衆議院

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第2号 平成24年11月7日(水曜日)

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平成二十四年十一月七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 古川 元久君

   理事 後藤 祐一君 理事 田村 謙治君

   理事 津村 啓介君 理事 初鹿 明博君

   理事 長島 忠美君 理事 平沢 勝栄君

   理事 古賀 敬章君 理事 高木美智代君

      阿久津幸彦君    井戸まさえ君

      磯谷香代子君    市村浩一郎君

      打越あかし君    神山 洋介君

      川越 孝洋君    工藤 仁美君

      中林美恵子君    橋本 博明君

      福島 伸享君    藤田 一枝君

      藤田 憲彦君    松岡 広隆君

      本村賢太郎君    森山 浩行君

      矢崎 公二君    山尾志桜里君

      山崎  誠君    山本 剛正君

      吉川 政重君    鴨下 一郎君

      小泉進次郎君    塩崎 恭久君

      平  将明君    竹本 直一君

      徳田  毅君    野田 聖子君

      京野 公子君    瑞慶覧長敏君

      中野渡詔子君    畑  浩治君

      渡辺 義彦君    遠山 清彦君

      塩川 鉄也君    浅尾慶一郎君

      石関 貴史君

    …………………………………

   国務大臣

   (行政改革担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (公務員制度改革担当)

   (行政刷新担当)     岡田 克也君

   国務大臣

   (地域主権推進担当)

   (地域活性化担当)    樽床 伸二君

   国務大臣

   (原発事故の収束及び再発防止担当)        長浜 博行君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     藤村  修君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (消費者及び食品安全担当)            小平 忠正君

   国務大臣

   (「新しい公共」担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   中塚 一宏君

   国務大臣

   (国家戦略担当)

   (経済財政政策担当)   前原 誠司君

   復興副大臣        今野  東君

   内閣府副大臣       前川 清成君

   財務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        大久保 勉君

   防衛副大臣        長島 昭久君

   法務大臣政務官      松野 信夫君

   環境大臣政務官      中島 正純君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  羽深 成樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  清水 康弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  藤山 美典君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 木下 賢志君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 杵淵 智行君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   西川 正郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   西崎 文平君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長)   豊田 欣吾君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 田中 法昌君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 辻  義之君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 河邉 有二君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 黒田武一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           蒲原 基道君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            岡崎 淳一君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           村木 厚子君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   梶原 成元君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            白石 順一君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局環境保健部長)       佐藤 敏信君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     中林美恵子君

  工藤 仁美君     川越 孝洋君

  中川 正春君     市村浩一郎君

  橋本 博明君     藤田 憲彦君

  本村賢太郎君     山本 剛正君

  京野 公子君     中野渡詔子君

  村上 史好君     渡辺 義彦君

同日

 辞任         補欠選任

  市村浩一郎君     中川 正春君

  川越 孝洋君     吉川 政重君

  中林美恵子君     打越あかし君

  藤田 憲彦君     山崎  誠君

  山本 剛正君     本村賢太郎君

  中野渡詔子君     京野 公子君

  渡辺 義彦君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  山崎  誠君     橋本 博明君

  吉川 政重君     工藤 仁美君

  畑  浩治君     村上 史好君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

古川委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官羽深成樹君、内閣官房内閣審議官清水康弘君、内閣官房内閣参事官藤山美典君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣府大臣官房審議官木下賢志君、内閣府大臣官房審議官杵淵智行君、内閣府政策統括官西川正郎君、内閣府政策統括官西崎文平君、内閣府経済社会総合研究所国民経済計算部長豊田欣吾君、警察庁長官官房審議官田中法昌君、警察庁長官官房審議官辻義之君、警察庁長官官房審議官河邉有二君、総務省大臣官房審議官黒田武一郎君、法務省大臣官房審議官萩本修君、外務省北米局長伊原純一君、厚生労働省大臣官房審議官山越敬一君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省大臣官房審議官蒲原基道君、厚生労働省職業安定局長岡崎淳一君、厚生労働省社会・援護局長村木厚子君、環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長梶原成元君、環境省総合環境政策局長白石順一君、環境省総合環境政策局環境保健部長佐藤敏信君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

古川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

古川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代君。

高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。

 本日は、まずトップバッターに御配慮いただきましたことを、委員各位に心から御礼を申し上げる次第でございます。

 まず初めに、官房長官にお伺いいたします。

 きょうの新聞報道によってでございますが、今、文科省におきまして、三大学への不認可につきまして大臣の御発言が続いております。これは、文科大臣が不認可とする方針を二日に伝えたわけでございますが、官邸はその前に知っていたのではないか、官房長官と野田総理にはその前に方針を伝え、説明をしていたという話があります。これでいきますと、事前に官邸が掌握していたということになりますと、とめられなかったのは官邸の責任もあるのではないか、また、今後は、この事態につきまして、この騒ぎをどのように収拾されるおつもりなのか、官房長官にお伺いしたいと思います。

藤村国務大臣 おはようございます。

 お問い合わせの件、まず、大学設置審議会というものが文科省のもとで機能し、長年、大学の新設等、学部の増設等も含め、そこが慎重な審議をした上で審査をし、そして、それはあくまで文科大臣の諮問による答申という形で設置審が文科大臣に対して答申をされる、それに基づいて大臣が、いわゆる認可権限者として大学の設置などを認可される、こういう仕組みになっていると聞いています。

 このたびの件は、いわゆる三つの大学を、最終、多分残ってきたんだと思うんですが、この認可についてということが今一番の話題になっているところだと思います。

 官邸というか私は、文科大臣から、今後の設置審のあり方というものを、非常に大きな、大局的な見地から、十八歳人口が今後減っていく、しかし大学は、この十数年ですか、一・五倍ぐらいにふえている、定員割れもたくさん起こしている、あるいは、そのレベル、質の問題もさまざま言われている、こんな中でこのままでいっていいのだろうか、そういう非常に大きな話を私の方には御相談があり、私もそのように思うという、そんな内容のことはお答えしたところでありました。

 ただ、具体の、何か、今年度設置審から答申があったものについてどうする、こういう問題は、あくまでこれは認可権限者である文科大臣がお決めになること、そういうふうなやりとりはあったものの、それ以上詳しいやりとりは余り申し上げませんが、そういうことから文科大臣はみずからの認可権限というものを発表されたと思います。

 ただ、その後にさまざまやはり御意見を聞かれたんだと思うんですが、設置審そのものについてやはり見直しが必要、これは多分そうだと思っています。ただ、今回について、今年度については、もう既にさまざまな審査の経過があり、ある意味では、マラソンでいえば四十二キロぐらい来たらゴールがなくなったような、やはりそういう状態は困るのではないかということは私も申し上げたことはちょっとありましたが、文科大臣のもとで政務三役や官僚の皆さんとともに検討されて、来週中には何か新しい認可の基準みたいなものを決める、そういう委員会を設けた上で、再度この三つについては何か検討されるというふうに聞いておりますので、その検討を待ちたいと思っております。

高木(美)委員 これをどのように解釈するか、それは大臣の権限であるといえばそうですけれども、今回、副大臣ら政務三役、大臣を除く人たちは、とめ切れずに不認可を公表させてしまった、こういう考えをお持ちのようです。詳しくは文科委員会で審議されることと思いますけれども。

 ただ、いずれにしても、今後の新しい認可基準のあり方をどうするかということについては、まさに今後の話であって、ここまで詰めてきたその話について、それを新しい基準をつくるから今回は認可しないというのは、余りに私は暴走した話ではないか。文科大臣はある方を暴走老人とおっしゃいましたけれども、私はあえて暴走大臣というふうに言わせていただきたいと思います。

 やはりこれは、若者の将来にかかわる、しかも、業のあり方をどう若者について変えていくか、例えば看護とか保育とか、人が足りないところをどう補充していくか、今回、大学の中にはそうした学科の創設等も考えているところもあるようですけれども、そうした点を考えると、私は、もっとここは慎重に、やはりその先行きのことも考えた上で、道筋を考えて大臣は判断をされるべきではないか。もとより田中大臣につきましては、そうした危険性というのは十分おわかりの上で総理また官房長官が任命された話でございます。こういう兆しがあったときに、やはりそこでもう一歩突っ込んできちんと話をしておく、こうした手続というのを私は重ねて求めたいと思います。

 今後の進め方につきましても、大臣含めましてここまで大きな騒ぎになっておりますので、これもやはり官邸がしっかりかんで進めるべきということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、国会同意人事についてお伺いをしたいと思います。

 まず、公正取引委員会です。

 公正な競争を支える市場の番人と言われている公正取引委員会ですが、この委員長不在が一カ月以上に及んでおります。九月二十六日、二期十年を務めた竹島委員長が退任された後、政府は通常国会で人事案を示しておりません。

 竹島前委員長がまさに公取をリードしてきたと言えると思います。しかも、退任のときに、報道によりますと、官房長官を訪ねて後任人事を急ぐよう要請があったと聞いております。退任の際の会見でも、後任が空席になるに当たって、本当に残念だ、一日も早く補充をお願いしたい、今までほえる番犬として内外の評価を上げようと努力をしてきた、それがもとに戻ってしまう危険性があると。

 なぜこの後任人事を決められないのか、理由の説明を求めます。

藤村国務大臣 御承知のとおり、九月二十六日が竹島委員長の任期でありまして、それに向けてさまざま準備はしてきたところでありました。これは国会同意人事でございますので、国会に提出をして同意をいただくという手順が必要であります。ですから、本来、前国会でやっておくべきだというそのべき論については、そのように受けとめ、甘んじてそうできなかったことは反省しないといけないと思います。

 そこで、今おっしゃるように、今国会においては、できるだけ早期に後任の人事を御提示するために準備しておりまして、これは同意人事ですので、まずは国会の方に提示をした後、閣議で決めて、国会での同意をしていただくという手順を今国会早期に図っていきたい、このように準備をしているところです。

 なお、今現在は浜田道代委員が委員長代理ということで指名をされておりまして、浜田代理ほか二名の委員の計三名によって公取の職務遂行については順調に行われている、そのようには聞いております。

高木(美)委員 今、準備しているとおっしゃいましたが、国会会期は大変短いです。いつごろ提出されるおつもりなのか。まだ、各党、根回しを全く受けておりません。どのようなスケジュールか、詳細をお願いいたします。

藤村国務大臣 これは国会の方のさまざまな状況ではありますが、いつでも、国会の方で受けていただく、まずは聞いていただかないといけないものですから、そういうことになれば早急に出せる状況にはなっておりますので、できるだけ早くに、こういうことにはなると思います。

高木(美)委員 私は早急にお願いしたいと思います。

 独禁法の第二十七条ですけれども、公取は単なる特別の機関ではなく、内閣総理大臣の所轄、しかも第二十九条には、総理大臣が両議院の同意を得てこれを任命する、そしてまた認証に当たっては、委員長の任免は天皇がこれを認証するという、そうした高い権限を与えた認証官でございます。

 三十条には、閉会中または衆議院解散のため国会の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は任命することができるとはっきりと書かれております。この場合におきましては、当然、事後の承認を得なければならないわけですけれども、そのルールにのっとって、二十六日であれば、その後速やかに行うべきではなかったのかと思います。

 べき論で言えばと官房長官おっしゃいましたが、私は、公取の存在の重要性を考えますと、やはり今、浜田道代さんが委員長代理で、あと二人という三人体制でやっていらっしゃる。委員会を開くのも、委員長ほか二人以上で開くという法律の規定がございますので、一人欠けても委員会が開けない、海外出張も実に慎重にならざるを得ない、こういう状況です。このままでは公取の機能が果たせなくなるおそれがあるのではないかと思います。

 ましてや、景気見通しの下方修正という、これが続いておりまして、厳しい経済、景気のもとで、中小企業に対する下請いじめの防止であるとか、また、企業カルテル、談合、特に先般も国交省や防衛省の官製談合などが表面化したばかりでございます。こうした不正を正す公取の役割は大きいと思います。

 また、グローバル経済の進展に対応して、世界的な企業統合も相次いでおります。国内の合併審査も、企業合併など、速やかに進める必要があります。そのために独禁法を先般改正いたしまして、機能強化を図ったと思っております。

 こちらは離党者が出るおそれのない同意人事でございますので、私は、むしろこれを、重要人事の決定を安易に先送りするのではなく、法に基づいて速やかに同意人事を提案していただきまして、公取の体制を整備すべきと思います。このままでは政府の不作為という、ここのそしりは免れないと思います。速やかに、いつでもできるというお話ございましたので、すぐにでも提出をお願いするものでございます。

 続きまして、原子力規制委員会の委員長、委員の同意人事についてお伺いをいたします。

 今国会での同意を見送るため、東京電力福島第一原子力発電所事故で原子力緊急事態宣言が出ているということを理由に、規制委員会設置法の例外規定を適用するということに政府は決めたと聞いております。

 最初の委員長等の任命になるわけでございまして、この原子力規制委員会設置法には、原子力緊急事態宣言が出ている場合には解除されるまで国会同意を先延ばしにできるという規定があります。しかし、今回の政府の対応は、そうした法律の趣旨をゆがめる、本来であれば速やかに同意を与えるというのが原則でございまして、その趣旨をゆがめる、全くおかしな対応と言わざるを得ません。

 さきの通常国会で、官房長官は、また政府は人事案を提示していらっしゃいました。同意人事を最初からやらないというのではなくて、やろうとして内示をされていたわけです。しかし、その後、与党内から、原子力村の一員だったとか、また、官邸前のデモでもありました、人事案反対という、こうした反対意見が噴出をしまして見送ったというのが経緯ではないかと思っております。

 通常国会で、この国会中に同意をと官房長官は繰り返されていたと私は認識しております。今さらこの緊急事態宣言を持ち出すのは、御都合主義も甚だしいのではないかと思います。

 この規制委員会におきまして、これは公明党も強く主張しまして、私もその議論に加わらせていただき、設置をされたものです。このままなし崩しにしていいのかどうか、また、委員会の法的存在を危うくするのではないかと思っております。

 まず官房長官にお伺いしますが、野田総理は、昨年十二月に原発事故の収束を宣言されております。これには福島県民が猛反発をいたしました。この九月八日に通常国会が閉会した後、原発に関する新たな事態というのは起こったのかどうか、認識を伺います。

藤村国務大臣 昨年の、収束という言葉を使った段階というのは、あれはいわゆる計画上のステップ2が終わった、つまり冷温停止の状態になった、こういうことでございます。

 ただし、それ以降も、まだまだオンサイトにおいては大変濃度が高い部分もあるということから、まだまだ予断、油断を許されない状況ということはございます。そしてまた、さまざまな冷却をする装置等も、仮設に近い、とりあえず今つくっている状況で、これを補強していく、こういうことも今後ございますが、その中で幾つかの水漏れがあったり、そういうこともございますので、まだまだ緊急事態であるという状況は変わっていない、こういうふうに認識をしております。

高木(美)委員 原子力緊急事態宣言を出されてから、事態の進展も、またその後の変化というのも全くないという御答弁でございました。

 それでは、いつから、どういう経緯で、出した内示を取り下げて、この緊急事態宣言を使って同意人事の手続をしないということをお決めになったのか、お伺いしたいと思います。

 また、なぜ今になって両議院に対して緊急事態宣言がされている旨の文書を提出されたのか、あわせてお伺いします。

藤村国務大臣 これはきちんとお答えしたいと思います。

 まず、さきの通常国会において、原子力規制委員会の人事案については、これは閣議決定をして、両議院の同意を求めたところでありました。ただ、通常国会においては同意を得ることができなかったということにおいて、法の規定に基づいて、これは閉会中でありました九月十九日に、委員長及び委員を任命し、原子力規制委員会を発足した。

 常にお答えしているのが、空白をつくらないようにということではあります。前国会会期中においては、まだいわゆる規制委員会は発足していない。ということは、それ以前の保安院であるとか安全委員会であるとかが現存しておりました。だから、同意がそのときになくても空白が生じることはなかったということではございました。

 国会の閉会により、前回同意を得ることができないために、内閣総理大臣が任命した場合、法の規定においてということで、先ほど言っていただいたことができるということであります。

 これは、国会同意の重要性を踏まえつつも、原子力緊急事態においては、その重大性に鑑みて、原子力規制組織に空白が一日たりとも生じない、そういう事態を避けるという観点から置かれている規定と理解しておりますので、この規定に基づいて、委員会に、今、原子力規制を的確に実施していただくために、十一月二日に両議院に対し緊急事態宣言がなされている旨の通知を行ったところであります。

 これも、御意見として、いや、同意をこの国会に求めるべきという御意見もあるかとは存じますが、やはり一瞬たりとも空白を起こしてはならない、こういう考え方から、緊急事態宣言のもとではこの国会に対して通知をするという形で今それを回避している、こういう状態でございます。

高木(美)委員 空白をつくらないという官房長官のその御趣旨は、恐らく、出したらば反対される、同意が得られないということが十分に想定をされる、要するに不承認のリスクがゼロとは言えない、こういうことから、そのような御発言になられたのではないかと思います。

 ただ、自民党さんは賛成されたと思います。また、我が党も賛成をいたしました。むしろこれは民主党内の状況、民主党内が取りまとめられなかったから、これがまさに不承認というリスクがゼロにならないということではないかと思います。党内分裂を恐れて本来の手続をとらない。私は、むしろこれは、もう党内をまとめる力もなければ政権担当能力もないという、このことを露呈していると言わざるを得ないと思います。

 やはり、官房長官、この同意人事の見送りは、私は許しがたい不作為だと思います。行政上の逸脱であり、まさにこれこそ暴走ではないかと思います。

 この規制委員会、官房長官もよく御記憶にあられると思いますが、中立公正な立場で、どの勢力にも影響されないように独立性の高い強い権限を与えて、国民の命と健康と安全を確保するという、これを旨としたものでございます。

 これから原子力政策につきましては、また、さまざまな原子力発電から出てくる放射性物質についても何十万年という影響を与える、それだけの原子力政策を左右する一番重要な機関がこの原子力規制委員会でございます。そういう重要な機関であるにもかかわらず、例外規定を使って見送るのは、私は、議員立法という趣旨を無視した、また、国会軽視と言わざるを得ません。国会が同意を与えるということは、政治の強い意思が反映されて、権限を存分に行使しなさい、そのために国会は後押ししますという、この一つのお墨つきであり、証明であると思っております。

 恐縮ですが、支持率二〇%に満たない総理大臣が任命しました、これで本当に強い権限が行使できるのかどうか。私は、議員立法に携わった一人として、本当に残念だということを申し上げておきたいと思います。重ねて、国民の生命と安全よりも党内事情を優先した、民主党のそうした対応は、私は許せない、歴史に汚点を残すということも重ねて言わせていただくものでございます。

 次に、前原大臣の政治姿勢につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。

 前原大臣は、野田総理が近いうちとおっしゃっている衆院解散、また、総選挙の時期につきまして、十月二十一日のテレビ番組で、年明けに解散したら近いうちではない、年内に解散しないことはないと思うと御発言をされました。さらに、首相は約束を絶対守る人だとも御発言をされております。私は、政府内にまともな考えの方がいらっしゃるものだと驚いた次第でございます。見直したと申し上げさせていただきたいと思います。

 しかしながら、各紙の世論調査によりますと、読売新聞では、近いうちにというのはいつまでを指すのか、五六%の方が年内と回答していらっしゃいます。また、産経、FNNの調査によりますと、野田内閣による来年度予算の編成は適切だと思わない、こういう方は五〇・六%。そしてまた、新政権が行うべきとする意見は多数ありました。またさらに、七三・一%、国民の四分の三の方が、解散時期を明確にすべきだと答えていらっしゃいます。また、半数を超える五五・二%の方が、総理は約束を破っているとはっきりとお答えになっていらっしゃいます。こうした世論調査からいきますと、前原大臣の感覚の方が輿石幹事長より国民の感覚に近いと言えるかもしれません。

 ところが、前原大臣は、来年度の予算編成につきまして、日本再生戦略を踏まえて、国家戦略室で予算編成の方針をしっかりとつくる、財務省にも力を発揮してもらわないといけない、政府・与党一体でやる、このようにも既に御発言でございます。

 おっしゃっていることとやっていらっしゃることが矛盾しているのではないか。この近いうちという年内解散が約束を守るということになるなら、来年度の予算編成は次の政権でやるべきではないかと考えます。前原大臣の真意を伺います。

前原国務大臣 テレビ番組で申し上げたことについて、私の意見は変わりません。

 ただ、先生がおっしゃったことで一つ前提として抜けているのは、解散権というのはあくまでも総理が握っておられることであり、最終的には総理の御判断だということも申し上げたこともあわせてお伝えをいたしたいと思います。

 大事なことは、山口代表も加えられて三党の党首で真摯に話し合われたわけでございますので、それをしっかりと、やはり野田総理は口にされたことは約束をたがわない方である、守られる方である、長年のつき合いの中でそう思っておるということも申し上げたいというふうに私は思います。

 あわせて、予算編成についてのお話がございましたけれども、先生も自公政権で与党を経験されて、予算編成というものを広義で考えた場合は、もう八月から始まっております。八月に概算要求の組み替え基準をつくりまして、その概算要求というものをことしは九月七日に決めております。

 したがいまして、いつまで我々がこの政権にいられるかということについてはわかりませんけれども、今政権にいるのは我々でございまして、そういう意味においては、いつ解散があるかわからないということで、来年の予算編成を全く手をとめてやらないわけにはいかない。そして、その前提で申し上げれば、政権交代後、国家戦略室において予算編成の基本方針というものをつくって、それをもとに予算編成をするということを決めているわけでございますので、それに基づいて実務的にやらせていただいている、こう御理解をいただければありがたいと思います。

高木(美)委員 最近、子供たちが近いうちにという言葉をまねしているそうでございます。お母さんが宿題しなさいと言うと、うん、近いうち、友達から電話してねと言われると、うん、近いうち、こういう発言だそうですが、相手の言葉に同意するふりをして実はやる気がないときに使うのだそうでございます。政治家の意図を知った上でそのずるさもまねているのだろうという話でございました。

 覚えていらっしゃると思います。民主党初の鳩山総理は、トラスト・ミー、このようにおっしゃって、沖縄県民とアメリカにうそをついて退陣をされました。また、次の菅さんはその鳩山さんからペテン師と言われて退陣をされたわけでございます。

 野田総理は、うそつきと言われないように頑張りたい、このようにおっしゃったそうですけれども、今度は子供にまでうそつき総理と言われないように、ぜひ前原大臣、最終的には確かに解散権は総理がお持ちでございますけれども、私は、その賢明な判断を支えていくという存在は大変重要であると思っております。しっかりと支えていただきまして、民主党はうそつきだったと後世言われないように、しっかりとお願いをしたいと思います。

 次に、中塚大臣に、障害者差別禁止法の制定につきまして伺わせていただきたいと思います。

 昨日も、国連権利条約批准に向けましての超党派の議員連盟がありまして、私も出席をさせていただき、また、国連からもお越しをいただきまして、さまざま意見交換等させていただきました。

 既に、九月、差別禁止部会から、これは政策委員会のもとに移った差別禁止部会でございますが、ここから意見が出されております。大臣は、この意見をごらんになってどのように受けとめていらっしゃるのか、大臣の評価をお伺いしたいと思います。

中塚国務大臣 日ごろ、障害者施策に御理解と御協力を賜りまして本当にありがとうございます。

 今先生がお話しになられました意見でありますけれども、私、おとといの障害者政策委員会にも出席をさせていただきました。この意見、全二十五回、延べ百時間という大変に多くの時間を費やしておつくりをいただいた、そういうふうに伺っております。

 その意見の中でも、特に総則の中で、完全参加と平等でありますとか、それから共生社会の実現ということをうたっていただいている、さらには、多様性や差異の尊重ということが社会全体に活力をもたらすものである、そういうふうにも記載をされておりまして、非常に前向きに、すばらしいものになっている、そういうふうに思っています。

 この部会、意見というものを示していただいたわけでありますが、まず事柄の性質上、障害当事者の皆さんの御意見が含まれているという意味において、これは重く受けとめなきゃならぬと思っていますし、その延長線上で法制化作業というものを進めてまいりたい、そう考えております。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 今後、どのようにこの法制化に向けまして手順を踏み、進めていかれるのか、また、どういう点に留意をされるのか、大臣の御所見を重ねてお伺いします。

中塚国務大臣 障害を理由とする差別を禁止する法制、これは平成二十二年六月の閣議決定におきまして、障害者権利条約の締結に向けた国内制度改革における横断的課題の一つということに位置づけ、平成二十五年通常国会への法案提出を目指すということになっております。

 差別禁止部会意見に示されましたこの考え方を重く受けとめると先ほど申し上げました。さらに、幅広い国民の皆さんの意見も聞いていかなきゃならぬ、そういうふうに思っております。例えば、そういう法制に生かすということで共生社会地域フォーラムというのを今開催いたしておりますし、また、障害を理由とする差別を禁止する法制に関するパブリックコメントも実施をいたしました。現在、パブリックコメントについては精査中であります。

 そういったことも含め、もちろん、国会での御議論、与野党での御議論というものをしっかりと踏まえながら、来年の通常国会への法案提出を目指して取り組んでまいりたい、そう考えておりますので、ぜひまた御指導をよろしくお願いいたします。

高木(美)委員 これは内閣府がことしの七月から八月に行った世論調査の結果でございます。

 合理的配慮、障害の方たちに対するさまざまな、例えば、身体障害がおありになればバリアフリーが必要ですし、また、精神の方たちが就労される場合には毎日七時間、八時間続けて働けるかというとそうはいかない、やはりそこで少し精神的な休養をするための時間をとるとか、さまざまな配慮というのが必要かと思います。

 そうしたことをまとめまして、この合理的配慮ということが今回の大きなポイントであり、障害者権利条約は合理的配慮を無制限には認めておりませんで、著しくバランスを欠くものとか、また過度の負担は課すべきではないというふうにしております。例えば、中小企業に就職するときに全部バリアフリーにしなければ就職できないか、そこで仕事できないか。そうではなくて、過度なものは必要ない、これも言っているというのも、私は大変現実的な話だと思っております。

 そこで、この内閣府の世論調査ですが、合理的配慮をしないことが差別に当たるかどうか、この問いに対しまして、当たる場合があると思う、どちらかといえば思うと答えた方は四六・一%、約半分です。これに対して、当たる場合があるとは思わない、また、どちらかといえば思わない、これもまた四五・七%、ほとんど同じ数字でございます。当然、スロープの設置とかそのような経済的な負担を容認する人は、負担にかかわらず、また、可能な範囲の負担であれば、ここは約六三%ですので、かなり高い数字でございます。このように、国民の間にこの合理的配慮への理解や共感がまだまだ十分浸透していない状況を裏づけた結果と思います。

 そこで、大臣は、これからまたさまざまなシンポジウム、また、セミナー等を通しながら、タウンミーティング等も通しながら、国民の理解を求めていくというお話を今されたものと思っておりますが、今までの障害者施策、国連権利条約の批准に向けまして、例えば、自立支援法も改正し、力を合わせて総合支援法を制定し、そしてまた、障害者基本法の改正、また虐待防止法の制定等々、進めてまいりました。

 最後に残るのがこの差別禁止法であるわけですが、今までの法律と差別禁止法と何が違うかといいますと、障害者とそれから政府の間でどのように細部を交渉していくか、予算を確保し、そして必要な施策をどう打っていくかというのが今までの法律でございましたが、差別禁止法は、今度は国民からの差別、ここをどういうふうに国民に認識してもらい、そしてそれをどう変えていくか、それが先ほどあった共生社会という大きな目的につながっていくと思っております。

 ですので、その違いを考えたときに、今回は、例えば経済団体とか、経団連、中小企業団体、そしてまた特別支援学校の校長会とか、そういうところにどんどん大臣を初め当事者のこの政策委員会、そしてまた差別禁止部会の方たちが直接出ていって、何が一番現場で問題なのか、どう折り合いをつければ、最後のこの差別禁止法、一番よりよい日本らしい現実的な法律ができるのか、そこをやはりどんどん出ていって説明をしながら折り合いをつけていきませんと、今までのように、自分たちは意見をまとめました、あとは国会そして政府の責任です、これは私は、今回はちょっと違うのではないかな、そういう認識を持っております。

 そこをぜひ御考慮いただきまして、これからどんどん出ていく、そしてそこの認識も変え、また、そんなことを考えている人がいるのかという、そこのところも含めまして、それは大変つらい作業になる場合も当事者の方たちにはあられると思いますけれども、やはり、多くの後に続く障害者の方たち、また、我が国の高齢者も障害者も女性も子供も安心して生きていけるという共生社会を実現するために、私は、ここは本当にあともう一息歯を食いしばってお力をいただけないか、そんな思いでおります。大臣、いかがでしょうか。

中塚国務大臣 まさに、この意見の中に、障害に基づく差別とは何かということもいろいろと御意見をいただいております。

 まさに、今先生御指摘のございました合理的配慮の不提供ということでありますが、ただし、相手方にとって過度な負担が生じる場合が例外となるということであります。その過度ということ、それから過度でないということ、やはり、これは障害をお持ちの方のみならず、それ以外の方、周りにいらっしゃる方の共通の理解、コンセンサスが何よりも重要になってくる、そういうふうに考えております。

 今、さっき申し上げましたいろいろな機会、さらにほかの機会も捉まえて、そういったことについてより議論を深め、また、その議論の結果についてしっかりと周知を図るように努力をしてまいりたい、そう思っております。

高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 恐らく、国民の皆様は、差別をするのはよくない、だけれども具体的に何が差別に当たるのかというそこのところを認識していただく、そこできっちりと、何が過度な合理的配慮なのか、そこのところも折り合いをつけていくという、まさにこれからが大事な峠に差しかかってくるのではないかと思いますので、どうぞ、大臣を先頭にどんどん国民の中に割って入っていただきまして、そういう関係団体との交渉も各省庁に任せ切りではなく、各省庁と一緒になって、その最前線のところで具体的に積み上げていく。恐らくそれが大きな認識の変化につながっていきますし、また、法制定のその後もさまざまな実効的な運用というのが可能になるのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 前原大臣、中塚大臣への御質問は以上でございますので、お忙しいと思いますので御退席くださって結構でございます。ありがとうございました。

 続きまして、個人情報保護体制の整備につきまして、これはマイナンバー法とも関連する話でございます。官房長官、また岡田副総理に伺わせていただきたいと思います。

 今、もう既にSNS時代に入っておりまして、個人情報保護につきまして不安を感じる方も多くいらっしゃいます。我が国の個人情報保護、今、消費者庁が所管して進めてくださっておりますけれども、やはり国際的に見ると、とてもこれはおくれていると言わざるを得ません。本来であれば、消費者庁、担当大臣にお越しいただきましてお話を伺うのが筋かと思いますが、ただ、もうその範疇ではない、むしろ、大きな、政府としてどうしていくのか、我が国としてどう考えていくのか、そういうところに差しかかっていると思いましたもので、大所高所からという観点から、官房長官と岡田副総理に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今、EUから、個人情報保護につきまして日本は人権後進国と見られております。この実態につきましてどのように認識していらっしゃるか、お伺いをいたします。

岡田国務大臣 詳細は、副大臣も来ておりますので、所管から聞いていただくことがいいかと思います。

 日本の個人情報保護制度は、民間部門、国の行政機関、地方自治体、それぞれの体系に基づいて行われているというふうに承知をしております。民間部門に対しましては、各事業分野を所管する関係大臣が個人情報保護法に基づいて必要な指導監督を行う。国の行政機関、独立行政法人に対しては、行政機関個人情報保護法及び独立行政法人等個人情報保護法が適用される。地方自治体については、それぞれの自治体における個人情報保護条例が適用されるということでございます。

 これは、我が国の行政のあり方にも関連してこういうやり方をしているということでございますが、EUにはEUの、行政のある意味での歴史といいますか、そういうこともあり、法の体系は異なっているということでありますが、そのことが一概に、我が国がおくれているとか、そういうふうに判断する必要は必ずしもないのではないかというふうに思います。

 分野横断的な監督機関の設置につきましては、詳細は副大臣にお聞きしていただきたいと思いますが、昨年七月の消費者委員会の報告書におきまして、「社会保障・税番号制度の検討における議論を参照しつつも、個人情報保護法制の全体像を視野に入れた構想として、具体的な在り方や想定される効果等を検討する必要がある。」というふうに結論づけたところでございます。

高木(美)委員 副大臣の登録はないと思いましたが。

古川委員長 はい、ありません。

高木(美)委員 ないですね。こちらもそういう連絡を受けておりませんので。

 先ほど申し上げましたように、恐らく、今、消費者庁の方でもさまざま、ワーキングチームを立ち上げられまして議論をされてきたというふうに聞いております。

 ただ、今私が申し上げた点につきましては、例えば、日本の個人情報の保護に対するEUの考え方は、高度な情報化が進んでいる日本が、なぜプライバシーの保護に目が向かないのか不思議だと。EUでも日本企業が多く活躍しておりますけれども、従業員情報をEUから日本に送るために別契約が必要になってしまう。要するに、EU指令、ディレクティブと言われますが、そのレベルに日本の個人データ保護の基準というのは達していない、こういうふうにみなされている。したがって、こういう別契約なしで個人データを送ることはEUにおいては法律違反、これが今の現状でございます。したがいまして、これだけグローバル経済が進展する中にありまして、私はこれはいかがなものかと思っております。

 少し説明させていただきますが、例えば、日本の個人情報保護法では、事業者が個人情報を適切に取り扱う義務というのを定めてあります。これが個人情報保護法の中に、事業者主体、そしてまた、あとは行政機関の情報保護の問題、これはまた別の法律等と、それぞれ定められておりますけれども、例えば、利用者が事業者に対して、どんな個人情報を取得しているんですかと、これを開示させる権利というのを個人に対して認めていないんです。ですから、自分のどういう情報がそこに登録をされていて、これがどのように使われているのか、それを知る権利というのが保障されていないという状況です。これは欧州各国では既に認められておりまして、そうしたことも、日本の法律は弱いと見られている一つの大きな原因となっております。

 それを回避するために何が必要かといいますと、これはやはり個人情報保護に関する独立した監視機関を立ち上げるということが急務であると思います。個人情報保護委員会というのを、根拠法を明確につくりまして設置すべきではないかと考えます。これが、EUレベル、そしてまたそれに見習って、今、国際会議等が頻繁に開かれながら世界協調の中で進められております。日本もやはりそこのレベルにきちんと到達をしておくという、そこが急務ではないかと考えます。

 行政機関、独立行政法人、また公益法人等々さまざまな部門があります。それに、公的機関、そしてまた民間機関、それぞれありますが、民間も含めまして対応する仕組みづくりを始めることが、国民の不安を払拭し、安心社会の構築につながるのではないかと思います。

 この個人情報保護委員会の根拠法による設置ということを官房長官はどのようにお考えか、所見をお伺いします。

藤村国務大臣 個人情報保護法の所管は消費者庁であります。これはもうよくお調べのことと思いますが、制定の経緯というのが、日本の場合はどちらかというと地方自治体先行型でできてきたということがございました。

 それから、今ちょっと言っていただきましたように、個人情報の取扱業者、民間についての個人情報保護法と、それから国の行政機関あるいは独法、さらに地方は地方で地方公共団体、それぞれに個人情報保護という考え方をもってしてのさまざま制約がある。

 それからもう一つ、EUとの比較をされていまして、この大きな違いというのは、今、これは多分考え方の違いだと思うんですが、日本の個人情報保護法においては、個人情報とは、生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるものということにしておりますが、ここにはプライバシーという問題は入ってこないわけですね、日本における法の考え方が。EUは、そこが、プライバシーというものを割に広くそこに採用しているというふうに聞いています。これは、ですから、特にプライバシー権の保護ということに、むしろEUの法体系はより重きを置いているように見えます。

 日本においても、先ほど岡田副総理もちょっとお答えしたところ、分野横断的な監督機関の設置ということについて、昨年七月の消費者委員会で、さまざま、さっきちょっとお答えいただいた報告に加えて申しますと、「個人情報保護制度の国際的な整合性については、我が国の法制度に対する国際社会の理解を求めていくとともに、国外で活動する事業者等のニーズも踏まえつつ、協調の在り方を検討する必要がある。」ということで、今のままで決していいとは言っておりません。

