第9号 平成24年6月14日(木曜日)
平成二十四年六月十四日(木曜日)午後零時五十分開議
出席委員
委員長 荒井 聰君
理事 岡島 一正君 理事 後藤 祐一君
理事 田村 謙治君 理事 津村 啓介君
理事 福島 伸享君 理事 鴨下 一郎君
理事 平沢 勝栄君 理事 高木美智代君
青木 愛君 網屋 信介君
石田 勝之君 石原洋三郎君
石山 敬貴君 磯谷香代子君
黒田 雄君 園田 康博君
高井 崇志君 玉木 朝子君
玉城デニー君 長島 一由君
橋本 博明君 橋本 勉君
畑 浩治君 福嶋健一郎君
福田衣里子君 藤田 大助君
村上 史好君 本村賢太郎君
森山 浩行君 矢崎 公二君
和嶋 未希君 河村 建夫君
北村 茂男君 小泉進次郎君
塩崎 恭久君 下村 博文君
平 将明君 中川 秀直君
野田 聖子君 遠山 清彦君
塩川 鉄也君 吉井 英勝君
浅尾慶一郎君
…………………………………
国務大臣
(地域活性化担当) 川端 達夫君
国務大臣 古川 元久君
内閣府副大臣 石田 勝之君
内閣府副大臣 後藤 斎君
文部科学副大臣 奥村 展三君
経済産業副大臣 牧野 聖修君
国土交通副大臣 吉田おさむ君
内閣府大臣政務官 園田 康博君
総務大臣政務官 福田 昭夫君
外務大臣政務官 中野 譲君
防衛大臣政務官 神風 英男君
政府参考人
(内閣官房宇宙開発戦略本部事務局長) 山川 宏君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 大竹 暁君
政府参考人
(文部科学省研究開発局長) 戸谷 一夫君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 西 正典君
内閣委員会専門員 雨宮 由卓君
―――――――――――――
委員の異動
六月十四日
辞任 補欠選任
石山 敬貴君 和嶋 未希君
金子 健一君 石原洋三郎君
細川 律夫君 玉木 朝子君
本村賢太郎君 藤田 大助君
森山 浩行君 網屋 信介君
竹本 直一君 北村 茂男君
長島 忠美君 河村 建夫君
大口 善徳君 遠山 清彦君
塩川 鉄也君 吉井 英勝君
同日
辞任 補欠選任
網屋 信介君 森山 浩行君
石原洋三郎君 黒田 雄君
玉木 朝子君 細川 律夫君
藤田 大助君 本村賢太郎君
和嶋 未希君 石山 敬貴君
河村 建夫君 長島 忠美君
北村 茂男君 竹本 直一君
遠山 清彦君 大口 善徳君
吉井 英勝君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
黒田 雄君 金子 健一君
―――――――――――――
六月十二日
沖縄県内の国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一五九七号)
TPPへ参加しないことに関する請願(篠原孝君紹介)(第一五九八号)
暮らし・農業・地域を破壊するTPP参加反対に関する請願(穀田恵二君紹介)(第一六三〇号)
TPPへの参加中止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六四八号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一六四九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一六五〇号)
日本農業と地域経済、暮らしと雇用を壊すTPPに参加しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一六五一号)
同(笠井亮君紹介)(第一六五二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一六五三号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一六五四号)
同(志位和夫君紹介)(第一六五五号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一六五六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一六五七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一六五八号)
同(吉井英勝君紹介)(第一六五九号)
九州地方の国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願(徳田毅君紹介)(第一六六〇号)
同月十四日
戦時慰安婦問題の最終解決を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七六四号)
同(笠井亮君紹介)(第一七六五号)
同(穀田恵二君紹介)(第一七六六号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一七六七号)
同(志位和夫君紹介)(第一七六八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一七六九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一七七〇号)
同(宮本岳志君紹介)(第一七七一号)
同(吉井英勝君紹介)(第一七七二号)
TPPへの参加中止を求めることに関する請願(照屋寛徳君紹介)(第一八一五号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一八六九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一八七〇号)
四国地方の国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願(福井照君紹介)(第一八六八号)
TPPに参加しないことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八七一号)
同(笠井亮君紹介)(第一八七二号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一八七三号)
九州地方の国の出先機関と独立行政法人の体制・機能の充実に関する請願(古川禎久君紹介)(第一八七四号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
内閣府設置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)
――――◇―――――
○荒井委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。川端国務大臣。
―――――――――――――
地域再生法の一部を改正する法律案
構造改革特別区域法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○川端国務大臣 委員長、理事、委員の皆さんの御配慮で時間を調整していただきましたことをお礼申し上げたいと思います。ありがとうございます。
時間の制約があるので、多少早口になることをお許しください。
地域再生法の一部を改正する法律案及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の二法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
初めに、地域再生法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
地域再生は、地域の知恵を生かした自主的、自立的な取り組みを国が支援することにより、我が国の活力の源泉である地域の活力を再生しようとするものであります。これまで千五百五十七件の地域再生計画が認定され、全国各地で創意工夫にあふれるさまざまな取り組みが行われてきました。さらに、地域再生法が施行されてから七年目を迎えることから、同法附則第二項を踏まえ、所要の検討を行ってまいりました。
今般、この検討結果に基づき、少子高齢化、人口減少等の社会経済情勢の変化に対応した地域の再生を図るため、地方公共団体の取り組みに対して施策を重点的に実施すべき政策課題を特定政策課題として政令で定めることとするとともに、特定政策課題の解決に資する特定地域再生事業を創設し、当該特定地域再生事業に対する特別の措置を定めるほか、地域再生推進法人の指定等について定めること等を通じ、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生をさらに推進するため、この法律案を提出する次第であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、内閣総理大臣は、定期的に、地域再生の推進のために政府が講ずべき新たな措置に関する提案を募集することを法律に位置づけることとしております。
第二に、政府は、地域再生方針に、地域における少子高齢化に対応した良好な居住環境の形成その他の、地方公共団体が地域再生を図るために特に重点的に取り組むことが必要な特定政策課題に関する基本的な事項を定めることとしております。
第三に、地方公共団体は、地域における特定政策課題の解決に資する特定地域再生事業に関する事項を地域再生計画に記載し、内閣総理大臣の認定を受けることができることとしております。
第四に、内閣総理大臣の認定を受けた地域再生計画に記載された特定地域再生事業に対する特別の措置を定めております。
第五に、地方公共団体の長は、営利を目的としない法人であって、地域再生の推進のために必要な業務を適正かつ確実に行うことができるものを地域再生推進法人として指定することができることとしております。
第六に、政府はこの法律の施行後五年以内に、この法律による改正後の地域再生法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。
次に、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
構造改革特別区域は、地方や民間が自発的に構想を立案し、それぞれの地域の特性に応じた規制の特例を導入することにより、構造改革をさらに加速させるための突破口となるものであり、同時に、地域の活性化の手段となるものです。これまで千百七十一件の構造改革特別区域計画が認定を受け、それぞれの地域の特性に応じた事業が実施されてきました。
構造改革特別区域推進本部においては、全国からの提案募集を行い、規制の特例措置を決定してまいりました。さらに、平成十九年に構造改革特別区域法の一部を改正する法律が施行されてから五年目を迎えることから、同法附則第二項を踏まえ、所要の検討を行ってまいりました。
今般、この検討結果に基づき、新たな規制の特例措置の整備等に係る提案を募集する期限及び構造改革特別区域計画の認定を申請する期限を延長するとともに、これまでの提案募集を踏まえ、構造改革特別区域に係る法律の特例に関する措置を追加すること等を通じ、経済社会の構造改革を推進するとともに地域の活性化を図るため、この法律案を提出する次第であります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、平成二十四年三月三十一日となっている新たな規制の特例措置の整備等に係る提案を募集する期限及び構造改革特別区域計画の認定を申請する期限を、平成二十九年三月三十一日まで延長することとしております。
第二に、特産酒類の製造事業に係る酒税法の特例に関し、果実酒またはリキュールに使用することができる原料の追加を行うこととしております。
第三に、河川法及び電気事業法の特例として、内閣総理大臣の認定を受けた構造改革特別区域において、河川法の規定による許可を受けて取水した流水のみを利用する水力発電事業の実施について、河川法及び電気事業法に定められている手続の一部を不要とするなどの措置を講ずることとしております。
第四に、内閣総理大臣の認定を受けた構造改革特別区域においては、政令または主務省令により規定された地方公共団体の事務にかかわる規制の条例委任の特例を適用することとしております。
第五に、政府は、この法律の施行後五年以内に、この法律による改正後の構造改革特別区域法の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしております。
以上が、地域再生法の一部を改正する法律案及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
○荒井委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
――――◇―――――
○荒井委員長 次に、内閣提出、内閣府設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房宇宙開発戦略本部事務局長山川宏君、文部科学省大臣官房審議官大竹暁君、文部科学省研究開発局長戸谷一夫君、防衛省防衛政策局長西正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○荒井委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河村建夫君。
○河村委員 自由民主党の河村建夫でございます。
今般の内閣府設置法等の一部改正に伴いまして、いわゆる宇宙開発の問題に本格的に取り組むことができるということで、宇宙基本法、超党派の議員立法で平成二十年の五月二十八日に成立をいたしまして、平成二十年八月に施行されたのでございますが、その議員立法にかかわった者として、この仕上げの設置法につきまして若干の質問をさせていただきたいと存じます。
