衆議院

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第11号 平成26年4月9日(水曜日)

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平成二十六年四月九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    加藤 寛治君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      城内  実君    小松  裕君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長島 忠美君

      福山  守君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      後藤 祐一君    津村 啓介君

      若井 康彦君    井上 英孝君

      遠藤  敬君    杉田 水脈君

      中丸  啓君    山之内 毅君

      伊佐 進一君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    濱村  進君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      佐々木憲昭君    村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中垣 英明君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  菱山  豊君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官)          村田 善則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房技術総括審議官)       三浦 公嗣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           安永 裕幸君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月九日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     加藤 寛治君

  秋葉 賢也君     城内  実君

  遠藤  敬君     井上 英孝君

  輿水 恵一君     伊佐 進一君

  浜地 雅一君     濱村  進君

  赤嶺 政賢君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     青山 周平君

  城内  実君     秋葉 賢也君

  井上 英孝君     遠藤  敬君

  伊佐 進一君     輿水 恵一君

  濱村  進君     浜地 雅一君

  佐々木憲昭君     赤嶺 政賢君

    ―――――――――――――

四月九日

 重大な犯罪を防止し、及びこれと戦う上での協力の強化に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定の実施に関する法律案(内閣提出第三五号)

同月七日

 憲法違反の推進法を廃止し社会保障の拡充を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第五二七号)

 TPP交渉から撤退することに関する請願(吉川元君紹介)(第五五七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第六〇八号)

 社会保障と税の一体改革とマイナンバー法の実施を中止することに関する請願(笠井亮君紹介)(第五五八号)

 特定秘密保護法の撤廃に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 健康・医療戦略推進法案(内閣提出第二一号)

 独立行政法人日本医療研究開発機構法案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案の両案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中垣英明君、内閣官房内閣審議官菱山豊君、内閣府政策統括官倉持隆雄君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君、文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君、文部科学省科学技術・学術政策局科学技術・学術総括官村田善則君、厚生労働省大臣官房技術総括審議官三浦公嗣君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、経済産業省大臣官房審議官安永裕幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 本法案も、委員長の御指導のもと、質疑を深めてまいりました。きょうが、残すところ総括的な質疑で、政府においてきちんと答弁がなされたという前提でございますけれども、総括的な質疑、こうなっているわけであります。

 そこで、まず官房長官にお伺いしたいと思うのですが、健康・医療の戦略というのは、広い意味で社会保障政策であろうか、こう思うわけであります。その社会保障の政策の立案に当たって、これまで、我々といいましょうか国会の中では、税と社会保障の一体改革、こういう言い方をしてきたわけであります。

 税については、御案内のとおり、四月から消費税率が三%引き上がりました。これについては、自民、公明、民主、三党で合意をし、そしてその一体改革法案に基づいて安倍政権において最終的な判断をされて、税が引き上げられた、こういうことだろうと思っています。

 この税と社会保障の一体改革、こういうことでありますけれども、この言葉が、官房長官、最近何となく政権から聞かれなくなったな、こういう印象を受けているんですね。

 と申しますのも、総理の施政方針演説等々、演説をもう一回きのう私は読み直したのですけれども、この言葉がないんです。税と社会保障の一体改革という言葉がないんです。私は、言葉というのは大事でありまして、特に総理の施政方針演説というのは、これは相当力を込めて、各省さまざまな思いを込めて、また総理の思いも込めて、官邸の思いも込めてつくられるものでありますけれども、この演説に記述がない。これは一体どういうことなのかなと思うんですね。

 税の方は改革して上がったけれども、本来なら社会保障も一体として改革をする、この一体改革という言葉が消えてしまった。これはすなわち、官房長官、社会保障とあわせた一体改革の必要性がないと安倍内閣総理大臣はお考えなのか、首相官邸はそのように判断をされているのか、ぜひお伺いをしたい。

 また、総理の御発言からも、さまざまな御発言からも、自民、公明、民主で合意をした税と社会保障の一体改革という言葉を、なぜ総理はお使いにならないのか。本来なら、消費税が上がったというこの局面で、税と社会保障の一体改革の一環としてという言葉がもっと表に出てきていいはずなのに、この言葉をお使いにならない。なぜ総理はお使いにならないのか、その理由をお答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 まず、税と社会保障一体改革、民主党が与党のとき、私ども野党でありましたけれども、消費税引き上げの決定もさせていただきました。そうした中で、まさに税と社会保障の一体改革、このことを進めていこうということでありまして、私ども安倍政権も、まさにこの税と社会保障の一体改革、その思いの中でさまざまな法案を出してきている、このことはぜひ御理解をいただきたいというふうに思います。

 例えば、本年四月一日の閣議において、総理から、一体改革という言葉を用いて、全閣僚に理解と協力を求める発言がありましたし、昨年、消費税の引き上げを確認した十月一日の閣議決定文書においても、一体改革の推進について言及をいたしております。

 そういうことの中で、安倍内閣は、税と社会保障一体改革、それに基づいて今私どもは行っているということでありますし、現に、この社会保障・税一体改革の担当大臣、甘利大臣を置いていますから、そこは全く変わっていないということであります。

 政権としては、受益と負担、その均衡のとれた持続可能な社会保障制度をしっかりつくっていくというこの思いには、全く変わりはありません。ぜひ、民主党の皆さんにも、こうしたことについて御協力をいただきたい、こう思っています。

近藤(洋)委員 官房長官、ありがとうございます。

 今の御答弁の中で、一体改革という言葉を九回使っていただきました。数えたんです。

 これは全く聞こえなくなってきたんですね。まさかと思うんですけれども、民主党政権下で行ってきたことを、政権がかわったんだから新しい気持ちでやりたいという気持ちは、これはよくわかります。我々も政権をとったときにはそういう思いでありました。

 ただ、この税と社会保障の一体改革は、自民党と公明党と民主党、三党で決めたことでありますから、これはやはり大事な言葉であるし、大事な方針である。言葉は大事でございますし、ぜひ総理のお口からも、事あるごとに税と社会保障の一体改革という言葉を、その必要性を繰り返し言っていただきたい。

 ちょっと気になるのは、あれは党首討論のときでしたか、他党の党首との討論、渡辺喜美党首との御討論でしたけれども、そのときに安倍総理が、税と社会保障の一体のことについて、当時私は、うらぶれた野党の一議員といったような言葉だったかと思いますが、いずれにしろ、野党のただ一議員であったから、この政策にはかかわっていなかったといった趣旨の御発言を党首討論でされていたのを私は記憶しております。

 しかし、この大きな方針は政治としての判断でありますし、この税と社会保障の一体改革という言葉をぜひ官邸からも、総理みずからの言葉でもおっしゃっていただき、また、今、官房長官が九回も御発言いただいたように、何度も必要性を訴えていただきたい、こう思うわけであります。

 さて、本論に移ります。

 参考人を今回の質疑でお呼びして、それぞれ、京都大学のiPS研究所の山中先生、また慶応義塾大学の医学部長、さまざまな先生からお話を伺ったのですが、その際に大変貴重な御意見をいただいたのですけれども、こういう言葉がございました。医療技術の分野において、日本は、生みの親にはなるんだけれども、その技術を実用化させて世界に広げる育ての親にはなっていないという御指摘がございました。その最大の要因は、臨床研究が劣勢に立たされているからであるという御指摘でございました。

 確かに、臨床研究の大規模化や、大変複雑になってきているという中で、日本の拠点整備は大きく出おくれているという気がいたしますし、国際化にもややおくれた感がある、こう認識しておるわけであります。

 そこで、この法案の担当大臣として、臨床研究の体制整備の重要性、特に私は、急ぎやるべきだ、こう思うわけであります。

 この法案は、大きな方針を決めるということでありますけれども、私どもはここに、臨床研究についてはある程度年限を区切って体制を整備すべきではないか、こうも考えておるところでございまして、与野党間で協議をして、一定程度、例えば三年という期限を区切って臨床研究の体制整備を急ぐべきだという修正も現在用意をしておるところでありますが、この臨床研究の緊急性についてどのようにお考えか。

 また、臨床研究、治験において特に重要なのは、一つには国際的な共同研究の取り組みだろうと思うんですね。大きな開発になればなるほど、アジア諸国や欧米の病院機関との連携について一段と強化する必要があろうか、こう思いますが、担当大臣としてどうお考えか、お答えをいただけますでしょうか。

菅国務大臣 参考人の御指摘のあった、日本は生みの親だけれども育ての親にはなっていない、まさにこのことについては従来より指摘されたことでありまして、今回の法案によって、生みの親、育ての親、そしてまさに国民の皆さんに幅広くそのことを、実行に移して理解をしてもらう、そこの一貫性のもとでこの法案を出させていただいたわけでありますから、そのまさに臨床部分、治験の部分が弱いということは、私どもも十分承知の上で今回法案を出させていただいたわけであります。

 その結果として、昨年六月に日本再興戦略というのを閣議決定しました。ここにおいても、新たな研究開発体制の一つの柱として、「国際水準の質の高い臨床研究・治験が確実に実施される仕組みを構築する。」こういうことも実は書いておりますので、この認識は委員と私ども政府は全く一緒だということをまず御理解いただきたいというふうに思います。

 その上で、厚生労働省において、臨床研究のための中核病院を新たに医療法上に位置づけるための法案を今国会に提出しますので、そこは、皆さんの御協力をいただいて、できる限り早く成立をさせていただきたいというふうに思っています。

 そしてまた、国際的な共同研究とか治験の取り組み、また欧米、アジア諸国との連携等ということでありますけれども、ここもやはり一段と強化する必要があるだろうというふうに私どもは考えております。

 日本がこうした中でリーダーシップを発揮して国際的な連携を主導することができるように、対応をしっかりと行っていきたいというふうに思っています。

 日本主導型グローバル臨床研究体制、このことを昨年六月に、私、本部長のもとで決定をさせていただいて、ここに向けて今さまざまな対応を行っているところであります。日本国民がまさに世界最先端の医療を受けることができるように、そういうことを私ども今全力で取り組んでいます。

 そういう意味においては、今度の法案は、そうしたことも含めて日本の医療全般にわたって極めて意義のある法案でありますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

近藤(洋)委員 臨床研究についてなんですけれども、特にこれは人材だと思うんですね。委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、「研究機関の責務」、第五条。そして、「国は、」という「人材の確保等」の第十六条。それぞれ、医療分野の研究開発及び成果の普及並びに人材の育成に積極的に努めなければならないという研究機関の責務、第十六条、国は、その人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずるものとする、こう書いておるわけですが、この人材の中で、特に臨床にかかわる人材の問題が指摘をされてきておるわけであります。とりわけ医療統計の分野、さまざまなデータを解析してそれを分析する統計の専門人材の不足が参考人からも指摘をされてまいりました。