 ただ、これはさまざま意見があるところだと聞いています。先ほどちょっと例を挙げられた、EUの中で日本の企業が活動するというときに、EU外へのデータの移転というのが、これは原則として、審査をして、移転できる国を向こうでは認めるという、十分であると欧州委員会が認める審査を行っている。日本はその審査を経ていない。では、それで何か大変不都合があるかというと、今、業者からは悲鳴が上がるとかそういうことはないようではあります。

 ただ、二〇一二年十月現在にEUが十分性を認めた国、地域は十カ所程度でありますので、そういう考え方がまだ今から広がっていくのか、そういう様子も見ながら、そして、実際に困る、困らない、そういうことも考えながら、これは今後検討を進めていくということであると思います。

高木(美)委員 今官房長官おっしゃいました、地方自治体からまさにスタートいたしました。地方自治体は条例で取り組んでおりますので、ばらばらの状態になってきております。

 そこで、先般、九州のある市で、図書館の図書の貸し出し情報、これを全部ある業者に委託をしていく。これは、それでいいではないかという国民もいらっしゃる。でも、ここは実に本当に機微な情報に値すると言う学者の方も多くいらっしゃる。

 そういうところをどう整理していくか、こう考えたときに、ここは、自治体によりばらばらの状態がずっと続くのではなくて、やはり独立した第三者機関をしっかりと置きまして、ここから地方自治体が、例えば、相談したい、その相談にも応じることができる、そしてまた、地方自治体がこれからさまざまなものを執行するに当たって、特に自治体に意見を言えるようにする、調査も必要、そういう場合もある。こういう総合的な、やはりこれは、私は、この際、グローバルスタンダードで議論をする必要が出ているのではないかと思います。

 例えば今、行政機関、独立行政法人、どういう個人情報が使われ、そしてそれを誰がどうチェックをしているのか。先ほどありましたように、主務大臣にこれが全部任されている、そういう話になっています。そうではなくて、私はもう思い切って主務大臣制も排除をして、独立した機関がそれぞれ各省また行政機関、独立行政法人、民間等、それぞれの執行の状況をチェックしていく、監視していく、そして個人からさまざまな申し立てがあれば、そこでしっかりと受けて、また勧告、意見等も申し述べていくというような、そういう仕組みづくりが急務ではないかと思っております。

 その端的な例が、大震災等における個人情報保護のあり方、ここがもう本当に市町村、自治体、ばらばらでした。そしてまた、いまだに町会においても、またそれぞれ御自分の御近所においても、個人情報というのがどういうものなのか、どういうことが個人情報保護法に抵触するのか、ここのところもまだ理解がめちゃくちゃ、整理がついていない、こういう状況があります。

 こういうことにつきましても、先ほど官房長官から御指摘いただきましたワーキングチームでそのような御指摘があったのであれば、私はむしろ、このマイナンバー法の議論に当たりましても、やはり個人情報保護ということと、それからマイナンバー法でさまざまな利便性を生かした活用を進めていくということと、私は車の両輪ではないかと思っておりまして、であれば、速やかに検討会等を立ち上げまして、このような第三者機関また独立機関の検討準備というものを速やかに始めていくべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 おっしゃることはよくわかりますので、分野横断的な、先ほどの監督機関の設置についてのことは、消費者委員会の方での報告書でも、そういうこと、つまり、協調のあり方なども検討する必要があるという御指摘があるわけで、その方向で検討するということだとは思います。

 それから、今御指摘いただいたマイナンバーの、これはまだ法律は通っておりませんが、ここには個人番号情報保護委員会という、これは三条機関ですか、非常に独立した、きちっとここがやるという考え方を盛り込んでいますので、この法制定の結果もやはり踏まえながら、全体的にはそうして検討をしていくことだとは思います。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 実は我が党は、この個人番号情報の保護委員会では、やはりこれはあくまでも部分的な話なので、そこだけではなくて、先ほどのワーキングチームの結論も踏まえまして、もっと総合的な個人情報保護委員会という大きなまず第三者機関、恐らくこれから、ネット情報、また成り済ましとかサイバー攻撃等につきましては、また次の委員会、後日の委員会で審議をさせていただきたいと思っておりますが、いずれにしても、そういう個人情報、ここにつきまして、さらに危険性というのが高まっていくというのは間違いないと思っております。

 したがいまして、我が国におきましても、大きな個人情報保護委員会、これをまずつくり、その中にマイナンバーにおける個人番号の情報も扱っていくという、このような仕組みづくりが必要ではないかと思いまして、その改正を、修正を提案させていただこうという、今そのような考えで進めさせていただいております。

 いずれにいたしましても、この個人情報保護のあり方、そしてまたIT社会に潜むリスクなどにつきましても、国民の理解を深めるための情報リテラシー教育とか、そこも含めまして早急に進める必要があると思っておりますので、どうか積極的な取り組みをお願い申し上げます。

 最後に、あともう少しお時間をいただいておりますので、岡田副総理に。

 所信の中で、新仕分けということがございました。通告はしておりませんが、その新仕分け、どのようにお考えなのか、概要につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。

岡田国務大臣 行政事業レビューということで、各予算について、項目ごとにまず刷新会議事務局でいろいろな検証を行ってまいりました。

 そういったものを踏まえまして、特に重要なものとして、大きく三つぐらいを考えております。

 三つといいますのは、一つは、やはり復興関連の予算。そしてもう一つは重点三分野、グリーンとかライフとか農林水産、予算の非常にふえる部分ですね。それから第三点は、生活保護を含む社会保障。この大きな三つのくくりにつきまして、今週の金曜日、土曜日、日曜日に新仕分けを行いたいというふうに考えております。

 やり方として、従来の仕分けのやり方を基本的には踏襲したいと思いますが、余りお金もかけずに、役所の会議室などを使ってコンパクトに、しかし、外部の有識者も入っていただき、幾つかの重要な項目について御議論いただきたいというふうに思っています。

 私は、この新仕分けの結果を最終的に概算要求にきちんと反映させることが非常に重要だと思っておりますので、そういった観点で、私も含めて政務三役も出て、そしてきちんとフォローしていきたいというふうに考えているところです。

高木(美)委員 副総理、事業仕分けにつきましては本当に多くの課題があります。そこを踏まえた上で今回のこの新仕分けとおっしゃるのであれば、やはりそこに、課題をクリアしたそのような手法、そしてまたその理念、考え方というのが必要かと思います。

 といいますのは、今回のiPS細胞の山中教授のノーベル医学・生理学賞受賞の決定というのは、もう本当に日本じゅうが喜んだニュースでございました。やはりあのときも、本当に有名な、なぜ一番じゃなきゃいけないんですかという言葉というのは、本当にまさにこの事業仕分けを象徴する一つの言葉になっています。

 あのときも、自公政権で二千七百億、補正予算でつけていました。それが事業仕分けで一千億に削られ、山中教授に百億渡す予定が五十億、半分に減額をされました。そのときに、かつてノーベル賞を受けられた多くの方たちが我が党にもお越しになりまして、このことは将来、後世、歴史の法廷に立つ覚悟があるのかと、本当にその事業仕分けに対する怒りをそのようにおっしゃっていたわけです。

 そのように、今、重点三分野という話もされましたけれども、また生活保護、ここもどこまでどう切り込んでいくのか。ここは、国民の御批判もある反面、また、本来受けるべき方が受けられなくなる、そうすると、またそこが死亡につながっていくとか、本当に痛ましい事例だけは起こしてはならない。

 そういう点を踏まえて、この新仕分け、今までとどう違うのか、どういう理念で臨まれるのか、その点をお伺いさせていただきます。

岡田国務大臣 済みません。まず、今週末じゃなくて、来週末に行うということでした。

 それから、今委員御指摘の中の、山中教授のiPS細胞に関する研究は、これは仕分けの中で予算が減ったものではございません。その前に、政権交代時に全体的な予算の組み替えをやった、そういう過程の中で全体を減らすということはあったかと思いますが、仕分けそのものでこれを取り上げて減らしたということではないと私は承知をしております。

 さて、仕分けの作業というのは、予算全体を見直していくわけですから、当然いろいろな意見が出てきます。

 誰が見ても納得できる無駄、これを切るということは簡単ですが、多くの場合には、やはりその必要性について、必要だという意見と、そうではないという意見に分かれる。そういうことについて短い時間で一定の結論を出していくということですから、いろいろな、それに対する摩擦も起こるということかと思います。そこはしっかりと内容について精査をして、なるべく多くの方の納得が得られるようにしたいと思います。

 しかし、ある意味では、そういったいろいろな御批判は出ることも覚悟して進めるからこそこれはできるのであって、万人が納得するということになれば、それはなかなか現状維持以上のことはできない、そういう難しさが常にある。そのことは十分意識して進めていきたいと思います。

 生活保護につきましても、月曜日にちょっと私、現場も少し、足立区の現場を見させていただきました。私は、委員おっしゃるように、本当に必要な方にはきちんと保護が行く。しかし一方で、そうではない場合もある。あるいは、自立がきちっと支援される形でなければならない。そういう視点でしっかり見させていただきたいというふうに思っています。

高木(美)委員 事業仕分けの生活保護関係につきましては、もう既に障害者の方たちから不安のお声等々が出ておりますので、十分それぞれの特性も深く配慮をされた上で新仕分けに臨まれることを望みたいと思います。

 それでは、時間になりましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。

古川委員長 次に、竹本直一君。

竹本委員 自民党の竹本直一です。

 きょうは、一時間という時間をいただきましたので、日ごろいろいろ思っておりますことを幾つかお聞きしたいと思っております。

 まず、官房長官にお聞きしますが、拉致問題なんですよね。

 拉致被害者が帰ってきてから、ちょうど十年になるんです。この間に何か進展があったか、十年前から。ほとんどないですよね。それは我々がやっても同じことだったかもしれないけれども、しかし、外から見る限り、今の民主党政権は拉致に対して真剣味が本当にあるのかなという感じを抱くことが非常に多い。

 その一つが、やはり閣僚がころころかわるんです。民主党政権になってから三年間で七人目の拉致担当大臣の田中けいしゅうさん、この人はたった三週間で辞任いたしました。八人目が藤村官房長官。三年で八人、大臣がかわるというのは一体何だ。役所の課長でもそんなにかわらないんじゃないですかね。だから、一体、本当に何でそんなことをやるのかということであります。

 比較にならないけれども、私は自民党で拉致問題担当のシャドーキャビネットをやっていたんです。一期終わって、私は必ずしも専門でないから次にかわるべきだったんですけれども、あの拉致被害者の横田めぐみさんの御両親の顔を見ていると、とてもそんなに簡単にかわれなくなって、私は自分で志願してもう一期やらせていただきました。ですから、二年以上やったんです。そんなことを考えますと、やはりもっと、被害者なんですから、これに対して愛情を示すという意味においても、閣僚がこんなにころころかわったらだめだと思うんです。

 ちょうど今、藤村さんは官房長官をやっておられますが、こういった人たちに対する姿勢として、官房長官はどう考えておられるか。

藤村国務大臣 拉致問題というのは、我が国に対する主権侵害かつ重大な人権侵害であり、国の責任において解決しなければならない問題であります。これは、政権がかわろうが、あるいは大臣、副大臣がかわろうが、全く変わらない対応であると思います。

 今御指摘の担当大臣が短期間でかわるということに対しては、家族会の皆さんを初め関係者からは大変御不満があり、そういうことは重々承知しております。

 私、就任以来二日目に早速、先月の二十六日でありましたが、野田総理大臣とともに拉致被害者家族とお会いをしたところでありました。そして、野田総理からは、そのことは家族の皆様にもおわびをしながら、もう一度全力という言葉を使わせてほしいということで、拉致問題の解決に向けての決意をお伝えしたところでございました。

 何よりこの問題の解決、今竹本委員もおっしゃった、やはり継続して取り組む人というものが必要ですし、あるいは継続して取り組む組織が必要であります。そういう意味では、野田内閣においても、平成二十二年十一月に出された八項目にわたる本部長指示に基づいて、拉致問題対策本部を中心として、関係府省が一致して、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。

 私自身としましては、昨年の九月以来、官房長官という職務の中で、これは関係省庁の調整役でもありますので、拉致問題も含め、外務省も警察もそして拉致担当大臣もおりました、その関係の調整役として携わってきたところでございます。今回はその担当大臣となりましたので、さらにこの立場を加えたものですから、全力を尽くしていきたいと考えております。

竹本委員 官房長官、担当の大臣として聞きますが、この拉致問題、太陽政策がいいのか圧力をかけるのがいいのか、どちらがいいと思っていますか。

藤村国務大臣 これは両論それぞれ主張があると思います。

 私は、当然、両論をちゃんと採用していくといいますか、太陽政策という言い方はちょっと当たるか当たらないかわかりませんが、ただ、圧力一辺倒だけでもまた何ら動かないということも、その後のこの十年ということでいえばございました。

 今、もうちょっと突っ込んで言いますと、この十年の中でも、昨年十二月からのあちらの国の情勢は、やはり大分大きく変わっているということでございます。ことし九月がちょうど丸十年ではありましたが、こういう機会というのはやはり一つの大きなチャンス、機会であるということで、両論と今おっしゃったので、両論それぞれありますが、それぞれ駆使しながらやはり粘り強く対応していくことだと思います。

竹本委員 拉致被害者の立場から見ますと、やはりやれることは全てやってほしいというのが本心だろうと思うんですよ。

 先般、私と非常に親しい韓国の国会議員ですが、この方が北朝鮮へ行ってきた、こういう話でありました。それで、彼から百枚近くの平壌周辺の写真を見せていただきました。

 彼がいわく、都市部、平壌あたりは非常に都市化しているというか、いわゆる我々の東京や大阪のような雰囲気の店がたくさん出てきている。例えば、マクドナルドがあるとか、イタリアレストランがあるとか。若者も五十万人ぐらいは携帯を持っている、こういうことです。そうなると、結局、今まで金正日がやっていたような徹底した情報管理というのはできないだろうとこの先生は言うわけですよ。だから、早晩、この拉致問題についての、解決かどうかわからないけれども、明るみに出るときが意外と早いのではないか、こういう話をしてくれました。

 私は、ひょっとしたらそうじゃないかなという感じがするんです。

 今しきりに、金正恩は、開放ということではないかもしれないけれども、国内経済が非常に困窮していることに対して何か手を打たなきゃならない、こういうことであります。ですから、日本から経済制裁をしても、本意ではないんでしょうけれども中国に対していろいろ経済援助を申し出ている、こういう状況ですね。

 ですから、私は、情報が従来ほどには隔離できないということと、そして彼らが非常に経済的に困っている、この二点からすれば、やはり受け身じゃなくて積極的に情報をとって、あの横田さん御夫妻の、もう八十数歳ですよ、三十年以上、今か今かと帰りを待っておられるこの気持ちに応えてあげないと、解決はしたが既にもう亡くなられたというようなことになるのではないかと非常に心配しているんですよ。ですから、ある意味ではチャンスだと思います。

 昨年でしたか、私がソウルへ行ったときに、女性の国会議員が、その知り合いが数年前に横田めぐみさんが生きておられるという話を脱北者から聞いたという話を聞きました。これは韓国のテレビでも放映されたわけであります。本人に会って確認いたしました。

 いずれにしろ、生きておられるかそうでないのか、やはり親としてはほっておけない問題なんですね。だから、大臣を八人もかえるんじゃなくて、これをやる、あれをやる、やれることは全てやるんだという姿勢を示してもらわないとこの人たちは納得できないと思うんですよ。いかがですか。

藤村国務大臣 おっしゃるとおりで、細部についてなかなか微妙な、機微な情報もありますので申し上げられませんが、ある意味で、あらゆる手だてというものをずっと、これは前政権からもそうだと思います、さまざまとり続けているということであります。

 横田さんはまだ七十九歳かとは思いますが、それぞれ御家族の方は高齢になられている。一瞬たりとも早くに解決をしてくれないとと、もう本当に切実なお声を聞いております。我々もそのお声に応えられるように、あらゆる手段を尽くしていきたいと思っています。

竹本委員 そのあらゆる手段ということでちょっと質問しますが、松原元大臣がわずか九カ月で退任しています。私は、拉致問題解決のためにはどんなことでもやるべきだと、今申し上げたように考えているんですけれども、彼は、今年八月末に日本と北朝鮮の外務省課長会議が行われていたときに、北朝鮮と非公式に接触するなど、今までの民主党政権にはない積極的な姿勢で拉致問題解決に努力していたようにも見えます。

 にもかかわらず、これをやめさせるというのは、どういう考え方に基づいてそうされたのか、お答えください。

藤村国務大臣 これは、何人もかわるということの延長で御質問だと思います。

 そのことは決していいことだとは思いません。ただ、これは一人の個人プレーではなしに、やはりチーム、組織として対応しているという点では、変わらず対応しているということだけは申し上げたいと思います。

竹本委員 私が言いたいのは、議員外交とか、あるいはこういう個人的な接触とか、そういったものについてどう解釈しておられるか、それはいいのか悪いのか、そういうことです。

藤村国務大臣 議員外交も含め、さまざまなルートでさまざまに事が進んでいる部分があるとしても、やはりそれをきちっと集約して、これは拉致対策本部という形で、そして政府が、本当に外交的には一元的な解決に向けての努力が必要です。ただ、その前段として、さまざまなルート、さまざまなパイプというものがあって、やはりそれを集約していく組織力というか、そういうものは必要だと思っています。

竹本委員 話題をかえまして、経済のことについて、前原国家戦略担当大臣に幾つかお聞きしたいと思います。

 報道によりますと、九月の景気動向指数で、一致指数が対前月二・三ポイント下がり、トータルして一年間で、前年度比九一・二、だから約九%ぐらい下がったということです。それから、これから経済はどうなるかという先行指数で見ましても、前月比で一・五ポイント下がっておって、年ベースで見て九一・七ですから、約九%ぐらい下がっている、こういう発表が最近行われました。

 私はこの数字を見て、やはりそうかと思ったんです。政府は、二〇一二年の実質GDP成長率は一一年度比で〇・〇%としておりまして、それまでも実質GDPが増加しているときには、政府は景気が拡大していると主張してきていたんです。しかし、本当にそうだろうかなと前から思っていました。それは実感と違うからなんですね。

 どこにこのギャップがあるのかとよくよく考えますと、物価変動を考慮しない名目GDPや国内全体の所得を示す国内総所得であるGDI、国民総所得を見ると、日本はやはり貧しくなってきているんじゃないか、このように思います。

 日本は、原料を輸入して、加工して、それを外国に輸出するのが基本的な貿易パターンですけれども、交易条件の大きい変化、特に原油高がどんどん進みますと非常に不利になりますよね。そうしますと、GDPではその交易条件の悪化が十分反映されない。むしろ、GDI、国民総所得の方が景気の動向を見るのには実感と一致するんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 先生おっしゃるように、実質GDP、それに交易利得、交易損失と言ってもいいかもしれませんが、それを加えたものが実質GDIということで、プラス、マイナス両方あると思います。

 円高であるということの中で、一九九八年には化石燃料の輸入高が五兆円だったものが、去年は二十三兆円まで原発の停止で上がっておりますけれども、逆に言うと、円高でそれで済んでいるという面もあるわけでございますが、ただ、円高で輸出産業を含めて輸出が鈍化したということの中で、交易利得、交易損失というものについてはプラス、マイナスをどう判断するかということがあろうかと思います。

 そういう意味におきましては、先生がおっしゃるように、グローバル経済が進んでいく中でGDPだけで物事を判断していいのかという御意見には私は方向性として賛同するものでございまして、さまざまな指標を総合的に判断して景気動向あるいは先行きというものは見ていかなくてはいけないと思いますけれども、先生のおっしゃったものも、一つの大きな要素として加味をしていくということは大事なことではないかと考えております。

竹本委員 そのGNIを増加させるためにはどういう方法があるかということなんですけれども、一つは、国内企業の活力を強める、高めることが必要だと思いますし、千四百兆円を超える個人金融資産の有効活用が特に大事だと思っております。

 企業はいわゆる六重苦に苦しめられております。環境規制の強化、労働規制、電力不足、いろいろありますけれども、民主党政権がやられました、例えば最低賃金の引き上げとか製造業の派遣労働の禁止とか、こういったいわばアンチビジネス的なことが、塗炭の苦しみに遭っている産業界にとっては、六重苦あるいは八重苦と彼らが言うような、そういうふうにだんだん追い込んでいっているのではないかと私は思っております。したがいまして、逆に、企業がもっと動きやすいようにやっていく必要があるんじゃないか。

 中でも、鳩山さんが総理大臣のときに国連総会で二五%のCO2削減を公言いたしました。当時、産業界は、一四%しかできないと言っていたんですね。麻生政権で、そうもいかないというので、ぶりぶり言われながらも一五パーと我々は言ったんですが、それを突拍子もなく、二五と言ってしまった。格好いいけれども、後の裏づけはない、どうするんだというふうに思っておりました。

 ですから、その後、リーマン・ショックの影響もあり、なかなか経済がよくならない中で、果たすことのできない国際公約をいつまでも持っておることはおかしい。だから、私はこの内閣委員会でも、この二五パーを修正すべきだということを申し上げたことがあると思います。

 そんなことですけれども、これをことしの九月に二〇%にいたしましたけれども、今前原さんがお話しのように、石化資源にエネルギーをシフトしている日本にとっては非常に苦しいわけであります。さらなるこの目標の削減というのは考えないのかどうかということを申し上げたい。

 もう一つは、日本の総理大臣が公の席で二五パーということを言っておりますので、今の野田総理が公の場で、それを二〇パーにするというのであれば、もう決めていますけれども、それをどこかでやはりはっきり言わないといけないのではないかと思いますが、いかがですか。

清水政府参考人 温暖化の削減目標についてお答えいたします。

 地球温暖化の防止は人類共通の課題であり、温室効果ガス排出量の削減には、引き続き国を挙げて長期的、計画的に取り組む必要があるというふうに考えております。

 革新的エネルギー・環境戦略におきましては、「本年末までに、二〇一三年以降の「地球温暖化対策の計画」を策定し、国民及び国際社会に対して示していく。」とされております。このため、計画の策定に向けて、内閣官房、環境省、経済産業省が連携して、関係省庁と協力しつつ、温暖化防止のための対策、施策などを取りまとめていくこととしております。

 我が国が国連に対して提出している前提条件つき二五%削減目標の扱いにつきましては、この計画策定に向けた検討とあわせて、国際交渉に与える影響等にも留意しつつ、政府として慎重に検討していくこととしております。

 以上です。

竹本委員 いずれにしろ、しかるべき人が、しかるべき場所で、日本の目標はこうだということを明言してもらいたいんです。それが私の願いであります。

 次に、法人税率でございますが、日本の法人税率は、実効税率で三九・五四%、隣の韓国は二七・五%、非常に大きく異なっています。海外企業の投資の阻害要因になっておりますけれども、国内企業の海外展開推進要因となっているこの点について、いわゆる国家戦略室として実効税率を下げろという指示を財務省に出すつもりがあるのかないのか、それをちょっとお聞きしたいと思います。

羽深政府参考人 法人課税についてでございますが、我が国企業の国際競争力の向上を通じ、雇用と国内投資の拡大を図る観点から、平成二十三年度の税制改正におきまして、法人の実効税率を五%引き下げることとされておりまして、復興特別法人税の適用終了後の平成二十七年度以降にこれが実現することとなっております。

 また、今後の法人税のあり方ですけれども、さきに成立した税制抜本改革法におきまして、「法人課税については、平成二十七年度以降において、雇用及び国内投資の拡大の観点から、実効税率の引下げの効果及び主要国との競争上の諸条件等を検証しつつ、その在り方について検討すること。」とされております。

 国家戦略室としましても、このような税制改革の経緯を踏まえまして、政府部内で必要な調整を図ってまいりたいと考えております。

竹本委員 政府・与党に申し上げたいのは、震災があったから五%、そういうふうにしたというのはわかるんですけれども、三五パーからさらなる引き下げについてやはり努力すべきだろうと。隣が二七・五%であったらとても対抗できない。

 今、シャープとかパナソニックとか、日本が誇る、特に大阪が誇るブランド会社が本当に経営の危機に陥っております。その原因の一つに、やはりこういう法人税率の高さというのが影響しているのではないかと私は思っております。ですから、三五にすればそれでいいというものではなくて、さらなる切り込みが必要だというのが私の認識でありますので、引き続き努力をしていただきたいと思います。

 次に、千四百兆円の金融資産の有効活用なんですけれども、先日、前原大臣は、不動産、インフラ市場への民間投資を促進するため、内閣府に有識者会議を設置すると発表しておられます。このことは私は非常にいいことだと思っておりますけれども、この会議の目的、方向性などについて前原大臣の考えをお聞きしたいと思います。

 民主党さんは、例えば景気浮揚施策でもぱぱっと、ホッチキスでとめたようなのをさあっとやりますけれども、なかなか実現をしないという印象を私は持っているんです。これは、前原さんが主導的にやったことなので、御本人ですから、どういうふうに不動産市場の活性化を図ろうとしているのか、その真意をちょっと説明してください。

前原国務大臣 政権交代後に、私、国土交通大臣をやらせていただきまして、そのときに、とにかく財政状況は厳しい、したがって、先ほど先生がおっしゃったように、千四百兆円を超える個人の金融資産をどうインフラ市場や不動産市場に入れるかということを国土交通省成長戦略会議というもので議論をしていただきまして、その中で幾つかもう成果がございます。

 例えば、PFI法の改正というもの。後でまた先生に御質問いただくかもしれませんが、ここにおられる田村議員が中心になってこのPFI法の改正をやっていただいたわけでございますけれども、今までのリース方式のようなPFIから、コンセッションという公設民営のやり方ができるという形に変えてもらいました。その流れをくんで、先生の御地元の近くの関空、伊丹を一体化して、そして公設民営で運営をするというやり方とか、あるいは大阪港、阪神港、これも公設民営で民営化して、今度また統合いたしますけれども、こういう形で第一歩、第二歩は踏み切れているのかなと思っております。

 ただ、他方で、まだまだ足りない部分はあるだろうと。特に不動産においては、REIT市場というのがリーマン・ショック後にかなり落ち込みました。

 このREIT市場の復興について、これも国交大臣のときに、今のREIT市場というのは、基本的に既存の建物を証券化してという前提になっていますけれども、大事なのは、いい場所にあるんだけれども、建物が古くて、そして効率も悪いし耐震性にも問題がある、何とか民間の資本を入れて建てかえができて証券化ができないかと。

 こういうことも考えまして、今、国会に提出をさせていただいている不動産特定共同事業法の改正、これは倒産隔離をして建てかえもできる、こういうものを出したりいたしておりますが、もう一段、このREIT市場の国際化、あるいはPFIでもさらなる拡大というものの中で、日本の景気の活性化のために資することができないかということで、今まで取り組んできたものをベースに、さらに有識者会議にいろいろなお知恵をいただき、できたものについては政策化していきたい、こう考えております。

竹本委員 それはぜひ頑張ってもらいたいと思います。

 国内需要の活性化のためにPFI、PPPの推進が重要なんですけれども、この委員会に前国会からPFI法改正案がかかっておりますが、この改正案の早期成立を政府にぜひともお願いしたい。前国会でできると思っていたんですけれども、いろいろな事情でうまくいかなかったので、一日も早いこの成立をやらなきゃいけないと思っております。

 ただ、PFI法は、一番何だこれはと思うのは我々が住んでいる赤坂議員宿舎です。あれはPFIと言われて、まあ、言ってみれば代金の延べ払いじゃないですかね。これは本来のPFIじゃないんですよ。

 だから、やはりこのPFI法をぜひ改正して、民間資金で公共施設をつくるというのがPFI法の本来の趣旨なんですね、それに合ったようにやはりしなきゃいけない、このように思っております。そういう意味で、今お話しのコンセッション方式を関空に取り入れたというのは私はいいと思います。

 私は、国の財政が非常に窮迫しておって、しかしながら、インフラのメンテも含め、いろいろな必要なインフラを整備しなきゃいけない、こういうときには、もはや、税金で公共事業をやるのではなくて、民間の金融資本を使ってそういう公共事業をやればいい、このように思っております。

 自民党の大阪府連では、昨年、関西空港と大阪の中心部、梅田あたりを考えているんですが、あるいは新大阪あたりを考えているんですが、そことの間をリニア新幹線で結ぶ、こういう構想を発表いたしました。費用は大したことなくて、五千四百億ぐらいでできる、大深度地下を使うということであります。それで、関空から大阪の中心部まで何と七分で来れるという計画であります。そうしますと、行って来いの往復の路線が要らない、路線は一本でいい、こういうことになります。

 そうなりますと、これをつくるのに、我々は、その提言では新型証券と言っておるんですけれども、このつくる施行主体を仮に株式会社としますと、その株式会社の半分は株券にして半分を債券にするというような新型証券も考慮対象の一つではないかという提言をしているんです。

 要は、民間の資本を使って、バックに政府の信用を使ってこの株を売却する、そしてお金を集める、それでつくってしまう。大深度地下を使えば用地費がかからない。そういう意味で非常に安くできる。しかも、七分だと、今申し上げましたように二つの路線が必要でない、こういうことになります。

 関西の繁栄のためには、どこの大都市圏でもそうですけれども、必ず二つぐらいの国際空港は最低限あるんですよね。今、関西空港は一つになっている、ここが非常に問題なんです。

 今、日本の国にビジネスで、観光もあるかもしれません、ビジネスで来るお客さんの中に日帰りの人が非常に多いんです。朝ソウルを出て、夜はソウルへ帰っているんです。そういうふうに日本で仕事をしようと思うと、全部羽田しかないんですよ。だから、あなたがやられた羽田の国際化はいいことなんですよ。

 同じことを本当は伊丹でやるべきなんですよ。伊丹を国際化、開けば、簡単に一時間で来れて、そこで十分仕事をして、夕方またソウルへ帰れるんですよね。

 ところが、いろいろないきさつがあって、これは自民党も責任がありますけれども、あそこを国内線に限定してしまっている。そうすると、大阪へ海外から来る人は関西空港を使う以外にないんですね。ところが、残念ながら、関空から大阪の中心部まで非常に時間がかかる。タクシーでも二万円は超すでしょう。そういう状況ですから、やはりどんどん海外からのお客さんはみんな東京へ来るんですよ。

 他方、大阪の活性化というふうに我々も叫んでいるんですが、何をやっているのかなという感じがしています。そういうときに、関西空港と伊丹空港で客のとり合いっこをしておったんですね。例えば、石垣島へ行く路線は、伊丹から石垣島だったんですよね。それを無理やり関西空港から石垣島に振りかえたんですよね。恐らく航空局がやったんでしょう。そうしますと、客ががくっと減ったんですよ。それはそうですよ、遊びに行くのにわざわざ遠いところまで大変ですから。そういうときに二つの会社を合併して一つにする、これはいいことです。そうすると、競争する必要がないからね。

 この上は、私が今言いましたように、関西空港と大阪の中心部を結ぶリニアができればいいですよ。できるのは二十年間かかるとしなきゃいけない。そうすると、その間、伊丹空港の国際化ということをやはり考えるべきじゃないか。簡単に日本に来て簡単に帰れるということがやはり大事なんだというふうに思います。

 そういう意味で、これは一つの例ですけれども、このPFI法をぜひ国内のあらゆるところで使って、そしてどんどん公共事業が進む状態にするのが一番いい方法ではないかというふうに思っているんです。

 実は、外国の企業で、フランスとかヨーロッパは割合多いですけれども、日本の公共事業をそういった民間の企業にやらせてくれ、こういう話が多々来ております。

 例えば、阪神高速淀川左岸線というのがあります。約三千億かかるんですけれども、これも実現するのは恐らく三十年後だと言われているんですね。これを民間の企業にやらせれば恐らく六、七年でできるだろう、こういう提案であります。そのかわり、つくった後は、料金はそちらが取るということです。

 だから、なかなか難しいかもしれないけれども、事ほどさように、世界の公共事業はどんどん民間資本でやられている。そういうことを念頭に、そういう重要なPFI法だということを、おわかりだろうけれども、さらに認識してもらって、それを大いに活用する必要があると私は思っておりますが、所見があればどうぞお述べください。

前原国務大臣 竹本先生のおっしゃったことについて私は一〇〇%賛成でございまして、とにかく、民間の資金を使ってどうやってインフラを更新したりつくっていくかということをより考えていかなくてはいけないというふうに思っております。

 そういう意味では、サポートいただいているこのPFI法の改正の中で、インフラファンドというものをつくって、やはりこのインフラファンドというものを、官民でお金を出し合う中で優良な投資先というものを見出していくということも大事だと思います。

 また、先生おっしゃったように、今、空港と港湾でやらせていただいておりますけれども、道路とかほかも含めて民間の資金が入ってしっかりとインフラ整備ができるような仕組みをよりつくっていくためには、法改正が必要であればやらなくてはいけないと思いますし、またぜひお知恵をおかりしながら、今の方向、おっしゃった方向性というものを進めるための努力はしていきたいと思いますので、御指導いただければと思っております。

竹本委員 そういう意味で、投資ファンドを育てるということは必要なんですけれども、なかなか日本の投資ファンドは、海外の投資ファンドと比べますと規模が小さい、リスクマネーをとり切れていない、こういう意味で非常に制約が多いんです。だから、大きくならないんですね。外国では、名前を言ってはどうかと思いますが、KKRとか、非常に多方面にあらゆることをやれるファンドが育っております。

 そういう意味で、ファンドを大きく育てる努力を今度つくられた会議の中でいろいろ議論していただくと、不動産市場も活性化するんじゃないかと思います。

 要は、我々日本におって好況感がありません。どこの経営聞いても、最後は住宅、不動産がよくならないと景気がよくなった実感がないんですよ。ITバブルとかいろいろ言いましたけれども、やはり最後は不動産、住宅なんですよ。だから、そういう意味で、その導火線にこの会議が役立てば非常におもしろいのではないかと私は思っております。

 次に、GNIを増加させるために必要な海外の直接投資のことについて申し上げたいと思います。

 ことしの四月一日に政策金融公庫から独立しまして機動性を向上させましたJBICへの産業界の期待は非常に高いものがあります。JICA機能と同様に、JBICにおいても、長期的視点から事業性を評価し、超長期の幅広い案件を対象として柔軟かつ積極的に出資、融資を供与して、また、外貨貸しと現地通貨貸しを積極的に推進すべきだと私は考えております。とりわけ、今年度から実施されている外貨スワップの保証機能の積極的活用も期待をいたしております。

 また、JBICが既に、先進国向け輸出信用制度の活用など、民間企業のインフラ輸出で欠かせない長期信用供与を実施している点も高く評価するわけであります。

 さらなる機能向上のためには、私は、JBICの融資対象を、日本企業に限らず、日本企業の現地法人、現地の日系法人、そこにまで広げるのも手ではないか、ぜひこれをやってもらいたいというふうに思います。

 昨年、アメリカのこの分野の要人といろいろ話をしましたけれども、JBIC法の改正で、従来途上国しか融資ができなかったものを先進国にも融資ができるようになりました。そうしますと、例えば日本のグループが、アメリカの本土の東海岸、西海岸に、マグレブといいますか、いわゆる超高速鉄道建設というようなプロジェクトについても、必要があればJBICが協力できる、こういうふうになりました。今までできなかったものができるようになった。よく御存じだと思うけれども、これは非常にアメリカも大歓迎というふうに言っておりました。

 ですから、このように日本に千四百兆円もの物すごい個人金融資産がある、はっきり言えば運用先がなくて困っているのが今の日本の現状であります。ですから、政府系金融機関をもっとフルに活用させなきゃいけない。

 ところが、今まで、いろいろ聞いていますと、非常に厳しいことばかり言っていますよね。だから、そうじゃなくて、弾力的にこれを使えるように、やはりここは皆さん方が好きな政治主導でしっかりやればいいのではないか。変な政治主導は困るけれども、需要に応えるという意味で、やはりきちっとやった方がいいのではないかというふうに思いますが、何か御所見があれば聞きたいと思います。

前原国務大臣 先生御指摘のように、JBICの活用というものは、パッケージインフラ輸出をしっかりと官民挙げてやっていくためには極めて重要だと思っております。

 以前は、JBICについては、発展途上国が中心の融資、原発だけが先進国においても行えるということでございましたけれども、政令を改正いたしまして、今先生がおっしゃったような高速鉄道とかあるいは都市鉄道とか、こういうものに使えるようになったということでありまして、これがさらなる海外のいい案件の取得に追い風になれば、こう思っているところであります。

