衆議院

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第14号 平成25年5月24日(金曜日)

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平成二十五年五月二十四日(金曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 平井たくや君

   理事 木原 誠二君 理事 関  芳弘君

   理事 田中 良生君 理事 西川 公也君

   理事 平口  洋君 理事 若井 康彦君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      平沢 勝栄君    簗  和生君

      山際大志郎君    山田 美樹君

      吉川  赳君    荒井  聰君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      中川 正春君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山之内 毅君    佐藤 英道君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域活性化担当)    新藤 義孝君

   国務大臣         森 まさこ君

   内閣府副大臣       伊達 忠一君

   内閣府副大臣       寺田  稔君

   内閣府大臣政務官     山際大志郎君

   内閣府大臣政務官     北村 茂男君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        加藤 利男君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (内閣府沖縄振興局長)  竹澤 正明君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  宮島 守男君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            清谷 伸吾君

   政府参考人

   (国土交通省海事局次長) 加藤由起夫君

   内閣委員会専門員     雨宮 由卓君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十四日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     鈴木 憲和君

  高木 宏壽君     勝沼 栄明君

  中山 展宏君     池田 佳隆君

  福山  守君     簗  和生君

  岡田 克也君     中川 正春君

  輿水 恵一君     佐藤 英道君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     中山 展宏君

  勝沼 栄明君     高木 宏壽君

  鈴木 憲和君     田所 嘉徳君

  簗  和生君     福山  守君

  中川 正春君     岡田 克也君

  佐藤 英道君     輿水 恵一君

    ―――――――――――――

五月二十三日

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(内閣提出第六九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 総合特別区域法の一部を改正する法律案(内閣提出第三九号)

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案(内閣提出第六九号)


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     ――――◇―――――

平井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、総合特別区域法の一部を改正する法律案及びこれに対する平口洋君外四名提出の修正案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長加藤利男君、内閣府政策統括官井上源三君、内閣府沖縄振興局長竹澤正明君、総務省行政評価局長宮島守男君、国土交通省自動車局次長清谷伸吾君、国土交通省海事局次長加藤由起夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは総合特区法案について質問をしたいと思います。

 二〇一一年に総合特区制度はスタートしたわけですが、その総合特区制度と、沖縄振興法の中で沖縄特区がいろいろ設けられていると思います。その沖縄特区と総合特区法との関係、沖縄特区というのはどんな内容なのか、まず、その点から説明をしていただけますか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、沖縄の特区の関係でございますけれども、委員御案内のとおり、沖縄振興特別措置法という法律がございまして、その法律の中に、沖縄の振興を図るため特別な税制上の措置等を講じた、いわゆる特区制度を設けているということでございます。まず、沖縄振興特別措置法に個別に制度が設けられているということでございます。

 そして、その内容でございますけれども、大きく三つございます。一つは、情報通信関係の特別地区制度、情報通信特区と呼んでおります。二つ目が、国際物流拠点産業集積地域、国際物流特区と呼んでおります。それから最後に、三つ目でございますけれども、金融業務特別地区、金融特区と呼んでおりますけれども、特に税制上の措置を中心に、個別にこういう制度がなされているというものでございます。

 他方で、総合特区につきましては、直接の担当ではございませんけれども、全体の制度の中で全国を対象にした制度であるというふうに理解をいたしております。

 具体的な措置の内容については、それぞれの法令等に基づきまして、中身の異なる制度となっているというものでございます。

赤嶺委員 総合特区法まで内閣府、沖縄の方が説明するわけにはいかないだろうと思いますが、総合特区制度よりも沖縄特区は早くスタートをしたわけですね。

 今お答えになったようなさまざまな制度がありますが、国際物流拠点の問題や金融特区の問題、さまざまな問題点や課題も抱えていると思います。

 どんな問題があるのか、どんなふうな課題として取り組もうとしているのか。問題点もきちんと踏まえた上で説明していただけますか。

井上政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、委員から、特に国際物流特区、そして金融特区の状況とその課題について説明をするようにという御質問でございます。

 まず、国際物流特区でございますけれども、これまで自由貿易地域、そして特別自由貿易地域という制度があったわけでございますけれども、それを、先般の法律改正に伴いまして、新たに地域を加え、そして現在、沖縄は、東アジアの中心地にある、まさに玄関口に当たるという観点に立って、国際物流の拠点にしていこうというものでございます。

 これまで、この国際物流特区の関連におきましては四十九社が進出しておりまして、約七百三十人の雇用を創出しているというところでございます。

 課題としては、かなりの企業進出がなされたわけでございますけれども、御案内のとおり、沖縄はやはりまだ雇用の場が少ない、全体の所得水準が低い、失業率が高いという課題があるわけでございまして、さらなる企業集積が必要だろうというふうに考えております。また、こうした立地の優位性を踏まえて、高付加価値な産業振興を図っていくことが必要だろうというふうに考えております。

