衆議院

メインへスキップ



第4号 平成25年3月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十五年三月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 田中 良生君 理事 西川 公也君

   理事 平口  洋君 理事 若井 康彦君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    平沢 勝栄君

      福山  守君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      荒井  聰君    大西 健介君

      岡田 克也君    後藤 祐一君

      鷲尾英一郎君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣         山本 一太君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           甘利  明君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     島尻安伊子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房政府情報化統括責任者(政府CIO))  遠藤 紘一君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    草桶 左信君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  望月 達史君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 唐澤  剛君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     鷲尾英一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  鷲尾英一郎君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     津村 啓介君

    ―――――――――――――

三月二十二日

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(内閣提出第三号)

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)

 内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方公共団体情報システム機構法案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(内閣提出第三号)

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)

 内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方公共団体情報システム機構法案(内閣提出第七号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、内閣法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体情報システム機構法案の各案を一括して議題といたします。

 これより各案について順次趣旨の説明を聴取いたします。甘利国務大臣。

    ―――――――――――――

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利国務大臣 このたび、政府から提出をした行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、行政機関等の行政事務を処理する者が、個人番号及び法人番号の有する特定の個人及び法人等を識別する機能を活用し、並びに当該機能によって異なる分野の情報を照合し、これらが同一の者に関するものであるかどうかを確認することができる情報システムを運用して、効率的な情報の管理及び利用並びに他の行政事務を処理する者との間における迅速な情報の授受を行うことができるようにするとともに、これにより、これらの者に対し申請等の手続を行い、またはこれらの者から便益の提供を受ける国民が、手続の簡素化による負担の軽減、本人確認の簡易な手段その他の利便性の向上を得られるようにするために必要な事項を定めるものであります。

 次に、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、特定の個人を識別するための個人番号について定めております。

 市町村長は、住民票に住民票コードを記載したときは、速やかに、住民票コードを変換して得られる個人番号を指定し、その者に対し、当該個人番号を通知カードにより通知するものとしております。

 このほか、個人番号を利用することができる者及びその利用範囲を定めております。

 第二に、市町村長は、住民基本台帳に記録されている者に対し、その者の申請により、その者の氏名、住所、個人番号等が記載された個人番号カードを交付するものとしております。

 第三に、個人番号を利用して事務を処理する者の求めに応じ、情報提供ネットワークシステムを使用して、個人番号をその内容に含む個人情報たる特定個人情報を提供する場合など、一定の場合を除き、特定個人情報の提供を制限することとしております。

 第四に、内閣府に、特定個人情報の適正な取り扱いの確保に必要な指導及び助言等を行う特定個人情報保護委員会を設置することとし、その組織、業務等を定めることとしております。

 第五に、国税庁長官は、法人等に対して法人番号を指定するものとし、行政機関の長等は、他の行政機関の長等に対して法人番号を通知することにより、法人等に関する情報の提供を求めることとしております。

 そのほか、個人番号利用事務に従事していた者が、その業務に関して取り扱った個人の秘密事項が記録されたファイルを、正当な理由なく提供した場合等について、罰則を定めることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴い、三十六の関係法律の規定の整備等を行うため、所要の措置を定めるものであります。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

平井委員長 次に、山本国務大臣。

    ―――――――――――――

 内閣法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山本国務大臣 内閣法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、内閣官房における情報通信技術の活用に関する総合調整機能を強化するため内閣官房に特別職の国家公務員として内閣情報通信政策監を置くとともに、内閣情報通信政策監を高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の本部員に加える等の措置を講ずるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、内閣官房に特別職の国家公務員として内閣情報通信政策監を一人置くこととし、内閣情報通信政策監は、内閣官房長官及び内閣官房副長官を助け、命を受けて内閣官房の事務のうち情報通信技術の活用による国民の利便性の向上及び行政運営の改善に関するものを統理することとしております。

 第二に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の本部員に内閣情報通信政策監を加えるとともに、同本部の事務のうち、府省横断的な計画や施策の実施に関する指針の作成などに関する事務を内閣情報通信政策監に行わせることができるものとしております。

 第三に、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部の本部員たる内閣情報通信政策監は、第二で申し上げた事務を行う際に必要があるときは、本部長たる内閣総理大臣に意見を述べることができるものとし、また、内閣総理大臣は、本部の事務を総括する際に必要があるときは、内閣情報通信政策監に事務の実施状況などの報告を求めることができるものとしております。

 そのほか、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が地方公共団体から情報の提供その他の協力を求められたときの同本部の努力義務について定めることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

平井委員長 次に、新藤総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方公共団体情報システム機構法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

新藤国務大臣 地方公共団体情報システム機構法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、地方公共団体が共同して運営する組織として、住民基本台帳法、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による事務並びにその他の地方公共団体の情報システムに関する事務を地方公共団体にかわって行うこと等を目的とする地方公共団体情報システム機構を設立することとし、その組織、業務の範囲等に関する事項を定めるものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、設立につきましては、都道府県知事、市長及び町村長の全国的連合組織が設立委員を選任し、設立委員が機構の定款、事業計画及び予算を作成し、総務大臣の認可を申請するものとし、その出資者は地方公共団体に限ることとしております。

 第二に、組織につきましては、都道府県知事、市長、町村長の代表者及びこれと同数の学識経験者で構成する代表者会議を設置し、定款の変更、予算及び事業計画の作成等の重要事項を議決し、理事長及び監事を任命することとしております。また、外部の学識経験者で構成する審議機関として経営審議委員会を設置し、予算等に関する基本的事項について審議を行うとともに、必要に応じて、理事長に建議を行うことができることとしております。

 第三に、役員につきましては、理事長、副理事長、理事及び監事を置き、副理事長及び理事は、理事長が代表者会議の同意を得て任命することとしております。

 第四に、業務の範囲につきましては、住民基本台帳法、電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による事務を行うとともに、地方公共団体の情報システムに関する事務の受託、地方公共団体に対する地方公共団体の情報システムに関する情報の提供、助言その他の支援等を行うこととしております。

 第五に、同機構に対する国の関与につきましては、その設立及び定款の変更に際して総務大臣が認可を行うほか、この法律等に違反し、または違反するおそれがある場合には、総務大臣は報告徴収もしくは立入検査または違法行為等の是正要求を行うことができることとしております。

 そのほか、財団法人地方自治情報センターは、平成二十六年四月一日に解散するものとし、その権利及び義務につきましては、同機構が承継することとしております。また、同機構は、財団法人自治体衛星通信機構が指定認証機関として処理することとされている事務に係る権利及び義務について承継するとともに、これらの承継に伴い必要な措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

平井委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

平井委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房政府情報化統括責任者遠藤紘一君、消費者庁審議官草桶左信君、総務省自治行政局長望月達史君、厚生労働省政策統括官唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。

関委員 自由民主党の関芳弘でございます。

 きょうは、社会保障・税番号制度の導入に関しまして、一番バッターとして質問させていただくわけでございますが、私は、今回、この質問に立たせていただきます際に、やっとこれが国会で正式に法案として上がってきたな、よかったというのがまず第一印象でございます。大変な重要法案でございまして、こういうふうな内容のところまで詳細を今まで詰めてくださった多くの方々に本当に感謝を申し上げたいところでございます。

 ただ、いわゆる社会保障の税番号制度ですが、なぜこういうものを導入しないといけないのかとか、そういうことについては、実感としてわかっている人というのは実際には世の中では少ないのではないでしょうかと思う次第でございます。

 実は、私などは、こういうふうな番号制度については、実感としては、これは非常にすばらしい内容だ、合理化が図れるということを実感するわけなんです。

 それはどういうことかといいますと、私はもともと金融機関で働いておりました。ちょうど全国に四百ぐらい支店のある銀行だったわけですが、その銀行ではデータを管理するようなセクションの担当をしておったわけなんです。

 例えば、Aの支店で一番というお客様が新規で口座をつくりました。この一番というお客さんが、実は、大阪の支店でつくったのが、東京に転勤になりました。転勤でばたばたして忙しい。この忙しいときに、住所変更届を大阪の支店に出すのがなかなか面倒くさい。東京に移った。東京でまた手続をするときには、東京の新しい住所で、その一番という人は口座をつくった。

 このときに、大阪と東京でその人は口座をつくっているんですが、住所が違うところで、現住所ということで申し込んでいて、大阪の口座はそのまま残ったままになっている。このときに、銀行側とすれば、大阪でつくった一番という人と東京で口座を持っている一番という人が同一人物なのかどうかわからないんですね。名前は一緒、生年月日も一緒、働いている会社まで書いてくれていたら一緒。しかしながら、住所が違う。この人が同一人物かどうかというのは確認のしようが実はないんですね、申し込みだけからすれば。

 そのときにどうするかということなんですけれども、大阪に持っている口座はあなた本人ですかとなかなかこれも聞きにくいのは事実なんです。このときに、大阪で、もしカードローンとかつくっていて五十万円ぐらい借りていたときに、東京でもその人が、全然本人かどうかわからないとき五十万円借りたとすると、このようなカード制度は、五十万円を上限としていたときに、銀行側とすれば、その人に貸していいのかどうなのか。同一人物でなかったら貸せますけれども、同一人物だったら、五十万の倍になって枠を超えてしまうから、貸せないんですね。

 こういうふうなときに、その本人が同一人物かどうかを確認できることというのは、これがシステム上できるということは、物すごい合理化になります。わざわざ確認もしなくていい。そしてまた、これは一方、逆に言えば、その口座をつくった本人自身も、わざわざ住所変更届とかを銀行に出しに行かなくていいから、物すごく便利になって、それがシステム上、一気に解決してしまう。こんな合理化効果が図れるんですね。

 これは、一銀行の、一口座の非常に単純な内容で例を申し上げましたけれども、今、国、県、市が、またそれに関するいろいろな機関がばらばらで一個人のデータを持っていて、それが本人かどうか、なかなか突合が難しかったり、また加えて、税金の問題、国へのいろいろな諸届けの問題があるときに、家族まで、今、国、県、市は管理をしております。

 家族が東京に転勤した、おじいちゃん、おばあちゃんが亡くなった、親戚なのかどうなのか、どういうふうな関係なのか、それが全部、その数字、番号を持てば、同一人物で、どういうふうな関係があってというのが、一括で、全てが同時でわかるようになる。この確認作業とか、それに対する、国民自身がそれぞれ異動があったときなんかに出さないといけない負担というのは、物すごく大きいものがあると思うんです。

 銀行一つの口座でさえこれだけ大変なのに、変わった本人自身も書類を提出するのは大変だし、また、国、県、市自身の管理する方も大変だ。これは本当に大変な革命的な合理化が国家のシステムとすれば図れるというのが私の実感でございます。

 さて、そういうようなことを私は実感で思っているんですけれども、本当にこういうふうな実感をみんなでやはり共有していくことが大事だと思うんですけれども、まず、一番バッターとしての質問として、そういうふうな社会保障・税番号制度の導入を推進することの意義として、公式的にどういうふうに今捉えていらっしゃるかというのを政府の方に聞きたいと思います。

甘利国務大臣 今、私も伺っていて、非常にわかりやすい事例を引き出していただいてお話をいただきました。

 まさにそういうことに尽きるんだと思いますが、私なりの理解というのは、世の中がIT化、総務省に言わせるとICT化している、デジタル化している、そういう中のいわばインフラ、デジタル社会、ICT社会の中にあって、それを利用するあるいは構成する個人がアナログのままだったら、その社会の利便性を享受できないし、行政の方としても、デジタル化していく中でアナログのままの国民に対して情報提供もできない、互換性がなくなるわけであります。そういう社会のICT化の中で、それを構成する国民がその社会を享受できるようにするための基本的なことだというふうに思っております。

 複数の情報の突合が瞬時にできる、個人の特定が瞬時にできる。それを通じて、いろいろな行政のシステムを利用する方の利便性も上がりますし、行政側も極めて効率よく行政情報を提供できるということでありますから、必須の要件ではないかというふうに私なりに理解をいたしております。

関委員 もう本当に、大臣に今教えていただいたとおりだと思うんですね。

 こういうふうな効率化、そしてまたアナログの世界からの脱出を、この日本の、これほど高度成長化した情報技術を持った国家として早く構築していっていただいて、大阪から東京に移ったその口座を持っていた人が、銀行側としても、ああ、これがあの有名な平井たくやさんかという感じで、すぐに瞬時にわかるようなシステムが早くでき上がるようにお願いしたいと思う次第でございます。

 このような意義を今大臣に教えていただいた次第でございますけれども、この制度につきましては、国民の方々もいろいろな点でまだ不安があったり、疑問があったり、わかっていない点があったりすると思いますので、そのメリットとデメリットの部分について明確化を図って、それをしっかりと国民にも通知をし、デメリットの点は解決策を構築していく必要があると思います。

 まず、このメリットとデメリットにつきまして、どういう項目があるのかという点について御説明いただきたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 まさに関委員おっしゃられた、名寄せ、突合、これが税、社会保障の分野でできるということが一番のメリットでありまして、年金についても、過去、消えた年金などいろいろ課題がありましたけれども、今後は年金について名寄せができますので、仮に転勤しようと住所が変わろうと一人の人として特定できますので、こういった問題はもう起こらないということであります。

 一方で、申告のときなんかに、所得の申告漏れみたいなものも今後はなくなるということで、所得の把握の正確性が向上するわけでありますので、そういった意味で、税、社会保障分野において負担、分担の公平性がより一層担保できる、確保できるということが何よりのメリットだというふうに思います。

 さらに、今お話がありましたけれども、さまざまな手続において添付書類等も簡素化、削減されますし、それから、将来、マイポータルという形で自分の情報をそこで知ることもできますし、行政側からはきめ細かなサービス、お知らせのサービスもできるということで、国民の利便性が向上するということも大きなメリットだと思っております。それから、今お話のありました行政の効率化も図られるということであります。

 他方、デメリットは、さまざまな課題、懸念も示されておりまして、内閣府が実施した世論調査におきましても、やはり、個人情報の漏えい、プライバシー、あるいは不正利用されるんじゃないか、あるいは国家による個人情報の一元管理みたいなことがなされるんじゃないかという懸念も指摘されておりますので、こうした懸念に対して、制度面、システム面、両面から対応措置を講じるということにいたしております。

 具体的には、個人番号つきの個人情報は一元管理せずに、従来どおりそれぞれの機関で分散管理をするということ、それから利用範囲や情報連携の範囲を法律に規定いたしております。

 ちなみに、今、関委員が言われた銀行が利用することについては、現時点ではまだそこまで利用できない。まずは行政の税、社会保障、災害の分野で利用して、将来、そういった民間の利用についても、国民の理解を得ながら広げていこうということであります。まずは、限定的に利用範囲を法律で縛っております。

 それから、第三者委員会、三条委員会型の独立性を有する特定個人情報保護委員会が監視、監督を行う。

 こういったさまざまな対応を今回用意しておりまして、こうした国民の不安に対してもしっかりとお応えをしていきたいというふうに思います。

関委員 ありがとうございます。

 このメリット、デメリットでございますが、本当にこのメリット部分は非常に大きい点が、私も実感として、今までの私が十七年ほど勤めてまいりました金融機関におきましてさえ、それほどの効果が感じられるので、国家のような大変な、一億二千万もいる国家全員の情報というのが本当にきちんと管理されていくというのは、物すごく大きな合理化効果が獲得できると思います。

 そして、今、西村康稔副大臣がおっしゃったように、デメリット部分については十二分な体制でそれをカバーしていただくようにしていただきたいと思うんですが、例えば個人情報の漏えいとか国家の一元管理とかいろいろな点が言われておりますけれども、私自身が思いますのは、個人情報の漏えいなんという部分につきましては、今でも、紙ベースでもやろうと思えばできるんですね。

 だから、情報、データが一元管理されていなかったとしても、やろうと思えばできるし、新しい情報が複雑になれば抜け穴ができるんじゃないかと思ったとしても、それはやはりシステムとか管理体制の問題であって、今でもできるものがさらに悪くなるということではないと私は思っておりますので、その点の体制そしてシステム面の十分な構築をしていただけたらいいなと私は思う次第でございます。

