衆議院

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第9号 平成25年11月27日(水曜日)

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平成二十五年十一月二十七日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    根本 幸典君

      福山  守君    三ッ林裕巳君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    奥野総一郎君

      後藤 祐一君    階   猛君

      津村 啓介君    若井 康彦君

      遠藤  敬君    田沼 隆志君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    塩川 鉄也君

      畑  浩治君    村上 史好君

    …………………………………

   議員           大熊 利昭君

   総務大臣         新藤 義孝君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  稲田 朋美君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   財務副大臣        古川 禎久君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長)         川淵 幹児君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鈴木 良之君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 武藤  浩君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  豊田  硬君

   参考人

   (再就職等監視委員会委員長)           羽柴  駿君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十七日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     根本 幸典君

  豊田真由子君     三ッ林裕巳君

  後藤 祐一君     階   猛君

  若井 康彦君     奥野総一郎君

  遠藤  敬君     田沼 隆志君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     青山 周平君

  三ッ林裕巳君     豊田真由子君

  奥野総一郎君     若井 康彦君

  階   猛君     後藤 祐一君

  田沼 隆志君     遠藤  敬君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

  畑  浩治君     村上 史好君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外三名提出、衆法第一〇号)

 幹部国家公務員法案(渡辺喜美君外五名提出、衆法第一五号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(津村啓介君外四名提出、衆法第一六号)

 国家公務員の労働関係に関する法律案(津村啓介君外四名提出、衆法第一七号)

 公務員庁設置法案(津村啓介君外四名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 開会に先立ちまして、日本維新の会所属委員に対し、御出席を要請いたしましたが、御出席が得られません。

 再度理事をして御出席を要請させますので、しばらくお待ちください。

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

柴山委員長 速記を起こしてください。

 理事をして再度御出席を要請させましたが、日本維新の会所属委員の御出席が得られません。やむを得ず議事を進めます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに渡辺喜美君外三名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、渡辺喜美君外五名提出、幹部国家公務員法案、津村啓介君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、国家公務員の労働関係に関する法律案及び公務員庁設置法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として再就職等監視委員会委員長羽柴駿君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長川淵幹児君、内閣官房内閣情報調査室内閣審議官鈴木良之君、総務省人事・恩給局長笹島誉行君、国土交通省大臣官房長武藤浩君、防衛省人事教育局長豊田硬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 本日は、国家公務員法の改正案の質疑、野党、これから始まります。そもそも国家公務員制度の改革は、翻ってみますと、橋本行革に端を発して、もともとその前からも公務員制度の議論というのはございましたけれども、いわゆる橋本内閣において本格的に議論がスタートした、省庁再編の議論と相まってスタートした、こう認識しております。

 当時、私は議員ではなく、霞が関を取材する新聞記者でありましたけれども、公務員制度が大変揺れておりまして、私は経済産業省の担当でありましたが、そのときは、まさに時の大臣が局長を更迭されまして、次官候補を更迭されて、蜂の巣をつついたような大騒ぎになりました。また、その後、大蔵不祥事、何とかしゃぶしゃぶ事件等々ございました。その前は厚生労働省、いわゆる官僚の不祥事も続いたわけであります。

 そういったことも踏まえて、あるべき官僚像はどうかということで橋本内閣で議論がスタートし、そして、第一次安倍内閣において国家公務員制度改革基本法が打ち上げられ、いわゆる官僚内閣制から議院内閣制にしようではないかということで第一次安倍内閣で打ち上げられ、そして、それを引き継いだ福田内閣で成立をした。当時、自民党政権のもとで、百年に一度の改革とうたわれ、基本法は、それを実行するプログラム法として、当時野党であった民主党の修正案も受け入れる形で、自公民三党によって成立をしました。

 このプログラム法は成立をしたわけでありますが、ところが、ことしの七月十日に、この法律で予定をしていた五年間の措置期限が過ぎ去ったわけであります。この間、麻生政権で二十一年改正案、いわゆる甘利法案も提出され、廃案になり、また、民主党政権下でも二度にわたる法案の提出があったわけですが、成立を見なかった、こういうわけであります。

 そこで、まず冒頭、稲田大臣にお伺いしたいのですが、担当大臣として、私は、この責任が誰にあったかということをあげつらうつもりはございません。民主党もこの間、三年半の政権を担当しておりました。誰がよかった、悪かったと言うつもりはございませんが、しかしながら、この改革が期限内に実行できなかった最大の要因は何だったのかということは、ここにおいてきちんと整理をする必要があると思うんです。

 大臣は、その最大の要因は何だったのか、この措置期限内に成立を見なかった最大の要因は何だとお考えになるか。稲田大臣、お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 おはようございます。

 今、最大の原因は何であったのかというお尋ねですが、最大の原因がこれだと決めてお答えするのはかなり難しいのではないかと思っております。

 ただ、この公務員制度改革が、我が国における縦割り行政の弊害を排して、そして、政府一丸となった人材戦略を確立するという大変重大な改革であるにもかかわらず、それが、先ほど委員御指摘になったような、官僚の不祥事であったり、また政局的な動きと一緒に捉えられたりするような不幸な原因もあったのではないかというふうに思います。

 ともあれ、その五年の期限も既に切れていることでもあり、早急にこの国家公務員制度改革の法案を成立させて、そして、政府一丸となった人材戦略、そして内閣人事局の設置に、法案の成立に向けて頑張ってまいりたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、ここの最大の要因は何だったかというのは、議会人としても、また閣僚としても、実は、議論をもうちょっと深めたいというか、お答えいただきたいと思うんです。最初の質疑でありますから。まあ、いいでしょう。

 官房長官は、麻生政権下では、政府にはおられませんでしたが、政権の中枢におられたことは周知の事実であります。政権与党の中枢のお一人であられました。もちろん、閣僚の御経験も、総務大臣の御経験も踏まえて、常に政権ないしは与党の中にあられ、また麻生内閣の中枢におられたので、この公務員改革の経緯、麻生内閣また安倍内閣においての経緯もよく御存じかと思います。その後の経緯も御存じだと思いますので、この改革が、措置ができなかった要因は官房長官なりに何だと総括されておりますか。

菅国務大臣 私、実は、当選二回の当時に、やはり公務員制度改革というのを徹底してやろうと思って、これに対応しようとした時期がありました。党内でさまざまな議論の中で、当時も今もこれは同じであるというふうに思っていますが、やはり公務員の労働基本権の問題と人事院の勧告制度というんですか、我が国特有のもの、そうしたものをどのようにするかということで、党内でも大激論をしました。国会でも常にここが議論の対象になるところでありますけれども、そうしたものがなかなか方向性を見出すことができなくて、私ども、麻生政権のときに挑戦をするわけですけれども、なかなか法律の成立まではいくことができない、それはある程度のそうした歴史だったんじゃないかなというふうに私は思っております。

近藤(洋)委員 官房長官、人事院の制度等々の問題もあって、壁、大変厚い課題であった、こういうお答えでございました。

 ちょっと重ねてお伺いしたいんですが、官房長官、公務員制度に当選二回のときからかかわってきた、思いを寄せてきた、こういうことであります。我々、国会議員をやらせていただいて、議席を預かっておると、特にいわゆるキャリア職であれノンキャリアの方であれ、何であれ、大なり小なり、公務員の方々と日々仕事を、立場は違えどするわけでありまして、公務員制度に対する課題というのを、また、特に幹部公務員、いわゆる日本を引っ張ってきたと言われるキャリア制度に対しての思いというのもそれぞれの国会議員は持つわけでありますけれども、菅官房長官は、今の幹部公務員の方々、制度であれ何であれ結構ですけれども、大きな問題点をもし三つ挙げるとしたら、どこにあるというふうにお考えですか。

菅国務大臣 正直な話、我が国の幹部公務員の皆さんには優秀な方がやはりたくさんいらっしゃると思っていますし、また、仕事にも真摯に取り組んでいる方がいらっしゃるということを私は否定をしていません。

 ただ、今委員から指摘されましたように、その問題点でありますけれども、やはり、内閣の重要政策に対応して、機動的、戦略的な、そうした人材が配されていないのではないか。

 さらに、縦割り行政、どうしてもみずからが所属する省庁から抜け切れていない。まさに縦割りの弊害というのは、私は極めて大きいというふうにも思います。

 さらに、そういう中にあって、政府全体として、戦略的にというんですか、人材を一つにして、一つの目標に向かって進んでいこうという、そうしたものがなかなか今の仕組みの中にはないのではないかなという問題意識を持っております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 そこの問題意識は我々も一緒であります。スピーディーに対応できない硬直的な組織になってはいないか。また、国全体として動けない部分があるのではないか。これは裏を返せば、手あかのついた言葉でありますが、省益あって国益なし、また、極端な例は、局益あって省益なし、いわんや国益もなしといった言葉に代表されるように、それぞれ官僚の方々は熱心に仕事はされているけれども、それは自分のそれこそ組織に対して忠誠を誓っているのであって、国全体に対して物を見ていないのではないか、こういった指摘、これは我々野党民主党もここが問題があると思い、政策を練り上げ、そして政権を預かったわけであります。

 そこで、稲田大臣、そういう問題意識の中で、公務員制度というのは統治機構のインフラなわけであります。翻って、それは国民生活の、国民の皆さん方の命と安全を守る土台でもあるわけであります。インフラであり土台である、こう考えると、逆に言うと、時の政権政党の思い、思惑だけで決めるものではない、こう思うんです。

 我々は、既に政権交代を経験したわけであります。もちろん今は安倍政権、自民党、自公内閣、衆参において圧倒的多数を持っておりますけれども、しかし、これは何年か後にどうなるか当然わからないわけでありまして、六年前、安倍総理がおやめになったときに、恐らく菅官房長官は、また復活すると思ったかもしれませんが、恐らくここにいらっしゃる方々のほとんどは、六年前おやめになった瞬間は誰も思わなかった。だけれども、今総理をやられている。要するに、政治というのはそういうものであると。

 そういう中で、政権交代も十分起こり得るという中で考えると、その土台であるインフラは、時の政権の考えだけをごり押しする、貫くというものでは到底ないのだろう、こう思うわけであります。全ての法案はそうでありますが、特に、この公務員制度はその配慮が必要であろう。攻守交代することがあるわけでありますし、それを配慮した制度設計を我々は議会人としてつくらなければいけないのだろう、こう思うわけですね。

 したがって、これから始まる我々野党の質疑で、各党の議員がさまざまな問題点を指摘し、建設的な提案をしてまいります。既に、我々は、対案的な提案を法案として提出をしております。民主党は、単独でも、かつ、維新、みんなの党さんと共同でもこの委員会に提案をしているわけでありますが、場合によっては、今後の議論の展開によっては、この対案をベースにさまざまな議論、法案に対しての、ありていに言うと、提案を具体的に公式にも非公式にもさせていただくことがあろうかと思うんですね。

 そうなると、当然、これは議会の議論でございますから、議会においての議論になるわけでありますが、議院内閣制である以上、政府においても、きちんと野党の提案を受けとめる、受け入れるという度量が必要なんだろう、こう思うんです。

 大臣、官房長官、最初の質問で、なぜこの公務員制度改革が何度も提案をしたけれども成立を見なかったか。私なりに解釈をすると、基本法のときは、当時、与党自民党は衆議院においても多数でありましたが、しかし、野党の提案を受け入れて、そして、熟議の上できちんとした修正を練り上げたという努力があったんですね。野党の提案を受け入れて、時の福田総理も、総理決裁で受け入れたという経緯があるわけです。

 何を言いたいかというと、そういう修正の協議を、これから何が起こるかわかりません、修正ができるかどうかもわかりませんが、これからの議論を通じて起こる各党の提案について、きちんと政府において受けとめるということが、これが、この重要な法律を成立させたいのであれば、まず最初の入り口として、真摯な政府の答弁と同時に、そういう姿勢が重要かと思いますが、稲田大臣、官房長官、いかがですか。

稲田国務大臣 近藤委員御指摘のとおり、この公務員制度改革は、与党も野党もなく、統治機構の共通のインフラだと思います。

 そして、冒頭、委員が御質問になりました、なぜ改革が進まなかったかということですけれども、やはり橋本行革、その前から、もう明治時代から省庁の縦割り行政というものが続いてきて、人によっては、この公務員制度改革こそ岩盤中の岩盤だとおっしゃる方もいらっしゃいます。

 そういう意味において、私は、この公務員制度改革について、平成二十年に改革基本法というのが、今委員御指摘のとおり、与野党の最後の調整のもとで、プログラム法としてきちんと方向性が示されている。これは大変画期的であり、この改革基本法に基づいた改革をするということが重要ではないかなと思っております。

 また、自民党でも一回、また、御党が政権をとられたときにも二度法案を出されて、大変な、ずっと議論は続いてきているというふうに思います。国会においても御議論をいただいて、政府が提出した法案への御理解をいただきたいというふうに考えております。

菅国務大臣 まず、今回、私たちは改めて法案を提出させていただいています。きょうからこの審議が始まるわけでありますけれども。

 そういう中で、今、近藤委員からお話がありました、まさに野党の皆さんも、今の仕組みの中ではだめだというその方向は一致をしていますし、そういう思いの中で、民主党政権でも二回法案を提出されたと。実際来ておるわけでありますから、私たち政府としては、今の法案が最適であるという形で提出をさせていただいております。

 そして、これから議論が深まっていくわけでありますけれども、そういう中で、さまざまな問題点をよりいい方向に変えられることであれば、当然、そこは政府としても、お互いに協議していくというのは、ある意味で、この法案だけでなくて必要な法案については、政府の基本姿勢で、今、国会に法案をお願いしているところであります。

近藤(洋)委員 ぜひ、きちんと議論をして、我々、この公務員制度という議論は、きちっと議論をして、そしてお互いにいいものをつくり上げる姿勢が本当に大事なんだと思うんですね。ですから、政府法案が完璧だなどということはあり得ないんです、人間のつくるものですから。

 これからいろいろ議論してまいりますが、その時々で政府の言っている法案は違うわけです。民主党政権の時代に出した法案、そのときも完璧だと。民主党政権で出した法案と今の政権で出しているものは全く似て非なるものでありますし、これから議論しますが、二十一年の甘利法案とも今の政府法案はまた違う部分もたくさんあるわけでありますから、いろいろ議論をして提案をさせていただきますので、それはやはり受けとめてもらいたい。

 ゆめゆめ、きのう強行的な採決が行われたような、国家機密法案のような扱いをしないように、きちんと時間をかけて、かつ中身のある議論をさせてもらいたい。このことは、委員長、重ねて申し上げておきたい、こう思います。

 続いて、具体的な中身に入りますが、稲田大臣、稲田大臣は、本会議等においても、本法案は基本的には平成二十一年に提出をした、いわゆる甘利国務大臣のもとでの甘利法案を基礎として、基本として出されたといった趣旨の御答弁をされております。

 ただ、その後に野党自民党が提案をされた法案とは、自民党法案ですね、みんなの党さんとも一緒に提案をされた法案と全く異なる法案に、甘利法案は違う法案でございますし、現在の政府の法案も野党自民党時代の法案とは内容が異なっているわけであります。

 まず最初に伺いたいんですが、少なくとも、昨年十一月、この時期に総選挙をやっておりましたけれども、いわゆるJ―ファイル、自民党の政権公約集も読ませていただきました。公務員制度改革も中身にきちんと書かれております。

 あの中にはそれほど詳細なことは書かれておりませんけれども、有権者は、公務員制度改革を自由民主党が政権公約の柱として掲げられて戦ったときに、少なくとも野党時代の自民党法案が当然政権をとられたら出されるんだろう、こう思うのは普通であります。野党時代の自民党法案を否定しておりませんから。そして、我々は公務員制度改革を突き進みます、こういうことを訴えて選挙を戦われているわけですね。

 ところが、出てきたものは違うものが出てきている。これは稲田大臣、公約違反となりませんか。いかがですか。

稲田国務大臣 公務員制度改革については、やはり平成二十年に改革基本法というプログラム法、本当に画期的な法案だと思いますけれども、第一次安倍内閣の時代でありますがそれが成立をして、その改革基本法を踏まえて改革を断行し、内閣人事局を設置するというのが、私は自民党の公約であろうかと思います。

 法案の検討に当たりましては、参議院選挙前の本年六月二十八日には、政府として、国家公務員制度改革推進本部決定を行い、改革の方向性を示しております。それも二十年の改革基本法にのっとったものであり、公約に掲げられている公務員制度の改革、内閣人事の一元化、内閣人事局の設置、まさしく先ほどから申し上げております政府一丸となった人材戦略を行っていくということでございます。

 したがいまして、今回の法案が公約違反という批判は当たらないというふうに思います。

近藤(洋)委員 私は、参議院選挙のことを申し上げているのではなく、衆議院選挙の有権者との約束に、信義に反するのではないかということを申し上げているので、そのことに答えていない。お答えください。

 また、変わった、私は結構だと思うんです、場合によっては。要するに、合理的な説明があれば。マニフェスト至上主義を掲げるつもりもありません。しかしながら、合理的な説明がなく勝手に変えるのは、それは有権者に対する背信行為だ、こういうことであります。ですから、変わったのですから、なぜ変わったのか、合理的な説明をしていただけますでしょうか。

稲田国務大臣 公約に掲げておりますのは、内閣人事局を設置して、平成二十年の改革基本法という公務員制度改革のプログラム法にのっとった改革を断行するということでございます。

 そういう意味におきまして、私は、今回の法案は、その改革基本法の精神にのっとったものであり、公約にのっとったものであるというふうに考えております。

近藤(洋)委員 では、変わっていないという認識ですか。では、自民党の提出された法案と比べて、現法案が違った理由を御説明ください。大幅に変わっていますが、御説明ください。

 また、具体的に、自民党法案と野党時代との法案が変わった理由。それともう一つ、甘利法案と比べても幾つかの点で大きな点が違っているんですね。これは政権時代の法律ですから、もっときちっとお答えいただけると思うんです。例えば、伺いたいのは人事院のあり方であります。

 甘利法案の際には、級別定数、また任用、採用試験、研修の企画立案は、人事院から新たに設ける内閣人事局に移管する案でございました。ところが、民主党案ではさらに一歩進めて、人事院を廃止するという、いずれにしろ人事院を縮小していくという大きな流れ、甘利法案からスタートをし、そして我々はそれをさらに進めていった、こういう流れを進めてきたのです。

 ところが、現在の法案は、それをまた時計の針が逆戻りになっているんですね。要するに、級別定数については、人事院の意見を聞くとともに、その意見を尊重すると明記をしております。甘利法案の時代に、谷人事院総裁が政府案に対して激しく反発して、それに対して甘利大臣が傲慢不遜だと言って大変な論争になったのは、皆さん、ここにいらっしゃる、一年生議員の方はどこまで御存じかどうかは別にして、当時国会にいた人間は全員が知っている話であります。マスコミにも大きく取り上げられる事態となりました。稲田大臣、ここは違ったということを認めていただきたい。

 それで、この違いについて、あれほど激しい論争を通じて決めた人事院からの権限の移管をなぜ後退させたのですか。合理的かつ明確な理由を、この点についてだけでもせめて説明してください。

稲田国務大臣 私は、基本は、平成二十年の改革基本法であると考えております。その基本法にのっとって平成二十一年に甘利法案が提出をされ、そして民主党政権下でも二つの法案が閣議決定をされて提出をされ、三つの法案が廃案になりました。そして、私が大臣に就任いたしましてから、これまでの経過を全て検証した上で今回の法案を提出したわけであります。

 そして、今のお尋ねの人事院の級別定数の機能を移管するということについては、平成二十一年と今回の法案は何ら変わってはおりません。

 ただ、今回の法案化の過程では、政権交代等の経験も踏まえ、各方面から人事行政の公正確保や職員の勤務条件の確保の重要性に関する指摘が多くなされたところでございます。そして、委員も御承知のとおり、今回の法案では、基本法の十二条の自律的労使関係というものは措置を見送ったわけでありまして、そういう意味において、人事院の代償措置的な機能は残さなければならないかと思います。そういう意味において、この級別定数も勤務条件に関連する部分がありますので、この点については人事院の意見を尊重するというふうにしたわけでございます。

近藤(洋)委員 きちんと答えてください。

 では、もう一度伺います。

 甘利法案の際には、いずれにしろ、級別定数、任用、採用試験、研修の企画立案等々について、人事院から完全に内閣人事局に移すという法律だったんです。現在の法律は、意見を聞き、尊重するということが盛り込まれています。これは明らかな違いであります。これが違いがないと言うのは大きな間違いである。まず、この違いは認められますね。イエスかノーかで結構です。

稲田国務大臣 先ほどから、その点については、違わないとは答弁をいたしておりません。確かに違っております、その点については。ただ、基本法を踏まえているという意味において、公約違反ではないということを申し上げているわけです。

近藤(洋)委員 では、違っていますね。では、違っているのであれば、甘利法案のときに、あれだけ政府内で人事院と大きな、人事院総裁があのような発言をする事態まで発展して議論を詰めたわけです。そのときに、労働基本権、締結権の話は甘利法案のときはなかったわけでありますから、それは議論をごっちゃにしてもらっては困る。

 私が伺いたいのは、では、甘利法案はやはり間違っていたという認識でよろしいんですか。あのときの政府の判断は間違っていたという認識なんですか。いいですか。それをお答えください。それで、環境が異なったというお答えをするけれども、この六年間で、一体、公務員をめぐる何の環境が変わったんですか。お答えいただきたい。(発言する者あり)

柴山委員長 御静粛に願います。

稲田国務大臣 今、近藤委員御指摘のとおり、甘利法案のときに、人事院総裁と担当大臣の間で大変激しい論争があったことは事実でございます。今回は、人事院とも、論争はしつつも、最終的にはテーブルに着いていただいて、さまざまな議論をすることができました。

 その結果、任用については、内閣人事局が任用の基準全体を担うとしていたものを、行政ニーズの変化に対応するためのすぐれた人材の養成及び活用の確保に関する機能は内閣人事局が担い、公正な任用の確保に関する機能は人事院が担うこととする。

 また、級別定数については……(発言する者あり)

柴山委員長 御静粛に願います。

稲田国務大臣 級別定数につきましては、先ほど、私、冒頭指摘をいたしましたように、人事院の代償機能というものは確保しなければなりません。そして、級別定数に関しては、勤務条件に関連する部分もございます。そういう意味から、内閣人事局が人事院の意見を聞いて設定、改定するとしてきたものを、人事院の意見を十分に尊重するというふうに変更させていただきました。

 そういう意味で、内閣人事局と人事院との間で適切な役割分担をしたわけでありまして、むしろ、私は、ある意味、成熟をしたというふうに考えておりまして、甘利法案が間違っているということではないと思います。

近藤(洋)委員 それは、大臣、やや詭弁だと思うんですね。

 プログラム法の労働基本権のことを言うのであれば、プログラム法で規定された、まさに確かに当時の議論としても、基本権が制約されているから、人事院が公正中立であるべきだ、それがきちんとやるべきだというのは人事院の主張でありました。だから、それの代償として、プログラム法できちんと、基本権、自律的労使関係に係る制度を措置するものとするとプログラム規定に書いたんですよ。それをしていないのが問題なんです。

 我々民主党政権では……(発言する者あり)お静かにしてください。いいですか。我々民主党政権では、それを措置する法律を出したんですよ。ところが、今の政府案ではそれを出していないんです。何でこの怠慢をしたんですか。まず、政府の怠慢ではないか、担当大臣の認識を伺いたい。

稲田国務大臣 改革基本法の十二条については、労働基本権ということで、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」というふうに書かれております。そういう意味において、費用と便益、これを比較して、そしてまた、国民の理解を得るということが、この労働基本権、すなわち自律的労使関係を措置する上での前提だというふうに思っております。

 私が就任をいたしましてから、国家公務員制度改革基本法に定められた広範な改革事項、もちろんこの十二条についても、あり方に関する意見交換会を開催して、さまざまな方々から意見を聞きました。もちろん、民主党政権で、労働基本権を措置して、人事院を廃止して公務員庁をつくるという法案も含めてずっと検討してきたわけであります。

 その中で、私は、基本法十二条に定める自律的労使関係制度について、使用者、職員団体の双方から幅広い意見を聞いた結果、いまだ国民の理解を得られるような段階には至っていないということで、今回の法案に措置をしなかったわけでございまして、怠慢という批判は当たらないかと思います。

近藤(洋)委員 私は、明らかにこれは政府の怠慢だと思いますね。ここのことにきちんと措置をしていないから、人事院と怪しげな妥協をする結果になる、甘利法案から後退する結果になる、こういうことになるわけであります。やるべきことをやっていないからこういうことになるんです。いいですか。(発言する者あり)

 委員長、静かにさせてください。

柴山委員長 静粛に願います。

近藤(洋)委員 ここの部分、きちんとやるべきことをやる、措置するということをする宿題というのは、大臣、虚心坦懐に言えば、残っているんだ、この認識は持たなきゃいけないと私は思うんですよ。私は、怠慢だと思います。やるべきだと思います。ただ宿題として、厳然として残っている。

 官房長官、これは政府全体の大きな話です。ここの部分、自律的労使関係を措置するというのは、これは期限が切れてしまいましたけれども、基本法に明確に書かれている部分でありますから、これは政府の大きな宿題として残しているという認識でよいかということを官房長官に伺いたい。

 同時に、これは、内閣人事局において具体的な議論は今後進められる、法案成立後は内閣人事局において進められるという認識でよいのか、人事局を所管するのは内閣官房長官でありますから、ぜひ御答弁いただきたい。内閣官房長官に御答弁いただきたい。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、まだ改革基本法十二条の責務は引き続き有しているところだと思っておりまして、引き続き慎重に検討する必要があるかと思います。

 この基本法十二条については、新設する内閣法附則第三項に基づき、内閣人事局において所掌することといたしております。

菅国務大臣 先ほど来の議論の中で、冒頭、なぜ三度もこの法案が、それぞれの政党は違いますけれども、御提出されて成立できなかったか、どこに原因があるかというときに、私は、公務員の労働権の問題と、人事院の勧告制度の話をさせていただきました。

 甘利担当大臣のときに、私は当時、自民党の選対副委員長でした。そのとき、私は、人事院総裁は罷免すべきである、こういう発言まで実はあえて踏み込んでいたしました。しかし、残念ながら、今の法律の中で人事院総裁をやめさせることはできないんですね。それぐらい、人事院総裁というのは、もうまさに堅固な形で守られ切っているわけでありますから、そうしたさまざまな、私たちが法律として成立をさせることができなかった、そういう歴史の中で、稲田大臣のもとで整理をさせていただいて、今回の法案提出になったというふうに私自身は理解をいたしております。

 そしてまた、今の部分でありますけれども、基本法十二条については、新設する内閣法附則第三項に基づいて、内閣人事局で所掌する、このようになっていますので、そのように対応すべきだというふうに私は思っています。

近藤(洋)委員 官房長官、まさに、私は、菅選対副委員長時代といいましょうか選対委員長代理時代の御発言の会見録も見ました。的確な御指摘だと思います。ですから、この問題をよく御存じで、人事院との闘いもよく御存じのはずです。

 ですから、それだけ知っているこの安倍第二次内閣で、何で人事院と妥協するようなことを出すんだという失望を拭い切れないんですね。甘利法案のころと比べて後退している。安倍さんがやり、そして菅官房長官がおりながら、この中身は何たるかということなのであります。この件は、また議論させてもらいたいと思います。

 また、今回、甘利法案との違い、国家戦略スタッフ、これも何かちょっとよくわからない中身になっておるんですね。

 本法案では、首相補佐官の所掌事務を規定し直して、大臣補佐官を置くことができるようにしました。各省一名以内、内閣府六名以内ということですが、官房長官、大臣補佐官というのは一体どういう位置づけで、どういう権限を持つものなのか、よくわからぬのです。

 我々が政権を担当した時代は、私は経産の大臣政務官と副大臣、それぞれ経験をさせていただきましたけれども、政務官の場合は、大臣を補佐するスタッフではあります。しかしながら、同時に、民主党政権下では、政務三役会議のメンバーであり、要するに意思決定機関のメンバーであり、かつ、省によっては、特に経済産業省などの場合にはラインでもありました。担当を、例えば産業政策局を持ち、私どもは資源エネルギー庁を持ちということで、担当の局を持って、庁を持って、そして副大臣と相談しながら、ラインの位置づけとしても仕事をしてまいりました。

 ですから、大臣政務官は、ある意味でラインの仕事もできるわけです。スタッフではない、かつ、したがって部下もいるわけです。秘書官だけではなくて、経産省の職員をラインとして十分に用いることができるわけであります。

 しかし、この補佐官というのは、果たして一体どういうものなのか。部下はおるのかどうなのか。この辺、官房長官、私はこの大臣補佐官の位置づけがよくわからない、明確にしてもらいたいということと、あわせて、やはり国家戦略スタッフをポリティカルアポインティーとしてきちんと置けるように、内閣政務参事官といったような名前のつけ方は結構でありますけれども、そういったスタッフをきちんと位置づけて使えるようにすべきではないか。

 ここの部分、本法案では欠落しているのではないかと思いますが、官房長官、いかがですか。これは内閣の話です。

稲田国務大臣 今御質問の大臣補佐官ですが、今回の法案で、各省に、特に必要がある場合において大臣補佐官一名を置くことができるというふうに定めております。その職務は、その省の長である大臣の命を受け、特定の政策に係るその省の長である大臣の行う企画及び立案及び政務に関し、補佐するというふうに書かれております。

 大臣補佐官は、大臣の命を受け、大臣を補佐する者であることから、行政面においてみずからが表面に立つとかいうものではなくて、また、省を代表する者ではなくて、いわば黒子的な存在であると考えております。その上で、例えば、必要がある場合には、大臣補佐官のもとにスタッフを置くことも可能であり、弾力的な運営ができるのではないかというふうに考えております。

近藤(洋)委員 官房長官にお答えいただきたいんですが、その補佐官というのがよくわからぬのです。

 要するに、内閣参与でも、政府の方針と違う発言をする方が安倍内閣にいないわけではないわけであって、自由に発言される。そういう自由な発言が大臣補佐官は許されるものなのかどうか。ラインであれば許されません。ですから、官房長官、大臣補佐官というのはラインとして位置づけるものなのかどうか。

 あとは、やはり国家戦略スタッフはきちんと位置づけるべきだと思いますが、これについての御答弁、通告をしておりますので、御答弁をいただいて、私の前半の質問を終わります。

菅国務大臣 今、稲田大臣が答弁したように、黒子役というんですか、ラインではなくて黒子的なものを考えております。そして、それは、一名置くことができるということであります。

 それは、例えば福島の中間貯蔵の地元対策とか、そういうのに必要だとすれば、今の副大臣、政務官では、そこに専従で行くことというのは今の状況ではなかなかできないわけですから、そうした特命的なものを帯びて活動するというふうに御理解をいただければと思います。

近藤(洋)委員 済みません。ちょっと時計を読み間違えました。まだ時間が残っておりますのでさせていただきます。恐縮でございました。

 官房長官にもう一度伺いたいんですが、まず実務的に、官房長官がいらっしゃる時間に。

 内閣人事局についてお伺いしたいんです。内閣人事局については後半も伺いますけれども、まず内閣人事局。

 我々は、内閣人事庁と当初基本法であったものを、ちょっと肥大化するということで内閣人事局というふうに修正をしたんですね、基本法のときに。ですから、やはりスリム化を図るという意図が当時の修正のときにはございました。

 まず伺いたいんですが、内閣人事局の規模は何人程度で、また、その中に指定職以上の幹部職員は何人程度置かれる御予定ですか、お答えいただけますか。規模と指定職。これも通告しておりますから。幹部職員は何人置かれるんですか。

菅国務大臣 内閣人事局の具体的な組織・定員規模というのは、今後、予算編成の過程でこれから調整していくことでありまして、現段階でも決まっていないわけでありますけれども、いずれにせよ、内閣人事局が担う機能が的確に作用することができるように体制をとっていきたいと思います。ただ、それは行革の問題もありますので、機構の肥大化を招かないような形で、しかし、現実的に内閣人事局が機能することができるように現段階では考えております。

近藤(洋)委員 官房長官、では、内閣人事局長ですけれども、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、閣法の二十一条、民主党案十五条、違いは、政府案は、官房副長官から指名する。民主党案は、我々の案は、内閣総理大臣が官房副長官または副大臣その他の職を占める者、これは政務官を予定しておりましたから、基本的には政治家、こういうことなんです。

 官房長官、内閣人事局長は事務の副長官を想定しているのか、それとも政務の副長官、どちらを想定されておりますか。

菅国務大臣 三人いる副長官の中から、総理が指名する副長官という形で考えています。

近藤(洋)委員 いや、ですから、事務かどちらかというのは、事務もあり得るということなんですか。

菅国務大臣 政務、事務を問わず考えています。

近藤(洋)委員 ここは政務と事務で状況ががらっと変わるということは、官房長官だからおわかりいただけるんじゃないでしょうか。

 委員長のお許しを得て、二枚目の資料をごらんください。これは「自民党と公務員制度改革」という本の中の抜粋であります。なかなかいい本でございます。よく取材している本だなと思いますが、そこで、ここの谷人事院総裁そして堺屋太一氏の発言を引用させてもらっています。

 堺屋さんは、政府の中にある会議体の当時の顧問でありましたが、このとき谷総裁は、人事局長が誰になるかというのは極めて大きい問題である、こういうふうに指摘をしております。すなわち、権限と事務が集中します、そうなると、あのお忙しい総理と官房長官がこれをごらんになれません、局長が実際はこれを担う、では、その方が政治家なのか官僚なのか民間なのか、その方がどうなるかわからないうち、イメージを持った上でないとこの議論はできませんよという警告を発しているんですね。僕はこれは卓見だと思います。

 そしてもう一つ、堺屋さんは、「落日燃ゆ」の広田弘毅氏を引用しながら、もしこれが事務になってしまったら、私は軍人を現役大臣にさせてしまった広田弘毅になってしまうから、それはとても賛成できない、こういうことを記録に残してほしい、こうまで発言しているんです。

 これは大事な問題なんです。そんないいかげんな答弁は許されないと思います。私は、政治家がやるべきではないか、政治主導をやるのであればと。民主党案は政治家でございました。政治主導をやるのであれば政治家だと。ここは明確にスタンスを示すべきだと思いますが、官房長官、重ねていかがでしょうか。

橘委員長代理 菅官房長官、質疑時間は終了しておりますので、よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 これは任命権者は総理大臣でありますから、総理大臣が、三人の副長官の中から、みずからの考えに基づいて、内閣一丸となって政策を遂行できる、そういう中で指名するものだろうというふうに考えます。

近藤(洋)委員 続きは午後やらせていただきます。

橘委員長代理 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。

 本日もよろしくお願いいたします。

 まず、通告の順番でやらせていただきますが、今の公務員事務局の体制は通常国会のときと変わっておりますが、まず大臣の感想と、それから、新しい事務局の体制、これが変わったことによって、大臣のお考え、何か変わられた点があるのかどうか、お尋ねいたします。

稲田国務大臣 七月に、国家公務員制度改革基本法に基づく国家公務員制度改革推進本部が設置期限を迎えまして、以降は、内閣官房行政改革推進本部のもとで行っているところでございます。

 今委員御指摘のとおり、体制は変わっておりますけれども、政府として、基本法に基づく公務員制度改革を断行するという姿勢には何ら変わることはございませんし、事務局も、大変士気高くこの改革法案の成立に向けて頑張っているところでございます。

大熊委員 重ねてお尋ねしますが、そうすると、通常国会から、大臣のお考え、御認識は変わっていないということで理解してよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 基本的な考えは変わっていないかと思います。

大熊委員 基本的にはということは、基本じゃないところで、応用面で、何かその他で変わっているのでしょうか。

稲田国務大臣 変わっているということはありませんが、法案を精査するうちに、細かく検討して、成熟をしたという面はあるかと思います。

大熊委員 本会議の代表質問でもお尋ねしましたが、育成課程が変わっていますよね。大臣が二回、人事局がやるべきだとおっしゃった、試験はそうじゃありませんでした、済みませんでしたと言って、その後、人事局がともう一回確認で言われた、そこの法案は変わっていますよね。

 そうすると、法案が出てきたときは、内閣人事局設置ということで事務局でつくって、各省協議で変わっちゃったという、法案を見ながら修正したと今大臣が答弁されましたが、そういうことですか。

稲田国務大臣 基本的な方針とかは内閣人事局で決めます。そういう意味において、基本的な考え方、また、通常国会で答弁したこととの間には変更はないかと思います。

大熊委員 それは全く違いますね。春の通常国会では、大臣は、内閣人事局が育成課程をやると二回だめ押しでおっしゃったんです。それは全く違いますけれども。訂正されませんか。

稲田国務大臣 通常国会のときも、内閣人事局において、今回、幹部候補育成課程をつくることの意味は、やはり政府一体となった幹部の育成という新たな仕組みでありますので、そういう意味において、内閣人事局を新たに設置し、そこにおいて、省ではなくて国益に合致する広い視野での幹部候補を育成するという趣旨でございまして、変わってはおりません。

大熊委員 そうですよね。何も、昔の報告書がどうのこうのというのじゃなくて、普通に考えれば、日本代表のジュニアを育てるんですから、内閣人事局がやった方がいいと思うんですよ。大臣も多分そういう趣旨で、春、おっしゃられたと思うんです。

