第16号 平成25年5月31日(金曜日)
平成二十五年五月三十一日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 平井たくや君
理事 木原 誠二君 理事 関 芳弘君
理事 田中 良生君 理事 西川 公也君
理事 平口 洋君 理事 若井 康彦君
理事 松田 学君 理事 高木美智代君
青山 周平君 秋本 真利君
池田 道孝君 大岡 敏孝君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
川田 隆君 小松 裕君
新谷 正義君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 橋本 英教君
平沢 勝栄君 福山 守君
山際大志郎君 山田 美樹君
吉川 赳君 荒井 聰君
岡田 克也君 後藤 斎君
後藤 祐一君 津村 啓介君
井上 英孝君 杉田 水脈君
中丸 啓君 山之内 毅君
輿水 恵一君 浜地 雅一君
大熊 利昭君 赤嶺 政賢君
村上 史好君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君
国務大臣
(消費者及び食品安全担当)
(少子化対策担当) 森 まさこ君
国務大臣
(経済再生担当)
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(公務員制度改革担当)
(クールジャパン戦略担当)
(規制改革担当) 稲田 朋美君
内閣府副大臣 寺田 稔君
内閣府大臣政務官 山際大志郎君
財務大臣政務官 竹内 譲君
防衛大臣政務官 左藤 章君
政府参考人
(人事院事務総局総括審議官) 永長 正士君
政府参考人
(消費者庁次長) 松田 敏明君
政府参考人
(総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君
政府参考人
(総務省人事・恩給局次長) 井波 哲尚君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 高島 泉君
政府参考人
(防衛省大臣官房審議官) 吉田 正一君
政府参考人
(防衛省防衛政策局次長) 真部 朗君
内閣委員会専門員 雨宮 由卓君
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
新谷 正義君 秋本 真利君
山田 美樹君 橋本 英教君
岡田 克也君 後藤 斎君
遠藤 敬君 井上 英孝君
同日
辞任 補欠選任
秋本 真利君 池田 道孝君
橋本 英教君 山田 美樹君
後藤 斎君 岡田 克也君
井上 英孝君 遠藤 敬君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 新谷 正義君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)(参議院送付)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
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○平井委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。古屋国家公安委員会委員長。
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道路交通法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○古屋国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における道路交通をめぐる情勢に鑑み、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気にかかっている者等の的確な把握及び負担の軽減を図るため、運転免許を受けようとする者に対する質問に関する規定等の整備を行うほか、無免許運転等に係る罰則の強化、自転車の運転による交通の危険を防止するための講習の導入等を行うことをその内容としております。
以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、一定の病気等に係る運転者対策の推進を図るための規定の整備であります。
その一は、公安委員会は、免許を受けようとする者等に対し、自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある一定の病気等に関する質問票を交付することができることとし、当該質問票に虚偽の記載をして提出した者に対する罰則を整備するなどするものであります。
その二は、医師は、その診察を受けた者が一定の病気等のいずれかに該当すると認めた場合において、その者が免許を受けた者等であると知ったときは、当該診察の結果を公安委員会に届け出ることができることとするものであります。
その三は、公安委員会は、自動車等の運転により交通事故を起こした者で一定の病気等に該当する疑いがあるもの等に対し、その免許の効力を停止することができることとするものであります。
その四は、一定の病気に該当すること等を理由として免許を取り消された後一定の期間内に再取得した免許に係る免許証の有効期間に関する規定の見直しを行うものであります。
その五は、一定の病気に該当すること等を理由として免許の取り消しを受けた者については、一定の期間内において、免許の再取得に係る試験の一部を免除することとするものであります。
第二は、悪質・危険運転者対策の推進に関する規定の整備であります。
その一は、無免許運転を行った者等に対する罰則を引き上げるほか、無免許運転を行うおそれがある者に対し自動車等を提供する行為及び自己の運送の要求等をして無免許運転が行われている自動車等に同乗する行為を禁止し、これらに違反した者に対する罰則を整備するものであります。
その二は、取り消し処分者講習に関する規定を整備するものであります。
第三は、自転車利用者対策の推進にかかわる規定の整備であります。
その一は、公安委員会は、自転車の運転に関し反復して一定の違反行為をした者が、さらに自転車を運転することが道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、自転車の運転による交通の危険を防止するための講習を受けるべき旨を命ずることができることとするものであります。
その二は、一定の基準に適合する制動装置を備えていないため交通の危険を生じさせるおそれがある自転車と認められる自転車の検査等に関する規定を整備するものであります。
その三は、軽車両が通行することができる路側帯について、道路の左側部分に設けられた路側帯に限ることとするものであります。
第四は、その他の規定の整備であります。
その一は、環状交差点における車両等の交通方法の特例に関する規定を整備するものであります。
その二は、放置違反金の収納事務の委託に関する規定を整備するものであります。
なお、この法律の施行日は、無免許運転等に対する罰則の引き上げ等に関する規定、自転車の検査等に関する規定及び路側帯の通行に関する規定については公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日、環状交差点における車両等の交通方法の特例に関する規定については公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日、一定の病気に該当すること等を理由として免許を取り消された場合における再取得した免許に係る免許証の有効期間に関する規定及び自転車の運転による交通の危険を防止するための講習に関する規定については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○平井委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
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○平井委員長 次に、内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として人事院事務総局総括審議官永長正士君、消費者庁次長松田敏明君、総務省人事・恩給局長笹島誉行君、総務省人事・恩給局次長井波哲尚君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、防衛省大臣官房審議官吉田正一君、防衛省防衛政策局次長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○平井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○平井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 本日は、公務員制度を中心にお伺いをしてまいりたいと思います。
五月の二十四日に稲田大臣は、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会の「中間整理に当たって」という文書を発出されておられます。
この中で、こういう言い方をするのはちょっと、大臣の前で不適切だったら申しわけございませんが、「甘利法案について、この五年間の日本を取り巻く状況・環境の変化も踏まえながら、逐条ごとに精査していきます。 そして、おおむね一か月後に国家公務員制度改革推進本部を開催し、改革の全体像(仮称)をお示しし、決定することを目指します。」というふうに発出されておられます。
このおおむね一カ月後とは、この五月二十四日からおおむね一カ月後、つまり六月二十四日ごろまでということと理解してよろしいでしょうか。今国会中、すなわち六月二十六日までが会期とされておりますが、今国会中には少なくとも出されるということと考えてよろしいでしょうか。稲田大臣、お願いいたします。
○稲田国務大臣 今御指摘のとおり、今後、改革の全体像を、仮称ですけれども、決定するに当たっては、平成二十一年政府提出、甘利大臣のときに出された法案について、五年間の日本を取り巻く状況、環境の変化も踏まえながら、逐条ごとに精査をしてまいります。また、与党・政府部内での意見調整を行うこと、そして引き続き意見交換会で有識者の意見を聴取すること等が必要であると考えております。
このため、改革の全体像(仮称)の決定には一定の時間が必要だと考えておりますが、おおむね一カ月程度後にはお示しできるよう作業を進めてまいりたいと思っております。そして、少なくとも本部の設置期限、七月十日ですけれども、それまでには決定することを目指していきたいと考えております。
○後藤(祐)委員 そうしますと、逆に、この国会では、その結果を踏まえた法案は何も出てこないという理解でよろしいんでしょうか。
また、七月十日で本部は期限が切れてしまいますけれども、これを延長する法案も含めて国家公務員制度関連の法案はこの国会では出てこないということでよろしいんでしょうか。
○稲田国務大臣 今国会の会期末、六月二十六日ということを前提といたしますと、法案の今国会の提出は考えてはおりません。
しかしながら、政府内、与党内の関係者との協議が必要ではあるものの、秋に国会が開かれる場合には、そこへの提出を目指したいと考えております。
○後藤(祐)委員 本部の期限は切れてしまいますが、お手元の配付資料の二枚目から基本法の条文が載っておりますけれども、この中の四条で規定されている改革の実施及び目標時期、この施行後五年以内というのも切れてしまいます。施行後三年以内というのはもう既に切れておりますが、この期限が切れていたとしても、ここで書かれている、第二章に定める、次章に定める基本方針に基づいて必要な措置を行っていくという義務については、引き続き、期限が切れた後も有効だと理解してよろしいでしょうか。
○稲田国務大臣 基本法を立案した当時、国家公務員制度改革は喫緊の課題であるとして、早急にそして集中的に実施する必要があると考えられていましたことから、第四条において目標時期を定めたものと承知をいたしております。
現時点において、第四条に規定された法制上の措置の目標時期、三年以内の目途は既に経過しているものの、政府といたしましては、法制上の措置の目標時期である施行後三年までの間に国家公務員制度改革関連法案を三度提出し、基本法上の責務を果たしていると思います。したがいまして、法律論としては、改めていつまでに措置しなければ基本法違反になるというような問題は生じていないと思っております。
一方で、政府としては、引き続き基本法に基づいて改革を行う責務を有しております。また、目標時期の規定が設けられた趣旨に鑑み、政府は、できるだけ早期に、かつ集中的に改革を実施する必要があると考えられております。したがいまして、速やかに改革を進めていくことが必要であると考えております。
○後藤(祐)委員 政府が法案を出して立法府で滞っている分には今のでいいんですが、今政府が球を握っている状態なので、今の答弁は若干、後半については疑義を覚えますが、いずれにせよ、四条は引き続き有効であるということは確認されたと理解します。
そうしますと、この四条に書いてある「次章に定める基本方針」というのは、お手元の基本法の五条から十二条、それぞれの項目について改革の方向性が既に法律で決まっているわけでございます。これは、民自公三党合意の上で出した法案でございます。
そうしますと、各条文ごとの課題について、現時点までにどれが措置をされ、そして二十一年に甘利大臣のときに出された法案でどれが措置をされようとしていたかということは、もう既に明らかなのであります。それをまとめた一覧表を出してくれと事務方に申し上げたところ、そういったものはないとおっしゃっていたんですが、これは事実関係なので事実関係を教えてくださいと言って紙をいただきましたが、ちょっと配付資料にするのはやめてくれ、各省ときちんと合意がとれていないという、大変よくわからないことをおっしゃっておられるんです。
ここで確認したいと思います。
条文ごとに行きますが、大体十個ぐらい課題があります。
五条の国家戦略スタッフ、政務スタッフの設置。二つ目、幹部人事の一元管理等。この二つについては、現時点で措置がなされておらず、二十一年法案では措置されようとしておりました。
そして、三つ目の課題は、五条、六条、八条にまたがって幹部候補育成課程の整備という課題がございますが、これは現時点でまだ措置されておらず、二十一年法案では措置されようとしておりました。
六条と八条にまたがって採用試験の見直しがありますが、これは既に昨年度から採用試験が変わっておりますから、これは明らかに措置済みであります。
七条の官民人事交流、これが五つ目の課題ですが、これは現時点で措置されておらず、かつ、ここが重要なんです。甘利大臣も稲田大臣もよく聞いてほしいんですが、七条の官民人事交流については、現時点で措置されておらず、かつ二十一年の法案でも措置されようとしていなかったんですね。この話は、ちゃんと進めましょうということについて余り党派性のない議論だと思うので、これなんかはしっかり早く進めるべきじゃないかなと思うんですね。ですが、現時点ではそうなっております。
九条、十条の能力・実績主義の徹底は、現時点で措置済みです。
十条の雇用と年金の接続、業務の簡素化、これについても現時点で措置済みです。
十一条、内閣人事局の設置は、措置済みではなく、二十一年の法案で措置しようとしたわけであります。
そして、十二条の自律的労使関係の措置については、現時点で当然措置されておらず、二十一年法案でも対応しなかったというふうに事務方から一覧表で説明をいただいておりますが、この理解でよろしいでしょうか。
○稲田国務大臣 今、後藤委員から逐条ごとに御説明がありました。
私から繰り返して全ての条文についてお答えするのは差し控えますけれども、大まかに大きく答弁をいたしますと、国家公務員制度改革基本法に基づく改革事項のうち、これまで実現した主な改革の成果としては、従来の1種、2種、3種等の試験区分を、総合職、一般職、専門職等に改編するなど、試験制度の見直しを行ったこと、これは基本法第六条一項関係でございます。また、年金支給開始年齢の引き上げに伴う無収入期間が生ずることがないよう、国家公務員の雇用と年金の接続を図ったこと、これは基本法第十条第三号関係、本年三月二十六日閣議決定が挙げられます。
しかし、御指摘のとおり、幹部人事の一元管理、幹部候補育成課程、内閣人事局の設置、自律的労使関係制度など、この他の法制上の措置を講ずる必要がある改革事項は、過去三年、政府が提出した法案が全て廃案になったという経緯があるため、いまだ実現がされておりません。
○後藤(祐)委員 ちょっと厳密な議論をしたいんですが、今四つ宿題が残っていると答弁がありましたが、残りの、国家戦略スタッフ、政務スタッフの設置と官民人事交流の推進、これも引き続き宿題になっているという理解でよろしいでしょうか。
○稲田国務大臣 五条一項関係の国家戦略スタッフ、政務スタッフの設置、これは未措置でございます。また、七条一号関係、官民人材交流の推進、これも未措置でございます。
○後藤(祐)委員 以上の答弁で網羅的に宿題が明らかになりましたが、意見交換会の中間整理というもので示された意見というのは、もうこの基本法で決まって、方向性も明らかになっていることをさらにさかのぼって、そもそも論をしているような意見が多いんですね。
今の意見交換会で行われている議論及び今の稲田大臣を含めた政府の検討のあり方というのは、この基本法に示された方向性を改めようとするものなんでしょうか、それとも、それは改めずに、この基本法に示された宿題を具体化していこうというものなんでしょうか、はっきり答えていただけますでしょうか。
○稲田国務大臣 この意見交換会の趣旨は、現在、基本法に定められた広範な改革事項について、総合的に総括、検証する必要があることから、意見交換会を開催し、公務員制度に精通した専門家等の知見を聴取しているところでございます。
この会合は、本年二月から、これまで計六回開催をいたしまして、公務員制度改革全般、国家公務員の雇用と年金の接続、自律的労使関係制度の措置、若者にも魅力的な公務員制度に向けた取り組み、幹部人事の一元管理等を議題として、三人のアドバイザーのほか、適宜ゲストスピーカーをお呼びして幅広く御議論をいただいており、その中で、法制上の措置を講ずる必要がある改革事項についても、さまざまな御意見をいただいているところでございます。
