衆議院

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第7号 平成25年11月20日(水曜日)

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平成二十五年十一月二十日(水曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新開 裕司君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    武部  新君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長島 忠美君

      福山  守君    村井 英樹君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    大西 健介君

      後藤  斎君    後藤 祐一君

      玉木雄一郎君    津村 啓介君

      中根 康浩君    若井 康彦君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    佐々木憲昭君

      村上 史好君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   国務大臣

   (地域活性化担当)    新藤 義孝君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   内閣府副大臣       関口 昌一君

   農林水産副大臣      吉川 貴盛君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    伊藤 忠彦君

   法務大臣政務官      平口  洋君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   経済産業大臣政務官    磯崎 仁彦君

   国土交通大臣政務官    土井  亨君

   政府参考人

   (内閣官房地域活性化統合事務局長)        川本正一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤原  誠君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         生田 正之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大西 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 熊谷  毅君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           岡田 憲和君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       佐藤 速水君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    横田 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局次長) 土屋 知省君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     武部  新君

  鬼木  誠君     新開 裕司君

  福山  守君     村井 英樹君

  大島  敦君     後藤  斎君

  後藤 祐一君     中根 康浩君

  津村 啓介君     玉木雄一郎君

  若井 康彦君     大西 健介君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  新開 裕司君     鬼木  誠君

  武部  新君     秋葉 賢也君

  村井 英樹君     福山  守君

  大西 健介君     若井 康彦君

  後藤  斎君     大島  敦君

  玉木雄一郎君     津村 啓介君

  中根 康浩君     後藤 祐一君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家戦略特別区域法案(内閣提出第一八号)

 国民生活の安定及び向上に関する件

 アルコール健康障害対策基本法案起草の件


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家戦略特別区域法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房地域活性化統合事務局長川本正一郎君、文部科学省大臣官房審議官藤原誠君、文部科学省大臣官房審議官中岡司君、厚生労働省大臣官房総括審議官生田正之君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省医政局長原徳壽君、厚生労働省政策統括官熊谷毅君、農林水産省大臣官房審議官岡田憲和君、農林水産省農村振興局農村政策部長佐藤速水君、中小企業庁次長横田俊之君、国土交通省鉄道局次長土屋知省君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 後藤でございます。

 大臣、早朝からお疲れさまでございます。

 大臣、この法案、悪くはないとは思うんですが、以前、二年前に総合特区法案をつくりました。基本的な目的も含めて、そんなに違っていないと思うんです。当時の総合特区の部分は、地域の自主性、自発性という部分を国が規制緩和、税制、金融で後押しをするということで、これがまだ定着をしたとも言えないと思うんです。

 そういう中で、いろいろな法律や制度を見直したりつくるときには、やはりそれを評価しながら、それが本当に足らざるものがあれば、きちっとそれをまた検討してさらに前にと、ジャパン・イズ・バックじゃなくて、ジャパン・イズ・フォワードだと私は思っているんですけれども、そういう部分で、今回のこの法律は国がという言葉が非常に気になるというのが一つ、実は私はあるんです。

 総合特区法案、国際戦略特区についても地域活性化特区についても、まだスタートしたばかりのものもありますし、ようやく目鼻がついて、税制、金融措置も含めて後押しができているところだと思うんですけれども、まず、この総合特区法について、どのような評価をお持ちになって、そして、この国家戦略特区法案なるものにどういうふうにつなげていくのかというのを大臣の御見解をちょっと冒頭にお伺いしたいというふうに思います。

新藤国務大臣 私は、地域活性化担当大臣というのを拝命しております。その中で、総合特区それから構造改革特区、また地域再生、中心市街地活性化それから環境モデル都市とかいろいろ、そういったまさに地域を活性化するためのさまざまな政策、制度というものをお預かりしております。

 総合特区制度につきましては、これは一番新しい制度ですから、これをきちんと育てていく、また推進していく、これはもとより私の役目だと思っています。

 今回の国家戦略特区が、総合特区について違いは何かということをさまざまな委員から御質問をいただいております。それは、確かに差があるから別の制度になるわけなんでありますけれども、でも、根底にあるのは、いずれにしても、何か一つで国の戦略が実行されるものではないということです。

 総合特区はまだ始まったばかりですし、認定して、これから成果を上げていくようなものでありますから、それをしっかりとフォローをする。それから、いわばPDCAサイクルを回して、その中から成果が出るようにブラッシュアップしていく。これは当然のことである、このように思っております。ぜひとも、これは国として定めた制度でありますから、それを私としてもしっかりと推進してまいりたい、このように考えております。

後藤(斎)委員 今までのこの一年間、プラスもマイナスもいろいろな部分があるんでしょうけれども、あえてその評価はしません。

 大臣、やはり、国が主導する場合と地域がボトムアップで対応していく場合、その違いというのは、多分おのずから、それぞれの地域の持った意思がより強くなるかどうかということ。

 もう一つは、例えば、総合特区の中の国際戦略特区についても、国際と国家というのはどっちが上か下かということでなくて、より幅広い概念は、実は国際の方があると思うんです。先ほどもお話ししたように、基本的な法の目的も、そして理念についても、基本的にはそんなに変わらないと思うんです。

 大臣がいみじくもおっしゃったように、きちっと育ててまいりますということで、実は、私もその担当の副大臣をさせていただきましたけれども、七つの国際戦略特区と四十一ですかの地域戦略特区について、かなり大胆な目標を実はそれぞれの地域で掲げています。それぞれの地域や国全体の雇用についても、GDPについても、いろいろな目標をつくって、それも、当時、検証も評価もしたつもりでしたけれども、それに基づいてやっていくと、かなり大きな効果を実は持つ。もちろん一、二年ではありませんけれども、五年ぐらいのタームでやればです。

 国家戦略といったときに、募集をしているらしいんですけれども、二百幾つか提案があったと。ただ、これも、七つの国際戦略特区の部分も、やはり大どころの、ある意味では都市と言ってもいいかもしれませんけれども、人口が集中し、経済もそこそこまとまって研究開発力もあるというところについては、既に国際戦略特区で指定をしていますから、そういう意味で、では、今度、国家戦略特区なるものが、幾つ指定なさるのかどうかはこれから検討なさるんでしょうけれども、ここがまたダブってしまったらどういう効果を持つのか。要するに、当然ばらばらになってはいけないわけですから、さっき大臣がおっしゃったように、相乗になるかどうかは別としてもですね。

 ただ、規制の部分では、当然、今の総合特区よりも若干踏み込んだ部分もあるかもしれませんが、それが大玉かどうか、小玉かと言えば、せいぜい中玉くらいじゃないかなと。これで全て規制の部分でどうかといえば、評価がすごく分かれるところだと思うんです。

 ですから、やはりこの国際戦略特区の中に本当は規制の部分をプラスで入れ込んでやった方が、財政的な部分も、国際戦略特区は各省の予算の集中的な投入と、あわせて調整費なるもので年間二十億でしたかを支えるという仕組みがありますから、より国家戦略特区よりも財政措置がある部分、国際戦略特区の方を拡充した方が私はいいと思うんですよ。その点、大臣、どういうふうにお考えになりますか。

新藤国務大臣 まず、国と地方をどう捉えるかということなんですよ。今委員の最初の御質問のところにもございましたけれども、地域の主導で主体性を持って、それを国が支援していくんだ、今度のは国がやるということだがというお言葉が、たしか先ほどあったような気がいたします。

 私が考える、そして今政府として捉えておりますのは、国というのは政府ではないんです。国の中には、都市もあれば地方もあるし、そして国の省庁もあれば地方自治体もあるんです。今度の国家戦略特区というのは、国ぐるみでやろうじゃないかと。

 それは、今までの総合特区については、地域からの主導によって、地域からの御提案を国が承認する、そして御支援をする、こういう形でございました。今度のは、地域の御提案もいただきます、それから民間事業からの御提案もいただいております。あわせて、国としても、事業体としてそこに一緒に乗り込んでいく。

 今、日本という国が持っている総合的な力を集中して、そして、まずは特区で先駆的な取り組みを行って、もし規制が阻害をしていて成長を阻害しているならば、その部分は突破を図ってみようではないか、こういうことをやろう、そして新たな経済の刺激となるような、そういう取り組みにしよう、こういうことなのでありまして、国が自分たちでやるんだではないんだということなんです。

 ですから、その意味においては、今までよりもさらに総合的な強化したものにしようと。そうすると、今四十八の地域がございますけれども、今、私たちが、日本の国の経済を新しい舞台に引き上げる、そしてまた、これからの、次なる日本の主力の分野、こういったものをつくるために先駆的にやってみようではないかと。それは結果として地域に活性化をもたらすことにもなると思います。

 それから、それが総合特区と同じような地域、これは完全に一緒になるかわかりません。総合特区でやろうとしているものと、国際戦略特区でも地域活性化特区でもいいですけれども、そういったものと今度のものが合致して、さらに、そこに今度は国も一緒に入るんですから、事業体として。そういうものも出てくるかもしれません。そこは柔軟に、かつ有機的な連携も必要だというふうに思っているんです。

 ですから、さまざまなものを組み合わせて、合わせわざで日本を元気にしようではないか、こういうことなわけでありますので、今度のことが、特別に差別化、これと厳密に違うんだということではないけれども、でも、今までとは切り口が違うものを加えて突破口にしよう、こういう仕組みにさせてもらった、こういうことでございます。

後藤(斎)委員 大臣、ですから、大臣のお気持ちは、冒頭もお話ししたように、わからないでもないし、こういう法律があった方がいいかなという部分もあるんです。

 ただし、大臣がおっしゃられた、日本を元気にするというのは、当然、一番の大切な部分は、やはり個人個人が精神的、物質的にも豊かになって、健康で、そして自分が求める職業に入って、頑張ってまた稼いでいく。官も民も問わず、よく官がぶったたかれたり政治がぶったたかれますけれども、そうではなくて、やはりそれぞれの職業を尊重しながらやっていく、地域を尊重するということが必要なんですけれども、大臣、もし指定した地域が、三つなのか五つなのか十個なのかわかりませんけれども、それが日本の先駆的なものになって、そこだけが元気になると、むしろ、ほかの地域、地方というところは格差が広がって、何か、国が入って一緒にやっていく、地方も民間も含めてやっていくということなんですが、やはり地域間格差というのが広がるような手法になりませんか。

 ですから、総合特区の部分を、国際戦略や地域の部分を拡充しながらその中に入れ込んだ方が、よりバランスがとれて、地方の自主性というものも尊重されて、元気になっていくんじゃないですか。その格差の問題については、大臣はどうお考えになりますか。

新藤国務大臣 まず、この国家戦略特区でもし成果を上げるならば、その国家戦略特区で行われている事業というのは、その区域の中で全ての作業や雇用が終わるとは思いません。必ずその関連の研究や、それから部品の提供ですとか、それは全国もしくは世界に波及する。経済が大きくなれば、それに関連してたくさんのそういう波及効果が出てくることだというふうに思います。そして、そういうものが牽引役となってその周辺に好影響を与えていくことを私たちは期待するということであります。

 ただ、特区というのは、構造改革特区にしても総合特区にしても、それは、まずその区域でやってみるという意味においては差別化されちゃうわけでありますから、それは総合特区だって同じことです。でも、そこの成果をその他に波及させていく。特に、規制緩和については、ここで実施をして緩和して効果が出る、もしくは支障が出ないというものであるならば、それは全国的な規制緩和につなげていこう、こういうことも当然取り組みたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 大臣、経済への波及にしても、規制の波及にしても、特に規制の部分は、もう十年近くやっている構造改革特区にしても、総合特区にしても、この規制の部分については、定着をし、全国的に拡大しなきゃいけないものについては基準の緩和という部分で対応をやはり進めているわけですから、そういう意味では規制の部分は、経済の部分も当然波及というのはよくわかるんです。

 わかるんですが、では大臣、以前、特に三・一一の震災以降、六重苦という話がありました。経済の成長を阻害ないしは抑制をしてなかなか元気が出ないベースにあるものだと特に経済界の皆さんからお話がありました。

 この部分での、六つをあえて言いませんけれども、経産省もきょう来てもらっていますけれども、やはり一つ、外資という外からの資本をどう日本の経済の中に見るのかということと、その六重苦の一つで電力不足というのは、火力発電所も含めてそれぞれの電力会社に頑張ってもらっていますから、量的な部分の不足というのはすぐどうこうということでありませんけれども、やはり料金がということについては……(新藤国務大臣「エネルギーですか」と呼ぶ)電気代、エネルギーのという部分については非常にこれから克服しなければ、当然一番大きな問題だと思うんです。

 税にしても、当然、たくさんもうけたりする個人や企業が税を負担していただくというのはこれは基本的には大きな原則だと思うんです。ですから、税金だけを安くすれば企業がどこどこ入ってくるとかいうことではなくて、さっき大臣がおっしゃられた部分でいえば、僕はいろいろな委員会で話をさせてもらっているんですけれども、やはり技術革新、イノベーション、特に研究開発や人材育成というものに資本投入や予算投入をすれば、経済の元気、要するに成長に一番寄与するという統計が当然あるわけです。

 せんだっても経産委員会で産業競争力強化法の中でも茂木大臣とお話をさせていただきましたけれども、やはりどこにウエートを置くのかというので、大臣がおっしゃられたこの国家戦略特区なるものが、仮に、その研究開発力を向上させて、実用化にできるだけ早く結んで、三年後、五年後の日本経済の成長の起爆剤になって、雇用も経済も全て地方に波及すれば、それはそれで正しいと思うんです。

 ただ、そういう視点がなかなか今回の規制緩和や、この法律の中身として余り入っていないですよね、大臣、この国家戦略特区の中に。これからなのかもしれませんけれども。ですから、そういう視点というものを、何となく、六重苦のうちの法人税と、経済連携、貿易自由化の部分はTPPもどうも進んでいるようでありますし、法人税もこれからどんどこ下げていくみたいなことと、為替レートまで入れれば三つくらい解決したかどうかは別としても、何とか目先から不安がなくなったということだと思うんです。

 ですから、そういう六重苦の前提がというふうに声高に言っていたのであれば、そこをどう解決するかということと、やはりその前提となる人材、研究開発力をこの国家戦略特区の中に、ではどういうふうに入れ込んでいくのかというのは、ちょっと済みません、通告していないんですけれども、大臣、どのようにお考えになりますか。

新藤国務大臣 まず、国の経済成長、将来を担保するのは研究開発投資だ、このように思います。ですから、そういったものは国家戦略特区にとどまらずに、これは総合科学技術会議においても、それからIT国家戦略会議等々、さまざまな分野で研究開発が行われておりますし、ノーベル賞をとったiPS細胞を中心とする再生医療についてさらなる促進、実用化を図っていこう、こういったことも国の戦略として取り組んでいるわけでございます。

 ですから、この国家戦略特区においても、これから決められていく区域そして事業の目的の中にそういったものも加わる可能性というのはある、このように思います。それは、この法律を通していただいた後の諮問会議で具体的なものを決めていくことになるわけでありますから、今現状でお出ししているのは、国家戦略特区を決めるためにはこういう段取りで決めさせてください、そのときにとりあえずまだ個別具体の地域やテーマが決まっていなくても使える規制緩和のメニューはこういうものを用意いたしました、ですからこれを活用していただいて結構ですし、これ以上のものも、ほかのものもどうぞ御検討、提案してください、こういうたてつけになっているわけでありますから、これは、委員の思いと私たちの思いは同じだ、このように思っております。

後藤(斎)委員 ちょっと話をあれして、大臣が、六月ですか、国家戦略特区のコンセプトというのをお出しになっている。六月じゃないですか、これ。「日本経済を停滞から再生へ」という頭の部分で……(新藤国務大臣「それは八月です」と呼ぶ)八月ですか。ごめんなさい。訂正します。それで、「望まれる成果」の一番大きなポイントというのは、世界で一番ビジネスのしやすい環境をつくるということであります。

 ですから、私、最近、電気代にちょっとこだわっていまして、やはり、何が人間生活や企業活動にとって一番心地がよいのかというか、対応がしやすいのかというときには、幾つも当然要素があって、当然、コストにかかわる部分については、企業経営から見れば、できるだけ下げた方がいい、でも一方で、需要、要するに消費をする側から見れば、やはり品質が同一であればできるだけ価格は安い方がいいということで、全然話が飛びますけれども、米の減反政策についても、私は、一挙な減反政策の見直し、廃止はだめだ、少なくともセーフティーネットをしくべきだという主張を繰り返しさせてもらっています。

 というのは、需要というのは世界じゅうに当然あるわけですけれども、一人当たりの所得とか、それをいいと思うかどうかという感性も含めて、やはり消費者、需要者、顧客にどう満足度を与えるかということですから、たくさん、このものを集中的に、いわゆる労働生産性だけ上げればいいというものでは多分なくて、お客様、顧客にどういうふうな満足をしていただくかということ。

 ですから、消費者が今一番心配をしている一つである食品偽装の話にしても、なかなか委員会が開かれないんですけれども、これはちょっと置いておいて、やはり、偽装したり、消費者をだますという行為は、短期的にはもしかしたら利益を得るかもしれませんけれども、中長期で見ればすさまじい企業ダメージをこうむることになるにもかかわらず、何となくやってしまう。それを法律や自己規制でとめていくということなんでしょうけれども。

 やはり、大臣、世界で一番ビジネスのしやすい環境というときに、実はエネルギーの問題があるので、ちょっと大臣、聞いておいていただきたいんですが、ちょっと経産省にお尋ねをしたいんです。

 買い取り価格の制度がスタートして、二年と言っていいのか、一年七カ月と言っていいのか、ちょっとその辺はあれですが、二年余りなんですけれども、やはりそれぞれの、ソーラーはどんどこどんどこ普及をしている。少なくとも認定をしている。でも、ほかの、中小水力であるとか、バイオマスであるとか、地熱であるとか、なかなか進んでいない。

 まず、固定買い取り制度がスタートしてからの達成というか普及の状況と、なぜそういうふうに部門ごとにばらつきが出てきているのかというのもあわせて、済みません、御説明をいただきたいと思います。

磯崎大臣政務官 お答えさせていただきたいと思います。

 委員、今御指摘のとおり、昨年の七月から全量買い取り制度が導入をされまして、一年四カ月がたったという段階かと思います。

 具体的に数字を申し上げますと、まず太陽光につきましては、住宅と非住宅、これを合わせまして三百九十一・六万キロワット、風力が六・六万キロワット、中小水力が〇・三万キロワット、バイオマス十・一万キロワット、地熱〇・一万キロワット、再生可能エネルギー全体で四百八・六万キロワットという数字でございます。

 再生可能エネルギー、この固定買い取り制度が導入される前の段階で、導入の累積が約二千六十万キロワットでございましたので、これをトータルいたしますと四百八・六万キロワットということで、この一年強で約二割増加しているというのが現状でございます。

 ただ、今委員御指摘ございましたように、この四百八・六万キロワットの中で太陽光が占める割合、これは九五・八%ということでございますので、おっしゃるとおり、かなりの部分が太陽光発電ということでございます。

 ただ、この理由につきましては、太陽光につきましては、一般的に、他の発電設備に比べまして建設工事に要する期間が短い。これは、家庭用が数カ月、大規模になりましても一年程度ということが工期かと思いますけれども、他の例えば風力とか地熱ということになりますと、これは、まず開発期間が非常に長いということで、最低でも三年から四年、五年、そういう年数がかかるということがございますし、また、環境アセス等、立地規制ということもかなりかかってくるところがございますので、こういった理由等々によりまして再生エネルギーの導入状況についてはかなりばらつきが出ているということではないかというふうに思っております。

後藤(斎)委員 今お話をいただいたように、大規模か、設置がしやすいかどうか、設置の容易さと、大中みたいな設備投資の多さというのは当然あると思うんです。

 ただ、一方で、先ほど大臣が法律の中身でも触れていただいたように、いろいろな規制緩和というのを当然しているわけで、特に、固定買い取り価格の法律をつくったときにも、規制はできるだけ簡易にして、できるだけ普及をしやすいようにということで、これは、当時、私どもの党と、自民党、公明党さんも含めて、修正をかなりして、では、三年間はまず集中促進期間なるもので普及を促進していこうということで、例えば固定買い取りの単価というのを念頭に置きながらつくってほしいということを、附帯決議も含めて、修正をした記憶があります。

 そういう意味で、政務官、太陽光発電は、一方で、平均でいえば、認定をしたものと、そして今稼働しているものの比率というものが、全国平均で一〇%ちょっとしかない。山梨でも、それよりもちょっと優等生で二五%だ。山梨は、少し、倍ぐらいいいらしいんですけれども。

 どういうふうな理由があるのかというのは、一つ言えば、当初の導入の単価というのが一キロワット四十二円ということでしたから、でも、今はモジュールも下がって、三十八円にまず下げて、これからまだ下がっていくだろうというふうにも言われていますけれども、もし、故意というか、ブレーキをかけながら、モジュール価格、要するに設置費用がもっと安くなって、それまで契約をしちゃった単価でその差分をもうけた方がいいという人も、さっきの食品偽装じゃありませんけれども、本当にそう思わなくても、やはりそう思われてもしようがないと思うんです。

 少なくとも、国内でも、海外の製品も含めて、量的には、モジュールの部分、太陽光発電の機械本体はそんなに待ち時間があるという話を聞いたこともありませんし、あるんですか。あったら教えていただきたいんですけれども。

 悪質かどうかは別としても、やはり、集中の三年間にどのくらいをするかというのは、非常に大きな一つの節目だと思うんです。

 ですから、やはり、そこの部分の、稼働率と認定率の差というのが今のように余りにも大きくなり過ぎるというのはちょっと異常なので、その辺をどのように経産省はお考えになっているのかということと、どういうふうにこれからそれを改善していくのかという点について、御説明をお願いしたいというふうに思います。

磯崎大臣政務官 お答えいたします。

 まず、今委員御指摘のございましたように、特に太陽光につきましては、平成二十五年七月、ですからこの七月でございますが、一年間で認定を受けた設備の容量が二千二百七万キロワットということでございます。実際に運転をした設備が三百九十一・六万キロワットということでございますので、約一五%の、認定を受けた中での実際の稼働ということですので、委員おっしゃるように、非常に低い稼働率になっているということでございます。

 これにつきましては、先ほど委員の方からは、部品の不足等々につきましては余り話を聞かないという御指摘がございましたが、私ども認識している限りでは、まず、太陽光につきましては、先ほど申し上げましたように、小規模につきましても数カ月は設置に時間がかかる、ある程度大規模になりますと一年間の工事が必要だということで、その工事の期間というのはあろうかと思います。

 それとともに、特にパネル、それからパワーコンディショナーという補機類、これについては、やはり全量買い取り制度が導入になりましてかなり発注が集中をしたということで、部品等の不足とか納期に時間がかかる、そういう話も聞いておりますので、それ等によって建築の工期がおくれている、これが理由の大部分を占めているのではないかというふうに思っております。

 ただ、委員御指摘ありましたように、認定だけ受けて、例えばパネルが下がったときに、かなり利ざやがというか、稼げるということもあろうかと思いますので、そういった指摘もなされているのは現実問題としてございますので、現在、実態把握を進めているということでございます。十月の十八日で調査を終了いたしまして、今その取りまとめをしているところでございますので、その実態を調査しまして、必要等があれば適切な是正措置をとっていきたいということでございます。

 それから、これも委員御指摘ありましたように、この三年間、集中的に導入をしていくというのが再生可能エネルギーの基本的な考え方でございまして、特に、事業者の利潤につきましてもこの三年間は特別な配慮をするということ等々になっておりますので、この単価等々によりまして、もう少し単価を上げればもっと進むんじゃないかということではなかなかないというふうに思っております。

 それと、対応策はどうなんだということにつきましては、これは一つ、御指摘ありましたように、やはり規制緩和でありますとか環境アセス、水力等々につきましては環境アセスに三年から四年かかるというのが今の現状でございますので、これを例えば半分ぐらいの期間にできないか、そういうことを検討しているのが現実問題としてございますし、その他、送電網の整備等、例えば発電をすることになっても、やはり連結等々の問題というのが現実にあるのが事実でございますので、経産省としましては、送電網の整備等々につきましても、実証事業の推進等々で環境整備に今努めているというのが現実のところでございます。

後藤(斎)委員 政務官のお気持ちはよくわかるんですが、もう少しちょっとコンパクトにお願いしたいんですが。

 もう一つ、外資という部分、さっきちょっと大臣にもお尋ねをしたんですが、要するに、モジュール等で海外から買ってきて、それを日本の中に設置するということと、外国の企業が事業主体になって、国内で太陽光発電の会社をつくり、事業者になっていく。

 この部分については、経産省としてはどの程度の精査というか、情報をおとりになって、この外資の問題については、やはり電気というのはエネルギーの安全保障にもかかわるということで、基本的には外為法の例外になっていると記憶していますけれども、その点も含めて、あわせてちょっと御報告、御説明をお願いしたいと思います。

磯崎大臣政務官 今委員の方から二点御指摘があったかと思います。

 一つは、全量買い取り制度を導入してどんどん再生エネルギーに投資が行く場合においても、例えば、実際のパネルについて、国内産ではなくて海外産ということになると、結局、富が海外に流出するんじゃないか、そういう御指摘をいただきました。

 ただ、これにつきましては、昨年度、平成二十四年度でございますけれども、太陽光パネルの外国企業製造の比率で見ますと約二割程度ということでございますので、八割は国内産のパネルということでございますので、当初は中国とか台湾とか、かなり安いものというふうな、そういう話もありましたけれども、住宅用については高効率で軽量なパネル、そういった点であるとか、非住宅用につきましては、つくった後の保守サービスというものがやはり日本の企業はすぐれているということで、この八割ということに結びついているということかと思います。

 もう一つ、エネルギーの安全保障の問題ということで、これはやはり委員御指摘ありますように、例えば電気事業、実際、上場企業につきましては株を一〇%以上、非上場につきましては一株以上取得する場合には、外為法の届け出というのが必要になるわけでございます。

 この数につきましては、平成二十一年度が電気事業で六件、二十二年度が九件、二十三年度が十七件、全量買い取り制度が入りました二十四年度には百九十六件ということで、かなり多くの外為法の申請件数が出ているところでございます。

 ただ、電気の安全保障という観点につきましては、委員御指摘のとおり、外為法の規制がございまして、電気業につきましては公の秩序に関する業種ということで、今申し上げましたように、外為法上の申請をして、国の方できちんと審査をして認めるかどうかということになっておりますので、そういった面では、エネルギーの安全保障上の観点はこの外為法の申請、認可という中で対応できているというふうに認識をしております。

後藤(斎)委員 これからさらに再生エネルギーが普及する、イコール電気料金での負担がふえていく。ドイツも今四苦八苦をして、どういうふうな制度にしていくのかという、かなりの見直しをせざるを得ないということになっています。

 ですから、本来であれば、日本の国内の事業者がもっと頑張って、価格についても品質についても、品質は、今政務官おっしゃったように、海外のメーカーよりも、より発電効率も高いということは事実だと思うんですけれども、やはりそれに安住することなく対応を進めていっていただきたいのと、それをきちっとウオッチするということだと思うんです。ややもすれば、これ以上もう値段は下げないよと公言している日本の太陽光パネルメーカーの社長さんもいるようですから、それはちょっと違うのかなと思います。

 あわせて、さっきソーラー以外が普及しないというのは、単価について、バイオマスや中小水力、地熱も含めて、当然、環境アセスやいろいろなもろもろがかかるというのはわかるんですが、政務官、やはり単価をもう少し工夫、すなわち引き上げをしていかないと、特にバイオマスは一番手間がかかるわけです。逆に言えば、一番手間がかかる部分、雇用が実は発生をするんです。

 ソーラーは一回設置をすれば、そのまま、よっぽどのことがないと電気をつくり続けてくれるから、どちらがいいかといえば、地域雇用や地域経済、要するに、例えば森やそのバイオマスを使うものの素材というのは基本的には自然由来のものですから、山やその農産物も含めて、私、エネルギー戦略でエネルギー米をどんどんつくれと今言っているんですけれども、なかなか林さんはイエスと言ってくれないので困っているんですが、ということも含めて、やはり単価の再考というのはできるだけ早くやっていただかないと、三年間の集中期間でどの程度普及が見込めるかどうかという目鼻をつけてその次のステージに行くというのが、これは当たり前のことなので。

 ぜひ、近々そういうことをするという報道もありますけれども、政務官、政務官のお立場で大臣と協議をして、やはり普及がしていない部分については単価引き上げも含めて考えるというふうに明言していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

磯崎大臣政務官 この単価決定につきましては、もう委員十分御存じかと思いますが、調達価格等算定委員会の意見を踏まえて価格を決定するということになっております。

 先ほど申し上げましたように、集中取り組み期間の三年間につきましては、事業者の利潤についても特段の配慮ということが附則の方にも入っておりまして、それも配慮した上での現在の価格というふうに認識はしておりますけれども、来年度の単価決定というのはこれから出てまいりますので、算定委員会の意見等々も踏まえまして十分に検討してまいりたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 算定委員会はやはりそれぞれの総括原価的なもので当然やっていますから、そこにどういうその他の要素、要するに加速をする要素をつけるかどうか。これは、きょう中心の議論というか、法案の国家戦略である再生エネルギーをどう普及させるのか、それをどう定着させるのかというのは、やはりエネルギー政策も含めて当然一方の大きな柱ですから。

 大臣、地域戦略特区も含めて、実は再生エネルギーをどう使っていくかというのは、かなり事例というか、自治体で、特区の中に入っています。それを育てていくためにも、当時、値段をどういうふうに決めたのか、それぞれの自治体によって違いますけれども、それを加速するためにも、今の総合戦略特区が生きるためにもそれが必要だと思うので、ぜひ大臣も御検討をお願いしたいのと、大臣、冒頭もお話ししたように、この国家戦略特区法案、悪いものでもないんですけれども、やはり目玉が本当にあるかどうかというと、こう目を開いても、なかなか、ううん、そうかなという感じなんです。

 もう一つ、全然場違いなのかもしれませんが、私の地元に、今度、リニア中央新幹線の新駅がこの間九月に決まりました。二〇二七年が一応JR東海さんの開通予定なんです。

 リニアの優位性というのはもう大臣も、釈迦に説法なのであえて余り言いませんけれども、やはり、世界一のスピードと、世界一のものをたくさん持っているわけですから、そういう意味できちっと国家戦略という部分にむしろ位置づけをして、二〇二〇年の東京オリンピックに間に合うかどうかは別としても、東京オリンピックというもう一つの起爆剤、さっき大臣が言った起爆剤になる、つながっていく、その連動というものは、さっきの経済の波及効果ではありませんけれども、波及、つなげていくという部分というのは、鉄道リニアというのはそういう意味では地域間をつなぐという手段としては非常にすぐれたものだと僕は思うんです。

 ですから、今、JR東海さんが財源負担をし、用地交渉は自治体も当然連動していますけれども、私、それをやはり国家戦略として対応を進めていただくことが、むしろ非常にわかりやすいし、いろいろな、経済や雇用や地域の活性化につながっていくというふうに思うんですけれども、大臣、どういうふうにお考えになりますか。

新藤国務大臣 まず、再生可能エネルギーをどのように活用していくか。これは極めて重要だと思いますし、それは、特区において、さまざまな提案もあり、取りかかりが始まっています。あわせて、特区にしないまでも、地域の町づくりとしてそういうものに取り組んでいる自治体もございます。

 私の方も、総務省では、ことしから地域の元気創造本部というのをつくって、その中のプロジェクトの一つとして、分散エネルギーシステム整備、こういうのを始めているんです。

 それは、ある村とか、ある町とか、大規模な電力供給をするのは、これは極めて投資も大きいし、また難しい問題がございます。でも、この町の、ここの村のエネルギーは自前で調達できるんじゃないかと。それは、さっき言ったフィード・イン・タリフを使うことによって、その財政的なものも自立が可能になってくる。では、その規模と、どこでやったらいいのかをモデルをつくってみようじゃないか、こういうことも始めています。

 これは、エネルギーを自分でもってまずつくる。それは、原材料を外国の輸入に頼らずに自前の調達をする。あらゆることを含めて、それから発送電分離も含めて、やはりエネルギー政策は根幹ですから、いろいろな工夫が必要だ。その中で、再生可能エネルギーの普及のためのインセンティブというのをつくりつつ、それは、本当にその町の経営にとって有効だというものを打ち立てることが重要だ。特区においてももちろん、そういう提案があるならば、既にもう総合特区でありますから、そういったものはやっていけばいい、このように思っています。

 あわせて、リニアについては、まず、特区ではなくて国家戦略として、国を挙げて、新しい、世界で初めての取り組みですから、これをやろうではないかと。そして、当然、そうすると、リニアができることによって人の移動が全く違ってきます。それを見越した地域の戦略、それから国としての仕掛けというのが出てくると当然思われますね。ですから、そういったものは、今後、諮問会議において、それぞれの御提案がある。国家戦略特区は一回決めて終わりではありませんから、まずは幾つもの成果をチェックしながらローリングしていく、こういう中でリニアの問題も当然出てくるものではないか、このように思っております。

後藤(斎)委員 ですから、大臣、JR東海だけに財源や技術的な突破口を任せるのではなくて、さっき大臣が、技術的に二〇二〇年は難しいという、アルプスにトンネルをつくること、品川や名古屋の地下駅をつくること、それが一番大きな二つの課題だということをおっしゃっていますから、それを、まさに国を挙げてそういう技術開発や財源的な後押しもすべきだと思うんです。

 ぜひそれをお願いしたいのと、最後に、ちょっと時間もなくなってきましたから、一番の地方である過疎地域、これが今年度いっぱいで、過疎地域自立促進特別措置法の、必要な措置を講ずるめどになります。したがって、いろいろな町村会、首長さんから、過疎地域を抱える中、やはり過疎債の対象事業をふやしてくれ、そうしないと、これ以上人口も減って、経済の力もなくなって、高齢化が進みといういろいろな御苦労をなさっていますから、少しでも、過疎地域の首長さんということよりも住民の方にプラスなように、過疎債の対象拡大についてはぜひ特段の検討をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがですか。

新藤国務大臣 今のお話は、私も非常に問題意識を共有しています。私も既にいろいろな現地に行って、直接お話も伺っておりますから、しっかりと受けとめて、今後検討していきたい、このように思います。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございます。

柴山委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。

 きょうは、内閣委員会で今国会初めて質問する機会をいただきまして、委員長そして与野党の理事の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。

 四十五分間、規制改革を中心に質問したいと思いますけれども、私、政治家になる前から規制改革については取り組んできた、そんな経緯がございますので、規制改革の応援団としてきょうは質問させていただきたいと思います。できるだけ前向きで、積極的な提案をしていきたいというふうに思っております。

 私自身の経験からいっても、規制改革は、政権に勢いがあるときしか進まないというふうに思っております。その意味では、安倍政権、今大変な勢いがある中で、規制改革についてはここが進める最大のチャンスだというふうに私は思っております。

 その意味で、まずお聞きをしたいのは、今回審議されております国家戦略特区でありますけれども、これはこの委員会でも何度も質問されていますけれども、改めて、これまでの特区制度との違い、特徴といったことについて、大臣からいま一度御説明いただきたいと思います。

新藤国務大臣 まず、今回のアベノミクス、成長戦略の一丁目一番地は規制改革である、委員の御指摘のとおりだと思います。それは、規制改革の担当大臣を置いて、そして、規制改革会議というものの中で国の経済を新しい次元に引き上げるためのさまざまな取り組みを進めていこう、これは安倍内閣の基本です。そして、その中で、それらの中の象徴的な、また先行的な取り組みとして国家戦略特区というものをつくり、そこで規制緩和を活用しつつ新しいビジネスの展開を図ろうではないか、これが国家戦略特区の成り立ちであります。

 構造改革特区、総合特区と根本的に違うところは、構造改革と総合特区は、地域からの御提案に対してそれを認定する、いわば手挙げ方式に対するマル・バツといいますか、政府が認定をして御支援をする。それは、規制緩和のみのものと、それに財政や税制をつけるものと、これは構造改革と総合特区と違います。構造改革は、個別の規制緩和についての特区です。総合特区の方は、それらを組み合わせたプロジェクトとして地域の活性化も踏まえる、こういうものがございました。

 それに対する国家戦略特区というのは、今度は、地方や民間事業者の御提案もいただきますが、あわせて、国もその事業主体となって、一緒に事業体をつくって進めていこうではないかということであります。ですから、マル・バツではなくて、今、日本の国が総合力を発揮するために何ができるか、そして、私たちは日本の新しい経済を開くためにどんな試行的な取り組みができるか、それはイコール、世界に打って出るものであっていいし、また、世界の投資を日本に呼び込むものであってもいいということでつくりました。

 ですから、国家とつくから、国がやって、地方は置いてきぼりになるのかではなくて、一緒に、全ての、国の総合力を発揮してやってみようではないか、こういう取り組みだということでございます。

玉木委員 ありがとうございます。

 この国家戦略特区については、これまでの特区制度と余り変わらないんじゃないのかというような御批判もこの委員会でいろいろ出たというふうに承知をしております。私もそういう面があるとは思いますけれども、あえて積極的なところを拾い上げて、それをむしろ進めてもらいたいという観点で質問したいと思うんです。

 その意味で、今大臣がおっしゃった中で大事な言葉があって、それは、手挙げ方式ではなくて、今、日本が総合力を発揮するために必要な、まさに戦略的に何をしていくのか。ここには、国家の意思、あるいは大臣や総理大臣の明確なリーダーシップや意図をそこにはめ込むことができる。単に、地方から上がってくるのを待つのではなくて、こういう意思でやっていきますということをむしろ国家主導でやっていくことが、多分、これまでと一番仕組みとしては違うところなのかなというふうに、積極的にこれは評価しております。

