衆議院

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第1号 平成25年2月14日(木曜日)

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本国会召集日(平成二十五年一月二十八日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 平井たくや君

   理事 平沢 勝栄君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    木原 誠二君

      小松  裕君    新谷 正義君

      関  芳弘君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    田中 良生君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      西川 公也君    平口  洋君

      福山  守君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      荒井  聰君    岡田 克也君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      松田  学君    山之内 毅君

      佐藤 英道君    桝屋 敬悟君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

平成二十五年二月十四日(木曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 田中 良生君 理事 西川 公也君

   理事 平口  洋君 理事 平沢 勝栄君

   理事 若井 康彦君 理事 松田  学君

   理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      大久保三代君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      福山  守君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      荒井  聰君    岡田 克也君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      佐々木憲昭君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   経済産業大臣政務官    平  将明君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (内閣府地域経済活性化支援機構法準備室長)    三井 秀範君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    富田 健介君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十八日

 辞任         補欠選任

  佐藤 英道君     浜地 雅一君

  桝屋 敬悟君     輿水 恵一君

二月十四日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     大久保三代君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     豊田真由子君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

同日

 理事山口壯君一月十七日委員辞任につき、その補欠として若井康彦君が理事に当選した。

同日

 理事足立康史君一月十八日委員辞任につき、その補欠として松田学君が理事に当選した。

同日

 理事あかま二郎君、塩崎恭久君、竹本直一君及び野田聖子君一月二十五日委員辞任につき、その補欠として西川公也君、木原誠二君、田中良生君及び関芳弘君が理事に当選した。

同日

 理事平沢勝栄君同日理事辞任につき、その補欠として平口洋君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

二月十三日

 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事平沢勝栄君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が七名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      木原 誠二君    関  芳弘君

      田中 良生君    西川 公也君

      平口  洋君    若井 康彦君

   及び 松田  学君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

平井委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 内閣の重要政策に関する事項

 栄典及び公式制度に関する事項

 男女共同参画社会の形成の促進に関する事項

 国民生活の安定及び向上に関する事項

 警察に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

平井委員長 内閣提出、株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。甘利国務大臣。

    ―――――――――――――

 株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 ただいま議題となりました株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。

 昨今の厳しい経済情勢のもと、疲弊している地域経済の現状に鑑みると、地域の再生現場の強化や地域経済の活性化に資する支援を推進していくことが喫緊の政策課題となっております。

 このため、株式会社企業再生支援機構を改組し、事業再生の支援のための機能に加え、地域経済の活性化に資するための機能を備えた組織とする必要があることから、本法律案を提出した次第であります。

 以下、この法律案の内容につきまして御説明を申し上げます。

 第一に、株式会社企業再生支援機構を地域経済の活性化を図ることを目的とする組織として改組することから、その商号を株式会社地域経済活性化支援機構に変更することとしております。

 第二に、機構による再生支援決定の期限を平成三十年三月三十一日まで五年間延長するとともに、支援対象事業者の名称を原則非公表とすることとしております。

 第三に、機構の業務として、金融機関等に対し、地域経済の活性化に資する事業活動等に関する専門家を派遣すること、地域経済活性化に資する資金供給を行うファンドを民間事業者と共同して組成すること等を追加することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。

平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平井委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府地域経済活性化支援機構法準備室長三井秀範君、金融庁総務企画局審議官佐々木清隆君、金融庁総務企画局参事官小野尚君、中小企業庁次長富田健介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 今回、補正の関連法案ということで、いきなり法案審議からということになっておりますが、通常であれば、大臣の所信をいただいて、それに対する質疑ということから始まるのが通常の形なんですけれども、補正関連ということで、きょういきなり入るということでございますので、少し、法案関連以外のところについても、きょうは甘利経済再生担当大臣もお越しいただいておりますので、お伺いをさせていただきたいというふうに考えております。

 ちなみに、私、甘利大臣と高校の後輩でございまして、かつ、私はもともと経済産業省の職員であったということもありまして、二重の意味で先輩でございますので、敬愛する先輩に敬意を表しつつ、厳しくチェックするところはしていくという姿勢で臨んでまいりたいと思います。

 さて、まず三本の矢、いわゆるアベノミクスについての推進体制についてちょっとお伺いしたいと思っておりますが、私は、ここまでの短期の効果、円安、株高ということについては率直に評価するものでございますが、これは長期的にしっかりと日本経済の再生につながっていかなきゃいけないという観点から、おととい、予算委員会でも少し質疑をさせていただきました。

 甘利大臣にちょっとお伺いしたいと思いますが、経済財政諮問会議、これを復活させて、私は、小泉総理のときの経済財政諮問会議というのは、まさに司令塔となって、権力の集中がそこに発生して、若干党が反対しても推し進めるという意味では非常に機能していたと思うんです。私は、自公政権になって同じことをされるのかなと思ったら、別途、産業競争力会議をつくる、あるいは日本経済再生本部というものが上についてしまう、全大臣メンバーがついてしまう。

 こういった器が多くなると、どうしても政治主導で進めにくくなるんじゃないかというふうに感じますが、なぜ、こう幾つか設けてしまったんでしょうか。政治主導を確立する観点から、経済財政諮問会議一本で三本の矢を進めるべきだと私は考えますが、甘利大臣の所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 小泉内閣のとき以降、諮問会議が経済財政運営の司令塔機能を果たしてきました。これは私も、第一次安倍内閣のときに経済産業大臣として参加をしまして、ああ、ここがいわば基本的な設計の大もとになるなということを感じながら参加してきたことを思い起こします。

 安倍総理は、この諮問会議の機能が、当時の経験値からいってかなり主導的な役割を果たせたという思いもおありで、これを復活させると。それからもう一点は、日本経済再生本部、これを立ち上げ、日本経済を成長軌道に乗せていくということは総裁選中からの御本人の思いでありました。この二つをきちんと機能するように設計せよというのは、私が政調会長のときに指示がありました。そこで、子細に、設計に向けてどういう機能を果たすべきかということをいろいろと思案をし、調査をしておきました。

 結果といたしましては、諮問会議というのは、従来の性格から、細部に至るまで設計をするところではありませんで、経済と財政の運営の大まかな方向、例えば、予算を組むときには予算編成の基本方針みたいな枠をかけるわけであります。そこで、再生本部の方、そのもとにある産業競争力会議は、それを具体的に実施していく、細目にわたっての設計をしていく思想にしていこうというふうに思ったわけであります。

 でありますから、諮問会議はいわば基本設計、産業競争力会議は実施をしていく際の実施設計、詳細設計、それからもちろん、それをフォローしていく役割も何らかの形で果たしていかなきゃならないと思っております。

 その競争力会議の上にある再生本部であります。これは全閣僚が構成員になっています。ということは、競争力会議で提示された課題について、親会とも言える再生本部に上げまして、総理から関係大臣に具体的な指示を行うという、実行する意思決定機関という役割を果たしているかと思います。

 この諮問会議と再生本部がばらばらになってはいけないということで、いわゆる政治主導をしっかり果たさなきゃいけないということで、内閣官房のもと、事務の副長官それから副長官補がありますが、これが事務のまとめとして、その下に両方を見る体制にしたということでありまして、当初は事務の二元体制というようなこともありましたけれども、私は、基本設計と実施設計が連動していくように、一元化の事務の体制をとったところでございます。

後藤(祐)委員 ぜひ、一年後、二年後に、このアベノミクスがうまくいったか、いかなかったかという評価がなされると思いますけれども、そのときに、この体制が一元化されていなかったことが敗因とならないように、うまく運営していただきたいと思います。

 小泉政権のとき、実はいわゆる四議員ペーパー、民間四議員ペーパーというのが、かなり高目のビーンボールみたいな紙が諮問会議の三日ぐらい前に突然出てきて、各省が慌てふためいて、あわわと言っている間に諮問会議で決定してしまう。これが政治主導だったんです。私は、実はあの四議員ペーパーを裏で書いていたりしていたんですけれども、そういう役人をうまく見つけて運用していくということが、多分、西村副大臣なんかもそんなことをやられていたんじゃないかと思いますけれども、もっと前ですね。うまく政治主導で、表のラインではない役所の方々の知恵をうまく集める仕組み、これをぜひ甘利大臣に生かしていただきたいなというふうに思います。

 それでは、この法案の中身に入る前に、この法案の説明に、実は民主党の部門会議でも御説明があったんですが、そのときの資料に、当然一月十一日の緊急経済対策を引用されるとともに、民主党政権時代の十一月三十日の日本再生加速プログラムにもこの法案については引用されていますよということで、要するに民主党もつくろうとしていた法案じゃないですかという意味で御説明があったわけでございます。

 大臣に伺いますけれども、この民主党政権時代の十一月三十日、日本再生加速プログラムは、これは閣議決定されていますが、現時点でも有効だと考えてよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 結論から申し上げますと、そのとおりであります。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 日本経済を再生させる上で、集められる知恵というのは私は有限だと思っておりますので、積み上げてきたものは、余り党派性のないものについてはそのまま生かしていただいて、どんどん知恵をふやしていくということに、ぜひ大臣、今のすっきりした答弁、感謝したいと思います。

 有効だということであれば、この十一月三十日の閣議決定に盛り込まれているものは、今回の一月十一日の緊急経済対策、あるいは今回の補正予算、来年度予算、あるいはこの通常国会に提出している法案、こういったものの中で全て対応されているというふうに考えてよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 結果として全て盛り込まれていると承知をいたしております。

後藤(祐)委員 ぜひ、両方を見据えながら、十一月三十日の中でより詳しく書いてあるものもございますので、そこはしっかりと進めていっていただきたいと思います。

 その中で一つ、三本の矢の三本目の矢、その中でも規制改革がポイントだというふうに私も思いますし、世の中でもそう評価されておりますが、これについて一月十一日の緊急経済対策の中でどう書かれているかということを示したのが、今の配付資料でございます。その中に、規制改革、実は九行しか書いていないんですね。ちなみに、十一月三十日の民主党政権時代の規制改革は、各論がたくさん並んでいて、一つ一つのことが書いてあるんです。

 今、配付資料の中で四つほど例示がされています。金融機関の出資規制の緩和ですとか例示されていて、この一番最後の方の「など」というところで、実は、民主党時代の中にはもっと細かく、一つ一つのやらなきゃいけないことが書いてあるんですね。実は、先ほどの大臣の答弁で、十一月三十日閣議決定も含まれているんだというのは、この「など」に含まれているというようなことになってしまっているわけです。

 ところが、こうやってどんどんどんどん後退していってしまうんですね。ここに、民主党政権時代の規制改革に関して、少なくとも閣議決定レベルで決めた決め事というのはこれだけ分厚いものがあって、この下に、恐らくフォローアップですとかいろいろなものがあるのですが、この一月の十一日の緊急経済対策の中において、今お配りの資料に、「など既往の閣議決定事項を着実に推進するものとする。」とありますけれども、この「着実に」というのが役人用語で、大変危険な用語なんです。一〇〇%やるというわけではないという解釈になってしまうおそれがある言葉なんです、着実にというのは。本来は、これは全てと書かなきゃいけないんですね。

 この「着実に推進」という言葉の意味は、先ほど大臣が、全て引き継がれるというようなことをおっしゃっていましたけれども、既往の閣議決定事項を全て推進するという解釈でよろしいでしょうか。

