衆議院

メインへスキップ



第11号 平成24年7月25日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十四年七月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 後藤 祐一君 理事 田村 謙治君

   理事 津村 啓介君 理事 湯原 俊二君

   理事 鴨下 一郎君 理事 平沢 勝栄君

   理事 古賀 敬章君 理事 高木美智代君

      阿久津幸彦君    石山 敬貴君

      磯谷香代子君    園田 康博君

      長島 一由君    橋本 博明君

      橋本  勉君    原口 一博君

      福島 伸享君    福田衣里子君

      水野 智彦君    村井 宗明君

      本村賢太郎君    森山 浩行君

      矢崎 公二君    塩崎 恭久君

      平  将明君    竹本 直一君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      野田 聖子君    京野 公子君

      瑞慶覧長敏君    村上 史好君

      遠山 清彦君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣         岡田 克也君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 松原  仁君

   国務大臣

   (国家戦略担当)     古川 元久君

   財務副大臣        藤田 幸久君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  兼原 信克君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     松田 敏明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬食品局長)            木倉 敬之君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山  亨君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 石塚 泰久君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十五日

 辞任         補欠選任

  石山 敬貴君     水野 智彦君

  小泉進次郎君     丹羽 秀樹君

同日

 辞任         補欠選任

  水野 智彦君     石山 敬貴君

  丹羽 秀樹君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官兼原信克君、消費者庁次長松田敏明君、厚生労働省大臣官房審議官唐澤剛君、厚生労働省医薬食品局長木倉敬之君、経済産業省大臣官房審議官中山亨君、防衛省大臣官房審議官石塚泰久君、防衛省防衛政策局長西正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎君。

鴨下委員 おはようございます。

 きょうは、内閣委員会の中で、古川大臣においでいただいて、これから日本の産業、特に、これから成長産業になるであろう、この分野についていろいろとお伺いをしたいというふうに思います。

 実際には、例えば薄型テレビだとか自動車、こういうものが日本の稼ぎ頭だったわけでありますけれども、少しずつといいますか、急速に陰りを見せている。こういう中で、次に日本が一体どういう産業で経済を回していくんだろうか、あるいは何がリーディングインダストリーになるんだろうか、こういうようなことについて、政治は余り介入するべきでないという話もありますけれども、ある諦観を持って方向性を定めていくというのは非常に重要だというふうに思います。

 そういう中で、平成二十四年の六月六日に医療イノベーション五カ年戦略の概要というのを古川大臣がおまとめになったんだろうと思いますけれども、私は、やはり医療分野だとか科学技術万般、こういうような分野は非常に大事だというふうに思うし、日本がまだ少しはアドバンテージを持っている分野だろうというふうに思っておりますので、そういう分野について、きょうは特に医療の分野について、古川大臣のお考えあるいは政府の取り組み、こういうことについてお伺いをしたいと思います。

 まず現状認識でありますけれども、今の日本の医薬品及び医療機器については、我々は輸出するよりも輸入して利用する方が多くなってきている、こういうような現状があるようでありますが、まず大臣の現状に対する認識を伺います。

古川国務大臣 おはようございます。お答えをさせていただきます。

 まさに今委員御指摘ございましたように、やはり医療分野というのは、私は、国内はもとより、世界に物すごく市場が広がっていますし、これから広がっていく、そして実は、ここの分野は、日本の技術、今まで例えば電機だとか自動車なんかに生かしてきた技術も生かせば、相当大きな可能性のある分野ではないかと思っています。

 にもかかわらず、今御指摘がございましたように、これは貿易赤字で、医薬品なんかでも一兆円を超える赤字がありますし、医療機器なんかも六千億とか、二〇〇九年の数字ですけれども、あるわけですね。本来、ここの部分は逆に貿易黒字にできる部分のはずだと思うんです。やはり、そこのところで国を挙げてといいますか、官民挙げてこの分野を成長分野にして世界の市場をとっていく、そういう取り組みがほかの国に比べるとちょっとおくれているんじゃないかなと。

 そういう危機意識を持って、この医療イノベーション推進五カ年戦略をまとめさせていただいたところであります。

鴨下委員 全体の話はそうなんだろうと思いますけれども。

 それでは、なぜ、例えば医薬品の輸出入、貿易赤字が生じているのか。このことについて少し、やや具体的にもしお答えになれれば答えていただきたい。さらには、もしあれでしたら役所の方からでも、より数字を挙げて、どういう問題があるのか、こういうことについてもお伺いをしたいと思います。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生の御指摘にございましたように、医薬品の赤字で見ますと、二〇一一年が一兆三千六百六十億円というような赤字になっております。これは、二〇〇一年のときには二千八百十八億円でございましたので、異常に拡大をしてきている。

 この原因でございますけれども、一つは、輸出入だけではなくて海外に拠点ができているということはございますけれども、それだけではなくて、私どもはやはり創薬力というものが非常に重要な要因になっているというふうに考えております。特に、最近の新しい医薬品を開発するということになりますと、現在では二万五千分の一から三万分の一くらいの確率というような状況がございまして、そういうところを支援していくということが必要ではないかと考えているところでございます。

鴨下委員 今の話の中で、より具体的に言うと、例えば、輸入で一番多い医薬品はどういうもので、輸出できているもので代表的なものはどういうものなのか。あるいは、これからの可能性として、今おっしゃったように、創薬力が減っている、こういう話だったけれども、その創薬力の中で、では、これから日本が持っているパイプラインだとか何かで、ある程度有望なところというのはどういうことなのか。この辺ちょっとまとめて、答えられることだけで結構だから答えてください。

唐澤政府参考人 ちょっと私、なかなか技術的なところまでは少し弱いのでございますけれども、現在の我が国では、先生御承知のように、糖尿病薬のような生活習慣病の医薬品でございますとか、それから抗がん剤、あるいは精神神経用薬のような認知症分野というところも非常に有望な分野ではないかと考えております。(鴨下委員「輸入で一番多いのは抗がん薬ですか」と呼ぶ)はい、抗がん剤もかなりあると思います。

鴨下委員 では、木倉さんに伺うけれども、創薬力が落ちているということの原因というのは大体どこぞにありそうですか。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども医薬食品局は薬事法によります審査の方を担当しておりますが、今の医政局の研究開発ともども、医薬品になる可能性のあるものにつきましての研究、長い流れがありますが、その中での基礎研究のやはり焦点を絞ったもの、それをどのように企業化、製品に結びつけていくかというところ、基礎研究と実用化に向けての研究のネットワーク、その橋渡し部分というのが十分でないということが指摘されていると思います。

 今のような、各国とも、生活習慣病を目指して、抗がん剤を目指してというふうな取り組みを進めておりますが、その研究の基礎のところは日本の研究者の皆さんもしっかりやっていただいていると思うんですが、その企業化、実用化に向けての橋渡しのところの支援をまだまだしっかりしていかなければならない。我々医薬局の薬事法の審査のあり方も、そこをもっと迅速化していかなければいけないというふうに考えておるところでございます。

鴨下委員 大臣、薬の分野はこれで終わりますけれども、創薬力が落ちているというのは、今それぞれお答えがあったんだけれども、例えば、治験の期間だとか何かを短くするとかPMDAの審査をできるだけ早くするとか、こういうような話なのかなというふうに彼らは思っているんですけれども、私はそういうふうに思わないんですよ。むしろ、開発のインセンティブだとか何かが十分でないと、多額の開発費をかけて日本の国内で開発するだけのメリットがなくなってきたんじゃないかなというふうに思っていて、全体的に薬のメーカーのいわば開発に対するパワーというんですか、そういうのが落ちているんじゃないかなというふうに思っています。

 十年、二十年ぐらい前は世界に打って出られる薬がたくさんあったわけでありますけれども、例えばコレステロールを下げる薬とか、世界的に売れたような薬があったんだけれども、今は何か、これから世界的に戦略的に売れるような薬が日本でできてくる、こういうようなことが相当エネルギーというかパワーが落ちているような気がするんです。

 そこをもっとより詳細に分析して、一体、メーカーにとってどういうところが政府から援助といいますかサポートがあれば薬をつくるモチベーションが上がるのか、こういうようなことについてぜひ留意をしていただきたいというふうに思います。御所見を。

古川国務大臣 委員おっしゃるように、今、これから開発していかなきゃいけない薬というのは結構、委員もお医者さんでいらっしゃるからわかると思うんですけれども、かなりチャレンジングなところもあって、そういう意味では、今まで以上に相当やはり投資もしていかないといけない部分があるんだと思うんですね。

 そういった意味で、アメリカなどではベンチャー企業なんかもかなりそういうところをやっているところもあって、ある種そういうリスクマネーとかベンチャー的なものもうまく絡ませて、もちろん、PMDAなんかの審査をもっと迅速化する、そういうことも大事なんですけれども、やはり、研究開発部分のシーズのところから最終的な実用化に至るまでのところを一つのネットワークというかチェーンとして、そこがうまくつながっていくように。そこの途中で、よくベンチャー企業なんかは死の谷みたいなのが幾つかあってと。大体、薬なんかもほとんどが実は途中で、そこでおっこちちゃって終わりになっちゃうんですけれども、それを最後まで、実用化までつなげていく。

 やはりそこをちゃんと支えていくという制度あるいは仕組みを考えていかなきゃいけないというふうに思っておりますので、ぜひまたそういう点でも意見交換をさせていただければというふうに思っております。

鴨下委員 今大臣が言うように、デスバレーを乗り切れない。結果的に、ベンチャーなんかですと、いいシーズを持っていても、最終的には資金繰りがつかないで力尽きてしまって、それがお蔵に入ってしまう、こういうようなこともあるものですから、大きな資本を持っているメーカーとベンチャーをつなぐ、そういうようなことも政府としてやらないといけないし、それから、成功事例を一つ二つつくっていくとまた開発者だとか何かがもっと意欲的になっていく、こういうようなことがありますので、単なるPMDAの審査のスピードを上げればというレベルではもうなくなってきている、こういうような認識をぜひ持っていただきたいと思います。

