衆議院

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第7号 平成26年3月26日(水曜日)

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平成二十六年三月二十六日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      古賀  篤君    今野 智博君

      新谷 正義君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      藤井比早之君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    伊東 信久君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣         山本 一太君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   内閣府副大臣       岡田  広君

   内閣府大臣政務官     亀岡 偉民君

   内閣府大臣政務官     伊藤 忠彦君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局長)       宮島 守男君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  菱山  豊君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   幸田 徳之君

   政府参考人

   (内閣府消費者基本政策室長)           小田 克起君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    川口 康裕君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 上村  進君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   参考人

   (独立行政法人理化学研究所理事)         米倉  実君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  秋葉 賢也君     古賀  篤君

  田所 嘉徳君     今野 智博君

  吉川  赳君     瀬戸 隆一君

  遠藤  敬君     伊東 信久君

同日

 辞任         補欠選任

  古賀  篤君     秋葉 賢也君

  今野 智博君     藤井比早之君

  瀬戸 隆一君     吉川  赳君

  伊東 信久君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  藤井比早之君     田所 嘉徳君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 健康・医療戦略推進法案(内閣提出第二一号)

 独立行政法人日本医療研究開発機構法案(内閣提出第二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 内閣府設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、内閣府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人理化学研究所理事米倉実君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部事務局長宮島守男君、内閣官房内閣審議官菱山豊君、内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣府大臣官房長幸田徳之君、内閣府消費者基本政策室長小田克起君、内閣府政策統括官倉持隆雄君、消費者庁審議官川口康裕君、総務省大臣官房審議官上村進君、文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 本日は、予算関連法案である内閣府設置法の一部改正案の審議であります。その趣旨は、総合科学技術会議の体制を強化し、テーマを絞って予算を配分する権限を与えることによって、いわゆる司令塔機能を強化するという内容であります。

 鉱物資源など天然資源の大半を輸入に頼る我が国にとって、国を富まし、国富をふやし、国民生活を豊かにする源、源泉は日本人の知恵、技術力であることは論をまたないわけであります。

 新興国が台頭する中で、特に我が国としては、市場をつくり出す技術革新、いわゆるイノベーションを起こす力が重要であります。もちろん、民間が主導すべきものではありますけれども、民間に丸投げではなく、私は、政府と民間が、ある部分は一体となって、出口も見据えた技術開発を加速させる必要はますます高まっているという認識に立ちます。これは政府も同様なんだろう、こう思うわけであります。

 民主党時代も、一部からは新重商主義だなどと言われましたけれども、科学技術立国という旗を掲げて、閣法として総合科学技術会議の機能を強化する法案も提出をさせていただきました。その意味では、今回の政府提出法案も、大きな方向性は一致している、こう受けとめております。

 ただ、冒頭あえて申し上げますが、科学技術イノベーション政策とは全く関係のない部分の法改正が、改正というよりも、我々に言わせれば改悪でございますが、火事場泥棒的に紛れ込んでおる。この点は、後ほど後藤祐一議員から質疑があろうかと思いますので、後藤議員に譲りたい、こう思いますし、我々としても、この部分については修正が必要である、こういう認識に立つものであります。

 私の持ち時間については、科学技術政策を中心にお伺いをしていきたい、こう思います。

 まず、山本大臣に伺いたいと思います。

 これは通告がちょっとおくれてしまったので恐縮なんですが、基本的なことなのでお許しください。

 総合科学技術会議が先導して、各省庁の垣根を越えて省庁横断の国家プロジェクトとして進めたものとして、このFIRSTプログラムがあるわけであります。三十人の研究者を選んで、十八億円から六十億円強の資金を投入して、この三月末に期間が終了する。

 この成果集は、私も読ませていただきました。大臣もなかなかいい写真で寄稿されておりますが、中身を読ませていただきました。

 このプログラムは、この期間中ノーベル賞を受賞された山中教授もこの中に入られて、これは自民党政権下でスタートをし、民主党政権下でも引き継ぎ大変成果のあったものだ、私はこう思うわけでありますけれども、このFIRSTプログラムは、こういう動きが、これから議論させていただくさまざまな今後の省庁横断のプログラムの草分け的な部分なんだろうな、こう思うわけであります。

 まず大臣、こうしたこのプログラムの大臣なりの簡単な総括評価をちょっと一言、もしあればいただきたいということと、やはり私は、この成果を広く国民の皆さんにきちんと知らしめるべきなんだろう、こう思うんです。

 とりわけ、ポイントは、この中にもありますように、一人一人の科学者が取り上げられていて、その科学者の苦労話も含めたといいましょうか、それぞれの思いなり技術の成果も非常にわかりやすくこの冊子は紹介しておりますけれども、こういう一人一人に光を当てたストーリーをきちんと国民の皆さんに知らしめる必要があろうかと思うんです。

 冒頭、この三月に終了した、せっかくのいいプログラムでありますけれども、この中身をきちんと国民に知らしめる。特に、私は、この冊子は政府がつくった割にはよくできていると。私はきのう、本当におもしろくて全部読んじゃいました。非常にわかりやすく、私のような文科系人間にもわかりやすくなっている。ありていに言うと、高校生でもわかる内容になっていると思うんですね。

 国民に知らしめるという意味においては、高校生に教えたらいいんじゃないか。政府においては、スーパーサイエンスハイスクールというのが、高校、全国二百校程度指定しておりますけれども、例えば、大臣、プログラムは終了したわけでありますけれども、文部科学省とちょっと協議をされて、このものずばりの冊子を配るかどうかは別にしても、これでもいいと思うんですけれども、これをスーパーサイエンスハイスクールに配付して、こういう技術者が、ストーリーがあるんだよ、こういう立派な人たちがいるんだよ、こういう技術があるんだよということを高校生クラスに、理系の高校生の方々に教えるというのも一計かと思うんですが、まず大臣、いかがでしょうか。

山本国務大臣 今、近藤委員の方から、総合科学技術会議の司令塔機能強化は民主党政権時代からの流れであって、大きく目指す方向は一緒だということを言っていただいて、そういう見方をしていただいて大変ありがたいと思っています。

 民主党政権時代にも、近藤委員や津村委員初め、科学技術イノベーションに真剣に取り組んでおられたということについて、科学技術担当大臣として敬意を表したいと思いますし、その司令塔機能強化の試みを、ぜひこの法案をもって結実させていきたいというふうに考えております。

 FIRSTについての感想ということなんですが、近藤委員にきのうその冊子を全部読んでいただいたということですけれども、このFIRSTプログラムは麻生政権で基金として始まったものですが、かなりの成果が出たというふうに考えております。今、近藤委員がおっしゃったiPS細胞の山中先生もそうですし、細胞シートの岡野先生もそうですし、先般、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演されていた介護ロボットHALの山海先生もそうですし、こういう方々の研究を後押ししたという意味では非常に意味があったのではないかというふうに考えております。

 最後に、近藤委員の方から提案のあった高校生にこうしたことをもうちょっと知らせるべきではないかということについて言うと、このFIRSTプログラムの冊子はスーパーサイエンスハイスクールへ一冊ずつ送ることにしているんですけれども、今の近藤委員の御提案を受けて、大変前向きな御提案なので、少し冊数をふやしてスーパーサイエンスハイスクールに配るとか、あるいは、もしほかに高校生に読んでいただくということで方法があれば、私の方から、少しそこは知恵を考えて、事務方に指示をさせていただきたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 大臣、前向きな御答弁をありがとうございます。

 おっしゃったとおり、それぞれ日本の、世界のトップクラスの先生方というか科学者たちのストーリーをわかりやすく書いていますし、ぜひ高校生クラスに知ってもらいたいと。一冊と言わずに、ぜひ、スーパーサイエンスハイスクール、それぞれいい学校が各校指定されております。私の地元でも、米沢で米沢興譲館という高校がありますが、日本で最も古い高校の一つ、一六〇〇年代にできた上杉藩の藩校でありますが、そこもスーパーサイエンスハイスクールで、東京の大学にサイエンスハイスクールとして見学、勉強に来たりしていますけれども、やはりこういった本もぜひ、それなりの学校がみんな指定されていると思いますので、興味のある学生も多いと思いますので、前向きに御検討をと思います。

 それでお伺いしたいんですが、このFIRSTプログラムをある意味で引き継ぐ形で、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、二十五年度補正予算として五百五十億円積まれております。一ページ目に、革新的研究プログラム、ImPACTという事業が、これは補正予算で成立をして進んでいるわけであります。文部科学省の予算に計上をされておるわけであります。

 この資料に書いているとおり、総合科学技術会議の司令塔機能強化の一環としてこの事業が進められるということでありますが、総合科学技術会議がテーマを設定し、総合科学技術会議のもと、ImPACT推進会議のもとでプログラムマネジャーを公募することになっている、こういう話であります。ある意味で、このFIRSTプログラムを一種引き継ぐ形なのかなと思っております。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、いつまでにこのテーマを、どのようなテーマを設定されるのか。また、この予算配分の権限、最終責任というのは、総合科学技術会議ということでありますから、私は基本的には山本大臣が最終権限を持つものであろうと。もちろん、総合科学技術会議でありますから、内閣総理大臣であると言われればそれまででありますけれども、基本的には閣僚としては山本大臣ではないか、こう思うわけでありますけれども、その最終責任はどこがお持ちになるのか。お答えいただけますか。

山本国務大臣 お答えいたします。

 今、近藤委員から御指摘のあったImPACTプログラムのプログラムマネジャー、PMは、失敗を恐れない挑戦的な研究開発によって革新的なイノベーションを生み出す、これがImPACTの特徴で、ハイリスク・ハイインパクトというコンセプトが主眼なんですけれども、このハイリスク・ハイインパクトなイノベーションを生み出す上で鍵となるということで、多様な人材を幅広く募り、適材を見つけ出すために、今、実は公募を行っているところです。

 選定に当たっては、外部有識者の知見も活用しながら厳正に審査を行った上で、六月ごろには総合科学技術会議においてプロジェクトマネジャーを決定したいというふうに考えております。

 このPMの審査においては、一つには、構想に至った背景、構想の斬新さ、世の中を変える革新性、発展性、こうしたプログラムの構想の内容を見る書面審査と、それから、構想力やマネジメント力、PMとしての資質、困難な課題をやり抜く意欲などが応募者に備わっているかどうかを見る面接審査を実施することにしております。

 ImPACTの趣旨が貫かれるよう、総合科学技術会議として責任を持って、PMの選定、予算配分等を行ってまいりたいと思います。

 最終責任という話がありましたが、最終責任は当然この総合科学技術会議がしっかりととっていく。総合科学技術会議の議長は総理ですけれども、私も代理としてしっかり総理を支えて、今委員のおっしゃったように、担当大臣として責任を持ってフォローさせていただきたいと考えております。

近藤(洋)委員 続いて伺います。

 ImPACTについてはそういうことで進めていると。このImPACTに関連しては、一月の国会で、JST、文科省所管の独立行政法人科学技術振興機構にPM、プログラムマネジャーの身分を移管させる等々もあるので、JSTの関連の法を改正した、こういうことでありますが、今回は内閣府設置法を変える、こういうことであります。

 この設置法を変えて、総合科学技術会議の名称なり陣容の変更点もありますけれども、一つの改正点の中には、予算の配分について事務の規定を加えた、これは非常に大きなことだったんだろう、こう思うわけであります。二ページ目に、その事務の所掌の追加に加わって、科学技術イノベーション創造推進費として平成二十六年度に五百億円、新規の予算が計上されている、こういうことであります。

 我々民主党政権時代も、何とか総合科学技術会議に予算配分機能を持たせたい、いわゆるSABCの機能をもう少し強くできないかと工夫したわけでありますけれども、なかなかうまくいかなかった。やはりここは、明確に政権において所掌事務を加えさせて、法律に書き込ませたということは、私は意味があった、よくやられた、こう評価したいと思います。

 その上で、五百億円計上されているわけでありますけれども、科学技術イノベーション創造推進事業というんでしょうか、このSIP事業、戦略的イノベーション創造プログラム事業ということでありますが、このSIP事業も、総合科学技術会議において、今度はプログラムディレクターを十名程度選任をして、こちらも公募で集めて、そしてディレクターに対して予算を、十事業の候補を選定していく。主要エネルギー、次世代インフラ、地域資源、健康長寿の四分野についての十事業。政府の資料、説明によると、こういうことでございます。

 このSIP、戦略的イノベーション創造プログラムと、先ほどお話のあった、ハイリスク・ハイリターンのImPACTと一体どこがどう違うのか、そこをお答えいただけますでしょうか。

山本国務大臣 今、近藤委員の方から、民主党政権時代も総合科学技術会議、司令塔機能強化の一環として、何とか予算の枠を確保できないかという試みをされたという話があったんですけれども、やはり今回の法案改正の中で非常に大きな部分は、今委員が御指摘のとおり、新しい分担管理事務を加えて、このSIPを内閣府に予算を計上して、総合科学技術会議が目ききができるようになった、これは非常に大きいというふうに考えております。

 そこで、SIPとImPACTの違いですが、SIPは、社会的に重要で、かつ日本経済の再生に貢献するような課題に関して、実用化、事業化等の出口を見据えた研究開発を推進し、迅速な産業化を目指すというものでございます。内閣府計上の予算を用いて府省横断的な研究開発に取り組む、この府省横断的というのも一つのキーワードだと思っています。ですから、研究開発の進捗は毎年度評価をして、機動的に予算配分をしていくという仕組みになっています。

 一方、ImPACTですが、先ほども申し上げましたように、ハイリスクだけれども、実現すれば社会や産業の変革につながる、インパクトの大きな挑戦的な研究開発を推進するということで、プログラムマネジャーに大きな権限を与えつつ、その構想力や独創性のもとで、失敗を恐れず、分野の枠を超えて最適な研究者、技術を集めて目標達成を目指すということで、もう少し長期の視野を持ってやってもらうということで、五年間の基金方式によって柔軟な執行を行う、こういう違いがございます。

近藤(洋)委員 大臣の御答弁によると、すなわちSIP、戦略的イノベーション創造プログラムは、より出口が見えているものである、こういう御答弁だったと思うわけですね。ImPACTは、別に失敗を恐れず、まさに、もしかしたら失敗するかもしれない、そこはある程度受けとめながら、それも含めてやってもらう。むしろ、SIPは、そこはある程度もう出口は見据えているということでありますから、既に各省が、実績もある分野で、それをつなぎ合わせて、事業化というんでしょうか、出口がある程度見えているものについてやるものだ、こういう理解をしたいと思います。

 だとすると、SIPはより出口が近いということでありますが、その出口に至る期間は大体どういったものなのか。あと、これはなかなかお答えにくいのは承知で伺いますが、今年度はトータルで五百億円ということで予算を確保されましたけれども、毎年それは事業を見ていく、こういうことであろうかとは思いますが、SIPとしては、総枠大体どれぐらいのものを大臣としては少なくとも確保してやっていこうと。それぞれ事業によっては濃淡があると思いますから、総枠としてはこれぐらいを持っていくと。かつ、いずれにしろ、一つの事業の出口というのは大体これぐらいのイメージというのは、年限、どの程度のイメージをお持ちでしょうか。

山本国務大臣 今、出口に至る期間、期限の話がございました。

 SIPでは、我が国が世界で勝っていける産業競争力を実現し、日本経済の再生に寄与するということは、これはもう不可欠だと思っていまして、そのためには、本来であれば実用化までに例えば十年とか十五年を要するような基礎的、革新的な技術を、SIPの推進によって、二〇二〇年ごろには次々と実用化、事業化するくらいの気持ちで取り組まなければいけないというふうに担当大臣としては考えております。

 SIPの実施期間、現時点では決まっておりませんが、こうした考え方に立って、基本的には五年程度の研究開発計画を策定し、推進をしてまいりたいというふうに考えております。

 それからもう一つ、事業規模の話がございました。

 二十七年度以降の具体的な規模については、もう委員御存じのとおり、まだこれは決まっておりませんので、今後の事業の実施状況や財政状況等も踏まえて検討したいと思いますが、基本的には今年度と同程度の規模で続けていくことを想定しておりますし、科学技術担当大臣としては、このくらいの規模を毎年ぜひ確保していきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ぜひそういうことでお願いをしたい、こう思います。

 続いて伺うんですが、伺っていますと、革新的研究開発推進プログラム、ImPACTにしろ、戦略的イノベーション創造プログラム、SIPにしろ、山本大臣がこれをよくごらんになって総合科学技術会議が見ている、こういうことでありますから、予算計上も、ImPACTを文部科学省に計上しているのはやはりちょっと不自然だと思うんですね。

 これは、内閣府設置法の改正がややずれたというか、今国会に、通常国会になりましたから、通常国会というか、予算関連法案で、補正予算の事業のときには間に合わなかったといえばそれまででありますけれども、私は、本来的には内閣府に統合すべきもの、文部科学省にあるのが逆に不自然だ、こう思うわけであります。私は、近い将来統合して、内閣府で総合科学技術会議として監督するもの、見るべきものだ、こう考えますが、大臣、いかがでしょうか。

山本国務大臣 今、近藤委員のおっしゃったことは、一つの考え方だというふうに思います。

 ImPACTの実施に当たっては、総合科学技術会議の司令塔機能のもとで基金を適正に管理できる、それからプロジェクトマネジャーの身分、処遇を確保できる、プロジェクトマネジャーの指示によりトップダウンで研究開発を推進できる、さらには、研究開発戦略、知財戦略の立案、支援など、プログラムマネジャーをしっかりと支える能力を有する、こういう機能を有する法人が運営に携わることが求められます。

 近藤委員からきょう言及いただいたFIRSTについても実はこういう方式でやっておりまして、総合的に検討した結果、やはり独立行政法人科学技術振興機構、JSTを活用することが最も適切だというふうに判断をいたしまして、JSTを所管する文部科学省に予算を計上し、さらに基金設置のためにJST法の改正を行いました。

 ただ、委員がおっしゃったように、JSTの枠は、ある意味でいうと文科省からかりた。ここがやはりあらゆる意味で、先ほど申し上げたとおり、このプログラムを実施していく上では最も適切なサポートができるだろうということだったんですが、これは文部科学省のプロジェクトではありません、今委員がおっしゃったとおり。これは、運営もそうですし、さまざまな決定は総合科学技術会議がきちっとしていくということだというふうに思います。

 なお、将来的な本事業の継続、拡充については、今現段階で予定していませんけれども、仮にそういう必要性があったとしても、将来時点において最も適切と考えられる政策、手段、方法によって必要な措置が講じられるべきだというふうに考えております。委員のおっしゃった、しっかりと内閣府総合科学技術会議が責任を持って主体的にこのImPACTも運営していくということは肝に銘じてこのプログラムを進めていきたいと思います。

近藤(洋)委員 大臣はよくおわかりになって御答弁されているのであれですけれども、やはり最終責任を山本大臣が実質的に持つのであれば、予算計上も内閣府というのが筋なんだろう、私はこう思うんですね。

 JSTの所管は文科省、それはそれでいいんですが、JSTに任せること自体は別に問題はないと思います。一種のファンディング独法ですから、それはそういうものでいいと思うんですが、別に新しい独法を内閣府につくる必要もないですし、JSTにやらせたらいいとは思うんですけれども。ただ、予算の計上は、やはりそこはきちっとつけた方がいい。これは別に独法論であって、独法の仕組みとしてそういうふうにできるようにすればいいだけの話なのではないかと私は思うわけであります。

 続いて伺いますが、総合科学技術会議に関連する、いわゆる内閣府の本部と呼ばれる組織についてなんですが、IT本部、知財本部、総合海洋本部そして宇宙本部、こうあるわけであります。大臣、これは全て、議長ないし本部長は内閣総理大臣が務めておるんですね。

 総理大臣が本部長を務めるというのは、これは見かけはいいんですけれども、私も、わずか三年半の政府の経験でいうと、総理大臣主宰の会議というのは設置するだけで大変なわけで、総理の日程をとるというだけでもう一カ月先、二カ月先にずれ込んでしまうわけですね。私は、多忙な総理の会議の日程をとるだけでこれは大変だと。私は、政権時代には、総理本部長の会議はもうなくせということを、それは野田総理も認識をされて、何とかしようとしました。

 当時はありませんでしたけれども、今の政府でいえば、せいぜい経済財政諮問会議ぐらいは総理がいてもいいけれども、ほかのIT本部、知財本部、海洋本部、宇宙本部は、本部自体も総理がお出ましいただくまでもない。それは、山本大臣が本部長で主宰して、関係閣僚を集めてさばかれるという方が機動的であるし、よいのではないか。

 やはり、関係閣僚が集まって物事を決めるという場はやはり大事だと思うんですね。そこで関係閣僚が集まって物事を決める場というのは、やはり、場合によっては二カ月に一回ぐらいあった方がいい部分もあろうかと思うんです、それは、閣僚でないと決められない物事はありますから。だけれども、総理日程に左右されるというのは、これは非常に問題ではないかと思うわけであります。

 これは官房長官のさばきの話かもしれませんけれども、大臣、この関係会議、百歩譲って、総合科学技術会議は総理が議長でもよいのかもしれませんけれども、それとて、僕は山本大臣が議長でもよいのではないかと。あとは、本部長は、担当国務大臣が本部長の方が機動的に開催できるし、連携もとれる、より連携がとれる、こう思いますが、大臣、いかがですか。

山本国務大臣 何度も同じことを申し上げて恐縮なんですが、近藤委員のおっしゃることは一つの考え方だと私も思います。いろいろなことをわかっておっしゃっていると思うんですが。