 また、先生が御指摘のようなさらなる弾力性、例えば、パッケージ型インフラ海外展開促進プログラムにうたわれている、投資金融を活用した海外子会社による第三国輸出、国内販売へのファイナンスの強化、それから輸出金融の運用の弾力化、こういうものにも鋭意取り組んでおりますし、また、途上国等における水の事業のプロジェクトにも、増加をしている状況も踏まえまして、本年四月より強化された保証機能も活用して、融資、保証両面から、現地通貨建てファイナンスに積極的に取り組んでいきたい、こう考えているところでございます。

竹本委員 このように後押しをする組織はだんだん整備されてきたんですけれども、現実に外国でのインフラ整備に日本はいろいろ挑戦はしておりますが、なかなか、台湾の高速鉄道以外、これといったものをとれていないのが現状であります。

 諸外国は、一言で言えば国家資本主義でやっています。政府がバックアップしているんですね。韓国がいい例ですけれども、ほかの国も大体そうです。日本の場合は、現地で日本の二つないし三つのグループが争うなんというようなばかなことを実はやっているのが現実であります。ですから、これじゃなかなかとれない。だから、私は、政府のいい意味での介入、いい意味での援助がやはり必要だと思っております。

 そういう意味で、あれは福田内閣のときでしたか、牛場さんという人が対外経済担当大臣ということで、具体のプロジェクトについて各国を回って交渉していました。あれをもう一度やったらどうかと思うんです。これは古川さんが担当大臣のときに私が申し上げましたよね。だから、ぜひ、今だと前原さんがやればいいと私は思うんですよ。

 そういうことをやることによって、外国のインフラ整備、原発でもいいし高速道路でもいいし港湾整備でもいいし水プロジェクトでもいいし、そういうものをとっていくことによって外貨を稼ぎ、それを国内に還流させる、これが絶対必要だと思うんですが、どうですか、そういうことをやる気はありますか。

前原国務大臣 国交大臣としてさまざまなインフラ輸出に努力をしてきて、その後外務大臣になりまして、やはり在外公館の重要性というものに着目をいたしました。

 やはり、先生おっしゃるように、縦割りではいけない。そして、日本の、国家資本主義という言い方がいいのかどうなのか、実態はそういう面が私は色濃くあると思っておりますけれども、やはり国も挙げて民間企業の受注というものにバックアップをしていくとすれば、海外の出先機関というのは在外公館でございますので、在外公館をフルに活用する中でこのパッケージインフラ輸出というものを進めていこうということで、インフラプロジェクト専門官というものを配置するということを決めまして……(竹本委員「これからするんですか」と呼ぶ)いや、もうできております。私が外務大臣のときにそういうものを決めまして、そういうものをもう既に、今、五十八公館、百二十六名おりまして、そして、大使みずから日本のセールスマンとなって頑張ってくれということを今お願いしているところであります。

 先生、牛場担当大臣のようなものをということでございますけれども、実は今、パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合というのがございまして、ここでかなり緊密に連携をとりながら、例えばこの間の会議では、タイの洪水がございました。この洪水対策で、タイ政府がいわゆる十区画に分けまして防災対策、洪水対策というものを今発注しておりますけれども、これをどうやってオール・ジャパンでとりに行くかということの話し合いをしたり、あるいは、宇宙もこれからパッケージインフラ輸出として大変重要でございますし、そういうテーマを持ったりということで、横の連携をしっかりとる中で、オール・ジャパンでとりに行くということの努力をしているところでございまして、成果もかなり上がっていると思っております。

 先生のおっしゃった趣旨というのは私も大賛成でありまして、縦割りを排して、お互い連携をとりながら、オール・ジャパンで、官民でしっかりと日本のすぐれた技術を背景としたインフラをとっていくということをこれからも進めていきたいと考えております。

竹本委員 やはり日本の国を富ませるというのが日本の国会議員の一つの仕事だと私は思っております。ですから、ぜひそういう面の努力をしてもらいたい。

 今お話しになったタイなんかは、今、EUがだめだ、だめだと言っていますけれども、物すごく進出していますよ。十ぐらいのプロジェクトのうちほとんどとっているんじゃないかと言われるぐらい、インフラ整備、鉄道とか高速道路とか、やっていますよ。だから、そこにやはり日本も政府がバックアップしたグループで出ていかないと、なかなかとり切れていないんです。ですから、そういうことで、牛場さんに相当する役割を誰かがやるべきが本当のところだと思っております。

 まだまだ聞きたいことはあるんですけれども、時間がないので、ちょっと話題を国内にかえます。災害対策です。これは長浜大臣が担当ですかね。

 まず、今回の災害、実は私、建設省におって災害対策を割合長くやったことがあるものですから、それなりに経験はしているんですけれども、廃棄物の処理が宮城、岩手、福島三県でまだ二七%しか進んでいない、こういうことです。これは非常に進捗がおくれているんですけれども、大体いつになるとこの廃棄物の処理が終わるのか。阪神・淡路のときはたしか三カ月ぐらいで終わってしまったと思うんです、規模は違いますけれども。だから、それと比較しても余りにも遅い。

 だから、いつ終わるかということと、それに要する経費は幾らぐらいを予定しているか、この二点をお聞かせください。そして、今まで使った経費は幾らであるかということ、そういった点についてお聞きします。

長浜国務大臣 先生おっしゃられたように、大変この分野に知識の豊富な御質問をいただいたところだというふうに思っております。

 広域処理の対象として、岩手、宮城、二県の沿岸市町村の災害廃棄物、推計量でありますが、岩手県で約三百九十五万トン、宮城県で千二百万トン、合計で千五百九十五万トン、こういう大変大規模な量になっているわけでございます。このうち、本年九月末現在で、岩手県では九十三万トン、宮城県では約三百六十五万トン、合計四百五十八万トンが処理をされており、これが、さっき先生がおっしゃった、処理率が二九%、こういうふうになっているというところでございます。

 この処理にどのぐらいお金がかかるのか。

 この広域処理のことでありますが、被災地自治体の災害廃棄物処理の一環として広域処理を行っているところでありまして、広域処理も含めた処理事業費全体に対して災害等廃棄物処理事業費補助金等による支援を行っているところでございます。

 この額でありますけれども、二十三年度補正予算で約七千三百二十九億円、そして平成二十四年度で約三千二百七十九億円であり、二十五年度については約千二百九十一億円を要求しているところでございます。

 この災害廃棄物の処理に関しましては、発災から三年後、つまり、二十三年の三月でありましたので、二十六年三月末までにこの処理を終えるということ、つまり三年間の処理をやるということになっているところでございます。現在はこういう状況でございます。

竹本委員 今の御説明、足すと約一兆円ぐらいのお金を使うんだと思いますが、そのうち、広域処理、ほかへ持っていく分野の予算はどれぐらいなんですか。

    〔委員長退席、田村(謙)委員長代理着席〕

長浜国務大臣 先生、広域処理の予算という形での分類分けをしておりませんので、全体の処理の中において、コスト等を含めて、あるいは量を今申し上げた二十六年の三月までに処理するという状況の制約の中において判断をしておるということで、さっき御説明をしたトータルの予算の中で考えているということで、広域処理を別建てで予算要求しているということではありません。(竹本委員「では、わからないんですか」と呼ぶ)はい、現在のところは。

竹本委員 非常にずさんだと思うな、それは。

 大体、廃棄物の処理、私も現地も何回ももちろん行っておりますが、プラントをつくって処理しておりましたよ。現地で出た廃棄物を何で遠い遠い東京や大阪へわざわざ持っていくのか。そして、現地の住民は、放射能がまじっているかもしれないということで、反対も結構あります。そんなことをしないで、現地で完璧に処理できるのであれば、完璧に処理をしてあの広い東北地方の海岸で埋め立てるとか、あるいは、沈下したところがあるじゃないですか、陸前高田市とかいっぱい沈下していますよね、ああいうところのかさ上げにその土壌を使えばいいんじゃないですか。

 なぜそういう発想をせずに、物すごい運賃を使って遠い遠いところまでわざわざ持っていくのか。その基本的な設計が、私は本当に疑問に思っているんです、最初から。お答えください。

長浜国務大臣 先ほど御説明を申し上げましたように、二十六年三月という三年間で年限を切っている中におけるスピードと処理のコスト等の問題を勘案しながら、この計画を立てていったわけでございます。

 もちろん、先生おっしゃるとおり、現地で仮設焼却炉をつくり、そして全部処理をしていければ、これが多分あの時点での一番いい考え方だったと思いますが、現実には、あの時点の計画の中において、全量処理が、それだけの処理をしないと復旧が進みませんので、そういう計画の中においての全国的な呼びかけをしたということだというふうに思います。

 先週も、金曜日だったと思うんですが、四十七都道府県の知事にお集まりをいただいて、官邸で、私自身が知事の皆様方に、福島の復旧復興なくして日本の再生はないという状況の中で御協力をいただいていることを感謝申し上げました。

 本当に福島の復興に寄り添いながら、今先生から御指摘あったように、果たしてこの焼却等々含めての処理を受け入れていいのかと地域の住民の皆様方とトラブルになっているところもはっきり申し上げてあります。それでも、地域の皆様の中でこれを全国の問題として捉えて、私たちのところでもやれることはやろうよということで御協力をいただいていることに感謝を申し上げるわけであります。

 最大限被災県の中で行うということはもちろん大原則でありまして、既存の施設、壊れていない使えるもの、これを最大限活用するほか、岩手県及び宮城県で約三十一基の仮設焼却炉の新たなる設置を進めているところでございます。そして、このうちの二十三基が既に稼働をして、被災地での処理が既に始まっております。

 そして、先ほど先生がおっしゃられたコンクリートくずとかアスファルトくずとか津波堆積物などの不燃物について現地で使えばいいじゃないか、これから再生をして使えばいいじゃないかということで、国土交通省や農水省、これは関係省庁の連携、御協力をいただいて、再生資材として被災地の公共工事において最大限活用することになっております。

 これでもまだとても間に合わないという状況においては、JR貨物等に御協力をいただきながら、効率的な運搬方法を選択して処理のスピードアップに努めているところでございます。コストに関しては十分気を使っております。

    〔田村(謙)委員長代理退席、委員長着席〕

竹本委員 私がなぜ域内で処理をすべきだと言うかというと、仮設焼却場をつくってそこで処理をどんどんしていく、そして現地の人の雇用をふやせばいいじゃないですか。わざわざ、運送会社の金もうけになっているだけですよ、船会社の金もうけになっているだけ。そんな遠いところへ持っていかないで、あの広い東北で、災害があって、ずっとほとんど何もないじゃないですか。あそこで幾つ焼却炉をつくったって、そう障害にはならない。そこできちっと処理をして、それが間に合わない、例えば三年でやるのが四年になったっていいじゃないですか。地元の人がそれで雇用の機会を得られれば、私はその方がずっとプラスだと思うんですよ。

 それで、嫌がるところへ持っていくことに対して、私は、嫌がっているという意味じゃないんですよ。むしろ、コストを安くして、そして被災地のためになるのは、地場で焼却することによって雇用をふやした方がずっといいと思うんですが、いかがですか。

長浜国務大臣 先生がおっしゃるとおり、現地処理の中における雇用の確保ということも大変重要な問題であります。この瓦れき処理だけにとどまらず、例えば福島第一発電所の廃炉処理等々においても、被災地の住民の皆様方にもその労働の中に加わっていただくべく、ハローワークとも協力をしながら、従業員、地元雇用最優先ということでやらせていただいているわけであります。

 また、焼却炉の設置においても、実は、詳しく申し上げるのもなんでありますが、必ずしも地域の中においても仮設焼却炉の設置においてどんどんやってくださいという御理解をいただけるところばかりではありません。そういった形の中において、住民の御理解をいただきながら、仮設焼却炉を設置できるところは、先ほど御説明をしたとおり、設置を続けているところであります。

 こういったことに、現地雇用にも十分配慮をしながら、厚生労働省とも協力をしながらやらせていただいておるところでございます。

竹本委員 次に、除染のことについて聞きます。

 除染はいつまでやるのか、そしてそれに要する経費は幾らぐらいを想定しているのか、お答えください。

長浜国務大臣 除染の問題は、現在、国直轄で除染をする特別地域と、それから各市町村で実施をいただく地域と、同時に進行をしているところでございます。

 国直轄で除染をする地域においても、非常に放射線度の高いところでありますけれども、特に十一市町村のうち七市町村の計画を策定している段階でありまして、除染作業に着手をしているところはまだ四市町村に限られているわけでございます。まだ計画すら立てられないところ、これは原発立地町村でありますが、こういったところも引き続き計画を立てる協議を続けているところでございます。

 ということで、除染が全て終わるのはいつかという質問においては、現在計画を続けているところでございます。

竹本委員 除染をいたしましても、例えば、幼稚園とか小学校の校庭の表土を五センチぐらい取って、その土をどこかへ持っていくんでしょう。でも、やがて雨が降る、山の上から放射能がまじった雨がずっと校庭に入ってしまう、そうすると、また同じことですよね。

 除染をやってくれという被災者の声は聞いてあげなきゃいけないんですけれども、またもとへ戻るようなことにそんな金を使うんなら、そのお金を被災者の方に上げた方がよっぽどいいんじゃないかと思うんですよ。除染しなきゃいけないということは、放射能が出ているということでしょう。だから、すぐ安全なところへ移っていただいて、そこで生活できるだけのお金をきちっと手当てした方がいいんじゃないかと思うんですが、どうですか。

長浜国務大臣 先生がおっしゃっている意味は、多分、除染をすることをしないでということではないと思うんですね。除染はしなければいけないことだというふうに思いますので、被災者の皆様に対するいわゆる賠償の問題と、それから私が担当しております除染の問題というのは、分けて考えるとすると、その地域における除染は必ずやらなければいけないということで取り組ませていただいているということでございます。

竹本委員 いや、私が言っているのは、除染にそれだけの費用をかけるのなら、そのお金を被災者の方に差し上げて、生活再建のために、別のもっと安全なところで生活してもらうために、家も建ててあげて、そうやってやった方がいい。地元の市町村がそう望まないのなら仕方ないですよ。そういう選択もあってもいいのではないかというのが私の意見です。

長浜国務大臣 先生、私もこのポジションに就任して一カ月でありますけれども、本当に、特に十一市町村、先ほど言った、国が直轄で除染をやらなければいけないという地域を回らせていただきました。

 そして、おっしゃるとおり、十一市町村それぞれであります。被災地として一括化するな、うちは何としても、どんな状況にあってももとの場所に帰るんだと。極端な話、放射能をゼロにして、私の責任じゃないんだから、ゼロにしてふるさとを返せと頭から言われる場合もあります。あるいは、冷静といいますか、アンケートをとられて、もとのところに帰りたいという人は一体どのぐらいいるのか調べると、極端な話、ある調査によれば、二〇%の方が帰りたいと。ということは、八〇%はどういうことでしょうかとお聞きするのが怖くなるぐらいな状況もあります。

 ですから、その地域地域の状況の中においては、少なくとも放射能汚染をした地域の中においては、国の責任として、もちろん東京電力の責任として、そこを除染するということから始めないと、多分今先生が言われた議論は、その次の段階での議論として、なかなか、あるところではその議論さえ持ち出すことがはばかられる場所もあるということでございます。

竹本委員 それはよくわかります。ですから、被災者の方にとっては、自分の責任でもないのに、勝手に放射能をまき散らしてこんな目に遭わせやがってと。それは当然ですよ。この怒りが十分おさまるように国がやはり応えてあげなきゃいけない。その方法として、除染してもらったって、また汚れるんだったら同じことじゃないですか。それだけに要するお金をこういう被災者の方に上げるというような選択肢も考えたらいいんじゃないかということが一つ、私の考えであります。

 最後に一点。この除染作業を見てみますと、全体で七千三百億、環境省は予算を立てているんですけれども、この中で、二十三年度の実施で、株式会社博報堂というところが、除染作業をして、九億六千万、予算計上。これは何をやるんですか。除染は何かゼネコンとかそういうところがやっておりますよね。博報堂が除染作業をやるんですか。わからないですか。

長浜国務大臣 先生、今の御質問に関しては、ちょっと御通告をいただかなかったので細かくわかりませんが、多分、その社名であれば、広報関係だというふうに思っております。

竹本委員 それはごめんなさい、通告していなかったかもしれない。ただ、広報というのはこんなに金がかかるのかなという感じが、それは率直な疑問であります。では、また別途説明してください。

 以上をもって終わります。

古川委員長 次に、小泉進次郎君。

小泉(進)委員 小泉進次郎です。

 きょうは、一時間の持ち時間の中で、よろしくお願いします。

 まずは、きょうの読売新聞の一面の「マニフェスト全面謝罪」というこの記事から、ちょっと岡田副総理に御感想をお聞きしたいんですが、きのう、民主党がマニフェストの反省を総括したマニフェスト重要政策説明用資料の原案をまとめたというのがきょうの読売新聞の一面の記事でありました。そして、各政策項目を並べて、子ども手当、年金制度改革、暫定税率廃止、八ツ場ダム、マニフェストの財源確保、社会保障・税の一体改革、そして外交、安保、普天間など、それぞれの項目で反省色を前面に出した、そういった原案をまとめたということがきょうの読売の一面です。

 これは拝見したと思いますけれども、どういう受けとめでいらっしゃいますか。

岡田国務大臣 私は、党でまとめている資料、多分途中段階のものだと思いますが、それは内容は承知しておりません。私も新聞を見ただけであります。たしか、全面的に謝罪という表現だったと思いますが、それがいいかどうかは別にして、私は幹事長の折に中間検証というものを行いました。もう一年以上前のことでございます。その中で、やはり反省すべき点として財源の見通しの甘さということを挙げまして、そこについては率直におわびを申し上げるということを中間検証の中で言っておりますので、個々の中身は承知しておりませんが、やはり十分でなかったところについては率直におわびをするということは、それは必要なことだというふうに思います。

 他方で、できたこともたくさんありますので、そういうこともあわせてしっかりと説明をしていくことが大事ではないかと思っております。

小泉(進)委員 今副総理が言及されたマニフェストの財源確保の点なんですが、きょうの新聞記事によりますと、その原案の要旨が載っているんですね、各項目。そして、このマニフェストの財源確保というのが私は一番のみそだと思うんです。つまり、この財源が確保できていれば、皆さんがやりたかったことはできたわけですから。

 そういったこの財源確保の項目で、こういった書きぶりになっています。「失敗した最大の原因は、既存予算への切り込みや税制の見直しが中途半端だった点にある。財源の見通しが甘く過大であったことを深く反省し、今後も説明に努める。」事後検証でこういう失敗の最大の原因を「既存予算への切り込みや税制の見直しが中途半端だった点にある。」と認めているんだったら、今与党にある中で、なぜ大胆な既存予算の見直しと税制改正ができないんですか。

岡田国務大臣 ちょっと今の内容は私承知しておりませんので、直接お答えするわけにはいきませんが、例えば、税制でいえば、マニフェストで書いてできなかった最大のものは配偶者控除の廃止なんです。これは金額が非常に大きいんですね。しかし、改めて政権与党になった上で議論してみたところ、特に党の中で、配偶者控除の廃止についてはかなり強い異論もあったという中で、なかなか廃止には至っていないということであります。

 私などは廃止論者ですから、マニフェストに書いた以上、それはやるべきだというふうに基本的には考えていますが、残念ながら、共通認識といいますか、党の中で一致するには至らなかったということで、ここは、そういうマニフェスト、配偶者控除について、我々としては意見集約して出したつもりですが、残念ながらそうは至っていないのは、やはり見通しが甘かったということだと思います。

 それから、歳出の削減については、さまざま進めておりますが、やはり過大であったことは否めないと思います。現在も努力中だし、例えば、今進めておりますIT化といいますか、これなどはやはりある程度時間がかかります。やっていっても、むしろ初期投資はたくさんかかってしまうわけですね。しかし、投資した結果として、それは歳出削減や人の削減にはつながっていく。そういうものは、残念ながらこの四年間の中では結果まで出ない、そういうものもあるということで、その辺の見通しが甘かったと言われればそのとおりですが、政権として懸命な努力はしているということは申し上げられると思います。

小泉(進)委員 今の副総理の説明を聞いていますと、最大の原因というのは、既存予算の切り込みや税制改正の大胆な改正ができなかったことというよりも、大臣たちがやりたいことをできない、党とのあり方なんじゃないですか。今の大臣の説明を聞いていても、配偶者控除にしても、私は廃止論者だ、意見の一致を見たからマニフェストに書いたと思ったんだけれども、結局、党内でいろいろな議論があってできませんでしたと。

 だから、それは突き詰めていくと、きょうも後で質問の中で触れる例えば医療の問題、これは窓口負担のこともありますから、やはり、大臣たちがやりたいことができない、党内融和一本という、そこが問題の最大の原因なんじゃないですか。

岡田国務大臣 政府対党の中でそれができていないということを私は申し上げたのではなくて、基本的に政府と党は一体ですから、そういう中で党の御理解もいただく、それから、もちろん大臣の中にもいろいろな意見はありますから、そういう中で政府・与党全体としてなかなか意見が一致しなかったものがある、そういう趣旨で申し上げました。

 もちろん、個々の歳出削減の中には、誰が見ても無駄なもの、これはもちろん問題ないわけですが、実際にやっていく中で、ある人は必要だ、ある人はもっとやれ、こういう話は多いわけで、それをどこまで説得しながら前に進めていくかということで、何といいますか、当初の想定どおり進んでいないというものがあることは事実であります。

小泉(進)委員 その財源確保の件でもう一つ言えば、さっきの書きぶりを説明したとおりですが、なぜ今、政権与党にありながら、既存予算の切り込みと税制改正の不足を自分たちで指摘できるのに、政権の四年間、この最後のチャンス、最後の予算編成ですよね、まあ、いつ選挙をやるかどうかは別の問題として、今回、二十五年度予算を組むとしたら皆さんにとっては最後の予算編成のチャンス、この反省を生かして既存予算の大胆な切り込み、税制改正をやれるチャンスをなぜ放棄して、こういった書きぶりのものを、あたかも選挙で負けた後の総括のようなものを出すんですか。

岡田国務大臣 税制改正については、委員も御案内のとおり、消費税の一〇%への引き上げということを二〇一四年度から予定しておりますので、それ以外の負担増というのはなかなか厳しい面があるということであります。

 そして歳出の削減は、今、予算編成中でありますが、重点三分野に特化をしてそこは上乗せをする、しかしほかのところについてはかなり厳しく切り込む、そういう方針に基づいて行っているところで、そういう意味では、確かに我々、任期の中の最後の予算編成ですから、かなり気合いを込めて今作業中であるということであります。

小泉(進)委員 いや、私、そこがわからないんですよね。今、予算編成の過程の中であるのに、そういう切り込みができなかったというものを今つくっているんですよ。もうこれは、やっているときからギブアップじゃないですか。

 今の副総理の発言ですから、私、そこは、恐らくこの総括をつくった意図というのは、真摯な反省の姿を見せたいという思いがかなり前面に出ているんだと思いますが、それだけ反省、反省のオンパレードであるんだったら、これ以上政権に居座る理由は何一つない、それが結局、結論になってしまうと思います。

 もう一つ言うと、大臣は、政権交代直後、外務大臣をお務めでしたね。その外交、安保について、普天間についてこう書いています。「政権発足当初、普天間問題で県外移設の方針を打ち出したものの、結果的に辺野古案を再確認することになり、日米関係を一時的に冷え込ませたことは、民主党外交の大きな失点だ。民主党政権の大きな失敗であったことを率直に認め、改めておわびする。」

 御感想はいかがですか。

岡田国務大臣 党の方でいろいろ御議論いただいているんだと思います。

 普天間の県外移設については、我々マニフェストには書きませんでしたが、にもかかわらず、そういったことの発言があり、そして、一時はそのことを、それで選挙を戦ったわけですから、何とか実現しようとして頑張ったことも事実であります。

 私は、今振り返ってといいますか、具体的に県外と言うからには、ほかの県が受け入れるという見通しを持ってやらなければいけない、しかし、そこは十分見通しのないまま言葉が先行したということは、それは沖縄の皆さんにとって大変申しわけなかったし、そして日米合意を一時揺るがした。私は外務大臣として、途中の段階から、これはもとの日米合意に戻すべきだということでアメリカと交渉してきた責任者ですけれども、一時的にかなり混乱したということは、大変申しわけないことだというふうに思っております。

小泉(進)委員 では副総理、当時の外務大臣としても、この外交の失点という総括は、そのとおりだろう、同意するという見方でよろしいですか。

岡田国務大臣 この普天間の問題に関して言えば、その表現はそのままかどうかは別にして、私は、方向性としてはそういうことではないかというふうに思っております。

小泉(進)委員 今回、これが、原案が原案どおりいくのか、それとも民主党内でいろいろな議論があるのかわかりませんが、私は、ここまであらゆる項目で反省を述べるのであれば、これ以上政権にいる理由はないと思いますよ。ぜひその反省を国民の皆さんに問うて、その上で、皆さんがどう判断されるのかというのを問うのが、私は、この謝罪の、原案のあるべき位置づけじゃないかと思います。

 もし何かあれば。

岡田国務大臣 私は、問題があるものについては率直にそれは反省しおわびを申し上げる。しかし、それだけではなくて、最初に申し上げたように、できたこともたくさんあります。そのこともしっかり伝えていかなければならない。その上で、国民の皆さんがそれを全体としてどう判断されるかという問題だというふうに思っております。

小泉(進)委員 いや、副総理がそう言うんでしたら、今の反省点を列挙した上で、これからその反省を踏まえてこうやりますから、最後の予算編成のチャンスを下さい、予算編成を見ていてください、それを言うんだったら論理的だと思うんですよ。

 マニフェストの反省の根源は、財源確保できなかった理由は、既存予算の切り込みと税制改正ができなかった、そういうふうにはっきり民主党内の原案に書いてあるんですから、その原案を踏まえて、この最後の予算、見ていてくださいと。でも、そうじゃないじゃないですか。

 だから、私は、一体何のための謝罪なのかと。謝罪のためだけだったら、別に皆さんに予算編成をやっていただく理由はない、私の思いはそういう思いです。

 副総理、もし何かあれば。

岡田国務大臣 先ほど申し上げたように、今年度予算の中においても、もちろん、既存予算について必要性の薄いものの切り込みというものは懸命に今作業しているところであります。

 来週の金、土、日には新仕分けも行います。来年度要求の中で、特に問題のある復興予算、生活保護を含む社会保障、それから重点三分野、ライフ、グリーン、農林水産、そういうところについて、要求の中に問題があるのかということについて、しっかりと第三者の目も入れて検証するということも予定しております。

 したがって、当然、さまざまな予算上の問題や無駄について、来年度予算に向けて作業は現在行っているところであります。

小泉(進)委員 今回の予算編成に関して今の三分野というのを言いましたけれども、今の予算編成とかで必要なのは、その程度の切り込みじゃないと私は思います。ですから、きょうの質問は、残り時間、この切り込みという部分でいろいろな論点を挙げたいと思うんです。

 まず最初に、これは、副総理とことし三月の予算委員会、そして内閣委員会、連続して議論をした問題ですが、七十歳から七十四歳の方の医療費の自己負担の特例一割を二割に即時戻す決断をすべきだということです。

 これは副総理も覚えておられるかもしれませんが、私は、すぐ戻すべきだという考えです。三月の六日、予算委員会の場で、野田総理、そして副総理、また当時の小宮山厚労大臣に尋ねたところ、非常に興味深かったのは、皆さんやりたいと言うんですね。しかし、党内の反発もあって結局これは見送ることになりました、小宮山前厚労大臣でもそういうふうにおっしゃったんですよ。

 しかし、最近、新しく大臣になられた三井大臣の発言を見ていますと、どうも前大臣とはかなり違いますね。相当慎重に、なかなかこの一割、二割、難しいというようなことを言っています。十月二日、大臣の記者会見でこう言っているんですね。二割がいいのか一割がいいのかというのは、もういろいろな議論があります、例えば、今の消費税の問題、経済情勢、負担がふえる中で本当に二割でいいのかということもありますから、ここはもう少し慎重に議論しながら検討していきたいと思っていますと。

 これはあり得ませんよね。さんざん今まで議論してきて、今の、特例を外して二割にすべきじゃないかということになっているんじゃないですか。それを今、もう少し慎重に議論をしてと、一体いつまで議論するつもりなんですか。これはやるべきじゃないですか。改めて副総理に伺います。

岡田国務大臣 この問題、委員と議論したことはよく覚えております。私の考え方は、もちろん変わっておりません。

 ここは、三井大臣もたしかその後もう一度答弁されたというふうに私の記憶にはあるんですが、いずれにしても、この社会保障・税一体改革大綱、これは二月十七日に閣議決定されたものでありますが、その中でも、「七十歳以上七十五歳未満の方の患者負担について、世代間の公平を図る観点から、見直しを検討する。」「二十四年度は予算措置を継続するが、平成二十五年度以降の取扱いは平成二十五年度の予算編成過程で検討する。」こういうふうになっております。

 まさしく、二十五年度予算編成過程の中で重要な問題としてこれは議論しなければならない、私の考え方は変わっていないというふうに申し上げておきたいと思います。

小泉(進)委員 副総理はそこはぶれていないんですよ、確かに。これはやるべきだと。私が三月に質問をした後も、四月、この新聞にもありますけれども、副総理が出張で青森に行った際にも、政府としての議論はこれからだが、早期に二割に戻すべきだ、そもそも暫定的な措置なんだと。これは私、全く同感ですよ。

 そして、これは副総理が誰よりもわかっていると思いますが、この特例を外すという行為は、新たな法律は要りません。政治決断でできます。補正予算に突っ込んでいる二千億円を突っ込まない、その決断さえあればすぐできるんです。今おっしゃったように、二十五年度予算編成過程でこのあり方を決めるということでしたら、これは今すぐできるじゃないですか。副総理、いかがですか。

岡田国務大臣 私の考えは今申し上げたとおりなんですが、もちろんこれは政府として決めなければなりませんので、どこかの段階で関係大臣がしっかりと意思疎通をして、そして最終的な決着をしなければいけないというふうに思います。

 私、七十歳から七十五歳未満の方々の医療費の負担は現在その前後と比べて軽くなっている、これは法律は二割ということになっているわけですから、やはり本則に戻すべきだというふうに考えておりますが、この問題、ほかの大臣とまだよく意見のすり合わせをしておりませんので、どこかの段階でしっかりとそれを行わなければいけないということであります。

小泉(進)委員 この問題、ぜひ副総理には、最後までその筋を曲げないで閣内で議論して、最後の決着をこの予算編成過程で見ていただきたいと思います。

 この問題は、決して小さな問題ではなくて、税・社会保障一体改革の中にある大きな項目の一つ、社会保障のあり方を、高齢者偏重から若い世代の方を見て、全世代対応型に変えていくと書いてありますよね。それにかなう一つの項目じゃないですか。七十五歳以上の方には一割、七十から七十四は二割、現役は三割と、本来どおり、しっかり負担のあり方をならしていこう、これはそのとおりだと思いますよ。

 なぜここまで、大臣たちはやりたいと言っているのに、今までできないか。そして、新たな厚労大臣が来て、慎重な言い回しになって、この予算編成過程でもやろうとしない。

 私は、今回の予算編成過程で仮にこれもまた検討でやらなかった場合、一体何年後にできるんですかと言いたいんです。今回のタイミングを逃すと、来年の四月からというのは無理になりますよね、引き続き一割。そうすると、再来年の四月から二割に復活するんですか。再来年の四月、消費税が八%になる予定ですよね。政治的な議論としては、いや、さすがに消費税が八%になるときにこっちも一割から二割はきついだろう、そういった議論が、今だって一割に継続だという慎重な議論がある中で、消費税の八%への増加も加わったら、ますますやりにくくなるじゃないですか。そのときも無理でした。三年後、消費税が一〇%になる年です。半年後に、二〇一五年の十月に消費税が一〇%になるから、ことしの引き上げもやめておこう。はい、できません。これは一体いつやるんですか。

 いつまでもツケ回し。全世代対応型なんて口先だけじゃないですか。これはやりましょうよ。

岡田国務大臣 私は、委員と思いは同じです。ただ、もちろん、これは閣内で、政府として決める必要がありますので、その議論をこれから行うということであります。

 ただ、一言申し上げておくと、なかなか政治的には難しいところもあって、だからこそ、これは自公政権においても凍結ということで来たんだと思います。それはいろいろな影響を受ける方々も多いわけですから、そこに対する配慮ということも必要になります。

 しかし、そういう中ではありますが、私は、タイミング的にも、来年度予算に向けてきちんと決めたいというふうに思っております。

 委員、もう一つ、年金の話がありまして……(小泉(進)委員「それは次にやります」と呼ぶ)はい。それでは、年金は年金でまた申し上げます。

小泉(進)委員 一割から二割に戻すという意味では、副総理と同じ思いを持っているということは三月からわかっていることなんですが、それならなぜできないのかなんですよ。

 しかも、仮に今の副総理の思いがかなって一割から二割にするとしたら、来年の四月からそうなる。そうすると、今、十一月ですから、もう余り時間もないですよね。やはり、新たな体制に、新たなあり方にするのであれば、早く決めて早く周知するにこしたことはありません。

 これは二千億円ですよ。巨額ですよ。法律の改正も要らない。これは、やはり今回でしっかり決着すべきじゃないですか。そういったことを厚労大臣としっかり話して、与党の意思としてこれはやるべきじゃないですか。

 これは、さかのぼっていけば、自公政権で凍結したんですよ。そういった反省も踏まえて、政権交代の意義というのは、いいものは継続すればいいけれども、やるべきことをやらずに来たところは、政権交代の一つの意義として変えていけばいいじゃないですか。

 団体の圧力ですか。いろいろな思いはあると思いますよ、圧力も。私だって、三月から質問したら、一気にそういう反発が来ますよ。でも、それを恐れていたら何もできませんよね。

 しかも、今回、これから社会保障でやらなきゃいけないこと、消費税の増税、一つ一つの弾を見ていくと、この七十歳から七十四歳の特例を外すということは、やって当たり前のことじゃないですか。

 こういった一つ一つのことをやることで、政治勢力としては数が小さい若い世代が、声は小さいけれども、ちゃんと将来のことを考えてくれているんだなという政治不信の払拭にも、地道だけれども、つながっていくんじゃないですか。

 大臣、厚労大臣と協議をして、決着を早急に図るべきじゃないですか。いかがですか。

岡田国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、来年度予算編成過程の中でこれはきちんと議論して結論を出さなければいけない大きな話の一つであります。

 ですから、どこかのタイミングで当然そういうことを行わなければなりません。散発的にではなくて、幾つかの大きな課題、全体としてパッケージの中で議論しなければいけない問題ではないかというふうに思っております。

小泉(進)委員 どこかのタイミングでと言いますけれども、これはもうどこかのタイミングをはかっていたらできませんよ。これはもう今国会中に答えを出すべきじゃないですか。いかがですか。

岡田国務大臣 政府の予算編成プロセスというのがありますので、そういう中で、その流れの中でしっかりと議論して結論を出したいというふうに思っております。

小泉(進)委員 副総理はさっきからずっと、これに関してはやるべきだという論者だと自分もお認めですよね。なぜそれができないんですか。三月、野田総理も前向きでしたよ。そのときの厚労大臣も前向きでしたよ。総理、副総理、担当大臣がやるべきだという思いが、なぜできないんですか。

岡田国務大臣 できないということではなくて、この大綱の中にも、二十五年度予算編成に当たってそれを検討するというふうに書いてありますので、議論するタイミングというものがあるということであります。

小泉(進)委員 それは当たらないと思いますね。議論するタイミングなんて、今までさんざん議論してきたじゃないですか。もうタイミングは議論のタイミングじゃなくて、決断のタイミングですよ。

 さっき副総理もうなずいていたように、この措置というのは別に新たな法改正も何も要らないじゃないですか。次の補正予算、いつになるかわかりませんけれども、その補正予算に二千億は出しません、これだけじゃないですか。

