第3号 平成25年3月15日(金曜日)
平成二十五年三月十五日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 平井たくや君
理事 木原 誠二君 理事 関 芳弘君
理事 田中 良生君 理事 西川 公也君
理事 平口 洋君 理事 若井 康彦君
理事 松田 学君 理事 高木美智代君
青山 周平君 石川 昭政君
大岡 敏孝君 鬼木 誠君
勝俣 孝明君 川田 隆君
小松 裕君 新谷 正義君
鈴木 憲和君 瀬戸 隆一君
田所 嘉徳君 田中 英之君
高木 宏壽君 豊田真由子君
中谷 真一君 中山 展宏君
平沢 勝栄君 福山 守君
山際大志郎君 山田 美樹君
吉川 赳君 荒井 聰君
後藤 祐一君 津村 啓介君
鷲尾英一郎君 遠藤 敬君
杉田 水脈君 中丸 啓君
山之内 毅君 輿水 恵一君
浜地 雅一君 大熊 利昭君
赤嶺 政賢君 村上 史好君
…………………………………
国務大臣
(地方分権改革担当)
(地域活性化担当)
(道州制担当) 新藤 義孝君
国務大臣
(内閣官房長官)
(国家安全保障強化担当) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君
国務大臣
(海洋政策・領土問題担当) 山本 一太君
国務大臣
(女性活力・子育て支援担当)
(消費者及び食品安全担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 森 まさこ君
国務大臣
(社会保障・税一体改革担当)
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(行政改革担当)
(公務員制度改革担当)
(再チャレンジ担当)
(クールジャパン戦略担当)
(規制改革担当) 稲田 朋美君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
内閣府副大臣 西村 康稔君
内閣府副大臣 伊達 忠一君
内閣府副大臣 坂本 哲志君
財務副大臣 小渕 優子君
農林水産副大臣 江藤 拓君
環境副大臣 井上 信治君
内閣府大臣政務官 山際大志郎君
内閣府大臣政務官 亀岡 偉民君
文部科学大臣政務官 丹羽 秀樹君
経済産業大臣政務官 佐藤ゆかり君
防衛大臣政務官 左藤 章君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 能化 正樹君
政府参考人
(宮内庁次長) 山本信一郎君
政府参考人
(警察庁警備局長) 高橋 清孝君
政府参考人
(原子力規制庁次長) 森本 英香君
政府参考人
(防衛省運用企画局長) 黒江 哲郎君
内閣委員会専門員 雨宮 由卓君
―――――――――――――
委員の異動
三月十五日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 石川 昭政君
田所 嘉徳君 鈴木 憲和君
山田 美樹君 瀬戸 隆一君
岡田 克也君 鷲尾英一郎君
同日
辞任 補欠選任
石川 昭政君 新谷 正義君
鈴木 憲和君 田所 嘉徳君
瀬戸 隆一君 山田 美樹君
鷲尾英一郎君 岡田 克也君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○平井委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官能化正樹君、宮内庁次長山本信一郎君、警察庁警備局長高橋清孝君、防衛省運用企画局長黒江哲郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松田学君。
○松田委員 日本維新の会の松田学でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
所信に対する質疑ということで、冒頭でもありますので、非常に基本的なことについて、維新の会の立場も申し上げながら、確認させていただければと思います。
まず、日本維新の会、昨年の衆院選で躍進をいたしましたが、総理も先日の予算委員会で、比例区の結果で第二党は日本維新の会になった、日本を変えてくれという希望を国民の皆さんが託したんだろうという御答弁をされました。
この日本維新の会の基本的な理念は、独立自尊ということでありまして、福沢諭吉が「学問のすすめ」で、一身独立して一国独立すというふうに書かれましたように、やはり独立した個人こそが国家を支える基本であるということでありまして、他人依存の人間ばかりでは社会は腐敗し停滞する、しかし、自分が国家を変えよう、支えようと努力する人間が集まってこそ、日本が、社会が繁栄し国家が繁栄する、こういう基本的な思想が私たち日本維新の会であります。
基本的に、そのために、まさに個人の自立、国家の自立ということを私どもは提唱しているわけでございますが、みずからの運命はみずから決し、みずからの未来はみずから考え開いていく、そういう基本的な立場に立って、この日本の国を変えていこうということであります。
これは地方も同じでございまして、地方の自立ということを私どもは強く前面に打ち出しているわけであります。
加えて、日本維新の会は、強い国家という言葉がありますが、強く賢い国家。この賢いということも、日本の国が、よく、世界で最初に人類共通の課題に直面する課題先進国という言葉がございますが、やはり地方において、いろいろな課題に個人なりあるいは地域の人々が挑戦していく、そこからいろいろな課題解決モデルを生み出していく、まさに地方から日本を変えていくイニシアチブを起こしていく、それが賢い国家につながるということだろうと思っております。
そのために、地方が自立していくということのために、地方がみずから経営の意思を持って経営をしていく、こういう仕組みをつくっていく。そのためには、日常の行政はできるだけ地方に委ねていく、国は国しかできないことに集中していくということが大事だろうということで、そういう中で、私どもも道州制ということをずっと提案しておるわけでございます。
総理は、予算委員会で、私ども維新の会の議員の方からの質問に対しまして、道州制につきましては、憲法九十六条の改正とともに前向きな考えを御答弁されたところでございまして、この内閣委員会、所管されている道州制担当の新藤大臣をお迎えいたしておりますので、私としては、総理の答弁をフォローさせていただくということが当然必要になってまいりますので、お聞きしたいと思っております。
もともと自民党は、さきの衆院選で、道州制基本法制定を公約に掲げておられました。また、今通常国会に法案を出すというような動きも仄聞しているところでございますが、実際にどういう対応をされるのか、今通常国会での動きも含めて、新藤大臣にお伺いしたいと思います。
○新藤国務大臣 今先生がお話しされた維新の会の目的は、それはそのまま、自民党が考えていることと同じだ、このように思っております。
私たち立党の原点は、独立自尊の国をつくる、そして頑張った人が報われる、さらには、個人を尊重しながら、みんなで公の論理を導入して、その中から国として世界にしっかりと存在していこう、交わっていこう、こういう国をつくるためにつくられたのが自由民主党であります。ですから、基本理念は共有できるということだと思っています。
その意味において、また、地方の自立というものが極めて重要だ。
私は、道州制担当大臣であるとともに、地域活性化、さらには分権、そして総務大臣も務めさせていただいております。地方の固まりが、地域の固まりが国になるわけであります。そして個人のまとまりが国家になるわけでありまして、これは密接不可分です。対立概念ではなくて、ともにそれぞれが連関するという中で、今、少子高齢化、そして都市の集中と過疎化の進展、そして国の将来の方向が見出せなくなる中で、国民の暮らしが、それぞれの地域で、それぞれの特色を生かした中で、満足した町の自立、自治が図られているのか、こういう課題を解決するために、一つの手段として道州制というものを考えてみようではないかということであります。
そして、この道州制のビジョンをつくって、そういった組織をつくったのは、まず自由民主党が最初につくったわけであります。そして、道州制担当大臣も置きました。残念ながら、前政権において道州制担当大臣は設置されなかったわけであります。
ですから、私たちとすれば、もう一度この道州制の理念というものをしっかりと考えながら、国の統治機構を強化する、あわせて、地方自治を強化して自立性を高めながら、国民のサービスの向上と行政の効率化、これを図りつつ、もう一回言いますが、最終的にはそれは国家機能の、国家統治の強化だ、しっかりとした日本をつくっていこう、こういう理念のもとで進めさせていただきたい、このように思っています。
そして、まず、これだけの、国の土台を見直す問題でありますから、広く国民的な議論が必要だというふうに思います。そして、それを進めるためにもまずは基本法をつくろうということで、与党において精力的に議論が進められております。
ですから、そういった議論の集約の結果を見て、我々とすれば、これは政府としても連携を深めながら取り組みたい、このように思っております。
○松田委員 議論をしっかりしてから法案の方に入るという御答弁だったと思いますが、道州制が言われてかなり長い歴史がありまして、前の小泉政権のころから数えてももう十年ぐらい経過しているという中で、なかなか実際には反対論も非常に多いということであります。
その中の一つに、やはり一つの広域経済圏をつくってグローバル経済にきちっと競争していこうという考え方が道州制の根っこにあるんですが、グローバル競争をやるためには、中核都市に都市集積をつくっていかなければならない。そうなってくると、道州の中核都市以外の地方からどんどん吸い上げられていって衰退していくんじゃないかという懸念もあろうかと思います。また、基礎的自治体、市町村からは、新しい中央集権が道州内に生まれるんじゃないかといったようないろいろな反対論があるんですが、そういった懸念に対してはどのように大臣はお考えでいらっしゃるでしょうか。
○新藤国務大臣 これは、今御指摘のような懸念が出ているというのは事実であります。そして、町村会からは、この道州制が一体何をもたらすのか、道州制での国と道州、基礎自治体の具体的な役割、税財政制度等、これが明らかにされないまま、今日の経済社会の閉塞感をこの道州制によってあたかも打破し得るような、変革の期待感だけを先行させ、主権者たる国民の感覚から遊離したものになっていないか、こういうような御懸念が出ているわけであります。そして、道州における中心部とそれから周辺部の格差が広がる、それから、まさに基礎自治体がどういう役割を果たすかということについて不安があることは事実であります。ですから、まさに国民的議論をしなくてはいけない。
そして、一部の都市のみ、既に自立可能なところのみに有利な制度にするわけにはいかないわけであります。ナショナルミニマムとして、国家は全ての国民に責任を持たなくてはなりません。そしてその中で、各地方が、このことによって自立性が高まり、そして独自性が強まっていく、そしてそれを自分たちで自治していく、こういう形を担保した中で道州制というものは入れていかなくてはならないだろう、これも大きな課題であると思っております。
ですから、そういうことも含めて、国会での議論、国民的議論がさらに必要である、このように思っております。
○松田委員 議論をするばかりでは、なかなか実際にアクションが起こっていかないんじゃないかという気もいたしますが。
かつて小泉政権のときに、北海道道州制特区というのが提案されまして、その後、随分時間が経過しているんですが、これも、道州として想定される北海道という一つの広域のエリアにおいて、インフラ整備を初めいろいろな実験をしようという趣旨だったと思いますが、これが今までどんな成果を上げているのか。
さらにもう一つつけ加えますと、さきの民主党政権下で、国が地方の出先機関の事務権限を地方自治法上の特定広域連合に移譲していくという法案が閣議決定までされているんですが、これが衆議院の解散ということでたなざらしになっている。これは、まさに地方のイニシアチブで、いわゆる手挙げ方式ということで、みずからそういう方式をとりたいというところから、順次、道州制に近いような形を徐々に、実験的に取り組んでいくという意味では、非常に画期的な法案だったように思うんです。
こういった具体的なアクションというものをしっかりサポートしていくことも重要だろうと思うんですけれども、この法案についての安倍政権の対応も含めてお聞きしたいと思います。
○新藤国務大臣 まず、北海道の道州制特区ということでありますが、これは、正確に申しますと、道州制特区推進法というのができております。その中で、特定広域団体については道州制特区を認めるという仕立てになっておりまして、まず一つは北海道、もしくは、もう一つは、自然や経済、社会、文化等に密接な関係が相当程度認められる三つ以上の都府県が合併したもの、そういう区域に認められる、こういう制度でございます。しかし、現実にそれを認定いたしましたのは北海道ということでありまして、ですから、北海道は道州制と言われますが、それは道州制特区法案の中の北海道地区だ、このように御理解いただきたいと思うんです。
これまでの成果といたしまして、まず平成十九年、安倍内閣でこの特区推進法は施行されました。そして、北海道を認定したわけでありますが、商工会議所に対する監督事務の一部など四つの事務と、それから、北海道のみに適用される四つの直轄事業、合わせて八件の事務事業の移譲が行われているということであります。
そして、その後、北海道から、五回にわたりまして計二十九件の提案があって、そして権限移譲の追加、それから実務上の対応、こういったものをやらせていただいております。
従来から北海道が実施していた事務事業との一体的な実施によって効率的な執行が図られた、こういう例もありますし、事務の標準処理期間の短縮化、利用者の利便性の向上、こういうものも成果として出ておりますが、しかし、権限移譲が関連する事務の一部にとどまる、こういう場合には申請者が国と道の双方の窓口に対応しなくてはならない、二重行政が解消されない、こういう課題も出てきております。
ですから、こうした成果や課題、こういったものも踏まえながら、今後の道州制に関する国民的な議論に生かしていきたい、このように思っております。
それから、あわせて、出先機関改革の取り扱いでありますが、これは我々とすれば、いろいろな声を踏まえて検討していかなくてはならない、このように思っているんです。
閣議決定までしたのに、今こういうお話がございましたが、全国市長会からは、国と地方の役割分担のあり方、大規模災害発生時の危機管理体制等に丁寧な議論が必要であるにもかかわらず、衆議院が解散されるという慌ただしいときに法律案の閣議決定を行ったことは、基礎自治体を重視した地域主権改革の推進を標榜する政府の姿勢に反するものであり、まことに遺憾と。これが、市長会からの意見が閣議決定と同日に出ております。
それから、町村会からは、同様の趣旨でございますが、大規模災害時の危機管理体制が機能するのか、そして、一つの国の中で広域連合が担う地域と引き続き国が担う地域が混在することで、強力な体制が維持できるのか、こういうような懸念が払拭されない中で、国会提出の見込みすらないまま法律案を閣議決定したことは、極めて遺憾と。
閣議決定したことに対して、まことに遺憾であり、極めて遺憾である、こういう地方団体の声が出ているわけであります。また一方で、推進すべし、こういう御意見もいただいております。
ですから、それらも含めて、また、与党の基本的な考えも踏まえて、我々とすれば、幅広い声を伺いながら検討を進めていこう、このように考えております。
○松田委員 ぜひ、維新の会と連携をとりながら、道州制の実現に向けて、力を合わせていければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次の質問に移りますが、新藤大臣の先日の所信表明でも、道州制の導入は国家の統治機能を強化することを目指すというふうにありましたように、次は、国家の機能の強化につきまして、ちょっと官房長官に御質問させていただければと思います。
極めて基本的なことなんですが、私どもも、日本維新の会は、単に分権というだけじゃなくて、やはり分権するというのは、平時の行政は地方に委ねるけれども、国は国がやるべきことをしっかりやっていくという意味で、ある意味で、資源配分をもう少し国の機能強化の方に持っていけるようにするというのが一つの目的だと考えているんです。
そういう中で、例えば安全保障を強化するといっても、軍事力を強化するのも、国防費をふやすとかいろいろな対応をされていますが、もう少し外交力を強化する、そのためのいろいろな、官民含めた、各国政府の影響力を発揮するためのネットワークを世界じゅうに構築していく。
あるいは、さらに言えば、国家機能の強化ということでいえば、今回の東日本大震災でも見ましたように、日本はどうも有事に対応するというのは非常に弱いという指摘もございます。憲法の議論もありますが、非常事態条項のない憲法を持つ国は少ないという話もございますので、この点も含めて、まとめて、菅官房長官のお考えをお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菅国務大臣 委員から、極めて基本的で、しかし、国家にとっては極めて重要なことについての御質問をいただきました。
国家の安全保障機能、現在のままで果たしていいのかどうか、そう考えたときに、やはりどうしても日本の国というのは縦割り社会でありますし、省庁もそれぞれ極めて優秀な官僚の皆さんでありますけれども、どうしても自分の省庁にこだわり過ぎるほどこだわっている。委員は役所経験者ですから、その辺のことをよく理解されているというふうに思います。
そういう中で、国益重視の観点から、やはりオール・ジャパンで取り組んでいく、そうした体制をつくっていくことが必要だろうというふうに思っています。諸外国の政府、あるいは国際機関、民間、そうした関係機関との重層的なネットワークをつくっていく必要というのはあるだろうと思います。
それと同時に、国家安全保障会議、NSC、これはぜひとも必要だというふうに私は思っています。
例えば、先般、アルジェリアのテロの事件がありました。それぞれの省庁は極めて誠実に情報等を収集されたと私は思いますけれども、そこを集約して対応する、そうした機能が現実的に今ないわけであります。
アルジェリアの問題は、それぞれの省庁の大臣と私で対応させていただきましたけれども、常日ごろから、まさにNSCのようなものがあって、意見交換をし、また、こういう事態にはどう対応するのか、そういうことを機動的に行うことができる、そうした体制がどうしても必要だ、そういうことで、有識者の皆さんにお集まりをいただいて、NSC創設に向けて今さまざまな意見を伺っておるところでありまして、国民の皆さんの生命と安全をしっかり守ることのできる体制をできる限り早くつくっていきたいというふうに思います。
東日本大震災においても全く同じことが言えるだろうというふうに考えておりますので、そうした国民の安全について組織的なものをぜひつくっていきたい、そういうことで今検討している状況であります。
○松田委員 時間に限りがありますので、次に移らせていただきます。
今、国家安全保障の議論をしましたが、もう少し国民に身近なところで、非営利団体、NPOにつきまして、甘利大臣に御質問させていただきたいと思います。
甘利大臣には、本委員会と予算委員会、二度にわたって経済のことを御質問させていただきましたが、経済が成長していくに当たっても、日本の国民の基本的な活力、あるいは千五百兆円と言われている個人金融資産をどうやって引き出していくか、そういうためにも、どうもやはり日本の社会全体の大きな組みかえが必要になっているという議論も非常に多くある中で、この非営利セクターの可能性というのが結構注目されていると思います。
これから超高齢化社会になりますと、リタイア後の元気な高齢者の方々が地域社会にずっと居場所を求めていく中で、みずからいろいろな価値の創造に参加していくという場がもっともっと必要ですし、それがあれば、いろいろな意味で社会が活性化すると思いますし、それから、やはり成熟社会では、いろいろな価値観が多様化していきますので、民主主義のルールで、いわゆる多数決で決められた価値だけがパブリックなものではない。いろいろなパブリックなものがあって、それを個人が、まさに自律ということで、みずから選択をしていく、それによってパブリックなものが実現していくという、いわゆる第三セクターと言われている非営利セクター、これを振興していくというのは非常に重要な課題だと思うんです。
NPOについては、かつての所得控除、寄附金が、これが税額控除になるという形で、税制上の優遇は非常に進んできているんですが、どうもNPO関係者からは、前回の総選挙では各政党の公約からNPO支援というのが消えたということで、政治が余り関心がなくなっているんじゃないかという心配もちょっと聞かれたものですから、このあたり、政権として、市民活動といいますか、NPO支援に対して、どういう取り組みをされていかれるか。所信表明の中にも、市民活動の支援ということがございましたけれども、甘利大臣にお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○甘利国務大臣 週末、選挙区に帰りまして自治会の会合に出席をしますと、自治会長がぼやかれるのが、加入率を上げるために、未加入者のところに行ったり、あるいは新しく来られた人のところに自治会に入ってくれとお願いすると、私は税金を払っているからいいんだと断られることがあると。
地域コミュニティーを運営するのに必要なパブリックを行政だけで支えていこうとすると、税金を相当上げなきゃならない。そこに、ある種ボランティア活動たる自治会とか消防団とか、あるいはNPOというものがしっかり絡んでくると、低コストでしっかりしたコミュニティーの維持ができると同時に、やはり共生の意識が涵養されるわけですよね。
自助、共助、公助という、この組み合わせがとても大事だということを私どもの総理も所信で言っているわけでありますけれども、民主党政権の時代にも、新しい公共という呼び名で、NPOをしっかり支えていこうという提案がありました。呼び名は別として、共助の意識をみんなが持つということはとても大事だと思います。
御指摘のとおり、税制優遇等々で基盤を支えていく仕組みはつくりました。ただ、改正NPO法等で経理を複式にするとか、きちんとこれもしていかなきゃ、ずぼらではやはり、NPOといえども地域コミュニティーを支えていく一員であるからということで。ただ、そういうものに対して、お手軽にできるようにはなったけれども、中身がいろいろ面倒くさい、大変だということになっては逆効果にもなりかねない。そこを支える必要がある、NPOを支えるNPOみたいな必要性もある。ハードがしっかり支えていく仕組みができたら、今度はソフトもしっかり支えていく。NPO活動が進展していくような、内、外の支援体制をしっかり整えていくということは十分認識してやっていきたいというふうに思っております。
○松田委員 このNPOの問題を取り上げたのは、私ども日本維新の会も必ずしも今までNPOということを明確に言っていたわけじゃないんですが、やはり、自立型社会をつくっていくという意味において、この非営利セクターの重要性というのをもう一度きちっと政治が取り上げていくべきではなかろうかという意味で質問させていただいた次第であります。
もう時間がありませんので最後になりますが、稲田大臣に、クール・ジャパンについてお伺いしたいと思っております。
日本の強さはどこにあるかといういろいろな議論がありますが、よく言われているのが、大衆文化といいますか、アニメであるとか、そういったキャラクターが世界的にいつの間にか浸透している。意識したわけではないけれども、いつの間にか、日本のものは格好いい、まさにクール・ジャパンということで、これが世界に大変大きな影響力を持っている、実はいつの間にか持ってしまっているというのが、これが新しい日本の国際影響力の一つの形なのかなという気もするわけです。
そういった意味で、この領域をもっと戦略的に活用していくというのは国策上も重要な点だと思うんですが、一方で、大衆文化というのは、余り政府が振興して介入するとそれ自体死んでしまうという説もあって、非常に慎重であるべきだという議論も、両論ありまして、これをどのあたりに解を求めていくのかというような難しい問題があるんです。
政府も、クール・ジャパンの推進会議を立ち上げて、積極的な取り組みを行っているということですが、見ていますと、既存の日本でつくられたいろいろなコンテンツを外に発信していくのは結構力を入れているようなんですが、しかし、コンテンツの担い手であるアニメーターとかそういう方々は非常に所得が低いとか、もっと支援してほしいという声も結構聞かれるんですが、この辺についてどういう、支援をするのかしないのかを含めて、大臣の御答弁をいただければと思います。
○稲田国務大臣 今回初めてクールジャパン戦略担当大臣ということで、今までさまざまな、経産省であったり外務省であったり農水省であったり、取り組んでいたクール・ジャパンを、省庁横断的にオール・ジャパンとして発信していこうというのがクール・ジャパン戦略であります。
ただ、今、委員御指摘のように、発信だけではなくてクリエーターの支援ということもやはり重要であるということで、政府全体でクリエーターの裾野の拡大、また育成のための施策も講じているところでございます。このクリエーターの支援と、そして発信という意味でのクールジャパン推進会議も立ち上げておりまして、この会議での議論も踏まえつつ、関係各大臣とも協力して、オール・ジャパンでしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○松田委員 とりあえず私の方からは、非常に基本的な論点について四大臣にお伺いいたしました。
維新の会、強く、賢く、そしてしたたかな国家、自立をしながらそれを実現していくという立場から、本日、この後、三人の内閣委員からいろいろな質疑を、議論させていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
私からの質問は以上です。どうもありがとうございました。
○平井委員長 次に、青山周平君。
○青山委員 自民党の青山周平でございます。
まず、一期生である私にこのような質問の機会を頂戴いたしましたことを心から感謝を申し上げます。身の引き締まる思いで、頑張って質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、私、少子化対策について、本日は大臣の基本的な考え方をお伺いさせていただきたいと思っております。
私は、十年間、幼稚園で、現場で働いてまいりました。園長もしておりました。子育てをする保護者と幼稚園教諭が一緒になって子供たちを支える、まさに子育ての最前線におりましたので、子供たちがもたらす家族への幸せや社会全体を明るくする力を実感いたしました。
例えば、幼稚園で行う行事など、一人の子供に、おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんと六人ついてくるようなこともございます。さらには、そこにおじさんやおばさんもついてくることもありますので、二百人規模の幼稚園でございますと千人ぐらいの大人が集まる。子供たちに対する期待度だとかそういったものがすごく高いわけでありまして、子供たちの持つ力というのが絶大に大きい、そういうことを感じたわけであります。
そういったことを実感してくる中で、何とかして、幼稚園の教育の中で、保護者のニーズにしっかりと応えて、育てやすい環境をつくり、少子化に何とか歯どめをかけていきたい、そういうことをずっと思っておりましたが、実は、保護者のニーズの方が常に早かったわけであります。幼稚園で預かり保育をやろうと思って、保護者が預かってくださいと言った後に、預かり保育の制度ができる、そういうことが常にありました。さらには、長期休業中も幼稚園の中で預かってほしいということがあったわけでありますが、長期休業中に幼稚園の中で預かろうと、保護者のニーズが先に来て、制度が追いついてきた、そういう感覚を受けております。
国や地方自治体が独自のプランをつくって、何とか育てやすい環境をつくろう、そういうことをしていていただいたわけでありますが、遅きに失しているところはありましたけれども、現在においては、もうほとんどがパッケージとしてあります。例えば、長期休業中の保育に関しても補助金が出て、しっかりと幼稚園で対応できる環境が整っている。さらには、預かり保育も、しっかりとふんだんに預かり保育ができる状況が整っているような状況でございます。
そういった中で、保護者は、幼稚園のお母さんたち、子供を育てる親の皆さんは、そういったことを見て安心をしていただいております。安心していただいたことが、最終的には、次の子供を産もうだとか、自分たちの周りにいる大人に対して、子供を産んで育てることはいいことなんじゃないか、そういうふうに思っていただける環境ができ上がってくるとずっと思っていたわけであります。
しかし、現在、二〇〇五年に合計特殊出生率が一・二六、そこから少しずつ上昇はしているものの、一・三九という事実があります。また、少子化、子供が減っていってしまうということは、すなわち、社会保障制度を初め、日本の社会経済全体の基盤を揺るがす問題であることはもう皆さん御存じのとおりでありますので、そこには大きな問題がある、そういうふうに感じております。だからこその少子化対策だと思っております。
一九九〇年に合計特殊出生率が一・五七となった一・五七ショックから少子化が注目を集めたことをきっかけに、政府はさまざまな施策に取り組んでこられたわけでありますが、現在においても少子化に歯どめがかからない状況であります。一九九四年のエンゼルプランをスタートに、これまで長年にわたり、さまざまな少子化対策への取り組みがなされてきたにもかかわらず、なぜ大きな効果があらわれてこなかったのか。問題があるとすればどこにあるのか。大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○森国務大臣 青山委員の園長先生としての子育て支援のお取り組み、また今までの施策へのさまざまな御紹介をいただきまして、本当にありがとうございます。
少子化対策については、今御指摘のとおり、一・五七ショックから二十年余り、エンゼルプラン、子ども・子育て応援プラン、子どもと家族を応援する日本重点戦略、諸先輩方がさまざまな取り組みをされてこられました。そのことで、今、少し、一・三九まで持ち直したわけでございますが、少子化という人口減少という視点から申し上げますと、一・三九のままいった場合には、五十年後には、日本の生産年齢人口が五〇%に落ち込むという大変危機的な状況にございます。
そこで、安倍内閣では、少子化の対策として、私を少子化担当大臣とすると同時に、新しい役職、子育て支援担当大臣というふうにつけまして、人口減少だからやるということだけではなく、国民全体の意識として子育てを支援するということがいかに重要か、また子育てが、今委員がおっしゃったように、全ての大人たちに夢と希望と元気を与えてくれるということをもう一度再認識して、この子育て支援政策に対しての国民の共通の認識を盛り上げようということをしております。
具体的には、それによって財源を獲得していきたい、国民が、私たちの税金を子育て支援に使ってください、優先順位を上げてくださいというふうに認識をしていただけるように努めてまいりたいと思います。
三党合意に基づきまして、子育て三法ができました。それに基づいて、子育ての新制度が平成二十七年から始まります。これによって、待機児童の解消や、それから保育士さんの質の確保などが確保されるわけでございますが、二十七年、それを待たずに先取りをして、補正予算、当初予算で子育て支援の政策をしております。
さらに、私のもとに少子化のプロジェクトチームをつくりまして、幅広い観点で子育て支援政策に取り組み、二十七年を待たずに、政府として実効性のある施策を矢継ぎ早に打ち出していきたいと思っているところでございます。
○青山委員 ありがとうございました。
子育ての予算をしっかりととっていただける。本当にありがたいことでありまして、子供に向ける、子育てにかかる財政的な負担というのはすごく大きくて、特に幼児教育の無償化も取り組んでいただけること、そのように思っておりますが、幼稚園で受けていますと、一番負担が高いのが、幼少期の幼稚園、保育園の時期というのはすごく負担増になっている状況であります。一人目が一番上で二人目が三歳でという形になりますと、お母さんはもう厳しいので次の子を諦める、そういう現場の声を聞いてまいっております。
だからこそ、先ほど大臣が言っていただいた心強いお言葉は大変うれしく思っておりますので、ぜひ推進していただきたい、そのように思っております。
さらに質問をさせていただきます。
少子化問題に関しては、さまざまあると思うんです。先ほどの財政の問題もありますし、結婚が遅い晩婚化であったり非婚化、そういったことも出生率が上がっていかない原因の一つにあると思います。
さまざま問題があると思うんですが、大臣は、そのさまざまある問題の中で何が最も重要視され、そこを解決すれば子供たちがふえていくか、少子化が解決されるのか、そういったことに関して御質問をさせていただきたいと思います。
○森国務大臣 実は、少子化の主な要因、政府がこれまで分析をしておりましたが、総合的、全般的に対策を講じていかなければならないと思います。
人の人生のステージで申し上げますと、結婚、妊娠、出産、育児、そして教育というふうに、それぞれの場面で、今さまざまな壁がございます。結婚で申し上げますと、全ての年代で未婚率が増加しておりますので、まず結婚をしていただく。それから、妊娠をしていただくところでも、やはり高齢出産が進んでおりますので、そういったものの、母体の教育でございますとか、それから不妊治療でございますとか、さまざまな施策をそれぞれのステージに合わせて切れ目なく行っていくということが大事です。
それを私のもとのチームでは縦軸と呼んでおりますが、今度は横軸で見ますと、例えば、家庭内での育児力、これも減退化しております。また、地域の育児力も減退しておるということが指摘をされております。ですので、妊娠をした場合に、核家族化が進んでおりますので、家庭に専念をして育児を頑張っているお母さんが孤立化をしてしまうとか、孤独感を感じるとか、そういうことに対しても社会や国が支援をしていかなければならないと思っています。
若者の雇用がまた問題となっております。経済力がないから結婚をしないとか、子供を産めない、そういう問題についても総合的に取り組んでまいりたいと思っております。
○青山委員 ありがとうございます。
私自身も先ほどそういう質問をさせていただきながら、総合的なものだというふうに思っております。何か一つのことが解決すれば少子化が解決するということはない、そういうふうに私は強く思うところであります。例えば、フランスの例で婚姻制度をいじるだとか、そういったことは日本の文化で絶対やるべきではないですし、そういう日本の伝統文化を壊すようなことは絶対にしたくない。
そういう中で、私は、総合的にやるという面で、今、これは気持ちの上での問題なんですけれども、子育てに対してネガティブなイメージがすごく強い、そのように思っているんです。例えば、出産のとき大変だ、子供が生まれるとお金がかかるとか、時間がとられる、仕事ができない、そういったネガティブなイメージに対して、今、法律で、子ども・子育て会議などを開いて、それに対する措置をしていただいているわけでありますが、そういったものを僕は粛々と一つずつ解決していくことなんだと思います、ネガティブなイメージを消すには。
例えば、隣のお母さんが見ていて、あっ、子育てというのは意外と負担がないんだ、そういうふうに感ずることができれば、その隣のお母さんは子供を産んでみようというポジティブな気持ちになると思うんですね。
一つ一つの政策を粛々とこなしていくことで、一足飛びにではなくて子供をふやしていく、徐々にふやしていくという政策が、私も少子化対策の中で一番必要なことだというふうに強く思っております。
少子化対策というと、どちらかというと、もう本当に働くための施策、お母さんが働くためにどうしたらいいかというような施策が多いわけでありますが、先ほど大臣おっしゃられたとおり、家で、家庭で一人で子供を、専念して育児をしている方というのは、特に幼稚園は多くあります。おっしゃられるとおりで、実は、働いている方よりも家庭で育児をしている人の方が悩みが深いというのは私は実感的に感じております。外で働かれる方々は本当に話を外でできるわけです、一緒に働く方々だとか職場の方々と。そういったところで、そういうところのフォローを何とか考えていただきたい、しっかりと考えていただきたい、そう思っておりましたところ、大臣からそういったお話がありましたので、大変うれしく思っております。
所信にもございました、仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も、女性がそれぞれのライフステージに応じて輝けるような取り組みというふうにおっしゃっていただいておりまして、本当に働く女性の支援一辺倒にならない、しっかりと会議の中でもその部分を言っていっていただきたい。家に入って子供たちをしっかり育てる、その喜びでお母さんたちが生き生きと輝いている、活力ある女性になっているところももちろんたくさんございますので、そういったところをぜひ大臣の心にとめていただいて、今後、政策を進めていただきたい、そのように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○森国務大臣 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、第一次安倍内閣において、子どもと家族を応援する日本重点戦略というのが立てられております。これによって、仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も支援していくということが決められておりましたので、このたびの安倍内閣においても、その重点戦略を発展させるということに取り組んでおりまして、安倍総理の所信表明にもございましたし、私の所信表明にも意識してこれを織り込んでおります。
