衆議院

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第6号 平成25年11月15日(金曜日)

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平成二十五年十一月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      石川 昭政君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝沼 栄明君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      武部  新君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    橋本 英教君

      福山  守君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    足立 康史君

      伊東 信久君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山田  宏君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    佐々木憲昭君

      畑  浩治君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (地域活性化担当)    新藤 義孝君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   内閣府副大臣       関口 昌一君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   内閣府大臣政務官     伊藤 忠彦君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        川本正一郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            長谷川 靖君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 萩本  修君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岡田 憲和君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           高橋  洋君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    横田 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           樺島  徹君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 谷脇  暁君

   参考人

   (統計委員会委員長)   樋口 美雄君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  田所 嘉徳君     石川 昭政君

  高木 宏壽君     武部  新君

  豊田真由子君     勝沼 栄明君

  福山  守君     橋本 英教君

  遠藤  敬君     足立 康史君

  杉田 水脈君     伊東 信久君

  山之内 毅君     山田  宏君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     末吉 光徳君

  勝沼 栄明君     豊田真由子君

  武部  新君     高木 宏壽君

  橋本 英教君     福山  守君

  足立 康史君     遠藤  敬君

  伊東 信久君     杉田 水脈君

  山田  宏君     山之内 毅君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

  畑  浩治君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として統計委員会委員長樋口美雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長川本正一郎君、金融庁総務企画局参事官長谷川靖君、法務省大臣官房審議官萩本修君、文部科学省大臣官房審議官藤原誠君、文部科学省大臣官房審議官中岡司君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、農林水産省大臣官房審議官岡田憲和君、農林水産省大臣官房参事官高橋洋君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、中小企業庁次長横田俊之君、国土交通省大臣官房審議官樺島徹君、国土交通省道路局次長谷脇暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若井康彦君。

若井委員 おはようございます。民主党の若井康彦でございます。

 きょうは、この国家戦略特区について質問の時間をいただきました。よろしくお願いいたします。

 質問に先立ちまして、五月以来、作業のプロセスをホームページで拝見いたしておりますけれども、国家戦略特区のワーキンググループの皆さんの、短期間で精力的な準備作業に敬意を表します。まさに霞が関国の国家戦略特区と言うにふさわしいと思います。(発言する者あり)

柴山委員長 御静粛に願います。

若井委員 まず最初に、何度か質問もあったかもしれませんけれども、この国家戦略特区の目的と背景について、大臣にお伺いをしたいと思います。

 我が国におきましては、経済開発、これを目的とした拠点づくりの歴史は大変に長いわけですけれども、今回の国家戦略特区、国家といい、戦略といい、よく言えば、大変に気合いの入った、勇ましい部類だと思いますし、率直に言って、一方、大変に古めかしい印象も拭えないというところもあるわけですが、そもそも、この時点でこの国家戦略特区構想をお出しになった目的、どこにおありになるんでしょうか。

新藤国務大臣 若井委員のプロフィールを拝見いたしますと、まさに民間において都市の設計やプランニングをおやりになってきたという方でありますから、今コメントをいただきましたけれども、恐らく、内心において、私とかなり同じことを考えているのではないか。新しい日本の、いつの時代においても、新しい国づくりやプロジェクトが必要である、こういった意味において共感をいただいているのではないかな、このように推察をいたします。

 その上で、御質問にお答えいたしますけれども、私どもは、とにかく、この二十年以上続いた経済の低迷、日本の国民が将来に希望を失っている、また自信を失ってきた、それに対して、もう一度日本は元気になれる、我々は力があるんだ、このようなことをみんなでもう一度思い起こして頑張ろうではないか、それが、今回、私ども安倍政権の誕生という、国民からの御期待をいただいたことにつながっている、このように思っておりますし、ですから、我々の責任は極めて重いんだというふうに思っております。

 それは、かつての長い間政権を担ってきた自民党の政治のやり方では、これは国民が期待をすることができなくなった、そして政権交代が起きて、新たな試みがございました。しかし、それに対しても国民からの共感をなかなか得ることができずに、もう一回リセットしよう、こういうことだと思うんです。

 ですから、私どもは、今までのことも踏まえた上で、やはり新しい取り組みをしていかなくてはいけない。まずは経済を再生させる。それは異次元の金融緩和であり、そして、財政出動をした上で、持続可能な成長戦略というものをつくっていかなくてはいけない。その成長戦略の中で、まずは、我が国の発展を阻害していると思われるような規制があるならば、その規制は緩和をしつつ、これまでとは違った視点での新しい取り組みの象徴的となるプロジェクトをやろうではないかと。

 ですから、まさに大上段に振りかぶっているんです。あえてそのようにみんなで気合いを入れようという意味において、平易な言葉で言えば、日本の本気を示す、こういうプロジェクトが必要だ、このように思ったわけであります。

 もちろん、それは、この国家戦略特区が全てを解決するわけではありません。全てを包含するわけでもございません。ありとあらゆる分野において新しい改革やイノベーションが必要だと思っておりますし、私どもはそれに対応させていただいているつもりであります。一つ一つやっていく中で、これはまずこの日本経済の突破口として、象徴的なプロジェクトとしての国家戦略特区、こういったものをつくってみようではないか、こういう法案を出させていただいたわけでございます。

若井委員 大臣の意気込みは大変によくわかりました。その点については理解をさせていただくところでありますが、一方で、この国家戦略特区の目的を一言で言うと、大胆な規制改革を実行して、世界で一番ビジネスがしやすい環境をつくると総理もおっしゃっておられますし、この間の答弁にもこの言葉がしばしば出てまいります。

 この言葉をもう一度よく解きほぐしてみますと、世界で一番ビジネスがしやすい環境ということは、ある意味でいうと、我が国において規制緩和により最も活躍をしてもらいたい主体といいますか、その焦点がどこにあるのか。

 世界で一番ビジネスがしやすい環境と言うからには、このターゲットというものが、国際企業の世界において最もビジネスがしやすい、そういう環境を規制緩和によってつくっていくんだ、隘路になっている規制を除いていくことだ、それがこの国家戦略特区においてイの一番になすべきことだ、こういうふうにお考えになられていると。国際企業が働きやすい環境というふうに考えてよろしいんでしょうか。

新藤国務大臣 これは、もう少し広い意味で捉えていただいていいと思います。

 世界で一番ビジネスのしやすい環境というのは、一体どんなビジネスがあるのかと。ビジネスにはたくさんのものがあります。ですから、今回出させていただいている法案は、国家戦略特区というものを定めるに当たってはどのような仕組みが必要かということ、何をどこで決めていくかということを、今、法案として決めていこうということでお出ししているわけであります。

 この法案を成立させていただいた後に設けます諮問会議において、それでは、世界で一番ビジネスのしやすい環境を実現するためにはどんな特区が必要かということを決めていかなくてはなりません。それは幾つかのコンセプトが考えられると思います。

 例えば、まさに企業が集積できる地域をつくろうということになれば、それは日本の企業もそうですし、グローバル展開をしていく時代でございますから、日本企業に世界から外国の方も勤めることになるかもしれません。外国の企業が進出してくるかもしれません。そのときに、仕事のしやすい環境というのは何なんだろうと。そうすると、企業活動しやすいだけではなくて、世界からもし人材が集まってくるとするならば、その方の家族の方々も含めて日本が住みやすい国際的な環境を整えなければなりません。

 ですから、それは、職住近接という意味においての都心の居住をさらに高めていこうじゃないかという工夫もあっていいし、また、国際標準の教育機関をそこに設けることも必要だと思いますし、医療の高度サービスもあれば安心されると思います。それから、ショッピングや、生活も、そもそもがしやすいような、もちろんそれは、例えば文化とかアミューズメントも含めて、私は必要だと思いますけれども、そういう特区があっていいではないかということが一つでき上がると思います。

 別の観点からいえば、例えば食とか農業とか、別の国にはフードコンプレックスとかフードバレーというような、そういう取り組みをしている国もございます。例えば、この日本において、では農業や食というコンセプトで、国ぐるみで、みんなでこのプロジェクトをやってみようということになれば、それに対して必要な規制は、何が緩和の用意ができるか。それから、そこに、農業を活性化させるためには、農地の集約化も必要だと思います。農地の土地利用に対しての規制も考えなきゃいけないと思います。一方で、ICTを活用した先端農業というものもあっていいと思います。そのための基盤を整えなければなりません。いろいろなふうに、幾つかのコンセプトを立てて、それを、国家として取り組むべき戦略として、国と地方と民間事業体が一緒になってその仕事をやっていこうではないか、こういうことを考えたと。

 ですから、世界で一番ビジネスをしやすいというと、狭義に捉えていただかずに、これは、要するに仕事がしやすい環境をつくるんだと。それは日本の国内の新しい産業を興すことでもあるし、それは世界に打って出ることでもあるし、世界から取り込むことでもあると。いろいろな、そういったものを対応できるような、そういう特区をつくりたい、このように考えているわけでございます。

若井委員 昨日、参考人の皆さんのさまざまな御所見をお伺いしたわけですが、参考人のお一人である八代教授がこんなことを言っておられました。今回のこの戦略特区は、これまでの特区とは違うんだと。例えば、比べている特区として、二〇〇二年の沖縄経済特区、二〇〇三年の構造改革特区、二〇一〇年の総合特区、二〇一三年の復興特区を挙げられましたけれども、このうち、構造改革特区と総合特区は、将来、全国展開をするための社会実験型の特区だと。今回のこの国家戦略特区も、性格とすれば、このような、将来、全国展開をすべき、そうしたモデル的な社会実験として位置づけるべきだと、このように御意見を述べられました。

 私は、この間、この構造改革特区や総合特区も、数の上ではかなり実績を上げてきた特区だと考えておりますけれども、先ほどの、農業あるいは食、そうしたものについて言えば、これらの特区が、いまだに非常に大きな役割を果たし得るのではないかと思っております。

 さらに、八代教授は、これまでの構造改革特区や総合特区との違いについて、これらは、地域からの、あるいは事業者からの手挙げ方式だと。今回のこの国家戦略は、もっと大玉を狙っているという、大変おもしろい御表現をしておられましたけれども、そういうふうにおっしゃったわけです。

 私はこれは、もう少し言葉を補いますと、手挙げ方式の対極は指名方式、指名をするということだと思います。大玉狙いについて言えば、それが小さい玉、小玉だということになるかもしれませんけれども、いずれにしても、この構造改革特区や総合特区ではできない種類の話を今回は狙っているんだというふうにおっしゃっているわけですけれども、こういう理解でよろしいんでしょうか。

新藤国務大臣 構造改革特区、それから総合特区、これらはいずれも尊重してまいります。それぞれ必然性があって、しかも今現在、事業が実施中でありますし、熱心にそれぞれ、各自治体、事業者が取り組んでいただいておりますから、これらは引き続き継続していきます。そして、あえて差別化を図る必要も感じておりません。

 ただ、最大の違いというのは、構造改革特区も総合特区も、事業者がいて、それが申請をいただき、国はそれを審査の上、認定をして、そして必要な御支援をするということであります。今度の国家戦略特区は、国も事業者になる。国が直轄で全部やるわけではありません。国と地方と民間と、一緒にやりましょうと。

 だから、それぞれ御提案いただいたものの中からよりよいものを選択したいと思いますが、それに加えて、では、その仕事を進めるためだったらば、国もそこに一緒にできる事業がないのか。何かを実現したいならば、その通信基盤であるとか、技術基盤であるとか、研究体制であるとか、そういったものは、民間や地方が進めるものと同じタイミングで、同じ場所で、国がそこで一緒に仕事をすれば、より効果的になるかもしれない。

 ですから、どうなるかはこれから決めるわけなんですけれども、一緒にやっていきます、国が主導するんじゃないんです、国ぐるみでやるんだ、そういうことで御提案をさせていただいているわけでありまして、総合特区でできるもの、それから構造改革特区で活用できるものは、いい提案があれば、それらにも使っていただければいいと思いますし、この国家戦略特区というのはそういうことでやろうということであります。

 それから、特区というのは本来、ここでしかできないもの、もしくは、ここでやってみて実施をするとか試してみるものでありますから、我々とすれば、この国家戦略特区は、ローリングといいますか、計画の見直しを不断に行って、PDCAサイクルをきちっと回しながら、成果を上げて、これが全国展開が可能なものであるものはどんどん全国に移していけばいいと思いますし、仮にうまくいかなかったとするならば、そのうまくいかない原因を徹底究明して改善をしていく。そのように、これ一回で終わりにするのではなくて、次から次へと新しい展開ができるように、そういった工夫をしたい、このように考えております。

若井委員 今のお話はよくわかります。国がもう一度前に出ていくんだ、そして地域と一緒に国ぐるみで事業をしていくんだというお話だと思うんですが、私は、これまで、例えば総合特区等を見ておりまして、結局、今の時代背景というものが、なかなか国が前へ出て引っ張るという方式ではうまくいかない。ですから、ある意味でいうと、言葉はよくないかもしれませんけれども、馬は馬なり、それぞれの馬に個性があるから、走りやすい状況をつくって、そのエネルギーを総力を挙げて全国で活性化をしていきたい、こういうシナリオに行き着いていた結果だと思っております。

 特区というか拠点をつくって経済開発をしていこう、そういう歴史は大変長いわけで、これは大臣、御存じのとおりだと思うんですけれども、まさに日本の現代史そのものだと言ってもいいくらいの蓄積もありますし、成功の歴史もありますし、あるいは失敗の歴史もたくさんある。そういう経験の上に、今回のこの御提案があるんだと思うんです。

 戦後の復興を考えてみましても、全てを失った戦後、戦災復興を行い、あるいは傾斜生産拠点というんですか、石炭をつくったり、鉄鋼をつくったりするところに全ての資源を集中して、大変に乏しい資源だったんだと思うんですけれども、やっとここまで来たんだと。これをもう少し計画化をして、全国総合開発計画というような経緯もたどってきたわけですけれども、その中で、実は、今回の国家戦略特区のようなプロジェクトというのも私はかなり行われてきたんだというふうに思います。例えば、この二十年をとりましても、一九八三年にテクノポリスという提案がございました。それから、頭脳立地というような話もあったし、新事業創出促進、メジロ押しでこうした事業を重ねてきたわけです。

 しかし、ある程度の成果は生んだものの、なかなかこれといった決め手にならないまま、一九八三年のテクノポリスからちょうど二十年、先ほど大臣がおっしゃられた、日本の停滞の歴史とまさに重なっているわけです。

 なぜ、さまざまな英知を結集して国が全力を挙げて行ってきたこうした拠点の開発整備といいますか、それがうまくいかなかったのかということをもう一度振り返りながら、この国家戦略特区というものを前へ進めていく必要があるんじゃないか、私はこのように感じております。

 例えば、テクノポリスはさまざまな背景があるわけですけれども、これは私は大変にすばらしい御発想だと思っております。かつての大平正芳総理が田園都市国家構想という御提言をし、それが三全総という形で、国の地域開発といいますか、国づくりの基本的な方針になった、これを下敷きにしてテクノポリスというものも提案をされているんですが、その背景等を見てみますと、まさに今の時代と非常に似ているように思います。

 国家財政依存の公共事業が困難になった、あるいは重厚長大の既存の産業が全て構造不況になってしまった、次の出口はどこにあるんだ。それで、エレクトロニクスとかメカトロニクスとか、その当時からすれば最先端の企業の芽をどうやって育てるかということで、これは、そうした企業は当然シーズはたくさんあったわけですから、それに後押しをするという形でこうしたものが出てきたんだと思います。

 それで、大臣、これも大変におもしろいんですけれども、一次に承認された地区が九地区あります。結局、五、六年かけて、これが二十六地区に膨らみました。今回、この国家戦略特区を何地区つくられるかというのは私が一番関心のあるところですけれども、スケールが非常にこれに似ていると思うんですね。(新藤国務大臣「総合特区のことですか」と呼ぶ)済みません、テクノポリスですね、二十年前の、国の、まさに経済開発のための拠点事業ですね。

 ところが、実際、事業を進めてみますと、結局のところ、ある意味でいうと、既存の集積、例えば人口集積であり、例えば社会的なインフラであり、例えば人的な交流ができるような条件が整っているところであり、そうしたところに結局この指定が集中していく、そういう経路をたどったわけであります。

 こうした経緯も見ながら、今回この戦略特区についても考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、いずれにしても、こうしたさまざまな国が前へ出てつくっていくというプロセスでつくられた事業が、なかなか所期の目的を果たせなかった。これは、先ほど、最初に申し上げたとおり、このテクノポリスが突き当たったさまざまな困難な条件、これと同じ条件を克服していかなきゃいけない、そういう状況になっている。

 いずれにしても、馬は馬なりで走らせる、こういう方法しかなかなか活性化ができない、そういう社会的な背景ですね。人口の問題もございますし、社会的なインフラが今かなり整備が進んだけれども、これ以上なかなか飛躍的な投資ができないということもあります。

 そういう中で、改めて国が前へ出るという御決意ですから、そうした条件を克服して前に出られるという見通しをお持ちだと思うんですけれども、それは一体何なんでしょうか。ちょっと回りくどい質問ですが、よろしくお願いいたします。

新藤国務大臣 大変興味深い御指摘だと思います。

 私も、いつも念頭にありますのは、日本が成功した、この近代において我が国が成功した事例は何なのか、そういったことをやはり意識していく必要があると思います。それは、明治の維新、殖産興業、近代国家となって成長していったあの成功事例。今まさに私は、また一方で担当大臣として、産業文化遺産というものの登録を、かつての明治のころの産業遺産群を推薦して、これから申請をするのでありますけれども、そういうときに、まさに国策事業として、外国人の知恵も入れながら、新しい産業、工場を興していった、こういったことがございますね。

 それからもう一つは、戦後の戦災復興から高度経済成長につながってきたことだと思います。いずれも、経済の成功と国家の成長が同一軌道になっているときに花が開いたわけであります。

 今委員は、これまで国が主導してなかなかうまくいかなかったとおっしゃいますけれども、私は、もう少し大きな目でいえば、日本国がここまで大きくなったのは、今までの国家の運営方針が間違っていなかったから大きくなったんだと思いますよ。誤ったときには大きな痛手をこうむったことになりました。ですから、二度と同じ過ちを繰り返してはならないということになるわけであります。

 そして、余り前のことを言っても詮ないことでありますが、少なくとも、戦災復興の東京や名古屋や仙台、そういった戦災復興の大都市計画は私は成功していると思います。それから、新幹線プロジェクトやコンビナートプロジェクト、これも我が国の経済を大きく開くことになりました。そして、横浜のみなとみらい、幕張新都心、大宮の新都心、そして筑波の研究学園都市プロジェクト、これらも、いずれも国策プロジェクトでございます。

 ですから、今私たちがやるべきは、国が前面に出て国がやるのではなく、そして、地域に任せて、地域の自主性に委ねて国が支援するにとどまるのでもなく、もう一度一緒になって、この国は何をすれば、どこを深掘りすれば、私たちは新しい競争力を持てるのか、経済生産性を上げられるのか、そういったことに取り組まなければいけない。

 だからこそ、国家戦略とあえて言っているのは、大上段に振りかぶっているのは、国のではないんですよ。みんなで一緒にやりましょう、あらゆる力を結集してやってみようではないかと。どこまでできるかは、やってみなければわからないところもございます。

 しかし、挑戦しなければ扉は開いていかないんだという思いの中で、先ほどから、これから先は繰り返しになりますから申し上げませんが、我が国が挑戦すべき分野、コンセプトというものをきちんと定めて、そこにいろいろなものを集中し、そして集約し、総合的に事業を推進していけば、これだけの高い技術を持ち、中小企業を含め、すばらしい企業ネットワークを持ち、何よりも、英明で勤勉な国民がいて、私たちは必ず成功事例をつくることができるのではないか、このように思っているわけでございます。

若井委員 私も、明治以来の我が国の国土づくり、大変に大きな成果を上げてきたんだと思いますし、その蓄積の上に今日があり、あすがあるんだというふうに思うわけでございますが、この間の蓄積を本当にこれから十分に生かしていけるのかどうかということが一番の課題になっていると。明治以来のお話が出ましたけれども、今日の、例えば医療のシステム、あるいは戦後の農地解放以来の農業のシステム、これらが我が国の今日を築くベースになったことは間違いない、否定ができないことなんだろうと思っております。

 今回の国家戦略特区の一番の肝というのは、あるいは具体的な一番のツールというのは規制緩和という一語に尽きると、私はさまざまな計画の内容を見せていただいて思うわけですけれども、実は、この規制緩和という言葉が示している内容というのは、これまでそうやってつくってきたものが時代に合わなくなっているということを示しているということになるんじゃないか。

 つまり、規制緩和というものが既得権を取り除くことだというふうに言われているわけですけれども、私は、その意味で、余りこの規制緩和ということを前に出すのではなくて、これまでの蓄積をどのように生かしていくのかという観点から、何かもう少しよいキーワードといいますかタームがあってもいいんじゃないか、この規制緩和を何でもありの錦の御旗にしてはいけないんじゃないか、そのことを余り強く言うと、この国家戦略特区の一番の肝というものが逆に見えなくなるんじゃないか、そんなふうに思うんですけれども、御感想いかがですか。

新藤国務大臣 委員とこうやってお話を聞かせていただいていると本当にうれしくなります。まさに、都市をつくるということは、人の生活、それから働き方、そして楽しみ方、あらゆるものを考えて都市というのを考えていかなくてはいけないわけでありますから、その中で、我々が暮らす中のルール、規制をどう考えていくかということであります。

 規制緩和はツールです、手段ですので、最もいけないことは手段が目的化することだと思っています。なので、これは、使えるものは幾つも用意します、メニューなんです。だけれども、それを使って何をするかが重要であるという意味において、規制緩和を、単に何かを破ればいいとは私も思っていないんです。破った、緩和した結果得られる成果というものをきちんと認識した上で、その規制は緩和していくべきだと思うんです。

 私もちょうど国会に来たころに起きたことをよく覚えておりますけれども、例えば大店法、大規模店舗の調整の法律は規制緩和のはしりでありました。それから、特石法と言われる、石油スタンドの、石油商の関係する法律も、これは一〇〇%フリーにしました。その結果、今、日本の国の中でガソリンスタンドがどういう状態になっているか。そして、大店法の改正は、結果的に、中心市街地活性化の仕組みを取り入れなければ、これはシャッター街ができてしまったり空洞化が起きてしまったりとか、そういった問題があるわけであります。

 ですから、私とすれば、これはもちろん、突破すべき規制というものを十二分に意識しながら、しかし、根底において、これは何のために行うのか、そして、それだけの成果が得られるものについて、ここはまずは実験的に、またある区域でもって実施をしてみようということであります。そして、それは、例えば、我々が規制緩和をしようじゃないかということで、特区でやりたい、やろうではないかというので事務折衝、また大臣間の折衝をしました。結果的に、そこまでやるならば、それは特区だけでは無理だ、全国展開しなければだめだ、こういうふうなものも、今回の国家戦略特区をやろう、そういう事前の協議をする中でも、では、特区にとどまらず全国展開しようではないかというようなものも生まれてきています。

 ですから、これからも、何か新しいことをやるときに、そういう議論が起きて、必然性の強いものについてはいかようにでも展開をできるし、また、安易な緩和というのは、緩和しようにも、それを持っている規制官庁があります。規制官庁は責任を持って、これは自分たちだって命がけでその必要性を感じながらやっているわけですから、我々も命がけで、そういったものは、これを破ることによって国が新しくなるんだ、そのぶつかり合いの中で一番の答えが出てくるのではないか。そのように心がけなければいけないというふうに考えております。

若井委員 ありがとうございます。懇切丁寧なお答えを賜りました。

 戦略特区の制度や事業の主体についても少しお聞きをしたいと思います。

 報道によりますと、戦略特区を全国で五カ所程度選ぶんだというようなことも言われております。どの地域を戦略特区にするのか、あるいは区域設定をどう設定するのか、どんな手順でお決めになられるのか、教えていただければと思います。

新藤国務大臣 この国家戦略特区をどのように決めるか、どういう特区が必要か、そしてそれはどこの場所で行うか、これらは全て、国家戦略特区諮問会議というものを設置いたしまして、そこの中で決定をいたします。ですから、新聞報道等では、さまざまな方の発言を捉まえて推測をされた記事が出ていると思いますが、現状において、先に区域を定めてこの法律を出しているわけではありませんので、そこはこれから決めていく。

 しかし、まずは、スピーディーに、しかもスタートダッシュが肝心でございますから、集中して仕事をするためには、そんなたくさんのところを一遍に指定することはできないだろうと。そこが構造改革特区や総合特区と違うところであります。実施主体が別にいて、国がその手続をとってきちんと処理をしてあげれば進むものと、国も一緒にやっていくわけでありますから、当然のごとく箇所数はかなり絞られたものになる、必要なコンセプトを定めた中で、それを実施する場所として選ばれていくということになると思います。

 そして、その区域が決まったならば、事業が決まったならば、その事業ごとに統合推進本部というものをつくって、そこに、担当大臣とそれから民間の代表と自治体の代表が、この三者が入っていただいて、そこで事業計画の進捗をチェックする。そしてまた、新たな規制の要望であるとか、そういったものも、そこの中で議論をしながら政府全体にオーソライズさせていく、こういう仕組みを考えているわけでございます。

若井委員 この点について、やはり昨日の参考人の皆さんの御意見は、大変に興味深いお話だったと私も思います。

 この諮問会議と区域会議、これは法定をされるということだろうと思うんですが、民間の有識者あるいは事業者の皆さんも含めて構成をされるという、こういう会議だと思います。

 これについて、昨日の参考人のお一人が、これは、民間委員が含まれる諮問会議というのは、いわば国家の私物化じゃないかというようなことをおっしゃった方もいらっしゃいます。それから、原英史参考人は、国、地方、民間の三位一体のこの区域会議は、ある意味でいうと、そこで自由に物を決められるミニ独立政府だという、そういうお話もございました。

 私は、肝心なのは、国民にとって大事なことは、どなたが委員になられるかということではなくて、どこにどういう具体的な区域が設定をされ、そこで何が行われるかという、ある意味でいうと計画の内容そのものだと思う。ですから、この法律で会議を組織するためのメンバーを法定すると言っていますけれども、そんなことは、ある意味でいうと、総理大臣が決めたり、あるいは地方自治体の長が決めればいいことでありますから、この区域設定を含む事業の内容こそ、法で定める、あるいは国会できちっと議論をするという、そういう仕組みにすべきだと思いますけれども、大臣、そう思われませんか。

新藤国務大臣 この特区諮問会議で議論したもので必要なものは政令で定めるということになるわけでございますね。そして今、民間委員の方々はそのような思いで進めていこうということでありまして、私も同じ思いがございます。

 しかし、現実には、そこの役についた委員が全てのことを独断で独自に決められるわけがありません。いろいろな、さまざまな関係者からの御意見を聞き、関係省庁、各自治体、関係者、そういった方々の議論も、御意見も必ず頂戴するようになると思います。

 その上で、調整をして、しかし、決めるときには、そういったシンプルな決定体制をつくり、スピーディーに物事が進むようにしよう、こういう工夫をしたわけでありまして、プロセスを無視して決めることはできないし、そのようなことは考えてもおりません。

若井委員 私は、そこのところをくれぐれも念を押したい一人であります。よろしくお願いいたします。

 事務局の方にお話を賜りたいと思うんですが、実は、国家戦略特区はどういうものかということがいまだに余りイメージがはっきりしないので、議論がなかなか収れんしないところもあると思うんですけれども、九月に、第一次の提案、地域なり事業者なりからいろいろな意見が出て、それを集約しながら、何となく、何となくと言ったら失礼ですけれども、国家戦略特区のイメージというものを提示していただいております。

 この第一次提案募集からこの特区の構想をつくるプロセスについて、簡単でいいんですが、一言よろしくお願いいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、特区に関係しましては、八月十二日から九月十一日までの間に提案募集を行いました。民間と地方公共団体合わせまして、二百四十二の団体から、百九十七件の提案をいただきました。この中身としましては、医療の関係、雇用の関係、教育、都市再生、農業といったような分野が主な分野でございました。

 そういったものをもとにしまして、ワーキンググループにおいて、どういう事業を行っていくのか、そして、どういう事業が想定されるのか、それに対応してどういう規制改革が必要になるのかということを整理いただいて、今回の法案に至ったものでございます。

 これまでにもお示しをいたしております特区のイメージ、これは、まだどういう特区ができるのかというのは決まったわけではございませんが、国際的なビジネス拠点の形成でありますとか、医療等の国際的イノベーションの拠点整備であるとか、核心的な農業等の産業の実践拠点の形成、こういったことがこれまでの提案の中から想定されるのではないかということで、整理をいたしたものでございます。

若井委員 ありがとうございます。

 今の内容についてももっと詳しくお聞きをしたいと思いますし、また、この事業の具体的な構成の上で、いろいろな特例措置、提案をされておりますけれども、ちょっと時間がなくなりましたので、次の機会にまたよろしくお願いいたします。