 その意味で、ある種のトップダウン制と言ってもいいかもしれませんけれども、このトップダウン制について、二つの例を挙げながら少し議論を進めたいと思うんです。

 まず、これは何度も構造改革特区のときから出てきて、なかなか実現をしなかったいわゆるカジノ特区。これは、インテグレーテッドリゾートという、IR特区があります。これは議連もできて、安倍総理も最高顧問を務められておられます。このいわゆるカジノ特区については、私も、構造改革特区のときに要望、提案を受けましたし、今回の国家戦略特区でも東京や大阪から具体的な要望が出てきたと思いますが、これはなかなか実現できない。

 まず、これまでの経緯を少し整理して教えていただきたいんですけれども、これまで地域を限定して規制の特例を認めるという、構造改革特区やあるいは総合特区でもいいです、これまでの既存の特区制度の中でカジノが認められてこなかった理由について、これは改めて法務当局から御説明をいただきたいと思います。

平口大臣政務官 お答えをいたします。

 まず、国家戦略特区法案そのものについてでございますけれども、これは法務省の所管外でございますから、お答えすることは差し控えさせていただきたい、このように思います。

 そこで、お尋ねのカジノにつきましては、一般論として申し上げますと、刑法に、賭博罪、また賭博場開張等図利罪、こういうものがございまして、これらが成立し得る、このように考えております。

 刑法は、国民生活上の安全を規律する基本法でございまして、カジノに関しまして、例えば特定の地域において刑法の適用を一律に排除する、こういうことはもちろんできないわけでございます。

 他方、特別法を制定いたしまして、賭博罪が設けられた趣旨に反しない制度が構築され、その範囲内で実施される、こういうふうな場合には、カジノに係る行為について刑法上違法とされないこともあり得る、このように承知をいたしております。

 そもそも、刑法が賭博を犯罪と規定した趣旨は、賭博行為が、勤労その他正当な原因によらず、偶然の事情により財物を獲得しようと他人と相争うものでございまして、一つは、国民の射幸心を助長し、勤労の美風を害するということ、もう一つは、副次的犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与えるおそれがあるということ、こういったようなことにあるわけでございます。

 そのため、法務省といたしましては、これまでも、刑法を所管する立場から、目的の公益性、運営主体等の性格、収益の扱い、射幸性の程度、運営主体の廉潔性、運営主体の公的管理監督、運営主体の財政的健全性、副次的弊害の防止、こういったような点に着目し、賭博に関する立法について意見を申し述べてきたところでございます。

 これからも、賭博に関する特別法が検討される場合には、このような観点から協力したい、このように考えております。

玉木委員 今長々と答弁いただきましたけれども、ポイントは、刑法のような基本法については、地域を限定してその特例を認めることが極めて難しい。例えば、地域を限定して窃盗罪を認めますということは、法律上つくりにくいということです。賭博罪、刑法百八十五条、そして関連する百八十六条だと思いますけれども、これについて、地域を限定して特例措置を認めていくことは、基本的には難しいという話でありました。であれば、いわゆる特区制度のカテゴリーの中では、どんなに工夫をしても、結局、基本法の特例、特に刑法の特例を地域を限定して認めていくということは、特区制度の枠の中では基本的にはやはり難しいのかなと。

 そこで期待するのが、次元の違う規制緩和、特区だといって今回登場した国家戦略特区でありまして、冒頭申し上げた、その中でポイントは、手挙げではなくて、総理や大臣の明確な意図やリーダーシップでここを突破できるというところが一番の違いだとしたら、頼るよすがはそこにしかない。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、これまでの刑法の解釈、あるいは賭博罪と特区との関係、これをそのまま延長線で考えると、多分、国家戦略特区でも私はできないと思うんです、特区の枠組みが。何か特別法をつくれば一般論としてはできるけれども、特区として賭博罪の適用除外たるカジノを認めていくことは難しいということになると思うんです。実際、今回盛り込まれていませんね、提案はあったと思いますけれども。今回の法律の中にも、国家戦略特区の中にもIR特区あるいはカジノ特区は盛り込まれておりませんけれども、国家戦略特区においてカジノ特区、IR特区は実現できますか。

新藤国務大臣 まず、法律上どういうふうに対応できるかと。これは、今委員も分析がありましたが、さまざまな観点があると思います。基本の理論があり、しかし、それに対して必然性、また政権の判断、こういったものが加えられて作業が行われていくというふうに思うんです。

 ですから、一番肝心なことは、まず、法的にどう処理するかは、これはまた専門のつかさつかさがございます。国家戦略特区担当大臣とすれば、確かにIRに関する御提案がございました。ですから、そういうものについての検討はなされていくものと思います。しかし、今度の、まずワーキングにおいて各省との折衝をした中での具体的な規制緩和項目に入らなかったのは、まだそこまでの議論が煮詰まっていないということが一つ。それから、そもそもIRについては超党派で、議員連盟で活動がございます、委員も参加されているんじゃないかと思いますけれども。そして、そういったさまざまな議員立法に向けての動き等々もございますから、まずこれらの動向を見るというのもあります。

 その上で、では、将来の国家戦略特区に対しての可能性ということになるならば、可能性というのは、これはあるかないかですから、そういう意味においては検討するに値することだと私は思っています。そのとき鍵となるのは、やはり、その取り組みが、一体、日本経済にどういう影響を与えるか。そして、それに対する社会的な不安や危険性をきちんと除去できる、担保できる、そういったものですね。効果と対策、これらが議論を煮詰めた上で有効であるということになれば、私はそういう具体的な自由化に対する検討というのに入っていくと思うんです。

 特に、国家戦略特区で私も期待をしたいのは、それが一つのことだけであるならば、事の是非はその一つだけで議論しなきゃなりません。でも、あるコンセプトに基づいて、国家戦略特区においてどういうものをなし遂げようかと。その一環の中にIRが入ってくるならば、それは諮問会議等々で今後の検討課題になり得るんだろう。それが今回のこの国家戦略特区として、今よすがとおっしゃいましたけれども、そこの部分ではないかな、このように思っております。

玉木委員 ここで一つ御提案申し上げたいんですけれども、今大臣がおっしゃった、いろいろな要望が出てきます、これからも。それをワーキングで検討してもらいますね。各省でいろいろやって、さっき言った、まだ議論が煮詰まっていない。これは、いつも規制改革を阻むときの理由なんですね。時期尚早である、煮詰まっていない。でも、先ほど申し上げたように、刑法の特例としての特区の話はもう十年来やっています。これがどこまで議論が進んでいるのかは、役所も全部知っています。

 私が冒頭、繰り返し申し上げますけれども、トップダウン制がこの国家戦略特区のこれまでの特区とは違うところ、つまり、役所任せにしていたのでは、いつまでたってもこれは上がってきませんよ。絶対上がってきません。私自身、何度もこれは苦労しましたから。そこで、ある種の政治的な明確な意思やリーダーシップをこの制度の中に入れ込むことができるかがポイントなんです。

 最後にちょっとお聞きしたいんですけれども、今回も入っていませんけれども、入れないという判断はどうやってやったのか、その選定過程を教えてほしいんです。

 つまり、トップダウンで何かを進める、逆に言うと、裏から言うと、トップダウンで何かを進めないということもトップダウンで決めます。そうすると、一義的な判断は、もちろん各省で議論して、これはどうだこうだ、できるのかどうか議論しますけれども、いや、それでもなお、やはりこれはやるべきだというところにそのトップダウン制、この国家戦略特区のまさに肝があるわけで、では、今回外れようとしたときに、いやいや、待て、これはやれ、あるいは、仕方がないねといって政治の意思で外すことを追認したのか、この選定過程、つまり、カジノ特区が今回の規制の特例から落ちた、そこの選定過程について御説明をいただきたいと思います。

新藤国務大臣 本格的な検討はこれから始まるんです。そのための、国家戦略特区を決めて進めていくための仕組みを今度の法律で御提案をして、成立をさせていただきたいとお願いしているわけであります。

 委員が今おっしゃったトップダウンというよりも、強力な政権の意思を踏まえて、それを実現できる体制を、しかもシンプルに、そしてスピーディーにつくろうと。ですから、国家戦略特区諮問会議という、担当の閣僚とそれから民間の有識者による、どういうコンセプトでどこの地域を選ぶべきかというのは、そこでこれから決めていくということであります。ですので、今回既にやる特区、地域と内容を決めた上で出しているのではないということなんです。

 ただ、地域を限定しなくても、事業を限定しなくても、さまざまな御提案の中から、これはワーキングの段階で役所と折衝して、緩和の項目に入れられるものについてこの十八項目があるというふうに、それはメニューとしてそろえました、ですから、それはあくまでメニューの一つでしかないということでございますので、IRが、カジノ特区とかそういうものが、まだどこの特区を具体的に入れるかというところまでいっていませんので、そして事務的には、委員が御承知のように、十年来やって結論が出ない問題なんですから、それについて、わずか短期間のワーキングの作業でその結論が出るわけもありませんので、結果、この規制緩和項目の中には加えられていないということでありまして、意図的に外せとか、そういうことではないということでございます。

玉木委員 大臣、私、敬愛する新藤大臣なので、批判めいたことは申し上げません。ただ、この間、規制改革が進まなかった、いつも理由は、今大臣がおっしゃったようなことを繰り返しながら、この十年あるいは二十年過ごしてきた結果なんですね。

 私は、例えば竹中平蔵さんが産業競争力会議で四月十七日に出した、これは国家戦略特区の法案に至る一つのきっかけになったものだと思いますが、「立地競争力の強化に向けて」というペーパーの中で、これまでの構造改革特区じゃなくて国家戦略特区をやる必要があるということの文の中に、「構造改革特区は、当初は大きな成果をあげたが、徐々に運用が役人任せになり、」ということが書かれてあるわけです。

 つまり、放っておくと、役人同士のやりとりになると、規制改革というのは進まないんですね。だからこそ、政治がそこに入っていって、ある種のブレークスルーをやってもらいたい、それでできたのが今回の特区だと、私は積極的に評価しているんです。

 だからこそ、その意味では、選ぶときに、落とすなら落とすということも政治判断としてきちんとやってほしいんですよ。何か、知らないうちに議論をして、役所から上がってきて、大臣、一応、今回のこの十八項目でとりあえず行ってくださいというんじゃなくて、いや、落ちたのはないのか、東京や大阪から出ているものがあるんじゃないのか、そういうことを政治の意思で、一回しっかりと検討した上でそれが残っているならいいんですが、ここの批判にあるような、運用を役人任せにすることを続けていたのでは、結局、規制改革は進まないので。

 この点については、これはカジノ、IRに限りません。ぜひ、その点については仕組みとして、一体、規制改革のリストにある項目は、何を残し、何を外したのかということは、よく大臣がチェックをしていただきたい。

新藤国務大臣 私も全く同じ思いです。

 ですから、今回のことも、役人が事務的なもので整理したものではございません。これは、ワーキングの先生たち、民間の委員の人が、休みも潰して延々と各省からのヒアリングをやって、その中で絞り込んでいったもの、それから、私どもとの政治的な打ち合わせもした上でここまでたどり着いたということでありまして、小粒だ、物足りないというお声はありますが、しかし、それですら今までできていなかったことでございますから、事務的なことでは解決できなかったものを我々が、今度は関係担当大臣同士で直接折衝して織り込んだものもあります。

 ですから、今の委員の意思というのは、きちっと私もやっていきたい。もとより同感でありますし、官僚と政治の役割分担をきちっとする、政治は政治の役割を果たしていく、その上で、役人の皆さんにも役人の役割をきちっと、私は期待をしておりますし、そういう意味での総合的な成果が出せるように取り組んでまいりたい、このように思います。

玉木委員 ぜひ期待をしたいと思います。

 そのことを担保する一つの御提案を申し上げたいのは、各省とのやりとり、例えば内閣府と法務省がやったやりとりとか、関係のやりとりを全てオープンにしてください。そうすると、変な理由でだめだと、昔あったのは、文科省、天井の高さが三メートル以上なければいけないとかいろいろなのがあって、これは明治何年の告示であって、もう説明不能なんです。そういうことがオープンになることによって、ああ、もうやはり無理な規制はできないなと。

 つまり、役所は、だめなものはだめですみたいな理由でだめにしていくことが多いので、そのやりとりをオープンにして、ある種、国民の目で規制改革を進めていくという観点が極めて大事だと思うので、情報公開を進めながら規制改革を進めていくという観点をぜひ取り入れていっていただきたいなと思います。

 もう一つ、国家戦略として進めていくということで、これは提案を申し上げたいんですが、今、資料の二を配っているのでちょっと見ていただきたいんですね。

 これは提案が具体的にあったわけじゃないんです。私、これは大変問題だなと思ったケースがございまして、それは、ここに書いていますiPS細胞の再生医療の研究をされている東大の医科学研究所の中内教授の話であります。

 中内教授は、動物の体を使って、具体的に言うと豚を使ってヒト由来の膵臓をつくるという研究をやりたいということなんですが、日本にいると、規制があるし、時間がかかって研究が進まないので、スタンフォード大学にもう移籍をするということを言っているわけであります。

 もちろん生命倫理にかかわることなので、私は軽々にやるべきものでもないと思うんですが、しかし、だからこそ、国家戦略として、ある種、地域を限定して進めていくようなことにむしろふさわしいんじゃないのか。なかなかこれも手挙げ方式では出てきませんよ。国家の意思として、やはりこれは、iPS細胞、あるいはそれに関連する研究や産業を日本のこれからの成長の根幹に置こうということであれば、みすみす優秀な人材がアメリカに流出したり、日本を去るようなことを許しちゃいかぬと思うんですね。

 こういうことについてぜひ、それこそ、仮に手挙げがなくても国家戦略として、こういう研究ができる研究拠点を、あるいは革新的な医療拠点を日本につくろう、これはまさに国家戦略特区に合うと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 私は、再生医療をどう実用化するか、研究開発もそうでありますが、実用化において日本は非常におくれをとっている、その問題意識は委員と共有したいと思います。

 わずか二カ月足らずでございましたが、私は、総選挙が終わって自民党が野党の間の経済産業部会長なんです。そこで、再生医療実用化推進法案、これは厚労部会と経産部会と合同で出しました。ですから、それのちょうど取りまとめをやらせていただきましたので、事の重要性、また早く対策しなきゃいけない、こういうこともよく承知をしていると思います。ですから、これは極めて重要だと思います。

 そういうことをやるための特区をつくるかどうか、それをこの特区諮問会議できちんと議論をして、そして、国家戦略として打ち立てたならば、それに必要な規制をそこに入れ込んでいく。これはまさに、これがもし決まるならば、それに必要な規制にピンポイントで絞ってその実行を迫る。

 それは、委員がさっき情報公開の話がありましたが、まさにその議論は国民の前でオープンにやる。反対する意見も、危惧する意見も、推進する意見もオープンに出して、その中で、国民に見ていただきながら、政府として政権が責任を持って決めていこうではないか、こういう体制をつくるのが今度の国家戦略特区でございます。

玉木委員 規制の特例を認めても、それを実際使ってくる人があるのかないのかわからないような空振り規制じゃなくて、こういうふうに、具体的に規制があって研究がおくれてそれでもう我が国に残ることができないと言っている例があるわけですから、こういったことをまず具体的につかまえて、実現できるようなことをまさに国家戦略で、大臣のあるいは総理のリーダーシップでスピード感を持ってやる。

 多分、こういうものを見直していったら、二年、三年たったらできるようになるんですよ。でも、そうしたら、もういません。こういうことを日本はずっと続けてきたんですよ。だから、国家戦略特区に期待するんです。それを担っている大臣に期待するんです。

 ですから、こういう具体例が上がってきたので、役所から上がってこなければ、では、諮問会議でちょっと議論してみようよという、動議じゃありませんけれども、提案をむしろ大臣から出してみる。これは具体的な例ですから、そういったことをぜひ積極的にやっていただきたいなというふうに思いますけれども、いかがですか。

新藤国務大臣 私も全く同じ思いであります。

 今、それはたまたま個別具体ですから、これをやるかやらないかは私が今言うことではありません。でも、そういうものをブレークスルーさせなかったら、新しい経済は開きません。将来の日本の経済の拡大につながりません。ですから、それをスピーディーにやろう、そして強力な組織をつくって総合的に推進しようと。

 この取り組み、今委員の本当に応援していただいてうれしいと思いますけれども、ですから、一刻も早くこの法案を成立させて作業を進めたい、このようにお願いをしているところでございます。

玉木委員 ぜひこれは頭に置いておいていただいて、閣僚同士で話したりとか、あるいは閣議後の閣僚懇なんかで話すときは、何かこういうことを取り上げて、ぜひ安倍政権として進めませんかということをどこかでぜひ大臣にまた言っていただきたいなというふうにお願いをしておきたいと思います。

 この法律について最後に一点お聞きをしたいのは、これは同僚の後藤議員からも提案があったんですけれども、国家戦略特区、総合特区、構造改革特区、ある種似たようなところもやはりあるのも事実であります。

 これは、各申請する側からすると手続が極めて煩雑になっていくというところもあるので、後藤議員からは、制度相互の接続を強化すべきだということで、構造改革特区で認められた個別の規制の特例について、それを国家戦略特区計画に記載されて、それで総理大臣の認定を受ければ、もうそれをもって特区の認定も受けたものとみなすということにしたらどうですかという提案がありました。私もこれはやるべきだと思いますし、そういった方向で法案も修正していただけるようなことがあれば非常に望ましいと思っております。

 加えて、構造改革特区と国家戦略特区の接続も円滑にしていくのとあわせて、総合特区と国家戦略特区の接続もぜひ円滑にやってもらいたいんです。

 ということは、既にもう今四十幾つある総合特区で認められた特例について、それも書き込んだ上で、国家戦略特区を申請してきて認められたら、それはもうそれイコール自動的に総合特区としての認定も受けたと。もう一回総合特区のルートを使ってそれを申請して、必ずこれはおりると思いますけれども、もう一回手続を踏まなきゃいけないというようなことはしなくていいように、構造改革特区と国家戦略特区の接続を円滑にするのとあわせて、総合特区と国家戦略特区の接続もぜひ円滑にしていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょう。

新藤国務大臣 制度の連続性を持つ、連関性をつくるというのは重要だと思います。その意味で、前国会において、総合特区法案を検討するときに、構造改革特区で認められたものは総合特区でも認めるようにしよう、これはそういったことで法案修正をしていただいて、そのようなものになりました。

 今回においても、この委員会質疑の中で、構造改革特区において認められたものは国家戦略特区においても認められるように、総合特区と同じような形にしてはどうか、こういう御提案があったことも承知をしております。

 一方で、構造改革特区は、認めると、それは全国どこでも通用する規制緩和なんですね。だけれども、総合特区の場合は、その地域に限定した規制緩和なんですよ。ですから、総合特区においてですら、今、特区間の連携というのは、これはその特区ならではのプロジェクトとして規制緩和を認めているわけでありますから、今回、それは総合特区相互においてもまだできていないわけでございまして、今度の国家戦略特区に、今の御提案のところはちょっと趣旨がなかなか難しいところがあるな、実態として難しいところがあります。

 ただ、いずれにしても、総合特区でやっていることは連携させる。例えば、地方の意見を、その地域内における意見を取りまとめるときに、仮に同じエリア、総合特区の一部が国家戦略特区にかかっているとするならば、そこの意見の集約は一回で済むようにしましょうとか、そういう工夫はしたいと思っております。

玉木委員 ぜひこれはやっていただきたいと思います。国家戦略特区は数は限られていますし、多分、大都市が中心だというふうに理解しますけれども、例えば、東京都からもう総合特区も出ていますし、東京都から国家戦略特区が出てくれば、そこはやはりもっと事務手続も含めて、ぜひこれを認めていただきたいなというふうに思いますので、法律上、確かに少し書きにくいところはあると思いますけれども、やれないことはないと思うので、ぜひ、利用者利便を図るという意味でも、前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、地域を限定した特区だけではなくて、全体の規制改革の話に少し話題を移したいと思いますが、薬のインターネット販売についてお聞きをしたいと思います。

 先般閣議決定された薬事法の改正案では、一般用の医薬品のネット販売を認めると同時に、いわゆるスイッチ直後品と言われる二十三品目については市販後三年間、劇薬五品目については恒久的にネット販売を禁止するということが、ある種、法律上明確になるということが決められたわけであります。

 その立法の根拠は、十月八日の、少し長いですけれども、スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合の報告書ということなんですが、私、この報告書を読んでも、慎重に対応するとかいろいろな言葉は出てくるんですが、ネット販売を認めないという記述はどこにも見当たらないんですね。

 さっき言ったスイッチ直後品二十三品目と劇薬五品目のいわゆる二十八品目について、なぜネット販売を禁止することになったのか、その根拠について、ちょっと整理して教えていただけませんでしょうか。私、根拠を見つけることができなかったので、お願いします。

赤石大臣政務官 玉木委員にお答えしたいと思います。

 御指摘のスイッチ直後品目は、医療従事者の厳格な管理のもとで提供される医療用医薬品から一般用医薬品に移行してから期間が短く、一般用医薬品としてのリスクの評価が定まっていないものが多くあります。日本再興戦略においても、医学、薬学の専門家により、その特性と販売時の留意点について検討を行うこととされ、取りまとめをいただいたものであります。

 この専門家会合では、スイッチ直後品目は、いずれもリスクが不明であり、使用者がみずからの症状や状態、副作用の兆候等を正しく判断、申告できないおそれがあることから、薬剤師が対面で使用者本人の状態等を直接五感を用いて判断した上で販売することが必要であるとの意見をいただいています。

 このため、今国会に提出した薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案では、スイッチ直後品目については薬剤師による対面販売を義務づけることとしたところであります。

 以上です。

玉木委員 今、ちょっともう一回聞きたいです。

 私が今申し上げた専門家会合の報告書の中には、患者の状態を五感を用いて判断するという文言はどこにも出てこないと思うんですが、五感という言葉は報告書に出てきますか。

赤石大臣政務官 会議の議事録にはその言葉は載っておりませんが、座長が後でコメントを出しておりまして、「スイッチ直後品目と劇薬については、薬剤師と患者さんとが直接顔を合わせて、よく話し合い、薬剤師が患者さんの状態を五感を用いて判断し、販売する必要がある」ということをコメントとして出しております。

 以上です。

玉木委員 その座長のコメントというのは一体何なんでしょうか。

 もう一度聞きます。イエスかノーでお答えいただきたいんですが、立法の根拠になったこの専門家会合の報告書の中には、五感を用いて判断しなければいけないということの記述は出てきませんね。それはイエスかノーかでお答えください。

赤石大臣政務官 そのとおりでございます。

玉木委員 私は、薬にリスクがあることは認めます。ですから、適切な対応をしなければいけないことも認めるんです。

 問題は、今おっしゃった対面、五感を用いて、五感というのは視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚ですか、それを用いてやらなきゃいけないということだと思うんですが、インターネットを使うことと対面とが、安全性の確認、確保においてどちらに優劣があるのかということはこの報告書の中のどこを読んでも出てこないと思うんですけれども、それはいかがですか。

赤石大臣政務官 御指摘のように、五感で感ずるというのは、私の経験からいってもなかなか難しいんだろうと思いますが、ただ、やはり薬剤師の経験を積んでいる人は、少なくても、目を見たら肝機能に異常があるとか、体が震えていたらどこかに異常あるとか、そういうにおいとか嗅覚ということよりもむしろ体調を考えてよく判断できる。それはインターネットとは大きな違いがあるというふうに思います。

玉木委員 においとか嗅覚ではなくて、目がどうかとか震えているというのは視覚情報なので、インターネットを経由した確認もできないことはないと思うんですね。

 だから、インターネットにおける確認や販売が対面に比べて圧倒的あるいは決定的に劣っているということは、これも水かけ論になりますけれども、報告書の中には対面の方がすぐれているという記述はどこにも出てこないんです。

 にもかかわらず、いざ立法することになると、二十八品目についてはネット販売の規制をかけ、また処方箋薬についても全面禁止ということになっているんですが、この報告書のどこを読んでもそういうことが出てこないので、しっかりとした検討の上で立法措置がなされているのか、そのプロセスについて疑義があるのではないかということを申し上げているんですけれども、それについてはいかがですか。もう一度。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 岡議長の発言の詳細は把握しておりませんけれども、医学、薬学の専門家会議の報告書では、薬剤師が患者の状況等を直接判断すると記載されております。これは、純粋に医学、薬学の見地から検討を行ったことを明確にする観点から、あえてネットや対面という用語を使わずに作成したものであると理解しております。

玉木委員 規制改革担当の後藤田副大臣にお聞きしたいと思うんです。

 その前に、ちょっと資料の三と四を見ていただきたいと思います。今のやりとりを少し整理してみました。

 今政務官にお答えいただいたように、専門家の議論だと、患者の状態をやはり五感を用いて判断する必要があるので、二十八品目あるいは処方箋薬についてはやはり対面で販売し、ネット販売については禁止しますということになっているんですが、その根拠となる、私が今申し上げました専門家会合の報告書には、まず五感という記載はどこにも出てきません。加えて、インターネットがだめですという記載も一切出てきません。処方箋薬についても、最後の五行でさらっと書いてあって、なぜそれがだめなのかの科学的な根拠は示されていないと私は理解しています。

 ここで後藤田副大臣にお聞きしたいんです。

 その右に書いていますけれども、こういったプロセスに関して、我が国の全体として規制改革を進めていく総合司令塔である規制改革会議の岡議長は、厚労省の今回の進め方についてはスマートでないと。非常に言葉を選ばれているんでしょう。加えて、ネット販売規制に関して、合理的で納得する科学的な理由はないと。これはきのうですかね、政府の規制改革を担うトップの議長がこういうふうにおっしゃっているんです。

 やはり、今回の薬事法改正に至る手続には著しい瑕疵があったとこれは認めざるを得ないんじゃないですか。いかがでしょうか。

後藤田副大臣 委員御関心の規制緩和、大変ありがたく思っております。

 私どもも、さまざまな批判、議論があることは承知しております。私も、規制改革会議に何度か出席して、さまざまな意見を聞いておりました。

 それに対して、委員も御承知のとおり、四閣僚で最終的に、医学、薬学、こういった安全性、専門家の見解をやはり尊重すべきという、いろいろな協議を重ねた結果だと思います。九九%以上は、これは我々も、規制改革会議の実施計画にも、インターネットか対面かを問わず、合理的かつ客観的な検討を行うということで、それで進めてきまして、インターネットだからだめだとか、そういうことは一切排除しています。

 ただ、最後のスイッチ直後品、これはやはり、リスクが不明であるという点において、専門的な見地から言われますと、それについての販売方法は、もちろんインターネットも、トレーサビリティー、いわゆる売った後の対応とか誰が買ったか、統計学的な、プラスメリットもあるわけですね。それぞれの販売形態でメリットがあるわけでございますが、やはり、リスクが不明であるスイッチ品ということについては販売の差を設ける、こういう判断に至ったと思います。

 要は、スイッチが今後されなくなる可能性もあるんですね。スイッチ直後になるとか、スイッチを今度しなくなるということになると、また別のいろいろな議論が出てきますが、ちょうどそこの、非常に曖昧なところというか、その点については、やはりリスクが不明という点において、医学的、薬学的見地を優先させたということでございます。

玉木委員 私も、医薬品にリスクがあることは認めます。議論のないまま全てをネット解禁しろとも言っていません。ただ、今回の立法に至る手続は著しい問題があると私は思いますし、実際、岡議長もそういうことを言っているわけであります。

 下に、資料四に整理しましたけれども、今言った報告書が出ました、五感の言及はありませんでした。二十九日、産業競争力会議の医療・介護等分科会に出て、そこで局長から、報告書にない座長メッセージがいきなり出てくるわけですね。ここで五感が初めて登場いたします。その後、十一月五日の四大臣会合があり、そこで、座長一人じゃなくてきちんとほかのメンバーの了承をとっているんですかと言ったら、休憩した後の深夜に委員全員の了承が出ましたといって、これは後出しじゃんけんみたいな形で妥結し、閣議決定して、法案提出に至っているんです。

 私は、先ほど新藤大臣に申し上げましたけれども、いろいろなことを議論するプロセスの透明性、公平性、このことが、規制改革を進めていく上でも、あるいは国民のいろいろな利害がありますから、両方の立場があります、そういう信頼性を確保する上でも極めて大事なことだというふうに思っておりますので、この政策決定過程の公正性、透明性の確保、このことがしっかりと行われることを改めて強く要望して質問を終わりたいと思いますけれども、最後に、お聞きになって、新藤大臣の御所見を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 政策決定過程が公開性、透明性を持って、しかも効率的に進めていくのは当然のことでありますし、さらに心がけてまいりたい、このように思います。

玉木委員 終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 この委員会、この法案審議、二回目の質問の機会を与えていただき、近藤理事を初め委員の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 さて、これまでこの委員会で、これまでの構造改革特区や総合特区と今回の国家戦略特区というのは何が違うんだというような議論が何度かありました。そして、構造改革特区とか総合特区というのは地域の自主的、自立的な取り組みを国が支援するという基本的な枠組みの中で進められてきたのに対して、今回の新しい特区というのは国主導というところが大きな違いなんだということを繰り返し御答弁されてきております。つまり、発想が違うんだということだというふうに思います。

 この点において、政権交代後、地域主権戦略会議が廃止をされて地方分権改革推進本部が設置されるなど、国から地方へという流れの中に、私は微妙な変化が生じているんじゃないかなということを思っております。

 そして、そんな中で、去る十月三十日、総務省において、地方法人課税のあり方等に関する検討会報告書というのが取りまとめられました。その中で、法人住民税の法人税割を一部国税化して、そして地方交付税の原資として地方へ再配分するという提案がなされております。

 しかし、この法人住民税というのは、言うまでもなく地方団体の貴重な財源であります。それを一方的に国が召し上げるということは、これは受益と負担の関係からも理屈が通らないと思いますし、また、地方団体の課税自主権を損なうものだというふうに思います。

 さらに言えば、企業誘致等で頑張っても、その頑張った分が国に召し上げられるということになれば、そういうインセンティブを損なうことになりますし、今申し上げているような地方分権の流れにも私は反するのではないかというふうに思っております。

 また、今回報告書が取りまとめられた過程において、国と地方との協議等を通じて十分な説明がなされなかったんじゃないかということについても、地方からは不満の声というのが上がっております。

 法案に対する質問に入る前に、まずこのことに対する総務省の御見解をお聞きしたいと思うんですが、大臣はきょうは総務大臣というお立場でこの委員会に出席されているわけではないということでありますので、政務官にきょう御出席をいただいておりますので、政務官の方から総務省の御見解をお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

伊藤大臣政務官 お答えを申し上げたいと存じます。

 地方財政審議会に設置をいたしました地方法人課税のあり方等に関する検討会におきまして、地方財政審議会委員や、ここには学識経験者を加えまして、全国知事会、全国市長会及び全国町村会からもそれぞれ一名ずつ委員になっていただいて検討をしていただいてまいりました。

 委員御指摘のとおり、その検討会が先般取りまとめました報告書におきましては、地方消費税の税率の引き上げにより交付団体と不交付団体間の財政力格差は拡大をすることから、その税の偏在性の是正措置が引き続き必要であるということを指摘していると同時に、法人住民税法人税割の一部の交付税原資化を検討するべきであるという御提言をいただきました。

 法人住民税法人税割の国税化につきましては、検討会報告書において、地方固有の財源である地方交付税の原資に国税化された額の全額を繰り入れることにより、地方団体の貴重な財源であるという性格は失われないものだという指摘をいたしておりますし、地方消費税の税率の引き上げにより地方税が全体として増収となる中で、法人住民税の交付税原資化を検討すべきであるとの検討会の提言は、地方分権に逆行するものとは言えないと考えております。

 地方法人課税のあり方につきましては、今後、与党税調の審議のプロセスを経まして見直しが行われることとなってまいります。

 総務省といたしましては、検討会報告書が総務大臣に提出された後、全国市長会等の場を通じ説明を行ってきたところでございますが、引き続きまして、御指摘もございましたし、地方団体の意見もよくお伺いをさせていただきながら、地方全体の視点に立って、偏在性が小さくて安定的な地方税の体系の構築に向けて、具体案を検討してまいりたいと存じます。

 以上です。

大西(健)委員 私も愛知県ですけれども、政務官も愛知県ですから、お地元からいろいろな声をお聞きになっていると思います。たしか、半田市も、二〇〇四年から二〇一一年までは不交付団体であったのではないかと思いますし、また、藤川政務官も愛知県でいらっしゃいますから、今言っていただいたみたいに、ぜひ地方の声をしっかり聞いてこの問題を進めていただきたいということを再度お願いしておきたいと思います。

 それでは、法案の中身について質問していきたいと思います。

 特に私からは、前回も雇用の問題について、いろいろと細かいところを含めてお聞きをさせていただきました。雇用の部分については、さまざまな疑問がこの審議を通してクリアになって、いろいろな懸念が払拭されるかどうか、これは私どもの最終的な法案の賛否を決めるに当たっても重要な判断材料になりますので、ぜひ丁寧な御答弁をお願いしたいというふうに思っております。

 さて、前回、私の質問に対する答弁で、雇用労働センターの組織のあり方だとか、雇用指針、いわゆるガイドラインの具体的な中身、あるいは、助言等の援助を受けることができる対象企業、こういうことは第三十六条の基本的な事項だというふうに思うんですけれども、ただ、こういうことを聞いても、全てこれから決めますということなんですね。政府としては、今のところまだ具体的な方針が定まっていないということが明らかになったと思います。

 一方で、この三十六条の規定というのは、法案成立後四カ月以内に施行するということになっております。四カ月というとすぐですから、法案が成立してすぐに検討しないと間に合わないというふうに思うんですけれども、今後、どういうスケジュールでこれを検討していかれるのか、内容を固めていかれるのかについて、厚労省から御説明をいただきたいと思います。

大西政府参考人 国家戦略特別区域法案三十六条に規定しております、国家戦略特区における事業主に対する援助を実際に行う窓口といたしましては、十月十八日の日本経済再生本部決定にありますとおり、雇用労働相談センター(仮称)を設置して、新規開業直後の企業やグローバル企業などからの要請に応じて、雇用管理や労働契約事項が雇用ガイドラインに沿っているかどうかなど、具体的事例に即した相談、助言サービスを実施する方針であるわけでございます。

 まず、雇用労働相談センターを立ち上げるに当たりましては、こういった新規開業直後の企業やグローバル企業などのニーズに対応した援助の具体的内容の検討、あるいはそのサービスを担う人材の確保を含めた実施体制の整備、あるいは企業を初めとする関係者に対する周知広報などが求められており、所要の予算確保が必要になると考えられます。

 また、雇用ガイドラインの策定に当たりましては、労働契約に係る裁判例の分析、類型化を行うことが必要となるわけでございます。

 具体的に何月までということをお答えすることは困難でありますが、いずれにいたしましても、政府といたしましては、労使の参画する審議会や国家戦略特別区域諮問会議の意見を聞いて計画的に準備を進め、関係条文が施行される、法律の公布の日から起算して四月を超えない範囲内において政令で定める日に、国家戦略特別区域において所期の政策が適切に実施できるようにしてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 なかなか何月までに何をするというのは答えられないということなんですけれども、内容も決まっていない、スケジュールも決まっていないでは白紙委任同然になってしまうわけですから、今の御答弁の中にも多少は出ていましたけれども、やらなきゃいけないことはいっぱいあるわけですよね。そして、周知広報とかもやらなきゃいけない。

 あるいは、予算編成との絡みというのもありますから、もし制度設計する中で予算を要求しなきゃいけないものがあれば、それまでにある程度中身が固まっていないとこれは話にならないわけですから、そういう意味では、今答えるのはなかなか難しいということなのかもしれませんが、今後もできる限り丁寧に、関係者に対しては情報提供や説明というのをお願いしたいというふうに思います。

 同じく前回の質問で、今の労働相談センターとか雇用指針のあり方を詰めていくに当たっては、労使などの関係者の意見を踏まえて検討を進めていくというふうに答弁をしていただいていますけれども、労使の意見を踏まえてと言っているけれども、では、何を具体的に検討すべき事項として想定しているのか。あるいは、どのような場で、いつごろその意見を聞くつもりなのかについても、厚労省から御説明いただきたいと思います。

大西政府参考人 法案三十六条に規定しております事業主に対する援助につきましては、国が特区に雇用労働相談センターを設置して、労働契約に係る裁判例の分析、類型化による雇用指針というものを活用して、具体的事例に即した相談、助言サービスを実施することとしているわけでございますが、今御指摘いただきました、労使などの関係者の意見を踏まえて検討する事項といたしましては、雇用労働相談センターにおけるサービスの具体的なあり方とか、あるいは雇用指針の具体的な内容を考えております。法案成立後速やかに検討を開始して、労使の意見を聞いてまいりたいということでございます。

 意見を聞く場といたしましては、労使が参画する労働政策審議会を考えているところでございます。

大西(健)委員 今、労政審を考えているという御答弁をいただきましたので、しっかりそのとおりやっていただきたいと思います。

 続いて、同じく前回の答弁の中で、雇用労働センターが行う援助は、内容的には都道府県の労働局長が全国でやっている援助と何が違うのかということをお聞きしたら、それは重なっているということでありましたけれども、これは二重行政にならないのか。あるいは、両者のそれぞれの判断にそごが生じるということはないのか。その両者の関係について、再度御説明をいただきたいというふうに思います。

大西政府参考人 都道府県労働局長が行っております紛争解決の制度と今回の新しい制度、両者の関係でございますが、個別労働関係紛争解決促進法に基づきまして都道府県労働局長が行っております情報の提供、相談その他の援助は全国的な取り組みであり、求職者、事業主を対象に、個別労働関係紛争の未然防止や自主的解決の促進のため、助言指導や紛争調整委員会のあっせん、こういった委任を行う都道府県労働局長が実施するものでございます。