実は、私は、専業主婦経験が二年間ございまして、仕事をやめて子供のために二年間過ごしたその日々は、大変貴重で幸せではありましたが、社会から取り残されているような孤独感、この後の自分のキャリアプランがどうなるのかという不安感も非常に多いものがございました。
そういう女性に対しても悩みが聞ける場などを、幼稚園さんなどもやっていただけている先例を参考にしながら取り組んでまいりたいと思っておりますので、委員の応援もぜひよろしくお願いいたします。
○青山委員 森大臣、どうもありがとうございました。
本当に少子化対策、決意を持って臨まないと絶対に子供はふえないと思っておりますので、大臣とともに私も一生懸命支えさせていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
森大臣、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
それでは、引き続き、質問が少しかわりますが、次は、地域の活性化について、基本的な考えをお伺いさせていただきたいと思います。
先ほど大臣から、地域の固まりが国家だ、そういうお話をいただいておりましたが、すなわち、地域の活性化なくして国の活性化はない、私はそういう気持ちでおります。だからこそ、地域の活性化、しっかりとやっていただきたいという気持ちでおります。
私が生まれ育った町でありますが、岡崎市というところ、実は大学時代に地元に帰って本当にびっくりしたことがありました。中心市街地であります。小学校のときには、大にぎわいで人であふれる、買い物に行くならそこ、そういう場所がありました。まさに中心市街地。そこが、二十年たって帰ったところ、シャッター通りになっていた。本当にすさまじいスピードで地域の中心市街地が衰退している、そういう感覚を大学時代に受けました。
そんな経験の中で、岡崎市のみならず、それは私の住んでいる地域も、例えば旅行に行っても日本全国で見られる状況でありました。そんな中、地域の活性化ということで、中心市街地を復活させる中心市街地活性化法の中で、それぞれ、市、町の取り組みが始まったことと思っております。
私の町の周りでも、実はもう町内の方々が、衰退したところで何とか頑張って地域を取り戻そうと活動をされております。しかも、強い、大きなネットワークにして活動をされているわけでありますが、本当に、移動手段が車中心となって、郊外型のショッピングセンターに買い物に行く、そういうライフスタイルがついた後、なかなか軌道に乗っていかない。悩んでみえる市、町は大変多いと思っているんです。
そんな中で、これまでの政府の中心市街地活性化の取り組み状況について、どういう取り組みをしてみえたか、教えていただきたいと思います。
○坂本副大臣 私の方からお答えさせていただきます。
中心市街地は町の顔でございます。活性化は極めて重要でありますので、平成十年に中心市街地活性化法が施行されました。さらに、八年後、平成十八年に法改正をいたしまして、これを国の認定制度というふうにいたしました。中心市街地活性化事業として認定されれば、道路は国交省、あるいは商店街は経済産業省から、いろいろな形で補助のかさ上げができるというパッケージの法律であります。
これまで百十の市町村が国の認定を受けて今取り組んでいるところでございますので、府省横断でこれからもさらに強化をしてまいりたいと思っております。
○青山委員 ありがとうございます。
取り組みをしていただいているということで、さらには、百十の都市でもう既に取り組みがなされているということを今お伺いいたしましたが、その中心市街地、百十で百二十一基本計画ということを言われていると思うんですが、まだまだニーズは深いと私は認識をしております。
現在認定されている自治体というのは、比較的県内でも大きい都市が中心であるように思っております。ただ、私は、小さい都市の中心市街地の活性化、そういったことこそ、財政も弱いですし、また人の力も、マンパワーもそれほどないところ、そういったところを特に若者が住み続けられる町にしていただきたい、そういう気持ちでおりますが、小さな町への取り組み状況も含めて、中心市街地活性化施策について、今後の取り組みの方向性について教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○新藤国務大臣 まず、青山委員が先ほどから元気に御質問されていますが、幼稚園の園長先生なんですか、理事長じゃなくて。(青山委員「園長です」と呼ぶ)だとすると、あなたは国会議員で園長先生の二人目でございます。一人目は私でございますから。理事長さんをやったり、学校経営をされている人はいらっしゃるんですけれども、幼稚園の園長としてのそういう仕事をされている人というのは、これまで余りいらっしゃいませんで、私は今、大臣になりましたので職から外れておりますけれども、ずっと幼稚園の園長を、副園長からやっていましたから、子供たちに対する思いというのはとてもよくわかります。
そして、三歳から五歳の、かわいい、全く濁りのない瞳のあの子供たちを、どうやって正しい方向に、正義の心を持った子供に育ててあげようか、こういう思いで私もやってまいりましたし、ですから、そういう意味で、子供たちのために将来の国をちゃんとつくっておいてあげなきゃいけない、こういう思いは我々国会議員の努めでもありますから、ぜひ、これから新しい風として、活躍を期待申し上げたい、このように思うんです。
そして、この中心市街地の活性化は、もとをただしますと、規制緩和のはしりでありまして、大規模店舗の調整に関する法律、大店法の撤廃によって、郊外に大規模の店舗が展開をしていったんです。そういう中で、今度は、本来あった町中の商店街が廃れていって空洞化が発生する、これをどのように今度はまた再活性化させるか、そして空き店舗やシャッター通りというようなものを解消するかというのが観点でございました。
ですから、中心市街地活性化法は、もとをただせば、経産省の商店街の高度化とかそういう仕事だったんです。それに、今度は都市計画の観点、町づくりの観点を踏まえて、このような新しい、にぎわいをつくり、集客をし、滞留性を保ちながら、都市機能の活性化を図る、こういう政策になっていったということだと理解をしております。
したがって、人口要件はないんです。でも、中心市街地を形成している町というのは大規模な都市に多いということで、今まで認定要件が少なかったのではないかと思います。
今後、現状でも、五万人ですとか、それから三万人の町もこの認定例というのがあります。ですから、これは人口に限らず、小規模であろうが何であろうが、中心市街地という町づくりを進めていく上で、おやりになりたいところは、我々は、どんな町であっても応援をさせていただきたいと思いますし、それぞれの町の特色があります。商店街だけ整備しても、これは商店の活性にはならないということでありまして、全体的な、総合的な町づくりの中で、地域活性化の施策をこれに織り込んでいきたい、こういう思いで取り組みたいと思っています。
○青山委員 大臣、どうもありがとうございました。
本当にそれぞれの町にPRをして、成功例などもPRをして、皆さんが取り組める、そして、地域が活性化しなければ地方分権もない、そのように思っておりますので、その気持ちで頑張らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○平井委員長 次に、田中良生君。
○田中(良)委員 自民党の田中良生でございます。
三年半ぶりにこの質疑の場に立たせていただきまして、大変うれしく思っております。
きょうは、北東アジアにおけます我が国の国際情勢、また、国家安全保障会議に関してお聞きしたいと思います。
まず、菅官房長官を初めといたします内閣官房、今、我が国は、震災からの復興、そしてまた長引くデフレ、そして近隣諸国からの領土主権侵害、大変国難とも言えるような状況にあります。そんな中、政権を支えて、国家の最前線で対応していただいています。その強い政治姿勢に対して、改めて敬意を表するものであります。
さて、この半年間、国際社会の中で、我が国を取り巻く、特に北東アジアにおけます環境は目まぐるしく激動しております。昨年十二月の十二日には北朝鮮におけるミサイル発射、発生いたしました。また、ことしの二月十二日には核実験の強行など、北東アジア地域の不安定要因はまさに高まる状況にあります。
また、日本にとっての長年の懸案事項でもあります、大きな関心事でもあります、解決すべき大きな課題、それは拉致問題であります。韓国では今、朴槿恵新政権がスタートをいたしました。そしてまた、中国でも、全人代によって習近平体制へ移行いたしました。北東アジア地域の政治体制に今大きな変化が起きているということであります。それは、拉致問題に際しても大きな影響を与えていくのではないかなと私も考えております。
この環境変化を座視することなく、拉致問題について今後どのように機を得て取り組んでいくのか、まずは西村内閣府副大臣にお伺いをしたいと思います。
○西村副大臣 お答え申し上げたいと思います。
田中委員におかれましては、日ごろから、今御指摘のあったとおり、国際情勢あるいは日本の安全保障をめぐるさまざまな課題につきまして強い危機意識、問題意識を持っていただいて、日ごろからいろいろと意見交換させていただいていることを感謝申し上げたいと思います。
御指摘のありました拉致問題、まさに我が国の主権及び国民の安全にかかわる重大な問題でありまして、この問題の解決なくして日朝の国交正常化はあり得ないという認識で政府一体となって今取り組んでいるところでございますけれども、北朝鮮に対しましては、全ての拉致被害者の安全を確保し、直ちに帰国させるよう強く求めていく、また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引き渡しについても強く求めていくという方針でありまして、この実行のために、圧力に重点を置いた対話と圧力の姿勢を貫いて、解決に向けて、関係省庁と緊密に連携して、一体となって、総合的に引き続き取り組んでまいります。
委員御指摘のあった、東アジア各国において、新しい政治体制に今移行がなされております。引き続き、アメリカ、韓国を初めとする関係各国と緊密に連携をして取り組んでまいりたいと思っております。
私自身、地元に有本恵子さんがおられまして、そのおばさんに私の事務所をボランティアで手伝っていただいたりしております。その御心痛、御帰国を願う気持ちは、日ごろから肌身に感じているところでございます。
安倍総理におかれても、御自身でおっしゃっておられますけれども、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱き締める日が訪れるまで、私の使命は終わらないということを申されております。
私自身も、安倍総理のもと、古屋大臣を支える副大臣として、一日も早い解決に向けて全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○田中(良)委員 拉致問題に関しましては、もちろん対話と圧力ということだろうと思いますが、対話はなかなか進まない。これは、近隣諸国、北朝鮮以外の国との対話、これもやはり連携を深めていくことが私は解決への道じゃないかなと思いますので、引き続き取り組みの方をお願い申し上げたいと思います。
次に、アルジェリア・テロ事件に関してお聞きしたいと思います。
まだ記憶に新しいアルジェリアでの事件であります。あの状況下において、我が国においては、やはりあれ以上の対応はできなかったのが現実なのかなということも感じております。また、政府もたびたび会議を開いたり、いろいろな認識を共有する体制はできていたのかなとも私は思います。
しかし、それでもなお、海外からの日本人の安否情報が錯綜していたな、そうした多くの課題が残ったと思います。残念ながら、現状の日本におきましては、強硬策をとるというような選択肢あるいは能力もない、これが現実だろうと思います。だからこそ、情報収集能力をさらに高めることが私は必要だと思います。
そのためには、情報のサイクル、また、どのような情報を集めるのか、そして、集まった情報の中で精査をして、どれが有効なのか、有用かということを判断していくことが必要不可欠です。分析、評価、そして、その中で政府として何が効果的か判断して行動する、そうしたシステムを確立することが大変重要だと思います。いわゆるPDCAサイクルのように、今回の事件を教訓にしまして、問題点を洗い出して改善して、そして、今後の日本、国民にとって万全な安全保障対策を構築していくということだろうと思います。
そのためにも、このたびのアルジェリアのテロ事件における情報収集体制の反省点ですとか、今後の政府としての対応策、これを加藤官房副長官にお尋ねしたいと思います。
○加藤内閣官房副長官 田中委員にお答えをさせていただきます。
今回のアルジェリアのテロ事件、十人の日本人の方が亡くなられるという大変痛ましい事案でございました。
日本政府としては、テロは絶対に許さないとともに、やはり日本国民の安心、安全をしっかり守っていく。そして、そのことは、これからますますグローバル化していく経済社会の中で、日本の豊かさを維持していくためにも、日本企業が、あるいは日本国民が外に出ていくという機会がより一層ふえていくわけでありますから、万全の対応をとっていかなければならないというふうに思っております。
今回のアルジェリア・テロ事件について、政府内においても検証作業を進めております。その中で、残念ながら、御指摘のあるように、各国治安情報機関も同じような状況ではありましたけれども、具体的な情報に接するということにはなかなか至らなかったということは、しっかりと認識をしておかなきゃならないというふうに思っております。
そういう観点から、報告書を二月二十八日に取りまとめをさせていただきましたけれども、その中でも述べておりますように、平素からの国際テロ情勢に関する分析体制の強化、あるいは、海外における情報収集力の強化、そういったことを考えていかなきゃいけない。
その中で、具体的には、例えば、関係省庁及び在外公館の情報収集・分析体制の拡充、あるいは、出張等の充実を図る必要性があること、また、在外公館等において、外務省出身の地域専門家などとあわせて警察出身のアタッシェ及び警備対策官の体制を強化すること、あるいは、防衛駐在官の体制の強化拡充といったことに触れているところでございます。
いずれにしても、そういったことも踏まえながら、また、先般、在留邦人及び在外日本企業の保護のあり方等に関する有識者会議を、三月一日、発足もさせていただいております。そこでの議論も踏まえながら、具体的な対策をしっかりと検討していきたい、かように考えております。
○田中(良)委員 今言った、やはり情報収集体制を、各国とのすり合わせといいましょうか、それぞれの体制のすり合わせ、こうしたものも課題になってくるのかなという気がいたします。
そこで、我が国の日本版NSC、国家安全保障会議の創設に関してお聞きしたいと思います。
安倍総理は、国家安全保障会議の創設に向けた有識者会議の冒頭において、このように述べられております。外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議を設置することで、内閣総理大臣を中心として、外交、安全保障に関する諸課題について、戦略的観点から日常的、機動的に議論する場を創設し、政治の強力なリーダーシップにより、迅速に対応できる環境を整える必要がある、そのように述べております。
二〇〇〇年代以降に、戦後半世紀の経験則では対応できないような状況が今起こり続けております。例えば、二〇一〇年三月の韓国哨戒艦の沈没事件、これを境にいたしまして、即応的に対応することが求められる事案、これが次々に発生している状況にあります。
また、一昨年の三月十一日には、東日本大震災、また福島の原発事故など、情報収集と、その情報をもとにした迅速な対応が求められたところであります。近い将来に起こり得るかもしれない有事に対処していく上でも、強力なリーダーシップのもとで対応していくことは、やはり必要なことでありましょう。
そこで、国家安全保障会議について、危機管理的な対応を統合的に行うことができるように早急にしていくことが私は必要だと思います。
国家安全保障会議の目的、そして役割について、加藤副長官から所見をお聞かせいただきたいと思います。また、あわせて、現行制度では一体何が足りないのか、その点に関してもお聞かせください。
○加藤内閣官房副長官 今御指摘ございました国家安全保障会議の創設に関する有識者会議を二月十四日からスタートしているわけでございますけれども、その趣旨につきまして、内閣を挙げて外交・安全保障体制の強化に取り組む必要があるとの問題意識のもと、外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議の創設に向けて、そのあるべき姿について検討するということで、この会議を進めさせていただいているところでございます。
現在、それぞれ深い見識を有する方々からさまざまな意見をいただいております。国家安全保障会議について、その果たすべき役割あるいは既存の危機管理体制との関係等について御意見が出されておりまして、例えば第二回の会合において、まず、我が国に欠けているのは、外交、防衛双方の観点からの総合的に戦略を立案していく機能ではないか。あるいは事態対処においては、事態をおさめるということも必要であるけれども、国民に対してどう伝えていくのか、あるいは世界にどう発信していくのか、そういった広報の機能が重要である。あるいは戦略についても、何か事態が起こる前の対処や、広報も含む幅広いものであって、平素からこうした議論をし、総合調整を行った上で関係省庁に指示をしていくべきではないか。
あるいは危機管理に関しては、NSC、すなわち国家安全保障会議が、政府対策本部の設置の是非を含めて、最初の対応の仕切りをすることが大切ではないか。あるいは、大局的な政策判断と危機管理のオペレーションについては分けて捉えるべきではないかなどなどの意見が出されているところでございます。
いずれにしても、ここでの議論をしっかりしていただく中で、政府として、この国家安全保障会議をどういう形でつくり上げていくのかを検討していきたい、かように考えております。
○田中(良)委員 そして、第一次安倍内閣でつくられた、平成十九年の国家安全保障に関する官邸機能強化会議の報告書において、長期的な戦略立案機能が必要とされているとされておりました。
しかし、この厳しい国際情勢を鑑みますと、二十年、三十年といった先の話ではなくて、今後、やはり数カ月あるいは五年程度、この間に起こり得るこうした事態に対して、より検討していくことが私は必要ではないかなと思っております。長期的な戦略はもちろん大切ですけれども、日本の北東アジアの周辺情勢に即応できる機動的な対応体制づくり、これが国家安全保障会議の創設のかなめであるのではないかなと私は考えるものであります。
十九年の報告書では、機動的かつ実質的な審議方法ということで、総理、そして、外務大臣、防衛大臣、内閣官房長官、この四大臣による審議を構想していたようでありますが、それ以外の閣僚に対しては、総理大臣の判断に任せるということになっておりました。
十三日、一昨日行われました有識者会議でも検討されていると思いますけれども、防衛省だけでは対応できない事態も、やはり今後も予想されます。そういった事態に対応できるように、この国家安全保障会議の審議にも、私は、警察ですとかあるいは海上保安庁、こういった機関も盛り込んでおく必要があるのではないかなと考えておりますが、その辺に関してもお聞かせください。
○加藤内閣官房副長官 一般的な議論として申し上げますと、国家安全保障会議のあり方については、六年前に、第一次安倍内閣のもとで開催されました国家安全保障に関する官邸機能強化というタイトルで、報告書を既にいただき、今御指摘があったところでありますが、今回開催いたしました国家安全保障会議の創設に関する有識者会議においては、こうした報告書の内容を前提に議論するという趣旨ではなくて、この間いろいろな事態も生じてきているわけでありますから、そうしたことも踏まえて、幅広い御意見、御議論をお願いしたいということで、今議論をしていただいているところでございますので、今委員御指摘の点も含めて、まさに白紙でここでは御議論をしていただく、こういうふうになると考えております。
○田中(良)委員 ありがとうございます。
それでは、次は、この国家安全保障会議における情報の統合、運用という部分に関して質問させていただきたいと思います。
この有識者会議において、情報と政策の分離、こういう原則が前提とされているようであります。政策の司令塔となる国家安全保障会議の役割、これをどう整理していくのか、やはり検討していかなくてはならないと思います。
そして、国家安全保障会議を、情報を活用できる、そういう体制とするためには、総理のリーダーシップ、これを支える事務局組織、この創設が重要になってくると思います。各情報機関の連携もしっかりと強化する必要があるのではないでしょうか。
総理に情報が直接ばらばらと入ってしまう、これは国家安全保障会議の問題というよりも、私は情報機関の問題であろうと思います。情報機関を強化して、情報をきちんと分析した上で最終決定者たる総理へ報告する、こういうことが大切だと思います。
ただし、各省庁の情報機関を統合するのは現実的には非常に難しいと思います。また、情報を収集するのは、現場に精通する各省庁に任せた方がやはり効率的であろうとも思います。
解決すべきことは、各情報機関が集めた情報を統合する機関、例えば内閣情報局、こうしたものをつくるということ、そして同時に、この情報統合機関に対して必要な情報を要求する機関、これが国家安全保障会議であるのではないかなと思います。つまり、役割分担を明確化することが必要だと考えます。
この点に関しても、加藤副長官のお考えを、御所見をお聞かせいただければと思います。
○加藤内閣官房副長官 先日、安倍総理も本会議において、こうしたインテリジェンス機能の強化ということで、「複雑多様化する国際情勢のもと、我が国の国益を守り、国民の安全を確保するためには、政府全体の情報収集能力の向上を図るとともに、内閣の情報集約機能を強化することが必要不可欠である」、このように認識を示されているところでございまして、いずれにいたしましても、現在、有識者会議で議論させていただいておりますので、今お話がありました情報における役割分担をどうするかということも含めて、そこでの御意見を賜りながら、政府として検討していきたい、かように考えております。
○田中(良)委員 ありがとうございます。
情報機関が有効に機能しなければ、やはり、情報のユーザーであるこの国家安全保障会議、機能しないと言えると思います。さまざまな、各省庁から上がってくる情報、これを横串を刺すような、そういう仕組みをつくることが必要ではないかな、そのために、情報をまとめる機関にいかなる権限を与えるのかといったところが重要になってくると思いますので、今後ともぜひ議論を進めていっていただきたいと思います。
そして、今、山本大臣、お越しいただきまして、一点、質問をかえて、関連でもあるんですけれども、政府のCIOについてお聞かせいただきたいと思います。
マイナンバー法が国会に提出されました。しかし、このマイナンバー法などによって、行政組織の中で扱い、そして守るべき情報が今ふえる、そういう状況にあろうと思います。
そんな中で、電子行政の重要性も今高まってきております。ICT政策の推進、業務プロセスの効率化の推進、国と地方公共団体との連携強化、見える化など、メリットも大変多いものがあると思います。山本大臣の所信にもありました政府CIOの有用性も、納得できるものであります。
ただし、統一した設計思想のもとで構築された電子政府、同時に、やはりこれはテロの標的になったり、システムの抜け穴による情報流出、こういう危険性は絶えずつきまとうものであります。先ほどから述べておりますように、情報のセキュリティーには万全の体制、システムを確立することは当然のことでありますが、この政府CIOにおけるセキュリティー確保の方針について、大臣からお聞かせいただきたいと思います。
○山本国務大臣 御質問いただいてありがとうございます。
今、田中委員からお話の出たサイバー攻撃事案への対処等の情報セキュリティーについては、官房長官、官房副長官、内閣危機管理監の指揮監督のもとで、今、内閣官房情報セキュリティセンター、NISC、ニスクと言っていますけれども、ここが主に担当しております。今後もそういう体制になると思います。政府のCIO、内閣情報通信政策監としても、NISC等と連携して、情報セキュリティーの確保にしっかり貢献をしていきたいと思います。
特に、具体的に言うと、各府省の情報システムがばらばらに運用されておりますので、これをホームページなど可能なものから順次統合、集約化することで、サイバー攻撃等に対するセキュリティー機能を強化する、こういうところはしっかりCIOとしても貢献ができるのではないかと思っておりますので、より安全な政府機関の情報システムの構築に向けた取り組みをしっかりと私も進めていきたいと思います。そのためにも、政府CIOを法制化してきちっとCIOに権限を与える、この法案の早期成立に向けて、ぜひとも御理解、御協力をいただければと思います。
○田中(良)委員 ありがとうございます。
アベノミクスの第一の矢、第二の矢が、今放たれようとしているところであります。しかし、第三の矢である成長戦略、これこそが日本の未来また国家繁栄を位置づける最も重要な戦略であると私は思っております。
そこで、やはり電子行政の推進、IT投資の効率化の役割、これは大変大きいものがあると考えております。この政府CIO法案に関しましても、官邸主導を強化する意味でも、早急に、ぜひとも大臣、リーダーシップを持って進めていただきたいと思います。
私は、真の政治主導をなし遂げるためには、やはり縦割り行政の弊害を除く、そして、官邸中心、官邸主導の政治決定が可能となるような、こういう制度設計を行っていかなくてはならないと考えます。そうしなければ、やはり有事の際に政府が迅速かつ的確にあらゆる危機に対応することは不可能ではないかな、そのように感じております。
日本周辺、特に国際情勢が緊迫する中におきまして、国家安全保障会議の設立及び運営、もうこれは喫緊の課題であります。どのような危機にも即応して我が国の主権そして独立を守るためにも、ぜひとも日本版NSC、そしてCIO法案、こうしたものの設立、準備を急いでいただきますようにお願いいたしまして、質問を終わりとさせていただきます。
大臣、本当にありがとうございました。
○平井委員長 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
国会議員として初めての質問でございます。とにかく一生懸命にやらせていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。
今、日本は、経済の再生、外交の立て直し、社会保障制度改革、教育の再生など、早急に解決への道を開かなければならない課題が山積みであります。これらの問題を解決するためには、日本の有する人や物、さらにお金を最大限に活用することが基本であると思います。
あれがだめ、これがだめではなく、できること、やるべきことを具体的に提案し、実行していくことが必要であります。その先駆けとして、安倍総理は経済再生へ三本の矢を放たれました。さらに、あらゆる分野において未来への価値を創造する矢を放つことが必要であるという考えのもと、大臣の所信に対する質問をさせていただきます。
まず、大規模災害などへの危機管理対応について伺います。大規模災害時の事業継続対策、いわゆる政府の中枢機能の確保策について伺います。
直下地震対策大綱では、首都直下の大震災による被害を、膨大な人的・物的被害の発生と首都中枢機能障害による影響の二点の特徴があるとして、これらの被害により、被災地のみならず、被災地外を含めた我が国全体の経済社会に多大な影響を及ぼし、さらには、国際社会、世界の市場における我が国の存立基盤を揺るがしかねないとしています。
まさに、この首都直下型震災に対しては、首都中枢機能障害による影響への最大の対応が必要であり、その継続性をいかに確保するかが重要な課題であります。
そこで、首都直下型のような大規模災害発生時の政府の事業継続、中枢機能の確保策についての現状と今後の取り組みについて伺いたいと思います。さらに、あわせて、人の命を守る政府のソフト面の取り組みについても伺いたいと思います。
ここで、各省庁で進めているハード面の強化とともに、あらゆる業務に携わる政府の職員が大規模災害に直面した折に自分で自分の身を守るための事前の準備、これが必要であると考えます。
例えば、時間や場所などの状況に応じて、無理をせずに適切に行動するための判断基準、安全確認のための情報、生き残るための知恵や装備などの個々の生存確率を上げるための事前の取り組みについて、早急に検討し、できることから迅速に推進すべきと考えますが、菅官房長官の見解を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菅国務大臣 委員の初めての質問に答えることができて、私も光栄に思っております。
今、委員から、首都直下型の大地震を含め、その対応についての御質問がございました。
いずれにしろ、こうした地震が発生したときに備えて、政府では、実践的な訓練、さらには演習などを行って、危機管理能力の向上を今図っているところであります。
そしてまた、首都圏が大災害に遭った場合、危機に遭った場合、それは、二十三区以外にその機能を持つとか、そういう対策を今行っているところでありまして、いずれにしろ、そうした大震災にはしっかりと対応することができるような準備はさせていただいています。
それと同時に、委員が心配されています職員の人たちも、やはり安全な中で対応していくこと、このことも必要だというふうに思っていますので、それぞれの省庁において分担を決めながら、しっかり対応できるような仕組みを今つくらせていただいているところであります。
○輿水委員 ありがとうございます。
まさに東日本大震災のとき、やはり市の職員なり消防の職員が被害に遭われてしまった。その損失というのは非常に大きなものがある。そういった皆様が、しっかりとその状況、場の判断を適切に行い、生き延びて、そして、次の復興、次の対策にすぐ立ち上がれる体制、こういったものをきちっとつくっておくことが日本の国家にとっても大事なことである、私もそんな思いをしております。
どうか、この点につきまして、さらなる取り組みを期待しておりますので、よろしくお願いをいたします。
続きまして、二十一世紀の国際情勢にふさわしい我が国の立ち位置、このことについて伺いたいと思います。
まず初めに、おのおのの国家の繁栄と発展のための平和外交について伺います。
昨日は、中国の国会に当たる全国人民代表大会において、習近平総書記が国家主席に選出されました。習国家主席の傑出した人格とすぐれた国際感覚をもって、中国人民の福祉と豊かな社会の建設が進められ、アジアの安定と世界の平和への新しい時代が開かれることを心から期待するものであります。
さて、公明党の山口代表は、尖閣諸島の問題で大変に緊迫した状況の中、本年一月末に中国を訪問し、習近平総書記と対談をしてまいりました。
この際に、安倍総理からの親書を届けさせていただき、習総書記より、総理に対して、新たな中日関係への大きな貢献を期待しているとの伝言を受け取るとともに、互いに大局的な立場に立って、戦略的互恵関係を推進していくことを確認してまいりました。
国家と国家の難局打開には、政治家、指導者同士の対話が大事であります。特に、世界の各国との貿易で繁栄、発展をしてきた日本は、世界の平和と安定のために、あらゆる国々とこのような対話を重視した平和外交を積極的に展開すべきと考えますが、政府の見解を求めます。
○菅国務大臣 我が国としては、外交、安全保障については、近隣諸国との関係を重視しながら、日米同盟関係を基軸としながら、まさにこの地域の平和と安定のために、大局的な観点に立ってこの戦略を進めていきたいというふうに思っています。
また、習近平新主席が就任をしましたので、安倍総理からも祝意の電報を打たせていただきました。
いずれにしろ、日本と中国とは、まさに隣国でありますから、さまざまな問題がありますけれども、安倍総理が第一次内閣のときに戦略的互恵関係、こうしたものを構築したわけでありますから、そうしたものを大事にしながら、常にドアはオープンにしながら、日中関係というものをしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。
○輿水委員 ありがとうございます。
世界の人口の統計が今手元にあるんですけれども、二〇一一年七十億人、二〇三〇年には八十億人、そしてその後、九十億まで。そのうちの十億がアジアでふえていく。そんなアジアの中にあって、日本がしっかりとしたリーダーシップのもと、アジアの安定を図っていくこと、こういったことが重要であると考えるわけでございます。
続きまして、核軍縮並びに核兵器のない世界に向けての取り組みについて、お伺いを申し上げます。
去る二月十二日、北朝鮮が地下核実験を行いました。核なき世界を求める国際世論を無視する暴挙であり、強く抗議するものであります。
今回の核実験は、中東での核開発の動きへの歯どめに期待感が広がったやさきの強行であり、核廃絶を目指す国際世論の願いを踏みにじるものでありました。さらに、今回の暴挙によって、核軍縮を目指して米国が主導してきた核拡散防止条約体制が大きく揺らぐことも否定できません。
このような状況下において、核兵器の脅威がある限り、核兵器で対抗し続ける以外にないとの考えに対して、世界唯一の被爆国として、都市を丸ごと破滅させ、戦闘員と非戦闘員の区別なく多数の人々の命を一瞬にして奪い、生態系にも深刻な影響を及ぼし、爆発後も後遺症などで人々を長期にわたって苦しめる核兵器の廃絶に先頭に立って取り組むべきと考えますが、政府の見解をお聞かせください。
○菅国務大臣 今委員からも言われましたけれども、我が国は、唯一の被爆国でありますから、核兵器のない世界を目指して、NPT体制の維持強化に努めると同時に、今後とも、国連総会での核軍縮の決議の提出や軍縮・不拡散イニシアチブの推進などに取り組んで、この分野で国際社会に我が国からさまざまな行動を行って、核のない世界をつくっていきたいと思っています。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
日本が世界のリーダーとして取り組む、そういったことに期待をしておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、雇用や所得の増加の好循環による自律的な経済成長について伺います。
まず、イノベーションを雇用と所得の増加につなげる取り組みについて、安倍総理が放った経済再生への三本の矢、この三本の矢が所得の増加の好循環という的を射抜くためには、日本の資金、人材、技術力の活用によるさまざまなイノベーションを市場に的確に直結させていくことが重要であると思います。
例えば、再生医療分野において、幹細胞の活用による個々の治療技術の躍進をなし遂げたとしても、それをどのように迅速に実用化するかが大事ではないでしょうか。各現場の技術者は、おのおのの専門的な分野における研究は進められても、それらを商品化するためのシステム設計は難しいと思います。遺伝子に傷のない細胞を採取する、あるいは安全に増殖させるプロセッシング技術、適切に人体に移植をする技術、これらの安全性を総合的に管理する基準が整って、初めて世界市場において高いシェアを獲得する日本の再生医療産業が生まれるのではないでしょうか。
また、再生可能エネルギーの普及においても、どのような技術をもって環境への負荷を低減し、経済的にもすぐれたシステムとして確立し、商業ベースに乗せていくかが大事であると思います。
需要に直結するイノベーション、市場を開拓するイノベーションが必要です。つまり、おのおのの技術革新を実用化、商品化するためのトータルコーディネートが必要であり、ハード面と同時に、このようなソフト面に力を入れることが必要と考えますが、政府の見解を求めます。
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、国が行う研究、あるいは研究開発独法も含めて、それをどうやって市場につなげていくかということが大事なことであります。
そこで、安倍内閣では、総合科学技術会議を真の科学技術の司令塔にしようと。そのためには何が必要かというと、単なる研究者のサロンでは困るのでありまして、研究三昧がきちんと出口を見据えた出口戦略として市場とつながっていかなければならない。そこには市場を見据えている民の視点ということをしっかり取り込んでいく。そこで研究者とそれから市場を見据えている民間の技術のわかる人たちの意見交換ができるような場、そこが基本的な基礎研究の方向性を決められるような、予算とか権限をしっかり持ったところでなければならない。これは、抜本的に、総理の指示で担当大臣が今取り組んでいるところであります。
あわせて、独法等の研究機関あるいは大学で、研究者が、委員自身も、研究開発に携わっておられた経験から、そういう思いはお持ちだと思いますが、研究者はやはり研究に没頭して、それ以外の事務手続とか、企業との連携とか、予算をとってくるとか、営業活動とか、書類の手続とか、それは、研究者を助けるようなスタッフがいた方が、研究者は研究に、本来のものに没頭できる。