 それで、最後に、大臣にお伺いしたい。甘利大臣にも、あるいは総理にも同じことをお聞きしたいと思うんですが、今我が国にとって最も重大な国家戦略特区は何ですか。私は、その特区の提案がここにないのは大変に寂しく感じるわけですけれども、ぜひ、福島の原発事故とその周辺の地域についてこの戦略特区に加えるべきだということを御提言したいと思うんです。

 いろいろな試算ですけれども、除染や廃炉までで五十兆、あるいは、その先、デブリをどうするのか、その後の敷地をどう使うのか、地域をどう再構成するのかというようなことも考えると、百兆円以上お金がかかるんじゃないか。我が国にとって最大の国家プロジェクトだと。誰もできません。世界じゅう誰もできない。我が国しかできない。

 そしてまた、この仕事は、世界にとって、次の時代にとって最も大事になる事業の一つだと私は思っています。また、さまざまな意味で、次の時代の経済、これを引っ張っていく、牽引をしていく大きなファクターになるというふうに思います。

 もちろん、被災をした方々からは、今回、先ほどの御提案の中にそれがなかったということなのかもしれませんけれども、それならば、私はあえて御提案をしたいと思いますけれども、次の時代に向けて、国家戦略特区にぜひ加えて、国を挙げて、国が先頭に立ってこの事業を前に進め、世界に先駆けての新たな経済、新たな科学、新たな哲学をつくるプロジェクトにしていただきたい。

 これは御要望ですが、何か御感想があれば一言、ぜひ、大臣、お願いしたいと思います。

柴山委員長 大臣、質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。

新藤国務大臣 私たちが取り組むべき最大かつ最初の課題は、震災からの復興であります。東北の新しいまちづくりに向けて全力を傾注していくことは、言うまでもありません。そして、福島については、福島復興再生特別措置法というものができております。それに基づいて全力支援を掲げているところであります。

 ですので、まず、あらゆる手だてを使って復興のための仕事を進めていく。また、その中から、仮に、既に御提案の一部もあるのでございますけれども、ある地域において国家戦略特区として行っていきたい、こういう御提案も、そういったものも踏まえた検討はしていきたい、このように考えておりますが、まずは復興全体を進行させなければいけない、このように考えております。

柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。

若井委員 終わります。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 午前十時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十分開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、まことにありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 国家戦略特別区域法案についての御質問をさせていただきたいと思うんですが、きのう内閣委員会で参考人質疑がございまして、参考人の皆様からいろいろお話をお伺いしたことを踏まえてお伺いさせていただきたいと思います。

 昨日、そもそも、これまであった構造改革特区とこれから始まる国家戦略特区、この違いについてという議論がかなりされたと思うんですけれども、そういう中で、私、一番初めにきのうも申し上げたんですが、そもそも国家戦略特区という名前が、ひょっとすると日本にシリコンバレーみたいなところが生まれるんじゃないかというふうなイメージを持っておったんでございますけれども、昨日の質疑を通じて一つ出た結論が、構造改革特区で、これまで岩盤規制とかいろいろそういうのがあって、チャレンジはしたけれどもできなかったこと、こういうものを、規制改革の一つの大きな実験区域として、この国家戦略特区として取り組んでいく、それによってうまくいったものは全国に広げていく、そういうイメージで、岩盤規制突破改革実験特区というような位置づけであるというような話になっていたところでございます。

 その中で、国家戦略という非常に前向きで突破力のある名前をネーミングされているということは、やはり私は、日本、我が国が前向きに各国の都市間競争の中で、どれだけの外資を引き込む力であるとか優秀な人材を引き込む力であるとか、それが、経済力、日本全体の国力を上げていくところにどうつながっていくのかという意味でも非常に重要だと思うんですけれども、若干名前負けしているというイメージもあるんです。

 その辺について、きのうの参考人質疑を踏まえて、今までと本当に何が違って、この国家戦略特区がそれだけのパワフルな前進ができるのかどうかというところについて、お伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 今、中丸委員がイメージしていただいた、そのとおりのことでいいと思いますよ。ですから、それは何をやるかはこれから決めるんです。でも、メディコンバレーでもいいし、それからフードバレーでもいいし、そういう国として取り組むべきコンセプトを定めて、それに対して、国、地方、民間が集中して、総合的にいろいろなプロジェクトをやってみようではないかと。そこのときに障害となるもの、もしくは、なければ有効であるような規制は突破する、そういうことも当然のごとく出てくるということであります。

 先ほども申しましたけれども、手段が目的化してはだめなんですね。あくまで手段は手段として、あらゆる手だてを検討する。しかし、それをもってして何をもたらすかというところをきちんと定めないと。だから、今回、国家戦略特区の法案を定めるに当たって、コンセプトワークというのを非常に重視しました。私も委員の皆さんと一緒になって、そこをさんざん議論させてもらったんであります。

 例えば、従来のイメージでいくと、何かをやるときには、どこでやろうか、どんなことをやろうかというのも、あらかじめある程度決めてあって、それを実現させるためにはどうしたらいいかというので、これをブレークダウンしてくる場合もございます。

 でも、今度のものというのは、そういう側面もないわけではありませんが、あらゆる面から検討して、日本の新しい経済を開く象徴となるような、そういうプロジェクトにしようではないかと。それは、世界でこの分野においては三大プロジェクト、五大プロジェクトの一つに数えられるようなインパクトのものにしたいと思うし、日本の企業が新しい投資をしよう、そして世界のグローバル展開をしている企業が、それでは日本でそういったことをやってみよう、このように思ってくれるような、投資を引きつけるような、そういうものもしたい。

 ですから、それには、仕事の環境、仕事面だけではないんですね。仕事をするということは、そこに人が生活するということですから、人が集まってくるということですから、その生活したり集まってきたりするときに必要な都市機能というものも、この際、新しい挑戦ができないか。だから、その分野における規制緩和というのも、実験的にここでやってみようじゃないか。

 その結果として、そこが国際先端都市になったりイノベーション拠点になったとするならば、この仕組みが有効ならば、それでは第二弾のどこかをやってみようではないかということにもなるし、場合によっては、この規制は、心配していたが、きちんと緩和しても運用できる、であるならば、全国的にそれは全国のどこでも使える制度にしようではないか、撤廃しようではないか、こういうようなことも可能だと思うんです。

 しかし、それは全てやってみなくてはいけないことなのであって、我々はコンセプトワークにおいて、イノベーションは予定調和ではないところから生まれるという議論をいたしました。ですから、国が出す、私たちが出す法律ですから、あやふやなものにはできませんので、どう決めていくかという仕組みは、きちんと骨格は今回示させていただいて、しかし、日本を新しく開くための、そこは柔軟性を持って、また評価し、チェックし、変更しながら拡大できるような、そういう仕組みにしたいというふうに思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今、大臣からイノベーションのお話を頂戴しましたけれども、イノベーションは、大臣の言われた一つの側面と、あともう一つ、経済学者のドラッカーを引用すれば、異質なものの融合という考え方があると思います。そういう意味では、地方自治体、民間企業、それから国家、異質なものが融合することによって新しいものを生み出せるという意味でも意義があるものではあるというふうには思います。

 ただ、やはりビジネスが中心になる以上、投資はほぼ民間でございます。やはり、民間の投資であれば、まず一番初めに気になる税制等々あると思うんですけれども、今回、いただいているペーパーの中に金融支援で利子補給というのがございます。

 利子補給、例えば、通常の、中小零細企業を含めて、公庫なんかがやっている創業支援融資なんかでいいますと、初めに据置期間というのを置いたりとか、数年間、事業が立ち上がって回転するまでの間、利息返済も含めて一旦据え置きをして、それから回り出してから利息と元金の返済を始めるというようなことがあったりするんですけれども、この利子補給制度についての、まだ細かいことは決まっていないということは存じておりますので、イメージを教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 この利子補給制度、今御指摘ありましたように、新たな成長分野を切り開く先駆的な研究開発や革新的な事業を推進するために導入しようと思っておりまして、特区のそれぞれの特区ごとに置かれます計画に基づきまして、例えば、先駆的な研究開発を行うとか新規分野に進出しようというようなベンチャー企業や中小企業等に対しまして、民間の金融機関などから資金を借り入れをする、当然これは想定されるわけでございますが、これについて、当初の五年間、貸付残高の一定部分の利子補給を金融機関に行う、こういう措置を講じたいと思っております。

 利子補給の率については、貸付残高の〇・七%ということを予定しておりまして、低利で金を回せる、こういう仕組みにしたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今お話にあったように、新規創業、ベンチャーという、特区はもちろんですけれども、やはり新しいものに取り組んでいくときというのは非常に波風高く、リスクが伴うことからもベンチャーという言い方をよくされているんだと思いますけれども、そういう中で、今、利子補給、貸し付けについてのお話もありましたけれども、やはり、特に海外からそのエリアに資本を参入してもらうには、一番気になってくるのは日本の法人税等の税制の問題だというふうに思います。

 そういう税制に対しての支援も本年末に決定というふうにペーパーではいただいているんですけれども、ベンチャーのいいところは、新しいものを創造するだけでなくて、会社がゼロから立ち上がるわけですから、基本的には雇用が必ず発生してくるわけです。もちろん、失業率の低減にも当然大きく貢献してくるものだと思います。

 そういう意味で、税制による支援について、これも、決まっていること、イメージでも構いません、御説明をいただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御指摘ございましたように、税制につきましては、年末の税制大綱の決定に向け、現在、議論を進めているところでございますが、日本再興戦略において「大胆な規制・制度改革を行い、こうした制度設計に応じた税制措置を検討の上、必要な措置を講ずる。」ということとされております。

 公共団体、民間からいろいろ御提案を受け取っておりまして、規制改革の実現のためにこの法案を提出しておりますが、税制につきましては、今御指摘の点、ベンチャー企業等の点も含めまして、税制大綱の中で盛り込まれるよう、結果として、世界で一番ビジネスがしやすい環境をつくるといったことに向けて、税制上の措置について成果を出してまいりたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 それをお考えいただくに当たって、税金は限りなくゼロに近い方が望ましいというのは、いかなる企業であっても考えることであると思います。ゼロが難しければ、限りなくゼロに近づけるためにどこまでできるか。その事業の貢献度、その特区の特性等々も踏まえてお考えいただきたいと思うんですけれども、中途半端なものであっては、大きなインパクトを与えて、そこに出てこよう、出資をしようという強い意欲を促すところにはやはりなかなかつながらないものであるというふうに思います。

 そして、特区というのは、私は、考え方によっては、一つの大きな会社、一つの大きな組織が立ち上がるというふうに思います。そして、これまで、特区であったり、いろいろなことをされてきていると思うんですけれども、私も会社を創業したことがございますので、その経験、自分の周りにいる創業者たちの言葉からいけば、総論、創業者が、リスクも含めていろいろなものを背負って、毎日夢の中まで出てきて、本当に、トイレに行けば血のまじったものが出るぐらいのストレスを抱えながら立ち上げていく。

 そういう責任感と使命感、これが非常に、実はビジネスモデル以上に、その信念が、私は創業の精神というのは大事だというふうに思って、会社を十八年やってまいりました。周りの意見を聞いても、そこに関しては間違いはないというふうに確信をしております。

 そういう意味では、今回、この特区に当たっての国家戦略特区会議というものの中で、構成員をさまざま考えられたりしているわけですけれども、どのような構成員を想定されているかという中で、特に八条九項の、きのう、参考人の方からの意見もあったんですが、関係大臣の同意というような形になっているんですけれども、内閣における最高責任者は総理でございます。

 そういう意味では、関係大臣の同意というのは、非常に、ちょっと私は文言的に弱いのではないかと。そして、参考人の方からも、そのときは原さんだったですかね、御意見がございましたけれども、最後は総理だというふうにするべきではないかという御意見があったんですけれども、いかがお考えでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の国家戦略特区、具体の特区での事業を進めていくに当たって、その推進母体となりますのが今御指摘のありました国家戦略特区会議でございまして、国と地方、民間が一緒になって特区の計画をつくり、計画に盛り込まれた事業については、規制の緩和措置、規制改革措置等が適用される。一緒になって事業を進めていきましょう、そういった仕組みでございます。

 今御指摘のあった大臣同意についてでございますが、この特区計画については、内閣総理大臣の認定を受けて効力を発するという仕組みにいたしておりますが、規制改革項目について、この法律に定められました規制改革の要件に合っているかどうかということをチェックしていただくために、関係大臣の同意という規定を置いたわけでございます。

 ただ、繰り返しになりますが、単純に大臣の同意を求めなければならないという規定ではなくて、お読みいただきますとわかりますように、今申し上げた法律の基準に合っているかどうかということをチェックしていただくということで、大臣の立場というのをしっかりさせて、いたずらに事業の推進がおくれることがないように措置をいたしたところでございます。

 いずれにいたしましても、この特区計画、そしてそれを運営する特区会議というところが大変大事でございます。事業がスピーディーに進むように努めてまいりたいと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 今のは諮問会議のお話だと思うんですけれども、その同意があればいい、同意することが目的ではなくて、やはりその同意による責任がどこまであるかというところも含めて、言葉にできずとも構いませんけれども、やはり書類が整っていれば認可をするとかということではなくて、将来性も含めた検証をぜひやっていただきたいと思います。

 それから、会議の構成員についてなんですけれども、八条六項に構成員全員の同意ということがあるんですけれども、そうすると、これを見て私が思い出したのは、拒否権があるというふうなとり方もできると思うんです。

 例えば国連の常任理事国であっても、なかなか全部、全国の同意というのは非常に難しくて、どこかが言えば、中国が反対したりとか、ロシアが反対したりとか、よくあることだと思うんですけれども、それと同じような、拒否権を有するべきか否かという議論はどのようにされたかどうか、ちょっと教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家戦略特区会議の場でございますが、関係地方公共団体の長、民間事業者と、国家戦略特区担当大臣の三者が構成員になっております。この三者が一体となって取り組むプロジェクトというのをこの会議で取り上げて、計画にして実施をしていくということになるわけでございますが、関係地方公共団体、これは特区指定のときから意見を聞いて、どういう特区にしていくのか、どうやって事業を進めていくのかについて前向きに取り組んでいただけるところが当然対象になっていくんだと思います。

 それから、事業者の方は、当然、事業を進めてほしいということで、この特区会議に加わりたいという方が入ってくる。それで、国家戦略特区担当大臣が全体をマネジメントしながら事業を進めていくという立場でございますから、法律上も、相互に連携して協議の上という規定を置いておりますけれども、相互に協力をしながら事業を進める体制ができたということで、それぞれが反対をして動かなくなるというようなことはちょっと考えにくいなというふうに思っております。

中丸委員 今、非常に理想的な御答弁をいただいたと思うんですけれども、協力をして進んでいくので反対が出ないと。逆に、反対が出ないというのもちょっと不思議な感じがするんですけれども、逆に、イエスマンばかり集まってもしようがないので、やはりいろいろな意見は必要だと思います。だから、私が言っているのは、意見が出ることは大事だけれども、拒否権があるということに問題があるんじゃないかということなんですけれども、いかがですか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 拒否権という言い方なのかな、どうかなというところはちょっと私どもも疑問に感じておるところでございます。

 当然、事業をやってくださいという民間と、それを一緒に応援しようといって応じてきた地方公共団体、それから特区をまさになし遂げなきゃいかぬ国でありますから、おっしゃるように、最初から全ての点で整合がとれているというわけではないと思いますが、それは協議をして、そういうところを埋めていけば、基本的な方向の上で違ったものが出るということは考えにくくて、逆に、それが拒否権という格好になるわけではないと思っております。

 いずれにせよ、事業主体である民間、それから実際に地域全体のマネジメントの運営をやっている公共団体、この辺が全くこれは困りますということでは、実際の事業はなかなか動いていかないんだと思っております。そういう意味で、御指摘は、ちゃんと意見の違いというものを埋めて、しっかり事業が動くように進めなきゃいかぬという御指摘だというふうに思います。

 そこの運営については、意見の違いというのがうまく埋まって、プロジェクトが進んでいくように運営をしていきたいと思います。

中丸委員 ぜひ、全員の同意というのは、我が党の運営でもそうなんですが、なかなか難しいところがございますので、うまくできるような工夫、しかし、そこでさまざまな意見がしっかりと酌み取られるような仕組みづくりをしていただければと思います。

 その運営の中で、民間有識者の方とか、さまざまな意見を反映されるとは思うんですが、この会議の中で、どうしても民間事業者というのは、自分の業界、自分の会社の目的としてやっている業種、こういったものに関しては非常に積極的に発言されると思いますし、専門性も高いことがある一方で、中立性、公平性という部分を確保するというところを見ると、非常に、自分たちの業種、自分たちの会社が特に特区の中でうまくいくようになるとか、そういった、どうしても、利害を発信する場合もなかなか難しいと思うんですが、利害関係者の知識は必要だけれども、排除はしていかないといけない。要は、民間有識者の選定及び議論の参加に当たって、どのようにお考えでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、民間有識者が入りますのは、全国の特区全体にわたる基本方針をつくります国家戦略特区の諮問会議の方にお加わりをいただきまして、民のお知恵をかりて、特区全体の運営についての方針というものを決めていただくということにしております。

 この有識者につきましては、今御指摘ありましたように、利害関係があるということになりますと運営自体がゆがむのではないかという御指摘、これまでにも受けておりました。私ども、特別の利害関係があるときには、当該事項については調査審議から外れていただくというふうな措置にしたい。これは、基本方針そして運営規則の中で明確化していきたいと思っております。

 一方で、現場の特区会議の方は、これはまさに、自分のところの事業をやりたいという方が入ってくる。それに対して、その事業をどういう格好でやっていただくかというのは、地域の責任者である公共団体、それから特区運営全体を行う国家戦略特区担当大臣が一緒に入って整理をしていく、そういうことになるのではないかと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 地域の事業者もそうなんですが、今のだと、関係地方公共団体の長がそこに入って、会議を一緒にさせていただくような格好になっていると思うんですけれども、長だけでは、もちろん、選挙で選ばれた方でしょうから、それなりのものだとは思いますけれども、お一人だけではやはり難しくて、例えば、議会であったり、その周りの、地域の御意見だったり、そういう地方公共団体の長以外の意見をヒアリングしたり、吸い上げたり、それを反映させたりということはお考えでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 特区の会議自体は、民間の方もさまざまお入りになるということもございますので、先ほど申し上げたように、国と地方と民間という格好で、参加者は関係地方公共団体の長ということにいたしたいと思っております。

 ただ、当然、公共団体の運営の責任を持っておられる公共団体の首長さん、トップの方が入られるということですから、実際に事業を動かして、地域自体を変えていくということになりますと、当然、首長さんのところで住民の意見の吸い上げを行う、あるいは議会にもいろいろ御意見を聞かれて、それを特区会議にお持ちになって、公共団体としての意見という形でお話をいただく、そういうところで全体をこなしていけるのではないか、それによって地域全体が円滑に事業ができるようになっていくのではないか、このように考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 結局、この会議を通じて具体的なプランが作成されるということでございますので、プランイコール設計図でございます。その設計図をつくる段階でしっかりと反映できるようにしなければ、また絵に描いた餅になったり、後でさまざまな諸問題が起こる可能性があるんだということを発言させていただきます。

 少し変えまして、この特区を実際に動かしたところをイメージしながら質問をさせていただきたいと思うんです。

 今回、金融支援、税制による支援、さまざまなそういうものが入ってくるんですけれども、特区ということは、人、物、金、情報、こういった流れが加速度的に増加していくということだと思うんですね、経営資源的に言えば。そうすると、当然、人、物、特にこの二つの大きな流れをつくろうと思えば、例えば空港だったり港湾だったり、こういったインフラが非常に大事になってくると思います。

 そういうインフラに関しての明記というのは特別なかったと思うんですけれども、例えば、物流がふえれば、空輸便だけじゃなくてコンテナもふえてくる。それに比較して、我が国の港湾は、例えばお隣の韓国の釜山なんかに比べれば非常に規模が小さかったり、国際的にちょっとハブ港としても評価が低かったりとかというのがあるんですけれども、そういう交通インフラ、港湾の整備も含めて、トータルで考えていく上で、そういうところというのはどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の国家戦略特区、民間の力を生かして、それによって日本経済の再生を図っていこうという考え方でございますから、民がビジネスをしやすい環境をつくろうということで、規制緩和、それから、これから予定しています税制と金融上の支援措置というもので法律を構成させていただいているところでございます。

 一方で、当然、地域づくりの中では、交通インフラを初めとするインフラの整備が必要となろうと思っておりますが、特区の制度の中に財政支援をそのまま持ち込みますと、どうしてもそれが前へ出てしまう。きのう、参考人の御発言の中にもあったかと思います。それは、特区の中身が決まり、民が動く中で必要な部分は、既存の制度、既存の予算を使って支援をしていくということになるのではないかと思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 ですから、国家戦略特区としては、国を挙げて、地方と民間と一緒になってやっていこう、ただ、それに必要な整備は既存のものでやると。ちょっと物足りなく聞こえるんですけれども、新藤大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 コンセプトを定めて、世界に注目される、また、世界と対抗するといいますか、そういった規模のプロジェクトをやろうということであります。

 そのときに、要するに、事業のパワーというのがあるとするならば、大体において民間プロジェクトでも、成功しているものは、委員も仕事をおやりになっているんだからわかると思いますけれども、企業の経営者、成功している企業ほど、自分は人の金なんか当てにしない、自分たちでやるんだと。また、投資をしても戻せる自信があるような仕事をやって大成功をおさめるわけですよね。そのためには極めて厳しい御苦労があるのも承知していますけれども。

 ですから、今度のことも、安易に、お金を出すから来てくださいではなく、やろうではないかと。

 しかし一方で、国も一緒に仕事しますから、これは補助金ではないですよ、でも国家事業もそこに入れようとしているわけですから、当然そこに予算措置というものは出てくると思うし、また、既存の措置をまず使っていこうじゃないかと。

 一方で、ベンチャーですとかそういった新規開拓の部分で、てこ入れが必要だ、最初のお手伝いをすることが後で大きな成果となってくる、こういったものについての支援を余地として残しておこうと。全てに適用させるわけではありませんから、必要があれば対応できるということで、利子補給の方は入れさせていただいた。

 こういうことでありまして、必要があればいろいろな検討をしていけばいいと思いますけれども、まず今の時点では、既存の制度を使いながら十分に大きな事業ができる、このように考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 必要があればということは本当に大事な部分だと思いまして、私がこういう質問をさせていただいたのは、特に行政の方は、補助金とか交付金とかを考えて、どうしてもそっちを先に頭が回転してしまう。

 今おっしゃったように、例えば自動車産業というのは、さまざまな規制をずっと乗り越え乗り越え、それで非常に体力をつけ世界企業になっている。競争も非常に必要な部分、一定の規制によって鍛え上げられる部分というのも当然あるのは重々承知をしております。

 そういう意味で、必要なという部分とか、実際に始まってそれが動き出した中でどう見ていくかというのも非常に大事だと思うんです。

 この制度を導入することではなくて、きのうもちょっと申し上げましたけれども、俗に言うPDCAで、具体的プランを作成する。プランはこれでできるわけです。それによって、承認され、それが動き出す。ドゥー、これもできるわけです。これを見ると、その先のC、チェック、どこで、誰が、どういう基準で、何をチェックするのか、アクション、それによって何を物差しとして改革をしていくのかという、PDCAサイクルの基本のCとAが非常に難しいと思うんです。

 評価、検証というのは非常に大事なので、そこの評価、検証に関して大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 私は、総務大臣として、行政事務の効率化、それから政策評価、こういったものも担当させていただいております。

 今、PDCAについて一番全員が認識すべきは、委員は御承知かもしれませんけれども、PDCAは、チェックのCのときにやればいいのではないんだ、これが非常に重要なことだと思います。

 世界じゅうで行われているPDCAの成功事例は、Pの時点においてもチェックするんです。それぞれの段階でチェックをした上でやらないと、最初に計画は立てました、だけれども、これは計画なので、やってみて、後でチェックのときに、Cのときでやりますよでは、もとがだめなのに後でチェックしたって、いいものが出るわけがないんですよ。

 ですから、私どもは今回、KPIという達成目標を、日本再興戦略という中で、まず日本経済がどのような目標を設定しようか、成果を得ようかというKPIを設定しました。そのKPIは百項目近くありますけれども、今、国家戦略特区のコンセプトペーパーに出させていただいた例示は九項目ぐらいだと思います。

 どれを使っていただいても結構なんです。提案者が、自分たちでまずKPIを設定してください、それから、それをどのように実現できるかを自分たちでも立証できる用意をしてください、もちろん、責任とリスクは、それはお互いが分かち合いましょうと。これも、コンセプトのワーキングメンバーの中での議論がございましたけれども。

 大事なことは、まず、最初のプランの段階でチェックを厳しくしないといけない。そして、それはローリングです。いつでも見直しをしながら、主催、実施の事業体もみずからがPDCAを回す、それから、事業進捗管理を行う戦略特区諮問会議においてもPDCAはきちっと回していこう。このように、ダブルチェックしながらやってみようではないかと。

 今、とにかく、ややもするとCが足りないんだよと言われますけれども、世界の展開を考えれば、それはちょっと認識を変えるべきで、私は、あえてそこは申し上げますけれども、そこを厳しく合理的にチェックしていきたい、このように思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 厳しく合理的にチェックしていただけるということなので、ぜひとも、厳しく合理的なチェックを、情報公開ということも含めて、オープンな議論の中でやっていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 時間も大分迫ってまいりましたので、少し視点を変えます。

 きのう私が一番初めに申し上げたシリコンバレーもそうなんですけれども、一つ、国家戦略特区の中の都市イメージというのも非常に大事だと思っています。私、広島県選出、広島県で選挙を戦わせていただいて、生まれも育ちも広島でございます。私も父親が、亡くなったんですが、被爆者だったということもありまして、広島という場所は非常に、日本の中でというよりは世界的に特別な場所であるというふうに思っております。

 今、国連の関連機関が幾つか、国連大学が渋谷にあったりとかあるんですけれども、そういう中で、きのう、参考人の皆さんに、ニューヨークやスイスのジュネーブに続いて、今、広島にUNITARの広島事務所というのがあるんですけれども、こういったものを核にして、実際に、広島の市議会等で、アジアの国連の本部拠点を、しっかり拠出金も出しているわけですから、日本に誘致しようと。

 岸田大臣なんかもおっしゃっているNPTの会議を開いたり、そういう施設も含めて、国連の本部機能を、アジアの拠点として日本に、ぜひとも、それもやはり被爆地である広島に置いていただこうという話があるんですけれども。そういう、ただ国連を誘致するのではなくて、この特区の発展形というふうに考えていただければいいと思うんですが、国際平和推進特区。

 国際平和を推進したらビジネスになるのかということもあると思うんですけれども、私は、こういう平和貢献型企業、平和ビジネスとかソーシャルビジネスを通じて、そういう集積地として、その本社機能が所在する場所に広島だったり、そういうものというのは、例えば、NPO、国際NGOだったり、事業もやっているわけですから、さまざまな企業とか産業を呼び込むことももちろんできますし、当然、観光、人の流れもつくることができると思います。

 時間も来ましたので、最後に、新藤大臣に、参考人の皆さんからは非常におもしろいというお話をいただいたんですけれども、今考えている広島での国際平和推進特区、今すぐということでなくて、先行き。安倍総理も昔、今はもう引退されていますけれども中川秀直衆議院議員とかと一緒になって議連を立ち上げられたということも、以前には自民党内でもあったと思うんですけれども、御感想があれば、御意見、頂戴したいと思います。

新藤国務大臣 大変よい御提案だと思います。

 それで、そういう何かを一つのコンセプトにして世界の活動を日本に引き込んでくる、重要な意義があると思いますし、それはまさに、コンベンションに出席させると、それに付随していろいろなものが出てまいります、宿泊も、観光も、またはそこへの誘致、いろいろなものが出てきますから、とてもいいアイデアだと思います。

 まさにそういうことを考えて地域の活性化の計画をつくるのが国会議員の役目ですから、委員がぜひ御地元と、皆さんと協議をしてそういう提案を持ち上げていくというのは、期待をしたい、このように思います。

柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。

中丸委員 ありがとうございました。ぜひとも前向きに取り組んでまいりたいと思います。観光ということがありましたので、IRもセットで考えてみたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、山田宏君。

山田(宏)委員 維新の会の山田宏でございます。

 貴重なお時間をいただきまして、何点か御質問させていただきたいと思います。

 今回の国家戦略特区は、大変期待をしておりますし、また、期待をしておりました。やはり、この三本目の矢である規制の大幅な改革というものが、ビジネスのチャンスを広げ、イノベーションを促進していく。日本の道はこれしかない、こう思っておりまして、やはり、どれほどのものが出てくるか、大分期待をしていたわけでございますが、予算委員会でも申し上げましたとおり、その割にはもう少し頑張ってもらいたいなという感じがしておりまして、そういった視点も踏まえて、今後のことも踏まえて、現在のこの議論されているテーマについて御質問させていただきたい、こう思っております。

 まず最初に、この仕組みの中で、区域計画を基本方針のもとに認定をしていくわけですけれども、質問があったかもしれませんが、関係大臣がこれに加わることになるんでしょうか、この認定作業に。八条九項には、関係大臣の同意が必要、こうなっているんですけれども、もし同意が得られないという場合はこれは認定されないのか、その辺のところをちょっとお聞かせいただきたい。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 特区計画につきましては、内閣総理大臣の認定を受けて効力が発生するということにしておりますけれども、認定に当たっては関係大臣の同意を得なければならないという規定を置いております。

