第8号 平成26年3月28日(金曜日)
平成二十六年三月二十八日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 柴山 昌彦君
理事 関 芳弘君 理事 平 将明君
理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君
理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君
理事 松田 学君 理事 高木美智代君
青山 周平君 秋葉 賢也君
大岡 敏孝君 鬼木 誠君
勝俣 孝明君 金子 恵美君
川田 隆君 小松 裕君
今野 智博君 島田 佳和君
新谷 正義君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 長島 忠美君
福山 守君 星野 剛士君
宮内 秀樹君 宮澤 博行君
山田 美樹君 吉川 赳君
大島 敦君 後藤 祐一君
若井 康彦君 鷲尾英一郎君
遠藤 敬君 杉田 水脈君
中丸 啓君 山之内 毅君
輿水 恵一君 浜地 雅一君
大熊 利昭君 赤嶺 政賢君
村上 史好君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君
国務大臣 山本 一太君
国務大臣 森 まさこ君
国務大臣
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(行政改革担当) 稲田 朋美君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
外務副大臣 岸 信夫君
財務副大臣 古川 禎久君
文部科学副大臣 櫻田 義孝君
法務大臣政務官 平口 洋君
文部科学大臣政務官 上野 通子君
政府特別補佐人
(内閣法制局長官) 小松 一郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 和之君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 武藤 義哉君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 佐々木裕介君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 中村 昭裕君
政府参考人
(内閣府沖縄振興局長) 石原 一彦君
政府参考人
(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官) 浜田 浩児君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 広瀬 行成君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君
政府参考人
(文部科学省初等中等教育局長) 前川 喜平君
政府参考人
(海上保安庁次長) 岸本 邦夫君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
三月二十八日
辞任 補欠選任
鬼木 誠君 宮澤 博行君
田所 嘉徳君 宮内 秀樹君
田中 英之君 星野 剛士君
高木 宏壽君 金子 恵美君
福山 守君 今野 智博君
津村 啓介君 鷲尾英一郎君
同日
辞任 補欠選任
金子 恵美君 高木 宏壽君
今野 智博君 福山 守君
星野 剛士君 田中 英之君
宮内 秀樹君 島田 佳和君
宮澤 博行君 鬼木 誠君
鷲尾英一郎君 津村 啓介君
同日
辞任 補欠選任
島田 佳和君 田所 嘉徳君
―――――――――――――
三月二十八日
国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案(衛藤征士郎君外九名提出、衆法第九号)
同月二十七日
全ての子どもの権利が保障される保育制度・子育て支援策の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三二三号)
同(秋葉賢也君紹介)(第三二四号)
同(笠井亮君紹介)(第三二五号)
同(穀田恵二君紹介)(第三二六号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三二七号)
同(志位和夫君紹介)(第三二八号)
同(塩川鉄也君紹介)(第三二九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第三三〇号)
同(宮本岳志君紹介)(第三三一号)
同(阿部知子君紹介)(第三六五号)
同(吉川元君紹介)(第三八六号)
同(宮本岳志君紹介)(第四〇七号)
同(小宮山泰子君紹介)(第四三〇号)
社会保障と税の一体改革とマイナンバー法の実施を中止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三二号)
同(笠井亮君紹介)(第三三三号)
同(穀田恵二君紹介)(第三三四号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第三三五号)
特定秘密保護法の撤廃に関する請願(辻元清美君紹介)(第四〇六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四三五号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第四四二号)
同(笠井亮君紹介)(第四四三号)
同(穀田恵二君紹介)(第四四四号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第四四五号)
同(志位和夫君紹介)(第四四六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第四四七号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第四四八号)
同(宮本岳志君紹介)(第四四九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
健康・医療戦略推進法案(内閣提出第二一号)
独立行政法人日本医療研究開発機構法案(内閣提出第二二号)
内閣の重要政策に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○柴山委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎和之君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣府大臣官房審議官中村昭裕君、内閣府沖縄振興局長石原一彦君、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官浜田浩児君、外務省大臣官房審議官広瀬行成君、外務省大臣官房参事官下川眞樹太君、文部科学省初等中等教育局長前川喜平君、海上保安庁次長岸本邦夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○柴山委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。後藤祐一君。
○後藤(祐)委員 よろしくお願いします。
まず冒頭、国家戦略特区がきょう夜、指定されるというふうに伺っておりますけれども、昨年十一月十三日の当委員会で、私は、本件に関して、「東京と神奈川県みたいな形の、連接する二つぐらいの、複数の都道府県というようなイメージなんでしょうか。そのイメージについてお答えいただきたいと思います。」と聞いて、新藤大臣から、「市町村をまたぐ場合も、県をまたぐ場合もあると思います。」という御答弁をいただいておりますが、けさの毎日新聞によりますと、「東京都と横浜・川崎両市、千葉県成田市からなる「東京圏」、大阪府と京都・神戸両市からなる「関西圏」など四カ所を選定する方針を決めた。」という報道がなされています。
よろしいことだと思うんですが、ぜひ、官房長官も神奈川、横浜市が選挙区でいらっしゃいますけれども、これはやる気のある方を広く認めてあげたらいいと思うんですね。神奈川全域にしてあげて、横浜、川崎以外のところも、これと類するようなことをやっていらっしゃる方は読めるような形で、どうも具体的なエリアはきょう決め切らないで、これから各地域なんかとも相談しながら決まっていくような話も伺っておりますので、ぜひ、広くしていただけるよう、よろしくお願いしたいと思います。
さて、まず特定秘密保護法から入りたいと思いますが、前回の確認を二つほどしたいと思います。
まず一つは、情報保全諮問会議における各委員と事務局の間の、委員名は伏せた上で、その問いとお答えというのは全員の委員に共有できるようにお示ししているというふうに森大臣から御答弁がございました。
その資料について、仮に、一般の方から、あるいは私でもできるんですが、情報公開請求した場合、情報公開法五条の不開示理由に当たらない部分については開示できるはずなんですが、これについては、一々情報公開請求しなくても、少なくともこの委員会に提出していただけないでしょうか。
○森国務大臣 委員会への提出については、委員の率直な意見の交換を確保する観点も加味しながら検討をしていきたいと思います。
○後藤(祐)委員 情報公開請求した場合に出てくるものを出してくださいということなんです。
それはできますか。もう一度お願いします。
○森国務大臣 情報公開請求をした場合に出す、開示決定がなされた文書を委員会に提出することは問題ないというふうに考えますので、委員のお申し出については検討してまいりたいと思います。
○後藤(祐)委員 それは情報公開請求しなければ出さないということですか。
○森国務大臣 いいえ、その点も含めて、これは検討してまいりたいと思います。
先ほど言ったような率直な意見の交換を確保する観点も加味しながら、これは、提出できるものは提出していきますように検討してまいりたいと思います。
○後藤(祐)委員 率直な意見交換の要素を加味するのは当然なんです。
ですから、それを加味した上で、情報公開法五条の不開示理由に該当する部分は黒塗りにするなり、出せないものがあるのはわかった上で、その不開示理由に当たらないものについて出してほしいと言っているんです。それを請求しないと出さないというのは、当委員会に対する態度としていかがなものなんでしょうか。我々国会議員は一体何をもとに議論すればいいんでしょうか。しかも、これは法改正にかかわる部分もあり得ると委員の方々もおっしゃっているんです。
ちょっと今の森大臣の態度はいかがなものか。ぜひ理事会で、情報公開請求した場合に不開示理由に当たらないもの、出すであろうものをこの国会に出してほしいということをお願いしているだけなんです。今の態度は委員会に対していかがなものか。委員長、ぜひ理事会で御審議をいただきたいと思います。
○柴山委員長 後刻、理事会において協議をいたします。
○後藤(祐)委員 それでも出ないようだったら、国会議員ではありますけれども情報公開請求するしかないということになりますよね。
二つ目。特定秘密保護法が施行されるまでは処罰対象とならない行為であって、特定秘密保護法が施行後には新たに処罰対象になる行為について前回伺いましたが、三つ、森大臣から答弁がありました。「国家公務員が業務により知得した特定秘密を過失により漏らす場合」、「知得した特定秘密を漏らす行為の未遂」、「特定秘密を保有する者の管理を害する行為により特定秘密を取得した場合」、これは条件が幾つかつきます。
これらそれぞれについて、施行されるまでは処罰対象でないものであって、施行された後は処罰対象になるものを、具体的な行為として示してください。前回答弁された例は、現行法でも処罰されるものを答えただけですので、その要求に対しての回答にはなっておりませんので、今答えられるんだったら答えてください。今答えられないんだったら、きちんと紙でもって当委員会に提出していただけますでしょうか。
○森国務大臣 過失の行為、それから未遂の行為、そして管理を害する行為でございますけれども、例えば、管理を害する行為といたしましては、特定秘密を取り扱う立場にない職員が、ひそかに、特定秘密を含む内容の会議を行う会議室に盗聴器を設置し、特定秘密を取得する行為というものがございます。先ほどの未遂や過失は、例えば未遂であれば、盗聴器を設置した段階が未遂になるというふうに思います。
または、行政機関の高官の秘書が、特定秘密が記録された文書が保管されている金庫の鍵をあけ、在中しているその文書を取り出して、その場で写真におさめて特定秘密を取得する行為でございまして、金庫の鍵をあけた時点で未遂になるというふうに考えられます。
○後藤(祐)委員 今、二つしかありませんでしたが、三つ申し上げておりますので、ぜひ、それぞれについて対応するものを具体的に示していただきたいと思います。でも、今の二つの事例は今までなかった話でございますので、それはそれで今後の検討に資するところはあると思いますので、ぜひ、一つ二つではなくて、いろいろなケースがあります、この前も申し上げた、既に昨年の特別委員会で例示として挙げられるものの、白となっているものに対応する黒の部分については、少なくとも示していただきたいと思います。
特定秘密はきょうはこれで終わりですので、森大臣、もしお忙しいようでしたら、退室していただいても結構でございます。
続きまして、集団的自衛権に行きたいと思います。
まず、前回の確認を二つほどしたいと思いますが、前々回、官房長官からの最後の答弁で、「閣議決定をしたものについて、それは必要に応じて国会で法案審議をしていくというのは、ある意味では当然のことじゃないでしょうか。」という答弁がございましたが、これは、集団的自衛権の行使を認めることについて閣議決定したものを、例えば法案にして、それを審議していただくことを指すのか、それとも、そういった法案は出さないで、集団的自衛権の行使を閣議決定で認めて、それを踏まえて、個別法たる、例えば自衛隊法改正案等を法案として出してきた場合のことを指すのか、どっちのことを指しているんでしょうか。
○菅国務大臣 せっかくの機会ですから、委員から先ほど冒頭発言のありました国家戦略特区、私は担当大臣ではありませんけれども、その委員会のメンバーの一人でありますので、そこは基本的に、やはり、やる気のあるところというのは、首長がそこのメンバーになりますので、そういう方向に私はすべきであろうというふうに思っています。
今の質問でありますけれども、集団的自衛権と憲法の関係については、現在、たびたび申し上げておりますけれども、安保法制懇の中で、安全保障環境が一層厳しさを増す中にあって、国民の命を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から、今、懇談会における議論が行われている。
その上で申し上げれば、政府としては、懇談会から報告書が提出された後に、これを参考にして政府としての基本方向というものを示した上で、内閣法制局の意見も踏まえつつ、与党と相談をして対応を検討した後、内閣としての意思を示す閣議決定を行い、国会で御議論いただくことを考えております。
したがって、国会で御議論いただくというのは、閣議決定したものとは、まず、内閣としての意思について御議論をここはいただきたいというふうに思います。その後、内閣として、閣議決定で示した内閣の意思を行政の具体的運営に反映するために、必要に応じて、関連する一連の法律の改正等、立法措置を国会にお願いしていく、こういうことになるだろうというふうに思っています。
○後藤(祐)委員 まず、前段の国家戦略特区については、大変前向きな答弁をいただきまして、ありがとうございます。ぜひ、神奈川県全体、あるいは首都圏全体、あるいは国家全体の観点に立って、そして、現場で頑張っておられる方を応援するという観点に立って進めていただきたいと思います。
集団的自衛権の答弁でございますが、今、二つのことをお答えになられました。内閣の意思、すなわち集団的自衛権の行使を認める閣議決定という内閣の意思について国会で御議論いただくという面と、その後の自衛隊法等一連の法改正について。
後段については、当然、法改正ですから、国会で議論するのは当たり前なんですが、前段の、内閣の意思を国会で御議論していただくというのは、その内閣の意思とは、具体的には何のことなんでしょうか。つまり、集団的自衛権の行使を認める閣議決定を国会で議論するというのは、一体、国会に、例えばその承認を求める、形式としての承認を求めるということであれば、それは内閣の意思を国会で御議論するということになると思いますが、そうではなくて、一般的に、例えばこの委員会ですとか安保委員会ですとかで普通に単に国会で議論する場があるというだけのことなんでしょうか。どっちなんでしょうか。
○菅国務大臣 まず、報告書が出ていません。提出をされた後に、これはそのものを参考に政府としての基本方向をまず示した上で、先ほど申し上げましたけれども、法制局の意見も踏まえながら、与党と相談をして対応を検討した結果、内閣としての意思を示す閣議決定を行うということであります。