 だけれども、法案はそうなっていないんですよ。各省がやるとなっているんですね、内閣総理大臣の基準に基づき。これは四年前の甘利法と一緒なんです。私も、四年前のときは、事務局員としてそういうことだなと思っていたのですが、ここはやはり政治主導なんですから。春はやはり、そういう意味で、政治主導、政治家としてそうあるべきだということで大臣はおっしゃったんだと思います。大臣の答弁というのは重いと思います。

 私も、過去の経緯はともかく、やはりその方が、日本代表ジュニアを育てる意味で、内閣人事局が日の丸官僚を育てるんだからいいと思います。どうですか、ここはひとつ政治主導で、もとの考えにお戻しになる、ここは法案を修正するんだということをお考えになりませんか、大臣。

稲田国務大臣 私はやはり、今回、この幹部候補育成課程をつくる、そしてそこで、各省の今までの徒弟制度的な研修だけでなくて、内閣総理大臣が基準を設けて、そしてそれを各省で実施するということは、基本的に、通常国会で答弁した思いとは変わっていないと思います。

大熊委員 大臣の思いは変わっていなくても、条文としては全然違うものが出てきているわけですね。各省が設置する。しかも、今回、甘利法と違って、研修を各省がやるというのが、ハでしたか、追加されているんですね。各省ベースというのが甘利法のときよりも強くなっているんですね。これは逆行じゃないですか。日の丸官僚をつくるんですから、逆行じゃないですかね、大臣。

稲田国務大臣 今、私の幹部候補育成課程に関する思いはお話をしましたし、それは大熊委員と共通をするかと思います。

 そして、今大事なことは、やはり各省の縦割りではなくて、国益を考えて、そして、そういう観点から、いろいろなことを企画立案できる積極的な官僚というか、そういうものを育成するものとして考えているところで、今おっしゃったような側面も踏まえて、運用で実施することは可能であると考えております。

大熊委員 今、大臣が言われた観点であれば、まさしく内閣人事局が育成課程を設置して、各省でやる研修というのもあるでしょう。しかし、主と従はどっちかというと、主は内閣人事局であって、従が各省である。だからこそ日の丸官僚ジュニアの育成課程という制度なんですよ。そう思われませんか、大臣。

稲田国務大臣 内閣官房に設置された内閣人事局において、その幹部候補育成課程のそういった方針だとか指針だとか、そういうものをきちんと策定するということが非常に重要であるというふうに私は思います。

大熊委員 もちろんです。重要です。例えば、内閣人事局長がかわっても、同じ方針、基準に基づいて育成課程が行われるという意味で。だから、人事局から各省というそういう趣旨だけじゃなくて、内閣人事局長がかわっても、あるいは次長がかわっても同じ方針のもとで行われるという意味で、内閣総理大臣の基準というのは重要なんです。だから、それが入っていることイコール各省がやるということとは違うんです。

 もう一回戻りますけれども、春の通常国会で、大臣は二回も、試験は修正されました。内閣人事局において育成課程をやるんだと答弁されました。思いは同じだ、私も共通だというふうに、今、大臣の答弁を伺って、そうだなというふうに思いました。であれば、ここの条文については、制度についてはしっかりと、変更する、修正をするということを含めて御検討いただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 続きまして、次に参りまして、また総論に戻りますが、春にこの場でも何回か質疑をさせていただきました、この公務員改革。これまでの改革の成果に加えて、国際的な大競争時代への変化を捉えて改革を進めるというお考え、これに変わりはありませんかどうかお伺いします。

稲田国務大臣 変わりはございません。

大熊委員 ちょっとほっといたしました。

 本会議でも申し上げました。これはやはり国家間の競争なんです、TPPの交渉か外交交渉かはわかりませんが。ということは、かの国、友好国であろうと、例えばアメリカであろうとヨーロッパのいろいろな諸国であろうと、交渉するわけです。別に敵国とか友好国とかそういうことは関係なく交渉するわけです。そうすると、行政組織、どちらがすぐれているかによって、個々の人材がすぐれているかと同じかそれ以上に、影響を受けるんです、アウトプットに。

 諸外国を見てみますと、アメリカは、もちろん政治任用になっていますから全然制度が違います。政権も、向こうは内閣制度じゃない、大統領制度ですけれども、大統領と政策が一体化したそういう人が任用されている、いわゆる回転ドアというんでしょうかね。

 当内閣委員会でも、夏の視察でドイツに行ってまいりました。マイナンバーのいろいろなものを見てきましたが、その中で、ドイツの連邦雇用庁というのに行ってきました。

 ドイツは、御承知のとおり、政治的官吏という、上の方は、今回の幹部の制度と政治任用の中間ぐらいでしょうかね、かなり政治任用に近い状態があって、当時のシュレーダー政権のときに、大幅な雇用制度の改革をやろうというときに、幹部を入れかえたんです。自分でやめていった人もかなりいた。入れかえた人もいた。新たにもう一回採用されるという人は、一回やめてもう一回採用される。ほとんどの人がかわる、そういう非常に柔軟な、ドイツでも、アメリカだけじゃなくて。

 そういう国々と交渉すると、負けちゃうじゃないですか。

 今回の、一般職のまま、七十八条の二の難しい特例降任、後でやりますけれども、これは頭の体操どころじゃないですよ。多分、公務員事務局の中の方だって、全部理解している方というのはそうはいないと思います。非常に難しいですよ。後でケーススタディーやりますけれども。これと、ドイツならドイツ、アメリカはもっとですよ、政治家が柔軟にやっている公務員組織、行政組織、勝てますかね、国際競争で。

 この問題意識、どうですか、大臣。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

稲田国務大臣 委員の質問を聞きながら、共通意識は非常にあるということを、きょう初めて確認をしました。

 それは、やはり国際競争に勝っていかなきゃいけない。そして、今までみたいに、縦割りで人事をやり、縦割りで人材戦略をやって、総合的に日本がよくなるという時代はもう過ぎていて、TPPなどのように、省庁縦割りじゃなくて、横串を刺して、国益を考えて世界に打ちかっていくという強い公務員制度というものをつくっていかなきゃいけないという思いは共通をしているというふうに思います。

 そういう意味において、今回、内閣人事局をつくるわけですが、と同時に、やはり我が国にずっと伝統的に築き上げられてきた官僚制度というものもあるわけでありまして、国家公務員の人事の中立とか公正性が確保されなければ、逆に職員がやる気をなくしてしまって、かえって悪影響もあるということもあるのではないかなというふうに感じております。

大熊委員 前段の国際競争の共通認識、恐縮でございますが、それはいいと思うんですが、であれば、やはり、一般職のまま難しい特例降任の制度を入れるんじゃなくて、特別職という、はっきりと、今、縦割りの解消とおっしゃられた、特別職で上及び真ん中と下を分けるというのは、これは横に串を刺すといいますか、制度を変えるわけですね。であれば、そういうことをすべきではないかと。それに対して、本会議の御答弁では、基本法ではそこまで求めていないからと。多分、事務局の答弁はそう書いてあるんでしょう。それではちょっと困ります。政治家としてどうなんだということを申し上げたい。

 理屈で申し上げると、基本法でそこまで求めていないからとおっしゃるならば、後ろの方が、大臣じゃないかもしれません、今回の閣法で出てきているもの、基本法でそこまで求めていないものも幾つか入っているんですよ。よろしいですか。だから、理屈として、ロジックとして、基本法でそこまで求めていないからやらないんだというのは、論理の飛躍があるわけです。なぜならば、政府が出してきた閣法で、基本法で求めていないところまで幾つか入っているんですから。よろしいですか。

 その点を踏まえて、御答弁をお願いします。

稲田国務大臣 共通した思いはあるんですけれども、ただ、例えば幹部職員全員特別職にして首を切りやすくする、ちょっと言葉は語弊があるかもわかりませんが、そういうことでは、私は、やはり国家公務員の意欲というか、そういうものがかえって下がるという場合もあるのではないかと思っております。

 そして、特例降任というのは、まさしく、能力が劣ってはいないけれども一つ落として、そして抜てきをすることができる仕組みも入れているということでございまして、そういう趣旨で御理解をいただければというふうに思います。

大熊委員 ちょっと、後段のところは理解しがたいんですね。

 なぜならば、その程度の意識の方が国家公務員の幹部になるべきじゃないですよね。国のために一生懸命やるんだ、全身全霊でやるんだ、そういう人を任用すべきであって、ちょっとやる気がどうのという、そういうことじゃないと思いますし、一点訂正させていただくのは、首にするんじゃないんです。政府案の一段階降任じゃなくて、課長まで降任ということも、別に首にするということを幹部公務員法で書いているわけじゃないんです。そこはしっかりと。全く違いますので。一段階までの降任じゃないよということなんです。

 それで、その程度で意識が落ちるような方を局長さんとかそういう方にするんですか。任用するのは、それがそもそもおかしいんじゃないでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 私は、霞が関に来られている官僚は、もう最初は、全てこの国のために命をささげてもいいというぐらいの思いで来られているというふうに思います。ただ、縦割り行政の弊害の中で、その思いがなかなか実現できないというか、ちょっとそれが違ったふうになっている場合もあるということで、今回改革に取り組んでいるわけであります。

 今委員は、局長から課長までおろしてもいいんじゃないかという趣旨でおっしゃいましたけれども、基本法の中では、幹部職員は幹部職員の中で、管理職員は管理職員の中でというふうに書かれていますので、局長から課長におろすというのは、私は基本法の規定とは違反するのではないかというふうに感じております。

大熊委員 それは、必ずしもそう言えないからこそ、三年前、私どもも自民党さんと一緒に出したわけであって、であれば自民党さんの議論の中で、基本法違反の議論で党内を通ってきたということになりますので、それはちょっと言い過ぎなのではないかと。確かに、基本法でそこまで求めていないというのは大臣御指摘のとおりだと思いますが、違反するとまでは言えないと思いますよ。

 例えば、第一次安倍政権のときに、懇談会で、公務員制度の総合的な改革に関する懇談会のころ、この議論は、幹部については別制度として身分保障を緩和するという議論、こういったものがなされてきたわけでございまして、それは、本会議で、大臣の御答弁をおかりすれば、こういった報告書を踏まえて基本法が成立してきたという、基本法の成立過程を踏まえたら、それは基本法に違反するというのは言い過ぎだと思います。御訂正をお願いいたします。

稲田国務大臣 基本法の中では、幹部職員は幹部職員の中で、管理職員は管理職員の中でというふうに規定をされているという趣旨でございます。

大熊委員 であれば、そういう規定にする特別職にすれば大丈夫だという、そういう趣旨でしょうか。

稲田国務大臣 特別職にするかどうかについては、改革基本法には書かれていないというふうに思います。

大熊委員 ということは、特別職にするかどうかについては基本法違反ではないという、こういうことでよろしいですね。

稲田国務大臣 改革基本法の中に、特別職にすべきであるというふうには書かれておりませんが、立法政策として特別職にするという選択肢が違反であるかといったら、違反であるとは言えないと思います。

大熊委員 違反ではないということで、確認をさせていただくと同時に、ちょっとこれは感想、及びみんなの党の中でもこういう議論は実はしたことがないんですが、民間企業でいうと執行役員みたいなものというイメージなんです。これは今までの議論でもいろいろなところで出てきました。ということは、普通の部長さんに加えて、それだけリスクをとる職員なわけですから、待遇を上げてあげるという、つまりハイリスク・ハイリターンなんですよね、極端に言うと。

 待遇を少し上げてあげるという、かつ、御自身の同意が必要、要するに、出世をするというのは、言われた方は普通は喜ばしいことなんですが、この場合は必ずしも喜ばしいかどうかわからないですね。一般の後ろの方の公務員の方にとって、今までの公務員、一般職のままでいたいよ、課長さんのままでいたいよという人がいるかもしれない。要は、選択制。いや、私は出世したくない、なぜならば身分保障が外れちゃうから嫌だ、いやいや、私はチャレンジングにやりたいんだという選択肢も必要だと思うんですね。そのチャレンジをするリスクをとって特別職として幹部になる方については、相応の待遇を考えて、これはちょっと、普通みんなの党が言っている話と逆のことを言っていますけれども、そういうこともあり得るんじゃないかと。基本法もその特別職ということだと。

 要するに、公務員の方はちょっと誤解されているところがあるんですが、別に私たち、いじめようという観点で言っているわけじゃないんですよ。あくまでも国際競争力を強化する、もう最高の行政組織にするんだと、日本を、そういう観点から、やはり世界一柔軟な組織がいいんじゃないか、そのためには特別職だろう、そのためには確かにインセンティブもつけてさしあげないといけないかもしれないねと、こういうことをパッケージで申し上げているわけなんです。

 この点、どうですか。共感できるところはありませんか。

稲田国務大臣 委員と共感できるところは、やはりこれからは、省庁縦割りではなくて、世界で打ちかつためには、政府一丸となった人材戦略も必要だし、それにふさわしい公務員制度改革をすべきであるという基本理念は一致をしているというふうに思います。

 その上で、特別職にすべきかどうかについては、私は、今の一般職のままでも能力・実績主義を実現することは可能であるというふうに考えております。

大熊委員 やはり、一般職のまま幹部の特例降任等をやり出すと、なかなか、いろいろグレーゾーンのところで、柔軟に人事ができない、運用ができないという事態が想定されるのではないかと思うんですが、全くそういう懸念はないということですか、大臣。

稲田国務大臣 今回の法案で、特別職にするのではなくて一般職のままで、そして特例降任制度を設けること、そして、内閣人事局をつくって、内閣において幹部の人事の一元化を図ること、また、幹部候補育成課程をつくることなどによって、私は実現が可能であると考えております。

大熊委員 お伺いしているのは、人事の柔軟性という点において全く差がないかどうか。差がないという認識なんですか。

稲田国務大臣 差がないとは言い切れないと思いますけれども、しかし、委員がおっしゃる柔軟にすることの最終目的は、やはり世界で打ちかつことができる公務員制度改革ということだと思いますので、私は今の法案でそれが実現できるのではないかという考えを持っているということでございます。

大熊委員 差はあるというふうにお認めになっていただいた。であればこそ、では、例に挙げたドイツとの差ができるわけですね。

 これでどうやって、仮にドイツと、具体名で申し上げませんが、国際交渉で勝てるんですかね。お答えください。

稲田国務大臣 考え方の違いだと思うんですけれども、世界一柔軟に人事を、例えば降任したりできることが、必ずしも国際競争に勝つ公務員制度をつくることにはつながらないのではないかというふうに思っています。

大熊委員 ちょっとそこが理解できない御答弁です。何のために降任、特例降任をするのか、教えていただけますか。目的ですね。

稲田国務大臣 能力・実績主義、そして能力のある人をそこにつける、そして、政府一丸となった人材戦略の上で、そのポストにどうしてもつけたいという人がいた場合に、そこのポストに今いる方を、能力が劣っているというわけではないけれども、一ランク降任する制度を認めることによって、能力・実績主義を実現するということでございます。

大熊委員 それは、キーワードで言うと、一言で言うと、何だというふうに理解されていらっしゃいますか。

稲田国務大臣 適材適所ということだと思います。

大熊委員 ちょっと違うと。要は抜てきなんです。抜てきをするためには下におろさなきゃいけない、こういうセットになっている。抜てきなんですね。

 戻りますと、差があるんです。ちょっと不利な立場になっている。それで国際交渉で勝つには、個々の、一人一人の人物の能力が他国の一人一人の能力よりもはるかにすぐれていれば勝てる要素があるかもしれません。だけれども、制度としては、ちょっと足かせがある状態で成っている。差があるとお認めになった。これはやはりおかしいんじゃないですか。

 思いが共通していらっしゃる、大変ありがたい。であれば、こういう一般職のままの制度というのは、今ずっと議論してきたように、やはり差があるから、ちょっと不利な、要は、スタートラインがちょっと後ろに下がった状態から我が国の交渉はスタートしなきゃいけない、こういうことになってしまうんですね、差があるから。これはやはりおかしいんじゃないでしょうかね。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 政府一体となった人材戦略における適材適所を実現するために、抜てきしたいときには抜てきできる制度でございます。

 そういう意味において、今回の改革においてそういう政府一丸となった人材戦略を練ることで、私は国際競争力時代に打ちかつ公務員制度を実現したいというふうに考えています。

大熊委員 したい、打ちかちたいというお気持ちは理解しましたが、その支える制度というのが心もとないんじゃないかということを申し上げているんです。

 では、具体的に申し上げましょう。では、ケーススタディーで、ある省に五人、局長さんがいらっしゃいます。では、特例降任をさせましょう、三つの条件、七十八条の二の三つの条件をやりましょうと。では、XさんとX2さん、同時に特例降任させられますか。そのための第一条件をクリアできますか。大臣、お答えください。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 特例降任制度は、能力・実績主義のもと、現職への適格性を有している者を、弾力的な人事配置の実現のために、勤務成績がよくない場合に該当しない場合であってもあえて降任させるものであり、このために必要な最小限の一定の要件を設けているところでございます。

 具体的には、同じ組織で同じクラスの他の幹部職員と比較して勤務成績が相対的に劣っていること、その人にかえてそのポストに任命すべき適当な者がほかにいる場合であること、ほかのポストに転任させることができないことの三つの要件を定めておりますが、必ずしも一時の人事異動で一人だけに限られる趣旨とは考えておりません。

 いずれにいたしましても、今法案が成立した際には適材適所の幹部人事が実現されるよう、本規定の活用も含め、法の適正な運用に努めてまいりたいということでございます。

大熊委員 条文をそのまま読まれても、私も読んでいますから結構です。

 具体的に申し上げている。ある省で五人局長がいる。二人、Xさん、X2さんを同時に降任させられますかと。1の条件、相対的に勤務実績が劣っていることをXとX2同時に満たせられますかということを聞いているんです。

柴山委員長 川淵次長、端的に答えてください。

川淵政府参考人 必ずしも一人だけに限られる趣旨とは考えておりません。

大熊委員 いや、一人になっちゃうでしょう。XとX2、どちらかが相対的に劣っていれば、どちらかが相対的にまさっているんだから、一人になっちゃいますでしょう。何で一人にならないんですか。答えてください。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 本規定を適用する場合ですけれども、その際、本条が幹部職員の適材適所の人事の実現を図る目的であることに鑑みまして、対象となる幹部職員については、人事評価の内容が最下位となるという一人を特定し、その人のみを劣位とすることは適当でないと考えておりまして、例えば、人事評価の内容によりまして幹部職員を幾つかにグルーピングし、下位のグループに位置づけるような人を劣位とする、そういうことも想定されるかと思います。

大熊委員 私の質問の意味を、きのう事務局の方が理解していらっしゃらなかったか、ちょっとわかりませんが、最下位と言っていないんです。

 では、例えば、XとX2が、五人中、三番と四番ですよ。五人中、三番と四番、最下位と言っていない。それで、三番か四番で、どっちかが四番で相対的に劣っているけれども、その四番の人しかできないでしょうと。なぜならば、三番の人は相対的にまさっているから。どうなんですか。

川淵政府参考人 この制度は……

柴山委員長 端的に答えてください。

川淵政府参考人 はい。

 複数の人について弾力的な人事配置を実現したいという場合は、複数の人について適用するということがあり得るかと思います。

大熊委員 ですから、複数適用できないから聞いているんですよ。できないですよね。一人やって、次の年の七月、もう一人ずつ。だから、十年で十人。その省で年間一人だけですよ。それで弾力的な人事になりますか。ドイツは、みんなかえているんですよ、自分でやめた人もいるけれども。それでドイツと交渉で勝てますか、大臣。一人しかできないんですよ。

柴山委員長 ちょっと待ってください。

 川淵次長は、二人同時に降格できるということを答弁しているわけですから、それに対して違うということであれば、まずそちらの方に対して、川淵次長、答弁を再度求めます。それで、その答えを踏まえて大臣に聞いてください。

川淵政府参考人 繰り返しになりますが、弾力的な人事配置、その中にあって複数の人を抜てきしたいという場合には、複数の人にこの規定を適用するということがあり得るかというふうに思います。

柴山委員長 だから、今の答弁だと、複数の抜てきをする場合には複数の降格ができるという答弁ですが、それを踏まえて、大熊君。

大熊委員 七十八条の二、最初の条件、相対的に劣っている。

 今の例だと、三番と四番、四番は相対的に劣っているけれども、三番は相対的にまさっているんです。だから、三番のXさんは降任できないんです。だから、同時にはできないんです。

 X2の四番の人しかできないと思いますが、私が言っていることは間違っていますか。

柴山委員長 川淵次長、条件も含めて明確に答弁してください。

川淵政府参考人 委員御指摘の点は、この規定を適用するに当たって、観念的に、適用の順番があるというふうなことでおっしゃっているのかというふうに存じます。

柴山委員長 ちょっと答弁になっていませんので、もう一度。

 次長は、複数の抜てきを行う場合には複数の降格ができると先ほど答弁したと私は聞いておりますが、そのような答弁で間違いないですか。

川淵政府参考人 はい、間違いございません。

柴山委員長 その上で、大熊君。

大熊委員 ですから、例えば、ある年の七月の人事異動だと、その直近の人事評価を踏まえるわけだから、そのどちらかがまさっていて、どちらかが劣っているんですよ。

 今の五人の例で、Xさんが三番としましょうか、X2さんが四番としましょうか。そうすると、同時というのはできないじゃないですか。なぜならば、Xの方がX2より相対的にまさっているから、七十八条の二の条件をクリアできないから、Xは特例降任ができない。できるのはX2だけなんです。言っていることが間違っていますか。

 この条文を適用できると再三おっしゃっているけれども、なぜこのケースで適用できるのか、明確にお答えください。

川淵政府参考人 この制度を適用するに当たって、複数の人間を抜てき登用したいという場合には、相対的に劣っている人が複数出てくるというふうなことになるかと存じます。

大熊委員 いや、出てこないから言っているんです。Xは相対的にまさっているから、出てこないから言っているんです。

 先ほどから同じ答えを、進歩がないんですけれども、出てこないから、これは一人しかできませんね、年間各省一人ですね、複数できませんね、柔軟にできませんねということを確認のために申し上げています。何か違っていますか、私の言っていること。

川淵政府参考人 同じ時期に、一時期におきまして、その人事異動におきまして、複数の人を新たに抜てきしたい、そのために降任せざるを得ないというふうな場合には、複数の人が降任されるという場合は出てくるものというふうに存じます。

大熊委員 だから、それをやろうとすると、七十八条の二、閣法で政府が出してきた法律違反になりますよ。

 なぜならないんですか。だって、今言った例、三番と四番、三番が相対的にまさっていて、この七十八条の二の条件に満たされませんよ。なぜそれでこの条文に適用できるんですか。

柴山委員長 川淵次長、特例降任の検討となる対象は一体どういう人たちを想定して、その中でランクづけをするのかということを答えてください。

川淵政府参考人 特例降任の規定、繰り返しになりますが、三つの要件を定めてございます。

 同じ組織で同じクラスの他の幹部職員と比較して勤務成績が相対的に劣っており、また、その人にかえてそのポストに任命すべき適当な者がそのほかにおり、他のポストに転任させることが……

柴山委員長 そうではなくて、今の実例に即して、五人局長がいる場合に、その五人の局長のうち誰を対象にするのかということを答えてください。

川淵政府参考人 はい。

 相対的に劣っている二人が対象になるというふうに存じております。

大熊委員 だから、一を同時にやることはできないんですよ。要するに、翌年になっちゃうんです。

 複数年かければ、それは全部同時だと思えば同時です。でも、時間軸からすると複数回になっちゃうんです。一回一人なんです。だって、七十八条の二は、相対的に劣っている者なんだから。違いますか。明確にお答えください。

川淵政府参考人 この規定において、一時期において特例降任を適用するのが一人というふうには限られていないというふうに考えております。

大熊委員 一人に限らないようにしたいんでしょうが、でも、この条文、七十八条の二の一項一号ですか、これからすると、できないじゃないですか、何遍も言っているように。なぜできるのかを再三お尋ねしているんですが、一向に、条文を読んでいるだけで、答弁いただけないですね。

 具体的に、この五人のうち、もう一回申しますよ、三番目、四番目、X、X2を同時に降任させられないんですよ。なぜならば、どっちかが相対的に劣っていれば、どっちかが相対的にまさっているんですよ。だから、七十八条の二の一、この条件を同時には満たせられない。順繰りにやれば満たせられますよ。だけれども、順繰りということは、次の人事異動になっちゃうわけですから。違いますかね。

川淵政府参考人 繰り返しになり恐縮ですが、当該規定は、必ずしも一人だけに限るということではなくて、一時期の人事異動で二人適用する、相対的にまさっているという人が二人おりまして、相対的に劣っている人が二人ということはあり得るというふうに考えております。

稲田国務大臣 委員の質問の具体的なものをもしかして誤解しているかもしれませんが、五人いて、X1からX5までいて、X3、X4が、X1、X2に比較して、二人とも相対的に劣っている場合、これは二人とも降格ができるのではないかと思います。

大熊委員 でも、X3とX4を比較したら、どちらかが相対的に劣っていて、どちらかが相対的にまさっている。条文上は、それは、それ以外の者とは書いていないので、七十八条の二だと。その答弁はおかしいと思いますよ。だから、あくまでも、五人のうち、ある特例降任の対象者、今回の場合、XとX2について、その二人は、五人と比較して、つまり自分を除く四人と比較してということですから、そのXとX2について言うと、どちらかが相対的に劣っているとすると、どちらかが相対的にまさってしまうんですね。そうですよね。違いますかね。

川淵政府参考人 御指摘のケースにおいて比較すべきは、新たに抜てきしたいという複数の人、それから同じクラスで現在実際についている人、それからその中で相対的に劣っている人。複数を抜てきするわけですから、複数が相対的に劣っているということになる、そういうことになるかと存じます。

大熊委員 ちょっと具体的にそのX3とX4のケースについて答弁をしてください。

 それと同時に、では、運用になったら、各省大臣が、私と同じような、政府の立場からすると間違った理解なんでしょうか、誤解なんでしょうか、そういう運用をしますよ。だって、普通に読めばそうですから。つまり一人なんだなと各省大臣は、任命権者は、政府の立場からすると誤解をして運用する。つまり、結果として、よく条文を解釈すると、何か理屈はよくわかりませんが、できるのかもしれませんよ、だけれども、各省大臣、任命権者は私のように理解をして、年間一人だな、では大した影響はないんだな、あるいは、やろうとしてもできないんだな、そういう運用になりますよ。

 どうですか、この二点。

川淵政府参考人 複数の方を新たに抜てきする場合に、同じクラスで比べて複数の人が相対的に劣っているということになるかと存じます。

 その趣旨につきましては、弾力的な人事配置の実現のために十分その趣旨が徹底されるよう私どもも努めてまいりたいと思います。

大熊委員 ちょっと最後まで具体的な事例に対する明確の答弁がなかったので、この点、全く私は理解できませんでしたので、改めてまた、金曜日ですか、お願いしたいと思いまして、質疑を終わります。

柴山委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 本日は、国家公務員法等の一部を改正する法律案、私も拝見させていただきました。この法案に関しては、過去の経緯があるものですので、それを踏まえて質疑をさせていただきます。

 私も、約一年前に衆議院議員に当選させていただきまして、過去のいろいろな経緯を調べさせていただきました。また、ある意味、一国民に近い視点から考えさせていただきたいと思います。

 こちらの方は、もともと、いわゆる行革、橋本龍太郎内閣のときから始められまして、特に、第一次安倍内閣において公務員制度改革をしよう、それで、福田内閣のときに基本法が制定された。こちらの趣旨をお伺いいたします。

 先ほどより各委員の方から御指摘があるように、私は、別に、国家公務員、官僚の方々が敵なわけではもちろんなく、やはりそういった方々の力、能力を最大限発揮して国益に資するような活躍をしていただきたい、そういったものはどういった仕組みか、これが一番だと思います。では、今回の法案、改正、四、五年かかってようやく改正するに至ったものですが、それが果たしてそのような中身になっているのかという視点から質疑をさせていただきたいと思います。

 改めて、こちらの経緯、ここに至るまでの経緯とその趣旨、一般の国民の方々にもわかりやすいように質疑をしていきますし、答弁をしていただきたいと思います。

 まず、本会議等でもありました、稲田大臣、改めて、こちらの改正案の趣旨を御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 委員御指摘になったように、この公務員制度改革については、平成二十年に改革基本法が成立をして、そのプログラム規定に沿って改革に取り組んで、今回の法案を提出したところでございます。

 その趣旨は、行政の縦割りの弊害を排する、これはまさしく、ずっと長年の、省益ではなくて国益に合致した公務員制度、そしてまた人事制度、そして、政府一丸となった人材戦略を策定する、そして、機動的に重要な政策課題に対応できる公務員制度をつくることによって、公務員がみずからの能力を高めつつも、省益ではなくて国益のために職務に邁進をして、国際大競争時代においても打ちかつことができる強い日本をつくっていくということでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 人事というのは、どの組織においても肝だと思っております。ある意味、人事が全てと言っても過言ではないのかもしれない。やはり、そこには人がいますので、人のやる気を最大限に発揮するその仕組みとはどういったものか。

 私も、民間企業で働いたこともあります。特に、若い方々は志を持って入られる。特に、官僚の方々なんかは、国のためにと入られる方も多いと思います。その方々が年を重ねるごとに、さらに、ますますやる気を出す、充実感を持ってしていただける、このような仕組みとは一体どのようなものなのかな。

 先ほど、稲田大臣もおっしゃられました、国際競争に勝つために縦割りの弊害を排してということです。

 また、さきの本会議でも各党の方々が質疑をされました。その中で、稲田大臣は、甘利法案に比べて後退したとの御指摘がある中で、時代の変化、ある意味、環境の変化ですね、環境の変化に適して、今回、修正といいますか変わっているということをおっしゃられますが、この四、五年での環境の変化というのはいかがなものか、お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 今回、平成二十一年の甘利法案を基本として、近年の公務員をめぐる状況、環境の変化を踏まえて立案をしているところでございます。

 具体的には、幹部職員人事の一元管理等については、二十一年からの人事評価制度の本格実施、また、地方公共団体における公募に係る議論などを踏まえて必要な見直しを行っております。また、内閣人事局への機能移管については、近年の労働基本権をめぐる議論の状況等を踏まえ、職員の勤務条件への配慮や人事行政の公正確保についての配慮をより明確に反映する方向で、人事院との関係で調整をして、修正を行ったところでございます。

 以上のような見直しは行いましたけれども、今回の法案は、幹部人事の一元管理の目的である、内閣の重要政策の実現のための戦略的人材配置を実現することや、内閣人事局における総合的人材戦略の推進によって、公務員が責任を自覚し、誇りを持って職務を遂行する体制を実現する、また、幹部候補育成課程なども新設をして、改革の目的に照らし、十分なものになっているというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほど来、各党の方々から質疑がありましたとおり、私は、これは大きく、哲学が二つに分かれると思います。一生懸命頑張れば評価していただける、これを喜びとする、やりがいとする方なのか、ある意味、身分保障、自分の今の居どころを安定的にすることで、守られているということでやる気を持っていただく。

 私は、個人的な考え、党の考えもそうですけれども、やはり幹部という方々というのは、ある意味、リスク、ハイリスク・ハイリターンではないですけれども、強い、高い志を持って国のために頑張る、今の日本、将来の日本のために頑張る、そういった方々が求められる人材であるべきだと思います。

 少なくとも、過去の日本は、そういった方々がいらっしゃった中での今のこの日本があると感じております。やはり、自分のことはさておき、ある意味、社会、国のために働ける、そういった方々に本当にそういったポストになっていただきたいと思っております。

 その中で、やはりこの経緯、我々も議員立法で提出させていただいております。みんなの党の渡辺喜美代表、当時は担当大臣でいらっしゃったと思います。特に、今回は大熊委員の方に座っていただいておりますけれども、この経緯、今まで眺められてきた、そして、みんなの党さんとして、その二つの哲学がある中で、どうして今回、我々の党もそうですけれども、このような議員立法を提出しているのか、改めて大熊委員の方にお聞きしたいと思います。お願いいたします。

大熊議員 平成二十年の基本法成立後、何度も法案が出されては成立をしませんでした。さらに、昨年十二月に成立しました安倍政権にあっては、ことしの通常国会において法案を提出する機会があったにもかかわらず、政府は法案を提出しませんでした。この点は、これまで何度も法案が出されて国会で成立しなかったという点では、異なる意味で、政府の公務員改革に対する態度に問題があったのではないかというふうに理解をしております。

 そしてまた、今般、私どもを含めて、維新の会、民主党と一緒に出させていただいている幹部公務員法につきましては、しっかりとした特別職という形で、世界に打ちかてる公務員制度を、日本の行政組織をつくっていきたいんだ、そういう強い思いのもとに出させていただいているというところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 私は、先ほど来、再三申し上げておりますが、そういった方々、国際競争に勝つため、日本のために頑張る、そういった官僚の方々は今もいらっしゃると思いますけれども、そういった方々に心から敬意を表します。

 であれば、今の人事制度は果たしてそうなのか、まだまだ改正すべき点、修正すべき点があるんじゃないか。特に私が思うのは、先ほど来申し上げておりますとおり、若い方々、二十代、三十代、そして四十代に行くまでに、そういった方々の志が失われる、これが一番危惧する点でございます。

 私も、一年前まで一国民だったんですが、改めて人事評価マニュアルというものを見させていただいたり、級というもの、あと号俸という、評価制度を改めて確認させていただきました。私も初めて拝見させていただいたんですが、級は一級から十一級があります。

 例えば、これは財務省の資料でございますけれども、中身ですが、指定職は大体三十二名、事務次官の方が一名、財務官が一名、官房長、局長が六名、総括審議官が一名、局次長が六名等、指定職の方がいらっしゃって、このように級別になっている。このように細かく規定されている。例えば財務省であれば、十一級はいない、けれども、十一級は、例えば各道府県の県警本部長、そういった方が十一級に当たるとか、いろいろ拝見させていただきました。

 また、号俸に関しては、六法等ありますと、百二十五ぐらいに分かれている。一級の何号、二級の何号、三級の、これが十一級、横に十一級があって、縦に百二十五、号俸がある。極めて細かくそういった月収、評価がある。

 改めて、今このような給与体系になっていることに対して、その趣旨と内容を御説明いただきたいと思います。

川淵政府参考人 給与についての御質問でございました。

 現在の給与の体系、一般職であれば一般職給与法で決定されているものでございます。それぞれの職員の職務、職責に応じた給与が適用されているということかと存じます。

 また、号俸についてかなり細かい規定になっているということですが、ここ数年来の給与の改革の中では、能力・実績主義をさらに推し進めるために、勤務の成績、人事評価の結果をより給与に反映させるという趣旨で、このような細かい号俸の設定になっておりまして、それぞれの勤務成績に応じて昇給の幅も柔軟に適用されるというふうになっておると承知しております。

山之内委員 今言われた、柔軟にとおっしゃいますが、私は、やはり一個一個ステップを上がる、ある意味、年功序列だと思います。細かく規定されておりまして、一つ一つステップを上がっていく。一般論でいいますと、お聞きしますと、大体、三級ぐらいで係長でしょうか、三十代ぐらいなんですかね、四十代ぐらいで七級、八級、まあ七級ぐらいにいて課長さん。それが過ぎますと、ある程度、もう級ではなくて指定職の中になられる。そういった認識だと思います。

 やはり、私は、もちろん経験は大事だと思いますが、若い方々の中にも、三十代、四十代の方々の中にも優秀な方はいらっしゃると思います。そういった方々が、ある意味、抜てきされる、これが私は今回の内閣人事局だと思っております。

 さて、この内閣人事局の中身でございます。

 資料を見させていただきました。総務省の方からスタッフが来られて、人事院の方からも来られて、ある程度形をつくられるものと聞いております。

 改めて、この内閣人事局、こういったスタッフはどこからどのように来て、何名程度を検討されているか、お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 内閣人事局においては、新たに導入する幹部職員人事の一元管理に関する事務を担うとともに、総務省及び人事院から必要な機能を移管して、政府としての総合的な人材戦略のもとで、人材の確保、育成、活用を体系的、戦略的に推進していくことといたしております。

 内閣人事局の具体的組織、定員規模は、今後、予算編成過程で調整していくことといたしておりますけれども、いずれにいたしましても、内閣人事局が担うべき機能に必要な体制を確保するとともに、既存組織との合理的再編成により、行革の観点から、機構の肥大化との批判を招くことのないように、機能移管を行う総務省及び人事院を含め、政府内で調整を進めてまいりたいというふうに考えております。

山之内委員 今大臣からもあられました組織の肥大化にならないようにという点、もちろんそうだと思います。

 せっかく内閣人事局をつくって、その機能が十分に果たされなければ、総務省の方々から来る、人事院から来る、人事院と総務省はそのまま残るわけですね。今、総務省の方々が大体五千名本省にいらっしゃいまして、人事・恩給局で二百三十七名、その方の一部が来られるのかなと。人事院の方にも給与の方もしくは研修調整課の方々がいらっしゃいますので、そこから来られるのかなと。結果、人事局をつくって、同じ機能をそれぞれでする、ある意味二重行政のような組織の肥大化になってしまっては元も子もない。