 総合科学技術会議は、内閣府設置法上の重要政策に関する会議と位置づけられておりまして、内閣総理大臣を議長とし、関係大臣及び学識経験者等により構成される合議制の機関だということ、もうよく御存じだと思います。

 IT本部、知財本部等は、それぞれ関連分野における施策の推進を図るため、関係する基本法に基づいて、内閣の補佐機関として、内閣総理大臣を本部長、特に関係の深い大臣を副本部長、その他の国務大臣等を本部員として内閣に設置されているということです。これはいずれも、今委員御指摘のとおり、内閣総理大臣がその長となっているということで、内閣総理大臣を適切に補佐することが担当大臣である私の任務であるというふうに認識をしております。

 これは、内閣で特に重要なものを合議体の事務の一部ということで渡しているという感じなので、これはやはり内閣の長である総理がリードするということが、これはもう釈迦に説法ですけれども、親和性があるみたいな多分議論なんだと思いますが、現段階において、やはりこれは総理にやっていただくという方が私は望ましいと思っています。

 一つ、今、総合科学技術会議の話をされました。総理の日程、確かに、各本部、司令塔、本部がとるのは大変なんですが、例えば総合科学技術会議について言うと、過去一年ちょっとで十三回ぐらいやっていまして、そのたびに総理にかなりよくお願いをして出ていただいておりますので、総合科学技術会議については総理が議長であるということで開催が滞るということはこれまではないということも御報告をさせていただきたいと思います。

近藤(洋)委員 総合科学技術会議はそうでしょう。だけれども、ではIT本部はどうか、では知財本部はどうかと。ここではもう聞きません。

 ですから、総合科学技術会議は、ある意味、一種、総理直属でもいいのかもしれません。あと、経済財政諮問会議も、これは総理でいいのかもしれません。だけれども、あとの本部は山本大臣で十分です。

 山本大臣、山本大臣は、一種、科学技術庁長官でもあられるわけです、昔で言うところの。ちょっとこれはとんちみたいですが、初代の科学技術庁長官というのはどなただったかというのは、覚えていらっしゃいますかね。

 お答えします。正力松太郎さんですよ。正力松太郎さんが初代科学技術庁長官なんですね。これはなかなかの大物であります、御案内のとおり。二代目は誰か。石橋湛山であります。これは総理兼務であります。二代目、石橋湛山。正力松太郎さん、そして石橋湛山。三代目、ちょっと僕は正力さんかなと思ったんですけれども、途中、宇田耕一さんという、これはなかなかの大物でしたけれども、宇田耕一さんで、また正力松太郎さんが事実上三代目を務めて、四代目は三木武夫。大臣の御地元である中曽根康弘さんも五代、こういうことでありますから。

 何を言いたいかというと、大物ばかりですよ、要するに。科学技術庁長官というのは、要するに、正力松太郎であり、時には石橋湛山さんが総理兼務でやられ、そして、三木武夫、当時若かったけれども一派をなしていた三木武夫さんがやられ、そして、当時やはり一派をなしていた中曽根康弘大勲位がやられ、こういうポジションであるわけです。ですから、科学技術をつかさどる大臣というのは、それぐらいの位置づけであるわけですから、ここで別に山本大臣をよいしょするつもりは毛頭ありません。要するに、そういうものであると。

 ですから、何を言いたいかというと、IT本部長、海洋本部長、宇宙本部長ぐらいは十分できる、格のある大臣であられるということでありますので、ぜひ、次の質問と関連してなんですけれども、せめて、科学技術イノベーションと非常にコインの裏表である知財本部、これは、例えば、総合科学技術会議と知財本部はコインの裏表ですよね、ある意味で。使ったものをどう活用するか、こういうことですから。コンテンツとか、やや毛色の違うものもありますけれども、知財本部などは事実上一体運営で、少なくとも知財本部長は、私は、山本さんが本部長で一体運営、内閣府の肥大化というか、整理統合ということも言われているところでありますから、お考えになったらいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 正力松太郎さんほど大物でなくて申しわけありません。でも、一生懸命頑張りたいと思います。

 委員御指摘のとおり、科学技術イノベーションの推進に当たっては、その成果である知的財産の活用を念頭に置くというのは非常に大事だと思っていまして、知的財産マネジメントに関する戦略を推進するというのは重要だと思います。

 総合科学技術会議においては、科学技術イノベーション政策の全体の推進のための司令塔として、総合的かつ基本的な政策の企画立案、総合調整を所掌しております。一方、これも釈迦に説法ですが、知的財産戦略本部においては、知的財産基本法に基づいて、政府全体の知的財産推進計画の作成、知的財産に関する重要施策の総合調整等を行っております。

 両者はそれぞれ異なる観点から司令塔としての機能を果たしているものであり、今回の法案においては統合は行っておりません。

 他方、近藤委員がおっしゃったように、両者が扱う事項というのはかなり密接な関係を有しておりまして、相互の連携、これは重要だということでありますので、現政権においては、私のもとで司令塔連携・調整会議という仕組みをつくりまして、今連携を図っておりますが、引き続き、相互の緊密な連携、調整をこうした枠組みを通じて図ってまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ連携を深めていただきたい、こう思います。

 次に、伺います。

 資料の三枚目をごらんいただければと思いますが、独立行政法人の改革の中で、これはまた後ほど内閣委員会で独法通則法の議論はあろうかと思うんですが、この中で、いわゆる研究開発独法を通常の独法通則法のルールとは別に分けるという議論、これが進んでいるわけであります。

 その中でも、かつ、研究開発独法の中でも特出しをして、世界最高水準の成果を目指す法人として特定国立研究開発法人というものを設ける、こういうことで今政府は検討中と伺っています。

 山本大臣は、三月十二日の総合科学技術会議において、この特定国立研究開発法人の対象として、理化学研究所と産業技術総合研究所の二つが候補になるということを明らかにされております。

 そこで伺いたいんですが、この特出しをする特定研究開発法人に求められる役割と、数多くの研究開発独法からこの理研と産総研の二つを選んだ理由をお答えいただけますか。

山本国務大臣 お答えいたします。

 国際競争の中で世界トップレベルの研究開発成果を生み出す、そうした成果を科学技術イノベーションの創出につなげていくことは極めて重要だと考えています。その中核をなす研究開発法人として、今、近藤委員がおっしゃった特定国立研究開発法人、これはまだ仮称ですけれども、これを位置づけて、国家戦略に基づいて、総合科学技術会議、主務大臣及び法人が一体となって科学技術イノベーション政策に取り組んでいくことが必要だというふうに考えています。

 このため、今言及ございましたが、三月十二日の総合科学技術会議において、特定国立研究開発法人の対象法人の考え方というものを決定いたしました。その特定国立研究開発法人の選定要素としては、国家戦略上の位置づけ、研究開発活動の蓄積、社会経済への貢献に向けた取り組み、人的資源、研究開発体制などを示すとともに、制度の創設に当たっては、総合的な研究機関と言えるものを選定すべきだというふうにされました。この考え方に基づいて、理化学研究所及び産業技術総合研究所が対象法人候補として決定されたということです。

近藤(洋)委員 まさに、特出しをする、国として力を注いでいく機関として理研と産総研、こういうことでありますが、その理研で、英国のネイチャー誌に発表したSTAP細胞の論文について疑義が生じているわけであります。期待が大きかっただけに、仮に不正があったとすれば、極めて残念であるわけであります。

 きちんとした調査が必要であるわけでありますが、きょう、理研の理事さんに来ていただいておりますが、理化学研究所において、先般、中間報告をまとめられました。最終報告はいつまでにまとめる予定なのか、また、現時点でも、中間報告の段階でも、その疑念が払拭し切れない、多々あるという中間まとめでありますが、いずれにしろ、この中間の段階で、マネジメントとしての課題があったのではないか、我々はそう受けとめているんです。

 委員長のお許しを得て、中間報告の理事長のコメント及び調査の概要の資料を簡単に添付させていただいております。

 野依先生というのは、研究者としては御尊敬申し上げる大変立派な先生でありますけれども、この理事長コメントからは、中間報告ということもあろうかと思いますけれども、残念ながら、マネジメント体制についての課題というのはなかなか感じられないコメント、こうなっております。

 現時点でどう受けとめられているのか、お答えいただけますか。

米倉参考人 理研の理事の米倉でございます。

 まず、近藤先生の御質問に御説明申し上げる前に、今回のネイチャーの論文に係りまして、各種の疑義が生じたこと、それから、いろいろな研究コミュニティー、社会、それから科学研究の信頼性を損ねかねないような事態に至ったことにつきまして、改めておわび申し上げたいと思います。

 先生御質問の調査委員会につきましては、二月十八日に設置しております。独立した立場から厳正に調査検討を進めるということで、精力的に進めていただいております。

 理研としては、できるだけ早く最終報告をまとめていただきたいと考えておりまして、理研として調査に協力をしているところでございます。こういう独立性の委員会でございますので、具体的な期日等につきましては、ここでは御容赦いただきたいと思います。しかしながら、スピード感を持って今調査に当たっていただいているというふうに理解しております。

 それから、マネジメント面での課題ということでございますが、今回のことにつきましては、若手の研究者の研究論文作成についての基本的な認識、知識、それからデータ管理、研究倫理等についての認識が甘かったということが一つの大きな要因でございますが、マネジメント面でもいろいろな課題を感じております。

 数々ありますけれども、まず一つは、若手の登用ということでございます。

 若手の登用につきましては、基本的に科学技術振興のために必要不可欠というふうに考えておりまして、これからも進めていく予定でございます。

 ただ、マネジメントサイドとしては、若手の能力を最大限に発揮させるような環境をつくるということについて多々課題があったと思っております。今までも、シニアな研究者がメンターという形で助言するというような制度、あるいはラボのマネジメントのブックを教育しという形でやってきておりますが、まだまだ十分ではなかったということでございます。

 それから、今回の中で、いろいろなラボにまたがるような形での研究成果の取りまとめがありましたが、理研としては、総合研究機関でございますので、これからさらに総合力を発揮させるために、いろいろな分野にまたがる研究を進めるということでございます。そういった中で、研究成果、研究論文というものをどういうふうにマネジメントしていくかということについて、今回の形は非常に大きな教訓であるというふうに思っています。

 それから、研究のデータの取り扱いということにつきましては、ラボにおけるデータがちゃんと管理されているかということについて、所属長が適切に管理するといったような形の対応も必要かというふうに思っております。

 いずれにしましても、最終報告書を踏まえまして、全所的な形でマネジメントの改善ということに取り組んでまいりたいと思います。

 以上でございます。

近藤(洋)委員 今、理事から、独立性の立場から調査を、こういうことでありますが、資料の六ページ目をごらんいただくと、この調査委員会、委員長の石井さんという方、これは独立法人理化学研究所の上席研究員が委員長、内部の方が委員長。常識的に考えて、独立性の高い調査機関、こういうふうにおっしゃいましたけれども、委員長が内部の方で本当に独立性が高いのかというのは、やや、外形的に見ますと、そこまで言えるのか、こういう気がするんですね。

 ちょっと伺いたいんですが、少なくとも、こういう場合、しかるべき、例えば、別に弁護士さんが全ていいとは言いませんが、法曹の知識を持った方あたりが委員長なりなんなりになって、本来は大概そうなのだとは思うんですけれども、そういう方がこのメンバーの中には入られているんですか。それをちょっとお答えください。

米倉参考人 この第三者委員会につきましては、我々の規程に基づいて設置させていただきました。

 これは、国、具体的には文科省の科学技術・学術審議会が定めた研究活動の不正行為への対応のガイドラインというのがございまして、この中で、「当該研究分野の研究者であって当該調査機関に属さない者を含む調査委員会を設置する。」という形の規定がございます。今回は、そのガイドラインに基づいて設置させていただきました。

 石井委員長に関しましては、この分野のエキスパートでございますし、他の研究機関における調査委員会という形でも従事しております。経験も豊富ということでございます。

 それから、先生が御指摘のような、外部の、特に法律家のことでございますが、現時点では、委員長のほかに理研の中の研究者が二名、これは他の分野のでございます。それから、外部の研究者の方が二名。それから、この分野に詳しい法曹、弁護士の方にも入っていただきまして、全体で御議論いただいている、そういう状況でございます。

近藤(洋)委員 いずれにしろ、まだ調査中の問題ですから、余り国会の場でという気はするんですが、ただ、大臣、最後にお伺いしたいんですけれども、私は、野依理事長の記者会見でちょっと気になった言葉がございまして、まあ、新聞、テレビですからそこだけ切り出して何度も報じてしまう癖があるので言いようがないんですが、個人が非常識だった、非常識な研究だった、こういう発言。そうだったのかもしれませんが、しかし、その方を責任あるポジションに据えたのは組織のトップですから、そのトップの方が、非常識だったと言うだけで切り捨てるというのは、ちょっと違和感を私自身は感じたわけであります。

 いずれにしろ、今回の論文の問題にせよ、医薬における臨床データの捏造事件も別の分野で幾つか起きておりますし、日本の論文の信憑性というのが非常に今問われておる。これはゆゆしき事態だ、こう思うんですね。大臣として、こういう事態をどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。

 またあわせて、やはり、この理研というのは、我々も世界に誇る理化学研究所であります。この理研に対しても、必要以上に研究者を萎縮させてはいけない、これは当然だと思いますが、しかし、その上で、チェック体制の点検等についてどうお考えなのか。少なくとも、独法改革の中では、特出し独立行政法人については、研究を最高水準でやっていただくと同時に、所管大臣がきちっと関与する、独法に接近する、こうなっていますから、ぜひ、大臣、どのようなお考えなのか、お答えいただけますか。

柴山委員長 山本大臣、質疑時間終了ですので、短く御答弁ください。

山本国務大臣 今委員がおっしゃったように、大変期待が高かっただけに、今、いろいろと疑義が生じていること自体、大変残念だと思っています。まだ結果が出ていないので慎重にいたいと思いますが。

 もちろん理研はすばらしい組織ですけれども、やはり、ガバナンス、それから危機管理マネジメント、こういうことも研究開発法人としては必要なことだと思っていますので、候補にはなりましたけれども、特定国立研究開発法人の決定は閣議決定でやるわけですから、そこまでしっかりと調査結果を公表して、アカウンタビリティーをぜひ果たしていただきたいと思いますし、そこら辺を見きわめた上で閣議決定をしていくということになるのではないかというふうに思います。

 研究不正については、総合科学技術会議としてもいろいろなガイドラインをつくっていますが、それに基づいて、やはり、関係各省しっかり、こういうことがないように促してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 終わります。

柴山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 先ほど近藤理事から冒頭少しありました、この法案のやや異質な部分についてきょうは中心に申し上げたいと思います。

 この法案は、科学技術とイノベーションを振興しようというための法案だというふうに思うんですが、私はこういった法案が来たときに、新旧対照表を一応端から端まで見るんですね。そうしますと、内閣府設置法四条三項、現行の七号というものが削除されるということになっておりまして、この七号には、いわゆる地域自主戦略交付金、一括交付金の規定が削除されることとなっているわけでございます。「地方公共団体による自主的な選択に基づいて実施されるものとして政令で定める事業又は事務に要する経費に充てるための交付金の配分計画に関すること。」という事務が今回削除される案となっているわけでございます。

 こういった、固有名詞が書いてあるわけではなくてかなり一般的な書き方をしているということもぜひ御注目いただきたいと思います。かつ、今回の法案の冒頭における提案理由説明の中でもこれについては触れておらず、「以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。」と。余り所要であると思えないんですが、要するに、見逃してしまうようなところに重要な規定を盛り込ませてあるわけでございますが、では、この地域自主戦略交付金がそれほど本当に評判が悪かったのかどうかを、ちょっと確認させていただきたいと思います。

 まず、この一括交付金について、平成二十四年八月から九月にかけて、この対象となっていた沖縄を除く都道府県と、沖縄はちょっと別なルールがあるので、政令指定都市六十六団体全てから回答があったアンケートがございます。

 このアンケートにおいては、一括交付金によって地方公共団体の自由裁量は拡大したかどうかという質問に対して、拡大した、「大きく拡大した」と「ある程度拡大した」を合わせると六七%、「拡大しなかった」と答えたのは一五%であります。その「拡大しなかった」と答えた団体についても、総額をもっと欲しかっただとか、あるいは、もっとやるべきだった、自由度を拡大すべきだったとか、むしろ、一括交付金が導入される前の補助金や交付金の方がよかったというような形での回答はないわけであります。

 さらに言うと、この一括交付金の取り組みを評価しますかという質問に対しては、「大いに評価」と「ある程度評価」、この二つを合わせると七九%の団体が評価しているわけでありまして、「あまり評価しない」一四%、「全く評価しない」二%とありますけれども、この評価しないという方も、もっとやれるようにすべきではないかというような意味で評価しないという趣旨になっているわけでございます。

 これについては山本大臣の御担当ではないので、政務官にきょうお越しいただいておりますけれども、この都道府県、政令市の今のアンケートの評価についての所見をお述べいただきたいと思います。

伊藤大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 平成二十四年の十一月に知事会からまず意見が出された以降において、地域自主戦略交付金、一括交付金につきまして、地方から明示的に廃止すべきという意見が出されてはおりません。おりませんけれども、二十五年の一月八日、地方六団体から、平成二十五年度予算に係る要請といたしまして、この「地域自主戦略交付金の見直しについては、地域経済に悪影響を与えることのないよう事業の継続性に配慮するとともに、地方の意見を十分反映するものとしていただきたい。」ということで、一括交付金の見直しを前提とした御意見をいただいたと承知をいたしております。

 ちなみに、ただいま委員の御指摘のございましたアンケート調査につきましては、委員おっしゃったとおり、平成二十四年八月から九月にかけて、二十五年度予算編成に向けた作業の一環といたしまして内閣府が地方団体に対して行ったものでございまして、地方から本交付金の取り組みについて評価があったと私どもも承知をいたしております。

 ただ、その一方で、対象事業が従来の補助金に限定されていることや、事業執行に当たっての手続や期間などの運用改善が必要といった指摘もされていたと承知をいたしております。

 以上でございます。

後藤(祐)委員 もっとやれという意味での改善提案はいいと思うんです。つまり、比較すべきは、一括交付金が導入される前の補助金、交付金の体制と一括交付金が導入された後と比べてどうかという話だと思うんです。

 しかも、この一括交付金は、不十分ながら、既存の補助金、交付金に移しかえて施行する形になっていて、ただ、補助金、交付金のどれにどれだけのお金を割り振るかというところの自由度が各自治体にあるわけですけれども、そういう意味においては、ここを聞きたいんですけれども、一括交付金になる前の状態と、なった後の状態で、地方の自主性がむしろ狭まった部分というのはあるんでしょうか。

伊藤大臣政務官 まず、いわゆる一括交付金につきましては、内閣府への計画の提出でございますとか各省庁への予算の移しかえ、あるいは省庁を超えた事業選択が可能な、この制度の根幹にかかわる仕組みでございまして、制度を維持した上で、皆さんが御指摘をいただいたところによりますと、これまでに地方から指摘された課題に対応することは困難であったということで、閣議決定によりまして、地域自主戦略交付金については平成二十五年度の予算において全て廃止をさせていただきまして、各省庁の交付金等に移行をさせていただいたところでございます。

 私どもといたしましては、確かに、地方に使い勝手のいい制度設計をしてみようということでございましたけれども、移しかえ等、いろいろなことを考えてみますと、やはりそれぞれの府省の持っております交付金に戻して、さらに、いただきましたいろいろな期待でございますとか、あるいは修正点を加味いたしまして、さらに使い勝手のいいものにしてまいりたいというふうに考えた結果、そのようにさせていただいたところでございます。

後藤(祐)委員 今の答弁ですと、既存の交付金、補助金の方が自由度が高い部分はないというふうにしか受け取れないわけですけれども、実際、農業土木関係の補助金が我が政権のときに随分削減されて、既存事業などもあったものですから、その分を何とか埋めたいということで、この一括交付金でかなり農業土木のところをうまく使ったりですとか、そういったところでは、それがいいかどうか、価値判断はもちろんあると思いますが、地方の自主性という意味では少なくとも評価されていたと思うんです。

 それに対して、この前の自民党の選挙公約にこう書いてあるんですね。「使い勝手が悪く、地方自治体からの評判も悪い「地域自主戦略交付金」(一括交付金)は廃止し、各府省に戻した上で大型の地域振興事業を継続できる交付金事業に充てます。」と書いてあるんですが、評判が悪いと判断できる根拠を政府としてお示ししていただけますか。

伊藤大臣政務官 まず、選挙公約に出ておりました文言でございますので、それはそれとして、内閣府への計画の提出や各省庁への予算の移しかえというところが、非常にやはりこれはやりにくいところだったなと。それを声として承った上で、さらにやりやすくしていくにはどうしたらいいかということを私どもは考えたわけでございます。

 ですから、例えば廃止をした農業土木に係るお金について、でもやはり必要なんだ、これなんかはやはりおかしな話だと私は思うわけでございます。ですから、やはりあるべきところできちっとやっていこうと。

 ただ、今までと同様のことをしてはならないなということは、私どもも反省をした上でやっていかなければならない、こう考えているわけでございます。

後藤(祐)委員 それはそれとしてということらしいので、公約というのはその程度のものなのかなと思うんですが。

 もう少し真面目な話をすると、この一括交付金を導入するときに、国と地方の協議会における議論ですとか、非常に意見を聞きながらつくってきたという経緯があるんです。もしこれを廃止するのであれば、廃止してよろしいでしょうかということで、国から都道府県、政令市に対して御意見を伺うですとか、そういった手続を経た上でやるべきだと思うんですね。そのような公式な手続は行っていらっしゃいますか。

