衆議院

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第7号 平成25年4月11日(木曜日)

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平成二十五年四月十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 田中 良生君 理事 西川 公也君

   理事 平口  洋君 理事 若井 康彦君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    岩田 和親君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    冨樫 博之君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    平沢 勝栄君

      福山  守君    山際大志郎君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      岡田 克也君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    福田 昭夫君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      西野 弘一君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣         山本 一太君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)           甘利  明君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   総務副大臣        坂本 哲志君

   財務副大臣        山口 俊一君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   裁判官弾劾裁判所事務局長 石川 隆昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  望月 達史君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           米田耕一郎君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     岩田 和親君

  荒井  聰君     福田 昭夫君

  遠藤  敬君     西野 弘一君

  杉田 水脈君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     末吉 光徳君

  福田 昭夫君     荒井  聰君

  河野 正美君     杉田 水脈君

  西野 弘一君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     冨樫 博之君

同日

 辞任         補欠選任

  冨樫 博之君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案(内閣提出第三号)

 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第四号)

 内閣法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五号)

 地方公共団体情報システム機構法案(内閣提出第七号)


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     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、内閣法等の一部を改正する法律案及び地方公共団体情報システム機構法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の各案に対し、財務金融委員会及び厚生労働委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾することとし、また、総務委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合には、これを受諾することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、本連合審査会は、本日午後一時から本委員室において開会いたしますので、御了承願います。

    ―――――――――――――

平井委員長 次に、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、総務省自治行政局長望月達史君、総務省自治行政局選挙部長米田耕一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 きょうは、内閣委員会での質問の機会をいただきまして、大変ありがとうございました。

 きょうは、いわゆるマイナンバーの審議の時間でございますが、残された時間でそちらの方を質問させていただくことにいたしまして、先月の二十八日、予算委員会で、時間がなかったものですから、甘利大臣から十分な御指導をいただけませんでしたので、緊急経済対策について、甘利大臣からしっかり御指導をいただきたいと思います。よろしくお願いを申し上げたいと思っています。

 まず最初に、我が国の財政余裕度と健全化の方法についてでございます。

 財政余裕度につきましては、我が政府は計算したことがないというんですけれども、国連開発計画の指標によりますと、政府の財政収支、対外債務、経常収支、総貯蓄率、外貨準備高、この五つの指標で、国連開発計画が、それぞれの国の財政余裕度がどれぐらいあるかというのを判断しているわけであります。

 その数字を内閣府と財務省から教えていただきましたけれども、平成二十三年度末の数字は、政府の財政収支はマイナス三十八・二兆円、対GDP比はマイナス八・一%です。対外債務は、二百五十兆六千六百三十億円の債権を持っている、黒字だということであります。経常収支は七兆六千百七十九億円の黒字。そして、総貯蓄率は二一・八%と、まだ高い水準を維持しております。中身は個人から企業へシフトをしておりますけれども、それでも大変高い総貯蓄率を確保いたしております。そして、外貨準備高は一兆二千八百八十七億三百万ドルということでありますけれども、一ドル百円になろうかとしているときでありますが、九十円で換算しても、百十五兆円からの外貨準備高を持っている。中国と一、二位を争うような外貨準備高を持っている、こういうことであります。

 二十四年度末はまだはっきりわかりませんけれども、しかし、財政収支以外は、意外とみんなふえるんじゃないかというような見込みがございます。こうした財政余裕度を甘利大臣はどのように評価いたしますか。そして、悪いところをどう改善していったらいいというふうに考えますか。ぜひ大臣の御所見をお願いいたします。

甘利国務大臣 委員御指摘の指標は、国連開発計画において、開発途上国の開発目標の進捗を確保する観点から重要性が指摘されているというふうに承知をいたしておりますが、こうした指標につきましては、途上国では、先進国に比べて、経済が悪化した場合に財政が悪化する度合いがかなり強いことであるとか、あるいは、財政が悪化した状況のもとで政府が借入をふやすことに困難が伴う可能性が高いことなどの点を踏まえて、その有用性が指摘されているものであるという点には留意が必要であると考えております。

 その上で、我が国について御指摘のような指標を見ますと、潤沢な国内民間貯蓄等を背景として経常収支が黒字となっていることなどがわかります。こうしたことが、我が国において国債の大半が国内で消化をされて、国債利回りが低位で安定していることの背景にあるものと考えられております。

 しかしながら、今後、高齢化の進展等に伴いまして社会保障給付費が増大をする、また、国内民間貯蓄が減少する可能性があるという中で、財政収支の赤字が続いて債務残高が各国と比べても極めて高い状況が続くなど、我が国の財政は極めて厳しい状況にあるわけであります。

 短期的には、景気の底割れを防ぐために機動的な財政出動を行ったところでありますけれども、国債の信認を確保するために、中長期的には財政再建にしっかりと取り組む必要があります。このために、民需主導の経済成長と財政健全化の両立を図っていくことが重要であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 一般論としてはそうだと思いますけれども、私は、世界一の金持ちの国日本のお金をいかにして国内に使ってもらうか、そういう政策が必要なんだなというふうに思います。特に政府の財政収支を改善するためには、やはり経済をよくして、経済成長抜きにやはり日本の財政はよくすることができないんじゃないか、そう思っているわけであります。

 そうした中で、財政の健全化方法でありますが、例の基礎的財政収支、プライマリーバランスを二〇一五年にGDP比で半減、二〇二〇年に黒字化、これはしかも国際公約だというんですが、これはやはり守るべきだと考えますか、また、実現できると思いますか。

甘利国務大臣 二〇一五年に二〇一〇年比でプライマリーバランスの赤字幅を半減し、二〇二〇年には黒字化に持っていく、これはかねて民主党政権のときからそういった目標を政府は掲げているわけであります。現状を見て、非常に厳しい数字であることはよく承知をいたしておりますが、これはしっかりと堅持をしていきたいというふうに思っております。

 というのも、その目標に従って政府が最大限の努力をするということが、すなわち日本国債の信認につながっていくわけであります。それが失われますと、国債の利回り、金利が急上昇し、利払い費が急激に拡大をするという危険性があるわけでありますから、この目標はしっかりと掲げて、最大限の努力をしていきたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

福田(昭)委員 大臣、民主党政権のせいにしているような感じですけれども、実はそうじゃないんですよね。

 プライマリーバランスの政府目標は、第一回目は小泉政権のときに、二〇〇六年の七月に、実は、プライマリーバランスの黒字化を二〇一一年度に実現する、こう宣言したんですね。それ以来、民主党政権も含めて、実は政府は七回もうそをついているんです。七回もプライマリーバランスの黒字化というのを実現できないんです。ですから、これは、目標に掲げてはみたが、本当に毎回毎回絵に描いた餅になっちゃっているんですね。

 ですから、そうしたことを踏まえると、プライマリーバランスの黒字化を実現するというのは相当難しいと思うんですが、これから安倍内閣でも立てるという話ですけれども、本当に実現できるんでしょうか。もう一度お答えをいただきたいと思います。

甘利国務大臣 別に民主党政府の責任にしているわけではなくて、これはむしろ評価をすべき点だと私は考えております。時の政府が財政再建の意欲を失ったら、恐らくその国の財政は破綻するというふうに思っております。

 小泉内閣当時から掲げてきました、それに向かって政府は最大限努力をしたんだと思いますけれども、その時々に、いろいろな予測しない事態が発生したんだと思います。そして、財政再建策を先延ばしといいますか修正をしなければならない事態に追い込まれたということでありますが、政府としては、財政再建を放棄した時点で国債の信用は失われる、財政は破綻すると。でありますから、いかなる政権にあっても、財政の健全化というのは常に掲げていかなければならない目標だというふうに思っております。

福田(昭)委員 大臣、私は、財政の健全化をおろすなと言っているわけじゃないんです。プライマリーバランスの黒字化という目標が、これは本当に大丈夫なのか、こういうことです。

 よく考えていただきたいと思うんですよ。プライマリーバランスの黒字化というのを簡単に言うと、一年の収入で一年の支出を賄うという考えですよ。これは現実的に可能ですか。減らすことは私はできると思いますけれども、黒字にするのは可能ですか。

甘利国務大臣 それに向かって不断の努力をしていかなければならないというのは、政府の責務だと思っております。

福田(昭)委員 プライマリーバランスの黒字化を達成して財政破綻した国が、実はアルゼンチンなんですよね。しかも、ヨーロッパの国々、EUも、プライマリーバランス主義でやってきて、ギリシャに始まって、イタリア、スペインなど、あるいはフランスなども、やはり財政の健全化だけじゃだめだ、経済成長と両立させなきゃだめだ、そういう状況に実はみんななってきているんですね。

 そんなことを考えますと、私も、財政の健全化という目標はおろしちゃだめだと思っていますけれども、プライマリーバランスの黒字化という目標は全く実現できない、そういう目標だというように思っております。

 そういった意味では、やはり、残高の指標であります名目GDP分の粗債務だ、政府はこういうことで言っておりますけれども、私は純債務の方が適切じゃないかと思っております。中長期的に計画的に債務を減らしていく、借金はできるだけ少なくしていく、そういう考え方で取り組んでいくべきだと思っているんですが、政府は、どうして粗債務でストックの健全化指標を考えているんですか。

甘利国務大臣 委員のお話は、フローかストックかという議論だと思います。

 しかし、ストックには、例えば、年金の積立金もありますけれども、これは給付のために使われていくべきものであって、いわゆる政府の財政状況を改善するための原資ではないわけでございます。あるいは、独立行政法人等への出資金は債務償還や利払いに充てることができないということであります。ですから、まず指標として政府が現実的に取り組むということで、フローの部分でしっかり当年度の政策経費は当年度の税収で賄えるということを目指していくことは政府がすべき不断の努力だというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでも私はおかしいと思うんですが、年金の積立金は、これは団塊世代が年金を受給する時期が来たときに取り崩して使う、そういう考え方で積み立てを始めたお金でありますし、いまだに年金については賦課方式ですから、現役世代が保険料を納めて、そうしたものを中心として年金の給付を行うという仕組みですから、積み立て方式ならわかりますよ、積み立ててお返しをするものを取り崩しちゃったというならわかりますけれども、それは違うと思います。

 それから、特別会計なども、特別会計で出しているお金などは特別会計が返還をするお金であったり、あるいは外国債券などは、例えばでありますが、アメリカの国債などはアメリカ国民が償還すべきお金であって、日本国民が返すべきお金ではないということでございますので、やはり純債務で考えるというのが私は国際標準じゃないかなというふうに考えております。

 こういうのをやっていると時間がなくなりますので、先に行きたいと思いますが、私は、この指標でもわかるように、分母の名目GDPをやはりいかに大きくするかということを考えていくことが財政健全化に資するというふうに思っております。

 御案内のとおり、先日、予算委員会でもお示ししましたけれども、平成三年の名目GDPが四百七十三・六兆円、平成二十三年の名目GDPは四百七十三・二兆円なんですね。二十年たって、むしろ、為替が円高になっていることもありますけれども、名目GDPは小さくなっちゃっているんですね。ですから、この名目GDPが今ごろ七百兆円とか八百兆円とかあるいは一千兆円であれば財政はそんなに悪くなっているというふうに言われないかもしれないんですけれども、実はそうなっていないというのが大きな問題だというふうに思っております。

 したがって、やはり財政健全化をするためには、中長期的な成長戦略と大胆な金融政策じゃなくて、大胆な財政出動と機動的な金融政策によって新しい産業を生み出して、内需を拡大して経済成長させることによって財政健全化を図っていく、そういう方法をとるべきだ、私はそのように考えております。そうした中で、デフレ脱却の戦略について、どうもそれが今回のアベノミクスではないように思われますので、その辺についてお尋ねをしてまいります。

 今月の四日に日銀が発表いたしました量的、質的金融緩和の導入について、甘利大臣は百十点だという評価をされておりますが、それは今も変わりありませんか。

甘利国務大臣 極めて高い評価をさせていただいております。

福田(昭)委員 私は、いろいろな専門家の見方を考えたりしますと、やはり二年で物価安定目標二%というのは非常に疑問だという声が非常に多くあるわけでありますが、それは達成できると思いますか。

甘利国務大臣 専門家にお尋ねいただいたということでありますが、ほかの専門家にもぜひ聞いていただいた方がいいのかとも思います。

 日銀は日銀の責任として目標を掲げられて、それに向かって、政府と日銀とのジョイントステートメントではできるだけ早期にということを確認しておりますが、日銀総裁みずから、めど、二年程度で達成できるように頑張りたいというお話でございます。この努力をぜひ見守りたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 それでは、ぜひ今回の日銀の決定、あるいはTPPへの参加表明、さらには消費税増税、そうしたことなどを踏まえて、今までつくっておりました中長期の経済財政の見通し、まだつくっておりませんが、それを早急につくるべきだと思います。

 そうした見通しをつくると同時に、デフレ脱却の目標年次、これも、日銀がせっかく物価安定目標二%を二年で実現するんだ、こういう目標を持ったんですから、デフレ脱却の目標も持つべきだと思いますが、どうですか。

甘利国務大臣 デフレを脱却したと言えるのは、多分、振り返ってみて、あの時点で脱却したということが言えるんじゃないかと思います。

 デフレの脱却というのは、物価が持続的に安定的にプラスで推移をしていく、そして、それが後戻りをしないことと、外的なショックにも耐えられる状況が確認されて、初めてデフレが脱却したというふうに言えるんだと思います。

 政府といたしましては、日銀が物価安定目標を掲げる、これで、いわゆるデフレマインドを払拭していく。つまり、お金を持っていればいるほど価値が上がるから使わない方がいいんだというマインドから、必要なお金はできるだけ直近で使った方がお金の価値は上がるというふうにマインドを切りかえていく。そして、その上で、民間企業であれば、二百六十数兆の内部留保を企業の将来投資に向けて投資をするという、先の見通しが見えるような成長戦略をしっかりつくっていって民間投資を喚起する、そういうふうにつなげていきたいというふうに思っております。

 でありますから、目標年次と言われましても、物価目標とデフレの脱却というのは微妙に似て非なるところがありますから、できるだけ、政府も、日銀の物価安定目標が達成されたのであるならば、それに追随して実体経済がしっかりついていくように各般の政策を実行していきたいというふうに思っております。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

福田(昭)委員 何か非常に頼りないんですけれども、今まで内閣府が発表したGDPデフレーターの予測、それから名目GDPの予測と実績を見てみますと、ことごとく実は外れているんですよね、残念ながら。

 まさに、二〇〇一年からずっと見てきても全部外れて、例えばGDPデフレーターなども、もう二〇〇二年でプラスになる、そういう予測を発表して、毎年毎年、もう二〇〇三年には、二〇〇五年には、六年には、七年には、八年には、一一年、一二年にはプラスになると発表してきて、全部実はマイナスなんですよ。

 それから、名目GDPも同じでして、もうそれこそ二〇〇五年には六百四十兆円ぐらいになる、二〇〇九年もそれぐらいになる、そういう名目GDPも非常に大きくなるという予測を、二〇〇一年から、特に二〇〇四年ごろからですか、ずっと予測を発表しているんですが、実は全部これは外れているんですよ。しかも、名目GDPは、先ほど申し上げたように、どんどんどんどん小さくなっている。

 こういう状況ですから、内閣府が使っている計量経済モデル、これを変えるべきなんじゃないですか。内閣府の予測ではよく出過ぎちゃっていて、全く適切な判断ができないんじゃないでしょうか。いかがですか。民間の方が当たっていますよ。

甘利国務大臣 内閣府の経済財政モデルについてのお尋ねがありました。

 これは経済財政、社会保障が相互に影響を及ぼし合うことを踏まえた上で、中長期的なマクロ経済と国、地方の財政の姿を整合的に示すことを目的として作成したものでありまして、このモデルの開発、改良に当たりましては、経済学者の御意見も参考にしているところであります。

 そして、今後、経済財政モデルを用いて中長期的な経済財政の展望を示す際には、財政政策や成長戦略等の政府の取り組みがそのシミュレーションに適切に反映されるよう、留意をしていくことが必要であるというふうに承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、こうしたモデル等によりまして、分析した政策の効果や経済の展望も参考としつつ、その時々の経済財政状況等を十分に踏まえた適切な経済財政運営を行ってまいる所存であります。

