますが、関係者がいる間にしか解決はできない、それは風化するということではなくて、永久に日朝の溝として残るということをメッセージとして上げております。

 こういったことを含め、きちっとしたメッセージを北側に届けて、解決に向けて頑張っていきたいと思っております。

平沢委員 松原大臣にはぜひ頑張っていただきたいなと思います。

 きょうは、もっと通信傍受も含めていろいろお聞きしたいと思ったんですけれども、これはまた別の機会に松原大臣にお聞きしたいと思いますし、官房長官、また別な機会に、村木さんの問題ですね。村木さんについて処分が出されましたけれども、あの問題についてお聞きしようと思ったんです。きょうは時間がないのでここで終わりますけれども、また次回にさせていただきたいと思います。官房長官、ありがとうございました。

荒井委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党の衆議院議員、竹本直一でございます。

 私は、自民党内でシャドーキャビネットの内閣府担当大臣ということになっておりまして、金融、経済財政、拉致問題、国家公安委員会等を担当しております。多岐にわたりますが、きょうは時間が余りありませんので全部は触れるわけにいきませんが、私が今一番緊要と考えている問題について触れたいと思います。

 なお、この間、スイスのダボス会議で、ゴードン・ブラウン、前のイギリスの首相が主宰しているパネルディスカッションに出ましたら、私を呼ぶのに、シャドーキャビネットの竹本直一さんと呼びました。なるほど、イギリスはシャドーキャビネットが定着しているんだなという、それぐらいの知識は多少ありましたけれども、そんなに定着しているとは思わなかった。私、国内でそんなことを言われたことが余りありませんので。まあ、そういうことであります。

 さて、本論に入ります。

 まず、今回、九州において暴力団の対立抗争や民間企業襲撃が相次いでおりまして、指定暴力団の中でも対立抗争の激しい組織や市民に危害を加える組織を新たに特定暴力団と指定する基準をつくりまして、約二十年ぶりに罰則を引き上げるなど、改正暴力団対策法が先日閣議決定されました。

 私のところにも福岡県知事が来られまして、ぜひ早期成立をお願いしたい、こういうことを言って帰られました。本当にそのとおりだと思います。しかも、福岡県では、暴力団のために一人の人が命を失うなどということであります。こういう危険かつ不安を与える事態が起こっていたのでは、とてもとても放置できないことであります。

 私としても、一日も早いこの法案の成立を期待するのでありますけれども、松原国家公安委員長の見解を問いたいと思います。

松原国務大臣 お答え申し上げます。

 近年、暴力団との関係遮断を図ろうとする事業者に対する襲撃事件が発生し、また、九州で継続している対立抗争で一般市民にも危害が及ぶ事件が発生するなど、暴力団は市民生活に対する重大な脅威となっております。

 今回の暴力団対策法改正案は、こうした暴力団の危険な行為を抑止し、暴力団排除活動に取り組まれる住民や事業者を初めとする市民を守るために大いに役立つものと考えており、私としても、この法律案が今国会でできる限り早期に成立するようにお願いを申し上げます。

竹本委員 内閣府は、平成二十三年三月三十一日の中央交通安全対策会議におきまして、第九次交通安全基本計画を策定いたしました。その中で、交通死亡事故数の目標を三千人に設定したわけでございます。

 私は、実は、十五年前から我が党内において交通安全議員連盟という組織をつくっておりまして、当時は、最初発足したころは一万人を超えておったわけでありますけれども、昨今はその半分以下にはなってきたんですが、さて、それを三千人まで下げるというのは大変な努力が必要になると思います。

 高齢化が進んでおりますので、お年寄りの交通事故防止が一番重要なポイントになると思うんですけれども、現場で、この計画、具体的に三千人を切るところまでいこうと思うと、どういうことを対策として考えられておられるのか、交通局長、お答え願いたいと思います。

石井政府参考人 第九次交通安全基本計画におきましては、交通事故死者数については、平成二十七年までに三千人以下にするということを目標にしておりまして、計画初年度である昨年の交通事故死者数は四千六百十一人と、前年比二百五十二人、五・二%の減少となっております。

 しかしながら、第九次交通安全基本計画に掲げられました目標を達成するためには、今後、毎年前年比約一〇・二%ずつ交通事故死者数を減少させていかなければならないことから、その達成は容易なものではないと認識をいたしております。

 警察といたしましては、当該目標を達成するため、関係機関、団体と連携して、各種対策を強力に推進していく所存でございますが、委員御指摘のとおり、その中で、高齢者対策というのが大きなポイントとなるものと思っております。

 警察におきましては、高齢者が被害者となる交通事故の減少に資する対策といたしまして、地方公共団体を初めとする関係機関、団体と連携した交通安全教育、歩車分離式信号を初めとする交通安全施設の整備、最高速度時速三十キロの区域規制の実施、路側帯の設置、拡幅などを内容とする生活道路対策を推進しているところでございます。

 また、高齢運転者が当事者となる交通事故の減少に資する対策といたしましては、七十歳以上の者に対する高齢者講習、七十五歳以上の者に対する講習予備検査、認知機能検査及びそれに基づく高齢者講習、申請による運転免許の取り消しなどを推進しているところでございます。

 いずれにいたしましても、第九次交通安全基本計画に掲げられた目標を達成し、世界一安全な道路交通を実現するために、今後とも、関係機関、団体と連携をして、積極的に各種対策を推進してまいりたいと考えております。

竹本委員 ありがとうございました。

 もう一点お聞きしますが、この死者数は、事故後二十四時間以内に死亡した方の数だと認識しておりますが、交通事故で一カ月以内に死亡した方の数はどういうふうになっているのか、お知らせください。

 そして、ちょっと要請をしていなかったんですけれども、交通事故の被害者、傷害を受けた方、それがどれぐらいの人数がおられるか、概数で結構ですが、答弁をお願いしたいと思います。

    〔委員長退席、田村(謙)委員長代理着席〕

石井政府参考人 御質問ございました三十日以内死者数について御説明申し上げます。

 平成二十三年中の三十日以内死者数につきましては、五千四百四十九人で、前年比マイナス二百九十六人、マイナス五・二%という数字になっております。

 それから、負傷者数に対する御質問でございますけれども、昨年中の交通事故の死傷者数につきましては、死者と負傷者数の合計でございますけれども、死傷者数につきましては、八十五万九千百四人で、前年と比較いたしますと、四万一千九百六十七人、四・七%の減少となっているところでございます。

竹本委員 今お話しのように、八十九万というと、人口の約一%に相当するわけですから、これは大変な数字でありまして、百人に一人は必ず交通事故でけがをしているということでございます。

 ぜひ、交通安全に当たられる役所の方は、十分認識はしておられると思いますけれども、何とかこの災害を防止できるようにさらなる努力をしていただきたいと思います。

 官房長官、お待たせいたしました。

 実は官房長官にお聞きしたかったのは、日本国として対外的に発した数字に政府内でいろいろなそごがあるのは非常に問題があるというふうに私は思っております。そういう意味で幾つか申し上げたいと思うんですけれども、簡単な話ですが、温室効果ガスの話なんです。

 京都議定書では、九〇年比六%減ということで、達成年が二〇一二年になっています。そして、鳩山さんが総理大臣のとき、国連で二五%ということを言いましたよね。これも九〇年比なんですね。全然数字が違うんですよ。対外的に発したメッセージ、一方は国際約束ですけれども、こういうのをそのまま放置しておいていいのか、こういうふうに思います。

 もっとわかりやすい例でいいますと、普天間問題がそうですね。もともと、地元の小学生にヘリが落ちて危ないから、普天間をちょっとほかへ移設してくれということでアメリカに頼んで、辺野古に移転することを協定しました。ところが、その後、県外に移転するということを鳩山さんが言った、こういうことです。そうしますと、行ったり来たりやっておって、アメリカにすれば、一旦約束したのをどうするんだという気持ちだろうと思うんです。

 ですから、この温室効果ガスの問題についても、一体どういうふうに今の政府は捉えているのか。

 つまり、鳩山さんの発言の後に東北の大震災がありました。だから、なかなか難しい問題があるんだと思います。だから、これの改定を検討しているとか、そういうメッセージを発しておかないと、日本はどちらを目指しているのかというのがわからない。皆さん方の消費税値上げ云々で党内が二分しているのは、それは国内問題だからいいですよ。だけれども、対外的に発したメッセージがころころ変わるのは極めて日本の信用を失うと私は思っております。

 内閣のお守り役である官房長官に、この点についての考え方をぜひお聞きしたいと思います。

藤村国務大臣 今おっしゃる点はよく理解できました。つまり、いつを基点にどういう数字を、やはり統一してきちんと整理しなさい、こういうことだったと思います。

 温室ガスについては、現時点では、全ての主要排出国が参加する公平かつ実効性のある例の国際的枠組みの構築と、それから意欲的な目標の合意を前提とした温室効果ガス二五%削減目標というのを別に取り下げたわけではなく、この目標には変わりございません。

 特にエネルギーの問題でいえば、地球温暖化について、我々の方は今、エネルギー・環境会議というものを設けまして、ここで、エネルギー政策と、さらに表裏一体で検討している温室効果ガスの問題など、この夏には、これらの選択肢を示して、国民的議論を経て決定することとしたいと思いますが、その際に、わかりやすい、きちっとした基準をもっての数字を示しなさいということを十分に検討してまいりたいと思います。

竹本委員 まさにそのとおりでありまして、海外へ発するメッセージは、公のものとしては一つでなきゃいけない。もしそこにそごがあるのであれば、こういうことで再検討を加えているとか、あるいはこのように考え方を変える予定であるとか、そういうことを言ってあげないと、日本政府の言うことは信用ならない、こういうふうになりかねないものですから、官房長官にお答えいただきたいということでありました。

 私の官房長官への質問は以上であります。お帰りいただいて結構です。

 さて、経済財政についてお聞きしたいと思います。

 今、多くの借金を背負います日本にとって、低金利で安定的な国債償還を可能にした要因の一つに、経常収支の大幅な黒字が挙げられるわけであります。

 日本の経常収支は、かなりの期間、大幅黒字を続けてきております。一九七九年と一九八〇年に、石油価格の上昇によって経常収支が一回赤字になったことがありますが、それ以後は黒字をずっと続けてきました。しかし、今回、二〇一一年ですか、経常収支は黒字ではありますけれども、貿易収支が赤字になったわけであります。三十一年ぶりということであります。

 日本は、こういう状況の中で、これからどのように経済運営をやっていくのかということについてお聞きをしたいというふうに思います。

 経常収支の黒字は、釈迦に説法ですが、大まかに言って、貿易収支と所得収支のプラス、足した数字によって経常収支が出てくるわけであります。今回は、貿易収支が赤字でも所得収支が大幅な黒字であるから全体として経常収支は黒字、こういうことなんですが、古川大臣、我が国の貿易構造のあり方として、今回、これはどのように展開していると見ておられるのか、あるいはこう持っていきたいという考え方があるならば、ぜひ聞かせていただきたい。

 つまり、私が聞きたいのは、日本は貿易立国と言われてきました。だから、貿易はずっと黒字だったんですね、三十年間。だから、それが赤字になっても、所得収支で大幅な黒字だから、トータルとして経常収支が黒字になればそれでいいと考えるのか、あるいは両方とも黒字であることが望ましいと考えるのか、その辺のところを聞きたいということです。

古川国務大臣 これはやはり基本的に、貿易収支についても経常収支についても、ともに黒字を維持するのが好ましいというふうに考えております。

竹本委員 私の質問がちょっとよくなかったんですかね。両方できれば、それは私もそれでいいと思うんですけれども、なかなか難しい局面があるのではないか。

 つまり、一一年、昨年の貿易赤字は、高額な原油を、震災もありましたから、どんどん、相当のお金を使って原油、天然ガスを輸入しなきゃいけない。それで、輸入が一二%も伸びているんですよね。輸出はそんなに伸びていない、数%ということでありますから。だから、結果として輸入が輸出を上回ったために赤字になっているんだと思います。だから、臨時的な要因ではないかという考え方もあり得ると思うんですが、そういったことについてどう考えておられるかという質問です。

古川国務大臣 その点については、委員御指摘のとおり、昨年の貿易収支の赤字に転じたことについては、これはやはり一時的な要因が大きいのではないかというふうに考えております。

 今御指摘があった原油価格の高どまり等によります輸入価格の上昇や、また原発の稼働率低下に伴う鉱物性燃料の輸入量の増加、またさらには震災の影響や海外景気の減速などによります輸出量の減少、こうしたものが折り重なって貿易収支は赤字になったというふうに考えております。

 ただ、その要因を考えてみますと、原油価格の高どまりによります輸入価格の上昇や、震災の影響や海外経済の減速によります輸出量の減少というものについては、これは構造的とは言えないんじゃないか。ですから、これは今後の情勢によってやはり大きく変わる部分ではないかというふうに思っております。

 それで、ことしの見方については、去年の、かなり大幅に輸出が減ったとか、そういうような特殊要因を除いていくと、今のところ、見ていると、ことしはまた黒字に戻るのではないかというふうに考えておりますけれども、現時点で、この貿易赤字になった状況が今後ともずっとそういうふうに続いていくかどうかということは、必ずしも言えないのではないかというふうに考えております。

竹本委員 高齢化社会になって、人口も減っていきますから、日本からいろいろなものをつくっても、円高の問題もこれありで、なかなか価格競争力がない。そうしますと、基本的に輸出が伸びないだろうと思うんです。

 それでは、先ほど、両方とも黒字がありがたいという話がありましたが、我々もそうですけれども、どういう工夫を考えておられるのか。

 ある企業の経営者に聞きましたら、こういうことを言っていました。つまり、この会社は、生産の八割を海外でやって、二割だけ国内に残している。そして、払い得る賃金の支払い比率で見ると、国内が六〇%で海外が四〇%。まあ、それはそうでしょう。賃金が安いんだから、海外の賃金比は少なくて済む。そうすることによって国内の雇用を維持しているんだ、こういう考え方を述べておられました。なるほどなと思って、ほかの企業にも聞いたんですが、大手ですけれども、やはりそういうことをやっておられるということでありました。

