衆議院

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第3号 平成26年3月5日(水曜日)

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平成二十六年三月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    白須賀貴樹君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長島 忠美君

      福山  守君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    岩永 裕貴君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

    …………………………………

   議員           大熊 利昭君

   国務大臣        

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   農林水産大臣政務官    小里 泰弘君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 持永 秀毅君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 森  健良君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月三日

 辞任         補欠選任

  志位 和夫君     赤嶺 政賢君

同月五日

 辞任         補欠選任

  吉川  赳君     白須賀貴樹君

  山之内 毅君     岩永 裕貴君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     吉川  赳君

  岩永 裕貴君     山之内 毅君

    ―――――――――――――

三月四日 

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外四名提出、衆法第一号)

は本委員会に付託された。

三月五日

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外三名提出、第百八十五回国会衆法第一〇号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外三名提出、第百八十五回国会衆法第一〇号)の撤回許可に関する件

 国家公務員法等の一部を改正する法律案(渡辺喜美君外四名提出、衆法第一号)

 内閣の重要政策に関する件(経済財政政策・TPP等)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 第百八十五回国会、渡辺喜美君外三名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

柴山委員長 次に、渡辺喜美君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。提出者大熊利昭君。

    ―――――――――――――

 国家公務員法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

大熊議員 ただいま議題となりました国家公務員法等の一部を改正する法律案について、みんなの党及び日本維新の会を代表して、その趣旨及び概要を説明いたします。

 我々が対案を提出するに至った背景については、昨年十一月二十二日の本委員会においてみんなの党の代表である渡辺喜美から詳細に説明したとおりであり、また、さきの臨時会で提出した法案は、国家公務員制度改革基本法に基づく内閣による人事管理機能の強化、国家公務員の退職管理の一層の適正化等を図ることを趣旨としておりました。

 今回再提出をした法案は、これらに加え、内閣や各大臣を補佐する体制を充実強化することで、より総合的な形での国家公務員制度改革の実現を目指そうとするものであります。

 以下、法案のポイントを申し上げます。

 第一に、内閣人事局は、人事院、総務省、財務省の人事関連の機能を統合して創設することとしております。

 政府案では、人事院、総務省などに関連機能をほぼそのまま温存し、加えて内閣人事局をつくることとなっています。これでは、三元人事行政体制が四元人事行政体制になり、機能不全がますます深まるだけであります。

 第二に、この法案とセットとなる幹部国家公務員法案において、幹部公務員は、一般の公務員とは別制度とし、身分保障を緩和しています。現行の身分保障制度のもとでは、若手や民間人を幹部に抜てき起用しようとしても、幹部ポストにある人を外せず、結果として年功序列の順送り人事にならざるを得ないからであります。

 政府案では、こうした改革の視点が含まれていません。このため、若手や民間人の抜てき起用は、これまでどおり、できたとしても、ごくごく例外的にしか行うことができないこととなってしまいます。天下りを必要とする人事制度もそっくり温存されたままであります。これでは、内閣人事局という器だけつくったとしても、不十分ではないでしょうか。

 このほか、我々の法案では、公募制度の手続を法律で定め、役所の内外から優秀な人材を求められるようにしています。また、政府案に含まれている官民人材交流の促進、すなわち、天下りの隠れみのとして現役官僚を天下り機関に送り込んでしまおうという規定は除いてあります。

 さらに、この法案を再提出するに当たり、政治主導を強化し、内閣や各大臣を補佐する体制の一層の充実強化を図る観点から、国家戦略スタッフ及び政務スタッフの設置に関する規定を追加するとともに、縦割り、各省主義を排した適切な人事管理の徹底を図る観点から、内閣人事局による幹部候補育成課程の運用への関与を強める旨の規定も追加することとしています。

 以上が、国家公務員法等の一部を改正する法律案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

柴山委員長 内閣の重要政策に関する件、特に経済財政政策・TPP等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官持永秀毅君、外務省大臣官房参事官森健良君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 本日は、甘利大臣の所信に対する質疑であります。

 TPP、環太平洋パートナーシップ協定の締結に向けた閣僚会合が、去る二月の二十二日から二十五日、シンガポールで行われました。甘利大臣、大変御苦労さまでございました。残念ながら、全体の大筋合意というところまでは至らなかった、得られなかったと伺っておりますけれども、しかし、我が国は、全ての参加国各国と二国間の交渉を精力的に行い、実質的な協議を進めたと伺っております。また、各分野別にも相当の進展が得られたとも伺っております。

 内閣委員会からはといいましょうか、自民党の西川筆頭理事も、自民党を代表する形で、議会を代表する形で御参加をされ、民主党からも同僚議員が伺ってまいりましたが、協議を進めてこられたと伺っております。

 振り返ってみますと、TPPは、一昨年の衆議院解散・総選挙の争点の一つと言うと言い過ぎかもしれませんが、大きな論点であったことは間違いないと思います。当時、民主党政権最後のといいましょうか、野田政権でございましたが、私は経済産業副大臣でございました。当時、選挙を控えておって、TPP交渉参加について、これについても断固反対、絶対反対という声も強うございました。稲田朋美現国務大臣、当時、野党の議員であられましたけれども、大手新聞に、TPP交渉は亡国への道だといった趣旨の自筆の論文も寄稿されております。細かくは言いませんが、いろいろな意見があった。

 当時、十一月、私の地元JA山形で集会が開かれまして、三千人集会でございました。県知事、県会議員、全国会議員が呼ばれました。三千人、全員がTPP交渉参加断固反対の鉢巻きを締められました。私一人、鉢巻きを締めませんでした。大変なやじと怒号の中で、当時、副大臣でございましたし、私は、交渉参加については避けることはできない、仮に民主党の政権でなかったとしても、自民党が政権をとったとしても、交渉参加自体はせざるを得ないのではないか、また、その上で、我が国の農業のため、農村社会のため、また国益のために、いかに優位に交渉条件をかち取るかが重要ということを申し上げたんですが、残念ながら、やじと怒号の中でかき消されてしまったということを今思い出しておるわけであります。

 こうした経緯も踏まえて、今、一つ大きなテーマになっているTPP交渉についてきょうは伺ってまいりたいと思います。

 まず、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、一枚目、これは、平成二十五年の四月の十九日、自民党政権に移って、日米首脳会談においてTPP交渉参加が決まり、そのことを踏まえて衆議院農林水産委員会で決議をされたTPPに関する決議であります。

 八項目、これは、農水委員会の決議でありますが、総理大臣初め官房長官、また甘利大臣、関係閣僚にも送付をされておると聞いております。八項目の内容でありますが、私は、この中でとりわけ重要なのは実は七番なのではないかと思うわけであります。

 この二ページ目、めくっていただきまして七番、「交渉により収集した情報については、国会に速やかに報告するとともに、国民への十分な情報提供を行い、幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」もちろん、私も、過去、政府の経験を多少させていただきましたから、守秘義務等があること、また、交渉の中についていたずらに言えないということは十分承知した上で、しかしながら、これだけ大きなテーマであり、かつまた、繰り返しますが、一昨年の選挙でさまざまな経緯を踏まえて今に至っているTPPでありますから、どうであれ、国民的なきちんとした議論は必要。そして、これは、政府に対して、「議論を行うよう措置すること。」と言っているわけであります。政府はきちんと国民的議論をするように措置をしているのかということでもあります。

 国民会議というのを、我々の政権時代は、各地区で、担当大臣が行き、国民的な会議を開きました。どこまで議論が開けたかと、当時、野党の自民党の方からも厳しく、国民的議論がなされていないではないか、情報が全く出ていないではないかと大変なお叱りを受けましたけれども、国民的議論をすべく、シンポジウム等々を政府としてやってまいった覚えがあります。

 さて、今そうした措置が行われているかどうか。もちろん、大臣御自身は大変お忙しいかとは思いますけれども、政府においてどうだったろうかと。私は、大詰めを迎える中で、まだ十分とは言えない部分もあるのではないか、こう思うわけであります。

 いずれにしましても、こうした七項目について、八項目のうちのこの七番について、大臣、十分に尊重すべきと思いますが、まずこの点について甘利大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

甘利国務大臣 私がこういう立場になりまして、今先生の御苦労話を伺って、身につまされる思いがいたします。

 少なからず通商交渉というのは秘密保持の部分がありますけれども、TPPというのはそれに相当な縛りがかかっているなと。日本がこの協定のメンバーに参加するときに、最後に行うことは、守秘義務にサインをして、そこで初めてテキスト情報にアクセスができるという、いわば鍵をもらえるということになります。最後の作業が、ちゃんと守秘義務を遵守せよということなのであります。

 私は、大臣会合に行きまして、やはりこの問題は、各国大臣が、どうすり合わせをするのかね、あなたのところはどうやっているのというようなことを情報交換し合います。日本としては、都度都度、首席交渉官や私が会見をいたします。それから、国内担当がステークホルダーの会議に行って説明をする、あるいは、ステークホルダーとの会合が持たれます。今までも何回も持たれたと思います。あわせて、TPP対策本部のホームページ上に、許される範囲の情報開示を行ってきておりまして、いろいろ、よその国はどうやっているのかという比較の問題もありますけれども、大体日本がやっている内容より踏み込んではなかなか情報が出せないなというふうに感じております。

 回数でいいますと、日本の方が比較的接する回数は多くしているのではないかというふうに思っております。これからも、守秘義務の範囲内でどこまで情報をお伝えすることができるか、いろいろ工夫をしていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 どういうことまでが守秘義務になっているかということすら言えないというふうに伺っております。交渉締結後四年間は内容については公開できないということを伝聞で聞いておりますが、そういうことすらも、どういう縛りがかかっているかということすらも言えないというやに聞いております。

 いずれにしても、ただ、私はこの場であえて言いたいのは、ここの決議に書いているように、「幅広い国民的議論を行うよう措置すること。」は政府はできるわけでありまして、その工夫をやはり努力をしていただきたいということを重ねて申し上げ、また、国会においてもやはり誠実なる御答弁をお願いしたいということを申し上げ、また、国会においてさまざまな議論をきょうも含めて行っていきたい、こう思うわけであります。

 そこで、具体的な中身について一点お伺いしたいと思うんですが、今回の交渉の中で、さまざまな分野別の交渉、また、各国別の交渉が行われているわけでありますが、かなりの部分、ルール、分野、それぞれの分野で進められたと聞いていますけれども、いずれにしろ、やはり、いわゆる市場アクセス、関税分野が残っている大きな論点であることは間違いないわけであります。

 具体的に、五品目がどうだとか何を守るとかということは、私はこの場では伺いません。ただ、枠組みの話を伺いたい、こう思っておるのですが、TPPというのは十二カ国が入っている。この十二カ国が全て同じ税率で合意をしなければいけないものなのか。すなわち、関税撤廃、ゼロならゼロでもいいですし、全ての品目をゼロということで、十二カ国、ゼロでも結構ですし、十年後にゼロを目指すという段階的なゼロというもので合意をしなければいけない、同じもので合意をするものなのか。それとも、やはり、バイでというんでしょうか、中身はともかく、品目はともかく、各国特定の事情に鑑みつつ、関税分野については、もちろん高いレベルのものを目指すという高い志は堅持しつつも、それぞれの事情に配慮しつつ、ある国は工業品かもしれないし、ある国は農産品かもしれないしということはしつつ、個別に対応することも許されるという枠組みで今話が詰まっているのか、こういう枠組みの話でございます。