 いわゆるノバルティスファーマ社という製薬会社の不正の発覚がございました。お金を出して、そして、寄附はいいんですけれども、データの不正があった。そのデータの不正があった背景には、データを解析する人もその会社の社員であったということでありました。当然、社員ですから、ある程度都合のよいデータ解析をしてしまった、こういうことであります。これも、なぜそんなことになったかといえば、研究機関にそういう解析をする人がいなかった、こういうことであります。

 こうした医学統計、これは別に医学部とか薬学部というところではなくて、理学部を卒業されたような方の人材なわけだとは思うんですけれども、こうした医学統計、研究開発の人材の育成が急がれる、こうも思うわけでありますが、これに関する現状認識について政府はどのように思っているのか、お答えいただけますか。

中垣政府参考人 基礎研究の成果を実用化につなげるためということで、臨床研究の実施、支援体制の整備が必要でございまして、特に、国際水準の質の高い臨床研究の実施に当たりましては、今委員御指摘になりました、生物統計家を初めとした専門人材の配置というのが不可欠であろうというふうに考えております。

 私ども、今回提出させていただきました法律では、今、ちょうど委員御指摘のとおり、推進法の十六条におきまして、人材の確保というものをまさに基本的施策の一つとして位置づけておりまして、「専門的知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上に必要な施策を講ずる」というふうに規定しておるところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、今後、この人材育成、確保に向けてどんな取り組みを行っていくのかということを十分検討していきたいなというふうに思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 加えて、中垣審議官に伺いますが、確保は大事なんですけれども、これは今までも大事だと思っていたわけですが、なかなか集まらない。そこで、例えば一種公的な資格のようなものもあってもいいのではないかという議論もあるわけであります。臨床研究には、一定の技師については資格があるということは承知しておりますけれども、統計等についても、何らかの公的な資格のようなものも検討したらいいのではないか。そうすることによって、その人たちがキャリアアップをして、人材の厚みが増すということも考えられるのではないか。

 せっかくここで努めるということは書いているわけですけれども、これがお経に終わらないように、実際に人材育成にプラスになるように、そうした制度の検討などについては、いかがでしょうか、お答えいただけますか。

中垣政府参考人 今委員御指摘の公的な資格制度というものにつきましては、そういった制度を設けるかどうかにつきましては、例えば、どういったニーズがあるのかとか、それからどういった要件が求められるのかとか、いろいろなことを勘案する必要がございますので、私ども、先ほど申し上げましたように、どんな形で取り組むのが一番そういった人材を確保しやすいのかということを今後十分検討させていただきたいなというふうに思っておるところでございます。

近藤(洋)委員 ぜひ検討を、やはり時間軸を区切って検討して、行動を起こしていただきたい、こう思うわけであります。

 続いて、人も大事ですが、やはりお金が大事なわけであります。お金については、やはり政府の予算というのが、おのずと限りがある。これは税金ですから、原資は。税金を使うことも大事ですけれども、やはり民間のお金をどうやって吸い上げて活用するかというのも大事だ、こう思うわけですね。

 そこで、官房長官、お伺いしたいんですが、税金を使う研究も大事ですけれども、やはり民間のお金、すなわち寄附をどう活用するか、これは大事だと思うんですね。そこで、今回のノバルティスファーマ社も、実は包括的な寄附金、奨学寄附金というお金が使われて、そして、大学によって研究されて、そのお金の使い方が不透明だったということで問題にされたわけです。

 この奨学寄附金というものは悪いことではないと思うんですが、ただ、使い方を間違えると事実上のひもつき補助金になって、自分の企業に勝手のいい検証だけしてデータが不正に改ざんされてしまうという問題も今回起きてしまった、こういうことだと思うんですね。そうだとすると、このお金の流れを、不透明なものをやはりクリーニングすることが必要であろうかと思うんです。

 そこでなんですけれども、この新しくできる新法人というものを活用したらいいのではないかと思うわけですね。この新しくできる新法人に対して民間企業がお金を寄附して、そしてそのお金に基づいて、企業との関係を一回遮断して、クリーニングした上で研究開発に充てるということ。結果として、分野としては医療、医薬の分野ということですから、企業として見れば、広い意味で薬学研究、医薬研究が進むわけですから、悪いことではないわけなので、そういう寄附を検討したらいいと思うのであります。

 そこで、二ページ目をごらんいただければと思うんですが、ところが残念ながら、寄附制度、これは税金が違うんですね。いわゆる指定寄附金というのは、大学に対する指定寄附金は、法人税は寄附金の全額を損金算入できる。これはいい制度です、全額損金算入でありますから。これはすばらしい制度、指定寄附金。

 ところが、それ以外の公益法人に関しては損金算入じゃないんですね、法人税は。寄附金の合計額か特別損金算入の限度額が一定程度の割合で示されている。すなわち、大きな差があるわけであります。指定の普通の大学と一般の公益法人では差がある、こういうことであります。

 次のページをごらんいただければと思いますが、既に文部科学省は、税制改正要求において、研究開発法人に関する税制の特例制度を要望しております。法人税、所得税に関して、寄附についてぜひ特例措置をお願いしたい、大学と同様の扱いをしてもらいたいということを平成二十六年度税制改正要求でもしておるところであります。

 しかし、残念ながら、文部科学省、ここは、なかなか力が弱いのか、財務省の厚い厚い壁にはね飛ばされて実現に至っていない。聞くところによると、何年かチャレンジしているけれどもだめでした、こういうことでございます。

 そこで、官房長官にお伺いをします。

 財務省の厚い壁は確かに厚い壁だとは思うんですが、せっかくこういう新しい法人をつくるわけであります。イノベーションを進めよう、こういうことでもあります。さらに、指定寄附金というものの問題点も指摘をされているわけでありますから、ここは、こういう法人を新たにつくるのであれば、一般の大学と少なくとも同等の税制上の措置をこの新法人に与えて、出し手から見ると、全額損金算入できる、大学に寄附するのと同じぐらいの措置があるとなると、この新法人にお金が集まる。私は、本来はもっと優遇してもいいと思うんですよ、進めるのであれば。

 これは、財務省の壁をぶち破るのは、今、法人税戦線で戦われている菅官房長官、法人税の戦いも重要かもしれませんが、イノベーションの税制の戦いも重要かと思うのですけれども、いかがでしょうか。お答えいただけますか。

菅国務大臣 まさにこの寄附金の優遇政策、ここは、世界全体から見ても日本はやはりおくれているというふうに私は認識を持っております。

 そういう中で、私、総務大臣のときにふるさと納税というのを提唱しました。これはかんかんがくがく大議論があったんですけれども、国民から見ればある意味では自然のことでありましたので、結果的に野党の皆さんの御理解もいただいて成立をさせていただいたという記憶を今思い浮かべました。

 今まさに指摘をされましたように、ノバルティス社のこの問題が一つの大きな寄附の問題として取り上げられておりますので、こうしたときに、全体をもう一度見直す意味の一つ大きな機会であるというふうに私自身もそこは思っております。

 今御指摘をいただきました本機構に対しての一段の優遇措置ということでありますけれども、現行の寄附の対象になっている機関との関係もありますので、ここについてはよく議論して進めていきたい、このように思います。

近藤(洋)委員 最初の御答弁に比べて、最後ちょっと急に何かペースダウンしてしまったのが気がかりなのですが、これは文科省において要望しているわけで、もう議論的には詰めているはずなんですね。詰め詰めで詰めている、しかも数年にわたって詰めている話ですから、ここはもう政治の判断。税は政治、政治は税、こういうことでありますし、ぜひ、こういうものをつくるのであれば、私は、寄附税制、一段の進歩、そして資するべきだ、民間のお金を研究開発に進めるきっかけにしていただきたい、こう思うわけであります。

 もう一つは、臨床研究が我が国で進んでいないのは、やはり国民の理解なんだろうと思います。国民の理解が高まっていないことが、症例を集めるに当たっての阻害要因の一つにもなっているんだろう、こう思うわけであります。

 やはり、国民の理解の重要性、極めて重要かと思いますが、これについての官房長官の御認識とあわせて、やはり、国民の理解を深めるためには、プロジェクトの研究成果の評価に当たって、当たり前のことですけれども、患者の皆さんの生活の質の向上がその主な指標になるんだ、これが大事だと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今回の推進法案の中にも、健康・医療施策に関する基本政策の一つとして、国民が広く関心と理解を深めるよう必要な措置を講じる旨、こうしたものを実は規定いたしております。やはり、国民の皆さんにいかに理解をしていただくかということが、こうした機構が所期の目的を果たせるかどうかという大きな要因にもなると思いますので、ここは政府としてもできる限り行っていきたいというふうに思います。

 さらに、この機構には、いわゆるプログラムディレクター、PD、あるいは専門家の評価も得ながら、どこまで課題が達成できたとか、そうしたことの達成度、評価を取りまとめることになっていますので、そうしたことを、その段階で、広く国民の皆さんにできる限り知っていただくようなことも心がけて進めていきたいというふうに思っています。

近藤(洋)委員 最後にお伺いをいたします。

 もう一つ、この健康・医療戦略を進めるに肝になるのが、やはりICT化であろうかと思うんですね。ここの分野が非常に重要なインフラになろうかと思うんです。電子カルテの活用、またそのデータの集積、分析、さまざまな分野についてICTの活用が重要だと思います。ビッグデータを活用して、実践的な、実用的なデータベースの構築をしなければなりません。

 これは、来年度通常国会にパーソナルデータの取り扱いについての法案も提出される、政府において検討されているという話も伺っております。これも、守るべき個人情報というのがあるのは十分承知しておりますが、やはり、このデータベースの活用によるメリットというのも十分に踏まえなければいけない、こう思います。

 医療分野におけるICT化をここは一気に加速させるべきであろう、こう考えますが、長官は総務大臣も御経験されておりますから、ここも、いろいろな障害があるのは十分承知しておりますけれども、ぜひ進めるべきかと考えますが、そのことを伺って、私の質問を終えたいと思います。

菅国務大臣 健康・医療分野にこのICT化というのは極めて重要だという認識を私自身も持っております。

 特に、このことによって得られるデジタルデータベース、こうしたものを適切に活用することによって、健康増進はもちろんですけれども、また、全体の予算の中にも、効率化という点を考えたら大きな成果が得られるんだろうというふうに思っています。