その意思については、閣議決定したことについて、これは国会でもいろいろ議論をすべきだという主張も、予算委員会等もあるわけでありますから、どういう形のものになるかということは、この時点で予断を持って答えることはできないわけでありますから、そうしたまず内閣の意思決定をした場合、国会で議論をする、そういうことであります。
○後藤(祐)委員 本来は、後ほど申し上げるように、国家安全保障基本法なり法案で私はやるべきだと思いますが、閣議決定で終わりというのではなくて、閣議決定をするのであれば、その閣議決定についての国会での議決あるいは承認、こういったものを最低限求めていただくよう、今後、これから決めるんでしょうから、与党の中でもこういった議論があるようでございますから、やはり立法府の意思と内閣の意思というものを合わせないとおかしなことになりますので、ぜひよくお考えいただきたいと思います。
今の話に関連するんですが、前回、こういう話をしました。つまり、集団的自衛権の行使を認める閣議決定をした後、まだ自衛隊法等が出ていない状態において、国会はこの閣議決定に拘束されないという答弁がありました。
そうしますと、立法府としては、国会としては、集団的自衛権の行使を認めているか、認めていないか、わからない状態にあります。そのような中で、海外から、日本国としては集団的自衛権の行使を認めているのか、認めていないのかと聞かれた場合、日本国としてどういった答弁になるんでしょうか。もう一度お願いします。
○菅国務大臣 まず、集団的自衛権の問題については、今、手続、順番については私が先ほど申し上げたとおりです。
その上で、内閣としての意思を閣議決定した際には、必要に応じてその内容について説明をすることになるだろうというふうに思いますし、内閣の憲法解釈を行政の具体的運営に反映するために立法措置が必要であれば、その点もあわせて、そこは説明していくことになるだろうと思います。
○後藤(祐)委員 つまり、検討中だと答えるということですか。
○菅国務大臣 閣議決定した際には、その内容について、決定をした内容はこうですということは当然説明する。そしてまた、立法措置が必要な場合は、今こういう形で立法措置を検討している、そういうことをやはり説明するに尽きるんだろうと思います。
○後藤(祐)委員 つまり、日本国の意思としては、その段階では明確になっていないというふうに私は考えます。だって、立法府は認めていないんですよ。だから、この話は閣議決定でやってはならないということなんです。
では、この話はこれ以上やっても変わっていかないでしょうから、きょうは参考資料をお配りさせていただきましたが、昭和二十九年六月二日、参議院本会議においては、「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」として、「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、茲に更めて確認する。 右決議する。」という、これが全文です、決議がございます。
私は、集団的自衛権に関しては、非常に限定した上で、今の安全保障環境からすれば認める必要がある部分があるんじゃないかという立場に立つ人間です。ですが、閣議決定でこれを行うのはやはりおかしいということを前から申し上げているわけです。
例えば、この決議との関係において、海外出動に当たるような行為が議論になっているわけです、今。この海外出動に該当するような行為を集団的自衛権の行使として今後新たに認めていくとした場合に、集団的自衛権の行使を認める国家安全保障基本法なりを国会で通してやるのであれば、その法律はこの決議に優先して、つまり、立法府はこの決議をある意味、尊重はするかもしれないけれども、この決議はあるけれども、時代も経ているし、今の環境からするとこの法律をつくるべきだという判断は、立法府として可能だと思います。しかしながら、内閣が勝手にそれをすることはやはり許されないと思うんです。
この決議に矛盾するような内容の閣議決定はできますか。
○菅国務大臣 今配られております、御指摘の昭和二十九年の参議院決議の有権的な解釈は、参議院によって行われたわけでありますけれども、この決議は、自衛隊の創設に当たり、自衛隊の海外における活動が基本的に想定されていなかった時代に行われたものであるということを承知しています。
その上で、一方、今や自衛隊は、国会で立法いただいた関係法令に基づいて、海外において、PKO、国際的テロ対策、イラクの人道復興支援等に参加をし、国際社会の平和と安定のために大きく貢献する時代になっているということも、委員は御理解いただけるというふうに思います。
いずれにしろ、安保法制懇の中で、我が国を取り巻く安全保障の環境が極めて厳しい中にあって、集団的自衛権と憲法の関係について検討が行われているわけでありますので、まずこの報告を待ちたいというのが今の基本的な考え方であります。
さらに、今委員からお話がありました国家安全保障基本法ですが、この点については、提出をする、しないということはまだ決めておりません。
○後藤(祐)委員 質問にお答えいただきたいんですが、この参議院の決議に反するような閣議決定はできますか。この内容と矛盾する内容を持つ閣議決定をすることはできますか。あるいは、この参議院本会議の決議を尊重しますか。この決議と閣議決定の関係を述べてください。
○菅国務大臣 まず、一般論として、政府は議院の意思として示された国会決議の趣旨を尊重するというのは、ある意味で当然のことだというふうに思っています。ただ、そうした決議が法的拘束力があるわけではない、このように認識をいたしております。
その上で、先ほど申し上げましたけれども、今や自衛隊は、国会で立法いただいた関係法令に基づいて、海外において、PKO、国際的なテロ対策、イラクの人道復興支援等、国際社会の平和と安定のために大きく貢献する時代になっているんじゃないでしょうか。
そういう中にあって、現在、安全保障環境が一層厳しさを増す中にあって、国民の生命財産を守り、我が国の平和と安全を確保するためにいかにすべきかという観点から、集団的自衛権と憲法の関係を、今、安保法制懇の中で議論をいただいておるわけでありますから、その報告書の提出を受けて、政府としての基本方針を受けて、手続をしっかりとっていきたいというふうに思います。
○後藤(祐)委員 尊重は当然というところに、官房長官の姿勢をはっきりといただいたと思っております。
例えば、PKOのときの話なんかは、それが出動に当たるかどうか、微妙なところは確かにあるんです。出動というのは、防衛出動、治安出動、戦争状態に近い、あるいはあの大地震のときのようなああいった状態のことに限定されていますから、派遣というのはもっと、ある意味下のレベルで、派遣がこの決議に言う海外出動に当たるかどうかは微妙なところがあるんです。ですが、いわゆる防衛出動は、どう考えても出動なわけですね。ですから、今までの法制は微妙な解釈が可能だった可能性があるんです。
ところが、今度の集団的自衛権の行使で今恐らく議論されようとしているケースとして、次の二つがあると思います。
まず、ケースの一つ目は、いわゆる臨検です。米国と交戦状態にあるが日本とは交戦状態にない北朝鮮に向かう船を、公海上で、旗国及び船長の同意なしに船舶の臨検、停止、回航の実施、荷物の差し押さえを自衛隊が行うという行為、これは現在はできません、個別的自衛権ではできません。
ケース二、シーレーン。ホルムズ海峡で武力攻撃が発生して、交戦状態にある攻撃国が機雷を敷設し、我が国への原油供給の多くがとまってしまうおそれがある場合に、遺棄されていない機雷の掃海を公海上において自衛隊が行う行為、これも個別的自衛権ではできません。
これは事務方でも結構ですが、以上二つのケース、これが集団的自衛権の行使として憲法上認められるか認められないかという議論をきょうするつもりはありません、それは今、法制懇でやっているでしょうから。そういうことではなくて、今言った二つのケースは、武力行使に当たりますか、そして海外における武力行使に当たりますか。
○武藤政府参考人 お答えいたします。
御指摘の二つの事例、ここに言う臨検、それから機雷掃海、これについては、議員御指摘のとおり、憲法上禁じられている武力の行使に該当するということでありますので、我が国として行うことはできないというふうに考えてございます。
○後藤(祐)委員 武力行使に該当するとだけ答弁すればいいのに、憲法上禁止されているというのは、ちょっと言い過ぎだと思いますよ。それを憲法上認められないかという議論をしているんですから、今の答弁は修正した方がいいと思いますが、いずれにせよ、武力行使には該当すると。海外における武力行使ですか。
○武藤政府参考人 これらの事例によって、海外という言葉が、公海上とかあるいは他国の領海とか、そういったようなことでいろいろありますので、明確な定義があるわけではございませんので、明確に答えられませんけれども、いずれにしても、今申し上げたような、現在の憲法上禁じられている武力の行使でございます。
なお、いずれにしても、集団的自衛権と憲法の関係については、現在、安保法制懇で検討しておりまして、その議論を待ちたいというふうに考えているところでございます。
○後藤(祐)委員 修正しないんですか、先ほどの答弁は。それは後で微妙なことになりますよ。
配付資料に、海外の定義についての条文があることを示させていただいております。国連平和維持活動等に対する協力に関する法律第三条一項五号には、海外の定義として、「我が国以外の領域(公海を含む。)をいう。」と明確に定義がございます。
今言った二つのケースは、海外における武力行使ではありませんか。
○小松政府特別補佐人 まず、海外という言葉を一般的にどう使われているかということは、法令によりますので、今お示しになったPKO法でございますか、そこでの海外というのはそういう定義になっている。
私の記憶によれば、例えば税法において、我が国の領土である北方領土を海外扱いにしているという例もあったやに記憶しております。
それで、委員の御質問の前提は、そもそも、憲法の従来の解釈上、第九条は海外での武力行使を禁じているという前提の御質問かと思いますが、そういうことはございません。
○後藤(祐)委員 私は違憲論を言っているのではないんです。海外における武力行使に該当するものが憲法違反というつもりは私はないんです。むしろ、さっき言ったようなケースは、場合によっては認める場合もあるんじゃないか。私はホルムズ海峡は認めるべきじゃないと思いますけれども。
私が聞きたいのは、一般論で結構です、海外といった場合、公海を含みますか。それが憲法の解釈とかそういうことではなくて、用語の問題として、含むかどうかを教えてください。そして、この国連平和活動法では、明確に含むと書いてあるんです。もし含まないということがあり得るとするならば、その法的根拠を述べてください。
○小松政府特別補佐人 先ほど御答弁申し上げましたように、従来、政府が海外という言葉を用いている場合に、その場合、文脈によって、必ずしも同じ定義で用いているわけではございません。
PKO法におきましては、お示しになりましたように、この法律における海外という言葉の定義は、「我が国以外の領域(公海を含む。)をいう。」というふうに定めてあるわけでございますので、このPKO法に言う海外というのは公海も含むということでございます。
他方、例えば、端的な例でございますが、従来から、これは法律ではございませんけれども、海外派兵と海外派遣の違いに関する政府統一見解というようなものが出ているわけでございまして、海外派兵については、政府は答弁書等で、武力行使の目的をもって武装した部隊を他国の領土、領空に派遣する、いわゆる海外派兵は、一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと考えている、こういうふうに答弁しているわけでございまして、この政府統一見解における海外は、明らかに公海を含んでいないわけでございます。
○後藤(祐)委員 それは、国際平和協力法の成立によって、海外派兵はどうかわかりませんが、少なくとも海外派遣については修正されたんじゃないんですか。国際平和協力法においては海外派遣とみなせる行為が入っていると思いますけれども、その法律の方が後ですから。それについては聞きません。
時間がありませんので、これから閣議決定を、あるいは、それを閣議決定以外の形にするかどうかをこれから御検討されると思うんですが、その具体的に含み得るケースとして先ほどのようなケース一、二があり得ると思うんですね、現時点では、少なくとも。そして、この二つは海外における武力行使に該当し得るわけですね。明確に該当するかどうか、今のは微妙なところがあるのかもしれませんが。
でも、少なくとも、海外における武力行使に該当し得るとするならば、昭和二十九年の参議院本会議の決議に矛盾し得るわけです。という中で、これを、だからこそ私は法律でもって、この二十九年の本会議決議をある意味修正する、国家としての考え方を修正するべきだと思うんです、やるんだったら。
それを閣議決定でやる場合、先ほど官房長官は尊重するとおっしゃいました。尊重するという意味は、この昭和二十九年の決議に矛盾する、あるいは、矛盾する可能性のあるものはその閣議決定では認められない。つまり、閣議決定だけでやる場合には、この昭和二十九年の決議を踏まえた内容しか含まれないものを閣議決定すると考えてよろしいですか。官房長官に伺います。
○菅国務大臣 先ほど私申し上げたとおり、議院の意思として示された国会決議については、これは尊重をすることはある意味で当然のことだというふうに思っています。
ただ、そうした決議が、法的拘束力、これまであるというわけではないというふうにここも認識をいたしております。
○柴山委員長 質疑時間が終了しておりますので、これで後藤君の質疑を終結させていただきます。
○後藤(祐)委員 ありがとうございました。
○柴山委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前九時三十二分休憩
――――◇―――――
午後二時六分開議
○柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。松田学君。
○松田委員 日本維新の会の松田学でございます。
前回の一般質疑のときに引き続いた質問がちょっとございますので、まず官房長官に何点かお伺いしたいと思います。
お手元に資料が配ってありまして、前回の質疑の結果、こういう記事が出まして、これは見事に官房長官にやられたなという感じなんですが、恐らくメディアはこういうことには専ら注目されるでしょうけれども、私が一番聞きたかったのは、公務というのが、職業選択の自由の中で、出入りがよりやりやすくなる、それによっていい人材が集まるようにする、我々日本維新の会は、意欲と能力がある、頑張ろうとする人が頑張れる社会を目指していますので、そういった意味で、それは公務員であろうと民間人で変わらないわけでございまして、いわゆる身分から職業へというのが我々の考え方なので、天下り天下りというのが世の中から死語になる、そういうような仕組みにしたいということで、その事例として、本来は私も大変よく存じ上げている坂さんの事例を取り上げて、私、誰からも言われているわけでもないし、誰に相談もなく、これは国のためだと思って御質問をさせていただいている次第でございます。
先般、官房長官の私の質問に対する答弁で、禁止されているのは省庁のあっせんによる天下りであって、本人の実力によって再就職するというのは、国全体の人材活用の上でも非常に重要なことであると御答弁いただいております。ただ、日本郵政の坂前社長について言えば、これは官僚のたらい回し人事というふうにお述べになった点を私は言ったんですが、御答弁で、民営化郵政の経営者にふさわしい方というのは、長年民間企業の経営に携わってきた人である、そういう政策判断をお示しいただいたので、これは一つの考え方として受けとめた次第であります。
確かに、それは政策判断としてはそうなので、そういうふうな形で最初からおっしゃっていただければ非常によかったと思うんですが、ここで余り官僚が萎縮してはいけないので、どういうケースが非難されるべきものであるかについて、ちょっと私の方からの質問にお答えいただければと思うんです。
例えば、ある役所のOBが社長をしている会社に、自分の後輩ということで、その省の後輩を副社長か何かで呼んできて、何年か仕事をしてもらうと非常にいい実績を上げた。職員からも信頼されて、経営者としてふさわしいということで、その後継としてまた社長になるというようなことがあった場合、これも官僚によるたらい回し人事ということになってしまうと、これはいかがなものかと思うんです。