伊藤大臣政務官 確かに、公式的な意見のヒアリングということはなしてはおりませんが、しかし、さまざまな形で地方のヒアリングをさせていただきまして、そして意見集約をした結果、こうしたことを進めさせていただいておるわけでございます。

 ちなみに、一括交付金を廃止する一方で、当該交付金を移行した各省において、事業別に細分化されていた整備計画をより大きな政策目的にまとめるなど、運用の改善に努めさせていただいていると同時に、もちろん、当時、県から政令市で、中核市に延ばしていって、さらには全国に延ばしていこうという途中だったということは承知をいたしておりますけれども、しかし、それにしても、今現行においては広く一般の市町村にまで及ぶ形にすることができたわけでございますので、こうした形で実際に実行していく形にしたわけでございます。

後藤(祐)委員 やはり制度をつくるときに、地方と国との関係においてとった手続とほぼ同等の丁寧さを持ってやるべきだということを改めて御指摘しておきたいと思います。

 山本大臣に伺いますが、今回のこの法案とこの一括交付金の話は全く関係ないと思うんです。関係ありますか。

山本国務大臣 本法案は、我が国の科学技術イノベーション政策の司令塔である総合科学技術会議の機能強化を図るものでありますが、地域自主戦略交付金の根拠規定の整理も織り込んでいるというふうに理解しています。

 地域自主戦略交付金については、日本経済再生に向けた緊急経済対策、平成二十五年一月十一日の閣議決定によって、平成二十五年度に廃止することが決定されたために、それを根拠に実施する事務が存在しなくなったところであり、今般の内閣府設置法の改正において、当該規定、第四条第三項第七号の整理を行うものだというふうに理解をしております。

後藤(祐)委員 そんなへ理屈を言っていただかなくてもいいんですが、予算として幾らにするかという価値判断は、内閣としてされたらいいと思うんです。

 ですが、法律で規定されていることをその都度変えるとしたならば、政権というのは、長い目で見れば、どこかでかわることもあり得るわけです。そのときに、予算のありようによってその都度設置法を改正するんですか。つまり、現行の各府省の設置法の中で規定されている各項号は、全て具体的な実務が伴っていなきゃいけないんですか。そんなことはないと思うんです。

 つまり、今回の廃止をしなくても、予算としてゼロにすることは可能なはずなんです。可能ですか。

伊藤大臣政務官 おっしゃったことにつきましては、可能は可能でございますけれども、ただ、存在しない所管事務について根拠条項を削ることは私どもは適切であると考えておりますし、それから、事務が存在しないにもかかわらず所管事務規定が残っていることというのは、少なくとも、内閣府の所管事務を定めている内閣府設置法第四条においては、そのようなものは一つもないということを私どもは承知をいたしております。

後藤(祐)委員 このように、一括交付金に対する都道府県、政令市の評価はある程度高いものがあったということ、そして、自由度は、どう考えてもそちらの方が広かったということ、そして、これを廃止する手続において、設置するときに比べると、非常にずさんな形でしか行っていないということ、これらを見ても、この部分については、七号の削除については理由がないものと考えます。

 我々は、この削除部分を残す形での修正案を提案したいと思いますが、ぜひ各党の皆様方、覚えておいていただきたいんですが、この内閣府設置法、すなわち、一括交付金を設置するときの内閣府設置法改正案は、賛成した党派を申し上げますと、我々民主党とみんなの党と公明党は賛成しておられます、社民党は賛成しておられます、あと、国民新党も賛成しておられます。反対したのは自民党と共産党です。

 つまり、この事実もぜひちょっとお考えいただきたいというふうに思いますので、これから、こういった火事場泥棒的に、ついでにやってしまえという法改正はぜひ慎んでいただきたいということを申し上げて、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 山本大臣に、総合科学技術会議の今回の司令塔機能強化についてお伺いをいたします。

 八問、九問ほど質問通告をさせていただいておりますが、あらかじめ申し上げますと、最初に、多分、問い三になっていると思いますが、所掌の話を少しさせていただいた上で、体制について見ていきたいと思います。

 今回、新しい法律案によって、総合科学技術会議の仕事が三点、四点ふえている形になっておりますが、私が知る限り、今回、文科省から移されるとなっている仕事のうち、二点、科学技術基本計画の策定及び推進に関すること、それからもう一つ、科学技術に関する関係行政機関の経費の見積もりの方針の調整に関すること、この二点は既に総合科学技術会議が今もやっていると思うんですが、いかがですか。

山本国務大臣 今もやっているという表現が正しいかどうかわかりませんが、既に総合科学技術会議が深く関与していることは事実でございます。

津村委員 そうした中で、今回新しく総合科学技術会議に付与される仕事というのは残りの二つだけ、その残りの二つも非常に表現が似ているんですけれども、研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の促進を図るための環境の総合的な整備に関する事項の企画立案及び総合調整に関することというのと、ほぼ同じ文言の、施策の推進に関することというこの二点だけなんですが、これは具体的には何を意味するんですか。

山本国務大臣 これはもう津村委員は一番御存じだと思うんですけれども、やはりイノベーションというコンセプトをきちっと新しい総合科学技術会議の業務として位置づけるという意味は非常に大きいというふうに思います。

 科学技術政策はいろいろ範囲が広いわけですけれども、イノベーションはさらに、例えば規制改革とか税制とか補助金とか、いろいろなものを含んだコンセプトでございまして、こういうことを総合科学技術会議のコンセプトとしてしっかりと位置づけるということは、昨年まとめた科学技術イノベーション総合戦略の中でももちろんしっかりと書かせていただきましたが、全体を俯瞰した科学技術イノベーション戦略をしっかりと総合科学技術会議が発案をし、主導ができるということなんだと思います。

 もう一つは、これも委員よく御存じだと思うんですが、津村委員は、民主党政権時代に総合科学技術会議機能強化のために大変御尽力をされて、特に科学技術イノベーション政策については、まさに中心になって進めておられた方なのでよく御存じだと思いますが、総合科学技術会議の機能強化をするためには幾つか方法があって、一つは、予算。科学技術予算全般について、この予算政策決定プロセスにどうやって影響を与えるか。これはアクションプランを進化させていくということでありますが、もう一つは、やはり内閣府がきちっと目ききができる、総合科学技術会議が目ききをして、戦略的に科学技術イノベーションに振り分けられるお金というものを持つということだというふうに思っておりまして、今おっしゃった施策の推進の方で、このSIPの予算が、四%ずつ各省から科振費を集めて内閣府に予算として計上される、このことの根拠になっているということだというふうに考えております。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

津村委員 端的に言いますと、総合科学技術会議の仕事、機能はこれでふえるということですか。

山本国務大臣 ふえるという表現が正しいかどうかわかりませんが、科学技術イノベーション、特にイノベーション政策については、各省に対して、総合科学技術会議のさまざまな提案を受け入れていただけるように促せる、そういう一つの基盤になっていくのではないかというふうに考えています。

津村委員 先ほど御紹介いただきましたように、私、総合科学技術会議の司令塔機能を強化していくという方向で、与党時代も野党になってからも思いは同じでございますけれども、今回、同じ方向を向いた法案ですから、できるだけ応援させていただきたいと思う反面、このような形で中途半端なことをしていただくと、逆に、もう司令塔機能は強化されたということになってしまって、本来あるべき姿にかえって遠回りになるんじゃないかということを心配しています。

 イノベーションというのは、もともとの議論、私の理解では、科学技術・イノベーション、イノベーションをプラスしたのは、衆議院の特別委員会も設置しました、科学技術・イノベーション特別委員会。このイノベーションで読まれているのは、知財であり、ITであり、場合によっては宇宙、海洋、こういったものがその特別委員会に付与されていて、内閣委員会から切り離されているはずです。

 そういったものを、科学技術じゃない、知財、IT、海洋、宇宙を読み込むために中ポツイノベーションという言葉を使っていたはずなんですが、今回の中ポツイノベーションというのはそれを全部入れていないわけですよね。そういうものをつくってしまったら、今後、知財、ITというものを統合していくのには逆方向になってしまうと思うんですが、いかがですか。

山本国務大臣 今、津村委員がおっしゃった総合科学技術会議の司令塔機能強化、中途半端な形だと、これで機能強化が終わったというふうにとられてしまいかねないというお話はしっかり受けとめておきたいと思いますが、これは司令塔強化のための第一歩であって、もちろん完成形ではないと思っています。例えばアクションプランのようなものを進化させてきましたけれども、さらにこれを予算に反映させていくためにはどうしたらいいかという知恵はこれからもしっかり絞っていかなければいけないというふうに思っています。

 おっしゃったイノベーションの話ですけれども、司令塔連携については、司令塔連携・調整会議というものも設けて、今、各司令塔本部の連携調整をいろいろとやっておりますが、総合科学技術会議、それから知財、IT、これはそれぞれ違う法律でそれぞれの本部機能を果たしているということなので、なかなか簡単にこれを一つにするということは難しい面があるというふうに思いますし、そこは大議論になっちゃうと思うんですが、総合科学技術会議が果たして全ての司令塔を俯瞰できるのかどうか、そこには安全保障等々のいろいろな要素もありますので、それも含めて、司令塔連携会議の方で、いかなる体制をつくっていったらいいのかということを議論していきたいというふうに考えております。

津村委員 先ほど、たしか近藤委員もその議論をされていたと思うんですけれども、本部をたくさんつくると、総理大臣が全ての本部にちょっとずつ出席をされる、非常に細切れになって、かつ、場合によっては総理の時間がなかなかとれないということになって、結果的に非常にうまく回らないといいますか、まあ大臣がやればいいじゃないかというお話をされていましたけれども。

 もう少し重複を省いて、実際にうまく回る形を、一つの大きなイノベーション会議をつくって、その下に分科会で科学技術とITと知財をやって、それは大臣が見ればいいわけですから、総理出席の会議はできるだけ簡素化して、そのかわり、長い時間、腰を据えて議論していただくというのがあるべき姿だと私は思います。完成形ではない、第一歩ということですから、思いは同じだと思っております。

 次に、具体的な体制の話をさせていただくのですが、今回、中ポツイノベーションというのを入れて、科学技術からさらにイノベーションに向けて総合科学技術会議の機能を強化しようということですけれども、実は有識者議員の数は減っているわけです。八人というのは同じですけれども、最大四人まで常勤議員を任命できる。民主党政権のときには四人の時期が長かったと記憶していますけれども、現在は二人だけ。その一方で、先ほどおっしゃったような、戦略的イノベーション創造プログラムのような新しい試みもされています。新しい試みをされるのは結構なんですが、なぜ常勤議員を二名に絞ってしまっているんですか。

山本国務大臣 今、津村委員がおっしゃったように、内閣府設置法においては、有識者議員は非常勤とする、ただし、最大四名まで常勤とすることができるということが書かれております。これは、総合科学技術会議の企画立案機能を強化するために、有識者議員が科学技術に関するアドバイザーとして、恒常的に、大臣である私とか事務局と連携をとりつつ、議論、検討できる体制を構築する必要があるためでございます。

 しかしながら、これも委員よく御存じだと思うんですが、議員の候補となるべき、科学技術イノベーションに対して高い識見、経験を持つ有識者は、同時に、学界そして産業界のリーダー的な存在でもありまして、そうした職を辞して、重責から一旦離れて常勤議員となることを引き受けていただくということは、まず一つ、必ずしも容易でないというのが実情でございます。

 いずれにせよ、有識者議員には毎週の会議にお集まりをいただいて、私も今出席しておりますが、二名の常勤議員を中心として有識者議員全員で活発に議論を行っているところでありまして、現在の布陣で新たな業務についても強力に推進できるのではないかというふうに考えております。

津村委員 後で触れさせていただきますけれども、カーネギー会合を含め、海外で発信をしていただくというのも常勤議員の大事な仕事でありまして、非常勤の方に海外に行ってしっかり日本をアピールするというのは多分できないと思うんですよね。そうした中で、常勤が二人しかいなければ、一人の方が海外に行ったら一人しか残らないわけですし、これは日本の科学技術政策を海外に発信するという意味で非常に力をそいでいると思います。

 もちろん、立派な方をリクルートするのはなかなか大変だというのはおっしゃるとおりだと思いますが、それは大臣のお仕事です。大臣はたくさんの方にお会いになっていると思いますから、ぜひ日本の科学技術政策の推進に力をかしてくださいということで、いろいろな方を口説かないと。これは大臣の大事なお仕事だと思いますよ。ぜひ、今の二名じゃなくて、しっかりと、三人、四人と、力のある方をリクルートしていただきたいと思います。

 もう一問、関連して伺いますが、海外に比べて有識者議員の任期が短いのではないかという問題意識です。有識者議員、今二年だったものを今回三年に延長されるということですが、三年でも短いと思います。

 例えば、海外で力のある科学技術政策を推進されている国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、幾つかございますけれども、科学技術顧問を置いている国、大臣級といいますか、置いている国、例えばアメリカですと、この直近二代の科学技術顧問、二〇〇一年から二〇〇九年までは、八年間、マーバーガーさんという方がされて、二〇〇九年からはホルドレンさん、多分何度もお会いになっていると思いますが、もう五年間、同じ任にあられます。

 また、イギリスにおきましても、前々任のキングさんという方は八年、前任のベディントンさんは四年。この方は、日本の科学技術政策に大変理解のある方で、東日本大震災の直後に日本に来られて、その放射能の影響について非常に冷静な発信を海外にしていただいた、日本にとっても大変恩のある方でありますけれども、この方も四年されています。

 日本の有識者は、大臣も毎年かわってきましたし、この有識者議員の中で主席というのがいないフラットな形になって、しかも今二人しかいない。この方たちが二年、三年でかわっていくというのは、非常に、海外への発信、あるいは日本の科学技術政策の安定性という意味において期間が短過ぎると思うんですが、なぜ三年にされたんですか。四年、五年にしなかったのはなぜですか。

山本国務大臣 これも委員御存じだと思いますが、従来、総合科学技術会議の有識者議員の任期は二年とされておりました。しかしながら、科学技術政策の企画、実行、評価のサイクルを考えると、これらに要する期間に比べて二年の任期は短い。さらには、常勤議員を確保するという観点でいうと、二年よりも長期が望ましいという問題がありました。

 このため、同意人事機関である審議会等の委員の任期が大半は三年だということも踏まえて、本法案において、有識者議員の任期を二年から三年に延長することといたしました。

 先ほど委員の方から御指摘がありましたが、海外の科学顧問の任期、こうしたことを見ると、確かに、英国でも五年の方がいる、米国でも四年前後が多くて八年の方もいる、こういう状況はあると思いますが、総合科学技術・イノベーション会議の議員は、法律上、有識者議員の再任は可能であり、必要があれば三年を超えて議員を務めることも可能だという点はあると思います。これまでも、再任を経て六年間在任した議員もおります。

 本法案においては、今申し上げた理由から、過去の立法例等も踏まえて、三年の任期というふうにさせていただきました。

津村委員 関連いたしまして、科学技術顧問の設置について伺わせていただきます。

 この司令塔機能強化の議論は民主党政権期からずっと続いているわけですけれども、一昨年まとまった研究会の報告では、科学技術顧問の設置ということがたしか答申されていたと思うんですが、自民党案になってからこれが落ちました。なぜ科学技術顧問を設置しないんですか。

山本国務大臣 今御指摘のあった科学技術顧問の件ですけれども、総理大臣等に対して助言等を行う科学技術顧問の設置、科学技術顧問というのは仮称ですが、この設置については、官邸のリーダーシップの発揮等の観点から、各方面から提言があるということは承知をしております。

 他方、科学技術顧問の必要性については、総合科学技術会議あるいは産業競争力会議における議論において、総合科学技術会議との二元化の問題とか、あるいは科学技術政策担当大臣との役割分担の問題とか、あるいは顧問のためにスタッフをさらに置くことの問題とか、科学技術顧問が担うべき高度な職務に対応できる人材の選定に関する問題とか、こういうことを指摘する慎重な意見もありました。

 こうした状況を踏まえて、本法案においては、喫緊の課題である日本経済の再生のために、我が国の科学技術イノベーション政策の司令塔である総合科学技術会議の機能強化を目的とするところ、科学技術顧問に関して関連する規定を設けないことにいたしました。

 本案が成立すると、総合科学技術会議の司令塔機能強化の基本的な枠組み、これはもちろん完成形ではないと私は思っていますが、この基本的な枠組みが定まるというふうになっておりまして、今後、顧問を置くべきだとする意見とか、問題点、新たな枠組みを踏まえた上で、改めてよく精査をして、総合科学技術・イノベーション会議の有識者議員の御意見も伺いながら、我が国における適切な助言の体制について検討してまいりたいと考えております。

津村委員 山本大臣は、司令塔の連絡調整会議であるとか、これまで、法律を変えなくてもできる運用面で大変熱心にいろいろな工夫をされてきたと思っていますし、私が大臣のお仕事を大変すばらしいと思っているということはきのうの本会議でも述べさせていただきましたし、大臣にはよく伝わっていると思うんですが、やはり、今みたいな、できない理由をずらずらっと並べておっしゃられるのは非常に残念です。

 私は、大臣をもっとサポートするスタッフをつけるべきだという意味で、まず、有識者議員の数がもっと任命できるわけですし、また科学技術顧問というものをつくれば、大臣もいろいろなお仕事、いろいろな司令塔を抱えていらっしゃるわけですから、科学技術の部分でかなりサポートが強化されるんじゃないかと思っているんです。

 カーネギーグループ会合、先ほど触れさせていただきましたが、海外での、G8や、あるいは中国、EU、約十数カ国の科学技術政策の実質的なリーダーが年に一、二度集まる会合がありますが、大臣は出席されたことがありますか。

山本国務大臣 カーネギー会合には出席したことはございません。

津村委員 カーネギー会合の主要国の出席者というのは、基本的には大臣か科学技術顧問なんです。日本には科学技術顧問がいないんです。ですから、大臣が出るべきなんです。

 今、有識者の中の原山さん、以前は相澤さんが出ていらっしゃいましたけれども、彼らは別に有識者の責任者ということにはなっていないはずです。

 なぜ大臣が出ないんですか。

山本国務大臣 カーネギーグループ会合ですけれども、今委員がおっしゃったとおり、各国の科学技術担当閣僚、科学技術顧問等が集って、その時々の課題等について、これは非公式に意見交換を行う場として、一九九一年から開催されているというふうに理解をしております。

 本会合は、シニアな科学者であるということを前提に、個人的な見解を共有し合う非公式な場としてスタートしたものであるので、これまで日本から同会合には、原則として総合科学技術会議の常勤の有識者議員、またはこれに相当する者が今委員がおっしゃったように出席しているものというふうに承知をしております。

 去年、アメリカでやったときは、今おっしゃったように原山議員に出ていただいたというふうに記憶をしております。

 一方、各国の科学技術政策担当閣僚、科学技術顧問等と意見交換を行うということは、今委員もおっしゃったように非常に大事だというふうに考えておりまして、今後ともさまざまな機会を捉えて、我が国の科学技術政策の発信、世界の科学技術動向の把握及び各国との協力関係の強化に努めてまいりたいと考えております。

 ことし開催される同会合、これはイギリスだったと思いますが、たしか五月末あたりを予定というふうにも聞いておりますけれども、この出席については、これまでの経緯、国会等の諸日程、会合における具体的な議題等、今委員の御意見もありましたが、こういうものを考慮して検討させていただきたいというふうに思います。

津村委員 最後のお話、非常にいいお話だと思います。先ほどはちょっと責め立てるような言い方をしましたけれども、私はぜひ大臣に出ていただきたいんです。

 これは実は私が政務官のときも、大臣ないし私も含めて、当時、政治主導と強く言っておりましたから、誰か出なきゃいけないんじゃないか、出ようかという話もあったんですが、なかなか、確かに国会日程ということもありましたし、言葉の壁等も正直なところあったと思っています。

 大臣は非常に英語を流暢にお話しになられますし、もう一年以上、原山さんよりも早くから科学技術政策に携わっていらっしゃるわけですから、やはりしっかりと発信をしていただきたいと思いますし、秋のSTSフォーラムで各国の大臣に来ていただいて、ホスト役をされているわけですけれども、やはりああやって重要な会合を日本でも主催している。科学技術の世界で日本というのは非常にやはり注目されている、影響力のある国ですから、その大臣がこのカーネギーグループ会合に毎回出席されて、やはり日本は欠かせない存在だよねというプレゼンスを持たれることが、日本の科学技術政策を今後推進していく上で非常に重要だと思いますので、ぜひその五月下旬のイギリスでの会合、大臣に御出席いただきたいと思います。

 時間が限られておりますので、少し質問を飛ばさせていただきます。

 大臣は、新しい工夫の一つとして、科学技術フェロー、これを四月から導入しようとされています。今まで日本の科学者の方々の中では、やはり科学技術政策、こういう制度のものに若いうちにかかわるというのは、どっちかというとちょっと亜流といいますか、研究でなかなか成果が上がらないからこっちでちょっと別のことをやるみたいな、少し下に見られるような、そういう風潮があったのではないかと思っております。

 これから国力を挙げて科学技術政策というものを前進させていくためには、研究室の中に閉じこもって研究をされる方も必要ですが、やはり社会と科学技術のかかわりみたいなことを若いうちから意識して政策づくりにかかわる方、こういう方も必要なんだろう。そういう意味で、今回、大臣が、最大十名、科学技術フェローというのを任用していこうと。すばらしいことだと思っております。