 そして、次の質問に移ります。

 先ほど西村副大臣も少し述べていただきましたけれども、この番号制度、私はさっき銀行のことで例をとって申し上げた次第でございますけれども、どのような分野でいろいろ活用していけるのかなというのが、いろいろなところに知恵を出して活用していったら、今現状気づいていなかったことも今後新しく見つかっていって、こういうふうな分野もできるな、こういうふうな分野もできるなと。さらには、これがまた民間との共有なんかも、将来的には広げていったら、もう国家全体として効率的な、まあ言えばマンパワーで情報管理ができて、その浮いたマンパワーを新しい業務のところに戦略的に投入して、国家として強い国家がつくれていけるなと私は思う次第なんですけれども、どのような分野で今後利用できるのか、また、民間についての拡大についてはどのようなお考えなのか、お聞かせください。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 個人番号の利用範囲につきましては、まず一番目に、保険料納付や給付申請などの社会保障分野の事務、これが一番目。二番目に、国税、地方税の賦課徴収事務、税の分野です。三番目に、地方公共団体が条例で定める防災事務。この三つについて、国、地方の機関及びこれらの事務に係る申請を行う国民が、その事務に必要な限度で利用できるということになっております。

 具体的には、先ほど少し申し上げましたけれども、年金に関する相談、照会、こうした場合に個人番号を利用できる。あるいは、確定申告の場合など税務手続において個人番号の告知が求められたりもします。また、社会保障分野において、低所得者対策として、公営住宅の管理に関する事務とか、あるいは日本学生支援機構による奨学金の貸与、こうした事務についても利用できることとしております。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、この法案では、個人番号そのものを民間で独自に利用することは現段階では認められないということになっておりまして、今後、その利用範囲については、今、関委員御指摘のように、民間でも幅広く利用できるようにすべきだ、そのことが国民の利便性に資するという御意見がある一方で、プライバシー保護の面から幅広く利用することを懸念する御意見もありますので、当面、社会保障、税、防災対策という事務に限って利用範囲を限定しております。

 将来的なこの番号の利用範囲の拡大につきましては、附則の第六条一項に規定をしておりまして、法の施行後三年を目途として、検討を加えて、必要がある場合には、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講じるということにしておりますので、将来、ぜひ、国民の理解を得ながら、より利便性の向上、行政の効率化につながるように適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

関委員 今後民間のところまでどんどんと広げていく、そのときのデメリットになりそうな危険な部分のところにつきましては、これもシステム、いわゆる技術の革新によってうまくカバーがされていくというふうな形で、国家全体として、情報の有効活用、そして利便性の共有をしていく世の中をつくっていきたいなと私は思う次第でございます。

 さらに質問を続けさせていただきますが、よくよく新聞とかマスコミなんかでも、この社会保障・税番号制度の導入によりまして、いわゆる個人情報やプライバシーが侵害されるのではないかという問題が取り上げられます。ここのところがやはり、この法案に対してちょっとおっくうになる方なんかは一番のひっかかる部分だと思うんですね、心の中でも。

 そこのところにつきまして、侵害されないんだよというふうなところをしっかりと国民にこれからまた言っていく必要もあると思いますし、それなりのシステム対応、それから制度の構築が必要だと思うんですけれども、その点につきまして御説明をお願いいたします。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 まさにその点が、我々、十分に対応しなきゃいけない点だと認識をしておりまして、個人情報の漏えいや不正利用、あるいは国家による一元管理、こういった懸念があるということは十分に承知した上で、制度面、システム面の両面からしっかりと対応してまいりたいというふうに考えております。

 先ほども少し触れましたけれども、基本的に一元管理せず、情報についてはそれぞれの機関で分散管理をする。それから利用範囲も、当面は限定をして法律に明記をしておりまして、理解を得ながら適切に対応していくということでありますし、それから、独立性を有しておる三条委員会型の第三者機関を設置して、監視、監督をやっていく。それから、情報システムの適切なアクセスの制御とか通信の暗号化、こうしたものも活用しながら、さらには官民で不当行為を抑制するための罰則強化もしておりますので、こうした面でしっかりと対応して、国民の皆様の理解を得ながら、安心していただける制度としてまいりたいというふうに考えております。

関委員 システムというものにつきましては、なかなか完璧なものというのはつくりづらい点はありますものの、まずは、やはり犯罪を起こすこと自身が悪いわけであって、そういうことが起こらないようにしていかないといけないんですが、ここのところは、暗号化だとかシステムの二重化ですとか、いろいろなブロックの方法をとっていただいて、最新、最先端の技術で情報を守っていただきますように、ぜひよろしくお願いいたします。

 さらに、今の内容と少し関連もあるんですが、新聞とかいろいろな情報から受け取られるところでは、海外、特にアメリカや韓国の例が報じられておりますけれども、アメリカや韓国では、悪意を持って成り済ましという、いろいろな事件が起こっております。成り済ましによっていろいろな被害が発生して、社会問題になっているということも聞いているような状況なんです。

 これは、成り済ましによっていろいろ悪いことをしようとするケースが出てくるかとも思うんですが、ここら辺について、具体例として今どういうものを政府として把握されておられるか、教えてください。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 アメリカにおきましては、他人の社会保障番号、ソーシャルセキュリティー番号を利用いたしました年金の不正受給ですとか失業保険の受給、あるいは韓国におきましては、他人の住民登録番号を不正に入手しまして、海外からオンラインゲームに登録をしていた、そういうふうな事例がございます。

 両国におきましては、本人確認が番号のみで行われるというケースがあったこと、それから、番号に利用制限を設けていなかったことが成り済ましの事例の発生に影響したのではないかと考えておりまして、今回の番号法案におきましては、両国の教訓も生かしまして、こういう被害が発生しないように、まず、番号の利用範囲を法律に限定的に規定しております。それから、個人番号の利用に当たっては、番号のみではなく、個人番号カードなどで、写真つきのもので本人の確認を行うということとしております。

関委員 確かに、今お答えいただきました写真による本人確認、顔も本人だけの唯一のものでございますので、番号と顔、また番号の利用の範囲を制限するということについて、私は、かなり、本当に高度な、いわゆる不正がいろいろ発生しないようにできるようなことだと思います。今、金融機関なんかでも、キャッシュカードとかでも、本人の顔入りのキャッシュカードとかもいろいろでき上がっていますし、そういうふうないろいろな社会全体の今最先端の技術、またその考え方を今回投入されることと思いますが、かたいシステム、安全なシステムの構築にぜひ努めていただきたいと思うところでございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 今回、番号制度とか、いろいろ制度が重複というか、複数の内容が出ていたり、また、民主党政権のときに、法案の考え方がいろいろ出されたりしておりました。これも国民がよく頭の中で整理されていなくて、今回されるのは前の、当時新聞なんかで読ませてもらっていた内容と違うんですかとかいう質問も地元で聞いたりするんですが、政府が今回、今国会に提出した番号法案と、民主党政権のときに提出されましたマイナンバー法案の相違点につきまして、具体的に教えていただきたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 この番号法案につきましては、自民、公明、民主、三党の実務者による協議を踏まえまして、国民の視点に立って、よりわかりやすく、より安心、安全に、そして制度としてしっかりと機能する、行政の効率化にも資するように、自民、公明の実務者が主張した部分も追加修正の上、国会に提出をさせていただいたところでございます。

 具体的には、番号制度の基本理念、国の責務、地方公共団体の責務を法律に明記いたしました。また、市町村長が個人番号の通知を通知カードで行うことの規定を追加いたしまして、その通知カードと引きかえに個人番号カードの交付を受けるということにしております。あわせて、個人番号カードの交付を受けるまでの間は、免許証等の身分証明書と通知カードを両方提示することで本人確認と個人番号の確認が行えるように措置をいたしております。

 それから、先ほど来御懸念のありましたプライバシーに関することでありますけれども、特定個人情報の取り扱いの監視、監督等を行う第三者機関の名称を、特定個人情報保護委員会、これは第三十六条に規定をしておりますけれども、そうした上で、特定個人情報とともに管理される通常の個人情報の取り扱いに関しても指導、助言を行えるよう、委員会の権限を拡大いたしております。

 さらに、附則におきまして、この特定個人情報保護委員会の一層の権限の拡大、それから、本人確認措置に係る新たな認証技術の導入、将来、スマートフォンなどによって個人認証できるような、そうした技術の導入等についても検討規定を設けておりまして、マイポータルの設置及びその活用に関する必要な措置を実施するといった点についても追加修正をいたしております。

関委員 民主党政権のときから、少々、このようにいろいろな項目が追加されたり、また修正が入ったりしてはおりますものの、いわゆる社会保障と税の番号制度の導入によって、国家の、いわゆる個人の管理の仕方というか確認の仕方、そして国、県、市のいわば事務のあり方、それの合理化を図らないといけないという基本的な理念につきましては、これはもう政党関係なくみんなが一致していて、あとは、手法とか取り扱いの内容のところは異なるところはあったものの、追加修正するところはあったものの、やはり国家としてこれは導入すべきだという考え方というのは一致しているものと私は思います。ですので、今回、そのいい内容の点をみんなで出し合って、どんどんといい法案につくり上げて、ぜひこの法案を通して、重要法案として、いい国家をつくり上げていきたいと私も思う次第でございます。

 最後の質問をさせていただきます。

 私も先ほどから申し上げましたとおり、このような非常に大きな合理化の効果が、国家として、国、県、市として、全部で得られるわけでございますし、将来的には民間企業にも広がっていくということでございますけれども、これに対して、これほどの合理化が図れると見込まれる、そして不正な点が正されるといういい法案であるわけですが、では、どれだけの効果があるんですかということも地元の有権者の方からよく聞かれるところでございます。

 私も銀行におりましたときに、そういうふうな事務、システムのところの効率化をずっと何年もやっていたわけなんですが、このとき、例えば銀行でありますと、それぞれの一つ一つの事務を全部、その本部の担当セクションが支店とか事務センターの方に行って、一事務一事務、全てストップウオッチで秒単位ではかって、この事務は何秒、この事務は何秒、それで、例えばお客様から問い合わせがあったときなんかについて、それに対応するにはこの内容だったら何秒ぐらいかかる、この対応だったら何秒ぐらいかかるとかで、もう全事務が全て数値化されて管理がされておりまして、それに対する合理化の施策が打たれましたときには、この分をこれだけコンピューターシステム化して合理化を図るので、これだけのマンパワーが削減できて、年間にすればこれだけの益が出るというのを細かく管理しておったわけなんです。

 国家の事務につきましては、これは本当に大変に多岐にわたるので、大変な計算をしないと出ないと思いますが、非常に、そこら辺のところについては計算の仕方も難しいし、多岐にわたるので難しいところだと思うんですけれども、今、政府として、どれだけの費用対効果が出ていると試算されておりますか。今の現時点で把握している点を教えていただきたいと思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 この社会保障・税番号制度の導入に係る費用といたしまして、現時点で新たにシステム開発を要するものといたしまして、いわゆる番号をつけます付番システムとか、あるいは情報のやりとりをする情報提供ネットワークシステム等がございまして、合わせまして約三百五十億円を見込んでおります。

 それ以外に、個人番号や法人番号を取り扱う国、地方の機関、例えば地方公共団体ですとか日本年金機構ですとか、それらのものにおきまして、既存のシステムの整備が必要となってまいります。これらの費用につきましては、法案が通りましたら予算編成過程等で検討がなされると思っておりますが、現時点におきましては、総額、全て合わせますと二千億円から三千億円程度を見込んでおります。

 一方、効果の多くは定性的な効果でございまして、なかなか数値化が難しゅうございます。主に考えられますのは、所得把握の正確性が増すことによりまして、社会保障給付の負担の適正化、効率化が図られるでありますとか、国民の利便性の向上、行政効率化、ITを活用した産業の活性化等がございますが、複数の民間団体の行った試算によりますと、国民の利便性の向上とか行政の効率化だけで、いずれも導入費用を容易に回収できる経済効果が見込まれております。

 今般設置予定の内閣情報通信政策監にも協力いただきまして、番号制度のメリットをより多くの国民に提供していけるよう準備を進めてまいりたいと考えております。

関委員 ありがとうございました。これで質問を終わらせていただきます。

平井委員長 次に、高木宏壽君。

高木(宏)委員 おはようございます。自由民主党の高木宏壽でございます。新人でございます。

 私の名前のヒサという字は旧字体の寿でありまして、振り仮名が振ってなければまず正確に読んでいただけない、そして書けない。政治家向きの名前ではありません。国会に出てきても、紹介されるたびに何度も間違えられております。ヒロヒサでございますので、お見知りおきのほどよろしくお願いを申し上げます。

 この内閣委員会で初めて質問をさせていただきます。質問の機会をいただきましたことに感謝しております。

 このいわゆるマイナンバー法案、この名前が適切かどうかはいろいろ議論があるところでございますけれども、この制度に対する私の問題意識というのは、額に汗した人、本当に頑張った人、努力した人がしっかりと報われる社会にするためにはどうしたらいいか。税金を取りはぐれないこと、そして、社会保障を正しく、正確に給付する、より公正公平な社会保障制度、税制にするための制度になるのか。国民にとって真に役立つ番号制度になってほしいという観点から質問してまいりたいと思います。

 今回のこのいわゆるマイナンバー法案ですが、昨年二月、前民主党政権時代に国会に提出されましたが、国会解散によって、審議未了により廃案となったものであります。その後、仕切り直しの検討を行い、自公民三党合意を踏まえて、今回提出されたわけであります。

 思えば三十数年前、自民党の大平内閣のときにグリーンカード制度ということで提案されて、一旦は制度化されたわけですが、反対が多く、一九八五年に日の目を見ることなく廃止されたわけで、検討の歴史は本当に古いものがございます。

 平井委員長もこの問題には熱心に取り組まれてきたわけで、この間、国や自治体の業務を電子化して、国民の利便性の向上、そして行政の効率化を目指す電子政府を実現する、もう一つは、社会保障と税分野の名寄せ、これによって社会保障と税の公平、効率化を図る、この二つの観点から検討されてきたものと認識をしております。

 その過程で、消えた年金問題、あるいは、高齢者の不明問題、震災時の本人確認問題、そして生活保護者の不正受給問題など、さまざまな問題が発生してきたわけであります。こうした問題解決への処方箋にもこの制度をしていく必要があるのではないかなと考えております。

 国民にとっての制度導入の必要性を主張してきたのは、先ほども申し上げましたように、社会保障と税の公平化、効率化、そして一体改革のため、つまり、正確な所得を把握して課税を公平化、さらには、社会保障制度の給付の公平化、効率化を図るということであると私は認識をしております。

 ただ、国民にとって見えにくいのは、この番号制度を導入することで国民の生活がどう変わるのか、具体的に国民にとってのメリットは何なのか、背景にある基本理念、制度導入の意義を含めて、改めてわかりやすく御答弁をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 高木宏壽議員の御質問にお答えをいたします。

 電子政府、電子自治体が進行していく、その中で、その主体、あるいは利用主体である国民がアナログ状態のままだと、この活用が非常に難しいし、行政の効率化も図れないということを基本的な理念として先ほどもお答えをいたしました。

 具体的にいろいろメリットを申し上げますと、委員もお話がありましたように、所得把握の正確性が向上して、向上するということは、真に手を差し伸べるべき人に対して社会保障がしっかり充当されるということにもつながりますし、負担、分担の公平性がより一層確保される。

 それから、やはり御指摘があったと思いますが、さまざまな手続におきまして、従来、国民が給付申請等を行う際に求められてきた住民票の添付であるとかあるいは所得証明書の添付、これらの添付資料について、番号制度の導入によりまして行政機関の間で必要な情報の連携を行うことが可能になりますから、これらが不要となる、手続が簡素化される、国民の利便性が向上するということであります。

 また、行政機関において必要な情報の連携を行うことによりまして、あらかじめ対象者を特定して行政の側からお知らせなどのサービスの提供を行うことも可能になってくるわけであります。さらに、行政の効率化が図られて、限られた行政資源を国民サービスの充実のためにより重点的に配分するということも可能になる。

 番号制度の導入によりまして、さまざまなメリットを国民の皆様に実感していただけるものというふうに考えております。

高木(宏)委員 ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたが、この制度の検討の歴史というのは古いわけで、我が党政権下においても、国民に番号を付番して、その番号を使って脱税防止、課税の適正化を図ることが必要という考え方で検討をされてまいりました。

 よく言われることでありますが、日本にはクロヨンという所得把握の問題点が古くから指摘をされております。サラリーマンのような給与所得者は課税対象となる所得の九割、自営業者が約六割、そして、農業、林業、水産業などの第一次産業従事者約四割が税務署から捕捉されている。このように、税負担の公平感が実現し切れていない。

