衆議院

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第12号 平成24年7月27日(金曜日)

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平成二十四年七月二十七日(金曜日)

    午前八時五十一分開議

 出席委員

   委員長 荒井  聰君

   理事 後藤 祐一君 理事 田村 謙治君

   理事 津村 啓介君 理事 湯原 俊二君

   理事 鴨下 一郎君 理事 平沢 勝栄君

   理事 古賀 敬章君 理事 高木美智代君

      阿久津幸彦君    石田 勝之君

      石山 敬貴君    磯谷香代子君

      小原  舞君    園田 康博君

      高井 崇志君    長島 一由君

      橋本 博明君    橋本  勉君

      原口 一博君    福島 伸享君

      福田衣里子君    村井 宗明君

      本村賢太郎君    森山 浩行君

      矢崎 公二君    小泉進次郎君

      塩崎 恭久君    平  将明君

      竹本 直一君    徳田  毅君

      中川 秀直君    長島 忠美君

      野田 聖子君    京野 公子君

      瑞慶覧長敏君    村上 史好君

      遠山 清彦君    塩川 鉄也君

      浅尾慶一郎君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域活性化担当)    川端 達夫君

   内閣府副大臣       石田 勝之君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   内閣府大臣政務官     稲見 哲男君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        和泉 洋人君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房年金管理審議官)       今別府敏雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           蒲原 基道君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月二十七日

 辞任         補欠選任

  福田衣里子君     小原  舞君

同日

 辞任         補欠選任

  小原  舞君     福田衣里子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域再生法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

 構造改革特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

荒井委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言申し上げます。

 去る六月十四日の地域再生法の一部を改正する法律案等の趣旨説明聴取の取り扱いについて、理事間において、意思の疎通を欠いたとの指摘があります。

 今後、特に与党におかれましては、円滑な運営に配慮いただくよう申し上げます。

     ――――◇―――――

荒井委員長 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長和泉洋人君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官今別府敏雄君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、厚生労働省大臣官房審議官蒲原基道君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹本直一君。

竹本委員 おはようございます。自民党の竹本直一です。

 きょうは、三十分いただいております。テーマは地域再生法と構造改革特区法、こういうことですけれども、ともに精神は同じくしておりますが、我が国の戦後というか、この半世紀以上の地域活性化あるいは地方振興の歴史を見ましても、例えば、僕らがすぐ思い出すのはやはり新産・工特ですね、通産省中心でやりました。これも全部で二十一カ所やったけれども、余りこれという、絶対成功したというのはどれかなというと、なかなかない。むしろ、苫小牧の失敗例の方が何となく記憶に残る、こういうことです。

 それから、国土庁等を中心でやりました定住圏構想、これも全国に三百の定住圏をつくるということでやってきましたけれども、皆同じようなことをたくさんやりながら、では、どれがうまくいったんだと言われると、なかなか思いつかないというのが実態です。逆に言うと、地域を振興しようと思うと、全部、全国一斉によくなるということは経験からしてなかなかないんじゃないか。それは川端大臣を初め関係者の皆さんも、そのことは理解しておられるはずです。

 それからまた、こういった経験から判断して、では、現在ある地方分権化の方向、あるいは道州制も含めまして、地域をどのように活性化すればいいかということについて、今回、きょうかかる二つの法案もその一端だと私は思いますけれども、やはり私に言わせれば成功しないといけない。成功する一つの例がありますと、俺たちもああいうふうにやろう、このように元気がつくわけでありますが、そういう意味で、今回の法改正、そういった視点から見て一体どのような考え方でおられるのか、ぜひ聞いてみたいというふうに思っております。

 構造改革特区法につきましては、制度ができてから十年になりますけれども、どうも規制特例の内容も非常に小粒なものが多い。たくさんできましたけれども、私は、やはり一番記憶に残っているのはどぶろく特区ぐらいです。そんなことですので、今回、特区法は五年間延長すると言ってきていますけれども、一体どういうニーズがあるのか。今までの体制では対応できないこういうニーズがあるから今回五年でも延長してやり遂げたい、こういう思いであると思いますが、どういうニーズがあるのか、まず大臣にお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 おはようございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、総論的に、いろいろな仕組みで地域が元気になるようにということで施策をやってこられたという中で、やはり今までの経験の中で一番大事なことは、地域地域の実情が基本的にはいろいろニーズが違うということ。そして、その部分でいったら、きめ細かく、地道であるけれども、そこの元気が出るように、そして、みずからその人たちがこうやりたいということをサポートするということを地道に丁寧にやるというのが一つの大きな大事なことだろう。それからもう一つは、国全体の大きな課題があるという部分を解決していくという方向性を持って一緒にやっていきたい、こんな理念でやらせていただいているわけです。

 確かに、スタートした平成十四年度には百件以上、構造改革特区の提案の実現数はありましたけれども、この四年間は毎年十数件から四十数件ぐらいということで、減ってきております。内容的にも、全国展開された特例も含めて、法律に係る特例措置というふうな大規模なものということでは三十四件でありまして、ほとんどは第五次、平成十六年度までに提案されて実現されてきておりますので、そういう意味では、最近、法律に係る特例措置というのはほとんどないという状況であります。

 この理由としては、制度改正のスタートのときに、農業あるいは学校への株式参入というふうな大きな制度改正というのは取り組みましたので、そういうことで、出足で大きなものは一気に進んだということになっているんだと思います。

 一方、最近では、法律に係る特例でないけれどもということでいいますと、例えば、医療と介護の制度の壁を越えるような措置ということで、重度のALS患者の入院に対する医療保険と介護保険の併用の容認、あるいは、自動車輸送の効率化、CO2排出抑制に係る特例措置等、経済社会情勢が変化してきているのに対応したものも実現をしております。

 さらに、今回、各自治体に対してアンケートいたしましたところ、地域の特色を生かした活性化を図るために有効な施策といった、特区制度を引き続き存続してほしいという回答は九三%を占めております。社会的ニーズは依然として高くて、制度延長が必要なものというふうに思っております。

 今回も、地域からのニーズを踏まえますと、小水力発電に係る河川法及び電気事業法の特例等の新たな特例を措置することとしておりまして、引き続き、地域が有する課題解決の政策ツールとして御活用いただけるものと確信をしておるところでございます。

竹本委員 大体、役所というのは、一旦つくると、それをやめる、廃止するということは絶対言いません。必要があるかと言うと、必ず必要があると言います。それは、程度の差はあるけれども何がしかの必要性はあるわけですが、これをやめて新しい仕組みをつくろうと言っても、なかなかそうは言わないのが、これは習性であるから仕方がない。やはりそこは、大臣というか政務任命の幹部が、いや、世の中は大分変わってきているぞ、世の中の動向は変わってきている、だから、これはやめてこうしようというのが普通の動きだと思うんですけれども、今回、そういう意味で、さらに五年間延長する理由がどの程度あるのかを私は聞いたわけであります。

 今大臣から説明がありましたけれども、私は大阪の南部のいわゆるベッドタウン地域なんですけれども、私の地元を見ておりましても、三十年前にできた団地が、高齢化がどんどん進んで、住んでいる人が、子供たちが皆出ていって、いない。そして、住んでいる人が大体八十前後になっている。そうすると、車の運転ができないんですよね。坂があるから、なかなか歩いて買い物に行くというわけにいかない。そうすると、ここにいたってしようがないからと言って、その家を処分して、そして都心の便利なマンションに移ってしまう。あちこち、何というか、歯抜け状態になっていくんですね。そうすると、治安も悪くなる、町の全体の景観も悪くなる。

 こういったことで、そういう意味で、今御説明のあった、高齢化に伴う、あるいは医療・介護サービスの充実という意味でも非常に問題が出てきている。そういったものに応える必要が絶対にあると思うんですよね。もちろん、地域によって違うと思うんですけれども。ですから、私は、そういったところを再度整備するのには、やはり市町村だけの力だけではできないものが多々あると思います。

 そして同時に、UR、旧住宅公団、ここの団地も、うちの地元にもあるんですけれども、やはり同じ現象が起こっております。例えば賃貸住宅なんかは、五階まであって、そこはエレベーターがないんですよ。家賃は四万ぐらいで安いんですけれども、若い人しか住まない。そうすると、三、四、五階は大体あいている、こういう状況なんですよね。これもやはり再開発をしなきゃいけない。そういう問題があります。

 ですから、私は、そういう意味で、構造改革特区法のことを考えるときに、地域再生の一つの方法としてやはりそういったものも考えていかなきゃいけない、このように思っているわけであります。

 それで、今申し上げましたような、高齢化に対して地域社会が対応できていない、こういったことに対して地域再生法の世界ではどのような対応が考えられているのかをちょっと御説明いただきたいと思います。

川端国務大臣 先生御指摘のように、我が国は、世界に類を見ないような、経験したことのない高齢社会、そして人口減少社会というものを迎えておりまして、これは労働力人口が減るということと同時に、雇用形態も多様化している、人口構造、需要の変化とともに、地域の状況がさま変わりをしてきております。そういう部分では、放置しておくと地域活力がどんどん衰退していくということと同時に、いろいろな課題が深刻になってきているというのが現状であろうというふうに思います。

 そういう意味で、先駆的な地方公共団体では、今言われたようなところに着目をして、歩いて暮らせる町づくり、先ほど車を運転できる人がいないと言われていました、歩いて暮らせる町づくりや、地域に根差した健康産業による雇用促進等を一体的に進めるスマートウエルネスシティーの取り組み、これは新潟の見附市等でやられている。あるいは在宅医療、通院じゃなくて在宅医療を可能とする地域包括ケアシステム、高齢者が地域で働くことができる生きがい就労事業を進める長寿社会の町づくり、これは千葉県の柏市。それから、これも先生御指摘のことでありますが、大規模郊外住宅団地における高齢者の買い物支援、あるいは空き家等を活用したコミュニティービジネスを進める取り組み、大分市等。こういった先駆的な取り組みが行われております。

 そういう意味で、こういう課題解決ということで見ますと、医療福祉分野、雇用福祉分野、それから住まい、町づくりなどの課題について、自治体の取り組みと連携した、さまざまな主体による行政分野横断的な取り組みが必要でありまして、従来よりもさらに重点的に支援する仕組みの構築が地方公共団体に求められております。

 そういう意味で、今回の地域再生制度の見直しは、このような全国の地域が共有する行政分野横断的な課題を国が特定政策課題として設定して、税制、金融、財政上の支援措置をフルセットで支援するということによって、総合的かつ重点的に支援する政策基盤、プラットホームを構築していこうということであります。