甘利国務大臣 成長戦略にとって、規制改革というのは極めて重要であります。そのために規制改革会議を立ち上げました。その長たる方は、民主党政権下でも担当されていたということでありまして、その方をその責任者として起用するということは、規制改革の大切さということを我々がきちんと認識しているということと御理解をいただきたいと思います。

 もちろん、やるべきことは全力で、必要なことを全部やっていきたいと思います。ただ、結果として、どこまでできるかというのは、やってみなければわからないところがあります。一〇〇%できるように、担当大臣は稲田大臣でありますけれども、担当大臣の背中を押して、取り組んでいきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 この閣議決定の中には、どのぐらいの結果になるかというところはやや具体的には書いていなくて、だけれども、何月までには結論を出すとか、そういうことが書いてあるわけです。そういうことを一〇〇%守ってほしいということなんです。その結果としての到達レベルは、それはいろいろなものがあると思います。

 例えば、昨年の十一月の我々の方のプログラムに書いてあった、超小型モビリティーの導入というのは「二十五年一月目途に創設する。」と書いてあるんですね。これはやったんですかと聞いたら、ちゃんとやっていらっしゃるんですね。これは私は敬意を表したいと思いますが、一月三十一日に国土交通省がこれについてのことを決めているんですね。ですが、この中身がどの程度まで到達しているかをぜひチェックしていただきたいというふうに、稲田大臣にもぜひお伝えいただきたいと思いますが、こういうことを守ってほしいんです。

 十一月の時点での決定では、超小型モビリティーの走行緩和について、二十五年一月めどに創設するということはちゃんと守っていただいた。その中身はいろいろな議論があっていいと思うんですが、ぜひ、先ほどの一〇〇%やるということについて、いつまでに何をやるということはしっかり守っていただいて、その中身がどの程度のところまでになるかは、それは各省交渉とかいろいろあるでしょうから、私はそこまで、一〇〇%縛ることはなかなか難しいと思いますが、いつまでにやるというプログラムについては、しっかりと、一〇〇%守るということをぜひ今の自民党政権でも守っていただきたいと思います。

 それと、時間が過ぎてしまっておりますので、この緊急経済対策の中で、総合特区のことが書いてありますが、総合特区制度、構造改革特区を通じた地域活性化策の推進、これはちょっと通告をしていないので申しわけないのですが、推進ということが書いてあるんです。

 甘利大臣の地元でもあり、私の地元でもある神奈川県で、さがみロボット特区というものが、今回、三次指定の申請を出しております。今週あるいは来週ぐらいにも指定ではないかというふうに言われておりますが、ぜひこれを指定していただきたいということとともに、まあ、それは純粋に、中立的にやられるんでしょうから、もし仮に指定になった後に、この中に、電波法ですとか農地法ですとか道路交通法ですとか、幾つかの規制改革の内容が含まれております。ぜひ、これが指定になった暁には、しっかり取り組んでいただきたいと思いますが、ぜひ甘利大臣の所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 指定をするつもりでございます。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 それでは、この法案の審議に入っていきたいと思いますが、まず、この法案のやはり一番問題だなと思うところは、法案の題名なんですね。企業再生支援機構というものが今まであって、今もあって、これを名前を変えるということなのでございますけれども、地域経済活性化支援機構というのは、名前として非常に漠然としているわけであります。

 既に面的な政策として地域再生というものが別のスキームであります。都市再生というものもあります。今申し上げた総合特区あるいは構造改革特区、あるいは、私が実は流通産業課の補佐で甘利先生に御提案申し上げて、その後法律になった中心市街地活性化策、こういったものもあります。

 あくまで今回の法案というのは、点としての一つ一つの企業の再生を応援していくという意味においては変わりはないと思うんですね。同じような地域の中にある幾つかの企業ということは、もちろん側面としてあるかもしれませんが、点としての企業を応援するという面では、私は、もともとの企業再生支援機構という名前で問題ないのではないのかなというふうに思います。

 これに対して、再生という言葉が、一度だめになっちゃった会社というふうに思われる、あるいは、そういう名前なので持ち込みにくい、いろいろな御懸念があるというような御説明も伺っておりますが、とはいえ、政府の各種政策がいろいろある中で、役割分担という意味では大変わかりにくいと思いますけれども、これについての大臣の見解を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 この種の名前の組織というのはたくさんあって、本当に頭の中で整理して区別するのが大変だというのが正直な話であります。ここに至るまで名前が随分変わっていますよね、幾つも。そのたびに機能が追加されたり変更になったりしているんだと思います。

 先生御指摘のとおり、個々の支援から、いわゆる面的支援、地域ごとを活性化していくということに対して手足を伸ばしているという点があります。

 それから、おっしゃるとおり、従来の組織が支援に入っていくと、例えば中小企業であれば名前が公表される、そうすると、あそこは本当に大変だねということになって、支援に入ることがゆえに再生の邪魔をするというようなことも一部懸念をされておりました。

 そういった意味で、いろいろな危惧に対応するということと、それから、機能が変わりましたということをしっかり認識していただくために、あえて名前を変えたという部分もあろうかというふうに思っております。

 御案内のとおり、新しい機構というのは、再生支援の担い手の支援能力の向上であるとか、新事業、事業転換を目指す企業や地域活性化事業を担う企業等の経営基盤の強化を積極的に支援するという新たな業務を追加しているところでございます。それらもろもろを含めまして、新しい体制ができたということをわかりやすくするために名称を変更させていただいた次第であります。

後藤(祐)委員 大変わかりにくい名前だということについては、大臣も若干同意していただいている感じをニュアンスとしていただきました。

 さて、今回の補正で、出資、融資という形で、ファンドをつくったりといった形で入っていくわけでございますけれども、これは既に中小企業に対して地銀なりそういったもともとの金融機関がお金を貸している、そこにファンドなりそういったものが入ってくる、これで再生を図っていくこと自体は私はすばらしいことだと思うんですけれども、国が入れたお金が結局戻ってこない、いわば失敗してしまうということが一〇〇%あってはいけないということではないんです。

 ある数の中で一部は失敗するのはあるでしょう。ですが、モラルを持ってきちんと稼いでいただく、産業再生機構はたしか黒字のまま終わりましたけれども、国の金をどぶに捨てないためのモラルというものは、例えば人事評価ですとかあるいは審査の基準ですとかという中で反映されているんでしょうか。

 あと、こういった再生パッケージをつくるとき、あるいはつくった後に、これはちょっと、ここまでやるかどうかわかりませんが、もともと貸している金融機関が、国からお金が入ってくれた分、うちはちょっと融資を抜くかという形で、将来また倒れるかもしれぬしということで手を引いていくような形で、結局、リスクは国に転嫁されてしまうというようなことはないのか。このあたりについての御見解をいただきたいと思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済活性化支援機構、新機構のガバナンスにつきましては、その適切な業務遂行、すなわち、個々の企業の再生の支援、それから、今回新たに追加されました再生支援の担い手の支援の向上に資する出資、専門家の派遣のための支援基準等を主務大臣として適切につくり、また、本法に定められました出資の監督規定を適切に使わせていただくことによりまして、適切な業務執行になるように努めてまいりたいと思っております。

 また、金融機関に、その後、機構が使われた後も継続的な支援を行っていただく、こういうふうなことが確保されているのかという御質問につきましては、新しい機構法の六十四条におきまして、機構と金融機関等は地域における金融の円滑化に資するように相互の連携に努めなければならないという規定を置かせていただきました。ここで言う金融の円滑化と申しますのは、新たな信用供与、借りかえ、貸し付け条件の変更等を含む広い概念でございます。

 内閣府といたしましては、こうした規定の趣旨を十分踏まえまして、金融庁としっかり連携いたしまして、金融機関に対して、機構の活用後も円滑な資金の供給を初めとする支援対象事業者に対する継続的な支援に努めていただくように促してまいりたいと存じます。

後藤(祐)委員 ぜひ、ずる抜けにならないように、施行後、これは政治の意思としても厳しくチェックをしていっていただきたいというふうに思います。

 さて、今のお話の中にも少し出ましたけれども、要は、債権を少し利息を免除してあげるですとか期限を延長してあげるですとかということは当然必要になってくるんですが、そういう観点から、ことしの三月末に中小企業金融円滑化法が切れて、四月からはこれはなくなってしまうわけですけれども、この対応というので中小企業は大変今てんやわんや、あるいは、金融機関側がそれに対してどの程度備えているかということに若干の懸念を覚えます。

 私も地元の中小企業の経営者にこれについてどうですかと聞いてみたら、我々の方では議論になっているけれども、実際、金融機関側に聞くと、ああ、そうなんでしたっけというような、もちろん金融機関によるんでしょうけれども、具体的にどういう対応をしていくかというところの準備が必ずしもできていないところもあるやに聞きます。

 確かに、中小企業支援ネットワークをつくるですとか、認定支援機関があるですとか、今回の機構も手伝うですとか、いろいろなツールがある。実は、きのう役所の方に御説明に来ていただいたら、こんなのがあります、こんなのがありますという説明はするんですけれども、では、私がもし中小企業の社長だったら、まず何をすればいいんですかと言うと、答えられないんですよ。それは、例えば地元の商工会議所にまず駆け込んで、そこで相談しなさいというのが答えなんですよ、恐らく。

 そういう、現場で何が起きるか、中小企業側あるいは金融機関側に、具体的にどういうふうにやっていくかというところについての周知をもう少ししっかりしていかないと、これは大混乱になるおそれがあると思うんですね。

 これは、中小企業の経営者ともよく触れ合っている政治家の観点から、政策としてはこういうのがありますという説明ではなくて、現場でこういう場合にはこうするんだということをもっときちんと指導すべきだというふうに思いますが、これについていかがでしょうか。

寺田副大臣 後藤委員にお答えを申し上げます。

 支援が必要な中小企業者あるいはまた事業者に対しましては、今委員も言われたように、いろいろなツールがあるということをしっかりと周知徹底をする必要があろうかと思います。

 一番身近なところといたしましては地域の商工会、あるいはみずからの会社の顧問をしていただいている税理士さん、また、取引のある金融機関、こういった身近な、日ごろのおつき合いのある機関に対しまして御相談をいただくことが極めて重要である、そして、それらの機関が適切に対応していくことが必要であると考えております。

 そういったような観点から、今月中に、全国各地の財務局、また、全ての都道府県に所在をしております財務事務所、これに中小企業等金融円滑化相談窓口、これを設置させていただきます。この借り手側あるいは中小企業者から寄せられました相談に対して、適切にその相談内容に答えていく、こういうきめの細かい指導をしてまいりたい、そのように考えております。

 先ほど委員が言われた、用意しておりますさまざまなツールについても十分に説明をし、最適なベストミックスの政策対応をいたしたい、そのように考えております。

後藤(祐)委員 ぜひこれは政治家の目で、しっかりと現場で動くようなチェックをしていただきたいと思います。

 それと、個人保証について、中小企業の経営者が連帯保証をしている、あるいはひどい場合は第三者保証をほかの方にお願いしている、これで会社が倒れた場合にもう二度と立ち直れなくなってしまうという問題をどうするかということは長年課題になってきたわけでございますけれども、これは我が党の政権のときにも検討会を設けて進めてきたんですが、自公政権になられて、新しく検討会を設けてかなり速いペースで検討されていると伺っております。