宇宙基本法には実は附則がついておりまして、附則二条に、「政府は、この法律の施行後一年を目途として、本部に関する事務の処理を内閣府に行わせるために必要な法制の整備その他の措置を講ずるものとする。」とあります。また、三条には、「政府は、この法律の施行後一年を目途として、独立行政法人宇宙航空研究開発機構その他の宇宙開発利用に関する機関について、その目的、機能、業務の範囲、組織形態の在り方、当該機関を所管する行政機関等について検討を加え、見直しを行うもの」、このようになっておるわけでございます。
これは超党派で成立をした基本法でございまして、平成二十年五月といいますと、もう会期末でもありました。福田内閣の当時でございます。各法案難しい段階であったわけでございますが、超党派ということでございまして、現総理の野田佳彦先生を中心にいただいて、野党側を全部まとめていただいたという経緯もございます。
そこで、この状況について、私どもはさらに、皆さんのお手元に決議文をお配りしたと思いますが、宇宙基本法フォローアップ協議会、これが超党派の協議会でございまして、この附則について早急に対応するようにということで、その点についての決議をしたところでございます。
今回、内閣府において、この状況を踏まえた形で法案を提出された、このように思うわけでございますが、特に、今回のこの設置法の改正によりまして、内閣府にどのような部局の新設ということになるんでしょうか。
これは、さきに、今申し上げました宇宙基本法フォローアップ協議会が決議をいたしておりますが、その内容、例えば内閣府事務次官直属の宇宙戦略室といいますか、我々の方は戦略局と書いておりますが、そのようなものが置かれる、このように聞いておりますが、そうした内容と同じであるというふうに、大臣の認識はよろしゅうございましょうか。
○古川国務大臣 まずは、河村議員におかれましては、そもそも今回の法改正のもととなりました宇宙基本法を、今の野田総理とともに立案者の中心となって立法していただいたこと、それがあったからこそきょうのこの審議にも至っているということで、心より感謝を申し上げたいと思います。
また、その上で、その後、宇宙基本法ができました後も、フォローアップ議員協議会の共同議長としてさまざま御指導をいただいてまいりまして、皆様方からの御提案等もいただいてこうした法改正にこぎつけたということでございますので、そうした御協力にも、この場をおかりして心から感謝を申し上げたいと思っております。
また、一点は、先ほど最初に議員からも御指摘ございました、宇宙基本法では附則で、一年を目途に、司令塔の、今回のような法改正を行うということが規定されておったんですが、実際には三年半ほどかかってしまった、この点は率直に反省をしなければいけないと思っております。
ただ、三年半、無為に過ごしていたわけじゃなくて、さまざまな面から宇宙政策の司令塔づくりというものを検討して、今回の法改正に至ったわけでございます。昨年の十二月には、先ほどお話がございましたように、フォローアップ協議会から決議も出していただきまして、今回の法改正に際しましては、この決議も大いに参考にさせていただきました。
その上で、今回の法案の中では、内閣府には宇宙審議官を長とする組織を独立した部局として整備をいたしまして、この宇宙審議官を内閣府における宇宙政策の取りまとめ責任者及び対外的な代表者とすることといたしております。また、内閣府の決裁規定に基づき、部局長となります宇宙審議官は、直接、大臣や事務次官等に報告することとなっております。
そういった意味では、この宇宙基本法フォローアップ議員協議会の御決議に沿ったものというふうに考えております。
○河村委員 大臣言われるように、確かに、一年を目途、めどにしてということがこのような時間がかかった、政権交代後のこともあってということもあろうと思いますが、ようやっとここに至ったということでございます。
そこで、少し具体的な話に入りますが、この新しい体制をおつくりいただく、宇宙政策を具体的に進める、産業化も含めてやろうとすれば、どうしても宇宙予算の編成というのは非常に大事になってくるというふうに思います。
政府全体としていわゆる戦略的な宇宙予算を編成するためには、これからは内閣府が策定することになります経費の見積もり方針、これは、単なる基本方針で、また各省庁へ縦割りで流すということじゃなくて、各省の予算要求に直結する具体的な内容にする、あるいは、予算を要求した後は、内閣府が中心になって、財務省とも密接に協議をして、それを通じて、内閣府が宇宙予算の編成の各段階において強力な指導力を発揮すべきではないか。これがやはり国家戦略に基づく、今回内閣府に移管する意味だ、このように思いますが、いかがでございますか。
○古川国務大臣 委員御指摘のように、やはり戦略的な宇宙予算の編成をするためには、今回の法改正では、内閣府におきまして、宇宙政策委員会の調査審議等を踏まえて、政府全体の見地から宇宙関連事業の優先度や施策の効率的な推進のあり方等を見積もり方針として示して、これに基づいて各省が予算要求を行うものとしておりますが、この見積もり方針をできる限り具体的なものとする必要があるというふうに考えております。
これは、もう議員も文科大臣であるとかあるいは官房長官も歴任しておられますので、総合科学技術会議とかああいうところでも、今、我々もさまざまな工夫をして、科学技術予算などもまとめてちゃんと統合的に予算ができるようにということで努力をしておりますが、ここは抽象的でありますと、なかなか、各省に行ったときに、司令塔で決めたことと実際につけられる予算とがずれてくるということがありがちでございますので、やはりここのところは、この見積もり方針をできる限り具体的なものにしていかなければいけないと思っております。
またさらに、今御指摘ございましたように、やはり、各省の予算要求前から政府予算の閣議決定に至るまで、財政当局とも内閣府がしっかり密接な連携をとることによって、見積もり方針にしっかり従ったそうした予算になるように、しっかり内閣府において指導力を発揮してまいりたいというふうに考えております。
○河村委員 この点は非常に大事な点でございまして、今の大臣の御答弁に沿ってやっていただきたいというふうに思います。
それから、さらに具体的なことですが、そうなってきますと、これは文部科学省にお聞きしなきゃならぬと思うんですが、宇宙利用促進調整委託費というのは文部科学省に計上されてきたと思います。しかし、内閣府が主導的役割を果たすということになると、これはむしろ内閣府に移管すべきではないか。その上に立って文科省と内閣府が共同で審査する、やはりこうした密接な連携が必要ではないか。
もちろん、文部科学省がJAXAのもとでいろいろな形でこれまで深くかかわってきて推進をしていただいたこと、これはまた必要なことでありますが、今後、宇宙開発というものが一つの大きな国家戦略に位置づけられて内閣府に置くということはそういうことを意味するのではないか、このように考えるんですが、どのようにお考えでしょうか。
○奥村副大臣 お答えいたします。
河村委員におかれましては、文部科学行政の大ベテラン、大先輩でございますので、今さら私が申し上げることもないわけでございますが、確かに、今おっしゃったとおり、今後の宇宙開発利用、いろいろなことを考えますと、内閣府等に移管ということも一つの考え方であるかもわかりませんが、御案内のとおり、漁業、あるいは防災、教育、そしてまた道路行政等々いろいろな分野で、委託費等で、文科省を中心にいろいろなところで推進をしてきたところでございます。
ぜひ、我々といたしましては、従来どおり内閣府とはしっかり連携をとっていくわけでありますが、このような従来のまま、これは委員も御承知のとおり、二十一年度から三年計画で進めていただいたわけでありますが、そうした流れを考えますと、このままで、委託費を文科省を中心にまた進めさせていただければというように思っているところでございます。
そしてまた、二十四年度におきましても、これはもういろいろな関係で、今、古川大臣もおっしゃいましたように、我々も内閣府と十分連携をとりながら進めていきたいというように思っておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○河村委員 恐らくそういう答弁をなさるのではないか、こう思いました。
ただ、これはやはり、宇宙開発利用促進という視点に立ったときには、当然そのようになっていくべきではないかと私は考えます。今後の政策のあり方いかんでございますが、そういう視点に立って内閣府が主導権を発揮する必要がある、そういう予算の編成の仕方が必要であろう、私はそのように考えておりますことを申し添えさせていただきます。
次に、今回、JAXA法の平和利用目的を宇宙基本法と整合化した、その方向だと思いますが、これは外務大臣、防衛大臣とも絡んでくる問題でございますが、防衛省関連の業務をJAXAが行うことができる、このように理解をしていいかどうか。また、その前提に立ちますと、外交、安全保障分野における宇宙政策、これを内閣府と密接に連携して積極的に進めていくべきだ、このように考えますが、外務省また防衛省、この方針に対してどのようにお考えでしょうか。
○中野大臣政務官 お答え申し上げます。
委員が中心となりまして平成二十年に成立しました宇宙基本法の基本理念ですけれども、我が国の宇宙開発利用は日本国憲法の平和主義の理念にのっとり行われるものとすることが法制化されたわけでございますが、同法附則及び附帯決議におきまして、JAXAについては、その目的、機能、業務の範囲等について検討を加え、見直しを行うものとされているところでございまして、これは先ほど委員御指摘のとおりでございます。
これまでの政府における検討等を踏まえ、JAXA法の目的規定における平和利用に関する記述を宇宙基本法と整合的なものとする改正を行うものであるというふうに承知をしておりまして、この点におきまして、現行法の機構の目的の中には「平和の目的に限り、」というふうに書かれておりましたが、そちらを、今回の改正法の中では「宇宙基本法(平成二十年法律第四十三号)第二条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり、」というふうに変更を加えるということでございます。
そして、先ほど委員から御質問のありました連携についてでございますが、今次JAXA法改正では、第二十四条の改正案の中に、主務大臣は、関係行政機関の要請を受け、我が国の国際協力の推進もしくは国際的な平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるとき、または緊急の必要があると認めるときには、機構に対し、必要な措置をとることを求めることができるとの規定が含まれているところでございまして、外務省としましても、外交、安全保障上の必要があるときには、内閣府の長たる内閣総理大臣を初めとする主務大臣と緊密に連携をして、JAXAの業務を通じて外交、安全保障上の要求にしっかりと応えていきたいというふうに考えております。
○西政府参考人 お答え申し上げます。
私ども防衛省といたしましても、平成二十年の宇宙基本法の成立以来、防衛分野における宇宙関連施策の促進という観点から、各種取り組みを実施してまいりました。
今後は、政府として宇宙の開発及び利用に関する戦略的な推進体制が構築されることに伴いまして、私どもといたしましても、政府の宇宙開発利用の総合的かつ計画的な推進に資するよう、内閣府を初めとする関係省庁とより緊密に調整、提携して事業を進めてまいる所存でございます。
○河村委員 次に、今回の内閣府設置法の一部を改正する法律案の中にもありますが、宇宙空間の開発及び利用の戦略的な推進体制、この中に、まさに準天頂システムの問題がございます。時間がありませんから詳しくこれに言及はいたしませんが、実用準天頂衛星システムを七基体制で完成する、こうなっております。
これは、アメリカが世界に展開をいたしておりますGPSの、アジア、オセアニア地域を日本が補完する重要な役割も持っております。これはまさに国際貢献の大きな一環である、このように位置づけておりますが、この方針の中で、第一段階、まず四基体制を確立したい、こういうことでございます。
これはやはり私は急ぐ必要があると思っております。二〇一〇年代の後半までに四基体制を構築するということで閣議決定はいただいておるのでございますが、私は、今後、補正予算等の機会があれば、こういうもので前倒しして進めていくべきものではないか、このように考えるのでございますが、担当大臣としていかがでしょうか。
○古川国務大臣 委員から御指摘ございましたように、準天頂衛星システム、これは非常に私ども重要なものだというふうに考えております。産業の国際競争力強化であるとか、産業、生活そして行政の高度化、効率化、さらにはアジア太平洋地域への貢献と我が国のプレゼンス向上、そして日米協力の強化及び災害対応能力の向上等、広義の安全保障にも資する大変重要なものだというふうに考えております。
そしてまた、諸外国が測位衛星システムの整備を進めていることを踏まえますと、我が国としても、この実用準天頂衛星システムの整備にできるだけ速やかに取り組むことが必要であるというふうに考えております。
そして、今御指摘もございましたように、昨年九月の閣議決定では、二〇一〇年代後半を目途に四基体制を整備することとしておりますけれども、今申し上げたような状況もございますので、できるだけ早くこの四基体制が実現するよう努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○河村委員 今、外交面からの宇宙という話もございました。そこで、きょう外務省もお見えでございますから、これにも関連しますので、その後の質問に移ります。
今、GPSの話を申し上げましたけれども、日米関係で宇宙協力関係を深化させる、これは2プラス2あるいは首脳会談等でも触れられておるところでございます。
アメリカは、宇宙技術の先進国でございます。同盟国である日米間で、民生、安全保障、両分野にわたって宇宙協力を総合的かつ積極的に進めるべきであって、その中でも特に留意したいのは、日米衛星調達合意、これは一応ありますが、安全保障及び公共の安全のために必要となる衛星は、共通原則であるWTOルールに従って国際調達の適用除外とする、こうなっておると考えますが、このような認識でよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
