衆議院

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第11号 平成25年11月29日(金曜日)

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平成二十五年十一月二十九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      石川 昭政君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝沼 栄明君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    桜井  宏君

      新谷 正義君    末吉 光徳君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      牧島かれん君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    田沼 隆志君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      國重  徹君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

      村上 史好君

    …………………………………

   議員           後藤 祐一君

   議員           中田  宏君

   議員           大熊 利昭君

   議員           渡辺 喜美君

   国務大臣

   (公務員制度改革担当)  稲田 朋美君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   総務副大臣        上川 陽子君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      原  恒雄君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局長)       宮島 守男君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長)         川淵 幹児君

   政府参考人

   (内閣法制局第三部長)  松永 邦男君

   政府参考人

   (人事院事務総局総括審議官)           永長 正士君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            千葉 恭裕君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 上村  進君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 笹島 誉行君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  豊田  硬君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十九日

 辞任         補欠選任

  小松  裕君     勝沼 栄明君

  田所 嘉徳君     桜井  宏君

  中谷 真一君     田畑 裕明君

  遠藤  敬君     田沼 隆志君

  浜地 雅一君     國重  徹君

  大熊 利昭君     佐藤 正夫君

  赤嶺 政賢君     塩川 鉄也君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     小松  裕君

  桜井  宏君     末吉 光徳君

  田畑 裕明君     中谷 真一君

  田沼 隆志君     遠藤  敬君

  國重  徹君     浜地 雅一君

  佐藤 正夫君     大熊 利昭君

  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  末吉 光徳君     石川 昭政君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     牧島かれん君

同日

 辞任         補欠選任

  牧島かれん君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

十一月二十九日

 戦時慰安婦問題の最終解決を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三五八号)

 TPP交渉からの撤退に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三五九号)

 同(笠井亮君紹介)(第三六〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三六一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三六二号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三六四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三六五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第三六六号)

 日本農業と地域経済、暮らしと雇用を壊すTPP交渉から撤退することに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第三六七号)

 全ての子どもの権利が保障される保育制度・子育て支援策の実現に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第三六八号)

 暮らし・農業・地域を破壊するTPP交渉からの撤退を求めることに関する請願(志位和夫君紹介)(第四三九号)

 TPP交渉断念に関する請願(志位和夫君紹介)(第四四〇号)

 レッド・パージ被害者の名誉回復と国家賠償に関する請願(志位和夫君紹介)(第四四一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外三名提出、衆法第一〇号)

 幹部国家公務員法案(渡辺喜美君外五名提出、衆法第一五号)

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(津村啓介君外四名提出、衆法第一六号)

 国家公務員の労働関係に関する法律案(津村啓介君外四名提出、衆法第一七号)

 公務員庁設置法案(津村啓介君外四名提出、衆法第一八号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案並びに渡辺喜美君外三名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、渡辺喜美君外五名提出、幹部国家公務員法案、津村啓介君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案、国家公務員の労働関係に関する法律案及び公務員庁設置法案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部事務局長宮島守男君、内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長川淵幹児君、内閣法制局第三部長松永邦男君、人事院事務総局総括審議官永長正士君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、人事院事務総局人材局長千葉恭裕君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、総務省大臣官房審議官上村進君、総務省人事・恩給局長笹島誉行君、防衛省人事教育局長豊田硬君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若井康彦君。

若井委員 おはようございます。民主党の若井康彦でございます。

 きょうは、対案提出者の方々にもいろいろ御質問させていただきたいと思います。

 質疑の方も大分回数を重ねまして、大変に論点がいろいろ明らかになってきていると思いますが、そんな中で幾つか大変注目すべき指摘もございました。

 まず、本題に入る前に、大臣にちょっとこの間のことについて御感想をお伺いしたいと思うんです。

 先般の質疑の中で、我が国の公務員の数のお話が出ました。国家公務員六十四万人、地方公務員二百七十七万人、合計三百四十一万人で、これは国民に対する比率でいうと三・六%だ。ほかの国と比べて、この比率は決して高い方ではないといいますか、むしろ、フランスの半分以下、アメリカに対しても半分に達しないという数であります。

 この公務員の数について、率直に大臣はどんな御感想をお持ちでいらっしゃるでしょうか。

稲田国務大臣 前回の質疑の中で、松田委員から提出をされた各国の比較表がございました。私もその比較表は今までも何度か見たことはあったんですけれども、改めてこの委員会でも提示をされたわけであります。

 それを見ますと、各国に比較をして、国民一人当たりといいますか、公務員の数が必ずしも多いというわけではないというふうに思います。

若井委員 私も大臣と同じような感想を抱いたわけでございますが、今回の国家公務員法の改正という課題の中で、そうしますと、問題は、国家公務員の量的な側面というよりも、むしろ今、この三百四十一万人、国家公務員でいうと六十四万人ですが、この人的資源を時代に合わせてどのように上手に組みかえていくのか、時代に合ったものにしていくのかというところに今回の改正の主眼があるのではないか。このことはお互いに確認ができるのかななどと思っている次第でございます。

 済みません、ちょっと最初から脇にそれましたが、本題に入らせていただきたいと思います。

 まず、この国家公務員法の改正ですが、いわゆる基本法との関係について何点か確認をしておきたいと思います。

 六月二十八日の「今後の公務員制度改革について」において、平成二十一年度の麻生内閣時に提出した法律案を基本として制度設計を行うというふうにされていたわけですが、今回の法案は、この観点からしますと、内閣人事局への事務権限等の機能の移管というような面で相当に相違するということになっているというふうに思わざるを得ない。

 そこで、先般、人事院総裁がお見えになって、お答えいただけていないと思うんですけれども、二十一年の法案が提出された際に、人事院からは、総理に対して意見書が提出をされました。その内容、その論点の主たるところはどこであったのか、改めて確認をしたいと思いますけれども、お願いを申し上げます。

永長政府参考人 事実関係についての御質問でございます。事務方から答弁させていただきます。

 二十一年法案におきましては、内閣人事局設置に当たりまして、人事行政の公正の確保、それから労働基本権制約の代償機能の確保のための必要な措置がとられないまま閣議決定をされるということになりましたことから、人事院としての見解を取りまとめまして、内閣総理大臣に対し意見書を提出したものでございます。

 この意見書におきましては、二十一年法案、全体の奉仕者たる公務員の人事制度の基本理念を実現するにふさわしい人事行政機関のあり方について、十分な検討を尽くさないままに根幹的な国家公務員制度の転換を行おうとしていることについての懸念が述べられ、その上で、具体的には、任用の基準設定、採用試験それから研修の企画立案に関する機能を、これまで担ってきた独立第三者機関である人事院から移管することについて、公正性の観点からの懸念、それから、級別定数の設定、改定などに係る機能を使用者たる内閣総理大臣に移管することについて、労働基本権制約の代償機能が損なわれるとの懸念などが述べられているところでございます。

若井委員 今のお話は、今回の法案を作成する上で非常に大きな影響を及ぼしているのではないかと私などは思うわけですけれども、今回の法案において、今おっしゃられたような課題というものは克服をされていると考えていらっしゃるのか。総裁、お伺いをしたいと思います。

原政府特別補佐人 おはようございます。

 人事院は、今回の国家公務員法改正案に関しまして、人事行政の公正の確保と労働基本権制約の代償機能の確保、先ほど総括審議官が答弁いたしました主な二点でございますが、そういった公務員制度の根本にかかわる機能を低下させるべきではないという立場から、これまで国家公務員制度改革事務局と意見交換を重ねてきたところでございます。

 その結果、今回の法案では、人事行政の公正の確保と代償機能の確保に支障が生じないものと判断をしたところでございます。

 具体的に申し上げますと、人事行政の公正の確保という点につきましては、そのために必要となる基準は今後とも人事院が定めることとされており、また、採用試験や研修につきましても、必要な機能は人事院が担うこととされていることから、人事行政の公正の確保に支障は生じないものと理解してございます。

 級別定数につきましては、組織管理の側面がある一方で、勤務条件の側面を有するものであることから、その設定、改定に当たりましては、労働基本権の制約のもとでは代償機能が適切に発揮される必要がございます。級別定数の設定、改定は内閣人事局が所掌することになりますが、今回の法案におきまして、職員の適正な勤務条件の確保の観点からする人事院の意見を聴取し、これを十分に尊重するものと法定されるところでございます。

 その運用面につきましては、各省要求に始まる予算編成過程におきまして、人事院が労使双方の意見を聴取して作成した設定、改定案を意見として内閣人事局に提出し、内閣人事局がそれに基づいて級別定数の設定、改定を行っていただくことが基本になるものと考えてございます。これによりまして、労働基本権制約の代償機能が確保されることになると考えているところでございます。

 いずれにしましても、私ども人事院といたしましては、今後とも、政令の策定や運用に当たりまして、人事行政の公正の確保あるいは労働基本権制約の代償機能の確保がなされるように十分留意してまいりたい、かように考えているところでございます。

若井委員 今総裁のそのようなお答えでしたが、これは、具体的に例えば級別定数設定等を行う段になりまして、内閣人事局が決定をするその内容と具体案が異なる場合が出てくるのではないかというふうに推察をするわけですけれども、その場合にどちらが優先をされるのか。大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 人事院の意見を十分尊重しつつ、内閣において、総理大臣において、人事局において決定するものというふうに承知をいたしております。

若井委員 人事院、いかがですか。

原政府特別補佐人 先ほども申し上げましたが、級別定数の設定に当たりましては、代償機能が十分に果たされる必要がございます。そういったことから、内閣総理大臣は、職員の適正な勤務条件の確保の観点からする人事院の意見について、十分に尊重するものと法定されてございます。そういったことで、人事院の意見に基づいて実施されるものと考えている次第でございます。

若井委員 何か雲をつかむような議論で、これは具体的にどういうふうに進めていかれるのかよく理解できないわけですけれども、この点については、さらに今後の審議でより具体的に明確にしていくことを求めたいと思います。

 次の論点に移りますが、大臣、自律的労使関係制度についてでございますが、これまでもILOが八次にわたる勧告を我が国に対してしているわけですけれども、これについて、この間、ありていに言えば具体的な返事をしないで来たというふうに考えられるわけでございますけれども、今後どのような対応をしていくのか、特に、この法案、審議が行われておりますけれども、これについてILOとの対応はどんなものにしていくのか、その点についてお伺いをしたい。

稲田国務大臣 平成十四年以降のILOから日本政府に対する勧告は、基本的に、公務員制度改革について、関係者と十分話し合うこと、また改革の進展について情報提供を続けることを要請しているというふうに認識をいたしております。

 このILOの勧告を踏まえて、本年二月より開催している今後の公務員制度改革の在り方に関する意見交換会では、自律的労使関係制度についても議題とし、労働組合側も含む関係者からヒアリングなども行っているところです。また、職員団体とは、六月末の公務員制度改革推進本部決定に当たり、また九月下旬から法案提出まで、私も含めてさまざまなレベルで意見交換を重ね、御理解いただけるように努力をしてきたところでございます。

 引き続き、関係者との意見交換を行うとともに、ILOに対しても適時適切に情報提供を行ってまいりたいというふうに考えております。

若井委員 この間、一貫してこれについては具体的な対応をしてこなかったということが、今の御答弁の中でもうかがい知れるわけですけれども、今回のこの法案の質疑の結果に基づいて、ぜひ今回は、このILOの意見に対して、しっかり理解ができるような対応をしていただきたい、このことを申し上げたいと思います。

 それでは、対案の提出者の皆さんに、この問題に関連をいたしまして幾つかお聞きをしたいと思います。

 まず、民主党の提出者にお聞きをいたします。

 自律的労使関係に関する公務員制度改革基本法十二条では、「協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」とされているわけでございます。

 民主党は、この十二条を踏まえた、労働協約締結権を回復する労働関係に関する法律案を提出してきました。民主党が与党時代に締結権を回復する法案をつくるに際して、先ほど指摘をいたしました、便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解を得たとお考えになられるでしょうか。

後藤(祐)議員 お答え申し上げます。

 民主党政権下では、この基本法十二条の趣旨を踏まえまして、平成二十三年四月五日に、国家公務員制度改革推進本部において、「国家公務員制度改革基本法等に基づく改革の「全体像」について」を決定、公表し、既に国民への提示という義務を果たさせていただいているところでございます。

 これに基づいて、その後、労働協約締結権を回復する関連四法案を提出させていただいているところでございます。

若井委員 今回の法案の提出に関してですが、稲田大臣、今と同じ問いですけれども、便益及び費用を含む全体像を国民に提示しているのか。今のプロセスでは、基本法十二条についてはほとんど無視されているのではないかと思うんですけれども、どのような見解をお持ちなのか。

 そして一方で、これに基づいて国民の広い理解が得られたかどうかという点ですが、ここについては、数値によってあらわされるようなものではないので、いろいろな判断はあり得るわけですけれども、国民に便益及び費用を含む全体像を提示するということは政府の義務だと思いますけれども、どのように対処していかれるのか、その点について御見解をお願いいたします。

稲田国務大臣 自律的労使関係制度の措置に当たっては、新たに措置する制度について、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示する必要があるというふうに基本法十二条は定めていると思います。

 そして、自律的労使関係制度については、民主党政権下の平成二十三年六月に国会に提出された国家公務員制度改革関連四法案が廃案となっております。また、その後の状況、環境の変化を踏まえれば、多岐にわたる課題があって、引き続き慎重に検討する必要があるのではないかというふうに思っております。

 このため、便益及び費用を含む全体像を国民にお示しする段階ではないというふうに考えております。

若井委員 この法案を議論するに当たって、実は、この二年余りの間に、あるいは自公政権になってから、これを提示した上でこの法案の質疑に入るべきだと私は考えるわけです。

 その点に関しまして、民主党の提出者にお聞きをいたします。基本法十二条に基づく国民への提示は法律上の義務ですか、あるいは違いますか。

後藤(祐)議員 先ほどお答えいたしましたが、これは基本法十二条に基づく義務だと考えております。

 我々は、それに基づいて民主党政権のときに労働協約締結権を回復する法案を提出いたしましたが、残念ながらこれは廃案となっておりますので、自公政権になってからはこの義務が果たされていない状態に戻っているというふうに認識しております。

若井委員 同じ質問を維新の会の提出者にお伺いしたいと思います。

中田議員 お答え申し上げます。

 他の提出者からも今答弁がありましたように、法文を素直に読んでいく限りにおいては、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像、これを国民に提示するということについては、基本的には政府の法律上の義務だというふうに考えております。

若井委員 みんなの党はいかがでしょうか。

大熊議員 お答えを申し上げます。

 これまでもございましたように、十二条は、「政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益及び費用を含む全体像を国民に提示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」と明記しております。

 さらに、基本法の第四条により、これは五年を目途に必要な措置を講ずるというふうに明記しているところでございまして、五年をとっくに経過しているのではないかというふうに承知しております。

 以上です。

若井委員 各対案の提出者におかれては、基本法十二条に基づく国民への提示は法律上の義務だということでありますが、稲田大臣、先ほど、これはまだできていないというお答え、再度確認しますが、それでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 そういうことでございます。

若井委員 では、その点は確認をいたしました。

 次に、本題でございますけれども、自律的労使関係のコアになっております労働協約締結権、これについてお伺いをしたいと思います。

 民主党の提出者にお聞きをいたしますけれども、労働協約締結権がないというこの現状に比べまして、これを回復した場合、どのような意義がそこに生まれるのか、その点についてお聞きをしたい。

後藤(祐)議員 多様な、しかも重要な意義があると考えております。

 まず、権利の観点から申しますと、まず憲法二十八条の労働三権のうち労働協約締結権を回復する、これは、基本的人権を回復するという大変大きな意義があると考えますし、先ほども話がございましたILOの累次の勧告、報告といったものに対する明確な日本としての義務を果たすということにもつながっているものだと考えます。

 また、労使の責任の明確化という意義も大きいものだと考えます。現行の体制に比べて、労働協約締結権が回復された後のことを考えますと、使用者としての責任も明確となります。また職員側も、みずからの勤務条件の決定プロセスに参画ができることになる。これによって、団体交渉を通じて労使が勤務条件について自律的に決定し得る仕組みになるということは、責任という意味でも大変重要だというふうに考えております。

 また、実態上の、行政の実際の執務へ与える効果という意味でも、まず使用者側について言いますと、使用者側である内閣が、時代の変化に対応して労使交渉を通じて人事給与制度の改革を進めていくということになりますし、また職員の側も、労使交渉を通じて、公務を取り巻く環境、課題、こういったものに対する認識を共有することによって、国民の視線を一層意識しながら職務を遂行することになります。

 これらを通じて、効率的で質の高い行政サービスの実現、これに資するような改革につながっていくんだというふうに考えております。

若井委員 それでは次に、維新の会の提出者にお伺いをします。

 御党の維新八策の基本方針の中に「地方公務員も含めた公務員の総人件費削減」という項目が挙げられているわけでございますが、これは労働協約締結権がないままにこのようなことができるというふうにお考えでしょうか。お答えください。

中田議員 お答え申し上げます。

 私どもは、これは可能だというふうに考えております。

 お触れいただいた維新八策、この中においては、「持続可能な小さな政府」を目標に掲げているわけでありまして、すなわち、国の出先機関改革、こういったことなどを通じて積極的な取り組みをしてまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。

 そういう意味では、政府の担う役割というものが小さくなっていくということを前提にしているわけでありまして、当然、そのために必要な職員の数も適正な規模に落ちついていくということになりますから、結果的には、申し上げたように、総人件費の引き下げということについては、これは十分に可能である、労働協約締結権を付与しなくてもそれはできるというふうに考えるわけであります。

若井委員 そうすると、維新の会の皆さんは、労働協約締結権はないままに人件費の削減ができる、このようにお考えである、重ねて確認いたしますが、それでよろしいわけですね。

中田議員 今申し上げたとおり、人数そのものを減らそうというふうに考えているわけですから、そういう意味においては、労働協約締結権とは分けて考えて、人件費を削減していくということは可能だということであります。

若井委員 もう一度お聞きしますが、労働協約締結権は回復すべきとはお考えではないということでよろしいでしょうか。

中田議員 ただいま御質問いただいた件に関しましては、労働基本権にかかわる問題でありますから、そういう面においては、これは十分に審議をされていくということがこれから望まれることだと思います。

 ただ、一方で、公務員というのが、やはり身分が保障されているということであり、その背景には、いわば潰れない会社というような言い方ができると思います。その中における労働基本権というところに鑑みたときの議論が必要だということだと考えております。

若井委員 わかりました。

 みんなの党にお伺いをいたします。

 アジェンダの中に、公務員制度の改革を断行するという項目があり、国家公務員の数を十万人削減するということもおっしゃっておりますし、人件費についても触れておられますが、その議論の前提として、御党は、この労働協約締結権を回復すべきとお考えでしょうか、あるいは、これがないままそういう議論ができるとお考えなのか。

大熊議員 お答えいたします。

 回復すべきだというふうには考えております。

 一方で、現状でも、先生がおっしゃられる部分というのは憲法違反のリスクであろうと思いますが、リスクはあるものの、不可能ではないと思っております。

 例えば、現行の人事院のラスパイレス比較、人勧制度そのものがどうのというんじゃなくて、具体的な中身を見てみますと、例えば、官の課長さんは民間の次長さん、それから、官の室長さんは民間の課長さん、一個上と比べているんですね。同じ課長さん同士で比べていない。だから、国税庁の調査だと四百何十万なのに、その何割か高いものが人勧の結果で出てくる、こういうことになっているのではないかという疑いを持っております。もっと詳細な情報があれば、より精緻にと思いますが、そういったところを総合的に見直す。

 あるいは、さきの通常国会で、私ども、国家公務員の給与の減額措置等による国家公務員の人件費の総額の削減に関する法律案というのを出させていただいておりまして、この中では、退職手当の見直しですとか、一定の条件のもと昇給しない仕組みだとか、あるいは級別定数そのものの見直し、こういったものの措置によって、不可能ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

若井委員 条件つきで必要だというお答えというふうに承りました。

 この間、いろいろな議論がなされてきましたけれども、自公政権という同じ出自の政府のもとで、同じ基本法、二十一年と二十五年の法案がこのように内容が異なっております。さらに十分に審議をした上で、誰もが納得のいく改正を行っていただきたいと思います。

 副大臣にも質問通告しましたけれども、時間が来ました。これで終わります。どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 次に、質問者として質問をいたします。

 一時間いただいておりますが、問題数が多いので、今与野党協議の最中でもございますので、ぜひ丁寧にお答えをいただきながら、実質的かつ簡潔な答弁をお願いしたいと思います。

 十三日の内閣委員会で、甘利大臣が来られているときに、この国家公務員法案が通常国会で出なかったことは大変残念だという中で、甘利大臣から「小さい背中でありましたけれども、しっかり押しました。」というような答弁がございましたが、きょうの報道によりますと、残念ながらこの臨時国会での本法案の成立は断念というような記事が流れておりますが、引き続き与野党協議を真摯に続けていきたいと思っております。

 まずは、国家公務員法の目的について議論をしたいと思います。

 まず、憲法との関係について、この国家公務員法がどういう位置づけにあるかについては、形式的には、憲法七十三条の内閣の職務権限の中で、第四号、「法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。」とあって、これを受けて、国家公務員法一条二項、目的を定めた規定で、この法律は、専ら憲法七十三条に言う官吏に関する事務を掌理する基準を定めるものであると。

 これは、ある意味形式をきちっと定めているということだと思いますが、実質論としてはやはり憲法十五条だと思うんですね。「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」という第一項と、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」という第二項。この憲法十五条と国家公務員法、今回の改革という意味ではなくて、国家公務員法というものとの関係について、大臣の御見解をお述べください。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

稲田国務大臣 今御指摘のとおり、憲法十五条には、公務員の選定、罷免は国民固有の権利である、そして、公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者でないと。公務員の中立性、公正性を定めたものである。そういったことも含めて今回の改革に取り組んでいるところでございます。

後藤(祐)委員 ちょっと寂しいですね。憲法十五条、要は、国民が公務員を選定する、これは国会議員のことだと思うんです。地方議員がもちろんありますが、今、国会の方、国に関してだけ言いますと、国会議員を選挙で選ぶわけです。

 ここの十五条で言う公務員とは、必ずしも国会議員だけではなくて国会議員以外の一般職の方も含めた公務員も入ると思うんですね。第二項の「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というのは入るはずなんです。

 つまり、国民は我々国会議員を選挙で選びます、この一般職の公務員の方々も全体の奉仕者であって、かつ、その選定、罷免は国民固有の権利であるというふうに考えますが、これはよろしいですか。

稲田国務大臣 憲法十五条第一項、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。」これは国会議員や地方議員のことが念頭にあるかと思いますが、この中にも一般の公務員も含まれているかというふうに思います。

 ただ、これは、公務員を国民が直接選挙で選ぶという趣旨ではなくて、国民の意思によって選ばれた政府が公務員の任免を行うことでこの条文の趣旨が生かされているというふうに解釈すべきだと思います。

後藤(祐)委員 そうなんです、十五条は国会議員以外の公務員も入るんです。ですから、このことは、要するに、一般職も含めた公務員の究極の使用者は国民だということを示した条文だと思うんです。

 直接国民は一般職の公務員の方を選べません。ですから、選挙があって、そして我々国会議員と大臣なんかが行政府に入られて公務員の方々をきちんと統括される、そこを定めているのが国家公務員法であって、まさに国民主権のもとで、国民の代表者たる国会議員が公務員の組織、事務、勤務条件、こういったことについても含めて決定権限を持つ、これが議会制民主主義から導かれる憲法上の要請だというふうに考えるんですが、これについての御理解はよろしいですか。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。

後藤(祐)委員 憲法と国家公務員法の関係はそこが肝なので、ぜひそこまで最初に御答弁いただきたかったと思います。

 次に、国家公務員法の目的は一条一項に書いてあります。「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障すること」、これが目的なんですけれども、この民主的という言葉の意味を大臣の解釈、分解して御説明いただけますでしょうか。

稲田国務大臣 今議論にあった、国民が直接選んだ国会議員、また国民の意思によって選ばれた政府が公務員の任免を行うということも民主的であろうし、また、民主的ということは、多方面からさまざまな意見を聞きながら、まさに公平かつ民主的に運営されるべきであるという意味も民主的の中に含まれているかと思います。

後藤(祐)委員 今の中に公平と入ると、また人事院が入ってきて混乱するんですが。この民主的というのは、先ほどの憲法との関係において、国民が公務員の使用者である、そのために我々国会議員が立法府あるいは行政府に入る方も含めているんだという意味でよろしいですか。人事院を今の話の中に入れると混乱するので、公正という言葉はどういう意味で使われたんですか。人事院を含めておっしゃったんですか。

稲田国務大臣 公正という言葉ではなくて公平と言いました。

 そして、私は、先ほど、十五条の中には、公務員は全体の奉仕者であって一部の利益の代表、一部の利益の奉仕者ではないというか、全体の奉仕者であるという意味も民主的という意味の中に含まれているかと思います。

後藤(祐)委員 わかりました。そういう思想でよろしいかと思います。

 次に、今の国家公務員法の目的についての、一条一項の能率的とは何か、お答えください。

稲田国務大臣 能率的という言葉はその言葉どおりだと思うんですけれども、あえて分解して言うのであれば、限られた人的資源である、また国民共通のインフラである公務員制度を、効率的にまた効果的に運用していくということではないかというふうに思います。