 きょうは、もう一つの柱は医療機器であります。

 医療機器も輸出入でいうと貿易赤字が非常に大きくなってきていて、先ほど大臣が言っていたように、日本は物づくりの技術はある。しかも、例えばソニーだとかパナソニックだとかのようないろいろなところ、ホンダなんかもそうですけれども、ロボットをつくるような技術だとか何かもあって、制御技術については非常にすぐれている部分があるんだけれども、そういう人たちがこの医療機器の分野になかなか入ってこない。こられないといいますか、それはいろいろなリスクがあるから入ってこられないわけであります。

 そういうような意味においては、私は、薬よりもより深刻で、なおかつ、この分野は、どこかで一つのイノベーションが進めば、一気に日本のリーディングインダストリーの一つになるんだろうというふうに思います。ですから、可能性の高い分野なんだけれどもいまだ低迷している、こういうような意味においては、ここはもっともっとてこ入れしなきゃいけない分野なんだろうというふうに思っているんですけれども、まず、医療機器についての特性とそれから現状、こういうようなことについてこのイノベーションの議論の中でどういう議論がなされたのか、少し御説明いただきたいと思います。

古川国務大臣 私もまさに委員と同じような認識を持っておりまして、医療機器は、本当にここは、やはり物づくりの国日本でありますから、本来、もっともっとこの分野が世界に広がっていってリードしていってもいいと思うんです。

 実は、いろいろ私どもも、なぜこういう状況になっているか、少し検証もしてきました。

 これは委員もおわかりかと思うんですけれども、この分野というのは結構、医薬品もそうなんですけれども、アメリカあたりは医薬品とか医療機器の分野は相当前から国としても力を入れてきていて、例えば日米のMOSS協議なんかでもこういう部分を積極的にやってきて、日本にも言ってきたんですね。そういうようなこともあって、かなり日本の医療の分野にアメリカなんかの医薬品だけじゃなくて医療機器なんかも広がっていって、こういう機器なんかは一度使い出すと、そういうのになれてしまうとやはりお医者さんの方も使いやすいし、また、日本の場合、最近はお医者さんの多くがアメリカなんかで研修をしてくる、そうするとやはりどうしても使いなれた機器を帰ってきても使うみたいなところもある、そういう問題もあります。

 さらには、日本の医療の世界というのは保険の世界がベースですから、この分野というのは、では、その中で医療機器なんかにどれくらい予算が割り振られるのか、そういうところもあって、医療機器メーカーからすると、特にこの医療機器というのはどんどん技術が日進月歩ですから、いろいろな承認をとったりしているうちに今度また次のものが世界で出てきちゃう、そうなると、市場もどれくらい広がるかわからないのにという、なかなか、メーカーからすると、医療機器分野に本格的に参入してというところがやはり今まで少し控えぎみだったんじゃないかと思うんですね。

 ですから、今後、医療機器については、もちろんこれは医療ですから安全性というものをきちんと確保する、そういうことは大事ですけれども、しかし同時に、そういう医療機器特有の性質にちゃんと着目をして、特有の規制といいますかそういうものをつくっていって、この分野にメーカーの人たちが技術を使って参入することが、リスクが全くないということはないんですけれども、しかし、許容できるリスクとして入ってもらえるような、そういう状況をつくっていくというところが非常に大事じゃないか。

 そうした視点から、今回、医療機器についても相当力を入れる、そういう戦略を立てさせていただいたところであります。

鴨下委員 厚労省と経産省にお伺いします。

 医療機器は、一部は医薬品に準ずるようなものもあるけれども、そうでない、いろいろな検査機器だとか何かもあって、かなり機械産業的なところと医薬品的なところと両方の分野があるんだろうと思うんですけれども、日本はこんなに自動車だとかいろいろなエレクトロニクスについては精緻なものをつくるんだけれども、例えば心臓に入れるペースメーカー、国産のペースメーカーというのはないわけでありまして、私はそういうのに驚きを持つわけですよ。どうして日本はもっとこういうようなものについて積極的に取り組まなかったんだろうかと、反省も含めてですけれども。

 今、それぞれ厚労省あるいは経産省、医療機器をこれからより戦略品として世界に日本の特技を出していく、こういうようなことについての何かお考えはありますか。

中山政府参考人 議員御指摘のとおりでございまして、現在、先ほどお話のありました輸出入の関係で申し上げても、カテーテル、ステント、補助人工心臓などは非常な輸入超過でございます。一方で、内視鏡でございますとかCTなどはある程度闘えているという状況にございます。

 中小企業のみならず、高い物づくり技術を有する企業は日本にたくさんございますけれども、我々の見ているところ、従来の制度のもとでは、なかなか医療現場の具体的なニーズが物づくりの企業に必ずしも共有されていなかったのではないかという点がございます。

 こういうことを受けまして、経済産業省は、医療イノベーション五カ年戦略にもございますけれども、医工連携ということをより強化していくために、物づくり企業と医療機関と連携して、医療現場のより具体的な課題を解決するための医療機器の開発、製品化というものについて支援をしているところでございます。先行的に、二十三年度四十八件、二十四年度は四十件、具体的なテーマを採択して研究開発の支援をしているところでございます。

 以上です。

唐澤政府参考人 厚生労働省といたしましては、日本の医療機器、非常に技術があるわけでございますけれども、これまで十分な海外への展開などができない理由につきましては、一つは、治療用の機器、人体への影響の大きいものに対しての取り組みというものは少し弱かった、診断用を重点に取り組んできたというのが一つあろうと思いますし、それからもう一つは、医療機器に対する法律制度上の規制のあり方というものが、御指摘のように、薬と同じでよいのかというような点についても十分な検討が少し足りなかったのではないかというふうに考えているところでございます。

鴨下委員 今のお話の中で、例えば内視鏡だとか何かはオリンパスが世界的シェアをとっているわけだけれども、例の不祥事の後に、例えば韓国の大企業だとか何かがオリンパスに触手を伸ばした、こういうふうな話もあって、非常に日本の医療機器それから医療機器産業は関心は持たれているんだけれども全然伸びない。一体どこに問題があるんだろうかということを私たちはいつも考えるんだけれども、今唐澤さんがおっしゃったように、例えば少しスペックが変わるとまたゼロから治験をやり直すとか、こういうような話というのは中小メーカーにとってみたら物すごい負担になるわけです。

 ですから、そういうようなことを改めないといけないんだろうというふうには思っていますけれども、それは例えばPMDAの部署にそういうようなところをつくればいいということだけで事足りるんだろうか、こういうようなことも思っているんです。

 この医療イノベーションの報告書の中にも、大臣、薬事法を改正しようというような話があるんですが、これは大臣の所管じゃないのかもわからないけれども、提言としてはここに書いてあるから、薬事法を改正して、例えば、薬事法というのは薬事だから薬のことですよ、だけれども薬事・医療機器法みたいな、こういうふうなことで、根本的な概念を変えていかないとなかなか医療機器というのは伸びていかないのかなというふうに思っているんですね。

 だから、そういうようなことの政府の取り組み、あるいは、大臣担当の医療イノベーションだけれども、例えば直接所管の厚労省だとか何かにきちんとそれを伝えて事が動き始めないと、もう既に手おくれのような状況でありますけれども、よりスピードを上げていくという意味においては、私は薬事法改正というのも一つの手かなというふうに思っているんですが、いかがでございましょうか。

古川国務大臣 私も薬事法を改正しなきゃいけないと思っています。今回の医療イノベーション五カ年戦略でも、今年度から検討を開始して、次期通常国会までに法案提出を目指す、そして速やかに実施を目指すということを決めさせていただきました。

 今お話がありましたように、薬事法の名前についても変更を検討したいと思っていますし、医療機器というのはちょっとほかの医薬品とは別ですから、この関係条項を医薬品とは別に設ける、そしてまた医療機器の章とする。そうしたことを、企業の関係者などからも意見を聞きまして、改正案をまとめて、できるだけ早くこれを国会にも提案させていただいて、成立させていただいて、それを実行に移せるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

鴨下委員 薬事法の改正の論点については、今申し上げたように、例えば医療機器の条項を新たに設けるということも必要なのかなというふうに思いますし、それから単体ソフトウエアの取り扱いについて、これは二条関係、こういうようなこともやらなければいけないだろうし、製造業者の許可制度の合理化、こういうようなことも取り組まないといけないでしょうし、それから製造販売の承認、これは十四条等の関係だけれども、こういうところは非常に重要だろうというふうに思っております。

 こういうようなことをしっかりと取り組んで、必ず薬事法改正を頑張っていただきたいなというのが一つ。

 それから、加えて、先ほど大臣もお話しになっていたけれども、医薬品と医療機器を組み合わせたようなことというのは、患者さんにとってみるといろいろな副作用だとか何かのこともあるから安全のためには慎重であるべしというような、しかし、やはりいい製品を早く患者さんに届けるというようなことも我々にとって重要な役割でありますから、例えば心臓の血管の中に入れるステントなんかも、そこに医薬品をくっつけてやると血栓が生じにくいとか、こういうようなことについては、薬並みの承認というようなことになるとまた非常に長い時間かかって、もう世界は次の世代に行っちゃっているのにまだ古い世代の治験をやり続けている、こういうような矛盾が出てきてしまうので、ここは乗り越えてもらいたいなというふうに思うんですが、まず厚労、経産に聞いて、最後に大臣の所見。

木倉政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が今具体的に御指摘いただきましたような点、これは、医療イノベーション五カ年戦略の策定過程におきましても、各大臣から御指摘いただきましたもとで、産業界からあるいは研究開発の担当の方からも直接御指摘を具体的にもいただきました。