 今回の法案三十六条に規定する、国が行います情報の提供、相談、助言その他の援助につきましては、特区内の事業として、新規開業直後の企業やグローバル企業その他の事業主を対象に、個別労働関係紛争の未然防止とその予見可能性の向上を図るためでございまして、雇用管理や労働契約事項が雇用ガイドライン、雇用指針に沿っているかどうかなど、具体的事例に即した相談、助言サービス、こういったものを実施するものであります。

 この両者でございますけれども、全国的な取り組みか、特区における取り組みかといった違いとともに、労使を幅広く対象とするか、一定の事業主に力点を置くか、あるいは、あっせんまで実施するか、情報提供及び相談、助言を中心に援助を行うかといった、そういう違いがあると考えております。

 また、特区における取り組みにつきましては、新規開業直後の企業やグローバル企業などを対象としているものでございますので、例えば、外国語による情報提供や相談、助言を行うなど、そういった両者それぞれのニーズに応じた対応が必要になっておりまして、二重行政になっているとは考えておりません。

 また、支援の内容でございますが、いずれの支援も現行の判例法理などの雇用ルールを踏まえて実施するものであり、その内容にそごが生じるということは考えておりません。

 いずれにいたしましても、適切な役割分担のもと、そごの生じることなく必要なサービス提供ができるように、この法案に基づくサービスの具体的なあり方につきましては検討してまいりたいと考えております。

大西(健)委員 確かに、今の御答弁のとおり、例えば、グローバル企業とかを相手にするので外国語とか、あるいはそういうグローバル経済に詳しい人とかというのがあるので、違う部分というのもあるんでしょう。それから、どちらもガイドライン、これはこれまでの判例を超えるものではないわけですから、それに沿ってやる限りそごは生じないという御答弁だったと思いますので、しっかりそのようにお願いしたいと思います。

 三十六条ですけれども、四項に、国家戦略特区会議は、援助の実施に関して、内閣総理大臣及び関係行政機関の長に対して意見を申し出ることができるということになっています。

 しかし、私は、特区会議だけが一方的に意見の申し出を認められているというのは、法のたてつけとして不均衡、フェアではないんじゃないかというふうに思っております。特区会議の意見に対して、今度は、内閣総理大臣及び関係行政機関の長の側から反論というか、意見に対する意見を述べることができるようにしてあげるべきじゃないかというふうに思いますし、さらに、その意見というのは最大限尊重されるようにしていただきたいというふうに思っております。

 そうすることによって、特区諮問会議に、関係大臣が意思決定から外されていることについてさまざまな懸念があるわけですけれども、その懸念を一定程度振り払うことにもつながるのではないかと私は思っております。

 新藤大臣、こうした修正をしたらどうかと私は思いますが、ぜひ、この点についての御見解をいただきたいと思います。

新藤国務大臣 この国家戦略特区におきまして、新規開業直後の企業及びグローバル企業が我が国の雇用ルールを的確に理解して予見可能性を高めること、これが、また、紛争を生じることなく事業展開することが容易になるような、そういう情報提供、そして相談、助言、こういったものを行いたいということを盛り込んでいるわけであります。これらの援助は、国が特区会議と密接な連携を図りながら意見交換をすることで効果が高まっていく、このように考えております。

 そして、委員がおっしゃるように、特区会議からの意見だけでなくて、逆に今度は、内閣総理大臣そして関係行政機関の長から特区会議に対しての意見を申し述べることは、これはあり得ることでありますし、それは尊重されるべきであると私も考えております。

大西(健)委員 大変前向きな御答弁をありがとうございました。

 それでは、今、援助の話をずっと続けてきましたけれども、もう一つの柱である有期雇用の特例ですけれども、これは日本経済再生本部決定の検討方針の中では、無期転換申込権発生までの期間のあり方、その際に労働契約が適切に行われるための必要な措置等について、労働政策審議会で検討するとしています。

 ただ、この点、報道等に出ているように、有期雇用の期間を今の五年から例えば十年に延ばすというようなことが報道では出ていますけれども、十年に延ばすということの是非だけを労政審に、これはどうですかということで聞くのではなくて、私は、有期雇用のあり方そのもの、まさにこの検討方針で言っていただいているように、期間のあり方とか、それを変えた場合に、では本当に労働者保護はどうなるのかといったことも含めて、これは労政審の検討に委ねるべきだというふうに思いますが、この点についての見解を厚労省からお伺いいたします。

大西政府参考人 委員御指摘の、法案の附則第二条に盛り込まれております有期雇用の特例に関する内容につきましては、十月十八日の日本経済再生本部の決定にありますとおり、高度専門職で比較的高収入の労働者などを対象に、無期転換申込権発生までの期間のあり方について、労働政策審議会において検討することとしておるわけでございます。その際、例えば十年というお話ございましたけれども、そういった特定の期間を前提にしているわけではございません。

 また、労働政策審議会におきましては、この無期転換申込権発生までの期間のあり方とあわせて、労働契約が適切に行われるための必要な措置などについても検討することとしておりますので、こうした二つの要素についてしっかりと検討を進めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 今繰り返し私が申し上げていることは、労働現場のルールというのは、現場を熟知した当事者である労使が参加して決めるということが大原則だというふうに思っております。

 そこで、国際労働機関、ILOの諸条約においても、雇用政策については労使同数参加の審議会を通じて政策決定を行うべき旨の規定がなされるなど、数多くの分野で、公労使三者構成の原則をとるようにということが規定をされております。

 したがって、労働に関して規制改革をしたいとか特区での規制緩和事項を全国展開するような場合には、先ほどの御答弁にもあったような、例えば労働政策審議会のような場を通じて関係者との十分な協議を行っていくことが私は重要だというふうに思いますが、条約との関係で、この点について厚労省から御説明をいただきたいと思います。

熊谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 労働法制の見直しなど労働政策に関する重要事項につきましては、さまざまな会議の御意見もよく伺いつつ、ILOの三者構成原則の趣旨を十分踏まえまして、公労使の三者で構成されます労働政策審議会におきまして十分に御議論いただくことになるものと考えております。

大西(健)委員 ぜひ、その言葉をお忘れなきようにしていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、先ほど来言っている雇用指針、ガイドラインですけれども、現時点においては、私も、当初、雇用特区だとか言われたような状況にはなくなってきているというふうに思っていますけれども、先ほど来申し上げているように、これから決めていくわけです。その過程においては、今言ったように、十分に関係者と協議してくださいねということを重ねて申し上げていますけれども、ただ、今具体的な内容が明らかになっていない中で、今なお、また裁判所の判断を事実上拘束するような内容になってしまうんじゃないかという懸念が、まだ私は完全に消えていないと思っているんです。

 そこで、再度この場で確認しておきたいんですけれども、雇用指針というのは、あくまで裁判例を分析、類型化しただけのものであって、これまでの判例を変更したり超えたりするものではないということを、ここではっきり会議録に残しておきたいというふうに思うんですけれども、厚労省から、再度、今の部分について、皆さん、不安を感じている人の不安がしっかりと払拭されるような御答弁をお願いしたいと思います。

大西政府参考人 御指摘の雇用指針でございますが、法案三十六条の第二項におきましては、「労働契約に係る判例を分析し、及び分類することにより作成する雇用管理及び労働契約の在り方に関する指針」とされていることを踏まえまして、裁判例を分析、類型化して作成するものであります。

 この雇用指針につきましては、個別労働関係紛争の未然防止及び予見可能性の向上に資するため、これまでの裁判例を分析、類型化したものであり、法的効力を持つものではありません。このことは重ねて御答弁させていただいているとおりであり、御心配の必要はないものと思われます。

 なお、雇用指針につきましては、労使関係者の意見を十分踏まえつつ、厚生労働省を中心に、関係省庁が連携しながら策定し、法案三十六条の第二項にありますとおり、国家戦略特別区域諮問会議の意見を聞いて取りまとめるものでございます。

大西(健)委員 ガイドラインの作成に関しては厚労省もしっかり関与していくというお話だったと思いますし、また、これまでの判例を超えるものではない、心配ないということをしっかり厚労省から言っていただいたというふうに思います。

 私たちは、総合特区や構造改革特区をやってきましたし、特区や規制改革そのものについては、我々もこれはしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、一方で、前回の質問のときにも私は申し上げましたけれども、そもそも、生存権的基本権である労働に関することが特区の内外でルールが違うとかというのは、どっちかというと、やはり労働とか雇用というのは規制改革とか特区には余り適していない問題なので、そこは十分に労使の意見を聞いて慎重に進めていただきたいということを重ねて申し上げて、時間になりましたので、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

橘委員長代理 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 大西さんに引き続いて、雇用の関係について質問をしてまいりたいと思います。

 今回の法案については、附則の方にも十分気を配っていかなくてはならないということであろうと思います。

 法案の第一条においては、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するのは、国が定めた国家戦略特別区域においてということになっております。これに対して、附則第二条の検討事項には、特区という限定された範囲ではなく、全国規模で規制緩和を検討すべきとする事項がここに書き込まれているわけであります。この附則第二条には、私は大変違和感を覚えざるを得ないと思っております。

 地域の特性を生かした事業展開や町づくりをするときに全国一律のルールが邪魔になる、支障になる、このため、地域の事情に合わせた特別なルールを認めましょうというのが特区の基本的な考え方であろうと思いますが、この附則の第二条は、特区限定ではない内容がここに盛り込まれております。

 これは、当初、契約の締結時に、労働者側から五年を超えた際の無期転換の権利を放棄することを認めるというような考え方から転換をしたものであったり、あるいは、議論の途中経過においては、弁護士とかあるいは博士とか、こういった大変優秀な方々に対して例外的に適用するというようなこともあったわけでありますけれども、相変わらずこの附則第二条において、労働契約法の変更を意図したものがここに盛り込まれているということには、やはり、心配といいますか、危惧の念を抱かざるを得ないと思っております。

 雇用ルールに関しては、今も大西議員からも話がありましたように、特定地域に限って緩和することが適切ではない、あるいは許されない、そういった性質のものも多いわけでありまして、大変慎重な議論がこれまでいわゆる労政審で積み上げられて、今の雇用ルールが決められているわけでありますが、この附則というところで、幾らここには有期の事業、あるいは専門的分野、高い年収という要件があったとしても、労働契約法の改定を意味するものが書き込まれている、特区の法案に、全国規模にかかわる、全国民に当てはまる労働契約法の改正というようなものが書き込まれているということは不適切ではないかということを考えさせていただいております。

 この法案が成立したら、この特区法の附則が根拠となって労働契約法が変わっていくということになるのか。あるいは、二十六年の通常国会の法案提出ということまで書き込まれているわけでありますが、このあたり、特区の法案の中に全国に当てはめられる労働契約法の改定事項が盛り込まれているということについて、厚生労働省としてどう考えるか、見解をお示しいただきたいと思います。

大西政府参考人 委員御指摘のとおり、この法案附則第二条の有期雇用ルールの特例について、そういったものが設けられているわけでございます。

 これにつきましては、委員から御指摘があったとおりでございますが、中身といたしまして、この十月の十八日に日本経済再生本部が決定いたしました国家戦略特区における規制改革の事項等の基本方針において示されております、新規開業直後の企業及びグローバル企業などが、優秀な人材を確保し、従業員が意欲と能力を発揮できる、そういう目的に沿って、委員御指摘のそういった検討が行われたという経緯があるわけでございます。

 また、産業の国際競争力の強化とか、あるいは、国際的な経済活動の拠点の形成の推進という国家戦略特別区域法案の全体の目的、趣旨に沿って実施するものであること、そういうようなことから本法案の附則に盛り込まれている、そのように考えております。

中根(康)委員 私の質問に正面から答えていただいていないような気がいたしますが、もちろん、国際競争力を確保するということは大切なことではありますけれども、特区法案の中で、特区法案を根拠に、今後、この法案が成立したから、附則二条に書き込まれていますよね、ですから労働契約を改正することになりますよねということの是非についてお伺いをしているわけであります。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

大西政府参考人 法案附則の二条でございますけれども、この内容につきまして、委員御承知のとおりの内容が書かれておりますけれども、この有期雇用の特例につきましては、法案成立後に労働政策審議会において検討することとしております。そういうことでございますので、法案が成立した暁には、法案の附則二条に書かれております検討事項について、労働政策審議会において、雇用の現場の実態を熟知した公労使の代表にしっかりと御議論をしていただく、そういうようなことを考えておるところでございます。

中根(康)委員 もともと、政府として、厚労省として、労働契約法の改正ということは一定のスケジュールの中に入っている、いずれ検討していかなきゃいけないこととしてお持ちであるということであるならば、あえてこの特区法案の附則の中に書き込まなくても、しかも、今、審議官の御答弁にもありましたように、労政審で十分議論を積み重ねていくという御答弁があるわけでありますので、何もこの特区法案の附則にあえて書き込まなくても私はいいのではないかというふうに思います。

 この国家戦略特区というものとは無関係な事項を規定するということについては、やはり、私は、極めて抑制的でなければならないし、特に、先ほど大西議員からも御指摘があったように、雇用ルールということについては規制の緩和には必ずしもなじまない分野であるわけでありますので、この特区法案の中にこういったものが、紛れ込んでいると言っては失礼かもしれませんけれども、盛り込まれているということについては、いささか問題があるのではないかというように考えさせていただいております。

 改めて確認をさせていただきたいと思いますけれども、この附則第二条の検討事項の中に、「労働に関する法令の規定に違反する行為が生じないようにするために必要な措置その他必要な事項であって」というような、必要な措置というような文言があるわけなんですけれども、まさにこれは労働者の権利を保護するために必要な措置というようなことであろうと思いますが、この必要な措置として想定されているものはどんなものがあるか、御答弁をいただきたいと思います。

大西政府参考人 委員御指摘のとおり、法案の附則二条でございますけれども、有期雇用のあり方について検討する際には、こういった特例の対象者の要件でありますとか無期転換申込権が発生するまでの期間のあり方だけでなく、まさに御指摘ありましたとおり、期間の定めのある労働契約の締結時、当該労働契約の期間満了時などにおいて労働に関する法令の規定に違反する行為が生じないようにするための必要な措置あるいはその他必要な事項、こういったものも検討の対象にするということで規定があるわけでございます。

 こうした検討事項については、具体的な内容につきましては、この法案が成立いたしました暁には、速やかに労働政策審議会において、労使の代表、雇用の実態というか現場をよく御存じの労使の代表を交えて、しっかりと御議論をいただきたいというぐあいに考えておるところでございます。

中根(康)委員 やはり大切なところは、労政審で十分議論を積み重ねて、それぞれの利害がきちんと調整された上でルールがつくられていくということであろうと思います。

 したがって、この附則には、平成二十六年に開会される国会の常会に提出することを目指すということまで書かれているわけでありますが、もちろん、必要なことは速やかにつくっていくということが大切ではありますけれども、労政審で、例えば議論がまとまらなかった、もう少し時間が欲しいというような状況になった場合には、必ずしも、この二十六年の常会に法案を提出するということに余りこだわり過ぎない方が私は望ましいと思っておりますので、ぜひ、もちろん、いたずらに時間をかけろというわけではなくて、必要十分な議論を行った上で、改正法なら改正法案を出していただくということでよろしいでしょうか。

大西政府参考人 委員御指摘のとおり、この法案の内容にのっとりまして、労働政策審議会で十分御議論、審議を尽くしてまいりたい、そのように考えております。

中根(康)委員 二十六年の常会というものには必ずしもこだわらずに、労政審で十分な議論を積み重ねて結論を出していくということが、審議官の御答弁で確認をされたと思います。

 改めて申し上げておきますけれども、どうしても、解雇しやすい規制緩和をこの特区法案に盛り込みたいという意図を感じてしまうわけなんですけれども、今後も、このようなやり方で規制改革方針を規定するというようなこと、こういった本来的でないことを別の法律に潜り込ませて、雇用に関する必要以上の規制緩和を、解雇ルールの、ある意味解雇しやすいルールというようなものを規定していくというような、なし崩し的な労働法制の規制緩和、こういったものはやはり不適切であろうと思います。

 こういったものがアリの一穴になって、解雇特区であるとかあるいは残業代ゼロ特区であるとか、こういったものがつくられていってしまうことがないように、ぜひ厚労省としては、まさに労働者保護の観点から気を配っていただきたいと要望させていただきたいと思います。

柴山委員長 新藤大臣。

中根(康)委員 求めておりませんので。

柴山委員長 私が指名しております。

 新藤大臣、発言を求めます。

新藤国務大臣 委員長に御指名いただきましたからお許しをいただきたいと思いますが、今委員の御質問に際して、特区担当の地域活性化担当大臣として、この法案について、なぜこのようなものが盛り込んであるか、ここはぜひ整理をさせていただきたい、このように思います。

 それは、そもそもにおいて、今委員が、大前提として、特区というのはそこの中のみで通用するものを決めればいいのだから、全国的なものはここで議論する必要はないじゃないか、こういう御趣旨でございました。それは一面の真理であります。

 しかし一方で、この国家戦略特区が目指すものは、まずはその特区内において効果を実証してみよう、成果を得られるかどうかという意味において規制緩和を導入しよう、こういう目的があるのと同じ重さで、それは、先駆的にやってみて、必要なものは、全国展開できるものはしていこうではないか、こういう方針がございます。

 その意味において、まず、特区において雇用の拡大に通ずるさまざまなこういった取り組みを検討してまいりました。そして、詰めた議論の結果、これは官僚、役人の議論を超えて、私ども担当大臣同士の話まで行き着いた中で、これは特区というよりも、それならば全国展開できるように考えてみようではないかと。しかし、それには労政審での御議論が必要だ、こういうこともございました。

 ですから、まずこの御議論は、厚労省においていろいろ始めていただける話というのは、この特区の話の中で議論をした結果なのであります。それは、ある意味極めて短期的に成果が出たということでもあります。特区を実現して、そこで成果を得た上で全国展開できるものをやっていこう、そういう段階を縮めて、まず議論した段階からこのように次なる展開が、全国展開ができるようになったというのは、これは好例だ、いい例だと思うんですね。

 ですので、その意味において、この附則において、検討項目として議論の成果、そして我々の目指すところを書かせていただいたわけでありまして、あくまで目標ですから、それに向けて努力をする、必要な手続をまた御議論いただくことは当然でありますが、なぜ、この戦略特区法案の中に、附則の中に入れているのかというのは、それはまさに戦略特区法案の目的として、この国の経済をさらに活性化するためのいろいろな取り組みを推進する、この観点からこのようなことになったと御理解をいただきたいと思います。

中根(康)委員 もちろん、国際競争力を高めていくという観点は必要だと思いますが、例えば弁護士であっても、あるいは何やら博士であっても、どんな優秀な人材であっても、これは、働き過ぎれば過労、過労死という事態に至らないとも限らない。あるいは、そういった方であっても、当然、労働あるいは研究にきちんと見合った対価というものはお受け取りになっていただく権利はある。

 そういった意味で、どんなに優秀な人材であったとしても、働く人の健康であるとか、あるいは命であるとかというものまできちんと守っていくということもまた、これは幾ら特区であったとしても置き去りにしてはいけないところであろうと思います。

 そういった意味合いで、これはきょうは深く立ち入って議論する時間はありませんけれども、あくまでも、今も大臣も最後に言及をしていただきましたけれども、この附則にも、労政審できちんと議論をしていくということが書かれているわけであります。

 逆にといいますか、ちょっと見方を変えると、この附則の検討事項の二項に、労政審で議論をするということが書かれているということがまず最も大切なところであって、労政審の議論は、附則二条の一項にさまざま書かれているこの規定に制約をされるのかされないのかということを厚労省にお伺いしたいと思います。

大西政府参考人 厚生労働省といたしましては、もちろん労働政策審議会で議論するわけでございますが、この法案が成立した暁におきましては、厚生労働省といたしましては、それは法案にのっとって議論を重ねるというようなことでございますので、当然、法案に書かれている内容は審議の対象になると思いますし、また、提出時期につきましても、目指すということで法案に書かれておりますので、そういった法案にのっとってやらせていただく、そういうような趣旨でございます。

新藤国務大臣 ぜひこれは御理解いただきたいと思います。

 これは、今、私どもとすれば、日本経済再生本部で決定した事項でございます。ですから、それは政府の方針です。その政府の方針を示して、それを法案の中に落とし込みました。

 一方で、労政審の御議論に制約が加わるものではございません。あくまで、政府としては、そういう決定をして方針を決めた、それを進めていきたい、こういうことは我々は出したわけであります。それを踏まえた上で、労政審がきちんとした御議論をいただけるもの、このように思っております。

中根(康)委員 あえて大臣が御答弁をいただきましたので、一言だけ申し上げて終了したいと思いますけれども、政府の方針だということは一つの方針であって、また、その方針を一つの材料として、労政審で十分な議論が行われて雇用ルールが決められていくということは、確認をさせていただきたいと思います。大臣もうなずいておられますので、そのことを確認して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。

 本日、採決もあるということで、本日は終局ということで、この件に関しては、私も立たせていただくのが最後の質問になると思います。本日もよろしくお願い申し上げます。

 まず、一つ目に、ちょっとそもそも論に戻ってみたいと思うんですけれども、我々が内閣の方から説明を受けて、戦略特区のイメージということで、いろいろなアイデアが入ったシートをいただいております。これについてヒアリングをさせていただいたところ、提案募集を行ってそういうのが出てきたんだというお話だったんだけれども、そもそも、今この法案をやっている段階で、このさまざまな意見、提案募集が出てくるに当たって、一体いつごろ提案募集を行われたかということと、どのようにそれを行われたか、また、恐らく事務局だとは思うんですけれども、どの部門が推進してやられたかということを教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今、委員お話がございました提案募集でございますが、国家戦略特区のワーキンググループ、この場でいろいろ御議論をいただきまして取りまとめていただきました提案募集の要項、これを八月八日に発表いたしまして、八月十二日から九月十一日までの一カ月間の期間で実施をいたしたものでございまして、民間事業者及び地方公共団体から、電子メールでも郵送でも、あるいは持参でも構わないということで、私ども内閣官房の地域活性化統合事務局の方へお出しをいただくということをしたものでございます。

 これは八月八日に提案募集要項を発表した後、十二日には報道発表をし、当事務局のホームページにも載せました。それから、八月二十三日には新藤大臣御出席のもとに説明会を開きまして、幅広く周知をするということに努めたところでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 今、幅広く周知をしたということなんですけれども、八月の八日から九月十一日、さかのぼって思い出してみれば、国会閉会中でございまして、私だけかもしれませんけれども、少なくとも、私は知りませんでした。そういった文書も、こちらの東京の事務所に届いたというのはなかったように記憶していますけれども、例えば国会議員に対する周知というのはいかがですか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 広く一般の方に、ホームページなども通じてオープンにいたしておりますので、個別国会議員の先生方のところに募集要項を届けるということはしていないと思います。

中丸委員 していないと思います、来ていませんでしたから。

 先日、この委員会の場で質問をさせていただいたときに、新藤大臣から、ぜひともそういうものも国会議員が推薦してやってほしいというお話もあったと思うんですけれども、そういう意味では、広く周知するということは、やはりくまなく周知するということもぜひとも考えていただきたいと思うんですね。

 例えばその周知方法一つとってもそうですし、提案募集全体として、今から大事な法案を決めていくもとになる部分をつくるに当たって、この提案募集をどういう形でやるというのを誰がどのようにして決めたのか、教えていただけますか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家戦略特区の提案募集につきましては、この特区の制度設計を御検討いただいておりましたワーキンググループでございますが、そこで、制度設計に資するということで、提案募集をしてはどうかと。これは五月の末でございますが、そういうことをしかるべき時期にやったらどうかというお話が出ました。

 その後、では提案募集するに当たって、どういうコンセプトの特区なのかというのを当然お示しして提案募集をしなきゃいかんだろうということで、コンセプトの議論を続けてまいりまして、先ほど申し上げた時期に、大体コンセプトがまとまったということで、提案募集をするということにしたものでございます。

中丸委員 済みません、質問の答えに全然なっていなくて、僕は、誰がどのようにしたのかということをお伺いしたいんですけれども。

川本政府参考人 提案募集を行うことにつきましては、担当大臣でございます新藤大臣の方で御決定をいただいて、事務局の方で受け付けをしたものでございます。

中丸委員 ありがとうございます。大臣が決定をして、事務局の方で行ったということでございます。

 国会議員は別にして、広く募集をされて、結果、提案は幾つぐらい集まったか、教えていただけますか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 提案は、全体で百九十七件でございます。提案のあった団体は、民間事業者など、これは個人の方もおられますが、これが百八十一、地方公共団体が六十一、団体数では二百四十二でございまして、共同の御提案等がございましたので、提案数とは一致をしていないということでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 それだけ、百九十七件という非常に多くの提案をいただいたと思われていると思いますが、国家戦略ですから、提案数はもう一桁多くてもいいぐらい、集まるものはたくさん集まる方が、やはり選抜が多い方がいいものが残ると私は思います。

 そういう中で、今、このイメージの中に入っているものなんですけれども、その百九十七件の中から、ここを選別もされたんだと思うんですね、それはそれで、あっ、これいいなということで。寄せられた提案から、これの選定はどのようにして行われたか、教えていただけますか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 この提案募集は、どういう特区にするかという特区のコンセプトをいただくとともに、それを実現するために必要な規制改革項目というものもあわせて御提案をいただいたものでございます。

 この規制改革項目につきましては、大体、医療が五十とか、雇用分野が二十、教育が三十、都市・まちづくりが五十、農業三十というような格好で、そういった分野のところに相当程度集中をしてまいったということでございます。そういったものの中から共通項を選び出しまして、例えば、国際的なビジネスを行うような特区をつくりたいというところについて共通項をくくり出す、それから、医療の関係ではこういうことをやりたいというところを共通項をくくり出して、最も必要な部分ということで絞り込んでワーキンググループで御議論をいただいて、最終的に再生本部決定に盛り込まれた事項になったということでございます。

中丸委員 わかりました。

 何でこういうそもそものところをお伺いしているかといいますと、今後、いろいろな会議の中で実際に決めていく作業に入ったときに、今、ここまででやったひな形というのは、非常に、今までワーキンググループではこういうふうにやってきたとかということがどうしても一つの前例となると思うんです。そういう意味で、余りここについての質問は委員会の中でもなかったように思ったので、質問を今回させていただいております。

 ここから、ちょっと新藤大臣に御質問させていただきたいと思うんです。

 今後、提案を実際に募集していくに当たって、この法案がもう通過しちゃうという大前提で答えていただければいいんですけれども、先ほど私がこれまでの流れで申し上げたように、百何件で、この中からあとちょろちょろっと出てくるぐらいでなくて、もっと幅広く、我々委員はもちろんのこと、国会議員も衆議院、参議院問わず、いろいろなところからいろいろなアイデアというのは出てくるというふうに思います。

 そういう中で、より多くのアイデアをいただけるように、募集期間も一カ月で、例えば東京都の資料がこの委員会の中でも出ていましたけれども、あれだけの資料をなかなか短期間でつくるというのは、調査も含めば相当難しいことだと思います。もう少し、募集期間であるとか告知方法であるとか、工夫する余地がかなりあるように思われるんですけれども、大臣の御所見をお伺いさせてください。

新藤国務大臣 今回のことを踏まえてさらに工夫をしていく、これは大変重要なことだというふうに思っておりますから、心がけたいと思います。

 その上で、少し経過を御説明させていただきたいと思うんですけれども、そもそも国家戦略特区を、こういうものを設けようではないかと議論が始まりましたのは、たしか四月に入ったあたりからだったと思います、本格的になりましたのは。それで、私が担当大臣として取りまとめるように、このように言われまして、そして、連休のころ、連休前でしたね、連休前に方針を出し、議論をして、そして、まず最初の規制緩和項目は九つ、今回の十六のうちのまず九つは、提案募集をやる前に、これまでの長年の御議論の中で、ぜひここは緩和を実現したい、それを事務方とワーキングの間で極めて精力的にやりました。それが五月の末であります。

 そこで、こういう規制緩和のメニューを持った上で、さあ、どんな事業をやるべきかというコンセプトワークを本格化いたしました。そして、それがある程度でき上がったところで、七月の末あたりから準備を始めまして、八月の十二日から募集を開始する。ですから、春先からもう何度も、国家戦略特区はこんなようなことではないかとか、臆測も含めてさまざまな記事が出ていたわけであります。

 それを、我々とすれば、いよいよ、では、まず提案募集を行いますと。一体どのぐらいの提案が来るかは、私は実は少し心配をしておりました。だけれども、当日、ヒアリングのときの説明会に二百六十人が来たんです。それは、大きな企業、それからいわゆる地方自治体だけでなくて、本当に、グループで、それから町の中の研究者が、私はこういうことをやれば国家として新しいものが開けるんじゃないか、そういうような思いを持った人がたくさん来てくれて、ですから、個人的な参加というのもあったんですね。

 そのときの私の趣旨説明やヒアリングの模様は、全て動画に撮って、ネットでそのまま公開しております。ですから、そこのヒアリング、また、私どもの説明会に来られない方も、どういうことが行われたかは全部周知したんです。

 その上で、御提案が最終的には二百件近くのものになったということなのでありまして、これは極めて多いというふうに思っていただきたいんです。これが予定調和で、ある程度場所を決めて、そして、それを位置づけするための段取りをしているのではないんだということなんです。さまざまな議論の中で、イノベーション、新しいものを起こすのには、それは、既存のルールも破らなければイノベーションは起きない。

 ですから、今回のことは、私たちとしても大いなる実験であって、しかも、政府として責任を持ってやるんですから、成果も出さなければいけない。しかし、がんじがらめの中で、例えば、全部決めた後でこれをやりますよ、もう事業をやる前から全てが決まっていて、それでもってそのとおりにいく事業なんてという、委員も事業をおやりになっているわけだから、わかると思います。

 ですから、私たちとしてもいいかげんなことはできません。きちんと手続を踏んで、これは、できる限り皆さんに参加していただくようにやりつつ、結局は、総理がおっしゃっているように、これを始めることで、またさらなる提案が来るだろう。そして、この国家戦略特区が、こういうふうに御議論いただいて、そして、それがまた国民の関心を呼ぶ。特区として地域を指定する、こんなことが国のみんなでもって事業として始まる、その関心を呼んだことが最大のPRになると思います。

 我々とすれば、通常の手段に加えて、SNSを使ったり、既に私どもの中で、ツイッターのアカウントをとれとか、そういうことまでやらせているんですよ。そうやってきめ細かに、一般の方にも伝わるようにしたいし、みんなで参加できるような仕組みをつくっていきたい。それには、まず最初に成功例をつくることなんでございます。そういう経緯の中でやっているということでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 そういう成功例をつくっていく、要は、善の循環をつくっていくということは非常に大事だと私も思います。

 ただ、さっき事務局の方もおっしゃられていたんですけれども、これはこの件だけに限らずいろいろなことで、そういうのになれている人、たけている人、能力の非常に高い人たちは、短期間でそういうものをつくり上げてくることができるんですけれども、例えば、小さな話でいえば、いろいろ町おこし、例えば空き家利用だったり、そういうのを地元のNPOの人たちがやっていたり、そういう若い人たちとか民間でやられている方というのは、意外とこういうのに入ってくるというのは、すばらしいアイデアと行動力を持っていても垣根が非常に高くて、情報が行き渡りにくいというのもあります。

 四月ごろから議論を始めて、新聞でいろいろ出ているというのはあるんですけれども、なかなか、決定しないと、新聞で出ているものは全てが現実化するわけでは当然ございませんので、今後、幅広く周知活動も一考願いたいというのももちろんなんですけれども、もう少し具体的に、例えば自治体でも、非常に小さな自治体の場合は、そういう起案能力が薄い自治体もあって、でも、そういうところが意外と持っていたりすることもあるわけで、そういう地方公共団体に対して、カウンセリングというかやりとりをしながら、国家戦略ですから、一緒にアイデア自体もつくり上げていくようなこともお考えいただけたらと思うんですけれども、よろしいですか。

新藤国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。ですから、いろいろなチャンネルをつくっておくことですね。

 国家戦略特区でやるべきこと、今の御提案などは、例えば過疎地等の集落活性化事業、これは大人気で、総務省の予算でありましたが、想定した金額の十倍以上の御要望が出てきました。それだけやる気があるということですね。それから、地域経済の循環、イノベーションサイクル事業、こういったものもありますし、それから、構造改革特区における規制緩和のいい提案で、一つの項目について規制緩和をやるならば、それは構造改革特区でも十二分にできるわけであります。

 今回の御提案の中でよいものは、国家戦略特区で取り上げられなかったから終わりではなくて、そういったものもいろいろなところに活用していこうというふうに思うし、また、それは各省が、経産省も環境省も国交省も農水省も、いろいろなところでやっているんですね。そういうものをちゃんと受け皿にして、それを町づくりや活性化と連携させる仕組みが必要で、そのいろいろな連関の中の一つというか、そのピラミッドの上にこの国家戦略特区という先導役があると位置づけているわけでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 ちょっと個人名を挙げるのはあれなんですけれども、この間質問した広島の件でいいますと、実際に、出先機関から出向で広島に入られているこの部門の担当をされている職員さんに対して、本庁のお役人さんが、おまえのところ、出せるか、出せぬだろう、じゃあいいよなみたいな空気も、やはり先輩、後輩の仲ではあったりするそうなんです、現場の話として。何省か言うとあれなので、あえて言いませんけれども。

 そういう中で、先日お話ししたように、私は、国際平和、積極的な平和貢献、平和にかかわっていくという意味でも、国際平和推進特区という、アメリカのオバマ大統領が言われているような核軍縮、核兵器の削減というのももちろん念頭に置いて、アジアにおける国連の機関、本部に当たるようなものをぜひ広島に誘致していきたいというのは、広島で多くの方が願っておられることでもございます。

 そういう中で、単なる誘致活動だけではなくて、先日申し上げたように、国際平和ビジネス特区といいますか、そういうものを推進していくためのビジネス、NPO、国際NGOも含めて、そういうプラットホームになるようなエリアになるようなことをぜひとも提案させていただきたいというふうに思うんですけれども、先日ちょっとお言葉を頂戴しましたけれども、具体的にやっていくに当たって、何かアドバイスをいただければと思うんです。

新藤国務大臣 私は、一番大切なのはコンセプトだと思います。

 ですから、何をやるかという目標設定が弱いと、手段として、あの事業をやろう、この事業をやろうとか、これだけの人を集めようとかと、そっちが先に行くと、それは成果は上げると思いますけれども、でも、大成果を上げるためには、しかも、世の中の人が気がつかない、ここにこんなやり方があったのかというものを得るためには、やはり何のためにやるのかというコンセプトを打ち立てる。

 そして、そのコンセプトのためにどんな戦略を組むべきなのか、その戦略を実行する手段は何なのか、こういう組み立てをきちんとして、それらを、まず、参加性を高めるための仕組みも必要だと思いますし、それから、やはりお金ですよね。資金をちゃんと調達できる手だてをつくるということが重要だと思います。

 その事業が立ち上げに成功すれば、あとは、その事業は、持続可能性の持ったものであるならば、国から金が来なくなったらとまっちゃったなどというような事業は、一過性で終わっていいわけがないわけでありますから、そういう連関がうまく出てくるようにすればいいんだと。

 ですから、委員が地元の、ましてや広島の平和に対する思いというのは、世界に対して訴えていく。また、私たち、特に広島の皆さんが、それは最大の御苦労とともに権利を有しているわけですから、そういったものをきちんと打ち立てて、それに対するコンベンションを活性化させる。そして、付随する観光やその周辺のいろいろな経済の活性化というふうに、うまくつなげていくのはいいと思います。

 ですから、それは特区でなくても、まず、町の中でそういうグランドデザインができて、構想が持ち上がってくるならば、それを支援する策はたくさん政府の中にあります。そして、どうしてもこの部分の規制緩和が必要だということになれば、それは単体の規制緩和もあり得るし、構造改革特区によるものもできるし、それがさらにもっと複合的なものになって、これは国としてもこの部分でこういうものを打ち立てようというところまで上がっていけば、それは国家戦略特区の対象になる。

 これは、いずれにしても、まず、構想をきちんと打ち立てることが重要ではないかと思います。

中丸委員 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと本当に思います。

 そういう中で、コンセプトは、核軍縮、世界平和の発信。それから、やはり国連の本部を誘致するというのは、アジアの平和と治安、全体の平和の維持の中心地として発信していく場になるというのが一番のコンセプトであり、これは広島という都市の性格上もあるんですけれども、日本国全体が、本来、太平洋とユーラシア大陸に挟まれた、そういった意味での地域拠点としても重要な要素があるというふうに思います。

 あと、それ以外に、私の選挙区ではないんですけれども、広島県には呉市というところがありまして、そこは戦艦大和をつくったところで、昔、海軍工廠があったところで、いろいろな意味で、そういう発信拠点に十分なれるものを持っているところはありますし、コンセプトは非常に重要だと思います。

 実現に向けて、地元の皆様、民間も含めて、さまざまな動きを今後もしていきたいと思いますので、ぜひともプランが出たら拝見していただければというふうに思います。

 それでは、ちょっと話をかえまして、先日の質問のときにも少しPDCAのお話に触れさせていただいたと思うんですけれども、国家戦略特区の諮問会議でそういう議論をしていただく中で、その議事録に当たるものは公開される予定はあるか、なしかということをお伺いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 諮問会議の議論でございますとか、国家戦略特区の取り組みにかかわる情報というのを開示することは、大変重要であると思っております。