 議論のタイミングは終わっていますよ。まだ議論するんですか。

岡田国務大臣 先ほどちょっと言いかけたんですが、もう一つ、年金の話もあるんですね。(小泉(進)委員「すりかえないでください」と呼ぶ)いや、すりかえるんじゃなくて。

 いずれも、これは国民の皆さんにある意味では負担をお願いする話ですから、そういうのを全体として考えて、どういうふうにしていくか、そういう議論をどこかで行わなければいけないということであります。

小泉(進)委員 それは、負担の話というのはわかってやっているんです、私も。それは消費税の話も負担ですよ、これから八%、一〇%になる、その負担もわかっているけれども、もう負担を避けた議論なんて、到底、今の日本、できるわけがないじゃないですか。いや、これは負担の話だから、まだ議論をしましょう、議論をしましょうといったら、永遠に先送りですよ。だからこそやらなきゃいけない。

 それに、このまま放置していたら、一割から二割に戻すかどうかどころか、さらなる負担になるんじゃないですか、どんどんツケがたまって。これは社会保障担当の副総理が誰よりもおわかりだと思いますよ。実は、これからの社会保障費の増大は、年金以上に医療と介護が問題だ。それをどうやって考えるのか。こういう、できるところ、予算措置の一つでできること、ここからやるべきだと思います。

 今国会で速やかにやること、その決意はいかがですか。

岡田国務大臣 これは、ですから、国会というよりは政府の意思決定の話でありますので、予算編成作業を今やっておりまして、そのプロセスの中でどこかで、この問題を含む幾つかの社会保障を取り巻く重要な問題について、きちんと決めなければいけない。ですから、先送りしているのではなくて、来年度予算についてどうするかということについて、きちんと決めなければいけないということを申し上げているわけです。

小泉(進)委員 では、決めるということでよろしいですね。確認をさせてください。

岡田国務大臣 ですから、その決めるということは、私は、これは当然、本則に戻すべきだというふうに考えているわけですが、政府の中でそのことについてきちんと議論をして結論を得なければならないというふうに考えております。

小泉(進)委員 だから、議論はしてきたじゃないですか。その上で、もうあとは決断のタイミングだけという環境じゃないですか。まだ議論をしたいんですか。副総理、何で、これだけ副総理はやらなきゃいけないと思っているのに、その一言が言えないんですか。やります、もしくは、やりたいからその件について厚労大臣と議論をしますと。言えませんか。

岡田国務大臣 これは来年度予算編成に関する話ですから、どういうタイミングでやるかということは、ここは政府にお任せいただきたいというふうに思います。

小泉(進)委員 さんざん任せ続けてきて、何も動いているのを見ていないんですよ。だからそうやって言っているんですが、今の答弁を聞いていても、これはまた先送りですね。恐らく、そういった負担の話というのは次の政権が全部片づけてくれればいい、そういうふうに思っているのかもしれませんが、この特例を解消して二割に戻すというのは、負担の話はこれだけにとどまりませんよ。避けられない問題は多くありますよ。

 その中で、いまだに議論がまともに始まっていないのが、さっきからさんざん副総理が話したがっている年金の話です。

 これも、きょう話したいのは年金の支給開始年齢の話ですが、私は六十五歳では無理だと思います。引き上げるべきだと思います。そして、その引き上げは大変だから、時間もかかるから、一刻も早くこの議論を始めるべきだというのが私の考えです。副総理のお考えはいかがですか。

岡田国務大臣 これも、閣議決定した大綱の中で、「中長期的課題として、支給開始年齢の在り方について検討する。」ということで、中長期的課題というふうに位置づけております。

 現在、その六十五歳までの引き上げが進行中であります。どこかではきちっと議論しなければいけないと思いますが、もう少し時間をかける必要があるかなというふうに思っております。

 一つは、やはり六十五歳にしたときに雇用がきちんとついてくるという前提で議論されているわけですが、まだ今は六十歳で、再来年六十一歳になるわけですから、そういうことで、体制がどのぐらい整ったかということを見定め、そして六十五歳をさらに例えば六十八歳とか七十歳にしようとするときにきちんと雇用がついてくるのかどうかということについて、ある程度見通しを持たないと、やはりその間無収入というわけにはいかないと思うわけです。

 したがって、少しここは時間をかけて議論すべき話ではないかというふうに思っております。

小泉(進)委員 今、日本というのは、二〇二五年まであと十三年間ですか、あと十三年かけて六十五歳へ引き上げる過程にありますよね。女性は二〇三〇年まで。ただ、今の日本の置かれている構造的な問題、人口も減るし、少子高齢化も進む、高齢化比率は世界で一番高くなる、そういったことを考えると、これは、今副総理がおっしゃった六十五歳での雇用のあり方、ここに本当に深くかかわってくると思うんです。

 なぜかというと、日本というのは世界で一番長生きできる国で、今後を見通しているいろいろなシナリオが出ていますね。社会保障・人口問題研究所だったり、イギリスの「エコノミスト」だったり、経団連だったり、また国連の人口基金だったり、いろいろなところが二〇五〇年、六〇年のシナリオ、シミュレーションを出しています。将来のことなんて三、四年後もわかりませんけれども、少なくとも不可避なのは、日本は人口は減る、少子高齢化は進む。その中でどうやって社会保障の持続可能性を担保できるのか。これは、どのように未来が変わっても、変わることのない未来だと思います。

 その中で、今の日本の年金の支給開始年齢というのは、これから二〇三〇年にかけて、あと十八年間かけて、男性も女性も六十五にしていく。十八年かかるんですよね、そこまで行くのに。

 一方、ほかの先進国を見てみると、例えばアメリカ。今、支給開始年齢は六十六歳、二〇二七年までに、これを一歳引き上げて六十七歳にします。イギリス。女性は二〇二〇年までに六十五歳に引き上げて、さらに、二〇二四年から二〇四六年にかけて男女ともに六十五歳から六十八歳に引き上げるんです。二〇四六年にかけてですよ。つまり、六十五から八に、この三歳上げることに、今から数えれば三十四年ですか、かけるわけです。ドイツ。今六十五歳ですけれども、二〇一二年、ことしから二〇二九年までに六十七歳に引き上げるんです。これも、ことしから十七年間かけて二歳引き上げますね。

 今紹介したアメリカ、イギリス、ドイツ、全部、日本の平均寿命ほど平均寿命は長くないですよね。だけれども、年金の支給開始年齢は日本よりも遅くするんですね。日本は一番長生きする国だけれども、年金の支給開始年齢は、今のところ六十五歳で議論は打ちどめ。これは本当にこのままもつのかと冷静に考えたときに、私は、もつわけないと思っている人がほとんどだと思いますよ。だけれども、何となくみんな見たくなくて、議論すると大変だから、ちょっと今、パンドラの箱をあけたくないから議論をしていないと思うんです。

 このように、二、三歳上げることでさえ、平均すれば約二十年かけているんですから、今から議論をしたって、それが適用されるのはそれだけ後のことですよ。だから、今すぐ議論を開始しなきゃいけないというのは、私はそういう思いなんです。

 これは、かつて年金の制度ができたときはよかったかもしれませんよ。二十歳ぐらいまで社会に出るまでの期間があって、その後、大体その当時でしたら、定年だったら六十歳いかないぐらいでしょう。約三十年ちょっと働いて、その後、平均寿命を全うする十五年、二十年。そういった二十年、三十年、十年か、もしくは二十年という、そういったライフサイクルがありましたね。

 でも、今、今後長期的に見れば、女性は九十歳、男性は八十五歳ぐらい。そうなったときに、社会に出るまで約二十年間。働く期間、今のままだと約四十年。六十五歳から平均寿命を全うする、九十歳、二十五年間、約三十年。これはどう考えたって、ただでさえ財政がこれだけ悪化している中、もつわけないですよね。これは今すぐ議論を開始すべきテーマじゃないですか。

岡田国務大臣 委員の御指摘、私、かなり共有するところはあるんですけれども、ただ、だからこそやはり年金制度をどうすべきかという議論をやるべきだと思うんですね。国民会議というのはそのためにも設けられたというふうに思います。

 我々は抜本改革ということを主張し、そして、自民党や公明党は現在の制度を改善すること、それから、みんなの党は積立方式ということで、それぞれ意見は違います。そういうことについて、やはり国民の前でしっかり議論をして、どうあるべきかということを議論して結論をもう出さなきゃいけない時期だと私は思います。

 いつまでも年金がお互い選挙のときの争点になっているというのは不幸な姿で、やはり、本気になって議論して、党利党略を離れて国民の立場でどういう年金制度が現実的か、あり得るのかということをきちんと議論すべきだというふうに思っています。

 それから、さっき、将来のことについて、つまり、六十五歳以降のことについて今議論すべきだというふうに委員はおっしゃいました。そういう議論も含めて私はこの国民会議で議論すべきだというふうに思いますが、実は、この六十五歳にしたとき、私、当時の厚生委員だったんです。その当時思ったのは、なぜ十五年もかけて六十五歳にするのかと。その間、スタートするまで時間もあるんですけれども、三年に一年ずつ遅くしていくということがいいのか、それとも二年に一年ずつとか、もう少しそのタイミングを早めるという選択だってあるんですね。つまり、六十五歳をさらに遅くするというよりは、そのタイミングを早めることで収支を改善するというか、持続可能性を確保するという考え方もあります。

 そういうことも含めて、私は、率直に専門家を交えて議論すべき話ではないかというふうに思っています。

小泉(進)委員 今の副総理の最後の部分、今、三年に一歳上がっている日本の支給開始年齢の引き上げのスピードを速めるという議論もあるというのは、二〇二五年までに男性は六十五歳、二〇三〇年までに女性は六十五歳、これをタイムスケジュールを前倒しという、そういった考えですか。

岡田国務大臣 これは政府でそういう議論をしているということではございません。私の個人的な考え方として、そういう選択肢も含めて幅広く議論してみたらどうなのかというふうに私は思っております。

小泉(進)委員 今のは副総理としての考え方ではないんですか。

岡田国務大臣 前もそういうことで小泉委員に大分問い詰められた記憶がありますが、副総理の意見ではありません。ただ、そういう意見も私は存在すると思いますので、いろいろな意見について議論してみたらいいということで、そういう趣旨で申し上げたところでございます。

小泉(進)委員 個人的な意見を言うことは否定しませんが、全部そうやって個人的な意見で逃げられると、これは私の一人だけの思いですからで副総理として座っていられると、何が本当かわからないので、はっきりしてほしいと思うんです。

 今副総理が言ったこのスケジュールの前倒し、さらっと言いましたけれども、これは大変なことだと思いますよ。

 もう既に、二〇二五年男性、二〇三〇年女性、これの前倒し、二〇二五年がいつに前倒しになるのか知りませんが、その議論を副総理として投げかけたというのも、私は一つの大きなメッセージだと思います。それも国民会議で扱う予定ですね、副総理。

岡田国務大臣 委員と議論していますと、委員は若いですし、私もなるべく率直に、少し今の立場を踏み外してでも議論したいなという気になってきますのでちょっと申し上げましたが、もちろん、政府として今そういうことを何か正式に申し上げているということではありません。

 ただ、国民会議というのは学識経験者が中心になって議論する場ですからそういう議論が出る可能性はあると思いますが、今政府としてそういうものを推し進めるとか、そういうことで言っているわけではありません。

 いずれにしても、政府として決めているのは現在のスケジュールであり、そして六十五歳までということですが、それ以降どうするかということについて、いろいろな考え方がこれから議論されていくんだろう、そういうふうに思っています。

小泉(進)委員 いや、若いと立場を踏み外してでも議論をしたくなると言っていただけるのはありがたいことなんですが、立場を踏み外して発言をされては、そこの席にいる意味はないと思います。それは、副総理という立場を踏まえた発言だから、そちらの席にいるんですよね。今の議論は、副総理として確固たる意思を持って前倒しの議論を始めたいんだと。

 若くない質問者だったら今の発言はしなかったんですか。

岡田国務大臣 前倒しの議論を始めたいということではありません。さまざまな議論があり得るということの一例として申し上げたところであります。

 もちろん、副総理としての私の答弁でありますが、決まったことだけ議論するのなら国会の議論というのは深まりませんので、そこは私の責任でさまざまなことを言うことは、それはお許しをいただきたいというふうに思います。

小泉(進)委員 何か副総理の発言を聞いているのか一議員の発言を聞いているのかわかりませんが、とにかく副総理は社会保障の切り込みを本音ではかなりやりたいんだということはわかりますよ。だけれども、残念ながら民主党からはそれが出てこないんです、社会保障の切り込みが。これは不可欠なんですよ。これを避けて社会保障の税・社会保障一体改革なんかあり得ませんよ。

 だから、当時、前総理の菅総理が三つの効率化と言ったときに、すぐにその効率化の文言が変わった経緯がありましたね。私は、あれはあのままだって構わなかったと思いますよ。絶対避けて通れませんから。

 年金の話をしていると、これはかなり大きなテーマですから、もう時間もだんだん進んでいますから……(岡田国務大臣「ちょっといいですか」と呼ぶ)それでは。

岡田国務大臣 さっきから言いそびれていたんですけれども、年金の二・五%特例水準の是正の問題、これは、我々として、政府として法案を既に国会に出しております。いろいろな理由があって、これはまだ審議されるに至っていないんですが、これこそ私は急いでやるべき話というふうに思うんですね。

 ぜひ、小泉議員も同じ意見だと思いますが、党の中でも大いに議論していただいて、この国会で成立させることができるようにお願い申し上げたいというふうに思っております。

小泉(進)委員 最後にそういう特例水準のお願いをされましたが、お願い事をするんだったら、うそつきと言われないように頑張っていただきたい、それを副総理から総理にお伝えをいただきたいと思いますね。

 次に行きます。

 総務大臣、お待たせしました。

 きょう総務大臣にお聞きをしたいのは、国家公務員、地方公務員の給与格差、この逆転の話ですね。これは、後ろに武正財務副大臣がいらっしゃいますけれども、財務省の方から出たデータであって、それに対して総務大臣は不快感、憤りに近いと言っていましたけれども、まず、このデータの受けとめをお願いします。

樽床国務大臣 まず、質問に率直に、端的に答えますと、財務省の一つの審議会の検討されている内容ですよね。そういうものをあたかも政府の意見のようにして、これはマスコミが報道されたわけでありますが、しっかりとした、先ほどおっしゃったように、我々の政府として、岡田副総理に、副総理としての立場なのか個人の立場なのか、こういうことで、副総理の立場でしっかり答えてほしいということでありました。ですから、私も、政府の立場からすると、そういう土俵の違うようなデータで議論することは適切ではない、このように思っております。

小泉(進)委員 武正副大臣、いかがですか。

武正副大臣 小泉委員にお答えいたします。

 今御指摘の点につきましては、十一月一日の財政制度審議会で、今、二十五年度予算編成に向けまして各分野の課題について審議をいただいておりまして、その中で、議論の参考として、平成二十四年度における国家公務員と地方公務員の給与水準を比較したラスパイレス指数を財務省において試算をし、審議会に提出したものでありまして、審議会において議論がなされたと承知をしております。

 地方公務員の給与水準は、各自治体において、各地域の民間給与水準や国家公務員の給与水準を踏まえて自主的に判断されるべきものである一方、十一月一日の審議会では、地方交付税により地方公務員の給与をどの水準まで財源保障すべきかという観点からの議論が行われたと承知をしておりまして、こうした点も考慮しつつ、今後、予算編成において適切に対処してまいりたいと思っております。

小泉(進)委員 行革担当でもある副総理はいかがですか。

岡田国務大臣 ラスパイレスの話ですね。

 政府としては、一定のルールに基づいてそういう数字を計算しているわけですが、地方には地方のいろいろな御意見もおありのようですから、なるべく共通の基盤に立った議論ができるような、そういうすり合わせというのは必要なのではないかというふうに思っております。

小泉(進)委員 樽床総務大臣は、十一月二日の記者会見、この今回の財務省が出したデータに対してこういうふうに言っていますね。臨時的な措置の数字と通常の数字を並べて議論するのはけしからぬと。

 この臨時的な措置の数字というのは、樽床総務大臣の意味するところは、七・八%、震災対応で、二年間時限で国家公務員の給料を下げている。この二年間の時限のものと恒久的に努力をしている地方公務員の水準とを比べて、地方公務員の方が高いから地方公務員も合わせて下げなさいというのは、そんな臨時的なものと恒久的なもの、ふざけるな、そう言いたいんだと思いますが、そういった感想ですか。

樽床国務大臣 御説明ありがとうございます。

 結論としては、そのとおりであります。

小泉(進)委員 だとすると、同じく恒久的な数字を並べればいいんですよね、この二年間に時限を区切らないで。

 だから、私、この二年間の震災対応の国家公務員の七・八%の給与カットも、名目として震災対応とついているのであれば、震災対応なんて、復興まで、これは宮城県、岩手県、八年から十年ぐらいだと言っています、福島県、廃炉まで何年かかるか、そう簡単に見通せませんね。そうすると、国家の財政のことも考えると、この二年の時限ということすらももう一度考え直して、国としての意思を示して、まさに総務大臣おっしゃったように、同じ土俵の数字を用意して、国としてまず意思を示すべきじゃないか。そういう議論というのはされないんですか。

樽床国務大臣 今の小泉委員のお考えは一つの考え方であるということは、私は理解をいたします。

 この二年間に限って平均して七・八%を引き下げた、これは皆さんが合意していただいて、さきの通常国会で通していただいた。これを、その二年の後をどうするかということについては、まだこれから国会の中で議論をいただくことであるというふうに思っておりますが、小泉委員の、一議員の御意見として、この二年間を継続すべきであるという御意見だというふうに承りましたが、それは一人の御意見として私は全く否定するものではないというふうには思っております。

小泉(進)委員 樽床総務大臣が、総務大臣として、地方の努力をないがしろにするような議論は許さぬという思いはわかります。ただ、これは、副総理も記者会見で言っているとおり、地方によってでこぼこがあるのも事実なんですね。頑張っているところ、また、そうじゃないところ、もう少し頑張ってほしいところ。

 今回、このラスパイレスの国と地方の給与格差逆転という現象が出たときに、やはりこれから考えなきゃいけないのは、交付税のあり方もそう、そして給与水準がどうあるべきなのか。一つ一つの役所の専門職とか警備員さん、運転手さん、電話交換手さん、今回、財務省がデータを出しましたけれども、明らかに民間より高いですよね。

 そういったことをこれからどう考えるか。これを議論して、今の国家の財政を考えたときに、交付税を出さないとやっていけないところばかりですからね。総務大臣として、地方は頑張っているんだということだけじゃなくて、やはり努力を促すような議論をしていただかないと、俺たち頑張ろう、そういうインセンティブが地方に湧かないんじゃないですか。地方をバックアップする思いはよくわかりますが、地方にさらなる改善努力を促すような、そういった大臣の発言も私は必要だと思いますが、いかがでしょうか。

樽床国務大臣 今おっしゃいましたように、まず、地方自治体の中ででこぼこがあることは事実であります。

 端的に言いますと、千七百以上の自治体が我が国の中に存在をいたします。千七百以上の自治体が金太郎あめのように全て同じようなパフォーマンスができるかということになりますと、例えば東京と、私は住まいは大阪ですが、生まれましたのは島根県の山奥でございますけれども、こういったところと同じような境遇にない。ですから、地域のいろいろでこぼこがある。その中でも、私どもとしましては、七・八%、国家公務員の給与の削減が通りましたときに、地方もそれぞれの御努力で頑張ってもらいたいということははっきりお願いをしているわけであります。

 ですから、千七百以上の自治体ということを考えますと、私は、結論としては、いかに地域主権を強めていくかということに最終的にはなっていくだろうというふうに思っております。

 地域主権ということは、要するに責任を持つということでありますから、厳しい現状を自分たちの力で乗り越えるという決意があって初めて地域主権が成り立つわけでありますから、現場を一番よく知っている、そしてそれぞれの自治体の懐ぐあいもよくわかっている、そういった基礎自治体が大きな権限とそして責任を持って運営していく、そういう地域主権が大きく進んでいくように私としては努力をしてまいりたいと思っております。

小泉(進)委員 民主党政権になってから、一丁目一番地というのはこの地域主権改革だということを言っていますが、この三年ちょっと見ていて、それが一丁目一番地だと思っている人はほとんどいないと思います。

 地方に任せるというのは、これは言葉としてはきれいな言葉ですが、現実を見ていると、それだけでは進まないことが多々あります。時にそれが地方から反発を食うこともあるかもしれませんが、やはり大臣として、国の立場として、言わなきゃいけないことは言わなきゃいけない。それを、これからもぜひ、地方だけに任せるんじゃなくて、大臣としてしっかりとした発信をしていただきたいと思います。

 長浜大臣、お待たせしました。

 今の、地方に任せればいいという言葉では進まないというのは、まさに、この福島県、この問題は国が力を入れて取り組まなきゃいけない大きな課題だと思いますが、私も、たびたび福島県に足を運ぶたびに痛感していることの一つは、国と福島県の信頼がない。そして、その信頼がないのはなぜかといったときに、私の中では、その一つの原因は、昨年の十二月の十六日に政府が出した収束宣言が一つの理由でもあると思っています。

 長浜大臣のこの収束宣言に対する考え方、捉え方、御披露していただければと思います。

長浜国務大臣 御質問ありがとうございます。

 確かに、先生がおっしゃられるような部分における、国と福島県、そして当該市町村との間での、難しいことを言うよりはまず信頼関係を確立しろという御指摘に合う場面がたびたびあります。

 そのときの中における十二月の収束宣言。確かに、炉の冷温停止状態、こういった部分と、私の意見を言えということであれば、まさにその部分は炉の部分におけるあのときの判断で、少なくとも私が担当しているこの仕事の中においての収束はなされていないので、まさに原発収束担当ということで仕事をさせていただいているというふうに思っております。

 そして、この問題は、特に、先ほどの竹本さんのときにもお話を申し上げましたけれども、それぞれの市町村において状況は違います。ですから、十把一からげというような言葉ではありませんけれども、被災地というような形で霞が関から見ているのと、その地域の中に置かれている状況は違いますので、私の立場からすれば、まだこの問題はとても終わらないという状況の中で日々仕事をさせていただいているところでございます。

小泉(進)委員 長浜大臣が就任後、たびたび福島県含め被災地に足を運んでいることは見聞きしております。その中でぜひ、原発担当大臣というのは福島担当大臣である、これは佐藤雄平知事の言葉ですけれども、同じく、そういう思いで福島県にしっかり向き合って取り組んでいただきたいと思います。

 これは福島民報のきのうの一面ですけれども、「除染作業員の不足懸念」、本当に大変だと思います。そして、これもきのうの発表ですけれども、東京電力が第一原発の作業員を実際の三倍の数字で発表していた。こういった原発に対する取り組みに不信感が出るのは、これを見ていても当たり前だと思います。ぜひそこは危機感を持って、福島県の皆さんが、国がしっかり向き合っている、逃げない、そういった姿勢を大臣のこれからの取り組みの中でぜひ福島県民の皆さんにお伝えいただきたいと思います。

 きょうは武正副大臣、先に出たかったのに、済みません、出ていいですよと言い忘れてしまいました。

 一時間、質問時間が終わりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

古川委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    正午休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

古川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。森山浩行君。

森山(浩)委員 民主党の森山浩行でございます。

 今月、十一月というのは、児童虐待防止のオレンジリボン運動、それから中旬からは女性への暴力防止のパープルリボン運動、この月間でもございます。私もきょうは二つのリボンをつけてまいりましたけれども、閣僚の皆さんの胸にもありますね。ありがとうございます。できるだけ、皆さんおつき合いをいただきまして、アピールをいただきますようにお願いをいたします。

 児童相談所の相談件数というのがあります。児童虐待防止法ができる前、平成十一年度には一万一千六百三十一件、これが五倍以上の五万九千八百六十二件というふうに近年ではなってきております。私自身も、地元の市議会それから府議会で議論をしてまいりましたけれども、いろいろな組織それから機関、この連携もよくなってきております。家の中に隠れておった虐待というものが表に出てくるようになったなという実感がございます。

 ただし、毎日のニュースでも、子供への虐待それから死亡、こういった事件が報じられており、もう少し早く気がつけばというケースも後を絶たないというのが現状でございます。

 隣の親子が気になると思っても、通報するというのは密告をするみたいでどうしても気が引けるというためらいや、あるいは、親自身が育て方がわからない、いらいらする、こういったことを相談しようと思っても、自分だけが特別だめな親なのではないか、あるいは、自分の親であるおじいちゃん、おばあちゃん世代からすると、しっかりしろよ、こういう無言の圧力を感じる、やはりためらいを感じる方が多い。こういうふうなケースもあるかと思いますけれども、これは厚労省さん、どのような工夫や呼びかけをされておりますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 児童虐待を防止いたします上で、子育ての悩みを抱えておられる御家庭、あるいは虐待を懸念しておられる近隣の方々、こういった方々に相談しやすい環境を整備するということは大変重要なことであるというふうに考えております。

 このため、児童相談所でございますとか福祉事務所、保健所それから市町村の御担当など、身近な相談窓口を幅広く設ける、こういった取り組みとともに、生後四カ月までの乳児がいらっしゃる全ての御家庭に訪問いたします、いわゆるこんにちは赤ちゃん事業、こういった形で御相談に応じることも推進しているわけでございます。

 とりわけ、児童相談所の全国共通ダイヤルというものを設定いたしておりまして、これは相談者がどの地域におられましても、全国共通の番号をかけていただくことによりまして、管轄をする児童相談所に電話がつながって相談に応じる、こういった仕組みを設けているわけでございます。

 この全国共通ダイヤルにつきましては、とにかくできるだけ多くの方々に知っていただくということが大事でございますので、例えば名刺大のカードをつくって全国に配布する、こういった取り組みなど、さまざまな形で周知、広報に努めているところでございます。

 先生御指摘のように、今月、児童虐待防止推進月間でございますので、この機会を捉えまして、この問題に対する理解の促進が図られるように、地方自治体あるいは関係団体と一緒に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 形としてまず一つ、ダイヤルの番号、〇五七〇―〇六四―〇〇〇、こういうものをつくっていただいているというのは評価ができるものだと思います。

 ただ、枠組みをつくるということと、相談しやすい環境、あるいはメッセージをどう出していくかということは、これは並行して行っていかなければならないことだと思うんですね。

 先ほど言いました、隣の人を通報するというのはちょっと密告をするみたいで嫌だなというような思いを持つ方に対して、いや、むしろ、通報するということは、もちろん子供もですけれども、親自身も助けることになるんだよというようなメッセージの出し方をする。あるいは、私たちの世代はきちんとしていたのにというおじいちゃん、おばあちゃん世代。そのころには、一緒にさらにおじいちゃん、おばあちゃんが住んでいたかもしれない。また、社会の中でも、隣近所で助け合いができたかもしれない。そういった社会の変化、現在困っている人たち、現在虐待に走ってしまう親たちの環境というのが、本人の責任という部分のほかに社会全体の構造というような部分もあるんだよ、しっかり相談をすることが問題の解決につながるんだよというようなメッセージが出していただけたらなと思うのですけれども、この辺、いかがですか。

鈴木政府参考人 まさに虐待が潜在化しないように、まず相談する方が気軽に相談できるということが大事でございますので、ただいまの防止推進月間、これを通じて、いろいろなポスター、あるいは自治体の呼びかけ等もいたしておりますし、それから、先ほど申しましたこんにちは赤ちゃん事業で、待つことなく、行政の方から出ていって問題を発見するというような取り組みもやっております。

 引き続きこういったことに全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 そうですね。本当に、子供は親を選べませんし、また、環境というので、大変な苦労というのもかかってくる部分もあるかと思います。ぜひ、攻めていく、しっかりと把握をしていくというようなためにも、よろしくお願いをしたいと思います。

 また、今月十二日からは、女性に対する暴力をなくす運動、パープルリボンの運動ですけれども、ございます。ことしはどんな形でアピールを考えておられますでしょうか、中塚大臣。

中塚国務大臣 女性に対する暴力、これは女性の人権に対する著しい侵害でありますし、絶対に許されないものであります。最も卑劣な行為だと思っています。

 配偶者からの暴力対策、それから性犯罪対策など、女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて、政府全体として取り組んでおるところであります。

 今、先生から御紹介がございましたとおり、十一月の十二日から二十五日までの間を、女性に対する暴力をなくす運動の期間と定めておりまして、地方公共団体や民間団体と連携協力をして、より広く意識啓発を図っていこう、そう思っております。

 本年度は、内閣府で、国民各層に広くアピールするための象徴的な取り組みとして、この運動のシンボルはパープルリボン、先生にもおつけいただいております。このパープルに合わせまして、運動期間の初日ですが、十一月の十二日、東京タワーをパープルにライトアップを行うということを予定いたしております。また、全国八都市においても、各地域のランドマークに対しましてパープルへのライトアップが行われる、そういうふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、そういった取り組みを通じ、より一層の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 東京タワーをライトアップする、また全国八カ所でライトアップをするということで、まず、パープルという色が女性への暴力を防止するためのイメージカラーなんだというようなことをしっかりとアピールをしていきたいと思うわけです。

 ちょうどこの時期、国連のUNウイメン、私の地元の堺市には日本事務所がありまして、市を挙げて応援をしているわけなんですが、事務局長であります前チリ大統領のミチェル・バチェレさんが来日をされる予定と聞いております。さまざまなイベントや、あるいは講演などで、暴力の問題、これはもちろんなんですが、さらに、大臣の御所管でありますけれども、男女共同参画全体、この分野では、特に日本というのは決して褒められた成績を上げておりません。この状態、これを何とか日本の中でアピールしていくチャンスにしていただきたいと思います。

 女性問題は、男性の意識の問題というのが半分、もしかしたら半分以上あるのではないかと私は考えております。しっかりとこれはアピールをし、そして意識の問題から変えていくというような形でお願いをしたいと思います。

 子供、それから女性への暴力、弱い者への暴力は決して許してはいけない。私自身も、また、それぞれの日本人一人一人が取り組まなければならない問題ですけれども、国としてしっかりと啓発に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 続きまして、先日、新宿区で「やまない雨」という自殺対策のミュージカルを鑑賞してまいりました。これは、内閣府の補助金の出ている事業でもありますけれども、サラリーマンが上司とそして得意先の板挟みに遭って自殺未遂を図るというストーリーなわけですけれども、うつ病は脳の病気である、あるいは心の風邪というのはほっておけば治るということではなくて、万病のもとなんだというようなことなど、広く伝えるべき基礎的な知識がせりふにも入っておりまして、もやもやした不安を感じている人が相談してみようかと思える内容だったと思います。

 これも自殺対策の一環ということなんですけれども、政権交代後、自殺者の推移についてお伺いをしたいと思います。

中塚国務大臣 我が国の自殺者数ですけれども、平成二十三年、昨年までということですが、十四年連続して三万人を超えるという、依然として本当に深刻な状況が続いている、そういうふうに思っております。

 ことしは低位で推移をしておるので、何とか三万人を切ることを目標に、これからも一生懸命努力をしていきたい、そう思っておりますが、いずれにしても、こういった状況を踏まえまして、ずっと高どまりしているという状況を踏まえまして、ことしの八月なんですが、自殺総合対策大綱の見直しを行いました。

 新しい大綱においては、自殺そのものに対する対応も当然のことなんですが、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すということ、これを副題、そして冒頭で明示したところであります。

 先ほど、先生が児童虐待のときにもおっしゃいましたけれども、やはりこういった課題は社会全体で取り組んでいかなければなりません。新たな大綱に基づいて、関係省庁や地方公共団体ともより密接に連携をしながら、自殺対策を強力に推進してまいりたい、そう思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 大きく変わったところということで、自殺に追い込まれることがない、これを表題としているということでございます。

 また、今回の改定の中では、オレンジやパープルのほかに、ホワイトリボン・キャンペーンというのもありまして、性的少数者の自殺しようとする率というのが高いというようなことも特出しでこの自殺の大綱の中に入れていただいております。

 やはり、一つの対策を打てばいいんだということではなくて、きめ細かく、いろいろな形、いろいろな入り口があるかと思います。これは、社会全体を元気づけていくためにも、この自殺の問題というのをいろいろな角度からきめ細かくつくり上げていくということでお願いをしたいと思います。

 中塚大臣、ありがとうございました。

 それでは最後に、国家戦略としての海洋開発についてお伺いをしたいと思います。

 日本のエネルギー政策において、天然ガスの重要性は大変高まってきております。私自身、カタールの議連の事務局長であったりとか、パプアの議連でも幹事をやらせていただいたりというようなことで、単価を安くということが大変重要なことだと考えております。

 アメリカのシェールガスも開発が進んでおりますけれども、調達先の多様化という中で、日本近海のガス田やメタンハイドレートの開発を進めることでさらに値段交渉のカードとなると考えますけれども、いかがでしょうか。

前原国務大臣 森山議員は今まで水問題に一生懸命に取り組んでこられまして、党内では水PTの事務局長として御尽力をいただいたことに感謝申し上げます。また、資源の問題についても熱心に取り組んでおられることもあわせて感謝を申し上げたいと思います。

 今おっしゃったように、特に原発がとまりましてから、天然ガス、LNGを含めての多様化というのは急務でございまして、また、価格をどのように下げていくのかということも大変重要なテーマでございます。その意味において、議員が御指摘をされたように、日本独自の天然ガス、つまりは、日本でいうとメタンハイドレートやガス田、こういったものを開発することは大変重要でございます。

 七年前だったと思いますけれども、超党派の議連で海洋基本法というのをつくりまして、私もそれにかかわりましたけれども、このときに一番重要視をしたのがメタンハイドレートでございました。何とかこれを実用化しようということで、百年分ぐらい日本の周りにあるのではないかと言われているわけでありますけれども、今まで取り組んできまして、平成三十年の商業化を目指して今取り組んでいるところでございます。何とかこれについては実が上がるように努力をしていきたいと考えております。

 それから、佐渡沖の南西でございますけれども、探査船「資源」におきまして、ガス田それから油田があるのではないかということで、来年の春先に試掘をして、そして何とか自前の資源をふやすという取り組みをしていきたいというふうに思っております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 メタンハイドレートも、またガス田、油田、こちらも試掘がスタートをしていくということなんですが、海底には、メタンハイドレートのほか、石油、石炭、レアアース、海底熱水鉱床、コバルトリッチクラストなど、さまざまな資源がございます。東部南海トラフのメタンハイドレートの試掘、これは実用化すれば世界で初めてになると思いますし、また、地球深部探査船「ちきゅう」、これの能力は世界のトップであると言ってもいいんじゃないかと思っています。また、最近、これまで公海だった大陸棚、ここに排他的経済水域が広がるというような形で、日本の周りの海、それから海底、非常に大きな動きがあるところでもございます。

 国家戦略大臣として、海洋政策の担当大臣を今回、前原大臣が兼務をされております。今まで国土交通大臣の兼務だったと思いますが、政権として国家戦略の中で海洋の重要性を示したものと私は考えておりますが、前原大臣の認識、それから抱負をお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 国土交通大臣を一年間させていただいたときに、海洋政策担当大臣を兼務させていただきました。そして、この問題の重要性は、今、森山議員がおっしゃるように、国家戦略として自前の資源というものをいかに開発するかということは大事なテーマでございます。価格で折り合うかどうかということは、商業化できるまでしっかりやった上で、商業化できるまで頑張って、そこで価格が合わなければ留保し、そして価格が折り合ったときに開発をすればいいわけでございますので、その準備をしておくということは大変重要なことだと思います。

 と同時に、先ほど議員が言及されたように、コバルトリッチクラスト、それから海底熱水鉱床、日本は、面積にすると世界で六十一番目ですけれども、排他的経済水域を入れますと世界で八番目か九番目の大変広い海洋国家になって、そのいわゆる大陸棚に眠る地下資源というものは豊富にあるわけでありますので、そういったものをしっかり、まさに議員がおっしゃるように国家戦略として開発に取り組むということが大事だと思いますので、しっかりとこれからもやらせていただきたいと思いますし、議員初め各位の御支援をよろしくお願い申し上げます。

森山(浩)委員 ありがとうございました。

 前原大臣にもパープルリボンをつけていただいております。しっかり頑張ってまいりましょう。よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、長島忠美君。