 これらの点につきまして、やはり医療機器の特性、医療の現場で使いながら新しいものが開発されていく、さらに先生たちの臨床の意見をすぐ取り込むような改良を加えていく、これに迅速に対応できるような法規制のあり方。それから、ソフトウエアを組み込んだような機器がどんどん出てきますので、ソフトウエアについてもきちっと押さえておいて、早く利用されるような考え方。それから、そのコンビネーション、組み合わせによりまして、医療機器の特性を早く踏まえながらも医薬品としての安全性は確保されているという視点、こういうものをきちんと踏まえたような審査のあり方。それから、民間の登録認証機関を使って、新規性はないけれども改良を加えた、こういう後発品につきましては迅速に民間の登録認証のもとで世に出せるような仕組みをつくっていく。

 こういうことをきちんと踏まえた薬事法、名称も変えなきゃいけませんが、その法律改正に臨んでいき、PMDAの審査体制もそれに応じたものを、審査員の専門性も確保しながら進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

中山政府参考人 ただいま御指摘のございましたソフトウエア、単体ソフトウエア、それから非常に変化の足の速い医療機器の開発については、我々も各事業者、メーカーから話を聞いております。どういう形で審査のプロセスに取り組んでいったらいいかということを十分に厚労省と相談をしながら進めていきたいと思います。

古川国務大臣 最初にも申し上げましたけれども、この医療の分野というのは非常に日本は危機的な状況、これは本当なんです、各国がみんなこの分野に非常に力を入れていますから。しかし、逆にここはチャンスでもあるというふうに思っています。この危機をばねにして、これから大きな成長産業として、そしてまさにグローバルに展開をしていく、そうした姿勢を持ってやっていきたいと思っています。

 そのためには、先ほど委員からも御指摘ございましたけれども、やはり一つでも二つでも具体的に成功例というものを早くつくっていく必要がある。

 そのため、今回、今まとめております日本再生戦略の中でも、医療イノベーションなんかを推進する一つの手段として機関特区という発想を入れて、今、総合特区というので地域を指定しての特区、そこでもさまざま医療イノベーションなんかの取り組みをやってもらおうということは考えておりますが、しかし、医療の場合には、委員も御承知のように、そういう地域というよりもネットワークで、地域を離れていろいろ協力してやっていかなきゃ進まない部分もありますから、そういった意味では、医療イノベーションを強力に推進していくためには、こうした機関特区という発想を入れて、ネットワーク的に、そういうちゃんとある条件を満たしたところについては特例的にさまざまな規制を緩和したり、いろいろな特例を認めて、具体的な創薬や医療機器についても成功例をつくっていきたいというふうに思っております。

鴨下委員 大臣にはぜひ頑張っていただきたいと思います。

 PMDAというのは医薬品医療機器総合機構だから、薬事法も医薬品医療機器総合法みたいな、こういうようなコンセプトの法律につくり直して、そして、政府を挙げて、この分野、いい製品を早く患者さんに届ける、こういうような目的において頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

荒井委員長 次に、瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 国民の生活が第一会派の瑞慶覧長敏です。

 内閣委員会に所属しましての初めての質問となります。どうかよろしくお願いいたします。

 本日は、今、沖縄のみならず全ての国民が御心配なさっているオスプレーの配備問題に絞って御質問させていただきます。

 まず、防衛省にお伺いします。

 オスプレーの海兵隊用及び空軍用並びに海軍用、それぞれの製造予定数というんですか、オスプレーは三種類あると聞いているんですけれども、報道によると、国防総省は四百五十八機のオスプレーを調達する計画であって、その内訳は、海兵隊用のMV22が三百六十機、アメリカ特殊作戦軍向け、つまり空軍用のCV22というものが五十機、海軍向けのHV22が四十八機であると言われています。これは間違いないでしょうか。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘の数値、これは、私どもも米側から通知を受けている数値でございます。ただ、同時に、これらの数値は変わり得るという注も一行入っておりましたので、今後についてはまだ変わることもあり得べしということでございます。

瑞慶覧委員 それでは、製造機、これまでにつくられた数、製造された数、MVだけでいいですので、これまでに何機つくられたのかをお答えください。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 本年七月一日時点で約百五十機の製造というふうに承知をいたしております。先ほど先生おっしゃられました三百六十製造予定のうちの百五十ということになろうかと思います。

瑞慶覧委員 MV22は百五十機これまでにつくられた、製造されたと。

 それでは、事故とかいろいろあったと思うんですけれども、現在、そのうち何機、そのMV22は残っているのか、現在の保有数をお聞かせください。

西政府参考人 恐れ入ります。保有の関係に関しましても、私ども確認しておる範囲では、本年七月一日時点で約百五十ということでございました。それがお答えかと思います。

瑞慶覧委員 ということは、事故を起こしても廃棄になったMV22はないということでよろしいですか。

西政府参考人 恐れ入ります。事故を起こした機体、廃棄したのか、あるいは修理したのか、また、それとあわせて、その後の生産数がどうデリバリーされたのか、申しわけございません、そこの細部が、ちょっと私どもも承知しておらないところがございます。ただ、現時点で、一応、保有機数約百五十ということだけ承知しておる次第でございます。

瑞慶覧委員 そこは米国議会でも問題になったと思うんですね。製造した数と今ある数が一緒じゃないぞと。それも明らかになっていないようなことを聞いております。

 MVに関しては、製造が百五十機で、現在あるのも百五十機だと。廃棄されたものはないという計算になるわけです。これで間違いないですか。もう一度お伺いします。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 細かい端数がよくわからない、約百五十と承知しております。(瑞慶覧委員「約」と呼ぶ)はい。申しわけございません。

 その製造、保有、いずれも約百五十と承知をしております。その間の誤差がどうなっておるのか、残念ながら、ちょっと私どももそこまで細部を承知しておりません。御容赦ください。

瑞慶覧委員 約というのはあり得るんですか、これ。だって、予算をつけて、一機八十億ぐらいするんですよね。その一機八十億する機数が約で片づけられるというのは、どうも納得がいかないんですけれども。だって、一機で八十億でしょう。二機だと百六十億ですよ。これが約百五十製造されて、今現在も約百五十機あるということ、これは国民は納得しないんじゃないですか。

荒井委員長 アメリカ側に問い合わせたのかどうかも含めて答えてください。

西政府参考人 先生おっしゃられるとおり、一機約八十億くらいの高価な機体でございます。ただ一方で、製造ラインからデリバリーされる毎月のもの、そういったものが出てまいります。それからもう一つ、細かい数値まで答えないというのが、しばしば保有装備数に関してあることでございます。それで、約百五十という数値で、丸めて先方も通知しておるかと思います。

 細部に関しまして、申しわけございません、今私どもも詳しい数字は承知しておりません。

瑞慶覧委員 わかりました。きょうは約ということで。しかし、今後これは問題になってくると思います。引き続き、また機会を設けて、そこは確認していきたいと思います。

 沖縄の地元紙、沖縄タイムスですけれども、配備計画ですね。二〇一二年十月に十二機配備計画だ、ことしの十月、これはよく知られているんですけれども、二〇一三年、つまり翌年、来年の四月にも残り十二機、計二十四機を配備すると地元紙は報じているんですけれども、これはそのとおりですか。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 一個飛行隊十二機で、これを二個飛行隊というのが構成の考え方になっております。先生おっしゃられましたとおり、本年十月までで一個飛行隊の十二機、来年にもう一個飛行隊ということで、私どもも承知をいたしております。

瑞慶覧委員 米本土及び沖縄等日本を除いて、ほかのどんな国あるいは地域に、MVでいいです、MV22、海兵隊を配備する計画なのか、今わかっているのであれば教えてください。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御存じのとおり、アメリカの海兵隊の基地は、カリフォルニアとそれからノースカロライナにございます。それぞれにまずMVの配備がございます。それに加えまして、今回沖縄への配備という計画が出てまいりました。加えて、ハワイにやはり海兵隊の部隊がありまして、ここへ近々配備があるということは承知いたしております。

 なお、このほかに作戦運用としての展開先として、アフガニスタン、イラク、さらにはハイチへの運用などがあったというふうに承知をいたしております。

瑞慶覧委員 ということは、配備という意味では、沖縄以外、日本以外の国には配備されない、今のところ、そういう見解でいいですか。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 所属する部隊、それぞれの土地に部隊が展開されております。そういった点で、先生おっしゃられます言葉、配備というふうにする限りは、先生おっしゃられますとおり、アメリカに次いで日本というふうになってまいります。

瑞慶覧委員 きょうは官房長官も来られておりますので、ちょっと質問を飛ばしまして、まずは官房長官の方に先にお伺いいたします。

 オスプレーの安全性を危惧して、沖縄県では、全ての自治体議会、県議会も含めて、四十一市町村を含めて、配備の反対を決議しております。沖縄においては、八月五日には数万人規模の配備反対の県民大会を開く予定になっております。沖縄だけではなくて、岩国市を初め山口県や他の多くの県知事が配備計画の見直しを強く求めています。たしか、この間、渉外知事会の方、十三あると思うんですけれども、緊急決議も行われております。

 このような自治体、国民の声を政府はどのように受けとめているのか、お答えいただきたいと思います。

藤村国務大臣 オスプレーが四月にモロッコで、そして六月にはフロリダで事故を起こしたということ、このことが日本の国民の皆さん方に、とりわけ沖縄、岩国は一時立ち寄りではありますが、岩国、そして、先般は全国知事会でも議論がされたということでございました。大変心配をおかけしており、懸念が広がっているということを十分認識しているところであります。

 そこで、オスプレーの事故調査結果あるいは安全性等に関する情報の早期提供を日本政府としては米側に強く求めてきたところでもあります。

 先日、二十三日月曜日に、岩国に陸揚げを十二機された、こういうことでありますが、その陸揚げ後も調査結果が日本政府に提供され、そして、飛行運用の安全性、つまり、これは日本側もきちっと分析をしますが、それが確認されるまでの間は、日本においていかなるオスプレーの飛行運用も行わないことということを日本政府、米国政府で合意しているところであります。