 やはり、形をつくるのと同時に、内閣人事局の中身がしっかりしたものでないと、先ほど来申し上げていますように、国際競争力を高めるためのそういった幹部候補を養成して、国際競争に勝つための人材を輩出する、そのためでは必要であると思います。

 そして、今回、そういった外枠の中で、先ほど来質疑がありました、この中身でございます。

 例えば、幹部候補育成課程とありました。これが条文だと六十一条の九、二項一号であります。条文の中で、採用後、一定期間勤務したものからとありますけれども、この採用後、一定期間というのは大体どれぐらいを考えていらっしゃるんでしょうか、お願いいたします。

稲田国務大臣 今回新設いたします幹部候補育成課程は、将来、省益ではなくて国益を担う、そして国益に合致した形での企画立案のできる、そういう能力の高い幹部の育成のためにつくるものでございます。その対象者については、一定の勤務期間後に本人の希望及び人事評価に基づき随時選定することになろうかと思いますが、一定の勤務期間も含め、これらに関する内閣総理大臣が定める基準については、今後、具体的な内容を検討することといたしております。

 今後、詳細設計を進めるに当たっては、制度の趣旨を踏まえて、採用試験の成績ではなく、採用後の勤務実績を適切に評価することによって、意欲と能力を有する若手職員を対象とし得るよう、具体的な基準を検討していきたいというふうに思っております。

山之内委員 ぜひよろしくお願いいたします。こういった前向きに、一定期間、もちろん一、二年では厳しいと思いますけれども、ある意味そういった方々を輩出していただきたい。

 そして、中身になります。

 では、そういった方々が果たして採用され得るのか。先ほど来、大熊委員もおっしゃっておりました。要は、今の仕組みだと、ポストがあかないと、かわりに入れない。

 今回、要件を見させていただきました。これは極めて厳しい要件だなと思います。三要件あられる、第七十八条の二の中です。他の幹部職員と比して勤務実績が劣る場合、二、他に適任者がいる場合、三、転任させるべき適当な官職がない場合または幹部職員の任用を適切に行うため降任させる場合。極めて、この条件に当てはまる方はいらっしゃるのかなというのが率直な感想です。

 まず、他の方々と劣る、私はそもそもちょっとネガティブだと思うんですね。積極的に、例えば、皆さん優秀だけれども、この方はさらに優秀だから抜てきする、それであればわかるんです。劣っているからおろす。そして、他に適任者がいらっしゃるもそうですけれども、三番、転任させるべき適当な官職がない、ある意味、横に移動できない場合は下に落ちるということだと思うんです。

 私は、この要件のことなんですけれども、決して、その方が、能力がない云々じゃないと思うんです、適しているかどうかだと思うんですね。それはスポーツでもあると思います。肩が強い方は野球のピッチャーをやればいい。足が速い方は陸上をすればいい。決して、人の能力というのは必ずしもオールマイティーなわけじゃない。だから、降格したときに、それが不名誉なことばかりではいけない。

 今の仕組みだと、仮に、先ほど大熊委員もありました、一年間に一人じゃないかと。私も、これであれば、そう簡単に出ないと思います。そうなると、その方は極めて不名誉なことになるわけですね。一人しか。そうなってしまうと、その方にとっても不名誉ですし、総合的な、ある意味ドラスチックな、こういった方針でやりたいから、そのためにはこういった方が必要というのが、これでは極めてできないんじゃないかなと思っております。

 この点に関して、稲田大臣、いかがお考えでしょうか。

稲田国務大臣 この規定は、おっしゃるように、抜てき人事をする、そして、そのためにポストをどうしてもあけなければならないときにどんな人を降任させるかという要件を定めているものでございます。そういう意味において、他の幹部職員に比較して勤務実績が劣っている人、それは先ほど来の質疑の中では一人とは限らないわけですけれども、そういう人を想定しているということでございます。

山之内委員 なかなか実態は、この法文上いくと、厳しいと思います。やはり私は、先ほど来申し上げましたとおり、二つの哲学がある中で、こういった国益、日本を背負うような方々は、ある意味ハイリスク・ハイリターンじゃないですけれども、これぐらい君に任す、君にしかできない、そういったことによって任されて、それを任命するのが本来であれば政治家であるし、そういった方々のやる気を喚起させる、そういった仕組みをつくるのが法律であると思っています。

 その中において、今回のこの厳しい要件、いわゆる、名前でいうと特例降任となるんでしょうか、一段階一段階、ここにもつながるんですけれども、我々の党もそうですけれども、特別降任、一気に課長級までおりる、これは、私が先ほども申し上げたとおり、必ずしも一気に課長におりるからといって不名誉なことではなくて、先ほど来申し上げているとおり、適材適所の方を数十名、もしくは十名、二十名、ドラスチックに各省でかえるのであれば決して、合わなかったんだなとなるんですけれども、これが一人だと、合わないじゃないんですよね。その方は極めて優秀じゃなかったとなってしまうんですね。

 今回の特例降任もそうですけれども、一段階一段階、一人だけいなくなる、そうすると、ようやくパズルを組み合わせて、そこが一つあいたからずらしていく、なかなか、闊達なと趣旨にありますけれども、闊達な人事、ある意味弾力的な人事、こういったのはこれでは厳しいんじゃないかなと御指摘しておきます。

 その中で、みんなの党さんもそうですけれども、今回の特別降任、一気に課長職までいく、こういったことを提案しておりますが、この点、もしくは、我々は特別職ということも言っています、ある意味、幹部の方々も特別職にして一般職の方と分ける、この趣旨、我々の提案している趣旨について、大熊委員の方から改めてお願いいたします。

大熊議員 お答えいたします。

 幹部職員につきましては、縦割り行政の弊害を排除するため、内閣の人事機能の強化や多様な人事登用、弾力的、柔軟な人事管理が求められているところでございますが、きょうの質疑でもある程度明らかになったとおり、なかなか、条文そのものに加えて、運用をするということになると極めて難しい制度なわけですね、一般職のままですと。

 ちなみに、提案しております幹部公務員法では、これはポリティカルアポインティーではないんですね。政治任用ではないんですね。特別職なんです。しっかりと適格性審査、そして名簿をつくって、適格性審査をやって、任免協議をやって任命するということで、いわゆるポリティカルアポインティーではないということをしっかりと申し上げておきつつ、幹部公務員法では、幹部国家公務員を特別職として能力・実績主義を基礎としつつも、内閣との一体性の確保にも配慮して、法案十五条の特別降任のような、弾力的な人事管理を行うことができるということとしたところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 おっしゃるとおりであります。当時、この内閣人事局を構想したときに、やはり幹部の方々を柔軟に人事できる、こういった趣旨で基本法もつくられてあると思っております。それを、今回の改正案では、どうしてもそこが現実的に厳しいというのは、再三各党の方々も言われて、私も共通する認識であります。

 本来の趣旨がなかなか実現されない。その中で、幹部職員の任免協議というものがある。各大臣による推薦を経て、官房長官に行きまして、ある程度のところで総理、官房長官が任免協議をして、そういった方を抜てきするということがございます。

 この任免協議なんですけれども、ある意味、もう総理、官房長官がお墨つきを与えるわけですね、この方は優秀だと。でも、この優秀だというのも、先ほど来言っていますけれども、やってみなきゃわからないところもあるんですね。

 例えば、一年間した後に、総理、官房長官がお墨つきを与えた方が、一年たったら、優秀じゃない、ちょっとかえようかなと。優秀じゃないといいますか、合わないということだってあると思うんですね。そのような場合はどうするのか。任免協議で任命した総理、官房長官のそういった責任についてはいかがお考えか。稲田大臣、お願いいたします。

稲田国務大臣 今回の改正で、任命権者が大臣であるというところは変わってはおりません。その上で、御指摘のように、総理や官房長官が、どうしてもこの人が必要であるということに、任免協議をして、その結果、任命権者である大臣が任命をするということになるわけですが、その方が能力・実績主義の徹底という基本法及び本法案の趣旨に照らして思うように活躍ができていないという場合においては、さらに適切な人事配置を進めていくことによって対応していくことになるのではないかと思います。

山之内委員 ありがとうございます。

 先ほどの降任の件もそうですけれども、やはり弾力的にするための方策、各大臣から推薦もそうですけれども、そういった適材適所の方をしていただきたい。

 その中で、やはりもう一点は、人事院との距離感、人事院との絡みですね。特に各党からも指摘があるとおり、ここは後退したんじゃないかと言われるところの一つでございます。

 今回も、先ほど私も勉強させていただきました。あんなに級があって、号俸があって、級別定数というのがあるんですね。各省では、この級は何名、定数が、ポストがあって。先ほど、降任の要件もそうですけれども、この級別定数に関しても、人事院の意見を十分に尊重する、ここでもまた縛りがあるわけですね。先ほどの要件だけでも厳しい。さらに、級別定数に関してもお伺いを立てなきゃ、ここをちょっとふやしたい、いや、だめだと、それを、十分に意見を尊重しなければならない。

 この十分に尊重するというのは、例えば、先ほど、財務省の定数でも、級別に、十級は十四、九は四十九、八級は九十二ですか、各定数があると思います。こういったのをどの程度、どのぐらいの割合、変えることに対してオーケーを出すのか、こういったところをお聞かせいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 級別定数はそのポストの格付でありますので、今、日本が、もしくは政府が直面している重要課題が何であるかということを決めて、機動的に級別定数を決めることができるようにするという、級別定数の人事院からの移管であります。

 この級別定数の人事院からの移管は、本当に、昭和三十年ぐらいからずっと法案を提出しながら、なかなか実現できなくて、今回実現できるようになったわけですが、しかし、その級別定数が、今委員御指摘のように、給料の金額に非常に密接に、すなわち勤務条件に密接に関係するということにおいて、人事院の意見を十分尊重するという規定を入れたわけであります。

 そして、現行に基づく人事院からの各種の意見についても、基本的には尊重することが予定をされているものだというふうに思っております。

 特に、級別定数については、今回の法案の検討に際して、各方面から、職員の勤務条件の確保の重要性に関する指摘が多くなされたことから、勤務条件の確保の観点から行われる人事院の意見について、現行の各種の意見以上に、十分に尊重するという規定にしたものであって、仮に、その意見に沿わないという場合には、説明責任を負うことになろうかと思います。

山之内委員 この級別というものですけれども、当然、指定職の方々はこの級別には該当しないと思いますけれども、やはりこういったものも、先ほど来言っていますが、この内閣人事局が闊達に機能して、級がある程度、七級、六級の方々でも、将来性があるという方であれば随時どんどん採用されるという中身であれば、級が少なくてもそういった職ができる、仕事のポストにつけるという、ある意味、幹部といいますか、内閣人事局で抜てきするというのであればいいんですが、こういった級別定数に関しても、お伺いを立てなきゃいけない、十分に尊重しなきゃいけない。

 私は、少なくとも、四、五年前ですか、甘利さんが甘利法案を出したときに、当時の谷人事院総裁ですか、ある意味、おもしろおかしく報道されていたところもあるかもしれないですけれども、ある意味、駆け引き、そういったものを交渉していたと思っております。

 やはり、こういった人事院との距離感、余りこれもまた縛り過ぎると、本来の内閣人事局の機能ができない。条文でも拝見させていただきますけれども、人事院がすることと内閣人事局がすることを分けたかなと。さらに、内閣人事局のことにもある意味交渉してくるとなると、機能的な動きというのは極めて厳しいんじゃないかと思っております。

 例えば三十三条の二項一号、これは人事院に対する規則ですか、人事院の分野、そして、わざわざ三十三条二項二号に、これは内閣人事局のものだよと、ある意味、すみ分けをしているように私は印象を受けます。

 さらに、この人事局の方に、このような意見を十分に尊重、政令に対する意見も言える。あと、研修についての報告要求、是正措置等、あるいは研修の内容、こういったものにも関与してくるとなっております。

 やはり、どこまで人事局がリードしてできるのかということがあると思います。

 その中で、もう一点、先ほど来ありました、大臣の補佐官ですね。これは当初、いろいろな議論があったと思います。官邸主導、政治主導していくべきだと。先ほど、もちろん官僚の方々が決して優秀でないというわけではなくて、政治家がいいポストを与えて、その人たちに闊達に働いてもらう、国のために働いてもらう、そのために内閣人事局というのがあった中で、当時は、やはり内閣人事局に国会議員を数名入れよう、もちろんそれは、いい悪いはいろいろ検討があったと思うんですけれども、そういったものがあった。そうすると、例えば国会法の三十九条の兼業の禁止、こういったものが問題になる。もう大臣、副大臣、政務官しか入れない。

 そういった中で、今回は、各省に大臣補佐官を入れられたわけですね。大体、ざっと計算すると最大二十名ぐらいでしょうか、国会議員が各省に行って、内閣府に関しては六名以内だとか、各大臣に一名以内、内閣官房には五人以内とか、定数があると思います。

 改めて、この補佐官を置いた理由、これはサポートというのもありますけれども、こういった政治主導だとか、その中の省の方々の動き、ある意味、どういった方々が優秀かどうか、そういったところをチェックする、そういった機能は今のところは想定していないんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 政と官のそれぞれの役割分担のもとで真の政治主導を確立するために、今回の法案では、国際化の進展や社会経済の複雑化の中で、総理及び各大臣の総合的、戦略的な政策判断と機動的な意思決定の必要性が増大しているということに鑑みて、総理及び各大臣の補佐体制を一層強化し、総理及び各大臣の指導性を強化することにより政治主導を強化するために、大臣補佐官も置くことができるというふうに規定をいたしております。運用において、大臣補佐官の役割は、補佐官の下に一般職のスタッフをつけることも可能であり、弾力的な運用が可能であろうかと思っております。

 そういったことを含めて、大臣の政治主導を強化することを目的といたしております。

山之内委員 ありがとうございます。

 政治主導を強化すると。約二十名入るということでございます。

 ただ、私は、本来、そういった政治主導はこの内閣人事局で当初はする予定だったと認識しております。その中で補佐官も入られると思うんですけれども、やはりいかに、冒頭申し上げましたとおり、優秀な方がわかる、やはり一緒に働くとわかるときもあると思いますし、働かないと、ある意味、紙だけではわからない。優秀かどうかも、この方はこのポストに合っている、この方は普通のポストに合っている、こういうことは一緒に働かないとなかなかわからない点もあると思います。

 最後に、みんなの党さん、我々もそうですけれども、今回は本会議等でも各党も申し上げられていました、公募の数値目標、こちらがあると思います。これは、それこそ四年前の甘利法案と全く同じですが、先ほど来も質疑がありました、数値目標がないんですね。さらに、数値目標だけだったらまだわかるんですけれども、条文を読ませていただきますと、やはり五十四条ですか、当初は結構細かく書いてあった、こういった人こういった人、一、二、三、外からも入れる、中からも入れる、内外からも入れる、こういった条文が細かくあって、これは正直、積極的だなと思いました。外から人を入れる、そういったことに対しては。

 ただ、今回見ると、公募もやるよと。ある意味、ちょこっとしかないんですね。こういったところで見ますと、本当にするのかな、そして大丈夫なのかなと疑問な点があります。この点について、大熊委員、お答えいただけますでしょうか。

大熊議員 お答えいたします。

 御質問の数値目標に加えて、全体のお話もいただきましたので、ちょっとお答えいたしますと、甘利法では六十一条の五と六でしょうか、外からの公募の人、内からの公募の人、それから内外公募の方、三つそれぞれ、具体的な制度について書き分けて規定をしておりますが、今般の閣法についてはここが全く全削除になっております。その上で、さらに数値目標も入っていない、法定していない。入っているのは、採用昇任等基本方針の五十四条のところで、公募に関する指針を基本方針に定める、これだけが最後にちょっと残っているだけでございまして、この数値目標がありませんと、特に外からの公募、民間あるいは公務員を一回やめた方の公募が実質的に行われずに、制度を形骸化する懸念があるものというふうに考えております。

 この部分については、無理に数値目標を達成するというような御懸念が政府の方から指摘をされました。この懸念については、実は、二十一年法、甘利法であった職務明細書をきっちりとあわせて用意することで、こういった懸念ということは払拭できるのではないかというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 このように今指摘ございました。私もまさにおっしゃるとおりだと思います。

 この件に関して、稲田大臣、いかがお考えでしょうか。

柴山委員長 稲田大臣、質疑時間終了ですので、短くお願いします。

稲田国務大臣 これは、近年の地方公共団体等の公募の実態に係る議論なども踏まえ、数値目標があることで、その達成のために無理に実施しようとしたりすることも懸念されることから、今回の法案では、段階的な検証と実施を行いつつ取り組むべきと判断し、必要な見直しを行ったものでございます。

柴山委員長 質疑時間が終了しております。

山之内委員 はい。質疑時間が終了いたしました。

 ぜひ、そういったところは積極的にしていただきたいと思っております。

 先ほど来申し上げていますとおり、今回の改正案、やはり本来の目的と大きくずれている、もしくは、形はつくったけれども、中身がどうしても想定どおりになっていない点が見受けられます。ぜひ、そういった点は、修正協議があれば修正に応じていただいて、あるべき姿、先ほど来言いました、適材適所を本当に生かして、国益に資するための公務員制度改革、こういったものにしていただきたいと強くお願い申し上げまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 大臣は保守の政治家として有名な方でございますので、私も尊敬を申し上げております。私も千葉市議会議員をしておりましたので。また、今回の国家公務員制度改革法案に関してですが、市会議員の経験と、それから、民間で経営コンサルタントをやっておりましたので、組織改革についても非常に思いがございます。そういった中で、ぜひ真摯な議論をさせていただきたいと思うんです。

 いろいろ、今までの委員の皆様の御指摘のとおり、本法案は、方針、趣旨は必要、賛成と思っておりますが、やはり中身に、非常に、今までの議論でもそうですが、改革が後退をしているのではないかと感じてしまうようなものが多くございます。

 正直申し上げまして、大臣の、闘う政治家でありたいというふうに何かで答えられていましたけれども、期待していたわけですが、先日の本会議での質疑でも、率直に申し上げて、官僚答弁というか、残念だなと感じることもありましたので、その辺をぜひきょうは明確にさせていただきたいと思います。

 今まで各委員さんの質疑でお答えいただいていることは、また同じ質問になってしまうかもしれませんけれども、ぜひ、さらに踏み込んだ御答弁をいただければと思います。

 まず、先日の本会議質疑の中で、我が党の中田宏議員に対して、大臣の御答弁で、「今回の法案は、平成二十一年に政府が提出した法案を基本とし、国家公務員制度改革基本法の条文に則し、近年の公務員をめぐる環境の変化も踏まえ、時代に応じた、新しい公務員制度を構築するものです。」と御答弁がありましたけれども、わずか四年ですね、これは。環境の変化、具体的にどう変わったんでしょうか。私たちから見ると、やはり中身が大幅に後退していると思えてしまうわけですね。

 では、それを納得させていただけるだけの環境の変化があったのか、具体的にちょっとお答えください。

稲田国務大臣 今回の法案の基本は、平成二十年の改革基本法です。そして、そこに書かれた、行政の縦割りの弊害をなくして、公務員がそれぞれの能力を高めて、省益ではなくて国益のために職務に邁進する、そういう公務員制度をつくるという思いでこの法案を提出しているところです。

 その上で、どのような環境の変化があったかということですけれども、大きなものとしては政権交代もありました。そして、その中で、この公務員制度改革が、いわば官僚バッシング的な、また、政局にまみれたような不幸な歴史もあったかと思います。大震災もございました。そういった状況、環境の変化を踏まえて、今回の法案を立案しているところでございます。

 具体的には、幹部職員人事の一元管理等について、二十一年からの人事評価制度の本格実施や、地方公共団体における公募に係る議論等を踏まえて、必要な見直しを行っております。

 また、内閣人事局への機能移管については、労働基本権をめぐる議論の状況等を踏まえて、職員の勤務条件への配慮や人事行政の公正確保についての配慮をより明確に反映する方向で人事院と協議をして、今回の法案にしているところでございます。

 そういった見直しを行って、今回の法案を提出しているところでございます。

田沼委員 やはり説得力ですよ、大臣。

 震災が起きたらどうして公務員制度改革の中身が変わるのかは、ちょっと時間がもったいないから聞きませんけれども、非常に説得力が薄いと思います、正直、申しわけないですけれども。政権交代を通して、それでまた環境の変化があると言いますけれども、あるときは民主党さんと一緒に修正案を出されているじゃないですか。だから、それもやはりちょっと説得力が薄いと感じますよ。

 本当に、わずか四年ですから。これは、基本法からずっと、出されたか、出されるか、廃案、廃案となってきて、満を持して出たものですね。それが改革後退ととられるようではいけないわけですよ。これは多分、多くの官僚の皆さんも固唾をのんで見られている法案ですから、やはり後退をしてはならないというふうに私はどうしても申し上げたいというふうに思います。

 一つ、同じく、先日の本会議の御答弁の中で、我が党及びみんなの党から提出させていただいている法案についての御答弁をいただきましたけれども、そのときに、国家公務員制度改革基本法に基づいてこれまで提出した法案については、さまざまな議論があって、全て廃案となったということで、だから今回の法案にしたんだという御答弁がありました。

 これも、今までのいろいろ出されたものが廃案になったから、だから今回の法案になったというふうに読めるんですけれども、これはどういうことですか。廃案になったから、だからちょっと改革が後退したものを出すというんだったら、おかしい。だって、むしろ、特に自民党さんが野党のときにみんなの党さんと一緒に出された法案は、とてもいいものだと思います。

 これが、それは廃案にはされましたけれども、そのときの国会で廃案にしてしまったような国会に対して民意がノーを突きつけて、今、政権与党になられているわけですから、では、今こそかつて出した法案を出すというふうになるべきじゃないですか、本来だったら。なのに、何かいろいろな理由がついて、結局、その当時より後退していますよ。この後具体的にもお話ししますし、今までも指摘もありますけれども。

 だから、廃案になったから今回の法案を提出しているという経緯があるという御説明は、ちょっと筋が通っていないと思うんですけれども、いかがですか。

稲田国務大臣 先ほど大震災のことを申し上げましたのは、今回の内閣人事局で、人事管理一元化をするのは審議官以上ということで、六百人規模ですけれども、今回のような大きな災害が起きたときには、そういう手続をとらずとも、例えば審議官級を適材適所で配置できるという条文も盛り込んだということを指して申し上げたところでございます。

 その中で、今御指摘の、廃案になったからという、その廃案になったことと今回の法案との間に因果関係があるという趣旨ではなくて、自民党政権下でも一度、また政権交代後、民主党政権下でも二度、それぞれ三度閣議決定をした法案を提出し、国会で議論をしながら廃案になった経緯もあり、基本法以来の全ての法案を検証、検討した結果、今回の法案になったという趣旨で申し上げたところでございます。

田沼委員 だったら触れないでほしいというか、触れているわけですから、本当に霞が関文学というか、いろいろな点を踏まえながら、どれが直接の因果関係かわからないままの答弁に聞こえるんですよ。それはやはり非常に曖昧な姿勢に感じます。ぜひちょっと御検討をいただきたい。

 具体的にちょっとお尋ねしますけれども、特に、今までの委員さんも言われている、幹部の身分保障ですね、これがやはり勝負だと思います、私は。

 また一つ、ちょっとごめんなさい、答弁に食いかかるようですけれども、さっきの本会議質疑で気になる御答弁がありまして、幹部の身分保障を外すべきだという御指摘がいろいろ各党ありましたけれども、我が党もしましたが、それに対して大臣、「基本法においては、幹部職員の範囲を超えて課長級まで降任させることや、必ずしも幹部職員を特別職とすることまでは、求めていないと考えております。」との御答弁でしたけれども、これはもう、一歩間違えると、ううんと思うところがあって、基本法が求めていないということは、やらないということでしょうか。ちょっと答えてください。

稲田国務大臣 降任については、幹部職員は幹部職員の中で、管理職員は管理職員の中でというふうに書かれていたということを指したわけでございます。

 そして、なぜ特別職にしなかったかということについては、一般職であったとしても、弾力的な人事、そして戦略的な人事、抜てきもできると考えたからでございます。そして、基本法のことを引いたのは、六月の本部決定において、二十年の改革基本法にのっとって今回の法案を提出するということを本部決定でしているということを踏まえての答弁でございます。

田沼委員 いや、でもあれは言いわけに聞こえましたよ。

 だって、これは何で身分保障を外さなかったんですかと言ったら、基本法でそこまで求めていないからという御答弁でしたよ、論理的に。今の御答弁、ちょっと納得いかないんですよ。

 今、大臣、一般職の方でも弾力人事できると言われましたね。ちょっと耳を疑いました、正直なところ。だって、今まで弾力人事、例えば、では降任人事、今まで何件あったんですか。

稲田国務大臣 現時点で、今までの降任の事例というのは把握しておりません。

田沼委員 いや、ありますよ。人事院さんの報告書をもとに調査局がつくってくれまして、平成二十四年は降任は二人ということです。ほかは、二十三、二十二、二十一年度は全部ゼロということですけれども、数字はありますよ。

 ただ、知っている知っていないということよりも、これは数の少なさです、やはり。一般職三十四万人の公務員の皆さんの中で、降任人事は二人しかいないということです。ほとんど降任人事というのはできていないということです。だけれども、大臣、先ほど、今、一般職の方でも弾力人事できると言われましたね。それはちょっともう明らかに無理がありませんか。御見解を。

稲田国務大臣 今回は、特例降任制度というのを設けました。それは、弾力的な人事配置の実現のために、勤務実績がよくない場合に該当しない場合であっても、特例として降任させる措置が今回の法案で措置した特例降任制度でございます。

田沼委員 大臣、それは御答弁になっていないですよ。

 私は、この数がとにかく物すごく少なくて、一般職でも弾力人事できるという御答弁だったから、全然できていないじゃないですか、それに対してどうですかとお尋ねしたんですよ。今の御説明は単なる要件の説明であって、ちょっとわからない。もう一度ちょっとお答えいただけませんか。

稲田国務大臣 今回の特例降任制度の創設によって、勤務実績が悪くない人でも、一段階降任させることによって、抜てき人事を実現させることができるという趣旨でございます。

田沼委員 いや、ちょっと堂々めぐりになっていますけれども、抜てき人事できるためには降任人事が必要だと、先ほどの委員さんの議論でもあったじゃないですか。だけれども、降任人事はほとんど起きていない。でも大臣は、一般職でも弾力人事は既にできるというふうに言われたので、おかしいんじゃないですかと御指摘申し上げているわけですよ。それに対しての御答弁、今のだと、ちょっと直接の答えになっていないと思います。

 それを、やはりこの幹部、特に幹部職の身分保障、幹部職に限っての場合でも身分保障というのを打破するかどうかというのが、もう肝中の肝なわけですよ。これは本当に、ある意味、野党ですけれども、私たちもかけているわけです、この法案に、非常に重要ですから。

 ちょっともうお尋ねしませんけれども、例えば、これまでの公務員改革でかかわられていた慶大の岸博幸先生、元総務大臣秘書官の方なんかも、やはり、大臣の人事権は、結局これで奪われてきたわけです、身分保障があったから。そうすると降格ができないから抜てきもできないということで、今まで委員さんが言われていましたけれども、これがゆえに大臣と事務次官の二重トップ構造になってしまって、ガバナンスがきいていないという御指摘があると思うんですね。これを打破できるかどうかの勝負どころがこの身分保障にあると考えるわけです。

 だから、まず、大臣、このことに対してどう思いますか。

柴山委員長 大臣、これまでの制度と今回導入した制度を明確に比較して答えてください。

稲田国務大臣 これまでの制度でも、勤務実績がよくなければ、一段階であろうが二段階であろうが、降任できます。

 今回の特例降任制度は、勤務実績はよくない場合には該当しないにもかかわらず、他の能力のある方を抜てきするために今のポストについている人を降任させるわけですから、私は、画期的な人材戦略、抜てき人事のための制度であると考えております。

田沼委員 いや、それでも、大臣はそう言われますけれども、先ほど三要件あると。その三要件の一つの中に、ほかの幹部職員と比較すると勤務実績が相対的に劣っていることと言っているじゃないですか。勤務実績が劣っていないと降任人事はできないということですよ。だけれども、今の御答弁ですと、できるということですね。どっちなんですか、これは。(発言する者あり)

稲田国務大臣 矛盾はしておりません。

 局長としての適格性は持っている、そういう場合には降任できないんです、今の制度だと。局長としての一般的な能力はあるという場合に、降任することはできません。局長としての能力がないのであれば、今だって一段階でも二段階でも降任できます。

 しかし、今回は、そういう一般的な職務についての能力はあるけれども、ほかの局長に比べて相対的に能力が劣っているにすぎない人を降任させて他の抜てき人事を行うことができるという意味において、大変画期的だと思っております。

田沼委員 結局前と同じ答弁だと思いますけれども、御説明ありがとうございます。

 やはりそれは中身が大事でして、勤務実績にかかわらずというふうに言われたけれども、勤務実績と定義しているわけですね。これはやはり矛盾していると思いますよ。

 もっと気になるのが、平成二十一年法案の、これが踏襲されて今回出されていると思うんですが、この提出時に、政府が、職員団体の方との会見で、幹部職員の降任については、裁判になっても持ちこたえられるような客観的な事実がないと降任できないと考えていて、それはそんなに起こるものじゃないというふうな旨説明したというのが、この調査室の資料にありました。公務員組合の方との会見のところだそうですけれども。

 これもちょっとゆゆしき発言で、つまり、裁判でも証明できるような客観的な事実がないと降任できないと言っているわけです。これは、さらに降任ができない仕組みになっているということじゃないですか。

柴山委員長 委員、今対象としている公務員について、もう一度きちんと説明した上で引用してください。その降任の対象となっているのは一体どういう種類の公務員ということでそういう発言をしているかということを、引用してください。

田沼委員 はい。

 幹部職員の降任について、職員団体の方たちと政府の審議官の方で協議をしていたようですね、断続的に。

 平成二十一年の、文書でいうと、二〇〇九年度公務労協情報ナンバー三十三という文書がありますけれども、これが、幹部職員の降任についての、職員団体との協議の結果を報告しているものですね。これだと、やはり、降任人事はそんなに起こるものではないと。裁判になっても持ちこたえられるような客観的な事実がないとできないと言っているわけです、政府が。これは今回もそうなんですか。

 ついでにもう一つ聞きたいのは、裁判になっても持ちこたえられるような客観的な事実を証明する責任があるのは誰ですか。これは大臣なんですか。

稲田国務大臣 平成二十一年提出当時に、政府が、職員団体の会見で実際にどのような説明がされ、どういった場合を想定して、裁判になっても持ちこたえられるような客観的な事実がないというふうに説明されたかは存じません。また、実際にどのような説明がされたかの詳細は、確認をすることはできておりません。

 いずれにいたしましても、適材適所の幹部人事が実現されるように、画期的だと思います、この法案の適用、活用を含めて運用に努めてまいりたいと思います。

田沼委員 いや、確認できていないと言われますけれども、職員団体はやはり反対の意向が強い、あるいは不安を持っているわけですよ、降任人事がやられちゃうかどうかについて。だから、政府は一生懸命、今でもそうかもしれません、説明されていると思うんです、協議で。

 この幹部職員の降任人事の詳細設計というのを説明されているという内容です。だから、これは非常に重要な部分で、恐らく、大臣は御存じないのかもしれませんが、事務方の方は絶対知っていると思いますよ。

 では、内容だけ御理解いただきたいのは、降任人事をするための要件として、勤務実績が劣っているということが客観的に裁判になっても証明できるような事実がないと、実際には余り起きないと言っちゃっているんですよ。それはおわかりいただけると思うんですけれども、これは重大なことで、では、今の大臣だって、今回この法案が成立した後に、誰かを降任させたいなと思ったときに、客観的な事実が必要ということですか。では、それは裁判になっても持ちこたえられるようなものじゃないといけないんですか。

 先ほど山之内委員は、そうじゃない、この三要件を満たすかどうかじゃなくて、ちゃんとそっちの、国益に資するような方向性を持っている人を抜てきできるようにするというのが要件にあるはずであって、この三要件に当てはまらないとだめだというのは物すごい制約になっちゃう。だから、何件起きるんですかという議論が起きていたわけです、大熊委員との議論でも。そのことを制約しちゃうものなんじゃないですか。ちょっと御答弁ください。

稲田国務大臣 今回の法案で、特例降任の要件、先ほどから議論になっておりますけれども、この要件を満たす限り、私は抜てき人事、戦略的な人材配置のための抜てき人事としてこの規定を活用すべきだというふうに思っております。

田沼委員 その要件を満たす限りという、その要件が制約になっているというあれで御指摘申し上げているわけですけれども、やはり大きな、これからの公務員制度の改革のための法案だと初めに申し上げました、期待を申し上げていると。しかし、今の御答弁だと、はっきり言って本当に起こるのか、こういう身分保障を外したような、抜てき人事と今言われましたけれども、本当にできるのかということに非常に疑問があるわけです、実効性において。だから御答弁をいただきたかったんですけれども、時間があれなので、ちょっと次に行きます。

 もう一つお聞きしたいのは、平成二十二年の自民党案、自民党さんとみんなの党さんの方の提出案は、やはりとてもよかったです。これだと、今回の特例降任、これは下がるとしてもワンランクだけですね。だけれども、自民党案だと、二ランク、三ランクも、幹部職から管理職にも降任できるようになっているんですよ。ここまで自由度を上げて、法案として今回出すべきだったんじゃないかと思うんです。

 しかし、なぜやめたのかについて、改めて御答弁ください。

稲田国務大臣 基本法では、幹部職員は幹部職員の中で、管理職員は管理職員の中でという規定になっていたかと思います。そして、委員御指摘のように、局長を課長までおろさないと抜てき人事ができないのかというと、私はそうではないのではないかというふうに思っております。

 そして、今回は特例として降任させる措置を新設したわけでありまして、幹部職員として能力、実績を有する職員は、できるだけその幹部職員に近い、一ランク下ですけれども、そういうところで活用するのが適切であると考えて、今の規定にしているところでございます。

田沼委員 いや、民間だったら、やはり役員になったら一度退職して、自由な中で特に執行部の人事体系を組んでいくわけですよ。そういったことを目指されたと思うんです。だって、もともとそういうふうに、省益から国益に資するためだというふうに言われていたじゃないですか。自由度が物すごく大事なのにもかかわらず、はっきり言って、一ランクしかできないというふうに制約を既に設けている時点で、極めて実効性に疑問があるわけです。

 今までに多くの委員も御指摘ですし、識者の方も言われていますけれども、そうすると年功序列になってしまう、順送り人事になってしまう。これを打破しないと、未来というか、霞が関の多くの若い職員さんも、その部分を非常に見ていると思うんですね。なので、打破していただきたかったわけです。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、抜てき人事を目指すということですけれども、これまでに抜てき人事というのはどれだけの件数があったんでしょうか。ちょっと抜てき人事というのはあれでしたら、年功序列的でない人事の件数をお答えください。単なる件数じゃなくて、できれば全体の中での割合でお答えください。

稲田国務大臣 今回、内閣において内閣人事局をつくって、そして、総理、官房長官から、大臣に任命権はあるけれども任免協議ができるというのは、まさしく、大臣から上がってきたその名簿が同期横並びとか年功序列的になっているときに、それはちょっとおかしいんじゃないですかということを言える、そもそも人事するときに言える仕組みだというふうに私は捉えているところです。

 その上で、平成二十三年度における採用昇任等基本方針に基づく任用の状況によれば、例えば、2種及び3種試験等で採用された管理職職員の割合が、前年度に比べて増加をしております。

 また、外務省において、二段階級以上上位の職制上の段階に属する官職に昇任させた事例等があるものと承知をいたしております。

田沼委員 ちょっと全体の中の割合がよくわかりませんので、これまでの脱年功序列人事の事例はわかりませんけれども、とにかく目指していただきたいんです。抜てき人事ができるように、脱年功序列できるように、それを多くの志のある職員の皆さんが固唾をのんで見守っていますし、それが国益にも資する。多分、大臣もそれを目指されていたはずです。

 だけれども、そのためには、時間なので終わりにしますが、これはやはり身分保障を外していくということでもっと踏み込んでいかないと、ちょっと難しいと思います。しかも、裁判に持ちこたえられるような客観的事実を大臣が証明しないといけないというふうになると、これはほぼ無理だと感じちゃいます。そうすると、この法案は改革には後退していると結論せざるを得ないわけですね。

 ですので、これから、ぜひ、また修正のことも御検討いただきたいというふうに申し上げまして、私の質問を終わりとします。

 ありがとうございます。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。

 きょうは、朝からなかなか熱の入った議論を繰り返されていると思いますけれども、せっかくの機会なので、私の方もしっかりと質問させていただきたいと思います。

 今、朝からの質問の中で、かなり突っ込んだ議論がされていると思うんですけれども、ちょっと頭を切りかえて、総論的なところからお話をさせていただきたいと思います。

 国家公務員法の改正ということなので、国家公務員法第一条第一項の中に「以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」という文章があると思うんですけれども、この法律提案の理由説明の一番初めのページに、「職員一人一人が責任と誇りを持って職務を遂行できるようにするための国家公務員制度改革が急務となっております。」と。