 もう一つの金融特区でございますけれども、これは名護市を対象としているわけでございますけれども、立地企業そして雇用者数とも増加をいたしておりまして、現時点において十五社が立地をし、そして五百人の雇用を見ているところでございます。

 例えば、名護の法人市民税でございますけれども、実はそのうちの四割を金融関連産業が占めているという状況にあるわけでございまして、一定の成果はあるものだというふうに考えております。

 ただ、残念ながら、金融業自体の立地はそう多くはございません。今後、実体経済の活発化とそれに伴う金融関連産業等の集積が課題であるというふうに認識をいたしております。

赤嶺委員 那覇のコンテナターミナル埠頭の問題についてもお答えいただけますか。

竹澤政府参考人 御説明申し上げます。

 先生から、那覇港のコンテナターミナルの実情あるいは問題点をお尋ねでございますので、御説明させていただきます。

 那覇港のコンテナターミナルは、全体で二十一ヘクタールほどございますけれども、こちらで国際コンテナの積みおろしを行うことができるように、昭和六十二年から平成十七年まで、国が整備を完了したものでございます。

 多くの貨物が那覇港を経由してアジア等との間で行き交って、沖縄が、東アジアの中心に位置する、そういう位置的な優位性を生かした国際物流拠点になることを目指してこれまでやってきたところでございます。

 それで、取り扱いの貨物量でございますが、平成十五年に改定された港湾計画におきまして、平成二十年代の後半には那覇港に三つのバース、バースというのは船を着ける、接岸の延長でございますが、三つのバースがあるという前提で、年間六十二・八万TEU、これは長さ約六メートルのコンテナに換算して、年間で六十二・八万TEUになることが計画の値となっておりますが、これに対して、平成二十四年度は、計画の値よりも小さい、バースが二つという現状のもとで、八・六万TEUというふうになっております。

 これがどうしてこのような現状にあるかという点について、先生から説明を求められておりますが、現在、物流の世界も大変厳しい、国際的な、港の引っ張り合いといいましょうか、どの港もお客さんをとろうといって過激な競争があるわけでございますが、計画の値に見込んでいた、北米航路から那覇港を経由して東アジア等を対象とした近海の航路に積みかえる貨物、これをトランシップといっておりますけれども、これを現状では十分取り込めていないということが原因であるというふうに分析をいたしております。

赤嶺委員 特区という華やかなうたい文句で、沖縄振興に資するということで出てきました。私も、それぞれの特区はこれからも成功させなきゃいけないと思いますが、例えば金融特区をつくって、金融関連企業が一社も入ってこないとか、先ほど井上統括官が、特別自由貿易地域、企業の立地の数をおっしゃっておりましたが、とても企業の立地が進んでいるように見えますが、向こうは百二十ヘクタールの広い土地ですよね。分譲対象地だけで八十九ヘクタール。分譲をされたのは、わずか七ヘクタール。売れていないんですよね。進出した企業は、さらに賃貸工場を国費でつくってあげてやっと維持している。那覇港も、北米航路を取り込むんだと言いながら取り込めなくて、目標が六十万TEUが今八万だという。

 やはり、地方が競争力に勝っていく、あるいは地方が経済活性化をしていくというのは、特区だけでは無理なんですね。私は常に言っているんですが、沖縄では農業や水産業を生かした産業振興というのにもきちんと力を入れていかなきゃいけないんじゃないか。総合特区法の法案の審議に当たって、そのことも申し上げておきたいなと思います。

 沖縄関連の質問は以上であります。

 それで、今度は、総合特区の中で、今回、国際戦略総合特区の一つとして指定をされました、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区について質問をしたいと思います。

 まず、このアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区の概要について説明をしていただけますか。

新藤国務大臣 このアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区、平成二十三年の十二月に指定された七つの国際戦略総合特区のうちの一つでございます。愛知県、岐阜県及び九市町村が申請をしまして、総合特区と指定されました。

 この特区では、特に航空関連の大手メーカー、三菱重工、川崎重工など、そういった拠点工場が集中しているという地域特性を生かしまして、航空宇宙産業のアジアナンバーワン地域を形成する、これを目標にしているわけであります。

 そして、ボーイングの787の量産、これは炭素繊維を使った飛行機でありますけれども、私も見にいったことがありますが、炭素繊維の大きな工場があります。

 それから、我が国初めてとなる国産ジェット、MRJの開発を進める、そういった工場もあるということでございまして、精力的に仕事が進められている、こういう状態でございます。

赤嶺委員 総合特区法による直接の恩恵というのは、減税を受けられるという点にあるわけですね。

 税制の特例措置のメニューのうち、特区法全体の中では、地域活性化総合特区に関する措置は、社会的課題解決に資する事業、ソーシャルビジネス等を行う中小企業に対して個人が出資した場合に、当該個人の投資した年分の総所得金額から一定額を控除できるというものであります。これは対象は中小企業に限定をされているわけです。