 御指摘のように、特区の諮問会議の内容は原則公開として、議事要旨を公表し、一定期間経過後には議事録も公表するということにしたいと思っております。

中丸委員 済みません、ありがとうございます。

 今、原則公開というふうにおっしゃられたんですけれども、原則じゃない場合というのはどういうのを御想定されておられますか。

川本政府参考人 現時点で、具体的にこういう場合は原則でないという想定をしているわけではございません。

 当然、諮問会議の運営については、基本的な方向を基本方針で定めて、具体的なやり方については、これまでも、会議規則で定めさせていただくということを申し上げてきております。その中で、例えば個人名が出るとか、そういうことの場合にあるかもしれないということで、今、具体的にこういう場合は原則外であるということを想定しているわけではなくて、むしろ、極力公開するということで考えているところでございます。

中丸委員 ぜひとも、話の一番初めに戻るんですけれども、幅広くいい案を、いいアイデアを募集するには、なるべく自由に出てきて、それがどうなっているかというのが公開されているかどうか。

 要は、一定の、例えばコネがあったらいくんじゃないかとか、そういう臆測が出ないようにするほど自由な意見というのは非常に集まると思いますので、特にこのPDCAサイクルの評価、選定の部分、そういうところを、議事録等々で公開できるものがあれば公開していただきたいなというふうに思います。

 もう少し時間がありますので、通告していないところへちょっと入らせていただきます。

 先ほど、一つの例として広島のお話もさせていただいたんですけれども、政府からいかにお金をいただくかというものでもないと思っていまして、やはり民間の資本、資金を活用していく、民間活力を集合させる大きな磁石の核になるのがコンセプトだというふうに思います。

 そういった中で、ただ、その核になるコンセプトはあっても、例えば広島の話でいけば、広島でやろうと山口でやろうと島根でやろうと鳥取でやろうと大阪でやろうと、条件が同じであれば、実際問題、集まってこないわけです。規制緩和というのも非常に大事なんですけれども、やはりそれだけではなくて、私は、課税の特例が絶対的にこの件を進めるに当たっては必要だと考えております。

 地方公共団体が国家戦略特区内において特定事業を実施する場合に、実施主体に対して地方税を減免する場合、その他の地方税の課税の特例がある場合には、そういう当該実施主体に対して法人税の減免、その他国税の課税の特例の適用があるものになるべきだ。

 例えば固定資産税なんかもそうだと思うんですけれども、そういった配慮というのも、今現状、決まる前ということで、案件ごとにというのはあると思うんですけれども、前向きに、そういったことをぜひとも捉えてその都度御検討いただくというのは条件として必要だと我々は考えているんですけれども、新藤大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 この国家戦略特区の、まず使う手段としては、大胆な規制緩和と税制措置、これによって日本の経済の起爆剤となり得る特区をつくっていこう、こういうたてつけにさせてもらっているんです。

 今、規制緩和の方は、事務的な、まだ個別の地区が決まらないまでも、緩和できる項目は何かというのをワーキングの先生方に一生懸命やっていただきました。また、御提案いただいたものを踏まえて、我々も含めて各省折衝をやった、それが今の十八項目です。

 ただ、税制については、税は税制調査会というプロセスがございます。しかも、個別具体の、どの事業に対してどういう適用をするのかということにならないと、最終的な判断ができないんですね。ですから、今回、まず税調でしっかりと御議論いただくことが第一です。

 それから、さらに引き続いて、特区が、区域が決まった後もそういう検討がなされていく。当然、さまざまな野心的な御提案があって、それを使って成果を上げるんですから、まずそもそもの規制緩和と同様に、税制措置についても、できる限りのいろいろな取り組みができるように私どもは前向きに取り組んでいきたい、このように考えております。

中丸委員 利子補給、金融支援もあるんですけれども、やはり税制の部分というのは非常に、最終的に、特に民間投資を行う上では肝になる部分だと我々も考えていまして、いただいておるシートでは「本年末に決定。」と。本年末に決定ということは、どっちにもなる。

 今大臣の方から、前向きに検討したいという御発言があったんですけれども、別に新藤大臣がということじゃないので、言葉のあやだと思って聞いていただければいいんですけれども、特に役所関係で前向きに検討というと、どうも先延ばしというニュアンスにとれるような動きになることも多々あったりするんです。

 時間も迫ってまいりましたので、もしお願いできれば、もう少し力強く、やはり担当大臣として、本当に必要なものは積極的に推していくんだ、結果はともかくとして、積極的に推していくんだというお言葉をいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 私たちは、今度のことで、日本経済の何かの障壁をブレークスルーできるものがないのかという気持ちで進もうと思っているわけです。ですから、税制についても、さまざまな御提案があって、それを受けとめて、これは、推進担当大臣ですから、その実現方に向けてのいろいろな可能性を追求してまいりたい。それをきちんと、しかし、政府の税制を決めていく中でのプロセスの中で我々は主張していく、こういうことでございます。

柴山委員長 中丸君、質疑時間が終了いたしました。

中丸委員 はい。

 ありがとうございました。ぜひともお願いいたしたいと思います。広島の件は責任を持って持ってまいりますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅と申します。

 きょう、この国家戦略特区、日本国内はもちろん、世界がある意味注目している法案の一つだと思っております。アベノミクスの必要な成長戦略、それのための重要な法案、もう二十時間、審議時間をして、再三重なる質疑もあると思いますけれども、再度確認をさせていただく観点からの質疑をさせていただきたいと思います。

 先ほど質疑の中でも新藤大臣がおっしゃっていらっしゃった、各自治体から、民間企業の方々から募集があって注目を浴びていると。国家戦略特別区、やはり特別区ということから、特別な地域をつくって、そこにある意味インセンティブを与えて、その結果、活性化する。それは、今回の医療から農業に至るまでさまざまなものがあると思います。

 その中で、本日は、まず医療についてお聞きをしていきたいと思います。

 まず、近年、iPS細胞も始めて、こういった再生医療というものが当然注目を浴びて、成長戦略の一環となっておると思います。その中で、関西では、関西イノベーションということでさまざまな取り組みをしております。その中で、今、一つお話を伺っているのがある。例えば病床数の問題がある。

 例えば、大体九百床でお願いしている、そういった病院がある。そこに今回、例えばプラス百床ぐらい再生医療の関係の病床を持ちたい。そうすると、どうしても最大限の病床が決まっているものですから、では、九百のうち百は減らして八百にして、プラス百、これを再生医療に。そういった、ある意味、病床数をふやせないという現実はあったかと思います。

 その中で、今回は、国家戦略特区の十三条に当たると思います。病床数に関しての記述がある。こちら十三条について、どういったものか説明いただければと思います。

神田政府参考人 十三条の特例についてでございますけれども、通常、医療計画におきまして基準病床数というのを定めております。医療機関を開設、増床することによってこれを上回ることになるような場合については、公的な病院については許可をしないことができる、民間の病院については開設や増床に関して勧告をすることができるという扱いになっているわけでございますけれども、今回の特例におきましては、国家戦略特別区域会議において国家戦略特別区域計画を作成しまして、内閣総理大臣の認定を受けた場合には、病床過剰地域であっても、その計画に定められた病床数を既存の基準病床数に加えて、医療機関の開設、増床の申請を許可するという特例でございます。

山之内委員 ありがとうございます。先ほど私も申し上げたとおり、やはり基準があってもそれ以上の病床でやってもいいと。

 そういった観点から、ある意味、再生医療をする場合、私も現場の方にお聞きいたしますと、やはり個室でやらないといけない。もちろん、そういった再生医療の問題ですから、感染等あると思います。大体、個室、ワンルームが多い。そうなると、やはり面積、場所もとるわけですね。一つの部屋に何床もというわけにはいかなくて、ワンルームになる。

 そういった中で、こういった病床数をふやしていただく、こうしなければ現実に厳しいというお話は伺っております。その観点から今回は、後押しするということで十三条も加えられたものと認識しております。

 その中で、再生医療をふやしていく。もちろん、病床数がふえた。ですけれども、今、iPS細胞ではなかなか治験はされていない。数例ですけれども、例えば、体性幹細胞というんですか、自分の細胞を利用して再生医療をする、この臨床試験はある意味試し期間で進んでいる。数例はあるんですけれども、この研究費が大体一千万円から二千万円、一例とるにしても、高いとお聞きしているんですね。

 やはりどうしても、こういった高い費用だと、大学病院等、もしくは民間企業が参入してもなかなか治験の回数がふえていかないという問題がある。

 その中で、やはりこういった再生医療も治験の数をたくさんふやしていかないと、当然、実行段階といいますか、実現には至らない。例えば薬なんかも、数百件の治験をしないといけないと聞いております。その中で、再生医療も数十件の治験をしていく。そのためにも、やはり一千万円から二千万円という高いお金ではなかなか治験が進まない。

 その中で、保険外併用診療ですか、こういったものも認めていただきたい、こういった要望もあるんですけれども、こちらについてはいかがでしょうか。

神田政府参考人 例えば、御指摘にございました再生医療製品についてでございますけれども、治験の段階に至りますと、当然、今も保険外併用療養費の対象ということになっておりますけれども、治験後の特例承認という制度が今回の薬事法の改正で導入されることになっております。条件とか期限をつけて承認をするというものでございます。

 こうした条件、期限つき承認を受けた再生医療製品の具体的な取り扱いにつきましても、治験段階でもう既に評価療養としているということも踏まえまして、中央社会保険医療協議会において御議論いただくということにいたしております。

山之内委員 ありがとうございます。

 例えば、がんの重粒子線治療、こういったものに関しては、大体、今、百万円から三百万円ぐらいでしょうか、そういった費用がかかる。当然、保険は適用されて、基礎部分、入院するまでの検査だとかそういったものには補助が出ているとお聞きしております。

 この点に関して、再生医療、例えば関西でやっているのは、心筋ですね、心臓の外に筋膜のようなものを張って心臓を鼓動させる、こういったものを進めている。こういったものの基礎部分、この基礎の研究、実際入院する前のこういったものに対して、保険外併用の拡大といいますか拡張、こういったものは検討されていらっしゃいますでしょうか。

神田政府参考人 先ほど御説明させていただきました再生医療等製品ということでございますけれども、まだ臨床研究の段階、御指摘のような医療技術につきましても、一定の有効性が期待される段階で評価療養の対象になるということになっておりますので、基礎的な部分については、保険から給付をすることができるということでございます。

 それからさらに、今回の特区におきまして、世界最先端の国際医療拠点ということから、そういったところでできるだけ早く評価療養の対象にできるように、申請を待つことなく、我々も、どういった体制であれば評価が適切にできるのか、あるいはそのプロトコール、どのような計画であればその有効性が確認できるのかということも一緒に考えて、できるだけ早く評価療養の対象にできるように努力してまいりたいというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 再生医療という問題、こちらについては、先ほど申し上げたとおり、成長戦略として、特区で治験の数をふやして、可能な限り実現していっていただきたい。そういった方針で基礎部分もしていただく、随時、進めていただきたいと思っております。

 また、関西の方では、さきの総合戦略特区、こちらの方を用いていらっしゃる。こちらの結果、例えば地方税が最大ゼロとなるような地域、こういったものも、十二月ですか、始めている。法人府民税、法人事業税、不動産取得税等ですね、大阪府では。大体、日本だと、法人税の実効税率、これが三八%、アメリカだと四〇%、よく引き合いに出されるシンガポールは一七%、低いわけですね。こうしますと、この総合特区の中で大阪がやると二五・六三%、ここまで減らした。

 当然、こういった税を抑えることによって医療のそういったものを活性化する、その可能性がありまして、ただ、よく言われるのが、地方税を下げた、結果、税収が上がりました、でも結局、国税で取られてしまったら、地方税を下げた意味がないと言われる御指摘があるんですね。この御指摘に対しては、新藤大臣、どのようにお考えでしょうか。

新藤国務大臣 今の話は、関西イノベーション国際戦略総合特区、この中で、地方の法人税をゼロにする、これは既に始めているということでございます。しかし、その中で国税の方との対応が求められているというお話は私も聞いております。

 ですから、まず、この税制の特例措置は、国と地方の協議の中で、これはしっかりと御意向を踏まえて、また事業効果等を踏まえた検討がなされると私は期待をしておりますし、また、私どもとしても、そういった提案自治体の御意見も踏まえて、しっかりと検討を進めていきたい、このように考えております。

山之内委員 検討していただけると、新藤大臣の前向きな御答弁をいただきました。

 やはりそういった面、私は、こちら、前の質疑でも申し上げさせていただきましたが、どうもこの近年、近年といいますか、数時代前から東京一極集中が、これもデータ上もかなり多い。特に十五歳から三十四歳、若い世代の方々が突出して東京に一極集中になっている。

 私は、ある程度、人口というものは、住めるそこの人口密度というのは限界がある、限りがあると思っております。そういった観点から、またアベノミクスの地方への波及、経済効果の波及という観点からも、やはり地方にそういったインセンティブを与えて、成長戦略を与える、そのための特区だと思っておりますので、先ほど新藤大臣がおっしゃられたような、各特区、地域で、特別な地域、それを置くことによって活性化する、こういったものを期待します。

 その関係で、先ほどの税制の件、これも検討していただけるということですので、引き続き前向きに検討をお願いしたいと思います。

 さて、続きまして、農業の分野に移らせていただきたいと思います。

 今回、さきの質疑でも多少さわりをさせていただきましたけれども、農業、四項目といいますか、四カ所あると思います。まず、それぞれについて御説明の方をお願いしたいと思います。農業への信用保証制度の適用、これについてお答えいただけますでしょうか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 信用保証でございますけれども、現状、農業分野につきましては農業信用基金協会、商工業につきましては信用保証協会という分担になっております。この二つの協会の制度、少し違いがございまして、例えば農業分野につきましては、保証の対象になる金融機関が百七十四、平成二十四年末ですけれども、ということでございます。一方、信用保証協会の方は、全銀行、約六百ということでございます。

 それから、信用保証の保証限度額について見ますと、農業分野につきましては、個人三千万、法人五千万に対して、信用保証協会は二億ということになっております。

 したがいまして、商工業に附帯して農業をされる方からしますと、農業分野であっても信用保証協会の保証が使えますと、ふだんから取引のある金融機関から借り入れが可能であるとか、あるいは借入限度額が大きいというニーズがございます。

 ということで、今回、特区制度を活用しまして、農業分野につきましても、商工業と附帯して行う場合には信用保証協会が使えるようにするということでございます。

 ただ、農業分野につきましては、農業固有のリスクもございます。そういうことで、日本公庫の農林水産事業が持っておられます二万件以上のデータベース、作目とか地域、経営規模とそのデフォルト率に関するデータがございますので、こういったものを加味しながら制度設計をしてまいりたいと思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 農業の信用保証制度、そういったものは昭和三十六年からあると聞いております。古くからあり、多くの農協系金融機関、そういったものから融資されている。

 今回、一個あったものが二つできる。具体的な例で言いますと、今まで、例えば建設業の方々、株式会社の方々が農業に参入する。つき合いで、いわゆる一般の民間金融機関からあった、その融資をする際の保証、これは、今、農業の保証制度ではなかなか適用されなかったので、中小企業、こちらの新しくできる信用保証協会からできれば、しやすいんじゃないか、それも、農業を強く推進していこう、そういった観点からのものであると理解してよろしいでしょうか。

横田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりだと認識しております。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほども、額を大体おっしゃっていただきました。今までの中小企業ですと、担保ありで二億円、無担保で八千万円、合計二億八千万円ぐらいですが、具体的には、平均は二千万円ぐらいの保証が多い、こういったものであると思います。

 いずれにしろ、こういったものを活用して、実際に農業を、当然、今の攻めの農業ということで、強く世界に発信していく、農畜産物を世界に輸出していく、四千五百億円あったものを一兆円にしていく。そういった中において、ある意味、小さな中小企業のようなところが積極的に農業もしやすいような仕組みをつくっていくということだと思います。

 続きまして、農家レストランでございます。

 こちらの農家レストランは、六次産業化を進める、そのための設置、地目が田んぼや畑のところでもレストランができるということでございますが、こちらの点について改めて御説明をよろしいでしょうか、お願いいたします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 市町村が農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして指定いたします農用地区域内の農地につきましては、集団的な農地といった優良農用地でありますことから、農地転用が原則禁止されております。例外的に、農業用施設であれば設置できるというようなことにされております。

 現在、この農業用施設には、牛舎などの畜舎、温室、農産物の集出荷施設、あるいは農業者が主としてみずから生産する農畜産物を原材料として使用する加工施設などが該当しておりますが、農家レストランは該当いたしておりません。

 今回、国家戦略特区の提案募集におきまして、東海地域ですとか新潟市などから、六次産業化を一層促進するために、農家レストランについても、この農業用施設として農用地区域内で設置できるようにすることについての御提案がございました。

 これを受けまして、農業者が六次産業化に取り組むために設置する農家レストランにつきまして、国家戦略特区におきまして農業用施設として位置づけまして、農業者が開く農家レストランについて、地域で生産される農畜産物、あるいはそれを原材料として製造、加工したもの、こういったものを提供するような農家レストランにつきまして、農業者が農用地区域内に設置できるように要件を緩和するということとしたところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 ここでは、農業者が設置するもの、また、ある程度の地域内ということがポイントだと思います。ですので、農業者外の方がそういったレストランをすることはできないという御認識でよろしいでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもも、御指摘いただいたような認識でございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 また、この大体の地域内ということなんです、地域内。例えば、都道府県をまたがって、これも、どこまでその地域とするのかというところなんですけれども、県境をまたいで、近隣だけれども大体隣の県、そちらの方が国道があって、私はA県の農業者、でもB県の方、もうすぐ、車で五分だけれども、そちらの方に国道があって、そちらも地目が田んぼ、畑、そういったものがある。こういった場合、当然こちらは特区ですので、それが隣接していればですけれども、そういった、またぐとか、地域内というのはどの程度の範囲を想定されていらっしゃいますでしょうか。

佐藤政府参考人 お尋ねの地域内の範囲でございますけれども、私ども、地域といたしましては、同じ市町村のエリアということを考えてございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 では、続きまして、こちら、生産法人ですね。農業生産法人の要件の緩和というところでございます。農業生産法人の六次産業化推進等のための要件緩和があると思います。こちらについて、具体的に説明の方をよろしくお願いいたします。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 国家戦略特別区域における農業生産法人の要件緩和につきましてでございますけれども、農業生産法人の六次産業化を推進する観点から、農業生産法人の農作業に従事する役員の数に関する要件の特例を設けるものでございます。

 具体的には、現行の役員要件では、役員の過半が農業の常時従事者であり、さらにその過半が農作業に従事することが必要でございますけれども、国家戦略特別区域におきましては、農業の常時従事役員のうち、一人以上が農作業に従事すればよいということにするものでございます。

 これによりまして、例えば、役員が十人いる場合は、現行では、その過半の六人以上が農業の常時従事者で、さらに過半の四人以上が農作業に従事する必要がございますけれども、国家戦略特別区域におきましては、常時従事役員六人以上のうち、一人以上が農作業に従事すればよいということになるわけでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 十人の例、今までであれば、十人のうち六人が農業従事者の方々、そういった要件が緩和していく。こうなりますと、特に、農業生産法人で今までの役員の規定は、役員の過半が農業の常時従事者であること等とあったと思います。この「等」は農作業ということだと思うんですけれども、こういったものも緩和されて、ある意味、一、二、三、足して六次産業の推進のためにこういった農業生産法人の要件を緩和する、こういった趣旨でよろしいでしょうか。

岡田政府参考人 おっしゃるとおり、六次産業化の推進に資するということでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 あとは、そもそもあった農業委員会の市町村との事務分担、こういったことになると思いますが、こちらについて、改めて趣旨の方の説明をよろしくお願いいたします。

岡田政府参考人 お答えいたします。

 国家戦略特別区域法の第十八条でございますが、農地の流動化を促進する観点から、農業委員会と市町村の事務分担に関する特例を設けるものでございます。

 具体的には、国家戦略特別区域内の市町村長と農業委員会とが、農業委員会が行う農地の権利移動の許可事務を市町村が分担することに合意した場合に、合意の範囲内で市町村が当該許可関係事務を行うということにするものでございます。

 その効果といたしまして、農業委員会が農地のあっせん、遊休農地の解消等に注力することができ、地域の農地の流動化が円滑に進むことが見込まれるということでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 こちら、四点説明していただきましたけれども、当然、今農業の分野は、先ほど申しましたとおり、こちらも書類がありますが、食文化、食産業のグローバル展開、こういった趣旨で取り組んでいく。日本の食文化の普及に取り組みつつ、日本の食産業の海外展開と日本の農水産物の輸出促進、今後十年間で三百四十兆円から六百八十兆円に倍増、その中でその食市場を獲得していく。当然、各項目に分かれて、例えば水産物だったら、EUだとかロシア、こちらにやっていこう、これを一千七百億円から三千五百億円に上げていこう。加工食品だったら、これも、中国、中東、そういったものに対して、一千三百億円の加工品を五千億円にしよう。こういった資料をいただいております。

 当然、私どもとしても、これは強く後押しをして形にしないといけないと思っております。やはり、私も地元、鹿児島ではございますが、地元の農家、若い世代の方々と話すとどうしても言われるのが、そっちの方針で自分たちもしたい、でも、できない、やり方がわからないと。当然わかる方もいて、その方々は、積極的に海外展開をする、もしくは国内での販路を拡大していっている。

 ただ、この四千五百億円から一兆円にするということは、ある意味、わかっている方だけでなくて、わからない方にどのような方法で推進させるのか。ある意味、ボウリングでいう、よく、センターピンを倒すとどっと倒れていくような、そういったものにしなければいけないと思っております。

 その中で、今回の国家戦略特区、新藤大臣も、まだこれで全てではない、これをどんどん検討していく、そういった考えがあられると伺っております。

 手元に、産業競争力会議、この中の第六回で、例えば、農業の拠点特区の創設、こういったものがある。農業の強化に取り組もうとする農家をバックアップ、例えば、輸出シフトを条件として規制制度の特例措置を設けるとあります。

 私も、先ほど申し上げた四つの件、これは六次産業化を強く進めるということで問題はないんですけれども、ただ、先ほど申し上げたとおり、食文化のグローバル展開、こういったものに関しては、いささかまだ足りないのかなと思っております。

 その点で、産業競争力会議でもあられた、こういった農業拠点特区、もしくは、農業版エンジェル税制の導入、税制、金融上の支援措置。例えば、沖縄に輸出農業の中継基地、アジアへの輸出農業の中継基地とすべく、アジア各国の検疫担当官の常駐などにより、夜のうちに日本各地から空輸し、朝にはアジアの主要都市の市場に並ぶ環境を実現。こういった文章もあります。

 こういった点に関して、新藤大臣、所見をお願いいたします。

新藤国務大臣 これは今、農水省も、国家戦略として、農業の活性化、六次産業化、それを進めていこう、また、農業というのは日本の原点でありますから、これを必ず守り育てていく、こういう観点でさまざまな取り組みがなされております。

 今、農水省では、攻めの農業ということで、新しい分野にも展開していこうということであります。ですから、それをまず特区で、食の特区としてつくってみようではないか、こういう御提案もあるわけでありまして、これから、国家戦略特区にそれがコンセプトとして採用されるかどうかは今後のことになりますけれども、いずれにしても、国として取り組まなければいけない重要課題であると思うんです。

 いろいろな工夫ができると思います。私ども総務省では、特区ではありませんが、今、これから予算要求をしていきますけれども、たくみのわざ、ベテランの農業者のいろいろな動作や作業、こういうものをコンピューターでモニタリングしてデータ化する。それを今度、別の場所で、まだそれほど熟練していない農業者のところで、その装置を取りつけてベテランと同じような生育ができるかどうか、こういう実験を始めよう。

 それから、そもそも、どこでつくったものがどのような流通経路をたどって人気商品となって売れたのか、このトレーサビリティーがよくわかっていないんですね。これをトータルでデータベース化しよう。

 こういう中で、私どもとしても、ICTというコンピューティングを使って、農業に新しい工夫ができないかとか、さまざまな検討がなされております。バイオもしかりだと思います。

 ですから、合わせわざでやっていかなくてはならない。国家戦略特区のみで解決できるものではありませんが、これらも含めて、総合的に、ぜひ、日本のこれだけの、安全でおいしい、そういうすばらしい農業をもっと拡大できるように取り組みたい、このように思っております。

柴山委員長 山之内君、質疑時間が終了いたしました。

山之内委員 時間が終了いたしました。

 先ほど大臣もおっしゃられたとおり、もちろん、特区でなじむものとそうでないものがある。やはり、特区の肝は、今後決定され得る税制の問題だと思っております。税制を使って、税制の改正を利用してインセンティブを与える。農業も、特区でやるかは別にしても、いずれにしろ、先ほど言われたように、農畜産物、加工するにしろ、売れるものでないといけない。そういった結果、売れるものをどうやって促進していくか、その仕組みをどうしていくか。

 今回、国家戦略特区は終わりますけれども、引き続き税制の方も検討していただいて、積極的に成長戦略としていただきたいと思います。

 以上をもちまして、質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

柴山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。よろしくお願いいたします。

 引き続きまして、国家戦略特区につきまして質問をさせていただきます。

 前回のときも税制のことについて質問をさせていただいたんですけれども、年末をめどに検討されるということだったんですけれども、やはりここの部分、もう少し踏み込んでお聞きをしてまいりたいと思います。

 もう既に行っております国際戦略総合特区などで、地方税を減免しているような、そういう都市がございます。例えば大阪府、市では、今もう既に地方税をゼロという形にしています。今回、国家戦略特区の中で税制を規制改革という形にしていただけるのでしたら、ぜひ、頑張っている地方に対しては国も応援をしていただくというような形の税の改革をしていきたいなというふうに考えております。

 そこで、例えば、今大阪がやっているみたいに、地方税がゼロのエリアに対しては国も法人税をゼロという形、そういう適用ができる可能性があるのかどうかをまず最初にお聞きしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、現在、年末の税制改正大綱の決定に向けて作業を進めているところでございますが、国家戦略特区に係る税制については、地方公共団体、民間などから、非常に多数の御提案をいただいております。例示に挙がっておりました大阪府、市も、法人税の話、それから試験研究費の関係とか、さまざまな税制改正の要望をいただいております。

 そういったもの、これは各公共団体からいただいておりますさまざまな御要望というものを踏まえながら、全体として、特区をつくった場合に、民間投資を促進してプロジェクトが推進できるように、そのために何が必要なのか、これは規制緩和とパラレルになるわけでございます。そういったものに対応して、規制緩和に対応してどういうことが必要になるのかというのを、今精査して、年末の大綱の決定に向けて調整しているところでございます。

杉田委員 地方税の部分とそれから法人税の関係なんですけれども、例えば、大阪が地方税をゼロにしているのに、軽減額が法人税の課税対象となれば、その軽減効果というのが減殺されてしまうということになってしまいます。これが非常に不合理なのではないかというようなことで地方の方から声が上がっているんですけれども、この軽減額について、法人税の所得不算入の取り扱いが妥当ではないかというような声も実は地元の方から上がっております。

 ですので、大阪のようにゼロとかになっていないにしても、地方税を、例えばほかの特区のところで減免をしていたり、減税をしていたりとかするところに対しての法人税の課税対象というものについては、何か検討されていらっしゃることはございますか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、地方税を減免している際に国税の扱いについてどうしてくれという御提案、これは大阪の方からあったわけではございます。

 もちろん、まず、国家戦略特区の指定そのものは、法案の成立後に、国家戦略特区の諮問会議において、どういうプロジェクトを行うのかという御検討をいただいて、それを実施するにふさわしい区域の選定を行うということにしておりますので、現時点で大阪など特定の地域が決まっているということではないということは御承知おきをいただきたいと思います。

 その上で、先ほども触れましたように、国家戦略特区にかかわる税制ということでは、この大阪のお話も含めまして、非常に幅広い、いろいろな税制の御要望をいただいております。これまで余り日本では導入していないような税制の御要望もいただいておりまして、そういったものも含めて検討しているということで御理解をいただきたいと思います。

杉田委員 今までの特区、例えば、今、大阪府、市が取り組んでおります国際戦略総合特区などは、ずっと大臣の方も説明をしていただいていますように、これまではずっと地方の手挙げ方式だったんですよね。地方が提案をしていった。その中で、地方が頑張って、地方税を下げるということにしておりますので、今回は、ずっとおっしゃっていらっしゃいますように、その地方の提案に対して国が主導権を持って行う国家戦略特区ですから、今度は国税の方でもぜひ大胆な改革をしていただきたいな、規制改革をしていただきたいなというふうに思います。

 それから、先ほど、余り国内では取り組んでいない税制に対してのというふうに答弁があったんですけれども、パテントボックス税制についてお尋ねをしたいと思います。

 今、知的財産によって稼ぐ仕組みというのが、日本は比較的、他国に比べておくれをとっている、そういう部分があると思うんです。今回は、国家戦略特区の中に、医療の規制改革というものが入ってきております。この医療分野というのは、特許などによる収入が莫大である、そういう分野であります。

 ですので、特区の中で、特許権などの知的財産から生じた所得について、分離課税として優遇税制をとって、グローバル企業の研究開発機能や、また、そういった企業の本社機能を特区内に誘致できるような形に持っていければというふうに思うんですけれども、このパテントボックス税制、海外ではもう取り組んでいる例があるんですけれども、日本はまだこの部分の例がない。ぜひこれを、今度始まります国家戦略特区の中で取り組んでいただきたいと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 パテントボックス税制、今御指摘のように、知的財産の使用等により得られました所得を、その部分について優遇税制を適用するとか所得の控除をするという仕組みでございまして、海外では取り入れている国もあるというのも事実でございます。

 こういった御提案もいただいておりますが、国家戦略特区について、これから特区を決めて、その特区の中で取り組むプロジェクトを決める、そのプロジェクトの中でどういった企業が参画して、どういった事業を進めていくのかというのを決めていくことが恐らく必要になります。

 このパテントボックス税制という議論をするに際しても、具体的な事業のイメージがかなり必要になっていまして、当然、私ども、今回の提案募集の中でも御提案があったものですから、俎上に上げております。具体的にどういう事業を対象にして、どういうことをやるのかというのを、これは絞り込みとあわせて検討していかなきゃいかぬ課題かなというふうに思っております。

杉田委員 注目されております医療の分野も当然ではございますけれども、研究開発、これは今、日本の企業が製造業の方でも行き詰まっている。特許だとかそういうふうなところに、意欲的に先進技術に対して取り組むような形がとれるように、ぜひ、まずは特区の中で取り組んでいただける、そういった形をとっていただきたいなというふうに思います。

 いずれにせよ、この税制措置というのは、トップダウンで早急に示していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 続きましては、雇用の方について質問をさせていただきたいと思います。

 国家戦略特区の中では、特に世界じゅうから企業や人材を呼び込むということが大切になってまいりますので、特区内に非常に能力の高い人材を集めて、それがまた企業の立地につながるような規制緩和を行っていかなくてはいけないというふうに思います。

 その中で、示していただいてある方針の中に、相談センターを設置するというような形の記述があります。

 この相談センターというのが、本当に企業や人材にとってメリットのある形になるのかどうか。そしてまた、相談センターというのは、別に特区の中にだけある必要があるものではないと思います。ほかのところでもあってもいいようなものだと思うんです。

 今回、大胆に雇用に関する規制緩和を行った場合に、何かトラブルがあったりとかしたようなときに相談センターを設けるということが趣旨だと思うんですけれども、そういうことで、相談センターがどのように企業などのメリットになっていくのか。また、そういうふうなものを設置することによって、特区に人材や企業が集まってくるのかどうか。そのあたりのあり方についてお答えいただければと思います。

大西政府参考人 雇用労働相談センターにつきましての御質問がございました。

 国家戦略特区、先生御指摘のとおり、成長戦略の重要な柱で、我が国の経済発展ということについて何が必要かという視点から、あるいはまた、同時に、労働者が安心して働き、意欲や能力を発揮できるという、そういった観点も踏まえながらいろいろと協議を重ねた結果、このような法案になったわけでございます。

 今御指摘の相談センターにつきましては、特に、海外から日本に進出してこようとしている企業とか、あるいは新規開業直後の企業につきまして、やはり我が国の雇用ルールがわかりにくいというような声があったと思います。そこをぜひ明確化してほしいというのが今回の内容でございます。

 具体的に申しますと、裁判例で雇用のルールがあるわけでございますけれども、そういうのを分析、類型化して雇用ガイドラインをつくる。法案では「雇用指針」と書いてありますけれども、雇用ガイドラインをつくる。それを活用して、個別労働関係紛争の未然防止とか、予見可能性の向上を図るということでございます。

 また、御指摘の雇用労働相談センターにつきましては、特区の中に設置するわけでございますけれども、グローバル企業などからの要請に応じまして、雇用管理や労働契約事項、日本がどうなっているかというのを、そういう雇用ガイドラインに沿っているかどうかということを、具体的事例に即した相談、助言サービスを進出の事前段階から実施する、こういうような内容でございます。

 こういうことで、相談センターにおきまして専門的できめ細かいサービスを実施することによりまして、こうしたグローバル企業などが紛争に巻き込まれることなく事業展開できるというようなことでございまして、新規開業直後の企業や海外から進出してくる企業等が優秀な人材を確保して、また、従業員も意欲と能力を発揮していただく、そういうようなことにしてまいりたいというぐあいに考えております。

杉田委員 ありがとうございました。

 雇用労働相談センターなんですけれども、これが特区内にできるということなんですが、一つ御質問したいのが、例えば有期雇用、これは特区でも取り組むと書いてありますけれども、これはそもそも全国展開を予想してやっていかれるということなんですけれども、有期雇用を運用とかするときなんかも、やはり企業なんかはいろいろ疑問点が出てきたり、そういったようなことが出てくると思うんです。

 先ほど申し上げたように、こういったきちっとガイドラインが示されてという形になれば、雇用労働相談センターみたいなものも全国にできればいいんじゃないかなと私は思うんですけれども、今回、特区の中にできるというような構想になっておりますが、例えば、この有期雇用とかが、特区ができて、それに伴って全国展開されたときに、特区の外にある企業だとか外の方々がこの相談センターを利用することはできるのでしょうか。

大西政府参考人 委員御指摘のように、有期雇用の特例に関しましては、全国的な措置として措置するということで、この法案附則二条に盛り込まれたところでございます。

 それと、最初に御質問いただきました雇用労働相談センターでございますが、今の法律の中ではこの特区の中に設置するというぐあいに書かれておりますので、当面、特区の中に設置されるものだと思います。

 雇用ガイドラインと申しますか、雇用指針の方につきましては、いろいろな裁判例の分析、類型化ということでございますので、こちらの方につきましても、特区の外で利用できないということではないと思いますので、それは行政サービスとして、どのような範囲で提供できるかにつきましては今後検討してまいりたいというぐあいに考えております。

杉田委員 有期雇用の問題なんですけれども、私は、自分の中の常に思っております持論で、官も民もこういう有期雇用とかをどんどん取り入れていって、もっともっと人材が流動化することによって日本を人材という面で活性化していくことが可能なのではないかというふうにいつも考えておるんですけれども、この有期雇用、私は本当に全国展開を早くしていただきたいと思っておるんですけれども、これは特区に限って有期雇用の特例というような形で、先に特区の中で取り組んでいかれる場合に、やはり大学とか研究機関の専門職員などの優秀な人材が十二分に活躍できるような形にしていただきたいと思うんです。

 よくあるのが、例えば、この資格を持っている人に限っては有期雇用が可能ですとか、いろいろな要件をかぶせてくるという可能性が予見されるんですけれども、できればそういった資格制限とかをかけないで、どの分野でもこういった有期雇用というものが取り入れられるような形、それをぜひ特区でやっていただきたいというふうに思うんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

大西政府参考人 御指摘の有期雇用につきましては、この法案の附則第二条で、特区に限らず全国的にやっていこうということで盛り込まれたところでございます。

 御指摘の、高度専門職で比較的高収入な労働者などを対象にというようなことになっておりまして、そういった方々に無期転換申込権が発生するまでの期間のあり方とか、あるいはその際に労働契約が適切に行われるために必要な措置等などについて検討するということになっておるわけでございます。

 具体的な検討の中身につきましては、やはり労使が参画する労働政策審議会で検討するということだと考えておるところでございますが、御指摘の特例対象者の範囲のあり方についても、この法律の中身にのっとりまして、非常に実効ある制度となるようしっかり検討してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

杉田委員 御答弁の中にもございました、「「高度な専門的知識等を有している者」で「比較的高収入を得ている者」などを対象に、」とあるんですけれども、ここが非常に抽象的で、もし実際にこれが運用されるときには、例えばこんな資格を持っている人でとかというような縛り方がされるんじゃないかなという懸念があるという意味だったんですけれども、そこのところ、できれば、そういう高度な知識を有している方とか比較的高収入の方とかだけではなくても、さまざまな分野において有期雇用というのは活用していく、いろいろな視点で活用というのは可能だと思いますので、例えばそれが全国展開するときの視点が先ほどおっしゃったような視点であったとしても、特区の中ではもう一歩進んでその枠を外していただくような、そういった特区であってほしいなということを要望いたします。

 もう一つ、労働の分野のことなんですけれども、労働時間の規制緩和なんですけれども、今回、これが特区の中では見送られているように思うんですね。やはり、日本だけではなくて海外からも優秀な人材をこの特区には呼び込んでこないといけないと思うんです。その中で、やはり高度人材にふさわしい、成果主義を踏まえた自由な働き方を保障する、そういう制度が特区には必要なのではないかというふうに思うんですけれども、そのあたりはどうでしょう。今回は盛り込まれていないんですけれども、今後の検討の中で、もしくは国が主導的にやっていただける中で、こういった労働時間の緩和といったことはどのように取り組んでいかれる予定になっておりますでしょうか。

大西政府参考人 労働時間法制にかかわる御質問だったと思います。

 成果主義を踏まえた自由な働き方ということでございますけれども、現在、労働時間制度につきましては、いろいろな、例えば企画業務型裁量労働制などの裁量労働制や、あるいはフレックスタイムなどの、こういった弾力的な労働時間制度というのは設けてきたところでございます。