 さらには、世帯単位での所得の把握ができていないことによる生活保護費の不正受給、もらい過ぎといった問題も指摘をされており、社会保障と税の公平化、効率化の必要性の中で、この制度が検討をされてまいりました。

 先ほども申し上げましたけれども、この法案は、前民主党政権下の社会保障改革検討本部で検討され、社会保障・税番号大綱に結実して、昨年二月、国会に提出されたわけで、継続審査で自公民の間で修正協議が行われたわけですが、衆院解散で廃案になってしまった。

 そこでお伺いしますが、先ほど西村副大臣から、民主党が提出された法案との違いというのは御答弁がありましたけれども、修正によってどういう点が改善されて、それによって国民の利便性、行政の効率化の点から何が担保されることになったのか、御答弁をいただきたいと思います。

甘利国務大臣 この社会保障・税番号制度、民主党の時代にマイナンバー法案ということで議論されました。

 この番号制度については、平井委員長が一番御苦労された方の一人だと思いますけれども、よりよいものにすべく、自公民の三党の実務者による協議が行われました。委員長御自身がこれにかかわっていらっしゃるわけでありますけれども、より利便性の高いものにしていこうということで、その後、自公民三党の実務者で協議をしていただいて、それでバージョンアップしたものが今国会に提出されているところであります。

 西村副大臣からも一部御答弁がありました。具体的に申し上げますと、まず、番号制度の基本理念、国の責務及び地方公共団体の責務を法律上明記をしたわけであります。

 また、市町村長が個人番号の通知を通知カードで行うとの規定を追加いたしました。たしか前は書面で何らかの交付をするということだったと思いますが、通知カードということにいたしまして、通知カードと引きかえに個人の番号カードの交付を受けるものとしたところであります。

 これとあわせまして、個人番号カードの交付を受けるまでの間は、免許証等の身分証明書と通知カードを提示することで、本人確認と個人番号の確認が行えるように措置したところであります。全員が通知カードを写真のカードにかえるということをなかなか強制はできないものでありますから、しかし、その間も個人番号を利用できるように、本人であるということの確認ができる写真と番号をあわせてこの制度が利用できるようにもしたというところであります。

 それから、特定個人情報の取り扱いの監視、監督等を行う第三者機関を、特定個人情報保護委員会と名称を一部変更させていただきました。その上で、特定個人情報とともに管理されている通常の個人情報の取り扱いに関しても指導及び助言ができるように、委員会の権限を拡大したというところも変更点であります。

 さらに、附則におきまして、特定個人情報保護委員会の一層の権限拡大、本人確認措置に係る新たな認証技術の導入等について検討規定を設けました。また、そのほか、マイポータルの設置及びその活用等を図るために必要な措置を実施するなどの点を追加修正いたしております。

 自公民の三党の実務者の努力によりまして、これらの修正をいたしましたが、個人情報の保護を図りつつ、行政の効率化を通じた国民の利便性の向上を図るという観点が、法律上より一層明確化されたものと理解をいたしております。

高木(宏)委員 私も、自公民の修正協議を通して、かなりよい法案になったのではないかなと考えております。

 いわゆるマイナンバー制度の導入に際しては、これまでも、個人情報の国家管理への懸念、あるいは、情報漏えいや濫用による、意図しないところで個人情報が名寄せされて使われてしまうのではないかといった懸念、それから、成り済ましなどで実際に財産に被害が生じてしまうのではないかといった懸念など、国民からさまざまな懸念や不安の声が上がっております。

 私は、ここで、三つの問題点というのを提起したいと思います。

 一つは、コストの問題。

 今回の制度は、あらゆる情報保有機関の情報を国が提供する情報提供ネットワークを通して、かつ、その業務ワークフローを情報ネットワーク上に構築することを想定しております。国、自治体、その他の機関という、別々の法律や制度のもの、別々の組織によって管理運営されている事務処理の仕組みを一つのシステムに押し込めようとするものでありますが、本当に適切なシステムをしっかりと開発、構築できるのか、システム開発に膨大な費用がかかるのではないかといった懸念もございます。また、このシステムを日本独自の、いわゆるガラパゴス方式のようなものでつくるのかどうかによっても、コストのかかりぐあいが変わってくるわけで、システムを発注、管理する能力確保の問題。

 それから、二つ目は、これも先ほどから指摘をされておりましたプライバシー保護の観点からのさまざまな問題でございます。

 米国や韓国では、番号制度導入により成り済ましなどの問題も発生しております。また、この番号カードのICチップには膨大な個人情報が載るため、紛失したり盗まれたりといった場合も想定されます。

 個人番号カードには個人番号が記載されて、このICカードにはいろいろな情報がひもつきされることになるわけですけれども、プライバシー保護の基本というのは、私は、自己情報を自分でコントロールできるということであると思っております。この観点から本当に問題はないのかという懸念もございます。少なくとも、本人が知らない間に、例えば勤務先情報、自分がどこで働き、あるいは、本を借りたりしたら、どんな本を読んでいるのかといった情報がわかってしまう、こういった危険も指摘をされております。

 三つ目は、アクセス手段の問題。

 国民がインターネットを通して電子政府へアクセスできるマイポータル制度、マイポータルが導入されるわけですけれども、e―Taxというのがございました。e―Taxの失敗経験を生かすという意味でも、本当に使う側の国民の側に立った仕組みになっているのかという問題がございます。せっかく税金を投入して業務が電子化されたにもかかわらず、利用率が向上しないで、従来の窓口等で人手による事務作業がそのまま残るということでは、行政の効率化とは全く正反対、行政事務にかかるコストが二重になってしまうという問題も考えられます。

 そこでお伺いしますけれども、こうした国民の不安、懸念、問題点に対して、どのように対応されようとされているのか、お伺いいたします。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国民の不安、懸念、例えば個人情報の一元管理ですとか、個人情報の漏えい、不正利用といったプライバシー侵害への懸念が指摘されてございます。

 これらにつきましては、制度面とシステム面の両面から対応措置を講ずることとしておりまして、具体的には、番号制度のシステム構築に当たりましては、一つの大きなデータベースで全てを詰め込むというふうなことはせずに、従来どおり、それぞれ、年金なら年金、税なら税の機関で分散管理をいたします。

 また、利用範囲や情報連携の範囲につきまして、法律で、ポジティブリストで規定しておりまして、この番号法に基づき、必要な限度で機関間の情報が授受できるようなシステムにしたいと考えております。

 それから、不正なデータマッチング等が行われているかどうかにつきましても、いわゆる三条委員会型の独立性を有します特定個人情報保護委員会が監視、監督を行う、あるいは情報システムへの適切なアクセス制御、それからさらに、個人がマイポータル、自分のポータルサイトで情報のやりとりを確認できる仕組みをつくりたいというふうに考えております。

 これらのような措置を講ずることによりまして、そういうふうな懸念は解決できるものと考えております。

高木(宏)委員 マイナンバー制度、個人番号カードといえば、すぐ連想するのが、平成十四年に導入された住基ネット、住民基本台帳カード、住民票コードであります。

 この住民基本台帳カードを導入して十年以上たちますけれども、利用者がほとんど広がっておりません。国民の多くは自分の住民票コードも知らないと思います。いまだにこのネットワークに接続しない自治体も存在する、あるいは訴訟も提起されたなど、さまざまな問題が存在しているのは事実であります。

 そこでお伺いしますが、国民への周知というものを含めた住民基本台帳カードの問題点というのはどういうところにあったのか。その点を踏まえた上で、今回の社会保障・税の番号制度をしっかりと国民の間に根づかせるために、住基ネットの教訓といいましょうか、どうその教訓を生かしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる住基ネットでございますが、稼働以来十年間、現在、十年を過ぎておるわけでございますけれども、国の行政機関等に氏名、生年月日、性別、住所等の本人確認情報は安定的に提供しているところでございます。

 ただ一方で、国の行政機関ではなくて、では、国民から見ればどうかということにおきましては、おっしゃるとおり、住基カードの普及率が低いとかという問題もございます。

 ところが、一方で、今回、住基ネットというもののいわゆる住基コード、これをもとにいたしまして今回の番号制度というのは設計されてございます。この住基ネットの住基コードを変換いたしました新たな番号というのを今回の番号制度の番号にしたいというふうに考えておりまして、今回の番号制度が国民に広く、唯一無二に付番できる、その基礎となるものがいわゆる住基コードだと考えております。

 なお、カードにつきましては、今回、住基カードを発展的に解消して個人番号カードという形にしておりますけれども、この個人番号カードにつきましては、カードの利用をより柔軟に拡大できるような設計にしてございまして、国民の利便性に資するように今後検討してまいりたいというふうに思っております。

高木(宏)委員 山本大臣が手持ち無沙汰のようですので、山本大臣にお伺いをいたします。

 今回のマイナンバー法案との関連で提出されております政府情報化総括責任者、いわゆる政府CIO、このCIOを活用して番号制度のメリットをより多く国民に提供していけるよう準備を進めていると伺っております。

 政府全体のIT政策の責任者の必要性というのはこれまでもずっと叫ばれてきたわけですが、このマイナンバー制度の導入に当たって、よりCIOの積極的な役割というのが求められていると私は考えています。

 我が党の昨年の衆議院選の政策集にも、政府のICT政策を一元的に把握し、政府のICT投資計画を策定する政府CIOを法的根拠に基づいて設置するとうたっております。

 そこでお伺いしますけれども、マイナンバー制度導入に当たって、政府CIOの役割というものをどう想定されているのか、またどのようにこのCIOを活用していこうと考えておられるのか、お聞かせいただきたい。

山本国務大臣 御質問ありがとうございます。

 社会保障・税番号制度に関するシステム整備は、委員御存じのとおり、複数の省庁それから地方公共団体にまたがります。したがって、府省連携というものをきちっとやる必要があるというふうに思っていまして、そういう中でIT投資の最大化とかあるいは各情報システムの総合運用性を確保していく、こういうことをやっていかなければいけないというふうに考えています。

 CIO法案が通ってCIOに法的な権限が付与されると、CIOは各省に対する高度な調整機能を持つということになりますので、司令塔機能を持つという観点で、地方自治体に係る総務省等々と連携をしっかり図りながら、社会保障・税番号制度に関するシステム整備をちゃんと円滑にやっていく、これに尽きるのかなと思っています。

 ちなみに、法案の中に地方公共団体への協力というのがありますけれども、これは求めに応じて、例えばIT調達に関する情報提供等々をやるとなっていますので、これについてもCIOを中心にしっかり対応していく、こういうことだと思っております。

高木(宏)委員 CIOについては、今まで住基ネットあるいはe―Taxでさまざまな問題点が指摘されて、行政、霞が関に本当にシステムを発注、管理する能力があるのかといった疑いの声も聞かれたわけであります。政府CIO、政府のIT投資の無駄を省く、国民の利便性の向上を目指すということで設けられるということでありますけれども、どのような能力を持った人材をCIOに充てようとされているのか、お聞かせをいただきたい。

山本国務大臣 どなたにCIOになっていただくかというのは、現時点では正式に決まっておりません。

 一つ言えることは、なぜ政府のIT政策がなかなか進まなかったのか、先ほど委員も何度もおっしゃっているように、電子行政が進まなかったのか。例えば省庁の壁とか、いろいろな話がありますけれども、ITがどんどん高度化してきた、あるいは利活用がどんどんどんどん進むという中で、高度な専門能力を持つということが極めて大事だと思いますので、現時点では決まっておりませんけれども、やはり当然ITに極めて詳しい高度な専門能力を持った方ということになるんではないかと思います。

高木(宏)委員 費用対効果については先ほど質疑がございましたので、その中でもちょっと一点だけお伺いしておきたいんですけれども、住基ネットのときのように、各地方自治体、市町村、ばらばらにシステム整備を行うと、開発経費あるいは運用経費もコスト高になってしまうと認識しておりますが、この問題についてはどのように対応されるのか、お伺いします。

坂本副大臣 お答えさせていただきます。

 番号制度導入に当たりまして、地方公共団体におきましては、個人番号の利用や国等の関係機関と情報連携を実施するために、今、高木宏壽委員言われましたように、住民基本台帳システム、あるいは税務システム、さらには福祉システムなど、改修が必要な関係機関のさまざまなシステム整備が必要となってまいります。

 総務省といたしましては、この整備に当たりまして、統一的に必要となるシステム改修の内容についてガイドラインとして地方公共団体に示すということにしております。

 また、国が設置いたします情報連携基盤であります情報提供ネットワークシステムと接続する各地方公共団体に設置予定のサーバーのソフトウエアにつきましては、全地方公共団体において共通する機能が多いというふうに考えられますので、これは国において一括開発するということにしております。

 いずれにいたしましても、番号制度に係る地方公共団体の関係システムの整備につきましては効率的に進めることが必要であり、引き続き、より効率的な整備の方策について検討をしてまいりたいというふうに思っております。

高木(宏)委員 私は、地方分権を進める上で必要なのは、電子自治体、番号制度、そして公会計、この三つはセットで必要だと思っております。

 時間が参ったようでございます。最初に申し上げたように、この法案は三十年来検討されてきた法案であります。国民にとって本当に真に役立つ制度となるようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

平井委員長 次に、豊田真由子君。

豊田委員 自由民主党、豊田真由子でございます。本日は、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日、社会保障・税番号制度関連四法案の御審議でございますが、既に関先生と高木先生が主要論点については質疑を尽くされたかなという感はちょっとございますが、私は、この論点をさらに進めて、制度の具体的な中身についてさらにお伺いをします。

 新しい制度をスタートさせる際には、それが国民の、特に個人情報の保護といったような大きな懸念が生じている場合には、またそれが過度に誤解も生んでいるようなところがございます。こういった点については、こういう事例についてはこういった解決策を図るんですよといったことを、かなり具体的に、わかりやすい事例をもとにして御説明をして、そして御理解を求めていく、そしてまた、制度の意義やメリットについても国民にきちんと周知を図っていくということが、円滑な施行、推進においては非常に重要であろうというふうに思います。

 そういった観点から、私は、より公平な社会保障制度や税制の基盤となることが期待されるとともに、情報化社会のインフラとして国民の利便性の向上や行政の効率化が期待される今回の法案、そしてまた、その一方で、個人情報の漏えいや不正利用、国による個人情報の一元管理といった懸念も指摘されているところでございますので、こうした点について、真に有効で安全な国民のためになる制度であるということを実現していくための質問をいたしたいと思います。

 まず、利用範囲、そしてまたその拡大につきましては、先ほど、現時点におきましては社会保障、税制、災害対策分野に限るとされておりまして、法案三条二項の規定につきましては、将来的に、個人情報の保護等の観点からも、民間への利用拡大について検討を引き続き進めていくというふうな御答弁だったかと思います。

 こうした点につきまして、具体的に、例えば社会保障の分野で、診療情報、医療情報、例えばレセプトを見ますれば、個人のそれまでの病歴や投薬の歴史などが詳細にわかってしまいます。医療情報は特に機微性が高く、この番号法とは別に、その特性に応じた対応が必要であるというふうに考えられます。

 これにつきましては、旧法案におきましても、この番号制度とは別に特段の措置を定める法制を整備するとされていましたけれども、現時点において、あるいは今後、厚生労働省においての検討の状況や見通しなどはいかがでございましょうか。

    〔委員長退席、田中(良)委員長代理着席〕

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました医療などの分野での番号制の導入の関連の施策でございますけれども、私どもといたしましては、まずは、現在御審議をいただいております番号法案の成立を最優先にお願いをいたしまして、そして、番号制度により構築されるインフラを基盤といたしまして、医療などの分野での番号制度の導入を検討したいと考えております。

 具体的に、私どもは、その際には、今御指摘のございましたように、医療情報というのは個人のプライバシーに非常に関連をいたしますので、こういう機微性やその特性に配慮した特段の措置、こういうものをあわせて検討する必要があると考えております。