○中野大臣政務官 お答え申し上げます。
委員の御認識のとおりでございまして、日米衛星調達合意につきましては、平成二年に我が国の自主的措置として決定した非研究開発衛星の調達手続は、非研究開発衛星を調達するため、透明、公開かつ無差別を原則とした競争的手続を定めておりまして、WTO政府調達協定の要件との整合性を確保しつつ実施されると定めております。
それでは、そのWTOの政府調達協定の中にはどのように書かれているかと申し上げますと、第二十三条に、要件に合致する安全保障及び公共の安全のために必要となる衛星は、国際調達の適用除外とすることが許容されているというふうに書かれておりますので、委員の御指摘どおりだというふうに認識をしております。
○河村委員 わかりました。
そういう国際調達の適用除外とする認識、安全保障及び公共の安全のために必要となる衛星、こうありますので、その認識のもとに今後お取り組みをいただきたい、このように思います。
次に参りますが、今回の設置法の一部を改正する法律に基づきまして、内閣府に宇宙政策委員会ができます。文部省のもとにあります宇宙開発委員会が廃止をされるということになりまして、今後の宇宙戦略はこの宇宙政策委員会の場で行われるわけであります。
私どもも、フォローアップ協議会でもいろいろ議論をしてきたのでありますが、今後、宇宙産業を強化する上においても、国際競争力の強化戦略が必要だと考えております。その前提に立ちますと、宇宙産業の振興のためには、JAXAがやってまいりましたこれまでの全てのプロジェクト、これもやはり国際競争力の強化に明確な軸を移して事業を進める方針が必要であろうというふうに思います。
JAXAは、宇宙関連のことを今まで中心になって技術面からこうした面までやってきておりますが、ややもすると、技術面に力が入って、こうした開発、産業の振興という視点がこれまで置き去りにされてきた、このような面がございます。宇宙産業の振興面、特に国際競争がこれから非常に熾烈になってまいりますので、そういう基本的な認識に立ってJAXAのプロジェクトを進めていく、このように考えますが、いかがですか。
○古川国務大臣 委員御指摘のように、今、宇宙産業の国際競争というのは大変激しくなっているというふうに思っています。先日も、NASAの協力のもとでスペースX社のドラゴンというのが打ち上げに成功し、またドッキングにも成功するという成果も出ているわけでありますし、そういった意味では、我が国も、この宇宙産業の国際競争力強化ということは、我が国が宇宙開発利用を自律的に行う能力を確保することや、また日本の経済成長の促進の観点からも大変重要なものであるというふうに考えております。
こうした考え方に基づきまして、既に宇宙システムのパッケージインフラ輸出、これは今、政権交代以降、パッケージ型のインフラを輸出する、そのための関係閣僚会合というものを何度も開いておりますが、その議題の一つに宇宙システムも、政府を挙げて、そして官民挙げて海外へとパッケージとして輸出していく、そうしたパッケージインフラを掲げて、取り上げて、このパッケージインフラ輸出に政府を挙げて取り組んでおります。
したがいまして、今、先ほど御質問でも御指摘がございましたように、こうした宇宙産業の国際競争力強化の確保のためにはやはり研究開発の段階から取り組むことが大変重要でありまして、JAXAのプロジェクトでもできる限りこうした視点を踏まえて実施されるよう、新体制のもとで、内閣府の司令塔機能をしっかり発揮させて推進をしてまいりたいというふうに考えております。
○河村委員 宇宙外交という言葉もございますが、韓国の衛星を打ち上げる、これに至るまでにも、私ども、大統領に直接直訴したりとか、外務省と一体となってこの問題を進めた覚えがございます。ということは、担当大臣はもちろんでありますが、外務省も含めて全体で国策として進めていく、その姿勢が必要だろうというふうに思います。
ベトナム等も今具体的に交渉に入っているとお聞きしておりますが、そのようなことで、今後そうした方へ、特にアジアを中心に、日本のここまで来た宇宙科学技術力を発揮して宇宙外交への展開をしていただきたい、このように思います。
時間がありません。最後に、ちょっと詳細にわたるかもわかりませんが、宇宙基本法の成立、そして今回の設置法に基づきまして、宇宙政策が、まさに国家戦略としての位置づけが明確になってくるわけでございます。すなわち、既に世界の各国、宇宙先進国は、この政策を大統領あるいは首相レベルで全て行ってきていることを考えますと、今回の法改正等に伴いまして内閣総理大臣が本部長になるわけでございますが、今後、ロケット、衛星あるいは射場等々、JAXAの主務大臣にもなるわけでありまして、どこまで総理も関与されるかという問題だろうと思います。この辺についての認識がどのようなものであるか、お伺いしておきたいと思います。
○古川国務大臣 今回の法改正に当たりましては、まさに野田総理も、議員と一緒に宇宙基本法成立に向けて大変御尽力をされておりますので、この宇宙政策はまさに国家戦略として、自分が先頭に立ってやはりリードしていかなければいけないという思いを強く持っております。
そうした総理の思いも受けて今回の法改正もさせていただいたわけでございまして、JAXAにつきましては、内閣総理大臣は、ロケット、衛星、射場等の仕様の決定やその利用に関して、これは主務大臣として直接関与することになりますので、本当に委員が御指摘になりましたように、総理がまさに先頭に立って宇宙開発そして宇宙政策に取り組んでいく、そうした体制がこの法改正によってできるものというふうに考えております。
○河村委員 総理みずからがそういう姿勢でJAXAのそうしたプロジェクトに対して積極的にかかわっていただきながら、具体的な宇宙開発戦略方針のもとでやっていただく、これはいわゆる宇宙政策委員会のもとで進めていただきたい、このように思います。
宇宙基本法から四年、今ここで、設置法の改正に伴いまして本格的な体制ができるわけでございます。そのことを評価申し上げるとともに、今後の取り組みについて全力を尽くして頑張っていただきたい。総理の所信表明等にも宇宙開発等の問題が取り上げられております。私は、歴代の総理で初めてのことだ、こう思っておりまして、期待をいたしておるところでございます。担当大臣として古川大臣、また関係省庁、多岐にわたる宇宙開発でございます。全力を挙げて、国策にのっとって進めていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、本村賢太郎君。
○本村委員 民主党の本村賢太郎でございます。
内閣府設置法の一部を改正する法律案、改正のポイントであります宇宙開発利用の戦略的な推進体制の構築や各省の副大臣及び大臣政務官を内閣府の副大臣及び大臣政務官に兼職できる、こうしたポイントを踏まえながら、数点質問をさせていただきます。
まず、独立行政法人宇宙航空研究開発機構、JAXAの見直しに関して数点お伺いいたします。
このたび、JAXAの業務として、人工衛星等の開発、打ち上げ、運用等の業務に関し、民間事業者の求めに応じて援助及び助言を行うことを追加事項として入れているわけでございますが、今後、民間事業者から援助や助言が求められた際、政府として具体的にどう応じていくのか、まずお伺いいたします。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
委員の御指摘のように、今回の改正においては、JAXAを、まず宇宙開発利用を技術で支える中核的な実施機関という形で位置づけをさせていただいております。
お尋ねの、JAXAのプロジェクトの実施段階から宇宙産業の国際競争力強化の観点を踏まえて取り組むということと、それから研究成果の実用化、そして海外への展開、ここに至るまで、JAXAの技術と人材を活用するということが重要であるというふうに考えておりまして、政府としては、JAXAの活用であるとかあるいは関係省庁の連携強化、これに努めさせていただきまして、国際競争力の強化に戦略的に取り組む所存でございます。
○本村委員 次に、この宇宙産業を我が国の基幹産業としていくには、政府、そしてJAXA、民間が一体となった宇宙戦略を主導していく必要があると思いますが、宇宙産業育成について、大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○古川国務大臣 先ほど河村委員の御答弁でも申し上げましたけれども、宇宙産業、これは各国とも相当力を入れているところであります。そうした中で、我が国としても、国家戦略として宇宙産業の競争力強化に取り組んでいかなければいけないというふうに考えています。
まさにそうした考え方のもとに、今回、こうした内閣府に宇宙政策の司令塔を置くということを、法改正をさせていただくお願いをさせていただいているわけでございまして、この司令塔の機能のもとでは、宇宙産業を国際競争力のあるものにしていくということもしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
○本村委員 次に、宇宙科学研究所相模原キャンパスについて数点お伺いします。
ここは私の選挙区にございまして、昨日は、小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還して二年目を迎えて、関係がある、ゆかりのある全国六市町村で「はやぶさ」の各イベントが行われまして、私どもの相模原市でも加山市長を先頭に記念式典をとり行ったわけであります。
このJAXAの相模原キャンパス、探査や学術研究などを主な仕事としながら、「はやぶさ」の組み立てもやっておりますし、現在では、「はやぶさ2」二〇一四年打ち上げに向けて精査を今させていただいているわけでございますが、まず、基本的なお話を冒頭に聞きたいと思うんですが、探査や学術研究などを含めた宇宙科学研究の重要性について政府はどのように捉えられているのか、お伺いいたします。
○戸谷政府参考人 お答え申し上げます。
宇宙科学研究につきましては、学術研究の大変重要な柱ということで文部科学省としては考えておるところでございます。
宇宙科学につきましては、太陽系あるいは宇宙そのもの、あるいはそこに誕生いたしました生命の成り立ちに関する多くの謎を解き明かすことを目指すということでございまして、その成果につきましては、人類共有の知的資産ということだけではなくて、我が国の知的な存在感を世界にある意味ではアピールをしていくということで、国際的な地位の向上にも資するということで、宇宙科学自体、非常に大事なことだというふうに思っております。
また、この宇宙科学を通じまして、宇宙開発事業全体を支える大変重要な技術基盤の形成にも資するということでございまして、文部科学省といたしましては、JAXAの、先生御指摘の相模原の宇宙科学研究所を中心といたしまして、大学等の研究者の自由な発想に基づきまして、惑星探査あるいは天文衛星等のプロジェクトを通じた研究の推進を今後とも図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○本村委員 今回の法改正で宇宙開発利用の戦略的な推進体制が整い、さらに、この宇宙科学研究の重要性についても今御答弁いただいたわけでありまして、あわせて力強く御支援をお願いしたいと思っております。
私ども相模原は宇宙環境教育というものが非常に熱心でありまして、先般も、金環日食ですね、市内七十二校の小学生全て、児童が金環日食をJAXAの指導のもと体験するというイベントを行ったり、今、小学校や幼稚園、保育園の卒園式、卒業式に出ますと、将来の夢は何ですかと聞きますと、将来JAXAの研究員になりたい、宇宙飛行士になりたい、こういう言葉が子供たちからも飛び出てくるわけでありまして、非常に私も期待をしていきたいと思っております。
これからも、相模原キャンパス、私も注目をしているわけでありますけれども、今回、新法のもとで、宇宙科学研究に関して、体制と予算などを含めて今までと変わりなく、JAXA相模原キャンパスがこれまでと同じような形で活動できるのか、改めてお伺いしたいと思います。
○戸谷政府参考人 JAXAがこれまで実施してまいりました宇宙科学研究につきましては、これまで、世界をリードする誇るべき成果も幾つか積み上げてきたものというふうに認識をいたしております。
先ほど来先生の御指摘の「はやぶさ」につきましても、世界で初めて小惑星からの試料の回収に成功する。また、金環日食の話で太陽の観測にもお触れになりましたけれども、太陽観測衛星の分野におきましても、太陽活動の詳細な解明といった最先端の研究成果が多数得られているということでございます。
私ども文部科学省といたしまして、こういう学術研究の部分を担当させていただいているわけでございますけれども、今後、政府全体の方針の中でも、引き続き、この分野につきまして、文部科学省としても一生懸命取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○本村委員 次に、宇宙開発委員会の廃止と開発の安全確保について数点お伺いしていきたいと思います。
まず、今回、宇宙開発委員会に置かれていた業務が大きく二つほど廃止とともに移管されていくわけでありますが、私が特に気になっているのは、今まで宇宙開発委員会のもとに三つの作業部会、推進、安全、調査部会というものがございました。特に、事故等の安全対策のために調査委員会等も積極的に活動されたということは伺っておりますが、今回の宇宙開発委員会の廃止に伴って、業務に関しましては引き続き文部科学省で行うのかどうか、改めてお伺いしたいと思います。
○戸谷政府参考人 今先生のお問い合わせの中で、特に、打ち上げ時の失敗、あるいは安全管理についての事柄について中心的に御説明させていただきたいというふうに考えております。