 これは過去の蓄積がございますので、その中で、これも実際、現場の社長から聞いた話なんですけれども、ガイドラインをつくってほしいと。要は、再生の場合は、こういうような場合にはこんな感じですよというような、おおむねのガイドラインみたいなものがないので非常にやりにくいという声を聞きます。実際、民主党政権のときの検討会の結論というのは、中小企業再生ガイドラインをつくるべきじゃないかというような方向だったわけでございます。ぜひ新しい政権での検討会の場でもそのような方向で議論を進めていただきたいと思いますが、経済産業省、いかがでしょうか。

平大臣政務官 お答えいたします。

 今、後藤議員から御指摘をいただいた勉強会は、中小企業庁と金融庁共催による、中小企業における個人保証等の在り方研究会ということでございまして、学識経験者、実務者、金融機関、中小企業団体等の構成員で、本年の一月に設置をいたしました。三月の末までに一定の課題解決に向けて報告を取りまとめるということでございます。

 議員御指摘のとおり、経営者の個人保証はさまざまな問題を抱えていると思います。金融機関の側は、とにかく担保をとって、とにかく経営者の保証をとって、企業のフェーズが変わっても、とっていく分には金融機関側には損はないわけでありまして、その辺が硬直的に運用されている。さらには、そういった個人保証の問題が、新たに起業をしようという人たちの障害になっていたり、また、再チャレンジをしようとしたときに再チャレンジしにくくなっていくということになろうかと思います。

 いずれにしても、今御指摘の方向に沿ってしっかり検討をしてまいりたいと思っております。

後藤(祐)委員 ぜひよろしくお願いいたします。これは党派性のない話だと思います。

 さて、最後、一、二分あるんですけれども、公務員制度について。

 本来は一般質疑でこれをやらなきゃいけないんです。本来は公務員制度改革基本法案で法案を出していなきゃいけない時期なんです。我々は労働協約締結権を含む法案を出したんですが、廃案になってしまっております。この国会で法案を出さないのはなぜなんでしょうか。

 さらに言うと、労働協約締結権を含む法案をどうしても出せないというならば、それを除いた部分、例えば人事局をつくるですとか、あと、甘利大臣がまさに公務員制度改革大臣だったときに谷人事院総裁とバトルをした例の法案がございました、級別定数を内閣移管するですとか、採用の企画立案を内閣に移すですとか、その思いは今でも変わっておられませんか。これを含む何らかの法案は、少なくともこの国会に出すことが法律上の義務だと思うんですね。これは法律上の義務なんです。もう既に期限を超えているんです。甘利大臣の思いを聞きたいと思います。

甘利国務大臣 おっしゃるとおり、基本法には期限が切ってあります。それからいえば、対応がおくれているというのは、まさに国会としての怠慢だと言われても仕方がないことだと思います。

 私が行革大臣のときのことを御指摘されました。思い起こすことが多々あります。何としても公務員制度改革を実行しようという思い、それは昔も今も変わっておりません。担当は稲田大臣でありますので、私の思いもしっかり伝えて、基本法の趣旨に沿って迅速な対応ができるように、背中を押していきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 時間が来たのでこれで終わりますが、続きもやりたいと思います。

 ぜひ、今の甘利大臣の答弁を受けて、稲田大臣に、何か勉強するとか言っておられますけれども、これはもう議論は尽きているんです。勉強している時間はありません。国会の期間は、参議院選挙があるので、しかも補正予算があって、本予算があって、暫定予算があって、ほとんど時間がありません。

 幾つかの法案のパターンはもう決まっていますから、できれば労働協約締結権を出していただく、そうでないにしても、何らかの法案を出すことは法的義務だということを申し上げて、私の質疑を終わりたいと思います。

平井委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 日本維新の会にとっては法案としては初めての審査ということになりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 この法案は、補正予算関連法案ということで、一応、今回の緊急経済対策の中に位置づけられているということで、また金融にも関連しているということなので、まず、マクロ経済政策的な観点から、デフレ克服という観点から幾つか質問をしたいと思っています。

 今回、いわゆるアベノミクスで、三本の矢、大胆な金融緩和ということがございますが、また共同声明ということで、政府と日銀で、日銀は一%のインフレ率目標ということを約束したことになっているんですけれども……(発言する者あり)二%ですね。失礼しました。

 インフレターゲットというと、通常、インフレ経済のときに、インフレを抑制する目標としてインフレ率というのが、これは中央銀行の独立性のもとにやっていくということでは結構経験があると思うんですが、デフレの状態からいわゆるインフレにしていくということは、どちらかというと未踏の領域といいますか、そういうことをこれからやっていくに当たって、今般、共同声明を出したんですが、政府は、通貨の量をふやせば、いわゆるインフレ率というかこの目標を達成できる、そのためにマネーサプライをふやすのは専ら日銀の責任と努力でできると考えているのか、あるいは、二%という目標の道筋といいますか手段というか、そういうものについては政府も共同責任を負うというのがいわゆる共同声明の趣旨なのか、その辺についてちょっと基本的な認識をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 二%の物価安定目標を掲げてこれに取り組む、これは主体的に日銀の責任であります。一方で、インフレ目標の達成、これは実体経済の改善が伴わないと、国民経済、国民生活にとってもいいものではありません。その実体経済が伴うという方の努力は政府の責任として行っていくということで御理解をいただきたいと思います。

松田委員 では、二%の目標が達成できない場合は専ら日銀の責任である、政府は関係ないということになるんでしょうか。

甘利国務大臣 余り突き放した言い方ではないんですけれども、二%の物価安定目標に向かって金融緩和、手段は日銀の独立性にかかわることであります。手段は日銀がいろいろととっていくということであります。これは日銀が主体的にやっていくということでありまして、その環境整備に対して政府もやるべきことはやりましょうということであります。

松田委員 なぜこういう質問をするのかというと、いわゆるデフレ克服というのが、やはり金融機関の信用創造というか、それが伴わないとなかなかできないんじゃないかという認識があるからであります。

 一般に、通貨をふやせばそれだけ物価が上昇するという、経済学では貨幣数量説みたいな考え方があるんですが、ただ、通貨をふやしたところで、実際に人々がこのお金を使って支出に回さないと、通貨の回転速度といいますか、これが下がって、結局、資産ストックが積み上がる。千五百兆円という個人金融資産がありますが、それが積み上がったり、あるいは国債が積み上がるという形で、やはりフローの中にマネーが回っていかないと、なかなかデフレというのは克服されないのじゃないかというふうに思うわけであります。

 その中で、中央銀行ができるのは、金融市場にマネーを、いわゆるマネタリーベースといいますか、昔でいうとハイパワードマネーを供給するということができるんですが、そこから金融部門が実体経済にどれだけ信用創造するかということが結果としてマネーサプライをふやしていくことにつながるということであります。

 これは、日米欧のこれまでの経験から見ましても、例えば、日本は、九九年からマネタリーベースというのは大体二倍ぐらいになっているんですが、マネーサプライは二割ぐらいしかふえていない。アメリカやヨーロッパ、いわゆるユーロ圏なんかでも、中央銀行はマネタリーベースを三倍ぐらいふやしてもマネーサプライは三割ぐらいしかふえていない。結局、いわゆる非伝統的な手段といって中央銀行が債券、国債なんかを買っても、それで銀行部門に資金が供給されても、それが中央銀行に対する準備預金として積み上がるということになってしまうと、中央銀行のいわゆる資産と負債が両建てでバランスシートが拡大するだけで、市中のマネーがふえることにならないというような経験を結構先進国がしているわけですね。

 そういう点からいうと、どうもこの金融政策だけで物価目標とかあるいはデフレ克服というのはなかなか困難なので、アベノミクスというのは財政政策で公共投資を拡大する、需要を拡大するとやっているんですが、これも経済効果では一時的なカンフル剤、そう言われている。やはり民間需要中心の持続的な成長に結びつくためには、信用創造を民間の金融機関がしっかりとやっていかないとデフレ克服はできないのじゃないかというふうに思うわけですね。

 しかし、銀行の状況を見ていると、どうも最近というか、ずっとこのところそうなんですが、貸出先がない、事業性のある、収益性のある貸出先がなかなかないんだ、資金需要がないというのが銀行側の説明で、一方で、中小企業とか借り手の方は、銀行が貸さないからなかなか収益性のある事業が展開できない。卵が先か鶏が先かみたいになってしまって、結果として、預金残高は、銀行に対する預金はどんどんふえていますけれども、国債の運用が専らふえてなかなか貸し出しが伸びないという現象が起こっているわけですね。

 九〇年代後半ぐらいまで、預貸率、いわゆる預金に対する貸付残高の比率ですが、大体一〇〇%ぐらい日本の銀行はあったのですが、このところ大体七割ぐらいまで低下している。それから、中小企業向け貸出残高は、二〇〇〇年ごろに比べて、ある数字では六十兆円ぐらい減っているというような数字もあるんです。

 不良債権の処理というのを昔やっていたんですが、それがめどがついてもう十年ぐらいたっても中小企業向けの残高が低下してきている。これは、もちろん企業の資金需要が低迷しているというのもあるんですけれども、やはり金融機関のサイドでリスク回避的な与信態度というかそういう問題が相当あったのではないか、これがデフレが継続してきた一つの原因なのではないか。

 もちろん、金融行政御当局もいろいろ努力をされてきたと思いますが、それを十分克服できなかったのじゃないかというふうにも思いますけれども、この点については御当局の認識はいかがでしょうか。

島尻大臣政務官 松田委員に御答弁申し上げたいと思っております。

 金融機関において、金融仲介機能を十全に発揮いたしまして、中小企業を含む借り手企業の資金需要に対し適切に対応していくということが重要であるというふうに考えております。こうした観点から、検査基本方針や監督方針の中で、金融機関における円滑な金融仲介機能の発揮について、重点的に検証すること等を明確化し、各金融機関の取り組みを促してきたところでございます。

 他方、我が国では、長期にわたり、需要が弱い中、成長期待の低下などもございまして、デフレ不況が継続をしてまいりました。しかし、今後は、政府全体の政策が相まって経済状況が改善し、中小企業を初めとする企業側での資金需要が高まっていくということが期待をされております。

 引き続き、金融機関による適切な金融仲介機能の発揮を一層促してまいりたいと存じます。

松田委員 一九九八年でしたが、金融監督庁、いわゆる財政、金融分離で、私も当時大蔵省におりまして、その設立準備にかかわったことがあります。その後、それは金融庁になったわけですけれども、当時、金融行政は、とにかく透明かつ公正で、金融機関の財務の健全性というか、それを第一に掲げて、金融の新しい行政体制ができたわけですが、くしくも、そのころから日本のデフレも本格化してきた。別に、金融監督庁をつくったことがデフレの原因だとは言いませんけれども。

 金融機関の財務の健全性というのは、究極的には、リスクをとらない。極端なことを言ったら、全額国債に運用すれば財務の健全性になってしまう。最近は、その国債も少しリスクがあるというふうな認識をされているかもしれませんが。

 そうなってくると、やはりそういう思想で金融行政がスタートし、そしてずっと長い年月が経過して、民間の金融機関も、どうも、できるだけ責任をとりたくない、リスクをとって事業性を審査して貸し出しをするぐらいであったら、国債に運用した方が楽だというような行動原理がどうしてもあったんじゃないかと。そういうふうに見られているということがありました。しかし、本来、本当の意味での金融機関の財務の健全性というのは、収益性のある貸付先、そこから十分な金利がとれるということ、いかにそういう企業を育てていくかということだと思います。