長島(忠)委員 自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは四十分間時間を頂戴いたしましたので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。特に官房長官、そして岡田副総理には、所管と違うところという意識があるかもわかりませんが、私は、やはり官房長官、官房を代表する者として、あるいは岡田大臣におかれましては副総理として、これからのあり方について率直にお答えをいただければありがたいな、そんなふうに思うところでありますので、ぜひよろしくお願いをします。

 鼻風邪を引いていて、ちょっと声が聞き取りにくい点は御容赦を願いたいと思います。

 間もなく東日本の大震災から一年八カ月が過ぎます。政府だけの責任だと私は言うつもりはないんですが、最近ちまたで我々の言われることは、なかなか被災地の進捗状況が目に見えないのではないか、どこか原因があるのではないかということを、私の地元でも聞きますし、被災地に出向いてもよく聞く話になってきました。私は、ここで、国会議員の一人として、ぜひ政府とも意見交換をして、意識を共有しなければいけないのだろうと思うんです。

 そこで、官房長官と副総理に、もしそういう国民の声にお応えをするんだとしたら、組織上に少し問題があるのか、あるいは制度上に問題があるのか、あるいは予算で問題があるのか、率直な感想として、今の現状をお話しいただければありがたいなと思います。

藤村国務大臣 被災地の復旧復興ということが政府の最重要課題ということには変わりありませんし、震災発生直後から、被災者の生活支援あるいは被災地の復旧復興というものに全力で当たってきたということではございました。

 そして、本年二月の復興庁発足ということから、復興庁が中心となって支援に取り組み、発災直後と比べれば、復旧復興に関する取り組みは相当程度進展しているということも一つ事実ではございますが、今、長島委員御指摘の、まだまだ政府の取り組みについて、迅速さを欠いている部分、あるいは必要な方々に支援の手が必ずしも十分に行き届いていない点、こういう御指摘もあることを十分承知しております。

 先般、十月十六日に開催をしたのですが、復興推進会議におきまして、これは新しい法律に基づく五百旗頭委員長にまた御就任をいただいて、そこからの中間報告を受けて、問題意識を共有したところでありました。今後の復興に向けた課題として、震災に向けた四つの重点課題というものをこの委員会からは御指摘をいただいています。

 一つが、住宅再建、高台移転の早期実現。それから二つ目に、復旧復興事業の加速化。三つ目に、生活復興から発展する地域包括ケアの推進。四つ目に、福島原子力災害からの復興。こういう四つの大きな点を政府に対して、これを具体的に検討し、そして加速化を図る、こういう御指摘もいただいているところです。

 今の御質問、どこにどう問題があるかというのは、どれにどんな問題、どれにどんな問題、やはりそれぞれにあると思います。そういうものが複合的にあると思います。政府としては、地道にそういうものを一つ一つ乗り越え、解消していくという姿勢が必要だと思っています。

岡田国務大臣 今の官房長官のお答えに尽きていると思いますが、政府、そして特に現場の職員の皆さんは懸命に取り組んでいると思います。

 ただ、これだけ大きな災害で、十分行き届かないところがあることは事実。そして、いまだに、かつて生活をしておられたそういったみずからの地域あるいは家に戻って安定的に生活することができない方がたくさんいらっしゃる状況ですから、いろいろな御批判、遅いとか十分でないという御批判が出るのは当然。そういった声に真摯に応えていくことが必要だというふうに思っております。

長島(忠)委員 率直な意見を聞かせていただいて、私は、この前、予算を流用したとかということを追及するつもりはないんです。国民目線で、被災者が、復興の予算をもっと被災地に向けてほしいという率直な願いだと思うんです。私も、国民の一人として、国会議員の一人として、まだまだやってほしいことがいっぱいあるのに、まだまだやれることがいっぱいあるのに、何でその予算が。それは、多分、日本の国の再生に必要だということは言われるんだと思うんですけれども、それよりも、我々は今、通常の生活を取り戻すためにまだまだ国から支援をしていただきたいところがあるんだという気持ちがあるときに、予算の使い方というものもやはり考えてほしいなと。

 そのために、二月に復興庁を設置するときに、多分官房長官も覚えていらっしゃると思うんですが、できたら復興庁に執行権限まで与えて、復興庁が現場の声で判断をしてすぐ使えることは、スピード感も、そして現場の要請にも応えられることになるんだということを、私も、我が同志からも、かなり多くの人から意見を言ってもらったと思うんですが、そういう国民の声がなかなか行き届かないという声に応えて、そのことを再考されるおつもりはありませんか。

藤村国務大臣 私も復興特にも所属をしておりまして、さまざまな御議論をいただいている中で、復興庁というものにとにかくワンストップで権限も予算も集約をして、特にまた、地方支局、支分局というんでしょうか、そういうところで、そこで本当にワンストップでやれるということが一つの理想である、それはそのとおり、私もその当時そう考えたこともありました。ただ、具体の事業をそれぞれやっていく上では、やはり日本国の旧来のさまざまな仕組みがある、これも利用すべきであるというのもまた一つの理屈であったというふうにも考えています。

 そういう意味では、その後、さまざまな御指摘をいただきながら、相当部分、復興庁で相当スピードアップしてできるようなそういう対策も徐々に講じてきていたり、福島における特に除染の問題なども、先般総理大臣の指示もありまして、これは長浜担当大臣ではありますが、本当に現地事務所が相当の権限と人を持ってちゃんとやれる、スピーディーにやれる、こういう体制も今一つのパッケージとして打ち出したところであります。

 予算につきまして、これは、復興基本法に定められた基本理念に沿った施策に対しての予算措置ということではございますが、一部、個別事業でさまざま御批判があるというのは今委員御指摘のとおりであります。

 今後、この国会での議論、それから行政刷新会議、これは岡田副総理担当ではありますが、その新仕分けなどにおいての議論などを踏まえて、その執行に当たってまず国民に誤解を招くことのないように慎重に対応することと、それから来年度の平成二十五年度予算の編成に当たっては、被災地が真に必要とする予算ということにしっかり手当てをして、それ以外についてはもう相当厳しく絞り込んでいく、こういう姿勢ではございます。

長島(忠)委員 そこで、岡田副総理に、新仕分けを来週末とおっしゃいましたかね、来週やられるということをさっきの答弁の中でもお聞きしましたけれども、ぜひ、申請をしたものが二段階、三段階を経ていくということではなくて、やはり被災地においては現場の近くでそのことは判断できるように仕分けの中で考えてほしいと思うんですね。

 特に基金事業なんかを、多分国は、一律に、やはり同じ環境でというふうに考えられるんだと思うんですけれども、岩手県、宮城県、または岩手県の中でも市町村によってはかなり環境も違って、地域を再生する、生活を再生するためには、多分、市町村長の思惑というのはかなり違う部分があるんだと思うんです。そこのところをかなえてやることによって復興が加速をしたり地域の再生がスムーズになるんだったら、余り、共用化ということを求めるところは求めるところ、そうではなくて、もっと個人的に再建をした方が地域の再生につながるところについては少し分けて考えるぐらいの柔軟さを持った制度あるいは組織に、新仕分けをやられるときに見てほしいなと思うんですけれども、いかがでございますか。

岡田国務大臣 来週新仕分けをというふうに思っておりますが、その中の一つの重要な柱がこの復興予算であります。

 ただ、ここで言う復興予算は、どちらかといいますと、本来の、被災地で使われている復興予算ではなくて、それ以外の、例えば全国防災という名前のもとで被災地以外で使われているもの、そういったものについての仕分けということでありまして、そこは、本当に被災地のためにより多くの予算がしっかりと使えるように仕分けをやっていきたいというふうに思っております。

 委員御指摘の点は、むしろ、今の被災地のために使われる予算の仕組みの問題だというふうに思います。

 今委員御指摘いただいた点も含めて、それは来年度予算に向けてさまざまな議論があり得ると思いますので、今の委員の御指摘についてはしっかりと受けとめさせていただきたいと思います。

長島(忠)委員 ぜひ、そこまで気配りをした新仕分けをしてほしいなと思うんです。

 私のところも、この前、十月二十三日に、災害から八年を迎えさせていただいたんです。最初、東北地方に地震があった後、私のところではこうだった、こうだったという話をよくしたんですが、あれもできた、これもできたという話を余りしてしまうと大変なので、最近、私は余りしないんですよ。それより、今回の被災地に向かって何が必要かという議論を実はしようと思っているんです。

 だから、私のところでできたと言うと、また何でそれができないんだという話になってしまいがちなので、それは地域の個性だとか地域の目的だとかによってやはり配分をすべきだという考え方をしようと思っているので、うちはこうしました、ああしましたと余り言わないようにしているんです。言うと、逆におまえのところでできて何でできないんだと言われがちなので、そこはぜひ御理解をいただきたいなというふうに思います。

 一つ、特に福島で、この前、総理が所信の中で、仮設の期限を延長しましたというお話をされましたよね。私も仮設住宅に三年二カ月入った者として、本当に仮設住宅二年を延長してもらったから仮設へ入っている人の心が休まるかというと、実は私はそうではないと思うんです。それは、生活再建に目標を持てることが、やはり仮設に入っている人たちの心を少し和ませることになるんだと思うんです。

 それで、私は率直なこととしてお聞きをしたいんだけれども、官房長官と副総理は、仮設住宅の中で生活する限界をどれぐらいだというふうに思っていらっしゃいますか。

藤村国務大臣 私も、阪神・淡路大震災の当時、まだ議員になったばかりではございました。あそこのケースは非常に早く、地域的な、都会であったり、それから住宅もさまざまあったということで、それほどの悲鳴がまだ聞こえなかったように何となく記憶をしています。

 ただ、今回の件は、二年延ばしたからそれでいいということではなくて、ある意味、仮設の皆さんがもうぼちぼち限界を感じていらっしゃるという一部の声も確かに届いていることは事実です。

 ですから、そのためにも、いわゆる防災集団移転促進という形で、今、高台移転も含めて、これが相当大きく進み始めているのは事実でございます。一応二百七十六地区想定されていて、そのうち、もう既に百六十六地区についてはほぼスタートができる、している、こんな状況にはなりつつございます。

 それからさらに、災害公営住宅整備事業というもの、これはちゃんとした、つまり仮設ではない、そういうところに早く移っていただこうというものについても相当、これは四十八市町村で進み始めてはいるということで、本当にできるだけ、あるいは一刻も早く仮設から抜け出せる、こういう状況をやはりつくっていく必要があると思っています。

岡田国務大臣 具体的な期間を述べるのは適切ではないと私は思いますし、それはちょっとわからないところもあります。ただ、やはり高齢化も進んでいますし、それから非常に厳しい寒さもございます。大事なことは、どこまで我慢すれば仮設を出てきちんとした住宅に住むことができるのかという具体的な見通しが立つことが今の困難を乗り越えることにつながる、そういうふうに思っております。そういう意味でも、さまざまなそういった事業が早く軌道に乗り、そして見通しが持てること、これが一番重要なことだと思います。

長島(忠)委員 官房長官、副総理から適切な答えをいただいたと思っているんです。

 そこで、私は、仮設の期限を何で二年に区切っているのかということを、自分で被災をしたときにこういう解釈をしたんですよ。行政は、二年以内に皆さんを仮設から生活再建してもらうために、一点は二年なんだと。もしそれができなかったら、二年以内に必ず、皆さんにいつになったらどうなるかという目標を示す期限が、行政に与えられた期限として二年なんだという私は発想をして、そういう説明を実はしておりました。

 今回の東北の被災地も、それは被害が甚大だったり大変な思いをされていることはわかるんですが、やはり、仮設の期限である二年を迎えるときに、さっき官房長官がおっしゃったように、高台移転、住宅再建ができるのはいつなのか、そのときはどういった形でコミュニティーが取り戻せるのかということを、総動員をして、二年以内に仮設住宅に暮らしている人に伝えてもらいたいと思っているんです。

 人間、幾らつらくても、目標や希望があったら支え合って生きていけると思うんですよ。ただ、目標がない、ゴールのないマラソンみたいなところを走らされると、だんだんだんだん疲れてしまって、ストレスがたまったり、いろいろなことで希望をなくしてしまうんだと思うんですよ。だから、まだ三カ月あるわけですから、その間にきちんと、皆さんはいつ、どんな形で生活再建ができるんだという話をしてほしいと思うんです。

 今、被災者公営住宅とか再建住宅とかいろいろ話はあるけれども、私は、災害復旧の目標は自立をしていただくことだと被災者に話をしていました。できるだけ自分の力で再建できるように行政が手助けをするから、やはり自立をしてほしいということだと思うんです。だから、そんなことを踏まえると、何とか二年ぐらいで目標を示してほしいなという思いがあります。それに対してコメントをいただきたいんです。

 もう一点。福島は特殊な例があって、新潟にもかなりまだ避難者が来ております。一番私が心配なのは長距離避難、それと分離避難。

 つまり、奥さんと子供さんは新潟市なり長岡市に避難をしている。旦那さんは仕事をするために福島県で暮らしている。場合によっては、おじいちゃん、おばあちゃんも旦那さんと一緒に暮らしている。これが長くなれば長くなるほど、やはり行ったり来たりすることに時間がかかったり思いのすれ違いから復興は、例えば、福島県内に戻りたいのに、では新潟県に行くとか、いろいろな形が生まれてくると思うんです。だから、遠距離で避難をしている人たちをどう支援していくのかというのもこれからやはり大きな課題だと思うんですよ。

 その二つのことについて少し意見を聞かせていただければありがたいと思います。

藤村国務大臣 まず、自立をするというときにやはり重要なのが雇用という問題、今御指摘もありました。戻ってきちっと仕事があるという状況を、これはまた雇用の促進ということでつくっていかねばならない。沿岸部では、前々年と比較しても、有効求人者数が増加はしているもののまだまだ厳しい状況であります。そういう意味では、やはりこの雇用という面にスポットライトを当てて重点的に支援をしていく必要があるということ。

 それからもう一つ、見通しの話ですが、先般、先ほどちょっと御説明しました復興推進委員会の中間報告が出ましたが、そこで五百旗頭委員長からも、その委員会から、先ほどちょっと御説明したような内容の中に、住宅復興に係る工程表の可視化、見えるようにしてくれと。つまり、工程表をきちっと出して、自分のところはこの辺になればいよいよ高台移転なりその他の住宅に移れるような、そういうものをきちっと政府が示しなさい、こういう御指示でございますので、これは早速に取り組み、やっていかねばならないと思っています。

長島(忠)委員 その工程表というのは、いつごろを目標に今立てられているんですか。

藤村国務大臣 これは、先般、九月に出された中間報告でございましたので、本当に急いでやるべきであって、今、来年の三月ということを一つ想定されていると思うので、私は本当にそのくらいまでに出すべきだと思っています。

長島(忠)委員 私が失敗したことを一つだけお話しします。

 私は、避難をしてからずっと、できるだけ早くという言葉しか使わなかったのです。できるだけ早く。今、官房長官がおっしゃったのと同じ。そうしたら、私は、毎日村民のところに通えないので、ノートを置いておいて、何かあったら書いておいてくれ、返事を必ず書くからというノート、約束のノートがあったんです。できるだけ早くという言葉ではうちの災害でも理解してもらえなくて、三週間ぐらいたったときに、こう書いてあった。何の目標も示さないで、何を頑張ればいいんだ、ばか村長と書いてあった。

 だから、住民にとって、被災者にとって、目標がどれほど大切なものかということはぜひ受けとめていただいて、今の計画も、できるだけ早くという言葉ではなくて、例えば一月末にまとめる目標だったら、審議会や委員会にハッパをかければいいわけだし、専門家を動員すればいいわけだから。被災者にとって、やはり内閣官房はもうどんなことがあっても十二月中に俺たちの目標を示してくれるんだ、一月末には示してくれるんだということが一つの目標になるんだと思うので、ぜひ、私が失敗したように、できるだけ早くという言葉は、それぞれ皆さん、大臣は余り使わないようにしていただきたいかなというふうに思います。

 いっぱい聞きたいことがあるんですが、さっき午前中の質疑の中で、全く違う観点なんですが、個人情報保護法という議論をされていましたね。実は、被災地にとって、個人情報保護法の壁で、コミュニティーの全員の安否がなかなか確認できなかった事例を、私、ずっと東北を歩いていてかなり多く聞いているんです。最たるところは、一カ所、ことしの七月かな、私が行ったときに、個人情報保護法の壁があって役所が教えてくれないので、自分たちが町内会や親戚のつてを頼って町内の名簿をやっと確認できたというところがあったんです。

 だとすると、地域が再生の相談をするためには、やはり住民主体の相談がなかなか始められないですよね、みんな確認できていないと。そこのところは、被災地の防災組織の約束事の中で、少し個人情報保護法の壁を破るとかということもこれから必要だと私は実は思うんです。

 私のときは、自衛隊のヘリがパラパラパラとおりてきまして、私に会って最初に何と言ったかというと、透析患者さんはどこにいますかと聞かれた。知ってはいけないことなんですね、今のあれからいうと。役所は、多分、民生委員さんまでは知ることを許されている。

 その辺の災害に対する危機管理というか、防災管理というところの中で、個人情報も含めてきちっと一回は議論をしてほしいな、そう思っているんですが、いかがでしょうか。

藤村国務大臣 きょう午前中のときにお話をしませんでしたが、こういう緊急時のときには、その個人の承諾がなしにそれが出せるという法律の仕組みにはなっている。ただ一方で、条例でそれぞれ決めていらっしゃるところではなかなか厳しいところもある。

 ということから、今後、重点的に取り組む防災政策の基本原則ということで打ち出しておりますのは、災害時要援護者名簿の作成などについて、災害対策法制にこれをきちっと位置づけ、そして、個人情報保護法制との関係を整理すべきだ、こういう意見もいただいておりますので、これは取り組んでいかねばならない課題であります。

長島(忠)委員 一点だけ最後に確認します。

 今の内閣ですよ、災害が起きたら、それはもちろん総理が指揮をとるんだと思うんですが、総理が例えば不在、あるいは総理が例えば緊急事態で官邸に入れなかったというときには、今はどなたが指揮をとることになっていますか。

岡田国務大臣 総理が欠けたとき、欠けたときというのはいろいろな意味がありますが、そのときには私がその代理を務めるということになっております。

長島(忠)委員 二重三重にセキュリティーをかけて、そこのところはしっかり、多分、二人して都外に出られることもあるでしょうから、その辺はきっちりやってほしいなというふうに実は思います。

 国家公安委員長に来ていただいているんですが、この前の所信の中でも、この日本の警察という二十四年版の中にも、震災被災地の安全、安心を確保する対策という言葉がダブって述べていられるんですが、今、被災地において国家公安委員長としてどんな対策を積極的にやっていられるのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思うんです。

小平国務大臣 お答えいたします。

 私は、警察行政を預かっておりますので、今いろいろと官房長官、副総理からお話ありましたが、とにかく地域、市民のいわゆる安全、安心、これが私どもの役目ですから、そういう意味においては、その地域で、災害発生時にいろいろな不安定な状況の中で、いろいろな犯罪、そういうことについていろいろありました。どうやってそれを防止するか、今後起きないように。また、いろいろな面で、地域のパトロールですとか、あるいは他県からも警察関係は応援を受けましたから、連携をとるとか、そういうことをしながら、まず安心、安全というものがきちんと良好に維持できるように、これが私に課せられた責任と思って必死に取り組んでおります。

 具体的に申し上げますと、パトロール活動の強化ですとか、あるいは検問の実施、あるいは犯罪発生時に初動捜査の強化をするとか、あるいは住民と連携した、今申し上げたように防犯パトロール、あるいは防犯カメラ、これも効果がありますので設置、こういうことをしながら、いわゆる安心、安全の確保をするための諸活動を行う。これが私どもが考えていることであります。

長島(忠)委員 災害発生時には物すごく多くの県から、各地にいろいろな県警の車があったりして、私もそれを見させてもらっていますけれども、今でもそれは継続されているということでいいんですかね。

小平国務大臣 発生当時は自衛隊の応援もいただきながら、また多くの県からも応援体制をとりましたが、それがだんだんと落ちついてきまして、しかし、今現在でもそれぞれの応援体制をとっております。そういう中で、今申し上げましたように、こういうパトロール活動の強化ですとか、あるいは初動捜査の強化とか、防犯カメラ、こういうことをしながら、その体制を続けております。

 しかし、往時から見ると大分安定してきておりまして、いろいろな事件の発生、刑法犯の認知件数も大体減ってきておりますので、そういう意味では効果が出ていると思いますので、続けてこのことを活動強化しながら、言うならば地域の安定化に努めたい、こういうふうに考えております。

長島(忠)委員 私も仮設へ三年二カ月いたときに、実は、自衛隊は災害派遣が終わると一応引きます。その間は随分自衛隊の皆さんや警察や消防と連携をして支えてもらっていました。自衛隊が災害派遣が終わって引いた後に、我々仮設住宅は六百八十戸ほどの仮設住宅なんですが、実は警察が臨時交番をつくってくれたんです。仮設を出るまでずっと置いていてくれたんです。

 被災者心理なのかもわかりませんが、そばにそういった公的なものがいてくれるというのは非常にやはり心強いものだと思うんですね。そして、そのことの中で少しずつ警察官とコミュニティーがとれたり、そして相談ができたりする環境ができるということが、仮設住宅だとか避難をしている間の心のよりどころみたいな感じで、頼りにさせていただくことが非常に大きいんです。

 だから、私は、この安全、安心を確保するための対策ということで、今は、警察官の数も限りがあるでしょうから、少し下げられたということでありますけれども、願わくは復興に向かって寄り添う形で支援を続けてほしいと思って、その話をきょうは聞こうと思ったんです。

 ですから、災害対応力の向上についてということもこの前述べていらしたので、ぜひそういった形で、犯罪があるなしということではなくて、住民の心に寄り添う形でやはり被災地を支援してほしいなというふうに実は思っているものですから、ぜひそのことについて少し御発言をいただきたいと思います。

小平国務大臣 これは二度と起きてはほしくないんですけれども、今後も、我が国は地震国でありますから、そういうこともありますので、今この機会にこういうことについての体制はきちっとつくっておく、これはもう絶対、今おっしゃるとおりでありますね。

 したがって、警察庁としては、警察庁次長を長といたしまして、災害対策検討委員会を設置いたしました。その中で、各都道府県警察においても本部長等を長とする同様の委員会を設置して、そして、今、約九十項目に及ぶ重点検討事項をつくりまして集中的な検討を続けておりまして、現在は福島、宮城、岩手、この地域ですけれども、ほかの地域でもこういうことを想定して、要するに安心、安全の対策のために取り組んでいる、そういうことであります。これはとにかくいろいろな点があると思うんです。ですから、そういうことを旨としながら対策に取り組んでいきたい。

 もちろん、その上には、何といってもまず予算面の強化が必要ですよね。同時に、今、我が国は残念ながらほかの事件も起きています。例えば、今、北九州を中心に暴力団の犯罪、そこに大きな応援の体制をしいている。それから、尖閣諸島の問題で、これも沖縄県警にも応援体制をしいている。もちろん、福島、地震被災地にも。そういうことがありますので、そういう状況の中で、警察当局としては、最大限、いろいろなことの問題を頭に置きながら検討を進めているのが今の状況であります。

長島(忠)委員 そういったところに予算を使うのは国民は納得ができると思いますから、安心、安全、つまり、心を失わせたり、みずから命を絶つようなことのないように、ぜひ見続けてほしいなと思います。

 官房長官と副総理に。

 私、心配なことが一つあるんです。というのは、八月ごろでしたか、被災者を調査したというのが新聞に出ていて、私が想定したよりも、もといたところで生活を再建するという人たちが非常に少なかったんです。ほとんど軒並み五割を切ってしまっている。

 私は、そこのところはどこに原因があるのかなと、被災地に行ったり、見たり、聞いたりしてずっと考え続けてきたんですが、さっき言ったように、やはり目標をいち早く示すことが一番解決になるんだと思うんです。ただ、場合によってはそこに帰れない選択をする人がいることも、これはやむを得ない事情だと思うけれども、やはり生まれ育って先祖がいるところをあえて好んで離れたがる人はそんなに当初はいなかったはずだと私は信じている一人なので、ぜひそこのところは受けとめていただきたいなと思うんです。

 一つだけ。福島の遠距離避難者、そして、世帯が分離をして避難をしている家族に対する見守り、いわゆる手当てを急いでほしいんです。このままずっと長いこと分散をして避難をしていることは、決して地域のためにも家族のためにも私はよくないと思う。幾ら緊張して頑張ろうと思っていても、人間には頑張る限界がやはりあるんだと思うので、そこはぜひ考えてやってほしいな、そう思うんです。

 そのことについて力強いコメントを一言ずついただきたいと思います。

藤村国務大臣 岩手、宮城と、それから福島の事情とちょっと違うところがあるかと思います。

 沿岸部の津波でやられたところというのが高台移転の話が出てくるのは、やはりもう物理的にもそこには住めないからだという一つの心理があって、村ごと、町ごと集団で、こういう発想が一つあると思います。それから一方、福島の場合は、まだまだ放射能汚染というか、除染もまだ進んでいないし、そういうことからなかなかそこへは帰れない。ちょっと心理が違うところがあります。

 そんな中で、今御提案の件は、世帯が分離して別々に住んでいらっしゃる、こういうところに対してきちんと手当てなり目を届けてほしい、こういうことであります。それは、復興大臣もちょくちょく言っている話であります。十分にそれを認識しながら対応していきたいと思います。

岡田国務大臣 みずからも被災の経験のある委員の御指摘ですから、しっかりと受けとめさせていただいて、政府の中でどういったことができるのか検討していきたいというふうに考えております。

長島(忠)委員 間もなく時間が来ると思ったら、答弁が短かったので。

 もう聞きませんが、普通の生活ができることをこれほど幸せに思ったことはないと、うちの被災者が地元に帰ったときに私に言ってくれました。つまり、そんなぜいたくなことを多分被災者は求めているということではないと思うんです。普通に家族と生活できること、これがやはり被災者にとって一番幸せなことなんだと思うんです。浜の人ですから、浜に出て日々の糧を得て、そして家族を守れる、家族を育てていける、このことは、本当に岩手や宮城や福島の皆さんの率直な願いなんだと思うんです。

 私も、国会議員の一人としてそのことを率直に受けとめてこれから政治活動をやっていきたいと思いますし、今政府の要職にあられる皆さんについては特にそこのところは受けとめていただいて、普通の生活を取り戻させるためにまず最善の努力を一刻も早くしていただきたい、そのことを申し上げて、ちょっと時間を余しましたが、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 国民の生活が第一・きづな会派の瑞慶覧長敏でございます。よろしくお願いいたします。

 藤村官房長官にまずお伺いいたします。

 官房長官は、所信表明の中で、少しはしょりますが、あしたの安心をもたらし、あすへの責任を果たすため、全力を尽くしてまいりますとおっしゃいました。非常に大事なことだと思っております。

 ただし、被災地も含め国民から漏れてくるのは、あしたの安心というよりも、きょうの不安をどうにかしてくれという声がたくさん聞こえてまいります。

 それからまた、沖縄においてはオスプレイが飛んできております。県知事初め県議会全会一致、それから沖縄の全市町村議会においても全会一致でノーだと言ったにもかかわらず、飛んでまいりました。

 そういった不安を一部の地域にはかなり与えている。まず、そういう声にどうお答えするか、お聞かせください。

藤村国務大臣 総理大臣の所信のことを冒頭におっしゃいました。

 もちろん、今ちゃんとしろという、それはそれでそのとおりだと思います。また、特に被災地の皆様は、先ほど来ちょっと議論がありましたように、やはりあしたなり将来がどうなっていくのかということにもきちんと国が応えていく、こういうことも大事である、そういうことの趣旨であったかとは思います。

 それから、沖縄につきまして、これは何度も言わねばならないことですが、国土面積の〇・六%しかない沖縄県内に、そしてそこに全国の約七四%の在日米軍用施設・区域が集中しており、そして航空機騒音を初めとする沖縄の基地負担というもの、これをとにかく軽減していくことというのがやはり政府として最優先で取り組むべき課題である、そのように認識しております。

瑞慶覧委員 私はきのう、普天間第二小学校、宜野湾市にあるんですけれども、普天間基地のすぐ隣というか、フェンスで隣接しているところです、そこに電話を入れました。本当は行って直接お話をお伺いしたかったんですが、教頭先生が対応してくれまして、オスプレイが配備されて飛ぶようになって一カ月以上になりましたが、どういう様子ですかとお伺いしました。教頭先生は、今まで聞いたことのないような重低音という表現をしていました。職員室と廊下を挟んだ木の扉とかはガタガタガタガタ揺れると。子供たちはどうですかと言ったときに、当然、子供たちは歓迎はしていない、ただしかし、子供たちは騒音になれてしまっていると。なれてしまっている、そういう表現をされておりました。それを聞いて、非常に切ないなと私は思いました。

 そして、その後、琉球大学の渡嘉敷先生と連絡をとり合いました。琉球大学の渡嘉敷先生は、低周波音の測定をされている方です。低周波音の影響に関して私はお聞きしました。データももらったんですけれども、教室の中においても初めて低周波音というのが測定されたとおっしゃっておりました。

 どういう影響があるか。これは先生からもらったメールでございます。

 一般に不快感や圧迫感を感じると言われています。ヘリコプターやプロペラ飛行機特有の騒音でオスプレイは現在普天間に配備されている飛行機の中で最大ではないかと思います。現行のCH46の低周波音とは異なるため、聞きなれない音に対する防御本能が人間に備わっているためとても気になると思います。聞きなれない音に対する不安感が起こり、授業中であれば授業に集中できなくなることが考えられます。その結果、学習時間が減少することにつながると思います。

 オスプレイの低周波音はプロペラを回転させたときから発生しているため、長い時間低周波音にさらされることの影響は情緒的に落ち着きがなくなるなどの影響も考えられます。

というメールをいただきました。

 官房長官、感想をお聞かせください。

藤村国務大臣 航空機の騒音という問題について、これは必要ならばしっかりと科学的にも調査をしていく、こういうことが必要だと思います。

 私は、大阪の伊丹空港、これも町中の飛行場で、この騒音問題というのも、もう長年、地域とそれぞれやってきたところでございまして、これは本当に必要に応じて二重窓にするなど、そういう対策も必要になってくる、そのようには思っています。

瑞慶覧委員 調査が必要だということを言っていただきました。早急に調査を、これは普天間第二小学校も含めて、今、沖縄全域で、ほぼ全域と言ってもいいと思います。私の事務所は南風原町にあるんですけれども、その私の事務所の人間も、音が違うと出てみたら、やはりオスプレイだと。

 ですから、官房長官、もう一度御答弁をお願いします。調査をするということで、確約でお願いしていいんですか。

藤村国務大臣 議事録を精査いただいて。必要ならという言葉はつけておりますが、その必要性というものがまだ私、今すぐには理解できておりません。

瑞慶覧委員 これは必要だと思います。実際に低周波というのが測定されておりますし、ぜひともそこはやっていただきたいと思います。

 きょう、地図をお持ちしました。これは、何度も見ていると思うんですけれども、当時の那覇防衛施設局がつくった沖縄本島の陸地とそれから空、海の米軍の訓練施設、基地施設等です。

 私は、これのほかに全国のこういう地図はないのかということで、あちこち問い合わせをしましたが、ないということでした。それで、きょう、委員の皆様方にお配りしたのが、何とか見つけたこのカラー刷りの地図です。

 これの中でごらんいただきたいのは、グリーンのところが米軍関連の、白黒になっているんですか、失礼いたしました。いずれにしても、少しわかりづらいですが、下にあるのが沖縄本島です。そして、その周りを、私の地図では、カラーではグリーンですけれども、取り囲んだように米軍の訓練施設がございます。

 これを見ると、本当に沖縄は米軍基地の中に、訓練施設の中にあるんだなというのが一目瞭然わかります。片や日本本土ですと、関東の方、それから青森の近く、それから九州の南東の方、それから佐世保のあたり、そこに少し見える程度。先ほど官房長官が、〇・六%の地域に七四%の米軍施設が集中しているというのが、まさに、これはよくわかると思います。

 何が言いたいかというと、こういったこと、特に米軍基地問題というのは沖縄問題と言いかえられていますが、実はそこがよく理解できていない。日本全体に向けても、官房長官、こういったことをぜひ知らせていただきたい。あるいは知らす必要があると私は思いますが、官房長官、どう思いますか。

藤村国務大臣 先日、全国知事会という大きな会合、全国の知事がお集まりになって、会議が官邸でございました。そのときに、これは防衛大臣の方からでしたが、沖縄の負担軽減という一つの方策としても、その訓練について、今後、それぞれ別な地域でもそれなりに御負担をいただくという提案、主にそういう内容の提案であったと思います。これは、今後検討されていくと思います。まだまだ、知事のレベルの会議でも、今おっしゃる、こういう実態であるよということは必ずしも十分に理解されているかどうかというところであります。

 ですから、私、冒頭にも申しましたように、何回も言わねばならない、その〇・六%の云々、こういうことをやはり政府としてはきちんといろいろな皆さんに言っていく必要があると思っています。

瑞慶覧委員 ぜひ、今後とも、具体的なその努力、負担軽減の中には、やはりこういったことも全国民に知らせることが具体的な負担軽減の一つにつながっていくんだということを私はきょうは示したかったんですね。ぜひ、それは強く望みます。やっていただきたいと思います。

 もう一つの資料は、これは数字の資料で、先ほど言った、七四%、沖縄に基地が集中している、皆さんの手元にはA4になっているかと思います。これは、いつからこうなったんだろうと思って、いろいろ、わかりやすい資料がなかったものですから、あれこれひっつけてこういう資料をつくったんですけれども、いつからこれは七四%になったか、あるいは、なぜ沖縄にこれだけ基地が集中するようになったのか、それもあわせてお答えいただきたいと思います。

長島副大臣 お答えいたします。

 今、瑞慶覧先生がお配りいただいた資料にも明らかなように、沖縄が本土復帰したのが七二年、そのときまで、これは一九五六年からじりじりと上がっていって六割弱になりまして、今日のような七五%に達したのが七六年以降で、これ以降ずっと七五%、七四%という数字が並んでいるわけです。

 一つは、本土から海兵隊の基地を中心に、復帰までの間に沖縄に基地が移された、これが第一点。それからもう一つは、この七二年のところを見ていただくとわかると思うんですが、朝霞、大和、調布と、これは関東平野空軍施設整理統合計画に基づいて、首都圏の、関東地域の米空軍の施設がかなり返還されたということで、沖縄への負担がその分割高になっている、こういうことだと思います。

 これは質問にはございませんでしたけれども、こういう沖縄への基地の集中ということを何とか改善しなければならないということで、このたび日米の間で合意をして、嘉手納以南の基地施設の返還を見える形で進めていこうということで、今、日米で努力をさせていただいているということでございます。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 これを見ると、一九七二年に沖縄の割合は五九・三%になっております。ただ、その後、復帰の後もふえていっているわけですね、今副大臣からの説明があったように。それで、現在七三・九%、約七四%というふうになっております。

 これだけ基地が、関連施設が集中している沖縄で、その負担というのはどういう負担が起こっているのか。事件それから事故、そしてまた騒音、それに県民は振り回されている。

 抗議集会を何度も何度も毎年のように行っている。オスプレイの配備の後は、毎朝六時からゲートの前で住民の方々が抗議をしている。なぜ六時かというと、大山ゲートは六時に出勤するわけですね。反対側の野嵩ゲートでは朝七時に集会が開かれている。そういうふうにしてエネルギーを消化せざるを得ない。これがずっと六十年以上続いているわけです。復帰後も基地施設の割合がふえていったということは、それだけ負担もふえたと思っております。

 事件、事故の起こるたびに綱紀粛正という言葉が繰り返されますが、沖縄の県民からしたら、もうそういう言葉は聞きたくない、どうせ効果はないんだからと。

 十月十六日、二人の米兵による痛ましい事件が起きました。その二週間後に、十一月二日ですけれども、傷害事件が起きました。酔っぱらった米兵が三階の民家、アパートに侵入して、夜中の一時です、中学二年生を殴った。十一月二日は、十月十六日の事件が起きて、綱紀粛正それから外出禁止令が出ている真っただ中です。そういったことを考えると、綱紀粛正なんて役に立たないという沖縄県民の気持ちというのがわかっていただけると思います。