 今後とも、この新たな仕組みづくりにより、より地域再生に向けて総合的、一体的な取り組みをやっていきたいというのが我々の思いでございます。

竹本委員 よくわかりました。わかったんですが、そのサービスの中身、恩典の中身なんですよね。

 こういう団地においては、一番よく我々が陳情を受けますのは、バスを、民間の民鉄バスが走っているところが採算がとれないからやめる、こういう状態になるんですね。そうすると、市が補助金を出すんですよ。それでしばらく続けるんですが、やはり経営が大変だからやめる、こういう話なんですね。だから、バスを従来どおりに存続してほしい、こういう要望が非常に強くあるんです。

 これは各地域もあるんですね。例えば堺市のような、比較的都会化の進んだところでもやはりあるんですよ。あるんですが、話を聞いてみると、やはり助成の程度が知れているんですよね。ですから、なかなか民間会社としても全て聞くわけにいかない、こういうことなんです。

 ですから、何か、全額持つかどうかは別として、柔軟にこういった需要に対応できるような仕組みというものを現実的に考えていただいた方がいいのではないか。いや、税もまけますよ、補助金もできますよ、あれもできますよ、いろいろ言ったって、それぞれ程度が小さいから、ではそれを使ってやろうということになかなか現実にはならないんです。だから、実効を図るためには、柔軟な発想で、まとめてこういう助成をしますよ、こういうようなことを考えられたらどうかと思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 御指摘のように、例えば足の問題、交通の問題にしても、私の地域にもあるんですが、そういうコミュニティーバスみたいなものをやろうといって、いろいろな議論の中でやり出すと、実は、そんなに頻繁に乗らないから、時間帯によってほとんど誰も乗らない、財政負担だけかかる、無駄ではないかという話が出てくる、じゃやはりやめようかという、何か悪循環に行くんですね。

 そして、一方で、そうしたらタクシーの方がむしろ安上がりではないかとか、いろいろなところが地域の事情、病院との距離やお買い物等の距離等によってきめ細かくあることは事実でありますので、その地域に合った部分は皆さん工夫していろいろやって、トライをしながらということです。

 今おっしゃったのは、包括的に支援を、ちまちまじゃなくてということでありますが、趣旨は私もそのとおりだと思います。そういう部分では、できるだけ全体的に、規制だけではなくて税制も、それから財政もということをトータルでやるような仕組みにしていこうというのは、思いはそのとおりでありますけれども、個別にどういうふうに具体的にできていくかはこれからの勝負でありますので、できるだけそういうきめ細かい御要望を受けて我々がそれにしっかり対応できるようにというのは、きめ細かく、一緒に考えて支えていきたいというふうに思っております。

竹本委員 川端大臣、非常にお詳しいわ。そういうことなんですよね。結局、バスはつけてやったけれども、一人か二人しか乗っていないとか、空で走っているじゃないかとか、こういう話が必ずあるんですよね。ですから、タクシーがいいか介護タクシーがいいか、ようわからぬけれども、とにかく、いずれにしろ、最後に言われた一緒に考えるという態度でないと無駄が生じてしまってだめだ。

 だから、柔軟な発想をするために内閣府でこういう地域活性化の事務局までできて、やっているんだと思いますので、ぜひその精神で一緒にやっていただくことがやはり一番有効な方法なんじゃないかというふうに思います。

 さて、ちょっと視点を変えますが、昨年、総合特区制度が創設されました。その際には、それ以前からある、今議論しております地域再生制度、それから構造改革特区制度の実績も踏まえながら検討されたと思いますけれども、この総合特区制度と、今まであります地域再生、構造改革特区、これとの違いはどこにあるんですか。

川端国務大臣 総合特区制度というのは、いわゆる新成長戦略の実現の突破口として、選択と集中の観点から、国際競争力の強化、地域の活性化のための包括的かつ先駆的なチャレンジ、こういうものに対して、国が厳選してそういう提案に対して選定をして指定をいたしまして、規制の特例措置、税制、財政、金融上の支援措置を総合的に講ずるものでございます。

 これに対して、構造改革特区制度あるいは地域再生制度は、計画の認定を受ければどの地方公共団体でも活用が可能な制度でございます。

 構造改革特区制度は、経済社会の構造改革を進め、地域の活性化を図ることというのを目的としておりますので、主として個別の規制の特例措置を対象としておりまして、税制、財政、金融上の支援措置を対象としておりません。また、地域再生制度は、地域経済の活性化、雇用機会の創出を総合的かつ効果的に推進することを目標としておりまして、これは財政、金融上の支援措置を中心とするということであります。

 規制緩和を中心とするものと財政の支援を中心とするものということで、それは一般的に、そういう仕組みに手を挙げていただいて、適用できればすぐ適用するということでありますが、総合特区制度というのは、個々の事情に応じて、こういうことをこうやりたいからということを選んで指定するというところに違いがあるというふうに思っております。

竹本委員 特に構造改革特区と比べますと、私は、何か面的な要素が今回の総合特区制度にはあるのではないかなというような感じがするんです。

 規制緩和ですと、例えばどぶろくの制度について規制を緩和して、緩和されれば誰でもできる、こういうふうになっちゃうんですね。ところが、今回のいわゆる総合特区というのは、ある程度面的な広がりを持って、そこににぎわいをもたらすというようなことがやはりあるんじゃないか。一つは国際的な視点でやる、一つは地域の特性を生かした地域活性化の視点でやる、こういうことだろうと思うんです。

 私は、大阪ですけれども、大阪には関西イノベーション国際戦略総合特区というのが昨年の暮れに認定をされたということになっているんですけれども、住民の方は余り御存じないです。それで、盛り上がりというと、そんなにあるのかなという感じでありまして、関係の、例えば医療特区とか言っていますけれども、どの程度の声があるのか、私、ちょっとよくわからない、こういう状況なんですよ。

 ですから、話は非常にすばらしい話で、誰も反対する話じゃない。だって、税制、財政、そして規制緩和も含めてやるわけですから、非常にいいはずなんですが、なぜもう一つ熱気が出てこないのかなという感じがちょっとしているんです。それは、よく考えると、やはり特区というのは、ほかの地域と比べて格段に差別をして格段に優遇するとか、こういうものがないと、どっちに行っても余り変わらないんじゃないか、こんなふうになっているのではないか。

 そういう目で海外を見ますと、シンガポールやこういったところは、中国の浦東もそうでしたけれども、大幅な、例えば十年間税を無税にするというような、極端な傾斜をつけて海外から人、物、金を呼び込みましたね。そういう発想でやっていただかないと、名前はいいし、誰も反対しないけれども、そんなに魅力があるのかな、どの程度のものかな、こういうような感じがあるんじゃないかと私は思うんです。

 どうしてこの程度の優遇措置でおさまったのか、その辺の事情をちょっと教えてもらいたいと思います。

川端国務大臣 世界が国を挙げて非常に力を入れてやる施策ということが、先生が御指摘のような例も含めていろいろあるのは私も承知しておりますし、日本は、その部分でいうと、ちょっと粒が小さいなというふうに言われる御指摘は合っております。力の、お金のかけ方とか一点集中ということでいうと、そういう部分の比較でいうと、世界でいろいろな事例は桁違いに違う部分があることは事実だと思います。やはりそれは、ある種の国家戦略としてこういうふうにやろうということは、私は、むしろ、今の政府でももっとそういうことに力を入れることは、やるべきことはたくさんあると思います。

 ただ、この地域活性化という意味でいうと、地域の皆さんが、そこに当たったところはいいけれども、当たらなかったところはどうするのかということでいうと、地域の特性を生かして、あるいは国際的に、そういう観点から、ここは自分たちで頑張るんだという意味で、私も今回、審査の部分のいろいろなお話を聞かせていただきましたけれども、その部分では、相当熱意を込めて熱心に御議論され、連携し、自治体同士だけではなくて、民間企業、大学研究機関を含めて、相当な皆さんがけんけんがくがくの中で、こういうふうにやろうという意欲で取り組んでこられた熱気は私は感じました。ただ、それが全体的にどこまで波及しているかといえば、なかなか難しいのかなという部分もあります。

 今回も、関西の部分でも、いわゆるライフイノベーション、グリーンイノベーションという、イノベーションを中心にして元気を出すんだということで、阪大、京大等々の有数の研究機関、あるいは電池とか、それから医薬品、医療器具を含めては日本の中でも有数のトップリーダー企業が集積しているということで、企画をしていただきまして、多くの審査の方も含めて、これは本当にやったらすごいなということでありますが、やはり問題は成果が出るかどうかでありますので、この部分では、関西からの医薬品、医療機器の輸出の増加により世界市場でのシェアを倍増させる、関西の太陽、燃料電池等の生産額を倍増させる等々の目標を設定していただいております。

 こういうことで、しっかりやりますということで取り組んでいただくということで、一番肝は、地域みずからが総力を挙げて、よくしていくぞということでやるのをサポートするという仕組みでありまして、その部分だけは御理解いただきたいというふうに思っております。

竹本委員 おっしゃるように、韓国とか一位の中国とか、あるいはシンガポールとか、こういった国は、国を挙げてやっているんですよね。それは成功しているということなんですが、日本の場合は、貿易立国ではありますけれども、GDPに占める輸出入の割合なんて十数%、非常に内需が大きいですから、必ずしもそれだけにこだわるわけにいかない。確かにそういう点はあります。ですけれども、せっかくつくるんだったら、やはり成功させたい。私も地元の者として特区は成功させたいんですけれども、もう少しいろいろな知恵がないものかなというふうに思うわけです。

 私が取り寄せました、役所の方でつくってくれた資料ですけれども、今大臣がおっしゃった例えば医療機器は、今、二〇一〇年で六百六十億のものが、二五年、十五年たつと二千八百億円になる。一つびっくりしたのは、リチウムイオン電池、今現在二千三百億が、十五年後には三兆八千五百億、こんなにふえる。これじゃいいじゃないかと私は思ったんですけれどもね。こういうことをきちっとやるには、それを支える地域のいろいろなことをやはり考えなきゃいけない。

 そうなると、当委員会の議題ではないかもしれないけれども、今、羽田空港は国際化がされてどんどん使われていますよね。これはやはりそれなりに需要があるからなんですね。

 今、近隣の諸外国、例えばソウルとか上海とか香港とか、こういったところから日本に来る人たちは、日帰りのビジネスが非常に多いんですよ。朝ソウルを出て夜ソウルに帰っているんですね。これで日本で用事を済まそうと思ったら、もう羽田しかないんですよね。関空は遠過ぎる、成田も遠過ぎる。そうすると、全部お客さんは東京へ来ている、関西活性化にならない。わいわい口では言いますけれども、なかなか元気にならない。