 これは、しかし、この局面まで来ますと、これも決まっていないのかとなるとこれはどうか、こう思うわけでありますが、この枠組みについては、今どういうところまで進んでおるのか。大臣、お答えをいただけますでしょうか。

甘利国務大臣 ある種、かなり核心を突いている質問ですが、基本的には、全ての国に対して野心を上げる、できるだけ高い野心にする、関税でいえば、自由化率を上げるということですよね。それから、物品の市場アクセスというのは、関税を下げるとか撤廃するとかいう話になります。それから、それ以外の市場アクセスというのは、市場に入りやすいように内外無差別の措置をいろいろとっていく。投資の市場アクセスでいえば、内国資本と外国資本が同じ扱いをされるということに、あるいは、できないんだったら、それをできるだけ最小のできない範囲外にしていくというのがありますよね。

 ですから、あらゆる野心を上げていくということはあります。ただ、なぜバイでやっているかというと、各国とも関心項目が違います。これは、どこかの国にとっては重要かもしれないが、俺は関係ないよという、むしろこっちだというのは、それぞれ関心項目が違いますから、二国間でオファーをし、そのオファーの改定をしているわけであります。基本的に、各国とも共通に利益を受けるというのが原則であります。

 そこまでにしておいた方がいいかなと思いますけれども。

近藤(洋)委員 国会でございますから、慎重にならざるを得ないですし、大臣も精いっぱいお答えいただいている気持ちは伝わってまいります。

 いずれにしろ、我が国が今回、大臣も含めて二国間の交渉、バイを重ねているということは、それぞれ二国間でのものを積み重ねて、センシティブな品目についてはお互い認め合いながら、そしてそこでルールをつくっていくということで今交渉が進んでいると理解をしますし、そうあるべきであろうと私は思うわけであります。

 そういう中で、きょう、ちょっとあえて伺いたいのは、米国の話であります。

 委員長のお許しを得ての資料の三枚目でありますが、これは米国の貿易促進権限法の件であります。いわゆるTPA。TPPと間違ってしまいそうでありますが、貿易促進権限法についてお伺いをしたい。

 本件については、予算委員会で同僚の玉木委員も指摘をされていますが、これは非常に大事な点なので、改めてきちっと伺っていきたい、こう思うわけです。

 米国というのは、御案内のとおり、大変議会が強い権限を持っている。大統領制だから大統領が強いのではないかと誤解しがちですが、実は、議会が非常に強い国であります。ある意味では、日本の方が首相の権限が強くて、首相だから議会が強いというわけでも決してなくて、特に米国は議会の権限が強い。

 とりわけ通商交渉においては、これまでも、政府に対して議会が一定程度権限を与えている。それぞれ、政府に対して議会が交渉権限を預けるという形の法律をつくって、そして、その限りにおいて、議会は修正を求めずに一括して条約をイエスかノーか判断をする、こういう仕組みであります。

 日本の場合は、条約について、条約を批准する際に、この条約がおかしいといって修正などすることはあり得ません。条約については、議会において賛成か反対かしかないわけでありますが、アメリカの場合は、通商交渉においては、この日本においては当たり前のことが、実は法律によって担保されているという仕組みになっているわけであります。

 このことを担保しているのが貿易権限法、いわゆるTPA法案でありますが、この法案につきまして、佐々江賢一郎駐米大使が一月の二十九日、資料の四ページ目でありますけれども、米国戦略国際問題研究所、CSIS主催の公開討論会で発言をされております。

 この米国ワシントンのCSISというのは非常に有名なシンクタンクでありますが、このシンクタンクで、TPAについて発言をされています。下線の部分でありますけれども、英語で、「アバウト TPA、 ディフィニットリー ウイ ニード イット。 ユナイテッド ステーツ ウイル ハブ イット」云々、こういうふうに書いていますが、要するに、TPAについては絶対に必要だということを書いているんですね。それで、米国政府も持つであろうということを発言されております。大使の発言であります。

 この会議は、マイケル・グリーンさんという方が、前の米国政府の幹部でありますが、国務省幹部であったマイケル・グリーンがコーディネートをされ、参加者は各国の大使が参加をされている公開のシンポジウムでの発言でありますから、非公式の場でもありません。非公開の場ではないわけであります。

 さて、外務省に伺いたいんですが、ここの発言は、これは日本の公式見解であるということで、大使の発言です、よろしゅうございますね。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 佐々江大使は、御指摘のとおり、一月二十九日、シンクタンクでのパネルディスカッションに参加をいたしまして、そのやりとりの中で、交渉各国は貿易促進権限、TPAを必要としているという趣旨の発言をいたしております。

 この点につきましては、政府としては、かねてより、米国議会においてTPA法案が提出されたことは、TPP交渉妥結に向けた米国の意欲を示すものと歓迎している、こういう立場を表明しておりまして、佐々江大使の発言もこの政府の考え方と軌を一にするもの、このように考えております。

近藤(洋)委員 もう一回確認しますが、要するに、これは公式、軌を一にしていると。

 参事官、要するに、政府の特命全権大使の発言ですから、この発言はきちんとした公式見解であるということでよろしいですね。イエスかノーかだけで結構ですから。(発言する者あり)

柴山委員長 御静粛に願います。

森政府参考人 今申し上げましたとおり、この発言はパネルディスカッションのやりとりの中で、蚊帳の中で行われたものでございまして、一言一句そのままが政府の公式見解かという御質問にはなかなかお答えをしがたいものはございますけれども、その趣旨におきまして、政府の考え方と軌を一にしている、このように考えるところでございます。

近藤(洋)委員 そこで、甘利大臣にお伺いしたいのですが、もう御案内のとおり、過去、米国は、重要な通商交渉において、包括権限、いわゆるTPA法を持たずに交渉したことはほとんどないわけであります。かつてはファストトラック等いろいろな言い方をしましたけれども。唯一、例外的に、ヨルダンとのEPA交渉においては持たずに妥結した、こういうことでありますけれども、米国政府は、常にこういったお墨つきを得た上で交渉をしておるわけであります。

 ここまで、大詰めに近いところまで、大筋合意に近いというところであれば、やはり米国政府において持っていただきたい、こう思うわけでありますし、大臣、私が危惧するのは、仮にこの時点で持たないまま合意をしても、結果のところ、後ほど議会で修正をされてしまうのではないかと。お互いに話し合いをしてTPP交渉で合意をしても、修正されてしまうと。その修正した中身が、部分修正されたまま我が日本国政府が受け入れられなかったら、これはもう一回振り出しに戻るということになりかねないわけであります。

 私が危惧するのは、時々というか、米国議会はこういうことをやることがある。例えば温暖化交渉。政府間で合意をしました、京都議定書、合意をして、我々はそこでサインをしたんです、日本は。ところが議会は途中からそれを受け入れなくて、抜けてと言われてしまった。義務を負ったのは日本国だけだったというのは、これは甘利大臣御案内のとおりです。こういう経験も我々はしております。

 こういうことから鑑みると、やはり合意をする前提として、米国政府がこの権限を持つということが私は日本の前提になるのではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 TPAは御案内のとおり、議会は大統領に対してイエスかノーしか言えない、パッケージで認めるか認めないかということですから、政府側としては交渉は進めやすいんだと思います。ただ、TPAはアメリカの国内法ですから、これについて我々が、アメリカ側はこうすべし、ああすべしということは、注文はつけない方がいいのかなと思います。

 あった方がいいか悪いかということを聞かれれば、後々面倒くさいことにならない方がいいですねということだと思います。

 条約がまとまって、それを議会に了解をとるというのは各国の責任ですから。それは、アメリカ政府としてはTPAがあった方が通りやすい、それはよくわかりますが、いずれにせよ、まとまったものをきちんと、議会の了解を得るというのはその国の政府の責任ですから、責任でちゃんとやってもらいたいというふうに思います。

 その上で、十二カ国がサインをした、それがいかなる事情にせよリセットされるということは、その国別間の信義にもとることになるわけであります。基本的には、再交渉には応じないという姿勢で各国は臨むと思いますし、日本もそういたします。

近藤(洋)委員 大臣、私は、そこはあえて申し上げますが、ここまで来ますと、この時期まで来ますと、やはり米国の中間選挙、これがあるから大臣も必死に、ここまで政府も来られましたし、我々民主党政権時代も、この中間選挙というスケジュール感を持ちながら、一昨年、当時野田政権、十一月のときに、交渉参加もぎりぎりまで、選挙の前でありましたけれども、交渉参加についても、するかという判断を政府内で真剣に検討したわけです。当時、選挙の直前でありましたし、民主党内にもいろいろな議論もございました、正直言って。そういうことを抱えながら、また、当時、交渉参加についても、やはり、選挙が近いというか、こういうことを考えながら、時の政権が判断すべきものではなかろうということで、いろいろな配意で、だけれども、米国中間選挙があるというのは常ににらみながらの話であります。

 これがもう迫っているこの時点で、私はあえて申し上げます、ここは少し腰を落ちつけて、要は、中間選挙の後の方が逆にきちっとした交渉ができるのではないか。あえて言うと、期限を設けなかったというのは、大臣、そういうことなのかなと私は好意に解釈しているんです。今回、閣僚会合の期限を設けなかったというのは、逆に言うと、TPP交渉について、もちろんオバマ大統領と日米首脳会談もございますけれども、そういうものではなくて、期限を設けないということは、米国の中間選挙ということもにらみながら、腰を落ちつけてこの交渉はする必要があるのではないかと思うんです。

 ちょっとこれはややげすの話でありますけれども、あえて申し上げます。軽自動車増税、これについて、政府内の内部文書というか、あえて言います、総務省の研究会の内部文書には、米国政府の要求もあり、軽自動車増税の必要があるといった文言がある。私は、そんなことで軽自動車増税が図られたとは思いたくもございませんし、そうあっては決していけないと思うわけでありますが、私は、今回の軽自動車増税には反対の立場であります。しかし、総務省の研究会にそういった文言が見られた、米国政府の要求もありと。

 何を言いたいかというと、やはりこのTPP、それぞれ、議会でさまざまな要求、選挙の思い、業界団体もさまざま、相手の国も動いてくる、こういうものがどんどん迫る中で大筋合意なりなんなりというのは極めて難しい、むしろ選挙が終わった後にきちんと図る、そういうロングレンジの組み立てをそろそろすべきではないかと思いますが、お答えにくいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 軽自動車の税に関して、米国政府からの要求でそれがなされたということはありません。これは、負担の公平等々、各般の国内での意見を集約して、党税調を中心に行われたんだと思います。

 TPP妥結の時期がいつがいいのか、あるいは決めた方がいいのか、決めない方がいいのかという議論に関しましては、私は、モメンタム、勢いが漂流してしまわないように、早い時期にまとめられるのであるならばそれにこしたことはないと思います。

 ただ、期限を切る、つまり、十二カ国の大臣会合をもう一度招集するということをあらかじめ設定することについては、私は、順序が逆なんじゃないかと。最初に十二カ国大臣会合ありきで決めてきたことがなかなかまとまらない原因になっているんじゃないかということを強く主張しました。それはそうだなということになったわけです。

 なぜそうだなということかといいますと、権限を持っている大臣が集まるのが手っ取り早いという発想にどうしてもなりがちだったんですね。そうすると、その間の事務折衝が形骸化してしまいます。どうせ大臣会合で決めるんでしょう、我々はマンデートを持っていないよねみたいなことになりかねない。