 質の高い臨床研究の実施が可能になる国際競争力のある研究、そうしたものの技術創出にも極めて大きな効果があるというふうに思っています。

 本年三月に、健康・医療戦略推進本部のもとに、有識者、関係府省から成る次世代医療ICTタスクフォース、これを実は設置いたしまして、医療現場の適切なICT化、そのデータを収集、分析するためのルール及び運営のあり方等について、検討を今始めているところであります。

 先ほどお話のありましたパーソナルデータの取り扱いも、ここが医療分野に適切に反映されることができるように、この戦略本部で今検討をいたしております。

 いずれにしろ、この問題については、本年六月ごろに一定の方向性を出して、その具体化に向けて取り組んでいきたい、こう思っています。

近藤(洋)委員 ぜひ取り組んでいただきたい、こう思います。

 なお、本法案について、公明党さん、自民党さんとも協議を進めさせていただいて、より前に進めるという観点から、臨床分野についての修正を議員間で協議を進めさせていただいたということ、後ほど御提案をさせていただきますけれども、ぜひ、そのことも踏まえて、政府において取り扱いをいただきたい。特に自民党、公明党両党の真摯な対応に敬意を表して、質問を終えたいと思います。

柴山委員長 次に、津村啓介君。

津村委員 民主党の津村啓介でございます。

 本日は、健康・医療戦略推進法案等、二法案の関連質疑ということでお時間をいただき、大変ありがとうございます。

 最初に、加藤副長官に御質問させていただきます。

 今回の健康・医療戦略推進本部、これまでも、総合科学技術会議との関係性といいますか、重複といいますか、そういうところをきちんと整理すべきだという議論がこの委員会でも何度となくされているわけでありますけれども、少しロジスティクスの面から整理をさせていただきたいと思っております。

 今、この準備室というか、法案成立前の事務局というのは永田町の合同庁舎にあると理解しておりますけれども、一方で、今、内閣府本府庁舎の隣に八号館を建設、供用開始をこの四月からしておりまして、既に食堂等は利用されていると伺っています。

 ここに、かねてから、これは官房長官に何度も御提言申し上げていることですが、内閣官房、内閣府の機能見直し、スリム化等の議論もありますけれども、まずは、よりマネジメントを円滑に進めるという意味で、新しい八号館の活用、本府棟隣にありますので、有効に活用することでよりマネジメントがしやすくなるのではないか、ぜひ八号館にその関連する部署を集約すべきだ、これは何度も、本会議も含めて御提案してまいりました。

 そういう意味で、総合科学技術会議と健康・医療戦略推進本部、非常に近接といいますか、ある意味では切り分けた組織ですから、この二つの事務局は隣に置くべきだと思うんですけれども、今後どういうふうに活用されようとしていますか。

加藤内閣官房副長官 津村委員にお答えさせていただきたいと思います。

 今お話がありました、健康・医療戦略推進本部の事務を担っております健康・医療戦略室の事務室、現在は、御指摘ございましたように、永田町の合同庁舎に置かれているところでございます。

 今の段階で当事務室を移転するという計画は特段ない、こういうふうに承知しております。

津村委員 今の段階ではないのかもしれませんが、何度も申し上げているように、これは、総合科学技術会議が今までやってきた資源配分方針等の事務を一部切り出してこの新しい推進本部が担当されるというたてつけだと思っております。最も近い所掌だと思うんですけれども、ぜひ本府なり八号館ですぐ連携がとれるところに移すべきだと思います。これは副長官あるいは長官の御判断でできることだと思うんですが、いかがですか。

加藤内閣官房副長官 今申し上げた、物理的な意味で、その部屋というか場所、事務室を移転する計画は、現時点でないところであります。

 ただ、御指摘あるように、総合科学技術会議と今回の健康・医療戦略推進本部、いろいろな意味での連携というのは大変重要でありますので、そうした連携には支障がないように対応していきたい、こういうふうに思います。

津村委員 意地悪で申し上げているわけではなくて、事務局の皆さんが実際に書類を持って走り回るわけですから、そこはぜひ政治が配慮されるべきじゃないかなという意味で御提言申し上げております。

 事務局は、今四十名程度と伺っていますが、今回、法案成立後、この事務局は何人程度で運用されていくお考えでしょうか。

加藤内閣官房副長官 現在、健康・医療戦略室に常駐して職務についている職員は三十三名でございます。

 今後、この法案を成立していただいた後において、健康・医療戦略推進本部の事務を担う健康・医療戦略室についても、今現時点で具体的な数字を言う段階にはございませんが、今の現状を踏まえながら必要な人員を確保していきたい、かように思っております。

津村委員 政府からのこの独法の方の説明で、御丁寧に定員は百二名で、かくかくしかじか、いろいろなところから人を集めて、この資料ですけれども、厚生労働省が七人とか、詳細な御説明をいただいているわけですけれども、ある意味、この推進本部というのは、新しい法人とセットといいますか一緒に働いていただくわけですから、事務局の方の構成というのも非常に重要だと思うんです。

 今、まだ決めていないというようなお話しぶりでしたけれども、こっちは百二ときちんと定員をとっているわけで、恐らく定員の議論はきちんとされていると思うんですけれども、もう少し詳しく御説明いただけませんか。

加藤内閣官房副長官 今御指摘あった、機構ということでございますから、機構の組織をどうするかということで、そうした具体的な数字を申し上げているということでございます。

 また、戦略室についても、今三十三名でございますから、それをベースに必要な人員を確保していきたい、こう思っております。

津村委員 その事務局の構成ですけれども、非常に専門的な分野であるということや、一方で縦割りを打破するための一気通貫の組織だということですので、これは各役所から来ていただく部分と、あるいは出口になる産業界、あるいは基礎研究という意味ではアカデミアの方から、産官学バランスのよい人選をしていく必要があると思うんですが、これは、現状どうなっているのか、今後どうされていくおつもりなのか、お伺いしたいと思います。

加藤内閣官房副長官 法律でも規定しております健康・医療戦略、また医療分野研究開発推進計画を策定するに当たりまして、御指摘ありましたように、学識経験者あるいは産業界など、国内あるいは国外も含めて、幅広い意見をお伺いしていく必要があるというふうに思っておりまして、この本部のもとに有識者で構成する組織を設置して、まず専門的な技術的な意見を聞くこととしております。

 その上で、この事務局の体制ということでありますけれども、やはりそこにも専門的な知見を活用すべく、現時点でも民間企業や大学の出身者を一定数配置しております。具体的には、先ほど申し上げた常駐する三十三名の職員のうち、十名が民間企業や大学の出身者でございます。

 また、今後、先ほど必要に応じてと申し上げましたけれども、そうした研究現場やグローバルなビジネスの最前線で活躍している方々も必要に応じて登用していきたい、こういうように考えております。

津村委員 少し具体的な仕事の中身について触れていきたいと思います。

 総合科学技術会議を担当されている後藤田副大臣、お時間いただきましてありがとうございます。

 総合科学技術会議とこの新しい戦略本部、非常に仕事が重なるといいますか、これまでは総合科学技術会議が見てきた健康・医療分野も含めた予算、資源配分を切り出して、今回、新しい本部でやっていこうということなんですけれども、具体的にはどういう方々がその作業をするのかというところを問うていきたいと思います。

 現在、総合科学技術会議における資源配分方針の担当部署には何名の職員の方がいらっしゃいますか。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 現在、総合科学技術会議事務局で資源配分方針の取りまとめを担当する部署の人員構成は、現時点で、担当参事官を含め計四人であります。

 あとさらに、資源配分方針の策定に当たりましては、エネルギー分野等各課題別の担当部署、科学技術・イノベーションを促進する仕組み等を担当する部署、研究開発の評価を担当する部署等、広範囲にわたる部署の人員がかかわっておりまして、事務局総数百十名のうち相当数がかかわっておるというのが現状でございます。

津村委員 私の理解では、その四名の方というのは資源配分グループという一つの島を構成されていると思いますけれども、机を三つ並べて、参事官がその隣にぽんと机がある、そういう形だと思うんですが、そこは恐らくいわゆる取りまとめであって、副大臣が後段おっしゃられたように、さまざまな事業、課題について、その三人、四人の方が事業の中身まで突っ込んで必ずしも見ることはできないと思います、膨大な科学技術予算でございますので。

 この百十名の方々が、まさにおっしゃられたように、相当程度かかわっているということだと思うんですけれども、そういう理解でよろしいですか。

後藤田副大臣 ありがとうございます。

 委員も御承知のとおり、総合科学技術会議の人員につきましては、大変厳しい中でやっているということもございます。そういう意味では、司令塔としての四名に加えて、百十名のうちの相当部分が協力しながらやっているという状況でございますし、また民間の登用も含めて、本当に人員には苦労しておりますが、その中でも最大限の成果を出せるように頑張っているところでございます。

津村委員 それでは、官房長官に伺います。

 今、その百十名、取りまとめ担当は四人ということですけれども、その方々が、健康・医療分野も含めた科学技術予算全般を、これまで資源配分方針、予算編成の前にこれを取りまとめてこられました。

 このうち、健康・医療分野について切り出して、今回新しい本部ということですけれども、先ほど三十三名現有ということでしたが、この中で資源配分方針の策定にかかわる方は何人程度いらっしゃいますか。

菅国務大臣 まず、健康・医療戦略推進本部の事務は、引き続き内閣官房の健康・医療戦略室で行います。そこでは、資源配分方針の企画立案、総合調整、これを行いたいと思います。

 現時点においては、予算の要求配分調整の事務に直接従事している者は十名です。

津村委員 後藤田さん、ちょっとお伺いしたいんですけれども、これまで百十名の方々、取りまとめ四名ということでされてきたもののうち、健康・医療分野について切り出したわけです。こちらは十名の方がされているということですけれども、これによって総合科学技術会議の事務局の人員構成はどう変化しますか。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 総合科学技術会議の司令塔機能強化、この委員会でも御議論いただいたわけでございますが、昨年閣議決定されました科学技術イノベーション総合戦略におきましても、事務局体制の強化がさらに求められているところでございます。

 今回、そういうことで、切り出されるということでございますが、司令塔機能強化という大きな我々のミッションがさらに期待されるわけでございますので、その点につきましては、今後とも、産学官の協力を得ながら、一層の人員体制の強化を図っていく所存でございます。

