衆議院

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第9号 平成26年4月2日(水曜日)

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平成二十六年四月二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      田所 嘉徳君    田中 英之君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    若井 康彦君

      河野 正美君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    宮沢 隆仁君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      中島 克仁君    赤嶺 政賢君

      佐々木憲昭君    小宮山泰子君

      村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   厚生労働大臣政務官    赤石 清美君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中垣 英明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  菱山  豊君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 岩渕  豊君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (内閣府地域活性化推進室室長代理)        富屋誠一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局次長)      伊藤宗太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           成田 昌稔君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           有岡  宏君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           安永 裕幸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     小田原 潔君

  遠藤  敬君     河野 正美君

  山之内 毅君     宮沢 隆仁君

  大熊 利昭君     中島 克仁君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

  村上 史好君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     青山 周平君

  河野 正美君     遠藤  敬君

  宮沢 隆仁君     山之内 毅君

  中島 克仁君     大熊 利昭君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

  小宮山泰子君     村上 史好君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 健康・医療戦略推進法案(内閣提出第二一号)

 独立行政法人日本医療研究開発機構法案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中垣英明君、内閣官房内閣審議官菱山豊君、内閣府大臣官房審議官岩渕豊君、内閣府政策統括官倉持隆雄君、内閣府地域活性化推進室室長代理富屋誠一郎君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君、文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君、文部科学省科学技術・学術政策局次長伊藤宗太郎君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官三浦公嗣君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官成田昌稔君、厚生労働省大臣官房審議官有岡宏君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、経済産業省大臣官房審議官安永裕幸君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。衆議院議員の大島です。

 きょうは、菅官房長官に、今回提出をされている健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案につきまして何点か御質問をさせてください。

 今回の両法案、役所の皆さんから、あるいは私自身も読ませていただきまして、官房長官の思いが強い法案かなと思いました。なぜかというと、官房長官が結構こだわった法案かなと思っていまして、その点につきまして、まず、冒頭なんですけれども、この二法案について、今回、必要性及び政府の中で官房長官がこの法案を御担当されることの意味あるいは思いについて御答弁いただければと思います。

菅国務大臣 まず、国民の皆さんにとって、健康で長生きをすることができる社会、ここは皆さんが望んでいることでありますし、ある意味で人類の目標でもあるというふうに思っています。

 そういう中にあって、そうした社会をつくっていくために、医療分野の研究開発を戦略的に推進して世界最高水準の医療をつくる、さらに、健康・医療に係る産業、これは、今私が冒頭申し上げました、もう世界各地で望んでおりますから、成長戦略としてもこれは大きく寄与するだろう、そういう思いの中で、今回、必要な体制をつくるために二つの法案を提出させていただいて、御審議をお願いするということになった経緯であります。

 そしてまた、この分野は今どういう状況で行われているかといえば、厚生労働省、経済産業省、そして文部科学省と、日本のそれぞれの役所の皆さんは優秀な方がたくさんいらっしゃいます。しかし、どうしても、省益というんですか、縦割り、そうした弊害があるということも事実であります。

 いろいろ考えましたけれども、官房長官の仕事というのは、調整役、調整機能を行うのが官房長官の大きな仕事でありますので、少なくともこの法案を成立させるまでは私自身何としてもやり遂げたい、そういう思いがあったわけであります。

 いずれにしろ、国民にとってそういう思いのある法案でありますので、これは与野党を問わず、皆さんの御協力をいただきながら成立させたい、その思いであります。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 各府省ごとに、官房長官がおっしゃっていた、文部科学省あるいは厚生労働省、経済産業省、それぞれの研究機関があって、それぞれの予算を持っていて、それぞれ予算を配分されていて、そのそれぞれの予算が意外と連携がとれていないということの問題意識はよくわかります。

 特に日本の研究機関、先週も、当内閣委員会で、山本大臣あるいは稲田大臣に対して、これからつくる、提出をされる独法通則法の改正案につきまして何点か質問をさせていただいて、私もそのとき触れさせていただいたんですけれども、国会議員として、時間があると、日本の各研究機関に直接お伺いをして、各研究者から直接お話を伺います。なかなかそれは楽しい機会でして、それぞれの研究者というのは、それぞれ自分の領域について物すごい誇りと自信と、そして、研究が好きなものですから、多くを語っていただくことが多くて、それぞれの研究を俯瞰的に見て、こことここを結びつけるとこういうものができ上がるとか、そういう方ができること、そういう機能を持った方が必要なのかな、ひょっとするとそれは、私たち政治の役目かもしれないなという思いがあります。

 そういうことというのは、例えば明治維新を考えた場合に、明治維新の本質は何かと私が考えると、明治四年の岩倉具視使節団だと思っています。百人を超える明治の方たちが明治四年に横浜港から出て、サンフランシスコ、大陸横断鉄道、ニューヨークとワシントン、大西洋を渡って、スウェーデンからイタリアまで、各地域に散って、その地域の文化、地域のあるいは医療だったり、統治機構だったり、あるいは科学技術、全て見聞をして、帰り、スエズ運河を抜けて、植民地であったシンガポールあるいはサイゴン、四つの植民地を見て日本に帰国するわけですよ。

 当時、世界の最先端というのは彼らだと思っていまして、それだけの、世界を旅して、かつ、一年半かけて最先端に触れた集団というのは多分彼らだけだと思っていまして、政治というのは意外と科学技術も含めて最先端でなければいけないという思いが強いんです。

 ですから、今回の法案については、さまざまな意見があるかと思います。どうしてNIHにならなかったとか、さまざまな意見はあるかもしれませんけれども、一回予算を集めてそれを再配分するというところは、結構、政治的には重いと思っていまして、その再配分の仕方というのが結構キーになるかと思っています。

 その点につきまして、今回ですと、再配分、予算を各府省から一旦出していただいて、そして、官房長官のもとで、きのうから始まっている二十六年度、今年度予算につきまして、一通りの予算の配分はもう終わっているかと思うんですけれども、予算の配分に当たって、概算要求からつくり、予算を配分する、その過程につきましてどのような検討が行われたのか、あるいは、具体的には有識者による諮問会議はどのようなものを今後想定しているのか、一番これがキーになるものですから、その点についての御所見を伺わせてください。

菅国務大臣 まず、岩倉使節団の話がありましたけれども、私も、あの時代に、一年半もこの日本を留守にして、よく世界にあれだけの人が行かれたなというふうに実は思っています。

 現に政府も当時動いていたわけですから、そういう中で、やはり先人の皆さんの熱い思いというのが本当の意味であらわれた使節団だったろうというふうに思いますし、あのことが今日の日本の基盤を築いたものだろうというふうに、私も全くそのように思っています。

 今回この法律を出させていただいて、やはり予算は限られていますから、限られた予算の中でいかに重点的に効率的に行っていくかということ、ここが極めて大きなポイントだろうというふうに思っております。

 まず、この健康・医療戦略推進本部では、研究開発のうち、再生医療やがんといった、重点的に戦略的に推進をする領域については、推進計画で定めるということになっております。その策定に当たっては、学識経験者などの専門家からの意見を伺って、本部で決定をし、政策に生かしていくという仕組みであります。そういう、本部のもとにこうした専門的、技術的助言を受ける組織を実はつくっています。

 また、全体として、健康・医療戦略そのものについて、産業界だとか、あるいは医療関係機関の有識者から本部へ幅広い知見のもとに意見をいただくという、この二つの考え方であります。

 そして、この計画では、おおむね五年間を計画として、今申し上げました重点分野に予算を配分していきたいというふうに思っています。

 さらに、この計画の方針に基づいて各省が医療分野の関係予算というものの要求を行うなど、要求段階から関係府省と具体的な内容について調整をし、一体的な予算要求を行って、重点的、効率化、そういうものに努めていきたいと思っています。

大島(敦)委員 菅官房長官がおっしゃられたとおり、一番最初の今回の予算が一番大切だと思っていまして、多分、これまでの各省庁ごとの予算編成というのは、さまざまな人的なつながりによって、特に、学会の皆さんあるいはお医者さん関係者あるいは薬剤師関係者というのは、私もおつき合いさせていただいていますけれども、学校、医局、その出身者、日本の社会においても、多分海外もそうなんですけれども、さまざまな人間関係によって、多分、日本の各、厚生労働省、文科省、経済産業省もどうかわかりませんけれども、予算というのは決まっていると思うんですよ。

 ですから、その予算を、今回一千二百億円、要は別枠管理するというのは、研究者の皆さんにとっては結構驚愕をしていらっしゃるのかなと思っていまして、そうすると、政治としてどうやって予算配分するかだと思うんです。

 今回は全部で九つのプロジェクトがあるという説明を受けまして、その九つのプロジェクトの強弱が必要だと思いまして、そうすると、政治として考えると、一番大切な領域があるかと思うんですよ、一番大切な領域が。

 要は、将来的に日本を考えた場合に、これからかかるであろうコストをできるだけ軽減していくという施策がまずは必要かなと思っていまして、もちろん、難病の方あるいはがんの方、それを治療し、治すということも非常に大切な領域です。ただ、日本の予算というのは一定規模なものですから、社会保障費については、毎年毎年、結構高額に、日本全体が高齢化するとともにかかってくる予算です。その予算に着目して、できるだけそれを少なくするということも必要だと思っていまして、まず政府参考人に、きょうは議事録を残すために、この九あるプロジェクトについて若干触れていただけると助かります。手短で結構ですから、ちょっと触れてください。

中垣政府参考人 お答えさせていただきます。

 ただいま委員御指摘の九つのプロジェクトでございますけれども、私どもといたしましては、一つは、医薬品・医療機器開発への取り組みということで、医薬品創出の基盤強化、もう一つが、オール・ジャパンでの医療機器開発というもの、それから、世界最先端の医療の実現に向けた取り組みといたしましては、再生医療の実現化ハイウェイ構想、それから、疾病克服に向けたゲノム医療実現化プロジェクトといったもの、さらに、臨床研究・治験への取り組みということで、革新的医療技術創出拠点プロジェクトというもの、さらに、疾病領域ごと、個別の疾病ごとの領域でございますが、がんにつきまして、ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクトというもの、それから、認知症等につきまして、脳とこころの健康大国実現プロジェクト、感染症につきましては、新興・再興感染症制御プロジェクト、それから、御指摘にあった難病につきましては、難病克服プロジェクトという形で、五つの領域を設定しておるところでございます。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 この九つの領域だと思うんですけれども、この九つの領域につきましてのそれぞれの考え方と、どこに重点配分するかということが結構大切で、私もこれを見ながら、例えば、創薬とかゲノムの分野ですと、理化学研究所の横浜の研究所の中でDNAとかRNAの解析をされている研究者と意見交換をさせていただいたり、あるいは、最先端の医療機器の開発につきましては、これはNEDOがお金を出していて、高精度のエックス線の治療機器の研究開発、結構おもしろいテーマの開発をしていて、そこの研究者と話すと、アメリカで研究していたんですけれども、日本に来て国の研究開発費を受けながら、放射線の治療のビームを物すごく小さくして、それを、自動車の溶接機器を使いながら、極めて精度高く、肺とか動く部位に対して放射線を何通りにも動きながら当てながら治療していく機器、これのマーケットについては、一機二億とか三億で販売することを考えているとか、これについても、二十六年度中にはプロトタイプを作成し、来年度中には薬事承認申請を行うとか、一つ一つのプロジェクトについては私も見させていただいております。

 個々にはあるんですけれども、これから日本の私たちの社会の中で一番大切なものというのは、先ほど申し上げました高齢化でもあるのかなと思っていまして、日本の現在の高齢化率は、御承知のとおり、二四・一%、二四%ぐらいです。アジアでの高齢化率というのを見ると、例えば、日本の二四%に中国の方が達するのが、二〇五〇年には二四%ぐらいになります。韓国はもっと早くて、二〇三〇年には二三・四%ですから、意外と日本を追いながら韓国も中国も、特に中国は人口が多いものですから、高齢化率と高齢者のボリュームが非常に多くなります。

 そうすると、やはり高齢化を考えると、私は、認知症というのが意外と日本の社会保障費の中で大きなウエートを占めてくると思っているんです。やはり認知症、これから私の周りでも、皆さんのお知り合いの中でも、御家族の中、あるいは御親戚の中に結構認知症の方がいらっしゃっていて、御本人も含めて、その精神的な負担、あるいは社会的なコストも含めて、極めて高いのではないのかなと思っているんです。

 ですから、今後の社会保障費の減を考えていくのでしたら、例えば、この認知症について、どのように皆さんが考えていらっしゃるのかなというところをまずは聞きたいなと思っていまして、厚生労働省の方に伺いたいのは、今後、団塊の世代が二〇二五年には七十五歳以上になるなど、高齢化の進展に伴い、特に認知症高齢者が増加することにかかわる社会的コストというのは結構大変になってくるのかなと思っています。その点について、厚生労働省がこれまで認知症について所管しておりますので、将来、どういうふうになって、どのくらいの社会的コストがかかるかについて検討したことがあるのかどうか、教えてください。

有岡政府参考人 お答えいたします。

 認知症高齢者の社会的コストでございます。これの推計、大変重要なことと考えておりますけれども、これまでのところでは、具体的な推計値のデータは有しておりません。

 一方で、平成二十四年度の介護給付費は八・四兆円と推計されております。同年度におけます六十五歳以上の要支援、要介護認定者のうち、日常生活自立度二以上の認知症高齢者の割合が五九・九%、約六〇%に達しているところでございまして、この数字だけを見ましても、認知症高齢者のウエート、介護給付費に関するウエートが大きいということがわかるかと思います。

 なお、現在、厚生労働科学研究費補助金、これを使いまして、我が国におけます認知症の経済的影響につきまして研究を進めているところでございます。今後、認知症高齢者の増加による社会的コストの影響を把握できるように努めてまいりたいと考えております。

大島(敦)委員 官房長官、私は、さまざまなこの九つある研究プロジェクトの中で、社会的なコストを考えた場合には、この認知症の医薬の開発というのが結構重要であると思っています。特にこういうプロジェクトを、私も事細かには説明を受けておりません、事細かに説明を受けると、意外とおもしろくて、膨大な時間を要するものですから、事細かにこの九つのプロジェクトについて今詳細はまだ伺う途上なんですけれども、個々のプロジェクトについての費用対効果が必要だと思っています。

 これは、費用対効果、一応これだけの費用を出して、どういうレバレッジ効果があるのか。これを定性的ではなく、金額ベースに置きかえて検証できるということが必要であると私は思います。これはもちろん、一方の意見としては、なかなか検証できないとか、あるいは、理屈というのは後からついてくるから何とでも書けると言われるかもしれませんけれども、一旦、一定の仮定を置いて、これだけのコストがこういう開発によって軽減するんだということは、今回このプロジェクトを始めるに当たって結構大きな指標であると思います。

 その点についての官房長官の御所見をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 今委員の御指摘の九つの各省庁連携プロジェクト、重点項目の中に、今委員は資料をお持ちでありますけれども、脳とこころの健康大国実現プロジェクト、この中に認知症を位置づけをいたしております。そういう中でありますので、ここについては重点項目の中に入っているということをまず御理解いただきたいというふうに思います。

 さらに、そうした中において、各府省庁の連携のあり方や計画推進のいわゆるPDCAサイクル、こうした考え方は極めて大事だというふうに私は認識をいたしております。そうした考え方に基づいて、今委員から御指摘もいただきました、そうした点も留意しながらしっかりと検討していきたい、こう思います。

大島(敦)委員 国の総理及び大臣も、ずっと、何年間というのかな、五年から十年も同じ方が務めるわけではなくて、大臣あるいは総理大臣初め、何年かに一回はかわっていくわけですから、そうすると、まずは政治的な恣意性を排除するということが一つ必要で、もう一つは、学者のソサエティーの中の、縦系列のいろいろな関係を排除するということも必要だと思っていて、その中で、国の予算の配分をする中で一番必要なのは、わかりやすい指標だと思うんですよ。これは、難病あるいはがんの治療も大切ですけれども、社会的コストを軽減できたとしたら、その浮いた費用というのはほかの研究開発にも使用できるという思いがありまして、選択と集中が必要だと思っているんです。

 そうすると、認知症というのは、私が考えるに、これから検証していただいてもいいんですけれども、さまざまなこの九つあるプロジェクトの中で一番費用対効果が高いのかなという推察をするんです。これは個々に検証していただいて、もう一回、そうかどうかというのは検討が必要かもしれませんけれども、それは私は必要だと思っています。

 例えば、これは、国際アルツハイマー病学会というのがあって、ここが二〇〇六年に「アジア太平洋地域における認知症問題 拡大の兆し」というレポートを出していて、これからアジアにおける認知症の方の患者数が、例えば、二〇〇五年一千三百七十万から二〇五〇年には六千四百六十万ぐらいにふえるとか、こういうようなデータが出ていて、先ほど申し上げましたとおり、東南アジア、日本以外の国でも高齢者がふえてくると、先ほどの政府参考人の答弁にあったとおり、高齢者がふえてくれば、一定の割合で認知症に、あるいはアルツハイマー病になる方も多いものですから、その点につきましてぜひ官房長官にお願いしたいのは、その費用対効果、なかなかそれは費用対効果を出せないと言うかもしれませんけれども、一定の仮説を置いて費用対効果を、要は、まずは立ててみて、毎年毎年それをローリングで検証するというシステムは、私は非常に必要だと思っているんです。

 先ほどの九つのプロジェクトは非常に楽しいプロジェクトなんですけれども、ここに費用対効果ということを入れたときに初めてわかりやすい資料になると思いますから、その点について、ぜひ官房長官がグリップしている時代にお願いしたいと思っていまして、これがまた個々の府省にばらけていくと、結構自分のところの、既得権益と言っては余りいい言い方じゃありませんけれども、上下関係で決まってくるおそれも多分にあるものですから、その点について、もう一度官房長官のお考えを伺わせていただければと思います。

菅国務大臣 私は、官房長官に就任して、官房長官の仕事の役割というのをまず事務方からいろいろ説明を聞きました。そして、民主党の時代はどうだったかということも聞きました。民主党の時代も、やはりこうしたいわゆる改革を、当時は仙谷国家戦略担当大臣が所管をして、官房長官になったら官房長官に、その部分については内閣官房に持ってきて、やろうとされていた、現実的にスタートもされていました。

 私が考えたのは、冒頭申し上げましたけれども、やはり健康で長生きする社会をつくるというのは極めて大事であるという中で、法律を何としてもつくる必要があるだろうと実は思ったわけであります。そして、法律を策定することによって、これは、国会で議論をされて法律になれば、あとは誰がなっても、あるいは政権交代があっても、法律として国民の皆さんに必要なものというのは簡単に変えられるものでないわけですから、そういう意味で、私自身、ぜひこれは調整役という仕事に一番似合うんじゃないかなという思いの中で所管をさせていただいたということであります。

 そして、今委員から話がありましたけれども、がんとか何かというのはある意味で非常にわかりやすいですから、いろいろな方が、いろいろな試算もあります。

 しかし、この認知症というのは、ある意味では非常にわかりにくい部分もありますけれども、これから高齢化社会の中では極めて重要な部分であるということも承知をしていますし、今政府委員から話がありましたけれども、介護の中の六〇%がそうだということもあります。できる限り具体的に数値としてここはあらわすことができるようにしたいというふうに挑んでみたい、こう思います。そして、その方向性も出していきたい、こう思います。

大島(敦)委員 御答弁いただきまして、まことにありがとうございます。

 例えば、理化学研究所の和光には、人間と同じアルツハイマー病を発症させるマウスをつくっていらっしゃる研究者の方もいらっしゃったり、さまざまなところでさまざまな研究が行われています。それを一旦政府の、あるいはよくわかっていらっしゃる方が俯瞰的に個々の研究を見ていらっしゃっていて、それで予算配分をして一定の成果を出していくということは結構必要な領域だと私も思っています。ですから、その点について、今御答弁いただきましたので、ぜひそのようにしていただければと思います。

 そうすると、今の御答弁とちょっとかぶるかもしれないんですけれども、PDCAサイクルですか、プラン・ドゥー・チェック・アクションのサイクルをどうやって回すのかというところ。そこで一番必要なのは、今回説明を受けると、PDとかPO、プログラムディレクターとかプログラムオフィサーという方が一番必要であると。ですから、この二つの役目について、まず政府参考人から、どういう役目なのか、その点について伺わせていただければ幸いと存じます。

菱山政府参考人 失礼します。

 プログラムディレクター、プログラムオフィサーにつきましては、プログラムディレクターは、いわゆるシーズ、研究の成果、すぐれた成果を見出す目きき機能とか臨床研究への橋渡し、そういった機能を担っております。プログラムディレクターは、研究全体を見通しまして、そういった機能を果たすというものでございます。プログラムオフィサーの方は、個別の研究テーマにつきまして、しっかりその成果が出ていくようにマネジメントをしていくということで、研究のいろいろな方向性をお示ししたり戦略を立てていったり、知財についても考えるといったことでございます。

大島(敦)委員 官房長官、多分質問通告の中で、的確な人材はいるかという質問通告をさせていただいておりまして、私も、ビジネスの業界というのかな、会社生活を経て衆議院議員になっているものですから、民間企業の経験が十九年間ぐらいあって、その中で最近思うのは、民間企業的な肉食的なところが大分希薄になっていて、草食化している感じがするわけです。

 政府の施策も、企業にお金を、出資を、あるいは研究開発費を要は送りながら、こちらの方向で研究した方がいいのではないかなというような施策が結構多くて、企業サイドからもっとがつがつ政府の方に迫ってくるというのが本当に前に比べると大分薄くなっているのかなという感じがするんです。

 私も、ちょっと不明を恥じるところがあって、例えば3Dプリンターについて、最近興味を持っていろいろと勉強させていただいて、これから視察にも伺おうと思っているんですけれども、圧倒的に日本が今おくれつつあるんです。

 ちょっとこの審議とは離れるんですけれども、プラスチック系と金属系があって、プラスチック系の方はおいておいて、要は金属系で3Dで極めて精巧な部材をつくっていくというのは、一〇〇%ヨーロッパの会社、八〇%から九〇%がドイツの会社なんです。これは、一つの産業政策に基づいて、特許切れも含めて、ここ十年以上積み上げてきたんですよ。投資金額としては、そんなに多い投資金額ではない。

 日本は、ようやくこれから、今年度予算から四十億を経産省がとってやり始めるということですので、この領域については、例えば、民間が勝手に私はやっていらっしゃるのかなと思ったら、そうでないところもあって、このPDとかPO、あるいは理事長の人選が極めて重要だというところで、この領域に日本の最適な方を、なかなか少ないとは思うんだけれども、起用してほしいんです。

 これは、こういう考え方を、ちょっと今回のレクの中で役所の方と議論をさせていただいて、結構、ああ、そうかなと思う点があって、バブルが崩壊した後に、各民間企業の中央研究所の予算は減らしてきたんじゃないか、中央研究所出身の役員が民間企業の中で少なくなっているんじゃないかという仮説を一つ立ててみるんです。そうすると、今の日本の民間企業の研究開発投資がよく進まなかったり時代の最先端になかなか及ばないというところは、そういうところにあるかもしれない。

 二十年前のバブルがはじけた後に、私も鉄鋼会社の係長として三つ決めたことがありまして、毎日、銀行から会社が、お金を返してほしいと言われたので、もうお金を借りるのはよそうとか、先輩は人をリストラしていたものですから、二度と人は雇わないとか、何千億円を超える多くの金額を新規事業に投資をして余りうまくいかなかったから、身のほどを超えた経営をするのはよそうというのを、二十年前に係長でも考えましたから、上司の部長とか課長の、今の経営者の皆さんは、結構そういう思いが強い方が多いんです。

 ですから、ここは、官房長官、冒頭おっしゃったとおり、政治がリーダーシップをとっていかないと、意外と任せられない領域かもしれないんです。ですから、その点について、最後に、理事長あるいはPDあるいはPOの役目も含めて、御答弁をいただければ幸いと存じます。

菅国務大臣 先ほど政府委員からも答弁ありましたけれども、いわゆるPD、POについて、まさにシーズを見出す目きき機能や臨床研究への橋渡し、さらには、研究者支援、指導する牽引力等を備えた人材の確保、それが大事だと言われました。まさに、この縦割りと同時に、日本に欠けている部分というのはこの部分であるということは、委員と私も共通認識であります。

 現実問題として、こうした人をいかに今度の機構で集めることができるかということも非常に大事なことになりますし、さらに、そこで経験を積んでいただいた方、そうした人材をこれから養成していくということも、やはり我が国にとってここは大事だというふうに思います。

 そういう意味で、このPD、POと言われる方については、できる限り幅広く、ここは公募をする中で、しっかりと能力のある方を充てることができればいいなというふうに思います。

 それと、理事長については、まさにこの趣旨に合う人を、これは総理大臣が指名することになっていますので、そこはやはり人材、理事長の存在も極めて大きいというふうに思います。特にこれは発足時は大事だというふうに思っていますので、そうした考え方の上に総理が指名をされる、こういうふうに思います。

大島(敦)委員 時間となりましたので、ここで質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦でございます。

 本日は、提出をされております健康・医療戦略推進法案、そして独立行政法人日本医療研究開発機構法案、これらがなぜこの現時点において出されることになったのか、その背景等について、まず少し確認をさせていただきたいと思います。