 ただ、率直に言いまして、やはり制度をつくるこの四月のタイミングではすばらしい制度だということであっても、任期一年、二年といううちに、例えば大臣がかわられるとか、いろいろと政治リスクをこの新しく任用される方々に負わせるわけにいかない。彼らが一年、二年、科学技術フェローとして総合科学技術会議に貢献をしていただいた後、彼らのキャリアにとってそのことが必ずプラスになるような、そういう人事上のといいますか、人事評価に反映される仕組みというのを同時につくらないと、いい方が採れないと思うんですが、今どういう工夫を考えていらっしゃいますか。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

山本国務大臣 科学技術政策フェロー制度については、津村委員も以前からこれを活用するべきだというふうにおっしゃっていただいていまして、その問題意識は同じだというふうに思います。

 この制度は、昨年六月に閣議決定された科学技術イノベーション総合戦略において、事務局体制の強化の一環として導入の検討を求められたものです。平成二十六年度予算に所要の経費が計上されて、今、運用開始に向けた制度設計の検討を行っております。

 具体的には、研究者等が行政機関において業務に参画できる制度である科学技術政策フェローの就任期間及び勤務日数などの弾力的な運用、あるいは、出向元に求める人事評価方法等のあり方の詳細等について、今まさに検討を行っているところでございます。

 いずれにせよ、科学技術政策フェロー制度が、現場の専門的知見や政策分析能力を政策立案過程において積極的に活用する仕組みとして定着できるように、しっかり制度設計を行い、できるだけ速やかに運用開始ができるよう取り組んでまいりたいと思います。

 政策フェローに若手をもうちょっと起用しようというのは、これは京都で若い研究者の方々と意見交換を持ったとき、そのうちの一人は津村先生のお友達だったわけなんですけれども、実は、この方々との意見交換で始まったことなので、少し若い研究者にもこういう経験をしてもらえるような枠組みをしっかりつくってまいりたいと思います。

津村委員 これは制度をきちんとつくらないと、やはり大臣とか政権というのはどうしてもかわっていく部分がありますので、先ほど総合科学技術会議の法律を変えることの意味にこだわったのもまさにその部分でありまして、ぜひ大事な第一歩を大胆に、きちんと前に進めていただきたいと思います。

 もう一つ、大臣が工夫されているそこの司令塔機能、今、大臣、五つ御担当だと思うんですけれども、残念ながらなぜか御担当にならない今回の健康・医療も含めて、六つの司令塔連携・調整会議を開催されていると思います。これも法律に基づかない運用面での工夫ですから、ぜひそういうものを制度化されないと、次の大臣がこれをやめてしまう可能性がありますので、非常に不安定だと私は思うんですが、そのことも含めて問題意識として申し上げますと、まず、この六つの司令塔というのは、もともと横串を刺すためにつくっているにもかかわらず、全て、言ってしまえば硬直的な人事配置で、ある種、各府省の出先みたいになってしまっている一面があるのではないかと思っています。

 具体的に申し上げますと、科学技術セクションの政策統括官は、これまで歴代七人いらっしゃいますけれども、全員文科省の御出身で、三人審議官がついていますが、文科、経産、民間で指定席になっています。知財についても、これまで五人の事務局長がいらっしゃいますが、一人文科の方がいて、あと残り四人は皆さん経産の方。あるいは海洋ですと、四人の歴代事務局長、全員国交省です。あるいはIT室は、歴代室長は全員財務省のOB。この下にいらっしゃる参事官は、お二人いらっしゃると思いますけれども、ずっと総務と経産だと思います。

 こういう硬直的な人事がなされていること自体、今議論になっている内閣府の機能強化、内閣府の機能見直しというところで、ぜひ見直すべきポイントだと思いますけれども、大臣はお考えございますか。

山本国務大臣 今、津村委員のおっしゃったことは非常に大事だと思っていまして、実は、司令塔連携・調整会議に、新たに内閣府参与としてお願いをした東京大学の城山教授にも前々回から参加をいただいていまして、この人事のことについてもしっかりやはりデータを調べようということになっていまして、津村委員から御質問があったので、これを先にチェックすることができてよかったと思っていますけれども、硬直的な人事配置にならないようにいろいろと工夫をしてまいりたいと思います。

 ただ、私が一年数カ月、内閣府で大臣として務めた経験からいいますと、少なくとも、総合科学技術会議を含めたほかの司令塔も、内閣府に来た方々は、もちろん、例えば母体の省庁があったとしても、内閣府のスタッフとしてきちっと司令塔機能を発揮しようという意識で頑張っている方々が非常に多いということは感じております。

津村委員 私もお一人お一人は皆さん立派な方だと思っていまして、個人的にどなたかがだめだとかいうことは全然思っていないんですけれども、やはり制度をきちっと設計して運用するのが大臣のお仕事です。

 今回、公務員制度改革ということもあって、幹部人事については、恐らく大臣の関与はより深くコミットできるはずです。先ほど申し上げたポストというのは非常に硬直的になっていまして、やはりここを変えていくことが強いメッセージになる、そう考えるわけですけれども、ぜひ次の人事で大臣が主導権を発揮していただきたいと思います。いかがですか。

山本国務大臣 ちょっと人事のことについては、今軽々にここでどうするということは言えないんですけれども、実は、総合科学技術会議も含めた、特に知財、IT等々については、新しいビルになるときにしっかり、今幾つかの本部はかなり離れたところにあるので、これをまとめた方がいいと津村委員からアドバイスをいただきましたので、同じビルにならなくても、知財とIT、総科はできるだけ近いところに持ってこようと思って、今大臣として一生懸命頑張っておりますので。

 人事どうのこうのということではありませんが、硬直的な仕組みにならない検討はしっかりやってまいりたいと思いますし、私なりに対応してまいりたいと思います。

 最後に一つだけ申し上げますが、津村委員からいろいろ御指摘のあった総合科学技術会議の有識者議員の増員とか、あるいは科学技術顧問の話、津村委員からのお話だったので、私も相当真剣に検討させていただきました。

 人をふやすというのは大事なんですけれども、今、毎週の有識者議員との懇談会にはほとんど出て徹底的に議論している中で、やはり総合科学技術会議全体として、余りにも人数が多くなってしまうと、まず発言の機会もなかったりするということもあって、私、今この一年数カ月やっている中でいうと、今の人数、よくまた検討させていただきますが、不足だとは思っていないというのと、科学技術顧問の話も、津村委員のお話を聞いて相当真剣にやったんですが、一年数カ月やってみて、やはりいろいろ検討しないと、単に科学技術顧問を置いても、それが機能しないというのは非常に不幸な話なので、私との重複の問題とか、果たして歴代の総理が本当に信頼できる科学技術顧問というものをずっと任命し続けられるかとか、そういうところまでよく考えないといけないという意味であって、決してそういった提案を軽んじているわけではないということは申し上げておきたいと思います。

柴山委員長 津村君、質疑時間が終了いたしました。

津村委員 はい。

 この一年余りの期間の間に、私は山本大臣に四つほど提言、提案をさせていただきました。

 一つは、八号館ができることをぜひ活用すべきだ。これは、八号館と隣の本府をあわせて、知財、ITの方にも聞きましたけれども、どうやらかなり集約が進むということで、大臣が実現していただいていることを大変すばらしいことだと思っております。きょう、それに加えて三つのことを申し上げました。カーネギー会合にぜひ出ていただきたいということが一点。そしてもう一つは、科学技術顧問は法律事項ですから、それは簡単にできないと思いますけれども、現に任命することができる有識者議員、常勤議員、あと二人はぜひ任命していただきたい、探していただきたいということが一つ。そして最後に四点目は、公務員制度改革あるいは内閣府の機能見直し、強化という趣旨を考えれば、この夏の人事で、先ほどの事務局長クラスを、府省入れかえということをぜひやっていただきたいと思います。

 これは、大臣が頑張っていただくための私の提案でございます。

 以上、終わります。

柴山委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会、伊東信久です。

 山本大臣には、科学技術・イノベーション推進委員会でもお世話になっております。

 本日用意させていただいた資料は、STAP細胞に関する資料、理化学研究所に関する資料です。このことに関しては後半に御質問させていただくわけですけれども、一応、テーマとしましては、オール・ジャパンで頑張ろう、だからこそ個人攻撃はしないでおこうというのがテーマでございますので、後ほどよろしくお願いいたします。

 さて、言うまでもなく、安倍政権の成長戦略である日本再興戦略において、この科学技術イノベーションというのは大事な大事な柱の一つだと思います。この科学技術によるイノベーション創出が日本経済を活性化させ、そして持続的発展に寄与できるように、今回の総合科学技術会議という重要性を私自身も期待もしていますし、国民の皆さんも期待しておると思います。本案の質疑に立たせていただくことには、私、議員としても、医療従事者としても、科学者の一人としても、ありがたく思っています。

 さて、日本では、総理が議長を務める総合科学技術会議でございまして、基本政策も関係予算も、研究内容の評価、さまざまな権限を持っておられるわけなんですけれども、アメリカにおいては、この科学技術政策の司令塔の機能というのはどのような組織になっておられるのか、教えていただけますか。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 米国におきましては、大統領府に科学技術政策局、OSTPという組織がございます。そこのヘッドは科学技術担当大統領補佐官でございます。そこが各省、科学技術政策はアメリカにおきましてもいろいろな省で担当しているわけでございまして、そこが大統領府の中にありまして全体の司令塔機能を果たしているというふうに認識しているところでございます。

伊東(信)委員 それでは、今回の本法案で言うところの科学技術イノベーション政策の司令塔としての新規の、独自のプログラムであるとか具体的なビジョンであるとか、そのための必要な組織編成を簡単に御説明いただけますか。

倉持政府参考人 安倍政権におきまして、まさに委員御指摘のとおり、科学技術イノベーションが成長戦略のかなめであるということから、司令塔機能を強化すべきだということでるる議論を重ねてまいりまして、その一環といたしまして、やはり各府省の横断的な施策、科学技術政策にとって今重要な課題は、研究開発の成果をいかにイノベーションにつなげていくかというところの課題でございまして、そこにはいろいろな省庁がやはり政策としてかんでくる、そこについての横串をいかに通すかというところが課題でございました。

 その面でのまさに内閣府、総合科学技術会議の機能を強化すべく、このたび戦略的イノベーション創造プログラムというものをつくるということになりまして、これはまさに、日本の成長戦略にとって重要な技術課題に早くその成果を実用化、事業化につなげるという観点で、府省横断的に進めるプログラム、そういったものを進めるというものでございますけれども、そのための予算を計上させていただいて、それに必要な今回の法改正をお願いしている、こういう状況にございます。

伊東(信)委員 経産委員会とかで茂木大臣に御質問すると、よく、基礎的研究から産業に至るまでは、いわゆる死の谷、デスバレーがあるというようなお話をされまして、先ほどの答弁でも、であるならば横串を通していこうというお話だと思うんですね。

 今回の戦略的イノベーション創造プログラム、SIPの中に、医療の方は別建てというような感じに見受けられるんですけれども、総合科学技術会議と健康・医療戦略推進本部との関係、もしくは、総合調整において、それぞれの権限とか役割は明確に分かれているのでしょうか。

山本国務大臣 総合科学技術会議は、科学技術イノベーション政策の全体の推進のための司令塔としての役割を果たすものでございます。一方、健康・医療推進本部は、医療分野の研究開発に関する総合調整を行うものです。

 具体的には、医療分野の研究開発に関しては健康・医療戦略推進本部が対応することになりますが、一方で、科学技術分野全般にわたる資源の配分の方針とか、研究開発の評価のあり方とか、研究人材に係る施策等の分野横断的な共通施策については総合科学技術会議が基本的な方針を定める、こういうことになっております。

 総合科学技術会議の司令塔機能の強化と医療分野の研究開発推進のための新たな体制の構築は、これはともに安倍内閣の主要政策となっておりまして、相互に緊密に連携協力しつつ、科学技術イノベーションの推進に取り組んでまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 特に医療の分野というのは、元来は国境がない、健康に関するのはやはりグローバルであるということだと思いまして、この新組織が将来の市場をにらんだ長期的戦略をやはり持つべきで、予算も長期的確保が重要だと思うんですね。どうしても予算というのは単年度予算になりますし、財務省との調整、役所縦割りということで、先ほどから横串の話、デスバレーの話をさせていただきますけれども、司令塔としてのあり方が問われるわけです。

 再三お話の中に出てきますけれども、誰がやはりオーガナイザーであるべきかということなんですね。ここはやはり、総合科学技術会議におきまして、山本大臣がそのリーダーシップをとっていただきたいと思うんですけれども、司令塔のあり方として、大臣のお考えを聞かせていただけたらと思います。

山本国務大臣 健康・医療戦略本部との関係は先ほど申し上げたとおりです。全体は総合科学技術会議が俯瞰をしていくということなんですけれども、特にライフサイエンスの分野においては、この新しい組織が一元的に実施をしていくということで、連携をしながら相乗効果を生んでいきたいというふうに思います。

 司令塔連携強化ということでいうと、先ほどもちょっと申し上げましたが、幾つか方法があるんですけれども、一つは、予算編成にいかに影響を与えていくか、政策決定プロセスにいかに影響を与えるかということで、アクションプランというのを総合科学技術会議でつくっているんですが、これを進化させていくということ。

 今、先ほどからお話が出ているSIP、戦略的イノベーション創造プログラム、五百億の枠を確保いたしました。これ、科学技術担当大臣として、ぜひ同程度の枠を確保していきたいと思いますけれども、例えば、五年確保できれば数千億のお金が科学技術イノベーションに使える。しかも、それを総合科学技術会議が中心となって目ききをしたプログラムにしっかりと、特に省庁連携、出口をにらんで配分できるということは非常に大きいと思いますし、これも近藤委員との質疑で出ましたけれども、ImPACT、こういう基金もしっかりと総合科学技術会議が見ていくということで、合わせわざで司令塔機能強化を果たしてまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 科学者としてはというか、研究する立場としては、予算をたくさんいただけるのはありがたいお話です。現在、私も、大阪大学の臨床医工学融合教育センターで招聘准教授をやっていまして、いわゆる研究予算というのはできるだけいただきたいなとは思っておるわけなんですけれども、政治の世界におきまして、合わせわざでどんどんそれが膨らむのも、皆様の税金から、国民の皆さんの税金からですので、きちっとした配分をしなければいけないわけですね。

 先ほど、科学技術イノベーション創造推進費として五百億円いただけるということで、私にいただけるわけじゃないですけれども、五百億円計上していただけるということですけれども、健康・医療分野にそのうち百七十五億円ということですね。仮称でありますけれども、日本医療研究開発機構、いわゆる日本版のNIHの予算の一千二百億円とのすみ分けというのはどのようになっておるのでしょうか。

山本国務大臣 SIP、戦略的イノベーション創造プログラムでは、実は四つの分野を対象とすることを決めました。エネルギー、次世代インフラ、地域資源、健康長寿、この五百億の中には、当然、健康・医療分野も含まれております。

 この当該分野への配分額については、総合科学技術会議が健康・医療戦略推進本部と協議をいたしまして、全体の三分の一を超える三五%、百七十五億円を配分するということを決めました。四分野ですから、割れば二五%なんですけれども、やはり、特に健康・医療分野が大事だということで三五%になったということでございます。

 健康・医療分野における具体的な研究開発については、これは健康・医療戦略推進本部が推進をする、こういうことになっております。

伊東(信)委員 ここにおきまして、予算配分というのがやはり大事なところになりまして、研究をする上で、研究の材料もお金がかかれば、いわゆる人件費にもお金がかかります。予算というのは、先ほど申し上げましたように、単年度で決まっていくわけですけれども、研究というのは決して単年度ではございません。

 私自身の大阪大学でも、私の母校であるところの神戸大学でも、京都大学でも、きのう東京女子医大の方を視察に行ったんですけれども、東京女子医大でも、FIRSTにおきましては非常に盛り上がっていたんですね。それがまた今度期限が切れていくとなると、やはり研究者としては、どしっと落ちついて研究ができないということなんですね。

 今、京都大学のCiRAの話、iPS細胞研究所の話をしましたけれども、やはり山中教授に代表される基礎研究レベルは非常にレベルが高いというか、日本では研究成果が出ているということなんです。

 ところが、これが企業などと連携し製品化するまでには非常に時間がかかっております。私は常々言うているんですけれども、シーズありき、研究分野ありきで今までは推し進められたんですけれども、これが成長戦略であるのならば、やはりニーズというのを考えなければいけないんですね。だから、シーズからニーズまでの連携が非常に大事で、効率化が必要だと思います。

 ゆえに、基礎研究、研究開発、産業化までの支援組織が望まれまして、それがハイウェイ構想であったりもするわけなんですけれども、この新組織では、どのようにして研究開発分野の牽引役として効果をもたらすのか、デスバレーを越えるには、ハイウェイ構想を具現化させるには、もしくは、このタイムラグをどのようにして解消するのか、教えていただければと思います。

菱山政府参考人 先生の御質問は、今度設立を考えている日本医療研究開発機構の件だと思います。日本医療研究開発機構におきましては、まず、健康・医療戦略推進本部が医療研究開発推進計画というのを作成いたします。それはまさに、どんな研究をどうやって進めていき、そして産業化あるいは実用化に向けていくのかといったことが書かれることになると思います。

 そして、では具体的にどういうふうに進めていくのかということでございますが、医療研究開発機構におきまして、プログラムディレクターを置きます。プログラムディレクターは、非常に、研究開発の御経験もあれば、そういった実用化まで目ききができる、見通せるという方にお願いしたいというふうに考えております。

 それからあと、ほかにも専門家の御評価も得ながら進めていくということを考えております。

 そして、今、先生御指摘のように、時間もお金もかかりますというのは認識しております。そして、企業にいかにその研究成果をつなげていくのかといったことが非常に大事でございますので、そういったプログラムディレクターあるいは知財の専門家、そういった方とも御相談しながら進めていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 きのうの通告の際に、日本版NIHのことを聞きたいということも通告させていただいたので、今お答えいただいたと思うんですけれども、本来、次回のために結構控えておこうと思っていたんですけれども、せっかくですから、やはり気になりますのでお聞きします。

 日本版NIHということで、日本版というのがつくわけなんですけれども、これはもう言うまでもなくアメリカのNIHからとっているわけなんですけれども、では、日本版NIHに比較して、アメリカのNIHというのはどのような組織なのか、ちょっと詳しく説明していただけますか。

菱山政府参考人 お答えいたします。

 アメリカのNIHでございますが、NIHは、研究領域ごとに分権されました二十七の独立した研究所がございます。その研究所がみずからの研究を進めるとともに、研究費を全米の医学研究の大学等の研究機関に配分しているというふうに認識しております。

 その予算につきまして、NIH全体の予算は、日本円にいたしまして約三兆円ぐらいだというふうに聞いておりまして、そのうち、一割強を二十七の研究所のみずからの研究開発、八割ぐらいを全米のさまざまな医療分野の研究の御支援に使われているというふうに聞いております。

 また、NIHは非常に活発、活動的でありまして、さまざまな医療分野の研究成果が出ているというふうに聞いております。

 ただ、なかなか、先生先ほど御指摘されましたように、やはり基礎研究を実用化に持っていくというのは非常にアメリカでも課題になっているというふうに聞いております。

 以上でございます。

伊東(信)委員 やはり、アメリカの規模を聞くと少し残念な思いもするわけで、三兆円であれば、なかなか日本というのは勝つのが難しいのではないかなと思ってしまうんですけれども、では、予算をふやしていけばいいかというとそうではなく、限られた予算をいかに効率よく使っていくかだと思うんですよね。その場面において、オーガナイザーの、先ほどから申し上げておりますように、司令塔の牽引役が必要になってきます。

 もちろん、プロジェクトのディレクターであったりプロジェクトのマネジャーであったり、細かくそれぞれの研究を見ていくわけですけれども、やはり一つの司令塔が大事になっていくわけです。

 基礎分野は、医療におきましては、やはりシーズの部分は文部科学省、それが産業化である経済産業省の所轄に分かれていくわけなんですけれども、これを臨床応用しようと思ったら厚労省があるわけなんですね。つまり、文科、厚労、経産省のいわゆる死の谷がございます。この場合、やはり予算を一元化しなければ、もしくは、新組織として調整能力というのが必要になってくると思います。

 この調整能力の強化、政策決定の効率化の具体策、もしくはそれぞれの、各省ありますけれども、この人員配置というのはどのようになっておるんでしょうか。

菱山政府参考人 まず、先生御指摘のとおり、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、それぞれが医療分野の研究開発を進めてきたところでございます。それを、今般、健康・医療戦略推進本部というのを設置させていただきまして、そこが強力な調整機能を発揮させていただきたいと思っております。特に、資源配分の調整権限もその本部で持ちまして、毎年の予算についてもしっかりとした方針を立て、それに沿って各省で予算要求をしていただくということを考えております。

 また、文科、厚労、経産のそれぞれの医療分野の研究開発の予算につきまして、特に配分する研究費でございますが、それについては医療研究開発機構にまとめまして、そこで、先生御指摘のデスバレー、死の谷が起きませんように、基礎から応用、実用化まで、切れ目ない研究の御支援をしていきたいというふうに考えております。

 それから、人員でございますが、まず、医療研究開発機構には、今、医療分野の研究開発の研究費の配分を行っている科学技術振興機構、それからNEDO、医薬基盤研、そういったところ等から人員を集めていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

伊東(信)委員 ちょっと最後のところがわかりにくかったんですけれども、その中の人員の配分というのはどのようになっていますでしょうか。

 また、最終的には、シーズからニーズに行かせようと思えば、基礎分野のところと産業化の部分と、それぞれに人員が必要になってくると思うんですけれども、そのあたりの人員配分というのはどのようになっていますでしょうか。