後藤(祐)委員 ここがしっかりいろいろなものに位置づけられていないことが、後ほど議論する級別定数の議論ですとかということが、何のためにやっているのかというところがいま一つはっきりしない、混乱の原因になっていると思うんですね。

 実は、自民党で公務員制度改革の議論が始まった二〇〇〇年十二月の自民党の行政改革推進本部、当時、野中本部長でしたが、あの決定文書、私、後ろで書いていました。それをそのまま行政改革大綱で、一言一句変えずに閣議決定せよと言って、本当に一言一句、実はちょっと変わったところがあるんですが、閣議決定して、それから実は公務員制度、この一連のもの、十三年かかってやっているわけですが、それを受けて、一年たって、公務員制度改革大綱というのが平成十三年十二月二十五日にまとまっています。

 この中に、割かしはっきり書いてあるんですね。行政ニーズに即応した人材を確保し、公務員が国民のために持てる力を最大限に発揮し得る環境を整備する、その時々で最適な組織編成を機動的、弾力的に行うことができるようにすること、そして、公務員が、国民の信頼を確保しつつ、主体的に能力向上に取り組み、多様なキャリアパスをみずから選択することなどにより、高い使命感と働きがいを持って職務を遂行できるようにする、これによって、まさに国民が望む行政、国民にとって真に必要な行政は何かという観点からの制度設計が求められていると。

 これは能率的という言葉の一つの解釈かもしれませんが、これは閣議決定された文章です。その当時においては、能率的という言葉が、そのときなりに分解されて、明示的に示されているんですが、残念ながら、その後、こういった思想というのはやや後退してしまっているんじゃないのかなという気がいたします。

 それで、今回の改革の話に戻りますけれども、戦略的人材配置、縦割り行政の弊害排除、総合的人材戦略の確立、こういった目的があるというふうに、これは趣旨説明の中なんかでもありますけれども、やや、この当時の公務員制度改革大綱のときのような、能率的とは何かというところをきちっと分解した体系がないままに進んできていて、その結果、今一番議論になっていると私は思っております級別定数というのは一体何のために、自民党の中でもあれだけ大議論をされ、公明党でも大議論をされ、そもそもこれは何のためにやっていたんでしたっけと。人事院を内閣人事局に移すことが、一体、この改革の目的との関係でどんな意味があったんでしたっけというようなところで、いま一つよくわからない状態になっているんじゃないかと思いますが、級別定数を、このたび、人事院の意見に配慮云々というところは後で議論しますが、人事院から内閣人事局に移管されるわけですけれども、これは、一体、今回の改革の目的との関係でいうと何のためにやるんでしょうか、適材適所のためでしょうか、抜てきのためでしょうか。そういった具体的な実務に落とし込んで、わかりやすく説明いただけますでしょうか。

稲田国務大臣 今委員がお読みになって、自分がお書きになったという大綱を聞かせていただきながら、その精神はきちんと平成二十年の国家公務員制度改革基本法の一条の目的の中にちゃんと引き継がれているというふうに私は思いました。そして、その上で、この改革基本法にのっとって今回の改革も進めているわけでございます。

 お尋ねの級別定数の機能移管についてですけれども、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織として内閣人事局を設置することといたしております。これによって、各行政機関の機構・定員に関する機能、級別定数に関する機能を集約し、幹部職員人事の一元管理等に関する機能を担わせることといたしております。

 級別定数を今回内閣人事局に移すことがなぜ戦略的な人事になるのかというと、やはり機動的に、今の直面する重要政策課題に合わせて、例えばポストを新たにつくったりとか、そういういろいろな機能を迅速に、かつ効果的にできるということであるというふうに考えております。

 こういった機能を一元する内閣人事局を設置することによって、政策課題また行政の需要の変化に応じた業務体制等、幹部職員人事を推進して、組織、人事の両面から戦略的な人材配置ができるのではないかというふうに考えております。

後藤(祐)委員 機動的に、迅速に人材配置ができるというのは非常に大事なことだと思いますが、今の人事院が級別定数を設定している状況では、それは実現できていないという現状があるという理解でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 例えば、新たにポストをつくってそこに誰を持ってくるかといったときに、今だと、総務省に行き、そして人事院に行って級別を設定してもらい、そして財務省に予算をつけてもらうというように、いろいろなところにかけ合わないとできない。それを一つの内閣人事局に集約するということが、機動的、効率的な人材配置、戦略的な人材配置につながるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 そのような運用がなされれば本当に効果があると思いますし、この法案がそういうふうに運用されるように、ぜひ大臣に指揮命令していただきたいんですね。

 ですが、今ちょっといろいろな含みのある答弁がありました。

 まず、財務省は、今回の法案では、給与共済課の事務は移りません。本来は移すべきだったんじゃないでしょうか。結局、給与共済課が総人件費全体をチェックしているんです。もっと言うと、全省庁の全職員が何級何号俸に何人張りついていてという調査を大体七月ぐらいにします。それを、一年間たつと、次の年度で、定年退職される方がいたり定期昇給するとこの辺になるというと、何級が何人足りなくなるとかという大体マクロの数字が出てきて、それを踏まえて人事院に級別定数要求をする、こういう仕掛けになっているわけです。ですから、この給与共済課の事務を本来は内閣人事局に移さないと、内閣人事局が今度持つ総人件費に関する権限というものはきちんと機能しないと思いますが、この点についていかがでしょうか。

稲田国務大臣 この点は、平成二十一年も今回も、財務省のその部分の、給与の部分については機能は移管はしていません。それは、今委員がおっしゃったことも、そういう意味は十分あると思うんですけれども、一方で、やはり財務大臣が全ての予算、国庫大臣としての機能を一元的に担うという要請もあることから、その機能は移管せず、しかし、今までどこにもなかった総人件費の指針とか、そういったものはきちんと担うことにしたわけでございます。

後藤(祐)委員 内閣人事局へ、機構・定員等、級別定数等、給与共済課の事務のどの程度が実質上移るかは非常に重要なところなんですが、大臣、今給与共済課が、さっき申し上げたような、何級何号俸に何人張りついていて、一年たつとこれだけになるという調査はします。この権限はなかなか今回移せないんでしょうけれども、その調査結果は、別に財務省は秘密でも何でもありませんから内閣人事局は聞くことはできるわけです。それを踏まえて級別定数査定をしていただきたいんです。

 級別定数査定というのは、給与法八条一項に言うところの、今人事院の権限になっていて今度内閣人事局に移る権限というのは、一つ一つのポストの級を決めることではなくて、そういったものを全部足していって、何とか省の七級は何人、八級は何人という、今ここで仮に枚数という言い方をしますが、それぞれの級の枚数のことを級別定数という言葉は指しているという理解でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 御指摘のとおり、ポスト一つ一つのグレードの格付そのものではなくて、それを基礎として級ごとの定数として管理するものであるというふうに認識をしています。

後藤(祐)委員 なぜこれを聞いたかというと、今、級別定数査定というのは、各省の秘書課を中心に人事院の給与二課に対して説明に行くわけです、七級をもう一個下さい、二つ下さいと。そのときに実際にやる仕事というのは、ここの課のこの係長のグレードを一個上げさせてくださいという個別の仕事になって、なぜならば、ここはすごく、こんなに忙しいからですというのを、まあ、これが大変なんです、各省からすると。

 今回、級別定数の権限がどっちだとか尊重だとかという議論も大事なんですけれども、先ほど大臣がおっしゃっていた、機動的、迅速に人材配置ができるようにするという観点からは、この一個一個のポストの事務がとても大事だからとかいう説明を、人事院であれ内閣人事局であれ、各省に求めるのをやめていただきたいんです。

 各級の枚数、先ほど大臣が御答弁されました、級別定数の定義だということが確認されましたけれども、これは歴史的確認なんですが、この枚数が何枚であるかということは確かに重要なことであって、そこに人事院が関心を持つのもわかります。これは後で議論しますが、これは勤務条件に関連する側面があるという御見解を少なくとも人事院がお持ちなのもわかりますが、一個一個のポストを何級にするかということについては勤務条件に関連する側面もないという理解でよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 純粋に言えば勤務条件ではないかもわかりませんけれども、やはり勤務条件的な側面、それによって、それが給料に反映するわけですから、そういう関連する側面もあろうかと思います。

後藤(祐)委員 それは、枚数としての全体の級別定数についての答弁ではないですか。

 一個一個のポストの級を決めるというのは、特定の個人の給与には直接影響しないんです。例えば、七級が二十五枚あるのを二十六枚にするとなると、そこに行ける人が一人ふえるわけですから、給与改善がある特定の人についてなされる可能性があって、そういう意味において、勤務条件に関連する側面があるというのは、恐らく、枚数についての答弁と間違っていらっしゃいませんか。個別のポストの級を幾つにするということについては勤務条件に関連する側面もないと私は理解していますが、いかがですか。

稲田国務大臣 その一つ一つのポストの格付という意味からは、委員がおっしゃるとおりだと思います。

後藤(祐)委員 これは歴史的答弁なんです。

 人事院総裁、それでよろしいですか。

原政府特別補佐人 委員からただいまの御質問の中でお話がございましたが、例えば、二十五の定数が二十六になる、それで一つ昇格をする方ができる、そこに具体的な人間が現実にははめ込まれるわけでございます。

 公務員全体の勤務条件の確保という問題がございますが、勤務条件そのものは、最終的には各個人のものでございます。そういった意味で、級別定数の扱いによって結果として個人の処遇が変わる部分が出てまいります。そういった意味で、その勤務条件性はその定数そのものにもあるというふうに考えてございます。

後藤(祐)委員 今、人事院総裁が言った最後の、定数そのものにもあるという定数というのは、個別のポストの等級のことを言っているんですか。それとも、何枚という、二十五枚、そういった意味のどっちを指しているんでしょうか。もし前者であるとするならば、個別の給与の等級を何級にするかということについて勤務条件に関連する側面があるという答弁なんでしょうか。

原政府特別補佐人 先ほどの例で申し上げれば、例えば二十五が二十六になるということで、そこの職域においてその級の人間が一人ふえる、そこに具体的には個人が特定されて当てはめられる、その労働条件が変わるということでございます。

 そういった意味で、二十五が六に変わるということに意味もございますし、それも、二十五という数字も、かつては二十四であったり、あるいは二十七であったりということだと思います。その変更の積み重ねが二十五になっているということでございますので、その意味では、先生の御質問にどうお答えするべきかあれでございますが、いずれにせよ、級別定数の数字そのものの扱いによって個人の条件が変わるということは事実でございまして、そういった勤務条件の側面があるということでございます。

後藤(祐)委員 明確に御答弁いただいていないんですが、特定のポストが例えば五級から六級になるということは、特定の個人の給与には影響しません。職務給を決めているのであって、特定の人の給料を決めているのではないんです。ですから、合計としての枚数が改善するとどなたかが少なくとも給与改善する可能性があるというところは私はわかります。ですが、特定の一つのポストが五級から六級になるということで特定のある一人の公務員の給与が改善するわけではないんです。

 今の人事院総裁の答弁はよくわかりません。特定のポストの等級が変わることに勤務条件に関連する側面があるんですか、ないんですか。

原政府特別補佐人 特定のポストの格付そのものを議論しましても、具体的にはそこに人間が張りつくわけでございますので、それを明確に切り分けて議論するということがどうかなという感覚はいたします。

 いずれにしましても、私どもが決めておりますのは、例えば本省の課長補佐であれば、要するに、七級から五級という格付をしておりまして、それぞれポストには職務と責任というものがございます。同じように、国家公務員法では、職務、責任のほかに、勤務条件なり、勤務期間なり、勤務能率なり、そういったその他の要素も加味して給与を決めるという形になってございます。そういった中で、そのポストがどういう仕事をしているか、どういう勤続年数の人間が、処遇をしているか、そういう観点から、例えばある職域に対して、七級については幾つ、六級については幾つ、五級について幾つという数字を定めまして、その範囲内において各省大臣が任命をするということでございます。任命によりまして、そこには個人の勤務条件がついて回るわけでございます。

 そういった面で、いずれにしましても、両方の側面があるということではないかと思います。

後藤(祐)委員 これは先ほどの稲田大臣の答弁と完全に食い違うわけですが、これは、実は、ためにする議論をしているんじゃなくて、実務上すごく影響するんです。

 というのは、先ほど言った級別定数の要求を各省からするときに、実は秘書課の大体ノンキャリアのエースと言われるような方がこの級別定数の鬼のようになって、一年間ずっと張りついてやっているんですよ。何をやっているかというと、個別のポストの重要性を一々全部説明しなきゃいけないんですよ。本当にばかげた仕事なんですよ、正直言うと。だけれども、勤務条件の観点からその省の勤務条件が下がっては大変だから、省をしょってやっているんですよ。

 だけれども、本当のところは、さっき言った給与共済課が調べている、何級何号俸に何人張りついていて、このまま自然体でいくと来年このぐらいになるから、このぐらい、何級ふやさないと足りない、回らなくなるからというマクロの話が先にあって、財政の観点もありますから全部それを認めるわけにいかないという交渉はあってしかるべきだと私は思うんです。

 つまり、枚数の交渉をすべきであって、枚数の交渉を各省と、例えば新しい制度であれば内閣人事局がする、そのときに、そこに勤務条件に関連する側面があると私も思います。だから人事院が意見を言うというところに、ここは私はストレートには認めませんが、少なくも、条文上そういう案を出されているということには、皆さんのロジックとしては理解をいたしますが、それを個別のポストと言ってしまうと、もう膨大な仕事になるんですよ。

 これで何が起きるかというと、今は給与二課に対してこの膨大な説明をしています。この運用を、もしこの後も、この法律が通った後も、人事院が意見を言うという権限を持ち続けるとするならば、人事院は、恐らく同じ説明を求めるでしょう。

 そうすると、せっかく稲田大臣がさっき、個別の話は違うと言ったので、内閣人事局はマクロの数字で、枚数でどうしようかという議論で、非常に低コストで実質的な査定作業ができるという、本当に歴史的な答弁をいただいたのに、本来権限がある内閣人事局の方がそういうざくっとした査定をしていただけるのに、意見を言うにすぎない人事院がもっと細かい各個別のポストについていかにも説明を聞くぞと言わんばかりの説明をされる。

 どういう運用がなされるんですか。まさにこの給与法八条の改正の後、どういう運用をなされるか、各省は本当に今困っているんです。もう政治的に決まっちゃったから、どうなるかわからないんですよと秘書課は言っているんですよ。大変なことになっちゃうんですよ。今でさえ大変なのに、この膨大なコストが二倍になる。大臣はそうじゃないとおっしゃったが、二倍にならないことを信じたい。

 なおかつ、その後、内閣人事局と人事院の間で意見のやりとりがある、三倍になる。これは行政改革のためにやっているんじゃないんですか、行政改革のために。まさに大臣が先ほどおっしゃったような、迅速な、機動的な人事配置をできるためにこの話をやっているんじゃないんですか。

 級別定数の改定を早く迅速にできるようにすることで、こういうところが重要になった、例えば、今TPPだとか甘利さんが頑張っているようなところがすごく忙しくなる、そこに人を寄せなきゃいけない、だからこっちに高い等級の補佐が必要だということをぱっぱぱっぱできるようにするということがその趣旨ですよね、先ほど大臣のおっしゃった趣旨というのは。そのときに、人事院の給与二課と内閣人事局にそれぞれ一個一個の説明に行ってなんて、それが認められているころにはもう終わっているんですよ、仕事は、大体の場合において。

 ですので大臣、これは大臣のリーダーシップでぜひ、意見だとか尊重だとかという議論はちょっと後でしましょう。少なくとも、この給与法八条一項の定数を設定できるという意味は、個別のポストを決めるために各省から一つ一つの説明を聞くということではなくて、各等級の枚数、級別定数というのは枚数のことだという答弁が先ほどありましたから、この枚数を決めるに当たって、各省から、個別の話じゃなくて、先ほど言ったような、このままいくと枚数が足りなくなっちゃうねというような事情を聞いて、それに対して、財政の観点から満額回答するわけにいかないねというような作業をするものだというふうに理解してよろしいですか。先ほどの人事院総裁の答弁と食い違っている点の説明も含めて、お願いいたします。

稲田国務大臣 級別定数を今回内閣人事局に設置した意義は、今委員が御指摘になったとおりです。そういう重要政策課題に合わせて級別も設定をして、機動的に、効果的に、戦略的に人員配置ができるためにやるわけであります。そういう意味において、今運用の点についてのアドバイスをいただいたというふうに感じております。それについては、素直に耳を傾けたいというふうに思います。

 食い違いがあるという話については、私は、ポストの格付というのは、それは勤務条件じゃないと思います。ただ、それが個人に結びついたときにやはり勤務条件に関連するという意味において、食い違いがあるというふうには感じませんでした。

後藤(祐)委員 そこは答弁上、明確に食い違っているんです。

 個別のポストの等級が幾つになるかということは、大臣、勤務条件そのものか、勤務条件に関連する側面があるは違いますから、そこを厳密にこれからの議論では分けてほしいんですけれども。

 まず、級別定数全体の枚数については勤務条件そのものではなくて、勤務条件そのものというのは例えば給料が幾らとかそういうものですよね、これは勤務条件そのものではなくて、勤務条件に関連する側面があるというものでよろしいですか。そして、個別のポストは勤務条件に関連する側面もないということでよろしいですか。先ほどそういうふうに御答弁がありました。

稲田国務大臣 個別のポストの格付は勤務条件ではないと思います。

後藤(祐)委員 人事院総裁は違う御答弁でありました。これについての矛盾はどう説明されますか。

稲田国務大臣 個別のポストの格付は勤務条件ではありませんが、そこに個人を当てはめることによってその人の勤務条件に関連する側面はあるというふうに思います。

後藤(祐)委員 先ほども申し上げましたが、あるポストが何級になるかということは、特定の個人を念頭に置いたものではないんです、職務給の原則なんです。

 あるポストを何級にするかという議論と、そこに誰を当てはめるかという任用は完全に切り離されています。これでよろしいですか。国家公務員法上の大原則です。

稲田国務大臣 そうであると思います。

後藤(祐)委員 そうしますと、今の、一つ前の答弁を訂正してください。個別のポストの等級を変えるということは誰かの勤務条件を変えるということではないという答弁でよろしいですか。修正してください。

稲田国務大臣 私は、個別の級の格付自体は勤務条件ではないと一貫して言っております。ただ、それが、個人に当てはめた場合にその人の勤務条件に関連するという趣旨の答弁をしているわけでございます。

後藤(祐)委員 そこが先ほどの答弁と変わってきちゃうんですよ。

 勤務条件に関連する側面があるのは枚数としての級別定数であって、個別のポストの等級は勤務条件に関連する側面はないということで先ほど答弁していませんでしたか。

稲田国務大臣 先ほど来、一つ一つのポストの格付自体は勤務条件ではないという答弁をしてまいりました。

後藤(祐)委員 関連する側面もないということでよろしいですか。個別のポストの等級は勤務条件に関連する側面もないということでよろしいですか。

稲田国務大臣 一つ一つのポストの格付は、その個人ではなくて、持っている職責の重さによってつけるわけですから、それ自体、私は、勤務条件ではないと思います。ただ、そういうことの積み上げが全体として勤務条件に関連してくるという趣旨でございます。

後藤(祐)委員 ですから、枚数は勤務条件に関連する側面がありますが、特定のポストの等級が変わるということについては勤務条件に関連する側面はないという理解でよろしいですか。再度お尋ねします。

稲田国務大臣 突き詰めて言うと、そういうことだと思います。

後藤(祐)委員 これは歴史的な答弁です。ありがとうございました。

 人事院総裁は先ほど明確に違う答弁でありましたが、この違いをどう考えますか。どちらが正しい答弁なのか、内閣法制局、きょうは残念ながら長官は来ておりませんが、内閣法制局の、今の議論を聞いた上での見解をお聞きしたいと思います。

松永政府参考人 級別定数につきましては、組織管理と密接に関連する側面を有するものであるとともに、勤務条件に関連する側面も有するものであるというふうに理解をいたしております。

 先ほどの大臣の御答弁にもございましたが、具体的なポストにつきましては、個別の人がそこに張りつくわけでございまして、その方の働く勤務条件には当然影響があるものというふうに思われるところでございます。

後藤(祐)委員 大臣の答弁と法制局の答弁が違います。

 ちょっと時計をとめていただけますでしょうか。これは閣内不一致です。人事院総裁に対しては申し上げませんが、閣内不一致です。これについて、大臣の先ほどの答弁と明確に法制局は違いますが、時計はまあいいでしょう。これはどう捉えたらいいんでしょうか。

稲田国務大臣 先ほどから、ポストの格付、これは、そのポストの職責の重要さを図るものであるので、理屈からいえば、勤務条件ではないということを申し上げました。

 ただ、全体としてそういうことの積み上げが勤務条件に関連してくるという意味において、また、そのポストが個人の給与に反映するという意味において勤務条件に関連する部分もあるということを申し上げました。

 それを、委員が、突き詰めたら、枚数は勤務条件で、ポストの格付はないんですねと言われたので、突き詰めて、理屈をずっと突き詰めたらそういうことになるというふうに思いますと、私の理解を申し上げました。

 ただ、全体として、勤務条件に関連する部分があるということは事実であり、それは何ら不一致は、今の法制局の答弁と異なるところはないというふうに思います。

後藤(祐)委員 明確に食い違っているんですが、後ほど書面で提出してください。

 個別のポストの等級を設定することは、勤務条件に関連する、大臣、先ほどから、勤務条件そのものと勤務条件に関連する側面を明確に分けて答弁をお願いしたいんですが、個別のポストの等級を設定することは、勤務条件に関連する側面が、先ほど大臣は、ないとおっしゃった。法制局は、あるとおっしゃっている。どっちなのかは、書面で提出を後ほどしていただくようにお願いしたいと思います。委員長、お願いいたします。

橘委員長代理 ただいまの要求につきましては、後刻、理事会で協議いたします。

後藤(祐)委員 これは、ためにする議論ではなくて、実務に関連するからなんです。今のは書面を確認したいと思います。

 いずれにせよ、先ほど大臣は、機動的、迅速な人材配置のためにこの級別定数の移管をしたんだということで、各省が級別定数要求をするときに、一個一個の仕事がこんなに重要なんですという説明を内閣人事局としては各省に求めないという先ほど答弁がありましたが、設定権限がある内閣人事局がそうなのであれば、当然、意見を言う人事院についてもそうであるべきと考えますが、稲田大臣の御見解をお願いします。

稲田国務大臣 おっしゃるように、内閣人事局と人事院で重複して今まで以上に手間がかかるということであれば、行革の観点からしたら全くおかしいと思います。せっかく移したということは、それは機動的に運用するということでありますので、この点についても、人事院と協力をして、委員がおっしゃるように、機動的な運用ができるように図っていきたいと思います。

後藤(祐)委員 それは何らかの、政府として、人事院も拘束するような決定文書で決定しないと、実際の運用では、現場の係長クラスになると、そうはいったって、七級を二十六枚にするか二十七枚にするかのときに、このポストがどれだけ大事かわからないと判断できないから説明に来いとなっちゃうんですよ。

 今の大臣の答弁は、人事院も拘束する、拘束という言い方をしちゃいけませんが、人事院の業務の仕方も含めて、各省に対して個別のポストの説明を求めることはせず、むしろマクロとしての枚数を何枚にするかということに限って勤務条件に関連する側面がそこにあるから、あると少なくともおっしゃっておられるから、そこに限って、人事院も各省に対して資料要求なり説明を求め、内閣人事局もそこに限って説明を求めるということについて、書面で政府で決定していただけるということをお約束いただけますか。

稲田国務大臣 今の委員の御提案を踏まえて、少し相談をして、必要となれば、要請もしたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 今の稲田大臣に、私は、政治家としての稲田朋美を見ました。行政改革担当大臣は、そういう覚悟でやっていただきたいと思うんです。稲田大臣、今のは立派な答弁だと思います。

 なかなか大変なことなんです。これは、ずっと、ずっと苦労してきたことなんですよ、本当に、本当に。人事の秘書課系統の人というのは、苦しい仕事をしているんですよ、みんなエース級なんです。そういう人たちに、もうこんなくだらない仕事をさせるのはやめましょうよ。

 勤務条件を守ることは本当に大事です。だから、枚数の話は大事です。でも、それは給与共済課が調べているんです。来年このぐらい必要だから、大事な仕事です。それに比べて今これだけ足りないから、大事な仕事です。そこはやりましょうよ。それは財政の観点と処遇の観点をどういうバランスをとるか、大事です。そこに限ってやりましょうよ。そのつじつまを合わせるための膨大な仕事はやめましょうよ。

 今の大臣は本当に、私は、行革大臣としての立派な答弁だと思いますので、それは今、少し御検討されるということなんですが、その結果のものがどうなったかは、実は今やっている与野党交渉にも非常に影響しますので、ぜひ理事会にその結果はお届けいただきたいと思いますが、よろしいですか。

稲田国務大臣 今の委員の熱い思いを受けて、検討したいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひ理事会でもそのようにお取り計らいいただきたいと思います。

 こっちの方が実は大事なんです。意見を聞く、尊重するもそうなんですけれども、平先生、与野党協議のところではこの話が一つの大事なポイントになりますので、ぜひ御配慮をいただきたいと思います。