 ですから、逆にしようよと。つまり、事務折衝で間合いが縮まって、後はほぼサインをするだけとならない限りは大臣会合は開けないぞというふうに逆にしていけば、事務方の折衝が、それぞれ各国大臣がマンデートを与えて、権限を与えて詰めていく。我々が詰めない限り最終調印の会議が開けないんだという、いわば切迫感を持たせた方が交渉が進むじゃないかと。

 大体、十二カ国会合で、こんな厚い資料で、細かいことを、これは、何で大臣がこんなことをやるんだみたいな会合になったら、もう事務の専門集団が大臣の会合みたいになってしまいますから、それはよくないんじゃないかと。だから、逆の発想で、事務方に権限を与えて、彼らがまとまらない限り開けないぞと言ったら、事務折衝が実りあるものになるという話をしました。それは共有されたというふうに思っております。

 ですから、早くまとまるにこしたことはないと思います。しかし、期限を切ってということになりますと、そこに十二カ国閣僚会議が設定される、そうしてしまうと、その間の事務折衝が形骸化することになるということで、交渉過程に実を持たせるために逆の発想でやっていこうということにしたわけであります。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、せいては事をし損じるという言葉もありますが、大臣はこれはもう十分承知の上で、でも、大臣がおっしゃったように、閣僚会合で法律の専門家のような議論をしてもこれは全く意味はございませんし、その進め方は全くそのとおりだろうと私は思います。

 私が申し上げたかったのは、やはり米国政府が、相当議会がねじれていますし、オバマ政権も苦労されている、こういう中での交渉は、閣僚、フロマン代表と甘利大臣が幾ら交渉してもなかなか大変ではないかなと、この局面だと。だとすると、ひとつ腰を落ちつけてというのも一つかなと。これは別に野党の立場で言うような話じゃないのかもしれませんが、TPPに思いのある人間としますと、それも一つではないか、こう思って、一つの提案でございました。

 もう一点聞きたかったんですが、時間の関係で、これは意見だけにさせてもらいたいと思います。

 日豪EPAであります。これは西川公也議員も大変御活躍をされたというのを新聞で読みまして、与党も動かれていると。我々民主党の立場も、日豪通商交渉、EPAについては、私も、資源国である豪州、極めて大事であり、民主党政権下でも進めたい、こう思っていた話でございました。

 ぜひ、この日豪EPA、甘利大臣のもとで、また首脳会談もあると伺っておりますので、ポイントは豪州がどこまでおりるかというところもあろうかとは思いますが、いずれにしろ、進めていただきたいということだけ表明をさせていただいて、農政の話、小里政務官に来ていただいております。

 実は、TPPについては、TPPお化けという話があって、TPPは、交渉に参加するだけで農村が壊れるみたいな、参加したら本当に農村社会が崩壊する、日本が壊れるといった話が随分ありました。そうならないような交渉をしてもらう、こういうことだと思っているんですが。

 もう一つ、私はきょう、この場で伺いたいのは、その話と同時に、自民党政権下で新たな四つの改革、大改正をされています。これについてであります。TPPとは切り離して農政を改革しよう、こういうことでのお話ではありますが、農家にとってみると、実際に大きな変化が起きるのはこちらの農政改革なものですから、これについてぜひお伺いしたいんです。

 委員長のお許しを得て、資料の五ページ目でございますが、今回の農政改革、幾つかポイントがあるんですけれども、農水省の資料で、いわゆる新しい政策によって、農村の方々の収入がどう変わるかということをシミュレーションした二枚の紙であります。これは農水省作成の資料であります。

 我々民主党政権下では、戸別所得補償制度を導入いたしました。反当たり一万七千円の戸別所得補償制度、これを自民党政権下では制度を大きく変えた、こういうことでありますが、この資料によると、最後のページでありますけれども、最後の、見直し後、約一三%収入がふえるという数字を出されているんですね。これはかなり希望的な数字がたくさん入っている。例えば、餌米をつくれば反当たり十万五千円入るとか、いろいろなことを書かれている。

 私の地元でいうと、餌米で十万五千円とるには反収十三俵から十二俵とらなきゃいけない、山形県では無理でございます。これは無理だというのが農家の方々の声であって、本当に十万五千円とれるかというと、無理だと。でも、これはかなり希望的な部分を入れて一三%という数字を出されています。

 私は、この改革によって、農家の、農村の収入じゃないですよ、農家の手取り収入は減る、このことはやはりきちんと出すべきではないか、これが誠実な対応ではないかと思いますけれども、政務官、いかがでございますでしょうか。

小里大臣政務官 私どもは、農家の所得を上げるために、ぜひプラス思考でいきたいなと思っております。

 今、反収のお話がありましたが、実証圃場では、多収性の品種で反七百キロとれる品種もございます。こういったものを中心にしてぜひ普及を図っていきたいわけでありますが、制度的には、そうやって多収性品種を用いて努力すれば、反当たり十万五千円まで交付金が出ます。

 それと、御指摘のモデル試算には入っておりませんが、多収性品種に取り組むことに対する交付金、これが一万二千円あります。また従来からの耕畜連携もあります。あるいはまた、県や市町村段階での産地交付金を使った加算措置もございます。あるいはまた二毛作助成等もありますが、そういった制度をフルに使って、ぜひ所得を上げる、意欲を持って取り組める水田作付体系をつくっていきたいなと思っております。

 あわせて申し上げれば、今度、需要のある米でありますから、不作付地も水田全体の約八%と言われておりますが、これを活用することによってもまた所得が上がってまいります。また御存じのように、多面的機能払い、こちらを充実させますので、こういったところもぜひ加味して取り組んでいただきたいなと思います。

 さらに、余計なことでありますが、水田周辺で申し上げますと、今度の農地バンクを使った農地集積を強力に図っていこうという制度を準備しました。そしてまたあわせて、基盤整備自体にも農家負担を限りなく減らしていく措置を大きく各方面から加味しておるところでございます。そういったところもあわせて、いろいろな、鳥獣被害対策とか六次産業化等も盛り込んでおりますので、総合的に政策を総動員して、ぜひ農家の所得が上がっていく姿を目指していきたいなと思います。

柴山委員長 近藤君、質疑時間が終了しております。

近藤(洋)委員 時間ですので、政務官、一点だけ。

 これで、米の価格はこの政策で、五年後、戸別所得補償制度をゼロにするということですけれども、米価は、この試算だと同額で仮定していますけれども、私は、この政策によって米の価格は下がると思います。下がらざるを得ないと。何となれば、餌米をつくる人はそんなにいない。山形県でもそんなにいません。少なくとも私の地元ではいません。JAおきたまは来年度の作付は従来どおり、餌米は推奨しない方針を決めました。恐らく多くの方々が主食米をつくることが想定されます。

 私は米の価格は下がるだろう、こう思いますが、農水省は五年後も現状の価格で維持できると思っているのか、それを保証できる、この政策で米価は維持できると思っているのかどうかということだけ端的にお答えいただけますか、それで質問を終わります。

柴山委員長 それでは答弁、短く答えて、質疑を終了します。

小里大臣政務官 今申し上げましたように、非主食用米を強力につくっていける、そういう制度を準備しましたから、これをぜひ活用していただきたい。

 いろいろな課題があることはわかっております。しっかりと、非主食用米を作付していけるための環境整備を図りながら、これを現場と一体となって実行していけば、必ず米価は安定化の方向に向かっていくと信じております。

柴山委員長 以上で質問を終わります。

近藤(洋)委員 私は、戸別所得補償の方がよかったと思います。

 質問を終えたいと思います。

柴山委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党・無所属クラブの津村啓介でございます。

 まず冒頭、統計委員会の重要性、そして現在の運用状況について、西村副大臣に御質問するところから始めさせていただきます。

 甘利大臣の体制になって一年余りでございますが、この間、何度も、GDP統計、そして統計委員会の議論をこの場でもさせていただいてまいりました。

 と申しますのは、財政制約が大変厳しい中で、これからアベノミクスをぜひ成果を上げていただかなければいけない。その中で、GDPで経済成長を図っていくと同時に、やはり、少子高齢化対策とか、分配の面でもさまざまな工夫と成果を上げていかなければいけない。しっかりと政策の効果を検証していくツールとして、非常に財政制約が厳しい中で経済統計の役割は増している、そういう認識を私は持っております。

 そうした中で、統計法に基づいて統計委員会が設置されているわけですが、五年に一度の基本計画を閣議決定するタイミングがこの三月でございまして、これまで一年間の議論というのは、そういう意味では大変重要な節目だったということでございます。

 甘利大臣が就任されてから一年余りたちますけれども、この統計委員会、何回開催をされて、大臣以下政務三役の皆さんは何度出席をされたのか、聞かせてください。

西村副大臣 お答え申し上げます。

 まさに統計の重要性、統計委員会の重要性、委員と認識を共有しております。

 そんな中で、甘利大臣が二十四年十二月に就任されて以来、統計委員会は計十三回開催をいたしております。このうち、政務三役が出席したのが、平成二十五年一月二十五日に当時の山際大臣政務官、それから、平成二十五年十月三十日に甘利大臣が出席、この二回でございます。

津村委員 今、内閣府の機能の見直しとかスリム化とかいう議論がされていまして、私もぜひ効率的に進めていただきたいと思いますし、私なりに、この四月から供用開始されます八号館をより効率的に集約することで、ロジ的にも、大臣や副大臣がそうした会議に出席しやすくすることを御提言申し上げているところでございますし、ほかにも、経済財政諮問会議でありますとか、産業競争力会議でありますとか、御担当は別として、重要な会議は内閣府にたくさんございますので、全ての会議に大臣が出るとか副大臣が出るというのはとても現実的ではないということは重々認識しているつもりなんですけれども。

 統計委員会は法定の委員会でありまして、統計法に基づく委員会で、いわゆる審議会とはまた格付が違いますし、また、そうしたものに政務三役が目配りしていただくために、ある意味では、副大臣、政務官が、数が足りないとはいえいらっしゃるわけで、もし数が足りないということであれば政務三役をふやしてでも、そこはしっかり目配りしていただくべきなのが本来の筋だと思うんですね。

 そういう意味で、今回、大臣じゃなくて、あえて西村副大臣に質問しているのも、そういう部分なんですけれども、副大臣や政務官が、こういった、大臣が必ずしも出席できない、しかし重要な会議にはもう少し目配りされるべきだと思うんですけれども、いかがですか。

西村副大臣 御指摘ごもっともでありまして、この一年間、さまざまな経済対策、特にデフレ脱却ということを最重要課題として我々は取り組んでまいりましたので、そんな中で、私も何回か出たいという思いもありましたけれども、都合がつかず出られなかったこともあります。

 今いただいた御指摘も踏まえて、我々としても、特にGDP統計をより精度を上げていくということは、これまでも何度も御指摘いただいて、我々もそう取り組んでいるところでありますので、そうした視点からもしっかり受けとめて対応していきたいと思います。

津村委員 西村さんは、TPPの交渉等大変御苦労もされてきていますし、大臣が体調を崩された時期も大変頑張られていらっしゃったので大変だったと思うんですけれども、新たに任命された小泉政務官も含めて、ぜひこの統計の分野にお目配りいただきたいなと思っております。

 そうした中で、統計委員会は、この三月に、先ほど申し上げたように、五年に一度の基本計画を、総務省も含めて閣議決定していくわけですけれども、その過程で、一月の三十一日に公的統計の整備に関する基本的な計画というものに答申を出して、そこで、当時の統計委員長は一定の役割を終えたということで退任をされております。