 そういう観点から見ると、三年ほど前に金融円滑化法、あれは当時はモラトリアムとか言われて大変びっくりしたんですが、でも、よくよく考えてみると、条件変更してしばらく猶予を与えて事業再生をさせるということによって健全な融資先をつくっていくという意味では、本来のこういった金融行政のあり方というか、それに即した政策だったんじゃないかなというふうにも思うわけであります。

 そういう意義はあったんですが、今回、これだけデフレ対策を政府は講じようとしている、そういう中にあって、これはたまたまなのかもしれませんが、この円滑化法が、期限が切れてしまう、失効してしまうということなんです。

 この三年間、一応、デフレ経済の中にあっても、多くの事業者がこの円滑化法を利用して、真面目な中小企業が随分助かってきたというような意義もあったということも言われています。

 そういう中で、この円滑化法を停止しないで、また延長したらどうだ、その方がアベノミクスも弾みがつくんじゃないかという声もあるんですけれども、そもそも、この円滑化法というのは、どういう出口を想定していて、停止するのであれば、その出口といいますか政策効果はどういうふうになったのか、政策効果についてどういうふうに総括をしているのか、あるいは弊害が目立ってきたからやめるということなのか、そのあたりについてちょっとお聞かせいただければと思います。

寺田副大臣 お答えを申し上げます。

 まさに今、委員がいみじくも言われたとおり、三年前、モラトリアムということで大変に話題になったわけですが、金融の円滑化という点では、まことにこれは効果を発揮したというふうに考えております。

 具体的には、貸し付け条件の変更等の取り組みが、実行率九割超ということで定着を見ております。また、各金融機関の中でも、金融円滑化の体制整備、また経営陣、また実際の支店の現場においてもそうした意識が定着をしてきた、十分にその効果は発現をしたということで、再々延長については考えていない状況であります。

 しかし、この円滑化法を続けることで大きく三つの弊害が発生をしてきている。一つは、これはまさに委員がいみじくも言われたとおり、モラトリアム、絶大なるモラルハザードを発生せしめております。また、モラトリアムであるがゆえに、ニューマネーが極めて出づらい。当然のことながら、グレース期間の延長やあるいは支払いの猶予によりまして預貸率は下がってまいります。またさらに、こうした措置の実施が必ずしも経営改善計画の策定と事業再生の実施に直結をしていないという現実もあります。この三つのデメリット、これが、先ほど申し上げたようなメリットを凌駕してきたのが実態である。

 したがって、今回、新機構法案をつくりまして、これまでの円滑化法の精神は法律の六十四条で継続をしつつ、新たに事業再生に資する政策に軸足を移していく必要があるものと思料をしております。さらに、中小企業や小規模事業者等を支援するための施策全体を全体のツールとして、官民を挙げて推進をしてまいりたい、そのように考えております。

松田委員 今そういうお答えをいただきまして、今回のこの支援機構の改組というのが、円滑化法が終わることを見越して、それと、終了するということとつながる形ででき上がる、そういう措置であるということを御説明いただいたわけなんですが、ただ、中小企業の現場の方々の声を聞いていますと、やはり、この円滑化法が終わるということに対して結構戦々恐々としていて、これからますます、それこそニューマネーが出ないんじゃないか、あるいは、事業の選別が進んで、倒産する企業と倒産しない企業がはっきり選別が進んで、倒産がふえるんじゃないかといったようないろいろな声がちまたからは聞こえてくるわけであります。そういった意味で、今回の地域経済活性化支援機構というのはそういった疑念を払拭するに足りる措置であるかどうかというのが重要なポイントだろうというふうに思うわけであります。

 これまで企業再生支援機構ということでやってきたんですが、民主党政権のときの国会答弁、古川大臣の答弁の中で、円滑化法とこの企業再生支援機構は車の両輪であるという御答弁があったんですが、今の政権はどういうふうに捉えているか別としまして、車の両輪であるということになると、一方で円滑化法が終了して、もう一方で、先ほどの質問にもありましたけれども、ネーミングが、企業再生支援というのが地域経済活性化というふうになって、どうも中小企業に対して光を当てるというイメージがちょっとずれてしまうと、メッセージ性といいますか、いわゆる中小企業の事業再生にきめ細かく対応しようとしているんだという、そのあたりがどうも弱いような気がしているんですが、この点についてはいかがでしょうか。

西村副大臣 お答えをいたしたいと思います。

 古川元大臣がどういう趣旨で車の両輪とおっしゃったかは承知していないんですけれども、今も寺田副大臣から答弁がありましたとおり、本当に、リーマン・ショック後の大変厳しい金融情勢の中で円滑化法というものを制定して、中小企業の皆さんが厳しい中を乗り越えていく、そのための一つの方策として円滑化法は機能してきたものというふうに理解をしております。あわせて、同時に、再生支援機構も中小企業の再生についても機能を果たしてきたというふうに理解をしております。

 今御指摘のとおり、円滑化法が期限が来ますので、これを終了するということでありますけれども、それによって地域の中小企業の再生に支障を来さないように、今般、この機構を新たに衣がえをする形で新しい業務を追加して、延長すると同時に業務を追加する。

 あわせて、その追加する業務の中身についてでありますけれども、まさに地域が、地域の金融機関が中心となって中小企業を再生していく、あるいは地域ごとに設けられている再生支援協議会、ここで地域の中小企業を再生していく、こうした取り組みに対して機構が支援をしていく、出資をしたり、あるいは専門家を派遣したりという新たな業務を追加するわけでありますので、いわば地域の取り組みを面的にやっていく、それを機構が支援をしようということで、名称も地域経済活性化支援機構という名称に変えてやるわけでありますので、これは地域と一体となって面的に中小企業の皆様方が再生する道をしっかりととれるように応援をしてきたい、こういう趣旨でございます。

松田委員 中小企業の事業再生は、結局、地域経済力に即してやった方が実効が上がるというような御判断なんでしょうか。ということは、地域経済力の活性化に資するとは必ずしも限らないような事業というのは、それはちょっと捨てられるという感じなんでしょうか。その辺はいかがなんでしょうか。

西村副大臣 円滑化法を終了するという判断も、リーマン・ショック後の物すごく厳しい、大変厳しい金融情勢からは変化をしてきているということの判断、認識があるのが一つと、それから、基本的に、今、寺田副大臣からの御指摘もありましたように弊害もあって、やはり企業は、地域経済も新陳代謝をしていかないと、時代の変化に応じて変化をしていかないと、いつまでも昔のままであれば地域経済の活性化はないわけでありますので、そういう視点から、主として地域の商工会、商工会議所の皆さん、あるいは地域の金融機関が中心となって、地域経済をどうやっていくか、どう自立して発展をしていくかということを考える中で、我々、機構もその取り組みに対してしっかり応援をしていこう、こういう趣旨でございます。

松田委員 そういういろいろな御説明をいただいて、それで次第にだんだんわかってくるんですが、どうも今回の機構がよくわからないというか、一般の方々には、地域経済活性化と言った途端にちょっとわからなくなっているんじゃないかなという印象が否めないので。

 今回の緊急経済対策全体がデフレ克服と、先ほども私申しましたように、そのためには金融機関の円滑な信用創造ということをいかに促進していくか、その辺にも光を当てた対策であるということとの関連から見ても、このあたりは、はっきりわかりやすい機構のPRに努めていただければと思います。

 これに関連して、今回の法案は、補正予算関連ということで、ファンドへの出資として三十億円、その三十億円の予算措置で、地域に専門家を派遣して、ファンドに専門家を派遣してノウハウを提供するといったソフト面の対策、少ない金で知恵を使う対策という、その面では、我々維新の会は賢く強い経済財政運営というのを掲げてきたんですが、なかなか賢い経済政策だなという面で一定の評価はできると思っています。そういう意味で、公共事業をむやみに拡大するような政策ツールに比べれば筋がいいというふうな判断もしております。

 ただ、今回の法案でわかりにくいのは、この効果がどのぐらいの効果になるのかということでありまして、これまで中小企業の事業再生については、いろいろな省庁に関連するいろいろな施策が重層的になされてきたわけであります。もちろん中小企業庁関係もありますし、そういった施策が全体としてどれぐらいの効果を上げて、そして、その上に立って、今回の法改正で中小企業の事業再生でどういうような効果を上げるかというあたりがどうも見えにくいといいますか。

 また、企業再生支援機構が、いわゆるJAL支援機構と言われるように、一部の大企業に偏ってしまったという印象もあるんですが、そういった意味で、幅広く全国各地のいわゆる企業再生に専門家を派遣したり知恵を提供する、それだけの十分なキャパシティーがあるのかどうかとか、逆に、やはり特定の企業に支援対象が絞られてしまって、中小企業に十分な光が当てられないんじゃないかとか、そういった懸念も出かねないような気もします。

 そういった意味で、ある程度数値化された目標というか、そういったものも必要なような気がいたしますけれども、その点について少し明らかにしていただければと思いますが、いかがでしょうか。

山際大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほどから御答弁申し上げているとおりに、今回の法改正におきまして、個々の企業に対する直接の再生支援、これは、支援期間の延長等によって中小企業の使い勝手を改善すること等の措置を行って、続けてまいります。

 また、それに加えまして、先ほど委員からの御指摘もございましたように、専門家の派遣、そして地域の力を活用する、こういった間接的な、より幅の広い、地域の中小企業の再生支援を行っていくところでございます。

 その結果、今、数値目標はどうかというお話がございましたけれども、今申し上げたように、中身を拡充させるという趣旨でございまして、具体的に数値目標として、私たち、これぐらいだということは挙げさせていただいておりませんが、いずれにいたしましても、より多くの中小企業を支援できるような仕組みにしていくという趣旨でございます。

松田委員 いわゆるファンドに対して出資もして、専門的な人材も派遣するということで、これは、地域の金融機関が既に円滑化法の終了を見越して随分ファンドをつくっているという話もありますけれども、そういったものをさらに促進していくということがあろうかと思います。

 ここでちょっと金融行政の今後の方向みたいな話についてもお伺いしたいんですが、よく言われるのは、いわゆる貸付先を、第三者的に担保をとってリスク管理をするという金融ビジネスモデルというのは行き詰まっていて、どちらかというと、金融機関も貸付先と一緒になって、ともに汗をかいて、そこから金融的な成果の配分を受けるような、そういうビジネスモデルがこれからの流れだという話も聞いておりますが、金融行政の今後のあり方として、こういったことも意識されているのかどうか、お伺いしたいと思います。

島尻大臣政務官 お答えを申し上げます。

 地域金融機関は、それぞれの地域における顧客ニーズなどを踏まえながら、自主性、創造性を発揮し、地域密着型金融の取り組みを積極的に推進していくことが重要だと考えております。

 金融庁といたしましては、こうした観点から、地域密着型金融の推進に関する監督指針を定めておりまして、その中で、地域金融機関が顧客に提案するソリューション、解決策の一例といたしまして、企業育成ファンドの組成、活用等を明示しているところでございます。