津村委員 後藤田さんが今おっしゃられた意味は、健康・医療戦略推進本部に仕事が切り出されるけれども、一方で司令塔機能強化で新しい仕事も加わっているので、トータルの人数は変わらないかもしれないけれども、それは仕事の中身が変わったからだ、そういう御議論ですか。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 先ほど申し上げたように、司令塔機能強化によって、我々のやるべき総合調整だとか、そういった分野の仕事がこれからまたさらにふえていくということでございまして、今回、そういうことで、人員の切り出しということはございますけれども、今、御承知のとおり、内閣府でまだまだ人が育っていないというのもございます。ほかの内閣府の部局と比べても、プロパーが五%とか、以前もここでも議論したように、内閣府の出身者も非常に少ないという中でございます。それを、もう十年たつわけでございますから、これからやはりそういった部分での強化をしていくために人員増を図っていくべく努力をしていきたい、こういう意味でございます。

津村委員 人員増を図っていくということでよろしいんですか。

後藤田副大臣 人員増を含めて体制強化を図っていきたいということでございます。

 民間出向者が五十四名ございまして、これは、民間企業三十二名、大学教員九名、独法十三名という現状でございますし、官庁出向者も五十三名という現状でございます。

 そういう意味で、先ほど申し上げましたように、産官学の中で体制整備をしていく、その中での一つは、人員増も含めてということでございます。

津村委員 後藤田さん、ここはとても大事なところなので、何回も更問いして申しわけありませんけれども、今回、総合科学技術会議をめぐっては二つの関連法案がこの通常国会で審議をされておりまして、一つは、司令塔機能を強化する。私は、これは強化になっていないということは何回も申し上げています。常勤議員が減っていますし、スタッフがふえていませんし、名前が変わって、総合科学技術会議が総合科学技術・イノベーション会議になっただけで、そのイノベーションが何を指しているかも、この委員会でも必ずしも明らかになっていなかったと私は思っています。

 そんな中で、今回、むしろCSTP、総合科学技術会議の仕事を、司令塔機能を弱体化させるような、つまり、切り出していくわけですから、そういう屋上屋を重ねるような法案が出てきたと私は思っていて、いや、そうじゃないとおっしゃるのであれば、しっかりと説明していただきたいと思っているわけですね。

 百十人の人員が、今、人をふやすとも少しおっしゃられたけれども、現にふえていない中で、この健康・医療推進本部に十人の方々が資源配分方針で仕事をされているという中で、その健康・医療分野の仕事は減ったはずです、資源配分方針を検討する仕事は。

 そのかわりに、具体的にどんな仕事がふえたんですか。総合科学技術会議で、その強化した部分をぜひ説明していただきたいんですけれども、どんな仕事が新しくふえて、総合科学技術会議は司令塔強化とうたっているんですか。

後藤田副大臣 それは先ほどお話がありましたし、委員会でも御議論をいただいた司令塔機能強化についてもお話があったと思いますが、例えば、SIPを総合科学技術会議が所管するということも大きな仕事の一つだと思います。

 これにしましても、御承知のとおり、今まで総合科学技術会議という、司令塔ということだけではなくて、やはり予算権限、予算配分権を持って府省横断的な課題に取り組むということで、SIPにつきましても皆様方に御議論をいただいたところでございます。

 そういう新たな仕事もふえていくということでございますので、その点につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、産官学の協力を得ながら体制強化に努めてまいりたい、これはまた委員にも御支援をいただきながら、我々もその点は政府の中でしっかりと主張してまいりたいということでございます。

津村委員 SIPの話が出てまいりました。SIPは、確かに一つの新しい試みだと思うんですけれども、ここは、総合科学技術会議あるいは内閣府のあり方をめぐる非常に哲学的な分かれ道だと思っていまして、科学技術関係の予算というのは、全部で三兆六千億とか非常に大きなロットがあるわけですけれども、そのうちわずか五百億、もっと言えば、これまでも振興調整費が三百億強あったと思いますので、新たに百五十億ないし二百億の予算を、三兆六千億のうちの二百億、総合科学技術会議が差配するという仕事がふえた。

 これは、いろいろな官僚の方々とも議論したことがあるんですけれども、内閣府というのは事業官庁じゃないはずで、今回、内閣府の機能の見直しという大変重要な議論を自民党さんで始められているわけですけれども、そのときに、内閣府というのは、横串を刺してさばいていく役所なんだと。事業を持って自分たちで予算編成をやる、そういうことではなくて、交通整理をするのが仕事だ、そういう観点で機能をしっかり見直していこうという議論を一方でされているのに、政治家が、今まで三百億だったのを五百億、自分で手でさわれるようになって喜んでいるという絵柄は、非常に哲学として間違っているんじゃないかと私は思うんですけれども、なぜこれは三百億を五百億にして喜んでいるんですか。

後藤田副大臣 委員も御承知のとおり、そもそも科学技術庁と文部省が一緒になった経緯、そして、実際予算を運用するところと総合的に調整する部分が一つであることの問題、課題、こういったやはり歴史的な行政改革の動きもある中で、今回は、今まで省庁再編後を見てきたわけでございますが、我々といたしましては、横串の総合調整だけではなかなか革新的なものが生まれていかないのではないか、また、省庁縦割りの中でなかなか結果が生み出せないのではないか。そういう切り口、いわゆる行政改革の切り口もそうでございますが、やはり機能強化という意味での一つの試みとして、山本大臣のもと、今回予算を増額して、この結果をこれから皆様方に御期待いただきながら見守っていただきたいという思いでございます。

津村委員 関連して、内閣府の機能見直しの話になってまいりましたので、少し事前の通告から飛ばす形になりますけれども、後藤田副大臣に伺いたいと思います。

 今、山本大臣の所管されている本部、いわゆる司令塔といつも記者会見で山本さんはおっしゃいますけれども、これが宇宙だとか海洋だとか知財、IT、総合科学技術会議、この五つが自分の手元にある、六つ目の健康・医療は菅さんのもとにあるというふうにいつも山本さんはおっしゃるわけですけれども、この六つの本部、ある意味関連する役所の数よりも多いぐらいの本部が内閣府の中に設置をされて、せっかく横串を刺すために内閣府というものをつくっているのに、その中に出先のような本部がたくさん乱立していて、これでは、それこそ内閣府の機能として何か話が、もともとの橋本行革の哲学から随分変わってきているじゃないかという議論を、これは何度もさせていただいています。

 それについては山本大臣も同じお考えをお持ちで、連携・調整会議というのを昨年の五月から始められた。ただ、八月からことしの二月まで半年間、その会議を開かれなかった時期がありますが、この時期は何が起きていたんですか。

後藤田副大臣 委員御指摘のとおり、山本大臣のもと、司令塔連携・調整会議というのが、第一回目が平成二十五年の五月二十二日に行われまして、まさに横串の議論をしてまいりました。その司令塔連携・調整会議のメンバーは、先ほど来委員御指摘の、担当部局の責任者に集まってもらって議論をしてまいりました。

 委員御指摘の、八月から本年二月まで半年間開催されなかった理由でございますけれども、これは、第四回の開催につきまして、各司令塔部局の日程等も踏まえて、予算の時期でございまして、予算編成終了後における開催をしようと言ってきたところでございます。

 ことしに入って、内閣府、内閣官房の業務の見直しの動向等も生じてきたことから、新たに内閣府のあり方も含めて議論を行うということといたしまして、所要の準備を行った後、本年の二月二十七日に改めて再開をさせていただいたというのが現状でございます。

津村委員 後藤田さん、これは私からの御提言なんですけれども、もともとは、知財、IT、宇宙、海洋、全部違う建物にありまして、その方たちが一堂に会して話をするということが物理的にも難しかったわけですけれども、いろいろと御努力いただいて、この六月、七月には、そうしたいわゆるイノベーション関連の五つの本部のほぼ全てが本府と八号館に置かれるようになると仄聞しております。

 大臣から見れば、御自分の所掌しているいろいろな部署というか、執行役員みたいな人が、事務局長がたくさんいて、それが一堂に会して取締役会をやるというようなイメージだと思うんですね。全体として意思決定をしていく。

 これは半年ぶりとかいうことではなくて、普通の会社の取締役会というのは、どうなんでしょう、週に一回とか、多いところはもっとやっていたり、少ないところでも、二週間、月に一回、二回やっていると思うんですけれども、ここは、山本大臣あるいは後藤田副大臣が、御自身の担当されている仕事、しかも非常に密接に関連している仕事を、全体を俯瞰して意思決定をされるための装置ですので、ぜひ、連携・調整会議をもう少し頻度を上げて開催すべきだと思いますけれども、いかがですか。

後藤田副大臣 委員も三月二十六日に山本大臣ともそのような御議論をしていただいておりまして、山本大臣からも、前々回からでございますか、内閣府参与の城山さんも任命いたしまして、この調整会議をより活性化していこうという考え方でございます。

 まさに委員御指摘のとおり、科学技術、宇宙戦略、IT、知財、総合海洋、領土主権、健康・医療、さまざま多岐に広がっております。知財なんかは、我が自民党の本部の裏の方で、冷暖房のないところに事務所があったりとか、こういう思いは、私も委員と全く同じ意見を常に内閣府にいながら持っております。委員に本当に応援をいただいているように、内閣府の横串機能、機能強化に向けて、その体制整備に山本大臣とともに努めてまいりたいと思います。今後とも御指導よろしくお願いします。

津村委員 官房長官にお尋ねいたします。

 この法案が成立後、今、法案審査については、菅長官がこうして御答弁に、御多忙の中お答えいただいているわけですけれども、新法施行後、健康・医療推進本部の御担当の大臣というのは引き続き菅長官がなられるということでよろしいんですか。

菅国務大臣 内閣総理大臣が国務大臣の中から任命することになっています。

 私は、この法案を実行するに当然一番ふさわしい方を総理が選ばれる、こういうふうに思っています。

津村委員 大変僣越でございますけれども、私から、二つ三つ、官房長官に御提言申し上げます。

 ぜひ、この法案成立後、担当大臣を山本大臣にすべきだと私は思います。これが内閣府の機能をまさに強化し、より効率的なマネジメントをされるための最善の道だと思います。内閣の人事のことですから野党の議員が申し上げることでないかもしれませんが、きょうの議論が意味するところはそういうところだと私は思っております。それが一点。

 そしてもう一つ、かねてから申し上げております八号館、本府の活用の問題ですが、今後、本府の建てかえ等もあるやに聞いておりますけれども、やはり一日も早く健康・医療推進本部の場所を本府ないし八号館に移されること、これを御提案申し上げます。