 この点については、この法律の条文の中で、この法律で手当てをした規制改革について、その要件等に適合している場合には同意をするものとする、要するに、要件適合をちゃんとチェックをしていただいて規制改革が確実に進むということを見ていただくという観点から、同意をいただくということにいたしているものでございます。

山田(宏)委員 ということは、同意がないということは、その関係大臣が規定に沿っていないと判断した場合は認定されないということですか。

川本政府参考人 そういう判断について、関係大臣が個別に御議論になるというようなことで実際に特区で想定した規制改革が進まないということがあってはならないと思っておりまして、したがって、諮問会議で意見を聞くことにしております。

 例えば、これは問題があるという場合には、諮問会議の場に関係大臣に出てきていただきまして、その場で、民間議員もいるところで、それが正しいのかどうか、オープンに議論をしていただいて、それで実際に適合可、不可というのをちゃんと整理をする。オープンに議論していただくということによって、いたずらに規制改革が進むことに対してブレーキにならないようにというふうに考えております。

山田(宏)委員 いや、聞いているのは、では、同意がなければこれは認定されないんですね。

柴山委員長 川本君、明確に御答弁ください。

川本政府参考人 失礼いたしました。

 同意がなければ、認定はされません。

山田(宏)委員 言わんとされることはわからないわけじゃありませんけれども、大体、これまでの流れからいうと、そういう関係する省庁の大臣なり責任者が相当抵抗して物事が進まなかったわけで、やはり同意が必要になるということ、そういう方針を決めたということは、大変今後の流れに問題があるんじゃないか、こういうふうに思っております。

 それでは、具体的な規制緩和項目についてお聞きをしていきたいと思います。

 予算委員会でも取り上げましたし、また、ここの本委員会でも重なる部分があろうかと思いますけれども、ぜひ確認の意味で、お許しをいただきたいと思っております。

 まず、医療なんですけれども、これも、国内外のすぐれた医師を集め、最高水準の医療を提供できる、世界トップクラスの国際医療拠点をつくるというのが基本方針にあります。これだけ読むと、本当に、おお、すごいなと。シンガポールや上海でもこういうものをつくっていますからね。こんなものができるのかと普通は思っちゃうんですよ。

 ところが、では、どうやってこれをやるのかとなると、今度、外国人医師の診察を解禁して拡大する、病床の新設・増床を認めていく、保険外併用療養を拡充する。これで、国際医療拠点、世界のトップクラスのシンガポールや上海や、こういうところと競争するような、そういうものが、世界じゅうの人たちが集まって、日本で治療を受けたいような、そういった拠点ができるんでしょうか。

佐藤副大臣 極めて大きな山田委員からの御質問だったと思うんです。

 私どもは、国家戦略特区は、特例的な措置を組み合わせて講じることによって、居住環境を含め、世界と戦える国際都市の形成、医療等の国際的イノベーション拠点整備を図るものである、そのように認識しておりまして、今御質問の中でも言われましたように、今回の国際戦略特区における医療分野の規制改革事項としては、大きく三点、対応を行うこととしております。

 一つは、医師に係る二国間協定の人数枠拡大等による外国医師の受け入れ、二つ目が、病床規制の特例による病床の新設・増床の容認、三つ目が、今お話がありました保険外併用の評価を速やかに開始できる仕組み、そういう仕組みの構築といった対応を行うことによりまして、厚労省としても、この国家戦略特区の実現に向けては積極的に努力をしてまいりたい、そのように考えております。

山田(宏)委員 今、私はその話をしたんですけれども、それでできますかということなんです。

 外国人医師をこれからさらに拡大していくということですが、予算委員会でお聞きしますと、二国間協定によって、日本に現在来ている外国人医師というのはわずか二十名、英国から十三名、米国から六名、フランスから一名、シンガポールとは二国間協定がありますけれども、ゼロ。

 こういった状況になっていますけれども、これを拡大しようとするわけですよね。どれぐらいまで拡大をしようという予定なんでしょうか。当てはあるんでしょうか。

神田政府参考人 二国間協定に基づく外国人医師の受け入れについてでございますけれども、現在は、御指摘ございましたように四カ国ということでございますけれども、今後、外国人の受け入れ等に応じまして、対象国を拡大してまいりたいというふうに考えております。

山田(宏)委員 それは今までもやってきたんですよ。必要なところの二国間協定を結んで、その国の人が来たらちゃんとその医療を受けられるようにするというのは、これまでのことと同じじゃないですか。どう違うんでしょう。

神田政府参考人 基本的には、二国間協定については双務主義を原則としておりますけれども、今回、これまでの議論を踏まえまして、国家戦略特区に限定しないで、対象国については拡大する方向で検討してまいりたいというふうに考えております。

 それから、特区の中については、外国人医師の人数枠を拡大するとか、あるいは外国人一般についての診療を認める、あるいは、今は診療施設を指定するような形をとっておりますけれども、特区内であれば、そういった診療施設の指定なども行わず、特区内の診療施設であれば広く診療を行うことができるというような方向で対応してまいりたいというふうに考えております。

山田(宏)委員 二国間協定をこれから広げていくというのは、もうそれは時代に応じて当たり前のことでありまして、別に特区とは関係ない、今おっしゃったとおりです。

 ここで問題になっているのは、これまで外国人医師の方は、イギリス人であればイギリス人しか診られなかったものを、ほかの外国人も診ていいよと、今それをおっしゃったわけですよね。そういった形で、日本に来た外国人の人が、自分の国の医師だけじゃなくて、ほかのところでも診られるという点では少し楽になったかなという感じはするけれども、これは必要最小限であって、来た人が医療を受けたいというものをちょっと便利にするというだけにしかすぎなくて、高度な国際医療拠点のレベルではないんじゃないか。

 高度なということになると、臨床修練制度ですか、これまでどっちかというと開発途上国の方々が日本に来られて勉強する、こういった制度を、今度は教授クラスの先進国のそういう人たちも来てよろしいと。この教授が今度来た場合、その人が、では、すごい高度な医療技術を持っていたり、そういう知識を持っている場合、何とか国から来た立派な何とかドクターが日本人を診療することはできるんですか。

神田政府参考人 臨床修練の目的で、これまで研修目的だけでございましたけれども、教授とか臨床研究を目的とする世界トップクラスのドクターにも来ていただけるようにしようということでございます。

 したがいまして、こちらの方は日本人の方についても診療することができるということになります。

山田(宏)委員 でも、この方というのは、日本の医師の国家試験を受けていないですよね。それでも診れるんですか。では、何で外国人医師のほかの医師が来られたときにその人たちは、この間の予算委員会では、田村厚生大臣は、国家試験を受けていないから日本人を診られないとおっしゃっていましたよ。何でその教授が診られるんでしょう。

神田政府参考人 教授目的で来られたトップクラスのドクターの方がお一人で診療をされるということではなくて、教授をするわけでございますので、受け入れ側の施設におきまして、実施責任者というものを置くことにしております。

 したがいまして、想定されているのは、そのトップクラスのドクターの方と受け入れ病院側の実施責任者、そこのドクターと一緒に診療等を行うということを念頭に置いておりますので、そうした枠組みを通じて日本人の方も診療が受けられるというふうに考えております。

山田(宏)委員 そうすると、もう一歩ですよね。やはり、私は、何もこうやって国が認めた高度な教授クラスの人だけではなくて、医療行為従事者というのはいろいろな技術を持っている人たちがいるんですけれども、そこまで認められなくても、外国から二国間協定によって来られた外国人医師の方が、日本人の人でも、ああ、この人はこういう知識を持っていると聞いたから自分も診てもらいたいという場合、今のような形で、何かきちっとした日本の責任者なり管理者なりを決めて診るような制度だってできるんじゃないですか。

神田政府参考人 臨床修練の方につきましては、先ほど申し上げたような実施責任者と一緒に臨床に当たるということを考えておりますが、二国間協定の方につきましては、基本的にはその国の方が、今回、外国から来られている方が安心して医療を受けられるような環境を整備するということでございますので、基本的には、二国間協定で来られるドクターの方については外国人を診療するということを念頭に置いているということでございます。むしろ、こちらの方は、トップクラスというよりは一般的な診療に当たるということでございます。

 したがいまして、日本人の方で非常に高い、先ほどお話ししましたような、トップクラスの外国人医師の方の治療が受けたいということについては、そちらの方で対応が可能だというふうに考えております。

山田(宏)委員 やはり、技術の進歩とかまたイノベーションとかこういったものは、外からの刺激とか競争とか技術のそういう競い合いとか、または、いろいろなものを、こっちはこうやっているよという情報とか知識とか、そういったものが相まって起きてくるものなんですよ。日本の医療も、今のままでいいとは、高度な部分だけじゃなくて、いろいろな部分でやはり競争が欠けているわけです。

 そういう意味で、特区を設けて、外国のそういうすぐれたもの、またはちょっと違った視点、こういうものを入れてその地域を活性化していこうというのだから、こういう外国人の医師なども日本人が受けられる、選ぶのは患者なんだから。だから、そこに行きたくない、英語は無理だからやらないというのは日本人が決めていいけれども、外国人は診ていいけれども日本人はだめというのは、外国人は、では医療事故が起きていいのかということじゃないでしょう。

 みんなここへ来たら誰でも診られるようにしていくというようなことを通じて、いろいろな切磋琢磨が起きてくるということを、やはり、単に教授クラスの人たちだけじゃなくて、つまみ食いじゃなくて、もっと裾野の広い部分でイノベーションが起きていく競争環境をつくっていくというのが大事なんじゃないですか。私はそう思います。

 シンガポールは、御存じだと思いますけれども、大変なお金をかけて特区をつくっているんですね。バイオメディカル、情報通信、デジタルメディア、さまざまな研究開発をもたらすために、日本円で一兆円もかけて二平方キロメートルの土地を開発してリサーチパークを建設して、先進的な臨床実験に対しては一件ごとに十億円単位の助成を行っていると聞いています。法人税もほとんどゼロ。シンガポールはただでさえ低いけれども、もっと下げるというようなことまでやっているわけですね。そこに世界じゅうの大学とか研究機関とか病院とか先生とか、もうぼんぼん集めて、そして医療行為をやっているわけですよ。

 日本はこういうところと競争しているんですよ。上海もそうなんですよ。こういうものをつくらなきゃ。医療の技術が、こんな、何かちょっちょっとつまみ食いみたいなことをやって、何で伸びるんですか。もっとばあんとやってほしいと思うんですよ。それをやるのが安倍政権だと私は思うんです。

 これは役所から出てきたアイデアなんだと、多分、役所とか各地方自治体。地方自治体も、まあ大阪府、大阪市は挙げていますけれども、やはりどうやってやるかというと、担当の課長に各所で規制とかがネックになって動かないプロジェクトがあったら言ってくれと言って、それぞれニッチな話をいっぱい持ってきて、そしてこれはどうですかとやっているわけですよ。国の省庁もニッチな話で、これはこうです、ああですとやっているわけです。

 もっと、こういうシンガポールや上海と競争しているんだという意識で、やはりちゃんとした医療特区をつくってほしい、こう思っているんです。同じことをやってほしいんですよ。

 ちなみに、日本の国家戦略特区、一特区当たりどれぐらいの予算をかけようとしているんでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家戦略特区につきましては、民間の事業者のビジネス環境を整える、自由なビジネスができるようにするというのが基本だと考えておりまして、現在、この制度上想定しておりますのは、規制緩和と税制金融上の支援措置でございます。

 財政措置については、必要に応じて既存の制度、予算というものを活用していくということにしております。特区自体もまだ具体的な指定に至っておりません。特区ごとに財政支援を幾らするというようなことは、今のところ決めておりません。

山田(宏)委員 シンガポールなんかは一案件、臨床実験ごとに十億円ですから、今後、これぐらいやらないと優秀な人は来ません。そしてまた、イノベーションも起きないんです。もうやってくださいよ。大阪なんかだってやろうと手を挙げているんだから。もう尻をたたいて、こういうのをつくってくれと、シンガポールに負けるなと。

 一個つくれば、ああ、特区というのはそういうものかと国民がわかるんですよ。特区というのは一国二制度ですよ。だから、やはりそういうものをばちっと見せないと。この規制を緩和してこっちはこうやってと、何かほころびを直すようなことじゃなくて、特区と決めたならば、そこで今度は国が主導して引っ張っていこうとするわけですから、予算もかけてそういうモデルをぜひつくっていただきたいというふうに思っているんですけれども、新藤大臣、どうですか。

新藤国務大臣 山田委員が、そのようにやるべきだと言っていただくのは本当にうれしいし、だから、ぜひ協力していただきたい、このように思うわけですね。

 それで、一つ、今委員が言っていることは、私も同じことを考えているんですよ。ですから、ここにあるもので、これでできるのか、できないのかと余り議論しない方がいいと思うんです。

 今の、そもそも、二国間協定に基づく外国人医師の仕事の範囲を拡充するというのは、これは、ビジネス街をつくったときに、世界じゅうから海外の人が入ってきたときの、本人と家族の皆さんのための医療の安心を整えるためのものだと。

 一方で、今委員がおっしゃっているような、新しい、まさに医療の国際先端の、先進の拠点をつくるんだ、こういうプロジェクトは、これはまた別の次元で考えていかなくてはいけなくて、少なくとも、そういうものに参加するような特別な技量の高い医師については、こちらに入ってこられる緩和はいたします。

 しかし、今、まだ何をするか決まっていないんですから、決めた段階で、必要なものはまた議論をして、それを組み込んでいくんです。そのために、シンプルな、総理をトップとした諮問会議をつくり、そして、特区の指定、区域が決まれば、そこの中でこれまたシンプルな組織をつくって、それをさらに深掘りしていこうと。

 関係者の意見も聞くし、いろいろな合意もいただくけれども、しかし、それを公開の場で、国民の皆さんに期待をいただくような事業に対して、皆さんから応援していただくような形でもって強力に推進していこう、こういう体制を整えようとしているわけでありますから、それには、まず、そういうことを進めるための枠組みを決めているんだ、だから早く成立させていただきたい、こういうことでございます。

山田(宏)委員 枠組みは大事だと思うんですよ。ただ、十月末に基本方針を決められたので、そこには、国内外のすぐれた医師を集め、最高水準の医療を提供できる世界トップクラスの国際医療拠点をつくると書いてあるから、その割にはこの法案は何だということなんですよ、申しわけないけれども。

 ぜひ、そういう意味で、今後、そういうものをイメージして、国民にも提示してもらいたい、こう思っております。

 その場合、やはり法人税の減税というものが絶対必要になるんですよ。これは今後税制大綱で考えていくかのような答弁がございますけれども、法人税の減税というのは考えていくんですね。日本はただでさえ三八%で、シンガポール一七%、香港は一六・五%で、韓国ですら特区はゼロなんです。こういうところと競争しているんですから、やはり法人税は同じ規模まで下げないと競争にはなりませんけれども、この辺の方針、これからの意欲、大臣はどう考えますか。

新藤国務大臣 まず、日本企業の国際競争力を高めるために法人税の実効税率を低減する、これは非常に大きな課題として、今、税調プロセスの中で検討されると思います。

 そして、それらを踏まえた上で、それでは、国家戦略特区ではそれに何ができるのかという議論をしていかなくてはいけないんですから、私どもとしても、これは税調プロセスの中に入っていって決めていただかなきゃいけないことでありますが、いろいろな提案はしていきたい、また工夫もしなければならない、このように思っております。

山田(宏)委員 法人税の実効税率の低減というのは、財務省は、絶対だめということで今まで全部はねつけてきたんですよ。ここが穴があくかどうか。これが穴があけば、アベノミクスはばあんといくと僕は思うんですよ。ここが穴があかなかったら、がくっと落ちると思うんだよ。ここがポイントですね。

 法人税は、五%や一〇%、特区についてですよ、一般的なものじゃなくて、特区について見れば、五%、一〇%下げたってだめなんです。やはりほかの特区と競争できるようにしなきゃいけませんが、それぐらい、総務大臣ですから、ここは何としても、きょう財務大臣に来ていただければよかったんですけれども、ここが、多くの人たちが注目している、世界が注目している点なので、ぜひお願いをしていきたい、こう思っております。

 それから、雇用なんですけれども、これも予算委員会でやりました。ここでも議論がございます。

 雇用ガイドラインをつくって、相談センターをつくって、雇用ガイドラインは、これまでの判例等をやって、予測可能な今後の雇用条件というものを新しく入ってくる企業にきちっと提示しよう、こういうものですけれども、これも私、何回考えても不思議なんですけれども、これが何で特区なのか。これなんか、全然、規制の緩和でも何でもないじゃないですか。これまでの判例を集めてガイドラインをつくって、そして相談に来た人たちに、これはこうですよと。労働契約法十六条では大まかな規定をしていますから、裁判をやっても、何がどうなのか、解雇していいのかどうかわからないという状況の中でそれをつくっていくというのは、これは全国どこでもやらなきゃいけないことなのに、何でこれが特区なのかというのを説明していただけますか。

佐藤副大臣 今もう山田委員はわかって御質問されている部分があるんだと思うんですけれども、まさに、雇用ガイドラインというのは裁判例を分類、類型化したものでございまして、それを活用して、センターで、雇用管理や労働契約事項がガイドラインに沿っているかどうかなどの具体的事例に即した相談、助言サービスを事前段階から実施する。

 そのことによって、外国人のビジネスあるいは新規開業直後の企業、また海外からの進出を狙っておられる、そういう企業が、日本の雇用ルールというものをやはり的確に理解していただいて、予見可能性をその地域で仕事を起こす場合にしっかりと高めていただく、そういう意義があるというように私どもは考えておりまして、雇用の場をつくっていくことにも資する、そういう考え方から、今回、特区にふさわしいのではないか、そのように考えております。

山田(宏)委員 いやいや、前の段階の説明はもうわかっているんですよ。

 これが何で特区なのか、特区じゃなくたってできるでしょう、今でも。どうですか。

佐藤副大臣 確かにそういう部分はありますけれども、しかし、特区の考え方がそもそも、国際的なビジネスをしっかりと活発化させるという、そういう狙いからでございますから、その地域において、やはりそういう事前の相談センターをそれぞれの地域にしっかりと設けて、雇用ガイドラインに沿って事前相談に応じるということは、私は、今までなかったことで、特区の一つの特徴になるのではないか、そのように考えております。

山田(宏)委員 だから、今まではなくて、いいことだと思うんですよ、何も否定しているわけじゃないんです。特区でやらなくたって、今、どこでもできるじゃないですか、これは。

 では、これは特区でないところではやっちゃいけないんですか。どうでしょう。

大西政府参考人 先生の御質問に関しまして、雇用のガイドラインは法案では雇用指針と書かれておりますけれども、これにつきましては、裁判例を分析、類型化したものでございますので、特区以外でも活用いただける可能性はあるのではないのかと考えています。

 一方、先ほど来副大臣の方から御説明させていただいておりますように、このセンターの方でございますが、事前の相談という形で、こういうガイドラインを活用して、雇用管理とかあるいは労働契約事項がこのガイドライン、指針に沿っているかどうかというのを具体的事例に即して、相談、助言サービスを事前段階から実施する。

 こういったことによりまして、現在、委員の御指摘にもありましたように、日本の契約法制がよくわからないというような、そういったところに的確に答えて、予見可能性も高めてまいりたい、そのように考えております。

山田(宏)委員 だから、答えていないんですよ。

 ガイドラインはつくれる、今でもつくれる。センターも別に特区じゃなくたって、どこだって、うちに置いてください、名古屋も、どこでも、こっちも、福岡もとやれば、別に特区に書かなくたって普通の政策として実行できるんじゃないですか。

 実行できるかどうか聞いている。今、実行できるかどうか、法的には。どうですか。一言でいいです、時間もないし。

大西政府参考人 今委員の御指摘でございますが、法的に実行できるかと言われますと、実行できないわけではないというぐあいに、別に禁止している法律はありませんけれども、ただ、一定の事業主に力点を置いて、やはりその的確なサービス、情報提供を充実させていくということは大変重要なことであると考えます。

山田(宏)委員 重要なのはわかっているんです。だから、特区と仰々しくやることじゃなくて、普通にやれることなんでしょう。だから、この中で入れるような話じゃないんですよ。

 やはりもっと、労働法制でいうならば、これは難しいですよ、全国一律とここだけどうこうというのは。だけれども、例えば新しく入ってくる外国企業とか、新しく事業を起こそうという日本の企業とか、そういったところに、やはり一定の労働法制の今不明瞭なものを緩和していく、または強化していく、こういったことをやらなければ、単に相談に乗って、そのためにガイドラインをつくると。本当はそうじゃなきゃいけないと思うんですね。

 だから、私は、これが仰々しく特区に入っているのも何でかなと。別に規制緩和でも何でもない、今の法律でもできる、ただの新しい政策で、私は必要だと言っているんですよ、こういうことは必要だと思いますよ。だけれども、さっきの、何度も申し上げて悪いけれども、新藤大臣も答弁で、世界と戦える国際都市をつくって、世界で一番ビジネスのしやすい環境、世界標準にしなきゃだめなのに、こんな、ただの相談業務をやるからといって、これがそういうものにつながるとは、さっきの医療拠点と同じで、考えにくい。

 枠組みを今回つくらせてくれ、そのかわり、今後いろいろ検討して、第二、第三、第四、第五とどんどんやっていくからということなので、文句をつけているわけじゃないんですけれども、その割には何か、役所とぜひ戦っていただきたい、こう思っております。

新藤国務大臣 山田委員がもどかしい気持ちを持っていただいている、これはますますこの法案に賛成していただいているんだなという思いを強くしているわけでございますが、まさにこれも、こんなことですらと委員はおっしゃりたいかもしれないけれども、こういうことですら今までできなかったわけでしょう。

 私どもは、特区内で雇用のいろいろな活性化をしようじゃないか、こういう議論をしていく中で、しかし、これは生存権にかかわることである、憲法にかかわる問題で、ある場所によって差別をすることはできないんだ、こういう議論を厚労省とがんがんやりました。

 結果として、ではこのままでいいのかという中で、そこまで必要となるならば我々も考えますといって、この有期雇用の特例も全国展開しましょう、今度の相談センターも、ここで紛争の予見可能性を高めるというのは極めて重要なことなんです。これをどういうふうに生かしていくかは今後の問題だと思うんですけれども、それもこの特区をやるぞというので勢いでがんがんやった結果、しかもこれは事務方では話がつきませんでしたから、大臣間の折衝で決めました。

 我々もそういう努力というか、多少の汗をかいているわけなので、ぜひ、どんどん、もっとやれと言っていただくこと、これは重要だと思いますし、私も、さらに必要なものをきちんと整えていきたい、このように考えております。

山田(宏)委員 新藤大臣、もっとできますよ。この程度で諦めないでもらいたいと思うんですけれども、これでも頑張った、それはわかりますよ。それぐらいかたいんですけれども、次、もっと岩盤規制を粉砕してください。

新藤国務大臣 それは、委員がおっしゃっているように、何をやるかなんですよ。そして、どれだけの効果がもたらされるのか。それがなければ、単に制度としてどうなんですかと。今何をやるかわからない中で、制度を変えろ変えろと我々は言い、それに対して、よくやってくれたと思いますよ。かなり我々も無理強いしているわけなんですから。

 しかし、今、委員がおっしゃるように、世界がびっくりするような、日本じゅうがみんな期待するようなものにしていくためには、さあ、どういうコンセプトで何をやるか、そのためにここが障害になっているんだ、ここを変えればこんなに変わるんだ、そういうものを出すことによって突破できていくんだ、私はこのように思っておりますし、そういうものを組み込んでいかなくてはいけないわけですから、それには一刻も早くこの法案の成立が必要である、こういうことになるわけでございます。

山田(宏)委員 最初の出だしがこれだとちょっと思いやられるな、こう思ってお話を申し上げております。

 世界で一番ビジネスのしやすい環境を整えるということは、労働法制もやはり世界標準にするということなんですよ。そういうふうにしてくれないと世界の人が安心して働けない、こう思うんですね。その辺、今後検討していただきたい、こう思っております。

 ちょっと、せっかく農林省にも来ていただいたんですけれども、きょう農林省までいかないので、ごめんなさい、ちょっと時間が経過して。

 今度は文科省。

柴山委員長 どうしますか。小里政務官には御退席いただいてよろしいですか。

山田(宏)委員 いいです。済みません、次、じっくりやりますので、本当に済みません。申しわけなかったです。

 ちょっと時間がないので、教育をやります。

 教育は、公設民営を決めていただいた。これはよかった。これはすごい進歩ですよ。

 私、杉並区長のときに、和田中というところで夜スペというのをやった。放課後、学校を使って、塾と共同して、保護者の人たちが、みんな地域の人たちがお金を出して、子供の補習授業をやった。あれですら、東京都の教育委員会から、こんなこと、公設の施設、公共の施設をそういう私塾と一緒になって使うのはけしからぬとか、くそだとか、すさまじかったんです。だから、こんなこともできない。それでも無理にやりましたよ。もうこっちは訴訟を辞さないと言ったから、東京都と。

 こういった状況の中で、文科省はこうやって一歩を踏み出していただいたんですけれども、さまざまな措置を決めていくのに一年かけてやると書いてあるんですが、これは一年もかかるんでしょうか。

西川副大臣 何か、御通告とはちょっと違う話かもしれません。

 要は、公設民営化の問題は、大阪市からの方の御提案があったわけですけれども、義務教育の分野となると、これはかなりハードルが高いです。検討して前向きにやるという方向性は出ておりますけれども、それに関しては、義務教育でなかったら、それはかなりいろいろなやり方があると思いますけれども、義務教育で、全国一律のきちんとした義務のあれを担保できるかということは、かなりの厳しいハードルがありますので、一年をかけてしっかり対応させていただきたいと思います。

山田(宏)委員 では、高校は早いですよね。大阪は高校でやろうとしているんですけれども、高校は。

西川副大臣 高校でしたら、もう少し短い検討で……(山田(宏)委員「どれぐらい」と呼ぶ)いや、それはちょっと具体的には何とも言えません。

山田(宏)委員 下村大臣が相当熱心だと聞いていますけれども、ここで例えば一月に内閣改造があって、ひょっとしたら交代した場合、文部科学省としては、そうなって、熱心な人じゃなくて今度は不熱心な人になった場合、何か、どんどんどんどん後になっていくんじゃないかというおそれを感じておりますので、なるべく早くこれを決めていただきたい。高校については、そんな難しいことじゃないと思うんですね。

 一点だけちょっと、デジタル教科書、電子教科書についてお聞きをしておきたいと思います。これは今回のものではありません。今後のことで、非常に重要なので、お話をお聞きしておきたいと思います。

 二〇一三年の知財推進計画の教育の部分では、こういったデジタル教科書、つまりタブレットで、そこに教科書も全部、今のデジタルの本みたいにこうやって見られる。資料も出てくる。こういったものを普及していくことだということで、文科省も、学びのイノベーション事業で、全国何校かでやってきている。これは大変高く評価をしています。

 このデジタル教科書なんですけれども、学校教育法、教科書発行法、教科書検定制度では、これは教科書としては認められておりません。なので、教科書無償措置法の対象外になりまして、デジタル教科書といえども、これは有償になってまいります。

 それからさらに、紙の教科書は、いわゆる今の教科書は、いろいろなところから資料を持ってくるときも著作権法上優遇されていまして、無償になるか、非常に安くやれるということになっていますが、デジタル教科書、これは同じことをやるにしても、今度は非常に高い著作権の料金を払っていかなきゃいけないので、こんなのは普及しません、こんなことをやっていては。なので、これも特区の対象にしていただきたいのです。

 大阪市では、学校教育ICT活用事業というのを考えておりまして、平成二十七年度、全小中学校で、電子教科書、デジタル教科書を全部配って、採用するという方向で動いております。そういった中で、ぜひこのサポートをしていただきたいという意味で、これも今後の特区の検討課題だと思っております。

 特区で電子教科書の教科用図書化を進めていくために、学校教育法、教科書発行に関する臨時措置法、著作権法の中で、こういうデジタル教科書も教科用図書として規制緩和上位置づけていくべきだということを考えておりますけれども、この辺、文科省としてはどういう方向性で考えておられるでしょうか。

西川副大臣 先生の大変前向きな、アグレッシブな迫力にちょっと押されそうな気がいたしますけれども、実は与党の方からも、このICT教育は積極的に進めろという御提言もいただいております。

 今先生がおっしゃったように、学びのイノベーション事業、これは全国二十校です。その中でICT活用の実証実験を検証しているところでございますので、こういう検証結果も踏まえて検討していきたいと思いますが、おっしゃいましたように、学校教育法、教科書無償措置法、それと教科書検定制度、この絡みがありますと、今、副教材としてはもうオーケーなんですね。だけれども、教科書にするとなると、この検定制度、では、無限の領域の中からどこまで教科書として領域を決めて検証するんだ、この辺のところはかなり厳しい、難しいハードルがあります。