 一番の問題は、十五年間デフレが解消されていないわけでありますね。その中で、在来的な政策を投じてきた。財政出動をして政府が需要をつくってその需給ギャップを埋めていこう、それ自体は悪いことではなかったんだと思うんです。ところが、デフレ状態が脱却をしていませんから、財政出動やその後の民間投資を呼び込む政策がダイレクトにきいてこないわけですね。

 前にもどこかで御説明をしましたけれども、車を走らせていて、スピードを上げるためにアクセルを踏む。アクセルを踏んだときはスピードが上がるけれども、ちょっとアクセルから足を緩めると急激にスピードが落ちる。そこでまたアクセルに力を入れる、これは財政出動の連続であります。しかし、なぜアクセルを踏んでいるときしか車が一定速度も保てないかといって、気がついたらサイドブレーキが目いっぱい引かれている状態だった、これがデフレでございます。

 このサイドブレーキを外して正常な状態に経済を戻して、その上で政策効果を図る対応が必要であるということで、アベノミクスでは、三本の矢を矢継ぎ早に放つことによって、まずは大胆な金融政策で物価の安定目標を掲げる、そして財政出動で短期的刺激、それから民間投資を呼び込む経済成長戦略、こういう三つの政策を矢継ぎ早に打つことによって、デフレを脱却して経済を成長軌道に持っていくということにしたわけでありまして、これは過去の反省に基づいていると承知をいたしております。

福田(昭)委員 大臣、私は、内閣府がつくっているモデルを変えませんかと言っているんです。ずっと十年当たっていないんです、これは。全く当たっていないんですよ。民間の調査の方がちゃんと当たっているんですよ。

 ですから、内閣府がつくっているモデルがそういう意味ではインチキだということですよ。だから、しっかりこれは改めていく必要があると思うんですが、どうもそういう反省がないようだとデフレから脱却できませんよ。

 次に、財政出動と成長戦略についてお伺いをしたいと思いますが、私は、先ほども申し上げましたが、デフレから脱却するためには、やはり新しい産業を生み出すような成長戦略と大胆な財政出動、これが必要だと思うんですよ。大胆な金融政策はむしろ後からの話で、機動的な金融政策でやって、大胆な財政出動が必要だと思うんですが、そこまでは踏み込めませんか。

甘利国務大臣 過去の反省に基づきというお話がありました。

 過去の反省をすると、大胆な財政出動をやってきたんですよ。何度も財政出動をやって、そして成長戦略もつくりました。でも、効果がなかったんです。その効果がなかったのは何かというと、デフレから脱却をしていないから。

 つまり、どういうことかというと、お金は持っていれば持っているほど価値が上がるから使わない方がいいというマインドがある限り、民間は消費しませんよ。そして投資をしませんよ。持っている方が価値が上がるんですから。使わない方が。そのマインドを、その視界を変えていかないと、政策効果が出ないということが過去の反省ではっきりしているわけですから。それをやろうとしているわけであります。

 それをやらずに、デフレマインドを払拭せずに、つまり、お金は持っている方が得だという認識を脱却しないでお金を使う政策をやっても、効果がなかったということは過去の歴史が証明しているじゃないですか。それを変えていこうとしているわけです。

福田(昭)委員 それは認識が違うと思いますよ。過去の政策が、要するに一貫性がなかった、継続性がなかったからですよ、基本的に。

 大臣は御存じだと思いますが、公共事業の乗数効果、これは五年続けて初めてまともな効果が出るんですよね。違いますか。

甘利国務大臣 公共事業は、五年どころか、ずっと何十年もやっております。そして、乗数効果がどのくらいだということは経済学者もはじいているところであります。諸説あります。減っているという人もあれば、いや、実は変わらないんだという説もあります。

 大事なことは、財政出動というのは、財政にそれはゆとりがあれば幾らでもできますけれども、借金でやっているわけであります。振り返ってみたら借金の山ができていたということを今指摘されているわけであります。この財政再建と経済成長をどう両立させていくかということが今の課題なんですね。今のこの時代に、青天井で財政出動して公共事業をどんどんやれなんという人は、多分そんなにいらっしゃらないと思いますけれども。

福田(昭)委員 大臣、それは違うと思うんですよね。

 例えばでありますけれども、少なくとも、やはり成長戦略が、五カ年計画ぐらいがあって、そこでしっかり財政出動して、いわば現代の、平成のニューディール政策みたいなものをしっかりつくって予算をつけていく。しかも、日銀が今回、二年間で国債を二百七十兆円も買い入れると言っているじゃないですか。そうしたらば、幾らだってできるじゃないですか、基本的に。ですから、そういうことからいえば、まさに平成のニューディール政策をつくって、五カ年計画をつくってしっかりと取り組んでいくということが大事だと思います。

 そしてさらに、成長戦略の過去の例で、小泉構造改革で失敗したのは、やはり成長戦略の一丁目一番地が規制緩和だったからですよ、これは。

 したがって、成長戦略の一丁目一番地は、やはり科学技術の振興による新しい産業の振興ですよ。創出ですよ。産業構造の転換ですよ、一丁目一番地は。そこをしっかりやることによって、やはり私は経済が成長していくと思うんですが、科学技術の振興による産業構造の転換、これが私は成長戦略の一丁目一番地だと思いますが、どう思いますか。

甘利国務大臣 科学技術の振興が大事だ、それは私も同感でございます。そのために、今、安倍内閣では、その司令塔たる総合科学技術会議を抜本的に改革しようと、山本大臣がまさに政治生命を賭して頑張っていらっしゃるところであります。

 それは何かというと、科学技術政策というのは、新しい世界を生んでくる、新しい商品をデビューさせる、新しいサービスをデビューさせる、その根本にあるわけでありますから、消費の新たなニーズをつくっていくというイノベーションであります。

 ただし、その科学技術政策も、委員が否定的な規制緩和と密接な関係にあるわけであります。

 例えば、ライフサイエンスの分野、iPS細胞が日本の将来の本当に輝かしい未来を提示する原点だという指摘はありますけれども、研究が産業になっていくためには規制緩和がどうしても必要なのであります。例えばiPS細胞、研究では勝つけれども産業では負けるだろうというふうに言われているのは何かというと、細胞を培養するのに外部の技術者に委託する、それがスムースにできない。医者が一気通貫で培養まで全部やるのであるならば今の薬事法や医療法の中でできますけれども、それを外部委託することになるには規制上の制約があるわけであります。その規制を安全を確認しながら取っ払っていくという規制緩和が科学技術と連携をしないと産業化していかないわけであります。

 ですから、科学技術の振興と規制改革というのは極めて連携した関係にあろうかと思います。両方とも大事だと私は思っております。

福田(昭)委員 私も規制緩和を全部否定するわけじゃありませんが、やはり成長戦略の一丁目一番地は、規制緩和よりも科学技術の振興による新しい産業の創出ですよ、産業構造の転換ですよ。ですから、規制緩和では競争が激しくなって、それで困っちゃう人も出てくる話でありますから、そこはやはり私は違うと思います。

 そうした中で、やはり産業構造の転換をするためには、ぜひこれは脱原発を進めることが大事だと思いますが、甘利大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 産業構造の転換と脱原発の関係がよくわからないのでありますけれども、成長戦略を、今、産業競争力会議でつくっております。産業競争力会議でも、あるいは経済財政諮問会議でも、民間議員から指摘されている点は、どんないいプランをつくっても、その根幹となるエネルギーが、電力が低廉で安定的な供給がないとこれは机上の空論になってしまう、そこはしっかりと確保してほしいという要望が出ております。

 そして、その民間議員から出ている具体的な案件は二つありました。

 一つは、高効率の火力、なかんずく、安定的に低廉にエネルギー供給ができる石炭火力。高効率の石炭火力は従来のものに比して環境負荷がもっと少ないから、これを早く新規も認可してもらえるようにしてほしいという要望と、そして、原子力はもちろん安全第一が大前提であります。その大前提にのっとって新しい国際基準で安全が確認されたものは再稼働する、そういうことをもって低廉で安定的な電力供給、エネルギー供給がなされる、その上で初めて成長戦略は実際に動いていくものであるという指摘がなされております。

 そういった関係で考えますと、成長戦略とエネルギーの安定供給というのは密接不可分の関係だというふうに思っております。

福田(昭)委員 大臣、それは違うと思いますね。

 エネルギーは原発に頼らなくても十分確保できますよ。ことしの夏も十分間に合う、そういう話でありますし、これは、再生可能エネルギーの全量買い取り制度が昨年の七月にスタートいたしましたけれども、これで、それこそ太陽光発電などは政府の予測を大幅に上回るような普及をしておりますよ。これをしっかり全力で力を入れていけば、北海道から沖縄まで、特に地方が元気になりますよ。ですから、原発をやはりこの福島の事故を踏まえてしっかりやめて、むしろ廃炉技術を開発して、それを海外に逆に輸出していく、そういう方が、私はこれからの日本のためにも世界のためにも役立つと思いますよ。

 見解が違うところでありますので、その次に行きます。

 次に、今回の緊急経済対策の具体策でありますけれども、今回、甘利大臣に重ねてお伺いをいたしますが、資料の一がございます。先日も甘利大臣にお伺いいたしましたが、なかなかちゃんとした答えが返ってきませんでしたので。

 内閣官房の参与として採用した藤井先生がまとめたこの表でありますが、インフレ期とデフレ期とでは求められる経済対策が真逆だと。この表を見て、甘利大臣は、これは間違っている、これは正しい、どう思われるのか、その評価をお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 学者の方々にはいろいろな説を持っていらっしゃる方がいらっしゃいます。藤井先生は藤井先生のお考えだと思います。

 しかし、このお考えは、今我々がとろうとしている政策とはそう皆が皆一致するというものではないというふうに考えております。

福田(昭)委員 そうすると、基本的にはこの表は当てにならないということですか。どうですか。

甘利国務大臣 先生の御主張どおりに実体経済はいっていないのではないかという部分がかなりあろうかと思います。

福田(昭)委員 私は、これはよくまとめた表だと実は思っているんです。したがって、この表に照らして今回の緊急経済対策と予算を見てみると、まさにデフレ期だというのにインフレ期の対策が、政策や予算がどんどん入っているんですね。ですから、これではデフレ脱却できないじゃないか、私はそう思っているわけであります。

 その点をこれからお尋ねをしていきたいと思います。

 今回の予算の中で、十五カ月予算で積極財政をやったとか、投資減税とか研究開発減税とか雇用促進減税とか住宅ローン減税とか、これは、デフレ期でありますから、中身は別として、いいことだというふうに私は思います。ただ、今回の補正予算についても、残念なことながら、きちっと成長戦略があれば、よく話題になっておりますリニアコライダーなども一千億ぐらいはちゃんと積めたんじゃないかと私は思っておりまして、そういった意味では、成長戦略なしで、それこそばらまきの補正予算をつくっちゃったからリニアコライダーに予算がつけられなかった、むしろ私はそういうふうに思っておりまして、そういう意味では非常に残念だというふうに思っております。

 問題は、インフレ期の対策でありますけれども、インフレ期の対策が、デフレだというのにばんばん入っているんですね。

 一つは規制緩和であります。成長戦略の一丁目が規制緩和だということで入っているわけでありますが、産業競争力会議のメンバーを見てみると、どうも彼らの誰かの利益誘導になってしまうような規制緩和が行われるんじゃないか、そんな疑いがあるような、そんなことも想像できるような状態になっている。

 それから二つ目、TPPへの参加でありますが、これも本当に国益を守れるんだろうか、どうも私、大変心配だ。仮に関税ゼロになって非関税障壁も撤廃されたら、それこそ物価は下がるだろうし、デフレ脱却に資するような状況にはならない。そうしたときに本当に国民への約束というのは果たされるんだろうか、そう思っております。

 そうした中で、今回、米国政府との間で車と保険については話がついてきた、こういう話のようでありますけれども、この辺の実態はどうなんですか。

甘利国務大臣 TPPにつきましては、TPPに参加をするのに既にメンバーになっている国全ての了解をとる、新規参加国は会員になっているメンバーの了解をとるというルールがあります。それについて各国の了解をいただいているところであります。

 ASEANの四カ国、そしてペルー、チリ、メキシコからは、歓迎すると同時に賛意が表明をされました。他の国も日本の参加については歓迎の意を表明していただいておりますけれども、まだ事前協議が調っていない部分もあります。

 アメリカにつきましても、今二国間で鋭意協議を重ねているところであります。まだ決着がついているという報告は、私のもとには来ておりません。具体的なことにつきましてはまだ発表できる状態にはないと承知いたしております。

福田(昭)委員 私は、このTPPに参加することによって、もしこの中にISD条項などが入るということになったら、それこそ安倍総理が守りたいと言っている国家主権など守れなくなるんじゃないか、そういう心配をいたしております。

 時間がないので先に行きたいと思いますが、そうした中で、今回、デフレ期なのに生活保護費を削減したり、年金を削減したり、地方公務員の給与を削減したり、こういったことをやったりしている一方で、七十歳から七十四歳の医療費の窓口負担一割は据え置きだと。非常に、全く矛盾した予算措置をしている。こうしたこともやはりしっかり、本当にデフレから脱却するんだという政府の姿勢が私は問われるんじゃないか、こう思っております。

 そして、さらに、消費税増税でありますけれども、資料の三をぜひごらんいただきたいと思います。

 これは、日本経済復活の会の小野盛司先生がまとめてくれた表でございます。「来年の消費税増税で不況に逆戻り」、こういうタイトルがついておりますが、主要民間シンクタンクの経済予測をまとめてみると、実質GDPの予測は、平均で、二〇一三年度が二・四%、一四年度が〇・一%と影響が出てくるということでありますけれども、そして、不況の原因は消費税増税で実質所得が減少したことによる消費の落ち込み、駆け込み需要の反動と景気対策を続けなかったための財政削減効果などが出てくるということでありまして、民間最終消費の実質の予測が、二〇一三年度に比べると、五つのシンクタンクでそれぞれ大きく下がっていく。二〇一三年度一・四%だったものがマイナス一・一%。さらに、民間の住宅投資は、二〇一三年度は六・九%とふえていくが、一四年度にはマイナス七・五%と実は大きく下がっていく。このため、本当に、景気に大きな影響を与える民間住宅投資。

そして、

 原材料や電気代の値上がりに加え消費税の大増税、消費の急激な減少は多くの企業の破綻に追い込み、日本に投資を始めた海外投資家も一斉に資金を引き揚げれば株式の大暴落を招く。株式に重点を移し始めた年金積立金も巨額の損失が発生し、年金が危なくなる。年金財政を安定させようとした増税が裏目に出る。国民は経済政策が失敗したと思い内閣支持率は急降下し、政権は存続すら危うくなる。このようなシナリオさえも考えられるのでは無いだろうか。

こういう指摘をいたしております。

 こういう指摘を読んで、甘利大臣、どうお考えになりますか。

甘利国務大臣 内閣支持率の低下の御心配をいただいておりまして、ありがとうございます。

 各民間機関がどのような前提を置いて試算を行っているかというのは明らかではありませんけれども、直近の民間試算によれば、二〇一四年度の実質成長率の見込みは、緊急経済対策の効果の縮減であるとか消費税率の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減等から、二〇一三年度と比較をすると低目の予測になっているということは承知をいたしております。ただし、現在参照できる民間試算は三月上旬に発表されたものでありまして、これらの試算には、今般の日銀による思い切った金融緩和であるとか、あるいは、今後政府が取りまとめる成長戦略の効果等は織り込まれていないものと思われます。

 社会保障・税一体改革による消費税引き上げは、国民が広く受益をする社会保障の安定財源確保に向けたものと明確に位置づけられているということから、人々が安心して消費や経済活動を行うことを可能とするものと考えられます。また、過去や諸外国の例を見ますと、消費税率の引き上げ前後には、駆け込み需要及びその反動減による影響等が見込まれるものの、引き上げ前後の期間でならしてみると経済への影響は限定的になるというふうに考えられております。