 私は、そうはいってもまだ閣内での議論が続いているわけですから、統計委員長の交代は時期尚早だったと思うんですけれども、これは政務三役としてはどういう御判断ですか。

西村副大臣 樋口前委員長におかれては、四年と四カ月という長きにわたってこの委員長を務めていただきました。大変な御貢献をしていただきまして、感謝をしているところでございます。

 御指摘の基本計画の変更につきましては、統計委員会の役割は答申を出すところということで、昨年の十月に諮問、一月三十一日に答申ということでありますので、そこまでの役割を果たしていただいて、今後、政府において閣議決定をするというところで、ここは政府の役割でございます。

 樋口前委員長におかれては、基本計画の変更の答申という非常に大きな統計委員会の役割を終えられたということでありますので、一身上の都合により辞任をされたというふうに考えております。

津村委員 答申までされたのは、きちんとした中身も含めて樋口先生の大変な御貢献だと思うんですけれども、その後、閣議決定までに、例えばきょうこの場があるわけですね。

 私は前回、十一月の一般質疑で、樋口委員長をここにお呼びして議論の経過を伺いました。本日も、その後、この答申にどういう形で反映されましたかということをここで樋口さんなりどなたかに聞きたかったんですけれども、残念ながら、樋口委員長はもうその任にいらっしゃらない。新任の西村委員長、たまたま名字が御一緒ですけれども、きょう御都合がつかないということもありましたし、御都合がついたとしても、二月から就任されている方に聞いても、私わかりませんということになると思います。では、政務三役どなたですかということでこうやってお話をしても、西村副大臣、失礼ですけれども、出席されたことがないということでは、誰にも聞ける人がいないんですよね。事務方任せかということになるわけです。

 やはり、閣議決定がきちんと終わるまでは、政務三役なり、あるいは統計委員会の責任ある立場の方がきちんと継続的にいていただかないと、国会での議論もできないということですので、非常に不備があると思いますけれども、いかがですか。

西村副大臣 まず、答申までが大きな役割だということは御理解いただいていると思いますけれども、その後の各省調整を今行っているところでありまして、つくる段階でも、答申を得る段階でも、各省からヒアリングをして精査をしておられますので、その意味では大きな役割は終えられたと。

 中身につきましては、全て事務任せにしているわけでもなくて、津村委員からも過去御指摘もいただいておりましたので、特にGDPの計算をしっかりやるようにという御指摘も踏まえて、私もしっかり中身を見て対応しております。

 それから、新任の西村委員長もしっかりと引き継ぎをされていると思いますので、その点も我々、支障のないようにしっかりと統計委員会の仕事を支えていくように努めていきたいと思います。

津村委員 次回の質問通告をここでするわけではないんですけれども、私は、西村さんなり、場合によっては甘利大臣に、これからもこのテーマは継続して伺っていきたいと思っています。統計委員会の質問はこれで終わります。

 GDP統計を充実させていく上で、これは、マーケット参加者の皆さんに、内閣府さん自身が時々呼んで、GDP統計について使い勝手がいいかどうか、どういうところを改善したらいいかということをヒアリングされていますし、それを公表もされています。非常にいい取り組みだと思います。

 そこに上がっていることで、例えば、一次統計、家計調査のサンプルが少ない、あるいは法人企業統計のサンプルが少ない、そうしたことで一次QEと二次QEが大きく変わってしまうことがあってミスリードする。あるいは、公共事業の執行状況がつぶさに確認できない。これは、経済対策を何度もお打ちになっていて、その効果がどう波及していくかというのは非常に政府にとって重要な情報だと思うんですが、そのための統計が必ずしも十分でない。ここは、ぜひリソースを割いて統計を充実させていくべきだと思いますし、そのことが政権運営にとって非常に重要だと思うんですね。

 そういう意味で、今回それに類した提言は、基本計画の中に非常に抽象的な表現なんですけれども書かれていますから、それを具体化されていくのがこれからの皆さんのお仕事だと思いますので、応援させていただきますし、フォローさせていただきますので、ぜひ、次回は、統計委員会での議論をもう少しつぶさにごらんいただいて、直接参加もしていただいて、新しい西村委員長とも意識を共有していただいて、この場に臨んでいただきたいということを申し上げたいと思います。

 続きまして、GDPの統計そのものにつきまして、甘利大臣に、一点にまとめてお伺いさせていただきます。

 GDP統計の作成部署、欧米で二百人、三百人といったところを、日本では、もともとは五十数人でやっていたところ、この間、六十人、七十人と少しずつふやして、リソースを割いて充実に向けて取り組まれているというふうに認識をしております。二十六年度の機構・定員がどうなっているのかということと、また、まとめて質問しますが、先ほど、マーケット参加者から要望が私は多かったと見ておりますけれども、GDP統計の推計方法の公開について、この二点、甘利大臣の御見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

甘利国務大臣 機構・定員の予算について申し上げますと、まず、予算につきましては、平成二十二年度以降、国民経済計算の新たな国際基準である二〇〇八SNAの導入に向けた調査研究に係る経費を要求してきておりまして、平成二十六年度の政府予算案では前年度比七・九%増となっております。

 それから、体制面について申し上げますと、非常勤職員等も含む実働人員につきまして、平成二十一年度では七十四人であったものが、現在八十三人までは増加をしております。平成二十六年度に係る機構・定員の政府案も、一人ではありますが増員となっております。引き続き、必要な予算、人員の確保に努めてまいりたいと思います。

 それから、GDP統計の推計方法の公開を進めるということでありますが、GDP統計の推計手法につきましては、民間のニーズも踏まえまして、これまで公表してきました推計手法解説書の最新版を一昨年十一月に公表する等、その透明化に努めているところであります。

 今後とも、総務省の指摘にしっかり応えられるように取り組んでいきたいというふうに思っております。

津村委員 時間が少し押している中で、甘利大臣そして西村副大臣に、質問通告している項目ですけれども、ここはきょうは答弁は結構ですので、幸福度指標ですけれども、ぜひこれも、次回必ず伺わせていただきますので、宿題のようにちょっと趣旨を伝えたいと思うんです。

 GDP統計は非常に重要で、私も、先ほど申し上げたように、これからも統計作成部署のリソースをさらに拡充して精緻なGDP統計をやっていただきたいと思うんですが、少子高齢化が進んでいく中で、必ずしも経済政策の目的が経済成長だけでなくて、分配面、あるいは少子高齢化対策まで目配りしていかなきゃいけない。例えば、民主党政権期に乗数効果論争というのが子ども手当についてありましたけれども、あれは、翌年のGDPにどれだけ寄与するかという部分に光が当たって、子ども手当というのは、本来、将来の少子化対策、出生率の部分でも評価されるべきと思うんですけれども、ちょっと議論が一面的になったなという感想を持っております。

 そういう意味で、GDPを補完するさまざまな政策指標にしっかり光を当てるという意味で、今KPIというのがありますが、あれは少し個別散発的といいますか、二〇二〇年のということで非常に時間軸も硬直的なところがありますので、幸福度指標の、今何人かの方が経済社会総合研究所で議論されていると思うんですけれども、大臣、副大臣もお目配りいただきまして、次回、その検討状況を伺いますので、大臣、副大臣の言葉で御説明いただけるように、ぜひ宿題を出させてください。

 最後に、内閣府の採用のことについて、人事のことについて伺わせていただきます。

 まず西村副大臣に伺いますが、内閣府の政策統括官部局が七つあると思います。うち三つは経済財政ですけれども、それをあわせて考えますと、五つの統括官部局があると思いますが、内閣府の旧経済企画庁、総理府採用職員を含む事務系1種、総合職の配属数は、その五つの統括官部局、それぞれ何人でございますか。

西村副大臣 御指摘のとおり、経済財政運営担当、経済社会システム担当、経済財政分析担当のいわゆる経済三部局でありますけれども、ここに配属されております、いわゆる事務系1種、総合職の配属数は五十五名、それから共生社会政策担当に十九名、沖縄政策担当に七名、防災担当に五名、科学技術・イノベーション担当で二名ということになっております。

津村委員 後藤田副大臣に伺わせていただきたいと思います。

 こうした方々は、以前は経済企画庁あるいは総理府というところで採用になられて、とりわけ経済企画庁で採用になられた方がこの経済財政にいらっしゃる率が恐らく高いと思いますし、そのほかは総理府出身の方も多いのかと思いますが、現在は内閣府という形で、一つで採っているわけですね。

 ただ、内閣府の担当部署というのはこうして非常に多岐にわたるし、場合によっては余り直接関係のない、科学技術と、そして沖縄と、経済財政ということですから、内閣府が余りにも多くの機能を抱え込んでいることによって、新卒職員からすると、自分がどこに配属されるかわからない。強いて言えば、経済財政は率が高いので、経済職の方は比較的自分の希望に行ける可能性が高いだろうと思うんですけれども、将来、科学技術政策を内閣府でやりたい、あるいは防災対策をやりたい、沖縄政策をやりたいという方が、こういう、非常に確率が低い、そこに配属される確率が低い状態で内閣府を本当に志望してくるのか。そういう専門性の高い人材を今の採用の仕組みできちんと採用できるのかということを伺いたいと思います。

後藤田副大臣 委員おっしゃるように、今、西村副大臣から、経済財政運営等の人材の現状、お話がありましたけれども、私の担当するところも約二十個ぐらい担務があるんですけれども、今委員おっしゃった例えば防災だと、全部の内閣府採用1種、総合職の配属数二百三十五のうち五人、科学技術政策・イノベーション担当が二人、沖縄政策担当が七人、これが現状でございます。先ほど来の経済財政とか経済社会システムとかは二十一名とか十五名とか、そういうことで、今おっしゃったような問題を指摘されている数字的な理由だと思います。

 ただ、私どもとしては、今、前事務次官の松元次官のときから、平成二十三年の十二月に策定しました内閣府人材育成・活用方針等に基づいて、必要な能力を身につけさせるためにできるだけ多様なポストに配置をしたり、職員の主体的なキャリア形成を支援するために、主体的キャリア形成プログラムとして、職員の自由参加のもとに、各部局の政策について基礎から応用まで研修形式で講義をするなど、そういったチャンスも与えて、研修もさせて、ではということで手を挙げたときに対応させる、こういう環境は一応つくっておりますが、ただ、今、去年から先生方に御議論をいただいております公務員制度改革のこれからの人材確保、そして人材養成、そして人材配置、こういった問題にも大変関係をしてくると思いますので、もちろん専門性の高いものをやりたいというときには、例えば文部科学省、科学技術をやりたいのであれば、では、独立行政法人、こういう選択肢もありますけれども、やはり内閣府というのは、総合調整、企画立案、こういうことをやりたいという方々を中心に今のところは採っているわけでございますので、これからは、公務員制度改革だとか、今、内閣府の肥大化の問題を御指摘いただいておりますが、そういうことも総合的に含めまして、しっかり対応してまいりたいと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

柴山委員長 津村君、質疑時間、終了しております。

津村委員 西村副大臣、短くお答えいただけたら結構なんですけれども、旧経済企画庁は、日本の経済全体を設計するということもあって、非常に優秀な方々、経済職の合格、非常に上位の方々が大勢いらっしゃったと思います。

 今、内閣府というと、先ほどの問題意識の裏返しですけれども、経済財政のウエートが非常に大きいとはいえ、必ずしもそこに行けるとは限らないということで、場合によっては人気が少し落ちているんじゃないかという指摘が巷間耳に入るんですけれども、副大臣からごらんになって、それはいかがですか。対応策はしっかり講じていらっしゃるでしょうか。