 そういうことも含めまして、著作権の問題。ちなみに、これは今、教科書に使う分には無許諾で通告だけでできるんですが、これを本当に全部きちんと教科書にして、では、紙の教科書をデジタル化するのかとか、両方一緒に併用するのだとか、いろいろな問題も検討しなければいけませんが、先生の御趣旨は十分理解しているつもりですので、慎重に検討させていただきたいと思います。

柴山委員長 山田君、質疑時間が終了しておりますので、手短にお願いします。

山田(宏)委員 はい。済みません。

 西川副大臣の方が突破力はあると思うんですよ。

 これは本当にデジタルの方が、どんどん資料も、常に新しくアップグレードしていくことができるんですね。ですから、アメリカはほとんどデジタル教科書になりつつあるんですよ。日本は著作権法とか難しい問題がありますけれども、ぜひこれは次の課題として突破していただきたいと思います。

 以上です。終わります。

柴山委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久と申します。

 本日、内閣提出の国家戦略特別区域法案に関して質疑させていただきます。

 このような機会を与えていただきまして、御礼を申し上げます。

 さて、山田宏議員に引き続き今回のこの法案を質問させていただくんですけれども、我が党の山田議員ですけれども、同じ維新の会ということ以外にも、山田議員は実はラグビーをやってはりまして、センターという非常にアグレッシブなプレーヤーでございまして、私もラグビーをやっていまして、私はナンバーエイトという、それをつなぐ役目をしています。このアグレッシブさをつなぐわけですけれども、それは党内でつなぐわけじゃなくて、そのアグレッシブのスピリッツを政府につなぎたいと思いますので、そのような御答弁をよろしくお願いいたします。

 それで、私自身、実は医療法人の経営者でして、医師免許を持っております。どんなことをやっているかといいますと、椎間板ヘルニアのレーザー治療という先進医療をやっております。

 今回、アベノミクスの三本の矢の三番目でありますところの民間投資を喚起する成長戦略として、「日本再興戦略 ジャパン・イズ・バック」ということがことしの六月十四日に閣議決定され、実行に向けて動き出されたわけで、このムーブをとめるわけにはいかない。この動きをとめるわけにいかないということで、今回の国家戦略特別区域法案というのが出されたと思うんですけれども、いろいろな分野にわたっております。冒頭申し上げましたように、私は医療に携わっていますので、認定区域計画に基づく事業としての、産業としての医療。

 実は私、経産委員会の方に所属しておりまして、先ほど産業競争力強化法案の方の質疑を終えてきたんですけれども、医療も産業に入れていくということで、今回、この認定区域計画に基づく事業として、医療法の特例としてどのようなことをイメージされているか、もしくはその意気込み、意向をお聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 日本の医療が世界最先端を行っているということは、我々自負していいというふうに思っております。それから、患者さんの満足度も世界一ですね。ですから、これを維持するために現場の医師の皆さんが大変な努力をされていることも私は承知をしています。かといって、では全ての分野において世界一かといえば、それはいろいろな分野でそれぞれすばらしい方がいるわけですから、誰もが健康を願い、そして病気を治したい、こういう思いがあると思います。ですから、その病気を治せる拠点ができるならば、そこに世界が注目をし、またそこに人が集まってくる、またいろいろな活動が集中してくる。その意味において、私たちがこの国家戦略を定めるに当たって、一つの柱としてこの国際医療拠点の形成というものはぜひ進めていきたいものだと。

 それは、医はビジネスというふうには言い切るつもりはありませんけれども、産業という面から考えても、医療と関連の産業ということから含めても、これは我が国の成長戦略にも資するものではないかというふうに思うわけであります。ですから、具体的に、どのような国際医療拠点を形成するのに何のプロジェクトが、どんなことをやればいいか、これは、今後、この諮問会議の中できちんともんでいかなければなりませんし、既に御提案もいただいております。

 そういったものを踏まえてこれは組み立てていくわけでありますが、その意味において、まずは、病床の過剰地域となっているならば、そこに新たにふやせないということになりますから、しかし、ここは特区として定めたならば、その医療機関の開設や増床の申請を我々は受けとめられるような、そういう形もきちんとつくろうではないかということを考えているということであります。

 ですから、これは必ず私たちはやらなきゃいけないと思いますし、医療の分野での成功というのは世界に貢献できることになるのではないか、このように考えます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 医療を産業と言い切ることというのはなかなか難しいことだと思うんですけれども、ただ、成長戦略の目玉としてなり得るポテンシャルを持っているということは事実だと思うんですね。

 先ほど、大臣、全てが世界一なのかというお話をしていただいたわけなんですけれども、実際、日本の医療のクオリティーに関して言いますと、それぞれの手技に関すること、イノベーティブな研究に関すること、プラスアルファはやはり日本が世界に誇る国民皆保険制度というのもあると思うんですね。

 私自身の趣旨としては、特に皆保険制度を崩したいわけではないんですね。その中で、医療の世界でもやはりスクラップ・アンド・ビルド、そしてイノベーションを繰り返していかなければいけない。では、その制度を保ったまま、もう一つの規制である病床規制、それを今回、医療法の特例として第十三条の中に盛り込まれていると思うんですね。

 この条文を読まさせていただくと、先ほどの新藤大臣のお言葉どおり、「国家戦略特別区域高度医療提供事業(国家戦略特別区域において、世界最高水準の高度の医療であって、国内においてその普及が十分でないものを提供する事業」ということなんですけれども、ちょっと漠然と、わかりにくいんですけれども、世界最高水準の高度の医療であって、その普及が十分でないものというのは、これは、戦略として、産業としてどういった、普通、新しい事業を起こすとなったら具体的なやはりイメージがあると思うんですけれども、今お答えできる、今構想の中にある高度医療というのがあれば、お答えいただければ幸いです。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

新藤国務大臣 今、私どもの方で皆さんに御提示するそのようなものは、少なくともいろいろな検討があり、御提案があるわけであります。そういうものの中からごらんいただくしかないのでありまして、今、担当大臣として、私はこれからそれをどう定めようかというのを諮問会議をつくって議論していくわけでありますので、個別具体のことについては今申し上げることはできない。御了解いただきたいと思います。

 しかし、もう委員が医師として、私よりも詳しいわけですが、新しい医療、それも症状に合わせて、全て診療方法というのは違いますよね。ですから、そういうもので、日本が今、ここは得意の分野だ、もっとこれを強化すればさらに精度が上がる、こういう分野というのは幾つかあると思うんですよね。

 ですから、そういうものをぜひ入れなきゃならないだろうと思いますし、また、再生医療の分野というのは極めて注目すべきものだと。特区をつくる以前に、再生医療の活性化の法律というのも、我々、私も多少そこのときはお手伝いをさせていただいたんですけれども、そういったものも始まっておりますから、いろいろな可能性を追求してまいりたい、このように考えます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 そのあたりは厚生労働省との兼ね合いもあると思いますし、いわゆるイノベーティブなリサーチ、研究分野に関するとやはり文部科学省さんとの兼ね合いもあると思うんですね。文科省、厚生労働省そして経産省、それを内閣府のところで全体的に取りまとめていただくに当たり、それぞれの省庁、研究者の間では、それぞれの省庁間にやはり深い溝があると。溝どころかデスバレーと呼んでおるんですね。ここをやはり取っ払ってもらうと思えば、もうかなりの岩盤規制の突破力が必要であると思います。

 山田議員の質疑の中にも、やはりそのあたりをアグレッシブにアグレッシブにやっていきたいというところで、病床数を規制しているわけなんですけれども、今回の法案は特区の中でこの病床数を規定しなければいけないということなんですけども、そもそもこの病床数の規定自体に何か国民のメリットがあるのかないのか、この辺は厚労省の方にお聞きした方がいいのかもしれないんですけれども、わかる範囲で教えてください。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本来、厚生労働省さんの方から現行法の制度については御説明をいただくのがいいと思いますが、現行法上、全国で医療というのができるだけ均一に供給されるように、都道府県ごとに基準病床数を決めて、これを全国統一の算定式によって算定をし、それを超えるようなところ、病床過剰地域については、公的医療機関等における開設、病床の増床を許可しないという仕組みによって、トータルでできるだけ全国均一に医療が提供できるような仕組みをつくっていく、そのように私ども理解をいたしております。

伊東(信)委員 きのうのレク及び通告の過程において厚労省の方に来ていただいて、細かいことに関してはお話しいただいてもいいですよという通告はしたんですけれども。

 実は、先ほど申し上げましたように、要するに、成長戦略としてやっていく上でこのデスバレーを突破しようというのは、産業自体の岩盤規制、つまり、ある一定の産業があって、ある一定の企業があって、そしてそれに関係する議員さん、そしてそれに関係する省庁さんという、この三つの、さっき岩盤と言いまして、デスバレーと言いましたけれども、この三つは鉄のトライアングルと呼ばれるんですね。

 これを突破する上で、では、デスバレーを突破する上で、各省庁さんの横の意見はどういったものなのかということでお聞きしたかったわけなんですけれども、各府県ごとに病床数を抑える、その意義というのは内閣として意味があることだとお感じでしょうか。

新藤国務大臣 現行の規定について、これはぜひ厚労省をお呼びになって質疑をされた方がいいわけなんですけれども、私はそれに関連して、やはりルールというのには意味があります。そして、ましてや命を預かる医療行為について、これは全国民に対して均一の医療を施さなければいけない。また、さまざまな関係者との御議論の末にこういったものがあるわけなんです。

 ですから、私は悪者にするつもりはありません。理由があると思うんです。ですから、その上でも、やはりここには必要だ、ここに必要なのは、そうすればこれだけの効果が上がる、こんなことができるんだ、世界からも入ってくるんだと。私たちは、それをまた、こんなふうに世界に貢献できるんだというプロジェクトをきちんと組んだ上で、その議論を国民の前で公開し、透明性を持って諮問会議というのは運営していきますから、その中で規制官庁が、推進する側と、そして事業体と意見を本当にぶつけ合ったときに、さあ、では、これはこの特区であればやってみるかというところまで積み上げなければ成功はあり得ないと思いますよ。

 無理だ無理だ、だめだだめだと言っているのを押し倒したところで、そんなにうまくいくものじゃありません。むしろ、そういうハードルを乗り越えられるぐらいのすばらしい計画とそういう事業体をつくれば、私は乗り越えられるんだと思うんです。

 ですから、現状において、今、このように、岩盤と言われているようなそれを、少なくとも、検討しましょうというところまで来たのは、どこで何をやるかもわからないうちにここまでのことで了解するというのは、これは、きのう、多分、参考人の方々との質疑の中で、関係者からすれば、これはかなりのものですというお話があったと思うんですけれども、そこはぜひ御理解をいただいた上で、しかし、足りないよ、もっとできるじゃないというのはどんどん言っていただいて、そういう声をバックに、私たちは、新しいブレークスルーが始まるんじゃないか、このように思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりで、だめだだめだと言っているだけでは進まない、そのこともきちっと理解しているつもりですし、私も医師ですので、厚労省に聞くべきところは厚労省に聞くのが筋だと思うんですけれども、あえて大臣にお答えいただきまして、ありがとうございます。

 要は、本当にそういうことで、特区の意味というのはそこにあるということです。

 それで、出だしとしては、この病床緩和、これは大きなことだと思います。全国にやるには、全国津々浦々の状況があるから、では、特区で始めよう、これは非常によくわかる話です。やはりここからの広がりが期待されるところなんですね。

 実際問題、世界最高水準の高度医療を行って病床数をふやすとしましたら、医療水準に関する、例えば、まだ国内で普及していなかったら、どうしても自費診療になってしまうわけなんですね。

 私のやっている自費診療の治療法、ヘルニアのレーザー治療というのは、かつて先進医療の分野に入っていまして、評価療養という、将来的に保険を認めるための医療として組み込まれていたんですね。

 ところが、その前提として、最初、二〇〇四年ごろには、厚生労働省としては推奨しない、だけれども、そうはいうものの、やはり一定の効果があるから先進医療の中に入れてもらった。だけれども、やはり二年を経て、外れたわけなんですね。それはそれでいいんです。やはり全国均一のクオリティーが、ちょっと本当に手前みそですけれども、私はうまいと思うんですけれども、ほかの先生がうまくなかったという残念な結果に終わったわけなんですけれども。

 医療というのはそういった事情がありますから、国民の命、健康を守るためには、その辺はきちっと政府としてやっていかなければいけない。

 だけれども、私がうまいと自分で言っているこの理由は、全部日帰りなんですね。一時間したら帰れるというのが私の売りなわけなので、この場合、そごが生じないんですよ。つまり、手術をして帰れるから自費診療でオーケーなんですね。だけれども、入院した場合、入院費その他もろもろを入れてしまうと、いわゆる併用療法になってしまったりするわけです。検査もしなければいけないですし、その後のフォローでお薬も出る。そういう場合、混合診療の問題が必ずや出てくるんです。

 混合診療を全面解禁しなさいという意味ではございません。だけれども、岩盤規制の中に混合診療もやはり入ってくるから、そこに踏み込まなければいけない。その意味での特区としての意義、これからのプランがあれば、お答えいただければ幸いです。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

新藤国務大臣 それは、結果としてどうなるかということが重要だと思います。

 まず、手段としての混合診療というような制度を破るんだということから入っていけば、それは今までの議論があるわけであります。

 ですから、大切なことは、手段の目的化は絶対してはならないと。目的達成のために必要な手段を選択していけばいいわけですから、きちんとした事業目的をつくり、そこで議論した中で、結果としてどうなるかは、おのずと必然性のあるものはできるようになると思います。

 私は、軽々に、関係者の議論を無視して、手前勝手な、また、今度の国家戦略特区が総理直属で何が何でも決めたものは押し倒す、こういうような乱暴なもので成功するわけがないんです。だけれども、志としては、そういう新しい、そして皆さんの願い、かつ、実際に現場で活躍されている人たちの納得できる、そういう答えを見つけなければいけないわけなんですから、目的をしっかりと設定して、そのための手段選定に当たっていきたい、このように考えます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 医療も仮に産業と考えたら、ニーズありきで、シーズがあるからやらなければいけないということではないわけですよね。ニーズがあればそのあたりを突破していきたいという御決意というか理念は感じました。

 ということは、特区においても本当に必要であればこういった混合診療もあり得るという解釈でよろしいのでしょうか。どうしても、科学者なのでついつい確認してしまいますけれども。

新藤国務大臣 ここは、私がこの担当の大臣ではない、所管していない分野において責任ある御答弁をすることは差し控えます。

 しかし、可能性という意味においては、それは、あるかないか、全てを含めてどっちかしかないんですから、それは、検討していくという中においてのいろいろな可能性というのがあるのではないかなと。だめな場合もあるかもしれないし、うまくいく場合もあるかもしれない、そういうことだと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 可能性として検討していただけるのであれば、ぜひとも検討していただきたい。どうしても、私も医者なので余り悪口は言えないですけれども、医師会もございますし、いろいろなところの御意見というのもあるとは思うんですけれども、そういったところから調節して、もう最初からだめだ、だめだだめだではなくて、可能性として御検討いただきたいと思うんですね。

 可能性として特区の中の医療の分野で今議論されているのに、昨日も参考人の先生の中からこういったお話をいただいたわけなんですけれども、日本における外国人医師の登用に関してのお話があったと思うんです。

 現在、外国人医師はその国の人しか日本では診れないというのを、日本人も診察とかできるように方向性として持っていく、これを今検討している、もしくはこれから検討したいと思っているというふうにペーパーでも確認したような気もしますし、昨日の参考人の答弁の中にもあったかと思うんですけれども、確認なのですけれども、その認識でよろしいのでしょうか。

新藤国務大臣 今の、外国人医師が日本において日本人を診れるかということについては、これはまだそこの検討には至っておりません。

 今回は、二国間協定の対象国の拡大と、特区内に限定してでのことでございますけれども人数枠の拡大、それから受け入れの医療機関の拡大と、今までですと、外国人医師といってもその外国人の持つ国籍の者しか診れなかったわけですけれども、例えば言葉が同じであればその枠はいいではないかとか、そういう二国間協定の枠を超えましょう、こういう検討はしているわけであります。

 そのように御理解をいただきたいと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 現在の進捗状況の確認をしたかったわけで、どうしても日本の医師免許というのはやはり制度に基づくものですので、私は手放しでどんどこ外国の方にお越しいただきたい、そういう趣旨での質問ではございません。むしろ、国家の戦略なので、やはり日本人医師の充実を図っていただいた方がいいということです。

 実際、私どもには、バングラデシュの環境副大臣が来ていただいたり、インドの要人が来ていただいたり、一人医療ツーリズムを自分でやっている。この時間をかりて自分の自慢ばかりになってしまっている感もあるんですけれども、やはりインバウンドとして……(新藤国務大臣「ヘルニア」と呼ぶ)ヘルニアです。ありがとうございます。営業になってしまいました。

 いわゆる、これからインバウンドの中でやはり医療ツーリズムというのは非常に大事な要素にもなってきますので、この国家戦略特区がこういったことに寄与できるようにしていただければと思うんです。

 もう一つ、日本の医療のためになればということなんですけれども、どうしても医療スタッフの不足、医師不足というよりも医療スタッフの不足というのが現在やはり問題になっておりまして、今回の国家戦略特区の中で、例えば外国人の看護師とかの登用に関して規制緩和の議論もなされているということをお聞きしたんですけれども、その辺のプラン、もしくは計画に関してお聞かせいただければと思います。

新藤国務大臣 この件は、国際医療拠点において高度な医療技術を有する外国人医師の受け入れを促進するために、臨床修練制度の全国的な制度改正を行おうではないか、そして、教授や臨床研究目的の追加を行おうということを考えております。その結果、外国医師が従事する医療機関においては、外国人による看護チームも提供することが可能になる。これは、制度改正を次の国会で行わせていただいて、全国的にそういうことができるようにしようではないか、このようになりました。

 これは、特区でこういうことはできないかと、ぎりぎりもんでいった結果、いや、特区内で限定するよりは、そこまでやるのならば全国の制度にしなければだめだ、こういうことになって広がったいい例だと思います。

柴山委員長 伊東君、質疑時間が終了しております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 それでは、エンディングに入ります。

 実際、いろいろ医療に関して御質疑申し上げました。冒頭申し上げましたように、アグレッシブな改革がやはり日本のカンフル剤として必要だと思います。新藤大臣からはかなり前向きな意向をおっしゃっていただいたように感じます。しかしながら、やはり最終的には、各省庁間のデスバレーの突破、岩盤規制の突破と、いろいろな壁があると思うんですけれども、そこをぜひとも突破していただいて、実行力のある効果を出していただきますことを期待いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

柴山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 ふだんは厚生労働委員会で仕事をさせていただいておりますが、きょうはもう正午を過ぎておりますが、この時間設定は私がしたわけではありませんので御容赦をいただいて、二十分ほど御討議をお願いしたいと思います。

 きょうは、厚労省の佐藤副大臣にもお越しをいただいています。厚労委でも申し上げましたが、大阪の大先輩でありまして、大学の先輩でもあります。何とぞよろしくお願い申し上げます。また、新藤大臣、よろしくお願いします。

 きょうは、いわゆる雇用特区について議論をさせていただきたいと思います。ただ、きょう維新の質問者の方から、山田委員の方から、グローバルスタンダードでという話も申し上げたかと思います。我々日本維新の会は、雇用については、やはりこれだけグローバルな経済になった中で、日本の雇用制度についても改革しなくてはいけない、こういう基本認識がございます。

 そういった意味で、この委員会でも、維新以外の野党の皆様から、特に共産党からは、いわゆる雇用特区については解雇特区というような議論が、この審議にかかわらず、議論があったかと思います。

 そういう一部野党の雇用特区に対する意見に対して、十月十六日の本会議でも、安倍総理の方から、解雇特区といったレッテル張りは事実誤認だ、不適切であると大変強い語調でおっしゃられ、私は、まさにそうだと。いろいろ八田委員長などから御提案のあった提案を、むしろ成長戦略の肝になる改革である、特に、アベノミクスをしっかりと成功させるためには、雇用改革なくしてアベノミクスの成功なしと言ってもいいぐらい、雇用規制の改革は重要であると考えています。

 ところが、結果的には、見直しというか修正というか縮小、あるいは断念ということが報じられております。これは、安倍総理が本会議で大変正しく雇用特区の趣旨についておっしゃっていただいたにもかかわらず、なぜ、実際の法案の取り扱いについて、雇用特区が縮小してしまったのか。

 新藤大臣、御担当の大臣としてこれをどう見ていらっしゃるか、御答弁をお願いします。

新藤国務大臣 私たちは、きちんと国民の皆さんに、何が目的なのかということを説明していく、そういう義務と責任があると思います。ですから、まだその気持ち、意向が伝わっていないとするならば、さらなる努力をしていけばいい、このように思うんです。

 私、再三申し上げますけれども、手段の目的化に陥るんです、日本人というのは。ですから、雇用のところも、雇用をどうするんだ、どうするんだと。一体、何の分野で働いてもらうんですか、どうしてそんなに人が必要なんですか、そこの議論が大事だと思いませんか。ここでこういう仕事をやるから、いろいろな人が集まってくるよ、そのときに、働き方が多様なものであって、しかも雇用の拡大につながるようなルールの改善が必要だよね、それが規制緩和なのであって、何をやるかということを議論すればいいと思うんですよ。しかし、この制度として後退したか前進したか、私は、そういうことを言われても余り気にはしておりません。

 大切なことは、今後、少なくとも、雇用の拡大をするために、まだ具体的なケースが設定されていないにもかかわらず、このように、労働紛争の予見可能性を高めるような、そして今まで全くさわってこなかったところに、担当である厚生労働省も踏み込んできた。そして、今後さらに検討していきますと大臣が言ってくれているわけであります。そういう中で、さらに雇用の活性化を促すための規制というのは、必要に応じて検討していきたいと思います。

 まずはメニューを、とりあえず、ここまでのメニューはそろえました。これも機能をしていくと思いますし、させるようにしなくてはいけないと思いますが、大事なことは、こういうルールを使って何をなし遂げるかということをきちんと示さなければいけなくて、それを我々がまだ示していないものですから、皆さんからこういった御心配をいただくことになるわけであります。

 しかし、なぜ我々がそれを示さないのかといえば、それは、この法案を成立させていただいて、そういう目的と区域を設定するための仕組みを、ここでもって、国家として取り組むわけでありますから、ぜひそれを法案として成立させていただいた上で、そういったものをお示ししたい。そこでたくさんの御意見をいただきながら、皆さんがよしと喜んでいただけるような、そういうプロジェクトを組み立てていかなければいけない、こういう責任を私は感じております。

足立委員 ありがとうございます。

 今、新藤大臣がおっしゃったことで言えば、要すれば、地域に、あるいは企業に具体的なニーズがあれば、これは、いわゆる解雇制度に係る、雇用特区というものは非常に広い、雇用制度は非常に広うございますが、雇用制度の中でも解雇制度、解雇制度に係るメニューも、今後、ニーズがあれば検討の余地はある、こういうことでしょうか。

新藤国務大臣 そもそも、雇用特区というのは何だということでございます。雇用だけに限定した特区をつくるんですか。ですから、プロジェクトを組んで、国家戦略特区の中で行われるプロジェクトにはこういう雇用ルールが適用されますよということなのであって、雇用だけの特区なんてあり得ないじゃないですか。というふうに考えてみたらどうかと私は思うのでございます。

 特区における雇用制度をどういうふうに考えるかという論点だと思うんですけれども、字面にすると、雇用特区はどうするのとなると、今みたいな私の話になっちゃうんですね。

 ですから、とにかく目的をきちんと設定して、そのために必要な手段は考えましょう、ルールの改善が必要なものについては、これも取り組みたいと思います。しかし、それは関係の皆さんとの協議が調わなければできないことであるから、それを国民の前で、透明性、公開性を持って、国がこういうことであれば経済が広がっていくのではないか、こういう観点からこれだけの成果も出せるのではないか、こういう指標を設定した上でそういった議論をしていきたい、こういうことでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 ただ、新藤大臣、これはこだわるわけじゃないんですが、今、雇用だけの特区はあり得ないじゃないか、こうおっしゃった。私もここで帰るわけにいかぬので、もうしばらくおつき合いいただきたいんです。

 先ほど、山田委員からグローバルスタンダードという話がありました。

 雇用制度はもちろん国それぞれで、ILOでいろいろな議論がありますから、途上国などはできるだけグローバルな枠組みでの議論がありますが、先進国を見ても一定の幅はあります。ただ、先進国の雇用制度の特に解雇にかかわるルールを並べてみると、やはり日本は特殊なんです。

 英米独仏と言われているいわゆる欧米の先進国について、基本的に、解雇者を選ぶルール、新藤大臣、これは佐藤副大臣の領域ですからあれですが、ただ、担当大臣としてぜひ御理解をいただきたいのは、被解雇者の選定について。

 アメリカでよく言われているいわゆる先任者保護、長く勤めている人を大事にするという大きな枠組みがあります。これは、まあアメリカは特殊ですけれども、アメリカだけではなくて、イギリス、フランス、ドイツ、あるいはスウェーデン等でも一般化しているわけです。

 これは当たり前のことで、長くその企業にいれば転職しにくくなりますね。要は、そこに長くいない方は、ほかにまた行く余地もある。若ければまたほかでトライする余地もある。でも、例えば五十、六十までずっと長くいたら、急に出ていってくれと言われたら、大変だ。

 いろいろな合理的な理由があってそういう制度を設けているんですが、日本にはそういう要件は、解雇の法制、あるいは判例法理にも基本的にはないと承知している。むしろ、日本では、いわゆる経営の悪化、事業体の経営が悪化することを、解雇の四要件ということの中に、明確に判例法理として一定の確立を見ているわけでございます。例えば、ドイツなんかを調べてみると、こういう経営悪化の要件はありません。そういう日本の解雇制度というのは、やはり特殊なんですね。

 だから、例えば私も佐藤副大臣も、地元ですけれども、大阪なんかでそういう特区をやろうと言っているのは、大阪は、これから東京と競争するんじゃないんだ、シンガポールや香港、上海等と競争するんだということで、やはりグローバルな制度を見たときに、どうしても日本というのはハードルがある。

 そういう観点で、雇用に関する制度、これは解雇制度もそうだし、あるいは労働時間規制もそうだ、やはりしっかり取り組んでいきたいということで、雇用制度に着目した特区を提案しているわけです。やはり、それはあり得ないということですか。

新藤国務大臣 私が申し上げているのは、雇用制度のみに特化して行われる特区というのはあり得ないと言っているんですよ。雇用というのは、どこかで雇われるんだから。

 もちろん、今委員がおっしゃるように、雇用のルールをいろいろと改善しよう、これは重要だと思います。グローバルの競争に勝ち抜くために、人材を確保するために、やはりそれは必要な要素だと思います。しかし、その人たちは、そういうルールを改善された中で、何の仕事で働くんですか。どういう仕事が集まるから、そこの企業やそこの仕事に対して働く人にこういうルールが適用されますよ、これは合わせわざでしょう。

 ですから、雇用だけのことに特化するのでなくて、しかもそれは、国家戦略特区においては、望むならば幾つかの特区で同じようなルールができるわけでございます。特に雇用などという働き方については、全国でできるもの、それをまず特区でやってみようじゃないか、こういうことなんですから、その意味で、もちろん議論は大切ですし、まだまだ詰めなきゃいけないことがあるんですが、しかし、後退したかとか、前進したかとか、そういう議論は余りしても意味がないのではないかという意味において申し上げているのでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 すると、合わせわざであれば、解雇に係る制度、労働時間に関する制度があり得る、これでよろしいですか。

新藤国務大臣 それは今、厚生労働省を初めとして、私ども必死で議論をしているところでございます。

足立委員 きょうは佐藤副大臣においでいただいて、大変難しいテーマだと思うんですが、私がこう申し上げている趣旨は、例えば、通常国会でも実は解雇の金銭解決の話というのがあったんですね。これは、正直言って、何か解雇する側のためにその制度があるような誤解があったんですが、実際私、いろいろな人に聞くと、むしろ経営側はそんなに望んでいないんです、お金を取られるわけですから。

 でも、結局、今回の解雇紛争については、これはけしからぬじゃないかということで裁判になったというときに、労働者側が勝って、やはりそれは不当だったというときに、裁判までして争ってしまったときに、その会社に戻りますか。でも、戻るしか今はないんです。そうすると、けんかをしたところにまた戻るしか今の日本の労働者はないんです。それは労働者の選択肢が、まさに世界標準から見てもそれだけかよと。むしろ世界的に見れば、敗訴したときにお金でごめんなさいと金銭解決を、敗訴に行く前もあります、もちろん和解で。その紛争を、戻るだけじゃなくて、金銭で報いる、解決するという労働者側の選択肢なんです。それを労働者が選べばいいんです。

 労働者側の選択肢をふやすことを考えて政府は提案をしていたはずなんだけれども、一部野党の、日本維新の会を除く野党の何かいわれなき、まさに総理もおっしゃっている、ちょっと言葉は忘れましたが、非常に不見識な、合理的でもない、マスコミも含めたそういう不当な議論によって、政府が一旦それは取り下げた。実際に、これは新藤大臣の領域じゃないです。いわゆる解雇の金銭解決というのは、厚生労働省が正面から取り組んで、マスコミや民主党や共産党の反対で引っ込めたんですよ、今申し上げたことを。