 先ほど来話題に出ておりますけれども、我が国は、大変に難しい少子高齢化、そしてこれから人口減少社会に向かって加速をしていくわけですけれども、その中で、国の活力を維持し、そしてまた一人一人の国民ができるだけ健康に長生きをして今まで以上に力を出していくという、そうした状況をつくっていくということが国家の最も基本的な課題となっているというふうに私も思う者の一人でございます。そういう意味で、今回の二つの法案、政府を挙げてこれに取り組まれるということについては本当に心から敬意を表するものでございます。

 そこで、今回の法案の構造でありますけれども、今の課題にチャレンジをしていくために政府を挙げての体制づくりをしていこうということかと思うんですが、内閣に健康・医療戦略推進本部を置いて、そこが健康・医療戦略に基づいて開発推進計画をつくり、そして、その具体的な、ある意味でいうと戦闘部隊といいますか司令塔といいますか、そうした意味で独立行政法人日本医療研究開発機構を設置し、そこに全ての力を集中して取り組んでいく。法律のたてつけからいうとそのようになっているかと思うんですけれども、官房長官、そうした理解でよろしいでしょうか。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

菅国務大臣 まさに委員のおっしゃるとおりでありまして、先ほども申し上げましたけれども、まず、これだけ大事な健康長寿社会を実現する中で、やはり、現在の政府等がどういう対応をしているかといえば、それぞれ、厚生労働省、文部科学省、さらに経済産業省、そこで研究をしながら、そこを一つにして、まさに基礎から実用化までの切れ目のない支援というのができていないという中で、この二つの法案を提出させていただいて、まさに健康長寿社会実現のために全力を挙げていきたい、こういう思いであります。

若井委員 官房長官、ありがとうございます。

 それでは、政府参考人の方にお伺いをいたしますが、今回の健康・医療戦略推進本部と、先般から議題になっております総合科学技術会議のすみ分けというか連携について、どのように整理がされているのか。その点についてちょっと聞かせていただければと思います。

菱山政府参考人 総合科学技術会議につきましては、科学技術政策全般を取り扱うというふうに認識しております。健康・医療戦略推進本部におきましては、医療に関する研究開発の分野についての総合調整をしていくということでございます。

 総合科学技術会議と健康・医療戦略推進本部は、連携して協力していくというふうに考えております。

 以上でございます。

若井委員 それでは次に、今回の構想の柱になっております健康・医療戦略ですけれども、先ほどちょっと、九つの戦略プロジェクトを御説明いただきました。この中に我が国の国民にかかわる健康・医療に関連するさまざまな課題が含まれているというふうに思うわけですけれども、今後、これを開発推進計画の中でどの程度具体的なものとして想定していくのか。今回の九つの戦略プロジェクト自身がこの推進計画の主たる柱であるというふうに考えていいのかどうか。その点について確認をしたいと思います。

菱山政府参考人 研究開発の計画につきましては、専門家に集まっていただきまして、そこで専門的な知見もいただいて考えていきたいというふうに考えております。

 そして、二十六年度の予算におきまして九つのプロジェクトを提示していただいておりますが、そういったプロジェクトも含めまして全体の計画をつくっていきたいというふうに考えております。

 今のプロジェクトの中は、先ほどの御審議にもありましたように、大変重要なテーマが含まれているというふうに考えておりますので、そういったものを含めまして全体をつくっていくことになるかと考えております。

 いずれにしましても、今後、推進本部のもとにそういった知見を持った方に集まっていただいて、まず知見を集めて考えていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

若井委員 ということは、医療分野の研究開発推進計画の具体的な内容については、今後その内容が出てくるというふうに認識すればいいということですね。それでよければ、それで結構です。

 それからもう一つ、先ほど、健康長寿社会をつくるというテーマをまず挙げたわけですけれども、それとあわせて、これにかかわります、切っても切り離せないことだろうとは思いますが、我が国の健康・医療関連の産業分野についてのいろいろな現在の状況というものもあろうかと思いますし、今回のこの法案、これが、そうした我が国の現在の健康・医療産業の現状であるとか課題であるとか、そうしたものを克服していく、あるいは解決していく、そのために設定をされているんだというふうに思うわけですけれども、その点について簡単に御説明いただければと思います。

神田政府参考人 とりわけ医薬品ですとか医療機器産業について申し上げますと、現状、我が国は、アメリカ、スイスに次ぎます世界第三位の創薬国でございますけれども、今のところ、アジアでは唯一の創薬国でございます。

 ただ一方で、輸入超過でございますとか、日本の製薬企業とか医療機器企業の地位の相対的な低下などが指摘されておりまして、我が国の医薬品、医療機器産業の国際競争力の維持強化が課題であるというふうに考えております。

 厚生労働省としましては、革新的な医薬品の実用化を推進するために、研究開発から実用化に至るまでの各ステージへ途切れることのない支援といたしまして、例えば、研究開発に係ります税制上の優遇措置ですとか、臨床研究、治験環境の整備ですとか、審査迅速化のためのPMDAの体制強化などを行ってきているところでございますけれども、今回の日本医療研究開発機構によりまして、基礎研究から実用化までの一貫した管理と支援が行われるということに伴いまして、こうした課題についても、より連携をとって対応していけるものというふうに考えております。

若井委員 今お話がありました、我が国の医薬品や医療機器、四兆円ぐらいの入超になっているという話ですけれども、この輸入の増加に対して、これまで有効な手だてが打てないできたということを前提にして今回の構想があるというふうに考えていいのかどうか。

 それから、もう一つ申し上げると、最近は、医療の原薬等の調達というものがどんどん海外にシフトしているということをお聞きするわけでございますけれども、今御説明があった、そうした対策だけでこうした状況を変えていくことができるというふうにお考えですか。いかがですか。

神田政府参考人 先ほど御指摘ございました赤字の現状については、医薬品では、二〇一一年で一兆三千六百億、二〇一二年では一兆六千億、医療機器では約六千億の赤字といった状況になってございます。

 ただ、この赤字の原因につきましては、製造の拠点を外国に置いているといった観点もございます。例えばアメリカなども、最大の新薬創出国でもございますけれども、製造拠点を海外に置いていることから、医薬品の貿易収支については赤字というふうになってございます。

 ただ、一方で、先ほども申し上げたような、研究開発ですとか、バイオ医薬品などの最先端の技術における開発のおくれといった要因もあろうかと思いますので、今回の研究開発機構の戦略のもとで、より戦略的に基礎研究から実用化に向けた取り組みを進めていくことによって、こうした点について取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。

若井委員 生産拠点が海外にフライトをするという、こうした健康・医療関連産業だけじゃない話だと思いますけれども、特に付加価値が高いようなもので、量産品じゃない、そうしたものを内製していくという意味でいうと、私はこれは大変重要な分野だと思いますので、ぜひそうした観点から、つまり、経済対策、産業対策としての意味からも力をぜひ入れていただきたい、このことを要望させていただきたいと思います。

 話題はかわるんですけれども、官房長官、トカゲの尻尾切りという言葉がありまして、身の回りにはいろいろそうしたケースもあるかと思うんですが、サイエンスとか研究の分野でそういうことがないということを私は信じております。実はきょうは、トカゲの尻尾切りでも、それとは全く違った話なんですけれども、例のiPSの山中伸弥教授がある対談でこの話をしておられます。トカゲは、尻尾を切っても尻尾は再生してくる、ただ、トカゲの場合は、外側は再生するけれども、骨は再生しないんだ、だが、よくよく世界じゅうの生物を調べてみると、イモリという生き物がいて、これについては尻尾も再生する、中の骨も再生する、人間もかくあるべしと。それが再生医療の極致だということをおっしゃっておられます。

 ただ、このイモリの研究というのも、世界じゅうにあるそうですけれども、実はこの二十一世紀の初頭には、この問題について研究している研究室が世界じゅうに三つしかなかったというふうに彼は述べておられる。

 要は、生命工学であるとかバイオテクノロジーの世界、あるいは、もっと限定して言えば、再生医療の世界等について言えば、その材料というか資源というのがどこから出てくるかわからないというのが大変に、おもしろいと言うと問題がありますけれども、そういうことじゃないかと思うんです。そうしたところに、しっかり、きっちり目配りができている、ちゃんと手が届いているという、そうした科学立国、そうしたことをこれから目指していかなきゃいけないんじゃないか。

 経済性とかそういうことを考えてみると膨大な話ですけれども、我が国にももちろん、こういう基礎科学、そうした部分で地味にさまざまな研究をしておられる方々がたくさんいるわけでありまして、この生命科学の分野に限ってみましても、こうした基礎研究の充実というものが大変大事なんだろうなというふうに私は思うわけであります。

 この点について、きょう、資料をお配りできなかったんですが、「真に成果の出る日本版NIH構築のために」ということで、日本学術会議会長の大西隆さんから平成二十五年六月二十一日にコメントが出ております。

 この中で彼が主張しているのは、訴えているのは、第一に、まず、生命科学の研究開発費がアメリカの十分の一しかない、これを何とかしてよということが一つ。それからもう一つは、「生命科学分野の革新には科学研究費補助金等によって促進されている基礎研究と前述の強化・改革によって促される戦略的研究開発とが車の両輪として機能する仕組みを創ることです。」こう彼は主張しておられるわけで、せっかくこの機構をつくるのであれば、そうした目標を達成してほしい、このように訴えているわけであります。

 この後、基礎研究に対する研究予算についてさまざまな議論があって、恐らく今回の機構に落ちついているんだと思いますけれども、基礎研究に関する今回の機構の構想、ここら辺についてはどういうすみ分けをすることにしたのか、あるいはどのような連携をすることにしたのか、その点について一言御説明をいただければと思います。

菱山政府参考人 先生の御指摘のとおり、基礎研究は非常に重要だというふうに考えております。

 今回の構想につきましては、トップダウンの医療の研究開発につきまして、医療研究開発機構に各省の予算を集めまして、一貫した研究開発を進めていくということにしております。

 また、今御指摘の科学研究費に関しましては、研究者の自由な発想によるボトムアップの研究ということで、これは文部科学省においてしっかり進めていくということでございます。

若井委員 かなり紋切り型の話で、ちょっとよくわからない部分もあったんですけれども、いずれにしても、科研費はそのまま残して、そっちはそっちでやってちょうだいねということにおさまったということでよろしいですか。

菱山政府参考人 失礼しました。

 そういったボトムアップで行われる基礎研究につきましても、しっかり研究の成果が医療研究開発機構で行う研究開発につながるように、しっかり連携をとっていくということにしております。

 また、科学研究費の課題につきましても、そういった重要な研究テーマをとっていただくようにということを考えております。

若井委員 機構は来年発足するそうですが、発足して活動を展開する中で、この問題についても、もう少しダイナミックに連携をしながら、お互いに力が出せるように工夫をしていただければというふうに願う次第であります。

 それと、ちなみに、このコメントの中に、研究費の助成審査とか成果の評価等についてちょっと触れておられます。ピアレビュー制度というものを繰り返すことの中から一定の、どなたにもある程度理解のいただける研究費の例えば配分、そうしたものについての方法ができてきているということが言われております。ピアレビューというのは、恐らく、研究領域がかなり近いところで相互に評価をし合うということなんだろうと思うんですが、こうした制度について、今さらながらかもしれませんけれども、機構が今後、研究費の助成であるとか審査をするとか、そうした場合には大いに参考になるのではないかということで、蛇足ではありますけれども、ちょっと触れさせていただきます。

 それから、お金の話もそうなんですけれども、肝心の人間の話であります。

 三菱総合研究所というところが政府の調査を受けて研究人材の将来需給について予測をしていますけれども、これを見ると、結構しんどいんですよね。日本の経済成長がどうなるのかにもよるんだろうけれども、いずれにしても、これから研究者というものも少子高齢化の中で供給が減っていくんだ、そして、それがまた経済規模の縮小をもたらして、さらにまた研究者が減っていく、そうした危険性があるんだということをここでは言っております。需要を満たせる優秀な研究者、技術者の供給がなければ、我が国が科学技術創造立国として発展していくことは困難だと。

 先ほど、一番最初の、何のために今回のこの構想があるのかという話につながっているんですけれども、一種の鶏と卵みたいな話ですけれども、研究者をここでふやして、例えば健康・医療関連産業を膨らまし、そっちで長寿を達成することで研究者を確保ができるということになるかもしれないけれども、現実とするとなかなか厳しく、毎年六十万人ぐらいですか、ここのところで横ばいになっている、これからじり貧になりかかっている。

 これについて、フレッシュな理系人材というんですか、そうした方々をどうやって育てていかれようとしているのか。この辺については、いかがでしょう、文科省の方でしょうか、何か手だてはしておられるでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、人口減少を背景といたしまして、研究者の総数、これが減少する可能性がございます。今後、我が国が成長を続けまして新たな価値を生み出していくためには、まさに基礎研究を含め、幅広い分野において科学技術を担う多様な人材の育成、確保が重要というふうに認識をいたしております。

 このため、文部科学省ではこれまでも、当然ながら医療分野を初めといたしまして、幅広い分野の若手研究者の育成、確保を図るために、特に基礎研究を担う大学を中心に、特別研究員事業あるいはテニュアトラック普及・定着事業などを行ってきたところでございます。

 さらに、平成二十六年度予算におきましては、新たに、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築といたしまして、複数の大学などでコンソーシアムを形成し、企業などと連携をし合いながら、研究者の流動性を高めつつ、安定的な雇用を確保しながらキャリアアップを図る取り組みを行うこととしております。

 これらの新たな制度や事業なども活用しつつ、引き続き、研究者の育成、確保や雇用の安定などの処遇の改善を図り、研究者の職というものの魅力を高めることによりまして、その活躍の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。

若井委員 どうもありがとうございます。

 それでは、本題でありますけれども、日本医療研究開発機構について幾つかお聞きをさせていただきます。

 今回のこの開発機構、そのモデルになったのがアメリカの国立衛生研究所だということは巷間言われているわけですけれども、予算が三兆円ですか、二十七の自前の研究機関も持っている、そういういわゆるNIHですが、それと、我が国が今考えている、来年に実現をしようとしている衛生研究所との一番の共通点、一番の違い、この二つについて、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 まず、委員御指摘のアメリカのNIHでありますけれども、研究領域ごとに分権化された二十七の独立研究所で構成されて、各研究所でみずからの研究開発を実施すると同時に、研究費の配分等もその二十七の研究所がそれぞれ行っているというのがアメリカのNIHでありまして、全体としては、その上に本部が乗っているという言い方もおかしいんですけれども、独立性が物すごく強いということです。

 日本は、アメリカと違って、日本の実情を考えながら、今度設立します日本医療研究開発機構は、医療の研究領域間の連携を十分に図ろう、そういう中で一体的運営を行っていくということです。さらに、自前の研究所は持たなくて、研究費の配分だとか管理だとか支援、そうしたものに特化した法人にしたいというふうに思っています。

 ですから、アメリカとはそういう意味で大きくここは違うというふうに思います。

若井委員 NIHの場合は、既に設立がされてから百年以上たっているということでありますし、その当時のインフラでありますとかそうしたことを考えると、ある程度集積とか集中とか、そういうことを意図せざるを得なかったんだろうというふうに私は思うわけでありまして、その点、今官房長官がおっしゃられた、それぞれの例えば研究機関というものは、分散あるいはそれぞれ動いていてもいいんだと。それのネットワーク、情報のネットワークであるとか、人的ネットワークであるとか、そうしたことを十分に生かしながら機能させていくことができるんじゃないかということについては、私もそのように期待をする者の一人であります。

 先ほどの山中教授も、みずからのいわゆる大発見の実験の結果というのをインターネットでアメリカで見ていたそうであります。iPSの心臓が動き出した映像はアメリカの別の研究所にいて見ておられたということでありますので、そうした今日のいわゆるインフラであるとかネットワークというものを生かしながら、ぜひ小さくてもぴりりと辛い、そうした機構をつくっていただきたいと思います。

 ちなみに、アメリカの場合は、その三兆円は、働いておられる方の人件費全て込みだということなので、ネットからいうと、もう少し近いんじゃないかと私は考えておる者の一人でありますけれども、アメリカと同じものをつくる必要はもちろんないわけですし、そこの点についてはぜひ工夫をして頑張っていただきたいというふうに思っております。

 それから、先ほどの話にちょっと戻るんですけれども、今回の研究開発機構は、ある意味でいうと、戦略というかターゲットを相当絞っておられるわけですから、予算というものも当然そうしたところに集約をしていくんだろう。いわゆる出口を定めて、そこに向けて資源を集約していくということになろうかと思うんですけれども、先ほどの基礎研究との、今ちょっと触れましたが、いわゆる研究成果についてのネットワーク、これをどうやってつくっていくのかということがどうも十分にイメージできないんです。

 基礎研究が、むしろ出口戦略優先の中で比重が落ちていくというか、おろそかになるとは申し上げませんけれども、そういうおそれというか、そういうものがあるんじゃないかと思いますけれども、いかがですか。事務局の方々はどう考えていらっしゃるんでしょう。

菱山政府参考人 医療イノベーションを進めていく際には、基礎研究の成果がもとになるというふうに考えております。したがって、私どもはシーズと呼んでおりますが、基礎研究の成果であるシーズをしっかり泉のように出していただき、それを、実用化に向けて研究マネジメントをして、しっかり展開していくというふうにしていきたいと考えております。

若井委員 ですから、シーズをしっかり出していただいて、それを成果に結びつけていくという、シーズを出していただいて、それを拾っていくというそのプロセスをどういうふうにつくるのかで、これは成否が決まっちゃうんじゃないかと私は思うんですよ。だから、そこのところを大いに工夫していただきたいということを、これ以上お答えは結構ですが、要望をさせていただきたいと思います。

 次に、この機構とそれからいわゆる民間セクターとの連携あるいは役割分担、こうしたところについて、具体的にはどのような手だてを今準備しておられるのか、そこについて教えていただきたい。

菱山政府参考人 日本医療研究開発機構による研究支援を通じまして基礎研究の成果を着実に実用化につなげていくためには、民間での開発が非常に重要でございますので、産学連携といったものもしていきたいというふうに考えております。

 また、知財が非常に重要になりますので、知的財産権のアドバイス、そういったこともこの機構で行っていき、民間企業の方にしっかりつなげていくようにしていきたいというふうに考えております。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

若井委員 こうした先端的な分野で、いわゆる基礎研究と例えば創薬なら創薬のような具体的な分野をつなぐには、いわゆるベンチャーが各国で大変に活躍をしているというふうに聞いておりますけれども、この機構とベンチャーとの関係については何か作戦がおありなんですかね。その辺、ちょっと教えてください。

菱山政府参考人 二十五年度の補正予算におきまして、産業革新機構にベンチャーへの投資の枠を確保させていただいております。

 また、日本医療研究開発機構におきましても、先ほど申し上げました産学連携で、技術開発におきましては、そういった企業、ベンチャー企業も含めた企業との連携といったことも図られるかというふうに考えております。

柴山委員長 若井君、質疑時間が終了いたしました。

若井委員 はい。

 いろいろ聞いてまいりましたけれども、ぜひこの機会に我が国の健康・医療産業を世界に冠たる戦略産業に育てていただきますように、そしてまた、我が国の国民の健康そして長寿、これを支えていただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終えさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、宮沢隆仁君。

宮沢(隆)委員 日本維新の会、宮沢隆仁であります。よろしくお願いいたします。

 私は、医学部を卒業しまして今三十五年目ぐらいなんですが、三十年ぐらいは脳神経外科医の現役として働いていたんですが、その間、五年ぐらい研究にどっぷりつかっていた時期があります。三年間は日本で、二年間は、実は、一九八九年の夏から二年間、ドイツのケルンにありますマックス・プランク神経病研究所というところで、主にネズミの脳を扱って研究をしておりました。

 マックス・プランクのことは御存じだろうと思うんですが、NIHに匹敵するぐらいのドイツの冠たる研究機関でありまして、私は当時、下っ端で働いていただけなんですが、何となく、研究組織の違いとかいうのは、ドイツ人たちと話しながら肌で感じておりました。

 それからもう一つは、やはり五年も研究をやっていますと、研究者の現場の苦悩とかあるいは考えていることとかというのはいろいろ伝わってきますし、私自身も考えましたので、今回のこの質問は、私は非常にうれしく思って引き受けた次第です。

 今回は、まずテーマとして、国家としての理想的研究機構とはどういうものかということと、その機構のガバナンス、その二点に絞って質問をさせていただきたいと思います。

 それに当たりまして、今までの質問、質疑を聞いておりますと、NIHのことはほぼデータとして出そろっているようなんですが、私なりに、NIHとそれからマックス・プランク学術振興協会、両方ちょっと勉強してまとめましたので、ざっと最初に披露いたしますので、その後、官僚の方々から、そこは違うというのがもしあったら言っていただければと思います。

 まずNIHですけれども、資料の二を見ていただければわかるんですが、これは国会図書館の方で、NIHとマックス・プランクと今回の日本医療研究開発機構、それぞれを表にして整理してくれました。非常にわかりやすいと思います。

 NIHですが、研究機関がどうこうとか予算どうこうはもうさんざん出ていますので、そこら辺は省略させていただいて。

 まず、その特徴としては、ほぼ完全に官庁から独立しておりまして、評価するのは研究や医療にかかわっている人たちですね。政治家や官僚はほとんど直接手を出せない。先ほどお話がありましたピアレビューによって評価されて、予算の配分を公平かつ正確に行う。縁故、利害関係のある審査員は、審査のときに会場から退席させられることもある。何を評価するかといいますと、創造性ですね。創造性、独創性を持っているのは結局若者ですので、若手研究者を直接支えるグラントへの予算配分が多い、これが僕はすごく重要だと思うんですが、決して、ある教授に渡して、その教授から若手に行くというルートではないということですね。これこそ、野依先生のおっしゃっているレーバーからリーダーへ、女性中心にという哲学に一致するものだと思います。結局、NIHが若手研究者を育てるので学閥が育たない、これも日本と大きな違いですね。

 あとは、所轄官庁、日本でいえば、先ほどから出ている三つの官庁の政治的干渉はないというようなことも書いてあります。

 それから、あと、NIHの中には、いわゆるMD、お医者さんばかりじゃなくて、工学系や生物系のPhDが普通に共存しているということです。これが結局、斬新なアイデアにつながっていくんじゃないか。

 それから、これは日本からも留学生がたくさん行っているんですが、二、三年でNIHでの研究を終えると、ほとんどが日本の出身大学病院、関連施設に戻るわけですね。そうすると、研究者が戻ると、そこにいる教授、助教授の下に入るわけですから、そこの方針に従うしかなくて、じっと我慢して、助教授、教授になってからやっと自分のやりたいことができる。

 これが特徴です。

 ちょっと申しおくれましたが、この内容は、掛札堅さんという方が講談社のブルーバックスに「アメリカNIHの生命科学戦略」という本を書きまして、これは二〇〇四年の四月に出版されております。したがって、約十年前の話なんですよね。

 この辺、官僚の方で、参考人の方でNIHに詳しい方がいらっしゃったら、ちょっと修正していただければなと思うんですけれども、いかがでしょう。ほぼ合っていると思っていいですか。

菱山政府参考人 私どもがつかんでいる情報とそう大きくは変わっていないというふうに考えております。今、初見でございますので、どこが違っているかというのはちょっとわかりませんけれども、おおむね私どもの情報と同じかというふうに考えております。

宮沢(隆)委員 どうもありがとうございます。

 では次に、マックス・プランク学術振興協会、マックス・プランク・インスティテュート、俗にMPIと言われている組織ですが、これは表にもありますけれども、八十二の研究機関を傘下に持つ公的研究機関で、国家に一つということですね、年間予算は二千五百億円でしたか、それで、職員一万七千人、研究者約五千五百人。これは医学のみでなく、化学、物理学、工学、人文社会学というようなものを傘下に持っております。

 私が一つ感心したのは、徹底した評価システムがありまして、四つの評価システム、組織評価、事前評価、正規評価、拡大評価という四つの評価があります。これはおのおの非常に細かいことが書いてあったんですが、ちょっと省略させていただきます。

 非常に複雑な組織形態をしていまして、資料の三を見ていただくとわかるんですが、一番下にマックス・プランク研究所とありますけれども、これがいわゆる八十二の研究機関ですね。その上の方に振興協会を支える組織が書いてありまして、非常に複雑で、これもまた説明していたら時間が全く足りないんですけれども、結局、核になるのは、真ん中に横長に書いてある評議会というところですね。その中には、科学界のみでなく、経済界、政界、報道界などの多彩な分野から選出された評議員が構成しております。先ほどと同じ、ピアレビューをもって各研究の内容を評価する。

 私が一つおもしろいなと思ったのは、ここの評議会の上下、矢印がありますけれども、選挙があるんですよね、きちんと。経営会議があって、一番トップの協会長が最終的に決断するというシステムのようです。

 この二つの研究所を挙げた理由は、御存じのように、ノーベル賞をどんどん量産している組織ですので、やはり参考にすべき組織だろうということで参考にさせていただきました。

 今まで述べたことの中から、日本が目指すべき研究機関と研究環境ということで、私なりに五つにまとめました。これが私が考える理想の研究組織ということなんですが、これはちょっと資料で出せなかったんですけれども、まず一つは、一つの機関でほぼ全ての科学研究を総括するということですね。これはマックス・プランクを想定しているものです。

 それから二番目は、政府、官僚ができるだけ介入せず、縦割りガバナンスから解放する。予算配分は専門家に任せ、ピアレビューによって公平かつ公正に行う。これは、やはり専門は専門家にやらせてみたらどうかということですね。