 だから、私は、伊丹空港を国際化、大阪国際空港ですから、国際便を使えばいいと思うんですよ。いずれ、関空と大阪市内の中心部とを七分で結ぶリニアをつくれという提案を我々は自民党大阪府連として出したんですけれども、これができれば伊丹空港は要らないかもしれないけれども、それができるためにはやはり十年、二十年はかかるわけですから、その間は国際便を飛ばしたら、羽田に奪われている客が全部伊丹に来る。そして、伊丹からすぐ、医療拠点に近いわけですから、いろいろ輸出入においても便利になるし、非常に大阪は栄えるのではないかというふうに思っております。

 ですから、そういう特区を支えるいろいろなインフラ整備、こういったことも知恵を絞らないといけない。せっかく持っている資産を十分使っていないんじゃないか、私はそんな感じさえするわけであります。

 そういったことも含めて、この特区が成功するために、あなたたちそんなこと言っているけれどもこういうことが欠けているじゃないか、そういう指導も、指導というか相談、これはぜひやはりやっていただきたいなと。そのためには、国としても、今までの政策を改めなきゃならないところが出てくると思うんですよね。大阪国際空港、国際とついていて何で国際便を飛ばさないのか、やはりおかしい話なんですよ。

 そんなことをすごく思いますので、ぜひ、日本の医療機器や医療技術の発展を考えれば、本質的な、本格的なものをやはりやってもらいたいなと思っております。

 その意味で、PMDA―WESTですか、これも、いわゆる治験等の試験をやる組織が東京本部には七百人ぐらいおりますが、そのうち十五人ぐらいを関西に持ってくる。何か、私、素人だけれども、そんなことでできるんかいな、こういう感じであります。七百人いるなら半分大阪へ持ってくるとか、せめて百人ぐらい持ってきて別のことをやらせるとかやらないと、何か、どこまで本当かなと。やっていますというだけじゃないかなという感じを持つんです。

 やはり、そういう一般の人の受け方が大事なんですよ。おお、いよいよ始まるな、こう思わせると必ずいいものができてくると思うんですが、川端大臣も同じ関西ですから、そういった意味で思いは同じになると思いますけれども、御所見をちょっといただければありがたいと思います。

川端国務大臣 認識は同じでございます。特区というのは、先ほど申し上げたように、理念的には、地域が皆さんの特徴を生かして自主的に頑張るぞということを応援するということでありますが、当然ながら、リチウムイオンの話で、兆単位になるのかと。

 これは、逆に言いますと、我が国のエネルギー政策として、原子力発電のいろいろな議論がありますけれども、そういうようなものの率は別にしても、再生エネルギーというのは間違いなく大きく拡大しなければならない。その背景でいったときに、必須として、電池というものが開発されレベルが上がらなければ、いわゆる自然エネルギー、再生エネルギーというものが有効活用、安定的に使えない。ここが肝でありますので、そういう部分では、特区でやられるというのと同時に、国の施策としてこの電池をどうしていくのかというふうなこと、エネルギーをどうするのかという、別の切り口からの施策も当然あるわけです。

 そういう部分でいうと、今言われたように、空港の問題も、要するに国際化、ハブ化というものと、関西には三つもありますから、どうするのか。いろいろな議論はありますけれども、地域の御議論もありますが、そういう部分では、いろいろな切り口からの施策が全部うまく連携をしないとうまくいかないだろうというのは御指摘のとおりであります。

 その部分では、おっしゃるように、ああ、いよいよ動き出すなというのが外目にも見えるということは非常に大事なことでありますから、御指摘は大変貴重でありますので、我々としても最大限工夫をして、そういう実のあるようになるように、また我々としても頑張ってまいりたいというふうに思っております。

竹本委員 やはり盛り上げて本気にさせるということも大事だと思いますので、ぜひ頑張ってもらいたいというふうに思います。

 時間もそろそろございませんけれども、冒頭言いましたけれども、やはりこの特区制度をまず成功させること、一つの成功をさせること、そうすると、俺たちもああやりたい、必ずそういう気になってくることはまず間違いないというふうに思いますので、そういう意味で、私は魅力ある施策だと思います。もちろん、推測するに、恐らく税に関しては財務省は非常に抵抗するんだと思いますよ。もっと切り下げろよ、一〇パー、二〇パーなんて言わないで半分ぐらいにしろ、こういうようなことで。

 今後、いずれ我々も政権をとるときが必ず来ると思いますけれども、そういったことはぜひ政権をとったらやりたいなというふうに思っているものでありますが、方向としては思いは同じでありますので、ぜひそこは充実してやっていきたいなというふうに思っております。

 いずれにしろ、地域活性化の問題を考えますと、我々の持てる資産に気がついていないところがたくさんあるんです。先ほどの伊丹空港の例じゃないんですけれども、うまく使えばこんなに使えるじゃないか、こういうものも結構あります。それは、みんなが集まって知恵を出し合って、一緒に考えると先ほど大臣の発言であったけれども、本当に一緒に考えないといい知恵が出てこないのではないかなというふうに思いますので、どうぞ、助成措置、これを制度でぎりぎり、まあ制度は制度として活用しなきゃいけませんが、ぜひ、知恵を出すように中央と地方が一緒になって考える、そういう姿勢で臨んでいただくと必ず成功例が出てくるのではないかと私は期待をいたしております。

 時間が来ましたので、これでやめたいと思います。どうもありがとうございました。

荒井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。国民の生活が第一・きづなの村上史好でございます。

 きょうは、川端大臣、また稲見政務官、初めての質問となります。つい先日まではこのような立場から質疑を交わすというのは想像もできませんでしたけれども、きょうはよろしくお願い申し上げたいと思います。また、稲見政務官におかれましては、おくればせながら、御就任おめでとうございます。同じ大阪ということで、より親近感を感じます。

 それでは、早速でございますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 構造改革特区制度についてまずお尋ねをしたいと思います。

 改めて申し上げるまでもなく、この制度は平成十四年にスタートしたわけでございます。当時、自公政権時代ということで、特に規制改革を通して地域あるいは地方の経済の活性化を促すという目的で、官から民、また国から地方へという理念のもとで、構造改革を加速させようという目的でスタートしたと思っております。その後、民主党に政権がかわりましたけれども、引き続いてこの制度を引き継いでいかれたわけでございますけれども、およそ十年経過をいたしました。

 この十年経過を見て、現状の認識、そしてまた、今後の展望なり可能性についてどのようにお考えになっておられるのか、まずお伺いをいたしたいと思います。

川端国務大臣 よろしくお願いいたします。

 先ほど来の議論も同じでありますけれども、十年前にスタートしたときには百件以上の申し出がありました。最近は四十数件から十数件程度ということであります。

 当初はやはり、いろいろ地方の皆さんとして、こういうふうなことが壁になっているから緩めてほしいというふうなことが非常にあった。例えばいろいろな意味での株式会社化とか、大きな課題がスタートのときには一気に解決をしたということでは進んだ部分で、それ以降は、法律の措置までしてという部分がほとんどなくなったということは事実であります。

 しかし、そうした役割が終わったのかというと、そうではなくて、もともとの部分は、地域の特色を生かして、地域が元気になるためにやりたいことは自主的に責任を持ってやるというときに、いろいろと国の制度、仕組みの中ではやり切れないという部分を特別に認めていこうという趣旨でいうと、そういうニーズは当然ながらいまだに根強くある。したがいまして、それぞれの地域においてアンケートしますと、九十数%は続けてやってほしいというニーズであります。

 そして、それと同時に、テーマがやはりだんだん変わってきている。

 高齢社会、少子化社会、医療や介護、保育というふうなことを含めた部分で、それから環境、そういうことに関しての、すき間といいますか、両方の接点みたいなところで一緒にやりたいというふうなニーズが、介護と医療の問題、あるいは自動車の輸送とかいうことで、いろいろなニーズが新たに出てきております。

 大都市だけでなく地方都市における公営住宅あるいは大規模団地というものが高齢化して、大変厳しくなっている。そういう意味で、知恵を出して、ここはこうしようということに対してニーズはあると思います。新たに、環境でいいますと小水力発電、そういう部分で、数がどんどんではないかもしれないけれども、やはり皆さんが自分たちでやりたいというニーズはむしろ非常に高まってきているので、きめ細かく丁寧に対応したいということが我々のこれからの展望の一つでございます。

村上(史)委員 今の大臣の御認識も理解はいたします。

 ただ、やはり、ニーズが高まるというお話ではございますけれども、一方では、いわゆる自治体等の提案者の考え方と中央省庁の考え方に大きなずれがあって、そして、なかなかそれが認定されないという側面もあると思います。そういう面でまだまだ工夫をする余地があると思うんですけれども、経年ごとに提案件数が減ってきているということは、今御答弁にあったとおりでございます。

 そういう面で、どうしてもスケールが小さくなってきているという側面も、先ほど来、お話が出ておりました。今回も、酒税法改正ということで、また新たなどぶろくができるんじゃないかということで、お酒を飲む私にとっては、いろいろなお酒ができていいなと思いますけれども、しかし、現実的には、もう少しダイナミックな展開というものもやはり求められていると思います。

 そういう面で、今のあり方そのものに対するさまざまな指摘がございます。一つの例を申し上げますと、これは平成二十二年の三月二十五日、「新しい公共」円卓会議での、当時の大塚内閣府副大臣の発言でございます。その発言の要旨でございますけれども、全国的な規制改革をする上で、その先導役として、まず局地的にやってみて、よければ全国に展開するという組み立てであったんですけれども、政権を引き継いで中身を見たら、特区というのは非常に狭い範囲の、ごく一部の例外を認めてあげるだけの仕組みに変質しておりましたという表現で、現行制度に対する認識を示されておられます。

 それとあわせて、特区を創設して効果があったという一つの指標として、平成二十年の七月に、特区における効果の公表がなされております。数値を申し上げますと、設備投資に五千九百億円増。コスト削減に二百六十億円削減をした。就業者数は一万八千人ふえた。年間の観光客数は五十万人増という効果の公表がございました。今回、本案の資料によりますと、コスト削減が百二十二億円、就業者数は三千八百人増、都市農村交流が、日帰り客百五十三万人増、宿泊客十六万人増という数値が示されております。