 ですから、国内の雇用を守りながら、ということは、輸出をある程度黒字に持っていきながら国家運営をするには、やはりそういう工夫も必要だろうというふうに思うんですが、いかがですか。

古川国務大臣 お話にありましたように、やはり、貿易収支を黒字に保つためには、さまざまな工夫をして輸出を維持する、また、新たに輸出できる部分を拡大するということをしていかなければいけないんだと思っています。

 昨年の年末にまとめました日本再生の基本戦略におきましても、アジアを中心に市場が広がっているわけでありますから、アジアの伸び行くマーケットを取り込んでいく、ここの部分に日本が輸出していく余地というのは相当あるんだと思うんですね。

 例えば隣の韓国、今、日本にとっては競争相手として大変強敵になっておりますけれども、しかし、韓国の、日本と競争になっているところ、中身を見てみますと、製品の中の部品は相当日本からの輸出に頼っているという部分もあるわけですね。ですから、アジアが伸びていく、それでアジアの中でまた企業が成長していけば、そこへ部品を供給していくとか、そういった部分で日本の強みというものはやはりあるんだと思います。

 またさらに、先日、私、ちょっと秋葉原に行きまして、秋葉原の電気店、昔からある日本の電気店にちょっとお邪魔をしましたら、海外から来る人が見て、日本に来て買いたいのは何かというと、メード・イン・ジャパンの。メーカーが日本のメーカーであっても、それはメード・イン・マレーシアだとかタイランドとか。そうじゃなくて、やはり買いたいのは、メード・イン・ジャパンのが買いたいというふうに言われるそうなんですね。

 ですから、そういった意味では、日本の国内でつくるものに対する、製品に対する信頼というのはやはり非常に高いわけでありまして、そういったことを考えますと、例えば、オンリーワンの技術である、日本の国内でしかできない、あるいは非常に付加価値の高い、そういったものは日本の国内にしっかり維持していく。

 また、新成長戦略の中で、特にグリーンイノベーションやライフイノベーション、そうした分野のイノベーションを推し進める、また、新たな市場を拡大していくということを目指しておりますけれども、こうした分野でも日本の高い技術力で新たな製品等を生み出していく。

 それは、ほかの途上国などでできないそうしたものを生み出せば、まさにこれもまた新たな輸出の産業になっていくわけでありますから、そうしたさまざまな努力を行って、もちろんトレンド的には、今委員がおっしゃったように、海外に出ていかなきゃいけない部分、いわば役割分担をしなきゃいけないそういう産業も出てくると思いますが、それにかわる産業を生み出していく。また、付加価値が高くて、国内にないといけないんだ、日本でつくるということに意味があるんだ、そういう産業分野をふやしていくということによって貿易収支を少しでもいい状況に持っていくように努力をしていきたいというふうに考えております。

竹本委員 そのとおりなんですけれども、結局、日本のブランドを大事にしなきゃいけない。それには、バリューをもっと見つけさせて、そして、それを高く、価格を維持しながら利益につなげるということが必要だろうと思います。

 ただ、企業もそういったことだけにこだわり切れない問題がありまして、例えば日産なんかは、マーチか何か、小型車をタイかどこか、東南アジアでつくったものを、国内販売用のものを日本に輸入して国内で販売する、こういう記事がこの間出ておりましたけれども、やはり、コストを考えるとだんだんそうなっていくんじゃないかというふうに思います。

 ですから、やはり、政府としては、日本ブランドをどう維持するかということについて、常に細心の注意を払っていただかなきゃいけないというふうに思います。

 その点、アメリカの、全部じゃないですけれども、例えば通信機器業界では、アメリカでつくったものを、例えば中国で生産させるにしても、アメリカの名前は絶対使わせないという方針でやっているという話を聞きました。それぐらいのことをしないといけない。

 逆に、ベトナムに行きますと、あらゆるオートバイにホンダのマークだけつけるんですね。ホンダに乗っているということが誇りなんですね。実はホンダじゃないんです。それぐらい日本ブランドというのは信用があるわけです。だから、やはり大事なものをうまく利活用していかないといけないんじゃないかと思います。

 貿易収支の問題はそういうことですが、他方、資本収支の点で、資本収支も悪くなるということなんですけれども、経常収支の黒字がいつまで続くかということについて、経済評論家のいろいろな論説を読みましたら、二〇一五年ぐらいにはもう赤字になるという予想をする人も数名います。

 こういう予想がある中で、赤字じゃやはり困るから、黒字にするために、今度は、資本収支、外国に対する資本の投下、それによって収益を日本に還流させるわけですけれども、それについて、政府として心得べきことは何かということについてお聞きをしたいと思っております。

 つまり、物を売ることによって稼ぐ国から、資本の活用によって、投資によって稼ぐ投資立国にだんだんなってきているということはある意味ではいいことなんだと思うんですけれども、それをきちっと継続させるためには政府としてはどういうことを考えておられるか、お答え願いたいと思います。

    〔田村(謙)委員長代理退席、委員長着席〕

古川国務大臣 お答えいたします。

 まさに委員御指摘のように、やはり日本にあるお金をしっかり投資して、そこから収益を稼いでいくということも極めて大事なことだと思います。

 ただ、同時に、これは、投資するためには、いわば稼ぐ部分というのは、今まで貿易によって稼いできた部分があるわけでありますから、そういったものを今後とも、投資をするいわばその原資を獲得するためにも、それはやはり貿易で稼いでいく部分も大事だということは御理解をいただきたいと思います。

 その上で、今、外国への投資、むしろこの円高の局面の中でこれを活用して、海外への投資も積極的に促進をしていこうということで、これは逆に円高のメリットを生かす、そうした考え方で、海外での資源獲得であるとか、あるいはMアンドAを促進する、円高への総合的対応策の中でそのためのさまざまな対応をとっております。

 私は、日本はお金がないわけじゃなくて、なかなかそのお金がうまく活用されていない部分が国内でもあって、もっともっとそれはやはり海外へも、活用して投資をしていく必要があるんだと思います。そういった意味では、政府としても、民間のそうした取り組みがもっと盛んになるように、そういうサポートをしていきたいと思っております。

 さきにまとめました円高への総合的対応策の中での、例えば円高対応のための外為ファシリティーなど、まさに民間の海外でのMアンドAとかそうしたものをやりやすいような、そういういわば呼び水にするような形の政策をとっております。

 今後とも、やはり投資の主体は民間でありますけれども、その民間の海外での投資を盛んにさせるような、そういう呼び水になるような、そうした政策をとってまいりたいというふうに考えております。

竹本委員 日本は、一千四、五百兆円の金融資産を持っていると言われていますね。それで、お金があるんですけれども、その運用の先が、運用の宛先が国内にないわけです。ですから、この金が海外、例えば外国の投資信託に投じられて、円キャリートレードとか云々で外国へ投資されてしまっている。

 そうしますと、その金を受け取った外国の、ヘッジファンドも含めて、いろいろな資金運用者は何をしているかというと、この人たちが逆に日本の株を買っているんですよね。ですから、日本の株式市場は六割以上が外国人が買っている。ですから、変な話、自分のところの金で外人が運用して、外人がもうけて、そして何となく日本の株式市場が支配されているような雰囲気になってきているんですよ。

 これは何でこんなことになったか。やはり国内に運用先がないからなんですよ。運用先をつくってあげればいい。例えば、日本は、住宅は世帯の一割以上は余っています。余っているんですが、ろくな住宅がないというか、まだまだ住宅資産としては極めて不十分であります。ですから、二百年住宅というのを福田政権のときにやったんですけれども、あれも徐々に、少しずつですが歩み出しておりますけれども、もっともっとあれを活発化するような、住宅に対して投資したら減税をしてあげるというと、ほかへそのお金が出ていかないで国内の住宅に投資される、そうすると国内で運用される、こういういい循環ができるんですよね。住宅に限る必要はないですよ。福祉関係でも結構ですよ。

 だから、投資にインセンティブを与えてあげないと、せっかくの持っているお金が外国人の金もうけに使われているというのが現実なんですよ。この現実に対してどう見られますか。

古川国務大臣 議員おっしゃるように、国内にあるお金が、なかなか国内の、本当にお金が回っていない部分もあると思っています。

 ですから、さきに、国家戦略会議での議論を踏まえて成長ファイナンス推進会議というものを設けて、要は、日本の国内の中で、これは国内だけじゃなくてアジア・マーケットなんかもちょっと考えておりますけれども、お金を活用して成長の可能性がある部分あるいは本当にお金を必要としている部分、そういうところに流れるような仕組みを考えていこうということで閣僚会議をつくりまして、今週からでも、そのもとの政務官レベルの実行会議をつくって、具体的に取り組む議論をしていこうというふうに思っております。

 問題意識は全く委員と同じでございますので、少しでもそうしたところに、やはり国内の中でお金が回るようにしていく、そうしたことを考えていきたいと思っています。

 あともう一つ、私が今委員の御意見を聞いていて思いましたのは、多分委員も同じような感じじゃないかと思いますが、やはり日本の投資家が自分で、いわゆる目ききというんですか、そういう人たちも育てていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。

 結局、自分で投資先が判断できないので、外国の人に渡して、その人がいわば投資先を決めるみたいなところがあります。やはりここの部分は、もう少し国内の中で目ききがいて、そして自分たちの判断で、そんな外国の運用会社なんかに頼らなくても自分たちで投資のできるような、そういう人たちをきちんとつくり出していかなきゃいけないんだと思います。

 今、AIJの問題がありますけれども、ああいう非常に無責任な、そして能力も、これはしっかりこれから調べていかなきゃいけないと思いますけれども、いいかげんな運用が行われている。やはりこの辺は、もう少し本当にちゃんと信頼のできる、そして、非常に専門的な知識を持った運用のできる人たちというものを育てていくことも国内では急務ではないかなというふうに思っています。

 そういったところも含めて、国内の中にあるお金が国内の中で本当に循環がされるような、そして、そのお金が回ることによって新しい成長が生まれてくるような、そういう循環をぜひつくっていきたいというふうに考えております。

竹本委員 渡しましたこの資料、日米欧のマネー統計というのをちょっと見てください。

 日本とアメリカとユーロ圏の比較なんですけれども、日本のグラフで見ますと、一番上がマネタリーベース。マネタリーベースというのは、日銀券の発行高と当座預金の残高、この両者を合計したものであります。そして、その下にマネーサプライ。これは、日銀券の発行高に預金通貨等が入っておる、いわゆる民間銀行の預金残高です。

 この比較で見ますと、要するに、我々が、日本は景気が悪い、何とかこのデフレを脱却しろ、日銀頑張れ、こうやっています。そうすると、結果としてマネタリーベースが上へ上がっていくわけですよ。そして、本来ならマネーサプライも上へ上がっていかなきゃいけないんですが、一番問題は、その下にある銀行貸し出しなんですよ。これとマネーサプライが大きく乖離しているんですよ。これを見ていただくと、日本の銀行貸し出しはぐっと下でしょう。

 ところが、アメリカですと、銀行貸し出しがマネーサプライの上に出ている。銀行がどんどん貸しているということですよ。また、あの景気の悪いユーロ圏にしても、マネーサプライが、わずかですが、少なくとも銀行貸し出しとほぼ同じような方向をたどっている。日本だけが大きく乖離している。

 日銀が幾ら努力したって、民間のメガを初め銀行は、全然経済の活性化のためにお金を役立てていないということなんですよ。これがやはり一番問題。これは金融庁も責任があると思いますよ。

 だから、中小企業なんか、今、金を借りようとしても、メガなんか貸さないじゃないですか。それで結局、商工中金とか、いわゆる経産省系の、政府の融資、保証に頼っている、これが現実ですよ。ですから、この現実をどう見られるか。

 私は、ぜひ日本のマネーでも、銀行貸し出しのブルーの線が上へ上がるような努力をもっともっと政府としてやるべきだと思いますが、いかがですか。

古川国務大臣 私も、戦後の日本の経済復興の過程を考えてみますと、例えば私の地元のトヨタなんかは、戦後、非常に経営が厳しかったときに、当時のたしか住友銀行だったと思いますが、厳しい中で、リスクを覚悟でお金を貸してくれた。そのことによって厳しい局面を乗り越えて、その後の発展があった。ですから、そういった意味で、戦後復興の中で金融機関が果たしてきた役割というのは非常に大きかったんだと思います。

 しかし、それがここのところ、やはり銀行は非常にリスクをとることに萎縮をして、なかなかお金を貸さなくなっている実態があると思います。

 一方で、大企業の方は、御存じのように、今、逆に、キャッシュフローがたくさんあって、銀行から借りる必要はないというような状況になってきている。御指摘にあったように、本当にお金が必要な、例えばベンチャー企業であるとかあるいは中小、そういったところは、リスクがあるからというので銀行が貸してくれない。本当にお金が必要なところにお金が回らないでいる、そういう状況があります。

 銀行も、貸出先がないものですから、ほとんどそれを国債購入に回すというような状況になっている。この悪循環を何とかやはり断ち切って、お金が回るような仕組みをつくっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 だからこそ、先ほど申し上げましたけれども、成長ファイナンス推進会議というものをつくって、何とかお金が回るような、日本はお金がないわけじゃなくて、お金がきちんと動いていない状況にありますから、それを何とか回すような状況をつくっていきたいというふうに思っております。

 先日、私、全銀協の会長ともちょっとお話をさせていただきました。全銀協の会長も、やはり成長マネーを供給していかなきゃいけない、そういうことについては認識を共有させていただきました。

 そういった意味では、ぜひ、銀行の方も、やはりこれからの成長産業とかが伸びてこなければ、将来、銀行はどうやって収益を上げていくのかということもあるわけでありますから、やはりそういった意味では、銀行にも、日本の将来の成長産業をつくり出していく、その責任を果たしていただきたいというふうに私は考えております。

竹本委員 考えていただいているのは結構なんですが、ちゃんと実行してくれないと困るんです。現実にこの幅を縮めないと意味がないですよ。日銀がかわいそうですよ、こんなの。