菱山政府参考人 まず、現在、医療分野の研究開発を行っている科学技術振興機構、そういったところから大体約四十名程度、それから医薬基盤研から三十名弱、それからNEDOから十名強で、合わせて百名強の方に日本医療研究開発機構に来ていただこうというふうに考えております。

 ただ、どの部署にどのくらいというのはまだ、これから組織をつくっていき、中期目標、中期計画というのはこれからつくられるものでございますし、また、この日本医療研究開発機構の経営陣が組織や人員配置を詳細に決めていくものと考えておりますので、今後になるかと思っております。

伊東(信)委員 その際に、やはりレベルの高い人材確保が肝心になってくるとは思うんですけれども、いわゆる財産であるところの人材の確保、もしくは採用後の身分、待遇について、具体的にはどうされるわけですか。

菱山政府参考人 お答え申し上げます。

 レベルというか、非常に能力の高い方の人材確保というのは非常に課題だというふうに考えております。

 先ほど申し上げましたような、例えばプログラムディレクターとかプログラムオフィサーというのは非常に、マネジメントをしていただいて、その方の能力、力に成功するかどうかというのがかかっているものというふうに考えております。

 まず、プロジェクトマネジメントでございますが、その実績のある方に機構のもとに結集していただくというふうに考えております。また、例えば、知財の専門家とか、あるいは国際協力、あるいは国際的にいろいろ活動できるような方、そういった方の人材確保も重要だというふうに考えております。

 ただ、具体的にどんな待遇にするかとかそういったことは、また今後、詳細に詰めていく際に考えていきたいというふうに思っております。

伊東(信)委員 ちょっと確認しておきたいんですけれども、それは各省庁から、もしくはどこかの企業からの出向という形ですか、プロパーとして雇うんですか。

菱山政府参考人 お答え申し上げます。

 当初は、まず、各法人や各関係省からの出向というのもあると思いますし、また、新しく採用することもあると思います。まだ何人とかそういったことについては、これから中期目標、中期計画、そういったものを詰めていく際に考えていくということになると思います。

伊東(信)委員 やはり、研究者の間で危惧されるのは、どうしても各省庁間の出先機関になってしまわないかというところなんですね。ですので、できるだけ早く、その専門なるプロパーを雇っていただきたいなという思いがございます。

 プロジェクトマネジャーに関して、いわゆる高いレベルの確保で、実績とおっしゃいましたけれども、確かに、特許なり知的所有権に関しての専門家というのはわかるんですけれども、それ以外のプロジェクトマネジャーの実績というのはどのような意味をなすんですか。

菱山政府参考人 先ほど先生が例に挙げられました例えば山中先生でございますけれども、ああいった方を今まで見出してきたような方とか、あるいは、いろいろな論文が出てきたところを、それだけではなくて、知財をどう確保するのか、そういったことまで見通した実績のある方、そういった方を今考えておりますが、まだ具体的にこの人というわけではございませんけれども、例えば、そういった今までの実績があるような方、それからあと、基礎研究から製品まで開発をした経験のあるような方、そういった方を想定しているところでございます。

伊東(信)委員 一つの趣旨としてはいいと思います。シーズからニーズにする上での、ニーズの方に力を入れる、その上での実績を持った方々ということだと思います。

 シーズの話もしていただきましたね。いわゆる山中教授の、まだ奈良先端大学におられるときに、大阪大学の先生初め、山中教授がそこでいろいろお世話になって世に出るようになったというのもあります。

 ところが、いわゆる科学の新しいイノベーションというのは、論文が中心になってくるわけなんですね。現在進行中の研究というのは、例えば科学研究費の申請をしたりとか、そういうような書類を出してということで、ペーパーでやっていくわけなんですけれども、やはり、一つの基準となるのは、インパクトファクターといいまして、引用される回数の多い、世界じゅうで引用される論文なわけなんですね。それがいわゆるネイチャーであったりサイエンスであったりするわけなんですけれども。

 STAP細胞について御質問させていただきます。その際、いろいろな各個人の方のお名前も出るかもしれません。

 私はやはり、こういった新しい技術をオール・ジャパンで応援していきたいという思いがございまして、論文の詳細、問題の指摘点というのは、ありがたいことに、前の質疑で近藤議員がまとめていただいたんですけれども、私自身は、今回のことに関しては非常にちょっと心を痛めているところがありまして、まずは、理化学研究所のSTAP細胞のネイチャーにおける論文の問題として、この所見、今後の対応について聞かせていただきたいと思います。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 STAP細胞に係る論文に対しては、さまざまな指摘、疑義があるというようなことを受けまして、現在、理化学研究所におきまして、外部の有識者を含む調査委員会を立ち上げて、専門的な見地から調査を行っているという状況でございます。

 三月十四日には、野依理事長、調査委員長が出席をした上で、科学社会の信頼性を揺るがしかねない事態を引き起こしたことに対しておわびしつつ、その時点で判明しております調査の状況でありますとか今後の対応について、中間報告として説明をしたという状況でございます。

 文部科学省としては、こうした事態を真摯に受けとめまして、理化学研究所に対して、今後も着実に調査を進めて、可能な限り早く最終的な結論を得るように求めていきたいと考えております。また、調査状況を踏まえて、原因の究明でありますとか再発防止対策の検討というものを促してまいりたいと考えている状況でございます。

伊東(信)委員 我々科学者の間では、STAP細胞の問題に関して、今我々と言いましたけれども、論文というのは、大体一人が出すことは少ないんですね。つまり、チームとして論文を出すわけで、ファーストオーサーというのがありまして、一人の、これから育てる若手であったりとか、大学院だったら大学院生であったり、研究所であったら若手が書いたりすることが多くて、セカンドオーサーといいまして、二番目に名前が書いてあるのが直接の指導の先生です。大体最後に、そこの教授であったり教室の教授であったり、もしくは研究所の所長であったりします。

 今回の問題に関して気になるのは、英語で言うところのシーですね。シー・イズとかシー・ワズとか、彼女がというところが非常に気になりまして、本来は、我々として、一人称として対応しなければいけないわけです。

 その中で、先ほど文科省の方がお話しいただいたように、野依理事長及び理化学研究所として内部で調査するのは、きちっと国民の皆さんへの説明責任がございますから、それはそれでいいと思うんですね。だけれども、今回、マネジメントというお話をさせていただいたのは、こういったことがございまして、例えばImPACTにしても、本来、実を結ぶかわからない、だけれども、実を結んだとしたら日本の発展のためにすごく期待が持てる、そのような研究に投資をする。今回の科学技術イノベーション創造推進費もイノベーションを推進する目的があるわけで、いろいろな問題、困難というのは多分予測できるわけなんです。

 今回のこの委員会での質疑に関して、山本大臣にお話しさせていただくのを非常に私は楽しみにしておりました。質疑及び希望なわけなんですけれども、本当にオール・ジャパンでこれを守っていかなければならないというのが私及び我々科学者の考えでもあります。

 もちろん、レファレンスといいまして、引用部分に関して未熟なところはあったかもしれませんけれども、ネイチャーという雑誌はそれぞれにレフェリーがいるわけですね。つまり、ネイチャーの編集部が決めるわけじゃないんですね、世界じゅうのノーベル賞級の先生がそれを審査するわけです。何をもって審査するかというと、ディスカッション、つまり考察ですね。この考察は、科学のイノベーションに値するか、人類の発展に値するかということで評価された結果なんです。

 それをどうしても、言葉は悪いですけれども、何となく一人の研究員が出てきて、それを持ち上げて、今度はそれの足を引っ張る、このような傾向は、ほかの科学者もみんな腰が引いてしまうと思うんですね。

 その際に、この資料なんですけれども、最初の「マネジメントについて(3/3)若手研究者の育成」ということで、この理化学研究所の「若手研究者の育成」というところで、「PI等の大学への輩出」「若手PIの積極採用」ということで、この中にユニットリーダーであるところの小保方さんはおられます。理化学研究所のいわゆる戦略として、積極的に若手、女性研究者を登用という形をとっているわけなんですね。これが今後の科学の発展、日本の発展に結びつくと理化学研究所は判断しているからです。

 次のページをめくっていただくと、この理化学研究所の研究組織、センター長の竹市先生を初め、副センター長の笹井先生、そうそうたるメンバーの方がおられます。その中で、黄色の部分のセンター長戦略プログラム、センター長の竹市先生が入りまして、その中にユニットリーダーとして小保方さんがおられるわけで、この年齢の女性としてまるですごい登用かのようにマスコミでは報道されているんですけれども、研究者の世界でいうと、もちろん優秀であるのは間違いないですよ、だけれども、特に目立ったものではないわけです。

 再三申し上げますけれども、このプログラムとして、このプロジェクトとしてできたのがSTAP細胞なわけです。イモリであるとかトカゲであるとか、プラナリアという生物もおるんですけれども、再生機能を持っています。トカゲの尻尾が生えてくるとか、単純に言うとそういった発想です。

 こういった再生機能が小動物にあるのに細胞というのはどうなっているんだろうかというところの発想は、理化学研究所の、もう既にSTAP細胞がネイチャーに載る前のパンフレットに載っております。それが今回実を結んだ。降って湧いたような、突然天からおりてきたような、そのような論文であり研究成果ではありません。理化学研究所が総力を挙げてつくったものであります。

 その中で、いろいろな方々のコメントがございます。本来は下村文科大臣にお越しいただいて質疑するのが正当なんでしょうけれども、ここは文科委員会でもございませんし、私は、どなたも個人攻撃はしたくないです。ですので、ただちょっと気になる点だけを指摘させていただきます。私のお話ばかりで質問が全然ございませんが、もうちょっと、こういった機会もございませんので。

 記者が、

  STAP細胞の件ですけれども、昨日、共同執筆者の方が論文撤回を求めるような話が出ています。これについて、大臣として率直な感想というか、受け止めをお聞かせ願いたいのと、それから、所管している官庁として、今後どういう姿勢で臨んでいきたいか、対応していきたいか、その二点をお聞かせください。

これは大臣の答弁です。

  STAP細胞は、もう一度論文を、これは十四人が共同研究者ということで、ほかの方々が取り下げるかどうかということは、まだ現時点でわかりませんが、こういうようなことは非常に残念ですけれども、しかし、だからといってSTAP細胞そのものが否定されたということではないのではないかというふうに期待したいと思いますし、是非、客観的な研究、調査をして、早くもう一度STAP細胞について、再度論文を出すように期待をしたいというふうに思います。

大体いいんですよ。大体いいというのはおかしな言葉ですけれども、STAP細胞そのものが否定されたということではない、期待したいと思います、ここまではいいんですけれども、もう一度STAP細胞について、再度論文を出すというところがちょっと気になったわけなんですね。

 つまり、ネイチャーで一度パブリッシュされた、出た論文に対して、科学というのはいろいろあると思います、ニュートンでさえアインシュタインにひっくり返されたわけですから。だけれども、ニュートンも間違いじゃなかったというわけなんです。再度論文を出すというのは、今の論文をそのままにして再度研究成果の論文を出すという意味かなと思ったんですけれども。

 この後も続くんですけれども、

  理化学研究所は特定国立研究開発法人に指定される見込みになっています。今回の論文の問題が、理研の指定に何らかの影響を与えるとお考えでしょうか。

という記者の質問に対して、大臣は、

  これは、全く関係ありません。理研はSTAP細胞だけをしているところではありませんから、これによって理研の存在そのものが疑義があるとかということではありませんし、客観的に見て我が国を代表する研究開発法人であることは間違いないところでありますし、新たな研究開発法人の位置付けとしての対象に対して、このことによって議論されるということもないことだと思います。

そのとおりなんです。論文ばかりの評価を私は話していますけれども、理研からネイチャーに毎年数多くの研究発表がされておりますし、STAP細胞のこのような問題が起こっても下村大臣はこのように答弁していただいたことに関しては評価したいと思いますし、ありがたいと思っております。

 しかしながら、ここからなんですね。

  昨日若山教授は、ここまでいろいろミスが多かったり、疑惑というか疑義が出ている論文であれば、一旦取り下げて、再度、ちゃんとしたものに作り直して出すべきではないかといったようなことを提案して、共同研究者に撤回を提案しているわけですけれども、大臣も先ほど、早くもう一度、再度論文を出すよう期待したいとおっしゃいましたが、それはやはり若山教授の言っていることにも一理あるとお考えになったのか。

大臣がお答えされました。

  そうですね。ですから、一旦撤回するということが前提ですけれどもね。

  ただ、共同研究者が十四人いて、日本国内だけでなく、ハーバード大学等海外にもおられるそうですから、実際に全員が納得して取下げされるかどうかは分かりませんが、いずれにしても、国内外から疑義があるということですから、改めてその疑義を払拭するための新たな客観的な事実関係を積み重ねることによって、もう一度「Nature」等に発表するというようなことを、是非していただきたいというふうに希望しております。

取り下げてもう一度発表している間に、よその国にこれはとられると私は思います。

 つまり、この理研の成果は成果で、さらなる追試をしなければいけないというのが私の考えでございます。例えば、再現性がないとか、わずか一カ月で再現できるような研究であれば、ネイチャー級の発表にはなっていないわけなんですね。それをやはり、ここでマスコミ批判をするのもなんですけれども、マスコミの執拗なネガティブな報道に関してもいささか疑義を持つわけです。

 さて、今回のテーマであるところの科学技術イノベーション政策に関して、総合科学技術会議、総理が司令塔になりまして、それで各大臣がおられると思うんですけれども、こういったSTAP細胞の問題に関してオール・ジャパンで、日本でこういった研究成果を守っていかなければどんどんどんどん、それでなくてもアメリカのNIHの予算とかにも負けているわけですから、そうなると我々日本人は、まずは一つのユニットとして、オール・ジャパンで頑張らなければいけない。

 加えて、もちろん責任者というのは必要です。だけれども、誰か個人がというのではなくて、一人の研究者がいたら、その研究者に対してのマネジャーが要るわけです。

 山中先生はおっしゃいました。私は、あくまでも一研究者である。この研究を産業に持っていくというのは、研究と産業は、ラグビーとアメリカンフットボールぐらいの違いがある。ボールは同じ楕円形だけれども、全然違うスポーツだ。だからこそ、CEOが欲しい、オーガナイザーが欲しいということで、いろいろな困難があると思うんですけれども、このSTAP細胞、非常に、これであるならば、たとえこの組織をつくっていたとしても、誰かがこれを政府として守らなければ、日本の科学技術イノベーションというのは推進できないと私は危惧しております。

 長々と私がお話をしていますけれども、なかなかお答えしづらいと思いますけれども、感想はいかがでしょうか。

山本国務大臣 先生の科学者としての、STAP細胞、この一連のいろいろな出来事に関する分析、考察、これは大変参考になりましたし、勉強になりました。

 何からどう話していいかよくわからないんですが、率直に申し上げまして、今回の発見は、生物学の常識を覆すような大発見だというふうに期待されていただけに、やはりこういう疑義が生じているということは大変残念だと思います。

 ただし、これはまだ結果が出ておりませんので、科学技術担当大臣としては慎重にコメントしなければいけないというふうに考えております。

 理研は、委員がおっしゃったとおり、研究開発法人として大変実績を上げておりますし、研究者の方の質も大変すばらしいと思いますし、野依理事長のことは個人的に尊敬もしておりますので、総合科学技術会議で特定国立研究開発法人の候補として決めたということは、これは私はおかしくないというふうには思っております。

 他方で、率直に申し上げますと、これだけいろいろ多方面から疑問が呈されているという中ですので、やはり理研として、先般中間発表をしたわけですが、六項目のうち四項目についてはまだ結果が出ていないということですので、これはできるだけ早く調査結果を公表していただいて、組織としてのアカウンタビリティーを示していただきたいというふうに思いますし、やはり特定国立研究開発法人としての、もちろん十二分な資格を持った研究開発法人であるとは思いますが、ガバナンスとか危機管理マネジメントとか、そういうことについても一流であるということをぜひ示していただきたいというふうに思っています。

 理研は文部科学省の所管ですから、敬愛する下村文科大臣がきちっといろいろな意味で指導していっていただけると思いますが、これは、私にとっても実は非常に関連の深い問題でございます。

 なぜなら、特定国立研究開発法人の創設については、私も中核的な役割を果たしてきた大臣の一人でございますので、やはりこれは私としても関心を払っていかなければいけないと思いますし、今後、閣議決定で最終的に特定国立研究開発法人を決めるという段になったら、やはりこの制度の創設にかかわった大臣として、特に科学技術・イノベーション担当ですから、しっかりと意見を言わせていただきたいと思っていますので、この間、理研側の対応、しっかりとした結果を公表していただく、そういうことも見きわめた上で、やはり閣議決定をするべきだというふうに考えております。

 他方、今委員のお話、科学者としてのお話を伺って思うのは、やはり、野依理事長の哲学、若手と女性にチャンスを与えたい、レーバーからリーダーへ、大体、偉い先生のずっとレーバーになっているところから早くリーダーにしようという野依先生の哲学は、実はとても大事だと思っていまして、今回の件で、まだどういう結果になるかわかりませんが、やはり若手とか女性研究者が、リスクをかけてどんどん新しい研究に挑戦するという流れを逆行させるようなことがあってはならないのではないか、そんなふうに感じております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 質疑しながら拍手しそうになりました。

 そうなんですよね、結果が出ていないので、やはり慎重に科学技術・イノベーション推進大臣としてはコメントしなければ、まさにそのとおりなんですよ。今、調査中に関してコメントできる人間なんて、世界じゅうにいないと思うんですね。なぜならば、では実際にその論文を読んだのかという話です。

 私も読ませていただいたのですけれども、なかなか難解でして。ただ、指摘されたところがこうだと言われたら、ああ、そうなのかなと本当に思うぐらいでありまして、やはり専門的なところは専門家に任せなければいけないということです。

 やはり、大臣のお話の中に、組織としてのアカウンタビリティー、そして、文科大臣、文科省の管轄であるから、理化学研究所について、下村大臣にお任せするところでありますが、科学技術・イノベーションの大臣として、山本大臣の責任ある答弁もお聞きしたと思います。

 その中で、レーバーからリーダーへというところなんですけれども、科学技術イノベーションの推進として、今まさにおっしゃっていただいたように、やはり誰かがオーガナイザーにならなければ、研究者に任せ切りでもだめですし、かといって、コントロールする総合科学技術会議が全部マネジメントするのもいけないですし、オーガナイザーとそれぞれのユニットの調整が必要だと思うんですね。

 時間も大分なくなってきましたけれども、大臣の科学技術イノベーション施策に対する、最終的に、先ほどのSTAP細胞も含めて、ぜひとも、私が牽引していくんだ、一人称であるところのその決意というのを、通告にはないのですけれども、お聞かせ願えたらと思います。

山本国務大臣 STAP細胞の問題については、先ほど申し上げたことが全てだと思っておりますので、つけ加えることはいたしません。

 一般的に言って、科学技術・イノベーション担当大臣としてやらねばならないことは、画期的な研究がどんどん生まれる、特に、若手研究者も含めて優秀な研究者の方々が、リスクをかけてどんどん研究を進めてイノベーションを生み出せるような、そういう環境を科学技術担当大臣の立場からつくっていくことに最大限貢献をするということだと考えております。

伊東(信)委員 今回のことでお考えいただきたいのは、やはり、世界を相手にしていかなければいけないんだと。日本の経済を考えていく上で、内需の拡大も必要なんですけれども、世界に通用する、そういった産業を育てようというところなんですけれども、例えば創薬に関しても、三万二千個ぐらいのいわゆる研究があったとしたら、その中でわずか一つなんですね、創薬として。つまり、三万二千分の一なんですよ。

 例えば医療機器に関して言いますと、メード・イン・ジャパンであるところの医療機器というのはほとんどございません。整形外科医が使う人工関節も、ペースメーカーでさえ、日本の企業がつくっておりません。ちょっとNIHの関連というよりもPMDAとか薬事法の関係になってくるとは思うんですけれども、こういった治療に関しての研究開発イノベーションが日本はおくれているというところに関しての認識を、ちょっとどなたかお答えできる方、お願いします。

菱山政府参考人 お答え申し上げます。

 医療分野の基礎研究は、先ほどのiPSを初め、非常に高くなっております。まさに、それをいかに医療イノベーションにつなげ、産業につなげていくか、そこが課題だというふうに私どもも考えております。

 幾つかの日本の研究成果が、日本の製薬企業のみならず、例えば外国の企業で事業化されたりというのもございますし、そういった面で、日本全体で、先生御指摘のように、オール・ジャパンで医療の研究開発を進めていけるような体制にしていきたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私自身、ちょっと特殊な治療法でレーザー治療というのをやっているんですけれども、レーザー治療の機械というのは日本でつくっていないんですね。では、どうしているかというと、それを海外から輸入するに当たり、個人の医師免許において個人輸入をするわけなんですよ。

 私のやっている治療というのは、どっちかというと、マーケットはそんなに広くないんですね。ほかにやられている方というのはほとんどおられませんし、先進医療の評価療養からも、五十一番目の評価療養だったんですけれどもこれも外れましたし、特定機関である病院も、三つの施設があったんですけれどもそれも取り下げられましたので、なかなかよそではうまいこといっていないみたいなんですね。そうなんです。

 だから、いわゆるリスクマネジメント、事故に関してのマネジメントで、どこに本当に責任があるかで、各個人の医者なり責任でやっていく部分と国がやっていく部分というのがあると思います。

 今回、SIP、四つの分野があると思いますけれども、中に非常に大事なものもあります、エネルギーもインフラも。こういったことに対してやはり責任の所在というところで、きょうは、本当に山本大臣に質問できてよかったと思います。山本大臣が責任を持って総合科学技術会議というのを牽引していこうという意気込みが伺えたと思いますので、もうこのいい感じのまま、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 午後零時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五十分開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 午前中は、浪速のブラック・ジャックの異名を持つ、我が党の伊東委員の質問で、STAP細胞のことについての質問だったんですけれども、午後からもどうぞよろしくお願いをいたします。