そこで、リサーチアドミニストレーターという制度が、たしか二十三年度からスタートしております。これを対象箇所をふやしていっておりまして、今は、大学でいうと十五地区ぐらいにリサーチアドミニストレーターを配置しておりまして、研究者は本来業務に没頭できる、そして、その成果をその外側につなげていくようなプロデュース、コーディネートをするスタッフはまた別に、技術がわかってそういう活動ができるスタッフというのが一番いいわけでありますから、そういうものを充実していくということで、研究の成果が市場としっかりつながっていくように、御指摘も踏まえて、これからも対処していきたいというふうに思っております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
そして、続きまして、中小企業、小規模事業者の技術の需要と付加価値の創出についても、ちょっと伺いたいと思います。
日本の経済の未来は、労働人口のほとんどを抱える中小企業の成長にあると言っても過言ではございません。中小企業支援に対して、今日まで、資金繰りあるいは経営改善など、いろいろな形で進めてまいりましたが、新たな成長のためには、今大臣がおっしゃられたような、中小企業も需要につながる技術革新が必要であります。
大企業は、市場において高いシェアを確保する主力製品を抱えており、需要を的確に捉える技術開発目標も明確であります。さらに、研究開発への資金も人材も豊富であり、金融緩和と財政出動により、自力で新たな富を創出することが可能であると思います。
一方、中小企業は、事業の存続をかけて、日夜、品質、コスト、納期に対する挑戦を繰り返していますが、新たな需要や市場開拓を視野に入れた技術開発目標を設定する情報も人材も乏しいのが実情であります。
政府は、中小企業の試作開発や設備投資等に要する経費を補助する、ものづくり中小企業・小規模事業者試作開発等支援補助金などの創設を今回なされましたが、中小企業のイノベーションを支援していく、このために重要なことは、この潜在力をいかに高い需要と付加価値に結びつけていくかであります。各中小企業が、需要に的確につながるさまざまな要素における技術目標を明確につかむことにより、研究開発投資のリスクは軽減され、優良な中小企業を数多く輩出する投資がなされるものと考えます。
中小企業の成長を生み出す、需要を徹底的に追求し、それを実現するための、実現可能な要素技術を目標設定するアドバイスや情報を提供するような、そういった環境の整備について、政府の見解を求めます。
○佐藤(ゆ)大臣政務官 輿水議員にお答え申し上げます。
輿水議員は、要素技術の開発におきまして大変御造詣が深いと伺っているところでございますが、まさにこの分野におきまして、中小ものづくり高度化法というものを私どもは実施をいたしているところでございます。
この中小ものづくり高度化法におきましては、我が国製造業の国際競争力の強化、また、新たな事業の創出に特に資する技術に関しまして、高度化を図っているところでございます。これは、国際競争力の、新たな事業の創出に資する技術を経済産業大臣が特定ものづくり基盤技術としてまず指定をいたしまして、高度化を図っているということでございます。
そして、中小企業におきましては、特定ものづくり基盤技術に関しまして、研究開発計画を策定をいただきまして、それを経済産業局に申請をいただき、そして経済産業大臣が認定を行うというような仕組みで運営をさせていただいているところでございます。
例えば、金属プレス加工にかかわる技術でございますが、このような技術の認定を受けました研究開発計画におきましては、自動車部品の小型化、軽量化による燃費向上ですとかコストダウン、こうしたものに資する研究開発を支援させていただいているというものでございます。
また、特定ものづくり基盤技術につきまして指針も策定をいたしておりまして、中小企業、小規模企業が実施すべき技術開発の方向性につきまして体系的に整理をして、同指針の情報提供にも努めているところでございます。
さらに、中小企業、小規模事業者に対しまして、高度な知識とノウハウを有します、例えば技術士ですとか技術コンサルタント、こういった専門家の派遣も実施をいたしておりまして、その中で、輿水委員御指摘の、アドバイスや情報提供につきましても努力をしてまいりたいと存じます。
○輿水委員 ありがとうございます。
例えば、私もアイフォンを使っているんですけれども、このアイフォンのほとんどの部品は日本の部品、しかし、この収益のほとんどがアップル社の収益になっている。日本のすぐれた部品をいかにこういった最終商品というか製品につなげて、そして、そこに新たな雇用とまた新しい需要を創出していくのか、こういったことが大変に重要であると私も考えているところでございます。
まさに市場のニーズに応える、また、新たな市場を開拓するためのさまざまな技術分野において、要素技術を有機的に結合させ、最後まで責任を持って事業化をさせるイノベーション人材、あるいはイノベーション組織、いわゆる技術の総合プロデューサー、あるいは技術のトータルコーディネーターの育成や創出、これがまさに成長戦略の基盤だと思いますが、改めまして、甘利国務大臣の御見解を伺います。
○甘利国務大臣 よく言われますのは、日本は技術で勝ってビジネスで負けるということを言われます。
インテルのビジネスモデルと、それからルネサスエレクトロニクスでしたかをよく比較されます。両方とも、製品市場に占めるシェアが四〇パーとか六〇パーとか言われている。ルネサスで驚いたことは、あの工場がとまると世界の自動車生産がとまってしまうんだということにびっくりしたんですけれども、そんな基幹部品が赤字会社だということがもっとびっくりしたということを言われるわけですね。
要は、インテルの場合だと、パソコンの利益のほとんどを部品メーカーが持っていっちゃう。それで、こちらは基幹部品でありながら、利益をみんなとられちゃう。これは、ビジネスモデルで負けているのではないか。つまり、製品に対する価格支配力をしっかり持つような、いいものをつくるということは大事ですけれども、それをしっかりとしたビジネスモデルに仕上げるというところが日本は欠けていたのではないかということが随分指摘されているわけであります。
これからは、技術開発の分野とそれからビジネスの分野、経産省を中心に、経済界でも、しっかりとしたビジネスモデルまでつくっていって、技術が収益に反映していくような、トータルコーディネートということをしっかりしていかなければいけない、新しい視点を持って日本の産業を考えていかなければならない時期だというふうに思っております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
まさに、三本目の矢の成長戦略、ここに大きな鍵があると私は感じております。この取り組みに期待をいたしまして、次の質問に移らせていただきます。
地域の先駆的な取り組みを総合的に支援する総合特区制度についてお伺いを申し上げます。
総合特区制度とは、地域の包括的、戦略的なチャレンジを、オーダーメードで、規制や制度の特例、税制、財政、金融措置を駆使しながら総合的に支援する制度であります。
ここで、医療や介護や健康、また環境、再生エネルギー、さらには農業、六次産業などによる、地域の活性化に取り組む地域活性化総合特区は、まさに、我が国が抱えているエネルギー問題や、介護や医療問題、さらに攻めの農業の推進などの課題において、解決の糸口となる重要なテーマであると思います。
この地域活性化総合特区の事業を採算ベースに乗せる、また、医療や介護の支出の抑制を実現するなどの成果を追求し、このことを他の地域に国家的戦略として展開し日本の再建を図っていくこと、これは大変に重要なことであると考えます。おのおのの特区の目標を明確にし、その効果も見積もりながら、必要に応じて、投資的な考えのもと、国家の予算を積極的に投入し、大きな成果を誘導すべきでございます。
そこで、総合特区制度の活用の状況と今後について、また、総合特区との連携による新しい国づくりの推進について、新藤大臣の見解を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○新藤国務大臣 同じ埼玉県民であります輿水委員から御質問いただいて、ありがたいと思っています。また、頑張って国会に出てきてくれて本当によかった、このように思っております。
そういう中で、御指摘のように、総合特区制度、これは大変な注目をいただいております。
まず、そもそも何のためにこういう制度をつくったかということになります。
それは、国と地方が一体となった地域活性化の取り組み、これを進めていこうではないかと。そして、それは幾つもの取り組みがあるんですが、その中で、規制改革を軸に据えた地域活性化をしよう、こういうことであります。
この総合特区は、包括的、先駆的な地域のチャレンジに総合的に国が支援する。一つは、我が国の経済成長のエンジンとなる産業機能の集積拠点、こういったものは国際戦略総合特区、このように指定します。もう一つは、地域資源を最大限活用した地域力の向上、これが地域活性化総合特区ということであります。
そして、これまでに四十四地域を指定いたしました。私、この間、第三次の特区の認定をしたところでありますが、おいでいただいた知事さんや市長さんの中には、これは自分の政治生命をかけていたと。もし、今回の認定が外れるようなことがあれば、自分は職を辞さなければならないと思っていたんだというぐらいに、とても気持ちを込めて、一生懸命に、またこの制度に対しての期待を表明していただきました。
ですから、私としても、こういう地域の取り組み、それは規制を緩和しながら国と地域が一体となって新しいものにチャレンジできる、こういうものをぜひ応援したい、このように思っておりますし、御指摘のように、再生可能エネルギーの普及促進だとか、医薬品、医療機器の開発促進、食品の付加価値増進による食市場ですとか、それぞれの地域のテーマを自分たちで選んでいただいて、そこに集積させよう、こういうことであります。
そして、そういう制度だからこそ、国としては、規制の特例措置、それから税制、財政、それから金融上の支援措置をしているということなんです。
かつ、この総合特区は、進捗状況をチェックします。それから、その特区ごとに定めた数値目標がどのように達成しているかということ、これは毎年度政策評価していただきます。我々もチェックします。その上で、特区を指定した後からまたさらに事業が進捗すれば、新たな規制緩和の申請をいただいて、それに我々が応えていく、こういうサイクルをつくっているわけであります。
この総合特区の成功実例が、これが全国的に展開できるような、これを大いに期待をしたいし、我々としてはそういう展開をしていきたい、このように思っています。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
この総合特区の一つの成果を出す、あるいは先ほどの需要につながるイノベーション、これをしっかりとそれぞれが責任を持ってなし遂げる、そういった意識のもとで新しい日本の再建の道が開けることを強く期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。
大変にありがとうございました。
○平井委員長 次に、中丸啓君。
○中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。
私の名字はよく中村と間違えられるんですけれども、心の真ん中に日の丸を持つ男、中丸と覚えていただければと思います。何分にも初めての委員会の質問でございまして、失礼な点がないように注意はいたしますが、失礼な点がございましたら御容赦くださいませ。
十三日水曜日の内閣委員会におきまして、大臣所信及び予算説明をお伺いいたしました。初当選の私にとって初めての委員会での所信聴取をお伺いする中、違和感を覚えたことが二つございます。
一つ目は、各大臣の所信の後、官房副長官、副大臣、大臣政務官の御発言がございましたが、お名前及び御担当役務の御説明とまとめのお言葉までほぼ皆様全員が同じような御挨拶で、極めて儀礼的な印象を持ちました。皆様は、日本という国家にとって大変重要なお仕事をされており、お一人お一人の貴重なお時間は日本にとっても貴重な時間であると考えます。例えば、代表でどなたかが全員の御紹介をされたり、文書配付による簡略化など合理化されれば、皆様のお時間が、御負担も含めて現在より少なくなる、そのような方法があるのではないかと素朴に感じました。
二つ目。もう一つは、この委員会でもそうですが、本会議や予算委員会等も含め、有権者の皆様の多くからよく御質問を受けます。それは、今私の前にも座っておられますが、速記者の方です。速記者のお仕事は現代のこの今の時代において本当に有用かどうか、そういった疑問も耳にすることもございます。ここに御参集の皆様もお感じになられたことがあるかもしれません。
こういったことを、改革という観点から、我々日本維新の会はグレートリセットを訴えております。国会の制度改革も含め、重要性をこの国会で、私、改めて痛感をいたしております。
それでは、質問に入らせていただきます。
菅官房長官はその所信において、国民の安全を守ることは、国家の重要な責務であると述べられましたが、そのために、いわゆる日本版NSC、国家安全保障会議の設置に向けた検討を本格化されるということでございましたが、この組織の概要について、特に、領土、領海、領空を断固として守るという視点から、具体的な対策など、従来の内閣の組織との相違点について、これからどのようにつくり上げていかれるのか、その決意と方向性についてお尋ねさせていただきたいと思います。
○菅国務大臣 委員から、この国会運営等についてのいろいろな御指摘がありました。私も極めて大事だというふうに思っています。
私も、市会議員から初めて国会に来たときに、なぜ委員会がこんなに早く、夕方でなきゃ決まらないとか、いろいろなことを実は思ったことを今思い浮かべて、委員の質問を聞いておりました。ぜひその視点でこれからも頑張っていただきたいというふうに思いますし、私どもも初心に返って頑張っていきたいというふうに思います。
今、NSCについてありました、国家安全保障会議。まさにこの日本を取り巻く環境、北朝鮮が核実験をやる、ミサイルを発射する、また、尖閣をめぐる極めて緊迫した状況であります。そうしたときに、果たして国民の皆さんの生命と安全を守る体制が今できているかどうか、そう考えたときに、どうしても縦割り社会の中にあって、常にそうした組織を立ち上げて、そこで会議等を開いて戦略を練る、あるいは広報活動を行う、そうしたことは極めて大事だという形の中で、安倍内閣としてこの有識者会議を立ち上げました。
立ち上げて実はまだ二回目でありますから、全体としてどのようなものかということはまだ決まっておりませんけれども、現在アメリカにあるNSC、そうしたものがやはり日本においても必要だろう、そして、日本とアメリカの場合の違いもありますから、そうしたアメリカとか、あるいはイギリスだとか、今、このNSC、世界の主要国はほとんどありますから、そうしたことを勉強しながら、何とかできるだけ早くこの法案を国会に提出したい、そういう思いで今取り組んでいるところです。
○中丸委員 官房長官、ありがとうございました。
それでは、次の質問に移ります。
本年一月三十日、事案として、中国艦艇による海上自衛隊護衛艦への火器管制レーダー照射事件がございました。中国軍部のコントロール機能に対して、我が国の国民は非常に大きな不安を感じています。
我が国の情報管理体制として、内閣情報会議において内閣情報官が情報評価書を策定されるという説明を受けています。この火器管制レーダー照射事件についての評価書の策定というのはされていますでしょうか。その有無と評価書についての概要の御説明を官房長官にお尋ねいたします。
○菅国務大臣 合同情報会議でどのようなことを行ったかということは、事柄上、これは公表はしておりません。ただ、現在どんな体制であるかということを御説明させていただきたいと思います。
一般論として、内閣に危機管理監がおります。ここにおいて、常に情報連絡室というのがありまして、このような日本にとって危機的な状況があった場合には官邸連絡室を対策室に格上げして緊急参集チームを集める、そうしたことを行いながら情報集約を行って、そうした危機に対応できるような仕組み、体制を常にとっておるわけでありますけれども、先ほど申し上げましたけれども、これだけではなくて、やはり国家安全保障会議というのが常態化していれば、こうしたこともそこで取り上げることができるんだろうなというふうに思います。
○中丸委員 ありがとうございます。今後とも、大変期待をしている組織でございますので、よろしくお願いいたします。
次の質問です。
尖閣諸島は、国際法上、歴史上、誰が何と言おうと我が国の領土であり、我が国が実効支配をしているものであります。しかし、現実には、これまでに尖閣諸島への外国人による不法上陸などが何度かございました。
今後、このような事態が予測される場合、内閣官房長官として、その対応策を考えるに当たり、事前の情報収集やその備えに対しての指示などについて、お考えがあれば御教示願えますでしょうか。
○菅国務大臣 委員御承知のとおり、尖閣は、あのように中国が領海侵犯を繰り返す、あるいは領空侵犯もあります。そうしたものに、まさに言われましたように、尖閣諸島は、国際的にも歴史的にも国際法上も我が国固有の領土でありますから、そこは、海上保安庁を中心に、今、しっかりこれを守るために、二十四時間三百六十五日、緊迫な状況の中で頑張っていただいております。そして、緊急事態が発生した場合の対応の仕方等も、そこはしっかり今連携を行っておるわけであります。
しかし、私たちは、常にクールダウンしながら、しっかり守るべきことは守る、しかし、このことが武力衝突につながらないように、そこはしっかり冷静に対応させていただきたい、そういう思いで、今、海上保安庁の皆さんを中心に、大変努力をしていただいているところであります。
○中丸委員 ありがとうございます。
ただいまの質問に関連して、今、海上保安庁のお話をいただきましたが、海上にて上陸阻止ができなかった場合の対応方法についてなんですが、通常であれば、警察庁、沖縄県警がその場合の対処に当たると思いますが、どのような種類の部隊派遣を国家公安委員長は御想定されていますでしょうか。
○古屋国務大臣 中丸委員にお答えを申し上げます。
今の御質問は、警察として、不法上陸等々があったときにどういう対応をするのかという趣旨の質問というふうに私は理解をさせていただきました。それでよろしいでしょうか。
まず、警察は、不法上陸があった場合に対処する、そのためのあらかじめの情報収集であるとか訓練とか、あるいはそれにふさわしい装備の充実、常にそういうことは心がけて取り組んでおります。したがって、もし仮にそういった上陸があったら、警察は、我々に与えられたルールに基づいて厳正に対処していく、こういうことに尽きるというふうに思っております。
○中丸委員 ありがとうございます。
今、自信を持ってお答えいただき、本当にひとつ安心しております。
そういった不法上陸をした不法上陸者が、単なる漁船に乗ってきた活動家の場合と、武装集団であった場合、こういった場合に、その都度、対応部隊の訓練度、装備は当然異なってくると思うんですが、これが武装集団であった場合、通常では銃器対策部隊がまず第一次的な対応をされると思います。しかし、この銃器対策部隊で対応ができない場合、沖縄県警にも設置されております特殊部隊、SATと対応が変わって、第一次的対応をした銃器対策部隊はその支援に回るという流れが基本的な流れというふうにお伺いしております。しかし、相手の武装状況や人員など事前の情報収集が十分でない場合、遠距離でもございますし、その指示、判断は極めて難しいものであるというふうに考えますが、どのような指示、判断シミュレーションをお考えでしょうか。
○古屋国務大臣 今御指摘のように、我々警察は、第一義的には警察が対応すべきものなんですよ。それで、事前の情報というのは関係機関としっかり連携してとっています。仮にそういう上陸があって武装集団がいた場合には、警察がまずしっかり対応するということ、これが大前提なんです。ただし、警察力をもってしてはなかなかちょっと維持し切れないなというケースも当然想定されるんですね。そういう場合には、自衛隊に治安出動が下令をされて、警察と自衛隊が共同して訓練をするんです。実は、もう平成十七年から警察と自衛隊が平時から共同訓練をずっと実施しておりまして、もう既に四十七都道府県でかなり実戦に近い訓練をしているんですね。
委員御承知のように、全国四十七都道府県のうちで海のない県というのは八県あるんですよ。実は、そこでももう訓練はしているんです。なぜか。それは、もしかしたら陸上にまで及ぶ事案があるかもしれない、あるいは、場合によっては海のある県警に対して支援をしていくということも含めて、あらゆる状況をシミュレーションしながら実は対応させていただいております。これが現状であります。
○中丸委員 ありがとうございます。
その際に応じて非常に訓練されている隊員の皆さんだとは思いますが、隊員の皆様も日本国民であり、御家族もあれば、愛する方々もおられると思います。隊員の皆様の安全も含めて、さらなる御配慮をいただければと思います。
今、治安維持のお話もいただきましたけれども、きょうは防衛省よりお越しいただいていますが、以前、私は、イラクのバグダッドというところに二〇〇三年の十一月、十二月と行っておりました、ちょうどイラク戦争が終わってすぐ。その後、数カ月後に、サマワに自衛隊が初めて足を踏み入れるということがございました。そういった紛争地での弾が飛び交う現地の緊張感は、私自身、本当に肌で感じてきました。
そのときに、当時のバグダッドにありました日本大使館の奥書記官、当時書記官だったんですが、残念ながら殺害されるという事件がありまして、その前日に私は現地でお話をさせていただいていまして、翌日に殺害されるという非常にショッキングな現場に立ち会わせていただきました。
ヨルダンからバグダッドに入るときに一緒にいたNGOと戦場のジャーナリスト、彼ら三人は、私がちょうど帰国するときに拉致され、誘拐されました。
そういった中で、当時の自衛隊の皆さんは、サマワで長期間にわたり御活躍をされ、その御活躍には本当に心より敬意を表するものでございます。
その上で、政務官にお伺いいたします。
先ほどの質問のように、実際に島嶼部で武装した外国人が不法上陸、領土侵略事案が発生した場合、しかも、警察の能力をもって対応できない武装勢力、これらが占拠している場合、自衛隊法七十八条を根拠に自衛隊の治安出動というお話も先ほどいただきました。そういった場合に、島嶼部侵略における奪還訓練、日米共同でも行われているというニュースも見ています。
そういったときの情報の集約、治安出動を指示するまでの対応スキームについてのシミュレーション、そういった訓練を含めて、政務官からごらんになられて、現在の訓練の練度は非常に実効性の高いものであるという御認識でございましょうか。
○左藤大臣政務官 中丸先生、まずもって、当選おめでとうございます。
今の御質問でございますが、島嶼防衛に対する考え方だと思いますが、自衛隊は、平素から、毎日、P3C固定翼哨戒機等により、我が国の周辺海空域において情報収集や警戒監視をやっております。兆候を早期に察知することが重要でありますし、事前に兆候を得たときには、敵の部隊などによる攻撃を阻止するための作戦を行うことになります。また、仮に事前に兆候が得られずに島嶼が占領された場合は、これを奪還するための作戦を行うことになります。
防衛省・自衛隊としては、これらを効果的に行うために防衛力整備を着実に進めておりまして、国民の生命財産を、島嶼を含む我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くことにしています。
平成二十五年度の予算案において、御存じのとおり、P1の固定翼哨戒機、護衛艦等を取得するなど、平素から情報収集や警戒監視体制や事態発生時の敏速な対応に必要な体制を今整備しております。部隊が島嶼部に敏速に展開する、対応する能力を向上させるため、これは実動演習も含めますが、自衛隊統合訓練や米国国内における米国海兵隊との実動訓練等の訓練を実施しているところでございます。
○中丸委員 お答えありがとうございます。
訓練、本当に非常に大事なことであると思います。
そういった中で、実際に有事が起こった場合、訓練も、実戦の訓練も必要なんですが、やはりそういった離れた離島での有事となれば、シミュレーションとして、要は兵たんの部分、こういった補給も必要になると思います。
きょう、詳細な質問内容をちょっと挙げさせていただかなかったので、資料等がなければ構いませんが、いろいろ自衛隊の現場を回らせていただいて、やはり現場でよく出る声は、作戦遂行に当たって、特に離島の兵たんを支えるのに補給艦が足りないということは海上自衛隊の方からも何名の方からお伺いしておりますが、今後、補給艦の増設に対して考えられていることがもしあれば、お答えいただければと思います。
○黒江政府参考人 事実関係の関係でございますので、私の方からお答えを差し上げます。
ただいま先生御指摘になられました、離島を含みます遠隔地への移動ということにつきましては、御指摘のとおり、輸送能力といったものが重要であるということで、従来から、御指摘の海上自衛隊の補給艦あるいはその輸送艦といったものの整備を逐次進めてきておる、そういうところでございます。
他方、どうしても、離島地域のようなところで、もともとの配備されております部隊の数が少ないといったところにつきましては、大量の部隊を輸送しないといけないという必要も生じますので、自衛隊の能力で足らない部分というのもございます。
そういった場合につきまして、民間の輸送力も活用するといったことを含めます。あるいはヘリコプター等も使うといったようなことで、自衛隊全体の能力を活用する、あるいは民間能力を活用するといったことも含めて、計画を立て、その計画に従って現在訓練を行っておる、そういう状況でございます。
○中丸委員 さすが的確なお答えだと思います。輸送力向上に、特にスピード感を持ってそれを行うために、ぜひオスプレイの導入も考えていただければと個人的には思います。
そういう中で、一番の抑止力、これは本当に御所見で構いません、官房長官、一番の抑止力というのは何だとお思いでしょうか。
○菅国務大臣 自分の国は自分で守るという心構えのもとに、日米安全保障体制をしっかりと確立することだと思っています。
○中丸委員 同じ質問を、公安委員長、お願いいたします。
○古屋国務大臣 やはり自分たちの国の安全は自分たちで守る。そのために、警察は国民の安全、安心のために存在をいたしております。そういった気持ちを、やはり現場の警察官がしっかりそういう認識を持って、今も取り組んでもらっていますけれども、今後ともそういう気持ちを持ち続けて職務に精励をしていただくということが一番大切だというふうに思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
私は、今おっしゃっていただいたことはもちろん抑止力だと思います。しかし、一番の抑止力は、なめられず、手を出させない環境をつくること、これがわかりやすい抑止力の本質であるというふうに考えますし、それがわかりやすい、実効支配しているということを、国際社会も含め、訴えていくことであるというふうに思います。
そういった意味では、我が党の代表でもある石原慎太郎代表が東京都知事時代におっしゃられていましたけれども、尖閣諸島における実効支配、これをわかりやすくするには、現地の零細の漁民の皆様の避難港にもなる船だまり、それから航行に必要な灯台、これを日本維新の会はつくっていただきたいということを常に申し上げているところでございますが、改めて、官房長官、前向きに検討していただけないでしょうか。
○菅国務大臣 さまざまな状況を見ながら、戦略的に判断をしていきたいと思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
何度も同じことをきっとこれから申し上げてまいると思いますので、よろしくお願い申し上げます。
最後に、ちょっとまとめとして申し上げさせていただきます。
そういった、国内外を問わず、いろいろな有事が起こる場合、官房長官はスポークスマンでも当然あられると思います。そして、最高指揮権者は総理大臣でございます。現場の仕事をするのは、現場の指揮官であり、現場の隊員の皆様です。
先ほども申し上げましたが、現場の隊員の皆様にも御家族がおられます。守るべき方々がおられます。愛すべき方々がおられます。そして、その皆様も日本人であります。
そういった、現場で体を張り、命をかけている日本国民に対して、最後は政治家が責任を持つから、やるときはやれと言えるかどうかが、現場の人たちが本当に命がけでその職務に当たり、身を捨てる覚悟で仕事に邁進できるかどうかを決めると私は思います。要は、政治家がどれだけ本気で日本の国を守ると腹をくくれるかどうか、それが堂々と遠慮なく言えるかどうか、これが大切なことだと考えております。
国民の皆様の前で、いざ鎌倉というときに、強い強いメッセージを発信されることを官房長官を初め政府の皆様に強く期待をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
―――――――――――――
○平井委員長 この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として原子力規制委員会原子力規制庁次長森本英香君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○平井委員長 次に、荒井聰君。
○荒井委員 民主党の荒井聰でございます。
久しぶりにこの場から発言をさせていただきます。
きょうは、主に内閣のかなめである菅官房長官と議論をさせていただければなというふうに思います。
内閣のかなめは、何といっても官房長官です。官房長官がどのように総理を支えていくのか、そして、官邸全体をどのように指揮をとっていくのかということが内閣の性格を決めるものだというふうに思っているからでございます。
冒頭、国家公務員制度の改革についてだけ、ちょっとお話をさせていただきます。
公務員制度改革は、民主党政権下で何度も挑戦をいたしましたが、特に自民党さんの異論によって、この議論が中途半端になってしまっております。一方、公務員の給与というのは、人事院が第三者的な中立的な立場で公務員給与を決めるという仕組みでありますが、昨年行われた七・八%の削減というのは、そういうルールをとらずに、公務員の皆さんに、復興財源を引き出すからという形で、七・八%の削減を行ったものであります。
本来でありますと、公務員関係四法案が成立をしていて、そしてその過程の中で、公務員と使用者側とが議論をして、そして納得をしてもらって七・八%の削減をするというのが本来の筋道だったと思います。残念ながら、公務員法が成立をしていなかったがために、先行したというか、あるいはこういう異常な形をとったのではないかと思いますが、公務員関連四法案の現在の法案提出のスケジュール感についてどのようにお考えなのか、稲田さんかあるいは菅長官にお聞きしたいと思います。
○稲田国務大臣 国家公務員改革は、本当に行革の中でも最後の、人の部分で大変重要なものだと認識をいたしております。平成二十年に成立をいたしました基本法の一条の中に、公務員が、自分の能力を高めながら、国民の立場に立って、責任と誇りを持って職務に邁進する、その目的がこの改革の核であると考えております。
今委員御指摘のように、自民党政権下また民主党政権下においても、法案を提出しながら、それが廃案になった、そういう経緯がございます。今、なぜその立派な基本法の目的がありながら、全ての法案が廃案になったのか、検証、総括を行っているところでございます。
○荒井委員 いつ出すか、今、御回答がなかったんですけれども。
戦後の日本の公務員制度、あるいはそれを取り巻く労働関係法規というのは、マッカーサー占領下で行われたんですね。マッカーサーはかなり理想的な人だったらしくて、日本に民主的な労働組合あるいは労働法規をつくるべきだという考え方を持っていて、当時、カルピンスキーという、これはハーバード大学で日本学を研究した人なんですけれども、その人に命じてこの法案をつくったと言われています、日本の法規ですね。
そのカルピンスキーの最初の提案の中には、公務員にも労働三権を与えるべきだということが書かれていたと言われています。ところが、当時のマッカーサー総司令部の内部対立もあって、その部分を人事院に移管する、中立的な機関をつくって、そこで公務員の給与算定をするという形にしたというふうに言われていまして、カルピンスキーは、日本を離れるときに、そこのところが残念だったと言い残して去ったと言われています。
ぜひこれを早急にお願いしたいと思っております。
ところで、現政権の中では、デフレ脱却の大きな要因として、賃金政策に随分力を入れております。私は、民主党政権でもなぜできなかったのか、今反省をしているところですけれども、その方向性は間違いないというふうに思います。
ただ、公務員だけについては七・八%削減したり、あるいは地方公務員についても削減の意図があるのではないかと思われていたり、特に地方公務員の場合、地方に与える影響なり、あるいは地方の企業に対する賃金の階層というものに大きな影響を与えるところがあります。
菅大臣、そのあたり、方向性としてどういうふうにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○菅国務大臣 委員から御指摘がありましたけれども、国家公務員においては七・八%減と。千年に一度と言われる東日本の大震災、まさに国を挙げてその財源確保、国民の皆さんにも御負担をお願いしていますから、そういう中で、これは民主党政権下で私どもも賛成をして、成立をさせていただいたところであります。
さらに、地方公務員について、これは私どもの政権の中で要請をしているわけでありますけれども、まさに地方の元気、防災、減災、そうした地方の喫緊の課題にそうしたものを使っていただく、対処するために、当面の対応として国に準じた必要な措置を講じるように今お願いをいたしている。
地方において、やはり地方が元気がない、その中で地方をいかにして元気にするかということ、このことは私ども内閣にとっても極めて大事なところでありますので、公務員の皆さんの給料を減らすだけでなく、そうしたものを地域の活性化に処したい、そういう思いで今お願いをいたしているところであります。
○荒井委員 今の菅大臣の答弁に私は反対であります。
賃金政策の正道は最低賃金を引き上げることであり、そして、公務員を狙い撃ちするような賃金政策というのは私は後で禍根を残すものではないかと思いますので、それだけは指摘させていただきます。
それでは、民主党政権でもそうだったですけれども、現政権でも、最大の課題は被災地、特に福島の復興。福島の復興なくして私は日本の再生というのはあり得ないというふうに思います。
世界で、大きな原発事故が既に過去に二つあります。チェルノブイリの事故と、それからスリーマイルの事故ですけれども、いずれも、この大きな事故を契機にして、社会全体が変わっていくという契機になっております。チェルノブイリの事故などは、ソビエトという国が崩壊をしてロシアという国にならざるを得なかった。あれは私はならざるを得なかったというふうに思っております。
それに反して、日本は、これだけ大きな事故が起きたにもかかわらず、事故の風化といいますか、あるいは対応のおくれというものが私は顕著ではないだろうかと。世界から見ても、日本の対応というものに問題があるのではないかというふうに言われております。
社会科学者の中でエデルマンという人がいるんですけれども、そのエデルマンが、エデルマンのトラストバロメーターというのを毎年各国別につくっているんです。その中で、二〇一一年から一二年にかけて日本のトラストバロメーターが非常に下がっているんですけれども、例えば、政府に対するトラストの指標、信頼度というのが五一%が二五%に、あるいはエネルギーの分野、これは電力会社と言ってもいいかもしれません、七五%から二九%に、そして、公務員に至っては六三%から八%へ下がっているという、こういう現象があります。
私は、党派を超えて、信頼度を上げていくということは政治家の大きな役割であり、また、下がっていった一端が福島の原発事故にあったのだろうというふうに思います。
その中で、福島の被災者の人たちが一番関心を持っている、あるいはもう希求をしていると言っていいぐらいなのが、子ども・被災者支援法であります。森大臣もここにおられますけれども、森大臣も尽力をされたお一人であります。
この法案は、昨年の六月だったですか、でき上がった。恐らく解散をしていなければ民主党政権下で実施計画がつくれたと思っておりますけれども、残念ながら、その機会を失してしまいました。自民党政権下になって既に三カ月なんですけれども、依然として、この子ども・被災者支援法の実施計画、特に範囲をどうするのかということでもめているようでございまして、ここについて、今後どのようにするつもりなのか、ぜひそれを内閣全体としてお聞きしたいというふうに思います。菅大臣。
○森国務大臣 この子ども・被災者支援法、私が一昨年の八月に書いてから、六十回以上の議論を積み重ね、そのうち十二回は民主党さんとも協議をさせていただいて、若手の女性議員を中心につくってまいりましたが、最終段階で、それぞれの党の幹部の方にお出ましいただけないかなといったときに荒井議員が来てくださって、大変ありがたかったことを覚えております。
民主党政権下で、六月にできてから半年間、基本方針がなかなかつくれなかったんですが、安倍政権になりましても、基本方針を早くつくるべきという認識は共通しております。
しかし、それよりも早くやるべきことは、子供たちの救済です。基本方針の議論をしている間に子供たちの救済がおくれることは、本末転倒であります。
そこで、安倍政権のもとで、官邸で、全閣僚で構成する復興推進本部を置きまして、復興のスピードアップを図っておりますが、その場で、私、子育て支援担当大臣から、母子避難の支援を中心に、基本方針を待たずに、早急に救済策を講じるよう発言をしました。
それを受け、本日、復興庁より、福島県等からの母子避難者等の高速道路料金無料化を含めた十四項目にわたる支援パッケージを発表いたしました。これが、子ども・被災者支援法に書かれております各施策と一致するものでございます。