柴山委員長 西村副大臣、短く御答弁願います。

西村副大臣 私も、実は経済産業省におりましたころ、当時の経済企画庁に出向したことがありまして、当時から官庁エコノミストは、活躍されている方がたくさんおられて、かつ、OBもおられました。今でも民間でやられている方がおられます。

 そういう意味で、官庁エコノミストを育てて、日本経済の政策、しっかりと中核を担っていただくという人たちを育てていくことは非常に大事だと思っておりますので、私も、就任以来、若手のそういうことを志す人たちとの意見交換、あるいは外部からエコノミストを呼んでの意見交換等、充実をさらにさせてきておりますので、これからそうした点もしっかりPRしながら、アベノミクスをしっかりPRしながら、いい人材が内閣府に入ってくるように努力してまいりたいと思います。

 御指摘ありがとうございます。

柴山委員長 以上で質疑を終わります。

津村委員 終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学です。よろしくお願いします。

 このタイミングで、甘利大臣がTPPの交渉から帰国されての審議となりますと、どうしてもTPPに関心が集中しがちだと思いますが、あくまで所信に対する質疑ということでもありますので、後でTPPにも触れますけれども、基本的な経済運営の担当大臣という立場でお答えいただければという質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、いわゆるアベノミクスの担当大臣としてですね。よく巷間、いろいろな方に話を聞きますと、一部の方は非常に潤っているけれども、多くの方が、いまいち景気回復の実感がないという方がまだ結構いらっしゃるというか、ちまたの声ですね。

 とりあえず、アベノミクスで何が起こったかというのを振り返ると、日本経済がとりあえず円安になって、円安になりますと、輸出の数量はふえなくても円建て換算で企業の収益がふえますから、それによって、逆算すると株価が上がる。株を持っている人は所得がふえたように思ってお金を使ってということで、本当に一部の人がふわっと明るくなっているという現象から始まって、しかし、この効果というのは円安がどんどん続いている間しかないわけでありまして、円安が一定のところで、水準が一定になりますと、この効果は終わってしまう。

 次に出てきたのが財政、第二の機関車が財政でありますが、今のGDP統計を見ますと、基本的に財政主導になっちゃっている、公共投資主導になっちゃっている。でも、これは長続きするわけではないわけですから。また、民需といっても、消費税の駆け込み需要もいわば財政が起こしている要因ということで、これも今度は反動が出るわけでして。第三の機関車が出るべきなんですが、どうもそれがなかなか見えていない。いわゆる第三の矢である成長戦略というのは、中長期的に効いてくるもので、すぐに効果が出るというわけでもない性格のものですから。

 本来、ここで国内民間需要がふえていくということが起こらなきゃいけないんですが、その期待されていたのがやはりマネー面で、持続的に市中のマネーがふえていくという現象で、この背景には需要の増加がなければいけないんですけれども。ここで、金融政策が本来はもうちょっと効いているということが、必ずしも実体経済に及んでいないんじゃないかという議論もあるかと思います。

 この第一の矢の異次元の金融緩和なんですけれども、従来、金融政策というと短期金利を操作したんですが、今回は長期金利というか、長期国債を買うものですから、長期金利に直接働きかけるという効果が出るものかと思います。

 短期金利の方はこれ以上下がらない低水準にありますから、長期金利を下げるとなりますと、銀行にとっては利ざやが縮小するという、いわゆるイールドカーブが横に寝てしまうということになりますものですから、例えばアメリカなんかでは、イールドカーブを立てて、それで金融政策の効果を出すというようなこともやっていたことがあるんですけれども、日本の場合は、そっちの面から見ると銀行融資を抑制する方向に働いてしまうというような指摘もありまして、これはいろいろな議論があると思うんですが、この議論についての大臣のお考えをまずお聞かせいただければと思います。

甘利国務大臣 異次元の金融緩和政策に関しては、いろいろな御意見があります。

 私も、この異次元の緩和政策をされる前、野党の時代には、本当にそんなことだけでマネーサプライが伸びていくのかという懐疑的な面もありましたけれども、実際にやってみると、事実として、日銀の金融政策に伴ってマネーサプライが増加してきている。マネタリーベースに全く比例しているということではないと思いますけれども、従来言われているようなカーブよりは、マネーサプライ、マネーストックは上昇しているというのが事実だと思います。現実には、マネーストックは九九年以来の、前年比でいうと四%台の伸びになっているわけであります。

 日本銀行において推進されている、いわゆる大胆な金融緩和というのは、おっしゃるように、大規模な国債買い入れによって、名目長期金利への低下圧力等の効果。それから、日本銀行の資産買い入れが金融機関や投資家の運用サイドに貸し出しやリスク性資産への投資を促すという、いわゆるポートフォリオリバランス効果というふうに日銀は言っていますけれども、それ。それから、二%の物価安定目標の早期実現への明確なコミットメントと、これを裏打ちする大規模な資産の買い入れを継続することで、市場や経済主体の期待を抜本的に転換させて、予想物価上昇率の引き上げとこれによる実質金利の引き下げの効果という、三点の波及経路を通じて、企業、家計の投資、消費活動を活性化させるとともに、実際の物価上昇率も上昇していくことを意図しているものと承知をいたしております。

 また、こうした金融緩和の効果を補完するため、日本銀行においては、先般、貸し出し増加を支援するための資金供給、それから成長基盤強化を支援するための資金供給、これを拡充、延長されたわけでありますけれども、こうした取り組みによりまして、金融機関の一段と積極的な行動であるとか、企業、家計の前向きな資金需要が増加することが期待されているわけであります。

 従来理論的に言われていたこととは少し違って、現実は効果があらわれているというふうに承知いたしております。

松田委員 ありがとうございます。

 大臣の今の御答弁は、定性的には全くそのとおりなんですが、日銀が国債を買って、それでいわゆるブタ積みという現象が起こっているとよく言われていますけれども、日銀がバランスシートを大幅に拡大する割に、その効果がそれに比べて十分なものかどうかという点が、これはいろいろな議論があると思いますね。

 先ほどイールドカーブの議論をいたしましたけれども、先般、予算委員会の基本的質疑でも質問させていただいたことなんですが、黒田総裁が御答弁いただきましたけれども、要するに、これからどうするんだ、これだけ大規模な国債購入をやって、日銀のバランスシートを二倍にして、それでその後どうなるんだと。一方で、政府の方は、プライマリーバランスの要請がありますから、長期金利をできるだけ抑えてほしいという要請があるわけですね。

 専門家の間では金融抑圧という言葉があるんですが、いわゆる政府の利払い費を軽減するために、名目金利をインフレ率以下に抑え込むという。こうなってくると金融政策は相当ゆがんだ形になってしまいますので、財政のことを考えると金融政策がゆがみ、二%の目標が達成された後に、さらに今度は本当にインフレに行くのか、あるいはバブルに行くのかというおそれがありますし、かといって、市場実勢に任せていけば、インフレ率が上がればそれに応じて名目長期金利は上がっていく、二%ぐらい上がるだろうと。そうすると、これは利払い費でもう本当にパンクしてしまうという状態になるわけですね。

 こういうジレンマを抱えるわけで、今御説明の中にあった実質金利の低下というのは、当面は効くかもしれませんが、長期金利をしばらく安定的に推移できるかもしれませんが、日本の金利水準はもう相当名目金利が低いので、これを長く続けるということはやはり難しくて、期待インフレ率が上がれば、当然長期金利は上がらざるを得ないというところで、それを抑えようとすると相当無理がかかってしまうということになると思うんですが、その辺については大臣はどんな見通しを持っておられますか。

甘利国務大臣 日銀の金融政策として長期国債を買い入れて長期金利に働きかけている、これが効いていますから、成長率と金利の競争は、しばらくは成長率が勝っていくと思います。

 そこで、中長期にそこの関係をどうしていくのか。

 景気が拡大をしていけば金利は上がっていくというのは、経済の原理原則であります。そこで、国債の信認をしっかり担保していくということで、一つは、政府がやることは、財政再建の道筋をきっちりと示すことだと思います。それが一つ。それからもう一つは、やはり成長率を引き上げていって、できるだけ高い成長率を確保していく。このことを通じながら、国債の対GDP比率が拡散していかないように努めていくということが政府の使命だというふうに思っております。

松田委員 そこで、財政の道筋を示すためには、成長率は一定程度やはり上げていかざるを得ないということになるわけですね。

 それで、次の質問なんですが、いわゆる中長期の経済財政に関する試算、政府が出された試算、これも予算委員会でもさんざん取り上げられていました。

 お手元に配付資料がございますが、これを見てみますと、この配らせていただいた資料の一枚目の「経済再生ケース」というのは、想定しているのは、二〇二〇年度に政府目標ではプライマリーバランスが達成される姿になっていないんですが、その後の成長率を見ると、二〇二二年度、二三年度、二・四%、つまり二%台半ば近い実質経済成長率という、ちょっと今の経済から見るとかなり高目の成長率に上がっていくという想定になっていて、この成長率のもとで、国債発行残高の対GDP比が一旦低下するという姿になっているんですね。その後、私は、多分まだ上がっていくと思うんですけれども、そういう、経済について相当楽観的な感じがしないでもないんです。

 ただ、本当にこの二%台半ば近くの実質成長率というのを実現するのかということを考えてみますと、まず、労働力人口増加率というのが足元で、二〇一二年、マイナス〇・五%ですか、そんな状態になっていて、単純に考えると、それと足し算でこの二%台半ばの実質成長率を達成するには、一人当たりの労働生産性の上昇率が年率で三%ぐらいの、それぐらいの高い生産性上昇率をずっと続けなければ、こういう姿にはならないんですね。

 現状を見てみますと、二〇〇〇年代の一人当たり労働生産性上昇率が大体一%台、せいぜい一・五%前後。これが倍増して三%ぐらいになるという想定というのは、相当無理があるような気がしないでもないわけです。

 この試算の前提、政府の方にもお伺いしたんですけれども、女性とか高齢者の労働参加を促進して就業人口をふやしていくということを一生懸命やっても、就業人口はやはりマイナスである、プラスになることはないということで、では何でこんなに実質GDP成長が伸びるんだと聞きましたら、今、私、労働生産性上昇率を申しましたが、資本と労働両方あわせた全要素生産性、これが、日本経済が最も好調だったバブル期並みの生産性上昇になるんだという想定なんです、こういう説明なんですね。

 こういう説明を聞けば聞くほど、この「経済再生ケース」というのは本当に絵に描いた餅なのではないかと。これでも財政が健全化するわけではないので、これは相当、何とかしてつじつま合わせをしようとして一生懸命政府が努力しているのはわかるんですけれども、リアリティーがあるのかどうかについての大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

甘利国務大臣 担当大臣としては、リアリティーがあると申し上げます。

 今後十年平均、名目三パー、実質二パー。確かに、おっしゃるように、GDPの構成要素というのは、資本、労働、生産性、特に労働力が人口減少とともに減っていく、これをどうするのかという課題は一番大きな課題であります。

 ですから、短期的には、労働市場に参画をしていない人に参画をしてもらうということで、女性の参画率を五%ポイント引き上げる。それから、高齢者も、元気な人はまだまだ日本経済に参加してもらおう。それから、若者でニート、フリーターの方々にどう市場とアクセスを図ってもらうかということに全力で取り組んでいくわけであります。

 労働、資本の投入量で図れない成長の要因で、全要素生産性というのがあります。これは、本来は日本のお家芸だったはずであります。これが落ちているということが根本的には問題。