 国民一人一人が責任と誇りを持って。よく、前、委員会でも質問があった高潔な人格とか、非常に枕言葉的に使われることが多いと思うんですが、私は、日本語というのは非常に大事なものだと思っていまして、こういう責任と誇りについて、ちょっとお尋ねしたいと思います。

 職務に対する責任でいえば、例えば民間企業でいえば、それぞれ役職によって、担当によってもあると思うんですが、一つのプロジェクトがどういう結果を出すかによって、責任というのはその結果によってとられるわけですね。例えば、ほかの人より三十分早く来て、三十分遅くまでボランティアで残業までして、休みの日も研究をして、しかし、結果が出なければだめだ。逆に、出勤時間中何をやっているかわからないけれども、この人がやるとうまくいくんだという場合は、こういう人は出世するわけです、民間の場合は。

 そういう責任というものに対して、今の人事異動、特にそういう幹部になられるような方、非常に短い期間でいろいろなところに異動されると思うんですけれども、責任というのは、仕事を始めて、終わって、それがその後どうなるかまで反映してくるわけで、自分の任期中どうするかという問題だけではないと思うんです。

 そういう人事異動の間隔が短いことに対しても含めて、この責任というものをどのように大臣はお考えか、お聞かせください。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、言葉というのはとても大事だと思います。そして、私も、若い霞が関の職員とお話をします。どういうときに生きがいを感じるか。自分のやっていることが国家のために役立つと感じたときに、やはり生きがいを感じるということをおっしゃっています。

 責任と誇りというのは、まさしくそういう生きがいを感じていただくために、一つは、その職責のスペシャリストになっていただくということもあります。

 そして、誇りという意味からは、やはり、なぜ行政の縦割りの弊害をなくさなきゃいけないかというと、例えば、規制改革をやっていて、行政改革をやっていて、規制を改革した人、行政改革で要らない事業をやめた人、予算を削った人が、では、その省の中で登用されているかといったら、むしろ反対になっているのではないかということを現実問題として感じるわけであります。

 そういう意味で、今おっしゃった人事異動の間隔ということも含めて、職員本人、個人個人が、自分の責任も感じることができ、やりがいも感じることができるという制度にしていく必要があろうかと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 今大臣がおっしゃったように、私は、やはり人事というのは適材適所というのが大原則だというふうに思います。ですから、ゼネラリストとして総合的な判断を担う部署の人を養成するのであれば、計画的に任期を切って異動していくということは大変必要だと思います。

 しかし、我が国の、よく物づくりの中で言われます。一つのスペシャリストになるには、一つの道をきわめるのに十年、宮本武蔵の言葉をかりれば、三十年で神近きものになるというようなことも聞いたことがございます。

 気をつけていかないといけないと思うのは、こういう改革というのは、もちろん、条文というのは当然、法制局の方とかいろいろな省庁の方のお話をヒアリングされながらおつくりになられると思うんですけれども、公務員の公務員による公務員のための公務員改革になっては意味がないというふうに思います。

 そういう中で、今大臣がおっしゃった、本当に、やりがい、生きがいというのは、日本人というのは非常に、多くの人のために貢献したことに対して喜びを持てるDNAを持っている国民性があるというふうに思います。

 そういう意味で、仕事の誇りというのは、通常の、よく言われる対価、インセンティブだけではなくて、心の喜びという、大きな、目に見えないインセンティブというのも大事だと思うんですけれども、日本人として国家のために働く誇り、この原点はどこにあると大臣はお考えでしょうか。

稲田国務大臣 今、日本人のDNAという言葉もありましたけれども、私は、若手官僚と話をしていても、またこういう議論を通じましても、自分がやっていることが国家のため、また国民のために役立っている、そういうふうに信じることができること、それが誇りの源泉だというふうに思っております。

中丸委員 ありがとうございます。

 国家のためと今おっしゃられましたけれども、国家というのは、我が国であれば当然日本国のため、アメリカであればアメリカ合衆国のため、それぞれ国によって違うと思います。

 日本国の誇りというのは、源泉はどちらにあるとお考えでしょうか。

稲田国務大臣 文化であり、伝統であり、そして国柄だというふうに思っています。

中丸委員 文化、伝統、お国柄、本当にそうだと私も思います。

 お国柄、文化、それを考えたときに、私は、非常に誇りを持って公務員の皆様にお仕事をしていただくにおいて、大事なことは、日本国というのはどういう成り立ちでできているのか。もっと言えば、今、政治主導とかいろいろなお話がございますけれども、そもそも、我々が国会に召集されているのは、どなたによって召集をされているのか、内閣総理大臣を任命されているのはどなたなのか。なぜ陛下がそういうことをされるポジションにおられるのか。これは、国の成り立ちの歴史を学んでいなければ、どんなに近代学問だけを学んでも、私は心の底から生まれてくるものではないというふうに考えます。

 そういった中では、いろいろなカリキュラムの中で、評価システム、さまざまなシステムを考えられていくと思いますけれども、例えば、日本の歴史を知る上では、古事記、日本書紀、こういったものに対してしっかりと学んでいるかどうか、これは、国益、国家のため、日本国のために働くという概念の中で非常に大事だと私は考えているんですけれども、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 全く委員の御指摘のとおりであるというふうに思います。

 グローバル人材といったときに、きちんと、日本の歴史であるとか国柄であるとか、そういったものを学んでおく必要があろうかと思います。

中丸委員 神話のない国民は滅びるというお言葉もございます。そういう中で、日本書紀、古事記、こういうものをしっかりと公務員の方に学んでいただくというのは、ぜひカリキュラムとしてお考えいただきたいということを申し上げたいというふうに思います。

 それでは、甘利法案との云々という話はさっきからさまざま出ていまして、何度も稲田大臣はお答えになられていまして、いろいろなお答えがあったんですけれども、私もずっと聞かせていただきまして、どうも何となくしっくりこない部分が一つございまして、環境や時代の変化。

 時代、四年が過ぎた、その間に何が変わったのか。環境、その間に東日本大震災があった、それも一つの環境の変化だと思いますし、政権もまたかわった、これも大きな変化だとは思います。その変化が、今回の法案を練り直すに当たってどの部分がどういう影響を与えたのか、これを皆さん、恐らく質問をされたかったんだというふうに聞いていて思うんですけれども、御答弁をいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 公務員制度改革自体が、けさの近藤委員の質問にもありましたけれども、橋本行革以来の大きな課題で、それが、例えば官僚の不祥事を契機として議論をされたり、また、政権交代の嵐の中で議論をされたり、ある意味、政局的に議論をされたりということがあった、そういう不幸な歴史があったという反省もあります。

 また、政権交代によって、本当の意味での政治主導とは何かということを考えるきっかけにもなったと思います。

 また、官僚は悪いことをするんだという性悪説に立って制度設計をすることが、非常に官僚の意欲をそぐという場合もあるのではないかというふうな、さまざまな状況や反省の上に立ちました。

 また、二十一年からの人事評価の本格実施の問題であったり、地方公共団体における公募の議論であったり、そういう状況も見直しました。

 また、二十一年のときは、人事院と激論があって、調整がつかずに来た部分もあります。今回は、きちんとテーブルに着いて議論をして、役割分担も協議することができました。

 そういうことを踏まえて、今回の法案の形になったということでございます。

中丸委員 申しわけないんですけれども、机の上の話ではなくて、私は、環境や時代の変化の、例えば、東日本大震災の、こういう部分からこういうふうに変えたとか、そういうことをお伺いしたい。この四年の間にこういうことがあったからこうしたんだと。

 議論を重ねてきましたではなくて、その議論の中身として、こういうことがこういうふうになったんだという、代表的なものを一つでもいいです、お聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 例えば、公募については数値目標を入れておりました。しかし、何のために公募をやるかというと、優秀な人材を内外から登用するためにあるわけです。

 しかし、公募について、例えば、地方公共団体において必ずしも成功したとは言えない事例とか、そういうものがあって、数値目標を置くことによって、かえって弾力性が失われる。本当の意味での目的は、公募で民間を多く登用することではなくて、優秀な人に霞が関に来ていただくことだということで、公募に関する規定については見直しをしたということでございます。

中丸委員 民間の登用の話が今出ましたね。では、逆に質問をさせていただきたいと思います。

 通常国会の中でマイナンバー法案の質疑をさせていただいた中で、一つの事例として、ハッキングを防ぐにはハッカーを雇わないといけないというお話があったんですね。簡単に言うと、それができるぐらいの技術と知識を持った人でないとだめだと。

 例えばIT業界でいえば、そういう非常に高い人というのは、時給にすると物すごく高いわけです。とても今の人事院で決めているような基準で雇えるような人たちではないわけですね。でも、そのルールづくりからそのチェック機能をやるといったら、そういう人がやはり必要になるわけですよ。

 実際に、本当に民間から要るのであれば、民間の能力基準に合わせたフィーがなければ、皆さんが、特にそういう外資系の企業の方ほど、自分の能力を売って、利益を出すことによってフィーを受け取るというふうに会社と五分と五分のつき合いをしている、帰属意識というのが非常に低い方が多いので、そういう人でも優秀な人の能力が必要になってくるときに、要るときはどうしてもフィーの問題というのが出ると思います。

 でも、私は、個人としては、日本人であるならば、日本人の誇りとして、そういう国のために貢献するというのは金額の多寡ではないというふうに考えますけれども、優秀な方の中には、そうではない考え方もおられると思います。

 そういう意味では、民間を本当に登用するのであれば、その辺はもう少し枠を広げて、民間が登用できるような仕組みをつくらないと難しいというふうに私は考えるんですけれども、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 民間から登用することも重要だと思います。そして、幹部候補育成課程の中で、公務員に民間に行っていただいて、また戻ってきてもらって、民間の知見をまた霞が関で生かしていただく仕組みもつくっているところでございます。

 そういうことも含めて、民間のよりよいところは取り入れていくべきだと思っております。

中丸委員 何か答えと質問がちょっとすれ違っているような感じがあるので、余りそうこうすると時間がなくなるので。今の、民間に出向という形、知見を求めに勉強しに行く形、また戻ってくるという人材交流のお話だと思うんですけれども、私は、民間企業、特に日本の企業は、やはり会社への帰属意識、貢献に対する意識が非常に大事だと思っていますし、私も会社経営をやっている中で、従業員の皆さんには常々そういうお話をさせていただいてきました。

 帰属意識が違うところにある人は、しょせん自分のこととして考え切れない部分というのが最後の最後に詰まったときに出るんです。ここから後ろが自分にあるかないか。後ろが別のところにある人は、ああ、俺は後ろがあるから、これ、お任せしますよというふうにやはりなっちゃうんです、優秀な人であっても。

 私は、本当に官民の人材交流をするのであれば、一旦そこは切って、行った先に、例えば、今プロ野球でFAとかをやっています。私の広島だと、大竹さんという投手がジャイアンツに行くことになって、ちょっと個人的にはというのがある、まあ、関係ないですけれども。それも、また広島カープに戻ってくると思って行くのと、読売ジャイアンツに骨を埋めると思うのとで全然違うと思うんですよね。

 だから、人材交流というのは、本当にそこに骨を埋めに行くかどうかもすごく大事だと私は思うんですけれども、大臣、いかがお考えですか。

    〔平委員長代理退席、橘委員長代理着席〕

稲田国務大臣 今委員がおっしゃったことも理解できます。

 ただ、官民人材交流という場合は、やはり民間に行って、そこのノウハウだったり、よさを身につけて、帰ってきていただいて霞が関での職務に生かしていただくということが前提ではないかなと思います。

中丸委員 大臣のおっしゃることもすごくわかった上で申し上げております。

 私は、思いと気持ちと覚悟の問題だと思っていまして、それは、おっしゃるとおり、また戻ってくるに当たっては、一旦籍を変えても、スキルというものをきちんと管理して、民間に行っている間のスキルがどれだけのものがあって、逆に、一旦退職してもまた復職できる、よく民間では出戻りとか言いますけれども、そういうこともフレキシブルにできるようなものが本当の官民の人材交流であり、でないと、長期間の研修だったり、体験だったり、出張になりそうな気がやはりどうしてもしてしまうんですね。いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今おっしゃった趣旨なども含めて、運用に努めてまいりたいと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 それでは、質問をかえまして、今回、幹部職の任命に当たって、六百人ぐらいの名簿が提出されて、その中から絞り込むというふうなお話をお伺いしておりますけれども、そもそも、六百人になる前があると思うんですけれども、その六百人の前というのはどのぐらいの数から六百人に絞り込まれるんでしょうか。これは事務局次長の方ですね。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 委員今御指摘の六百人、これは、幹部職員の数が約六百ということでございますけれども、今回の改正案においては、官房長官が適格性審査の結果を踏まえて作成した幹部職に任用されるに足りる候補者を記載した幹部候補者名簿、この中から、任免協議を経て幹部職員に任命するということになります。

 内閣人事局といたしましては、各省の任命権者に対し、有能な人材について、今後の人材計画を踏まえた積極的な適格性審査への推薦を期待して、また、名簿に記載される候補者数は、実際の幹部職のポストよりも多くなるというふうに考えております。

 現時点では、その具体的な数字を想定しているというわけではないということでございます。

中丸委員 私がなぜこの質問をするかというと、六百人ありきだと、初めから枠を決めたところに物を入れようというような考え方になるんです。

 だから、六百人に絞り込む前段階というのは、より多くの人数があって、そこからさらにという、やはり、ふるい分けというのは段階的にやればやるほど精度は上がっていきますので、六百人ありきではなくて、最終的に六百人相当の名簿を作成するんだという、前段階は幅広く考えていただいた方がいいのではないかなというふうに思います。

 そういう幹部人事の一元管理についてなんですけれども、優秀という言葉について、先ほどもいろいろありました。陸上選手と肩の強い野球選手の例えとかも出たりしていました。私は、やはり組織で働く以上は、スペシャリストとゼネラリストという考え方は非常に大事だとは思うんです。

 スペシャリストというのは非常に育成するのに時間のかかる業種であったりすると思うんですけれども、一旦、幹部として入れてしまって、実は現場の方が向いていたという人もいる場合というのはやはりあると思うんですよね。逆に、現場ではいまいちだったんだけれども、管理職にしてみると物すごくいい人もいるわけです。

 よく、名選手、名コーチにあらずとも言いますけれども、こういったことは、私も会社経営、いえ、私だけじゃなくて、周りの経営者の話を聞いても、意外とやらせてみないとわからない、させてみて初めてわかると。管理職というのは、私もそういう職業ではないかというふうに思います。

 そういう意味では、先ほど来、田沼議員の質問にもありましたけれども、一つしか降格できないんじゃなくて、本来あった場所に戻すということも必要な場合というのは絶対に出てくると思うんですけれども、そうすると、それがもとの適材適所に戻せるということもあると思うんです。それを、もうここまでしかだめだよと言ってしまうと、やはり適材適所という意味では非常にもったいない気がするんですけれども、いかがお考えですか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の点、幹部職員への任免に当たって、その適性をどういうふうに見きわめるかという問題かと思います。

 任免協議におきましては、個々の人事案について、官職への適性、政府全体の人事方針との整合性などの観点から、任命権者と総理、官房長官が協議いたしまして、各大臣は協議に基づいて幹部職員の任命を行うこととなるというふうに存じております。

 具体的な個別の人事案に対する協議の際、当該候補者の特性、例えばゼネラリスト向きであるのかスペシャリスト向きであるのか、あるいはポストにどういうものが求められるか、そういった点を踏まえて、任命権者たる大臣と総理及び官房長官の間で協議が行われることになるものと考えております。

中丸委員 済みません、私の理解力不足なのか、ちょっとわかったようなわからないような感じだったんですけれども。

 では、ちょっと角度を変えまして、スペシャリストとゼネラリスト、局長、その局に合っているかどうか、私、こういう人事の基準というのは恣意的なものであってはならないと。非常に、毎年お中元とお歳暮をよく持ってきて、いつも鞄を持ってくれる部下だからとか、そういうことであってはならないと思うんですね。本当に能力があるかどうか、それをチェックする基準というのは物すごい大事であるとともに、私は、組織である以上、透明性が必要だと考えます。

 要は、自分はなぜ出世できなかったのか、なぜこのポジションになったのか、自分で納得できるには、その判断基準、人事考査の基準がやはり透明性があって納得できるものであるというのは、組織である以上、大前提だと思うんですね。

 そういう意味で、先ほどの、例えばこういうポストに合った人、適した人と言うのは簡単ですけれども、その見きわめる基準をどういうふうにつくるのか、透明性をどう確保するかについて教えていただけますか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 直接なお答えになるかどうかはあれですけれども、現在、私ども、人事評価の仕組みを導入いたしましてから、もう四年たっております。この人事評価におきましては、職務の遂行に当たってどの程度能力を発揮できたかという能力の評価、それから、ある期間におきまして、当初に自分はこういったことをやりたい、こういったことを達成したいという目標を定めて、それがどのくらいできたかという実績の評価、この二点から評価をし、また、これは評価をするだけではなくて、必ず、評価をつける上司、一般的には上司になります、これと当該本人とコミュニケーション、つまりフィードバックを行うということで、こういったことによって、どういったところが評価されたのか、あるいは足りなかったところがどういうことなのか、どういう点を努力すればもっとよくなるのか、こういったことが共有される。あわせて、組織におけるミッション、目標が組織の中で、上司と部下の間で共有される、こういうことになっております。

中丸委員 わかりました。

 フィードバックということは非常に大事だと思うんですけれども、私、今お話を聞いていまして、ああ、なるほどと思う反面、実は、民間企業の場合は、上司が部下を評価するだけじゃないんですよね。もう今、部下が上司を評価する時代なんです。

 要は、チームリーダーとして、どれだけこの人は活躍したか、自分たちの方向性、自分たちの意見を取り入れて、日本人の大事なチームの和をつくったか、そういう、上司が部下を評価するから、さっき申し上げたように、部下は上司にどう気に入ってもらえるか、どう覚えてもらえるかというふうになるんです。上司が部下を評価する、部下が上司を評価する仕組みもあって私は構わないと思うんですけれども、稲田大臣、いかがですか、それは。

稲田国務大臣 そういうことも含めて考えていくべきだと思います。(発言する者あり)

中丸委員 今、後ろの方からやっているという御意見もありましたので、ぜひとも、特に幹部人事というのは、国家の中枢を担うべく非常に大事な人事でございますので、評価までいくのがもし難しければ、せめて、その人の上司が見た目ではなくて部下からどう見られていたかという情報もしっかり踏まえた上、この六百人、調べていただきたいですし、選んでいただく諸大臣の皆様には、そこも必ずチェックポイントの一つとして、書いていなくてもいいです、答弁はなくてもいいですけれども、頭の中に入れておいていただければ、よりいい人事ができるものというふうに考えます。

 それでは、官民人材交流の話にちょっと戻ります。

 今、人事の評価の話で府省内の人事評価の話をさせていただいたと思うんですけれども、民間から来る人をどういう評価をするのか、これも適正な透明性のあるものが必要だと思うんですけれども、この評価基準、何かお考えがありましたら、お聞かせください。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 民間から採用される方につきましても、これらの方は、まず採用段階において、選考により能力実証に基づいて採用されるということでございます。また、採用後の人事管理については、従前、中にいらっしゃる人と同様に人事評価に基づいて適切に行うという原則が適用されるということでございます。

 今回の改正によりまして、採用昇任等基本方針において官民の人材交流に関する指針を新たに追加することとしておりまして、この方針におきましても、こうしたこれらの採用における能力実証、その後の人事評価が適正に行われるために必要な事項を定めるというふうに検討してまいりたいと思います。

中丸委員 今、能力実証を検討すると。言葉にするとすごく簡単なんですけれども、外部の世界の皆さんに対してその能力をどうやって検証するのかというのは私は非常に興味がありまして、その企業その企業によって、会社の経営理念も違えばやっている業務も違って、目指すところも違えば求められる能力も違うわけですね、業種別にはもちろんのこと。それを総体的に判断するというのは物すごく難しいと思います。

 例えば何かの研究にたけた人であれば、何々研究所とか、何々大学で何々を専攻されている教授だとか、わかりやすいです。例えば非常に対外交渉能力のある人が必要な場合、民間企業の中で何をもって対外交渉能力をはかるか、そういう基準というのはなかなか難しいと思うんです。

 今のは一つの例ですけれども、そういったことを、能力を検討するじゃなくて、例えばどういう基準で検討するか、何か思われていることはありますか。

川淵政府参考人 外部から、民間から中途で人を採用する場合、どういう点、能力、資質に着目するか、また、採用する場合、採用するポストでどういうものが求められているか、これによって一概にこうであるという一律の基準とはならないと存じますけれども、いずれにいたしましても、どういうふうな資質、能力を持っておられるか、また、求めるポストでどういう能力が求められるか、こういったところをよく見て、それで採用していく、これが基本だと思います。

中丸委員 だから、よく見てというのは、よく見るのはどこを見る、どの辺を見られる、そこを聞きたいんです。

柴山委員長 明確に御答弁ください。

川淵政府参考人 一般的には、民間で働いておられる方もある組織に属して、あるいは独立した業として実績を上げられているわけで、そういったところでどういうふうな実績を上げられ、また能力を発揮されたか、そういった実績、能力をどういうふうに公務の中において発揮する可能性があるか、そういうところが選考の基準になると存じます。

中丸委員 わかりました。

 では、そのリストに挙がってくる選考はどなたがされるんですか。

川淵政府参考人 選考採用一般の話になって恐縮でございますけれども、採用するのは各大臣、任命権者ということになります。

中丸委員 それはわかっています。そうじゃなくて、大臣に出すリストに挙げる段階の選別を、今、例えば府省内であれば上司が部下を評価する、そこから推薦が上がってくる、それはわかります。では、民間の方で必要な登用をする基準を持っている人は誰なんですか。例えば民間から三十名、こういうポストに対してこういう名前が挙がっています、ここから、大臣、選んでください、検討してくださいと出すときのこの三十人を選ぶのは誰なんですかということを聞いているんです。

川淵政府参考人 民間から採用、登用する場合、一般論になって恐縮でございますけれども、いろいろな形態がございます。こういう人が欲しいということで一本釣りする場合、特定の方に目星をつけて、口説き落として、それで来ていただく場合、あるいは、公募の形で、こういうふうな能力の人、こういう仕事に対して求めていますよということで広く求めて、そうすると、一定数の応募者がいますから、その中から最もふさわしい人を選ぶ、そういうことになるかと存じます。

中丸委員 そのお答えを聞きたかったんです。

 要は、一本釣りもいいんですけれども、そもそも、民間企業と公務員の皆さんというのは、働く形態、働く目的、求められる結果、全てが違う部分があるんです。仕事がとうといものということは一緒ですけれども、それを、経験のない人が頭の中で選ぶというほど危なっかしいものはないし、間違いを引き起こすことはないと思うんですね。

 ですから、先ほど言われた一本釣りも含めて、よほど、この研究はこの人しかやっていない、例えばiPS細胞ならこの人だ、こういうことならわかりますけれども、そうじゃない人材の場合、私は、公募をして、その中でどういう基準で選ぶかというのは、その専門的な、民間も含めて、基準をつくって、そのふるいにかけた上で、絞って、最後は面接。当然、大臣のもとで仕事をするのであれば、そういう相性とかもあると思いますから、それは、面接とかそういうのを通じてやっていくべきだというふうに思うんです。そういう仕組みづくりというのを、今できていないとは思いますけれども、今後の検討として考えていただくことは可能でしょうか、大臣。

柴山委員長 では、まず、川淵次長にお答えいただき、その後、稲田大臣、お答えください。

川淵政府参考人 現在ある制度について、まず御説明いたします。

 民間から公務の中に来ていただく制度、先ほど来議論になっております官民人事交流の制度、これは官民人事交流法に基づくものでございます。このほかに、高度の専門的な知識を有する方を一定期間来ていただく、例えば弁護士や公認会計士など、こういった方々などに来ていただく任期つき職員制度、これもございます。それから、いわゆる新卒あるいは卒業間もない方だけではなくて、中途採用という形で、一定の職務経験を持っている方、こういった方に来ていただく制度もございます。

 こういったいろいろな形でもって、現状でもさまざまな形で民間からの採用が行われているところでございます。

稲田国務大臣 今委員御指摘になったように、官民人材交流における民の優秀な人を登用する仕組みとして、私は、公募というのは非常に有益だと思うし、民から来られた方とお話をする機会があるんですけれども、そうしましたら、やはり霞が関、役所に来ると、全く文化が違って、最初は戸惑ったということもおっしゃっておられます。そういうことも含めて、私は、今委員がおっしゃったような仕組みというのは重要だというふうに思います。

中丸委員 時間がなくなってきましたので、何か半分ぐらいしかできなかったんですけれども、後半の方の質問に移らせていただきまして、大臣補佐官についてちょっと質問をさせていただきたい。きょう、後藤田副大臣にもお越しいただいていますので、ちょっと質問させていただきたいと思うんです。

 この補佐官というのは、当初の、俗に言う甘利法案の中にあったんでしょうか、なかったんでしょうか。

後藤田副大臣 甘利法案の、補佐官という言葉が適切かどうかわかりませんが、その趣旨にのっとったものはあったと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 私、補佐官という言葉を聞くと、どうしても大統領補佐官という、大統領がじきじきに選んで、本当に大統領の片腕というか、かわりができるぐらいの動きをされる方を想定してしまうんですが、名前でいくと。

 これは、今までの、例えば政務官との、ちょっと時間がなくなっちゃったのであれなんですけれども、国会議員が登用されるということは、ある意味、与党の皆さんの新たなポストが一つずつふえていく、二十個ぐらいというような外部の方の御指摘もあるようなんですけれども、そうじゃないんだというところを最後にお聞かせ願えればと思います、稲田大臣。

稲田国務大臣 大臣補佐官は、まさしく大臣の企画立案を補佐する人という意味で、置くことができる、大臣の判断において置くことができるし、その運用も弾力性があるかと思います。

 そして、その中で、大臣の判断によって有為な人材を選ぶということでありますので、国会議員に限られるものではないというふうに承知しています。

柴山委員長 中丸君、質疑時間は終了です。

中丸委員 はい。

 ぜひ、この補佐官のところは、民間の一般の方々の危惧があるように、先ほどの上司と部下のお歳暮、お中元じゃないですけれども、恣意的に、かわいがっているから、おお、おまえ、補佐官にしてやるぞというようなことのないように、しっかりとした人選をしていただきたいということを申し上げまして、私、中丸の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 本日は、質問の機会を与えていただき、ありがとうございます。

 さて、今回の国家公務員制度の改革の法案ですけれども、私ども民主党が政権担当のときに、平成二十二年にも、幹部人事の一元化を中心とした法案を出しておりまして、私、その当時、政務官として法案の立案にかかわりました。そのときに、どうやって幅広く有為な人材を幹部職に登用するかというシステムを、知恵を絞って、官僚の方たちと一緒に考えた記憶があるんです。

 その中で、適格性審査ということをするときに、やはり役所の中で埋もれている人材にも光を当てたい、また、若い人でも、志があって能力が高い人にも光を当てたいということで、適格性審査の対象者として、条文で、文言でいいますと、「内閣総理大臣が定める一定の行政分野の幹部職に就くことを希望する者であつて、当該一定の行政分野における職務の遂行に欠くことのできない要件として内閣総理大臣が定めるものを満たす者」ということで、要は、自薦の人も適格性審査の対象になれるようにしたわけですね。

 今回、政府案では、この適格性審査の対象者に自薦者が含まれていないんですが、ここはなぜそうしたのかということをお聞かせください。

稲田国務大臣 階委員御指摘のとおり、今回の法律の中に、適格性審査の対象として、法律上、自薦者を含めない規定としております。

 その理由は何かというお尋ねでございますが、適格性審査を受けることを申し出た者、いわゆる自薦者については、平成二十一年度から本格実施されている人事評価制度が着実に運用されている中で、幹部職員の適格性を有すると考えられる職員が自薦を待つまでもなく任命者により適切に推薦される環境が整備されたと考えているからでございます。

階委員 そうはいっても、神ならぬ普通の人間が評価をするわけですから、完璧ということはあり得ないわけでして、中には光の当たらない人もいるでしょう。また、普通の役所の常識でいえば、この年代の人はこれぐらいのポストということはあるわけでして、ただ、世の中、今本当に変化が激しい時代ですから、若い人であって、普通の役所の常識であれば幹部職にはまだ早いかなという人も、自薦でもって適格性審査の対象にしてあげるということは、私は非常に意味があることだと思っていますし、これを入れることによって、何ら、その適格性審査の弊害というか、そういうものが生じるものではないと思うんですね。

 この点について改めて検討していただけませんでしょうか。もう一度お願いします。

稲田国務大臣 今申し上げましたように、何のためにこういう制度を入れたかといいますと、本当に適材適所、国際競争社会の中でいい人材を登用するということでございます。

 その中で、人事評価制度が着実に運用されていくので、現時点において、法律上、自薦者を適格性審査の対象として定めなかったということでございます。

階委員 そこは、私どもがいろいろ考えて、こういう自薦者も入れるべきだというふうにした思いからはちょっと離れているなということが一つ。

 もう一つ、適格性審査と幹部候補者名簿に関して政令で定めるという規定があるんですが、ここで、あらかじめ人事院から意見を聞くこととしているんですが、本来、公務員改革の基本法においては、この点については、そもそも、「内閣官房長官が、その適格性を審査し、その候補者名簿の作成を行う」というのが五条二項三号にあります。そしてまた、「次に掲げる事務を内閣官房において一元的に行う」ということで、五条四項に各号、一号から十一号までありますけれども、その八号で「適格性の審査及び候補者名簿の作成」ということで、一元的に内閣官房あるいは内閣人事局が行うという規定があるわけですね。

 だとすれば、なぜ人事院から意見を聞くこととするのか。私は基本法の趣旨に反していると思うんですが、この点について、理由をお聞かせください。

稲田国務大臣 能力・実績主義を実現する、本当に重要なことだと思っておりますが、一方で、人事が中立公正性を担保していなければならないこともまた重要な課題であると思っております。

 今回、適格性審査、名簿作成について、内閣総理大臣において、能力・実績主義のもと、公正に行うということが重要であることから、適格性審査に関する政令を定めるに当たって、人事院の意見を聞いた上で定めることとしたものでございます。

階委員 この点についても、その適格性審査とか候補者名簿の作成というのは、なるべく役所の常識にとらわれないで柔軟にやった方がいいと思うんですね。ところが、人事院が絡んできますと、どうしても旧来的な方法にとらわれるということで、人材の抜てきということについて、この点も余りいいことではないのではないかと思っておりますから、私はこの点も問題があると考えております。

 それから、これはほかの質疑でも出たことだと思うんですが、級別定数の設定、改定に関して、人事院の意見が出されて、それに対して内閣人事局がどのような対応をするかということですが、二十一年のいわゆる甘利法案では単に意見を聞くということだったのが、今回は、十分に尊重するということで、ここでも人事院の意見にとらわれるような表現になっているわけですけれども、その理由もお聞かせください。

稲田国務大臣 級別定数は、そのポストの格付であって、重要な政策を推進するに当たって機動的に運用できるように、今回、内閣人事局に移管をしたものでございます。

 しかしながら、労働基本権が制約されている中で、代償措置としての人事院の機能というのはきちんと果たしていただかなければならない。そしてまた、各方面から、この級別定数が、ポストの格付であると同時に、勤務条件に非常に密接なかかわりがある、そして、職員の勤務条件の確保の重要性に対する指摘が多くなされたということから、人事院の意見を十分尊重するという規定にしたものでございます。

階委員 やはり、移管するということであれば、実質的な権限が移管していなければ意味がないわけでありまして、この十分に尊重ということによって、実質的な権限は依然人事院にあるのではないかということとしか読めなくなるわけですけれども、実質的な権限は内閣人事局に移ったと言えますか。

稲田国務大臣 実質的な権限は内閣人事局に移ったということでございます。

階委員 十分に尊重ということも条文上はあるわけですけれども、それには必ずしもとらわれない、最後は、最終判断は内閣人事局だということが明確に言えますでしょうか。

稲田国務大臣 条文に書かれておりますとおり、勤務条件にかかわる部分については人事院の意見を十分尊重するということでございます。最終的な決定権は内閣人事局にあるということでございます。

階委員 何か余りはっきりしていないような気がしますけれども、この点については、ぜひ、その移管の意味を没却することのないように、対応をお願いします。

 官房長官に幾つかお尋ねいたします。

 特定秘密保護法案、遺憾なことに、きのう強行採決されましたが、これについて、ちょっと今回の法案にも絡むところをお聞きしたいんです。

 内閣総理大臣が各府省に人事情報の提供を求め得るという規定が、今回の法案の中にあります。条文でいいますと六十一条の七というところですね。その人事情報の中に、今回、もし特定秘密保護法案が通ったとすれば、適性評価というものが公務員についてなされます。その公務員について適性評価して、プライバシーにかかわるものも含めていろいろな情報が得られるわけですけれども、そうしたものも内閣総理大臣が今の六十一条の七によって情報提供を求め得るのでしょうか。この点について確認させてください。

菅国務大臣 特定秘密を取り扱う幹部ポストに係る任免協議において、特定秘密の保護の目的の範囲内において、例えば適性評価の結果の提供というのは受けられるというように考えます。

 ただ、そういう幹部候補者というのはまれなケースだというように思います。

階委員 やはりこれは、情報を求めることによって、人事にも影響が及ぶという理解でよろしいわけですね。

菅国務大臣 特定秘密を取り扱う幹部職ポストですから、全体の中で全くまれなケースだというふうに思います。その候補者については、提供を受けることができ得るというふうに考えます。

階委員 特定秘密の保護法によって公務員がいろいろ行動に制約を受けるのではないかというふうに言われていますけれども、この人事情報についても、いろいろなところでこれは利用され得るということは、非常に公務員にとっては萎縮効果になるのではないかと思っております。

 それから、基本法の五条三項に情報の管理とか公開に関する措置というのが定められております。

 ここで特に申し上げたいのは、五条三項の一号というところを見ますと、前段、後段と分かれていますけれども、前段で、職員が国会議員と接触した場合における記録作成、保存、公開に必要な措置を講ずるとあって、後段では、「この場合において、当該接触が個別の事務又は事業の決定又は執行に係るものであるときは、当該接触に関する記録の適正な管理及びその情報の公開の徹底に特に留意する」と。公開の徹底とありますね。

 例えば、ここで事業の執行に係るものというふうにあるわけですけれども、防衛に関して、例えば航空機のどれを導入するとかそういうことについて仮に国会議員と官僚が接触したような場合、これが特定秘密に当たるとしても、今の申し上げた五条三項一号後段の規定があることによって情報の開示はなされるという理解でよろしいのかどうか。官房長官、お願いします。

菅国務大臣 今委員御指摘の情報が特定秘密の保護に関する法律案に基づく特定秘密に該当するようなことは通常は想定をされませんけれども、仮に特定秘密に該当する場合は、当然、同法案に基づく取り扱いが優先される、このように考えます。

階委員 そこで、どういう場合に情報が公開され、どういう場合に特定秘密だということで保護されるかということが、この公務員基本法を見ますと、やはりここは慎重にしなくてはいけないということだと思うんです。

 先般、本会議だったと思いますけれども、五条三項各号の措置がとられているかどうかということについて、特段今回は措置していませんというような答弁がたしかあったと思います。そういうことでいうと、特定秘密保護法を、もし政府として通そうというのであれば、一方で五条三項に基づく必要な措置を講じていかないと私はまずいと思っていますけれども、五条三項の各号の措置というものをどうやって進めていくか。進めていくべきだと思っているんですが、この点、官房長官はどうお考えになりますか。

稲田国務大臣 そもそも、この基本法の五条三項は、政官接触に関する記録の作成、保存等について規定したものでございます。これについては、平成二十四年十二月二十六日に閣僚懇談会で申し合わされた政と官の在り方等に基づき、既に各府省において実施されているところでございます。

 その上で、御指摘の情報が、特定秘密の保護に関する法律案に基づく特定秘密に該当するというような場合には、そちらの法案が先に適用される、優先的に適用されるというふうに考えております。

階委員 ここは、もともとあった方が国家公務員の基本法でございまして、その中に五条三項という規定があって、そちらに基づく措置はまだ十分にとられていない中で、特定秘密保護法が今回先行してでき上がるということは、私はバランスを失しているというふうに思います。

 それから、先ほど来出ている公募の問題ですが、今回は採用昇任等基本方針の中で公募に関する指針を定めるということなんですが、その内容が明らかでないということです。

 そこで、従前、私どもが政権のときにつくった法案では、内閣総理大臣のイニシアチブでこの公募を実施できるというふうにしていたわけですね。やはり、官邸主導で幹部人事を進めるためには、そういうような内閣総理大臣の主導でできるということは必要だと思っていますが、この点は、これから指針をつくる中でどのように対応されるつもりか、官房長官にお尋ねします。

稲田国務大臣 公募については、今回の法案において、採用昇任等基本方針の閣議決定に職員の公募に関する指針を追加することを初めて法定をして、法律上、明確に公募に関する根拠規定を置くことといたしております。同方針において、公募の実質的な実施の具体的なあり方を定めることといたしております。

階委員 済みません。私の質問は、内閣総理大臣のイニシアチブでできるかということなんですが、これはやるということでよろしいんでしょうか、それともまだはっきりしないということですか。