 そこで、ようやく甘利法案の八条。今、配付資料で行っていると思いますが、三段になっていますけれども、一番下が現行法、甘利先生のときの法案が真ん中、今回の政府提出は上です。要するに、真ん中と上の違いは、十分に尊重というところが入っている、入っていないなんですが、これによって実務は何が変わるんですか。

 つまり、今、稲田大臣が御答弁いただいた、個別のポストについての説明はできるだけ求めないようにします、できるだけじゃないですね、求めないようにしますということが実現した後、この尊重というところのあるとなしで、甘利法案との違いで、実務上、特に、各省が人事院なり内閣人事局なりに説明する内容、及び内閣人事局と人事院の間でやりとりされる実務上の仕事がどのように違うんですか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

稲田国務大臣 二十一年法案では意見を聞くとなっていたものが、今回は十分に尊重するというふうになりました。これによって、勤務条件の確保という観点から人事院から来る意見というものは、他の人事院の意見以上に尊重することが求められるということになろうかというふうに思います。

 また、実際にどうなるのかという御質問でありますけれども、実務上は、より慎重な検討を内閣人事局に求められているということだと思います。

後藤(祐)委員 その慎重という言葉の意味は、先ほどの枚数としての交渉を内閣人事局と人事院がするときに、勤務条件に関連する側面があると主張される人事院の意見の反映の度合いが大きくなるということなんでしょうか。先ほど議論した、個別のポストの話に入り込んでいく可能性が高くなるということではないと理解してよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 いずれにせよ、目的は機動的な運用でありますから、そういった点も配慮をしつつ、ただ、十分に尊重するという意味で、勤務条件の確保の観点から行われる意見についてはきちんと説明責任を負うことになろうかと思います。

後藤(祐)委員 仮に新しい体制になった後は、内閣人事局というのは強大な権限を持つことになるんです。機構・定員もそうですし、定数もそうですし、総人件費に関することを財政の観点からも考えなきゃいけない。当然これは勤務条件に関連する側面がありますから、労働組合の皆様方は、恐らく、今まで人事院に行っていたような話は内閣人事局に、ぜひこういうことを、公務員の暮らしにも関係するのでちゃんと配慮してやってくださいねということは内閣人事局にも行くと思うんです。

 ですから、内閣人事局は、何も財政の観点だけではなくて、そういった勤務条件に関連する側面があるという観点から、内閣人事局の自分の中でどっちにするか、財政の観点と勤務条件の観点というバランスを自分なりに考えなきゃいけないわけで、内閣人事局が財政至上主義になって、人事院が勤務条件主義になって、そこがぶつかるということではなくて、内閣人事局自体が財政の側面と勤務条件のバランスをよく考えてみずから結論を出すのであって、そのバランスを考えるときに、人事院は、人事院は財政のことは考えないでしょうから、考えないと言うとちょっと言い過ぎかもしれません、訂正しますが、勤務条件に関連する側面から御意見を、その悩まれる中での意見を聞くということだと思うんです。

 だとするならば、甘利法案と今回の法案で、尊重するという言葉の意味が、実務として一体何が変わるんですか。先ほどの御答弁だと、そこがちょっとよくわからなかったんです。お答えください。

稲田国務大臣 甘利法案のときと今とどこが変わるか。

 やはり、今回はきちんと人事院とも協議をして、勤務条件に関することは十分人事院の意見を聞きましょうと。その上で、委員がおっしゃったように、内閣人事局においてきちんとバランスをとってやっていくということであって、今回の、十分意見を聞くということになったことで事務負担がすごくふえるとか二重手間とか、決してそういうことにならないようにしていきたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 ただ、ここに尊重という言葉が入ると入らないで、結局、人事院が意見を言って、仮にそれが反映される度合いが高くなるんだとすれば、人事院はまた各省に対していろいろな質問をしたりといったことにつながりかねないので、やはりこれは削った方がいいと思うんです。一度閣議決定して出てきているわけですから。しかも、意見を聞くというところは残っているわけですから。憲法との関係でも問題ないと思うんですが。

 大臣、ここは意見を聞くにとどめておいた方がよくありませんか。甘利大臣のときの、尊重という規定は必要ないんじゃないですか。どっちがいいとか悪いとかということよりも、これから内閣人事局が全体のバランスを考えながらみずから決定していくという観点からすると、この尊重という規定が足かせになりかねないと思うんです。いかがですか、大臣。

稲田国務大臣 勤務条件に関連する部分については、今回労働基本権を措置していないこととの関係で、今委員御指摘になったように、意見を十分尊重して、最終的には内閣において、総理において決定をするということでございます。

後藤(祐)委員 これは与野党協議で引き続き議論したいと思いますが、その結果にぜひ従っていただきたいと思います。ただ、級別定数については、稲田大臣のしっかりした答弁があったことは評価したいと思います。

 それでは、ちょっと長くなりましたが、次に行きます。

 自律的労使関係でございますけれども、先ほど私が答弁の方のときに若井先生から議論がありましたけれども、今回の法案を策定するに当たって、基本法十二条の「全体像を国民に提示し、その理解のもとに、」という理解を得ようとする努力はされたんですか。

 つまり、十一月二十七日の近藤洋介理事の質問に対して稲田大臣は、使用者、職員団体の双方から幅広い意見を聞いた結果、いまだ国民の理解を得られるような段階には至っていないということで、今回の法案には措置をしなかったわけでございますという答弁をされておられますが、このいまだ国民の理解を得られるような段階に至っていないという理解というのは、この十二条の関係でいうと、全体像を国民に提示する前の段階であって、ここの十二条の表現というのは、「全体像を国民に提示し、その理解のもとに、」なわけですから、そもそも全体像を国民に提示する努力をされておられないわけですから、十二条で言う理解を得ようとはしていなかったという理解でよろしいですか。

稲田国務大臣 御指摘のとおり、今回、国民の理解を得るに当たっての案は提出はしていません。それはどうしてかというと、民主党政権下の四法案が廃案にもなりました。そのときにさまざまな指摘もありました。マイナスの指摘もありました。また、私のもとでの意見交換会でも自律的労使関係について議題として、何度か労使、また学者の皆さんから御意見をいただいたところでございます。

 そういうことを踏まえて、全体像を示して国民の理解を得る段階ではないというふうに判断をし、引き続き慎重に検討したいというふうに思っているところでございます。

後藤(祐)委員 そうしますと、まだ全体像は国民に提示されていないという理解でよろしいでしょうか。逆に言うと、まだ提示されていないわけですから、今後いろいろな意味で状況が変わった場合には、何年後かはともかく、この理解を得られる段階に至る可能性はあり得ると考えてよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 先ほど近藤洋介先生に対する質疑の御指摘をいただきましたが、四法案についてのいろいろな指摘を踏まえていまだ国民の理解を得るには至っていないという答弁であったわけですが、費用及び便益というのは、協約締結権を付与する職員の範囲を初めとして、自律的労使関係制度の具体的な制度設計に応じて変わり得るものであって、引き続き、関係者の御意見をよく伺いながら、国民の理解が得られる制度を検討する必要があるのではないかというふうに考えております。

後藤(祐)委員 実際、どういう制度でやった場合にはどういう費用と便益になるかという幾つか選択肢があって、それをもとに検討されるべきだと思うんですが、残念ながら、事務方から聞いている限りでは、そういった検討も今までされていないということですので、ぜひともこれから、例えばスト権まで与えた場合どうなのか、締結権までだったらどうなのか、締結権の中でも、国だけでやるのか、地方支分部局をどうするのか、いろいろな選択肢があると思います。そういった制度設計ごとの費用と便益がどうなっていくのかということを含めた御検討を、関係者の皆様、特にここに関係する職員団体の方々の意見も聞きながら、引き続き検討されるということでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 そういうことでございます。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 実際、今の段階で、締結権を付与する、付与しないというところの決断はなかなか難しいところがあると思うんですが、これは法律上の、少なくとも私がした答弁では、十二条の義務、つまり、全体像を国民に提示することは法律上の義務だと少なくとも我々は考えております。

 まず、この点を伺いたいと思います。十二条で言う、全体像を国民に提示することは法律上の義務でしょうか。

稲田国務大臣 義務かと言われたら、法律上の義務でしょう。そして、国民に対して費用及び便益を含む全体像を提示するに当たっては、やはり政府として、国民の理解が得られるであろう、そういう可能性があると判断をしたときに初めて提示ができるというふうに思います。

後藤(祐)委員 よくお考えの上での答弁になっているなと感じます。

 ですから、きょう明らかになったことは、十二条で言う、全体像を国民に提示することは今の政権でも法律の義務であって、ただ、それを提示するには、国民の理解が得られるであろうという状況にならないと、なかなかその提示は難しい。そのところまで至るかどうかということを今検討している状況にあって、そのためには、いろいろな選択肢の場合も含めて、職員団体も含めたいろいろな関係の方々から御意見を聞いて、その検討は引き続き進めるということでよろしいですか。再度お願いいたします。

稲田国務大臣 国民の理解が得られる制度を、引き続き関係者の意見を伺いながら検討していく必要があるというふうに思います。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 この旨は、ぜひ与野党協議の中でも、今の大臣の答弁を踏まえた対応をぜひ与党側にもお願いしたいと思います。

 それでは、時間が少なくなってきましたが、定年延長について、基本法十条第三号では、雇用と年金の接続の重要性に留意して、定年を段階的に六十五歳まで引き上げる措置、再任用制度の活用の拡大、その他必要な措置を講ずる必要があるというような条文がありますけれども、これはやらなきゃいけないことなんですが、次の引き上げが行われる平成二十八年度までにこの必要な措置を講ずるということでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 平成二十八年度の定年退職者から支給開始年齢が六十二歳になることについては、本年三月の閣議決定において、支給開始年齢の引き上げ時期ごとに、公務の運営状況や民間企業における高年齢者雇用確保措置の実施状況を勘案し、改めて検討を行うことといたしております。

 雇用と年金の接続のあり方を検討するに当たっては、民間の再雇用、定年延長などの状況や、政府の再任用制度の活用状況を踏まえることが重要であります。まずは平成二十八年度に検討を行い、その後も、年金支給開始年齢の引き上げ時期ごとに検討を行うこととしているものでございます。

後藤(祐)委員 二十八年度までにその結論を出すということと、その検討に当たっては、これで非常に大きな影響を与えます職員団体との協議なども行っていただくということでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 さまざまな関係者の意見を伺いながら、平成二十八年度に検討を行って、その後も、年金支給開始年齢引き上げ時期ごとに検討を行うということにいたしております。

後藤(祐)委員 さまざまなというところには、これは職員団体が一番影響を受けますので、ぜひちょっと、そこは入るという御答弁はいただきたいのと、二十八年度にではなくて、それまで時間がまだありますから、二十八年度までにということでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 さまざまな関係者ということの中に職員団体が入ることはもちろんでございます。

 そして、そういった検討を平成二十八年度までやらないのかということではありません。

後藤(祐)委員 二十八年度までに、職員団体も含めた関係する方々から意見を聞きながら、定年の段階的な六十五歳までの延長、そして再任用制度、これについての検討をして、必要な措置を講ずるという趣旨だと伺いました。よろしいですか。

稲田国務大臣 二十八年度までに、そういった職員団体を含め、さまざまな関係者の意見も聞きながら、定年延長、民間再雇用の問題、再任制度の活用状況なども踏まえて検討していくということでございます。

後藤(祐)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、与野党協議の中でもここは議論の対象になっておりますので、与党の皆様方には、今の答弁を踏まえた積極的な対応をお願いしたいと思います。

 残る時間で、国家戦略スタッフ、政務スタッフについて聞きたいと思います。

 政府案では、大臣補佐官を各省一枚、内閣府に六枚ふやすということだけになっておりますが、基本法で言うところの国家戦略スタッフ、政務スタッフという言葉があらわれていないどころか、機動的な対応というのがこれだとなかなかできないと思うんですね。

 先ほど、最初の方の大臣の、改正の目的として、機動的に、迅速な戦略的人材配置を行えるようにするというのは重要な目的だという御答弁がありました。

 そういう観点からしますと、総理補佐官が、例えば五人全員満タンになっちゃっていて、六人目をふやしたいということがあるかもしれませんし、あるいは大臣補佐官をどうしても二枚置きたいということもあるかもしれませんし、あるいは総理補佐官よりもう少しグレードが低いような、若くて生きのいい方をぜひ登用したいということもあるかもしれませんし、あるいは大臣補佐官よりももう少しグレードの下の方を置きたいということもあるかもしれませんし、いろいろなケースがあり得るんです。

 そういう意味で、甘利法案の中では、そこの機動的な対応ができるような設計になっているんですが、ただ、甘利法案のときは、一点だけ、確かにちょっと難しいと思うのは、総理補佐官を廃止すると書いてあって、これは、例えば先ほどのNSC法案では、総理補佐官は置かなきゃいけないことになっていて、既存の法体系とはちょっと矛盾しちゃう面があると思うんですね。

 そこで、今回我々が提出させていただいた法案の中では、甘利法案と基本的には同じような趣旨なんですけれども、総理補佐官は何も廃止しなくたっていいじゃないですか。総理補佐官、内閣政務参事、内閣政務調査官、この幾つかの種類のものを置けるようにして、これらを国家戦略スタッフとまとめて呼びます。あと、大臣補佐官、その下、その下というか、それよりはグレードは下の形で政務調査官、これらを合わせて政務スタッフという形を置けるようにしましょうという提案をさせていただいております。

 これは、何も全員置かなきゃいけないということではないんです。例えば、今の政府が出しているような、大臣補佐官を各省一枚だけ置きたいということであれば、我々の制度で機動的にいろいろなものを置ける選択肢は用意しておいて、実際の運用では補佐官一枚しか置かないというやり方は、それはそれで、時の政権がそういうふうに判断して運用すればいいと思うんです。ですが、これは全部法律事項ですから、総理大臣補佐官をやはり六枚置きたいということができなくなっちゃうんですよ、今の政府案ですと。なので、ここは機動的にいろいろな種類のポストを置けるようにしておくという方が、大臣が最初におっしゃった機動的、迅速な戦略的人材配置が可能になると考えます。

 我々が出しているからということではなくて、内閣周辺と各大臣周辺にこういった国家戦略スタッフ、政務スタッフがいろいろな選択肢で置けるようにするという方が、大臣のおっしゃっている趣旨に合うと思いますが、いかがお考えでしょうか。

稲田国務大臣 目指しているものは変わらないと思います。

 ただ、御指摘にあったように、内閣総理大臣補佐官は、今、仕組みが活用されています。また、行革という観点から、政治任用、濫用があるんじゃないかというような、さまざまな議論もあったところでございます。

 御指摘は、最初からチームとして法律の中に書いておくということだと思いますが、今回の法案でも、大臣補佐官、総理補佐官の下に、一般職員等を任用して、民間からも登用してチームをつくることも可能でございます。いろいな運用によって目的は達成されるのではないかというふうに思っています。

後藤(祐)委員 ですが、総理大臣補佐官、六枚目は置けないんです。大臣補佐官、二枚目は置けないんです。しかも、政治任用的にはできないんです。特別職にすることには意味があるんです。いかがですか。今のお答えですと、今私が申し上げた選択肢はとれないことになりますが。

 という上で、それを踏まえて、先ほどの私の質問に対してもう一度お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 確かに、補佐官の数をふやすとか大臣補佐官の数をふやすということはできません。しかし、それは今申し上げましたように、現在機能していることや、行革の観点からそのようにさせていただいたところでありまして、また、総理を補佐する体制の中核として、内閣官房の一般職に命じて補佐官をサポートさせたり、予算や定員の範囲内で民間人等の必要なサポートのための人材も登用して、弾力的な運用により目的は達成できるのではないかというふうに思っております。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、この点については与野党協議の中でもまた議論してまいりたいと思います。

 きょうは、大臣は本当に積極的な答弁があったと思います。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 私は、本当にしっかりとした考えを持った保守の女性ということで、当選する前から稲田大臣の大ファンでした。なので、きょうは質問させていただくのが実はいつもよりすごく緊張しているんですけれども、大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まずお聞きしたいのが、私は、ある法案について質問をするときは、一番初めに担当大臣に、その目標とする姿、例えば今回でしたら公務員制度改革のゴールイメージになるんですけれども、どういう組織になれば、またどういう人材が育つようになればこの公務員改革というのはゴールになるのか、最終地点になるのかということをまずお聞きしたいと思います。もしかしたらもう何度もお答えになられていることかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 端的に言うと、行政の縦割りの弊害を排して、もっと効率的、効果的な公務員組織をつくることによって、国際大競争時代にも打ちかつ日本をつくっていくということであります。

 やはり、行政の縦割りの弊害がずっと残っていることによって、規制改革も行革も進まないという現実があります。そういうものを排するためには、今、各省縦割りで人事をやり、各省縦割りで人材戦略を練っているところに横串を刺して、政府一丸となって人材戦略を練ることができる組織をつくるというのが今回の法案の目的でございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 こちらの提案理由説明のところにも、「内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置を実現し、縦割り行政の弊害を排して各府省一体となった行政運営を確保するとともに、政府としての総合的人材戦略を確立し、職員一人一人が責任と誇りを持って職務を遂行できるようにするための国家公務員制度改革」というふうに書かれております。

 先ほど大臣がおっしゃっていただいたとおりだと思うんですけれども、国家公務員法の第一条第一項なんですけれども、こちらの方には、「この法律は、国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準を確立し、職員がその職務の遂行に当り、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導さるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障することを目的とする。」というふうに書かれてあります。ここには、縦割りを排してとかいうこともなく、本当に国民に対して能率的な運営を保障するためにこの法律があるんだといったことが書かれてあります。

 ということは、私は、これは、もともとの国家公務員法の本質に戻すことじゃないかなというふうに思うんですね。

 今、縦割りというのは、大臣がおっしゃったとおり、いろいろなことの弊害になって出てきております。私も地方の行政の方におりましたが、国の縦割りというのが本当に地方に及ぼす影響が大きくて、なかなか地方の方も一筋縄では動かないというのがありますので、縦割りを排して、横串を刺して、効率的に動かしていただきたいというのがあるんです。

 これは、何か改革と呼ぶよりは改善という、もとのあるべき姿に戻す、改革というよりは改善という言葉の方が合うんじゃないかというのが私の個人的な感想なんですけれども、改革という名前がついている以上は、この国家公務員法の第一条第一項にあります能率的な運営を国民に保障するという、それを最大限に生かせるような、今までの部分を突き抜けていくような改革を期待していきたいと思います。

 それでは、次の質問に移ってまいります。

 結局は、私は、組織を変えていくということは大事なんですが、組織を変えてその仕組みを変えた上で、人が変わっていかなければ改革の最終形には届かないのではないかというふうに思います。

 大臣は、闘う公務員という言葉をお使いになっていらっしゃいますけれども、今度は、この改革によって目指す公務員像、国家公務員がこのようになれば闘う公務員なんだ、理想の公務員像なんだというものを、大臣の方のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

稲田国務大臣 闘う公務員という言葉自体は、総理が初任研修の初日にお使いになって、これからの大競争時代で打ちかっていく積極的な、そういう公務員になってくださいという言葉を引用して、私も闘う公務員という言葉を使っているわけであります。

 やはり、若手の公務員の皆さんとお話をしておりますと、なったときには、本当にこの国のために命もささげてやりたいという思いで入っておられるのに、なかなか閉塞感を打破できない。それはどうしてかというと、公務員制度改革をやっただけでは解決しないかもわかりませんけれども、省のために働くということではなくて、国家国民のために邁進する、そういう公務員像というのを念頭に置いているところでございます。

 そういう意味において、例えば、行政事業レビューなどを見ておりましても、そもそもこの事業を企画立案するのはどうしてなのかと思うような場合もありました。やはり積極的に、公務員が省益ではなくて国益のために何をなすべきか、そういう企画や立案について提案もできるような幅広い知識もそして能力も持った公務員というのを養成すべきであるというふうに考えています。

杉田委員 きのう、参考人の質疑がございまして、そのときに、青山社中の朝比奈参考人にも質問をさせていただいたんですが、その中で朝比奈参考人がおっしゃっていらっしゃいましたのは、日々の業務の中で、国民にとって何が必要であるか、いろいろ状況が変わってまいりますので、多様化する国民のニーズや生活に対応するためにはどういった政策が必要で、そのためにはどのように法案を変えていかないといけないかというようなことを、常にアンテナを張って、ニーズを考えて、それで新しい政策とかが提案できる、そのような研究を常にしている、そういう公務員が評価されるべきであるというような回答をいただきましたが、実際はどうなのか。

 前例踏襲で、今ある法律に基づいて粛々と仕事をしていくそういう公務員の方と、それから、先ほど申し上げたように、今ある国民の生活にアンテナを張りめぐらせて、新しい政策とか、どうやって法律を変えていけばいいかというようなことを一生懸命研究して提案をしてくるそういう公務員と、どちらが評価が高いんでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 理想は、どちらも兼ね備えた、自分が与えられた職責はきちんとやりながらも、でも、それにとどまらずに、やはりこの国にとってどういう政策を実行していくのがいいのかということも積極的に提案できる公務員が評価を受けるべきだというふうに思います。

杉田委員 先ほどの大臣の、その職責だけにとどまらずにとおっしゃった言葉を私は非常に力強く受け取らせていただきました。

 私も、地方の公務員をしているときに、いろいろ全国の仲間と組んで改革の勉強をしたりとか提案をしたりといったことをしていましたが、そういうことをしていると、どうしても裏では、そういうことをやるのはよくない、自分の与えられた職責で粛々とやっている公務員が偉いのであって、おまえたちのように、要らないことを考えて、改革とかいう言葉を振りかざして言っているようなやつはだめだというふうな評価をやはり受けてしまうんですよね。

 ですから、先ほど大臣がおっしゃったとおり、そういう職責にとどまらずに、もうちょっと広い視野を持ってこれからの日本を考えていくというようなことをきちっと評価できるような、そのような評価がないと、やはり、そういう視点を持って動いている公務員は、だんだんその組織にいづらくなってしまって、気がついたらその組織から出てしまっていたというようなことになりかねないと思います。これは、国家公務員でも地方公務員でも起こり得ることだと思いますので、どうか、とどまらない公務員というのを評価していただくような、そんな人事評価の仕組みというのを考えていっていただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 これは、きのう、参考人質疑のときにもちょっとお聞きしたのと重なるんですけれども、先ほどの大臣の答弁の中に、縦割りを排して横串を刺すというようなことがあったんですけれども、私は、そういった意味では、今回の改革の中にある内閣人事局というのに非常に期待をしたいと思うところがあるんです。

 私は、地方公務員をしておったんですけれども、今回国会議員になって、今の本当の実態の省庁の縦割りというのを見たときに、あっ、これはどうしたらいいんだろうと思う点の一つが、それぞれの省庁の人員なんです。

 やはり必要なところにはたくさん人が必要になってくると思いますし、今と昔とでは状況はどんどん変わってくると思うので、例えば農林水産省、昔は非常に重要な省庁だったと思うんですけれども、今は、いろいろな問題はありますけれども、就業人口は全体の一%ぐらいになっております。そこのところは実は人が余っていて、環境省、今後いろいろ環境のことを考えていこうと思えば、大変な課題がたくさんあるにもかかわらず、そこは人手が全然足りないというようなことで、それぞれの省庁において人員の配置というのが、今の日本の国民生活の実態に合っていない。

 合っていないとなれば、それを柔軟に運用して、例えば、これからは環境が大変だから環境省にたくさん人を置く、それとか、今後は少子高齢化が進んでいきますから、厚生労働省にたくさん人材を割いていかないといけないんだったら、その部分をどこかの省庁から定員を移すといったようなことは、これは横串を刺して初めて考えられることだと思います。

 地方の行政だと、問題意識のあるいわゆる改革派というトップの方が来られましたら、それがすぐにできるんですね。例えば、土木局とか建設局とかの人たちを削って福祉局の方につけましょうというようなことは、これはトップがきちっと問題意識を持って当たればできる問題なんですが、国の場合は、地方でいう首長に当たる、そういうトップダウンできちっとしたことを進めていくという部分が見当たらないんです。

 内閣人事局ができればそういったところもきっと解消されるんじゃないかというところに私は期待をしていきたいと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今回、内閣人事局を設置した大きな目的の一つが、各省縦割りで人材の戦略を練っていたのを、政府全体からどう戦略的に人材配置をやるべきかということを考え、そして実施をするところが今までなかった、なかったこと自体がちょっと驚きなんですけれども、それをようやくつくるという意味で、やはり私は改革だというふうに思います。

 そして、今回の法案では、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織として内閣人事局を設置し、これに、各行政機関の機構・定員に関する機能、級別定数に関する機能を集約するとともに、幹部職員人事の一元管理等に関する機能を担わすことにいたしております。そして、内閣人事局長には内閣の重要政策の推進にかかわる内閣官房副長官を充てることによって、重要政策の推進を人事と組織の面から横串を刺して政府一体となって戦略をし、政府の人材資源を最大限に活用することができるようになるかと思います。

杉田委員 十分にそこの部分を期待してまいりたいと思います。

 今回の改革案の中に入っていないことなんですけれども、私は、同じことが予算についても言えると思うんですね。先ほど縦割りを排してというふうにおっしゃいましたが、私、国会議員になって、去年の十二月に初当選して、一月からはずっと予算のこととかをさせていただいたんですけれども、各省庁、皆さんが説明されるのが、去年のこの分野の予算に対して何%増しています、何%削減しました、全部、去年のというのがありきなんですね。