 今後、調査結果が得られた際、部外有識者も含めて日本側として分析評価チームをつくり、ここでしっかりと確認をし、そして、そのことを地元の皆様にも十分に、丁寧に説明させていただき、そして御理解を得ていく、こういう努力を尽くしていきたいと考えております。

瑞慶覧委員 今、官房長官、安全性を確認していくということだった、チームをつくっていくということですけれども、質問事項にはないんですけれども、具体的にどんな安全性、つまり、機体の技術的なことをチェックしていくのか、どこまで踏み込んで安全性というのを確認していくのか、詳細がもしわかるのであれば、お聞かせください。

藤村国務大臣 ちょうど、防衛大臣の方で、きょう、多分発表される予定だと聞いています。

 この分析評価チーム、日本側のチームは、防衛政策局次長をチーム長として、内部部局のほかに、各幕僚監部及び技術研究本部等から固定翼機あるいは回転翼機のパイロット、それから事故調査、気象、整備等に知見を有する職員も参加をしますし、また、民間航空機の安全性に係る国土交通省の担当課長や、民間航空機の分野での航空工学を専門とされている大学の先生、それから軍用機の分野での航空工学の研究に長年携わってこられた、これも防衛大学の先生でもありますが、そういう方々が専門的見地から助言をしていくということで、アメリカの分析結果を日本側としてトータルでさまざま分析、評価をしたい、このような予定であります。

瑞慶覧委員 このチームはいつから機能するのか、実際にアメリカ本国まで行って調査をしてくるのかを含めて、事務方でも構いません、お答えいただけますか。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 チームは、先ほど官房長官がおっしゃられましたとおり、本日発表いたします。直ちに第一回会合を催す予定でございます。

 その後、米側が今、先生御存じのとおり、四月のモロッコ、それから六月フロリダでそれぞれ事故を起こしております。その関係の事故調査の作業が現在進んでおりますので、その発表が間もなくあろうかと思います。その際、私どもとしても、単にその発表を聞くだけでなく、具体的にどういう内容なのか確認せねばいかぬと思っておりますので、そのタイミングを見て、調査のために調査団をアメリカに遣わしまして、確認いたしたいと思っています。

 まだちょっとスケジュールなど、これから詰めねばいかないところは残っております。

 以上でございます。

瑞慶覧委員 官房長官に再度お伺いします。

 野田総理は、オスプレーの配備計画について、テレビ番組等で、日本側から米側に対しどうのこうのとは言えないと御発言なさいました。きょうは、それはちょっと乱暴だったということも、反省しているという報道も聞こえてまいりますが、それは、日米安保条約第六条に基づく事前協議を念頭に置いてのことではないかと思います。つまり、オスプレーの配備に関しては事前協議の対象にはならないんじゃないかということだと思います。

 しかし、日米安保条約では、第四条、「締約国は、この条約の実施に関して随時協議し、また、日本国の安全又は極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する。」ことができる、これは四条に書いております。

 随時協議ができるということですので、随時協議、これをやったらどうかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 まず、二十六日に、あすですが、日米合同委員会を開催して、日本側から米側に対しても改めて、日本国民、地元の皆さんを含めて、その懸念をしっかりと表明、説明し、米側との間での現状認識を確認し、その上で、今後具体的に何ができるかについては、日米間で意見交換を行いたいと考えております。

 もちろん、きょうまでも、事故のことについてさまざまな懸念があること、先ほど御答弁しました。それについてもさまざまなルートで日米間でやりとりをしてやってきた中で、結果、安全性が確認されるまで飛ばさないというところまでは日米合意をしているわけであります。

 それから、今おっしゃっている安保条約四条に言う随時協議ということで、これは、締約国は、この条約に関して随時協議し、また、日本国の安全または極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する、こういう規定がございます。

 ただ、今回の件は、むしろ、安保条約の六条で、日本の施設を使用できるということ。それからさらに、昭和三十五年、岸・ハーター交換公文というのがございます。ここで、六条の実施に関する交換公文、内容的なことを決めています。そこで、「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、」これは機種の変更等ですね、「重要な」というのがついています。それから、「同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動」、あとはちょっと省略します。このことについては規定がここであります。

 さらに、藤山・マッカーサー口頭了解という中で、事前協議の行われる内容として、特に今、装備の件については、「「装備における重要な変更」の場合」ということでこういう規定がございます。「核弾頭及び中・長距離ミサイルの持込み並びにそれらの基地の建設」、これが重要な変更ということでありますので、そういう意味では、今のオスプレーをまさに換装、装備をかえるという換装という意味においては、それに当たらないということだとは思っています。

瑞慶覧委員 日米合同委員会を二十六日に開くということですので、これは六条とかいろいろなこともあると思うんですけれども、四条は明らかに「日本国の安全又は極東における国際の平和」というふうにうたっているわけですから、外交というのは、いろいろなことを想定しながら、あらゆるものを使って巧みにやっていくものだと、もちろん御存じだと思うんですけれども、そういうことからすると、日本の国民の安全が今脅かされている、そういう状況になっているわけです。私はそういう認識です。それであれば、ぜひ、オスプレーに関しては、見直しも含めて日米合同委員会ではやることを提案します。

 見直しも含めてやるということでやっていただけませんか、官房長官。見直しも含めて。

藤村国務大臣 あす、一回目を開きます。そこで、まず、現時点で、何を議題としていくか、今既に何と何を協議するという話ではないわけでありまして、地元の懸念を払拭するために今後具体的に何ができるのかなどについて日米間での意見交換を行う、このように聞いております。

瑞慶覧委員 終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 きょうは、岡田副総理、社会保障と税の一体改革の特別委員会でお忙しい中、質問をさせていただきたいと思います。

 社会保障と税の一体改革、消費税の引き上げにつきましては、不断の行政改革の推進と歳出の無駄の徹底的な排除というのが大前提でございます。中でも、天下りの温床となっています独立行政法人改革は断固として前に進めなければならないと思っております。

 しかし、今国会提出の独法通則法改正案も拝見いたしましたが、政府・民主党の改革は実に上っ面であり、全く改革になっていないということできょうは質問をさせていただきます。

 公明党は、実は参議院ではかつて行政監視委員長のポストを担ってまいりました。その経緯もありまして、特殊法人改革、独立行政法人改革に関心を持ちまして、力を入れてきました。国会議員の中には、聞く耳を持たなかったり、難しいから避けて通る、面倒だという方もいたようですが、我が党は粘り強く、この天下りの温床を是正しよう、現状を変えようと意欲的に取り組んでまいりました。そして、参議院の山下栄一前議員が中心となりまして、数年がかりで調査検討を重ね、まとめたのが独立行政法人制度の廃止の推進に関する法律案という内容でございます。

 こうした我が党の取り組みを踏まえまして、改革の基本的な考え方と土台となる思想について質問を順次させていただきます。

 まず、独法改革に当たりまして何が一番大事かと考えますと、まず、私は、通則法の失敗を認めるというところから始まると思っております。

 今提出されている独法通則法改正案ですが、これは独立行政法人をやめて行政法人にするというのが政府案の考え方になっております。行政法人とは、いわゆる特殊法人です。独法制度の通則法を廃止して、また今度、新たに特殊法人制度の通則法をつくるという内容ですね。

 しかし、独法制度を廃止するということはどういうことかといえば、一つは、政府から独立した法人はだめである、この認識に立っているわけです。例えば公務員型でありながら国はその事業に責任を持たないとか、また、独法の中は、給与や勤務条件は法人で決められるとか、さまざまなシステムがあります。もう一つは、通則法という手法、つまり、一つの制度をさまざまな種類や性質や経緯を持つ法人に対して一律に適用するという手法は使えないということも意味すると考えております。

 我が党は、独法、二年前、百四法人でした、この成り立ちを全部調べました。独法に移行する前は、特殊法人、認可法人、財団法人、そして国の特別の機関、また施設等機関という単なる施設というのもありました。実はこういうデータも政府は調べていなかった。全部、各省ばらばらで、まとめて持っていなかったという状況でした。

 こうした実態を踏まえて、私たちが出した結論は、こんな多種多様な法人を一つの枠に押し込めて、通則法という一つの制度で見ていくことでは、これは改革にならない、だめなんだということなんです。そういうところにすき間が生まれて、税金の無駄遣いにつながっていく、また、つながっていたという実態がありました。

 副総理、この通則法の一律適用が失敗であったことは明白です。これを真正面から正直に認めなければ、真の行革は不可能です。政府のお考えをお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 今までの独法制度が失敗ではなかったのかという委員の御指摘であります。いろいろな問題があったことは事実、だからこそ、今回、新たな提案をさせていただいているわけでございます。

 独立行政法人という形にして、その独立性を認め、自主的にいろいろなことを判断しながら進みやすい形をつくる、そういったことになじむ法人もあると思います。しかし、そうではないものもあるということで、今回は、その反省に基づいて、行政法人、行政法人を二つに分けて、中期目標行政法人と行政執行法人ということに分けることにしたものであります。また、一部は国の業務にしたり、あるいは逆に民営化したりということで、今ある多様な独立行政法人について、その実態に応じて、どういった形が最も望ましいかということについて議論した上で、今回の御提案をさせていただいているところでございます。

 それから、最初におっしゃった天下りの問題、これは非常に重要な問題で、それについては基本的に、今までの運用の中でも随分減ってまいりました。後でまた詳しく申し上げたいと思いますが、減ってまいりましたし、今後、そういったことについては基本的に公募で全てやるという中で、公務員経験者が独法の役員になるということは、これは実力のある人について全部排除するものではありませんが、基本的にはさらに減っていくということだと思います。

 しかし、一方で、独立行政法人もそれぞれ重要な仕事をしているものも多いわけですので、無駄はしっかりと削減していかなければなりませんが、しかし、他方で、重要な役割を果たしている独法について、形をしっかり、より実態に即した形に変えて、そして機能が発揮されやすくする、そういう改革も同時に必要である。独法全てだめということでは決してないというふうに思います。