 そして三点目、SIPの扱いですけれども、やはり私は、総合科学技術会議がこうした、少しだけお金を持って何かこねくり回すというのは、総合科学技術会議がやるべき、あるいは健康・医療推進本部がやるべきなのは三兆六千億の大きな方向性を出すことであって、五百億、三百億の予算について、予算を持つということは、これは相当細かいことをやらなきゃいけないはずですから、そこにマンパワーを割くのではなくて、まさにこれからスリム化とか見直しとかおっしゃるのであれば、私はスリムに必ずしもする必要はないと思っていますけれども、より効率的に重点的に内閣府が仕事をしていただくためには、このSIPのような、ちょっと予算を持って何か権限が増したように数字的に見えるというところはトリックだと私は思いますので、かえってそこにマンパワーを割かれて全体が見えなくなると思いますので、ぜひ見直すべきだ。

 この三点、官房長官、副大臣に御提言申し上げます。何か御所見があれば伺いたいと思います。

菅国務大臣 政務官を経験して、真に改革について取り組んでおられた委員でありますので、そこの思いは私は真摯に受けとめたいと思います。

津村委員 真摯な御答弁をいただきましたので、これで私の質問を終わります。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会の松田学でございます。

 本日は、健康・医療戦略推進法案、最後の質問ということでございますので、私からは、この戦略を進めるに当たって、人、情報、金それから組織と、時間の許す範囲で順次御質問させていただければと思います。

 まず人なんですが、先般、一般質疑の際に官房長官とも御議論させていただきましたが、やはり、公務員制度改革を内閣主導でやっていく中に当たって、官の人材活用だけじゃなくて民の人材活用、私はやはりここも非常に重要な点だと思っています。

 先般、参考人質疑の際に、山中教授に、いろいろな専門家の方から私も耳にしていたんですけれども、余り政治主導で人事をやって、それで政権がかわると、方針まで変わったりするとか人がどんどんかわっていくとなると、そういった点についての御心配はないかという御質問をいたしましたら、やはり大変に不安であるという御答弁がございました。プロジェクトが短期間でもし変更、縮小されてしまうと、中心研究者なんかも、雇用されている人たちが非常に不安定になると。

 今回、研究開発機構が法案化されて法律化されるというのは、できるだけそういったような弊害がなくなるということだろうというふうに期待をしているということなんですが、アメリカの場合は、NIHも含めて、ポリティカルアポインティーですか、全部入れかわって、ころころと方針が変わったりしての弊害があるようなことをちょっとお述べになられて、日本の場合は人事システムがそれとは違うであろうからということで、そういった点については、制度化されることによる安定性を期待しているというふうに述べておられましたけれども、その心配はないというふうに言えるかどうか、官房長官の御答弁をいただければと思います。

菅国務大臣 そこは、私は必要なものとそうでないものがあるだろうというふうに思います。

 特に今回のように、健康・医療、まさに多くの国民の皆さんが目的を一緒にするものについては、やはりその積み重ねというのは極めて大事だというふうに思っておりますので、この人事については、やはり、法律上規定をされるこの機構の目的を達成するためにふさわしい人がつくのが当然であって、そして、そうしたものの積み重ねの上にこの目的というのは達成される、このように私は思っています。

松田委員 アメリカのようなポリティカルアポインティーの場合ですと、官であれ民であれ、その前提になるのは、周辺にいろいろな受け皿があるといいますか、インスティテュートがあったりとか、そういうものが非常に充実している。いわゆる民の側でのインフラがきちっと機能しているがゆえに、政権がかわって人がかわってもということで、そんなに不安を持っていない方が多いんだろうと思うんですね。この点が、日本の場合はそういったものが必ずしも十分でないという中にあって、やはり、政権がかわると人がかわってしまうんじゃないかという不安は当然残って自然だという感じはしないでもないわけですね。

 その中で、この間、参考人の中にも、いわゆる博士号を取った研究員の方々が、理想を言えばいろいろなところを渡り歩いてキャリアを積んでいく。キャリアパスを積まなきゃいけないということで有期雇用になっているわけなんですが、一方で、ちゃんとこれがキャリアパスとしてつながっていくのかどうかというのは非常に不安を持っている人が多いということがあります。

 大隅参考人でしたか、できれば、雇用について、不安定性の問題を克服するために、機構が長期的に雇って、そこから派遣する形でいろいろな研究機関に行かせるというようなことをやっていただくとありがたいんだというようなことも述べていらっしゃいましたが、こういったいわゆる雇用の安定性に向けたキャリアパスを描く上で、どういうような考え方を描いているか、御答弁いただければと思います。

菱山政府参考人 研究者等の有期雇用につきましては、昨年の十二月に改正されました改正研究開発力強化法と大学教員等任期法によりまして、労働契約法の特例措置が設けられております。

 そこでは、大学と研究開発法人の教員、それと研究者、技術者、また、いろいろな研究及び事務の両方がわかるリサーチアドミニストレーターという職がありますが、そういったものについて労働契約法の特例の対象となってございます。無期労働契約に転換する期間を五年から十年に延長したというところでございまして、有期契約の研究者等に対するいわゆる雇いどめの懸念は、一定程度でございますが、解消されたものと考えております。

 それから、文科省、厚労省、経産省及びそれらの所管する独立行政法人等におきましては、これまでそれぞれ実施してきた事業を、今般設立をお願いしています日本医療研究開発機構で一体的に管理するということで、健康・医療戦略推進本部において各省の予算配分調整や研究支援スキームの整合性の確保等の取り組みを推進することになっております。それによりまして、研究支援者の雇用につきましてもより見通しの立つものになるものと期待しているところであります。

 このように、有期雇用に起因いたします不安定性について一定の対応は図っているところでございますが、御指摘のように、研究者の安定的なキャリアパスを築いていくというのは極めて重要な課題だと認識しております。

 また一方で、研究者のキャリアパスの問題というのは、医療分野に限定しているというものではなく、科学技術全体の中でも考えるべきということでございますので、総合科学技術会議における研究者等の人材の育成に係る方針なども踏まえまして、医療分野の特殊性にも配慮いたしまして、必要な措置について検討を行っていくということであろうと考えております。

松田委員 ぜひしっかりとした検討をしていただければと思います。

 それから次に、情報なんですが、これは参考人質疑でも私も聞いたんですけれども、昨年、内閣委員会で、いわゆるマイナンバーに関連してヨーロッパに出張しまして、デンマークのバイオバンクというところを見てきたんです。

 あそこはパーソナル番号制が徹底していまして、それと結びつく形で個人のいわゆる遺伝子情報、五百何十万人かの国民のほとんどが遺伝子の検体情報が登録されているというような国なんですね。メディコンバレーというのがあって、いろいろな医療イノベーションが起こっている。個人情報というのが保護から利活用へということに一歩進んでいるという典型的な国でして、こういう国と日本がイノベーション競争をやったらとてもかなわないなというのが私の率直な印象だったわけですね。

 あるデンマークの議員と議論したんですが、いわゆる公的医療保険制度というのが日本と同じで徹底しているんですが、海外に行って医療を受けても、国内にその医療技術がなかったことさえ言えれば、それも全部健康保険の対象になると。そんなことをしていたら財政がパンクするんじゃないかと言ったら、何と言ったかというと、いや、我々は予防医療を発展させますので、できるだけ健康寿命を長くさせますからというような答えなんですね。それだけのことをやっていれば、もしかしたらその答弁も非現実的じゃないのかもしれないと思わせるぐらいの、そういうデータベースの蓄積がある。

 やはり日本も、これからやるのであれば、マイナンバー制度がせっかく入るわけですから、それぐらいのことまで視野に置いていかなければいけないんじゃないかと思うんです。

 これに関連してちょっと三点ばかり御質問させていただければと思いますけれども、先日参考人質疑で、竹中参考人、製薬関係の方ですが、やはりこれからは、患者さんから検体組織をいただいて、それを初めから創薬に活用できるように使えるという包括的な契約をつくるといった法整備をぜひお願いしたいというような御要望がありましたけれども、政府としてどんなお考えか、お聞かせいただければと思います。

中垣政府参考人 データベースを含みます医療、介護、健康のデジタル基盤の構築におきましては、本年三月に、健康・医療戦略推進本部のもとに、有識者、関係府省から成る次世代医療ICTタスクフォースを設置いたしまして、医療現場の適切なICT化でありますとか、データ収集、分析するためのルールやその運営のあり方について検討を開始したところでございます。

 また、パーソナルデータの取り扱いの議論におきましては、医療分野の実情というものが適切に反映されますように、本タスクフォースとIT総合戦略本部での検討を予定しておりますけれども、今御指摘になられました必要な法制度のあり方につきましては、さまざまな選択肢を念頭に置いて検討してまいりたいというふうに思っておるところでございます。

松田委員 二つ目の質問ですけれども、これはこの間、末松参考人がお答えになっていましたが、高齢化が進んでいくといろいろな病気を複合的に併発していくということがありますので、データベースの構築、やはりメディカルIDというのは踏み込んでもらわなければならないんじゃないか。それから、いろいろな病気のクラシフィケーション、国民のいわゆる遺伝子情報とかそういうものが国ごとにいろいろな違いがある、その分類をやっていく上においても、戦略的にやっていくためには、やはり国民全体のそういう情報管理というのがどうしても必要になるというふうなお答えがありまして、先ほどのデンマークの事例でも、これが一般的に使われている個人番号と全部結びついているわけなんですね。

 今、マイナンバー、とりあえず社会保険と税と防災の三分野で小さく産んで大きく育てるということなんですが、もうそろそろ大きく育てるところを視野に置いて、接続性を高めていくなり拡張していくなりの検討をしなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

中垣政府参考人 今御指摘のことも含めまして、先ほど申し上げましたICTタスクフォースとか、それから本部の中でその必要な法制度のあり方について検討していく中で、委員御指摘のマイナンバー制度につきましても、検討事項の一つという形での検討をしていければというふうに思っておるところでございます。

松田委員 三点目ですが、この問題について山中教授が、これからは個別化医療というか、個別化医療をやると、それぞれの患者さんの病歴、それからゲノム情報、そして幹細胞を含めたサンプル、この三つがしっかりと維持管理されていなければいけない、それを機構に検討してほしい、機構に役割を担ってほしいという大変大きな期待を寄せられているんですが、官房長官、この点について、機構の方針として、この問題にどういう取り組みをされていくか、お答えいただければと思います。