子ども・被災者支援法の基本方針も早急に進めながら、具体策を打ち出していきたいと思っております。
○荒井委員 内閣としてそういう組織をつくり、審議体のようなものですかね、それをつくり、いろいろな施策を集中させようということは、それはそれとしていいと思うんですけれども、しかし、せっかく法律があって、その法律では、そういうところまで踏み込まれるようになっているわけですね。法に基づいて実施するのと自主的にやるのとでは、やはり違います。あるいは、福島の人たちに与える安心感というものも大きく違ってくると思います。
今言ったようなことは、被災者支援法の中で実施計画で取り入れようと議論していたものでありますから、ぜひ早急に被災者支援法の中でそれを位置づけ、実施計画として取り上げてほしいというふうに思います。これは、官房長官が陣頭指揮をとるぐらいの、そういう話だと私は思ってございます。
その中で、一番問題になっているのが、範囲を決める際の、どのぐらいの放射能濃度であるのかということが議論になっています。
地元へ行きますと、政府は一ミリシーベルトを目指すと言ったではないか、いやいや、二十ミリシーベルトまで住めるんだ、いやいや、健康の被害を与えるのは百ミリシーベルトだと、百倍も違うわけですから、信頼感というのは、被災者の身になってみれば、一体どうなっているのかと言われるのは当然だというふうに思います。
二十ミリシーベルトというのは、原発で働く人たちの許容限度であり、百ミリシーベルトというのは、医学者が、放射能の健康被害が明らかに出てくるときの数量でありまして、それらをもって健康だ、健康じゃない、ここに住める、住めないというのは、私は乱暴だと思うんです。
どうしてこういうことになったのか、どこに原因があったのかというと、低線量放射能の影響調査というのは誰もやったことがないんです。その知見がないんですね。ほんの一部の人たちがやったことがあると言っておりますけれども、その知見はないんです。なぜないかというと、低線量被曝をずっと受けている地域なんというのは、たった一カ所だけを除いて、ないからなんですね。そのたった一カ所というのが、チェルノブイリの地域であります。
チェルノブイリの地域は、ウクライナという国とベラルーシという国があるんですけれども、昨年、ウクライナとベラルーシから、原子力の被害に遭った、被災に遭った影響などのデータを交換しようという交換公文が交わされました。私は、ベラルーシやウクライナが持っている知見を積極的に日本に導入する、あるいは地域の人たちに公開していくということが極めて有効であり、また大事だと思いますし、また、それしか方法はないのではないかというふうに思います。
そこで、ウクライナやあるいはベラルーシとの、科学技術的なものも含めた検討会というのを福島で何度も何度も行うべきだというふうに私は提言をしたいのですけれども、これについて、いかがでしょうか。どうですか、菅長官。
○森国務大臣 初めに申し上げておきますが、子ども・被災者支援法の基本方針というのは、それぞれの施策ごとに決めていくものでございます。
今御質問の何ミリシーベルトというのは、恐らく子ども・被災者支援法の後半部分の、被災者の避難の権利のところの基準だと思います。子供たちの部分は、例えば一ミリシーベルトというふうに決めてしまうと、一ミリシーベルトだと、いわき市の一部や会津は実はそれより低いので、除かれてしまいます。ただ、福島県の子供たちは全員甲状腺検査を受けるべきでありますし、母子避難の高速道路無料化なども、浜通り、中通り、今回入れましたけれども、そういう意味で、具体的施策ごとに基本方針が変わってくるということをまず前置きをさせていただいて、今御質問の部分は、恐らく被災者の居住の権利、避難の権利の、決めるところの基準だと思われます。
これも、やはり前例がないということで、前政権下でもさまざまな数字が変わったところで、福島県民も混乱をしているところでございますが、委員が御指摘のように、先例のあるベラルーシ等との意見交換会を行って、専門的な知見を集積していくということが大事だと思います。
○荒井委員 菅長官、いかがですか、今の話については。
○菅国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、昨年の五月と十二月に、二つの国と協定を締結しました。その知見を生かしていくということが私は極めて大事なことだというふうに思っておりますので、活用することを、私ども、真剣に検討していきたいと思います。
○荒井委員 先ほども言いましたけれども、低レベル放射能の被曝の調査というのはほとんどやったことがない。だから、誰も知らないというのが実態なんですよね。誰も知らないところでいろいろ言うものですから、ますます混乱をしていく、そういう状況にあると思います。それが結果的には政府に対する不信感につながっていっているということがあろうと思います。
ところで、放射能というのはなぜ不安になるのか。見えないからなんですね。放射能が見えないから、どこに放射能があるのかわからないということが大きな不安の要因になっております。
ところが、日本の技術は大したものですね。皆さんの今お手元に、こういうカラーコピーをお届けいたしました。
これは、ガンマカメラというカメラでして、真ん中に川のようなものがあって、川の右側の方だけちょっと黄色くなっているのが見えるかと思います。そこが放射能が強いよということをあらわしているカメラなんですね。
これは、去年の九月、実用化いたしました。福島県の小さなベンチャービジネスで、菊池製作所という製作所が、もともと福島原発の中の、原子炉近くの中の汚染状況を調べるために開発をしていたらしいんですけれども、それが実際の汚染、こういう普通の土地の汚染状況を見る技術として完成をいたしました。現在、この技術を使って、東芝や日立が機器をつくっております。
この技術に着目をして、除染を進めている環境省がたしか四台ぐらいレンタルをしたというふうに聞いておりますけれども、私は、もっともっと導入するべきだと思います。
福島の除染は、私も除染の現場へ行って見てまいりましたけれども、本当にあのやり方ではなかなか進まない。幾らたっても除染は非常に難しいだろうなという印象を得ました。
全面的にやるということは、私は必要ないんだと思うんですね。本当は、あっちこっちにホットスポットがあって、そのホットスポット、ここで言うと、この黄色いところだけですね、ここだけやればどんと下がるわけですので、そういうことをもっと取り入れるべきだというふうに思います。
このガンマカメラについて、官房長官、御存じですか。
○菅国務大臣 委員から質問があるということで、調べさせていただきました。
しかし、この写真のように、これだけ鮮明になるのを今見まして、本当にすばらしいなというように思いますし、また、地元福島のベンチャー企業ということでありますから、そうしたもの、この除染について、当然、できる限りこれは活用していくべきだなと、今、私自身は思っています。
○荒井委員 今、官房長官のそういう発言、環境省も、きょうはどなたか来られていると思いますので、ぜひ、積極的に取り入れて、地元の除染の進行に役立てていただきたいというふうに思います。環境省、何か答える。どうぞ。
○井上副大臣 お尋ねのガンマカメラについてでございますけれども、荒井委員も福島の方に御視察をいただいたと伺っております。また、積極的な御意見を感謝を申し上げたいと思っております。
私ども、除染を迅速に的確に推進していく、そういう意味で、さまざまな新技術の採用、こちらの方も積極的に行っております。
とりわけガンマカメラにつきましては、放射能の可視化、見える化ということで大変重要だと考えておりまして、既に七台環境省としては貸し出しを受けまして、リースを受けまして、そして、その環境省のガンマカメラを市町村の方に貸し出しをして、実際の市町村の除染の現場でも活用していただいているということであります。
より積極的に導入することができるかということについて、引き続き前向きに取り組んでいきたいと思います。
○荒井委員 ぜひそうしてください。
それでは次に、今後の原子力行政の話に移りたいと思います。
原子力行政は非常に複雑になっていまして、原子力規制委員会法によって原子力の安全規制などについての整理を随分したつもりでいますけれども、まだまだ原子力行政全般については非常に複雑多岐にわたっていて、また、これで本当に進められるのかどうかという思いを持つことがよくありました。
特に、二〇〇四年から二〇〇七年にかけて、IAEAでありますとかあるいはアメリカのNRCから、日本の原子力行政について、これは危ないのではないかとか、あるいは不十分ではないかという指摘を受けておりました。
二〇〇七年は、原子力保安院を経産省の中に置いておくのは、推進側に置いておくのは危険だという非常にダイレクトな指摘も受けたんですけれども、何もそのときに日本政府は動かなかったということがございます。私は、この原発事故の遠因をずっと探っていくと、この二〇〇七年のIAEAの勧告ということを日本政府が軽視をしたということは大変大きかったのではないかというふうに思ってございます。
その中で、そのときには彼らからの指摘の中には入っていなかったんですけれども、原子力行政を扱う上でやはり最大のネックになるのは使用済み核燃料をどうするのかということだというふうに、だんだん気がついてきました。
NRC、アメリカの原子力規制委員会は、今度、新しい規制委員長になりました。この規制委員長は地質学の専門家の人でありまして、その地質学の専門性から、原子力の使用済み核燃料の処理の方針が確立するまでは、アメリカの原子炉というのは、四十年以上の延長はしない、新規は認めない、今、民主党政権がつくりましたその大きな政策と全く同じことを昨年の八月に発表してございます。
したがって、原子力の使用済み核燃料の処理というものが、アメリカの原子力行政の中でも大変大きな課題、あるいは、一つのターゲットになっているということがわかろうかと思います。
ところで、日本の場合には、この使用済み核燃料の処理の役所といいますか官庁というものが、本当はどこがやっているんだねという感じを持っております。原子力委員会なのかなと、多分そうなんだろうと思うんですけれども、本当に原子力委員会にその知見があるのかどうか。確かに、原子力委員会の委員長は近藤さんという、大変、原子力の研究者の中では恐らく日本で最もすぐれた方なんだと思うんですけれども、そこに、責任を持って処理できるような、そういうシステムになっているのかどうかという危惧を持ってございます。
このあたり、官房長官、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 今、荒井委員がおっしゃいましたけれども、その使用済み核燃料の問題は大変大きな問題だというふうに捉えております。これは世界共通の課題でございますけれども、我が国は御存じのとおり世界でも高い核燃料サイクル技術を有しているということで、世界各国との連携を図りながら引き続き取り組んでいく必要があるというふうに考えております。
各原発においても、原発は私の担当でありませんが、使用済みの核燃料貯蔵余地の逼迫問題というのもありまして、冷却に係る安全性も考慮し、発電所敷地内外にかかわらず、ドライキャスク、こういったものを含めた使用済み核燃料の貯蔵容量の増強に係る取り組みの検討も必要だというふうに考えております。
それから、今、荒井委員のおっしゃった原子力委員会の役割の話でございますが、これは御存じのとおり、前政権でも原子力委員会を見直すという方向性を出されたわけですが、時代の流れによって、相当、原子力委員会の役割も変遷してきておりますし、特に福島の原発事故の後、原子力政策に対する国民の信頼が低下をして、賛否両論の議論もあるということで、これは原子力委員会全体の役割を私たちの政権としても見直すべきだということで、近く、ゼロベースで見直す、こういうことを始めたいというふうに考えております。
○荒井委員 この使用済み核燃料の話、民主党政権の原発政策をゼロベースで見直すとおっしゃっておりますので、それが十年も続くというのは、私は、実際やらないのと一緒だというふうに思います。十年たちますと、毎年一千トンずつの使用済み核燃料が発生するんです。今、日本のプールにある全部の容量というのは二万トンぐらいしかないんですね。空き容量は三千トンから四千トンぐらいです。そのぐらいの緊迫をしているんですね、使用済み核燃料問題というのは。
一方、核燃料サイクル、今、日本は高い技術を持っていると言っていますけれども、一向に成功はしていない。先ほど、スリーマイル島事故を教訓としてアメリカは大きく原子力政策を変えたと言いましたけれども、その最大の原子力政策の変換点がIAEA組織をつくったことなんです。つまり、プルトニウムの拡散をさせないという強い意思を持って世界のIAEA体制を、これはジミー・カーターがやったことですけれども。ジミー・カーターは原子力の専門家でした。原子力潜水艦の原子炉の設計技師でありまして、そういうこともあって原子力については物すごい深い知識を持っており、その一九八〇年代の段階で、この核燃料サイクルという技術はもう無理だという判定を彼は下し、核燃料サイクルを諦めて直接処分ということに方針を転換したのがカーター大統領なんですね。
私も、恐らく最終的には日本の核燃料サイクルもどこかで直接処分に切りかえないとだめだと、それは政治が決めない限り、今の、役人に決めさせているというのは、恐らくできないだろうというふうに思います。
そんな話は、またいつか時間があったときにぜひやりたいと思うんですけれども、そのほかに原子力政策の大きな一翼を担っているのが文科省なんですね。文科省は原賠法という法律を所管しております。それから、CSCという国際条約も所管をしております。
そして、原賠法の改正というのは、実は原子力政策の根幹なんですね。原子力政策の全てのところは原賠法にたどり着くんです。一昨年、原子力支援機構法という法律をつくったときに、附帯決議で、たしか一年をめどにだったかな、原賠法の改正をするということを決めたんですけれども、民主党政権では、残念ながら手をつけられませんでした。
私は、原賠法の改正というのは早急にやるべきだというふうに思います。と同時に、今の文科省では残念ながらできないのではないか、文科省の政務官がおられますけれども、原子力にそれほどの熱意を持っているのかねという気がいたします。
そして、もう一つ大きいのは、CSCという国際条約がございます。これは、アメリカが中心になって、アジアを対象とした原発事故が起きたときに、国際的な補償、賠償措置をしていこうということを取り決めている条約であります。日本はなかなか批准しなかったんです。担当省庁は文科省です。文科省はずっと、このCSCについてほとんど何もしなかったということがありました。
このCSCの条約がもしも成立をしていれば、先月だったでしょうか、トモダチ作戦で支援活動をしていただいたアメリカの軍人が、原子力空母のロナルド・レーガンに乗っていた人だそうですけれども、これは雑誌の記事ですけれども、八人が東京電力に対して被害の訴訟を起こした、その賠償総額が八十億円とも二百億円とも言われています。わずか八人ですね。アメリカは訴訟社会ですから、こういうことは当然起きるだろうというふうに思っておりました。ところが、これを扱う二国間の条約が現時点で存在していないということなんです。
CSCの条約は、もしもそういう事態が生じたならば事故発生国で裁判を行うというのが主たる条約の内容であります。つまり、条約が結ばれていれば、日本で訴訟、裁判が行われていて、ほかの被災者と共通のルールで、被災であるかどうかということも含めて、裁判が行われた可能性があるんですけれども、この条約が結ばれていないがためにアメリカで裁判が行われるという可能性が否定できないという状況に今なっています。
私は、このCSCも含めて、先ほどの賠償も含めて、ぜひ早急に原子力行政の全体の組み直しということをやるべきではないだろうかというふうに思います。これは行政組織なので、菅長官に答えていただきましょうかね。
○菅国務大臣 原子力委員会の組織の問題、そして今委員から指摘がされましたCSCの問題、特に、原発の損害賠償関連としては、パリ条約、ウィーン条約、そして今のCSC、この三つの系統が存在すると言われていますけれども、被害者の救済とか我が国の制度との整合性、そうした観点から考えて、CSCを最も有力な候補として私たちは検討を進めていきたい、こう思います。
○荒井委員 裁判になっても、CSC条約に加盟しているか加盟していないかというのは恐らく心情的にも影響を与えるだろうと思いますので、ぜひ積極的な推進をしていただきたいと思います。あわせて、賠償関係の業務が本当に文科省でいいのかどうか、それもぜひ検討するべきだというふうに思います。
最後に、きょうは、山本大臣、おめでとうございます。私は、若いころ、農水省におりました。山本大臣のお父様に仕えた思い出がございます。あるいは、WTOで日本が米を受け入れざるを得ないというときに、病気を押して、当時、自社さきがけ政権でしたけれども、そこの議論の場に乗り込んでこられて、鬼気迫る大演説をぶって、そこにいた加藤紘一先生とか、あるいは当時さきがけだった菅直人とか、そういう人たちがその気迫に押されてWTOの方向性を決めた思い出がございます。きょうは、その御子息が大臣に就任したということで、本当におめでとうございます。
ところで、きょうは、科学技術も担当しておられるということで、ぜひその点、お聞きしたいなと思っております。幾つか聞きたいんですけれども、もう時間がございませんので。
というのは、CO2が増加をするということが気候変動で温暖化をするのだ、したがって、原子力発電を推進しなければならないと。あるいは、CO2削減のためのさまざまな排出量取引権とか、まあ、排出量取引権なんというのは、何もないところでお金だけが動くというすごい構想、よくあんなものを考えたなというふうにも思うんですけれども、そういう議論が大勢を占めていたんです。
ところが、最近、宇宙科学の発展というのが、ものすごく大きな発展をし出しました。大きな望遠鏡を宇宙に打ち上げることによって、そこから観測できる宇宙の状態というのが非常に大きな発展を見てきて、その中で、太陽の活動についての非常に大きな進展があります。これは、日本の望遠鏡が主導的役割を果たしたようであります。
太陽活動と地球の気象、天気というのが非常に大きな関係があるのではないか、その関係からいくと、地球が全体としてむしろ冷えている方向にあるんじゃないか、冷却化の方向にあるんじゃないかと。現に、北極の氷は薄くなっているんだけれども、南極の氷は厚くなっているという調査結果もあるんですね。あるいは、日本も二千年ぐらい前の縄文海進という、縄文時代は非常に暖かかった、あのときには炭酸ガスが別にふえているわけではなかったという指摘もあったりして、私は、炭酸ガスがすべて悪いんだという説は、どうも何かしら意図的なものを感じるんです。
それで、気象問題についてもっと客観的な研究をしようとすると、どうも世界の潮流というかそういうものが炭酸ガス性悪説になっていますから、そういうものに批判的な研究をしようとするとブロックがかかるんだということさえ聞いたことがあるんですね。私は、科学の世界で批判精神を失ったら、もうそれは発展は望めなくなると思うんです。したがって、ぜひ科学技術を担当する大臣として、客観的にこのあたりをもっと検討を深めるべきだというふうに思ってございます。いかがでしょうか。
○山本国務大臣 今、荒井先生おっしゃったように、地球温暖化の原因が二酸化炭素を含む温暖化ガスの増加だ、こういういわばメーンストリームの考え方のほかにもいろいろな説があるというのは私も承知をしております。
今、委員がおっしゃった、太陽の活動が影響を及ぼしているんじゃないかとか、あるいはむしろ水蒸気が影響を及ぼしているんじゃないかとか、あるいは今はちっちゃな氷河期に向けての回復期だとか、あるいは紫外線、宇宙線、太陽風ですか、その太陽の磁場が影響しているんじゃないかとか、あるいはほかの説で言うと、むしろ石油とか石炭、この枯渇的なエネルギー使用による発熱が原因なんじゃないかとか、本当に諸説いろいろあって、日本でもそういう研究というのはあると思います。
先生に今そういう御示唆をいただきましたので、科学技術担当大臣として、ちょっとそういう見方についても研究をさせていただきたいと思いますし、そういう流れについてもしっかり注視をしていきたい、このように思います。
○荒井委員 終わります。ありがとうございました。
○平井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時五十九分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○平井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。津村啓介君。
○津村委員 民主党の津村啓介でございます。
本日は、天皇皇后両陛下の御公務の御負担軽減の問題、そして、中長期的な皇族の減少が懸念される中で、政府の対応について、菅官房長官、そして山本宮内庁次長にお出ましいただいております、御質問させていただきます。
まず、昨日、宮内庁にお願いをいたしまして、過去五年間の、天皇皇后両陛下そして宮家、皇族方の御活動、御公務の一覧表をいただきました。
数年前から、両陛下が御高齢になられたことに伴って、御公務の負担軽減については議論がされているわけですけれども、数字で見ますと、いわゆる宮中祭祀は、五年前は年間三十四回、その次の年は二十二回ということでしたけれども、昨年は十七回ということで減少してきておりますし、また、書類への御署名、御押印ということも、千七十四件から四年間で七百二十五件と、随分減ってまいっております。一方で、国賓や元首級の賓客の接遇については、年六、七回。
そうした中で、これは震災要因が大きいと思いますけれども、公的な地方行幸啓は、八府県から、二十三年で十二道県、二十四年で九府県。御進講については、五年前は三十回だったものが、震災の年には、震災を除いたもので五十四件、震災の関連でさらに三十三件と、大変大きくふえてございます。
この背景には、両陛下御自身が大変公務に御熱心といいますか、自分たちが健康でいらっしゃる限りは公務についてはしっかりやっていきたいという強いお気持ちをお持ちということを仄聞するところでございますけれども、一方で、昭和天皇のころに比べますと、全般に公務が二倍近くふえているという指摘もございます。
政府の方で、あるいは宮内庁の方で一定の整理をしていく必要もあろうかと思いますが、まず、宮内庁の現在のお取り組み、これからの御検討につきまして伺いたいと思います。
○山本政府参考人 お答えをいたします。
今委員御指摘のように、天皇皇后両陛下及び皇族方におかれましては、三・一一の震災後、積極的に、被災地あるいは避難者のお見舞いのため、各地を御訪問されておられます。その回数は、両陛下が御訪問十四回ということでございまして、皇室全体でも四十七回に上っておるところでございます。また、今委員御指摘のように、震災関係の御説明を受けるということで、これも三十九回ということになっておるところでございます。
このように、震災関連の御活動も含めまして、精力的に、天皇皇后両陛下、皇族方には御活動をいただいておるところでございます。
今は震災関係のことを申し上げましたけれども、そのほかにも、宮中祭祀、あるいは、宮殿や御所における、いろいろな内外の方とお会いになったり、あるいは都市近郊の行幸啓、こういったものに非常に精力的にお取り組みでございます。
このような御状況で、天皇皇后両陛下も御高齢におなりになっているところでございます。
この御活動のありようにつきまして、ちょっと基本のところを申し上げますと、昨年の天皇陛下のお誕生日の記者会見で、記者の方から、今後の御公務に関する皇族方との役割分担についてはどのようにお考えでしょうか、こういう質問が出たところでございますが、天皇陛下はこの質問に対しまして、負担の軽減は、公的行事の場合、公平の原則を踏まえてしなければならないもので、十分に考えてやらなくてはいけませんとされた上で、今のところ、しばらくはこのままでいきたいと考えております、このようにお述べになったところでございます。
私どもといたしましては、そのような陛下のお考えを尊重しながら、両陛下の御体調、御年齢を勘案して、できるだけ御無理がかからないように、具体的な行事の内容とか日程の組み方、あるいは侍医の同行、こういったような運用上のきめ細かい対応を心がけているところでございますし、また、これからなお一層、そのような心構えでお支えをしていかないといけないと考えているところでございます。
○津村委員 ありがとうございます。
菅長官、これはちょっと関連でお聞きさせていただきたいんですけれども、今、公平性の原則ということを陛下が気にされている、大変ありがたいことですし、ごもっともなことだと思うんですが、これは宮内庁の側からすると、いろいろな省庁から来たものについて、こっちはだめだ、こっちはいいよということはなかなか決められないんだと思うんです。
一方で、ここが内閣官房の出番で、一定の原則のもとで、まず、お願いされたものを断るというのはなかなかしにくいわけでしょうから、政府の方で一元的に、ある種のルールのもとで、公平性を確保しながら、少し絞っていくということは、政府の取り組みとしてもできると思うんですが、いかがですか。
○菅国務大臣 今、私、初めてこの資料を見させていただいて、陛下がまさに国民のために、また世界平和のために大変な御努力をされておられる、御労苦をおかけしているということを再認識したところであります。
そういう中で、今委員から指摘がございました。公平の原則ということを考えるならば、やはり一定の基準というものを私どもの中でつくっていかなきゃならないというふうに実は思っておりますし、また同時に、いろいろな、世の中も変わっておりますから、守るべきものをしっかり守りながら、やはり変えるべきことも、どのような形にするかということも、もう一度考えていくべきかなというふうに思っております。
○津村委員 先ほど次長の御答弁の中で、被災地の訪問に両陛下が既に十四回お出ましになって、一方、皇族方の皆さんを合わせますと四十七回というお話もありました。いろいろ資料をいただいているので、全て読み上げはしませんけれども、高円宮妃殿下も含めて多くの皇族の皆様が、両陛下あるいは皇太子殿下、秋篠宮殿下同様に、被災地の訪問だけではなく、地方行幸啓を含め、大変多くの御公務をこなしていらっしゃるわけです。
昨年、一昨年と有識者会議でも問題になりましたけれども、皇族の減少、これから御高齢になって、女性宮家をつくる、あるいは旧皇族の復帰ということをしなければ、数として減少していく懸念が示されているところですけれども、こうした問題意識について、私は、宮内庁と政府の問題意識というのは必ずしも共有されていないのではないかと心配する場面がございました。
といいますのは、二月の一日に風岡長官は安倍総理に面会をされていらっしゃいます。ここは、当日、たしか陛下の御病気の診断があって、その日の夜に会食をされるという中で、状況を御報告するためだったということを後に長官は記者会見で述べていらっしゃいますけれども、その一週間後の二月の八日には、BSフジで安倍総理が、女性宮家の問題は白紙に戻して議論していかなければいけないということを御発言になっております。
皆さん、御記憶にあると思いますが、一昨年の十月五日に、当時の羽毛田前長官が火急の案件ということで野田総理に面会をされて、皇族の御負担がこれからふえていく、皇族の数が減少していく中で皇族の皆様の御負担がふえていくことについて警鐘を鳴らしたわけですね。それを受けた野田政権が有識者会議を設置して、相当抑制的な議論だったと私は印象を持ちましたけれども、昨年の十月に、最終的な論点整理というものが出ました。
宮内庁長官が政府とコミュニケーションをとる中で政府が対応したということだと思いますが、もちろん、その中身についてはいろいろ御議論があると思いますし、以前から安倍総理は一定のお考えをお持ちです。旧宮家の復帰をベースに考えていくということをお述べになっているわけですが、政府として、宮内庁のこの問題意識というのをしっかりと受けとめているとすれば、今後どういう形で検討を続けていくのか、あるいは再検討するのか。
まず、この論点整理の今後の扱い、これはもう白紙なのか、それとも、これをベースに、さらに議論を上乗せしていくのか、有識者会議というものを改めて立ち上げるのか、その辺の政府の方針をお聞かせください。
○菅国務大臣 委員の、論点整理については、その後、意見募集の結果でも、さまざまな意見が出ていることも事実であるというふうに思います。そういう中で、私たちは慎重な対応が必要なのではないかなというふうに思います。
いずれにしろ、皇室制度に関する課題については、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みを考えながら、これから対応していく必要があるのではないかなというふうに思います。
○津村委員 十月の論点整理では、女性宮家の創設と国家公務員化という二つの案がベースになって答申されていますけれども、今も男系の話にお話が及びましたが、旧皇族の復帰について、今後、有識者会議等で検討していくお考えはありますか。
○菅国務大臣 いずれにしろ、今指摘されたことについても、一つの考え方だというふうに私どもは思っております。
○津村委員 これは、時間的な一定の制約がある問題だと思っております。
昨年一月の七日に、三笠宮寛仁親王家の彬子女王様はインタビューの中で、今三十二歳になられているんじゃないかと思いますが、お国の決定に任せるしかないが、決めるのであれば早く決めていただきたい、私自身落ちつかない状態です、お相手の方の将来にもかかわってくる問題ですという形でお述べになっておられます。
適齢期にあられる女性としては当然の御発言だと思いますが、法整備等も考えれば一定の年数がかかるわけで、これから、安倍内閣の任期が四年だとすれば、その間に当然検討されていくべき課題だと思いますが、任期中に検討に着手されるお考えはありますか。あるいは、結論を出されるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 今、確たることを申し上げることはできませんけれども、少なくとも、検討に着手しながら、方向性をやはり打ち出していく必要があるというふうに思っています。
○津村委員 安倍内閣で検討に着手するということですか。
○菅国務大臣 今までの議論の検証をしながら、私たちは、その結果も踏まえて、これから対応していきたいと思います。
○津村委員 検討のされ方についてですけれども、安倍総理は、十二月三十一日付の新聞で、有識者会議を改めて立ち上げる、白紙から検討するというふうにお述べになっております。
有識者会議という形で議論されるというのがベースになるんでしょうか。
○菅国務大臣 現在は、事務方に命じて、これまでの検討のさまざまな論点整理、そうした経緯を整理させているところであります。その上で、検証作業を本格的に進め、今後の対応を考えていきたいということであります。
○津村委員 この件につきまして、陛下も、二〇〇九年の即位二十周年の際に、これは記者からの問いに答える形ですけれども、記者の方から、皇族方の数が非常に少なくなり、皇位の安定的継承が難しくなる可能性があるという質問に対して、皇位の継承という点で、皇室の現状については質問のとおりとされた上で、皇位継承の制度にかかわることについては国会の議論に委ねるべきであると思いますが、将来の皇室のあり方については、皇太子とそれを支える秋篠宮の考えが尊重されることが重要と思いますと述べていらっしゃいます。
ここは宮内庁の役割も大変大きいんだと思いますけれども、今後の御検討の中で、両陛下、そして今、両陛下が触れられた皇太子殿下、秋篠宮殿下の御意向というものをどういう形で反映されていくのか、それとも反映をされないのか、お考えを聞きたいと思います。
○菅国務大臣 私たちは、基本的に、宮内庁を通じて皇室の方々のお気持ちを酌み取ることができるように努めてまいりたいというふうに思います。
○津村委員 羽毛田前長官は、二〇〇八年だと思いますが、陛下が御健康を害されたときに、その原因の一つは皇統の安定に関する心労であるということまで踏み込んだお話をされています。
先ほどからの御答弁、少しペースが遅いといいますか、私は、中身について申し上げているわけじゃないんです。女性宮家創設についても、あるいは旧皇族の復帰についても、それぞれ、さまざまな御意見が国民各層の中にあることは承知しておりますが、しかし、この問題が非常に避けては通れない、しかも、ある意味足の早いテーマであるということは、ほぼ共有されているのではないかと思っております。
今後の取り組みにつきまして、時間軸も含めて、もう一度答弁してください。
○菅国務大臣 私も、皇室の安定については問題を委員と同じように共有しているというふうに思っています。ですから、今までのこの論点整理、事務方に命じていますから、そうしたものを踏まえて、限られた時間でありますので、そこは御迷惑をおかけすることがないような形で対応していきたいと思います。
○津村委員 両陛下は、昨年、これは大変異例のことでもありますし、恐れ多いことですけれども、将来のお代がわりを想定して、御喪儀の簡略化ということを当時の羽毛田前長官を通じて問題意識として示されておられます。
昨年の四月にその話が出ました。もう間もなく一年がたとうとしておりますが、これは次長に伺いますけれども、今の検討状況、中身については余り詳細でなくて結構ですけれども、最終的な検討結果はいつごろ出る見通しでございますか。
○山本政府参考人 今御指摘の天皇皇后両陛下の御陵、御喪儀のあり方につきましては、両陛下のかねてからの御意向を体しまして、御合葬も視野に入れた御陵の規模や形式の簡素化、御火葬を導入した御喪儀のあり方などにつきまして、時代の変化とか国民生活への影響の軽減も勘案し、かつ御身位にふさわしい御陵及び御喪儀のあり方、こういったような観点も踏まえまして検討を始めることとしまして、昨年の四月二十六日に当時の宮内庁長官から、検討を始めるという旨の公表をしたところでございます。
現在、御陵の規模ですとかその形式、それから御火葬の導入、それから、御火葬とされた場合の殯宮とか葬場での儀式の組み立て方、あるいはそういった個々の儀式の場所とか内容をどうするのか、こういったようなテーマごとに宮内庁の庁内の関係部局で具体的な案を作成いたしまして、幹部もそれに入りまして、検討を今進めているところでございます。
検討に当たりましては、こういったような両陛下の御陵、御喪儀の内容というようなことでもございますし、また、経緯からいたしましても、事務的な判断だけで行うべき性格のものではございません。さまざまな面において、御意向もよく伺いながら進めることが必要であるということで、現在、鋭意検討中でございます。具体的な内容につきましては、現時点ではまだ申し上げる段階にはなっておりません。
検討結果の公表時期につきましては、具体に今、現時点で何月ごろと申し上げることは困難でございますけれども、昨年、目標として公表いたしましたおおむね一年程度という時期をしっかりと念頭に置いて、鋭意検討作業を進めてまいりたいと考えております。
○津村委員 このお代がわりに関連して、もう一点懸念される事態が、皇太子が不在になるということでございます。
現行の宮内庁法や関連法令では、こうした事態を想定していないわけでして、東宮職がなくなってしまうということ、それから、秋篠宮家の私的な支出については、これまでは皇族費ですけれども、皇太子につきましては内廷費から出ているわけですけれども、もしお代がわりということになれば、引き続き秋篠宮家の私的な支出は皇族費から支出をされるということになって、要は、皇太子に当たる、皇太弟という言葉も言葉としてはありますが、法律上は定められておりませんので、そういった役割をサポートする法的な体制が一切ないんですね。これは国家の危機管理と申しますか、何らかの措置を講じていかなければいけないと思いますけれども、これは官房長官、いかが御認識でございますか。
○菅国務大臣 委員御指摘のとおりに、皇太子が不在となる状況が生ずれば、東宮職を置く理由はなくなるわけであります。そういう中で、しかし、新たに皇位継承順位の第一位となられた皇族に対しては、その極めて重要な立場に応じて、その御公務をこなされるとともに、公私にわたりしっかりとお支えをしていく、そうした仕組みをつくっていくということは極めて大事なことだというふうに考えております。
○津村委員 法的手当てについて御検討される考えはありませんか。
○菅国務大臣 将来的に生じますこうしたケースについて、日ごろから対応していくことが大事だというふうに思っておりますので、今後、十分留意しながら対応していきたいと思います。
○津村委員 ぜひ御検討いただきたいと思います。
もう一点長官に伺いますが、先ほどから、陛下の御負担という話が出ているわけですけれども、四月二十八日の主権回復式典、サンフランシスコ条約から六十一年というものですけれども、こちらは自民党の衆議院選挙マニフェストに今回初めて載ったものであります。非常に政治的なものだと私は思いますが、この式典に両陛下が御出席されることについて、沖縄からは強い反発の声が上がっております。
私、たまたま、この閣議決定の翌日、沖縄に日本YEGの全国大会で、各党の青年委員長、青年局長さんと一緒に行っておったんですけれども、各紙大変厳しい論調で地元では報道されておりました。
沖縄と天皇家の関係においては、御案内かと思いますが、沖縄返還時の天皇メッセージと呼ばれているものの存在が、昭和天皇、そして今の両陛下も、大変ある意味で重く受けとめと言われておりまして、何度も沖縄に御訪問になっている。沖縄のことは、両陛下、大変お心を使われているところでございます。
こうした沖縄県民と天皇皇后両陛下との、ある意味心のきずなにかかわる部分に極めて政治的な要素で踏み込んでいく今回の式典への両陛下の御出席要請というのは、これはどういう経緯で、どなたの御判断で進められたものなのか、両陛下の御意向というのは確認されているのかどうか、伺いたいと思います。