 国際戦略総合特区のメニューは、法人税の投資税額控除または特別償却措置などとなっておりまして、企業の規模に限定はないわけですね。

 アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区では、現在、この税制の優遇措置を受ける対象、これらについて具体的に説明をしていただけますか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 税制の特例措置の適用を受けようとする企業はどうかということだと思いますが、当該特区で課税の特例措置を受けようとする企業は、三菱重工業株式会社、川崎重工業株式会社、富士重工業株式会社、東レ株式会社、その他の特区内において複合材料から成る航空機の機体の研究開発または製造に関する事業を実施する事業者でございます。

赤嶺委員 さっきも新藤大臣が航空関連の大手メーカーということをおっしゃっていたわけですが、川崎、三菱、富士、この優遇措置の対象となる事業区域、これはどこでしょうか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 現在認定されております計画におきます事業区域につきまして、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区では、三菱重工業株式会社が愛知県名古屋市及び愛知県西春日井郡豊山町、川崎重工業株式会社が愛知県弥富市及び岐阜県各務原市、富士重工業株式会社が愛知県半田市、東レ株式会社が愛知県名古屋市の、それぞれの関連工場地域となってございます。

赤嶺委員 今の説明にありましたように、優遇税制の対象となっているのは三菱、川崎、富士の工場におけるそれぞれの設備投資でありますが、最大の恩恵を受ける対象が三重工と言われる大企業であることは、これは明らかであります。

 そこで、税制以外の総合特区による直接の恩恵はさまざまな規制緩和措置でありますが、その中で、国際戦略総合特区のみの特例措置として、工場立地に係る緑地規制の特例があります。

 緑地規制について説明をしていただけますか。

加藤(利)政府参考人 緑地規制についてのお尋ねでございますが、工場立地に係ります緑地規制の特例は、工場敷地内に設ける緑地面積の割合等につきまして、工場立地法または企業立地促進法に基づき適用される準則にかえて、国際戦略総合特区の区域内において市町村の条例により地域の判断で自由に準則を設定できるよう措置する、そういうものでございます。

赤嶺委員 地域の条例によってということでありましたが、現在、どのぐらいの緑地の規制があって、それによって緑地が大体どのぐらいになっていくんでしょうか。この点についても説明していただけますか。

加藤(利)政府参考人 実数の面積については今手元にございませんけれども、基準で申し上げますと、一例ですが、先ほど申し上げました準則に従えば、緑地面積率が二〇%以上のところを、特区の条例で定めますとこれが五%以上に緩和されるといったような特則を設けることが可能となってございます。

赤嶺委員 工場によるんでしょうけれども、基準の規制緩和によって、二〇%ぐらいの緑地が五%ぐらいに狭くなってもいいよという規制緩和であるわけですね。

 やはり、工場の中の緑地というのは、高度成長期に各地で工場を原因とする公害等が問題となる中で、公害、災害の防止はもちろんのこと、進んで工場の緑化を行って地域環境づくりに貢献するということを基本にして進めてきたことが、これが当たり前だ、不可欠だ、このような認識であったわけですが、国際競争に勝つためにということで、そういう緑地の規制も大幅に行われている。

 その緑地の規制緩和の対象になっている工場はどこでしょうか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 緑地規制緩和の適用の対象となっている企業でございますが、これにつきましては、川崎重工業株式会社、三菱重工業株式会社、富士重工業株式会社、東レ株式会社、その他の特区内において複合材料から成る航空機の機体の研究開発または製造に関する事業を実施する事業者でございます。

赤嶺委員 この緑地の規制緩和の対象になるところはそれ以外にまだありますか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 対象になるところがそれ以外にあるかというのは、他の特区でどうかというような御趣旨だと思いますが、現在、総合特区法に基づいて今申し上げた特例措置を活用しているのは、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区だけでございます。

 ただ、これは一言御説明をさせていただきたいと思うんですが、もともとこの特例措置を講じることとしたのは、総合特区制度の創設に向けましていろいろ私ども準備をした経緯がございます。その際に、いろいろな各種の規制緩和の提案、要望を受けました。その要望を受けた際に、二百七十八団体より全体で四百五十件の提案がされまして、その中で、工場立地に係る規制の特例措置については十六団体より計二十一件の要望がございました。

 そういった背景もあって、今使われているのは確かに申し上げたとおりでございますが、今後、他の特区でも活用が出てくるものであろうというふうに想定はしておるところでございます。

赤嶺委員 私は、結局、減税も、今本当に利益を内部留保としてため込んでいるような航空機の大手メーカー、大企業、そして緑地規制という市民が調和のとれた暮らしを維持する上で大事な問題も大企業等の要求で緩和していく、何のためにそこまでやるのかという思いですが、この点、いかがでしょうか。大臣でも結構です。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 総合特区制度自体は、国際戦略総合特区についてはそうなんですが、もともとその趣旨とするところは、地域の持っている基礎的な力をうまく引き出して競争力をつけようというのが狙いであります。その際に、今申し上げた緑地規制の緩和なんかについても条例で決めるというのは、そもそも、その地域の実情に応じたような規制体系にするということでございまして、全体として政策の実現を図るために総合的に判断をしてそのような措置を講じたものというふうに理解をしています。