 今申し上げました大塚副大臣の考え方、そしてまた今申し上げた数値を通して、今の制度のままでいいのかどうか、その辺の御見解をいただきたいと思います。

川端国務大臣 大塚さんがそう言われたことは私は承知していなかったんですけれども、特区は、先駆的にやっていただいて、これは全国的にもやった方がいいという部分は全国展開する、そして、そうじゃなくて、その地域の独特の状況だからやっていただけるというものと、これは二種類あるということだと思っております。必ずしも、全国展開しないものはだめだという話ではないというふうには思っております。

 それと、いろいろな効果に関しては、全国展開をいたしますと、それは法改正もして全国の制度になりますから、ということになりますとこれは対象案件ではなくなりますから、そういう意味で、今やっている特区の評価としての数字は、全国展開したものは抜けていきますから、そういう部分では、対象件数がどんどん減っているという状況というか、新規が減っているという意味でいいますと、必ずしもその部分で効果が薄れてきているということではない。数字上の評価の仕方という面も若干あるんですけれども。

 ただ、言われたように、要望が小粒で減ってきているのではないかという傾向は、そのとおりだというふうには思っております。

 そういう意味で、やはり、先ほども申し上げた最近の状況としての、医療、介護の問題、あるいは環境の問題等含めて、あるいは住宅の問題というふうに、新たな時代の変化に応じた部分でのニーズもまた一方で出ていることは間違いありませんから、そういう意味では、やり方をいろいろ工夫する中で、こういう制度の必要性はいささかも減じていないけれども、やり方に関しては、いろいろな工夫は当然ながら見直して必要になっている状況であることは、私もそのとおりだと思っております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 時間も経過をいたしまして、もう残り少ないんですけれども、最後に、これも先ほどの竹本先生の御質問とちょっとダブるので恐縮なんですけれども、構造改革特区と総合特区の位置づけについて、改めて簡単に御説明をいただきたいと思います。

川端国務大臣 総合特区は、成長戦略実現という意味の突破口として、選択と集中ということでありますので、国際競争力の強化と、あるいは地域の活性化のための包括的、先駆的なチャレンジということで、地域がこういうことをやりたいということを御提案いただいて、それを国が地域を厳選して選定して、規制の特例措置、税制、財政、金融の支援という総合的に、この地域はこういうことをやりたいということを応援するものであります。

 これに対して、一方、構造改革特区というのは、経済社会の構造改革、地域の活性化を図ることを目的としておりますので、個別の規制の特例措置を対象として計画の認定を受ければ、どの地方公共団体においても活用可能な、一般汎用的な制度でございますので、そういう部分では、メニューも含めて地域にプロポーズしていただいて応援するものとは性格を異にしているということでございます。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 もう時間がなくてやりとりできませんけれども、もう一点お聞きしたいんですが、実はこの法案は、本年度、二十四年の三月三十一日で切れております。そして今、四カ月を経過いたしました。大きな支障はないのかどうか、その点、いかがですか。

川端国務大臣 これは、今よりもよりよくしたいということを地域の皆さんが御議論いただいて、ここを緩めてほしい、あるいは応援してほしいということでありますので、まあ、今、新しいものは受け付けないという状況になっていることはそのとおりでありますけれども、既にいろいろな新たな提案に対しても、四月以降で相談九件、あるいは特区の認定申請に係る事前相談も十七件というふうに来ておりまして、ちょっとお待ちいただいているというのが現状であります。

 支障がないというよりも、そういう部分では、もっといいことをやりたいのにというのをちょっとお待ちいただいているところでありますので、できるだけ早くに成立させていただきたいと思っているところでございます。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 最後になりますけれども、今までのお話を通じて、やはり構造改革特区、そしてまた総合特区、これをうまいこと組み合わせる中で地域の活性化等を図っていかなければなりませんけれども、制度そのものよりも、まず、やはりその運用を工夫して、より効果のある制度になるように今後とも御尽力いただきますことをお願い申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

荒井委員長 次に、高木美智代さん。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 本日、地域再生法それから構造改革特区法質疑ということで、やっと、地域再生法は予算関連法案、構造改革特区の方は日切れ扱いといった法案でございまして、この法案がこんな七月の下旬までずれ込むという、このことを私は、政府・与党の国会運営も含めまして反省すべきということをまず申し上げさせていただきたいと思います。

 その中で、特に小水力発電について、これは大臣、通告させていただいていないのですが、実は先般、我が党の稲津議員が国土交通委員会で質問をいたしました。小水力発電につきましては、今、固定価格買い取り制度もスタートいたしまして、福島の原発問題もあり、エネルギーの地域分散、地産地消という点からも大きな注目を集めている内容でございます。

 そこで、今回は、規制の特例措置の追加ということで、河川法及び電気事業法の特例等ということで盛り込まれているわけでございますが、農水省が調査をされたところによりますと、地域ごとに導入の可能性を検討するかどうかという質問に対しまして、計画も含めて千件余り既に手が挙がっているという話があります。また、政府系の団体でございますが、モデル事業を、公募を始めている、これはもう既に六月から公募を始めているという状況があります。

 こうして法案がずれ込むことによりまして、先ほども政府の熱意また熱気が大事だという御指摘がありましたけれども、これをきちっとかみ合わせていくことによって、これが国民により強いメッセージにつながるわけで、政府の熱意がどうしてもかみ合っていない、このことを私は感じるわけです。

 したがいまして、千件もあるような小水力発電の要請については、私は、最初から、何も特区に規制緩和として入れ込むのではなくて、むしろこれはいきなり全国展開で進めていっていいのではないか、そうする方がむしろ利用が早いのではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 小水力発電の問題は、先生御指摘のように、これからのエネルギーという問題に関して極めて大きな役割を果たすという期待をされている問題であることは事実でございます。

 ただ、制度的に、いわゆる従属発電という形でやるもの、それから農水省がやられるものとか、いろいろあります。そういう意味で、政府全体としてこれはどう考えていくかというのは、極めて大きな問題として、先生御指摘の取り組みとしてやるということも当然議論して、早急な答えを出していくべきだと私は思いますが、今現実に、地域としてこうやってほしいというニーズは個別には、具体にはありますので、それはここでやることが一番早く動き出すことは事実でありますので、これはこれとして先頭を切ってやらせていただく中で、全体としての議論も、これは私としても、いろいろなところへ呼びかける中で取り組んでまいりたいというふうには思っております。

高木(美)委員 大臣の御答弁はそのとおりかと思うのですが、ただ、やはり今後、こうした推進をスピードアップするためには、例えば特区につきましては、協議会を設置して、そしてまた、たしか、そこからその結果について総理大臣の許可を得るとか、さまざまな手続がそこに伴ってくるわけです。そうしたことをできるだけ簡素化していくという意味では、本来は、国土交通大臣が御自分の範囲で、一級河川から取水する一定の小水力発電についてはむしろ知事に許可権限を移譲してどんどんできるようにする、農水省は農水省で、そうした農業系の水力について、農業用水路についてできるようにするとか、どんどんそれぞれの個別省庁で本来もっと推進していくべき話だと思います。

 それを全部まとめなければ何も進まないというのではなく、むしろそういった効果も含めまして、どんどんできるところはしていく、その上で束ねるところは束ねていく、このめり張りというのが今後必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 大変本質的な、貴重な御指摘だというふうに思っております。

 そういう意味では、今我々の立場としていえば、ニーズが具体的にあるから取り組みを強化しようということでありますけれども、経産省あるいは農水省ともよく連携をして、しっかりと議論をしてまいりたいというふうに思っておりますし、スピードアップさせることが国民的ニーズであることはそのとおりだというふうに思っておりますので、取り組んでまいります。

高木(美)委員 そこで、まず地域再生法の方をお伺いしたいのですが、地域再生制度は、これまでに千五百件を超える計画を認定されております。その一方で、構造改革特区制度を使った自治体は七百五十一。この両方の法案に関する話になりますが、平成十四年以来十年間にわたってこうした制度を一度も使っていない自治体、これは特区の方です、一度も使っていない自治体は九百五十二あるということで、半分以上の自治体が構造改革特区のこうした特例を使っていないという事実があります。

 先ほど来、ニーズがあるのかどうかという御指摘がございましたが、私はむしろ、こうした使っていない自治体に対して、どのようにして地域や自治体のやる気を引き出して利用を促していくのか、ここが問われることではないかと思います。

 当然そこには、先ほど申し上げたような、もっと使いやすくしていく、一気に全国展開もしていく、こうした柔軟な手法というのも必要かと思うのですが、いずれにしても、地域、自治体がこれをやりたいという、そこをどのように手を挙げていくのか、この促すための方策が必要と思います。

 どのようにお考えか、伺います。

川端国務大臣 御指摘のように、七百五十一団体、特区実施をやっていただいて、これは続けてぜひともやりたいというふうに九三%言っておられるのですが、九百五十二団体が未実施団体であります。しかし、六割ぐらいが、できたらやりたいという意向は持っておられるという状況であります。

 こういう中で、おっしゃるように、きめ細かく、こういうものがありますよということと、やりたいと思っておられても壁があって、細かくてよくわからないとか制度がどうできるのかということは、やはり丁寧にアドバイスするということが一番大事だというふうに思います。

 そういう意味で、今までは、事務局は法令業務を中心にやっておったんですけれども、二十二年度からは、地域ブロック業務を担うという役割をふやしまして、ワンストップ拠点として機能強化を図るということにしております。これに加えて、地方ブロックごとの拠点機能として、全国八つの地域ブロックに地方連絡室を設置いたしまして、総合コンサルティング業務、地方相談会の実施、地方連絡室員会議を通じた情報交換を行っております。

 今回の重要な法改正を契機に、特に制度をうまく使えていない団体に対して改正内容の周知を行うとともに、ブロックごとでの地域からの相談業務に今まで以上にきめ細かく対応し、相談に乗らせていただきたいと思っております。

高木(美)委員 その際に、今大臣がお話しされたワンストップサービスは大変重要であると思っております。

 地域再生そしてまた地域活性化のために各省がさまざまなメニューをありがたいことに用意されておりまして、それでかえって、何をどう組み合わせて使っていいかがわからない、よほど総務省から出向された方がいらっしゃらない限りはよく見えない、そんな事態もあるかと思います。

 したがいまして、やはりこうした相談についても、これをどうすればいいんだ、地域で、先ほどの高齢化の課題もありました、また、もっと再生可能エネルギーを導入しながらやっていきたいとかそうしたさまざまな要望があるときに、また、そうしたやりたいという主体がある場合に、それを自治体が取り入れながらどう進めればいいのか、そうした全省にまたがるようなメニューも使っていけるワンストップサービスが必要と思います。