 いずれにいたしましても、消費税率引き上げの判断につきましては、引き上げ時期の半年前に経済状況等を総合的に勘案して行うこととなっております。

福田(昭)委員 それこそ、いずれにしても、ことしの十月ごろに判断をして、今の考え方では来年の四月には消費税を引き上げる、こういうふうに聞こえますが、いかがですか。

甘利国務大臣 来年四月からの引き上げについては、その半年前、つまりことしの十月に総合的な判断を行うことというふうになっております。いろいろな指標が言われていますけれども、要は、経済状況が好転しているということが確認されることが、総合的に判断されることが重要でありまして、その時点において、しっかりとした判断のもとに対処をしていきたいというふうに思っております。

福田(昭)委員 私は、このような状態では、日銀の物価安定目標も、二年をめど、こう言っておりますし、また、流通業界のそれこそセブンイレブンの鈴木会長でさえ、消費税引き上げは三年待ってくれないかな、こんなことも言っておりますし、私自身は、ぜひ、そういった意味では、来年の消費税引き上げは少し待った方がいいんじゃないか、やはりきちっとデフレから脱却するまでは待つ、そういう姿勢が私は必要なんじゃないかと思いますが、いかがですか。

甘利国務大臣 ことしの十月に総合的に判断をする、とても消費税を上げられるような状態に経済が全くないという判断になれば、それはしないということになるんでしょうし、そこで総合的に判断をして、経済が好転しているという判断が立てば予定どおり行うということでありまして、これは、従来からその姿勢は変わっておりません。

福田(昭)委員 時間が来ましたので終わりますけれども、ここに何回も国会の予算委員会の参考人として呼ばれた菊池英博先生の書いた本があります。「日本を滅ぼす消費税増税」ということで、「本当に怖いのは恐慌型デフレだ!」と。「十年前、日本の経済学者たちは菊池英博氏の積極財政論を時代遅れだと嗤ったが、氏は信念を曲げなかった。ところが、今では、米国の有力な経済学者たちのほとんどが、積極財政論者なのだ」、こう中野剛志さんが評価をいたしております。

 そういった意味では、それこそ、今までの考え方ではデフレからは到底脱却できない、アベノミクスにもその心配が大いにありということを指摘して、質問を終わります。

 大変ありがとうございました。

平井委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 私は、二十分、時間をいただいております。番号制度の話をさせていただこうと思います。

 今、るる消費税やアベノミクスの話もございました。アベノミクスについては功罪さまざまな議論があるところですが、私自身は、一人の国民として、ぜひこの政策がうまくいって、デフレ脱却というものを早期に実現していただきたい。そしてその上で、予定どおり、消費税、五%から一〇%まで、段階的でございますが引き上げをして、さらに、これは私の私見ですけれども、私は団塊ジュニアの世代に属する者として、これから十年、二十年先にはやはり消費税というのは欧米主要国のいわばグローバルスタンダードであります一五%程度までは引き上げていかなければいけないと思います。

 さらに言えば、これだけ少子高齢化が進んだ日本でこれから高齢者を支えていく中では、しっかりとシルバー雇用といいますか、六十代の雇用を確保しながら、段階的に年金の受給年齢を引き上げるということもさらに必要になってくる、七十歳程度まで引き上げることは必要じゃないか、こんなことをさきの衆議院選挙でも主張したところでございます。

 そんな中で、いろいろなライフスタイルがございますから、強制的に七十歳まではもう年金は無理ですよということにもなかなかならない中で、さまざまなライフスタイルに応じた社会保障制度あるいは税制というものを考えていく上で、この番号制度というのは非常にポテンシャルの高い非常に期待すべき制度だと思っておりまして、これが国民の皆さんの広く深い理解のもとで円滑に導入されることが本当に大事だ、ぜひ頑張っていただきたい、政府の皆さんというふうに思っています。

 その中で、これまでの国会論戦を見る中で、若干もう少し深掘りした方がいいのかなと思っているのは費用対効果の部分ですね。費用の議論、効果の議論、それぞれ定性的な議論は若干されているわけですけれども、やはり目に見えた数字の議論をしっかりしていかなきゃいけない。そういった中で一つの参考になるのが住基ネットの問題だと思います。

 住基ネットについても、批判的な議論がたくさんありますが、私はむしろ、総務省の皆さんが、きのうから大分やりとりをさせていただいているんですが、これまでPDCAを意識してコスト対効果の数字を法案審議の際には国会に出し、また昨年ですか、最近でも試算を示されているということを、僣越ですが、評価させていただきたいと思っておりまして、まずそのお話を振り返った上で、では、マイナンバー法案の方はどうなっているのかという観点で御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、住基ネットの導入時の初期費用、そしてランニングコストが最近までどのように推移しているのかということと、そして、その国と地方の費用負担の割合について伺いたいと思います。

新藤国務大臣 まず、津村委員が、冒頭、傾聴に値する御意見をいただいた、このように思います。それは、ぜひ民主党の中で議論を深めていただきたい、このように思うわけであります。

 その上で、今のお尋ねでありますが、住基ネットの初期投資額、これは約三百九十億でございました。そして、年間の運用経費は、システム更新等の事由により年度による変動がございますが、全体として減少傾向であります。そして、平成二十四年度のいわゆるランニングは百二十億円、このようになっております。

 また、システム更新はおおむね五年から七年に一度行うわけでありますが、これはソフトウエアの更新でありますので、初期投資にかかるほどの経費にはなりません。ちなみに、平成二十四年度百二十億でありますが、平成十九年度にシステム更新をやっております。これは内数でありますが、そのときのランニングは百七十億ということでありまして、その差額前後がシステムのウエア更新にかかわっているということであります。

 それから、国、地方の経費につきましては、国の機関からの手数料収入、これを除きまして、都道府県と市町村が負担をし、それを交付税措置する、こういう仕組みになっているわけであります。

津村委員 今、費用の話をるる御紹介いただきました。私がいただいた資料でも、費用対効果として、今効果の数字を教えていただいていますけれども、これも新藤さんから伺いたいと思います。住基ネットの効果の面ですね。これは、住民サイドと行政サイドがあると思いますが、当初どう見積もられていて、そして直近の試算ではどうなっているのかというところを、数字を教えてください。

新藤国務大臣 まず、この住基ネットを活用することによってどのような効率が上がったかということが大事だと思います。

 その意味におきましては、国の行政機関等に対しまして、年間で約四億三千万件の本人確認情報、これが提供されたわけであります。そして、平成二十三年度、一年でありますが、年間で約四千万件の年金の現況届、それから約五百二十万人の住民票の写しが省略をされたわけです。カットされました。そういう国民の利便性の向上、それから行政効率の向上、こういったものがまず事務的な効果としてあらわれているということであります。

 また、この費用につきましては、さまざまな要素がありますので、正確なものとはなかなかいかないのは御理解いただきたいと思うんですが、一定の仮定のもとでの試算であります。

 平成二十二年度のベースで、まず事務手続の効率化、それから郵送切手代、こういったものが削減できます。こういう直接的な効果として約百六十億円程度のものを見込んでおります。また、年金の現況届の記入の省略、それから投函の省略、そして、住民の機会費用、住民がそこに足を運んだりする、こういったものの削減ができました、この効果としての約三百五十億円。合計五百億円相当の効果があったのではないかというふうに思っております。

 そして、二十三年の七月からは、年金の受給権者の住所変更届の省略ができるようになりました。そして、本人確認情報の提供件数が大幅に増加しているということでございまして、現在においては、これを上回る効果が出ているということであります。

 今後、これは不断のチェックを行って、またいろいろな実態が把握できるように研究してまいりたい、このように考えています。

津村委員 いただいた資料によりますと、平成十年の、導入前の試算では、行政側の効果として、人件費削減等が年間百四十億、そして、システムの開発、ハードウエア経費等について百億円程度の節減、合わせて二百四十億円の節減を見込まれると。一方で、まさに今おっしゃった、住民側の機会費用の削減といいますか節減効果が二百七十億円程度と言われています。

 しかし、今の御説明では、行政側の効果は二百四十じゃなくて百六十とちょっと減っているんですが、一方で、住民側は二百七十じゃなくて三百五十とふえていまして、私は、行政側で思ったほど活用が進んでいない、だからこそ、効果が思ったよりも出ていない、しかし、それをそうは言えないので、なかなか検証のしようが難しい住民側の方の数字を膨らませて、全体としては思ったとおりの効果が上がっているというふうに、住民側で鉛筆をなめたのかなというふうに見えるんですけれども、それはいかがですか。

新藤国務大臣 そのような意識をしているわけではありません。

 それから、当初の見積もり、見込みというものは、そのときの仮定において行いました。それに比してということではないと思うんですね。現状においてどうなったかということでありまして、これは我々が想定、しかも、かなり確実に見てとれる分野においてこういうことでありますから、現実にはもっと大きな効果が出ているというふうに思うんです。

 ただ、議員が御指摘のように、では、これによって職員の人的な負担がどれだけ軽減できたのか、それから、それが人員削減につながったのかというのは、極めて難しいところですね。この間、別の委員の方にも御質問いただきましたけれども、業務量が違っているわけです。業務量はどんどんふえているわけですから、それに対して、こういう省力化を図ることによって一定の効果を出しているわけなので、仕事がずっと同じで新しい制度を入れれば削れるわけですが、そういうふうに単純にいかないのはよく御承知だと思います。

 いずれにしても、何かの思惑を持ってということではありません。現状を把握した上での御報告をさせていただいているところでございます。

津村委員 いただいた数字、細かく出ておりまして、ある意味では非常に突っ込みどころが多い数字なんですけれども、しかしながら、こうした形で事前、事後に数字を示すという姿勢は、大変すばらしいと思います。PDCAをしっかり回して、よりいいものにつなげていこうという御努力ですから、これから数字はさらに精査するとして、そういう姿勢をぜひ貫いていただきたいと思います。

 そういう観点から、マイナンバーの方に行かせていただくわけですけれども、住基ネットと非常にある種制度設計に共通点もあるかと思いますが、マイナンバー制度で初期費用としてどの程度が見込まれているのか、ランニングコストはどの程度見込まれているのか、それぞれ数字で教えてください。

甘利国務大臣 番号制度の導入に係る費用として、現時点で、新規にシステム開発を要するものとして、まず一として、個人番号及び法人番号の付番関係システム、この構築に約百六十億円、二点目といたしまして、情報提供ネットワークシステム、マイポータル、特定個人情報保護委員会の監視、監督システムの構築、これらに約百九十億円を見込んでおります。そのほかに、地方自治体等の個人番号や法人番号を取り扱うそれぞれの機関におきまして、既存システムの整備に二千三百五十億円程度を見込んでおります。

 また、ランニングコストにつきましては、一般的に、初期費用の一〇%から一五%程度とされているところであります。

 なお、地方自治体等における既存のシステムのランニングコストにつきましては、現行のランニングコストや改修の内容、それによる影響を精査する必要がありまして、現時点では明確にお示しができないところとなっております。

 また、システムの更新間隔につきましては、五年程度が一般的であると思っております。システム更新の際の費用と初期導入時の費用との比較は、同一の機能要件であれば機器等の高性能化に伴い低減する傾向にありますけれども、追加機能がある場合には増加することも考えられるということでございます。

津村委員 先ほどの住基ネットのケースを見ると、ランニングコストは初期投資の一〇%から一五%にはおさまらないと思うんですね。ぜひ総務省さんの数字をいただいて検証してみてください。

 ちょっと時間が押してきましたので二つまとめて伺うんですけれども、一つは、先ほど総務省さんにも伺った国と地方の費用負担です。これから、今もおっしゃられた、かなり高額な費用が発生するわけですが、どの程度地方に負担をしていただこうと考えていらっしゃるのかというのが一点。

 そしてもう一つは、今までのところ、そのベネフィットの部分、効果の部分は必ずしも出てきていないと思うんですけれども、住基ネットの場合と同じように、国会に費用対効果の効果の部分を数字として示していただくというお考えはありますか。

 ちょっと、時間がもったいないので速記をとめてください。

甘利国務大臣 地方自治体など個人番号を利用する機関におきましては、制度の導入にあわせて、業務フローの見直し、システム改修への対応などによる事務繁忙が予想されるわけでありますが、その際、システム改修の委託などに伴う人件費については、先ほど申し上げた、既存システムの改修に伴う費用として見込んでいるところであります。

 また、自治体の職員など個人番号を利用する機関の職員の負担増加につきましては、それぞれの機関内におきまして柔軟な人員配置などにより対応されるものと考えられますが、政府といたしましても、番号制度導入のためのガイドラインをお示しするなど、負担の軽減、円滑な制度導入に努めてまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、地方の費用負担に対して国がどれくらいカバーをしていくか、しっかり自治体と連携をとりながら、できることはしっかりさせていただきたいと思っております。

津村委員 効果の方の話が今抜けていませんでしたかね。

甘利国務大臣 それから、人員削減効果につきましては、番号制導入によりまして業務が効率化をされ、それに伴いさまざまなコストも減ることが想定をされておりますが、定量的な効果につきましては、導入に従って数字が精緻となっていく部分もあるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、今後、番号制度において対象となる行政機関の事務、情報や行政提供ネットワークシステムの詳細などにつきまして、国会での御議論も踏まえまして検討を進めていくこととしておりまして、そうした中で、どういった段階でどのような数字が試算できるのか、関係機関ともよく相談をしてまいりたいと思っております。

津村委員 大臣、大臣としてもう一点だけお答えいただきたいんです、それを読むんじゃなくて。

 さっきから申し上げているように、総務省さんは住基ネットのときに、数字の中身はいろいろ議論はあると思いますよ、しかし、国会に費用対効果の数字を出されているんです。そして、その後、十数年たって、その数字の検証結果も出されているんです。

 今回、それと同じ以上の重みのある法案だと思うんですよ。数字の中身はいろいろ議論があってもいいと思いますが、やはりそういうものを出すということは、別にきょうとかあしたとか言っているわけじゃなくて、この議論の中でそういう姿勢を示していただくということは、これは、大臣、政治家としては大変大事なことだと思うので、官僚のそれを読むんじゃなくて、御答弁ください。

甘利国務大臣 もちろん、お金をかけてシステムを導入していく際には、費用対効果を検証していくことは必須の課題だと思っております。

 ただ、申し上げていますように、システムを導入していくに従って、費用についても精緻な積算ができてくるわけであります。そこで、費用対効果ということも、いわゆる定性的な、今まで答弁をしておりますけれども、具体的に精査ができていく。費用の方が多くて効果の方が少ないようなシステムはもちろん導入すべきではありませんし、そこは、今のところ、民間機関等が、必ず費用対効果は効果の方が高いというような試算もしておりますけれども、政府としても、責任を持った数字がより精緻にできていくものというふうに思っておりますし、そうしていきたいと思っております。

津村委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間が押してまいりましたので、この議論、まだまだ深めさせていただきたいと思いますし、それから内閣府さんに、幸福度指標について事前に通告をさせていただいておりますが、大変恐縮ですけれども、その質問はまた別の機会にさせてください。

 最後に、委員長、お許しいただきたいんですけれども、番号制度を少し離れまして、国会議員として、この数カ月経験したことに基づいて、問題提起の意味を込めて、裁判官弾劾裁判所のきょうは事務局長に来ていただいておりまして、一点、事前の通告どおり質問させていただきます。

 昨日、平成二十四年度の第一号罷免訴追事件の判決が下されました。盗撮の事案でございます。結果としては罷免ということになりました。私は、予備裁判員という立場で、その合議、公判、評議に参加をいたしまして、この弾劾制度がいささか形骸化しているのではないかという問題意識を持ちました。

 弾劾裁判は、新憲法の施行後に、これまで九例あります。しかし、戦後の混乱期を除きまして、最近の七件は、いずれもほぼ自動的に罷免という結果になっています。直近では、その公判も二回、三回しか行われておりませんで、評議時間も、これは、中身については評議の秘密といいまして、私たちはこういう場で述べてはいけないことになっていますから述べませんが、しかし、大体一、二時間で十四人が議論をするというしつらえになっています。どういう状況になるか、御想像のとおりだと思います。