赤嶺委員 それでは、次の質問に移っていきます。

 アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区、これは、欧米の航空機の生産拠点であるアメリカのシアトルやフランスのツールーズに匹敵する航空宇宙産業拠点を目指すということになっているわけですが、アメリカのシアトルやフランスのツールーズは、また一方で軍需産業都市でもあるわけですね。

 今回、特区に指定されている三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所大江工場、小牧南工場では、民間機だけでなく軍用機もつくられています。三菱重工業名古屋航空宇宙システム製作所のホームページを見ますと、主要製品として、防衛省向け固定翼機、防衛省向け回転翼機が示されております。

 一方で、航空自衛隊の次期戦闘機F35の製造ラインが三菱重工業の小牧南工場に設置される、こういうことも言われてまいりました。その投資額は数百億円になる見通しであります。

 三菱重工業の小牧南工場は、特区の設備投資減税の対象工場であります。F35の製造ライン、この製造ラインも特区の設備投資減税の対象となるんでしょうか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 F35の製造を行う事業につきましては、認定を受けました当該総合特別区域計画の中に盛り込まれた事業ではありませんので、当該製造ラインは、法人税の減税措置の対象には含まれておりません。

赤嶺委員 二〇一一年の十二月二十二日の内閣総理大臣決定の、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区国際競争力強化方針では、総合特区により実現を図る目標として、アジア最大、最強の航空宇宙産業クラスターを形成し、先端技術集約型産業である航空宇宙産業を振興するとともに、自動車に続く次世代産業として育成をし、技術立国日本の成長、発展を牽引することを目指すとあります。国と地方で共有する包括的戦略課題として、航空機の開発、飛行試験、生産等の各過程が同一地域に集約され、しかも航空機の開発、事業化に関して、その地域で機能が完結できるかが重要なポイントになるとしております。

 ここで言う航空機、これは民間航空機だけを示しているのか、それとも、三菱重工や川崎重工などが生産をしている軍用機も入るのかどうか、説明していただけますか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 アジアナンバーワン航空クラスター特区の国際競争力強化方針は、ボーイング787等のジェット旅客機の製造を想定して、航空宇宙産業の振興を目標に掲げまして、その目標を達成するための事業に関する基本的事項等について記載しているものでございます。

 この強化方針における航空宇宙産業の振興については、民間機であるか軍用機であるかを区別しているものではございません。

赤嶺委員 民間機でも軍用機でも対象にしていくということになっているわけですね。

 そこから、我が国の軍需産業の顔でもある三菱重工、川崎重工、富士重工、ここから、軍用機の生産のために、特区の各種の優遇措置や新たな規制の特例措置、これから提案されてくると思いますけれども、これにも応じていくという理解でよろしいですか。

加藤(利)政府参考人 お答え申し上げます。

 今後、国際戦略総合特区の支援要望があった場合にどう対応していくのかというお尋ねであろうかと思いますが、この国際戦略特区の目的は、先ほど来いろいろ申し上げましたが、産業の国際競争力の強化を図るために、我が国の経済成長のエンジンとなる産業の集積拠点の形成に向けた、地域における包括的かつ先駆的なチャレンジに対し、国と地方の共同プロジェクトとして、国と地域の政策資源を集中して推進する、こういうものでございます。

 そういう観点からすれば、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区について、今後どのような支援措置をするかというのは、以上申し上げたような特区の目的を踏まえて適切に判断していくということになろうかと考えております。

赤嶺委員 修正案まで質問をしたいということで、質問の通告もしてあったんですが……

平井委員長 もう時間が来ておりますので。

赤嶺委員 時間が来ているようでありますので、終わりたいと思います。

平井委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。毎度毎度、同じ顔で恐縮でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、修正案について質問をさせていただきたいと思います。初めての質問ということで、改めて、この法案の提出の趣旨についてお伺いをしたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 今般、政府から提出された法案の中に、酒税に関する特例というものが原案であったわけでございますけれども、これはもともと構造改革特区で認められている事例でございました。

 この話を伺ったときに、実は、ほかの事例でもそういうことがあるのではないか、構造改革特区で既に認められているものを総合特区においても使いたいというような地域はあるのではないかということに思いをはせて、この酒税の話だけではなくて、一般的に、構造改革特区で認められているものについては、各省との調整も終わっているものでございますから、まとめて認めることとしてはどうかと考えたところでございます。

 これによって、構造改革特区の規制の特例として掲げられているものについては、総合特区のメニューとして地元が使いたいというふうに手を挙げた場合には当然使われるということになって、ひいては、国際競争力の強化あるいは地域の活性化、こういったことにつながっていくことを期待しております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それでは、この修正案が成立をした場合、どのような効果またメリットが見込まれるのか、その点についてお伺いをしたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 これまでの狭いメニューから、かなりメニューが広がるわけでございますので、総合特区に指定されたところ、あるいはこれから指定を目指すエリアもあると思いますけれども、そのときに、今度新たに加わった構造改革特区のメニューを、一覧を見て、ああ、これはうちに合っているんじゃないか、そんなことをいろいろ考えてみる、そんな機運を醸成するという意味でも、いろいろなアイデアを啓発する、そんな効果もあるんじゃないかなというふうに思います。