菅国務大臣 医療情報のデータベース構築によってデジタルデータの適切な利活用を促進するということは、質の高い臨床研究だとか、あるいは、これから、国際競争力のある研究・技術創出、そうした環境整備につながってくるものだろうというふうに思っています。

 今御指摘のありました、データベースを含む医療、介護、健康のデジタル基盤の構築、運営については、次世代医療ICTタスクフォースにおいて、この機構が役割を果たすべきか、そうしたことも含めて今検討をいたしているところであります。

松田委員 結局、IDといいますか、個人番号制というのがこれから医療において最重要課題の一つであるという、末松参考人もその後私にメールをよこして、これはぜひお願いしたいということでしたので、この点、しっかりと検討していただければと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、金の問題なんですけれども、山中参考人が、日本の場合は国の研究資金しかない、アメリカですといわゆる寄附、ファンドレージングというのが非常に重要な役割を果たしていて、いろいろな研究機関のトップというのは、まさにファンドレージングさえやっていればいい、だけやるのがトップなんだというぐらいやっているんだということがありました。また、日本でもし医学部長とか研究所長がファンドレージングをやっていると、おまえは研究をちゃんとやっているのかといって、かえって非難される、それぐらい考え方が違うんだと。ファンドレージングはそういう立派な仕事なんだという位置づけをして、人材を育成してほしいというような話がございました。

 今回も、国主導でこういう機構を設立する。日本の場合は、民間の資金の寄附といっても税の問題が常に指摘されるんですが、山中教授は、税制というのをよくよく見てみると、日本とアメリカと余り変わらないと。制度的に見ると、表向きはそうなんですが、ただ、よくよく見てみるとどうも、その後、末松参考人から私にメールがありましたけれども、山中参考人がおっしゃったことは必ずしも正しくないと。例えば私学なんかですと、実際に寄附に際しても全部税金がかかっちゃっているんだという指摘もあって、この辺はもう一度ちょっと検討してほしいんだなんという話もあったんです。

 やはり、民間でも研究資金を充実させていくということについて、政府としても、もっといろいろな促進策、税に限らず音頭をとっていく、人材も育成していくということが必要かと思いますが、この点についての政府の御所見を伺えればと思います。

菱山政府参考人 医療分野の研究開発の推進に当たりまして、日本医療研究開発機構が研究費の配分、研究機関へ支援を行うのみならず、先生御指摘の、民間からの寄附金等の形で資金を調達するようなことも一つの課題であるというふうに認識してございます。

 それから、寄附金の税制につきましては、これまでも、独立行政法人を含みます特定公益増進法人に対する寄附金の損金算入限度額の拡充なども行ってきたところでございます。

 日本医療研究開発機構におきましてもこうした制度の活用を図ることが考えられますが、さらなる促進策につきましては、現行の寄附金税制の対象となっている他の法人との関係などもございますので、今後よく議論を進めていきたいというふうに考えております。

松田委員 それから、最後ですけれども、組織のあり方。一点は、医療という分野が、必ずしも医療に限らず、いろいろな分野との学際的な研究、先ほども津村委員からいろいろな御質問がありましたけれども、例えば、ゲノム医療だけでなくて、ダ・ヴィンチといった電子治療装置なんか、こういったものを考えると、いわゆる物性科学とか情報科学とか電子工学とか、いろいろな分野が広がりがあって、そういった分野の専門家もうまく配置しながら、使いながら研究マネジメントをしていかなければならない時代だと思うんですが、医療を超えた人材確保ということについてどういうふうな方針を立てておられるのか、お聞きしたいと思います。

菱山政府参考人 先生御指摘のように、世界最高水準の医療の提供を図るためには、医療分野以外の他の分野との連携、融合が重要であるということは政府としても認識しているところでございます。

 御提案しております健康・医療戦略推進法第五条第二項におきましても、「医療分野の研究開発を行うに当たっては、先端的、学際的又は総合的な研究に努めなければならない。」旨を研究機関の責務として規定しております。

 このため、日本医療研究開発機構が医療分野の研究開発の委託または補助を業務として行うに当たっても、その趣旨を踏まえることは当然のことというふうに考えております。そのために必要な体制の整備にも努めていきたいというふうに考えております。

 例えばでございますが、研究マネジメントのかなめでございますPDあるいはPOにつきましても、研究成果や研究プロジェクトのマネジメントの実績のある方に機構に結集していただくとともに、そういった研究マネジメントに秀でた人材を見出していくということが求められておりますが、その際にも、今先生御指摘のような分野横断的な観点にも留意をして必要な人材の育成、確保に努めていくということが重要であるというふうに考えております。

松田委員 最後に、官房長官にちょっと確認をしたいんですが、この健康・医療戦略を推進するという、我々維新の会としては、大変重要な意義がある、この点は大賛成なんですが、果たして、これをやる上で、いわゆる国の資金のファンディングをやる、その際にもっとマネジメントをしながらやる、みずから研究機能を持たないというものを、あえて独法でやる、絶対に独法でなければいけない理由があるのだろうかと。考えようによっては、政府の内部組織として必ずしもできないこともないんじゃないかという疑念が、国会のいろいろな議論がありましたが、やはりどうも疑念が拭えないところがございまして、どうしても独法でなければならない理由というのを最後にちょっと御確認させていただければと思います。

菅国務大臣 まず、この法案の目的というのは、基礎、臨床、そして実用化、こうしたものを、今、日本の現状を考えたときに、生みの親が育ての親になっていないという話も先ほどありました。それぐらい非常に一貫性に欠けているというわけであります。そうしたものをこれは総体的に行っていこうという中で、世界最高水準の医療を実現する。また、現在、日本の医薬品だとか医療機器というのは輸入超過になっています。これは二兆二千億円ぐらいでありますけれども、そうしたものを是正していくということも極めて大事だというふうに思います。

 そういう中で、この医療分野の研究開発というのは、人を研究対象にして、被験者の健康に悪影響を及ぼし得る試験も伴い得る臨床研究並びに薬事法に基づく承認申請、他の研究分野にない過程を必ず入れなければならない特殊性というものがあるということも理解をいただけるというふうに思います。

 その上で、この医療分野の研究開発を戦略的に推進するに当たっては、その特性に最適化された専門機関に医療分野の研究開発プログラムを集約して、まさに、基礎から実用化まで切れ目のない支援を実施できる独立行政法人を設立することが最も効果的、効率的である、このように考えて、このような法案を出させていただいたところであります。

柴山委員長 松田君、質疑時間が終了しております。

松田委員 どうしても独法でなければいけないかどうか、それは十分な納得ができたわけじゃないんですが、この法の趣旨そのものは私たちも賛成なので、ぜひこれが日本の医療イノベーションにつながることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。

 先ほど我が党の松田議員の方からさまざまな質問があったと思うんですけれども、続けてさせていただきたいと思います。

 私は、この今回の取り組み、方向性としては本当に大事なものだという認識は共通で持たせていただいているつもりなんですけれども、先ほど、人、物、金のお話がございました。人、物、金、情報、時間、空間、これが必要要素としてあると思うんですけれども、特に人の部分で、まず予算づけもそうですし、何を見抜くかという、これは目ききの能力ということを再三再四言われていると思うんですけれども、この目ききというものが、結局、種、シーズを見抜く力であったりというところで、当然、専門性というのが必要になるんです。

 その専門性以外に、よく話題に出されるiPS細胞の山中教授もそうですが、山中教授が参考人質疑のときにおっしゃられていたのは、初めは年間二百万ぐらいの予算が一千万になっていく過程の中で、お金がないときに何をやっていたかというと、人がいなくて、自分でネズミの餌やりをやっていた、そういう中で、資金が足りなくて、マラソンに出て世間にアピールすることで寄附を集めたりしたと。

 結局、iPS細胞という研究ももちろんなんですけれども、山中教授御自身の不屈の闘志といいますか、絶対にこれをやり切るんだという信念といいますか、そういうものを研究者自身が持っていたというのが開花した一つの大きな要因だというふうにやはり思うんです。

 目ききというのは、専門性と、この研究はいけそうだなというだけではなくて、その研究者自身のそういったものまで見抜けるかどうか。

 これは、私がずっと事業経営をやっていたときもそうなんですけれども、いろいろな事業アイデア、ビジネスプランというのはあります。すばらしい、これは誰が見ても成功するだろうというのが、意外といかなかったりするんです。それはやはり、研究者自身の執念なんですよ。

 目ききは、専門性プラスそういう人間力、その人の資質を見抜けるかどうか、これは非常に大事なポイントだと思うんですけれども、そのPDCAサイクルを回すという中で、こういった視点というのはどういう基準で見られていくのか、そういうところをちょっとお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

菱山政府参考人 まさに先生御指摘のとおり、この研究開発の成否というのは、プログラムディレクターと、それから、そのもとで活動するプログラムオフィサーによるマネジメントの適否にかかっているというふうに考えております。

 その中では、シーズを見出す目きき機能、先般の山中先生の御説明では、当時、岸本忠三先生が、大阪大の元総長でございますが、見出したということでございますので、そういった先生がおっしゃるような専門性に加えて、先を見通すような力、それから、その専門性だけではなくて、幅広い見識も必要かというふうに考えております。

 そういった方に、ぜひこの機構に結集していただいて、日本の医療研究開発を進めていくようにしたいというふうに考えております。

中丸委員 だから、その見きわめてというのは、もうもちろんなんです。それが一番大事ですから。ただ、それをどうやって見きわめるのかということをお伺いしたいわけですよ。

 先ほども申し上げたように、例えばそういう企業のベンチャー投資であれば、やはり、投資家がなぜ必死になってそれを見るか、その感覚が研ぎ澄まされるかというと、自分がリスクがあるからなんですよ、投資という、外れればそれはパアになるわけですから。そういうリスクが今回のPD、POには特別ないわけですよね。

 そういった中で、どうやってその研ぎ澄まされた感覚というか、深いところまで見抜く洞察力というのを評価したり、それをする人を人選するのかというところを聞きたいわけです。そこをお答えください。

菱山政府参考人 失礼しました。

 PD、POがきちんと的確に役割を果たしていくかどうかということは、先生おっしゃるように、PDCAサイクルをしっかり回さなければいけないというふうに考えております。

 PDCAサイクルを回す際には、研究課題ごとに、あらかじめこういう目標を設定しますということで、それに対して、ちゃんと、その目標がどの程度達成したかどうかといったことをしっかり別の方が評価いたしまして、そうした達成度の評価を通じて、今後PDが続けられるかどうか、そういったことをしっかり見きわめていくということになって、PDCAサイクルを回していきたいというふうに考えております。

