衆議院

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第4号 平成26年3月7日(金曜日)

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平成二十六年三月七日(金曜日)

    午前八時五十分開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長島 忠美君

      福山  守君    山田 美樹君

      津村 啓介君    吉田  泉君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (内閣府経済社会総合研究所次長)         前川  守君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月七日

 辞任         補欠選任

  吉川  赳君     勝沼 栄明君

  若井 康彦君     吉田  泉君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     吉川  赳君

  吉田  泉君     若井 康彦君

    ―――――――――――――

三月七日

 特定秘密保護法の撤廃に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一九三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一九四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一九五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一九六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一九七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一九八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一九九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二〇〇号)

 TPP交渉から撤退することに関する請願(吉川元君紹介)(第二一〇号)

 同(篠原孝君紹介)(第二五八号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第二五九号)

 TPP参加反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二一八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二一九号)

 韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(辻元清美君紹介)(第二六六号)

 社会保障と税の一体改革とマイナンバー法の実施を中止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二六七号)

 同(笠井亮君紹介)(第二六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二六九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二七〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件(経済財政政策・TPP等)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、特に経済財政政策・TPP等について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣府経済社会総合研究所次長前川守君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大熊利昭君。

大熊委員 おはようございます。みんなの党の大熊利昭でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、TPPにつきまして、私なりに甘利大臣を応援申し上げたいというつもりで、余計なお世話かもしれませんが、お伺いしたいと思います。

 差し支えない範囲でということは当然なんですが、今後のスケジュール感、前回の質疑でも、先に大臣間の日程をセットしてしまうと、なかなか事務方の仕事が進まないんじゃないかという趣旨のお話もありました。あるいは、報道等によると、事務方の協議が先に幾つか行われるような報道もございますが、あらあらの今後の見通しというのは大体どんなものなのか、教えていただければと思います。

甘利国務大臣 新聞報道によりますと、一部の新聞報道では、五月に貿易大臣会合が中国・青島で行われる、その機会を捉えるのではないかというような報道があります。中国で行われるということは絶対ありません。その際に、どこか場所を移してということが報道されていますけれども、結論から言うと、まだ全く決まっておりません。

 今のお話ですけれども、実は、フロマン代表と立ち話でしたことは、どちらかというと、先に大臣会合ありきという考え方で今まで来たけれども、大臣間、十二カ国の大臣を四日も五日も、ということは往復を入れると一週間、何カ月に一遍ずつ拘束する、これは不可能だ、それぞれの国の事情もある。だから、全部が集まるときには、もう九九%近くできていて、あと最後の詰めをして判こを押す、判こを押すというかサインですね、判こはないんですけれども、サインをするというところにした方がいい。だから、一日だ、一日プラスアルファだ。そうしないと、事務折衝が形骸化しちゃうんじゃないかと。

 大臣会合、権限がある者が集まるのは決着しやすいというのはわかるけれども、それをやると事務折衝が形骸化しちゃうという話をしまして、それはそうだねということになりまして、その後の、最後の閣僚会議を開いたときに、次回は、いつにするかは別として、短時間で行う、その間に事務折衝をしっかり詰めようというような話になりました。

 USTRからはいろいろな情報が流れてきますけれども、その情報については、私は確認はまだいたしておりません。

大熊委員 ありがとうございました。

 さらに個別の詳細というのはなかなか難しいんだろうと思いますが、一方で、大臣間の折衝ということになりますと、対アメリカということになりますと、フロマンさんというお方と大臣は折衝、交渉をなさっていらっしゃると思うんですが、このフロマンさんという方はどんなお方なのか。

 というのは、私も議員になる前、金融の仕事をしておったんですが、企業の買収とか合併の仕事で、アメリカの人とかインドの人とか、幾つか外国の方と交渉をした経験が若干あるんですが、精緻な議論、ロジックの積み上げというのもあるんですが、どうしても人間対人間という部分もあるんじゃないかなというふうに思います。

 そこで、フロマンさんはどんな方なのか、そしてまた大臣とのいわゆる相性はどうなのか、差し支えない範囲で教えていただければと思います。

甘利国務大臣 フロマン大臣、向こうではフロマン大使と呼んでいますけれども、アンバサダー・フロマンと言っていますけれども、人間的にはいい人だと思います。仕事を離れているのであれば私とはウマが合うと思うんですけれども、仕事になりますと、相当頑固ですね。ハードネゴシエーターと言われていますけれども、自分の主張をなかなか譲らないということと、あと、本来弁護士さんですから、一対一の交渉はたけている人だと思います。私も頑固さでは全く負けていないつもりでいますから、それだけに、非常にぶつかります。双方が主張を譲らないということで、ぶつかります。