 それから三番目は、未知数でリスクがあっても、若手による斬新なアイデアに直接投資する。上司に投資して回すというのではなくて、ターゲティングして若手に直接ということですね。できるだけ経験者の介入を制限する。

 このたびのSTAP細胞事件で理研の構図を見ていますと、上司がたくさんいらして、いるんだけれども、介入しているんだかしていないんだかちょっとよくわからない状況なんですが、あの辺のガバナンス、そこが非常に微妙、重要であるということですね。

 それから四番目は、医学研究だからといって、いわゆるMDだけで群れない。さまざまな分野のPhD、工学、化学、物理等、そういう人たちと自然に混在しながら研究できるような環境が、やはり斬新なアイデアを生むには重要だろう。

 それから五番目は、学閥をなくして研究者の労働流動性を高めるというのが、私が考えた理想的研究機関と研究環境であります。

 それで、今回まとめられました日本医療研究開発機構について私の考えを述べさせていただきますが、これは恐らく、相当な苦難の中から生み出されたアイデアだろうと僕は思っています。恐らく、大分苦労されたろうと思うんですね。

 したがって、私は、これはあくまで一つの理想的研究機構の途中経過ではないかと思っておりまして、特に今回の機構が目指したのは、いわゆる従来の文科省、厚労省、経産省、各省の縦割りをとにかくなくそう、それで横の流動性をよくして、それから基礎、臨床、あるいは産業を縦に結びつけようという意図が非常によく見えています。ところが、予算の制約もあるので、とりあえず現時点ではこの形で進めようということと理解しております。

 ここで、官房長官、途中で抜けなきゃいけないということでしたので、ちょっと先に質問をさせていただきます。

 今お話ししましたように、こういう機構全体のガバナンスと同時に、実際に研究をやる各機関、日本でいえば大学、理研とか生理学研究所とかいろいろあると思うんですが、そういうところのガバナンスが極めて重要だろうと思うんですね。そのガバナンスの目的は、やはり、斬新なアイデアを生み出す若手の研究者を大事にして、自由にしてあげるということが一番の目標だろうと思うんです。

 ここのところ、いろいろな不正だとか捏造論文がどうこうとかという暗い事件ばかり起こってくるような状況では、もしかしたら、科学界のガバナンスに国家が多少介入しないと抑止力にならないんじゃないかなと最近、私、思い始めているんですけれども、その辺を交えてちょっと御意見を伺えればなと思います。いかがでしょうか。

菅国務大臣 委員から、御自身の経験によって、今提案している法案についていろいろ御意見をいただきましたけれども、やはり、学閥をなくすだとか、工学、化学の研究者を入れるとか、こうしたことも私たちは非常に大事だというふうに思っています。そして、若い人の登用ですね。

 そういう中で、ガバナンスということでありますけれども、研究活動を進めていく上には、従来の常識にとらわれない、そうしたことというのは大事だというふうに思っています。そういう意味で、新しい発想を持つ若い研究者を登用することは重要でありますけれども、また一方、委員が御指摘ありましたけれども、公費によって行われるわけでありますから、それによって、やはり研究は効率的で公正に行わなきゃならないということも事実であります。

 そういう中で、研究者とガバナンスの問題は、今日までたびたび問題になってきておるところであります。そして、機関のガバナンスの効力というものを発揮できるように、例えば総合科学技術会議、ここでも不正に関する指針を策定して、その方向性を実は出しておりまして、それに基づいて各府省庁、今取り組んでおります。

 政府として、主体的な取り組みを進めると同時に、必要に応じて助言を行うなど、そこのバランスというんですかね、そうしたものが物すごく大事だというふうに思っていますので、そこはしっかりと、今、総合科学技術会議の指針、そういうものを踏まえながら、適切に対応していくことが必要だろうと思います。

宮沢(隆)委員 全くそのとおりだと思います。

 今のお話を総論ということでお聞きして、これからちょっと各論に入っていきたいと思うんですが、今、ガバナンスの問題に入りましたので、最近のSTAP細胞事件、それから、ちょっと前に厚労委員会で問題になっていたディオバン事件、降圧剤の問題等に共通しているのが、研究内容もさることながら、論文の作成プロセスでの問題もありますね。

 それで、ちょっと私の経験を申し上げますと、マックス・プランクであった事件なんですが、誰を論文に載せるかということでは、研究者は物すごいしのぎを削るんですね。ろくに仕事をやっていないように見える方からでも、ぜひ名前を載せてくれとか言ってこられることもあるし、逆に、僕は潔いなと思ったのは、たとえ研究所のトップでも、自分が余り関与していない、自分のアイデアを提供しているとは思えないというと、ドラフトの段階で部下がトップの名前を当然載せて論文を、一応下書きを出すと、自分の名前をしゅっと消すんですね。

 日本ではこれはあり得ないですね。日本のトップの方はどのように考えているか知りませんが、当然自分がかかわっていると思っておられるでしょうから、必ず自分の名前はそこに残す。ドイツでは、自分のかかわりぐあいというのを見ながら著者になるかならないかを決めるという、これは非常に研究に対するスタンスという面で重要なことだろうと思います。

 今回も、STAP細胞事件で、たしか論文に十何名名前がずらずらと並んでいたようですけれども、それも、どういう役割を担って、どういう仕事をして、しかも論文をどこでいつチェックしたのかとか、その辺が全く見えないんですね。

 だから、そういう意味で、英語ではオーサーシップと言うんですけれども、日本の研究者、科学の業界はオーサーシップというものをもうちょっと真剣に考えて、定義とか、オーサーシップにふさわしい人はどういう人かとかということを決めて、僕は国として科学界で標準化したらいいんじゃないかと思っているんですね。

 場合によっては、こういう研究倫理にかかわることで不正を働いたら、当然、社会的制裁は受けるでしょうが、ある意味抑止力としてペナルティーとか、あるいは罰則を事前につくっておいてもいいんじゃないかと思っております。

 この辺は、たしかお願いしてあったのは文部科学省の参考人ですか、お願いできますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、現行の研究活動の不正行為への対応のガイドライン、こちらにおきまして、論文などの形で発表された研究成果の中の捏造、改ざん及び盗用、これを研究活動における不正行為として位置づけております。そして、これらの不正行為を行った研究者に対しましては、その不正の程度などに応じまして、当該競争的資金の返還でございますとか、あるいは、その他の競争的資金も含めまして、競争的資金全般に対する応募の制限等の措置を講じております。

 一方、現行のガイドラインにおきまして、ただいま先生御指摘の、論文著作者が適正に公表されない不適切なオーサーシップ、あるいは、既に発表された論文をほかの学術誌に投稿する等のいわゆる論文の二重投稿の問題、こういったようなものにつきましても、不正行為の定義には含まれないまでも、やはり研究の倫理上不適切な行為であるということで、これを事例として位置づけしております。

 現在、文部科学省におきましては、不正に関する新たなガイドラインの策定中でございまして、この中におきましては、やはりこのような、不正ではございませんけれども不適切な行為、これにつきましても、まずは、各研究機関において研究者に対して行われます研究倫理教育、こちらの中で、研究者として行ってはいけないことということで、きちっとこの理解を徹底させるということを検討しているところでございます。

宮沢(隆)委員 それがいつからなされていたかというのはちょっと私も聞きにくいんですが、少なくとも、私が研究を始めた今から二十五年ぐらい前には、いわゆるそういう教育をきちんとどこかの組織から受けたという経験もないですし、結局、先輩方から何となく断片的に聞いたという程度なんですね。もしかしたら、今回の小保方さんもそんな程度だったかもしれない。

 それだと、僕はむしろ若手がかわいそうだろうと思うんですね。教えるのなら徹底的に、場合によっては文部科学省が全研究者を呼んで、一日、二日缶詰にして教えるとか、そのくらいやってあげてもいいんじゃないかと私は思うんですね。その上で間違いを犯したら、それは絶対ペナルティーあるいは罰則だということで、いわゆる指導の標準化とか全国的に展開するとか、そういうことを真剣に考えていただければなと思います。

 ちょっと話はかわりまして、先ほど、PD、POについての質問が何回か出ていたと思うんですが、このPD、POにどのような方を抜てきするかということは、今回の機構のかなめだろうと思うんですね。

 その中で、やはり私が一番心配しているのは学閥の影響なんですが、どうしても日本の場合は、明治期からの東大に始まる学閥というのが生きているというのを皆さんは肌で実感されていると思うんですけれども、この学閥をこのままにしておいたら、僕は、幾ら制度を変えたりしても何も変わらないんじゃないかという危機感を抱いているんです。その辺についてちょっとコメントをいただきたいんですが、官房長官か、あるいは参考人の方でも、どちらでも。

菱山政府参考人 先生の御指摘のとおり、プログラムディレクター、プログラムオフィサーは、ここでは非常にかなめというふうに考えております。

 そういった方の、どこの大学かとかではなくて、まさにそれまでの実績、研究開発の実績とか、あるいは成果を出してきたとか、そういった実績、研究プロジェクト、いわゆるマネジメントの実績がある方についていただくのがふさわしいというふうに考えております。

 それから、そのもとにつきますPOにつきましては、個別の研究課題を管理するということでございまして、研究の評価とか予算の執行、そういったことをしていくわけでございますので、やはりそういった実績がある方がよろしいのではないかというふうに考えております。

 ただ、具体的なPD、POの選任につきましては機構の理事長が担当していくということで、それで理事長がしっかり評価をしていくというふうに考えております。そういった評価を通じまして、適正な業務をしていただくということだと考えております。

 以上でございます。

宮沢(隆)委員 わかりました。

 そのPD、POが研究者を選考していくプロセスの中で、先ほど、NIHの場合は、要するに、利害関係、縁故関係がある場合は審査員から外れるとか、かなり厳しい選考プロセスをNIHなんかは設けているんですが、PD、POの方々が選ばれる過程、あるいはPD、POの方々が選定する過程で、何かそういうチェックシステムのようなものはあるんでしょうか。

菱山政府参考人 機構が設立されますのは来年の四月でございますので、そこで検討されると考えられますけれども、PD、POの選定につきまして、やはりいわゆる利害相反、利益相反、そういったことは、当然、事前にチェックされるものだというふうに考えております。

宮沢(隆)委員 その点もやはりかなめだろうと思うので、ぜひちゃんとしたシステムをつくっていただきたいと思います。

 あと残り時間も少ないので、先ほど、縦割りの影響云々というお話もずっと最初の段階から出ておりますが、例えばマックス・プランク研究機構の場合は、いわゆる省庁というのはほとんど入っていないわけですね。お金をその機構に、ぼんと政府から入って、あと、州政府からも半分入ってくるんですね。あとはお任せという形なんですけれども。いわゆる文科省、厚労省、経産省等と必ず入っているんですけれども、これを今後外していくという意思、意向はあるのでしょうか。

菅国務大臣 いずれにしろ、今、国会に法案審議をお願いしておりまして、これで成立させていただいて、来年の四月一日からこれはスタートするわけでありますから、とにかく所期の目的に従って、健康長寿社会をつくる、世界で一番の医療を受けやすい国と同時に、やはり健康・医療を成長産業と位置づける、こうしたことにまず向かっていくことは、今の法案に書かれていますように、総力を挙げていくことが大事だろうと思っています。

宮沢(隆)委員 もちろん、私も来年から外さないんですかというようなことを言うつもりは全くないので、例えば十年、二十年のスパンぐらいで、いわゆる研究機構というものをどういうものをつくるかというときに、やはり省庁が入らない場合の方がいいように見えますので、私はそう申し上げたんですけれども、ちょっと念頭に置いておいていただければなと思います。

 それから、ちょっとお金の件なんですけれども、先ほど、いわゆるディオバン事件、ノバルティスファーマ社の事件で、お金が教授たちの方へどんどん流れて、それも、何にでも使っていいというようなお金が億円単位でたしかあったと思うんですけれども、そういうお金は、こういう機構の方へどんどん出していただいて、そうすれば特定の薬のためにお金を出すという形にはならないわけですね。非常に公平に、製薬会社がもうけて得たお金を研究に使えるということで、私はリーズナブルだろうと思うんです。

 民間企業からの寄附を総括あるいはまとめて、国あるいは機構が管理して研究所に配る、そういう発想はいかがでしょうか。

柴山委員長 中垣内閣審議官、質疑時間が終了しておりますので、短く御答弁ください。

中垣政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問ございましたように、民間資金の受け入れということでございますけれども、それについては機構の方でも、仕組みとしては可能でございますけれども、今のところは考えておりませんけれども、制度的にはそういうこともあり得るのかと思っております。

宮沢(隆)委員 ぜひ考えてください。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、山田美樹さん。

山田(美)委員 自由民主党東京一区選出の山田美樹でございます。

 本日は、質問の時間をいただき、心から感謝申し上げます。

 今から九年ほど前になりますが、私が霞が関を出て、民間の経営コンサルティング会社で働き始めたとき、最初のプロジェクトが、外資系メガファーマが別の外資系製薬会社を買収した、ポストMアンドAの組織統合でした。プロジェクトの期間は一カ月。かつて省庁再編の一部にかかわっていた私には、霞が関の十倍の速さで仕事が進んでいくことに衝撃を受けました。行政の仕事はコンセンサスを得ながら進めていくもので、スピードが速ければいいというものではありませんが、現実に日本の行政が世界の動きから取り残されていくのではないかと思うと、いても立ってもいられない気持ちになりました。

 また、国内の製薬会社のプロジェクトでは、私は、医薬情報担当者の方に随行して、首都圏の開業医や中小病院を回りました。ライバルの外資企業は次々に新薬を出してくる。僕らの主力品はあと五年もすれば特許切れを迎えてしまう。その後、一体、武器を持たずにどうやって戦えというのかというMRの方の言葉が心に残っています。

 本日は、時間も限られておりますので、研究と実用化の橋渡し、バイオベンチャーの資金調達、そして新体制の運営のあり方を中心に質問をさせていただきます。

 日本が欧米に比べて創薬の研究が進まない理由の一つに、研究から実用化までの橋渡しがうまくいかない、日本のアカデミックな研究は、有効性のデータが強調される反面、安全性に関する調査研究が不十分で、実用化に使える研究が少ないと言われてきました。

 産と学のギャップを克服するための努力は、これまでもさまざまなされてきました。オープンイノベーションの流れの中で、製薬会社がみずから自社のニーズに合った研究を求めて大学や研究機関にプロジェクトを公募する仕組み、アステラス製薬のエーキューブ、塩野義のFINDS、第一三共のTaNeDSなどの取り組みが各社それぞれになされてきました。また、京都大学メディカルイノベーションセンターのように、企業が大学内に進出して、国と企業が研究費を助成して共同研究を行える仕組みも始まっています。

 昨年五月、新独法への移行に先駆けて、医薬基盤研と理化研、産総研などが連携して創薬支援ネットワークがつくられ、製薬大手からも創薬エキスパートの方々が参画して、研究成果を実用化につなげるための戦略、技術、経費、進行管理などをワンストップで総合支援する体制がスタートしたと聞いています。アカデミックと企業の間に信頼関係がないとさえ言われていた状況が、少しずつ改善しつつあります。

 他方、海外では、アメリカのNIHのもとにある国立先端トランスレーショナル科学センターなどで、製薬企業から休眠中の化合物の提供を受けて研究者にマッチさせるプログラムを開始したり、イーライリリーが世界の大学やベンチャーに対して無料で薬理試験サービスを提供するなど、ダイナミックな産学連携が進んでいます。

 我が国における創薬の産学連携はどのような方向性で国際競争力のあるハイレベルなものを目指していくお考えでしょうか。赤石厚生労働政務官にお伺いします。

赤石大臣政務官 お答え申し上げます。

 私も、医薬品関係の会社に四十年間勤めて、マネジメントしてきましたけれども、本当に先生の指摘のとおり、日本のプレゼンスというのは相当弱いものだなということを感じてきまして、今現在、中に入っていて、それを何とかワンストップでできるようにしようということで、今、この法案もそういうことで提出をしているわけでございます。

 その上で、先生指摘のとおり、医薬品産業は、国民の保健医療水準の向上に資するとともに、高付加価値、知識集約型産業でありまして、資源の乏しい日本にとっては、今後の経済成長を担う重要な産業として期待しております。

 医薬品開発に関しては、大学、研究機関等における我が国のすぐれた研究成果を確実に企業における医薬品としての実用化につなげていくことが重要であると考えております。その支援のための取り組みを強化する必要があるというふうに考えておりまして、基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進、成果の円滑な実用化、医療分野の研究開発の環境の整備を総合的かつ効率的に実施していくために、今回の日本医療研究開発機構が設立されることとなっております。

 この一環として、基礎研究の成果を実用化につなげるための支援を行う目的に、医薬基盤研究所に置かれている創薬支援ネットワークの本部機能を同機構に移管するとともに、厚生労働省が担っております臨床研究の中心的な役割を担う臨床研究中核病院、これは十カ所あります。それから早期・探索的臨床試験拠点、これは五カ所ありますけれども、この整備について、同機構を通じて実施することとしておりまして、同機構に集約される医療分野の研究費の配分等の業務とあわせて、総合的に実用化が推進されるものと考えており、厚生労働省としても連携して取り組んでいきたい、このように思っております。

山田(美)委員 ぜひ、新しい体制のもとで一貫したサポート体制をお願いしたいと思います。

 次に、バイオベンチャーの育成についてお伺いいたします。

 日本で創薬の研究開発が進まないもう一つの理由が、欧米に比べて圧倒的にバイオベンチャーが少ないことにあると聞いております。バイオ医薬品の開発コスト増大への対応や、個別化医療や希少疾患の分野でバイオベンチャーが果たす役割の拡大が世界的な潮流となる中で、日本にはバイオベンチャーが少なく、日本の製薬大手も海外のベンチャーに頼らざるを得ないのが実情です。

 成功確率は万に三つ、候補物質の探索から製品化まで十年以上、臨床試験段階になると二年で最低二十億円はキャッシュが必要だと言われるこの分野で、いかにリスクマネーを確保するかが課題です。

 二〇〇五年に東証マザーズがバイオベンチャーの株式公開条件を厳格化して以来、IPOによる資金回収が難しくなりましたが、製薬会社へのライセンスアウトですとか共同開発など、IPO以外の資金調達の仕組みも確立しつつあります。

 最近では、第一三共と三菱UFJキャピタルが組んで国内の大学発ベンチャーの起業を支援するOiDEプロジェクトを立ち上げ、久々にヘルスケアに特化したファンドができたことが話題になりました。

 民間ファンドがハイリスクの投資にちゅうちょする中で、政府も積極的にベンチャー支援施策を展開しています。産業革新機構ではこれまでに六件の製薬関連のアーリーステージでの投資案件があり、二十五年度補正でも創薬分野に二百億円の増資が決定しています。昨年度には、国立大学法人法改正によって大学による大学発ベンチャー支援ファンドなどへの出資が制度的に可能になったことに加え、産業競争力強化法でも民間ファンドへの支援策も講じられています。

 推進本部によって医療分野で戦略的かつ一体的な予算配分がなされることになりますと、これらの政府系ファンドの投資判断にも影響が出てくることになろうかと思います。もちろんファンドの独立性の問題もありますが、推進本部が政府系ファンドに対してどのような形で示唆を与えることができるか、加藤官房副長官にお伺いいたします。

加藤内閣官房副長官 山田委員にお答えしたいと思います。

 今委員御指摘のように、バイオだけじゃなくてベンチャーを育成していくというのは大変重要な視点でございまして、昨年六月に策定いたしました健康・医療戦略、この中にもその重要性をしっかり位置づけさせていただいておりまして、研究開発を推進するとともに、そうした先駆的な投資がしっかり行われて実用化が図られていく、そういったことにしっかり取り組んでいかなきゃいけないと思っております。

 そういう観点から、本年三月に、健康・医療戦略推進本部のもとに健康・医療戦略ファンドタスクフォースというのを設置しておりまして、関係省庁、関係機関と連携をしながら、健康・医療の分野における特性を踏まえながら、まずファンドの運用あるいはルールについての検討を進めているところでございます。

 その上で、同タスクフォースからということになろうかと思いますけれども、それぞれのファンドにおける自主的な投資判断をしっかりしていただくという意味において、医療分野の研究開発、こうした意味での取り組みの状況等、あるいは予算配分の考え方、そういったものをしっかりと提供していきたいというふうに思っております。

 いずれにしても、医療・健康分野のファンドから効果的な投資が行われて、ベンチャーがしっかり育ち、そして研究開発あるいはその実用化がさらに進んでいくように努力していきたいと思っております。

山田(美)委員 ぜひ、将来有望な研究にしっかりと資金が行き渡るようにお願いをしたいと思います。

 次に、新体制の運営のあり方についてお伺いいたします。

 新体制では、国立高度専門医療研究センターを初め、国の研究機関などにおけるインハウス研究の予算や文部科学省関連の科学技術研究費が新独法の対象経費に含まれないなどの限界はありますが、まずは三省庁の壁を破って新しい組織を創設するという事実がシンボリックに重要であり、関係者の御尽力に心から敬意を表したいと思います。

 とはいえ、新体制が本当に実行力のあるものになるかどうかは、全て今後の運用次第だと思っております。新独法にとって、約一千四百億円という限られた予算を最大限に生かして革新的な成果を得ることが至上命題です。

 イギリスのNIHに当たるOSCHRの年間予算は約三千五百億円ですが、三兆円の予算を持つアメリカのNIHと同じやり方で戦うのではなく、トランスレーショナルメディスンの分野に集中しています。イギリスよりもさらに予算の少ない日本は、従来どおり薄く広く配分するのではなく、めり張りをつけた資源配分を行うことが不可欠だと考えています。

 予算の戦略的、重点的な配分の際に問題となりますのが、本当に国際的に競争力のある分野を誰がどのように選定してマネージするのかという問題です。

 重点分野の判断に当たっては、グローバル競争において本当に優位性があるのか、事業化された場合に本当に効果が期待できるのかを基準としなければなりません。個々の研究テーマにおいても、研究の有用性や成果、進捗を公平かつ客観的に評価するピアレビューの仕組みや、単なる数値目標ではないKPIの設定も含めて、情報公開も視野に入れてPDCAプロセスを構築する必要があります。

 国際的な研究ランドスケープを十分に理解した上でハイレベルな判断ができる人材は、国内では、アカデミックはもちろん、民間でも人材が極めて少ないのが実情です。日本発のグローバルな製薬会社の中には、研究開発担当の役員クラスに外国人を登用している企業も幾つかあることを考えますと、推進本部のアドバイザリーや新独法のプログラムディレクターなどの中核人材において、一定数海外のすぐれた人材を登用して、グローバルな知見を活用するべきだと考えます。

 新体制における中長期的な予算のめり張りづけの考え方とそれを支える組織体制について、政府の方針をお伺いします。

加藤内閣官房副長官 今委員の御指摘の点、一つ一つごもっともだというふうに思います。

 まず、今回の体制、これまでも説明があったと思いますけれども、健康・医療戦略推進本部では、健康・医療戦略に即して医療分野研究開発推進計画を策定することとしております。同計画は、おおむね五年間の計画としておりまして、例えば再生医療やがんといった、重点的かつ計画的に推進すべき領域などを定めるということにしております。

 その中で、健康・医療戦略推進本部は、同計画を受けて、毎年、予算の重点分野等を定める資源配分の方針等を策定いたしまして、各省庁においては、同方針に基づいて医療分野の研究開発関連予算の要求を行っていただく。まさに予算要求の段階から関係各省と具体的な中身についてよく調整、連携して、一体的な予算要求をまず行っていきたいというふうに考えております。

 その上で、執行ということになるわけでありまして、戦略的に行う医療分野の研究開発に係る予算、平成二十六年度予算でいえば大体約一千四百億程度になろうかと思いますけれども、この予算を、今回法律をお願いしております日本医療研究開発機構、ここに集約をいたしまして、基礎から実用化までの切れ目のない支援を行うなど、本部と機構、執行部隊の機構でありますが、一体となってこの医療分野の研究開発を戦略的そして総合的に進めていきたいと思っております。

 また、具体的な進め方においては、外国の方の知見を活用させていただくとか、いろいろな工夫をさせていただきたい、こういうふうに思っております。

山田(美)委員 ぜひ、新体制において実効的な運用を行っていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になります。研究開発におけるナショナルデータベースの活用についてお伺いいたします。

 レセプト情報データの第三者提供は、国の研究機関や大学などを中心に、これまで二十三件実例があって、今後、データ提供申し出者の範囲も拡大が検討されていると聞いております。製薬会社からのレセプトデータ活用の要望も、現在、日本製薬工業協会が取りまとめを行っていると伺っております。

 新独法が一体的に研究開発の支援を行うに当たっては、ナショナルデータベースの活用の可能性も大きなテーマになってくるかと思います。

 今後、どのようにルールづくりを行っていくのか、政府の方針をお伺いします。

神田政府参考人 御指摘のナショナルデータベースについてでございますけれども、平成二十年度から、高齢者の医療の確保に関する法律に基づきまして、本来目的としては医療費適正化計画の作成等に資することを目的といたしまして、レセプトと特定健診、保健指導のデータの収集を行っているところでございます。

 この情報につきましては、一定の公益性の高い学術研究を行う者や、研究開発独立行政法人、国から研究費用の補助を受けている者、これには民間企業も含まれます、こうした者に対して提供を行ってきているところでございまして、日本医療研究開発機構が実施する研究開発等につきましても、公益性が高い研究と考えられるため、提供の対象になり得るものと考えております。