 そうした中で、この十四人の裁判員も、私も予備員として、正規の裁判員が忙しいと言われたから予備員の私が行ったわけですけれども、十四人中四人が予備員ということもありました。毎回、メンバーが若干ですけれどもかわります。そうした中でこの裁判が行われていきました。

 今回の場合、実は被訴追者の方というのは、自分の方から、もうその事件の直後に、私はもうやめますと言って、退職金も要りません、そして、これから、もう数年間、法曹の資格はもう使うつもりはありません、法曹の仕事はやりませんということをみずから申し出ていたにもかかわらず、これは制度上やめさせることができないということでこの裁判が行われて、その間、彼は、裁判官の身分があるためにアルバイトもできない。そして、その間に衆議院の解散がありました。そして、期間が非常に延びたわけですね。なので、彼はもともと、刑事事件としては罰金刑でしたけれども、つまり、中身については深く申し上げませんが、そのぐらいの事件でしたけれども、この半年間、ずっと再スタートを切れないという状況にありました。

 さらに言えば、刑事事件で、普通はそれは指弾されるべきかもしれませんけれども、それにさらに裁判官訴追委員会、そして裁判官の弾劾制度というものがありますので、三回同じ審理をやって、そのたびに、きのうもNHKで放送されましたけれども、こういう事件があった、こういうことだというのを、何回も何回も彼は実名入りで報道されています。非常に重い社会的な制裁を受けている。私は、これはちょっと不条理だなと感じた次第です。

 そうした一方で、事務局の職員の皆さんというのは、戦後に九回しかないわけですから、なかなかそのノウハウが蓄積されない。前回の、四年前の裁判を経験した方は、今いらっしゃる職員十一人中の三人だけということで、そのたびにまた一から説明をしてという、私たち裁判員にも、非常に初歩的なところから、その数時間のうちに説明があってということが続いてきました。

 今、憲法論議も活発に行われている中で、私は立法面でもこの制度設計について議論をしていきたいと思いますけれども、現在の運用面ということで、きょう弾劾裁判所の事務局に来ていただいていますので、どういう工夫をされているのか、現場でどういう苦悩があるのかということを伺いたいと思います。

石川裁判官弾劾裁判所参事 お答えいたします。

 私ども弾劾裁判所事務局といたしましては、次に申し上げるような工夫をしております。

 まず、第一点目といたしまして、裁判員合議や公判の日程の調整につきましては、衆参両院の本会議を避けるために、できるだけ裁判員の皆様に御出席が可能な曜日といたしまして、水曜日の午後を中心に設定させていただいております。

 第二点目といたしましては、特に今回の事件に関することになりますが、通常、衆議院の解散がありますと二カ月ほど審理期間を延長することとなるところでございますが、今回につきましては、事件関係人の御協力も得まして、できるだけその審理期間の延長を短くするように努力いたしました。

 その結果、公判回数はいずれも二回でありました前回の裁判、二十年裁判と今回の裁判を比べますと、裁判に要したトータルの日数は前回が百七日で今回が百四十九日と、表面的には今回の方がかなり長くなっておりましたけれども、このうち、実質的に裁判手続の進行が可能となる国会の開会中の期間で見てみますと、前回は九十二日でありましたのに対して今回は八十日でございまして、今回の方がスピードアップしているということになっております。

 なお、公判の回数は、被訴追者、弁護人が訴追事実を認めるか否かによって変わってまいりますので、被訴追者、弁護人が訴追事実を争う場合には必然的に公判の回数も多くなってまいります。

 第三点目といたしまして、事務局職員の人事異動に伴う対応といたしましては、事件についての記録を詳細に文書やデータで保存し、メンバーの交代があったとしても、可能な限り問題点やノウハウを引き継ぐように心がけております。

 第四点目といたしましては、平成二十二年七月に最高裁判所からの出向制度を廃止いたしました。その後も、できるだけ裁判手続の経験がある者を職員として採用しまして、裁判長あるいは裁判員の皆様への補佐を滞りなくできるように体制を整えております。

 いずれにいたしましても、弾劾制度には、先生の御指摘の点も含めてさまざまな課題があろうかと存じますけれども、今後とも、裁判長を初め裁判員の先生方の御指導を仰ぎながら対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

平井委員長 申し合わせの時間が過ぎておりますので。

津村委員 はい、時間になりましたので、もう終わります。

 裁判官弾劾制度は、憲法の六十四条に定められた、私たち国会議員の大事な仕事であります。これからも皆さんと議論をしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

平井委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 マイナンバー法案は、日本維新の会の政策を推進する上でも非常に大きな意味合いを持つと考えています。しかし、その一方で、個人情報の保護その他さまざまな面での国民の懸念が存在し、情報漏えいなどのリスク、セキュリティー、番号制度の限界などを指摘すれば、問題点は山積みだということも言えると思います。

 そういう中で、そういう課題に対しての根本の部分を押さえて、リスクを極力低減すること、その後、保有するリスクを明確化して、監査の上、改善できる具体的取り組みを導入することが重要であると考えています。

 まず初めに、第六条の関係、マイナンバー法案の安全管理措置について御質問させていただきます。

 第六条によると、「事業者」という言葉が使われるんですが、事業者は、「個人番号及び法人番号を利用する事業者」という記載になっているんですけれども、これは、ほんの少しでも利用するのであれば、その全ての事業者という解釈でよろしいでしょうか。甘利大臣。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号につきましては、大規模企業だけではなく、中小企業、個人経営の事業者も含めて、広く需要を起こすことになると思います。

 第六条の事業者には、このような個人番号を利用する事業者全てが含まれると考えております。

中丸委員 今のお答えで、全ての事業者というお答えをいただきましたので、それに関連して、今度は九条について質問します。利用範囲についてです。

 第九条の「利用範囲」において、「必要な限度で」「利用することができる。」と記載があるんですけれども、その必要な限度という定義について御説明していただけますでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 九条一項、二項、これは、行政機関、地方公共団体が別表に掲げる事務、条例で規定した事務を処理する場合などにおいて、必要な限度で個人番号を利用することができると規定をしております。

 それから、九条三項は、法令の規定により、個人番号を記載した書面の提出等の事務を行うとされた事業者等が必要な限度で個人番号を利用することができるとされています。

 ここで言う必要な限度というのは、まさに必要な限度でございますけれども、個人情報を効率的に検索して管理するために必要な場合に限り、個人番号を使った個人情報の検索、管理を行うことができるという趣旨でございます。

 具体的には、例えば、各種申請におきまして、本人から提出された書類を、情報提供ネットワークシステムを介して入手した書類について、同一人のものであることを確認するために、個人番号を使って個人情報を検索し、名寄せ、突合する、これは行政の場面でございます。

 例えば、事業者の場面ですと、雇用主が行政機関に対して従業員の個人番号を記載した書類を提出するために、個人番号を使って検索、管理する。例えば、税の源泉徴収におきまして、従業員の給与の源泉徴収票の調書を出しますけれども、それに番号を書く際の検索に使うというふうなことがございます。

 さらに、そういう場合にどこまでが必要かというのは、やはり、かなり常識的な範囲があろうかと思っております。

 といいますのは、例えば、経団連とかの団体からよく聞かれますのは、通常、人事システムというのは、従業員の給料とかそれから源泉徴収だけではなくて、いろいろな過去の賞罰等々と一緒にシステムで管理している。したがって、番号を入れることによって、番号とひもづけられる情報が所得とかそういうものに限るのであるならば、別のシステムをつくらなきゃならなくなる、そこまでするのはちょっと勘弁してくれという話がございます。

 実際、そういうことが起こりました場合には、さすがにそこまでを求めるのは酷なのではないかというふうに考えております。

 そういう意味で、常識的な範囲で必要な範囲というふうなことだと思っております。

中丸委員 常識的な範囲というお答えなんですけれども、常識という定義すら人によって違うところがあると思うんですよね。

 今おっしゃったように、必要であれば使うということは、本人、要は、使用者側が必要だと思えば使えるというような解釈にも聞こえるんですが、いかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 当然、何に使うか、例えば源泉徴収の徴収票を出す、そういう目的がはっきりしているわけですから、おのずから、それは目的に必要な範囲ということで制限があるのではないかと思います。

 なお、第三者機関が設立されまして、第三者機関につきましては、こういうふうな細かいことにつきましても、第三者機関がガイドラインみたいなものをつくることになろうかというふうに考えております。

中丸委員 今、第三者機関がガイドラインをつくられるということで、同じ九条の中で法整備についてあると思うんですけれども、当面、以下の分野に云々かんぬん精査するというような文言があるんです。

 それぞれの分野、省庁、自治体で、現状、法律にしろ条例にしろ、ばらばらでございまして、今、ガイドラインというふうにおっしゃられたんですけれども、ガイドラインも、例えば経済産業省のガイドライン、厚生労働省のガイドライン、電波利用事業者に関するガイドライン、こういうふうにばらばらにあると思うんですけれども、今回、この法律を通してそういう第三者機関をつくることによって、ガイドラインと法律のばらばらというのはどういうふうに統合されるおつもりなのか、お聞かせ願えればと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今先生のおっしゃったのは、多分、個人情報保護法のガイドラインがばらばらにつくられているという御趣旨だと思います。

 今回の番号法におきます個人情報の保護につきましては、現行の個人情報保護法の体系を維持しつつ、番号に関する個人情報につきましては、特定個人情報ということで、いろいろな特例措置をつくっているという状況でございますので、そういう特定個人情報につきましては、統一された特例が適用される、そして、特定個人情報につきましては第三者機関が一律のガイドラインを出す、そういうふうなことになろうかと思っております。

中丸委員 それでは、特定個人情報についてと、あと、通常、例えばプライバシーマークだったりISMSだったりという中のガイドラインで行っている場合と、企業においては二重に存在することになるんですけれども、そういった場合の優先順位というのはどちらが高いというふうに考えればいいんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今おっしゃったようなそういうガイドラインは、基本的には、特定個人情報だけじゃなくて、全ての個人情報に対する、例えばそういうマークを取るためのガイドラインとか、いろいろなガイドラインがございますけれども、特定個人情報に限りましては、第三者機関のガイドラインがまず適用されるものと考えております。

中丸委員 わかりました。

 だから、新しい第三者機関の方が基本的に上位に立つというふうに考えていくと、先ほどの、その前の質問にあった、全ての事業者が少しでも利用すれば、必要な限度の範囲内で利用する者に対しては全てその中に当てはまるという前提で、ちょっと十条について質問をさせていただきます。

 再委託についてなんですけれども、再委託ということは、当然委託元があるわけで、委託元が再委託先に情報を委託して業務を委託する場合に、漏えいとか事故が起こった場合、この再委託先が起こした場合の責任というのは、どっちがどういうふうに負うというふうに想定されていますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 再委託に対しましては、委託元の許諾が必要でございますので、その再委託の委託先の漏えいがどういう原因に基づくかによって違ってまいると思いますが、基本的には、通常は再委託先で過失なりなんなりがあって漏えいするかと思いますけれども、そういう場合は、当然、再委託先が安全管理措置義務の違反になろうかと考えますが、委託元につきましても、許諾が必要でありますし、監督義務もございますので、やはり、そういう監督を怠ったこと、そういう過失があれば、そちらの方につきましても監督義務の違反になるだろうというふうに考えております。

 そのような場合につきましては、第三者機関、特定個人情報保護委員会による指導、勧告、命令の対象となり得ますし、また、民事上の損害賠償責任を負うということも考えられると思っております。

中丸委員 今の委託先の監督という意味では十一条だろうと思うんですけれども、十一条に記載されている「必要かつ適切な監督」、非常に拡大解釈のできる書き方だと思うんですけれども、必要かつ適切な監督は、具体的にどのようなことを想定されていますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 必要かつ適切な監督とは、適切な委託先を選定した上で特定個人情報の保護等のための必要な契約を締結すること、それから、契約内容が遵守されていることを適宜把握することなどが挙げられると考えております。

 契約に盛り込むべき事項といたしましては、特定個人情報の安全管理に関する事項、例えば、再委託先がちゃんとアクセス制御をしているかとか、保管庫を施錠しているとか、従業員に対する教育の保護措置とかそういうものをちゃんとやっているかというふうなこと。

 それから、再委託に当たりましての基準、委託された情報の取り扱い状況につきまして、どういう報告をすべきか、あるいは、契約内容が遵守されなかった場合の措置、それから、事故が起こったときの対処、連絡、責任の所在等に関する事項などが考えられますが、そういうふうな契約をちゃんとやること等が、必要かつ適切な監督というものの中身だというふうに考えております。

中丸委員 わかりました。

 個人情報保護法とか経産省のガイドラインにかなり近い状況であるというふうに認識をしています。

 そうすると、今、再委託先のお話をさせていただいたんですけれども、情報の処理とかというと、再委託先から再々委託先というのも当然登場してくるわけで、そういった場合に、再々委託先に対して、委託元は再委託先と同じような責任と義務を負うというように記載があると思うんですね。その場合、再委託先、今おっしゃったように、一定の中で見るということなんですけれども、そこから再々委託先に対するところまで、どのように業者の選別とか判断を行う、それから契約内容や、実際に取扱業務が入ったときの監査体制、それから改善要求、それから立ち入りの権限など、どのような基準をお考えか、お聞かせください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 現実によく再々委託等まで行われているということも踏まえた上で、再々委託に際しましても、再委託の場合と同様、委託元の許諾が必要でありますので、再々委託先で特定個人情報の漏えいが起こった場合につきましては同様の責任を負うということでございますので、基本的には、再々委託先と再委託先では行うべきことについては差がないというふうに考えております。

中丸委員 そういう仮定でいきますと、当然、委託元から再委託、それから再々委託と流れていく情報、もちろん、セキュリティーの管理体制だけではなくて、情報の一個一個をどういう受け渡しをするかというルールとか、その中における、例えばプライバシーマークとか、ISMSでいえば、書類で渡すとなると、これは鍵のついたかばんで持っていかないといけないとかいうルールがあるんですね。

 今のお話でいくと、ほぼそれに当てはまるということ、それぐらいのところまでお考えですか。

向井政府参考人 その中身につきましては、もちろん、いわゆるやりとりされる情報なりあるいは再委託の内容で、どこまでそういう情報に絡んだ再委託がされているか、再々委託がされているかによろうかと思います。

 ただ、そういう意味で、どの程度までの、そういう具体的な、今おっしゃったような、かばんに鍵をつけて持っていくかとか、実際は、多分、委託される場合は、何らかのシステムか何かで得た情報が流れることが多いとは思いますけれども、そういうものに、どこまで必要な保護措置をとらないといけないかというのは、まさにその第三者委員会のガイドラインで示されることになろうかと思っております。

中丸委員 少量でも扱う場合は、ほぼ今の個人情報保護法なりガイドラインをベースとしたようになるようなおっしゃり方だったので、それでいけば、今の、手持ちのかばんに鍵が要るもあれば、車の中に入っているのを置いてロックするのはだめとか、車の中にも、今事業者によっては車の中にそれ用の金庫までつけないといけないとか、さまざまなルールで、どんどん過熱していきますので。

 要は何が言いたいかといいますと、小規模事業者、特に従業員の少ないそういう、人、物、金、情報全てが少ない事業者の人たちも、一生懸命仕事をしているわけですね。そういう中で、例えば税金に関して言えば税理士だったり、社会保険労務士、その他もろもろ、いろいろなところに、そういうところでも再委託というのは行うわけです、従業員が五人しかいないところでも。

 そういう中で、通常、今でも現在、そういう個人情報のやりとりというのは行われています。現在の個人情報保護法だと、前回質疑のときもお答えいただきましたけれども、千一人以下の場合は、ある程度、現実的に難しいだろうということで、減免されているわけですね。

 一番初めの質問を思い出していただきたいんですけれども、全ての少しでも扱うところとおっしゃいましたよね。ということは、従来それができなかったところにやれというふうに解釈できると思うんですけれども、そういう小規模事業者が本当に管理して責任を負うことは、私は現実的ではないというふうに思うんですけれども、いかがですか。