 この解雇特区においても同じようなことが起こるのでは、アベノミクスを成功させるためには、やはりこれは雇用制度なんです。それはおっしゃるように、特区かという議論はあります。もう全国でやろう。でも、特区というのは、本来、全国でやるんだけれども、なかなか全国ではハードルが高いからまずここでやるんだということで、大臣のリーダーシップでやっていただいているわけですから、私は、雇用制度、絶対やらなあかん、解雇制度、労働時間規制、絶対にやるべきだし、それをいずれは広げていって、厚生労働省の労働政策の枠組みの中でしっかりとこの制度を整備していく必要があると思うんです。

 本当に一言ずつで結構ですので、新藤大臣と、申しわけない、佐藤副大臣、時間がなくなりましたけれども、一言で結構なので御見解をお伺いできればと思います。

柴山委員長 質疑時間が終了しておりますので、文字どおり一言ずつお願いします。

佐藤副大臣 今、足立委員が質問の中で申されていました解雇の金銭解決制度、二種類あると思うんですね。事前型と事後型。

 事前型については、春の通常国会の予算委員会でも、党でも、総理が、そういうものについては導入しないという旨を累次にわたって答弁をされております。

 問題は、今おっしゃられた、現職復帰を希望しない場合の救済方法としての事後型の金銭解決制度については、ドイツを初め、欧州諸国の例もあって、検討の余地が一概に否定されるものではないと思っておりまして、過去においても、平成十五年、また平成十八年、審議会で議論された経緯がございます。それについては、懸案になったのは、一つは、やはり申し立ての主体、もう一つは、補償金の水準をどうするか、そういう難しい論点もありまして、やはり労使の合意を得るに至らなかったという課題であることを踏まえて、やはり、我々としても、慎重にこれはしっかりと議論していくテーマである、そのように考えております。

新藤国務大臣 目的達成に向けて、必要な議論というものはいつもやっていくべきだと思っております。

足立委員 大変にありがとうございました。

柴山委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二十三分開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介と申します。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 この国家戦略特区法案、アベノミクスの柱とされているものですけれども、条文の修正を含めまして後ほどるる御提案等ございますが、日本経済再生のために必ず成功させていただきたいと思います。

 ここまでの審議で取り上げられている論点と多少重複するところもございますが、大事なポイントに絞って確認をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、国家戦略特区と総合特区の違いといいますか、ここが何度も議論になっているんですけれども、やはり、調べれば調べるほど、私は違いがわからなくなってまいります。大臣のお答えを聞くたびに違いがわからなくなってくるんです。少しそこを詰めさせていただきたいと思うんですが、まず、大臣、その違いを改めて、できるだけポイントを絞ってお答えいただければと思います。

新藤国務大臣 この国家戦略特区と総合特区、それぞれ成り立ちが違うわけであります。

 総合特区におきましては、地域の御提案によって、そこに、規制緩和と、それから税ですとかいろいろな支援措置も含めた地域の活性化のための、また、それが国際的な展開も含めての、そういった地域からの御提案を国が採択をする、こういうことであります。

 一方で、国家戦略特区の方は、これは御提案もいただきますけれども、国と地方と民間、これが同じ事業体となって、そして、国の経済を突破できるような、新たな経済を開くような、そういうテーマごとに特区をつくって、そしてそこで集中的に議論していこう、総理がリーダーシップをとって、その上で、国ぐるみと私は申し上げておりますけれども、そういう事業をやっていこうと。

 一方は、地域が主体となって行う事業を国が認定をする。一方は、国も含めて事業体となって一緒に進めていく。こういう違いがあるというふうに思っております。

津村委員 これまでのワーキンググループでの議論を、議事要旨、公開されているものを拝見させていただいておるんですが、第一回の会合で、副大臣は、これは五月十日の午後五時からの会合ですけれども、「地方に手を挙げてもらってたくさんいろいろなものをつくるというよりは、国としてもこういうことをやりたい、世界をリードしていくこういうことをやりたいという中で、少数精鋭でとがった特区をぜひつくっていただきたい。」というふうに呼びかけられています。

 今回、十六項目、規制改革玉があるわけですけれども、このうち、国から提案されたものというのはあるんですか。

新藤国務大臣 これは、国というよりは、地域からの、事業体からの御要望もございます。そういったものも踏まえて、内閣府、私どもの方で、事務局から御提案をさせていただき、それを関係省庁と協議をして、とりあえず、今、十六項目まではこのような規制のメニューをそろえることができた、こういうことでございます。

津村委員 今大臣は、自治体からも提案をいただきというふうにおっしゃられましたけれども、私の見る限り、今回の十六項目は全て地方自治体またはNPOからの提案で、提案されたものを幾つか選んだというだけで、国の方から、これをやってみてはどうかということはなかったように思うんですが、いかがですか。

新藤国務大臣 十六項目、今そろえましたけれども、最初の時点で八項目そろえさせていただきました。その時点では、まだ地域からの御要望をいただいておりません。地域からいただいた御要望は、八月の十二日から九月の十一日を締め切りにいたしまして、その間に、各地域や民間事業体から御提案をいただいた。そういうものの中からも踏まえての、重ねたもので、追加したものも含めて十六になったわけであります。

 もちろん、かねてより地域からの御要望があったようなものもありますが、少なくとも最初の八項目は、事務局が、こんなことはできないかということでピックアップして協議した結果、成り立ったものもございます。

津村委員 同じワーキンググループ第一回の会合で、これは八田座長の御発言なんですけれども、「東京とか大阪の国際戦略総合特区についてでさえ、いかんせん地元から出てきた提案内容には規制改革の大玉が含まれていなかった。」これはワーキンググループですから、まだ募集の前ですけれども、かつてのことをおっしゃっているんだと思うんですが。「やはり難しいものについてはどうしても躊躇されるということもあったのだと思う。」

 議論の最初の段階では、大臣も、あるいは八田座長も、地方からはなかなか玉が出てこなくて、これは国の方から玉を出していかなきゃいけないという認識をお持ちだったと思うんですね。先ほどの八項目があるということもそれをあらわしていると思います、例えばこういうこともあるということを出されたんだと思うんですが。

 結果、ふたをあけてみたら、それが呼び水になったという側面はあるんでしょうけれども、百九十二項目、非常に充実したものが出てきて、その中から相当精査をして十六に絞ったということですので、これは、最初の御認識とはちょっと違うのではないかな。

 そういう意味では、地方の皆さんからの発案というものをもともと総合特区制度で受けとめているわけですから、総合特区制度を、今回、国家戦略特区を始めることによって、募集を停止するやに言われておりますけれども、そうすると、これまでよりも入り口が結果的に狭くなってしまうのではないか、そこを懸念しているんですね。

 総合特区の方の募集というのをこれからも続けていくお考えはありますか。

新藤国務大臣 結果論として、委員が御心配をいただき、二つのものを結びつけていらっしゃるように感じますけれども、そもそも総合特区の検討と国家戦略特区の検討は別でございます。

 総合特区につきましては、国家戦略特区の話が始まる前、つまり、私が総務大臣また地域活性化担当大臣に就任してから、総合特区についてはどのように今後展開していくかということでいろいろな協議をしてまいりました。

 その結果として、そもそもの方針もございましたけれども、一旦、この募集を一度締めて、そしてその上で、既にもう始まっている四十八のプロジェクトがございますから、そういったものの進捗状況や成果等をチェックした上で、また使い勝手も含めて、今後どのようにしていくかということを今検討中なわけであります。

 ですから、まだその結果は出ておりませんけれども、総合特区が、いずれにしても、今ある事業、認定した事業、これはしっかりとフォローしてまいりますし、総合特区制度を何か別のものに統合しようとか、そんなことを考えているわけではないわけであります。

 国家戦略特区は、全く別の次元で、国の、日本経済再生のために、まずはシンボル的な、しかも扉をあけるような象徴的なプロジェクトをやってみようではないか、こういう全く別の発想から出てきたものが今こうなっているわけでありまして、同じ時期に重なっておりますから御心配いただくことは結構でございますが、私としては全く別物と考えている。

 ただ、事業の進捗、内容によっては相互の連携が図られることは十分にあり得るし、構造改革特区も含めて、それは構造改革特区と総合特区だけではないんです、都市再生や中心市街地活性化や、それからそのような内閣府ではなくても、私の方でやっております地方分権改革、それから地域活性化の例えば地域の元気づくり事業ですとか、いろいろなツールがあるんですね。そういったいろいろなところに応用展開できるのではないか、このように考えております。

津村委員 確かに、総合特区四十八カ所といいますと、日本に四十七都道府県あるわけですから、かなり全国津々浦々、いろいろな意味でバランスよくこれまでお取り組みをされてきたんだと思いますし、ある意味一巡して、ここからは少し選択と集中を強めて国家戦略特区の方をひとつ頑張ろうということはわかるんですけれども、今回、三から五に外れたところから見れば、当面自分たちの次のステージが見当たらないということになってくると思いますし、四十八カ所をこれからもきちんと回していくというのはもちろん大事で、この後PDCAの話もさせていただくんですが、やはり新しい行政ニーズとか新しいアイデアというのはどんどん出てくると思うんですよね。そこを拾うステージがないということが、もう募集停止するというメッセージが強く出ると、非常に地方の皆さんの気持ちをそいでしまうということを心配しているんです。

 事務方のキャパもありますし、次々と新しい法案をつくるわけにもいかないわけですから、一つ一つやっていくというのはわかるんですけれども、来年度同時にというのは難しいかもしれませんが、将来、総合特区の制度をまたきちんと活用していく考えがある、募集する心構えがある、そういう前向きなお言葉をいただけませんか。

新藤国務大臣 今、総合特区をどのようにしていくかという検討をしているわけであります。それは、四十七都道府県ある中で四十八出てきたからというふうなことではありません、地域は全県網羅しているわけではありませんから。国際戦略とそれから地域活性化は別々でございますから、とても全国を網羅している状態にはなっていないんです。

 ただ、総合特区の方は、事業の枠組み自体が、事業を決めて、決めてから規制緩和措置だとかそういったものを協議することになっておりますので、実際なかなか進捗が進んでいないといううらみがございます。

 それから、PDCAを回すと委員も先ほどおっしゃいましたけれども、この計画をやはりきちんとチェックした上で、どうすればより促進されるかというようなことで見直しをしていこうと思っているわけなんです。

 ですから、総合特区制度そのものをなくすことは今のところ、今現状、認定しているんですから、その仕事を必ず進めていくということになります。それから、次の募集がいつになるかは、そういった体制を整えた上で、これはまた、改めて時期が来れば、そういうことの御応募をいただくようなことにもなるかもしれません。

 それから、委員が御心配いただいていますけれども、国家戦略特区は二百近くの提案がございました。それをとても一度にはできません。ですから、少なくともその二百提案の中の、要するに、一つの規制緩和をしたい、規制改革したい、こういうものは構造改革特区で対応できるものもございます。ですから、それらについては、今回、法案の中でも、そういうものが見れるような工夫をいたしました。

 総合特区の方は、幾つかの事業の固まりのプロジェクトですから、そのままぽっと持っていくわけにはいかないわけですので、今そのようにはなっておりませんけれども、いずれにしても、地域を元気にする、それぞれの地域でそれぞれのやりたいことを実現させていく、これは総務大臣としても非常に重要だと思っておりますから、いろいろな御提案は有効に活用させていただきたい、このように考えております。

津村委員 水曜日の前回の質疑で、我が党の後藤祐一議員から非常に重要な指摘があったと思います。

 三十七条に関連していたと思いますが、総合特区法の改正の修正のときですね、前国会のときの修正協議のことを引き合いに出しながら、従来の特区制度において認められる規制の特例措置については、今回の国家戦略特区制度においても内閣総理大臣の認定を受けて適用可能とするということを、修正協議をこれからしましょうよということの御提案がありました。

 先ほどの論点に関連して私からもう一つ提案させていただきたいんですけれども、三十七条には、構造改革特区と国家戦略特区の連携については規定されているわけですけれども、総合特区については言及されていないわけですね。

 確かに、先ほど大臣お触れになったように、構造改革特区と違って総合特区の方はパッケージですので、そのまま適用するということはできないんだと思うんですが、ここは適用じゃなくて連携という表現になっているわけですから、これは読めるというか、しっかり連携を、先ほどもしていくということをおっしゃっていたので、ここは、地方の皆さんにしっかりメッセージを出すためにも、三十七条と同様の趣旨を、総合特区法案についても条文修正して触れられたらいかがかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 国家戦略特区をどのように進めていくかは、国家戦略特区諮問会議の中で議論をしていくわけですね。方針を定め、区域を設定します。その設定された区域、プロジェクトに対して統合推進本部、国家戦略特区会議というのを設けて、担当大臣と、それから民間、地方の代表者による事業進捗と推進のための組織ができていくわけです。

 そうすると、地域の御意見を取りまとめる必要が出てくる。それは、総合特区においては国と地方の協議会というのができております。ですから、地方の協議会というのはできているわけですから、仮に、国家戦略特区の指定区域が総合特区区域とかぶっている、そのまま丸ごとかどうかはわかりません。しかし、どこかで重なり合っている部分があるとするならば、既にそういう区域内における地方の意見を協議する、調整する場があるならば、そういったものはぜひ連携して活用していった方がいいのではないか、このように思っております。

 しかし、それは、法案に書き込むというよりは、実際の運用の中で十二分に配慮していきたい、このように思っておりますし、また十分可能ではないか、このように思っております。

津村委員 規制改革ということで緩和の話が先行するわけですけれども、第三回のワーキンググループで坂村委員から、場合によっては規制を強化することも有効な場合があるということで、例えば、都市部において、アメリカなどは、住居をつくらなかったらそのビルを建設できないということをやって、まあ丸の内とかで容積率の緩和とかいう議論はあるわけですけれども、新しくオフィスビルを建てるときには住居も併設しなければいけないというルールをつくることで結果的に同じ効果を生むというようなケースもあるかと思うんですけれども、これからの規制改革玉を詰めるときに、こういう規制強化の方もお考えになりますか。

新藤国務大臣 坂村先生の御発言の中で、規制を強化してもいいではないか、こういうようなお言葉がございましたが、それは何をやりたいかというと、町づくりのルールをきちんと決めた方がいいのではないか、こういう御趣旨だと私は記憶をしております。

 ですから、私どもは、規制を緩和すること、大胆な規制緩和と税制措置によって新しい経済を開こう、こういうことを進めていくわけでありますから、いわゆる法規制による規制を強化するというようなことは、なかなか、また出てこないような気がしますね。

 しかし、私、午前中からの答弁の中でも何度も申し上げておりますけれども、手段の目的化は絶対陥ってはならないと思っているわけでありまして、そこの地域に必要なものを、きちんとコンセプトを定めて、それに対するルールをつくっていくということが重要だと思うんです。

 今までの通常の都市計画であれば、都市部と住居地域によって立って、住居地域だとか商業地域だとかというふうにきちっと分けて用途純化をしていますよね。だけれども、もともとの基本の都市計画の概念は、今やそれだけでは賄い切れなくなっている。ですから、ある地域においては、都心でオフィス街をつくるんだが、その中に居住の地域もあっていい。普通に考えれば、物すごい土地の高いところで、家賃の高いところでは住めないけれども、やはりそこに働く人たちのための都心居住というようなものを考えてもいいではないか、そういう議論をワーキングの中でしたんです。

 ですから、柔軟に頭を切りかえて、そして、何をすればどんな効果が上がるかということを考えていく中で必要なルールづくりをしていこうということでありまして、あえて規制の分野において強化するところと緩和するところとを設けるとか、そのようなふうには認識はしておりません。

津村委員 ありがとうございます。

 それでは、ここから少し、PDCAといいますか、政策効果をどうはかっていくのかという話をしていきたいと思います。

 私の理解しているところでは、アベノミクスというのは、デフレ脱却をして日本経済を再生していくという中で、第一の矢、第二の矢、金融政策と財政政策でまず物価を上げていこうということ、それから、需給ギャップがまだあるわけですけれども、そこを一時的に埋めていこうということだと思いますけれども、やはり中長期的に持続可能なものにするためには、この成長戦略で需給ギャップというのをしっかりと埋めていかなきゃいけない。まさにその本命がこの国家戦略特区なわけですよね。

 では、今需給ギャップというのは一体どのくらいあるのかということを考えますと、リーマン・ショック直後はたしか五十兆ほどまで大きく開いたものが、その後、民主党政権期が三年半ありましたけれども、その最後のころが十五兆、二十兆ぐらいだったと思うんですが、今またさらに少しそれが詰まって、直近では十兆円程度だと思います。そういう意味では、この十兆円、ほかの政策も含めて進めていくわけですから、成長戦略あるいは国家戦略特区だけではありませんけれども、やはり何兆円単位の需要創出ということを期待されているんだと思います。

 そういう意味で、この十六項目がそれぞれ積み上げていくとどういうGDPのプラス寄与をしていくのかという数字的な議論もしていかないと、大臣のこれまでの御答弁は非常に定性的な、元気のいいお言葉なんですけれども、具体的に、一年後にはどのぐらいなのか、三年後にはどのくらいなのか、そういうイメージがなかなか湧いてこないんですね。

 まず、先行する事例として、構造改革特区や総合特区が需要をどのぐらい創出してきたのか、そういったことは検証されているんですか。

新藤国務大臣 構造改革特区における評価は、あらかじめ定めた数値目標に基づき行うというよりは、構造改革は規制緩和ですから、どぶろくに代表されるように、そこでもって自分たちの地域の地産地消を高めていきたい、そういうようなものでありました。

 ですから、今、私は、それぞれの構造改革特区、総合特区においてどのような成果が上がっているか、その目標値に対しての成果をきちんと出してもらおうではないか、それから、今既に出ているものは総合的に体系化していこうというふうに思っているんです。

 指標が統一になっていないですよね。ですので、全部の事業を網羅する指標はないんだけれども、それぞれの特区においてどんな効果が上がっているのかというのはきちんと出すように、今、分析とそして総計をするように作業をやっているところでございます。

 それから、総合特区におきましては、これは地域ごとにそれぞれ設定した数値目標というのがございます。ですから、それを、特区指定してから一年経過した後に毎年度の評価をすることになっておりまして、平成二十四年度の第一次指定の三十三地域の評価結果は、去る十一月八日に評価を公表したところだということでございます。

津村委員 今、最後に大臣がお触れになった、総合特区には数値目標がある、そしてそれを一年後に検証していく、したということが非常に重要なんです。それでいいと思います。

 ただ、総合特区に比べて、国家戦略特区はよりGDPをターゲットにしている要素が強いわけですから、ここは、需要創出額全体の、地域ごとではなくて全体としてどういう規模のものを狙っていくのかということをしっかり詰めるべきですし、それは作業はこれからでもちろん結構ですけれども、そういうことを行うということをしっかりとやっていただきたいと思うんです。

 大臣は、前回、たしかおとといの質疑の中で、PDCAを回していくときにどういう数値目標を見ていくんですかというどなたかの御質問に対して、KPIがあるというお話をされました。KPIがあることに加えて、これはコンセプトペーパー、八月二十三日の分ですけれども、「成果評価とデータ分析」という三番の項目のところで、「数値目標に基づく成果の評価 成果のない特区は解除」と書いてあります。これについても、それぞれの、「提案者は、自己評価を併せて提出」というところで、「KPIへの貢献度」「実施期間と数値目標」ということも書かれています。

 大変結構なんですけれども、実際にどうなっているのかというのを、ちょっと皆さんにお配りしたんですが、これ、ドッチファイルで二つ三つの、百九十二のところから出てくるわけですから大変な大部なもので、全部を私も見られておりませんけれども、代表的なところで、例えば東京都からの提案書を皆さんにお配りしています。今回、いわば本命視されている東京都からの提案書がどういうものになっているのか。

 確かに非常に精緻なことを書かれているんですけれども、事数値目標の部分については、例えばおめくりいただいて二ページの左下には、「外国企業が日本企業とビジネスをしやすい環境づくり (税制その一)」の効果は、単に「世界銀行のビジネス環境ランキング」「対内直接投資残高」というタイトルが書いてあるだけで、何も数値目標になっていないんですよね。これはずっとそうなんです。その次のページも「海外高度人材の増加」というのが加わっているだけで、全然数値目標がないです。これでは検証のしようがないと思います。

 東京都さんだけを否定したいわけじゃなくて、ほかのものもごらんいただいたらわかるんですけれども、全然数値目標が載っていないんですよね。中には載っているのもありました。これは奈良市と歴史的建築物活用ネットワーク、どちらも採用されているものを御紹介しているんですけれども、十六項目に選ばれているものですが、こちらは、一番最後四ページ目、皆さんにもお配りしているんですけれども、今度は縦のA4で字ばかりのものですが、これの一番裏の下のところに、「経済効果等の試算」といって、昭和二十五年以前に建てられた住宅が百四十九万棟あって、そのうちの約二割を対象物件にして、三十万だと。

 昭和二十五年以前に建てられた住宅のうちの二割が歴史的建造物として外国人が見たいものだとはちょっとなかなか思えないんですけれども、これは、政治家の感覚でいいますと、三百小選挙区で割ると、それぞれの選挙区に千軒の歴史的建造物があるかと。そこに雇用が五人ずつですよ。五千人の雇用を、皆さん、それぞれの小選挙区でなるわけですよね。幾らでも突っ込みどころがある数字なんですが、ただ、これは、そうはいっても、比較的誠実だと思います。数字的に検証できるものを出してきているわけですから。正しいかどうか、過大評価かは別として、議論ができます。

 こういったことを、やはりこれから特区を指定されるときにはきちんと数字を出していただいて、それがこのKPIなりGDPにどういうふうに寄与していくのかというのをきちんと書き込んでいただく。そして、それを一年ごとに検証していただく。その仕組みがないと、総合特区以下のものになってしまうと、非常に信頼性を損ねるというか応援しにくくなるんですけれども、そこは総合特区以上にきちんと数値目標を置いて、これからPDCAを回していくというお考えかどうか、確認させてください。

新藤国務大臣 非常に重要な御指摘だと思いますね。そして、総合特区自体が、たしか二十七年度までに経済効果九兆円とかと出ているんです。ところが、ほとんど仕事、そういった意味でのまだ効果は上げていない状態がございます。ですから、このKPI、またこのPDCAを回すというのが大変なことだということなんですね。しかし、今委員がいみじくも出していただいた、事業者から出ているものをチェックすべきだ、こういうお話をされました。

 ですから、今回は、事業者にもつくってもらうけれども、私たちもつくるんです。事業体を設定するときには、みんなで合わせて、地方も民間も国も入って、さあ、この区域でどんな効果を上げられるのか。そして、そのKPI、日本再興戦略という日本経済全体の指標に対して、では、日本再興戦略のKPIにこの国家戦略特区はどこの部分で貢献できるかというようなことを落とし込んでいかなければいけない。そして、戦略特区自体の自分たちの指標を設定して、それに対する進捗管理を行っていく。こういう作業が重要だと思います。

 ややもすると、国の方はチェックするだけで、それから、出す方も、とにかく指定を受けたいものだから出すけれども、その後の精査がなかなかできない。この現実がございますから、そういったものも踏まえて、しかし、これから大きな物事、プロジェクトを進めるとするならば、やはりその目標設定というのが極めて重要だと思いますし、それから、後でお触れになるんだと思いますが、その目標設定がきちんとできれば、それを達成するための手段として規制緩和や税制やそういったものを使おうではないか、それを特区に限って活用できるようにしようではないか、こういう議論ができてくるんだと思います。

 ですから、委員の御指摘は、まず一番最初のベースのところで、極めて重要な部分だと私も思っております。

津村委員 私も、私自身が一つ一つ十六項目を計算できる能力はございませんけれども、しかしながら、ざっとこれを拝見して、一年二年で上がる需要創出効果、数千億規模であれば御の字ですし、場合によってはなかなかそこまでもいかないのかなと。これは印象ですけれども。

 先ほど申し上げたGDP換算でいいますと、〇・一%で四千五百億から五千億です。なかなか、これで実質GDPを底上げして、さらに名目でもっと上に行こうというシナリオにはつながっていかないんじゃないかということを大変心配しております。

 ぜひ、十二月なのか一月なのかわかりませんが、特区の指定をされる際には、先ほど総合特区は九兆円という少し大きな話を御紹介されましたけれども、一年単位で、来年度、再来年度、アベノミクス、二年で成果出すということをおっしゃっているわけですから、どの程度の需要創出効果があるのか。それは、この十六項目のうち、どういうひもづけでなっているのか、どの地域とこういうふうにやっていくのか、その数字を示していただきたいと思います。いかがですか。

新藤国務大臣 まず、目の前の経済運営をするために、今回、また追加の予算措置、経済対策も考えておりますけれども、まず当面の、目の前のこの経済を腰折れがしないようにするための政策を打っていかなくてはいけません。それから、地域それぞれが自立できるような活性化策、これも極めて網羅的にやっていかなくてはならないだろうと思いますし、それは、農林水産省においても、国土交通省においても、経済産業省においても、さまざまな省庁でずっとやっていくわけであります。そのトータルで、この日本再興戦略、これからの五年後、十年後どうしますかということを組んでいきます。

 それから、国家戦略特区も、今委員はちょっと、これは十六項目で事業をするわけではありませんからね。それは使えるメニューとして出したのであって、それらを活用しながら、どんな事業をやるかはこれからなんです。そうすると、その場合には、もっと違うような手段も入ってくることは十二分に想定されるし、また、国としても、そういう民間が御提案された事業に、地方が考えられている事業に、国策の、国の事業もそこに入れて、そして一緒に膨らませていこう、こういうことだって私は必要だと思っています。

 ですから、そういうものを踏まえて、では何年後にどんな成果を出すかということを決めなければいけません。例えば、オランダの農業のフードバレーというのはとても効果を上げていますけれども、二十年かかっていますよね。ですから、いや、二十年後でいいんだなんて言っているんじゃないですよ。

 しかし、大きな国の取り組みなんですから、まずは、これは合わせわざでございます。目の前の対策と、そして次の、中長期のことを矢継ぎ早に打ち込んでいきながら、それとはさらに違うブレークスルーのための国家戦略特区を兼ね合わせようとしているわけですから、当然、これは、進めるにおいて、何年後にどのぐらいの効果を上げるという目標を設定いたしますけれども、それにしても、それは短期間のものではない。

 成果が出てくるのは、まずは構想をつくり、設計をし、そしていろいろな許認可を得て、そして、建物をつくるだけだって時間がかかるじゃないですか。そこから効果が出てくるわけでありますから、そういう、これは腰を据えた取り組みになると思っています。

津村委員 大臣の御答弁は一々ごもっともです。

 ただ、期間のことを最後におっしゃられました。PDCAということ、あるいは政治家の責任もそうかもしれませんが、期間が一致したものでないと。

 例えば、私、このKPIというのは立派なことだと思うんですけれども、これはちょっと途中がなさ過ぎると思うんです。二〇二〇年にどうなるかということをずらっと並べられても、二〇二〇年まで、大臣の任期は長くてあと三年なわけですよね。(新藤国務大臣「いやいや、そんなにありません」と呼ぶ)頑張っていただきたいと思いますけれども、法律的に見て三年なわけですね。

 やはりこの三年間、あるいはアベノミクスの柱とおっしゃっているんですから、アベノミクスがあと二年でデフレ脱却ということをおっしゃっているわけですから、その時間軸に合わせた何か数字的なものもないと、もちろん二年間だけのことを考えろということではないんですが、二〇二〇年に百までいくとすれば、あと七年しかないわけですから、二年後には三十ぐらいはいっているよとか、それは具体的にはこういう数字だよというところが出てこないと、自分の任期の後の目標設定をされても、後は知りませんという話にしか、PDCAは回らないわけですよね。

 そういう意味で、先ほどおっしゃられたように、建物を建てなきゃいけない、十年、二十年かかるものもある、それはわかりますけれども、中間的な評価を、これは毎年きちっとやっていくというところは確認させてください。

新藤国務大臣 それは御指摘のとおりであります。目の前の、まず一年後、二年後、五年後にどうなっているか、そういったものを設定しなくてはなりません。

 それから、これは私の個人的な仕事でやっているわけではありませんから、大臣がかわろうとも、これはきちんと継承されていくものでありますし、国の仕事というのはそうでなければいけない、このように思っております。

津村委員 よくわかる御答弁でございます。

 次の質問をさせていただきたいと思います。

 これから法案が成立していくということかもしれませんが、今回、報道によれば、これまでいろいろな規制改革玉の議論があった中で、安倍総理が、ある場面で強いリーダーシップを発揮されて、諮問会議を法律にきちんと法定化するようにという御指示があったやに伺っております。これを法定組織とした趣旨、そしてその意義というものをお聞きしたいと思います。通告している質問です。

柴山委員長 川本……

津村委員 いや、委員長、待ってください。

 川本さんの登録については、御発言がないことを前提に認めさせていただきましたので、手を挙げることも控えてください。

柴山委員長 それでは、答弁は新藤大臣。

新藤国務大臣 これは、総理からの御判断もいただきました。私どもで協議をいたしました。

 この特区諮問会議の位置づけというのは、幾つかのやり方があったんです。例えば、全閣僚が何とか本部をつくって、それを法定化して、そのもとで特区の諮問会議をつくるというふうなことも可能でございました。