 日米がとても大事なのは、今までも説明をしておりますけれども、TPP十二カ国のうち、日米の経済規模を合わせると、TPPメンバーのうちの八割なんですね。ほとんど全てですから、だから、日米間がまとまらないとTPPは形をなさないという認識は、ほかの国にもかなりある。にしても、早くまとめてねというところだと思います。

 それで、相当激しくぶつかったがゆえに、来週からの事務折衝は実のあるものになるというふうに期待をしております。その事務折衝がこのTPPの中でかなり重要な位置を占めるんじゃないかと思っています。

大熊委員 ありがとうございました。

 同じように両大臣が頑固で、しかも御両者が非常に論理的に詰めていかれるお方だとすると、非常に合うか非常に合わないか、どっちかになるのではないかなというふうに、ちょっと私の感想でございます。ぜひ、今後とも応援を申し上げますので、よろしくお願いをいたします。

 今お話の中で、貿易量なのか金額なのかわかりませんが、日米が全体の八割ぐらいを占めているという中で、一般的には、農産物中心の関税、ここに焦点が当たっているわけでございますが、私が思いますに、あるいはこういった通商関係をやってこられた方の意見を伺いますに、一方では、通商ルール全体のルールづくり、デファクトをつくっていくんだと。はっきり申しますと、中国との関係を見据えて、日米でここのルールづくりを、デファクト化していくんだ、ここが非常に重要だと思うんです。

 関税とは切り離せないんだろうと思いますが、関税から優先して、デファクトルールづくり、こちらを日米でやっていく、こういった交渉方針というんでしょうか、この辺についてはいかがでしょうか。教えていただければと思います。

甘利国務大臣 おっしゃるように、その辺が、日本の立場として、国益を踏まえていくために、ルール分野というのはとても大事であります。

 それで、私が今回シンガポール会合に入って何を一番強調したかったかというと、どうしても物品関税にフォーカスが当たり過ぎちゃうんですね。しかも、物品関税というと日本の農産品ということになるわけです。日本の農産品がしこっているから、交渉がしこっているから全体が進まないという論調になってしまうと、これは余りいいことじゃないんですね。

 私の方からは、TPPが目指す高い野心、このバックボーンになっているのは、いわゆるホノルル宣言という、我々が入る前ですね、あれは二〇一一年十一月でしたか、当時まだ九カ国の間で、首脳です、ですから、大統領、総理、首相の間で確認されたホノルル宣言というのがあります。ホノルル宣言がどこまでにかかっているか。つまり、物品だけの市場アクセスを意味しているのか、それ以外のことを意味しているのかということを、私ははっきりさせたかったんです。

 結果としては、物品だけを自由化、一〇〇%に向けてしていくということじゃないはずだと。物品以外のアクセス、その市場に外資が入っていくアクセス状況をよくするということもあれば、十二カ国の間で通商に関するルール、例えば、電子商取引なんというのは新しい商形態で、このルールをつくっていくというのが課題でありますし、いろいろなルールについても自由度を上げていく。

 だから、ホノルル宣言は各方面にかかっている言葉だということをきちっと確認したかったわけなんです。そういう中で野心を上げていく。だから、物品だけは一〇〇%にする、ないしは、それを目指すけれども、ほかはそこそこでいいんだという話じゃないはずだと。

 センシティビティーというのは、物品に抱えている国もあれば、ルールに抱えている国だってあるし、物品以外の市場アクセスに抱えている国だってありますよね。物品以外の市場アクセスというと、例えば、政府調達をどこまで開放するかなんというのは、各国の外資がアクセスをどこまでできるかにかかってくるわけですから。これは日本は非常によくやっていると思うんです。国についてもかなり開放しておりますし、地方についても、恐らく政令市はみんな開放しているはずです。

 そういうことまでも含めて意味しているんだということを共有させたかったわけなんでして、その中で日本のセンシティビティーもあるんだと。これは、少なくとも今までよりは共有されたというふうに思っております。

大熊委員 ありがとうございました。

 私もこの通商ルールづくりは非常に大事だと思っておりますので、ぜひ、引き続きよろしくお願いします。

 TPP関係はあと二つだったんですが、ちょっと時間の関係で、残り一つを手短にさせていただきます。

 前回の質疑でも、いわゆる貿易促進権限法関連で、一旦政府が合意しても議会でもって修正等をかけられてしまうんじゃないかという議論があったと思うんですが、この関連で、この法律の中身ということじゃなくて、例えば、日本とアメリカ、日本とX国の間で、相手国、先方がそういった権利、つまり、一旦合意したものを議会で修正する権利を持つのであれば、あらかじめこちらも持っている。つまり、こっちがなくて先方だけ権利があるというのはまさに不公平な合意ではないかというふうに思うわけなんですが、この点、総論的でもちろん結構なんですが、大臣はどんなふうにお考えなのか、教えていただければと思います。