 全体の省庁もそのままなので、これは先ほど申し上げました各省庁の定員と同じで、各省庁に配分されている予算というのは、大体、前年度に対してどう増減したかぐらいのところでしかなくて、大幅に予算をカットして違う省庁につけるというようなことができるところが全くないんじゃないかなというふうなことを思っているんです。

 また例を出すと、農林水産省ばかりいじめるようなんですけれども、農林水産省の予算と経済産業省の予算がほぼ同じなんです。農林水産省は一次産業だけ、先ほども申し上げました、従事している方の数は本当に今もう減ってしまっているんですが、経済産業省はその他全ての産業を所管しています、それがほぼ同じ予算です。それに比べてまた、環境省はその十分の一しか予算を持っていません。

 これが本当に予算配分として今の国民の生活に合っているのか、これからの日本を考えていく上でそういう予算配分でいいのかどうかといったときに、やはり、先ほど申し上げた、地方自治体でいうならば首長のような権限を持ってきちっとそれを配分する、調整するというような部署が求められると思います。

 今回の法案の中には入っていないのですが、昔は、内閣予算局というようなことで、そういうふうなことを研究されていた方もいらっしゃったというふうにお聞きしております。今後、改革を進めていく中で、私は、人事の次は予算の問題にもぜひ手をつけていただきたいと思うんですが、こういった内閣予算局に当たるような、そういう検討は今後されていく可能性というのはあるんでしょうか。それをお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 今回は、戦略的な人事を担う組織として内閣人事局を設置いたしました。委員御指摘の御趣旨というものもよくわかりますが、今は、経済財政諮問会議においてそういう大きな方向性を示して、そしてその方向性に基づいて財務大臣が予算編成を行い、各省大臣が政策を推進していくという意味において、同じような趣旨を実現しているものと考えております。

杉田委員 経済財政諮問会議が、そのような役割を果たすということで期待されてつくられたということはよく理解しておるんですけれども、それでもやはり実態を見るとなかなかそのとおりになっていない。先ほど申し上げたような予算配分を、私はよく国政報告会で有権者の方に、予算というのはこういう配分になっているんですよと言うと、私の選挙区は農業に従事している方はほとんどいらっしゃらないようなところなので、皆さん本当に驚きの声を上げられることが多い。

 本当にそこのところで、きちっとした予算配分と言えるのかというのはまだまだ疑問が残るところでありますので、経済財政諮問会議の権限をもっと強くするなら強くするで構いませんし、そういった予算についても、きちっとした配分ができるような形に持っていっていただきたい。それをやるところがないというのが、私も先ほど大臣がおっしゃったとおり本当に驚きで、それでは国はなかなか変わらないんじゃないかということを非常に不安に思っております。そのあたりもしっかり今後検討いただければと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 今回の人事の中で、評価とかそういうふうなことをしていく中で、ちょっとお聞きしたいんですが、例えば、民間とかでは当たり前のことなんですけれども、入ってきた年次に関係なく、能力がある方、ある一定の評価を得た方は、先輩を追い越して上のポストにつくということ、これも民間では当たり前のように行われています。私がいました地方の自治体の中でも、入ってきた年次と関係なく、年下の方が上司になったりとかというようなことは普通に行われています。

 国家公務員に関してはキャリアとノンキャリというのに分かれているのもありますけれども、例えばキャリアの中でもやはり入省年次というのが非常に尊重されていて、なかなかそれを追い越して下の方が上のポストにつくというようなことはないというふうに思っていますが、これは民間の感覚からすれば非常におかしいなと感じる部分であります。

 今回のこの改革によって、そういった評価で本当に、できる方は若い方でも抜てきをする、そういうふうなことは想定されているのかどうか。されているのであれば、この法案のどこにそういう要素が入っているのか。お尋ねします。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 既にございます法律の規定も引きながらお答えさせていただきます。

 我が国が直面するさまざまな課題に迅速に対応し、内閣の重要政策に対応した戦略的人材配置を実現するためには、能力・実績主義を徹底した適材適所の人材配置を実現していく、これは非常に必要でございます。

 なお、平成十九年の国家公務員法の改正におきまして、二十七条の二、「人事管理の原則」ということが定められました。ここにおきましては、職員の採用後の任用、給与その他の人事管理は、職員の採用年次及び合格した採用試験の種類にとらわれてはならず、人事評価に基づき適切に行われなければならない。また、この改正におきまして人事評価制度が導入されたところでございます。現在、この改正の趣旨に沿って各省とも適材適所の人事に努力しているということでございます。

 なお、今回の法改正におきましては、これに加えまして、既に御案内のとおり、幹部職員について、勤務成績、実績がよくない場合に該当しない場合であっても、弾力的な人事配置の実現のために、一定の要件のもとに降任を可能とする特例降任の制度を設けるとしたところでございます。

杉田委員 平成十九年の改正のときに、入ってきた年次にとらわれず、能力・実績主義で登用される、抜てきされるというようなことが決められているということはよくわかります。

 実際はどうなんでしょうか。実際、例えば入省年次とかを超えてそういうふうな抜てきをされているのが各省庁でどのくらいあるのか。実際にそのような人事が行われているのかどうか。それをお尋ねしたいと思います。

川淵政府参考人 人事管理の実情はそれぞれの省庁や職域によってさまざまな状況がございますので、一概にこうだというのはなかなか申し上げにくいところはありますけれども、例えば、従来、1種、俗にキャリアと言われている方々の中でも、成績がどうしても劣っている方は本省の課長にしない、指定職には上げないというふうなことは行われておると承知しております。

 どの程度抜てき、あるいは年次主義を脱却していると評価するか。いろいろ見方はあると思いますが、かなり差をつけた人事は、かつてもある程度は行われておりましたし、最近はますます行われてきているものというふうに承知しております。

杉田委員 具体的な数値ではなくて、ますます行われてきているという抽象的な表現で答弁をいただいたんですが、まだまだそのあたり、入省の年次にとらわれずに自由に人事が行われているというふうに感じている方は、実際、中にいらっしゃる方はなかなかいらっしゃらないように思っておりますので、せっかくこういった形でもう法律はそれをやってもいいということになっているわけですから、もっとそれを運用して、やはり能力がある方は抜てきをする、これがひいては国民のためなんだ、効率的な国民のための国家公務員を運用することにつながっていくんだというようなことを考えていただいて、どんどんその制度を使っていっていただきたいというふうに要望いたします。

 それでは、次の質問に参ります。

 これは、前も新藤大臣にも質問をしたことがあるんですけれども、私が行政視察でイギリスに行ったときに、イギリスの国の施設とか地方の自治体なんかもいろいろ回って、いろいろな方とお会いしてお話ししたんですが、地方の方でも国家公務員の方でも、大体の方は皆さん転職をされている、そういう経験がおありになって、例えば何とか市という市の方と名刺交換をすると、いや、実は私は前は国にいて、そしてその前は県にいましたというような形で、非常に流動化をしています。

 今の制度でも、よく国と地方が交換で人事をするというようなことはあるんですけれども、何年かたてば戻ってくるというような、身分保障がされたままの、そういった形の地方と国との人事交流であるというふうに私は捉えております。また、民間に出向というのがございましても、それも例えば五年たったら戻ってくるというような形に、今後も官民交流もかなり進めるというふうに今回おっしゃっていただいておりますが、そういう形になると思います。

 よく言われるのが、そういう五年たったら帰ってしまう課長さんが来たところで、お客さん扱いで、本当の仕事を任せるわけにはいかない、そういった声も民間側からもよく聞こえます。

 本当の人材交流というのは人材の流動化にあると私は思っておりまして、国も地方も民間も全部含めて、もう片道切符ですよね、退職してやめていっていただく、そしてまたそこを退職して違うところに移る。

 これは、今の民間で行われている転職と同じですし、民間にはそういうのでヘッドハンティングというのがありまして、その分野に秀でている方をヘッドハンティングして持ってくるというようなことが普通に行われているのですが、転職をしていく、人材を流動化させていく、ヘッドハンティングのようなシステムの中に国家公務員も地方公務員も民間企業も全部入れて初めて、人材交流、人材の流動化というのが実現する一番最終的なモデル、そこまでいかないと、グローバルな、ほかの国に対応するような制度にはならないのではないかというふうに私は考えているんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

稲田国務大臣 今回、官民交流の拡大、人材交流の拡大というのは、官から民に行っていただいて、そこでいろいろなことを学んでまた帰ってきていただいて、そして公務に生かしていただく。そして、それは民間であったり、地方であったり、海外も含めて、公務員自身のキャリアアップという意味もあるし、あと、それを公務に生かしていくという意味もあります。

 今御指摘の、片道切符で行ったきりということ、そういうものも考えるべきだとおっしゃることもよくわかるんですけれども、それにはやはり国全体が、労働市場が非常に流動化していくということも必要になってくるのではないか、そういう社会全体の意識改革ということも必要なのではないかなというふうに思います。

杉田委員 以前も総務省で議論していました例えば休業制度とかというのも、国家公務員とかそういうところが率先してすることによって民間に波及していくことを期待するというようなことでつくられている制度もたくさんありますので、できればそういうことを公務員のところから率先してやっていくことで、先ほど大臣がおっしゃった社会全体の意識改革につながるような、そういう流れも期待していきたいと思います。

 最後の質問になりますが、きのうも参考人質疑のときにちょっとこのエピソードを紹介させていただきました。

 私が公務員のころに、今のみんなの党の代表でいらっしゃいます渡辺喜美代表が行革大臣で国家公務員の改革を担っていたんですけれども、そのときに一度講演を聞いたことがありまして、非常に物々しい感じで、SPの方がずっと並んでいて、私たちなんかは名刺交換に近寄るのも本当に近寄れないぐらいな感じでした。

 その講演の内容の中に、国家公務員改革というのに取り組んだ途端に、家に嫌がらせの電話とかファクスとか、そういったものが非常にたくさん来るようになって、奥様がそれの対応でもう本当に心労がたたってしまって体調を壊された、寝込んでしまったというようなお話がありました。

 私は、国家公務員改革をするというのは本当に大変なことなんだなとその講演を聞いたときに思ったんですが、稲田大臣に質問したいと思います。

 稲田大臣は女性なので私は大変心配なんですが、おうちにそのような嫌がらせの電話とかファクスとか、そういったものはございますでしょうか。

柴山委員長 稲田大臣、御答弁できる範囲でお願いします。

稲田国務大臣 渡辺大臣がそうして御苦労されて改革基本法というものをつくられて、すごく画期的なことで、それに基づいて今回の改革はやっているところでございます。

 就任しましてから、意見交換会、またかなり丁寧に議論も進めて、各省との関係での折衝、人事院等も含めて、議論を丁寧に積み上げてきたつもりでございます。

 自宅にそういう嫌がらせがあったかということについては、そういう嫌がらせはありませんでした。

柴山委員長 杉田さん、質疑時間終了です。

杉田委員 済みません。

 安心をいたしました。ただ、改革の大きさとかというのがやはりその抵抗の大きさというのにあるとも思いますので、今回、いろいろな方が抵抗されるぐらいの大きな改革をぜひ進めていただきたいということを要望して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。

 よろしくお願いいたします。

 国家公務員法の一部を改正するということで、二度目の質問に立たせていただきます。

 私は、人事、人事をつくる組織、育成する組織というのはやはり人がやることであるというのが、当たり前のことなんですけれども、一番大前提にあると思いまして、きょうは、まず幹部候補育成課程について御質問させていただきたいと思います。

 育成ということは、育て成長させる、まさに字のとおりだと思います。まして、幹部、中心になる責任の重いポジションにある人間を育てていくには、山本五十六閣下のお言葉をおかりすれば、やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじというところだと思います。カリキュラムをつくっただけではなくて、それを誰がどう推進するのか、こういうことも非常に大事だと思います。

 そういう意味では、いただいている要綱の二十一の二にある、総理の定める基準というものに沿って運用がなされるというふうになっているんですけれども、その総理のなされる基準というのがどのように御認識されているか、稲田大臣にお尋ねさせていただきます。

稲田国務大臣 今回、幹部候補育成課程というものを新設して、やはり省益ではなくて大きな国益の観点から積極的に企画立案を提案できるような、そういう官僚をつくっていこうということでございます。

 幹部候補育成課程の内閣総理大臣が定める統一的な基準のもとに、各大臣等が、一定の勤務期間後に、本人の希望、人事評価に基づいて随時選定をします。これは、試験の種類にはかかわらず、その課程に入ることができる。そして、比較的若い年代から、各種研修、多様な勤務経験の機会を付与することによって、将来幹部職員の候補となり得る管理職員として、その職責を担うにふさわしい能力等を習得させることを目的といたしております。国民の立場に立って職務を遂行する上で求められる幅広い視野、高い専門性、マネジメント能力等を身につけることができるような内容になるというふうに考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 私、前回の質問のときも申し上げたんですけれども、そういうカリキュラムとか専門性を高める、もちろん、業務をやる実務上非常に大切なことだと思います。

 子供たち、またその親御さんたちに、子供に将来どういう職業についてほしいかというと、ここ最近、一位が公務員ということで、さまざまな賛否両論はあると思うんですけれども、私は、奉職につくこと、自分の子供たちを奉職につかせたいという観点で一番だったらこれはすばらしいことだと思うんですね。しかし、どうも実態はそうではなくて、民間ではリストラがあったり不景気でいろいろなことがあったり、そういう中で公務員が一番安定しているから、だから一番が公務員なんだと。

 これも現代の世情を反映して、鑑みれば仕方のないことかもしれませんが、本来はやはり奉職に勤めるということは誇りあることであって、だからこそ、我が子を公務員にしたいというふうになるには、そういう存在、そういう仕事をやっている皆さんが、先ほどちょっと山本閣下のお言葉をおかりしたのもそうなんですが、先日の古事記の話とかもそうですけれども、そういった存在に導くようなカリキュラムというのは非常に大事だと思うんです。そういう思いがあるかないか。

 今回の改正案をお聞きしても、こういうふうにする、こういうふうにすると、システム的なこと、システマチックなことは非常に出てくるんですけれども、一番大事な基本のところがどうも抜けているように思えて仕方がない。先ほど、我が党の杉田代議士の方から、もともとの根本の理念に戻るべきではないかという話が一番初めに質問であったと思うんですが、私も本当に同意していまして、本当にそういうふうに考えます。

 そういう中で、ぜひ総理の定める基準の中に、お飾り的な枕言葉ではなく、実際の運用に当たっては、そういった本当に一番大事なことをぜひ入れていただきたいというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 この公務員制度改革は、第一次安倍内閣において本当に総理の思い入れのすごくあった改革でもあります。それはやはり、国益、国のために働く、今おっしゃった奉職という意味における、国益のために働くそういう公務員を育てていくということでありますので、そういう思いを基本として、これからの検討事項になろうかと思いますが、きちんとそういう基準をつくってまいりたいというふうに思います。

中丸委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それでは、後藤田副大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 内閣人事局の組織は、機能移管という意味では総務省と人事院から人が入ってくるということになると思うんですけれども、会社でいえばMアンドAで別々の会社が合併するようなものだと思うんですが、その中で、トータルの人数は変わらない、総務省、人事局、足した人数は。だから、二つが三つになるからふえるんじゃなくて、基本的には変わらないというふうに聞いているんですけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。

後藤田副大臣 中丸委員の先ほど来のいわゆる国家公務員の人事政策について、本当に私も同じ思いばかりでございます。

 今のお尋ねでございますけれども、トータルの人数ということを前提にではなくて、今お話ありましたとおり、総務省の人事・恩給行政から人事が来ます、行管局から機構・定員というものが来ます、そして人事院から級別定数そしてまた任用、試験、研修が来ますということでございます。

 これはやはり、まずは既存組織の合理的な再編成というのを行います。加えて、私どもは、幹部人事の一元管理を新規に内閣人事局に据えます。加えて、幹部候補者の育成課程そしてまた総人件費の基本方針、これが新規に入るものでございまして、既存のものもしっかり入れながら、そしてそれを合理化しながら新しい新規のものも加えていく、こういう作業になっていくわけでございますので、トータルの人数というのは今の時点ではっきりは申し上げられませんが、やはり行革の観点も当然必要だと思っております。

 また、組織の肥大化、内閣府、内閣官房の肥大化という議論も今言われておりますので、その点はしっかり、機能移管を行う総務省、人事院を含めて、政府内でいろいろな観点から調整していきたい、このように考えております。

中丸委員 ありがとうございます。

 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、もう一度、後藤田副大臣に続けて御質問させていただきます。

 内閣人事局がさまざまな企画立案を行っていく、先ほど申し上げたように、いろいろな組織の人がくっついてくる中で企画立案をする中で、複数の省庁の中から出てきた人がまとまった中で、どうしても、元○○、元○○というような識別が入ると思うんですけれども、そういう企画立案をするに当たって、どのような方、例えば人事院から来た人が中心にやるんだとか、もしそういうビジョンがあれば、具体的に業務にどういうかかわりを持っていくのかというのを教えていただければと思います。

後藤田副大臣 中丸委員、まさに今の企画立案というのは大変重要な今回の人事局の肝でございまして、企画立案というのはもともと総務省の人事・恩給局でやっていたものを移管するわけでございますけれども、今回の人事局の哲学としては、やはり政府として総合的な人材戦略をしていく、こういうことが基本でございます。

 加えて、委員も御指摘になりました、今までの、既存の組織のノウハウというものもしっかり継承してまいりたい、このように思っております。そしてその中で、幅広く、適材適所の人事運用をしていくということでございます。

 やはり、先ほど来委員御指摘のとおり、公務員になりたいと思わせるようなそういった採用試験から、また、今公務員である若い人たちが本当にやる気になっていただくような幹部候補育成そしてまた養成、そしてまた、しっかりとした能力のある人が任用される、やる気を持たせる、そして幹部人事もしっかりと政治がグリップしていく、全体をグリップしていく、やはり省益じゃなくて国益を考える、そしてまた縦割りになっていないか、また時代の変化に、ちゃんと人材が配置されているか、こういうことをまさにここの心臓部分でしっかり企画立案できる者を充てていく、こういう考え方でございます。

中丸委員 詳細までというと、今の時点ではなかなか難しい部分はあると思いますけれども、ぜひともよろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、稲田大臣にお尋ねします。

 今、人事院と総務省から多くの異動があるだろうということであるんですけれども、二つ以上の組織が一緒になったときに、出身母体の人間関係も含めて、例えば我が党であれば、大阪維新の会と太陽の党がくっついてとマスコミでもいまだにいろいろ言われているわけですけれども、これを現実的にうまく回すには、ただ単に役職をつけてルールをつくっただけではなくて、やはり人間と人間のつながりをつくっていくことが非常に大事だと思うんですけれども、そういう現実的にうまく回していくために何かお考えがおありでしたらお聞かせください。

稲田国務大臣 具体的な組織のありようについては、今後の検討、また予算編成過程の中で調整していくことになりますが、今委員御指摘になったように、単に、機能を移管するからそこの人を全員ここへ持ってきてそれで終わりというようなものであってはならないというふうに思っています。現段階ではまだ決まっておりませんけれども、改革の目的、機動的に、そして戦略的な人事戦略が練られる、そういう体制にできるように検討していこうというふうに思っております。

中丸委員 ぜひとも、やっているのは人なんだということで、そういったことにも配慮をしながら、しかも、それをマネジメントできるような仕組みを構築していただきたいと心より思います。

 そういった中で、そういう新しい組織ができたときに、いろいろな意見、いろいろなスペシャリスト、いろいろな人が入ってきて、最後にそれを決裁する、決断するというのはやはり局長の仕事になるんだというふうに思うんです。

 先日来申し上げていますように、決裁をする仕事というのは、やはり、本当に崖っ縁に自分が立っている、ある意味背水の陣をしいているという責任感から、熟慮と、本当に今何が必要かというのを徹底的に考えて考えて考え抜くというスタンスが出てくるんだと思うんです。

 そういう意味では、他党の方からの質問等にもありましたけれども、私、人事局長というポジションはぜひとも政府の国会議員の中からお選びいただきたい。というのは、悪ければ更迭することができる。フレキシブルな人事をするには、さまざまな人事院の中の決まりがあったり、もちろん労働基本権とか、そういういろいろなものがある方ではなくて、これは政治家が担うべきだというふうに私は考えるんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今回の法案では、内閣の重要政策を推進していく内閣官房副長官の中から選ぶというふうにしておりまして、事務か政務かというところは規定はしておりません。今おっしゃったように、本当に、この内閣人事局の機能、権限を考えると、崖っ縁のそういう判断が求められるというふうに思います。それにふさわしい方を任命していく必要があるのではないかと思います。

中丸委員 ありがとうございます。

 事務か政務かというのはあると思うんですけれども、やはり、自分で腹をくくって腹を切れる、もしくは本当に総理の一言で動かすことができる位置にあるからこそ厳しい判断、決断ができるところにあると思いますので、ぜひとも今後そういった方面の取り組みはしていただいて、前回のときも申し上げましたけれども、人事局長というトップに公務員の事務方の方がなられると、結局、形は変えたけれども、公務員のための公務員の改革ということになりかねないこともあるんだというふうに申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、内閣補佐官のお話も出ましたので、大臣補佐官について。

 さまざまな話も出ていると思うんですけれども、大臣補佐官を決めるに当たって、恣意的なものにならないようにというお話を前回させていただいたと思うんですけれども、何か各種基準を作成していくべきではないかとか、そういうお考えというのはございませんでしょうか。

稲田国務大臣 大臣補佐官はつけてもつけなくてもいい、大臣の任意です。そして、大臣の申し出により内閣が任命することにいたしております。

 今委員の御指摘の本当にふさわしい人がつくのかという点については、法案が成立した後に、真にふさわしい人材がつくこととなるよう、内閣において適切なチェックを行うためのルールを定めることも検討いたしております。

中丸委員 ありがとうございます。適切なルールを定めるに当たって、やはり外部からの知見も取り入れるということも配慮していただければと思います。

 それから、時間も迫ってまいりましたので、最後に、これは私からの提案でもございます。

 前回もPDCAの話をさせていただいたと思うんですけれども、特にPDCAのチェックとアクション、CとAの部分について、例えば、経済産業省の外郭団体である社会生産性本部でいろいろな、経営品質という審査を行ったりしていると思うんですけれども、私も民間のときにそこの審査員とかをやらせていただいていたんですが、これは基本的に、上場企業であれば四半期毎、通常の企業でも半期決算で年二回、最低でも年次ごとに、年に一回は、公聴会を開いたり報告会を開いたり、どういう人事異動があって、結果どういう業績でどうなったか、そのためのルールはどう、さっきの育成はどういうカリキュラムでことしはやった。

 この法案自体が前回の甘利法案から変化したことに対して、大臣からは、環境の変化と時代の流れというふうなおっしゃり方があったと思うんですけれども、まさに毎年世界は動いているわけでございまして、そういう意味では、組織を変えて、仕組みを変えて、ルールを変えただけでは、体にしみついた、組織にしみついた習慣というのはなかなか変わらないんですよね。例えば、毎朝十キロ走った方が体にいいとわかっていても、そういう習慣がない人は毎朝五分前まで寝ているわけですよ。私の例え、ちょっとおかしいですかね。それぐらい、やろうと思っても、習慣というのはなかなか変わらない。

 そういう意味では、チェックとアクションというのは私は非常に大事だと思っています。政治主導というだけではなく、政治主導というのは、一部の内閣の皆様だけではなくて、こういう議論の場にそれを上げること、国会の場に上げ、与党、野党なく超党派の中で、それをしっかりと公開して、これはネットでも中継されているわけですから、国民の皆さんに公開することによって、公務員の皆さんは今回の改革でこういうふうに働いている、でも、こういう課題があったからこう変えるんだ、こういうことを示していくことこそ、皆さんに対して、我々のやっている仕事だけではなく、公務員の皆さん、官僚の皆さんのお仕事がどれだけのものをやっているかということを知っていただく機会にもなると思います。

 ぜひとも、そういう公開の場、まさに国会の場で公開しながら、年次ごとにチェック、アクション、改革を行う、改善を行うという仕組みを導入していただきたいと思うんですが、この意見について大臣の御所見を頂戴できればと思います。

稲田国務大臣 国民の目のチェックというのは私もすごく必要だと思いますし、行政事業レビューという、まさしく全部公開をして、それを国民の目でもチェックをしてもらうというオープンガバメントの精神というのは、この改革にも必要ではないかというふうに思います。特に、このように、今までずっと縦割りでやってきた人事に横串を刺すというような改革の場合は、それがきちんと機能しているかということは非常に重要だというふうに思います。

 内閣人事局で担うさまざまな制度、その運用状況について国民の御理解を得るということは大変重要だと思っておりまして、さまざまな場面でこれらの状況を公開する努力を行うことが重要であるというふうに考えます。

柴山委員長 中丸君、質疑時間終了です。

中丸委員 はい。

 ありがとうございます。ぜひとも公開、レビューだけではなくて、やはり、我々は全て選挙によって、国民の皆さんの代表としてこの場に来させていただいているというふうに思いますので、こういった場で議論をさせていただけるような改善の御検討をいただければということをお願い申し上げまして、中丸の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 おとといに引き続き、質疑をさせていただきます。