○後藤(祐)委員 そうすると、基本法の方向性を変える可能性があるということですか。それとも、ないということですか。
○稲田国務大臣 もちろん、基本法の方向性に従っているということが基本だということでございます。
○後藤(祐)委員 プラスアルファはいいんですよ。基本法に書いていないことをいろいろ検討するのは、どうぞやられたらいいと思うんですが、基本法に書いてあることは、これはきちっと具体化していただきたいと思います。
そうしますと、自律的労使関係とその他の制度の関係ということが議論になります。特に、内閣人事局をどういう形にしていくかというのは、実は自律的労使関係制度がどう措置されるかとの関係で随分中身が変わるわけでございます。
きょうは甘利大臣にもお越しいただいていますので、ちょっと当時の経緯を教えていただきたいんですけれども、二〇〇九年、二十一年の甘利大臣が出された法案というのは、これは幹部人事の一元化と内閣人事局を設置した法案ですけれども、これは、労働協約締結権を回復しないことを前提につくった法案なのか、それとも、そこについてはまだ議論は先であって、自律的労使関係の議論はちょっと先に置いて、まず第一段階目にできることとして出した法案なのかということを聞きたいんです。
ちなみに、これに関しては、二〇〇九年三月二十五日の衆議院内閣委員会で甘利大臣の答弁があって、「まず何ができるか、その後に労働基本権制約について検討して結論を出しなさいということが書いてあるわけでありますから、基本権に結論が出た後の対応と、現状の中でできる対応と、これは二段階構成になっていると思っておりまして、」という御発言があったので、これは恐らく、まず基本権の話はおいておいて、今の人事院の制約の中でできることをまず出してみて、その後、労働基本権については議論をしていくという整理だったと理解しておりますけれども、それでよろしいでしょうか、甘利大臣。
○甘利国務大臣 四年前のことで、かなり忘れちゃったんですけれども、今の議論を聞きながら、少しずつ思い起こしました。
基本的には稲田大臣の所管で、私は現在所管外でありますから、お任せすることといたしまして、当時の私の答弁を思い起こしますと、別途そこの部分はまた結論を出してもらうと。ですから、そこの結論が出ないからどうこうじゃなくて、それ以前にやるべきことはやっておく、後でそこの結論が出たらそれはそれで当てはめる、たしかそういうことだったんじゃないかなと記憶を思い起こしております。
○後藤(祐)委員 そのはずなんですね。
というのは、まだ、今、稲田大臣の検討体制においては自律的労使関係についての結論は出ていないという理解でいいかと思うんですけれども、その中で甘利法案の精査を進めるというふうにおっしゃっているということは、今の甘利大臣の答弁が前提だというふうに私は理解します。つまり、今、十二条の自律的労使関係についての検討はまだ検討中であって、中立な状況であると理解をいたします。
ところが、残念なことに、自民党の行政改革推進本部の中間とりまとめというものが五月の二十八日に出されて、この中では、「国家公務員制度改革基本法に国民の理解を前提とした労働基本権の規定はあるが、現状において未だ国民の理解が得られていないという意見が強かった。」とあり、また「人事院勧告制度を尊重する。」とあります。かなり方向性を明らかにしたものが決定されておりますけれども、稲田大臣、現時点では、自律的労使関係についての検討はいまだ中立的な状況にある、今後、便益及び費用を含む全体像を国民に提示した上で結論を出していくという理解でよろしいんでしょうか。
○稲田国務大臣 自律的労使関係制度の措置を盛り込んだ国家公務員制度改革関連四法案は、平成二十三年六月に国会へ提出されて、平成二十四年十一月に衆議院の解散により廃案となっております。同法案については、各方面からさまざまな指摘がなされていると承知をいたしております。
現在、国家公務員制度改革基本法に定められた広範な改革事項について、総合的な総括、検証を行っており、公務員制度に精通した専門家等の知見も聴取しておりますが、その中で、自律的労使関係制度に関しても議論を行って、御意見をいただいているところでございます。
自律的労使関係制度につきましては、検討すべき課題が多岐にわたることから、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を直ちに提示することは困難であり、引き続き、関係者の御意見も伺いながら、検討してまいりたいと考えております。
○後藤(祐)委員 そこを急がないと間に合わないんですよ。一カ月後に出す全体像というものの中で、十二条の便益及び費用を含む全体像を国民に提示するおつもりですか。
○稲田国務大臣 先ほど答弁をいたしましたように、この自律的労使関係、そして協約締結権を与えた場合の費用、便益については、さまざまな意見がございます。意見交換会においてもさまざまな意見がございます。こういった点を考えながら検討を続けていくということでございます。
○後藤(祐)委員 国民にとっての費用とは何かということがそこで重要な議論になるんですが、二十三年四月五日に国家公務員制度改革推進本部決定された、「「全体像」について」というもの、これは今でも有効だと私は理解しておりますけれども、交渉に係るコストと交渉不調の場合の調整コスト、つまり中労委なんかにおける調停や仲裁、こういったコストだと思いますが、この二つだけが費用だという整理を、少なくとも一度政府ではしています。これ以外の費用というものは存在するんでしょうか。交渉部局の人件費がどうなるかといったことは、前者すなわち交渉に係るコストに含まれると考えますが、これ以外に、国民にとって費用が追加的にかかるということはない、論理的にあり得ないと私は思いますが、費用として、ほかの項目としてあり得るんでしょうか。
○稲田国務大臣 この基本法の十二条の読み方、また便益及び費用の内容については、さまざまな議論がなされていると承知をいたしております。
民主党政権下の平成二十三年の四月にいわゆる「改革の「全体像」」で示している便益及び費用では取り上げられないものとして、例えば、労使関係制度検討委員会の報告書において、労働基本権が制約される職員の給与決定コスト、人事院勧告により勤務条件を決定している職員の決定コストに与える影響等が費用として挙げられていると承知をいたしております。
また、総合的な総括、検証のために専門家等の知見を聴取している中では、自律的労使関係制度について、職員の意識改革や効率的で質の高い行政サービスの提供については、職員にモラルハザードが生じたり、労使交渉に時間を費やして行政サービスが低下したりするなど、実際の労使関係によって、便益にも費用にもなり得るとか、現在でも公務員給与に対する国民の理解は十分得られておらず、自律的労使関係制度が措置されたとしても、国民の理解を得るのは大変な労力が必要であり、そのためのコストも考えなければいけないなどの指摘もなされているところでございます。
また、便益及び費用は具体的な制度設計に応じて変わり得るものであって、自律的労使関係制度については検討すべき課題が多岐にわたることから、引き続き検討する必要があると認識をいたしております。
また、四法案について、自律的労使関係制度の措置内容については、各方面からさまざまな指摘がなされていたとも承知をいたしております。このため、これらも踏まえた検討の必要性があると考えております。
○後藤(祐)委員 七・八%給与特例での引き下げ、これをやったプロセスの中で、労使の協議というのが一体どういうものであって、どういうコストがかかるのかということは、実はもう実証されているんです。そのときに一体どれだけのコストがかかったのかということをきっちり分析してください。それで大体わかります。スト権まで付与する場合のコストがどうなるか、これははかり知れないコストがかかりますが、我々はそこまで今求めていないわけです、少なくとも。
労働協約締結権を付与した場合にどういったコストがかかるのかは、もうこれは検証済みなんです。そして、実際にやったんです。申しわけないですけれども、そこで何が起きたかということは、専門家でもわからないんですよ。実際、交渉した人が政府の中にいるんです。その方からちゃんと聞いた上で、費用と便益がどうであるかということの全体像を、おおよそ一カ月後に示すその全体像の中で示していただけることをお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○平井委員長 次に、山之内毅君。
○山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。
本日は、改めまして、成長戦略と規制緩和について質疑をさせていただきたいと思います。
私は、三月十五日、約二カ月半前でございますが、この内閣委員会において一般質疑を初質疑させていただきました。その際、各大臣の方々に質疑させていただいたこともやはり成長戦略と規制緩和であり、本日は、その進捗状況の確認と今後の展開について質疑させていただきたいと思います。
と申しますのは、予算と決算もそうですが、計画の方向性を進める、そして、その計画が現在どのようになっているか、うまく進んでいるのか、やはり行政においては特に、常にこの進捗状況を確認する必要があると思います。
まず、現在、アベノミクスが始まりまして、日経平均は八割上昇し、ただ、最近では一割下落する、乱高下を続けております。
さきの質疑において、甘利大臣はこのようにおっしゃっていただきました。成長戦略をするということは税収を上げると同時に、もう一つの難題は、成長率と長期金利の競争みたいなもの。
そのような中で、現在、長期国債金利が約〇・九%、一%に迫る勢いでございますが、まさに今、この成長率、成長戦略が試されていると思いますが、現在の成長戦略の進捗状況、また、今後のスケジュール等も含めて、甘利大臣、教えていただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 経済成長をしますと当然資金ニーズが生じますから、金利は上昇傾向になるというのは経済原則であります。これは、本当に実体経済がいい方に進んでいくことに関連しての事象であるならば、ある種、いい金利上昇だと思います。悪い金利上昇というのは、国債の信認が落ちて、日本国債への信用度が落ちて、その分、金利が上がる。これは、実体経済を伴わない悪い金利上昇であります。いい金利上昇でも、できるだけ経済成長がしっかり先行していくということを称して、そういう表現を使ったんだというふうに思っております。
今、成長戦略の実施状況であります。第三弾の成長戦略につきましては、特に実行力それから規制・制度改革、全員参加、この三点を重視しながらやっているわけであります。安倍総理が、過去にも成長戦略があってそれがそう大きな成果を上げなかったじゃないかという御指摘があるたびに、今度はとにかく、アベノミクスは行動が伴います、実行力が伴うんです、そこが従来とは違うということを強調されているところであります。
実行力、スピード感という点から申しますと、TPP交渉への参加であるとか、電力システムの改革であるとか、あるいは、待機児童解消への取り組みとか、なかなか難しいと言われている課題に、具体的な対応、実施時期も含めて対応してきたところであります。
今、どこまでどう進んでいるかと申し上げますと、今の三点も含めて、二十九日の産業競争力会議で、これまでの議論を踏まえて、私から基本的な考え方をお示しをしたところであります。総理からは、六月中旬に開催をされますG8サミットまでに取りまとめるようにという指示をいただいておりまして、そのスケジュールに合わせて、全体像をかなり詳細に取りまとめるということにいたしておりまして、今現在、策定作業の本格化をしているところであります。
○山之内委員 ありがとうございます。
おっしゃられましたとおり、実行力とスピード、こちらが重要だと思っております。やはり実体経済、こちらに反映しないと、なかなか成長戦略というのは、実体が伴わない。そのような中で、六月中旬にある程度の詳細な骨子をまとめられるということだと思います。
その成長戦略の中で農業、こちらの方についてお伺いしていきたいと思っております。
前回の質疑においてもこの件は質問させていただきましたが、安倍首相も、農業の成長戦略については、世界の食市場の規模は現在約三百四十兆円市場、これが約十年後には倍の六百八十兆円市場になる、世界で人口が爆発しますのでそのような傾向になると私も思っております。
そのような中で、現在、四千五百億円の農産物、食品輸出額を倍増し、一兆円にする、このことは二〇〇七年の第一次安倍内閣でもおっしゃられていたと聞いております。また、六次産業化市場を現在の一兆円市場から十兆円市場に拡大すると言われております。私は、このことは大いに賛成であり、進めるべきであると思います。特に農業、こちらにおいては、イノベーション、農業の産業化は極めて重要なものであると思います。
そこで、時間が限られた中で、どのようなスピード感を持って、かつ、地方の声を聞き、健全に目標に向かって具体的に進めるのか、農業の成長戦略について、甘利大臣、教えていただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 農業には二面があります。一つは地域政策としての農業、それからもう一点、委員御指摘の産業政策としての農業であります。特に、成長戦略では、産業としての農業をどう強力に推進していくかという点が大事だと思います。
地方の活性化の中で、従来のワンパターンというのは工場誘致というのがありました。しかし、工場誘致をして、いろいろ誘致策、地方税の減税策等々で地域が誘致して、そのときには大きな投資が行われても、結局、その後、国際競争に勝てなくて全面撤退というようなことの繰り返しがあるわけでありますが、ここで我々が着目しているのは、本当の地域の振興というのは、そこの地域に根づいている一次産業をしっかり振興させることが大きな柱になるのではないかという点であります。
そこで、農業の産業化を強化していこうということが出てくるわけであります。
成長戦略では、戦略市場創造プランというのがございます。戦略市場創造プランというのは、今直面している社会課題をむしろフロンティアに仕立てる。だから、例えば、少子高齢化で大変だなというのではなくて、少子高齢化を乗り切るソリューションを出していくと、これはよその国でも同じようなことをこれから迎えるから、よその国に対するソリューションにもなる。あるいは、インフラが一斉に耐用年数を迎える、国費がたくさん出て大変だなと思うんじゃなくて、これをフロンティアとしてどう捉えるかというと、PFIの手法とか、あるいはセンサー技術とか、そういうのが出てくる。
そういう点で、戦略市場創造プランの一つに、地域に対する戦略市場創造プランの中で、世界を引きつける地域資源で稼ぐ地域社会の実現というのがワンテーマあるわけでありますね。その中で、農業の競争力を強化して輸出拡大を推進していこうと。農林水産漁村を衰退地域としてじゃなくて、そこの一次産業をどう魅力ある産業に変えていくかということを通じて、その地域の活力を出していこうということであります。
農地の集約化、効率化であるとか、あるいは輸出戦略の中にTPPを初めとする幾つかの項目が、RCEPとかいろいろありますけれども、それでは、例えば、相手の国に対して、検疫が問題で優秀な農産物が輸出できないのであるならば、それを貿易交渉で外していこうとか、国内の振興を図って生産性を上げていくのと、高品質な日本の農産品を輸出していく際に障害になっているものをいろいろな手だてで取り除いていこうとか、いろいろ国内外に向けての目標を掲げて、それを時間軸を設定して推進していこうということに取り組んでいるところであります。
○山之内委員 ありがとうございます。
やはり地方の声、そういった農業の活性化、これは必要だと思っております。その中でやはり議論になるのが、株式会社の農業参入の是非だと思います。
安倍総理も、農業者の高齢化、耕作放棄地の増加に触れ、生産現場の構造改革は避けられないともおっしゃられており、産業競争力会議においてもこの議論が当然なされていると思います。株式会社の参入においては、具体的には、所有方式のさらなる自由化、農業生産法人の要件撤廃等だと思います。
前回、私の質疑に対して稲田大臣は、「成長戦略の中で規制改革は一丁目一番地」とおっしゃられておりまして、「改革すべきものは大胆に改革をする、」とおっしゃられていましたが、株式会社の農業参入に関しては、現在においては大胆に改革すべきものではないという御認識でよろしいでしょうか。お答えをお願いいたします。
○稲田国務大臣 前回の先生の質問にもお答えしたかと思いますが、今回、規制改革会議で、総理から指示を受けた重点の分野三分野、雇用、そして健康・医療、エネルギー・環境に、創業という分野を加えて、四分野を優先的に取り組んでまいりました。そして、農業については、産業競争力会議の審議の状況などを踏まえて、必要な場合には規制改革会議においても検討がなされるということを申し上げてまいりました。
農業への株式会社の参入に関して、現段階では規制改革会議では議論はされておりませんが、規制改革会議として、昨日、農林水産省から最新の農業政策等についてヒアリングを行い、法人経営体が増加していること、また、平成二十一年の農地法改正以降、リース方式による企業の農業参入が進んでいるとの説明を聴取したところでございます。また一方、今月二十一日には、総理を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部が開催をされ、私も本部員として参加するなど、政府全体としての議論も行われているところでございます。
いずれにいたしましても、農業の規制改革については、他の会議における議論との整合性も図りつつ、昨日のヒアリング内容も踏まえ、規制改革会議として、どのようなテーマについてどのような体制で進めていくか、検討していくものと考えております。
○山之内委員 ありがとうございます。
株式会社の農業参入は、私は原則賛成であります。というのは、やはり、先ほど甘利大臣もおっしゃられたとおり、ある程度民間企業によるスピード感、こちらも重要だと思っております。農業従事者の方々が御高齢の中、ある程度のスピード感がなければ間に合わないという状況があると思います。