菅国務大臣 今、公募の実施の具体的なあり方を定めることを予定しているという話をしました。

 公募については、今地方公共団体でも公募をやっています。そうした実態、また、法案成立後に適切に取り組んでいきたいというふうに考えます。

階委員 このあたりも、やはり、公募で広く有為な人材を集めるということはぜひ徹底してほしいと思います。

 公募に関する規定が、本当にこの採用昇任等基本方針に定めるということですから、私は、ここは公募というものの位置づけが非常に危ういのではないかと思っていますから、この点はぜひ官房長官の方で、しっかりその公募という制度を活用できるように、かつ、内閣総理大臣のイニシアチブでできるように、そういうような指針を定めていただきたいと思っております。

 それから、今回の法案で官民交流を拡大するということで、どういうところにその交流先を広げていくのか。

 先ほど、質疑の中で、現役出向と官民交流というのがやや混同されている嫌いがあるかなというふうに私は聞いておりました。私が政務官当時、整理していたところだと、現役出向というのはどちらかというと公共に近い仕事をするので、かつ、ここが批判をいただくところなんですが、高齢の方とかでも現役出向だと対象になって、幹部の方になられたりする。例えば独法とかですね。そういうところの幹部になられたりするんですね。

 他方、官民交流の方は、どちらかというと若い人に、若いときに外の空気を吸ってこいということで、民間企業などで働いて、いろいろな経験、知識を積んでもらうというふうに理解しているんですね。

 そうだとすると、交流先というのは、やはり、若い人が経験、知識を積むのにふさわしいところであると同時に、若い人が生活に困らないようにということも考えなくちゃいけないと思うんですね。

 ところで、仄聞しているところによると、交流先を拡大するに当たって、NPOとか公益法人というのが挙げられていると思うんですが、そうしたところは、ともすれば財政力が弱くて、若い人が官民交流で行った先で十分なお手当がないのではないか。そうすると、十分なお手当がないと、なかなか官民交流は機能しないのではないかというふうに思っています。

 他方、私が政務官のとき、もう一つ公務員が外で活躍する場面として、研究休職という制度もありました。この研究休職という制度も、やはり、公務員が研究するのにふさわしいというところで、公共性が極めて高いようなところということで限定されていたと思うんですね。

 今回、官民交流を拡大するというところで処理しようとしているんですが、どちらかというと私は研究休職の仕組みの方がふさわしいような気もしないでもないんですが、このあたりについて、なぜ官民交流でやられるのか、現役出向とかあるいは研究休職というほかの仕組みもある中で、官民交流を拡大していく、もちろん基本法には書いていますけれども、なぜそういうふうにしていくのかということを、お考えを聞かせていただけますか。

稲田国務大臣 御指摘ありがとうございます。

 今、階委員がきちんと整理をいただいたように、いわゆる現役出向と官民交流法における官民交流との間には、その趣旨が違っているというふうに思います。

 官民人材交流のさらなる活用によって、さまざまな行政を担当する公務員に幅広く民間の経験を積んでいただいて、それをまた戻ってきて公務で生かしていただくために交流対象法人を拡大することといたしております。

 そして、今回、基本法に沿った形での人材交流の対象法人の要件である他の事業者との競合関係を削ることとして、それによって、一定の要件のもとで、現行の株式会社等に加えて、社団、財団法人、NPO法人等も人材交流の対象として人事院規則で定めるように措置をしたところでございます。

 官民人材交流は、官から民への交流派遣及び民から官への交流採用の双方の人事交流があり、民間企業の公募を経て、官と民双方の求める人材等のニーズや処遇を含めた条件が合致した際に交流が実現する仕組みでございます。

 今、職員の処遇の問題がございましたが、交流については、職員の同意を得ることにいたしておりますので、職員の意に反して処遇が低下するようなところへ交流先として行かせるようなことは想定されないのではないかなというふうに思っています。

 また、公益法人、NPO法人への休職出向については、退職管理基本方針において、人事院に対し検討が要請されているものというふうに承知をいたしております。

階委員 意に反して処遇が降下することはないというのは、それが逆に官民人材交流が進まない原因にもなり得るわけですよね。処遇が低いから、せっかく行く先を広げたとしても、活用されなくなってしまうということだと意味がないと思うんですね。

 基本法に書いているとはいっても、せっかくそういう法制度の手当てをするのであれば、活用される方向の措置をとらなくてはいけないと思っていますから、その点はぜひさらに考えていただいて、どうやったら公務員の方がいろいろな経験を積んで、またその経験をもとに役所の中で活躍できるかということをさらに御検討いただければと思います。

 もう一つ官房長官にお聞きしたいんですが、今回、法案で、二十三条の二というのが新設されるということなんですが、免職とか給与、分限、懲戒等について、人事院規則の制定、改廃に関し、必要に応じて内閣人事局から人事院に要請するということで、懲戒等の処分について内閣人事局から人事院に要請するということなんですが、私の方では、この規定が新たに設けられる意図は何なんだろうというふうに勘ぐってしまうわけです。

 特定秘密保護法案が成立すれば、秘密漏えいを犯した職員に厳しい処分を、人事上の処分を行うことを念頭に置いたものではないかというふうにもうかがえるわけですけれども、この点について、官房長官、御説明いただけますか。

菅国務大臣 今回の法案の中で盛り込んだ人事院規則の制定、改廃の要請は、国家公務員法の目的達成上必要があると認められる場合に行うものであって、職員への処分そのものの要請を行うものではないということです。

 ですから、特定秘密保護法に違反した国家公務員の取り扱いについては、同法の趣旨に従って関係当局において適切に対応するだろう、このように考えます。

階委員 では、特定秘密保護法案が仮に成立したとしても、この規定を利用して人事上の処分を厳しくすることはないというふうに伺いました。

 そこで、もう一つ、官房長官に大きな話をお伺いしますけれども、総人件費の管理というのも今回内閣人事局の所掌事務の中に入ってきます。そもそも総人件費ということでいえば、民主党政権の時代にマニフェストで二割削減というのがありまして、その実行をどうするかということで私も非常に苦労したんですけれども、現政権ではこの総人件費の管理についてどのような方針をとられているのか。可能であれば、給与と定員、よくP掛けるQといいますけれども、給与と定員のそれぞれについて、まずは官房長官から大きなお考えをお聞かせください。

菅国務大臣 安倍政権として、公務員改革に取り組むことが極めて大事であるということの認識のもとに、先般、十一月十五日の閣議決定において、総人件費の抑制など行政改革を着実に推進、このような決定をしたところであります。

 具体的には、公務員給与について、地場の賃金をより公務員給与に反映させるための見直しや、高齢層職員の給与構造の見直しなど、給与体系の抜本改革に取り組み、また、定員についても、これまでに引き続いて大幅な純減を目指していきたいというふうに思っています。

 さらに、この内閣人事局を、この法案を成立させていただいて、設立をし、今後、総人件費の基本方針、新たな定員合理化の計画等を策定するなど、総合的に改革を進めていきたいと考えています。

階委員 特に、来年の三月末で給与特例法が期限を迎えて、その段階で、今公務員の給料が八%ぐらい下がっているのがもとに戻るわけですね。同じタイミングで消費税も上がるということで、これは一般の国民からすると、我々は消費税で負担が上がるのに公務員の人は給料が戻って、どうなんだというような疑念というか不満というか、生まれかねないということなので、この局面で公務員の給与をどう考えていくかというのが大事だと思うんです。確かに、頑張った人は報われるというのも大事なんですけれども、一方で、今官房長官からお話もありましたけれども、民間との比較でいうとどうなのか。

 例えば、二〇一〇年でいうと、国家公務員の行政職1種でいうと六百三十三万円ぐらい。他方で、民間の年収は四百十二万。これは、国税庁の民間給与実態統計調査というものから引いていますので、公共のデータです。これぐらいの差があるわけですね。そういう中で給与特例法廃止後に自然に給与が戻ってしまうということだと、なかなか国民の理解が得られないと思いますので、ここはもう厳しく考えていかなくてはいけないと思っていますが、官房長官、もし御所見がもう一言あれば。

 それでは、総務大臣でも結構です。お願いします。

新藤国務大臣 御指摘の件につきましては、我々も閣内でさまざまな議論がございました。この消費税の税率変更、国民に負担を強いる中で、公務員の給与をどういうふうに取り扱ったらいいか、いろいろな議論があったわけであります。そして、今の御懸念もありますが、一方で、今、人勧の中で官民の給与較差がほとんどない中で、七・八%下げているという実態があります。さらには、地方の公務員のことも含めまして、それが地域経済に大きな影響を与えているというようなこともございます。

 したがって、私どもとすれば、給与は人事院の勧告また人事院の作業を尊重するということをまず第一にして、その上で、給与については、厳しい給与体系の全体的な改革というのは進めていこうと。

 今、官房長官もお話しされましたけれども、地場の賃金の公務員給与への反映ですとか高齢層の職員の給与改定、それから、退職金については、これはもう既に今やっている最中でありまして、来年度も、そこは退職金の削減が図られることになります。

 そういったことで、国、地方合わせて給与体系の見直しをしながら、総人件費の抑制に努めつつ、しかし、経済の活性化にも資するような、そういう観点から、このたびの措置となったものでございます。

階委員 人事院勧告の中で官民較差がほとんどないというお話もありましたけれども、まさにそこが人事院勧告の危ういところで、人事院勧告で言っている民間というのは、ある程度大きな企業の従業員を対象にしています。

 そして、他方、私が先ほど申し上げたデータというのは国税庁の民間給与実態統計調査ということですから、私は、よりそちらの方が世の中の実態を反映しているのではないかと思っていまして、官民較差がないかどうかというのは、ぜひ、人事院勧告だけではなくて、広く調査をしていかなくてはいけないと思っています。

 私どもは、公務員の給与がちゃんと世の中の理解を得られるためにも、今回の公務員改革法案では見送られていますけれども、労働基本権を回復して、労使交渉の中でオープンの場でそういう給与について議論をして決めていく方が、より理解が得られやすいというふうに考えております。

 そこで、給与のお話を今されましたけれども、もう一つ、P掛けるQで、Qの方、定員審査、定員をどうするかということなんです。

 平成二十六年度の定員審査の方針、純減ということを考えていらっしゃるのかどうかということについて、お考えをなるべく具体的にお願いします。

新藤国務大臣 平成二十六年度の定員につきましては、現下の重要課題に適切に対応できる体制、これを整備しなくてはならないというふうに思います。その上で、切り込むべきところには切り込んでまいります。めり張りある定員配置を実現するということをやりたいと思います。

 そして、二十二年から二十六年度までの定員の合理化計画がございます。これは、目標を達成し、それをさらに上回る状態で成果を出したい、このように考えているわけでございます。

 ですから、非常に厳しい状況ではありますが、しかし、行政需要に対応しつつ、総体としては純減を引き続き行っていく、そういうことで考えております。

階委員 やや具体的な話に入っていきます。

 今年度、平成二十五年度、私どもが政権のときに、閣議決定で、平成二十五年度の新規採用数については三千七百八十人、平成二十一年度との対比で五六%減というのを定めておったわけですけれども、今の政権で、平成二十五年度の新規採用数の着地の見込み、それから平成二十一年度からの削減率というのはどのようになりそうでしょうか。

新藤国務大臣 二十五年度の新規採用者数につきましては、閣議決定に基づきまして、二十一年度に比べて全体として約五割の抑制をする、このようになっております。

 政府全体の採用上限は、現時点で四千六百三十八人といたしました。そして、採用の抑制率は四六%ということになっております。

階委員 そこで、平成二十六年度の新規採用についてはどのような方針を考えていらっしゃるのかということについてもお聞かせください。

新藤国務大臣 二十六年度につきましては、平成二十三年度以降、事前に上限数を定めて、厳しく抑制をしてきたわけであります。

 その結果といたしまして、現状において、年齢構成のゆがみ、それから組織の活力低下を招く。そして、具体的に言いますと、例えば、刑務官の勤務シフトが組めなくて週休二日が維持できない、こういったこともございます。さらには、税関職員の不足によりまして検査率が低下している、そういったこともあります。もろもろのこと、いわゆる現場において支障が出ている場面もございます。

 そういったものも含めまして、二十六年度の新規採用については、採用上限数を設定する方式はやめまして、各府省において、人件費の抑制に配慮しつつ、定員の範囲内で、雇用と年金の接続に伴うフルタイムの再任用、こういったものの増加見込みを踏まえて、必要な抑制を行うなどの適切な実施をしよう、このように考えております。

階委員 我々の政権のときに比べると、新規採用の抑制についてはやや後退した感はありますけれども、それでも、平成二十三年度以降、新規採用が抑制されてきたということで、一方で、退職者の方は、団塊の世代がだんだん引退するということで、やめる人の方が多くなっている状況だと思います。

 そこで、定員と実員との乖離というのが出てきていると思うんですけれども、その定員と実員との乖離というのを放置しないで、実員に合わせて定員を変えていくということにすれば、かなり定員の数というのは減ると思うんですけれども、この点については今どのように対応されているのか、あるいは今後どのように対応されていくのか、お願いします。

新藤国務大臣 ただいま申しましたけれども、採用上限数を設定する方式から、閣議決定によりまして新規採用の方針を示した上で、具体の採用については、定員の範囲内で、所属の各府省の長の判断と責任で行っていただく、その場合には雇用・年金接続や人件費の抑制の観点を踏まえつつ行うということであります。

 我々とすれば、トータルでの大幅な純減、これを目指すことには変わりはありませんし、厳格な定員管理、これは、今の実員のところも含めまして、細かく見ながら全体として進行管理していこう、このように考えております。

階委員 定員と実員の差もちゃんと見て、定員を必要以上に余らせないということも大事だし、あと、やはりもっと大きな定員の問題を考えていくに当たっては、出先機関をどうするかというのが非常に大事なんですね。

 出先機関の機能を地方に移管していくということで、昨年、我々の政権の最後の方で、閣議決定で国の出先機関の事務、権限のブロック単位での移譲ということをしたわけです。そこで、経済産業局、地方整備局、地方環境事務所の実施事務などについて、あるものは地方に移譲する、またあるものは半年後をめどにできる限り早期に結論を出すというような中身でした。

 こうした出先機関の定員について、ロットが大きいものですから、今後どうしていくのかということが人件費についても大きな影響を与えるんですね。この点について、どのように考えていますか。

新藤国務大臣 国の出先機関につきましては、中央省庁等改革の際に決定された減量、効率化計画というのがございます。平成十八年から二十二年度においては、特に地方農政局の農林統計、食糧管理部門、そして北海道開発庁等の定員の純減、こういったものを計画的に実施してまいりました。

 今後も、この出先機関の定員につきましては、地方公共団体への事務、権限の移譲、これは私どもの地方分権改革推進本部というところでやっておりますけれども、こういった進捗状況も踏まえながら、業務の見直し、そして効率化、こういったものを進めるとともに、それから業務量に応じた適切な人員配置、こういったものに努めまして、現場の業務が適切かつ円滑に遂行できるように実施してまいりたいと思っております。

階委員 官房長官に意見だけ申し上げますけれども、やはり内閣人事局の仕事として、総人件費を管理するというのは大変大事なことだと思っています。民間企業でいえば、本当に人件費の管理というのが極めて重要なわけで、今まで日本の政府というのはその点が極めてずさん、曖昧だったと思っています。せっかく内閣人事局でこれをやられるのであれば、ぜひここは真剣に取り組んでいただきたいと思っていますし、これだけ財政が厳しい折ですから、それは一刻の猶予もならないと思っていますので、よろしくお願いいたします。

 まだ質問したいことはありますが、時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 近藤洋介であります。

 午前中に引き続き、午後の部をさせていただきたいと思います。

 官房長官、私は、本当に、官房長官は、菅先生は大変すばらしい政治家だなと尊敬するわけであります。何がすばらしいかというと、たくさんあるわけでありますけれども、人事の妙を得ているというか、人を、霞が関を把握する力を非常にお持ちだ、こう思うわけです。真剣にそう思います。後ろに控えていらっしゃる秘書官を見ても、大変優秀な秘書官を配置されておりますし、それだけではなくて、折に触れて、菅先生がやられたと言われる人事、幾つかございます。

 それは、政権を超えて、例えば、これは特別職ですからいいと思うんですけれども、和泉総理補佐官などは民主党政権下でも非常に活躍された官僚であられました。政権交代後も、きちっとしたポジションで仕事をされている。これは、本当かどうかわかりませんが、菅長官の人事だった、こういうふうに聞いております。政権を超えても有能な方を使う、こういうことも含めて、菅長官、すばらしいな、こう思うわけです。

 上杉のライバルの武田の言葉の、人は城、人は石垣、情けは味方、あだは敵なり、まさにそれを地でいかれているな、こう思うので、菅長官は、人事の配置の重要性を誰よりも与党の中で御存じの政治家だ、こういう認識で、改めて内閣人事局長についてお伺いをしたい、こう思います。

 午前中は、時間の制限もあってなかなかお答えいただけませんでした。改めて確認をいたします。

 配付資料に、もう一度。当時、内閣人事局長の議論の際に、谷人事院総裁は、この公務員制度改革の議論の中で、内閣人事局長がどのような人なのか、民間なのか、官僚なのか、政治家なのか、いずれにしろ、この方が強大な権限を振るうときに、その方がどこから選ばれ、どのように更迭されるのか、総理、長官とどのような関係なのか、このことをはっきりさせて、それが先決で、イメージを持った上で、権限を集中させることを考えるべき、そうしないと、議院内閣制ならぬ、官僚内閣制ならぬ、内閣官僚制になる可能性があるとまで喝破しているんですね。

 他方、立場は違えど、堺屋太一氏、当時の顧問会議のメンバーでありますけれども、この方は、事務にしたら大変なことになる、大変な官僚内閣制ができ上がる、これはどうしても後世、あのときえらいことしたなと言われるのは確実であります、堺屋太一氏は、この点について私は絶対反対だったということを発表してほしいと言って、事務が人事局長になること、事務方がなることに強烈な拒否感を持たれて発言をしております。

 その中で、実は、平成二十一年三月二十四日の参議院内閣委員会の場において、民主党の松井孝治議員の質問で、当時の河村建夫官房長官は、この内閣人事局長について、麻生内閣としては事務の副長官を充てたいということを委員会で明言しております。麻生内閣は、事務、こういうふうなことをこの法案提出においてもう示しているんですね。

 これはもう官房長官御案内のとおり、このとき、いろいろあったわけです。当時の事務の官房副長官は漆間さんでございましたから、漆間さんがさまざま画策をして、事務に当てはめようという法案まで作成をして、いろいろあって、麻生内閣としては、これは事務ということを、政権としては法案審議の際に明確にして法案を出した。

 私は、事務、政務の正否はともかく、内閣として、この法案を出すときに、人事局長は事務方を充てますという方針を出しているんです。ですから、聞いているんです。

 官房長官、この法案が万一成立した場合、内閣人事局ができた場合は、安倍第二次内閣としては、人事局長は事務の方なんですか、それとも政務の副長官なんですか。審議において明らかにすべきと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、内閣の重要政策の推進に携わる内閣官房副長官、今、政務二人、事務一人の三人がおります。その中から、安倍総理大臣が任命した方をこの人事局長に充てるわけでありますけれども、私たち、この法案を提出する目的というのは、まさに、省庁の縦割りを排して、政治主導のもとに、その目的に向かって政府が一丸となって行うことのできる体制のために、このような法案を提出させていただいて、御理解を今お願いしているわけでありますから、当然、そういう中でこれは考えていく。

 これは、いずれにしろ、法案が成立した暁には、そうした観点から考えていく人事、総理が考えるというふうに考えます。

近藤(洋)委員 総理が考えるという御答弁ですね。それがどちらかということはまだ明言されない、こういうことですね。

 だとすると、解釈をすれば、麻生内閣においては明確に事務と答えたのに、そうでないとすると、政務の可能性も残っている、こうも解釈が今の時点でとれるわけであります。ただ、私は、やはり明確にすべきだと思うんですね。

 そこで、民主党政権の法案では、副大臣、想定されるのは内閣府というふうに答弁をしております。また、その他の職、政務官なり首相補佐官なりということで、政治家を充てるということを想定して我々は提案をしております。

 そこで、内閣府の副大臣、後藤田副大臣がお見えでございます。私は、後藤田さんは立派な方だと思うんですね。民主党案が通れば、後藤田さんにもチャンスがあるわけであります。

 後藤田副大臣、内閣官房副長官というのは忙しいんです、本当に忙しい。ですから、内閣人事局長をやるといっても、なかなか物理的に難しいかもしれません。私は、後藤田さんほどの能力があれば十分人事局長ができる、こう思いますし、逆に言えば、私は、すばらしい、スピーディーな体制を組む、政治主導ということから考えても、政務でも十分対応可能と思います。

 副大臣、これは、今法案が審議されているわけですけれども、もし民主党案が通って成れば、後藤田さんが担当局長になる可能性もあるわけですけれども、その際はきちんと人事局長ができる自信が今おありになりますか、お答えください。

後藤田副大臣 委員には、先ほど来、非常に傾聴に値する御意見もたくさんございまして、私のような一内閣府副大臣に御指名いただきまして、恐縮しておりますが、今の御質問にお答えするならば、今時点で私にはその能力はないと思います。

 やはり今回の人事局の設置というのは、人材育成、そしてまた人事管理を機動的にするという側面と、もう一つは、やはり国民の皆さんに対して内閣が説明責任を負うということでございまして、それを総理と官房長官という政治家が責任を持ってやるということですから、僕は、もうその時点で政治的な責任を負っていると思います。

 その後に、運用面において人事局長が政務か事務かということについては、やはりこれは、実効性のある人事管理、そして同時に、国民の皆さんへの説明責任を果たせる、そういう体制をどういう形でできるかということは、これは時の総理と官房長官が判断することだ、そう考えております。

近藤(洋)委員 後藤田副大臣、謙虚な御答弁でありますが、謙虚なのは自民党の風土なのかもしれませんが、私はそれは違うと思うんですね。

 あえて言うと、説明責任とおっしゃるなら、政治家が最も説明責任を負う立場なんですよ。我々は、政治家、選挙で選ばれた者が、有権者の皆さんに対して、その都度まさに説明責任を果たし、選挙という場で選ばれる、大変な説明責任を負うんです。

 ここはやはり、能力において確かに事務方は優秀かもしれないけれども、本当に強大な権限を持つがゆえに、これがどうでもいいポストだったら、逆に政治家である必要はない。大事なポストだからこそ、説明責任を持つ政治家がやるべきだ、こう思うんです。

 ですから、私は、後藤田副大臣であれ、内閣府副大臣、認証官であられれば、十分その能力があると思って任命されておるわけですし、官房長官、くどいようですけれども、私は、この人事の大事さを誰よりもわかっている。官房長官の指導のもとでやるにしても、やはり二人の政治家がきっちり見るということも大事なんじゃないでしょうか。

 政治主導の人事の大事さを誰よりもわかっている菅官房長官です。しかも、本当に、局長だけじゃなくて審議官クラスの、場合によっては課長クラスの人事が実は重要、これも官房長官おわかりのはずです。細部に目を行き届かせるためにも、政治家二人を配置すべきかと思いますが、官房長官、くどいようですが、いかがですか。

菅国務大臣 この点については、答弁は先ほどと全く一緒でありますけれども、任命権者が総理大臣であります。安倍総理は、まさに公務員制度改革の基本法案を初めて内閣総理大臣として国会に提出した総理大臣であります。そういう意味合いにおいて、強い思い入れがあるということを私からは申し上げさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 まだまだやりたいのですが、この件はこのくらいにきょうはしておきたい、こう思います。

 続いて、稲田大臣にお伺いします。

 先ほど、同僚の階議員から総人件費に関するお話がございました。この総人件費に関することを、内閣人事局といいましょうか、所掌をこれからしていく部分があるわけでありますが、本当にそこまで突っ込むのであれば、財務省の権限も内閣人事局に移すべきではないか、こういう考え方があろうかと思うんですね。

 正直申し上げて、民主党政権下でもこの議論はしました。しましたが、なかなか法案まで至りませんでした。財務省と最終調整がつかなかったという部分があろうかと思います。この点、私は、安倍内閣ならば可能かなと多少期待していたんですけれども、これが政府案にまた抜け落ちておるわけであります。

 私は、総人件費のことを本当に集中管理するのであれば、財務省の機能、給与共済課の部分を移管すべきではないか、これが正しい道ではないか、こういう意見もあろうかと思うんですが、まず、担当大臣、この件について政府内で検討をしたのか、しなかったのか。最初からしていなかったらあきらめますが、した結果、落ちたとすれば、なぜこの部分は落ちたのか。御答弁いただけますでしょうか。

稲田国務大臣 今の御指摘の点は、平成二十一年度法案以来、議題になっておりましたので、政府部内でも議論はいたしました。

 その結果、財務省が担っている機能のうち、人件費予算に関する機能については、国庫大臣である財務大臣の機能の一部であって、一元化されているべきだというふうに考えたわけでございます。

 しかしながら、今回の法案で、今まで行われてこなかった総人件費の基本的な方針、そして、人件費予算の配分方針を定めて、予算への反映を図る機能を新たに内閣人事局に設置したということでございます。

近藤(洋)委員 だとするならば、財務省の機能も移管すべきではないでしょうか。

 大臣、ちょっと済みません、これも大臣なら当然御存じのことで、人事院の給与二課長ですか、これは財務省の指定ポスト、総務省のこの部署も財務官僚の指定ポスト。要するに、全部財務省がこのポストを持っているわけですね。

 せめて、担当大臣として、これはいびつだと思いませんか、この状況は新しい人事局体制になったら解消するというお考えはございますか、いかがですか。

稲田国務大臣 まさしく、今回、内閣人事局をつくって、そして、官邸主導のもとで、官邸が検証するということは、今までのように、例えば、あるポストはある省から必ず来るというような硬直的な人事を排するということも、この人事局を設置する目的であると考えております。

近藤(洋)委員 では、人事院のこのポストについては、大臣がリーダーシップを持って変えていく、こういうことでよろしいんですか。もう一度確認です。

稲田国務大臣 何省出身者であるかにかかわらず、適材適所、能力のある方をそのポストにつけるということでございます。

近藤(洋)委員 大臣、問題意識はわかっていらっしゃると思うんですね。

 ですから、ここをきちっとしておかないと、なかなか本当の改革は進まない。何も、私は、財務官僚だからだめだと言うつもりは毛頭ありません。霞が関を見渡して、財務官僚ほど真面目に仕事をしている人たちもいません。それはよくわかっておりますが、しかしながら、ここの部分、なかなか難しくて、では、総人件費を圧縮しようとすると、逆に言うと財務省的な手法がなければ圧縮できないという事情もありますし、いろいろ考えなきゃいけない部分はあろうかと思いますけれども、ぜひまたこの点は議論させてもらいたい、こう思います。

 あと、稲田大臣、これは基本法の置き土産の話、一点ちょっと確認をさせてもらいたいと思うんです。

 基本法十条三号において、「定年を段階的に六十五歳に引き上げることについて検討すること。」このように書かれております。

 六十五歳定年、冷静にいけば、民間企業との見合いでどうだという議論もございます。しかし、他方、霞が関の中で早期退職が進む中で、やはりある程度の年まで働かせるということも必要か、こう思います。また、期間任用制度の議論もあろうかと思いますが、しかし、流れとして、やはりこの定年の段階的な延長というのが基本法に定められておるわけでありまして、また、人事院も八月に意見書を出しているようでありますが、この点について、大臣、いかがお考えでしょうか。

稲田国務大臣 基本法十条三号についてでございますが、平成二十八年度の定年退職者から支給開始年齢が六十二歳になることについては、本年三月の閣議決定において、支給開始年齢の引き上げ時期ごとに、民間企業における状況を勘案し、改めて検討することとされております。

 本件を担当する総務省においては、各府省における再任用制度が効果的に運用されているか、また、民間において定年の引き上げが進んでいるかどうか等について把握し、定年延長に係る法改正も視野に入れつつ、検討が進められているところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひ早期に検討作業を進め、措置を実施していただきたい、こう申し上げたいと思います。

 また、稲田大臣、もう一度、別の話でありますが、幹部人事の一元管理についてなんです。

 提案されている法案、我々が出している法案の枠組みでも、幹部候補生の、内閣人事局の管理の対象となった方の情報は、それはある程度人事局が把握するのでありましょうが、ポイントは、現在、各府省は、いわゆる総合職というんでしょうか、に採用された方々の、指定職になる前の課長クラスまでの細かな過去の人事情報を全部持っているわけですね。その過去の人事情報というのをきちっと、新しい内閣人事局は全ての人事情報を当然一元管理をすべきものだろう、こう思うんです。

 すなわち、六百人の指定職の方々がいる、さらに、千人か千五百人かわかりませんが、の方々が候補として事前に挙がる、その候補になった方々の過去の人事情報は当然内閣人事局が把握しなければいけない、こう思いますが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 幹部候補育成課程の運用の状況については報告を受けるほか、必要な場合には、課程対象者の情報の提供を受けることができるというふうにされております。課程に関する一定の情報は内閣人事局において保有することを想定はいたしておりますけれども、どのような内容の情報をどの程度保管するかの詳細は、今後検討することといたしております。

 幹部候補育成課程にいる者について、現時点でその情報を過去にさかのぼってまで移管することまでは想定はいたしておりません。ただ、必要な情報は取り寄せられるということでございます。

近藤(洋)委員 やはり、私は、幹部候補になった時点から過去にさかのぼって管理する必要があるのではないか、こう思います。少なくとも、きちっと把握すべきであろう、こう思います。何の誰べえはどこの課長、係長をやった、補佐をやった、どこに留学をした、どこの県庁に出向した、どこの大使館で何をやった等々、やはりそういうのがトータルで、大体人間というのは三十代の半ばぐらいで基本的な力というのはできてくるわけで、そこのキャリアというのをしっかり把握しないと本当の人の評価というのはわからないので、幹部候補生になってからいきなりとっても本当の人事管理はできない。ぜひ御検討いただきたい、こう思います。

 官房長官、ここの部分、要するに、最初からの一括管理なんです。何を申し上げたいかというと、幹部のところから一括管理をするのではなくて、やはり本来的には、私は、採用段階からの一括採用というものが目指すべき姿ではないか、こう考えます。このことについては、いわゆるスーパー官庁といいましょうか、財務省、総務省、経産省、外交官試験はなくなりましたが、外務省等々、こういったところは反対します。我々にいい人材が来なくなる、こういう言いぶりです。これまたわかったようなわからないような理屈だと私は思うんですけれども。

 縦割り弊害を打破したい、これが官房長官の午前中の御答弁でした。縦割り弊害を打破したいというのを課題とするのであれば、やはり採用の段階からの一括ということがあらまほしき姿ではないか。これは大変大きな話でありますし、それこそ霞が関の文化を変える話でもあろうかと思いますから、陰に陽に官僚の方々の御意見もあろうかと思います。あえて抵抗と言わず、御意見、こう申し上げたいと思いますが、御意見もあろうかと思いますけれども、やはりここは、官房長官、今後、検討すべき課題ではないか。入り口を一つにすることによって、省庁交流などと言わずに、それはもう当たり前のこと、こうなるわけでございまして、ぜひそこは大きな検討課題として政府で取り組むべきかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 この点につきましては、内閣でもいろいろ議論もしたところであります。入省の段階からまさに日の丸官僚として、国家として一元的に採用するということも大事じゃないかなということでありますけれども、また、逆に、今ある省庁が一つになっても、いまだにかつての省庁の背番号で採用しているところもある、正直なところ、こういう弊害も実はあります。

 いずれにしろ、私たち、今回初めてこの法案を通させていただいて、まず幹部から一元的に、これは内閣として、内閣の方針、省益じゃなくて、合う人を幹部として登用していこうということであります。さらにもう一つ、採用試験にかかわらず、いわゆる今ノンキャリアという人たちの中でも優秀な方がいらっしゃいますから、そういう人たちの幹部候補生というんですか、省庁の幹部の登用の道もやはり考えるべきだろうというふうに考えています。

 いずれにしろ、この二つは私たちにとって課題だというふうに受けとめております。

近藤(洋)委員 大きな課題だと思います。

 橋本内閣で省庁再編しました。国土交通省というすごく大きな役所ができました。いまだに人事課長は二人、事実上、人事課長は二人おるわけですね。あそこは本当に二人でやっているのか、それとも、別途系統がまたそれぞれ分かれておりますから、実際人事をやっているのは何人おるんだ、こういうことでございます。ですから、器を一つにしてもまだこうなっている。

 でも、そのような状況ではやはり、民間企業も昔はそういう会社がありましたけれども、えてしてそういう会社は業績悪化をしているわけでありまして、入り口の段階からの一括というのは、また官房長官がおっしゃった抜てきも含めて、今回のにもそういうことは入っていますけれども、やはり入り口の部分の議論というのは大きな課題であり、ぜひ検討を進めていただきたい、我々も勉強したい、こう思います。

 公務員制度、まだまだ課題がたくさんあるということを申し上げて、民主党のバッターに譲りたい、こう思います。

 終わります。

柴山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。きょうはお時間をいただきまして、理事の皆さん、本当にありがとうございます。

 私も、幹部人事の一元化の方からお話をさせていただきたいと思います。

 これはやはり一番大事、縦割り行政を排していくという意味、それから政権がかわっても、政府のもと、官僚に忠実に業務を果たしてもらう、やる気を持って果たしてもらうという意味で、この幹部人事の一元化については非常に必要だと思います。

 そのためにこの基本法では能力のいろいろな規定があるわけでありますけれども、政治任用じゃないということで、官僚の力をやはりフルに引き出していかなきゃいけない、お友達を引っ張ってきたらいいというわけではなくて、今いる人たちをいかに活用するか。そういう意味で、能力及び実績に応じた処遇を徹底的に実現していく。

 そして、基本法五条二項にもありますように、幹部職員等の任用、給与その他の処遇については、任命権者が、それぞれ、その職務の特性、実績に応じて弾力的なものにする、弾力的にやっていこうということも規定をされているわけでございます。この弾力的ということの中には、やはり年功序列的な人事を打破していく、こういうことも含まれていると思います。

 そして、信賞必罰ですね。抜てきもあるし、抜てきだけじゃなくて、やはり意向に沿わないことをした場合は降格もあり得る。あるいは、政府のパフォーマンスが下がるような、役職についたけれどもパフォーマンスが伴わないような方には降任をしていただく。こういう信賞必罰もやっていかなければならないと思いますけれども、通告していませんが、官房長官、そのあたりについて一言いただきたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

菅国務大臣 今委員から指摘いただいたことが、本来の幹部職員の、また国家公務員全体のあるべき姿だというふうに考えます。

奥野(総)委員 それで、今、近藤委員の方からも話がありましたが、幹部育成課程の研修ですね。研修について、私はやはり大事だと思います。

 先ほど話がありましたけれども、本来であれば、やはり一括採用。私も省庁出身でありますけれども、一括採用が一番いいと思うんですね。というのは、各省に就職した、こういうイメージになってしまう。面接を受けて、そこに採用になると、各省に、その何とか省に就職した、そういう感覚になってしまう。最初は全体の奉仕者だというつもりであっても、だんだん省益を考えるということになってしまうと思うんです。ですから、きちんと一括採用し、人事についても、省をまたいで常に動いていく。時の行政ニーズに応じて、必要なところにどんどん動かしていくというのがあるべき姿だと私は思います。

 いろいろなスーパー官庁、ENAなんて、私は、実は、ああいうのもあっていいのかなと思いますが、いろいろ批判があったので、そうなっていないということで、今の制度を前提に考えますが、となると、やはり研修が大事である。入ったときに、代々木で大勢集まって、同じ釜の飯を食って何日か過ごすわけであります。時々、時に応じて、また省をまたいで研修を一緒に受ける。こういうことで、仲間意識が芽生えてくる。こういうことは、一つ、細かいようですが、縦割りの打破につながっていくのかなと思うわけであります。

 そういった意味で、この幹部候補育成課程、これは、将来の幹部候補の方が集まって研修を受けるわけですから、このあり方というのは非常に大事だということになると思います。基本法の書きぶりを見ますと、これは政府が主語になっていて、政府が、例えば「管理職員に求められる政策の企画立案及び業務の管理に係る能力の育成を目的とした研修」、こういう書きぶりになっているわけでありますね。

 二十一年の甘利法案、二十一年法案のときには、比較的こういった形で、政府が研修をやっていく、政府が全体の研修をやっていくという書きぶりになっていたと思います。今回の法案は、どういう書きぶり、たてつけになっているんでしょうか、伺いたいと思います。

稲田国務大臣 今回、幹部候補育成課程というのを新設して、省益ではなくて国益を考えられる、将来の幹部候補となり得る人材の養成に資するよう、管理職員としてその職責を担うにふさわしい能力、経験を有する職員を政府全体として総合的かつ計画的に育成するために設けるものでございます。

 具体的には、内閣総理大臣が定める統一的な基準のもと、各大臣等が、採用試験の種類にとらわれることなく、全ての職員の中から、一定の勤務期間後に、本人の希望及び人事評価に基づいて、随時選定をし、比較的若い世代から各種研修や多様な勤務経験の機会を付与することにより、幅広い視野、高い専門性やマネージ能力等を身につけさせることといたしております。