高木(美)委員 副総理、そもそも独法の制度は、平成十年の中央省庁等改革で、行政組織のスリム化という目的、それからもう一つは特殊法人問題の克服、この二つの目的を解決するというところから導入された制度でした。そこで、例えば企画立案部門と実施部門を分離させるとか、また改良型法人を創設するとか、そのようにされたわけです。特殊法人がひどい税金の無駄遣いをしているという国民の批判に応えて、行政改革の有力な手段として導入されました。

 しかし、全くそれが機能しなかったわけです。そこで逆に行政改革の対象となってしまった、そういう制度です。

 私は、その原因が、やはりこの通則法という一つの枠の中に入れてしまう手法にあることは間違いないと思っております。それにもかかわらず、問題のある特殊法人に一旦戻して、これで一回、そして、もう一回、再度、通則法という問題のある手法を採用する。これは二重のひどい間違いを犯していると言わざるを得ません。私は、この発想の劣悪さというか、それはこれ以上ないというふうに実は思っております。そういう意味では、今回の法案はその土台の思想が完全に腐っている、私は撤回すべきだと考えています。

 ですから、今副総理おっしゃるように、その上にいろいろなものをつくったとしても、その根っこのところが、組みかえてまたもとに戻す、そしてまた間違った手法をそこに取り入れる、この土台が完全に腐っているわけですから、幾らその上に見ばえのする建物を建てようとしても、またすぐに崩れてしまう。また変わってしまう。

 私は、この点についてはお答えは要りません。もし必要でしたら、また次の質問とあわせて答弁をいただければと思いますが、いずれにしても、副総理、そういう流れの上で、もう一度お考え直しいただきたいと思っております。

 今回の法案には、行政執行法人、先ほど御答弁にありました新たな類型が設けられています。これは本来、行政機関に戻すべき事務事業を行っている法人です。公務員のやる仕事を担っているわけです。かつて、中央省庁等改革において、行政組織のスリム化のために公務員型の独法とされました。今回それが廃止されるんですから、であれば当然、もう一回行政機関に戻して、公務員がやるべきことはちゃんと公務員がやるべきです。これは、裏を返して言えば、特殊法人にすれば理事長等の役員ポストが維持できる、いわばこここそ天下り先死守のための法案としか考えられないと私は言わせていただきます。

 行政機関に戻してしまうと、天下り先の理事長ポストや役員ポストは減ってしまいます。しかし、公務員に戻しても局長ポストがふえるわけではありません。私は、こういうやり方は、こんな欺瞞に満ちた、国民を愚弄する提案はないと思っております。行政刷新を掲げて政権をとった政党のすることではありません。国民目線でしっかりと、どれが一番国民のための改革になるのか、その流れの上から判断をされるべきと思います。

 再度、副総理の誠実な御回答をいただきたいと思います。

岡田国務大臣 国がやるべき仕事であっても、一つの固まりがあって、別組織にした方が効率的に執行しやすいというものは当然あるわけで、そういうものが今回の執行型の行政法人ということになっているわけであります。一部国に戻したものも確かにあります。本来国がやるべきことということで戻したものはありますが、やはり国がやるよりは、より効率的な、独立した形でやった方がいいということであります。

 委員御指摘の、国に戻すべきだというのは、恐らくそれで喜ぶ方は多いと思います。より安定するということですから。しかし、そこは、やはり国そのものがやるよりは別の形でやった方がいいという判断をしているわけで、天下りポストを確保するとか、そういうことではもちろんないわけであります。

 現に、天下りといいますが、公務員OBの独法の役員に就任するケースは非常に減っております。基本的に公募でやっていますので。今後は、法律上、全体について公募ということにいたしますので、さらにそれは減ることが予想されるというのは、先ほど申し上げたとおりであります。

高木(美)委員 要するに、公務員型でありながら、本来は行政なのに責任追及されない、責任を持つ必要はない、それが今のこの公務員型になっております。

 重ねまして、今回のこの通則法改正案の中で、大臣権限や評価制度等、指摘されている問題点をクリアする新しい制度にしました、このように説明されています。しかし、通則法というこの手法がだめなんですから、だめなものはだめと言うほかないと思っております。

 この新制度で問題法人の延命を図ることが官僚の皆さんたちの意図なのではありませんか。ですから、今、副総理が答弁された、そういう役員については公募にするとかいろいろありますけれども、ただ、今、全部退職後届け出をしなければならない義務は、公務員は二年間です。その二年間は違うところに行かれます。でも、二年たったら、きちんといろいろなところにしっかりと行かれているというのが今の状況かと思っております。

 ですから、我が党は、この公務員制度改革につきましても、同じような業種に携わった人は五年間はそこに従事してはならないという厳しい修正案を二年前出させていただきましたけれども、そのくらいきちんとしていかなければこの改革というのは進まないと思っております。

 ですから、恐らく副総理は、そういう意図ではない、見えるところはきちんとしてと。でも、この見えるところなんです、副総理。この新制度で問題法人の延命を図ることが、私は官僚の皆さんたちの意図なのではないかと思っております。

 この政府案が成立すれば、恐らく法人改革は最低十年間先送りになってしまいます。行革が進みません。その理由は何かといいますと、先ほどおっしゃった中期目標行政法人、この中期というのは三年以上五年以下の期間、このように規定されています。でも、そうすると、恐らくその見直しをどうするかというと、一回ぐらいどうなるか、中期目標が達成されたかどうか様子を見ましょう、こういうふうにきっとなるでしょう。そうすると、五年足す五年は十年なんです。この十年間は改革が進まない、このようになることが懸念されます。

 これこそ天下り先を維持しようという官僚の悪巧みでありまして、これに賛成している閣僚の皆さんは、私は、副総理、だまされているのではないかと思います。本当にこんないいかげんな案でいいのか、率直なお考えをお聞きしたいと思います。

岡田国務大臣 まず数字を申し上げますが、政権交代後、独法の役員人事について、我々、基本的に公募ということで厳しく見ております。私自身がはねた独立行政法人のトップのケースも幾つかございます。そういうことで、政権交代前に百八十九名おられた退職公務員の方で独法の役員についておられる方が、現時点では四十五名ということで激変しているわけであります。

 今の制度の運用でもここまではできたということでありますが、それをよりきちんと制度的に担保するということで、今回の法案ではこの公募を法制化するということにしております。今、運用で閣議決定でやっているわけです。これを法制化するということであります。そして、全てのポストに拡大するということにしております。トップである理事長などの任命に当たっては、加えて内閣の承認も要するということでございます。

 もちろん私は、公務員OBの方でも非常に能力があって最適任である、公募の結果を見てもそういうふうになるということは、これはあり得るんだろうというふうに思っていますが、しかし、そこを厳しく政治でチェックするということが今までも行われてこれだけ減ってまいりましたし、これからもそれがより制度的に担保されて続いていくということで、別に、天下りをこれからふやす、あるいはふえるということが、私は公務員の皆さんもそんなことは別に考えていないと思いますし、制度上はそういうことができなくなっているということであります。

 加えて、今度の通則法では、法人の役職員が再就職するということについても厳しく規制をしておりまして、密接関係法人についての再就職のあっせんを規制するということも法制化しているところであります。非常にそういう意味で厳しい規定を置いているということでございます。

 委員は、通則法、土台が腐っているという表現を使われましたが、具体的に何が問題なのかということを御指摘いただく中で議論をもう少し深めた方がいいのかなと思っています。

高木(美)委員 今御答弁ありました、要するに独法の前身は実にさまざまです。先ほども申し上げたとおりです。国の機関、特殊法人、認可法人、公益法人が複数統合されてできた法人も少なくありません。事務事業も種々雑多なんです。そこに無理やり通則法の枠をはめたことで、非効率が拡大をして、税金の無駄がなくなるどころかふえました。

 したがって、本当に行革を進めようとするのであれば、各法人を一つ一つ精査して、法人の廃止を含めて、個別法を改正する以外にないと考えております。ですから、今副総理がおっしゃった、この独法という制度がある、それを廃止して今回はまた別の形にする。しかし、その制度を抜本的に見ていかなければ、本当の改革にはならないということを申し上げているわけです。

 ですから、このやり方としては、事務事業の廃止、民営化、国への引き継ぎ、これを原則にすべきと思います。特殊法人への移管というのは、例外中の例外という考えでいかなければならないと思います。

 しかし、そこを政府案は、特殊法人への移管を原則にしてしまっています。事務事業の廃止、民営化、国への引き継ぎは恐らく官僚の抵抗が強いので検討を先送りにして、新しい行政法人をつくって、制度をつくって、あたかも抜本改革をしたかのように見せかけている、私はこのように思っております。

 我が党は、この法案に反対をしたい、私自身は反対でございます。公明党は、独立行政法人抜本改革法の制定をマニフェストに掲げております。内閣府に第三者機関を設置しまして、検討を行い、廃止、民営化、運営の弾力化の手当てをした上での国への移管、そして特別の法人、この四つに仕分けするという提案でございます。真面目に独法改革を考えれば、私は、この方法しかないと思います。

 今回、類型化という話が出ていました。例えば、さまざまなものを類型化して文化振興型をつくる。でも、副総理、例えばその中に国立博物館もあれば国立美術館もある。ここに同じような基準を課したとしても、例えば博物館においては、自分たちは本来発掘をして、そして国の歴史を知る、これが一番国民のための利益につながるわけです。美術館と同じように、さまざまな業務の効率化であるとか、また収益が求められる。美術館は展示すれば、それは収益は上がります。しかし、博物館でそれを展示したところで、どれだけの大きな収益になるか。

 こういったものが全部一つの箱の中に入れられてしまって、いわばパズルのように、今まで、そうした類型化についてもまた新たに動かしている。まさに私はこれは表面的な改革だというふうに思います。副総理、いかがですか。