 これは、私自身、政権につく前から、本来の日本のイノベーションを起こす力というのを取り戻すということを、ずっと画策というかプランを考えておりまして、今、成長戦略で、科学技術の司令塔機能であるとか、イノベーション創造立国というようなことをこれから打ち出していきますけれども、そこはある種のナショナルシステムをつくっていきたいというふうに思います。日本版NIHもそうでありますし、総合科学技術会議の司令塔機能をつくるというのもそうであります、まだ完成まで至っていませんけれども。世界を変えるようなイノベーションは常に日本から発信をされるという国にしていきたいと思っております。そこで、本来のお家芸の生産性の向上に取り組んでいく。

 ただ、中長期的には、このままいけば五十年後には人口が八千万人ぐらいになる。これを生産性だけでカバーしていくというのは、なかなか大変だと思います。そこで、では外国人労働にどう向かい合うかとか、長期的な課題にどう向かい合うかという検討が出てくるんだと思います。

 今、諮問会議のもとに「選択する未来」委員会というのを設けております。これは日商の三村さんを座長として取り組んでいますけれども、その選択する未来という名前は、座長の三村さんの強い要望でつけました。

 それは何かというと、このままほっておくと日本経済にとってのいろいろなマイナス要因がある、ほっておくと未来はこんなになっちゃいますというんじゃなくて、未来をこんなふうにするために今から何をやっていくかということを考えようよ、五十年後の未来を、こういう未来を選択できるように二〇二〇年に向けて何をやるべきかということを検討しようということをスタートさせておりまして、抜本的な課題についても解が見えるようにしていきたいというふうに思っております。

松田委員 日本の未来を描くことが最大の成長戦略というのは、私も持論でありますので、それはいいんですけれども、現実を見ると、これは、ある日本を代表する経済学者がおっしゃっておりました、日本経済というのはランニングマシン状態なんだと。ランニングマシンというのは、一生懸命前に走っていても、定常状態を保つのでみんな一生懸命やる。つまり、後ろに引っ張られるというか、そういう要因が、日本経済はもう成熟経済なので、成熟経済というのは成長するのが大変なんだと。

 例えば、生活のゆとりということも要請が出てきますし、日本の場合、原発事故で、安全性への配慮、あるいは、環境への配慮というのは中国が全くなくて、PM二・五みたいなものが起こってしまうんですが、そういうことにもコストがかかる。そういった社会的コストに加えて、日本の場合、これから過去の債務負担、政府の債務負担の問題も出てくるわけですね。

 そういったマイナスの要因がたくさん出てくる中で、一生懸命前に走ってようやく定常状態、現状を維持できるというぐらい厳しいんだという、私は、それぐらい厳しい認識を、やはり現実を直視して目を向けていかないといけないと思っております。

 そういった意味で、この「経済再生ケース」というのは、夢物語を描くのはいいんですけれども、やはり現実の経済運営というのは、「参考ケース」、これは、二〇二〇年代に入っても一%台の実質GDP成長率、こういう経済であってももつような財政なり社会の仕組みをつくっていくというような経済運営をやっていかなければいけないのではないかということで申し上げた次第であります。

 それで、ちょっと論点を変えますが、アベノミクスが持続的に成功していくには、今、政権がいろいろと働きかけているように、賃金が上がっていかなければいけない、これは事実だと思います。賃金が上がっていかなければいけないのは事実なんですが、しかし、この賃金というのはマクロ的には何で決まっているか。これはやはりマクロ的な要因で決まっているわけでありますので、一部の大企業が上げるというのはあるかもしれませんし、それがプラスになるのは事実かもしれませんが。

 例えば、ある分析では、実質賃金というのは、労働生産性と日本経済の交易条件と労働分配率の三つの要因で決まる、こういう理論がありまして、この分析によりますと、日本は一生懸命頑張って労働生産性自体は結構上がってきているんですけれども、いわゆる交易条件が低下している、悪化している。これが労働生産性の上昇を相殺して、かつ労働分配率も資本収益率が余り高くないというか、余りそんなに引き上げられないというか、企業にお金があるといっても、かつて銀行にどんどん借り入れていたのが、金融のいろいろな問題を経て金融機関に対する信頼が下がって、やはり内部留保をどうしても持っておきたい。企業としてはリスクに備えるために持っているのであって、お金が余っているから賃金に回せるというわけではないということを考えますと、そう簡単な話でもないように思うんですね。

 そういった、今ちょっと私が言及しました交易条件の悪化という問題なんですが、これも意外と日本のデフレの原因として注目する見方というのは、非常にまともな経済学者から結構そういう議論が出ているんですが、これについて、政府としての見方について御答弁いただければと思います。

甘利国務大臣 交易条件というのは、一言で言えば、輸出価格を輸入価格で割ったもの、平たく言いますと、輸入価格の上昇がきちんと輸出価格に転嫁できているかということだというふうに思っております。

 我が国の交易条件は、近年でいいますと、二〇〇九年以降、悪化基調になっているわけであります。この交易条件の悪化というのは、御指摘のとおり、海外への所得の流出をもたらして、需要の押し下げを通じて景気の下押し原因ともなりかねないものであります。引き続き、交易条件の動向を注視するとともに、輸出競争力の強化であるとか省エネ、省資源等の取り組みによってこの改善を図ることが重要だと考えております。

 要するに、輸入価格の上昇を輸出価格に転嫁できないということは、転嫁したら競争力がなくて負けちゃうから下げて売っているということになるわけでありますね。ですから、日本の産業全体の競争力を引き上げていく、それで定価どおりに売れるということにしていくことが大事だと思いますし、もう一点、申し上げましたように、省エネ投資をする、あるいは省資源体質にしていくということが交易条件を改善していくということにつながりますから、いずれにしても、それは国内的な努力でなされることでありますから、その点もしっかり留意しながら産業政策を進めていきたいというふうに思っております。

松田委員 おっしゃるとおり、交易条件というのは、数量でどんどん伸ばしても、海外で高い価格で売れない、要するに、一生懸命努力した割にはもうけが少ないという、これが日本経済の近年の実感なんだと思うんですね。

 今も円安ですが、かつて息の長いイザナギ超えと言われた景気回復局面でも同じく円安局面がありまして、あのときは円安で輸出の数量がふえて、それが国内の設備投資に結びついたという実体経済の動きが結構ありまして、それと株の動きが連動していた面があるんですが、今回は株だけがすぱっと上がって実体経済が伴っていない。この状況というのは、当時に比べて日本経済の実力そのものが低下しているんじゃないかという見方も出ているんですね。

 アベノミクスは、この第三の矢というのは、民間投資を喚起する成長戦略というふうになっていまして、私、これが出たときから少し違和感があったのは、日本経済というのは、もう投資主導経済、投資主導経済というのは、今の中国も、少なくともこれまでの中国もそうだったんですが、輸出で伸びて、それで設備投資に波及していく、それが経済を牽引していく、そういうパラダイムの経済のことをいまだにアベノミクスは念頭に置いているのかとついつい思っちゃったんですね、もちろんそれだけじゃないと思いますが。

 むしろ、今日本に問われているのは、巨額の個人金融資産を持っていて、それが、皆さん、将来が不確実なためにため込んじゃっている。消費主導にしていくために、こういうお金をいかに経済に回していくかという、要するに、消費主導経済のパラダイム転換が非常に必要で、今、足元の消費の動向を見ていても、団塊の世代がリタイアしたら消費が減るんじゃないかと思ったら、意外と団塊の世代の方々が消費を旺盛にやっている。これが新しい需要を生み出していく。高齢者向けの需要というのをどんどん生み出していく。これが本当の日本の経済に求められたイノベーションのような気がするんですが、そういった消費主導経済ということをもう少し考えた成長戦略ということをやらないと、本当に地に足のついた実需の拡大というのはなかなかないんじゃないかなというふうに考えています。

 そこで、この間、これは所管ではないというか、大臣が違うかもしれませんが、G20ですね。二月二十二日から二十三日、オーストラリアのシドニーで行われまして、お手元の資料にも、G20の出された声明、二枚目ですが、上の方に一部を引用しています。

 新聞報道では、世界経済の成長率を五年後に実質で二%引き上げることを約束したと言っているんですが、これをよく読んでみると、世界経済じゃなくて、「我々は、」と、下線が引いてあるところ、これはいわゆるG20の国。G20というのは、世界のGDPに占める比率が九〇%なので、ほとんど世界経済だと思うんですけれども、読んでみますと、このG20の国々は、「我々全体のGDPを現行の政策により達成される水準よりも二%以上引き上げる」ということを目的としていると。

 これは別に日本だけがやることではなくて、G20全体でやることではありますけれども、ただ、これは多分、ドイツあたりを念頭に置かれた、財政状況がよくて、もう少しドイツ、お金を使えよと国際社会で言われていますから、念頭に置かれている、あるいは中国あたりも念頭に置かれている。とりあえず日本は念頭にないのかもしれませんが、かといって、ドイツが、あの財政規律に厳しいドイツがそう容易に景気刺激策をとるとも思えませんし、中国も、リーマン・ショック後に五十六兆円もの景気対策で傷んでいるわけですから。

 結局、二%成長という目的をつくってしまうと、昔日本は、G7をやるたびにアメリカから財政刺激をやれといって、私も担当したことがあって困ったことがあったんですが、そういうようなことの二の舞ということになるような、そういう懸念は大臣の頭にはよぎったことはないでしょうか。

甘利国務大臣 G20の声明で、「今後五年間で、我々」と確かに表現されておりますけれども、全体のGDPを現行の政策により達成される水準よりも二%引き上げることを目指すと。

 日本がどれくらいの成長予測をされているかというと、これは、たしかIMFかどこかの基準がこのG20の基準になっているはずであります。そうすると、日本は、実質で一・一から一・二ぐらいであります。国内で我々が、安倍政権が目指しているのは、今後十年間、名目三パー、実質二パーですけれども、これより低い数字です。

 それにしても、それにプラス二%となりますと、個々の国がそれぞれやるとしたら、日本は実質三、名目四とかそんな数字になっちゃって、また先生から言わせれば、絵そらごとと言われそうなことですけれども、しかし、これは、各国別にこうしなさいと言っているんじゃなくて、全体でこうしましょうと言っているわけです。G20の中には新興国もたくさん入っているわけでありますから、そこは、それこそ五パー、六パーの成長が現実問題として可能なところでありますから、これは全体的にならしてそうしていこうという理解をいたしているところであります。

 それから、先ほどの御指摘の、消費が大事だというのはおっしゃるとおりです。GDPの六割は消費でありますから、消費をいかに伸ばしていくかということが大事で、設備投資だけで終わってしまってはいけないということであります。

 ただ、先ほど来私がイノベーションと言っているのは、イノベーションは、生産構造に直接働きかけていくと同時に、やはり消費に働きかけると思うんですね。イノベーションというのは、それまで市場になかった製品やサービスをデビューさせることでありますから、社会が変わる。インターネットの時代になって、それに関連する消費は一挙に爆発的にふえてきたわけでありますから、新しい消費市場をつくるということも大事でありますから、それも消費の喚起につながっていくというふうに考えております。

 そういう面から、消費が一番大事ということは承知した上で、日本のイノベーションの力を伸ばしていこう、これが海外の市場も開拓もしますし、国内の新たな需要もつくっていくというふうに考えております。

松田委員 もちろん、消費が大事だと御認識いただいているのはよくわかっております。ただ、言い方として、民間投資ということを前面に出すよりは、やはり消費ということを前面に出すような、そういう政策が私は望ましいんじゃないかということで申し上げました。その結果として投資というのが出てくる。