 私の方からは、今回は、内閣府の設置法の改正ということでございますから、内閣府の設置法について質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、前回の総選挙のときの自民党の公約なんです。その中に「中央省庁改革」という項目がございまして、「平成十三年の省庁再編の主な目標は、官邸機能の強化と縦割り行政の弊害除去でした。十年余りを経過した現在、この目標が達成できているのかを検証します。」という文章が公約の中に入っております。

 ちょうど、この平成十三年の省庁再編のときに内閣府というものができたと思うんですけれども、十年たった、目標達成されているかどうかを検証しますというふうに自民党の公約の中にあるんですが、これを政府にお聞きするのはと思うんですが、これは今、検証はどこまで進んでいて、どのような結果が出ているかということについてまずお尋ねしたいと思います。

上村政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の中央省庁等改革でございますが、これは、中央省庁等改革基本法第二条の規定のとおり、内外の社会経済情勢の変化を踏まえまして、国の行政組織を簡素、効率的なものにするとともに、総合性、機動性の向上を図る、こういうことを基本理念といたしまして、先生今御指摘の内閣機能の強化ですとか、省庁のくくり、再編成、それから独法制度の創設等、こういったものを行ってきたものでございます。

 このような行政組織や制度のあり方は不断に見直しをしていく必要があると思っておりまして、総務省といたしましては、毎年度の機構審査、これを通じまして、その時々の政策ニーズに対応して組織の見直しを行っている、こういうところでございます。

 最近の例でいいますと、例えば、社会保険庁廃止をいたしましたですとか、原子力規制委員会、それから内閣官房の国家安全保障局を新設するといった見直しを行ってきているということでございます。

 なお、行政機関ではございませんけれども、それ以外のものについて、独法制度の見直し、これは現在、政府において見直しの検討が進められている、こういう状況であると承知をしております。

杉田委員 今も継続して行っていますという御答弁だったんですけれども、多分、これは、行政改革推進会議の中でも検討されていく項目ではないかと思うんです。

 私、今手元に、第一回目の行政改革推進会議の議事録がございます。その中の一番締めくくりに、稲田行革大臣がこのようにおっしゃっていらっしゃいます。「本会議では、当面、無駄の撲滅、特別会計改革、独立行政法人改革という三つの課題を中心にさらに議論を深めてまいりたいと思っております。」というふうに述べていらっしゃるんですが、この中に、先ほど申し上げました中央省庁の改革という部分が全く抜けてしまっているんですね。今後、この行政改革推進会議の中では、どのような優先順位で、この中央省庁の改革というのについて議論をされていかれるのか、お尋ねしたいと思います。

宮島政府参考人 現在、行政改革推進会議においては、中央省庁再編の問題については議論が行われておりませんが、中央省庁のあり方につきましては、国の統治機構の基本にかかわる重要な問題でありますし、与党のお考えなどを十分踏まえつつ、慎重な検討、丁寧な議論が必要であると認識しているところでございます。

 行政改革について、稲田大臣は、最近、内閣府の問題は、自民党内での検討を注視しつつ、まずは、今国会での公務員制度改革や独立行政法人改革の総仕上げに向けて取り組んでいくといった趣旨の御発言をされておられるところでありまして、この御意向に沿って鋭意取り組んでいるところであり、今後も取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

杉田委員 答弁の中に、与党の考えも酌んでというようなものがございました。公約にあるということは、ここの部分というのは国民の皆さんとのお約束だと思います。自民党さんの公約ですけれども、今、与党としてやっていかれるわけですから、国民の方も期待していらっしゃると思いますので、この中央省庁の改革もぜひ積極的に取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 内閣府なんですけれども、内閣府は、十三年の省庁の再編でできたときから、今後業務が肥大化していくのではないかというような懸念があったというふうに聞いております。

 私は、きょう皆様の方に資料を配付させていただいております。この資料なんですけれども、下の方が、平成十三年の一月六日の新設時、内閣府ができた当時の組織です。そして上の方が、平成二十五年五月、去年の五月現在の内閣府の組織図です。これを見ていただくと一目瞭然だと思うんですけれども、やはり業務が肥大しているんですよ。

 これについて今ちょっとお尋ねしたいのは、どのくらいの内閣府の大きさというのが適切だと考えていらっしゃるのか。

 例えば、新設当時のものは、これはまだちっちゃいからこれからふやしていくという考え方が当初あったのかもしれませんが、今、上の方になっていますよね、二十五年の方になっていますと、子ども・子育てなんかも入ってきていますし、統計なんかも入ってきています。当然、ここに今までなかったようなものがどんどん入ってきております。食品の安全委員会なんかも入ってきています。

 非常に肥大していると思うんですが、今のこの二十五年の状態は大き過ぎるのか、それとも、まだまだこれに追加していけるのか。今現在、私から見れば、多分、十三年と比べれば肥大化していると思うんですけれども、この状態をどのように考えていらっしゃるのか、御答弁願います。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、省庁再編以後、府省横断的な政策課題が次々と増加する中で、発足当初と比べまして、例えば、先生御指摘のこの資料以外にも、大臣の数で申し上げますれば、当初六人だったものが、現在十名の大臣がいらっしゃる、あるいは定員のベースで見ましても、沖縄を除いて千百七十一名だったものが、平成二十五年度で千三百五十九名になっているというような形で、拡大をしてきているのは事実でございます。

 なかなか、どれぐらいの規模が適切なのかということにつきましてお答えするのは難しいのでございますが、省庁再編のときの理念に照らしますれば、内閣府といいますのは、内閣の重要政策に関する内閣の事務を助ける、こういう任務のもとにつくられたというふうに承知をしております。このような役割を適切に果たしていくためには、もちろん、新たな政策課題があればそれにも適切に対応していくことが必要な一方で、既存の事務を関係の深い省庁に移管するなどの不断の見直しも行っていく必要があると考えております。こういう不断の見直しがなければ、内閣府への業務の集中が進んで、組織やマネジメントの複雑化等の問題が生じかねないというふうに認識をしております。

 こういう業務の見直しにつきましては、法改正というようなことも必要がございまして、すぐには難しいという事情もございます。先ほどもございましたような与党での見直しの検討が始まるというふうにも承知しておりますので、そういう検討も踏まえながら、不断の見直しに取り組みたいと考えているという状況でございます。

杉田委員 では、今のこの二十五年度の組織図の状況なんですが、これからまだふやしていけるとお思いですか。それとも、これはもっとスリム化していかなければならない問題であるというふうにお考えですか。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 ふやせるのか、あるいはすぐ減らすべきなのかという直接的なお答えをするのは難しいのでございますが、といいますのは、新たな政策課題が生じれば、それには対応していく必要がございます。その一方で、先生御指摘のように不断の見直しが必要であることは確かでございます。それをあわせて両方やっていく必要があるというふうに考えております。

杉田委員 先ほどの答弁の中にもちょっとだけ触れていらっしゃいましたが、私は内閣府の定員のことについてもちょっと調べてみたんですよ。

 平成十三年の内閣府の定員が二千二百十人なのに対して二十五年は二千二百七十三人ということですから、ほとんど定員は変わっていない。ただ、併任していらっしゃる方の数が、十三年の当初は併任の方が二百二人だったのに対しまして平成二十四年度では併任の方が五百七十四人ということで、約三倍近くふえているんです。だから、定員は変わっていないけれども、ほかの省と併任で内閣府でお仕事をされている方が三倍近くふえています。

 この状況についてはどのようにお考えですか。業務が効率化していると考えていらっしゃるのか、それとも、やはり本省の、それぞれの併任されている方々に業務が多く行き過ぎて、なかなか難しいと考えていらっしゃるのか。いかがでしょうか。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、定員のベースではそれほど大きくはふえていないんだけれども、各省庁からの併任という形で数がふえている。これは、結局、内閣府の仕事の内容が各府省の調整というような事務であるということもございまして、関係省庁から併任という形で来ていただいて仕事をしていただくという形の業務の形態がふえているということだと思います。

 こういう形態は、いいのかどうなのかという問題はございますけれども、各省庁においては、逆に、各省庁ではなくて内閣府の方で仕事をしていただくというような形でございますので、必ずしも適切ではないというふうには考えてございます。

杉田委員 必ずしも適切ではないと考えているという答弁をいただいたんですけれども、ここのところは、でも、今後このままにしておくと、まだ併任者の方というのはふえていきますよね、きっと。今もずっとふえて、減ったことがないんですから。そのあたりについては、今後どうされていかれますか。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 業務の形態として、併任というものがやむを得ない側面もあるということは御理解をいただきたいと考えております。

 その一方で、政府全体の定員につきましては、厳しい定員管理を行っているということもございます。内閣府だけをふやすというわけにもいかない事情がございますので、そういう全体の状況の中で一番適切な方法を選択していくということだろうというふうに考えております。

杉田委員 内閣府の機能というのは、そもそも総合調整というところに目的があると思うんですね。私は地方の行政の出身なんですけれども、地方でもやはり福祉局とか土木局とか環境局とかいろいろあるんですが、それぞれの局にまたがる、調整が必要な課題とかについては、企画というところに行きまして、その企画のところで総合調整というのを行うんですよ。そこのところで総合調整を行った上で、ただ、それがきちっと調整が終わればそれぞれのところに戻すんですね。

 私も企画という部署にいたこともあるんですけれども、そういうふうな各局から上がってくる、すごく簡単な例をいいますと、そこの自治体として、とある土地を買わないといけないということになりました、でも、そこに何が建つかがわからないというときには、その土地を取得するような部署と、それからそこに建つ可能性がある、例えば保育所が建つんだったら福祉の部局が入ってきますし、その他、病院が入ってくるんだったら病院の部署も入ってきますが、そういうところで、一緒になって、それは企画が調整してそういうことに当たりますが、実際にその土地の利用が、例えばこれが保育所が建ちますとなったら福祉局に戻すんですよね。

 という形で戻すんですけれども、これは、私が見ている限りは、いろいろな総合調整が必要なところは内閣府のところに来て、例えばそれがきちっと調整がついたので戻ったというような事例というのは、何かあるんでしょうか。

幸田政府参考人 お答えを申し上げます。

 突然の質問でございますので、あれでございますけれども、一般論として申し上げますれば、先ほども答弁申し上げましたように、新たな政策課題に対応していく一方で、一定の役割を終えた事務については関係の深い省庁に移管していくという必要があることは、そういう不断の見直しを行っていくべきことはそのとおりだと思っております。

 ただ、内閣府の場合といいますか、国の行政組織の場合、所掌事務の範囲が法律で定まっているということもございます。法改正が必要になってくるということもございまして、すぐにはなかなかできないということは、そういう事情があるということも事実でございます。

 いずれにしろ、そういう不断の見直しということに対しては、取り組んでいく必要があるというふうに考えております。

杉田委員 戻った事例があるのかないのかということなんですが。

 ちょっと質問の順序が逆になるんですけれども、例えば、消費者庁が新設されました、そうなると、そこのところに当然業務が行く形になると思うんですが、消費者庁というのがあるにもかかわらず、今この二十五年の組織図の中には消費者政策会議というのもございますし、それから例えば、普通に考えたら、食品安全委員会なんかというのも、そういうふうな部分も消費者庁に行って当然だと思うんですが、なぜこういったものがまだ内閣府の中に残っているのか。それは質問通告していたと思うんですけれども、御答弁いただけますでしょうか。

小田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁関連三法が成立いたしましたときに、内閣府特命担当大臣、消費者及び食品安全の御担当の大臣は、消費者庁、それから消費者委員会、食品安全委員会の事務を掌理するということになっております。あわせまして、内閣府設置法第四条第一項に基づいて、消費者行政及び食品安全に関する総合調整事務並びに同法第十二条に基づく関係行政機関の長に対する勧告権を担うということになっております。

 すなわち、もともと内閣府には総合調整を行う事務があって、消費者庁が設置されたときに、いわゆる消費者行政担当部分についての特命担当大臣が置かれたということでございます。

 先ほど議員がおっしゃいました消費者政策会議、これは会議でございますので、実質的に消費者庁がその会議の事務、庶務を行うということになっておりますので、ダブっているということはないかと思います。

 以上でございます。

杉田委員 この議論を聞いたときに、一般の方がすとんと理解できるのかどうか。余計複雑化させて、組織を分散させて、決定機関の責任のとれるところを分散させているだけじゃないかというような批判も出てくるのではないかと思うんですが、私は、これはきのう、内閣府の方にいろいろお話をお伺いしたときに、各省庁は外局との調整機能というのを持てないので、調整機能というものが出てくる可能性がある部分は全部内閣府に行ってしまう仕組みになっているのでこうなっているんですというような御答弁をいただいたんですね。

 これも、一般的な感覚からすれば、それはちょっとおかしいんじゃないか。そうしたら、可能性がある部分はどんどんどんどん内閣府に残したままになって、そして、本庁のところは自分たちの中の仕事だけをするというような形になる。この役割分担が本当に正しいのかどうかというようなことも、なかなか国民の理解も得られにくいのではないかなというふうに感じます。

 先ほどの、消費者担当大臣の特命大臣のことについてちょっと例に挙げて言いますと、消費者担当の特命大臣の総合調整を補佐するのは内閣府本府の消費者基本政策室なのでありまして、その特命大臣を消費者庁の職員は補佐できない。内閣府と併任になっている方が補佐するけれども、あくまでも、特命大臣を補佐するのは内閣府の中の消費者基本政策室であって、消費者庁が直接、担当大臣を、総合調整を補佐するということは全然ないということなんですが、これは、今後、一考するに値するのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

小田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府本府の中に消費者基本政策室というのが置かれております。これは、特命担当大臣が総合調整を行われるという機能をお持ちです。大臣が総合調整をされる、その事務を補佐する体制、これはつくらないといけない。これは、消費者庁関連三法が成立しましたときに、衆参両院の附帯決議で、特命担当大臣が有する権限の運用に万全を期すること、また、消費者行政担当大臣の判断を補佐するため、これらの事務を所掌する内閣府本府に消費者基本政策室を置いたということでございます。

 先ほど委員がおっしゃいましたように、この基本政策室、内閣府本府に置かれておりますけれども、構成員は、消費者庁と、それから内閣府の消費者委員会事務局、それから食品安全委員会事務局の職員が併任をしているということでございます。

杉田委員 パーキンソンの法則という言葉があります。これは、現代社会において、官僚機構は必要性の有無にかかわらずその規模を肥大させていくというもので、イギリスの社会学者によって提唱されたものなんですけれども、役人の数に関する第一法則というのと財政規模に関する第二法則というのがあります。まさしくこの状態に陥っているんじゃないか。これは、客観的に見ても、今の状態というのはパーキンソンの法則に当てはまってしまっているのではないかというふうに感じざるを得ないと思うんですね。

 ここのところはちょっと時間の関係で余りこの後詳しくはしませんけれども、常にそういったところ、ほうっておけば、きっとそういうふうな仕事もふえますし、これにまた財政規模もふえていくというようなことも実際にあると思いますので、そのあたりを心して、きちんと中央省庁の再編という部分を考えていっていただきたいというふうに思います。

 それでは、もう一点なんですけれども、特命大臣についての質問をさせていただきたいと思います。

 特命大臣の掌握する事務なんですけれども、特命大臣は、特定の政策分野を掌理する大臣であるため、法律上、人事、予算などの権限はないという形になっています。これが施策を効率的、効果的に進めていくことが難しくなっている一面があるのではないかというふうに考えるんですけれども、この点について御答弁願いたいと思います。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府、これは外局も含む内閣府の長、大臣は、内閣総理大臣が大臣という形になっております。内閣府の特命担当大臣は、内閣府設置法におきまして、内閣の重要政策に関して行政各部の施策の統一を図るために、内閣総理大臣を助けて、命を受けて事務を掌理する職とされております。

 したがいまして、先生御指摘のとおり、人事とか予算につきましては、国行法、財政法等の規定によって、内閣府の長たる総理大臣が権限をお持ちということがございまして、特命大臣にこれらの権限はないということになってございます。

 こういう内閣府の組織の特徴でございますけれども、各省とは異なって、非常にたくさんの大臣が置かれているということでございます。また、先ほどの組織の図をごらんになりましても、各省庁のように局中心の組織ではなくて、政策統括官のような柔軟な組織が置かれているということでございます。これは、内閣府が内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けるために、総理大臣の命によって柔軟に組織の運営ができるようにという観点から、省庁再編時にこのような組織とされたというふうに承知をしております。

 内閣府の施策の実施に当たりましては、以上申し上げましたような組織の性格も踏まえながら、その時々の状況に応じながら、特命大臣を補佐して適切に組織の運営を行っていく必要があるというふうに認識しております。

杉田委員 では、具体的に、特命大臣とそれからその庁、先ほどの例えば消費者庁の例を出して言いますと、消費者の特命大臣とそれから消費者庁の役割分担というのは、どこでどのように決めていらっしゃるんでしょうか。

川口政府参考人 ただいまの御質問に法律に即してお答え申し上げます。

 消費者庁は、内閣府設置法におきまして、内閣府の外局として定められておりまして、消費者庁の主任の大臣、これは、先ほど御説明がございましたが、内閣府の長たる内閣総理大臣ということになっております。内閣総理大臣が消費者庁の事務の統括及び職員の服務の統括、閣議請議権、命令制定権などを持っておるわけですが、消費者及び食品安全を担当する内閣府特命担当大臣、これは、内閣府設置法によりまして、内閣総理大臣の権限のうち消費者庁等の事務を掌理させるということになっているものでございます。

 消費者庁の権限でございますけれども、これは、内閣府設置法のうち、先ほど議員御指摘の総合調整事務を除きまして、分担管理事務というものが内閣府設置法の中に明記されております。これが内閣府設置法四条第三項六十一号というところでございます。その中で、消費者庁及び消費者委員会設置法第四条ということが明記されておりますので、具体的に消費者庁の分担管理事務は何かということについては、別途法律がございまして、消費者庁及び消費者委員会設置法第四条の方に列記されているという仕組みになっておりますので、内閣府の事務それから消費者庁の事務においては、今申し上げました法律で区分をされているということになっております。

 以上でございます。

杉田委員 法律で決まっているという御答弁をいただいたんですけれども、今の説明を聞いて、多分これもインターネットの中継があると思うんです、その向こう側にいらっしゃる国民の方が納得されるかどうかということ、その視点というのが私は一番大事だと思っています。

 どんどんどんどん法律も複雑化していって、組織も複雑化していってというような状態に陥っているということを、きょうはずっと冒頭から指摘をさせていただいているつもりでありますので、そのあたりのスリム化、見える化、そしてアカウンタビリティー、一般の国民の方に対する、こういう組織になっています、だからこの組織は必要なんですというようなことがまずは必要なのではないかというふうに思います。

 それでは、今回、この科学技術イノベーションの創出事業というのが新たに追加されて、予算は五百億円、内閣府の方につくというふうになっております。従来より総合科学技術会議というのがございました。これに比べて、今回、この事業が内閣府に新規で追加されることによってどのようなメリットがあるのか、そして、ここの部分の文部科学省と内閣府との役割分担がどのように変化していくのかということについて、大臣にお尋ねしたいと思います。

山本国務大臣 日本再興戦略と科学技術イノベーション総合戦略において、総合科学技術会議が司令塔機能を発揮し、みずから重点的に予算を配分する戦略的イノベーション創造プログラム、SIP、恐らく委員がおっしゃっているのはSIPのことだと思いますが、これを創設することが明記されました。

 本プログラムは、府省や分野の枠を超えて、基礎研究から出口までを見据えた研究開発を推進することを通じて、科学技術イノベーションを実現するという狙いがあります。

 例えば、従来ですと、文部科学省が基礎的な研究開発を行っている、経済産業省はどちらかというと実用化、事業化に近い研究開発をそれぞれやっている、こういう状況で、内閣府に計上したこの予算で、この間をつなぐような研究開発を推進したいというふうに考えておりまして、つなぐとともに、規制等を所管する事業官庁とも連携することで、迅速な科学技術イノベーション政策の実用化、そして事業化を目指してまいりたいというふうに考えております。

杉田委員 実用化に向けて、よりスピーディーに、迅速にしていけるということを、私も期待していきたいと思います。

 きょうの午前中の質問にもありました。今の科学技術イノベーションというのは世界的に見て日本がおくれているという認識がありますかというような質問もあったかと思うんですけれども、私が本当にいつも思うのは、技術というのは日本はすばらしいと思っていて、それがなかなか実用化できなかったりとかで、せっかく日本がきちっと開発した技術であっても先に違う国が実用化されたりとかというような分野もたくさんあります。医療の分野でもたくさんあるかと思いますので、そういったところが、きっちりと実用化に向けてのスピードアップ、グローバル化を見据えてのところに寄与するような組織になっていただけるのであれば、私はそれをしっかりと応援をしていきたいと思います。

 では、少し時間が余ってしまいましたが、これで終わりたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、今般の法律案で、研究開発の成果の実用化というところが提案理由として書いてございますが、そうなりますと、恐らくは、特許だとか特許申請という行動に研究者の行動なり研究機関の事務というのが強く結びついていくんだろうというふうに思われます。

 そうなりますと、必ずしもそういった特許申請の体制が整っている研究機関ばかりとは限らない。特に、海外で特許申請をするとなると、研究者の皆さんに伺いますと、なかなか大変なんだということのようなんですが、必ずしもこういった特許申請、特に海外への申請の体制が十分でないような研究機関、これは一体どうすればいいんだろうか、こういうことになってくると思いますが、この点について大臣の御所見を伺いたいと思います。