坂さんの場合も、よく調べてみれば省庁によるあっせんをしていなかったんですが、長官は天下りという言葉をちょっとお使いになったんですけれども、この辺の基準というのを、特に元公務員の人がいろいろと再就職するに当たって、そのあたりについてある程度の、これは大丈夫というのを示していただいた方がこの際よろしいんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 まず、前回のこの委員会で委員から、実例として郵政の坂元社長のことについて話がありました。それで、私、そのことについて私どもの考え方を述べたわけです。
例えば、郵政というのは経緯があったということも委員は御存じだと思いますけれども、民営化を加速して、上場に向けて経営の効率化を図って、透明化が求められている。そういう中で、私は、その社長に民間企業のトップとして経験豊かな人がという話を実はさせていただきました。そして、かつて自公政権のときは、民間企業の社長としての実績のあった西川さんという方を私たちは社長にお願いいたしました。
そして、政権交代があって、民主党政権ができて、齋藤次郎さんという方、これは官僚のOBでありますけれども、事務次官の方を社長に据えたわけです。それについて、私ども自民党は、当時も予算委員会等で、これは天下り人事だという話で徹底して批判をし、また、民営化の取り組みに対してもやはり疑問があるということを、予算委員会あるいは関連の委員会で、そこはただしてきたところだったんです。
そして、坂さんが社長に就任するについては、まさに衆議院が解散をされて、政権が移行することが明らかになっていたわけだったんですよね。これは結果が出ていましたから、自民党が政権の座に着く予定でありました。
そのときに、同じ役所のOBに、自分は、齋藤さんは黙っていれば多分退陣を余儀なくされたと思いますよ。だって、一〇〇%の株主が国なわけですから。そのまさに移行期の中を、そこは、私からすれば、ある意味ではどさくさ紛れというんですか、そういう中で社長交代を行ったわけです。
私は、当時、自民党の幹事長代行でしたけれども、それは看過できないという話を実はさせていただいて、私どもが政権の座に着いて、私たちとして、総務大臣、法の手続に従って社長を交代して、現在は東芝の元社長の西室さんにお願いをしていたわけです。
そういうことで、やはり国が一〇〇%の株式を持っていますから、現政権としては、政府とすれば、そこはこの会社については責任があるわけです。ですから、私は、こうした人事というのは、天下りというんですか、やはりそれは許されないというふうに実は思っております。
さらに、前回も申し上げましたけれども、その社長をやめられた人が、監督官庁の総務省の総務大臣も知らない中で、顧問にいつの間にか就任をしていて、月二日間で一千万円の報酬を得ている。さらにもっと突き詰めたら、二十数人の顧問がいて、官僚出身の人が十数人いたということ、これは報告していますけれども、そうした人たちが、月二日とは言いませんけれども、週に何日か出て一千万円もの給与を得ているということは、ここは絶対に政府として許すまじきことだというふうに私は思いますし、こうしたことが官僚のOBによる不適切な人事のたらい回しだということを実は私は批判したわけであります。
今、実例として挙げられましたけれども、民間企業の方で役所と関係のない人、そういう方であれば、優秀な人は、自分の役所の後輩であれ誰であれ、それは自由にするのは私は当然のことだというふうに思います。
○松田委員 顧問が二十何人もいた、そのあたりは、その中の半分ぐらいが省庁出身者だった、これは幾ら何でも官僚のたらい回し、あるいは既得権益のためというふうな官房長官の御指摘。ただ、この人事の責任者は民間出身の西室社長だったということもまたあるんですけれども、そこが、これ以上この話はいたしませんが……(菅国務大臣「私、もっと言いますよ」と呼ぶ)はい。では、どうぞ。
○菅国務大臣 実は、西室さんは民間の会社ですよね。民間の方でこんなことを私はやるわけがないと思いました。そうしたら、前の齋藤社長のときに、役員をやられた方は一年間顧問にするみたいなルールをつくられていたようなんですね。週に一日、二日出て、それで一千万ですよ。それは絶対許されないと思いますよ。
今回も、私は全部調べました。六月の株主総会が終わって、新しい社長に就任した翌日に、全部顧問になっているんですよ。それは前のときにやられたんじゃないですか。
○松田委員 その点は、本当にそのとおりだと私も思います。
それで、私がもともとここでこういうふうに申し上げたかったのは、例えば、たまたま昨夜、ある勉強会で今度の日本版NIHのことについていろいろな議論をしていたんですが、その分野の方々が心配しているのは、安倍総理、菅長官の求心力が非常に強い政権のもとで、今こうやって例えば民間の方が入っていったときに、やはり政権がかわってしまったらどうなるんだろうかということを非常に心配していて、本当にいい人が集まるんだろうかという、専門家の方がちょっと心配していたんですね。
ですから、今、日本の国というのは、リボルビングドアの支える社会システム、いわゆる労働市場の流動性が十分でないというか、アメリカのような社会じゃないので、その辺は、確かにこれから内閣主導の人事がいろいろな面で行われていくと思うんですけれども、政権がかわると政治の判断でトップがかわる、人がかわるということをやっているというふうに見られますと、民間からも余りいい人が来なくなってしまうというか、私はその点をちょっと心配しての御質問をさせていただいたんですが、菅長官、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 それは、例えば、それぞれの国によって違いますけれども、よく言われたことが、アメリカは、政権がかわれば局長以上全部かわるという国ですよね。しかし、日本という国は、少なくともそれほど極端ではなかったわけです。
ただ、政権の方向性というのは、これは選挙のときに、委員もそうだと思いますけれども、維新とすれば、こういう方向の経済政策、金融政策をやりたいというのがありますよね。それに賛同する人でなければ、自分たちのそうした目指す方向に進みませんから、そこは国民の皆さんに責任を持てないんじゃないでしょうか。ですから、そういうことを、やはり全体を考えて人事というのは私は行うべきものだろうというふうに思います。
そしてまた、委員の御指摘のように、萎縮するようなことがあってはならない。しかし客観的な、また冷静な中で、しかも、そういう中であっても、政策の方向性というものは、やはりそれについて理解をしてもらう方でないと私は難しいと思いますし、国民に対して責任を持てないと思います。
○松田委員 私は、公務員の世界一つにとどまらず、日本の社会が労働市場の流動性を高める、そういうことをもっともっと考えていくべきですし、やはり社会全体を変えていかないと、本当の意味での今回やろうとしている公務員制度改革も完結しないということで、だからこそ、我々は本当の維新が必要だというふうに主張させていただいていることを申し上げさせていただきまして、次の質問に移らせていただきます。
先日も従軍慰安婦問題に関する河野談話のことについて質問させていただきましたが、報道によりますと、萩生田自民党総裁特別補佐が、河野談話に関して、新たな検証を今やるというふうにお約束いただいているんですけれども、検証の結果、新たな事実が出てくれば、それに基づき新たな政治談話を出すことはおかしいことではないというふうに述べたとされておりまして、これが失言ではないかとか、菅長官も否定的な発言をされたように報道されております。
先日、長官は、国会の答弁でも、検証作業の結果については国会の要請に基づいて報告するというふうに御答弁いただきましたが、その結果、あの証言については必ずしも裏づけは十分でなかったという結果が出たときに、確かに外交的配慮から見直さないというのは私も理解できないことではないんですが、しかし、何も出さないというと、かえってこれは不自然というか、むしろ何か出すのが理にかなったことではないかという見方も結構強いと思うんですが、長官、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 まず、河野談話についてでありますけれども、前回、予算委員会で維新の山田議員から、参考人として、この河野談話を作成したときの事務方の最高責任者、当時の石原官房副長官が出席をされて、この談話の作成経過、そういうものについて証言をされたわけであります。
そして、いろいろな点が明らかになってきたわけですけれども、当初から、十六人の慰安婦の証言については裏づけはとっていなかった。そのほかに、その作成過程の中で韓国側とすり合わせを行ったと推測をされるという話もされました。さらにまた、結果的に、その河野談話を発することによって、当時は日韓関係が良好になっていた、しかし、時間がたって、今日、日本側のそうした善意がある意味で逆手にとられるようなことになって、また問題が出てきたことは大変残念だという趣旨の証言をされました。
そうした証言の中でも、どういう形でこの談話がつくられてきたとか、そういう過程については、やはりしっかりと検証する必要があるだろうというふうに私は実は思ったわけでありますので、そこは検証させていただきます、ただ、この談話の見直しは行いませんという話をしました。これは、総理も見直しは行わないという答弁をいたしました。
それは、どういう経緯の中でこの談話ができ上がってきたか、そこはやはり明らかにする責任があるというふうに私たちは思っていますので、それで、国会で提出をするということであれば、その結果は国会に提出はさせていただきたいということを申し上げてきました。
○松田委員 なかなか明言できないのはよくわかりますが、例えば、この談話がどうだったかということは別にして、検証結果に基づいてさらに前向きの何か談話を出すとか、何かいろいろなことが考えられるんじゃないかと思うんです。何もしないでおくと、やはり国会で報告を受けて、それを見ている国民は、何もしないのかとかえってフラストレーションがたまってしまうということもいろいろ心配なので、そこは御答弁は難しいと思いますけれども、御検討いただければというふうに思っております。
それから、これから集団的自衛権の問題についても国会できちっと審議をすると、けさの後藤委員に対する答弁でもおっしゃっておりましたが、その意味で、議論に備えて、お手元にお配りした資料の二枚目に、ちょっと概念図みたいなものを整理の意味で書いてみたんですけれども、集団的自衛権そのものを認めるのか認めないのかという二項対立で議論していても、これは全く議論がかえっておかしくなるということで、ここにA、B、Cと書いていますが、個別的自衛権の行使で本当は対応可能なケースもあるだろうし、これはもしかすると政府解釈の変更をするまでもないという領域もあるでしょうし、政府解釈の変更を要する領域があって、さらに憲法改正の領域があるんだ、どこまでやるのか、それぞれ個別の事例を当てはめていきながら、整理をしながら考えていくというのが議論のやり方だろう、これは当然のことだろうと思います。
また、集団的自衛権の政府解釈を簡単に変えてはいけない、私の元上司の阪田元法制局長官も、そんなにころころ変えるものじゃないと言っていますが、ただ、一九八一年ですか、あれが出てからもう三十年以上もたっていますし、その間、冷戦も終わったりとか、いろいろな変化があるので、ころころ変えているわけではないと言えるタイミングに来ているような気がしないでもないわけですね。
そこで、例えば、今までのいろいろな答弁の積み重ねから見ても、これはという言葉がいろいろあるので、それはこれからいろいろ議論になると思いますが、平成十六年の参議院での政府答弁、当時、秋山内閣法制局長官の答弁で、これは一枚めくっていただくと出ていますが、我が国来援のために向かっている米軍の艦船が公海上で攻撃を受けた場合、これが我が国に対する武力攻撃の発生であると認定される場合には、法理として自衛権の発動をすることは排除されない、こう答弁をされていまして、我が国に対する武力攻撃がないにもかかわらずというのが今の集団的自衛権の定義に出てきているんですが、我が国に対する攻撃と認定される場合というようなケースを示して、法理として排除されない、ここまで言っているわけですね。
これは、ほとんどこのケースは容認されると言っているのに近いように思えるわけですね。ただ、そうはいっても、そうだというふうに今認定されていない、政府解釈というのがそういうふうに解釈されていないというのは、法理としてはということであって、現実の個別的ケースに照らしてみれば、そうとも言えない場合もあるということかなというふうに想像されるわけですね。
ですから、この点について十分な整理をすれば、いや、そこまで言っているのであれば、これは、我が国の定義を、我が国に対する攻撃というのを我が国に対する攻撃と認定する場合ということを実質的に判断としてできるのであれば、今の集団的自衛権の解釈の変更をしなくても、ここのところは新しい考え方としてできるんじゃ、個別的自衛権と読めるんじゃないかというふうにも思えるんですけれども、この点については、菅長官、御見解をちょっとお聞かせいただければと思います。
○菅国務大臣 まず、政府の基本的な考え方を述べさせていただきたいと思います。
政府では、まさに今委員から御指摘のありました、武力攻撃の発生であると認定された場合は、法理として自衛権の発動は排除されていない、こういう答弁があったということもこれは事実であります。
ただ、今日は、まさに我が国を取り巻く安全保障の環境が極めて厳しくなった中で、今、政府は、安保法制懇というところで議論をいただいて、その報告書が提出をされた後に、それを参考に政府としての基本的方向性を示した上で、法制局の意見も踏まえながら、与党とも相談をし、対応を検討した後に閣議決定を行い、国会で御議論いただきたい、これが基本的な方針であります。
今、委員から御指摘のあった中で、いずれにしろ、自衛権発動の三要素のうちの一つですね、武力攻撃というのは。そういうものについて、発生したか否かについては、個別的な状況の判断、それは状況によってなかなか判断というのは難しいというふうに思っていますので、そこは、あらかじめ定型化してお答えするということはやはり困難だろうというふうに思っています。
○松田委員 これで論点の一つがはっきりしたと思います。定型化できない。しかし、定型化しないと、現場で本当に緊急な対応をする際に、その間にアメリカの軍艦が沈められてしまったということになっては日米同盟に大変な影響を与える、ここが一つの論点だろうというふうに整理させていただきたいと思います。
それからもう一つ、私は、内閣法制局か内閣かというような議論よりも、やはり最高裁が最終的な憲法改正の判断権を持つんですが、砂川判決というのは、ここにも出ておりますけれども、「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうる」というのが出ております。また、憲法第九条一項が放棄しているのは侵略戦争である、「前項の目的を達するため、」で始まっているのが同第二項なんですが、これは非常に意味があって、けさの産経新聞でも西修教授が書いておられるとおりで、いわゆる芦田修正というのは、前項の目的を達するためと、第二項で書かれているいわゆる戦力不保持とか交戦権否認というのは、この第一項、侵略戦争をしないために書かれた規定であると考えてみれば、そもそも、我が国が自衛のために集団的自衛権を行使できないということの根拠となるまでのところを憲法九条は言っているのかどうかというのは、常識的に考えてもちょっと無理があるような感じがしますし、この砂川判決での最高裁の判断とも矛盾するように見えるんですが、これはどういうふうな説明になっているのか、長官からお答えいただければと思います。
○菅国務大臣 まず、委員のお示しになった解釈でありますけれども、政府の従来からの憲法第九条の解釈とは異なるわけでありますけれども、いずれにしろ、集団的自衛権と憲法との関係については安保法制懇の中で今検討が行われて、その議論を待って、政府としては方針を決めてということになるわけです。
砂川事件の判決、やはり、日本は三権分立制度であります。そして、憲法の最終判断というのは最高裁が下すわけでありますし、その砂川事件の判断というのは、委員が今言われたとおり、まさに、我が国の平和と安全を維持する、その存立を全うするために自衛権があるというようなことが書かれております。
そうしたことを、今までさまざまな問題がある中で整理がされてきていなかったということも事実だろうというふうに思います。ですから、今回、その報告書の提出を受けて、そうした問題について、やはり政府としての方針を示した上で方向性を見出すことが大事だろうというふうに思っています。
○松田委員 どうもありがとうございました。いろいろと論点が明らかになりました。
菅長官、私は以上でございますので、もしお忙しければ、どうぞ。
あと、甘利大臣に少しだけ、まず、もう余り時間がないのであれですが、原発不稼働が経済に与える負担というか、我々が原発についてどうするかというのを国民が判断する材料として、経済的コストというのが一つあると思うんですね。経産省が、三・六兆円、貿易収支を悪化させていると言った。実は、そうではなくて、数量の分という以外に、為替の分もあれば、石油価格が上がった分もあるといったように、非常にわかりにくい。さらに、私がもっと大きな負担ではないかと思うのが、不稼働の資産、固定資産をずっと持ち続けることによって、これは相当の負担がある。もちろん今会社が吸収しているのかもしれませんが、吸収し切れなくて、やはり電気料金に転嫁されたり、いろいろな負担があると思うんです。