甘利国務大臣 十二カ国で合意したものを国内の了解をとるという手続は、これは各国の政府の責任でやってもらわなきゃならないわけですね。だから、それについて我々が、日本が、アメリカのTPAがとれた、とれない、中身どうこうという注文をつけるつもりはありませんけれども、少なくとも、TPPが合意したものを国内の了解をとるのはあなたの責任ですよということですよね。

 一旦合意したものは責任持って国内了解をとるというのはいわば各国間の信義ですから、それをリセットするということは基本的には各国は受け入れないというふうに思います。

大熊委員 これは先の話で、最終的にどう合意書のような書面、契約書のようなものに織り込むかということ、こちらから先にそういったことを持ち出すと、では、あなたの国は、日本はそういった修正がかけられてしまうのか、政府が責任を持てないのかみたいな議論に、変な方向へ行ってしまう。なかなか打ち出し方が難しいんですが、これも引き続きぜひよろしくお願いをいたします。

 あと五分ということで、ちょっと経済政策の方に移らせていただきます。

 これは、前回、こちらの当委員会、あるいは、その前、予算委員会で麻生大臣や菅長官にもお願いをして、ある程度御説明いただいたんですが、例えば経済政策、五・五兆の補正をやって幾らの経済効果が出るのか、これは内閣府は五兆だという御説明なんですが、どうやって計算したんですかという御説明をいただきますと、結論的には、事業を全部足し算しているだけなんですね。

 内閣府のエコノミストの優秀な方がいらっしゃるのに、これはちょっと宝の持ち腐れではないかというふうに申し上げたところ、いろいろプログラムを走らせてやる作業には、なかなか人手も足りないし時間もかかるんだということで、とりあえず足しています、こういう御説明だったわけなんです。

 であれば、では、それをもう一回プログラムを走らせてやってくださいと申し上げるという手もあるんですが、そういうことであれば、実は私どもの事務所にそういった計量経済の専門家がおるものですから、こちらで、代行ではないですが、プログラムをお借りして計算させていただけないかということです。一般的な汎用ソフト、専門の世界でイービューズというらしいんですが、で書かれているプログラムではなかろうかということなんですが、これをちょっと御提供いただいて、こちらの方で試算をさせていただくことは可能でしょうかというかお願いしたいと思っているんですけれども、いかがでしょうか。

前川政府参考人 御説明申し上げます。

 内閣府の経済社会総合研究所で開発しております短期日本経済マクロ計量モデルにつきましては、その内容を公表しております。具体的には、モデルの方程式体系につきまして、経済社会総合研究所のホームページで全て公表しているところであります。

 また、モデルの構築に当たっては、大規模計量モデル専用のソフトウエアを購入して用いておりまして、先生が御指摘されたイービューズなどの汎用ソフトは使用しておりません。

 以上でございます。

大熊委員 そうすると、ソフトウエアは特殊なものを使って、公表しているのは承知しているんですが、それは紙ベースなので、要はこちらで計算をする形式になっていない、それをいただきたいという場合は、それは可能だ、こちらの専門家の方から連絡させていただいて、それで構わない、そういう理解でよろしいですか。

前川政府参考人 方程式体系は全て公表しております。紙ベース以外にも、ホームページでもとれます。

 ただ、それに使っているソフトウエアにつきましては、専門のものを我々は購入して使っておりますので、それを我々以外の方に提供することはちょっとできないということでございます。

大熊委員 いわゆる受託開発して個別につくり上げられたソフトウエアで、汎用のものではないんだ、だから提供できないんだ、こういう理解でよろしいんでしょうか。

前川政府参考人 私どもだけに特別に開発してもらったものでございませんで、こういう大型計量モデルのためにつくられたアメリカのモデルがありまして、幾つかのところが買っていると思いますけれども、私どもが使っているのは、私どもだけが使えるということで、その会社と契約をしておるということでございます。

大熊委員 では、提供元のソフトウエア会社との契約上、第三者には提供できない、簡単に言うと、そういうルールになっている、そういうことですかね。それでは、ちょっとまた方法がないかどうか、こちらもいろいろ検討させていただきたいと思います。

 それでは、最後、一、二分ぐらい、現在、内閣府のモデルの試算ですと、乗数効果の乗数が一・〇七ということで、これは、財政政策、いわゆる二本目の矢がほとんど効果の出ない数字と試算されているんですが、この点について一言、できれば大臣にお願いできればと思います。

甘利国務大臣 御指摘の乗数というのは、いわゆる公共投資の乗数というふうに理解をいたしますが、公共投資の乗数につきましては、内閣府の経済社会総合研究所から公表されている短期日本経済マクロ計量モデル二〇一一年一月公表の乗数表が示されておりまして、仮に、公的固定資本形成、いわゆる公共投資を実質GDPの一%相当額だけ増加させた場合、御指摘のように、一年目の実質GDPは一・〇七%増加するというものであります。乗数が一を超えているということは、需要の追加分を超える、一を超えるGDPの押し上げ効果があることを意味しているわけであります。