岡田国務大臣 具体的には、法案は中川大臣の所管ですので、また御議論いただきたいと思いますが、やはり共通なルールというのはかなりあるんですね。全部、一つ一つ個別にやっていくということになれば、それはより複雑化いたします。もちろん個別に法律を制定するということを予定しているものもございますが、基本的に国が持つ法人として共通のルールというものがあってしかるべきで、それを大きく、中期目標行政法人と行政執行法人ということにくくったということであります。

 今回の独法改革というのは平成十九年の改革に次ぐものでありますが、前回の十九年のときの独法整理合理化計画では法人数は一六%の削減、今回、四割の削減、四〇%の削減であります。廃止、民営化については、前回十九年度の改革では六法人でしたが、今回は十四法人。統合も、十六法人を六法人だったのが、三十五法人を十二法人ということで、従来と比べればはるかに大きな改革をしております。

 不要資産の国庫納付も、十九年改革のときは六千百億円だったのに対して、今回は二兆円であります。財政支出の削減も、前回は千五百六十九億円、これは二十年度ですが、現在は三千百億円ということで、かなり思い切った改革でありますので、ぜひそこは全体をごらんいただいて、そして個別の法人について、より適切な、どういったプラスアルファの法律が必要かどうかということを判断していけばいいと思いますが、やはりこれだけ思い切った改革を御提案しておりますので、ぜひ御賛同いただきたいというふうに思っております。

高木(美)委員 要するに、統廃合して数を減らす、類型化する、そうではなくて、一つ一つをきちんと、今大変だとおっしゃいましたが、大変な作業をしなければ本当の改革にならない。だから上っ面だと先ほどから申し上げているのです。もう一度、副総理、よくお考えをいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

荒井委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 先週、暴力団対策法の改正案の審議が行われました。この点におきましても、九州地域における暴力団の事業者へのさまざまな妨害、脅威を与えるような行為が行われる、暴力団相互の抗争の重大化、こういう中での必要な未然防止策、抑止策についての措置をとる法改正の議論を行ったわけですけれども、先週金曜日の質疑の翌日、問題となっている九州地域で福岡県警の警部補が捜査情報を暴力団に漏えいしていた疑いについて、一斉に各紙が報道しております。事実とすれば、命がけで暴力団排除運動に立ち上がっている市民への裏切り行為でしかありません。

 松原国家公安委員長にお尋ねしますが、この捜査情報の暴力団への漏えいですとか金銭の授受など警察と暴力団の癒着の問題がどうだったのか、この点についてまず最初にお答えいただきたい。

松原国務大臣 御答弁申し上げます。

 お尋ねの報道については承知をしております。

 本件については、福岡県警察において、現在、調査、捜査中であり、事実関係について確定的なことを申し上げることのできる段階ではないということでありますが、警察においては、被疑事案が発生した場合には徹底した調査、捜査を行い、事案の厳正な処理を行っております。本件についても、福岡県警察において事実関係について徹底した調査、捜査を行い、明らかとなった事実に即して厳正に対処されるものと承知をいたしております。

 なお、同県内において事業者襲撃等の事件の発生が集中しており、福岡県警察のみならず全国警察の支援のもと、捜査の徹底を図るとともに、保護対策、警戒活動等を強化して市民の安全確保に万全を期している中でこのような状況を招いたことは、私としても遺憾とするところであります。再発防止措置については、調査、捜査の結果を待って考えることとするところであります。

 いずれにしても、暴力団対策については、しっかりとした業務管理を確保の上、暴力団の弱体化、壊滅に向け、これを強力に進めてまいるよう警察庁を督励してまいります。

塩川委員 私は、この前の委員会で、暴力団による市民への傷害などの犯罪行為に対する検挙が進んでいないという事実を指摘して、この暴対法での新しい規制の抑止効果の発揮だけではなくて、犯人の検挙自体にも全力を尽くすべきだという指摘を行ったわけですが、いわばその前提を掘り崩すような事態だということが今問われているわけであります。

 松原大臣は、「対立抗争や事業者襲撃などの事案の多くが未検挙であることは、犯人検挙に対する国民の期待を考えると、担当大臣として重く受けとめているところ」と答弁をされたわけであります。

 生命、生活を脅かす暴力団の犯罪の捜査、検挙にまさに全力で取りかからなければならないときに、警察と暴力団の癒着によってそれが妨げられるようなことがあってはならない。事実を徹底的に解明し、こうしたことが二度と起きないようにあらゆる手だてをとるべきだと考えますが、改めてお答えください。

松原国務大臣 申し上げましたように、報道されている捜査員が暴力団関係者と癒着していたかどうかについて、現在、福岡県警で調査、捜査中であります。

 九州において昨年から本年六月末までに二十七件の事業者襲撃事件が発生しており、検挙に至ったものは二件であります。暴力団犯罪の捜査については、捜査手法や関係者からの協力確保等、さまざまな面での困難もありますが、犯人検挙への国民の強い期待を重く受けとめ、この結果を担当大臣として重く受けとめているところであります。

 特に、福岡県では事業者襲撃の事件の発生が集中しており、全国警察の支援を受けながら市民の安全確保に万全を期している中でこのような状況を招いたことは、繰り返しますが、私としても極めて遺憾であります。

 一層厳しい緊張感を持って業務管理を徹底しながら暴力団対策を強化していくよう、警察庁から指導してもらうように督励をいたしてまいります。

塩川委員 検挙されないのは警察から情報が流れているからじゃないか、こういう市民の疑問、怒りの声が上がっているわけですから、それにしっかりと応えることこそ今求められているわけです。

 委員長、ぜひ、当委員会でも、今回の事案に関して必要な報告を聴取するなど、しかるべく対応をお願いしたいと思います。

荒井委員長 はい。

塩川委員 次に、秘密保全法制に関連をして、特別管理秘密について質問をいたします。

 政府は、二〇〇六年にカウンターインテリジェンス推進会議を設置し、二〇〇七年八月、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針を決定しました。

 その基本方針によれば、国の行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したものを特別管理秘密として特別な管理を行うとしており、この特別管理秘密に係る基準は二〇〇九年四月から施行されております。

 内閣官房では、この施行に伴い、内部規程を二〇〇九年の三月二十七日に決定をしております。内閣官房特別管理秘密管理規程、この第八条では、特別管理秘密の指定及び解除を規定しております。この八条四項では、「特別管理秘密が指定されたときは、速やかに、当該事項の内容、所管部署、指定日、秘密指定期間その他必要な事項を特別管理秘密指定管理簿に登録するとともに、その旨を関係者に通知する。」とされています。

 そこで、こうした秘密の管理について、まず防衛省に確認をいたしますが、防衛省では、いわゆる省秘、防衛秘密、特別防衛秘密を管理しています。例えば防衛秘密については、指定された防衛秘密について防衛政策局長が記録簿を管理することになっております。

 防衛省に確認をしますが、この省秘、防衛秘密、特別防衛秘密の指定件数は幾つでしょうか。

石塚政府参考人 防衛省における秘密の件数についての御質問かと思われますけれども、防衛省において取り扱う秘密は、今議員がおっしゃられましたように、日米相互防衛援助協定等に基づき米国から供与された装備品等に関する事項を内容とする特別防衛秘密、また、自衛隊の運用や防衛力整備等に関する一定の事項のうち、我が国の防衛上特に秘匿することが必要であるとして防衛大臣が指定する防衛秘密、これ以外の防衛省の業務に関する秘密であるいわゆる省秘の三種類が存在しております。

 平成二十二年末時点におきまして、特別防衛秘密は約一万件、防衛秘密は約一万三千件、省秘につきましては約八万七千件の指定等がなされております。

塩川委員 今お答えがありましたように、それぞれの秘密に関しての指定件数が述べられました。

 そこで、官房長官にお尋ねをいたしますが、内閣官房特別管理秘密管理規程にもありますように、この特別管理秘密の指定について定めがあるわけですけれども、内閣官房に関する特別管理秘密は何件あるのか、この点についてお教えいただけますか。

藤村国務大臣 内閣官房において内閣官房特別管理秘密管理規程を定めています。先ほどおっしゃったように、八条において、この内閣官房の規程においても、内閣官房に関する事項のうち、国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要であるものを内閣総理大臣が特別管理秘密として指定することとしており、現在四十九事項を指定しているところであります。

塩川委員 四十九事項で、実際の文書とするとどのぐらいか、こういうことについてはわかりますか。

藤村国務大臣 特別管理秘密を記録した文書等は、内閣官房の部局内において複数の担当官によって管理されているほか、同一内容の文書等が複数存在しているわけです。その重複について精査することも必要であるので、今直ちに件数で何件ということをお答えするのは困難であります。

塩川委員 改めてその点について確認をさせていただきたいと思っております。

 この特別管理秘密の特別な管理を行うために、基本方針は、秘密取扱者適格性確認制度を導入することとし、二〇〇九年四月から実施されております。

 秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議、この第三回会議において、事務局が、秘密の管理に関する考え方、事務局案、論点を提案しておりますが、その中で、現在の秘密取扱者適格性確認制度についての課題を指摘しております。その上で、その課題を解決する適格性確認制度についての提案を行っております。これは、方法、手続では、まず対象職員の同意という手続から始まって、実施権者から説明があり、対象職員から書面による同意があって次のステップに進むことになっております。

 そこで、内閣官房の方にお尋ねしますが、なぜこの事務局案では、手続を進める上で対象職員の同意を必要としているんでしょうか。

兼原政府参考人 お答え申し上げます。

 有識者会議の提出した報告書でございますけれども、その報告書によれば、適性評価では実施権者が対象者の個人情報を調査し、把握する必要があるが、対象者のプライバシーに深くかかわる調査となることから、調査については、対象者の同意を得て進めることが肝要であると記載されております。

塩川委員 プライバシーに深くかかわることなので対象者の同意が必要だということであります。

 ここに消費者庁の、消費者庁長官名で決定をしました秘密取扱者適格性確認制度実施規程があります。消費者庁にお尋ねをいたしますけれども、この第七条「調査の方法及び手続」では、秘密取扱者適格性確認制度の実施に関するガイドラインの人事管理情報等による調査は、調査対象職員に係る人事記録、勤務評定記録書その他次長が定める種類の資料を参照することとなっておりますが、ここで言う、その他次長が定める種類の資料、これはどのようなものなんでしょうか。