ただ一方で、都市部と地方のあり方の中で、確かに、株式会社が農業に参入すればそれで全て問題が解決するかといったら、そうではないと思っております。例えば、大手民間企業が参入すれば、確かに雇用は生まれ、地方税も自治体に入るが、都市部に法人税が落ちるということになると思います。
やはりバランスが大事だと思っております。地方に根差した優秀な若手農業経営者の出現が同時に必要であり、それを促さなければならないと思っております。この対応策も必要であると思います。
また、地方分権の中で、道州制、税制も含めた国のあり方が問われると思っております。私は、道州制をもって行財政改革は必要だと思いますが、地方においては、官のみの力でなく民間の活力が重要になってくると思います。
百四十年前より、特に地方から若く優秀な人材がどんどん流出する中、その時計の針を戻すような、地方に雇用を生み出すということは並大抵のことではないと思っております。
私は、ここで、世界地図を広げたときに、日本というこの狭い島国の中を最大限に使うのか、それとも東京一極集中で使うのか、こういった議論になると思っております。私は、やはり国益を考えると、都市部だけではなく地方を活性化する、広く有効に使っていく、日本の国益にかなうと思っております。また、そして、特に新たな産業が生まれにくい地方においては、農業の活性化をもってイノベーションすることが最も早い自立の近道であると思っております。
その点で、この成長戦略というのは極めて重要だと思っています。例えば、私は地元が鹿児島でございますが、鹿児島は上海と東京の間に位置する地政学的メリットがございます。こういったものを活用する。
産業力競争会議、その中でも輸出農業特区の創設について記述がありました。私は大いに賛成でございます。こちらは、オランダのフードバレーのようなもの、日本版フードバレーを創設するということだと思います。オランダでは、半径三十キロの範囲に千四百四十二社の企業、研究所、生産拠点を持ち、一万五千人以上の研究者が活動している。産業としての農業の効率化の成功事例であり、地方活性化の一つの施策だと思いますが、この点について、甘利大臣、いかがお考えでしょうか。
○甘利国務大臣 まさに委員御指摘のとおりであります。農業を産業として捉える視点が非常に大事でして、産業として捉えていく中で、国内ももちろんですけれども輸出も伸ばしていく。
今、輸出が四千四百億ぐらいでありますけれども、ごく近い将来にこれを一兆円にするというのは、総理が早々と掲げた目標であります。それに向けて、オランダのフードバレーというのは一つのいい参考になろうかと思います。日本でも、地域によって、日本のフードバレーを目指すという目標を掲げて取り組んでいらっしゃるところもあると承知をいたしておりますし、これからつくっていく国家戦略特区の中でも、そういう視点もあっていいのではないかというふうに考えております。
○山之内委員 ありがとうございます。
このような仕組みを活用しつつ、地方の活性化、地方から成長戦略、やはりアベノミクスというのは、どうしても都市部、投資家の多いところから経済が成長する。確かに一部都市部では景気が上向いたところもあるかもしれませんが、鹿児島、地方中の地方ですね、こういったところにはなかなかその波及効果がない。やはり成長戦略を地方からも両輪で進めていかないといけないと思っております。
その中で、本日は、また農産物の輸出と絡めてクール・ジャパンの推進についてもお伺いしたいと思っております。
当然、クールジャパン推進会議においても、オール・ジャパンで総力を挙げて参加する、機構のあり方に賛否はあるものの、農畜産物とサブカルチャーとの連携も含めた外需をとりに行かなければならない、そのような状況であると認識しております。
そこで、稲田大臣、突然ではございますが、きゃりーぱみゅぱみゅという女性アーティストを御存じでしょうか。以前、安倍総理も成長戦略の中で、記者会見において、きゃりーぱみゅぱみゅと、ちょっと言いづらいんですけれども、発言されております。私が調べたところによると、彼女は、ユーチューブで二千五百万回再生されておると。これはすごいことであり、その半数が海外における再生のようです。
稲田大臣、この御認識、いかがでしょうか。彼女の存在、御存じでしょうか。
○稲田国務大臣 私もクールジャパン戦略担当大臣になるまでよくは知らなかったんですけれども、しかし、総理も御指摘になっているように、彼女の存在が非常に世界じゅうから、格好いいというかすてきということで、ファッションも含め、また生き方も含め、称賛されているということで、クール・ジャパン戦略としても、日本のよさを発信していただいているなというふうに認識をいたしております。
○山之内委員 ありがとうございます。
彼女は、ことし、二〇一三年には、ベルギー、フランス、イギリス、台湾、タイ、シンガポール、香港、韓国、ロサンゼルス、ニューヨークとワールドツアーをされたようです。ニューヨークでは四千人以上の集客があったと。原宿のいわゆるかわいいというサブカルチャーの文化、これは、我々日本人、特に年配の方が思う以上に世界には浸透している、これはやはりネットの世界が普及したのが大きな影響であると思います。
もちろん、日本古来の文化の発信も必要ではございますが、やはり、世界の流行、文化において感受性の受信度が最も高いのは、世界各国、万国共通してティーン、若い世代の方々であると思っております。であるのであれば、まず日本の文化を発信する切り口として、彼女らのようなサブカルチャーの切り口を大いに活用すると。
例えば、彼女らのような方々に農産物を紹介してもらい、日本の伝統文化ともコラボレーションしてもらう。米だけを輸出してもなかなか単純には消費はふえないが、例えば、米だけでなく、すしの文化、そしてそのすしの文化とサブカルチャーをコラボレーションする、こういったことは十分検討することであると思っております。
そして、やはりこういった流行、いいコンテンツというのは、いわゆるアンダーグラウンド、草の根から生まれてくるというものが常であると思っております。残念ながら、どうしても、行政、そういったところで考えても、なかなかそういったコンテンツというのは、つくり上げる、そこまでは及ばないと思っております。そのような中で、自力で形をつくり上げたコンテンツ、草の根からのサブカルチャー文化と行政がいかに連携していくか、これが極めて重要であると思います。
実際、この彼女らをつくり出したプロダクションは決して大手ではなくて、若いスタッフの方々が活力を持ってされております。ここにもやはり、農業とまさに同じだと思いますが、若い農業経営者、このような若い世代のイノベーション、こういった活力を世界に発信していく、このことが、経済成長、特に成長戦略には極めて重要だと思っております。
そのような中、当然、アメリカでもフェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏等もそうですが、やはりこういった若手活力を生かす、イノベーションを起こす、このような視点でクール・ジャパン、稲田大臣、どのようにお考えでしょうか。教えていただけますでしょうか。
○稲田国務大臣 クールジャパン推進会議の下にポップカルチャー分科会というのを開催いたしまして、その中で若手のアーティストのお話ですとか、ファッション、そしてコンテンツ、おいしい日本の食材など、それぞれ個別にではなくて一緒に、戦略的に世界に向けて発信をしていくことが重要ではないかなと思っております。
○山之内委員 ありがとうございます。
やはりオール・ジャパン、こういうことは極めて重要だと思いますが、なかなか内容は厳しいと思います。簡単ではないと。当然、理論、理屈だけではなくて、このようなアーティストの方々の感性というものも極めて重要になり、それは一年、二年、時間軸でも内容が変わっていくものであり、連携するというのはなかなか難しい。また、サブカルチャーというのは、そもそも自助自立の世界、ある意味、はやったもの、売れたものがいいものだ、そういった文化もあると思います。
いずれにしろ、オール・ジャパンとは、日本の伝統文化からサブカルチャーに至るまで、全てをバランスよく、成長戦略に伴って、農畜産物も含めた展開を、外需をとりに行くということが極めて大事だと思っております。その中で、やはり各省横串で横断する、これは、さきのマイナンバー法案のCIOの件でもそうでしたけれども、やはりいかに各省横断して、過去から現在に至る日本の文化と農産物を初め、今こそオール・ジャパンで成長戦略を打ち出さないといけないと思っております。
その点をここで指摘させていただきまして、私の質疑を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○平井委員長 次に、後藤斎君。
○後藤(斎)委員 おはようございます。民主党の後藤でございます。
今、クール・ジャパンのお話がありましたが、森大臣、そして稲田大臣、甘利大臣に、それぞれ違った視点から、昨今の課題について幾つか質問申し上げたいと思います。
森大臣、先般の消費者特で幾つかの宿題を出させていただきました。まず、これは厚労省、来ていらっしゃると思いますけれども、路上弁当を食えないということで、今、この霞が関、永田町の周辺も五百円、ワンコイン弁当がいろいろな形で昼間になると売られていますけれども、これが食べられなくなるというふうなことで、これは実は、食品衛生法に基づいた条例規制ということで、いろいろな都道府県によって、いわゆる行商の部分で、お弁当の路上販売ができる県とできない部分があるということであります。
これは後ほどもお伺いしますけれども、表示も、全国一律の法律に基づいた表示と、条例に基づいたプラスアルファの表示が存続するというふうな視点ですが、まず厚労省の方にお尋ねをしたいんですが、報道にありますように、東京ではこれから路上では弁当は売れなくなるんでしょうか。
○高島政府参考人 お答えいたします。
まず、食品販売に関しまして、食品衛生法上の規定を御説明したいと思います。
食品衛生法におきましては、食品の製造、それから販売に係る営業のうち、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの、これにつきまして、都道府県が施設基準を定め、こうした営業を営もうとする者はこの基準に基づいて都道府県知事等の許可を個別に得る、こういうことになっております。この政令で定める業種として、飲食店営業、それからいろいろな種類の食品製造とか食肉販売、こういったものが指定されているところでございます。
今お尋ねのありました弁当の街頭販売ですけれども、これにつきましては、政令で定める業種になっておりません。ですから、現時点において全国一律に許可が必要な営業ということではございません。
しかし、政令で定める業種でない場合であっても、地域の実情に応じまして、都道府県が条例を設けて、例えば営業を、今、東京都は届け出にしているということでございますけれども、届け出とか営業の許可とか、こういった規制を設けることは条例を設ければ可能であると考えています。
それで、東京都の状況でございますけれども、東京都に確認をしましたところ、今検討を始めているということで、ことしの四月に東京都下の関係自治体の行政担当者で検討を開始したところであるということでございます。今後、実態調査を行いながら、衛生面での問題点を明確化して、規制のあり方について検討していく、こういうことでございます。
○後藤(斎)委員 森大臣、これはせんだっても森大臣に御質問したんですけれども、今、参議院の方で議論がこれから本格化して、スタートして、きょう衆議院で採決がされる食品表示法、これも実は同じような課題があるという指摘をこの間させていただきました。
先ほどもいろいろな、輸出も含めて、いわゆる食のグローバル化ということで、私、全国一律の表示かなというふうに、少なくとも一週間くらい前はおったんですが、まだ、やはり条例でもみずからの、それぞれの都道府県で表示ができるということは、やはりこのグローバルな食の流通という視点を考えると、何か僕は、混乱を起こすような感じがしてなりません。
特に、先ほど稲田大臣が話をしていたように、クール・ジャパンということで、これから食文化も含めて輸出を積極的にやっていくという中で、何か、一つのルールだけじゃなくて、また違う、ダブルスタンダードみたいなものが表示の部分であるというのはちょっと違うのかなというふうに思うんです。
森大臣、やはり法律と条例の部分を表示の部分でもきちっと、これから輸出戦略も含めて考えていくのであれば、また、国内ではほとんどが県域を超えた流通に当然なっているという現状も踏まえると、やはり全国一律のルールにまずしていくべきだというふうに私は思っていますけれども、森大臣、いかがですか。
○森国務大臣 お答えいたします。
五月二十一日の消費者問題特別委員会で議論させていただきました問題でございますが、まず前提として、路上弁当のお話は、表示の問題ではなくて販売の問題で、行商を届け出するかしないかという問題であることを確認させていただいた上で、それでは、食品の表示の方をどうするかという問題についてお答えをさせていただきたいと思います。
食品表示法案は、消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会の確保のため必要な表示基準等を定めているものであり、表示基準で定めていない規定についての情報提供を制限するものではございませんので、地方公共団体が、地域の実情に即して、表示基準に定められていない規定について食品表示に関する条例を制定することは可能でございます。
委員の御指摘の、グローバルな視点でどうなのかというようなことは重要な御指摘でございますので、私の方も持ち帰って検討させていただきましたけれども、やはり条例というのは、法律の上乗せ、横出しというのは原則として可能でございますので、そういった地方分権の趣旨に照らしまして、最低限の基準を定めた上で実情に応じて条例を制定することは可能であるというふうに考えます。
○後藤(斎)委員 森大臣、おっしゃるとおりなんですけれども、ただ、山梨でつくったものが、山梨独自の条例が例えばあったとして、では東京に来たときに違う基準だというのは、ある意味では、食品表示法の目的である、今大臣がお答えをいただいたような消費者の利便性や安全性の向上というものとはむしろ逆で、混乱を招くような感じがするんです。
少なくとも条例をやるのは、今の法的には可能であったとしたら、消費者庁がきちっと、条例を制定しているかどうかも含めた把握をしながら、少なくともグローバル流通という視点に照らして問題がないかどうかくらいの、それが許可かどうかは別としても、やはりそういう仕組みを法施行のときに考えていただかないといけないのかなというふうに思いますので、ぜひその御検討をお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○森国務大臣 流通するものが食品以外にもございますけれども、そのようなものについても、地方自治体で特に条例を定めている例もございます。
食品について、特に消費者に混乱を生じさせるような事例があるとすれば、それはやはり本法の趣旨に照らして適当ではない場合もあるかと思いますので、国の方が地方自治体の条例制定に口を出すということはできませんけれども、今委員が御指摘の、全国でどのような条例が制定されているのかという把握をしっかりしていくということは行っていきたいと思います。
○後藤(斎)委員 私は、自治体の自由度を奪えと言っているのではなくて、混乱がないように、特に消費者の方が不安がないようにしてほしいということなので、ぜひそのチェック体制の確立についてはなお一層の御努力をいただきたいと思います。
稲田大臣に御質問をしたいと思います。
稲田大臣、クール・ジャパンは、いわゆる成長戦略なんでしょうか。
○稲田国務大臣 今まで、クール・ジャパン戦略、経産省、外務省、農水省とそれぞれ別個にやっていたものを、今回は、横串的に一緒になって海外に出ていこう、そして日本が、閉塞感が漂う日本の中で、日本のよさを見つけて、そしてそれを海外に打って出よう、再チャレンジしようという意味で、成長戦略であると考えております。
○後藤(斎)委員 稲田大臣は、これは報道によりますと、世界はスイーツなど日本的なものを評価する、それを発見し、発信するのがクール・ジャパンだというふうにどこかで御発言をされているというふうに承知しています。
稲田大臣、いわゆる食の伝道師という制度が、農水省を中心に、クール・ジャパンの戦略の一環として対応が進められているようでありますけれども、食の伝道師というのはどのような内容なんでしょうか。
前提として、七年ほど前、二〇〇六年から七年くらいだったと思いますけれども、いわゆるすしポリスというのが、海外にある日本食屋さんにマークをつける、要するに認証制度をしようということで、当時、農林省が中心にいろいろな検討をされたというふうに記憶をしています。そのすしポリスがなぜ失敗をしたかというと、上から目線であったと。先ほど大臣がおっしゃったように、食文化というのが、要は、日本人は日本食が一番おいしいと思っているかどうかは別としても、やはりここは、いろいろな国々によってベースや考え方や伝統が違うという前提に立つのか立たないのかというのが、多分非常に大きな一つの要素だというふうに思っています。
食の伝道師という、何かちょっと、これもネーミングがいいか悪いか、私はよくないような感じがするんですけれども、ぜひそこのベースを、まず食の伝道師というのは何なのか、そしてそれをどういうふうにクール・ジャパン戦略、要すれば、アジアを中心とした成長するところに、胃袋を取り込もうというものとどのように関係するのか、簡潔で結構ですから教えてください。
〔委員長退席、木原(誠)委員長代理着席〕
○稲田国務大臣 今先生御指摘のように、過去に農水省が日本食の認証制度を検討した際に、海外メディアで、すしポリスという批判があって、導入されなかったということは承知しています。
今、食の伝道師という言葉は、クールジャパン推進会議において、新たな文化を海外に発信し、定着させようとするならば、しかるべき伝道師が必要であるという民間議員の提案に基づいて、農水省が具体化を進めるものとして、推進会議が取りまとめたアクションプランに盛り込んだものでございます。