 しかし、最終的には閣議決定をするわけですから、そこで全閣僚が参加するわけであります。したがって、総理と御相談した際に、できるだけこれはシンプルにしましょう、そして、スピーディーに物事が動くように、協議は十二分に行うけれども、そういう強い意思を示すものにしましょうと。それは、経済財政諮問会議であるとか、幾つか法定のものがございます。総合科学技術会議もそうであります。

 ですから、あえてここは特区諮問会議というものを法定化して、そしてそこで意思決定を素早く行う。しかし、そこには関係大臣の出入りもあるし、最終的には閣議によって全閣僚の御了解をいただいて方針決定をする、こういう仕立てにさせていただいたということでございます。

津村委員 非常に重要な部分ですので、ぜひしっかりやってください。

 それで、その事務局をどこが担当していくのか、その規模、所在地についてお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 これは、この法案の二十八条において内閣府に置くということにさせていただいておりますが、現時点において、それがどこの場所で、どのぐらいの規模でというものはまだ未定であります。これは法を施行するまでに早急に検討してまいりたい。今作業してくれている人たちがおりますから、そういう方たちが軸になっていくとは思いますが、いずれにしても、必要な体制というのは遅滞なく整えたい、このように考えております。

津村委員 今汗をかいていらっしゃる事務局の皆さんは、永田町の合同庁舎にいらっしゃるんだと思います。町村会館の隣ですね。

 今、一方で、新中央合同庁舎というものを、八号館、すぐそこに、本府の隣に建設しているわけですけれども、そちらに移るお考えはありますか。

新藤国務大臣 私は今そのことを検討する立場にございませんし、そういうものは、必要な、どこにどんな配置をするかは、これはみんなで相談をしたいというふうに思います。可能性があるかないか、今まだそこまで作業が入っておりませんので、まずはこの法案を成立させるために全力を傾注しているところでございます。

津村委員 私の記憶では、一年半前、まだ私たちが与党だった時代に、既に大体の、A案、B案というようなものはできておりましたし、そういった、これから、このロジというものはお仕事をされる上で非常に重要なという話をさせていただくんですけれども、大臣が御存じないということは本当に驚きなんです。御自身がこれからその仕事を役人の皆さんと一緒にやっていこうというときに、どこにあるか、どこに置こうとしているかもかかわっていない。おかしくないですか。

新藤国務大臣 かかわっていないわけではなくて、知らないと言っているわけではなくて、まだ未定であるということでございます。いろいろな選択肢があると思いますから、そういう中から最適な検討をすればよいと思っているわけでございます。

津村委員 西村副大臣にお伺いしたいと思います。

 この八号館のレイアウトについては、今どういう検討状況になっていますか。

西村副大臣 御指摘のとおり、八号館を建設いたしておりまして、まさに内閣官房、内閣府の組織があちこちに分散をしている状況にあるわけでありますので、何とか業務をさらに効率化していくという視点から、この分散状態を緩和しようということで、八号館に集められるものは集める、あるいは本府をどう使うか、関連のある業務がそれぞれいろいろな形で絡み合っていますので、どういう形が一番効率的なのかということを現在知恵を絞っているところでありまして、調整をしております。ですから、現時点でレイアウトが固まっているという状況ではございません。

 基本的には、内閣府の幹部、あるいは政策統括官の部局を中心に八号館はまずは考えた上で、さらに、どういう部局を置いたら連携がスムーズにいくのかということを考えて、使い勝手のいい庁舎にしていきたいというふうに考えております。

津村委員 いつレイアウトが決まりますか。

西村副大臣 来年四月にでき上がって、そこから順次入っていく格好になりますので、これはできる限り早く調整をして決めたいというふうに思っております。

津村委員 皆さん、私がお配りした資料の中に、こういう内閣府のホームページのコピーがございます。これは内閣府の所在地情報というものでございます。

 ぜひごらんいただきたいと思うんですが、西村副大臣、私、本当に西村副大臣に党派を超えてここは応援させていただきたい部分なんですけれども、今、非常にお仕事がやりにくいと思うんですよ。ここにあるだけでも十数カ所に分散していて、西村副大臣、特命担当大臣は七人も八人もいらっしゃるわけですからまだいいかもしれませんけれども、副大臣と政務官は三人ずつしかいらっしゃらなくて、今は特命担当大臣ライン、兼務ができるようになったとはいえ、相当、西村副大臣は所掌が広いと思いますし、これは内閣府だけですけれども、内閣官房の所在地がまだ数カ所あるんですね。知財とかITとかこれに入っていませんから。ほかのところに分散していて。そういうところも全部内閣府の副大臣がごらんになっている、政務官がごらんになっている。

 私も、政務官を経験させていただいて、新年の挨拶回りを、自分の所掌しているところを回るのに十五カ所ほど回りました。半日以上かかりました。逆に言えば、毎日そういう方たちと一緒に一体となって仕事するのは、多分、自分の方から行くのは年に何回かしか政務三役というのはないかもしれませんけれども、お役人の皆さんは毎日そこを往復して、ちょっと今すぐ来てくれると言ったら、ばあっと車に乗って大移動するわけですよね。逆に言えば、さすがにこれぐらいのことで呼んじゃ申しわけないなというようなことになって、コミュニケーションに非常に支障があると思います。

 そういう意味で、今回、内閣府というさんざん多岐にわたっている役所が一つの大きな新しい八号館を建てるわけですから、これは政務三役にとっては大チャンスで、自分たちのやはりすぐそばに置かなければいけないいろいろな部署、それをどれだけ近くに置くかがまさに政務三役が判断しなきゃいけないことだと思うんですけれども、これはある意味では、どういうふうに仕事を進めようかということそのものですから。

 そういう意味で、私たちは随分、副大臣、政務官同士の駆け引きもありましたし、やはり自分の持っているところは近くでやりたいとか、科学技術を私やっていたんですけれども、内閣府の総合科学技術会議と内閣官房の知財、ITというのは、役人の論理でいえば内閣官房と内閣府で違うから、余り近くに寄せないわけです。でも、実際には、今、山本大臣が所掌されているように、非常に近いわけですね、宇宙や海洋も。だから、そういうものはやはり近くに置いた方が相乗効果というか。

 ただ、お役人の皆さんは、やはりそこは逆のばねも働いて、知財であれば、ある役所とある役所の指定ポストだし、ITだったら、ある役所とある役所のポストだしというようなことで、そこを余り近づけられたり、間違っても統合なんかされたらポストが減るわけですよ。だから、そういうことを非常に、わかりません、良心的な官僚の方たくさんいらっしゃるので、否定的なことを言っているように聞こえたら申しわけないですけれども、やはりそこは、どういうふうにたくさん所掌を持たれている副大臣、政務官がうまくマネージするかというふうに、これはマネジメントそのものですから、このレイアウトの問題というのは本当に真剣に身を入れて考えていただきたいんですね。これはずっと続いていくことですから。

 私たちが政権をもし維持できていたらちゃんとやりたかったですけれども、残念ながら、今、自民党さん、頑張られる立場なわけですから、それはこれから五年、十年、ずっとこれは……(発言する者あり)

柴山委員長 静粛に願います。

津村委員 途中で入れかえたりなんかなかなかできないわけですから、非常に重要な場面で、しかも、副大臣、内閣府で唯一、今回再任をされて、非常に期待をされている西村副大臣でいらっしゃるので、私、こういう場で言うのはいいかどうかわかりませんけれども、将来必ず総理大臣になられる方だと思っているんです。

 ここは、きちんとこの内閣府という組織が、内閣府というのは非常に大事なわけですよ。内閣府というのは、二〇〇一年に省庁再編、橋本龍太郎総理が橋本行革をやったときの一つの目玉ですよね。これまでの縦割り行政、縦割りの弊害みたいなものを、やはり官邸主導、内閣官房、内閣府一体で、そこにしっかりとスタッフを置いて、縦割りの弊害をなくしていこうというのが内閣府だったはずです。

 しかし、残念ながら、何とか本部、何とか委員会というものをどんどんつくっただけで、ある意味、内閣府の中に縦割りが発生しちゃって、建物も完全にこんな状態ですよ。

 そこを、今回、まずロジの部分から組みかえていく大チャンスなわけで、これから十年、二十年先のこともお考えになっていただきたい西村副大臣に、まさに御担当なわけですから、ここは頑張っていただきたいということであります。

柴山委員長 答弁はよろしいですか。

津村委員 では、今後の意気込みを伺います。

西村副大臣 まさに内閣府が全体の調整、これは、日々、私もいろいろな調整で苦労をしながらやっておりますけれども、その中で、物理的な移動が、本府におりながら、五号館、四号館へ移動する会議も頻繁にありますし、私だけじゃなくて、我々を支えてくれている役所の官僚の人たちも移動距離が非常に多い。この時間のロスは相当なものがあると思います。

 今後、新しい建物、八号館ができますので、ここでできる限り効率的なものを、八号館と本府を中心にして、できるようにしたいと思いますが、それでもなお、まさに調整機能がどんどん膨らんで、内閣府の仕事がふえていますので、まだ分散の状態は完全に解消されるわけではありませんので、今後さらに五号館の建てかえもやがてやらなきゃいけないでしょう、耐震工事も必要だと思いますし。いろいろなことの中で、長い目で見ながら、より効率的に仕事ができるように、御示唆いただいたことをしっかり受けとめて、頑張ってまいりたいと思います。

津村委員 ありがとうございます。とても誠実な御答弁をいただいたと思うんです。

 本府と八号館は隣接しておりますし、まさに総理官邸の目の前に位置しているということが、その意味合いをまさに映していると思うんですよね。ですから、これから長い目線で、その耐震のことも含めて計画を立てていただきたいと思います。

 もう一つさらに申し上げれば、ロジだけじゃなくて、私は、内閣府の人事のあり方も、この数年間、民主党政権は七転八倒して、これは随分苦労したというか、なかなか、試行錯誤でした。

 その一つが、まさに今回、新藤大臣のラインの副大臣、政務官の皆さんが内閣府との兼務という形で今なっているわけですよね。これは、副大臣と政務官が余りにも忙しいので、私も政務官のときに地域活性化を兼務させていただいていたんですけれども、身が回らないので、では、それはもう総務省ラインに任せようということで切り出していったのが、昨年の内閣委員会で、当時まだ民主党政権でしたけれども、内閣府設置法の改正でやったことです。

 ただ、私は、そのときにかかわっておきながらこんなことを言うのはなんですけれども、非常につけ焼き刃的な対応で、一時的な対応で、もともと総務省さんとは別な、総務省という役所がしっかりあるにもかかわらず、やはりここは省庁横断で地域活性化をつくったわけですし、内閣府に置くことに意味があるからつくったのに、それを全部総務省さん、総務省三役ラインに丸投げしているということをやっているわけですから、何をやっているんだかよくわからないわけですね。

 だから、これから内閣府というものの一体性を増していくために、例えば、今、公務員制度改革の法案には、各省、大臣補佐官を一人ずつつけようという中で、内閣府はたしか六人ですかね、ちょっと多くつけようだとか、そういう工夫もされているようですけれども、西村副大臣、内閣府をうまく機能させていくために、これは西村副大臣の日ごろの感想で結構ですけれども、これからどういうことが必要だと思いますか。

西村副大臣 まさに日々縦割りの弊害をどう解消するかということで知恵を絞りながらやっておりますけれども、今後、公務員改革の中で、一つには、一定の職以上の職員については、幹部職員については一括して人事をやっていくという方向性が出されておりますので、そうした中で、ある一定以上の人はもう自分の入った省庁から離れて、国全体のことをより考える立場になっていくということで、これは大きな前進だと思いますので、それに加えて、今度は政治の我々が、より全体を見る、その中で自分の役割をしっかり果たしていく、そうした立場で仕事をしていく。

 その上で、今後もし補佐官のような制度とかがあれば、大臣が補佐官を任命されれば、その方とも連携して各庁の調整をしっかりやるということだと思いますし、先ほどの、物理的な距離があること自体がさらにバリアをつくってしまうと思いますので、より一体感を持って進めていきたいというふうに考えております。

津村委員 委員の皆さん、私がお配りした配付資料の最後に、一枚、こういう人事の紙が入っております。これは担務表と申しまして、どの大臣とどの副大臣とどの政務官が何を所掌しているかというものの、内閣府と内閣官房のものでございます。

 いろいろな仕事があるからこうなってしまうのは仕方ないんですけれども、これは、一人の副大臣がいろいろな方にお仕えしている、あるいは政務官がいろいろな方と一緒に仕事しているので、大臣、副大臣、政務官が一致していないんですね。同じ組み合わせじゃない、いろいろな組み合わせになってしまっているわけですけれども、西村副大臣が一緒にお仕事されている大臣の数、政務官の数を教えてください。ラインという意味です。

西村副大臣 私は、まず甘利大臣のラインで経済政策を中心に担当させていただいていまして、私と小泉進次郎政務官です。それから、古屋大臣のもとで防災、国土強靱化、拉致問題等を担当させていただいておりまして、このラインが古屋大臣と私と亀岡政務官。それから、菅官房長官の業務、任務の一部をPKO業務を初めとして担当しておりまして、このラインが私と小泉政務官であります。

津村委員 私たちのころは、政務三役会議というのを毎週やるようにしていました。ただ、だんだんそれができなくなって、それが政治主導の後退につながったわけですけれども、大臣、副大臣、政務官と三人がそれぞれのラインで集まられる機会というのは、どのぐらいの頻度であるんですか。

西村副大臣 日程を決めて政務三役が会うようには今はしておりません。幸か不幸か、さまざまな会議が開かれておりまして、その都度、それぞれのラインの三人は、顔を合わすのが、まさに週に複数回は、もう毎週のようにありますので、その前後で少しずつ打ち合わせをしたり調整をしたりしておりますし、それ以外にも必要に応じては集まったりしておりますけれども、現状、幸か不幸か、会議のたびに顔を合わせていろいろなことを調整いたしております。

津村委員 副大臣、さっきのに続いて、もう一つ、これはよく考えていただきたいんです。やはり政務三役が、大臣、副大臣、政務官が、私たちは気負っていた時期には事務方を入れなかったりとか随分やりましたけれども、それは入っていただいてもいいんだと思うんですが、お三方がどっちの方向を向いて仕事するのか、ほかの何かの案件のついでじゃなくて、やはり、少なくとも週に一度、どうしてもできない週もあるでしょうけれども、意識合わせをするということを時々されないと、結果的には顔を見ていますというのでは、それはやはり執行部ですから、トップスリーですから、まずいと思うんですよね。

 私たちも最後のころはできていないときがあったので、本当に反省を込めて言っているんです。ぜひ成功していただきたいし、活躍していただきたいので申し上げているんです。副大臣が間に立つ立場でしょうから、ぜひ、政務官と大臣に呼びかけて、それは所掌によっては毎週できないのもあるでしょうけれども、工夫されてはいかがですか、どうですか。

西村副大臣 大変貴重な御意見だと思いますので、受けとめて、どういう形がいいのか、私なりに考えて対応したいと思いますが、防災のラインだけは、これは特に当番もありますので、月に一度以上は必ず集まってやっております。そのことも含めて、しっかりと受けとめて考えたいと思います。

 それから、済みません、一点だけ。さっき、耐震工事が必要なのは五号館と申し上げたんですが、これは四号館の間違いでしたので、済みません、そのことだけ訂正させていただきます。

津村委員 ありがとうございます。丁寧にお答えいただきました。

 政務官とか副大臣が大臣と余り会わなくなるとどういうことが起きるかというと、たくさん急ぎの案件があります。そうすると、仕事を早く進めたい官僚の皆さんは、政務官、副大臣を飛ばして、大臣とお話をするわけです。実際、そういうことが何度も起きていると思います。それは後から御説明があるんでしょうけれども、大臣が了解したものを、副大臣や政務官は、ああ、そうですかとしか聞けないわけですよね。そうすると、政務官や副大臣のいる意味がどんどんなくなっていくわけです、残念ながら。そういうことを現に経験したんです。

 西村副大臣の場合は、皆さんに頼られているからそうじゃないと思いますけれども、ほかの副大臣、政務官で、最近新任になった方とかは、なかなか苦労して仕事されていると思うんですよ。大臣は留任したのに政務官は新任だったら、大臣と話した方が早いに決まっていますから。そうすると、今の政務官のお立場というのはどんどんしんどくなっていくと思うんです。ぜひ、自民党政権さん、うまくやっていただくためにも、それは工夫されたらいかがかなと思います。

 西村さんには以上です。

 きょうはお忙しい中、ごめんなさい、大分お待たせしましたけれども、樋口統計委員長にお運びをいただきました。

 時間も余りございませんので、一問にまとめてお話をさせていただきますが、私は樋口委員長と一緒にお仕事をさせていただいていたころから、一貫して、GDP統計の充実について一緒にお仕事させていただいてまいりました。それは、統計のミスがあった、そういうマイナスからの出発ではあったんですけれども、先ほど新藤大臣と何度もお話をさせていただいたように、やはりプラス成長かマイナス成長か際どいところで、経済政策の効果をしっかり見きわめていくためには、今、以前にも増して、経済統計の重要性というのは増していると思いますし、今回、業種別のGDPを四半期ごとに出すという、これも西村さんのお仕事だと思いますが、これはすばらしいことだと思うんです。

 これは、速報性を高める、詳しいものを出すというのと、それが正確かどうかということは、二律背反なところがありまして、一次速報が結果的にプラスだったのが二次速報でマイナスになるとか、プラスマイナスが違ったということが何回も起きているわけですよね。マーケットから見ると、非常にコンフュージングな状況が、ゼロ近傍にいますから、ちょっとした違いでプラスとマイナスの矢印が変わっちゃうということで、難しい局面なんだと思います。欧米のGDP統計が百人、二百人でつくられていることから考えても、やはり今の体制というのは非常に不十分だと思うんですね。

 そういう中で、これから三月末に向けて、五年に一度の基本計画をおまとめになるお立場です。GDP統計の、一つは定員のこと、それから一次統計の充実も非常に重要です。この二つを中心に、今のお取り組み、それから基本計画にどういう姿勢でこれを書き込もうとされているのか、お答えください。

樋口参考人 統計委員会におきまして、当時、内閣府大臣政務官をお務めいただきました津村議員の御尽力によりまして、統計リソースの確保等に配慮しました審議が行われ、また、GDP統計のリソース確保の前進したものというふうに考えております。

 統計委員会では、ことし九月までに行いました平成二十四年度の統計法施行状況に関する審議の中で、次期基本計画に関する基本的な考え方をまとめ、意見として総務大臣に提示しております。

 その中におきましては、GDP統計につきまして、推計精度の確保と向上を図るとともに、作成方法の透明化に努めること、そして推計業務システムを再構築し、新たに生じる推計課題への対応を迅速、確実に行う体制を確立すること、こういったものを織り込んでおります。

 また、公的統計の整備に必要な事項としまして、引き続き、統計リソースの確保に努め、有効活用を図ることが重要かつ不可欠なものというふうに考えております。

 統計委員会では、現在、総務大臣から次期基本計画の案の諮問を受けたところでございまして、こうした方針が的確に反映されますように審議を進めていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

柴山委員長 質問時間は終了しております。

津村委員 新藤大臣、西村副大臣、そして樋口先生、丁寧な御答弁、ありがとうございました。

 終わります。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もよろしくお願いを申し上げます。

 まず最初に、質問でもあり、御提案でもある部分なんですが、先日来の質疑の継続でもある社外取締役、これは、なぜこだわっているかと申しますと、今回の法律にも明記されている、経済社会の構造改革とか、あるいは産業の国際競争力の強化という、このまさにツールとして、社外取締役の義務化、これは別途、法律、会社法の改正でもチャレンジをされているというふうには伺っておりますが、一種の両面作戦ということで、社外取締役特区、こういうのはどうかなということでございます。

 これはもちろん、先ほどの議論でもあった雇用と同じように、合わせわざだろうとは思うんですね。社外取締役だけで何か事業が起こるわけではございませんが、これは極めて、その合わせわざの有力ツールとしては、手前勝手ですが、有力なツールなのではないか。

 では、そのインセンティブはという部分でございますが、例えば、普通ですと役員賞与、これは損金算入できないわけでございますが、この役員賞与を一部なり全部なり損金算入を認める、あるいは、ただの社外取締役ではなくて、社長のお友達じゃない、本当に独立した社外取締役、しかも複数入れたというところについてはその算入の割合を大きくするとか、こういう傾斜配分をつけるような、こういうことによって日本企業の、私も本会議で申し上げました、前回もこの場でも申し上げました、日本企業は資産収益率が非常に悪いです。

 資産収益率が悪いということは、海外からお金が来るとすると、非常に短期の資金みたいなものしか余り来ないわけですね。中長期の、本当にいわゆる出資、投資、こういったものがなかなか来にくい構造でございまして、これは投資家が悪いと一概には言えなくて、やはり日本企業全体として資産収益性が非常に悪いので、こういうことにどうしてもなってしまうんだろうというふうに思っております。

 実際、いろいろなデータでも、ROEやROAが高いとやはり株価も高くなっていく、収益も高い、こういうことになってきますので、それを、社外取締役を通じて高くなっていくということでございますので、したがって、こういう社外取締役を入れる特区の中の企業は収益性が高くなるわけでございまして、この原資、役員賞与を払う原資というものも増加してくるということが蓋然性として期待できるということで、こういった損金算入をやっていくような、そういうイメージの特区、これは質問と同時に御提案でもあるんですが、御意見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

新藤国務大臣 経済の活性化という意味では非常にこれはいい提案だ、このように思いますし、実際のところ、ですから、その社外取締役という制度を活用、促進するための措置を盛り込んだ会社法の改正法案、これは法務省が国会に提出すべく準備中となっております。したがって、国家戦略特区でここを突破するというよりも、既に担当省が法案を準備しているわけでありますから、その推移を見守ってまいりたい。

 また、それは、そちらの法案が成立すれば、これは全国どこでもそのように使えるようになるわけでありますから、それをこの特区内においても活用されるのであれば、それは有効ではないか、このように思います。

大熊委員 ありがとうございます。

 まさに真っ当な御答弁だと思うんですが、それでも、ちょっとあえてつけ加えさせて、反論ということじゃなくて、つけ加えということでさせていただきます。

 まず、やはり法定化、義務化なのか、要請なのか。これは似て非なるものではなかろうかというのが一点。

 それから、仮想の、バーチャル特区的な、私が今申し上げた社外取締役特区なるものは、インセンティブがついている、ここが違う。会社法改正でやるとなれば、どうしても企業に対して義務をかけていく、要は負荷をかけていくだけのイメージ。多分、経営者団体の人なんかも、同友会は賛成のようですが、恐らく経団連の方はちょっとネガティブなのかもしれませんが、負荷がかけられていくんだ、そういうイメージで捉えているんじゃないかと思うんですが、私が申し上げている肝は、そこにインセンティブがついている、こういうことでございます。

 冒頭、両面待ちと申しました。会社法改正で義務化する、それはそれで一つのソリューションだと思います、大臣がおっしゃるとおり。次善の策、ないしは、ちょっとひねりといいますか、インセンティブがついているという、この点がちょっと違いでございまして、この点について、もう一言お願いできないでしょうか。よろしくお願いします。

新藤国務大臣 ぜひそういったことを、問題意識がおありなわけですから、まず、この法律を所管する委員会においてぜひ御議論いただきたいというふうに思います。

 国家戦略特区においても、そういったものも含めたものは、いろいろと検討してまいりたいというふうには思います。御意見としては傾聴に値する、このように思います。

大熊委員 まことにありがとうございます。

 続きまして、今度は逆に、ちょっと申しわけありません、厳しい話をさせていただきます。

 これも前回の質疑の続きでございます。本日はちゃんと通告をしてまいりました。農業への信用保証の適用についてでございまして、従来から、私もホームページをちゃんとチェックしてまいりましたが、農業向けの融資を行っております。

 前回、私、政策投資銀行と申しましたが間違いでございまして、日本政策金融公庫ですね。こちらは農業向け融資が随分と残高が多くていらっしゃるということでございまして、これまでのこの場での御答弁ですと、このノウハウを使うんだという御答弁がございました。

 では、まずお伺いしますのは、この日本政策金融公庫等の公的金融機関の農業向け融資、このノウハウ、これは一体何であるか、教えていただければと思います。

高橋政府参考人 お答えします。

 農業の特徴としまして、自然条件によるリスクが大きい、経営規模の割に資本装備が大きい、あるいは融資が返済されるまでに長期間を要する、こういった商工業にない特徴があり、農業の経営規模、作目、財務状況などに加えまして、生産者の技術力などを総合評価して与信判断を行う必要があると考えております。

 その審査手法の総体がノウハウでありまして、一言で申し上げるのは難しい面がございますが、御指摘の日本政策金融公庫の農林漁業部門におきましては、その前身の農林漁業金融公庫の時代から有する数万件に及ぶ債務者の経営規模、営農地域、作目、財務状況など、さまざまな属性や数値データと、それから過去のデフォルト実績、これを照らし合わせることによりまして個々の債務者ごとに将来のデフォルト確率を推計する、そういうことを可能にするスコアリングシステムを構築しておりまして、これを広く他の金融機関等の利用にも供しているところでございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 それでは、そのノウハウ、これは前回申し上げました保証というデリバティブではなくて、ローンそのものに対して使っていらっしゃるわけですね。

 では、それを、今度デリバティブ、つまり、信用リスクの計量、これにどういうふうに応用していくのか、この点についてお伺いをいたします。よろしくお願いします。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 これから農業分野へ信用保証制度を創設する際につきましては、ただいま農林水産省の方から御説明がありました日本政策金融公庫農林部門のノウハウ、こういったもの、それから、この制度を創設するにつきましては都道府県の応分の負担といったことが前提になっておりますので、こういったことを全体に加味しつつ、制度設計を行いたいというふうに考えております。

大熊委員 今伺っただけですと、都道府県が要はリスク、損を負担する、だからいいんだというように聞こえてしまうんですが。

 具体的に、通告で、言いかえるとの後の部分で、実際に農業に信用保証を適用する場合、信用保証協会が提示している現在の保証料率に幾ら上乗せということになるのかについての、要は、プライシングのノウハウあるいは手法ですね、これは何なんでしょうか。

 これはもうなしで、要するに、あと最後は都道府県が負担するから、最後は自己資本部分で負担するからいいんだ、こういうふうに聞こえてしまって、それではと思うんですが、御説明をお願いいたします。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで、信用保証協会につきましては、商工業分野につきまして、保証に関するノウハウを持っております。

 これに加えまして、農業の特殊性がございますので、先ほど農林水産省からございましたデータベース、例えば作物とか地域、経営規模、こういったものとそのデフォルトの実績、こういったものを勘案しながら、どのような保証料率が適切か、こういったことにつきまして、この法案が通ってから制度設計を行ってまいりたいと思います。

 なお、都道府県の応分の負担のほかに、国の必要な予算につきましても要求していくことを検討していきたいというふうに考えております。

大熊委員 まさに今御答弁があったように、この法案が通ってから検討するということなんですね。つまり、信用リスクを計量する手法を今この時点で、この瞬間確立していないまま、法律が通っていくことになるんですね。今御答弁いただいたように、そういうことなんです。その点を明らかにしただけでも、大変いい御答弁だったんじゃないかなというふうに思うわけでございますね。

 もう一言、過去のデータ、前回の質疑でも申し上げました。やはり、十年、二十年、何万件集めたとしても、過去と将来は違うわけでございまして、特に、気候変動、より変動率が大きくなっている、猛烈な台風だとか集中豪雨だとか、近年になくふえている今日、あるいは、将来もっとふえるだろう、かもしれないというふうに予想される中で、要するに、過去のデータ、それがそのまま将来に使えるわけがないんです。

 実は、金融でも、株とか債券、このデリバティブが、みんなこれで失敗しているわけです、前回申し上げたとおり。天才的だと言われているような、専門家と言われている人がみんな失敗して、これは株とか債券のデリバティブです。コモディティー、もっと難しいんです。非常に難しいんです。だから、申し上げている。全くだめだと申し上げているわけじゃないんです。非常にここは慎重にやって、まあ、慎重にやり過ぎると、せっかくの、八田先生によると、ここは大変突破されてきたんだとおっしゃるんでしょうけれども、ここは慎重に。

 本当は、ちょっと後でいきますけれども、ここは、農業金融の本丸、これをスルーしているからこういうことになるんだと思うんですね。農業金融の本丸というのは、結局、農業へのローンそのものなんですよ。農業への融資そのものなんですね。これを、民間の金融機関、地銀等ですね、もっともっとふやしていくんだと。

 私も金融業界出身なので、農業ローンというのはやったことがありませんでしたので、今般、ちょっと調べてみました。アメリカの状況、大変農業金融が進んでいる。やはり信用保証という形態じゃないんですね。いわゆるデリバティブ的な集まり、CDSと言われるような、クレジット・デフォルト・スワップのようなものじゃないんです。農業ローンをそのままストレートに出す。これで、商業銀行ですね、投資銀行じゃなく、アメリカの商業銀行を中心に大きく発展している、こういうレポートがあります。ネット上なんかも出ていますので、多分ごらんになったことはあると思いますね。