 現在、こういった弾力的な労働時間制度で対象になっている労働者の方は六割弱ぐらいいらっしゃるのではないのかなというぐあいに考えておりまして、そういう方々は、そういった中で非常に意欲を持って能力を発揮していただいているというぐあいに考えているところでございます。

 今回、法案の中には労働時間の関係は盛り込んでおらないところなんでございますけれども、先ほど申し上げました弾力的な労働時間制度の中で、例えば企画業務型裁量労働制とかそういったものにつきましては、この労働時間法制を今後どうするかというのを労働政策審議会で議論している、実は九月から検討を始めているというようなところでございまして、そういった中で検討を進めてまいるということになろうかと思います。

杉田委員 この労働時間の問題というのは非常に難しい問題だと思うんですね。

 私もきのうちょっと違う委員会で質疑をさせていただいたときに、私が質問に立つ前の質疑者の方とは全然百八十度違うことを言いましたので、それに対して大臣の方は、その前の方にもきちっと質問に対しての答弁をしないといけませんし、また私の言うことに対しても、それに対してちゃんと質疑をしないといけないという形になりますから、この労働時間のことに関しましても、いや、特区であったとしても、労働時間とかというものはきちっと守っていかなくてはいけない、これを取っ払ってはいけないという考えの方もいらっしゃいますし、特区なんだから、まずやってみてということでやってみるんだから、特区ではそのぐらいの緩和は当然やってくださいというような意見もあって、いろいろ大変だと思うんですけれども、ぜひいろいろとそのあたりの調整を図っていただきまして、日本が世界一ビジネスしやすい国になるという目標がありますので、そのあたりを勘案して、ぜひ大胆な、こういった労働時間の規制緩和にも取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 そうしましたら、次の質問に参りたいと思います。

 都市環境の面なんですけれども、ビジネス環境世界一を目指すということで、もうずっとこのことでいろいろな方が質問していらっしゃると思うんですけれども、世界で一番ビジネスしやすい環境にするということは、私は、これは言いかえれば、ビジネス環境の国際化ではないかと思うんです。

 ほかの国の人たちが入ってくる、だから、先ほどから申し上げておりますけれども、雇用の制度もやはり国際化、ほかの国の基準に合わせていく。それから、コーポレートガバナンスなんかも国際化をしていかなくちゃいけない。また、大学の国際化。今回、教育の分野も特区の中には含まれておりますから、こういった視点でいろいろと見ていっていただく必要があると思います。

 そういう視点で見ていくと、このビジネス環境世界一を目指す、国際化していく都市というのに当たりまして、今回出していただいているメニューというのが、やはりなかなかこの水準には達していないように感じるんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、国家戦略特区、日本の経済社会の風景を変えるような大規模な規制制度改革を実行する、これによって世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出しようということを目的といたしているものでございます。

 町づくりの関係、都市計画の関係で今回措置した事項でございますが、居住環境を含めて、世界と戦える国際都市の形成という観点から、地方公共団体や民間から御提案のあったもの、これをもとにして、これまでできなかった改革事項を盛り込んだものでございます。都市計画を実情、国と地方と民間の入った特区の会議で決めていこうでありますとか、今までなかった取り組みができたものだというふうに考えております。

 もちろん、こういった取り組みに加えまして、今後、事業を具体化していく過程では、さらに必要な規制改革というのは必ず出てくると思っております。この事業の具体化に即して、特に町づくりの分野ということになりますと、これは現場サイドのお話というのは大変多くなろうと思っております。そういった声を受けとめて、追加的な対応というものも当然やっていかなきゃいかぬ、このように考えております。

杉田委員 そういった国際化していくビジネス環境の中に、一つちょっと御紹介しておきたいのが、やはり、データの活用ということについても、今世界ではさまざまな利便性というのが図られているんですけれども、日本はまだまだの部分があります。普通の企業がビッグデータとかオープンデータとかの利活用を積極的に行えるような、そういった取り組みをぜひ特区の中でやっていただきたい。

 個別の自治体なんかでは、もう既にビッグデータ、オープンデータを使って、住民の方や、それぞれの企業の方と、公を担うのは今は自治体だけではないということで、そういった分野に対してもいろいろ、ビッグデータ、オープンデータを活用して、住民を巻き込んでさまざまな施策を行っているような先進自治体も日本の中にもありますので、これがぜひ特区の中で、普通に企業なんかも入っていただいてしていただく。そのためにはやはり規制緩和していただかないといけない。なかなか、個人保護法なんかとのバッティングなんかも出てくる部分があると思うんですけれども、その部分に関してもしっかり進めていっていただけたらなというふうに思います。

 都市の環境のことについて、もう一点お尋ねしたいことがございます。それが、交通、都市インフラの問題です。

 これは、多分、当初、この国家戦略特区というものを検討を始めたときには入っていた内容ではないかというふうに思いますが、今回、提案の中で上がってきています項目の中には、インフラの競争力強化というところに全く踏み込んでいないように思うんですけれども、そのあたりは何か理由があるのでしょうか。

川本政府参考人 御指摘のように、今回の規制改革事項の中に交通インフラ関係、その改善という事項は盛り込まれておりません。

 これは、先ほど来御説明しておりますように、今回の規制改革事項、国家戦略特区の制度設計に当たって、地方、民間にいろいろアイデアの募集をいたしました。いろいろな御提案をいただきました。その中で特に、これまで手のつかなかった事項、早急にやらなかった事項というのをワーキンググループの中で絞り込んでいただきまして、それで必要な事項ということで取りまとめたものでございます。

 もちろん、これまでも申し上げておりますとおり、実際に町づくり、都市環境ということで御指摘のように事業を進めていくことになれば、都市インフラあるいは交通インフラの改善というのは課題になると思っておりまして、必要な規制改革事項があればそれをさらに盛り込んでいく、これは、具体的に、現地に即してやっていくということが必要になるのではないかと思っております。

 また、国としても、特区が仮に指定になった場合には、その目的に資するプロジェクトということであれば、交通インフラあるいは都市インフラの改善に資するような事業については積極的に取り組んでいく、そういうことになろうかと思っております。

杉田委員 やはり、世界一ビジネスしやすい環境にしていくということは、日本の中で都市間競争をするわけではなくて、世界のほかの国々の都市と都市間競争をしていかなければいけない。ずっとこの質疑を続けている中で、今一番はシンガポールでとか、香港とか、そういう名前が挙がってきていますけれども、そういうところと比べて日本がビジネスしやすいというような状況に持っていかなくてはいけないと思うんですね。やはり、そう見たときに、交通インフラというのは非常に必要な問題だというふうに感じております。

 まず挙げられるのは、私は空港ではないかと思うんですね。ハブ空港という形で、アジアなんかにも、もうどんどん日本が負けていってしまっているんです。それは、まさしく規制があるからであって、私も、関西ですので、地元の関空はよく利用しますけれども、設備は大変すばらしいと思うんですけれども、本数だとか便数だとか、そこに就航している国際線の、それぞれのほかの国の航空会社とかの数が圧倒的に違うんですよ。やはり、シンガポールだとか、韓国とかの空港にも抜かれてしまっていて、もうなかなか、今、関空から直通でそこの国に行けないので、ソウルを経由して行かなくてはいけないとかというのがどんどんふえていまして。

 ふえていましてというのは、昔は行けていたんですよ、関空ができたばかりのときは。でも、今はそうやって、ソウルなりを経由しないとその目的地の国に行けなくなってしまっている。ということは、競争に負けていっている状態だと思うんですね。

 ここの部分こそ本当に規制を緩和して、例えば二十四時間発着を可能にするとか、もう少し便数とかを考えて、ほかのところも利用がしやすくなる、海外の航空会社なんかも利用がしやすくなるといったふうなことをどんどん広げていかないといけないというふうに思うんです。

 先ほどの御答弁にもございましたとおり、これは個別具体な事例が挙がってこないと、なかなかどこの部分をどのように規制を外すかというようなことが具体的には挙がってこないというふうな御答弁だったんですけれども、そこをちょっともう一回突っ込んでお聞きしたいんです。

 もし個別具体に上がってきた場合には、今回、ここの項目の中には都市インフラの競争力強化については挙がっておりませんけれども、ここは重点項目として、そして国が主導権を持って取り組んでいただける、そういう覚悟で特区というものを前向きに捉えていただいているのかどうか、ここの部分をきっちりやっていただけるのかどうか、御答弁をお願いしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、特区を具体化していく中で、交通インフラに係る規制緩和項目というものが出てくることは当然ございますし、それからまた、事業的なものもあるんだろうと思っております。

 そういったものも含めまして、特区において想定しているプロジェクトというものがうまく立ち上がってうまく進んでいくようにするというのが一番重要で、そのために必要な項目というのは、特区の会議、国、地方、民間が入る会議の中で出てきたものというのは、これはぜひ受けとめて、しっかり進めてまいりたいと思っております。

杉田委員 今、航空というのを例に挙げてお話をさせていただきましたが、港湾、多分、海の方からの力、港の力というのも日本はどんどん競争に負けていっていると思います。

 せっかく日本は島国なわけですから、やはり港湾の競争力を上げていくというようなことも私は必要なのではないか。そのためには、統合していくことも必要でしょうし、さまざまな規制を外していっていただくということが必要となってくると思いますので、そちらの、空からのルートも海からのルートも、また、そういう方々が国内に来られてからも移動がしやすいという交通インフラの部分をしっかりと考えていっていただきたいというふうに思います。

 それで、ちょっとこの交通インフラの問題から離れまして、今後、具体化していく中でぜひお願いしていきたい事項というものについて質問をさせていただきたいと思います。

 今までも特区というのがございました。その特区の中に、やはり、今までの特区も規制緩和をするということが目的で構造改革特区、総合特区というものが存在していたわけなんですけれども、過去の特区の中でも、本来の目的は規制緩和であるのに、過度の要件を加えたために全然実行できなかったというようなケースがあると思うんですね。

 例えば、株式会社で病院をやるというような形の特区がございました。これは、私、普通にぱっと聞くと、ああ、普通のそこにある総合病院のようなものを株式会社が運営するんだろうなというようなイメージを抱くんですけれども、そうはいいながら、やはり、一般病院じゃなかったんですね。

 要件がいろいろございまして、株式会社が運営できる病院というのは、高度な医療を提供する病院というふうに限られてしまっていた。また、自由診療を行う病院というような形に限られてしまっていた。だから、結局、経済的に成り立つことができなくて、その特区の中でも実際にそれを運営できた株式会社の事例はたった一件だったということで、そのたった一件のところも、もう平成二十三年の六月から診療行為はストップしてしまっているそうなんですね。

 だから、割と、病院を株式会社が運営できるようになるとなると、すごく住民の方々の期待は大きいと思うんですよ。サービスも向上するだろうし、いろいろ今までだめだった部分もスピード化されたりとかいろいろするだろうしというようなことが期待されると思うんですが、本当にこれは、株式会社病院特区、期待倒れに終わってしまったと言わざるを得ないと思うんですね。

 それからもう一つ、特別養護老人ホームが、これもまた株式会社が運営できるというような特区の申請があったかと思うんですけれども、これも、では、株式会社が参入してサービスのいい特別養護老人ホームができるんだと期待しましたところ、特別養護老人ホームの入所定員総数が、そこの区域、例えば都道府県とかの老人福祉計画における特別養護老人ホームの必要入所定員総数を下回る場合にしか株式会社は運営できないとなっていたんです。

 今の世の中、これだけ高齢化が進んで、老人の方がふえています。特別養護老人ホームを必要としている方がふえているから、だから、多分株式会社も参入させようということになっていたんですけれども、それが、都道府県の計画を下回る総数しかなかった場合にしか株式会社の特別養護老人ホームは参入できないということになっていたんです。結局、この特区、そういうふうな形の提案が上がったにもかかわらず、一件も実現していないというのが今の状況なんですね。

 このように、せっかく規制緩和のために、特区という形で、さあ、やりますよとなったんですが、そこのところに過度な要件を加える、どこから圧力がかかったのか、やはりこの規制は取っ払えないというふうに、省庁がそういう判断をしたのかわからないですけれども、そういった過度な要件が加わって、実効性がなくなってしまった特区というのが過去にあったと思うんですけれども、今回、この国家戦略特区というものを検討するときに、過去のそういった失敗事例というのは検証されたんでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のように、今御指摘のあった二件は、構造改革特区で平成十五年に提案があって措置をしたものだというふうに理解をいたしております。

 これら構造改革特区についての特例措置について、これは公共団体から御要望があって、御要望を受ける形で要件をつけて、こういう要件でやっていただくというふうに決めたんですけれども、御指摘のように、要件のつけ方がどうも現実に即していなかった、その結果として、実例がほとんど出てこなかったという事例、確かにございます。

 そういったことにならないように、私ども国家戦略特区では取り組まなきゃいかぬと思っておりまして、したがって、地方、民間からの御提案も、特区の中でどういうプロジェクトをやるのか、その事業をやるために、プロジェクトをやるためにどういう規制改革が必要なのかという御提案をいただく。いわば規制改革だけがふわっとあるんじゃなくて、地に足のついた事業の推進のために必要な改革をちゃんとやるんだということで提案の募集をしたところでございます。

 実際に、法案の成立後に、この法律の運用に当たりましても、特区の指定後に特区会議を置いて、その会議で、民間側から、事業を推進するためにはこういうことが必要だということをまた言っていただいて、それに応じて規制緩和等を追加するということを考えておりまして、とにかく事業がうまく動くように、実際に実現できるように、規制改革が適用されるようにしてまいりたい、このように考えております。

杉田委員 先ほど例に出させていただきました、株式会社が病院を運営するという特区について、ここに報告書とかもあるんですけれども、結局、そこのところでそういった過度な要件を課したがために一件しかなかったんですけれども、これはまた普通に形どおりにのっとって、その特区の評価というのをしているんですよね。

 その評価というのは何かというと、それは、特区というのをやると、これが全国的に広げていけるかどうかということをちゃんと評価しないといけないということになっておりますので、この病院の特区についても、その評価までちゃんと行われていまして、その結果、たった一件しかないので、これが成り立っているのが規制緩和によって成り立っているのか、それともそこの会社の企業努力によって成り立っているのかわからないので、全国化には適さないという結果になっているんですね。

 だから、そういうふうな形で要件が過度になって、最後までそういう結果で、結局、これでもう全国展開もなくなってしまう。一回やって失敗してしまうと、もう二度と出てこないというような形になってしまいますので、ぜひ、この国家戦略特区、規制緩和をした後に、そういった過度な要件とかを加えて、せっかくの趣旨を台なしにしてしまうようなことがないようにお願いをしたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 この国家戦略特区は、日本が世界で一番ビジネスしやすい、そんな国になるということが目標になっていたんですけれども、一番最初に私がこの特区の問題について質問をさせていただいたときに、今ある、ある程度大きな大都市にそういう国際競争力をつけていくための特区なのか、それとも、どちらかといえば、今ちょっと元気がない、高齢化が進んでしまった地方の都市なんかを特区に指定して、そこのところをもっと頑張りましょうというような形にしていくのか、どっちの趣旨なんですかということを大臣に質問させていただきました。

 大臣は、これだけメニューを用意しているので両方の側面があります、どちらの特区も想定できますし、どちらのところもちゃんとしっかり取り組んでいきますというふうに御答弁をいただきました。やはり私は、地方が希望を持てるような特区構想であるべきだというふうに思っております。

 もう一度お尋ねしますが、この国家戦略特区を実施するに当たりまして、やはり地方が希望を持てるような特区構想であるべきだと私は思うんですけれども、それに対してどうお考えか、もう一度お聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 それは非常に大事な論点だと思うんですね。そして、国家戦略特区を始めるに当たって、国民の皆さんがそういうことに共通の認識を持つことが重要だと思います。やはりどうしても、東京一極集中、そして大きなところが、より強いもので世界に展開していくとなると、自分たちが後回しにされるのかというような声が出るわけでありますから、もとよりそういったことは全く考えていないということでございます。

 ただ、何度も申し上げておりますけれども、日本の課題を全て国家戦略特区で解決するわけではありませんから、さまざまな今ある施策、これから検討していく施策を組み合わせて総合的に日本の力を伸ばしていこう、こういうことの中で、やはり強いものをより強くするために、例えば国際ビジネスセンターをつくろうというのであれば、それは既にビジネス街が設定されているところを膨らませた方が早いですよね。

 その場合には、では国際ビジネスセンターであるならば、例えばそこに日本人も含め世界じゅうの人たちが来る。そうすると、時差にかかわらず二十四時間仕事をする都市になる。では、その二十四時間体制で動く都市の交通機関というのは今のままでいいんですか。それから、いろいろな人が来るときに、もちろんその社員の家族の人も来るだろう、社員さんも含めて。そうすると、その人たちが暮らしていく上で快適な住環境だったりそれから医療、教育、こういったものもきちんと出す必要があるだろう。先ほど委員がおっしゃったような、そういうビッグデータを使ったような、利便性を上げる、都市のサービスをやる、それから例えばアミューズメントとか芸術分野とか、そういう分野でも知的好奇心を満足される、そういう工夫も必要だと思います。

 ですから、さまざまなものを組み合わせて、これは、ビジネスセンターをつくることもやろう、一方で食であるとか、それからライフイノベーションであるとか、そういったものに関して、では、それを集積して世界で三本の指、五本の指に入るような例えばフードバレーであるとか、シリコンバレーもそうですけれども、そういうようなものをコンセプトを打ち立てて集積しようと。その適地はどこなのかといえば、日本じゅうで、適地というのは大都市以外にだってある。それに、では観光を拠点にしてやろうとなれば、これはまた都市とは違うところになると思います。

 ですから、そういう、まず日本が国家戦略として伸ばしていく、取り組むべき分野は何だということを、この法案を通していただいたならば諮問会議においてきちんと議論をする。既にいただいている御提案を含めて議論をして、そして国として何ができるかも含めて肉づけをして、国と地方と民間事業者が一体となった経済の活性化策を打ち上げようではないかということなんです。

 そして、その仕事が大きく展開されれば必ずその周辺に波及効果があらわれてくる。それをもとにしてまた次なるビジネスが展開してくれればいいし、そこで取り入れた規制が、これは全国で使った方がいいではないかということがわかってくれば、規制改革会議の方できちんと対処しようじゃないかというふうに、いろいろなバリエーションができると思うんです。

 ですから、幅広に、とにかく私たちは、今新しい日本の経済を開かなければならない。目の前で、厳しかったデフレの状況から脱却しつつありますけれども、しかし、今の目の前の経済対策で現状の課題を克服するにしても、将来の可能性を今つくっておかないと、それが夢ではなくて目の前の現実として成果が出せるようにしなくてはいけない。そのための一つの手段として国家戦略特区、あらゆる日本全国のどこかで、最も有効で、最も成果の上がる形の特区をつくりたいと私は思っているわけでございます。

杉田委員 特区というものが初めて日本に登場したときに、特区担当大臣が鴻池祥肇さんだったと思うんです。そのときに、特区を担当していた経済産業省の官僚の方ととても仲がよかったので、いろいろなお話をお聞きしておりました。

 そのときに、やはり、地方はいろいろなアイデアがあるんだけれども、でも、そのアイデアを実行しようと思ったときに、ちょっとちゅうちょしてしまったりとか、また、圧力があってというか、本当にこんなのができるのだろうかというようなところがあったりするような部分があるというふうなお話を聞いたことがあります。

 今回の国家戦略特区では、ぜひ、そういう地方のアイデアとか上がってきた提案を、今度は国がぐっと引っ張っていただいて、それを実現させていく。一番最初に申し上げましたが、ボトムアップとトップダウンがしっかりと手を結んで前に進んでいくような、そんな国家戦略特区を期待していきたいと思います。

 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 維新の議員がきょうはもう三人質問させていただきました。私は、総括的なことを大臣に御確認させていただきたいと思っています。

 この国家戦略特区法案、我々、法案だけを見ると、成長戦略の柱の一つにしては余りにも内容がなくて、もうすかすかではないかというイメージで、これはとてもじゃないけれどもという感じがあったんですね。いろいろと今ここで議論してきまして、これはその枠組みをつくっているもので、中身はこれから充実させていくんだという御答弁も随分いただいてきましたので、それは確かにそうかなという思いがするようになっています。

 ただ、どうしても、こういう法案を審議するに際して、やはり本当は欲しかったなと思うのは税制なんですね。一般的に、特区というのは、税制があるから特区なんだと言われるぐらい税制が重要なんですが、規制改革だけをやっている特区というのも例がないわけではありませんが、一般的に、やはり事業者が特区の恩典を、一番気にするのは税なんですね。

 この税は、確かに税制改正プロセスというのは、私も役人出身ですからよくわかるんですけれども、それにしても、これが何もない形で法案そのものに我々が本当に全面的に賛同していいかどうかというのは、実は党内で大変議論がありました。

 議論をいたしましたが、その結果、やはり、一番重要な税の中でも、先ほど三人の委員が既に質問しましたので、大臣の耳にたこができるような話だと思いますが、地方税、特に法人事業税。これは国税の法人税の側では損金算入になっているわけですから、これを地方がみずからのイニシアチブで、身を削って、身を切って、そして減免をした。しかし、損金算入額が減った結果、法人所得がその分ふえちゃった。それで法人税の負担がふえちゃったというんだったら、何のために地方が身を削って減税したのか、減免したのかと。

 これでは、地方がせっかくみずからのイニシアチブで経済再生をやろうとしているのに、これを国が妨げているような形になってしまう。これはいかにもおかしいじゃないか。これは多分、常識的に考えてみても正すべき点ではなかろうかと思うんです。特に、地方再生の立場にお立ちの大臣のお立場であれば、そういうふうに考えるべきお立場だと思うんですね。

 そういった意味で、各委員がいろいろ質問させていただきまして、前向きにというお言葉もいただきましたし、できるだけ取り組むというお言葉もいただきましたけれども、やはりこの点については、大臣のできるだけ踏み込んだ御答弁をいただきたいと思いまして、再度私の方からも質問させていただきます。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

新藤国務大臣 国家戦略特区において、民間投資を促進する、それからプロジェクトを推進していく、そして大きな成果を上げるためには、やはり仕組みが必要だ、まずは大胆な規制改革、そして制度改革を行うんだと。そうすると、そのもとで必要な税制措置というのはつけていかなければならないわけでありますね。

 ですから、これは、私どもも年末の税調プロセスに対しては全力で取り組みたい、こんなふうに思っているんです。きちんとその成果を得られるようなものにするのが推進を担当する大臣の務めでございます。それと、一方で税制は税制のお考えがございます。そこのぶつかり合いなんです。

 ですから、先生方も含めて、皆さんがいろいろな意見を出していただくということ、これは世論の形成に、国会内の世論形成にも大きな影響を与えることだというふうに思っておりますから、私とすれば、必要な成果が得られるようなものに対してしっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

松田委員 大臣として今の段階でお答えいただける最大限のお答えをいただいたというふうに理解させていただきます。

 それでは、税制についてはこういうことがございますが、ほかにも、私ども大阪府、大阪市、我々維新の会はその特区を応援しているんですが、そこからもいろいろな要望が出ていると思います。先ほども、杉田委員あるいは山之内委員からもその点について申し上げ、中丸委員からも申し上げさせていただきました。

 それについて、改めて大臣の方に御確認させていただければと思いますが、まず、雇用については、私どもは、有期雇用の特例、先ほど杉田委員が言いましたように、資格制限を余りかけてしまうと、もうちょっと雇える人も雇えなくなってしまうということを懸念しているんですが、ここをもう少し弾力的にしてほしいということを先ほど政府参考人からも御答弁いただきました。

 また、労働時間規制の緩和、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションといって、長い間議論がありますが、我々としては、そういった労働形態の合う人には広くこういう形も認めていくというのが、やはりやる気のある人の活力を引き出す極めて重要なものだと思いますので、これについてもできるだけ前向きの取り組みをしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 私どもは、雇用の拡大とそれから予見可能性、そして紛争解決を未然に防ぐ、そうした中で雇用をしやすくする、こういう工夫を今回ぜひ入れたいということで、ぎりぎりの議論をいたしました。結果として、それは特区ではなくて、そこまで本当に必要性が高いのならば全国展開しようじゃないか、こういうふうになってきたわけでありますから、それをきちんとまた私どもは実現できるように推進をしていきたい、このように思っているわけであります。

 それから、時間の問題ですとかそういったものも含めまして、どういう働き方をする、それは一体何のためにやるんだということが重要だと思います。特に、いろいろと議論が出ておりますのは、再生医療の研究者に対してそういう枠をもう少しつくれないかとか、それから、プロジェクト単位でやるならば、ちょうど今、折しも、東京オリンピックは七年後であります、ですから、七年かけてやるプロジェクトに対してこの適用ができないんだろうかとか、そういう問題意識があってこういうところまで来たわけであります。

 なので、今後のことにつきましては、それはつかさつかさできちんとした御議論が必要でありますし、労働基本権そして生存権にかかわるこういう問題ですから、軽々に扱うわけにはいきません。しかし、その上で、雇用、経済を拡大させていく手だてというものに私たちは取り組んでいきたい、このように思っているわけでございます。

松田委員 それから、医療につきまして、先ほど山之内委員から再生医療を中心に、いわゆる併用診療の質問をさせていただきましたが、そもそも、私どもはこの医療については、混合診療は原則禁止、例外オーケーという世界を、原則自由、例外禁止というところまで持っていって、抜本的な規制改革をするべきだという思いがあるんですが、なかなかそれは至急には難しいと。

 だから、せめて特区では幅広く併用診療を認めていくという方向を打ち出してほしいと思っていまして、そういった意味で、今回、制度の岩盤規制まで踏み込むというところにはとても行っていなくて、穴をあけるまで行っているかわかりませんが、手続を簡素化しているにすぎないような感じがいたします。それでも、先ほど再生医療と言いましたが、さらに、免疫再生医療に加えて予防医療もこれからの非常に重要なテーマだと思っていまして、予防医療も含めてこの併用をもっと制度化していくことについて、さらに踏み込んだ戦略特区での取り組みをお願いしたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今委員が御指摘された分野というのは、医療の高度化につながるとともに、新たな経済成長の分野でもあると。ですから、それは、日本はおろか、世界の中でどういうふうに我々が貢献できるか、そして、同じく、経済を私たちの国に引き込んでこれるかという問題だと思っております。

 がゆえに、一方で、乗り越えなければいけない大きな議論があることも承知をしておりますから、私どもとすれば、そういったものにきちんと取り組んで、何よりも、特区で取り組むことでどういう成果が上がるか、これだけの取り組みをすることによってこういう効果が出ます、そこをきちっと示さないと、その先の議論にはなかなかいかないんだろうと。

 今、具体のプロジェクト、また場所がわからない中で、どこまで仕事をしやすくするかということで、ぎりぎり詰めて得られた結論が現状でありますから、引き続き規制改革に取り組んでまいりたい、このように考えております。

松田委員 それから、先ほども杉田委員が質問いたしましたが、過去の特区で、規制緩和の過度の要件を加えて効果が減殺してしまったという事例がありました。くれぐれも国家戦略特区においてはそういうことがないように、実効性のあるものにしていただきたいと思います。

 また同時に、これはちょっと通告していない話なんですが、税制の特例を設けた場合に、これまでも総合特区というのがあったんですが、税制措置の対象を規制緩和措置適用企業のみに限らず幅広く認めていくということがあると、本当にすごい特区になるんです。その点も含めてこれからも御検討いただきたいと思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 私たちはブレークスルーを試みる側ですから、どこまでがテーブルにのせられるかどうかも含めて、あらゆる可能性を検討して、そして、そこの中からできるものを持ち上げて、やはり気持ちというか志だと思うんですよね、これがどうしても必要だということがきちんとあって、それを裏づけするデータを整えたところで、いろいろなものが動いていくんだろうと。

 私は、今規制があるものを悪者にするつもりはないんです。それは理由があって、また、責任感を持ってやっていただいている人たちがいると思っています。

 一方で、時代とともに、こうしたらどうですか、そんなに心配しなくてもここはできますよというものをみんながそれぞれ努力していく。担当する人たちも必ず理解していただけると思いますし、私どもは、まずは先兵役にならなければいけない、そういうお役を今頂戴していると思っております。

松田委員 今のお答えが大臣の決意というふうに受けとめさせていただきます。

 先ほどの税の話とあわせまして、大臣から大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 なお、私ども、大阪の岩盤規制に風穴をあけて、民によるイノベーションを創出するということで、いろいろな提案を出しています。例えば、御堂筋エリアを対象にして、能力主義、競争主義に果敢にチャレンジする高度な人材、企業を集めるチャレンジ特区でありますとか、特区内での混合診療の実施など、最先端の医療サービスを提供する国際メディカル特区とか、保険診療併用特区とか、あるいは、文化、芸術にあふれた楽しい町を実現する大阪高度集密都市特区とか、いろいろなことを提案しています。

 御案内のとおりだと思いますけれども、私ども、これは国家戦略特区の目玉になる、まさにモデルになる特区になるだろうと思って進めておりますので、ぜひ御協力をいただきたいと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

橘委員長代理 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もどうぞよろしくお願いをいたします。

 本日は、比較的各論ということで、できるだけ条文に沿ってお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、最初、恐縮ながら、ちょっと順番を変えさせていただきまして、通告をさせていただいているものですと、八条関係、十一番というところから始めさせていただければと思います。

 これは、結局、区域計画を作成して総理の認定を受ける、そういう仕組みの部分でございますが、前回、被選挙権のところを議論させていただきましたが、例えばそれ以外でも、総務省所管の事務の場合、新藤大臣が、御自身が国家戦略の担当大臣ということで、兼務をされ、要は一人二役になっていらっしゃる場合、お立場上、非常に難しい利益相反ということになり得るのではないだろうか。こういった場合にどういった立ち位置で御判断されるのか。御自分が御自分に対して交渉するというのもちょっと整理がなかなかできないものですから、一言お願いしたいと思います。

新藤国務大臣 確かに私がそういった幾つかの大臣を、というのも、私、総務相は三つの大臣、もともとが三つに分かれておりましたから、八つやらせていただいておりますので、そういう中でいろいろな状態が起きるわけなんですけれども、私は一人でやっているわけではございません。組織として、またその責任はお預かりしているわけでありますから、それぞれの立場できちんとした検討を踏まえて、そして答えを出す。それは私の一存で役所が動くわけではありませんし、私の考えも入れさせていただきますが、それはそれぞれのつかさつかさのものとしての意見を出し、そして議論をした中で最適な適切な結論を得る。このようにしておりますし、問題が生じるとは思っておりません。

大熊委員 そういう意味では、ぜひ、正しい適切な政治主導ということでお願いしたいというふうに申し上げます。

 そしてまた、同じ八条の関係で、今政治主導ということを申し上げたんですが、やはり参考人の方からも、区域計画を作成して総理が認定をするという仕組みの運用部分について懸念が示されておりまして、運用そのものが役人任せになって硬直的となるおそれがあるよというところでございます。もちろん、この回答は政治主導だよというお話だろうかと思うんですが、念のためも含めて、ここについても一言大臣にお願いしたいと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

新藤国務大臣 私は、あり得ないし、あってはならないと思っているんです。

 ただ、政治主導という言葉も、政治が勝手に決めればいいのではないというふうに思わなければいけません。役割分担なんです。そして、それぞれがそれぞれの役割を果たした中で、最終的に決めるのは政治でございます。これは政を治めるんです。政治が決めたものを行うのが政を行う行政でありますから、その役割分担をきちんとしていくということであります。

 そして、今度の国家戦略特区の具体的な計画ですとか運営方針については、これは担当大臣と総理、さらには有識者、こういうものでシンプルな組織をつくって、その中で関係者から御議論をいただく、御意見も頂戴するが、決めるときはそういった組織でもって意思を決定させる。

 そして、仕事を進める上においても、それは国と地方と民間と、それぞれの代表が特区ごとに特区会議というのを設けて、そこで進捗管理と推進に当たる。それに対して必要なデータや必要な作業を行う者が、官僚が、それぞれに事務局もありますし、各省がある。

 こういうことでございますから、役人任せなどということは私の頭の中に一度も、これは国会議員になってから一度もそんなことを思ったことはありませんし、そのように、役人に何かやってもらっているなんというふうに思ったことも一度もございません。委員もそうだと思います。そういう議員がきちんといることによってこの国の政治はきちんと動くのではないでしょうか。

大熊委員 まさにおっしゃるとおりだと思いますし、また、新藤大臣の政治手腕と言うとあれでしょうか、指導力ということのもとであるんだろうと一つ思います。

 一方で、最悪のケースですね。どんな大臣が来ても大丈夫かという部分で、次に事務方にお伺いしたいのは、そうはいっても条文上ちょっと不安だなというところがございまして、それは通告もさせていただいておりまして、この八条ですね。基づいてとか踏まえてじゃなくて、基本方針に即してとなっているんですね。この即してというのが、普通、こういうのだと基づいてぐらいではないかなと。つまり、即してとなると、方針にがちがちに縛られてしまうんだというようなイメージがどうしてもありまして、それについてちょっと、条文の部分について御説明いただけないでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 この八条の条文、それぞれの特区についてどういう特区をつくるのかというのを決めるのが、内閣総理大臣が定める区域指針でございます。その上に、オール・ジャパンの国家戦略特区はいかにつくるのかという基本方針があって、その基本方針と区域方針に沿った格好で、どういう特区にするかという区域方針が決まれば、当然、それに沿った格好で区域計画をつくっていただかなきゃいかぬ、方針と全く違うものということであれば、それは方針をむしろ直していくということになろうかと思いますが、したがって、これは即してという条文になっているものでございます。

大熊委員 途中までは理解できたのですが。沿った形で、であれば、これは、条文上どこが違うのですか、基づいてと即して。

 では、これを基づいてに変えた場合、意味は当然変わりますよね。どうなりますかね。

川本政府参考人 計画が方針に合っているかどうかというのは、これは即してという用語になると思います。

 基づいてというのは、どういう根拠規定によってというふうに使うのが通常だったと思います。

大熊委員 使用ケースによって違うということで、私の懸念が杞憂であることをぜひ望みます。

 それでは、戻りまして、公設民営の学校の問題、これをお伺いしたいと思います。附則の二条四項の関連でございます。

 まず、公設民営学校の目的、グローバル人材、それから、体育、スポーツですか、そういったものも入っていたかと思うんですが、こういったことが目的なんだという理解でよろしいかどうか。文科省さんに確認させていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の公設民営学校の目的でございますが、国際バカロレア課程の導入を初めとして、今御指摘ありましたグローバル人材の育成、これらは当然目的として入ってまいります。また、多様な教育活動を、民間のノウハウを活用してきめ細かく実施するということを考えておりますが、具体的には、今後、地方公共団体からの提案に基づいて検討してまいりたいと思っております。

大熊委員 この法案の議論でしばしば大臣がおっしゃられた、手段と目的を取り違えちゃいけないよというお話を言われていると思うんですが、バカロレア、これは手段なんじゃないですかね、目的なんですかね。ちょっと、そこがいま一つ理解に苦しむところです。バカロレアの学校をつくって卒業生をふやす、これは手段なんじゃないですか。その結果、どういう人材を育てるんだ、そこのところをちょっと明確にお願いしたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、御指摘のとおり、国際バカロレアについては、それ自体が目的というのではなくて、グローバル人材育成の観点で一つの手段であるというふうに考えておりますが、現在、大阪府、大阪市の方からの御提案の概要の中には国際バカロレアの件が入っておりましたので、触れさせていただいた次第でございます。

大熊委員 それでは、戻りまして、もう一言、グローバル人材。

 では、グローバル人材というのは英語のしゃべれる人材ですか。そうじゃないと思うんですね。では、どんな人材なのか。具体的に、イメージでも結構です、教えていただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバル人材につきましては、いろいろな意味があると思います。国際的な社会で活躍できるということ、国際社会に出ていって活躍するということのみならず、日本の国内においても、いろいろな国際的な対応とかさまざまな分野で、外国語がしゃべれるということだけではなくて、いろいろな視点で物事を広く考えて対応していく、こういう広い人材の養成という観点でグローバル人材という言葉を使っている次第でございます。

大熊委員 そうしますと、続けての通告の質問とも関連するんですが、そのカリキュラムの内容ですね。こういったものはどういうことを想定していらっしゃるのでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 カリキュラムの問題につきましては、基本的に、現在、既にある地方自治体が設置している公立学校、それから今回の国家戦略特区における公設民営学校、それから従来の構造改革特区における株式会社立の学校、いずれについても共通する問題でございますが、基本的にその教育内容につきましては、教育基本法それから学校教育法、あるいは学習指導要領などに基づいて行われることは基本的な原則であるという点では共通しております。

 ただ、現行制度のもとにおきましても、特別の教育課程を実施するための特例制度というものが設けられておりまして、このシステムを活用することによりまして多様な教育を実施するということは十分可能でございますので、必要に応じて特例を活用するということになるかと思います。

大熊委員 恐らく、そういった特例というものがあるんだろうなというふうに私も想像しておりました。質問は、その特例を使ってどのような多様性のある教育の中身にされようと考えていらっしゃるのかについてお尋ねを申し上げております。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 その点につきましては、基本的には地方自治体側からの御提案を今後待ちまして、制度の具体的なあり方について検討してまいりたいと考えております。

大熊委員 それもちょっと心もとないのは、今回のこの国家戦略スタッフ、国からのトップダウンでという、再三ここの場でも議論がありました。そういう意味では、地方からの提案を待つというのはおかしいんじゃないでしょうか。国から、文科省さんからトップダウンでどういったものを考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点につきましては、現在、文部科学省の中で西川副大臣をキャップといたしました検討チームを設けておりまして、今後、具体的な提案を地方公共団体からいただくということと並行しながら、文部科学省において考えていきたいと考えております。