 さらに、日本再興戦略におきまして、データ申し出者の範囲の拡大を検討することとされたことを踏まえまして、昨年九月から、有識者による検討会で、過去の利用者や製薬業界、医療機器業界等からヒアリングなどを行って議論を重ねてきたところでございます。

 こうした業界等からは、個別のデータは必ずしも必要ではないけれども、例えば製薬企業であれば副作用情報など、集計したデータの形で提供を求めるという意見が多く出されたところでございます。こうしたことを踏まえまして、まずは、こうした集計したデータを提供するということで、試行的にデータ提供を始めることとしております。

 この民間企業に対しますデータの提供の実績ですとか、あるいは、IT戦略本部におきまして、パーソナルデータの利活用に関する制度見直しとして、個人が特定される可能性を低減したデータの利活用について検討されていることも踏まえまして、さらに今後の情報活用の範囲の拡大等についても検討してまいりたいというふうに考えております。

山田(美)委員 ぜひ検討をしっかり行っていただいて、ナショナルデータベースを研究開発に生かしていただければと思います。

 新たな体制のもとで、関係者の方々、皆様が夢を持って、世界を目指して御尽力されることを心からお祈り申し上げまして、また、私自身もそのために努力をしてまいりたいということをこの場でお誓い申し上げまして、質問を終了とさせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、豊田真由子さん。

豊田委員 自由民主党の豊田真由子でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 さきの先生方と御質問がかぶるところもかなりございましたので、必要に応じて割愛をさせていただきたいと思います。

 この二法案でございますが、司令塔となります本部を内閣に設置いたしまして、また、新たな機構で研究開発の予算を一体的に配分、管理、支援を行う。それによって、これまでばらばらでありました我が国の基礎研究から臨床研究、そして実用化までを切れ目なく支えることによって、研究開発を推進し、関連産業を活性化する。また、それによって我が国の、そしてまた世界の健康長寿社会の実現に寄与をするという目的であるというふうに承知をいたしております。

 この新しい仕組みがうまく機能するかどうか、そのために、私は、やはり人材、人、そしてまたこの一気通貫のシステムをどのようにつなげていくか、ここが非常に肝であるというふうに思っております。新しい機構、ここで、科学技術や研究開発にとって高い識見を持ち、また中長期的な視野を持ってマネジメントをする、世界に伍していけるような人材をいかに数多く確保するかということ。

 そしてまた、研究開発でございます。これは、これに対してトップダウンで進めていくということでございますけれども、やはり個々の研究者の方の研究活動または進捗スケジュールなどに、微に入り細に入り介入するようなことになりますれば、それはまた研究の阻害要因となるというおそれもございます。もちろん、研究に不正が行われるというようなことは全く論外でございますが、そうではなくて、すぐれた研究者が意欲を持って研究に没頭、集中をし、結果として有用な成果を上げていただく、その環境をつくるということが極めて大切であります。

 また、研究というものは、必ずしも短期に成果が出るものばかりではございません。余りに早急に結果を求めるような形になりますと、かえってその生産性が損なわれるという結果ともなりかねないと思います。

 このように、個々の研究活動への適切なコントロールを確保する仕組み、そしてまた、この新しい仕組みにおきましてかなめとなる人材確保についての方針、具体的な見込みについて、お伺いをしたいと存じます。

加藤内閣官房副長官 豊田委員の御指摘の中で、まず、今回、先ほども御説明させていただきましたけれども、内閣に司令塔になる本部を置くということと、それから、その執行部隊ということでありますか、今回の独立行政法人、医療分野の研究開発予算等を集約し、研究費の配分、まさに研究管理、支援等を一体的に行う独立行政法人を設立するということ、この二つ大きな柱があります。

 今御指摘は多分後段の方だというふうに思いますけれども、その中でそれを具体的に推進するためには、まず、研究開発の実務を担う中核組織であるこの機構全体のマネジメントをしっかりやっていただかなきゃならないという意味で、そうした適切な方を理事長に選任していきたいというふうに思っております。

 その上で、各個別の研究ということになりますと、プログラムディレクター、その下でプログラムオフィサー、こういう仕組みの中で研究がスムーズに流れていけるようにしていくわけであります。

 ただ、特にこのプログラムディレクターにおける適切なマネジメント、今御指摘ありましたように、それが余り中に入り過ぎて研究の阻害になってしまってはいけないということに十分配慮しながらも、一つは、まさに研究者の主体的な意欲をどう引き出していくのか。そして、それぞれのシーズといいますか、将来つながっていく種が、あるいは芽がどうなっているかという目ききの能力。そしてさらには、研究者を支援し指導する、牽引をしていく、あるいは頑張れ頑張れと応援をしていく、そういう力を持った人材をしっかり確保していく必要があるというふうに思っておりまして、そうした方をこの機構の中で理事長が中心になって選任していただきたい、また、いただけるように我々も協力をしていきたい、かように思っております。

豊田委員 この新しい仕組み、さまざまな期待が向けられているところでございますので、ぜひしっかりと結実をしていくようにお願いをしたいと存じます。

 次に、新薬開発、また医療機器の研究開発についてお伺いをしたいと存じます。

 資源が乏しい我が国にとりましては、この医薬品、医療機器産業といった高付加価値、知識集約型産業は、今後の経済成長を担う非常に重要な産業でございます。また、世界に貢献することが期待をされております。

 こうした中で、我が国の製薬企業は、大型医薬品、ブロックバスターなどの特許切れや、また開発期間の長期化などへの対応、バイオ医薬品分野や再生医療分野などの新たな研究開発体制の構築を迫られているというふうに感じております。

 世界における日本の製薬関係の現状データを見ますと、医薬品の売上高上位三十社、国別に見ますと、アメリカ、スイスに次ぎまして我が国は世界第三位、また、世界売り上げの上位三十品目を見ますと、我が国オリジンの製品は四品目ございまして、私は、我が国の製薬企業というのは、世界において、ある程度の地位を占めており、また大きなポテンシャルを持っていると感じております。

 他方で、創薬ベンチャー起源の主要製薬企業の開発品目数で見ますと、我が国は世界第七位、また、二〇〇八年から一一年までの主要な基礎研究論文数は第四位でございます。その一方で、臨床研究論文数は二十五位となっておりまして、やはり医療分野の研究開発におきましては、特に臨床研究や実用化に向けた取り組みをさらに推進し、改善していくべき点があるというふうに考えております。

 今回のこの新たな制度のもとで、こうした課題をどのように解決し、医療分野の研究開発を、新薬創出、また医療機器の産業の振興につなげていこうとしているのか、方針をお伺いします。

神田政府参考人 先生御指摘の医薬品、医療機器産業につきましては、高付加価値、知識集約型産業で、御指摘のとおり、資源の乏しい我が国にとりまして、今後の経済成長を担う重要な産業として期待されているものと認識いたしております。

 医薬品開発に関しましては、大学、研究機関等における我が国のすぐれた研究成果を確実に企業における医薬品として実用化につなげていくことが重要であり、その支援のための取り組みを強化する必要があるというふうに考えております。

 今回、基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進、成果の円滑な実用化、医療分野の研究開発の環境整備を総合的かつ効果的に実施していくため、日本医療研究開発機構が設立されることとなっております。

 この一環といたしまして、基礎研究の成果を実用化につなげるため、関係研究機関が連携をいたしまして支援を行います医薬基盤研究所に置かれております創薬支援ネットワークの本部機能を新しい機構に移管するということとあわせまして、厚生労働省で行っております臨床研究の中心的な役割を担います臨床研究中核病院等の整備につきましても、同機構を通じて実施をすることといたしております。

 この機構の医療分野の研究費の配分等の業務とあわせまして、総合的に実用化が推進されるように、厚生労働省としても連携して取り組んでまいりたいというふうに考えております。

豊田委員 ありがとうございます。

 また続いて、臨床研究、治験環境の整備、ドラッグラグ、デバイスラグについてお伺いをします。

 医療分野の研究開発の促進とともに、患者のもとに実際に新たな医薬品、医療機器を早く届けるためには、企業が薬事承認のための申請を行って承認を得るという過程が必要でございます。

 これまでの取り組みによりまして、ドラッグラグ、デバイスラグ、この解消は大分進んできたというふうに承知をいたしております。例えば、ドラッグラグは、平成十八年、アメリカとのラグが二十八カ月でありましたものが、二十三年には六カ月となっております。

 また、今般、PMDAの組織体制を平成三十年度の末までに千六十五人体制と強化する方針が出されておりまして、さらなる審査の迅速化や安全対策の充実を期待しております。

 ただ、先ほどの平成十八年度、ドラッグラグ二十八カ月のうち、審査ラグは十四カ月、開発ラグが十四カ月ということで、一方、平成二十三年には、審査ラグ一カ月、開発ラグ五カ月ということでございます。開発ラグがなおも存在をしているということ。

 また、デバイスラグの方を見ますと、平成十八年に十七カ月でありましたものは、二十三年には二十三カ月とむしろふえております。これは、企業に日本では未承認のままの医療機器の開発申請を促したというよい方向の取り組みが影響している一時的なものだというふうにも伺っておりますけれども、いずれにしても、課題がまだ残っているということには変わりはございません。

 今後、我が国の臨床研究や治験環境を推進していくため、具体的にどのような取り組みを行うのか、また、さらなるドラッグラグ、デバイスラグの解消にいかに取り組まれていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

神田政府参考人 次世代のより良質な医療の提供を可能とするための新たな医薬品を用いた治療法などの開発に資する臨床研究、治験環境の整備は大変重要であるというふうに考えております。

 このため、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担える医療機関や、世界に先駆けて人に初めて新規の薬物等を投与する臨床研究、治験を行える医療機関などの整備を進めるとともに、医療法に臨床研究中核病院を位置づけるべく、現在、医療・介護総合確保推進法案を国会に提出させていただいているところでございます。

 また、委員御指摘のとおり、審査ラグについては大きく解消いたしておりますけれども、開発ラグについてはさらなる取り組みが必要であるというふうに考えておりまして、高度な医療機器の実用化を促進するための薬事法の改正が昨年成立いたしております。

 また、開発の有望なシーズを持つ大学ですとか研究機関、ベンチャー企業に対しまして、開発初期から治験まで、シーズに応じた課題の整理ですとか指導助言を行います薬事戦略相談の拡充、また、PMDA―WEST、関西支部の設置を昨年十月に行うなど、取り組みを進めてきているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、審査の迅速化と質の向上を図りまして、ドラッグラグの解消のみならず、我が国のすぐれた基礎研究の成果を世界に先駆けて実用化できるようにつなげていきたいというふうに考えております。

豊田委員 一丸となってしっかり頑張ってまいりたいと思います。

 次に、医療の国際展開についてお伺いをしたいと思います。

 安倍総理もみずからトップセールスを行うなど、医療分野は、我が国の経済成長、成長戦略におきまして極めて重要な位置を占めております。日本国民に対して、この研究成果を実用化して届け、健康長寿社会を実現するということはもちろんのこと、国内のみならず、国外においても、我が国の強みであります医療や健康長寿を有効に展開することができれば、大きな成長戦略としての効果が期待をされております。

 それにおいては、きちんとした分析、戦略が必要であると私は考えております。

 まず一つ目、留意点として申し上げておきたいのは、日本国内におきまして、医療人材の偏在や不足が特に地域や診療科によっては大きな課題となっております。海外展開とともに、日本国内で大きな懸念がございます医療、介護における人材の不足、また処遇の改善等につきましても、あわせてしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。

 それを前提に、この日本の医療の海外展開でございますが、今までのこの事業性調査事業二十九件、現時点での実用化三件についての考察を踏まえれば、ファイナンスや人材の確保といったこととともに、どういった地域で、どういった層をターゲットに、また日本の強みである医療のどのような分野で展開していくのかといったことについてのきちんとした見定め、見きわめ、そして緻密な戦略が大事だということを私は感じております。

 私自身は、ジュネーブで、WHO、グローバルヘルスを担当する外交官として仕事をしていたことがございまして、そうした中でまた感じたことでございますが、感染症や母子保健などのいわゆる根本的な課題に苦しむ貧しい途上国に対しては、いわゆるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、全ての人々が基礎的保健医療サービスを必要なときに負担可能な費用で享受できるようにする、すなわち、医療費の支払いに困窮する貧困層にも保健医療サービスが適切に届くようにするということが必要であります。これにはODAなどの国際貢献的なアプローチが有用であると思っておりまして、引き続き、減っていっておりますけれども、我が国のODAの確保に向けまして私も努めてまいりたいと思います。

 また一方で、新興国では、がんや生活習慣病の予防、治療といったニーズが、特に富裕層において認められます。こうした、日本が得意とする画像診断や内視鏡、腹腔鏡、そして実用化が目指されております再生医療など、高度な技術を必要とする分野を中心に、こうした新興国に対して、日本式の医療拠点の構築、現地の人材育成、またさらに、国民皆保険制度といった我が国の世界に冠たる制度を輸出する、そしてまた町づくりを含めた地域インフラの整備、そして、和食や私どもの健康長寿を実現している生活スタイルなど、こうしたヘルシーな生活習慣、こういったことをトータルでジャパン・ブランドとして推し進めていくことが、我が国がまた世界に貢献をするとともに、我が国経済成長にも大いに寄与する可能性があると考えております。

 こうした、WHOが世界一と認めた日本の医療、世界に冠たる健康長寿、これを強みとして、海外に展開して国益につなげていく、そのために戦略に基づいた推進が必要と考えますが、国の御決意と具体的なお取り組みについてお伺いをいたします。

加藤内閣官房副長官 今、豊田委員御自身の経験に基づいて御示唆も賜ったわけでありますけれども、御指摘のように、それぞれの国によって状況が随分違うということ、それから、単に医用、例えば医薬品とか医療機器だけ提供すればそれで済むというものではなくて、まさに御指摘ありますように、人材を育成していく、あるいはシステムとして支援をしていく、そういう意味でも戦略的に、総合的に国際展開というのは図っていかなければならない、こういうふうに私ども認識をさせていただいております。

 政府としては、健康・医療戦略に基づいて、そうした医療技術、サービスの国際展開に係る取り組みを関係省庁が連携して推進していくために、医療国際展開タスクフォースを設立したところでありまして、こうした取り組みも活用しながら、医療の国際戦略というものを積極的に展開していきたい、こういうふうに思っております。

豊田委員 どうもありがとうございます。

 こういったことに基づきまして、今度は我が国の教育、また人材育成についてお伺いをしたいと思います。

 この新しい機構、仕組みを効果的に機能させるためにも、また、今ございました医療の海外展開を実現するためにも、研究開発、科学技術、マネジメントといったそれぞれの専門分野での高い識見とともに、また国際的な感覚と経験を有する人材というものが我が国に多く輩出されるということが必要であるというふうに考えます。

 科学技術の分野、研究開発でございますが、ノーベル賞受賞の総数では、日本はこれまで、一九〇一年から数えますと世界第八位でございますが、二十一世紀に入ってからで見れば、第三位、九人でございます。最先端の医療技術、科学技術を担う人材、また、独創的ですぐれた研究者、世界を牽引する人材の育成に国としてもさらに力を注いでいく必要がございます。

 また、国際社会におけるプレゼンス、影響力ということ、これは必然的に国の国力というものが大いに影響を及ぼしてまいります。国内で頑張って国力を高めることが、またさまざまな分野における我が国の国際社会での発言力を増して、外交上さまざまな問題が指摘をされておりますけれども、こうしたことにもプラスの大きな影響を及ぼしていくというふうに考えております。

 一昨日、ケネディ駐日米大使と懇談する機会をいただきましたが、その中で、国と国の相互理解の進展、また、国際社会で日本がきちんとやっていくためには、日本から海外へ、そしてまた海外から日本へと、留学生をふやしたり、またさまざまな人的交流を深めることが大事であるというお話もございました。

 また、留学だけではなくて、私は、そもそも、子供の小さなころから、日本人としてのアイデンティティーをしっかりと大切にしつつ、世界に目を向ける、世界で起こっている出来事、それを知り、また自分や自国の果たすべき役割について触れて考えるという環境をつくっていくことが重要であると考えております。

 日本の子供や若者は内向きになった、困難に耐える力がなくなったとよく指摘をされているところでございます。例えば、世界の貧困や飢餓、紛争などの厳しい現実をしっかりと見ることによって、日本という国、これは世界で見れば、まだまだ平和で豊かで安全な国でございます。しっかりと、そこに生まれたことを恵まれたことであるという認識をして、さらに、生きる力、困難に立ち向かう力を養っていく。私も小さな子供が二人おりますけれども、日本の教育は今大きな岐路に立たされているというふうに思っております。

 まさに、人づくりは国づくりでございます。これまで申し上げてきたような、こうした科学技術、また先端分野でのすぐれた人材の育成、そしてまた、世界に目を開かせ、視点を身につけるための、我が国の教育や人材の育成についての国としてのお取り組みをお伺いしたいと思います。

西川副大臣 豊田先生、御質問ありがとうございます。

 私も、きのう、ちょっとどうしても事情がありまして、ケネディ大使とのあれは失礼させていただきましたけれども、大変実りある会であったとお聞きしております。

 安倍内閣の、いわば今回の大きな柱、当然、経済再生でありますけれども、もう一つの大きな柱が教育再生です。その教育再生の中のまた大きな柱の一つがグローバル人材育成ということで、これは文科省としても大変大きな課題として取り組んでいるところでございます。

 先生がおっしゃるように、今、大変若者が内向き志向になっておりまして、海外に留学する数がどんどん減っております。これをとにかく、留学させればグローバル人材が育つと一概に言えるものではありませんが、でも、一番有効な方法としてまずそこだろうということで、二〇二〇年までに、海外に留学する大学生、高校生を二倍に、今六万人ぐらいですが、これを十二万人ぐらいまでにふやそうということをまず一番の目標に掲げております。

 そのためのいろいろな環境整備、経済的に、育英制度のあれとか、そのためのもう一つの大きな課題として、英語力、日本人がとにかく長い間英語を習っても英語がなかなかしゃべれない、それも、かなりリーダー的な立場にある人間もしゃべれないということで、英語力の強化を大きく打ち出しております。これは、今まで小学校の高学年、五、六年生でしたけれども、これを三年生まで引き下げまして、二十六年度からはまだ無理ですけれども、そのあれを出しまして、二十八年度ぐらいから実施するという方向性で取り組んでおります。

 それからもう一つ、国際的素養を身につけるグローバルリーダー育成のスーパーグローバルハイスクールということで、これは、国際的展開を目指した中でのかなり特色のある授業を目指す高校を全国で五十六校指定いたしまして、平成二十六年度から五年間これをやります。

 そういうことで、さまざまなことをやりながらグローバル人材育成に取り組んでまいりますが、その前提として、もちろん日本人として、自分の国の歴史あるいは教養を幅広く持って、日本人としてのアイデンティティーをしっかりと確立するということ、もちろんそれが前提でございますけれども、その教育をしっかりやった上での話でございますが、グローバル人材育成のために、以上のような政策を掲げて頑張っております。

柴山委員長 豊田さん、質疑時間が終了いたしました。

豊田委員 ありがとうございます。

 安倍総理がおっしゃるように、日本を世界の真ん中で輝く国に、健康長寿を実現し、世界にも貢献する我が国の未来に大いに期待をして、私どもも頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 それでは、豊田委員に引き続きまして、私の方からも、今回の健康・医療戦略推進本部、さらに機構の機能と、また今後の役割について御質問をさせていただきたいと思います。

 日本はいよいよ超高齢化社会に突入をしていく、そういった中にあって、健康あるいは医療、この技術の研究開発は大変重要であると同時に、これから新しいサービスや商品を生み出さなければ成長はあり得ない。その新しい産業を生み出すという意味でも、この医療・健康の分野は大変重要であるというふうに考えているところでございます。まさに、そこにあって、今回の機構また体制の整備というのは本当に大事であると私も認識をしているところでございます。

 一方、医療とか研究開発については今までも当然やって、早くいいものをつくりたいというのは誰もが思っていたところであると思います。

 そんな中で、日本は、よく言われるのが、技術で勝ってビジネスで負けてしまっている。去年の一般質問のときにアイフォンを出させていただいて、アイフォンの中のほとんどの部品が技術は日本だ、でも、それをまとめ上げて、製品、システムとして仕上げたのがアメリカで、そういったビジネスという部分の新しい体制というか、司令塔を持ってそういった技術をビジネスにしっかりつなげていく、そういった中で、今回の体制というのは非常に期待ができると思っております。

 しかし、体制が整っただけでは、やはり中身、いかに技術を早く育て、そして実用化をしていくのか、ここが重要になってくるわけでございます。

 そして、まず大事になってくるのが、やはり、どのような戦略で、どのような計画を立てていくのか。

 この健康・医療戦略推進本部の中にあって、まずその戦略や計画を立てるために専門的、技術的な助言をする、そういった専門調査会、そして政策的な助言、いわゆる産業界、医療関係の機関等から成る、そういった助言をいただきながらその戦略あるいは計画が立てられると思うんですけれども、具体的に、今後、健康・医療に対しての戦略、あるいは医療研究開発の推進のための計画、どのような計画がつくられようとしているのか、教えていただけますでしょうか。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

中垣政府参考人 ただいまお尋ねの健康・医療戦略と医療分野研究開発計画の中身でございます。

 健康・医療戦略につきましては、総合的かつ長期的に講ずべき健康・医療に関する先端的研究開発及び新産業創出に関する施策の大綱でございまして、加えまして、健康・医療に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項を定めるとされておりまして、健康・医療戦略推進本部で案をつくり、閣議によって決定することといたしております。

 一方、医療分野研究開発推進計画につきましては、その健康・医療戦略に即しまして、政府が講ずべき医療分野の研究開発とその環境の整備、成果の普及に関する施策についての基本的な方針とともに、政府が集中的かつ計画的に講ずべき施策などを定めることとしておるところでございます。

 具体的には、再生医療やがんといった重点的、戦略的に推進すべき領域について定めるほか、各府省間の連携のあり方でありますとか、民間等における自主的な取り組みとの連携、推進計画とPDCAサイクルの考え方といったものを定める予定といたしております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、そういった総合的、戦略的な計画と同時に、今、例えば、二〇二五年、七十五歳以上の高齢者の方が二千万人を超える、そういった、あと十年という限られた期間の中で、どうやって具体的な目標を持ってスピーディーに新しい製品等を生み出すか、サービス等を生み出すか、こういったことも大事であると思います。

 まさに、また成長戦略という部分においても、長年の研究開発また中長期的な展望も大事ですけれども、今ある技術また持てるものをいかに組み合わせて新たな産業を生み出していくのか、こういったことも非常に重要であると考えるわけでございます。

 そういった意味では、この中枢機能というか推進本部が、もうちょっとシャープな具体的な目標と期間も定めて、これを達成することによってどういう世の中、どういう日本にしていくのか、どういった産業をどういう形で広げていくのか、そういった明確な目標と期間を持った計画あるいは戦略の設定も必要かなと思うんですけれども、この件についての見解をお聞かせ願えますでしょうか。

中垣政府参考人 ただいま御指摘のございました健康・医療戦略は、政府が講ずべき健康・医療に関する研究開発でございますとか産業の活性化に関する施策の大綱等について定めることといたしております。

 また、健康・医療戦略に即して定めます医療分野研究開発推進計画につきましては、法律上、健康・医療戦略推進法の第十八条におきまして、その策定に当たっては、具体的な目標及び達成の期間を定めるものとすることといたしております。

 したがいまして、本条に基づきまして、この計画におきましては、具体的な数値目標でありますとか、今後、政府が集中的かつ計画的に講ずべき医療分野の研究開発等に関する施策について定めることとなるということでございます。

 いずれにいたしましても、そういった目標をつくるというのは非常に重要でございますので、その御指摘も踏まえまして、適切な目標設定に努めていきたいというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、健康・医療戦略推進本部、期間を定めて具体的な目標をきちっと決めて、そして、そこで決まったことが、今度は独立行政法人の日本医療研究開発機構に持っていかれる。

 ここでせっかくすばらしい目標と期間が設定されて、大事なことは、それを達成できるかどうかということになるんだと思います。

 そこで、ここで機能を果たしていくのが、プログラムディレクターあるいはプログラムオフィサーと呼ばれる、そういった人材が重要になってくるんだと思います。

 そこで、まず、このPDやPOというのは、どのようにマネジメントを行うのか。また、PDやPOとしてはどのような人材が必要で、その確保はどのように考えているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

菱山政府参考人 日本医療研究開発機構におきまして、研究開発を行う研究領域ごとに理事長が選定いたしますプログラムディレクター、それから、プログラムディレクターが選定いたしますプログラムオフィサーを配置しようというふうに考えております。そこで、研究の運営方針の決定や研究の進捗管理、それから評価などを行うということとしております。

 それから、その確保でございますが、プログラムディレクター、PDといたしましては、研究現場の第一線で活躍され、研究成果や研究プロジェクトのマネジメントに十分な実績と経験のある方についていただくのがふさわしいというふうに考えております。

 それから、POでございますが、POにつきましては、プログラムディレクターのもとで個別の研究課題を管理するということでございます。具体的には、個別の研究課題の選定、それから評価の実務、あるいはその研究や予算執行の進捗管理などの経験と実務のある方についていただくのがふさわしいというふうに考えております。