向井政府参考人 確かに、先生おっしゃるとおり、個人情報保護法では規模によって差がつけられている、いろいろなところで差がつけられております。一方で、この番号制度におきましては、特定個人情報につきましてやはりかなり保護を厚くする必要から、必ずしも、そういう意味で、規模で差をつけるような規定ぶりには法律上はなっておりません。ただ、実際にガイドラインをつくる、そういう細かいところまでになりますと、第三者委員会が最後決めることでございますけれども、やはり、現行の個人情報の体系ももちろん考えながら、そういうガイドラインはつくられるようになるんじゃないかというふうに考えております。

中丸委員 今のお話で、やはりそういうふうな方向に行くと思うんですけれども、例えば、何か事故があったときに、今の特定個人情報というよりも、今までの個人情報取扱事業者で考えれば、主務大臣への報告、これが必要になってきますね。

 こういう小規模事業者も、その都度主務大臣に報告が必要なんですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 この法律は、基本的には個人情報保護法、行政機関個人情報保護法等の体系に乗っかりつつ、この特定個人情報、番号つきの個人情報につきましてはこの法律で特例を書いている、そういうシステムになってございますので、もとの個人情報に乗っかっている部分はございますので、個人情報保護法の規定をそのまま、あるいは読みかえて使っている部分というのは多数ございます。

 その世界におきましては、今までどおりの個人情報保護法のルールがそのまま適用されるというふうになろうかと思っております。

中丸委員 それでいきますと、十二条、十三条の関係の、「個人番号利用事務実施者等の責務」というところにもかかってくると思うんですけれども、その中で「個人番号の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人番号の適切な管理のために必要な措置を講じなければならない。」という、努力規定ではなくて、限定してあるわけです。

 それが、先ほどに申し上げた小規模事業者等の場合に、どの程度の必要な措置を講じなければならないというふうに、先ほどからそれは第三者機関がとおっしゃられるんですけれども、それにしても、その前提に、今からこの法律を通そうという中で、私ごときが聞いているものに答えられないようであればこれは問題だと思いますので、必要な措置、どのぐらいシミュレーションされていますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 必要な措置といたしましては、物理的な保護措置、技術的な保護措置、組織的な保護措置が考えられると思っております。

 物理的な保護措置といたしましては、先ほどあった保管庫の施錠ですとか立ち入り制限とか防災設備の整備などが考えられると思っております。技術的な保護措置といたしましては、情報の暗号化とかファイアウオールの構築などが考えられると思っております。組織的な保護措置といたしましては、職員に対する教育研修の実施ですとか安全管理責任者の設置などの体制整備が挙げられるというふうに考えております。

中丸委員 それでは、ぜひ次の質問は甘利大臣にお答えいただきたいと思うんですけれども、今、向井審議官とやりとりをさせていただいたようなさまざまなことがあって、非常に、従来なかった負担が、お金、人、そういったものがかなり小規模の事業者に発生するんです。

 そういった場合に、かなりの、先ほどありました、例えば入退室管理一つやるにしても、それなりの設備が必要になります。鍵つきのバッグもそうでしょう。それから、ネット上のセキュリティー、データの管理、サーバーの管理、いろいろなものが小規模の事業者の負担となるということが想像できるんですけれども、その費用負担、労務負担に関して、どのようにお感じになられますか、甘利大臣。

甘利国務大臣 再委託から再々委託、それが子から孫、ひ孫に行くに従って、事業者の規模は小規模化していくと思います。そうしますと、求められる制約に関して、それだけの体力が伴うのかという御指摘だというふうに思います。

 どこまで委託をして、どこまでに、もちろん細かくなれば、情報管理、秘密保持に対する制約が甘くなるとしたら、かえってこれは危なくなってくるわけであります。個人情報の保護、特に特定個人情報についてしっかりとした管理ができるようにしていくために、小規模事業者の負担がどうあるべきか、あるいはできないならばどこまでに制約をしていくべきか等々、今、この法案の審議をいただいているさなかではありますけれども、閣内、省内でしっかり議論していきたいというふうに思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 個人的な一般論の感想で構いません。現実的に、今おっしゃったように、やはりこれだけ、番号を付与する、それに対する法案をここで今我々議論させていただいているわけですから、そういった、特に、俗に言う社会的に力の弱い人たち、それに対する配慮という面から、何かお考えはございませんか、大臣。

甘利国務大臣 今この時点で、こういうことができるという確約は申し上げることができないのでありますけれども、委員御指摘の点も踏まえて、どうあるべきか、府内、省内で議論していきたいと思っております。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

中丸委員 ありがとうございます。

 今回の私の指摘を踏まえていただきまして、今後のそういった配慮、何らかの形というのを、一定方向、閣内でも議論していただければと思います。

 続きまして、十六条関係、本人確認の措置について。

 これが一番、実は、法案をずっと見させていただいていく中で私がひっかかった中の一つなんですけれども、本人から個人番号の提供を受けるとき、個人番号カード等が本人のものであるかどうか確認するために、「主務省令で定める書類の提示を受けること又はこれらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置をとらなければならない。」とあるんです。

 そもそも、私、前回、多分、向井審議官に聞かせていただいたと思うんですけれども、住基カードが何で使い回しできないのかという質問をしたときに、顔写真がないからと。要は、本人確認が今の住基カードではできないからというお答えだったんですけれども、この文章は、どう読んでも、個人番号カードを使うときに別に本人の証明が要るというふうに私には読めるんです。これは私の勘違いですか。

向井政府参考人 本人確認につきましては、基本的に、番号情報を受け取るときにつきましては、本人確認と番号確認と二つ必要になるのではないかと考えております。

 その中で、本人確認につきましては、顔写真入りのカードということを考えておりまして、顔写真入りのカードは、例えば免許証ですとか、住基カードですと顔写真入りのものというふうになろうかと思います。そういうことを政省令で規定していくことになろうかと思います。

 一方で、番号を確認する必要がありますので、番号の確認につきましては、通知に使われる通知カードと、それから個人番号カードと、大体二種類があろうかなと思っておりますが、個人番号カードの場合ですと、写真と番号が両方あるので一発で済む。だから、住基カードの写真入りを使う場合には、住基カードの写真入りプラス通知カードなどの番号を確認するものが必要になってくるというふうに考えております。

中丸委員 済みません、私は余り頭がよくないので、どうも今のお答えではよくわからないんです。

 要は、本人から個人番号の提供を受けるとき、だから、本人が個人番号を使って何かをしようとするとき、例えば役場に行ったときかもしれない、そういうときに、その個人番号カードが本人のものかどうか確認するのに別の書類提示もしくはそれにかわるものが必要、だから、自分の新しい個人番号カードを持っていった上に、では、免許証を見せてくださいとか、印鑑証明書を持ってきてくださいとか住民票を持ってきてください、どう考えてもこれはそういうふうに理解できるので、今の答弁だとちょっと私は理解できないので、もう一回説明していただいていいですか。

向井政府参考人 十六条は、十四条一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、当該提供をする者から個人番号カード、これで一固まりです、それから通知カード及びその当該通知カードの記載事項がその者に係ることを証するものとして省令で定める書類の提示を受けること、ここがまた一固まりで、通知カードと通知カードに記載された事項が、記載された事項というのは住所、氏名等でございますが、その者に係ることを証するものとして主務省令で定める書類、これが写真つきのカード、例えば免許証とかあるいは写真入りの住基カード、そういうものが主務省令で定められることになろうかと思っております。

 またはこれらにかわるべき者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置、これは、例えば、そういう番号を何らかのシステムでやりとりする場合の、受け取る場合なんかに、例えば公的個人認証とか、そういうことが考えられるというふうに考えております。

中丸委員 わかりました。

 では、先ほどの例でいうと、役場に行って何か住民票なりなんなりをとるときに、今回の新しいカードを出せば、それに顔写真が入っているので、もうそれ以外はなくていいというふうに思っていいということですね。はい、わかりました。

 この文言は非常に誤解を受けやすい書き方だと思いますので、ぜひとも、直せるかどうかわかりませんが、もう少し理解しやすいようにしていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。

 それでは、特定個人情報保護委員会についてちょっと質問をさせていただきます。

 第四十条の関係なんですけれども、「委員長及び委員は、人格が高潔で識見の高い者」、よくこういう言葉を使われるんですけれども、私、国会議員になるまで普通に会社経営をやっていましたので、自分自身を振り返ってみても、人格が高潔だとは思ったことがないんですけれども、人格が高潔な人が委員長及び委員というのに当たって、これは甘利大臣でも山本大臣でも構わないんですけれども、人格が高潔の定義について教えていただければと思います。

甘利国務大臣 先生は立派に人格が高潔な方だと見えますが。

 大体、公的な人選をするときには決まり文句でこういうタイトルがついているわけでありまして、絶対的基準というのはなかなか難しいと思いますが、客観的に見て立派な人であるということに尽きると思います。もちろん、今までの経歴、やられてきた業績等々、そういう客観基準で判断して、この人なら間違いないということを最終的に決める、その総合的な評価の抽象的な文言としてそういうものになっているんだというふうに承知をいたしております。

中丸委員 抽象的ですよね、やはり。

 山本大臣、笑っていただいているんですけれども、山本大臣はいかがですか。

山本国務大臣 具体的に言うのは非常に難しいんですけれども、やはり社会的な常識のしっかりある方、バランスを持って物事を判断できる人、それからやはり悪いことをしない、ひきょうなことをしない、ひきょうなことをしないという言い方はまた難しいんですけれども、そういう方だと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 枕言葉のように非常によく登場する言葉なので、要は、普通の一般国民から見たときに、人格が高潔とは何ぞやという話も出ますし、それで選ばれた人は人格が高潔かという話にもなると思いますので。まあ、こういうのをつけないといけないんでしょうけれども。

 識見の高いというのは非常にわかりやすいですよね、その人の経歴とか。人格というのは、自分の家内とか息子ぐらいならわかりますけれども、よっぽど親しい人でないとその人の人格というのは、なかなか初対面とかでは判断しにくい、書面では特にわかりにくい部分だと。例えば、そういった見識のある人が高潔だと証明する何か推薦があるとか、何かそういう基準がないんだったら、もうちょっと違う言い回しに、ここで議論することじゃないかもしれませんけれども、考えてもいいのではないかなという気は少ししています。

 全体的にこういう、特に法律の文言というのはやはりそういったところが非常に多いと思うんです。解釈の仕方でさまざまに分かれたり、先ほどのように誤解を生むような表現とかが非常に多いと思うんです。

 マイナンバー法案というのは非常に国民の注目度も高いですし、かかわる人たちの数も非常に多い法案で、一部、こういう議論、これだけ長い時間させていただいている中で、全然違う話も出たりしているみたいですけれども、もっと真摯に、細かいところまでやっていく必要があるというのを私はすごく思っていまして、その後は第三者機関がやりますからというものではなくて、そのために議論しているので。もちろん費用対効果とかも私もさせていただきましたけれども、さすがに、代表質問を含めて三回目になりますので、このマイナンバーについて。勉強する時間も非常に多くいただいているので、中の細かいところを見ていく、見ていけばいくほど、矛盾点とか本当にこれで大丈夫だろうかとか。

 もちろん我々は、日本維新の会としては推進していく方針なんですけれども、だからこそ、簡単に、まあいいから、いっておこうよというんじゃなくて、後々のこともやはりきっちり、特に影響力の大きい、特に小規模事業者とか、そういったところには進めていかないと。配慮が要ると。先ほど甘利大臣に申し上げましたけれども、そういう配慮も、山本大臣もあわせて、お考えいただければと思います。

 そういった中で、そういう、進める、配慮をする、文言をもう少し考える、いろいろなことが出てくるんですけれども、その進める、さっきの人格が高潔で識見の高い委員長及び委員の任期というのは五年というふうになっているんですけれども、実際に実務の管理を行うのは、内閣情報通信政策監が当たられるんだと思うんですね。内閣情報通信政策監の任期はどのようになっていますか。

山本国務大臣 今回の法案におきましては、内閣情報通信政策監、いわゆる政府CIOについての任期の規定は設けられておりません。これは内閣官房における他の特別職、例えば内閣危機管理監とか内閣広報官等々も同じでございます。

 委員御存じのとおり、政府CIOは内閣の特別職ということで、総理の申し出で内閣で任免される特別職ということですから、その任免については時の政権の判断ということもあると思います。しかしながら、安倍政権として、この政権として任命するということですから、任命された場合には、それは、政府CIOがその目的を達するために十分な任期は確保される、こういうことだというふうに考えています。

中丸委員 ありがとうございます。その御決意はすごく伝わってまいりました。

 ただ、先ほどおっしゃられたように、政府がかわったりすればかわってしまうということは、我々、よく議論の中で、党内でも出るんですけれども、そうすると、役人の皆さんは、指名して責任をとるのは政治家だと。当然だと思います。ただ、待っていれば人がかわるじゃないかと。ということは、なるべく自分たちに責任が来ないように来ないようにやはりしたくなるのは、これは別に責めているわけではなくて、これは普通の会社でも一緒だと思います。

 そういったところもあるので、特にこういう非常に大事なポジションの方というのは、我々、前回の質問のときも言わせていただいたんですが、そういった、いろいろなことはあるとは思うんですが、できれば、前回、向井審議官が、三年から三年半ぐらいでまた見直しをという話なので、やはりその見直しまでは、仮に政権がかわっても、その人というのは、政治家ではないと思いますので、続けられる仕組みというのがどうしても必要な気がするんですけれども、いかがですか。

山本国務大臣 中丸委員のおっしゃっていることは本当によくわかります。

 ただ、これは、先ほど申し上げたとおり、時の政権の判断ということもあると思うんですが、少なくとも私がIT担当大臣をやっている間に、とにかくこの法案を通していただいて、与野党を超えて、やはり政府CIOは必要だ、どうしてもこれがないと、やはりIT投資の最適化もできないし、やはりIT戦略がきちっとできないという、きちっとした実績を残すことによって、政権がかわってもこれを残そう、きちっとしたインセンティブが生まれるように、しっかり取り組んでいきたいと思います。

中丸委員 たらればの話ですけれども、例えば今こういう答弁をさせていただいて、我々、もし日本維新の会が与党になったとしましょう。そういう場合に、今の御意見、もちろん私も同意見ですので、当然引き継いでいこうと思いますけれども、そうじゃない場合も考えられるわけですね。

 だから、そういった場合を踏まえて考えれば、やはり一定の法律の縛りをつくっておくというのは大事じゃないかなという気が、我々は、その委員の話し合いの中でも出ていまして、もう余り時間もなくなっていますので、そういった意味で法制化というのも必要じゃないかなと思うんですけれども、いかがですか。

山本国務大臣 今の政府CIOのたてつけでいうと、法律で任期を書くというのはなかなか難しいと思いますが、先生の問題意識はしっかり受けとめて、なかなか難しいと思いますが、そこはしっかり受けとめて、いろいろと考えてみたいと思います。

中丸委員 本当に考えていただいてありがたいと思いますし、ぜひとも貫いていただきたいというふうに思います。

 きょう、いろいろたくさん質問させていただきまして、向井審議官にもたくさん答えていただいて、途中で向井大臣と間違えそうになったんですけれども、本当にたくさん答えていただきまして、既存の仕組みとの、法律ガイドラインも含めたそういったものをどういう共有性を持たせて理論立てていくかとか、そういう適切な情報管理、つまり、全体像でいえば無理、無駄のない導入、これはたくさん質問も出ているから御理解いただいていると思うんですけれども、やはり、安全に情報管理をするというのは当たり前なんですけれども、ただ、その安全にはコストが必要になってきて、行政側は何とかなるにしても、それを実際に民間で扱うところにはそのコスト負担が非常に重荷になるというか、現実的にできないところもあるんだということを御理解いただきまして、その辺をしっかりと国民の皆様に理解いただけるように発信をしていただいて、具体的にそれを知り得る状況になりやすい、皆さんに知っていただくということを含めて改革に取り組んでいただきたいと思います。

 ただ、我々日本維新の会としては、きょう質問させていただいても、今のままというのはやはりちょっと厳しいんじゃないかなというのも思っていまして、そういう意味では、委員会に対して附帯決議というものを提出させていただきたいということを申し上げて、日本維新の会、中丸啓の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

平井委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 通告はしていないんですが、関西弁を久しぶりに国会で聞いていまして心がほっと和みましたので、向井審議官にちょっとお尋ねしたいんです。