 十一月二日のその傷害事件ですけれども、三階から落ちた容疑者は基地の中の病院に搬送されたとお聞きしております。身柄も米軍にあると聞いておりますが、その事実確認をさせてください。

藤村国務大臣 まず、今おっしゃった、十月十六日、沖縄で発生した許しがたい事件、これは決してあってはならないもので、米側も夜間外出禁止等の措置を講じたということでありました。

 そのような中で、さらに十一月二日未明、沖縄で住居侵入事件が発生したということは極めて遺憾であります。

 政府として引き続きこの種の事件を根絶すべき、綱紀粛正あるいは再発防止、これは口で言うばかりでなくという今御意見で、玄葉外務大臣も、それを実効あるものにしていくという踏み込んだ発言もしているところであります。

 それから、今の十一月二日の被疑者については、沖縄県警において、米軍側と緊密に今連携をとりながら、任意で取り調べ等、所要の捜査を行っているところであります。米側はとにかく日本側の捜査に全面的に協力していくとしており、まずは、米側の捜査協力を含む日本側の捜査を見守っていくというところであります。

瑞慶覧委員 これは、身柄の引き渡しの要求はしないということですか。

藤村国務大臣 この件は、事件発生当日、ルース大使から日本の捜査に全面的に協力するとの意思表明がまずありました。また、被疑者が当初、米海軍病院に入院していたこと等から、起訴前の身柄引き渡しを要請することが想定されていなかった、こういうことではありました。

瑞慶覧委員 捜査に全面的に協力するということであれば、速やかに身柄を引き渡して、日本側がきちんと捜査をする。沖縄県民の気持ち、あるいは全国でこういう事件が起きるとも限らないことを考えたら、私は、速やかに身柄を要求すべきじゃないかと考えております。改めてお伺いします。いかがですか。

藤村国務大臣 米側は日本の捜査当局による捜査に全面的に協力を実際しています。

 本件事件の性質上、起訴前の身柄引き渡しを要請することが必要となる可能性というのは引き続き低いと私は考えております。

瑞慶覧委員 ここは非常に重要なポイントになると思います。これは日本政府の威信もかけて、ぜひ。これは悪質な事件なんです。中学生、男の子ではあるんですけれども、いきなり英語を話す米兵が入ってきて、夜中の一時ですよ、うとうとしているところに一言二言声をかけられて、その後、だんと顔を殴られているんです。その容疑者は、三階の窓から逃げるためにおりたんでしょうね。

 その少年が負った傷、そしてお母さんのことを考えたときには、これは悪質きわまりない事件だと言えるんです。日本政府としては毅然とした態度をとっていただきたいと思います。

 官房長官、私からの質問は以上でございます。

 樽床大臣にお伺いいたします。

 地域活性化担当大臣として、先ほど示したとおり、沖縄の地域というのは日本の一部の地域ですけれども、こういった制限をかなり受けている地域です。

 午前中の答弁で、大臣は、地方に、地域に責任を持ってもらうという発言もされていました。沖縄、一部の地域に七四%の負担あるいは制限がなっている中で、その沖縄が、日本の一部の地域、こういった地域がどうやって責任を持ってその地域主権を発揮できるのか、考えをお聞かせください。

樽床国務大臣 私が先ほど申し上げたのは、権限と責任というものはセットであるということを申し上げたわけでありまして、地域主権を推進していくには、それぞれの地域に権限をお与えするというか、もともとあるんだという意見もありますが、それぞれの地域が権限を持つ。権限だけではなくて、権限を持つということは責任も一緒にあるんだということを申し上げたわけであります。

 沖縄につきましては、私は、沖縄の地理的な状況等々を考えれば、これまで、国の政治といいますか、大きな時代の流れの中で大きな犠牲を強いてきた地域である、県であるというふうに認識をしております。

 沖縄県民の皆さん方の意思で七四%の基地があるわけではないわけでありますので、そういったところは、国として、国策の上でそういう七四%の基地がある、国策といいますか国の政治の流れの中で、外交関係を含めてあるという現状をしっかり認識して、沖縄の皆さん方と一緒になって歩んでいく必要がある、このように思っております。

瑞慶覧委員 メディアの方とかあるいは本土の方々と話をしたときに、沖縄は米軍基地がなくなったら経済的に困るんじゃないの、そういうことを今でもまだよく聞きます。沖縄県民は決してそうじゃない。なくなった方が、こんなに縛られているよりは、自由に経済活動をして、アジアにも近いわけだから、いいんだと。ハンビーとかそういうところの新しい基地跡地利用を見てもそうなんだということを発信しているんですけれども、なかなかそれが伝わっていないようです。

 樽床大臣はどうお考えですか。

樽床国務大臣 要するに沖縄経済に基地が必要なのかどうか、端的に言うとこういう話であろうと思いますが、いろいろな方がそれぞれのお立場、考えによって、必要であるという方もおられるでしょうし、必要でないというお考えの方もおられるだろうと思います。私は、どちらが正しい、正しくないと申し上げるつもりはございません。

 ただ、現実的に少し客観的に申し上げるならば、米軍施設またはその区域というものが沖縄県の土地の利用上の制約になっているということは私はあるだろう、そう思っております。

 そして一方で、これも客観的に、ちょっと数字を持ってまいりましたが、復帰後の昭和四十七年においては、沖縄の県の経済、県民所得に占める軍関係の収入、基地関係の収入というのが一五・五%で一番多かった。それが平成二十一年には五・二%まで数字は下がっている。これも事実であるというふうに思っております。それは、基地関係の収入が減ったわけではなくて、それもふえていますが、それ以上のカーブで沖縄県そのものの県民所得がふえている。全体のパイがふえている。結果としてウエートが減っている。これは事実であろうかと思います。

 沖縄の地理的要因等々を考えれば、私は、基地以外にもさまざまな地理的要因を生かしていただいて、沖縄県が活力ある地域になることは必ず可能である、このように信じております。

瑞慶覧委員 ありがとうございます。

 参考資料として日経ビジネス、ことしの八月六日号ですけれども、これに沖縄の特集が載っております。ぜひお読みになっていただきたいと思います。

 樽床大臣、どうもありがとうございました。

 長島防衛副大臣にお伺いいたします。

 時間があと五分ということですので、質問を少しはしょったりいたします。

 低空飛行訓練についてお伺いいたします。

 一九九九年一月十四日の日米合同委員会の合意というのがございます。「在日米軍による低空飛行訓練について」ということです。

 これの一によると、「低空飛行訓練を実施する区域を継続的に見直す。」というふうに書いています。この区域とかというのは、これは飛行ルート。

 まず、一九九九年から低空飛行訓練というのは日本で行われていたのか。それが一点と、それから、飛行ルートはあるのかどうか。もしあるということであれば、幾つルートがあるのかをお答えください。

長島副大臣 低空飛行ですが、いつから低空飛行の訓練が始まっていたかというのは、ちょっと手元に資料がございません。

 訓練計画というのは、一般論で申し上げると、これは米軍の所要に従って不断に見直しが行われるものというふうに承知しております。

瑞慶覧委員 合意が初めて明らかになったのが一九九九年だと私は理解しております。それ以前は、移動だということで低空飛行訓練は目をつぶられていたというふうに私は理解しております。

 ただ、いずれにしても低空飛行訓練というのは、オスプレイに関しても、来月からは日本本土でも行われるという報道もなされています。

 そこでお伺いしたいんですけれども、一九九九年の合意によると、二に、日本の航空法により規定される最低高度基準を用いていると書いていますが、その最低高度というのは何メートルでしょうか。

長島副大臣 最低安全高度、これは我が国の航空法及び国際基準に基づいて規定されておりますが、地上五百フィートということです。

瑞慶覧委員 五百フィートということは約百五十メートルぐらいだと思います。

 片や、二〇一二年、ことしの九月十九日に日米合同委員会の合意が行われました。その中にオスプレイに関して触れられているところがございます。「MV―22は、時折、低高度で運用されることから、」云々で、「地上から五百フィート以上の高度で飛行する。ただし、MV―22の運用の安全性を確保するために、その高度を下回る飛行をせざるを得ないこともある。」と書いています。

 この「高度を下回る飛行」というのは、つまり百五十メートル以下だと思うんですけれども、それはどういうふうに解釈したらいいんですか。一部には二百フィート、六十メートルぐらいでも可能だというふうに言っているという報道もありますが、事実関係を確認させてください。

長島副大臣 お答えします。

 今、瑞慶覧先生、最後に御指摘いただいた二百フィートという数字ですけれども、これは、米側がMV22、つまりオスプレイの配備に当たって公表した環境レビューの中に、仮定の話として、高度二百フィートで飛行した場合であっても環境問題を引き起こさないということを述べたくだり、これが恐らく報道されたものというふうに考えております。

 御指摘の九月十九日の日米合同委員会の合意において、このオスプレイの低空飛行訓練に当たっては、運用上の安全性を確保する必要がある場合を除き、五百フィート以上の高度で飛行することについて合意した、こういうことでありまして、基本的には五百フィート以上の高度を保つ、しかし、これを保つことによって飛行の安定性、安全性が損なわれるような事態になる場合においては例外である、こういう記述でございます。

瑞慶覧委員 環境問題に関しても触れられました。また機会があったら、そこら辺もお聞きしたいと思います。

 ありがとうございました。

古川委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、秘密保全法制についてお尋ねをいたします。

 藤村官房長官をトップとします政府における情報保全に関する検討委員会では、昨年十月七日に第四回の委員会を開いて、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議が昨年八月八日に取りまとめた報告書の内容を十分に尊重の上、次期通常国会への提出に向けて秘密保全法制の整備のための法案化作業を進めることを決定しております。

 この法案化に向けて、内容を十分に尊重するとされた報告書をまとめました有識者会議については、この間、私もこの委員会で、配付資料が公表されていないなどの問題を明らかにしてきました。ほかにも、そもそも議事録が作成されていない、メモも廃棄処分されていることなど、国民に説明責任を果たす上で全く不十分なものであるとの指摘が寄せられてきたところです。

 そこで、きょうは、この秘密保全法制の検討がなぜ必要になったのか、その経緯についてお尋ねしたいんです。

 秘密保全法制の検討の開始が宣言されたのは、二〇一〇年の十二月の第一回政府における情報保全に関する検討委員会、このとき、仙谷官房長官でありました。当時、仙谷官房長官は、この会議の記録としての議事概要がありますが、その議事概要の中で、尖閣沖漁船衝突事件のビデオがインターネット上に流出する事案等が発生し、政府の情報保全体制に対する信頼が揺らいでいることはまことに遺憾である、こうした事態に対し、総理から、政府における情報保全に関して、早急に検討するように指示がありと、秘密保全法制の検討が始まったことを示しております。

 そこで、藤村官房長官にお尋ねしますが、ここで仙谷官房長官も触れておりますように、尖閣沖漁船衝突事件のビデオがインターネット上に流出したこの事案というのが秘密保全法制検討の理由となっているのかどうか、その点についてお答えいただけますか。

藤村国務大臣 仙谷当時官房長官の冒頭発言ということがそれを示していると思いますが、平成二十二年、尖閣沖漁船衝突事件のビデオがインターネット上に流出する事案等、政府の情報保全体制に対する信頼が揺らぐような事態が発生し、こうした事態に対し、当時菅総理大臣から、政府における情報保全に関し、早急に検討を進め結論を得るよう指示があったということで、秘密保全法制の検討が始められた、このように私も聞いております。

塩川委員 第一回検討委員会の議事概要を見ても、なぜこの時点で秘密保全法制の検討が必要になったのかがよくわかりません。

 政府の情報保全体制に対する信頼を揺るがした、今も藤村長官がおっしゃいましたけれども、その際に具体的に指摘をされている事例というのが尖閣沖の漁船衝突事件であります。

 国家公務員について、職務上知ることができた秘密を漏らすことは、国家公務員法上、禁止をされております。

 そこで、お尋ねしますが、尖閣沖の漁船衝突事件のビデオをインターネット上に流出させた国家公務員は、国家公務員法の百条違反に問われたんでしょうか。事実関係の確認で、お答えいただけますか。

能化政府参考人 お尋ねの件につきましては、国家公務員法違反、起訴猶予処分、停職十二カ月となったというふうに承知しております。

塩川委員 懲戒処分はありましたけれども、告発をしたけれども不起訴になったというのが経過であります。そもそも、このビデオが流出する事案というのは、国家公務員法にも問われなかったということでありまして、秘匿すべき秘密に該当しないということであります。

 昨年八月の有識者会議の報告書では、秘密保全法制の必要性、目的について、「我が国の利益を守り、国民の安全を確保するためには、政府が保有する重要な情報の漏えいを防止する制度を整備する必要がある。 また、政府の政策判断が適切に行われるためには、政府部内や外国との間での相互信頼に基づく情報共有の促進が不可欠であり、そのためには、秘密保全に関する制度を法的基盤に基づく確固たるものとすることが重要である。」と述べております。

 いわば秘密保全法制の意義について議論したのが第一回の有識者会議ですけれども、この報告書の今の記述との関係でも、有識者会議における第一回の会議に事務局が「秘密保全法制の意義について」という資料を出しております。

 これがお手元に配付をいたしました資料の一枚目ですけれども、秘密保全法制の意義について、ここでは、下の四角の枠ですけれども、白丸にありますように三点挙げています。一番目に、「我が国の国益を保護し、国及び国民の安全を確保するため、秘匿の必要性が高い秘密について、外国情報機関等の情報収集活動による漏えいやネットワーク上への流出を防止すること」、二つ目に、「我が国の秘密保全に対する外国の信頼を高め、外国からの円滑な情報提供を促進すること」、三つ目に、「秘密保全に関する行政機関相互の信頼を高め、政府部内における情報の共有を促進すること」となっております。この三点が基本的に昨年八月の有識者会議の報告書の必要性、目的にもなっております。

 第一回の有識者会議について配付資料があるわけですけれども、ネット上で公表されている資料と公表されていない資料がありました。それを合わせて見てみると、意義の三つあるうちの一番目の漏えい事案との関係では第一回の有識者会議に説明資料はありますが、二番目と三番目の意義については説明資料が見当たりません。

 この点、事務局にお尋ねしますが、一番目については漏えい事案についての説明資料がついているわけですけれども、二番目、三番目の意義については有識者会議の場でどのような説明をされたのか、この点について確認をさせてもらえますか。

能化政府参考人 ちょっとただいま手元に資料がございませんけれども、御指摘の、「我が国の秘密保全に対する外国の信頼を高め、外国からの円滑な情報提供を促進すること」、それから「秘密保全に関する行政機関相互の信頼を高め、政府部内における情報の共有を促進すること」という点について議論を促す形で事務局として準備させていただきました。

塩川委員 お手元の配付資料は、事前に事務方の方にお渡しをして、御質問することを確認しているんですが、今のお話でも、具体的に二番目、三番目の意義について説明資料があったということについてのお答えはありませんでした。

 有識者会議を行っているわけですけれども、これとは別に、官房長官のもとに置かれている情報保全に関する検討委員会のもとには、内閣官房の内閣審議官を座長とする法制検討部会というのが置かれております。

 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、内閣官房からこの法制検討部会の資料をいただいたものの一つが二枚目の資料にあります。その第一回の法制検討部会の配付資料で、「法制の検討スケジュール(案)」というのがあります。これは、左上のところに第一回検討委員会、これは官房長官のもとで行われるものですけれども、そこから右に線が出て、十二月十五日付ということで法制検討部会というのが挙げられています。ここでは、有識者会議、左側の枠にあるように、有識者会議の第一回から第六回の会議の段取りについて、右側にあります法制検討部会がいわば事務局として段取りをするという仕組みになっているわけです。

 この有識者会議に示す論点資料の原案作成では、右側に「有識者会議の準備作業」と書いてありますけれども、その枠の中にゴシックのところで、「有識者会議に示す「論点資料」の原案作成」とあります。そこの中に黒ポツで、基本的な考え方(案)とか意見書(案)などを踏まえて作成とあって、その下の矢印、その下にやはりゴシックがありますが、論点資料の関係省庁協議があって、さらに矢印の下で法制検討部会を経るという手続が示されています。

 この論点資料の関係省庁の協議、そして法制検討部会を経るという手順のところを見た際に、ここで挙げられている、黒ポツで示した基本的な考え方(案)、それから、その下の黒ポツの意見書(案)、これはどのようなものかについて説明をいただけますか。

能化政府参考人 御指摘いただきました基本的な考え方と意見書のそれぞれ案でございますけれども、基本的な考え方につきましては、本件法制にかかわるさまざまな問題点について検討を担当していた事務方の方で論点をまとめたものでございます。それから、意見書(案)の方につきましては、有識者会議の方でさまざま御議論された結果を取りまとめたものというふうに承知しております。

塩川委員 具体的な名称として確認したいんですけれども、どういうものですか。

能化政府参考人 検討チームの報告書案につきましては、表題に始まり、「はじめに」という章立てから、論点ごとに問題点をまとめ、その後に参考資料を添付したという形になっております。

塩川委員 文書名で確認したいんですけれども、ここで言っている基本的な考え方(案)というのは、この平成二十一年四月二十一日、秘密保全法制の在り方に関する検討チームが取りまとめた秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方について(案)、これでいいのかということが一つと、もう一つの意見書案については、この情報保全の在り方に関する有識者会議において、秘密保全のための法制の在り方について(意見書)(案)、この文書でいいのか、その点、確認させてください。

能化政府参考人 御指摘のとおり、検討チームの文書につきましては、秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方について(案)、もう一方の文書につきましては、秘密保全のための法制の在り方について(意見書)(案)という名称でございます。

塩川委員 この二つの文書を見た際に、例えば、基本的な考え方(案)をつくった検討チームというのは、これは民主党政権ではなくて、前の自公政権の福田内閣のもとで、内閣官房副長官をトップとして、二〇〇八年四月に発足をして、取りまとめたものとなっています。

 この検討チームがまとめた「秘密保全法制の在り方に関する基本的な考え方について」、この中では、秘密保全法制の必要性についてどのように述べているのか、この点について示していただけますか。

能化政府参考人 秘密保全法制の在り方に関する検討チームにおきましては、秘密保全法制の実現により、「外国情報機関等による情報収集活動に対し、実効力のある秘密保全制度を確立すること。」「政府における情報機能の強化に不可欠な政府部内における情報共有の促進を図るため、秘密保全に関する法的基盤を整備すること。」「安全保障・危機管理に係る国際協調を推進し、外国からの円滑な情報提供の促進を図るため、秘密保全に関する法的基盤を整備すること。」といった課題に応えることを目指すものであったということでございます。

塩川委員 今読み上げていただきましたが、これは資料の三枚目にあります、基本的な考え方について(案)の文章の「はじめに」の部分、その真ん中あたりに、1、2、3とあります。この部分を読み上げていただいたわけです。

 この基本的な考え方について(案)の報告書の「はじめに」を読むと、今紹介いただいた三つの意義が述べられているわけですけれども、これは、昨年、民主党政権のもとでつくられた有識者会議の報告書で取り上げております秘密保全法制の意義と基本的に重なっております。当然のことながら、この事務局の提案資料というのが、自公政権時代のこの基本的な考え方の報告書を踏まえて作成しているということは、先ほどの配付資料の二枚目でもごらんいただいたとおりであります。

 資料の三枚目をごらんいただきますと、1、2、3の部分に、後ろに括弧して、別紙1参照、別紙2参照、別紙3参照とあるわけです。この2のところで別紙2とあるんですけれども、これについてはどのような文献を掲げているのか、この点について教えていただけますか。

能化政府参考人 例えば、政府部内における情報共有の促進を図るための秘密保全法制による法的基盤整備の必要性について事実関係をまとめた資料を配付しております。

塩川委員 具体的な参考の文献を紹介してほしいと言ったんですが、そこまで述べられなかったので確認しますけれども、今読み上げていただきましたペーパーのところに例示をされている参考文献としては、「対外情報機能の強化に向けて」という、平成十七年九月、対外情報機能強化に関する懇談会、及び「国家の情報機能強化に関する提言」、これは平成十八年六月、自由民主党政務調査会の国家の情報機能強化に関する検討チーム、この二つが例示されていると思いますが、確認で、よろしいですか。

能化政府参考人 御指摘のとおり、「対外情報機能の強化に向けて」、それから「国家の情報機能強化に関する提言」等の文書が含まれております。

塩川委員 この2の別紙2に対応するというのが、自公政権時代の町村外務大臣のもとに置かれました対外情報機能強化に関する懇談会の提言を例示し、また自由民主党の政務調査会の国家の情報機能強化に関する検討チームの提言を紹介している、これを踏まえたものになっているということであります。

 続けて3についても別紙の3が参照となっています。この別紙の3に該当するところでやはり取り上げられている参考文献は、どのようなものがあるでしょうか。

能化政府参考人 「対外情報機能の強化に向けて」ということで、平成十七年九月、対外情報機能強化に関する懇談会の文書、それから「「安全保障と防衛力に関する懇談会」報告書」、これは平成十六年十月、安全保障と防衛力に関する懇談会のものでございますけれども、こういった文献が挙げられております。

塩川委員 やはり町村外務大臣のもとの懇談会の提言を紹介し、さらに小泉総理のもとに置かれた安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書がベースとなっております。

 ここにありますように、1については、別紙1で紹介しているのはここでは取り上げませんけれども、情報漏えい等についてという資料で、これは民主党政権の報告書にもつながる第一回有識者会議に事務局が提出している資料とほぼ同じ中身であります。

 ところが、2と3の意義に対応する参考文献については、自公政権の報告書との関係では参考文献の例示がありますけれども、民主党政権の報告書では、その参考資料がありません。

 ですから、この秘密保全法制の必要性のきっかけとして、尖閣の問題を、ビデオ流出の話を挙げたわけですけれども、それ自身が国公法違反に問われなかった事案であったということを考えると、2、3の問題については、本来は、要は民主党政権になってから考えたということではなくて、要するに、自公政権の報告書を踏まえてやっていたにもかかわらず、そういう意図が読み取れないように、参考文献を有識者会議の場に出さなかったんじゃないのかという点が疑念として浮かぶんですが、その点についてはいかがですか。

能化政府参考人 今御指摘がございましたとおり、かつての秘密保全法制検討チームにおける秘密保全法制の意義と、それから、現在検討している秘密法制の意義につきましては、共通した点といたしまして、外国情報機関等の情報収集活動による漏えいを防止すること、それから、外国からの円滑な情報提供を促進すること、政府部内における情報の共有を促進することといった共通の目的があるところでございます。

 現在、法案化作業を進めております秘密保全法制につきましても、従来の検討と問題意識は共通でございますけれども、高度情報通信ネットワーク社会の進展に伴いまして情報漏えいの危険性が増大しているなどの状況が変化する中、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議が提出した報告書を十分尊重の上、検討を行っているところでございます。

塩川委員 ですから、秘密保全法制の検討というのは、民主党政権で一から始めたわけではなくて、自公政権時代のたたき台を踏まえて行われているということがこの資料の経緯を見ても浮き彫りとなってまいります。

 そういうことについてしっかりと検証もしていくということが必要であるにもかかわらず、自公政権時代の基本的考え方についての案ですとか、あるいは意見書の案について資料要求をしても、この「はじめに」の部分を除くとほとんどが墨塗りなんですよね。この墨塗りでは国民の前でそういった検証も行えないということがはっきりしているわけで、藤村官房長官、こういう墨塗りについてもきちっと公表するということが国民への説明責任としても求められると思いますが、公表するお考えはありませんか。

藤村国務大臣 今御指摘の報告書というのが、二十一年四月の部分ですね、それが今、情報公開の中で墨塗りが多い、そういうお話でありました。

 これは、情報公開法において、同法第五条五号により、行政機関内部における検討に関する情報であって、公にすることによって意思決定の中立性等が不当に損なわれる可能性もある、そしてそれは不開示とすることが規定されています。

 当該報告書の内容は、現在の検討において必要に応じて参考にはしますが、この内容を含めた政府部内の、それは未成熟な検討内容でありますので、それを公にすると行政機関内部における意思決定の中立性等が不当に損なわれるおそれ等があることから同法第五条五号に該当し、法案化作業を進めている現時点においては不開示とすることが適当である、そういう判断であります。

塩川委員 秘密保全法制については、知る権利や報道の自由の侵害などについて人権侵害の問題も問われるものであるからこそ、この検討過程についても透明化を図ることが国民への最低限の説明責任だと言わなければなりません。

 実際、今、政府としては特別管理秘密というのを定めておるわけです。この特別管理秘密では、経産省が核物質防護に関する事項を特別管理秘密としたり、原子力規制委員会でも二つの事項を特別管理秘密としていることが、昨日出されました私の質問書への答弁書で明らかになっています。

 この特別管理秘密は、秘密保全法となれば、有識者会議報告書の特別秘密に重なる、対応するものとなっているわけで、これらの秘密をマスコミなどが取材する場合には、社会通念上是認できない行為で行う場合は報告書は処罰の対象としているわけです。これは極めて曖昧な定義でもあり、原発関係へのマスコミの取材で、その取材が特別秘密に及んで当局が社会通念上是認できない行為とした場合には処罰の対象とされる、こうした法制というのが国民の知る権利の重大な侵害となりかねないということが指摘をされているわけです。

 自公政権下でつくられた現行の秘密保全法制に、自公政権下で準備された法制化で罰則などを追加して国民の知る権利をじゅうりんする、秘密保全法制の策動そのものを撤回すべきだということを申し上げておきます。

 残りの時間で、地域主権改革についてお尋ねします。

 官房長官、ありがとうございました。

 第二次一括法で、環境基本法の改定が行われました。公害の著しい地域における公害防止計画の策定は、環境基本法に基づいて環境大臣が防止計画の策定を指示し、都道府県知事が計画を作成し、大臣の同意を得なければならないとされてきたわけですが、この二次一括法においてこの策定の指示が廃止をされ、都道府県知事が任意に公害防止計画を作成することができるとされたわけであります。

 この点について環境省にお尋ねをしますが、平成二十二年の時点で三十の公害防止計画があったと思うんですが、その後、この計画はどのようになったでしょうか。それはどういう理由なのか、この点についてお答えください。

中島大臣政務官 塩川先生にお答え申し上げます。

 公害防止計画の作成地域数は、同計画の実施を初めとする各種公害対策の推進によって、昭和五十一年の四十八地域をピークに年々減少してきております。

 また、平成二十二年六月に閣議決定された地域主権戦略大綱や中央環境審議会での議論を踏まえて、平成二十三年に公害防止計画制度の改正が行われました。この改正により、公害防止計画に係る国の策定指示はなくなり、公害防止計画の作成は都道府県知事の自主判断となりました。

 これらを背景として、二十三年度以降の公害防止計画作成地域数は二十一地域となっているものであります。

塩川委員 知事の自主判断になったということで、三十が二十一に減少したということです。自治体の自主的な判断によって計画数が大幅に減少しています。

 重ねてお尋ねしますけれども、法改正前は公害防止計画の策定に当たって環境省はどのような調査を行ってきたのか、この点について示していただけますか。

中島大臣政務官 法改正以前におきましては、環境大臣から関係都道府県知事に対する公害防止計画の策定指示を行うに当たって、国として、地域の環境の状況を把握するため、関係都道府県への調査依頼や現地への職員派遣によって調査を行ってきたところであります。その結果を精査して、策定指示を行うべき地域に該当するか否かの判断を行ってきたところであります。

 なお、法改正後におきましては、公害防止計画の作成は都道府県知事の自主判断になっており、環境省において現在そのような調査などは行っておりません。

塩川委員 いわばこの法改正によって、環境省として、国として地域の環境状況の把握が行われなくなったということであります。自治体の自主的な判断で計画が策定されなくなると、国としての環境の実態把握も大きく後退することになるということがここにも言えることであります。

 具体例で少しお聞きしたいんですが、三重県が四日市地域公害防止計画を終了しました。現地では、大気汚染はいまだに深刻だ、それなのに、三重県においては四日市地域公害防止計画の策定を終了したことについて公害認定患者の方にも説明もないし、環境審議会にも報告もないし、県議会や四日市の市議会にも報告がなかったと。これが地域主権なのか、何も知らないところで終了されていた、こういうことでいいのかということが問われるんですが、この点についていかがですか。

白石政府参考人 御指摘のように、四日市の地域におきましては、平成二十三年度以降の公害防止計画策定はございません。

 これは、三重県におきまして、当該県におきまして、公害防止のための計画でいろいろな施設整備等々を行っているわけでございますけれども、それが終了したことによって、公害防止のための各種施策の実施、そういう具体的な施策については終了したというふうに判断したものでございまして、その判断を私どもの方は尊重すべきものと考えております。

塩川委員 住民や議会にも説明なしで計画策定だけを取りやめる、こんなことがあっていいのか、これが地域主権なのかということが問われるんじゃないでしょうか。

 現地では、我が党の三重県委員会が公開質問状で県にもただして、厳しく批判をしております。そういう中では、四日市公害裁判の勝利判決から四十周年だ、この判決中で、工場の立地選定の過失を認め、大企業の利益第一主義、人命軽視を厳しく断罪するとともに、国、県、市の無責任きわまる地域開発政策そのものを厳しくこの裁判は裁きました。それだけに、初期の四日市公害防止計画には、汚染物質の総量での規制とともに、住居地と工場地との混在の解消、そのための工場立地の規制強化や工場立地の許可制などが導入されてきたとあります。

 現状もこの住居地と工場地域の混在は解消されておりません。公害防止計画の必要性は失われていない、このように思うんですが、こういうことについては、環境省としてはどのように把握されておられるんですか。

白石政府参考人 そのような御指摘があるということもまた一方で踏まえつつも、都道府県の方で定められた計画を実施し、その完成をもって計画の終了というふうな形をとったことについては尊重すべきものと考えております。

塩川委員 公害防止行政が後退しているんじゃないか、こういうことでは尊重などできないというのが県民、住民の声であります。

 こういう具体的な実情を見ますと、環境省、お尋ねしますが、この公害防止に当たって、国が計画策定を指示する、こういう仕組みそのものをなくしたことが間違っていたんじゃないのか、この点については、環境省としてのお考えはいかがですか。

白石政府参考人 お尋ねでございますが、地域主権との考え方でいえば、この公害防止、逆に国としての一生懸命やるという部分もございましたけれども、その歴史をひもとけば、各地方公共団体の方が自主的に動くことによっていろいろな公害行政が進んでいったという面もございます。

 そういう長い歴史的経過の中で、いろいろな能力あるいは知見というものについて、都道府県の方にも備わってきたというふうな判断もございまして、今般、地域主権の中で、国が指示をするというふうなことはなく、自主的な都道府県等の判断によって行われるべきものと判断したわけでございます。

 もちろん、そうはいっても、いろいろな事象があるということもありますので、例えば財政上の何らかの上乗せ措置をしなければならないような場合については、国の同意というふうな手続があるものもありますし、また、先ほど御指摘のありました環境基本法等々の中でも、国と地方と相携えて公害対策に尽力しなければならない趣旨の規定もございます。

 そういう規定もあることを考えれば、場合によっては、任意の同意を前提でございますけれども、技術的助言ということはこれまた地方分権の中でもあり得る話ではございますけれども、個別の事案に照らしていえば、我々は、都道府県知事の判断がまず一義的に尊重されるものというふうに考えております。

塩川委員 住民の健康被害を解消し、そして防止する、そういう観点で、自治体から大きな公害行政が進んだ、それが結果として国を動かしたというのが、公害国会を前後した取り組みだったわけであります。

 そもそも、この間、国が工業地帯の建設を推進してきた、これが大きな要因となって深刻な公害も発生したわけですから、国が公害を発生するような原因をつくってきたんだからこそ、こういう公害について国が強力な関与、支援のもとに総合的、計画的な公害対策を講じるための公害対策基本法をつくり、公害防止計画制度がつくられたはずであります。

 そういう点でいえば、国が地域開発政策を進めていく限り、国として公害防止計画策定の契機をつくる法的権限の必要性は失われていないと考えます。

 最後に、樽床地域主権改革担当大臣、お尋ねしますが、こういうように、地域主権改革の議論の過程の中では、環境省からも、首都圏などの大都市圏においては広域的な環境問題が生じており、その解決のために、広域的な観点から、隣接する地域の計画間の連携を確保することが重要であり、そのために必要な仕組みを設けていると、必要性なども回答がされていたわけであります。

 ですから、国が地域開発政策を進める、あるいは広域の連携、県をまたがるような際に、国として必要な関与を行って計画の策定の指示を行えるような権限こそ必要であったわけで、それをなくすというのは、国の公害対策に対する責務を後退させるものとなったということははっきりしているんじゃないでしょうか。

樽床国務大臣 さまざまな御指摘をいただいておりますが、御存じのように、これは必ずしなければならないというものを、必要を感じる、認める場合にはつくってよろしい、実際的には、必要なところはどんどんつくってください、しかし全てのところに義務づけるものではない、こういう趣旨でありますから、当然、先ほどお話がありましたように、公害対策がそれぞれの地域の住民の方の声がずっと広がっていって国を動かしたという経緯も御説明になられたように、それぞれの地域の方が一番よく御存じでありまして、私は、そういった方々の声をそれぞれの自治体がしっかりと受けとめていく、そういったことが地域主権の中でそれぞれの地域の自治体の責任として行われるというものと確信をいたしておりますので、後退であるという認識はとっておりません。

塩川委員 地域主権改革というのが、実態とすると、住民生活を守る上でのさまざまな規制措置の規制緩和になっている。私は、こういう地域主権改革の名による公害行政の規制緩和政策はきっぱりとやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

古川委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 国民の生活が第一の畑浩治でございます。

 本日は、地域主権改革の一環の出先機関改革について樽床大臣と議論させていただきたいと存じます。

 この出先機関改革のやはり一番の肝というか本質は、受け皿をしっかり、どういうのをつくるかということだろうと思います。

 そういう中で、六月八日に開催されました第九回の「アクション・プラン」推進委員会で、国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案、これがこれから出されようとしている法案のベースだと思われますが、この法案が示されている。

 この場で、実は六月十二日に、当時の前原政調会長が、市町村から慎重な意見がある、私自身、国土交通大臣をやった中で、受け皿がしっかりしていないと地方整備局の権限を移譲することは難しい、時間を焦るのは本末転倒という発言があったわけです。つまり、受け皿として想定されている広域連合の責任の所在と体制というか、この辺のところの議論が必要ではないかなという認識だったと思います。

 受け皿が広域連合でいいのかどうか、私は大いに疑問があるという立場からきょう議論させていただきますが、仮に広域連合だったとしても、現行の広域連合というあり方でいいのか、これは後ほど議論しますが、トップのあり方も含めてそういうのでいいのか、いろいろ問題があるだろうと思いますので、広域連合ありきで受け皿の議論を進めるのは危険だろうと私は思っております。

 広域連合は、もう御存じのとおり、新しい制度ではなくて、従来の制度を使うわけですね、事務組合の一種ですが。それで、いろいろな市町村がかなりつくって、いろいろな実績もあって、長所、短所がかなり検証されているというのもあります。

 平成二十一年には、総務省の地方公共団体の事務の共同処理の改革に関する研究会というのがあって、ここで、広域連合というのは意見調整に時間を要し、迅速な意思決定が難しくなるとの指摘がある、こういうことを言っております。

 この総務省の研究会の報告で実は市町村のアンケートをとったようですが、広域連合の共同処理について、機動的な意思決定が困難であると答えたのが五四・六%。そして、全構成団体の協議を調えることが難しいと答えたのが四二・八%ということでありました。

 丸ごと移管というのを今の法案では考えられておるわけですが、丸ごと移管ということになれば、災害は典型的な議論ですが、国民の生命財産に直結する問題というのを含むわけです。であれば、そこの受け皿をどのように組み立てるかというのもかなり慎重にというか、緻密につくらなければいけないだろうと思います。

 今、地方を守る会等もあって、市町村長の反対が多いことは確かなんですが、反対があるというのは、恐らく、こういう市町村長の経験から、広域連合というのは、いざとなって、こういう緊急時に機能をうまくしないのじゃないか、そういう思いがあるからではないかなと私は理解しております。

 こういう問題がいろいろあるわけですが、今度の法案はなぜ広域連合を受け皿として、これを前提として制度化しようとしているのか、ここについての地域主権担当大臣のお考えを伺いたいと思います。