現行のH2Aロケットその他、文部科学省のもとで各種打ち上げをやっておることにつきましては、今回の法改正後につきましても、文部科学省の方で、当面、安全管理その他、もし何か問題があった場合の調査等々につきましても、引き続き行うということを考えているということでございます。
○本村委員 引き続き文部科学省で担当されるということでありますので、安全面を十分重視しながら取り組みをお願いしたいと思います。
次に、今後、民間事業による宇宙ビジネスが拡大すると思うんですが、安全を確保しながらどのように宇宙政策を進めていくのか、お伺いいたします。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
今後、民間事業者が宇宙開発利用における重要な主体となっていくということは委員御指摘のとおりでございまして、そういった中で、安全の確保を図りながら宇宙開発利用を進めていくということは大変重要なことであるというふうに私どもも認識をさせていただいています。
そのための制度の整備ということで、今般は、まず、このような観点に立ちまして、ロケットの打ち上げ等に係る基準の策定あるいは政府による監督等を内容とする、いわゆる宇宙活動法と言われるものでございますけれども、この検討を今、ワーキングも含めて進めさせていただいているところでございます。
今回の法改正に伴いまして、今般、内閣府に宇宙関係の組織が新設をされるという形になりますので、この組織の中でしっかりと宇宙活動法の法制化を検討してまいりたいというふうに思っております。当然、その中には、民間事業者の安全も含めてしっかりとこの内容にも含まれておるところでございますので、そういったところも念頭に置きながら検討を進めてまいりたいというふうに思います。
○本村委員 平成二十年五月九日の衆議院内閣委員会の決議におきまして、「宇宙の開発及び利用の推進に関する件」においては、その第六項で、法施行後二年以内を目途に同法制を整備するよう政府に要請しているが、既に三年半たっておるわけであります。
今、園田政務官からも、宇宙活動法を今ワーキングチームで議論がなされているというお話も聞きました。非常に期待をしてまいりたいと思いますし、また、強い大臣のリーダーシップで一日も早く法制化できるようにお願いをしていきたいと思うんですが、今後、この宇宙活動法、今、園田政務官お話しいただきましたが、この整備をどのような体制で進めていくのか、また、スケジュール等がわかりましたら、大臣にお聞きしたいと思います。
○古川国務大臣 今まさに政務官からも御答弁させていただきましたように、これから担当室の中で、そうした今後の段取り等も含めてやっていきたいと思っております。できるだけそれは速やかにやっていきたいというふうに考えております。
○本村委員 次に、宇宙政策委員会の位置づけについてお伺いしたいと思います。
宇宙開発委員会は同意人事等が必要であったんですが、この宇宙政策委員会に関しまして、同意人事がない理由をまずお伺いしたいと思います。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
今般、この法改正によって新設をされます宇宙政策委員会でございますが、内閣総理大臣等の諮問に応じて、専ら政策審議を行う場、それを任務といたしておるところでございます。かつ、これは非常勤の委員の皆さん方から構成されるという形でございまして、こうした委員会の性格を勘案させていただきますと、宇宙政策委員会については、他の一般的な審議会を参考にして、国会同意を委員任命の要件とはしないという形にさせていただいたところでございます。
○本村委員 確認も含めてですけれども、宇宙政策委員会とは具体的にどのような業務を行っていくのか、お伺いいたします。
○園田大臣政務官 これは、まず具体的には、内閣総理大臣の諮問に応じまして、宇宙開発利用の中長期的な基本戦略、そして毎年度の経費の見積もりの方針、主要な宇宙関係プロジェクトの評価等の重要事項について調査審議をするという形が主な任務となっております。そしてまた、内閣府の長たる内閣総理大臣や関係大臣に対する意見であるとか勧告も行うこととしております。
○本村委員 次に、宇宙庁、仮称でございますが、これに関して数点お伺いしたいと思うんです。
昨年、閣議決定で宇宙庁に関して記載がございましたが、今法律改正においては、宇宙庁という記載がございません。戦略的宇宙開発利用を強固なものにしていかなきゃならないという視点は非常に大事なものだと思うんですが、この宇宙庁ということに関しましてはどのように今捉えられているのか、お伺いしたいと思います。
○古川国務大臣 宇宙庁につきましてはさまざま御意見もいただいてまいりましたが、これまでの検討の中で、これは行政改革上の要請もありまして、政府全体の行政組織のあり方にも関係するものでありますので、昨年の九月三十日の閣議決定に基づきまして、まずは内閣府に司令塔機能を担当する体制を整備することによりまして、実効的な宇宙開発利用体制を構築することとしたものであります。
その上で、宇宙庁の設置につきましては、科学技術・イノベーション政策の検討とも連携しつつ、将来的な課題として引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○本村委員 次に、宇宙開発利用の戦略的な推進体制というのが今回の大きなポイントの一つでありまして、宇宙基本法、平成二十年五月の考え方に基づき、内閣府に宇宙政策の司令塔機能と準天頂衛星システムの開発、整備、運用等の施策の実施機能を担当する体制を整備するなど、宇宙開発利用の戦略的な推進体制を構築できるというふうに新法でうたっているわけでありますが、先ほど河村委員の方からも御質問がありましたけれども、この体制を生かすためには、今回、体制はしっかり古川大臣のもとで構築できるわけでありますが、やはり、体制とともに予算の確保が、これからこの宇宙に関しては大事な部分じゃないかと思います。
そういった中で、今後、体制を生かすためには予算をしっかり確保していくことが重要である点から、大臣に、意気込みと、そしてこれに関する御所見をお伺いしたいと思います。
○古川国務大臣 宇宙政策につきましては、産業振興、外交、安全保障、科学技術など、さまざまな観点から極めて重要であって、国家戦略として積極的に取り組むべきものである、これが政府としての考え方でもございますし、野田総理も、宇宙開発については、これはもう並々ならぬ意欲を持っておられるところでございます。
したがいまして、大変厳しい財政事情のもとではありますけれども、新しい体制のもとで宇宙政策の重点化、効率化を進めつつ、必要な予算の確保にはしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○本村委員 この平成二十年五月の宇宙基本法の際には、自民党、公明党、民主党と議員立法でこの法律ができたということを承知していますけれども、その際の民主党の責任者が野田総理だったということもお伺いいたしました。総理もこの宇宙開発利用の戦略的な推進体制に関しては恐らく先進的なお考えもありますし、ぜひ、古川大臣中心に連携をして、よりよい体制整備をお願いしてまいりたいと思います。
最後に、また繰り返しますが、今回、この宇宙環境教育というものが、非常に国民全体の皆さんの大きな期待を背負っている大きな国家プロジェクトだと私は思っています。その点におきまして、ぜひ大臣の強いリーダーシップをお願いして、私の質問を終わりにします。
○荒井委員長 次に、遠山清彦君。
○遠山委員 公明党の遠山清彦でございます。
久しぶりに内閣委員会で質疑させていただきます。
古川大臣にまずお伺いします。
今回の改正によりまして、日本政府による宇宙開発及びその戦略的利用について体制を強化するという基本方針につきましては、我が公明党としても賛成でございます。しかし、何点か確認をしておきたい点もございますし、きょうも同僚議員から既に同じような質問が出ておりますけれども、また、いろいろと法律をじっくり読みましたら、党内手続が終わった後に深刻な問題があるなと思った点がございますので、やや批判的な観点で少し御提言もさせていただきたいと思っております。
まず、司令塔機能の確立についてでございますが、内閣総理大臣が司令塔という位置づけになっておりますが、一方で、主務大臣として、文部科学大臣、総務大臣、経済産業大臣、また、法文を読みますと、プロジェクトによっては政令が定める他の大臣も主務大臣になれるという規定になっております。
先ほど来の質疑を聞いておりますと、野田総理は大変宇宙に御関心が強い政治家であるということは理解できましたが、今の国会状況を見ても、総理が常時宇宙開発に関与できる状況ではないということを踏まえますと、結局、主務大臣が総理以外多いということは、省庁縦割りの弊害が残るという懸念もあるのではないかと思いますが、古川大臣の御見解を伺いたいと思います。
○古川国務大臣 委員も与党の議員として、また、政府にも入られてお仕事をされておられましたので、よく承知だと思いますが、私も政権に入らせていただいて、内閣府は副大臣もやらせていただいて、今は特命担当大臣というものもやらせていただいております。
私は、各省大臣が縦割り大臣とすれば、私の大臣は横割り大臣のような形で、さまざまな各省庁の絡む案件についてまさに総理のサポートをしていく、そういう役割で統合していく、そして必要な指示をしていく、それが私の役割だというふうに考えておりますけれども、宇宙開発についても、私は今宇宙開発担当大臣という形で、総理のそうした強い思いをしっかり受けた形で、今回の法改正も私がリードしてまとめさせていただいたものであります。
今回の法改正によりまして、今までも大臣はいたんですけれども、事務方のところでいいますと、そこのところがある種少し各省にばらけていた部分を、内閣府に宇宙政策を一体的に推進するための司令塔機能を整備するということになりました。そして、ここにおいて宇宙開発事業に係る施策を総合的かつ計画的に推進するということにしたわけでございます。
したがって、まさに総理がトップでありますけれども、総理の思いを受けて、ちゃんと宇宙開発の担当大臣がいて、その担当大臣を支える事務局、部局というものが内閣府の中にしっかりできる。この内閣府の新たにできる部局が司令塔機能を発揮することによりまして、各省の縦割りの弊害を防いでいく、そうした役割を果たしていくものだと思います。
そこを果たしていくためには、先ほど河村委員からの御質問の中でもありましたが、やはり予算などについても、具体的な方針というのをなるたけ具体化させて、きちんとこの新しい司令塔がグリップを握っていく、そうした形をつくっていくということが大事だと思っておりまして、そうした懸念が生じないように私ども努力をしてまいりたいと思っています。
そうしたことはぜひ、この法案は、まさにもともと宇宙基本法は議員立法でできているわけでありますから、先生方におかれても、そうした運用の仕方をしっかりチェックしていただきたい。私どもも努力してまいりますし、皆様方にも見ていただいて、この新たな司令塔がそうした縦割りの弊害に陥らないように、しっかりと統合して指令が出せるように、そしてまとめていけるようにやってまいりたいというふうに思っております。
〔委員長退席、津村委員長代理着席〕
○遠山委員 縦割りの弊害をなくしていく横割り大臣ということは理解をさせていただきましたが、その上で、今、古川大臣も言及していましたけれども、予算なんですが、内閣府から私どもがヒアリングをした際に、結局、宇宙開発利用に関する予算計上は一括では行わないと。既存の宇宙開発戦略本部が関係各省庁と事前調整をして、それを踏まえて予算を各省庁が個別にするというふうに伺ったわけでございます。
そうしますと、予算計上の段階で一括になっていないということは、例えば国民の目から見ますと、戦略性、要するに、国家が、政府がどういう戦略性を持って宇宙開発利用をしようとしているのかというのがなかなか見えにくい。
もう大臣はよく御存じのとおり、例えば沖縄振興予算というのは、かなりの数の省庁にまたがっていますが予算計上は一括で行われておりますので、沖縄振興のどこに重点が置かれて政府が予算編成したのかというのが予算書を見ればわかる状況になっていますが、この宇宙開発については、大臣のおっしゃっていることは縮小なんですが、予算計上が一括で行われないということで、リーダーシップと戦略性が見えにくいという問題点があると思います。これについてはどういうふうにお考えですか。
○古川国務大臣 御指摘のような部分はあるかもしれませんけれども、今回、法改正におきましては、内閣府が、宇宙政策委員会の調査審議を踏まえて、政府全体の宇宙関連事業の優先度や施策の効果的な推進のあり方等、これを見積もり方針として決定をする。しかも、先ほどから申し上げていますように、この見積もり方針はできる限り具体的なものとしていきたいというふうに思っています。そして、それに基づいて各省が予算要求を行うものとさせていただいております。
したがいまして、ここの、まさに見積もり方針をどこまで具体化できるかというところに、今の委員の御懸念のところが払拭できるかというところにかかってくると思っております。
私どもとしては、できるだけこれを具体的なものとすることによって、この見積もり方針を見れば宇宙政策のどういうところにちゃんと予算がついていくのか、わかるようにしてまいりたいというふうに考えております。
○遠山委員 大臣、ありがとうございます。
そうしますと、大臣の今の御答弁は次の私の質問への答えにもなっていますので次の質問は割愛しますが、逆に発展的にちょっと伺うと、要するに、新設される宇宙政策委員会が宇宙開発についての見積もり方針を出す、それに基づいて各省庁が予算編成をするから、その見積もり方針を見ればさっき私が申し上げた戦略性とかがわかるということだというふうに理解をいたしました。