こういったものをある程度内閣府というのは、私は昔、経済企画庁に出向して、こういう国会の期間中はほとんど徹夜で、米の価格が上がったら日本経済にどういう影響を与えるんだといって、想定問答を書くのに困ったことがありますけれども、そういうわけじゃありませんけれども、そういうのは、やはりちゃんと国民に明らかにすべきことではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 直接的な日本経済に与える影響として、全てが稼働していたであろうとすれば、三・六兆円分コストが省ける、掛ける今日までですから、もう三年ですか、十兆円前後になるんだと思いますが、委員の御指摘は、それ以外にいろいろ影響があるだろうということであります。
これは私の所管外であるわけでありますけれども、確かに、それによって電気料金が下げられるとすると、高いよりも低い方が企業活動にとってはプラスになってくる。それが及ぼす間接的な影響は、三年間、十兆円前後の外側にさらにあることでありますから、もっと大きくなってくると思いますが、その辺は、電気料金が高い場合と安い場合の産業活動に与える影響等々、経産省の方で算定することができるのかできないのかちょっとわかりませんが、少なくとも直接的な影響をかなり上回る金額にはなってくるんだと思います。
○松田委員 ぜひ経産省とも協力して、国民経済的な負担について、一定の大胆な仮定を置いても結構ですから、私も経企庁にいたときに、そういう質問を受けたときは定性的に、レトリックで想定問答を書いていましたが、そうでなくて、やはり目安というのをはっきり示した方が、国民も選択ができる、そういう政治にしていただく上では、ぜひこれは御検討いただければと思います。
それから、もう時間がないので、次回じっくり議論したいと思いますが、消費税が四月一日から引き上げられます。私はいつも、本日お配りした紙の最後、これをよく使っておるんですが、予算委員会でも配ったんです、これに触れる時間がなかったんですけれども。
九七年の四月の消費税率引き上げがその後の不況につながり、デフレ経済につながっていった、これは完全な間違いだと私は思っていまして、たまたま近い時期に消費税の引き上げがあっただけであって、その後の経済の動きというのは同年十一月の大手金融機関の破綻から始まったものだった。ここは区別しなきゃいけない。
これを見ていただいても、九七年一―三月期、実質国内民間需要で見ますと、前期比というのは一・〇%。それが、四―六月期はいわゆる駆け込み需要の反動減でマイナス二・一ですが、七―九月期がプラス〇・七、これは年率にするとほぼ巡航速度になっているんですね。ここで一旦消費税の影響は終わっているんですね。この事実を余り議論していないんです。
ですから、私は、余り消費税を上げるとあれがデフレにつながって税収も減ってというふうなことを説明されると、かえって民間が萎縮するし、やはりこの辺は、明らかにこれは違いますよということを政府としても言っていただきたいんですが、最後ですけれども、これについてお答えいただきまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
○甘利国務大臣 確かにおっしゃるとおり、委員の御提出のグラフのとおりなんですね。
一時的に落ちておりますけれども、次の四半期では回復している。その後失速ぎみになっているのは、御指摘のとおり、アジアの通貨危機とか、それから日本でも金融機関が破綻していますけれども、金融危機になってくる、それが影響を及ぼしているということは確かにそのとおりであります。その後に、資産価格が低下していって、企業や金融機関のバランスシートが悪くなってくるということにつながっていくわけであります。
○松田委員 どうもありがとうございました。
○柴山委員長 次に、中丸啓君。
○中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。
本日、松田委員に続きまして質問をさせていただきます。
先ほど来、官房長官と我が党の松田委員との間で見直しの話もありましたけれども、二十五日に安倍総理が、答弁書で、来年戦後七十年を迎えるに当たり、念頭に置いて、二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したいという旨のお答えをされているというのが新聞に載っておりました。総理談話は、一九九五年村山談話、戦後六十年小泉談話というふうに出てきているわけですけれども、その節目節目の一つの談話として、未来志向の談話。
この総理の談話、必ずそこでいろいろな意見を出してくるのが韓国であり中国でありというのが今までの歴史だったと思うんですけれども、これはその二カ国に向いて今までも出してきていたのか、それとももっと違う意味で、どっちを向いて出しているのかという、この未来志向談話の意義と目的について、きょうは岸外務副大臣に来ていただいているので、お答えいただいてよろしいでしょうか。
○岸副大臣 今委員御指摘の点でございますが、おっしゃるとおり、戦後五十年に村山談話、そして六十年に小泉談話が発出をされておるわけでございます。そして、安倍内閣として、歴史認識に関しましては、これらの談話を含めて歴代内閣の立場を全体として引き継いでいるという立場でございます。まずこれを前提といたしまして、今度七十周年を迎えることも念頭に置きまして、しかるべき時期に二十一世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい、こういうことを総理からも常々申し上げているところでございます。
タイミングと中身という問題につきましては、未来志向の談話ということで今後十分に考えていきたい、こういうことでございます。まだ、具体的にこれとかそういうことではなくて、いずれにいたしましても、未来志向の談話を発出したい、こういうことでございます。
○中丸委員 中身は決まっていないのは重々承知している、まだ来年の話ですから。中身ではなくて、どこか特定の国を意識したものをつくるのか、それとも広く世界に訴えかけていく、要は、どこに向いて言っていくものなのか。その本来である、談話を出される意義とか目的をお伺いしたかったので、中身ではなくて、その意義、目的、どちらを向いて出されるのかということについて教えていただきたいと思うんですけれども。
○岸副大臣 多少繰り返しにはなるかと思うんですけれども、総理は、これまでの、特に五十年、六十年のそれぞれの内閣のときに発出されたものを含めて、全体としてこれまでの歴代内閣の考え方を引き継いでいる、こういうことに立ちまして、さらに未来志向である、こういうことでございます。
ですから、逆に言いますと、個別にということではなくて、前を向いて、前向きの談話を発出したい、こういうことだと考えております。
○中丸委員 ちょっと、何となく一部答えていただいたような、いただいていないような感じなんですけれども、要は、個別の国ではなく、幅広く全世界に対して発信する、我が国の戦後七十年という節目を受け取っての首相の談話として、我が国の意向、考え方を発信していくという解釈でよろしいでしょうか。
○菅国務大臣 総理が日ごろ申し上げていることは、五十年に村山談話があって、六十年に小泉談話があって、七十年に未来志向の談話を出したいと。その談話を発出するに当たり、有識者の皆さんから意見を聞く中で、未来志向の談話を出したいということを申し上げているわけでありまして、そういう意味合いにおいては、広く総理は出されるものだろうと思っています。
○中丸委員 特定の国でなく、広く出していこうということだと。通告していないのにお答えいただいて、ありがとうございました。
ありがとうございましたついでに、先ほど松田委員が、検証と見直しのお話があったんですけれども、来年のことですから、この検証の結果というのは、どういう結果になるかはまだ検証中でしょうからあれですけれども、検証の結果というのはこの未来志向談話の内容に影響する可能性というのはあるかないか。もしよろしければ、官房長官、お答え願えればと思います。
○菅国務大臣 河野談話というのは、これは官房長官の談話でありますから、そういう中で、この対応は実は私がさせていただいているところであります。
総理の七十年の談話というのは、まさに、村山談話、小泉談話、時の総理大臣が節目に出された談話でありますから、そことこの検証というのは、関連性というのは私は少ないだろうと思います。
○中丸委員 関連性は少ないということを言っていただきましたので、検証中ということで、それ以上のことはちょっと、きょうは通告もなかったので、ありがとうございました。
瀬戸内で海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」の事故がありまして、ちょうど私は地元にいるときで、翌日、第六管区の海上保安庁に行って現状を海上保安庁の方から直接お伺いしたんですけれども、この事故の捜査の状況、しばらくしてもうマスコミ等もほとんど報道をしなくなり、ほとんど最近話題にも上っていない状態なんですけれども、再発防止の観点からも、お亡くなりになられた方も出た事故でございますので、現状、捜査の状況がどのようになっているか、海上保安庁、お答えいただけますか。
○岸本政府参考人 今お尋ねいただきました海上自衛艦、輸送艦「おおすみ」と小型船「とびうお」の衝突事件については、本事案が発生した本年一月十五日から今日まで、業務上過失往来危険及び業務上過失致死の容疑で関係者からの事情聴取、両船の見分等、鋭意捜査を実施しているところでございます。
また、二月十三日には、輸送艦「おおすみ」と小型船「とびうお」に見立てました小型船を使用し、両船の動きを再現するなどして、証拠として保全するための検証を行っております。
引き続き、関係者からの事情聴取、入手した証拠の精査等を慎重に行い、衝突原因の究明に全力を尽くしてまいりたいと思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
そこまでは実は私も新聞報道とかで知っていまして、現場調査をやった、地元でもかなり大きな事件となっていました。
捜査中ということで、中身はともかく、大体で構わないんですけれども、いつごろまでにこれは結論が出るんですか。捜査を取りまとめて、一応捜査はここまででいいんだという状態になるのには、あとどれぐらいかかるものなんでしょうか。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
○岸本政府参考人 今、いつまでという御質問でございましたが、衝突原因を究明するためにはまだ一定の時間を要することから、現時点では具体的な捜査の終結時期を申し上げることができません。我々、衝突原因の究明に今全力を尽くしているというところで御理解賜りたいと思います。
○中丸委員 私は、お立場があっておっしゃることは理解できるつもりですけれども、特にやはり事故の関係者の方とか、御遺族の方だったり、あそこは非常に小型船舶も多くて往来の多いところですから、こういったところで漁業をやっている方とか、いつになるかわからないというふうに、今のお答えだと受け取れると思うんです。要は、三年も五年もかかるのか、それとも、ことしじゅうには何とかなるのか、来春ぐらいまでには何とかなるのか、何か一つのめどぐらいというのも全く立ちませんか。どうですか。
○岸本政府参考人 済みません。その意味では、今、入手した証拠の精査等を行っておる段階というふうに御理解賜りたいと思います。
○中丸委員 いや、捜査している段階というのは先ほどからわかるんですけれども、要は、もう全くめどがわからないということなのか、一定の、ある程度、そんなに何年もかかるものではないけれども、現状、具体的なことは言えないというところなのか、せめてそれぐらい答えてください。
○岸本政府参考人 申しわけございません、不明確で。
私どもの捜査も、今、入手した証拠の精査等をしておる段階でございます。
過去のいわゆる護衛艦と漁船が衝突した事案で、主なものとして、護衛艦「あたご」と清徳丸の衝突事案というのがございました。このときは、発生から送致まで、四カ月と五日かかっております。現在が二カ月半ぐらいになっておりますので、そういうものが一つの目安にはなろうかと思いますけれども、現時点で特定の期日というのは申し上げられませんが、できるだけ急いで捜査をしてまいりたいと考えております。
○中丸委員 それぐらい言っていただければ、そんなに何年もかかるものじゃないということは私でも理解ができますので。引き続きやっていただきたいですし、ここまでの捜査状況で開示できるところがあれば、個別でちょっと私の方にまた教えてください。
次に行かせていただきます。
きょうは法務省から平口法務大臣政務官にお越しいただいておりまして、平口政務官と私は選挙区が隣でございまして……(発言する者あり)お隣ということはおいておいて、御質問をさせていただきたいと思います。(発言する者あり)いや、選挙区にうちの家内も住んでいたりしますので。
今、結構、ニュースとかネット上とかで話題になっているのに移民という問題がある。きょうの読売新聞ですが、外国人労働者の研修生の受け入れ期間の云々というのも記事になっていましたけれども、この移民問題というのを、数字的に、一億人をキープするには年間二十万人受け入れるべきだ、いや、そんなのはだめだとか、いろいろな話が出ているんですけれども、これは全体的に、法務省としては今どういう位置づけでお考えなのか、わかれば教えていただきたいと思うんです。
○平口大臣政務官 お答えいたします。
今ちょっと触れられたんですが、移民二十万人を前提とすれば、中長期的な観点に立って、二一一〇年ですけれども、総人口が一億一千万人程度を維持できるんじゃないかという内閣府の試算がございます。これは、本年一月に経済財政諮問会議のもとに設置された「選択する未来」委員会で日本の中長期的な発展の実現のための議論をいたしておりまして、その中で、内閣府の方から、将来の人口推計ということで提出はいたしております。
ただ、政府としては、これは総理も御答弁されておられますけれども、移民の受け入れに関して決定した事実は今までございません。
それと、移民というのが一体、具体的にどういうことを指すのかということについても、いろいろな見解がございますけれども、大筋の考え方を申し上げますと、人口減少社会への対応、これは大変深刻な問題でございますが、まず第一に、出生率の向上に取り組まなくちゃいけない、こういう課題がございます。そして、生産性の向上とか、あるいは若者、女性、高齢者といったような方々の潜在的な労働力を活用するとか、このような施策にまず取り組むことが重要だということでございまして、外国人を受け入れることによってこの人口減を改善しようという考え方は慎重でなければいけない、このように承知しております。
ただ、あらゆる努力をしても対応が困難、不十分だというふうになった場合に、外国人の受け入れのあり方につきましては、これは技能労働者の問題なんかもそうですけれども、まず、我が国の産業への影響、治安への影響、あるいは労働市場への影響、こういったようなことについて、国民生活全般にかかわる問題として、国民的なコンセンサスを踏まえながら、我が国のあるべき将来像とあわせて、政府全体で検討していかなければいけない、このように認識をいたしております。
法務省としては、政府全体の検討によって一定の方向が出た場合は、それに沿って適切に対応していきたい、このような所存でございます。
以上でございます。
○中丸委員 非常に御丁寧に御答弁いただき、ありがとうございました。非常によくわかりました。
この移民問題の話をすると、漏れなく外国人参政権の話がついてきたりするんですね。
今、労働者の、研修生の人たち、オリンピックもあります、東北の復興もあります、そういった中で、期間を延ばして労働力を確保しよう、こういう方向性は、私はいい方向に行っているんだと思うんですけれども、それと、完全に移り住んでもらう、まして選挙権まで与えるというところは、ヨーロッパ等でも、フランスとかそういったところでも、移民問題から始まった問題というのは、いろいろなことで大きな問題がたくさん出ておりますので、政府で検討していただくに当たって、特に地方参政権を付与するかしないかという議論は慎重にやっていただきたいです。
改めて申し上げますと、我が党は基本的に外国人参政権に関しては反対をしておりますので、付与すべきでないという立ち位置で考えておりますので、移民問題のお話し合いのときには、ぜひその辺も踏まえて御検討いただきたいということだけ申し上げておきます。
それでは次に、古屋大臣にお伺いいたします。