 各委員の方から再三質疑がありまして、ある程度論点は絞られてきているのかなと思います。

 その中で、そもそも論なんですけれども、どういった方が今この時代に求められているのかなと。再三言われていると思います。

 例えば、昨日、青山社中の朝比奈参考人が来られました。昔、一九三一年、今からもう八十年前、役人学三則、末広厳太郎東大教授。「第一条 およそ役人たらんとする者は、万事につきなるべく広くかつ浅き理解を得ることに努むべく、狭隘(きょうあい)なる特殊の事柄に特別の興味をいだきてこれに注意を集中するがごときことなきことを要す。」だとか、「第二条 およそ役人たらんとする者は、法規を楯にとりて形式的理屈をいう技術を習得することを要す。」だとか、「第三条 およそ役人たらんとする者は、平素より縄張り根性の涵養に努むることを要す。」こういったことがあるわけですね。

 八十年前、時代で考えますと、いよいよ動乱の時期になりまして、第二次世界大戦に向かう中、一九三一年というのは、いろいろな時代の流れの中にあって、当時はもしかしたらこの哲学が必要だったのかもしれない。

 では、今はどんな時代で、何でそもそもこのような公務員制度改革が必要か、過去の経緯もおととい説明させていただきましたし、答弁もいただきましたけれども。そして、今なぜこのような内閣人事局をつくるとなって、今論点となっているような、内閣人事局という今回の法案で、では果たしてその実現ができるのかどうか。そこが一番の問題点だと思っております。

 ですので、まず、そもそも論ですが、今この日本に世界と戦う中において必要な人材というのを改めて稲田大臣と後藤田副大臣にお願いしたいと思います。

稲田国務大臣 御質問は、なぜ今内閣人事局が必要なのかということだと思います。そして、昨日、朝比奈参考人もおっしゃっていたように、公務員みずからが、自分のやっていることがきちんと国家のために役に立っているという意識を持てれば幾らつらい仕事でもできる。しかし、そういうものが持てなくなっている状況、閉塞感があるというようなお話もあったところであります。

 やはり、それは今までの行政の縦割りの弊害を排して、そして今まで行政縦割りで人事をやり、人材戦略を練っていて、それで全体としてうまくいくというような時代は過ぎていて、政府、横串を刺して、一枚岩で一丸となって人材戦略をやり、人事をチェックすることによって、機動的な、戦略的な人材戦略によって世界において存在感のある日本というものをつくっていくことができるのではないかというふうに感じております。

後藤田副大臣 山之内委員にお答えいたします。

 まさに委員の御指摘、そしてまた、先ほど来の維新の会の皆さんの御指摘のとおり、今回の改革というのは、やはり組織改革という部分が大きいかと思います。そこにどう魂をしっかり入れていくかということが急務か、そのように考えております。

 私は、国家公務員というのは、やはり公僕であり、純粋な気持ちで役人になった方々ばかりだと思いますが、ただ、ともすれば、やはり省益の方が国益よりも優先する、このような一部のそういった部分での洗脳を受けてしまっている、こういう人たちもおるのかと思います。そうではなくて、優秀な方々は、もちろん問題解決能力というのは優秀なんですが、問題がどこにあるか、このことを見つけることが評価されるんだ、このような公務員のあり方を我々政治が示して、そちらの方に導いていくということが今まさに時代の変化の激しいときに必要なのではなかろうか、私はこのように考えております。

山之内委員 ありがとうございました。

 稲田大臣におかれましては、国際競争力に勝つ人材、それから後藤田副大臣におかれましては、問題がどこにあるのか、それを探す、そして解決していくという人材ですね。

 もちろん全ての方じゃないですけれども、では、今どういった方が、ある意味キャリア、国家1種に通られるかというと、やはり主に筆記試験だと思うんですね。私は、もちろん筆記試験が優秀なのは大変すばらしい能力の一つだと思います。ですが、問題がどこにあって、それを解決するというのは、やはりこの筆記試験のテストだけではなかなか厳しいかなと。

 特に、よく言われる例が、もし筆記試験で高得点をとるのであれば、ちょっとつまずいた難しい問題があればとりあえず飛ばす。解けるのからとっていって点数を高くする。これが常套手段ですね。そうなってしまうと、どうしても難しい問題はとりあえず保留する。この慣習がもし抜け切れないのであれば、これは極めて問題かなと思うんですね。

 これはよくある話、もしくはうわさの話かもしれないですけれども、君は何位だったの、どの成績、1種の試験ですね、そのときに自分は何位だったからどこどこ省、何位だったからどこどこ省、何番なのと。私は、それは一つの能力で、すばらしい能力だと思います。ただ、もしその能力が入省してから約四十年に至るまでずっと尾を引いてしまうような仕組みであれば、これはいささか問題かなと思っております。もしそういった人事評価であれば変えなきゃいけない。そういった観点からこの件も出発しているとは思うんです。

 そこで、改めて、今の人事の評価なんです。いろいろな評価基準を入れている。こちらに私も資料をいただきました、新たな人事評価。期首面接したり、業務遂行して自己申告をして、評価、調整、確認、また期末にも面談をする。その中で、具体的にそういった細かな評価がある、ですが、例えば年次を超えて、一年ぐらいの年次はあるかもしれないですね。ただ、二年、三年、そういった、ある意味、先輩の言うことは絶対という中で、一年、二年、三年ぐらいを超えて、そういった抜てき人事といいますか、今現実的にそれが行われているのかどうか、これをお聞きしたいと思います。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの職場、職域でいろいろな実情がございます。政府トータルとしてこういう状況にあるというのはなかなか申し上げにくいところですけれども、例えば、先輩職員を超えて課長に任用される、指定職に任用される、また、相対的に劣る方の場合は、例えば1種あるいは総合職であっても指定職にはならない、本省の課長にもならないというふうな差をつけた任用は行われているものというふうに承知しております。

山之内委員 今お答えいただきました、そういったものもあると。これが恐らく例外だと思うんですね、そういったこともあると。

 今答弁をいただきましたが、劣っている場合、そういったこともある。実情としては、なかなかないというのが現実だと思います。もちろん件数はあるんでしょうけれども、やはり今回、そういったものをやめようということで改正案が出てきていると私は思っております。特にまた幹部の方々、こういった方が特にそうしていかなければいけないんじゃないんだろうかというところでございます。

 私も、年功序列、悪くない面もあります。経験に基づいたこと、そういったものも必要ですし、実際にその経験が生きるというのは多々あると思います。こういった現実は、もう皆さん、ある程度御存じだと思います。

 では、今回の法案でそれができるか。要は、ある意味、外から刺激をある程度入れつつ、活力を出していかなければいけない。それで我々は、具体的には修正案を出しているわけですね。我々としても、野党の方々、みんなの党さん、民主党さんとも共同で幹部、していますけれども、要は、ある意味、ずっと年功序列だったときに、本当に優秀な方が本当に評価されているのかな、それもネガティブじゃなくてポジティブにどうすればなるのかな。その中の一つに、やはり公募の問題があると思うんですね。

 この前の質疑でもさせていただきました。要は、前回の甘利法案では、公募の具体的な目標、数値目標も設定されていた。その要件も、三段階ですかね、中、外、内外とあった。何で我々が、当初の甘利法案、こういったものにした方がいいんじゃないかと言うのは、今の原則の細かい数値が決まっている状況、この中に、ある意味、やはり外からの血を入れた方が活性化するんじゃないかと思っているから言っているわけですね。

 ですので、この点についての考え、要は、当初描いた、本当に闊達な弾力性のある人事のためにこういったものを入れた方がいいと思うんですけれども、その点について、稲田大臣、改めていかがお考えでしょうか。

稲田国務大臣 委員が御指摘になった成績主義に陥ると、本当に難しい問題は後回しにして、難しい問題こそ、今の時代は解決する能力のある官僚が求められている、そのとおりだと思います。そういう意味において、幹部候補育成課程において、試験の種類にかかわらず、そのときの成績にかかわらず、一定期間経過したときに幹部候補育成課程に入ることもできる、また今回、内閣人事局において、総理、官房長官から任免協議ができるというのも、年功序列のそういう候補者選定になっていないかチェックできるというところも大きいのではないかと思っております。

 公募についてですけれども、今回は、採用昇任等基本方針の閣議決定に職員の公募に関する指針を追加することを法定して、法律上、明確に公募に関する根拠を置くことといたしております。ただ、二十一年法案にあったような数値目標までその法律の中には法定はしておりません。それは、近年の地方公共団体等の公募の実態にかかわる議論などに鑑みて、数値目標があることで、その達成のために無理に実施しようとするような場合も懸念をされることから、制度の詳細までは規定しなかったものでございます。

山之内委員 ありがとうございます。

 私もまだまだ、国会議員として当選させていただいて一年未満ですけれども、思うことがあります。やはりいろいろ、方針と趣旨と中身、法律ですので具体的な文章で書くわけですね。描くものと、この法律でどこまで近づけるか、ここが一番重要だと思うんですけれども、法律というのは、やはり中で、実際プレーヤーは人ですので。

 私は、今回の趣旨、もちろん一歩前進した面は当然あると思います。ただ、これで、先ほど来各委員も御指摘のとおり、人事局というのをつくって、もしそれが中途半端なものになってしまって機能しなければ、弊害も当然あるわけですね。何点か、二日前の議論でもさせていただきました降任の要件だとか、これが厳し過ぎれば当然ポストがあかない、だから誰か登用することはかなり可能性は厳しくなる。また、人事院から、先ほど後藤委員の方も言われていました級別定数の件、こういったものもある。

 結果、ふたをあけてしまえば、一年たったときに、実際この内閣人事局によって人事がされた方が数名である。これは、極論を言いますと、もしかしたら、つくらなければよかったという批判にもなりかねないわけですね。私は、こういったものをつくって、実態に合ったものになっていけば、よりよい人事につながると思っています。ですが、極論を言ってしまうと、中途半端なもので、逆に、あれはつくらない方がよかったね、無駄だったねとなってしまうと、一番もったいないパターンだと思うんです。ですので、ここの点、やはり効果あるものにしなければいけない。

 その中において、我々が少なくとも思うのは、やはり公募の件。外からも闊達にして、やはり人事局があったから、ある意味、外からも来て闊達な人事になったね、もしくは特別降任、こういったものも、一段階じゃなくて、席をあける、席をあけるのも、今までの方が劣っているからというよりも、その方々よりも適格な、より合っている方々を入れた方がいいんじゃないか、そういった観点から主張しております。

 我々も、できればこういった修正案、大臣にも応じていただきたい。当然、この内閣人事局というものを真に機能するようなものにしていただきたいという気持ちはあるんですけれども、今のこの時点の内閣人事局、この中に、多少こういった、今後はこうしていこう、さらにグレードアップしていこうというお考えがもしありましたら、大臣、お願いいたします。

稲田国務大臣 今回の法案に関しては、就任後、意見交換会を通じ、また、さまざまな協議や議論を重ねた結果、最善のものとして提出をしているわけでございます。その上で、今国会で、委員会で御議論があったことなども含めて、きちんと機能できるものにならなければ、委員おっしゃるように何のためにつくったのかと言われかねませんので、その点はきちんとした運用に努めてまいりたいというふうに思います。

山之内委員 ありがとうございます。きちんとした運用、これを切にお願いいたします。

 やはり、わかるんです。今までの慣習があると思います、各省庁の中に。時に、例えば幹部で、前代未聞で十年次ぐらい飛ばして幹部になられた方は、もしかしたら厳しいかもしれない。上の先輩方から、あいつの言うことは逆に聞かないよとそっぽを向かれる可能性もある。ですが、時代の中で、三年飛ばし、五年飛ばし、七年飛ばし、十年飛ばし、もしかしたら、時代が十年、二十年たてばそれが当たり前になって、徐々にその慣習も突破していくかもしれない。

 そういった時代に応じた、多様性がこれだけできた国際社会の中において、やはり柔軟な人事をもって国益に資する公務員制度改革にしていただきたいと思っております。

 我々も、修正案、やはり級別定数も人事院の関与をなくすべきではないかだとか、そういった細かい点もありますけれども、引き続き訴えさせていただいて、この法案がよりよくなるために、当然今も理事さんたちが修正協議をいろいろされていると思いますけれども、一つでもよくなるため、お願いしていただきたいと思います。

 私も、もうこれは、ある意味、質疑といいますか、ある程度尽きていると思いますので、引き続き、この趣旨、各委員が言われている趣旨、よりよくするためということを御理解いただきまして、ちょっと早目ですけれども、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、田沼隆志君。

田沼委員 日本維新の会の田沼隆志でございます。

 再びこちらでの質問の機会をお与えいただきまして、ありがとうございます。

 本日も、おとといの質疑に続きまして、稲田大臣にぜひいろいろまたお尋ねさせていただきたいと思います。

 おとといのときにお聞きしたくてちょっと漏れてしまったので、かなりポイントを絞って、公募制度と内閣人事局の組織の中身についてお聞きしたいと思います。もし既に今まで皆さんの質疑があったならば重複してしまう部分もあるかもしれませんけれども、御容赦いただければと思います。

 この公募制度ですけれども、二十一年法案では数値目標があったわけで、これがなくなってしまったのは、もういろいろな御説明をお聞きしましたけれども、やはり改革が後退しているように思えてなりません。なので、ぜひ説得をしていただきたいんですけれども、きょうのこれでお尋ねさせていただきたいと思います。

 まず、大臣の御答弁で、この間の本会議質疑でも言われていたのが、公募制度についてのお尋ねということで、「近年の地方公共団体等の公募の実態に係る議論に鑑み、公募については、段階的な検証と実施を行いつつ取り組むべきと判断し、制度の詳細までは規定しなかった」ということで、先ほどの山之内委員にも答えられていましたけれども、これはどういう意味でしょうか。

 つまり、近年の地方公共団体の公募の実態が問題があったということですか。成功しているのか失敗しているのか、どういう見解なのかがわからない。もちろん、やらないというふうに、今回改革が後退しているように見えますので、ということは問題があったと認識しているというふうにお受けとめしなくちゃいけないようですけれども、どうなのか。ちょっとまず、はっきりお答えいただきたい。

稲田国務大臣 なぜ公募するかというのは、やはり民間からも優秀な人には来てもらいましょうという趣旨だということですよね。そして、今まで公募についての法律上の規定というのがなかったものを、今回の法案で、法律上公募というものも入れて、閣議決定で職員の公募に関する指針というものを盛り込むことにしたわけです。

 なぜ数値目標を入れなかったかというと、やはり、成功事例もあるとおっしゃいましたが、いかがなものかなと思う事例もあって、むしろ、数値目標を決めると、そこまでは絶対に公募しなきゃいけないというふうにすること自体が公募を入れた目的と必ずしも合わなくなってしまうのではないか、目標を決めれば何が何でもそこまでやらなきゃいけないということになりはしないか、そういう意味において、数値目標ということは法定すべきではないというふうに考えたわけでございます。

田沼委員 大臣、先に先まで答えられちゃいましたけれども、地方公共団体の公募の事例に対してどう見られているかです。見解。そこだけ絞って。

稲田国務大臣 いかがなものかなと思うような事例もあったというふうに認識をいたしております。

田沼委員 いや、それは、見解の相違かもしれませんし、かつ、いかがな事例もあるけれども、うまくいった事例もあるんじゃないですか。ないんですか。それはちょっと質問しませんけれども。

 我が党は橋下代表がおられて、やはり公募制度は非常に大きな成果を上げているということも言われているわけですね。これは、公募制度を地方公共団体が先にやっているというのを成功か失敗か判断するのは時期尚早ですよ。だって、始めたばかりなんですもの。チャレンジですから、私も、二十代、民間にいましたから、公募の難しさは大体わかります、市議会議員もやっていましたので。だけれども、チャレンジしてトライ・アンド・エラーをして、少しずつ示唆を得ながらやっていくものじゃないですか。ちょっとでも懸念があったから、もう引っ込めように聞こえるんです、今回の法案。それは本当に改革になるんでしょうか。

 では、もう一つお聞きしますけれども、数値目標はなぜ入れたかです、基本法のときから。これは、それを入れないと進まないからですよ。さっき大臣も、今までの御答弁でも、無理に実施するようになるとよくないというような御答弁でしたけれども、無理にでもやらないと進まないんですよ、こういうのは。新しい血を入れるわけです。純血主義の世界に新しい血を入れるというのは、かなり強引にやらないとできないという示唆があったんです。だから基本法のときに、私も、その当時議員じゃなかったですけれども、絶対そうだと思います。ちょっと、その当時、作成メンバーの方がおられたらお聞きしたいんです、きょうは大臣にお聞きする番ですけれども。

 そういう理念があるわけです。だからわざわざ書いていたのに、早速引っ込めちゃった、数値目標があると、その達成には無理に実施するようにすることも懸念されると。だからこそやらなくちゃいけないと私は思うんです。これに対して御見解を。

稲田国務大臣 公募をやるのをやめたということではなくて、むしろ公募はやりましょうということで、法律の中にも改めてきちんと明記もし、その指針も閣議決定をしましょうということでございます。ただ、数値目標まで決めることがいかがなものかという判断で数値目標は入れなかったということであります。

 また、公募については、公募手続を経た選考採用は、一般職の常勤職員で千三百七十五人、これは平成二十三年度であり、高度の専門的な知識、経験を有する人材を生かせるポストなどにおいて、各省において広く現在でも行われておりますし、今回、この法案の中で明記することによって推進を図りたいというふうに考えております。

田沼委員 今既にやられているということですけれども、では、結局、この法案は、初めて法律上も規定しているということで、改革後退ではないという御意見なんだと思うんですけれども、では、はっきりしていただきたいのは、公募はやるんですか。今、やめるのではないということですけれども、では、やるということですか。それはやるということですか。再度、御答弁。

稲田国務大臣 もちろん、やる、推進するということでございます。

田沼委員 その表現が、段階的な検証と実施を行いつつ取り組むということですけれども、では、いつやるんですか。それから、段階って何ですか、検証は何を検証するんですか。その中身をそれぞれ教えてください。

稲田国務大臣 公募は今もやっているし、法律に明記をして指針を書くことによって、いい人材を広く民間から登用していくという仕組みについては推進をするということでございます。

 ただ、数値目標に関しては、数値目標があることで、その達成のために、無理やりそこまで公募しなきゃいけないということを懸念されることから、段階的な検証と実施を行いつつ取り組むべきという、そういう判断でございます。

田沼委員 いや、私は組織改革をよくやってきたんです、二十代のときに。やはりこういう大胆な改革には数値がないと、いろいろな論理が出てきて結局逃げられちゃうんですよ。これは、恐らくここにおられる民間の出身の委員さんの方もある程度御賛同いただけると思います。確かに人事は繊細なものです。無理くり、しゃくし定規でやっちゃいけません。だけれども一方で、思い切った改革のためには、例えば数値を設定しないと、幾らでも換骨奪胎というのは起き得るわけです。

 だからこそ決めたんだと思うんですね、前のときに。これが今回の法案では抜けてしまっているというのは、国民には理解できないと思いますよ。やはりこれは後退と思わざるを得ません。慎重なのはわかります。慎重なのはいいことです。

 では、ちょっと揚げ足をとるような言葉ですけれども、今も公募をやっていると言われましたけれども、では、何で数値目標を設定できないのかと思うわけです、お尋ねしませんけれどもね。今やっているのだったら、もっとさらに拡大をしていくんだったら、数値目標を設定してもいいんじゃないかと思うわけですね。なのに、なぜか、今もやっているんだけれども、段階的に検証すると。いつやるかも、ちょっとよくわかりませんでした。

 なので、公募をもっと大胆に進めていくというときに、例えば全体の一割とか、やはりはっきり目標を決めていかないと、新しい血を入れて、民間の優秀な人材の皆さんに入ってもらってというのは、私は、今国会議員ですけれども、もしコンサルタントだったら、やはりそこまで踏み込んでいないと、ちょっと換骨奪胎になりかねないかなというふうに評価すると思います。国民もそうだと思います。ですので、ぜひ、ここは改めて検討をいただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。

 一点だけ、大臣の今の御答弁でも、公募を推進するために、採用昇任等基本方針の閣議決定の中に公募に関する指針を追加するんだということで、だから推進するんだというふうな御意見だと思うんですけれども、この指針というのは何ですか。ちょっとこの中身について教えてください。

稲田国務大臣 基本法に書かれている、職責を担うにふさわしい能力を有する人材を確保するため、公募に関するやり方ですとか方法ですとか、そういうものを指針の中に盛り込むということでございます。

田沼委員 方針の中身をお尋ねしたんですけれども。この方針がどういう中身かと、それから、基本法が既にあるということで、そこにそごがあってはいけないと私はちょっと聞きたかったんですけれども。

 もうこれは基本法としてあるわけですから、この数値の目標を設定してちゃんと公募を推進するとあるわけですから、閣議決定をするようになったということは、一つのプラス材料であるかもしれませんけれども、余り関係ないと言えなくもない。法律がもうあるわけですから。だから、やはり数値目標をちゃんと設定してそれを進めてもらうということ以外に、それ以外にはもう必要ないと私は思います。そこは見解の相違かもしれませんけれども、ちょっと後退と捉えてしまいます理由はそういうところです。御理解いただければなというふうに思います。

 ちょっと時間があれなので、次に行かせていただきまして、今お配りしているこの資料だと、今は下から二段目の公募制度についてお話しさせていただきました、数値目標がないというところですね。今度は、一番上の内閣人事局の箱、別のところです。

 この表だと、甘利法案のときには総務省、人事院の人事関連の機能を移管ということで、さらに自民党案だと全てを集約、統合している。一番右の今回の二〇一三年法案ですと、一部を移管ということに後退しているとやはりお見受けするわけですね。

 先日も、渡辺みんなの党代表も、三元人事行政体制から四元人事行政体制になるという言葉を使われていましたけれども、私もそう見えてしまうわけですね。ですので、幾つか御確認させていただきたいと思います。

 まず、縦割り行政の弊害を排除すると基本法の第五条の第二項にあるわけですし、この内閣人事局のそもそもの目的もそういった部分にもあろうと思うんですけれども、やはり、何々省に就職したというのではなくて、日本国政府に就職したという意識を醸成することが非常に重要だと思いますし、特に幹部の皆さんはそうですね、例えば出身の環境省から違う省の幹部になるとかもあり得るでしょうから。意識の醸成というのは、単にやれと口で言ったり、美辞麗句じゃ済まない部分があると思います。

 ですので、一つの御提案なんですけれども、就職試験のときに、これからの日本についてという、ある省のことじゃなくて、日本国全体のことを自分はこう変えていきたい、こういう仕事をしていきたいというような論文を課すというのも一つの点じゃないかなと。国1、国2、いろいろあると思いますけれども、そういった点数試験もある中で、同時にそういったものは必要じゃないかと思うんです。

 そのことの御見解を聞く前に、基本法の概要でよくわからなかったのが、やはり人事院と人事局の関係なんですね。

 試験に関しては、内閣人事局は試験の対象官職、種類、確保すべき人材に関する事務を所掌するということなんです。つまり、試験自体は人事院のようなんですけれども、先ほど言ったような論文を導入するとか新しい取り組みをしてくださいと、人事局から人事院に指示が出せる分担になっているんでしょうか。

稲田国務大臣 採用試験については、内閣人事局は対象官職、種類、確保すべき人材に関する事務を、人事院は試験の方法、科目の設計、問題作成、実施等に関する事務を担うことといたしておりますので、こういう問題をつくるということは人事院で策定をされるものというふうに理解しております。(田沼委員「では、先ほどの論文も」と呼ぶ)論文試験をする、その方法については人事院が決めるということでございます。

田沼委員 人事院が決めるんですね、人事局ではなくて。大丈夫ですか。

 ということは、私が今、これからの日本の論文をというのは、国に就職する意識を醸成するために必要じゃないですかと御提案したんです。別の形でもいいんですが、国に対する就職という意識をつくるために、内閣人事局は試験に対して、何かこういうふうに改めるという権限はないということですか、お答えください。

稲田国務大臣 委員今御指摘の、国家というものに対して、きちんとした国家観を持った人材を採用したいということについては、内閣人事局は、人材のニーズというか、そういう人を採用したいという人を踏まえて、採用試験の対象官職、それから種類、採用試験を通じて確保すべき人材に関する、こういう人材を採用したいという事項について定め、その具体的な科目そして問題の作成については人事院が担うということになると理解をいたしております。

田沼委員 要は、できないということですよね、これは。それは、まさに四元人事行政の弊害じゃないですか。

 だって、まず、入ってくる人がどういう意識で就職してくるかの部分に、既に内閣人事局は手を出せないということに聞こえますよ。いや、方針は出せるという大臣の御答弁でしょうけれども、やはり試験の内容まで言わないと。だったら、一緒の組織にすればいいじゃないかと私は思うわけですね。

 それから、今の御答弁だと、なぜ分かれているのかがやはりわからない。というと、やはり後退しているんじゃないのかと思うわけです。一元人事行政にしたかったんじゃないのかなと。何で四元で、しかも指示も出せないとなると、人事局の力というのはどこまであるのかと早速疑問があるんですけれども、もし御見解があれば。

稲田国務大臣 もちろん、どういう人を採用したいかという事項については内閣人事局で決める。しかし、具体的な問題ということになりますと、やはり政治的な中立性ということも要請としてあります。そういう意味から、人事院において具体的な問題はつくるというふうに役割を分担したということでございます。

田沼委員 だったら、せめて、幹部になるときにそういった試験をもう一回課すべきですね。幹部としては、やはり日本国のため働くという幹部になっていただかないと絶対いけませんから、採用のときは意識の醸成はまだいいかもしれないけれども。それをちょっと御検討ください。