であるならば、大臣に提案というか、申し上げたいのは、見積もり方針という名前ではなくて、宇宙開発利用に関する政府としての戦略的考え方とか、何かもうちょっと、見積もり方針を読んだら宇宙開発がわかりますよではちょっと拍子抜けな感じもしますので、表現の問題ではありますけれども、ぜひ宇宙政策委員会として、政府の宇宙開発利用戦略はこうですよというのをしっかり出して、それに基づいて各省庁が予算要求するという形をしっかり国民にわかるように整えていただきたいというのを要望で出しておきたいと思います。
次の質問に参りますが、宇宙政策委員会と既存の総合科学技術会議、これは残りますね、これの役割分担、権限関係というのはどのようになるのか。これは園田政務官ですか、お答え、よろしくお願いいたします。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
先生御指摘の総合科学技術会議でございますけれども、こことのいわば一定の整理を私どももさせていただいておるところでございます。
御承知のように、古川大臣は総合会議の担当大臣でもございますので、今般お願いさせていただいている宇宙政策委員会と、それから総合科学技術会議とのすみ分けという形で整理をした結果、宇宙分野を含む分野横断的な科学技術に関する施策については総合科学技術会議において調査審議を行います。一方、宇宙政策委員会でございますけれども、これは、主として宇宙開発利用に関する施策については科学技術に関するものも含めて宇宙政策委員会で調査審議をするという形で、広く宇宙分野といった場合は総合科学技術会議、そして宇宙の開発利用に関する施策の科学技術に関しては宇宙政策委員会で調査審議をするという整理をさせていただいているところでございます。
○遠山委員 わかったようなわからないような、宇宙分野は総合科学会議で、宇宙開発利用は宇宙政策委員会だということなんですが、その答弁で了としますけれども、若干まだわからないところがありますが、それは個別具体的なプロジェクトや施策ごとにきちんと政府で整理をされて、重複したテーマについて違う見解がそれぞれから出て混乱しないようにということだけ申し上げておきたいと思います。
続きまして、これも政務官で結構でございますが、これは私も法案を調べて、当初気づかなかったんですが、後からあれっと思ったことなんですけれども、この宇宙政策委員会というのは総理大臣とか関係各省庁への勧告権が法律で認められております。これは一定の強い権限とみなしていいと思うんですが、ところが、この宇宙政策委員の任命、人事については、例えば先ほど言及しました総合科学技術会議では要件とされております国会の同意が、宇宙政策委員会のメンバーについては必要とされていないということでございます。
私の観点は、総理にすら勧告できる権限を持った委員会の委員がなぜ国会の同意人事になっていないのかということについて、政府の明快な説明を求めたいと思います。
ちなみに、大臣等はよく御存じのとおり、原子力委員会とか原子力安全委員会の委員任命については全部国会の同意が必要となっているわけでございまして、宇宙政策は格が低いからこういう扱いになっているのか、それとも、ねじれ国会でなかなか同意がとりにくいから、なるべく国会同意を外そうと今の政権は考えられてこういう仕組みにしているのか、ちょっとその辺を明快に説明していただきたいと思います。
○園田大臣政務官 お答え申し上げます。
先生の今おっしゃっていただきました例えば原子力安全委員会あるいは原子力委員会は、常勤の方がいらっしゃって、そして、まず国会の同意が必要であるという形になっておるところでございます。
一方、今般この法案でお願いをさせていただいております宇宙政策委員会については、内閣総理大臣等の諮問に応じて、専ら政策審議を行うことを任務といたしておるところでございます。
すなわち、後でも申し上げますけれども、まず、政策決定の場ではないということがいわば他の委員会との違いであるというふうに御理解をいただければというふうに思っております。かつ非常勤の委員、全員非常勤でございますけれども、非常勤の委員から構成されているということでございまして、内閣総理大臣に対して勧告する権限を有することとはいたしておりますけれども、政策審議の任務の一環でありまして、これは政策決定を行うものではないという整理をさせていただいております。
例えばでございますけれども、他の委員会で、非常勤で国会の同意人事がないというものは、官民競争入札等監理委員会でありますとか、消費者委員会でありますとか、あるいはPFI、民間資金等活用事業推進委員会、これについても国会同意人事がない。そしてまた、調査審議。決定の場ではないというところの大きな違いがあるのではないかというふうに考えておるところでございます。そういう整理をさせていただきました。
○遠山委員 これは政権交代があるなしにかかわらず、政府としてこういう会議体をつくるときは、やはり、今政務官がおっしゃった基準はかなり明確だと思いますから、それはしっかり確立をしていただきたいと思います。
要するに、政策決定をしない、そして委員が非常勤であるということでそうしたということでございますが、他の同種の委員会も政府は多いわけですから、そこはきちんとしないと、何か、政権についている政党の御都合主義でその仕組みを変えているというふうに、それは逆に言えば、ほかの政党が政権をとっても同じそしりが生じますから、そういう意味では、きちんと今おっしゃったような基準を安定的に貫くような運用をしていただきたいと思います。
では、次に移ります。
これは大臣に伺いますが、平成二十二年四月に、今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議という会議体が公表した提言書の中では、仮称でありますけれども、宇宙庁という組織を設置した方がいいのではないかと提言されておりますが、今回、宇宙庁という常設の組織を見送った理由は何なんでしょうか。
○古川国務大臣 宇宙庁を設置すべきだという声、かなりいろいろなところからあるということは私も承知はいたしております。また、今御質問でもございましたように、有識者会議においてもそうした提言をいただきました。
そうしたことも踏まえて私ども検討をいたしてまいりましたけれども、この宇宙庁の設立につきましては、これは宇宙政策の観点のみならず、行政改革上の要請であるとか、政府全体の行政組織のあり方にも関係する課題でございます。そうした点を踏まえ、昨年九月三十日の閣議決定におきましては、まずは内閣府に司令塔機能を担当する体制を整備することによって、一日も早く実効的な宇宙開発利用体制を構築する、それを優先してやろうということにしたということであります。
その上で、宇宙庁の設置につきましては、同じ日の閣議決定で、科学技術・イノベーション政策の検討とも連携しつつ、将来的な課題として引き続き検討することになっておりますので、それに従って検討はしてまいりたいというふうに考えております。
○遠山委員 わかりました。
続きまして、園田政務官に伺いますが、本改正案では、先ほど来申し上げておりますとおり、内閣府に宇宙政策委員会が新設をされる、それに伴って、今まで文部科学省に設置をされていた宇宙開発委員会は廃止をされるということになっているわけでございます。また、従来から、宇宙開発戦略本部のもとには宇宙開発戦略専門調査会という組織が設置をされております。一般の方から見ると、似たような名前で宇宙で始まる組織体がいろいろあるので、私も含めて、なかなか理解するのが難しいところはあるんですが。
私がこの質問で伺いたいのは、当然、これまでの宇宙の開発利用に関する専門的知見、知識などは、既存の、文科省にあった宇宙開発委員会及び宇宙開発戦略専門調査会、私が二番目に御紹介した組織ですが、そこに蓄積をされていると推測するのが妥当だと思います。
今回の法改正に伴って、新設の宇宙政策委員会ができる。それから、大臣からも先ほどありましたように、内閣府の中に新しい担当部局ができます。私の問題意識は、では、今まで文科省とか宇宙開発戦略本部の調査会で蓄積された知識とか経験も、全部その新しい宇宙政策委員会や内閣府の部局にきちんと継承されて、受け継がれると理解をしていいのか。
それとも、文科省の宇宙開発委員会は組織として廃止されますが、宇宙開発戦略専門調査会は私の理解では残るだろうと思っていまして、そうすると、次の質問で聞きますけれども、文科省もJAXAの所管省庁としてまだ中心的な役割を果たす余地が残っているわけですから、こういう今まで日本が蓄積してきた専門的知識とか知見というのは、従来どおり文科省にあって、主導してしまうことになるのか。それとも、今私が前段で申し上げたように、新しい組織、新しい部局の方がそれを受け継いで、主導していくことになるのか。
政務官、そこをはっきりとしていただきたいと思います。資料を読んだ限りでは、ちょっとよくわからなかったものですから。
○園田大臣政務官 お答えを申し上げます。
先生御指摘のように、今までの宇宙開発委員会、文部科学省にございましたけれども、あるいは本部のもとに設置されておりました宇宙開発戦略専門調査会、これらは廃止という形で、今後は、今般法案で提出をさせていただいております宇宙政策委員会が担うという形になってまいります。
当然、専門的な知見を提供する役割といった形で、新しくできます政策委員会が担っていくわけでございますけれども、宇宙政策は、幅広く、産業振興であるとか科学技術であるとか、広範な分野における利用促進あるいは利用等の、多様な分野に関連をしてまいります。
今般新たに設置をさせていただきまして、幅広く人材を募っていきたいというふうに私どもは考えておるところでございますけれども、当然、これまで日本の科学技術といいますか宇宙政策による積み上げといいますか、知識、知見といったものはベースにきちっとあるというふうに私どもも考えておりますので、それが物理的に継承するということではないかもしれませんけれども、そういった知見といいますか、積み上げてきたものが、しっかりと今後、さまざまな科学技術あるいは宇宙政策の分野の中において、それをさらに発展的に行っていくもの、あるいは、さらに新たな知見を有して、それを取り入れてさらに加速させていく分野といったものは、かなりの分野でそれぞれ議論が加速されていくであろうというふうに考えております。
そういった意味では、組織としての連関性といいますか、それは一旦廃止をされて新たに立ち上がっていくというふうに思っておりますけれども、そういったソフト的な考え方であるとか、あるいはさまざまな科学技術であるとか、そういったものはきちっと我が国の体制の中において継承されていくといいますか、発展的にいくものであるというふうに考えておるところでございます。
〔津村委員長代理退席、委員長着席〕
○遠山委員 政務官、次の質問は文科省の政府参考人に答えていただきますが、ここはちょっとわかりにくいんですよ。
つまり、次の質問は、宇宙航空研究開発機構、JAXAの主務大臣は、現行では文部科学大臣と総務大臣で、今回の改正で総理と経済産業大臣が追加されるんですね。そうすると、JAXAの主務大臣が、今まで二だったのが四にふえるわけです。当然、専門家の中で意見があるのは、JAXAの業務を一体的かつ戦略的にやろうとするならば、二を四にするんじゃなくて、二を一にして、一人の大臣のもとにやらせた方がよかったんじゃないかという御意見もあると思っております。
もう一つつけ加えて言えば、この後文科省から答弁いただきますが、もし補足の答弁があれば政務官でいいですから言っていただきたいんですが、要するに、文部科学省が今まで、はっきり言って、すごいざっくり言うと、JAXAの所管大臣として一番重要な役割を果たしてきたわけです。それを、今回、古川宇宙開発担当大臣のもとに、内閣府に部局を新設して、そっちが主導しますよという印象を受ける改革をする。
それは、私は悪いと言っているんじゃないんです。だけれども、文科省も厳然とJAXAの主務大臣で残りますから、すると、今までの経過からすると、やはり文科省もいろいろ言いたいこともあるだろうし、人脈もあるだろうし、関係もあるだろうしということで、政府は内閣府を中心に、先ほど横割りと大臣がおっしゃっていましたけれども、そうやってリーダーシップを総理のもとにやるんだという形を整えているんですが、実態上はまだ何か体半分文科省のところに置いてきているというか、そういう印象なんです。
もちろん、古川大臣も別に文科省を排除しようと思っているわけではないと思いますけれども、ここがちょっとわかりにくいんですね、JAXAとの関係で。
ちょっと文科省から先に御答弁いただいて、その後、補足があれば政務官にもいただきたいと思います。
○戸谷政府参考人 最初に、ちょっと私の勘違いでなければ、宇宙開発委員会の廃止に伴いまして、これまで検討した技術的な知見といいますか、そのことについてまず簡単に申し上げさせていただきますと、宇宙開発委員会につきましては、例えば、宇宙開発事業団がやってまいりましたいろいろな宇宙開発のプロジェクトの評価をやってまいりまして、そういうことについての、評価の基本的な考え方としてどうするかといったような、その評価の指針のようなものを取りまとめてやってきております。こういう評価のやり方というのは、ある意味では一つの技術的な知見でございまして、そういったものはもう既に公開もされておりまして、もし必要であれば、今後の新しい体制の中でも活用されると。
それから、あともう一つ大きな点は、先ほど来の御審議の中でもございました安全評価についてどう考えるかという問題が、非常に大きな、実は極めて高度な技術的な問題としてございます。それは、例えばロケットによる人工衛星の打ち上げ等の際におきまして、載っけたペイロードとそのロケットの環境の中で、安全的なものについてどういうふうに評価して考えていくのか。これは事前にきっちり安全評価をしてやっていかなきゃいけない。
そういった評価基準とか、それから一番大事な有人の安全の問題。宇宙ステーションの中でこれは非常に重要な問題でございますけれども、そういったことにつきましても、日本の宇宙飛行士がちゃんと安全に活動できるかどうかということについて、どういうふうに安全評価をするかということについても、基本的な指針をこれまで取りまとめてきております。