 ですから、本当にどういうふうに工夫して、銀行をそうさせるか。私に言わせれば、やはり銀行は逃げ道があるんですよ。国債という逃げ道。ですから、〇・一%で預金をさせて、それを国債で〇・九%の運用をしても、大きくもうかるわけでしょう。日銀からお金を〇・一%で貸してくれる。それを一・六%で民間企業に貸す。左から右で何十億と金が入るわけですから。

 そこまで優遇しておいて、優遇してやっているメガが全然中小企業に貸さないという現実、これを何とかしないと、いつまでたったって、日本の大きい経済問題、中小企業問題というのは解決しないと思うんですよ。それは声を大にして言っていただきたいなと思いますが、いかがですか。もう一回、お願いします。

古川国務大臣 認識は私も全く委員と同じでありますので、私もできる限り努力をしてまいりたいというふうに考えております。

竹本委員 岡田副総理に来ていただいていますので、ちょっと聞きたいと思います。

 冒頭、官房長官に聞きました問題も岡田副総理に聞こうかと思っていた話なんで、同じ認識を持っていただきたいと思いますが、年金問題なんです。

 年金問題について、賦課方式か最低保障年金などの議論の前に、徴収を徹底しなきゃいけないんじゃないか。それが十分できていないところが、年金問題に入る大前提として、一番大きい課題となっているんではないかと思います。

 年金を徴収する日本年金機構、旧社会保険庁はいまだにきちんとした徴収ができていません。国民年金では、ここ四年で徴収率が六%さらに低下していまして、未納率は四〇%に達しております。旧社保庁が把握する法人の数は、国税庁が把握する法人の数より八十万も少ないと言われております。

 きちんと徴収する仕組みをつくってから年金制度を設計するべきではないかと思いますが、いかがですか。

岡田国務大臣 まず、基本的な議論として、国民年金保険料の納付率の向上、あるいは御指摘の厚生年金の未適用事業所の把握、これを進めていくことが非常に重要な課題であるということはそのとおりでございます。

 御指摘のように、国民年金保険料の納付率は、平成二十二年度の現年度分で五九・三%ということで、二十一年度と比べましても、さらに落ちたということですから、大変厳しい状況にございます。

 国民年金の納付率の向上につきましては、一つは、制度が周知徹底していないということもあると思います。免除対象となり得る低所得の方々に対する制度の周知、勧奨の徹底を行うことも重要なことであります。それから、負担能力がありながら納付しない高所得者については、強制徴収を推進していく必要があるというふうに考えております。

 厚生年金が未適用となっている事業所につきましては、実は予算委員会などでも時々指摘をされることですが、若干過大な推計もあるかなというふうには思いますが、しかし、未適用事業所をきちんと把握して、把握した事業所に対する加入指導に取り組むことは重要でございます。

 私ども、ちょっとこれは遅いとは思いますが、平成二十四年度には法務省の保有する法人登記簿情報を入手できるようにし、その情報を活用して適用を進めることにしているということでございます。

竹本委員 実は、これは民主党政権だけのせいではないので、私もこの問題を担当したことがあるんですけれども、やはり、当時から未納率を下げるというのは極めて難しい問題でありました。しかし、完全に一〇〇%徴収というのは、今の制度ではなかなか難しいというふうに思います。

 ですから、仮にきちんと税を徴収できるようになりますと十兆円程度の増収、こうなるわけでありまして、今回、民主党が考えている、政府が考えている消費税値上げで十三兆円ぐらいでしょうから、ほとんど一%分の消費税値上げで済むという話にもなるわけであります。

 だから、やはり徴収をきちんとやるにはどうすればいいか。そうなると、やはり歳入庁をつくってやれという話にもなりますが、歳入庁をつくるかどうかという問題について、副総理の、岡田さんの考えを聞きたいと思います。

岡田国務大臣 今、浅尾委員もおられますが、十兆円というのは、私はかなり過大ではないかというふうには思っております。その議論はまた改めて、必要があれば御説明したいというふうに考えております。

 つまり、例えば厚生年金の保険料について言えば、厚生年金に加入することが免除されている事業者もございますので、そういったことをきちんとカウントしたときに十兆ということにはならないのではないかというふうに思っております。

 さて、御指摘の歳入庁ですが、先般、私のもとに検討するためのチームをつくりまして、検討作業、これは、大綱の閣議決定を受けて検討作業を開始したところでございます。

 今後、その作業チームにおきまして、一つは、国民年金保険料などの納付率向上にどの程度つながるのか、それから社会保険行政、税務行政全般の効率性確保に資するか、今後導入が見込まれるマイナンバー、給付つき税額控除、新年金制度等にとってふさわしい体制か、そういった視点を踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに思います。

 私の方としては、春ごろ、四月ごろに全体のイメージ的なものだけでもまず中間的に報告してもらいたいというふうに指示を出しているところでございます。

竹本委員 そろそろ時間がなくなってまいりました。

 最後に一つ、電力、エネルギーの問題についてお聞きしたいと思います。

 震災後に起きた問題の一つが電力問題です。福島第一原発事故をきっかけに原発が次々と停止いたしました。政府は、東京電力、東北電力管内の大口電力需要家に、昨年比一五%の節電を義務づける電力使用制限令を発動いたしました。また、余裕があると思われていた私の地元西日本でも、火力発電所の事故など予期せぬ電力不足に陥り、電力需給は全国的に逼迫しております。

 私どもの地元の中小企業なんかは、土日営業して水木を休みにする、そして、電力の使用のピークをできるだけ避けるために編成がえの努力までして生産をしている。そして、せっかくつくったものが円高のために売れないという、非常に苦境に陥っているわけですけれども、電力が十分でないということは、生産を押し下げることにもなりますし、日本の輸出をますます低く抑えることになるわけであります。

 そういうことで、原発の代役、火力発電の燃料費がかさむわけでございまして、大体三兆円ぐらい費用が増加したと言われますし、産業界全体でも七兆七千億の新たな負担が発生する見通し、こう言われております。

 やはり、エネルギーコストを安くするためには、私は、ストレステストを終えた、安全だと認定した原発施設は、せっかくある施設ですから、できるだけ早く使うべきじゃないかというふうに思いますけれども、それについて政府の見解を聞きたいと思います。

古川国務大臣 原発につきましては、この福島の事故も踏まえて、今、安全性の確認というものをやっているわけでございます。

 原発の再稼働の問題につきましては、やはり、安全性をしっかり確認した上で、地元の皆さん方の理解も踏まえ、御理解をいただいた上、最終的には政治判断をさせていただくという形に私どもは考えております。

竹本委員 これで終わりますが、今のをもう一度確認させていただきます。

 要するに、ストレステストでオーケーが出て地元住民の理解が得られれば、必ず再稼働させるのか、そこに政治判断がさらに加わるのか、それについて答えてください。

古川国務大臣 最終的には政治判断をさせていただくということであります。

竹本委員 終わります。

荒井委員長 次に、野田聖子さん。

野田(聖)委員 野田聖子でございます。

 私は、去る二月二十二日、予算委員会で、少子化対策について、中川大臣のいろいろなお考えを伺いたいということで御質問させていただきました。ただ、そのときは、同席された小宮山厚生労働大臣が大変ハッスルされまして、少子化担当大臣に御質問したいんだけれども、厚生労働大臣が真っ先に手を挙げられると、なかなか落ちついてさしの話し合いができなかったので、きょうは改めて、あえて、少子化担当の特命でございますから、厚生労働大臣としての少子化対策ではなく、やはり全日本の少子化対策担当の責任者というそのお立場から、いろいろと議論させていただきたいと思います。

 まず初めに、大臣にとって少子化対策とは何でしょうか。

中川国務大臣 この国の形というのを将来に向けて考えていくときに、やはり、国が活力を持って、そして新しい時代に生き抜いていくという中で、少子化問題というのは、その活力の源泉をつくり出していくためのあらゆる政策誘導といいますか政策的な手段というのを結集しながら、そして、その政策手段を、ただ政策として言っているだけじゃなくて、具体的に効果のあらしめるような形で実現させていきながら、この国の活力をつくり上げていくことだというふうに思っております。

野田(聖)委員 そういう大きな使命を抱いているわけですね。きょう、国家戦略の大臣がお見えですけれども、まさに国家戦略そのもので、むしろ、国家戦略を立てるに当たっての大前提になるのがこの少子化対策であるわけです。

 ちなみに、その大きな仕事をお抱えになる少子化担当大臣を支える国家公務員、役人の皆さんは、総勢何人のチームでいらっしゃいますか。

中川国務大臣 しっかり数えたわけじゃないので申しわけないのですけれども、後ろの事務方で聞きますと、大体、直接的には九人程度、こういうことなんです。

 ただ、例えば、私の担当している範疇でいきますと、男女共同参画であるとか、あるいは共生社会へ向けて、いわゆる社会包摂等々含めた領域であるとか、非常に総合的に今担当させていただいていまして、それは全て少子化対策につながっていく、あるいは、総合的な政策としてあって初めて少子化対策が生きるんだというふうに考えていくと、もっと大勢の職員がそれに携わっているということも言えるんじゃないかと思います。

野田(聖)委員 また、中川大臣は兼務でいらっしゃいます。

 実は、数日前の新聞に、前の閣僚であった片山総務大臣から御注文がございまして、防災大臣はやはり専任、兼務せずにそれを集中的にやってほしい、それだけの大きな仕事なんだというふうなことをおっしゃっていて、確かに、去る三月十一日の大震災以降、防災というのはこの国にとって極めて重要なお仕事であるということがよく国民にも理解されているわけであります。と同時に、それと同等の重要性を持っている少子化対策担当なわけですね。

 正直申し上げて、私自身は、それだけの仕事を担うだけの人もない、そして予算もない、ないない尽くしの中で、むしろ国民を欺くのではないかと。少子化担当大臣というのがいるからこれからの少子化はちゃんとやりますというふうに聞こえるけれども、実態はなかなか難しい。

 本当に少子化担当大臣が必要だと今思われますか。

中川国務大臣 思っております。

 同時に、新しい、子育てそして子供を対象にした、いわゆる法制化ということ、これがもう具体的な課題になっておりまして、ここのところをぜひ野党の皆さんとも、あるいはまた国民のそれぞれの関係者の皆さんの理解を得ながら法律として成り立たせていって、その中から新しい子育ての体系というのをつくり上げていく、これがもう具体的にプロジェクトとして今ありますので、そういう意味では、私も全力を挙げてこの仕事に向かっていきたいというふうに思っております。

野田(聖)委員 予算委員会のときに確認させていただいた折には、その極めて重要な仕事である少子化対策の担当大臣が約三カ月に一遍交代していると。

 かつて、野党でおられた民主党は、自民党の総理大臣が一年ごとでかわるということを大変厳しく攻撃されておられましたし、実際、政権をとられてからは民主党の方でも一年ごとに総理はかわっておられるんですが、総理は一年ごとにかわってもいいから、できれば、少子化対策担当というのは、非常に中長期の仕事ですから、やはりこれだけはずっと誰かがやり続けていかないと、とても今大臣がおっしゃったようなアンビション、志を果たすことは不可能だと私は思ってしまうんですね。

 そこで、では何ができるかというと、先ほども竹本議員の方からの質問で、岡田副総理に対して歳入庁の話がありました。つまり、先ほどの中川大臣の話を受けると、要するに、縦割りの中で達し得ない事業をやっていくとか、そういうことを実現していくということになるわけで、まさに縦割り行政を排除していくための一つの道具として、今私たちが省庁再編の武器として使っているのは、庁というものの設立なんですね。

 復興庁もそうだったはずです。つまり、国土交通省だけでもできない、総務省だけでもできない、だからそこを横串的につくって、政策としての復興を新しいエージェンシーでやろう、そういう発想。同じように歳入庁もそうなんだと思います。

 そして、今話題になっているのは、例えば宇宙庁とかスポーツ庁とか、一つの役所だけではもう間に合わないような、仕事がなされないような複合的な政策に対してエージェンシーという形で今新しい省庁再編が起きていると思うんですね。

 そういった意味で、少子化対策というのは、今まさに大臣がおっしゃったように、もう厚生労働省の枠内だけではとてもポジティブな答えが出せないというところに来ているからこそ、実は、民主党のマニフェストでは、子供、家族を対象にした子ども家庭省もしくは庁をつくるということで選挙を戦われた。

 ですから、特命大臣のお仕事というのは、なし遂げる、なし遂げるじゃなくて、なし遂げるための新しい一歩、例えば少子化対策のための新しい省庁再編であるエージェンシー、庁をつくるということが大きな仕事の一つではないかと思うんですが、これについては、予算委員会でも、いや、そういうふうにやっていくから、やっていくからと。やっていくからというのは言葉では流れていくけれども、実際、ないと、そこにやはり集中できないというのは事実なんですね。

 これに対して、もう一度、しつこいかもしれませんが、総合的な少子化対策のための新たな機動的なエージェンシー、庁、省をつくる、大臣としてお声を上げることはままならないんでしょうか。

中川国務大臣 方向性としては、同じ問題意識を持って私も進めていきたいというふうに思っています。

 実は、今回の子ども・子育て関連法案の中で、一つは、内閣府でそれを担当していくことが前提になっていくということ。それから、財源についても、子ども・子育て特別勘定のような形で、それぞれこれまで縦割りであった財源というのを一元化していくという流れ。それと同時に、子ども家庭庁のこれは芽出しなんですが、本部的な機能を組織として恒常的に持って、それをマネジメントしていくということからまず始めていく、それが発展しながら子ども家庭庁に結実をしていくということで、一つ、今、法案のシナリオがなっております。

 そういうことを前提にして、ぜひ、これから具体的に国会での議論を一緒にやっていただければありがたいというふうに思います。

野田(聖)委員 私は、先日、予算委員会で厚生労働大臣があんなに張り切った理由はそこにあると思うんですね。少子化対策というのは子育て支援じゃないんですよ。今、大臣がいみじくもおっしゃった子ども・子育て新システムというのは、いる子供対象だけの政策なんです。これは、厚生労働省がずっと従前からやってきた、自民党が与党のときからずっとやり続けてきたことなんですね。つまり、少子化対策は子育て支援じゃないんです。これがうまくいっていれば、当然、合計特殊出生率は上がっているはずなんです。