 こうした中、今般の法改正によりまして、地域経済活性化支援機構の新たな機能といたしまして、機構がノウハウを有する専門家を派遣し、民間金融機関等とともに地域活性化等のためのファンドの運営を行う枠組みが整備されるものと承知をしております。地域金融機関が機構とともにファンド運営に参画することで、この機構の有するノウハウが共有されまして、そして地域金融機関による中小企業等に対する支援能力の向上が図られていくものと期待しているところでございます。

松田委員 銀行が、単に金利収入を求める民間企業ではなくて、やはり地域と一体となって、そこに溶け込んで、一緒に地域再生をやっていく、そういう方向を目指しているというお話だったと思います。

 最後に、もう時間もないのですが、今回の新しい機構ですが、地域経済活性化、これは一種の公共的な目的なんですけれども、これを地域の事業者の自立的な選択によって、それをサポートするのがいわゆる地域の金融機関である、それを促進するために中央にあるこの機構が人材や知恵を提供する、こういうようなたてつけになっているというふうに理解しますが、我々維新の会は、地方の自立とか、あるいは、そもそも規律であるとか自立であるとか、そういうことを非常に重視して、それも、賢い経済運営、先ほど申し上げましたが、そういう趣旨にもかなうのではないかというふうに思っているんです。

 大臣にお聞かせいただきたいんですが、この新しい地域経済活性化支援機構の基本的な考え方、設計思想といいますか、自助とか公助とか共助とかいろいろな要素があると思いますけれども、その辺についてお聞かせいただければと思います。

甘利国務大臣 この法案に限らず、安倍政権の基本的な姿勢は、自立しようとする力を助けるということであります。地域には地域の当然特性があります。そういう地域の力、本来の魅力、それがいろいろな事情で発揮できない、そこをどう助けていくかであろうと思います。地域の自立、自助に対してしっかりとしたツールを提供する、アイデアも提供するということでありまして、地域の主体性を補完していくということでございます。

松田委員 維新の会は、いいものはいい、悪いものは悪い、是々非々で臨むという基本的なスタンスでおりまして、今聞いた限りでは、我々の考え方にも即している法案だというふうに理解いたしました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

平井委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 私は民間の金融機関出身なんですが、その後、民間から出向で、かつての自民党政権時代の甘利大臣のもとでの公務員事務局の職員を下っ端でやっておりまして、先ほどもちょっとお話が出ましたが、ぜひ安倍政権で公務員改革関連法案を進めていただきたい。

 その中身としまして、ちょっと質問に入る前に恐縮でございますが、かつての民主党政権では、人事院の機能移管や事務局の機能移管が非常に不十分な法案だというふうに私ども考えておりまして、自民党政権では、もともとの基本法の理念に沿った、そういったしっかりした公務員改革をぜひ進めていただきたい、そのように考えておるところでございます。

 さて、本題の方に入らせていただきたいと思います。

 この再生支援機構法案の中身、ファンド的な要素だと思うんですが、私も金融の分野でファンド関連にいろいろかかわってまいりましたが、基本的な考え方、思想として、民間のファンド、日本や、あるいは諸外国の方がずっと歴史も長いわけですが、そのファンドの組成だとか管理運営だとかと異なるやり方で官民ファンドというものがなされるのか。それとも、基本的な重要な点においては、民間のファンドの組成方式、いろいろなタイプがあります。ベンチャーだとか不動産だとかPEファンドだとか、あるいは、ヘッジファンド、グローバルマクロ、いろいろなものがございますが、いろいろなタイプはあるものの、基本的な組成や管理のやり方、これは官民ファンドと民間ファンドは違うのか、あるいは同じなのか、その辺についてちょっと基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

三井政府参考人 お答えいたします。

 今回の、機構の業務として新たに追加された事業再生ファンド、地域活性化ファンドへの出資等の事業につきまして、民間の事業者の方と共同してそのファンドを運営ないしは出資する、こういった考え方を取り入れておりまして、その意味では、民間におけるファンドの運営の考え方や実務を十分踏まえたものとする必要があると考えております。

 と同時に、地域の経済の活性化ということで、民間事業者のみではなかなか組成が困難であったりとか実現がしにくいものにつきまして、この機構が後押しをする、こういうふうな要素があるかと思いまして、そういった観点からの多少の修正を加えているということがあろうかと思います。

大熊委員 ただいまのお話で、踏まえたというのは、具体的に、同じなのか違うのか。私は細かいところまでと申し上げているつもりはないんです。基本的な点において同じなのか違うのか、この辺いかがなんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 ファンドといいますと、技術的な言葉で恐縮でございますが、投資事業有限責任組合といった法形式を使いまして出資、投資をしていく、こういったことで、基本的に民間のファンドと共通な基盤を使わせていただくというところがあります。

 また、個々の事業再生ですと、再生可能性というものを考慮するという点でも、一定の底流で共通のところがあるかと思います。

 他方、ここから先は民間のファンドはさまざまであろうかと思いますが、民間のファンドの投資家の方がどの程度のリターンを求めるのか。あるいは、そのリターンの時間的な長さといった点に関しましては、この機構はむしろ地域経済の活性化に資するよう、少し長い時間的な軸、ないしはリターンの度合いということについても、地域経済活性化ということを念頭に置いた運用をするという点で、少し異なるところが出てくると考えております。

大熊委員 一番で質問通告させていただいた成果、実績についてというところの関連でもあるんですが、今、リターンとおっしゃいました。

 先ほどの質問では、数値管理していらっしゃらない、目標はわからない、こういうふうにおっしゃいましたが、普通の民間のファンドですと、不動産ファンドですと一五パー前後とか、PEファンドですと三〇パー前後、これは、普通はIRRというような、テクニカルで恐縮ですが、管理をしているわけでございます。

 昨日の事務方の皆さんの、金融庁の方の御説明だと、IRRでは管理しないんだということなんですが、数値目標はわからないとしても、どういう管理をされようと。例えば、ヘッジファンドですとNAVでの管理だと思うんですが、どういう管理をされようということなんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の企業再生支援機構法のもとでは、先生御指摘のとおり、IRR、内部収益率という考え方で必ずしも支援先の企業を決定しておらない状況でございます。具体的には、この法律の中で、機構がどの企業を支援するかということについて主務大臣が支援基準を定めるということになってございます。

 現在の支援基準では、生産性の向上の基準といたしまして、自己資本当期純利益率が二%ポイント以上向上するかどうか、有形固定資産回転率が五%以上向上するかどうか、従業員一人当たりの付加価値額が六%以上向上するか、その他これらに相当する生産性の向上を示すほかの指標の改善があるかどうか、こういったもののいずれかを原則として三年以内に満たすということを主務大臣の支援基準において定めております。

 今回、法改正の中で、新たな業務もございますけれども、この支援基準につきましては、法律の規定によりまして、事業所管大臣の意見もお聞きして主務大臣が決めるということになってございます。こうした中で適切な支援基準を定めてまいるということでございます。

大熊委員 投資ファンドで一番大事なことは、私から言ってしまうのはなんですが、投資家のお金を守る、ふやすことなんですが、そういった支援基準をいろいろ満たす、それで投資決定をする、そうすると、どのように投資家のお金が守られるのかという、そっちの管理の測定の方法ですね、それを私はお尋ねしているんです。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 この機構の出資者は官それから民それぞれ約半分ずつでございまして、おっしゃるとおり、投資家としてはどういうリターンなりロスが出ないかといったことに関心があるということでございます。

 と同時に、法律におきまして、民間だけではなかなか再生困難な事業者につきまして、民のいわば補完といたしまして機構が企業の再生を支援していく、こういう考え方もございまして、そういった両者のバランスをとりながら、このような支援基準を定めさせていただいているところでございます。

 今申し上げました生産性向上基準のほかに、再生可能性という切り口もまたございまして、ここで、再生可能なものに支援をしていく、こういう点が、先生御指摘のような、投資家にとってのお金が守られるのかといったその考慮の中に含まれているのではないかというふうに考える次第でございます。

大熊委員 やはり今のバランスという言葉が引っかかるわけでございます。そういうふうに伺いますと、バランスということは、投資家の利益を最大化するということではなく、バランスをとるということは、投資家のお金よりも支援先の方を優先する、そういうふうに聞こえるわけなんですが。

 だからこそ、IRRで管理しないのであれば、では、例えば、きのう事務方の皆さんにヤマギワさんの再生事例をというお願いをしたわけなんですが、約二年前に投資して、それで二年ぐらいたっているわけで、投資家、つまりこれは税金の塊ですから、国民の税金の塊、お金なわけなので、どうなっているんだろうというのが、これが一番気になるところなわけで、ちょっとそちらもではまた具体的に教えていただければと思います。

三井政府参考人 個別のヤマギワという事業者についての支援内容と現状についての御質問でございます。

 この事業について、若干細かくなって恐縮でございますが、この事業者は、赤字事業であります店舗の事業からの撤退がおくれましたということや、あるいは、建築市場における需要が低迷しておったり、価格圧力が高まっておって、収益力が低下している、こういったことから財務内容が悪化しまして、収益力に比べまして過剰な有利子負債を抱えているという状況でございました。また、その過剰在庫も問題となっておりまして、こうしたことから、抜本的な事業の再構築を実施したいということで企業再生支援機構への支援の申し込みがあったというふうにお伺いしております。

 このお申し込みに対しまして、具体的なその支援の内容でございますが、企業再生支援機構としては、関係金融機関間の債権の調整、具体的には債権カットの調整でございます。それから機構による五億円の出資、それから新規融資に対する保証、この保証割合は五〇%でございます。それから経営人材等の派遣を行う、こういうことを前提に、平成二十三年四月にこの事業者に対する支援決定を行った次第でございます。

 機構は、支援決定以降、対象事業者の事業再生を進めるということでございまして、その再生に一定のめどが立ったということで、二十四年の十二月に、新たなスポンサーに対しまして、機構が保有する事業者の全株式を譲渡して、かつ機構が保有いたします対象事業者に対する貸付債権の回収も完了しております。この過程でロスは生じていないというふうにお聞きしてございます。

 その後、株式譲渡後の実務の引き継ぎも全て終了したということで、同じ月の二十八日に、この事業者に対する支援決定に関する全ての再生支援を完了したというふうに承知してございます。

 以上でございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 非常にうまくいった事例だ、MアンドAでエグジットをしてうまくいった事例だというふうに承知をさせていただきました。

 また最初の命題、つまり民間のファンドと官のファンドと違うんですか、同じなんですかと、また全部最初の命題に戻るんですが、普通、民間ですと、うまくいったトラックレコードができますと、そのトラックレコードを、プレゼンテーションの資料をつくりまして、同じ枠組みのファンド、第二号ファンドをレーズするんですね。だけれども、基本的に今回、名前を変える以上に中身も追加するということなんだろうと思いますね。これは普通じゃないんですよね、民間ですと。

 要するに、もう一度申しますと、うまくいったら同じスキームで同じことを、第二号ファンドをつくるんです。違うことをやらないんです。これが、基本的な理念、考え方、原則というのが大分違うのかな、そういうふうなことで冒頭申し上げたわけなんですが、これはどうして民間のそういうのとは違って、違うのを追加しようということ、いろいろなことはあるんでしょうが、そこが普通じゃないな、そういうふうには思っているわけなんでございますが、一言いかがでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、今のヤマギワの事業者の事例は順調にいった事例と存じます。