 次に行きます。

 同じような、ちょっと疑いがあるのが、職員の級別定数設定、これは内閣人事局の権限とありますね。この概要の方ですと同じページの少し下の方にあるんですけれども、ここに、級別定数の設定の下の方に、人事院の意見を尊重とあるんですよ。たしか平成二十一年法案だとなかったと思いますけれども、これは何で入ったんですか。

 というか、これはどこまで尊重するんですか。この定数設定というのは本当に肝ですよ。影響という一言が、まず中身がよくわからない。どれぐらいの影響力があるか。ちょびっと聞くだけで、無視、無視と言うとあれですけれども、参考にする程度なのか、それともそのまま使うぐらいなのか、これはわからない。わからないから、はっきり賛否もわかりません。だから人事局の強さというのもよくわからない。これだと、責任者がどちらなのかもよくわからない。決定権者は人事局なんだと思うんですけれども、これはちょっと具体的に、この影響力について教えてください。

柴山委員長 稲田大臣、質疑時間終了ですので、端的に御答弁ください。

稲田国務大臣 この点についてはかなり議論もされているところでございます。

 その上で、級別定数、今回初めて内閣に持ってくるという、決定権は内閣にあります。その上で、ポストの格付自体は勤務条件に関連しないとしても、全体としては勤務条件に関連する部分があります。そこについては十分人事院の意見を尊重して、最終的に内閣において決定をするということでございます。

柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。

田沼委員 では、ぜひ検討をしっかりしていただきたいと思います。

 以上で終わります。

柴山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫でございます。

 みんなの党、日本維新の会提出の国家公務員法改正案及び幹部国家公務員法案についてお尋ねをいたします。

 本日は、提案者であります、みんなの党渡辺喜美代表がお見えでございますので、渡辺喜美代表にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 まず第一問、公務員制度改革を実現することの意義をどのようにお考えであるのか。

 第一次安倍内閣の途中から福田内閣の内閣改造まで、公務員制度改革を担当する内閣府特命大臣をお務めになられました経験上、渡辺喜美代表からその思いを聞かせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

渡辺(喜)議員 端的に申し上げますと、国家経営にイノベーションが働かなくなってしまった。やはり国家経営も企業経営と同じように、イノベーションがなくなりますと衰退の一途をたどるようになります。

 ベルリンの壁が崩壊をしたのが平成元年、そこから先は社会主義の国が消えてなくなって、世界じゅう大競争の時代に入ったんですね。しかし、日本だけが中央集権で統制型のシステムを相変わらずやり続ける。そうすると、どうしても世界の大競争についていけなくなってしまうという事態が起こり始めました。九〇年代の半ばには、もう既に世界経済が一体化を始めていたわけですね。結局、若手官僚がそういった危機認識を持って企画立案を、横串を通した国家戦略を立案してもそれが採用されないという事態が起こり始めたんですね。

 結局、そういったことを考えると、やはり冷戦が終わったというのは極めて大きなことであって、外交や安全保障の面でも、冷戦時代というのは、戦争も不可能だが平和も不可能な時代だった。冷戦が終結をしたというのは、平和も可能になったが戦争も可能になった時代なんですね。

 ところが、前例踏襲で、とにかく集団的自衛権の行使は認められないんだというようなことに固執をしておりますと、まさに戦略的な外交・安保政策の企画立案はできなくなってしまうわけであります。

 したがって、そういうことを考えれば、やはりイノベーションのできる公務員制度が必要である。イノベーションができるためには、今のような身分制を廃止するということが大事ですね。

 例えば、試験区分による人事、これも身分制です。入省年次による人事、これも身分制なんですね。こういう身分制で人事をやり続けていますと、例えば、若手官僚の企画立案における評価において先輩の天下りポストをいかにふやすか、こういうとんでもないことが裏の評価ポイントになったりするわけであります。そうすると、延々と統制型のシステムが続く、前例踏襲主義が続くということになって国家経営は衰退の一途をたどっていくわけであります。

 第一次安倍内閣のときには、こうした身分制の人事をやめさせようということで、はっきりと国家公務員法に採用年次や試験区分で人事を行ってはいけないという規定を設けたところであります。現役時代は能力・実績主義、実力主義、これで法律上は整ったんですが、いまだにそれが貫徹されていない。

 第一次安倍内閣のときには、再就職をするときにも能力・実績主義でいこうと。つまり、天下りというのは人事ではめ込んでいくわけでありますから、まさにこれは統制価格による再就職なんですね。実力主義で再就職をするんだったら誰も文句はありません。しかし、現役時代よりちょこっと年俸が下がる程度で天下りをやり続ける。そうすると、統制型のシステムを温存しておかないと、現状維持をやり続けないと、人事そのものが回らないということになってしまって、国家衰退はまさに必定になるわけであります。

 我々は、こうしたことを全面的に転換するために、やはり公務員制度改革が必要であると考えたところであります。

 第一次安倍内閣においては、天下り規制、各省、天下りあっせんを全面禁止するという驚天動地の法案をつくって、これを通したわけであります。こうしたことをさらに具体化していくためにはやはり基本法が必要である、そう考えて、福田内閣において基本法の制定を見たところであります。

 官僚の本分というのはやはり政策の企画立案であります。そして真の政治主導というのは官邸主導なんですね。政治家がたくさん集まって政治主導というのは、これはミスリードの話であって、民間企業経営であっても、例えば人、物、金の選択と集中、国家経営においても、内閣に人事権、予算編成権、国家戦略の企画立案、決定、こういった権能を集中させることが大事であります。したがって、そういう観点から、国家公務員改革基本法を制定したところであります。

 そういったことを進めていくためには、さらに細部にわたる制度改革が必要になるわけでありまして、内閣人事局を初めとした一連の改革がその後に続くはずだったのでありますが、いまだに進んでいないというのが残念ながら現状かと思います。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 私、地方議員出身なんですけれども、代表、地方がまさにそれに毒されているのが現状なんですね。国を見て天下りの仕組みをそのまままねる。地方の場合は、逆に言えば、お世辞を言うと出世してしまう、こんな現状なんですね。驚天動地の改革ではもうないと思いますね。ぜひ、今いち早くやらなければ、まさに国家の存亡の危機にある、私はこのように思います。

 それでは次に、人事院から内閣人事局へ機能移管についてのお尋ねをいたします。

 政府提出の閣法では、人事院から内閣人事局への権限、組織、機能の移管が足らないと私は考えております。そこで、内閣が一元的に国家公務員の人事を管理することが、課あって局なし、局あって省なし、省あって政府なしなどと言われる官僚機構の縦割りの弊害を防ぐ第一の条件だと考えております。

 渡辺代表にお尋ねをいたしますが、人事院からの権限、組織、機能の移管という点について、代表の閣法への評価と、それに対する今回のみんなの党、日本維新の会の提出法案の評価をお尋ねしたいと思います。

渡辺(喜)議員 残念ながら、今回の閣法は非常に不十分だと思いますね。

 先日の趣旨説明のときにも申し上げたかと思いますが、麻生内閣のときの担当大臣である甘利大臣の名前をとって甘利法案と言われるものよりもさらに後退をしてしまった。結局、人事三元体制と言われるものが、これが四元体制になってきてしまっているという印象を受けますね。

 なぜ一元化が必要なのか。実は、私が大臣のときの、これは福田内閣のときの国家公務員法、基本法のときでありますが、内閣人事庁という構想だったんです。そして、企画立案を担当する官僚はこの内閣人事庁において一括採用していこうということだったのでありますが、これは当時の与党自民党も通り、政府案となったものでありますが、残念ながら、国会において修正をさせられて、内閣人事庁が人事局になり、一括採用というのは各省採用に戻されてしまった経緯がございます。

 なぜこういうことが必要なのかといえば、それは、まさしく各省の縦割りを排す、そして、まさに企画立案に携わる官僚は日の丸の方を向いて、国家と国民の方を向いて仕事をできるようにしようという発想からでありました。

 甘利法案においては、できるだけ人事の権能を一元化しようということが書かれております。今あります財務省の給与共済課とか人事院の給与二課とか総務省の定員管理参事官室ですか、そういったところは、ほぼ同年次の財務官僚の固定ポストになってきている。そういうことではだめなのであって、幹部人事を一元化する。例えば、政権の方針に従って年金制度改革を抜本的にやるというのであれば、その改革派局長のもとの部隊編成もきっちりやらないといけないわけであります。だからこそ、こうした人事部門を一元的に統括できるものが必要になるんですね。

 残念ながら、今回の稲田大臣のもとに出された閣法においては、そういった発想が極めて乏しいというか、ほとんど取り入れられていないというところに最大の難点がございます。また、若手官僚を大抜てきしようと思っても、降格ができなければ大抜てきができないのは当たり前なのであって、これでは、まさしく国家経営のイノベーションというのはおぼつかないということになるわけであります。

 一方、我々の議員立法の方は、降格も可能にする、そして人事局の器も一元化されているという点で根本的に違うと考えております。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 私の持ち時間はこれで終わりなんですけれども、稲田大臣、今の渡辺喜美代表の言葉、すごく重たいと思うんですけれども、どうも、何か時間がたつと進んでいるようなことを言われていましたが、国会も、本会議の中では。実は、時間が進むにつれて過去に戻っている、ぜひこの点は指摘をしておきたいと思います。

 そして、今まさに国家存亡の危機にある、そういう意味でも、国家公務員制度、いわゆる公務員制度改革は本当に喫緊の課題だと思っています。いわゆる国家公務員の身分制度の廃止、そのことによって縦割りも変わってくる。いつも言われていることなんです。多分、稲田大臣もそう思っていらっしゃるんだろうと思います。

 どうぞ、内閣委員の皆様には、みんなの党、日本維新の会が提案しております国家公務員法改正案、幹部国家公務員法案をぜひとも可決していただきますよう心からお願いをいたしまして、私の質問にかえさせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 本日もよろしくお願いいたします。

 順番的にはちょっと後なんですが、午前中の最後の方の質疑でもいろいろホットに議論されたということもあって、公募の数値目標の関係を先にさせていただきたいと思うんです。

 地方でいろいろな議論があったというのは承っておりますが、しかしながら、そもそも、例の特別職、一般職の話でいうと、基本法でそこまでは求めていませんよとおっしゃりながら、数値目標は基本法の六条四の二で明記されている、求めているんですね。地方の議論云々じゃなくて、求めているんです。なのに、なぜしないのかという、この法律的な観点からお答えいただけますか。

後藤田副大臣 午前中も公募についてのいろいろな議論がございましたが、大臣も繰り返し御答弁しておりますとおり、採用昇任等基本方針に職員の公募に関する指針を追加いたしまして、明確に公募に関する根拠規定を置くということにしております。

大熊委員 お尋ね申し上げているのは、数値目標の件、それ以外に実は内外の規定もあるんですが、とりあえずまず数値目標にフォーカスしてお尋ねをしているんですね。要するに、ここは基本法の六条の四の二で明確に求められていることなんです。

 これまでの大臣の御答弁ですと、例えば一般職、特別職のところでいうと、特別職は基本法ではそこまで求めていません、違反とは言えませんけれどもというお話なんですね。であれば、裏返しで、求めていることについてはしっかり実定法の中で書き込んでいく、これがロジカルなのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

後藤田副大臣 数値目標でございますが、これもやはり、数値をあらかじめ決めるということによって無理に公募をするということになっては、せっかくの人事管理、組織管理というものがなかなかうまくいかないだろうという判断でありますし、同時に、今でもそうでありますが、大臣の意思によって公募もできますし、そしてまた、大臣参与だとかいろいろと大臣をしっかり補佐するそういった人間は今でも可能でありますし、これから政治主導の中で大臣の意思でいろいろなことができる、こういうことでございます。

 先ほども、公募のいい面、悪い面、いろいろございましたけれども、これはやはり政治主導の中で大臣がしっかりと公募ができる、数値目標にとらわれずできることを規定しているということでございますので、あとは政治次第だと思います。

大熊委員 大変恐縮ながら、私はそのような観点での答弁を求めているんじゃなくて、あくまでも法制上の観点からなんですね。つまり、基本法で求められていないからやる必要がないと特別職のところで言っておきながら、基本法ではっきりと求められていることをなぜ実定法で書かなかったんですかということを、法制的な観点からお答えくださいということを申し上げているわけです。

後藤田副大臣 今回の法案では、先ほどの繰り返しの答弁になりますけれども、職員の公募に関する指針を基本法の求めに対応できるように措置したということでございますので、基本法を否定しているものではございません。

大熊委員 ちょっと時間もあれなので。

 否定しているということじゃないと思いますよ。しかしながら、不十分であると。なぜならば、求められているのに数値目標について何も書かれていないというか、二十一年法で明記されていたものが落とされているということなんですね。ここは全く議論が平行線で理解できなかったということで、時間も四十分までなので、先に行かせていただきます。

 通告で最後の方ですが、政官接触、これも本会議で質問させていただいて、既に各省やっていますよ、そういうお答えなんですが、これは事務局の方にも電話をいただいたのでお話ししておりますが、であれば、各省で実施している政官接触の記録作成、保存のフォーマット、書式、これをぜひ各省ごとに全て、今すぐじゃなくて次回までに御提供のほどをお願いしたいということなんですが、よろしいでしょうか。

 これは委員長にお願いすべきなのか。通告はしてございますが、一応確認のため、次回までに御提供いただけるという理解でよろしいでしょうか。

柴山委員長 それは事務方の方からどうぞ。

 川淵内閣官房行政改革推進本部国家公務員制度改革事務局次長。

川淵政府参考人 政官接触の記録作成、保存の実情についてお答え申し上げます。

 基本法に規定されております、職員が国会議員と接触した場合における当該接触に関する記録の作成、保存等につきましては、平成二十四年十二月二十六日に閣僚懇談会で申し合わされた「政・官の在り方」等により、大臣等の指揮監督のもと、適切に実施されているものというふうに認識しております。

 現時点において、政府として、各省庁における対応状況は承知しておりません。

大熊委員 それは本会議の御答弁で承知しているんですね。だからこそ、各省の状況を確認しているはずである、総合調整機能を持っている内閣官房の事務局でいらっしゃるわけなので、次回の質疑までに、各省全てのフォーマット、書式を、もちろん中身は空欄か黒塗りでいいですよ、出していただきたいということをお願いしているわけですが、よろしいでしょうか。

川淵政府参考人 各省さまざまな形で行っておると思いますし、政と官の接触のあり方はさまざまでございますので、先生御指摘のフォーマットという形になっているかどうか、そこはちょっと定かではないということでございます。

大熊委員 これは、大臣の本会議での御答弁で、各省しっかりやっていらっしゃるという御答弁なんですね。全然しっかりやっていない。しかも、全く管理もできていないじゃないですか。どうなっているかわからないという話ですよ。

 これはちょっと、ここはしっかりやっているという前提で、今やらせていただいている修正協議の中では、政官接触の部分を法的に盛り込むということはあえて落とさせていただいているんです。そういうことではまた修正協議の中で追加させていただかざるを得ないことになりますが。

 改めてお願いします。では、全部じゃなくてもいいですよ、幾つかでも。総務省だったら比較的近い関係、人事制度の肝のところですから、さすがに総務省は御自身でやっていらっしゃると思いますので、少なくとも総務省とあと幾つかでも結構ですが、よろしいでしょうか。

川淵政府参考人 先生のお求めに対しまして、どのようなやり方ができるか、やり方も含めて検討いたしたいと思います。

大熊委員 最初の質疑の水曜日の前日の火曜日に、あしたまでですかと事務方から電話をいただいたときに、いや、あした、つまり水曜日じゃなくてもいいです、その先でもいいですよというふうに電話でやりとりをしているので、そもそも出せないということになると最初からの話が違うということを申し上げて、ちょっと時間もあれなので、では……

柴山委員長 ちょっと待ってください。

 川淵事務局次長、いつまでに御対応いただけるか、お答えください。

川淵政府参考人 どのようなお出しの仕方ができるか、いずれにいたしましても、御検討に沿えるように最大限努力したいと思います。

柴山委員長 いや、私の質問は、いつまでにその答えを出してくださるかということです。

川淵政府参考人 委員が次回質問されるということであれば、それに沿うように検討、努力したいと思います。

大熊委員 では、次回までにフォーマット、書式をこの場でお出しいただける、確認ですが、こういう理解でよろしいですね。

川淵政府参考人 どこまで準備ができるかですけれども、最大限それに沿うように努力いたします。

大熊委員 それでは話が違うのであって、大臣が本会議で答弁しているんですよ、各省しっかりやっているはずだと。それはちょっとそごが、大臣の答弁と全く一致していないじゃないですか。整合していないじゃないですか。それはおかしいですよ。次回までにはっきりと、では、総務省と幾つかでもいいですよ、全府省は取り下げましょう。幾つかでもいいですよ、こういう形でやっていると。

 もう一つ言うと、四年前の時点では、これは国会議員と官僚の方の記録ですから、国会議員にこれでいいですかという確認作業をするかどうかという論点もあったんです。それは一切ないわけですね。実は私ども、一年弱ですが、一回もありません、そういう確認は。そういうことも含めて、しっかりやっているのかな、どうかなと大変心配なんですね。一回も私のところに来ていませんから、これでいいですかという確認も。

 したがって、少なくとも書式ぐらいは出してほしいということなんです。それをもって、修正協議で法的に追加させていただくということはあえて取り下げているわけなんですね。

 改めて伺います。次回まででよろしいですね。

川淵政府参考人 お出しできる範囲で、お出ししたいと思います。

大熊委員 ぜひしっかりした書式を、少なくとも公務員事務局御自身のものはあるはずですからね。それから、総務省の方は、だって所管官庁ですから、きっとあるはずですからね、やっていらっしゃるはずですから。あるいは、四文字官庁幾つかでもいいですよ、全部とは言いません。ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、適格性審査の関係へ行きたいと思いますが、仮に法律が成立しまして内閣人事局ができた場合に、人事情報をやりとりするということになっているかと思うんですが、今まだ内閣人事局用の情報システムというのは全くないと思うんですが、当初はこれは紙でやりとりをするということなんでしょうか。

 本来であれば、民間企業であれば、新しい子会社をつくるとかなんとかであれば、それに合わせて、情報システムとか会計システムとか、そういうのを整備した上で事業を立ち上げるわけですが、前近代的に紙で人事情報をやりとりしよう、そういうことで四月からスタートされるということで法律を出されたんでしょうか。お伺いしたいと思います。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 幹部職員の一元管理に係る適格性審査、任免協議等において、各府省から、適格性審査の対象者の人事評価に関する情報、あるいは幹部職員の人事案等を内閣人事局に提出していただくこととなります。

 こういったことを含め、人事情報については、当面は紙でのやりとりを想定しておりますけれども、情報システムの整備も含めた事務の効率化については、内閣人事局が業務を行っていく中で検討してまいりたいと思います。

大熊委員 今どき、日本の会社で情報システムなしに人事をやっている会社というのは、少なくとも上場会社ではないと思いますよ。これは極めて大変な問題だと思いますよ。ない中で始めようとしている。前回の四年前からあれすると、四年も時間があったわけですから、これは全くなく、紙で始めると今正直におっしゃっていただきましたが、これは大変な問題なんですね。

 であれば、もう一言。その内閣人事局の情報システムは、いつから紙をやりとりするんじゃなくて情報システムとして稼働して、それで情報をやりとりするということなんでしょうか。一年とか二年とか、その辺のタイムスケジュールについて教えてください。

川淵政府参考人 経費、体制に係る話でもございますので、今ここで、いつまでにということはなかなか申し上げることは困難でございますけれども、いずれにいたしましても、効率的な事務ができるように検討してまいりたいと思います。

大熊委員 今聞いていただいたとおり、本当に事業を開始するというレベルに至っていないんですね。ですから、法律を通すんだというのであれば、準備というものをした上で法律を出してこられる必要があるのではないかというふうに意見を申し上げて、次に一応進みたい。また時間が次回以降あれば、この問題をさせていただきますが、あと十分ちょっとでございますので。

 次に、再三出てきておりますが、標準職務遂行能力、あるいは標準職務遂行能力表。これはもちろん、直接の所管は人事・恩給局だと思うんですが、稲田大臣にお伺いします。この標準職務遂行能力表をごらんになったことはございますか。お尋ねいたします。

稲田国務大臣 まだありません。

大熊委員 恐縮ですけれども、今ちょっと水を飲んでいるところで、水を本当に噴き出しそうになったんですね。

 これはちょっと問題ですよ。だって、適格性審査というのは、標準職務遂行能力があるかどうかだけを審査するんですよ。この法案の肝中の肝のうちの一つなんですよ。それを担当大臣が見たことがないというのは、済みません、これはちょっとがくっときてしまったんですね。

 この表の中には、事務次官からいろいろ書いてあるんですが、一つも政府全体の観点とか政府全体を通ずるというのは、事務次官だろうが局長だろうが、課長補佐とか係長さんはそれはないのはしようがない、上から、要するにいわゆる幹部職員ということで議論しているここにも一切ないんですよ。この事態はどう思われますか。

 つまり、自分の省のことだけやりなさいよということが、倫理とか能力とか構想とかありますよ、だけれども、自分の省のことだけやりなさいという表なんですよ。それは、今、後ろからもらったんでしょうか、表そのものを。それはおかしくないですか。

 要するに、内閣官僚、日の丸官僚をやるんですよ。なのに、事務次官、局長も、自分の省だけのことをやりなさいよというのが標準職務遂行能力表の中に書いてあるんですよ。それが閣法で大臣が出された法案の肝中の肝の一つなんですよ。これはおかしくないですか。

稲田国務大臣 事務次官、局長の標準職務遂行能力においては、国民全体の奉仕者として重要課題に責任を持って取り組む、これは事務次官、局長、部長の倫理でございます。また、大局的な視野と将来的な展望に立って所管行政を推進、事務次官の構想のところに記載があります。また、国民の視点に立って基本的な方向性、方針を示す、局長、部長のところの構想欄にあります。国民の視点に立ち不断の業務の見直し、事務次官、局長、部長の業務運営の欄に記載がありますなど、内閣との一体性、政府の全体の観点からの内容が盛り込まれているというふうに思います。

大熊委員 政府全体を通ずるとか、そういう書きぶりは一切ありませんよ。最後に答弁で言われたけれども、ちょっと私、表そのものはあっちに置いてきちゃって持ってこなかったんですけれども、ここにないんですが、書いていませんよ。書いていませんよ。それはおかしいんじゃないですか。

 何が言いたいかというと、この法律で、要するに、適格性審査をやるんだ、標準職務遂行能力があるかどうかなんだったら、タイムラグがあって人事・恩給局が内閣人事局に入ってくるのかもしれないけれども、あらかじめか同時ぐらいに、この表そのものを、内閣全体を通ずるとか政府全体を通ずるとかということを、これは政令事項だと思うんですが、変えておく必要がある、あるいは、あったのではないかということ。それから、後づけになるかもしれませんが、人事局ができてからこの表を変えるべきではないか。

 要するに、下の方は別として、上の方、局長とか事務次官については、私どもは事務次官廃止というのを出しておりますが、まあ存続するとして、所管行政と今大臣言われましたよね。そうなんですよ、所管行政だけなんですよ。政府全体を通ずるとか、内閣全体の観点から、内閣の重要政策を遂行する観点からとか、一切ありませんよ。一切ありませんよ。そこをごらんになっていて、私の言っていることは間違っていないと思いますけれども。

 これはやはり、めでたく内閣人事局が設置できたとしたら真っ先にやらなきゃいけない。なぜならば、心臓部ですからね。これがそのまま、人事・恩給局がつくったままの、縦割りと言ったら怒られちゃうでしょうが、今までのとおりの標準職務遂行能力表のままでやるというのはおかしいんじゃないかなというふうに思うんですよね。大臣と副大臣、それぞれコメントをお願いしたいと思います。

柴山委員長 それでは、まず、具体的な文言の側面でしょうか、川淵次長、その後、稲田大臣、後藤田副大臣。

川淵政府参考人 今回の法律案によりまして幹部職員となるそれぞれの職制上の段階の標準職務遂行能力ですが、先ほど大臣からもお答えされましたけれども、国民全体の奉仕者として、大局的な視野と将来的な展望に立って、国民の視点に立って等々の観点が入っております。

 所管行政となっているのではないかということですけれども、それぞれ部局長等々の立場は所管行政について責任を持つわけですから、そういう表現になっているというふうに認識をしております。

 いずれにいたしましても、現在の標準職務遂行能力を適格性審査に用いることについては合理性がある、合理的であるというふうに考えております。

稲田国務大臣 委員御指摘の、政府全体の観点から、そういう具体的な文言ではないですけれども、先ほど申し上げました、国民全体の奉仕者として、大局的な視野と将来的な展望に立って、国民の視点に立ってというような表現は、まさしく政府全体の観点という点が示されているのではないかというふうに思います。

後藤田副大臣 今大臣のお話にありましたのに加えて、やはり、判断というところでも、部局を横断する課題、府省の重要課題ということも加えて、委員がおっしゃったこともしっかりと書いてあるとは思いますが、今の委員のお話も受けまして、これは政府全体を通じた企画立案という点において受けとめていきたいと思います。

大熊委員 副大臣、とても前向きな御答弁、ありがとうございます。ぜひ、この点は心臓部ですのでしっかりとお願いをいたしたい。大臣についても、同じ観点からやっていただければありがたいなと思うところでございます。