しかし、今先生御指摘のように、またクールジャパン推進会議の最後の会議でも、これが正しいものだとか、これが日本のクールだということを海外に押しつけるというのではなくて、やはり海外から、ああ、この食材、この食品おいしいね、このスイーツおいしいね、やっぱり日本はクールだねというふうに思ってもらわないといけないので、これが正しい日本食ですということを決して押しつけるということではなくて、本当においしい、これがおいしい日本食ですということを、熱意を持って海外に発信をして、伝えていくという意味での伝道師というふうに私は理解をいたしております。
○後藤(斎)委員 私は、実は、納豆とサバの塩焼き、それに卵をかければ一番おいしいと思っている一人ですけれども、大臣はもっと豊かなものを食べているかもしれませんけれども。
ちょうど、最近の報道で、即席ラーメンというのは日本がつくった非常にすぐれものです、今、ほとんど麺類を食べる文化がなかったアフリカで、日本の製品もさることながら、アジアでも即席ラーメンは非常に、一年間に一千億食というふうに言われているようですから、そういうものというのは、やはり、押しつけをするんじゃなくて、相手国の伝統文化にどう交わるかということが多分一番大切で、大臣のように、クール・ジャパンがすてきかどうかは別としても、余り冷たくなると、本当に冷えたクールになっちゃうので、ぜひ、そうではないクール・ジャパンという問題意識を持っていただきたいなというふうに私は思います。
いろいろな伝統文化だけじゃなくて、ゲーム機器やそういうものも、ソフト産業も含めてのクール・ジャパンだというふうに承知をしていますけれども、やはり、アジアの国も、日本の伝統文化というものが、いいなという人もいれば、宗教的な問題で、その国の宗教では食べてはいけないものというものも、大臣、当然ありますね。ですから、きめ細かにするかどうかは別としても、政府として、クール・ジャパン、特に、食の伝道師のように、食に関する部分というものは、いろいろな要素の複合体でないと、なかなかうまくいかないと思うんです。
もう世界じゅうには、日本食屋さん、ジャパニーズレストランというのは、本当に万のオーダー、十万に近いオーダーが全世界に当然あるわけですね。アメリカはアメリカなりの日本食やジャパニーズレストランがあれば、アジアはアジアなりの味つけをしたジャパニーズレストランがあれば、でも、今日本で食べている日本食が一番いいかどうかというよりも、そういう、いいところもあるということも含めて、やはり謙虚な姿勢で臨むというのが、ある意味では私は受け入れられやすいものになっていくのかなと。
もう一つ。やはりクール・ジャパン、最終的に、食の伝道師をやっていただくときには、伝道師がどういう身分や資格であるのか、そしてどういう役割をきちっと持っていただくのか。農水省から伝道師の資料をいただいて、そうかなという部分もあるんですけれども、伝道師という、人がやる行為であるとしたら、どの程度の人数を、どういうふうな役割を持って、それぞれ日本食の伝道をしていただくのかという視点を持っていただく必要があると思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 私も、先生が今指摘された点、とても大事だと思います。
自分がおいしいと思っていても海外の方々がおいしいと思わないということもあるだろうし、私もお漬物と御飯が大好きですけれども、お漬物が海外で受け入れられるかどうかはわかりません。しかし、日本って、例えばカレーライスとか、すごく海外で受け入れられていますけれども、日本的にアレンジして、それが非常に受けているものもあるかと思います。
そして、食の伝道師の育成ということについては、今、農水省において、日本のすぐれた農産物が世界じゅうに輸出されるようにする環境を整備するため、日本の食文化をさらに普及することが必要という観点から検討を行っていただいております。
私も、謙虚な気持ちを持って、そして、温かい格好よさ、クール・ジャパンというのを目指していきたいと思います。
○後藤(斎)委員 甘利大臣、今、成長戦略を、大臣を中心に、この十年間で何度目かになるものだと思うんですけれども、二〇三〇年の日本のあるべき姿というのを前提に作成されている、その一環がクール・ジャパンだというふうにもお聞きをしています。
大臣、この成長戦略を六月中にはおまとめになるという報道に接していますけれども、多分、二〇二〇年とか二〇三〇年、例えば二〇三〇年で結構ですけれども、日本の暮らしや経済というのはどのような状況に変化をしているんでしょうか。
○甘利国務大臣 この成長戦略の特徴は、社会課題になっているものをばねにして、新たなフロンティアにしていくという手法をとっております。
それはどういうことかというと、今、日本が抱えている課題、少子高齢化は、このまま、現状のまま手をこまねいていくと、リタイア世代がはるかに多くなって、現役世代が少なくなって、社会や経済の活力が落ちる。むしろ、それを逆ばねにしていく。それから、例えばインフラ。高度成長期のインフラが一斉に更新期を迎える、国費でやろうものならとても財政がもたない、これは日本が抱える頭の痛い課題。それを逆ばねにしていく。
具体的にどうしていくかといえば、日本人の寿命と健康寿命の乖離が起きているのを、健康寿命と寿命を近づけていく。つまり、寝たきり長寿でない社会をつくっていく。そういう過程において、ライフサイエンスのいろいろなイノベーションが起きてくる。あるいは、働き方もいろいろ革新的なものが起きてくる。
そうやって、高齢化が進むことはとめられないけれども、活力は落ちない社会ができるとか、あるいは、インフラでいいますと、あちこちの崩落事故におびえるというのではなくて、例えば、センサー技術が発達してインフラ自身が耐用年数を知らせるとか、あるいは長寿命素材の開発をされるとか、あるいは、もっと言えば、民間でインフラの更新をするような手法が生まれる。そういうところに産業が生まれるわけですね。
その産業を、この成長戦略を通じて、社会課題を解決するその過程において起きてくる新産業あるいは旧産業の活性化、そこに雇用が吸収されると活力ある社会が生まれるということをイメージいたしております。
〔木原(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
○後藤(斎)委員 大臣、その際に、後でちょっと両大臣にもお聞きをしたいんですが、私も、大学生の子と、まだ中学生の子がいるんですけれども、この子たちが、では、二〇二〇年、三〇年のときに、どのような職業につけるかと。要すれば、二〇三〇年のときにどのような仕事が残っているかということに、大臣、多分裏返しになると思うんです。
大臣がおっしゃることは、総論ではもうおっしゃるとおりだと思って、敬愛する大臣ですから、それ以上のことを私は言いませんけれども、今までの成長戦略というのは、やはり個々の暮らしとか仕事というのがどうなるかと。やはり、高度成長のときには農業から製造業に人が移動し、そして、安定成長からバブル崩壊以降は製造業からサービス産業に人が行き、今は介護や医療という大臣がおっしゃった部分の人が仕事はふえてはいるものの、なかなかそれが将来に対してどうなのかと。
例えば、大臣がお子様に、どういう職業についたらいいと言うときには、多分、親としたら、十年、二十年後を見据えてアドバイスをするはずなんです。そういう部分で、では、甘利大臣、例えば、子供さんに相談されたら、十年、二十年後を見据えて、今の成長戦略を踏まえて、どのようなお仕事をアドバイスなさいますか。
○甘利国務大臣 うちは娘が二人で、一人はもう医者をやっておりますが、一人が大学生で、将来は何をやりたいかと言うと、映画関係につきたいと本人は今言っているんですが、将来どうなるかわかりません。
いずれにしても、私が子供に言っているのは、国際人材として通用しないとどこの職業もなかなか難しくなってくるぞということで、これから国家公務員の1種、いわゆるキャリアには、TOEFLのような採用試験が導入されてきます。そうすると、一般企業でも、あるいは大学でも、そういう対応になってくる。国際人材としてどこへ出ていっても勝負ができるような武器は身につけておけということを今言っているところであります。
コンテンツ戦略でいえば、日本のコンテンツが伸びていく余地はこれからもあると思います。ローカライズということが必要でありますけれども、その戦略もしっかり備えていくつもりであります。
日本が生きていくのは、やはり高付加価値。つまり、付加価値が日本から発信されるという経済環境にしなければいけないと思います。つまり、いろいろな分野でイノベーションがどんどん起きてくる、そのイノベーションを支えていくような人材になっていくように、必要な武器は身につけていくということをアドバイスしていくと思います。
○後藤(斎)委員 最後に、甘利大臣に、時間がもうないんですが、せんだって、ある会合で、きょうはおいでいただけなかったんですが、古屋大臣と話をしていましたら、リニア中央新幹線の早期開通は成長戦略だ、そのインフラはぜひ必要だというお話をされました。
私も、できたら、二〇二〇年の東京オリンピックに合わせて、二〇二七年の今の開通見込みよりも早く、やはり防災、大規模震災に備えるためにも、また、これからインフラ輸出でアメリカに輸出するためにも、やはり日本できちっと実用線をつくっておくことが必要だと思います。
大臣、リニア中央新幹線というのは成長戦略なんでしょうか。あわせて、ぜひ、その部分では早期開通をしなければいけない、要するに前倒ししなければいけないと思っていますけれども、その点、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○甘利国務大臣 結論から言うと、日本が持っている優秀な技術だと思いますし、これは輸出戦略にも使えると思います。あわせて、リニアは、災害時等に、新幹線しか手だてがないというのもダブルトラックで対応できるという危機管理上の意味も備えていると思います。
○後藤(斎)委員 以上で終わります。
○平井委員長 次に、松田学君。
○松田委員 日本維新の会の松田学です。
官房長官には、お忙しい中、どうも御出席ありがとうございました。
まず、質問の前に、既にこの内閣委員会で、日本維新の会、遠藤議員、そして中丸議員から、明治の日につきまして官房長官に御質問させていただきまして、温かいお言葉をいただきまして、その後、超党派で議連をつくろうという動きも盛り上がっておりますので、ぜひ、今後ともサポートをいただければと思っております。
やはり明治の日という、文化の日を明治の日に変えるということで、多くの日本人が自国の歴史に目を向ける、そういう日になっていくということが大切だろうと思います。
歴史といえば、日本人、特に若い世代の人は、自分の国の歴史を知らない人がほかの国に比べて非常に多いというのは、これは非常に嘆かわしいことでありまして、やはりグローバル社会では、自国を誇れる、自国を語れる人間というものをどんどん出していかなければいけないというふうに思っていますので、歴史に目を向けるというのは大切なことだろうと思っています。
ただ、日本の中で、多くの日本人が余り知らないのが沖縄の特殊な歴史じゃないかなというふうに思います。
かつてから、どちらかというと差別を受けていたという時代もありますし、それから、さきの大戦では、たくさんの住民が犠牲になった。これは世界の戦争の歴史の中にも残るような悲惨な状況があった。その後も、米軍基地があって、いろいろな難しい問題がある。この沖縄の特殊性について、やはり我々日本人自身がもっと目を向けて、特別の住民感情とか、そういう気持ちをよく理解していく、これが基地問題の解決のためにも、ひいては日米同盟強化の上でも非常に重要なことであろうかというふうに思っております。
そういった観点から、日本維新の会でも、ちょっと前のことになりますが、沖縄PTというのをつくりまして、私も、合わせて六人の衆議院議員で、先般、四月に沖縄に行ってまいりまして、仲井真知事や市長さんと意見交換をいたしまして、日本維新の会として、ともに沖縄の自立に向けて、一緒に将来を考えていこうということをメッセージとして出してきたところなんです。
でも、意外と、私自身も知らないことが非常に多くございまして、例えばアメラジアンという言葉がありますが、多くの方が知っているかどうか、アメリカ人とアジア人の混血ということなんですが、沖縄だけでも毎年三百人という話も仄聞いたしておりますけれども、そういった、沖縄のことについてもっとよく理解する必要があるなという気がいたしております。
特に、その全てではありませんけれども、一部の米軍兵士の行為によって女性の人権が傷つけられたり、あるいは、それが日米同盟にもマイナスになるといった事態を何とか避けなければいけないと思っています。
沖縄については、政府だけではなくて、国民全体ももっと目を向ける必要があると思っていますけれども、こういった沖縄の特殊な事情を配慮した上で日米同盟を強化していく、この辺についての今の政権の考え方についてお聞かせいただければと思います。
○菅国務大臣 委員を初め維新の皆さんが沖縄に行かれた。沖縄に目を向けろ、当然のことだろうというふうに思います。
現状、我が国を取り巻く安全保障が厳しい環境であることは委員にも御理解をいただけるというふうに思います。
そういう中にあって、外交、安全保障の基軸の日米同盟、ここを強化していくというのは、我が国の状況を考えたら大事だろうというふうに思います。そして、在日アメリカ軍の施設・区域が沖縄に集中しておるわけでありますけれども、沖縄の負担軽減、これについて、政権としては、耳を傾けながら全力で今取り組んでいるというところであります。
○松田委員 やはり、日本が独立自尊の強い国家を目指すという点では、我が党も自民党も同じ立場だと思います。
沖縄の次の問題として、安全保障の観点では、安倍政権が防衛費を増額させたことは我が党も大変高く評価しているところであります。
他方で、もう少し戦略面でいけば、かつてから議論されている日本版NSCというものが最近報道でも随分出ております。政府はもうNSCの概要を決めて、事務局として内閣官房に国家安全保障局を設置する、数十人で構成する、関係省庁は資料、情報を適時適切に提供しなければならない旨も法定する、秋の臨時国会に法案を出すということが報道されています。
内閣官房ということですが、私自身も役人時代に内閣官房に何度か出向いたしましたけれども、どうもやはり、実動部隊がない組織をつくっても、結局は実体を持った役所が実質的には仕切ってしまって、それを内閣官房が後でなぞっているということが間々あったものですから、やはりNSCを本当に機能させるためには、例えば、情報分析、収集に当たる実動部隊とかそういうものも実体の備わった組織にしなければいけないんじゃないかというふうに思っておりますが、どういうような組み立てをしていくか、官房長官からお聞かせいただければと思います。
○菅国務大臣 まず、我が国の外交、安全保障を考えたときに、このNSCというのは一日も早く必要だということを政府全体として今共有をいたしております。
そういう中で、委員は、御自身が内閣官房に行かれた経験からのお話が今ありましたけれども、やはりどうしても我が国というのは縦割り社会、情報なり、それぞれの省に集中をしている。そういうものではなくて、さらに、国家安全保障局というんですか、そこをしっかりと機能させるためには、そこの人材、さらにまた組織に集中をさせて行っていくことが大事だというふうに思っています。
イメージを言わせていただくならば、国家安全保障局というものがあって、その中に総括事務を行う責任者がいて、そのほかに参事官クラスですかね、地域だとかあるいは案件だとかそういうことを担当する、あるいはさまざまな情報を分析するとか、そこで集約をして国家の安全保障にかかわるものは集中して行うことができるような、そうした組織を目指しております。
できれば今国会に提出をしたいと思っています。
○松田委員 今国会というふうにお聞かせいただきましたが、期待をしております。
アメリカでもNSCというのは二百人ぐらいの規模がいるというふうに聞いておりまして、本当に実効あるものにするには、行政改革ということで、先日も財務金融委員会で議論したんですが、例えば、金融の検査に当たる、あるいは日本のSECもアメリカに比べて人員が一桁少ないということで、強い政府をつくろうと思っても、なかなか人員的には日本は厳しい状況にあって、その辺もよく考えてそれなりに機能する仕組みをつくっていただかなければいけないと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
今ちょっと政府の人員の話をいたしましたが、次に、行革に関しまして稲田大臣にお伺いしたいと思います。
日本の行革というのは、三十年ぐらい前に、一般消費税の導入に失敗して増税なき財政再建と言われたころからずっと行革が続いてきているんですが、どちらかというと日本は、世界の中で比べると、量的には小さな政府といいますか、先進国の中でも、人件費の面でも、あるいは一般政府の雇用者数の面でも最も小さな政府になっていて、むしろこれから行革で考えなきゃいけないのは、限られた人材をどうやって活用するかということにだんだんシフトしなきゃいけないのかなというふうに思っているんです。
そういった意味で、公務員制度改革、福田政権のころから法案ができては成立しないということがずっと続いてきて、いよいよということが報道されておりますが、その中で、報道では、各省庁の幹部人事を一元管理する内閣人事局、これが盛り込まれるということになっております。
この際のいわゆる公務員制度改革、どういう基本的な思想で当たっていくかについて、私も役所時代にいろいろ議論したんですが、大きな類型としては、日本が戦後やってきたいわゆる終身雇用型の公務員制度というのは、それなりのプロフェッショナルを育てていく上では、一つの組織の中で若いときにいい人を集めて育てていく。それに対してアメリカの場合は、ポリティカルアポインティー制ということで、人材も流動的ですし雇用の状況も日本と違うということで、そのときそのときにいい人を各界から集めて、また、リボルビングドアといって、民間に行ったり大学に行ったりシンクタンクに行ったりしながらその分野を極めていく。
社会の仕組みが違う中で、日本の公務員というのは、どういう社会を前提として、例えば、ポリティカルアポイント型を目指す、それで、政権がこの人がいいという人を採用していくような人事体系というのを最終的に目指していくのか、そういった流れの中での内閣人事局なのかどうか。この辺についての方向性をしっかりと、それをやるためには相当日本全体の雇用慣行の改革とかいろいろなことをしなきゃいけないはずなので、相当腹の据わった改革が必要だと思いますけれども、その点について稲田大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○稲田国務大臣 私も最後は人だと思います。そして、せっかく優秀な人材が集まっていても、その方々が、本当に自分の能力を生かしながら、誇りを持って、責任を持って国家国民のために働いてもらわないと、強い日本はつくれないと思います。