 それと、役所の方の実務面でも効果がありまして、これをそのままほっておくと、その都度その都度、各省と内閣府の方で調整をしなきゃいけないわけでございますけれども、今回の修正によって、一々そういうことをする必要もなくなるわけでございますので、また、地域の方からしても、そういった手続をとる手間というのが非常に少なくて済むという効果もあるかと思われます。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、いわゆる構造特区に関する関心が今後下がっていく、今現在も数がふえていないという現状もございます。また、あわせて、特区法を別々にしておく必要が本当にあるのかどうかという疑問も湧いてまいります。

 そういう面で、今後の特区のあり方、課題について、後藤委員の見解をお尋ねしたいと思います。

後藤(祐)委員 お答え申し上げます。

 確かに、構造改革特区の提案の件数ですとか実現した数ですとかというものは、年々減少傾向にあるというのは事実でございますが、毎回、着実に提案も出てきてはいるわけでございます。

 総合特区と構造改革特区は、もともと目的がやや違うところがあって、構造改革特区は、特定のこの規制を外したいというところは、どこの自治体でも手を挙げればできますよというところに主眼があるわけですが、総合特区は、どちらかというと、場所が指定されて、オーダーメードでそこからの提案を一個一個丁寧につくり上げていく、数も限定されているという意味で、やはり、総合特区だけになってしまうと、総合特区に指定されないところは、この規制だけ外したいという要望があったとしても実現しなくなってしまいますし、構造改革特区だけにしてしまいますと、税ですとかその他の支援措置というものはなくなってしまいますということで、それぞれ制度としては用意しておく必要があると思います。

 それと、今後の課題でございますけれども、ちょっと私の質問のときにも申し上げたんですが、総合特区で認められた規制の特例措置、これをもう少し構造改革特区の方で認めるということはできないのか、あるいは復興特区との関係をどう考えるか、こういった課題というのは残っているというふうに思いますし、提案をされたものの中から実際に規制の特例が実現するかどうかという実現率が下がっているということは、やはり大変問題でありまして、ぜひこれは、政治のリーダーシップで実現率を上げていく、規制の特例措置をふやしていくということがもう一つの課題だと思います。

 また、制度面で規制の特例が実現したとして、それが実際に、それぞれの地域において、例えば、それでビジネスがふえたですとか、雇用がふえたですとか、そういった効果までつながっているかどうか、これをきっちり検証して実際の効果につなげていく、そんな課題もあるのではないかというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 修正案については、以上の質問で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、本法案についての質問をさせていただきたいと思います。

 その前に、規制の現状について、二、三質問をさせていただきたいと思います。

 言うまでもなく、特区制度は、規制改革の突破口とも言われております。また、その目的は、産業の国際競争力の強化、地域の活性化ということ、たびたび政府答弁もございます。

 そこで、基本的なことなんですけれども、今、全行政で規制は幾つあるのかという素朴な問いがございます。規制の分類、また、その数について事務方の方からお答えいただきたいと思います。

宮島政府参考人 平成二十四年三月末現在でございますが、許可、認可等、そういう規制の総数でございますが、一万四千五百七十九件でございます。

村上(史)委員 許認可だけで一万四千五百七十九件ということですが、規制という考えからすれば、ほかにも、省令あるいは通達など、山ほどあると思います。その全体像がどうなっているのか、あるいは規制の現状を政府のどこで把握しているのかというのは、実はないということであります。幾らそのことを事務方に問い合わせても、それはないということは、政府として全体像を全然把握できていないのではないかなという思いをいたしました。

 そこで、政府のこれまでの規制改革の成果、実績についてお尋ねをしたいと思います。

寺田副大臣 お答えいたします。

 許認可というのは、一般的に、禁止を施し、特定の者についてその禁止を解除するという、一番典型的な規制であります。そのことは、法レベルで言いますと、法律もあれば省令もあれば政令もあるということでありまして、政省令と許認可というのはかなりオーバーラップをしているのも事実であります。

 政府においては、平成十三年以降、内閣府におきまして、八条委員会としての位置づけで総合規制改革会議を十三年に設置いたし、その後、規制改革を集中的にこの有識者メンバーで審議をいたしております。現在は、安倍内閣のもと、規制改革会議が八条委員会として設置をされ、岡議長のもとで精力的な議論がなされているところであります。

 この平成十三年から二十一年までの間、三千八百項目にわたりますさまざまな規制、これは法律もあれば政省令もあれば行政指導もあるわけであります。これの規制の緩和、そしてまた撤廃、あるいは改革に取り組んでまいりました。