 この肝は何かというと、金融機関から見ますと、やはり、農業生産物、農産物ですね、この変動が大きいわけです。だから、動産担保にはなかなかなりにくいんです。キャッシュフロー融資をやりにくいんです。そうするとどうなるかというと、いろいろな議論がありました。日本の金融機関のような、いわゆる不動産担保、土地担保の融資、こういうことになるんですね。これは、アメリカでは通常、キャッシュフロー融資なんですね。キャッシュフローの融資なんです、御承知のように、釈迦に説法ですけれども。キャッシュフローの融資なんですが、事この農業金融については不動産担保融資なんですね、アメリカですら。

 では、アメリカではどうなっているかというと、アメリカが全部いいというわけでも私も決してございませんが、農地をほかの土地に転用する、これはだめなんです。農地は農地にしか使っちゃいけないけれども譲渡ができる、株式会社で譲渡が自由だ、こうなっているから、金融機関から見ると担保価値があるわけです。

 日本ではそれがないからだめなわけです。だめだから、スルーしているから、こういうデリバティブという難しい応用問題にいきなり取っかからなきゃいけない。本当は、基本中の基本、農業金融の本丸、農業融資に行かなきゃいけないはずなんですね。それができないのは、やはり土地の流動性なんです。土地を転用して宅地にしろとか、何か、ホームセンターにするとか、そういうのはだめですよ。農地は農地のままなんだ、だけれども譲渡ができるんだ、それで株式会社なんだといったときに初めて金融機関はローンを出せるんです。やはりそこをスルーしちゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですね。

 経産省の方ばかり向いて申しわけない。農水省の方にちょっと一言、六番で通告している問題でございますので、よろしくお願いします。

高橋政府参考人 お答えします。

 御指摘のとおり、農業経営の発展を図るために円滑な資金融通の道の確保というのは大変重要だと思っております。

 一般的には、我が国の農業融資でも、農地などを担保として徴求するということも広く行われていると認識しておりますが、例えば借地により経営を拡大するような場合は、農地を担保に供するということだけでは十分な融資が受けられないケースも確かにございます。

 このため、農林水産省としては、農業者の信用力を補完するための農業信用保証制度、こちらが一方でございますが、農協系統の金融機関に対しまして、農地への担保に過度に依存することなしに、経営の将来性を見きわめる融資手法を徹底させることや、動産担保による融資の実行など、柔軟な対応を求めているところであります。

 なお、動産担保に触れましたが、実例は必ずしも多くないんですが、家畜などを担保として実行する事例も各地で見られるようになっておりますので、金融円滑化の一環として、またしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

大熊委員 農地担保の融資が行われているとおっしゃいましたけれども、私が持っているデータ、ちょっと皆さんにきょうデータは配っておりませんが、アメリカの百分の一とかそのぐらいですよ。日本の農地が小さいというのはあるけれども、それを割り引いてもほとんどないんですよ。ほとんどゼロに近いと思いますよ。

 だからこそ、そこをスルーしているから、動産担保とか、今回のこの信用とかに来ちゃうわけなので、農地そのものの流動性、これも先ほどの議論と同じで、ほかの委員会で、農水委員会でやった方がいいという御指摘を受けるかもしれませんけれども、やはりそこをしっかりとやっていく、その上で、応用問題、こういう信用リスクだとか先ほどの動産とかという順番なのではないかというふうに思います。

 ちょっとそこの確認だけ、一言最後にまたお願いします、農水省さんに。

高橋政府参考人 農政の課題として、御指摘の農地の流動化、担い手への農地利用集積、こちらについてもしっかりと取り組んでまいる考えでございます。

大熊委員 個別には、またぜひ機会を改めてと思っております。

 それで、また信用保証の方に戻っていくわけなんですが、仮に、では農業への信用保証ファンド的なもの、これを、今般のような法律に基づいた、国が絡むあるいは公共が絡むスキームではなくて、民間のファンド会社が組成しようというふうになった場合、それで金融庁さんに申請した場合、この登録だとか、あるいは運用、一任勘定ということになるんでしょうか、の認可のための要件、これはどういったものがあるのか、金融庁さんに教えていただければと思います。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の信用保証ファンドでございますけれども、有価証券に運用するものではなくて、信用保証のような事業に対するファンドにつきましては、金融商品取引法上、特段規制や登録などは必要ございません。

大熊委員 それも私も知らなかったんですけれども、例えば、そういったものを証券化してファンド化する場合でも、金商法上何にもひっかからないんでしょうか。要するに、私が次に伺おうと思っていたのは、何もノウハウが確立していない人でも投資家からお金を集めてこれができる、そういうことなんですか。

長谷川政府参考人 今先生御指摘のような、証券化をされまして、それが有価証券として金商法上位置づけられたもので、それを資産の五〇%以上運用しているようなファンドにつきましては、これは金商法上、それを運用する場合には資産運用業としての登録が必要でございます。

大熊委員 ちょっと安心しました。

 では、その最終原資産が農業に依存するようなものであるということで申請を出した場合に、では、運用者のノウハウ、全くど素人でも、先ほどの御答弁の、これから手法を考えますという民間の投資会社に認可なりを与える、あるいは登録を受理する、そういうことなんですか。

長谷川政府参考人 お答えいたします。

 今申しました資産運用業、あるいは正確に申しますと投資運用業でございますけれども、法律に登録の拒否要件がございまして、その中に、例えば、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していないことというものがございます。したがって、そのような人的構成を有していない場合には登録ができないということになってございます。

大熊委員 また多少安心しました。

 それでは、その人的構成要件の中で、当該ファンドの運用を全くやったこともない、こういう人はやはり不適格だ、こういう認識に一般的にはなる、こういう理解で合っていますでしょうか。

長谷川政府参考人 具体的には個別の案件ごとの判断になろうかと思いますけれども、そのような経験を全く有していないような場合には、今申しました登録の拒否要件に該当して、登録がされないということになろうかと思います。

大熊委員 ですよね。

 そうすると、戻りまして、農業信用リスクはこれからということは、誰も経験を有していないんですね。日本でも、そして先ほど申し上げたとおり、アメリカでもやっていないわけです。なので、拒否要件にもしかしたら当たっちゃうんじゃないかと。

 これは春の官民ファンドのときにも同じような質疑をさせていただいて、官民ファンドというのは、あれは民間のファンドじゃないから金融庁の認可とかは関係ないんだ、内閣府でやればいいんだ、そういう御答弁だったんです。もし仮に純民間の投資会社がやるということになると、その拒否要件に該当し得る話だ、そういうお話なんですね。

 なので、また戻るんですけれども、やはりここは、全然だめだとは申しませんが、なかなか難しい応用問題なんじゃないかなというふうに指摘をさせていただきまして、ちょっと似たような話に次に行かせていただきますと、利子補給制度でございます。

 これは、私の質疑でも、そして昨日の参考人のお話でも出てまいりまして、あるいはきょうの質疑でも出てまいりまして、やはり、参考人のどなたかが、総合特区によって措置されていると大臣もおっしゃっておられましたということで、かつ、今回の国家戦略特区は、支援措置というよりは規制改革、こちらに重点を置いた方がこれまでの総合特区との差別化ができるのではないかなと。

 どうしてもベンチャーの利子補給なんだということであれば、これはまた総合特区、既存の制度を使えばいいんじゃないかなというふうにも思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 昨日、参考人の質疑がございました。その際に、利子補給制度についての問題点ということで挙げられた点というのは、ワーキンググループに御参加された二人の参考人の方は、ワーキンググループで議論をしていなかったんだというお話でございました。

 一名の参考人は、規制改革を全国展開する際に、財政制約のある利子補給制度というものがあると、それが邪魔になるのではないかという御指摘がございましたが、その点については、これまでも大臣の方から、規制改革については、評価を検証した上で、既存のものは全国に広げられるようにやっていくということを申し上げておりまして、利子補給制度が足かせになるというものではないと考えております。

 総合特区にあるではないかという御指摘がございますが、当然、総合特区の対象になるところと国家戦略特区の対象になるところとは別でございますし、これもせんだっても御説明申し上げましたように、国家戦略特区の提案の中でも、ベンチャー支援、創業支援をやりたいという御提案もございました。そういったものを踏まえて、デットの部分について軽くできるような仕組みということで御提案を申し上げているところでございます。

大熊委員 加えまして、前回もちょっと指摘をさせていただいたんですが、ベンチャーで、ベンチャーだけじゃない、中小企業もなんでしょうか、先ほども出ました研究開発あるいは新規事業ということになりますと、これはやはり変動性が大きいんですね。変動性が大きいものというのは、通常、これは融資じゃなくて投資。つまり、貸し金じゃなくて株、出資なんですね、変動性が大きいですから。

 これまでの経産省さんのそういったベンチャーの支援措置でも、こういった部分、ベンチャーには、投資関係の支援措置、こちらの方がやはりフィットするんじゃないか。特に、国が事業に参加をするということであれば、国が参加するということは、もとの原資というのは税金ですから、相応にリスクの高いベンチャーだ、新規事業だということであれば、リターンも納税者に対して、高いものを返さないと、期待リターンが高いものじゃないといけないはずなので。

 そうすると、国が参加をするなら、これはやはり、国が投資として一部参加した方が合理的なんじゃないか。要するに、それが成功すればリターンがどんと戻ってくるわけですから、税金を使うわけですから、と思うんですけれども、この点、事務方でも大臣でも結構です、お願いします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生おっしゃるように、中小企業の新規分野への進出、あるいはベンチャー企業の創出ということになれば、デットとエクイティーと両方の手当てが必要になるんだと思っております。

 エクイティーの問題について言いますと、先ほど、これはせんだっても先生御指摘ございました、既に、産業革新機構の制度など、いろいろな制度がもう組み立てをされております。

 私ども、基本的に、そういうものを使いながら、さらに足らざるものがどれくらいあるのかというのは、これからの検討課題にさせていただきたいと思っておりますが、そういったエクイティーの措置と、これまで総合特区等で行ってきたニーズ等も踏まえながら、デットの部分についても、利子補給という形で資金について回転がよくなるようにする、民間金融機関からの貸し出しを行いやすくするという措置を講じたいと思っております。

大熊委員 局長の先ほどのロジックと逆でございまして、別法で手当てしているからということで、先ほどの議論と逆のことをおっしゃいましたけれども、そこはそういう御説明なんだろうと思います。

 ちょっとまた飛びまして、これも前回通告していて時間がなかった部分でございますが、いわゆる企業実証特例と今回の国家戦略特区の関係がどうしてもよくわからないんですが、この点についてちょっと御説明をお願いできますでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 企業実証特例、先生も御案内のとおり、今般、産業競争力法の方でも提案をされているものだと承知をしておりまして、個別の企業の提案に基づいて、企業みずからが安全性などを確保する措置を講ずることを前提として、企業単位で規制の特例措置を実現するという仕組みでございます。

 私どもの国家戦略特区の方は、地域単位で、これが基本でございました。これで、国と地方、民間の三者が一体となって取り組むプロジェクトを推進するために規制・制度改革を行うということで、切り口が違うということになるのではないかと思っております。

 ただ、企業実証特例制度の対象となる規制の特例措置であっても、私どもの国家戦略特区の規制特例措置の対象になり得るものは当然あると思っておりまして、それは、先般来、大臣からも御答弁を申し上げておりますように、具体の事業というものが特区計画の中で出てきた段階で、そういうものがあれば取り組んでいくということになるのではないかと思います。

大熊委員 ちなみに、この企業実証特例の特例措置、これは現時点ではどのようなものが明らかになっているのか、教えていただきたいと思います。

西山政府参考人 お答えを申し上げます。

 今御説明ございましたように、この企業実証特例制度、産業競争力強化法案の中で御提案を申し上げているものでございますけれども、これは、企業単位で新しい取り組みを行う場合に、既存の規制が仮に障害になるとすると、それをそれぞれの企業の事業計画に照らして、例えば安全性の問題であれば、それを代替的に確保する措置と組み合わせて特例措置を御提案いただく、こういう仕組みになっております。

 したがいまして、これはあくまで、この産業競争力強化法案が成立をし、企業実証特例制度がスタートをした後で、具体的な企業が、個別具体的な事業計画を受けて、こういう規制の特例措置を創設すべきだという御提案があって検討を開始するということになっておりますので、法案の中においては、具体的な規制の特例措置を事前には盛り込まないこととしているものであります。

柴山委員長 大熊君、質疑時間が終了しております。

大熊委員 ありがとうございました。終わります。

柴山委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 この国家戦略特区というのは、そもそも、この特区制度を設けるという発想についてでありますが、誰が要望をしていたのかという点です。これは日本企業はもちろんですけれども、アメリカ政府からも要求をされていたということではなかったでしょうか。

新藤国務大臣 これは、私たちがアベノミクスと言われる経済成長戦略を考える上で、今までと次元の違う、日本経済の起爆剤となり得るような新しいプロジェクトを考えてみよう、こういうことから始まったものでありまして、どこかの企業からの御要望があって始まったものではございません。(佐々木(憲)委員「アメリカ政府」と呼ぶ)アメリカ政府からの話は私は聞いたことはございません。

佐々木(憲)委員 この国家というのがつくのは最近だと思います、それはもちろん。国家戦略という名前がついたのは最近ですけれども、特区という制度自体は、これは前からあるわけですね。

 私どもがちょっと調べてみますと、二〇〇二年、アメリカの対日規制改革要望書というのがここにもありますけれども、これで初めて特区という要望が出ているわけです。その年に、その後、法律ができまして、二〇〇三年四月に、初めて日本で特区ができる、こういう経緯がございます。

 その次の年の二〇〇四年十月十四日の要望書には、このように書いているわけです。米国は、特区の取り組みにおいて米国の事業者による参加を奨励しており、米国参加にかかわる特区の提案を熟慮するよう日本政府に求めるというふうに書いているわけですね。

 つまり、昔からずっとアメリカ政府は日本に要望していた、これが事実じゃないですか。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

新藤国務大臣 私が大臣を拝命してから、そのような趣旨のことを私は承ったことはございません。

佐々木(憲)委員 それは大臣が聞かないだけであって、過去の事実を見れば極めて明確であります。

 次に、アメリカ企業を含む外国の企業が特区の発案や創設過程に参加できる、こういうふうに理解してよろしいか。それから、米国企業の提案、これは特別に扱われるのか、確認をしておきたいと思います。

新藤国務大臣 これから特区が、方針が設定されて区域が設定される。その中において、いろいろな企業が参画を要望される。その中に、当然、外国の企業が入ってくることも考えられると思います。

 しかし、それがどこの国の企業であろうとも、何か特別扱いをすることではございません。

佐々木(憲)委員 日本の制度を外資に適用する場合、外資だけ特別優遇をするという考えは今のところない、こういうお答えでございました。その点については、後で具体的に実例を示してお聞きしたいと思っております。

 そこで、日本再興戦略の中に、「対内直接投資の活性化」「特区制度の抜本的改革」、こういう項目がありまして、こう書いてあります。「海外の資金や技術等を更に我が国に呼び込むため「国家戦略特区」を活用し、」「二〇二〇年における対内直接投資残高を三十五兆円へ倍増することを目指す。」外資の呼び込みを倍にする、こう書いているわけです。

 日本企業の投資を倍にするとは書いていない。外資だけ倍にすると書いてあるわけですね。これはやはり何らかの特別な手だてをしないと、外資だけふえてくるということはないと思いますけれども、そういうことはないんですか。

新藤国務大臣 この対内直接投資をふやすべきである、これは、日本経済のこれまでの課題でもございました。私は、その意味において、日本再興戦略は、日本全体の経済の再興を図る、その中でそのような目標が示されている、こういうことだと思っております。

 それと国家戦略特区との直接的なかかわりがあるということは、私は意識をしておりません。国家戦略特区においては、我々は世界に出ていく、そして、世界を取り込もうではないか、こういうコンセプトを掲げております。その中で、いろいろな、グローバル展開する日本企業も、外国の企業も、そこで活躍をいただけるものだと期待をしておりますけれども、日本再興戦略における今の話と国家戦略特区を直接的に何か連携させるというようなものではないというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 それはまた後でもう一度確認をしてみたいと思いますが、ここで少し情報開示の問題についてお聞きしたいと思います。

 法案によりますと、特区諮問会議とそれから特区会議、ここでそれぞれ行うものとして、規制緩和項目の選定理由と論点、それから、特区設定の議論の経過と内容、こういうことが法文の中に書かれております。

 全て開示される必要が私はあると思いますけれども、開示される保証はあるのか。その担保措置は条文のどこにあるのか。これをお聞かせいただきたいと思います。

新藤国務大臣 諮問会議と特区会議、それぞれに情報を開示すること、これは重要だと思っております。そして、国民の前で透明性、公開性を持った議論をしつつ、有効性や必然性というものを議論していく。そのことが、結果的に、さまざまな規制の改革や新たなイノベーションを促すことになっていくと私は思っておりますし、先ほどからもそのような御答弁をさせていただいております。

 その前提におきまして、国家戦略特区諮問会議の内容は原則公開、そして、議事要旨の公表及び一定期間経過後の議事録の公表、これは、今、政府が設定している会議と同じものをやろうとしております。

 しかし、そういった会議の運営に関する必要事項というのは、国家特別会議が定めることにしておりまして、それは、諮問会議に準じた内容になる、要するに、同じような内容でやっていくということでございます。

 会議の運営は、それぞれの運営規則等で今後定めてまいりますから、今現状において、法律において会議の公開に関する規定は置いていないということでございます。

佐々木(憲)委員 確かに法案には書いていないわけで、それぞれの運営規則といいますか、そういうことで書くんでしょう。

 情報を開示するか否かというのは、どういうルールで決められるのかということを確認したいんですけれども、諮問会議の議員の全員の合意、あるいは議長が決める。公開ルールというのは、どういうふうに考えているんでしょうか。

新藤国務大臣 これから運営規則を定めるわけでありますが、一般論で言えば、議事の運営については座長が運営をしていくことになります。そして、座長の判断で、公開、非公開、そういったものの御判断をいただくこととなりますが、それは、構成員たる各委員、そういった方々との御相談によって成り立っていく、合意によって成り立っていく、こういうことだと思います。

佐々木(憲)委員 今、座長とおっしゃいましたが、諮問会議の場合は議長ですね。それで、議長は総理大臣ですね。つまり、総理が最終的に決定する、こういうことですか。

新藤国務大臣 それは、運営規則の中でルールを定めて、それを執行するのが議長であり、座長であり、その会議の取りまとめ役であります。

 ですから、会議の運用内容というのはこれから決めるということでありますが、特別にこの問題について、これまで設けられている会議と違う規定を置こうとは思っておりませんし、それは一般的なというよりも、もとより、公開性、透明性を確保するための、そのようなルールになるというふうに思っております。

佐々木(憲)委員 これまで設けられていた会議というのは、経済財政諮問会議、これに倣ってということで理解してよろしいんですか。

新藤国務大臣 経済財政諮問会議もございます。ですから、それぞれの置かれている会議の位置づけというのがございますから、それに即したものになるというふうに思いますが、極めて一般的な運営ルールになるのではないかな、このように思います。

佐々木(憲)委員 一般的とおっしゃいますけれども、法律上の位置づけになっているのは経済財政諮問会議と今度の国家戦略特区諮問会議、これが同じ位置づけ、こういうふうになっていますから、当然、経済財政諮問会議とほとんど同じような開示の基準、このように理解するのが普通だと思いますけれども、いろいろな会議があるから、いろいろな会議と言われても、同じような会議はそこしかありませんので、そういうことでよろしいですね。

新藤国務大臣 経済財政諮問会議、それから総合科学技術会議、男女共同参画ですとか、いろいろございます。ですから、そういうものとの並びのものになる、このように思っていただければいいと思います。

佐々木(憲)委員 次に、国家戦略特区諮問会議の意思決定の方法についてであります。これは法文のどこに書かれているのか、具体的に示していただきたいと思います。

川本政府参考人 国家戦略特区諮問会議の組織及び運営に関し必要な事項は政令で定めるというふうに第三十五条において規定をいたしております。

佐々木(憲)委員 政令で定めるというのは、まだこの政令の中身は確定していない、こういう意味でしょうか。

川本政府参考人 政令につきましては、当然、法案の成立後に政令の制定をするということになりますが、基本的な運営の仕方については、ただいま大臣の方から既にお話がございました。そういうものに倣って政令の策定をいたしたいと考えております。

佐々木(憲)委員 具体的に言いますと、例えば多数決とか全会一致とか、そういう方法があると思うんですけれども、どういうことを想定されているんでしょうか。

川本政府参考人 ちなみに、経済財政諮問会議等におきましては、議長が会議に諮って議事手続等の会議の運営について定めていただく、そういう規定になっておりまして、これに倣った規定になろうかと考えております。

佐々木(憲)委員 そこで、次にお聞きしたいのは、関係閣僚と言われる方々がどうかかわるのかということでございます。

 この諮問会議で決定をする場合、例えば医療にかかわる問題、あるいは教育にかかわる問題、いろいろあると思うんですけれども、その関係閣僚は決定そのものに直接かかわることができるのか、あるいは意見を言う、そういう立場なのか、ここはどうなっているんでしょうか。

川本政府参考人 この特区諮問会議のメンバーについては法案にも規定がございます。関係大臣については、必要に応じて御出席をいただいて、御意見を述べていただくということでございまして、意思決定ということでは直接かかわるということではないというふうに理解をいたしております。

佐々木(憲)委員 そうすると、関係閣僚は意思決定にはかかわらない、こういうことになりますね。

 ところで、特区会議、戦略特区に置かれている特区会議、ここで関係閣僚は参加できるのか。参加するのは特区担当大臣、こういうふうにされていますけれども、そこはいかがでしょうか。

川本政府参考人 お答え申し上げます。

 特区ごとに置かれる会議におきましても、メンバーは、国家戦略特区担当大臣と関係地方公共団体の長、それから民間事業者でございまして、これも必要に応じまして関係行政機関に参加を求めることができるということで関係省庁に御参加をいただく、そういうことにいたしております。

佐々木(憲)委員 これも事実上、決定に深くかかわるということではなく、意見を聞くと。今うなずいておられるから、そうだと思いますね。そうすると、この関係閣僚というのは一体何をするのかということになりますね。

 特区の計画ができて、大臣、それを認定する段階、これは認定は諮問会議の方になりますね、その段階で関係閣僚の同意ということが書かれておりますが、この同意というのはどのように扱われるのか。例えば、もし関係閣僚が私は不同意ですということになった場合にプロジェクトは白紙になるというようなことはあるんでしょうか。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

新藤国務大臣 それは、同意を得られなければプロジェクトは進まなくなるということはあり得ると思います。

 しかし、そもそも関係大臣は意見を言っていただきます。それから、議論をいたします。その中で、当該事業の内容が関係大臣の所管する法律の内容に、規定に合致していれば関係大臣は同意することとする、このような規定にさせていただいているわけでありまして、同意を得るべく努力もいたしますし、また、同意がなくては事業はうまく進まないわけでありますから、そこはしっかりとした議論を、国民の前で公開性、透明性を持って必然性を追求してまいりたい、このようにさせていただいているわけでございます。

佐々木(憲)委員 今、議論の経過で確認をしてまいりましたのは、関係閣僚は諮問会議の基本的な方針について意見を述べることができるだけで、決定には参加できないと。そして、特区会議においては、同様に関係省庁の意見を聞くことはできるけれども、しかし、そこで何か決定そのものに参加できるというわけではない。つまり、関係閣僚がずっと参加できない形ででき上がってきた特区計画というものの最後の判こを押す。最終決定は諮問会議で決めるわけですけれども、判こを押す段階で関係閣僚が参加をする。最終的な決断というわけじゃない、中間的な決断のような形。そこで異論を言えば、それは進まないと。

 そうなりますと、その大臣はこの特区について異論を持っている大臣だということになりますから、今度は総理大臣がこの大臣をどう扱うかという話になっていくんだろうと思いますね。そういたしますと、諮問会議で大体皆さん同じ方向で総理も含めて結論を出していくという流れの中では、ほとんど大臣は事後承認的な役割しか果たせなくなる、こういう仕掛けだということはこの流れの中では非常にはっきりしてまいりました。個別の特区計画の作成あるいは企画段階で企業の意見というのは、これは当然十分に聞くだけではなく、みずから実行する主体であります。しかし、関係閣僚がそういう扱いになっている。

 それから、もう一点聞きたいのは、では、国会はどうなのか。企画の段階で関与できるのか。あるいは、国民の側からの意見というのはどのように扱われるのか。この点はどういう仕掛けになっているんでしょうか。

新藤国務大臣 国民の意見ということであれば、地域にいらっしゃる国民の意見は地方自治体の長、地方自治体からの御意見として集約されると思いますし、そもそも国会議員等々からの、国会の方からの御意見というのもありますが、大臣というのはそういった国民の代表でございます。ですから、それは、今、さまざまな声を聞き、関係者からのお話を聞く、そこには国民の声も当然含まれているということだと思っております。

佐々木(憲)委員 ただ、トップダウン方式がこのやり方の最大の特徴でありまして、どうもその過程で関係閣僚の意見さえ十分に、具申はしても決定権にはほぼ参加できないような状況になっていて、国会はいろいろ議論はあってもそれは議論だ、こういうふうに扱われてしまったら、国民から意見は間接的には聞いていますよと言われても、総理あるいは内閣がこれでいくんだということになりますと、これは自動的にざあっと走っていって、なかなかブレーキをかける部分がないという危険性があるんじゃないかと私は非常に危惧をしているわけでございます。

 例えば、環境面で非常に悪い影響が出てきた、あるいは、労働の面で大変な過労状態、過労死が生まれた、そんなような状況が出てしまった場合、これは実行段階の話でありますが、被害者の訴えというのは、どういう経路で事業そのものに反映できるのか。つまり、事業の変更とか、あるいは事業を中止するとか、そういう道筋は、このシステムの中にどのようになっているのか、説明をしていただきたい。

新藤国務大臣 それは、今、国、地方を問わず行われているさまざまな事業について、同じことが言えると思います。国民の声、そして監視、チェック、そういったものがあって民主主義というのは成り立っているわけでありますから、そのルールのもとに、今回、法律をお願いしております。そして、国民に対して不適合な、または問題の出るものを、私ども政府がやれるわけがありませんし、やる気もございません。

 ですから、そういうことが、何よりもこういうプロセスをオープンにして、そして議論を公開しながら、しかし、そこは、最大の効果を上げるためには、迅速な体制、強力な執行体制を組ませていただいて、今までできなかった、またなし得なかった成果を挙げようではないか、こういう御提案をさせていただいているわけでありまして、それは、民主主義のルールの範囲で、我々は、国民に対する責任というのは担保していきたい、このように思っております。

佐々木(憲)委員 今のお話を聞くだけでは、このシステムの中にそういう経路が組み込まれているという、そういうお話は、リアルな形では伺えませんでした。

 では、次に、国が主導してこの戦略特区を推進する場合に、どのような税制措置、財政措置をとるのか、これについて伺いたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 特区の税制等については、これまでも御説明をしてきましたように、日本再興戦略において「大胆な規制・制度改革を行い、こうした制度設計に応じた税制措置を検討の上、必要な措置を講ずる。」とされておりまして、今回の特区法案におきましては、まず、地方、民間から応募のあった提案を受けて、規制改革の実現に取り組むための枠組みをお願いしたところでございます。

 税制措置につきましては、現在、年末の税制大綱の決定に向けて作業を急いでいるところでございまして、世界で一番ビジネスのしやすい環境の整備、これを実現できるように税制措置を講じたい、このように考えております。

 一方で、財政の関係でございますが、この国家戦略特区においては、民間主体による事業の促進というのが柱になっております。したがって、財政支援がメーンになるというものではないと認識しておりまして、特区固有の措置としての補助事業といったようなものは講じておりません。必要に応じて既存の事業や制度というものを活用して取り組んでまいる、このように考えておるところでございます。

佐々木(憲)委員 そこで、これから検討するという話でありますが、税制上の扱いですね。これは、外資の扱いをどうするのかという点を確認したいんです。

 東京都の、国家戦略特区についての五月二十二日の猪瀬知事の提案というのがありまして、これを見ますと、「ビジネスコストの低減」ということで「誘致対象外国企業に対する法人税実効税率の更なる低減」、こうなっております。つまり、外資には特別の減税措置を法人税においてとるんだ、こういうことであります。四〇・七%、これは、特区指定前はそうであると。それを、そこに参加をした全法人に対して二六・九%に減免をする。さらに、外資に対しては二〇・二%、特別の措置をとって軽減措置を行うんだ、こういうふうに提案されているわけです。

 それから、今回の、外国企業が日本企業とビジネスしやすい環境をつくるという、この東京都の特区の提案の中でも、こういうふうになっております。「多国籍企業の日本法人が、」「アジア地域における業務統括拠点機能、研究開発拠点機能を有する場合に法人税を軽減」、つまり、多国籍企業が日本に、この特区に進出をした場合には、特別の措置を施すと。軽減後の法人実効税率は二〇・二%、こういうふうにされているわけですね。