 このように、研究成果やあるいは研究プロジェクトのマネジメントに実績のある方にこの機構に結集していただくとともに、研究マネジメントに秀でた人材を見出しまして経験を積んでいただくことで、その層を厚くしていくこととしたいと考えております。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ただいまの説明で、本部からの目標、目的が明確になって、それを達成するために、PDがその要素をしっかりと分解しながら、この目標を達成するのに何が必要なのか、いつまでに必要か、こういったものをよく設計して、一つ一つの要素に関してPOが対応して目標達成に総合的に動いていく、そういうものだと理解をさせていただきました。

 そこで、やはりPDにしてもPOにしても、責任を持って、ただ単にできなかったらいいじゃなくて、やはり、できなければいけない、やらなければいけない、結果を持って応えていく、そういった体制が大事だと思うんですね、意識づけとして。

 そういった意味では、その実績とかそういったものをしっかり評価しながら、ここで成功させていくことがまた次につながるとか、また新たな展開になる、そういった視点も大事かなと思いますので、そういったところもよく酌み取りながら、評価また開発の支援をしていただければと思います。

 ここで、今度は、この機構から公的機関、研究機関にそれぞれのテーマが行って、それで研究開発が進むと思うんですけれども、ここでよく、研究開発の現場から、予算が単年度主義で非常に使いにくい、また、いろいろな形で回しにくい、そういったお声も聞こえるわけでございますが、今回の機構の設立によって、研究者にとって研究費の使い勝手というのはどのように改善をされるのか、お聞かせ願えますでしょうか。

菱山政府参考人 先生の御指摘のとおり、研究費をその時々の必要に応じまして、柔軟で、かつ弾力的に執行できるようにするということは、研究者の事務負担を軽減いたしまして、かつ研究成果を上げる上で非常に重要な課題というふうに認識しております。

 このような観点を踏まえまして、この機構のもとでは、まず事務手続の合理化、それから機構職員による支援の充実によって、研究者の事務の負担軽減を図るということとともに、機構に集約される各省からの補助金を、執行上の工夫をいたしまして、研究者が必要なときに必要な額の研究費を使用できるような対応を図るというようなことを通じまして、研究者が研究に集中できる環境を整備していきたいというふうに考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 まさに、ここまで来ると、具体的な要素技術というのは、ある程度スムーズに研究開発されてくる、管理のもとでされてくるんですけれども、やはり、ここまでだと技術では勝てる、でも事業化とか具現化する部分で、産業化する部分では、ここからが大事になってくるんだなというふうに考えるわけでございます。

 実際に、今度は産業化という部分を考えたときには、やはりベンチャー企業等が立ち上がって、それをどう商品として、製品として展開していくのか。しかし、まだ余り実績のない技術を展開していく上にはリスクもある。

 そういった中で、ベンチャーがそういった産業化、事業化していくという上で、しっかりとした支援があってこそ、この目的が達成されるんだと思いますけれども、その点の支援のあり方等について、考えをお聞かせ願えますでしょうか。

石川政府参考人 ただいま御指摘ありましたベンチャー支援でございますけれども、御指摘のとおり、研究開発の段階から実用化に至る段階におきまして、いわゆる死の谷というようなことで、実用化につながりにくいというポイントがございます。

 アメリカなどの例を見ますと、こういったところにおいてベンチャー企業が活躍をして、そういった実用化へのつなぎの役割を大いに果たしているというふうに伺っておりまして、こういったところへの支援というのは非常に重要であるというふうに考えております。

 従来、政府におきましても、産業革新機構や中小企業基盤整備機構を通じまして、ベンチャー企業等に対するリスクマネーの供給というのを行ってきております。今般、平成二十五年度の補正予算におきましては、さらにこの二つの機構に対して、それぞれ、革新機構の方に二百億円、それから中小機構の方には十億円の追加的な予算の手当てをいただいておりまして、両機構からの支援体制の整備、さらに財務基盤の強化を通じましてベンチャー支援を強化してまいりたいというふうに考えております。

 こういったような施策を通じまして、研究成果の実用化にぜひつなげてまいりたいというふうに考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 今のお話のとおり、日本医療研究開発機構が技術的なものを生み出していく、種を生み出していく、そして、産業を具体的に進めるに当たっては、ただいまおっしゃいました産業革新機構等がそこの役割を果たして、製品化、また生産的なものにつなげていくというふうになるんだと思います。

 ここで、研究開発のマネジメントと、まさにマーケティングのマネジメント、それが二つ合わさって、推進本部が目指していく本来の目標の達成につながってくるというふうに考えるわけでございます。

 この推進本部のたてつけでは、各テーマに応じて、担当大臣が入ってそれをしっかりと推進していくという形になると思うんです。やはり、今確認できたんですけれども、開発機構だけではなく、総合的に全体をつなげて、その研究の成果を産業に、また製品にしっかりつなげてこそ、この成果が出るわけで、担当大臣のもと、まさに推進本部の中に総合的なマネジメントを行う人材を配置して、責任を持って、この推進本部が決めた目標、目的を期間内に達成する、そういった力強い取り組みも必要かなと思うんですけれども、担当大臣いらっしゃいますので、菅官房長官の方にぜひ見解をお聞かせ願いたいと思います。

菅国務大臣 健康・医療推進本部がそのような役割を十分に果たしていくためには、やはり、そのもとに、今委員の御指摘のありました国際展開に精通をしている人だとか、そういう人も不可欠であるというふうに思ってもおります。

 そうした観点を含めて、これから発足までの間にしっかりと対応していきたいと思います。

輿水委員 ありがとうございます。まさに、やはりこの推進本部が中心になって、基軸となって目標を達成していくと。その中にあって、機構をしっかり適切に、技術をしっかり生み出していく。

 そして、日本には、さまざまな民間企業、ベンチャーもある、また、そういった人材もいるわけで、そこの皆さんとしっかりつないでいくということで、確かに、機構とかこの本部は、ある程度限られた人数で運営をされるのかもしれませんけれども、その目標を考えるときには、あらゆる助言が入って、そして、実際、具現化していくときには、日本のあらゆる企業、民間等の技術を結集して、そして新しい医療の最先端を担う産業を生み出していく、そこに地域の雇用が生まれ、新しい成長が生まれてくる、このように感じるわけでございます。

 特に、もう一回、やはりそういった意味で、私は今まで、どうしても、民間の企業にいたものですから、いつも一つだけ不満なことは、目標を達成しなかったときに、一体誰が責任をとるのかと。俺は頑張った、うちも頑張ったし、うちも頑張ったし、みんな、機構としてあらゆる手を尽くしました、でも、達成できるかできないのか、ここが大事になってくるわけです。

 まさに、この推進本部の中に、何としてもこれを達成していく、達成したからにはそれなりのしっかりと評価をしてもらって、きちっとした新たな仕事が展開できるような、そういったポジションを設置していただきながら、この機構、体制が、ただ単に、頑張ったけれども、なかなか、今頑張っている最中で、成果はもうちょっと待ってくれではなくて、きちっと予定どおりきっちり成果が出て、日本の新しい医療、またさまざまな産業の育成の原動力になったと言っていただけるような、そういったものにすべきかなと思うんです。

 最後に、官房長官のその点に対しましての考えと御決意とを聞かせていただければと思います。よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 まず、この組織をつくることによって、世界最高水準の医療の実現、そして健康・医療を産業として戦略的に海外展開をしていきたいというふうに思います。

 ただ、現状を見るにつれ、我が国は、基礎研究は極めて優秀だという評価もあります。しかし、そうした基礎研究の成果が必ずしも実用化に結びついていない、それが現実だというふうに思います。こうした医療分野の研究開発を政府が一体となって戦略的に進めるために、内閣に司令塔となるこの推進本部を設置することにしたわけであります。

 我が国の総力を挙げて、しっかりと国民の皆さんの期待に応えることができるような、そうした組織をぜひ今国会でつくらせていただいて、取り組んでいきたいというふうに思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

輿水委員 どうもありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

柴山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。河野正美君。

河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。

 本日、内閣委員会で初めて質問させていただきます。関係の先生方の御配慮に大変感謝を申し上げたいと思います。

 今般の議題は、健康・医療戦略推進法案並びに独立行政法人日本医療研究開発機構法案ということであります。私は、二十年以上、医療の現場におります。そういった立場から問題を提起しつつ、両法案によって、ぜひとも、我が国の医療の国際競争力が向上して世界のリーダーになってほしい、また、本当に日本が健康になるのか、元気になるのか、そういった観点からお尋ねをいたしたいと思います。実は強い思いが去来しておりまして、雑駁な質問となってしまうかもしれませんが、御了承いただきたいと思います。

 最近、研究論文や学位のあり方をめぐって、さまざまな報道や、一部ではバッシングとも思えるような報道ぶりも見受けられます。

 私も、十年以上前に医学博士の学位を授与されました。大学院で研究していた時代や学位試験の厳しかったことも、今振り返れば、多くの学びがあり、貴重な経験をさせていただいたなと感謝しております。御指導いただいた先生からは、学位というのはゴールではないんだ、さまざまな研究を行って、そのデータを解析して、今までに誰も発表していない結論を導き出す、統計解析やその他のテクニックを学びました、研究者としてのスタートを切っていいぞと認めてもらうものであるというふうに教えていただきました。ゴールではないということであります。そういった言葉で叱咤激励されましたが、繰り返しになりますが、我が国の研究者さんたちが大きな仕事がなし遂げられるシステムをつくっていかなければならないと思っております。

 初めに、本法案に関しまして、先日の本会議における代表質問の際にも、登壇された先生方が日本版NIHという言葉を用いておられました。また、安倍総理御自身も、施政方針演説の中でこの言葉を発せられていると思います。

 現在、政府におかれましては、日本版NIHという言葉、用語が封印されている状態かと思いますが、せっかく定着しているこの呼称をなぜ封印されたかをまずお尋ねいたしたいと思います。

菱山政府参考人 今般、御審議をお願いしております二法案の閣議決定により、健康・医療戦略推進本部と日本医療研究開発機構という名称を定めさせていただいたため、以降、日本版NIHという呼称を用いなくなったというものでございます。

河野(正)委員 笑い声が聞こえておりますけれども。

 本家のNIHが年間三兆円、それに対して、我が国の予算は当初千二百十五億円というふうに伺っております。アメリカの四%にとどまっているという、こういった状況で果たして実効性があるのか、これで本当に日本が国際的にも国内的にも元気になっていくのか。改めて見解をお尋ねしたいと思います。

菅国務大臣 委員の御指摘いただきました日本版NIHの件でありますけれども、名称がひとり歩きしてしまっては、これは国民の皆さんに誤解を与えるおそれがあると実は正直思いました。

 午前中もアメリカのNIHとの違いを説明させていただきましたけれども、日本版というのは、今までの日本の研究のあり方というものがありますので、しかし、この縦割り行政の中で、厚生労働省、経済産業省、文部科学省がそれぞれ研究をやっていたわけでありますけれども、基礎科学研究は日本は進んでいると言われながら、結果的に実用化までにかなりの時間がありますので、そうしたものを踏まえた中で、今回、その名称を使わないようにさせていただいたというところであります。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 昨日から消費税が八%に引き上げられました。税と社会保障の一体改革ということで、膨らみ続ける診療報酬を何とかしようという風潮があるかと思います。消費税が上がる中で、残念ながら、診療報酬は実質的にマイナスに改定されたわけであります。今回、医療現場で真摯に汗を流している方々は実質賃下げとなってしまったということで、昨日の本会議でも、民主党の先生方を中心にいろいろ議論があったかと認識しております。

 それならば、私は、診療報酬が上がらなかった、残念なことを受けて、少ない診療報酬は、少なくとも我が国の医療従事者に配分されるようにしたいというふうに思っています。我が国で本当に真摯に汗を流している方が報われるような制度にしなければならないというふうに考えております。国内の医療にまつわる現場で本当に献身的に汗を流している多くの方々に配っていただきたい、そのような思いでおります。

 済みません、またあえて日本版NIHと言わせていただきますけれども、こういったことで医薬品や医療機器の国内開発がうまくいくのか、そういった観点から質問をさせていただきます。

 まず、いわゆるドラッグラグという点をお尋ねいたします。

 今、認知症というのがこれからもっともっと話題になってくると思いますけれども、認知症の進行を抑えるということで、塩酸ドネペジルというお薬があります。商品名で言いますとアリセプトというお薬なんですが、このお薬は、実は国内で日本人によって開発された薬であります。

 我が国で薬価収載、つまり発売可能となったのが一九九九年十一月十九日でございます。一方で、日本人が開発したこの薬ですけれども、アメリカでは一九九六年三月に申請され、同年の十一月には承認されております。同様に、イギリスでも、一九九六年十月申請で、九七年の二月には承認されております。国内開発でありながら、海外先行発売となっているわけであります。

 ドネペジルを例に、一例としてお話をさせていただきましたが、こういったことは少なくない問題だと考えております。ドラッグラグについて、政府の認識はいかがでしょうか。

成田政府参考人 ドラッグラグに関しまして各種の取り組みを進めておりまして、ドラッグラグに関しましては解消する方向で推移しているというふうに認識しております。

 また、先生御指摘のような事例の解消に向けまして、これまで、世界で同時に開発し、申請、承認、実用化を進める取り組みといたしまして、治験環境の整備等により、国際共同治験の推進等を行っているところでございます。また、国内における治験を推進する観点から、臨床研究中核病院、早期・探索的臨床試験拠点の整備や各種の審査ガイドラインの作成等を進めているところでございます。

 国内の研究開発成果をもとに、世界に先駆けて革新的な医薬品等の実用化を進めることは、成長戦略の重要な柱の一つでございます。日本再興戦略を踏まえまして、PMDA、医薬品医療機器総合機構でございますが、この審査体制の充実強化に取り組むこととしております。

 具体的には、審査の質の向上等に必要なPMDAの体制強化、開発初期からの明確なロードマップ相談を実施するための薬事戦略相談の拡充、PMDA関西支部の設置など、審査、相談体制の強化に取り組んでいるところでございます。

 これらの取り組みを通じまして審査の迅速化と質の向上を図り、我が国のすぐれた基礎研究の成果を実用化につなげ、成長戦略を推進したいと考えております。

河野(正)委員 我が国はやはり、治験とか実験段階から、そして臨床治験、患者さんに協力していただくということになりますと、非常に多くの問題があって、なかなか開発は進まないかと思いますので、その辺をしっかりと検討していただきたいと思います。

 例えば、認知症とかですといろいろ、ブラインド試験といいまして、プラセボ、いわゆるにせの薬と本物の薬と別々に、お医者さんもわからない状態で出したりするわけなんですけれども、たまたま治験をしている方の薬を飲んだ方はすごく効いてしまって、うまく認知症が進まなくなったり、あるいは病気がよくなったというにもかかわらず、その治験期間が終わったらそれをもうやめなければいけない。有料でもいいから出してほしいと言っても、それがかなわなかったりとかいう問題もあります。やはり、患者さんにとって、治験というのは、せっかくうまくいっている薬でも途中でやめなければいけないとかいう問題も非常にありますので、その点はしっかりそういうのがうまく開発できるようなシステムづくりというのをしていってあげないといけないのかなと思っています。

 ちょっと問題提起をさせていただきます。後にも述べようと思っていますけれども、お薬というのは、今言いましたように簡単には開発できません。巨額の開発費がかかる。そして、製薬業の協会の調べでは、成功率が三万五百九十一分の一という話もあって、三万やってやっと一つできるかどうかという話もあります。

 ところが、我が国は、国民皆保険制度という世界に誇れるすばらしい制度がある反面、診療報酬は低く設定されてしまうという風潮があります。そういった中で、特にお薬の値段というのは低く抑え込まれてしまうように思います。

 こういった状況から、なかなか問題がありまして、薬価算定では、特に我が国の場合は、アメリカなどの類似薬の価格を参考にして決められているように思います。こういったことから、先ほどのドネペジルもそうだと思うんですけれども、まず欧米諸国で先行発売をさせて、欧米諸国で高い値段をつけておけば日本で新規の発売をしたときに有利に設定されるというような考え方があるんじゃないかなと思っています。

 我が国で開発された薬が、安く値踏みされたくないがゆえに先に海外で発売される、いわばインセンティブをつけてから持ってこられる、非常に悲しい状態じゃないかな、悲しい話ではないかなと思っております。こういったことがなくなるように、日本発の新薬を優遇する施策は考えられていますでしょうか。お尋ねいたします。

神田政府参考人 お尋ねの、日本発の医薬品の開発ということでございますけれども、この点につきましては、今年度、二十六年度の診療報酬改定におきましても、薬価制度の中で特に原価計算方式などのものについては、画期的なものについては加算率を大きく上げるといったことでございますとか、我が国に最も早く上市をするということで、一番最初に日本の市場に上市するというふうにした場合には、先駆導入加算ということで、一定の有用性のある医薬品については加算制度を設けるというようなことをいたしまして、我が国にできるだけ早く医薬品の承認申請をしていただいて国民が扱えるようにするという点から、今申し上げたような薬価制度の改正をさせていただいております。

河野(正)委員 二〇一四年の一月二十三日ですから、ことしの一月の日経新聞の朝刊に、「政府は二十二日、日本で先行発売する画期的な新薬には価格を一割加算するなど、四月からの新たな薬価算定ルールを決めた。成長戦略の一環で、製薬企業からみた国内市場の魅力を高め、研究開発を促す。国内市場への新薬投入を優先させることで、患者の不便を解消する狙いもある。」ということで、そういったことでよろしいんでしょうか。再度お願いします。

神田政府参考人 御指摘の新聞記事は、まさに先駆導入加算に関する部分だと思っております。我が国に最初に上市をするということで、先ほど申しました、全ての医薬品ということではございませんけれども、一定の有用性が認められるものについては加算を設けるという制度を設けたところでございます。

河野(正)委員 今お答えいただきましたけれども、やはり、我が国の研究開発者が一生懸命開発しやすい、仕事をしやすい土壌をつくっていただきまして、そしてなおかつ、我が国でせっかく開発されたいい薬があるのであれば、やはり日本で使っていただきたいというのが本音だと思います。そういった制度にしていかなければ、本当にせっかく多額の研究開発費を投入したにもかかわらず、日本で最初に売り出したら安くなっちゃうから海外でとりあえず売り出そう、いずれ何年かたってから日本に持ってこようというのは、非常に不幸な話ではないかなと思います。

 医療機器に関しましては、デバイスラグという言葉がございます。医療機器に関しましても国内開発が促進されることを期待しておりますけれども、この点はいかがでしょうか、医療機器に関して。

成田政府参考人 デバイスラグに関しましても、ドラッグラグと同じように取り組みを進めておりまして、かなり解消する方向になっております。これに関しましても、先ほど申し上げましたPMDAの体制強化によりまして、承認審査、相談体制の強化ということで、開発の促進の支援等も含めまして取り組みを進めさせていただきたいというふうに思っております。

河野(正)委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、いわゆる新薬創出加算ということについてお尋ねをいたしたいと思います。

 お手元に資料を二枚配付しておりますので、ごらんいただきたいと思います。

 その二枚目の左側、資料四の方に、「「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」について」ということが出ておりますので、これをごらんになりながらお聞きいただけたらと思います。

 先ほどからお話ししておりますように、我が国では、特許を有している間、いわゆるジェネリックが出る前の期間でも、薬価がどんどん下げられていってしまう状態にあります。これでは、膨大な開発費を回収することができない、次につなげていく意欲もなくなってしまう、お金もなくなってしまうということが懸念されるわけであります。

 また、治験などで取り扱って承認された以外の疾患に使う場合、適応外に使用するということで保険で請求できないことになりますので、適応外処方となってしまいますから、適応追加に、改めて治験をやらなければいけない、また大きなお金がかかるわけであります。これは、また患者さんに病院に来ていただいて、臨床試験から始めていかなければならないということになっております。

 こういったことから、二〇一〇年四月より、新薬創出・適応外薬解消等促進加算というものが試行されております。先ほどの資料を読んでいただければわかるかと思うんですが、簡単にこの現状をお伝えください。

神田政府参考人 御指摘の新薬創出・適応外薬解消等促進加算についてでございますけれども、これは市場実勢価格に基づく薬価の引き下げを一時的に猶予をすることによりまして、画期的な新薬の創出を加速させるとともに、適応外薬、未承認薬の解消を促進させるということによって、患者が必要な医薬品をできるだけ早く利用できるようにすることを目的として、平成二十二年度の薬価制度改革によって導入されまして、二十六年度の改定においても引き続き試行を継続するということになったところでございます。

 現状で申しますと、加算対象の会社が八十三社、品目数としては六百九十五品目といったのが現状でございます。

河野(正)委員 今御説明いただいたかと思いますが、左下の図にありますように、これまでの制度でありますと、新薬がせっかく上市されても、どんどんどんどん年を経るごとに価格が下がっていってしまうということで、これを一定期間は下げないでおこうと。そのために、補填という言い方はそぐわないかもしれませんけれども、ちゃんと高く売りましょう、製薬会社にちゃんとモチベーションを持っていただくためにしていきましょうということであります。

 これが、実は、右側の資料五にありますように、大体七百億円ぐらいの予算になっていっているわけであります。これが私は実は大変な問題じゃないかなと思っております。

 先ほど来お話ししていますように、我が国の少ない、貴重な医療財源、医療にかかわる財源から支出されているにもかかわらず、先生方は見ていただければわかるように、ほとんど外資系の企業が持っていっているという状況にあります。

 一位がアステラス製薬ということで、これは当初、私、調べておりまして、一位が日本の企業だったからよかったなというふうに思っていたんですね、実は。

 ちょっと脱線させていただきますと、アステラス製薬は二〇〇五年四月一日に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併してできた会社でありまして、「明日を照らすアステラス製薬」というキャッチフレーズで売り出しておられたのを、私、臨床の現場にいて非常に記憶しております。

 ところが、製薬業界に精通しました方とお話をしていましたところ、いや、河野先生、それは違いますよと。アステラス製薬の薬も海外から輸入してきたものが非常に多いということを聞かされました。それで、さらに調べてみますと、アステラス製薬の株式の五〇%を超える部分、五二・二%が海外の機関投資家による保有でございます。

 ということは、残念ながら、日本のメーカーでありながら、ほとんど外国資本であり、そこにお金が、このせっかくの七百億円がどんどん流れていっている状況にあるのかなと思います。

 さらに、五位のところを見ていただきまして、中外製薬ということで、先生方、見ていただいて、非常に和風な名前だな、純日本風の企業かなと思われるかもしれませんが、これまた中外製薬さんは、スイスのロシュ・ホールディング・リミテッドが五九・八九%、その他の外国法人が一六・〇九%で、合計すれば株式の約七六%が外国法人によるものであります。

 結局、こういった少ない診療報酬の中から七百億円程度の予算をつけても、海外に流れていってしまうのが現実ではないのかなということを非常にこれも悲しく思っておるところであります。

 国内開発を支援する意気込みについてお尋ねをいたしたいと思います。

神田政府参考人 先生御指摘の新薬創出・適応外薬解消等促進加算についてでございますが、確かに外資系の企業も多く見られるところでございますけれども、先ほど申し上げたような、革新的な新薬の創出を加速させる、あるいは適応外薬、未承認薬を解消するという目的から加算をしているということから、外資系企業をそれだけの理由によって別に扱うということは難しいかというふうに考えております。

 ただ、この制度につきましては、日本の製薬企業の団体からも、日本に新薬を早期に導入するインセンティブになっているということで評価をされているところでございますし、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議におきまして、諸外国で承認をされていて、我が国で未承認あるいは適応外の医薬品につきまして製薬企業に開発要請あるいは公募をいたしておりますけれども、ほとんどの開発要請、公募をしたものについて、これに応じていただいているということでございます。

 日本の国内の製薬企業の開発力の向上につきましては、今回、日本医療研究開発機構で基礎研究から実用化に向けて一貫した管理、支援がされるということも含めまして、私どもとしては、その実用化に向けました薬事戦略相談でございますとか、臨床研究ですとか治験を行います臨床研究中核病院等の整備によりまして、我が国の医薬品産業の開発力の向上に私どもとしても支援をしてまいりたいというふうに考えております。

河野(正)委員 やはり、海外、外資に流れているのがすべていけないわけではなくて、外国資本に流れていっても、そこでいいお薬がしっかりと開発されて、それが我が国に輸入という形で戻ってくれば、それはいいとは思いますけれども、繰り返しますけれども、日本の少ない診療報酬の中で、かなりの部分が海外に流れていっているというのは悲しい問題だなというふうに思っているところであります。

 また、製薬業界は非公開の部分が多く、なかなか資料が出てこない面もございます。海外に生産拠点を移しているだけなどという理由によりまして、どこまでが国内メーカーが開発して製造しているのか、あるいは、単に外国、海外工場で生産しているだけなのか、純粋に外国から輸入してきたものなのかというのはわかりづらいような状況にあるかと思います。データ上は非常に見えにくい点がありますが、この辺はしっかりと見てまいりたいと思っております。貴重な予算は、本当に繰り返しですが、国内で使っていただくようにしていかなければならないと思っております。

 また、製薬会社は、みずからの業界団体で、医療用医薬品製造販売業公正取引協議会、医薬品公取協という組織を持っておられます。以前は、医師の接待であるとか、派手に製品説明会が行われるなどということがよくイメージされたかと思いますが、今はもうほとんどないような状況にあります。