樽床国務大臣 全国からいろいろな御意見が寄せられていることは認識をしております。

 そういう中で、まず最初の質問は、なぜ広域連合なのか、こういうことでありましたが、いろいろ、過去の議論の経過はまずここで一々言わないで省略をいたしますが、今考えられているものの一つに整備局がございます。そうすると、整備局というと、かなりの、都道府県を越えたエリアに当然なるわけであります。私が住んでおりますのは近畿地方ですから、近畿地方整備局というのがございます。ですから、そういうエリアを考えますと、都道府県を越えたエリアになりますから、そうなると広域連合ということであろう、これがまず基本的なベースだろうと私は思っております。

 そういう中で、先ほどちょっとお話がありましたが、現在の広域連合とは違うものだろうという類いの御発言を委員の方でされたと思いますが、それはかなり正確な御意見だと思っております。要は、特定広域連合というものを指定する、こういうことを、まだ閣議決定も何もしておりませんが、案ではなっておりますが、これは現在ある広域連合ではございません。

 ですから、この出先機関のものを考えるに当たって、新たにというか、きちっとした形で要件を満たす広域連合というものを特定広域連合として認定しようということで、今広域連合が日本の中でいろいろありますが、それを前提にお考えになられる必要はなかろうというふうに思っております。

畑委員 実は、広域連合、私もそこは存じております、ちょっと変わった広域連合になると。ただ、本質的な問題が解消されていないという問題意識を私は持っているわけです。

 つまり、広域連合というのは、構成する団体間の意見を調整して広域としての意思を決定することが困難であるという欠点があると私は申し上げましたが、それは、ある共同体において意思決定の際に必要な権威が決定者あるいは決定機関に欠けているという部分が、多分今度の法案でも変わっていないという問題意識が私はあります。まさにガバナンスの問題なんです。これは後ほどまた議論させていただきますが、トップのあり方というところなんです、端的に言うと。

 さはさりながら、そういう問題の部分は変わっていないという部分があって、これについては、平成十二年に自治省の行政体制整備推進室長が指摘している。これは、合併問題があったときなんですよね。だから、合併でやることが適切だ、広域連合を使う場合には、メリットが生かせるような対象事務を選んでやっていくことが適切だ、結局、そういう指摘があったわけです。

 これについては、後ほどの議論にもなりますが、大臣今おっしゃいましたが、新たな広域連合、そこのところはしっかり考えておられるという趣旨だと思うんですが、そこはどう変わっているのかということと、大臣の認識、こういう問題が今度の案で解消されようとしているのか、そこをお伺いしたいと思います。

樽床国務大臣 私の認識では、そういったいろいろな御心配なりさまざまな御意見が日本全国にある、そういった御心配なりにきちっと応え得る広域連合でなければならないだろうというふうに思っておりまして、そこの地域の方々がそういうものに対する不安を払拭していただけることを、理解してもらえる形に、さまざま我々としては、こういうこと、こういうことといういろいろな条件なり、条件という言い方はおかしいですね、やった場合にはこういうことをしてください、ああいうことをしてください、これを全部パッケージでやってもらえばかなり信頼してもらえるんじゃないでしょうか。こういうようなことを今検討させていただいておるということ。

 もう一点、一番多くの御心配は、先ほど災害時のお話がございましたが、大規模な災害が発生したときに対応し得るのか、こういう一番大きな御心配があるということは認識をしております。

 大きな災害、昨年、不幸にも我が国で発生をいたしましたが、百年に一度、千年に一度と言われる東日本大震災が発生をいたしまして、大変多くの人命が失われて、我々はいろいろな意味で反省もし、取り組みも新たにしていかなければならない、こういう状況でありますが、そういったときに一番必要なのはスピードと権限であるというふうに思っております。

 そういうようなことが今回の広域連合で担保できるのかという御心配が充満しておることは十二分に認識をしておりまして、そういったときに、スピード、そしてしっかりとした権限が何とか維持できるというようなことに向けて懸命に検討しておるということであります。

畑委員 まさにそこができる体制をつくれるかということですが、今のこの原案を見ると、広域連合のトップは知事との兼任ということが原則、基本的になっておりまして、これは独任制ということにまではなったんですが、独任制とはいいながら知事との兼任ということになる。この場合に、知事としては、本来自分が選ばれた県のエリア外のことについて責任を負う体制になる。これは、日常からそういうことに対して能力がない、知らないということはもちろんあるんですが、それはそれでかなり補佐すればいいという議論もあると思いますが、問題は、それが民主的正当性としていいのかどうかということだと思います。

 つまり、まず、知事というものは自分の県から選ばれている、そこで、他の県との間で利益相反が起こったときどうするのか、そして、生命財産に関することについて他の県のことを、これは建前ではそうですが、判断して本当にいいのかどうか、私はそういうところに疑問を持っております。

 要は、例えば達増岩手県知事が、民主党の地域主権調査会の総会でやはりこの部分は言っていたことがあります。つまり、忠誠心の問題が問題だと。例えば河川が洪水になった場合に、北上川というのがあるんですが、これは宮城県まで流れていますが、いざというときにどこを守るか、決壊させるかという判断があったときに、岩手県の一関あたりの遊水地を洪水にして下流を守るということがいいのだという場合でも、いざ自分が全体の東北広域連合の長の場合には、岩手のことを考えてしまえば、下に流してしまった方がいい、宮城を犠牲にするという判断にした方がいいというふうに悩んでしまうと。もちろん、逆でも、例えば宮城の方を水浸しにして岩手を守るとした場合に、それをやっていいのかという判断にまた迷うと。何といったって、宮城で選ばれているわけではないわけですから、岩手県知事は。そういうことは言っておられました。

 これは、片山元総務大臣も実は同じようなことを災害に関して言っておられて、いざとなったときにはやはり究極の民主的正当性、そしてデモクラシーとの関係、政治責任との関係の欠陥があるし、そこで致命的な悩みを生じる部分があると。

 だから、私、これを仮に広域連合で心配ないように組み立てようとすれば、これは私の案で、提案になるんですが、やはり出先機関の受け皿になる広域連合の長は知事との兼任を認めないで、そして、広域連合を対象とした住民の直接投票がベストですが、これが不可能であったら、ともかく知事とは別の立場で、互選でもいいのかもしれないけれども、知事とは別な長が必要だ、私はそれは最低限必要だと思います。

 そこについてのお考えはいかがでしょうか。

樽床国務大臣 二点お答えをしたいと思います。

 まず第一点は、最初の、非常にわかりやすい御説明をいただきました、知事が、みずからが選出されている県の利益とお隣の県の利益がいざというときに、緊急時に利害が相反したときに、どうしてもみずからの地域を優先するのではないか。それは私は、頭の体操としては非常に理解する議論であったというふうに思っております。

 しかし、先ほどの畑委員の前提は、緊急時、いざというときということであります。ですから、いざというときにそういうことが起こらないように、いざというときのことは一生懸命検討をしていきたい。ですから、災害が発生したときのあり方ということについては、スピードと権限の問題については、さらなる検討を加えて、そういった御心配が起こらないような方向で頑張って検討をしてまいりたい、このような思いを今持っております。

 それから、二つ目でありますが、長を知事以外の方で選んではどうか。こういうことについて、それは一つのお考えとして受けとめさせていただきましたが、そういったことも含めて、今後、まだ閣議決定もしておりませんし、今検討中でありますので、そういった御意見をこの内閣委員会の場でいただいたということはしっかりと頭の中に入れてまいりたいと思っております。

畑委員 今、災害のとき、いざとなったらというのは事前にやっておくという話があって、それはもちろん当たり前なんですが、実際には、私も三・一一の経験からいうと無理なんですよね。

 達増さんも言っていましたが、災害のときに、まず電話さえもつながらなかった、隣の宮城県知事と打ち合わせをしたかったけれども全然つかまらなかった、全然無理だったと。ああいう体制の中でやはり一元的にやるシステムを最初からつくっておかなければいけないという話がありましたので、私は、そういうことを言うのであれば、丸ごと移管といわずに、案件の性質で、その団体の受け皿に鑑みて、移管していいもの、移管してはいけないものというかすべきではないもの、やはりここは、地域主権なんですが国の責任で仕分ける必要が私はあると思います。

 そこのところをちょっと議論したいんですが、丸ごと移管というのであればしっかりとした受け皿を用意する。広域連合がしっかりとした受け皿と私は思いませんが、そういうふうにしていくというお答えなんでしょうが、そういうことだし、あるいは、広域連合という性格に鑑みて、広域連合を百歩譲って受け皿としてやっていくのであれば、事務の性格によって移管できるものとできないものの仕分けを行うべきだろうと思うんですが、そういう考えはないんでしょうか。

樽床国務大臣 まず、地域主権の基本的考え方は畑先生と同じ。まず地域主権について、基礎自治体に最大限の権限をお与えして、我々の身の回りのことはまず基礎自治体でできるものは最大限やっていこう、そして、基礎自治体でできないものは補完性の原理といってさらに広域のところに移っていく、ステップアップしていくというここは同じ認識ではないかというふうに私は理解をしております。

 そういうベースに立って考えて、今のような問題もその基本、原理原則にまず基づいて、あと現実的にどのような施策をやっていくのか、こういう整理で考えていきたいなというふうに思っております。

 現実的に言うと、今、我々が考えておることでも大体三千条項ぐらいの案件があります。その中で、現在で結論が出ております、それを仕分けと言うのかどういうのかわかりません、それは、今政府の中で、これはできますかできませんかとほかの役所等含めて相談をしておりまして、これは大丈夫でしょうというものが、まだ三千のうちの四分の一ぐらいであります。

 ですから、恐らく、総理の方針のもとで閣議決定に向けて今我々頑張っておりますが、その閣議決定の段階で、三千全てが結論が出ているということにならないということも十二分に考えられる。もっと言うと、恐らくその可能性の方が高いのではないかと。あと五年、十年議論しろと言うんだったらそうでないかもわかりませんが、期間も限られておりますので、この間でいうと、まず結論が出ているものについて閣議決定を目指しておりますから、そのときにはそれを閣議決定する、まだされていないものは、その後速やかに、その残りの四分の三を詰めていくということになります。

 そういうこともいろいろ詰めていきながら、どうしても、それでもなかなか不都合が生じる、解決できないというものについては例外というものもあり得るのかな、こういうふうには思っております。

 全て今、検討状態でありますので、それを仕分けと言うのか、仕分けという言い方が最近はやっておりますが、余り何でもかんでも仕分け仕分けと言っていいかどうかわかりません。ただ、各府省、関係省庁と相談をしながら、基本的には、住民の皆さん、国民の皆さん方に御心配をかけない、御迷惑をかけないという方向をどれだけ追求できるかということだと思っております。

畑委員 実は、そうすると、逆に今度は、ある一定期間曖昧な併存体制が残るというのを私は心配するわけです。

 要は、例えば河川なんか一番典型的な例なのでちょっと申し上げたいんですが、複数府県にまたがる河川管理については、例えば淀川、大阪も流れておりますが、この淀川というのは三重県に端を発した水系ですが、三重、奈良も流れると……(樽床国務大臣「滋賀。三重か」と呼ぶ)三重から出るんです、上流は。

 それで、実は、関西広域連合ということを具体的例で取り上げるとした場合に、奈良県がこれに入りたくないと言っているわけですね、自分の気持ちとしては。奈良の水系の部分は結局抜ける。三重県は関西広域連合にはやはり入らないし、あるいは三重県そのものは、河川管理はもう国にやってほしい、無理だと言っております。こういう事情を考えれば、奈良県、三重県が加入しない広域連合に移管されるとすれば、残りの部分はやはり、今の法案を前提にすれば、地方整備局が残って、結局、広域連合と地方整備局が残る体制になる。三重行政と四重行政が併存するということになります。複雑になってしまう。

 では、これを、河川の分断管理を避けて一つの水系で丸ごと移管しようとすると、恐らく大規模河川はできないことになって、中小河川だけになってしまう。であれば、逆に、やはり大規模河川は地方整備局に残る。いずれにしても、残る機関が出てくるわけですね。

 それで、これは私もちょっと試算をしてみましたが、現在の関西広域連合の区域を前提にすれば、事業費ベースで結局は三割弱ぐらいしか広域連合に行かないというふうな試算もあります、こういう考え方を前提にすれば。

 結局は、丸ごと移管といいながら、実態は出先機関の大半が残るわけですよ、それであれば。そして、結局、私は、曖昧な体制をつくるよりは、五年時間がかかったって、受け皿をしっかり議論していいものをつくっていった方がいいと思うので、できるところからやって、併存して、その後考えていこうというそういう見切り発車というのは、私は統治機構としては危ないんだろうと思っております。

 そこのところ、大臣はちょっと認識は違うようでございますが、もう一度お答えをいただきたいと思います。

樽床国務大臣 私が関西に住んでおりますから関西の例を言っていただいたのかもわかりませんが、現行動いております関西での広域連合は奈良県が入っていない、こういう前提でありますので、先ほど言いました、一つのエリアが完成されている広域連合ではないというふうに思います。

 ですから、私は関係者の方ともお話をさせていただいておりますが、これも頭の体操で、関西でそういうことがあるとするならば、奈良県は絶対に入ってもらわないと、特定広域連合に指定はなかなか難しかろうというふうに私は思わざるを得ないわけであります。奈良県だけぽこっと抜けて、その周りだけというわけにはいきませんので、それは、関西の方々の御努力によって、奈良県の方も一緒にやっていただくということが整った段階で初めて認定するんだったら認定するということになるのではなかろうかというふうに思っております。

 元来、地域主権という考え方について、これは哲学論争になるかもわかりませんが、これは人それぞれいろいろな考え方があろうかと思います。

 例えば道州制という言葉についても、せんだって、私、どこかの会合でちょっと申し上げたことがありますが、道州制というのは、かつては地方分権、それが今、地域主権と言っています。そういった地方分権を当時、二十年前、進めていくときに、地方分権と言っても何かイメージが湧かない。二十年前ですよ、二十年前に地方分権と言っても、何じゃそれは、イメージが湧かないという多くの皆さん方のお気持ちがあったので、それを、イメージを湧かせてもらうために道州制という単語を使って、地方分権というのはこういうものですよということで道州制という言葉を使い出した、私はそう認識をしております。

 なぜなら、私は、その当時から、今でいう地域主権を最大の国のテーマだというふうに訴え続けてまいりましたから、自分の認識ではそういう使われ方をしました。

 ということは、道州制というのは一つの標語だったんですね。兵庫県じゃなくて標語ですね。そうすると、現段階において、標語であった道州制という言葉の厳密な意味、三層なのか四層なのか二層なのか、二層ということはあり得ませんが、その道州制というのはこういうものなんだという、みんなが共通の意識を持つそういうものを確定して初めて道州制が議論できるというふうに思います。

 ですから、地域主権というものも、いろいろな方がいろいろなイメージをお持ちであろうとは思いますが、私は、地域主権を進めていこうとすれば、冒頭言いました、瑞慶覧先生の質問に対しても言ったと思いますが、権限とあわせて責任というものが明確になければならない。そうすると、おのずと地域地域によってある種の違いが生まれてこざるを得ない。どうしてもこれ以上の違いというものはだめだというところ、また、どうしても生じる格差、東京と岩手県が同じ状況で用意ドンして、岩手が東京に全て凌駕するというのは、常識でいうとちょっと厳しかろうというふうに思いますから、どうしても発生する格差を埋めていくとか、そういう機能は国に残ります。

 しかし、ある程度のでこぼこというのは発生せざるを得ない。責任を持ってそういう状況を挽回していくという決意がそれぞれの地域に必要であろうというふうに思っておりますから、私は、そういう点でいって、今回の、今我々が考えておりますのは手挙げ方式でありますから、手を挙げることについて、それなりの意思と決意を持って手を挙げていただきたい、そういう意思のないところは手を挙げられないという可能性もあるかもしれない、このようなことを考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 今のエリアの範囲の話で、奈良県の例にしましたが、その仕事の性格からいって、入るべきところが入っていなければそれは移管できないということであったと理解します。逆に、入るか入らないかは自由なので、結局、入る入らないは自由だけれども、やはり入って、そのエリアにふさわしいところに仕事が行く、そういう理解をしておきました。

 あと、これは大臣に一つ確認しておきたいんですが、広域連合の受け皿というのは、これは将来の道州、私はまだ考え方がまとまりませんが、かちっとしたものに至る一つの一里塚、過渡的なもので、広域連合の受け皿の出先機関改革は最終形ではないという理解でいいんでしょうか。

樽床国務大臣 先ほど申し上げましたように、畑先生のイメージされている道州制というものがどういうものか、私は、まだ今のお話だけではわからないというのが正直なところであります。

 どういう道州制なのか。例えば、都道府県を全部なくして、そして道州に全部一つにして、国、道州、それから市町村という三層にするのか、都道府県がある程度形を残したままで、その間に道州というものを置くのかというイメージが、今のお話では、私にはどちらかという判断がつきかねるという状況であります。ですから、何とも申し上げられません。

 つまり、道州制そのものの議論をもう一度整理しないと物事が前に進まないというふうに私は思っております。道州制とはこういうものである、もしくは、道州制A、B、C、D、四パターンあれば、道州制Aがいいのか、道州制Bがいいのか、Cがいいのか、Dの方がいいのかということがちゃんとわかるような形で議論しなければ道州制の議論は深まらない、そのように思っております。

畑委員 道州の考え方はいろいろあって、私も議論すると三十分も一時間もかかりますが、いずれにしても、理想形というのがあって、そこに至る、この広域連合自体も別に理想的な形態じゃないので、過渡的な形態だという前提でいろいろ理解させていただきたいと思います。

 それで、時間がなくなりましたので、最後、手続の方について、ちょっとこれは事務方から聞いておきたいんです。

 四月二十七日の地域主権戦略会議では、特例制度の基本構成案が了承された旨の議事録が公表されて、了承ですね。ただ、八月十七日付の総務省からの平成二十五年度の地方財政措置についての各府省への申し入れについては、地域主権戦略会議において基本構成案が決定されたというふうに記述がされている。

 了承と決定、これは微妙に違いますが、何でこういう表現が微妙に違っているのか、そこのところをお伺いしたいと思います。

黒田政府参考人 御指摘いただきましたように、確かに、了承につきまして決定という言葉を使わせていただいております。

 これは、内閣総理大臣が出席されました地域主権戦略会議におきまして基本構成案が了承されて、以後、この基本構成案をもとに政府内における出先機関改革に関する調整が行われてきた、そこをそんたくいたしまして、決定という言葉を用いることとさせていただきました。

 何かそれ以上の意味を含んで用いたわけではございませんが、誤解を招きかねない言葉遣いであったことも事実でございますので、この趣旨につきまして、改めて各府省にお伝えしたいと思います。

古川委員長 樽床国務大臣、時間ですので簡潔に。

樽床国務大臣 今のことについては、了承を得たということが決定をしたということについて、まことに誤解を与えました。まことに申しわけなく思っております。

 今後、しっかり気をつけるように指示しますので、よろしくお願いいたします。

畑委員 では、終わります。非常に心ある答弁だったと思います。

 本当に了承と決定というのは法的用語と技術的用語で違いますので、そこを厳密に使っていただきたい。決定という場合には与党内の手続が必要になってくる部分もあって、微妙に違ってくるんですよね。そこは、言葉遣い、既成事実をつくってなし崩し的にやってしまうんじゃないかという市町村の非常な不安がありますので、その言葉一つとってもよろしくお願いしたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

古川委員長 次に、浅尾慶一郎君。

浅尾委員 みんなの党の浅尾慶一郎です。

 きょうは、先般の当委員会におきまして、前原大臣そして岡田大臣のそれぞれの所信的発言に基づいて質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、前原国家戦略担当大臣に伺わせていただきたいと思いますけれども、先般の御発言の中でこういうふうに言っておられます。「あわせて、予算編成の基本方針を策定し、財政運営戦略に定められた財政健全化の枠組みを堅持しつつ、日本再生に向け、グリーン、ライフ、農林漁業の重点三分野と中小企業の活用に政策資源を重点投入してまいります。」

 まず、この予算編成の基本方針。これは累次国会でも議論されておりますが、今までは予算というのは、一般的なイメージで申し上げますと財務省が編成するということでありますけれども、内閣全体として、予算の大枠というものについてはやはり内閣が取り組むべきだ、その中で多分、「予算編成の基本方針を策定し、」という文言になっているんだと思いますけれども、この予算編成の基本方針というのは、わかりやすい国民に対する説明というとどういうものが含まれているのか、まず伺いたいと思います。

前原国務大臣 お答えいたします。

 まず、政権交代後の平成二十一年十月の閣議決定におきまして、予算編成の基本方針を国家戦略室でつくって、そして予算関連閣僚委員会で決定をし、そして閣議決定をする、これは議員御承知だというふうに思いますけれども、そういう考え方がまとまっているところであります。そして同時に、今委員長をされている古川前大臣が中心となって日本再生戦略というものをまとめられました。

 野田政権になってから、民主党の、与党と政府の政策決定のあり方というのは変わりまして、鳩山政権では、政府・与党一体ということで、政府が決めたものについては与党民主党は従うということで、政策調査会もありませんでした。しかし、菅さんのときに、菅政権で政調会が復帰しましたけれども、提案をして意見を聞くというものでございましたけれども、野田政権になりまして事前審査ということになりました。

 したがって、古川大臣のもとでつくられた日本再生戦略についても我々は協力をいたしまして、そして、平成二十五年度の予算の組み替え基準というものが、まさに日本再生戦略で決められたグリーン、ライフ、そして六次産業化、そしてそれを支える中小企業ということで明示がされましたので、それが今後予算の中に反映されるという意味において、例えば、グリーンでありますと削った分の四倍、ライフ、六次産業化だと二倍、その他の重点分野だと一・五倍ということで組み替え基準をつくりまして、今その概算要求で進んでおります。

 それをまとめたものを、先ほど委員が引用していただいたのは、中期財政フレームの中に押し込んでいくという作業を政府・与党でやっていく中で、ある時期に今の考え方を踏まえた基本方針というものをまとめて、そしてまた、さらにそれをベースに予算編成を十二月に向けてやっていくということと御理解をいただければありがたいと思います。

浅尾委員 今の御説明で、ちょっと例で伺ってまいりますけれども、例えば、予算編成を財務省主計局がやるという前提でいうと、各省ごとのシーリングというものが決まって、その中でマイナス何%なりなんなりということになるんだと思いますが、そのシーリングを決めるのは財務省あるいは財務大臣という理解でいいんですか。

前原国務大臣 平成二十五年度の概算要求の組み替え基準に基づいて、各省において概算要求を提出していただきました。それにつきましては、今七十三・四兆円ということになっておりまして、中期財政フレームというのが七十一兆円でございますので、約二・四兆円のこれから圧縮をしていかなくてはいけないということになって、今の段ではそこまで来ているということでございます。

 そして、先ほど申し上げたように、今は党が事前審査権を持ちますので、古川大臣のときも、私が政調会長で古川大臣と協力をしながらやらせていただいておりましたけれども、現状、党とも話をしながら、もちろん財務省にもしっかりと関与してもらう中で、どうこの二・四兆円を圧縮していくのかということについては、単に財務省だけではなくて、国家戦略室、また与党とも相談をさせていただきながら進めているということでございます。

浅尾委員 私の基本的な考え方としては、先ほど申し上げましたように内閣全体でやるべきなので、国家戦略担当大臣が、例えば今の例で言うと、二・四兆円どこを圧縮するかということも含めて主体的に予算の編成をやるのか。それは党と相談しながらということかもしれませんが。それとも、主体的にやるのはあくまでも、今でいえば城島財務大臣のもとの財務省で、そこに対して党からの要請、意見としてここを減らすというふうになっているのか、そこのところを具体的に伺いたいと思います。

前原国務大臣 浅尾先生おっしゃるように、先ほど私が申し上げた、政府全体としてやっていかなきゃいけないということの中で、先ほど申し上げた平成二十一年十月の閣議決定に基づいて、予算関係の閣僚委員会というもので決めるわけでありますが、野田政権になって与党の事前審査というものになりましたので、最終判断は国家戦略室とか財務省ということではなくて、政府・与党の会議において最終形を決めていくということになります。

 それは、総理もお入りをいただきますし、また財務大臣も入りますし、そして私も入るし、今の党でいいますと、細野政調会長も入られる、輿石幹事長も入られる、こういうことでございます。

浅尾委員 ちょっと質問の角度を変えて伺いますが、では、今の政府・与党の会議、この間ちょっと新聞でも報道されておりましたけれども、これの事務局は財務省にあるんでしょうか。

前原国務大臣 政府・与党の担当者、責任者でいうと、政府側は齋藤副長官、そして党側は大塚耕平政調会長代理でございます。

浅尾委員 そうすると、比較感、多分、政権交代の中で、予算のつくり方も含めて変えてほしいという思いも国民のある部分には間違いなくあったんじゃないかなというふうに思いますが、前の自公政権時代と違う部分というのは、決め方において違う部分はここだというのは、どこが変わったんでしょうか。

前原国務大臣 自公政権のときには経済財政諮問会議というものがありました。そこでお決めになっていたんだと思いますけれども、我々は、先ほどから繰り返し申し上げておりますけれども、平成二十一年十月の閣議決定において、国家戦略室で予算編成の基本方針を決めて、そして予算関連の閣僚委員会というもので最終決定したものを閣議決定するということであります。

 それと、変わったものということについては、野田内閣になってから与党の事前審査というものが絡みましたので、平成二十一年の閣議決定にかわってというか、閣僚委員会はあるんですけれども、それプラス、最終的に決めるのは政府・与党の予算関連の会議であるということでございます。

浅尾委員 少し観点を変えて伺ってまいりたいと思いますけれども、例えば、グリーン、ライフ、農林漁業というふうに具体的に例示をされております。この分野ごとの、それぞれ、しかもいろいろな省庁にまたがって予算がつけられるんだと思いますけれども、どこの省庁にどれぐらいの額をつけるかというのを主体的に判断していくのは、前原大臣の責務として判断をされるのか、それとも財務大臣なのかということを伺いたいと思います。

前原国務大臣 概算要求の組み替え基準の中で、先ほど申し上げたように、各省庁にインセンティブを与えました。削ったものの四倍グリーンは要求できますよ、そしてライフ、六次産業化については二倍要求できます、そして他の重点成長分野においては一・五倍ということで、それぞれの役所の判断に基づいて概算要求を出していただいているということでございます。

浅尾委員 削ったものの四倍とか二倍ということを決められたのは、その責任者はどなたでしょうか。

前原国務大臣 古川大臣でございます。

浅尾委員 そういう意味では、従来とそこは違うと言い切れるのか。従来であればそれは経済財政諮問会議で決めていたということが、少し決める枠組みが変わっただけであって、決めている仕方自体はそう大きく違わないと思われるのか。経済財政諮問会議があった場合とない場合とで、どういうふうに思われるか、ちょっと伺えればと思うんです。

前原国務大臣 委員長席から答弁してもらった方がいいかもしれませんが。

 自公政権のときの考え方というものは経済財政諮問会議、それを、どこが中心を握っていたかどうかという判断は、私はあえて避けたいというふうに思います。

 とにかく、いい意味での政治主導というのは、財務省に丸投げではなくて、もちろん財務省にもしっかり絡んでいただきながら、何が今後の予算の重点措置として必要なのかというものを、国家戦略室、あるいは与党との相談の上決めたもので予算編成をしていく、そして、お互いが責任を持って、削るところは財務省頑張ってねではなくて、削るところも含めて政府・与党一体となってやっていくということでございまして、私は、政権交代後の予算編成の過程、そして与党が絡むようになってからの与党としての働きというのはあるのではないかと考えております。

浅尾委員 いい意味での政治主導というのは私はどんどんやっていくべきだという趣旨でこの質問をさせていただいておりますので、では、観点を変えて申し上げますと、今後さらに、こういう部分はいい意味での政治主導で予算編成においても反映させていきたいというような分野がおありだと思いますので、それを伺いたいと思います。

前原国務大臣 これは今の立場というよりも政調会長のときに、概算要求を出すときに統一テーマで各省に来てもらいまして、そして例えば風力発電というテーマでどの役所がどれだけどういう中身の要求をしているのかということをヒアリングいたしました。かなり重複していると思います。

 そういう意味では、各省が同じテーマでばらばらに、調整が余りできていなくて出してきているという面もございましたので、成長分野について重点的に予算をつけると同時に、縦割り省庁の弊害というものもしっかりとチェックをしながら予算の重複要求というものもなくしていく中で、より効果的な予算にしていくということも政治主導としては大事なことではないか、そう考えております。

浅尾委員 そうすると、今の御答弁ですと、政治主導の主体としてはむしろ党の政調会長が今の仕組みでは予算の、党が予算を編成するというような形の発言も多分されていたと思いますけれども、ボールの投げ手だという理解でいいんですか。

前原国務大臣 先ほどお答えしましたように、例えば四倍、二倍、一・五倍を決められたのは古川大臣でございまして、これは政府がお決めになるということでありますけれども、野田政権になってから予算の事前審査、法案の事前審査というものを党で預かることになりましたので、まさに政府・与党が一体となって協力をしながら重点をする分野、重複の排除、そういうものをやるということでございまして、あくまでもその役割の中で党は政府をバックアップする、ともに決めていくということであります。

 あくまでも、政府が主導的にそういうことについてやられたことについて、私は政調会長として協力はさせていただいたということでございます。

浅尾委員 そういう意味では、政府の方が主体であって党がバックアップという理解でいいわけですね。そこは、今のお話でいうと、野田政権になってから党の役割が多少、あるいは大分というふうに言った方がいいかもしれませんが、強くなったということなんだろうと思います。

 この点で、一点、副総理としての岡田副総理に伺いたいと思います。

 鳩山政権、菅政権のときは多分党の側にいられたんだと思いますが、そして今度は野田政権で副総理ということですけれども、その変遷の中で、野田政権になって機能強化した部分を、ずっと内閣そして党の側にいられた立場としてどういうふうに評価されるか、ちょっと伺いたいと思います。

岡田国務大臣 先ほど前原大臣のお話にもありましたように、鳩山政権のときには、党は基本的に政策決定には自主的にはタッチしないという完全に分離した形になりました。これはこれで政府で一元的に決められるというふうにも思えますが、実は与党の議員の知恵もかりなきゃいけないし、当然その声も反映させなきゃいけないということですから、やはりそこは党と政府が協力しながら進めていく、そういう意味で、初年度の形よりは二年度、三年度ということで時間を経るに従って成熟度を増してきた、そういうふうに考えております。

 まだまだ、政府と与党との関係あるいは官と政の関係というのはこれで終わりということではなくて、いろいろな試行錯誤を繰り返しながら、よりしっかりとしたものをつくり上げていく必要があるというふうに考えております。

浅尾委員 もう一点だけ、予算編成の基本方針に関して前原大臣に伺いたいと思います。

 予算編成の基本方針を策定し、政策資源を重点的に投入するというふうにおっしゃっておられる。この大臣としての発言と、ちょっと嫌らしい質問ですけれども、野田総理は年内に解散するんじゃないかというふうに御本人がおっしゃっていたこととの関連でいうと、これは答えられるかどうかは別として、予算編成の基本方針を政府・与党で出して、それを掲げて選挙を戦う、そういう理解なんですか。

前原国務大臣 先ほど公明党の高木先生からも同様の御質問をいただきました。

 先ほどお話をしたように、概算要求の組み替え基準というのは八月に決めて、もうそこからやっている話でございまして、いつ解散があるかどうかわからないということでその動きをとめるわけには私どもとしてはいかないということで、通常のスケジュールの中で動いているということでございます。

 他方、解散を決めることができるただ一人の方は総理大臣でございますので、総理がどう御判断をされるかということは、これは我々がとやかく言うことではないと思っております。

 したがって、どういう状況になるかわからない中で、しかし、予算編成はいつものルーチンワークのようにしっかりと今やらせていただいているということでございます。

浅尾委員 では、次の質問に移らせていただきますが、同じこの発言の中で、「先般の予備費使用決定に引き続き、遅くとも今月中を目途に経済対策を策定し、デフレからの早期脱却と経済の活性化に向けた取り組みを加速させてまいります。」という発言がございます。

 まず、この予備費使用決定ということについて、きょう大久保財務副大臣にもお越しいただいていますが、法律上は確かに、予備費を使った場合には直近の常会に報告するというふうになっていますけれども、その報告自体は別として、こういうものに使ったんだということは発言をされてもいいんじゃないかと思います。もし具体的にどういうものに使われたかということがわかっておられれば、伺いたいと思います。

大久保副大臣 お答えします。

 予備費に関しましては、次の通常国会に総調書を提出しまして、内容に関して承諾を求めることになっております。

 具体的に予備費に関しましては、やはり、復興に関連するものもしくは経済対策等々に関して、しっかりとした経済を後押しする、こういった目的で内容を決めております。

 以上です。

浅尾委員 本来は、国会が開会していますから、予備費というよりかはしっかりと国会に出せる形の補正の方が私は個人的にはいいんだろうなというふうには思います。

 そのことを申し上げた上で、今月中を目途に策定される経済政策というのは、補正予算の編成というのはまるっきり排除されるのかどうか、その点を伺いたいと思います。

前原国務大臣 私が総理から先月に御指示をいただきましたのは、遅くとも十一月中に、したがって今月中に経済対策をまとめてほしい、そして、その第一弾として、国会が始まるまでに予備費を使った経済対策をしっかりやってほしいということで、今大久保副大臣から答弁がありましたような、予算としては約四千億円超、そして、事業規模としては七千五百億超というものの予備費活用の第一弾をさせていただいたということでございます。

 今月まとめるものについては、私、まとめる実務者として、幾つかの選択肢を持っておかなくてはいけないなと思っております。つまりは、ねじれ国会の中で、また補正を組むということになりますと、時間がある程度かかります。解散ということについても言及をされている政党もある中で、どういうタイムスパンで考えるのかということがございますので、私としては、さまざまなバージョンを考えなきゃいけないな、こう思っているところであります。

 いずれにしても、私が心からお願いをしたいのは、特例公債というものが通らなければやはり第一歩も踏み出せないということでございますし、今回のG20の会合でも、アメリカの財政の崖と同じく、日本のこの特例公債にも言及をされているということから踏まえて、ぜひ、これについてはまずその前提として、野党の皆さん方には御協力をいただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

浅尾委員 今、補正という話がありました。経済対策ということであれば、まあ、国会の政局の動きを考えた答弁なんだと思いますけれども、当然、補正というのも一つの経済対策の手段である、それをやるかどうかは別として。

 仮に補正をやるとすると、時間はどれぐらい編成にかかるんでしょうか。

前原国務大臣 これは中身によります。あらかじめ議論をして煮詰まったものについてやるということと、一からやるということでは全く変わってまいります。

 例えば減額補正というものを言及されている党、あるいは一部の幹部の方もおられるようでございますけれども、例えば減額補正をやられるということになれば、あるいはそれで与野党が合意するということになれば、私の思いとしては、やはり、減額補正のみならず経済対策としての補正もお願いできるのかどうなのかという、入り口の相談ぐらいはさせていただきたいというふうに思っております。

浅尾委員 ちょっと期間を、積極的な経済対策という意味での期間を伺いたかったわけであります。

 巷間言われているのは、これは私自身は本末転倒だと思いますけれども、来年の消費税の増税の閣議決定に向けて、経済が落ち込んでいるから補正をやらなきゃいけないなどという発言があります。これはむしろ本末転倒の話だと思いますが、そのことは別として、経済対策としては補正という選択肢は必要なんだろうと。

 ですから、その期間というのが大体どれぐらい、前向きなですね、減額ならもちろんそれはすぐできると思いますけれども、そういうことを伺ったわけでありますが、もし期間をお答えになる余裕があれば、伺えればと思います。

前原国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でありますけれども、どういう中身によるかということによって変わってまいりますので、一概にどれぐらいということは、申しわけございませんが、お答えできません。

浅尾委員 では、この補正以外にどういう対策があるのか。

 想定できるのは規制改革。しかし、規制改革が芽を出すのは、そうすぐの目先に芽を出すということではなかなかないんだろうなというふうに思います。それ以外に、金融政策については、先般、大臣と城島大臣そして日銀総裁との間でお互いに、判こは押していないけれども、名前が印刷された文書を出されましたけれども、金融政策なども含めて考えておられるのかどうか、そこをちょっと伺いたいと思います。