 これらの点を含めまして、昨年の四月から、有識者による検討会を厚生労働省に設けまして御議論をいただきまして、九月に報告書を取りまとめていただきました。

 具体的には、この報告書では、三点の大きな点を御指摘いただいております。それは、医療等の分野の番号制度の導入に当たりましては、まず第一には、個人情報の利活用と保護を同時に図るための必要な措置を講じる必要があるということ、二番目には、番号制度に対する国民的な理解を醸成していく必要があるということ、三点目には、医療情報を利活用するための環境の整備、こういうものを行う必要があるということを御指摘いただいているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、このような医療などの分野の番号制度の導入に向けた環境づくりのための具体的な方策につきまして、関係する省庁とも連携をいたしまして検討を進めてまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 特に、医療の現場におきましては、今回の番号制度の導入が、ひいてはレセプト情報などの患者の最も保護されるべき情報、個人情報が大変な危機にさらされるおそれがあるのではないかというようなお声をよく聞くところでございます。今の御答弁にありましたような、何とぞ慎重かつ御丁寧な御配慮を含めた検討をお願いいたしたいというふうに思います。

 次に、もう一つ社会保障の関連でお伺いをいたしたいと思います。

 現在でも、国民の負担を軽減するという観点から、医療と介護分野におきましては、利用者の自己負担の合計額に一定の上限額を設けているところでございますが、税制抜本改革法におきましては、低所得者に配慮する観点から、番号制度の本格的な稼働及び定着を前提に、いわゆる総合合算制度、医療、介護、保育などに関する自己負担の合計額に一定の上限を設ける仕組みの導入について、さまざまな角度から総合的に検討をすると規定されていると承知しております。

 この総合合算制度は、番号制度によって実現できる、より公平な社会保障制度の非常によい事例であると思います。これについて、導入に向けた検討の状況、今後の見通しはいかがでございましょう。

唐澤政府参考人 お答えをさせていただきます。

 総合合算制度につきましては、消費税率の引き上げを見据えまして、低所得の方々に配慮をするという観点から、税制抜本改革法におきまして規定をされております。これにつきましては、番号制度の稼働と定着を前提にいたしまして、関連する社会保障制度の見直し等とあわせて検討を進めていくこととされております。

 この合算制度でございますけれども、医療、介護に加えまして、保育料などを含めた世帯の自己負担に一定の上限を設けようとするものでございます。

 総合合算制度を実現するためには、番号制度の稼働後に、関係機関のデータの連携基盤が整う、このようなことなどが必要になって、番号制度が定着することによりまして、申請者の所得額など、こうした必要な情報が円滑に把握できる基盤が整う、こういうことが前提になっております。

 番号制度の本格稼働を見据えまして、今後、検討を進めてまいりたいと考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 国民へのメリットにつきましては、きちんと制度化をして、また御説明を図っていただきたいというふうに思います。

 次に、現在のこの法案における個人情報保護のための仕組みについて、改めてちょっとお伺いをしていきたいと思います。

 繰り返し申し上げられているところでございますが、今回、個人情報保護の観点からの懸念が非常にあるというところでございます。今後につきましては、個人番号によって全ての情報が一元管理されるわけではない、それぞれの機関で分散管理する。あるいは、別の懸念として、行政機関の職員などが全ての個人情報を一堂に集めることがこっそりできてしまうのではないかといったことにつきましては、その利用範囲や情報連携の範囲をポジティブリストとして規定する。また、誰がどのような情報をやりとりしたかということについて、国民の側が知ることができる等、非常にきめ細やかなシステムが構築されているということでございますが、私は、いろいろ現場で国民、住民の方から御質問を受けるときに、これをこのまま御説明をしても、きっと多分ぴんとこないのかなと。それをわかりやすく翻訳をしてお伝えするのが、私ども、国と現場をつなぐ政治家としての役割なのかなと思っております。

 その理解についてちょっとお伺いをしたいんですけれども、一元管理をせずにそれぞれの機関で分散管理をするということは、このネットワークというものに情報が集中して設けられているわけではなくて、仮に不正アクセスのようなものがあった場合にも、基本的にはそれぞれの機関でちゃんとセキュリティーが行われているということ。あるいは、権限がある行政機関の職員が、例えばAさんという方の個人番号を知っていて、それをコンピューターに入力したからといって、自動的に、例えば税の担当の方が全く関係のない社会保障の分野ですとか災害の分野ですとかの情報を網羅的にばあっと一堂に、自動的に入手できるわけではなくて、そこにはきちんと法律の根拠に基づいた、これを私は知りたいんだという照会をして、それが結果としてその部分だけが出てくるといった、きちんとした制度として取り組まれて、それがシステムとして構築されるという御説明を現場でいたしてよろしいか、また、違った点があれば御指摘いただければと思います。よろしくお願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、情報につきましては、それぞれ、市町村や国税庁、日本年金機構といったそれぞれの機関で分散管理されておりまして、それが、法律に書いてあるものに限り情報のやりとりが可能となる。

 例えば、所得情報、地方税情報を福祉の世界あるいは年金の世界の所得制限なんかに使うということが典型的に考えられますが、逆に、その場合は、例えば年金なら年金の事務担当者がAさんの市町村情報ということで問い合わせてその情報を引き出すというものでございまして、決して、市町村の税務担当者が年金情報を見れるという意味ではございません。そういう意味では、先生の御指摘のとおりでございます。

豊田委員 やはり、最初に申し上げましたとおり、このいわゆるマイナンバー法案は、個人の生活やさまざまなプライバシーについて、国が、あるいはそれぞれの機関が非常に侵入をしてくるのではないかといった過大な不安、懸念が国民の間に広まっているような感が、どうしてもあるかと思います。それについてはきちんと根気よく、わかりやすく御説明をして御理解を得ていくということが、特にこういう機微な、全く新しい制度を国として進めていく場合には、非常に御配慮いただければなというふうに思っております。

 次に、いわゆるマイポータルについてお伺いをしたいと思います。

 これは、国民の側が、自分の個人情報について、いつ、誰と誰の間でどのような情報をやりとりされたのか、国民の側から確認ができる仕組みとしての情報提供等記録開示システム、マイポータルが整備されるということで、これは非常に意義の大きなことだというふうに思います。また、マイポータルを利用して、例えば自宅のパソコンなどを使用してまた自分の年金情報などを見ることができる、これも国民の利便性という観点から非常に重要であると考えます。

 ただ、現在、例えばネットカフェのようなところで、成り済ましをして個人の番号とパスワード、あるいはカードが入手を不正にされてしまえば、その成り済ましによって全く別の方の個人情報が、自分の側からということを成り済ますわけですから、見れてしまう、情報が漏れてしまうというおそれがあるというふうに思いますけれども、これについてはどのような対策を講じられているのでしょうか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 マイポータルを利用する際、例えば自分の情報、番号つきの情報を得ようとする場合、入手しようとする場合は、基本的には、個人番号を用いないで、いわゆる個人番号カードに確認された電磁情報を機械的に読み取りまして、この情報とパスワードを組み合わせまして確認する公的個人認証を採用するということをしております。

 マイポータル、確かに便利なものではございますけれども、一方で、アクセスさえできてしまえばある一人の番号つきの情報が全て得られるという点において、やはり厳重に管理しなきゃならないものだというふうに考えております。

 そういう意味で、自分の番号つきの情報を入手する場合は、非常に強度の高い認証手段ということで、今申し上げました公的個人認証を採用したいというふうに考えております。

豊田委員 これは、読み取る何かリーダーのようなものが必要になるので、ネットカフェとか、個人が勝手にどこでも番号を入れれば情報が出てくるものではないというふうに伺っているんですけれども、やはり、そういったとり得る限りのセキュリティーの向上というのは、今、さまざまなパソコン、ネットを使っての不正なアクセスというものの技術が進んでおりますので、それに対して余すところなく、考え得る措置を講じるといったことをやっていただきたいというふうに思います。

 次に、特定個人情報保護委員会についてお伺いをしたいと思います。

 この個人情報の取り扱いについての監視、監督をする、独立性の高い第三者機関としての委員会でございます。これは、個人情報保護のまさにかなめという役割を果たす重要な機関であると思います。国民の番号制度へのさまざまな懸念を払拭するためにも、この委員会が具体的にどのように監視、監督を行うことになるのかといった点について、お伺いをいたしたいと思います。

    〔田中(良)委員長代理退席、委員長着席〕

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定個人情報保護委員会、第三者委員会でございますが、苦情や通報などを契機として、例えば個人番号取扱者に対してその取り扱いについて助言、指導を行う、あるいは違法行為の中止その他の措置を講ずるように、勧告、命令をすることができます。さらに、関係行政機関の長に対しまして、システムの安全性、信頼性を確保するための措置の実施を求めることができます。

 また、いわゆるその番号を利用する関係者に対しまして、報告、資料提出を求める、あるいは委員会の職員に、必要な場所に立ち入らせ、関係者に質問させ、物件を検査させることができるというふうな強制権限も持ってございます。

 このような特定個人情報保護委員会の命令や立入検査等につきましては、これに違反する者に対して刑事罰を規定しておりまして、その実効を担保しているところでございます。

豊田委員 非常にさまざまな権限が付与される委員会だと思いますけれども、この委員会の人員は委員長と最大委員六名の合計七名、あと事務局の職員で成り立つ組織だと思いますけれども、やはり、そのさまざまな立ち入り、また罰則まで視野に入れたところを実効的に担保するためには、この委員会の事務局の職員までも含めた質、量ともに十分な人員で、機動的かつ効率的な体制とするべきと考えます。

 これまで伺ってまいりましたこの個人情報保護の観点から、また、この委員会の任務も実効的に遂行するための人員、財源の確保といった点も含めて、この番号制度全体の円滑な運営に向けた御決意をぜひ伺えればと思います。

甘利国務大臣 この番号法は、現行の個人情報保護法制の特別法に位置づけられるわけでありますが、個人情報保護法上の主務大臣による監督体制を十分に活用するとともに、特に重要な事案や緊急性の高い事案について、委員会の資源を重点的に統括する必要があるものと考えております。

 また、番号法の附則におきまして、委員会の監視、監督を実効的に行うために必要な人的体制の整備、財源の確保等の状況を勘案しまして、適時にその改善について検討を加え、必要があると認めるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとされているところから、これらの検討結果を踏まえまして適切に対応してまいりたいと考えております。

 御指摘のとおり、番号制度の円滑な運営のためには特定個人情報保護委員会の役割が極めて重要であることから、その役割を十分に果たすことができるように努力をしてまいりたいと考えております。

豊田委員 大臣、どうもありがとうございます。

 この特定個人情報保護委員会につきましては、刑事事件の捜査で収集した特定個人情報については、委員会の権限が及ばないというふうに理解しておりますが、本件についてはいかがでございましょうか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 この第三者委員会、特定個人情報保護委員会でございますが、これにつきまして、例えば刑事事件等につきましては今回この委員会の権限が及ばないこととしておりますが、その理由といたしましては、刑事事件等につきましては裁判所の規律に従うことになっておりますので、基本的には裁判所が一律的にそういう捜査とか、あるいは押収とかそういうものを命じたり、あるいはそういうことを管理するということでございまして、他の類似の規定におきましても、こういうふうな権限は外されているところでございます。

豊田委員 次に、地方公共団体情報システム機構についてお伺いをいたしたいと思います。

 この番号制度の運営上、全国の市町村が個人に対して付番する個人番号に重複などが生じないよう、また円滑な運営が図られるよう、この個人番号を生成、管理する事務を担う主体が着実に設置、運営されることが必要であると考えます。

 この新たに設立される地方公共団体情報システム機構は、どのような形態の法人組織であり、具体的にどのような業務を行うのか、また、これが国民の情報保護にどういった形で寄与するのか、お伺いをいたしたいと思います。

坂本副大臣 地方公共団体情報システム機構は、地方の代表者や有識者が参画する意思決定機関を置くなど、法人の運営に関し、地方のガバナンスを強化した地方共同法人として設立をするものであります。

 業務の内容といたしましては、地方公共団体情報システム機構法案第二十二条に基づきまして、個人番号の生成、それから住民基本台帳ネットワークの運営、電子証明書の発行、さらに地方公共団体の情報システムの事務の受託などを行うこととしております。

豊田委員 ありがとうございます。

 この機構につきましては、機構法案の附則第五条で、財団法人地方自治情報センター、LASDECが解散をし、その権利義務を地方公共団体情報システム機構が承継するということとされています。

 なぜこの機構は、財団法人地方自治情報センターを基礎として設立されることになるのか、その利便性等についてお伺いをいたしたいと思います。

坂本副大臣 番号制度におきましては、全国の市町村が個人に対しまして重複なく個人番号を付番できるよう、安定的かつ確実に番号生成を行う主体がどうしても必要になってまいります。番号生成の事務は地方が共同で運営する住基ネットを基礎として実施いたしますことから、現在、住基ネットを安定的に運営している主体がその事務を担うことがふさわしいと思います。

 そのことを前提としつつ番号制度の基盤を担うためには、番号制度の運営の根幹となる業務をより安定的かつ確実に実施する必要があることから、地方のガバナンスを強化した地方共同法人を法律に基づいて設立することとして、財団法人地方自治情報センター、いわゆるLASDECの業務を引き継ぐということにしたところであります。より分厚く、そしてより強化をするというようなことでございます。

豊田委員 副大臣、ありがとうございます。

 地方のガバナンス強化、代表者会議を通じて経営を厳しく管理するシステムをきちんと構築することにより、地方公共団体によるガバナンスが行われるということであります。これが実効性のあるものとしてきちんと動いていくように、決してこの新しい制度が何か無駄をふやしたということで批判されることのないように、きちんとつくっていっていただきたいというふうに思います。

 そしてまた、ちょっと話がかわるんですけれども、個人情報保護といったときに現場でよく私が伺う話としまして、もちろん個人情報の保護は非常に大切でございます、これは非常に守るべき法益でございますが、一方で、一般の方も含めて、個人情報保護を過度に解釈、あるいは適用するがために、かえって国民生活に不便なことが生じている。

 例えば地域のつながりをつくっていくときに、情報が全くお互いに入手できないのでコミュニティーの希薄化がますます進むでありますとか、あるいは、病気で病院に運ばれた方、あるいは独居で体の弱っている方に救いの手を差し伸べようとしても、そこは個人情報保護の観点から情報は出せませんということで救出がおくれるといったような、実務上、本来守られるべき人の生命や健康といったことについて、この個人情報という言葉がひとり歩きをしてしまって、結果として国民の利益や法益が害されているという事態もあるというふうに認識をしております。

 その点につきましては、どこでどういった線引きをするかというところはなかなか難しい問題だと思いますし、現場の誤解といったようなところもあるかと思いますけれども、やはり一つの大きな利益を守るときに、それがどういう状況では守るべき必要があって、あるいはそれを超える法益は何かといったことを、政治の側、また行政の側、そして現場でそれを実践する国民の方お一人お一人が正しく認識することによって、きちんとこういった法益が守られていくように進めていかなくてはいけない。そこに不都合があれば、またきちんと是正をするように、現場に近い自治体を含めてちゃんと対応していかないといけないのかなということを感じております。

 今申し上げたことは、個人情報保護という今回のこの法案についての一番眼目のところ、それを守るときと、あるいは、それを超えて、人の生命身体などの場面におきましては守らなきゃいけないものがあるというふうに、ちょっと分野が違いますけれども、私がいつも懸念をしている点でございますので、この場をかりて申し伝えたいというふうに思いました。

 そして、ちょっとお時間がまだあるようでございますので、この社会保障・税番号制度のさまざまな懸念とメリットというものが、今御説明をいろいろいただいたところでございますけれども、この個人番号制度を民間でも広く利用すべきではないかという、私は先ほど医療のレセプトを中心にお伺いをいたしましたけれども、現在の検討状況についてもうちょっと詳しくお聞かせを願えればというふうに思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 個人番号の利用範囲につきましては、民間でも幅広く利用することが利便性に資するという御意見がある一方、幅広く利用することについての御懸念もあるということでございます。

 この番号法の附則におきまして、法施行後三年を目途として、個人番号利用範囲の拡大に関して検討を加えることとなってございます。ただ、この場合、そういう意味ではまだ検討がされているわけでは必ずしもないわけでございますが、民間の利用という場合のその民間というのは何かということについて、やはり常に考えないといけない。

 例えば、税の世界でも、源泉徴収等がございますので、会社は、株の配当の源泉徴収をするところでございます。そういう場合に会社は株主の番号を知り得る立場になるとか、あるいは、企業が源泉徴収するがために従業員の番号を知る立場になるとかいう意味においては、企業にも当然、番号は広くかかわってくるということでございます。