 それにどのように対応されるのでしょうか。

川端国務大臣 基本は、全国ブロックの部分でできるだけ皆さんにお知らせすると同時に、御相談に来ていただいたらワンストップでできるというのは大原則でないと、あそこへ行け、ここへ行けになるとほとんど何もできないということはおっしゃるとおりでありまして、これはしっかりと強化をしてまいりたいと思います。

 それと同時に、今までのいろいろなメルマガとか諸会議における通知とかいうこと、それから、インターネットの部分もあるんですけれども、いろいろな事例ですね。

 ただ、いろいろなホームページを見ますと、役所のホームページはやはりどうしても官報のホームページになりがちで、ぱっと目を引かない。探して探していくとそこにたどり着くということで、私、各政党のを見たんですが、公明党さんのが一番人目を引いて、ここはクリックしたくなるという見出しなんですね。

 要するに、会議をやりましたという会議録ですとわからないから、そういう啓発も含めて、本当にやる人の側に立って、いろいろな情報が的確に提供されるように、そして、その人たちが疑問に思ったり相談したいなと思ったら、すっとそれが全部そこのワンストップで受けられるようにということは最大工夫をしてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 今の大臣の御答弁は、地域で、また自治体が困ったことがあれば、また、そのようなさまざまなメニューを使いたい場合、困ったらいつでもそうしたブロックごとの相談窓口、また、それがなかなかうまく機能しない場合は事務局にしっかりいらっしゃい、いつでもいらっしゃい、こういう強い大臣の御意思というふうに受けとめさせていただいてよろしいでしょうか。ぜひ発信をお願いしたいと思います。

川端国務大臣 まさに地域が元気になれるためにやっている事業でありますので、何か思われたらすぐに来ていただいて御相談いただいたら、我々は誠意を持って対応したいと思いますし、何か対応が余りよくないということだったら、また御指摘いただければ、ちゃんと、しっかりやるように我々としても督促してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 それで、構造改革特区法につきまして、その中に、今回、事務の規制に関する条例委任の特例というのが入っております。

 この条例委任の特例、大事なことなんですが、実は、地元の現場の実態からいきますと、大臣も、例の復興特区の条例をどのように考えていくかということで、上書き権の問題、いろいろ私どもも質問させていただきました。その実態でわかったものは、県や大都市はこうした条例をつくるような、またそれを考えていける人材がいらっしゃいますが、中小規模の市町村になりますと、大都市の条例を参考にしながら、それを横に見て写して、それを御自分たちの条例策定にされている、実はこういう現実が多いんですね。

 その中で、人材育成をどのようにしていかれるのか、自治体の人材育成につきましてのお考えを伺いたいと思います。

川端国務大臣 おっしゃるように、条例委任の特例でというときに、比較的規模の大きい、職員の多いところというのは何とか対応していただけるんですけれども、御指摘のように、大都市と比較して中規模の市町村は、相対的には職員数が少ないですから、そういう部分で、活用に当たっては、人材育成も含めて一定の支援の必要性については認識を共有しているというふうに思っております。

 そういう意味で、先ほどありましたけれども、地域からの事前の御相談の段階から条例作成に至るまでの各段階で、内閣官房地域活性化統合事務局においてきめ細やかな総合コンサルティングを実施することで、地方公共団体にとって使い勝手のよい制度になるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

高木(美)委員 大臣、これは研究をしていただきたいのですが、例えば法制局、衆議院にございます、参にもあります。また、法務省とか内閣法制局、そういうさまざまなところで、実は、たくさんの自治体の方たちを少しずつですけれども受け入れながら、そこで、立法というのはどういうことなのか、条例をつくるというのはどういう作業が必要なのか、そういう積み重ねる勉強とかそうしたものを一緒にしながら、そこに一年間いて、地元へ帰って、そこで条例をつくるような作業を地域を束ねながらされるとか、こういう人材の育成を少しずつやっていらっしゃるんです。

 これからやはり地方自治、またさらに地方分権を進めるという流れの中では、そういう条例、法に詳しい人をどうつくっていくかというのがまさに肝であると思っておりますので、そうした人材の育成のあり方について、これを、法制上、担当されている部局とよく相談をされながら、それを取り入れながら進めていただければと思っております。

 最後の質問になるかと思います。

 今回の改正によりまして盛り込まれた特定地域再生制度はどのような制度なのか、伺います。また、どういう面が自治体にとって使い勝手のよい制度になるのか、また、他の制度との兼ね合いがどうなるのか、恐れ入りますが、時間でございますので簡潔に御答弁をいただければと思います。

川端国務大臣 今回新たに創設する特定地域再生制度におきましては、従来の地域再生制度のスキームを生かしつつ、加えて、除却事業に対する地方債の特例措置、社会福祉の増進事業を行う株式会社に係る税制の特例措置、地域再生推進法人等が行うサービス事業に対する特定地域再生事業費補助金の交付等、従来よりもさらに、少子高齢化という時代背景に即して重点的な措置を講ずることにしております。

 そういう部分では、今まで以上に支援措置の選択肢がふえるということと同時に、今回の見直しで提案制度というのを創設いたしました。この提案制度というのは、さらに新たな措置が必要な場合には、新たな財政、税制、金融上の支援措置を国に提案することができるというふうになっております。

 こういうことを含めて、きめ細かく、幅広く、そして中身深く、いろいろな課題でモデル的にやっていただくと同時に、それが全国に展開することによってよりよい行政ができるようにということで取り組んでまいりたいと思っております。

高木(美)委員 ありがとうございました。終わります。

荒井委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 構造改革特区法改正案について質問をいたします。

 最初に、具体の事例でお尋ねいたしますが、厚生労働省にお伺いします。

 特別養護老人ホーム等の二階建て準耐火建築物設置事業、この特区事業としてありました特例措置の概要、要件はどのようなものだったのか、この点についてお答えください。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 特別養護老人ホーム等の耐火基準につきましては、原則として耐火建築物とし、二階及び地階に居室等を設けない場合は準耐火建築物も可能としておりましたが、構造改革特区での要件におきましては、火災の際に利用者等が円滑に避難可能な避難経路を二階から地上に通ずるよう屋外に確保すること、避難訓練を行う際には、火災の際に利用者がこの避難経路を利用して円滑に避難できるよう適切に行うことの二点を満たせば、二階または地階に居室等を設けることができることとしておりました。

塩川委員 二階から避難をする、そういう場合でも、特養ホームなどの入所者の方、例えば車椅子や寝たきりのような方の避難というのはなかなか難しいという際に、耐火建築物だったものを準耐火でもいいよ、必要な手だてを打っておれば可能とするという特区の中身ですけれども、この間、特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホームなど、高齢者が入所をする福祉施設での火災事故が相次いで、消防法改正など対策が強化をされてまいりました。高齢者の入所施設の場合、要介護度が高いとか認知症を患うなどの入所者が多数で、一般に自力避難が困難な高齢入所者を避難させることは極めて難しいことであります。

 この特区に関しては、かつて、総務省の行政評価局が利用低調評価というものを行っております。利用の少ないものについて総務省行政評価局として調査を行う。平成十八年度下半期実施分に関する調査でこの件について調査を行っていますが、事業者からは、準耐火建築物を選択した場合、火災等が発生したときの入所者の安全性が懸念をされるとか、建築コストや維持コストが割高となる、つまり、木造にするということになりますから、RCなどに比べて高くなるということがありますし、経営効率性等からは三階以上とするので耐火建築物にする、そういう声が上がっております。

 具体的な意見でも、ある県は、寝たきりの利用者が多い特別養護老人ホーム等において火災が発生した場合、全員を避難させるには相当な時間を要することが予想される、利用者がより安全であることを考慮すると、準耐火建築物に比べてより安全性の高い耐火建築物の方が望ましいとか、ある事業者の方は、避難には施設職員の介助が不可欠であるほか、初期避難はベッドごと防火区画への避難、次いで外への避難とならざるを得ない、そのためには耐火構造であることが必要だ、こういう声が寄せられておるわけであります。

 そこでお尋ねしますが、現場からの声には、高齢者入所施設での火災対応への重大な懸念の声が出されている、今紹介したとおりであります。特区のこの事例の実施件数はわずか一件であるのに、この特区事業についてことしから全国展開となったわけであります。こういった事例について、重大な安全への懸念があり、実施例もわずか一件なのに、なぜ全国展開する必要があるのか、この点についてお答えください。

西藤政府参考人 先ほど構造改革特区においての要件を申し上げましたが、全国展開の際に、私どもといたしまして、できるかどうかということで、構造改革特区において事例としてございました施設を中心に、平成二十年度から二十二年度までの間に調査を実施させていただきましたところ、対象施設について安全性が確保されていた、一方、滑り台の使用については、車椅子などの介助を要する入居者については自主的な避難が一部困難なケースがあること、スロープの設置については敷地面積確保の必要があること、それから、夜間を想定したマニュアルの作成、夜間時の人員体制の強化、地域の消防、住民との連携が重要であることなどが報告されております。

 これらを受けまして、私どもといたしましては、全国展開の際の要件といたしましては、滑り台などの避難経路の確保については必須とはしませんが、消防長または消防署長と相談した上で避難マニュアルを作成すること、日中、夜間を想定した避難訓練を行うこと、避難や消火等の協力に当たって地域住民等との連携体制の整備をすること、この三点を満たす必要があるというふうにいたしました。

 そして、さらに、新たな要件を実施するに当たっては、より具体的に、施設事業者が基本設計段階において消防長等に、適切な避難活動を行えば安全の確保が可能であることを示す資料を提示すること、具体的には、最も困難な時間、状況を想定した避難時間が建物の火災時の滞在可能時間を上回らないこと、仮に上回る場合は、設備、構造等について見直しを行うことなどの点につきまして、実際に所在地の消防長との相談を適切に実施したことを確認した上で認可、指定等をするよう各自治体にお示しをしておりまして、そうしたことによって安全性が担保されるのであれば全国展開も可能であるということとしたわけであります。

塩川委員 今お話があったのは、そもそも特区として決めた規制緩和の措置というのは、木造でつくったような場合に、二階、準耐火でもいいよと。その際に、いろいろ避難で懸念があるという声が上がったということで、滑り台とか設けますという話なんですけれども、実際に、高知である一つの実例でいえば、二階から一階に滑り台でおりるといっても、寝たきりのお年寄りをおろすというのはかえって危ない、らせんの滑り台ですから。そういうのが実証として出たわけですよね。この施設そのものは傾斜地にあるものだから、二階の部分といっても、実際にはフラットなルートで公道に出られるんですよ。そういう意味では、施設そのものについて、いわば安全対策面で重大な懸念があるということにはなっていないという状況があります。