 他方、公共投資には、例えば補修や防災対策の公共投資であるとすると、いわゆる今言った一・〇七の増加以外に、国民の生命や財産を守るといった効果、なかなか数字であらわすのは難しいんですけれども、それから、基幹的交通インフラの新規整備であるとすると、それから先に、今度は物流の効率化とか競争力の強化等の効果が生ずる。乗数効果がとどまらず、公共投資の内容によってさまざまな効果が見込まれるというふうに考えております。

柴山委員長 大熊君、質疑時間、終了です。

大熊委員 引き続きよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 TPPの問題について質問をいたします。

 安倍首相は、TPPについて、聖域なき関税撤廃ではないということを確認した上で交渉に参加したと繰り返してこられました。つまり、TPPには関税を撤廃しない聖域がある、そういう協定だということになるわけです。

 自民党は、昨年の参議院選挙で、守るべきものは守る、このように主張されてきましたが、国民に約束した、守るべき、関税を撤廃しない聖域とは具体的にどういうことでしょうか。

甘利国務大臣 私どもがTPPに参加するに当たって、御指摘のとおり、日米首脳会談を行いました。これは、非常に大事なのは、聖域なき関税撤廃が前提となっているものであるならば我々は入りませんよということなんです。

 そこで、日米間、なぜ日米間かというと、やはり日本が入る以前のTPPの主導的役割はアメリカが行っておりました。事務局的な役割はニュージーランドがやったわけでありますけれども、その主要な役割をしているアメリカと確認したのは、あらかじめ聖域がないということが前提のものではない、ただし、聖域というのは交渉の中で経過的に決まっていくものである。だから、今、一生懸命交渉をして、我々のセンシティビティーの主張をしているところであります。

 そこで、昨年の参議院選におけるJ―ファイル、我が党公約、総合政策集におきましては、死活的利益のことを聖域と呼んでいるものと承知をいたしております。また、今申し上げましたように、センシティビティーの意味で用いているということもあるわけであります。

 いずれにいたしましても、政府として具体的に、このタリフラインとこのタリフラインが聖域だというように、聖域を特定したということはないんですね。これとこれのタリフラインが聖域であるというふうに、個別に特定したということはありません。

 農林水産分野のいわゆる重要五品目についてでありますけれども、二月のこの間のシンガポール閣僚会合中も、二国間交渉であるとか全体会合の場で、我が国には衆参の農水委員会の決議があって、センシティビティーがあるということを粘り強く私から説明をいたしました。

 交渉の具体的内容について述べることは差し控えますけれども、いずれにいたしましても、自民党の公約、それから衆議院、参議院における農水委員会の決議、これをしっかりと受けとめて、全力で交渉に当たるという方針に変わりはありません。

赤嶺委員 今までの議論の経過からして、関税を撤廃しない聖域、重要五項目と言われる米、小麦、牛肉、乳製品、そして甘味資源作物などだということであります。

 そこで、先ほど大臣はタリフラインのことに触れられましたが、重要五項目というのは、関税品目でいきますと幾つの品目になるのでしょうか。これは事実の確認であります。

甘利国務大臣 これまでのEPAにおいて関税を撤廃したことのないもののうち、いわゆる重要五品目、米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、そして甘味資源作物、このタリフラインの数の合計、これは、全品目のタリフライン数が九千十八でありますが、この九千十八のうち五百八十六というふうに承知をいたしております。

赤嶺委員 五百八十六品目のタリフラインになっている、関税を撤廃しない聖域、このように私たちは認識をしてまいりました。

 そこで、甘利大臣が二月十八日の記者会見で、五項目のタリフライン、一つ残らず微動だにしないということでは、これは交渉になりません、その点について、五項目にかかわるタリフラインが一つも現状から変わらないと思っている方はおられないじゃないですか、このように述べておられます。

 これは、五項目について言えば、五項目、五百八十六品目全てが聖域だと思っている人はいない、こういうことをおっしゃったのでしょうか。

甘利国務大臣 重要五品目を守るという決議はしっかり受けとめて対応しますと。私が申し上げたのは、重要五品目のタリフライン数、聖域イコール五百八十六という個別の品目数で聖域と言っているわけではありませんよという答弁を先ほどさせていただきました。

 全く微動だにしないと。これは自民党の石破幹事長も、例えば、輸入実績がないものも一切何もしないということでは交渉にならぬというのはそのとおりだというふうに、自民党公約の責任者の石破幹事長も言っておられるわけでありまして、そういう意味も含めて、全く一歩も動かないということでは、これは交渉事ではないわけであります。