中丸委員 ちょっと質問します。

 PDCAサイクルと言うのはすごく簡単なんですよね、プラン・ドゥー・チェック・アクション。今のお話では、その実績とか進捗状況というのは、これはやっている研究、業務の評価でしかないし、その進捗管理でしかないわけです。

 社会生産性本部がやっている経営品質賞というのがありまして、そこはもうPDCAサイクルをしっかり回していく、この基準は、業務だけではなくて、これは行政の方も今取り組まれているところが多い。私はその審査員もやっていましたから、これは業務だけではなくて、そこの内面的なもの、フォロー、それからどうやってモチベーションをアップするか、それからその正当性、公平性、透明化、見える化をどうするか、そういうところまで踏み込んでいくわけですよ。そこまで考えた上でのPDCAサイクルですか。

菱山政府参考人 具体的なPDCAサイクルの評価の基準というのは、今度設立されます日本医療研究開発機構において検討されると考えておりまして、具体的にどの基準かというのはまだこれからのことと考えております。

 いずれにしましても、このPDを採用するのは理事長の責任になると思いますので、理事長がしっかり見ていく、人間力等も見ていくというふうに考えております。

中丸委員 まだ今からということなので、経済産業省の外郭団体でもあるわけですね、社会生産性本部。そこは本当に毎年イノベーションしながらその審査の方法、基準というのをまさにPDCAサイクルで、その基準さえ変えていっているという中はあると思いますので、ぜひともそういったものも視野に入れていただいて、せっかく連携してやっていくわけですから、取り入れていただきたいと。単純な進捗状況だけをやっているのでは本当の意味にならないですから、やはりそこの部分はしっかりやっていただきたいと思います。

 そういった中で、今回、国としてそういった研究開発に投資ということを行うわけです。今のシーズに対する投資というのは、初めは非常に小さい金額から始まるんだというふうに思います。やっているうちに、花開いてくれば、その予算も少しずつふえてきたりとか、そういったものが出ると思うんです。

 先ほどベンチャー企業の例えでちょっと申し上げましたけれども、同じように、このシーズを、一つの研究室、研究者を一つのベンチャーだというふうに考えれば、そこに対する投資というのはエンジェルでもあるわけです。こうして考えたときに、エンジェルというのは、例えば、百社投資して、百社全部が成功するかどうかというふうには思っていないわけですね。

 というのは、そのシーズを見ていく中で、当然、打率十割にはなりませんから、その中の一定基準のものが芽が出てくれば、要は、投資は、一個一個だけではなくて、トータルで判断したときに、例えば、ことしの投資、この三年間の投資は、結果としてこういう形になってリターンがあって、成功した失敗したという判断をするわけです。

 個々の研究だけではなくて、私は、全体的な投資に対する費用対効果を判断していく観点も非常に大事だと思うんです。これがなければ、ちょっと我々難しいなと思うと、これはだめだね、これはだめだねになっていくと、芽が出る前に種を足で踏み潰すようなことになってしまうわけですから。

 そういった意味で、適切に費用対効果を評価すべきものとして、政府として重点領域等をどういうふうに設定するのかという、トータルな面で教えていただければと思います。

菱山政府参考人 再生医療やがんなど、どの研究領域に重点的に資源を配分するかといった資源配分の基本的な方針につきましては、内閣に置かれます健康・医療戦略推進本部が有識者の意見も聞きながら決定することになります。

 本部におきましては、御指摘のような費用対効果についても留意しつつ、重点領域の設定を行うこととなると考えております。

 その際には、単に経済的効果だけではなくて、いまだ治療することができない疾病の治療法の確立のための研究開発、いわゆるアンメット・メディカル・ニーズに対応するような研究開発など、医療現場のニーズ、それから国民や社会からの要請等も含めて総合的に勘案していきたいというふうに考えております。

中丸委員 もちろん、そういう難病対策とかも含めて、国民の健康にどのように役立つか、非常に大事な部分なんですけれども、私がやはり危惧するのは、いかんせんそういったところが、言葉は悪いですが、逃げになる場合があるんですね。だから、成果は小さくてもいい、ではなくて、先ほど私が申し上げたのは、トータルでどうかなんです。

 例えば、企業がメセナをやれば、メセナというのは収入にはなりませんし出ていくばかりですけれども、企業のトータルイメージとブランドづくりには非常に役立つわけですね。だから、それと同じように、ちょっとブランドづくりとは違いますけれども、そういった少数の、費用対効果をはかれない部分も全体としてははかっていかないと、それがあるからもう垂れ流しでいいんだという言いわけにはならないと思うんです。その辺はいかがですか。

菱山政府参考人 例えば創薬におきましても、先生おっしゃるように、非常に確率が低くて、数万分の一というふうに言われておりますので、そういった意味では、研究領域全体を見渡してどの部分を重点化していくかということを考えなければいけないというふうに認識しております。

 その際に、どのくらいの費用対効果があるかということも含めて留意をしながら、さらにまた、国が行う研究開発でございますので、それプラスいろいろな患者さんのニーズ等も、先ほど申し上げましたように踏まえて、領域を設定していくというふうに考えております。

中丸委員 私、医療は全然専門分野ではないので、今回、参考人質疑もあわせて非常に勉強させていただいたんですけれども、地元の国立大学の教授のところへ行って、今回の件についてどういうふうに捉えているかという地方大学の研究室の話を聞いたら、まず第一声、もうだめだという声なんですよね。

 それはなぜかというと、やはりなかなか地方大学の研究というのに対して見てくれる人がいない、そういう言い方なんですね。そうじゃなくて、今回は、こういう省庁の壁を取って、死の谷を取り払う、ハイウエー化してやるんだという話をしたんですけれども、そんなものを見抜ける人はいないと。

 では、例えば山中教授みたいな方もこうやってやってこられてという話をしたら、山中さんにそれをやらせたら研究がとまるでしょうと。山中教授には山中教授にやっていただかないといけないことがある。

 実際に、私、サンフランシスコで山中教授にもお会いしましたけれども、日本にいると、テレビに出たり、そういういろいろな、予算のことだったり人事のこと、非常にたくさんのことがあるんです。昔はお金がなくて、ネズミに餌をやっていたけれども集中はできたわけです。今は、逆に、サンフランシスコの山中教授の研究所で、大体、年の半分ぐらいとおっしゃられていましたけれども、半分ぐらいはそちらで、廊下で歩きながら余裕を持って考えられるような研究もやられているわけですね。

 そういった中で、今から一極集中、例えば東大だとか京大だとかだけではなくて、そういう学閥の部分も排除して、そういう地方の大学の研究に対する配慮というのをどういうふうに考えられているか、お答え願えますか。

菱山政府参考人 日本医療研究開発機構で行います研究費の配分につきましては、基本的には公募になるというふうに考えておりまして、その際には透明性のある基準で選定されることになるというふうに考えております。

 したがって、どこの大学であるかどうかというのではなくて、やはり研究の、申請の中身を見て選ばれることになるかというふうに認識しております。

中丸委員 ぜひとも、本当に、学閥とかそういうことが後で言われないような対応をしていただきたい、このように思います。

 それと、やはりこういうのをやれば、必ず不正、助成金目当ての不正なものだったり研究内容の改ざんだったり、こういった問題も必ずついて回るものだとは思います。

 昨今も、さまざまな論文の問題でいろいろ世間を騒がせている事件もたくさんあるみたいですけれども、その一件一件がどうこうというのではなくて、全体的にそういう研究不正に対してどういった取り組みをするのかというのを教えていただければと思います。

菱山政府参考人 日本医療研究開発機構におきましては、みずからが配分する研究費により実施される研究に対しましては、専門の部署を置いて、公正かつ適切な実施の確保を図ってまいりたいというふうに考えております。

 具体的には、研究費の適正な執行の確保に努めるほか、データの捏造とか改ざんなどの研究不正への対応業務として具体的にどのように行うかにつきましては、今後、法人の設立に向けてその詳細を検討すべきものと認識しておりますけれども、海外あるいは国内の他の研究費配分機関の取り組みを参考としつつ、機構として、研究不正にしっかりとした対応ができます体制を構築していきたいというふうに考えております。

中丸委員 今から考えられるということがあれば、もちろん詐欺的な行為があれば、それは罰則の問題も出てくるでしょうし、それ以外にも、やはり間違い、要は、恣意的にやっているのか故意でやっているのか、そうじゃなくてミスだったのかというところの目ききもまた必要になってくると思いますので、そういったところの対応をしっかりしていただいて、やはり一罰百戒の部分もあるので、こういう不正をやったらもうあなたは研究者として終わりだよというぐらい、やはりそういうところは厳しい態度で臨むべきだろうというふうに思います。

 そういう研究者、主軸になるリーダーだけではなく、それを補助する人が、かなり多くの人数が研究には必要になってくるというふうに伺っていますけれども、先ほどちょっと有期か無期かという話もありましたが、大隅教授だったと思いますけれども、参考人質疑の中で、全部が全部自分のところで有期雇用にしてしまうというのは、要らない人までかかわってしまう、ある程度流動性があって競争してもらった方がいい面もあるんだというようなお話もあって、それはごもっともだなというふうに思います。

 そういう中で、では、どの研究所、要は、一生一つの研究所で終わるのではなくて、先ほどうちの松田代議士の方からも、機構でかかわって派遣的にするのも一つの手じゃないかと。これも一つのアイデアだと思いますけれども、要は、どういうキャリアを積んでどのぐらいの経験があるかというのがきちんと明確に、私はそれこそ機構の中で管理すべきポイントだというふうに思うんです。

 そのキャリアがあれば、この研究が終わった、もしくは途中で中断したときに、このやっていた人たちが、あなたのスキルだったらここに行けますよねというような、もちろん、そこは先ほど言ったような人間関係もあるから一概には言えない部分はあると思いますけれども、そういうキャリアパスの管理をどういうふうに考えられているか、教えていただけますか。

菱山政府参考人 研究人材というのは、新たな価値を生み出しますし、競争力を強化するための原動力だというふうに考えておりますので、すぐれた研究者を確保できるかどうかというのは、イノベーションの創出を大きく左右するものであります。

 すなわち、将来の科学技術イノベーションの担い手である優秀な研究者が幅広く多数存在するということとともに、彼らが活躍する枠組みが整備されることが科学技術イノベーションを推進するというふうに考えております。