山本国務大臣 今、大熊委員の方から御指摘ありましたように、知財立国を実現していくためには、やはり国の各研究機関において、科学技術の成果の実用化に当たって、特許を初めとした知的財産に関するマネジメント戦略、この知財マネジメント戦略を適切に講じるというのは非常に重要だというふうに考えております。

 具体的に言うと、各研究機関において、一つは、機関のトップを初めとする幹部役員クラス、経営層だと思いますが、こうした方々を中心に知財マネジメント戦略の重要性を理解してもらう。二つ目として、機関の内部における知的人材を育成する。三つ目として、弁理士を初めとする機関外部の人材の積極的な活用を図ること。これが重要だというふうに考えています。こうした措置を講ずることで、海外への積極的な特許申請等、グローバル化の時代に対応した知的財産に関する取り組みが強化されるものだというふうに考えています。

 以上の点を踏まえて、各研究機関において、事務管理あるいは費用負担の現状と課題を正確に把握した上で、人材、資金等の資源を適切に配分していくことによって、知財マネジメントに関する体制整備を強力に推進してもらう、そういうことを期待しております。

大熊委員 ありがとうございました。

 その上で、これはちょっとした、提案と呼べるほどでもないんですが、国の研究機関あるいは国以外の研究機関、それぞれあると思うんですが、まず、国の研究機関の中でも、例えばそういった海外への申請、同じ国への、アメリカならアメリカ、仮にヨーロッパのある国ならある国への申請を一括して引き受けるみたいな、そういうことになっていると、各研究機関にとっては、事務負担なり、あるいは作業負担なり、相当効率化できるのではないかなというふうに思ったりもするんですが、あるいは国以外の研究機関ですと、もっとそういった体制の不十分なところが多いと思うので、非常にありがたいサービスといいますか、そういうことになるのではないかなという気がいたしますが、その辺、ちょっと御感想なりいただければ。いかがでしょうか。

山本国務大臣 知財戦略本部も私が担当しているんですが、知財におきましても、今委員がおっしゃったような試みはいろいろと行われておりまして、特に中小企業が海外に進出を図るためには非常に知財マネジメントが大事だということで、いろいろなサポートの仕組みがありますが、研究開発法人を対象とした仕組みというのはちょっと、私の知る限り今のところないんですけれども、今の御質問も受けて、いろいろ検討させていただきたいと思います。

大熊委員 ありがとうございました。

 続いて、その関連でもあるんですが、今回、総合科学技術会議の活性化において、産業界の活力を積極的に活用するというふうにございますが、逆に言うと、これまでどういったところが欠けていたのか。例えば産業界からのアプローチが少ないなり、余り適切じゃない、逆に言うと研究者側のアピールが不足をしていたのか、あるいは両方なのかということ。何か現状の問題があるということでこういう表現になってきているんだろうと思いますが、現状、今まで何が問題であったのかというところについて御所見をいただければと思います。

山本国務大臣 科学技術イノベーションに産業界の活力を積極的に活用するということはこれまでもやってきたところでございますが、先ほどの御質問にもありましたように、安倍内閣になって、高い研究開発のレベルをいかに事業化に結びつけていくか、まさしく科学技術の世界でいう死の谷を乗り越えるためにどういう体制をつくっていったらいいかという中で、今まで以上にやはり産業界の活力を使っていかなければいけないというマインドが出てきたということだと思います。

 今委員の方からございましたが、例えば私の担当する総合科学技術会議では、今までは委員の割合が、アカデミシャンが多かったんですが、今でも多いんですけれども、実は産業界の代表者も一人ふやしたりしながら、産業界とのいろいろなパイプづくり等々も図っておりまして、そういうことをしっかりと対応しながら、今言ったような事業化に結びつけていくようなサイクルをつくろう、こういうことだというふうに思います。

大熊委員 そこで、私の感想でもあるんですけれども、例えば情報科学、いわゆるICT分野と呼ばれるところ、我が国と例えばアメリカの状況を比べますと、かの国は、フェイスブック、最近ちょっと余り元気がないのかもしれませんが、いろいろありますよね、ツイッターその他。技術そのものの優劣というよりもサービス的なもの、この差が、我が国と、例えばアメリカならアメリカの差になっている面もあるんじゃなかろうかと。

 要するに、産業界というふうにいったときには、産業界といってもいろいろな業界があると思うんですが、さらに、その同じ会社の中でも、いわゆるRアンドDの部門の方だけではなくて、販売でありますとか、あるいは会社の中の企画部門でありますとか、商品開発みたいな、そういうところとの連携があって初めて、どこかにありましたが、イノベーションの定義は、必ずしも技術ということだけじゃないよというふうにたしか書いてあったと思うんですが、例えば、そういうところがむしろ重要になってくる面があるんじゃないかなというふうに思ったりもいたします。

 殊さら、RアンドD、研究開発だけに逆に偏らない方がいいのではないかというような、逆の意見もちょっと申し上げておきたいというふうに思いまして、次の質問に行かせていただきます。

 通告させていただいていますその次なんですが、これは、今回のこの法案質疑の恐らく次のテーマで出てくるであろういわゆる日本版NIHの健康・医療本部ですかと、それに伴う独法の設置の法案との関係なんですが、むしろ、今回のこの内閣府設置法改正で取り上げているような科学技術、相互に関係しているわけですから、医療とか健康関係を全部ひっくるめて、全部ここでやってしまえばいいのではないかなというふうにも思うわけなんです。

 横の連携という意味では、むしろその方が、全部まとめて、こちらは山本大臣、それからNIHの方は官房長官、こういう大臣が分かれているということ以上に、全てのことをこちらで、総合科学技術会議で一本でやってしまえばいいのではないかなというふうにも思うんですが、この点についてはいかがお考えでしょうか。そうだとおっしゃらないと思うんですが、どう考えればいいのか、ちょっと簡単に、整理がつかないんですが、いかがでしょうか。

山本国務大臣 総合科学技術会議は、科学技術イノベーション政策の全体の推進のための司令塔として役割を果たすということで、これは先ほども申し上げましたが、一方、健康・医療推進本部は、医療分野の研究開発に関する総合調整を行うということです。

 具体的に言うと、医療分野の研究開発に関して言うと、健康・医療戦略推進本部が対応になるわけですが、一方で、科学技術分野全般にわたる資源の配分の方針、研究開発の評価のあり方、研究人材に係る施策等の分野横断的な共通施策については総合科学技術会議が基本的な方針を定める、こういうたてつけになっております。

 総合科学技術会議の司令塔機能の強化、医療分野の研究開発推進のための新たな体制の構築、これは両方とも安倍内閣の主要政策というふうになっておりまして、相互に緊密に連携協力をしながら科学技術イノベーションの推進に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えております。

大熊委員 答弁と御説明としてはそういうことなんだろうと思いますが、私はサッカーは余り得意ではございません、やはり司令塔といえばチームで一人なんじゃないかなと思います。

 具体的に、例えば、通告させていただいていますImPACTですか、革新的研究開発プログラムというものをちょっと事例として取り上げさせていただきますと、例えば、ICTを活用して薬を見つけていくんだというような創薬プログラムを考えたとしますと、このImPACTの仕組みですと、研究者からPMと呼ばれる方、それからImPACT推進会議、そして総合科学技術会議という流れになっていくんだろうというふうに理解をしておりまして、その中の具体的にどの事務かはちょっとよくわかりませんが、独立行政法人科学技術振興機構という独法が一部の機能を担われるのかもしれないと思うんです。

 その一方で、これは薬のプログラムだということで、もし健康・医療戦略推進本部が関与するとなると、どういう関与になって、そして、まだ審議には入っておりませんが、日本医療研究開発機構という、このNIHの方の独法四つ目、新しくつくる方ですね、このファンディングをやるという、がどういうふうに絡んでくるのか、あるいは、絡まずに、このImPACTというプログラムは、そちらの、いわゆるNIHの方はもう関係なく、完結型で、この総合科学技術会議の関係で完結するんだということなのか、その辺をちょっと御教示いただければと思います。

倉持政府参考人 御説明いたします。

 お尋ねのImPACTでございますけれども、これはまさに、総合科学技術会議の司令塔機能強化を図る、その一環として創設されました、先ほどの御質疑にもございましたけれども、ハイリスクの挑戦によって大きなインパクトを生み出そうとする全く新たな制度でございます。既存の研究開発の延長線上ではなく、非連続なイノベーションを目指すというものでございます。

 したがいまして、総合科学技術会議が、すぐれたアイデアを持つプログラムマネジャー、PMでございますけれども、これを厳選して、大胆な権限をプログラムマネジャーに付与し、この人がプロデューサーとして研究者をキャスティングするということを特徴としているものでございます。

 このImPACTでございますけれども、あらかじめ医療分野であるとか特定の分野を特定するというものではございません。プログラムマネジャーの構想が、既存の分野、研究領域にとらわれず、異なる分野や領域の連携が求められるものであること、また、単に特定の分野や領域を示すものではないことというようなことが求められる内容となってございます。

 プログラムマネジャーの選定等におきまして、医療分野との研究とのかかわりが生じる場合がもちろんあろうかと思います。そういう場合は、私どもも、健康・医療戦略推進本部と総合科学技術会議がよく連携、協働することによって、ImPACTの掲げる飛躍的なイノベーションの実現を加速させてまいりたい、こういうふうに考えております。

 特にお尋ねの、ITを活用した創薬プログラムという具体的な例を挙げていただきました。これにつきまして、まさに今のImPACTの趣旨、ImPACTで目指す非連続的なイノベーションにどの程度適合するか、これはまさに詳細にケース・バイ・ケースで判断されることとなると思われます。

 仮に、ImPACTで実施するプログラムの候補になり得ると判断されるような場合は、私ども総合科学技術会議の事務局が、健康・医療戦略室に情報を提供し、意見を聞いた上で、総合科学技術会議の責任のもとでこのPMを決定して、プログラムの実施に当たっては、健康・医療戦略推進本部に情報を提供しながら進めていく、そういう仕組みを考えているところでございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 今、連携するというお話があったんですが、具体的な、どういうプログラムかによって実際上は違ってくるんだろうと思いますが、法律上はどのように書かれているかをちょっとお尋ねなんですね。

 では、明らかに医療だ、でもICTを使ってやるんだという、例えば、ちょっと漠としたところで、そこは法律上はどういうふうな連携のたてつけになっているのか、具体的に条文に即して教えていただけませんか。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 これはまさに研究プログラムでございますので、今公募をしているところでございますけれども、公募要領等におきましては、先ほど私が御説明いたしましたように、基本的には、あらかじめ特定の分野を特定して公募をしているというものではございませんので、むしろ、今までの既存の技術を超えた、そういう提案を幅広く募集をかけさせていただいているというものでございます。

大熊委員 では、今般のこの内閣府設置法のところで、連携というのは、どこを読むとその連携になるということなんですか。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 これは、法律上に、特に連携ということではございませんが、いわゆる司令塔という立場でございますので、何か、その所掌を奪い合う関係ではございませんので、基本的に、当然、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、私どもといいますか総合科学技術会議は、科学技術イノベーション全体を俯瞰して政策を推進する立場でございますので、当然、その接点であるとか関係のある部分については連携していくというものでございます。

大熊委員 こちらの法律には書いていないんだということで、では、あちらの方、つまり来週審議する、これは法律上どういう仕組みを想定しているのかと通告しておりますので、担当でいらっしゃらないかもしれません、別の方かもしれませんが、日本版NIHの方の法律にはどのように書かれているのか、教えていただければと思います。

柴山委員長 通告をしていただいていますね。

大熊委員 はい。法律上どのようになっているかということです。

柴山委員長 どなたが御答弁されますか。

 では、倉持政策統括官。

倉持政府参考人 大変恐縮でございます。私は担当責任者ではございませんので、ちょっと確認をいたしますけれども、基本的には設置法の書きぶりであると思われますので、いずれにしましても、確認してお答えすべきだと思います。失礼いたしました。

柴山委員長 通告しているようですから、責任ある方が御答弁をいただくように。

大熊委員 担当でなければ、担当のどなたかに。内閣官房になるのですか。法律上どのような仕組みを想定しているかという通告です。

柴山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

柴山委員長 速記を起こしてください。

 倉持政策統括官。

倉持政府参考人 大変失礼いたしました。

 ImPACTのお尋ねの件で法律上というふうに理解させていただきますと、ImPACTの法律的な位置づけは、これは、ImPACT自身は文部科学省の予算で、独立行政法人の科学技術振興機構、ここに基金をつくって運用するというスキームでやっておりまして、そのプログラムを動かす上での法律上の手当ての中に、私ども総合科学技術会議と健康・医療推進本部との連携ということについてうたわれているというものではございません。

大熊委員 通告の主語は健康・医療戦略推進本部がということでございまして、NIHの方がどうなっているのかというのが通告でございます。もちろん、そちらも聞きたかったわけなんですが、そちらの方はないということはわかったので、どのようなことになるのか、ちょっと。

柴山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

柴山委員長 速記を起こしてください。

 それでは、いわゆるNIH側の答弁担当者がきょうは来られていない、今すぐにこちらの方にお答えいただく体制もできていないということがわかりましたので、一旦、理事会の方で今後の対応について協議をさせていただくということで、きょうは別の質問に移らせていただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。

大熊委員 はい、結構です。

柴山委員長 それでは、そのようにさせていただきます。

大熊委員 それでは、次の質問に進ませていただきますと……(発言する者あり)

柴山委員長 御静粛に願います。

大熊委員 先ほど別の委員の御質問にもありましたが、総合科学技術会議の議員の方の職務継続規定、今回二年から一年延びたので三年になるという話でございまして、先ほどの津村委員とはちょっと逆の視点で、私としては、長過ぎると、むしろ弊害というか問題が出てくるのかもしれないというような観点でのお尋ねの通告なんですね。

 特に職務継続規定があると、任期が終わってもこの職務継続規定を理由にして、表現は悪いですが、そのまま居座ってしまうような、総理なり大臣からすると、実は余りあの方は本当は望ましくないなと思っていてもその仕事が続いているということ、そして、この根拠規定でもって延びていってしまうというような、万が一そういう事態が発生しないとも限らないということが、若干心配がないとは言えないと。

 そこで、そういうおそれがまずあるんじゃないかと思うんですが、その点、まず大臣の御所見をいただければと思います。

山本国務大臣 委員御存じのとおり、従来、総合科学技術会議の有識者議員の任期は二年でございました。科学技術政策に関してより中長期的な視点に立って活動できるように、有識者議員の任期を二年から三年に延長するということにいたしました。

 さらに、職務継続規定については、総合科学技術会議が司令塔として役割を十分に十全に果たすために会議の安定的な開催、運営が必要不可欠であるということから、今回、新たに規定をするということにいたしました。

 有識者議員の人選については従来より適切な人選に努めているところですけれども、今、御指摘も踏まえて、今回の法改正の趣旨も踏まえ、引き続き適切な人選を行ってまいりたいというふうに考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 これは余り確率的には少ないのかもしれませんが、一旦、選任のときはよくても、しばらくやっていくとちょっとこの方はという場合のまずその方のお仕事の評価、それをどなたがとなった場合、大臣か総理が、本部長がされるんでしょうが、どういう基準の評価でされて、もしこれはという場合に、要するに人事をかえるということですね、こういうことが可能なのかどうか。ちょっと質疑終了ということなので、一言、もし簡潔にいただければと思います。

山本国務大臣 そういう仕組み自体は何かあるかというと、ちょっと聞いたことはないんですけれども、少なくとも私が知る限り、総合科学技術会議の有識者議員の方々は皆さん大変立派な方ですし、これまで総合科学技術会議ができてから大熊委員が心配されているようなことは一度も起こっていないということなので、そういうことがずっと続けられるように、先ほども申し上げましたが、きちっとした人選をしてまいりたいと思います。

柴山委員長 質疑時間、終了です。

大熊委員 ありがとうございます。

 ただ、万が一のことがあるので、人事権はやはり政治家が持っていた方がいいと思います。

 以上で終わります。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。きょうは、内閣府設置法の一部改正案について質問をいたします。

 二〇一四年度の内閣府予算には、科学技術イノベーション創造推進費五百億円が計上されております。この予算は内閣府のどの所掌事務に基づくものですか。

倉持政府参考人 御説明いたします。

 お尋ねの戦略的イノベーション創造プログラムの予算の根拠でございますけれども、まさに今回の内閣府設置法改正案において、内閣府設置法第四条第三項第七号の三として新たに追加する、研究開発の成果の実用化によるイノベーションの創出の促進を図るための環境の総合的な整備に関する施策の推進に関する事務、この号に基づいて実施するものでございます。

赤嶺委員 五百億円の執行のための根拠条文を設置法に盛り込んだということですね。

 そこで、確認をいたしますが、戦略的イノベーション創造プログラムとはどのようなものですか。これも説明してください。

倉持政府参考人 戦略的イノベーション創造プログラム、いわゆるSIPでございますけれども、日本再興戦略及び科学技術イノベーション総合戦略に基づきまして、総合科学技術会議の司令塔機能を発揮し、府省や分野の枠を超えて基礎研究から実用化、事業化までをも見据えた研究開発を推進することを通じて、科学技術イノベーションを実現するというものでございます。

 SIPを推進するために、平成二十六年度予算として、内閣府に科学技術イノベーション創造推進費を五百億円計上しているところでございます。

 現在、総合科学技術会議が特定した十の対象課題候補につきまして、十名のプログラムディレクター候補者を選出し、研究開発計画等について検討を進めているところでございます。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

赤嶺委員 総合科学技術会議が五百億円、全体を俯瞰して配分をしていくということでありますが、この配分についてですが、五百億円、その原資はどこから持ってきたものですか。内閣府固有の予算ですか。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 この原資につきましては、関係省庁から、平成二十五年度の一般会計予算、科学技術振興費の四%相当の協力を得まして、五百十七億円を概算要求し、その結果、一部査定を受けまして、五百億円計上させていただいているというものでございます。

赤嶺委員 五百億円、各府省から四%ずつということになっていますが、これは具体的に各省から幾らずつ、主なところを説明してくれますか。

倉持政府参考人 関係省庁からの財源拠出の協力を得て概算要求をしたところでございますけれども、その内訳といいますか、主には、文部科学省から三百五十億円、経済産業省から四十一億円、農林水産省から三十六億円、総務省から十四億円、国土交通省から十一億円など、そういった内訳になってございます。

赤嶺委員 五百億円のうち、文科省が三百五十億円、七割を占めているわけですね。

 文科省の予算の中には、人文・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたって、基礎から応用までのあらゆる学術研究、研究者の自由な発想に基づく研究を格段に発展させることを目的とした、いわゆる科研費、科学研究費補助金もあります。この科研費も四%拠出の対象になっているんですか。

倉持政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、文部科学省からは、平成二十五年度の文部科学省の科学技術振興費の四%相当の拠出をいただいたということでございますけれども、文部科学省の予算の中の科学研究費補助金、これは文部科学省の科学技術振興費の中に含まれていることは事実でございます。

赤嶺委員 科研費も振興費の構成であるから、そこからも、いわば、文科省は三百五十億円を内閣府に召し上げられたというか、召し上げられたかどうかというのは、この五百億円をどのように配分するかということも聞きたくなるんですが、この点ではいかがですか。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 五百億円、どのように配分するかというお尋ねでございますけれども、総合科学技術会議が、まず健康・医療戦略推進本部との協議によりまして、SIP、科学技術イノベーション創造推進費五百億円のうち三五%分の百七十五億円を健康・医療分野に配分することを決めさせていただいております。そのほか、エネルギー、次世代インフラ、地域資源の分野におきまして、総合科学技術会議が特定した十の対象課題候補について、現在、研究開発計画を作成し、総合科学技術会議の有識者議員で構成されるガバニングボードというボードで事前評価を行っているところでございます。

 この評価結果を踏まえまして、各課題への配分額を総合科学技術会議において今後決定していく予定としております。

赤嶺委員 法律の流れを説明していただいたんですが、五百億円のうち百七十五億円、三五%は健康分野、残りの三百二十五億円をエネルギー、次世代インフラ、地域資源において、府省横断型の重要な十の対象課題候補を選定すると。ガバニングボードを置いて、そのもとにプログラムディレクターが置かれるわけですが、このプログラムディレクターというのはどういう役割を担っているんですか。

倉持政府参考人 御説明いたします。

 SIPでは、各課題ごとに一人ずつ、公募によって選ばせていただいたプログラムディレクターを配置することとしております。このプログラムディレクターでございますけれども、規制あるいは制度改革といったこと、あるいは特区制度の活用などとの連携も視野に入れながら、関係省庁を牽引して、研究開発の計画や成果の実用化、事業化に向けた戦略を作成する、あるいは研究開発等の進捗管理などを行うといった、中心となって進める役割を担っている者でございます。

赤嶺委員 成果の実用化をいずれは図っていくというところに大きな任務、役割があるわけですが、出口戦略も定めていくということであります。まさに今度の法改正の一番の中心を担っていく人たちでありますが、このプログラムディレクターに就任する予定の方々を教えていただけますか。

倉持政府参考人 現在、エネルギー、次世代インフラ、そして地域資源、この三分野に関しまして、十人のプログラムディレクター候補者、候補者と言わせていただきますのは、この法律が施行されるまではこのプログラムは発足できませんので、候補者でございます。それで、この方が研究開発計画を検討しているところでございます。