 他方、この企業再生支援機構に対しましては、中小企業の支援も一定数行っております。二十八件中十一件は行っておるわけでございますけれども、中小企業によりそのウエートを置き、またより多くの中小企業の再生支援を行っていくべきであるというふうな問題意識も有してございまして、そうした観点から、この機構の改善策としまして、地域で再生現場を担っておられる方への専門家の派遣等の新事業を追加させていただいたという次第でございます。

 その意味では、もちろん順調にいったものも加えまして新たな課題ということで対応させていただいた次第でございます。

大熊委員 済みません、あと一、二分になってしまいました。質問九個のうち、まだ一番しかやっていないので、いきなり飛ばします。

 今の関連なんですが、今の現行法でも二十八件中十一件が中小企業なんですよ。だから十分できるんじゃないかというふうに思うわけで、そこだけ申し上げておきます。

 ちょっといきなり最後に飛びまして、投資回収、ヤマギワさんはMアンドAでエグジットしたということなんですが、今回、改正後は主に自社株買いだというふうに承っておりますが、そこでちょっと問題なのは、自社株買いをやると実質自己資本を毀損しますので、これは新たな過少資本で、新たな経営危機の呼び水になるんじゃないかという懸念を強くしております。

 つまり、投資家の利益、さっき申しました、税金の塊であって、投資家の利益を回収しようとすると、その会社は自社株を買ってもらう、つまり自己資本を毀損するわけですから、新たに経営危機の呼び水になる、まさにリスクの呼び水になっている、つけかえるわけですから。という懸念が重大な懸念、エグジットの方法ですね、ちょっとテクニカルですが、これに重大な懸念を持っております。

 済みません。以上で終わります。ありがとうございました。

平井委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 日本の企業の数は約四百万社と言われておりますが、その中で、中小企業は企業数で九九・七%を占めております。従業員の数でも圧倒的に大きな比率を占めているわけであります。

 それで、政府提案は、従来の企業再生支援機構を地域経済活性化機構に名前を変えて延長するというものであります。しかし、中小企業が頼みの綱としてきた金融円滑化法は三月で終了する。そのやり方でいいのかというのが疑問でございます。

 実績を聞きたいんですが、企業再生支援機構を利用した中小企業の件数、それから金融円滑化法を利用した中小企業の件数、それぞれ教えてください。

甘利国務大臣 円滑化法を利用した件数は三、四十万社だったと。そして、この企業再生支援機構を利用した企業数は、二十八件の支援決定を実施しておりまして、中小企業に対する支援案件は十一件であります。

佐々木(憲)委員 今お答えになりましたように、金融円滑化法は四十万というような単位なんですね。ところが、企業再生支援機構は、JALを含めて二十八件。これはもう圧倒的な差があります。

 中小企業が圧倒的に利用している円滑化法をやめて、中小企業がほとんど利用していない企業再生支援機構を、名前を変えて、中身を若干変えて延長する、その理由は一体どこにあるのか、説明してください。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、円滑化法を利用した企業数と、今回提案をしている組織の前の仕組みを活用した例というのは、はるかな乖離があるわけであります。

 第一義的には、地域の金融機関が、対象とする中小企業に対してどういう姿勢でどういうバックアップをするかだと思います。ですから、円滑化法が終了いたしましても、地域の金融機関が手のひらを返したような対応をされては、これは大変なことになるわけであります。

 地域金融機関というのは、メガバンクと違ってと言っていいんでしょうか、地域の企業とともに生きているわけでありますから、これは引き続きお客さんも生きていてもらえなければ、自分も貸し先がなくなるわけであります。そういった意味で、金融庁からは、丁寧な対応をするようにという指導は行っております。

 あわせて、その金融機関がマンパワー等で、専門家の人材が足りないというときには、その人材を派遣して、企業の経営改善策をしっかりつくっていけるような、そういう支援体制をしっかりしたということであります。

 あわせて、今度の機構法につきましては、地域の中心となっている企業が倒れたりした場合には、地域経済そのものがおかしくなってしまう、面的に支援をしていくという発想を加味して対応する。

 でありますから、先生御指摘のとおり、小さな企業、中小企業について、この機構が全部カバーするということはできないと思います。それぞれ役割分担で、まず金融機関がしっかり支援をする、そして協議会が対応していく、それからこの機構が対応する。それぞれが補完するような関係で機能を発揮していくという設計になっていくと思います。

佐々木(憲)委員 地域の金融機関の姿勢が大事だというふうにおっしゃいました。

 金融円滑化法は、倒産防止に非常に大きな役割を果たしたんです。これをやめる理由というのが、どうも今の話を聞いても余りよくわからないんですが、今はまだ中小企業にとっては経済環境というのは非常に厳しいわけでございます。円滑化法を廃止するということになったことを見越して、銀行の姿勢が、今おっしゃったような、態度をころっと変えている、こういう状況というのが生まれております。

 例えば、銀行の方から、あなたの企業はもう法的整理を検討したらどうかというようなこととか、あるいは自主廃業をしたらどうかと。つまり、銀行にとって利益が出ているところはこれからも貸しますけれども、非常に危ない今の経済状況の中で厳しい状況にあるところは、もう貸し渋り、貸し剥がしというような感じで、また態度が変わってくる。こういう例があります。

 東京商工リサーチの情報本部長はこういうふうに言っているんです。この三年間の潜在的倒産件数を、二万から三万あると推測している。これらの弱体化した中小企業は、金融機関の選別にさらされ、倒産しかねない。再び貸し渋り、貸し剥がしが横行して、この日本経済に大変大きな影響を与えるという可能性がある。そういうふうに言っているわけですが、大臣はそう思いませんか。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 まず、円滑化法の利用対象となった件数ですが、民間調査機関のデータ等による推計ですと、おおむね三十万社から四十万社というふうに推計をされておられます。

 円滑化法、これは委員おっしゃるとおり、金融の円滑化には資する面もあったわけでありますが、条件を変更しております。例えば、支払い期限を延長する。そのことによって、逆にニューマネーが出なくなってしまった。あるいは、これは絶大なるモラルハザードを発生せしめた。また、事業再生に必ずしも資していない、すなわち経営改善計画の策定につながっていないというデメリットも顕在化をしているところでありまして、我々といたしましては、円滑化法の精神は、新機構法の六十四条で金融の円滑化への努力義務規定として盛り込みつつ、さらに事業再生支援などの新たなツールを用意しているところであります。

 金融機関に対しましては、貸し剥がしをしないような指導をいたしておりますが、今後とも丁寧な対応の指導に努めてまいります。

佐々木(憲)委員 今の説明は、銀行の、融資をする立場の代弁のような説明で、中小企業の側から見ると、自分の経営の責任で危機に陥るというのは、それは自分の責任かもしれない。しかし、今は経済状況が非常にまだ厳しいわけですよ。そういう中で、経営困難に陥っているところが銀行に頼んで、リスケをやってくれ、条件変更をやってくれと、そういうことで銀行は対応してきた。それを促す法律が円滑化法なんです。

 その法律の一番のポイントは、その状況について、つまり、銀行が中小企業の要望に応じてどのような改善をしたか国に報告しなさいというのが一番大事な点なんですよ。それがなくなるわけです、今度。だから、そういう点でいうと、私は法律を廃止するというのは非常に問題があるというふうに思います。

 最後は時間がないので大臣に。

 今度の、こういう報告義務がなくなるというような状況のもとで、倒産に追い込まれるような事態が、銀行の姿勢も先ほど言ったようなことで変わってくると、起こりかねない。そういうことに対して、やはりきちっとした支援をすべきだと私は思います。私はこの円滑化法の延長をすべきだと思いますけれども、どうですか。

甘利国務大臣 大事なことは、単なる延命策ではいけないということでありまして、改善策にならなければいけないと。そこで、この円滑化法が期限を迎えるに当たって、改善策をより手厚くしっかりしていくと。企業が再生できる余地があるところについてはそれを最大限引き出していくということを重点に対応していくということであります。

佐々木(憲)委員 改善策をやるのは私は当然だと思います。それが本当に今回の廃止によって後退するのかどうか、これはきちっと注視していかなきゃならぬと思います。

 もう時間が参りましたので。問題点、ほかにもいろいろありますので、討論の中で表明させていただきます。どうもありがとうございました。

平井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 質問時間がわずか十分ということで、項目的な質問をさせていただきたいと思います。

 まず、いきなり通告外で恐縮なんですけれども、再生支援機構の中で日航の株の売却益三千億弱が生まれていると思うんですけれども、今回、新機構にそれはどういう形で引き継がれるのか、お尋ねをいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 売却益約三千億円のうち、税金を引いた約千六、七、八百億円はまだ機構の中に残っております。

 今回の新しい機構の業務につきましては、これまでの個々の企業再生の直接支援業務とは若干異なる性格のものであるということから、新たに補正予算において三十億円の出資をいただきまして、ファンドへの専門家派遣等の事業を行うということを予定しておりまして、また、現に機構に残っておりますお金の割り方につきましては、今の企業再生支援機構法のもとでは、解散するときに政令で定める金額を国庫納付して、その残余を出資者に分配することになっておりますが、今回の改正では、それにつきまして、解散する前においても国庫納付があり得る規定は設けさせていただいております。

 なお、この残余のお金について、国庫納付を含め、どのように国庫納付をするかといった点については、法律が成立いたしました後、財政当局を含めました関係省庁、関係者との調整が必要でございますので、現時点ではまだ定まっておらないところでございます。

村上(史)委員 ということは、最終的には、新機構が役目を終わったときに全額国庫に返すということだと思うんですけれども、その間、なぜそのお金をプールする必要があるのか、そのことはどうでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの説明が舌足らずで恐縮でございます。今の、現行の企業再生支援機構法のもとでは、解散する時点まで国庫納付ができませんで、解散する時点で国庫納付ができるという規定になってございます。

 したがいまして、この法律が通りますれば、解散の前でも国庫納付ができるようになるということで、その法律が成立いたしましたら、その関係省庁等との調整を開始することができる状態になるということでございまして、現時点では、解散時でなければ国庫納付ができないという規定でございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それで、今度の新機構で、新しい施策として、金融機関へ専門家を派遣する、そういう事業も加わりましたけれども、その人材というものはどういう形で確保されているのか。また、その専門家というのは金融の専門家なのか、中小企業の専門家なのか、その辺の中身がちょっとわからないんですけれども、お尋ねをいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の企業再生支援機構におきましては百七十一名の職員が在籍してございます。

 専門家の内訳でございますが、弁護士、会計士出身の方が約三十名、コンサルタント、投資顧問等の出身者が約四十八名、金融機関の出身者が二十五名の合計百三名が在籍しております。

 こうした分野の専門家に今活動していただいておるわけでございますけれども、今後、新しい業務を担う人材も必要でございまして、こういった専門家をまた採用していくということが必要になります。

 いずれにしましても、この新しい機構の人材確保につきましては、機構の経営陣におきまして、業務遂行状況を踏まえながら具体的に御検討いただくことになろうかと存じます。

村上(史)委員 せっかくの事業でございますので、金融機関と中小企業それぞれの立場が違う、そしてまた、中小企業にはさまざまな技術また企業の内容というものがきっちりと金融機関に、あるいはそういう支援に伝わるような、いわゆるコーディネーター的な専門家というものが必要ではないか、そのことを指摘して、次の質問をさせていただきたいと思います。