松田政府参考人 お尋ねの件につきましては、秘密取扱適格性確認制度の具体的運用にかかわることでありますことから、情報保全に支障を及ぼすおそれがあるということから、お答えを差し控えたいと存じます。

塩川委員 実際に消費者庁においては、特別管理秘密の指定の件数は幾つなのか、この点についてはお答えいただけますか。

松田政府参考人 消費者庁はございません。

塩川委員 特別管理秘密の指定がないということです。

 重ねて、適格性確認者、これについては何人とかわかりますか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 五人となっております。

塩川委員 そうしますと、適格性確認者は適格性についての確認の作業を行っているわけですけれども、消費者庁の実施規程には、対象職員の調査において対象職員からの同意を得る規定というのが触れてありませんけれども、同意なしに調査を行うということが想定されているんですか。

松田政府参考人 規程にないといいますか、同意を前提として全て調査をするということになっていないと承知しております。

塩川委員 同意を前提に調査するというふうになっていないというお答えでありました。

 重ねてお尋ねしますけれども、消費者庁の実施規程の第七条のところで、今の一項の記述の続きですけれども、ガイドラインのただし書きの照会を行うことにより行うものとありますけれども、この照会については、何をどこに照会するのか、この点についてはいかがですか。

松田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの件につきましても、秘密取扱適格性確認制度の具体的な運用にかかわることでありまして、情報保全に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。

塩川委員 こういう調査対象者に対して調査を行う上で必要な照会を行うということですけれども、この照会を行えるというその法的な根拠というのはどのようになっていますか。

松田政府参考人 現行制度における適格性の確認は、各行政機関において、職員の任用に関しまして任命権者の権限の範囲内で実施しているということと承知しております。

塩川委員 いや、ですから、照会を行うような場合に、第三者に問い合わせをするというようなときについて、きちんとした法的根拠がないということですね。

松田政府参考人 あくまで、任用につきましては任命権者の権限の範囲内で可能であると承知しております。

塩川委員 その点が見えてこないわけです。

 内閣官房にお尋ねします。

 この消費者庁の秘密取扱者適格性確認制度実施規程でも取り上げております秘密取扱者適格性確認制度の実施に関するガイドライン、二〇〇八年九月二日、カウンターインテリジェンス推進会議で了承されたこのガイドラインにおいては、調査対象者への調査というのは、対象者からの同意を得て行うという規定になっているんですか。

兼原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のガイドライン等の現行の適格性確認制度の関係規定におきましては、適格性の確認を行うことについて、調査対象者の同意を得ることが必要である旨は規定してございません。

塩川委員 そのガイドラインを明らかにしていただけますか。

兼原政府参考人 秘密取扱者適格性確認制度の実施に関するガイドラインと思いますが、このガイドラインにつきましては、これを明らかにすることによる業務の支障の有無を確認、検討した上で、可能な範囲でこれを提出いたしたいと思います。

塩川委員 四月十日付の閣議決定の政府答弁書において、「適格性の確認は、各行政機関において、職員の任用に関して任命権者の権限の範囲内で実施しているものであり、必ずしも本人の同意を得て行っているものではない。」とありますけれども、これはどういう意味なんでしょうか。

兼原政府参考人 先ほど別の政府委員からもお答え申し上げましたけれども、現行制度における適格性の確認は、各行政機関におきまして、職員の任用に関する任命権者の権限の範囲内で実施をしております。調査対象者の同意を得なくても適格性の確認は可能であると認識をしておる次第でございます。

塩川委員 そのガイドラインでは、対象職員に対する調査事項について、どういう事項を調査することとしているのか、それについての定めはどのようになっていますか。

兼原政府参考人 委員お尋ねの点につきましては、秘密取扱者適格性確認制度の具体的運用にかかわる事項でございます。情報保全に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えを差し控えたいと思います。

荒井委員長 塩川鉄也君、時間が終了しておるので。

塩川委員 はい。

 最後に官房長官に。

 今やりとりしましたように、調査事項についての明示がない、照会についての法的根拠も明らかにされていない、調査対象者の同意についても私は不明確だ、こう言わざるを得ません。

 やはり、こういったガイドラインの問題についてもきちんと公表することを求めると同時に、権力によるプライバシー調査にかかわるような問題であり、本人同意のないものは違法ということにもなりますので、こういった適格性確認制度そのものは直ちに中止をすべきだ、そのことを申し上げて、一言いただいて終わります。

藤村国務大臣 短く申し上げます。

 まず、調査対象者の同意を得なくても現時点で適格性の確認は可能である、こういう認識でありますが、先ほども事務方から答えましたように、ガイドラインについては、これを明らかにすることによる支障の有無を検討した上で、可能な範囲でこれを提出させることとしたいと思います。

塩川委員 終わります。

荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 岡田副総理には、累次にわたって税と社会保障の問題について質疑をさせていただきました。きょうは、五十分にはこの委員会を出られなければいけないということで、先に岡田副総理、そして関連いたしますので藤田副大臣にも幾つか質問をさせていただいて、四十五分には退室いただけるようにしていきたいと思いますので、簡潔にお答えいただければというふうに思います。

 まず、社会保障といったときに、財源は税金と社会保険料ですけれども、いずれにしても、これは国民皆保険を前提にということであれば、保険料という名目でありますけれども、当然ですが払っていただかなければいけない、法律に基づいて払っていただかなければいけない、国民の御負担をいただく種類のお金だという認識をお持ちかどうか、その点について伺いたいと思います。

岡田国務大臣 保険制度ということですから税と同じではありませんが、しかし、基本的にそれは法律に基づいて国民に御負担をいただくものですから、そういう意味では、かなり税と似た性格があるというふうに思っております。

浅尾委員 まあ、税と名前が違うということだと私は認識しております。保険料だから払わなくてもいいということであるとすると、これは車で言うところの任意保険みたいなものになってしまうということでありまして、皆保険ということであれば、これはやはり今おっしゃったように払っていただかなければいけないものだと。この議論をこれ以上しても余り議論が深まらないと思いますので、具体例に応じて話を伺っていきたいというふうに思います。

 仮に、仮にというか、私が申し上げておりますように、払っていただかなければいけない制度ということを前提にお話をいたしますと、保険料というものは、入りの部分とそして給付の部分とが公平でないと、国民の間で不公平感が出てしまうということなんだろうなというふうに思っております。

 そういう意味で、きょう、実は随分前から財務省、あるいはきょうはお出ましいただいておりませんけれども総務省の方に、共済年金には厚生年金にはない制度としての追加費用というものがあって、これが現段階で毎年国と地方を合わせると一兆二千億円ぐらいですか、単年度で出ている。この追加費用の根拠は何かということを聞きますと、国家公務員でいうと、昭和三十四年以前に入られた方については恩給という制度があって、労使折半で払っているお金がなかった、あるいは、総務省、地方公務員については、昭和三十七年以前については同じように恩給制度だったので給料からの天引きがなかった、その分を勘案して払っているんですという御説明になるんですが、それがなぜ今のお金で毎年一兆二千億円になるのかということが、私はいまだによく理解ができない。

 仮に一兆二千億円を正当化するとすれば、例えば国でいえば、昭和三十四年以前に勤務していた期間に相当する総支払い月数を分子とした場合に、分母であるところの総支払い月数、これはそれ以降も含めて、これに対応する金額がその一兆何千億円に当たらないといけない。この一兆何千億円というのは、調べてみると、大体ですけれども、労使合わせて徴収される保険料の大体四割になる。例えて言いますと、今賦課方式ですから、一万円お給料から天引きされるとすると一万円会社が負担するというのが厚生年金の世界、それに対して追加で八千円入っているというのが今の入りの方のプールの話なんです。

 財務省にお願いしておりまして、恩給期間に該当する月数、あるいは総月数ですね、年金支払いの該当する総月数分の恩給期間に該当する月数の計算というのが今どの程度までできているのか、伺いたいと思います。

藤田副大臣 浅尾委員にお答えいたします。

 かねがね御指摘いただいている件でございますが、通常ですと、今おっしゃっていただいたような、各受給者の年金額と追加費用額を把握しておけば予算や年金給付等の業務に対応できるわけでございますが、残念ながら御指摘のような数字は把握しておらなかったということで、二月に浅尾先生の方から依頼を受けて、特別集計を行っている。私の方もできるだけ早くということを申し上げておりまして、今データを持っているKKR、国共済連合会等において、集計プログラムの作成とか修正とか、データの整備を行っております。

 私もできるだけ早くと申し上げておりますけれども、今精査をしておりまして、あと一、二カ月のうちには結果を出せるというところまで来ておりますので、なるべく早くということを今指示しているというところでございます。

浅尾委員 ぜひなるべく早く出していただきたいんですけれども、そもそも論で言いますと、追加費用というのは、今申し上げましたように、恩給期間に該当する費用として毎年予算にも計上されております。計上されているのは、本来であれば、恩給期間に該当する個々の人の足し上げで計上されていないとおかしいわけでありますが、総額はあるけれども逆に個々の人の該当する分が今までなかったというのは、どういう計算で総額の計算がなされたのか、もしおわかりであればお答えいただきたいと思います。

藤田副大臣 これは前回も総務大臣の方で、必要性がないから当時は行っていなかったということで、共済組合と相談というような答弁があるようでございますけれども、それも含めまして、とにかく早く総月数等々を把握することが基礎だろうと思っておりますので、私の方は、とにかくできるだけ早くということを指示しております。

浅尾委員 これは委員長の方にお願いいたしますが、要するに、総額として、国だと二千億ぐらいですか、地方で一兆円というのが恩給期間に該当する金額ですよというのが出ていて、しかし、総額の算出が個別を足し上げてなくても出るという仕組みについて、別途、委員会に、これもあわせて御報告いただきますようにお願いしたいと思います。