 以下、その方のお名前と肩書を順番に申し上げさせていただきます。肩書をたくさんお持ちの方もいらっしゃいますので、その場合は主なもののみとさせていただきます。

 テーマといたしまして、まず、革新的燃焼技術というものがございます。このテーマにつきましては、杉山雅則トヨタ自動車エンジン技術領域領域長がプログラムディレクター候補者でございます。

 次の、次世代パワーエレクトロニクスにつきましては、大森達夫三菱電機開発本部役員技監という方でございます。

 革新的構造材料というテーマにつきましては、岸輝雄東京大学名誉教授、物質・材料研究機構顧問という方でございます。

 エネルギーキャリアにつきましては、村木茂東京ガス代表取締役副社長でいらっしゃいます。

 それから、次世代海洋資源調査技術というテーマにつきましては、浦辺徹郎東京大学名誉教授・国際資源開発研修センター顧問でいらっしゃいます。

 それから、自動走行(自動運転)システムというテーマにつきましては、渡邉浩之トヨタ自動車技監でいらっしゃいます。

 それから、インフラ維持管理・更新・マネジメント技術につきましては、藤野陽三東京大学工学系研究科特任教授でいらっしゃいます。

 それから、レジリエントな防災・減災機能の強化というテーマにつきましては、中島正愛京都大学防災研究所教授でいらっしゃいます。

 それから、次世代農林水産業創造技術につきましては、西尾健法政大学生命科学部教授でいらっしゃいます。

 最後になりますが、革新的設計生産技術につきましては、佐々木直哉日立製作所日立研究所主管研究長という方でございます。

赤嶺委員 今読み上げていただいたんですが、トヨタだとか、いろいろな、日立だとか入ってきているわけですが、革新的構造材料の対象課題を受け持つ岸輝雄先生は、今の答弁にはなかったんですが、新構造材料技術研究組合理事長という肩書も紙の中では書かれています。

 この組合はどういうところですか。

倉持政府参考人 新構造材料技術研究組合でございますけれども、失礼しました、先ほど主なものだけ述べさせていただきましたけれども、この組合は、平成二十五年十月二十五日に経済産業大臣によって設立認可された技術研究組合でございます。組合員は、十九法人、一つの独立行政法人でございまして、理事長を岸先生が務めておられます。

 この組合では、現在、経済産業省の材料関連の研究開発プロジェクトを受託して実施中であると伺っております。

赤嶺委員 経済産業省のもとにつくられたもので、自動車関連産業で、理事長は岸先生、理事には、川崎重工業、それからJFEスチール、神戸製鋼所など、日本の素材関係の大企業役員の名前が並んでおります。

 トヨタだとか東京ガス、そういう日本を代表する財界や大企業の人たちがプログラムディレクターとして予定をされているということでありますが、これは、結局、財界や大企業のための研究プロジェクトということで間違いないですね。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

山本国務大臣 ちょっと簡潔に、答弁する前に一つ訂正させていただきたいと思いますが、SIPはプログラムディレクター、PD、ImPACTはプログラムマネジャーでございまして、先ほどの答弁で何度かプロジェクトマネジャーと言ってしまいましたが、プログラムマネジャーの間違いでございます。訂正させていただきたいと思います。

 そこで、今の委員の御質問ですが、SIPは、国民にとって真に重要な課題に関して、基礎研究から実用化、事業化までを見据えて、一気通貫で研究開発を推進するというものでございます。したがって、革新的な基礎研究をいかに迅速に実用化、事業化に結びつけるかが重要であり、恐らく、大学とかあるいは基礎研究機関における研究を支援するケースが多くなるのではないかというふうに考えております。研究開発費が潤沢な大企業による製品開発を支援するようなものではないというふうに申し上げておきたいと思います。

赤嶺委員 大企業のためではないとおっしゃいますけれども、日本経団連が、この問題に関して、昨年の一月二十二日に、「科学技術イノベーション政策の推進体制の抜本的強化を求める」という提言を発表しております。大臣も御存じだと思います。

 これを読みながら、何か今度の政府の法律の提案の趣旨を読んでいるのかなと私が錯覚したぐらいなんですが、この提言の第一が「強力な司令塔の実現」。そのために、まず、文科省の権限を総合科学技術会議に移管すべきである、このようになっています。今回の法案もその提言のとおりになっているわけです。総合科学技術会議の司令塔機能を高めるために、文科省の権限を内閣府に移管しております。

 経団連の提言は、次に、最先端研究開発支援プログラムの後継プログラムの創設を求めています。「その際、総合科学技術会議が自らの裁量で支援プログラムを決定できるものとすべきである。」としておりますが、今回創設された五百億円の戦略的イノベーション創造プログラムは、この提言どおり、総合科学技術会議がみずからの裁量で支援プログラムを決定できる仕組みになっております。

 経団連の提言は、さらに、「支援プログラムの評価及び新規採択にあたっては、産業界関係者をできる限り多く委員に加えることが重要である。」このようになっているわけですね。先ほど答弁していただきましたが、プログラムディレクターの過半は財界、産業界出身で、またはそこをバックグラウンドにしている方々であります。

 やはり今回の法改正は、そういう経団連など財界の提言に応えたものだと思いますが、いかがですか。

山本国務大臣 今回、SIPそしてImPACTを創設した、総合科学技術会議の司令塔機能をしっかり強化した、ここの背景に流れている大きな哲学は、先ほども申し上げましたが、安倍政権において高い研究開発のレベルをいかに国民が享受できるようにするか。もっと言うならば、幾ら高い研究開発の技術があったとしても、それが実用化される、産業化されて、やはり競争力に結びつかなければいけないということで、先ほども何度も申し上げておりますが、死の谷を越える、ダーウィンの海を越える、そういうサイクルをつくろうという観点から創設されたものだというふうに考えております。

赤嶺委員 いろいろな建前、旗印を立ててこられますけれども、さきの新構造材料技術研究組合のホームページを見ましたら、事業の概要として、経済産業省の平成二十五年度、革新的新構造材料等技術開発というのを掲げております。平成二十六年度の経産省の予算案を見ると、やはり革新的新構造材料等技術開発プロジェクトが掲げられ、四十八億円、その上に、次世代パワーエレクトロニクス技術開発プロジェクト、四十五億円。同名の課題が今回の戦略的イノベーション創造プログラムにもあるわけです。

 結局、今回のプログラムの効果の一つは、既に産業界向けに経産省などが予算化している事業にさらに上乗せして予算を配分するために、科学技術予算自体を直接ふやして財界のためのプロジェクトを推進するというわけにはなかなかいかないので、四%ずつ各省庁から召し上げて財界のためのプロジェクトに配分し直す仕組みをつくることだということを申し上げまして、質問を終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。

 山本大臣、早朝から御苦労さまでございます。私が最後でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 実は、今赤嶺委員からの質問にもありまして、ダブるところもたくさんあるんですけれども、改めてお伺いしたいと思います。

 SIPの予算が五百億円、先ほど積算根拠については事務方の方からもお話がございました。およそのことはわかるんですけれども、より具体的な中身についてお伺いをしたいと思います。

 それとあわせて、まだ法案が通ったわけではありませんけれども、今年度は五百億円、来年度はどういう形になるのか、今後ふえる傾向にあるのか、そのことも含めて大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

山本国務大臣 各省から拠出していただいた細かい内訳については、先ほど事務方の方からお答えをしましたので繰り返しませんが、もう一度申し上げますけれども、平成二十六年度予算案におけるSIP予算の額、これは、平成二十五年度の科学技術振興費の四%程度である五百億円を計上させていただきました。これは各省から召し上げたわけではなくて、関係各省からSIPの意義を理解いただいて拠出をしていただいたということです。

 五百億円は、これは調整費ということで計上させていただきたいと思っていますし、各省庁の取り組みを俯瞰しつつ、真に重要な研究開発に機動的に配付するということで、今、研究開発計画及び積算を検討しているところでございます。

 来年度以降、その後ということですけれども、これはまだ現時点では決まっておりませんが、科学技術担当大臣としては、先ほども申し上げたとおり、やはり同じレベルの額を、これは別に財務当局と今相談して言っているわけじゃありませんけれども、少なくとも五年ぐらいきちっと続けていただきたいと思いますし、やはり、この五百億の枠を、総合科学技術会議の目ききで、国家戦略として各府省の壁を越えて配分していくということは非常に私は意味があるのではないかと考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 もちろん、三分野、また十項目、各省横断的な形で予算配分をまたしていくということになるんですけれども、今後も、対象分野が広がったりすることによって予算の増減は当然出てくると思うんです。

 これも先ほど赤嶺委員の方から質問があったんですけれども、この五百億円のうち、健康・医療分野に百七十五億円、本来はこれはおかしいじゃないか、この法案の趣旨に合わないじゃないかという趣旨の質問がございました。私も全く同感なんですけれども、あえてなぜここに百七十五億円を必要としたのか、改めて御見解を伺いたいと思います。

山本国務大臣 今御指摘のあったお話ですが、健康・医療分野、これは国民にとって非常に、最重要な分野の一つだというふうに考えております。その分野の研究開発を総合的かつ計画的に総合調整を行うために健康・医療戦略推進本部が設置されたということで、これは安倍政権としての方針、戦略として打ち出されたというふうに考えておりますし、私もこの構想は当初から支持をさせていただいております。

 SIPにおける健康・医療分野の扱いについては、総合科学技術会議が健康・医療戦略推進本部との協議によって配分額を決めた上で、健康・医療戦略推進本部が実施するということにいたしました。今回は、最初ということですが、百七十五億円を配分するということで決定をさせていただきました。

 総合科学技術会議は、健康・医療戦略推進本部が実施する研究開発も含めた科学技術全体を俯瞰する、先ほども申し上げましたが、俯瞰をしながらイノベーションの創出に取り組んでおりますし、また、そういう形を今後とも続けてまいりたいと思います。

村上(史)委員 それと、先ほど、これからの予算のあり方で、最低五年間はこういう予算を欲しいというお答えでしたけれども、いわゆる科学技術を国家戦略として進めていくためには、五年間というのはいかがなものかなと思うんですが、これ、通告はしておりませんけれども、どういう意味でおっしゃったのか、もう一度教えてください。

山本国務大臣 本来であれば、私の答えは、現在、平成二十六年度早々のプログラム実施に向けて研究開発計画を検討しているところですので、現段階では対象分野の拡大とか予算の増額については検討する段階にはないというのが、これが普通の答えだと思うんですけれども、科学技術担当大臣としての見解といいますか、希望を述べさせていただきましたが、やはりこの五百億の枠をぜひ続けていただきたいなと思っております。

 さっき五年間と言ったのは、きょうの質疑にもありましたが、御質問の中で、SIPの効果、どのくらいで事業化に結びつけるか、どういうめどを考えているのかという話が近藤委員の方からございましたので、そのときに、少なくとも五年ぐらいで成果が出るような形を考えたいと申し上げましたので、そういう意味で、少なくともそのぐらいは続けていきたいというふうに科学技術担当大臣として強く要望しているということです。

村上(史)委員 ありがとうございました。よくわかりました。

 それでは、事務局体制について一つ質問をさせていただきたいと思います。

 調査能力あるいは評価能力、予算編成能力や総合調整能力を持った人材を百人集めたい、組織したいということでございますけれども、これをどういう形で具体的に進められるのか、民間からも登用されるのか、お尋ねしたいと思います。

山本国務大臣 総合科学技術会議の機能強化を図っていく上で、その基盤となる事務局体制を強化するのは、今委員がおっしゃったとおり、大変大事だというふうに考えております。このため、関係各省、大学、それから産業界等の協力を得ながら、科学技術イノベーション等の専門的な知見を有する優秀な人材の登用をしっかり進めたいと考えております。出向者の任期の長期化等によって、人材の安定的、継続的な確保にも取り組みたいというふうに考えております。

 具体的に言うと、民間からの政策調査員の増員を図るということ、さらには、現場の専門的知識等を有する研究者等が行政機関において業務に参画できる制度である、今回の質疑でも出てまいりましたが、科学技術政策フェロー制度の創設を検討しておりまして、さらなる体制の強化を図ることとしております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それでは、成長戦略と科学技術の問題で二点ほどお尋ねをしたいと思います。

 先ほどの御答弁でも、ある程度の期間の中で成果を出したいということをおっしゃいました。一つの目安として五年ということもあろうかと思います。ただ、そういうことで成果を出そうという余り、どうしても開発費、研究費が応用研究や開発研究の方に偏重しがちで、基礎研究の方がおろそかにならないかなというちょっと危惧もあるんですけれども、その点をまずお伺いしたい。

 それと、研究者の立場からすれば、予算をつけてもらっている、そして限られた期間の中で成果を出さないといけないという焦りもあるでしょうし、今回の理研の問題はそれに該当するかどうかわかりませんが、外国でも、そういう研究者が勇み足で研究論文を早く出してしまって、また取り下げるとか、そういうことが茶飯にあると言われております。そうなりますと、日本の技術、日本への信頼という部分で毀損するおそれがあるというふうに思うんですけれども、大臣はその辺どのようにお考えでしょうか。

山本国務大臣 応用科学が重視されて、基礎研究へのしわ寄せが危惧されるという御質問でございましたが、成長戦略の推進のためには、もちろん、実用化、事業化といった出口を意識した問題解決型の応用研究、これが重要だというふうにされています。しかしながら、今委員がおっしゃったように、同時にイノベーションの源泉となるシーズを生み出す基礎研究も一体的に推進させる、これが大事だと考えています。

 基礎から応用、実用段階に至るまでシームレスに研究を展開できる、これがイノベーションを継続的に創出するために重要だということを踏まえて、総合科学技術会議としては、その実現に向けて競争的資金の使い勝手の改善とか制度の再構築に取り組んでまいりたいと思います。

 もう一つ御質問がありました件ですが、科学研究については、近年、国際競争が非常に厳しくなっております。研究者はさまざまな重圧にさらされていると認識しています。

 こういう中で、競争に勝つために、委員もおっしゃったように、早期に結果を出そうと焦る一方で、研究が予定どおりに進まないことは往々にしてあると思います。だからといって、安易に結果を出そうとして不正行為に手を染めれば、その後の研究人生を失うことになるわけで、そういう事態を招かないように、道徳、研究倫理に関する教育等をしっかり進めていく必要があるというふうに認識しております。

 総合科学技術会議としても、各所の取り組みを促してまいりたいと思います。さらに、研究資金の獲得、キャリアパスの形成における競争についても、これも念頭に置きながら、イノベーション環境創出に向けた検討を進めていきたいと考えます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まさに、科学技術担当大臣として、いろいろなところに目配りをしていただかないといけないので大変だと思いますけれども、ぜひ、日本の科学技術の発展のために、より一層の御尽力をいただきたいな、そのように思います。

 ただ、我が国の研究費のことで危惧するのが、政府負担の割合が先進国の中で低いではないか、これは数字上出ております。

 我が国の場合は、研究費は十七兆余りありますが、政府負担は三兆余り、率にして一八%から一九%。海外では、もう三〇%は優に超えているという状況の中で、この状況を大臣はどのようにお考えでしょうか。

山本国務大臣 今、村上委員が御指摘になったとおり、我が国の政府研究開発費の負担は、諸外国に比べると非常に低水準になるというふうに認識しています。

 こういう認識のもとで、平成二十三年の八月に閣議決定された第四期の科学技術基本計画、ここにおいて、政府研究開発投資について対GDP比の一%にする、その場合、第四期基本計画期間中の政府研究開発投資の総額の規模を約二十五兆円、こういう具体的な目標を設定しております。

 我が国の財政事情は非常に厳しい状況にありますけれども、現在、科学技術基本計画に定めるこの目標の達成を目指して、必要な予算の確保に向けて努力しております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 確かに、そういう数字が上がっていることは承知をしております。現実にできるかどうかというところが課題になってくると思います。

 この問題について質問をしたかったんですけれども、時間が押し迫っておりますので、最後の質問に移らせていただきたいと思います。

 これは、この法案とは直接関係はないんですけれども、いわゆる科学技術立国日本をどのようにつくり、そして今後も成長させていくかという面で、科学技術担当の大臣の所見を伺いたいと思うんですけれども、内閣府にこの総合科学技術・イノベーション会議を新たに創設する、それはそれで結構なんです。ただ、内閣府に置くということで、肥大化の問題もございますし、また、官房長官もおっしゃっていますけれども、出口の問題も検討していこうという状況にあると思います。

 ただ、科学技術立国を確たるものにするためには、単年度の視点とか五年のスパンではなくて、これからずっと取り組まなければならない課題だと思っております。

 そういう面で、今回のその法案については是といたしますけれども、本来の技術立国日本をつくっていくためには、かつて二〇〇一年まで科学技術庁というものがあって、これはやはり、戦後の日本の復興の中で、資源がない、そして日本が独立をしていくためにはどうしたらいいか、経済的に自立をしていくためにはどうしても技術が必要なんだという中で、この科学技術庁が成長してきた、先ほどの質問でもありましたけれども、超大物がそれを担ってきたという面で、これは大変、これからの日本のあり方という面では考えなければならないことだと思います。

 当然、大臣も御承知かと思います。ヨーロッパあるいはアメリカなんかでも、省庁をつくって具体的に国家戦略として科学技術立国をその国が推進しているという面で、日本は、そういう部門を文部省と科学技術庁とあわせて文科省にしたように、今はそういう組織にはなっておりますけれども、本来、独立した形でこれを推進すべきではないかな、そのためには必要な予算をどんどんつけていくということが必要だと思います。

 この法案とは別なんですけれども、科学技術担当大臣としての思いをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

山本国務大臣 今委員がおっしゃった、例えば科学技術庁を復活させるとか、科学技術イノベーション省を新たにつくるとか、こういう話になると大変な大議論になってくるとは思うんですけれども、やはり今、安倍政権として、成長戦略の中核に科学技術イノベーションを位置づけている。

 きょうの質疑でもいろいろ出ていましたが、やはり、日本の未来が科学技術イノベーション政策の成否にかかっているということを考えれば、やはり一つの考え方として、頭のどこかにしっかりと置いておきたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それ以上のことは大臣のお口からお話はできないと思いますけれども、思いは伝わってまいりましたので、これからも大臣の御活躍をお祈りしたいと思います。

 ただ、このことが単なるアベノミクスの成長戦略だけの位置づけに終わってしまってはだめだと思いますので、その点も指摘をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

柴山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、本案に対し、近藤洋介君外三名から、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党及び生活の党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 内閣府設置法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました内閣府設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、みんなの党及び生活の党の四会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、地方公共団体が地域の実情に即した事業または事務をより的確に実施することができるようにするために創設された地方公共団体による自主的な選択に基づいて実施される事業または事務に要する経費に充てるための交付金の配分計画に関する事務について引き続き内閣府の所掌事務とするため、これを削除する規定を削除することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柴山委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 私は、日本共産党を代表して、内閣府設置法改正案に対して反対の討論を行います。

 反対する理由は、今回の法改正が、成長戦略の名のもとに、日本の研究予算である科学技術振興費を財界、大企業の要求する研究開発に再配分するためのものであり、日本の学術研究をゆがめるものだからです。

 安倍内閣発足から一カ月後の昨年一月、日本経団連は、財界本位の支援プログラムの創設と決定を求める提言を発表しました。一四年度予算には、この提言どおり、五百億円の戦略的イノベーション創造プログラムが計上され、今回の法改正は、そのプログラムを総合科学技術会議がみずからの裁量で決定できるようにするためのものです。そのプログラムの責任者となる十人のプログラムディレクターには、既に、トヨタ自動車、三菱電機、日立製作所、東京ガスなど、財界、大企業関係者の名がずらりと並んでいます。

 五百億円のプログラム予算の原資は、政府全体の科学技術振興費であり、今回導入される仕組みは、その一部を、財界関係者の指揮のもと、財界のためのプロジェクトに配分し直す仕組みにほかなりません。このしわ寄せを受けるのは、日本の科学技術研究の基盤そのものです。研究の現場から、研究資源の配分が一部の先端研究や実用研究に偏重し、幅広い分野の基礎研究がおろそかになるとの声が上がるのも当然であります。

 財界の目先の利益、目先のイノベーションを優先した財界本位の研究資源の再配分は、長い目で見れば、イノベーションを生み出す日本の研究基盤自身を掘り崩すものとなりかねません。このことを強く指摘し、反対討論とするものです。

柴山委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、内閣府設置法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、近藤洋介君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党、みんなの党及び生活の党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。津村啓介君。

津村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    内閣府設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 総合科学技術・イノベーション会議は、科学技術イノベーション政策の司令塔機能を発揮し、政府全体の科学技術関係予算の戦略的策定や戦略的イノベーション創造プログラムの推進等に積極的に取り組むとともに、同プログラムの実施に当たっては、実効性のあるPDCAサイクルを構築し、科学技術イノベーションの創出を実現すること。

 二 総合科学技術・イノベーション会議が持つべき分析・企画力等を発揮できるようにするため、その基盤となる事務局の人員体制の強化や調査分析機能の強化を図ること。

 三 総合科学技術・イノベーション会議の運営に当たっては、イノベーション創出を加速させるため、産業界の活力を積極的に活用すること。

 四 総合科学技術・イノベーション会議は、IT総合戦略本部、知的財産戦略本部、総合海洋政策本部、宇宙開発戦略本部その他の科学技術イノベーションに関連する本部組織との連携強化に取り組むとともに、同会議の司令塔機能の「総合性」の更なる発揮について検討すること。

 五 総合科学技術会議の司令塔機能強化に加えて、内閣総理大臣等に対して科学技術イノベーションに関する助言等を行う科学技術顧問(仮称)の設置について検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本国務大臣。

山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

柴山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

柴山委員長 次回は、来る二十八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十分散会


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