さきの内閣委員会の質疑のときに、琉球独立運動の、三月二十一日に行われる沖縄と東京の同時デモ、同時パレードについて、かりゆしクラブ主催のものについて御質問させていただいたと思うんですけれども、結局、このパレードとかこういった活動が、三月二十一日、どのようだったかというのを、もし把握されていれば、教えていただければと思います。
○古屋国務大臣 今御指摘のパレードは、恐らく、平和のための琉球自立独立パレードのこと、第一回と称して、沖縄県庁前で、三月二十一日ですが、県民広場から牧志公園までパレードが行われたというふうに承知をいたしております。
ちなみに、おおむね数十名の方が参加をしたというふうに承知をいたしております。
○中丸委員 私が聞いたところだと、五、六十人集まって、平和といいながら、琉球を独立させようということで、そのときの紙幣はこういう紙幣にするんだとか、法律はこういうふうに決めて、そこまでリアルにやっている人たちがいるので、ちょっと前回申し上げました。東京に至っては、結局、一人も集まらず、警察への届け出もなく、ゼロ人だったというふうに聞いております。
ただ、今回初めての形をやって、名前的には沖縄の平和ということで彼らは動いていますので、非常にある意味カメレオン的な動きもしているところがありますので、引き続き私はこれを見詰めていきたいというふうに思います。
次に、台湾の立法院の占拠されている、学生を中心とした若者の占拠問題。
これはまだまだ引き続き続いているようなんですけれども、昨日、安全保障委員会でもちょっと外務大臣に申し上げたんですけれども、超党派議連で日華懇、古屋大臣もお入りになられていると思うんですけれども、日華懇の総会がございまして、その日にどなたも、こっちの東京も台湾の学生が集まって駐日の経済文化代表処の周りを取り囲むということがあって、代表を初め皆さんが来られなかったんですね。今まで日華懇の総会に来られなかったことというのはほとんどなかったというふうに聞いております。
ことしは、故宮博物館の白菜とか、非常に貴重なものを持ってきていただく。小さなものではありますけれども、価値でいえば、私の広島でいえば厳島神社を他国に持っていって展示するようなものではないかなというふうに、大きさはかなり違いますけれども、そういう非常にその国にとって大事なものを長期にわたってお貸しいただけるというような中で、今そういう非常に大変な状況にあるということも踏まえて、今後の日台関係というのをどのようにお考えか、岸外務副大臣にお尋ねしたいと思います。
〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
○岸副大臣 今御指摘の点でございますけれども、日華懇の総会、三月二十六日に行われました。そのとき、二十六日の午後三時五十分ぐらいから約一時間半にわたって、台北駐日経済文化代表処の事務所の前でデモが百二十人ぐらいの規模で行われた、こういうふうに承知をしています。
この集会自体は暴力的なものではなかった、理性的に行われていたとは聞いておりますけれども、これに伴って、沈斯淳代表が建物の出入りに、代表だけではなく、事務の皆さんも含めて出入りに一時的に支障が生じた、こういうことで日華懇との会合に出席できなかった、こういうことで承知をしております。
台湾との関係、もちろん外交関係のない中で、文化、経済、人的な交流、実務的な面で積み重ねて、いい関係を積み重ねてきているんだというふうには承知をしております。
今後とも、こうした状況が今後の代表処の業務の遂行を妨げることのないように、そして日台の実務関係が、協力関係が着実な発展をすることを我々は期待しているというところでございます。
○中丸委員 そもそも、この占拠問題が起こっている一番の理由は、サービス貿易協定によって中国に経済的にも人的にも台湾という国がのみ込まれるという危機感を持った若者たちが集まって、立法院を占拠しているという状況だというふうに聞いております。
インターネット中継で、これは実はもう数日間ずっと生中継で流れていまして、既に日本国内で四百万人を超える方がこれを実際に見ている状況で、新聞等、マスコミ等ではそんなに大きく取り上げられていないかもしれませんけれども、非常に国民の注目も浴びている案件だということをお伝えさせていただきます。
また、今後の外務省の活動でしっかりと日台関係を深めていただきまして、震災のときにもあれだけ多くの善意を出していただいた台湾でございますから、何がしか日本にできることもあるのではないかというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
台湾の人たちが中国にのみ込まれる。この問題は実は対岸の火事ではなくて、ロシアがクリミア半島において、住民投票という形をとってではありますけれども、そういう制圧を行ったというような流れで、非常に今の極東アジアという地域は、昔のように宣戦布告をして領土を侵攻するとかそういった形ではなく、政治的、そういう世論形成、情報戦を含めてトータルでやるのが今の領土の侵略であったり戦いであるというふうな認識が私は必要だと考えます。
そういったいろいろな事例の中から、時間もなくなってきましたので、ちょっと質問をまとめてさせていただきたいと思います。
中国の軍事費が十三兆円という発表があった後、最近出てきたものは、この軍事費は十三兆円どころか一・五倍だったとか、二倍だったとか、実はかなり少な目に、控え目に数字を発表していて、本当はそんなものじゃなかったんだということも報道等で出ております。
こういう侵略活動があれば、普通は、侵食されてきたときに、国連の安保理であるとか、さまざまな機関が制裁、必要によっては軍事的な力を使ってでも取り返すということで、やはり自由と民主主義を守るということをやってくるわけなんですけれども、悲しいかな、中国が自治区をつくったときもそうですし、今回のロシアのクリミア半島もそうですし、やはり核保有大国に対しては非常に、どこの国も、アメリカも含めて、慎重にならざるを得ないというところから、既成事実としてそういうものが侵食してくるという傾向があります。
これを対岸の火事として考えるのではなくて、我が国にはNSCというものが発足しております。こういったことで、昔の戦争、侵略と違う、新しい、今の国連のパワーバランスがなかなかききにくい状態の中で、我が国の安全保障ということをNSCとしてどういうふうに考えられているか、菅官房長官、お伺いいたします。
○菅国務大臣 例えば、近隣ですと、北朝鮮による核、弾道ミサイルの脅威、また、今委員御指摘がありましたけれども、中国の透明性を欠いた軍事費の増強、そういう中で、我が国を取り巻く環境というのは極めて厳しさを増しております。
そういう中で、今度新しく成立をさせていただいたNSCにおいては、そうしたさまざまな国の情報を集約して、分析をして、そして、どのような対策が必要か、そういうことを日ごろから対応して、国民の皆さんの生命財産、そして国の存立を全うすることができるように今取り組んでおるところです。
○中丸委員 もちろん、戦略として取り組んでいただくということはもう本当に、やり過ぎというのは私はこういうことに関してはないと思いますので、やっていただきたい。
そういう中で、国内でそういうさまざまな活動も行われているわけですから、ちょっと通告はないんですけれども、公安委員長として古屋大臣に、そういった防衛とか外交だけではなくて、警察力としてもやはり見ていかないといけないものというのが海外からの侵略というのはあると思うんです。
そういうところに何かもし御意見がおありでしたら、一言最後にいただければと思います。
○古屋国務大臣 警察は、国内の治安維持の徹底、これは私たちの責任でございますので、いろいろな情報はいつも仕入れています。それから、どんな活動であれ、いかなる団体であれ、その活動が、違法行為が生じているとか、あるいはその発生のおそれがある、こういう場合は、警察としても厳正に取り締まっていく、法に基づいてそういう対応をする、そのための万全の体制を常日ごろから整えていく、これに尽きると思います。
○柴山委員長 質疑時間終了でございます。
○中丸委員 はい。ありがとうございました。
申し上げたように、外交、防衛、安全保障だけではなく、国内の警察権力も含めて、トータルでバランスよく、すばらしい国になれるようにお力添えをいただければと思います。
ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、大熊利昭君。
○大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もよろしくお願いいたします。
初めに、前回に引き続きでもあるんですが、独法そして特別会計の改革ということなんですが、主として数字の観点から稲田大臣、それから数字というか全体の考え方を官房長官にお伺いしたいというふうに思っております。よろしくお願いをいたします。
前回もお尋ねいたしました国立病院機構の件でございます。
会計検査院の検査報告書でもって、五年ほど前に六百億からのお金を出資を受けていたにもかかわらず、お金を遊ばせていて使っていなかったという事実が指摘されているわけでございます。それに対して、本当に使わないのならば返納を求める可能性もあるという御答弁でございますが、国立病院機構としては、五百数十億は、ことし以降ですか、設備投資で使っていくんだ、こういうことなんだろうと思います。
ここまでが前回までの質疑ですね。本日は、そこからの続きでございます。
であったとしても、前回も御指摘申し上げたように、バランスシートには千四百三十二億円の現預金が残っているわけでございます。そしてまた、仮に、今前提で申し上げました五百二十九億円を使ったとしても、さらに九百三億円余るわけでございます。この九百三億円は返納いただけるのではないかというふうに思うわけでございますね。
これを、きょうの質問通告のときにも、昨日ですか、厚労省の方が御答弁なされる、そういう御指摘もあったんですが、私としては、まず、ここは行革担当大臣である稲田大臣そしてまた内閣府の皆さんにしっかり厳しく見ていただき、そして、それを厚労省の方に厳しく指摘していただきたいという観点から、稲田大臣あるいは内閣府の政府参考人の方にお答えいただきたい、こういう趣旨でございます。
まず、この九百三億、これを厚労省に対して返納すべきだというふうに強く主張すべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○稲田国務大臣 まず、前回答弁をいたしましたように、会計検査院が指摘をされた、追加出資された六百九十二億円、この六百九十二億円のうち、平成二十六年二月末現在において未充当となっているのは約四百億円程度と聞いております。
そして、御指摘の残余の資金の使い道については、今後も工事の進捗に応じて、順次、工事代金等に充てられるものというふうに承知をいたしております。
また、今御指摘の、別の、現預金及び有価証券千四百三十二億円につきましては、医師等の給与や医薬品の購入、工事代金の支払い等に充てるための手元流動性として保有しているものであって、不要な資金ではないというふうに考えております。
○大熊委員 手元流動性がなぜ九百億必要なのか、お答えいただきたいと思います。
今おっしゃいましたね、費用、それはフローの収益で入ってきているんです。フローの収益がどのぐらい入ってきているかというと、業務キャッシュフローで、プラスですよ、七百九十億なんですよ。これはフローで、収入じゃないですよ、プラスマイナスした上でのネットで七百九十億ですよ。いろいろな費用というのはここから払うべきであって、これは払った後、さらに七百九十億残っているんですよ。
残余現金を手元に九百億も持っていなければいけない理由というのを御説明いただけますか。
○稲田国務大臣 委員は、工事用の追加出資の分と、あと現金及び有価証券等を一緒くたにして、そのうちまた引き算をされておりますけれども、この追加出資については、建物の建設等のために出資されたものであって、そのうち、今申し上げましたように、六百九十二億円のうち、平成二十六年二月末時点において未充当となっているのは約四百億円、そして、今現在、工事中のものが約二百七十四億円というふうに聞いております。
更新整備がかなり進んでいるものというふうに理解をいたしておりますけれども、残りの整備予定の施設についても早急に取り組んでいただいて、もちろん、おっしゃるように、余剰金があるのであれば国庫に返すべきものであることは当然であると考えております。
○大熊委員 そういういわゆる設備投資資金に六百九十二億かかるから増資したわけですよね。その残りという議論をしているのであって、二百七十億はまだ設備投資をこれからするんだよと。では、それを合わせて大体六百九十億ぐらいなわけなんですよね。
それであれば、最初から資本計画が違っている、その増資の資金が少な過ぎるという話に逆に今度はなるわけであって、残っているのは九百億なんですよね。
手元といったって、これは、よろしいですか、フローで七百九十億ももうかっているんですよ。医療、福祉、お金が足りないということ、社会保障にお金がかかる、それはそうなんでしょうが、こういうところにお金が根雪のようにたまっていっているんですね。
これを、私が最初に申し上げたように、厚労省の方の答弁ならそういうふうに言うのも。だけれども、行革大臣でいらっしゃるので、そこは厳しく、厚労省に対してこれはおかしいんじゃないかと。手元流動性、私も九百億を全部一気に返せと言っているわけじゃありません。そんなことをしたら、確かに資金ショートしますから。そうじゃなくて、余りに過大なんじゃないですかということを申し上げているわけなんです。
なぜ九百億が適切な流動性の規模なのか、これは説明できないはずなんですが、できますか。
○稲田国務大臣 前回御指摘になったのは、工事のための追加出資の六百九十二億円でありました。それについては、今申し上げたように、現在工事中であるもの、そして使ったものがある。そしてそれは、工事を早く進めていただいて、残余のものがあれば返すべきであるというのが行革担当大臣としての意見でございます。
そして、キャッシュフローの計算書では、診療業務等の業務活動により七百九十億円の収入を計上しております。一方で、病棟の建てかえ整備や医療機器の更新などの必要な投資活動により六百四十七億円、借入金の返済などの財務活動により百四十二億円の支出を計上しておりまして、平成二十五年度における現預金の増はないというふうに理解をいたしております。
いずれにいたしましても、厚労省において第一義的に説明責任を果たすべきではないかと思っています。
○大熊委員 フローの、キャッシュフローステートメント、そこの結果として、バランスシート、期末で千四百三十二億残っているんですよ。今の御説明というのは、それは期中の話であって、それを全部支払った後で、しかも残りの二百七十億とか支払った後でも九百億残るんです。その九百億は残り過ぎなんじゃないですか。
一気に九百億返してくれとはさすがに言いませんが、余りに過大なんじゃないかなということ。それを、やはり、独法改革を主導されている大臣でいらっしゃるので、厳しく厚労省の方にかけ合って交渉していただきたいというのが私の考えでもあり要望で、そうじゃないと、当然、当事者の官庁というのは抵抗をされるんでしょうが、何かそういうことを、尻をたたくといいますか、積極的に政府の中でやっていかない限り、こういうことは進んでいかないと思いますし、独法改革とか、今度独法通則法が出てくるんですか、こういうことを言っていたところで、具体的にこういう数字でやはりやっていかないといけないんじゃないかなというふうに思います。これはまた議論を続けたいと思います。
次に、もっと巨額のものがありまして、労働保険特別会計雇用勘定、これは桁が一つないし二つ上がりまして、現預金が六兆四千億あるんですね。六兆四千三百億ありまして、これは以前予算委員会で厚労大臣が御答弁されたんですけれども、いやいや、これは失業給付等の給付に充てるお金がここに積んであるんですよ、こういう御説明なんですが、それは私の理解では間違っていて、なぜならば、財務省が出している特別会計の財務諸表によれば、負債の部で支払い備金、つまり支払いに備えるための負債としては、千三百九十八億円なんですね。ということで、これを勘案しても、六兆四千億というのは余りに過大なんですね。
なおかつ、これは前回も申し上げました、純資産がマイナスだったら返してくれと言いませんが、これは五兆円返してもらえるはずなんですね。しかも、アベノミクスが成功すれば、ここは前回も申し上げましたが、雇用環境がよくなるわけですから、失業給付に使うお金というのは、余りふえていかないどころか、減っていくはずなんです。ですから、六兆四千億は積み過ぎなんですね。というふうに論理的に見ると思うんですが、大臣、そう思われませんか。
○稲田国務大臣 一般論として、個別の特別会計の毎年の剰余金等について、特別会計法に基づいて一般会計に繰り入れることが可能であって、引き続き特別会計における事業等に支障を来さない範囲で一般会計の財源として活用を図るべきものであるということは、委員がおっしゃるとおりであるというふうに思います。