 大変大きなものを挙げますと、例えば保険の第三分野への解禁、自由化。あるいはまた、いわゆる一円起業の解禁。これは、会社法の改正によりまして、株式会社におけます最低資本金規制の撤廃。また、官製市場の開放、これまで官が独占をしていた市場を開放する。典型的には郵政民営化などがその例に当たろうかと思います。また、第二種、第三種分類の医薬品のコンビニを含みます一般小売店におけます販売の解禁。また、いわゆる混合診療、すなわち保険外併用療養費制度の創設。また、これは六年前の閣議決定でありますが、総合取引所の取り組みの推進といったような、国民の利便性を高め、経済を活性化し、産業の競争力を増し、そしてまた地域の底上げにつながるような改革に取り組んでおります。

 これからも鋭意取り組んでまいりたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 三千八百余りの実績を御答弁いただいたんですけれども、先ほどの許認可権に関して言えば、この把握は昭和六十年からずっとされておりまして、大体一万件のラインで増減を繰り返してきたというのが現状だそうでございます。それがこの十年間で先ほどの一万四千五百七十九という数になっております。ということは、この十年で逆に一・五倍の増殖になっているというこの現実も踏まえて今後の議論を進めていきたいと思うんです。

 そういうことを考えるならば、今政府が進めていこうとしている規制緩和には限界があるのではないか。特に、このような総合特区など、要望があれば考えるよというやり方、これは先日の質疑でも、杉田議員だったでしょうか、地方から見た場合、上から目線だ、そういう提案があったら考えてあげるよ、そういう状況ではなかなか前に進まないというのも事実だと思いますし、規制官庁の抵抗もあると思います。

 やはり本来的には、規制緩和というよりも、規制撤廃という考えで進めていくべきだと思うんです。少なくとも、小泉政権では規制撤廃の方向ではなかったかなというふうに私は思っておりますけれども、このように、緩和よりも撤廃をするんだという大胆な踏み込み、いわゆるゼロベースで全ての規制を考え、そして必要なものに対しては規制を加えていくという考え方が必要だと思うんですけれども、この考え方について御見解をお尋ねします。

寺田副大臣 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、総務省の方で把握をしておりますいわゆる許認可数、これは許認可という形態が全ての規制ではないわけでありますが、一つの典型的な、非常に強度の強い禁止行為を施すものとして許認可というのがあるわけであります。数がふえているという御指摘であります。

 これは、新たにマーケットが創出をされる、あるいは、これまで全くできなかった分野に民間が参入をすることによって、その民間に対して施される規制もあるという意味では、さまざまな産業分野の広がり、あるいはまた、民ができる領域が広がった結果とも片や言えるわけでありますが、規制を完全に分野によっては撤廃をしているものもあることは、委員御高承のとおりであります。

 ただ、一度に全ての規制を撤廃いたしますと、これはやはり、この規制の本来の目的でありますところの、例えば耐震基準であれば安心、安全の基盤強化であるとか、あるいはその他、営業面における許可制をとっているところは社会的混乱の防止、あるいは公衆衛生の維持向上といった、それぞれの規制本来の、法律に基づく要請、政策目的を達成するための規制というのは、当然これは必要なわけであります。あるいは、新たな産業分野を創出するための、産業を育てるための規制、これも、先ほど申し上げましたように存在をいたしております。

 したがって、規制改革の手法としては、全部ゼロベースで撤廃をしてやるというのではなくして、いわゆる今現在我々が立っておりますところの規制緩和の論理的支柱は、いわば、学校の教科書にも出てくるわけでありますが、リービッヒの最小律の法則、すなわち、まさに阻害要因となってとげが刺さっている、そのとげを取り除くことによって産業が活性化をし、血液が流れるようになる、そういったリービッヒの最小律の法則が今理論的支柱となっております。したがって、とげのように刺さっております阻害要因、これを緩和すると劇的に産業が進展をする、あるいは民業が拡大をするということが見られます。

 もちろん、民間のさまざまな御要望については、二十四時間受け付けの規制改革ホットライン、これを設置しておりまして、民間から幾多の要望も常時受け付けられております。実は、きょうの午前中も、規制改革会議、この開催をいたしまして、そうした民間からの意見聴取や、あるいは要望ヒアリングを行ったところでありまして、引き続き、成長戦略に資する規制改革、強力に推進をしてまいりたい、そのように考えております。

村上(史)委員 大変御丁寧な御回答、ありがとうございます。

 もちろん、国民の安全また生命にかかわるような規制まで全てというわけではありません。しかし、本来的にもゼロベースで考えてもいいではないかという部分については積極的にやるべきだということを申し添えておきたいと思います。ありがとうございました。

 時間の方も大分経過をいたしましたので、急いでまいります。

 国から地方への規制緩和、それは本来、地方分権、また、権限移譲という視点で考えていかなければならない問題だと思いますし、また、国や地方から民間への規制の緩和は、民活あるいは新しい公共の話というものにつながっていくと思います。そういう面で、特区制度においてもやはりこの視点は忘れずに考えていかなければならないのではないかなというふうに私自身考えております。