大熊委員 その点を確認させていただきますが、本日時点では、ないと。これから副大臣のもとで、国としての、文科省としてのプランを考え、そしてそれをトップダウン型のものとして総理に上げていくんだ、こういう理解でよろしいでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおりでございます。

大熊委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 続きまして、これはちょっと条文の話なんですが、この公設民営学校、これは本則で書いてもよかったのではないか、何でこれが附則になってしまったのだろうかというのを、これは地域活性化事務局さんかもしれませんが、よろしくお願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の条文につきましては、この法案の附則で、公立学校の管理を民間に委託することを可能とするために、その具体的な方策について検討を加えということが規定されておりまして、この規定を附則に位置づけた理由でございますが、法案全体の構成の整理の中で、今後、具体的な方策について検討を加えるべき内容について、こういった事柄については、法技術的な観点で、一律に附則の中で規定するという整理の方針がございましたので、今回、附則で規定させていただいたということでございます。

大熊委員 実は、この点、本会議でも最初に私は代表質問で指摘させていただいたところなんですね。検討だから附則だということになりますと、これは結局、検討の結果できませんでした、具体的な方策はありませんでしたということになりかねないですねと。だから、これはちょっと、条文上、後退しているんじゃないですかと。十月の十八日でしたですかね、ワーキンググループの紙がございますね。ここではもう、公設民営学校を設置すると書いてあったわけでございますが、法律となりますと、まさに附則に落ちている、まあ、落ちているという言い方はあれですが、附則になっている。それは検討だから附則なんだとなると、やはり今の御答弁だと、本会議のときは下村大臣、いや、後退じゃありませんよ、ちゃんとやるんです、設置するんですというふうに答弁なさっていらっしゃるけれども、今の文科省さんの御答弁を伺いますと、やはり検討だから附則に落ちているということなので、どうもここが心もとない。

 そうしますと、これも通告どおり、方策が具体化できませんでした、したがって公設民営学校はだめでしたという可能性もそれなりに残っている、こういう理解でよろしいでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の点につきましては、既に大臣から本会議でも答弁したとおりでございますが、文部科学省といたしましては、この法案の趣旨に即して、公設民営学校の実現に向けて検討を進めていきたいと考えております。

大熊委員 その場合に、検討の項目、具体的な方策、この検討の項目あるいはイメージが、どういったものなのか、ちょっとわかりにくいんですね。結局、それで、先ほどの懸念、だめでしたという結論だけ後で聞かされることになっても、いろいろな方々の期待が外れてしまう、そういう事態になろうかと思うので、どういう検討の項目なのか、あるいはイメージなのか、あるいは逆に、こういうことがあるとだめなんだとか、その辺、何か今時点でわかることがありましたら教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な検討項目についてのお尋ねでございますが、この点につきましても、地方公共団体側の具体的な提案も踏まえながら検討していくわけでございますが、例えば、検討事項として現時点で私どもとして想定しているものとしては、委託先のあり方、あるいはその委託の手続、あるいは児童生徒の就学上の問題が生じた場合の対応のあり方とか、委託についての財源の措置とか、さまざまな問題、論点があると考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 今伺った中で、例えば、財源ということになると、イメージとしては、既存の学校にかえてこういった公設民営学校をやるということからして、既存の学校の部分の予算をこちらに振りかえる、そういうイメージを持つんですが、そういうことというのは、おおよそ合っていますか。それとも、これは純増になっていく、そういうようなイメージをお考えになっていらっしゃるんでしょうか。それはどちらでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 財源の問題につきましても、今後、具体的に検討していくわけでございますが、この公設民営学校につきましては、もともと、設置者が自治体であるという意味において、公立学校という性格を持っておりますので、公立学校に係る財源措置については原則適用されるということを前提としながら、今回、委託先が民間だということの特性を踏まえまして、どのような財源措置が適切なのかということについて検討しなければいけないと考えております。

大熊委員 委託ということになると、既存のコストというのは、当然その分なくなるわけなんだと思うんですね。まずその理解だけでもちょっと確認させていただけますか。おおよそ、一円たりともとは申し上げません、それで大体合っているかどうかだけ教えていただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 既存の公立学校について申し上げれば、運営に係る経費は自治体が原則負担しているということでございますが、今回、その中で運営の部分を切り出して民間に委託するということでございますので、その部分をどういうふうに捉えていくかという問題だと思います。

 具体的に、みずから運営しない分、その支出が減った場合、その分を委託先に措置するとか、そういうことは当然考えられますが、具体的な中身については、いずれにしても、今後の検討課題だと考えております。

大熊委員 企業財務的発想からいうと、固定費はしようがないけれども、変動費部分は振りかえられる、こういうイメージだろうというふうに思いますので、そのようなことでまずは理解をさせていただきました。

 続きまして、委託先が途中で、民間の会社ですから、ほかの事業をやっていたりしてちょっと経営が思わしくなくなってしまったよという場合に、委託先を変えなければならないんだというとき、これは結局、その権利のようなものを譲渡可能ということなのか。譲渡先の新しいところも、最初と同じような認可ということになるんでしょうかね。委託先としての要件を満たしているかという認可なり審査なりということの上で譲渡、要するに、次の委託先に取ってかわるということになるのか。というのは、それができないと教育が中断してしまうという、これはまたまた問題だと思うので、そのあたりについてちょっと教えていただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 公設民営学校につきましては、今回の法案の規定の中にもございますとおり、公立学校としての教育水準の維持向上や公共性の確保、これを図りつつ検討するということになっております。その意味におきまして、御指摘のございました委託先の変更の問題、この点は私どもとしても重要な課題と考えておりまして、子供たちの教育に支障を及ぼすことがないように、具体的な制度設計に当たっては検討を進めてまいりたいと考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 私もそうだと思っておりましたので、ぜひ検討をしっかりとお願いしたいというふうに思います。

 それと、先ほどもちょっと出ましたが、既存の株式会社の学校、こちらとの比較の点でございますが、要は、出資のもとが株式会社なのか、公なのか。公設民営ですと運営は民で、既存の株式会社学校も運営は民、そういう違いなわけですが、これは、出資元が公なのか民なのかということと、カリキュラムがどうなのかというのは、必ずしも一対一に対応しないと思うんですね。つまり、同じような特色を、全く同じだと意味がないというまた逆の批判もあるかもしれませんが、既存の株式会社学校でも、特色のある、多様性のあるカリキュラムをやる、そしてまた、公設民営学校でも、ちょっとまた違うというテイストを出さなきゃいけないのかもしれませんが、やるという、そういう理解で大体よろしいのでしょうか。あるいは違う、あるいはつけ加えるその他ありましたら、教えていただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども若干触れさせていただきましたが、基本的に、公設民営学校あるいは株式会社立の学校、これは、いずれについても、先ほど申し上げました教育基本法などに基づいて行われるということが原則であって、その特例としていろいろな特例制度がありますので、それぞれカテゴリーとして、公設民営学校だからこうだ、あるいは株式会社立だからこうだというのではなく、個別具体に、その特例制度を活用したいといった場合には活用していくということで違いが出てくるというふうに捉えております。

大熊委員 それで重要なのは、先ほどのとおり、今回の国家戦略特区は、国からのプロジェクト、国も入るプロジェクトということで、今までにはない、今までの既存の株式会社学校にはない、そういうテイストを、先ほどの検討、これからの検討ということなんですが、それを入れた公設民営学校をぜひ期待しておりますので、よろしくお願いをいたします。

 そして、本則の方に戻りまして、二条の関連でございますが、相当程度寄与する区域というふうに条文でありますが、この相当程度というのはどのぐらいというふうに理解すればいいのかというのをちょっと教えていただきたいんですけれども、相当程度広い地域、そこからの貢献というようなことなのか、どういうことなのか。区域、その辺について教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家戦略特区、国、自治体、民間が三者一体となって取り組むプロジェクトであって、世界からの投資を引きつけることができる程度にインパクトのあるものというものを想定しておりまして、そういったプロジェクトが行われる地域というものを対象としたいと考えております。

 したがって、この相当程度寄与というのは、地域の経済社会に寄与する、これは当然でありますが、このプロジェクトの実施によって民間投資が喚起されて、日本経済の再生に寄与できるようなものにしたいと思っております。

 区域の広さという点については、プロジェクトの内容により決まってきますし、プロジェクトも、一つのプロジェクトに限られるわけではありません、幾つかのプロジェクトが点在するということも考えられますので、プロジェクトの組み立てによって、区域の大きさというのは変わってくると思っております。

大熊委員 ありがとうございました。

 そうしますと、インパクトのあるものということ、そしてプロジェクトの大きさによって変わってくるんだというお話ですと、可能性としては、都道府県間をまたがる、東京と千葉と神奈川とか、東京湾を囲む地域とかいうようなことも当然想定をされるのかどうか。その場合の自治体の長というのは、これは複数の自治体の知事さん、そういう理解でよろしいかどうか、教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 当然、プロジェクトの内容によって広さは決まってまいりますが、複数の都府県にまたがるということも当然にあり得ると考えております。その場合には、関係地方公共団体の長というものも複数になるというように考えております。

大熊委員 例えば東京の場合、では、東京二十三区に関係するプロジェクトが何か想定されたとすると、東京都と二十三区の区長さん皆さんと、二十四人。そういうことで、その二十四人全員の合意をとらなければ、それと大臣と。両大臣と二十四人の首長さん、そういう理解で、想定プロジェクトで具体的にということじゃないんですけれども、そういう事態になる、そういうことでよろしいんでしょうか。

川本政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、今先生お話しになったように、プロジェクトの中身によって違ってまいりますし、東京二十三区が全部そういうプロジェクトで埋め尽くされるかというと、なかなか、ちょっとそうなのかなという気もいたします。

 ただ、いずれにしても、プロジェクトが行われる区の首長さんも対象に入ってくるということでございますが、当然、その区の中の事業についていろいろ御意見をいただくということになるものだというふうに理解をいたしております。

大熊委員 条文上、全員の合意ではない、関係する何とか区の一部分だけ、プロジェクト事業全体について全員の合意では必ずしもない、そういうことなんですか。

川本政府参考人 お答え申し上げます。

 条文上は、今先生御指摘のように全員の合意でございますが、先ほど、それぞれ皆さんが、御意見を二十三人おっしゃるのかという御指摘だったので、御意見というところについて言えば、当然、区長さんはその区に関係する部分について区を代表しておられるということになりますから、その部分について御意見をいただくということになるのではないかというふうに申し上げたところでございます。

大熊委員 例えば、仮想的なプロジェクトとして、何か東京オリンピックにかかわるということになると、そういう事態が予想されて、区の一部分じゃなくて区全体、まさにそういうことになるわけで、そうなると、やはり二十三区長さんプラス都知事の合意と、プラス両大臣の合意、そういうことでよろしいですよね。一応、念のため御確認をお願いします。

川本政府参考人 仮に、全ての区にまたがるような特区になり、それにまたがるようなプロジェクトを、特区にする以上はプロジェクトがあるわけですけれども、組んでいくということになれば、御指摘のようなことになると思います。

大熊委員 そうなると運用がなかなかややこしい、難しい可能性もあるので、ぜひその辺のところは、具体的にこういうプロジェクトということではないんですが、そういうことも想定されると思いますので、よろしくお願いをいたします。

 今度は逆に、一つの特区について二つの要素が、例えば農水省所管のことと、あと、わかりません、総務省関係の所管のこと、複数の要素の特例措置、これが適用される特区、そういったものも考えられるかどうかについて教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 一つの特区において複数のプロジェクトが行われることも当然ありますし、プロジェクトそれぞれについて複数の規制改革措置が適用されることも当然あり得ると考えております。

 したがって、一つの特区、特区ごとに見れば、複数の規制の特例措置が講じられるということは当然あるというふうに考えております。

大熊委員 はい、ありがとうございました。

 続きまして、五条関係なんですが、特区への指定の関係で、例えばある地域、私のところですと東京の下町なんですが、では、東京の下町で何か農業のイノベーションの特区をやろうというようなことというのは、東京の下町ですと農地というのは当然ありませんので、その地域のこれまでの特性を考えると、ない事業、産業、だけれども、今後は、農業かどうかわかりませんが、イノベーションその他を考えると、これからやるんだという事業、これについてはどう考えるのか。

 つまり、言いかえますと、今度は、特区、地域についての指定と考えますと、要するに、その地域それぞれのこれまでの強いところ、いいところを生かすという考え方なのか、これも二者択一じゃないかもしれませんが、今まではない、だけれどもこれからやるんだ、そういうところもあわせて考えるのか、その辺についてちょっと、どちらか、二者択一じゃないかもしれませんが、教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生も二者択一ではないかもしれぬとお話がございましたように、二者択一でお答えするのは非常に難しいわけでございますが、特区の指定、それぞれの地域ごとに区域方針でテーマが決まります。そのテーマに沿って着実にプロジェクトが行われるかどうかというのが一番のポイントになると思います。

 したがって、現状を見ながら、将来確実にテーマで設定した、それに沿ったプロジェクトが行われるかどうか、将来のその実現可能性というところが一番のポイントになるものと考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 今、進捗のお話をいただきましたので、幾つか飛ばしまして、その進捗の件でございます。条文ですと、十一条関連だと思うんですね。

 もし、そのプロジェクトの進捗が思わしくないという場合、それを理由として、もっと極端に言うと、全く一歩も進まない、そういうプロジェクト、事業がありました場合、そのことをもって認定の取り消しだというようなことはあるのかどうか、それは法制上どのような読み方をすればそういうことになるのか、教えていただければと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 区域計画、区域内のプロジェクトの進捗状況が不十分であるという場合には、九条の規定で計画の変更を検討するということがまず最初に来るのではないかと思います。

 その上で、八条七項三号では、計画の事業全てが実現されないと見込まれるようになった場合には、認定の取り消しも行われるというふうに考えております。八条七項三号、区域計画の認定の要件として、円滑かつ確実に実施されるものというのを要件に挙げております。この要件を欠いてしまって、事業として全く見込めないという場合には、認定の取り消しがあり得るというふうに考えております。

大熊委員 はい、わかりました。

 今度は逆に、ある程度進捗はしてきましたよ、だけれども、条文でどうなっていたか、結局、その方針と違うことを、例えば当初の計画と違うことをやり始めましたよということをもって、では認定取り消しですというふうに政府としてこの法律に基づいてしたという場合に、その事業主さん、民間も含めて、ある程度お金を使ってきた、設備投資をしてきた、それでもって認定がなくなっちゃったというときに、原状回復しなきゃいけないよ、原状回復にはお金がかかりますねというときに、それはどうなっちゃうんだろうかと。

 それは、過失なのかどうなのかという議論はあるんでしょうけれども、幾つかケースに分けてでも結構なんですが、ある程度プロジェクトを進めてきた、そのためにお金を使った、何らかの理由で、法律によって、あなたは認定取り消しなんだというふうになった場合の損害あるいは原状復帰にかかる費用、これをどう考えればいいのか。自治体あるいは民間が負担した分。国が自分で負担したものは、自分が自分で負担して、自分で認可取り消しにするんだからしようがないと言うかもしれませんが、民間、地方自治体の部分についてどうなるのか、ケースを分けてでも教えていただければと思います。お願いします。

川本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国家戦略特区においては、国、地方、民間の入った特区会議で計画をつくって、ここで実際の事業のフォローもやっていくことになる。

 したがいまして、今御指摘のように、全く違う格好になっていくとかというのは、基本的には余り考えにくいなというふうに、そういう制度設計になっていると思っております。

 その上で、仮に事業が行われなくなって、計画の取り消し、認定の取り消しというような場合に、それまでに行ってきた事業がどうなるのかということについて言いますと、この取り消しは、法律的には将来にわたって効力を発生するということになりますので、例えば、建てたビルを取り壊してもとへ戻すというような義務が発生するというようなことを予定しているものではありませんで、将来にわたっては、もう特区としては規制改革を適用しない、その後の事業についてはおつき合いできない、そういうことになるものだと考えております。

大熊委員 それで事業ができなくなると、設備投資をしたその部分が全くキャッシュを生まない資産になってしまうんだ、あるいは、その事業者が別の事業者と契約をして、その契約は国家戦略特区の認定を受けていることということが前提として入っている場合は、それはもう民間同士のリスクなんだ、そういう理解でよろしいでしょうか。確認も含めてお願いします。

川本政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区は、規制改革等によって民間の事業を応援しようという仕組みですから、当然、民間の方のリスクで負っていただく話になるのではないかと思います。

大熊委員 投資は自己リスク、自己責任、こういうことだろうというふうに思います。

 それでは、厚労省さん、お越しになっていただいていますので、医学部関係の件をあと数分でお伺いしたいと思います。

 医学部の新設の検討というふうになっておりますが、検討の結果、新設というふうになる要件、これはどんなものなのか、教えていただければと思います。

中岡政府参考人 お答えいたします。

 医学部の新設につきましては、日本経済再生本部の決定におきまして書いてございますけれども、高齢化社会に対応した社会保障制度改革や全国的な影響等を勘案しつつ、国家戦略特区の趣旨を踏まえ、関係省庁と連携の上、検討する方針でございます。

 具体的には、政府全体の社会保障制度改革における医療提供体制のあり方や医療人材の確保に関する議論との整合性。二つ目には、医学部、あるいはその附属病院における医師、看護師、その他の医療関係職員の確保が必要でございますので、そのために生じる地域医療への影響。また、特区に指定されない地域における医学部の新設に関しましてもさまざまな要望がございますので、そういった要望との関係。また、国家戦略特区により整備する国際医療拠点における医学部の意義やあり方などについての検討が必要になってまいるというふうに考えております。

柴山委員長 大熊君、質疑時間が終了いたします。

大熊委員 終了ということでございますが、一言だけ。今おっしゃられた話ですと、正直なかなか難しいのではないかという懸念を持ちますので、懸念だけ申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

柴山委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 きょうで法案の質疑終局と言われておりますけれども、我々、まだまだ質疑が足りないというふうに感じております。

 きょうは、戦略特区の雇用問題についてただしたいと思います。

 大臣、最近ブラック企業という言葉がいろいろ広がっております。これは、若者を大量に新規雇用しまして、精神的にも肉体的にもぼろぼろになるまで働かせて、大量に使い捨てにするという企業のことでございますが、新藤大臣は、このブラック企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。

新藤国務大臣 このブラック企業という言葉の定義が定まっているかどうか、よくわかりません。しかし、最近よく使われる言葉であるというふうに承知をしております。

 そして、過重労働や賃金不払い残業など、特に若者に対して使い捨てのような、そのようにもし疑われる企業があるとするならば、それは社会経済の健全な発展には問題がある、このように思っております。

佐々木(憲)委員 そこで、五月十日のワーキンググループの会議録を見ますと、八田座長の見解が載っておりまして、これはワーキンググループの労働法制の緩和を議論したときの見解ですが、人材に関して雇用が流動化しないことの根本に、やはり解雇法制がある、みんな解雇できないから怖くてなかなか雇えないし、雇われた人は終身雇用なので全然ポジションがない、こういう発言をされているわけであります。正直、私驚いたんですけれども、働く方々の立場を余り理解していないなという印象を私は受けました。

 大臣にお伺いしますけれども、ここで言われている、労働者を解雇しやすくする規制緩和というものが雇用を生み出すんだ、こういう理屈だと思うんですが、これは成り立たないと私は思うんですが、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 それは何度も総理、また厚労大臣からも御答弁をさせていただいている、このように思いますけれども、この前後も見ていただけばわかると思います、議論の中で、そういった観点からの議論が進んできたわけではありませんし、私どもはあくまで、雇用を拡大していく、その中で、労働の予見性であるとか紛争の未然の防止、こういったものに役立てつつ、雇いやすく、雇用の拡大につながっていくような、そういうものを考えていくということで、ずっとテーマとして議論させていただいております。

佐々木(憲)委員 雇用の法制を緩和する、より具体的に言いますと、解雇しやすくしてほしい、こういう要望が一部にあるわけです、企業側ですけれども。そういうことをすれば、何か他方で流動化してどんどん雇用がふえていくというのは、これはなかなかつながらない話であります。

 例えば、ILOの労働問題研究所所長のレイモンド・トレス氏は、こういうふうに言っております。これは、ユーロ圏における仕事の危機、動向と政策対応二〇一二、こういう文書の中でこのように言っております。十七カ国中十三カ国が、二〇〇八年から二〇〇九年の間にしばしば雇用規制を緩和する方向で労働市場の柔軟化改革を実施した、しかし、これらの政策は、雇用創出の効果を生じないまま、解雇をふやすことにつながる。つまり、雇用規制緩和で雇用増になるというのは科学的裏づけがない、こういう主張をされております。

 それで、もう一点大臣にお伺いしますけれども、前提として、日本の解雇規制、これはそもそも、諸外国、とりわけヨーロッパと比べて緩いのか厳しいのか、この基本的認識はいかがでしょうか。

新藤国務大臣 さまざまな指標がございます。それから、それぞれの習慣、慣行があると思いますね。成り立ち、それぞれ違うわけでありますから。ですから、一概にこれが緩いか厳しいかというような比較を私はなかなかできないのではないか、このように思いますが、私どもとすれば、これは緩いか厳しいかではなくて、いかに不明確な状態をできるだけなくすか。

 したがって、雇用ルールがわかりにくいということが新たな企業への投資阻害要因にならないように、そういったことを明確にしよう、また予見可能性を高めよう、こういうことを取り組んでいるつもりでございます。

佐々木(憲)委員 実は、政府の平成二十四年度の労働経済の分析というのがありますが、これを見ますと、OECDの雇用保護指標について三百十ページのところで紹介をされております。ここで、こういうふうに書いているんですね。「日本の雇用保護指標は第一〜第三指標について、またその内訳である「常用雇用要因」「臨時雇用要因」「集団解雇要因」を個別にみても、すべての指標でOECD平均を下回っており、日本は比較的雇用保護が弱い国であるといえる。」と。

 雇用保護がヨーロッパ等と比べて、OECD諸国と比べて弱い、これが日本の政府の見解ではないかと思いますけれども、そういう見解ではございませんか。

新藤国務大臣 私はそこの所管の者ではないことは御承知だと思いますし、今委員が御紹介された部分のものは、私、現状においてまだ確認をしておりませんから、今私がコメントしようがないわけでございます。

 しかし、先ほど言いましたように、いろいろな考え方があって、指標がある。ですから、先ほど言いましたように、雇用の拡大、また雇用ルールを明確化していく、それが重要だということには変わりはございません。

佐々木(憲)委員 それでは次に、日本の労働者の置かれている労働条件というのは非常に厳しい事態になっておりまして、最近は、過労死ですとかあるいは過労自殺というのも後を絶ちません。

 そこで、実態を紹介していただきたいんです。厚労省にお願いしたいんですが、十年前と最近の統計で、この過労死とか過労自殺についてはどのようになっているか、紹介をしていただきたいと思います。

大西政府参考人 御質問の過労死に関するデータでございますけれども、脳・心臓疾患による死亡ということにつきまして、労災認定件数でございますけれども、直近の平成二十四年度では百二十三件、十年前の平成十五年度は百五十八件というぐあいになっております。また、必ずしも過労のみを原因とするものではありませんけれども、精神障害による自殺についての労災認定件数につきましては、直近の平成二十四年度が九十三件、平成十五年度は四十件というふうな数字になっております。

佐々木(憲)委員 深刻な事態であるということが続いているわけですね。

 日本は、ILOが制定する労働時間と休暇に関する条約で、一号条約、これは一日八時間、週四十八時間を盛り込んだものであります。それと、四十七号条約、これは週四十時間の規定ですね。百三十二号、これは年次有給休暇に関する条約であります。それから百四十号は有給教育休暇でありますが、何一つこれを日本は批准しておりません。

 なぜ日本は批准をしていないのか、その理由について厚労省にお聞きしたいと思います。

生田政府参考人 お答えいたします。

 ILO条約につきましては、それぞれの条約の目的や内容などを十分検討して、国内法制との整合性を確保した上で批准する必要があるというふうに考えております。

 御指摘いただいた四つの条約につきましては、国内法制との整合性につきましてなお検討すべき点がございまして、現在、未批准となってございます。

佐々木(憲)委員 国内法制との整合性を考えてということなんですが、日本の労働保護法制はなかなかこの条約の水準に達していないということのあらわれでありまして、私は、早急にこの条約の水準に合わせると同時に、条約と同時に抜本的に国内で法整備を行い、条約の批准も行うということが必要だと思っております。

 これは、日本国憲法の基本的人権の大きな柱であります国民生活の安心、安全の向上のために、こういう条約を批准するということが大変大事だというふうに考えるからであります。

 次に、資料に基づいて具体的にお聞きしたいと思うんですが、ワーキンググループが提出した、九月二十日付、資料五、この二に雇用というのがあります。

 お配りした資料を見ていただきたいと思いますが、ここで、厚労省とワーキンググループのやりとり、それぞれの主張点が並べて記載されております。この中で、厚労省は、「そもそも、雇用は特区になじまない。」というふうに主張されております。その根拠をお聞かせいただきたいと思います。

大西政府参考人 委員御指摘の資料につきましては、国家戦略特区のワーキンググループにおいて、各省からのヒアリング内容を国家戦略特区ワーキンググループの座長が整理されたものというぐあいに承知しておりまして、その具体的な内容について、私どもからお答えするのはなかなか難しいのではないかというぐあいに考えております。

 いずれにいたしましても、十月に日本経済再生本部で決定いたしました検討方針には、政府としてどのような対応が可能なのかいろいろ検討した上で、雇用分野の方針についても取りまとめられたというぐあいに承知しております。

佐々木(憲)委員 これは、確かに、ワーキンググループの八田座長が、厚労省はこんなことを言っているよと自分なりの解釈で整理をされたわけであります。ですから、この主張をこのまましたというふうに、それは確認されていないと思いますけれども、ただ、このときにどのような主張をされたのかということを今確認しているわけです。

大西政府参考人 一般的に申し上げまして、雇用に関する基本的ルールであります労働基準法とか労働契約法とか、そういう法律があるわけでございますけれども、一部地域を対象として緩和することについては、雇用関係のルールの特性を踏まえつつ検討されるべきものであるというぐあいに私どもは考えているところでございます。

佐々木(憲)委員 それは、私どもの見解からいえば、緩和の中身自体が労働者にとってプラスかマイナスかという角度からきちっと評価しなけりゃならぬというふうに思います。全国でやれば何でもいいというものでもないというふうに思っております。

 このワーキンググループの見解の方を見ますと、この右側ですけれども、「こうした理由で「特区になじまない」といったら、およそ特区は成立しない。」こう言っているわけです。特区には雇用についての独自のルールを適用すべきだという見解なんですけれども、担当大臣として、新藤大臣、この見解、どのように思いますか。

新藤国務大臣 これはまさに座長がまとめられた中での、各種、厚労省の見解とワーキンググループの見解が出ました。まさにこういうふうに、意見に見解の相違があって、それらを議論していただいたわけであります。

 ですから、これについてのコメントはどうかといえば、八田先生は、この人は規制改革の分野での権威でもありますし、そういう方が一つの見識をお示しになられた。しかし、それについてはいまだ結論は出ていない、こういう状態でございますし、私どもとしては、その議論を踏まえた中で、結局、雇用条件の明確化、有期雇用の特例、この二点はきちんと検討していこうではないか、こういうことが日本経済再生本部の中で方針として決定をさせていただいたということであります。

 ですから、議論をしていく中の過程における一つ一つのコメントについては、それぞれその方の御見解を示されたものだと、これ以上でもないし、これ以下でもございません。

佐々木(憲)委員 資料の下の方を見ていただきたいと思うんですが、厚労省としては、「雇用ルールは、条約上、労使間で協議することが求められており、労政審での審議を経ることが必須。」というふうに述べたとされております。

 ILOは、労働基準に関する立法については、政労使の三者によって協議するということを根本原則としていると理解しておりますが、間違いありませんか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 労働法制の見直しなど労働政策に関する重要事項につきましては、さまざまな会議の御意見もよく伺いつつ、ILOの三者構成原則の趣旨も踏まえまして、公労使の三者で構成される労働政策審議会で十分に御議論いただくことになるものと考えております。

佐々木(憲)委員 私が確認したのはILOの原則について確認をしたんですが、もうちょっと広くお答えになったわけであります。

 ワーキンググループの見解を見ますと、労使間協議を行う場が労政審である必要はない、別の場を設けて迅速に協議しても構わないはずだと。これは厚労省の見解ともILOの見解とも違うと思うんですが、大臣は労政審で協議する必要はないというふうにお考えでしょうか。

新藤国務大臣 私は、内閣の閣僚として政府の方針に従って仕事をするわけであります。政府の方針は、今厚生労働省からお話がありました。そして、一方で、特区を議論する中で、ワーキングの中でそのような御意見が出た、そういう問題提起に対する議論を踏まえて行われているということだと思います。政府としての方針は、先ほど厚労省が述べたとおりでございます。

佐々木(憲)委員 確認をいたしたいと思うんですけれども、いろいろな組織がありますよね。産業競争力会議、あるいは規制改革会議、国家戦略特区ワーキンググループ、こういう組織が今この委員会でも話題になっておりますけれども、メンバーでありますが、企業の経営者あるいは一部の学者等で構成されていると思います。この中に労働者を代表する委員というのは含まれているのかどうか、これを確認したいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お話しのあった産業競争力会議、規制改革会議、それから国家戦略特区のワーキンググループはそれぞれ、産業競争力会議は、我が国産業の競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具体化と推進、規制改革会議は、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制のあり方の改革に関する基本的事項、国家戦略特区ワーキンググループは、産業競争力会議での議論を踏まえて国家戦略特区の具体的な制度設計等の検討を行うため、設置されております。

 それぞれの調査、審議に当たって、識見の高い方というものを選んで委員としているというふうに理解をいたしておりまして、今お話にありました労働者の代表という観点からの人選は行われていないというふうに理解をいたしております。

佐々木(憲)委員 労働法制の規制緩和というようなことを議論する際には、当然、政労使ですとかあるいは労使、こういうものの両方の参加を得て、バランスをとってやるというのが本来の筋だと思うんですが、どうも、今確認したように、労働者の代表が入らない中で労働法制の規制緩和のあり方を議論するということ自体が、これは非常に手続上の問題があるのではないか、民主的手続という観点からいっても問題があるというふうに私どもは思います。

 有期雇用の特例の問題についてお聞きします。

 資料を見ますと、厚労省の側は、「労働者に対し無期転換権を放棄するよう、使用者が強要する可能性があるため、不可。」となっております。これはワーキンググループの座長のまとめでありますので、そういうふうに書かれております。

 厚労省に確認ですけれども、この要点、このときはどういう趣旨で説明をされたのでしょうか。

大西政府参考人 委員御指摘の資料の内容につきましては、先ほど申し上げたとおり、ちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 一般論といたしまして、今、有期契約労働者の問題でございますけれども、有期契約労働者に対して無期転換の申込権が発生する以前に申込権の放棄を認めるということは、労使の交渉力の格差を背景として使用者が事実上その権利放棄を強要する状況を招きかねず、労働契約法十八条の無期転換のルールの趣旨を没却するものであり、こうした有期契約労働者の意思表示は、公序良俗に反して無効と解されるというぐあいに考えております。

佐々木(憲)委員 ワーキンググループの見解のところには、労使双方の同意を前提とする労働契約というのがあるわけです。このワーキンググループの見解は、厚労省の見解とかなりこういう点で違うんですけれども、大臣として、この点について何かお考えがあれば、お述べいただきたいと思います。

新藤国務大臣 私は、雇用に関してさまざまな議論があることは、それは妨げるものではない、このように思いますし、ワーキングはワーキングの、規制緩和という観点から、そしてまた経済の起爆剤としての特区における雇用の拡大という観点から、このような意見が出たということであります。しかし、それに対して、政府側、厚労省と見解の相違があり、議論をした上で、現状における検討項目が、先ほど申し上げた二つになったということであります。

 私は、議論は議論として、このような見解がある、そういうお考えがおありの人たちがいるわけでありますから、それを踏まえた上での議論をきちんとしていけばよろしいのではないか、このように思います。

佐々木(憲)委員 現実の厳しい労働環境の中では、労使の同意とか合意というのは形骸化しやすいわけです。つまり、使用者側の力が圧倒的に強いわけですから、仮に労働者がそれに同意しましたという形だけ整えても、それは、渋々同意せざるを得なくなった、あるいは、仕方なく、言われたからそういうふうに契約したんだと。本人が望んでいるかどうか、これをチェックするのは非常に難しい問題があるわけですね。

 したがって、労働法制の規制という問題を考える場合に、これまでの経緯を見ますと、使用者側の契約の自由ということに余りにも力点を置き過ぎますと、労働者の側に非常に不利になる。したがって、資本側による契約の自由を制限する、規制するということが、この間のルールづくりの根本にあったわけなんです。

 これは大変大事な観点ですので、今、厚労省が答弁されたことも、政府の基本方針、今までの考え方ということで言われていますけれども、その部分が何かずるずると崩れていくような感じがして、これは労働者の側にとっては非常にまずい事態になりつつあるなと、私は危険性を感じているわけであります。ぜひその点を念頭に置いて対応していただきたいというふうに思っております。

 ワーキンググループのペーパーを見ますと、特区内の開業五年以内の事業所に対して解雇ルールということで、契約締結時に、解雇の要件、手続を契約条項で明確化できるようにする、仮に裁判になった際に契約条項が裁判規範となることを法定する、矢印で、労働契約法第十六条を明確化する特例規定として、特区内で定めるガイドラインに適合する契約条項に基づく解雇は有効となる、こういうことを規定する、検討事項としてこう明示しているわけです。

 これは、仮に解雇を認めるということを契約で押しつけられたら、それを理由に首切りが自由に行われるというようなことになってしまうと、これはとんでもない話でありまして、この解雇ルールの問題について、厚労省としてはどういうスタンスなんでしょうか。

大西政府参考人 解雇についての御質問でございます。

 一般的に申し上げまして、解雇の、有効か無効かということが争いになることがあるわけでございますけれども、単に、労働契約とか、あるいは就業規則に書いてある解雇理由というものだけではなくて、労使間で実際にどういうやりとりがあったかとか、あるいは雇用管理の実態などに関する事実認定ということを含めて、そういうものが総合的に司法で判断される、最終的には司法で判断されるべき性格のものであると考えておりますので、労働契約の内容のみをもって判断することはなかなか難しいのではないかと思います。

佐々木(憲)委員 ですから、労働契約だけで、そこに書いているからということだけではだめであって、現実の、労使関係の実態を踏まえて対応する、こういうことが大事だということであります。

 総理は、八日の衆議院本会議でこういうふうに答弁されています。「一時、解雇特区などという事実誤認のレッテル張りが行われましたが、そもそも、そのような考えは、もともと存在しませんでした。」と答弁をされております。

 確かに解雇特区という言葉は使っていないですけれども、ワーキンググループの資料を見ますと、解雇ルールということで検討したということは、これはさまざまな意見があるというふうに大臣もおっしゃいましたように、解雇ルールの検討ということは行われた、これは事実ですよね。

新藤国務大臣 雇用の一環の中での解雇についての議論というのが既にこうやって行われているわけでありますが、しかし、その主眼は、解雇しやすいルールをつくることではなくて、そもそも雇用ルールがわかりにくいということが新規の企業の投資阻害要因になり得ないか、そういう問題意識から雇用ルールを明確化するための議論をずっとやってきた。総理が答弁をされておりますのは、そういった趣旨において雇用の拡大を図るためのさまざまな議論が行われてきたんだ、こういうことを申し上げているわけだと認識しております。

佐々木(憲)委員 この点は、また総理が御出席になるということですので、そのときにも伺いたいと思っております。

 次に、十月四日に八田座長は記者会見を行っておりまして、それまで一般的な雇用問題について主張されていたと思っておりましたが、それと違う、方向転換をされたような感じの記事が出ておりましたので、私は、その全文の資料要求をしましたが、そんなものはないということでありました。メモはないのかと言ったら、メモもない、そういう返事でありました。

 そこで、この記者会見で何を主張されたのか、八田座長の記者会見の内容を簡単に紹介していただきたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 十月四日のワーキンググループ八田座長の記者会見についてでございます。これについては、雇用に関する特例措置の検討について、解雇特区といったような、議論されていた内容と異なる報道がなされていたということから、こうした誤解がされることがないようということで八田座長が会見を開かれたものでございます。

 会見の中では、雇用に関する特例措置の検討の意図するところは、雇用関係の予見可能性とそれから働き方の柔軟性、これらを高めることによって企業の投資と働き手の意欲を引き出す、それによって雇用の拡大を目指すものであって、解雇を促進する、そういったものではないということを御説明されたものと認識をいたしております。

佐々木(憲)委員 ただ、こういう、それまでの、今紹介したような主張を見ますと、八田座長が解雇を促進する方向を考えているということは、結果的には明確だと私は思います。

 それで、労働時間の規制の特例については今回は先延ばしだけれども、有期雇用と解雇ルールに対する点については対象を限定する、こういうふうな記者会見ではないかと新聞報道では想定をしております。

 限定をするということになるという記者会見だったのではないかと思いますが、そうじゃないんですか。

川本政府参考人 限定をするというよりは、これまでワーキンググループで取り組んできた基本的な考え方と今回の国家戦略特区の制度設計の中で、当面盛り込むべき事項として考えている事項としては雇用ルールの明確化と有期雇用の特例だ、こういう御説明をされたというふうに私どもは理解をいたしております。

佐々木(憲)委員 別紙二という資料を配付資料の四ページ目におつけしましたが、ここでは、有期雇用、解雇ルール、労働時間、この三つが検討されていたわけですね。それを、この記者会見以後のところでは、雇用条件の明確化、有期雇用の特例ということに絞っているということは、資料によって明らかだと思います。