 実は、政府では、自民党の政権のときからですけれども、一九九〇年に一・五七ショックというのがありました。そこでようやく少子化対策をしなくちゃならないねということでスタートを切って、たくさんの制度やら政策をつくってきたんですよ。これに関しては与野党に反対者はなかったんですね。やるべきだ、やるべきだということで、当時の野党である皆さんも反対せずに、いろいろなことができてきた。一九九四年にはエンゼルプランというのができまして、五年後には新エンゼルプランとなり、どんどんできてくるんです。

 実は、与野党で合意して、少子化対策のために合計特殊出生率を上げましょう、一・五七からできれば二・〇七まで戻さなきゃいけないねという目安の中でいろいろな制度がつくられてきたけれども、基本的には全部不成功に終わっているんですね、合計特殊出生率を上げるという点では。

 それはなぜかというと、少子化対策を子育て支援と読み切ってしまった間違いがあるわけです。

 ところが、自民党政権、政権交代前の最後の大臣である小渕さんはそれに気がついた。子育て支援が少子化対策じゃないんだ、もっと結婚前、要するにゼロを一に変えることが少子化対策だとするならば、実際にある子供たちだけを支援してもこの国の少子化対策は改善されないということで、そういうチームをつくられて答えを出されたわけですね。

 これに対して、残念ながら、せっかく政権交代して、それを進めてもらえるかと思ったら、後戻りして、逆に、自民党政権のときに皆さんの御理解もいただいて進めてきたけれども、少子化対策イコール子育て支援という小さな枠の中で進めてきて功を奏しなかったところに、また戻ってしまった。私は、それが残念でならないんです。

 ところで、その新システムの中で自慢の一つであるこども園。これは、実は認定こども園というのがあるんですね。五年前につくられているんですね。五年たっているんです。去年、実は見直しの時期だったんですけれども、民主党政権になってからこれは見直しに着手をされましたか。

中川国務大臣 先ほどの御指摘はしっかり受けとめさせていただきたいと思います。

 子ども・子育て新システムというのを私たちは今回打ち出したわけですけれども、これが全てではない。小渕前大臣のころの政策も改めて読ませていただきました。結婚から始まって、それこそ委員も御主張されている、妊娠、出産、子育てから、もう一つはワーク・ライフ・バランス等々含めて、社会のシステムをつくっていくということがあって初めて効果が出てくるということ。改めてそうした思いを持ってやっていきたいというふうに思っております。

 認定こども園の話については、今回、総合こども園ということで、基本的には、いわゆる教育ということと保育ということが両立できるような形と同時に、それぞれの財政的な支給というのも、個人に対して財政の基盤をつくっていく、いわゆる社会全体で子供たちを育てていくというような基盤に立ったシステムに統一をしていこうということで、トータルな形で法案化をしておりますので、認定こども園の改めての検証というのはその中でやってきたということであります。

野田(聖)委員 事務方に確認していただければいいんですけれども、それでは、過去八人の少子化対策担当大臣が民主党政権で誕生したわけですが、過去、どなたか、認定こども園に視察に行かれた大臣はおられますか。

中川国務大臣 確認をしましたら、岡崎大臣ほか、何人かは行かれておるということであります。

野田(聖)委員 その大臣から申し送りがなかったのかもしれませんが、実は、この認定こども園というのは、親からは評判がいいんですね。私が聞きました話は、横浜市で大変優秀な認定こども園があって、そこに入りたいということで横浜市に引っ越しをされているという話もあるやに聞きました。

 ただ、認定こども園の弱点はむしろ経営者側の面倒くささにあって、会計が二つに分かれているとか、そういうところで設置するのにやりづらいんだけれども、実は、利用者である、ユーザーである国民からしてみると、認定こども園というのは使い勝手がいいという評判があるわけですね。

 そんなに評判がいいにもかかわらず、改めて新しくつくりかえなきゃいけないというのは、何となくお金の無駄遣いというか、政権交代したからやむを得ないと言ってしまえばそれまでですけれども、教育の連続性を考えたときには、余り国民の方に目を向けていないんじゃないかなという疑いがどうしても持たれてしまうんですけれども、それについて、もう一度だけお考えを教えてください。

中川国務大臣 見直すといっても、総合こども園というのは、認定こども園が使い勝手がいいところ、それこそ保育ということと、それから教育、幼稚園の機能というのを両方あわせた形で使っていただけるということ、これが一つです。

 もう一方で、これまで会計が別だったというところを一元化していって、これも一つのシステムにしていくような方向で誘導をしていくということがこの法律の核になっておりまして、そういう意味では相当使い勝手がいい形のシステムになっていくんだろうというふうに思います。

野田(聖)委員 非常に残念なのは、確かに、違う政権がやったことだから無視しようというのも一つですけれども、五年かけてでき上がった認定こども園というのを、きちっと俎上に上げて、それのメリット、デメリットをきちっと国会の中で議論もせず、似て非なるものかもしれませんけれども、うやむやのままに移行していくというのは、ある意味すごく行政の無駄遣いかなという懸念があります。

 今後、政権交代というのがこの国で明らかに起こり得る状態とするならば、その都度その都度振り回されるのが親の方になってしまってはかなわないわけでありまして、この辺はやはり慎重に取り組んでいただきたかったなという思いがあります。

 それで、実は、予算委員会の次の日、中川大臣のインタビューで、にわかに、これだけの少子化、高齢化に対応するために移民政策をしっかり議論しなくてはならないというので、私は大変驚いてしまったんですね。予算委員会で少子化を質問させていただいた次の日ですから、にわかにそういうふうに持ってきちゃうのかという思いが強くしたんですけれども、この真意についてちょっとお聞かせください。

中川国務大臣 記者会見では、もちろん少子化がまず第一だ、この対策を実現していくということでなければならぬという意味合いはしっかり言ったんです。

 その上で、実は、私が担当しているのは、さっき申し上げたとおり、この少子化問題だけではなくて、具体的には、外国人の労働者に対応する問題、難民の問題、それから定住外国人の問題、こういうものも同時に担当しています。それが一つ。

 その中で、それぞれ別個に議論しているんですけれども、こういう形でトータルな社会の構造と、それから、担当ということもあって、それを総合的に考えていくということ、これがぜひやっていきたいという前提。

 それからもう一つは、現状でも、例えば日系という名目で日系三親等までは日本に入ってきて、ブラジルやペルーのいわゆる出稼ぎで日本で働くというような皆さんが、もう既に三十万人近く日本に入ってきている。あるいは、研修という、それこそ国際貢献という名のもとに、三年間の期限を区切って、中国の皆さんが中心ですけれども、これも三十万人近く日本に入ってきている。そういうことがなし崩し的にもう既に日本の社会の現状の中にあるということを考えていくと、ここについてしっかりとしたいわゆる多文化共生社会の政策と枠組みをつくっておかないと、社会的に非常に混乱してくるという可能性があるということ。

 さらに、私も文部科学省にいたものですから、また別な意味で、例えば科学技術の日本の将来を考えていったら、日本の研究所だとか大学だとか、あるいは、そうした非常に付加価値の高い分野で、日本に行けば自分の能力が発揮できる、あるいは、日本で研究するということがすばらしいことなんだというような、そういう魅力のある国をつくっていくということに対する戦略も必要じゃないかということをずっと議論していたものですから、そういう意味で、なし崩し的な政策ではなくて、それを一つの秩序立てた考え方で、国民のコンセンサスもその中に入れ込みながら対応していくということが必要なんじゃないか。

 そういうことをトータルで言うと移民政策になるわけですけれども、そういう議論もそろそろ始める必要があるというその問題意識の中で申し上げたということであります。

野田(聖)委員 移民政策に対して排除するつもりはありませんけれども、少子化対策かというと、私は違うと思うんですね。経済的な労働力の充当とかそういうことで議論されることがあっても、少子化、つまり日本に住む子供たちの数が減っているから移民対策も考えなきゃいけないねというのは、ちょっとこれは話の順序が全く違うんじゃないか。

 むしろ、今までの日本は、一九九〇年以来、少子化対策の名のもとに、子育て支援しかしていなかった。他国、フランスや少子化を克服した国を見ると、何もかも変えるわけですね。文化を変えるぐらい取り組んだ結果、例えばフランスなんかも合計特殊出生率が一・六幾つぐらいを適正値の二・〇七まで引き上げるんですけれども、改善するためにありとあらゆる努力をしているわけですよ。だから、まずそれをして初めて移民政策の話をしていただきたいな。

 労働とかそういう分野でお話しするのは結構だけれども、少子化に対しては、まず初めに日本人ありきという発想で大臣が捉えていただかないと。

 移民政策をとってしまえば、極めて楽な場合もあります。例えば、アメリカというのは少子化対策の優等生なんですね。合計特殊出生率は二を超えていると思うんですよ。フランスと同じぐらい。でも、アメリカには、少子化対策はないんです、そういう政策が。つまり、常時移民をどんどん国に入れ込むことで、その人たちが全員アメリカ人になるわけですから。

 日本はそのような国土ではないし、そのような文化でもない。だから、やはり少子化を語られるときに軽々に移民の話を持ってくると、自助努力が全く発生しなくなるという危険性があるので、ぜひ御理解いただきたいと思います。

 そこで、では、どれだけ自助努力をしていないかということなんですけれども、自民党も、そして今の政権も反省しなきゃいけないのは、先ほど申し上げたように、少子化対策イコール子育て支援で思考がとまっちゃっているんですね。そうじゃなく、やはりゼロのところを一にしていく努力というのをしていかなきゃいけない。

 実は、フランスというのはそれをやったんですけれども、これは大変なことだと思うんです。つまり、婚姻制度をいじったんですね。日本のようにがちがちの厳格な婚姻制度にあった国が、やはり子供がふえないとこの国が滅びるということで、子供ができる条件を非常に緩和した。つまり、基本的に誰でも子供を産んで育てられる国家にしたわけです。

 これに対してどういうふうに思われますか。

中川国務大臣 そういう質問が出るだろうということを予想させていただいて、ちょっと勉強させていただいたんですが、PACSというシステムだと思うんですね。法定婚といいますか、法律でがちがちに結びつけた結婚ということの前に、前提として、事実婚的な部分を、一番大事な部分だけ、ということは、社会全体でそれを包み込みながら子育ても社会でやっていける、そういう弾力的なシステムをつくったことによって、子供をつくるということに対しての荷物の軽さといいますか、つくって前向きに子育てを楽しむということに対する思いというのが、結果として、恐らく相当醸成できるんだというふうに思います、見ていると。

 そういうことはいろいろな形で、日本のシステムを考える場合にも、これから議論をしていくということが大事だなというふうに思うんですが、もう一方で、社会のコンセンサスをそういう中でつくっていかなきゃいけないということがあると思います。

 先進的にそうした主張をしていただく野田委員には敬意を持って、私たちも、一緒にさらに進めていくような環境をつくっていくということ、いわゆる議論の場をつくっていくということ、これに尽くしていきたいというふうに思っています。

野田(聖)委員 実は、これは本当に日本特有の問題で、少子化対策は与野党を超えて問題を解決しなきゃいけない、子供を一人でも多く産んでもらえる社会にしなきゃいけないと言いながら、その阻害要因というのが、意外と結婚にあったりするわけですね。

 つまり、結婚をするに壁が、ハードルが高いというのかな、そういうことで、一つは、やはり婚外子についての理解がない。フランスとか、少子化対策の優等生という国々の子供のうちの半分は婚外子なんですね。つまり、正式な結婚をしていなくても、生まれた子供は国で差別しないよ、だから一生懸命産んで育ててくださいという国からの応援があるわけですね。でも、日本の場合は、やはり結婚制度が非常に厳格で、日本の男女も結婚制度に極めて忠実で、ですから、婚外子というのは、日本では一、二%しか生まれていないわけですね。

 そこら辺を、少子化対策を乗り越えるというのはきれいごとでは済まない。つまり、エンゼルプランから始まって、今回のシステムも、誰もが反対しません。どうぞどうぞ、これはいいことで、やりましょうと言ったけれども結果が出ないことばかりなんです。

 つまり、少子化対策で結果を出すためには、ある意味、今までの生き方と違うことを認めて、そしてブレークスルーしていかなきゃ、けんかをしなきゃ少子化対策はなし遂げられないということを他国はもう既に実証しているわけですね。

 そういうことをぜひ、何となく、すぐイデオロギーみたいに勘違いする人がいるんだけれども、そうではなく、本当にどうやってこの国を維持していくかということを考えたときに、やはり旧来型の文化で閉塞感がある中を変えていくのが政治の役割とするならば、中川大臣がそういうことに対して少し柔軟にお考えを持っていただくことは極めて重要だと思います。

 もう一つは、少子化対策というのは、働く女性がちゃんと子育てできればいいんでしょうみたいなところがあるんですけれども、実は、小渕ペーパーによりますと全然違うことが出てくるわけですね。

 子供が生まれなくなった理由というのは、実は、結婚して子供を産む人の数というのはそんなに変わっていないんですね、急激に。そこそこ産む努力はしてくれている。ところが、二つ問題があって、子供が少なくなった理由。一つは、やはり不妊の人がふえている。これはちょっと後で話します。もう一つは、晩婚化、そして晩婚化による晩産化なんです。

 だから、なかなか結婚しなくなったので、結婚しないと子供は産まないか産めない国なので、結婚をしなければ子供は出現しないんですね。なおかつ、遅くに結婚すると、たくさん産めていたはずが、やはり体力の限界があって産めないということもあり、そういうことについて実は余りきちっと触れていないんです。

 もっと申し上げるならば、その原動力になっているのが非婚化の進展、結婚しない、晩婚どころか結婚しないという現象がすごくふえてきている、とりわけ男性に。男性が結婚しなくなっているんですね。一九九〇年に、先ほど申し上げたようにエンゼルプラン、一・五七ショックで大変だということで始まったけれども、実は、その時点で男性五十歳時の非婚率は五・五%だったんです。女性の四・三%より多いんですね、そもそも。ところが、ここ十数年、二十年の間で、女性の晩婚率というのは二、三%しか上がっていないにもかかわらず、男性の非婚率というのが何と一五・六%。要するに、男性が結婚しなくなったというのがこの国の、ある意味新しい顔なんだと思います。