 TPP各国は、日本に対して、とにかく一〇〇%自由化することを目指すということはしっかり踏まえてほしいと全ての国から言われているわけであります。そういう中で、我々は、議会の、言ってみれば、我々に対する要請があります、それを受けて交渉しているのでありますからということで今やっているわけであります。ですから、幹事長がおっしゃるように、輸入実績がないもの、これはもう一切譲らないとか、全くそういう姿勢だったら、これはもともと交渉事にならないわけでありまして、では、何で日本は入ったんだと。

 センシティビティー、聖域というのは、交渉の中で結果としてかち取るというか残るものであるというふうに日米会談で確認して入っているわけでありますから、我々は、できるだけ国会決議と整合性がとれるように交渉している最中であります。最初から、交渉なしに何もしませんということであるならば、では、あなたは何で入ったのということになってしまうわけであります。

 そういう意味で、一歩たりとも動かないということであるならば、向こうも一歩たりとも動かない。では、平行線のままで、結局、未来永劫妥結はしないということを意味するわけです。

赤嶺委員 そういう危惧があるから、私たちの党は交渉に参加すべきではないと申し上げてきたところですが、ただ、今の答弁ですと、ここにTPPの自民党の対策委員長をされておられる西川先生もおられて、いろいろ御発言されておりますが、これはつまり、五百八十六品目のうち幾つか譲っても国会の五項目の決議と整合性はとれる、政府もそのように考えているということですか。

甘利国務大臣 私は、交渉担当責任者として、衆参両院の決議があります、これは、バイ会談でも全ての国に対して主張いたしましたし、全体会合でも同じ主張をいたしました。そして、党公約があるということもよく承知をいたしております。最終的に、妥結されたものがそういう衆参両院の決議を踏まえているか、あるいは党公約を踏まえているか、それは党が判断をし、国会が判断をされるわけであります。我々は、できるだけ整合性がとれるように、今、最大の努力をしているところであります。

 最終判断は国会がされるわけであります。こんなものであるならば整合性がとれないといったら否決をされるでありましょうし、まあ、この範囲だったら何とか理解していいかなと思えば議会承認が得られるというところでありまして、最終的な判断は議会がされるものというふうに思っております。

赤嶺委員 私たちは、TPPの関税撤廃問題に関して、重要五項目さえ守られればいいという立場ではありませんが、安倍総理や自民党が国民に約束してきたのは、重要五項目は関税撤廃はしない聖域であるということでありました。それで、その重要五項目とは具体的には五百八十六品目のことであり、これらが守られないというのであれば、私たちは、これはもう公約に従って撤退をすべきだということを申し上げておきたいと思います。

 次に、いわゆる番号法について質問をいたします。

 政府は、先日、番号法を運用するための法施行令に関するパブリックコメントの手続を行いました。番号法は、番号を含む個人情報の提供を制限しています。番号法の第十九条にその例外を列挙しておりますが、その中には、「その他政令で定める公益上の必要があるとき。」も例外だと定めております。

 政府は、どのような例外措置を政令で定めようと考えているのですか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の法律でございますが、その十九条十二号には、例えば国会法に基づきます国政調査権、あるいは訴訟手続その他の裁判所の手続、それから裁判の執行、刑事事件の捜査、租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査、会計検査院の検査が行われるとき、その他政令で定める公益上の必要があるときということで、こういう例示が定められております。

 したがいまして、これらのものにつきましては、一つは、国政調査権でありますとか、あるいは裁判所の手続でありますとか、あるいは一定の行政調査、それらにつきましては、例えば調査した際に、たまたまそこのある情報に番号が含まれていた場合、それを持ってこられないというのは非常に調査の妨げになるということでございまして、これらに類するようなもの、例えば刑事事件に類する少年法でございますとか、あるいは、行政調査の中でも、例えば租税の調査ですとか、そういうものを政令事項として定めたいというふうに考えております。

赤嶺委員 きのう、政令をいただいて、数えてみましたら、全部で二十七項目に上っておりました。

 それで、この政令案に関連して、特定秘密保護法との関係でちょっと確認をしたいと思います。

 秘密保護法では、特定秘密を取り扱う者に対して、適性評価を実施することを定めています。適性評価の調査に関して、行政機関の長は、評価対象者に対し資料の提出を求めることができる、また、公務所もしくは公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる、このようになっております。

 番号法の政令案には秘密保護法の条項はありません。番号つきの個人情報の資料の提出や報告は認められないということで理解してよろしいですね。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 特定秘密保護法第十二条に基づきます適性評価の実施につきましては、今後、その内容や方法等の詳細についての検討が進められるものと承知してございます。

 したがって、特定秘密保護法第十二条第四項に基づきます資料の提出や報告の徴収における特定個人情報、番号つきの個人情報の取り扱いについても、その検討の過程において検討することとなると思っております。