 まずやはり消費が伸びないと投資も自律的に伸びていかないというのは、今、先進国どこもそういう状況になっていると私は思っていまして、特に日本は過去の金融資産の蓄積があるんですから、十分それができる国だということを前面に出した経済政策運営がいいんじゃないかというふうな意味であります。

 今のG20の話ですが、かつて、私が大蔵省にいたときに、一九八六年、まだ私が若かったころですが、東京サミットでマクロサーベイランスというのが入りました。これはピアプレッシャーといって、お互いに、G7各国が、相手国の経常収支とかあるいは財政収支とかそういうものを見ながら、政策運営をこうしたらいいんじゃないのという、いわゆる圧力をかけ合う、友邦的な圧力をかけ合う仕組みだったんです。

 これも、今は、経済はG7ではなくてG20ベースでやらないといけないとなってくると、先ほど大臣、御答弁、ほかの国がたくさんあると言いましたけれども、やはり、そういう流れがもし強まってくると、G20ベースでサーベイランスをやるというのは大変なことなので、全然経済状態が違う国ではなかなか現実的ではないと思いますけれども、何となくそちらの方に向かっていって、日本が、この声明に「現行の政策により達成される水準よりも」というのがあるわけですから、これはみんなで追加政策をやりましょうということを含意しているわけですので、そこのところはよくよく気をつけた国際交渉をしていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 先ほど、日本経済の交易条件の悪化ということを取り上げさせていただきましたけれども、これは、GDPベースの世界、つまり、いわゆる国内生産で見た場合は日本経済の弱さになる。しかし一方で、経常収支で見れば、貿易収支は赤字だけれども、海外からの要素所得とか投資収益収支とかそういったものはまだまだあるので、それで経常収支は何とかもっているという意見もあって、その要素所得を入れたGNI、いわゆる国民所得ベースで、グロスの国民所得ベースで見たらどうかという議論もあるんですが、これも、実質ベースで見ると交易損失があって、マイナスになるという状態なんですね。

 これを考えてみると、いわゆる経済、お金の面も物の面も、両面において日本の置かれた状況を克服するのが大きな課題なんですけれども、こういった経済政策全般とTPPの両方を甘利大臣は担当されていると思うので、そこを関連づけながらTPP交渉に当たって、これからTPPの話にも入りますけれども、やはり日本経済の交易条件の悪化した状況を何とか改善しなきゃいけないというようなことも視野に入れて交渉に当たっていただいているかどうかについて、ちょっと一言お願いできればと思います。

甘利国務大臣 TPPの御質問にお答えする前に、先ほど、G20の二%に関してちょっと私誤解をしておりまして、毎年二%ずつ上げるんじゃなくて、五年間で水準を二%上げるということだそうでありまして、年平均にならしますと〇・五%、ですから、IMFが日本の実質成長を一・一から一・二と見込んでいるので、〇・五を乗っけると一・六から一・七ということでありますから、これは安倍政権の政策目標以下でありますから、訂正をさせていただきます。

 それから、TPPを通じて交易条件の改善に戦略的に取り組んでいるのかということであります。

 TPPというのは、関税をできるだけゼロに持っていきましょうということでありますし、それから、相手の市場へのアクセスをよくしましょうということでありますから、輸出はしやすくなるわけであります。今までよりも有利に輸出ができるということになりますから、そういう点で考えますと、交易条件はよくなるんだと思います。

 あわせて、税の分野だけじゃなくて、今申し上げましたアクセスの改善以外に、新たな取引のルールをつくっていく。電子商取引なんというのは、今まで世界にない取引が世界を席巻しつつあるわけでありますから、これに対する正しい、正しいといいますか、共通の適正なルールをつくっていくということ等々を通じて、予見性も広がってくるというふうに思います。

 TPPは、十二カ国の域内で、言ってみればバリューチェーンをつくっていく。ですから、この中に参画していくとその付加価値を積み上げていく一員になれるということでありますから、いろいろな点を通じて、交易条件の改善には資するのではないかというふうに思っております。

松田委員 先般、予算委員会集中審議でTPPが取り上げられるという話を、政府のTPPに関連している役人、私の友人とちょっと話したときに、いや、そんなことをやっても甘利大臣が気の毒だという話がありまして、もう大変な苦労をされていて、それも交渉事ですし、なかなか言えませんし、そんな国会でやってもしようがないんじゃないかなんという話も出ていたんですけれども、この内閣委員会でもTPPを取り上げさせていただいているんですが。

 私は実は、TPPは、日本維新の会もそうなんですが、もともと「TPP興国論」という本を書いた人間でございまして、これはちょうど二年ぐらい前に出した本なんですが、ここで私が唱えていたのは、とにかく交渉に参加して、TPPの日本経済にとっての戦略的意味を世の中にアピールしてきた人間として、ぜひ大臣にはもっともっとその面のアピールをしてほしいという、私は、どちらかというとその応援の立場で、以下、残された時間はそうないんですけれども、いろいろと議論させていただければと思っています。

 まず、「TPP興国論」、櫻井よしこさんの写真を出していますが、この人、売れるために出したんですが、私のじゃなしに。当時、私、有名人じゃないものですから。

 それで、この本なんですけれども、この「興国論」というタイトルをつけたのは、当時、「TPP亡国論」という本が出ていまして、誰が著者かは言いませんけれども、あれを読んで、余りにも亡国の書なので、余りにも内容がひどくて、これじゃいかぬと思って、それに向こうを張ってこの「興国論」というのを出したわけなんですね。

 例えば、「亡国論」に何が書いてあったかといいますと、TPPに入ると日本のデフレが加速するなんて書いてあるわけですね。これはちょっと通告外なんですが、日本のデフレを加速するという理屈があると思いますか。大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 恐らくそれは、途上国から安い物品がそのまま入ってきて物価を下げていくということだと思います。そういう議論があることは承知をいたしておりますけれども、基本的に、TPPがデフレ加速要因だというふうには思っておりません。

松田委員 ちょっと考えてみても、次の質問に関連するんですが、このTPPというのは、多くの人が誤解をしているんですが、もちろん、日本の国を開く、開国という意味もあるんですけれども、日本の国は、私も長年役人をやって経済摩擦をやってきましたけれども、欧米との熾烈なる経済摩擦を通じて、いわゆる政府ができることでは相当開放的な国になった。

 ただ、一部の農産品がちょっと異常に関税が高いというので目立っているだけなので、TPPで政府でできることというのはもう非常に日本は限られていて、むしろそれ以外の新興国、途上国を日本に対して開かせるということの方が日本にとっては、開かせると言うとあれかもしれません、開いていただくというか、経済的な意味が大きい。だから、むしろ、日本の開国よりも日本に対し開いてもらうという側面の方が私は非常に大きな意味があると思っています。

 大臣もいろいろと交渉をして、いろいろな成果を上げていただいておりますけれども、この日本に開いていただくという点で、言えないことは結構ですけれども、どういうような成果をこれから上げていくかという点について、少し整理してお答えいただければと思います。いかがでしょうか。

甘利国務大臣 日本は、農産物ではもちろんセンシティビティーを抱えていますけれども、それ以外の工業製品は、恐らく十二カ国中、関税率でいえば一番低いはずであります。日本の工業製品を輸出する際に相手の関税が障壁になっているわけでありますから、それがなくなるか、うんと低くなるということは、貿易にとって極めて有利であります。

 あわせて、日本の強みは、それ以外の市場アクセス、例えば政府調達につきましても、地方までわたって外国に開放しているわけです。それと同等か近いことをみんなでやろうよという話でありますから、当然、日本の企業が相手の市場にアクセスしやすくなるわけですね。

 あわせて、ルールでいいますと、知財の保護をどのくらいにしていくかということを共通ルールとして構築していくと同時に、知財の重要性ということを政府が、途上国等の政府を含めて認識せざるを得ない。これは、やがてまがいものを追放していこうという文化になってくるはずであります。日本はそういう知財でも随分稼いでいる国でありますから、知財はその権利を守ることが大事という文化が浸透していくことは、日本にとっても有利になっていきます。

 もろもろの面で、このTPPは、日本経済及び参加国経済にはプラスに働くというふうに思っております。

松田委員 今、知財の話が出ましたけれども、交易条件が悪化していることを食いとめるためには、例えば日本ブランドというのは、知的財産をちゃんと保護してもらって高い価格で売れるようにするというのは重要な戦略だと思うんですね。

 それから、日本はこれから国内の人口が減っていくわけですから、やはり日本の繁栄基盤というのはアジア太平洋、成長するところに求めていかざるを得ないわけなんです。そこでも、日本はこれまで対外直接投資をどんどんやっているんですが、投資国家にだんだんなっているという面もあるわけですね。

 この直接投資をしやすくする、そのときに、直接投資の際に非常にいろいろな障害があるわけですね、ローカルコンテンツ比率をどうしろとか、マレーシアではブミプトラ、マレー人を一定比率雇えとか、あるいは投資した収益を日本に持って帰るときのいろいろな規制があったりとか。

 いろいろなビジネスの規制があって、そこを取っ払っていくというのは日本が投資国家としてやっていく上でもプラスになるとか、いろいろな意味で日本にとっては物すごくメリットがあるにもかかわらず、そちらの方はほとんど国民がシェアしていないというのは大変ゆゆしきことであります。逆に、こう言うと失礼かもしれませんが、自民党も守りの姿勢で選挙をやったものですから、聖域を守る、守るべきものは守るというところばかり言っていたものですから、TPPとはあたかも守るものが国益なんだみたいになってしまったんですね。

 でも、農業も、よくよく考えてみると、何を守るのかというと、要するに今の関税を守る、もしかしたら農協を守るということであって、農業がそのもとでどんどん衰退して、耕作放棄地がふえているんです。安倍総理は瑞穂の国と言っていますが、それと逆の現象、豊葦原瑞穂の国の逆の現象が起こっちゃっているということなんですね。

 お手元の資料にもJ―ファイルとかいろいろありますけれども、やはりこの際、少し農業についても、例えば関税撤廃をしても、二十年ぐらいかけて撤廃するのであれば、段階的に引き下げていけば、その間に生産性を上げていって、ちゃんとやっていけるようにしなければ、逆に農業の再生はあり得ないので、とても御答弁いただけないと思いますけれども、そっちの方向に向けたメッセージというのを出していかなきゃいけないんじゃないか。

 これがネックになってこれだけ重要な国際戦略が遂行できないようでは、これは大変もったいない話だと私は思うんですが、大臣はこれについて御感想はいかがでしょうか。

甘利国務大臣 交渉責任者として、交渉に当たっては、衆参の農水委員会の決議はしっかりと受けとめながら交渉をいたしております。

 その上で、総理もおっしゃっていますけれども、TPPがあるなしにかかわらず、日本の農業を再生しなきゃならないというのは喫緊の課題である。農業生産が、額としても、GDPに占める比率にしても、毎年落ちているわけでありますから、このまま何もしなければ、TPPがあるなしにかかわらず、本当に農業は衰退の一途をたどってしまう。

 そこで、政府の中にも農業を活性化する本部を構えまして、攻めの農政に転じていこうというわけでありますから、このTPPをいわば一つのチャンスとして、日本の農業を産業化していく、成長戦略の重要な項目に据えていくということは極めて大事な戦略だというふうに思っております。

松田委員 この間の交渉が所期の、期待したほど、合意に至らなかったというか、そういうふうなことになっていますが、お配りした資料の三枚目をちょっとごらんいただければと思うんです。