 これについて、先日予算委員会で、自民党政権になったら小泉さんをぜひ少子化担当大臣と言ったのは、一つにはやはり、少子化というのを子育ての枠組みとか女性の枠組みに閉じ込めてしまって、男性はそこから目をそらしているんじゃないか。でも、実際にデータを調べてみると、男性が、足を引っ張っているという言い方は悪いけれども、少子化をつくっている原因にもなっているということを、やはりもっと科学的に精査していただいて、これについての対策をとってもらいたいと思うんですが、それについて、男性の代表としていかがでしょうか。

中川国務大臣 草食系男子というか、日本の男性が草食系になってきた、よくこう言われますけれども、そうやってレッテルを張るんじゃなくて、さっきのお話でいくと、もう少し分析をしてみる必要があるんじゃないかということだと思うんですね。

 同じペーパーで見ていますと、一方で、女性が男性に期待をするところで特に所得というのがあるんですよね。これを見ていると、それこそ、四百万、六百万ぐらいの所得がないと私は結婚しないわよというような期待感があるんですが、実際、男性の方で所得分布を見ていると、やはり三百万を切ってしまう人たちがたくさんいる。同時に、いわゆる就労のあり方というのも、派遣だとかあるいはパートタイマーだとかというので、非常に不安定になってきているということ。

 これは言いかえれば、本当は日本の男性も結婚したいんだけれども、結婚できないんだ、女性をそこまで引きつける体力とそれから資力、それが鍛えられていないんだということ、これはもう一方でいえばシステムでもあるんだと思うんです。これは一例ですが、そういう分析をしっかりした上で、全体の社会システムをつくっていくということだと思います。

 その上でもう一つ言えば、さっきの子育てについても、そういう時代だからこそ我々は社会でシステムをつくって子供を育てていくというベース、安心感をやはり醸し出さないとだめなんじゃないかということだと思うんです。子ども手当ということを始めたわけでありまして、これも与野党の話し合いの中で今決着をしつつあるんですが、そんなベースはお互いしっかり認識しながら、新しい時代に向けた新しい社会構造、社会システムというのをつくっていくということ、これが本当に大事だというふうに思います。

野田(聖)委員 私がここで申し上げたいのは、くどいようですけれども、少子化対策は子育て支援だけではないということ、そして女性のライフスタイルの問題だけではないということ。本当にそういった意味では、今まで、男性がこの問題にキャッチアップできていないんですね、追いついていない。ここをやはり全力で取り戻すことがこれからの日本の国家戦略の一つであるということを強く申し入れたいと思います。

 そこで、ちょっと具体的な話になりますが、不妊治療という話をしたいと思います。つまり、少子化対策は、可視化できる、生まれた子供に対する政策だけでは子供がふえないから、当然、子供を産もうと努力している人たちに対しても、それと同じ、もしくはそれ以上の手厚い支援が必要だと思っています。

 実は、去る衆議院のマニフェストで民主党は、このことに関して、子ども手当をするに当たって、子ども手当だけでは、いる子供にお金を上げても子供はふえないから、今まさに不妊治療で頑張っている人たちに対してのもっと十分な手当てをしてほしいということで、恐らく当時の担当者がわかったと言って、インデックスに入れてあるんですね、不妊治療の拡充。

 ところが、私自身は、多少はあっても、子ども手当とてんびんにかけられるぐらいの不妊治療に対しての手厚い支援はなかったと断言させていただきます。

 先ほど申し上げたフランスにしてもそう、そしてノルウェー、こういう国々は、いわゆる体外受精に対しても、最初の四回とか最初の三回は全額国が支援します。そういうことをして初めて不妊治療の患者さんへのエールを送っているわけですけれども、ここでもちょっと男性の話に触れたいと思います。

 不妊というと、どうしても昔の人たちのイメージは女性に問題があるというふうに片づけてしまって、昔、嫁して三年子なきは去れという言葉がありましたね。結婚して三年子供が生まれなかったら実家へ帰れというのが、昔、ちょっと前までの日本の不妊に対するイメージですよ。ところが、医療の進歩のおかげで、実はもう最近は、不妊の原因の半分が男性にあるということが明らかになりました。

 そして、厄介なのは、男性不妊の場合は普通の人工授精ではなく、体外受精という、大変女性の体に負担がかかり、かつ費用が約五十万円ぐらいかかる、こういうことをしなければ男性に問題があった場合には子供が授からないということが起きているわけですね。

 私たちは、これに対して、ぜひ子ども手当で、幻でありましたけれども五兆ほどお金を積むという予定をされていたけれども、やはりこれから、努力をしている人、これは保険適用にならないんですね。不妊症というのは病気なのに、そういう治療に対して本当に保険の壁は厚く、対応にならない。何で、禁煙とかメタボに保険がどんどん使われるのに、こういう若い人たちが努力していることをこの国は認めてあげてエールを送れないのかなという非常に腹立たしいところがあるんですけれども、これに対して、ほぼゼロ回答に近い今日ですけれども、今後どういうふうなお考えを持っておられるか、教えてください。

中川国務大臣 これまで熱心な主張をしていただいて、一歩一歩といいますか、特定治療支援事業という事業を導入して、その額あるいはその条件というのは一歩一歩現実に、必要な資金に近づけてきていただいているということ、そのことを感謝申し上げたいというふうに思います。

 さっきの御指摘のように、これが法的に特定されないということから保険の対象になっていないという現実があるわけでして、ここのところを厚生労働省でずっと議論してきたということを私も認識しております。

 議論をしてきた結果、やはり、いわゆる病気ではない、一言で言えばそういう定義なんでしょうね、これは。そういう意味での治療ではないという認識の中で、医療に入れるということをしないで、特定治療支援事業という形で、補助金みたいな形で資金援助をするという体系に今なっているというふうに理解しています。そこのところを、これからどういう議論を重ねて克服していくかということだと思います。

 厚生労働省の議論を待ちながら、私もそれに参画をしていきたいというふうに思います。

野田(聖)委員 不妊が病気でないとするならば、助成金というやり方もあります。一回五十万の負担金を、三回、四回でいいから負担してあげることで、若い人たちに子供を授かるチャンスがこの国にはあるということを知っていただいて、御尽力いただきたいと思います。

 そこで、最後五分になってしまったんですけれども、国家戦略大臣、科学技術の特命担当大臣ということで、ぜひ質問させていただきたいんです。

 私も福田、麻生政権のときに科学技術担当大臣を仰せつかりまして、私は理工系の人間でありませんから、科学のカの字もわからない日本人だったんですけれども、その大臣をやって、ああ、この国はまだまだいけるぞと。いろいろ世間では厳しい評価があるけれども、本当に科学技術の分野ですばらしい人たちが大変な活躍をされている。でも、どうして国民との距離感がこんなにあるのかなということを思案していたんです。

 今回、私がここで質問したいと言ったら、役所がだめだと言うんですね。というのは、今度国会で科学技術・イノベーション特別委員会というのができたから、科学技術に関してはそこの委員会で質問しろ、そういう水臭いことを言われたんですけれども、やはり国家戦略としての科学技術としてあるからこそ、委員会をわざわざ立ち上げたわけですよね。

 そこで、担当大臣として少しお尋ねをしたいんですけれども、大臣にとって、世界に誇れる日本の科学技術というのはどういうものを具体的に思っておられますか、技術として。こういうのはすごいなと思っているという。

古川国務大臣 私も野田委員と同じく、そういう科学系でないものですから、今もう一回十八歳に戻れるんだったら、今度はやはり理工系に行って、そういう技術を勉強したいなと。法学部なんか出ても、これからは余り役に立たぬじゃないかと自分で思ったりもいたしておりますけれども。

 私は、例えばiPS細胞などは、まさにこれからの医療のあり方を劇的に変えていくものではないかなというふうに思っています。

 私は、科学技術というのは、やはり国家戦略という意味で極めて大事だと思うんですね。例えば、歴史を振り返ってみますと、暗黒時代と言われた中世ヨーロッパが、その後、世界をまさに支配するような勢力になっていったのは、やはり産業革命という劇的な科学技術のイノベーションがあった、そのことによって長きにわたった低迷から、停滞から抜け出していった。やはり、科学技術の進歩とか科学技術が与える影響というのは、極めて社会に大きなインパクトを与えるんだと思います。

 そういった意味では、まさに野田委員おっしゃったように、これは国家戦略としてやっていかなきゃいけない課題だと思いますし、日本の場合は、私はいろいろな方々にもこれまでもお話を聞きました。例えばトロンを発明した坂村先生なんかにもお話を聞きました。すごくいい技術はあるんですが、その技術をうまく本当に生かせていないんですね。

 ですから、今回、今、私ども科学技術とイノベーションを一体的に捉えて、やはり技術をイノベーションにつなげて、それが社会を変えていく。そして、今お話にあったように、国民の皆様方に、この科学技術が私たちの生活にこういう形で貢献しているんだ、こういうふうに変わったんだと実感してもらえるような、そういう科学技術とイノベーションを一体的に捉える体制をつくっていこうというふうに検討いたしております。

 そういった意味では、問題意識は委員と同じであります。さまざまな、先ほど申し上げたiPSであるとか、それこそトロンなんかも、今、ユビキタス社会というので、これもこれから多分世界にも広がっていくと思います。

 これからの日本社会だけではなくて世界を変えていく、そうしたさまざまな技術、私は日本のいろいろなところにまだ隠れていると思いますので、そういったものを見つけ出して、それをイノベーションにつなげ、そして社会に貢献させていく。ぜひ、そうしたことに積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

野田(聖)委員 残念ながら時間がないので、もっといろいろなやりとりをしたいんですけれども、たまたま今大臣が山中先生の話をされたので、苦言とともに申し上げるならば、今度、iPS細胞で世界的に活躍されている山中教授が、三月十一日に京都マラソンに出られるそうなんです。

 その理由はなぜか。今、国からお金をもらっているけれども、実は今の政権下において、二〇一四年以降の資金確保のめどが立っていない。だから、その寄附を募るためにマラソンに出るという話がありました。マラソンに出ることはとてもいいことだと思います。ただ、その目的が、国費が二〇一四年からなくなるかもしれないということで寄附を募るというのは大変残念なことだと思います。

 こういうことをしっかり直していただいて、本当に科学技術が国家戦略だと位置づけているなら、こういうことがなきようにしていただきたいということを最後にお願いして、質問を終わります。

荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 冒頭、先ほど委員会での質疑の中で岡田副総理が私の名前を出していただいたので、前々からお願いをさせていただいている、お願いをする筋の話でもないんですが、こちらが出した試算について説明に伺うということになっておりまして、残念ながら、その日は、どうも新聞報道によると、自民党の方々との増税案の協議ということで、中止になってしまったということであります。

 増税をする前に、民主党自身が歳入庁をつくるということも言っておりましたし、数字が違うというなら違うで結構です、しかし、取り漏れがあることは事実ですから、その試算。いわゆる取り漏れがあるというのは不良債権になっているところだと思いますので、その不良債権隠しをするのではなくて、政府自身としても試算をしていただきたいと思いますし、ぜひその時間をとっていただきたいということを申し上げたいと思いますが、何かあれば。

岡田国務大臣 浅尾委員にお時間をいただきながら、ちょっと都合でお会いできなくなりましたので、改めて時間をというふうに思っております。

 事務方から事前に説明を受けたんですが、私なりに納得できないところがありまして、再度検討を事務方にお願いしておりますので、私なりに納得をした上でお会いした方がいいかなというふうに思っています。

浅尾委員 続いて、質疑の順番としては一番最後になりますが、きょうは平委員がもう質問をされておりました公務員の新卒採用の四割減についてです。

 私、これは、もし人数を減らすということであれば、まず最初にやるべきなのは仕事を減らすということでしょうし、仕事を減らした上で、それは民主党の前原政調会長も検討すると言っておりましたけれども、早期退職とか、いわゆる分限免職といったようなことも含めて、あるいは地方の出先機関を地方自治体に移管するということも含めて、そちらをやらないと、新卒だけ減らして定員が変わらないということだと、組織の形としては非常に逆ピラミッドになるんだろうというふうに思います。

 そのことを申し上げた上で、まず、今回は定員についてはいじるのかどうか伺いたい。要するに、定員を減らすのかどうかが決まっているかどうか伺いたいと思います。

岡田国務大臣 総人件費を減らすために、あらゆることをやらなきゃいけないというふうに考えております。

 ですから、順序は若干いろいろあるかもしれませんが、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、新人の採用を手控えるというのは、二年間ぐらいの限定であって、長くやることではないというふうに思います。それ以外に、定年延長か再雇用かという問題がございます。それから、賃金カーブをどうしていくかという問題もある。総定員についても、毎年これは純減で来ておりますが、どの程度減らしていくかという議論も当然しなければならないというふうに思っています。

浅尾委員 私の質問は、今回採用を減らせる人数と同程度の総定員の減が既に決まっているのか、それは決まっていないのかということを伺っています。

岡田国務大臣 これは必ずしも連動しているわけではありません。

浅尾委員 川端地域主権担当大臣、総務大臣でもありますので、総務省として、これは今後検討する余地があるのか、全くまだ検討に入っていないのかだけ、ちょっと伺いたいと思います。

川端国務大臣 総務省の立場では、毎年、定員、定数管理はしておりますので、それぞれ、例えば二十三年度でいいますと、トータルで千二百二十三名の定員減を行いましたし、来年度の定員においては千三百人の削減ということをしております。

 今の採用削減等のお話は、岡田副総理が言われたようなトータルの整理になるというふうに思っています。

浅尾委員 ですから、申し上げたいことは、総定員を減らさないで新人の採用をそれ以上に減らすとどういうことになるかというと、定年延長をするか、あるいは再雇用をするかということになって、総人件費はかえってふえるということになりますし、それ以上に問題なのは、若い人の方がと言うと語弊があるかもしれませんが、一般論で言えば、最初に入った方の方が長らく組織にいる方よりも、一般的な平均値で言うと、多分やる気も高いんだろうなと。そうでない例ももちろんありますけれども、これは定性的な議論で定量的にはかったわけではありませんが、そういう中で、新人の採用を減らして定員をいじらないということになると、組織としては非常に問題がある。