 このマイナンバー法は、僕の認識では、恐らく四十年ぐらい、いろいろな挫折を繰り返しながら四十年かけてやっとここまでたどり着いたのではないかなというふうに思っておりますが、これまで幾度となく挫折をしてきたわけですけれども、それは一番大きな原因というのは何やと認識されていますか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 番号制度、例えばグリーンカードのころにあったり、社会保障の世界でも何度か検討されたりしておりました。それで、住基コードのときも、もちろんこれは成立いたしましたけれども、訴訟が起こり、今とは比べものにならないぐらい反対の方たちが多かった、そういう時代がありました。

 それは、一つには日本の国民性といいますか、比較的匿名性を重んずる国民性というのが過去においてはあったし、今でもまだそれは続いているんだろうというふうに思います。

 それと、逆に言うと、行政ないし国民の利便性との拮抗関係ではないか。ところが、時代の流れとともにIT化が進み、また、若い世代の中では自分でIDを出したり、あるいはフェイスブックなりにみずから自分の情報をオープンにしていくというのがある程度普通になってきている。そういう社会の変化。

 それからもう一つは、税で言いますと、グリーンカードのときもそうですけれども、納税者番号というのは、過去においてはなかなか、所得の把握ということに対して抵抗があるというふうなことがあったとは思います。それも、時代の流れとともに、そういうものの抵抗感というのは薄れてきたのかなと。それは一つは、先ほど申しました、一般的な社会のオープン化と、あとは、やはり、昔ほどバブルではないということだろうというふうに考えます。

西野委員 自分で名前を言うのを忘れていました。日本維新の会の西野弘一です。

 せんだって大阪に帰っていまして、たまたま喫茶店に入りましたら、地元のおばちゃんらがたむろしてはりまして、こうちゃん、国会どないやということで、いや、この前ね、初めて質問を財務金融委員会でさしてもらいましてん、何をやったんや、このマイナンバー法案のことをやりましたんやということを言うていまして、あれな、あんなのしたら私らの銀行にこそっとためてあるお金も全部国にばれてまうのやろとか、どうも、おばちゃんらは、何か番号でみんな管理されているみたいで嫌やわというて、いろいろ言われたんですけれども、いやいや、そうではなくて、確かにその口座はばれるかもわからへんけど、おばちゃんら、たんすにぎょうさんあるんちゃいますのとかそういう話をしながら、また、そういう一方で、でも、おばちゃんら、生活保護を不正にもろうてはる人らのことを怒ってますやんいうて、でも、そんなこともきっちりと、将来、そういうことにもこの番号が活用されるようになると、そういった問題もなくなってくるんですよというお話をさせていただいたりとか。

 また、管理されるといいますけれども、そのおばちゃんらがその喫茶店を出ていきはるときに、みんな、ポイントカードを押してもろうてはったんですよ。それも、今のポイントカードというのはみんな、機械でピッと読むものなんですよ。それで何をもらえますのと言うと、いや、これ、十回来たら一回のサービス券を家に送ってくるねんと言うてはりましたから、十分そういう管理されているというか、喫茶店にでも自分の個人情報を出すような時代ですからね、大分変わってきているのかなと思いますし、そういう社会の変化の中で、ようやくここまで来たのかなというふうに思っております。

 先ほど我が党の中丸委員からも話がありましたけれども、日本維新の会としても、これから、できるだけ公平な税制であったりとか、また社会保障を構築していく上で、このマイナンバーというのは必要最低限のインフラだというふうに位置づけておりますので、大いに推進をしていただきたいなというふうに思っております。

 また、党の議論の中から少しまた先に行った議論になってしまうかもわかりませんけれども、私は、本当に公平な社会を実現するということが政治家に課せられた最も大きな使命だというふうに考えておりますけれども、では、公平って何やねんということになると、みんながこの国を支えている、税の負担にしても、全ての国民の皆さんが負担をしている、では、自分がどれだけ負担をして、そしてどれだけ国からいろいろなサービス、給付をいただいているのかということも、みんなが、それぞれが理解しているという状況にならないと、本当に公平な社会の実現というのはないというふうに思っているんです。

 具体的に申し上げれば、僕は税も最終的には全てフラット化にするべきだというふうに思っております。例えば所得税にしても、一円の所得があっても、まあ、一円の所得で何%取るというわけにいかないかもわかりませんけれども、取ればいいんですよ。百円の所得でも十円、所得税で取ればいいと思います。全部一律に、何%、何十%と決めて取ればいいと思うんです。そのかわり、後で、いろいろな社会保障であったりの仕組みの中で、給付という形、サービスという形で還元をすればいいと思うんです。そうすれば、みんながこの国を支えているんだという気持ちになってもらえれば、税金の使い道にも国民の皆さんがもっと真剣に考えていかれるというふうに思っておりますし、そういった不正受給なんというものに対しても、もっと厳しい目が向けられてくるので、公平な社会が実現していくというふうに思っているんです。

 その前提で、では、皆さんの所得はどれぐらいなのかな、どういう所得なのかな、世間の、御商売をされた中で、どういったお金の動きがあるのかなとか、また資産はどれぐらい持っておられるのかなというところまで把握されないと、なかなか、こういった社会の実現ということはまだまだ遠くなっていくというふうに思っています。

 その大前提で、今回は税と社会保障に限って使えるということでこの法案は出されておりますけれども、僕は、将来は、そういった全ての、例えば銀行の全ての口座にもこのマイナンバーが振られるようなことになった方がいいというふうに思っておりますけれども、その点について、これは甘利大臣の所見を伺いたいと思います。

甘利国務大臣 御指摘のとおり、当面は、社会保障、税、それから災害対策の三分野に限って利用できるということにいたしております。

 電子化、IT化が進んでいく社会ですから、これをフル活用するためには、多方面の分野で利用できる方が効率も上がるし、利便性も高くなるし、コストも下がるということは、一般論としては理解をできると思います。

 ただ、要は、プラス面もあれば、逆に、情報が漏えいする、あるいはそれを使って犯罪が起きる等々のリスクもある。そのリスクを、極小化というか、できるだけゼロに近づける作業が必要でありまして、三年後に、民間利用について、していくのかしていかないのかも含めて、三年間の利用状況、そこから出てくる問題点を精査して、次に踏み出すというステップを設けたわけであります。

 情報化社会のすばらしさと怖さというのは、各種映画等でも広く国民が理解しているところであります。その怖さ、マイナス点を極力ゼロにするようなセキュリティーシステムあるいは運用の仕方等々、この三年間でどこまで検証ができるか、それに基づいて、それから一歩踏み出すべきかどうかを検討していくということで、慎重に捉えているところだというふうに思っております。

西野委員 当然、法律が施行された後に、すぐにいろいろな運用がなされていくわけだというふうに思いますが、私は、大体こういう新しい制度というのは、始まったときに一番みんなが関心を持っていますから、いろいろな問題点というのが一気に噴き出してくると思いますので、そのときに、では次はどこまでの対策を打たなければいけないか、では次はどこまで範囲を広げていくことができるのかなということを、すぐにその時点で議論をしないと、なかなか、深い、いい意見も出てこないのではないかなというふうに思っておりますので、そのタイミングというのがすごく大事じゃないかなと思います。

 施行されて三年間運用してみて、では、三年後から検討を始めましょうかということではなしに、すぐさま、もう今からでもその検討の、例えばPTでも、大体の顔ぶれ、こういうメンバーで検討を始めようかなというぐらいのことを腹づもりされている方が僕はいいのではないかなと思っているんですけれども、その点はいかがでしょうか。

甘利国務大臣 傾聴に値する御意見だとは思います。

 ただ、実際にやってみて、こんな利便性があるのならこういう方面でも使えるじゃないかとか、こういうリスクがあるならここのところはもうちょっと検証しないといけないじゃないかとか、いろいろな知見が積み上がっていくと思います。そういうことを踏まえて、それを英知として次のステップに生かしていきたいと思いますので、そういう知見が積み上がる期間が少し必要かなということも兼ね合わせて、先生の御提言はあわせて勉強していきたいというふうに思っております。

西野委員 ちょっとしつこくなってしまって申しわけないんですが、では、その検討のPTなのか委員会なのか審議会なのかわからないんですけれども、これだけは、すぐにのすぐの定義は何やという話になってもいけませんけれども、できるだけ速やかに立ち上げるということだけはここでお約束いただけないでしょうか。

甘利国務大臣 実際に少し行われてみて、今のところは設計図面で見ているわけであります。これが実体経済で検証されるわけでありますから、その検証過程を見ながら、じっくり立ち上げるべきか、あるいは御指摘のように、ここまでこういう知見が早い段階にそろってくるならもっと早く立ち上げるべきであるか、その辺の検討も含めて勉強させていただきたいと思います。

西野委員 恐らく、あってはならぬことですけれども、いろいろな不備が出てきたりとか、それが大変大きな問題だったりとかする場合もあるので、できればそういったことにもすぐ対応できるように、このマイナンバーに関してのいろいろな形の検討会というか第三者機関であったりとか、いろいろなものを設置するということを既に視野に入れておかないといけないのではないかなと私は思うんです。展開していく上での検討会というのももちろん必要でしょうし、万が一のときにそれにどう対応していってクリアしていくのかという意味でも、やはり検討会というのは今すぐからでも立ち上げていく必要があると思うんです。

 繰り返して恐縮ですけれども、そういう意味でも、できるだけ速やかに検討会は立ち上げていくべきだと思いますけれども、いかがですか。

甘利国務大臣 御指摘の話も含めて、臨機応変に対応していきたいと思っております。

西野委員 最後はお願いをしておきます。できるだけ早く、この利用の拡大も含めて検討できるように、具体的に進めていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、先ほどからも御議論ありますけれども、当然、これで一番世間が心配されているのはセキュリティーの問題だというふうに思います。先ほどから山本大臣もCIOの話も繰り返し御答弁されておりますけれども、これは大変すばらしい取り組みだというふうに私は思っております。

 ちょっと調べましたら、今まで、それこそ縦割り行政の最たるもので、サーバー一つ、システム一つにしても、各省庁それぞれがばらばらに開発してきたんですね。サーバーはどれぐらいあるんですかというと、今、各省庁合わせると何か千五百ぐらいあるというふうなことも聞いていますし、これは、効率性で考えても大変無駄の多い話だなというふうに思いますし、また一方、セキュリティーという意味では、これは大変な問題だなというふうに思います。

 僕は実はアナログ人間でして、こういった話は余り得意じゃなかったんですけれども、政治家になってから、必要に迫られてツイッターをやったりフェイスブックをやったりとかするようになりました。そこでいろいろな話をしていまして、アナログ人間の感覚でいうと、例えば、テロとかそういう危機管理でいうと、空港なんかでしたら、一つだけしか空港がない国は、そこをやられてしまったらもう飛行機を飛ばせなくなる。だから、十ぐらいつくっていれば、残り九あるからそこでバックアップできるじゃないかと。電力なんかでもそうですよね。原子力発電をとめないといけないといっても、火力発電があるので何とか電力が回っている。そういう発想でしかないんです。

 サーバーもたくさんあるので、一個攻撃されても、残りの千四百九十九があった方がいいんじゃないかというような感覚だったんですが、これは大間違いで、こういったものは、数が多いと攻撃の対象が多い。一個攻撃されてしまうと残り全部だめになっちゃうので、できるだけ攻撃をされてしまうところを限定的にした方がセキュリティーの上ではいいということで、ああ、なるほどなと思っているんですけれども、どうもやはり、今の千五百もあるという状況を見ますと、私のようにアナログ時代の人たちがその感覚で今までこういったものを運用しておったのかなというふうに改めて思いまして、そういう意味でも、できるだけこういったものは集約してセキュリティーをかけていかないといけないのではないかなというふうにも思っております。

 その点について御所見をいただけますか。

山本国務大臣 今、西野委員のおっしゃったことはまさにポイントだと思っていまして、昨今、政府機関のホームページ等も改ざんされる事案が結構起こっていますから、政府の情報セキュリティーの確保というのは極めて重要だというふうに思っています。

 おっしゃったように、まさに、今、各省が別々のシステムで情報システムを動かしているということ自体大変な問題でございまして、やはり統一的な基準で統合、集約化していかないと、今、西野委員がおっしゃったように、これこそまさに穴がどんどん大きくなっちゃうので、これは統合、集約化してちっちゃくする。つまり、政府の情報システムを統合、集約化すること自体が実はセキュリティー対策の一つになっているんだ、こういうことですから、新しいCIOが任命されたら、とにかく今の千五百あるこのシステムをきちっと統合できるように、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

 その上で、新藤大臣おられますけれども、今、総務省の方で、かなり強固なセキュリティー対策を講じた政府共通プラットフォーム、こういうのを整備していただいて、新藤大臣自身もセキュリティーはかたいんですが、これを今整備していただいていますから、IT担当大臣として、総務大臣ともしっかり連携しながら、集約、統合化を進めてセキュリティーの底上げを図っていきたい、こんなふうに考えております。

西野委員 それはすばらしいことだと思います。政府共通のプラットフォーム化、これも大事なことです。

 かつて大阪府庁は、僕らでも、府議会議員のときに、これはどこの所管かなと悩んだときは代表電話に電話していたんです。そうすると、受付のお姉さんが職人わざで、どこの所管やということを割り振りして、そこに電話をつないでくれていたんです。まさにすばらしかったんですけれども。

 そういう意味でいうと、国民目線で見ると、国の各省庁のホームページなんて全部規格がばらばらですし、そういう意味では利用しにくいものだというふうに思いますので、どこかのホームページを見れば、自分のとりたい情報を国民目線でしっかりととっていけるという観点もぜひそこにも入れていただきたいと思います。

 あわせて、今、政府にはいろいろな情報があると思うんですね。膨大な情報があると思いますので、資料もたくさんあると思います。そういうものを、民間の企業が活用していったりとか、民間のいろいろな研究機関が利用したりとかいうときに、できるだけ使いやすいようにという観点も必要だと思うんですけれども、その点についてはいかがですか。

山本国務大臣 これも西野委員のおっしゃったことがポイントだと思うんですが、オープンデータ政策のことだと思うんです。

 公的機関、政府機関が持っている情報を、今おっしゃったように、できるだけ加工しやすいように、編集しやすいように、二次利用しやすいようにインターネットで掲載をしていくということはしっかり進めていかなければいけないと思いますし、IT戦略本部では、今、電子行政オープンデータ実務者会議だったと思いますが、そこでしっかりと取り組んでおりますので、このオープンデータの試みはさらに加速化させていきたいと思います。

西野委員 ぜひよろしくお願いします。

 次の質問に移りたいと思います。

 各省庁、ホームページもばらばらなんですが、それはこれから山本大臣のもとでまとめていただけるということでございますので、お願いするとしまして、今、地方分権という中で、各自治体もこういったものをばらばらに整備を進めているような気がします。

 そもそも地方分権というのは何やと。私なりの考え方で申し上げると、もともと私は、日本維新の会の前に、大阪府議会の中で大阪維新の会というのを立ち上げました。そのとき立ち上げたきっかけとなったのは、大阪府と大阪市が、それぞれが広域自治体でありながら基礎自治体の仕事をし、基礎自治体でありながら広域自治体の仕事をするという中で、二重行政が行われていて、水道でも、淀川の同じようなところが、隣同士で水をくんで、隣同士で水をきれいにして、隣同士で水道管を走らせて、それぞれが水道を提供している、サービスを提供しているということだったので、これが無駄やということから、府、市を統合というか、統合するというようなことは、要は、役割分担を進めようじゃないか、広域自治体は広域自治体の仕事、基礎自治体は基礎自治体の仕事をしようじゃないかということで大阪維新の会が立ち上がって、今の日本維新の会の活動にもそれがつながっていると思います。

 私は、私の理解する地方分権というのは、まさに地方がそれぞれ勝手に独立して好き勝手なことをやるということを目指すのではなくて、きちんと国と地方の役割分担を進めていくことだというふうに思っているんですが、地方分権というものはいかなるものかということをちょっと大臣にお答えいただきたいんですが。