今回の公務員制度改革の目的は、改革の基本法の一条に掲げられておりますとおり、「国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行すること」とあります。省益ではなくて国家国民のために、そして、総理が人事研修で訓示をなさったように、政策のプロとして、しかし国家国民のために闘う公務員であってくださいということをおっしゃっておりました。
そして、基本法の中では、その目的を達成するために、多様な能力及び経験を持つ人材の登用、官民の人材交流の推進、男女共同参画社会の形成などが基本理念として掲げられているところでございます。
今回、国家公務員制度改革、人事局をつくって幹部人事を一元化するというのは、まさしく人事における政治主導を確立するということだと私は思っております。そして、時の政権の意向を幹部人事に反映させるという点、人事における政治主導を確立するという点において、先生が御指摘のとおり、政治任用、ポリティカルアポインティー的色彩があると思います。
また一方で、幹部職員についての適格性審査を行うなど、職員の任用は能力・実績主義、成績主義の原則によるという国家公務員法に定める根本基準がございますので、その間の適切なバランスをとりながら幹部人事における政治主導を確立していくということではないかと思っております。
○松田委員 この議論をし始めると時間がないので、このぐらいにしておきますが、政治任用というのは、メリットもあればデメリットもあります。政権の中に耳の痛い情報を入れる人がいなくなるという問題点も指摘されておりまして、アメリカでもそういう弊害が言われていますので、その辺もよくバランスのとれた仕組みにしていただければと思っております。
それで、時間が限られているので次に経済の話なんですが、これから中期財政計画とか、数字の入った、日本の中長期的な、いろいろ経済の予測といいますか、あるいは見通しというか、そういったものがつくられていくんじゃないかと思いますけれども、日本経済の現状は、アベノミクスで成長戦略をやると言いながらも、豊かな社会になると、経済成長率を上げるというのはかなり難しい社会になっているのも事実だろうと思います。
これは私が指摘するまでもないことなんですが、ランニングマシンという例えがありまして、いろいろなマイナスの力があって、それと拮抗して前に走り続けてようやく同じ位置を維持できると。マイナスの力というのは、例えば、少子高齢化もそうでございますが、ほかにも、環境への配慮とか安全への配慮あるいは倫理、道徳への配慮とか、中国とかああいう国にはない、先進国ならではのいろいろな要請が出てくる、それを打ち消してさらに成長率を高めていくというのは相当な努力が必要だろうという指摘もあります。
その中で、かといって、財政の持続可能性を確保するためには、ある程度きちっとした成長をしないと、これもまた財政が持続可能でない。そういった意味で、日本の財政、課題を先送りした結果、かつて成長経済では、先送りしても将来が解決されるというのがあるんですが、そうでないのに随分課題を先送りした、それを解決するにはやはり成長するしかないというのは事実だろうと思います。
しかし、アベノミクスの第三の矢で民間投資を促進するということになっているんですが、今、民間の企業設備が伸び悩んでいるからこそ民間部門に余剰資金があって、それが銀行を通じて国債の購入に回っている、だから金利が低くて済んでいる、だから財政がパンクしないで済んでいると。これは、財政審のこの間出た報告書でも「奇妙な安定」という言葉が使われてきたわけでありまして、そういった意味で、民間経済主導でいい方向に行こうとすると、金利が当然上がりますから、これもいつも議論されていることでありますし、私も予算委員会で甘利大臣と議論させていただいたことなんですが、ここの金利の上がり方と経済成長率の上がり方というものをうまくやっていかないと、今度は財政と両立しない。むしろ、当面は、金利上昇、利払い費の増加で財政がかえって悪化するという試算も出ているわけですね。これは、かなり難しい課題であります。
前にも議論いたしましたが、いわゆる名目経済成長率が名目長期金利を上回る状態でなければ、消費税を一生懸命さらに上げてプライマリーバランスを達成しても、そういう経済状況でなければ財政は改善に向かわないということでありますが、そうなるには名目成長率が四%ぐらいまで上がらないとだめだという試算も指摘されているわけですね。四%名目成長というのは大変なことで、三%にするというのが一般的な相場としては望ましい水準とされているんですけれども、三%にするとしても、実質で二%成長、デフレーターで一%、消費者物価プラス一%で、二%で日銀の目標と整合的になるという感じかなと思うんです。
ただ、実質二%成長にするというのは、労働力人口がマイナスの状況で、一人当たり生産性を相当高めないといけない。かなり非現実的な想定をしないと、なかなかこの理想の成長率というのはいかないんじゃないかと。経済成長と財政のバランス、両立というか、これを実現するための、例えば、生産性上昇率であるとか、あるいは実質経済成長率であるとか名目経済成長率、この想定というのは、相当ナローパスの中で適切な解を求めていかなければいけない大変難しい作業になると思うんですけれども、現時点ではどんなふうなお考えをお持ちか、甘利大臣にお聞かせいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 確かに、生産の三要素といいますか、資本、労働、生産性、その中の労働力が、人口減少の中で従来のような伸びが見られない。そこは、全員参加型、今まで経済に参加していない、消費では全員参加するんですが、生産に参加していない女性やあるいは高齢者が参加できるような環境にしていくというのがありますし、生産性を圧倒的に伸ばしていくということも当然あるわけであります。あるいは、日本の競争力を高めていって、輸出で外の需要を取り込むということも当然あろうかと思います。政府といたしましては、これから、成長戦略、それから骨太方針の中で具体的な姿を明らかにしていきたいと思っております。
自民党の公約の中では、名目三%、物価安定目標二%とか、あるいは税制改革法の附則の中で、名目三パー、実質二パーという数字が書いてあります。かなり現実的な、上限を狙ったところだというふうに思っております。
金利と成長率との追いかけっこの話もこの場でも出ました。成長率を引き上げて税収をふやしていくことと同時に、やはり財政再建をしっかりしていくということで金利上昇を抑える、歳出規模を無駄にしていかないという両方の努力が必要だと思っております。
なかなか全体のバランスが難しいナローパスでありますけれども、しっかりとした目標を掲げて取り組んでいきたいと思っております。
○松田委員 よいものができ上がることを期待しておりますが、なかなか難しい課題であろうと思っております。やはり、この課題を克服していく上においては、今まで言われてきたいろいろな改革というのが本当に実行できるかどうかが問われている。アベノミクスというのは、今のところお金を積んだだけなのでありまして、それがお金が回っていかないと、それで、回っていくためには、回っていく先の仕組みを組み立てていく。そのために、今までいろいろな既得権益もあった、そこのところをどこまで変えられるかというのが問われているんだと思います。日本維新の会も新しい提案を出させていただきたいと思っております。ぜひよろしくお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
○平井委員長 次に、大熊利昭君。
○大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。
本日は、よろしくお願いいたします。
まず、私の方では、前半、金融、経済関係のお尋ねを官房長官にさせていただきたいと思います。
いわゆるアベノミクスのもとでの金融緩和におきまして、長期金利の上昇そのもの、これは予想されたことだったのか、あるいは、単純に、金融緩和するから金利は下がっていくんだ、このように想定をされていらっしゃったのか。まず、この点についてお伺いいたします。
○菅国務大臣 金利は、経済財政の状況だとか、あるいは海外市況の動向、そうしたものを踏まえて、さまざまな要因によって市場で決まっていくんだろうというふうに思います。金融政策や物価上昇率との関係のみで一律にこれを論じることは困難だろうと思いますし、その水準について私からコメントすることは、やはり市場に無用の混乱を生じさせる、そういうことで、これは、会見でも金利のことを聞かれますと、そこのコメントは控えさせていただいているということであります。
○大熊委員 そうしましたら、官房長官ではなくて、国債の、債券の発行体の御担当ということで財務省の方でも結構なんですが、発行体としては、当然、金利の管理ということになろうかと思うわけでございます。その金融緩和による長期金利の影響ですね。これは方向性として、もちろん、水準がこのぐらいになるだろう、こんなことは言えないと思うんですが、方向性として、下がる、あるいは上がる、どちらを予想していらっしゃったのか、教えていただきたいと思います。
○竹内大臣政務官 金利につきましては、今、官房長官からお話がありましたように、経済財政の状況や海外の市場の動向などのさまざまな要因を背景に市場において決まるものでございまして、金融政策や物価上昇率との関係のみで一律に論ずることは困難でございます。その意味でも、その水準につきまして、コメントすることは差し控えたいと思っております。
ただし、一般論として申し上げれば、日本銀行が多額の国債買い入れを行うことによりまして、国債市場に影響が生じ得ることから、四月四日の金融政策決定会合におきまして、日本銀行は、市場参加者との間で、金融市場調節や市場取引全般に関し、これまで以上に密接な意見交換を行う場を設けることとしているものと承知をしておりまして、市場との対話を通じて、日本銀行が適切に対応されることを期待しておりますし、また、おりました。
政府といたしましては、国債市場の動向を注視しながら、市場との密接な対話を行いながら、国債管理政策を適切に実施していくこととしております。同時に、政府と日本銀行との共同声明にあるとおり、持続可能な財政構造を確保するための取り組みを着実に推進して、市場の信認を確保してまいりたい、このように考えているところでございます。
○大熊委員 私も以前、金融機関で働いておりましたのですが、まさに今おっしゃられたような、一概にコメントできないということそのものが、やはり不安をあおる。
したがって、上がるか下がるかという御質問をさせていただいたのですが、変動率が大きくなるんですね、いわゆるボラティリティーというものなんですが、マーケットの参加者は一般的にそういうふうに思うんですね。これについて、どうお考えになられますか。
○竹内大臣政務官 市場の皆様は、変動率に関しましても、さまざまなお考えをお持ちだろうと思うんです。そういう意味でも、私どもも、五月二十二日の金融政策決定会合後に、黒田総裁の方から、引き続きマーケットの状況を十分注視して、市場関係者との対話を行いながら、必要に応じて弾力的なオペ運営を行っていく方針であり、こうしたことを通じて、長期金利がはねることは十分防止できると思っているとの発言がございました。そのとおりに適切に対応されるというふうには思っております。
市場との対話ということが、そういう変動率との関係でも重要なことではないかと思っておるわけでございます。
○大熊委員 私が思いますには、大胆な異次元の金融緩和を行う際に、同時に、一時的に変動率は上がるけれども、これは次第におさまっていくんだということをもし同時に発表していれば、マーケット参加者とすれば、それは先を越されたことになるわけでございますから、これほどの大きな変動にはならなかったのではなかろうかと、もちろん後講釈ではございますが、そんなふうに思っているわけでございます。
この点について、一言お願いいたします。
○竹内大臣政務官 日銀の所管でございますので、財務省の私がとやかく言うのは不適切ではないかと思っておりますが、その辺も含めて、大局的に日本銀行も考えていただいていると思いますし、市場の皆様も大局的、長期的に考えられるのではないかなというふうに思っております。
○大熊委員 私の理解では、政府と日銀は一体で、ある種、非常に強力な政策をやっていく、この一体感というのが大事だと思う。今のお話ですと、これは日銀の所管だから、こういうコメントなんですけれども、これではちょっと一体感というものがどうなのかなというふうに疑念を持たざるを得ないわけでございます。
この辺についてどうなんでしょうか。この一体感というのは大事だと思うんですが、一言お願いいたします。
○竹内大臣政務官 お答えいたします。
共同声明におきまして、その趣旨は尽くされているものというふうに思っております。
○大熊委員 それでは、発行体として、金利の管理ですね、仮に、今後、長期金利が、どんどんかどうかはわかりませんが、変動しながら上がっていくという場合に、例えば民間の金融機関、ゆうちょ銀行を民間と言えるかどうか、初めとして、非常に大きな金利リスクを持っているわけでございますが、同時に、政府自体も、これだけ国債を発行しているわけでございますから金利リスクにさらされている、この管理、リスクのヘッジをする、そういう方法というのは何かお持ちになっていらっしゃるんでしょうか。
○竹内大臣政務官 やはり、財務省といたしましては、国債の安定的な消化が確保されるような国債管理政策が大事だと思っておりますし、そのためにも、繰り返しになりますが、共同声明にあるとおり、持続可能な財政構造を確立するということが大事である。今後、そのためのさまざまな、財政再建計画を初めとして、市場の信認を確保していくことが大事であるというふうに思っております。
○大熊委員 金利リスクを管理する方法は、要するに持続可能な財政構造の確保、こういうふうに理解をさせていただきましたが、御確認も含めて、それでよろしいでしょうか。
○竹内大臣政務官 財務省の立場としては、それが最も大事であるというふうに思っております。
また同時に、先ほど申し上げましたように、日本銀行の方も市場との対話等を通じてさまざまな施策を講じられるものと思っております。
○大熊委員 そうしましたら、現時点で持続可能な財政構造になっているかどうか、この点、一言お願いいたします。
○竹内大臣政務官 確かに、御指摘のとおり、この財政の問題は非常に重要な問題でございまして、御承知のとおり大変な国債の発行残高を抱えておるわけでございます。その意味で、何とか国際公約にあるようなPBの半減や黒字化を目指して、しっかりとこれから計画を立て、それを遂行していきたいというふうに思っているところでございます。
○大熊委員 今後の課題ということで、現時点ではということですが、ぜひお願いしたいと思うんです。
やはり、私どもとしましては、金融緩和、これはみんなの党も同じ政策で考えているところなんですが、三本目の矢も、これからということも含めて、ここについても私どもとしてはもっと大胆なことも含めて同じ方向を向いているんですが、問題は二本目の矢でございまして、私の意見としては、この二本目の矢と一本目の矢を同時に打ったがゆえに長期金利が上がったんだと。マーケット参加者としては、財政ファイナンスではなかろうかというような懸念を生じさせたことが、単純に金融緩和で金利が下がるのではなくて逆方向に動いていってしまう、あるいは、そうじゃないんだということでまた下がる、つまり変動率が大きくなる。
この二本目と一本目を同時に打ったことが、変動率の増大や、あるいは金利の上昇というものをもたらしたのではなかろうかというふうに考えているんですが、いかがでしょうか。
○竹内大臣政務官 いろいろな物の見方があるんだろうというふうに思います。
金融緩和ということも大事でございますし、同時に、やはり日本の経済再建という意味では、防災、減災のためのさまざまな手を打つということも大事でございますし、それは大震災に対する備えということも必要であります。そしてまた、地域の中小企業に対する目配りとか、そういうことも大事なわけでございまして、アベノミクスの第一の矢、第二の矢は必要であったというふうに思っております。
昨今の金利の上昇につきましては、さまざまな要因がございますので、株式の問題であるとか海外の情勢であるとか、さまざまな問題が複雑に絡んでおりますので、その点につきましては、私どもの方からこれ以上申し上げることは差し控えたいというふうに思っております。
○大熊委員 財政ファイナンスと見られないような運営をぜひお願いしたいというふうに思います。
金融関係、最後でございますが、仮にアベノミクスが成功し、消費者物価二%の上昇という目標が達成された時点を想定した場合の長期金利の予想水準の幅ですね、どのぐらいかというのは言えないというお答えになるんだろうと思います、幅についてお答えいただきたいと思います。
○竹内大臣政務官 今後、アベノミクスが成功すると、景気もよくなってくるんだろうというふうに思います。金利にもさまざまな動きがあろうかと思います。その幅につきまして私が申し上げることはなかなかできかねるというところが正直なところでございますが、しかし、大事なことは、今後、景気が拡大して、デフレを脱却して、そしてさまざまな経済成長がなされれば、多くの問題は解消に向かうのではないかというふうに思っておるところでございます。
○大熊委員 それは、おっしゃる部分はそのとおりの部分もあるんですが、やはり冒頭申し上げたとおり、この幅なりを示さないと、マーケットの参加者というのは余計に疑心暗鬼が増大してまいりまして、余計に変動率そのものの増大をもたらす、そういう傾向にございますので、やはり本日ではなくても、大体このぐらいからこのぐらいという目標設定をされておかれた方がよろしいのではないかなというふうに思うんですね。