 実際に、多くの大企業がかつて採用を抑制して、そのかわり早期退職を募らなかった。結果として、それぞれの企業が活力を失ったという話は私もよく聞いていますから、ここはぜひ、政府としてもそこは考え直してもらった方がいいかなというふうに思います。考え直すというのは、単純に新人の採用を減らすということではなくて、むしろ、もう少し、今の国家公務員法の中でも降格とかいろいろなことも検討するというふうに書いてありますから、そういうことも含めて早期退職という形で人数を減らすというふうに考え直した方がいいんじゃないかと思いますが、その再考の余地があるかどうか、岡田副総理に伺います。

岡田国務大臣 いろいろなことをやらなければいけないという意味でおっしゃっているなら、それはそのとおりで、順次これをしっかりやっていきたいというふうに思います。もし、新人の採用について削減を見合わせるべきだとおっしゃっているのであれば、私はそういうつもりはございません。やれることはあらゆることをやる、そういう決意でございます。

浅尾委員 せめて、新人の採用を減らすということであれば、それとあわせて定員を同人数減らさないと、そういう今の問題が出るということを指摘させていただきたいと思います。

 続いて、質問通告の順番で質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の大臣所信で、川端地域主権担当特命大臣はこういうふうにおっしゃっております。「地域主権改革の推進は、国と地方のあり方を根本的に転換し、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするための改革であり、引き続き改革の実現に向けて取り組んでまいります。」ということであります。

 今話題になっておりますいわゆる大阪都構想、これは別に大阪だけがということではありませんが、府に与えられている権限と市に与えられている権限を、その地域の人たちが権限の振りかえをするという形で提案がされているんだと思いますが、それができるような法律というのを、先般、民主党の方に私どもの案を説明に行かせていただきました。

 大臣はそのとき来られていませんでしたけれども、その法律案の中身を、昨日、早い段階で事務方を通じて渡しておりますが、大臣が言っておられますこの所信、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするための改革という観点からすると、私どもが提案した地方自治法の改正案で、評価できる点と考え方の違う点があれば言っていただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 みんなの党さんが提案されている地方自治法の改正案は、大阪都の話に限らず、地方のあり方をこういうふうに変えたらどうかという御提案ということは理解をしておりますが、この背景にあるのは、やはり大都市問題ということが背景にある。大都市というものが、例えば大阪都と市の部分の議論で非常にクローズアップされましたのは、二重行政の弊害、あるいは財源をどうするのか、あるいは住民との距離が大き過ぎて遠いのではないかというふうなことが背景にあるんだと思います。

 政府においては、その部分で、大都市制度のあり方について総理の諮問機関である地方制度調査会に既に諮問させていただいて、今熱心に議論をし、関係者からのヒアリングも進めていただいております。政府という立場ではそういう立場でございますので、政党間で、民主党がみんなの党さんの意見を聞かれたり、民主党が議論されているということは承知をしておりますけれども、今、政府としてはそういう諮問機関で議論しているところでありますので、各党の個別の案についてコメントは差し控えさせていただきます。

浅尾委員 多分そう言われると思ったので、私の質問をちょっと角度を変えて、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにするという中に、例えば、府に与えられている権限と市に与えられている権限をその府の中で再編するというのは、まさにその地域の人が決めたら、それを後押しするのが地域主権担当大臣ではないですかということなんですが、その点についてはどういうふうに考えられますか。

川端国務大臣 ですから、大きな方向性として、身近な行政はできるだけ身近な自治体が行うという基本理念で我々進めていることは事実でありますが、その個々の具体の中身をどういうやり方でやるのかは、それぞれ、現行の法律の考え方、それから、それをこういうふうに変えたらいいのではないかという案はいろいろあると思います。

 大きな、基本的に身近な行政はできるだけ身近なところでやろうということを目指していることの方向は、みんなの党さんもそういうことを考えてやっておられるんだというふうには理解いたします。

浅尾委員 別に我々の案をということではないんですが、議論してもなかなかお答えいただけないようなので、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 岡田副総理は、行政改革は車の両輪であるというようなことを言っておられまして、社会保障と税の一体改革とともに、車の両輪として進めていかなければいけないというふうに言っておられます。

 私は、行政改革といったときに、一番の肝は、政府が果たしている機能でダブっている部分は統一をして仕事を減らすというのが、行政改革の一番の肝だろうというふうに考えるわけですね。

 そういうふうに考えると、例えば徴収ということでいえば、税金を徴収するのと保険料を徴収する、その機能自体は一緒でありますし、日本においては、実は多くの方が、直接税務署にあるいは直接日本年金機構に保険料を払うということよりも、会社がその分の実務を代行しています。ですから、会社が源泉徴収をして税務署に税金を払ったり日本年金機構や労働保険事務所にお金を払ったりしているということですから、その会社から徴収する機能というところを一カ所でやっていくというのは、まさにこれは行政改革の観点からもかなり進むだろう。

 日本年金機構、二万人ぐらい職員がおりますが、一万人ぐらいが徴収事務で一万人ぐらいが給付に携わっていますが、そういったようなところの統合をすれば、かなり、先ほど申し上げました人員の削減にもつながっていくだろうというふうに思いますが、政府の中で機能面からの行革ということを考える余地があるのかどうか、伺いたいと思います。

岡田国務大臣 行革の一つの視点として、そういった同じような仕事をしているところを束ねていくという観点は当然あるかと思います。

 ただ、年金機構とそれから国税庁、歳入庁にして集めるということについて、私のもとで検討チームをつくって今議論を始めたところですが、いろいろな論点があるかと思いますが、もう一つは、地方でも同じようなことをしているわけであります。ここをどう考えていくかということも少し整理をして考えてみなければいけない。

 それから、国税と年金保険料ということになりますと、かなり対象が重なっていない部分が多いという問題もございます。つまり、国税徴収の対象となる比較的所得のある程度ある層と、それから、保険料となりますとより幅広く、裾野が広がりますから、そういったことをどう考えていくかということも含めて、今、私のもとにある検討チームで議論をスタートさせたところであります。

浅尾委員 ちょっと今御答弁で理解できなかったところがあるんですが、国税徴収の対象になるのは高所得者だけではなくて、先ほど申し上げましたように、企業に勤めている人は給料に対して所得税というのがかかって、それは五百万を超えるもののみ個々人の情報が会社から地方の自治体に行くということですけれども、年収が幾らであっても、所得税がかかったものについては、間接的ですよ、それは会社がかわりに納めますから間接的ですけれども、国税、所得税を払っている。

 そういう意味においては、年金の保険料の徴収と全く変わりがないというふうに思いますが、その理解で違いますか。

岡田国務大臣 今委員のお話を聞いておりまして、会社にお勤めで、そこから保険料を払っていただいたりあるいは所得税を払っていただくというところは、逆に言うと、余り手間がかからないわけであります。ですから、その先が二つであろうと歳入庁に一本化されていようと、手間暇としては、私はそう変わらないんじゃないかというふうに思います。

 むしろ、そうじゃない個人事業主とか国民年金に入っておられる方とかそういったところ、国民年金というのは個人事業主以外の方々もたくさん入っておられるわけですが、そういうところから徴収することが難しいし、そういうところに未納が発生している部分、かなり重なるところがあるんだと思います。

浅尾委員 そもそも、何度も予算委員会でも申し上げておりますけれども、会社と名のつくところは全て厚生年金に加入をしなきゃいけないんですが、会社がどこに所在しているかという情報自体を日本年金機構は持っていないわけです。国税は全部持っていますから、それを一カ所でやれば、しかも、書類が出てきて、所得税がこれだけ、人件費がこれだけに対して所得税はこれだけ払っていますということがわかれば、それに対応する保険料がなければ、一カ所でチェックした方がはるかに徴収漏れもなくなるということなんですよ。

 なおかつ、先ほど申し上げましたように、利用者からしても、私の事務所は、いわゆる私設秘書については厚生年金と労災保険に加入しておりますけれども、そうすると三カ所に書類を出さなきゃいけない。三カ所に書類を出さなきゃいけないところを一カ所にして、払い込む場所も一カ所にすれば、利用者にとっての利便性の向上になりますし、チェックする側も、先ほど申し上げましたように、二重で人を配置する必要性がないというので、これは大幅な行革になるということは申し上げておきたいと思います。

 時間の関係で、次の質問に移ります。

 今回、社会保障一体改革について、消費税増税の国分が三・四六%、地方分が一・五四%というふうに閣議決定をされていると理解しております。一方で、こういうふうに使いますよというペーパーもあって、例えば、子ども・子育て対策が七千億円とか、医療、介護の充実が一兆六千億円とか、いろいろ出ております。

 この使い方について、国がこれだけ、地方がこれだけという数字というのはあるんですか。

岡田国務大臣 そこまで積み上げたものはございません。

 ただ、項目の中で、年金の国庫負担二分の一への引き上げ、これは国分でございます。それから、消費税引き上げに伴う社会保障支出の増も、ほとんどの部分が国、地方はごく一部ということになります。

浅尾委員 逆に、地方分一・五四%に該当するようなものというのは、一・五四というと大体四兆円ぐらいなんですか、この中であるんですか。

川端国務大臣 これは、社会保障が国と地方のそれぞれの役割分担によって支えられているということで、国のナショナルミニマムといいますか、共通の骨太の社会保障制度に加えて、地方がその地域の特徴も独自性も生かしながらきめ細かなネットワークをつくるという、両方で支えているという共通の認識の中で、地方でやっていただいているきめ細かな事業も含めて調査をいたしました。

 その結果で、四事業とそれにのっとる事業という整理をいたしまして、そこから人件費分を引き、加えて、全国的な普及度の係数を掛けて算定した数字でございます。

浅尾委員 申し上げたいのは、こういう点で充実しますという数字が出されています。そうすると、これは約束になりますよね、当然。約束になって、実は、国の歳出の部分が多くなるということになると、国に入ってくる三・四六%よりも多く支出しちゃうということになってくると、これは結果として、増税はしたけれども、まあ私どもは考え方が違いますけれども、財政再建に逆行する話になるということなんです。

 つまり、三・四六%しか国に入ってこないわけですよ。しかし、ここで挙げたメニューは実現しなきゃいけないとなると、国が使うお金が三・四六%の収入よりも多くなれば結果として国の財政の状況は悪くなるということなので、ここはこの範囲でおさめないといけないんじゃないですかということを指摘したわけであります。

岡田国務大臣 五%引き上げというときに、そのうちの国の部分について、その範囲の中でおさめなければいけないというのは、そのとおりであります。

 もちろん、これは細かな内訳はまだつくっておりませんので、それをはみ出すとか、そういうことがあるとは考えておりませんが、そういうときにはどこかでしっかり帳尻を合わさなければいけないわけで、この五%の外のところでそれをもし担うということになれば、何かをかわりに減らさなければいけない、こういうことになってくるんだろうと思います。

浅尾委員 地方の方は、実はこれは地方消費税と地方交付税なので、本来の趣旨からいうと、国が使い方を決めちゃうということ自体が地方消費税や地方交付税の趣旨に反するんじゃないかなと思いますが、その点、川端大臣、いかがお考えですか。

川端国務大臣 今回の部分は、社会保障の安定財源の確保ということと財政健全化の同時達成を目指すということで、段階的引き上げを行うというふうになっておりますが、現行の消費税の地方消費税は自主財源でございます。これは現状どおりにする。

 そして、今回行います部分の、消費税の一・二%分と交付税の今までの一・一八%と今回引き上げる〇・三四%分は全額社会保障財源に充てるということの中で、おっしゃるように、地方交付税については、法律上、その交付に当たって使途を制限してはならないということになっておりますから、そういう意味で、トータルで引き上げる交付税の一・五二%と地方消費税一・二%を合わせた総額と、地方に係る社会保障関係費の総額との比較等について検討をしているところでございます。

 次に、その中の地方消費税一・二%分は、既存の地方の目的税、例えば都市計画税の取り扱いなども参考にしながら、国庫補助金のような厳密な使途制限ではなくて、地方税の性格にふさわしい形で、地方の意見を踏まえて社会保障財源化を図ることとして、今、検討中でございます。

 二月九日の地方六団体の意見交換では、地方からは、地方の社会保障に要する経費に広く充てるべき、あるいは地方の自主性が制約されないものとすべきとの意見をいただいておりますので、こういう意見も尊重しながら、官の肥大化には使われず、国民に還元されることが国民にわかりやすい形で示せるように検討してまいりたいと思っております。

浅尾委員 もう一点。今回、税と社会保障一体改革で、消費税の五%分の増収が十三兆五千億というふうに出ております。

 ところが、過去、平成十年からことし、二十四年の予算までずっと見ても、消費税四%で十兆円内外なんですね。ですから、一%が二兆五千億なんです。五%でいうと十二兆五千億なんですが、今回は十三兆五千億と、一兆円ふえちゃっているんです。これはおかしくないですか。

岡田国務大臣 こういう税収を計算するときに、何らかの仮定を置いて計算せざるを得ないということは御理解いただきたいと思います。

 今回、二〇一二年度予算では、消費税収は一%当たり二・六兆円。そこに、内閣府の経済財政の中長期試算における慎重シナリオをもとに二〇一五年度までの経済成長を勘案すると、二〇一五年度時点における消費税収は一%当たり二・七兆円程度。五%相当額は十三・五兆円程度となると見込まれているところであります。

浅尾委員 過去十年以上にわたって、さっき申し上げましたように、一番高いところで十兆六千億、これは四%に対して十兆六千億、一番低いところでは九兆五千億くらいなんですよ。ですから、そこからさらに一兆円近くふえる、一兆円というか、四%ですから八千、七千五百億円ぐらいふえるというのは、計算の根拠がかなり楽観論なんじゃないかなと。