 したがいまして、その検討が定まりました上で番号法の政令に規定するかどうかも決められるものというふうに承知してございます。

赤嶺委員 検討の過程において検討すると。

 ただ、適性評価の調査項目というのは出ておりますけれども、例えば、それを見ているだけでも、特定有害活動、犯罪及び懲戒の経歴、非違だとか幾つか並んでいるんですが、別に番号つきでなくても、それは十分資料たり得るものであって、今検討していくということではなくて、こういうものには番号を付するものを資料としてとるわけにはいかない、こういうことをはっきり主張すべきだと思います。

 そこで、もう一問ですが、番号法の政令案では、破壊活動防止法、いわゆる破防法において番号つき個人情報の収集を認めようとしております。

 そこで聞きますが、破防法の第二十九条、「公安調査庁と警察庁及び都道府県警察とは、相互に、この法律の実施に関し、情報又は資料を交換しなければならない。」このように規定しておりますが、警察と公安調査庁は、それぞれが集めた番号つき個人情報、これも交換することができるのですか。

向井政府参考人 お答え申し上げます。

 破壊活動防止法第二十九条に基づき、公安調査庁と警察庁及び都道府県警察との間で行われる破壊活動防止法の実施に関する情報または資料の交換につきましては、現在パブリックコメントにかけました番号法が委任する政令案及び番号法本体にも例外として規定はしておりませんので、このパブリックコメントにかけました案がそのまま決定すると仮定すればそういうことになりますが、現在のパブリックコメントにかけました案につきましては、現在、政府内で最終的な検討に入っておりまして、今後、正式に閣議決定されるものというふうに承知してございます。

赤嶺委員 番号がついたまま情報を交換する、資料を交換するということは、やはり国民のプライバシー保護の観点からも大いに問題があると思うんですよ。そのために、番号法のときには使う場合を限定してきたわけですね。

 およそ、番号法が秘密保護法の適性評価と結びついたり、あるいは、破防法において、国民のプライバシーの情報が番号つきでどんどん収集されていくということがないようにすべきで、もちろん我々は、破防法は全く納得いかない法律で、政府に反対する団体や主張を任意に調べているという法律であり、撤廃すべきだと思っていますが、それが番号法と結びついたらもっとプライバシーが侵害されるという危険を申し上げまして、質問を終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 おはようございます。生活の党の村上史好でございます。

 きょうは、まずTPP交渉関連についてお伺いをいたします。

 御承知のとおり、四月にはオバマ大統領が訪日をされます。今のところ、日米首脳会談のテーマというのはつまびらかにはなっておりませんけれども、巷間伝えられるところによると、やはり、対韓あるいは対中の外交に根差した、極東アジアの安全保障のあり方についての意見交換がメーンではないかと言われております。

 そこで、TPPの交渉の中で日米交渉がなかなか進展をしない、難航をしているという背景の中で、今回、日米首脳会談でそのことが取り上げられる可能性があるのか、また、甘利大臣としては、首脳間でその点を話し合ってほしいという御希望をお持ちなのか、お尋ねをいたします。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

甘利国務大臣 四月下旬にオバマ大統領が訪日をされるわけでありますが、その際には、TPPを含めた二国間の協力や地域情勢等について議論を行う考えであると思いますが、その具体的な取り上げ方については、今後、交渉の進展を踏まえつつ検討していかれるというふうに理解をいたしております。

 いずれにいたしましても、日米両国がTPP交渉をリードして交渉妥結に導いていくということは重要なことだと思います。

村上(史)委員 今現在ではそういう御答弁になると思いますが、大統領には、いわゆるTPAの権限をまだ持っていない、また、アメリカの事情ではありますけれども、中間選挙を控えている議会の強い要請があるという中で、日米首脳会談の中で懸案の問題を協議する中で、どうしてもアメリカに譲歩する形で何らかの話し合いがされるのではないかという危惧もございます。そういう部分について、我々としては、日本の国益を守っていただくために安倍総理に頑張っていただきたい、また、甘利大臣も、ぜひそのことを踏まえながら援護射撃をしていただきたいな、そのことをお願い申し上げまして、経済問題に移らせていただきたいと思います。

 先般の予算委員会の集中審議でも甘利大臣とやりとりをさせていただきました。貿易収支をめぐるさまざまな問題について議論させていただきましたが、その延長で、きょうもお話をさせていただきたいと思います。

 御承知のとおり、日本は貿易赤字が続いております。しかし、経常収支は黒字だということで、それほど深刻な問題ではないんだということを述べられる方もいらっしゃいます。甘利大臣はまずこの点についてどのように認識をされておられるか、お伺いいたします。

甘利国務大臣 私はかなり深刻に捉えております。

 もともと貿易立国日本が、これだけずっと貿易赤字が続いて、それが拡大している。原因ははっきりしていますけれども、やがて経常収支の赤にはね返ってくるのではないかと。今のところ、所得収支が頑張っていますから経常収支は黒でありますけれども、経常収支も赤字になってきますと、国内の財政資金の一部は海外の調達に頼ることになる。そうすると、やはり日本国債の評価に今まで以上にナーバスにならなければならない。