 甘利大臣にお尋ねをいたします。

 日本の経済の再生、それが甘利大臣にとっても至上命題で、その最高責任者という立場でございます。予算委員会でも、甘利大臣、経済を回復させるために、アベノミクスを進捗させるために御活躍いただいていることは承知をいたしております。

 予算委員会でも議論になりましたけれども、日本の企業のうち九八%は中小零細企業で占められているということで、日本の経済を活性化させるには中小企業を元気にする必要がある、活性化させる必要がある、そのためのあらゆる施策を打っていくんだ、そういう御答弁もございました。

 今回、新しい機構を踏まえて、設立を受けて、今後、中小企業への取り組み、そして日本経済再生へ向けての決意というものを最後に大臣にお聞きをして、質問を終わらせていただきたいと思います。

甘利国務大臣 先生御指摘のとおり、中小企業は日本経済の足腰を支える極めて重要な部分であります。

 今回の法改正を通じまして、ある種のコンビネーションをしっかり図っていきたいと思っております。

 まず、地域金融機関がしっかりとした対応をしてもらいたい、そのための支援措置をしっかりするということであります。それから、再生支援協議会が、地域の実情、個々の金融機関と連携をしますけれども、広範な支援をしていく。ここに対する支援措置もする。

 それから、ある一定規模以上の中小企業、あるいは中堅企業でありましょうか、その中小・中堅企業が地域経済を担っていく重要な部分でもある、そこが倒れると地域経済がおかしくなる。これもしっかり加味をして、地域金融機関、再生支援協議会それから新しい機構がそれぞれコンビネーションを組んで、中小企業の活力を引き出し、支援をすることを通じて、地域経済を支えていくということを考えている次第でございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

平井委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。新人でございます。初めて質問させていただきます。よろしくお願いします。

 きょう、私、新人でありながら御質問させていただくのは、議員になる前は弁護士でございました。その前が、実は、父とともに中小企業を経営しておりまして、十年前にその父と経営していた企業が倒産をしたという経験がございます。その後弁護士になって、現在も中小企業の支援に邁進をしておったんですけれども、そういう意味で、きょうは新人でございますが質問させてくださいということで、質問しております。

 まずは、今回のこの改正案でございます。先ほどから六十四条の金融機関との連携ということで、機構及び金融機関は地域経済の活性化及び金融の円滑化に資するように相互に連携していくという条項がございます。

 これは、我が党公明党からも強く要望して、この金融の円滑化という文言をぜひ入れていただきたいというようなことで聞いておりますけれども、もう一度、この六十四条が入った経緯、またこの趣旨について御説明いただければと思っております。

甘利国務大臣 この六十四条におきましては、機構と金融機関等は地域における金融の円滑化に資するように相互の連携に努めなければならないこととされております。ここでいう金融の円滑化は、新たな信用供与、借りかえ、貸し付け条件の変更等を含む広い概念であります。

 地域におきまして、借り手に対して資金供給を行う等の金融仲介機能を提供しているのは金融機関でありますことから、金融機関には、機構と連携をしつつ、地域において金融の円滑化に資するよう努めなければならない責務がございます。

 したがいまして、金融機関におきましては、本条の趣旨も踏まえて、貸し付け条件の変更や円滑な資金供給等に努めていただく必要があると考えておるわけであります。

浜地委員 今、金融の円滑化という言葉で、どうしても先ほどから、円滑化法の期限の再延長をすべきか、いろいろな議論がございます。我が党にも、やはり中小企業の方々から、円滑化法はぜひ半年でも延長してほしいというような意見も多くございます。

 ただ、先ほどからお話をお伺いしておりますと、その弊害も生じておるわけでございまして、私は、円滑化法が延長される、もしくは終了するにしても、やはり金融機関の態度がどう変わるのかということが当然大事でございます。

 先ほどから、やはり金融機関の方には厳しく指導して、貸し剥がしや、条件変更になるべく応じるようにということでございますが、金融機関の立場から見ますと、金融庁さんの金融機関に対する態度、円滑化法が仮に終わった場合に、いわゆる貸し付けの債務者区分を下げるような指導をされると、金融機関としては、その分、引当金を積まなきゃいけない、また金融庁さんの方から指導があるということで、やはり貸し付け条件変更にはちゅうちょするんじゃないかというふうに思っております。

 ですので、金融庁側から、いわゆる債務者区分についてどのような取り扱いをされるのかを詳しく、明確にお答えいただければと思います。

島尻大臣政務官 浜地委員にお答えを申し上げます。

 金融検査マニュアル等におきましては、中小企業に対して貸し付け条件の変更を行っても、貸し付け条件の変更時より最長一年以内に経営改善計画を策定できる見込みがある場合、そして、五年以内に、これは最長十年以内ということになっておりますけれども、経営再建が達成される経営改善計画がある場合には不良債権とならないこととしておりまして、大企業とは異なる取り扱いをしております。

 この取り扱いは、まず中小企業はマンパワーが限られているということ、そして大企業と比べてリストラの余地も小さく経営改善に時間がかかることが多いことという、中小企業の特性を踏まえた恒久措置でございます。したがいまして、中小企業金融円滑化法の期限の到来後においてもその取り扱いは変わらないということでございます。

浜地委員 今、円滑化法期限到来後も、約一年間、債務者区分を下げずに、再建計画が立てられればということでございましたけれども、そうなると、現在、円滑化法を申請している会社で、要は再生計画案に向かって策定中なんだけれどもなかなかそれができないというような会社が、今回、円滑化法が終わることによって債務者区分が下げられますと、いわゆる円滑化法の終了に伴うデメリットということになってくると思います。

 先ほどの御説明はこれからの取り扱いだと思うんですけれども、現在、円滑化法を申請中の会社、当然、努力をしているのが前提ですけれども、その取り扱いはどうなりますか。

島尻大臣政務官 お答え申し上げます。

 金融検査マニュアル等におきましては、中小企業に対して貸し付け条件の変更を行っても、貸し付け条件の変更時より最長一年以内に経営改善計画を策定できる見込みがあれば不良債権とはしない取り扱いをしている。先ほども申し上げたとおりでございます。

 なお、一年以内に計画を策定できなかったとしても、計画策定の見込みについて慎重に判断した上で再度の条件変更を行った場合には、不良債権としない取り扱いが可能でございます。

 このように、事情によっては、一年以内に計画を策定できなかったというその理由だけをもって、機械的に債務者区分を判断するということが適切でない場合もあるというふうに考えております。

浜地委員 そこの取り扱いというのが実際にしっかり運用されるかどうかが、仮に終了したとしても中小企業に影響が及ばないという実質的なポイントになるかと思いますので、しっかりとお取り組みいただければと思っております。

 次に、今回の地域経済活性化支援機構というのは、予算規模が三十億、先ほども議題に出ていましたが、どうしても大企業向けなんじゃないかという議論がございます。

 その中、中企業については、中小企業再生支援協議会というものが中小企業庁でメニューとしてある、また、先ほどの再生計画案の策定の補助として、認定支援機関を使って、認定作業の補助金を出しながら、小企業の出口戦略を探していくというパッケージで今回は行われているというような説明を受けております。

 そこで、中小企業再生支援協議会の運用の取り扱いについてなんですが、私は以前実務をやっておりまして、金融機関側に、自分たちが再建をしなきゃいけない、もしくは、いろいろな意味で業績が悪いということを裸で出す、きちっと話してしまうと、やはり、どうしても回収に走られるんじゃないかという心情がございます。これは経営者にもございますし、私も、弁護士や税理士等々と再生計画案を立てる中で、やはり、金融機関は怖いという、正直そういうものがございます。

 その中で、中小企業支援協議会の運用として、まず、金融機関の出身者の方がいらっしゃるのか。仮にいらっしゃるとして、守秘義務的なもの、いわゆる出身母体の金融機関が、どうしても、支援協議会に持ち込みがあったよ、では、債権回収を図らぬといかぬねというような取り扱いがあると、やはり機能しないと思いますけれども、そのあたりの運用の面で何か注意されていることはありますでしょうか。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業再生支援協議会の相談体制の問題でございますけれども、私どもとしては、やはり、中小企業再生支援協議会は、事業者の目線に立って、その利便性に十分配慮した相談体制を構築していくということが特に重要だと思っております。

 また、議員から御指摘いただきましたとおり、再生支援協議会は、債務者と債権者の間に立つという位置づけにございますので、公平、そして中立的な立場ということが重要だと思います。

 こういう観点から、再生支援協議会につきましては、相談企業の情報につきましては、これは職員全てに守秘義務が法律上かかってございます。

 それから、この運用に当たりましては、確かに、御指摘ございましたように、金融機関等からの出向者はおります。おりますけれども、対象の債権者となる可能性のある金融機関、これからの出向者は協議会の統括責任者にはなれないという規定を置いておりますし、それから、実際の再生支援業務にかかわる者としては、出向元が対象債権者となり得る、そういうスタッフは原則としてその当該案件にはかかわらないというルールも設けておりまして、そういった意味から、中立性に配慮した運用を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後とも、事業者が及び腰にならないような、そういう体制をしっかり構築していくべく、指導してまいりたいということでございます。

浜地委員 今、中小企業再生支援協議会の運用についてですけれども、次に、再生計画案を立てるための認定支援機関ですね、主に税理士さんが登録をされていると思うんですけれども。

 私は福岡なんですが、福岡の認定第一号の税理士が私の友人で、一緒に仕事をしております。この方は非常にコンサルティング能力は高い方ですが、これは一概には言えませんが、どうしても税理士さんの中には、記帳代行という機械的なお仕事をされる方もいらっしゃいます。そうなると、やはり、実際経営を経験したことのない税理士や弁護士が認定支援機関になっても有効な再建計画案というのは立てられないんじゃないかという現場の声がございます。

 そのあたりで、この認定支援機関の質の向上についてはどのように担保されるかをちょっとお聞きしたいと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘いただきましたように、認定支援機関におきましては、経営改善計画の策定支援を行うに当たりまして、例えば事業の再生ですとか、あるいは場合によっては資産の査定ですとか、そういった一定の専門知識が求められる。一方、支援能力というのは、認定支援機関ごとにかなりばらつきがございます。

 そういうことから、今回、経営改善計画の策定支援に必要な専門能力を習得していただくための認定支援機関向けの研修事業というのを進めていこうということで、今対応してございます。具体的には、昨年の予備費、今後は補正予算を活用いたしますけれども、予備費を活用いたしまして、一月の末から年度内に、全国八十カ所、四千人ほどを対象に研修を行っていくということでもう既に着手をいたしております。

 今後とも、実施方法の改善等を図りながら、補正予算を活用した形での継続的な支援能力の強化ということに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

浜地委員 認定支援機関の方々の能力というのが本当の意味での中小企業の支援に実効性があるかどうかということですので、私も、現場を守りながら、その運用の仕方について、もし問題があればまた御指摘をさせていただきながら、一緒に改善をさせていただきたいと思っています。

 最後に、これは今回の法案とは少し外れます。しかし、中小企業が今円滑化法を利用しても、再生計画案を立てられずに、恐らく退場をもしかすると余儀なくされる予備軍というのが二万から三万という御指摘もございました。