新藤国務大臣 先ほどからいろいろといい御意見をいただいているんだと思うんです。でも、委員は特にまだ若い、そして今回、国会議員になってきて、新しい風を吹かせてもらうという意味で私は期待しますが、物事にはそれぞれ最初の必然があるわけです。今の時点を見て、ここを変えるべきではないか、これは必要だと思います。しかし、なぜこうなったのかということもきちんと理解した上でそれを変えていこうということをしていかないと意味がないというふうに思うんですね。

 私も、初当選以来、委員と同じような思いで、今でも同じような思いをしています。結局、なぜこうなったのかということを知らずに、その最終的な結論のところだけを変えろと言っても変わらないんです、理解できていない人には。なので、ぜひそこの研究をやっていただきたいし、私も一緒にやっていきたい、このように思うんです。

 先ほどの、政府の府省に千五百ある、これは私どもで調査をして、今、半減するということにしました。でも、なぜそれができるようになるかというと、それは、セキュリティー性の高い、しかも容量の大きな、速い、そういうネットワークを組むことができるからやれるのであります。その前にやろうとすれば、これは実際動きません。それから、そのように統合するよりも、まず、目の前で自分でやっちゃった方が早いということもありました。それから、もちろん、職員のITの技術、こういったものもあったと思います。

 もろもろ踏まえて今こうなってきて、ここまで立ち上げたので次に行きましょう、やはりこういうふうに段階があるんですね。もちろん、ワンステップずつとは言いませんよ、技術の革新によって、それをどんとどこかで上げることは重要だと思うんですが、ぜひ若手の議員の皆さんには、なぜこうなったのかということはよく承知をしてもらいたいなと思います。

 そして、国と地方のあり方というのは、あなたが感じていることと同じことです。国は、国家全体のことを考えて、そして、経済や安全保障、防衛、外交、こういったものをやりながら、国全体としての活力を維持する。その中で、千差万別の特性や個性を持つ地域がそれぞれに、いかに暮らしやすい行政を行うにはどうしたらいいのか、そしてそこにはどんな仕組みが必要なのか、こういったことを、地方が独自に、みずから治めるという観点から地方自治というのを確立させて、そして、そこのキーワードは自立だと思います。そして、個性だと思います。

 こういったものを発揮しながら、国と地方が、これは敵対するものではなくて密接不可分なものであって、相互に連携しながら、お互いの役割を果たし、そこに住んでいる人は国民であり、住民です、双方にとってよい利益が出るようにこれを展開していくべきだ、このように考えます。

西野委員 ありがとうございます。

 まさに、先ほどの省庁の千五百のサーバーの話で教えていただいたとおりで、僕も、そう言われると、その時代に、その千五百のサーバーが立ち上がったときに、もともとの、それぞれのサーバーの能力はどれぐらいだったのか、これは全くわからないので、確かに、そういうことがいろいろ起因して今のような状況になっているということをしっかりと知らないと、何でできていないんだということは軽々に言えないとは思いますが、私は、地方議会のときもよく思ったんですけれども、役所というのは、過去、自分が歩いてきた道を時にはやはり否定をしなければいけないときもあるし、方向性を変えていかないといけないときもあるんですが、どうも、それを変えていく習性がないというか、変えていくことにはすごく臆病な方が多いと思います。

 むしろ、私はこうして初当選させていただきましたので、もちろん、過去の経緯はしっかりと勉強するということは当然のことだというふうに思いますし、今大臣にも教えていただいたとおりでございますので、しっかりと私も勉強はしていきたいなと思っております。

 一方で、過去の経緯を勉強はするんですけれども、そこにとらわれないで変えていくということも我々の役割だというふうに思いますので、過去にとらわれて、なかなかそういったものを変えていくことができない、あのとき、これぐらいの能力しかなかったんだからしようがないじゃないですか、だから、このまま千五百のサーバーでいいんじゃないですか、もう変えやんといてくださいよというようなところに対して、いやいや、そうじゃなくて、今の時代はこうなっているんだ、今の機械はこれぐらいの能力があるんだということを、だから、もう変えましょうよと。

 さっきのマイナンバー法にしても、もう世間の流れは変わっていますよ、皆さんが思っていたころよりも大分流れは変わっていますということを伝えるのも、我々、こうやって新人で当選させていただいた者の使命だというふうに思っておりますので、大臣に教えていただいたことも大切にしながら、しっかりと頑張っていきたいなというふうに思っています。私が答弁しているみたいな話になってしまいましたが。

 その観点でお聞きしたいんですが、今、飲食店のチェーン店なんかでも、ラーメン屋さんをやりながらカレー屋さんをやったり、うどん屋さんをやったりというところで、結構もうけてはるところがあるんです。マネジメントするところは東京に一つ置く。

 地方自治体が今、いろいろな、ICTの問題でもそれぞれ整備を進めておられますけれども、地方自治体にしろ、国の各省庁にしても、基本的なサービスの部分というのは、私はそんなに変わらないのじゃないかなと思うんです。その共通しているところは、では、どこまでが共通している部分だというところもあると思うんですが、そこをできるだけ見きわめて、共通している部分は共同で整備した方が私は効率的であるというふうにも思っています。

 その点について、いかがですか。

新藤国務大臣 まさにそのとおりだと思うんですね。

 そして、行政と政治の関係というのをやはりきちんと理解する必要があると思います。私はそう思ってやっているんですが、行政は、政を行う、決められたことを行うのが行政。政治は、政を治める。

 だから、結局、役人が、役所が自分たちで勝手にどんどんどんどん変えていっちゃって、法令に基づいてやるのが行政だから、それを指摘して、ルールを新しく直そう、変えよう、つくろう、これをやるのが政治だ、この関係をきちんとリンクさせていくことが重要だと思うんですね。

 そして、地方自治は、あくまでそれぞれの自立が保障されているし、自治をやってくださいとなっているわけであります。その中でいかに効率よくやるか。例えば、国が一律に基本的な部分のソフトは提供する、それに従って自治体がシステム設計してもらうとか、こういう工夫をする必要があると思います。

 それから、今、どんどん技術が革新されてきて、今度は共通のそういった情報の通信基盤をつくろう、こういったことができてきます。これは、行政だけでなくて、もしかしたら民間も含めて使える、共同溝のようなそういう通信基盤というのもつくってもいいのではないかと私たちは考えて、そのようなことを今、模索しているんですね。

 ですから、地方が、今、千七百強の自治体がありますが、ここで共有化できるものはできるだけ共有しようじゃないかと。政府の中での事務を共有化するのと同じこと、給与計算だとかバックオフィスの部分を共有化すればかなりのいろいろな削減が見込めるんじゃないか、こういうようなことも、前々から言われていたけれども、今、ようやっと本当にできるようになってきた。ここで一挙に行政の電子化というものを進める中で、今委員が言われたような、そういう共有できること。

 それから、一度誰かがつくったものを次の人がまた使えるようにする、こういう仕組みが重要だと思いますね。ですから、オープンデータというのは、明らかにするのが本質ではなくて、オープンデータとして使えるようなデータの統一、標準をつくっておくことが重要なんです。そのデータをほかの人も使えるような仕組みにしておかなければ、公開しても使えないんです。ですから、そういうルールを今打ち立てようじゃないか、こういうことをやっているわけであります。

西野委員 時間が来ましたのでこれで質問を終わりますが、ぜひ今の点についても進めていただきたいなというふうに思っております。

 最後に意見だけ申し上げます。質問したかったのですが、時間がないものですから。

 マイナンバーを考えていったときに、これは選挙に使えないかなと思いました。なぜかというと、例えば今、期日前投票が積極的に行われるようになりましたが、これの本人確認というのがすごく適当です。その場でたしか住所と名前と年齢か何かを言えば、すぐに投票できる。これで一旦投票してしまって、成り済ましで投票した後に本人が投票しても、これはチェックが全然できていないんじゃないかなと。

 こんな甘々の状態なのに、その問題がまだ顕在化してきていないということは、恐らく、そういうことがあっても気づかないふり、見て見ぬふりを各自治体がしているんじゃないかなというような気も私はするので、この本人確認を、選挙のときに、期日前投票のときにしっかりとやっていただかないと、そういう問題がいずれ顕在化してくるのではないかなと思っておりますので、その点についてもよろしくお願いします。

 質問を終わらせていただきます。

平井委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 新藤大臣がほかの件で移動されるということで、後ほどまとめてさせていただきます。

 まず、また総論的なところから入らせていただきたいと思うんですけれども、マイナンバー制度と歳入庁設置とのかかわり、関係についてお尋ねさせていただきます。

 と申しますのは、今般のマイナンバー制度の法律の条文の中にも、「行政運営の効率化を図り、」そういう文言が基本理念の中に入っているところでございまして、これはまさに、行政運営の効率化ということになりますと、マイナンバー制度の延長線上に歳入庁というものがイメージできてくるのではないかというふうに私どもとしては考えているところでございます。このあたりの御見解、御認識について、大臣にお尋ねを申し上げます。

甘利国務大臣 御党は、歳入庁の必要性、設置に関して積極的な御意見を持っていらっしゃいますし、たびたび御質問を受けるわけであります。

 昨年に税制抜本改革法が成立をいたしました。その際、自民、公明、民主の三党合意に基づいて、年金保険料の徴収体制の強化等について、歳入庁も含めて徴収強化ができるような手法を検討せよということで、その一つとして検討が始まってきたわけでございます。

 政府といたしましては、先般、内閣官房副長官を座長とする検討チームを立ち上げまして、税制抜本改革法の規定に基づいて、年金保険料の徴収体制強化等について幅広い観点から検討を進めていくということにさせていただいているところでございまして、今、鋭意検討を重ねているところであります。

大熊委員 ありがとうございます。

 私どもの認識といいますか、私の認識としましては、前回も、情報連携の仕組みについて、符号を使ってというお話をいただいたわけでございますが、究極の最も効率的な情報連携は、情報連携をする必要がない、つまり、役所同士が一つの機関になってしまう、つまりこれは歳入庁ではないだろうか、そのような考え方を持っているところでございます。

 続きまして、類似の関係でございますが、マイナンバー制度と給付つき税額控除とのかかわり、これも昨年の税制の抜本改革法案でしょうか、こちらの中で盛り込まれているというところまでは承知をいたしているところでございますが、仮にこの給付つき税額控除の制度が導入される場合には、今般のマイナンバー法の情報連携関連の規定のところで、地方税の規定ばかりではなくて、国税関係の規定についても番号法の中に盛り込むべきではないだろうかというふうに考えているところでございますが、いかがでございましょうか。

甘利国務大臣 給付つき税額控除につきましては、税制抜本改革法においての番号制度の本格的な稼働及び定着を前提に、所得の把握、資産の把握の問題、それから執行面での対応の可能性等を含め、さまざまな角度から総合的に検討することとされているところでありますが、仮に給付つき税額控除を導入する場合には、さらにどのような制度上、システム上、その他の手当てが必要になるのかについて検討していく必要があると考えられているわけであります。

 この件に関しまして、御党各委員からいろいろ御提言をいただいております。それらも含めて、先ほど申し上げました官房副長官を中心に、この制度を含めた対応、いかなるものが適当かという対応について協議をいたしておりまして、夏を目途に結論を得るという報告を受けております。

大熊委員 ありがとうございます。ぜひ前向きな、前進した結論を期待させていただきたいところでございます。

 続きまして、マイナンバー制度とマイポータル、マイポータルを制度と言っていいのかどうか、マイポータルとマイナンバーとの関係についてお尋ねをさせていただきます。

 マイポータルのないマイナンバー制度と、今般の政府案のマイポータルありのマイナンバー制度を比較いたしますと、長所、短所それぞれあるんだろうと思いますね。いわゆるLGWAN等、非常にセキュリティーの強い情報ネットワークだけで閉じるのではなくて、そこに出口をつくって、インターネットを通じてマイポータルというものを導入しようとされている。ここで当然、情報セキュリティーのリスクをとって、それにかわって、当然、メリットが国民の利便性の向上ということだろうと御説明されると思うんですが、そのメリットが、とるリスクよりも超過しているのかどうか。つまり、便利さの反面、リスクは増すわけでございますから、その超過部分が本当にあるのかどうか、いま一度御説明をいただければというふうに思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイポータルは、個人情報保護の観点から、本人が、例えばAさんならAさんが、そのAさんの情報を行政機関間で情報提供ネットワークを通じてやりとりした、その提供の記録を確認できるテレコをまず保存しておけというのが法律に書いてございます。そして、この情報自体を自分のパソコンから確認できるようにするためというのがまず第一の主目的というふうになっております。

 さらに、これに加えまして、国民の利便性の向上という観点から、行政機関が保有する自己情報の確認、それから、いわゆるプッシュ型のサービス、それから、ワンストップによる各種申請を行えるような機能を設けることを検討しております。

 御指摘のとおり、マイポータルはインターネット上に構築されるシステムでございますので、出口を絞ればある程度のセキュリティーは確保されるものの、全く閉じたシステムよりはワンランクは落ちるというふうなことだとは思っております。

 実際にマイポータルの実装する機能の詳細につきましては、今後検討ということになろうかと思いますけれども、少なくとも、インターネットから自分の情報を取得する、あるいはプッシュ型のお知らせをつくる、さらには、先ほどオープンデータという話も出ておりますけれども、そういうオープン型のポータルサイトとも連携するみたいなことをやっていけば、国民にとって随分利便性のあるものがつくれるのではないかというふうに考えております。

大熊委員 なかなか政府としてはお話しされにくいと思うんですが、それでもやはり、リスクが増すんだという広報を一般の国民の方に、やりにくいとは思うんですけれども、導入の前にしていくべきだろうと思うんですね。

 それと並行して、中身はマイポータルと多少違うと思うんですが、せんだっての参考人の意見聴取の中で、デンマークの事例やサンフランシスコの事例、特にデンマークの事例については政府の方で調査に行かれた、そういう話がございました。このデンマークの制度ですね、マイポータルと類似した制度なんでしょうか、そこについて教えていただければと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 デンマークのポータルサイトは、いわゆる世界でも有数な、ワンストップサービスとか、お知らせ型のサービスの代表例だというふうに言われております。国民全てがマイページといいますウエブページを持ちまして、このウエブページでお知らせ型サービスを受けられるということになっております。二〇一二年からデンマークの全自治体がこのシステムでデータの名寄せができるようになったというふうになっていますが、厳格な第三者機関がそういう不適切な利用がないかについては監視しているということでございます。

 それから、セキュリティーにつきましては、情報連携する際に、各システムから直接データを取り出すのではなくて、別の形式に変換してデータを集めることで安全性を高めることができるような、そういうシステムだというふうに聞いております。

大熊委員 ちなみに、デンマークで何か事件とか事故等が起こったという報告はあるのでしょうか。

向井政府参考人 私どもとしては承知しておりません。

大熊委員 類似の、情報管理、情報漏えいの部分についての人的な側面についてお尋ねをさせていただきます。

 関係する職員の不正あるいは不適切な情報管理の防止、これはどのように達成していくのか。そのための研修等というお話もこれまでに出ていると思いますが、具体的にどのようなものを想定していらっしゃるのでしょうか、お尋ねさせていただきます。

向井政府参考人 番号法におきましては、個人番号を取り扱う職員に対しまして、目的外利用を禁止しているというふうなことでございます。また、番号法は、その職員が属する機関に対しまして、安全管理措置を講ずるよう義務づけております。その一環として、いわゆる教育とか研修を行わせるというふうなことが考えられますが、こういう職員の不正あるいは不適切な情報管理によって、過去におきましても、年金のときですとか、あるいは海上保安庁のときですとか、前にありましたけれども、最大のそういう原因は、やはりアクセスできる職員が多過ぎる、ほとんどの職員にオープンになっていたということが大きな原因であろうと考えておりますので、システム面からいきますと、やはりアクセスできる職員を、まさに実際にその業務をやっている職員に限定する、そして認証をしっかりするということがまず大事だと思っております。

 その上で、その職員に対しまして、情報技術やセキュリティー、あるいは個人情報保護に関する専門家を講師といたします講習を定期的に行うことなどが考えられると考えております。