奥野(総)委員 全体研修が望ましいといいましても、確かに大変なので、そればかりやっているわけにはいかない。だから、各省に分担して、指針を示してやっていただくということは、わかるにはわかります。その指針の中身、どういうことを各大臣がやるかという中で、六十一条の九で運用の基準ということで書かれておりまして、その二項ですが、六号にちょっと気になる条文があります。

 六号の中には、「研修の実施及び前号の機会の付与に当たつては、次に掲げる事項を行うよう努めること。」と書いてありまして、「民間企業その他の法人における勤務の機会を付与すること。」これは、民間に行って、民間の手法を学んできなさいということでしょう。それから、「国際機関、在外公館その他の外国に所在する機関における勤務」、外国に行って勉強してきてくださいと。ここまではいいんですが、ハというのがありまして、「所掌事務に係る専門性の向上を目的とした研修を実施し、又はその向上に資する勤務の機会を付与すること。」こう書かれています。これはまさに縦割りですよね。そこの省のことをきちんと学んでください、大臣がそこの省のことをきちんと学ばせてください、こういう規定が入っているわけであります。

 そこの省のことは、仕事の上で、それこそOJTの中で覚えればいいわけでありまして、こうした幹部候補の研修であれば、むしろ基本法にあるように、管理職員に求められる一般的な政策の企画立案能力、業務の管理に当たる能力の育成ということにすべきだと思いますが、なぜ、わざわざ「所掌事務に係る専門性の向上」、こういうことを今回規定しているんでしょうか。私は、そこは縦割りを助長する、むしろ逆行する規定だと思いますが、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 専門性を身につけるということは、縦割りを助長することではないというふうに思います。当たり前のことかもわかりませんけれども、きちんと専門性を身につけた上で、そしてその上で、省庁横断的な、高い視野から企画立案のできる、そういう幹部候補を育成するという趣旨で、「専門性の向上」という言葉も入れたわけでございます。

奥野(総)委員 そういうお答えは予想されるのでありますが、これは、実は前回の我々の二十二年法、二十三年法の中には、このハというのはなかったんですね。イとロがあって、今回新たにハが入ってきているわけであります。

 もっと言えば、基本法はもうちょっと一般的な研修、いわゆる幹部に要求されるような資質を要求している、政府が主体で行うことを要求している。だんだん後退してきているように見えるわけであります。

 このハという条文、果たして本当に必要でしょうか。

稲田国務大臣 一括採用等の議論もありました。ただ、基本法には一括採用ということは書かれていなかったわけで、審議官以上のいわゆるゼッケンを外すというか、そういう仕組みにしたわけですけれども、その議論の中で、やはりその省というか、本人が選んで入った省の専門的な能力も、プロとしての能力もきちんと身につけた上で、その上で横串を刺す、そういう研修であるべきだという意見もありました。そういう趣旨から、この「専門性の向上」ということも入れたということでございます。

奥野(総)委員 しかし、それは当たり前でありまして、そこの省に就職して、そこの省で仕事をしているわけですから、その仕事ができないようでは幹部候補生にはなれないというわけでありまして、わざわざここにこういうことを規定することは、むしろ私は、縦割りを前提にしているようにしか思えません。

 この問題は、こればかりやってもしようがないので、私は、これは削除していただく方がいいと思います。私の意見として申し述べさせていただきます。

 そして、幹部人事の一元化の話でありますが、抜てきは割とやりやすいと思うんですね。抜てきされる方の人は、それは本人もやる気が出てくるでしょう。追い抜かれる方の人は、おもしろくないかもしれませんが。

 抜てきのやり方、私は元郵政ですが、日本郵政なども、民営化されて、年次の壁は取っ払われて、民間の方が入って、ダイナミックな組織になっていると思います。

 こうした年功序列、年次の壁を取っ払うという中では、当然、降任、やってみたけれども下のポストについてもらうというのもやっていかなきゃいけないことだと思いますし、これから定年も延長になってまいりますので、年次の高い方がずらっと並ぶというときになりますと、局長をやったけれども審議官に戻るとか、そういう弾力的な運用は、当然、当たり前の人事異動としてこれから必要になってくると思います。

 また一方で、信賞必罰という意味において、幹部職員から管理職への異動というのも考えていかなければならないと思うんですが、今の法案における降任の具体的な要件、あるいは具体的な運用方法、誰がどう判断していくのかということについて伺いたいと思います。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の法案で新たに入りました幹部職員に係る特例降任について御説明申し上げます。

 法律の七十八条の二でございますけれども、新たに導入する特例降任におきましては、その要件として、同じ組織で同じクラスの他の幹部職員と比較して勤務成績が相対的に劣っている、その人にかえてそのポストに任命すべき適当な者がほかにいる、それから、他のポストに転任させることができないなど降任以外に方法がない、この三つの要件を定めておりまして、この三つの要件については、いずれも、職員の公正な任用を確保する観点から、人事院規則でその具体的な要件を定めることとしております。

 実際の運用に当たっては、任命権者たる各省の大臣において、制度の趣旨を踏まえた適切な運用がなされるものというふうに承知しております。

奥野(総)委員 今の御答弁ですと、同じ位のポストにいる人と比べてどうか、相対評価、それから、ほかの人がその職についたときにどうか、あるいは、その人が横滑りしたときに受けられるポストがあるのかどうか、こういう極めて抽象的な判定基準で、これで本当に降任ができるのかということだと思いますが、法文の方を見ますともうちょっと書いてあって、「人事評価又は勤務の状況を示す事実に照らして、」とか、当然、客観的な基準も要るわけですね。その客観的な基準に比べてどうなんだということが求められるわけであります。

 人事評価というのは、勤務状況、当然一つポイントになると思いますが、では、この幹部職員の人事評価というのは、これは一体どうやって定めていくのかということであります。

 基本法の中でも、六条四項一号で、「幹部職員等に求められる役割」、これは「等」ですから管理職も入るんですが、「役割及び職業倫理を明確に示すとともに、これらを人事評価の基準とするための措置を講ずること。」こうある。人事評価をきちんとしましょうと、当たり前のことですけれども、書いてあります。

 これを受けて、では、今回の法案にどう書かれているのか、あるいは、どういう措置を、幹部職員の人事評価、これから何か新しいことをするのか、どういう基準に基づいて今の降格をするのかというのを改めて伺いたいと思います。

川淵政府参考人 幹部職員の人事評価、それから基本法六条四項第一号の関係でございます。

 基本法六条四項第一号に規定する「幹部職員等に求められる役割及び職業倫理」につきましては、内閣総理大臣が定めております標準職務遂行能力において、幹部職員も含め、全ての職制上の段階に対して定められているところでございます。

 また、人事評価の基準、方法に関する政令におきまして、人事評価は、標準職務遂行能力の類型ごとに、当該職員の属する職制上の段階に係る標準職務遂行能力を有するかどうかを判断するものとされているところでございます。

 以上のように、基本法六条四項一号で求められている事項については、既に必要な措置は講じられているところでございます。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

奥野(総)委員 標準職務遂行能力、これはコピーを持っているんですが、極めて抽象的に書いてあるんですね。これで具体的に本当に判定ができるのかというのは極めて疑問であります。結局、この降任の規定があっても絵に描いた餅になるんじゃないか、こういう気がするわけでございます。

 そして、もう一つ、幹部職員から管理職への降任というのは、この法律では認められていないということでよろしいんでしょうか。

川淵政府参考人 国家公務員制度改革基本法におきましては、幹部職員の任用の弾力化につきまして、幹部職員の範囲内において行うこととされているところでございます。

 こうした基本法の趣旨を踏まえ、本法案における特例降任制度については、幹部職である部長級までの降任に限ることとし、幹部職員から管理職員への特例降任は行わないとしたものでございます。

奥野(総)委員 確かに基本法にはそう書いてあるんですが、弾力的にやるという以上、あるいは、内閣の一体性を確保する、一元化という意味において、こういう規定、管理職への降任は、私は必要だと。

 基本法には書いてあるからできないと。もちろん、書いていないこともやっていいわけでありますから、規定する必要はあると思いますが、大臣、いかがですか。

稲田国務大臣 そもそも、内閣人事局をつくって、そして、大臣の任命権はあるものの、総理、官房長官から任免協議ができるということは、それが硬直的な人事であったり、例えば能力・実績主義ではないというふうに判断したときには、その任免協議において、能力・実績主義であったり、同じように同期ばかりを採用するというようなこと、また、先ほど御指摘がありましたけれども、同じ省から同じポストというようなことがないように、そもそも内閣人事局で、人事を、内閣総理大臣、官房長官が検証するということでございます。

 その上で、今の、幹部職員から管理職員までおろす、例えば局長から課長までおろすというようなことをしなくても、一段階の降任によって、さらに弾力的な抜てき人事は可能であるというふうに考えております。

奥野(総)委員 これは、幹部職員から管理職員への降任が全くできないかというとそうではなくて、七十八条の一般的な規定がありまして、「次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、人事院規則の定めるところにより、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。」こう書いてあります。

 例えば、六十一条の二の幹部候補者名簿に載っかっている方が幹部職員ということになるわけでありますが、この幹部候補者名簿というのは、随時、適格性審査を行って更新する、こうあります。これは、更新の結果、適格性がなくなった、標準職務遂行能力を有しないというふうになった場合にどうなるんですか。幹部職員名簿から、更新というわけですから、外す、そうすると、これは自動的に管理職に戻るということになるんですが、その場合はこの七十八条が適用になるんでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 今委員が御指摘の、適格性審査の結果、幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を有しないということが確認された場合は、一般的な分限処分の条件である、勤務実績がよくない場合の典型的な事例であるというふうに考えられます。

 実際に、部長級の幹部職員が標準職務遂行能力を有しないということが確認された場合、任命権者の判断で、当然降任されるということはあり得るというふうに考えます。

奥野(総)委員 あるにはあるということなんですが、これは、二十一年法案のときには、その七十八条第一号に括弧書きをつくって、そこは規定されていたんです。もともと書いてあったんですね、そういうふうにできると。今回書かれていないというのは、理由は何なんでしょうか、できないという。大臣。

稲田国務大臣 当然のことであるので、規定しないことにしたということでございます。

奥野(総)委員 確認ですが、そうすると、適格性審査を行って、幹部候補者名簿に載せられないということになると、幹部職員から管理職への降任というのは、この七十八条の原則に従って、あるということですね。

稲田国務大臣 先ほど御答弁いたしましたように、任命権者の判断によるものではございますが、当然降任されるということはあり得ると考えます。

奥野(総)委員 ちょっと、これは通告はしていないんですが、この七十八条の規定で、実際に降任がされている例というのは、年間何件ぐらい、大体でいいんですが、あるんでしょうか。

川淵政府参考人 手元に詳しい数字を持っておりませんが、年間数件程度というふうに承知しております。

奥野(総)委員 だから、制度的には管理職への降任というのはあり得るけれども、この規定に該当するという方はほとんどないということだと思います。

 それで、何を言いたいかというと、今まで言ってきましたが、人事評価の基準も極めて曖昧。

 七十八条の二で、各号に該当する場合に、では実際に降任ができるのかというと、これはなかなか難しいということだと思います。また、今言ったように、七十八条、確かに、条文だけ読むと、人事評価または勤務の状況を示す事実に照らして勤務実績がよくない場合ということで、これで降任ができそう、しかも管理職への降任までできそうというふうに読めますが、なかなか、やはりこれも実態はほとんど行われていないということでございます。

 こうして見ると、降任はなかなか厳しいのかなということだと思いますが、我々は対案を出しておりまして、幹部国家公務員法というのを出させていただいております。そこでは、そもそもの考え方、今の国家公務員法の考え方は、まず身分保障をちゃんとした上で、人事評価に基づいて降任をしていこうと。なるべく降任を否定化しないという思想に基づいてできている。今回、それに乗っかっているから、こういう形でなかなか降任が実際できないような仕組みになっているということだと思います。

 であれば、少し考え方を変えて、我々の法案では、「人事管理は、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行うことを目的として、人事評価その他の評価を基礎としつつ、幹部職員と内閣との一体性の確保にも配慮して、弾力的に行われなければならない。」ということで、目的として、業務のパフォーマンスを最大限に発揮すること、そして幹部職員と内閣の一体性の確保ということを基準に降任を入れていこうということで、政令で定めるところにより、特別降任制度というのを設けてありまして、具体的な基準としては、政令で定めるところにより、内閣による行政の遂行を最大限に効果的に行うために降任する、この場合は管理職にまで降任できるという規定を設けているところでございます。

 先ほど、官房長官、私が指摘させていただいて、信賞必罰、こういう弾力的人事は必要だ、こうお認めいただいたと思いますが、こうした我々の提案も、いいところは取り上げていただきたい。どうも、今既存の国家公務員法の中でいくと、抜てきはできるかもしれないが、降任という意味じゃなかなか厳しいんじゃないかと思います。

 我々の提案について、いかがお考えでしょうか。

菅国務大臣 そこは素直に評価させていただきたいというふうに思います。

 特に、公務員の降格人事、いろいろな不祥事がこのところ出ておりました。そういう中で、処分の仕方について、私どもも従来より厳しい処分をしたという事実もありますので、そうしたことも考えたいというふうに思います。

奥野(総)委員 ぜひ前向きに受けとめて、弾力的な人事ということでやっていただきたいと思いますし、もし我々の案を取り上げていただけるのなら、ぜひ取り上げていただきたいというふうに思います。お願いをいたします。

 そして、評価の話が出てきましたので少し話をかえますが、適格性の確認ということとちょっと似ているんですが、いわゆる適性評価ですね。

 きのう、衆議院、特定秘密保護法が通過をいたしました。あの強行採決というのは私は極めて遺憾だと思いますが。その中身でありますけれども、例えば、この公務員制度との関係でいいますと、恐らく、直接は関係しない、幹部の任用に当たっては、特定秘密法というのは直接関係しないという答えになろうかと思いますが、しかし、実際に考えてみると、この規定に基づいて、幹部候補を任用して、局長あるいは幹部職員になりましたと。この局長、幹部職員というのは、確認ですが、適性評価の対象になるということでよろしいんですか。

菅国務大臣 特定秘密を取り扱うときには、当然なるということです。

奥野(総)委員 そういうことだと思うんですが、しかし、局長クラスともなりますと、そういう特定秘密に触れる機会が多いということだと思いますし、ラインですから自動的に秘密が上がってくる、職責上、職務上自動的に秘密が上がってくるということになると思うんですね。

 局長に任命されて、例えば、では適性評価、不合格ということになった場合は、これはどうなるんでしょうか。

柴山委員長 どうなるんでしょうかというのはどういう意味ですか。

奥野(総)委員 もうちょっと言えば、当然、特定秘密は扱えなくなるわけですが、しかし、そうなると、局長としての職責も果たせない。ラインでありますから一切の情報が上がってくるわけですから、局長としての職責は果たせなくなるということになれば、そこは降格の対象あるいは異動の対象ということにならざるを得ないと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 適格性審査または適格性審査を経た幹部職員候補者の名簿ですけれども、この適格性審査は、職制上の段階に応じまして標準的な官職が政令で定められておりますが、その標準的な官職の職務を遂行する上で発揮をすることが求められる能力、これを標準職務遂行能力と呼んでおります。

 今般提出している法案における適格性審査におきましては、幹部職の職制段階における標準職務遂行能力を有しているかどうかの確認を行うということでございます。

 また、特定秘密を扱う幹部職への任用につきましては、任免協議の中でその結果が考慮されることになるものというふうに承知しております。

奥野(総)委員 要するに、幹部候補者名簿に載るときは適格性だ、実際任用の段階にはそこは適性評価の結果を考慮してなるということで、よろしいのでしょうか。

川淵政府参考人 委員御指摘のとおりというふうに思います。

奥野(総)委員 これはもう衆議院を通過してしまったので言ってもしようがないんですが、適性評価としても、やはり公務員の職務と密接に結びついているというふうに思うんです。

 だから、ああいう仕組みは私は必要だと思うんです。しかし、であれば、この国家公務員法の中に規定して、全ての管理職というと広過ぎますから、局長級幹部職員についてこういう質を要求するというやり方もあると思うんですが、いかがでしょう、官房長官。

川淵政府参考人 特定秘密を扱う幹部職につきましては、各省の任命権者は、制度の円滑な運用を行うためにも、通常、特定秘密を取り扱う幹部職ポストに係る内閣総理大臣及び官房長官との任免協議に臨む前に適性評価を行うことになるものというふうに存じます。

奥野(総)委員 我々は反対しましたから、ここで言いっ放しになりますが、ですから、適性評価のようなシステムは国家公務員法の中で私は扱うべきだというふうに申し述べて、この話は終わりにしたいと思います。

 それから最後に、もう皆さん何回かお聞きかと思いますが、自律的労使関係についてだけもう一度確認をさせていただきたいと思います。

 基本法十二条の自律的労使関係に関して、政府の検討状況をもう一度お聞かせいただきたいと思います。

稲田国務大臣 基本法十二条の自律的労使関係について、本年二月より、今までのさまざまな状況も踏まえて総合的な総括、検証を行うため、今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会を開催してきました。

 自律的労使関係制度については、この意見交換会第四回、第七回において議題として、第四回では、有識者から公務員の労使関係の考え方など、さまざまな御意見をいただいたところです。

 主な意見としては、公務員の労使関係については、憲法の規定等から、民間のように労使の当事者間の利害調整だけでは完結しない部分もあるので、国民の利益も考慮した枠組みが必要であるとか、労使関係に係る費用と便益、これは十二条に規定されているところですが、実際の労使関係によって変わる相対的なものではないかというような意見もございました。

 また、第七回では、使用者、職員団体の双方からヒアリングをし、それぞれの立場から幅広い御意見をいただきました。

 例えば、使用者側からの主な意見としては、労使交渉の長期化による業務執行への影響に留意をすべきである、労使関係が安定している時期になぜ協約締結権を付与するのかといった御意見がありました。

 一方、職員団体側からの主な意見としては、公務の労使関係についても民間の制度と同様にする必要がある、労働条件についても労使交渉で主体的、自律的に決定することで、職員の士気が向上するということもあるというようなさまざまな議論があったところでございます。

 こうした意見交換会における検討も踏まえ、自律的労使関係制度については、引き続き慎重に検討をする必要があると考えて、今回の法案の中には盛り込まなかった次第でございます。

奥野(総)委員 我々、私も提案者になっていますが、この関係法律を今回出させていただいております。もちろん、代償機関である人事院を廃止して協約締結をやるという法案を出させていただいているわけであります。

 我々の政権のときに、少なくとも国家公務員については法案を出した、一応議論を整理して出したわけでありますが、今回改めてここで議論をしているということでありますが、改めてここで議論をした理由について伺いたい。一度整理がついた話だと我々は思っているんですけれども、改めて議論をしている理由について伺いたいと思います。

稲田国務大臣 今申し上げたとおり、基本法十二条に定める自律的労使関係については、民主党政権下で国家公務員制度改革関連四法案が廃案となった経過その他の状況、環境の変化を踏まえれば、多岐にわたる課題がある。私の意見交換会でも、両者の立場からいろいろな意見があり、費用、便益を示して国民の理解を得るところまではまだまだ来ていないというふうに考えております。

奥野(総)委員 そこは私は異論がありまして、一旦整理をして出したことを改めて聞けば、また同じ話が出てくるわけでありまして、私はこれは前に進めるべき話だと思いますし、今回ちょっと気になるのは、人事院の関与がまた法案の中でふえているということでありまして、人事院の位置づけが少し中途半端なまま膨らんできているという気がいたしますので、ぜひこの十二条に基づいて、協約締結権の付与ということで法案化を進めていただきたい。我々も今回出していますから、ぜひ取り上げていただきたいと思います。

 同じく、地方公務員についても附則の方で規定されておりまして、前政権のときにも一応提出まではいったかと思うんですが、現在の状況について大臣に伺いたいと思います。

新藤国務大臣 地方公務員の労働基本権につきましては、これは改革基本法の附則の第二条、委員も御承知だと思いますが、「国家公務員の労使関係制度に係る措置に併せ、これと整合性をもって、検討する。」このようになっているわけであります。

 そうした観点から、地方公務員の労働基本権のあり方につきましては、国家公務員制度の動向を踏まえながら検討をしてまいりたい、このように考えております。

奥野(総)委員 今、両大臣から御答弁をいただきましたけれども、官房長官、最後に、この協約締結権の問題について、政府としてしっかり取り組んでいただきたいとお願いして、一言いただきたいと思います。

菅国務大臣 冒頭、近藤議員との質疑の中で、やはりこの問題、なかなか、三回法案が提出されて至らなかった理由は何だと言われたときに、私は、公務員の締結権の問題と人事院の勧告制度の問題を指摘させていただきました。

 そうしたさまざまな問題を踏まえた中で、今回提出させていただいた法案が、政府として考えられる最良の法案だということであります。

奥野(総)委員 しかし、基本法に書いてあるわけですから、いずれ結論を得なければならない。その結論までそんなに時間は私はないと思いますので、ぜひそこのところをお願いして、そして、我々の法案も御審議いただくのですけれども、ぜひ取り入れていただくことをお願いして、さまざま指摘いたしましたけれども、研修の問題、これは私は縦割りを助長する問題だと思いますし、今言った協約締結権の問題、きっちり取り上げて、そちらの方に最後は取り入れていただければとお願いいたしまして、私の質問とさせていただきます。

 以上です。終わります。

柴山委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 国公法の改正案について質問をいたします。内閣委員会での質問は久しぶりですので、どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、幹部人事の一元化、一元管理についてお尋ねをいたします。

 今回の幹部人事の一元管理において、各大臣と総理、官房長官の任免協議が行われます。この法改正では、幹部職員の任用に当たって、各大臣は、幹部職への昇任、転任等を行う場合には、あらかじめ総理、官房長官に協議をする。その際、官職への適性とともに、政策推進上最適な者となっているか、また、政府全体の人事方針との整合性の観点から協議が行われる。そして、総理、官房長官は、幹部職員について、適切な人事管理を確保するため必要と認めるときは、各大臣に対し、協議を求めることができる。これは、幹部人事一元管理における任免協議の中身だと思いますが、確認でお願いします。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 任免協議でございますけれども、幹部職員を任免する際に、あらかじめ適格性審査を経て幹部候補者名簿に掲載されている者の中から任命権者たる各大臣が作成した人事案について、大臣と内閣総理大臣及び官房長官が協議を行うものでございます。この任免協議におきましては、個々の人事案について、官職への適性及び政府全体の人事方針との整合性等の観点から協議し、大臣は協議に基づいて幹部職員の任免を行うということでございます。

塩川委員 幹部職員について適切な人事管理を確保するため必要と認めるときは、総理、官房長官は各大臣に対し協議を求めることができる、そういうふうになっているということはよろしいですか。

川淵政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

塩川委員 これまでは、任命権者の大臣が幹部の任免を行ってまいりました。この法案で、総理、官房長官が幹部職の任免の事前チェック、あるいは任用後の変更も求めることができるようになります。

 そこで、お尋ねしたいのが、適切な人事管理を確保するため必要と認めるとき、これはどのような場合を指しているのでしょうか。

川淵政府参考人 適切な人事管理のために必要と認めるときでございますけれども、任命権者、各大臣から示された案に対しまして、さらに適切な人事があり得るのではないかというときには協議を求めることができるということでございます。

塩川委員 適切な人事を求めるときには協議ができる、つまり、適材適所の人事管理の観点から、その職員をより適合する職員と交代させる方がいいと判断する場合などを想定しているということでよろしいですか。

川淵政府参考人 委員御指摘のような場合を想定しております。

塩川委員 ですから、要するに、政府の方針との関係でよりふさわしい者を差しかえるということもできるということを想定しているということです。幹部人事に当たりまして、総理大臣の権限が強化をされるという中身であります。

 そこで、菅官房長官にお尋ねいたします。

 菅官房長官が、先週末ですか、十一月二十三日の発言が紹介されておりました。官邸のリーダーシップの件ですけれども、今回の法案は、第一次安倍内閣から始まった公務員制度改革を引き継ぐもので、人事の柔軟性を高め、官邸のリーダーシップを強めて縦割り行政を打破し、やる気のある大きな視点を持った公務員を育てて、官僚機構の力の発揮を目指すものですと述べておられると承知をしております。

 そこでお尋ねしたいのが、この幹部人事の一元化、一元管理とは、縦割り行政を打破するために、官邸のリーダーシップ、つまり総理のリーダーシップ、これを強めるということが大きな目的と受けとめましたけれども、その点についてはいかがでしょうか。

菅国務大臣 私がブログの中に書いたところでありますけれども、やはり今回の法案というのは、政府として総合的人材戦略を担う内閣人事局を新たに設置し、幹部職員の人事一元化によって内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置を実現すること等によって、職員一人一人の職務の意欲を引き出して、政府一丸となって国益や国民のために迅速に対応できるような、そういう目的のためにこうした法案を出させていただいておるところでありまして、そういう意味におきまして、官邸のリーダーシップを強める、そういう表現をさせていただきました。

塩川委員 ブログの中身ということで、官邸のリーダーシップ、総理のリーダーシップを強めることで縦割り行政を打破して、戦略的人材配置を行っていくということであります。

 稲田大臣にお尋ねいたします。

 総理のリーダーシップのもと、縦割り行政の弊害を排除するため幹部人事の一元管理を行うということですけれども、ここで言っている縦割り行政の弊害、これはどんなものを具体的に指しておられるのか、御説明いただけますか。

稲田国務大臣 各省がそれぞれ人事をやり人材戦略をやっているだけでは、政府一丸となった人材戦略というのは図れないと思います。

 そういう積極的な意味における縦割り行政の弊害という意味もありますし、また、規制改革をやっている中で、規制官庁がなぜ規制を強化し続けるのか、もう不合理になった規制を放置したり、また法律以上に規制を強化しているのはなぜなのかと考えたときに、きちんと規制を排除した官僚が登用される仕組み、また行革、行政事業レビューをやっている中でも、無駄な事業を排除する、予算を排除する、なぜ進まないのかというと、その省にとって無駄な事業を排除し予算を削減した人がきちんと、省益には合致しないかもしれないけれども、大きな政府の中では登用される仕組みが必要であるということを痛感したということでございます。

塩川委員 無駄の排除などを進めていく、省益にこだわらないという立場での改革が必要だ、そういう点での人材配置ということもありますし、規制改革の観点からということで、今の御答弁でも、不合理な規制とか法律以上の過度な規制とか、こういうものが縦割り行政の弊害としてあるというお話でありました。

 これは、過去、稲田大臣の記者会見等々の発言でも、岩盤のような規制ということをおっしゃっておられます、その規制改革との関係で。

 例えば六月二十五日の記者会見では、規制改革会議を見ていても、やはりこの縦割り行政の弊害というのは排除しなければならないと思っている、なぜこんなに岩盤のような規制がいつまでも残っているのかというと、やはり省庁ごとの縦割りがあって、なかなかその規制を取り払うことのインセンティブが働かない、省庁を横断した形の人事をやるということは、縦割り行政の弊害を除去することについて非常に有益だ、このように述べておられます。

 縦割り行政の弊害というのは、岩盤のような規制を取り払うインセンティブが働かないことだということですけれども、ここでおっしゃっておられる岩盤のような規制というのは何を指しておられるんでしょうか。

稲田国務大臣 いわゆる岩盤のようなというのは、なかなか規制改革が進まない現状について表現をしたものであります。

 今、規制改革が進まない理由、それから、行政改革、事業の無駄が排除できないことも行政の縦割りの弊害であるし、それ以上に、積極的に、例えばTPPだとか、その省庁だけではなくて政府横断的な人材戦略が要求されている時代でもあるというふうに思います。

塩川委員 岩盤規制が縦割り行政の弊害として例示をされて、それを取り除くための幹部人事の一元管理ということですから、岩盤のような規制がどのようなものかというのは大事な点だと思います。

 稲田大臣が担当されておられます規制改革において、規制改革会議の場でも、今、五つのワーキンググループですか、そこでは、健康・医療や農業、雇用のワーキンググループがあるわけであります。

 例えば、第十二回の規制改革会議の議事録を拝見しますと、六月の五日ですが、稲田大臣は、各ワーキンググループでヒアリングをし、岩盤のような役所を相手にいろいろな突っ込みをやっていただいたなどと述べておられます。

 ですから、岩盤規制という場合には、ワーキンググループで取り上げているような医療とか農業とか雇用とか、こういったものに岩盤規制があるという受けとめということでよろしいですか。

稲田国務大臣 その時々で表現をいたしておりますので、六月五日にどういう趣旨だったかはちょっと覚えていませんけれども、多分、例えばインターネットの薬販売ですね。これは、何回も何回もずっと長年規制改革会議で提言をしながら、なかなか改善することができなかった。ことしの一月に最高裁判決が出て、初めて一類、二類、三類のインターネット販売ができるようになったわけであります。

 それは、法律では規制していなかったものを、法律ではない省令において規制を強化していた。それもまた、私は、岩盤の一つであるというふうに認識をして発言をしたのではないかというふうに思います。

塩川委員 インターネットの薬の販売の最高裁の判決というのは、そもそも本来法律で決めるようなことを省令でやっているのはまずいよというところがポイントであって、やはり安全にかかわる規制は必要だという点は変わりがないわけであります。そういう点でも、岩盤規制と言われている中身として医療とか農業とか雇用というのがあるというのは、私は、暮らしや安全にかかわる規制という点でも見逃すことはできないなと思っております。

 例えば、産業競争力会議の議員でもあります竹中平蔵氏は、この会議の場で、農業と医療と労働などの領域を岩盤規制として、その見直しということを強く主張しておられます。縦割り行政の打破などといって、労働規制など、国民の暮らしと安全にかかわる規制を取り払うような、そういうものとして幹部人事の一元管理が使われるようであれば、極めて重大だと言わざるを得ません。

 総理がリーダーシップを発揮されるという点でいえば、成長戦略で日本再興戦略がございます。その中でも、成長戦略の一丁目一番地としては規制改革を挙げておりますし、規制改革の中身としての規制緩和では、労働時間法制の見直しですとか労働者派遣制度の見直しなど、労働規制の見直しも掲げております。

 大臣も御存じだと思いますが、三層構造で規制緩和するという話がありまして、国家単位と戦略地域単位と企業単位の三層構造で規制改革、規制緩和を進めるということが挙げられておりますけれども、この日本再興戦略、総理のリーダーシップとして行う成長戦略である日本再興戦略の具体化を目指す実行計画としているのが、経済産業委員会で議論をしております産業競争力強化法案であります。

 この中で、企業単位の規制緩和を進める仕組みとして、企業実証特例制度というのがあります。要するに、企業から事業官庁に対して、こういう分野についての規制緩和を求めたいといった際に、代替措置とセットで提案をすることで、事業官庁がそれを受けとめれば、規制官庁と協議を行っていくという仕組みになっているわけですね。

 ですから、そういう意味では、企業の代理人として事業官庁がいて、規制官庁と交渉する仕組みというのが、この企業実証特例制度になっております。

 私は、そういう仕組みと今回のを重ねたときに、非常に懸念があるわけですけれども、本来、事業官庁と規制官庁は立場が違うわけですけれども、それを入れかえるようなことがあれば事が速く進むんじゃないかとか、そういう話というのは出てくるわけです。

 総務省にお尋ねいたしますが、これまで、経産省と労働規制などを担当する厚労省の間で、審議官級以上の幹部の人事交流というのはあるんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 本来、総務省といたしましては、各省間の具体的な人事交流の内容について把握する立場ではございませんけれども、今般、経済産業省及び厚生労働省から聞いたところで申し上げますと、両省の間において、平成二十五年四月一日現在で、審議官級以上の人事交流はなされていないというふうに承知しております。

塩川委員 過去にさかのぼってはどうでしょうか。

笹島政府参考人 これについても、過去五年間についても聞いてみたところ、両省の間におきまして、審議官級以上の人事交流はなされていないと承知しております。

塩川委員 ですから、三層構造の規制緩和の一つ、企業単位での規制緩和を行うための企業実証特例制度は、企業の代理人として事業官庁が規制官庁と協議をしますという仕組みになります。そういったときに、幹部人事において、規制官庁の規制の担当の部署の幹部に対し、事業者、企業の代理人として働いている経産省のところから幹部が厚労省に入るということがあると、非常に事が速く進むんじゃないかということを思うわけです。

 仕組み上としては、プールをつくるという今回の一元管理において、今言ったように、事業官庁と規制官庁の間の幹部の入れかえというのも、それは可能という仕組みなんですよね。

稲田国務大臣 能力・実績主義に基づいて、適材適所の観点から、内閣官房長官、総理が任免協議ができるということでございます。

塩川委員 ですから、適材適所ということで、成長戦略、日本再興戦略の具体化を図っていく。

 それで、日本再興戦略の中には、労働時間規制の見直し等々、労働法制の見直しについても書かれております。そういった規制を緩和するということにおいて、適材適所ということで、成長戦略、日本再興戦略を推進するというのを実行計画にしている産業競争力強化法案、そのツールの一つである企業実証特例制度を使って推進するということになれば、労働時間規制などを行うという企業側の要望があった場合に、経済産業省の官僚を厚労省の労働規制担当の幹部に任用するということで岩盤規制を突破させるということは、総理の一存で可能ということになるんじゃないでしょうか。

稲田国務大臣 今委員は、たくさんの仮定を置いて、この場合はどうなるかという御質問ですので、具体的にはお答えできませんけれども、そのときそのときにおける適材適所を実現する、能力・実績主義を実現するということでございます。

 ただ、安倍政権が目指している、産業競争力をつけるというのは、単に経済成長だけということではなくて、国民全体の生活の向上であったり安全というものも目的としているわけでございます。

塩川委員 労働時間規制については、労働団体は、厳しく批判、反対の声を上げております。それは、現時点でも長時間労働なんですよ。そういった長時間労働が強いられるときに、企画型裁量労働制をもっと柔軟にだとか、あるいは、残業代ゼロ法案とかというふうに言われてきたホワイトカラーエグゼンプションの導入などが図られるということになれば、それこそ天井知らずの長時間労働になりかねないという点での厳しい反対の声を上げているときに、日本経団連からは労働時間規制についての見直しの要望が出ているわけで、それに対してしかるべく歯どめをかけることなしには、国民の暮らし、安全を守ることができない。

 実際、世界で一番企業が働きやすい国をつくるというのが安倍内閣の方針だという点でいえば、私は、企業単位の特例をつくるという中で、労働時間規制を破るような、こういう仕組みにもなるようなことを行える、適材適所というふうにおっしゃいましたから、そういうことを可能とする幹部人事の一元管理というのは、国民の命と暮らしを守る規制を掘り崩す道具にもなりかねないという点で極めて重大だと考えております。

 官房長官、実際に運用されるのでお尋ねいたしますけれども、内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置を実現するというこの幹部人事の一元管理というのは、例えば、人たるに値する最低限度の基準である労働規制など、暮らしと安全を守る規制を掘り崩す道具になりかねないのではないのか、こういう危惧の声に対して、どのように受けとめておられますか。

菅国務大臣 そこは、全くの見解の相違かなというふうに思います。

塩川委員 いや、大事なポイントであるからこそ議論を求めているわけで、改めてどうですか。見解の相違の、その相違の部分を説明していただけますか。

菅国務大臣 どうしてそこまで拡大されちゃうのかなというふうに思います。

 やはり、先ほど来、稲田大臣の答弁にもありますけれども、現在の縦割り制度という中にあって、そこを戦略的に考える中で、内閣で人事を一元管理し、そして、国民のため、国益のために働くことのできる体制を私どもはつくろうとしているわけですから、そのことがなぜ、労働の、今委員の指摘のあったそうした問題まで波及するのかなということが理解できなくて、私は見解の相違じゃないかなということを申し上げました。

塩川委員 いや、筋道を立てて御質問をしているわけで、そもそも、幹部人事の一元管理というのが縦割り行政の排除といった際に、縦割り行政の排除と言ったのは何ですかといえば、岩盤規制を取り除くことだと。岩盤規制というのは何ですかと言ったら、労働とか医療とかの分野においてそういったものがあるというのが、この間議論されていると。例示としても、規制改革会議でもまさにワーキンググループとして議論されているわけですから。そういう懸念というのは少なくない方のものだと思いますよ。

 そういったものに対して、今回のがそういうことにならないという保障というのは、どこにあるんですか。

稲田国務大臣 縦割り行政の弊害の排除というのは、基本法五条にも書かれております。

 私の理解は、明治以降からずっと縦割り行政というのはあって、そして、その縦割りの中で人事をやって、戦略を練っていれば、それで日本が成長するという時代はもう終わっていて、そうではなくて、TPPのように、省庁横断で国益とは何かということを考える、そういう人材戦略が必要であるという意味において、縦割り行政の弊害を排するために、今、政府全体としての戦略的人事を行うために、今回の改革は必要であるというふうに思っております。

 そして、規制改革会議でそういう発言をしたことは、先生御指摘でありますので、事実でございます。それは、私は、規制改革会議にも非常にレッテル張りをされていると思います。例えば、労働の問題についても、きちんと労働者側の意見も聞き、そして学者の意見も聞き、労働者が働きやすい環境をつくる、そして、多様な選択肢もあるというような観点から、さまざま検討しているわけでありまして、岩盤規制をなくすということが、また、国家公務員制度改革をやることによって、労働、医療、雇用の、国民の安全、安心を揺るがすような改革をしようという、そういう御批判はちょっと当たらないのではないかというふうに思っております。