 患者さんのための自主規制と言っておられるようですが、実際は株主さんへの配当を優先しているようにしか思えない部分があります。投資家がいけないとは申しませんが、さらに医師への接待もどうかと思う点もありますけれども、配当ばかり考えていれば、希少な疾患、つまり、患者さんが少ない、つくったとしても余り売れない薬、これが切り捨てられてしまう可能性がある、この点だけはしっかりと守っていかなければならないと考えておりますが、売れない薬をしっかり開発してもらえるような制度になっているのかどうか、この点はいかがお考えでしょうか。

高島政府参考人 患者数が少ない希少疾病につきましては、個別の研究機関、企業等による研究開発が十分に行われないという可能性がございます。このために、国によるサポートが必要な分野であるというふうに考えております。

 政府におきましては、今般出しております新独法の設立に先駆けまして、各省庁が連携して実施する個別プロジェクトというのをつくっておりますが、この中の九つのプロジェクトのうちの一つが難病克服プロジェクトでございます。

 本プロジェクトにおきまして、患者数の少ない難病の治療法に係る研究開発を推進することとしております。平成二十六年度予算として九十三億円を盛り込んでいるところでございます。

 独法の設立後でございますが、その際には、厚労省がまた独法とも連携をしながら、難病の治療法に係る研究開発に必要な予算を十分に確保してまいりたい、こういうふうに考えております。

河野(正)委員 本当に数少ない難病で患者数が少ない、薬をたくさんつくったところでそれほどの方が利用するわけではないといったお薬に関しましては、やはりしっかり国も主導して、もうからないからといってつくらないのではなくて、しっかりと指導していただきたいなと思います。

 私は、医療の現場にいて、接待がなくなったとか、さっきちょっと笑い声もありましたけれども、それはどうでもいいことなんですけれども、どうも製薬会社が株主の顔色を見ているような懸念があります。配当しなければいけない、配当ありきで何か製品を開発していく、考えていこう、売っていこうというようなことが見受けられるように思いましたので、やはりその点はしっかりと正していかなければならない問題だなと思っております。

 次に参ります。

 次に、医学部新設について政府のお考えをお尋ねいたしたいと思います。

 現在、東北、宮城県であるとか、あるいは国家戦略特区制度を利用して、千葉県成田市などに医学部新設をしようという動きが報道されております。

 御承知のように、一県一医大制度ということで、一つの県に一つの医大をつくっていこうということで、最後にできたのが、一九七九年、沖縄県の琉球大学医学部であります。我が国では、それから三十年以上の間、医学部の新設はありません。

 御承知のように、医師不足で、医学部の入学定員をふやす対応が行われて、ことしの春の卒業生から、若干定員がふえた学年が卒業をし始めました。資料の一枚目の一というところでございます。平成十九年度まで四千九十名だったのが、二十年以降、四千百六十五、四千五百二十八というふうに上がっていきまして、ことしの二十六年度は四千九百五名ということで、国立ですけれども定員がふえています。一番上だけ今お話ししました。そういった状況にあります。

 そして、資料二、国家試験の合格者数等も御参照いただきたいと思います。

 ここで確認でございますけれども、医師は、二年に一回必ず届け出義務がありますので、大ざっぱには医師の動態というのを把握されているかと思います。

 諸外国と医師数を比較するときに、我が国で非常に問題になるのが、医師免許保有数で見ますので、高齢の方であって、もうベテランの先生で、引退された先生の数もカウントしている。あるいは、近年、女性医師が非常に多くなっております。こういったことで、女性医師が産休や育休などで現場を離れていらっしゃる方も多いかと思います。

 我が国の現状を踏まえて、年齢構成、性別、あるいは休眠という言葉がどうかわかりませんけれども、休んでおられるお医者さんの数を教えていただけますでしょうか。

高島政府参考人 厚生労働科学研究をやっておりまして、その中で医師の状況を把握しております。

 現在、女性医師の就業率、この状況でございますが、一般女性と同様に、二十代から低下をいたしまして、三十代では約八〇%程度に落ちております。それ以降、緩やかに回復するという、通常、就業状況でM字カーブと呼ばれておりますが、これと同様な状況が見られます。この主な要因というのは、出産、育児に伴うものとされております。

 それで、年齢別の医師の構成でございますが、医学部を卒業するのが二十四歳以降ということでございますので、二十代は若干少ないということで一〇%以下、この数字を見ますと八・七%ですね。それから、三十代、四十代、五十代、この年代が大体二二%から二三%でございます。六十代で一三%台、それから七十代以上が一〇%、こういう構成になっております。

河野(正)委員 これを今お聞きしまして、一〇〇%になりますかね。どの部分が一番多いんでしょうか。

高島政府参考人 二十代が八・七%、三十代が二二%、四十代が二三・三%、五十代が二二・七%、六十代が一三・二%、七十代が一〇%、こういう数字でございます。

河野(正)委員 数字に弱いので、今、急に言われてあれですけれども、八十代とかもおられるんじゃないかなと思います。非常に高齢の方、実際リタイアされた方とか、今お話がありましたように、女性のドクターで育児休暇等をとられている方、たくさんおられると思いますので、やはり医師はそういった面では不足しているという状況なのかなと思います。

 話を戻しますけれども、東北地方は震災以前から実は医師、看護師、医療従事者が大変少ないということで言われておりました。これは、はっきり言って、免許ベース、医師免許の登録、看護師免許の登録ベースでいっても実際少ないということでお聞きしておりました。

 御承知のように、医学部というのは六年制であります。また、大変膨大な知識が必要となりますので、卒業後にも臨床研修を行わなければ一人前の医師にはなりません。そういうことを考えますと、医学部をつくっても、新設から十年あるいは十五年は、戦力として算定する、一人前の医師として最前線で働いていただくというのは厳しい状況にあるのかなと思います。

 医学部をつくれば、一方で、多くの教員や研究者が必要となります。仮に東北に新設したと仮定いたしまして、当然、東京や関西あるいは九州から、教授や准教授などに応募をされて移られる、転居されていかれる方もいらっしゃるとは思います。しかし、やはりそこの地域の市中病院、例えば東北地方の市民病院であるとか赤十字病院など、大きないわゆる公的な病院から部長や医長クラスの人材がいなくなってしまうのではないか、ずっと臨床をやっていた先生方が大学の教授や准教授として学内に入っていかれるのではないかなと思っています。

 そういった意味では、医学部増設というのは非常に危機的な政策であるのじゃないかなと思います。私は、やはり既存大学の定員をふやすことで対応するのが一番いい問題ではないかなと思っています。

 我が国には現在八十の医科大学がございますので、各大学一人もしくは二人ふやせば、これだけで一つの医学部を誕生させる程度の医学生が誕生することになりますし、一人、二人であれば、教員をふやすことや設備を増設する必要もないというように思っておりますが、この点、菅官房長官、いかがお考えでしょうか。

菅国務大臣 医学部の新設につきましては、地域医療への影響が懸念をされることも承知をいたしておりますが、東北地方については、震災からの復興、今後の高齢化と東北地方における医師不足、原子力事故からの再生といった要請を踏まえて、新設を認めることにいたしました。

 このため、医学部を新設するに当たって、その大学等に対して、教員等の確保に際し地域医療に支障を来さないよう、方策を講じることを求めているところであります。

 また、国家戦略特区における医学部の新設についても、地域医療への影響に配慮しながら、例えば国際化に特化するとか、そうした方向の中で検討を進めていきたいと思います。

河野(正)委員 そういうことでありますけれども、確認をさせていただきますけれども、一時的にではあっても、やはり現場のお医者さんが学内に入っていってしまう、教育活動に入らなければいけないということになりますと、その地域、東北はもともと少なかった地域でありますので、医師不足というのが逆に大きな問題になるんじゃないかなと思っております。

 短期的に医師不足を助長するだけではなく、二〇二五年問題というのがございます。いわゆる団塊の世代の方々が七十五歳以上になることでありますけれども、医学部を新設して、そこから卒業生が巣立っていくころには、ちょうどこういった年次になってきますので、そのころには実は我が国は少子化の方が問題となっておりまして、医学部新設に本当に効果があるのかなという懸念があります。

 新聞報道等を見ておりますと、やはり実際に地域の病院から医師が引き抜かれるのではないかということで懸念を持っている首長さんも少なくないと思っておりますので、この点は十分検討を重ねていただきたいと思っております。

 次に進みます。

 医学部卒業後の問題、医師臨床研修制度についてお尋ねをいたしたいと思います。

 これは、研究者養成という観点からも非常に重要な問題だと思っています。しっかりと臨床医を育てて連携をとることによって初めて、一層、基礎研究というのが生きていく状態になると思っておりますので、そういった観点からお尋ねしたいと思います。

 お手元の資料三をごらんください。医師臨床研修費補助金の推移であります。

 これは、臨床研修の円滑な実施を図るため、研修を行う病院に必要な支援を行う、国立を除く公私立の大学病院、臨床研修病院が対象ということで、指導医の確保や剖検費用、プログラム責任者経費、研修管理委員会等の経費、あるいは医師不足地域及び産婦人科、小児科宿日直研修等の経費ということで出されているお金であります。

 この補助金については、以前に私、決算行政監視委員会でも質問させていただいたかと思っておりますけれども、多分、政府のお考えとしては、研修医の数とリンクする問題ではないと。厳しい財政の中、ほかの予算と同様に少しずつ減額をしていったものであるというふうな見解をお示しされているのではないかなと思います。

 この問題、実は別に、医師国家試験合格者数の推移、資料二を提示させていただきますけれども、これを見ていただきたいのですが、私、学生のころを思い出しますと、実は医学生の中には、ことしは国家試験が難しいから来年は簡単になるんじゃないかとか、非常に根拠に乏しいうわさ話がありました。そういう科学者の卵でありながら、非科学的なうわさ話をしていたわけなんですけれども。

 これも多分否定されると思いますけれども、医学部関係者の中には、医師不足といいながら、研修医受け入れのための予算が減っていく、予算がないから合格者数を人数でコントロールしているのではないかという根拠に乏しいうわさがあります。

 医師国家試験合格者数は、当然、質の担保が大切であり、医師臨床研修費補助金とは関係ないという認識でよろしいのかどうか、改めて確認をさせていただきたいと思います。

高島政府参考人 委員のおっしゃるとおり、医師国家試験につきましては、一定の日本の医療を担っていただける方の水準を確保するという観点で国家試験をしており、採用しております。法改正もしております。臨床研修費の補助金の方とは、直接の関係は全くございません。

河野(正)委員 でも、研修医を引き受けるということは非常に多くの問題がありまして、やはり大変な思いを持って指導に当たられる先生方がいらっしゃるわけであります。その中で予算が年々一〇%程度減っていく、百六十億程度だったのが今百二十一億円ということになっております。これは非常にゆゆしき問題ではないかなというふうに思っております。

 また、医師国家試験合格者数を見ていただいてわかるように、受験者はいろいろ変わっておりますけれども、ほぼ七千六百人ぐらいで一定の数を示しているわけでありまして、やはり人数で決まっているのかなという懸念を持っていらっしゃる方が大学関係者の中にはおられるということが事実であると思いますので、しっかりと質の担保ということでやっていただきたいと思います。

 また、今後、医学の発展という点では、基礎研究も非常に大切な問題なんですけれども、やはり、よき臨床医をしっかりと養成していくということが大切だと思っております。研修医育成の費用は、今お話ししましたように、十分に確保していただきたいものだと思っております。

 医学生への教育、あるいは、そのほかにも患者さんの診察、治療を行い、さらに実験など研究業務をする、そして新人医師を教育して一人前にしていくということで、大学や、基幹となる臨床研修病院の先生方は、大変な思いをして、大きな負担を持って仕事をされていただいていると思います。しっかりと予算をつけていただきたいということを重ねて申し述べさせていただきます。

 この点、いかがでしょうか。感想をちょっといただきたいと思います。

高島政府参考人 やはり日本の医療を支えていただける医師の水準につきましては、しっかりした水準を確保していかなければならない、こういうふうに考えております。そのためには、国家試験で適正な水準を確保することと、その後の研修ということで、しっかりとした能力を身につけていただきたいと思います。

 補助金としては、大変国の財政が厳しい中で削減されてきておりますけれども、その中で、いかに効率的に研修を行っていくか、医師を養成していくかということにつきましては、予算の執行につきましても意を用いながら、それから予算を削減するに当たっても、本当に必要な部分は担保しながら、確保しながら、日本の医療の水準が守られるように頑張って努力してまいる考えでございます。

河野(正)委員 しっかりとしていただきたいと思います。

 いろいろ新薬が開発されたとか、新聞でトップ記事になったりすることがあると思いますけれども、実はあれは医学部じゃなくて、ほとんどが農学部であるとか工学部、理学部の先生方が開発したりして発表していることが多いというのを見ていただいているでしょうか。

 やはり医学部の先生方というのは、患者さんを診察しながらやっていっていますので、なかなか、基礎研究というか、例えばネズミとかに定時的に注射を打たなければいけないとか、いろいろなことがありますから、患者さんを診る片手間にやっていくというのは非常に厳しい問題でありまして、そういった点では、患者さんを診ていない、研究を本当に一生懸命頑張れる体制にある方が開発しているというのが現状じゃないかなと思います。

 その辺、やはり、しっかりとした臨床医を、医学部以外の方がもちろん開発されて構わないんですけれども、そういう基礎研究と臨床研究というのがうまくマッチングしていくようなシステムをつくらなければいいお薬というのは開発されていかないと思いますので、その点をしっかりとした制度にしていただきたいと思います。

 時間の残りが余りありませんので、話が非常に逆転して申しわけないんですが、本法案の基本理念について最後に確認させていただきたいと思います。

 この基本理念を素直に読み込んでいきますと、経済成長に資さない健康・医療の先端的研究開発には力を入れないんじゃないかという懸念もございます。先ほど若干お答えはいただいたんですが、希少疾病を治療するための医薬品、あるいは難病に立ち向かっている方々を治療するための医薬品はどう位置づけておられるのか。先ほども何度か聞きましたけれども、経済成長に貢献しないから開発に力を入れないということがないように、政府としての見解を改めてお聞かせください。

中垣政府参考人 お尋ねの医療分野の研究開発予算につきましては、先ほど厚労省の方からお答えもございましたが、平成二十六年度におきまして、機構の設立に先立って九つの各省連携プロジェクトを立ち上げて、重点化を図っております。その中に難病克服プロジェクトとして位置づけて、九十三億円の予算額を計上しているところでございます。

 今後、閣議で決定する健康・医療戦略及びその戦略に基づきまして策定する医療分野研究開発推進計画におきましては、難病等にかかわる研究の重要性も踏まえながら、難病にかかわる研究開発もしっかり位置づけて推進してまいりたいと思っております。

河野(正)委員 続いて、先天性疾患を抱えるお子さんたちに関してお尋ねをいたしたいと思います。

 こうした子供さんたちは、これまで長年にわたる研究の成果によって予後も改善され、治療や注意深い経過観察を受けながら日々の生活を送っていらっしゃいます。今回、難病や小児慢性特定疾患の法改正も予定されていると思いますし、研究にも一層力を入れる方向性を示されていると思います。今回設立される機構では、こういった研究にも十分力を傾けていかれる予定でしょうか。お聞かせください。

中垣政府参考人 先ほどお答えさせていただきましたけれども、難病につきましてもしっかりと位置づけてやっていこうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 大変取りとめのないお話になってきましたけれども、やはり私は、実は個人的には、医療を成長産業にという言葉は余り好きではないんですけれども、今回の法律によりまして日本がどんどん元気になっていっていただきたいと思いますし、先ほど来お話をずっとさせていただきましたように、本当にこの法案によって日本の医療が元気になっていくのか、我が国でどんどん薬が開発されて、我が国でまず用いられていくようになるのか、あるいは、医学部新設によって、いろいろな医師不足をさらに悪い方向に持っていってしまわないのかとかいう懸念もありますので、しっかりそういう細部にわたって検討していただきまして、しっかりとした法案になって、日本が元気になっていくことを願いまして、私の質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 みんなの党の中島克仁です。

 内閣委員会では初めて質問をさせていただきます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 菅官房長官には、まず冒頭なんですが、私、山梨が出身でございまして、二月の十四、十五と大雪が降って、翌日の十五日の朝、私、国会の方に来まして防災担当に連絡したんですが、なかなか連絡がつきませんで、菅官房長官に直接緊急支援対策という支援要請書を出させていただきまして、迅速な対応をしていただきまして、本当にありがとうございました。この場をおかりしてお礼を申し上げたいと思います。

 本日は、健康・医療戦略推進法案、独立行政法人日本医療研究開発機構法案、いわゆる日本版NIHの審議でございまして、私にも質問の機会が与えられたわけですが、私も医者でございまして、今回の法案についても、当初聞いたときから大変期待をしておったわけです。日本が迎えております超高齢化社会、医療分野の研究開発を戦略的に推進することは大変重要な課題ともされております。安倍総理も、難病など不治の病に対して、官民一体で基礎から実用化まで一貫して取り組み、革新的な治療法、医薬品、医療機器を世界に先駆けて生み出すことに並々ならぬ御決意があるのだろうというふうに私も理解をしております。また、その実体化が、今回、日本版NIHという形として今審議をされておるんだなという認識を持っております。

 この健康・医療分野について、内閣に司令塔となる健康・医療戦略推進本部を設置して、本部の戦略に基づいて、基礎から実用化まで切れ目のない研究開発支援の実務を行う独立行政法人を新たに設立し、本部と機構とが一体となって医療分野の開発を戦略的に推進するとされております。

 先ほど申し上げましたように、私も医師でございまして、山梨県の北杜市というところで、もともと外科の医者であったわけですが、その後は約十年、在宅医療というところで、緩和ケアも含めて、がんの終末期の方、あと難病の方、今現在もそうなんですが、多く診させていただいております。

 そういう観点からも、先ほど言ったように大変期待をしている部分はあるわけですが、今回、基礎から実用化まで切れ目のない研究開発支援の実務を行うとし、新たに設置される独立行政法人、従来、医療分野の研究費は文科省、厚労省、経産省と各省に分散されておりました。今回設置されるという独法は、各省に計上されていた医療分野の研究開発予算を一元化するとともに、戦略的、重点的な予算配分を行うとされております。

 それぞれが医療分野の研究予算を持ち寄って一本化、予算の一元化ということになっておるんですが、一体どこからどこが医療分野なのか、何がどのように判断するのか。例えば厚生労働省の科学研究費について、機構に集約される予算と厚生労働省に残る予算についてどのように整理していくのか、お尋ねをまずさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

菅国務大臣 まず、委員は医師でありますから、この内容について十分承知の上の御質問だというふうに思います。

 医療分野の研究開発については、人を研究対象として、被験者の健康に悪影響を及ぼし得る治験も伴い得るなどのそういう臨床研究であるということ、さらに、薬事法に基づいて、承認申請など他の研究分野にはない過程を必ず経なきゃならないという特殊性があるということであります。

 このために、医薬品、医療機器、医療技術を実用化するための研究開発を効果的、効率的に行うために、臨床研究、治験の適正な実施等に関する専門知識、知見を有する者による研究支援、さらには、薬事法に基づく承認という実用化のゴールを見据えた一貫した研究マネジメントを行う機能、こういうものがこの分野については不可欠であるということであります。

 そうしたことから、この研究開発を戦略的に推進するに当たっては、医療分野の研究開発の特性に最適化された専門機関による医療分野の研究開発、プログラムを集約して、基礎から実用化まで切れ目のない支援を実施できる独立行政法人というものを新たに設立し、最も効果的、効率的に行っていきたいというふうに考えたわけであります。

 なお、この機構の設立に当たっては、厚生労働省所管の二法人の統合による法人数の一減というものをこれは行っておりまして、スクラップ・アンド・ビルドの原則の中でこうした対応をさせていただいているというところであります。

中島委員 それぞれの分野において、その専門性。今回の部分で、研究者から予算の配分等も含めて、手続の簡略化、横断的に入り口から出口までということは何となく理解はできるわけですが、一方で、資料の二枚目の方ですが、それぞれ、所管する各省には予算配分する独法がございます。

 文科省にはJST、厚労省には基盤研究所、経産省にはNEDOということになっておりまして、それぞれの分野ということになりますと、JSTであれば環境化学、再生医療、イノベーション、知的財産。基盤研は薬学、創薬化学。NEDOもエネルギー、環境、電子、ITも含めてということになるわけです。それぞれが持ち寄ってということなんですが、先ほど、厚生労働省の方の独立行政法人、二つを一つというお話もございました。

 恐らく政府としては、組織の肥大化を防ぐために既存の独法を活用して、さらに首相直属の機関である内閣府所管とすることで、関係省庁による縦割り行政の解消を狙ってということもあるということを、今もお話を聞きました。

 今回、厚生労働省の所管の医薬基盤研究所と健康・栄養研究所を統合するかわりに新たに独法がつくられる。各省庁としては、従来の省庁間の縦割りを精いっぱい取っ払った形というふうに言われるのかもしれませんが、やはりこれは、新しく独法をつくるということになりますと、今厚生労働の方では、JEEDの問題等も含めて、独法自体、その体質自体、非常に問題視されておる。我が党としても、そこの独立行政法人のあり方そのものについて非常に問題意識を持っておるということで、これは新たなポストや現役出向を含めて無駄の部分がまたふやされるんじゃないか、そのような懸念もしておるわけです。

 そこで、今回、日本医療研究開発機構について、その内容についてこれからちょっと質問をさせていただきたいと思います。

 その組織体制、人員規模等は今現在でどのように予定されておるでしょうか。

菱山政府参考人 人数につきましては、期限の定めのなき職員を百人程度ということを考えております。そのほかに有期の人員を二百名程度、合計約三百人程度の人員になるというふうに見込まれております。

中島委員 今、人員規模というか組織体制ということで、理事長も含めてということで、定年制職員が百二人、有期、専門職も含めた職員を二百名程度、総勢で約三百人規模ということだと思います。

 その役員体制、理事長も含めてですけれども、では。

菱山政府参考人 失礼しました。

 理事長一、それから理事一、監事二というのが今御審議いただいている法律案に書かれているものでございます。

中島委員 とにかく、法案成立後、役員など人員体制、まあ、人員体制の規模はある程度決まっておるようですけれども、研究者、有識者も含めて有期の職員についても、理事長を選任してその後決めていくということなんだと思います。

 今回、厚労分野、文科分野、経産分野、研究開発から出口まで一括して賄うということであれば、医療分野の研究開発の実情に精通していることとか、公平公正性の立場から中長期的視点でリーダーシップを発揮できる人材が必要だと思うんですが、今の段階で理事長なりその役員に関して、どのような人物が適材か、そのような人選については今どのようになっておるでしょうか。

菅国務大臣 理事長については、この機構は医療分野の研究開発を戦略的に推進すると同時に、世界最高水準の医療を提供するという研究開発を行う、その中核を担う方でありますから、まさにこうした機構の目的にふさわしい方を総理大臣が選任することになっておりますので、そうした方向のもとに人選をしていきたいというふうに思います。

中島委員 日本版NIHと言っていいか、ちょっと何とも言えないんですが、それに見合った人材をこれから確保していってそれの体制づくりをしていくということで、人員規模や、そういったことに対しては、そのような、とにかく法案成立後ということになっておると。

 一方で、予算、予算計画も含めて、その辺はどのように今計画されておるでしょうか。

菱山政府参考人 日本医療研究開発機構でございますが、平成二十七年四月の設立を予定しております。

 政府といたしましては、機構の設立に先立ちまして、平成二十六年度、今年度予算から、この機構に集約する研究開発関連経費を取りまとめさせております。その総額は、約千四百億円でございます。

 独立行政法人における予算を含む事業計画につきましては、中期目標、中期計画になりますので、これらにつきましては、法案の成立後に政府が策定いたします府省令に基づきまして、理事長となるべき者と調整しながら作成することとされております。

 日本医療研究開発機構も、法案成立後、内閣総理大臣が任命することとなる理事長となるべき者と調整しながら、適切な事業計画を作成させていただきたいというふうに考えております。

中島委員 平成二十六年度予算案で設立準備経費として十八億円が計上されておって、二十七年度以降、約一千四百億円ということだったと思います。その後については、理事長初め人員体制、その整備、進捗状況によって、これから事業の計画等が決められると。

 これは、新しい独立行政法人ができる。今現在、先ほど冒頭にも言いましたように、例えば厚生労働省の所管でありますJEEDの問題、いろいろな問題が取り沙汰されておるわけですね。現役出向も含めましたその体質自体、そうなってきますと、これはもちろん通則法にのっとってということになると思うんですが、やはりこれだけの大きな事業、予算も莫大なものがかかっておるということであれば、先ほど理事長の件をお話ししたのは、やはりこれだけの大きなプロジェクト、国家戦略としてというのであれば、やはりこの事業計画の中に、理事長、こういう方はいかがなんだろうかといったことも含めてスタートしていくべきじゃないかなと。

 一方で、事業計画や予算規模についても今後の進捗状況ということになるということであれば、これはやはり、民間企業でいえば、今後の事業計画というものを立てながら、新たな会社の設立。独立行政法人も、これはさっき言った、一足す一が、まあ、向こうは一個減ったんですが、こっちでは新たにふえる。役員に関しても、恐らく厚生労働の方では、四足す四が四になるから行革の一面もあるということなんですが、新たにこちらで理事長含め役員もふえる。

 そういったことになってきますと、やはり、組織体制や人員規模、事業計画も全て法案成立後に決めるといったことになると、これは、独立行政法人は通則法にのっとっていきます。その時点で内閣から離れて、例えば現役出向の数や、そういったことも、結局、今問題とされておるような独立行政法人の体質自体また同じようなものがつくられてしまうんじゃないかと。やはりその辺が非常に気になるところなんですね。