 もちろん、政府としては、この評価が落ちないようにするということは、国債が将来紙くずにならないということを担保するということは、財政の健全性を確保する、財政再建をしっかりやりますよという意思表示だと思いますが、そこはしっかりやっていきますけれども、いずれにいたしましても、経常収支の赤字というのは重大なことだと思いますし、そのもとになっているこの貿易赤字の拡大基調というのはしっかり反転させなきゃいけないというふうに思っています。

村上(史)委員 まさに今大臣がおっしゃったことが懸念をされるわけで、いわゆる黄信号がともったのではないかなという認識のもとでさまざまな問題に取り組んでいく必要があると思います。

 そういう中で、今大臣もお述べになりましたけれども、円安なのに輸出が伸びない、また生産拠点が海外にシフトしているという状況の中で、その経常黒字の中身を見ますと、やはり、物づくりではなくて、金融がもたらした利益、あるいは海外投資による配当や利子収入で稼いでいるというのが実態だと思います。ある意味では、金融の植民地政策といいますか、いわゆるマネーゲームの中でそういう利益を上げている。

 これが本当に国の富なのかということも指摘をされますし、持続性もないのではないかということで、私は、今後の問題としてこれは大変大きなテーマだと思っておりますけれども、大臣のお考えをもう一度お伺いします。

甘利国務大臣 貿易収支の改善それから経常収支の改善、今、関連について申し述べさせていただきました。

 ただ、所得収支に関しましては、恐らく一番大きいのはアメリカの財務省証券の利払いかなというふうに思いますけれども、投資の回収分、配当分がありますから、これはこれからも、成長する東アジアを中心にしっかりと日本の企業が投資活動を行ってその利益を国内に持ち込むということで、これは大事だとは思います。

 ただ、いずれにいたしましても、GNI経済といっても、GNIの大宗はGDPでありますから、やはりGDPをしっかり大きくしていくということは一丁目一番地だというふうに思っています。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 こういう今の置かれている日本の経済状況、海外の状況は、翻ってやはり国内問題ではないかなと私は思っております。

 残念ながら、日本はかつてのように、貿易立国、輸出が国内経済を牽引して経済を大きくしていくという時代はもう去ってしまったのではないかなというふうに思います。もちろん、輸出を軽視するつもりは全くありませんけれども、今だからこそ、国内の経済構造の改革あるいは新しい産業の創出をして、国内にもっと目を向けていく時期ではないかなというふうに思います。

 もちろん、政府の方でも、国内経済の再建に向けて取り組まれておられます。昨年の六月十四日に閣議決定をされました日本再興戦略、幾つかございますけれども、その項目について、二、三、その実現性についてお伺いをしたいと思います。

 まず、総理も声高におっしゃっておられましたけれども、いわゆる名目国民総所得、GNIでございますけれども、十年後には百五十万円以上引き上げるんだという目標を設定されておられます。

 現在の状況でいえば、三百八十四万円ぐらいが所得水準なんですけれども、五百三十四万円まで引き上げるということになりますと、毎年、名目のGNIが三%以上必要になってまいります。この三%というのは、バブル期においてようやく三%が達成されているというのが過去のデータです。

 過去の二十年間では一度も三%をクリアしたことはないのに、これからどうしてその三%以上の伸びが見込めるのか、その辺の根拠をお示しいただきたいと思います。

 GNIについては、財産所得あるいは企業所得、それを伸ばすことは大変重要だと思いますけれども、国民生活の立場から見れば労働所得、報酬をふやしていく、そういうことがやはり必要ではないかな、そんなことを思いますが、今後の見通しについて、大臣の御見解を伺います。

甘利国務大臣 御指摘のように、名目GNI、名目国民総所得、一人当たりのものでありますけれども、これは給料のことを言っているわけではない。一部誤解が世の中に伝わっているようでありますけれども、御指摘のとおり、このGNIには、家計が受け取る雇用者報酬、それから財産所得、利子や配当、それから企業所得ももちろん含まれるわけであります。これを十年後に一人当たり百五十万以上の増加を目標に掲げているわけであります。

 委員の御指摘は、この道筋を達成するためには名目三パー必要だけれども、過去にそんなに続いたことは高度成長期とバブル期以外にあるのかということであります。

 日本再興戦略におきましては、これから十年間平均、名目三%、実質二%の成長を掲げています。その中においては、こういう目標が掲げられるわけでありますけれども、直近でいいますと、平成二十五年度、平成二十六年度の名目成長は、それぞれ、二・五%そして三・三%程度であります。実質は、二・六と一・四であります。

 骨太方針では、そうした取り組みのもとで、一人当たりの名目GNI、一人当たりの名目国民総所得は、百五十万拡大をするという姿を十年後に目指す、そのためには、三%の伸びが前提であると。