前原国務大臣 基本的には、やはり財政支出を伴ったものが、特に足元の景気ということに関してはより効果があるのではないかというふうに思っておりますが、ただ、そうはならなかった場合においても経済対策をまとめるというのが私の仕事でありますので、さまざまなことは考えなくてはいけないなと思っております。

 一例だけ、今私が考えていることで申し上げますと、円高対策の中で、JBICの融資枠の拡大という十兆円の枠がございますけれども、これはまだ全部使い切れているわけではございません。これについては安住財務大臣のときに延長いたしましたけれども、例えばこれについて再延長するとか、あるいはその使い道においてもっとより使い勝手のいいものについて検討を加えるとか、今までやってきたものについての改善である程度の効果があるものというのは、今申し上げたのは一例でございますけれども、あるのではないかなと考えております。

浅尾委員 今、経営者の実感からいっても景気が相当落ち込んでいるというのは事実だと思いますし、特に世界的に米国以外の主要なプレーヤーの景気の落ち込み、あるいは減速というのが顕著になってきている中ですので、経済対策というのは、先ほど申し上げました増税環境整備の経済対策というのはむしろ本末転倒で、そもそも景気が厳しいという状況ですから早急に、しかもそういうことをやるというふうに言っておられるので、できるかできないか、あるいはそのことを言うことによっていろいろな政局に影響を与えるということになると、そもそも経済対策をやると言っているけれども何ができるのかわからないということなので、ぜひその具体的なものを早く、今月中にというふうに言っておられるので、それ自体はまとめられたらいいんじゃないかというふうに思います。

 今月中に出すということ自体はもう発言されているわけですから、中身はともかくとして、それ自体はもう出されるという理解でよろしいわけですね。

前原国務大臣 浅尾先生おっしゃるように、消費税を上げるための環境整備というよりも、もっと、足元の経済は厳しいという認識の中での経済対策を総理から御指示いただいたと思っておりますし、総理からの御指示は十一月中に経済対策をまとめろということでございますので、ねじれ国会の中で与野党の関係はございますけれども、何らかの対策というものをしっかりまとめなくてはいけないなというふうに考えておりますので、また、みんなの党さんもぜひ御協力をいただければありがたいと考えております。

浅尾委員 ぜひ具体的な対策を早急にやっていただく。それは、補正のみならず、規制改革やあるいは金融政策、さらには税制も踏み込んだ具体的な対策を出していただければと思いますし、私どもは私どもとして具体的な提案をしてまいりたいというふうに思いますので、それには聞く耳を持っていただければ大変ありがたいというふうに思います。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 これは社会保障・税一体改革担当大臣としての岡田副総理に伺わせていただきたいと思います。

 この御発言の中で、マイナンバー制度の充実というようなこと、読み上げますと、社会保障と税の一体改革に関しては、きめ細やかな社会保障や税制の基盤となるマイナンバー制度を実現するための法案を国会に提出しているところでありということで、我々としてもこのマイナンバーはやっていくべきだと思いますが、現行の法案には幾つか使い勝手が余りよくないようなところもあるんではないか、このことについて指摘をさせていただきたいというふうに思います。

 というのは、当然、マイナンバーということですから、その番号のもとに情報がぶら下がる、それから企業の番号も付番されますし、個人の番号も付番されるということなんですが、役所ごとに持っている情報を他の役所が全て見られるような状況にはなっていないということでありまして、あるいは、情報がおくれるというようなこともあって、必ずしも、本来は払わなければいけないものを払っていない人ないしは法人のチェックに役に立つのかどうか、少し疑問な部分もあります。

 具体的に申し上げますと、例えば個人の所得情報は市町村単位で持つということになっておりまして、個人の市町村単位の所得情報自体は、市町村税が翌年にかかるというようなことでありますので、当年の所得は、日本年金機構が見てもその段階ではわからない。多分、給与所得かどうかという所得の種類までがわかれば、給与所得があるにもかかわらず仮に厚生年金の保険料が払われていない、しかも番号ですから、これはどういうふうになっているか実態的にはわかりませんが、法人の番号から個人に払われているという情報まであれば、法人に勤めている人の給与所得で、一方で厚生年金の保険料や協会けんぽの保険料が払われていないということがわかれば、それは本来払わなければいけないものを払っていないということなんだと思います。

 まず第一に、個人の所得情報を基礎自治体単位で持つ、あるいはリアルタイムでは今の制度では日本年金機構側が把握できないというところについて、何らか手当てをされる可能性というのはあるんでしょうか。

岡田国務大臣 今の委員の御指摘の点は、マイナンバー制度の問題というよりも、やはり今の仕組みがそうなっているということだと思います。

 例えば、ことしの所得は翌年三月の確定申告で確定する、そして、五月末以降、地方税の賦課決定が行われる、こういうことになっておりますから、どうしても地方は一年おくれということになる。そこを変えない限りこれは対応のしようがないわけで、そういう問題はありますが、そのことが直ちに何か大きな不都合を招くわけでは必ずしもないというふうに思っております。

浅尾委員 例えば、マイナンバーは当然法人にも付番されるわけでありまして、法人の情報を日本年金機構が見に行くことができて、そこに勤めている個人の保険料も見られるようにすれば、多分リアルタイムでわかるんじゃないか。そういう制度設計になっているか、どういうふうになっているんでしょうか、そこら辺の設計の仕方。

 私の理解では、恐らくそういうふうになっていないのではないかと思います。そうだとすれば、これは、マイナンバーを導入するのであれば、さらにその活用を高めるという観点からは、そういうことを検討されたらいいのではないかということをまず提案させていただきたいと思います。

岡田国務大臣 実は、マイナンバー制度をこの委員会で御議論いただくことになっておりますが、残念ながら、まだ審議に入っておりません。この国会でぜひ成立をというふうに政府としてはお願い申し上げておりまして、会期も非常に短いところから、ぜひ、そこのところについて委員の先生方にお願いしたいと思います。

 動き出さないといろいろな議論も進みませんので、そういう中で、委員の御指摘についても真摯に受けとめさせていただいて、どういう対応ができるかということを検討していきたいと思います。

浅尾委員 繰り返しになりますけれども、マイナンバーは我々としてはぜひやっていくべきだというふうに考えています。

 マイナンバーあるいは番号というものに対する反対論としては、プライバシーがそれによって侵されるという議論がよくありますが、私は、プライバシーが侵されるというよりかは、個々人の情報を第三者、それを見る権限がない、あるいは徴収する権限を持たない第三者が見られてしまうということが問題なのであって、例えばその点の対策をしっかりととればいいのではないかというふうに思います。

 その議論も、今のお話でいえば法案が出てきてからということなんだと思いますが、せっかく所信で、実現のために努力してまいりますというふうにおっしゃっているので、世の中のマイナンバーに対する反対の一番大きなのが多分プライバシーとの関連でありまして、そのプライバシーとは、実は、直接的にはこの番号制度の制度設計の仕方なんだということで説明をする必要性が提案者としてはあるんだろうなというふうに思いますので、法案審議に入っていませんけれども、その点についてはどういうふうに考えられるか、御意見をいただければと思います。

岡田国務大臣 私が答弁するより委員長が答弁された方が本当は詳しいと思いますが。

 おっしゃるように、どういう情報を扱うかということが一つのポイントであります。そこのところについては十分配慮した制度設計をして、私は、特に経済的な活動についての情報の保護、プライバシーの保護の問題と、それから例えば医療とかそういったことの中身の保護というのは、これは大分性格が違うんだろうというふうに思っております。したがって、今回のマイナンバーにおける、どういった情報についてその対象にするかということについては十分配慮した上で制度設計をしている。

 それにプラスして、いずれにしろ、そういう情報が外に漏れないような配慮も考えられるだけのものはなされているということは申し上げられると思います。

浅尾委員 もう一点だけ申し上げて質問を終えたいと思いますけれども、同じ発言の中で、社会保障制度改革国民会議の立ち上げ、消費税の価格転嫁等対策推進など残された課題に引き続き取り組んでまいりますということですが、この消費税との関係でも、複数税率をもし仮に入れるということであるとすれば、当然インボイスがないとうまく機能しない、インボイスをうまく機能させるためにも法人にも付番した番号がないとうまく機能しないんだろうなというふうに思いますけれども、その点についての大臣の認識を伺って、質問を終えたいと思います。

岡田国務大臣 委員御指摘のように、複数税率ということになりますと、基本的にはインボイスの導入、それをきちんと管理していくためには法人に番号を付す必要がある。他方で、給付つき税額控除ということになっても、これはマイナンバーが必要だ。ですから、どちらの策をとるにしてもマイナンバー制度というのは必要になりますので、ぜひこの委員会で御審議いただき、成立させていただきたいと思っております。

浅尾委員 幾つか課題についても、法案審議に入りましたら指摘をさせていただきたいと思います。

 終わります。

古川委員長 次に、磯谷香代子君。

磯谷委員 民主党の磯谷です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょうは、答弁をお願いしている政務の方がいらっしゃらないものですから、ちょっと委員長の方を向いて話をさせていただければと思っているんですけれども。

 私は、以前の一般質疑でもストレスのケアについて質疑をさせていただいたんですが、きょうもその方向性で質問と要望をさせていただきたいと思っております。

 十一月に入りまして、町の方は既にクリスマスソングなんかも流れてきて、多くの人にとっては心が浮き立つ楽しい季節だと思うんですけれども、逆に、だからこそ物悲しくなってしまう季節でもあります。十年ほど前なんですけれども、私は、仕事、当時、飲食店対象の飛び込み営業をやっていたんですけれども、それが業績が出せなくて大変悩んでおりまして、そうするとこの季節、町行く楽しそうな人たちを眺めながら、自分一人が取り残されているような感覚があって、一層つらい気持ちになったということをとても思い出します。やはり、心が弱っていると何を見ても悲観的になってしまうものですから。

 私自身は、当時、それより前にカウンセリングの勉強もしていたんですけれども、なかなか、本当に追い詰められたような心境のときには、カウンセリングを自分自身に応用するというようなことも思い出せないようなことがありまして、ああいった精神状態のときに、あと二つとか三つとか別のストレスがかかっていたら心が折れていたかもしれないなということをちょっと感じてしまいます。

 先ほどの森山委員の質疑にも自殺対策への問題提起がございましたけれども、ちょっとここでお聞きしたいんですが、現時点でのことしの自殺者数を去年と比較してお聞きできればと思います。

杵淵政府参考人 本年九月末までの自殺者数につきましては、暫定値で二万一千百五十五人で、対前年比で二千七百四十一人の減少となっております。

磯谷委員 ありがとうございます。

 実は、去年の年間の自殺者数というのが三万六百五十一人で、今おっしゃっていただいた数字というのは、九月末時点で去年より一割以上少ないという数字なんですね。ということは、このままでしたら三万人をことしは切る可能性もあるということだと考えております。もちろん、理想はあしたからの自殺者数がゼロになることなんですけれども、現実の問題としては、少しでも数を減らしていけるようなそういう取り組みが大事なのではないかと感じております。

 ただ、ここで注意するべきと思いますのは、お金がないとか希望がないということが自殺の誘因になるんですけれども、お金がないだけとか希望が感じられないだけという一つのことだけですぐに死を選んでしまうわけではないということです。やはり、自殺につながる人というのは、ストレスが四つとか五つ重なったときに耐え切れずに自殺に追い込まれることが多いということがよく言われております。

 そこで、本当にこの自殺対策というのは喫緊の課題となるわけですが、そのためには、やはり、社会的に今弱い立場に置かれていたり困っている方々を具体的に支える必要があると思っております。

 今、政府として、もちろん自殺総合対策要綱に基づいてさまざまな取り組みを行っているわけですけれども、そうした中の一つとして、先日、平成二十三年度の社会的包摂ワンストップ相談支援事業のよりそいホットラインの報告書が一般社団法人社会的包摂サポートセンターによってまとめられました。

 このよりそいホットラインについてですが、これは具体的に今までの電話相談とどう違うのか、特徴を御説明いただければと思います。

村木政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるよりそいホットライン、この電話相談でございますが、大きな特徴は、一つは、二十四時間三百六十五日対応の無料の電話相談であるということでございます。

 それからもう一つは、電話相談だけではなくて、必要に応じて同行支援、一緒に行くという意味の同行でございますが、同行支援を行うなど、具体的な解決につなげるための寄り添い支援を行う、これが大きな特徴になっているところでございます。

磯谷委員 ありがとうございました。

 今回、このよりそいホットラインがそういう今までと違うシステムということもありますし、私の方から加えて言いますと、今まで、どちらかというと縦割りの、例えば法律相談であるとか多重債務に関してのものであるとかという一つの案件に関しての答えというような、どちらかというと縦割りを感じさせるような相談だったんですけれども、このよりそいホットラインというのは、例えば家庭のことで悩んでいるとかつらいとかそういった気持ちを酌んでいくようなシステムで、非常に包括的な悩みを聞くことができるということで理解をしております。ですので、何でもいいから相談できるという安心感もあるのではないかと思っています。

 ただ、課題もあると認識しておりまして、電話をしてもなかなかつながりにくいということも聞いているんですけれども、電話をかけたときのつながる件についてちょっと、実態がどうなっているのかということと、どのように改善を図っているのかということについて御説明をお願いできればと思います。

村木政府参考人 よりそいホットラインでございますが、今先生がおっしゃられたように、幅広い、いわばどういう悩みでもいいですということでやっておりますので、大変たくさんの電話がかかっておりまして、事業開始から半年間でございますが、約四百二十七万コールの相談が寄せられております。被災地を初めとして全国から寄せられているところでございますが、実は、実際の相談を受け付けた件数は約十一万件ということでございまして、接続率、比率でいいますと四・四%ということが現状でございます。

 こういったこともあって、今、実施主体である一般社団法人社会的包摂サポートセンターに対しては、まず、今すぐできる対策として、特に電話がつながりにくい夜間帯にできるだけ相談体制を確保していただくということをお願いしているところでございます。

 今後とも、より電話がつながりやすくなるように努めるとともに、来年度予算でございますが、概算要求におきまして、引き続き事業が維持できるようにということで、額は今年度と同額ということでございますが、十六億五千万円を要求しているところでございまして、まず予算の確保というところをしっかりやりたいと考えております。

磯谷委員 ありがとうございます。

 少し前に聞いたときの接続率はもうちょっと、六%。当然それでも少ない件数だったんですけれども、やはりメディアとかで何度も取り上げられたりする中で、よりそいホットラインというものが、認知度が上がるに従って非常につながりにくくて、四・四%ということは、場合によってはですけれども、言い方は難しいんですが、二十五回私が電話をしたうち一回ぐらいのつながりになってしまうということなんですね。そうすると、今の予算のお話もありましたけれども、根本的な課題をどう解決していくかということを少し考えるべきだとは思っております。

 ただ、これを単純に言えば、回線をふやす、そしてスタッフをふやすということなんですけれども、スタッフというのはやはり非常にカウンセリングのスキルなどもたけていて、ある程度の相談経験がある人ではないと。いきなり、ではきょうから私がやりますとか、あなたお願いしますというわけにはならないんですね。

 現状のスタッフの方々ですけれども、もともといろいろな相談を受けていた方々が、場合によっては長い時間もお願いできるんですけれども、三、四時間でもいいのでということで、現状は、数時間でも対応できる人が、御自分が本来やっている仕事が終わってから三、四時間でもということで対応していて、非常に現場でのやりくりというのが、スタッフの方にも負担がかかっているということも聞いています。

 その場合ですけれども、もちろん、いろいろな、臨床心理の勉強をしている大学院生であるとか、今勉強中の、こういったカウンセラーなんかに興味を持っている人もいるので、では、そういった方にスタッフ研修とか教育をしていけばいいのではないかというふうに素人考えでは思うんですけれども、現状としてそういう対策ができるのかどうかというのをちょっと、今言える範囲で結構ですので、御説明をいただければと思います。

村木政府参考人 お答えを申し上げます。

 その前に、ちょっと私、先ほど件数を、十九万件が正しいものでございます。少し言い間違えたかもしれません。受け付け件数十九万件でございます。

 おっしゃるとおり、この事業の一番の根幹は人材でございます。予算の中は人材育成のための経費も入っておりますので、できるだけ人材の研修、それから確保のところによりお金を投入していくことができればと思っております。

 それから、そのことだけではございませんが、この事業は今、事業選定評価委員会というものを設置して、四半期ごとに評価や助言を専門家の方に行っていただくという仕組みを持っております。ですから、事業を運営しながら、その結果をきちんと専門家、委員会に報告をして、そこの助言も受けながら、いい形で運営ができるようにしてまいりたいと考えているところでございます。

磯谷委員 ありがとうございます。

 今、スタッフの教育にも予算を振り分けてという話がありました。

 ただ、実は、もう一つのよりそいホットラインの問題として、この取り組みというのは、現状では時限措置というか、この先ずっと続けていけるかどうかという保証はないんですね。去年、ことしの予算では確保できているんですけれども、では来年、再来年どうなるかというのは、これは明確ではないんですよ。そういう対応ですと、教育とか体制づくり、回線をふやすとかというのは、腰を据えた対策というのがなかなかできづらいのではないかというところに非常に問題があると思うんです。

 ただ、今悩んで、よりそいホットラインの存在を知って電話をかけてくる人というのは、もしかしたら数年後にはこのホットラインがなくなっているかもしれないということは全然想像も当然していないわけですし、三年後に悩みを抱えた人はどうしたらいいのということになりかねないので、この活動をどう続けていくかというのは非常に重要な問題じゃないかと思っています。

 報告書を読んでみると、やはり相談員の方々が感じていらっしゃるのは、よりそいホットラインに電話をしてくる人たちの悩みというのは本当に複合的であって、家庭環境の問題から、財政的だったり、いろいろな複合的な問題を抱え、その要因もそれぞれさまざまである。中には、精神疾患だったり発達障害だったりということが原因で社会生活がうまく営めていないという方も結構いるのが現状ですね。

 こういったいろいろなことが重なって引き起こされているということを、今、同行支援も含めて、このホットラインというところでかなり引き受けて解決しようとしてくれているという体制が何とかできているんですけれども、本当に自分自身の心が弱っているときに電話をかけるということ自体、ホットラインに電話をするということ自体が随分ハードルが高くなっちゃうというケースがありまして、かけてきた人の中には、何度も途中まで電話をダイヤルするんだけれども、どうしても途中でやめてしまう、何とか何とか何回目かにトライして、やっと電話したという人もいるんです。

 こういう悩んでいる人が、必死の思いで、最後の力だというような気持ちでかけてきているときに、いざ最後までコールするところまでやっと耐えたのに、つながらないということになると、やはり最後のよりどころからも拒否されてしまったというふうに思って、大きな挫折を感じてしまうんじゃないかということは非常に心配をしています。

 実際に相談員の方々もそういったことはとても気にしていらして、自分たちが電話を受けられなかった人の中で、より一層深く悩んでしまったり、場合によっては自殺してしまっている人がいるのではないかということもとても気にしていらっしゃるというのが報告書の方に書いてありました。

 国会議員をやっていらっしゃる方々はエネルギッシュな方が多いんですけれども、時々は心がへこむこともあると思いますし、そういった心境が一週間とか半月とか数カ月続いたらどうなるかなということを想像していただければ、やはり心が弱った人の心情も御理解いただけるのではないかと思います。

 今後、このよりそいホットラインのような取り組みがずっと続いていけるような、予算措置なども含めてなんですけれども、そういった取り組みを続けることで、直接的な要因ではないかもしれないんですけれども、ことし何とか自殺者数も大分減ってきていますよということも、多少効果があるのかもしれないですし、それでなくても、このホットラインに電話をしてくる人たちの悩みの背景やそういうことを分析することで、今日本の問題であるとか抱えている課題の原因と分析、対応方法を見つけるための一つの施策になるのではないかと思います。

 ですので、悩んでいる人が物理的な制約のせいで最後心が折れてしまうということがないように、将来的な予算措置も含めて、政府の一層の取り組みをお願いしたいと思っております。

 ちょっときょうは政府の方に来ていただくようなお願いはしなかったものですから。ただ、この先のいろいろな、季節的なこともそうなんですけれども、いろいろと国民に負担がふえる中で、こういう悩みを抱える人がふえるということはやはり想像できますので、ぜひ今後もこういったよりそいホットラインのような活動を続けていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもきょうはありがとうございました。

古川委員長 次に、井戸まさえさん。

井戸委員 民主党の井戸まさえでございます。

 きょう最後の質問になりますので、ぜひとももうしばらくおつき合いをいただきたいと思っています。

 私は最初に、先ほど森山委員も質問いたしました、女性に対する暴力のことについて伺っていきたいと思っています。先ほどもパープルリボンの話がありましたけれども、私もここにつけさせていただいています。

 昨年、八十九名が夫からのDVでこの国で亡くなっている。四日に一人という割合でございます。以前に比べれば、三日に一人というような割合だったので、少しは改善はしているんですけれども。

 また、内閣府がことし四月に公表した、男女間における暴力に関する調査報告書でも、約四人に一人が配偶者から被害を受けたことがあると答えていて、そのうちの二十人に一人は命に危険を感じたというふうに答えています。四人に一人ということは、この部屋を考えますと、そちらでも一人、こちらでも一人、ここでも一人みたいな、大体そんな感じになるんですね。

 そう思うと、これだけ配偶者から暴力を受けていると感じているという結果が出ているというのは、ある意味大変な状況であるということ、そして、この取り組みこそ非常に力を入れて取り組まなければならないこの国の課題であるということだと思っています。

 先ほどもありましたけれども、十一月の十二日から二十五日までの二週間、これは、女性に対する暴力をなくす運動期間として、東京タワーでそれがパープルに染まったりだとか、先ほども御紹介ありました、全国八都市のランドマークで同じようにパープルにそれがなっていくということがありましたけれども、こういう実態も含めて、ぜひ国民に周知徹底をしていただく取り組みをしていただきたいなと思っています。

 そして、あわせて、先ほど、私、こちらのパープルリボンの方を、たまたまですけれどもいらした前原国家戦略担当大臣にお渡しをして、その場でつけてもいただきました。きょう前川副大臣もつけていただいていますけれども、ぜひこれは、閣僚そして政務三役、この期間だけでもいいですので、しっかりとつけていただいて、国民へのアピールもしていただきたいなと思っています。中塚大臣、いかがでしょうか。

中塚国務大臣 どうもありがとうございます。

 実は、これは十二日が女性に対する暴力をなくす運動週間の初めなので、本当は十二日からするんですけれども、きょうは、御質問いただくということで、あらかじめつけさせていただきました。十二日から二週間は全閣僚に着用をお願いしよう、そういうふうに思っております。

 それから、今、男女共同参画会議のもとに、女性に対する暴力に関する専門調査会というのを置いております。七月には、性犯罪対策全般についての報告書というものを取りまとめましたが、これからは、今先生のお話のあった、配偶者からの暴力の防止に関する対策について審議をしていきたい、そういうふうに思っております。

 パープルリボン等での啓発普及にもあわせましてしっかりと中身の方も議論をし、女性に対する暴力というものを根絶するべく努力をしてまいりたい、そう思っております。

井戸委員 中塚大臣、本当にありがとうございます。力強い決意を聞かせていただきました。

 それでは、続きまして、柔軟な働き方、テレワークの推進について伺っていきたいと思っています。

 私は、これからの我が国の行方において、誰もが社会参加できる社会をつくっていくことというのが重要なキーになっていくと思っています。その中で、働き方の多様性を確保していくこと、これは、社会にとっても個人にとっても、幸せになる可能性を広げる、こういった意味でも大きな役割を果たしていくというふうに思っています。

 テレワークというのは、今言いましたとおりに、いろいろな方たちが社会参加をしていく可能性を広げていくような働き方で、働く場所や時間を自分たちで選択ができる、こういった働き方になっていきます。

 この働き方では、例えば、能力がある方々もそうですし、育児や介護、障害等のハードルがあってなかなか社会参加ができにくい人たちにも、九時から五時まで、会社で、現場で、みんな一緒に集って働くという形ではないので、いろいろな方々が参加できるという可能性が秘められております。

 そして、そういう意味では、今までの労働概念というものを超えて、企業にとってもパフォーマンスを劇的に変えるかもしれない革命的なインパクトがある働き方になっていくと思っています。

 先般、私は長妻衆議院議員や先ほど質問なさいました磯谷衆議院議員など七人の国会議員と、また日本のテレワークの第一人者で、御自身も三人のお子さんを育てながら、北海道の北見市で住みながら、東京、奈良にも事務所を持って、またパソコン上で仮想のオフィスをつくって会社経営を行っている田沢由利さんとともに東京ミッドタウンにありますシスコシステムズに視察に参りました。非常に驚きました。

 このシスコシステムズというのは在宅勤務も始めて、テレワークを物すごく活用していて、例えばオフィスに行っても自分の席というのは決まっていないんです。社員の半分しか席がないんですね。というのは、半分以上というか、ほとんどの方たちは家にいようがどこにいようが自分たちで仕事をちゃんとやって、そして必要なときはその会社へ集まってチームを組んでやるわけですけれども、そういった意味でも、とてもいろいろな意味で勉強になりました。

 案内をしてくださった担当の方はもともとは東京のシスコに勤めていたんですけれども、介護の問題があって愛知の方に、奥さんの御実家の方に行かれて、そこで愛知の方のシスコの事務所には週ゼロ回から二回ぐらいの出社だそうです。それでも非常に業績を上げられて、社内のコミュニケーション、コラボレーション賞をもらうなど、成果を上げられていました。こういった在宅勤務のシステムなど、テレワークを有効活用することによって有能な社員に出産や介護などがあっても引き続きベストパフォーマンスを達成してもらうことは、企業にとっても非常に大きな前進になっているということでした。

 経費などが格段に下がっていくというメリットもあって、例えばシスコでは実際にテレワークを導入した後の統計としては、会議数が百十一万五千回だった後の二十六万回の会議で出張会議ができた、もともとは出張しなければいけなかったものがこういったテレワークを導入することによって大体四分の一ぐらいに減っているんですね。そして、それは八千億円の経費の削減につながっている。また、時間外手当等についても三千億円程度の時間短縮効果があって、温暖化の観点からいえば五百六十一トンのCO2の削減にもつながっているというようなことでした。そしてまた、この間、ニューヨークをハリケーンが襲いましたけれども、ああいったときに、そういった災害時にも仕事を出社せずに続けられるシステムを組んでいるわけですから、災害対策の意味でもとても大きな利点があるということでした。

 チームで働く日本の労働慣行とはちょっと違うという形も御指摘いただくこともあるんですけれども、しかしながら、今たくさんの働き方の選択肢を保障しながら労働環境を守って一人一人が幸せになる働き方をどうつくっていくか、そうした後押しをする政策が求められているということを実感いたしました。

 そこで、幾つかお伺いをしていきます。

 実はこの働き方、テレワークが普及するためには既存の法律が壁になっている、もしくはそれだけでは足りないという側面があります。ITは、例えば携帯電話やパソコンなんかは本当に十年前とは全然違った形になっていますけれども、なかなかこういった働き方については後追いになってしまうので、その日進月歩に比べて後手後手に回ってしまいがちです。ネット社会の到来に対応し切れていない現在の労働規定に少しプラスをしていただくだけでも大きく前に進むことができると思っています。

 今資料を皆様にお配りしているんですけれども、一ページに、そういった形の中で育児休業規則について下の方に書いてあるんですけれども、今例えば育児休業をします、一年間の育児休業をすると半分の所得の保障があるんですけれども、所得の保障があっても働くことは可能なんです。一カ月十日以下であれば働くことは可能になっているんですね。ですけれども、例えば一日一時間でも会社に行ったならばそれは一日とカウントされてしまうので、十日ですので、十時間働いてもそれは十日のものになってしまうんですけれども、十一日働いてしまうと育児休業の五〇%の保障の方はもらえなくなってしまいます。

 なので、それだったら働かない方がいいなというふうになってしまっているんですけれども、例えばこれを時間で換算していくということはとても大事なことだと思うんですね。その一日というのは、例えば一時間働いても十二時間働いても一日にカウントされているというのが今の現状なんです。ここを例えば月八十時間とするだけで、このテレワークというのはまた大きな前進になっていくと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岡崎政府参考人 先生おっしゃいますように、女性が働きやすくなるように制度を仕組んでいくということは非常に重要だろうというふうに思っております。

 その中で、育児休業制度、雇用保険の中で今支給しておるわけでありますが、先生がおっしゃったような論点もわかりますが、一方で雇用保険制度という枠の中でやっているという面もあります。

 今すぐということはちょっと難しい面もありますが、先生がおっしゃったような、女性が働きやすくするような制度をどうしていくかという観点で、これは労使が入った審議会等でも議論しなきゃいけませんけれども、そういう審議会の中でも、そういう視点も入れて今後制度を検討していくということにしていきたいというふうに思っております。

井戸委員 よくM字カーブのことを言われますね。子供さんを妊娠して出産をするときに仕事をやめざるを得ないと。というのは、やはり、仕事を継続していく中で、育児休業中にいかにキャリアロスを抑えるかというのはとても大きな問題なんですね。

 私も、子供が五人いますので、育ててきましたけれども、一歳未満というのは、実は親にとっては、時間的にいったらば、細切れではあるんですけれども、そういう意味では、三時間置きの授乳で子供はがっちり二時間寝てもらえば、一時間半でも二時間でもそこは仕事ができる。ただ、例えば出社をして、そこの間、休業しているわけですから誰かに預けてなんというのはなかなかできないけれども、家で例えば自分のキャリアをロスしないような形で働きができて、そして、しかもまた収入もそれで得ることができるのであれば、これは、女性たちの力を活用するという意味でも、この日本の社会にとっては大きな前進になっていくと思うので、今前向きな答弁をいただきましたけれども、ぜひ御検討いただければなというふうに思っています。

 このほかにも、先ほど、シスコさんはアメリカの会社でもあるので、こういったテレワークなんというのを導入するというのはさほど難しくないんですけれども、日本の企業はどうかというと、資料の二枚目に、テレワークの実態というものでお示しをさせていただいています。導入をしている会社というのは、資本金五十億円以上の会社では二四・七%導入はしているんですけれども、実際にこれを活用されているかというと、ほとんど活用がされていないというのが現状なんです。

 なぜこれが活用されないのかというと、三枚目になります。柔軟な働き方の制度にするためには、例えば深夜労働の割り増し規定だとか、業務委託による指揮命令だとか、本来であればこれは労働者を保護するためにある規定なので、当然ですけれどもこれはこれでちゃんとワークをしているものだとは思うんです。しかしながら、例えば、先ほども言いました、赤ちゃんを抱えたお母さんたちだったり、夜子供を寝かしつけてからやろうと思うと、どうしても十時とか十一時になってしまう。そうすると割り増しの料金が発生をしてしまったりだとか、もしくはまた、例えば自営型テレワークで、この業務をやりましょうというので集めてやった場合、その集めた側に関していったら、仲介の機関に対しては、例えばそこに指導だとかいったこともできないので、そこら辺で企業の側もなかなか使い勝手が悪いので、この導入に関してはこの法律が逆に壁になってしまって、また労働環境が逆に悪化をしたりとかしてしまうような状況にもなっています。

 この辺の制度をもう少し柔軟に運用していく、もしくは新たなこういったテレワークに対してのそうしたものをつくっていく、システムをつくっていくというようなお考えはいかがでしょうか。

山越政府参考人 テレワークにつきましては、今おっしゃられましたように、幾つかの形があると思っておりまして、一つは、労働者として働く形態のものでございますけれども、他方で、自営業的に働かれる形態のものもございます。

 労働者に当たる場合は労働基準法が適用されるわけでございますけれども、例えば、使用者の指揮監督を受けることがなくて、自営業的に、非雇用でテレワークをする場合は、今おっしゃられたような深夜の割り増し賃金を含めまして、労働基準法の適用はないわけでございます。

 ということでございますので、どのような場合が労働者であり労働者でないのか、私ども、テレワーク相談センターを設けておりますので、御相談があれば、丁寧に御説明をしてまいりたいと思います。

井戸委員 自営業型だったらそうですけれども、例えば、育児休業中だけれども、同じようにそのままそこの会社で、ある意味、また仕事を続けていくということもあるわけですね。そういったときに、こういったこと、もしくは、女性の育児休業中だけではなくて、例えば、今、いろいろな意味で会社に出ることがなかなか難しかったりとか、そういった方たちもいらっしゃいますよね。そういったときに、こういった新しい法制度をつくることによって、その方たちをちゃんと社会の中で、また会社の中で生かしていける、そうしたことにもつながっていくと思うので、ぜひこうしたことを、問題の指摘もあり、実際にこのテレワークがなかなか根づいていかないことの原因になっているということは認識をいただいて、そして何か対応というものも考えていただきたいと思うんですけれども、もう一度、いかがでしょうか。

山越政府参考人 労働者の方が深夜労働をされた場合には、在宅勤務の場合でありましても、一般の事業場内で働いた場合と同様に使用者の指揮監督を受けることになりますために、深夜の割り増し賃金の支払いが必要であるというふうに思っております。

 それで、労働関係法令の規定の問題につきましては、これまでもいろいろな事業の中で労働関係法令の適用の実情の把握を行って、運用の明確化に取り組んできております。

 今後、さらに、先ほど申しましたテレワーク相談センターに寄せられる意見なども活用いたしまして、まずは労働関係法令の適用についての課題の把握に努めていきたいと思います。

井戸委員 テレワークについては、例えば中小企業に対してのインセンティブ、これをちゃんと対策をすることによって、しっかりとそれが根づいていくのではないか。または、引きこもりだとか一人親の対策というものもやっていらっしゃるということも伺っておりますけれども、ここについてはいかがでしょうか。

山越政府参考人 先生おっしゃられましたように、テレワークは、さまざまな生活上の要請のある方が仕事を両立しながら働ける働き方だと思っております。

 このため、私どもといたしましては、テレワークの導入方法でございますとか、導入した企業の実例の紹介などを行っております。今後、こうした取り組みによりまして普及をしてまいりたいというふうに思っております。

井戸委員 がらっと話はかわるんですけれども、協議離婚時の面会交流と養育費の取り決め状況について、松野政務官にお伺いをしたいと思っています。

 実は、この日曜日に「行列のできる法律相談所」というのを見ていまして、政権交代から法改正がされて、注目の法改正というところで、民法の一部改正によって離婚届け出用紙が変わったというのを取り上げられておりました。

 実は、これは私、法務委員会で取り上げさせていただいて、そして、離婚届け出用紙の中に面会交流と養育費の取り決めのチェック欄というのを設けたらどうかということを提案いたしまして、それが実現いたしました。

 ただ、その実現をして三カ月の結果というものが出まして、それが四九%が大体取り決めをしているというのが出たんです。読売新聞さんには、養育費の取り決め五割行かずみたいな、半数に満たずみたいな形で見出しでつくられたんですけれども、実はそうではなくて、これは、それ以前は三〇%に満たないというような形でずっと推移をしてきたものが、いきなり、この離婚届け出用紙にチェック欄を設けただけで四九%に上がったんです。外国なんかは、もしもそれが履行されない場合は、パスポートの取り上げだとか、そういうのがあったりして六五%ぐらいが実際には払われているという形なので、実はこの取り決め状況というのはかなり改善をされていると思っています。

 こうしたところ、松野政務官、この養育費の取り決め、面会交流の取り決め、民法の一部改正、この成果についてどのようにお考えになっているか、お願いいたします。

松野大臣政務官 委員御指摘のように、昨年の民法改正で、未成年の子供がいる離婚の場合、面会交流あるいは養育費の分担について取り決めをする、これは委員の方からもすぐれた御提案をいただいて、法務省としても、離婚届け出書にその取り決めの有無をチェックする欄を設けたということであります。

 それで、その結果、ことしの四月からスタートいたしまして、三カ月たちまして四月から六月までの統計をチェックしたところ、チェックが付されたというものは全体の約七割であります。七割の人については何らかのチェックがなされているということで、これは、私は率直に言って、民法改正の趣旨がかなり周知されているのではないかというふうに評価をしているところでありまして、今後とも、当分の間は三カ月ごとにチェックをしながら、できるだけの周知を図っていきたいと考えております。

井戸委員 時間が来ました。ありがとうございました。

古川委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時一分散会


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