ただ、今御指摘の、現預金六・四兆円のうち、その大宗は雇用勘定の積立金を取り崩して一般会計の財源として活用すべきという御趣旨であるとすれば、積立金の財源は国庫から来たものではなくて労使から徴収した雇用保険料であるところから、雇用保険制度以外の財源として活用することについて保険料を負担していただいている方々の御理解をいただくというのは、ちょっと難しいのではないかというふうに思います。
○大熊委員 それでは、百歩譲って、積立金は五・五兆ですから、一兆は返してもらえるはずですよ。残りの一兆は積立金じゃない分で、積立金が五・五兆ですから、ここに載っているのは六・四兆ですから、九千億は返してもらえるはずです。ちょっと時間の関係で、また次回に回したいと思います。
そういうことで、特会、独法改革をやっていく上には、全体としてやはり一つ一つ数字をしっかり詰めていく必要があると思うんですが、一言、官房長官から御所見をいただければと思います。
○菅国務大臣 独法改革については、昨年の暮れに閣議決定をし、今国会に通則法を出させていただいて、成立に全力で取り組んでいきたいと思いますし、特別会計については、昨年の臨時国会で成立をさせていただいて、この二十六年度からこれが実施されるわけでありますので、この二つの法案をもとに、しっかりと改革を進めていきたいというふうに思っています。
○大熊委員 ありがとうございます。
そのような趣旨の上に立って、私も、せっかくこの分厚い資料を財務省さんにいただいていますので、独法は全部で百二ですか、ありますので、きょうみたいな議論を一つ一つ積み重ねてまいりたいというふうに思います。
多分、あと一、二分なんですが、これも以前からこの場で議論させていただいているんですが、マクロ計量モデルというのを内閣府さんはお持ちになっていまして、それから、実は財務省の研究所ですか、こちらでもお持ちになっているんですが、この活用がいま一つなされていない。
以前、長官から答弁をいただいて、補正予算の効果が五兆円というのはどうやって計算したのか、そういうやりとりをさせていただいたところ、何と、事業規模を単に足し算しただけだということが判明したんですね。
内閣府に能力がないのか。違うんですね。非常に大規模な、すぐれたポータブルトロールというマクロ計量モデルを物すごく高いお金を出して買っていらっしゃるんですね。これを何で使わないのですかと聞いたところ、何で使わないのかは答えられないけれども、本府の方から研究所に多分発注依頼がなかったんでしょう、依頼がないので仕事はしていないということで、単に本府の方で足し算しただけということなんです。
せっかくあるんですから活用した方がいいんじゃないですかという素朴な疑問、質問があって、もう一つは、補正予算を出していらっしゃる財務省さん、ここでもポータブルトロールをお持ちなので、内閣府がやらないんだったら財務省さんの方でも、御自分で出された予算なので、お出しになった方がよかったんじゃないかということなんです。
時間が来ましたので、では、せっかくなので財務副大臣から一言お願いして、終わりたいと思います。済みません。
○古川副大臣 経済対策の経済効果分析というものは、経済対策の取りまとめ、それからGDP統計を所管されております内閣府の方でされるべきものでございまして、必要な情報提供は財務省としてさせていただきますけれども、私どもとして、同様のものを行う必要はないというふうに考えています。
○柴山委員長 大熊君、時間が来ております。
○大熊委員 はい。では、続きは財金の方でやらせていただきたいと思います。
であれば、何で高いお金を出してそのソフトは買っているのかという疑問になるわけでございます。
以上で終わります。
○柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
きょうは、八重山地区における教科書採択問題について質問をいたします。
文部科学省は、三月十四日、竹富町教育委員会に対して地方自治法に基づく是正要求を出しました。
まず政務官に伺いますが、私は、昨年四月八日の予算委員会で八重山採択地区協議会の規約について取り上げました。
協議会の答申内容と各教育委員会の決定が異なった場合の対応について、規約案の段階では、再協議した結果を八重山採択地区の最終決定とする、このようにされていた規定が、役員会で再協議できるという規定に改められました。その経緯の確認を求めたところ、当時の布村局長は、この場ではきちんとお答えができないという答弁でした。その点は確認をいたしましたか。
○前川政府参考人 その点につきましては、沖縄県教育委員会を通じまして、事実関係を確認しているところでございます。
○赤嶺委員 その事実関係についてでありますが、二〇一一年六月二十七日の協議会総会で、当初は、再協議した結果を八重山採択地区の最終決定とする、こういう規約案にあった規定が議論の対象になりまして、協議会の決定が最終決定となるのはおかしいなどの意見が出され、それに対して協議会会長の玉津石垣市教育長が、採択権は確かに教育委員会にあると述べ、協議の結果、役員会で再協議できるという規約に改められております。
再協議した結果を八重山採択地区の最終決定にするという規定から、役員会で再協議できるという規定に改められた、この事実、その経過が事実ですね、いかがですか。
○前川政府参考人 具体的な議論の経過についてはつまびらかにしておりませんが、おおむねそのようなことであるというふうに認識をしております。
○赤嶺委員 これは公開されていますので、議事録は、採択協議会の議事録として。つまびらかにしませんがと言って、ここが一番大事なんですよ、この点が。だから、つまびらかにしない感覚で何か竹富町に文科省は物を言っているのか、こういう話になりますよ。
協議会の規約の有権解釈というのは、国ではなくて、協議会を構成する市町村教育委員会にあります。この点は認められますね。
○前川政府参考人 御指摘のとおり、この採択地区協議会の規約というものは、関係市町の教育委員会の合意のもとでつくられているものでございますので、基本的に、関係教育委員会のもとで解釈、運用されるべきものであると考えております。
○赤嶺委員 そこで、官房長官に伺います。
官房長官は、去った十四日の記者会見で、直ちに違反の是正を行ってほしい、このように述べております。
しかし、八重山地区では、各教育委員会の採択結果が分かれて、役員会で再協議しても協議が調わなかった場合の手続は定めていませんでした。そればかりか、再協議の結果をもって最終決定とすることはしないということでの合意があったことは、決定に至る協議の経緯から見て明らかであります。
官房長官は、こうした経緯について文科省から報告を受けておりましたか。
○菅国務大臣 文部科学省において、教科書無償措置法に違反している竹富町の教育委員会に対して、三月十四日に地方自治法に基づいて是正の要求を行った。そして、同日の記者会見で、文部科学大臣からの是正の要求を踏まえて、竹富町教育委員会においては法にのっとり違反の是正を行っていただきたい、こういう真実のことを私は記者会見で申し上げたところであります。
○赤嶺委員 記者会見で申し上げたという文科省が、地元の規約を余りつまびらかに理解していなかったみたいなんですよ。ですから、文科省が違法だとかと言っていることに根拠がなくなっている。ないんですよ、最初から。これは、私が去年も予算委員会でやりました。
文科省は、これまで、協議会の答申と再協議の結果が、無償措置法に基づく協議の結果だとして、これに基づいて同一の教科書を採択するよう求めてきました。地方教育委員会の権限に属する採択方法にまで立ち入って、同一教科書の採択を求めてきたことは、教科書の取り扱いを教育委員会の権限とした地教行法や、あるいは同一の教科書を採択する具体的方法については各市町村教育委員会の自主的判断に委ねた無償措置法の関連規定に違反する疑いが極めて強いと指摘しなければなりません。
ですから、官房長官のあの発言には、法的な根拠がないんです。八重山地区における教科書採択をめぐる経緯と、これまでの文科省の対応について、官房長官自身もしっかり検証をするということを求めていきたいと思います。
次に、是正要求の根拠について聞きます。
文科省は、昨年十月、沖縄県教育委員会に対して、竹富町教育委員会に是正を求めるよう指示をいたしました。文書では、竹富町教育委員会が無償措置法に違反していることをその根拠に挙げていますが、地方自治法に基づく是正要求は、法令違反があればすべからく出せるわけではありません。
政府は、当該地方公共団体の行財政の運営が混乱し、停滞して、著しい支障が生じているような例外的な場合に発動できるとこれまで説明をしてきました。
これは文科省に聞きますが、竹富町の教育現場で、具体的にどのような混乱、停滞、そして著しい支障が生じていると判断したんですか。
○前川政府参考人 教科書無償措置法第十三条第四項におきまして、共同採択地区における関係の市町村の教育委員会は、協議して同一の教科書を採択しなければならないと規定されているところでございますが、八重山地区におきましては、その協議の結果に反する採択を竹富町教育委員会が行ったという事実があるというふうに私どもとして認識しております。
これが教科書無償措置法違反の状態であるということでございまして、この法律違反の状態を是正する必要があるという判断のもとで是正の要求を行ったというものでございます。
○赤嶺委員 協議の結果ということについて、八重山地区の採択協議会の規約の定めを飛び越えて、文科省が、協議の結果は育鵬社だと言い出したところから混乱が拡大し始めているんですよ。
しかし、是正要求の要件というのは、当該地方公共団体の行財政の運営が混乱、停滞、著しい支障が生じているような例外的な場合と限定的なんですね。それが県に出せる場合の要件であります。
さらに、あなた方は直接竹富町に出しました。今月、竹富町教育委員会に是正要求を出したわけですが、これにはさらに要件が厳しくなっているんです。「緊急を要するときその他特に必要があると認めるとき」という要件を満たすことが必要になります。竹富町の教育現場でどんな緊急を要する事態が起きていたんですか。
○前川政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、八重山地区竹富町教育委員会におきましては、教科書無償措置法に違反する状態が続いているということでございました。それに対しまして、平成二十三年八月以降、文部科学省といたしまして、累次にわたって指導を繰り返したわけでございますけれども、結果として是正が行われないという状態でございましたので、昨年の十月でございますが、沖縄県の教育委員会に対しまして、竹富町に対し地方自治法上の是正の要求をするよう指示を行ったということでございます。
その指示を行ったにもかかわらず、沖縄県の教育委員会が指示どおりの要求を行わないという事態がその後五カ月近くにわたり推移したということでございまして、これはこの四月から使う教科書の問題でございますので、年度内に是正のための措置を尽くさなければならない、そういう判断のもとで、県を通じての是正の要求ではこれは是正ができないという判断をいたしたわけでございまして、そこに緊急性があるということで、この三月十四日に文部科学大臣から直接竹富町の教育委員会に対しまして是正の要求をしたという経緯でございます。
○赤嶺委員 協議の結果を、地元の採択協議会の規約にないものを勝手に文科省が解釈して、協議の結果とは育鵬社だ、こういうのを押しつけて、これに従わないからといって、何の是正要求の要件も満たしていないのに、沖縄県に対して是正要求を出す。竹富町、自治体に対してはもっと厳しい要件が求められているのに、今、四月が近づいているからとしか言えませんでした。
しかし、竹富町の慶田盛教育長は、学校現場で何の混乱も起きていないことを繰り返し述べています。中学校の校長先生も、公民の授業も含めて学校に混乱は一切ない、このように述べております。
文科省は、学校現場に混乱が生じているという認識ですか、それとも、混乱は学校現場には生じていないという認識ですか。はっきり答えてください。
○前川政府参考人 現状におきましては、共同採択という制度の趣旨が損なわれているという状況が続いているというふうに考えておりまして、その点に問題があるというふうに考えております。
○赤嶺委員 同一教科書の共同採択は、あくまでも八重山地区の採択協議会の規約にのっとって進められるべきものであります。あなた方が勝手に規約を解釈するようなことは許されないことですよ。ですから、今の混乱は文科省が起こしている。
文科省は、繰り返し、違法状態にあることを強調していますが、無償措置法というのは、そもそも、憲法第二十六条の義務教育無償の原則を実現するためのものであります。法律の目的には義務教育の充実を図ることが規定され、これは、教科書の無償供与によって義務教育の場における児童生徒の学習条件を同一とし、教育の機会均等を保障することを期待したものだと説明してきました。この考え方は今でも変わりありませんね。
○柴山委員長 質疑時間が終了しておりますので、最後の答弁とさせていただきます。
○前川政府参考人 教科書の無償給付制度は、憲法に基づく義務教育無償の考え方に基づいて行われている立法政策上の政策でございます。
○柴山委員長 質疑を終わります。
○赤嶺委員 最後に、官房長官、やはり混乱を拡大しているのは政府なんですよ。そのことを強く申し上げて、質問を終わります。
○柴山委員長 次に、大島敦君。
○大島(敦)委員 衆議院議員の大島です。
きょうは三十分間の時間をいただきまして、何点か、山本大臣そして稲田大臣に質問させていただきます。
前回の近藤洋介議員が配付した資料の中に研究開発法人制度の概念図というのがありまして、多分、これから政府として閣議決定をし法案を提出されるであろう、一つには独法通則法、もう一つは特定国立研究開発法人の法案が出てくるかと思いますので、それに関連した質問をさせていただきたいと思います。
私は、国の研究機関とか民間の研究機関、工場を訪問することに結構時間を割いておりまして、どちらかといえば好きなものですから、ことしに入ってからも、JAXAさんの、宇宙航空研究開発機構の中の東大の旧宇宙研、宇宙科学研究所を訪問させていただいて、ここは「はやぶさ」を打ち上げたところかな、研究者の皆さんと終日、午前中だけだったかな、意見交換をさせていただいたり、あるいは、久しぶりに産業技術総合研究所、産総研も訪問したいなと考えておりまして、民間でも、NTTの研究所があったり、富士通の研究所があったり、あるいは私が行ったところだと、NECの研究所は行っていたかな、日立は行っていたと思いますけれども。研究所に行って、どこに日本の最先端があるのかというのをいつも見きわめたいと思っているんです、どこに日本の最先端があるのかと。
私が、一九八三年、今からもう三十年ぐらい前になってしまうんですけれども、たまたま会社の都合でドイツ・デュッセルドルフの駐在員をしていたときに、他社の所長から一冊の本を勧められまして、「テクノクラシー」という本でした。
一九七九年にビジネスウイークの記者が書かれた本でして、どういう内容かというと、オイルショック後にビジネスウイークの記者が世界じゅうの取材をしていたら、スイスの銀行家が妙な投資をしているという書き出しで始まっているんです。一九七〇年代の中盤以降、スイスの銀行家がどこに投資していたかというと、日本のNECとか東芝とか富士通とか、そういう会社に投資していたという書き出しから始まっているんです。そこのシナリオが一つあって、七九年に英語で出版されて、読んだのが八三年。テクノロジーの進歩によってソ連が崩壊するだろうということが書いてあって、ドイツが中立化して統合するということまで書いてあったかなと思うんです。
ですから、テクノロジーというのは、経済を決め、政治を決めると思っていまして、私たちの政治というのは、景気がいいとか悪いとか、あるいは今後どうなるか、経済によって大きく左右されるとともに、経済を決めているのはテクノロジーが決めているわけです。
ですから、このテクノロジーの全体像をどうやって描き、そして将来的な展望を持つかというのは、結構、政治家にとって必要だと思っていて、それで、あえて、山本大臣にも前に質問させていただいた科学技術・イノベーション特別委員会にも所属をして、できるだけ多くの民間及び政府の研究所に行って、最先端の技術者と意見交換したいと思っておりまして、理化学研究所もなかなかのものだと思います。
私は、和光と横浜の研究所、科学技術・イノベーション特別委員会で一旦神戸の生命科学の分野の研究所に行ったかと思うんですけれども、ここの研究をされている方はやはり民間とは大分違うと思っていて、ですから、どうしても、ここの分野の研究者の充実を図りたいという思いがありまして、日本の国家予算の中ですと、科研費については、これは文科省が所管ですけれども、下がることなく、若干微増しながら、政治の力で一定量は確保している。