○菅国務大臣 私たちは、この四月二十八日、日本が占領から脱して、まさに、サンフランシスコ講和条約によって日本に主権が回復し、国際社会に復帰をした極めて記念すべき年であるというふうに思っています。
その六十年の節目を記念し、我が国における国際社会の平和と繁栄への責任ある貢献の意義を確認するとともに、これまでの経験と教訓を生かして我が国の未来を切り開いていく、そういう意味において極めて大事ということの中で、私たちは挙行をすることを決めさせていただきました。政府として、こうした式典の趣旨に鑑みる中で、両陛下の御臨席をお願いしたところであります。
さらに、私たちが本式典を開催するに当たって、奄美、小笠原、沖縄が、戦争の一定期間、我が国の施政権の外に置かれたという苦難の歴史を忘れることはできない、苦難を耐え抜かれた先人の心情に思いをいたし、沖縄の方々の抱える基地負担の減少に取り組むとともに、奄美、小笠原、沖縄を含めた我が国の未来を開いていく決意を新たにすることが重要である、こうしたことも総理大臣がメッセージを発しているところであります。
経緯についてはこれ以上申し上げることはできませんけれども、こうした中で、私たちは、宮内庁を通じて陛下の御臨席をお願いしたということです。
○津村委員 私は、この件は非常にデリケートな、天皇皇后両陛下がこれまで大切にされてきたものを、選挙のマニフェストに掲げられ、そして、いわば政治利用のそしりを免れない、非常に問題だと思います。
議院内閣制ですので、政治と天皇家との距離のとり方というのは今後とも続くテーマだと思いますけれども、こうした事案について、私は、本来、天皇家の御意向を確認し、あるいは守るべき立場にいらっしゃる宮内庁山本次長の御意見、御所見をぜひ伺いたいと思います。
○山本政府参考人 天皇皇后両陛下の沖縄に対する、非常に気持ちを寄せる、これは委員御指摘のとおりでございますが、今回の件につきましては、三月十二日に閣議決定をされて、四月の二十八日に式典を挙行するということが決まったわけでございます。
決まるに当たりまして、内閣の方から、当然、私どもに対して御相談がございました。式典の趣旨につきましては、今官房長官が申し上げたとおりのことを我々もお伺いしたところでございます。
また、委員お話しになられました沖縄に対するこれまでの歴史とか、あるいはこれから未来を切り開いていく、こういう件につきましても、今官房長官が申された、そういった御趣旨をお伺いいたしたところでございます。
そういった御説明を受けまして、御要請を受けまして、事務的に検討した上、両陛下に御臨席をお願いするということを決めたものでございます。
それから一点だけ、沖縄メッセージということはちょっと、最初お触れになられましたけれども、この件についていろいろな報道が当時あったということは私ども承知をしておりますが、宮内庁としては、それに関する資料といったものを当時庁内でいろいろ調査をしたところ、そういった資料は見当たらない、ないということでございまして、これだけちょっとつけ加えさせていただきます。
○津村委員 ありがとうございます。
時間が参っておりますので、これで質問を終わりますが、長官、私は、これは党派性のあることを言っているつもりはありません。また、一定の立場から申し上げているつもりもありません。ぜひ、有識者会議を改めて立ち上げるなどして、この皇族の皆様が減少していくという問題、さらに政府として前に進めていただきたいと思います。最後に一言、お願いいたします。
○菅国務大臣 皇室の制度を継承していくことについては全く考えを共有しているというふうに私は思っていますので、そこは速やかに方向性を出していきたいというふうに思います。
そして、一点言わせていただくならば、この四月二十八日の主権回復の日というのは、私たちは政治利用という考え方で行っているわけではありません。私ども野党のときに、たしか菅総理だったと思いますけれども、この必要性について私どもから国会で質問させていただいて、それについて、それなりの前向きな答弁も実はいただいているということもあわせて申し上げたいと思います。
○津村委員 時間が参りましたので、終わります。
ありがとうございました。
○平井委員長 次に、後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 きょうはちょっと盛りだくさんの質問でございますので、四十分びっちりやりたいと思います。
まず、消費税の増税に当たって、中小の納入会社がその分まけてよというようなことを言われかねない中で、いろいろな対応をこれから図っていく必要があるというふうに考えております。
これまでも、価格カルテルを容認すべきではないかですとか、転嫁拒否した企業に対しては公取が公表するですとか、いろいろなことが考えられているそうでございますが、二つほど、もう既に一部報道されているものもございますが、まず一つは、消費税の、今総額で表示をされておられますけれども、これを、本体価格のみを表示することをある一定期間認めることによって、消費税分が別になることによって、そういった不当な幅寄せを納入会社が食らわないようにできると思うんですが、この総額表示義務を時限的に外すべきではないかということ、これは小渕財務副大臣にお聞きしたいと思います。
それと、もう一つは、三%から五%に上がったときに、いわゆる消費税還元セールと称して、日本じゅうで二%下げるようなことをやりました。ただ、これをスーパーなんかがやってしまうと、それは結局、納入している方に幅寄せが来て苦労することになります。この消費税還元セール的なものを法律できちんと禁止すべきではないかということ、これは消費者庁担当の亀岡政務官にそれぞれお聞きしたいと思います。
これは、ともに法律にきちんとこの国会で盛り込んだ上、提出すべきではないかと思いますが、それぞれいかがでしょうか。
○小渕副大臣 お答えいたします。
委員が御指摘になりました総額表示の義務づけにつきましては、与党における御議論の中で、事業者の方々にもさまざまな御意見をいただいてまいりました。
そのことを踏まえまして、消費税の円滑な転嫁の確保や事業者による値札の張りかえなどの事務負担への配慮の観点から、表示価格が税込み価格であるという誤認をされないための措置を講じている、これを条件に、消費税率の引き上げ前後の期間に限り弾力化するとともに、消費者にも配慮するという観点から、事業者はできるだけ速やかに税込み価格を表示するよう努める旨の規定を設けるべきとの考えが示されているものと承知をしています。
政府としては、こうした御議論というものを十分に踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
○亀岡大臣政務官 後藤委員の質問に答えたいと思います。
消費税還元セールなど消費税の転嫁を阻害する表示については、与党における議論において、大型店等による納入業者に対する買いたたきを防止する観点から、それから、周辺商店街の転嫁の妨げとならないようにする観点、さらに、消費者に消費税負担がないかのような誤認を与えないようにする観点からの検討が行われ、このような表示を禁止する考えが示されているものと承知しております。
現在、その具体化に向けて、政府において検討しているところでありますが、消費者庁としても、消費税還元セールなどの消費税の転嫁を阻害する表示について厳正に対処してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○後藤(祐)委員 ぜひ、その方向で法案をしっかりつくっていただきたいというふうに思います。
お二人は、この質問だけでございますので、これで結構でございます。ありがとうございました。
続きまして、風俗営業法の関係、古屋国家公安委員長にお越しいただいておりますけれども、今、ダンスが風俗営業の対象になっているということで、十一月から関係の方々が大変お困りになられております。
これは、いわゆるダンスと飲食を伴うような、二条三号のナイトクラブ的なものの話と、あとは、いわゆる社交ダンスみたいなものを飲食などを伴わないような形でダンスホールなんかで行う、社交ダンスの四号にかかわる話。それぞれ論点はちょっと違うと思うんですけれども、風俗営業法本体からダンスという言葉を除くべきか否かというのは、これは大きな議論があると思いますけれども、少なくとも今の四号の方、いわゆる社交ダンスをダンスホールなんかでやる場合、これを風俗営業の定義にしているというのは、ほとんどもはや時代錯誤になっているのではないか。
もともと、この風俗営業法というのは、昭和二十三年に、売春ですとか賭博ですとか、こういったことを引き起こさないようにという観点でできた法律でございまして、そこから時代を経て、社交ダンスが少なくともそういうことにつながるということはおよそ考えにくいということからすれば、これは政令で規定している四号の部分を削除すべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○古屋国務大臣 後藤委員にお答えいたします。
確かに、風俗営業法ができて大分時間がたっていますけれども、警察も、時代の移り変わりとともに確実なリバイズはしているんですよ。
ただ、確かに、おっしゃるように、ダンスホール、四号規定を全部廃止してしまった場合、世の中、健全な事業者ばかりならそれでいいと思うんですけれども、いわば人間性善説に立てば、それで問題ないと思うんですけれども、やはりこういう社会的規制ですから、緩和をすると、そこに目をつけるやからもいるというか、そういうことはちょっと否定できないと思うんですよね。
だから、昨年、もう委員も御承知のように、ダンスホールについては、いわゆる指定の講習を受ければそれでいいですよということで、若干政令も改正しているんですね。そこは、例えば、全日本ダンス協会連合会、全ダ連と言うそうですけれども、全ダ連だとか、日本ボールルームダンス連盟、JBDF、こういう公益法人とか特例財団法人に指定講習を受ければいいですよということをしているんですけれども、今後、そのほかにも、例えば、日本ダンス議会とか日本ダンススポーツ連盟だとか、日本プロフェッショナルダンス競技連盟、こういうところがあるそうですね。やはりこういったところも申請が上がってくれば、しっかり私どももそこを指定して、できるだけそういう形での緩和をしていく。しかし、一方では、やはり全てなしにすると、いろいろなふぐあいが生じる可能性、危険性はあるんですね。
例えば、未成年の女子高生とかそういった方をあえて入場させて、何となく出会い系のダンスホールにしたりとか、こういうのが、では本当に可能性がないかというと、必ずしもノーとは言い切れないんですね。やはりそういう危険性がある。それから、今、暴力団対策を徹底していますけれども、場合によっては暴力団が入ってくる可能性だって否定できないんですよね。
ですから、一つ一つそういうものを情勢を見ながら徐々に緩和をしていくという方向に、やはり警察としてはせざるを得ないんですね。これはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。
○後藤(祐)委員 キャバレーとかナイトクラブ、一号とか三号の議論は、その議論があり得ると思うんですね。そこについての営業時間をどういう形で考えるかというのはあると思うんですけれども、四号の社交ダンスというのは、もう皆さんもお会いしたことがあると思いますけれども、およそそういうことが起き得る環境ではないと思いますので、ぜひそこは、これは役所の方では判断できないと思うんです。やはり政治家が、実際そういう社交ダンスの、皆さんうなずいておられますよね、与党の方も含めて。お会いすることがあると思うんですね。そこは政治家の常識、国民生活の常識を見て、ぜひ英断を下していただきたいと思います。
古屋委員長の歴史に残ると思いますので、ぜひ英断をいただきたい。政令改正で済みますので、よろしくお願いいたします。
古屋委員長は結構でございます。どうもありがとうございました。
以降は、行政改革について進めてまいりたいと思いますけれども、行政改革は、もうこれは党派を超えて長年の営みでございまして、我々も自民党政権、自公政権のころの積み重ねを踏まえて進めてきたつもりでありますし、政権がかわりましたので、民主党政権時代に少しずつ進んできたことを、ぜひさらに前に進めていっていただきたいという思いから、きょうは幾つかの各論を聞いていきたいと思います。
まず、独立行政法人ですけれども、独立行政法人については、行政改革推進会議で三つ重要なテーマを設定されておられます。無駄撲滅、独法改革、特会改革と。そのうちの一つということで、稲田大臣にとっても大変重要なテーマだというふうに思っておりますが、独法については、民主党政権のときに独法通則法改正案という大きな法案を出しておりまして、この中で三つの独法を廃止するですとか、あとは監事や会計監査人に調査権限を付与するですとか、あるいは役職員の再就職のあっせんの規制を導入するですとか、総論としてもかなり前に進みましたし、各論としても、数を百二から六十四と大幅に減らす法案を閣議決定までして法案を出したわけですけれども、残念ながらこれを凍結、法案については自然に廃案になってしまっているという状態にあります。
ぜひ、稲田大臣、前の我々の政権のときのものを、そのものでやれとは申しません、政権がかわったんですから。ですが、これを超える内容を出してください。もし超える内容が出せないんだったら、今までのものをそのまま出してください。もうこれは、物すごい大変な各省協議をやって、こんな分厚い条文をつくって、これのために二年間ぐらい、本当に缶詰になって徹夜する職員がいっぱいいたんですよ。
後で公務員制度の話なんかもしますけれども、公務員のやる気とかモラルだとかいうことを考えるときに、今一番モラルをそいでいるのは、一生懸命長い時間をかけてやってきたものが、ぱたっと法案が倒れて、何だったんだろう、あの仕事はということになって、物すごいモラルダウンになっているんです。
ぜひここは、今までの積み重ね、特に各論のところは、もうあれで大体決まっているわけですから。例えば、平和祈念事業特別基金だとか日本万国博覧会記念機構は、もう廃止と決まっているんですよ。もう一つ、国立大学財務・経営センターですか、廃止がもう決まっていたものもあるんです。ところが、これを凍結することによって、この廃止すら流れちゃってということになっているんです、皆さん。
稲田大臣、独法改革は、三つの大きな行政改革の弾だということでございますので、民主党政権のときの到達点を超える、より進んだ改革案をこの国会中に出してきていただけるという理解でよろしいでしょうか。
○稲田国務大臣 今委員が御指摘になったように、私も、行革というのは、全く党派を超えて、やはりこの国の形そのものですから、自民党だとか民主党だとか関係なく、本当に全党派で取り組まなきゃいけない重大な課題だと思っております。
そして、自民党政権下でも、平成十八年に行革推進法を成立させて、そして十九年には独立行政法人整理合理化計画、組織見直し方針というのをつくりました。これは、政権が交代をして、民主党政権になって凍結をされました。そしてまた、先ほど委員御指摘のように、民主党政権の中でも御議論、検討されて、昨年、平成二十四年に、また組織の見直しの方針と、それから法案も提出をされたわけであります。自民党政権下で提出をいたしました独法通則法の改正案も、政権交代をして、廃案になり、そして、民主党政権下で出された法案は、また政権交代になって、廃案になったわけでございます。
今委員が御指摘になったように、私も、平成二十年の我が党が出した法案と、そして民主党政権下で出された法案を比べて、根本的に方向性が違っているものもあれば、進化されているものもあります。いいものは引き継いで、そして、それを超えるとおっしゃいましたけれども、自民党なりの、我が党なりの独法の改正法案というのは、できるだけ早急にまとめて、法案として提出をしたいと思っております。
○後藤(祐)委員 もう議論は尽くされているので、中身は変わってもいいんです。その前の自民党案をブレンドするようなものでもいいです。ですが、時間をかけないでください。そこで時間をかけると、またどんどんどんどん経過していって、結局、改革がとまったままになっちゃうんです。今、法案を出すということは答弁されましたので、ぜひ、この通常国会で法案を出していただけるようお願いしたいと思います。
それと、次は公益法人改革ですが、残念ながら、稲田大臣の所信表明の中では、公益法人については、新公益法人制度への移行については触れておられましたけれども、いわゆる天下りの問題なども含めた公益法人改革については全く触れておられませんでしたし、行政改革推進会議の中でも、重大テーマとしては扱われておりません。
ところが、これについては、今、配付資料の大きいものの一枚目ですけれども、前の中塚大臣のときに、行革実行法という、これは議員立法で私も提出者として出させていただいて、法律は通らなかったんですけれども、それを先取りする形で、中塚大臣がこういったものをまとめておられます。
大まかに言うと、レッド、イエロー、グリーン。1というのは、もうこれは赤信号だよねと。行政に物すごく依存しているような公益法人については、役員は全部ポストを公募にしなきゃいけないですとか、内部留保はこれだけしか持っちゃいけないとか、物すごく厳しい規制をかけて、真ん中の一定以上行政からお金をもらっているようなところについては、三代以上連続でやっている場合は厳しくやるよとか、二段階目の規制をして、三つ目の、そういった行政への依存度が低いような公益法人については、比較的緩い、報酬の公開ぐらいにとどめましょうという考え方なんですね。
これはもう、このとおりやれとは言いません。ですが、もうここまで詰めてきているんです。事務方とはこれはもう握っていますから、稲田大臣がこれでいくと言ったら、すぐこれはできるんです。違うやり方でもいいんですけれども、また時間をかけることをしないでほしいんです。
公益法人改革について、この通常国会で法案を出す考えはありますか。
○稲田国務大臣 先ほど、独立行政法人改革のときも早く法案を出せということだったんですが、もちろん早急には取り組んでいきますし、独立行政法人改革については、我が党が、政権公約では、独立行政法人は維持して改革する、そして御党は、全部廃止して次の違う法人をつくるというところで、方向性は違ったかと思います。
委員がおっしゃるように、議論は出尽くしていると思います。ただ、今、改革の集大成ということで取り組んでおりますので、拙速にならないように早急に法案を提出してまいりたいと思います。
その上で、公益法人改革についても、所信で言わなかったから取り組まない、そういうことはございません。そして、公益法人改革については、行政と公益法人との関係について、行政からの支出や国家公務員OBの再就職等に関して、効率性や透明性の向上に継続的に取り組んでいくことが重要だと考えております。
このため、公益法人に対する国や独法からの支出の定期的な見直しと公表、そして、一定の要件に該当する法人について、新公益法人制度への移行時に、各府省に対し支出の必要性や競争性の確保等の検証の要請、また、法人に対し役員選任の透明化措置の要請などの措置を引き続き実施することにいたしております。
先ほど委員が御指摘になったのは、委員も含む議員立法で提出された行政改革の総合的かつ集中的な実行に関する法律案のことだと思います。これは一度も審議されることなく廃案になりました。また、先ほど公益法人について御指摘のは二十六条のことだと思いますし、それに基づいて今御指摘の配付資料も提出されているものと思います。
したがいまして、この配付資料自体は、この法案の二十六条に基づく資料でありますので、この法案自体が廃案になった以上、これをそのままやるとかいうことではないというふうに思います。
また、民主党政権下でも、私、委員の委員会における議事録も全て読ませていただいておりますが、それが政府の方針として閣議決定するところまではいかなかったと思っております。
思いは同じでございますので、引き続き公益法人改革についても取り組んでいきます。ただ、公益法人というのは民間法人ですから、その自律性、自主性というものも阻害しないようにという観点も必要ではないかと思っております。
○後藤(祐)委員 思いが同じということであれば、中身が多少違ってもいいので、いつまでに改革案を出すか、答えてください。
○稲田国務大臣 私は、いつまでにということが重要ではないと思うんですね。もちろん早急には取り組んでまいりますけれども、これを六月とか七月とかいうことが重要ではなくて、やはりその中身だと思いますので、早急に取り組んでまいりたいと思います。
○後藤(祐)委員 もう論点は尽きているんですよ。先ほど説明した内容も、ほとんどこの大きな紙の中に大体含まれてしまうような内容ですから。そこは、時間をかけていると、結局また大臣がかわっちゃってということをずっと繰り返してきているんですから、ぜひよろしくお願いいたします。
さて、次。
またこれは行政改革一般論ですが、稲田大臣は弁護士をされておられましたから法律のことは詳しいと思いますが、法律と行政の関係について、一般論としてちょっとお聞きしたいと思います。
いわゆる行政は法律に基づいて行わなくてはなりません。法律による行政の考え方というのは行政法の教科書の一番最初に出てくるわけですけれども、法律による行政とはどういうことか、お答えください。
○稲田国務大臣 行政を行うに当たっては法律の根拠が必要だということだと思います。
○後藤(祐)委員 法律に違反して行政は行うことはできないという理解はお持ちでしょうか。
○稲田国務大臣 法治国家ですから、当然のことだと思います。
○後藤(祐)委員 国家公務員制度改革については、基本法で、平成二十年の六月に国家公務員制度改革基本法が施行されていますが、同法四条においては、政府は、責任者は政府なんです、政府は、この法律の施行後五年以内をめどとして講ずるもの、要は、公務員制度改革に必要な措置を講ずるものとする、この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後三年以内をめどとして講ずるものとすると。もうこれは過ぎています。この五年というのが、ことしの六月に期限が来ます。
この法律を受けて、麻生政権のときは甘利大臣が法律を出されました。我が政権になってからは二回法律を出しました。一回目は内閣人事局なんかを中心としたもの。そのときに、自民党とみんなの党の共同提案で案も出されました。その後、労働協約締結権を含む法案を我々は出しました。いずれも廃案になっています。四つの案がもう出ていて、もうこれはどの組み合わせでやるか、論点は尽くされているんです。そして、今既に法律違反の状態になっているんです。
どの法律にしろとは申し上げません。我々としては、当然、労働協約締結権を含んだ法案を出してほしいと思いますが、今、既にこの国家公務員制度改革基本法四条違反の状態になっている中で、政府として、立法府に法案を提出している状態でなかなか法律が通らないというのはわかりますよ。今、何らの法案も提出されておられません。法律違反の状態になっているということをどう考えますか。
○稲田国務大臣 私は、法律違反の状態になっているとは考えておりません。むしろ、今委員が御指摘になったように、過去出されたものを何でもいいから出せというのは、この国家公務員基本法の基本的な立法趣旨に全く反していて、今おっしゃることの方が、私は違法だと思います。
○後藤(祐)委員 国家公務員法四条には、「この法律の施行後三年以内を目途として講ずる」と書いてあるんですよ、法制上の措置を。これに違反していないということですか。もう一回聞きます。
○稲田国務大臣 一年以内をめどに人事局も設置すると十一条には書いてありますね。そして、それもできていません、民主党政権下でも。そして、今、三年をめどにということも、それぞれ法案は出したけれども廃案になってしまったんです。五年をめどにと。
全てめどと書いてあるのはどういう趣旨かというと、何でもいいからその期間内にやることが違法でないという意味ではなくて、そのめどにやる、そういう期間は区切っているけれども、ではなぜ一年以内に十一条の人事局ができなかったのか。三年をめどに、自民党政権下でも民主党政権下でもそれぞれ法律を出したけれども、成立はしなかった。それはなぜなのか。これは私は検証する必要はあると思いますし、その意味で、改革の集大成、検証した上できちんとしたものを出すことが、私はこの法の趣旨に合致していると思います。
○後藤(祐)委員 この義務は政府なんです。政府は、立法府に法案を出すところまでの責任を果たさなきゃいけないんです。今おっしゃったことは、立法府に出た後、与野党で意見が合わなくて成立しなかったから、なかなか法律ができなかったんですよ。それはわかるんです。ですが、政府が法律を立法府に出さない状態で国家公務員基本法四条を満たしていないことが法律違反でないというのは、立法府に対して冒涜だと思いますよ。
今の法律違反でないという答弁は大変重い答弁だとして、立法府の皆さん、よく頭に刻んでおいていただきたいと思います。
もうこれは論点が尽くされているんです。どういうパターンでいくか、これとこれを入れるか、これは抜くかというパターンもさんざん尽くされているので、そんなに時間はかかりません。
ですから、私の知る限りでは、二〇〇〇年に自民党が中心になって行政改革大綱をまとめられて、私はそのとき、実は自民党で裏でその文書を書いていたんですけれども、それから十個ぐらい検討会というものが設けられて、七回ぐらい答申的なものが出ているんです。もういいかげん終わりにしましょう。
この通常国会で法律を出さなかったら、法律違反として不作為責任が問われる。憲法六十六条、内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負っているんですよ。この連帯責任を満たしていないというふうに申し上げたいと思います。答弁は結構です。
さて、そのときに、労働協約締結権を入れる法案にするかどうかが大変重要な論点になるんですが、自民党の政権公約、J―ファイルによると、「五年間の「集中財政再建期間」において、」「公務員総人件費を国・地方合わせて年間二兆円削減」と書いてあります。そのための法律案を出すということが書いてあります。一方で、人事院勧告の尊重と書いてあります。
労働協約締結権を回復しないで一方的に給与を下げるということが、憲法上可能だと考えますか。
○稲田国務大臣 立法府に対する冒涜ということは、ちょっと私は撤回していただきたいなと思います。
そして、国家公務員基本法の四条に基づいて、三年以内に法案自体は提出をしているわけです、自民党下でも、そして民主党下でも。ですから、法律違反ということにはなっていない。むしろ、何でもいいから、どの法案でもいいから、この六月までに提出しろということの方が、私は、この基本法の一条の精神に違反をして、立法府に対する冒涜になるのではないかというふうに思っております。
その上で、今のお尋ねですけれども、協約締結権というか労働基本権というのは憲法が保障した権利です。そして、それが制約をされていることの代償措置として人事院の制度があると私は思っております。ですから、今おっしゃった、人事院勧告に異なる引き下げをするには、今回も七・八%をやっておりますけれども、それなりの理由と、そして、最高裁が示しているところの要件が必要だと思っております。
ただ、労働協約締結権を与えれば人件費を幾らでも下げられるというのは、全くそれは違うのではないかと思っております。
○後藤(祐)委員 上がるか下がるか据え置くかわからないんですよ。
予算委員会でも言いましたが、二〇一四年四月一日に消費税が五から八%に上がるときに国家公務員の給与が七・八%上がるんです、このままいくと。それをたとえ据え置きにするためにも、組合と合意しなきゃできないんですよ。そのためには労働協約締結権を回復しないと、彼らは絶対交渉に乗りませんから。そのためには、この通常国会で労働協約締結権を付与する法案を通した方が、自民党政権にとっても恐らく望ましいことだと思いますよ。その結果、据え置きになるのかどういう形になるのかは時の交渉によるんです。ですが、人事院勧告を超えて引き下げる以上は、絶対に労働組合と合意しないとできないんです。そのことは、憲法の要請ですから、ここにおられる皆さんも頭の中でよく整理をしていただきたいというふうに思います。
さて、天下りについていきますが、この前の予算委員会で、要は、あっせん禁止の、民主党政権時代の鳩山総理発言を引き継ぐかという質問に対して、引き継がないという答弁をされました。その趣旨が必ずしも明確でなかったのではっきりさせたいと思います。
いわゆる府省庁による再就職のあっせんは、これは法律でもともと禁止されています。今も禁止されています。ですが、大臣を含めた政務三役によるあっせんによる再就職、これは、少なくとも府省庁によるあっせんには含まれないことに我々のときはなっていた。今なっているのかどうかと、そして、この府省庁によるあっせんではなくて、政務三役によるあっせんによる再就職をこの自公政権において行い得る状態に今あるのか、そして、これから先、行う可能性があるのかについてお聞きします。
○稲田国務大臣 先ほどの労働協約締結権のことですけれども、先ほど言いっ放しで終わられましたから一言言わせていただきますが、来年の四月においてこれがどうなるかということ、七・八%の問題は、そのときの経済状況やいろいろなことにかかわってくると思います。しかし、今委員御指摘の七・八%を据え置きにするために協約締結権を付与するというのは、やはり本末転倒で、協約締結権を与えたときの費用と便益というものをきちんと検証しなきゃいけないと私は思います。
その上で、前回、予算委員会での、私が鳩山元総理の発言自体を引き継ぐということはないという答弁は、委員の質問が、有効か無効かという質問だったので、前政権の総理の発言自体を引き継ぐということはないですというのは、それは一般論として申し上げました。しかしその後、私が具体的に述べたように、官民人材交流センターによる再就職のあっせんを直ちに再開することを考えているわけではございません。
そして、今の質問ですが、政務三役によるあっせんについては国家公務員法上の規制はありませんが、引き続き、政務三役によるあっせんを行うことは考えておりません。
○後藤(祐)委員 政務三役によるあっせんによる再就職はしないというのは、政権全体の方針ということだと受けとめさせていただきます。それでよろしいかと思いますが、今の答弁で初めてそのことが確認されたんです。何でその形式行為を行わないんですか。
これは官房長官にお聞きしますが、政務三役によるあっせんによる再就職をしないということは大変重大な事実なんです、これは法律上曖昧ですから。これは自公政権でしないということを形式行為としてきちっと決めるつもりはありませんか。
○稲田国務大臣 今答弁をいたしたように、閣議決定をしているわけではありませんけれども、総理とも認識は共有していると考えております。
○後藤(祐)委員 この答弁で初めて出てきたんですよ、聞くまではわからなかったんですよ。もうちょっと言うと、二月二十八日に事務方に、私は、それは有効なんですか、今どうなっているんですかと聞いたら、わからないという状態だったんですよ。そんなことでいいんですか、こんな大事なことが。
閣議決定しろとまでは言いませんよ、本当はその方がいいけれども。せめて総理大臣が発言したということを形式行為としてきちっと残して、稲田大臣の答弁をほかの大臣なんて知らないじゃないですか。今知っていますか、ほかの大臣。これは大事なことですからきちんと閣議の場でやってください、官房長官。しかも、もう政務三役のあっせんはやらないと決めたんだったら、堂々ときちんとそういう形にしたらいいじゃないですか。それはお願いとして申し上げておきたいと思います。
次に、官民人材交流センターによるあっせんによる再就職は、先ほどちょっと触れておられましたけれども、これについては、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合を除き、民主党政権では行っておりませんでした。これと同じ方針で臨むということでよろしいですか。
官民人材交流センターによるあっせんによる再就職を一切やらないのか、あるいは、やるとすればどういう場合か、お答えください。
○稲田国務大臣 官民人材交流センターによる再就職のあっせんは民主党政権下で行っていないという、その方針と同じ方針で臨んでまいります。
○後藤(祐)委員 もうちょっと正確に答弁してほしいんですが、さっきの、組織の改廃等により離職せざるを得ない場合というのは実際にあったんですよ。年金機構が、民間で外に出たときに、一回これはやっているんです。その場合を除きということですね。そうじゃなくて全面ですか。そのぐらい正確に答えてください。
○稲田国務大臣 御指摘のとおりでございます。
○後藤(祐)委員 もう一つあります。
二十五年度から、民間の再就職支援会社を活用した再就職支援を行うということになっています。二十五年度予算にも入っています。これは、民主党政権でもやろうということになっていました。実際、これでかなり年の上の方を抱えなきゃいけなくなるので、いわゆる民間企業における早期退職を促すような形で、再就職支援会社にお願いして再就職先を探してもらうということを国でもやろうということで、私は、この方針に賛成ですし、問題のない再就職はどんどんやるべきだと思いますが、では、どんな会社だったら行っていいのかというところをきちっと基準をつくっておかないと、結局、天下りの裏ルートになってしまう。
さて、今申し上げた民間の再就職支援会社を活用した再就職支援を行う際の基準、つまり、再就職者がどのような事業者に対しては行ってはいけないという基準にするつもりですか。
○稲田国務大臣 国家公務員基本法に規定をされている再就職禁止の法律が基準だと思います。
○後藤(祐)委員 それは基本法じゃないんです、国家公務員法百六条の三です。恐らく、求職活動の規制に基づいてやるということじゃないんですか。違うんですか。(稲田国務大臣「もう一度」と呼ぶ)
要は、再就職支援会社がどういう会社に対しては紹介していいかどうかということの基準は、例えばこの局の人はその局が所管しているような会社に行っちゃいけないとか、多少基準が要るはずなんです。それはいかなるルールにのっとってやるつもりですか。
○稲田国務大臣 天下りが禁止されているのは再就職のあっせんですよね、府省庁による。退職後の就職先というのは別段規制されていないと思います。ただ、在職中の職員が就職活動するのは利害関係のある会社だと認識をいたしております。それが国家公務員法の百六条の五ですかに規定されている天下りの禁止で、それは基準になると思います。
○後藤(祐)委員 大臣、何もわかっていないんですよ。
再就職支援会社が再就職先を見つけてきたとします。まだ再就職していない現職の方をそこにはめようとするわけですよ。どこかで面接するわけですよ。再就職しようとしている現役の方と、再就職する先の会社と面接するんです。その瞬間、求職活動規制にひっかかっちゃうんです。そのことを言っているんです。百六条の三のことを言っているんです。
少なくとも百六条の三のルールは守らないと、恐らくこの運用はできないんじゃないんですか。プラスアルファで何らかのルールを設けるつもりはないんですか。
○稲田国務大臣 私が今るる答弁していたのはまさしくそのことですよ。
ですから、今、在職中の職員が利害関係の会社とマッチングすることは禁止をされているわけですから、それが再就職支援会社の、その相手先の会社の基準になると思います。
○後藤(祐)委員 今、求職活動規制、国家公務員法の百六条の三に基づいて、再就職支援会社の、再就職先の会社を探すルールはそれに基づいてやるということですね。
その場合、この職員が職務として携わっていた許認可だとか補助金になるんです。つまり、同じ省の中でやっていたり、隣の課がやっていたら関係なくなるんです。
具体的な場合を申し上げましょう。例えば、航空局の課長さんとか局長さんがJRに再就職する、これは求職活動規制だとできちゃうんですよ。ところが、今は、自分で求職活動でそんなところへ行ったら怪しいですから、さすがにそういうことはしないという自制が働くから求職規制がきいているんです、実は。
ですが、このリプレースメント会社がそういったところを探してくる。国交省が何とかたくさん送り込みたい、外に出したいと。いいことなんですよ。それを考えた支援会社は、あっ、ここの国交省の管理職だったら、こういう会社が欲しがるんじゃないかなというところを思いつくわけです。それは当然、国交省の関連企業を探してくる可能性はあるわけじゃないですか。そのときに、今言ったような、では航空局の課長さんなりとしましょう、JRへこの再就職支援会社が紹介することは可能ですか。そういうルールにするつもりですか。
○稲田国務大臣 現行法の求職活動規制では、利害関係企業等以外の企業等への再就職活動は認められております。そして、違反事例が行われないようにするため、再就職等監視委員会による監視体制も整備をされております。
今委員が御指摘のケースについては、個別具体の事例に即して個々に判断されることになるのではないかと思っております。
○後藤(祐)委員 非常にクリアにわかっているんですが、最後の、個別に判断するというのは、もう一回言ってください。航空局の課長がJRを紹介された場合に、個々に判断するというのは、それはだめと言うんですか。だめと言うんだとしたら、いかなる基準に基づいてだめと言うんですか。
○稲田国務大臣 今の御指摘の個別具体的な事例に即して判断することになるかと思います。
○後藤(祐)委員 いかなる基準に基づいてやるんですか。
先ほどの百六条の三の求職活動規制のルールだとしたら、合法なんです、明確に。だめだと言えないはずなんです。だから、それはオーケーということですか。それとも、百六条の三以外により厳しいルールを別途つくって、それに基づいてチェックしていくんですか。どっちですか。
○稲田国務大臣 百六条の三の規制が基準になると思います。
○後藤(祐)委員 もう時間が来たのでやめますが、ということは、航空局の課長はJRに行けるということ、それを紹介していくということになるわけですね。それを確認して、質問を終わりたいと思います。