先ほども申し上げましたけれども、そういった安全面のことにつきましては、当面、文部科学省で引き続き、しっかりこの宇宙開発委員会のものを引き継ぎながらやっていくということで考えておる次第でございます。
それからあと、後段の、JAXAの所管大臣の方の関係について申し上げますと、私どもの理解では、今回、JAXAを政府の関係機関で幅広く使うということから、ある意味では、JAXAと、今後いろいろ宇宙利用を考えられる各省が直接かかわった方が、より利用の範囲が広がるしということのお考えかというふうに私どもとしては理解をいたしております。
ただ、その際、JAXA全体の活動がてんでんばらばらと申しますか、いろいろな方向に向いていくということにつきましては、これは私が申し上げるのは若干僣越かと思いますが、内閣府の方で今度しっかり調整をされますし、あるいは、今度、宇宙基本計画といったものとJAXAの中期目標といったものをきっちり整合性をするということが担保されるということで、その両方をよく見ながら、今回新たな体制となるというふうに私どもとしては認識をしているということでございます。
○園田大臣政務官 先ほどの先生の御指摘を踏まえまして、もう少し詳しく話をさせていただきますと、先ほど私が申し上げた宇宙政策委員会と、それから、今般、その下に部会を設けさせていただきます。その中できちっと専門的な知見や経験を有する人材を幅広く集めて、政策委員会が十分に宇宙政策の分野におけるさまざまな役割を発揮できるように努めていくというのがまずございます。
先ほどおっしゃっていただきましたJAXAについての利用で、経産大臣も入ってくるじゃないか、二が四になってしまっているじゃないかというような御指摘でございますけれども、当然、今般のこの改正で一番の大きな主眼といいますか、それは、おっしゃるように、内閣府で一元的にまず全体を見通して、この宇宙政策が主務大臣であるところの内閣総理大臣にまず一元化をされていくといったところに今般の法改正の一番大きな主眼があるというふうに申し上げさせていただきます。
その総理大臣が総合的な宇宙の利用を推進する観点から、さまざまな形で、総理大臣が担っていくという役割を、まずここに集約をされていく、全体的なところを見ていくというところになりますので、そういった意味では、さまざまな省庁、経産大臣がJAXAが使えるようになったからといって、それが散漫していくということではなくて、さまざまな各大臣が利用可能な形になる上で、最終的には、総理大臣のもとでこの宇宙政策といったものを推進していく体制がこれで整えられたというふうに御理解いただければと思います。
○遠山委員 よくわかりました。
最後に、宇宙と関係ない簡潔な質問を古川大臣にいたします。
今回の法改正で、内閣府の副大臣及び大臣政務官等を他の省庁の副大臣等が兼職できるということが盛り込まれているわけでございますが、一点だけ、兼職できる副大臣や政務官の数の上限規定がないんですね。
だから、古川大臣から見れば、俺たちは忙しいんだ、ちょっと暇な省庁の暇な政務官、副大臣、内閣府で兼職してちょうだいというと、理論的に、二十人以上リクルートして兼職させられるというふうに理屈の上ではなっていますが、これはなぜ上限規定を設けなかったのか。大体どの程度兼職をさせようと今思っていらっしゃるのか。それをお伺いして、私の質疑を終わりたいと思います。
○古川国務大臣 これは、政権交代以降、私どもは、大臣、副大臣、政務官、この三人が、いわば政務三役がチームとしてワンセットで行政を指揮監督していこう、そういう取り組みをしています。
ところが、御存じのように、内閣府特命担当大臣というのは、これは大臣の数が限られていますので、その中で何人の大臣に内閣府特命担当大臣という形で担務をつけるかというのは、時々の総理がお決めになることになります。
私が副長官のときに、少し、前の自公政権時代でいいますと、内閣府の場合には、一人ずつ副大臣、政務官を大臣に張りつけられないので、この特命担当大臣には副大臣、この特命担当大臣には政務官と、そういう分け方をしていたんですね。そういうことも一度菅内閣のときに考えましたけれども、今、国会答弁等も我々がやっておりますので、どうしてもやはりラインとして大臣、副大臣、政務官と必要だろう、そういうふうに今は考えております。
その中でやりますと、私自身も副大臣のときにあったのが、お仕えする大臣が三人も四人もいる。そうすると、こっちの大臣から呼ばれる、あっちの大臣から呼ばれる、こっちへ行っていると、おまえは何で俺の方に来ないんだとか、そういうことがあったりするんですね。
そういう意味では、一列に、ラインとして同じメンバーでやはりやった方がいい。ですから、ほかの、例えば国交大臣であっても、その大臣が海洋政策担当であれば、そこの副大臣や政務官が大臣と一緒になって、内閣府特命担当大臣としての海洋政策担当の大臣をお支えするという形にすれば、これは同じメンバーですから、政務三役ですから、チームとしてうまくいく。
だから、そういった意味では、人数に上限はつけていませんが、基本的には、特命担当大臣の数に従った、そうしたサポートをつけるという形になっていくのではないか。それは、総理が何人この特命担当大臣を任命するかによって変わってきますので、そういった意味で上限とかをつけていないというふうに御理解をいただければと思います。
○遠山委員 公正に運用していただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○荒井委員長 次に、吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
きのうは「はやぶさ」の日でしたが、「はやぶさ」というのは、宇宙基本法がない時代、JAXA法改正案などが考えられていない時代に打ち上げられ、大きな成功をおさめたものです。国際貢献をしてきた日本のすぐれた宇宙科学とか宇宙物理学というのは、別にこういう法律がなくても、これはもともとやってきたものなんです。
先ほど、宇宙基本法について、超党派で全会一致みたいなお話がありましたけれども、当時、日本共産党は、私は委員でしたが、これは宇宙に軍事を持ち込む法律だということで反対をいたしました。
冒頭に、大臣に一言まず伺っておきたいんですが、JAXA法の目的規定からなぜ「平和の目的に限り、」を削除するのか、これを大臣に伺っておきたいと思います。
○古川国務大臣 お答えいたします。
宇宙基本法の第二条では、宇宙の平和利用という題目で、「宇宙開発利用は、月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約等の宇宙開発利用に関する条約その他の国際約束の定めるところに従い、日本国憲法の平和主義の理念にのっとり、行われるものとする。」こうした定めがございます。
また、この宇宙基本法の附則及び附帯決議におきまして、JAXAにつきまして、その目的、機能、業務の範囲等について検討を加え、見直しを行うものとされたところであります。
こうした宇宙基本法の規定、そして附則及び附帯決議、これに基づきまして政府において検討いたしまして、今回、JAXA法の目的規定における平和利用に関する記述を宇宙基本法と整合的なものとなるように改正したものでございます。
○吉井委員 これは、もともと、憲法九条の平和主義の立場に立てば、宇宙基本法から宇宙の軍事利用の規定を削除するのが本筋なんですよ。
JAXAの目的規定から「平和の目的に限り、」をなくすと、結局、軍事の価値観で機密が持ち込まれ、学術研究がゆがめられてしまうことになってきます。ところが、「はやぶさ」の成功など平和利用の宇宙開発分野に軍事を持ち込んできますと、研究内容や組織のあり方、そこに機密の網がかぶせられて、秘密主義に覆われるという問題が出てきます。
実は、この秘密主義の典型的な例が、ことし一月に発覚した、三菱電機のJAXA、防衛省、内閣衛星情報センター、総務省、情報通信研究機構への水増し請求事件です。また、その弊害というのは、情報収集衛星の運用実態が全てを物語っていると思うんです。本来、多目的衛星であるにもかかわらず、福島第一原発の事故など、第一の目的であるはずの大規模災害への対応に関する情報さえ何一つ公開されないという異常な事態が起こっております。
そこで、資料を配付させていただいておりますので資料一をごらんいただきたいんですが、実は、情報収集衛星が導入され、開発を委託されたJAXAは、予算は、下の青い方の線なんですが、ずっと横ばいなんですね。これは一九九九年を一〇〇としたグラフです。結局、予算と人材を情報収集衛星に割かれてしまっている。大臣、これが実態じゃありませんか。
○大竹政府参考人 お答えいたします。
情報収集衛星につきましては、現在、内閣官房内閣衛星情報センターが開発の主体となっているものでありまして、予算も内閣官房の方で手当てしております。ただ、開発におきまして、独立行政法人宇宙開発研究機構、JAXAにその開発を委託しております。
したがいまして、これがJAXAのいわゆる予算、運営費交付金ほかと別の体系で来ておりますので、JAXAが行う研究開発予算が情報収集衛星の開発に割かれているという事実はございません。
○吉井委員 大竹さんも、いつの間にか大臣になられたようで。私、大臣に質問しておったんですがね。
JAXAの予算というのは、このグラフを見ても明白なんですね、横ばいなんですよ。情報収集衛星の方はどんどんふえているんです。これは事実だろうということを聞いているんです。
JAXAの目的から「平和の目的に限り、」が外されると、グラフに示したように、JAXA全体に占める宇宙の軍事利用に関する研究開発費がふえ続けるということになっています。
法案二十四条に準じて二十六条の方で、まあ二十六条で、さっきもありました総理大臣も経産大臣も出てくるわけですが、政令によりということで、政令による大臣が加わるわけですね。固有名詞は出ていないんですが、政令により防衛大臣をJAXAの主務大臣にすれば、自衛隊の要請を受け、我が国の国際協力の推進もしくは国際的な平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるとき、または緊急の必要があると認められれば、防衛大臣はJAXAに対して、自衛隊が必要とする軍事衛星の開発のためにJAXAを動員できるというたてつけになっているんじゃないですか。ここは大臣に伺っておきます。
○古川国務大臣 今般の改正では、JAXAを政府全体の宇宙開発利用を技術で支える中核的な実施機関と位置づけたところであります。その一環といたしまして、各省の持つ行政ニーズにJAXAがより緊密に対応できるよう資源を投入し、具体的な事業をJAXAに実施させることとなった府省につきましては、当該事業についてJAXAの主務大臣となることを可能とするために、主務大臣を政令で追加できる仕組みを導入したものでございます。
そういった意味では、法理論的には防衛省、防衛大臣が主務大臣となることもあり得るわけでございますけれども、したがって、そういった意味では、防衛省の個別のプロジェクトについて、これをJAXAが実施することを排除されているものではございませんが、現時点では具体的な計画はないというふうに承知をいたしておりますし、仮に防衛大臣が主務大臣となって、個別プロジェクトについてJAXAが実施する場合であっても、先ほど申し上げました、宇宙基本法の、日本国憲法の平和主義にのっとり、当然その範囲内で行われるということでございます。
○吉井委員 なぜか、主務大臣のところで防衛大臣、書きにくいのか、政令で定めるということになっていたわけですが。
次に、政府参考人にこちらは伺っておきますが、ミサイルの発射段階の熱を検知する日米共同のミサイル防衛システムの一つ、早期警戒衛星というのは、米軍の早期警戒衛星DSPを使っています。防衛省は、早期警戒衛星のセンサーにも搭載できる二波長赤外線センサーの研究を進めていますが、実際にセンサーを搭載した早期警戒衛星を開発するためにJAXAの技術と研究者を動員するのが、法改正の一つの大きな動機となっていると思うわけです。
防衛省は二波長赤外線センサーの開発を進めておりますが、今のJAXA法のもとでは、JAXAの持っている技術を使って二波長赤外線センサーを載せた早期警戒衛星をつくらせることはできないわけですね。JAXA法を変えれば、この利用は可能となるんじゃないですか。
○西政府参考人 お答え申し上げます。
防衛省といたしましては、現在、早期警戒機能のかなめとなります高感度の赤外線センサーについて先行的な研究開発を推進するなど、警戒監視の高度化に向けた検討、これは行っております。
具体的には、先生御指摘のとおり、目標物体の抽出、識別性の向上、これが見込まれます二波長赤外線センサーに関する技術の資料を得るべく、平成十七年度から研究を実施しておりますが、ただ、当該センサーを早期警戒センサーとして使用するかどうか、こういったところについては、まだ私ども結論を得るに至っておりません。今後、当該研究の成果を踏まえつつ考えていこうというところでございます。
○吉井委員 ですから、今度の法律のたてつけからいうと、政令で定めるということになっていますが、防衛大臣の固有名詞は入っていませんから、今のままだったらJAXAの技術を使うことはできないわけですよ。しかし、この主務大臣を、総理が、この「政令で定める」の部分の政令を、防衛大臣も入れたら、JAXA法を今回のように変えることによって、この利用が可能になるということは今の答弁で明らかだと思います。
昨年末に民主党政権は、武器輸出三原則を投げ捨てて、兵器の国際共同開発に道を開きました。昨年六月の日米2プラス2共同発表で、日米二国間の宇宙における安全保障に関するパートナーシップを深化させる最近の進展があったと述べて、デュアルユースのセンサーの活用という内容も含まれています。
これは、二波長赤外線センサーを搭載したミサイル防衛のための早期警戒衛星の開発を日米共同で行うということを意味しています。その開発のためにJAXAの技術を使おうと考えているものと言わざるを得ません。