 一番最初に私が確認をしたことでありますが、日本企業も外資もみんな同じだ、何か特別的に外資を扱うなんていうことはしない、こういうことをおっしゃいました。したがって、これは、私は、東京都の提案というのは非常に異質な提案だと思っておりますが、こういうことは基本的な原理からいってあり得ないと思うんですが、大臣の最初のお答えはそうでしたね。こういうやり方については、これは当たらないというのが普通だと思うんですが、大臣、どうなんですか。

新藤国務大臣 私が当初申し上げましたのは、具体的なプロジェクトを行う事業者が規制の特例措置を受けることは、これは海外企業や外資系企業を特別扱いすることはない、このような今法律のたてつけになっております、こういうことをお答え申し上げました。税制につきましては、今、与党の税調プロセスの中で御議論いただくことになりますし、また、特区内でいろいろな議論をしていくことになるというふうに思っております。

 今のところ、私の方では、その特別具体的な検討をさせていただいておりません。

佐々木(憲)委員 ということは、今大臣はこれを否定されなかったわけですね。要するに、そういうことも含めて、今後、税制措置を検討していくと。

 そうしますと、一番最初に大臣がおっしゃいました、いや、これは別にアメリカから言われたものではない、それは政府が決めた、それはそうでしょう。しかし、アメリカを含む外資を特別扱いする。規制の方は、その特区に入ってきた場合には同じように扱いますよ、しかし税金は特別ですよ、これは差別をすることになりませんか。日本企業以上に外資に優遇措置を与える、こういうことになるんじゃありませんか。

新藤国務大臣 今何も決まっていない状態で、結びつけて、臆測で物を言われても、私はお答えのしようがございません。

 また、それは可能性として、そういう御提案があって、それをどう取り扱うかは、これは与党の税調プロセスの中で議論されていくということを、今現状のことをお答えしたわけでありまして、どっちにするともしないとも申し上げておりませんから、どちらかに色をつけたような、臆測での御発言はお控えいただきたいと思います。

佐々木(憲)委員 それはおかしいですね。最初、大臣は、内外無差別である、どの企業も外資も日本企業も、当然同じように扱われなければならぬ、そうおっしゃっていたわけですよ。

 だったら、これは違う扱いの提案だから、大臣の言っていることと違う提案がされているわけですね。違う提案をされているのに、それを拒否しない。ああ、では、それも含めてやりますよと。これはまことに一貫しない答弁でありまして、大臣がおっしゃっている基本原則と違うことを提案されたら、それは違いますよと言うのは当たり前だけれども、今は全然拒否しないんだよね。それはあり得ると。(新藤国務大臣「違う、違う」と呼ぶ)

 では、結果的に、こういうことも含めて検討して、こういう可能性もあるということなんでしょう、今はまだ決めていないけれども。だったら、最初から排除したらいいじゃないですか。そんなのは内外無差別に反する、何で外国だけが優遇されるんだ、外資だけ特別優遇というのはおかしいじゃないかと。同じ工場をここでつくって、隣に外資の工場があったら、外資だけが法人税二〇・二%、こっちは違う、日本の方は高い、そんな不平等な、公平に反するやり方というのは、大臣自身がおっしゃった言明と全く違う方向になるわけでありまして、ここは否定的なことを言わないと、大臣、何を言っているのかよくわかりませんよ。

新藤国務大臣 もう一回、正確に申し上げますよ。

 具体的なプロジェクトを行う事業者が規制の特例措置を受けることとなるわけであります。それには、国家戦略特区制度においては、規制の特例措置を受けることになるわけでございます。それに海外企業や外資系企業だけを特別扱いすることはない、考えていないということを申し上げました。

 そして、さまざまな御提案があり、税制については、まだこれから検討するということであります。そういった御提案、また、その提案が採用されるかどうかも含めて、これは今何も決まっていないわけでありまして、それについて排除するとも排除しないとも、これは私は今申し上げるわけにはいかない、こういうふうに申し上げているわけであります。

柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。

佐々木(憲)委員 時間が参りましたので、終わりますけれども、大臣がおっしゃっていることに一貫性がない、ここのところは確認ができたと思います。

 以上です。

柴山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 それでは、まず、国家戦略特区の本質というか、意義から議論させていただきたいと思います。

 特区というのは、私、基本的には、構造改革の手段でありますので、規制を緩和して、参入障壁を下げて、そして競争を強化していく、そういう政策だと理解しております。とすると、結局、供給能力をふやしていくという政策であります。成長力のためにということでしょうけれども。

 ただ、今デフレ脱却が一番大きな課題となっている。こういう中で、供給能力をふやしていくと、これは需要の部分が追いつかなければ、デフレギャップが大きくなっていく、こういう問題があると思うので、その本質からいって、特区というのは、このデフレ下における政策としては適切なのか、どういう意味があるのか、そういうことをちょっとお伺いしたいと思うんです。

 それで、結局、十五年を超えるデフレの原因は何で、そして、この特区は結局何にどうやって対応しようとしているのか、その辺をお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 経済は需要と供給のバランスで成り立つわけであります。ですから、そのベストバランスをつくらなければいけない。我々は今、デフレからの脱却、需給ギャップを埋めなければいけない、こういう課題に直面しているわけであります。

 その中で、新たな投資を呼び込むとともに、雇用やそれから需要もつくっていく、また供給体制も整える、それはいろいろな組み合わせだというふうに私は思っております。そして、国家戦略特区においては、大胆な規制緩和や税制措置を今までとは次元の違う形で展開をして、そして、日本経済の起爆剤となるような、そういう特区として実現を図りたい、こういう思いを持って今計画を進めようとしているわけでございます。

畑委員 私は、そこは政策の順序があるんだろうと思います。

 まず、需要を高めて、そして、その結果、インフレというか、需要が過熱してきたら供給力という部分があってもいいんですが、これは、今の段階で成長力を強化していくと、やはりデフレギャップが大きくなると私は思うんですが、そこは順序として違うんじゃないかなという思いが一つあるんです。

 ちょっとそこでお伺いしたいんですが、これまで、構造改革特区やら総合特区をやってまいりましたけれども、これはちょうどデフレの十五年と軌を一にするわけですけれども、結局、事実として、これによってデフレ脱却はされていないわけですが、これは手法が云々という議論はいいんですけれども、特区の本質を踏まえて、これはやはりデフレ脱却に対してどういう効果があったのか、なかったのか、そこはちょっとどういう御認識でしょうか。

新藤国務大臣 特区というのは何の特区のことですか。(畑委員「構造改革特区と総合特区」と呼ぶ)構造改革特区がデフレ脱却にどういうような効果を与えたか、こういうことでございますか。

 デフレ脱却、それから経済政策というのは、特区のみでやってきたわけではありませんね。特区自身は、まずは、構造改革特区は、従来の規制ではできないことを、地域の情熱やそれから地産地消、そういった新しい事業を掘り起こすために規制を緩和しましょう、それを、特区を設けてそこで実施しましょうと。それは、実施をされるならば、全国でも、同じものは申請があれば認められるようにしよう、こういうことでなってきました。ですから、それは一定の消費につながったと思いますし、需要の喚起にもつながった、このように思っております。

 しかし、それをもって、日本の経済にどれだけの影響を与えたのかというのは、それは、そのほかの、社会資本整備も含めて、いろいろな経済政策の合わせわざでありますし、世界経済と連動した中での日本経済の状態があったわけであります。一定の効果はあったというふうに思っております。

畑委員 一定の効果があったとおっしゃいますが、その数値からして、どういう基準で一定の効果があったのか、ちょっと今のお答えではわからないわけであります。これは、特区というか、競争力強化政策を否定しているわけでありませんが、いずれにしても、政策のタイミングと順序、そういうことも踏まえてだと思います。

 ちょっと論点を変えまして、お伺いしたいんですが、これは国家主導の特区だということで、国家的に必要な規制をまず国家主導でやっていくということだと思います。であれば、結局、国家的に必要な規制であれば、国家戦略特区という形でなくて、最初から全国的な規制改革を行うとか、私はそういう方が筋だと思うんです。

 というのは、構造改革特区とか総合特区はわかるんですよ。地方から発案して、そして必要なものを、多様性を持って、地方の特色に応じてやりましょうと。ただ、これは国家的観点から必要な規制改革であれば、特区という手段というのはどうもちょっと変だなと思っているわけです。

 結局、特区でやる規制改革になじむのか、あるいは全国的にやるべきなのか、これはいろいろパターンがあるんだろうと思います。例えば、新医療機器のデバイスラグ、これは薬事法改正で全国的にやったということもありますけれども、結局そこは、特区でやるものと全国的にやるものと仕分けてやっているということだと思うんですが、そこの基準というか考え方はどうなっているんでしょうか。

新藤国務大臣 私どもは、まず、構造改革特区においては、地域から御要望のあったものに対して、その地域にどう適用させるかという意味で構造改革特区というのをやってまいりました。

 しかし一方で、安倍内閣においては規制改革担当大臣というのがおります。規制改革会議というのがございます。そういった、特区ではなく、そもそも日本の規制をどのように改革をして、そしてこの経済を活性化させるか、そして生活の質を上げていくか、こういう取り組みはまた全国的に政府として取り組んでいる部分があるわけで、私どもはそちらとも連携も図っていく、こういうことでございます。

畑委員 今のお答えは、結局、基準がちょっとよくわからなかったんですが、よくあるのが、規制改革でも生命とか財産とか全国的な公平性を考えるものは一律でやろうと。恐らくここは先導的役割を期待した特区というところなんでしょうか。

 ちょっともう一度、その辺も含めて、基準をもうちょっとお伺いしたいんですが。

新藤国務大臣 全国的に一律でやるにはまだ条件が整わない、また、社会的な情勢が追いついていない、また、その効果があるかないかもなかなか検証しづらい。しかし、ある条件がそろった地域においては、この規制を改革することによって新しいものが生まれるかもしれない。そして、新しいことをやろうとしていくときに、その規制の緩和がその事業の成果に影響を与えられる。そういうものを特区でもって実施をしてみようということだと思います。

 ですから、おのずと、全国一律で規制緩和できるものと特区として限定的にやれるもの、それは強さも大きさも違ってくるのがしかるべきだ、このように思います。

畑委員 そうすると、特区でやったものを広めていくという話ですが、具体的に地方とか全国にどうやって広めていくか、ちょっとお伺いいたします。

新藤国務大臣 まず、これが国家戦略特区として、しっかりとしたコンセプトのもとに事業ができます、成果が上がってきました、その成果に対して、今まで心配があった、懸案があったけれども、これはもう全国的に展開しても大丈夫だ、こういうことになれば、当然国会での御議論があって、また規制改革会議等でも取り上げられるというふうに思っております。そして、何よりもそれは、事業の推移というのは国民が見ているわけでありますから、その中から必然的にそういった声は上がってくると思いますし、私どもは、いろいろな事例については国民への周知は図っていかなくてはならないというふうに思います。

 構造改革特区においてもたくさんの成功事例がありますから、そういったものの成功事例は取りまとめをして、地域の皆さんによりわかりやすくお伝えする、そういったこともやりたいと思っております。

畑委員 結局、そういうことですね。特区でやったものを、地方にじゃなくて、都市で始めて、あるいは地方に対する波及、都市と地方の格差というのも危惧されるんですが、そこはそういう形でやっていくとして、この特区は、先行的な、試行の手段というか、それを広げるということだと思いますが、構造改革特区等との連携というか、ちょっとおっしゃいましたが、そこはどういうふうにお考えなんでしょうか。構造改革特区、地方との関係ですね。

新藤国務大臣 国家戦略特区の御提案は、今約二百提案いただいております。しかし、国が一緒に参画をして、まず第一弾で決めるものは、そんなに多くのものにはならないだろうと。なぜならば、それは国が一緒に事業をやるからです。ですので、そうなりますと、よい提案があったとしても、全てのことを一回で取り上げることができないということが予測されます。

 その中で、例えば一つの事象についてこういう規制改革をしてほしい、いいアイデアがあったならば、それを構造改革特区に望むならば、これは構造改革特区に対してもアプローチできるように連携をとって、そちらでの活用も図れるようにしようではないかということを法案の中に書き込ませていただいたわけでございます。

畑委員 では、次に、ちょっと論点を変えてお伺いしたいと思います。

 国家戦略特区の諮問会議において、利害関係者の扱いということで、本会議でもちょっと議論させていただいたんですが、その際に、この議員で民間有識者が入ってくることになっているわけです。そこで、民間有識者が入ってきた場合に、利害関係が強度な場合には自作自演になるんじゃないかと。自分で提案をして、それについての基本方針を議論する、そういうことの危惧がある。結局、進め方の適正さにおいてかなり疑義が残るということを申し上げさせていただきました。

 その際には、本会議での答弁は、国家戦略特区諮問会議において、特別な利害関係を有するときには、会議の運営に当たり、当該事項について調査審議に関与できないようにする、その趣旨については国家戦略特区基本方針に記載をするとともに、具体的な運営方法について会議の運営規則等で明確化することで担保してまいりたい、そういうお答えでありました。

 ここでちょっと確認したいんですが、これは、利害関係を有するではなくて、特別な利害関係を有するというお答えだったわけですが、この特別な利害関係というのは、具体的にはどういうことを想定されているんでしょうか。一般の利害関係を超えるような特別なということだと思うんですが、ちょっとそこをお伺いしたいと思います。

新藤国務大臣 そもそもが、国家戦略を考えるに最適な経験と能力、知見を有する方々に諮問会議のメンバーになっていただきたいと。それは、いろいろな分野の方がいらっしゃると思います。ですから、それは、特定の利益代表であるということではない、有識を持った方々である、このように思っています。

 ただ、それは、世の中、人間のいろいろなつながりがございますので、たまたまその方が何かで関係する事業体が特区として認定されることになるかもしれない、また審議されるかもしれない。

 ということで、計画に定められた特定事業に民間有識者が特別な関係を有している、こういう場合を想定しているわけでありまして、そうした場合には、その利害関係に及ぶ部分においてはこの調査審議から外れていただこう、こういうことを想定しているということでございます。

畑委員 特定事業に関係するとおっしゃいましたが、特定事業というのは、国家戦略特区会議の方の概念ですよね、恐らく。つまり、私の理解ですと、国家戦略特区諮問会議で基本方針を定めるということなわけで、そこで、特定事業というよりも、むしろもっと前段階の基本方針に対して利害関係がある有識者はどういう人が入るかということでお伺いしたいと思ったんですが。

 それで、その関係でいうと、私は、端的にお伺いしたいのは、例をちょっと挙げてみますけれども、例えば、派遣業を行う会社の経営者が諮問会議の有識者として入るということは、そして労働者派遣規制の緩和について議論するということはどうなのかというのが一点。これは一つの特別な利害関係だと思いますが。一方、そうではなくて、経営者団体の長がまさに有識者として入って、そして、労働関係法制について議論する場合、おのずから濃淡が違うんだろうと思うんですが。

 この二つの例をとって、特別な利害関係なのかどうかというのは、この二点でどっちがどっちなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 まずは、一般論として、特別のという御指摘でございますけれども、そのものに意味があるというよりは、これは、特区諮問会議の会議の公平性、中立性に疑念を生じること、そういった場合がないように、そういう方については、特定の課題については議論に加わっていただかないようにするという意味であるというふうに考えております。

 個別に、派遣業のというような御指摘がございましたけれども、これは、特区の中で、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますように、個別の雇用の問題だけを取り上げる特区というものがあるわけではなくて、国、地方、民間が一体となってやるパッケージとしての事業というものを当然想定しておるわけでございまして、それの中での、例えばどういうところを選ぶのかという指針、それから実際に指定をする場合の特区の指定といったところについて、諮問会議においていろいろ御意見を伺うわけでございます。

 したがって、ちょっと、先ほど御指摘のあった個別の事例ということについては少しお答えがしにくいわけでありますが、例えば個別の地域に利害を持っておられるとか、そういうような場合というのは格別、そうでない場合に、例えば企業経営者かどうかというようなことは、ちょっとこの場でお答えするのはふさわしくないのではないかなと思います。

畑委員 今、個別の地域という例示でありましたが、その並びでいくと、個別の事業というのも恐らく私は入らなきゃいかぬと思いますので、そこのところをお答えいただきたかったんですが、一般的な経営者がいかぬと言うつもりはないですよ。ただ、派遣業みたいな個別の事業において、そういう人が入るというのは、どう考えても並びとして私はおかしいと思います。

 これはこれで、そこの議論はちょっと堂々めぐりというか、お答えいただけなかったんですが、ではちょっと論点を変えてお伺いしましょう。仮に、個別の事業でその利害関係者が有識者として入った場合に、恐らく、これは、この会議の本質、こういうものの適正な運営を考えるとすれば、もう一方の、密接な利害を有するというか、別の立場の人がやはり入って、そういうことによって初めてこういう会議というのは適正な議論がされると私は思うんですが、これは普通、会議というのはそういうものですよね。

 ただ、この国家特区諮問会議の三十二条なんか、議員を見ていても、この一項四号でそういう有識者の規定がありますが、そういう場合に、外すというのは、これは法律事項じゃなくて、会議の方針で外されると。逆に、そういう場合に、他の、違う利害の人を入れて客観的な議論をするような仕掛けがこの法にはないように私は思っております。

 二項には、結局、議長が、必要があると認めるときには、国務大臣以外の国務大臣を入れると書いてあって、国務大臣を入れるかどうかの規定はあるわけです。ただ、密接な利害関係というのか、他の利害を代弁するような人を入れて、適切に議論をするような仕組みがどう見てもないわけですよね。この点はどうお考えですか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 特区の諮問会議、先ほども申し上げましたように、国全体の特区の指定の方針でありますから、特区のあり方を定めます特区の基本方針、それから具体の特区の指定といったところについて御議論をいただくというのが最初のお仕事になるんだろうと思っております。

 そういう意味で、そういうお仕事の中で、特別の利害、国全体の方針を定めるときの特別の利害関係というのが、少しぴんとこないんですけれども、いずれにせよ、諮問会議の運営の中では、必要に応じていろいろ意見を聞く場、それが必要になれば行うような格好、これは、いずれにせよ、先ほど来出ましたが、会議の会議規則の中でも運営の方向は決まってくるということでございますので、その中で必要な措置というのは講じるような格好で措置をしたいと思っております。

畑委員 今ぴんとこないとおっしゃられましたが、では、例えばこういうことを申し上げましょう。これは、一般的な経営者団体の代表が有識者として入った場合に、それに対応して、例えば労働者団体のしかるべき人が入ってと、そういうことというのは、本当は適正な議論をするためには必要だろうと思うんですが、例えばそういう場合はいかがでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に、その委員に入っておられるときに、別の方の意見を聞く必要があるということであれば、例えば専門的な御意見を聞く場というのが必要になればそういう場を設ける、そういうことになるのではないかと思います。

畑委員 別の場というのはどういう場でしょうか。

川本政府参考人 会議そのもので御意見を聞くこともあれば、例えば、専門的な議論をしていただく場というのをつくって、そこで御議論をしていただくということもあり得るのではないかと思っております。

畑委員 その点は、これからつくる会議規則なり、いろいろなので、そういう規定の方向で、そういうふうにおまとめの方向で検討されるということでよろしいでしょうか。

川本政府参考人 いずれにしても、諮問会議の中の会議規則の中で、そういったことは定めてまいりたいと考えております。

畑委員 その点は確認をさせていただきました。

 あともう一点、諮問会議ではなくて、今度は戦略特区会議ですね、具体的な、まさに特定事業を定める会議でありますけれども、ここについてちょっとお伺いさせていただきたいと思います。

 民間事業者が入ることになっている。これは、実際に事業を提案して行うような者が主体であるということだと理解しております。これも、実は、進め方として、さっき言ったのと同じような、類する事項が生じてきまして、基本方針じゃなくて具体的な事業の方針なり特区の指定ですから、もっと具体的な利害関係が先鋭になってくるような会議の場がこの特区会議なわけであります。

 そういう場合に、条文的なたてつけとしては、七条三項の二号で、「密接な関係を有する者」ということがございます。この密接な関係を有する人というのはどういう人を想定しているのか、ちょっとそこからお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 これは、特区の性格あるいは特区の場所がどういうところになるかによっても違ってこようかと思いますが、例えば、地域の経済団体でありますとか、それから農業関係の団体でありますとか、そういった方というのは想定をしているところでございます。

畑委員 その場合に、条文上、必要と認めるときは協議して加えることができるということでありますけれども、結局、その必要性判断は特区大臣、関係地方公共団体の長に委ねられていると。結局、必須ではないわけですが、ちょっとお伺いしたいのは、では、そこはむしろ入れることを原則でやるべきだという思いが運用上私はありますが、「必要と認めるとき」というのは、どういうふうなときを想定されているんでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 この特区会議は、まさに国家戦略特区の運営のかなめとなるところでございまして、ここで国、地方、民間が協力をしてスピーディーに区域の計画をつくっていただく、それを実現するということが非常に大事だと思っております。

 したがいまして、基本的な構成員はこの三者ということにした上で、計画の策定について密接に関係を有する人については、必要に応じてこの会議に御参画をいただくということにしたところでございます。必要に応じてというのは、その意見を聞いた方が、特区計画の作成、そしてその実現についてプラスになる、そういった場合であるというふうに考えております。

畑委員 意見を聞いた場合に特区計画にプラスになるという要件をおっしゃいましたが、それは、プラスになるというのは、推進側だけではないはずで、その事業を進めるに当たって、例えば、都市計画には規制緩和が入っていますが、都市計画事業なんかであれば、住民とかあるいは利害関係者というのは、都市計画法上は、御存じのとおり、何も事業者じゃないわけですよね、周辺のいろいろな人と。

 「密接な関係を有する」というのは、そういう他の利害の観点から、別の観点から関係してきて意見を言うべき人、そういうことも入ると理解してよろしいでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 都市計画についていえば、一番典型例ということで御指摘があったんだと思いますが、この法律の中でも、今お話がありました、都市計画についての住民参加の手続でありますとか審議会の手続等というのは、特例規定を置いているわけではなくて、それはちゃんとこの特区計画で都市計画の特例を置くときにもちゃんとやりましょうということにいたしております。

 そういった都市計画法の手続の中で、お話しのような、いろいろな利害関係あるいは問題を指摘される方についての意見を聞くということは行いたいと考えております。

畑委員 都市計画の例を出して、都市計画だけで逃げられてしまいましたが、都市計画以外にもあるわけですよ、この規制というのは。雇用規制が今後どうなるかというのは大きな論点の一つですが、あと、これは農林水産業なりあるいは医療関係もあるわけですが、それぞれのところでそういう意見を聞くのが入っているのはいいんですが、そうじゃない場合も恐らく出てくるんだろうと思います。

 そういうことも含めて、プラスになる人じゃなくて、違う考え方とか方向性からの意見を聞くということをここで行うことは想定していないのか、しているのか、そこはポイントになるので、もう一回お答えいただきたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、基本的に、地域の住民の方々の意見というのは、これは当然、関係地方公共団体の首長さんが入っておられますので、そこで、関係地方公共団体の方で地域住民の方々の意見というのを十分こなしていただいて、先ほどこれは別途の御質問がございました、議会でもいろいろ御意見があろうかと思います。そういったものも踏まえて、首長さんの御判断をいろいろ御議論いただくということではないかと思っております。

 その上で、加えて、特区計画をつくる際において、その計画の作成に必要な御意見があるとすれば、そういった方についても意見を求めるということになるのではないかと思います。

畑委員 確認しました。

 例えば雇用規制とか解雇ルールとか、これからこれをさらに議論を進める場合に、そういう働く側の人も入るかどうかという部分を含めて実は関心があるわけですが、必要があれば、それはそういう人も入ってくるというふうに理解させていただきまして、そういう確認だと思って議論を進めさせていただきます。

 実は、この議論で明らかというか、私が問題意識を持ったのは、確かに構造改革特区とか総合特区というのは、地方から提案が出て、それに対して応答義務があって、そして適正な手続で決めていきましょう、そういうスキームはそれなりに完備しているんだと思うんです。

 ただ、この国家戦略特区というのは、法律の立てつけを見ると、国家が主導で必要なものをやっていくということなわけですから、若干前のめりというか、そこの手続の適正さに私は危惧するところがあって、それが、この国家戦略諮問会議とか国家戦略特区会議の人選とか進め方とか、利害関係者の意見をどう聞くかというのは練れていないなというふうに思っておりました。

 今、実はそういう感を一層強くしましたが、いずれにしましても、これは法律事項ではない部分が大きいわけでしょうから、さらに会議の運営の規則等で明確化していくものだという理解をしましたし、今のお答えが、議論が反映されてしっかりやっていくことを期待し、そういうふうな理解をさせていただいたところであります。

 その関係で言うと、応答義務、これは、本法の第五条七項には、内閣総理大臣が必要があると認めるときは、提案の募集を行うものとすると規定してあるのみです。これも構造改革特区等と違うわけですよね、都市再生特区とも違って。提案して、それに対する応答義務というのは、普通の特区法は、これまでのは書いていますね。しかし、この国家戦略特区、やはり前のめりだなと思うのは、そういうところも書いていない。これも私は法制度上としてちょっと不備があると思っております。

 これはこれとして、適切な提案があった場合には取り入れていくべきものでありますし、本会議でも総理もそういうお答えだったわけですが、それは当然そういうものなんです、政策的には。ただ、法的には担保されていないと思いますが、これはどうしてそういうものは規定がないんでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、民間事業者との関係で申しますと、構造改革特区の場合には、民間事業者が地方公共団体に計画の提案をする、それに対して公共団体は採否を通知するという応諾をする、あるいは応諾の可否を通知するというふうになっております。

 総合特区については、特区の指定後に、民間事業者が地方公共団体に対して規制の特例措置というのを提案ができる、公共団体はその採否を通知する、そういう仕組みでございます。

 国家戦略特区については、先ほどお話にありました第五条七項の提案募集、これは民間だけではなくて地方も含めてということでございますが、こういった提案の募集について、その内容と対応は諮問会議においてオープンに議論をする、それで、その結果については公表するということにいたしておりまして、個別にお答えをするという話ではなくて、国家戦略特区としていいかどうかということを全てオープンな格好で整理をするということから、個別の応答義務を置かなかったということでございます。

畑委員 これも法的には不備なわけですが、今後、諮問会議等の運営方針、会議規則を定めるに当たって、そこはやはり、そういう応答義務というか、提案されたものに対する対応というのは、何か整理されて書いていかれるんでしょうか。ちょっとそこも確認させていただきたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 個別にお答えを返すというよりは、特区について、こういう規制改革をやります、こういうのはできませんということを全てオープンにするということは会議規則の中で決めていきたいと思います。

畑委員 なるほど。透明な議論をする中で、そういうのはガラス張りで見てもらうということだと思いますが、そこの応答義務というのがないのがちょっと腑に落ちないんですが、そこの運営をしっかりやっていただきたいということをこの場では申し上げることにとどめておきます。

 時間もあれになってまいりましたが、ちょっと個別論、この特区関連法で行われようとしている施策についてお伺いさせていただきます。

 この中で、農業分野については、農業への信用保証制度の適用というのが出てまいります。

 これは、商工業とともに行う農業について、資金調達の円滑化、いわば信用保証制度の対象にするということなわけですが、農業があって、ちょっとふと思ってみると、漁業がないなと。

 私、実は地元で言われるわけですよ。魚をとる人は別ですが、大体、養殖業というのは漁業なんですよ。養殖でとどまらないんです。カキでもアワビでもホタテでもウナギでも何でも、養殖して、そこから加工するわけですよね、製品化していく。大体、一つの水産加工業者がやっています。

 これで、どの部分をやるということによって、こっちは漁業補償、こっちは中小企業のまさに信用保証と分かれるのは、私は不合理だと思っていましたし、地元からも、そこは一本化してほしいという声も、実は昔から多いんです。

 そういうことを含めて、今回の措置は水産業を対象としていないのは、ちょっと腑に落ちないんですが、なぜでしょうか。

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げます。

 規制改革の項目、事項につきましては、地方公共団体や民間事業者から応募がございました百九十七件の提案を受けまして、有識者から成る国家戦略特区ワーキンググループにおいて、規制改革の突破口として、これまで実現ができなかったような、いわゆる岩盤規制について改革を実現する観点から、規制改革項目、事項に絞り込んで、実現に向けて検討、調整を進めてまいりました。

 農業への信用保証制度の適用につきましては、複数の自治体、民間からの提案がございまして、農業経営の効率化に資すると判断されたことから、関係省庁との協議の上で、今回の所要の措置を講ずることといたしました。

 水産業につきましては、これまでそうした提案がなく、検討がなされていないことから、措置していないものでございます。

 以上でございます。

柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。

畑委員 時間がなくなりました。

 質問じゃないですが、ちょっと一つ意見を申し上げておきたいんです。

 まさに水産業というのは、これは積み残した課題で、これから提案が出るかもしれない分野だと思いますが、そういう意味で、提案に対してしっかりと誠実に応答して、きちっとした体制の中で議論して、必要な措置を講じていくことが必要だと思います。そのことも申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十日水曜日午前八時四十分理事会、午前八時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十七分散会


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