 私どもは、やはり独立行政法人のあり方そのものに大変問題意識を持っておりますので、先ほど言ったように、行政を国から法的に独立の法人に行わせるところに独立行政法人の特徴があります。そのため、内閣は独立行政法人に対して適切な統制がとれなくなってしまう。法人の事務事業に対する国の責任が不明確となって、その結果、行政の能率的な運営、行政の公正性及び透明性の確保が妨げられる、そういう一面があるわけです。

 今回の日本版NIHという大きな国家プロジェクトの中で、一方で独立行政法人が新たなものができる。その体質、先ほど言ったように、今後どうなっていくかということがよくわからない。

 これは資料の一枚目なんですが、政府の案でいきますと、文科省、厚労省、経産省、その統括を横断的にする、予算配分をするために日本医療研究開発機構ができるということなんですが、これは、今回、内閣が中心になって、先ほど言った予算の一元化も含めて手続の簡素化ということであれば、それぞれの省庁からしっかり内閣の中に出向して、部署をつくってそういったものを一元化していく、それが一番簡素化であり一体化というふうになる、私たちはそのように思うわけですが、官房長官、いかがでしょう。

菅国務大臣 まず、今、法案審議の段階で理事長はこういう人とかいう具体的なことを示すことは、これは私はやはり不可能だと思います。これは、まだ法案も成立する前から何だという、当然そうした御批判もあるわけでありますので、そこは概略を示させていただいて、今委員のように精通された方からこの委員会で指摘を受けた中で、そうしたものを踏まえて、これは法案が成立をした暁には、やはりそうした方向で人選だとか体制というのをつくっていくということが政府の果たすべきことだというふうに思います。

 そういう中で、医療分野の研究開発を円滑に推進していくためには、研究開発と関連する行政領域との緊密な連携が極めて重要であるということは御指摘のとおりであります。

 したがいまして、医療分野の研究開発機能について、三省から分離独立させてしまうのではなくて、三省の協力を得ながら一体的に推進をすることが望ましいとの判断のもとでこのような枠組みをつくらせていただきました。

 予算の執行において各省の意向が優先されるのではないか、そういう懸念を抱いておられるということでありますけれども、機構においては、一体的な研究支援が可能となるよう、各省の予算配分、調整や研究支援スキームの整合性の確保なども強力に進めることによって、そのようなことがないようなものにしていきたいというふうに思います。

中島委員 菅官房長官のおっしゃることはよくわかるんですが、この体制ですと、結局、整合性というところも、今おっしゃいました、各省の意向が強くなっちゃうんじゃないかと。予算をどれだけ配分していくのか。

 先ほど冒頭にも言ったように、どこからどこまで、一方で厚労分野でもやられている別のこともあります。例えば文科であれば理化学研もあります。そういったものと、何を持って今回の日本版NIH、この機構でやるのか。それを、各省庁が何を持ってきて何を残すんだということの中で、予算を一つの機構に集めるということであれば、やはり、先ほども言ったように、この独立行政法人自体、研究所も持ちませんので、それだけのためにできる。であれば、やはり各省庁の、そのための私は内閣だと思いますので、その中でしっかりと予算配分、管理も含めてやって一元化を図る。

 もしそれがどうしても無理だというのであれば、このポンチ絵の下の方ですが、やはりJST、基盤研、NEDOを統合した、三つを合体させたような独立行政法人をつくって、そして、先ほど言ったように、JSTもNEDOも基盤研も、今回のNIHの目的でもございます研究開発から実用化、出口戦略まで一体化としてやっていくということであれば、やはり私たちは、内閣の中でしっかりとそういう予算配分も含めた部署をつくってやっていく、もしくは、三つある独立行政法人を一つに統括して、本格的に、どこからどこまでと不透明な部分がないようにしっかりとやるべきかなと。

 今回の形でいきますと、同じような、独立行政法人も含めたこういう機関がまた一個ふえてしまう。おっしゃるとおり、よく本場のNIHと比べられて、規模の問題を言われます。先日の国会審議の、本会議の質疑の中でも、小さく産んで大きく育てると。その趣旨は大変わかるんですが、今のままですと、同じような形のものがまた一つふえてしまう、それだけのものになってしまうんじゃないかというふうに思うわけです。

 それに対して、官房長官。

菅国務大臣 まず御理解をいただきたいのは、この日本医療研究開発機構というのは、これまで各省庁及びそれらの所管する独立行政法人が行ってきた医療分野の研究開発のうち、関係省が所管する独立行政法人等から実施するいわゆるインハウス研究と、研究者の自由な発想によるボトムアップ型の基礎研究を助成する文部科学省の科学研究費助成事業、これを除いた全ての事業をこの機構に集約をし、研究費の配分、そして研究管理、支援というものを一体的に行うものであります。

 もっと言うならば、これは、総理が本部長でこの健康・医療の本部をつくるわけですから、その本部の決定に基づいて重要項目を決定し、そういう中で、医療分野については、今までの法人から、今申し上げたような形で、インハウスの研究と基礎研究を除いた全ての事業はここで集約をして、どういう方向に使うかということを決定した上でこの機構が行うわけでありますから、今まさに委員が指摘されたようなことをやる機構であるというふうに考えていただければありがたいと思います。

中島委員 きょうは、ちょっと私はずっといなかったのであれなんですけれども、これもよくほかの委員からも質問されておると。

 総理が議長とされて、議長が先頭に立ってということですが、一方で、総理を議長とした総合科学技術会議の設置というか強化もされておるわけです。医療や健康推進というのは非常に幅が広くて、先ほどから委員の方も質問されておると思うんですが、やはりそういうものと、本体として、今回のNIHともう一つの総合科学技術会議、それとの整合性というのがやはりちょっとわかりづらいような気がするんですが、その辺はいかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、総合科学技術会議は、科学技術イノベーション政策の全体の推進のための司令塔の役割を果たすものであります。そして、今回の健康・医療戦略推進本部は、医療分野の研究開発に関する総合調整を行うものであります。

 この背景には、医療分野というのは、人を研究対象として臨床研究なども必要である、あるいは薬事法に基づく申請など、ほかの研究分野にない過程を経なければならない特殊性がある。そういう中で、科学技術会議や科学技術イノベーション政策全般に係る基本的な方針を定めることになりますけれども、その方針との整合性を図りながら、今申し上げた医療分野の特殊性を踏まえて、健康・医療戦略推進本部がこの推進計画の策定を行うことにしているわけであります。

 総合科学技術会議の司令塔機能の強化と医療分野の研究開発推進のための新たな体制の構築というのは、まさに安倍内閣の主要政策だというふうに考えています。

 委員御承知のとおり、総合科学技術会議と別に健康・医療戦略推進本部というのをつくらせていただいたというのは、まさに健康・医療分野というのは極めて巨大な分野になってきておりますし、国民の皆さんにとって健康・医療というのは、まさに、これから世界最高水準の医療体制を充実されること、これは国民の皆さんが望んでいることだろうというふうに思いますし、また、世界に我が国の健康・医療産業を成長産業として広めていくということも、国家としてもこれはやはり大事なことであろうというふうに思います。

中島委員 誤解されたくないんですが、私、その件については、冒頭にも言いましたように、医療や健康分野が成長して、がんとか難病、不治の病に対して一筋の光明となる、その出発点と。本格的にやろうということでは大変賛同しておるわけです。

 その分で、予算を配分する新たな独立行政法人というものが、先ほどもお聞きしましたように、もちろん、独立行政法人として当たり前だと言われるのかもしれないんですが、やはり、何か堂々めぐりみたいになって大変申しわけないんですが、そういったしっかりと、いいものなはずなんです。ですが、一方で、独立行政法人へ予算配分するための予算規模も決まっていない、事業計画の今後の進捗状況、そんな中で、今のJEEDの件ではないですけれども、またそのような無駄ができてしまうんじゃないかと。

 私たちは、どうしても無駄の削減ということを徹底的にやるべきだという主張でございますので、それで、内閣府の中に小さく育ててというのであればそういうところからスタートするべきじゃないか。もしくは、一括的にやるというのであれば、厚生労働の二つは一つになったけれども、こっちでふえるではなく、やはり、この分野においても、しっかりと統合して一体的になってやるべきではないかな、そういうふうに思うわけですね。

 ですから、今の、その戦略推進本部の方に対して、菅官房長官に今おっしゃっていただいたような、今回の趣旨については、大変、もっとやってもいいんじゃないかというような感覚であるわけですが、ただ一方で、そういうものがくっついてしまうということに対して非常に違和感を感じてしまうというところです。ですから、ここに対しては非常に問題意識を持っておるということは官房長官の方にも御理解をいただきたいなというふうに思うわけです。

 時間もございませんで、あした連合審査もあるということですので、続きは、またあした質問させていただきたいと思います。

 実は、きょう、せっかく内閣委員会ということでして、私、昨日、医療介護の方で本会議で質問をさせていただいたんですけれども、最後に、子供貧困対策について総理に御見解を求めました。

 昨年の六月に全党一致で子ども貧困対策法というものが成立をいたしまして、ことしの一月に施行された。そして、閣僚会議を開く予定になっておったわけですが、当初二月にやられるはずだったのが四月の今現在になっても開かれる予定が決まっていないということで、一体いつ開くんでしょうかということで、きのう、総理の方には本会議で質問をさせていただいて、四月の上旬までにはというふうなお答えをいただいたんですが、その日程ですね。上旬といっても、もう来週早々ぐらいになると思います。ぜひ内閣府としてしっかりと日程調整の方をお願いしたい。

 同時に、きのうの総理の答弁でちょっと気になったところがございまして、来年度の概算要求に、何としても大綱をつくって、その大綱を来年度の概算要求に盛り込んでいただきたいという私からの質問に対しては、検討いたしますという御答弁だったんです。

 やはり、子供の貧困問題というのは喫緊の課題でございまして、昨日から消費税も増税され、その状況をさらに悪化させることも懸念されておるということで、これは閣僚会議をまず大前提として早く開いていただくことと、来年度の概算要求に盛り込むことを検討するのではなくて、盛り込むことを前提にスケジュールをしっかり立てていただく、そのようにしっかりとやっていただかなければ、せっかく昨年、全党一致で子どもの貧困対策を決めたわけですので、これは内閣府が今取り扱っていることだと思います。ぜひ、菅官房長官からもしっかりとした日程調整、そして来年度の概算要求には、具体的な内容はここでは言いませんが、実行力のあるものを盛り込んでいただきたい、そのお願いを、ちょっとそれに対して御答弁いただければと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 閣議については、総理がそのような発言をされたということでありますので、それに基づいて日程は確定をさせていきたい、このように思います。

 そしてまた、政権として子育て支援というのも最重要課題の一つという中で、待機児童解消、二年間で二十万、五年間で四十万とか、そうした問題に全力で今取り組んでおります。そして、今委員の言われました貧困対策というものも、これは全党でということでありますので、私どももそこはしっかりと指摘は受けとめて対応したいと思います。

柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。

中島委員 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 提案された二つの法案は、医療分野の研究開発体制を新たに編成し新しい産業活動を創出するということで、健康・医療戦略推進本部を設置すること、また、医療分野の研究開発を促す環境整備と助成業務を行うために医療研究開発機構を設置する、これを目的としております。この仕組みは安倍総理の肝いりでつくられたもので、健康・医療戦略をトップダウンで進める体制づくり、このように言われているわけです。

 法案では、健康・医療戦略推進本部がつくられて、健康・医療戦略参与からの政策助言、それから専門調査会から専門的、技術的助言を得ることになっております。さらに、タスクフォース、推進会議等々が置かれているわけです。

 そこでお聞きしたいんですが、メンバーの選考基準、人数、これはどうなっているのか、また人選は誰が行うのか、この点明らかにしていただきたいと思います。

菅国務大臣 健康・医療戦略推進本部は、健康・医療戦略を策定することとされており、全省の施策との連携、調整が必要なために、内閣総理大臣を初め全ての国務大臣が出席をして行われることになっております。

 今御質問の、健康・医療戦略参与及び専門調査会の委員は、内閣総理大臣が決定をすることになっております。

 参与については、健康・医療に関する成長戦略について幅広い見地から本部へ助言ができる、産業界、医療関係、そうした機関の有識者の方にお願いをしているところであります。そしてまた、調査会の委員は、医療分野の研究開発に関する学識経験を有する者のうち、学術的、技術的観点から本部への助言ができる方に、それぞれ現在メンバーになっていただいております。

 なお、定数については、まだ規定は設けておりません。

佐々木(憲)委員 内閣の意向に基づいてトップダウンで推進する、こういう組織だと思うんですが、この法案の中に、現場の研究者の意見ですとかあるいは国民の声を反映する仕掛けというのはあるんでしょうか。

菅国務大臣 まず、この健康・医療戦略の策定に当たっては、学識経験者を初め、国内各層から幅広く御意見を伺って、本部で決定する政策に生かすことが重要だというふうに私どもも考えております。そのため、引き続き、本部のもとに有識者で構成する組織を置いて、専門的、技術的助言を受けて、そして健康・医療戦略の策定というものを実施していきたいというふうに思います。

 なお、本部が策定をする健康・医療戦略、医療分野研究開発推進計画といった計画は、事前に方向性を示すことによって、各省の関連施策の統一を総合的、整合的に図るという内閣の機能を補助するために、健康・医療戦略推進本部のような、内閣の事務を助ける機関が策定するものであるため、内閣のもとで決定をしていく、そういう形の構造にしています。

佐々木(憲)委員 今お聞きする限りでは、直接、国民の意見あるいは現場研究者の声が反映できる、そういう仕掛けにはなっていないように思いました。

 では、情報公開がどうなっているかという点です。法案の中に、会議録あるいは配付資料等の公表について、これはどのような規定になっているんでしょうか。

中垣政府参考人 御指摘の健康・医療戦略推進本部、あるいは参与会合、あるいは専門調査会の議事要旨、配付資料につきましては、原則公表することといたしております。今後も、この方針にのっとりまして、引き続き、公表を原則として対応してまいりたいと考えておるところでございます。

佐々木(憲)委員 では、この健康・医療戦略を推進する上で一番の肝になるのは、応用から実用化につなげる有望な基礎研究を選択して、重点的にてこ入れをするということだと思うんです。この作業を直接行うのはどの部門になるでしょうか。

菱山政府参考人 先生の御指摘は、研究開発をどこの部門が選択するかということだと思いますが、それにつきましては、新しく設置する独立行政法人の日本医療研究開発機構で、具体的なテーマについては、どの先生、どの研究者に研究をやっていただくかというのは、そこの独立行政法人で決定するということでございます。

佐々木(憲)委員 この推進本部のもとに健康・医療戦略推進会議というのがあって、そのもとに創薬支援ネットワーク協議会というのがありますね。ここが実際に基礎作業といいますか現実的な作業を行うということになると思うんですが、そうではありませんか。

中垣政府参考人 御指摘の創薬支援ネットワークにつきましては、従来、この委員会でも議論がございましたけれども、いわゆるシーズがなかなか製品につながっていかないというような御指摘もございますので、そこで、特に製薬会社のOBの方とかが入って、いわゆる目きき機能を発揮して、どうやってアカデミアのものを企業につなげていくかというためのことをやっております機関でございます。

佐々木(憲)委員 ここには、今おっしゃったように、産業界の関係者も直接入って行うということになっております。その場合の、ここの会議録とか配付資料等の公表、これはどうなっておりますか。

中垣政府参考人 創薬支援ネットワーク協議会については、企業の関係者が入っておったかどうかというのは……(佐々木(憲)委員「入っていますよ」と呼ぶ)済みません、ちょっと。

 ただ、創薬協議会につきましては、基本的には、今、議長は私どもの室長が行っておりまして、あと関係各省、そういった機関、それから基盤研、産総研、理研の代表者、そういった方が入っております。

柴山委員長 質問は、議事録が作成されるかどうかという質問なんですが。

中垣政府参考人 失礼いたしました。

 議事要旨の方をつくっておると承知しております。(佐々木(憲)委員「公開しているんですか」と呼ぶ)

柴山委員長 佐々木君、質問を続行してください。

佐々木(憲)委員 では、質問をもうちょっとちゃんとしましょう。もう一回言いましょう。

 私が聞いたのは、創薬支援ネットワーク協議会というのがありますね。これは、この推進本部のもとにつくられているわけです。その中に、今おっしゃったような医薬基盤研究所とかいろいろな研究機関、それから各省庁の担当の方々、さらに日本製薬工業協会の会長も入っていますね。したがって、関連業界からも参加をしているということははっきりしている。これは、政府のホームページを見れば出ているわけです。

 さらにその上で、その議事録の公開の問題ですけれども、これは、「創薬支援ネットワーク協議会の開催について」ということで、行われた協議の中で、こういうふうに書いているんですよ。「協議会は、原則として非公開とする。」ということになっているんじゃありませんか。

中垣政府参考人 失礼いたしました。

 構成員につきましては、製薬工業協会の会長は入っております。仰せのとおりでございます。

 議事録については、今ちょっと確認しております。申しわけございません。

佐々木(憲)委員 この配付された資料を見ますと、「創薬支援ネットワーク協議会の開催について」ということで、健康・医療戦略推進会議の決定、私は案の段階のものを持っていますけれども、その中に、四番目に「協議会は、原則として非公開とする。」こういうふうになっているわけです。

 したがって、原則公開のようなことを言われましたけれども、これはこのまま当然決定されているはずなんですけれども、非公開というのが原則じゃないんですか。

中垣政府参考人 冒頭申し上げましたように、健康・医療戦略参与会合それから専門調査会につきましては、原則公開しておるというところでございます。(佐々木(憲)委員「いや、ここの話」と呼ぶ)

 それにつきましては、公開を原則しておりません。これにつきましては、たしか、まだ具体的に、例えば新しいシーズとか、要するにいろいろ公表されていないものについての御議論もあり得るかということもございますので、非公開としているのではないかと。

佐々木(憲)委員 大体、公開するところと非公開にするところを分けて、非公開の部分で何をやっているかといえば、どの基礎研究にてこ入れをするかということを業界の代表も入って議論をしている。したがって、肝心の研究対象をなぜ選ぶか、それからどのような議論があったか、これが国民に見えないわけですよ。

 巨額の予算を配分するその基礎になることをやるわけですから、密室で行われて国民に見えない、これはおかしいので、官房長官、当然これはほかと同じように公開すべきではないですか。

菅国務大臣 今、政府委員から申し上げましたけれども、政策的助言の参与の会合と専門的、技術的助言の専門調査会というのは公開、そして、今、創薬支援ネットワークというのは基本的に非公開という話をいたしました。

 これは、例えば特許に関する問題だとか、そうした問題があるときというのは、やはりここは公開はできないというふうに思います。そういうことがあって、今、原則非公開にしているんだろうというふうに思います。

佐々木(憲)委員 これは非常に理解できない答弁です。これが非公開になりますと、実際に選択された結果、その措置が妥当かどうか、あるいは国民や国会がそれを検証するということができなくなるわけです。国会がチェックもできない。これはちょっと、余りにも秘密主義じゃないかなと思います。

 今、科学技術政策を進める政府側の検討の場となっているのは、総合科学技術会議であります。その中に、科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合というのがあるんです。

 総合科学技術会議のホームページを見ますと、平成二十一年度から現在までの議題と配付資料、議事概要というのが掲載してあります。

 お手元に配付してありますのは平成二十五年度分であります。昨年の四月からことし三月まで、安倍内閣になってからのものですが、ごらんになってわかりますように、ほとんど非公開なんですよ。一ページのところから見ましても、「主な議題」となって、議題の名前はついていますけれども、「(非公開)」「(非公開)」「(非公開)」「(非公開)」、全部非公開。二枚目も三枚目も四枚目も五枚目も、ほとんど非公開なんですよ。これは余りにも非公開が多過ぎるのではないか。

 具体的に聞きたいんですけれども、少しさかのぼりますけれども、今この資料には入っておりませんが、平成二十二年三月四日の議事概要を見ますと、「平成二十一年度科学技術の振興に関する年次報告」骨子案というのがあるんですね。これは非公表となっているんですが、もう四年前のものであります。今なお非公開にしている、その理由は何でしょうか。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 今委員御指摘の科学技術政策担当大臣等政務三役と総合科学技術会議有識者議員との会合でございますけれども、これは、総合科学技術会議のもとの本会議あるいは専門調査会とはちょっと異なりまして、科学技術政策担当大臣、担当副大臣あるいは担当の大臣政務官と総合科学技術会議の有識者議員、これは現在のところ、常勤の方が二名、非常勤の方が五名、それに日本学術会議の会長がいらっしゃいます。そういった方が忌憚なく意見交換を行うための、いわゆる打ち合わせの場として活用されているものでございます。

 この会合は原則として公開で行われておりますけれども、例えば、審査、検討過程にある個別具体の研究プログラムであるとか個人名を扱う場合、あるいは非公開を前提に自由闊達な議論をする必要があるという場合などは、座長が出席者の同意を得た場合は非公開とすることができるというものでございます。

 今具体的にお尋ねの平成二十二年三月四日の件でございますけれども、この会合につきましても、会議の冒頭に座長が議題に応じて非公開の可否について出席者の同意を得て決定する、そういったプロセスでございます。

 委員御指摘の議題、まさに、白書といいますか年次報告についての議論が行われたと思いますけれども、議論を非公開とすることを前提に自由闊達な意見交換を行っていただいたものであるというふうに認識しております。

佐々木(憲)委員 原則公開としていながらこれだけ非公開が多いということは、これは原則公開の意味がないわけですよ。忌憚なくと言いますけれども、当たり前ですよ、みんな忌憚なく議論するのは。それがほとんど公開されていますよ。経済財政諮問会議にしろほかの会議にしろ、相当忌憚のない意見を私は議事録で見ておりますけれども。そういうものを何で非公開にするのか。

 例えば、平成二十二年二月四日の議事要旨は、「最先端研究開発支援プログラム(一千億円、三十課題)について」というのがあるんですね、これも非公開。一千億円の原資は国民の税金ですからね。国民の税金を使うのに非公開だと。

 それから、平成二十三年二月二十四日の議事概要を見ますと、「医療イノベーション会議」は非公表の理由も書いていないんですよ。

 平成二十四年四月十二日の議事概要に「労働契約法の改正について」というのがあるんですけれども、これは「有識者議員の率直な意見交換の場とするため非公開」と書いてある。率直な意見交換を行うとなぜ非公開になるのか、理由がよくわからない。これは、若い研究者の任期つき労働契約の導入を議論したから非公開にしたということなんでしょうか。

倉持政府参考人 委員お尋ねの平成二十二年二月四日の件でございますけれども、ここでは、御指摘のように、最先端研究開発支援プログラム、いわゆるFIRSTと申しますけれども、これの研究費をその前に決められた三十課題にどのように配分するかについての議論が行われていると承知しております。

 三十課題の配分額の検討に当たりましては、各課題の研究内容について専門的な立場から精査、審査を行っておりまして、その過程においては、各課題の研究開発内容の詳細であるとか知的財産に係る内容、個人情報等も含むため、非公開としたものでございます。

 なお、その三十課題の配分額につきましては、同年三月九日に開催されました八十九回の総合科学技術会議の本会議において決定され、それは議事要旨とともに公開されているところでございます。

 それから、最近、非公開が多いという御指摘がございました。

 それにつきましては、今、特に総合科学技術会議の本会議で非常に闊達な御議論をいただくために、有識者の間で少し意見をまとめて、ペーパーを用意して御議論いただくというスタイルで本会議の運営をしておりまして、その準備として委員の間での御議論をしていただいているということがございまして、ちょっと最近、非公開の部分がふえている事情にございます。

佐々木(憲)委員 有識者会議はペーパーで出すのは当たり前で、そのペーパーもほかの会議ではみんな公開されていますよね。そんなのは理由になりませんよ、公開しない理由に。

 去年、戦略特区の議論をこの内閣委員会でさせていただきましたが、その際に、新藤大臣や八田座長がワーキンググループに提出したレジュメが非公開になっているという問題を私が取り上げたところ、その後、公開になりました。その公開された資料を見ますと、非公開にすべきようなものではない。何ということはないものを非公開にしているんですよ。これは何の支障もないんです、公開しても。

 しかも、四年も前のものをいつまでも非公開というのは、余りにも異様だと思います。

 こういうものはみんな、正しいかどうかは、やはり、こういうやり方について、公開を原則とするというなら、もっと公開をふやさないと。

 菅官房長官、今、一連の議論をお聞きいただいて、公開を原則というのならできるだけ公開する、何年もたっているものは公開するということをやったらどうですか。

菅国務大臣 今政府委員から答弁がありましたけれども、準備段階ということであります。

 ただ、全体の会合で決定したものについては全て公開をしておりますので、そこの決定の際の、全体会議の中の決定ということで私はいいのではないかなというふうに思います。

佐々木(憲)委員 非常にかたい答弁でありまして、こんなのは、できるだけ柔軟にするというのが基本的な答弁であるべきだと私は思いますよ。

 だって、こういうものを非公開にして、最終的に決まったことだけはお知らせしますというのでは、どういう議論があってそうなったのかという経緯がよくわからない。我々も議員として国会で議論する場合も、経緯がわからないと議論にもならないということになってしまいますから、これはぜひ公開ということ。

 もちろん、個人情報というのは、いろいろな支障がありますので、そういうのは伏せるというのはわかります。しかし、きちっと公開するというのを原則にしている以上、公開を原則にしていただきたいというふうに思います。