防衛省は、宇宙基本法成立後、自衛隊の宇宙の軍事利用の方針である宇宙開発利用に関する基本方針をまとめ、防衛計画の大綱の中では、「宇宙分野を含む技術動向等を踏まえた多様な情報収集能力や情報本部等の総合的な分析・評価能力等を強化し、情報・運用・政策の各部門を通じた情報共有体制を整備する。」としております。宇宙技術を軍事に積極的に導入するということが今、示されているわけです。
防衛省の方は、実際に、質量五百キログラム以下、一辺が一・二メーター以下の即応型小型衛星を使った通常のカメラと合成開口レーダーを載せた偵察衛星を、空中発射できる小型ロケットで発射することを検討しております。この即応型小型衛星の開発と実証をJAXAの方では進めています。また、イプシロンという名前の新型固体ロケットの開発もJAXAでやっています。
JAXA法改正によって、自衛隊の求めに応えてJAXAの技術を使った即応型小型偵察衛星を開発して打ち上げよう、大臣、このことをJAXA法の一つの大きな狙いとして、全部じゃないですよ、そのうちの一つとして考えているんじゃないですか。
○西政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の即応型小型衛星といいますものは、先生御存じのとおり、航空機からの打ち上げも可能な、低高度軌道でのコンパクトな衛星でございます。能力が限定され、寿命が短いという特性を持ちますが、他方、打ち上げのための準備期間が短い、そういった特徴を持っております。米国においても、先生がおっしゃられましたとおり、情報収集あるいは通信、そういった分野での活用を目指した研究開発が進められておる次第でございます。
私ども防衛省といたしましても、即応型の小型衛星の有用性や技術的な可能性、費用対効果、こういったことについて検討を行うことが必要であろうという認識を持っておりまして、必要となる諸元などについては各種の調査研究を実施してきておりますが、現時点、これを開発するかどうかにつきましては、こうした調査研究の結果も踏まえまして今後検討していく、このように思っているところでございます。
○吉井委員 JAXAの方は、この即応型小型衛星の開発、実証を進めているわけですね。ですから、西さんも大臣になられたのかもしれないけれども、要するに、結局、今度の法律の改正の大きな狙いの一つは、政令によって、つまり防衛大臣が参加することによってJAXAの軍事利用に道を開く、そこに非常に大きな狙いがあるということがはっきりしていると思うんです。
資料をお配りさせていただいておりますので、資料の二をごらんいただきたいんですが、実は、この資料に示したように、これはその一部なんですが、宇宙産業分野の企業から霞が関出張所と呼ぶべき在籍出向の実態を示しました。
今回の改正案で、JAXA法十八条に、人工衛星やロケットの開発、ロケットの打ち上げ施設に関して、民間事業者の求めに応じた援助と助言を行うことをJAXAの業務に追加する規定があります。
これまでも経団連や日本航空宇宙工業会などは、政府による宇宙開発関連の受注の確保、人工衛星の製造をPFIによってやっていくPFI法の改正、宇宙関連のトップセールスやパッケージ型輸出を国に対して求めてきました。
JAXAは、三菱電機や三菱重工業などの宇宙産業、航空宇宙工業会、経団連などから要求されれば、その要求に沿って業務を行うということに今度の法改正でなっていくことになります。これはちょっと余りにも露骨な条文じゃないかと思うんですが、大臣、援助と助言とは具体的に何を指して提案しておられるのか。補助金創設などの金銭的援助も行うのか。こうしたことについては提案者である大臣に伺っておきます。
○古川国務大臣 宇宙産業は我が国が宇宙開発利用を進めていく上で重要な基盤でありまして、その維持強化は喫緊の課題となっております。
宇宙基本法におきましても産業振興が基本理念として明記されまして、国は民間における事業活動促進のために必要な施策を講ずるところとされております。また、アジア等の宇宙新興国を中心に宇宙産業の市場拡大が見込まれておりまして、民間事業者による海外展開を図ることも我が国宇宙産業の振興の観点から重要でありますし、我が国の経済成長にとっても大変重要なことであるというふうに考えております。
このような状況を踏まえて、我が国の宇宙開発利用を技術で支える中核的な実施機関でありますJAXAが、その技術力等を生かして、人工衛星等の開発等を行う民間事業者に技術的知見を提供したり、また、民間事業者が衛星システムを海外展開するため、相手国宇宙機関に衛星システムの利用技術を提供したり、こうしたことを想定いたしております。
○吉井委員 私が伺っておりましたのは、この霞が関出張所の実態について、やはりそこから来るのが今の要求につながってくるわけですから。
実は、事前に、関連する企業の方からレクチャーを受けると、JAXA法十八条六号改正案検討途中で、民間事業者の事業活動の推進に関し、成果の活用に関する情報の収集及び提供並びに指導その他の業務を行うことと、割と緩やかな表現なんです。ところが、宇宙産業から強烈な要求があって、法文のように、要するに、要求があれば援助と助言をするというふうにかなり露骨な表現に変わってしまったというのが実態だ。私は、これは非常に重要な点だと思います。
法案では、現在文科省に置かれている宇宙開発委員会を廃止して、内閣府に宇宙政策委員会を設置しようとしておりますが、現行の宇宙開発委員は、宇宙開発に関する専門的知見を有する人から構成され、国会同意人事です。五人のうち三人は常勤職員。委員は、情報収集衛星の審議の際以外は基本的に委員会を公開でやっています。新たにつくろうとしている宇宙政策委員会の委員は、国会同意はなく、そして、委員の資格として宇宙開発や技術に関する専門性は求められない、素人でよろしい。委員会の運営は公開するかどうか決まっていない。
法改悪で、法を変えることによってJAXAの目的に軍事のための宇宙開発も加えようとすれば、結局これは宇宙軍拡の宇宙政策に関することも議論するということになっていきますが、今度は、それは安保を理由にして議論を非公開としてしまうことになる、私はそういう非常に重大な問題を持っていると思うんです。
私が大臣に伺っておきたいのは、原子力村と呼ばれる原発利益共同体が福島事故を起こしたように、いわば宇宙軍需産業共同体のために宇宙開発に関する専門的知見を持たない人物を国会同意もなしに委員にできるようにするというのは、これはおかしいんじゃないですか。
○山川政府参考人 お答え申し上げます。
宇宙開発委員会につきましては、常勤委員が含まれるとともに、独立行政法人宇宙航空研究開発機構の役員の任命に関する同意、それと宇宙開発に関する長期的な計画の議決など、法律上の強い権限を有する機関であります。
一方、今般新設する宇宙政策委員会につきましては、内閣総理大臣等の諮問に応じて専ら政策審議を行うことを任務としておりまして、かつ、非常勤の委員から構成するということにしております。
こうした両委員会の性格の違いを勘案しまして、宇宙政策委員会につきましては、ほかの一般的な審議会を参考にいたしまして、国会同意を委員任命の要件とはしないこととしております。
○吉井委員 それは全く理由にならないと思うんです。
先ほど大臣のおっしゃったような宇宙産業の話については、私自身が巨大なスペースチャンバーを設計したり開発する方をやってきましたから、宇宙産業そのものについて否定しているんじゃないんですよ。それは、日本は、「はやぶさ」を初めとして、宇宙科学や宇宙物理の世界で大きな貢献もすれば、その分野で産業はちゃんと発展する道をとってきたわけですから、別に軍事に傾斜しなくても、そちらに進めることによって、科学も進めば産業も発展するという道はちゃんとあるわけなんです。
安保を理由に、JAXAの研究分野に結局素人さんが入ってきて非公開の会議をどんどんふやすということになると、大変危ないことになってしまう。
ことし五月、実は、H2Aロケット二十一号を使って、JAXAが開発した第一期水循環変動観測衛星、GCOM―W1「しずく」、これと韓国のKARIの多目的実用衛星、コンプサット3を打ち上げたわけですが、これをやったのは三菱です。
韓国の報道によると、これまでに打ち上げたコンプサット1も2も以前から軍事に利用されていたということが報じられています。他国の軍隊が使用する可能性が排除し切れない人工衛星を、三菱重工などの利益のために、平和の目的に限り業務を行うとしてきたJAXAの射場を使って打ち上げたということは、私は既に法律上も問題があると思うんですが、今回JAXA法を変えることによって憲法に相当触れてしまう、現にやっているコンプサットのようなそういう例にもっと踏み込むということは、やはりそういうふうな法改正というのは私はやるべきじゃないと思うんですが、大臣どうですか。
○大竹政府参考人 事実関係をお答えします。
今お話のありました韓国のコンプサット3は、韓国航空宇宙研究院が開発した一般的な観測能力を有する地球観測衛星ということで、これに関しては性能などが既に公表されております。その中では、分解能などの機能は商用衛星で得られるものに比べて劣るということで、広く一般に利用されるものであると。これを韓国軍が利用することを排除しているものではないとは想定いたしますが、そのような非常に一般的なものでございますので、当該衛星の打ち上げにJAXAが関与したとしても、現行の平和利用規定の記述に反するものではないと考えております。
○吉井委員 これは韓国では報道もされ、軍事用の衛星だということは知られているんですよ、軍事利用にも使っていると。
ですから、これは武器輸出三原則の問題とか非常に広い問題にわたってくるので、きょうはもう時間が来ましたからそこは触れませんけれども、要するに、宇宙の平和利用に関する国会決議というのはもともとあったわけですが、これをなきものにしようとして宇宙基本法が強行され、そして、まともな方のJAXA法の平和利用目的に限るという目的を変えちゃって、間違った方の宇宙基本法に合わせてしまって、これまでの国会決議をなきものにしようとするのがこの法案の非常に大きな問題だ、これはもう撤回するか廃案にすべきものだということを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。
○荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。
○浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。
私の方からは、この法案の改正のもとになる考え方あるいは背景といったようなことを含めて、質問をさせていただきたいと思います。
もとになる考え方としては、今まで、さまざまな省において宇宙開発というもの、あるいはそれに関連する予算といったようなものが取り扱われてまいりました。具体的には、御出席いただいておりますけれども、文部科学省、経済産業省、防衛省そして国土交通省ということで、それぞれの省において政策を行って、また、その遂行のための予算というものがつけられてまいりましたけれども、今次の改正によってこれが一元化する方向に進むのかどうか、こういう観点から伺わせていただきたいと思います。
本来であれば、国を挙げて一つのところがまとめてやっていくというのが一番の理想だろうというふうに思いますけれども、まずは古川担当大臣に伺いたいと思いますが、今後、宇宙関係の予算は、より内閣府の中において一元的に管理する方向に進むのかどうか、その点について伺いたいと思います。
○古川国務大臣 きょうの先ほど来からの議論の中でもこの点は何度も御質問に出ておりますけれども、例えば気象衛星と気象行政の関係に見られますように、宇宙政策というものは各利用省庁の行政事務と密接な関係にある、そうした側面も有しております。今回の法改正におきましては、こうした点も考慮して、予算の一元化という判断には至らなかったものであります。
一方で、今回の法改正では、宇宙政策を一体的かつ戦略的に推進するため、宇宙関係予算につきまして司令塔機能を担う内閣府が、宇宙政策委員会の調査審議を踏まえて、宇宙開発利用に関する経費の見積もりの方針を決定し、これに基づいて各省が予算要求を行うことといたしました。この見積もりの方針をどれくらい具体化できるかというところが一つのポイントになってくるんではないかというふうに思っております。
また同時に、内閣府と財政当局との密接な連携も、この予算、最初から最後の閣議決定のところまで含めて連携を図ることによって、予算自体は一元化までいきませんけれども、予算編成を含めて宇宙政策が戦略的に推進できるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○浅尾委員 今回の法案では一元化しないというのはよくわかっているんです。将来的な方向性として、古川大臣は一元化する方がよりよいと思うのか、そうでないと思うのかということを伺っているんですが、その点についてはどのように思われますか。
○古川国務大臣 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、気象衛星と気象行政のように、宇宙政策というのは、それぞれの省庁で、いわば縦に、執行のところにある部分と、そしてもっと大きな、宇宙政策の戦略的な、そういう全体を見てというところがあります。
ですから、そういう大きな戦略のところは司令塔できちんとやりますけれども、しかし、個別の非常に具体的な事業とか何かになってくると、そこのところを見ると、これはやはりちょっと別の側面もありますので、そういった意味では、全体として、宇宙戦略のところから、どういう戦略で予算をつけているかというのがきちんと見えていくようにしていきたいと思っていますが、全てのそういう事業の執行のところも全部一元化したらいいかというと、ちょっとそこは、少し距離があるんじゃないかというふうに思っておりますので、宇宙政策としては、司令塔機能をつくることによって、政策の部分としては一元的に予算が編成できるように努力をしてまいりたいというふうに考えています。