 そういうのに対して、もともとの規制緩和、二階から滑り台を設けるとかいうことを脇に置いちゃって、新たに別な基準を設けてこれを全国展開したというのが今回の事例なんですよ。こういうあり方でいいのか。そもそも規制緩和を設けた特区での規制緩和の要件そのものを変えてしまって、それを新たに一から特区でやるならまだしも全国展開をしてしまう、こういう仕組みというのが今のこの制度となっている。木造建築物でのこういう開設要望がもしあるのであれば現行の特区申請という選択肢も可能であるわけで、全国展開を急ぐ必要はないわけであります。

 実際にこういった高齢者の入所施設においては、例えば、この問題を審議しました社会保障審議会の介護給付費分科会でも、委員の中では、二十四、五年前に、東京都内の特養、東村山の松寿園で火災事故があって、死傷した高齢者四十数名、以来、耐火建築物あるいは避難誘導が厳格に取り組まれてきた、構造的な問題については慎重に考えるべきとの意見が出されています。

 今回のこの規制緩和も、構造基準を性能基準に切りかえるという中身となっている。その要件そのものの中身を変えてしまって、それを全国展開する。これは、二重の意味で安全対策として問題ありと言わざるを得ません。そういう点でも、なぜ全国展開ありきなのか、構造改革特区の仕組み自体に問題があるんじゃないのか。

 内閣府にお尋ねしますが、評価委員会の評価の結果、全国展開した特例措置、特区で当分の間存続する特例措置及び特例措置の廃止の件数はそれぞれ幾つか、この点についてお答えください。

稲見大臣政務官 数字でお示しをいたします。

 これまで、評価の実績として、七十件の特例措置については全国展開を図るとともに、どぶろく等三件の特例措置については特区において当分の間存続をする、こういうことにしております。

 なお、これまで廃止という評価をした特例措置はございません。

塩川委員 ほとんどが全国展開という結論になっているわけです。

 今、六十三の特区がありますけれども、そのうち、計画がそもそもゼロなんですよ、計画がゼロなのに廃止ということも一つもないということが実態で、結果とすると、全国展開を目指す、そういう仕組みとなっているのがこの特区法であり、その具体化の評価委員会の役割となっているということであります。

 さらにお尋ねしますが、この評価委員会では、全国展開という結論が出るまで何回でも評価を行っております。原則一年間に一回評価を行うとなっていますけれども、この特区事業に対する評価委員会の評価回数が五回以上に上るような特例措置というのはどのようなものがあって、その評価回数というのは何回ぐらいか、この点についてお答えいただけますか。

稲見大臣政務官 これまで五回以上評価の検討を行った規制の特例措置としては、公立保育所における給食の外部搬入方式の容認事業等、七件の特例措置が挙げられております。

 あと、この評価の回数が多い特例措置は、一つは、特区における特例措置の活用事例、実績が少ない、こういうことにおいて、一定の活用実績を踏まえて再度評価をすることが適当、こういうふうに判断をされたものがあります。また、特例措置の一部を全国展開した上で、他の部分については再度評価をすることが適当という判断をされて評価が続いている、こういうものも挙げられております。

塩川委員 丸めてお答えいただきましたけれども、具体の事業でいいますと、例えば学校設置会社による学校設置事業、この特区について、全国展開に向けた評価委員会の評価は八回に及んでおります。また、病院等開設会社による病院等開設事業についても五回の評価が行われております。

 これは、要するに、株式会社による学校の設置、そして株式会社による医療機関の設置、このことを全国展開を求めることについて、何度も何度も何度も繰り返し作業が行われているということを示しているわけであります。

 大臣にお尋ねしますけれども、例えば学校において営利企業が参入をする、こういうことについて、この間文科省は厳しい対応をされてきたんではないでしょうか。というのは、学校が設置されたけれども、営利企業であるために、もうけが上がらないとなると撤退をしてしまう、これでは学生生徒の皆さんの授業、学校生活における継続性、安定性が保障されないということについて、文科省としてはこの間対応を厳しくとってきたと承知をしております。

 また、医療機関についても、営利企業が参入するということについては、アメリカのように営利企業によって行われるところでは、もうかればつくるけれども、もうからなければ撤退をするという形での医療過疎が生まれるような事態も生じている。そういう懸念の声も上がる中で、命の沙汰も金次第となるんじゃないのか、国民皆保険を損なうのではないのか、こういう重大な懸念が上がっているのが医療機関への営利企業の参入ではないでしょうか。

 ですから、こういった学校や医療機関への営利企業の参入については、厳しい国民の批判があるにもかかわらず、規制緩和だけを目的に評価が繰り返されている、これは制度としても余りにも一方的で、ゆがんだものと言えるのではありませんか。

川端国務大臣 制度の仕組みとして申し上げれば、特段の問題が生じていないと判断されたものは全国展開を速やかにする、もう一つは、地域性等が強くて、地域の活性化として意義が大きいものは特区として当分の間存続させるということで、何か、全部特区は全国展開しなければならないという方向でやっているものでないということは御理解をいただきたいというふうに思います。

 今の、学校や医療においての株式会社の問題は、今議論を参議院でされています社会保障・税の一体改革での保育園の問題もありました。学校の問題も医療の問題も含めて、これはそれぞれ医療法人、学校法人あるいは社会福祉法人という、それぞれの役割を担った者と株式会社をどう考えるかというのは、幅広い議論の中でさまざまな意見がある中でありますので、何か、その方向を規制緩和ということだけで無視して進めるというふうな立場に立っているわけではございませんので、御理解いただきたいと思います。

塩川委員 特区法そのものが、結局は全国展開を目指すということになっている仕組みであるわけです。特区法においては、所管省庁が特例措置を全国展開することによる弊害について立証できなければ、その特例措置は全国展開をされるということですから、特区の効果の実証というのはそもそも必要とされていないわけです。

 結局、評価委員会が全国展開することを目的としている組織となっており、客観的な政策評価を行う第三者機関ではない。そういう点でも、全国展開ありきという構造改革特区法の仕組み自体に問題がある、このことを指摘し、質問を終わります。

荒井委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 初めに、構造改革特別区域法の一部改正について質問をさせていただきたいと思います。

 今回、延長ということでございますけれども、この延長でどの程度、追加、新たな申請を見込んでおられるのか、その点について伺いたいと思います。

川端国務大臣 創設当初は毎回数百件の提案をいただいておりましたが、最近は毎回百四十件程度で推移してきておりまして、特区計画の認定件数の実績としては、創設当初が八十一件ぐらいでしたが、最近は七件強というふうに減少しております。そういう意味では、大きな規制改革が実現して、多くは地方公共団体に活用いただいているということで、数としては減ってきております。

 そういう流れの中で、今回新たに措置する予定の特定地域再生制度というのは、少子高齢化、人口減少への対応、環境制約対応等、我が国の各地共通の重要課題を重点的に支援する仕組みをということで考えておりますので、この制度に関する規制の特例措置が多くの自治体から提案が行われるものと期待しておりますが、どれぐらい見込んでいるか、数に関して定かにつくっているわけではございません。

 多くの提案が具体的になされるように、特定地域再生制度等の内容について、法律を成立させていただけるならば、地域ブロックごとに説明会を開催して、特定地域再生制度について現地で相談する機会を設ける等、これまで以上にきめ細かく対応してまいりたいと思っております。

    〔委員長退席、田村(謙)委員長代理着席〕

浅尾委員 少し今の延長のことについて細かいことを伺わせていただきたいと思いますが、具体的に政府の方で、申請をしそうだという卵というのはどの段階で把握するような仕組みになっているのか、わかる範囲でお答えいただければというふうに思います。

川端国務大臣 テーマとして重点的な項目というので、先ほど申し上げましたように、高齢化、少子化時代ということと、特に環境というものを重点にしておりますが、これは、ふだんからのいろいろな事業の中で問い合わせ等々も既に来ておりますが、どの段階でというのは、これからですね。いろいろきめ細かく説明していく中でつかんでいくことになるというふうに思っております。

浅尾委員 ぜひ、きめ細かく把握をしながら、政府の方でもできるだけ後押しをしていただければというふうに思います。

 その後押しという観点、申請をさらに促していくための施策というものについて、具体的にどのようなことを考えておられるのか伺いたいと思います。

川端国務大臣 おっしゃるように普及、周知が重要でありますので、一つは、ホームページ、地域活性化総合情報サイトの開設、それで提案募集、認定申請、それから事前相談への対応をしてまいりたいと思います。それから、当事務局が発行するメルマガ「地域活性化ニュース」、現在、登録者三千人でありますけれども、これの拡大と同時に、この記事での配信をしたいと思います。

 それから、全国八地区で実施する地方相談会での情報提供、相談受け付け等の推進を図っているところでございますし、この法改正が実現すれば、この改正内容も含めまして、各地に事務局職員が出向いて制度説明を行い、また地方公共団体の相談にも積極的に対応してまいりたいと思っております。

浅尾委員 今おっしゃったような活動をぜひ続けていただきたいと思いますし、あわせて、これはどれをもっておもしろいと言うかは別として、いろいろなメディアに、大臣の方からも、認定をした段階で積極的に取り上げていただくような活動をしていただけると、さらにいろいろな地域が申請をするのではないかと思いますので、その点についてのお考えを伺いたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、やはり話題になるということで、いろいろなメディアで取り上げられると物すごい効果があることはもう間違いのないことでございます。そういう意味でも、具体の事例がいろいろ出てきたときに、これも勘案しながら、できるだけメディアに関心を持ってもらえるような方策も考えてまいりたいというふうに思います。

浅尾委員 その観点で、今回、小水力発電の水利使用の許可手続について、国土交通大臣の認可等を不要とする手続の簡素化、迅速化というのが出ております。

 特に、今、電力については国民の一般的な関心も非常に高い分野だというふうに思っておりますので、この点について、例えばこういう申請がありましたということをメディアを通じても発信をしていただけると、さらにその利用がふえるのではないかというふうに思いますが、まず、この小水力発電の水利使用手続の申請というのは、現段階でどの程度見込んでおられるのか伺えればと思います。

    〔田村(謙)委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 申請がどれぐらいあるかは、潜在的なニーズは非常にたくさんあるというふうに思っているんですけれども、具体的にこういうことをやってほしいという提案として正式に出されたのは二件であります。