企業経営でも、大体、今期の為替の水準なり、調達しようというところについては金利の水準なりというのは想定を持って経営をやっているわけでございますから、国家経営、財政の運営、経営という観点からいえば、これだけ膨大な債券を毎年毎年発行している発行体なわけでございますから、大体成功したらこのぐらいからこのぐらい、まあ失敗したらというのは言えないんでしょうが、成功したらこのぐらいからこのぐらいということを、予見をマーケットに与えておくことによって、変動率をあらかじめ抑制していく、そういう効果があるんだろうと思うんですが、最後に一言だけ、それについていかがでございましょうか。
○竹内大臣政務官 重要な御指摘だと思います。
ただ、政府として、市場、計画経済でもございませんので、いろいろな物の見方を頭の体操としてやることはあり得るとは思いますけれども、それを政府が示すということはいかがなものかと私個人としては思っております。
○大熊委員 何も示さないと、また変動率がどんと増大するという懸念が引き続き残るという意見を申し上げて、金融関係はこれで終わりにしたいと思います。
残りの時間で、公務員制度改革の関係をお尋ねさせていただきます。
公務員改革の基本法の五条に、「幹部職員を対象とした新たな制度」、そういうところがございますが、この幹部職員を対象とした新たな制度について、あくまでも現時点で、全体像は一カ月後ということなんですが、特にここは論点になるところでございます。この新たな制度についての基本的な方向性や考え方、これについて、大臣に御教示いただきたいと思います。
○稲田国務大臣 基本法の五条の二項には、「政府は、縦割り行政の弊害を排除するため、内閣の人事管理機能を強化し、並びに多様な人材の登用及び弾力的な人事管理を行えるよう、次に掲げる措置を講ずるもの」と書かれております。
御指摘の幹部職員に係る新たな制度に関しては、基本法第五条第二項第一号で基本的方向性を示しており、同条第二項第三号から五号までに掲げる、幹部職員としての適格性審査、候補者名簿の作成、内閣総理大臣及び官房長官への任免協議、多様な人材の登用、任用や給与等の処遇についての弾力的措置などが実現できるものとして構築する必要があると考えております。
○大熊委員 基本法にはもちろんそう書いてあるんですが、具体的なこの新たな制度というのはどのようなものなのか、お考えになっていらっしゃるかについて、お答えいただきたいと思います。
○稲田国務大臣 基本法第五条第二項第一号の「幹部職員を対象とした新たな制度」とは、基本的な方向性を示すものであって、具体的には、先ほど申しました五条第二項三号から第五号までの措置を示していると思います。
具体的には、適格性審査の実施、それに合格した者が掲載された候補者名簿の中から任用、多様かつ高度な能力及び経験を有する人材の登用、適材適所の人事を柔軟に行えるようにする任用の弾力化などといった措置を講ずることとされております。
これらにより、縦割り行政の弊害を排除し、内閣の人事管理機能が強化され、多様な人材の登用や弾力的な人事管理が可能になると考えております。
○大熊委員 先週の質疑で、甘利法案だけじゃなくていろいろな法案について検討されていると。その中で、かつてみんなの党と野党時代の自民党さんで一緒に出された幹部公務員法も当然含まれている、もちろん、過去の出された法案の検討、検証ということでございますから、検討の対象に入っているのは当然でございますというふうにおっしゃっておられますが、幹部公務員法の中身の検討、これはどのようにされていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。
○稲田国務大臣 前回の先生からの御質疑に対して、自民党、みんなの党が野党時代に提出をした幹部職員についての法案についても検討しますということを申し上げております。
そして、基本法第五条第二項一号の「幹部職員を対象とした新たな制度」とは、基本的な方向性を示すものでありまして、先ほど答弁をいたしましたように、五条第二項三号から五号までに掲げている適格性審査、任免協議、多様な人材の登用、処遇についての弾力的措置などを示していると思います。
御指摘の、幹部職員についての自民、みんなの法案の中では、幹部職員を特別職とする規定があったというふうに承知をいたしております。基本法においては、幹部職員を特別職とすることまでは求めていないと思います。
いずれにせよ、幹部職員の位置づけについては、その他の改革事項と同様、基本法の趣旨や、国会における審議等これまでの経緯を総括した上、検討を進めたいと考えております。
○大熊委員 先ほども質疑に出ました中間整理のところでございますが、ここで、三のところ、「本日以降、アドバイザーを交えた意見交換会を継続するとともに、併せて、甘利法案について、」というふうに限定がかかっているんですが、これは、甘利法案を含む、つまり幹部公務員法も含むというふうに何で書いていないのか。
今、大臣の御答弁、いろいろ幹部公務員法についても中身に入れ込みつつ御検討をされているというにもかかわらず、なぜこの「中間整理に当たって」については甘利法案と限定されているのか、お答えいただきたいと思います。
○稲田国務大臣 まず、意見交換会の趣旨は、今まで、政府提案の三度の法案、いずれも基本法に基づいた三度の法案が提出されて、全て廃案になって、その中身は全て違っているので、やはり総括、検証が必要であるというところから出発をいたしております。何度も答弁をいたしておりますように、今回の法案も、基本は御党の代表のときに成立いたしました改革基本法であることは変わりがございません。
そして、なぜ二十一年の甘利法案を基礎として法律を精査しているのかという御質問ですが、甘利法案に限らず、民主党の政権下で出された二度の法案、そして自民、みんなの法案も含めて、検討を進めているところでございます。
○大熊委員 そうすると、この「中間整理に当たって」については、甘利法案というのに限定されている理由は特にない、そういう理解でよろしいですか。
○稲田国務大臣 中間整理と同時に出しました大臣所感の中で触れておりますように、今の改革基本法に基づく公務員制度改革の原点は、平成十九年に閣議決定された「公務員制度改革について」であるというふうに考えております。
今まで公務員制度改革は、政権交代の波の中で、ややもすれば政局と絡めて議論をされてきた嫌いもあります。今後、本当の意味での公務員制度改革を実現するためには、いま一度原点に立ち戻る必要があると思います。何のために公務員改革をするのか、そして、それは決して公務員バッシングではなくて、本当の意味での政治主導、人事における政治主導を確立するためにやるのであるというところの原点に立ち戻る必要があると思っております。
そして、なぜ二十一年法案を精査するのかということですけれども、これまで行ってきた総合的な総括、検証や意見交換会において専門家等からの意見聴取を踏まえ、二十一年法案を精査することが適当と判断をいたしました。
また、自民、みんなの党の法案にしても、民主党政権下で出された二つの法案についても、最初にこの基本法に基づいて提出された二十一年法案をもとにしてつくられている面もあるかと思います。また、全くの白地から法案を作成するよりも、これまでの五年間の日本を取り巻く状況や環境の変化を踏まえながら二十一年法案を精査していく方がスピード感を持って検討を進めることができると考えて、この法案を精査するという手法が適切と考えたものでございます。
○大熊委員 たびたび、総理大臣も、あるいは稲田大臣も総理のお言葉を引用されて、国際的な大競争時代を捉えて、そういう御発言がございますね。であれば、そのためには、当然いろいろな国といろいろな意味で競争ということになるわけでございますから、公務員バッシング、官僚バッシングではなくて、官僚の皆さんと内閣が一体性を持ってやっていくんだ、こういう観点が非常に重要だと思うんですが、この点、いかがでしょう。
○稲田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
○大熊委員 ありがとうございます。
今大臣が言われたことが幹部公務員法の肝なんです。何と書いてあるかというと、内閣との一体性の確保にも配慮し採用と書いてあるんですね。今大臣が言われたことこそが、幹部公務員法の、政治任用という言葉を使われましたが、政治任用という具体的な表現じゃなくて、今申し上げた、内閣との一体性にも配慮し採用し、これが幹部公務員法の大きな肝の一つなんです。これに対して非常にポジティブなお話をいただいたということで、非常に心強いところだというふうに考えているところでございます。
続きまして、済みません、退職管理基本方針なんですが、時間がありません。人事・恩給局の方、いらっしゃっていると思うので、評価制度、人事評価、能力・実績主義の関係をちょっと最後に数分お伺いしたいと思います。
委員の皆さんも議員の皆さんも余り目にしない政令なんですけれども、人事評価の政令というのがございまして、この第六条に、簡単に言うとどういうことが書いてあるかというと、一般の国家公務員、普通の職員は、能力・実績主義ということで、能力五段階評価、実績五段階評価と結構厳しい評価を受けている。業績が一年に一遍だったでしょうか、能力の方は半年に一遍だったでしょうか、そういう評価、逆だったかもしれませんが。
ところが、事務次官とそれから省名審議官、ただの審議官じゃなくて事務次官相当の審議官、農林水産審議官とか、こういう方たちだけは別なんですね。評価基準が大甘になっております。
具体的に言いますと、事務次官と省名審議官のみが、勤務状況、通常のとき、普通のとき、上位とみなされるようになっているんです。普通の職員は、通常のときは中位、これは当たり前ですね。ところが、事務次官と省名審議官だけはげたが履かされているんです。
これはちょっと、基本法の第二条の六号の能力及び実績に応じた処遇の徹底にこの政令自体が違反しているのではないかというふうに考えているんですが、いかがでしょうか。
○井波政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、国家公務員の人事評価におきまして、事務次官級職員については二段階、それから局部長級職員については三段階、これら以外の職員については五段階ということで行っているところでございます。
事務次官級職員が二段階評価であるその理由でございますけれども、事務次官級職員につきましては、より上位の官職が存在しないということで、それが一番上だということで、今の職責を適切に果たしているかどうかということを評価すれば足りるということが一つ。それから、事務次官級職員につきましては指定職俸給表が適用されておりまして、その官職に応じて特定された額の給与が支給されているということで、給与に対する活用につきましても、下位の職員と比べると限られておるということがございますので、二段階ということでございます。
要は、通常の職責をできているか、できていないかということで、甲と乙、できているか、できていないかで評価をしているということでございます。
○大熊委員 普通の人に、あるいは普通の会社で人事をやっている人に、この説明で誰もわからないと思います。
実際、では、事務次官は全部最高位になっちゃうんじゃないですか。二段階で全部上になっちゃうんじゃないですか。全部上位の評価になっちゃうんじゃないですか。これは、普通の職員からすると、何で事務次官だけそんなに優遇されているんだ、げたを履いているのはおかしいじゃないかとなると思いますよ。一言だけお願いします。
○井波政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、ここで上位の段階と申しておりますのは、二つしかございませんので、できているか、そうでないかという意味での上位の段階でございまして、現在の職責を適切に果たしていれば、それは、ここで言うところの甲。そうでないというのと、そうであるというのと、その二つで評価をしているということでございます。
○大熊委員 時間が参りましたので。
これはやはり、事務次官でも普通の職員と同じような評価基準でやらないと、能力実績主義の徹底にならないし、基本法に違反している、そういうふうに申し上げて、終わりたいと思います。
以上です。
○平井委員長 次に、小松裕君。
○小松委員 自由民主党の小松裕でございます。
本日は、一般質疑ということで、少子化対策について質問させていただきます。大変お忙しい森大臣にお越しいただきまして、本当にありがとうございます。感謝しております。
安心して子供を産み育てることのできる社会、病気になっても安心して病院を受診できる、老後も安心して暮らすことができる、全ての場面において、この安心というキーワードは、これからの日本を支える上で、極めて大事なものであります。
少子化問題は、この安心を支える日本の社会保障制度や経済への深刻な影響を与えるものであり、その不安がさらに少子化を加速させるという、いわゆる負のスパイラルに陥る可能性があるものです。この少子化危機とでもいうべき問題に対しては、直ちに対策を講じなければいけない。日本にとって喫緊の課題であると認識しています。
また、単なる経済や社会保障の担い手が少なくなるといった社会的観点からだけではなく、純粋に、子供たちのたくさんの笑顔が日本を元気にします。東日本大震災でも、どれだけの人たちが被災地の子供たちの笑顔に救われたことでしょうか。
これまでも、さまざまな少子化対策が講じられてきました。平成十五年に成立、施行された少子化社会対策基本法、それに基づく大綱、そして昨年には子ども・子育て関連三法案が成立いたしました。しかし、少子化社会対策基本法の施行から十年、現在の合計特殊出生率が一・三九。もちろん、女性が子育てをしやすい環境、これは徐々に整いつつあるというふうに認識しておりますが、少子化対策の目標、すなわち、先日の審議でも大臣が答弁された合計特殊出生率二・〇、これにはほど遠い状況であります。また、少子化担当大臣という言葉も国民にはかなり浸透していますが、この十年間何をやってきたんだろう、こんな印象もあるのではないかと思います。
そこで、お伺いいたします。
今まで、特にこの十年の少子化対策、施策に関してきちんと評価、検証がされているのか。当然されていると思いますが、それについてどのように分析をしているのか、お聞かせください。
○森国務大臣 ありがとうございます。
少子化は、今、大変危機的な状況にございまして、現在の合計特殊出生率一・三九のままであると、日本の人口がゼロになる日、日本が絶滅する日、これは三〇〇〇年。国立の人口研究所が出している試算であります。しかし、最後の二人が二九〇〇年でありますから、その二人が同性であるとすると二九〇〇年には人口がゼロになるということで、世界の中でも最も高いスピードで、少子高齢化、そして人口ゼロに向かって突き進んでいるわけです。
これは、単に生産年齢人口、つまり労働人口が減って経済成長を阻害するとか社会保障の問題であるというだけではなくて、急激に人口が減っていくことで、今いる子供たちが少ない人数で多額の財政負担を背負っていかなくてはならない、そして社会保障費の負担もしていかなければならないということで、委員御指摘の、子供たちの顔から笑顔が消えていく、そういうことがないように、私たち大人がしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
さて、今まで約十年間、政府が取り組んできた施策、平成七年のエンゼルプランから始まり、まず少子化対策の予算の額でございますけれども、当初、平成七年、エンゼルプランで五千四百四十億。現在の、今回の安倍政権の少子化対策の予算が三兆二千八十六億円でございますので、徐々に増加をしている傾向ではありますが、世界的に見ますと、やはり少子化対策に講じられている予算は少ないということが言えると思います。
ですので、これだけの危機的な状況を国民の皆様に認識をしていただき、予算の総額を上げて、効果的な政策を打ち出せるようにしていくということをまず私は目標にしております。
また、その獲得した予算で何をするのかという政策でございますけれども、目的が曖昧なまま対症療法的に政策を講じていても効果が上がらないわけでございますので、平成七年からの今までの政府の政策を全てマトリックスにして並べてみました。男女の出会いから、結婚、妊娠、出産、育児というふうに人生を横軸にして並べてみますと、一目瞭然、今までの少子化対策は、ほとんどが子育て支援、最後の部分に講じられておりました。
しかし、先ほど申し上げましたように、働く女性の環境が昔よりは整いつつあると委員がおっしゃってくださいましたけれども、私の認識は、私が長女を産んだ十三年前、これも待機児童で保育所も見つからず大変な状況でございましたが、今もなお、その当時と変わっていないというふうに思っています。ですから、この子育て支援もさらに強化をしていく必要があると思います。
そこで、安倍政権では、子育て政策三本の矢と称しまして、一番目として、子育て支援、これを強化していく、待機児童の解消などですけれども。そして二つ目として、働き方の改革、これについても強化をしていく。そして三番目として、今までほとんど政策が打たれてきませんでした結婚、妊娠、出産の部分ですね、例えば不妊治療の助成などをもっと充実するというようなところでございますが、こちらの方にもしっかりと政策を打っていこうという方針を立てたところでございます。
○小松委員 ありがとうございます。
まさしく今大臣がおっしゃったことが原稿に書いてありまして、本当にそのとおりだと思います。
三月のこの委員会でも、日本維新の会の杉田委員から、子育てとそれから少子化対策、これを分けて考えるべきだという御意見がありました。全くそのとおりだと思います。また、大臣も、所信表明の中でも、今おっしゃったようなこと、結婚、妊娠、出産、育児、それぞれのステージで課題が山積して、そこに切れ目ない支援を行う、このように述べられております。
やはり、私も、その前半の結婚、妊娠、出産に関して、何かしっかりした施策を講ぜずして、この少子化社会の解消はできないというふうに考えております。もちろん、結婚や出産に関しては個人の考えや価値観が尊重されるべきでありますが、しかし、結婚したいのにできないという方もたくさんおられます。結婚や妊娠を望む人の希望が実現できる社会をつくるということが大事なのではないかと思っています。その部分に踏み込まずして、少子化危機を脱することはできない。
同時に、大臣、少子化危機という言葉を何度もお使いになりましたが、やはり国民全体がこれが危機であるという認識を持つこと、そして我々政治の世界の人間も危機であるという認識をしっかり持つということが大事なのではないかと思います。