○浅尾委員 それでは、きょう、文部科学副大臣、経済産業副大臣、国土交通副大臣そして防衛政務官にお越しいただいておりますが、まだ来年度の概算要求はもちろん始まっておりませんけれども、宇宙政策の一元化に伴って、それぞれの省の予算の中で少し内閣府に予算を移管する部分がありそうかどうか、伺ってまいりたいと思います。
では、まずは文部科学副大臣からお願いしたいと思います。
○奥村副大臣 お答えいたします。
ただいま古川大臣の方からお話がありましたように、内閣府を中心に、見積もり等をしっかり我々も見聞させていただいて、それによって、本来文部科学省がやっていくべき技術開発、技術の基盤強化をしながら、人材育成を進めてまいりたいというように思っているところでございます。
○浅尾委員 時間もありますので、牧野経済産業副大臣に伺いたいと思いますけれども、変化がありそうか、なさそうかぐらいちょっとお答えいただけるとありがたいと思います。
○牧野副大臣 昨年の予算編成のときに、浅尾委員の言われたような論点の議論があったことは事実であります。しかしながら、今、古川大臣の指導のもとに、そういう予算編成に向かっておりますので、御理解のほど、よろしくお願いします。
○浅尾委員 多分、同じような答弁になると思いますが、せっかくお越しいただいておりますので、国土交通副大臣そして防衛政務官、お答えいただければと思います。
○吉田(お)副大臣 宇宙開発の利用におきましては、政府の方針に従っていくということでございますが、予算の関係に関しましては、それぞれ目的がございますので、しっかり私どもは私どもで確保していくということでございます。
○神風大臣政務官 防衛省の宇宙関連事業といたしましては、平成二十四年度予算では、イージス艦のBMD能力の付加を含むBMD関連、また、Xバンド衛星通信中継機能等の整備運営事業を含む衛星通信の利用及び商用画像衛星の利用等といった事業を計画しているところでございます。
これらの事業につきましては、防衛省が政策の立案から予算の執行まで主体的に実施していくことが適当でありまして、内閣府へこれらの事業を移管することは困難ではないかと考えているところであります。
○浅尾委員 予算については今お答えいただいたとおりなんですけれども、先ほど大臣が、全体の戦略は一元化するんだというふうにお答えいただいていました。
この全体の戦略を一元化する中で、それぞれ各省の副大臣、政務官、お越しいただいておりますが、この部分は内閣府に移管したら適当だろうというふうに思われる戦略部分はどの部分に当たるか、文部科学副大臣からお答えいただきたいと思います。
○奥村副大臣 ことしの予算もそういう思いをしながら進めてきたわけでございますが、戦略的には、先ほど申し上げたように、やはり文部科学省としては、人材の育成、そして技術開発、その基盤強化をしっかりしていきたいというように思って、先ほどお答えしたことと同じでございますが、そういう方向でしっかり進めていきたいというように思っております。
○浅尾委員 というよりか、私の質問の趣旨は、全体の戦略を内閣府で一元化するということであるとすれば、現在、文部科学省が担っている戦略のうちで、この部分は切り出して内閣府に渡すものがあるのかどうかということを伺っているんです。
○奥村副大臣 ちょっと、具体的にはないわけでございますが。
○浅尾委員 古川大臣、全体の戦略は内閣府でやるということになっていますけれども、文部科学省からは、具体的にここの戦略を切り離すというのはないという答弁でありました。
要するに、文部科学省はそのまま従来どおりやっていて、内閣府でも全体の戦略を立てるということになると、何か屋上屋的な部分もあるんじゃないかと思いますが、では、古川大臣の方から、それぞれの省で今現在担っている企画立案機能のうち、ここの部分は内閣府に移管するというようなものがあれば、それを具体的に例示していただきたいと思います。
○古川国務大臣 今回の法案でも、宇宙開発委員会、文科省のはもう廃止をすることにしていますが、浅尾委員も若干、わかっていて聞いていらっしゃるのかもしれませんけれども、企画立案とかそれぞれの所管のところを別にとってくるとかということじゃないんです。
宇宙政策委員会において調査審議をして、それに基づいて、宇宙戦略本部で宇宙政策についての総合的な戦略を立てます。そこで予算についての見積もりの案というものもつくります。それに基づいて、各省がその枠の中で、自分たちの担当になっている部分についての予算の要求からしていくという形であって、そういう意味では、別に、何か設置法に基づく所掌事務をこちらに持ってきてとかいうところとはちょっと違って、宇宙政策についての総合的な戦略は内閣府の司令塔のところでまとめていく、それに従って各省庁が予算要求をしてもらう、そういうことであります。
○浅尾委員 いや、ですから、総合的な司令塔を内閣府が担うようになるということでございます。そこは従来と違うというふうに理解をしております。ですから、従来なかった機能というのができるというふうに判断をしております。そういう意味で、従来、各省がやっていた部分のうちどの部分が移るのかということを具体的に例示していただきたいという質問です。
○古川国務大臣 移るのかというのではなくて、今までは、各省それぞれ自分たちの思いで、全体として宇宙政策、そういう発想とは少し、ある種そこが頭の中に抜けている部分もあったりしてやっていた部分はあると思うんです。
それを、今回、ちゃんと司令塔のもとで全体の戦略を決めて、そして、見積もり方針というものを出して、その枠の中で各省が予算要求をしてもらうということでありますので、そういった意味では、今までと、予算の宇宙にかかわる部分、まさに各省庁に横割りで見ていって、宇宙にかかわる部分はこの見積もり方針のもとでやっていただく形になっていくということでございましして、何かが移るとかそういう話じゃなくて、やり方が変わるというふうに理解をいただきたいと思います。
○浅尾委員 全体を統括する戦略を立てるようになるということだと思います。従来なかったものを行うということだろうと思いますけれども、それぞれ従来あった部分の機能の重複があると二重になってしまうので、そこはぜひそうならないようにしていただきたいと思います。
次に、もう一つ従来との関係で申し上げますと、研究開発と実用化との間に距離があったということだと思いますが、今後、研究開発をいかに実用化につなげていくのか、そのための方策について伺いたいと思います。
○古川国務大臣 御指摘のように、研究開発、実用化、すなわち開発と利用を有効に結びつける、これが宇宙政策の重要な課題でありまして、今回の体制整備の大きな目的の一つでもあります。
今回の体制整備におきましては、具体的には、まず、内閣府が中心となって我が国全体のユーザーのニーズを総合的に取りまとめて研究開発に反映させることにするとか、これまでは実用化の担い手のなかった省庁横断的なシステムについて内閣府自身が実用化を行うことができることとする、準天頂衛星システムなんかはまさにその典型でありますけれども、またさらに、JAXAの業務に、宇宙の実用化の担い手となる民間事業者に対する支援業務を追加する、こうした措置を講じたところでございます。
こうした措置を講じることによりまして、研究開発に利用ニーズが反映をされて研究開発の成果が実用化につながるよう、まさにこれを戦略的にこの宇宙開発の司令塔において推進してまいりたいというふうに考えております。
○浅尾委員 時間になりましたので終えたいと思いますけれども、具体的に、今の、その研究開発と実用化との関連性がこの法案によってどの程度高まりそうかということをお答えいただいて、質問を終えたいと思います。
○古川国務大臣 繰り返しになりますけれども、研究開発と利用を有効に結びつける、これが今回の法改正の目的の一つでありますから、しっかりそれは実現していきたいというふうに思っております。
○浅尾委員 終わります。
○荒井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○荒井委員長 この際、本案に対し、津村啓介君から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。津村啓介君。
―――――――――――――
内閣府設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○津村委員 ただいま議題となりました内閣府設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。
内閣府設置法等の一部を改正する法律案及び現在環境委員会で御審議されています原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案では、文部科学省設置法の宇宙開発委員会及び放射線審議会に関する規定をそれぞれ改正することとなっております。
内閣府設置法等の一部を改正する法律案では、原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案が先に施行されることを前提に、文部科学省設置法の宇宙開発委員会に関する款を削り、関係部分の款番号をずらして整理することとしておりました。
しかし、原子力の安全の確保に関する組織及び制度を改革するための環境省設置法等の一部を改正する法律案の施行期日とされる平成二十四年四月一日は既に経過したことから、改めて整理をし直す必要があります。
そこで、本修正案においては、内閣府設置法等の一部を改正する法律案第二条の文部科学省設置法の一部改正において、宇宙開発委員会に関する款を削除とする整理を行うこととしたところであります。
以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○荒井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○荒井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。吉井英勝君。
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、内閣府設置法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
反対の第一の理由は、宇宙軍拡をこれまで以上に進めることになるからです。
法案は、現行のJAXA法の目的規定から「平和の目的に限り、」という文言を削除することになっています。宇宙基本法の成立により、宇宙開発は軍事に利用しないとした一九六九年の国会の宇宙の平和利用決議の解釈がゆがめられ、宇宙の軍事利用が可能となりました。しかし、現行JAXA法の目的規定に「平和の目的に限り、」という文言があるために、JAXAは軍事を目的とした研究開発を行わない当然の制約があります。
今回の法改正は、JAXA法から平和の目的に限るとした規定をなくすことにより、JAXAを宇宙軍拡の研究開発を行う組織へと変容させる内容であり、到底容認できるものではありません。
また、法案は、防衛大臣を政令によってJAXAの主務大臣にすれば、自衛隊の活動にとって必要であれば、JAXAの開発した技術を自衛隊の活動に動員させることが可能な仕組みとなっています。
宇宙に関する科学技術分野に軍事の論理が持ち込まれると、研究者や技術者がいや応なく軍事研究開発に関与させられることになります。研究開発に機密のベールがかぶせられて、自主、民主、公開の立場からの学問の発展を阻害することにつながります。
反対の第二の理由は、日米軍事同盟の宇宙における重点分野の一つである準天頂衛星システムの整備の所管を内閣府に一元化し、その整備を着実に行おうというものだからです。
日米両国は、昨年六月、デュアルユースのセンサーの活用や人工衛星による測位システムなど、宇宙での安全保障に関するパートナーシップが深まったことを共通の認識にしています。また、野田内閣は昨年九月、「実用準天頂衛星システム事業の推進の基本的な考え方」を閣議決定し、その中で、準天頂衛星システムが「日米協力の強化及び災害対応能力の向上等広義の安全保障に資するものである。」と明記しています。複数の準天頂衛星と地上施設から構成される準天頂衛星システムは、宇宙分野での日米軍事同盟強化のための人工衛星システムであります。
反対の第三の理由は、宇宙開発委員会を廃止し、内閣府に宇宙政策委員会を設置することにより、国会の関与をなくす上、宇宙政策に関する審議を形骸化、不透明化させるからです。
現在の宇宙開発委員会委員は、宇宙開発に関する専門的知見を有する者から構成され、国会同意人事です。委員会は公開で運営されています。しかし、法案の宇宙政策委員会の委員は、国会同意人事ではなく、委員の資格として宇宙開発や技術に関する専門性は求められていません。宇宙の軍事利用政策を含めた議論をする委員会は、安保を理由に非公開とされるおそれもあります。
今回の法改正は、日米共同の宇宙軍拡へと突き進み、憲法の平和主義とは相入れない危険なものであることを指摘して、討論を終わります。
○荒井委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○荒井委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、内閣府設置法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
まず、津村啓介君提出の修正案について採決いたします。
本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○荒井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。
次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。
これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○荒井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時三分散会