 また、医療の、保険の給付の中の金銭なんかで使いますと、健康保険組合もやはり、健康保険組合というのは実質、半分企業のようなものでございますけれども、そういうものにつきましても番号を知る立場になるということにおきまして、民間も広く番号を知る立場になる方が今回の番号法には多数おられるということを念頭に置きながら、では、次の、民間利用とは何ぞやということだと思っております。そういう場合で、例えば、半分公的な企業、いわゆる金融機関ですとか、あるいは、電気、ガス、水道みたいなものにつきましても検討されることは十分想定されるのかなというふうに考えております。

 そういうことも考えながら、まずは、税・社会保障の範囲について番号を定着させることが先決だというふうに考えております。

豊田委員 どうもありがとうございます。

 これがどの分野まで、あるいはどういった主体まで拡大されるのかといったことが、実は私は今後の最も肝の部分ではないかというふうに思っておりまして、例えば、本当にビジネスのお金をもうけたいという観点から、個人のさまざまな購買の履歴ですとか、あるいは、それぞれの嗜好のようなものが本人の許可ないところで自動的に捕捉をされていくといったことについて、今の実生活においてもさまざま議論があるところでございますが、本来のこの番号制度の趣旨、目的、そこをまず見きわめた上で、今後、さまざまな状況、御意見を伺いながら、実際のメリット、デメリット、制度が発展していく中で、どういったところが国民生活にとって真に望ましいのかというところをきちんと政府として見きわめて拡大していかないと、ずるずると、芋づる式という形で広がっていくことには、私は一定の懸念を示すところでございます。

 本日は、この社会保障・税番号制度につきまして、さまざまな観点から、このメリット、そしてまた、個人情報保護を中心とした国民の不安について、具体的にこれをどのように払拭されて制度を進めていくのかということについてさまざまな御答弁を賜りまして、まことにありがとうございました。私も、きょうお伝えいただいたことをきちんと、地元で、また現場でお伝えをして、理解を深めるために力を尽くしてまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

平井委員長 次に、木原誠二君。

木原(誠)委員 自民党の木原誠二でございます。

 きょうは三十分というお時間をいただきましたので、既にマイナンバー法案については論点が、議論が尽くされたかどうかは別として、本会議でもいろいろ議論がありましたし、きょうは三人の同僚議員から幾つか質問させていただきましたので、私の方は、きょうは、せっかく山本大臣にお越しいただいていますので、山本大臣と、CIO法案、内閣法の一部改正について、じっくりまた御議論させていただければありがたいな、こう思っております。

 と申し上げた上で、ただ、私、きょうの議論もずっと伺っておりまして、マイナンバー法案について、少し思い出すことというか、私が一期生のときに、私、厚生労働委員会に所属をしておりまして、やはりかなり年金問題、年金記録の問題で時間をとられたというか、とったということを記憶しておりますし、あの当時の自公政権のときに景気対策として定額給付金の議論があって、所得制限をつけるのか、つけないのか、結果的には、やはりつけられない、マイナンバー、番号制度がない中でつけられないといったような議論もありましたし、その後、生活保護の不正受給の話等々もございました。

 このマイナンバー、しっかりと導入をさせていただく中で、我々が国民に対して提供できる政策の選択肢の幅もやはり広がっていくわけでありますし、国民の皆様から見ても、やはりかなり公平感のある、より公平感を感じていただけるということもまた事実であろう、こう思いますので、ぜひ、さまざま課題があるという中ではありますけれども、このマイナンバーについてはやはり円滑に導入をしていくということが非常に大切なことかなと、議論を伺いながら感じたところであります。

 その導入に当たっては、先ほども御答弁の中にあったというふうに思いますけれども、国はもちろん、地方公共団体、年金機構、さまざまな独立行政法人、システムをしっかりと導入していかなければいけない。したがって、法案の成立と同時に、システムの構築というのが非常に大切であろう、こう感じております。

 既に事務方の方から、費用対効果という議論の中で、二千億から三千億ぐらいと費用の問題が出てまいりました。この費用対効果の議論は、今回、非常に私はやはり難しいなというふうに思っていまして、効果を大きくするためにはやはり民間の利用を促していく、よりさまざまな分野で利用していくということが大切なことでありますが、しかし他方で、やはり個人情報の保護という懸念にも応えていかなくちゃいけない。そういう意味で、今回、法律の中で、使える分野をきちっと制限して、ある意味、小さく産んで、これから少しずつ大きく育てていくということであろうというふうに思います。

 しかし、システムの方はそうは言っていられないわけでありますから、費用対効果というのが最初のところはなかなか出てこない中で、それをしっかりしっかり費用対効果の面もこれから育てていく。非常にバランスの難しいシステム構築をこれからやっていかなければいけないんだろうというふうに思います。

 まず、冒頭、甘利大臣、恐縮ですけれども、マイナンバーを担当する大臣として、このシステムの構築について、何か、原理原則、どういうふうに進めていくかというようなお考えがございましたら、お伺いをしたいというふうに思います。

甘利国務大臣 番号制度に係る情報システム、これは国民生活に対して極めて広範に影響を及ぼすというものであります。でありますから、その整備に当たっては、セキュリティーをしっかりと確保していくということがまず重要だと考えております。

 その一方で、コストパフォーマンスを高めるということもありますから、費用をできるだけ低減させる、最小のコストで最大の効果という点について努力をしていくということの必要性も認識をいたしております。

 こうした観点も含めまして、内閣情報通信政策監とは連携を密に図って、適切にシステムを整備してまいりたいと考えております。

 番号制度は、省庁を横断するものでありますけれども、府省だけではなくて、地方自治体、日本国じゅうにまたがってかかわってくるシステムでありますから、効果的に、そして不安がないように、しっかりとしていきたいというふうに思っております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今、大臣の方から、CIOとよく連携をしながらやっていくんだ、こういう御答弁もいただいて本当にありがたいなと思うんですが、そこで、山本大臣にこのCIOについて少しお伺いをしていきたいなと思います。

 考えてみますと、IT基本法が成立して以降、もう十年以上たって、CIOの議論というのもいろいろな場面で出てきたんだと思いますが、諸外国では、アメリカもカナダもオーストラリアもという形でCIOが既に入っている。日本が若干、一周おくれとまでは言いませんけれども、ようやく入ってきた。

 しかし、おくれたことを別に何言うわけではないんですが、入ってきたCIOは極めて強力なCIOを入れていただいたなと思っておりまして、大臣に御説明いただいてもいいんですが、私の口から申し上げますと、内閣法で、内閣危機管理監とまさに同等、条文十五条を引いて同じ権限を与えている。それを、IT基本法の方では、IT本部の一員にして、しかも内閣総理大臣に意見も言える。ある種、特別の地位を与えているということであろうというふうに思います。

 そういう意味でいいますと、内閣危機管理監と同等でありますから、各省の事務次官よりもちろん高い地位が与えられているわけでありまして、私も役所にいて機構定員の査定等々もやってきましたけれども、これだけポストが高くて権限があるポストが突然生まれるというのは、突然と言ったら失礼ですけれども、どこもスクラップしようもないんですけれども、生まれるというのは非常に驚きであると同時に、やはり決意のほどがここにうかがえるなというふうに思いますが、まず、こういう強力なCIOをつくろう、そして活用していこうというその背景にある決意なりお考えを大臣から伺いたいというふうに思います。

山本国務大臣 たった今、木原委員の方から、この法案にある内閣情報通信政策監、政府CIOの権限が極めて強い、そういう御認識を持っているということに私はほっといたしました。CIOの権限についてはいろいろまだ議論のあるところなんですが、私も、今度の法案の中で法制化しようとしているこのCIOの機能は大変強力だというふうに思っています。

 これまでの政府のIT政策全体への取り組みがなぜおくれてきたのか、あるいは電子行政、これもなかなか遅々として、遅々としてと言ったら言い過ぎかもしれませんが、なかなか進んでこなかった原因の一つは、やはり政府の中の省庁の連携が不十分であったということは、多くの方々から指摘をされていますし、恐らく木原委員も同じ認識ではないかというふうに私は考えております。

 その理由、一つは省庁の縦割りの文化もあると思いますが、先ほどの自民党の方の御質問にも答弁の中でもちょっと申し上げましたけれども、ITがどんどん高度化してきて、そのITの利活用の重要性もどんどん増している、その中で、専門性を踏まえて各省と高度な交渉をやる、調整をやる、そういう能力とか専門性というものがやはり不十分であった、ここをきちっと反省しなければいけないと思っております。

 それを踏まえて、今回の法案で、政府CIOに強力な権限を与える、今、木原委員がおっしゃったことに加えて、IT戦略本部の事務の一部について、委任を受ければこれをできるというところまで踏み込んだのは、まさにこうした、なかなか進まなかった省庁連携に風穴をあけるということですから、このぐらいの権限がなければ、とてもそういうことはできないんではないかという思いですし、ぜひともこの法案を成立させていただいて、政府全体のIT政策、電子行政、これをしっかりと進められるようにしていただきたいと思いますし、それは、先ほどおっしゃったマイナンバー法案の成果をきちっと生かすことにもつながる、こんなふうに担当大臣として考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 今まさに大臣の方から、IT本部の事務の一部を委任する規定、二十六条の二項のことだというふうに思いますけれども、御答弁いただきましたので、これだけ強い権限を有するCIOをつくろうとする以上、やはり、それに見合う仕事をしてもらわなくちゃいかぬだろうというふうに思います。それはまさにこの二十六条の二項のところ、一つ一つちゃんとやれるのかやれないのかということを御答弁いただくことが大切かなというふうに思います。

 まず、真っ先にやらなくちゃいけないだろうと思うことは調達ですね。昨年も特許庁で、これはさまざま不幸なことが重なったというように思います、余りに野心的過ぎたとか、調達の仕様書を書いた職員が突然異動しちゃったとか、いろいろな課題があったというようには承知しますが、しかし、現実の問題として五十五億円という無駄があったというふうに指摘をされております。年金機構でも調達についてさまざまな課題があった。

 仮にこれだけのCIOが存在をしたらこの問題は防げたのか、防げなかったのか、あるいは、防ぐためにCIOはどういう権限の行使をこれからしていくのか、そのことについて御答弁いただきたいと思います。

山本国務大臣 今、木原委員が御指摘をされたように、特に情報のシステムについては、大規模で複雑で、もう全部変えようみたいなものについては、これまでも、先ほど特許庁の例がありましたけれども、うまくいかなかったり、あるいは非常におくれていたりというケースは散見されるというふうに思っています。

 それで、例えば、前政権でなかなかうまくいかなかった特許庁の情報システムの改革、もちろん目的は正しかったと思いますが、残念ながら、なかなかうまくいかなかった。それを検証してみると、やはり大きな原因は受注者の能力不足だった。今もちょっと言及されましたけれども、そこがあったと思います。

 しかしそれは、逆に言うと、政府側に能力のある受注者を見きわめる力がなかった、少なくとも不十分だった。そこをきちっと踏まえておく必要があると思っていまして、これはもう政府内でも、まさに各省庁の受注力、特にITのシステムに関する受注力を引き上げなければいけない、あるいは事業者を評価するためのルールというものもきちっと考えなければいけないと。

 さらには、今は、政府CIO補佐官というのがいて、ちょっときょう人数を数えたら四十七人と言っていましたけれども、こういう外部の有識者をもっと活用する。とにかく、こういうことのできる人材を政府の中でもしっかり育てる、実はこういう作業を一生懸命やっていまして、政府CIOが、先ほど委員のおっしゃったような強力な権限を持って登場すれば、こういう試みをさらにスピードアップさせるということは十分可能ではないかとIT担当大臣としては考えております。

木原(誠)委員 これは必ずしも通告していないので、お答えが難しければ結構ですが、これ以上の金額は例えばCIOに必ず相談が行くとか、調整をするとかいうような、そういう具体的な取り組みというのはこれからなのか、どういうことになっているのか。

山本国務大臣 そういう基準についてはまだ細かいことは決まっていないと思いますが、しかしながら、そういうことに関しても、CIOをどうやって機能させていくか。

 これは、委員おっしゃったように、たてつけはすばらしいんですけれども、たてつけだけではいきませんので、私、IT担当大臣として、もちろん総理のバックアップもいただいて、新しいCIOの方がもし誕生すれば、これは政治的にもバックアップをしていかなきゃいけないということなので、CIOの機能をどうやって実際にきちっと浸透させるかということについては、さまざまな選択肢を考えたいと思いますので、今みたいな議論ももちろんその中に入ってくる可能性はあると思っています。

木原(誠)委員 ありがとうございます。

 もう一点だけ、調達について。

 今回質疑をさせていただくに当たって、前政権下での資料なんかも読ませていただきますと、調達については、国だけじゃなくて、国費が投入されている独法だとか、あるいは民間の補助金を受けているようなところの調達についても、CIOがきちっとある種の権限を行使するようにするんだということが書かれているんですが、条文だけ読むと、そういうふうに読めないというか、そういう規定がないような感じがするんですが、それは、理念はずっとまだ生きている、そういう理解でよろしいでしょうか。

山本国務大臣 木原委員のおっしゃった理念はきちっと生きているというふうに思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 もう一点、CIOにしっかり仕事をしてもらうという意味で、やはり予算ですね、IT予算。運営経費と整備費で、今、五千億ちょっとかな、こう思います。しかし、この五千億の外枠に、多分、さまざまなIT関連施策に関する予算というのがまたくっついてくるんだろうというふうに思います。教育でITを活用するというと、もちろん文科省は予算を要求しますが、同時に、恐らく総務省等も要求をされるだろうし、先ほど委員の中で医療のお話も出ていましたけれども、例えば医療でITのことをやろうとすると、もちろん厚労省も要求をするけれども、恐らく経産省も何らかの要求をしている。相互に密接に関連しながら、お互いがお互いにいい相乗効果を生めばいいですが、中にはやはり重複があるようなものもあるというふうに思います。

 そういう中で、今回、この二十六条の二項のところに、関係行政機関の経費の見積もりの方針を作成するということが書いてありますけれども、この際、ちょうどいい機会だから、IT予算、財務省の予算査定は、もう山本大臣のところでやっちゃったらいいんじゃないかな、僕はこう思うんですけれども、そこまでこれは意味をしていないんだろうと思いつつ、あえてこの規定の意味と、具体的にどういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをしたいというふうに思います。

山本国務大臣 財務省の件については、最後に木原委員のおっしゃったとおりの解釈だと思うんですが、ただ、おっしゃったとおり、この予算についてもきちっとCIOが総合的に調整をするということを私たちは考えております。

 これは、なかなか一遍には進んでいかないと思うんですね。例えば、日本のIT戦略というものが、では各府省が本当に連携をとってやっていたかというと、そういう状況がなかなかない。

 ということで、政府CIOをつくるということは、すなわち、IT戦略本部の総合調整機能を高めるということになっていきますから、そこについては、各府省にそれぞれIT関連の予算がありますけれども、それをきちっと政府CIOが戦略的にまとめて、さらに、IT戦略本部が司令塔として、国家戦略としてしっかりIT政策を展開できる、こういう状況にしていきたいと思います。

 木原委員の問題意識はしっかり頭に置いておきたいと思いますが、とにかく、まず一歩一歩進んで、司令塔機能のあるべき姿に向けて頑張っていきたい、こんなふうに思っています。

木原(誠)委員 大臣の御答弁はなかなか難しいと思いますので、これ以上はあれですが。

 ちょっとぜひ事務方に、ごめんなさい、これは通告していませんから難しいかもしれませんが、最終的な査定は主計局の各主計官単位でやればいいと僕は思いますけれども、ここで書いてある経費の見積もりの方針を作成するというのは、予算の作成プロセスの中で一体どの部分を指しているのかということをもう少し具体的に御説明いただければというふうに思います。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的には、概算要求を行うに当たっての調整を考えておりますので、概算要求の前に調整をした上で概算要求をしていくという格好になるのではないかと考えております。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 概算要求があって初めて査定があるわけですから、そういう意味でいうと、概算要求のところをきちっとCIO補佐官でグリップをしていただくというのは一歩前進かなと思います。ぜひ、査定までというとやや問題もあるのかもしれませんが、一歩踏み込んでこれから議論ができたらいいなというふうに思います。