 そこで、個別の具体の質問をさせていただきたいと思います。

 アジアヘッドクォーター特区から提案が出されております羽田からお台場・有明間の旅客不定期航路事業による乗り合い運送は、問題の生じる余地はないと考えられると先日答弁がございました。

 海上運送を行う事業者間では問題が生じるおそれはないかもしれないけれども、しかし、ほかに、鉄道あるいはバスなどの事業者間ではどうなっていたのか、またどのような検討をされたのか、されていないのか、そのことについてお尋ねをしたいと思います。

加藤(由)政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案の特例措置は、船の特性が発揮される場面において国際会議等への参加者など臨時的な輸送需要に対応するために二地点間輸送を行う不定期航路事業という新しいサービスを創出しようというものでございます。

 その意味からは、想定されます増加需要とかけ離れました輸送力の増加が行われるということは考えられず、他の輸送モードに対して大きな影響が出るとはなかなか考えにくいというふうに思っております。

 むしろ、新たな輸送需要に対応して、船とかバスとか鉄道等の輸送機関が、それぞれの特性を発揮して、健全なサービスを提供することを期待しておりますし、そして、さらに、このようなサービスの改善により当該特区の競争力が向上して、全体モードのさらなる旅客輸送の需要増加、こういうことが図られることをむしろ期待してございます。

 なお、本特区制度は、PDCAサイクルが発揮される制度でございます。継続的なフォローアップがなされるものと考えておりますし、今後、具体の計画が当該地方公共団体から提出されるということになりますが、当該自治体において全体を考えて計画をつくられると思いますが、当省も同意をするということでございますので、深刻な問題が発生するような場合についてはまた自治体と御相談をしてまいりたい、かように考えてございます。

 以上でございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それでは次に、北海道フード・コンプレックス特区からの提案についてお尋ねをしたいと思います。

 これは、農作業に使用する自家用貨物自動車について、車検の有効期間を一年延長して二年にする特例措置とするということでございますけれども、ここで言う特殊な状況、いわゆる雪国、雪で車を動かすことがないということであるんですけれども、これは北海道に限ったことではなくて、日本は、北陸、東北、雪国がたくさんあります。豪雪地帯も広いわけであります。そこに広げていくというお考えはあるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。

清谷政府参考人 お答えいたします。

 農業に使用する貨物自動車の車検に関する特例措置は、その安全性を確保するために、まず、農閑期には使用されないなど、自動車の使用の方法が劣化または摩耗が比較的少ないと見込まれるものであること、次に、こうした自動車の使用状況等につきまして指定地方公共団体がしっかりと管理をしていただくことといったようなことを要件として、認めることとしております。

 これらの要件がございますので、農閑期には使用されない寒冷地の農業用貨物自動車につきまして、その使用状況を管理する意思のある地域が総合特区制度の中で特例を活用していただくことを想定しております。

 このために、こうした要件に該当する地域がほかにあるのであれば、総合特区制度を活用していただき、同様な仕組みについて検討することは可能であると考えております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 制度の問題でもあるんですけれども、本来的に、いわゆる地域限定の考え方ではなくて、そういういい規制の特例措置というのはやはり広げていくということを前提に考えるべきだと。先ほど申し上げましたように、上から目線で、提案があれば考えますよというようなことでは、やはり規制緩和、規制改革という面では弱いのではないかなというふうに私は考えます。

 それでは、時間も参りましたけれども、最後に担当大臣にお尋ねをしたいと思います。

 今までの議論の中で、私だけではないと思いますけれども、規制改革の本筋に近づけることを考えるならば、特区を分類することもそろそろ必要がなくなってきているのではないかなというふうに私は考えております。また、地域の活性化を図り、国際協力を強化すること、これは実効性とスピードが求められます。そういう視点に立って、今後はより大胆な対応をすべき時期に来ているのではないかなと。

 もちろん、こういう総合特区あるいは構造特区の制度そのものは正しい方向だと思うんですけれども、規制全体の数からいっても、進んでいるとはいえ、なかなか大きな前進がないということも現実に見受けられるわけで、そういう現状を考えるならば、成長戦略だけではなくて、日本の行政のあり方、そして民間の活力を引き出すという側面においても、もっともっと大胆な形で打ち出していく、そういう方向性を示すべきではないかなというふうに思いますけれども、最後に大臣の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

新藤国務大臣 それは重要な御指摘だと思います。

 私たち、今回、三本の矢、三番目の成長戦略、これを持続可能なもの、また民間投資を喚起する、これを実効性あらしめるためには、その一丁目一番地は規制緩和だ、私はそのように位置づけております。

 地域の活性化担当大臣を仰せつかっておりますが、もう一つ、地方分権改革推進、こういう担当の大臣も仰せつかっているわけであります。ですから、いかにこの国の中で、それぞれの地域で、またそれぞれの業がやりたいこと、また挑戦してみたいこと、こういったことをさらに大胆に取り入れていけるように、こういったことを私は心がけてまいりたいというふうに思います。