これは今後禍根を残すと思いますので、今のうちに厳しいルールをつくることを官房長官が検討することを私はお勧めします。
終わります。
○平井委員長 次に、大熊利昭君。
○大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。
本日は、たっぷり一時間、ありがたく頂戴をいたしましたので、早口ではなく、やらせていただきたいというふうに考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
まず、官房長官にお伺いいたします。
所信の御表明の中で、誇りある日本という表現をお使いになっていらっしゃいます。誇りある日本の定義、これはどういうものなのか、御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○菅国務大臣 現在、我が国は、経済面では長引くデフレと産業競争力の低下など、厳しい状況であります。さらに、震災復興でも三十一万人を超える被災者の方が避難生活を余儀なくされている、そんな状況であります。
そうした中で、誇りある日本を取り戻すことは、現在我が国が直面する危機を突破して、国民一人一人が未来に夢と希望を持てる社会を構築していくことだろうというふうに思います。
そうした中で、安倍内閣としては、東日本大震災からの復興、そして経済再生、これに今全力を挙げて取り組んでおります。
復興については、全ての大臣が復興大臣であるという意識のもとに、復興庁を中心に、現場主義を徹底して、課題を具体的に一つ一つ今取り組んでいるところでありますし、被災者の方々の期待に応えるべく実行をしていく。まさに復興の加速化を実感できるような政治のリーダーシップをしっかりと発揮してまいりたいというふうに思います。
また、経済再生については、総理も何回となく申し上げていますけれども、大胆な金融政策、機動的な財政政策、さらには民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢によって、企業の収益をふやし、雇用や所得が増加する景気回復を実現することで、国民生活に経済成長の恩恵が幅広く行き渡るように私どもは行っていきたいと思っております。特に、民間企業の投資と消費を拡大させる、このことも必要だというふうに思っています。
こうした現状をしっかりと改革しながら、誇りある日本というものを、まさに東日本大震災からの復興、経済再生、そうしたものを中心にまず当面は行っていきたいと思います。
○大熊委員 この一般論をお伺いしたのは、実は、具体的に、例えば長官として、いつごろの日本をイメージされていらっしゃるのか。もしおありになれば、それをお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 私たちは、まず、当面する課題を一つ一つ着実に取り組んで実行していく。そういう中で、総理が全閣僚に対して指示をしたことが、今言われた東日本大震災からの復興、経済の再生、そして危機管理の徹底です。このことをまず安倍内閣として共有して、この問題にしっかり対応していく。さらに、そうした当面の問題を解決する中で、教育改革を初めとする行政改革、そうしたものをなし遂げて、誇りある日本というものをつくっていこうという考え方であります。
〔委員長退席、関委員長代理着席〕
○大熊委員 と申しますのは、しつこいようで申しわけないんですけれども、その後、日本経済のまさに再生というふうに書いておりまして、私は、議員になる前には、金融機関で再生ファンドという仕事をしておりまして、これは、成長ファンドというのは言葉は似たようで違いまして、再生というのは、どこかの状態に、もとに戻す、要するに、破綻あるいはそれに近い状態の企業を通常の状態に戻す、それが再生という意味でございまして、したがって、日本経済の再生とおっしゃった場合は、わかりません、バブルの頂点の一九八九年なのか、バブルは悪いから一九八四年なのか、あるいは、もっと前の所得倍増計画のころなのか、何かそれがあった上で再生というお言葉をお使いになったんだろうというふうに思いまして、お伺いしたんです。
済みません、再度なんですが、では、具体的な時代のイメージは余りお持ちではないということなんでしょうか。
○菅国務大臣 これは、政権で、日本経済の再生と東日本大震災の復興、そして徹底的な危機管理の体制、こうしたものを私たちは目標とする中で、今、経済についてのお話がありましたけれども、少なくとも私たちは、かつては、ことしよりも来年、それよりも先という、経済が成長して自分の給与も上がる、将来に向けて光の見える、そうした社会というものをもう一度私たちは取り戻そうということであります。
○大熊委員 ありがとうございました。
答弁は結構です。私、再生プラス成長じゃないかなというふうに思って読ませていただきました。
次に、サイバー攻撃について、やはり長官にお尋ねでございます。
このサイバー攻撃というのは、そもそもの定義、これは国内法上あるいは国際法上の定義というのは確定しているのでしょうか。であれば、それについて教えていただければと思います。
○菅国務大臣 サイバー攻撃について、何を指すかという国際法上確立した定義はあるわけではないと思っています。
ただ、一般的には、情報通信ネットワークや情報システムを利用して行われる不正侵入だとか、あるいはデータの窃取、破壊、不正プログラムの実行、DDoS攻撃、こういうものを指しているだろうというふうに思っています。
○大熊委員 私もITの専門家、技術者ではないんですけれども、一般的には、自分の見ている目の前のパソコンがどうかしちゃうというようなイメージかとは思うんですが、一方で、例えば今後スマートメーターなんかが、電力改革の結果、いろいろ広まってきた場合に、こういったものもマイコンなのか、コンピューターで動いているわけでございまして、あるいは種々の機器もコンピューターで動いているわけでございまして、こういうところも含めてというような考え方で間違いはないんでしょうか。
○菅国務大臣 そうしたものも含まれると思います。
○大熊委員 ありがとうございました。
CIOとの関連については後ほどお伺いしたいと思います。
次に行かせていただきますと、戦略産業の位置づけということについてなんですが、やはり長官の御答弁の中で、直轄組織としまして健康・医療戦略室を立ち上げられたということでございますが、戦略的な産業というのはいろいろあると思うんですが、殊さら医薬品、医療機器をまず第一優先でやられたというのはどういう経緯なんでしょうか。教えていただければと思います。
○菅国務大臣 実は、官房長官の仕事というのは、内閣を束ねる、それが基本的な仕事でありますけれども、かつて、前政権の中で、健康・医療に関する戦略室というのが官房に置かれていました。
私は、この健康・医療分野については、我が国が世界に先駆けて超高齢化社会を迎える中で、世界最先端の技術、医療技術、サービスを実現して健康寿命世界一を達成したい、あるいは医薬品、医療機器等を戦略産業として育成し、我が国経済の成長に寄与したい、そういう課題解決先進国として、そういう意味で、それぞれの省庁に非常にわたっている分野でありますので、ここは私が担当して実現をしていきたい、そういう思いの中でこの戦略室をつくったということであります。
○大熊委員 それは特に反論もございませんのですが、一方で、例えば医療というと、どうしても農業というのが出てくるわけなんでございます。
例えば会社の中でも、事業改革をやるときに、ある事業部門の改革をやろうとするときに、その事業部門の担当役員さんは通常反対するわけでございまして、会社の中でも、経営企画ですとか、社長室ですとか、あるいは社長直接とか、ある古い古い事業部門を改革しようというときに、そういう方がまさに担当してやることが普通。なぜならば、そうじゃないと進まない。やはり当該事業部門の役員さんというのは、自分の事業部門を今までと違った形で大胆にやられちゃうと困る、いろいろなことがある。
これを、例えば政府の組織の中で、農業ということで当てはめてまいりますと、やはり農水大臣というのは、どうしても、これまでの既存の農業の業界関係かもわかりませんし、やり方、あるいは法令、習慣というんでしょうか、そういうところに縛られるのではないかというふうに推察をするところなわけです。
やはり農業も、こういった官房長官のもとで、しっかりと府省横断的に、場合によっては、農水省さんじゃなくて、産業育成という観点であれば経産省さんのお力も必要なのかもしれませんが、そういう形で、内閣として、まさに総合調整を行ってやっていかれる、そういう発想、視点というのはいかがでございましょうか。
○菅国務大臣 健康・医療、非常に省庁の縦割りの中ですよね、厚生労働省だとか、文科省と経産省。そういう中で、前政権が戦略室の中で一つとしてやろうということで内閣にあったものですから、いいものは引き継いで、そして改革を進めていこうという形で、私はここに置かせていただきました。
さらに、農業についても、今委員御指摘のとおり、農林水産省だけでなくて、経済産業省、さまざまな省庁を含めて、さまざまな問題があるわけですから、当然、この農業問題についても、その官房ということでなくて、政府の、内閣府とか、そういう中でも、成長戦略の一つとして、経済再生本部の中でこれも位置づけております。
○大熊委員 ありがとうございました。
既存の考え方にとらわれずに、大胆な、まさに攻める農業、成長の農業ということで、ぜひお願いしたいというふうに考えているところでございます。
続きましては、IT担当大臣の方にお伺いを申し上げます。
政府のCIOということで、これは、せんだって内閣官房さんの方から法案概要説明ということで資料をいただいておりまして、IT予算の全体の戦略策定、共通システムの構築、要するに、政府にかかわるIT関係全般ということのようなのかなと思いつつも、先ほど、あるいは事前の事務方からのお知らせですと、いわゆるサイバー攻撃的な、ここのITの部分については別の所掌事務になっていらっしゃるということですと、やはりどうしても、民間企業ですとここはCIO一本になっているかと思うんですが、二頭政治になるのではないかなという疑念を誰しも持つのではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
○山本国務大臣 御質問ありがとうございます。
さっき官房長官がお触れになったように、サイバー攻撃事案のような情報セキュリティーの問題、これはやはり、官房長官をヘッドとする、内閣官房副長官と内閣危機管理監が指揮する内閣情報セキュリティセンター、通称NISCといいますが、ここが担当するということになっております。
政府CIOは、今先生がおっしゃった業務を担当するわけですが、各府省がシステムを整備するに当たって、特にセキュリティーの部分については、専門家であるNISCとしっかり連携をしながら各府省を指導していく、こういう立場だと思います。
もうちょっとわかりやすく言うと、私の感覚だと、NISCは情報セキュリティーに関するトラブルシューティングをやる、こういうことではないかというふうに思います。さらに言うと、今度の法案で、機能を法的にしっかりさせようという法案を提出させていただいているわけですけれども、CIOの大きな役目である、各省ばらばらに動いているシステムを、例えばやりやすいものから、ホームページみたいなものから統括化する、集約化する、こういう作業そのものが情報セキュリティー強化に結びついていくのではないかというふうにも考えております。
NISCとCIOの役割分担、デマーケーションは、そういう感覚ではないかというふうに考えております。
○大熊委員 ありがとうございました。
伺いますと、NISCという方は主にトラブルシューティングとなりますと、仮に攻撃を受けて、それで何かの不都合、トラブルが発生して、そしてリスクの方のということになるのかなというふうに伺っておりましたが、その前の、まさにセキュリティーとか、防ぐ方ですね、ディフェンスの方についてはどちらに、やはりNISCの方になるということなんでしょうか。
○山本国務大臣 それは、一言で言うと、連携をしながらしっかり対応していくということになると思うんですね。
NISCの方は、トラブルシューティングをしながら、しかし、それを防ぐためのいろいろな仕掛けといいますか、作戦といいますか、恐らく、そういうことをしっかりと立てながら、CIOの方は、先ほど申し上げたとおり、ばらばらに動いているシステムを一本化していく、集約化していく。そういう中では、当然セキュリティーの問題もありますので、それも考えつつ、NISCとしっかり連携を図りながら、どういうシステム構築をすればサイバー攻撃のような事案、いわゆる情報セキュリティー強化ができるかという観点で、各府省を指導していくということですから、連携をしてしっかり対応していくということではないかと思います。
○大熊委員 連携ということで、一般的にはなるほどと思うわけでございますが、大臣、釈迦に説法のとおり、行政機関というのはややもすると縦割りでございまして、どっちが権限を持つんだ、総合調整機能を誰が持つんだというところについてはいかがでございましょうか。
○山本国務大臣 総合調整機能はCIOに持っていただくということだと思います。
もう大熊委員御存じのとおり、CIOを法的に位置づける意味は、やはり、電子行政とか政府の情報システムの刷新とか、こういうことについてきちっと司令塔機能を果たしてもらうということですから、IT政策に係る司令塔機能というものはCIOに持っていただいて、その中でも特に情報セキュリティーに関してはNISCとしっかり連携をする、何か起こったりしたときの対応は、これは危機管理的にNISCにお任せをする、そういう位置づけだと思います。
○大熊委員 ありがとうございました。
続きまして、この関連で、ITの政府調達に関してなんですが、先日、予算委員会で質問通告させていただいた中で、時間がなくなってしまって、伺えなかったんです。
財務省の勝元事務次官が、IIJという情報システムの会社に、これは政府が定義する天下りじゃないんでしょうが、再就職をされました。これ自体、そのものについては、現時点では問題ということではないのかなとは思いますが、今後、こういった情報システムの政府調達がふえる、マイナンバー法が入る等々で、ややもすると、今後、疑いの目が向けられかねない。
実際、IIJの株価が、別に何か法律上問題が生じているということではないんだろうと思いますが、すごく上がっているというようなことも事実でございますし、この辺のルール、先ほどの民主党の方の御質問とも関係するのかもわかりませんが、政府調達にかかわる、その調達元の会社に、財務省という事務の、分担のところは別のところから再就職された、その場合の調達ルールについていかがお考えでしょうか。
○山本国務大臣 大熊委員も御存じのとおり、政府調達システム全体については、これは私の所掌ではないんですけれども、政府の情報システム調達ということでいえば、まず、原則として、当然一般入札、公開入札ということでございまして、ただし、最終的な調達仕様書の作成に直接かかわった事業者は、これは入札プロセスへの参加を認めない、こういったことで一応透明性とかあるいは公平性を担保しているということだと思います。
ただ、先生のおっしゃった、これから、やはり情報システム、いろいろな意味で注目をされていくというところでいうと、私も担当大臣としては、少しそこは注意を払っていかなければいけないというふうに思っております。
実は、四、五年前、平成十九年の三月か何かだったと思いますけれども、各省のCIO、そのときは今みたいな呼び名じゃなくて、情報統括責任者か何かだったと思うんですけれども、そのCIOの連絡会議において、情報システムに関する政府調達の基本方針というのを一応まとめております。
その中でちゃんと、仕様書を明確にするとかいうポイントも実はまとめておりますし、さらに言うと、要件定義ですか、要件定義というと、簡単に言うと、私も専門家じゃないんですが、仕様書をつくるための物すごく細かい条件をまとめたもの、この要件定義の工程を手伝った業者あるいはそれに関連する事業者についても、これは入札プロセスに参加しない、こういうこともその方針の中で決めているというふうに記憶をしています。
○大熊委員 ぜひ、その辺のルール化をしっかりとお願いいたしたいと思います。人の方からの切り口で見たルール化と調達の方のルール化と、クロスでしっかりやっていただきたいと思います。
一言、今のその要件定義については、例えば、せっかく勝元次官の話なんで、仮に財務省さんの何かのシステムを入れるという場合に、IT的な技術の部分の前に、まさに要件定義をするわけでございまして、要件定義とは何かといえば、その会社なり行政機関の業務のフローをしっかりと洗い出すということ、それをシステム化できるために洗い出すということでして、これをやるのは実は技術者ではございませんで、中身の仕事をしている方、まさに財務省の方そのものでございまして、その組織のトップであった方が要は情報システムの会社に行く、ここがまさに、もしかしたらという疑念を皆さん抱きつつある、そういうところだろうと思いますので、その辺のところをしっかりお願いしたいと思います。
ということで、御答弁は結構でございますので、次に参らせていただきたいと思います。
次は、所信の順番に沿って、異性に対する暴力についてということを森大臣にお伺いしたいと思います。
大臣の所信では「また、女性に対する暴力は、女性の人権に対する著しい侵害であり、決して許されないものです。女性に対するあらゆる暴力の根絶に向けて積極的に取り組んでまいります。」というところなんですが、結構、私の方に逆の話が入ったりします。つまり、男性に対する女性からの暴力ですね。これは言葉の暴力、言葉というのはどこまでが暴力なのか、ちょっとそこも微妙なところがあるのかもしれませんが、とにかく男性に対する暴力の方ですね、こちらについては言及がないんですが、この辺についてはいかがなのでしょうか。
○森国務大臣 女性に対するだけでなく、男性に対する暴力、つまり異性に対する暴力というのは、人権に対する著しい侵害でございますので、政府において、その根絶に向けて取り組んでいきたいと思っております。
政府の方の統計ですと、相談のうちの一%程度が、やはり男性の被害者からの相談も寄せられているところです。そこで、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律に基づいて、関係省庁や自治体、または民間団体等と連携をし、男性を被害者とします異性に対する暴力に対しても、切れ目のない支援をしていきたいと思っています。
特に、安倍内閣になりましてからは、関係省庁が厚労省、法務省、内閣府、警察庁とありますものですから、それぞれの縦割りの弊害に陥らないように、どこに相談が来てもきちんと救っていけますように、マトリックスと申しますか、相談の流れ図をつくりまして、どこにどのような相談が来ても、担当じゃないからといって追い返したり、不十分な、不親切な対応をしないように、これを関係省庁及び各警察、それから配偶者暴力相談支援センター、NPO、地方裁判所等に配付いたしまして、徹底をしているところでございます。
○大熊委員 ぜひ、よろしくお願いします。
と申しますのは、私のところに、もちろん議員になる前で、一友人としての相談なんですが、男性の場合は相談がなかなかできないんですね、すごく恥ずかしい話だったりもして。
一%とおっしゃいますが、実態はもっとずっと多いのではないかなというふうに推察いたします。もちろん根拠はございませんが、でも、蓋然性として、かなりその確率は高いんじゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、規制改革、公務員改革の方に参らせていただきます。
やはり稲田大臣の所信の中で、新たな規制改革会議の中で、当面は、雇用、エネルギー・環境、健康・医療といった重点分野ということなんですが、先ほどと同様、やはりここでも農業がないということなんですが、農業についてはやはり優先順位は低い、相対的に低いんだ、こういうことなんでしょうか。
○稲田国務大臣 農業の改革は大変重要だと思っております。その上で、なぜ規制改革会議で三つの重点分野かということを申しますと、これは、一月二十五日における総理指示におきまして、雇用関連、エネルギー・環境関連、健康・医療関連を規制改革の重点分野とするという指示がございましたので、まず、この三つについてワーキンググループをつくり、もう一つ、創業という横串のワーキンググループをつくったところでございます。
〔関委員長代理退席、委員長着席〕
○大熊委員 私も議員になったばかりで、総理の指示の重みというのはよくわかっておりませんが、でも、普通の会社で考えたら、大臣でいらっしゃいますから常務さんとか専務さんだろうと思います。社長から指示を受けたら、社長、それはちょっとおかしいんじゃないですか、農業も入れましょうよと言うと思うんですね、革新的な会社だと。大臣はそういう安倍総理に反論されたんでしょうか。
○稲田国務大臣 先ほど言いましたように、農業の改革は大変重要だと思っております。そして、農業の改革については、今、産業競争力会議で、大きな、官邸における会議において、農業改革について話し合われております。その中で規制に関する問題が出てきたときは、もちろん規制改革会議において検討するものと思います。
○大熊委員 であれば、残念ながら、そのときに、総理には、農業をやりましょうよという反論はされなかったということだというふうに了解をいたしました。それでよろしいでしょうか。
○稲田国務大臣 私自身、農業というのは、非常に大きな問題ですから、規制という分野ではなくて、やはり産業競争力会議のような大きな、そして農水大臣も出席できるような会議で改革の方向性を進めるべきではないかと考えております。
○大熊委員 では、農業についての規制は何も問題がない、こういう御認識でいらっしゃいますか。
○稲田国務大臣 先ほど答弁いたしましたように、産業競争力会議で農業改革の大きな方針を検討し、その中で規制が問題になることが出てきたら規制改革において検討する、そういう整理になっているということでございます。
○大熊委員 規制改革大臣としては、プロアクティブに、規制がこうなっていてということをやはり提言していかれる必要があるんじゃないでしょうか。
○稲田国務大臣 規制改革会議自体は民間の有識者の会議でございます。そして、今申し上げましたように、農業の改革に対する考え方は、産業競争力会議で大きな方向性を議論していただいて、その中で規制に関係する問題があれば規制改革会議で受けて検討するという仕切りになっております。
○大熊委員 ということは、規制改革会議自体というのはセカンダリーなもの、つまり、もとの会議を受けた、次の、セカンダリーなもの、こういう理解をしてよろしいんですか。
○稲田国務大臣 産業競争力会議と規制改革会議、どちらが上でどちらが下ということはないと思います。相互に協調し合いながら、日本の経済再生に向かった改革をやっていくということでございます。
その上で、農業について聞かれましたので、農業については、産業競争力会議で大きな改革の方向性を議論して、そして、規制の問題が出てくれば規制改革会議で検討する、そういう整理になっておりますということを申し上げただけでございます。
○大熊委員 どうもよく得心のいかないお話でございましたが、あと半分の時間を公務員改革の方でとらせていただきたいと思います。
順番に先日の所信をめくらせていただきまして、その際に、公務員制度については、大臣は、「公務員制度につきまして、公務員が誇りと希望を持って国家国民のために職務に邁進し、そして、若い優秀な人材が公務員を目指すことができる制度とすることが必要です。」というふうにおっしゃっておられます。
これは、基本法のどこに基づいた御発言なんでしょうか。第何条に基づいた御発言なんでしょうか。
○稲田国務大臣 基本法一条の目的に基づいた発言でございます。
○大熊委員 基本法にはそのように書いてないんですよね。国民の立場に立ってというふうに書いてあるんですけれども。
○稲田国務大臣 もちろん、国民の立場に立ってというのが公務員改革の基本理念でございます。
基本法一条に書いてある国家公務員改革の目的というのが、私は国家公務員制度改革の核であるというふうに認識をいたしております。
○大熊委員 だからこそ、最初に御質問しているんですが、国家国民のためにということじゃなくて、国民の立場に立ってなんですよね、基本法では。この違いはないということなんでしょうか。
○稲田国務大臣 国民の立場に立って、国家国民のために、私は同義だと思っております。
○大熊委員 その御認識はちょっとどうかと思うんですよね。
どういうことかというと、ややもすると、公務員が、自分のところの組織のために、省のため、あるいは全体として行政機関のために働くという、そこのニュアンスが、国家と入ると入ってきてしまうんですね。
何で基本法で「国民の立場に立ち、」とそんな当たり前のことが書いてあるのかということなんですね。それはそういう意味なのであって、ちょっと大臣の御認識が違うんじゃないかと思いますが。
○稲田国務大臣 国家公務員改革基本法を議論しているときに、日の丸官僚をつくるということが言われておりました。省庁の縦割りを排して日の丸官僚をつくるというのは、まさしく国家国民のための官僚をつくるという意味であって、私は、基本法一条の目的と私が申し上げたところに、全くそごはないと思います。
○大熊委員 だからこそ、国民の立場に立ってというふうに基本法では書かれているんですね。なので、大臣のこの御発言というのは若干違うんじゃないかなというふうに考えているところでございます。
もう少し具体的に進めさせていただきます。
公務員制度改革に限らず、重要な政府の検討事項、いろいろなことについて、情報をタイムリーに公開して、国民、国会、委員会を含めたところに開示していくということは極めて重要なんじゃないかというふうに私は思うんですが、大臣も趣旨に御賛同いただけますか。
○稲田国務大臣 一般論としては、そうだと思います。
○大熊委員 一般論としてはというところがやはりひっかかるわけでございますが、では、一般論じゃなくなっている状態というのが現に存在するということでしょうか。
○稲田国務大臣 ちょっと質問の趣旨がわかりません。もう一度質問いただけますか。
○大熊委員 一般的にはというところがひっかかるというのは、個別具体的な公務員制度の改革の検討状況について、タイムリーに情報を公開していない、そういう事柄が、最近いろいろおやりになっている中で、ありますか、ありませんか、そういう質問でございます。
○稲田国務大臣 個別具体的に公開をしていないという趣旨がちょっとわかりませんけれども、そのようなことはないと思います。
○大熊委員 個別事項について、ないという大臣のお話なんですが、ではお尋ねしますが、稲田大臣が現在おつくりになって進めている意見交換会、この議事録はオープンにしていますか。
○稲田国務大臣 私の意見交換会のことですか。(大熊委員「はい」と呼ぶ)
意見交換会については、非公開にはいたしておりますけれども、議事要旨ですとか資料は公開をいたしておりますので、問題はないと思います。
○大熊委員 資料だけしか公開されていないと思います。議事録、議事要旨は公開されていないんですけれども。
○稲田国務大臣 現在、作成中でございます。
○大熊委員 公開していないということで了解いたしましたが、そうすると、いつまでに、というのは、もともとの自公政権時代の甘利大臣のもとでの事務局では、翌日には全てオープンにしていましたし、そしてその場のインターネット生中継もやっておりまして、随分情報公開が後退したなという印象があるんですけれども。
○稲田国務大臣 個別の議論について、忌憚のない意見のやりとりをいたしております。
そして、資料は公開し、議事要旨についても公開する予定でございまして、公開しないということではございません。
また、インターネットで中継することが、果たして忌憚のない意見の交換ができるかどうかということも、やや疑問ではないかなと思っております。それは、考え方の違いではないかと思っております。
○大熊委員 それでは、一刻も早くその辺は公開していただきたいと思うんですが、別に非公開ではないということなんでしょうか。どういった議論が、これまで二回でしょうか、行われていらっしゃるんだろうと思いますが、されていらっしゃるんでしょうか。
公開されている範囲の資料ですと、例えば資料二というものの中の「主な論点」ということで、「近年、どのような環境の変化が見られるか。」とか、その他、五点にわたって論点というのが挙げられているんですが、これは、それぞれについて、どういう議論がなされて、どういう結論になったんでしょうか。
○稲田国務大臣 それぞれについて、忌憚のない意見交換をし、一つ一つについての結論をそこで出すというような意見交換会ではございません。議論をし、そして今までの、先ほども後藤委員に対する答弁でも申し上げましたが、何度も法案を提出したけれども廃案になってきた、そしてそれぞれの法律がそれぞれ内容は違っている、そういう点を今検証、総括しているところでございます。
○大熊委員 先ほどの後藤委員からもお話があったんですが、国会の事情で廃案になったということなんだろうと思いますけれども、それは、検証、検討するのであれば、国会の方でやるべき話であって、政府内でそれをまた、議論がほぼ尽くされている公務員改革について、おっしゃるとおり、国会の中でやるのならいいと思いますよ。だけれども、何でまた政府の、しかも、この基本法というのは、御承知のとおり、私は議員じゃありませんでしたが、与野党修正によって、国会によってできた法律なわけでございますから。
そうおっしゃるのなら、では、もう一回あのときに戻って、国会の中で修正をかけた皆さん方が、当時はみんなの党というのは世の中には存在しませんでしたけれども、国会の方で議論をしていくというなら筋が通りますが、政府の方で、しかも私的な勉強会で、人数も、前の局長の立花さんと、あと学者さん二人ですか、非常に限られた、偏ったとは言いませんけれども、昔の顧問会議といったら、十人とか十五人、かなりいろいろな、当時の事務局なり、政府からしても、この人はちょっと入ってほしくないなというようなメンバーなんかも入れてやっていましたけれども、非常に、そこがちょっと偏ったような印象があるわけなんですが、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 今まで、自民党、民主党で出された法案、そして、自民、みんなの党で出した法案、また、みんなの党が出された法案、さまざまな法案それぞれが、その盛り込む内容は違っております。ですから、そして、それは全て廃案になっております。
平成二十年の国家公務員改革基本法に基づいて改革は進めなければならないことはもちろんですが、今までの過去の経過、総括、検証、改革の集大成、私は、これはきちんとした国家公務員改革の法案を出すために必要不可欠であると思っております。
○大熊委員 いろいろな、てんこ盛りの議論があったということも、私もある程度承知しております。であれば、そのてんこ盛りの中から、大臣の公務員改革についての哲学、これは何でしょうか。
○稲田国務大臣 まさしく、基本法一条に書かれている、公務員それぞれが、自己の能力を高めつつ、国民の立場に立って、そして、責任と自覚、誇りを持って職務に邁進する、それが、私は国家公務員改革の基本であり、哲学は何かと言われれば、それに尽きると思っております。
○大熊委員 国民の立場に立ってという一条どおりということであれば、まさに基本法そのものであってということであれば、基本法というプログラム法に則して、どんどんどんどん実定法を出していくべきではないでしょうか。
○稲田国務大臣 一条の基本的な理念、これはすばらしいものであると思います。にもかかわらず、今まで三回政府から提出をされて、その三つともが、三つながら、全然違う内容で、それぞれが廃案になって、そして、先ほどの労働基本権の問題、これについても結論が出ていない。
私は、これはやはり、きちんと検証と総括をして、一条の目的に沿った改革法案というのを出すべきだと思っております。
○大熊委員 先ほどの私の質問にお答えいただけなかった部分のお話、今またありましたが、それは、国会の方で、立法府の方でやるべきことなんじゃないでしょうか。こちらの、立法府の事情でいろいろな議論がてんこ盛りになって、いろいろな案が出て成立しなかった、それはそのとおりだと思います。国会の方でやるべき話なんじゃないでしょうか。
○稲田国務大臣 今、三回法案を出して、それが全部廃案になって、そして、それを検証、総括をして、一条の目的に則した、まさしく、公務員が国民の立場に立って、国家国民のために日の丸官僚として機能することができる公務員制度改革を進めていく、これが私の職責であると考えております。
○大熊委員 ですから、それはまさに国会の方で、立法府の方でやる議論なんじゃないでしょうか。政府の方は、粛々と基本法に基づいて実定法を出す、それが政府の仕事なんじゃないでしょうか。
○稲田国務大臣 今私が申し上げましたように、国家公務員改革担当大臣として、基本法のその理念に沿った、改革の集大成ともいうべき改革法案を提出するのが私の職責であると考えております。
○大熊委員 ちょっと戻って、日の丸官僚というふうにおっしゃいましたけれども、例えば、基本法では、残念ながら各省採用になっちゃったんですよね。内閣一括採用、つまり、日の丸官僚採用はなくなっちゃったんです。これについてどう思いますか。
○稲田国務大臣 それはまさしく、十一条で記載している内閣人事局を設置するという問題にかかわってくるのではないかと思っております。
○大熊委員 どうしてかかわってくるんでしょうか。それは採用ですよ。内閣人事局というのは、幹部職員についての制度ですよ。全然違いますけれども。
○稲田国務大臣 基本法の精神としては、日の丸官僚をつくるために、内閣人事局で採用も、それから幹部候補生の研修も行っていくというのが基本法の精神であると考えます。
○大熊委員 採用も育成課程も内閣人事局がやるんですか。
○稲田国務大臣 採用は違います。済みません。
○大熊委員 私、育成課程の担当者だったんですけれども、では、育成課程も人事局でやっていただけるんですか。私としては、元担当者としてはぜひやっていただきたいんですけれども。
○稲田国務大臣 委員も、平成二十年から二十一年まで事務局で幹部候補生の育成の問題等に御尽力をいただいたと聞いております。
育成については、内閣人事局の方でやるべきではないかと考えております。
○大熊委員 それは大変ポジティブなお話で、恐れ入ります。
というのは、ちなみに当時は甘利大臣のもとで、これは育成課程を各省ごとにやる。採用も各省ごと、育成課程も各省ごと。ただし、政府を通じた基準について閣議決定をする、こういう仕立てでございましたが、であれば、大臣のお話ですと、今度のブラッシュアップをするであろう法案においては、各省ではなくて内閣人事局が育成課程のプログラムを実施する、そういうことで、今、力強い大臣の御発言がありました。ありがとうございます。
力強い答弁の続きでございまして、ちょっとまたもとに戻りますが、安倍総理が予算委員会で、公務員改革につきまして、これまでの改革の成果に加えて、国際的な大競争時代への変化を捉えて改革を進める、こういうふうに総理は御発言されておられますが、稲田大臣もこのとおりだというふうに御認識されますか。
○稲田国務大臣 総理と認識は同じです。
○大熊委員 それでは伺います。改革の成果とは何ですか。
○稲田国務大臣 改革の成果とは何ですかという、ちょっと質問の趣旨がわからなかったので、もう一度していただけますでしょうか。
○大熊委員 これは、発言そのものは私じゃなくて総理なんですけれども、こう言っています。一字一句違わないと思いますが、これまでの改革の成果に加えて、国際的な大競争時代への変化を捉えて改革を進めるというふうに言っておられます。
改革の成果、これは、これ以上違う日本語では表現できない。改革の成果でございますが。
○稲田国務大臣 例えば、天下り禁止の改革ですとか、能力・実績主義を入れたりとか、そういう改革の成果に加えてという趣旨ではないかと思います。
○大熊委員 申しわけないですけれども、それは大きな意味では公務員改革かもしれませんけれども、平成二十年の基本法に基づいた公務員改革とは全く関係ないです。なぜならば、それは、平成十九年でしたか、国公法の改正でもってもう既に措置されたはずのものでございまして、それが実態的にどうかは別として、基本法というのはその後の世界でございます。平成二十年の夏以降の話でございます。全く違うと思います。
改革の成果というのは何ですか。
○稲田国務大臣 私が認識しているのはそういう趣旨ですし、また、平成二十年の基本法の成立も指されているのかと思いますが、それ以上は総理に聞いていただきたいと思います。
○大熊委員 百歩譲りまして、おっしゃるとおりだと。
そうすると、基本法以降の成果はない、こういう理解でよろしいですか。
○稲田国務大臣 基本法に基づいて改革を進めているという趣旨ではないかと思います。
○大熊委員 いや、改革じゃなくて、改革の成果という日本語なんです。成果は何かと聞いているわけです。
では、余り言っても時間もないですから、実は一つだけあります。これは、プログラム法ではなくて基本法に規定されている事項です。これは採用試験です。これは改革の成果です。なぜならば、これはもう明治時代続いてきたキャリア官僚制度のもとになっている国家1種、いわば高等文官試験ですね。これが廃止されて、総合職試験というのができたんですよ。これが一個だけ改革の成果です。
先ほどの、試験はそうなんですけれども、残念ながら一括採用じゃなくて各省採用になっちゃったんですけれども、日の丸官僚の採用は、入り口は残念ながらできなかった。だけれども、出口の方の内閣人事局は何としてもやろうじゃないか、一年以内に、十一条と書いてあるわけなんですが、自民党政権だけの問題ではないんでしょうけれども、できていないというところが問題であって、要するに、応用問題はいいんですよ。まず基本問題をぜひ上げていただいて、いろいろな応用、国際的な大競争時代への変化を捉えてという、応用の部分はあるでしょうけれども、まずしっかり基本問題のところを、つまり基本法で要請しているところをしっかり上げていただきたいというところがまずは入り口のところなんですけれども、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 基本法の精神に基づいて改革を進めていくことが、結果として、総理がおっしゃる国際的な大競争時代への変化に即するものになるのではないかと思っております。