また、生涯未婚率も加速的に上昇を続けておりまして、男性では、昭和五十五年には二・六%であった生涯未婚率、これが三十年後の平成二十二年には二〇・一四%、二〇%を超えました。結婚したくてもなかなか出会いの場がないという声に応えて、若者たちに出会いの場を提供するなどのさまざまな取り組みが地方自治体などでも行われております。本気で結婚したい人、それから子供をつくりたい人、これに手を差し伸べるということも大事なんだろうと思います。
そこで、二番目の質問ですけれども、少子化対策に大きくかかわる結婚、妊娠、出産という部分に関して、先ほどの答弁でお答えいただきましたけれども、改めて、今後、政府として具体的にどのように取り組んでいくのか、お教えください。
○森国務大臣 先日、私のもとにある有識者会議である少子化危機突破タスクフォースにおいて、有識者の委員の皆様の意見が提案書に取りまとめられて、私の方に提出をしていただきました。
その中には、地方自治体の取り組みを支援するということがあります。少子化の現状が地域差が非常に大きくて、先ほどのような待機児童は地方ではほとんどない、そのかわりに産婦人科の不在というものが大変な問題になっているなどの問題があります。そのうち、結婚、妊娠、出産については、例えば、地方自治体で、結婚したときに結婚祝い金を差し上げたり、それから自治体での婚活支援をしたりしています。そういったものを政府として財政を支援していくということも一つだと思います。
また、結婚したいと思っている未婚の若者は九割いるという統計が出ております。そのうち、やはり子供は二人以上欲しいというふうに言っている方がほとんどです。このような希望をしている人を結婚できる環境にしていくことが国としての責任だと思います。
そして、では、なぜ結婚しないのかというふうに伺いますと、やはり経済的な原因が非常に多いのです。ですから、若者の経済的な安定、雇用の安定ということについて、政府では、若者・女性活躍推進フォーラムにおいて政策を取りまとめまして、正規社員としていく、そしてその正規社員の働き方の方法を柔軟にしていくということを取りまとめまして、それを成長戦略の中に位置づけるように、今、産業競争力会議の中で検討しているという状況でございます。
○小松委員 どうもありがとうございました。そのような具体的な取り組みをぜひ進めていただきたいと思います。
少子化対策として、妊娠しやすい若い時期に女性が出産できる社会、これを目指すことも大変大事なことだと思います。少子化の一つの原因として、晩婚化、それから晩産化が言われております。実際に、平成二十三年には、第一子出生時の母親の平均年齢が三十・一歳と、三十歳を超えました。ちなみに、昭和五十年は二十五・七歳、昭和六十年は二十六・七歳であります。
お手元に資料を配らせていただきましたが、これは妊娠に関する興味ある報告であります。平成二十二年度の厚労省科研費分担研究報告書、未婚女性の妊娠に関する意識調査の報告であります。
医学的には、加齢とともに不妊や流産が増加するという事実が知られているわけでありますが、未婚女性たちがそのことを知らないという報告であります。ごらんいただけばわかるように、二百四十九人、平均年齢二十五・二歳の女性に対してアンケートを行ったと。
その結果、時間がありませんので、あとは読んでいただくことにして、最後、表があります。「あなた自身はいくつまで自然に妊娠できると思いますか?」何と、三一%が四十五歳まで妊娠できる、五%の人が五十歳まで妊娠できる、そして、一%の人が何と六十歳まで妊娠できると答えている。つまり、大変、妊娠に関する知識がないということであります。
同時に、他国と比較した調査でも、我が国民が、妊娠適齢期などの知識度合いが先進国の中では最も低い、こういった報告もあります。実際、婦人科医に聞いてみても、高齢になってから妊娠を望んで、そこで初めて不妊症がわかる、そういったケースもふえていると聞いています。学校教育においても、若年の望まない妊娠はリスクが高いという教育は行われていますが、高齢になると妊娠しにくいよという教育は行われていないというのが現状であります。
このように、男性を含め、国民が妊娠に関して正しい知識を持つということが少子化対策として非常に大事だというふうに思いますが、少子化対策のための最後の質問です。特に、妊娠にかかわる教育や啓発活動、具体的に、高齢になれば妊娠しにくい、この事実に関しての教育、啓発を今後どのように取り組んでいかれるのか、お教えください。
○森国務大臣 先ほどのタスクフォースでも、男女ともに、妊娠できる力、つまり妊孕力についての認識が先進国の中で最低であるという国際的な論文が報告をされまして、男女ともに妊孕力に対する知識の啓発をしていくべきだという意見が出されました。
それに対して、チームをつくって、これから啓発の仕方等を検討していくことにしております。
○小松委員 ありがとうございます。
少子化対策、これはすぐ結果が出るものではありませんが、長い目で見た政策も必要です。同時に、この現状をしっかりと危機と捉え、そして早急な対策を講じなければ、日本の将来はないと思います。
ぜひ、この問題に真剣に取り組んでいただくというか、我々が取り組まなければいけないということを最後に強調させていただいて、私の質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
○平井委員長 次に、川田隆君。
○川田委員 私は、自由民主党の川田隆でございます。
初めての質問でございますので、不手際があると思いますが、よろしくお願いを申し上げます。また、先に御質問をいただいた委員の皆様と内容が重複するところもあるかと思いますが、確認の意味も含めて質問をさせていただきますので、御了承いただきたいと思います。
さて、五月二十四日に、安倍総理から稲田公務員制度改革担当大臣へ、内閣人事局の設置を来年の春とするようにスピード感を持って検討するようにという指示があったとお伺いをしております。
国家公務員制度改革については、第一次安倍内閣において、平成十九年に国家公務員法が改正され、新たな人事評価制度の導入による能力・実績主義に基づく人事管理の徹底及び再就職規制に関する規定が設けられました。
平成二十年には、国家公務員制度改革基本法が自民、民主、公明、社民の賛成で成立をいたしました。それを踏まえ、自公政権の麻生内閣においては、幹部職員人事の一元管理、内閣人事局の設置等を行う国家公務員法改正案が提出されました。
また、民主党政権においても、鳩山、菅内閣においてそれぞれ法案が提出されましたが、いずれも成立には至っておりません。
国家公務員制度改革については、そのような現状を踏まえ、現在、政府内で、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会を設置し、検討を進めていると聞いておりますので、国家公務員制度改革について質問をさせていただきます。
まず最初に、国家公務員制度改革の必要性及び目的についてお伺いをいたします。
基本法では、国家公務員制度改革の必要性について、行政運営を担う国家公務員に関する制度を社会経済情勢の変化に応じたものとすることが喫緊の課題としています。また、国民全体の奉仕者である国家公務員について、一人一人の職員が、その能力を高めつつ、国民の立場に立ち、責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行することとするため、国家公務員制度改革を総合的に推進するとしています。
そこで、基本的なことでありますが、まず、国家公務員制度改革がどうして必要なのか、何を目指すものなのかをお伺いしたいと思います。
○寺田副大臣 お答えをいたします。
公務員制度改革の必要性、目的についての御質問であります。
御承知のとおり、ちょうど六年前の第一次の安倍内閣のときにおきまして閣議決定をされました公務員制度改革の基本的な考え方、これは、今日においても妥当するものであります。
とりわけ、昨今、霞が関を中心に大変優秀な有為な人材が集まっているにもかかわらず、その能力あるいはまた識見が十分生かされていない、こうした意見が、我々内閣府で行っておりますさまざまな調査や、あるいはまた稲田大臣のもとで行っております意見交換会でも表明をされております。
私自身も、実は二十四年間霞が関で、旧大蔵省、今の財務省に籍を置き、公務員として働かせていただきました。また、当委員会には、平口理事を初めとして、霞が関に籍を置いておられた方、あるいはまた準公務員の立場で公務に精励をされていた方も多々おられるわけでありますが、国家公務員自身が非常にやりがいのある仕事である、そのことは論をまたないわけであります。
とりわけこの行政の仕事というのは、司法と違いまして、司法は、問題が発生した後に後追いで、事後的な救済である、また、立法府は、当然、国権の最高機関として、全体の法律、重要なルールづけを行う立法府に対しまして、行政府というのは、問題が発生をする以前に広くアンテナを張って、社会情勢をフォローし適切な対応をとっていく、そうした事前予防的な側面、そしてまた法律を執行するという執行者としての側面を有しているわけであります。
私自身の経験からしても、また多くのそうした経験をお持ちになった委員の方々から見ても、大変やりがいのある職場であることは当然かと思いますが、先ほど申し上げたような人材の有効活用であるとか、あるいはまた縦割り行政の弊害、こうしたものも顕在化をしているわけでありまして、今、稲田大臣のもとに意見交換会を開催し、活発な審議を、有識者の方やあるいは現職の公務員、あるいは公務員のOBの方、さらには学者あるいは民間の企業経営をしておられる方からも幅広く意見を伺い、現在、公務員制度改革に向けての議論を深めているところであります。
そういったような状況に鑑みますと、平成十九年当時の第一次安倍内閣のときに出されました基本方針、そこでうたわれた必要性、これは変わっていないものと認識をいたしております。
○川田委員 ありがとうございます。
次に、国家公務員制度改革基本法の達成状況についてお伺いをさせていただきます。
国家公務員制度改革について、稲田大臣が、三月十九日の記者会見等において、基本法に書かれていることを実現していくことが基本であると発言されております。
基本法の第六条の採用試験の改革については、既に平成二十四年の採用試験から改革が実施されております。
そこで、基本法において現在までに既に実施されている項目、実現されていない項目は何か、なぜ実現できないかをお伺いしたいと思います。
○寺田副大臣 お答えをいたします。
国家公務員制度改革基本法におきまして、さまざまな改革事項、これが法律でもって定められたことは委員御指摘のとおりであります。かなりのことが既に実現をいたしております。
例えば、この基本法の第五条関係の政と官の関係、政官関係については、昨年、閣僚レベルでの申し合わせがなされ、政と官のあり方について方向づけがなされた。
また、第六条関係で申し上げますと、採用試験の見直し、かつては1種、2種、3種という区分であったものを、公務員の特性また仕事の内容に合わせて、総合職、一般職そして専門職という、三つの職種に応じた区分けに三分類をいたしております。また、研修制度のあり方につきましても、これは平成十九年の国家公務員法の改正によりまして、人事評価制度とともに新たな研修の仕組み、これを構築いたしたところであります。
あと、第八条関係といたしまして、国際化をしている、インターナショナルになっているということで、国際対応に即した採用を行うべきという条項が第八条に定められております。この点につきましても、政治・国際区分、こうした新たな総合職の試験区分を新設いたして国際化に対応する、そうした人材を積極的に登用いたしております。
また、第九条関係、これは人事評価について第九条は定めております。信賞必罰を行うということで、これも十九年の法改正におきまして導入をされました人事評価制度において対応済みであります。
また、第十条関係、これは、さまざまな国家公務員の縦割りの業務を簡素化していこうということで、十九年の法改正におきまして導入をされました業務の簡素化、そしてまた、それにふさわしい評価制度において、この点についても措置済みであります。
同じく第十条関係、これは第十条第二号の規定があります。これは、能力主義、実績主義の徹底、これが法律でもってうたわれております。この点につきましても、十九年の法改正におきまして、成果給、能力給の導入、そしてまた、能力主義、実績主義を徹底するため、そうしたものを給与面にも反映をさせていく、こうしたことについても対応済みであります。
このようにかなりの点については措置済みでありますが、委員も御承知のとおり、国家戦略スタッフの設置、これは第五条の第一項であります。また、幹部人事の一元化、これは第五条の第二項関係であります。この幹部人事の一元化と極めて密接に関連をしております第十一条関係、これは内閣人事局の設置、これもまだ未措置であります。
また、次の第十二条、これは自律的労使関係の措置ということであります。これもまだ措置がなされていないところであります。
○川田委員 それでは、次に質問をさせていただきますが、時間もあれなので、ちょっとはしょらせていただいて、次に、国家公務員制度改革の検討状況及びスケジュールにつきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
国家公務員制度改革については、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会において検討を進めていると承知しております。
意見交換会は、公務員が誇りを持って職務に邁進し、若い優秀な人材が公務員を目指すことを促す改革を行うという観点から検討が行われており、二月の二十二日の設置後、これまでに六回の会合が実施され、五月二十四日には、これまでの議論の中間整理が取りまとめられたと承知いたしております。
これまでの意見交換会でどのような議論がなされたのかについてお伺いをしたいと思います。
○寺田副大臣 委員御指摘のとおり、稲田大臣のもと、六回にわたり、有識者を中心とした意見交換会を開催し、かなり活発な審議、議論が行われております。
その代表的な例を御紹介いたしますと、例えば、若手公務員が途中でやる気をなくして退職をしてしまう、そのようなケースが目立っており、士気の低下が見られるのではないか。したがって、若手が志を持って、ライフワークとして公務員として公務にいそしむ、そうした体制を整備すべきではないか。すなわち、士気の向上とやる気の喚起についての御指摘が出ております。
また、代表的な意見といたしましては、公務員バッシングが非常に強く行われ、そのことが士気の低下を招いている。もちろん、批判に対しては適切に対応しなければいけないが、後追いの批判に対する対応だけでなく、やはり行政の本来の性質である先取りでもっていろいろな問題に予防的に対処する、そうしたような教育あるいは研修を行うべきではないかという御指摘。
また、さらには、最近、非常に専門化をし、高度化をし、また国際化をした行政分野に適切に対応いたしますために、国民サービスに資する有能な職能集団である国家公務員を築く。
また、さまざまな問題に有効に対処できる機動性、弾力性、さらには、さまざまな事象を十分調査研究できる、いわばシンクタンク的な蓄積、また研究機能、こうしたものを持ち合わせ、国家公務員が国民目線に立ち、専門性を確保しながら、高い意欲と誇りを持って働ける、大変これは理想的なことでありますが、そのような環境をつくっていくべきではないかという御指摘。
さらには、最近、大変残業がふえている。これは、例えば、国会の質問に対する対応であるとか、とりわけ、この残業の要因が、政治との関係、国会との関係ということも見られる。あるいは、それのみならず、例えば、法令審査などにおいて極めて短期間の期限が区切られてしまって、残業を強いられてしまう。そのことが、ワーク・ライフ・バランスの点から見ても、また、大変公務員が疲弊をしてしまって前向きな仕事ができない、そういったようなこともありますので、残業の削減、また、政と官の関係の再見直し、あるいは、極端な定員削減が業務の停滞を招いておりますので、やはり適正な定員配置を行うべきではないか、こうしたような議論。
さらには、能力主義、実績主義が導入されたといっても、まだ横並びでもって任用あるいは昇進あるいは処遇がなされている。もっと能力主義、実績主義を徹底して、若手でも積極的に登用を行う。あるいは、かつてのキャリアシステムは、同期生が同じタイミングでもって課長補佐になり、課長になり、指定職になるというふうな階段を上るシステム、これも改めて信賞必罰を徹底させるべきではないか。こうしたような議論が現状行われております。
そういったような議論も踏まえ、おおむね一カ月後に、国家公務員制度改革推進本部、これを開催し、これまでの議論も踏まえて全体の改革像を示しますとともに、仮に秋に国会が開催をされる場合には、その国会でもって公務員制度改革のための法案提出、これを目指したい、そのように考えております。
○川田委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○平井委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
きょうは、武器輸出三原則について質問をいたします。
政府は、三月、F35戦闘機の共同生産への参加を武器輸出三原則の例外扱いとする官房長官談話を公表いたしました。アメリカを初めとする共同開発国九カ国と同機の生産、導入を予定するイスラエルに、日本企業が製造した部品や役務を提供することを可能にするものです。
武器輸出三原則は、一九八一年の国会決議で、日本国憲法の理念である平和国家としての立場を踏まえたものと宣言されております。憲法の平和主義に立脚する国是であり、内閣の一存で変更することは許されないものであります。
ところが、政府は、一九八三年に対米武器技術供与に踏み切って以降、次々と例外化措置をとってきました。二〇一一年には、国際共同開発・生産などを包括的に認めるに至りました。それでも、従来の談話では、国際紛争を助長することを回避するという平和国家としての理念は維持していく、このように述べておりました。
ところが、今回はその言葉までなくなりました。国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念は維持していくという表現に置きかえられております。