 次に、限定したからといって、例えば弁護士とか会計士、あるいは博士号、修士号の取得者に限定する、これの国家戦略特区関連法案を提出したいというような報道もあります。

 ただ、私は、限定したらいいものになるというふうには思わないので、今のような派遣労働が蔓延しているきっかけになったのは、最初はわずかな、限定した専門職、ここから始まったわけなんですね。例えば、通訳の場合は派遣労働でいいだろうというようなことから始まってきたわけであります。それがどんどん拡大して、今や製造業にまでそれがつながっていった。これが社会問題を引き起こして、賃金の低下、雇用の不安定、そして少子化というような問題にまで関連する事態になっている。

 こういうふうになってくる一番のきっかけは、専門性があるからそこだけは認めろという、そこから始まったんだということを思い起こす必要があるというふうに思います。

 さて、次に、憲法との関係でお聞きをしたいと思います。

 言うまでもなく、憲法には、二十五条で生存権、二十七条一項で勤労権、こういうものを保障しておりまして、使用者による一方的な解雇を規制すべきだというのは、この憲法上の基本的人権から導き出されるものであります。

 労働者にとっては雇用の機会を得るということが生活を支える経済的基盤であって、雇用の喪失は生活に深刻な打撃を与えるということになるからでございます。

 憲法二十七条二項は、賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準、これは法律で定めるとしております。これを根拠に労働基準法が我が国における労働の最低基準を定めており、労働契約法を初めとする各種の労働法が労働のルールを定めているわけです。

 つまり、労働者の生存権、勤労権を保護する、そのために立法によって契約の自由を規制するということでありまして、これは憲法上の要請に由来すると思いますが、大臣の基本的見地をお聞きしたい。

新藤国務大臣 まさに、国家戦略特区におきましても、そういった規制改革等の施策の総合的、集中的な実施は国民経済の発展と国民生活の向上に寄与するものである、これを目指す、また目的とするものでございますから、生存権、労働権それぞれに適合するものと考えております。

佐々木(憲)委員 特区を利用した労働法制の規制緩和というのは、私は、どうも、労働のルールを緩めて、その規制を緩めることによって労働者に不利益を与える、そういう治外法権をつくり出すものになるのではないか、憲法二十七条二項に違反するのではないかという考えを持っております。

 次に、地方自治体との関連でお聞きしますけれども、十四日の参考人招致で、山口二郎北海道大学教授はこういうふうに述べております。

  憲法第九十五条では、一つの地方公共団体のみに適用する法律に関しては、その地方公共団体の住民投票による合意がなければ法律は制定できないと規定してあります。この九十五条の立法の趣旨は、国の法律によって特定の地方公共団体の自治を剥奪する、あるいは特定の地方公共団体の住民に対して法のもとの平等を侵害することを防ぐという点にあります。

こういうふうに陳述をされました。

 ワーキンググループの論点では、こういう視点はほとんど出てきておりません。私は、この教授の指摘は大変重要なことだと思いますけれども、大臣はどのようにお考えでしょう。

新藤国務大臣 今御指摘の、憲法第九十五条に言う「一の地方公共団体のみに適用される特別法」とは、これは、一または二以上の特定の地方公共団体についてのみ適用があり、その特定の普通地方公共団体について他の同種の地方公共団体に対する一般的な取り扱いと異なった取り扱いを規定する法律のこと、このように解釈をしております。

 そして、この国家戦略特区法案というのは、一定の要件を備えた区域について、政令により国家戦略特別区域として指定することであります。具体的な地方公共団体を法律で特定するものではない、こういうことでございまして、憲法九十五条に規定する、そうしたものには該当しない、このように考えているわけでございます。

佐々木(憲)委員 私はそういうふうに思いませんで、一定の地方公共団体を含む地域を、総理主導のもとで、特定の、ほかの地域と違う制度をそこで推進する、設定される、こういうふうになりますと、これはいろいろ憲法の規定に抵触することが出てくるというふうに思います。

 それから、もう時間がだんだんなくなりましたので、もう一点、地方公共団体との関係、それから、被害を受ける方々との関係についても確認したいんです。

 山口教授は、地方からの意見を述べる機会を保障する、あるいは地方側の同意を得るという手続を課すといった点でもう少し議論を深めていただきたい、上からの主導で特区を指定する、そして、特定地方公共団体について、ある人にとってはそれはビジネスチャンスの拡大かもしれないけれども、違う立場の人にとっては権利の侵害であるというような事態が生じるわけであります、こう述べているわけです。

 新藤大臣が特区の素案を公表されて、その素案で書かれていたのが成案で消えた部分は、提案者以外の関係者の批判的意見も広く聞く、この部分が別な文章に変わっているんですけれども、意見を聞くプロセス、これがこの法案には私は欠けていると思うんですけれども、そうはなっておりませんか。

新藤国務大臣 コンセプトの素案から、素案でないコンセプトの方になぜ抜けているかというと、それはこの間も申しましたが、その素案の段階は、この戦略特区を進めていく側も含めて、ワーキングの人間も含めて、どういうふうにこれを進めていこうかという、提案する側と提案を受ける側と双方からの観点を入れて、さまざまなものをお出ししました。

 そして、コンセプトペーパーとして出させてもらったものは、応募しようとする方に対して、こういうことで御応募くださいというものでありましたから、審査する側の観点の部分は、あえてそこは、混乱をするから外した。それから、わかりやすくするために、これは皆さんで考えた上で、文言を整理した、字数を削った、そういうことでありまして、今の、住民の意見を聞くことが必要でないから削ったわけではございません。

 それから、そのコンセプトペーパーの中には、地域の意見をきちんと取り込むということを私は書かせていただいたと思っております。これは、公共団体の長の意見を聞く、また関係者の意見を聞くという中で、公共団体の意見を出すときには、当然のごとくその地域の声を集約したもので、この長の方はそれを御発言されると思いますし、私どもも、地域の声をきちんと聞きながら、そういう中で、住民の声、いろいろな団体の声も聞きながら総合的な判断を進めていくこと、これは政治の要諦でございます。

佐々木(憲)委員 法案を見ますと、被害者の訴えをこのような経路で吸い上げていくという部分がほとんどないものですから、それで、私は非常にこれは問題がある法律だなというふうに感じたわけでございます。

 最後に、一言だけ述べます。

 資料の一番最後にありますように、対日規制緩和要望をアメリカが出しておりました、二〇〇二年の小泉構造改革のときに、特区の項目を細かく提示しております。大臣は、最初にお聞きしたときは、私は聞いたことがないというふうな趣旨をおっしゃいましたけれども、配付資料を見ますと、これはホームページに載っているわけです、在日アメリカ大使館。その中で、実現していないのは、特区内の外資の法人税減税、それからアメリカ企業の優遇、これが実現されていない。

 前回の私の質問は、税制問題で外資優遇になるのを導入すると、結果的にこのアメリカの要望そのものを実現することになるという趣旨でお話をさせていただきました。

 今度の法案は、ほかにもいろいろな議論しなけりゃならぬ部分があるわけですけれども、以上の点、時間が参りましたので、指摘をさせていただいて、終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。毎度毎度、同じ顔ぶれで申しわけございません。

 きょうは、先日の参考人質疑を踏まえて、総括的な質問をさせていただきたいと思います。

 参考人は、この法案の推進者、また立案者、そして批判的な立場の参考人の方もいらっしゃいました。それぞれが課題あるいは懸念を示されましたので、私の考えと共通する部分について、政府の見解をただしていきたいと思っております。

 あわせて、四時から総理大臣がお入りになって質疑がスタートをいたしますので、時間を厳守したいと思います。どうか御答弁の方も御協力をいただきたいと思います。

 それでは、まず第一に、総理のリーダーシップとスピード感についてお尋ねをしたいと思います。

 参考人の八田教授が、既得権を持った集団を突破するには、最終的には総理の決断が必要であり、総理主導を貫徹した組織にしたと、まあ自画自賛をされているんですけれども、もちろん、最終の意思決定は総理が持たれるわけですけれども、ただ、基本方針の決定や、あるいはその変更などについては閣議決定が必要だと言われております。閣議となりますと、その規制にかかわる関係大臣も同席をされるということで、そこに幾つかの抵抗の余地が残されているのではないかという懸念がまず一点。

 それと、区域ごとに設置をされます区域会議でございますが、この区域計画の作成に当たっては、構成員の全員の合意による作成と規定をされております。全員の合意が必要となれば、どうしても、その合意を取りつけるのに時間がかかるという面では、スピード感を持って取り組むという点で支障が起きるのではないかという懸念も示されております。

 スピーディーな意思決定と推進に向けた円滑な運営についてどのように取り組もうとされておられるのか、まず二点、お伺いをいたします。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

新藤国務大臣 今回の国家戦略特区は、新しい試みとして、総理のリーダーシップのもとで、シンプルに、そしてスピーディーな機関決定ができるように、また事業が進捗していくように、こういうことを心がけたいという思いがございます。

 そういう中で、御指摘いただきましたように、国家戦略特区の基本方針、これにつきましては諮問会議で決めていくということになっているわけであります。でも、諮問会議で決めたものは、最終的にはそれは閣議決定をして決定するということでございますね。そうすると、そこのときに関係の大臣に合意をいただかなければ、閣議決定は全員の合意でありますから、そういう仕組みにしている。

 ですから、これは関係の大臣にも必ず御同意いただけるような内容になっている。しかも、それは妥協の産物ではなくて、こういう国家戦略特区という重要性と必要性に鑑みて、その協力をいただける、合意をいただける、そういうふうに我々は考えているわけであります。

 総理の言葉で言えば、安倍内閣に抵抗大臣はいないと。しかし、議論はあります。ですから、議論した上でしっかりと必要性や重要性を認識すれば、おのずとそれは合意を得られるし、その合意を得るための仕組みは、従来に比べればシンプルな仕組みにさせていただいている、こういうことでございます。

村上(史)委員 その趣旨はわかるんですけれども、各大臣の後ろには強大な官僚組織がある。既得権益擁護とまでは言いませんけれども、今回まで規制改革が進まなかったという背景の一因はそこにもあると思いますので、大臣もさることながら、そういうところにも目配りをする必要があるのではないかというふうに思います。

 次に、岩盤に穴をあけた後どうするのかということも、参考人からも幾つか課題が指摘をされました。

 まず、原参考人からは、個別の規制改革事項について各省と議論した際に、特区になじまないとか特区ではできないとかという議論が出てまいりました、そうした際に、特区でできないならそれでは全国でと迫れるようにしておくことが必要だという御意見を述べられました。八代教授からも同趣旨の指摘がございました。

 つまり、この意味は、できること、できるところ、それを先行させながらも、それ以後、後からでも追加は可能という規制改革の継続性を担保する必要があるんだということだと思います。

 追加の規制改革を審議するのは一体どこなのか。諮問会議なのか。また、検討部会を設けて追加項目を決定していくのか。その点についてお伺いをしたいと思います。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 特区についての追加的な規制改革事項についてでございますが、これは、国家戦略特区諮問会議において、総理主導のもと、オープンな格好で議論をいただいて、それで検討して、それを実現していく、そういう手順になろうかと思っております。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

村上(史)委員 それに関連をいたしまして、八代教授の方から、特区の今後のあり方で、政省令のチェックをする必要がある、同時に、各省庁との折衝を続ける必要がある、さらには法律の改正、政省令の改正が必要であり、不断の努力というものが大変重要であるという指摘をされました。

 今後の細部のチェックですね。規制そのものの議論はあるんでしょうけれども、政省令など細部のチェックは一体どこがやるのかということをお聞きしたいと思いますし、規制改革に抵抗する立場から政省令を何とか守ろうとする動きもあろうかと思いますけれども、その対策についてはどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回盛り込みました、日本経済再生本部において決定した規制改革事項、これは、政省令ということになれば、細部のところは各省がいろいろ検討していくことになりますが、当然各省任せにするのではなくて、私ども内閣官房の者も十分チェックをした上で、その上で、具体的にどういうことが行われたかということについては、諮問会議の場でしっかりオープンにして、規制改革事項が履行されているかどうかをチェックしていただく、こういうふうにしたいと思っております。

村上(史)委員 わかりました。今後の細部にわたるチェックについては諮問会議がきっちりとチェックする、そういう役割も担っているということの答弁をいただきました。

 次に、原参考人から、規制改革会議との緊密な連携、あるいは、将来的には事務局や組織の統合一体化といったことも課題であるというふうな指摘もございました。あわせて、規制改革の議論のオープン化は、世論を喚起して、結果的に規制改革を後押しするものになるんだということも指摘をされております。

 今後の規制改革として、規制改革推進の体制強化についてのお考えと、そして議論の徹底した情報公開についての考え方をお聞きしたいと思います。

新藤国務大臣 国家戦略特区ワーキンググループと規制改革会議、この関係におきましては、まず、国家戦略特区のワーキングにおいては、特区内において何が必要か、そしてどういうことを取り組むべきかという規制改革の検討を行っているわけであります。一方で、規制改革会議の方は、全国一律で行うべき改革についての検討をいただいているわけですから、これはやや役割が違うということがございます。

 しかし、国家戦略特区において議論したものが、むしろ全国的にやった方がよい、こういう議論の結果そうなったものは、これは規制改革会議の方にも持っていくし、また、各省庁にそういった指示を出すことができるようになる。

 こういう意味においては連携が必要だと思っておりますし、それは十二分に意識してまいりたいと思います。それぞれが機能することが結果的によい結果を生むことになる、こういうふうに思います。

 それから、情報公開のことはまことにそのとおりなんでありまして、ですから、国家戦略特区に関する議論は、できる限りオープンに、そして透明にして、国民の前で議論する。

 だから、反対するというか、規制改革に対してネガティブな意見を言う人の議論も、それから進めようという人の意見も、国民の前でして、それによって世論がどう形成されるか、これも重要な問題だと思います。また、それは私どももできる限り、既に、一番わかりやすいのは動画なんですよね。ですから、今までの募集なんかはそういうことでやらせていただきました。

 会議についてはまたそれぞれのルールがありますが、いずれにしても、情報公開をしながら、また国民の皆様にきちんと、できるだけ関心を持つ人が見ていただけるような、SNSも含めて、そういう工夫も含めてやりたいと思っております。

村上(史)委員 私が言いたかったのは、規制改革での議論、反対する立場もあります、推進する立場もあります。その議論そのものが、会議録も含めてもっとオープンにされるべきではないか、そういうことの意味での情報公開というものは積極的にすべきではないかということを申し上げたいと思います。

 続きまして、特区の特例措置によるメリットとリスクの対応について、何点かお尋ねをしたいと思います。

 参考人の山口教授は、国家戦略特区法では、普通の人々の生活に富が還元されるということは期待できない、これが正しいかは別にして、そういう懸念を示されておられます。

 一方、本法案の第一条の目的で、国家戦略特別区域に関し、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進をして、もって国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする、こういう条文がございます。

 この議論は私も何度かいたしました。規制改革を初め、政治のさまざまな施策は結局誰のためにあるのか。それはやはり、最終的には国民がその恩恵を受ける、果実を受け取るという形にしてこそ初めて、その施策が支持をされるということになると思います。

 この法案においても同じことだと思うんですけれども、ただ、今までの質疑の中でも、目的を実現するためのプロセス、あるいは成長の果実が国民生活にどのように反映されるかという点においては、明確に示されていないと思います。

 さきの委員会質疑でも、甘利大臣に、この国家戦略特区によって経済成長を果たしていくということで、具体的にその成長の果実としてどういうものがあるのか、例えばGDPの押し上げ効果は幾らになるんですかと。雇用の新たな創出も見込んでおられる、また、新しい起業もどんどん生まれてくると。しかし、その具体の数値は全く示されなかったという点においても、やはり、この国家戦略特区が最終的には国民のためになるんだというところがまだ見えてこないのが実態だと思います。

 だからこういう議論、指摘が出てくると思いますし、ある面から見れば、特定の利益を共有する団体がこの特区を利用しているんじゃないかという指摘も出てくるのは、まさにこのプロセスが明確でないからではないか、私はそのように思うのですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

新藤国務大臣 私がずっと御説明をさせていただいているのは、今度の国家戦略特区は、その必要性と目的というものは打ち出させていただいております。それをどのように具現化していくか、その決めていく手続を、またその仕組みというものをこの法律によって決めさせていただきたい。決めていただいた暁には、その組織を使って事業の中身を決めていきますよ、そして、どんな取り組みをするか、またそこに規制や税がどう入ってくるか、これが明らかになってまいりますというお話をしました。

 ですから、今の時点で特定の利益の方の、団体の利益といっても、何も決まっていないわけですから、それを類推することはできないというふうに思います。

 一方で、GDPですとか雇用ですとか、そういったものにどういうふうに寄与するかというのは、これは、その事業を組み立てた中では当然出てまいります。事業ごとに、物を決めるときには、その事業が何の効果をもたらすのか、どの成果を得ようとしているのかということは、必ず指標にして、そしてそれの進捗もチェックしていきましょうと。提案者、提案される事業者からも自分たちの指標を出していただくし、国は国の方で、諮問会議としてもそういったものをきちんとチェックしていきましょうと。それを、PDCAサイクルを回しながら不断のチェックをしていく。

 当然、そういうふうに事業が確定して動き出すときには、その経済効果というものを、目標を立てながら、それに向けて、逆に言えば、そういったものがあるから、規制緩和も含めてこの取り組みが必要だ、かつ、それを特区の中でやらせてほしい、こういうふうに落ちていくわけでありますから、今委員が御心配いただいていることはまことにありがたいことだと思いますが、そういったことをきちんと把握、また我々が決められるように作業を進めていきたい、このように思っております。

村上(史)委員 勝手に理解をしているわけじゃなくて、今の御答弁でも、今の段階では提示するものがない、まだ決まっていないからということはわかるんですけれども、ただ、例えば、企業が提案する場合でも、自治体が提案する場合でも、どういうメリットがあるから提案する、こういうものが経済的にも貢献するというのは、ある程度試算はしているはずなんですね。

 ですから、政府も、この法律に限った話ではないんですけれども、法案審議の中で、まだ決まっていないからこれはわかりません、まだなんですということでは、本来的には、この法律が本当にいいのかどうかという、質疑からすれば、やはり不足する部分があると思うんです。

 そういう面で、これ以上のことは申し上げませんけれども、ある程度の数値的な予測というものが必要ではないかなというふうに思います。

新藤国務大臣 それはごもっともだと思いますね。

 そして、この国家戦略特区は、日本再興戦略というアベノミクスの成長戦略を取りまとめた第一弾、ジャパン・イズ・バックというものです。その中の政策として取り上げられているわけであります。

 日本再興戦略では、百近くのKPIという、我が日本がこの経済の中で達成すべき指標というものを設けました。私どもは例示として、たしか九項目だったと思いますが、私が説明会をやるときにも、例えばこのような指標に対してどう貢献できるかというものをお示しください、その指標はどれを使っていただいても結構ですよということを申し上げました。ですから、少なくとも日本が目指していくべき指標というのはあるのであります。

 それに対してこの戦略特区がどのように貢献するか、寄与するか、それはプロジェクトを決めるときに判断材料になるし、プロジェクトが動き出すときにはその目的を達成するために動いていく、こういうことになりますので、今委員がおっしゃるような大枠の話というのは、これはある。

 その上で、個別具体のことについては、今は、地域を、区域を決め、方針を決めるための手続の法律を御審議いただいているところでありますから、現状においてそれがある方がおかしいということになるわけでございます。

村上(史)委員 わかりました。わかりましたというか、理解はいたします。

 続きまして、同じく、山口教授の指摘なんですけれども、雇用の規制改革に対する発言の中で、今回の規制改革、有期雇用の検討項目を念頭に、今回の特区はデンマークモデルのいいところ取りだと。このモデルを追求していくのであれば、国全体の社会モデルというものを考えて、柔軟化に伴うリスクの拡大に対して、それをどのようにカバーするかという国全体のセーフティーネットの議論も同時にすべきではないかという指摘です。

 デンマークモデルは、いわゆる解雇規定を設けつつ、それによって、万が一失業をしたとしても、雇用保険を初め、職業訓練を初め、さまざまな形でセーフティーネットがあるからこそそういうことが成り立つんだ、それはデンマークの例だけれども、日本の場合はそのモデルができていないじゃないか、だからそういう雇用の不安というものがあるということを指摘されていると思うんです。

 今回、特例措置によってメリットもあればリスクもある、そのリスクの回避についてもやはり政府は考えておく必要があるのではないかというふうに思います。その点についてのお考えをお示しください。

新藤国務大臣 規制緩和の手段、項目の一つとして雇用というのはあります。同じように、都市計画があったり、教育があったり、医療や農業があるわけでありますね。だけれども、それは、規制緩和を大胆に行おうということ、それが経済の活性化に役立つということで我々はやっているわけでありますけれども、でも、大もとの目的は、日本の経済を、新しい柱となるようなものをつくろう、それから、今の持っている私たちの力を最大限発揮して、さらに世界に経済を大きく占めるような、そういうプロジェクトをつくろうではないか、こういうことになっているわけであります。

 ですから、今、山口先生から貴重な御意見をいただいておりますけれども、雇用法制に対して御意見を頂戴いたしましたけれども、雇用のためだけの特区はつくるつもりがないんですね。そこで何かをやるために、では、働きやすく、また労働紛争のない中で雇いやすく、働きやすくなる、そういうもので規制の緩和を使ってみようではないかということなのですから、それがデンマークのモデルのいいとこ取りだなどというような観点で我々はやっているわけではないということでございます。

 日本は日本の日本モデルというものをつくらなければなりませんし、ただ、貴重な御意見をいただいたことは、これは参考にさせていただきたいと思っております。

村上(史)委員 雇用の問題だけを捉まえて言っているわけではなくて、今申し上げましたように、メリットがあればリスクもある。そのリスク回避はどういうふうに考えておくべきなのかということは、提案者としての政府も考える必要があるのではないか、そういう指摘と捉まえていただければと思います。

 続きまして、原参考人の発言についてお尋ねをしたいと思います。

 原参考人は、あくまでも特区は社会的な実験場だ、それも規制改革をメーンにしたものでなければならないという主張を繰り返しされておられました。規制改革の実験ということになりますと、実験の検証をしなければならないと思います。構造特区では、その評価、検証を評価委員会がやるわけですけれども、本法案ではどういう形になっているのか、お尋ねします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 国家戦略特区において講じられた規制改革措置、その効果を定期的に評価することによって、それがうまくいっている場合には将来的に全国展開するということもあり得るということを申し上げておるところでございます。

 具体的には、特区ごとに国家戦略特区会議を置くことにいたしておりますけれども、そこで、事業計画であります特区の計画、区域計画ですね、これを定期的に評価して、国、内閣総理大臣に報告するということにいたしておりまして、その中で、当然、事業計画の一番メーンのところは、御指摘があったように、民間が行う事業とそれを促進するための規制改革ということになりますので、その規制改革がしっかりワークしたかどうかということも評価をするということになろうかと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 あわせて原参考人が強調をされておりましたのは、繰り返しになりますけれども、特区は規制改革の場である、主眼はあくまでも規制改革だと。まさに規制改革が本筋であって、正面突破、これに対して切り込むことが大変重要ではないかと。

 そういう視点から考えると、今回、金融あるいは税制の支援策が示されておりますけれども、勢い、規制の問題よりも、支援策、支援を目当てにといいますか、そちらの方に流れやすいのではないか、そういう懸念を示されているんですけれども、その点に対する御見解はいかがでしょうか。

新藤国務大臣 私は全くそのようには思っておりません。また、国を代表する、地域、民間と合わせて、世界に冠たる、注目されるようなプロジェクトをやろうとするときに、財政支援がないと動かないようなそういうレベルで、国を代表するプロジェクトになるわけがございません。

 ですから、いろいろな支援措置は必要だと思っております。それは、ベンチャーですとか初動期のまだ体力の弱い企業に対する支援についての利子補給というのは、必要があれば使えるものとして残させていただきました。現状において、財政措置というのは特別なものは用意しておりません。既存の制度で各事業がございますから、再開発にしろ、いろいろな建築の補助事業があります。そういった既存のものを使うことは想定しておりますけれども、特別な予算措置というのは今の現状では考えておりません。

 ただ、国と民間と自治体と、それぞれが合わさったときに、では、国としても何かの事業が、そこに投資するものが必要であるならば、そういったものの予算措置というのは出てくると思います。

 なので、これが、いわゆる予算をとるために、この仕事を得て予算をとろう、そういうようなものでは私は動かないと思いますし、それを超越したところで、大きな効果が得られるものですから、それを狙うとするならば大きな取り組みが必要であって、そして特別な取り組みがそのときには許されるかもしれない、そういう事業を認定しなくてはいけない、こういう、ぐるぐる回りになりますけれども。

 したがって、今のような御懸念のないように、またそれが予算のばらまきになるような、そんなようなものには絶対にしないし、ならない、このように思っております。

村上(史)委員 それでは、具体の話で恐縮なんですけれども、財政支援の中で利子補給がございます。この利子補給の予算、財源はどこにあるのか、お尋ねをいたします。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 この法案に基づきます利子補給事業につきましては、来年度予算の中で手当てをいただくということにいたしております。

村上(史)委員 額的には想定をされますか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 当然、特区の指定がまだで、事業の中身が決まっているわけではございませんから、想定という形で予算措置をすることになろうかと思います。

 過去の例で申し上げますと、総合特区などでは、融資額が年間で三百億円で、初年度必要な国費は一億円ぐらい、そういう数字になっております。

村上(史)委員 ということは、予算措置は毎年毎年繰り返されるのか。期限というものも決まっていないはずなんですが、そういうところで予算設計はできるんでしょうか。

川本政府参考人 お答えを申し上げます。

 利子補給については、毎年度利子補給をしていって、それが五年間ということになりますから、五年の範囲で累積していく、あとは改定していくという格好になってまいります。

村上(史)委員 予算的にはその部分は十分確保できるという前提だと思いますけれども、これはもう際限なく続くわけではないということでよろしいんですか。

川本政府参考人 事業全体について、これは国家戦略特区の制度全体もそうでございますけれども、常に見直しを行って、必要な範囲で行うということになろうかと思います。

 したがって、先生御指摘のように、未来永劫に続くといったものではないと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 あとは税制支援についてお伺いをしたいんですけれども、これは年末の税制改正の結果によって内容が変わる、今の時点ではお示しできないというのが今までの質疑の内容でございました。

 一部報道では、固定資産税の減免だとか、あるいは法人税の減税だとか、そういうことが政府内で決まったかのような報道はあります。報道ベースですから、これが正しいというわけではありませんけれども、この支援策のあり方についてお尋ねをしたいと思いますが、実は、四時からの総理への質問でその点をさせていただきたいと思いますので、私の前半の質問はこれまでとさせていただき、水入りというか仕切り直しをさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

柴山委員長 それでは、速記を起こしてください。

 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 いわゆるアベノミクスの目玉とされた本法案、国家戦略特区法案の質疑も、最終局面を迎えております。

 これまでの質疑の中、また、与野党間の修正協議を通じて、この法案の一定の必要性については、我々民主党も問題意識を共有したところであります。

 その認識に立った上で、きょうは、総理御出席のもとでありますので、現在進行中のいわゆるアベノミクスに関する懸念材料を我々の立場から指摘をさせていただき、また、総理に提言をしたい、こう思っております。

 国家戦略特区による世界で一番ビジネスのしやすい国、これはこれで結構なことだと思います。しかし、同時に懸念をされているのは、参考人の質疑でも明らかになりましたが、やはり地域間の格差の拡大であります。特に大都市と地方であります。

 最近、私の地元山形県を歩いておりましても、実は多くの方から、政府は来年の四月から軽自動車の税金を引き上げるのを決めたのか、こういう質問を受けます。実際、自動車関係諸税の見直し議論の中で、新藤総務大臣のところの総務省の研究会が軽自動車税の引き上げを提言し、また総務省が来年の税制改正の年末の協議の中で要求するといったことが大きく報道をされております。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、軽自動車というのは特に地方において大変な生活の足となっております。上位十県、百世帯当たり、鳥取県は九十九台、佐賀、島根、そして私の山形も九十六台以上であります。地方は、一家に二台、三台の車は当たり前、その中で必ず一台は軽自動車、軽トラック、農家の方々も軽トラックを使うわけであります。総理の御地元も山口県であられますから地方の状況はよくおわかりいただけるかと思うんですが、この軽自動車に税をかけるということは、地方にとって大変な衝撃であります。

 総理、私は、この軽自動車増税というのは、地域に住む人たちにとって大きな負担であり、地域の格差拡大に拍車をかける、やるべきではない、こう思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 確かに、委員が御指摘になったように、山形県でもそうでしょうし、私の地元の山口でもそうなんですが、地域においては、いわば、地下鉄とか公共交通機関が余りない中にあって、軽自動車はみんなが持って、それは足がわりになっているといってもいいだろう、このように思います。そのことは私も十分に理解をしているわけでございますが、一方、地方においては、自動車に関連する道路や橋梁の整備や維持管理など財政需要も大きいのも事実でありまして、また、軽自動車と小型自動車について税負担の均衡を欠くのではないかといった指摘もあるのも事実であります。

 税制抜本改革法第七条では、自動車取得税の見直しに当たって、関連税制のあり方の見直しを行い、安定的な財源を確保するとされているのは委員も御承知のとおりでありますが、御指摘の軽自動車税を含めた車体課税のあり方については、今後、与党の税制調査会において議論がなされるものでありまして、政府としてはこの議論を踏まえて適切に対応していく考えであります。

近藤(洋)委員 地方において車が生活の足だというのは総理も御認識を共通させていただきました。

 重ねて申し上げます。軽自動車は、特に普及率の低いところは一位は東京、神奈川、大阪、埼玉、千葉。要するに、大都市圏では軽自動車は使われていないんですね。東京は百世帯当たり十一台しか使われていないわけです。地方であればあるほど、鳥取、佐賀、島根、山形、長野、沖縄等々大変多くの普及がある。これは、軽自動車に税をかけるということは地方の生活の足を引っ張るという認識をまず持っていただきたい、こう思うわけでありますね。

 その上で、消費税の議論を総理はされましたが、消費増税を控えて、民主党政権では車体課税の見直し、引き下げを打ち出したわけであります。そして実行いたしました。四十年間続いた車体課税を初めて引き下げたわけであります。これは画期的なことでありました。既に取得税というのは御案内のとおり一般財源化されているわけでありますから、取得にかかわる課税根拠というのはもう失われつつあると私は思うわけであります。

 その中で、今回の軽自動車の増税騒動は、いわゆる自動車の一般の税を下げるその見返りとして軽自動車につけかえる、こういう議論として浮上したんだろう、私はこう思うわけであります。一般の自動車の税を取られる側の財源を持っているところの総務省が、これは大変だ、大変だから軽自動車に税をかけましょうということで、総務省の報告書がつくられ、総務大臣のもとで税制改正要求がなされる、こういうことなわけです。

 総理、自動車税の中で議論をしても、要するにコップの中の嵐、コップの中のつけかえでしかないわけですよ。消費税が増税される、だから車体課税を下げなければこれは大変なことになる、二重課税の問題もある、そういう問題意識は、今の政府においても持たれているはずであります。その中で、車体課税全体を下げなきゃいけない、だけれども、他方で、その財源をどうするかとなったときに、軽自動車に税をかければペイ・アズ・ユー・ゴーだろう、こういう理屈が総務省の理屈でありますけれども、それでは何の意味か、わけがわからないわけであります。

 やはり、ここは、総理、自動車関係諸税のつけかえではなくて、全体の枠組みの中で税をどうするかという議論を総理のリーダーシップのもと、まさに指示をしないとこれは解決しない。消費税増税に伴う自動車関係諸税を引き下げなきゃいけない、引き下げるときの財源をどこに見つけるかというときに、ではそのかわりに自動車の中で軽にしわ寄せをしましょうといったら、それは何の意味かわからなくなるわけであります。

 ここは、もう一回、車体課税の本格見直しを、総理が関係大臣に、これまでの枠を超えて議論しろという指示を出すべきだと思いますが、総理大臣、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 自動車重量課税については、車体課税については、税制抜本改革法第七条の規定を踏まえて、平成二十五年度与党税制改正大綱において、まず財源を確保して、そして一層のグリーン化等の観点から見直しを行っていくという方向性が示されているわけであります。また、先般決定された民間投資活性化等のための税制改正大綱及び閣議決定においても、車体課税を見直すとの方針が示されたところでございまして、こうした方向性を踏まえて、先ほど申し上げましたように、平成二十六年度税制改正に向けて、与党における検討状況を踏まえながら検討していく考えでございます。

近藤(洋)委員 総理、もう一歩踏み込んでいただきたいんですね。

 私は、はっきり言って、今回の総務省の軽自動車増税はとんでもないビーンボールだと思っているんですよ。これはとんでもない、言語道断だと思うんです。

 総務省という役所は、本来、地方に住む人たちの味方の役所ですよね。地域の味方の役所です。ところが、地方に住む人たちの生活の足である軽自動車に増税するというのは、地方に住む生活者の足を引っ張るという話ですから、これは総務省にあるまじき増税なんです。だけれども、それを言わざるを得ない総務省の立場も理解しなくもない、今の枠組みで議論すれば。だから、それは、私は、とんでもない発案だけれども、じゃ、総務省がどうやって地方財政の財源を満たすんだと。総務大臣の立場に立てば、じゃ、どうする、じゃ、軽自動車税だと言わざるを得ない新藤大臣の気持ちもわからないではないです。言語道断ですけれども、この提案は。

 だから、何を言いたいかというと、これは結局、経済産業省と総務省の二つの役所のバトルを繰り返させても意味がないんです。総務省と経済産業省の戦いは、ずっと自動車関係諸税をめぐって繰り返されてきました、正直言って。このいわゆる霞が関の伝統の早慶戦を続けてもだめなんですよ、はっきり申し上げて。

 私は、新藤大臣と茂木さんであったら、人柄では新藤さんにつきたいなと思うけれども、政策では圧倒的に茂木大臣です、これは申し上げて……。

 要は、これは、要するに各省間の……(発言する者あり)

柴山委員長 不規則発言は慎んでください。

近藤(洋)委員 各省間の綱引きを続けていたら、ここにまた環境省も加わってくるわけです。そして、財務省は、高みの見物で、何も調整能力がない。これが今までの構図なんです。

 総理が、今までの税の枠組みを見直してもう一度抜本的に考えろという指示を出さないと、この問題、要するに車体課税の問題は解決しないと思いますが、もう一回、これは総務大臣の話じゃないんです、総理大臣の話なんです。

安倍内閣総理大臣 軽については、確かに、理解において、東京に住んでいる人は、車がなくたって地下鉄もあればバスもあれば山手線もあるという状況ですから、感覚が大分違うわけでありまして、絶対的に軽が必要とされている地域であれば、果たしてその課税がどうかという意識は当然高いわけでありますし、私も、その点については、そういう課題の意識は持っております。

 これは、ミニ集会を近藤委員がやれば、集まってくる人たちは大体軽トラに乗って来るわけです。例えば私のところもそうですが、それ以外では行きようがなかなかないという状況もあるわけでありますから。

 ですから、そこのところも踏まえながら、地域の活性化、地域の未来を考えながら、当然与党においても、そういう観点も踏まえて議論がなされていくわけでありますが、しかし同時に、その財源を見つけていくということも大切であろう、こう思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 もう一つ、格差の問題で、地方の生活者にとって最近深刻なのは、これは、やはりガソリン高、燃料高なんですね。

 委員長のお許しを得て配付した資料の二枚目をごらんください。折れ線グラフですけれども、最近のレギュラーガソリン、軽油、灯油の推移であります。

 安倍政権が発足をしてからの推移、去年の十二月から見ても、これは一割以上上がっているんです。株が上がってよかったよかったと言うかもしれないけれども、地方にとってみると、株を持っている人はそんなにありませんから、持っているのは膝株だけだというのが座談会の声ですよ。困ったというのは、正直言って油なんですよね。この油をどうするか、こういうことであります。

 経済対策五兆円、こういうふうに指示を出されているようでありますけれども、特に寒冷地において、灯油代もかかってくるわけであります。中小企業も大変です。この五兆円の経済対策で、ぜひ、燃料費高騰対策について特段の指示を出さないと、それこそ地方は疲弊する一方だ、こう思いますが、総理、いかがですか。

安倍内閣総理大臣 御指摘のように、石油製品価格が上昇しているわけでありますが、寒冷地にお住まいの方々や中小企業等に影響を与えることとなるため、政府としては、価格や需給動向の監視とともに、中小企業、小規模事業者に対する政府系金融機関による資金繰り支援や、燃料価格上昇を原因とする下請事業者のコスト増分を一方的に単価に反映させないなどの行為について厳正な取り締まりを行うなどの措置を講じております。

 十二月上旬に策定することとしております新たな経済対策においては、中小企業に重点を置いた投資補助金などの設備投資支援策やエネルギーコスト対策を措置することとしておりまして、中小企業、小規模事業者や国民生活に対する必要な施策を検討していく考えでございます。

近藤(洋)委員 総理の今の御答弁、それはそれでやっていただきたいんですが、それは民主党政権下でもやっていたようなレベルですよ。はっきり言って、総理から見れば大したことないというレベルの話を今答弁されたんですよ。異次元の政策をやるというんだったら、もう一歩踏み込むべきだということをあえて申し上げたい、こう思います。

 そしてもう一つ、総理、一昨日ですか、野田税調会長に、消費税の軽減税率導入の検討を加速せよという御指示を出されたようであります。我々は、少なくとも一〇%までは軽減税率はなかなか難しい、それを超えた時点では考えてもいいけれどもというのが基本的な共通認識だ、こう思っておりましたが、総理は、一〇%段階でやはり軽減税率をした方がいいというお考えにかじを切られたんですか。いかがですか。