 これは私が書いたもので「二十一世紀の国際経済秩序」ということで、現存する自由貿易圏というのは、御案内のとおり、NAFTAがあり、EUがあり、ASEANがあり、メルコスールがある。構想として、ASEANプラス3があり、ASEANプラス6、それがRCEPに今後なっていくという構想がある。究極的には、APEC、世界のGDPの約六割を占める、それがFTAAPになっていく。TPPというのは、将来的な、APECを舞台にしてFTAAPというものに収れんしていくというような位置づけになっている。

 これに対してTTIPというのが、アメリカとEUとの間で環大西洋貿易投資協定、こういう構想も出ているというところで、大きな国際経済秩序がいろいろなところで今大きく動いているわけですね。ちょうどこの二〇一四年というのは、日・EUとの間でもFTAの話とか、ほかにもいろいろなFTAの話が出てきている大事な年なんですね。

 この大きな国際経済秩序を三つの極というふうに私は分類しましたが、TPPは世界のGDPの四割、アメリカが主導。日・米・EUというのがありまして、これは今EUが主導しているんですが、日本との間よりもアメリカとの間で先にやってしまおうとEUは考えているという面もあります。それから、RCEPは日中韓が主導して、世界のGDPの三割ということなんです。

 今回、交渉が少し長引いてしまうと、日本がこういう戦略をとっていく上でいろいろな影響があるんじゃないかと言われているんですけれども、例えば中国の対日の姿勢が変わっていくんじゃないかという見方もあるんですが、その辺について、大臣、時間が来ましたので最後の質問になりますが、よろしくお願いいたします。

甘利国務大臣 日本としては、私はよく申し上げるんですけれども、TPPがTPPだけで終わってしまったら魅力は半減してしまう。これが、どういう展開の可能性があるか。FTAAPと結びついていく、あるいは日・EUと結びついていく、相当可能性が広がっていくということであります。

 中国が、いろいろな報道がなされています、TPPがおくれた方が中国としては中国の戦略上やりやすいとかどうとかありますが、その中国の対日姿勢等々についてのコメントは差し控えさせていただきますけれども、日本としては、TPPを一つの国際通商戦略の一里塚として、土台として踏まえて、それから先の展開に取り組んでいくということを考えていきたいというふうに思っております。

松田委員 先ほど、ランニングマシンという、日本経済は厳しい状況だと。でも、私は、アベノミクスの成長が実現するとすれば、やはりこうやって経済繁栄の基盤を国際的な場に広げていくということが本当に唯一のアベノミクスが持続可能になる道だろうと思っていますので、ぜひ、TPPで日本の国益を実現していただくように応援しておりますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 きょうは、甘利大臣の所信に対する質疑ということで、多分ほかの皆さんはTPPのことを集中的に質問されるのかなと思いましたので、私は、TPPではなくて、PPP及びPFIについて質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の五月のこの内閣委員会におきましても、地域活性化に寄与するPFIの推進ということで大臣の方に質問をさせていただきました。そのときも、PFIというのは、日本にこの仕組みが入ってきてからもう十年以上もたっているのに、なかなか広がりに欠いている、特に地方自治体では非常に使いにくい制度になってしまっているのではないかということを指摘させていただきました。

 その一つの原因として、SPC、特別目的会社には大手ゼネコンが入っている場合が多くて、なかなか地元の企業がそこに参入していけないというのがあるのではないかということ。それから、地域の町づくりの未来というのは、建物を建設する企業だけでは担えない、だからやはり、地域の未来をマネジメントできるのはその地域の人々であるということで、そういう人たちも巻き込んだ形のPPPもしくはPFIというのを推進していっていただきたいということをお話しさせていただきたいんです。

 一年たちました。それを受けて、どのような形でこのPFI、PPPというのは今各地域の方に広がっていっているんでしょうか。お尋ねしたいと思います。

甘利国務大臣 日本は財政事情が厳しい、その中で、全国のインフラは老朽化をし、更新時期を次第に迎えつつある。ですから、従来の発想でインフラの整備、更新に取り組んでいたのでは、もともと成り立たない。そこで、民間資金をどう活用していくかということが大事ということがPPP、PFIの原点だと思います。

 その中で、委員御指摘のとおり、単に箱物あるいは従来の施設を更新するだけじゃなくて、地域の中にどうやって地域振興等を根づかせていくか、プラスアルファの発想が大事だ、あわせて、大手のゼネコンのみがそういう事業に参加できるんじゃなくて、地域の再生を担っていくような、知恵を出せるような地域資本が参画していくことが大事という御指摘だと思います。

 つまり、PPP、PFI事業を、単なる箱物の更新という小さい、狭い枠の政策発想ではなくて、もっと地域全体に新しい風を吹き込んでいく、それから地域の主体にどんどん参加をさせていくということが大事という御指摘だと思います。

 それは適切な御指摘だと思いますし、今後の事業にもしっかりそういう発想を組み込んでいきたいと思います。もちろん、だから大手資本を排除するということとは少し違うのでありますけれども、全体の運営能力等を考えて、大手の力も大事でありますから、そこをどうやって地域の参画者と組ませるかということがみそになってくるかというふうに思っております。

杉田委員 大臣の所信の中に、「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプランの推進及び民間資金等活用事業推進機構の適切な運営を図ってまいります。」というのがございます。

 昨年、ちょうどその五月に議論しておりましたのが、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、やたら等が多い法律なんですけれども、これの改正について議論をしておりまして、この改正を受けてできましたのが民間資金等活用事業推進機構になります。

 この推進機構の方のホームページを私、拝見させていただきました。すると、代表者の挨拶ということで御挨拶なんかが載っているんですが、やはりここの挨拶の中に出てくる言葉も、道路や港湾、交通などのインフラはというような形で、何かと大規模な、そういった工事とか事業とかが入ってきているんですね。

 このホームページの中に、今どういう事業を行っているかというのが紹介されているページがございました。そこをクリックしてみますと、今、支援決定している事業、このホームページに上がっているのが一つしかないんです。この一つの事業が、「女川町水産加工団地排水処理施設整備等事業に関する支援決定について」ということで事業が一つ上がっております。

 この内容も見させていただきますと、中心になっているのが鹿島建設グループ、それから構成員として六社の名前が挙がってきているんですが、これを調べますと、どこも本社が大阪とか名古屋とかにある割と大手の企業さんになっているんですね。

 女川町の水産加工の排水処理施設なんですけれども、地元の企業というのがここの中に全く参入をしていない。この大手の方々が請け負ったその後に仕事を出されるのは地元になってくるのかもしれませんが、やはり、そもそもの、こういう計画を立てるとか、そういったところにしっかりと地元の企業が参入していくことが、私はこの民間資金等活用事業推進機構が目指すところじゃないかというふうに思うんですけれども、ここの部分は、大臣、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 先ほど申し上げましたように、日本のインフラが次第に耐用年数を迎えてくる、これを従来の発想の公共事業で行うということになると財政的制約がある、しかし、橋が落ちそうだとかトンネルが崩落しそうだ、それを放っておくわけにはいかないということで、民間資金でできる部分はどこがあるだろうか、あるいは、従来の発想を変えて民間資金を取り込むにはどういう仕組みがあるだろうかということを考えてスタートしたのが基本的な発想であります。しかし、御指摘のとおり、それ以外の大事な要素もあるわけであります。

 今御指摘の件でありますけれども、先月二十一日に、PFIの推進機構は、宮城県の女川町がPFIによりまして実施をする排水処理施設事業に対しまして、機構設立以来初めての支援決定を行ったところであります。

 この事業というのは何かといいますと、水産加工業者が排出する汚水を一元的に処理する施設の整備等を行う事業でありまして、東日本大震災によりまして壊滅的被害を受けた女川町の基幹産業であります水産業の早期復興、地域の活性化に寄与するものであります。

 それから、支援対象事業者であるコンソーシアム、委員から御指摘がありましたが、ゼネコンがもちろん中心なのでありますけれども、実は、女川町に本社を置く地元企業もこのコンソーシアムには参加をしております。

 内閣府といたしましても、PFI推進機構が地域の活性化や経済の成長力強化に寄与するよう、適切な運営を図ってまいりたいと考えております。

杉田委員 きのう内閣府の方に説明に来ていただいたときには、この事業は、皆さん御存じのとおり、宮城県の女川町ですから、復興を急がなくてはいけない、復興という性格がすごく強いのである、だから、これは急がないといけないので、やはり大手のところで、きちっと事業が担えるところでというのでこういった企業さんが出てきていらっしゃるので、今後は、いろいろそういった地元の企業とかについてもきちっと考えていきたいというような御説明を受けたんです。

 復興というのがあるから例外的に第一号はこういう形になっているという説明を受けたんですけれども、今後は、また時間をかけて考えていただけるところは、もっと地域のかかわりとかをしっかりとしていただけるということを私も期待してまいりたいと思います。

 時間がなくなりましたので、三点目の質問なんですけれども、これもちょっと去年にも一回質問をさせていただいているんです。このPFIがなかなか日本で進んでいかないのは、モニタリングとインセンティブについて適切な方法が導入されていないからではないか。この部分、海外では非常に進んでいるんですけれども、なかなか日本ではモニタリングができていないというような部分があります。

 このモニタリングについてのガイドラインなんですけれども、これが平成十五年以来、十年たってもガイドラインの見直しがされていないんです。これを去年指摘させていただきまして、早急にガイドラインの見直しに着手するというふうな、適切に対応していきたいという御答弁をいただいているんですけれども、現状、このガイドラインの見直しはどのようになっておりますでしょうか。

持永政府参考人 お答え申し上げます。

 PFI事業に係りますモニタリングのあり方等々につきましては、昨年の十一月に、民間の創意工夫を生かすなどなどの観点を踏まえまして、PFIの推進委員会というのがPFI法に基づいて置かれておりますけれども、そのもとに専門家で構成しますワーキンググループを設置いたしました。現在、民間のインセンティブがより働くような指標でありますとか、サービスレベルを測定し得る指標のあり方などにつきまして、ワーキングの皆さんに集まっていただいて議論を進めているところでございます。

 また、前回の御質疑のときに、委員からは、自治体の方の意見も聞きながらガイドラインを見直すべきだという御指摘もいただいておりましたけれども、このワーキンググループにおきましては、自治体の皆様にも御参画いただいて、その意見も聞きながらの検討となっております。

 いずれにいたしましても、適切なモニタリングが確保されるように、よりよいガイドラインの改定に向けて、引き続き取り組んでまいります。

杉田委員 ガイドラインの見直しが進んでいるということをお聞きしまして、大変安心をいたしました。

 この間も、公共事業とか、こういったPFIとかにかかわる人材不足ということが非常に懸念されていると思います。

 何度か予算委員会なんかでも話題になりましたが、小さな自治体なんかは、自治体職員の中に技術職の職員がいらっしゃらないような自治体もあるというようなことも大分明らかになってきております。これは、民間活力を入れていくということで、自治体と民間企業が対等に折衝していかないといけないという場面が出てくるんです。民間企業の方は、もうその道一筋で来られているスペシャリストですから、その方々に対峙して、しっかりと交渉をしていける自治体職員というのも必要になってくるかと思いますので、両方の側面からきっちりと支えていくことで、PFIがどんどん日本の中で進んでいくと思います。

 そのあたりも考慮していただいて、今後もPFIの広がりというのを期待させていただきまして、私の質問を終了させていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る七日金曜日午前八時四十分理事会、午前八時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時六分散会


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