大熊委員 そうしますと、その研修プログラム等ですね、これは主体は各省なり各機関でやるということになるのか、それとも、政府全体を通じてということで、政府CIOが中心になって、あるいはその補佐をする方が中心になって企画をし実施をする、そういうことなんでしょうか、どちらでしょうか。

向井政府参考人 どちらも考え得ると思いますが、やはり、最低限、高度なものにつきましては、政府CIO等が中心となりまして、政府全体でやるべきものと考えております。

大熊委員 続きまして、同様のセキュリティーの話なんですが、それにもかかわらずセキュリティーが破られるという状態が発生して、個人情報等が漏えいしてどなたかが被害をこうむったという場合について、当該の公務員等に故意あるいは過失があった場合、これは国賠法によって賠償を受けられると思うんですが、そうではない場合ですね。

 というのは、セキュリティーの問題というのは、技術は日進月歩でございますし、未知の脅威との戦いでもあり、故意、過失が公務員にない場合、かつ被害が生じた場合、ここの部分での救済措置というのは何かあるのでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 個人番号を取り扱う者に故意、過失が認められない場合につきましては、その者に対しまして刑事上または民事上の責任を問うことはできないということであろうかと思います。

 他方で、例えばサイバー攻撃をしたとか、そういう攻撃者につきましては、不正アクセス行為等により個人番号を不正取得した場合、番号法による刑事罰の対象になりますし、民事上の損害賠償責任を負うことになるというふうなことは考えられますので、それ以外に、これらの攻撃者に対する責任追及というのは考えられる。現実問題としてどの程度できるのかというのはちょっとおいておきまして、法律上は考えられる。

 それから、情報漏えいにつきまして、故意、過失がなくとも、個人番号が漏えいして不正に用いられるおそれがあるときは、個人番号の変更そのものが認められますし、特定個人情報保護委員会、第三者委員会による助言、指導等が行われるということになろうかと思います。

 ただ、そういう意味で、公務員に故意、過失がない場合につきましては、公務員ないし政府または地方自治体等に対します民事上の責任を問うことはできないというふうに考えます。

大熊委員 できないということで確認をさせていただきました。

 続きまして、情報管理の部分の、特に医療情報の関係でございますが、医療情報についての別途の保護規定というのが必要と考えていらっしゃいますでしょうか。多分そうだと思いますが、その場合、どのような規定をお考えになられますでしょうか。よろしくお願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 厚労省の方で、私どもと協力をして有識者会議みたいなことで検討をしておった、その報告書によりますと、情報の適切な取り扱いを監視する第三者機関の必要性と、法律違反に際しまして、取り扱った個人に直接罰則を科すことの可否等の指摘がされております。これらの論点につきましては、必ずしも医療分野に限定できない問題も含まれております。

 ただ、医療情報の場合、その情報の使い方によりましてかなり個人情報のパターンが変わってくるというふうに考えられますので、一方で、例えば緊急性がある場合につきましては、生命の危険と言わなくても、ある程度の緊急性があれば、本人の同意を求められない場合もありましょうし、一方で、病歴、特に過去の、経年をたったものにつきましてはより秘匿性が高いというふうなことも考えられるということで、両面から考えていかないといけないというふうには思います。

 ただ、医療情報の検討そのものは厚労省で行っておりますけれども、一般論として、医療情報のそういう機微情報についてどういうシステムを組んでくるか、要するに、いわゆるセクトラル方式を組むのか、それとも同じ番号で広げていくのかということにつきましては、やはり個人情報の保護の関係から考えていく必要がありますし、それは、三年後の見直し規定の中で検討される際にも検討されるというふうに考えております。

大熊委員 ありがとうございます。

 まさに両面からということで、例えが適切かどうか、個人情報を保護したけれども、その個人の方を保護できなかったみたいなことが起こってもいけませんので、ぜひ、その辺のところはいろいろな角度から御検討をいただければというふうに考えております。

 続きまして、総務大臣が戻られたので、地方との関係の部分について質問をさせていただきます。

 法律の条文の第六十三条でございまして、番号の通知等というのは法定受託事務というふうに理解をしておりますが、それ以外の事務というのは、いわゆる自治事務というようなことなのでしょうか。その場合に、それぞれ、法定受託事務と自治事務について、地方への国の財政措置はどのようになるのか、お尋ね申し上げます。

望月政府参考人 お答えいたします。

 番号法の第六十三条におきまして、市町村が行うこととされております個人番号の指定、通知、それから、機構に対します住民票コードの通知及び個人番号とすべき番号の生成の求め、さらには、個人番号カードの交付及び記録事項の変更などの事務につきましては、法定受託事務と位置づけられております。それ以外の、個人番号の利用等の、番号法に基づきます地方団体が実施する事務につきましては、自治事務でございます。

 財政措置でございますが、法定受託事務、自治事務を問わず、法令によりまして地方公共団体に事務の処理を義務づけております場合、今回の番号法案がそのものでございますが、こういった場合には、地方自治法上、国は、そのために要する経費の財源について必要な措置を講じなければならないとされております。財政措置のあり方につきましては、個別の事務ごとに、国の関与や地方の利害の度合い等を総合的に勘案して定めることになっております。

 いずれにいたしましても、番号法に基づきます地方団体の事務に係る経費の財政措置につきましては、事務の円滑な処理が図られますよう、今後、関係方面と十分に検討してまいりたいと考えております。

大熊委員 ありがとうございます。

 そうしますと、この必要な措置というのは、法律で措置が講じられるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

望月政府参考人 財政措置につきましては、さまざまなありようがあろうかというふうに思います。これにつきましては幅広く関係方面と検討してまいりたいと考えておりますし、場合によりましては、法律に関連する事柄も出てこようかと思います。

大熊委員 わかりました。

 なるべく透明性を高めるという観点から、法律で定めるという方向の方が望ましいのではないかというふうに考えております。

 一方、決め方、方法はともかくとしまして、例えば東京都あるいは東京二十三区のような不交付団体については、そうしますと、どのように考えればよろしいんでしょうか。

望月政府参考人 財政措置につきましては、さまざまな議論をこれからしていくわけでございますが、仮に地方交付税において算定することとした場合におきましては、地方交付税というものは、地方公共団体が、法令で義務づけられた事務を含めまして標準的な水準の行政を行うために必要な財源を保障する制度でございます。

 この地方交付税制度におきましては、標準的な条件を備えた地方公共団体におけます行政水準を基準として算定されました基準財政需要額、この基準財政需要額と基準財政収入額との差に基づきまして交付税の交付額が決定されます。需要が収入を超えれば交付税が交付されるということになりまして、収入が需要を超える場合には、結果といたしまして、不交付団体ということで交付税が交付されません。

 いずれにいたしましても、交付税で算定されるといった場合におきましては、基準財政需要額にきちんと算入をしていくということになります。

大熊委員 続きまして、個人番号カードの受け取り促進策についてお尋ねを申し上げます。

 せんだっての三鷹市長さんのお話ですと、住基カードの保有者には無料で交換をするというような、そういうお話もあったかと思うんですが、この促進策、それから、これまで住基カード普及に力を入れてきた自治体とそうでない自治体との間で国からの支援策に差をつけるかどうか、その辺の部分をお尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 個人番号カードの受け取りの促進策でございますが、受け取りを促進するために、まず、国民に対しまして個人番号を通知いたします。通知カードで行うわけでございますが、この通知カードを送付する際に、個人番号カードの申請書もあわせて同封したらどうかと考えております。

 それから、その際の手数料等でございますけれども、これにつきましては、地方公共団体の意見を踏まえながら今後適切に考えてまいりたい、そのように思います。

 なお、住基カードの事柄に関しまして積極的に取り組んできたところについて、個人番号カードの交付に当たって何かしら差をつけるのかというふうな御指摘がございましたが、これにつきましては、住基カードの普及に力を入れてきたか否かで差をつけるようなことは、特段、現在のところ考えてございません。

大熊委員 済みません、一点訂正させていただきますと、三鷹市の場合、高齢者の免許証と引きかえに住基カードを無料で差し上げる、そういうふうに訂正させていただきます。

 ただやはり、申請書を同封するというよりも、あるいは、料金がどうなるかまだわからないというよりも、もっと積極的に、料金は無料、住基カードと交換をするというような促進策をとっていかないと、あるいは差をつけないと、それぞれの自治体にインセンティブが、動機づけが働きませんので、余りまた普及が進まないといった、そういった懸念も引き続き持っているわけでございます。

 何もリンクさせない、やらない、住基カードの普及しなかったというところと関係なくということではまた同じ失敗が繰り返されるおそれがあると思うので、この辺、何か方法はないか、検討されていないかどうか、改めてお尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 個人番号カードは今回の法案におきまして大変大きなキーでございますので、この普及が、個人番号制度をどうやって中身のあるものにするかの大きな鍵を握っているというふうに思います。

 そういった意味で、御指摘の個人番号カードをできるだけ持っていただくことは大変大きな問題だと思っておりまして、御指摘ありましたように、住基カードのこれまでの各団体の取り組みなども十分に参考にしながら、今後考えてまいりたいというふうに思います。

大熊委員 ぜひ、いろいろな創意工夫を発揮していただいて、何かいいアイデアを出していただきたいというふうに望むところでございます。

 続きまして、今回の法案では、自治体がICチップの空き容量を利用して独自のことをできるというふうなことが書いてございます。その場合に、総務大臣が定める基準というものが規制事項として書いてございますが、この総務大臣が定める基準というのは具体的にどのようなものなのか、お尋ね申し上げます。

望月政府参考人 番号法第十八条の規定に基づきまして、市町村の機関などで個人番号カードを利用する場合には、カード記録事項の漏えい、滅失または毀損の防止など安全管理を図るために必要なものとして総務大臣が定める基準、今御指摘がありましたが、その基準に従って個人番号カードを取り扱っていただくということになっております。

 具体的には、自治体が条例に基づきまして記録するデータが、既にカードに記録されておりますデータとは別の領域に記録されること、あるいはほかのデータに影響を与えないことなどのセキュリティーに関する基準を今後十分に検討して定めてまいりたいと考えております。

大熊委員 ちょっと、具体的に質問通告をしているわけではないのですが、そうしますと、それはいろいろな日本全国の自治体にかかわってくるわけでございまして、政府CIOの権限とどのように調整するか、要は、総務大臣がその基準を定めるわけなんですが、それは政府CIOの業務範囲ともかかわってくるのではないかというふうに推察いたします。

 なぜならば、IT基本法の二十六条で、政府CIOの所掌事務の中に、各府省という以外に関係行政機関と書いてあって、そちらに自治体が含まれるとなると、今言われたところも含まれてくるのではないかというふうに想像いたしますが、いかがでございましょうか。

向井政府参考人 IT基本法の二十六条におきましては、関係行政機関から情報の提供等の協力を求めることができるというふうになっております。

 一方で、ここの総務大臣が定めるものというのは、地方公共団体からそういう協力を求めることとは直接には関係がないのではないかなというふうな気がしております。

大熊委員 ここの部分については、私どもとしてももう一度検討させていただきたいと思います。

 時間もあと十分ぐらいとなってまいりましたので、山本大臣にいらっしゃっていただいているので、ちょっと質問の順番を変えさせていただきます。

 例の特許庁のシステム開発の失敗の関係なんですけれども、三月二十七日の質疑でやりとりがあったかと思うんですが、山本大臣の方から、政府側に能力のある受注者を見きわめる力がなかった、少なくとも不十分だったというお話がありました。一方、遠藤政府CIOからは、各省とも業務プロセスの改革が不十分だというふうなお話がありました。

 私もこれまで、民間企業の情報システム、大きな会社の情報システムの失敗例を大分聞かされてきまして、これは、情報システムのベンダーさん、ITのいわゆるエスアイアーと呼ばれる会社さんからの失敗例でございます。

 会社からの失敗例というのはどういうことになるかといいますと、発注者さん、お客様が最初に業務発注をするときの要件定義を途中で変えてきたりして、そのシステムの開発の変更のための費用をもらえなかったということで大赤字になってしまうという、これがシステム会社の赤字をつくる最大の原因だというふうに承知しておりまして、逆に、その費用をシステム会社さんがとれたとすると、今度は逆に、発注者側、今回のケースですと、政府側が大きな追加の出費をするということになってしまうわけでございまして、システム会社側の失敗あるいは発注者側の失敗、どっちに行ってもまずい話になる。

 つまりは、やはりもともとの業務フローが、特に、政府の行政機関ということになりますと非常に複雑怪奇になっているのではないかというふうに想像しまして、やはり、技術的に見きわめる、技術的なレベルがどうかという前に、行政機関内部の業務フローを整理する、つまり、業務フローをもう一度洗い直すという、そこの部分の方が、つまり遠藤CIOの言っておられる方がより真実に近いのではないかというふうに思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

山本国務大臣 今のお話でいうと、まず第一に、発注する側に能力を見きわめる力がなかったということが一つ原因にあると思いますし、さらに、今委員がおっしゃったように、政府側の業務フローにも問題があったということで、これは両方とも問題があったんだというふうに思いますし、どっちが大事なのかというところはいろいろあると思いますが、よく出ているBPRですか、ビジネス・プロセス・リエンジニアリングなんですけれども、まず業務フローをきちっと改善するということが必要だということについては、私たちも重く受けとめております。

 ですから、先生の御質問に答えるとすると、やはり政府側の発注力についてもしっかり反省をしなければいけないし、業務フローの問題もあった、両方ともやはり反省点があるということだと思います。

大熊委員 まさに業務フローの見直しだと思うんですが、既にいただいている政府の開発スケジュールについて、この辺のところの中身ですね、システム開発にいつからいつまでかかるという非常に大ざっぱな話はいただいているんですが、業務フローの改革に、具体的にこういう部分にこのぐらいかかるというのを、各省ごとにもう少し詳しい情報をお願いできないかなというふうに考えているところでございます。

 続きまして、政府CIOと地方公共団体情報システム機構の関係なんですけれども、政府CIOが地方公共団体情報システム機構への、持っている権限なんですが、まず、ここについてお尋ねをさせていただきます。

向井政府参考人 お答えいたします。

 政府CIOは、地方公共団体情報システム機構に対しまして、直接の権限を行使するということはないというふうに考えております。

 ただ、政府CIOというのは、そういう意味で、ITそれからその活用に関する専門家でありますので、その知見は国の機関にとどまらず広く生かされるべきでありますから、機構に対しまして総務大臣を通じて情報提供等の協力をもらうというふうなことはどんどん進めるべきだというふうに考えます。

大熊委員 ただ、今回のマイナンバー制度で、地方公共団体情報システム機構というのはいわばその心臓部に当たる部分かと思うんですね。そこの中に対して政府CIOが直接的な法律上の権限を持っていないというのが今確認されたんですが、ある意味ではちょっとびっくりをさせていただいたんですけれども、これは、例えば民間企業でいえば、親会社と、地方が子会社というわけじゃございませんが、連結ベースで、出資している会社も含めて、恐らく、民間企業であればCIOがITの全部の責任を持っているのが通例ではないかと思うんです。

 地方公共団体情報システム機構を含めた全てのところに法律の権限が及ぶという方が、より権限の強化、あるいは全体としての情報システムの整合性なりを見るということからして、そのように政府CIOの権限を強化、拡大していく方が、マイナンバー制度全体の趣旨から考えても整合するのではないかというふうに思うんですが、改めて、最後かもしれませんが、お願いいたしたいと思います。

向井政府参考人 マイナンバー制度、番号制度は、国、地方を含めた制度でございますので、その連携というのは非常に重要だと思います。

 ただ一方で、国の職員である政府CIOが、国と対等の関係にある地方公共団体、ないし、地方公共団体で共同で出資した、地方公共団体がガバナンスする法人、これらにつきまして直接の権限が及ぶというのは、国と地方の関係からして、やはりやや無理があるのではないかというふうに考えます。

大熊委員 これまでの成り立ちからしても、法体系上も非常に難しいのかなというのは承知しますが、このように国と地方を全部巻き込んだ、あるいは、今後民間企業も巻き込んだ制度になっていく場合に、やはり、全体を通じて何か法律上権限を持つ、そういう仕組みも今後検討する必要があるのではないかなというふうに考えて、ほとんど時間となりましたので、質問を終わらせていただきます。

平井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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