安倍内閣総理大臣 新聞報道には、今委員が紹介されたような記事が出ていたようでありますが、私と野田税調会長との間においては、今後の税全般についてのさまざまな意見交換をしたところでございまして、軽減税率等の方向性についてお話をしたわけではございません。

 今後、与党の税制調査会において、八%、一〇%と法律にのっとって上がっていく際にどう対応していくかということも含めて、さまざまな議論が深まっていくものと思っております。

近藤(洋)委員 また最後に伺います。

 総理、きょうは参議院でNSC法案の質疑で答弁に立たれていましたけれども、先般、NSC法案の議論をする国家安全保障特別委員会で、私は、危機管理を本気で考えるのであれば、総理は公邸にお住まいになるべきだ、こういうことを申し上げました。

 緊急大臣会合に速やかに参加するためには、徒歩ゼロ分の公邸がベストであります。富ケ谷の御自宅で、十五分間かかる。内閣官房長官は、いざとなったらバイクの後ろに総理が乗って駆けつける、こういうことでありましたけれども、一国の総理が、緊急事態でバイクの後ろに乗っていくというのはやはり異常であります。

 総理は、第一次安倍政権では公邸にお住まいになられておりました。ぜひ、危機管理を考えれば、公邸にお住まいになるべきだ、こう思いますし、なぜお住まいにならないのかという理由をきちんとやはりここでお答えいただきたい。また、その上で、公邸に速やかにお移りになるのが、危機管理上、初めの一歩だと思いますが、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 例えば、総理大臣が公邸に住んでいたとしても、出張等で外に出る場合も当然あるわけでありまして、そういうときも含めて、常に危機に対応できるような体制で臨んでいるわけでございまして、ですから、私が自宅のある場所においてもそういう体制で、いざ何かあったときにも極めて短い時間に集合できるような、そういう仕組みにはなっているわけでございます。

 そもそも、官邸にいる人々は全員官邸に住んでいるわけではないわけでありますので、そういう際にも、そういう必要な人々がしっかりと集められるような、そういう体制にはなっているということでございます。

 そこで、私は公邸に宿泊することもございますし、自宅のこともあるわけでありますが、自宅の方が今のところ圧倒的に多いわけでございますが、これは、いわば総理大臣としてしっかりと体調を整えておくことも大切でございまして、そういうことを総合的に勘案しながら、今、自宅の方の比率が多いわけでございますが、今後、公邸に泊まる回数はふやしていこう、こう考えているところでございます。

 きょう近藤委員に質問されるからではございませんが、きょう、あす、あさってとは、公邸に泊まることになっております。

近藤(洋)委員 一刻も早く引っ越しをしていただくことを申し上げて、時間ですので、質問を終わります。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 私からは、国家戦略特区について御質問させていただきます。

 この国家戦略特区は、アベノミクスの決定打として、この成長戦略国会でどんな法案が出てくるかと思って、我が党も、どんな法案になるか期待していたんですが、どうもこの中身を見ると、あれ、こんなものなのかという印象が非常に強かった。

 アベノミクスは国家戦略という割には、ないよりはましだけれども、ちょっとこれでは物足りないんじゃないかという印象が非常に強かったんですが、結局、既得権益や官僚の決めた枠組みからなかなか逃れられないのかなという印象をかえって与えかねないような、そういう印象もありましたので、ぜひ、こういう懸念を払拭できるような御答弁をお願いできればと思っております。

 もしよろしければ、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 大変重要な指摘をいただきました。

 物事は、何かイメージをつくられてしまうというか、何か型にはめられてしまうところがあるわけでありますが、今までの批判、小粒であるとか、容易に扱えるものを今回取り上げているといった批判は全く当たらないものでありまして、これは自画自賛ではなくて、これは画期的なものであるというふうに認識をしているわけでありまして、今回、成果を得た項目については、いずれも過去何年も、物によっては十年以上できなかったものでありまして、何度も規制改革提案がなされては、はね返されたものもあります。閣議決定まで行っても実行されなかったものも入っているわけであります。

 例えば、雇用ルールの明確化、病床規制の緩和、公設民営学校の解禁、これは特にやるべきだ、やるべきだというかけ声はずっとあったわけでありますが、小泉政権のときにもありましたが、できなかったものであります。農業委員会の見直しもそうでありまして、これはまさに画期的と言っても私はいいんだろう、このように思います。そういうメッセージをしっかりと内外に出していくことが、さらに正しい理解と成長につながっていくんだろう、このように思います。

 これらの項目を組み合わせた特区の実現が、今後、経済活性化の起爆剤となって、居住環境も含め、世界と戦える国際都市の形成、医療等の国際イノベーションの拠点整備といった観点から、世界で一番ビジネスがしやすい環境が創出される、このように確信をしております。

松田委員 アベノミクスというのは三本の矢というふうに言いますが、金融政策については、日銀に大量の国債を買わせて、一方で、日銀の方には銀行から当座預金が積み上がっている、豚積みという言葉がありますが、これが実際にマネーになるには銀行がちゃんと貸し出す、そしてそのためには実需がなければいけない。

 また、第二の矢は、公共事業を積み増した、これも持続可能なわけではないですね、ずっとやり続けるわけにはいかない。この七―九月期のGDPを見ましても、公共投資とそれから住宅の駆け込み需要で伸びているわけでありまして、個人消費は余り伸びていないという状況で、ちょっと失速ぎみという感じがしないでもないわけであります。

 その中で、今、賃金を引き上げるという話も政権の中から出ているんですが、賃金というのは、引き上げろと要請して引き上げるものでもなくて、やはり広く賃金が上がるためには、生産性が上がっていくとか、労働分配率の問題とか、あるいは日本経済の交易条件とか資本収益率、いろいろなもので決まっているものですから、どうも手詰まりになっているんじゃないか。

 そうすると、お金がきちっと回っていく、日本にお金はもともとないわけじゃないので、お金を積んだだけじゃなくて、やはり回っていく仕組みがないといけない。そのためには既存のいろいろな既得権益に切り込むような大改革をしなければいけないと思うんですが、例えば、安倍総理はこのためにどういう既得権益に切り込んでいくかとか、そういう決意をちょっと示していただければと思います。よろしくお願いします。

安倍内閣総理大臣 今回の法案作成のプロセスにおいては、役所任せにはしない、民間人有識者に切り込み役を務めていただき、最後は私を含めて政治家が判断をする、こういうプロセスで判断を決断したわけでございます。

 折衝対象とする項目の選定、さらに各省折衝などは、特区ワーキンググループの八田達夫座長を初め強力なチームを結成して取り組んでいただきました。これを踏まえて、最後は私が判断をしたわけでございまして、その結果、先ほど申し上げましたような大きな成果が得られた、このように思っております。

 安倍政権の規制・制度改革については、先ほど覚悟はどうだというふうに質問をされたわけでございますが、まさに終わりがないという認識でございまして、引き続き、私が先頭に立って、世界で一番企業が活躍したい、活動したい国にしていきたい、このように思います。医療、雇用、教育、農業などの各分野における規制・制度改革に積極的に取り組んでいく決意でございます。

松田委員 経済の生産性を上げていくのは大事なことなんですが、そのために、今回、私が非常に評価できると思っているのは、社会の課題解決を通じて経済成長を生んでいくと。まさに日本は課題先進国と言われている状況ですから、それを解決する過程で成長のチャンスをつかんでいく、これは非常にいいアプローチだと思うんですね。

 ただ、この法案を見ると、どうもそのことが、分野ごとに細かい検討をするとか、あるいは手続を緩和するとか、そういうことが並んでいるんですが、どういう課題を解決して成長を導いていくのか、その辺について、一度総理からきちっとお話をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 課題としては、居住環境を含め、世界と戦える国際都市の形成、果たしてそうなっていくかといえば、そうではないわけでございまして、さまざまないわば障害を取り除いていくということであります。そして、居住環境を含め、世界と戦える国際都市の形成、さらには医療等の国際イノベーション拠点整備といった環境を創出すること、これをいわば目標としているということでございます。

松田委員 雇用、医療、農業、それから町づくり等々が分野として挙がっているんですが、それぞれどういう課題に直面しているのか、その中から成長のチャンスをつかんでいくということが大事だと思うんですが、その辺について、もう少し突っ込んだ御答弁をいただければと思います。

新藤国務大臣 これは私から何度もお答えをさせていただいておりますし、きょう、この三日間の質疑を通じまして、先ほど松田委員からは、最初は大したことないと思ったけれども、そうでもないということがわかったと御意見をいただいたので喜んでいたところでございますが、ぜひそれを、また総理からのお話を聞いていただいて確信を深めていただければありがたい、このように思うわけであります。

 まず、雇用については、やはり、雇用の拡大をするために、そして新しい企業を進出させる、それは、グローバルな世界企業を日本に呼び込むとき、そのときにも安心して雇用が確保できるような、そういうルールの明確化、そして予見可能性を高めていこうと。これは今までできなかったことであります。もちろん、日本の労働法制はしっかりと、きちんと維持してきたわけでありますが、しかし、ここで思い切って特区の中でやってみようじゃないかという議論をした結果が、いや、特区だけではなくて、日本じゅうでそういうことができるようにやってみようじゃないかと。まだ特区が始まっていない中で、私は、大いなる前進があった、このように思っておるわけであります。

 それから、教育におきましても、それは、新しいグローバル人材を育てる、そういう教育の可能性を広げることもできる。

 ましてや、町づくりにおいては、今度は、都心部における居住だとか、世界じゅうの人が来て二十四時間都市になったときに、それはアミューズメントも、居住環境も、医療環境も、教育環境も、そういったものを、きちんとここでもって、日本が世界に受けとめられるような、そういうものを通じてまた日本の社会の課題解決をしていこう、そういう大きな試みでありますから、ぜひこれを進めていきたい、このように考えております。

松田委員 先ほど、この法案を見直したと申し上げたのは、税制についても前向きに検討するというお話をいただいたからでありますけれども。

 この特区というのは、一般的に言っても、税制というのが一番重要な肝になるのが通常だと思うんですね。今回は規制だけで、税制は年末の税制改正だということなんですが、そうしますと、やはり、審議をするには材料としてどうも十分でないなという印象がなきにしもあらずであります。

 政府の中で現段階で全く何も税制措置を考えていないわけではないと思いますが、総理の方から、例えばこんな税制のことを考えているといったような御答弁をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 今、具体的にこんな税制を考えているということを私の方から申し上げる段階ではないわけでありまして、個別の税制措置については国家戦略特区における制度設計に応じて検討していくこととなっておりまして、年末の税制改正大綱に向けて、どのような税制措置を講ずべきなのか、幅広く議論を検討していきたい、こう考えております。

松田委員 こういう質問をいたしましたのは、これは、総理のトップダウンでやっていただきたい事項がございます。先ほども新藤大臣に御質問いたしましたが、地方税なんですが、法人事業税を地方がみずから身を削って地域再生のために減税をしました。しかし、地方法人事業税というのは損金算入されていますから、その分、法人所得がふえてしまう。そうすると、法人税の課税所得がふえてしまって、法人税が逆に負担になってしまう。ということは、地方のいわゆる自助努力というか、その成果を国が妨げてしまう。そういう構造になっているというのは、これはいかにも、誰が見てもおかしいんじゃないか、地方の立場に立てば。

 その点については、やはり是正すべきものは是正するということで、ぜひ総理のイニシアチブでお考えいただきたいと思いますが、総理、いかがでしょうか。

安倍内閣総理大臣 今、松田委員のお話を伺っていると、なるほどなという感じもするわけでございます。松田委員は財務省の御出身でもございますが。

 そこは、これから、いわば税の議論におきまして、党の議論において、しっかりと、そうした観点も含めて、そういう努力をしているわけでありますから、そういう努力に対して国はどう対応していくかという観点から議論もしていかなければならない、こう考えているところでございます。

松田委員 ぜひ前向きに、全力を挙げて取り組んでいただきたいと私から要望いたします。

 それから、特区の全体の考え方なんですが、世界で一番ビジネスのしやすい都市をつくるというのはよくわかるんですが、ただ、日本の課題というのはそこなのかなと。発展途上国というのは、結構、外資を引き寄せて企業にもうけさせるというのはあるんですが、日本人は、もう既に、金融資産にしても、あるいはいろいろな技術やノウハウの蓄積にしても、一人一人の国民が大きな力を持っている国だと思うんですね。

 そういったものをうまく地域で引き出していって、それに対して優遇措置を講じていくような、そういう特区の設計というのをもっと考える、いわゆる政策の中心に置いてもいいんじゃないかと思うんですけれども、こういった規制改革のあり方そのものについて、総理の基本的な理念というのをちょっとここで確認したいと思います。

新藤国務大臣 これもきちんと認識を共有しなければならない、このように思っているわけですが、世界で一番ビジネスのしやすいというのは、それを狭義に捉えないで広い意味に捉えていただきたいと思います。それは、仕事がしやすいということであります。そして、それは、国際ビジネスセンターをつくるならば、今委員がおっしゃったような、都市部における企業の集積というのがあると思います。

 しかし、食という観点からすれば、農業や食の関係のいろいろな産業の集積、ライフイノベーション、地域再生医療、そしてエネルギー、いろいろな観点で、国家的な課題について、それを世界で一番、最もその仕事がしやすい状況をつくり出して、そして経済の刺激をしようじゃないか、こういう観点でこのミッションとビジョンを打ち立てているわけでありますので、ぜひそこを御理解いただいて、総理からの御指示というのは、そういうことで我々は進めているわけでございます。

松田委員 それから、国家戦略特区が今までとは違うのは、今まさに新藤大臣がお答えいただいたように、個別の民間のやっているプロジェクトを、官、民、地方自治体、国を挙げて、共同で応援していくという、今までちょっとなかった政策アプローチだと思うんですね。

 ただ、今、日本に問われているのは、自立、この点では私も総理も考えは一致していると思うんですが、自立をしながら、次に選択肢を与えて、この選択の結果、社会をよくしていくということに対して、ちょっと国が介入し過ぎているんじゃないかという懸念もなきにしもあらずなんですが、その点について、基本的な考え方について、総理からお答えいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 国が介入し過ぎだということでありますが、しかし、今世界は、いわばグローバルな経済の中で、国同士、都市間の競争もあるわけでありまして、都市間の競争を進めていく上においては、さまざまな制度同士の比較、投資をしようとする企業、あるいはそこに行って仕事をしようとする人々は、そういう比較をするわけであります。

 そういう比較の中において、国際社会全体を見ながら、国際経済を見ながら、こちらが一つのイメージをしっかりとつくって、そして、それを戦略的に国が特区として定め、そこはいわば総合的にいろいろな観点から、海外からも投資が入ってくるし、そして国内においても、世界市場がそこに行けばあるという中において、頑張っていこうという人たちもいるんだろう、こう思うわけであります。

 そこでしっかりと稼げるところでは稼いでいくというのは、これは自立と相反する概念にはならないんだろうな、このように思うわけでありまして、そこで日本の自主性とか日本独自の文化等が失われるわけではないわけでありまして、そういうものをしっかりと守っていく力をそこで得るというふうに考えていただきたいと思います。

松田委員 維新の会の発祥の地の大阪府、大阪市は、今いろいろな特区構想を出しております。御堂筋エリアを中心にしたチャレンジ特区とか、あるいは医療の特区とか、こういったいろいろなものをどんどん提案していっている。

 私は、この審議を通じてこの法案について見直したのは、ある意味で枠組みをつくったものであって、中身はこれから充実させていくんだ、そして税制についても考えていくという御答弁を得られましたものですから、大阪は、まさに今やろうとしているのは、国家戦略特区のモデルになるような、そういうものを目指し、まさにそうなるものだと私は思っております。ぜひ大阪の要望等を十分踏まえていただいて、よい国際戦略特区をつくっていただくようにお願いいたしまして、私の質問を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日はよろしくお願いをいたします。

 今回の国家戦略特区、これを支える日本の資本主義のあり方について、ちょっと総理と議論させていただきたいというふうに存じます。

 と申しますのは、ことしの四月十日、衆議院の予算委員会で甘利大臣が、「安倍総理自身と私はよくお話をするのでありますけれども、安倍総理の口から出る言葉に、強欲な資本主義じゃなくて日本は瑞穂の国の資本主義なんだと。つまり、たびたびおっしゃるのは、みんなで協力をして田んぼをつくり、そして、誰かが倒れたらその分までみんなでカバーする、そういう精神があるんだ。」ということをおっしゃっていて、これが瑞穂の国の資本主義という御説明。

 安倍総理の直接の言葉じゃないんですが、我が党のみんなのという名前が二回も入っているんですね。そういったお話でございまして、みんなの党の経済政策と合うかどうかは別にして、そういうことでございます。

 一方で、この法律の目的の一つには、産業の国際競争力の強化とあります。私が本会議でもお話し申し上げたとおり、やはり、日本の国の資本のいわば競争力が余り高くないんじゃないかということを申し上げたということで、この国家戦略特区の中については、瑞穂の国の資本主義の定義がこれでよろしいかどうかも含めてなんですが、瑞穂の国の資本主義というよりは、やはり、自動車のあれでいうと、一般公道を走る安全運転の車の運転ではなくて、やはりF1レースを目指す、そういう資本主義なのではないかという気もするんですが、その辺、総理、いかがでございましょうか。

安倍内閣総理大臣 私がことしの党大会で申し上げたわけでございますが、日本は瑞穂の国であります。瑞穂の国というのは、古来より、朝早く起きて額に汗して田を耕し、そして水を分かち合い、秋になればみんなで五穀豊穣を祈った国であります。そして、その中でもし誰か病気になる人があれば、みんながお米を持ち寄って助け合ってきた国であろう。ですから、そういう国にはそういう国にふさわしい市場主義の考え方があるのではないか。それは、強欲を原動力とするのではなくて、真の豊かさを知る市場主義があるのではないかというふうに申し上げたわけでございました。

 その意味においては、企業は常に公益性を意識するべきだと。そして、公益性をしっかりと意識している企業は、実は今の社会においても長続きするし、伸びていくということになるわけでありまして、公益性を意識していない企業は、従業員に対しての姿勢、あるいは消費者に対しての姿勢、結局長続きはしないということではないのかな、こう思うわけであります。

 そこで、特区については効率性だけを見ているのではないか、競争力を上げることだけを考えているのではないかという批判がありますが、それは間違っておりまして、常に、社会的な安全性、例えば安全性、安心というものは重視をしながら、その中において日本の生産性、競争力を上げていく、そういう力はつけていかなければいけませんし、いわば世界の中で勝ち抜いていくということもとても大切であろう、このように思うところでございます。

大熊委員 私も日本人でございますから、そのようにありたいなと思うものの、やはり、企業は国際競争の中にさらされているということでございます。

 一つ、強欲な資本主義の中で、よくリーマン・ブラザーズという会社が出ます。これは私の考えでは、マスコミの皆さんはきょうはいらっしゃっているのか、よく出ているもので違うんじゃないかなと思うのは、強欲な資本主義の結果じゃないと思っていまして、強欲な経営者の失敗の結果だと思っています。損しているのは株主でございまして、強欲な資本主義イコールリーマン・ブラザーズ、だから、ああいうように、アメリカのようにレバレッジをかけたことをやっちゃいかぬよ、こういう単純なロジックがあるわけでございますが、これはちょっと私は違うのではないかな。

 ということの中で、ちょっと理屈っぽくて申しわけないんですが、それでも、みんなに配分をしていくとなると、やはりどうしてもリターンが下がってしまう。そうすると、一般の中小企業は別ですが、国際競争をしている大手の自動車会社、電機メーカーになると、どうしても競争力で負けてしまうのではないかなという懸念がやはり引き続きございます。

 この点、もうあと二、三分でございますので、国家戦略特区制度の本質について総理にぜひ確認をさせていただきたいと思うのは、今回の制度、今後、いろいろ見直しあるいは追加されていく部分もあると思うんですが、民間のビジネス活動、地方も入っているんでしょうが、自由度を高めるための制度、すなわち規制改革が中心なのか、国自身がビジネスに参加していくという国の事業、こっちが中心なのか。

 後者だと、どうしても事業主体が国になっていきますから、私どもの理屈でいうと、税金が投入されて大きな政府になっていくんじゃないか。

 私どもの理解では、三本目の矢は小さな政府の矢、規制改革の矢だと思っておりますので、この前者の方、ビジネスの自由度を高める規制改革中心の制度が国家戦略特区なんだというふうに思っているんですが、この点、いかがでございましょうか。

安倍内閣総理大臣 この特区の主役は民間でありますから、民間の企業、あるいはビジネスをする人々がそうしたビジネスをしやすい環境をつくっていくために、規制改革等を総合的、集中的に実施していく、これが国家戦略特区の目指すところであります。世界で一番ビジネスがしやすい環境を創出して、民間の活力を引き出していくということでありまして、事業や投資の推進役はあくまでも民間事業者であって、国の役割は規制改革などの環境整備に努めていくことであろう、こう考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 私どもとしても、そのような方向性の中でぜひこの国家戦略特区を進めていっていただければよろしいのかなというふうに思います。

 以上でございます。終わります。

柴山委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 総理は失われた二十年という言葉を何度も使われておりますけれども、今月十三日のこの内閣委員会で、私は甘利大臣に、失われた二十年と言うけれども、それをつくり出した政治の責任、これは誰にあるのかというふうに聞きました。

 なぜかといいますと、この二十年間の内閣で、細川内閣、羽田内閣、これで十カ月。民主党内閣三年三カ月。合わせて約四年。これは自民党の参加しない内閣でありました。残りの十六年間、これは自民党政権でありますので。

 甘利大臣は「自民党政府にも大きな責任はあろうかと思います。」こう答弁をされたわけですが、安倍総理はどう責任を感じておられますか。

安倍内閣総理大臣 例えば、特にこの十五年間、ずっとデフレが続く中において、賃金も上がらず、逆にこれは下がってしまった、GNIも縮小してしまったということについては、自民党にも大きな責任がありますし、また、二〇〇六年、七年は私が政権を担いましたが、私にも責任があります。あのとき、企業収益は大変上がりました。しかし、上がったけれども、賃金が上がらなかったということの反省を踏まえて、今回の三本の矢の政策があり、政労使の対話があるわけでございます。

佐々木(憲)委員 責任があり、また反省もあるというわけでありますけれども、私どもが見るところは、国民生活がどんどん負担がふえまして圧迫されてきている、可処分所得が低下して、内需はそのために低迷をするというのが、非常に重大な、全体の低迷の、デフレの要因であったというふうに思うわけです。

 自民党政権の十六年間を見ますと、主に大企業の方の支援は、減税その他、いろいろやってきました。しかし、結果としては内部留保が積み上がるだけで、経済全体の好循環にはつながらなかった。そこを抜本的に変えていくという姿勢がないと、また同じことを繰り返すのではないかというふうに我々思いますので、また議論をさらにさせていただきたいと思っております。

 さて、そこで、八日の本会議で総理が御答弁になった点ですけれども、雇用ガイドラインについてであります。戦略特区内で運用されるこのガイドライン、真に有効なものとなるよう、役所任せにせず、国家戦略特区諮問会議で、有識者の意見を聞いた上で作成することとしております、このようにお答えになりました。先ほども、雇用ルールの明確化は今までなかなかできなかったんだ、こういうふうにおっしゃったわけです。

 この雇用ガイドラインというのは、今までとどのように違うのか。それを役所任せにせずということは、厚労省に任せず、最終的には特区諮問会議でそれをつくっていくんだ、こういう意味なんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 雇用ルールの問題というのは、それが厳し過ぎるということではないんです。それが不明確であったということが問題であるというふうに私たちは考えています。

 したがって、その処方箋は、ルールの緩和や自由化ではなくて、雇用ガイドラインをつくって、契約が雇用ルールに沿っているかどうかを明確化できるようにするところでありまして、その方針は、当初プランから今回の法案まで一貫しているところであります。

 雇用ガイドラインについては、政府として作成することとしておりますが、真に有効なものとなるように、厚生労働省だけに任せるのではなくて、特区諮問会議の意見を聞いた上で作成することとしております。

 また、そのガイドラインに基づく相談、助言サービスについても、特区ごとに設ける、国、地方、民間が一体となった特区会議のもとで行うことで、地域の特性に応じて十分実効的な運用が行われることになると考えております。

佐々木(憲)委員 この戦略特区諮問会議には、総理が任命される有識者の方々が半分以上ということなんですが、その中には、経済財政諮問会議と同じように、企業人も含むのかどうか、それから、この中に労働者の代表というのは入ることは想定されているのかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 本法案においては、国家戦略特区諮問会議の民間有識者は全議員の半数以上でなければならないというふうにされているところであります。また、民間有識者については、経済社会の構造改革の推進などの本法の目的に照らしてすぐれた識見を有する方を私が任命することにしているわけでございます。

 具体的な人選についてでございますが、本法の成立後となりますが、産業界の方かどうかを問わず、国家戦略特区の重要事項を審議していただく上で経験や識見が豊富な方を選定していきたいと考えております。

佐々木(憲)委員 この法案の仕組みによりますと、規制分野に関係する閣僚がこの諮問会議の意思決定に加わることはないというふうに答弁がありました。

 そうしますと、関係閣僚は、この計画の最終段階で承認の判こを押すということになるわけで、そこで同意というのが入っているわけですが、その閣僚が、この計画は不同意だ、こういうふうにおっしゃった場合に、この案件の扱いはどのようになるのか。

 不同意の場合の閣僚をどうするか、それから計画そのものはどうなるのか、お答えいただきたいと思います、総理に。

安倍内閣総理大臣 区域計画の認定に当たっては、規制の所管大臣の同意を必要としていますが、その際、事業内容が本法の規定に合致をしていれば、当該規制の所管大臣は同意することとしています。

 当該規制の所管大臣が不同意とする場合もあり得ますが、この場合には、国家戦略特区諮問会議のオープンな場で透明性の高い議論を行うことにより、合理的な結論が導かれるものと考えています。

佐々木(憲)委員 終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 最後の質問者となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 この法案の質疑も、あらゆる角度からいろいろな問題点が洗い出されたということで、ほぼ問題は出尽くしてきたと思います。

 ただ、私、最後に総理にどうしてもお聞きしたいのは、国家戦略特区の支援策でございます。というのは、この支援策こそが特区の性格づけをするのではないかなというふうに私なりに感じているからであります。

 総理は、今回の国家戦略特区の大きな役割は、もちろん規制改革を断行するということにあるわけですけれども、特に、国際的な経済活動の拠点を形成するんだ、あるいは、日本が世界の企業がビジネスをしやすい国であるように、そういう誘導をしていくんだということを繰り返しおっしゃっておられます。

 そこで、一点確認をさせていただきたいのですが、総理、ことしの六月、サミットに行かれました。そのときの発言を確認させていただきたいと思います。

 総理は、全体討議の中で、多国籍企業を念頭に、税源獲得を目指した税負担の軽減競争を避けつつ、適切な税を徴収できるよう税制の調和を図ることが重要だ、こういう発言をされたと聞いておりますが、これは事実でしょうか。

安倍内閣総理大臣 本年六月に行われましたサミットにおいて私が申し上げたことは、税源獲得を目指した各国による税負担の軽減競争によって国際的租税回避が助長される事態は避けるべきであるということでございます。

村上(史)委員 この発言の趣旨は、今、趣旨まではおっしゃいませんでしたけれども、いわゆる外国企業の誘致を狙って、過度な法人税率の引き下げを回避すべきだと各国に呼びかけられたというふうに認識をしておりますが、それでよろしいでしょうか。

安倍内閣総理大臣 私が申し上げたことは、税源獲得を目指して、各国が税負担の軽減競争によって、先ほど申し上げましたように租税回避が助長される事態は避けるべきであるということでありまして、他方、国家戦略特区においてということをついでに申し上げますと、これは、民間投資を促進してプロジェクトを推進していくために大胆な規制制度改革を行っているということでございます。

 サミットにおいては、キャメロン首相からの提言がございまして、いわば、世界的な企業がさまざまな手段をとって租税回避を行っている、そして、企業活動をしている地域には全然税金が落ちていないという問題があるわけでございまして、そうした問題について議論をしていたわけでございますが、その中で私もこの発言をしたわけでございます。いわば、企業が社会的な存在としての責務を果たさないという意味におけるような、そういう租税回避があってはならない、こういうことでございます。

村上(史)委員 ということは、今回の法案の中で、金融支援とともに税制による支援という項目がございます。当然、日本企業だけではなくて海外からも投資を呼び込むという意味においては、どういう形の税金になるかわからないけれども、税負担を減らすことによって海外からそういう企業、資本、投資を呼び込むんだということになると思うんですけれども、そうなると、今の総理の発言との整合性がとれないのではないかというふうに私は判断するんですが、御見解を。

安倍内閣総理大臣 法人税についても、これはどれぐらいが適正かというのはいろいろな議論があるんだろうと思いますね。

 その中で、いわば常識というものがあって、最低限これは企業としての責務を果たしていく上において、こういう水準があるんだろうなということを逸脱していくようなレベルになってはならないということも含めて申し上げているのであって、私たちが今進めているのは、いわばやる気のある人たちが会社を起こして頑張っていこうというときに、そういう企業税制であればいけますねと考えるわけであります。

 そして、世界の人々は、税だけではありません。電気代もあるでしょうし、あるいは医療のサービスがあるかもしれない。子供がいた場合は学校でのサービスもある。そういうことを全体的に考えながらこの競争力というのはあるんだろうと、海外から投資をしよう、あるいは日本でビジネスをしようという人は考えるんだろうな、こういうことでありました。だからこそ、私たちはパッケージでやっていこうということであります。

村上(史)委員 もちろん、税だけでこういう海外の企業が展開しやすい環境だとは思いませんけれども、ただ、そういう総理の発言があったものですから、まだ税制支援の中身は出てきておりませんけれども、その辺についての疑問をお聞きしたかったなということでございます。

 もう質疑時間が終わってしまいまして、どうしてももう一点したかったんですけれども、やはり時間は守らなければなりません。

 終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、本案に対し、平将明君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びみんなの党の共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 国家戦略特別区域法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました国家戦略特別区域法案に対する修正案につきまして、提出者である自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びみんなの党の四会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 第一に、国家戦略特別区域会議は、国家戦略特別区域計画に、構造改革特別区域法に規定する特定事業、規制の特例措置の内容等を記載することができるものとし、内閣総理大臣から認定を受けた当該計画については、当該認定を構造改革特別区域法に規定する認定とみなして同法に規定する規制の特例措置を適用するものとすることとしております。

 第二に、内閣総理大臣及び関係行政機関の長は、国家戦略特別区域会議に対し、個別労働関係紛争の未然防止等のための事業主に対する援助の実施に関し国家戦略特別区域会議から申し出があった意見について意見を述べるものとし、国家戦略特別区域会議は、内閣総理大臣及び関係行政機関の長が述べた意見を尊重するものとすることとしております。

 第三に、政府は、毎年、国家戦略特区支援利子補給金の活用及び認定区域計画に定められている国家戦略特区支援利子補給金に係る事業の実施の状況について検討を加え、その結果に基づいて、この法律の施行後三年以内に、必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、国家戦略特区法案に対し、反対の討論を行います。

 反対する第一の理由は、この法案が、規制緩和を国家意思として上から一方的に国民に押しつけるものとなっているからです。

 法案では、内閣府設置法に基づく戦略特区諮問会議という強い権限を持つ組織を新設し、総理が任命する諮問会議メンバーを規制改革推進派で固める一方、労働者や消費者はもちろん、関係閣僚さえ意思決定過程から排除し、総理を中心とするトップダウンの仕組みをつくり上げるものとなっております。これは、日本経団連を初め財界の意のままに規制緩和を行い、巨大な多国籍企業に特別な利益を与える体制づくりであります。

 第二の理由は、規制緩和に対する勤労国民の懸念の声、社会的、経済的な悪影響を受ける側の声を、まともに反映する経路がないことであります。

 森ビルなどの大企業が提出した特区提案の多数が非公開とされ、竹中平蔵パソナ取締役会長が人材派遣業界の利益拡大を狙って、雇用規制の岩盤を壊すと言っていることを見ても、情報を隠し、被害者の声をまともに聞かず、国民を実験台にするような姿勢は、到底、許されるものではありません。

 第三の理由は、対日規制改革要望など、アメリカの積年の要望に応え、外国資本を特別扱いする余地を残しているからであります。対日投資の倍加を掲げ、税制などで外資への特別の優遇策を検討していることも明らかとなりました。

 仮に、交渉中のTPPが妥結して発効するような事態を招いたら、この国家戦略特区の規制緩和がそれと重なり、国民の暮らしと健康を守る規制項目が一気に緩和、撤廃され、米系多国籍企業が横暴を振るう殺伐とした日本になる危険性をはらんでおります。

 最後に、この法案が、大企業優遇税制とワンセットで提案されていることも重大です。大企業に対して法人税の減税を行う一方、国民には消費税増税を押しつけ、十三・五兆円もの所得を奪い取るなど、とても許せるものではありません。

 この法案は、国民生活に新たな格差と貧困をもたらすことになります。

 なお、自民党、公明党、民主党、みんなの党の共同提案による修正案については、総理の権限を一層強化するなど、私たちの懸念を深める内容となっており、賛同できないことを申し添えておきます。

 以上で、反対討論といたします。

柴山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、国家戦略特別区域法案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、平将明君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。平将明君。

平委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。

    国家戦略特別区域法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 産業の国際競争力の強化等に関する施策を総合的かつ集中的に推進する総合特別区域法の趣旨を十分踏まえて、本法と総合特別区域法の積極的な連携に努めること。

   また、本法及び総合特別区域法の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて、本法において総合特別区域法に規定する規制の特例措置の活用を可能とするなどの必要な措置を講ずること。

 二 政府は、国家戦略特別区域会議の構成員として、国家戦略特別区域において実施される特定事業について不断の見直しを行うとともに、国家戦略特別区域会議の他の構成員とも密接に連携して、政府が必要に応じて新たな措置に係る提案の募集や規制の特例措置の追加などの措置を講ずること。

   なお、政府は、国家戦略特区支援利子補給金の活用及び認定区域計画に定められている第二条第二項第二号に規定する事業の状況について、一年ごとに検討を加え、その結果を国家戦略特別区域諮問会議等に報告すること。

 三 国家戦略特別区域が規制改革の実験場との位置付けを踏まえ、政府の規制改革会議等における検討結果との連携などや関係者との十分な調整も踏まえつつ、規制改革の推進に資する積極的な運用に努めること。

 四 国家戦略特別区域において実施される特定事業の進捗状況の的確な管理及び特定事業の適切な選定等が可能となるよう、当該特定事業や国家戦略特別区域諮問会議及び国家戦略特別区域会議に係る情報公開を徹底して行うとともに適正な運営の確保に努めること。

   併せて、国会に対して、本法の施行状況等について、定期的に周知すること。

 五 政府は、国家戦略特別区域において実施される特定事業の実施による成果を早急に全国に広げるため、規制の特例措置の全国展開や国の政策を総動員するなどの万全の措置を講ずること。

   また、本法に基づく提案を行った地方公共団体に対して、当該地方の区域の指定の有無にかかわらず、産業の国際競争力の強化等に資する十分な支援を行うこと。

 六 本法に基づく個別労働関係紛争の未然防止等のための事業主に対する援助と併せて、労働者に対して、本法に係る十分な情報の提供等を行うとともに、労働者の職業能力の開発及び向上を促進する施策を積極的に講ずること。なお、当該援助を行うにあたっては、既存の行政組織により現に提供されている援助との関係整理を十分に行うとともに、当該援助が労使双方にとって公平・公正に行われるように十分に留意すること。

 七 本法による国家戦略特別区域をはじめ、構造改革特別区域、総合特別区域の特区制度について、その実施による効果を、公正かつ客観的に評価できる体制を整えること。

   また、その評価結果を踏まえて、当該特区制度が一層効果的に実施することが可能となるよう、PDCAサイクルを適用するなど特区制度の万全な運用に努めること。

 八 国家戦略特別区域の実効ある事業の実施に資するよう、法人税減税や固定資産税減税などの税制措置及び地方税減免に際しての国税の調整措置などを検討するとともに、国を挙げて産業の国際競争力の強化等に資する支援措置を講ずること。

 九 政府は、国家戦略特別区域高度医療提供事業に関し、試験研究の体制の整備、研究者の養成、関係機関の連携その他の必要な措置を講ずるものとすること。

 十 政府は、国家戦略特別区域に所在する空港及び港湾の管理運営体制の効率化その他の空港、港湾等の物流拠点の強化のために必要な規制の特例措置等を講ずるものとすること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。新藤国務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

柴山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

柴山委員長 次に、国民生活の安定及び向上に関する件について調査を進めます。

 アルコール健康障害対策基本法案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、先般来各会派間において御協議をいただき、今般、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしております。

 この際、アルコール健康障害対策基本法案の起草案につきまして、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 本案は、酒類が国民の生活に豊かさと潤いを与えるものであるとともに、酒類に関する伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒がアルコール健康障害の原因となるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことに鑑み、アルコール健康障害対策の基本となる事項を定めること等により、国民の健康を保護するとともに、安心して暮らすことのできる社会の実現に寄与しようとするもので、起草案の主な内容は、次のとおりであります。

 第一に、アルコール健康障害について、アルコール依存症その他の多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害と定めることとしております。

 第二に、アルコール健康障害対策に対する国、地方公共団体、酒類の製造または販売を行う事業者、国民、医師等及び健康増進事業実施者の責務を規定することとしております。

 第三に、政府は、アルコール健康障害対策を実施するため必要な法制上、財政上または税制上の措置等を講ずることとしております。

 第四に、政府は、この法律の施行後二年以内に、アルコール健康障害対策推進基本計画を定めることとしております。

 第五に、この法律は、一部の規定を除き、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 アルコール健康障害対策基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

柴山委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十二分散会


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