○大熊委員 私も政治家になって間もないんですけれども、政治家の皆さんというのは言葉を大事にするということであえて申し上げますと、基本法の精神にじゃなくて、基本法にのっとり、それが基本問題なんですね。基本法の精神となると、その応用問題も全部入っちゃうような、そういうお話なんですよね。私が申し上げているのは、まず基本法に基づいて基本問題を解いていただきたい、それから応用問題、難しい問題をやっていただきたい、こういうことなんですけれども、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 改革の基本法が平成二十年の改革基本法であることは、委員御指摘のとおりだと思っております。
そして、総理がおっしゃっている国際的な大競争時代への変化というのは、別段応用問題ではなくて、改革を進めていることが、結果として、このような変化を捉えた改革になるのではないかと思っております。
○大熊委員 最後のところがなければ納得したんですけれども、応用問題ではない、つまり全て基本問題だというんだったら、すぐに基本法に基づいて法案を出すべきなんですよ。そうでなければ、なるほど、そういうことかなと思いましたけれども、応用問題じゃないというと、そこは最後、ひっかかるんですけれども。
○稲田国務大臣 どこにこだわっておられるのかはちょっとわかりませんけれども、国家公務員改革の基本、そして、その方向性は改革基本法のとおりであると思っております。
○大熊委員 これ以上はあれなんで、ちょっと、最後に、やや各論で恐縮でございますが、手前どもの江田幹事長の質問に対して、やはりこれも総理の答弁なんですが、公務員改革について、党内でも議論されているところというふうにお話しになっておられますが、政府内と党内とそれぞれ別々の議論になっていらっしゃるんでしょうか。そして、その中身については党に聞くということじゃなくて、大臣としてはどのように承知をしていらっしゃるんでしょうか。
○稲田国務大臣 もちろん、与党の議論も踏まえながら改革を進めていくということでございます。
○大熊委員 政官接触の規定が第五条の三項にあるんですが、それとの関係についてはいかがでしょうか。
○稲田国務大臣 先ほどの与党の議論も踏まえ、改革を進めていくということと、今の基本法の五条の問題は、直接関係はないのではないかと思います。
○大熊委員 大臣の御認識、申しわけないんですけれども、そうじゃないと思います。
どういうことかといいますと、もちろん、その場に私はいたわけではありませんが、どの党でも、党内で御議論されるということは、事務方と接触するんですよ、基本的な資料とかいろいろなことを。つまり、それが政官接触に当たるわけでして、こういうルールを定めましょうということを基本法の五条の三項で要請しているんですね。公務員の事務だけじゃなくて、いろいろな国の政策に係るすべてですね。この二元政治じゃなくて、大臣をそのまま支えようというのが、議院内閣制のもとという基本法のコアのところなんですけれども、そこが関係ないと言われますと、基本的な認識がちょっとどうなのかなと思うんです。大ありなんですよ。これは二元政治になってしまう。
大臣に、事務局がいますよね。大臣だけに奉仕するという、それが趣旨でして、だからこそ政官接触のルールを決めましょうということになっているわけなんですよ。これは大ありなんですが、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 先ほど私が答弁をいたしましたのは、与党、自民党、公明党の公務員の改革に対する議論を踏まえた上で改革の方向性は決めていきますということと政官接触の問題とは、直接関係がないのではないかと答弁をいたしたところでございます。
○大熊委員 何か、全体としては余り前向きな感じがいただけなかったんですけれども、ぜひとも、基本法の精神というより、まずは基本法に基づいてお願いしたいと思います。
そして、きょうはちょっと時間もあると思ったんですが、なくなってしまいました。幹部職員についての制度、基本法のもとでは、幹部職員の新たな制度というふうに要請しておりまして、野党自民党時代に私どもと一緒に幹部公務員法は出させていただいていますが、その趣旨をそのまま、与党になられても、政権をとられても継続していかれるのかどうか。またちょっと機会を改めてやらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○平井委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
きょうは、政府が行っている秘密取扱者適格性確認制度について質問をいたします。
基本的な質問ですが、秘密取扱者適格性確認制度とは、どのようなものでしょうか。まず説明をしていただきたいと思います。
○能化政府参考人 御指摘の秘密取扱者適格性確認制度でございますが、これは、特別に秘匿すべき情報である、いわゆる特別管理秘密の取り扱いにつきまして、特別管理秘密を取り扱うことについての適格性を確認した者に行わせることとする制度でございます。
この制度は、外国情報機関による我が国に対する情報収集活動が行われる中で、我が国の重要な情報を保護するため、さらなる対策の強化が必要であることから、特別管理秘密の厳格な管理を行うため、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針において定めたものでございまして、平成二十一年四月一日から実施しております。
○赤嶺委員 そのカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針には、適格性の確認は、調査対象者が特別管理秘密を取り扱うに当たって、信用し、かつ信頼し得るか否かについての調査、クリアランス手続により行うこととする、このようにしております。
民主党政権下で有識者会議がまとめた「秘密保全のための法制の在り方について」の報告書、有識者会議の報告書では、あるべきセキュリティークリアランス手続のプロセス、報告書では適性評価等のプロセスと表現されておりますが、そのプロセスはどのように述べておりますか。
○能化政府参考人 御指摘の有識者会議の報告書におきましては、秘密を漏えいするリスクや外部からの漏えいの働きかけに応ずるリスクの程度を評価いたしまして、秘密情報を取り扱う適性を有するか否かを判断する適性評価制度を法律に位置づけることが提言されております。
この適性評価制度のプロセスといたしましては、まず、対象者の同意を得て、調査票の任意の提出を待って手続を開始すること、調査票への回答の真偽等を確認するため、必要に応じ対象者に面接すること、そして、対象者本人から提出を受けた資料では十分な情報が得られないときには、対象者の同意を得て公私の団体に照会したり、対象者をよく知る者に対して質問することが言及されております。
また、有識者会議の報告書では、これらの調査を行った上で、対象者が適性を有しているか否かを適性評価の実施権者が総合的に判断し、その結果を対象者本人に通知することが適当であるというふうにしております。
○赤嶺委員 今の答弁ですと、報告書では、まず、対象者の同意を得て調査票を提出してもらい、その調査票への回答の真偽を確認するために面接を行い、さらには第三者への照会も行い、適性の判断を行い、その適否の結果を本人に通知するという、先ほどの答弁はそういうプロセスをおっしゃっていると思いますけれども、さらにその有識者会議の報告では適格性、報告書では適性となっておりますが、これを評価するためにはどのような調査事項を例示しておりますか。
○能化政府参考人 有識者会議の報告書におきましては、調査事項として考えられるものとして十項目が例示されております。
具体的には、一、人定事項、二、学歴・職歴、三、我が国の利益を害する活動への関与、四、外国への渡航歴、五、犯罪歴、六、懲戒処分歴、七、信用状態、八、薬物・アルコールの影響、九、精神の問題に係る通院歴、十、秘密情報の取り扱いに係る非違歴、これらが例示されております。
○赤嶺委員 これらの事項について、本人に加えて、配偶者に対する調査項目も大体同じですか。
○能化政府参考人 報告書におきましては、このような記述がございます。「対象者本人に加え、配偶者のように対象者の身近にあって対象者の行動に影響を与え得る者についても、諸外国と同様に、人定事項、信用状態や外国への渡航歴等の事項を調査することも考えられる。」このように記載されております。
○赤嶺委員 これらの調査事項について、対象者本人が記述して調査票を提出してもらうところからクリアランスの手続が始まっていくわけです。
それで、その報告書の第三回の審議の中で、秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議の、諸外国におけるセキュリティークリアランス制度の概要が配付資料として提出されておりました。諸外国ではどのような事項を調査票に書き込むこととされておりますか。
○能化政府参考人 各国のセキュリティークリアランス制度におきまして、調査対象者が調査票に記入する項目は異なっておりまして、必ずしも同一のものではありませんが、項目としましては、おおむね、氏名、生年月日等の人定事項、配偶者、家族の人定事項、学歴・職歴、テロ等への関与、外国への渡航歴、犯罪歴、信用状態、薬物・アルコールの影響、精神の問題に係る通院歴、こういったものがあると承知しております。
○赤嶺委員 今答弁いただいたことについては、三枚つづりの資料として、一番上の方に、諸外国のセキュリティークリアランス制度の調査票の項目を書いておきました。そして、一昨年の「秘密保全のための法制の在り方について」の報告書が例示する調査事項も書いておきました。
それでは、現在我が国が行っている秘密取扱者適格性確認制度では、これはどのような調査事項を記した調査票を提出されているんですか。
○能化政府参考人 まずは、現行の秘密取扱者適格性確認制度、これは、各行政機関において、職員の任用に関して任命権者の権限の範囲内で実施しておりますけれども、その際、調査票による調査でございますが、これにつきましては、その作成者、記載事項につきましては、秘密取扱者適格性確認制度の具体的運用にかかわることでございまして、これを明らかにすることにより、政府の情報保全に支障を及ぼすおそれがございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○赤嶺委員 先ほどの資料の一枚目には、一昨年の報告書、調査事項が書かれているわけですね。諸外国の調査事項も書かれているわけです。
では、現在、日本ではどんな調査事項か。今答弁もありましたが、二枚目をあけていただいたら、真っ黒であります。三枚目もあけていただいたら、真っ黒であります。真っ黒にして出されると、やはり、何が書いてあるんだろう、そういうことになるわけですが、当然だと思いますけれども、この件で、実は内部告発が私たち日本共産党の国会議員団に寄せられました。
内部告発は、十一月二十七日の朝日新聞朝刊に身辺調査の記事が掲載され、その件について情報を提供いたしますとありました。十一月二十七日の朝日新聞朝刊には、秘密を扱う国家公務員六万四千人、同意なく身辺調査、配偶者も調査か、このような見出しが立っておりました。
私たちが内部告発で手に入れましたのは、身上明細書という書類であります。告発者は、自衛隊においては、五年に一度、保全の適格性の確認ということでこの身上明細書というものを半強制的に書かされている、このように訴えております。
ここに、その届けられた身上明細書の内容を見ると、本人の氏名、本籍、学歴、職歴、配偶者や親族、同居人、知人の氏名、生年月日、国籍、勤務先、海外の旅行歴などで、国名、滞在期間、目的、負債、所属団体、アルコールを原因とする治療またはカウンセリングの有無、薬物乱用を原因とする治療またはカウンセリングの有無、精神面を原因とする治療またはカウンセリングの有無というものであります。
大体、記載が求められている調査項目というのは、先ほど答弁があった調査項目とほぼ同じなんですね、私が資料として提出している中身と。
防衛省は、自衛隊からの内部告発として届けられたんですが、適格性の確認として、自衛官の配偶者や親族、信用状態、薬物、アルコール、精神面に関する治療歴などのプライバシーを記載した書面の提出を求めているのですか。
○左藤大臣政務官 お答え申し上げます。
今、防衛省においては、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針、これは御存じのとおりに、平成十九年の八月九日に決定されておりますが、これに基づいて、秘密取扱者適格性確認制度について必要な事項を定め、実施をしております。
御指摘の件については、防衛省においては、具体的運用にかかわることでございますので、今後の防衛省・自衛隊の情報保全に支障を及ぼすと思われますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思っております。
○赤嶺委員 調査はやっている、答えは控えさせていただきたいということなんですけれども、この内部告発で来た身上明細書というものは、特に重大だと思いましたのは、所属団体についての申告を求めているんです。
所属団体の例示として、クラブ、連盟、運動、宗教、趣味が列挙されております。宗教団体への所属は憲法が保障する信教の自由に直接かかわってくるわけですが、この身上明細書の書き方の説明書というのがまた別に来ているんですよ。
この説明書によりますと、そこでは、所属団体の記載については、政治、経済等の団体及び出身学校関係の親睦団体から、スポーツクラブその他のあらゆるものについて、現在、過去を問わず記入する、このようにされております。
つまり、所属団体とは、政治、宗教に関する所属団体を申告しろということであるわけですね。これは事実上の思想調査に当たるのではないかと思いますが、いかがですか。
○左藤大臣政務官 今先生の御指摘のことでございますが、今御指摘の文書は、防衛省としては、対外的に明らかにした文書ではないことでございますので、その真贋を含め、当該文書についてはお答えすることは差し控えさせていただきたい。
そして、いろいろな、信条等々も含まれてございますけれども、我々は、秘密取扱者適格性確認制度について、必要な事項を定めて適切に実施をしておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○赤嶺委員 いや、必要な事項を定めて適切に調査をしているということなんでしょうけれども、その中に、宗教や、どういう政党に所属しているまで書くようになっている。こういうことは一切やっていないんだ、このように断言できますか。
○左藤大臣政務官 まことにもって申しわけございませんが、そういう具体的な運用にかかわることでございますので、お答えは差し控えさせていただきたい。
当然のことながら、憲法で保障された思想、信条の自由、法のもとの平等の原則等を踏まえて、防衛省としては制度の運用を行っております。
○赤嶺委員 では、このような政党や宗教の団体への所属を質問するような項目はないと断言できますね。
○左藤大臣政務官 何度も申しわけございませんが、そういうことについては、含めて、いろいろの問題がございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 答えられないという答弁を求めるために政務官を呼んだわけではないんですが、押し問答になってまいりましたけれども、こういう機会ですから、この身上明細書の説明書では、親族の欄について、記入に際しては本人に問い合わせて確認してはならないが、努めて内容を記入する、このようになっているんですね。
それで、大体、防衛省、お持ちじゃないですか、そういう書き方記入例ですね。
身上明細書の親族の欄は、氏名、生年月日、国籍、職業・勤務先あるいは学校名・学年、現住所の記載を求めております。これらを記入する際に、本人に問い合わせて確認してはならない、つまり本人に秘密で記載せよ、このようにしているわけです。本人に秘密で記載せよとしているものは親族だけに限りません。交友関係にも同じことが求められております。つまり、本人に秘密で、親族、友人、知人のプライバシーの記入も求めているわけですね。
自衛隊は、自衛隊員本人以外、配偶者や、この身上明細書の親族欄、交友関係に記載された人物について、本人に問い合わせてはいけないということですから、秘密で調査を行っているのではありませんか。
○左藤大臣政務官 先生の御質問はよくわかりますけれども、先ほどから同じような答弁で申しわけございませんが、それを明らかにすることにより、今後の防衛省・自衛隊の情報保全に支障を及ぼすおそれがございますので、まことに申しわけございませんが、お答えを控えさせていただきたいと思います。
○赤嶺委員 これは、実は、防衛省にとどまる問題でもないんです。
告発者は、この身上明細書の記載に基づいて身辺調査が行われ、また、身上明細書の記載が正しいかの身辺調査も行われている、このように書かれております。内部告発では、違憲、違法の思想調査や国民のプライバシーの調査まで行われているということが明らかでありますが、先ほど申し上げましたように、それが防衛省にとどまるのではなくて、全省庁で行われて、まあまあ政務官もうなずかれましたけれども、どこでもやっていることを防衛省がやっているというようなことが疑われるわけです。
カウンターインテリジェンス推進会議が先ほど資料として出しました二〇一〇年九月二日に承認した秘密取扱者適格性確認制度の実施に関するガイドラインには、先ほどの黒塗りのところの三枚目を見ていただきたいんですが、一番下の米印ですね。これが調査項目ですね。これに政党所属、宗教団体所属、あるんじゃないか、だから真っ黒じゃないかというものを持つわけですが、一番下の段の米印に、「各行政機関の判断により、調査内容の同一性を損なわない範囲内において、適宜修正して使用することができる。」と書いてあるんですよ。これは同一性を損なわないようにということになっているわけですね。
だから、ほかの省庁も、今まで私が指摘したものが、自衛隊のものと同じような身上調査、これがあるのではないかと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○能化政府参考人 秘密取扱者適格性確認制度における調査の具体的内容等につきましては、制度の具体的運用にかかわることでございまして、先ほど来申し上げておりますとおり、これを明らかにすることにより、政府の情報保全に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
一方で、適格性の確認に当たりましては、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針におきまして、国家公務員法第二十七条の平等取り扱い原則、すなわち、人種、信条、性別、社会的身分、門地または国家公務員法第三十八条第五号に規定する場合を除くのほか政治的意見もしくは政治的所属関係によって、差別されてはならない。こういった規定を遵守しなければならないこととされているところでございまして、各行政機関においては、この内容に従い適格性の確認を行っているものと認識しております。
○赤嶺委員 最後に官房長官に伺いますが、諸外国でも調査項目は全部大体明らかになっているんです。
それから、去年の有識者会議のつくられた報告書の中でも、むしろ調査項目を明らかにした方が国民からの信頼が得られやすい、このようになっているわけですね。やはり、黒く塗られたら、幾ら憲法に従って云々と言われても、見られたら本当はまずいことがあるんじゃないかというような、国民から隠しているわけですから。
ですから、官房長官、やはり今、内部告発された身上明細書、ここには先ほど言ったような事実上の思想調査というようなものまで入っております。
この調査は、官房長官がトップとなっているカウンターインテリジェンス推進会議が承認したガイドラインに基づいて、全省庁的に行われているのではないかという重大な問題であります。官房長官として調査すべきではないかと思いますが、いかがですか。
○菅国務大臣 現行の秘密取扱者適格性確認制度における調査は、職員の任用に関して、任命権者の権限の範囲内で実施しているものであり、このような現行制度において、調査事項を明らかにした場合、対抗措置を講じられるなど、政府の情報保全に支障を及ぼすおそれがあることから、これを明らかにすることは適当ではないと思いますし、憲法の法のもとの平等、思想、信条の自由の精神に基づいて、適正に運用をしているというふうに思っております。
○赤嶺委員 終わります。
しかし、これらの資料について、理事会でも引き続き提出を求めていきたいと思いますので、委員長の御配慮をお願いします。
○平井委員長 後刻、理事会にて協議します。
次に、杉田水脈君。
○杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。
きょう皆さんのお手元の方に、委員会の質疑者の名前が書いてある紙があると思いますが、そこにございますとおり、水脈と書いてミオと読みます。きょう皆さんに覚えていただければ大変うれしく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、ずっと仕事を持ちながら、結婚をして、そして出産をして、今も子育ての現役真っ最中です。きょうは、働く女性の、そして母親の先輩であります森大臣の胸をかりるつもりで質問をさせていただきたいと思います。どうぞ、大臣、よろしくお願いいたします。
さて、きょうは、時間が短いということで、少子化対策一本に質問を絞ってまいりました。まず大臣にお尋ねしたいのは、少子化対策という言葉を使うからには、対策を講じなければならないような現状に今があるということだと思います。
そこで、今どのような課題があって、今の日本がどのような状況にあるから対策をしないといけないのか、大臣の現状認識をお伺いしたいと思います。お願いいたします。
○森国務大臣 子育て現役ママの杉田水脈委員の質問に、子育て現役大臣としてお答えをしたいと思います。
少子化問題の現状でございますけれども、今の合計特殊出生率が一・三九。そのままずっと続いたと仮定をいたしますと、五十年後には十五歳から六十歳までの生産年齢人口が五〇%に落ち込んでしまうという推計がなされております。そうしますと、もちろん働く人口が減るわけですから、経済成長にも甚大な影響がございますし、社会保障の担い手も減るわけでございます。そういったことで、少子化問題がクローズアップされてまいりました。
ただ、私は、一人の母親として感じておりましたのは、経済や社会保障に甚大な影響があるから、少子化問題、対策を講じなければならないということで、やっとこの問題がクローズアップされてきたことについては苦々しい思いをしておりました。
子供というのは純粋にかわいいものですし、子育てによって親が成長をする、子供を取り巻く大人全員が元気をいただくという、そもそもの子育ての重要性、このことに対する社会的な認識が少しずつ薄らいでいた、そのことに対する女性たちの声なき悲鳴が、子供を産む人の数が少なくなっているということにあらわれてきているんだと思います。
とは申しても、経済や社会保障に甚大な影響を与えるという事実は目の前にあるわけでございます。そこに対してしっかりと今後対策を講じてまいりたいと思っております。
○杉田委員 ありがとうございます。
私も、議員になる前は、市役所の職員としまして、最後の五年間は、地域の子育て力アップだとか、実際におうちで子供を見ていらっしゃるお母さんたちをどのように支援すればいいのだとかいったような子育て支援に一生懸命取り組んでまいりましたので、根本にある思いは大臣と全く共有していると思います。
それでは次に参りますが、大臣、少子化対策、それでは、目指すところはどこなのか。我が国が一体どのような状態になれば少子化対策は成功して終わりになるのか、そのゴールを教えていただきたいのですが、よろしくお願いいたします。
○森国務大臣 合計特殊出生率が現在一・三九、これを頑張って二まで戻したといたしますと、そこから四十年後になってやっと人口の減少が下げどまり、一億を切るんですけれども、九千万人台で推移する、そこで下げどまるというふうに推計をされております。
ですので、私がまず目指しているのは、一・三九から限りなく二・〇にできるだけ早く近づけるということを目標にしております。
○杉田委員 ありがとうございます。
本日は、ちょっと資料を用意してまいりました。皆様、お手元の方にこういったグラフの資料、一枚目があるかと思います。これが合計特殊出生率の日本及び諸外国の推移なんですけれども、大臣は今、二とおっしゃいましたが、人口を維持するのに必要なのは二・〇七になります。ですから、人口をふやそうと思えば、この二・〇七を超えなければ人口がふえていかないということになります。
このグラフをごらんいただいておわかりいただけるのは、実はこの二・〇七を切ったのが一九七〇年代の半ばであるということなんです。この当時、まだ日本は高度成長期、行け行けどんどんの時代です。既にもう少子高齢化の兆しが出始めていた。けれども、誰もそのことを問題にしませんでした。そのうち、子供が今後減るんじゃないか、先ほど大臣が言われたみたいに、経済における国力が下がってしまって大変なことになるんじゃないかという問題意識を持ったのが平成二年。午前中の青山委員の説明にもございましたが、前年の出生率が昭和四十一年のひのえうまを下回った、いわゆるひのえうまショックが原因となりました。
私は、日本の少子化対策のスタートはここからだと認識しておりますが、森大臣の認識はいかがですか。
○森国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
ひのえうまショック、または平成元年の一・五七ショック、このころから社会的に認識をされ、国、政府におきましても施策が講じられてきたところでございます。
一九七〇年代のことをおっしゃいましたが、ちょうどやはり核家族が広まってきたところでございまして、その前は、農業社会型と申しますか、家庭内にも大家族で子供を見守る体制がありましたし、地域でも子供を見守る力がありました。これが核家族になって減退してきたことも一因だというふうに考えられます。
○杉田委員 ありがとうございました。
先ほどの再確認なんですけれども、ちょうど昨年の三月の内閣委員会の中で、野田聖子今の自民党の総務会長がおっしゃっていらっしゃいます。ちょうどこの当時の、平成二年のころに、少子化対策のためには合計出生率を上げていきましょう、一・五七からできれば二・〇七までに戻さなきゃいけないねということで、与野党で合意して、そして少子化対策が始まったというふうに発言をしていらっしゃいます。
もう一つの資料、二枚目の資料をごらんいただきたいんですけれども、その平成二年以降、さまざまな少子化対策が取り組まれてまいりました。
エンゼルプラン、そしてその後には、新エンゼルプラン、保育所を建てれば子供がふえるといった短絡的なものから、男女の働き方そのものを見直すといった内容までさまざまです。
しかし、どの施策も結果を出せていないということは、先ほどのグラフを見ていただいてもおわかりだと思います。
よく、このグラフの中にあります、実際に、大臣がおっしゃられた、二近くまでV字回復をしていっているような国がございますが、こういった国はなかなか日本ではまねのできないような施策をしております。
例えば、フランスやイギリスの出生率が上がっているのは、過去に植民地支配をしていた国から移民を受け入れた、それが一因ではないかというふうに言われております。
また、出生率の高い国は、総じて婚外子の割合が高くなっています。アメリカでは約三割、そしてフランスでは約五割、スウェーデンなどの北欧の諸国では約六割の子供がシングルマザーから生まれてきます。それだけの数の子供が、生まれたときにもう父親がいない状態なんです。
昨今は、できちゃった婚だとか、まあ、言い方は、授かり婚という言い方が最近はされているみたいですけれども、日本の男性は私は本当に責任があるんだなと思います、できちゃったら結婚するわけですから。
ただ単に出生率を上げたいがために、そういったフランスやスウェーデンなどのまねをするというのは、私は日本においては絶対になじまないというふうに思っています。
こういった日本の固有の歴史と伝統にのっとって、そして、すばらしい家族観を持った戦略というのを立てていくべきではないかというふうに考えておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○森国務大臣 私も杉田委員と認識を共有しております。
フランスやスウェーデンにおきましては、今御指摘のような、事実婚を含む結婚に関する多様な制度があると承知しておりますけれども、家族政策については、社会的、文化的な違いを考慮せずにそのまま施策を導入すればよいというものではなく、やはり、日本固有の伝統的または社会文化的なことを考慮した上で検討を行うことが重要であると考えております。
○杉田委員 きょう、このような質問をさせていただきましたのには理由がございます。
先の菅官房長官の所信の中では、少子化対策は重要施策の一つに位置づけられていましたが、森大臣の所信の中では、実は、子育て支援の施策はたくさん述べていらっしゃったんですけれども、少子化対策についてどのように取り組まれるかという施策の説明がなかったんです。
先ほどの、昨年の三月七日の内閣委員会の中で、野田聖子委員が次のようにおっしゃっています。少子化対策を子育て支援と読み切ってしまったから間違いがある、少子化対策と子育て支援は分けて考えていかなければいけないというふうにおっしゃっております。
私も、実は全くこの考えに同感でありまして、子育て支援は子育て支援でしっかりやっていく、そして、少子化対策は少子化対策で分けて考えていく必要があるのではないかと思っておりますが、大臣のお考えをお聞かせください。
○森国務大臣 杉田委員、私の所信表明の中で少子化問題についてはしっかりと言及をしております。
今読み上げますと、「少子化問題は深刻な状況にあり、待ったなしの課題です。待機児童の解消や地域の子育て支援など、結婚、妊娠、出産、育児の全てのステージで課題が山積しています。」などなど、続きますけれども、その後も述べられております。
少子化問題、子育てだけではなく、前の質疑にも答えましたけれども、結婚、妊娠、出産、育児、それぞれのステージの横軸、それから縦軸で、家庭内、地域内の力を充実していくということで、今、私のもとで検討をしているところでございます。頑張ってまいります。
○杉田委員 ありがとうございます。
そのような形で、子育て支援と少子化対策を分けて考えるということももちろんなんですけれども、私は、ずっと市民に一番近いところで子育て支援、少子化対策を担当していた考えから、余りにも少子化対策の取り組みというものが場当たり的で、そして、こういう課題が出てきたから対処する、また違った課題が出てきたから対処するというだけで、なかなか結果が出せないのがもう二十年以上続いているというところをもう一回注目してみたいと思うんです。
先ほど、質問の流れは、まずは現状認識について大臣にお尋ねをさせていただきました。その次に、ビジョンですね。あるべき姿、ゴールするのはどこだということについて質問をさせていただきました。その次に、どのような戦略があるかというのをお聞きいたしました。
これは、民間などでさまざまなプロジェクトを行う場合にする手順になります。まずは現状を徹底的に分析する。そして、あるべき姿、ゴールを掲げる。では、その現状をゴールに近づけるにはどのようにすればいいかということを考えて、戦略、ミッションをつくる。そしてPDCAサイクルを回していく。これをきちっとしていくことによって、本当に結果の出せる少子化対策が進んでいくのではないかと私は考えています。
今のビジョンのところに近づける二・〇七、本当だったら、少子化を覆そうと思えば二・〇七を超さなければいけないのですが、今の現状の中では、私は、もしかしたら、日本の合計出生率が二を超えるのはもう無理ではないかというのも一つの考え方かもしれません。とすれば、減っていく子供たちをしっかりと大切に育てていく、日本の未来を担う子供たちに重点を置いていく、少子化対策とは切り離して子育て支援を考えるということも重要だというふうに考えて、本日は質問をさせていただきました。
大臣の方からは、横軸と縦軸、大変にわかりやすい御説明をいただきました。今後も、この点について私もずっと注目して、また質問も新たにさせていただきたいと思います。
ちょっと時間は余ってしまいましたが、本日、私の質問は以上で終わりにさせていただきます。
皆様、どうもありがとうございました。
○平井委員長 次に、山之内毅君。
○山之内委員 日本維新の会の山之内毅と申します。
各大臣の所信に対する質疑をさせていただきたいと思います。皆様、よろしくお願いいたします。
まず初めに、質疑をするに当たり、私がなぜこの場に立っているのか、軽く自己紹介も含めて紹介させていただきます。
私の地元は鹿児島でございまして、職業は、鹿児島県姶良市に鎮座する蒲生八幡神社の神職でございます。神主でございます。代々神職の家系でございまして、大学を東京で過ごし、会社員として大阪で勤務し、七年前に地元鹿児島に帰り、今般、衆議院議員選挙を迎えるまで神職として奉仕してまいりました。ですので、三カ月前までは、一国民、極めて国民感覚に近い、地方と都市部を行き来した三十一歳の男と思っていただいて結構でございます。
都市部で学生、社会人生活を過ごし、地元に戻り、目に見えて疲弊している地方を目の当たりにしました。商店街の疲弊、過疎化、少子高齢化。鹿児島は、天文館という繁華街があるんですが、私の子供のころは、まだにぎわいを見せておりました。映画館もありました。当時より今は少し人通りも少なくなっており、盆、正月に帰省してきたときに、若い方々がそのにぎわいを見せる程度、そのような現状になっております。
また、皆様御存じのとおり、現状は失われた二十年と言われます。私が学生のころは、失われた十年と言われておりました。今は二十年となってしまいました。このままデフレ下の不況が続き、抜本的な改革ができなければ、失われた三十年、四十年となってしまう。私は三十一歳でございますので、人生の三分の二が失われている現状でございまして、二十を迎える若者は、今のところ、人生全ての期間が失われた中にあるわけです。そして、皆さん御存じのとおり、国の負債は一千兆円。これは我々若い世代が生涯向き合わなければならない現実でございます。
このままではいけない。鹿児島に限らず、地方、そして日本に近年元気がない。現状がよくないのは、正直、誰でもわかります。では、どうすれば鹿児島は、地方は、日本はよりよい方向に向くのか、根本の問題はどこにあるのか、このままの政治でいいのか。今のままではいけない、変えるためには実際行動するしかない、外野から口を出すのではなくて、文句があるなら変えるために行動をしなければならない、この思いがあってここにいます。
そして、我々日本維新の会は、地方発の政党でございまして、国と地方の役割を分担し、それぞれの潜在能力を引き出し、結果、日本という国をよりよい国にするとの方針のもと、立ち上がりました。つまり、地方がすべきことは地方、国がすべきことは国がする。その中で、国がすべきことの中にマクロ経済政策があると思っております。
そこで、本題に入らせていただきます。
皆様御存じのとおり、アベノミクスという造語があります。三本の矢に形容されて、金融政策、財政政策、そして成長戦略がございます。
皆様御存じのとおり、毛利元就公の三本の矢、この話は有名だと思います。一本の矢では折れる、二本でもだめ、三本なら折れない、大丈夫と。私も男三人兄弟で育ちましたので、三人仲よくしろと父からよく言われた記憶がございます。アベノミクスも同じだと思います。金融政策だけでもだめで、財政政策だけでもだめ、成長戦略が伴った三本の矢でなくては、一本一本の矢は折れてしまい、失敗に終わる。
その中で特に重要な矢は成長戦略であると思っております。また、それは規制改革を伴ったものでないといけない。改めて私が言うまでもなく、既に議論されており、皆様承知のところかと思います。
そこで、甘利大臣、改めてこの御認識、成長戦略の重要性の説明と決意表明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○甘利国務大臣 御指摘がありましたとおり、日本経済は十数年にわたるデフレからの脱却ができません。
そこでいろいろな対策を打ってみましたけれども、例えば、財政出動をやっている間は確かに効果がありますけれども、歳出が途切れたときにもとに戻ってしまう。言ってみれば、アクセルを一生懸命吹かしても、アクセルに足を乗せている間はともかくとして、ちょっと離して油断をすると速度が落ちる。要は、サイドブレーキを強力に引いたまま車が走っている状態だったわけであります。それがデフレだと思います。
サイドブレーキを解除して、アクセルを踏むことがきちんと駆動輪に伝わるようにしていくということが大事だということで、三本の矢で取り組んだわけであります。
一の矢、二の矢が放たれました。大事なことは、サイドブレーキを解除して、そして加速をつける。それが本来その車が持っている性能に結びついていく、それはつまり、民間活力、民間主導で経済が回っていく。つまり、国家主導、財政出動主導というやり方はそういつまでも続きませんから、言ってみれば種火のようなものでありまして、本体のまきに火をつける。まきが湿っていて火がつかない状態も過去にありました。今度は万全の体制をしいて、乾いたまきに仕立てて、それに火がつく。そうしますと、日本経済五百兆そのものが動き出す。