 おっしゃるように、この問題に関しては現状そういうことですけれども、関心は非常に高くて、既にこういうことで小水力発電が非常に有効であるということ自体はメディアでも随分取り上げられておりまして、それが、この仕組みによったらこういうふうに期間が半分ぐらいになってうまくいくんだということは、非常にメディアにとっても国民的にも関心の高いことでありますので、御指摘ありがとうございます。

浅尾委員 今二件というふうにおっしゃいました。ぜひ、この法案が通った段階で、その二件、できるだけ早くに認可をしていただいて、それをまた発信していただきたいと思うんですが、そういう御決意でよろしいでしょうか。

川端国務大臣 最大限努力してまいりたいと思います。

浅尾委員 次に、地域再生法の一部を改正する法律案については、法律の中身というよりかは、きのう数字をいただいて、なるほどなと思ったんですが、地域というものの考え方について大臣のお考えを伺いたいというふうに思います。

 実は、日本は人口が減り始めておりますが、各四十七都道府県の平成二十二年と平成十七年の人口の増減というのも、きょう、計算をしていただきました。実は私の方では十年単位でと申し上げたんですが、十年だと合併した県庁所在地があって正確には比較できないというので、平成二十二年と十七年の五年での比較もいただいております。

 四十七都道府県の数字をいただきまして、都道府県単位では人口が減っているところが多いんですが、逆に県庁所在地は必ずしも人口が減っていない、むしろふえているということでありまして、人口が減る中で、むしろ、それぞれの都道府県の都市に人口がふえるような方向になっている。

 これは考えてみると、高齢化が進むと、多分、県庁所在地の方が、それぞれの人にとってもいろいろと利便性が高いといったようなこともあるのではないかなというふうに思います。そういうことを考えますと、政策的な考え方としては、人口の、それぞれの過疎をとめるということを無理に、無理にと言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、そのことも必要なのかもしれませんが、それよりは、県庁所在地も含めて、利便性の高いそれぞれの都道府県の中核都市に集積できるようなことも、これは法律とは関係ありませんけれども、考えていったらいいのではないかと思いますが、その点について、大臣のお考えを伺えればと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、合併の影響のないということで五年間のデータで見ますと、十五の道県で、道県の人口は減っているけれども県庁所在地の人口はふえている。それから、他の府県において、三つの県を除きましては、府県と県庁所在地の市ともに人口が減少している場合には、府県の方が減少率が高くて人口が減少ということですし、人口が増加している場合は、県庁所在地の市の方が増加しているということで、確かにそういう傾向は御指摘のとおりだと思います。

 ただ、そういうときに、高齢化によってということの中で起こっているときに、それを歯どめをかけるとかいうことはもちろん大事な政策でありますが、特に高齢者の皆さんがどういうライフスタイルをお望みなのかという中の一つに、委員御指摘のように、高齢化してきたから、より利便性の高いところに移り住んで、地方にいたけれども全部売り払って都心のマンションに住むんだという方がおられるという傾向があることは承知をしております。それぞれの地域において、どういう皆さんの暮らしの支え方があるのかという中にそういう要素が出てきたことは事実でありますが、それも含めて、それぞれが工夫をしていただくことではないかと思っております。

浅尾委員 これはなかなか難しい話だろう。それぞれの方の意思というものはもちろん大事だと思いますし、もともと生まれ育ったところに住みたいという方は、それは尊重しなければいけないだろうと思います。

 一方で、ナショナルミニマムを全国画一的にどこでも維持しようとすると、いろいろな、特に社会保障、福祉関係のサービスを維持しようとすると、それはそれでコストがかかるということになるんだろうと思いますので、その全体的な考え方、多分、ナショナルミニマムというものを、どこまでは必ず全国どんなところでも維持しなければいけない、そこから先はそれぞれの人の自主的な判断で、不便だけれどもそこに住んでいる、それについては税金を使っての利便性の補助というのはしないといった考え方もあるんじゃないかなというふうに思いますが、その点について、大臣のお考えを伺えればと思います。

川端国務大臣 議論としては当然ある議論でありますが、その線引きというのはなかなか難しいことは事実だというふうに思いますし、ナショナルミニマムがどこまでかということに関しては、いろいろな議論があると思います。

 ただ、視点としてそういう視点をいつも心がけることは、いろいろな意味で、この国の将来をどうしていくのかといったときに極めて大事な視点であることは間違いないと思っております。

浅尾委員 それでは、時間の関係で最後の質問になると思いますが、地域再生制度を活用した具体的な事業のイメージというものをお答えいただいて、私の質問を終えたいと思います。

川端国務大臣 今回、特に特定政策課題ということを設定いたしまして、そういう意味で、その具体のお話ということでございます。

 例えば、高齢化の進行、空き家の増加などが進む郊外型住宅団地において、自治体とNPO等による連携による高齢者向けの買い物支援やコミュニティーバス事業等の取り組み。あるいは、空き家等の既存ストックを活用した福祉、生活支援サービス拠点づくり等に対する支援や住みかえ支援などを行い、その再生を図る取り組み。また、高齢化、人口減少の進展に対応し、地域活力を維持するため、自治体とNPO等との連携による介護サービス拠点等を併設した高齢者向け賃貸住宅の整備、高齢者向けの生活支援サービス、高齢者の生きがい就労のための人材育成等を行う取り組み。さらには、都市部への人口流出や少子化により高齢化が進行する農山漁村地域において、六次産業化として特産品の加工販売施設の整備、高齢者の移動支援サービス事業、林業技術の高度化と都市地域との交流を図る取り組み等々が考えられます。

 こういうふうな地域の取り組みのうち先駆的な取り組みについては、構造改革特区との連携、提案制度の活用も図りつつ、重点的に支援することをやってまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

浅尾委員 時間が参りましたので、終わります。

荒井委員長 次に、長島一由君。

長島(一)委員 民主党の長島一由です。

 今回質問するに当たって、特区の再延長については必要不可欠だと思うんですが、しかし、運用を改善させて、バージョンアップさせた上で継続、発展させるという観点から幾つか質問したいと思います。

 この間、私が神奈川県の逗子市長をしていたときに、第七次、第八次構造改革特区では日本一多く、最終的に合わせて三十八本提案をして、事務的なやりとりも深く関与させていただいたんですが、経験から言えることは、この特区という制度はすばらしい制度なんですけれども、法律の枠を超えて一つの地域で実験して成功したら全国展開するということなんですけれども、そもそも高度な政策判断を必要とする性格であるにもかかわらず、その審査が事務レベル中心で行われているため、法律の枠を超えたアイデアがなかなか生かされないという壁があるということです。これが本質的な課題であり、問題だと思います。

 具体的に数字を挙げれば、この間に政府に提案された特区は五千三百六十本。そのうち採用されたものが七百五十件ありますが、私は、事務レベルの審査に漏れた提案の中にこそ、この国の改革のヒントが隠されていると思います。

 この採用から漏れた提案の中から、高度な政策判断のできる立場の人たちが法律の枠を超えた提案をいかに拾い上げることができるか、これが制度継続、発展の鍵を握っていると思います。

 実際、却下された四千六百十件のうち、敗者復活ルートというのがあるんですが、敗者復活のルートで採用されたものは、調査審議というルートでの敗者復活はわずか三件、そして、政権交代後の平成二十一年の緊急経済対策での敗者復活ルートでの採用は十四件と、復活採用は全体のわずか〇・四%にも満たない割合になっています。

 個別具体のケースをお示しすると、私が逗子市長時代の平成十七年十一月の第八次構造改革特区で、国民年金の支払い時効、これを二年から十年に延長するという特区提案をしました。提案理由は、無年金者を減らして、今も大きな課題になっております生活保護受給者をふやさないためということなんですけれども、国の事務レベルとは三度協議しましたが、特区にはなじまないという理由で却下されました。

 しかし、平成二十二年一月二十九日の過去の特区の未実現提案などについての政府対応方針で突如、無年金、低年金の防止を理由に復活採用されました。そして、特区を飛び越えて、いきなり、ことしの十月から全国展開されることになり、ようやく、提案から七年越しで実現することになりました。

 そこで、まず川端大臣にお尋ねしますが、今回の逗子市のケースも含めて、復活採用について、提案自治体や提案者に対して、そもそも復活採用しましたよと連絡をしていないということはおかしいと思うんですが、その点についてお尋ねします。

川端国務大臣 具体的な事例をお示しいただきました。

 過去に規制官庁、所管の省庁から対応不可とされた提案が、いろいろな背景等々により法改正等で実現された際に、そのことを提案者にお知らせすることは大変重要なことだというふうに思っております。現に今はされていなかったということも、それは事実として重く受けとめなければいけないと思っております。

 このために、規制所管省庁も制度改正をしたときには広く周知を、これは提案されたところ以外も含めて、あまねく周知をするということが徹底できていれば、それはちゃんとわかるという話でありますが、特に、御指摘を踏まえて、内閣官房としても、規制所管庁から規制緩和の内容を提供していただいて、随時、提案者に対してお知らせすることに取り組んでまいりたいと思います。

 キーワードで検索をして、これはたくさん出ていますから、全部きちっと漏れなくということには、システム的にきちっと整備しないといけない部分もありますので、ワード等の検索をかけて、こういう法改正がされたときには、そこがヒットして、お知らせするというようなことも取り組んでまいりたいというふうに思います。

長島(一)委員 逗子市のケースでいうと、出してから実現するまで七年もかかっているわけです。担当者もかわっているし、市長もかわっちゃっているわけですよね。それで連絡しないと、出した自治体は、せっかく提案したのに、採用されたのにわからないわけですね。やはり採用されればモチベーションは上がると思うんですよ。それはぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それから、厚生労働省にお願いしますけれども、今回、この逗子市の年金支払いの時効の延長特区が復活採用された理由と、この実現によって将来無年金者にならなくなる可能性が何人になるか、お尋ねしたいと思います。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘がございました特区の要望につきましては、国民年金制度が全国民を対象とする全国一律の制度であり、国民の間で不公平を生じないようにする必要があるということから、一地域のみで要件を緩和する特区制度になじまないということで採用されなかったものというふうに認識をいたしております。

 しかし、政権交代後、低年金、無年金問題に重点的に取り組むということになったことから、全国で国民年金保険料の納付可能期間を二年から十年に延長するということを盛り込んだ法案を国会に提出いたしまして、平成二十三年八月に成立した、こういう経緯でございます。