ただ、研究者の話を聞きますと、科研費の中でも、今ですと、結構補正予算の割合がふえてきている。科学技術の予算の中で、宇宙の関連の予算だと、結構補正予算で前年比を維持しているところがあって、何か、海外の研究者の方と共同研究を組むときに、やはりしっかり向こうの方も見ていらっしゃるらしくて、補正予算の割合が多いと、本当に五年後、十年後、コミットメントできるのかという領域になってくるわけですよ。
ですから、科研費についても、常に一定額を日本として本予算の中で計上しておかないと、他国からの信頼関係が失われてしまうのではないのかなという危惧も持っているところなんです。
ちょっと話はずれるんですけれども、今から二年前ですか、私も、例えば、通説も大切なんですけれども、通説じゃない意見についても、しっかりとした認識は私たちは持たなければいけないなと思っていて、二〇一二年の四月二十日の新聞記事を読んでいましたら、太陽の磁場が変異を起こしているという記事を読みました。
これはおもしろいな、非常に興味深いなと思って、当時の国立天文台の常田教授にお会いさせていただいて、この人は日本の太陽観測衛星「ひので」の総責任者で、この「ひので」という衛星が非常に精度が高くて、本来であればもうとまっていていい衛星なんですけれども、日本の科学技術もあって、非常に寿命が延びている。
この衛星、太陽の球面を見たときに、解像度が高くないと上と下がなかなか見えないわけです。この「ひので」衛星は非常に解像度が高いので、この上と下の磁場をよく見ると、今、太陽の磁場は、数年前から、普通太陽というのは十一年ごとにS極とN極が上下逆転していくんですけれども、今回の場合には、上と下がN極ですからプラス極になって、赤道直下にもう二極S極があって、四極体制になっているというお話。
それと、太陽の周期が、この間は十一年から今十二・六年かな、伸びてくると、今の太陽は減衰しているんです。太陽の動きというのが、徐々に黒点の数が少なくなってきて減衰をしていて、そうすると、こういうのが続いてくると、過去の統計データの中からだと、地球というのは寒冷化するというのが物理学者のこれまでの統計。正しいかどうかというのは、これは統計データとしてはそういうふうになっているというお話を聞いたときに、通説としてはCO2が地球温暖化の原因だと思います。
国際的な交渉事も、通説に基づいて国際的な交渉を行わなければいけないんだけれども、こういう今までの通説とは違う客観的な事実が出てきたときには、それも否定することなく、しっかりと政治の中ですと検討を加え、あるいは片隅には置きながら政策決定をしていた方がいいと思っていて、たまたまこの常田教授が、今、先ほど申し上げましたJAXAの宇宙科学研究所の所長になっているものですから、そういうところも含めて、今の科学技術、宇宙に関してどうなっているかというところをちょっと伺いに行かせていただいたんです。
ですから、科学の分野というのは、余り私たちの政治が、こちらの方向と決めたいんだけれども、ある程度緩くしておいた方がいいかなというのもあって、なかなかこの辺のかじ取りというのは難しいところだなと考えておるところなんです。
それで、きょうは、先ほど申し上げました二つの独立行政法人あるいは特定国立研究開発法人を、これから法案を提出されるということなので、まずは山本大臣にお伺いしたいのは、科学技術特別委員会ではないんですけれども、科学技術の御担当ということで、特に今後の、山本大臣が気にされている予算については各省が持っているんですけれども、その政策を統括しているものですから、その予算についてのもしも御所見があったら、その中に書いていないかもしれないんですけれども、御自由に御発言していただければなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○山本国務大臣 大島委員は、民主党政権の時代から科学技術イノベーションについては大変活発に御活躍をされているということはよく存じ上げておりますし、私、今、宇宙担当大臣もやっておりますけれども、安倍政権としても国家戦略の一つに位置づけている準天頂衛星、この準天頂衛星構想が実現する上で、大島委員が大変中核的な役割を果たされた、特に準天頂衛星を防災の観点から位置づけて、大変これを後押しされたということをよく伺っております。先ほどの「テクノクラシー」の話は大変参考になりました。科技・イノベーション担当大臣として、今後ともしっかり勉強させていただこうと思います。
科学技術予算についてですが、これは、この政権になって、民主党政権時代からの傾向かもしれませんけれども、少しずつ全体が減っていたものが随分盛り返してきたという流れはあると思います。ただ、科学技術予算が各省にまたがっているという構図がありまして、そういう意味で、内閣府が総合科学技術会議を通じて科学技術予算全体に横串を刺して、科学技術イノベーションに最適な投資をやっていく、そういう司令塔機能を義務づけられているんだというふうに思っております。
予算の面について言うと、特に、先般もこの委員会で議論がありましたが、SIPとかImPACTとか、各省から、例えばSIPは科振費を四%ずつ拠出していただいたわけですけれども、いわゆる省庁横断で横串を刺したところで総合科学技術会議が全体を見て目ききをしていく、こういう予算の枠ができたということは非常に意味があるというふうに思っています。
予算の枠に加えて、科学技術政策全体、特に予算を練り上げていく上で政策決定プロセスに影響を与えていくという意味で、アクションプランというのを総合科学技術会議は持っておりますけれども、これも進化をさせて、政策決定プロセスに影響を与えるという面と、総合科学技術会議自体がある程度予算枠を持って司令塔機能を果たしていく、この二つのアプローチで、できる限り国家戦略としての科学技術イノベーション政策を推進していくということがやはり科学技術担当大臣に課せられた使命ではないかというふうに考えております。
○大島(敦)委員 御答弁ありがとうございました。山本大臣の御決意、本当にありがとうございます。
特に、どうしても補正予算がふえるのは余り芳しくないので、本予算の中でしっかりこの科研費を政府として確保するということが、諸外国との交渉で各研究開発機関ともに安定感が増してくるものですから、その点についての御理解を再度お願いさせていただきたいと考えております。
そうすると、独法通則法、これは稲田大臣が御担当でいらっしゃって、山本大臣が特定国立研究開発法人を担当されておりまして、それぞれの法律について、いつごろ閣議決定をして、いつごろ当内閣委員会の審議に付されるのか、その点の見通しについてお聞かせいただければと思います。
○稲田国務大臣 独法通則法の改正法案ですけれども、改革の集大成ということで、平成二十七年四月から改革実施ということを目指しております。
ただ、独法通則法に関連をして改正が必要となる法律の量が約二百三十本ということで膨大であることから、今懸命に作業しているところですけれども、早期に国会へ提出し、今国会で成立するよう最大限努力をしているところでございます。
○山本国務大臣 大島委員から言及のありました特定国立研究開発法人、この特定国立研究開発法人に係る研究開発等の促進に関する特別措置法案、これについては、昨年末に閣議決定をいたしました独立行政法人改革等に関する基本的な方針を踏まえて、関係閣僚、稲田大臣等と議論を重ねまして、今月、総合科学技術会議において、特定国立研究開発法人の考え方についてというのを決定させていただきました。これらを踏まえて、現在、政府内で最終的な調整を行っておりますが、こちらの法案についてもできる限り早期に提出したいと考えております。
○大島(敦)委員 独法通則法及び、山本大臣が所管されている特定国立研究開発法人、この法律をつくるに当たって、独法の、特に研究開発型の独法の理事長の皆さんと意見交換してくれるとありがたいと思っています。
今手元にお配りしてあるのは、その給与が高いとか低いとかいう議論をするためではなくて、個々の各独法の役員の報酬についての総務省の資料をつけさせていただいて、この中ですと、ジョブサイズといって、仕事の大きさとか仕事の責務の大きさによって給与というのがある程度決まるというところがあるかなと思っています。
今回の閣議決定された基本的な方針の中にも、事務次官の給与を上回っていいとか、あるいは、お手盛りにしちゃいけませんよとか、具体的な記述があるんですけれども、独立行政法人の役員の給与の決め方について、多分、稲田大臣が大枠の制度設計をされるかと思うんですけれども、その点について、私としては、ある程度、この閣議決定にあるとおり、フレキシブルにする必要はあるかと思う反面、国民が納得するというレベルも必要かなと思っておりまして、その点についての御所見をちょっと伺えればありがたいんですけれども。
○稲田国務大臣 今委員御指摘のように、閣議決定において、今回の独法改革は、独法の本来の趣旨に立ち戻るということで、政策実施機能を最大限に発揮していただくためにも、硬直的な取り扱いではなくて、やはり、自主的、戦略的、またインセンティブを働かす観点から、必ずしも事務次官の給料を頭打ちにするということではなくて、弾力的な運用ができるようにしようということを決めているところであります。
ところが、他方、やはり、自由度を与えるということは、それだけ責任も大きくなるということでありまして、きちんと説明責任を果たし、また、国民に対する透明性ということも図らなければならないということを考えております。
○大島(敦)委員 私も、個別具体的に名前は挙げることはできないんですけれども、独法の理事長ですか、お話ししたときに、大変だというお話を聞いたことがあります。
民間企業から独法の理事長になるために、これまでの民間企業としての役職を全てやめなければいけないわけです。大体、大きな企業の、大きな組織体のガバナンスができる方というのは、前歴においても各企業の役員だった方が非常に多くて、ですから、年収ベースだと三分の一ぐらいになってしまったり、半分ぐらいになってしまったり、結構それを決意されて、公的な仕事、国のために働きたいということで独法の理事長をお引き受けになっているわけです。
NHKの話はちょっとさておきまして、時々、独法の理事長の皆さんも国会に呼び出されまして、いろいろと質疑応答に答えなければいけない、そういう負荷もかかってきます。時の政権がずっと続いていくと、大臣が、政府がお願いしますよと言ったときに、五年間の任期ですから、安定して五年間過ごせるかもしれないけれども、大臣がおかわりになったり、政権があるいは内閣がかわったりすると、その時々の要請事項が若干変わるところもあると思うんです。そこのリスクがちょっと前の時代とは非常に今変わってきている。
あるいは、独法の理事長の給与についても、理化学研究所も、先ほどの宇宙航空研究開発機構も、あるいは五万五千人の職員を持っている国立病院機構も、そしてがんセンター初めナショナルセンターも大体こういう給与体系になっていて、これを上げるか、あるいはどうしようかという議論は極めて慎重に行わなければいけないなと思っています、全体の独法のガバナンスあるいは給与体系にかかわってくるものですから。
ただ、どうやってこれを決めていくかについて、例えば委員会設置会社というのがあって、二〇〇三年、商法の改正で、民間の企業の中にも委員会設置会社というステータスの会社をつくって、そして指名委員会とか監査委員会とか報酬委員会を置いて、誰を社長にするのか、報酬はどうやってするのかを一応外部の人たちが半分は入っている組織体において決定するということになっていますから、今後のこういう制度設計の中にも、独法独自で決めないで、そういうふうに第三者機関に委ねながら決めるということも一つ考えてもいいのかなと思うので、一応検討課題として、稲田大臣にその点について伺いたいんですが、いかがですか。
○稲田国務大臣 今回の改正では、独立行政法人の役員報酬の水準について、国民の納得が得られる水準であることが必要であるという観点から、法人のお手盛りとならないよう、まずは法人において監事等によるチェックを行うということにいたしております。
また、報酬の水準については、法人及び主務大臣が説明責任を果たすことによって透明性を確保することといたしておりまして、具体的には、各法人において報酬水準が妥当であると判断する理由について、職務内容の特性、参考となる他の法人の事例を用いて公表、さらには、主務大臣が法人の説明を検証し、その結果を公表するとともに、国民の理解が得られないと認められる場合には、報酬額の見直しなど適切に対応するよう法人に要請することといたしておりまして、やはり第三者的な観点、また、他の法人との比較というものも大切になってくるかと思います。
○大島(敦)委員 ありがとうございます。
主務大臣が説明することも大切だと思うんですけれども、御指摘のあった、第三者機関が客観的にある程度のラインを出してくる、あるいは、研究開発、こういう法人をA、B、Cに区切ってそれぞれの報酬体系を決めていくのもあるかもしれないなと。さまざまな決め方があると思うので、それは御検討していただければと思います。
山本大臣にお伺いしたいのは、今回、特定国立研究開発法人で、この閣議決定ですと、「法人の長は、国際競争力の高い人材の確保を図るとともに、」ということで、ある程度、報酬の決定方法については、「職員の能力を最大限発揮させるため、処遇を含め人事制度の改革、柔軟な給与設定等の必要な措置を講じ、研究開発成果を最大化できる研究体制を構築するよう努める。」ということで、ここに「国際競争力の高い人材の確保を図る」という文言が入っていて、これはちょっと他の法人とは違うところで、今回は二つ、理化学研究所と産総研だと伺っているんですけれども。
恐らくレクの中で聞いたと思うんですけれども、私の問題意識というのは、独立行政法人は予算は一定なわけですから、この人に高い給与を払いたいとかした場合には、どこかの予算を削らなければいけないと思うんですよ。この人に高い給与を、外国の研究機関に行ってしまいそうだからと。
もちろん、研究者は、本当に高い報酬を得ることがモチベーションじゃないです。同僚から非常に知的な刺激を受けることと、その研究環境が非常にいい環境だったら、彼らは、それほどの報酬がなくても、ほかに移ることはないです。ただ、その前提をつくるとともに、そういうふうな決め方というのが、私は若干難があるのではないかと。それでもいいんですけれども、もう一つ工夫が必要かなと思っていて。
この二つの研究機関のほかにも、例えば、先ほど言った各ナショナルセンター、日本の医療を担っているところ、JAXAもありますし、ほかの、農水省系の、地道なんですけれどもバイオの研究をしているところもあって、研究者の異動というのは日本全体で行われているものですから、私としては、稲田大臣の答弁としては、恐らく、独法の中で決められるよという御答弁をいただけるとは思うんですけれども、私としては、予算というのは外出しした方がいいと思っているんです。
例えば、一人の研究者にプラス一千万オン、余り品がない表現なんだけれども、ふやした場合に、百人の研究者を選んだって十億円の予算で済むわけですよ。三百人でも三十億円で済むわけ。予算一定の中での独立行政法人の中で、ほかを削ってこの人に多くというよりも、要は、国として独自の予算を持っていて、ほかの研究機関でも、この研究者は非常に優秀で、海外の研究機関にちょっと引き抜かれそうだ、あるいは海外からこちらに欲しいといった場合に、申請ベースで、例えば総合科学技術会議の下部組織でもいいんですけれども、そこに申請すると、そこが認めた研究者は、そこからプラスのフリンジベネフィットなり給与がオンされるという方が、私としては、スマートだ、そういうのも必要だと思っていて。
要は、研究所の中で、この人がよくて、この人が悪いというと、説明責任を経営側というのか執行部側が負うものですから、人間の感情として、なかなか納得できない感情もあったりもして。
山本大臣と大島、二人の研究者をそこの機関に、優秀だからといって、大島は余り優秀じゃないんだけれども、優秀だからといって挙げた場合に、大島が落ちて山本さんという方がうまく通った場合には、そこの理事長は大島を呼んで、君はちょっと第三者機関でうまくいかなかったからと言うと、意外とのみ込めるところがあるわけですよ。
ですから、同じ組織の中で、同じ予算一定の中で研究者の給与の増減をするよりも、その予算を、十億から三十億とかそんなに高額じゃないと思うので、別に移しておいて、そこから日本全国の研究機関から挙げさせた方が、私としてはそういうのも必要かなと思うんですけれども、その点についての御所見をいただければと思います。
○山本国務大臣 大島委員よく御存じのとおり、世界的に頭脳循環が進んでいまして、科学技術イノベーションの鍵となるすぐれた人材は今まさに国際的な獲得競争になっておりますので、国際競争力の高い人材の流出を防ぐというのは実は非常に大事なことだというふうに思っています。
特に、特定国立研究開発法人においては、昨年末の閣議決定で、国際競争力の高い人材の確保を図るとともに、職員の能力を最大限発揮させるため、今おっしゃったような、柔軟な給与設定の措置を講じることができるよう努める旨が決定されています。
これを踏まえて、検討中の法案でも、報酬、給与の支給基準の考慮事項として、国際的頭脳循環に対応するための観点を位置づけることを検討しております。