 縦割りということがITについてもずっと言われてきて、その最大の原因は、やはり財務省の主計官単位の予算査定というのが縦割りを呼んでいる非常に大きな原因だろうというふうに思いますので、私ども党の方でも山本大臣をしっかりと補佐をさせていただいて、全省にまたがっているIT予算をきちっと我々も精査して、そういう体制をぜひつくっていきたいな、こう思っておりますので、ぜひ大臣にもこれは大胆に取り組んでいただければありがたいと思います。

 もし一言あれば。

山本国務大臣 木原委員のお言葉をしっかり受けとめたいと思います。

 先ほどちょっと事務方から言ったことをやや補足すると、経費の見積もり方針は、概算要求前に各省に提示をする、概算要求を出す前にもしっかりとそこら辺のところについて連携といいますか協議をする、概算要求の後もしっかりとそれをフォローして、今、査定とおっしゃいましたが、なかなか一気にそこまでいかなかったとしても、しっかり財務省には意見を言わせていただくということだと思います。

 この経費見積もり方針は、私が持っている、科学技術担当として担当している、例えば総合科学技術会議みたいなところでもアクションプランという形でやっていますし、あるいは、宇宙政策担当でもあるんですが、宇宙戦略室でも戦略的予算配分方針ということでやっていますから、多分、そういうイメージになっていくと思いますが、できる限りそれが反映できるように、しっかりと今の言葉を踏まえて努力をしてまいりたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 長らく横串という議論がずっと言われながらなかなか実現できなかったところですから、今回、相当強い権限を持ったCIOが誕生できそうでありますから、ぜひ今の大臣のお言葉も踏まえながら取り組んでいただければ、私はこう思っております。

 もう一点は、ごめんなさい、これもちゃんと通告していなくて申しわけないんですが、人の問題ですね。

 今思いますと、IT基本法ができて、平成十四年に多分、各府省のCIOというのが任命をされて、実は、たまたま私、その当時官房の秘書課、文書課にいて、今思うと、あの官房長は多分、ITのことを全くわかっていなかっただろうなと。しかし、府省のCIOということで任命をされた。そういうことがずっと続いているんだろうというふうに思うんですね。

 もちろん、人事権を持つということは無理だというふうに思いますけれども、府省のCIOあるいは府省のCIO補佐官は、やはりこういう人物がふさわしい、あるいはこういう基準を満たしていなきゃいけない、あるいはまた、政府CIOのところである種の教育訓練、情報提供をする、ここもぜひ横串の対応が必要だと僕は思うんですが、もし御見解があれば。通告していなくて済みませんが。

山本国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたが、政府CIOをどなたにするかというのは、現時点では正式に決まっておりません。

 ただやはり、先ほど申し上げたとおり、ITがどんどん高度化していくという中で、専門的な知見を持っている方ということは、もうこれは資質としてなければいけないと思いますし、それから、総合調整能力というのも求められると思いますし、その分野でのいろいろな経験というのも求められると思いますので、今、木原委員おっしゃったこともしっかり踏まえて、そういう体制ができるように努力をしていきたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 あと一点、二十六条の二項との関係でいいますと、非常に大切なことが、恐らく、各府省のさまざまな情報システムをどうやって統廃合して、一つの統一的なものにしていくのか。

 先ほど、私も官房にいたときのことを思いますと、給与システムも旅費のシステムも依然としてばらばら、当時からそういう議論はあったけれども、結果的にはばらばら、府省内のLANもまだまだ統一をされていない、こういう状況でございまして、これはぜひ、政府CIOにきちっと取り組んでいただかなければいけないと思うんです。

 やはりある程度年限を区切って強力に進める必要があるんだろうというふうに僕は思いますが、その点の感触なりがございましたら、御答弁いただきたいというふうに思います。

山本国務大臣 おっしゃるとおりだと思いますし、もしこの法案が通って新しいCIOが誕生すれば、それこそロードマップをきちっとつくってやってもらうということだと思います。

 私もIT担当大臣になって少しいろいろと拝見をさせていただいて、なぜ省庁のシステムはずっとばらばらなのかと。やはり、まずそこは各省庁の意識を変えてもらわないといけないと思っていますので、そういう意味でも強力な権限を持ったCIOが必要かな、そんなふうに思っています。

木原(誠)委員 今、ロードマップをつくってということでありましたから、重い答弁だと思いますので、ぜひ期限を区切って、ちゃんとロードマップをつくって取り組んでいただければありがたいな、こう思っております。

 同時に、システムだけ統合すればいいということじゃなくて、業務プロセスというものも改善をしていく。ビジネス・プロセス・リエンジニアリングというんですか、BPR、これもやはりCIOの権限として取り組んでいただく必要があると思うんですが、これも条文には特段書いていませんけれども、どんなことになっているか、お答えをいただければ。

山本国務大臣 BPR、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングでしょうか、これはもう当然のことだと思いますから、そのまま情報システムを新しくするというだけじゃなくて、その前にはきちっとシステム改革をやる、無駄をしっかり省く、こういうことはしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

木原(誠)委員 ちょっと二十六条を離れて、この束ね法の附則のところ、附則の二号だと思いますけれども、今後やっていくべきことということで、CIOが取り組むべきことということで、検討規定が入っております。

 その中で、一号、二号のところだというふうに思いますけれども、いわばオープンデータというかオープンガバメントということなのかなと思いますが、しっかり検討していくということでありますけれども、今、検討の方向性等が特段ございましたら、ぜひ御答弁をいただければありがたいな、こう思います。

山本国務大臣 少し正確に申し上げたいと思います。

 御存じのとおり、オープンデータは、公共機関が保有するデータを、民間が編集、加工等がしやすい形でホームページで公開するということで、これによって、多様な公共データと民間の保有データを組み合わせて新しいビジネスとかサービスを生み出すということなんですけれども、オープンデータと民間活用の推進のためには、公共データの編集、加工等を認めるルールの整備、それからコンピューター処理に適したデータ形式での公開とか、あるいはデータの案内、検索が可能なポータルサイトの整備、こういうことについてしっかり検討していかなければいけないと考えております。

 いずれにせよ、これはもう既にIT戦略本部の電子行政オープンデータ実務者会議というのでかなり議論していますから、先ほどの話じゃないんですけれども、ロードマップをきちっとつくってこの取り組みを加速させていきたい、こう考えております。

木原(誠)委員 今、民間にどうやって利活用していただくかということもございました。これは、マイナンバーの民間利活用とは全く違う次元の議論だというふうに思います。

 今までの政府のこういうIT施策に足りないものというのは、やはり国民の視線というかお客様目線というものが今までなかったんだろうというふうに思いますので、大臣はそういうところは非常に敏感だと思いますから、ぜひ取り組んでいただければ、こう思います。

 最後の質問になると思いますけれども、今後のIT戦略、今まで政府中心に、五つですか、基本的な戦略がつくられてきていたかな、こう思います。インフラの整備ということはかなり進んできて、ずっと言われていることが利活用、どうやって進めていくのか、こういうことだろうと思います。

 まず伺いたいことは、この利活用の話が一点。それからもう一点は、恐らく新しい分野というのも出てくるんだと思うんですね。けさも少し、あるところで民間の方のお話を伺っていたら、老朽化したインフラ、今後二十年もすると五〇%ぐらいが老朽化してくる、そのときに、やはりITを活用して、センサーを活用して早目に補修をし、維持改修コストを下げていく、そういうことにもITは活用できますよといったような議論があったんですが、新しい分野というのも私はあるというふうに思います。

 もう既に二回、IT本部の、これは有識者会議なんですかね、お話もあったというふうに伺っていますが、今後のIT戦略についての大臣の御見解をいただければと思います。

山本国務大臣 一月二十五日だったと思いますが、経済再生本部で安倍総理の方から指示が出まして、新しいIT戦略をきちっとつくってほしい、こういうお話でした。

 実は今、安倍内閣でのIT戦略ビジョンを作成を始めていまして、最初のIT戦略本部、総理にも出席をいただいた戦略本部、間もなく恐らくできることになると思いますし、大体五月ぐらいをめどに、安倍内閣のIT戦略、ITビジョンというものをしっかりと出していきたいというふうに思っています。

 その中には、先ほど木原委員がおっしゃったのは、まさに私にとって我が意を得たりみたいなところがあって、ITの利活用の拡大というものを、ぜひ一つの方向として、大臣としては何とか入れ込めないかなというふうに考えていまして、おっしゃったとおり、インフラという部分ではほとんど世界最高水準ですから、そこに加えて必要なのは、IT利活用のやはり拡大といいますか、裾野を広げるということだと思いますので、そうしたことも含めていろいろと議論していきたいと思います。

 さらに、新しいいろいろな話というのは、先ほどからも出ていますけれども、オープンデータとか、恐らくビッグデータとか、こういう議論はもちろん無視できないと思いますし、あるいはいわゆる次世代インフラに関連したIT技術の活用ですね、今言った老朽化した橋等々、こういうことについても、まだ議論が途中なんですが、こういうことも含めていろいろな議論をさせていただいて、五月には、まさに国家戦略としての、一本筋の通った安倍ビジョンをつくり上げられるように、IT戦略担当大臣として頑張っていきたいと思います。

木原(誠)委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わりにしますが、ぜひ、委員会での審議を促進させていただいて、早目にCIOが任命できるようにしていただければありがたいな、こう思っております。

 終わります。ありがとうございました。

平井委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 前回も私、自己紹介をさせていただきました新人でございます。この法案は、以前の国会におきまして、先輩の議員の皆様方が練りに練り上げられた中、残念ながら廃案となり、その後修正を経まして、今国会に提出されております。したがって、前回の議論を知らない私が質問させていただく機会を賜りまして、大変ありがたく存じております。

 私、今回この法案を初めて、前回の法案をわからずに拝見させていただきました。ですから、私がまず思った感想というのは、情報を管理する方の行政の効率化というのはよくわかる、しかし、やはり、一般の管理される側の国民の皆様方にとりましては、管理される情報が多ければ多いほど、プライバシー侵害その他の何か漠然とした懸念があるように思われます。

 ですから、やはり、国民の皆様にも、この制度というのが非常に利便性がある、利便性が向上されるというこのメリットを、もっともっとアピールすべきではないかというふうに感じております。

 その点、今回のこの法案の説明の中で、番号制度によるメリット、こういう冊子をいただきまして、国民の皆様への代表的なメリットとして具体例が書いてありますが、児童扶養手当の申請に必要な情報、これを、住民票や所得証明、また、親御さんが障害者の場合は、障害者手帳と障害者の認定、いわゆる受給期間のためのいろいろな申請用紙をいろいろな役所にとりに行かなきゃいけないというような説明がなされました。

 しかし、私、調べていますと、ある大きな政令市におきますと、例えば、児童扶養手当の申請については、市役所の窓口で、住民票そして所得証明、また障害に関する認定の情報も一元管理をされているということをお聞きいたします。

 そうなりますと、自治体のみの力でも、こういった情報の一元化、国民に対するメリットというのはもう既に享受できているんじゃないかというような声も聞こえてまいります。

 これは、私が、以前の出身母体が弁護士でございまして、どうしても、弁護士会からは、さまざまこういった点を確認してほしいということで、こういった情報が集まってくるわけでございますけれども、今、大きな政令市ではこういった情報の一元化が、例えば児童扶養手当ではなされている現状の中で、改めて、これを国として行う国民に対するメリット、利便性というものをもう一度甘利大臣に明確にお答えいただければと思っております。

甘利国務大臣 今御審議をいただいていますこの番号制度は、より公平な社会保障制度であるとか、あるいは税制の基盤であるとともに、先ほど来申し上げていますが、情報化社会のインフラとして、国民の利便性の向上や行政の効率化に資するということから、早期に導入する必要があるものというふうに考えているわけであります。

 これまでも、それぞれの機関であるとか、あるいはそれぞれの制度で、公平性や効率性の確保、または国民の利便性確保といった観点から、さまざまな検討や努力がなされてきたということは承知をいたしておりますが、番号制度が導入をされますと、ITを活用した正確かつ効率的な名寄せであるとか突合が可能になります。

 例えば、所得制限を設けるといった政策の選択肢も広がりまして、より容易に公平性や効率性の確保、また国民の利便性向上を図ることが可能になるものというふうに考えております。

浜地委員 今の御答弁で、私も大きな政令市の事例を引かせていただきました。先ほどの甘利大臣にお答えいただきました国民の利便性というものが、より千八百の自治体全体に行き渡るということであろうかと思っております。

 もう一点、今度は、利用範囲について御質問をさせていただきます。

 第九条にその利用範囲が書かれているわけでございますけれども、本来この法案は、税と社会保障の一体改革の中で結びつけられております。しかし、九条を見ますと、防災分野に関する事務について、自治体が条例で定める者については、今回、利用範囲に属するということになっております。

 税と社会保障から若干外れる防災分野についての事務も本来の利用範囲に入ったその経緯を御説明いただければと思っております。

甘利国務大臣 個人番号の利用分野として災害対策分野を入れた背景には、東日本大震災の発生があったというふうに承知をいたしております。

 東日本大震災を踏まえまして、被災地の地方公共団体等からの声に応えて個人番号を地方公共団体の条例に定める防災事務等に利用できるように措置をいたしました。そうしたほか、あらかじめ保険会社等が税務目的などで個人番号を保有していた場合に限り、東日本大震災のような激甚災害時には当該保険会社等が円滑な保険金等の支払い事務に個人番号を利用できることといたしております。

 被災者が当該自治体を離れまして避難先に行ったときに、本人確認がなかなかできなくて避難先で各種申請をするのが非常に手間取ってしまったという指摘がまずありました。本人確認が個人番号ですぐにできれば、住んでいた住所地を離れてもいろいろな政策対応を受けることができるということ等々、東日本大震災を踏まえて、それに対応できるように、よりいいものにバージョンアップをしていこうということが加味されているものと承知いたしております。

浜地委員 ただいまの御答弁をお聞きしていまして、東日本大震災を契機にこのような税と社会保障以外の防災の分野も取り入れられたという国の姿勢に対して私も敬意を払いたいと思いますし、実際に、私も、大震災のときに友人の生命保険会社に勤める人間は九州から東北に行って本人照会の作業にかなり当たりまして、非常に業務も大変だったということを聞いております。先ほどの根拠条文としましては九条の第四項になろうかと思うんですけれども、生命保険会社等があらかじめ契約をしている場合に限ってこういった激甚災害等のときに生命保険料を出せるための迅速な措置がとれるこの法案が盛り込まれたことは非常に大きな意義があろうかと思っております。

 続きまして、マイポータルの利用についてお聞きをしたいと思います。これも一つ国民の皆様への利便性向上をアピールする大事なツールであるというふうに私感じております。

 そこでまず、そもそもマイポータルの現在の予定されている利用の具体的なメニューについて、これからでありましょうけれども、今のところ予定されているメニューについて御質問いたします。

西村副大臣 お答えをいたします。

 今、マイポータル、どういうふうに活用するのかという御質問だったと思いますが、先ほど委員まさにおっしゃられたワンストップでいろいろな申請ができるわけですけれども、それを、わざわざ市役所に行かなくても自宅のパソコンからそうしたこともできるようになりますし、そのほかにも、行政機関などの間で行われた情報提供等の記録の確認も自宅のパソコンからできる、あるいは自分自身の年金を初めとする社会保障、さまざまなそういう自己情報についての確認もできる、またさらには、いわゆるプッシュ型サービス、お知らせサービスのような機能ですけれども、行政機関から、これは本人の利益になると思われるようなものについてはそうしたサービスもできるということになりますので、さまざまなこうしたことが自宅のパソコンから行えるようにしたいというふうに考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 ただいまプッシュ型のサービスという言葉が出てまいりました。国民一人一人に合った行政サービスを国の方から、また行政機関の方からお知らせするという大事な機能であろうかと思っております。このためには、先ほども御質問ありましたカードリーダーが必要とか、さまざまな問題はあろうかと思うんですけれども、基本的には私はこのプッシュ型のサービスをより充実させることによって、国民の皆様がマイナンバー制度を導入してよかった、実際に真に自分たちの生活の利便性に資しているということを感じていただくことが大事であると思っております。

 ですから、先ほども防災のお話がありましたけれども、プッシュ型のサービスの中に、社会保障以外の部分、例えば防災に関する具体的な情報をお知らせするであるとか、または、社会保障の制度が変わったときに、このように変わりましたよ、所得制限等が変わりましたということをどんどんどんどん、まさにプッシュですから、国の方から国民の方にやはりそれを開示していくということによって利便性は向上しようかと思っています。