 引き続きまして、ちょっとトリッキーな点かもしれませんが、適性というのは何かということ。これも通告しておりますが、結局、標準職務遂行能力がある、その上で適性がある者を任用することになっております。この適性は何かということ、そして、適性と標準職務遂行能力は無関係かどうか、まずこの点をお伺いいたします。事務方でもどなたでも結構です。

川淵政府参考人 標準職務遂行能力でございますが、それぞれの職制上の段階におきましてその代表的な官職、これの能力を有するかという観点からのものでございます。

 適性でございますけれども、個々の具体的な官職についてそれが務まるかの能力というふうに考えております。

大熊委員 一応独立した変数だ、関係が一応ないんだ、一応確認ですが、そういう整理でよろしいですよね、局長。

川淵政府参考人 はい、そのとおりでございます。

大熊委員 その場合に、特定秘密の適性評価、これは適性の一部分、そういう理解でよろしいでしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 特定秘密の保護に関する法律で規定されております適性評価の制度でございますけれども、これは、特定秘密の取り扱いの業務を行った場合に、これを漏えいするおそれがないと認められた職員のみに特定秘密の取り扱いの業務を行わせるということで、これ以外の者を特定秘密の取り扱いの業務を行う者からあらかじめ除外をするという目的のもとに設けられているものというふうに承知しております。

大熊委員 それは私も読んでいるんですが、ちょっと時間がないので私の方から言っちゃいますと、まず、標準職務遂行能力表の中に、倫理というのが入っております。この倫理、あるいは服務規程ということになるんだろうと思います、この中には、いわゆる業務外非行、アルコールについての問題等、これが入っているわけであります。一方で、特定秘密の適性評価にも同じように、アルコールの節度なんでしょうか、飲酒の問題が入っているわけです。つまり、これは無関係じゃないんです。共通しているんです。

 そうすると、先ほどお答えになった、この特定秘密になければ、私も整理として、正直、標準職務遂行能力と適性というのを分けて考えておりましたが、今回この適性評価というのが特定秘密の方に入ってくると、これは話がややこしくなってきていて、共通した部分が発生してくるんですね。だから、整理ができなくなってしまうはずなんです。この点、一言お願いいたします。

川淵政府参考人 倫理を初めといたしまして、幹部職の職制段階に係る標準職務遂行能力でございますけれども、これらの能力を有しているかどうかについて確認を行うという目的でございます。特定秘密の保護に関する法律案の適性評価制度、これは先ほど趣旨、目的を申し上げましたけれども、両者は趣旨、目的を異にするものというふうに考えております。

大熊委員 本来そうだったとしても、アルコールの部分が適性評価でも入っている、そして服務、倫理というのが標準職務遂行能力表に入っている、したがって、これは結果として共通してしまうということになりますが、間違っていますか、私が言っていること。違いますか。

柴山委員長 川淵次長、質疑時間終了ですので、端的に御答弁ください。

川淵政府参考人 それぞれ、趣旨、目的が異なる制度の中で、結果として共通した事項が入っているものというふうに考えております。

大熊委員 終了ということなんですが、ということは整理ができないという結論で、本日は終わりたいと思います。

 以上です。

柴山委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、最初に、内閣人事局の事務、新設となっております総人件費の基本方針について質問いたします。

 まず、十一月十五日の閣議決定の文書、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」、これについてお尋ねをいたします。

 総務省にお尋ねいたしますが、この十一月十五日の閣議決定の文書で、給与については人事院にどのような要請を行ったんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 十一月十五日に、「公務員の給与改定に関する取扱いについて」の閣議決定を行いました。この閣議決定におきまして、給与につきましては、地場賃金をより公務員給与に反映させるための見直し、五十歳台後半層の官民の給与差を念頭に置いた高齢層職員の給与構造の見直し、職員の能力、実績のより的確な処遇への反映など給与体系の抜本改革に取り組み、平成二十六年度中から実施に移すこととし、早急に具体的な措置を取りまとめるよう人事院に要請するとされているところでございます。

塩川委員 ことしの人事院報告にあります給与制度の総合的見直しに即した要請を行っているということです。

 これまで人事院においては、給与構造改革で引き下げてまいりました地方の職員や高齢層職員の給与をさらに引き下げようというものとなります。また、昇給制度の見直しや、技能労務職員の一層の削減、賃下げを行うものともなります。国家公務員の給与引き下げが地方公務員の給与引き下げにも波及する、ひいては、地方公務員給与を参考にする民間給与にも影響するという点では、極めて重大な中身だと考えております。

 次に、この閣議決定において、国家公務員の定員についてはどのような取り組みを行うとしているでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 定員につきましては、今現在行っておりますめり張りのある定員配置を進めまして、現在の定員合理化計画を大幅に超える純減を目指すとともに、新たに設置されます内閣人事局におきまして、新たな定員合理化計画を作成する、そういうふうな内容になっておると承知してございます。

塩川委員 ここに内閣人事局が出てくるわけですけれども、内閣人事局において、新たな定員合理化の計画等を策定するという文言もあります。

 現行の合理化計画、つまり定員合理化計画の達成状況というのはどのようになっておりますか。

柴山委員長 上村審議官、少し大きな声で御答弁ください。

上村政府参考人 お答えいたします。

 現行の定員合理化計画でございますが、平成二十二年度から二十六年度までの五年間に、平成二十一年度末定員、これは約三十万二千人でございますが、これの一〇%以上、数値といたしますと、定員数三万二百四十四人以上を合理化するとされているところでございます。

 実績といたしましては、二十二年度から二十五年度までの四年間で二万六千八百五十九人の合理化を達成しているところでございます。

塩川委員 閣議決定の文章では、「平成二十六年度予算において、現行の合理化計画の目標数を大幅に上回る合理化を達成する」とありますけれども、どのような規模、内容になるんでしょうか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、この閣議決定では、現行の合理化計画の目標数、すなわち三万二百四十四人を大幅に上回る合理化を達成するようということでございまして、現在、まさに各府省との間で調整をしているところでございます。

 この方針を達成すべく、平成二十六年度の予算編成過程で結果を得られますように鋭意努力してまいりたい、こう思っているところでございます。

塩川委員 定員合理化計画の目標を大幅に上回る合理化を達成するという点では、もともと、今、日本の国家公務員の数が少ないというのは、国際比較でも言われているところでありますし、東日本大震災の対応も含めて、本当に現場で懸命に頑張っておられる国家公務員の方の数が少なくなっているというのがやはり行政サービスの低下をもたらす、こういう懸念の声というのは広がっておりますし、現場では、大変な長時間労働も強いられるような職場なども現に生まれているわけで、こういった定員の合理化ということについては容認することはできません。

 定員合理化計画は五年間で一割とありますけれども、いわゆる片道でありまして純減ということではありませんが、この閣議決定の文章では「重要課題には適切に対応しつつ増員を抑制し、これまでに引き続き、大幅な純減を目指す。」とあるが、これはどういうことでしょうか。現在、政府としての純減目標はないと承知しておりますが、その点はいかがですか。

上村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、現在、政府において、前もって純減数を定めるというような計画は策定されておりません。

 以上でございます。

塩川委員 閣議決定では、今議論をしております国家公務員法の改正案に基づき設置される「内閣人事局において、国が果たすべき役割を踏まえ、今後の総人件費の基本方針、新たな定員合理化の計画等を策定する。」とあります。

 そこで、稲田大臣にお尋ねをいたしますが、内閣人事局が発足すれば、その事務として、国家公務員の総人件費の基本方針が新設されますが、この総人件費の基本方針とはいかなるものでしょうか。

稲田国務大臣 今回の法案では、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担う組織として内閣人事局を新設するとともに、その機能の一環として、同局が総人件費管理機能を担うため、国家公務員の総人件費の基本方針を定めることといたしております。

 この総人件費の基本方針とは何ですかというお尋ねでございますが、国家公務員の総人件費のあり方についての中長期の方針及び毎年度の方針を事前に定めるというイメージをいたしております。

塩川委員 総人件費の管理機能を担うために基本方針をつくる、中長期の方針、毎年度の方針を立てるということであります。

 総人件費ですから人数掛ける単価ということになるわけですけれども、この閣議決定に、内閣人事局において新たな定員合理化の計画等を策定すると言われています。この新たな定員合理化の計画というのはどんなもので、そこには、今は持っていないという定員の純減目標、これを書き込むようなことが想定されているのか、お尋ねをいたします。

稲田国務大臣 新たな定員合理化の計画は、今回の改正で内閣人事局が定員管理機能を担うことに伴って、内閣人事局設置後に、内閣総理大臣、官房長官のもとで策定することになります。その具体的な内容を、現時点で確たることを申し上げることは困難でございます。

 また、内閣人事局として、十二次にわたる定員合理化計画の成果を適切に評価するとともに、各府省の現場の実情を的確に把握し、できるだけ早期に内閣人事局を設置して、同局で十分に検討を行うことができるよう努めてまいりたいと思います。

塩川委員 今の段階では具体的な内容は申し上げられないということでありますが、この閣議決定の文章では、「我が国の厳しい財政状況に鑑みれば、総人件費の抑制など行財政改革を引き続き着実に推進しなければならない。」としています。

 そうしますと、総人件費の基本方針を事務とする内閣人事局が立てるとなったら、この総人件費の抑制ということを踏まえて行うことになるのではないのか。つまり、結局、総人件費の基本方針というのは人件費削減方針になるんじゃありませんか。

稲田国務大臣 現時点で具体的な内容まで申し上げることは困難でありますが、総人件費の抑制なども含む公務員の効率的、効果的な運用ができるように行財政改革を進めるという観点から策定されるものというふうに承知いたしております。

塩川委員 総人件費の抑制も含むということをおっしゃいました。

 総人件費の改革ということでいいますと、二〇〇六年に行革推進法というのがありました。五年間にわたって行革の目標を立ててそれを達成するというプログラム法でありますけれども、二〇〇六年から二〇一〇年ということですから今の時点では切れているわけですが、法律そのものは残っているわけであります。この行革推進法の四十二条に、総人件費改革の趣旨を規定しております。

 そこで、お尋ねしますが、行革推進法の四十二条では、総人件費改革は、人件費の総額の削減を図ることにより行われるとあります。つまり、この行革推進法の四十二条というのは、総人件費の削減が総人件費改革の趣旨というふうに述べていると思うんですが、確認です。

宮島政府参考人 今御指摘の行政改革推進法四十二条におきましては、総人件費の削減を図ることにより行われるものとするという趣旨が書かれております。

塩川委員 ですから、総人件費の削減ということが総人件費改革の趣旨であって、行革推進法が現行も生きているということであります。

 そうなりますと、この行革推進法がある以上は、大臣、内閣人事局の国家公務員の総人件費の基本方針は、この行革推進法の四十二条を反映して総人件費の削減を図るということになるんじゃありませんか。

稲田国務大臣 何のために内閣人事局をつくるかというと、限られた人材の中で戦略的に人材配置を行うということでございます。その趣旨から考えまして、単に総人件費を削減すればいいといったようなものではなくて、行政需要、政策課題の変化に対応した、めり張りのある内容にしていきたいというふうに考えます。

塩川委員 めり張りとおっしゃいました。

 では、行革推進法では人件費の総額の削減を図るとしているわけですけれども、これに縛られずに、いや、人件費はふえますよということもあるということですか。

稲田国務大臣 繰り返しになりますけれども、単に削ればいいというようなものではなくて、限られた公務員、国民共通のインフラを最大限効果的に発揮できるようにその方針を策定していくというのが本来の姿であろうというふうに思います。

塩川委員 いや、ですから、行革推進法で総人件費の削減というのをうたっているんですけれども、では、総人件費の削減という行革推進法はもう無効です、とらわれなくていいというお考えということですか。

稲田国務大臣 無効というわけにはいかないですね。しかも、削減した方がそれはいいに決まっておりますけれども、ただ削減すればいいという問題ではなくて、内閣人事局が設置された目的に合致するように、戦略的な人材配置ができるように、行政需要への対応ということも重要であるということを指摘しているわけでございます。

塩川委員 無効というわけにはいかない、削減した方がいいというお話ですけれども、削減ありきという話に結果としてはなるわけで、私は、それでは本当の意味での国民全体の奉仕者としての国家公務員の役割を果たすような業務を果たすことができないということを言わざるを得ません。

 行革推進法の四十二条二項では、わざわざ、平成十七年度と二十七年度の比較で、GDP比において国家公務員の人件費総額の割合を半分にするために、できる限り近づけると書いてあるわけですよね。

 この目標に照らすと、平成十七年度のGDP比が一・七%で、直近の数字が出る年度としての二十三年度は一・二%で、対十七年度比では七一・三%、七割ですから、半分となるとさらに大幅に減らす、こういう行革推進法に基づいたらさらなる削減という話にならざるを得ないわけで、やはりこういう大幅なリストラ計画につながるような総人件費の基本方針というのはあってはならないと思いますが、改めてお尋ねします。

稲田国務大臣 数ありきの議論であってはならないというふうに思います。今御指摘の行革推進法四十二条の二項は、あくまで政府が留意をすべき目安であるということを御理解いただければと思います。

塩川委員 留意すべき目安ということで、それが反映をした総人件費の基本方針ということになるのではないのかということが懸念をされるわけで、私は、この人件費削減方針を結果として立案することになる内閣人事局の役割というのが、率直に言って、公務リストラの司令塔となるんじゃないのか、こういうことを強く危惧せざるを得ません。

 次にお尋ねしたいのが、級別定数の件であります。

 国家公務員制度の改革の根本問題は、私は、労働基本権の回復だと申し上げております。そもそも日本国憲法は、公務員を含む全ての労働者に基本的人権として労働基本権を保障しております。ところが、憲法制定の直後、一九四八年に、公務員の争議行為の禁止を日本政府に押しつけたマッカーサー指令によって、この基本権が公務員から剥奪をされ、以来、その回復が我が国国家公務員制度の根本的な課題となってまいりました。国際的にも、ILOのたび重なる勧告によって、公務員の労働基本権制約の解消が指摘をされてまいりました。

 この課題をどのようにやり遂げていくかが問われているときにもかかわらず、今回の法案は、この根本問題を取り上げず、一方で使用者側の権限を強めているのではないのか、こういう指摘が昨日の参考人質疑でもございました。その一つが級別定数の問題であります。

 人事院にお尋ねしますが、これまで、労働基本権制約のもとで、級別定数については人事院が所管をしてまいりました。なぜ人事院が所管をすることになっていたんでしょうか。

原政府特別補佐人 現行の給与法におきまして、労働基本権制約の代償措置として、勤務条件法定主義のもとで勤務条件について法律で定めるとともに、その細目は法律の委任を受けて私ども第三者機関である人事院が定めるものとされております。

 級別定数につきましても、勤務条件としての側面を持つことから、人事院が設定、改定を行っているところでございます。

塩川委員 級別定数についても勤務条件の側面を有しているから人事院の所管ということでありました。

 労働基本権制約のもとで、その代償機能を人事院が果たすためにその機能を人事院が所管をしてきたわけですが、この機能を使用者側の機関となる内閣人事局に移行するのであれば、人事院の代償機能が損なわれることになるんじゃないのか、こういう声が出てくるわけですけれども、これはどうなのか、運用上の仕組みにおいてもそれが担保されるのか、この点についてお伺いいたします。

原政府特別補佐人 今回の法案におきましては、級別定数が組織管理としての面をも持つということに着目をいたしまして、内閣人事局に移管されるものと承知してございますが、級別定数は勤務条件としての側面を持つ以上、代償機能がこれまでと同様に確保されることが必要であります。

 今回の仕組みにおきましては、級別定数の設定、改定は内閣人事局が所掌することとなりますが、その際、職員の適正な勤務条件の確保の観点からする人事院の意見を聴取し、これを十分尊重するものと法律で定めることとされています。

 その運用におきましては、各省要求に始まる予算編成過程におきまして、人事院が労使双方の意見を聴取し策定した設定、改定案を意見として内閣人事局に提出し、内閣人事局はそれに基づいて級別定数の設定、改定を行っていただくことが基本になると考えてございます。これによりまして、労働基本権制約の代償機能が確保されるものと考えている次第でございます。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

塩川委員 稲田大臣にお尋ねいたします。

 人事院は今、級別定数を内閣人事局が所掌することになっても、人事院の意見を聴取し、十分に尊重するということで代償機能は損なわれない、その点での運用面においては、各省要求に始まる予算編成過程において、人事院が労使双方の意見を聴取して作成した設定、改定案を意見として内閣人事局に提出し、内閣人事局がそれに基づいて級別定数の設定、改定を行っていただくことが基本になると答弁をされました。

 大臣にお尋ねするのは、人事院はこのように述べているわけですが、政府はこのとおり行うということでいいんでしょうか。運用上の仕組みも含めて、政府の考え方をお聞きしたいと思います。

稲田国務大臣 午前中も、この級別定数の法的な性格について、かなり詰めた議論がございました。ポストの格付自体、ポストの重要性自体は勤務条件ではありませんけれども、それが個人に結びつき、全体として勤務条件に関連する部分もあるということで、今回、人事院の意見を十分に尊重するということを法律上明記したわけであります。

 一方、級別定数を移管して、そして機動的に重要政策に対応するように人材配置をするためには、二重にとか、今まで以上に事務の過重があってはならないということもまた、今回の人事局を設置した目的からして当然のことだと思います。

 そういう意味において、今申し上げた点を実現できるような運用にしていきたいというふうに思います。

塩川委員 もう一回お尋ねしますけれども、重複しないようにという趣旨でおっしゃったんだと思うんですけれども、そうはいっても、具体の話として、人事院が言うような、つまり、人事院が労使双方の意見を聴取して級別定数の設定、改定案を意見として内閣人事局に提出する、そういう手続も含めて、これは政府の方は了承しているということですか。

稲田国務大臣 私が答弁いたしましたように、また、午前中の質疑の中にあったように、今回、人事局を設置した趣旨が十分生かされるような運用というものをこれから検討したいというふうに思います。

塩川委員 直接お答えいただいていませんけれども、人事院にお尋ねいたします。

 現在、級別定数の事務を行っている組織はどこでしょうか。何人ぐらいでどんな仕事をしているのか、教えていただけますか。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 級別定数の改定に当たりましては、各省からヒアリングを行うとともに、職員団体と中央、地方で会見を行って要望を聴取するなどして改定案を作成しているところでありますが、主としてこれを担う部署は給与局ということになるわけですが、地方事務局や職員団体担当部門の職員なども一連の作業を担っているところでございます。

 そういう意味で、数というのはなかなか難しいところがございますが、特に担当している給与二課ということであれば約二十名ぐらいおりますが、ここは逆に制度の企画立案等も含めておりますので、この人数ということには直接ならないというところでございます。

塩川委員 給与二課二十名で、実際にそれは全部じゃないよということですから、級別定数についての担当班があって、そういう中で府省ごとに係を配置している、十名前後ぐらいという話もお聞きしておりますけれども。

 そうしますと、人事院としては、級別定数に係るスタッフはそのまま人事院に置いておくという考えということですか。

古屋政府参考人 今回の法案の仕組みにおきましても、人事院が労使双方の意見を聴取し作成した設定、改定案を意見として内閣人事局に提出し、内閣人事局がそれに基づいて級別定数の設定、改定を行っていただくということが基本になるものと考えているということで、先ほど総裁が申し上げたとおりでございますが、そういうことでありますれば、人事院としては、基本的には現在とほぼ同様の体制は必要になるものと考えているところでございます。

塩川委員 ですから、人事院としては、意見を尊重してもらうためにも必要な人員は当然確保しなければなりません。ですから、現行とほぼ同様のスタッフでやらせていただきますというふうにおっしゃっておるんですが、この点、稲田大臣はもうオーケーということなんですか。

稲田国務大臣 何度も同じような答弁で恐縮ですけれども、きょう午前中でもこの委員会でさまざまな議論がありました。そして、人事局をつくることによって、機動的な人材配置をするために、必要な機能そして人員というものは確保しなければならないというふうに思っております。

 具体的な規模、体制については、今後予算編成の中で調整をしていくことになろうかと思いますが、具体的な数とか規模については、今後人事院と話をして決めていくことになろうかと思います。

塩川委員 ただ、人事院の意見を聞き、その意見を尊重するとなったら、尊重されるほどのしっかりとした意見が出されなくちゃいけないわけで、当然、人事院としてみれば、そのためのスタッフというのは必要だということですから、ほぼ同様の体制でというふうにおっしゃっておられるわけです。

 そういうことでいえば、この法案にあるように、人事院の意見を聞き、その意見を尊重するということになれば、人事院のスタッフは残しますよということを指しているということになりませんか。

稲田国務大臣 人事院の意見を尊重するのは、勤務条件にかかわる意見について十分尊重する、そういう役割分担にいたしております。

 先ほど来、人事院の御希望は承りましたので、今後、相談をしてまいりたいというふうに思います。

塩川委員 人事院にお尋ねしますが、お話は承った、でも、オーケーは今の時点でしていませんが、その点についてはそれでよろしいんですか。

原政府特別補佐人 今回の法案に対する私どもの基本的なこれまでの協議経緯といいますのは、級別定数につきましては、基本権制約のもとでの代償措置をいかにきちんとしたものにするかということ、それからさらにもう一つは人事行政の公正をいかに確保するか、そういう観点について基本的な考えに据えて協議を重ねてきた、そういう状況でございます。したがいまして、それを確保するための仕事は当然人事院でやるということになります。

 ただ、今大臣も申し上げましたように、そういった人事行政の公正の確保とか代償機能については一律的に人事院に委ねられておりましたから、全て人事院が所管してございました。今回の法律改正によりまして、必ずしも、勤務条件なり、あるいは人事行政の公正の確保といった観点だけではないような要素も私どもの人事院規則等に委ねられていた部分がございますので、そういったものは今回移管をする形になるかと思います。

 具体的な人間のやりとりにつきましては、今大臣も御答弁がございましたが、当然これから決めていく形になりますが、そういった趣旨を踏まえて必要な措置をとるというふうに考えてございます。

塩川委員 大臣は必要な人員の確保を図ることが必要だということをおっしゃったわけですから、そうなると、人事院から引き抜いてくるということもそれは選択肢としてあるわけですけれども、そうすると、人事院総裁とすると、引き抜きというのは考えていない、人事院の給与二課のスタッフを内閣人事局に引き抜かれるということはないというのが今の認識ですか。

原政府特別補佐人 ただいまも申し上げましたように、人事行政の公正の確保、あるいは代償措置のきちんとした確保といった観点以外の部分もございます。級別定数に絡んで申し上げますと、幹部職員の号俸格付ということにつきましては、必ずしも勤務条件性の確保、代償機能の確保といった観点とは違う要素がございますので、それにつきましては内閣人事局において主体的にしていただくという方向で詰めつつございます。それが何人になるかというのは大変難しゅうございますが、そういった部分については当然移管の対象になるということでございます。

 そのほかの公正の確保にかかわる部分につきましても一部そういったものがございますので、そういった部分は、ただいまも御回答申し上げましたように、必要な部分について必要な措置をとるということでこれから詰めてまいりたいと思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 要するに、人事院から人が抜かれるようなことになれば、必要な人員が人事院として確保されなければまともな意見も述べることができないわけで、尊重することはないと軽んじられるわけですから、当然人の確保ということになってくるわけで、それを本当に政府が担保しているのかというところが非常に疑わしいという点で、懸念は拭えないということを申し上げたい。

 大臣にお尋ねしますが、意見は尊重するとありますけれども、意見は十分に尊重するけれども、その意見と異なる決定を内閣人事局が行うということもあるのではないかと思いますが、それとも、十分に尊重するというのは、人事院の意見は全部受け入れる、丸のみをするということでお考えですか。

稲田国務大臣 十分に尊重しつつも、最終的に決定をするのは内閣であるという趣旨でございます。

塩川委員 ですから、違う中身になる可能性もあるということで、当然のことながら意見は聞くけれども、決定するのは内閣人事局ですから、尊重すると言いますが、別な決定を行うこともある。そういう点で、私は代償機能が後退するということは明らかじゃないかと。

 きのうの参考人質疑でも、人事院は組織は守ったけれども代償機能を守ったとは評価できない、こういう指摘もありましたし、代償機能を弱めることになるといった意見陳述もあったわけで、まさにそのとおりにならざるを得ないのではないでしょうか。

 ですから、本来の労働基本権の回復こそ必要だ。内閣人事局が使用者機関としてこのような形で行われるのであれば、労働者側が労働基本権の回復を図ることこそ求められている。

 そこで、ILO勧告についてお尋ねをいたします。公務員制度改革については二〇〇二年にILO勧告が出ておりますが、どのような勧告でしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十四年十一月に出されました、ILO結社の自由委員会の中間報告における日本政府に対する勧告でございますけれども、一つが、公務員制度改革の理念及び内容について、関係者と十分、率直かつ有意義な協議を速やかに行うこと、それから二つ目として、結社の自由委員会に対する情報提供を行うことを求めたものというふうに理解しております。

塩川委員 勧告においては、政府は、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考え方を再考すべきであるというふうに入っていると思うんですが、その点はいかがですか。