官房長官に伺いますが、国際紛争を助長することを回避するという理念は放棄したということですか。
○菅国務大臣 世界の状況も非常に変わってまいりまして、例えば、当初は考えられなかったテロとの闘い、こうした国際社会の平和と安定のために取り組んでいかなきゃならない紛争も出てきたわけであります。
そうしたことを踏まえたときに、紛争の平和的解決や国際の平和及び安全の維持を目的と定める国連憲章に言及する形で、これを遵守していくことこそ平和国家としての基本理念である、こうした方が適切である、そういうことで判断をした次第であります。
いずれにしろ、我が国は、平和国家としての基本理念、このことを維持していくことには全く変わりがありません。
○赤嶺委員 今の答弁の様子からいたしますと、私が聞きました、国際紛争を助長することを回避するという、これまでの理念の根幹にあったわけですが、それを放棄したのかどうかということを聞いているわけです。
はっきり答えていただきたいと思いますが、談話では、移転は国連憲章の目的と原則に従うF35ユーザー国に限られると述べております。要するに、国連憲章の目的と原則に従っていると認めれば、紛争当事国であっても輸出は認める、そういうことではありませんか。
○菅国務大臣 先ほど申し上げたとおり、紛争の平和的解決や国際の平和及び安全の維持、このことを目的とする国連憲章に言及する、このことがやはり適切である、私たちはそういう判断をいたしました。
そして、我が国は、平和国家としての基本理念というのは、これは維持、続けていることは当然のことであります。
○赤嶺委員 それでは、具体的に聞いていきますけれども、今回の措置によってイスラエルへの輸出が可能になります。イスラエルは、パレスチナ問題の当事者であり、レバノン、ガザなどへの軍事攻撃を繰り返してきた、紛争当事国そのものではありませんか。
○菅国務大臣 いわゆる今回のF35でありますけれども、我が国の安全保障の環境を考えたときに、我が国にとっては極めて重要な航空機であるというふうに考えています。
そして、このF35に参画をするには、まさにかつてない後方支援システムというんですか、部品を調達、同じくする、そうしたことが今回は従来と変わっているわけであります。我が国としては、必要なときに速やかに部品等の供給を受けて迅速な整備が可能となることから、我が国として適切なコストでF35の可動率を維持するために、このALGS方式というものに参画をしたわけであります。
この方式には既に、F35というのは、イスラエルが、日本が入る前にユーザー国でありますから、同システムの性格上、国内企業が製造したF35の部品の一部がイスラエルに移転される可能性というのは排除されるものではありません。
しかしながら、米国は、国内企業が製造したF35の部品等の移転を国連憲章の目的と原則に従うF35ユーザー国のみに限定しているということであります。また、我が国及び米国も、イスラエルにおけるF35の調達は地域の基本的な軍事バランスに影響を与えないものと認識をいたしております。
総合的に判断をして、日本製の部品がイスラエルへ移転をされても、それによって平和国家の基本理念に反するものではないという考え方であります。
○赤嶺委員 大変無責任な、これまでの平和国家としての日本のあり方、そういう考え方に真っ向から挑戦する官房長官の答弁であります。
イスラエルに部品が提供され得るシステムへの参加も皆さんは決めたわけです。しかも、今後、日本の国内企業は外国の導入分にも参入しようという意向を持っているわけであります。
今回の安倍内閣の官房長官談話は、これまでの平和国家のあり方に真っ向から挑戦しているものと言わざるを得ません。
それで、問われているのは、日本政府の中東へのかかわり方そのものであります。
第二次世界大戦後、イスラエルとパレスチナの間では軍事攻撃と停戦が繰り返されてきました。二〇〇八年末から二〇〇九年初めにかけてのイスラエルによるガザ攻撃では、パレスチナ側の死者は千三百三十人に上り、人口密集地で白燐弾、クラスター弾などが使用され、国連施設も攻撃をされました。
政府は、これまで、攻撃のたびに民間人に犠牲を生じさせたことを非難し、攻撃の停止と和平交渉の継続を求めてきました。外務省のホームページにある「中東和平についての日本の立場」というペーパーには次のように書いてあります。イスラエル、パレスチナ間の紛争は、交渉によってのみ解決されるべきものであり、暴力はかたく拒絶されなければならないことを強調する、こう述べております。
今回の措置は、交渉による中東和平の実現を呼びかけてきた政府の姿勢、これとも根本から矛盾するものではありませんか。
○菅国務大臣 いわゆる個々の事例が国際紛争に当たるか否か、それについては、平和国家としての基本理念との関係で問題があるのかないのか、そうした点について、さまざまな要素がありますから総合的に判断すべきであって、一概に申し上げるということは差し控えたいというふうに思います。
さらに、先ほど申し上げましたけれども、イスラエルというのは、我が国がF35の導入及び製造参画を決めた時点で、既にF35の導入及びALGSへの参加をもう決定していたんです。
ですから、イスラエルに対してALGSの枠組みの中で他のユーザー国から部品等が供給されることは、我が国がこの枠組みに参加するか否かにかかわらず変わりはないわけであります。
我が国の製造した部品がイスラエルに移転される場合があるからといって、そのことをもって国際紛争を助長することにつながるとは認識をいたしておりません。
○赤嶺委員 部品だけでなくて、先ほども申し上げたように、国内の企業は、今後、外国の導入分にも参入しようという意向を持っているわけですから、大変危険な状態だと思うんです。
今、個別について申し上げることはふさわしくないという答弁でありましたけれども、イスラエルという国は、紛争当事国であるだけでなく、国際法に違反する行動を繰り返してきました。この五月十日には、ヨルダン川西岸におけるユダヤ人住宅建設計画について、外務報道官談話が出されています。そこでは、イスラエルによる入植活動について、国際法違反と非難し、完全凍結を求めています。
日本政府みずからが国際法違反と指摘しているのに、なぜ国連憲章の目的と原則に従う国になるんですか。
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、国際紛争に当たるか否かというのは、平和国家としての基本理念としての関係で問題があるのかないのか。そうしたものについては、さまざま要素がありますから総合的に判断すべきであって、一概にそこがどうこうということを申し上げるべきじゃないというふうに思います。
○赤嶺委員 日本政府自身が国際法違反だということを指摘しているような国について、曖昧な答弁をすることは許されないと思います。私は、官房長官談話は、紛争当事国であっても、国連憲章に従っていなくても、日本からの武器輸出を認めたものだと考えます。
そもそも、共同開発を主導するアメリカ自体が、国連憲章に違反して世界各地の紛争に介入してきた最大の紛争当事国です。中東関係者からは、これだけはやってはいけないというのが今回の決定だと、厳しい批判と憂慮の声が上がっております。政府は重く受けとめるべきだと思います。
もう一点伺いますが、F35のユーザー国は、現在の十一カ国に限定されているわけではありません。今後、新たに導入を希望する国が出てくる可能性があります。その場合に、ユーザー国として認めるかどうかを判断するのは誰ですか。
○左藤大臣政務官 平成二十五年度の政府予算においては、国内企業は、我が国が取得するF35A二機に対応する部品のみを製造する予定であります。それ以上の製造を行う予定はございません。
○赤嶺委員 今後ユーザー国がふえていくときに、誰がそれをユーザー国として認めるかどうか、これは、日本の事前同意も条件になっていない、アメリカが決めるんですね。結局、アメリカ言いなりの方向に日本がどんどん武器輸出していく、こういうことは憲法の考え方に立っても絶対に許されないことであることを申し上げて、質問を終わります。
○平井委員長 次に、村上史好君。
○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。最後になります。よろしくお願いいたします。
きょうは、甘利大臣に、昨今の経済的な動きについての御認識と、そして財政再建についての御見解をお尋ねしたいと思います。
まず、株価の問題でございます。
御承知のとおり、安倍政権が成立をして、ずっと右肩上がりで株価が上がってまいりました。一万五千九百円余りをピークにずっと上がってきたわけですけれども、しかし、御承知のとおり、この一週間でおよそ二千三百円ほど一気に下落してしまった。きょうは、寄りつきで二百円以上戻したそうでございますけれども。
もちろん、株価の動向に一喜一憂することはすべきではないとは思いますけれども、ただ、今回の一千円以上の暴落の中ではっきり見えてきたのは、やはり予想どおり、株価を上げてきたのは海外のいわゆるヘッジファンドを中心とする投資であったということがより明確になってきたと思います。と同時に、国内の企業が業績が好転をして株価がどんどん上がってきたという状況でもないというのも明確になってきたと思います。
そういう視点で私は今の株価の現状を捉えておりますけれども、大臣の御認識を伺いたいと思います。
〔委員長退席、木原(誠)委員長代理着席〕
○甘利国務大臣 株価やあるいは為替について関係閣僚がコメントをするのは、市場に対して何らかの影響を与えるということで、好ましいことではありません。でありますから、基本的にはコメントをしないということでありますけれども、この間の乱高下について、いろいろ識者の方がおっしゃっていることは幾つかあります。上昇の仕方が急であった調整局面ではないかとか、あるいは海外のいろいろな要因が国内にはね返ってきている等々、専門家の方はおっしゃっているわけであります。だとすれば、海外の状況が落ちついてきつつありますから、次第に日本の市場の振れ幅も落ちついてくるのではないかということは言えるのではないかというふうに思っております。
日本の上場企業、上場している企業が本当に体力がついて成長していくという中で株価が上がっていくと、これは本物の上がり方だという御指摘なんだと思います。日本の企業、特に輸出企業を中心に業績が改善していることは確かであります。それによって株価にはね返ってくるということもあるんだと思っております。
私どもとしては、かねてから申し上げていますとおり、実体経済がきちんとついていくように各般の施策を行っていく。一の矢、二の矢、これはとにかくデフレを脱することということで取り組んできたわけであります。物価安定目標を掲げて、そこまで金融緩和をしていく、そしてその需給ギャップを埋めていくために種火としての財政出動をする、しかも効果的な財政出動をする。その種火が本体の経済全体に点火をして五百兆の経済が動いていくようにする、そのために投資の予見性を高めていくということで、目標を示して、そこにたどり着くまでの障害物をなくしていく。規制緩和であるとか、あるいは基礎的な研究、国がやるべき研究について方向性を示す等々、成長戦略で示して、実体経済がしっかり盛り返してくるようにしていきたいというふうに思っております。
〔木原(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
○村上(史)委員 いろいろな見方はあるという御答弁でもありますけれども、ただ、一つは、やはりムード先行を戒める一つの警鐘だというふうな認識も持つ必要があるのではないかなということを指摘しておきたいと思います。
次に、貿易収支についてお伺いをいたします。
一月から四月の貿易統計を見ますと、輸入超過が続いております。政府は、従来より、円安効果として、輸入価格は上がるけれども輸出は間違いなく拡大するんだ、日本にとってこの円安というのは大きなメリットなんだということを主張されてまいりました。アベノミクスの円安効果が輸出をふやしていくことになるんだ、まさにいわゆる自画自賛をされてきた、そういう答弁を何度も伺っておりますけれども、現実には、その輸出が伸び切っていない、ふえていない。この現状は現状として認めて、現状をどのように認識されるのか、お尋ねします。
○甘利国務大臣 御指摘のように、ことしの四月時点での統計で約八千八百億円の貿易赤字であります。ずっと赤字傾向が続いているわけであります。
一番大きい原因というのは、原発停止による新たな発電用燃料の調達、これが、去年のレートでいうと三兆一千億円、ことしのレートでいうと年換算三兆八千億円、新たな輸入がふえたということが確かに大きい原因であります。
円安で輸入物価に影響する、しかし輸出でその分を取り返すということでありますけれども、輸入のマイナス効果と輸出のプラス効果、これがしっかり入れかわっていくのに通常半年くらいのタイムラグがあるというふうに言われています。
アベノミクス効果、スタートしてまだ五カ月でありますから、この間、次第に輸出が伸びつつある、ここのところ、輸出が二カ月連続前月比プラスになっております。一方で輸入の方は横ばいでありますから、このまま堅調に輸出が伸びていくと、プラスマイナスが相殺をされるのではないかと期待をいたしております。
○村上(史)委員 いわゆる原発がとまって、ガス等の価格が上がって輸入超過になっているというのは、正直なところ言いわけのような気がいたします。既に原発事故からずっと稼働していない状況の中で、そのことは十分予測できたことでございますので、そのことだけで輸入超過だと言い切るのはいかがなものかなというふうに思います。
次に、ボーナスの話なんですけれども、そろそろそういう時期になってまいりました。
先般、経団連の方で、大企業ですけれども、今までにないボーナスアップだという発表がございました。それはそれとして大変結構なことだと思うんですけれども、やはり肝心かなめの、日本全体の企業の中で九八%を占める中小企業が本当に元気になっているのかどうか、そして、そこで働く人々にとって収入増につながるボーナスアップが見込めるのかどうか。大臣、中小企業の今置かれている経済状況、景気の状況をどのように判断されているのか、そして、政府が期待しているようにボーナスのアップに十分つながる状況になっているのか、その御認識を伺います。
○甘利国務大臣 委員が言及されましたとおり、先般、経団連が、一時金、ボーナスがかなりの伸びを示したという発表がありました。ただし、これは数でいうと、たしか六十四社でしたか、全体ではありませんので、安易にそれをもって全ての企業がその割合で伸びたということを認識するのは、ちょっと認識を誤るかと思っております。
ただ、いずれにいたしましても、一時金が伸びてきている、それから、ベアを実施した企業数も前年と比べると伸びたということであります。もちろん、定昇から全部含めては昨年とほぼ横ばいなんでありますけれども、企業の、景気上昇が従業員の賃金にはね返ってくるというのは当然タイムラグがあります。企業にしてみれば、将来を拘束される定昇であるとかベアであるとかいうことはやはり臆病になると思います。一時金であるならば、その次に業績が悪かったらまた戻せばいいということでありますから、だから、やはり足が速いのは一時金からだと思います。
我々がなすべきは、これをしっかり景気循環につなげていくということが大事だというふうに思っております。
先般、私が出ました番組でたしか発表された統計は、景気がよくなっていることを実感している人の割合が二一%でありました、何週間か前であります。まだこんなに少ないという見方もありますけれども、その前はほとんどいなかったじゃないかと。それが二割でも二割五分でも景気回復を実感する人が出てきたということは、動きが始まっているということだと思います。
中小企業への波及も、大企業、元請がよくなって、それが次第に浸透してくるということでありますから、先ほどの輸入と輸出の話ではありませんけれども、どうしてもタイムラグが出ると思います。
我々は、政策出動して、あるいは関係方面に要請をして、タイムラグを縮めていくということが、なすべき仕事だというふうに思っております。
○村上(史)委員 もう時間がなくなりましたので、財政再建について、最後に一言、お尋ねをしたいと思います。
先日、二十八日に経済財政諮問会議で、四年ぶりと言われる骨太の方針を出されました。第一章から第四章までございます。第三章が、いわゆる財政再建という項目になっております。しかし、残念ながら、その中身は全く見えないということと、それと、かねがね、経済成長と財政再建は同時進行的にやるんだということ、そしてまた、黒田日銀総裁も、いわゆる国債暴落のリスクを回避するためには、政府に財政赤字の解消の努力を求めていくということも繰り返しおっしゃっておられます。
そういう状況の中で、本当にこの財政再建ができるのか、またやる気があるのか、そして、国際公約を無事、果たすことができるのか、そのことが今、問われていると思っております。
残念ながら、きのう、きょうの新聞によりますと、早速、自民党の党内で、財政再建に比重を置き過ぎではないかという声がもう既に出ているという状況でございます。
そういう状況の中で、やはりきっちりと財政再建をやるんだ、消費税増税に頼らない形で財政再建をやるんだということを、大臣として明言をいただければと思います。
○甘利国務大臣 消費税は増税することが、前政権下の法案で決まっているわけであります。要は、環境が整っているかを我々は確認する必要があるわけであります。
財政再建と経済成長、これは両立させる、当然そうなんでありますけれども、片方が相手方をエンカレッジするという、相互の関係をつくっていかなければならないと思います。経済成長することによって、財政再建はよりしやすくなります。財政再建をすることによって、歳出の、政策経費の自由度合いは拡大するわけでありますから、それが景気をまた加速させる、景気が加速をすれば、歳入がふえて、財政再建はよりしやすくなるという、片方が片方をエンカレッジしていくということにしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。
○村上(史)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
○平井委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、来る六月五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十三分散会