 その中で、きょうは山本国務大臣もいらっしゃいます。私としては、ぜひ、社会保障に関するさまざまなこれからの議論の中で、国民の皆様にアンケートをとるような形の項目も設けていただきながら、また、意見を言っていただくようなコーナーを設けていただきながら、いわゆる行政機関と国民の皆様が、このプッシュ型のサービスを使う中で、マイポータルの中で会話をできるような、そういったシステムにITとして変えていただきたいなという要望があるんですけれども、そういったお考えはあるか、お聞きしたいと思います。

西村副大臣 現在のところ、利用分野は、まさに税、社会保障、それから災害対策という分野に限っておりますし、それから、マイポータルの使用の範囲も、今おっしゃられたサービスのようなプッシュ型のサービスは、「本人が希望し、又は本人の利益になると認められる情報を提供すること。」という条文の規定になっておりますので、最初に委員おっしゃられた、まさに災害後の被災者の支援制度に関するお知らせなんかは想定できると思いますが、どういうふうにそれを活用するかというのは、今後、国民の理解も得ながら、やはりいろいろとプライバシーを心配される方もたくさんおられるものですから、そのあたりをよく踏まえて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

浜地委員 ぜひ、このマイポータルの利用によりまして、国民の利便性に資しているというふうに国民の皆さんが実感できるような制度にしていきたいというふうに思っております。

 続きまして、心配される懸念材料について御質問いたします。

 まず、やはり、民間流用、情報が民間に流用するという懸念でございます。

 現在は、第三者への、民間利用は基本的には解禁をされていないという条文のつくりになっておりますけれども、実際のところ、先ほども御指摘がございました、いわゆるサラリーマンの方が納税をするときに、会社が源泉徴収をして、会社が納入する。そうなりますと、どうしても、会社の経理の人間に対して自分の個人番号というのを通知して、会社が蓄積をして、それを役所に届けるという民民官という流れの中で、会社の中でも、一つ民間ということにこれをしますと、情報が流れる。

 それともう一つ、一般社会でも、よくレンタルビデオ店での個人確認、本人確認ということで、現在は写真がついております運転免許証を提示するようにというふうに言われることが多うございます。保険証でかえてくださいと言っても、顔写真がついていないので本人とわからないということで断られて、本当にビデオ店にどんどんどんどん運転免許証のコピーが積み重なっている。

 これはやはり、個人番号が流通しますと、こういった運用も行われて、知らず知らずのうちに民間に個人情報が蓄積されていくんじゃないかという懸念がございますけれども、それについての対応についてお聞きしたいと思います。

西村副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 まさにこの番号法は、法律に規定をされた場合を除いて、個人番号の収集、保管を禁じております。違反をした場合には、特定個人情報保護委員会による勧告、命令の対象となって、さらには、命令違反の場合には刑事罰も規定をされておるというたてつけになっております。

 また、委員御指摘のとおり、個人番号カードを身分確認証として利用する場合も出てくると思うんですけれども、その場合に個人番号が収集されることを防ぐため、個人番号カードの裏面に記載する方向でも検討をいたしております。

 さらに、個人番号の利用や収集、保管は番号法に規定された場合に限り許されるということになっておりますので、このことについて、特定個人情報保護委員会や番号法を所管する内閣府におきまして十分に周知広報活動を行ってまいりたい。

 基本的に、民間で番号を求められることはないということ、禁じられておりますので、そのことをよく周知広報活動をしてまいりたいと思います。

浜地委員 この点に関しましては、ぜひ、やはり政府の方が主導しまして、例えば、これが施行された場合に、各レンタルショップとかに対しても、個人情報の収集は行ってはいけないということを大々的にアピールしていただく。チラシでも配り国民に周知徹底できるような、広告等も含めてやることが国民の皆様方が安心をできるということになると思うんです。

 そういった、先ほども周知徹底を図っていきたいというような御答弁ございましたが、その具体的な方法をもうちょっとお聞きしたいと思います。

西村副大臣 委員の御指摘を踏まえて、ぜひ、国民の皆さんにしっかりと理解していただけるように広報活動をやってまいりたいと思います。踏まえて対応したいと思います。

浜地委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、海外での悪用多発という点についてお聞きします。

 こちらの問いも、先ほども他の委員の先生からございましたけれども、私のもとに来ている資料としますと、例えばアメリカの場合、社会保障番号制度でございます。これは、連邦司法省の統計によりますと、成り済まし犯罪が二〇〇六年から二〇〇八年の三年間で何と一億百七十万件あったという報告がございます。被害総額にしまして、当時は日本円に直して約四千億円となっていますが、為替が円安ですから恐らく五千億円になっていると思います。一億を超えるこの三年間の成り済ましの被害、そして被害総額としては五千億を超えております。

 その中でも特に多いのが、今回は、当然全員に番号を振るわけでございますので、子供に対しても番号が振られるということでございます。そうなりますと、成人に近づいた十八歳以上の子供等でありますと、やはり、もう社会的にいろいろな契約ができるようになるような年齢でございます。アメリカで一番多いのは、多重債務を抱えた親が子供の社会保障番号を使って多重債務をさらに重ねる、本人が大きくなってローンを組もうとしたときに、既にブラックリストに載っていてローンが組めないという被害が一番多いというふうな報告がございます。

 これを踏まえまして、アメリカでは、もう税の分野に限ってはこの社会保障番号を使うのはやめようということで、身元保護個人納税番号を新たに導入するというような、要は、区分ごとの番号制度に移行しているという取り組みがなされております。また、高齢者医療、いわゆるアメリカのメディケアカードについても、このメディケアカードから社会保障の番号を削除するような法律も成立をしております。

 そうしますと、先ほどの御質問によりますと、そういったことがないように頑張りますといった答弁であったと思うんですけれども、実際、もうアメリカでは、全体の共通番号から分野別の区分番号に移っている、もしくは番号を削除するという取り組みが現実になされている中で、今後の取り組みとして、民間利用も含めまして、このアメリカとはどういう違いをもとにどういった運用の違いを行うのか、ここをはっきりと明確にしておかないと、不安感が募るばかりと思っております。ここをちょっとお答えいただければと思います。

西村副大臣 まず、アメリカのケースは、社会保障番号も、写真がついていなかったり、私も当時アメリカにおりましたとき取りましたけれども、写真もありませんでしたし、ぺらぺらのカード一枚でありますし、今もそんなに変わっていないというふうに伺っていますが、本人確認を番号のみによって行うというケースも多々あった、それから番号に利用制限が設けられていなかった、こうしたことが成り済ましの事例の発生に影響したのではないかというふうに我々分析をしております。

 この番号法案では、こうしたアメリカの教訓、事例も踏まえて、成り済ましの被害が発生しないように、個人番号の利用範囲を法律に限定的に規定する、限定するということをやった上で、個人番号の利用に当たっては、個人番号カード等で本人確認を行うようにしております。

 さらに、この番号法案では、金融機関等が信用情報に個人番号、ひもをつけるということを禁止されております。そもそも番号の提供を求めることを禁じられております。

 そういった意味で、限定的に、今回、まずこの法律では利用範囲を限っているということでありますけれども、将来この個人番号の利用範囲を拡大することについては、民間でも幅広く使うべきだ、利便性向上につながるという意見がある一方で、御指摘のような御懸念もありますので、この附則の第六条一項に規定がありまして、法律施行後三年を目途として、法律の規定に検討を加えて、必要があると認められるときには、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講じるということにしております。その際、委員御指摘の諸外国の状況なんかも踏まえて、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

浜地委員 ありがとうございます。本当にここが非常に今後の課題であると私も思っております。

 副大臣が御指摘のとおり、アメリカでは、やはり、個人情報、この番号と信用情報が結びついているというところがこういった被害の大きな原因であろうと思います。我々としては、そういった諸外国の被害の原因を追求することによりまして、それをもとに、民間利用、要は、範囲の拡大において注意をしていくべきであるというふうに思っております。

 ですので、これは、範囲を拡大するときには、やはりしっかりと議論をしながら行っていくことが大事でございますし、国民の皆様への安心につながるというふうに私も感じております。

 続きまして、特定個人情報保護委員会についてお聞きいたします。

 旧法案では個人番号保護委員会ということでございまして、名称が変わったわけでございますけれども、その中で、法案の五十条にありまして、いわゆる助言、指導、監督の条項がございます。この中で、この委員会の方は、指導、助言の対象として、当該特定個人情報とともに管理されている特定個人情報以外の個人情報の取り扱いに関しても、あわせて指導、助言をすることができるということで、権限の拡大が図られているというふうに説明を受けておりますけれども、この具体的な中身を御説明いただければと思っております。

西村副大臣 御指摘の、五十条の特定個人情報保護委員会の監視、監督の今後の、ごめんなさい。

 特定個人情報とともに管理されている個人情報以外の取り扱いに関し、済みません。ちょっと待ってくださいね。済みません。

平井委員長 浜地君、もう一度質問を簡潔に御説明ください。お願いします。

浜地委員 済みません。私の質問の仕方が……。

 要は、特定個人情報、今回集める情報以外の個人情報の取り扱いについても指導、助言ということになっておりますので、どの範囲なのかとか、どういったケースでそういったことが起きるのかということ、ここは権限拡大の、修正案の非常に重要なポイントだとは感じておるんですけれども。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 個人番号を含む個人情報だけでなく、五十条のところには、特定個人情報の適正な取り扱いを確保するために必要があると認めるときは、番号つきの情報でございますが、この番号つきの情報とともに管理されている番号つき情報以外の個人情報の取り扱いに関して、あわせて指導及び助言できるということでございます。

 したがいまして、番号つきの特定個人情報の例えば検査に行ったり、あるいは資料をとったりしたときに、当然、その中には番号のついていない情報も多数あろうかと思いますので、そういうものについてもあわせて指導、助言ができる、そういう意味でございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 確かに、そういった周辺情報についても指導、助言をする権限が委員会にあるということで、やはり情報漏えいに対する助言、指導というのが実効的になろうかというふうに私も感じております。ですので、こういった機能をしっかり運用がなされるようにまた努力をしていただければ、また、我々もしっかりと助言をまさにしていきたいなというふうに思っております。

 私も、あと三分あるんですけれども、質問が切れてしまいました。ちょっと早目に終わらせていただきたいと思うんですが、最後にまとめますと、私も議員になってまだ三カ月余り、やはりどうしても、このマイナンバー法案というのは、管理されてしまうんじゃないかという懸念があります。ですので、冒頭申し上げたとおり、この利便性というものをよりよくアピールし、またそれを実感できる制度にしていくことが国民の真の理解につながろうかと思っております。

 そのために、私も与党の一年生としまして、いろいろな意見を申し上げながら、御協力をしながら、この法案をよりよいものに、よりよい運用にしていきたい、そのように決意をいたしております。

 どうもありがとうございました。失礼いたします。

平井委員長 次に、高木美智代君。

高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。

 本日は、本会議に引き続きまして、質問させていただきます。

 今回の共通番号制度の導入に当たりましては、我が党もプロジェクトチームを立ち上げまして、昨年来、内閣部会、社会保障と税の共通番号に関する検討プロジェクトチームということで、検討をずっと重ねてまいりました。そして、昨年の夏ぐらいからだったでしょうか、三党間の、自民、民主、公明間の実務者の協議ということで、社会保障と税の一体改革の議論とあわせまして、同時並行で進めてきた経緯がございます。自民党の中心者は平井委員長、そして礒崎議員、また民主党は岸本議員、そして公明党は私からということで、この四人の間で、集まるというよりは、各党での修正案をそれぞれ確認させていただき、また、これではだめだとか、これはここで大賛成とか、そういうことを重ねてきた経緯でございます。

 そして、九月の六日でしたが、通常国会が終わりますころに、非公式でございましたが、この実務者の間で、ここまでは確認をさせていただこうという、その確認文書も内々に取り交わさせていただきながら、この合意からもう一つ前に進めることができるように、こういう思いを込めまして進めてまいりました。本日、やっと趣旨説明、そして質問に入ることができまして、改めてこの制度の早期成立を求めるものでございます。

 まず、私は、本会議のときに、総理に質問させていただきました。個人情報保護法制につきまして、総理は、御答弁の中で、消費者委員会での議論や国際的動向も見ながら、引き続き、しっかりとした検討を進めてまいります、このように答弁されました。

 先ほど浜地議員からもお話がありましたとおり、我が党は、特定個人情報保護委員会、そこからさらに個人情報保護委員会、大きく進めていくべきだと考えておりまして、総理のこの御答弁、どのようなことなのか、その内容につきましてお伺いをしたいと思います。

草桶政府参考人 お答え申し上げます。

 本会議におきまして、総理の個人情報保護法制一般に関する御答弁は、消費者委員会での議論や国際的動向を見ながら、引き続き、しっかりした検討を進めてまいりますというものでありました。

 消費者委員会での議論とは、消費者基本計画に基づきまして、個人情報保護法については、消費者委員会における法改正も視野に入れた問題点について、その審議を踏まえ検討するとされており、これを受けて検討を行いました消費者委員会は、その報告書におきまして、監督機関のあり方を初め、個人情報保護法制に関する検討課題を示しておりまして、消費者委員会において、これらの課題につきまして、今後、検討が行われるものと承知いたしております。

 また、国際的動向とは、個人情報保護における各国や国際機関あるいは多国間による取り組み等を指しておりまして、これにつきましては、消費者庁としても、国際的な動向を把握する努力をいたしております。

 消費者委員会の先ほど言及しました報告書におきましても、個人情報保護制度の国際的な整合性については、我が国の法制度に対する国際社会の理解を求めていくとともに、国外で活動する事業者等のニーズを踏まえつつ、協調のあり方を検討する必要があるとしております。

 したがいまして、個人情報保護法制につきましては、こうした消費者委員会での議論でありますとか国際的動向を見ながら、引き続き検討を行っていくこととしております。

高木(美)委員 個人情報保護委員会の設置につきましては、個人情報保護法成立時の衆議院、参議院の附帯決議におきまして、平成十五年四月、五月、それぞれに成っておりますが、「第三者機関の意義について交わされた論議等さまざまな国会における論議を踏まえ、全面施行後三年を目途として、本法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」このように附帯決議がなされておりまして、ちなみに、この全面施行は平成十七年四月一日、七年前のことでございます。

 それから考えますと、本来であればもう少しピッチが早く検討がなされなければならないとも思いますし、私も、平成二十三年七月の消費者委員会個人情報保護専門調査会、この報告書も拝見いたしましたが、この中に「検討課題」としてしっかりと、「個人情報保護法制の全体像を視野に入れた構想として、」ということで「第三者機関が関与すべき」という意見につきまして書かれております。

 こういう内容について、このまま引き続き中長期的とかそういう話ではなくて、私はむしろこれは、時というのがあります、チャンスというのがあるわけでございまして、早急に検討されるべきではないかと思います。

 なぜそれを今回この番号制度の議論で申し上げるかといいますと、先ほど来多くの議員から、個人情報保護について、我が国は誤解もあるし、また、災害時とかそうしたときにどこまで可能なのか、そこの線引きも不徹底である、また、それがはっきりと見えていない、そういうお話がありました。要するに、我が国の個人保護法制自体がばらばらというのが、今我が国の置かれている状況ではないかと思います。

 どっちかというと、地方自治体が条例で先行していて、それに対して国の責務が定められている。そして、当然、個人情報保護法があり、国の行政機関の法律があり、また独法等を縛る法律があり、また、地方公共団体は条例で対応しているというこのばらばらなものを、もう少しこれをきちんと取りまとめて、我が国として総合的な個人情報保護体制をつくらない限り、どんなにこの番号制度を前に進めようとかこれを基盤にして何ができるかとか議論をしても、この懸念のところから全部足元から崩されてしまう、国民の理解が得られない、こういうふうに私は懸念をするものですから、今回訴えさせていただいております。

 やはり、こういう一つの大きなうねりのときに個人情報保護委員会をつくっていこう、そこで、附則の中で施行後一年をめどにということで盛り込ませていただいたわけでございます。ここが私はむしろ我が国の個人情報保護法制を整える最後のチャンスではないか、このように思っている一人でございます。