 それができるように、成長戦略は、しっかり、具体的な年次を掲げて工程表をつくっておりますので、目指すべき姿として掲げさせていただいているところであります。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

村上(史)委員 次の質問も同じだと思うんですけれども、残念ながら、数値の目標はあるけれども、その道筋の計画もあるけれども、より具体的なところになると、どうしてもお答えがちょっと曖昧になってしまうというのがちょっと心配な部分でございます。

 もう一点、お伺いをいたします。

 二〇二〇年までに、黒字の中小企業、小規模事業者数を七十万社から百四十万社へ引き上げるという数値目標を設定されておられます。中小企業の定義もさまざまありますけれども、いわゆる法人税法上の約二百五十四万法人とした場合、百四十万社といえば、およそ五五%に当たります。過去最高でいえば、バブル期の一九九一年に百九万法人、割合でいえば五〇%。あれほど景気が過熱をしているときでも五〇%そこそこであるという過去の例がございます。

 本当にこの数値で目標を達成することが可能なのか、その辺について、大臣にお伺いをしたいと思います。

甘利国務大臣 二〇二〇年を目途に、黒字の中小企業、小規模事業者、これを現在の七十万社から百四十万、倍増するということであります。

 御指摘のとおり、今、黒字の企業数というのは三割弱、二八%ぐらいですか、それを倍増ですから五五、六パーになる、これは過去にも例がないのではないかと。それは、確かに、非常に高いハードルであるということは事実であります。ただ、ずっと赤字で企業が存続するのだろうかという、一体それは、からくりはどうなっているのかというような指摘もあるわけでありまして、企業を存続させていくということは、存続することができるということが前提であると思いますし、存続するためにはきちんと企業が利益を出すということでありますから、それに向けて、いろいろと環境整備は最大限していくということであります。

 具体的には、ものづくり補助金というのがありますけれども、これを一千億から一千四百億に拡大をしましたし、そして対象も拡大をいたしました。商業、サービスまで拡大したわけであります。これを通じて、中小企業、小規模事業者の試作品開発であるとか、あるいは生産プロセスであるとか業務プロセスの改善に資することになろうかというふうに思っております。

 それから、ことしの一月に策定をされました成長戦略進化のための今後の検討方針、これでは、中小企業、小規模事業者政策を地方自治体や支援機関の協力も得つつ進めていくこととしておりまして、四十七都道府県に設置をする、よろず支援拠点を中核として、地域における支援体制も抜本的に改善強化をするということといたしております。

 どれだけスピード感を持って、具体的項目をしっかり立てて、いつまでに何を仕上げるかということを実行計画できちっと担保していきます。

 なかなか野心的な目標ではありますけれども、何とか実行したいというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございます。

 野心的な取り組みとしてその目標を設定する、それに向かって努力をする、これは、そうしていただきたいと応援もさせていただきたいんですけれども、しかし、先ほど来申し上げておりますが、日本の国内の産業構造そのものが従来の延長線上では立ち行かないのではないか、それは貿易の収支のところにもあらわれておりますし、さまざまなところで、国内の需要が本当に喚起できるのか、そういうことが今問われていると思います。

 今、大臣のお話をお聞きいたしましても、今までの既定の産業構造あるいは経済構造を前提にした議論になっているのではないかな、そこに根本的なメスを入れるという姿勢がやはり今求められるのではないかなと。もちろん、これは私一人の意見ではなくて、こういうときだからこそ、もう一度内需に目を向けた経済政策ということを、大きく転換していくことが必要だと訴える学者もおります。

 そういう面で、何よりも私たちが目指しているデフレの脱却、そして国民生活を引き上げていくという大きな果実を実現するためには、やはり、大転換するところはきっちりとしていく、日本の状況をよりよく改革していく、そういう姿勢が必要だと思いますけれども、最後に大臣の強い決意をお伺いしまして、質問を終わらせていただきます。

甘利国務大臣 御指摘のように、従来の延長線上ではなかなか難しいということは、そのとおりだと思います。

 そこで、国内市場でいえば、今まで市場ができていなかった部分をフロンティアとして市場化していくこと。例えば、農業をきちっと産業政策として捉えていくとか、医療、介護を産業分野として焦点を当てていくとか、あるいはエネルギーについても、新しい取り組みを進めていって、新しい市場をつくっていくということ。今までになかった市場を国内に開いていく。

 あわせて、日本の競争力を高めるための司令塔機能、総合科学技術会議を本当の司令塔機能にするというのと、それから医薬品、医療機器を基礎研究から製品化まで一気通貫でやっていく仕組みとか、いろいろイノベーションの環境整備に取り組んでおりまして、そういう新しい取り組みで国内市場もつくっていくし、海外にも切り込んでいくということを考えております。

柴山委員長 以上で質疑を終了します。

村上(史)委員 ありがとうございました。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時五十二分散会


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