 しかも、使う方を決めちゃうということになると、そういう形でやると、後で相当厳しくなるんじゃないかということを指摘させていただきたい。つまり、使用の方は何に使うかと決めてありますから、足りなくなった分はまた削らなきゃいけない。削るのも大変でしょうから、そういう余り楽観的なシナリオでやられない方がいいのではないかな。このことは、まずは指摘をさせていただくにとどめさせていただきたいと思います。

 最後に、古川大臣の所信の中で、こういうふうにおっしゃっております。「社会保障・税番号制度については、より公平な社会保障制度の基盤となるものであり、その確実な実現に向けて、今国会に番号制度の導入に必要な法案、いわゆるマイナンバー法案及びその関連法案を提出したところであり、その成立に向け努力してまいります。」というふうにおっしゃっておりますが、私の理解では、現在、日本年金機構、地方自治体、そして国が持っている個々人の収入というのは、ばらばらな状況になっているんですね。このマイナンバーができるとその情報が共有できるような制度にまだなっていないのではないかなと。

 きのう、レクの段階では、どうも地方の市町村から日本年金機構に情報が渡るような制度設計をするというようなことを言っておりましたが、市町村が持っている情報というのは、本人の収入が給与所得なのか事業所得なのか、そこまで含めてその情報を正確に持っているんだろうかということでありまして、情報を持っていないところで共通番号を入れても、その情報の活用にはつながらないんじゃないかというふうに思いますが、そこの制度設計の現状はどういうふうになっていますか。

古川国務大臣 お答えいたします。

 国会に提出いたしておりますマイナンバー法案におきましては、利用範囲を規定した別表第一により、例えば、国民年金の年金給付や保険料の徴収等に関する事務、国税、地方税の賦課徴収に関する事務等でマイナンバーを利用することができることとなっております。

 また、情報の提供の範囲を規定した別表第二によりまして、厚生労働大臣が市町村長に対し、国民年金の年金給付や保険料の徴収等に関する事務で利用するため、マイナンバーと一体で管理している地方税関係情報の提供を求めることができることとなっております。

 年金分野におきましては、日本年金機構は、マイナンバー法の施行後、国民年金保険料の免除、滞納処分、遺族年金の給付等、所得情報が必要となる国民年金、厚生年金保険の事務に関して、市町村から直接地方税関係情報の提供を受けることを予定しており、これによりまして、国民の利便性の向上、事務の効率化が期待できるというふうに考えております。

    〔委員長退席、岡島委員長代理着席〕

浅尾委員 もっとわかりやすい説明をしますと、地方税というのは翌年にかかるんです。所得税は当年の収入。ところが、もし最低保障年金とかということを、民主党の提案のをやられるとすれば、当然、その当年の収入に対して保険料をかけないと数値としておかしくなってしまう。地方の自治体からその情報をもらっても、最低保障年金のための保険料徴収には正確な情報でないということなんで、なぜ国税から情報が行くような仕組みになっていないのですか。

古川国務大臣 今、浅尾委員から御指摘がございましたように、新しい年金制度を導入するというような段階になれば、またそのときの必要な所得情報をどうするかということはあるかと思います。しかし、現行の状況の中では、そうしたところまで求める必要はない。今の制度であれば、今法案を提出させていただいているその中で情報を収集する、そのことによって、今まで以上により公平な所得把握ができるというふうに考えております。

浅尾委員 時間が参りましたから終えますけれども、どうせマイナンバー制度という新しいものを入れるのだったら、そして最低保障年金には国税の情報がなきゃだめだということであれば、最初からそれに対応した法律をつくっておいた方がいいんじゃないかということだけ申し上げて、時間が参りましたので、質問を終えさせていただきたいと思います。

岡島委員長代理 次に、遠山清彦君。

遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。

 幾つか、違う話題につきまして質問させていただきます。

 まず最初に、中川大臣にお伺いをいたしたいと思います。第三国定住難民の受け入れ事業についてです。

 私、今、公明党の難民プロジェクトチームの座長をしておりまして、十一年前に参議院議員として初当選してからずっと、ライフワークの一つとして難民支援の仕事をしてまいりました。海外の難民キャンプも二十ぐらい回ってまいりましたし、当時、私も与党でございましたけれども、難民問題についてはかなり野党的な立場で、政府、法務省、外務省に、難民支援について強化するように努力をしてきた経緯がございます。

 その上で、この第三国定住難民の受け入れ、約九十人の難民をタイのメーラ・キャンプから、ミャンマーの特にカレン族の方々を受け入れるという事業でございまして、海外では、ニュージーランドやオーストラリア、アメリカ合衆国、欧米諸国の多くがやってきた事業ですが、これが初めて始まった。

 今、ちょうど第二陣の家族の方々が来ておりまして、新宿区内の支援センターで、いろいろ、日本語の教育を受けたり、あるいは社会適応の訓練をされている。私自身、二週間ほど前に支援センターに参りまして、視察をさせていただいて、難民の家族の皆様とも直接意見交換をさせていただきました。

 今の事業のあり方についても、個別にはさまざまな問題点があるという立場で、先般、予算委員会の分科会で玄葉外務大臣と議論させていただきましたが、本日、中川大臣にお聞きをしたいのは、これは一応三年間のパイロット事業ということになっておりまして、そうしますと、来年度に受け入れる方々が第三陣ということになるんだと思います。

 今、さまざまな問題があると申し上げたのは、実は第三陣で来られる家族の方が少なく、定員が三十に対して十名を割るとか割らないとか、そういうことも巷間言われておりまして、支援のあり方についての改善は改善でしなきゃいけないんですが、私は、三年目で終わってしまってはいけない、こういうふうに思っております。

 ぜひ、これはもう個人的に強い要望として申し上げると、この事業は、やはり日本が人道支援という観点から難民を受け入れるということを国際社会に示すということも含めて、強くコミットして続けていただきたいと思っているんですが、政府として、この事業の継続の可否をいつごろ決めるのか、また、どういう評価をしてから決めるのか。大臣、所管にみずから申し出てなられたと伺いましたものですから、お伺いをしたいと思います。

中川国務大臣 御質問していただいて、ありがとうございます。しっかり元気づけていただくんだということで、一緒にこの事業をぜひ成功させていきたい。

 御指摘のように、今はパイロット事業ですから、本格的な受け入れ事業へ向いて展開ができるということ、これが社会全体も変わっていくということの一つの端緒になっていくと思っていますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 先ほど御指摘のように、二十五年以降の方針といいますのは、今、関係行政機関と検討、協議を行っていくということになっておりまして、本年度中に開催予定の難民対策連絡調整会議、ここで正式に決定をするということになっております。

 個人的にはというよりも、これまで私自身もこの事業に携わってきました。実は私の地元で一陣の半分の家族が生活をしておりまして、そんな中で、さっき御指摘あったようにいろいろな問題もあります。しかし、それを克服していくことによって、システムが整ってきて、多文化共生の社会がそこからまたでき上がってくるという、日本にとってのメリットというのもあるわけでして、そこのところを押さえていくと、ぜひ、その三年以降も続けていきたいという思いを持って対応していきたいというふうに思っております。

遠山委員 大臣、大変ありがとうございます。

 大臣の地元に第一陣の家族の半数がいらっしゃるというのは存じ上げておりませんでした。大変失礼いたしました。

 大臣、これで大臣との質疑は終わりますが、一点だけ。

 今トラブルに若干なっている最大の原因は、やはり、タイから日本に来て六カ月間だけの日本語研修を受けて日本の社会の職場で適応するというのは、これは普通に考えて難しいということなんですよ。よって、六カ月の集中的な日本語研修、社会適応訓練はいいんですが、終わった後にどういうケアをするかという観点で政府にいろいろ考えていただきたいんですね。

 私が先般外務大臣に提案をさせていただいたのは、RHQという団体がこの支援の中心になっておりますが、それ以外にもさまざまなNPO、NGO、市民団体が日本に来られた難民を支援しようという、まあ、ボランティアベース、あるいは若干財政支援が必要な、いろいろなケースがありますけれども、そういうところがありますので、そういうところを幅広く巻き込んでやっていくということが大事だと思います。

 また、ビルマ、ミャンマーから日本に来られた人の累計数というのは意外と多くなってございまして、地域にエスニックコミュニティーがある場所があります。東京でいえば新宿の高田馬場周辺というのは、ビルマ料理の店とか、そういうコミュニティーが実際あるわけですね。そういうコミュニティーの協力を仰ぐということも大事ですし、それから、大臣済みません、ついでに、ニュージーランドが非常にそのアフターケアの部分で参考になると思います。

 私も、大分前ですけれども、九年ぐらい前にニュージーランドに視察に参りまして、驚きました。ニュージーランドの民間の、難民としてニュージーランドに住みついた家族をボランティアで二人一組で毎週ホームビジットをして支援するということをやっているNGOがあって、政府がどういう支援をしているかというと、そのボランティア活動を半年やった人に、日本で言うところの放送大学の単位を与える。つまり、お金じゃなくて、国が経営している通信制の大学の単位をその難民の家族を支援しているボランティアの方に与えるというインセンティブを出すことで、政府の認知もしているわけですね。

 だから、そういう工夫をいろいろすれば、何でもお金というわけではありませんので、ぜひ大臣のリーダーシップのもとでこの事業を初め難民支援を強化していただきたいと申し上げて、次の質問に参ります。

 次は、末松副大臣、来られていると思いますが、私は先週末、もう定期的に行っておりますけれども、釜石、陸前高田、大船渡の三つの被災地を回ってまいりました。今、公明党で復興支援チームの座長をしております。今回、六回目の現地入りだったわけです。

 それで、陸前高田市役所に行って市長とそのスタッフと意見交換をさせていただいたんですが、きょうお聞きしたいのは、副大臣御承知のとおり、陸前高田市は、津波で左から右まで中心市街地は一ミリも残らず全部破壊をされたということで、これから全部復旧復興していかなきゃいけないんですが、その中で、社会教育施設。具体的には、図書館、公民館、博物館、運動場、水泳プール、あるいは学校附属ではなくて市民が使う体育館、そういった社会教育施設の整備については、復興交付金の事業の対象になっていないという指摘を現地で私は受けました。

 では、どうやって。もうないわけですね。図書館も水泳プールも何もないわけですから、陸前高田市は。それはいつか復旧しなきゃいけない、復興しなきゃいけないという中で、政府から言われているのは、私、今手元に紙を持っていますが、文科省の補助制度で公立社会教育施設災害復旧費補助金制度というのがあるんですね、こちらを使って復旧してくれと言われているんです。

 ところが、副大臣、ここから本題なんですが、この文科省の既存の補助金制度は、原形復旧が大前提なんです。原形復旧ということは、つまり、もともと建っていた場所に同じような規模でつくるときに補助金を出しますよ、こういう制度なわけです。

 そうしますと、もう私が説明しなくても副大臣おわかりのとおり、今、陸前高田市なんかも新たな町づくりの計画を策定中でございます。当然、海沿いにはもう人は住めません。一定程度内陸側に人を寄せなければいけないわけですし、それから、町によっては自然エネルギーの基地を誘致したいとか、いろいろな新たな要素を入れて町づくりをしているわけですから、原形復旧が前提だと、この補助金制度、原理主義的に言うと使えないわけです。

 ただ、文科省に私が確認をしたら、いや、被災地については柔軟に対応しますと言っているんです。言っているんですが、副大臣、もう一つ問題がありまして、ペーパーワークが、これは霞が関の官僚も認めているんです、こんな量のペーパーを出さないと補助金とれないんですよ。

 それを被災地の自治体にやらせるというのは、これは済みません、我々公明党、見落としていました。きちんと与党の皆さんから事前に、復興交付金対象事業の四十事業はこうですとリストをもらっていたんですが、その中にこういう施設が入っていないということを私たちも気づかなかったんですね。

 だから、私どもの反省も込めて、これはぜひ追加で復興交付金の対象事業にこの社会教育施設も入れて、そうすれば、被災自治体とすれば他の事業と一緒に同列で復興庁に申請もできますし、ペーパーワークは少ない。なぜ少ないかといえば、いろいろな省庁間の調整作業は復興庁がやるわけですから、自治体が文科省とやる必要はないんですね。

 そういう意味で、ぜひ社会教育施設については復興交付金の対象事業に今から追加してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔岡島委員長代理退席、委員長着席〕

末松副大臣 遠山先生におかれましては、数々貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございます。

 御指摘の社会教育施設につきまして、先生御指摘のように、高台等に移転して再建する場合を含めて、文科省の災害復旧費補助金によって対応しております。復興交付金はそれ以上のものでございます。

 そこで、陸前高田市の方からもいろいろと要望が来ていますけれども、そこを、その復旧以上にどういったものがあるか、ここを精査していくという話になろうかと思います。ですので、先生の御指摘もございましたので、早速、職員を早急に派遣いたしまして、現地の事情を、一対一というかバイでしっかりと御要望を承って、復興交付金という枠が使えるということであれば、あわせてそこをやっていくようなことができるかできないか、そこを至急検討させていただきたいと思っております。

 あと、事務の資料について、これは補助金ですので、ある程度のところは必要かもしれませんけれども、できるだけ柔軟なことができないか、そこもまた検討させていただきます。

遠山委員 末松副大臣、ありがとうございます。もう副大臣御自身がよく被災地のことを御存じでございますので、また、迅速に人を派遣していただくということで、大変ありがたいと思っております。

 一点だけ、ちょっとしつこいようで恐縮ですけれども、この補助金制度を使ってやるにしても、今高台のお話をされましたけれども、用地造成とともに上物の建設の費用も、被災地の地元は、復興交付金の対象事業にしてくれないかなという意見があるんです。

 それから、私が今回この質問を通告した際に役所の方から教えていただいたんですが、実は、私が今挙げた施設のうち、水泳プールとか運動場の一部は、交付金対象事業になっている学校の付随施設の改善のところで読み込んで、復興交付金の対象になっていますというんですね。

 ただ、それは被災地から見ると非常にわかりにくくて、こちらの社会教育施設の補助金制度、これは文科省ですね、既存の補助金制度にもそういう施設が対象ですよと書いてあるわけです。それで、復興庁に聞くと、いやいや、全部じゃないけれども、一部はこっちでもできますよという説明なんです。それ自体が混乱のもとだと私は思っているんです。だから、それは副大臣のもとでちょっと整理をしていただいて。