塩川委員 産業競争力会議の議論の中でもこの労働問題について進めようというのに対して、ILOの勧告にもありますように、政労使の議論をしっかり前提にすると。そういう点でいえば、労政審の議論というのが土台だというのは最低限のルールだと思っておりまして、それすら脇に置くような議論が横行しているというのが現状であるわけで、私は、内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置といった場合に、やはり、政府の重要政策に位置づけられれば、規制緩和の問題であれ、それを突破するということが人事を通じて行われるという懸念というのは拭えないということを言わざるを得ません。

 そういう点でも、労働分野など、国民の暮らしと安全を守る規制を岩盤規制などと言って打破しようとする道具として幹部人事の一元管理が使われるのではないのかという懸念が拭えないということを申し上げておきます。

 残りの時間で、天下りの問題をお尋ねいたします。

 二〇一一年の七月と十月、この内閣委員会で、私は国土交通省の天下りあっせん疑惑の問題を取り上げました。国交省のOBからの告発に基づいて、国土交通省の前審議官の天下りあっせん疑惑について追及をしたわけであります。

 国交省は、この疑惑について調査委員会を設置しましたが、結論はいずれも白という判定で、この前審議官はその後、事務方のトップであります事務次官に就任をいたしました。

 その後、この案件は再就職等監視委員会の調査を行う案件となりましたが、再就職等監視委員長にお尋ねをいたします。天下りあっせんなどの違反行為があったのかどうか、この点についてお答えいただけますか。

羽柴参考人 お答えをいたします。

 御指摘のとおりであります。

 当委員会は、海技振興センターの事案及び日本民営鉄道協会の事案、この二つの事案において、国土交通省の元職員が、在職中に国家公務員法第百六条の二第一項に違反する行為を行ったという事実を認定いたしました。その事実を本年三月二十六日に公表いたしております。

塩川委員 ですから、黒という判定を監視委員会は行ったわけであります。

 そこで、稲田大臣にお尋ねしますが、国公法にはあっせん行為違反などの行為に対する罰則はありませんが、こういったあっせん行為違反についてはどのような対処、処分を行うことになるんでしょうか。

稲田国務大臣 国家公務員の再就職に関して、平成十九年の国家公務員法改正により、癒着につながりかねない行為、あっせん、働きかけ等を直接的に規制するとともに、規制違反行為に関する監視体制を整備したところであります。再就職等監視委員会による監視のもと、現行の再就職規制を厳格に運用していくことで、天下りを根絶していきたいというふうに思います。

 今の先生の御指摘が、あっせん行為違反に対して刑事罰を導入すべきという御趣旨であれば、現行……(塩川委員「いや、そういうことじゃない」と呼ぶ)そういうことではありませんか。(塩川委員「現行がどうなっているか」と呼ぶ)はい。ということでございます。

塩川委員 ですから、懲戒処分により対応するということですよね。(稲田国務大臣「はい」と呼ぶ)はい。

 そこで、国土交通省にお尋ねをいたします。

 この前事務次官が国公法違反行為に認定されたわけですけれども、国土交通省としては、この件についてどのような措置をとったんでしょうか。

武藤政府参考人 委員御指摘のように、ことしの三月二十六日に、再就職等監視委員会より、元国土交通事務次官に国家公務員法上の再就職規制違反行為があった旨の調査結果が通知をされたところでありまして、まず、この結果につきましては真摯に受けとめているというところでございます。

 まず、当事者である元次官に対しましては、調査結果を受けて、同日、三月二十六日に、私の前任である官房長から調査結果を伝えた上で、今後は元職員としての再就職規制を遵守するように注意を促したところでございます。

 それから、委員会の方からは意見ということで、職員あるいは元職員に対してこの法規制についての周知を図るようにということで、それぞれ、職員、元職員に対する周知徹底を図ったところでございます。

塩川委員 もうOBですから、OBとして規制に係ることについて注意してねということを言っただけで、具体的な処分もないわけであります。

 これは、国土交通省はもともと建設省と運輸省が一緒になりました。この元審議官、前事務次官は運輸省畑の人でありまして、運輸省の方だけのいわば天下りを扱っているわけですよね。ですから、公益法人を含めたさまざまな団体に天下りをする、その場合の玉突きをする、その全体の設計図を描く、そういう立場で実際に行っていたということが、その一部であれ、その実態を再就職等監視委員会が認定したわけであります。そういう意味で、本当に構造的に行われているということが非常によくわかる事案でありました。

 要するに、処分もないというと、一言、注意してねと言うだけなんですよ。それだけでいいんですかということなんですが、国交省はそれ以上何もないんですか。

武藤政府参考人 委員御指摘のように、懲戒処分につきましては、元次官は辞職をしたということでございまして、先ほども申し上げましたが、こういった内容について、職員及び元職員に対しまして、法律の違反はこういうケースだということについて周知徹底を図ったというところでございます。

塩川委員 こんなので本当に天下りの問題が解決するのかと言わざるを得ません。

 再就職等監視委員長にお尋ねをいたします。

 私、先ほど申し上げましたように、二〇一一年のこの委員会での質問を通じて、国交省は二回調査委員会を立ち上げているんですよね。二回とも、調査をした結果、あっせん疑惑はなし、白という調査結果を出したわけであります。

 再就職等監視委員会は、今回、前事務次官の違法行為を認定したわけですが、監視委員会の再調査において何か新しい事実を明らかにして、それをもって違法行為を認定したのか、それとも、国交省がこの間明らかにした、私なども質問させていただき明らかにした、そういう事実が、国交省の方は白としたわけですけれども、実際には白ではなくて黒だったということなのか、その点についてお答えいただけますか。

羽柴参考人 お答えをいたします。

 私どもの委員会は独自に調査をいたしました。その結果、御指摘のような、国交省の委員会の認定よりも、より詳しい、より突っ込んだ認定はいたしましたけれども、基本的な事実関係はそれほど変わっておりません。

 それにもかかわらず結論が違ったのはどうしてかといえば、それはやはり、ある事実に対して法的な評価をする、国公法違反があったかどうかというのは法的な評価の問題ですから、法的な評価の点で私どもの委員会は国交省の委員会とは異なる評価をしたということが、結論が異なった大きな理由であります。

塩川委員 つまり、二〇一一年当時の国交省の調査でも、曇りない目で見れば黒だということがわかったということだと思います。

 事務次官に昇進するどころか、もともと審議官が事務次官になっているわけですから、そのときに、審議官のときに行っていた行為ですから、昇進どころか、その時点で懲戒処分じゃないでしょうか。ところが、国交省は身内の判定を行ったために、事務方のトップが国公法違反者だったという前代未聞の不祥事になったわけであります。

 前事務次官は、こういう違法認定に際して、心外な判断だ、私の発言は法律が規制しているケースに当たらないとか、法律に抵触しないように業務に当たってきたつもりであり、監視委員会の判断は心外だ、このようにマスコミの報道へのコメントを出しており、全く反省もないわけであります。

 こういった、事務次官当時にも国交省のあっせん行為違反を繰り返した可能性が否定できないわけで、疑惑があっても、監視委員会で認定する前に退職してしまえば何の処分もないというのでは、抑止力も働かないんじゃないのかというふうに思います。

 官房長官にお尋ねいたしますが、こういった、退職した後に不祥事が発覚した際に、過去の退職金の返還を可能とするような法改正なども行われたんですけれども、こういった前国交事務次官の違法行為について、安倍内閣として、こういう違法行為を行ったトップ官僚をそのまま見逃すようなことを行うのか。この点について、何らかの対応が求められるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 御指摘をいただいています国土交通省の元職員による再就職のあっせんについては、先ほど再就職等監視委員会の委員長の御発言もありましたけれども、その調査によって国家公務員法に定める再就職あっせん規制違反行為として認定をされたわけであります。

 政府としては、こうした事案を受けて、再就職等監視委員会において談話を発表し、各府省の大臣に対し、所属職員に再就職規制を再認識するなど、制度の周知徹底というものを命じたところであります。

 今後とも、この再就職等監視委員会による監視のもと、不適切な行為を厳格に規制していくことで、再就職あっせん等を根絶し、再就職に関する国民の疑念を払拭していくことに努めていきたいと考えます。

塩川委員 トップ官僚があっせん行為違反をしていても、何もないまま今日まで来ているということでは、私は、あっせん行為違反の実効性が問われているのではないのか。

 もう一つ、あっせん行為違反の認定に重大な問題があるという点で、私が指摘をした天下りの事件というのは、あっせん規定違反については、海技振興センターの事案と日本民営鉄道協会事案の二つがありました。もう一つ、そのほかに日本水先人会連合会の事案もあったわけで、これについては違反行為は認められなかったとしているわけですけれども、監視委員長にお尋ねしますが、これは白ということだったんでしょうか、グレーなんでしょうか。

羽柴参考人 お答えをいたします。

 御指摘の日本水先人会連合会事案でありますが、私ども、規制違反があるのではないかということで調査をいたしました。最終的には、おっしゃるとおり、規制違反とは認定しておりません。

 詳しいことは、なかなかここで申し上げることはできないことでございますけれども、違反があるのではないかという疑いは率直に言って残りましたけれども、最終的に、規制違反があると断定をするには至らなかった。

 その理由、さまざまな点がございますが、例えば、証拠の中で、関係者の会話が出てまいりますが、いわゆる伝聞証拠であったということがございます。おわかりのとおり、伝聞証拠というのは、やはりある程度、証明力が劣るものというふうに考えられます。そういったもろもろの問題点がございまして、最終的に、総合的には、規制違反ありという認定には至らなかったということであります。

塩川委員 つまり、海技振興センターと日本民営鉄道協会の件は、録音のデータがあったんですよね。それに対して、この日本水先人会連合会は伝聞証拠とおっしゃったという、そこの違いというのが、結果として、一方は黒で、一方は黒にならない、疑いがあるという、グレーということになったわけであります。

 私、これを見ても、このあっせん行為違反を認定するというのはなかなか難しいんじゃないのかなと率直に思うんですけれども、監視委員長としてはいかがですか。

羽柴参考人 私の今の立場からすると、はい、難しいですということは申し上げるわけにいきませんので、一生懸命やっております。

塩川委員 いや、つまり、私は、こういった天下りを根絶するという立場であるのであれば、そもそも、もともと事前規制だったものを事後規制にし、天下りの原則禁止からあっせんの禁止の規制へと変えてきたという経緯があるわけであります。

 官房長官に最後にお尋ねしますが、やはり、あっせん規制の認定が難しいということを考えても、私は、天下りの根絶ということを考えるのであれば、国公法の改正ということであれば、天下りの原則禁止の復活、禁止規定を強化する、こういう方向こそ必要ではないかと思うんですが、官房長官のお考えをお聞かせください。

柴山委員長 質疑時間、終了しております。一言でお願いします。

菅国務大臣 いろいろな経緯があって、現行の行為規制へと転換したところであります。この規制違反行為の監視体制として再就職等監視委員会が立ち上がり、そして国会同意人事を経て、委員会による監視体制のもとに現行の再就職規制を厳格に運用していくことで、天下りを根絶してまいりたいと思います。

塩川委員 終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 早速質問に入らせていただきます。

 内閣人事局長について議論させていただきたいと存じます。

 内閣人事局長を官房副長官にしているということの理由ですが、これは従来、議論の経緯がいろいろあったのは存じております。

 さはさりながら、三人官房副長官がおられるわけですが、官房副長官は、大変御多忙で、いろいろな仕事、オール・ジャパンの仕事をされておられます。もちろん、であれば、私が危惧するのは、官房副長官が内閣人事局長となった場合には、忙しいがゆえに、やはり官僚の判断の追認、上がってきたものをなかなか精査しにくいのではないか、これは、どんな優秀な方でやる気があっても、やはり物理的な問題でございます。ちょっとそこの危惧をしているところであります。

 総務省の人事・恩給局から相当部分を、人事局の部分を切り出して、そして人事院からもかなりの部分を切り出して、本来、総務省でいえば一人の局長が見ている部分で、人事院でも一人の局長の半分が見ている部分ですので、本当は専任の局長があってしかるべきだなという問題意識を私は持っております。

 そこで、まずお聞きしたいのは、なぜ官房副長官兼任としたのかということでございます。

稲田国務大臣 今回、内閣人事局を設置して、政府全体としての人材戦略を担っていく、また、重要な課題について人事、組織の面から支えていくという意味で、今非常に大きな役割を担っているのが内閣人事局であろうかと思います。

 そのため、今回の法案では、内閣総理大臣及び内閣官房長官のもと、内閣の重要政策の推進にかかわる内閣官房副長官の中から内閣総理大臣が指名した者を内閣人事局長に充てることによって、内閣の重要政策の推進を今度は人事の面から、組織の面から支えるという一体的な体制ができるというふうに思っております。

 今、内閣官房副長官がお忙しいので大丈夫でしょうかという御心配をいただいたところですけれども、内閣人事局において、適切な体制を整備するとともに、業務運営方法を工夫することによって、内閣人事局長、すなわち、内閣副長官の中から選ばれる内閣人事局長の過重な負担を招くことなく、適切に業務を遂行していくことが十分に可能ではないかというふうに考えております。

畑委員 事務当局の体制は、整備すれば、大体実務的には回るんだろうと思うんですが、やはり内閣主導の人事を行う場合には、それなりにしっかり見なきゃいけない部分もございまして、そこが、官房長官の補佐機能としてはなかなか厳しいのかなという問題意識を私は持っております。

 ここで官房長官に来ていただきまして、お伺いしたいわけでありますが、まさにこの法律ができれば、総理の権限、適格性審査それから幹部候補者名簿に関する権限というのは内閣官房長官に委任される、実質的には、内閣官房長官が最大の権限者として切り盛りしなければいけない立場になるだろうと思います。まさに内閣官房長官の力が問われるというか、本当に、内閣官房長官がまさに内閣主導の人事を行っていく立場になるというたてつけだろうと思っております。

 しかしながら、先ほど申し上げたように、内閣官房副長官は人事だけじゃなくていろいろやっておられる中で、下手すると、官僚の追認で、そのままスルーで内閣官房長官に上がってくるおそれも私は実態上あるんじゃないかなという危惧をしております。

 ここで内閣官房長官にお伺いしたいのは、このたてつけで、まさに内閣官房長官の補佐機能として、人事局長が官房副長官で機能するのだろうか、上司としてのお考え、官房長官としてのお考えを、ちょっと御感想をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 現在は、私と内閣官房副長官三人、四人で人事検討委員会というのを実は行っています。

 この法案が成立した際には、人事局ができて、そこで多くの人事を審査する形になるわけでありますけれども、その内閣人事局にしっかりとした事務組織をつくりますので、そういう意味において、総理が指名する内閣官房副長官が、まさに総理の命を受けて、その政府の方向性に合うような人事を行うということは、私は可能だというふうに考えます。

畑委員 そこで、まさに内閣官房副長官を任命してしっかりやっていただくというお答えでしたが、この内閣官房副長官がどういう人から選ばれるかというのは、御存じのとおり、これは内閣法に規定されている特別職でありまして、そこは法律上は三名になっている。この内閣官房副長官はどんな人をもって充てるかはもちろん法律上書いていないので、実態上は、政務、衆参一人ずつ、そして事務、今は官僚OBで三名という運用となっております。

 これは、運用のものだということを申し上げましたが、結局、官房副長官が三人いる中のどなたが人事局長になるかというのは、法律上決まっていないわけです。そういうことであれば、内閣人事局長というのは、どのような人、つまり、政務、事務、どのような人からでも、官房副長官ということであれば任用されるたてつけだと理解してよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 内閣人事局長を内閣官房副長官から選ぶ理由というのは、先ほど申し上げたとおり、内閣において重要政策を担っている副長官の中から、やはりそれを人事と組織の面から支えるという意味において、その中で選ぶということは、とても私は意義があることだと思っております。

 その上で、今も内閣官房副長官をどんな人から選ぶかということは別段規定がないわけでありますので、内閣官房副長官の中からどなたを選ぶかというのは総理の判断になろうかと思います。

畑委員 法律上はどういう官房副長官が選ばれるかは規定されていない、総理の御判断だということだと承りましたが、これは総理の御判断だと言われたので、今後のことをどうなりますかと聞きたいんですけれども、答えにくいでしょうが、あえてお聞きします。

 事務、政務、両方の官房副長官がいる中で、どちらの官房副長官が人事局長にふさわしいとお考えでしょうか。

稲田国務大臣 事務か政務かにかかわる必要はないというふうに思います。

柴山委員長 途中ですけれども、官房長官は記者会見にこれから向かわれますので、御退出いただいて結構です。

畑委員 それでは、主に稲田大臣とこれからまた議論させていただきたいと思います。ゆっくりやりましょう。

 それで、なぜ私がこういうことを聞くかというと、事務の官房副長官がいいのか、あるいは政務がいいのかというのは、これも議論があって、政務というのは、政治家が官僚の人事をやるというのは、実態を知らないし、また、公平性が疑われるという議論もあるだろうと思いますが、私は実は公務員OBですが、逆に、私は、政治家がやった方がいいんじゃないかという思いもあります。

 というのは、事務の官房副長官がやるということは、結局、官僚機構のトップで、官僚の人事ということで、内閣主導が担保されないおそれがある。これは総理が任命する特別職ですから、そこはそうじゃないんだという議論もあるだろうと思うんですが、ちょっとそういう問題意識を持っております。

 結局、従来、事務の官房副長官は内務官僚がなっておりましたけれども、官房副長官の中でやるから天下りポストは一つふえるわけじゃないんですが、官房副長官というのが官僚の事実上のトップですから、実態上は、政策調整権限が最終的にある。そして人事権を持つとなると、官僚内閣制になるんじゃないかという気がしております。

 そういう中で、そこは法律上は誰でもいいわけですから、官僚が余り仕切らないような体制にした方がいいのだろうなと私は思っております。そういう危惧を持っておりまして、そこはそうならないようにというか、適切な人事ということにならざるを得ないんですが、ちょっとそういう問題意識を申し上げておきます。

 次に、ちょっと別の論点の質問をさせていただきたいと思います。

 自民が野党のころ、みんなの党と一緒に出した法案がございまして、これが今の野党の法案そのものになっている部分がありますが、平成二十二年四月に提出されて、六月に廃案になって、また同年十一月に提出されて、二十四年十一月に廃案となったものですかね。自民党、みんなの党提出の幹部公務員法案あるいは国家公務員法等改正案ということですが、これはかなり抜本的なことが書かれているなと思いまして、かなり先進的な法案だったと思います。

 これが実は、今回政府案になったときに、自民党さんが先進的なものを当時野党で出されていたのが、政府案になると後退しているという批判も本会議であったんですが、そのときに、稲田大臣は本会議で、近年の公務員をめぐる状況、環境の変化を踏まえ、時代に応じた新しい公務員制度を構築するものという答弁をされておりまして、ちょっとこれは、わかったようなわからないような答弁で、後退した理由になっていないような気がして、私は本会議を聞いておりました。

 どういう環境の変化があったのか、ちょっとそこを具体的にお答えいただければ幸いです。

稲田国務大臣 政権交代もありました。また、公募に関するさまざまな議論もあったところでございます。そういったことなども含め、また、三つの法案を提出して、そして野党時代の法案も含めて、そういったことも全て検証した上で、今回、今出している法案がベストであるということで提出をしているわけでございます。

畑委員 検証した上でそういうことを出しているというお話で、ちょっとこれもわかったようなわからないような答弁です。

 では、その中の一部の論点を取り上げてちょっと議論させていただきたいと思います。

 今回、民主、維新、みんなの党共同提案で幹部公務員法の提出ということがされておりまして、ここの提出者の方に伺いたいと思います。

 この法案で、幹部公務員を特別職として、一般職の規制を外しているというところがかなり大きな違いだと思って私は見ておりましたが、一般職としなかったのはなぜなのか。そこのところ、政府案との違い、狙いも含めてお答えいただければと思います。

大熊議員 お答えを申し上げます。

 まず、国公法自体に特別職を追加しているわけでございます、幹部職員について。その上で、いわゆる幹部職員については、特に縦割り行政の弊害を排除するため、内閣の人事管理機能の強化や多様な人材登用、弾力的、柔軟な人事管理が求められているわけでございますが、幹部職員が一般職のままである場合、身分保障が引き続きあって、また、あくまで能力・実績主義が前提となるため、内閣との一体性に着目した多様な人材登用や弾力的な人事管理ができにくいということでございまして、実際、今回の閣法の七十八条の二の規定でございますが、本日、いろいろと議論のあるところでございますが、この規定のように複雑にせざるを得ないということから、柔軟な人事ができにくいというふうに考えております。

 そこで、幹部公務員法では、幹部国家公務員を特別職といたしまして、能力・実績主義を基礎としつつも、内閣との一体性にも配慮をして、柔軟、弾力的な人事管理を行うことができることとしたところでございます。

 以上です。

畑委員 ありがとうございました。

 まさに、そこがどういう検証がなされたかというのをちょっと議論したいんです。

 今回、一般職の身分保障のもとで幹部公務員降任制度をつくった場合には、これは、要件上は、一応明確に見える要件が書いてあります。勤務実績が劣っているとか、すぐれた業績を上げることが十分見込まれないとか。

 さはさりながら、一般職ということは、身分保障は適用されますので、後で裁判、争いになったときのことを考えると、この勤務実績が劣っているということを相当程度客観的に立証できないと、なかなか任命権者は、降格させることは困難だろうと思います。だから、結局、つくったけれども動かない条文になるんじゃないかという危惧を私は持っております。さすが霞が関の官僚の法律のつくり方という、ちょっと落とし穴があるような法律だと思っております。

 そういうことを考えた場合には、やはり一般職という前提にすると、幹部職員に関しては、課長以下だったら公正不偏の立場から一般職でいいんですが、政策立案の決定にかかわる幹部職員は、一般職の規制というのはやはりあるべきじゃないし、あるのは、ちょっと、なかなか柔軟な人事がしにくいなと思っております。

 これはこれでまた後ほど議論させていただきますが、降任させる場合、一般職の身分保障があるわけですから、どの程度の立証が必要だとお考えですか。

稲田国務大臣 どの程度の立証というのは、裁判になったときの立証のことを念頭にお尋ねだとすれば、今回、この法律で、要件三つ新設をしておりますので、やはりそれは個別具体的に、さらには裁判例の積み重ねになるのではないかというふうに思います。

畑委員 恐らく、一般職の規制がある以上は、立証責任は、相当程度というか完全に任命権者の方にある、これが裁判の常識だろうと思います。そういうことでいいのかどうかということを含めて、結局、私は、一般職の身分保障を外すのがやはり必要じゃないか、そういう意味で特別職化するのはいいことだと思っております。

 そこで、いろいろ議論をしたいんですが、私は、省益を考える傾向にある官僚の思考回路を変えるためには、その省の中での評価が一番のポイントになるような現行の官僚制度、人事制度はやはり変えるべきだろうと思っております。

 あるいは、幹部公務員を一元化すれば省益にとらわれなくなるという答えは、それはそういう一面の真理なんですが、逆に、しかし、先ほど、内閣人事局長が官僚OBの官房副長官であった場合で、一般職の規制がかかっていると、やはり官僚の論理は打破できません。官僚の、霞が関の論理の中で行動し、または自分の省ということではなくて、霞が関の官僚を守るような行動原理になってしまう。私は、やはりそこはかなり弊害があるだろうと思います。そのために、特別職とした方が柔軟な人事ができるようになると。そして、外部からのも含めて、柔軟な任用と退出がしやすくなるだろうと思っております。

 もちろん、やめさせる場合には、それ相応の代償措置、年金の割り増しとか退職金の割り増しが必要でしょうけれども、ドイツなんかはそうやっていますけれども、そういうことが必要である。官僚大国であるフランスでさえも、ENAなんかを出た人を登用していますが、制度上は大臣の自由任用なんですよね、官僚、局長以上は。こういうことを考えるときには、私は、やはり日本も、いきなり政治任命というのは荒っぽいんですが、この野党が出しているような特別職化というのは、私は必須だろうと思っております。その点について、一般職を外すことについてどうお考えか、大臣の見解を伺いたいと思います。

稲田国務大臣 霞が関におられた委員の御指摘ですので重く受けとめたいと思いますが、ただ、では、審議官以上全員を特別職にしてしまっていいのかということも議論をした結果、やはり国公法の大原則である能力・実績主義、政治的中立性堅持などは、幹部といえども、職員である以上ひとしく適用されるべきであり、こうした国公法の規定が適用される一般職と位置づけることが基本になるというふうに考えております。

畑委員 私は、霞が関における指定職、審議官以上は、やっているのは専門性を持って仕事をしているんじゃなくて、大体、課長、課長補佐なんですよね、専門性を持って案をつくっているのは。後ろの方に政府の人が控えていますが。それが上がってきて、審議官、局長が判断すると。やっていることは政策判断なんですよ。であれば、そこは、公平不偏なのは課長以下に求められるものであって、政策判断をする立場にある指定職としては、本当は一般職としてどうなのかなと。

 これは世界の趨勢とも違う傾向です。アメリカは猟官主義で、あれは論外だという議論もありますが、官僚大国であるはずのドイツ、フランスでさえも、イギリスでさえも、自由任用というか政治任用が主流です。もちろん、一定の実績というか資格は必要です、ドイツなんかだと。ただ、資格を持った人を名簿に載せて、今回の思想でしょうか、名簿に載せた中で、しかし、どれを選ぶかというのは、身分保障を外して、やはり政治任用なんですよ、政治任用官吏と言われているんです。だから、そうした方が内閣あるいは政治主導の人事がしやすいだろうと私は思います。

 ちょっとここを論点を変えてお聞きしたいんですが、一般職の規制があった場合に、勤務不良に当たらない場合でも降任できるかどうか。解任はどだい無理でしょうけれども。

 つまり、例えば、これは野党案だとかなりの裁量を持って降任できると思います。例えば、勤務成績が不良な場合じゃなくても、内閣の行政の遂行を最大限に効果的に行う上で必要と判断するときと。これは自民党案のときも入っていましたから。ということは、勤務成績云々とは別の観点から降任ができる。これは、要は、内閣の意向を公務員に反映させる手段を法律上講じることになるわけです。

 政権の方針に明示的に反する場合は、これは現行の国家公務員法とか人事院規則でも懲戒できますね、やめさせることができます。それは、上司の命令、服務規律違反だからです。ただ、官僚というのは明示的な違反はしませんね、政権の意向が嫌な場合でも。サボタージュするとか、明示的にならないような感じでやります。その場合には、現行の法律で降任とかやめさせることはやはりなかなか困難だろうと思います。

 一般職を外して特別職とすることで内閣の意向に従うかどうかというところは、もちろん勝手なことはできませんよ、勝手なことができないための第三者委員会という仕組みは別途必要だと思いますが、そうした上で、やはり、一般職の規制を外して内閣の意向を貫徹させるような、それこそ内閣人事主導ですから、そういうことをやるためには一般職を外した方がいいと思うんですが、今のこの法律のたてつけの中で、勤務成績以外の、内閣の行政を効率的に行う場合に必要というときには、降任はできますでしょうか。条文上明確ですからお答えはわかるようですが、ちょっとお答えいただきたいと思います。

稲田国務大臣 私は、審議官以上を全部特別職にして国公法の規定を除外するということをしなくても、能力・実績主義というのは図れるのではないかなというふうに思います。

 そして、幹部職員全員を特別職化すれば、これらの能力・実績主義とか政治的中立堅持などの原則は一律に適用除外になるわけですけれども、それが果たしていいのか。これは幹部職員の性格の根幹にかかわる問題であって、やはり慎重に議論をすべきだと思っています。

 今回の法案でも、その職責の一定の能力は備えていても、抜てき人事をするために、一ランクですけれども、降任することができる規定を新設しているわけで、私は抜てき人事も可能になるというふうに思います。

畑委員 事の本質は、降任とか抜てきではなくて、政権なり内閣の意向がより反映されるような人事制度であるかどうかだと思います。

 そういう観点からいいますときに、まさに政治的中立性との関係が非常に悩ましい論点であることは承知しております。ただ、それは、もっと、公務員であるから一律に政治的中立性だと言わないで、現行でも特別職、政治任用の職種もありますが、もうちょっと、事務次官なり局長ぐらいまでそういう政策判断をやっていますから、そこは、政治的中立性がそこまで厳格に求められるのか、やはり、そこを考えて、仕分けして、官職のことを考えるときが来ているんだろうと思います。

 国際的な、機動的な政策実現をするためには、今回もそのための改正はかなり入っているところは評価いたしますが、やはり、人事というか身分保障のところが、高級幹部であるかどうか、そこはかなり世界の趨勢からずれているところがあると私は思います。

 私は一般職の規制をやるべきでないという論者ですが、そのことはちょっときょうは議論の時間がありませんが、そういうことを申し上げておきたいと思います。

 次の質問に入りたいんですが、こういうことを言う一つの理由は、民主党の政権もあったんですが、今は自民党政権だ。では、政権に入った中で、大臣なり政務官なり副大臣がぽつんと各省に入るわけですね。ぽつんとという言い方もあれですが。その場合に、実は官僚の情報はたっぷり上がってくる。それはそれで、実は官僚の情報と別の情報を欲しいこともあるわけですね。例えば利益相反することもある。大臣なり政治家というものは、官僚の情報ともう一つの情報を客観的に両方見比べて、最後の判断をする。やはり二つか三つの選択肢がなければ、なかなか、間違いを犯すことになると思います。

 これは、ぽんと霞が関に入っていった場合、官僚は、これは官僚が悪いわけじゃなくて、官僚がやろうとしている政策は熱心で純粋ですけれども、ただ、自分の政策が正しいと思うがゆえに、その方向に誘導するというか、それが正しいという情報を上げがちであるということも事実です。だから、これは、両方照らし合わせてみれば、やはり違った観点も入ることが必要だと思っています。

 それを人事で担保するのはどうあるべきかと考えたときに、高級官僚、審議官、局長以上を政治任用にするかどうかというのが私の一つの問題意識ですが、それが、さっき言ったようにドラスチックで、なかなかすぐにはとりにくいのであれば、大臣、副大臣、政務官のサポートシステムを強化する。

 今回はサポートシステムの強化が入っております。総理補佐官、あるいは各省の大臣補佐官が入っている。ただ、そういう観点からいうと、各省の補佐官が一名でいいのかと思います。イギリスなんかだと、各大臣に二、三名の補佐官がつきますし、フランスも官僚とは別にキャビネという、要は大臣の補佐官がたっぷりつきます。

 そういうことを考えたときに、本当は、私の経験からいうと、一つの局に一人ぐらい担当するような補佐官があった方が、それぞれの分野について、よりサポート、違う観点でサポートしてもらえるなという思いがあります。各局一人だとすれば、それは局長の政治任用というところにいくわけですが、それはおいておいて、それはやめるとしても、ダブルになりますが、例えば何々局担当の補佐官というのがあってもいいのだろうか。その場合には、一名では足りなくて、やはりイギリス並みに二、三名は必要だし、四、五名あればベストですが。

 そういう思いがあるんですが、この大臣補佐官は今回一名だということの根拠と、そして、これで大臣の補佐機能充実は可能なのかというところをお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 今回新設しました大臣補佐官、今委員が御指摘のとおり、大臣の企画立案をサポートするという意味において、さっきおっしゃった、官僚の中にぽつんと行くというような、そういうイメージに対して、やはり大臣をそばで支えて、総合的、戦略的な政策判断を正しくできるようにサポートするために置くものでございます。

 ただ、この大臣補佐官を置くことについても、さまざまな議論がありました。やはり行革の観点から、行政の肥大化にならないか、また政治任用の濫用を招かないかというさまざまな議論がありました。

 そこで、大臣補佐官については、大臣が政策判断を行うに当たって、みずからを補佐させる必要が高いと判断した場合に置くことができるというふうにいたしたところでございます。また、大臣補佐官が各大臣を補佐するのに必要な範囲で、各大臣が各行政組織の一般職員に命じて補佐官をサポートさせるということもあり得るというふうに思います。予算や定員の範囲内で、民間人の必要なサポートのための人材を任用することもあり得る、そういう弾力的な運用ができるのではないかというふうに思っております。

畑委員 恐らく、一名よりふやした場合には、まさに行政経費とか、屋上屋を架すとか、そういう批判に対して、必要にして最小限というか、これが一名だというお答えだろうと思いますが、結局、これを一名置いたことで機能するかというか、お飾り、盲腸にならないことが必要で、ちょっとそこを危惧するわけです。

 これはなかなか、何人置いたらいいかというのは確かに難しい議論ですが、アメリカなんというのは、御存じのように猟官制でごそっとかわりますね。だから、そこはチームとして入っていくわけですけれども。イギリスは、議院内閣制で日本に似ていますが、猟官制はとらないかわりに大臣補佐官をたっぷり入れるということで、党と内閣の一体ということでやっている。

 結局、霞が関は敵じゃないし、使わなきゃいけませんが、チームとして使いこなせる体制が必要だという中で、副大臣、政務官がおりますが、あと大臣補佐官が一名でいいのかどうかというのは、ちょっと私も、そこはいろいろ難しいなと思っております。

 多分、大臣、そして副大臣、入られておりますが、御経験で、日ごろから官僚からのデータとか説明が来ると、かなり官僚は優秀で、緻密ないい説明をしていると思いますが、ちょっと待てよ、違う方向の意見も聞いてみたいなというところがなかなか入らないというところなんだろうと思います。

 そこで、この一名がかなり優秀で、外の有識者から官僚並みに情報をとってこられる人であればいいですが、それも一名でいいのか。さっきの内閣官房副長官の議論と同じですけれども、ここで危惧するのは、形を整理したといっても実際にはなかなかそれが機能しないで、人が少なくて、どんな優秀な人でも一人じゃ官僚の何千人分の仕事はできませんから、そこで、なかなかワークしないというか、あっぷあっぷになってしまって、結局、官僚の皆様に頼るということになってしまうというのがちょっと危惧される。

 いや、官僚を敵にしているわけではありません。官僚をうまく使うためにこそ、チームとして自分たちの考えを貫徹させる仕組みが必要だと思っているんですが、そこで一名というのはちょっと不安に思っております。これも議論は尽きませんので、次を続けたいと思うんです。

 結局、幹部候補者は、一つの論理からだけで動かないようにするためには公募が必要だということがあって、まさに公募の法文も入っております。そして、幅広く優秀な人材を集めることがあって、この幹部公務員名簿にも優秀な人材を登録していく必要がある。

 幹部職員以外の者であっても、任命権者が内閣総理大臣に推薦した者も対象となるということは、何か法律ですか、これに書いてありますが、それをどの程度入れるお考えか。

 結局、総理大臣が推薦した者が入るというのは、制度上は余地はあるけれども、実際に内閣人事局長なり内閣人事局の采配で、運用上入らないということになっては、これは制度の趣旨を殺すことになってしまいます。

 あともう一つは、採用昇任等基本方針に公募に関する指針を法律上規定していますが、どのような役職を公募しようとしているのか、そして、どれぐらいのポストを量的に公募しようとしているのか。

 恐らく、数値目標を決めるとかなり固定的になるということの答えもあって、私もそれは賛成ではありませんが、ただ、定性的に、運用上、これぐらい、こういう職種、こういう者をというのは決めておかないと人事が回りませんから、それを現段階でどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 今回の法案については、数値目標を法定しないこととしました。それは、さまざまな議論のもとで、数値目標を法定することがかえって弊害もあるというふうに懸念をされたからでございます。今回の法案では、段階的な検証と実施を行いつつ取り組むべきと判断をしたところでございます。

 基本法が求める公募による任用の推進を図るために、今回の法案では、採用昇任等基本方針の閣議決定に職員の公募に関する指針を追加することを法定しております。本法案の成立後、段階的な検証と実施を行った上で、同指針に基づいて適切に取り組むことにいたしたいというふうに思っております。

畑委員 今の答えは定性的な話で、それはそうなんですが、実は、お答えいただきたかったのは、大体、見積もりというか、この程度のものは公募にしなきゃいかぬな、その辺のお考えはまだお答えするのは難しいですか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 実際にどういったポストを公募に当てるかについては、それに見合う人材が本当に集まってくるか、あるいは、本当に内部になかなか人材がおらなくて、それ以外に人材を求める必要があるのか、いろいろな観点から検討する必要があると思っております。

 今の段階では、なかなか見積もりというのは申し上げるのは難しいんですが、いずれにいたしましても、基本法において公募による任用の推進ということが求められておりますので、採用昇任等基本方針の閣議決定の中にこの職員の公募に関する指針を追加いたしまして、政府として積極的にやっていくということかと思います。

畑委員 確かに、今の段階では難しいというお答えは、そうなんでしょうね。それは確かにそうなんでしょう。これは、ただ、公募をしっかりやって、しっかり活用していただきたいと思います。