 御質問のございました、この法案により将来無年金にならずに済む方の数につきましては、最大約四十万人というふうに推計をいたしております。

長島(一)委員 今御説明になりましたように、最大で四十万人もの無年金者が救済されるということなんですけれども、提案から実施まで約七年かかった時間的な損失は大きいと思います。

 年金改革の特区提案については、やはり逗子市長時代の平成十七年、政府に提案した、国民年金の受給資格の二十五年間から十年への短縮の特区提案も、今回、ようやく七年越しで社会保障と税の一体改革法案の中に盛り込まれました。これも、六十五歳以上の無年金者約四十二万人のうち約十七万人が救済されると聞いております。

 私の提案がすぐに実現していれば、少なくとも五年前からこうした無年金者の人たちを救済できたかもしれないですね。こうした時間のロスをしないために、事務レベル審査で落ちた提案を、政策判断できるレベルの人間が再審査できるようにするために、二つの提案をしたいと思います。

 一つは、敗者復活ルートである学識を交えた事務審議に政務三役を入れること。それから二つ目は、構造改革特区の責任担当大臣が最低一年に一度は独自に、事務的な審査から落ちた提案を、平成二十一年の緊急経済対策のときのように、トップダウンで定期的に再審査すること。この二つのチャンネルを確立、定例化すべきだと思いますけれども、川端大臣の見解をお尋ねします。

川端国務大臣 過去に実現されなかった構造改革特区提案に対して実現に向けて検討を行う調査審議は、構造改革特区推進本部長から、これは総理であります、有識者から成る評価・調査委員会に諮問して行っているというのが今の仕組みであります。

 有識者の知見をいただくことは有意義であるというふうに思っておりますが、一方、御指摘のとおり、有用な構造改革特区提案を実現することは重要でありまして、事務的に、法の解釈上含めて、ハードルが高いなという事務レベルの判断と、それから、これは政治判断としてこういうことをやるべきではないかという部分にはやはり差があるという部分は当然あるというふうに思います。

 そういう意味で、政務がこの調査審議に積極的に参加して意見を述べることは大変重要であるというふうに思いますし、この案件については必要に応じて政務折衝は行ってきたところでありますが、この場にダイレクトにということをきちっとは位置づけておりませんので、御提案も含めて、一度そういう政治判断が有効に、国民のニーズを踏まえて提案されたものという、いわゆる政治家の判断というものがより影響を持てるような仕組みはよく考えると同時に、政府として指導力がより発揮できるように考えてまいりたいというふうに思っております。

長島(一)委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。

 政権交代の意味というのは、やはり官僚主導から政治主導ということを民主党政権として言っているわけで、まさにこの構造改革特区提案こそ政治的な主導で、救済というか、法律の枠を超えたアイデアの救済を積極的にお願いしたいと思います。

 まだ復活採用されていない、私が逗子市長時代に提案した構想の中に、市町村民税と国民年金の保険料の一元徴収特区があります。

 社会保障と税の一体改革では、皆さんも御存じのように、消費税を二〇一四年の四月、八%、増税するということになっていますけれども、その前までに、先に国民年金の未納の問題の解決に着手して一定の成果を国民に示す必要があると思います。

 最近の実績として、日本年金機構、これが平成二十三年度の財産差し押さえ件数が五千十二件と聞いておりますけれども、しかし、国税との連携による強制徴収の発動はゼロ件ということです。これではやはりなかなか国民が納得されにくいんじゃないかなと思います。

 そこでお尋ねしますけれども、国税との連携による強制徴収の発動はもちろん、あわせて市町村民税と国民年金の保険料の一元徴収特区を復活採用させ、まずは特定の地域で社会実験をする。しかも、複数の地域で社会実験をして、地域間競争をさせたらどうかと思います。

 厚労省にお尋ねしますけれども、市町村が国民年金の保険料を徴収することは現行法上可能かどうか、お尋ねします。

今別府政府参考人 お答え申し上げます。

 国民年金の保険料の徴収事務というのは、平成十四年度から国で実施をするということに整理をされておりますが、滞納者に対しては、平成二十年度から、医療保険、国民健康保険の保険証の有効期間を短くしまして、市町村においでをいただいて切りかえをするときに、あわせて国民年金の保険料も払っていただくという督促、徴収をするという制度をつくっております。この限りにおいては、市町村で徴収ができるということでございます。

長島(一)委員 現行法上できるということなので、あとは財源の問題だと思うんです。確かに、市町村にただでやってくれといっても、事務的な負担がふえるだけではなかなかやってくれないと思うんですけれども、交付税で色をつけるなりして、ぜひ社会実験をしていただきたいと思いますし、社会実験ということでは、日本年金機構の職員を例えば市町村民税課に事実上出向させるという形で、実務上対応が一層可能じゃないかと思います。これは指摘をさせていただきたいと思います。

 最後に、構造改革特区制度をさらに発展させるために、二つの提案をしたいと思うんです。

 一つは、いろいろな特区が出てきましたけれども、構造改革特区の一番の利点というのは、総合特区などと比べて、誰もが提案できるということなんですね。先ほど村上先生とのやりとりの中で、提案件数が尻すぼみになっているというやりとりがありました。ですから、誰でも提案できるということで、省庁の縦割りを超えて、中央官庁の職員にも提案を呼びかけたらどうかと思います。

 頭のいい人はたくさんいるわけですし、自分の仕事になると、仕事がふえちゃいけないとかいうことで、発想があってもなかなか出さないかもしれませんけれども、よそのセクションのことだったら出せるわけですよね。ですから、これは指摘にとどめますけれども、提案して採用された職員は人事評価で報いるべきだと思います。

 それからもう一つは、先ほどの公明党の高木先生とのやりとりの中で、出していない自治体が九百五十二あるということです。呼びかけの工夫をするということなんですけれども、これは私の経験則なんですけれども、初め逗子市で特区制度がスタートしたときに、職員の皆さん、皆さんが今仕事をしている中で、法律や政令、通達、こういったものが邪魔をしていて何か困っていることがあったら教えてほしいということで、規制緩和の観点から呼びかけをしたんですね。ところが、こうしたら一本しか出てこなくて、しかも税の徴収にかかわることだったからあっさり却下されてしまって、その後はもう全然出てこなかったんですね。

 ところが、二年ほどたってから、この特区制度自体、私が聞いているところだと、理事の後藤さんがお風呂に入っているときに、ぱっと思いついて、その後、今も委員でいらっしゃいますけれども、福島伸享さんと一緒に骨太の方針に盛り込んで実現したと聞いております。

 私も、ずっと出てこなかったんですけれども、伊豆の温泉にいるときに、ちょうど世界史の本を読んでいて、一九二九年のラテラノ条約でムソリーニとバチカンの教皇が取引をしてバチカンの独立を認めたということを読んだんですよ。そうしたら、特定の地域が取引で独立することができるんだなと思ったときに、人口六万人の逗子市がもし国家だとしたら、どういう社会システムが望ましいのかなと思ったんですね。

 それを職員に言って、白紙ベースで考えてくれということで、実際、では、逗子市が独立したら憲法どうしようか、天皇制どうしようか、通貨どうしようか、国防どうしようかと議論して大きいところから落とし込んでいったら、一気に三十七本出てきたんですよ。

 ですから、今回の再延長に当たって、いろいろ制度が出てきて、受けの方としてはこういう整理があった方が実現できますよということなんですけれども、提案を出すときの募集のかけ方については白紙ベースで、もしその特定の地域が一つの国だとしたらどういう社会システムが望ましいですか、皆さん、こういう呼びかけの仕方で提案件数をふやしていただきたいと思います。

 ですから、これと、それから国家公務員への呼びかけ、川端大臣の見解をお尋ねします。

川端国務大臣 御指摘のように、この提案は、別に民間あるいは地方公共団体等にかかわらず、広く一般から募集して、どなたからでも受け付けるという制度でございます。今後ともその方針は変わりございません。

 そういう意味で、今般、この法律改正案を成立させていただくならば、その内容の周知に加えて、より提案を促進する観点からは、今御指摘の各省庁も含めて、広く広報活動をしてまいりたいというふうに思います。

 そしてもう一点の、逗子市長時代の例を言っていただきました、大変有意義な御経験だというふうに思います。現状をどう直すかという観点か、新たにどうつくっていくのかという観点かでは、実は非常に大きな違いがあるという御指摘だと思います。大変意義があることだというふうに思います。

 そういう意味でも、いろいろな工夫をしていただく中で、幅広くいろいろな人、やや自治体がメーンみたいに思われている部分を、幅広い皆さんが関心を持って、こんなことできたらいいのになというふうなことは、また知恵を凝らしてやってまいりたいというふうに思いますし、今回は特に少子高齢化社会と環境対応ということを重点テーマとしても掲げましたので、先ほど来御議論がありますような、いろいろな広報を含めた問題だと思いますので、またいろいろなお知恵もいただきながら、工夫を凝らしてまいりたいというふうに思います。

長島(一)委員 先ほどもお話ししましたけれども、この構造改革特区提案制度自体、すばらしい制度ですけれども、やはり政治主導というか、少なくとも政策判断できる人が強いリーダーシップを発揮して、継続、発展できる余地はたくさんあると思います。そういった意味で、川端大臣初め、関係者の皆さんのさらなる創意工夫をお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

荒井委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 まず、内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、地域再生法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

荒井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 次に、内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、構造改革特区法改正案に反対の討論を行います。

 二〇〇二年十二月に成立した構造改革特区法は、地方公共団体からの特区申請と国の認定によって、地域を限定して特例的な規制の緩和や撤廃を行い、全国的な規制緩和の突破口としていくものであります。

 地域の特性を生かし、住民が主役となって地域産業振興の力となる特例措置は必要なことです。しかし、社会保障や教育、労働安全衛生、環境保全に不可欠な規制の緩和は、ナショナルミニマムや安全基準の後退につながるものであり、このような特例措置は認められません。

 また、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇三年の特区方針に沿って二〇〇四年二月に改定された構造改革特別区域基本方針では、「規制の特例措置の評価において、特段の問題が生じていないと判断されたものについては、速やかに全国展開を推進していくことを原則とする。」と、全国展開のための評価委員会という方向が強く押し出されてきました。こうした全国展開ありきの構造改革特区のあり方は根本から見直されるべきであります。その背景にある財界要求の利益最優先の規制緩和万能論の政策こそ、転換すべきです。

 本法案は、こうした仕組みを何ら変更することなく、さらに五年間の延長を行うものであり、反対を表明し、討論を終わります。

荒井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

荒井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、構造改革特別区域法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

荒井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

荒井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

荒井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時四十三分散会


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