 また一方で、しかし、ガソリンの規制緩和も、これはきちんとやっていかないと、例えば観光バスの悲惨な事件がございましたですね。ああいったものも、やはり規制緩和の脇に隠れていながら起きたこともあります。それから、大店法ですとか特石法といったような、ガソリンスタンドが今どんどんなくなっていますけれども、これも一番初期のころの規制緩和の措置なんですね。

 ですから、やはり世の中には規制というのは、不必要なものは撤廃しなきゃなりません。しかし、規制があることによってルールと秩序が成り立って、そして安全や安心が行われるわけであります。そのさじかげんだと思うんです。

 ですから、今委員がおっしゃるように、できるものは大胆に取り組んでいこうじゃないか、これは私もどんどんとやっていきたいと思います。一方で、全ての規制が悪だからゼロにしろ、こういうわけにはいかないのは御案内のとおりであります。ですから、そこのさじかげんを我々政治はしっかりと踏まえながら進めていかなくてはならないのではないか、このように考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。終わります。

平井委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、総合特別区域法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。

 我が党は、二〇一一年、総合特区法そのものに対して、国民の生活の安全や福祉を守る規制の緩和は特区という地域限定措置であっても容認することができないなどの理由で、反対をいたしました。

 私が今日の質疑で取り上げました国際戦略総合特区の一つ、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区では、減税などの特例措置の恩恵が三菱重工業、富士重工業、川崎重工業の特定企業、しかも大企業に集中していること、また、その大企業の工場を拡大するために、地域の環境と生活を守るための緑地規制が後退させられていることを指摘いたしました。さらに、これらの大企業が、地域協議会を通じて、軍用機の生産のために総合特区の仕組みを活用する危険性も指摘をいたしました。

 求められているのは、こうした大企業支援の経済政策ではなく、彼らの内部留保の一部を活用して国民と下請中小企業に還元するなど社会的責任を果たさせることです。

 個別の特例措置の中には、地域特産の材料による酒類の製造など賛成できるものもありますが、総合特区制度の問題は、指摘した航空宇宙産業クラスター形成特区からも明らかであります。今回の改正案は、その制度を前提とした拡充であり、反対であります。

 なお、自民党、公明党、民主党、日本維新の会、みんなの党提案の修正案では、構造改革特区で失敗した株式会社立の大学や医療民営化の突破口とされる株式会社立病院の参入を認める特例措置を総合特区の特例措置に加えるものとなっており、総合特区の問題をさらに拡大するものであります。特例措置の拡大という点では、政府案以上の改悪になっており、到底容認できません。

 以上、反対討論を終わります。

平井委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

平井委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、総合特別区域法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平口洋君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

平井委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平口洋君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    総合特別区域法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 内閣総理大臣は、総合特別区域法に基づく国と地方の協議会において指定地方公共団体から出された新たな規制の特例措置の整備の提案については、速やかに、関係各府省との協議を行い、その実現を図るよう取り組むこと。

 二 規制改革の突破口となる構造改革特区制度については、近年提案件数が減少傾向にあることを踏まえ、案件の掘り起こしに努めるとともに、可能なものについては全国に展開させるよう努めること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

平井委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。新藤国務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

平井委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

平井委員長 次に、内閣提出、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。森国務大臣。

    ―――――――――――――

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

森国務大臣 ただいま議題となりました障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 障害者の権利に関する条約の発効等の障害者の権利の保護に関する国際的動向等を踏まえ、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を社会において推進することを目的として、本法律案を提出する次第であります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、障害を理由とする差別を解消するための措置として、行政機関、地方公共団体等について、障害を理由とする差別的取り扱いを禁止し、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮をするよう定めるとともに、事業者について、同じく障害を理由とする差別的取り扱いを禁止し、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮をするように努めるよう定めることとしております。

 第二に、政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針を定めることとしております。

 第三に、行政機関の長等は、基本方針に即してみずからの職員が適切に対応するために必要な要領を定めることとするとともに、事業者の事業を所管する各主務大臣は、基本方針に即して事業者が適切に対応するために必要な指針を定めることとしております。

 第四に、各主務大臣は、特に必要と認めるときは、指針に定める事項について、事業者に対し、報告を求め、または助言、指導もしくは勧告をすることができることとしております。

 第五に、障害を理由とする差別を解消するための支援措置として、国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止または解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るほか、必要な啓発活動を行うものとしております。

 第六に、国及び地方公共団体の機関は、関係機関等が行う障害を理由とする差別に関する相談や障害を理由とする差別を解消するための取り組みを効果的かつ円滑に行うため、関係機関等により構成される障害者差別解消支援地域協議会を組織することができることとしております。

 第七に、本法の施行期日については、本法の趣旨の周知徹底を図るため、平成二十八年四月一日とするとともに、施行日前においても、基本方針の作成等ができることとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いをいたします。

平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時八分散会


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