今委員のおっしゃった、いわば組織の外に調整金のような恐らく仕組みをつくって、例えば、場合によって優秀な研究者に上乗せするみたいな、これは一つのアイデアだと思うんですが、これは現実的にできるかどうかという問題もありまして、いろいろと恐らく議論が必要だと思うんです。
いずれにせよ、国際競争力の高い人材の確保を図っていくために、さまざまな工夫を凝らしていきたいと思いますし、どういう形でできるのかというのはちょっとわかりませんが、今言ったようなお知恵も含めて、いろいろな工夫をこれから考えていかなければいけないというふうに考えています。
○大島(敦)委員 時間となりましたので、最後に、稲田大臣、山本大臣にもお願いしたいのは、研究者の、要は、執行部の皆さんとお話しすると、今、山本大臣が御指摘になった、結構流動性を持っている人たちですので、そこに対して、二つの研究機関だけではなくて、国立研究開発法人も含めて、そこの研究者に対して個人的に何かダイレクトに、予算一定の中でほかを削ってこちらというより、組織の中で完結する以外の仕組みを一つ持っておくだけでも相当柔軟だと思うので、その点について御検討していただければと思い、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○柴山委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後四時六分休憩
――――◇―――――
午後四時三十分開議
○柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。村上史好君。
○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。
きょうはちょっと変則的な時間割りになりまして、それぞれお疲れのことだと思いますけれども、最後までよろしくお願い申し上げたいと思います。
それでは、まず、国家公安委員長にお尋ねをさせていただきたいと思います。
聞くところによると、警視庁が創設されてことしで百四十年という節目の年でもあるようでございます。きょうはそのことをお聞きするわけではありませんけれども、この警察の歴史の中で、戦前そして戦後、幾多の問題があったわけでございますけれども、今、国民の中では、警察に対する信頼というものは本当に高いものがあると思います。東日本の大震災のときも、警察の皆さん、あるいは自衛隊の皆さんを含め、制服を着る職員に対する信頼というのは大変大きくなっている。それは皆さん御承知のとおりだと思います。
ただ、日本の警察がすばらしいということとあわせて、日本の国民自身も、いわゆる治安に対する心構えというのは、やはり諸外国に比べて高い意識を持っているんだろうと思います。
そういう中で、警察の力に頼るばかりではなくて、我々としてもそれをカバーしていく必要があると思うんですけれども、先進国の中で比較をすると、日本の警察というのは、対人口比において、一人当たりの人口が諸外国に比べて大変多いと言われています。逆に言えば、警察の数が少ないということにもなると思います。その結果、現場では、負担が大きくなっているという声もございます。
そういうことも踏まえながら、国家公安委員会として、我が国の最低限の治安維持力はどうあるべきなのか、そのことをお尋ねしたいと思います。
○古屋国務大臣 委員御指摘のように、日本の警察は、百四十年、警視庁始まって以来、治安維持、安心、安全のために地道に取り組んできました。その結果、もちろん、今御指摘のように日本人の道徳心とか精神文化も相まって、やはり世界で一番安全な国ですね。女性が基本的に一人で夜、歩けますし、それから、自動販売機が道路沿いに置いてある国は、多分、海外を旅行されて、ほとんどそんなのは見たことがないと思いますね。滝川クリステルさんがオリンピックのプレゼンテーションのときに、ブエノスアイレスで、日本は、東京は、三十億円の現金が拾得物として戻ってきます、こう言ったら、場内がざわめいたそうでありまして、でも、事実ですよ、二十九億一千万、戻ってくるんですから、現実に。
そういうことで、非常に日本の警察はそういう意味で信頼されていると思いますが、一方では、今御指摘のように、やはり世界と比べると、世界は、いわゆる一人当たりの人口負担は大体三百人前後ですね、少ないところで二百人。日本は、平成十二年度は一人当たり五百五十七人、それが二十五年度では四百九十九人まで、解消というか、よくはなっていますけれども、まだそれでもグローバルスタンダードから見ると若干数が多いかなという気はします、一人当たりの警察官の人口比ですね。
ただ、その数だけではなくて、やはりクオリティーを高めていくということも非常に必要ですね。だから、警察官の個々の能力の向上とか、あとは合理的な配置、再配置をしっかりすることによって、その面のハンディをしっかり補っていくということもしていく必要があるというふうに思います。一方では、やはり地方警察官の増員ということも今後は計画的にしていかなくてはいけない。
いずれにしても、そういう総力戦というか、全体的な取り組みを通じて、さらなる日本の警察力の充実を図っていく必要がある、そういう認識でおります。
○村上(史)委員 ありがとうございます。
まさに一人一人の警察官の能力を高めるということももちろん必要でありますけれども、犯罪がグローバル化をする、また多極化する、多様化するという中で、本当に今の人数で十分対応できるのかというのは、将来的にもまだ問題を抱えていると思っております。
そこで、日本の警察官は、基本的には、いい意味で職人かたぎだ、たたき上げの警察官、そしてその経験を生かして次の世代の若い警察官に伝えていくということで、日本の組織のあり方としては、今までは十分機能してきたと言われております。
ただ、昨今、新人類というんでしょうか、経験豊かな警察官が必ずしも若い世代の警察官とうまく意思疎通がしにくい、できない、あるいは、その経験をうまく継承させることができないという悩みを持っている現場の警察官もあるということをよく耳にいたします。
そういう面で、団塊の世代が定年退職をして、そして若い世代がふえて年齢が若返ったということは、一面いいことではあるんですけれども、警察官の教育という面で問題なしとしないと思うんですが、その点に対する御見解を伺いたいと思います。
○古屋国務大臣 昨今は、確かに、大量採用、大量退職というのが続いていますので、警察組織の若返りがかなり急激に進んでいます。そういった状況を見ると、やはり、第一線の警察機能を最大限発揮するためには、若手の警察の職員をしっかり教育して、早期の戦力化を図っていくことは極めて大切ですね。
そこで、警察では、今、全国の警察職員の中から、極めて卓越した知識とか技能を有する職員、いわば、今職人気質と言いましたけれども、そういった方々だと思いますが、これを警察庁の指定広域技能指導官というふうに指定をして、都道府県警察の枠組みを超えて、例えば指紋の採取のやり方、似顔絵の作成、ひき逃げ事件の捜査などで知識とか技能の伝承を行っていますし、また、都道府県警察においても、専門的な知識とか技能を有する職員とか退職警察官が、警察学校や警察署等の職場において伝承教育を徹底している、こういうことを進めています。
確かに、委員のおっしゃるとおり、現場の、よく刑事警察ではデカと言いますよね、この人たちが本当に専門的な知識を持っているにもかかわらず、若者の警察官に正しく伝達されているかというと、実はそこには問題点もあろうかと思います。
実は、来年度からということになりますが、管区の警察局がありますね、そこに、OBの方に一定の資格を付与して、そこで体系的なそういう伝承教育をしていくということにさせていただきます。研修ですと、どうしても都道府県警察だと、日々の仕事が忙しくて、なかなか体系的なものが十分やり切れていないという実情がありますので、やはり管区警察局において、体系的な、かなり時間をかけて、そういう伝承教育、こういった取り組みもして、若い警察官の質の向上に努めてまいりたいと思います。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
それでは、視点を全く変えますけれども、先般、オランダのハーグで核セキュリティーサミットが行われました。その時期に合わせて、日本の核施設並びにさまざまな高レベルの核物質に対するテロ対策というものが不十分ではないかという指摘がアメリカ側からされたと聞いております。
それに呼応する形かどうかわかりませんが、これはたしか総理自身が表明されたんだと思いますが、高濃度の核物質を米国に引き渡すという報道がなされたようでございます。これは事実でしょうか。そして、事実ならば、どういう理由でそれを米国に引き渡すということになったのか、お尋ねしたいと思います。
○広瀬政府参考人 お答えいたします。
ただいま先生のお尋ねの件は、世界的な核物質の最小化への貢献に関する日米首脳による共同声明ということだと思います。
この共同声明でございますけれども、ハーグ核セキュリティーサミットの開会に先立ちまして、日米の首脳による共同声明という形で発表したものでございます。
これは、日米両国の協力によりまして、核テロ対策の強化、それから研究開発の推進を両立することを目的としたものでございます。
ただ、米国から見て、今御指摘になったような、日本の警備に不安があったからとか、そういうことではなくて、今申し上げたように、テロ対策の強化と研究開発の推進を両立させるということを目的として作成されて発表されたものでございます。
○村上(史)委員 ただ、その内容によってこれから日本の進むべき道も変わってくると思うんです。
といいますのは、これはプルトニウムを対象にしていると思うんですけれども、いわゆる核爆弾の材料となるわけです。日本としては、将来にわたって核開発はしないんだという強い意思表示なのか、単なるテロ対策としての、物質を、日本ではそれを守り切れないからアメリカで保管してくださいという意味なのかによって、日本のこれからの対応が変わってくると思うので、そのことをもう少しお聞きをしたかったんですけれども、時間が参りましたので、次の質問に移らせていただきたいと思います。十五分というのは大変短うございます。
それでは、官房長官に最後にお尋ねをしたいと思います。
ちょうどこの核セキュリティーサミットにおいて発信されたことなんですけれども、官房長官も御承知のとおり、安重根は、伊藤博文を暗殺したということで韓国では英雄視をされて、そしてそれの記念館が完成をしたということで、中韓の首脳がこれを高く評価して、日本に対する牽制をしてきたという意味合いにおいて、私も本来は穏健な方なんですけれども、これはちょっとひどいなと。
といいますのは、歴史というのは一面的であってはならない。日本にとっては安重根は単なるテロリストですから、いわゆる取り締まりの対象になるわけで、一方的な歴史観の中で、どっちが正しいとかいうことを、外交的に、政治的に利用するということは、今後のためにもあってはならないと思います。
そういう面で、日本として明確にこれに対するメッセージというものを発信する必要があるのではないか、そのことを官房長官にお尋ねしたいと思います。
○菅国務大臣 我が国政府として、この安重根、初代の首相である伊藤博文を暗殺した、日本にとっては犯罪者でありますから、この犯罪者に対して韓国と中国が連携をしてそうした記念館をつくる、こうした動きを展開することはこの地域の平和と協力の構築に資するものではない、そういうことで、私もこの建設段階から、外交ルートを通じて強く実はこのことを主張してきているところであります。私自身も会見の場でこうした我が国の立場というものをしっかり表明し、韓国、中国にも日本の立場というのをしっかり説明してきていたわけですけれども、残念ながら、あのようなことが行われたわけであります。
安倍総理もこれは述べているんですけれども、歴史に対して我々は謙虚でなきゃならない。そういう中で、歴史問題は政治、外交問題化されるべきでなくて、それは歴史の研究者、有識者、そうした専門家の人たちに委ねるべきである。そういう中で、私どもも、そこは謙虚に、また冷静に対応をしているところでありますけれども、ただ、主張すべき点はしっかり主張していきたいと思います。
○柴山委員長 質疑時間が終了しております。
○村上(史)委員 はい。
ありがとうございました。終わります。
○柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
――――◇―――――
○柴山委員長 次に、内閣提出、健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案の両案を一括して議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。菅内閣官房長官。
―――――――――――――
健康・医療戦略推進法案
独立行政法人日本医療研究開発機構法案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○菅国務大臣 ただいま議題となりました健康・医療戦略推進法案について、その趣旨を御説明いたします。
国民が健康な生活及び長寿を享受することのできる社会、すなわち健康長寿社会を形成するためには、先端的な科学技術や革新的な医薬品等を用いた世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発とその環境の整備や成果の普及及び健康長寿社会の形成に資する新たな産業活動の創出等を総合的かつ計画的に推進し、これを通じて我が国経済の成長を図ることが重要となってきております。
この法律案は、このような観点から、健康・医療戦略推進本部を内閣に設置するとともに、政府が健康・医療戦略を作成し、これを推進する等の所要の措置を講ずることを目的とするものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発とその環境の整備や成果の普及のほか、健康長寿社会の形成に資する新たな産業活動の創出等について、基本理念及び国等の責務を定めております。
第二に、基本的施策として、研究開発の推進及び環境の整備、研究開発の公正かつ適正な実施の確保、研究開発成果の実用化のための審査体制の整備、新産業の創出及び海外展開の促進、教育の振興、人材の確保等を規定いたしております。
第三に、政府は、基本理念にのっとり、基本的施策を踏まえ、健康・医療戦略を定めるものといたしております。
第四に、健康・医療戦略の推進体制として、内閣に健康・医療戦略推進本部を設置することとし、内閣総理大臣を本部長とするなど組織、所掌事務等を規定いたしております。
第五に、健康・医療戦略推進本部は、政府が講ずべき医療分野の研究開発並びにその環境の整備及び成果の普及に関する施策の集中的かつ計画的な推進を図るため、健康・医療戦略に即して、医療分野研究開発推進計画を作成するものとし、同計画は、独立行政法人日本医療研究開発機構が中核的な役割を担うよう作成するものとしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨であります。
また、ただいま議題となりました独立行政法人日本医療研究開発機構法案について、その趣旨を御説明いたします。
この法律案は、医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発を推進するため、健康・医療戦略推進本部が作成する医療分野研究開発推進計画に基づき、研究機関の能力を活用して行う医療分野の研究開発及びその環境の整備、研究機関における医療分野の研究開発及びその環境の整備の助成等の業務を行う独立行政法人日本医療研究開発機構を新たに設立するためのものであります。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明いたします。
第一に、本独立行政法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定めております。
第二に、本独立行政法人の役員として、理事長、理事及び監事を置くこととしております。
第三に、本独立行政法人の主務大臣等について定めるほか、理事長及び監事の任命、中期目標の策定等に当たって、健康・医療戦略推進本部の意見を聞くこととしております。
以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の趣旨でございます。
○柴山委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
―――――――――――――
○柴山委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
両案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る四月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十分散会