 次に、予算配分の問題ですけれども、一般会計予算の科学技術振興費の四%相当分から捻出されるということで、科学技術イノベーション創造推進費五百億円がつくられて、そのうち百七十五億円を推進本部が調整費として配分する、こういう仕組みになっているわけであります。

 配分の最終権限、これは総理大臣にあるという理解でよろしいですか。

菅国務大臣 今委員からの質問の中で、この百七十五億円でありますけれども、医療分野の研究開発に関し、各省をまたいで機動的そして効率的に予算配分をすることを目的とした調整費として活用することといたしておりまして、その配分については、研究現場の状況、ニーズを踏まえ、最終的には医療戦略推進本部で決定をいたしますので、これは総理大臣であります。

佐々木(憲)委員 そうしますと、科学技術イノベーション創造推進費の原資である科学技術振興費からの捻出割合、四%とされていましたけれども、例えば、これを六%にするとか七%とか、そういうことも今後は可能になると思います。

 そうなりますと、この幅広いボトムアップの部分に配分されている科学研究費補助金、いわゆる科研費、この比重は相対的に低下するということになるんじゃありませんか。

倉持政府参考人 科学技術イノベーション創造推進費のお尋ねでございます。

 これは、今回、総合科学技術会議の方で、司令塔機能強化という観点から、特に、やはりイノベーションを創出していく上で、各府省を横断して基礎から実用に向けてそれを加速していくために、府省横断型のプログラムを推進するために予算を計上したということでございます。

 その中で、二十六年度に当たりましては、それまで内閣府に予算を持っておりませんでしたので、各府省に協力を求めまして、過去の調整費の実績等を踏まえまして、科学技術振興費の四%相当分を御協力いただいて、今回、内閣府に計上したということでございます。

 今後、どういうふうにこのプログラムをやっていくかということにつきましては、改めて総合科学技術会議の方で検討してまいりたいと考えております。

佐々木(憲)委員 全体の予算がどんどん広がっていくというのであれば、全体として重点化しても、ほかの裾野のところも上がっていくというふうになると思いますけれども、どうも今の予算の組み方ということを考えますと、一定の枠がある中で重点化しますと、ほかの部分が裾野がどんどん低くなってしまって、特定分野だけが重点化されてしまう、こういう危険性があるのではないかという危惧は、学者、研究者の間でかなり広がっております。

 例えば、昨年六月に、七つの学会が連名で緊急声明を出しているんです。それを見ますと、日本生化学会会長、日本分子生物学会理事長、日本免疫学会理事長、日本癌学会理事長、日本神経科学学会会長、日本細胞生物学会会長、日本ウイルス学会理事長と、そうそうたるメンバーがずらっと名前を並べて、こういうふうに言っています。

 「多くの優れた科学技術は、知的好奇心にはじまる研究成果から生まれたものであり、長期的に次々と産業化にむすびつくイノベーションを生み出すためには、異分野融合研究をふくめた裾野が広い基礎研究体制を維持することが必須である。」「我々は、実用化を指向した一貫性・計画性のあるトップダウン型科学技術推進戦略のみが一人歩きすると、我が国の科学の発展は危機的状況を迎えかねないと危惧するものである。」

 大変、こういう分野でトップクラスの方々が危惧の念をあらわしておられるわけであります。

 こういう危険性に陥るということは考えられませんか。

菅国務大臣 科学者、研究者、そうした皆さんの要望も踏まえた上で、ここはしっかり対応させていただいているということであります。

佐々木(憲)委員 余り具体的な御答弁じゃないんですけれども。

 昨年六月十一日、これは二十七団体が参加している生物科学学会連合、これも緊急声明を出していまして、同様の見解を表明しております。

 時間がありませんのでもう詳しくは御紹介できませんけれども、これはやはり、今議論をさせていただいて、業界関係者が直接この中に入って、そこで配分を決めていく、研究についてもそこが決めていく、こういうふうになっていきますと、特定の業界だけにシフトしていって、かなり広い裾野の研究が枯れてしまうのではないか。

 それは、全体として言うと、長期的には産業の発展、医薬医療、そういう分野の発展にマイナスになるのではないか、こういう危険が当事者の研究者から指摘されているわけです。したがって、この点は非常に重要な指摘が広範にされている状況ですので、私どもは今後とも議論を深めてまいりたいというふうに思っております。

 以上で終わります。

柴山委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。

 本日は、独立行政法人日本医療研究開発機構法案及び健康・医療戦略推進法案について質問させていただきます。大変基本的なことばかりになるかと思いますが、よろしくお願いいたします。

 さて、きょうは、四月二日は世界じゅうがブルーになるということで、私も現地から見ますけれども、また、東ちづるさんがやっておりますゲット・イン・タッチという団体もやっておりますが、世界自閉症啓発デーということで、今晩は東京タワーがブルーになります。ライトアップもありますので、御興味があれば、ぜひ見ていただければなと思います。多くの方に同じ思いを共有していただきたいと思いますし、人それぞれ、さまざまな個性があります。その違いというものを認め合える、そういった社会であってほしいと思います。

 また、私もよくつけておりますけれども、ピンクリボンや、さまざまなバッジをつけている人はいらっしゃるかと思います。医療の技術というものがもっと進むことによって、病気やその不安というものから早く解放されるということは大変重要なことだと思っております。

 その中において、このような機構等が設立される方向で法案が出されるということは大変意義深いものかとは思いますけれども、逆に、さまざまなものができることによって、予算の無駄遣いだったり重複であったり、現実的にはうまく回らない。そういったことが、今、健康長寿社会の形成に資するということでこの法案や推進会議等はつくられるんでしょうけれども、結局のところ、さまざまな負担増につながって、長く生きれば生きるほど苦しいなどということになってしまわないかというのを危惧しております。

 現状としては、きのうから消費増税になりました。私も地元に帰りますと、商店をやっている方や中小零細企業、また高齢者の方々は、明るくしていても、大変苦しいということをこっそりおっしゃられる。こういった意味においては、本当に、さまざまな方の我慢の上に成り立つような税の取り方や医療のあり方、福祉のあり方というのは根本的に見直さなければならない時期が来ているんだというふうに考えているところであります。

 さて、そこで本題に入ってまいりますけれども、米国でのNIHと、今回計画されている通称で言えば日本版NIH、ただ、今政府の方ではこの表現は使われておりませんが、大分格差があるとよく言われます。人員規模、米国では一万八千人、日本では約三百人。予算規模も、米国では三・一兆円、日本では約千二百十五億円という、大きく異なる組織形態などがございます。

 その中でも特に、やはり自前の研究機関を持つか持たないかということも大きな点かと思います。

 そういう意味において、今回、関係する研究機関などを統合した組織とならなかった理由、まず、この点を簡潔にお聞かせいただければと思います。

菅国務大臣 まず、この二つの法案というのは、健康で長寿社会を実現すること、そうしたことを目指したものであるということを御理解いただきたいというふうに思います。

 そして、アメリカのNIHと今回の組織形態についてでありますけれども、それは、それぞれ研究が行われてきた歴史的過程もあるわけであります。そういう中で、今回この法案を出させていただいたというのは、やはり、我が国の現状を考えたときに、厚生労働省、文部科学省、経済産業省という縦割りの中で、基礎研究から実用まで一貫性に欠けている、そうしたことをもっと効率的に、その目的が達成することができるようにという思いの中で提案をさせていただいておるわけであります。

 我が国においては、これまで、大学や研究所等において数々の実績があります。例えば、ノーベル賞受賞につながったiPS細胞に見られるように、医療分野のすぐれた研究がこうしたところで行われてきました。

 こうしたすぐれたシーズをいち早く実用化するために、この研究開発体制のあり方を考えるに当たっては、こうした既存機関の能力及び機能を最大限活用しながら、今回の新しい機構が一体的に研究管理・支援等を実施して、基礎研究の成果を切れ目なく実用化につなげることが最も効率的で効果的な方法であるということを考えたわけであります。

 その結果として、自前の研究所を持たずに、研究費の配分、研究管理・支援等に特化した、こうした法人を設立することに至った次第であります。

小宮山委員 そうはいいましても、やはり研究員、またそれを精査するという意味においては、研究実績というのは、身近にそういった機関がある方が、やはり助成を出す側のスキルアップというのにもつながるのではないかというふうに思います。

 そういったことを考えますと、さまざま関連するような、各省庁お持ちでもありますし、統合するまでいかなくても、傘下に置くとか、企画立案機能を機構に位置づけるなどにより、一層目的達成に向いた組織形態を法内容に示すということもできたのではないかというふうに考えます。

 また、今回の二法案では、先ほどからおっしゃっておりますけれども、基礎的な研究から実用化のための研究開発まで一貫した研究開発の推進及びその成果の円滑な実用化と述べられているものですけれども、やはり、実用化に結びつく基礎研究開発を進めることが強調されているようにも見受けられます。

 ということは、逆に言えば、実用化が見えてくるような内容ではない基礎的な研究テーマへの後押しというものが相対的に弱まることへの懸念というものも、さまざま声が上がっているようでもあります。

 この点に関しまして、改めて、短期的な成果や利益を追求する色合いが強くなっているのではないか、また、基礎研究が軽視されるのではないかという懸念に関する、それを払拭していただけるような御答弁を重ねておっしゃっていただければと思います。

菅国務大臣 基礎研究というのは、ここは極めて大事だと思います。研究者の皆さんが自由に自分の研究を行う、そこから大きな発見があってくる場合というのは圧倒的に多いわけですから。ですから、今回、基礎研究分野については、文部科学省にそのまま実は残してきております。

 ただ、今、私申し上げましたように、実際、この三省でやっている部分がどうしても連携がなかったわけでありますので、日本は残念ながら、医薬品だとかあるいは医療機器というのは二兆二千億円の輸入超過にもなっているわけでありますから、日本にはそうした、ある意味では能力がありながらそこを生かし切れていなかった、そういう反省の上に立って、世界最高水準の医療を実現する、あるいはまた、健康・医療の産業、そうしたものを海外に進出して、海外の皆さんの健康寿命にも役立つことができる、そうしたことを目指そうというものであります。

小宮山委員 これは、二月に新聞の記事にあったんですが、文科省は菅官房長官へ直訴、基礎研究に充てる科学研究費補助金を新法人から切り離すことをかち取った。厚労省も、国立がん研究センターなど国立高度専門医療研究センターの集約案に反対した。厚労省関係者は、米国NIHのようなものができるとは、最初から誰も思っていなかった、各省がそんな大きな予算を出せるわけがない。別の政府機関関係者も、これは括弧書きです、検討当初から誰も旗なんか振っていなかったというような記事が載っておりました。

 そういう意味では、調整役というのを担うとされているこの機構という組織が、本当に実際どれだけ動くのかな。最初から統合なり、また連絡をするような形をとっていれば、米国のような大きな、集約すれば相当な予算になると思いますし、逆に言えば、調整機能に千二百十五億円が必要なのかというのも、これで考えると大変大きな額でもあります。

 庶民から考えたり各都道府県の予算を考えたりしますと、市町村から見ると、こんな大きな額を一つの機構に移すこと自体、少しでも分けてもらいたいと本当に思うような、すごく大きな額であります。米国と単純に比較するというものではありませんし、調整機能だけにこれだけかかるのかというのは、非常に私も疑問を持つところでもあります。

 また、そういう意味の発言があったとの報道を聞きますと、なおのこと、今後この組織は本当に必要なのか、これでうまくできるのか、今のままでもいいのではないかと思わないでもないところでもありますので、この点だけは指摘をさせていただきます。

 さて、機構の業務の範囲でありますけれども、「大学、研究開発法人その他の研究機関の能力を活用して行う医療分野の研究開発」、これは法第三条において、機構自身は、研究開発の中身や進め方、手法など、どの程度主体的にかかわっていくことになるのか、お聞かせください。

菱山政府参考人 機構自身は、御指摘の機構法の中の第十六条第一項第一号で「医療分野の研究開発及びその環境の整備を行うこと。」というふうになっておりまして、この機構につきましては、主体的に何をするかというと、研究費の配分をしていくということになります。それで、大学や研究機関がみずから、今も研究しておりますが、大学の医学部等それから研究機関が研究を進めていくというものでございます。

小宮山委員 何か、わかったようなわからないような。

 業務の範囲を記した第十六条などには、みずからの研究開発部門を持つ形への機能拡大を妨げない、解釈によっては肥大化する余地を残せるように規定されているとも見受けられます。この点の見解をお聞かせいただきたいと思います。

 機構本体で独自の研究開発を行うことが、実際には、第十六条に規定する業務以外の業務を行うことという解釈になるのか、確認させてください。

菱山政府参考人 失礼しました。

 機構法の十六条第一項一号のところでは「医療分野の研究開発及びその環境の整備を行うこと。」というふうに書かれておりますので、機構がみずから研究開発を行えるように解釈し得る余地があるように見えます。

 しかしながら、第三条の目的条項の中に、先生今御指摘もありましたように、大学、研究開発法人のことが書かれておりまして、その「能力を活用して行う医療分野の研究開発及びその環境の整備、研究機関における医療分野の研究開発及びその環境の整備の助成等の業務を行う」と書いてございまして、それは、委託するとか補助の方法により業務を行うということを明記しております。

 そういったことを考え合わせますと、この業務条項でもって、機構がみずから研究開発を行うということはできないという解釈になると考えております。

小宮山委員 機構が助成の対象となり得る研究開発法人の一つの独立行政法人医薬基盤研究所では、同研究所の業務の範囲が大変わかりやすく示されております。

 同研究所の場合は、みずからも研究を行い、また、外部にも委託するなどして研究を進め、その成果を普及しようとすることが明確であります。日本医療研究開発機構の業務範囲は、どちらとも読めるような文言の並べ方となっております。このように明確に、逆に助成支援を前面に限定する記述というのも望ましいかと思いますが、この点に関して議論はなかったのか、また、その点に関しまして御説明をお願いいたします。

菱山政府参考人 医薬基盤研究所法におきましては、先生御指摘のように、二つ、両方ができるということでございます。ただ、委託によって研究開発を実施する業務を法律において規定する場合には、法律形式上、あくまでも、委託者である法人、ここでは医薬基盤研究所になりますが、この法人自身が実施主体ということになるため、みずから行うというだけを規定するというのが一般的になるということでございます。

 それで、今御指摘の、例に挙げていらっしゃいました医薬基盤研究所におきましては、みずからも研究開発を行う業務を有しているということと、それから、他の方に委託して研究開発を行う業務を持っている。その二つ、両方をあわせ持っておりますので、その双方を業務に含まれることを法的にしっかり書くということから、あえて書き分けているものというふうに考えております。

小宮山委員 一部、意見として、またきょうもほかの委員の質問にあったようでありますけれども、小さく産んで大きく育てていきたいということもよく言われるこの機構でもあります。また、先ほど御紹介させていただいた関係省庁の関係者の言葉などを見ると、大きくなるのかどうかというのも疑問に思うところでもあります。

 ただ、やはりしっかりとした支援を学者の方たちにしていくということ、研究者というのはなかなか過酷な場でもあります。そこをきちんと明確にすること、研究に対しての助成を基本的にするんだということをもう少し前面に押し出した方がいいのではないかという思いもいたしますし、また、機構としては独立して委託で事業もできるということであります。その部分が、今回、先ほどの三条、十六条などの読み込めるところなんだと伺っておりますので、きちんと委託をするのであれば、そういった意味において、連携がきちんととられなければならないとも考えております。

 場合によっては、やはり名称は、しっかりと支援という名前も機構の名称に入れた方がいいのではないか、その方がより明確にこの機構の役目というのがわかるのではないかなという感想も持っているところでもございます。

 さて、研究開発成果の実用化のための審査体制の整備についてお伺いしたいと思います。

 医薬品などの承認審査、実用化手続を迅速かつ的確に実施するための審査体制の整備その他の施策としてどのような取り組みを行うのか、お聞かせください。

成田政府参考人 世界に先駆けて革新的な医薬品等の実用化を進めるということが成長戦略の重要な柱の一つであるというふうに認識しておりまして、厚生労働省では、日本再興戦略を踏まえまして、PMDA、医薬品医療機器総合機構でございますけれども、その審査体制の充実強化に取り組むこととしております。

 具体的には、審査の質の向上等に必要なPMDAの体制の強化、それから開発初期からの明確なロードマップ相談を実施するための薬事戦略相談の拡充、それからPMDA関西支部の設置など、審査、相談体制の強化に取り組んでいるところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、審査の迅速化と質の向上を図り、我が国のすぐれた基礎研究の成果を実用化につなげ、成長戦略を推進してまいりたいと考えております。

小宮山委員 昨年、再生医療等の安全性の確保等に関する法律案及び薬事法の一部を改正する法律案が十一月に成立いたしました。一年以内に施行されることになりますけれども、再生医療等提供の手続がリスクに応じて第一種から第三種まで規定され、また、医療機器に関する定義の改正や、新たに再生医療等製品に関する定義規定が置かれるなどいたしました。

 薬事法改正が議論された際には、幹細胞療法に取り組む現場の医師などから、これまで自由診療として規制がなかったがために実施できた治療法が、特定認定再生医療等委員会等での審査と厚生労働大臣への計画提出が必要となることから、行えなくなる期間が生じるのではないかと危惧する声が寄せられました。制度上の確認をさせていただいたこともございます。

 また、新しい医薬品、新しい治療法等については、安全性の確保の確認ができたものについてはできるだけ早くに用いられるようにするべきだと考えておりますとともに、また、実用に際しては、関係者への告知や問い合わせなどが容易にできる、またくまなくできるようにすること、そういったものが、提供する側、また患者側に対しても大変重要かと思っております。この点に関しましては、ぜひ丁寧にしていただくことをお願いしたいと思います。

 さて、機構が能力を活用あるいは助成対象とする研究機関等についてお伺いしたいと思います。

 大学、研究開発法人、その他の研究機関のうち、研究開発法人は、研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律第二条第八項に規定する研究開発法人として、同法の別表の三十八の独立行政法人が示されております。

 対象とされる大学は国内の大学のみなのか、また、その他の研究機関には外国の研究機関も含まれるのか、この点についてお聞かせください。

菱山政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大学につきましては、現時点におきまして、平成二十六年度予算に新独法対象経費として計上している事業について、交付先として考えている大学といたしましては、国内の大学のことでございます。

 それから、その他の研究機関に外国の研究機関も含まれるのかという御質問でございますけれども、この機構法案の第三条に規定いたしますその他の研究機関には、この法文上、外国の研究機関も含まれ得るというふうに解しております。

 ただ、現時点では、今申し上げましたように、専ら国内の大学それから国内の研究機関等を対象としているものというふうに承知しております。

小宮山委員 海外の大学や研究機関等を、専らということは、対象には入ることもあるんでしょうか。海外の研究機関も入るんでしょうか、排除されるんでしょうか、それとも可能なんですか。教えてください。

菱山政府参考人 実際上、今は対象になっておりませんが、法律上、対象とすることもできるということでございます。

小宮山委員 今ですと、やはり共同研究というものが大分多くなっているということを考えれば、海外の研究機関と全く連携をしないでの研究というのもあり得ないというふうに考えるところでもありますし、国内だけでできれば、それは大変、目指すべき方向性なのかと思います。

 ただ、海外の研究機関が含まれる場合は、我が国の経済成長に資するものとの目的に照らし、拠点はやはり日本国内に置かれることなど、さまざま検討する点はあるかと思っております。

 その点に関しまして指摘をさせていただきたいと思います。何か御提案があれば、受けていただければどうぞ。手がちょっと挙がったんですが、よろしいですか。この辺、どうされるんですか。

柴山委員長 では、質問ということですので、お答えください。

菱山政府参考人 失礼しました。

 国際共同研究は非常に重要だというふうに考えておりまして、今回の二十六年度予算の中にも、国際共同研究の推進というのは入ってございます。そういった観点からは、国際協力はこの医療研究分野でも非常に重要だということで、推進してまいりたいというふうに考えております。

 ただ、予算の執行法についてはいろいろな考え方があると思いますので、それも工夫をしてまいりたいというふうに考えております。

小宮山委員 ちょっと今、通告はしていないんですけれども、聞きながらふと思ったんですが、こういった場合、我が国の経済成長に資するものというのはどういった判断基準になるのか。通告はしておりませんけれども、基本的なことだと思うんですが、今の話をすると、当然、それに資するように、招聘をしたりさまざまなことも検討されているんだと思うんですが、そのあたりの整合性等を教えていただければと思います。

菱山政府参考人 この医療の研究開発の目的自体は、医薬品であったり、医療機器であったり、医療技術であったりというふうに承知しておりまして、それらは、基本的には産業なりに使われて成長に資するものというふうに考えております。

小宮山委員 わかったような、わからないような。成長すると見込んで助成するんでしょうから、そうなんでしょう。

 さて、ということは、結果としては、やはり特許であったり知的財産権など、そういったものにつながって、日本の経済成長に資するものにつながらなければならないんだとも聞きとれるのかなと、随分補足しているような気もいたしますが、させていただく。

 そうなってきますと、この機構役職員の守秘義務と倫理規程についてお伺いしたいと思います。

 機構役員、職員、元役職員には秘密保持義務が課されています。機構は、研究開発の成果の円滑な実用化へとつなげることを目的としていることから、役職員等が知り得た情報について、実用化のために相当程度、部外者である医薬産業界の関係者等とのやりとりをする必要があると考えておりますが、場合によっては癒着にもつながるのではないかと危惧をしているところでもあります。

 この実用化を進めるための連絡等の行為自体、守秘義務との間でどのように整理されることとなるのか。国家公務員の場合であれば、守秘義務が課せられるほか、国家公務員倫理規程による定めがあり、講演等の報酬、供応接待の内容などを贈与等報告書として提出することとなっております。

 このようなこと、倫理規程も含めまして、どのような形で守秘義務等を守っていくのか、その範囲などについてお聞かせいただければと思います。

中垣政府参考人 ただいま委員御指摘のとおり、日本医療研究開発機構の役員及び職員につきましては、今般の独立行政法人日本医療研究開発機構法案におきまして、第十四条により秘密保持義務を課すとともに、第十五条にいわゆるみなし公務員の規定を置いておりまして、情報の漏えいとか収賄というのが刑事罰の対象となっておるところでございます。

 さらに、機構につきましては、国家公務員倫理法第四十二条に基づき、機構の職員について、国家公務員に準じた職務に係る倫理の保持のために必要な措置を講ずるべきとされておるところでございます。

 こういった規定もございますので、いずれにいたしましても、機構の役職員の職務に係る倫理保持にはしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

小宮山委員 しっかり取り組んでいただけるとは思いますけれども、やはり国家公務員の贈与等報告書のような制度を設けるべきではないか。やはり不適切な関係の防止や、また抑止力ともなり、事後の検証に資するものとなるのではないかと考えております。

 機構役員についての倫理面での扱いをどのように規定されるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 私自身、国会議員にならせていただいて、もともとは、ほかのもの、公務員のバイトを調べておりまして、この報告書を実際に厚労省のところへ見に行っていたときがあります。医療系の役職の方が毎日のように、というか一日何回も講演をして、一時間大体十万ぐらいだったのかな、記憶では。月にすごい額でございまして、ただ、問い合わせをすると、ちゃんと仕事はしているんだということでありました。

 そういう答弁でありましたので、その場は一回だけで私も質問をやめたんですが、その後、会計検査院が一年かけてお調べになったようで、全てではないんですが、やはり虚偽の報告も出ていたということ。

 また、実際、調べていて気になったのは、OBのいる薬剤関係のところへ講演に行って、講演料をいただいていたということで、やはりさまざまな癒着というものも見てとれる面があったのも事実であります。大変優秀な方だったというふうには聞いております。大変人もいい方ではあったんでしょう。断れなかったことも多々あるんでしょう。

 そういった観点からすると、やはり公務員の規程というものを、独法でもあります、国のところではありませんが、やはりきちんと設定をさせるということが重要になってくるのではないかと思います。

 特に、昨今のさまざまなことを考えますと、設置したときにはこういったことをしっかりと推進するように勧告するなりを、必要かと思いますので、この点に関して、官房長官、ぜひ、今答弁に主に立っていただいておりますので、公務員の倫理についてどのような考えをお持ちなのか。この点に関して、倫理規程を置くべきと考えていますが、政府の見解をお聞かせください。

菅国務大臣 機構の役員、職員については、この機構法において、情報漏えいだとか収賄を刑事罰の対象に実はいたしております。

 いずれにしろ、国家公務員に準じた職務に係る倫理保持のために必要な施策を講じるということにされておりますので、そこは倫理保持にしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 独立行政法人になりますので、政府の直接の組織ということではなく、やはり独立性が求められるものだとも思います。しかし、やはりこうやって法律をつくってまで設置する、そして、先ほども申し上げましたが、多くの税金を使ってするということを考えれば、きちんと、特に実用化を目指す制度をつくるということになれば、これは間違いなく癒着というものも、人間であります、しっかりと考える。

 また、さまざまなそういったときに、おつき合いをしていることが明確な上で、その上でおつき合いをされて、それが公開をされていることというのも大変重要なことだと思っておりますので、この点に関しまして、しっかりとチェックをしていただき、そして設置をしていただくことをお願いいたしまして、ちょっと残余の質問はございますけれども、終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の両案に対し、厚生労働委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、明三日木曜日午前九時から開会いたしますので、御了承願います。

 次回は、来る四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十八分散会


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