 今ちょっと答弁で危惧したのは、それに見合う人材がいるとは限らない、いるかいないかということも含めてですが、そこは霞が関の官僚の論理で、エリート官僚の論理で、そういう人材はなかなか見つかりませんよという運用をされたら大変で、もちろん一定の水準は必要ですけれども、そこは、だから、一定の資格、公募するに当たって、公募してもいいんですが、公募の前提なのか、あるいは公募した後、選ぶ基準なのかは別として、やはりこれぐらいの資格というか能力を有さなきゃいかぬというのを客観的につくらなきゃいかぬと思うんです。客観的につくった上で、そういう人が別にいなけりゃしようがないことですね、官僚の外に。

 ただ、そういう基準を満たしていれば、これは幅広く登用するということも含めて考えなければならない。これは人事の当たり前のことですが、そういうことを、しっかり客観的基準を持って公募の話は進めていただきますようお願いいたします。

 次に、労働基本権ですね。プログラム法、改革基本法の十二条で、労働基本権については、便益及び費用を含む全体像を国民に提示して、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとすると規定されてあります。措置することを検討ではなくて、措置するものとすると。これ自体はかなり重いんですが、その前提としては、これに書いてあるように、便益、費用を含む全体像を示す。これは、要は、労働協約締結権を付与した場合に、労使交渉のためにかかるコスト、これが人事院の今のコストと比べてどうかということなんだろうと思います。

 いずれにしましても、最終的に労働基本権を付与するかどうかの前提に当たっては、この作業をしなければならないことが法律に明確に決められておる。

 結局、検証して目に見える形で国民に示すことについて、どのような工程で行うおつもりか、お伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 労働基本権を与えたときの便益、費用に関しては、私が就任した後も、私の意見交換会の中でさまざま議論がなされたところでございます。そして、大変多岐にわたる課題があり、まだ措置することについて国民の理解を得る段階ではないと判断をして、今回の法案に盛り込むことについては見送ったわけでありますが、引き続き慎重に検討する必要があるというふうに考えておりまして、現時点で具体的なスケジュールを申し上げる段階ではないというふうに思います。

畑委員 今の、現段階でスケジュールを申し上げる段階にないという答弁には私も驚きました。というのは、御存じのとおり、国家公務員改革基本法は二十年六月十三日施行ですから、必要な措置を法施行後五年以内を目途にして講ずるとなると、二十年からだと二十五年ですね。法制上の措置については、この法律施行後三年ですから、二十三年ですから、もう過ぎている。

 この条文は、何も期間内に労働基本権を与えると言っているわけじゃなくて、その便益の検証作業をしなさいと。それさえもこの三年、五年の間やっていないというのは、私は驚くべき事態だと思いますが、そこは本気で政府でこの検証をやる気があるのかどうか疑わざるを得ません。与えるためには、この法律を見れば、検証の結果でいいわけですよ、国民に示して。

 ただ、この前提というのは、しかも、議論をしていて、まだ議論のあれが煮詰まっていないと言いますが、議論じゃないんです、検証なんですよ、作業なんです。この作業をしないというのはどういうことか私は納得できませんが、今の、もう一回お答えをいただきたいと思います。

稲田国務大臣 費用、便益に関しては、さまざまな議論が今までもあったというふうに思います。

 四法案に関しては、四法案は自律的労使関係制度を措置するという法案だったわけですが、それに対して、新制度の導入により交渉コストが明らかに増加して現場の交渉に混乱を招くおそれがあるのではないか、また、協約締結権の付与に伴う便益について、抽象的ではなくて具体的に明らかにすべきである、新制度のもとで結局労使が自主決着できず、常に仲裁手続に移行するのではないかなどとさまざまな指摘があるところであり、いまだ国民の理解を得るには至っていないということであって、慎重に検討すべきだというふうに現時点では考えております。

畑委員 今の答弁は法律違反ですね。国民的な慎重な検討をして国民の理解を得るのは、それはその後のことで、検証作業なんです。これを慎重にやるというのは、やる気がないということですね。これは問題だと思います。

 それから、もう一つ。こういうことを中途半端にしていると、やはり人事院が中途半端なんですよね。人事院の機能を一部切り出していますけれども、これは、そういう議論をしないでやっていると、人事の権限がばらばらになって責任体制が曖昧だ、人事院との関係も整理されない。やはりこういうことをしっかりやらないと、行革上問題なわけです。

 だから、こういうのをほっておいて、人事権能が分散して、今回、質問しようと思ったんですが、時間がなくなりました。総務省との関係は割とすっきりされたと思いますが、人事院との関係はよくわかりませんね、これを見ていると。いろいろ理屈はありますよ、企画立案と実施権能とか。ただ、本当はこういうのは一本化しなきゃいけない話で、そこがいろいろ分かれている部分の根幹の原因がここだろうと私は問題意識を持っていることを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学です。

 本日、最後の質問になります。稲田大臣におかれましては、朝早くからお疲れさまでございます。

 御案内のように、昨日、秘密保護法案、私ども、修正法案には賛成ですが、採決のあり方に対して反対ということで本会議を退席させていただきまして、その後、ちょっと私どもとしては国会が正常化していないという状態だったんですが、この委員会につきましては、大変重要な議論が行われる場だということで、ほぼ朝一番から私どもは審議に応じさせていただいているところでございます。

 ただ、その余波で、私、官房長官に随分とお聞きしたいことがあったんですが、官房長官不在の時間とちょっと重なりまして、きょうはどこまで官房長官に対してお聞きできるか、もし十分聞き切れない場合はまた別の機会を設けていただいて、これは多分、この法案を慎重審議しろという意味なのかなというふうに解釈しておりまして、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 この法案、本日もいろいろな議論が出ております。私どもの立場は、二〇一〇年に自民党、みんなの党が提案した法案から後退しているのではないか、それとのギャップについていろいろと質問させていただいたところであります。

 ただ、公務員制度というのは、この日本の重要な国家のインフラでありますので、議論すればするほどいろいろな論点が出てくるもので、私は、この法案にも触れますけれども、この法案を提出された今の内閣の基本的な考え方というか、それについてちょっと確認をしながら、これは非常に重要な仕組みを変えるものでありますから、内閣人事局がきちんとした運営ができることを担保するためにも、いろいろ論点もぶつけてみたいと思っている次第でありますので、よろしくお願いいたします。

 まず、行政改革担当大臣ということで、行政改革というのは、私が役所に入ったときに、ちょうど一般消費税の導入が頓挫して、増税なき財政再建というのが鈴木善幸内閣のもとで進められているときに私は役所に入ったんですが、考えてみればもう三十年ぐらいですか、日本は、いわゆるネットの増税をしないで、専ら歳出削減、行政改革で財政を再建するということがずっと続けられてきた。

 今般、ようやくネットの増税となるわけなんですが、その意味で、ずっと続いてきたんですけれども、時には、国民負担を求める前にまずは官が襟を正すべきという論理で、無駄の削減ということも随分なされたわけであります。雑巾も随分絞ってきたなという感じがあるんです。

 私が財務省にいたときに、ある日、トイレに必ず置いてあるうがい器があるんですが、あれが全部封鎖されていまして、何で封鎖されているんだと言ったら、これはもしかしたら無駄だと言われるかもしれないというか、無駄という指摘があったのか知りませんが、あるいは、財務省に何十年もありました理髪店が閉鎖されたりしまして、これは公務の能率を上げるために置かれているもので決して無駄でも何でもないんですが、ちょっと行き過ぎたバッシングが随分続いたなと。

 そこまでして、とにかく歳出削減をやってきたんですが、量的に小さな政府に向けて、みんな一生懸命、どの政権もどの政党も一生懸命やってきた。

 きょう、お許しをいただいてお配りした資料がございますけれども、これは、客観的事実として見ると、だからいいというわけじゃないんですが、客観的な事実で見ると、日本は、既に量的には先進国の中でほぼ最小の小さな政府になってしまっているというのは事実でありまして、例えば、総労働人口に占める一般政府雇用の割合というのは、OECD三十三カ国の中で、たまたま韓国が一番少ないんですが、びりから二番目。それから、日本の公務員人件費が占める対GDP比が六・一%、OECD三十三カ国の中で最低ということで、これは、先進国でほぼ一番小さな政府に近い状態に量的には既になっているわけであります。

 そこで、政府も行政のスリム化、これは当然進めなきゃいけないことではありますが、今生きている計画というのは、国家公務員の定員については、平成二十二年度から二十六年度までの五年間に一〇%以上やるというのがあって、既にかなり達成しているようですけれども、総人件費については、平成二十七年度の時点で、平成十七年度における数字、総人件費の対GDP比が二分の一になるという目標も立てているわけなんですが、この総人件費の対GDP比も、先進国の中で一番少ないという状態になっているんです。

 そういった意味で、かなり量的なスリム化は進んできた。ただ、一応、目標は目標としてある。これについて、まず、そういった公務員定数や人件費ということがあると思いますけれども、今、どういうふうに量的な削減とか、あるいは本当にどうやってやるのかという点について、行革担当大臣の御所見を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

稲田国務大臣 今、基本的な認識については、委員がおっしゃったとおりだと私も思います。

 ただ、例えば今回の増税に当たっては、閣議決定の中にも行政改革に取り組むということが書かれております。それは、行革に取り組めば、歳出削減すれば増税しなくてもいいという状況ではもはやないけれども、でも、やはり増税をお願いして国民に理解をいただくためには、行政の無駄というのは排除をしていかなければならないというふうに思っております。

 それも、量的な、例えばこの公務員制度改革で幾ら人件費が削減されるかというような観点ではなくて、効果的、効率的に回していくための行政改革というのが必要であるというふうに思います。

松田委員 私も、いわゆる量的な縮減について反対するものでは全くありません。

 ただ、ここまで来ると、普通に目標を掲げて削減するという、つまり、最小の政府、世界の中でも極小の政府にするというか、多分、世界に冠たる小さな政府ということが、現実問題として、さらにやっていくとそうなると思うんですね。それというのは、そんなに簡単になかなか進まない。

 恐らく、例えば、先般成立したマイナンバー制度を使って、それを給付つき税額控除と組み合わせるということをすれば、社会保障給付の人員が相当削減されて、それで所得再分配というのが税を通じてかなりできるようになるというふうになりますと、これはかなりの行革効果があるんじゃないかという説もあるように、いわゆる行政のあり方そのものを本当に転換しないと、小さな政府から極小の政府というのはなかなか大変じゃないかなということなんですね。

 そういった意味で、我々維新の会は、大胆な統治機構の改革ということが必要だということをいつも提案しているわけであります。

 ただ、このように量的な削減がなかなか難しくなってくると、政府というのはそもそも何をする存在なのかというところから考えていかないと、何が無駄で何が無駄でないかというのも多分わからないだろうと思うわけですね。

 例えば、日本では国家公務員が足りない分野というのは物すごくたくさんありまして、例えば調達部門というのは、防衛省は、多分ペンタゴンの桁が一つ少ないぐらいしかいないという話も聞きますし、それから、これは防衛省だけじゃなくて一般の公共事業でも、調達部門の人間が少なくて、設計能力が十分じゃないのでゼネコンに丸投げしているとかいろいろな話も聞きますし、それからまた、金融関係でも、証券取引等監視委員会とか金融検査官とかはアメリカに比べて一桁少ないとか、行政のあり方を、事前のいわゆる行政指導みたいなものから事後チェック型にすると、それなりに人員が必要になったりするということがあるわけですね。

 日本は、戦後、官民協調ということで、源泉徴収制度に象徴されるように、民が官の仕事を一部請け負うことによって結構スリムな政府をやってきたという事実もありまして、それがだんだん崩れて事後チェック型になってきますと、ある意味で、量的にはふやさなきゃいけないというところも出てくるんじゃないかと思います。

 つまり、何が言いたいかというと、こういう政府、こういう統治機構にするから、無駄はここにあって、そのために改革していって、そしてその上で、公務員制度改革というのはこういう政府の機能にするためにするんだというような説明がどこまで行われているかということなんです。

 稲田大臣の趣旨説明では、我が国の課題を克服し、強い日本を取り戻すため、政府の総合的な人材戦略が急務と言っていますけれども、これは、当たり前といえば、どの時代でもどこでも通用することであって、大事なのは、永遠の真理には役に立つ結論は出てこないと言われていますが、永遠に成り立つ真理じゃなくて、今、何が悪い、特殊状況的といいますか、そういう課題というのをもっとはっきりさせた上で、そのために、今の何がおかしくて、何をどうすれば政府がこうなるから、こういうふうに公務員を変えるんだという説明をもう少しいただければと思います。よろしくお願いします。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

稲田国務大臣 委員から提出された、人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較というのがございまして、日本は非常に、国家公務員の数は決して世界に比べて多くない、少ないんだということでございます。

 だからゆえに、効率的、効果的に、公務員、少ない資源をきちんと国家のために働いていただく。そのために、今までのような縦割りの人事をやって、縦割りで人材戦略をやって、それで日本にとっていい行政ができるという時代はもう既に去っているだろう。そこを、横串を刺す形で政府一丸となった人材戦略、そして人事行政というものを行うことによって、公務員の皆さん方に誇りを持って効率的に働いていただくということが今回の目的であろうかと思います。

松田委員 公務員をどういうふうにしていくかという議論をするに当たっても、やはり共通の視点というのは、一つは、政治への応答性をどう高めていくかということと、それからもう一つは、いかに公務への優秀な人材を確保するかということかと思います。

 これはどの改革にも共通だと思いますが、その際に、例えばその国のいろいろな事情があって、労働市場なんかも国によって随分違うわけですね。そういう国情の違いに応じて、この目標も達成するし、公務員制度のあり方というのも変わってくるんだろうと思います。

 お配りした資料の下の方に、「公務員制度の設計思想 二つの立場」というのをあえて書かせていただいたんですが、このAというのは、官も民もその能力というのは共通の尺度ではかることができるんだ、官と民が相互に出入りすることが国全体としての人材活用になる。これはいわゆるリボルビングドアと言われている回転ドア、アメリカなんかではそういう考え方が基本であろうかと思います。

 それから、Bの方は、およそ官の職務というのは民間とは異なる特殊なものだ、官に奉職する者は終身公務員として生涯を公務に捧げるべきである。これはドイツ型、後でも触れますけれども、これを担保しているのが手厚い恩給制度だというのがあります。

 どっちかというとと言われても、どっちとも言えないかもしれませんが、どちらかといえば、今、公務員制度改革に当たって、どちらに軸足を置いているのか、稲田大臣の御所見をいただければと思います。

稲田国務大臣 官僚制度は、本当にその国の歴史また民族性や文化に根差したものでもありますので、今委員が御指摘の、米国型、リボルビングドア、ドイツ型、手厚い恩給と書かれておりますが、どちらなのかと言われて、どちらであるということを言うことはちょっと難しいかなというふうに思います。

 そういう意味で、どちらでもない、しかし、国家公務員制度改革基本法のもとでは、官民の人材交流を推進して、官民の人材の流動性を高めることを基本的な理念としておりまして、公務が国民に信頼され、より開かれた組織になるということを目指しているのではないかというふうに思います。

松田委員 多分、今までBのいわゆる終身公務員制度という考え方をとられていたのが、なかなか時代に合わなくなってきて、Aの考え方を相当入れなければならなくなってきた。

 ただ、そのAの考え方、官と民が出入りするという、それが成り立つためには、やはりその国の労働市場全体の問題があると思うんですね。社会のあり方、雇用のあり方、そういったものが十分流動的でなければいけませんし、それから、リボルビングドアが成り立つためには、政府の外側にいろいろなインスティテュートであるとか、行ったり来たりできるような受け皿がやはり社会になければいけない。そういうインフラがない。

 そういう社会の状態が達成されていない状態において官と民を入り繰りさせようとするとなかなかうまくいかないところがあるから、政府の法案もちょっと中途半端になってしまうのかなという面は否定できないような気がしますが、この際、政府が社会の改革を引っ張るというぐらい大胆にやってほしいというのが我々の立場であります。

 一方で、では今まで日本はどうしてきたかというと、多分、ドイツみたいな恩給はもうとうの昔に日本はないわけですから、日本は、優秀な人材を公務に確保するために、また、労働市場も流動性が高くないですから、大卒の時点で優秀な人材をプールするために、終身雇用でやって、そして、恩給はないかもしれないけれども天下りという、そういうことで優秀な人材を確保してきたという現実が、これはいいという意味じゃなくて、現実があったんだろう。

 ちなみに、資料の三枚目を見ていただきますと、これは退官後の主要国のいわゆる退職給付代替率というのが書いてあるんですが、日本の場合はほかの国に比べて退職一時金が手厚いので、それも含めて年金換算した額なんですけれども、結構、高級官僚と言われる職種の方になればなるほど、日本は低いんですね。

 恐らくこういうことも、いわゆる天下りというものが、天下りを私の言葉をかりて言うと、霞が関というのは退官後の生活保障共同体だというような状態になってしまって、それをすることが最大の目的になって、それが、省庁があっせんするわけですから、いわゆる縦割り行政というか、全ての根源になってしまったということは否定できないように思うわけですね。

 これは、私は実は、内閣委員会で先日ドイツに出張した際に、ドイツの内務省の公務員制度担当局長といろいろ意見交換したときに、ドイツはこれだけ恩給が厚ければ、いわゆる官僚をやめて再就職する人はいないんですかと聞いたら、ほとんどいませんと言っていました。何とお答えいただいたかというと、およそ公務員たるものは、公務で培った能力、知識、経験は生涯公共のためにささげるべきであって、これを民間企業の営利に生かそうというのはあってはならないことである、恩給制度があるから、ドイツの公務員は退官後の再就職など考える必要がないと言い切っていたということなんですね。

 これはこれで一つのソリューションなのかもしれませんが、しかし、これを成り立たせるためには、恩給を充実させるという、これは公的な負担をしなければいけない。

 ですから、本当に流動的な労働市場まで社会の改革を進めるか、あるいはその負担を覚悟するのかということがなければ、多分、いわゆる天下り問題を解決するというのはなかなか難しいのかなという面も否定できないように思います。

 こういったいろいろな議論をした上で、かつて役人の天下りというのは、とにかく天下りはけしからぬといっていろいろな規制をしてきた。在職中関係のあったところに四年間行っちゃいけないとか二年行っちゃいけないとか、そういうのがあった。今はそういうのはなくなって、事前規制がなくなって、再就職した後、役所にいろいろな働きかけをしちゃいけない行為規制に変わっているんですが、これは、あっせんをしなければ、再就職というのは本人の実力でいいというふうに政府として考え方を割り切ったということなんでしょうか。その辺についてのお考えをいただければと思います。

稲田国務大臣 縦割り行政の弊害を排する、そして省庁のゼッケンを外してもらうためには、各省庁が退職した後の再就職先もあっせんをして、そして、してくれるという保証があれば、常に出身省庁の方を向いて行政をする、そして、今言っている縦割り行政の弊害というのはなくならないんじゃないかという御指摘、私もそのとおりだと思います。

 そういう意味において、第一次安倍内閣では、公務員制度改革というのを非常に大きなテーマとして掲げている第一次安倍内閣において、公務員の再就職に関して、平成十九年の改正で、癒着につながりかねない行為、すなわち省庁のあっせんとか働きかけによる再就職を直接的に規制して、先ほど来議論があったように、監視体制、再就職等監視委員会も整備をしたところでございます。

 公務員みずからが自分の能力を高めて自分の実力で再就職すること、それは禁止をしていないものだと考えております。

松田委員 そういう意味で、先ほどの二つの設計思想のAの方に、以前に比べてぐっと一歩近づいているなという感じがします。

 ただ、結果として、本人の持っている能力というのは、結局、自分がやってきた行政分野の能力ですから、どうしてもそれに近いところに再就職してしまうと、結果として天下りだと言って批判されるケースが非常に多くて、また、それを政治も気にして、あの人は、財務省の人が続いているからやめさせろみたいな圧力をかけるとか、いろいろな話があって、たまたまそういうめぐり合わせで行った人も同じいわゆる天下りという悪いことをしているというふうに見られてしまうというのは、ある意味で人材の活用の上でいいのかどうかという議論はあろうかと思いますけれども、その辺をこれからどうするかというのは大きな課題だろうと思います。

 ところで、私ども日本維新の会は、維新八策で、公務員を身分から職業にして人材流動化ということをうたっています。これは、私、非常に大事なテーマだと思っています。いわゆるさっきのAの設計思想にしていくには、職業として誇りを持つということであって、身分ではないということだと思うんですね。

 その際に、では職業として誇りを持つというのはどういうことかと考えますと、実際の問題はやはり専門性なんですね。自分が公務員であることに誇りを持ちたいから公務員になるんだという人、そういう人ばかりで本当にいいんだろうか。公務員という身分と誇りではなくて、自分のやっている、例えば自分は金融とかマネーに興味がある、その分野で自分は専門知識を磨き、国のために役に立ちたいし、あるいは社会に貢献したいという人が、時に役所に勤めたり、時にビジネス界にいたり、時に学界やシンクタンクにいる。多分、アメリカはそういう国だと思うんです。

 そういう人は、プロフェッショナルという言葉というのは私は大事なこれからの考え方だと思うんですが、今までゼネラリストかスペシャリストかという定義なんですけれども、恐らくプロフェッショナルというのが日本には各界にも少ないんじゃないかなとつくづく思っているんです。

 これは、組織を超えたいわゆる使命感とか、あるいは世界共通の学問体系とか、よくプロトコールという言葉を言うんですが、そういったものに基づいて独自の価値を社会に生み出していく、つまり、組織の中とか外とか無関係に社会に価値を生み出していく。そういうところにいわゆる知的な人たちが生きがいを感じていく、そういう社会に日本もだんだんなっていけば、さっきの設計思想Aのソリューションが出てきて、そういう人たちの能力が評価される、社会全体が変わっていけば、公務員の問題も大きく解決に進むんじゃないかと思います。

 その際、やはりプロフェッショナルというのは、もともとプロフェッショナルという言葉は、プロフェスという、信仰を告白するという語源だそうでして、西欧では聖職者とか弁護士とか医師がその典型的な職業だと言われているんですけれども、その分野の使命を果たすために、社会に対して何かを発信していくとか価値を創造するという職能集団なんです。

 公務というのも、今までは、省益という組織を中心とした専門性とか能力発揮というのがあったわけですね。これからは、まずそういうことじゃなくて、プロフェッショナリズムを軸にした専門性、能力発揮ということにやはり転換せざるを得ないのかと。

 多分、これは公務だけじゃなくて、いわゆる民間の企業もそうで、社畜という言葉がありますけれども、会社だけに全てを依存して、会社をやめたら何の能力もない、それではいけない。自分がこういうことをやりたい、だから人生のこの時期にこういう会社に勤めるんだ、そういう人材像にだんだん転換していかなければいけないんじゃないかということは、我が党の中でも議論しているところなんですね。

 そうなってくると、いわゆるプロフェッショナルのプロフェッションとして、公務員という身分じゃなくて、例えば、マネーとか金融とかに興味を持つ人は、金融庁とか財務省とかその辺、あるいはそのコミュニティーを中心に行ったり来たりするようになってくるとなると、そういう人、いわゆる専門性とそれから政治に対する応答性というのをいかに両立させていくのかというのが、次の課題になってくると思うんですね。

 内閣人事局ができた場合に、それぞれの行政分野で、餅は餅屋のプロフェッショナル人材をしっかり育成していくという視点をどのように盛り込んでいくおつもりか、ちょっとお聞かせいただければと思います。

稲田国務大臣 内閣人事局を設置して、幹部候補育成課程というものを新設したのは、まさしくそういう専門性を身につけた上で、さらに大きな視点というものも身につけ、政府全体としての総合的な観点から企画立案のできるような幹部候補を育成していこうということでございます。

 具体的には、内閣総理大臣が定める統一的な基準のもとで、各大臣が、一定の勤務期間後に、本人の希望及び人事評価に基づいて随時選定をして、比較的若い年代から、専門性の向上を目的とした研修やその向上に資する勤務経験も含め、各種研修や多様な勤務経験の機会を付与することによって、幅広い視野、マネジメント能力等とともに、行政の専門家としての各府省の所掌分野に係る高い専門性についても身につけていくことになろうかと思います。

松田委員 それはよくわかるんですけれども、実際、プロでなければプロの能力は見抜けないというのもあるんですね。

 それを、今度、内閣人事局が相当いろいろ人事に絡んでくるわけですが、例えば、三年から五年ぐらい先に、この分野でこういう課題が起こるだろうと。その課題に対して、そのときに、こういう人を局長に据えて課題に当たらせよう、そのためには、その前にこういう人事をしていかないといけないなと。こういう人事戦略というのは、各省庁がそれぞれプロの目で、その政策をよくわかった人たちが持ちながらやっている。実際やれているかどうかわかりませんが、本来そうあるべきなんですね。やっている例もあると思うんです。

 それが本当にこの内閣人事局でうまくできるのかどうかという点については、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 プロでなければプロの資質が見抜けない、まさしくそうだと思います。そういう意味において、各省において幹部候補になり得る人を選定する。そして、その上で、大きな視点から、さまざまな、教養を含め、企画立案能力というものを身につけるということでございます。

松田委員 内閣人事局はいろいろ大変な仕事をしなければいけないと思いますので、ぜひ、そういう点も留意していただければと思います。

 官房長官にお越しいただきましたので、官房長官にいろいろと御質問させていただければと思います。

 私、プロフェッショナルというのが新しい公務員の人材像だという話を、今、稲田大臣としていたところでございます。このプロフェッショナルということ、やはりプロフェッショナリズムということに、恐らくやる気のある人はやりがいを求めていく。それが、内閣人事局という仕組みで本当にうまくいくのかどうかという話を今していたところなんです。

 ただ、日本で今、各省庁ごとに専門性があるといいながらも、本当にこの専門的能力が高いかどうかというのは、実は、いろいろな疑問も呈せられているところなんですね。と同時に、かなり政治化している。政治にすり寄って、そして非常に政治の影響を受ける。いわゆる猟官運動と言ったらあれかもしれませんけれども、そういう傾向というのは、昔に比べて大分進んでいるんじゃないかなという気がしないでもないんですね。

 そういった意味で、今度の法改正で、新しい内閣人事局という組織をつくって、幹部職公務員をリストに入れて、官邸の人事権を法定化するということで、今進んでいる政治化、既に十分、官邸の意向といいますか、例えば、菅官房長官がけしからぬと言った局長は多分局長になれないと思うんですね、今でも。それが、本当に実態にどういう変化が起こるのかについて、ちょっとお聞かせいただければなと思います。よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 今回の人事は、まず、大臣のところで考え方を整理し、そこから官邸に上がってきて、そこで官房長官、総理で相談した中でまたもう一度大臣に話を戻して、その中で最終的に決めるという形になります。

 いずれにしろ、やはり委員も官僚御出身ですから、よく理解した上の質問だと思いますけれども、特定の偏った人事というのは絶対やるべきじゃないというふうに思います。最初の段階で、客観的に見て、やはりこの人はそうだという人の中から幹部をというのは、私は、えりすぐられて、選ばれていくんだろうというふうに思います。

 そして、客観的にそうした人事を行うと同時に、やはり官邸の意向というものも理解をしてもらう人でなければだめなものですから、そうしたものも十分考慮に入れた人事というものを行っていくことによって、私たち政権の目指す経済政策だとか、安全保障、外交政策、そういうものがスムーズにいく、このように思います。

松田委員 今、いわゆる幹部職員の選考というか、適格な人という、この適格性を審査するということになるそうなんですが、およそ幹部職公務員、例えば局長とか審議官は、各省庁でそれなりに経験を積んできて、衆目の一致するような人が局長なり次官になってきている。能力的には、まあまあ、そんなに劣るような人というのは余り考えられないわけですね。

 その際、適格性というのは何を指すのか、どういうことを想定しているのか。例えば、今までいろいろ官房長官も政治をやられて、あの役所のああいう人がこういうことだったから、あいつは不適格だ、だからそういうやつは外すべきなんだという、具体的にどういうような今まで不都合があったのか、それをどういう角度から是正して、この適格性審査というのがそういうことに使われるのかどうか、それについてお答えいただければと思います。

菅国務大臣 まず、先ほど申し上げましたように、各大臣のところで人事評価というのが行われますよね。そこから官房長官のところに上がってきて、そこで適格性の審査という形になるわけですけれども、そういう中で、不適格者がいたらどうだということでありますけれども、これまで不適格者が、個別の人事例について御質問があれば、コメントは適当ではないと思いますけれども、これからの新しい時代に応じた新しい公務員制度として、幹部公務員の一元化の仕組みを具体化したときには、やはり能力・実績主義に基づく的確な人事というものを大胆に実行していきたいというふうに思います。

松田委員 その際、くれぐれも運用が恣意的に、恣意的になってしまいますと、これは恐怖政治になってしまって、役人がかえって国益のためにということが言えなくなってしまうというか、私はそっちの方がちょっと気になることではあるんです。

 省益ではなく国益というのは今回の改革の趣旨だと思いますが、ちょっとこれは通告していないお話で、菅長官の御感触で結構なんですが、いわゆる私の出身省庁の財務省というのは、あるいは旧大蔵省というのは、常に悪役であったわけですね。予算を削り、税を取って、みんなが嫌がることをする。でも、この悪役がいなければ、また一方で民主主義というのはなかなか回りにくいというのは、イギリスの知恵だと聞いたことがありまして、イギリスの大蔵省というのは他省庁とは違う扱いになっていて、第一大蔵卿が首相で、第二大蔵卿が大蔵大臣だという話も聞いたことがあるんですね。だから、これは長年のイギリスの知恵だ、悪者をつくった方が政治はやりやすいんだということなんです。

 例えば財務省の論理という言葉、永田町の論理というような言葉もありますが、財務省の論理というのは、あれは財務省の論理だというのは非常に悪いイメージでよく語られる。そのときの財務省の論理というのは、彼らは多分財政の健全化ということで言っているわけなんですが、その論理というのは、彼らは国益で言っていると思うんですね。それを省益と言って、例えば適格性審査のときに、あいつは財務省の論理ばかり言うやつだからだめだとか、そういうことはあり得るのかどうかについて、ちょっとお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 私が官房長官ですからいろいろなことを想像されるんでしょうけれども、実は、そこはやはり、人事の責任者になったら、公平また客観的にやらなきゃだめだというのは当然のことだろうというふうに思います。

 特に、財務省の今のお話がありました。私はこれは公言していますので、お話しさせていただきます。例えば、私たち安倍政権が誕生しました。安倍政権でいわゆる三本の矢、その中で、大胆な金融政策、無制限の金融緩和、思い切って総理は行いました。いわゆるそのブレーンというのは、よく新聞紙上に出ています本田さん。この方も財務省出身の方でしたけれども、国際畑の人です。あとは浜田教授。こうしたお二方が政策ブレーンでありました。このお二方の政策ブレーンの考え方と日銀、財務省の従来の考え方は明らかに違っていました。

 しかし、これはかなり議論をしました。結果的に、判断をするのは政治ですから、責任をとるのも政治ですから、今回は、かんかんがくがくの大激論の末、日銀総裁にも、黒田さん。この方も財務省御出身でしたけれども、アジ銀の総裁当時から無制限な金融緩和論者でしたから、そういう形の中で任命をして、この三本の矢になったんですね。

 しかし、財務省は財務省で、そこは自分たちの従来の考え方がありますから、そこは徹底して財務省と議論をしました。しかし、その結果として、私は財務省を全く責めていません。

 さらに、あるいは、今度、消費税引き上げについても、財務省は国益を考えて、まさに消費税を八%、何が何でも上がる、既定路線みたいな考え方でした。しかし、私たちは、やはりデフレ脱却というものを十五年ぶりにできる状況をこのアベノミクスによってつくり出すことができましたから、そこでも大激論をしました。

 しかし、私は、総理を初め、そういう中で、麻生財務大臣を中心にそうした論陣を張るというのは国益のためにかなう。ただ、方向性は、決定をしたらやはりそれに従ってもらう、こういう議論が政権では行われてきました。私は、そのことは大事だと思います。

松田委員 まさにそうなんですね。

 それぞれの省庁が省益でやっている、言っている場合も多分多いと思うんですが、やはり国益を考えて言っている場合も結構あると思うんですね。それを、あそこは省益だと言って、十把一からげに悪であるように言うような傾向がこれから強まらないかどうかということを、やはりいろいろ国益の主張が同じ政府内でぶつかり合いながら、最終的に、その議論の結果、総理が判断してリーダーシップをとっていくということが、その過程では、自分の信じることを言う公務員というのはやはり必要だと思うんですね。

 たとえ総理の耳に痛いことであっても、これが正しいと思ったら言う、そういう幹部公務員というのもきちっと確保していかないと、やはり危ない方向に行くんじゃないかなと。くれぐれもその点についてはお願いしたいなというふうに思っております。

 それから、ちょっと違う質問になるんですが、官民の人事交流を進める、これが今回後退しているというのは、目標設定がないとか、我々も言っていることなんですけれども、実際に、官民の人事交流等はどんどん進めるべきだと思いますが、では、民間の人が役所に来て、どういうところで実際働けるのか。恐らく、官と民の共通の尺度で能力がはかれる分野というのは割と限られているという気がしないでもないんですね。

 例えば、実際の役人の一番重要な仕事というのは、恐らく政治やあるいは各省庁との調整というものですね。これは多分、その人がずっと長い間役所でキャリアを積んで、いろいろなネットワークを築きながらつくってきた能力でもあるので、これをいきなり民間の人にやらせるというのは、多分そういう職種には向かないような気もするんですね。小泉政権のときに、各省庁から優秀な秘書官が集まって、彼らが調整していろいろなことが進んだという話も伺っています。

 そうなってくると、やはり民間ができる分野というのをかなり積極的に、ここはできるというふうに決めていって、そこでは役人よりも明らかに優秀な民間の人がいるんだから、そこはやっていくというところを出していってやっていくしかないのか。

 その一つとして、今度、NSCが設立されるんですが、よく言われているのが、外務省とか防衛省の情報が行くだけで、では外務省はちゃんと情報をとれているのかと。これは外務省に失礼かもしれませんが、商社の方がよっぽど情報を持っているとか、二次情報しかない、一次情報を持っていないとか、いろいろ言われているわけですね。

 アメリカ等からの情報が漏れないようにするということで、情報がとれやすくなるというのは確かにそうなんですが、私も、財務省で麻薬の密輸摘発の仕事をしていて、国際的に情報交換するという仕事をやっていたんですが、あのときに痛感したのは、日本がやはり情報がなくて、ギブ・アンド・テークなんですね、情報というのは。だから、日本が情報を持っていないというと、やはり向こうもなかなか本物の情報をくれないというんですか、そういった意味で、なかなか難しいと言われていますが、ある程度諜報機能というのをやはりつくらないと、せっかくNSCをつくっても難しいのかなという気はしています。

 ただ、ヒューミントをいきなり育成するというわけになかなかいかないというのは事実なので、ただ一方で、民間には結構、あちこちの海外といろいろなネットワークを持って、草の根で活躍している人はたくさんいるんですね。そういう人をうまくヒューミントで使っていくとか、それこそ民間の人材の活用になるんじゃないかと思いますが、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 きょう、このNSC法案が参議院で可決をし、ようやく成立いたしました。

 まさに、この国家安全保障局が機能していく上には、さまざまな情報を収集し、そこで集約をしたものを分析して、政策を企画立案し、そして総合調整をやる。そのためには質の高い情報が大事でありますから、そういう意味において、委員から御指摘がありましたけれども、民間からも、そうした専門的な情報収集ということも、これは極めて大事だというふうに思っています。

 現在、政府においては、内閣情報分析官として採用している方がおります。それは、民間の知見、そして経験、そうした専門的なものを生かす中で、今、現実的に情報収集に取り組んでいただいている方がおります。

 これからも、情報コミュニティー内の人的体制をしっかりとしたものにするためには、そうした民間の方の経験とか知見というのも必要だというふうに思っていますので、そこはしっかりと対応していきたいと思います。

松田委員 どうもありがとうございました。

 この公務員制度というのは、非常にたくさんの複雑な変数が並んだ連立方程式で、こっちを立てればこっちが立たずという、いろいろな相矛盾する設計思想がぶつかり合う面もあると思うんですね。そこの中を、やはり、どういうふうに日本を持っていくのかというところから、その手段として公務員制度を考えていく。

 そういう意味で、我が日本維新の会は、将来的に、統治機構の改革ということをうたっている。統治機構の改革をするためには、やはり総理がリーダーシップを発揮しやすい公務員制度に、いわゆる人事局というところに集約していくというのも一つの考え方ではないかな。そうする上ではもうちょっと足りないなという点はありますけれども、この基本的な方向は賛成であります。

 一方で、さはさりながら、いろいろ複雑な問題もありますので、例えば、プロフェッショナリズム、専門性を尊重するとか、余り恣意的な運用をして、役人を、俺が俺がという風潮を、とにかく官邸から気に入られることだけが自分の存在の源泉みたいになってしまったら、これは、戦前、日本が戦争に突入したのがまさに猟官システムだったという、それが戦後の人事院制度になったというような指摘もある中で、そこを、人事院の機能を少しずつ下げていくのであれば、内閣人事局はしっかりとその辺も見ながらやっていただくということを私から強く申し上げまして、まだちょっと時間がありますけれども、私の質問を終わりにさせていただきます。

 本日は、どうもお疲れさまでした。ありがとうございました。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、明二十八日木曜日午後一時二十分理事会、午後一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十五分散会


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