川淵政府参考人 御指摘の勧告につきまして、その趣旨は先ほど述べたとおりでございますが、今委員御指摘の点でございます。

 政府は、その表明した公務員の労働基本権に対する現行の制約を維持するとの考えを再考すべきである、勧告の中にそういう表現はございます。

塩川委員 ですから、見直せと言っているわけですよね。

 二〇〇一年に公務員制度改革大綱が決定された際に、公務労働者の意見を本当に直前にしか聞かなかった、そういう手続がおかしいじゃないかということで、全労連や連合がILOに提訴したという経緯の中で出たのがこの二〇〇二年の勧告でありました。

 これに対して、二〇〇三年三月に、ILOの結社の自由委員会に対して詳細な政府追加情報を政府が提出しております。

 労働基本権の回復という根本問題で、二〇〇三年の政府追加情報においては、公務員の労働基本権については、地位の特殊性と職務の公共性に鑑み、一定の制約のもとに置かれる一方、その制約の代償として、人事院勧告等の代償措置が講じられている、このような仕組みは、これまでのILO結社の自由委員会の見解にも沿ったものというふうに述べておると思うんですが、確認したいと思います。

川淵政府参考人 委員御指摘の、平成十五年三月に、日本政府がILO結社の自由委員会に提出した追加情報でございます。

 追加情報自体は非常に大部なものでございますが、主な点でございますけれども、公務員制度改革について、関係者に対し検討案を提示し協議を申し入れたこと、結社の自由委員会への情報の提供を続けること、これを情報提供いたしました。あわせて、我が国の公務員制度、それから平成十四年十一月の勧告において追加の情報提供を求められた事項について情報提供を行っているところでございます。

塩川委員 直接触れられませんでしたが、要するに、二〇〇二年のILO勧告に対して、二〇〇三年の政府追加情報はゼロ回答だったわけであります。それが、民主党への政権交代の前の麻生内閣の二〇〇九年四月二十日に、この結社の自由委員会に対して政府の追加情報を提出しています。そこで労働基本権の検討の部分についてはどのように述べておりますか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十一年四月に、日本政府がILO結社の自由委員会に提出した追加情報でございます。

 ここでは、関係者との有意義な意見交換を行っていることとあわせまして、平成二十一年二月に、国家公務員制度改革基本法に定める改革事項全体について、改革の全体像を示す「公務員制度改革に係る「工程表」について」を国家公務員制度改革推進本部において決定したこと、平成二十一年三月に、工程表に基づき改革の具体化を図るため、国家公務員法等の一部を改正する法律案を国会に提出したこと、労働基本権について、期限よりも前倒しで検討を進めることとその検討状況について情報提供を行っております。

塩川委員 労働基本権の付与に当たって、前倒しで検討を進めることとしているということで、労働基本権回復に向けた具体的な作業が始まるという回答だったわけであります。その後の法案にはそういう中身が反映をされておったわけで、私は、このILO勧告を踏まえた政府の追加情報において労働基本権回復に向けた前向きの対応が始まっていたというときに、今回の法案には全くそういうのが触れられていないというのは、まさに逆行しているとしか言いようがありません。

 大臣に伺いますが、今回、これまでよりも後退するようなことがあってはならないはずで、ILO勧告に沿って自律的労使関係制度を措置することこそ、今行うべきことではありませんか。

柴山委員長 稲田大臣、質疑時間終了ですので、短く御答弁ください。

稲田国務大臣 労働基本権に関しては、平成二十一年十二月に報告書を取りまとめられて、二十三年六月には関連四法案が国会に提出をされました。四法案は衆議院解散により廃案となっており、廃案に至る状況、また環境の変化を踏まえれば、自律的労使関係制度については多岐にわたる課題がいまだに残っているものと考えております。

柴山委員長 塩川君、質疑時間終了です。

塩川委員 代償機能が損なわれるような事態が生まれているときだからこそ、労働基本権の回復こそ図るべきだということを申し上げ、防衛省の皆さん、失礼いたしました。

 以上で終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 公務員制度改革、本案については、私、実は初めての質問となります。基本的なこともお聞きすることになるかと思いますけれども、また重複する部分も多々あると思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。

 昨日も、参考人質疑で、私、質問をさせていただきました。そのときにも申し上げましたけれども、公務員制度改革というのは、日本だけの問題ではなくて、各国、どの国も共通して抱える問題があるということを申し上げました。もちろん、この日本においても、官僚組織と政治のかかわり、その距離感また緊張感というものが問われているんだろうと思います。

 本案では、人事を中心に公務員制度改革をやっていこう、幹部職員の一元管理、そしてその管理をするための内閣人事局の設置、そういう形の中でさまざまな細かい規定が設けられております。

 そもそも安倍内閣としても、政治主導で政権公約を果たしていこう、そのための有用な人材を活用していこうということだと思います。しかし、本当にそういう法律になっているのかというのはまた別問題でございますので、そういう視点に立ってきょうは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、幹部人事の任用にかかわるプロセスについて、何点かお伺いをしたいと思います。

 法律では、内閣官房長官が人事評価を受けて適格性審査を行うということですけれども、その基準というものはもうでき上がっているんでしょうか、今後考えるんでしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案において規定いたします適格性審査でございますが、内閣官房長官が、審査の対象者について、幹部職員として一般的に求められる能力を有しているかどうか、具体的には幹部職に属する官職に係る標準職務遂行能力を基準にして審査をするということにしております。

 本法案の成立後、審査の対象となる者については、約六百ある幹部職ポストの現職職員のほか、各府省の任命権者が今後の人事計画を踏まえて推薦を行う有能な人材について審査を行うことになるというふうに考えております。

村上(史)委員 具体的な形では、有能な人は当然だと思います、そういう意味での基準というのはまた曖昧になるとは思うんですけれども、きょうはそれ以上申し上げません。

 ただ、適格性審査並びに名簿に関する政令を定めるにはあらかじめ人事院の意見を聞くこととするとなっておりますが、その理由はどういうことでしょうか。

後藤田副大臣 今、村上議員御指摘の人事院の意見を聞くということに対する理由でございますが、国家公務員法には、現行法におきましても、平等取り扱いの原則、第二十七条、そして、任免の根本基準といたしまして、成績主義の原則が規定されております。幹部職員におきましても、その職責に鑑み、能力・実績主義のもと、客観的な能力の実証を公正に行うことが特に求められているものと考えております。

 そのため、今回の法案におきましては、総理大臣が適格性審査を公正に行う旨を法律で規定しているほか、政令を定めるに当たっては、人事院の公正なる意見を聞いた上で定めることといたしております。

村上(史)委員 人事院の意見をお聞きして適正なる審査を行うということなんですが、後ほど人事院との話は人事局のところでもう一度お話をしたいと思うんです。

 ただ、任命権者は、内閣総理大臣、官房長官との協議に基づいて行う、また、総理、官房長官はその協議を求めることができるという文言がございます。このプロセスでいきますと、最初の人事評価は各大臣がやります。その後、官房長官、適格性審査、名簿の作成、任用候補者の選抜、そして、総理、官房長官と任命権者の大臣が協議をして、最終的に大臣が任命するということになるんですけれども、そうなりますと、大臣の思いと内閣の思い、官房長官、総理大臣の思いというものがずれる可能性はあると思うんですけれども、そういう可能性はないということですか。

後藤田副大臣 委員も御指摘のように、幹部職員の任免協議は大臣が出してきた人事案をもとに協議を行うということがまず大前提でございます。やはり、いずれも各大臣の任命権をまず前提としたものでありまして、任命権者の任命権が形骸化するということがないようにしなくてはいけません。

 いずれにしましても、このたびの幹部人事の任免協議は、任命権者と内閣総理大臣及び内閣官房長官の合意を形成するプロセスでありまして、内閣一体となった行政運営に資するものであって、委員御指摘のように、何か内閣官房が拒否権のようなものを持っているというものではございませんで、全体的な人事管理がしっかりできているかということをしっかりとお互いに合意する、こういうプロセスでございます。

村上(史)委員 どの社会でも人事というのは数字であらわせるものではない。同じ有能な人が二人いたとして、どうしても、Aを推す人、Bを推す人、必ず出てきます。そうなると、力の強い方が選ぶという傾向にあると思うんですね。

 今ちょっと頭を振られましたけれども、官僚の立場からすれば、内閣の官房長官あるいは総理大臣の方に目を向けてしまって、大臣よりもそっちの方に目を向けてしまって、結果的に、大臣が各省の役人をコントロール、グリップが弱くなってしまうんじゃないかな、そういう懸念があるので申し上げたんですけれども、その点に対してお答えいただけませんか。

後藤田副大臣 今委員御指摘の御心配はいろいろな各所でもいただいてきましたけれども、やはり今までの幹部人事というものに対して改革をするということでございます。各省の大臣も、いろいろな人事、幹部になる人間、これはどうだ、いいかどうか、そのまま上に提案する、こういうやはりマイナスの部分も今まであったのではないかなと。

 こういうものに対して、やはりしっかりした人をまず出してきてください、そしてそれを内閣官房で、適格性審査という、先ほど来出ている標準職務能力というものをちゃんとチェックしながら、そして今回、人事局という一元的な、しっかり国益のために働く、縦割りではなくて、そういう人をしっかり選んでいるか、また、例えば女性を登用するだとか、たすきがけ人事になっていないかとか、そういったことをしっかり内閣全体の立場で総合的にチェックする、こういう前向きな幹部人事の一元化、こういう考え方でございます。

村上(史)委員 まさに人事とはそうあるべきだと思いますが、現実がどうなるか、それはちょっと今のお答えだけでも納得いくところではないんですが、それでは、降任することができる特例についてお伺いをしたいと思います。

 この規定を、項目を設けられました理由、もう何度もお答えいただいておりますが、もう一度お願いいたします。

稲田国務大臣 能力・実績主義、また適材適所の人事配置を行うために、今回新設をいたしました降任の特例というのは、能力、実績を有する者を内閣の重要政策を担う幹部職のポストに抜てきすることを可能とするために、幹部職員のポストが限られていることも踏まえて、一定の要件を満たす場合には幹部職員の降任を可能とする制度を設けることにしたわけでございます。

村上(史)委員 弾力的な人事を進める上において降任制度を導入するということなんですが、昇任される方、また抜てきされる方はいいんですけれども、今度、降任される立場の方、例えば事務次官が局長、局長が部長に降格をされるといったときに、どうでしょう、役人の皆さん、降任されて、位が下がって、その場におれるでしょうか。大概の方は、自分はやはり有能だと思っていますから、何で私が降任されなければいけないんだという思いになると思うんです。また、有能な方ですから、降任されてまでとどまる必要はないということで、他に流出するおそれが多分にあると思います。

 そうなると、人材をプールし、そして有能な人材を違うところでまた発揮してもらおうというのが本来の目的のはずが、結局、優秀な人材の流出になってしまうんではないか、現実にはそういうことになるんではないかなと私は思うんですけれども、その点の懸念についてはいかがでしょうか。

後藤田副大臣 今大臣からお話ありましたように、今回の特例降任というのは、何も罰則的に降格させるんではなくて、いい人を上げていこう、そのチャンスをしっかりつくろうということでございまして、ただ、委員御指摘のように、やはりそういう特例降任を乱発するということは好ましくないと思います。

 そのためにも、今回三つの条件、一つには、同じ組織で同じクラスの他の幹部職員と比較して勤務実績が相対的に劣っているということ、もう一つは、その人にかえてそのポストに任命すべき適当な者がほかにいる場合であるということ、三番目には、他のポストに転任させることができないこと、この三つの要件を定めておりまして、必ずしもいっときの人事異動に何かそういう不条理な人事が行われることがないように、しっかり公平性は保っていきたいというふうに思っております。

村上(史)委員 そのお答えも何度もされたことを覚えております。もちろん不条理な人事であってはいけない。それは当然だと思いますが、現実には、本当にこのシステムがうまく運用できるのかどうかということの方が問題であって、ですから、今申し上げたのは、そういう懸念があって、結果的にいい人材が流出する可能性がありますよということを指摘しておきたいと思っております。

 それでは、内閣人事局について、幾つかお伺いをいたします。

 内閣官房に内閣人事局を設置するに伴って、総務省、財務省、また人事院から機能移管が行われるわけでございますが、人事院を初め各省の人事担当部門との関係の整理はどのようになっているのか、教えてください。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案により、内閣人事局と人事院との関係でございますが、内閣人事局の設置後も、人事行政の公正を確保する機能及び労働基本権の代償機能が引き続き確保されるような適切な役割分担とするとともに、意見、要請を通じて相互の連携協力を確保することができるような仕組みとしております。

 また、内閣人事局と各府省との関係でございます。幹部職員人事の一元管理等の導入後におきましても、各任命権者の機能が引き続き発揮されるような適切な仕組みとするとともに、今後、具体的な事務手続についても、各府省の事務負担にも配慮しつつ、適切な対応が可能となるような運用を検討してまいりたいというふうに考えております。

村上(史)委員 それでは次に、人事院との関係について、特にお伺いをしたいと思います。

 御承知のとおり、労働基本権の制約によって、その代償措置として人事院が機能しているということなんですけれども、この労働基本権のあり方に関する問題はどのような整理をされているのか、お尋ねをいたします。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、労働基本権を付与しない状況下でも内閣人事局が担うことが可能な機能を同局に集約するということでございます。

 また、級別定数等に関する機能につきましては、職員の勤務条件の確保の重要性に関する各方面からの指摘を踏まえまして、これに対する配慮を法律上明確化するため、設定等に当たって人事院からの意見を十分に尊重する旨の規定を設けているところでございます。

村上(史)委員 昨日の参考人質疑でも、島田参考人の方から、国家公務員制度改革にとって、協約締結権の付与は当然なされるべきだ、バランスを欠くことになるという指摘をされました。

 そこで、まず、質問通告はしておりませんけれども、前々からお聞きしたいなと思っていたことがございまして、稲田大臣、労働組合に対しどういうイメージをお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

稲田国務大臣 イメージとしては、労働者の処遇改善のために使用者との間で交渉していく団体というようなイメージで持っております。

村上(史)委員 そういう労働者の立場、権利を守るために基本権があるわけです。そういう今の御答弁からすれば、やはり国家公務員の労働協約締結権の回復はあってしかるべきだ、そのようにお考えですか。

稲田国務大臣 最高裁判例もあるように、憲法二十八条の中の勤労者の中に公務員が含まれており、その中に国家公務員も含まれているというふうに理解をいたしております。

村上(史)委員 それでは、なぜ今回、自律的労使関係の制度の措置をしなかったのでしょうか。

稲田国務大臣 改革基本法の中に、費用と便益を国民に示した上で理解を得て、その上で措置をするというふうに書かれておりました。そして、その後、民主党政権下において関連四法案が提出をされた。その際にもさまざまな指摘がされたところでございます。また、私が就任してからも、この自律的労使関係の措置については、労働者側からも、また使用者側からも、学者の皆さん方からも、さまざまな意見を聴取したところでございます。

 その上で、現時点で、労働基本権、労働協約締結権の措置をする、国民の理解が得られる形で費用、便益をお示しできる状況にはなく、まだ課題が多いというふうに考えたからでございます。

村上(史)委員 余り突っ込みたくないんですけれども、労働組合に対する理解が、国民には国家公務員に労働基本権を回復させるということの理解がまだないので時期尚早だというお答えのように思いますが、これはちょっとまた恐縮なんですけれども、そういう論理からいくと、先般の特定秘密保護法も同じであって、広く国民はまだ認知していないんですよね、ああいう形になりましたけれども。そういうことを考えるならば、そういう言い方はやはりおかしいのではないか。

 現実に、理解を得る努力をされているのかということもお答えいただければと思います。

稲田国務大臣 今国民の理解という言葉を使ったのは、改革基本法の中にそういう表現が使ってあるということも踏まえてお話をしたところでございます。

 そして、今どういうことを考えて措置しなかったのかということでいいますと、例えば私のところの意見交換会の中で、公務員の労使関係については、憲法の規定等から、民間のように労使の当事者間の利害調整だけで完結しない部分もある、そして、国民の利益も考慮した仕組みが必要である、また、労使関係に係る費用と得られる便益は実際の労使関係によって変化し得る相対的なものである、また、労使交渉の長期化によって行政の業務執行への影響に留意をすべきである、また、労使関係の安定している時期になぜ協約締結権を付与するのかなどのさまざまな意見が出されまして、まだ課題は多いというふうに考えたということでございます。

村上(史)委員 これ以上は申し上げませんけれども、たび重なるILOの勧告を受けておるわけです。やはり、もうそろそろ日本国政府としてそれに対する答えを出すべきではないか、私はそのように思っております。

 引き続きまして、人事院の問題についてお尋ねをいたします。

 一項目ずつは申し上げませんが、再三にわたりまして、人事院の意見を聞くあるいは尊重する、そういう言葉が出てまいります。そこまで意見を聞くんだったら、もう人事院に任せればいいじゃないかという思いも、粗っぽい議論になるかもしれませんけれども、私は、組織というのはなるべく単純、簡潔にするべきだ、スリムにすべきだと。どんどん複雑にしているのではないか、内閣人事局においても所掌事務が余りにも多い、そのことによって、本当に政治主導が貫けるのかどうかということも心配をいたします。

 人事局に機能を一部移譲するということにはなっておりますけれども、やはり根本的な、人事院の本来の目的である、代替措置としての人事院のあり方をやはり尊重して、現在のままの中で内閣人事局で処理をしていくべきではないか。別の組織でやっていく、先ほど塩川委員のお話もありましたけれども、スタッフをそのまま移譲するのかということも言われるようでは、やはり組織上問題ではないのかなというふうに思いますが、その点に対する御見解をお願いいたします。

稲田国務大臣 むしろ、内閣人事局を設置することによって、今、総務省、財務省そして人事院と三つに分かれて交渉しなくちゃいけなかった、新たに組織をつくり人材配置をするという、その手間を一挙に内閣人事局に集めるために今回の改正をしているわけでございます。

 ただ、級別定数に関しては、ポストの格付自体は勤務条件ではありませんけれども、全体として勤務条件に関連する部分がある、それは代償措置としての人事院の機能はきちんと果たしていただかなければいけないということで、その部分について十分に意見を尊重するというふうにした次第でございます。

村上(史)委員 だったら、幹部職を一般職から外せばもっと簡単じゃないんですか。人事の面でですね。給与とかそういう面で全く切り離した方が内閣人事局としてはスリム化して、やりやすいんじゃないですか。

稲田国務大臣 ただ、幹部職を一般職から特別職に変えてしまうということは、すごく大きな問題であるし、そもそもの幹部職員に対する考え方というか根本的な問題であろうかと思います。

 私は、国家公務員法は、国家公務員に求められている大原則である能力・実績主義、政治的中立堅持などを規範として国家公務員に課すものであって、その中に幹部職員も含めるべきであるというふうに思います。

村上(史)委員 それでは、次に移りたいと思います。

 総理大臣補佐官、また大臣補佐官の創設について何点かお伺いをしたいと思います。

 これも何度もお答えになったと思いますが、創設の目的、趣旨についてもう一度お願いいたします。

後藤田副大臣 お答えします。

 委員も御承知のように、基本法におきましては、補佐をする職ということでまず、まさに内閣機能の強化ということがうたわれております。その次に、二十一年法案におきましてもそれを、国家戦略スタッフという言い方になっておりますが、若干幅広い、課長までのスタッフということの整理になっております。

 今回の我々の法律は、やはり内閣総理大臣、そして大臣を補佐する職というところに戻りまして、またしっかりと重要政策を内閣総理大臣及び大臣が遂行する上で、大臣、総理大臣に近いところで補佐する役割、現行の内閣総理大臣補佐官もそうでございますが、今般、いろいろな法律の中で、例えばNSCにつきましても、内閣総理大臣補佐官がそれを担当するということも踏まえまして、総理大臣補佐官、そして大臣補佐官という形にさせていただいたところでございます。

村上(史)委員 この補佐官の制度の導入で誰がその職に当たるかというときに、国会議員を兼ねることも可能だと。できるのではなくて可能だと。ということは、余り国会議員を想定していないということでよろしいんですか。

後藤田副大臣 現行も総理大臣補佐官には政務の方もおられますし、そうじゃない方もおられますので、その判断は、特段意図的なものはございません。

村上(史)委員 それと、大臣補佐官の場合、副大臣、政務官とはまた別物なんですけれども、ただ、役割として、大臣を補佐するいろいろなものがあると思います。

 例えば、その補佐官に事務局体制が整うのかどうか。そして、権限はどこまであるのか。副大臣、政務官との違いを明確に述べていただけますでしょうか。

川淵政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣補佐官でございますが、行政面においてみずからが表面に立つことはなく、大臣を通じて実際に行った職務が反映されるということで、いわば大臣の内面の補佐を行う黒子的な存在であります。その職務内容も、大臣の命を受け、大臣を補佐するものであることから、省内の指揮命令系統の中には位置づけられず、政策決定過程への直接の関与もない、また、対外的に省を代表する立場にもないということでございます。

 他方、副大臣や大臣政務官は、みずからの権限として政策及び企画をつかさどり、または、事務ラインが行う決定等に参加し、必要な意見を述べ、国会等において、対外的に省を代表し、調整を行うということをその職務としております。

 したがいまして、副大臣、大臣政務官と大臣補佐官とは、その職務の態様においてそれぞれ異なる役割を有しております。

村上(史)委員 ということは、黒子に徹するというのは、とにかく大臣のおそばに仕えていろいろな形の補助、補佐をするということなんですが、その場合、役人との接触というのは認められていないということでよろしいんですか。

川淵政府参考人 大臣補佐官が職務を行うに当たって実質的にいろいろその省内の職員と連携、協力をすることはあると思いますが、指揮命令系統ということで申しますと、大臣補佐官は、省内の指揮命令系統の中には位置づけられないということで、省の職員に対して直接の指揮をすることはないということでございます。

村上(史)委員 補佐官といえどもいろいろな制約があるということがよくわかったんですけれども、先ほど冒頭で、海外でも公務員制度は官僚と政治側とさまざまな問題があると。

 外国の場合は、おおむね、特にイギリス、フランス、ドイツなどは、政治側と官僚とはすき間があって、そこには不文律の立ち入らない世界があって、政治が公務員とは直接接触しないというような形のものもございます。あわせて、任用スタッフ制度というのは、特にフランスかイギリスの方では、そういう制度を活用して、あえて内閣人事局のようなものをつくらなくても、政治任用でばんばんやっていく。そういうスタッフをそろえていく方がいわゆる行政効率もいいということで、ヨーロッパの方ではそういうものが主流になってきていると思っております。そういうことを検討されたことは一度もなかったんでしょうか。

後藤田副大臣 村上委員おっしゃるように、海外は、やはり政治的な、また歴史的なことも踏まえて、政治任用というのが行われているところもあるということは承知しております。

 我が国も、現段階におきましても、内閣総理大臣補佐官の仕組みが活用されているということと、昨今の行政の肥大化に対しての行政改革という側面と、政治任用の濫用をめぐる、こういった議論があるということをまず踏まえながら、しかしながら一方で、基本法にうたわれていることをしっかりと実現させるために、現行の内閣総理大臣補佐官の所掌事務を改めて見直していく。いわゆる意見具申だけだったものを、企画立案だとか調査だとか、そこまで持っていく。同時に、手を挙げれば、大臣補佐官も可能になった。そして加えて、補佐官の下に、一般職の方々のスタッフを、所管大臣の権限のもとにしっかりサポートさせる、こういう体制もつくれるような状況でございますので、そのことは御理解いただきたいと思います。

村上(史)委員 当然その辺のことは念頭に置かれた制度だと思います。

 ただ、今お聞きした中では、権限も曖昧だし、その範囲も曖昧だし、またそういう面で、イギリスやフランスでの政治任用スタッフとははるかに内容が違うということで、今後そういう方向に改革をより進めていくべきではないかというふうに指摘をして、終わらせていただきたいと思います。

 最後に、稲田大臣、答弁で、今出している法案がベストである、これ以上のものはないんだと答弁をされておられます。ということは、もしこの法案が成立すれば、もうそれで終わりだという御認識でしょうか。昨日の朝比奈参考人も、改革の第一歩にしかすぎないんだ、まだまだ不断の改革を進めていく、そういうことでなければならないというふうなことをおっしゃいました。私も、改革というものはそういうものだと思います。それで全て終わり、これ以上、以下でもないというものではないと思うんです。

 そういう意味でお使いになったかどうかわかりませんが、この法案に対する考え方、思いと同時に、今後のことも含めて、公務員制度改革がどうあるべきなのか、そのことを最後にお聞きして、終わりたいと思います。

稲田国務大臣 改革基本法に書かれている高邁な理想、公務員みずからが自分の能力を高めつつ、省益でなくて国家国民のために本当に機能できる公務員制度改革をつくるということが究極の目的であります。その前提に立って、現時点において、今政府が出している法案がベストのものと思って提出はしております。

 ただ、この委員会でもさまざま御指摘をいただいたように、もちろん、運用をきちんとやらないと本当に機能しないということも事実でありますし、この公務員制度改革だけで日本がよくなるということは決してないと思います。そして、ずっと何度も挑戦をして、この公務員制度改革というのはなかなか進まなかったという不幸な歴史もあります。行革もそうです。その中の公務員制度改革もそうです。決して、これが終わったから全てオーケーということではなくて、不断の改革が必要であるというふうに私は思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 そういうことですから、あえて申し上げますけれども、もちろん閣法のよさもあります。また一方、野党の出している法案もございます。いいところがあるんですね。それをちゃんと受け入れる形で、よりよい改革を進めていただくことをお願いして、終わりたいと思います。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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