歳出の、しかも、その中でも、特に公共事業の規模で車を動かそうとしても、大きな推進力には結局なっていかないし、短時間しかもたない。日本経済そのものでこの国を回していくということが必要でありますし、民間の金融資産、千五百兆に及ぶそのものを、単に国債を買い支えるだけではなくて、経済を支える方向に、経済を活性化する方向に向かわせていく、それが成長戦略の基本的な原点だというふうに思っております。
○山之内委員 ありがとうございます。
続きまして、稲田大臣、規制改革の重要性の説明と決意表明の方をお願いいたします。
○稲田国務大臣 安倍内閣の成長戦略の中で規制改革は一丁目一番地であるというふうに認識をいたしております。安倍内閣の改革は、改革のための改革ではなくて、あるべき社会像を見詰め、そのための改革を進めていく、そして、守るべきものは守り、改革すべきものは大胆に改革をする、そういった真の改革を進めてまいりたいと思っております。
○山之内委員 ありがとうございます。
そもそも、このアベノミクス、そして成長戦略、規制改革というこの議論は、日本の経済を強くして、税収を上げることによって、プライマリーバランスを黒字化し、財政を健全化させ、日本の未来への責任を目標にしていると思います。
そこで、甘利大臣、このプライマリーバランスの黒字化までのプロセスを教えてください。よろしくお願いします。
○甘利国務大臣 アベノミクスの第二の矢というのは機動的な財政出動とあります。機動的というのは何かというと、縦横無尽というか、柔軟というか、変幻自在といいますか、いろいろな意味があるわけであります。その意味は、短期的には景気刺激、中長期的には財政再建という思いが込められているわけであります。金融緩和をしてデフレ脱却の環境を整えます。実体経済がついていくように、まず財政出動で景気刺激をいたします。
しかし、委員御心配のとおり、国費による景気刺激はそう長くは続きません。結局、今回の予算でも建設公債が五兆円を超える。それはそのまま借金になっていくわけでありますから、最初の勢いをつけるだけの話でありまして、それから、民間主導、民需主導の経済成長につなげていく。そういった中で、財政出動を、経済再生と財政再建を両立させる方に中長期はプランをつくっていかなければなりません。
そこで、かつて骨太方針というのがありましたけれども、中期的に歳出を効果的、効率的にして、抑えながら、一方で、成長戦略で歳入の増を図っていく。その中期的な見通しを立てる。その見通しと成長戦略のもとに、中長期的な、中長期試算ともいうべきものをつくっていくわけであります。
そういうプランの中で、二〇一五年には、二〇一〇年比でいうプライマリーバランスの赤字幅を半減にしていく。そして、その五年後の二〇二〇年には黒字に何とか持っていきたい。かなり厳しい道筋であることはよく承知をいたしております。これは民主党政権のもとでも掲げられた目標でありますし、それは我々もしっかり受け継いで、最大限の努力をしてこれに向かっていきたいというふうに思っております。
○山之内委員 今、大臣御発言あったとおり、極めて厳しいものだ、そう簡単にはいかないものだ、私もそう認識しております。
ここに、手元に、私だけでございますけれども、平成二十五年二月二十八日、内閣府の国、地方のプライマリーバランス等の推移の表がございます。二〇〇一年プライマリーバランスは二十一・三兆円赤字、二〇〇三年は二十八、赤字ですね。それから、小泉内閣の際に、二〇〇七年、五・五兆円まで何とか削減できた。ただ、その後が、リーマン・ショック等、また東日本大震災等ありました。また戻ってしまったという現状だと思います。
私も、当時担当されていた竹中平蔵大臣、この方がお話しするところによると、当時、二〇〇一年度から十年間で何とかプライマリーバランスを黒字化する計画だったと聞いております。先ほど申し上げましたとおり、二〇〇三年では二十八兆円の赤字だったものが、実際、二〇〇七年では五・五兆まで縮小した。
このとき、竹中大臣は、名目GDP比〇・五%の規模の縮小なら、潜在的な成長率が一%前後あれば、何とか日本経済は耐えられるんじゃないだろうか、つまり、縮小していくだけでプライマリーバランスの黒字を目標とするのではなくて、やはり成長する中でプライマリーバランスが黒字にならなければならないという御認識だったと思います。
平成十八年の七月七日の、過去の、七年前の経済財政運営の基本方針では、二〇一一年度には国、地方のプライマリーバランスを確実に黒字化するとあるが、残念ながら、現実にはなっていない。それぐらい、なかなか簡単にいくものではない。日本国内の要因だけではなくて、海外の要因もあると思います。
そういった中で、プライマリーバランスの黒字というのは、やはり、成長戦略なくして達成することは、税収を上げて、また、規制改革をすることによって闊達な民間の活力を生かすことによってしか、なかなか実現できない課題だと思っております。
その中で、改めて、成長戦略ですが、安倍首相は、第二回産業競争力会議で、農業を成長分野と位置づけて、産業として重要だと認識されておられます。まさに、一部報道でも、本日、TPP参加表明をされる予定とお聞きしております。
改めて、農業の成長戦略について、また、内閣府のTPPによる経済効果の試算について教えていただければ助かります。甘利大臣、お願いいたします。
○甘利国務大臣 委員が冒頭御指摘になりましたように、確かに、二〇〇二年スタートで、二〇〇七年までは、かなりいいところまでPBの赤字幅が狭まってきました。このままいったら目標値に何とかなるんじゃないかと思ったところに起きたのがリーマン・ショックでありまして、いきなり、どんと、もとのもくあみになってしまいました。これは、日本の力だけではどうしようもなかったという点はあるわけであります。そこから、また一から仕切り直しで始まったわけであります。
そうしたところに、昨年、七―九の数字が極めて悪い数字が出ました。当時の民主党政権も、これはもう補正を組まないと底割れの危険性があるということの危機感を持ちました。それは、野党であった我々も同感でありました。そこに政権交代が入りまして、政権が続いていたとしても組まれていたであろう補正予算を我々が実際組んだわけでありまして、そこでまたPBの赤字幅を拡大させるということになってしまったわけであります。ここまで来た時点では、もう後に引けないという覚悟をする必要があろうかと思います。
御案内のとおり、成長戦略をするということは税収を上げることでありますけれども、同時に、もう一つの難題は、成長率と長期金利の競争みたいなものがあります。そういう中で、国債の信認を落とさないということが利払い費を抑えていく重要なポイントになるわけであります。ですから、政府としては、財政再建に対しての毅然たる姿勢は、より強固に示す必要があろうかと思います。一方でそういうことをやりながら、一方で、御指摘のような成長戦略を図っていく。
今委員御指摘の、農業の成長戦略ということについてもお話がありました。農水副大臣もお見えになっていますから、後で追加の答弁があろうかと思いますけれども、産業競争力会議の成長戦略におきましても、農業というのは、農業というと守るということが同義語みたいになっていますけれども、実は日本の農業というのは、農業イコール攻めるという方法だって十分あるはずだ。いろいろな地域の農家による、まさに精魂込めた生産物が、生産地よりも海外での販売が数倍の値段で売れているというのも事実でありますから、もっと自信を持って、それを伸ばしていく。
例えば、検疫をスムーズにさせる。これは通商交渉で取り組んでいく、政府間で取り組んでいく課題でありましょうし、いろいろな手続を迅速にするとか、あるいはブランディングをもっと徹底していくとか、いろいろな方法があろうかと思います。
そこで、産業競争力会議においては、農業も、守る部分はもちろんありますけれども、攻める部分もたくさんあって、これは成長戦略の一つであるというふうに位置づけている次第でございます。
○山之内委員 ありがとうございます。
私も、攻める農業、これなくして成長はないと思っております。農業というのは、国の根幹であり、極めて重要な産業ではございますが、残念ながら、一番近代化がおくれている産業であるとも思っております。
私の地元は鹿児島でございますので、当然、農業王国でございます。このままの農業政策、従来の農業政策でもつのであれば、変える必要がないのであれば、私もわざわざ議題に上げないんですけれども、このままではさらに衰退することは容易に推測されると思います。
というのは、私も地元ですが、特に農業に従事されている方々、御高齢です。平均は六十六歳と言われておりますが、私の感覚、また専門家の方々も言われると、もう六十六以上じゃないか、専業されている方々も七十、それ以上じゃないかと言われる御認識もあられます。
私も、地元の方々、年配の方々、おじいちゃん、おばあちゃん、そういった方々にお話をしに行きました。皆さん、どうして農業を続けているのか。正直、採算はそんなに合わない、むしろ赤字の場合もある。何で続けているのかというと、やはり、自分たちが米を育てなくなったら誰がやるんだ、日本で米を食べられなくなる、そういった、ある意味義務感、そういった観念も持たれてされている方も多くいらっしゃいます。
その中で、その方々に足りないもの、残念ながら、やはり年配の方々には酷だと思います、経営能力と営業能力だと思います。例えば、高齢の方に大消費地である都市部に直接売りに行けといっても、それは厳しいことですし、経営をしろといっても、農業一本で来られた方はなかなか厳しい。その中で、やはり新しい仕組み、経営能力、営業能力、そして何よりも、こういった年配の方々によって、農業をつくる、農作物をつくるのは一朝一夕ではできませんので、これは技術と労力が要ります、その下に若い方々を入れていく。こういった一つのパッケージ、仕組みができれば、まだまだ農業は復活できると思っております。
本日は、所轄外でわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます。江藤農林水産副大臣へ御質問いたします。
今後の農業、そして、甘利大臣もおっしゃられました成長戦略についての御所見をお聞かせいただければ助かります。
○江藤副大臣 委員の質問をいただきまして、大変感銘を受けました。非常に現場に即した御意見をいただきまして、ありがとうございます。
ただ、若干私の認識と違っている部分があります。私は宮崎、隣なんですけれども、非常に担い手は多いんですよ。確かに、高齢者の方々が、中山間地域は特に、この棚田を誰が守るんだという意識を持って営農を続けていらっしゃっている方もおられる。では、本当に近代化がおくれているのかというと、決して私はそうではない部分は確かにあると思います。
例えば、化石燃料の高騰がずっと続いてまいりました。これまでは化石燃料をたいてハウスの暖房をしていましたけれども、これからは、電力も上がっていますけれども、ヒートポンプに切りかえる。そのための補助事業も、これは民主党政権でもやっていただきましたけれども、今度の補正予算それから当初予算では、大幅にこれをアップしました。
それから、ハウスの建てかえ。二十ミリのハウス、鹿児島にもたくさんあると思いますけれども、こういったものも、やはりちゃんと我々がちょっと手を差し伸べればやっていける、いわゆる地域の担い手というのは、私は実はたくさんいるんだろうと思います。その人たちの気持ちを折らないことが大事だと思います。
そして、委員が御指摘をされましたマーケティングであるとか、需要と供給のマッチング、これはとても大切なことです。そして、総理も、この農林水産業がいわゆる成長の一つの大きな芽である、そして、地域の棚田、地域の美しい風景を守っていくんだ、その地域で頑張っている人たちを支えていくんだということを言っておられるわけでありますから、今、甘利大臣からは位置づけについてお話がありましたけれども、我々農林水産省は、これを具体的に政策に落としていかなきゃいけない責任があります。
少し長くなって恐縮ですけれども、私は、基盤の整備はやはりしていかなきゃいかぬと思うんですよ。
北海道に行ってきました。大雨が降る、全部流れてしまった。だけれども、隣の人の畑はもう基盤整備は終わっている、雨が降っても全然収量は落ちなかった、基盤整備さえしてもらっていれば、こんなひどい目に遭わなかったのにと。ですから、農業土木について御批判的な声があるのはわかります。しかし、担い手が育っていくような、成長戦略に結びついていくような、そういうような農業土木政策は必要だと思います。
そして、六次化の法案もありますし、それから、ファンド法という新しい農業の形も動き出しました。あとは流通。魚なんかでいえば、浜値が一で、そして、スーパーに並んだら四倍の値段になってしまう。この流通に我々政治ができるだけ手をかせないか。いろいろなお知恵があると思いますので、また委員の建設的な御意見をいただければありがたいと思います。
○山之内委員 ありがとうございます。
続きまして、稲田大臣、先ほど大熊委員からもあられましたが、所信のこの表の中には、規制改革の重点分野として農業は入っておりませんでした。一方で、規制改革会議における検討項目、こちらの方の創業等WG、ワーキンググループ、こちらの中の四番目の、十項目のうちの十番目、「産業としての農業の競争力の強化」というのがあると思います。
こちらについて、どのように規制を改革して農業の競争力の強化をしていくのか、その御所見をお聞かせいただけますでしょうか。
○稲田国務大臣 農業の改革については、TPPに入ろうが入るまいが、私も必要であると思っております。そして、規制改革会議は有識者で構成されている会議でございます。そして、総理からは、健康・医療、エネルギー・環境、雇用という三点の重点分野を指示されておりますが、それに加えて、今委員から御指摘の創業というワーキンググループもつくりまして、その中に、産業としての農業の競争力の強化というのも入っております。
ただ、農業の改革は非常に幅広い議論が必要だと思います。産業競争力会議において幅広い大きな議論をしていただいて、その中で規制の関係する分野があれば、規制改革会議においても検討する、そういう整理になっております。
○山之内委員 また、現状の農政、特に活性化策としては、リーダーの育成に注視し、異業種への派遣、海外市場への進出を図るべきだと私も思っております。今、稲田大臣がおっしゃられたとおり、TPPにかかわらず、農政というのは改革、強くしなければいけない。特に、海外への進出は重要な課題だと思っております。
その中で、二十五年度予算、農林水産物の輸出対策予算は約六十九億円と、予算総額の中の数%にすぎない現状でございます。その中で、やはり今、甘利大臣、稲田大臣、そして、わざわざお越しになられました江藤副大臣初め、横串により、省庁の縦割りの弊害なく戦略をとっていただきたいと思っております。これは極めて重要なことであると私は認識しております。
また、一つの事例がございます。
例えば、オランダのフードバレーというのがあると私は伺っております。オランダでは、半径三十キロの範囲に千四百四十二社の企業が研究所、生産拠点を持ち、一万五千人以上の研究者が活動しておるという産業としての農業の効率化の成功事例もあり、地方活性化の一つの施策だと言われております。
この農業を一例に本日はとらせていただきましたが、こちら産業競争力会議、規制改革会議とが表裏一体となって経済政策をして初めて効果が出てくると思っております。この二つを含む全てを連携して対応しなければ意味がなく、成長なくして先ほど申し上げましたプライマリーバランスの黒字化はあり得なく、そして、一番問われることは、実行に移すことであると思っております。
日本は、第二次世界大戦後、プライマリーバランス、名目GDP比二〇〇パーを超え、貨幣価値はなくなり、国土は焼け野原になった現状でございます。その中にあっても、子や孫に貧しい思いをさせまいとした先人のおかげで今の日本があると思っております。時代背景は違っても、今の日本にもその精神、志が必要なのは言うまでもないと思っております。
安倍総理も、第一次安倍内閣の際、著書「美しい国へ」の中で、日本の歴史、文化はタペストリー、織物だとおっしゃられておりました。縦軸を紡いできたからこそ今がある。今こそ、オール・ジャパンで、農業を含め成長戦略を打ち出し、残すべきものは残し、変えるべきものは変え、日本を再生させ、未来の子供たちのためにも御尽力いただくことを望みます。そして、私も、一野党国会議員として、若い世代の代弁者として全力を尽くすことをここに誓いまして、初めての質疑を終了いたします。
ありがとうございました。
○平井委員長 次に、村上史好君。
○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。
きょう、長時間の質疑となっております。最後の質疑者でございますので、最後までよろしくお願い申し上げたいと思います。
まず、森大臣に、子育て支援、特に幼児教育の無償化についてお尋ねをしたいと思います。
実は私、民主党の与党時代に幼児教育の無償化を提案したことがあります。残念ながら採用されませんでしたけれども、今回、自民党さんが選挙公約として幼児教育の無償化を挙げられたということで、一定の理解はしているつもりでございます。
ただ、私が大臣にお聞きしたいのは、いつそれをやろうとされているのか、またその財源はどこにあるのか、そのことをまずお尋ねしたいと思います。
○森国務大臣 幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な時期でございますので、この時期に質の高い幼児教育を保障することは極めて重要と考えておりますので、委員が御提案をしてくださった経緯も含めて感謝を申し上げます。
自公民の三党合意に基づく子ども・子育て三法が成立した折の附帯決議にも、この幼児教育の無償化については検討を進めることというふうに記載をされているところでもございます。それも踏まえまして、我が党においては公約に書き込ませていただいておりますが、この幼児教育の無償化については、今御指摘のあった、いつ、またその対象年齢、また金額等も含めて、関係府省それから与党とのもとで検討の場を設けるべく準備を進めているところでございます。
○村上(史)委員 そういう御答弁ではなかなか納得できないんですけれども、少なくとも政権公約として選挙を戦われて、それを見て投票された方もいらっしゃると思うんですね。やはり、与党となられたわけですから、当然、スケジュール感、今後、衆議院で四年間の任期の中で、来年の二十六年度にするとか、そういう具体的なことをお示しいただかないと、有権者としては納得いきかねるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○森国務大臣 子供の政策につきまして、民主党政権下で子ども手当がございました。私、正直に、そのときには、子供に焦点を当ててくださったこと、大変評価をしておりました。
ただ、民主党の当時の公約に、金額が三十一万二千円、年額一人当たり三十一万二千円の子ども手当を支給しますということで、それから時期もはっきり書かれておりました。そして、その財源についても、埋蔵金等で十六・八兆円が確保されるというふうに書いてありました。大変明確化してありましたマニフェストで、国民は大変期待をしたと思います。ただ、なかなかそれが実現に至らなかったということで、残念だったと思います。
自民党は公約に、幼児教育の無償化については検討してまいりますと書きました。そして、総理の所信表明の中でも、財源の確保を含めて、これから検討しますというふうに言いました。財源の確保は大変難しい問題ではあると思いますけれども、与党連絡協議会を今月中また来月には開催をいたしまして、その場で早急に決めてまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 今の御答弁の中で理解できる部分もあります。しかし、例えば文部科学省で試算を出していると思うんですね。およそ七千九百億円という予算規模になろうかと思います。この予算をどうつくっていくかというのは、まさに与党の責任だと思います。
そういう面で、今からそれは全てを約束はできないかもしれないけれども、二十六年度、二十七年度には実施をしますよというメッセージは必要ではないか。安倍総理も選挙中に、財源はあるんです、民主党のようなばらまきではないんですということを強調しておられたわけで、それはやはり総理の、当時の総裁としての責任だと思いますし、内閣をつくられた安倍政権としてもそれはきっちりと守っていく、そのことを明確にお示しをいただきたいと思います。
○森国務大臣 文部科学省の試算の御指摘がございました。
平成二十一年の五月に、同省で、仮に、幼稚園、保育園を通じ、三歳から五歳の全ての子供にかかる入園料及び保育料の平均的な金額について無償化した場合という条件をつけて、国と地方公共団体合わせて約七千九百億円と推計をされております。
それを一遍にやるかどうかも含めまして、また時期も含めまして、これは公約でありますので、与党と政府の連絡協議会の中で早急にお示ししてまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 あわせてお聞きしたいのですけれども、高校の無償化、民主党政権で実現をいたしました。そのときに当時の野党の皆さんは、ばらまきだということで、所得制限をかけられました。今回、同じように、この幼児教育の無償化に対しても所得制限をかけるのかどうか、その辺、大臣の御見解をお願いいたします。
○森国務大臣 高校の無償化と比較いたしまして、幼児教育の場合には、親御さんたちが年齢が若いわけでございますので、その所得も比較的低くなる、そういう事情もあると思います。
そのようなさまざまな事情を勘案しながら、この与党・政府連絡協議会の中でしっかりと議論をして、所得制限を設けるかどうかも含めて検討を進めてまいります。
○村上(史)委員 それと、対象年齢、先ほどちらっとおっしゃいましたけれども、基本的には三歳から五歳を基本にされているということです。それも、幼児教育という側面ではわかります。
ただ、自民党さんは、妊娠から子育て、学校教育まで、きちっと政策を打っていくんだということになりますと、いわゆるゼロ歳から二歳児の世代に対する支援というものはどういうふうに考えておられるのか、最後にお聞きしたいと思います。
○森国務大臣 ゼロ歳から二歳児までの支援もあわせてしっかり行っていきたいと思いますが、三党合意でつくられました子ども・子育て三法に基づく新制度が二十七年度からスタートいたしますけれども、その新制度の詳細な内容を決める子ども・子育て会議が四月からスタートいたします。その中で、主にゼロ歳から二歳までの保育園の待機児童を含めたさまざまな問題について議論されるというふうに思っております。
また、ゼロ歳から二歳、または三歳ぐらいまでは、御家庭で見ておられる方の割合が七割ぐらいあるというような統計も私伺ったことがございますので、そういったことも勘案しながら、全ての子育て家庭に支援を申し上げていくというような検討をしてまいりたいと思います。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
より具体的に、また少しでも早く公約を実現していただきますように、よろしくお願いをしたいと思います。
森大臣、どうぞ、お引き取りいただいて結構でございます。
それでは、引き続きまして、行政改革並びに公務員制度改革について、稲田大臣に御質問をさせていただきたいと思います。
先ほど来、この課題については、何度も質疑がございました。極力重ならないようにとは思っておりますけれども、どうしても重複する部分もあります。それはお許しをいただきたいと思います。
この行政改革、公務員制度改革は、政権がかわれども、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、政治家の、また行政側として当然に取り組まなければならない大きな課題であるということ、これは共通していると思います。また、その中身についても、この数年ずっと積み上げられてきたことは事実だと思います。
そういう事実はありますけれども、結局、何が求められるかということは、本気度だと思います。その政権が本当に行政改革をやり遂げるのか、公務員制度を改革するのか、それをみずからの政権の中で実現をするんだという、その本気度だと思います。きょうは、その本気度について二、三、質問をさせていただきたいなというふうに思います。
それでは、安倍政権のこれからの改革の取り組み、スケジュール感も含めてお話しいただけませんか。
○稲田国務大臣 今委員が御指摘になった本気度、私もまさしくそのとおりだと思います。また、先ほど後藤委員から、もう党派は関係ないんだ、自民党も民主党も関係ないんだと。私はまさしくそのとおりだと思います。
そして、やはりこの行政改革というのは、国の形、そして国と地方、そして官と民という非常に将来像を見据えた改革であって、私は、本当にこの行政改革というのは重大なものだと思っております。
では、安倍内閣ではどういう改革のスケジュール感でいくのかという質問でございますが、行政改革を政府一体となって総合的かつ積極的に推進することを目的として、全閣僚から成る行政改革推進本部を設置し、そのもとに、内閣総理大臣を議長とする行政改革推進会議を立ち上げたところでございます。党本部や会議での検討を通じて、今後、国、地方、民間の役割や業務の見直しなど、幅広いテーマに取り組んでいくことになるかと思います。
当面は、無駄の撲滅、特別会計改革、独立行政法人改革を中心に一つ一つ丁寧に検証して、国家国民のためになる真の改革になるよう、本気で取り組んでまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 そういうお話は大臣所信でもちゃんと書いてありますので、そういう御答弁ではなくて、例えば、無駄の撲滅、独立行政法人改革、特会の改革、こういう三つの大きな柱を挙げられております。個別具体的にどういうふうに取り組んでいくんだということをお聞きしたいんですけれども、聞くところによると、無駄の撲滅をまず優先してやりたいというふうに聞いております。具体的にどういう方法をお持ちでしょうか。
○稲田国務大臣 まず無駄の撲滅というよりも、三つとも私は重要だと思っておりますが、行政事業レビュー、これは民主党政権下でやられていたことでありますけれども、私は、大変よい取り組みだと思います。行政事業レビューは、各府省が自律的に五千の事業をレビューして無駄の排除を進める取り組みでございます。
今、行政改革推進会議では、私から、各府省における自律的な取り組みのあり方、また、行政事業レビューシートの作成、公表のあり方、外部有識者が参加した公開の場における事業の点検のあり方、行政改革推進会議等による関与のあり方といった検討の視点を提示し、御議論をいただいているところでございます。
同会議では、外部チェックはめり張りをつけた効率的なものにすべき、また、無駄の削減だけでなく事業の内容を改善するという視点でのチェック、議論も重要であるという意見をいただいております。
また、三月八日の経済財政諮問会議において、行政事業レビューの検討状況の報告を行い、安倍総理から、効果的な進め方の検討について指示を受けております。できるだけ早期に今後の実施方法について取りまとめを行い、新年度から実施をしてまいりたいと思っております。
また、独立行政法人改革については、先ほど、後藤委員とかなりやりとりをいたしたところでございます。
また、特別会計改革についても、自民党政権下からずっと、行政改革推進法、そして特別会計法にのっとって改革を進めているところであり、今、民主党政権で行われたところの検証、総括も含め、改革に取り組んでまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 行政事業レビューを今後加速される、民主党時代のいわゆる事業仕分けの手法も使って無駄を洗い直していくということだと思うんですけれども、それをどういう形で予算に生かしていくのか、来年度の予算に生かすためにこの行政事業レビューを使おうとされているのか、それをお聞きしたいと思います。
○稲田国務大臣 行政事業レビューは、もちろん、各府省が自律的にその事業をレビューして、それを来年度の概算要求、そして予算に生かしていく取り組みだと思っております。
○村上(史)委員 ということは、概算要求の八月ぐらいをめどに、いわゆる事業の見直しをして、そして財源を生み出していく、新たな無駄を削減していくというふうに理解していいですか。
○稲田国務大臣 行政事業レビューの目的は、一つは事業の改善ということもありますし、もう一つは、今委員が御指摘になったように、概算要求までに全ての行政事業レビューを行って、それを次年度の概算要求、そして予算に反映をさせていくということでございます。
○村上(史)委員 その成果をまた確認させていただきたいと思います。
個別のお話をさせていただきたいと思います。
これも自民党さん、そして公明党さんとの政権合意の一項目になっておりますけれども、国、地方で総人件費二兆円をカットする、これは自民党さんの選挙公約にも入っております。具体的にどういう形でこの二兆円をカットするのか、大臣の見解をお尋ねいたします。
○稲田国務大臣 政府としては、国家公務員の人件費について、従来から、国の業務のスリム化、人事院勧告に基づく給与改定等により縮減をしております。また、自民党の提案により、公明党や民主党との三党合意に基づき、我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対応する必要性に鑑みた臨時異例の措置として、平成二十六年三月までの二年間、平均七・八%の給与減額措置を実施しているところでございます。
地方公務員給与についても、臨時給与特例法において、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応されるものとすると規定されており、平成二十五年度における地方公務員給与について、国家公務員の給与減額支給措置を踏まえ、速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう協力をお願いしているところでございます。
引き続き、公務員等の総人件費の抑制について、将来の国家像を見据えつつ、人材確保や組織としての活力の維持など、諸課題を念頭に置きながら取り組んでまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 今、国家公務員の皆さんに七・八%削減していただいているというのは、まさに復興財源として、これは特例的にしたことでありまして、いわゆる給与体系に根本的にメスを入れたという話ではないんです。本来のいわゆる公務員制度改革を含めて、もっと抜本的なことをしなければいけない。後ほど申し上げますけれども、それをやろうと思えば、労働基本権、協約締結権を付与しないといけないという問題にどうしてもぶち当たるわけですよ。そのことを後ほどお聞きしたいと思います。
この公務員制度改革、先ほど来もおっしゃっていますので、スケジュール感もわかりました。もう同じことを聞いても仕方がないので、視点を変えて、平成二十二年に自民党さんとみんなの党さんがいわゆる議員立法として内閣委員会に提出をされて、審議をいたしました。当時、委員長も、内閣委員会の野党の筆頭理事として、その議論をお聞きになったと思います。あのとき自民党さんは、もうこれ以上のものはない、与党の法案よりもすぐれているんだということで、本当に強調をされて、自信を持って提案をされたと思います。その法案を下敷きに、今後、公務員制度改革の法案化に向けて取り組まれるおつもりがあるでしょうか。
○稲田国務大臣 今御指摘の、自民党、みんなの党が提出した法案は、民主党の鳩山内閣、仙谷大臣のときに出された法案に対する対案として提出をされたものでございます。もちろん、十二条の労働基本権については規定がなかったところでございます。
そういう意味から、あの基本法に書かれている幾つかの、人事院ですとか基本権、それから人事局、幹部の人事の問題など、さまざまな論点について、私は、検証し、総括をして、しっかりとしたものを提出していくべきだと考えております。
○村上(史)委員 与野党はかわれども、やはり自民党さんは同じだと思うんですよね。
当時、塩崎議員が、例えば協約締結権について、このように答弁をされておられます。それはもう基本法に書いてあるとおり、付与する職員の範囲の拡大ということでありますから、付与する人の拡大ですので、付与するという方向性で議論を進めていきます、こういう提案者としての答弁をいただいております。
稲田大臣、聞くところによりますと、人事院勧告に従って公務員の給与等を今後も決めていくというふうな発言も聞いておりますけれども、大臣御自身は、公務員に協約締結権を付与することに賛成でしょうか、反対でしょうか。
○稲田国務大臣 私が先ほど、人事院勧告に基本的に従うべきである、今の七・八%下げているのは従っていない、しかし、最高裁の基準には従っていますよね。それは、現時点で、憲法の保障している労働基本権が制約されている事態において人事院勧告に従うべきである、そういう趣旨で申し上げました。
また、先ほど、塩崎議員の答弁のお話がございましたが、当時、自民とみんなの党で提出した法案の中に、その労働基本権のことについては書き込まれていなかったわけでございます。また、塩崎先生も、委員の質問に答えておられる答弁の中で、協約締結権を付与するとは言い切っているわけではないんです、法律がということもおっしゃっているわけでございます。
現在、私が、今までの法案を総括して検証しているというのは、まさしくこの十二条の解釈をどうするのか、また、協約締結権を公務員に与えた場合にその費用と便益はどうなるのか、また国民の理解はどうなのか、それを総括的に検証しているところでございます。
○村上(史)委員 この労働三権の付与については、ILOの数回にわたる勧告があったわけですね。それを、まだ勧告を受け入れないままに今日に至ったということは、やはりこれは問題である。はっきりと結論をつけて、そして、私は、基本的には労使関係の中で労働条件を含めて給与は決まっていくべきだというふうに思っておりますので、今後の公務員制度改革の中で協約締結権について前向きに検討をしていただくように、私からの強い要望とさせていただきたいと思います。もう時間もございませんので、申しわけございませんけれども、要望という形で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
最後に、甘利大臣にお尋ねをいたします。もう時間の方も押し迫っております。一問だけ甘利大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
今の公務員制度改革あるいは行政改革、この議論をやりとりいたしまして、結局のところ、今何も決まっていないというのが現実であり、そしてスケジュール感も具体的な形でお示しをいただけない、こういう状況だと私は感じました。
国民に負担を求める前にやるべきことがあるだろう。それは、私たち国会の定数の是正もそうですけれども、国が身を切る政策、さまざまな改革を通して無駄を省いていき、そして、その無駄を省いた部分について、必要なところに、国民が求めるところに予算を振り向けていく、それが行政改革の根本的な精神だと思います。
そういう意味において、残念ながら、今のところ、その本気度という面では、感じられなかったというのが私の実感です。もちろん、やるという言葉はあります。しかし、具体的に何も今は出てこなかったという面において、やはり謙虚に反省をしていただきたい。
そして、そういう中で、甘利大臣は財政の健全化の担当でもあります。やはり税金の無駄を省いていくという面も財政の健全化にも大きく寄与する話です。まだそれが緒にもついていないという状況、そして一方で、ことしの十月には、来年の消費税増税を実施するかどうかを総理が判断される。その前提となる、さまざまな無駄遣いや、あるいはそういう取り組み、国民の皆さんに負担を求める前に身を切る政策を実行する、これは、国民としては、当たり前ではないかという感情を持つはずです。それに対して、大臣は、今の議論を通してどのようにお考えになったか、お尋ねをしたいと思います。
○甘利国務大臣 政権がスタートして、まだ二月と少しであります。稲田大臣、我が党の女性を代表するエースの一人でありますから、これから、行革につきましても、きっと委員が納得されるような成果を上げてくれることと確信をいたしております。
消費税を上げる際にはいろいろなことを考えなければなりません。委員御指摘のとおり、行政がコストパフォーマンスよく動いているか、大事な税金を使ってしっかりしたパフォーマンスを発揮しているか。それは、不断の努力で無駄の見直し、効率化の進展をしていかなければならない。御指摘のとおりでございます。
同時に、景気の状況をしっかりと見て、景気が好転していることというのが前提条件になっているわけでありますから、そこもしっかり、総理は判断をされる際には見きわめられるというふうに思っております。
同時に、消費税の引き上げというのは、財政の持続性、それから社会保障の持続性に極めて密接不可分の課題でございます。社会保障がしっかりと続いていくということが日本という国の将来への信頼感にもつながっていきますし、また、消費税の引き上げを通じて、財政の持続性ということも担保していくわけであります。また、それが日本国債の信認を担保していくという要素でもあります。
そうしたもろもろが絡んでいくこの判断につきましては、環境をしっかり整えて、誰もが納得できるような環境のもとに対応していく、そういう判断を総理は必ずされるというふうに思っております。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
もう時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○平井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十九分散会