 甘利大臣、どのようにお考えでしょうか。

甘利国務大臣 非常に重要な指摘だと思っております。

 今回御審議いただいています法律の中に特定個人情報保護委員会というものの設置があって、当初は番号つき情報、それから番号なし情報についてもしっかり個人情報保護の仕組みを充実させていくという御指摘、先ほど来からあるわけでございます。

 この特定個人情報保護委員会、これは、立ち上げは内閣官房で行うのでありましょうけれども、所掌事務の個人情報保護一般への拡大については、今申し上げたような附則に基づいて、この番号を所管する内閣府であるとか個人情報保護法を所管する消費者庁であるとか、あるいは個人情報保護法関係各省と連携をして検討を行うこととなるものと考えております。

 いずれにいたしましても、法律の規定に基づいて、国会の御議論を踏まえまして、政府としてもこの機会にしっかりと対応していきたいと思っております。

高木(美)委員 ぜひとも、この道筋につきましては、内閣が主導して行わなければ結論として形にはならない、このように私は危惧するものですから、甘利大臣に強く要請をさせていただきたいと思います。

 続きまして、懸念されます点につきまして何点か申し上げたいと思います。

 まず、住民票コード、これは私たち国民一人一人が既に持っております。持っていることすら知らない国民の方が圧倒的に多いです。

 では、なぜせっかくあるこの住民票コードをそのまま個人番号として利用しないのか、お伺いします。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 個人番号として何を用いるかについて、検討段階におきまして三つの選択肢を検討いたしました。

 一つが基礎年金番号、これも既に与えられています。それからもう一つ、今御指摘の住民票コード、それから三つ目に、住民票コードに対応した新たな番号、この三つの選択肢を検討いたしたわけでありますけれども、その過程ではパブリックコメントも求めまして国民の幅広い意見を募った上で、最終的に、住民票コードに対応した新たな番号としたものであります。

 これは、個人個人のプライバシーへの影響に配慮し、一つの番号のみではさまざまな個人情報を芋づる式に引き出せないという情報連携の仕組みを構築し、また、個人番号が悪用された場合に今度は変更を容易にするというために、住民票コードはいわばベースとして置いておくということで、個人番号や連携符号のもとになる番号とすることが望ましいということを考えて、このような形にしたものであります。

高木(美)委員 副大臣、ちょっとその答弁では足りないと思います。

 なぜ住民票コードをそのまま使えないのか。持っているんですから、そのまま使えばいいじゃないですか。当然、そこは、住基ネットの今までの限界、安全に安全にと言ってきてほかに何も使えなくなってしまったというそこの限界のところが、私は、むしろそれは正直に国民の皆様に開示していきませんと、これからの委員会、審議等々、やはり困難になるのではないかと思います。

 向井審議官に、今の質問に対しまして答弁を求めます。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 基本的に、住民票コード、先生の御指摘のとおり、どこにもあらわれていない陰の番号というか、ある意味国民の皆さんは知らない番号になっておりまして、住基カードにも番号そのものは書かれておりません。知ろうと思えば、番号つきの、住基コードつきの住民票を請求するという、そういうふうな手続が必要になる。

 実際には、住基コードそのものは、行政機関のいわゆる住所とか四情報確認には使われておりましたけれども、一方で、国民の皆さんが必ずしも使われていたのかというところにおきましては、カードの普及率からしてもやはり問題はあろうかなと思います。

 今回、番号をどういうふうにするかという場合に、もちろん住基コードをそのままそれぞれの番号にすることも可能ですけれども、住基コードをそのまま使いますと、情報の連携がフラット方式、要するに、番号そのものでやる方式になりやすい。逆に、住基コードを、一つは、住基コードから表の見える番号、いわゆるマイナンバーを振り出す、一方で、住基コードから情報連携の符号を別途振り出してこれを見えないようにしておけば、情報連携そのものは見えない番号でできる。

 ということは、見える番号の方は、先ほど、アメリカでも複数の方法に行っているのではないかという御指摘もありましたけれども、将来拡張をする際に、セクトラル方式といった形の複数の見える番号の方式も使いながら情報連携が可能になるという、そういう広げやすさがあるなということも考えました。

 特に、民間に広げるという御議論がございますけれども、民間に広げる場合に、番号そのものを広げるのか、それとも情報を連携するのかというのは、実は意味合いが違います。そして、番号をみんなに使わせるにはやはりハードルが高いとは思いますが、情報連携を民間に広げる方がハードルが低いのではないかと考えます。そういう場合に、見えない、人に知られていない符号、住基コードをもととした符号で連携するということもまたできるのではないか。

 そういうふうなことも考えまして、番号そのものは住基コードから振り出した住基コードとは別の番号としたものでございます。

高木(美)委員 ありがとうございました。

 続きまして、マイポータルにつきましてお伺いをいたします。

 第六条の第六項第二号の法文にございますが、先ほども西村副大臣の御答弁で少しお話しいただきました。ここに、本来受けるべき社会保障サービスのメニューが届くということが、検討を加えという条件のもと、可能になります。「個人番号利用事務実施者が、本人に対し、個人番号利用事務に関して本人が希望し、又は本人の利益になると認められる情報を提供すること。」というふうにあります。これを今後どのように進めていかれるのか。

 私は、先ほどもありましたが、申請主義の行政システムからプッシュ型のお知らせ主義への転換というのは、特に、超高齢社会におきましては急務と考えております。全部申請しなければ年金すら何ももらえないという、これはやはり改善をすべきと思っております。答弁を求めます。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 まさに、委員御指摘のとおり、この番号制度の導入によりまして、行政機関の間で必要な情報の連携を行うことによりまして、国民からの申請を待つことなく、行政サービスの対象となる可能性のある方を特定して、行政の側から、いわゆるお知らせサービス、プッシュ型サービスと言われる連絡を行うことも可能となるものと考えております。

 この番号制度の導入に向けて準備をいたしますマイポータルにおきましては、行政機関などの間で行われた情報提供の記録、あるいは自己情報の確認と同時に、こうしたプッシュ型サービスと言われる行政機関からのお知らせ、さらには、先ほどもありましたけれども、ワンストップによる各種申請を自宅から行えるというようなことをしたいと考えております。

 いずれにしましても、マイポータルで実際に提供するサービスの詳細について、先生御指摘の御意見も踏まえながら、国民の利便性向上の観点から、各省とも連携して、引き続き、いいものになるように、ぜひ検討してまいりたいというふうに思います。

高木(美)委員 たしか十八条だったと思いますが、既に、地方自治体が条例で定めればそうしたことも可能になるというようなことを確認した記憶があるんですが、それはいかがでしょうか。

 すぐにでも、これが本格施行になって、地方自治体が条例を定めて、早速にこのプッシュ型の制度が運用できるのであれば、どんどん地方自治体の創造性を発揮していただきながら、独自の流れをつくっていただくことも可能かと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 情報連携基盤、情報の連携それからマイポータルにつきましては、マイポータルは情報連携がないとできませんので、情報連携については、通常の、番号の利用から一年おくれとなっております。

 そういう意味では、直ちに番号による情報連携を使ったプッシュ型サービスができるわけではございませんが、プッシュ型サービスという場合に、やはり二通りあるのではないかと考えておりまして、いわゆる番号を使って、例えば、この方は、所得がある程度低いので、こういう所得制限はクリアできるので、そういうサービスができますというのを、行政の側で選んでプッシュする場合は、個人情報が含まれていますので、当然、情報連携基盤ができてから可能となりますが、そうでない、例えば、本人がこういう情報を下さいとか、そういうふうなものであれば、これは逆に番号がなくても可能となります。そういうものについては、できるだけ早くすることも考えられるのではないかと思っております。

高木(美)委員 そうしますと、運用開始が二十八年一月ということですので、ほぼその一年後ということでよろしいんでしょうか。うなずいていただきました。

 続きまして、マイポータルにアクセスする際の本人確認、先ほど、カードリーダーを差し込むという、これは本当に旧式で、私もe―Taxをずっとやっていましたが、これに疲れて途中でやめました。もっとこれは簡単に情報端末から、例えば、私もタブレットを持っていますし、皆さんいろいろ、スマートフォンもお持ちですから、そこでもっと簡便にできる、そのようないわゆる技術開発、また、それを簡易なものにすることについてというのが、申し上げたこの六条の第六項の中に入っているかと思っております。この技術開発とかをどんどん進めながら、それに見合った形で導入することも可能かと思いますが、いかがでしょうか。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 マイポータルのアクセスにつきましては、現時点では、個人番号カードに格納されたICチップに盛り込まれた電子情報を読み取って、その情報とパスワードを組み合わせて確認する公的個人認証を採用することにより、厳格な本人確認を実現したいと考えております。

 一方で、先生御指摘のとおり、国民の利便性にも配慮しまして、技術の進歩も見ながら、携帯電話やスマートフォンなどの情報端末の活用も考える必要があるというふうに認識をしておりまして、これは第六条の四項に規定をいたしておりますけれども、こうした技術的な動向も踏まえながら、引き続き検討していきたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ぜひともこれは、自民党におかれましても、また公明党におきましても、前に進められるようにしっかりと後押しをさせていただきたいと思います。

 また、もう一問、西村副大臣にお伺いしたいのですが、マイポータルから住所変更等を届け出ることは可能なんでしょうか。基本的には、私は、そこは、そうしますと情報連携システムに入ることになりますので、無理ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

西村副大臣 同じく附則六条の第六項のところにおきまして、国民の利便性の向上を図る観点から、民間における活用も視野に入れて、マイポータルを活用した各種措置につきまして検討することとしておりまして、その実現可能性を含めて、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 ぜひとも早急な検討をお願いいたします。

 また、あわせまして、これは坂本総務副大臣にお伺いします。

 現行の住基カードは、個人番号カードと交換されるんでしょうか。やはりそれぞれ料金を支払って住基カードをお持ちでございます。

坂本副大臣 お答えいたします。

 個人番号カードの交付に当たりましては、番号法に基づき、市町村に対する申請を行うことがまず必要です。その上で、住民基本台帳カードの交付を受けている方につきましては、市町村長から個人番号カードの交付を受ける際に、住民基本台帳カードを市町村長に返納するということになります。

 なお、既に交付されております住基カードにつきましては、有効期限がありますので、有効期限が満了するか、個人番号カードの交付を受けるまでの間は、引き続き利用することができるということになっております。

高木(美)委員 副大臣、料金はどうなりますか。

坂本副大臣 今、どういうふうにするか検討中でございます。

高木(美)委員 これは国としてのシステム変更でございますので、やはり今持っている方については、しかも、多い人数ではありません、五%というお話ですので、ここは無料で交換という、もしくは、残っている年限に応じてというのもありますが、そこはできる限り、交換できる、手数料は取らないというような形の方が私はふさわしいのではないかと思います。ぜひともその方向で御検討を要請いたします。

 続きまして、少し時間がなくなってまいりましたので、済みません、一問省略させていただきまして、私は、今、障害分野の政策を進めております。そこで、合算制度の導入を進めてまいりました。補装具、いわゆるさまざま使われる補助する器具です、それと福祉サービス、受けるサービスの利用料につきましては、同じ厚労省内、同じ部局内ということで、合算制度が既にできました。しかし、医療まで含めるとなりますと、これはなかなかできないというお話をいただいております。

 この番号制度を基盤としてこの合算制度が可能になる、そしてまた、利用者負担総合キャップ制などの導入をすべき、このように、この制度を使うことによっていわゆる社会的弱者と言われる方たちにメリットがあるという、このことはとても大事なことだと私は思っておりまして、今後どのように検討されるのか、お伺いします。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘をいただきましたように、番号制度の稼働後に、関係機関のデータの連携基盤が整うなど、関係機関の間に番号制度が定着することによりまして、必要な情報を円滑に把握できる基盤が整うことになります。そういたしますと、私どもといたしましては、申請者の方々の所得などの正確な情報の把握、こういうものに加えまして、医療、介護、保育など、各種のサービスの利用に伴う自己負担額の状況、こういうものを制度横断的に把握できるようになると考えております。

 税制抜本改革法におきまして検討することとされております総合合算制度は、このような基盤を前提にいたしまして、医療、介護、障害等も、あるいは保育、こういうものも含めた世帯の自己負担に一つの共通の上限、こういうものを設けていくということを検討していくということになるというふうに考えているところでございます。

 番号制度の本格稼働を見据えまして、検討を進めてまいりたいと考えております。

高木(美)委員 このような最も身近な国民の利便性に資する分野につきましては、同時並行でぜひともお願いをしたいと思います。強く要請をさせていただきます。

 最後に、現在、政府CIOの遠藤さんにきょうはお越しいただきまして、ありがとうございます。少し伺わせていただきたいと思います。

 まず、各省庁のIT調達の状況について、ずっと、随時ヒアリングをしてこられたと承知しております。どのような感想をお持ちか、お伺いをしたいと思います。

 私も、特に、余り省庁の名前を言うわけにはまいりませんが、こういう議論でございますので、例えば電子カルテにつきましても、以前少し申し上げさせていただきましたが、もうこれはベンダーによって、また、診療科目によって全部ばらばら。それを、情報を全部互換作用を確認するために、以前は体育館で全部パソコンを持ち寄ってやっていた、そういう原始的なことが数年前まで行われておりました。

 本来であれば、プラットホームをつくって、そして後は、そこでどのようなベンダーを利用するかは、それぞれの病院なり、そうしたところが考えていくという、今、山本大臣がうなずいてくださっておりますけれども、このような重複とか無駄とか、これを何としても削減していくべきと考えております。現在の御感想につきましてお伺いをいたします。

遠藤政府参考人 ただいま御指名いただきました政府CIOの遠藤でございます。

 今委員の方から御質問がありましたとおり、私、昨年から、平成二十五年度の予算の調整、編成過程でいろいろなところをヒアリングしておりまして、先ほどから話題になっております最大のポイントの一つである社会保障と税の一体改革、これらについてもかなりの時間をかけて各関係省庁、例えば内閣官房、総務省、国税庁、厚生労働省など、いろいろヒアリングを重ねてきております。

 はっきり申しまして、どれもこれも全部準備不足ということであります。民間で考えると、それではまだIT投資のデシジョンはとてもできないよというようなレベルで概算要求を出してきている、こういうことであります。

 具体的に申しますと、IT投資をする際に非常に重要なことは、BPR、業務プロセスの改革ということが必ず必要なわけです。それなのに、そこの部分が十分にできていない。それから、特に、府省の間の関係だけではなくて、国と地方の間がこの番号の場合は非常に重要なわけですね。にもかかわらず、そこに言及された検討が十分されていないまま、これだけお金がかかりますというようなことが出てきております。

 したがって、今度は効果ということになりますと、投資対効果に対しても十分な言及ができないという状況になっておりまして、現在、まだヒアリングを継続しております。

 ということでありまして、そういうことばかり言っていたのでは先に進みませんので、どうやったら進められるかということなんですが、私、やはり政府内部にこういうことを検討する人が足らないというふうに思います。

 ITのことだけわかっていたのではこれはできないわけです。業務のこともよくわかっていなきゃいけない。それから、大きな戦略目標としての、国の活性化とか、そういうことについてのつながりをみずから描ける、そういう人たちが一緒にいて初めて大きな目標と具体的にやることをつなげられることができる。そこの人間が足らな過ぎる、このように考えておりまして、今後、そういう面からの質問も多くしながら、何度も何度もやりとりをしながら、そういう点の足らないところを埋めていきたいということであります。

 そして、関係省庁はよくその辺のことはもう御理解、御存じでございますので、十分に連携をしながら、社会保障・税番号に関するシステムの円滑な整備に向けて頑張っていきたい、このように考えております。

 以上であります。

高木(美)委員 ありがとうございます。

 あわせまして、遠藤CIOには私もお願いさせていただきましたが、地方自治体から、もうどうしていいかわからない、ベンダーの言いなりというところもありますし、また、相談したいけれどもするところがないというお声もありますし、地方自治体から求めがあった場合には相談に応じていただくという、このことも中に盛り込ませていただきました。ぜひ、国全体、国と地方のそのスリム化につきましても、御尽力をいただきたいと思っております。

 これは、正式には、先ほど来、山本大臣から御答弁ありましたとおり、今後、法的根拠をしっかりと置いた上で、内閣総理大臣の申し出により内閣が任命をしていくという、このような任命の形式になっているとも承知しておりますが、ぜひとも、続けて一貫した仕事ができますように御配慮をお願いを申し上げるものでございます。

 ありがとうございました。

平井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.