 どういうことかというと、そうすると、水泳プールなんかはこっちを使ってもいいし、復興交付金を使ってもいいですよと言っているわけです。そのこと自体が、役所によって混乱のもとになりますし、もしかしたら、被災市町村の間で対応が違っちゃって、後で知って、何だということにもなりかねませんので、ちょっと整理をしていただいて、どういうやり方が一番いいのかというのをもう一回お示しいただければと思いますが、これは要望ですので答弁は要りません。

 それから、続けて末松副大臣にお伺いしたいんですが、これも副大臣よく御承知のとおりですけれども、今、やはり被災地で雇用の問題が大きくなってきていますね、雇用保険も切れてきておりますし。それで、企業をもっと被災地に誘致したいと。陸前高田の戸羽市長も言っておりましたけれども、企業の中には、復興支援という意味も込めて、ぜひ進出をしたいとオファーしてくれている企業もあるというんですね。

 ところが、話がそこから先に進まない最大の原因は、では、海沿いに人は余り住まないから企業用地でどうぞと仮に被災自治体が言っても、防潮堤が完成しないとやはり不安だ、もう一回津波が来ないと誰も言えませんので。ところが、防潮堤が完成するまで五年間は最低かかるという話が大体地元では通説になっているわけですね。そうしますと、地元は企業を呼びたい、行ってもいいよという企業はいる、しかし、防潮堤ができるまで五年間かかるから五年間来れませんねと。

 そうすると、本来企業が来れば生まれる雇用が五年間生まれないということになりますので、ここはちょっと工夫が必要だと思うんですが、副大臣、私にも提案があるんですけれども、言う前に、副大臣のお知恵を聞きたいと思います。

末松副大臣 先生御指摘のように、確かに今、海岸線につきまして防潮堤、応急対策ということで、重要な海岸線についてはまず応急対策をやって、本復旧についても今一生懸命にやっているところでございます。ただ、御指摘のように、いろいろな、全部が完成するのに五年ぐらいかかってしまう。それと、企業がそれまで待てるんですかというのが、確かに一番大きな問題になっております。

 ただ、私ども、市町村が今さまざまな多重防御という考えのもとで町づくりをやっておりますので、道路をかさ上げするとか、二線、三線を引くとか、そういったことの中で、企業の御不安というものを下げていくということ、町づくり全体としてそれを考えていくというのも一つあろうと思います。

 また、いろいろなメニュー、税制の優遇とか立地補助金とか、あるいは漁港のエリアのかさ上げとか、企業によって使いやすいような形のいろいろなメニューを今私どもはつくっているんですけれども、そういった中で、できるだけ企業の誘致にとってマイナスにならないように今やってきております。そこを何とか工夫していくということが今重要なことかなと思っております。

遠山委員 それぐらいの厳しい実情だとは思いますが、私の提案は、これは当然、土地の所有権の問題があるので簡単じゃないということをあえて承知した上で申し上げれば、復興庁とかあるいは政府を挙げて、特に三陸沿岸の津波で破壊され尽くしたエリアについては、特段に政府が主導権を発揮して、進出したい企業が、津波が絶対浸水しない地域に政府の方でどこか土地を決めて、そこに集中的に早期に企業を誘致できるような工業団地、復興記念工業団地とか、名前は何でもいいんですが、そういう、企業が安心して来られて、しかも復興特区制度を使っていろいろな優遇措置を受けながら、東北の方々、特に三陸沿岸の方々への雇用を生み出すことができる、こういうような事業を少し考えられてもいいんじゃないかなと私自身は思いました。

 海沿いに来ていただきたいんですけれどもと地元の方に言われても、企業もなかなかそこは難しいわけですから、それを折り合わせるために、少しそういった特別プロジェクトも企業誘致のために考えていただきたい、これも要望でございます。

 それで、済みません、ほかの閣僚の皆さんに質問があるので足早に参りますが、藤村官房長官にお伺いをいたします。

 昨年の三・一一の後を受けまして、大規模災害時における首都機能、国家機能の確保、維持ということを、私はそろそろ真剣に考える時期に来ているのではないかと思っております。そこで、一部の専門家も主張を既にしておりますが、私も自分の著作でも書いたんですけれども、仮称副首都指定制度というものを導入すべきではないかというふうに思っております。

 この制度というのは、平時からあらかじめ、大規模災害が首都圏を襲ったときに、その国家機能の一部を担い得る地方都市を副首都として指定しておいて、実際に大規模災害が例えば東京都あるいは首都圏を襲ったときに、そこの指定された副首都に国家機能の一部を移転する。

 もっとイメージが浮かびやすく申し上げれば、例えば、災害時に、外務省は福岡、財務省は大阪、国土交通省は名古屋、あるいは環境省は仙台とか、そういうふうに首都以外の地方都市、大きな主要都市にならざるを得ないと思いますが、そこを指定しておいて、実際に国家機能が移転したときにスムーズに業務が執行できるインフラ整備を国主導でやるべきではないか。あるいは、大規模災害が首都圏で起こったときを想定して、その地元の自治体の職員とシミュレーション、訓練も行うべきではないかというふうに思っております。

 私も以前、外務省の大臣政務官をやりましたので、例えば外務省が、首都圏が大地震に襲われても国家は続きますから、外交機能というのは必要なわけですね。しかし、では、外務省が名古屋でも大阪でも福岡でも一時的に移転して仕事がすぐできるかというと、これはできません。

 要するに、秘密通信のためのインフラがどこの地方都市にも存在しないわけですから、電話一つにしても、盗聴できないセキュアラインを用意しなきゃいけませんし、電信、通信の機器も特別なものを外務省なんかは使っているわけですね。そういったものが地方に全く整っておりませんし、いきなり外務省の役人が例えば福岡市役所とか福岡県庁を間借りしていって、外交活動が十分できるかというと、できない。

 ですから、これは平時から副首都指定を地方都市にして、有事の際にそこにどういう国家機能を動かすかというところぐらいまで想定して準備をしておかないと、いきなり東京に直下型の大地震が来て大慌てになっても、国家機能の損失がそのまま経済の損失にもつながりますので、長官、そういったことは今の政府内で御検討されているでしょうか。

藤村国務大臣 首都直下型地震などの緊急事態が首都東京で発生した場合、政府あるいは金融機関、情報通信など、首都中枢機能が途絶されることなくこれを確保する、この姿勢が絶対必要だと思います。

 御指摘のあった、仮称ですが、副首都構想というのは、ずっと昨年の三・一一より前からも、それぞれに検討していることは事実でございました。この三・一一を契機にといいますか、今、国交省では、例えば東京圏の中枢機能のバックアップ検討会、これは昨年の十二月からもう五回ほどやる予定になっておりますが、非常にスピードアップして、この件を今検討に入っているところでございます。

 ただ、首都そのものの副首都というと、これは相当大がかりなことになろうかと思うので、コストや実現可能性など、さまざまな点からも検討していく必要があると思います。例えば、日銀は今、大阪支店というのが一つかわりになるという発想をお持ちだし、NHKはやはり大阪放送局が次のキーになるという、つまり、必要な最小限の部分は、私は大阪なものですから、やはり大阪というのは一つの大きな構想の一つではあろうかと思います。

 政府におきましては、第三次補正予算の中では首都機能のバックアップに係る調査ということで、先ほどの国交省もありますが、もう一つ内閣の方でも今検討に入っておりまして、御指摘の副首都制度の創設、あるいはそのためのインフラ整備、訓練の実施なども含めて検討させていただきたいと思います。

遠山委員 ぜひ、官房長官、検討していただきたいと思います。

 この話題に関連をして川端大臣にお伺いしたいと思いますが、まさに大阪都構想は橋下現大阪市長が主唱して社会の耳目を集めているわけでございますが、同時に、橋下市長も道州制ということについても最近おっしゃっているわけでございます。

 私も、公明党の一員としてというか、公明党自体が二〇〇九年の総選挙からマニフェストで地域主権型の道州制を公約で掲げておりますので、推進をしている一人でございますけれども、今の政府として、あるいは与党民主党として、道州制の導入についてはどのような基本姿勢なのか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 地域主権の方向の中で道州制を超党派でも熱心に御議論いただいている遠山委員、公明党さんも含めて、きょう、たまたま松原大臣おられますが、前の会長ということで、熱心にやっておられることは十分に承知しておりますし、私たちとしても、住民に身近な行政はその周辺で責任を持ってやれる仕組みということを求めてまいりました。

 そういう中で、私たちは、基本的には、一番のもとは基礎自治体がやる、これは共通していると思うんですが、その次の広域自治体に関しては、現段階においては、都道府県を今のそのままで念頭に置きまして、さらに広域の部分は、現行で行われております、一部で始まりました広域連合という形を考えて、今いろいろアクション・プランを含めて進めております。

 道州制に関しては、それも視野に入れながら、ただ、今すぐに全国一律に道州制というのはなかなか山あり谷ありなので、当面は、当事者からの発意に基づく自治体間連携による広域連合の方が円滑に進むと思って取り組んでいるところでございます。

遠山委員 川端大臣、大体今おっしゃったようなことを野田総理も御答弁でおっしゃっているんですが、ちょっと積極性が足りないなというふうに思っているんです。

 私は、道州制というのは、単に中央集権体制を見直して地域にいろいろな財源や権限を付与するだけではなくて、まさに今、国会議員の定数問題もそうですけれども、いろいろな行革、あるいはこれから人口減少していく日本の国家、社会の中で、行政機関もスリムにしていかなければいけないという意味で、この道州制というのは非常にそういう面でも意義があると思うんですね。行政の効率化という意味ですね。

 例えば、私は地元九州全域と沖縄を全部回っているわけですけれども、九州でいえば、道州制が実現すれば、単純に言えば、一般的にわかりやすく言えば、七人の県知事を六人リストラして一人の州知事でいいわけです。県議会も、七つの県に何十人といますけれども、それも全部州議会ということで統合して、大幅に、ナチュラルな形で議員も減らせる。

 また、地方の権限が強まるわけですから、国会議員も七百二十二人いなくて全然いいわけですね。霞が関の非現業の国家官僚三十万人のうち、二十万人が今地方の出先機関にいる。これも変えていいわけですね、十万人でいいわけです。二十万人の方々がみんな仕事にあぶれるわけではなくて、州政府に入っていただいて能力を発揮するということができるわけです。

 そこで、川端大臣、簡単に。アクション・プランに基づいて民主党政府も国の出先機関の原則廃止と掲げておりますが、これは相当官僚機構の抵抗が強いと思いますけれども、本当にどこまでできるのか。簡潔に、決意でも結構ですけれども、お答えいただきたい。

川端国務大臣 道州制も含めて、地域主権を進めるということはまさに国の大きな形を変えるということでありますので、そういう意味で、我々、いわゆる出先機関を中心に、意思のあるところから順次という手順を踏むつもりをしておりますが、長年にわたって国の中心として、出先機関として誇りを持ち、責任を持ち、能力を持ってやっておられた方々は、移すのであれば、本当にちゃんと担保できるかという心配を持たれることは事実だと思います。

 個々に、すっと渡せるものと、相当工夫しないと渡せないものと、そうはいっても最後まで国が見なければいけないというのが、仕分けがいろいろあります。そういう議論を踏まえる中で、昨年末には、各府省の合意も得て、一定の方向性の取りまとめをすることができました。

 そういう意味では、着実に進むことはできていると思うんですけれども、これからいよいよ各論に入ってまいりますので、いろいろありますけれども、先生言われたものも含めて、大きな国の行政のスリム化、あるいは身近な行政の実現のためにはどうしてもやらなければいけないことだと思って、最大の努力をしてやってまいりたいと思っております。

遠山委員 ほぼ質疑時間が終わりましたので、最後に松原大臣、お待たせいたしました。

 私、公明党でいろいろな役職をやっていまして、党でサイバー攻撃対処検討委員会の委員長もやっていまして、中小企業なものですから、ちょっとやり過ぎなんですね、済みません。

 それで、サイバー攻撃、昨年大変話題になりまして、私ども、十二月十五日に官邸に伺って、宛先は野田総理ですけれども、齋藤勁官房副長官に要望いたしました。不正アクセス禁止法を出していただいたりとか、もう既に政府の方でいろいろ御対応いただいているんですが、私がきょうお聞きしたいのは、簡潔に申し上げます。

 一つは、サイバー攻撃をするツール、ソフトを無料でダウンロードできるサイトが、中国語、スペイン語、ロシア語で堂々とインターネットにございます。これを使えば、ダウンロードした人は誰でもDDoS攻撃をサイトにかけられるという事態。これが一つですね。

 もう一つは、私たちに百ドルくれたら、あなたの嫌いなサイトを攻撃しますと、サイバー攻撃請負業者というのまでまた公然といるわけでございまして、そろそろ、他国言語で書かれているサイトだからいいよということにならないんじゃないかというふうに私は思っております。

 もう時間がありませんから、この点だけ、警察を所管する大臣としてどう対応されるのか、お聞きしたいと思います。

松原国務大臣 時間が来ておりますから簡潔にお答えいたしますが、そうしたさまざまなサイトがあるということで、サイバー攻撃を請け負う旨の書き込みが主として海外のウエブサイト上でなされていることは承知をしております。これらはサイバー攻撃を助長するものであり、非常に問題であると認識をしております。

 ただ、サイバー攻撃ツールを公開することや攻撃請負を書き込むことは直ちに違法行為には該当しないわけでありますが、今後、サイバーパトロール等を通じ、この種情報の把握に努めるとともに、インターネット上で違法行為を請け負うような書き込みについては削除要請なども行ってまいります。

 さらに、実際に攻撃が行われた場合には、国内において所要の捜査を行うとともに、ICPOを通じ、海外の捜査機関に対し、攻撃元に関する捜査協力要請を実施しております。

 これらとあわせ、再発防止措置を講じ、あるいは海外の捜査機関に対し依頼などをしてまいります。

 以上です。

遠山委員 以上で終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三十三分散会


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