荒井委員長 別途、理事会で議論いたしましょう。

浅尾委員 なぜこのことを申し上げているかというと、先ほど申し上げましたように、保険料という制度だとするとやはりこれは公平でないといけない。要するに、本来は強制的に徴収させていただく制度だとすると、制度自体が公平でないといけない。

 追加費用があってはいけないということ、一〇〇%あってはいけないと言うつもりはありませんけれども、例えば、今でも厚生年金の保険料よりも共済年金の保険料の料率は低いんです。低い中で、これを政府に聞くと違う御答弁になるんですが、追加費用というものがあるから、単年度の厚生年金の支払いの、例えば厚生年金が持っている積立金は四・六年分ぐらいなんですね、国家公務員ですと六・二年分、地方公務員ですと十・二年分ぐらいの積立金を持っている。これは別の財源がないと、多分計算式としてはそういうことにならないだろうということを思っております。

 要は、これは収入に対して一定割合を払っているわけでありまして、収入に対して払った割合に応じて年金を払っているということになりますと、少ない料率であるにもかかわらず、毎年毎年払っている年金に対して持っている積立金が多くなるというのは、別の財源が入ってくる、入りの財源がなければそういう計算にならないということなんだろうと思います。

 今度、今参議院に行きましたけれども、被用者年金の一元化という中では、公務員の共済年金の方が二十兆円多く積立金を持っているということでありまして、今の法案、衆議院を通りました法案でありますけれども、これでいうと、二十兆円多く持っている分については公務員側で使うということになっておりまして、国民全般にはそれが還元されない仕組みになっているということを考えると、もともとの計算根拠も含めて、早く出していただいた方がいいのではないかなというふうに考えておりますので、ぜひそのことをお願いしたいと思います。

 あわせて、もう時間がありませんので、岡田大臣には、今申し上げましたように、大臣もある程度は認めておられますが、社会保険料というものはやはり払っていただかなければいけない種類のお金だということだとすると、今検討となっております歳入庁をつくった方が社会保険料の徴収には資するのではないかというふうに思いますが、その点についての意見を伺って、参議院の方の委員会にいらっしゃるということでありますので、あとは結構でございます。

岡田国務大臣 歳入庁につきましては、政府の中でもいろいろ検討をして、そして、基本的に歳入庁をつくるという方向でロードマップといいますか工程表を既にお示しをさせていただいているところでございます。

 非常に大きな組織ですし、国税の方は比較的パフォーマンスが高い、それに対して年金機構の方はそうではないという中で、高い方にそろえなければ意味がありませんので、そのためにどうしたらいいか。やはり順次、手順を踏みながら、ステップを踏みながらやっていくということでお示しをさせていただいているところでございます。

 ただ、三党で御議論をいただいた結果、自民党、公明党の中にはいろいろな御意見もございます。そういったことを踏まえて今三党合意の内容になっておりますので、政府の考え方は先ほど申し上げたとおりでありますが、当然、三党間あるいは政府も含めて議論して、どのように持っていくべきかということについて議論を残しているというふうに思っております。政府としては、基本的に歳入庁ということで統一化されているところでございます。

浅尾委員 もう質問はいたしませんので御退席いただいて結構ですが、ぜひ、先ほど来申し上げておりますように、保険というものも、これは強制徴収ということを考えれば、しっかりと徴収できる体制、そして、なおかつ給与にかかる所得税を考えても源泉徴収というのは非常に、そのことの是非は別として、徴収面での効率は高いわけですから、同じところに保険料が源泉で引かれているかどうかチェックしてもらうという意味で、社会保険庁が持っている機能を国税庁に統合すれば済む話であって、人員の話とはまた別の話だと思いますので、積極的に進めていただきますようにお願いをさせていただいて、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 続いて、国民の生活基礎調査というものに基づいて、今次の、政府が今衆議院を可決いたしまして計画しております消費税の増税の影響について伺ってまいりたいと思います。

 先日、予算委員会で、ちょっと時間が短くて古川大臣に十分にお答えいただけなかったので、同じ内容になるかもしれませんが、少し御質問させていただきたいと思います。

 まず、先般、平成二十三年の国民生活基礎調査というのを厚生労働省が出しました。これは、世帯を抽出して、統計的に我が国の世帯の所得がどうなっているのか、世帯の種類別に出ている。私、大変これは興味深いなと思ったのは、全世帯の所得が平成二十一年と二十二年の間で十一万六千円、平成二十二年、ですから二年前の全世帯の所得は三年前と比べて減っているということを、この間、予算委員会で申し上げました。

 もう少しきょうは時間がありますので詳しく申し上げますと、児童がいる世帯、これは十八歳未満で働いていない児童というふうに考えたらいいと思いますが、児童がいる世帯の所得が大幅に減っております。六百九十七万三千円から六百五十八万一千円へと五・六%減っている。それに対して、六十五歳以上の者のみで原則構成されている、正確に言うと、六十五歳以上の者プラス十八歳未満の児童だけがいる世帯を高齢世帯というようでありますが、ここの所得は三百七万九千円から三百七万二千円へとほぼ変わっていない。変わっていないというか七千円減っていますが、児童がいる世帯の大幅な、六百九十七万三千円から六百五十八万一千円へとほぼ四十万近く減っているのと比べると、高齢者世帯の所得はほぼ変わっていないということが政府自身が出しているこの統計で出ているんですね。

 消費性向ということを考えてみますと、これは必ずしも一概には言えないかもしれませんが、児童がいる世帯の方が、定性的な議論でいうと、子供の衣服の買いかえとか、いろいろな面で消費性向は高いというふうに言えるんだろうと思います。特に、高齢者といっても、収入の少ない人の消費性向は、収入に占める消費の割合は高くなると思いますが、収入の多い人の場合はそんなに消費性向は高くないんだろうなというふうに思います。児童がいる世帯が大幅に減っているという中で、今回消費税増税をするということになると、特に、消費性向が高い人の可処分所得を消費税を上げることによって減らすことになるわけですから、経済全体への影響というのを考えていただかなければいけないのではないかというふうに思います。

 そういう意味で、この間、マクロ経済モデルというのを、消費税を上げたときにどういうふうになるのか、そういうのを、内閣府、昔の経済企画庁ということになるんだと思いますが、つくっておられるんですかということを聞いたときに、具体的な返事がなかったわけであります。多分、私の理解によりますと、そういうものはつくっていないということだと思いますが、今回、景気への影響ということを、定量的な数値は入れないということを聞いておりますが、景気への影響ということは勘案するということであれば、少なくとも増税の前に、こういう考え方に基づいてこういう影響が出る、あるいは影響が出ないというモデルをつくっておいた方がいいのではないかというふうに思いますが、その点について古川大臣の御認識を伺いたいと思います。

古川国務大臣 浅尾議員がおっしゃる、それぞれの世帯収入とかそういう今の国民生活基礎調査の数字、そこをベースにするとなるとそれは多分ミクロで、マクロモデルの計算でということで申し上げますと、これは、内閣府がことしの一月二十四日に示しました経済財政の中長期試算におきまして、経済、財政、社会保障を一体的にモデル化した内閣府の経済財政モデルを用いて、影響についての試算というのは行っております。

 これによりますと、社会保障・税一体改革のもとで消費税率引き上げの影響を見ると、消費税引き上げ前後の期間におきます一体改革を考慮した場合の平均成長率は、一体改革を考慮しない場合に比べて〇・一%ポイント程度低い結果というふうになっております。

浅尾委員 個別でいうとミクロということかどうかは、私は、もう少しマクロの計算に当たっては個々の消費者側の消費性向も見ないといけないということだと思いますので、どの世帯にどういう影響があるのか、あるいは、サプライサイドでいうと、どの産業にどういう影響があるのかということを産業別で見ていく、そのことをもってミクロと言うならそれはミクロということになるんだろうと思いますが、細かい配慮が必要なんだろうなというふうに思います。

 産業別でいっても、影響が出やすい内需型のいわゆる人件費率の高い産業とそうでない産業との差もあるでしょうし、あるいは、今申し上げました消費者側でいいますと、各消費者世帯ごとの消費性向というのは違うということだと思いますので、せっかく、これは内閣府ではなくて厚生労働省でありますけれども、非常に精緻な調査を消費者側でも行っているわけでありますので、こうしたものを勘案したモデルをつくられたらどうですかという提案ですが、そういうことについていかが思いますか。

古川国務大臣 釈迦に説法を申し上げるようですけれども、マクロとなると、それは個別の世帯別とかそうじゃなくて、国全体で消費性向とかを一定置くという形になりますので、そういう意味では、それを使ってマクロモデルをつくれというのはちょっと論理的にできない話じゃないかというふうに思いますが、ミクロ的な試算というものは、家計、世帯別とか、財務省なんかでもやっているようでございますが、そういうことについては今後とも検討はしてまいりたいというふうに考えております。

浅尾委員 繰り返しになりますけれども、マクロは全体というのはそのとおりですけれども、一つ一つの積み重ねということも必要だろうという意味で申し上げています。

 その上で、ぜひ、モデルをつくった場合に、どういう計算根拠に基づいたモデルなのかを、当然のことだと思いますが、増税の前に国会にも開示をしていただきたいというふうに思いますが、その点についてお伺いしたいと思います。

古川国務大臣 これは、モデルということであれば、ミクロだったら、例えば夫婦子二人だとかあるいは年収が幾らとか、そういう世帯別なのは、これはもう財務省の方で既にお示しもしていると思います。

 また、今御指摘もございました。そうしたことで検討はしていきたいと思いますが、必要なものについてはこれまでもお示しをしてきているというふうに基本的には考えております。

浅尾委員 ぜひ、要するに変数の部分、これを変数としていますといったような、そこに税率を上げるとこういうふうになるといったような計算式について、つくったものの御開示をお願いしたいということを申し上げて、質問を終えたいと思います。

荒井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.