 その中で私が思うことは、一つ国の施策として、どうしても退場してしまう会社、これは弁護士からすると破産手続とかになってしまいます。そうなると、全部財産が、また従業員も全部解雇ということになるんですけれども、その中で本当の小さな中小企業、それこそ従業員が十人、しかしノウハウがある、また機械設備がいいものがある、これをやはり受け皿として地元の中小企業が逆に事業譲渡等で引き受けるというようなことも私の地元では盛んに行われております。

 しかし、問題点として、どうしても小さい中小企業のそういったMアンドAですと、金融機関はその企業価値も見られませんし、のれんの価値もわかりませんので、ファイナンスがつかない、買い手の方に融資がおりないというような状況がありまして、もったいないなというのを私は再生の現場で感じておりました。

 ですので、ぜひ、今回は活性化もしくは再建ということなんですが、再建から漏れたとしても、地元の雇用や機械設備を有効活用するために、何らかの形で国の方で事業譲渡等の買い手の方に資金をつけるファイナンスの基金でありますとか、または補助金制度、これをやはり強く求めていきたいと思っております。このことによって、実際は破綻はしてしまうけれども、雇用が守られ、またその企業価値が継続をしていくということになりますので、このことをぜひ前向きに検討していただきたいなというふうに、私のは御要望でございますが、それについて、最後、御意見をいただければと思っています。

富田政府参考人 御指摘ありがとうございます。

 中小企業、小規模企業にとって優秀な人材あるいは設備の確保というのは大変重要であることは言うまでもございませんけれども、そういった経営資源を会社の存続にかかわらず有効活用していく、そういうスキームをつくっていくということが大変重要だというふうに思います。

 これまでも、中小企業庁といたしまして、例えば、中小企業再生支援協議会を通じた第二会社方式による再生支援でございますとか、それから、全国に七カ所ございますけれども、事業承継を円滑化する、第三者承継を円滑化するための事業引き継ぎセンターによる事業引き継ぎ支援、そういった取り組みを今までやってまいっております。

 しかしながら、規模の小さな会社の経営資源をどう有効活用させていくかという点については、今回議員からも御指摘をいただきましたので、大変重要な政策課題だと思います。しっかり受けとめさせていただいて検討を進めてまいりたい、このように考えてございます。

浜地委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。

平井委員長 次に、木原誠二君。

木原(誠)委員 自民党の木原誠二でございます。

 十分という非常に限られた時間でありますので、三点ほど、確認ということで質問させていただきたいな、このように思っております。

 きょうはもう既に各委員から、円滑化法と、そして今回の法律との関係について、さまざま議論が出ております。

 これはもうほぼ共通した認識だと思いますが、私は、円滑化法は、先ほどの大臣のお言葉をかりれば延命策、延命策をしている間に本来は改善策を同時にやる、延命をしている間にしっかり改善をするというのが本来の趣旨であったんだろうと思いますが、率直に申し上げまして、延命はずっとしてきたけれども、改善策はちゃんとやられなかった。この企業再生支援機構について言いますと、JALの支援はやったけれども、ほとんど中小零細企業の支援というのはできなかったというのが現実であろうと思います。

 したがいまして、だからといって、この法案を延長することは意味がないということではなくて、だからこそ、しっかりとしたものにして延長させていただくというのが非常に大切なことだろうというふうに思います。

 その中で、今回もいろいろな工夫を既にしていただいております。支援期間を五年に延ばしていただく、あるいは間接支援の仕組みをとっていただく、あるいは企業名を公表しない、さまざまな仕組みはつくっていただいたんだと思いますが、ここで一つだけ、私、ぜひ確認したいなと思う、事務方で結構ですが。

 やはり、いろいろなツールを用意しても、これを運用するのは人であります。実は私は、浪人期間中、ヘッドハンターをしながら食いつなぎまして、かなり多くの再生案件を私自身も現場で体験をしてまいりました。再生屋と言われる皆さん、多くの場合は、百件やるよりも一件の大きな宝物を探すというのがやはり普通のマインドだと思うんですね。そういう中にあって、今回、そうではなくて、中小企業の支援をきちっとやっていただくんだと。

 ぜひ確認をしたいのは、これから、機構としてどういう人を集め、それから、どういう人事評価をし、人事サイクルをつくり、人の面についてどういう工夫をしていくのか、そのことについてまず確認をしたいというように思います。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、この機構の新たな業務を初めといたしまして、人材、とりわけ専門的人材をいかに集め、活躍していただくかということが最も重要な課題であるというふうに私どもも認識してございます。

 こうした中で、専門家、先ほど御質問もありましたけれども、弁護士や会計士、あるいはファンド、投資顧問、金融界のさまざまな専門家もお越しいただいておりますし、また、その機構の運営をやっておられるプロパーの職員もいらっしゃいます。こうした方々に、よりしっかり次の機構においても活躍していただくように、今後の経営陣においてよく御検討いただき、適切な採用ないし人事管理をしていただく必要があると思っています。

 また、その物差しにおきましても、この機構の持っている使命、地域の活性化に資するよう、中小企業の再生支援、経済の活性化に資するファンドへの人材派遣を行っていくという観点から、しっかりした人事評価をしていただき、その管理、運営をしていただく必要があるというふうに考えている次第でございます。

木原(誠)委員 これから検討ということだと思いますけれども、ぜひしっかりやっていただきたいな、こう思っております。

 先ほど申し上げたように、やはりこれは反省からスタートをするというのが非常に大切であるということと、もう一点、本来、この機構はサンセットすべき機構だったものを、今回、十年という割と長い期間にわたって存続をさせるという決断をしたということでありますので、やはり私は、ちゃんと成果を上げてもらわなくちゃいかぬと。しかも、先ほどの御答弁でも、千八百億円というかなり多くの剰余金を抱えたまま移管するわけでありますので、きちっと成果を上げていただく。

 私、一つ危惧しますことは、今度の法案で、実は主務大臣のさまざまな権限がかなり弱くなっている面があります。従来は、支援決定をするときに事前に主務大臣の決定をいただく。ところが、今度はほとんどのものが事後報告になっております。

 中小企業の再生の現場ですから、迅速性が非常に大切だと思いますので、このことについて特に異論は申し上げませんが、やはり私は、しっかり成果を上げるためには、主務大臣がきちっとグリップをするということは非常に大切なことだと思います。

 そういう中で、実は、産業革新機構は、その法文の中にこういう規定がございまして、経産大臣が機構の事業年度ごとの業務の実績について評価を行う、そして、その評価を遅滞なく機構に通知し、これを公表するというような規定がございます。

 新たに規定を入れろという意味ではなくて、主務大臣として、しっかりとこの機構の実績を評価するということについてぜひ取り組んでいただきたいと思いますが、御見解をいただければというふうに思います。

山際大臣政務官 委員御指摘のとおり、評価をしっかりしていくということは大変重要なことだ、このように認識してございます。今回の改正案の中にも、第三十四条に公表規定がきちんと入ってございますので、その公表規定に基づきまして、業務の実施状況に関する機構の評価、これをしっかりと定期的に公表していく所存でございます。

 また、これに加えまして、日々行われている業務運営の適切性にかかわってもモニタリングをしっかり行っていく、そんな所存でございます。

木原(誠)委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思いますし、委員長にも、ぜひこの委員会でも定期的にきちっと評価をしていくことをお願いしたいというふうに思います。

 ちょっと金融庁に一つだけお伺いしたいと思いますが、これも先ほど来、多くの委員から出ておりまして、私はちょっと違う視点から、違わないですね、同じ視点かもしれませんが、お伺いしたいんです。

 実は、銀行には五%ルールというものがございます。つまり、銀行は、ある特定の一般事業会社の株式の五%しか持っちゃいけないというルールがございます。その例外として、事業再生をしている会社については銀行の子会社が一〇〇%持ってもいいという例外が設けられております。では、これはどれぐらい使われているのかということを、この間、金融庁の事務方の方にお伺いをしたら、せっかく例外があるんだけれども、実績はゼロです、零件です、こういうことでございました。

 要するに、地域の金融機関は、事業再生ということについて本気で取り組んでいないということなんですね。問題は、この法案が通って間接支援がこれから中心になっていく中で、やはり地域の金融機関にもっと頑張ってもらわなくちゃいけないんだろうというふうに思います。少なくとも、現状で実績ゼロということは、私は異常なことだというふうに思います。

 その意味で、ぜひ金融庁から、もちろん、預貸率を上げるといったような一般的なことはぜひやっていただきたいと思いますが、特にこの事業再生に限って、どういうふうに地域金融機関に対してこれから指導し、監督をしていくのか、方針を伺いたいと思います。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 御承知のとおり、今回の法律案六十四条におきまして、機構と金融機関が相互に連携をとって、事業者の再生に資する事業活動の支援をするという規定になっております。それとともに、地域の金融の円滑化を図っていくという規定が入っております。

 中小企業が真に経営改善を図っていくためにも、地域金融機関が、個々の借り手企業の経営課題に応じた最適なベストミックスの答え、解決策を提案し、その実行を支援していくということが現実的に極めて大事になってくるわけであります。

 金融庁といたしましては、引き続き、検査監督を通じまして、地域金融機関に対して、機構の活用も含めて、中小企業の経営改善支援に向けた積極的な取り組みを促してまいります。

 具体的には、これから策定をいたします金融検査マニュアル、また監督指針におきまして、こうした方針を明記いたしますとともに、金融機関が中小企業あるいは小規模事業者の経営支援に係る取り組み状況を公表することを求めてまいりたい、そのように考えております。

 このことを通じまして、地域金融機関が中小企業者等の経営支援の取り組みをより一層適切に行うよう十分注視をしてまいりたい、そのように考えております。

木原(誠)委員 時間が参りましたので、これで終わりにさせていただきますが、この場で議論すべきことではありませんが、ぜひ金融庁には、そろそろ過保護な銀行行政をやめていただいて、積極的なものを求めたいと思いますので、また場を改めて議論させていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

平井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案に対して、反対の討論を行います。

 反対する理由の第一は、事業再生に係る金融機関や民間再生事業者の負うべき債権破綻リスクを国民の税金で肩がわりする制度を拡大、延長するものだからであります。

 政府は、中小企業の倒産防止の上で大きな役割を果たしてきた金融円滑法を、昨年、本法律と一緒に、一年間延長する提案を行いましたが、今回は金融円滑化法の延長はありません。機構による中小企業支援の実績はこれまでわずか十一例しかなく、機構の企業再生支援は、税金による肩がわりという問題に加えて、厳しい経済環境に置かれている多数の中小企業支援策としてはほとんど無力というのが実態です。その機構を延長し、数十万件の実績のある金融円滑化法を打ち切ることは、中小企業支援策としては本末転倒であります。

 反対する理由の第二は、日本航空等の再建において従業員の不当解雇や不当労働行為を行ってきた機構を存続させるものだからであります。

 機構が再生支援で行った出資額の九五%は、大企業、日本航空の再生にかかわるものでありました。その日本航空の再建においては、日航の稲盛会長が、雇用の維持は経営上不可能ではないと述べていたにもかかわらず、労働者の解雇が強行されたのであります。本法律は、目的で「雇用の安定等に配慮しつつ」と規定していましたが、この規定は全く意味をなさなかったのであります。さらに、機構は、労働組合のストライキにも不当介入さえ行いました。こうした姿勢の機構が存続し、業務を拡大すれば、各地で労働者犠牲の企業再生が拡大しかねません。

 以上、反対の討論とするものです。

平井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、株式会社企業再生支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

平井委員長  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十七分散会


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