 また、特に、一カ所にとどまるのではなくて、いろいろなところで研究活動をするということが、いわゆる流動化を進めるということが推奨されているところでございますので、そういった観点で、研究者の人材の育成なども図っていく必要があるかと考えております。

 ただ、日本医療研究開発機構で全ての研究者を管理するというよりは、やはり研究者みずからがどんな研究キャリアを歩むかということをしっかり自覚していただいて、結局、その研究者が研究できるように促進していくことが肝要かというふうに考えております。

中丸委員 もちろん、研究者の育成、キャリアをどう積んでいただくかというのも非常に大事で、先ほどの目ききの部分の人たちも、我々、たまたまいい目ききさんがいるからお願いするではなくて、やはりこれも長い目で見たら育成していかないといけない問題なので、これを、どういうキャリアを踏んでいただくとそういうことができるようになるのかというのもあわせてお考えいただきたいというふうに思います。

 研究をするに当たっては設備が必要になってきます。前回の参考人質疑の中では、数千万、一億円以上の機材が半年ぐらいで旧型になってしまう、最新の研究を行うためにはさらに踏み込んでいくというような問題もあります。

 レクを受けていく中で、一定の機械を同じ大学などで別の研究室で使い回しもできるようにする方向はお考えだと思うんですけれども、それを非常に実践的に活動している沖縄の大学院大学があると思うんですけれども、あそこなんかは、入れた機材を本当に上手に使い回しできるようにしている、そういったところを参考にしたりということもお考えはあるんでしょうか。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生から御指摘いただきましたように、国費により整備された研究施設設備については、これは公共財であるという基本的な考え方のもとで最大限活用していただくということが重要であると認識してございます。

 このため、国の研究プロジェクトにより購入いたしました研究設備につきましては、科研費等においては、事業の遂行に支障がなければ当該事業以外の研究のために使用しても差し支えない取り扱いといたしております。

 それからもう一つは、文部科学省の一部の競争的資金におきましては、研究費を合算して共用設備を購入して、複数の研究に使用することも可能にするとともに、研究終了後でも、無償貸し付けにより当該研究以外に使用を可能とするといった柔軟な運用を行っているところでございます。

 また、今先生からOISTの例もお引きいただきましたけれども、そうした先進的な例も御紹介しながら、文部科学省としても施設の共用化等を促進してまいりたいと考えております。

中丸委員 仕組みとしては今お答えいただいた形で本当にいいと思うんですけれども、やはり人間が、要は、例えば自分が研究で予算申請をして引っ張ってきた機械を隣の教授には使わせたくない、仲が悪かったりする、そういう見えない制御装置みたいなのが働く可能性があるわけですよね。

 この見えない制御装置を制御するには、私は、こっち側の人の意見も聞く場、そういう意見を吸い上げる場も必要だと思いますので、ぜひとも、仕組みだけで皆さんで使ってくださいよではなくて、現実的に使われているか、使われなければいけないのに使われていないようなことがあれば、そういうのをきちんと吸い上げて、ある程度、これはちゃんとそういうふうにしなさいとか、そういう言える場というのをつくらないと、本当に、見えない無言の制御装置で、室内に立ち入りできないとかいうことも、実際、現場ではあるみたいなので、その辺はぜひお願いします。

 菅官房長官にお伺いしたいと思います。

 こういったいろいろなシーズを開発し、研究をし、進めて、人材を育て、それが国民の健康生活も含め、大きくなるだけではなくて、海外でのビジネス展開を考えたときに、大きな国益にもつながってくる。

 今、医薬品、医療機器だけでも貿易赤字が二兆円あるとかという問題もございますし、そういったすぐれた研究結果が出てきて実用化されるのに、マーケティングというのを普通は行うわけですよね、商品を開発するのに。この商品を開発するとどれぐらいの市場規模があって、自分たちのやっているテーマであればこのぐらいのシェアを狙っていく、そのためにはどういう販売戦略をとるか、どういう販売計画を立てるかということまで最終的には考えていかないと。その辺が経済産業省さんのお仕事かもしれませんけれども、そういう司令塔となる内閣の中で、具体的にどういう戦略を打ち出すかというお考えがもしあれば、お伺いしたいと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

菅国務大臣 まず、この推進本部では、我が国のすぐれた医薬品、医療機器、さらに再生医療製品等を世界に先駆けて開発すると同時に、国際的な医療ニーズや市場動向を踏まえて世界に輸出をして、日本の医療技術、サービスの国際展開を図っていく、ここは物すごく大事だというふうに思いますし、今までこの部分が非常に欠けた部分だというふうに私どもも思っています。

 このために、健康・医療推進本部のもとに、医療国際展開タスクフォースというものを設けました。そして、一般社団法人メディカル・エクセレンス・ジャパン、メーカー等の中で昨年にここを設立し、途上国また新興国の特性に対応した日本の医療技術、サービスの採用促進、個別の医療機関の構築、運営支援、こうしたものを人材育成も含めてここで総合的に行って、戦略的に展開していこう、そういう体制を整えたところでありますので、ぜひ、今委員から御指摘がありましたマーケティング等も含めて、ここの分野でしっかり対応していきたいと思います。

中丸委員 ぜひともしっかりとお願いいたしたいと思います。

 やはり、研究がプロであるように、マーケティングもプロが存在しますし、こういった領域も、営業戦略も含めて、プロをぜひ中に入れていただいて、その意見を参考にしていただければと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 本日は、こちらの法案、この内閣委員会におかれましても、連合審査会におかれましても、そして参考人の方々におかれましても質疑をされてこられました。各委員の先生からの御指摘もあり、大方、どういったところが論点であり、どうしていかなきゃいけないか、この形をつくっていくことが極めて大事だと思います。

 前の国会でもありました、今回でもありますが、内閣人事局のときもあるんですけれども、やはりこういった各省を横断するときは、その中身、もちろん組織論と、そして、その中で働く方々がどのような形にすれば一番能力を発揮できて、より効果が生まれて、結果、国益になるか、こういった視点が極めて重要だと思っております。

 私も、今回の法案は、成長戦略ともかかわる、当然日本の国益を考える点があると。

 そもそも成長戦略とは何かと私は考えたときに、やはり今後伸び得る方々、要は、国、もしくは民間もそうですけれども、投資をすると伸び代がある方々、特に若い方々が特に伸び代があると思いますが、これから次世代を担う方々、この研究者は投資すればすばらしいパフォーマンスを上げて、結果、皆さん、国民にもそうですけれども、国に対しても国益に資する、そんな方々を選んでいく、そういったところが極めて重要な点だと思います。ある意味、その伸び代こそが、あらゆる分野でも共通すると思いますが、それが経済成長であり、成長戦略の一つだと思っております。

 その中で、さきの参考人の質疑の中でもありました。私が一番印象に残ったのは、やはり山中参考人の言葉でした。

 私が奈良先端で独立した後、数年間、私はいわゆる一千万円プレーヤーだった。それが、民間の研究費が合計一千万円程度であると十分な思い切った研究ができなかったんですけれども、二〇〇三年に一気に一億円プレーヤーになりました。年間予算が合計一億円に近い、十分な研究ができて、しかも、一年、二年ではなく五年間という期間。そのときに、山中教授を選んでいただいた方が、プログラムディレクターといいますか、そういった方々で、岸本先生という方だったみたいですね。その方は、専門とは違うから細かいことはわからないけれども、戦略も理詰めである、うまくいくかどうかは別にして理詰めであるから採択していただいたということなんですね。

 各委員の方々の質疑でもありますが、この目ききということは私もやはり極めて重要だと思っております。

 私は、例えば、野球のスカウトマンの方々もすごいなと思うんです。私の同級生で、今プロに行って、メジャーに行った方もいますが、その方は、私、地元は鹿児島県ですが、鹿児島県の予選のときはベスト十六ぐらいの、いわゆるそんなに強くない、甲子園にも行っていないですから、弱小校なんですね。でも、そのスカウトマンの方は、あいつは肩がいいし、足が速いから、きっと伸びると。今までの例があるんでしょうね。要は、今までいろいろな選手の方を見てきて、それと比較してあいつは伸びるだとか、そのノウハウが蓄積されていると思うんですね。結果、メジャーまで行っている、やはりすごいなと。何かそういったスカウトマンの目きき、その方々も今までの経験とプログラムの資質があると思うんですね。

 こういった方々がどれだけいるかということが、ある意味、今回の、PD、POという方々にもそれが必要だと思うんですけれども、こういった点から、やはり目ききをする方が極めて重要だと思うんですが、この点に関して、菅官房長官、どのような御見解がありますでしょうか。どのような方が適任か。参考人の方でも結構でございます。

菱山政府参考人 先生の御指摘のとおり、プログラムディレクターになる方は非常に重要だというふうに考えております。先ほどの山中先生の例でいえば、岸本先生、阪大の総長をやられた方でございます。そういった、教育をされてきて、いろいろな学生や研究者を見てきた方、そして、そういった中で、どんな方が伸びて成果を出してきたかといったことを非常によく見ている方だったというふうに認識しております。

 PDにつきましては、そういったいろいろな経験、お一人だけではございませんので、研究の専門も深く、かつ、その視野の広い方、そしてリーダーシップをとれるような方、そしてまた、多くの経験を積んでいて、いろいろな方を育ててきた方、そういった方がよろしいのではないかというふうに考えております。

 いずれにしろ、採用されるのは理事長でございますので、来年四月に設立されましたら、そういった理事長が適切な人材を選んでくるというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 やはりここは、ある意味肝になるかなと。本当に重要な点だと思います。

 私は、日本というこの国ですけれども、うまく縦の継承ができた国だったと思っております。例えば、伊勢神宮の例なんですけれども、伊勢神宮というのは二十年に一度、式年遷宮をするんですね。これは、よく言われます、何で二十年なのかというと、大体、宮大工さんの技術というのが二十年でうまく継承される。六十代の方がベテラン、それで四十代の方が脂が乗ってきた、それで二十代の若手の方がいる。

 伊勢神宮はどうしようかとしたら、例えばギリシャのパルテノン神殿のような何千年も残るようなものもありますけれども、伊勢神宮、日本の伝統文化というのは、要は、その伊勢神宮をつくる技術、もしくはそういった大工さんの技術までも継承しようとした、いつの時代でもそれを再現できるようにしたかったと。おもしろいなと思うんです。

 やはり、そういった技術の継承、縦の継承があるところは強い、そういった国は強いと思うんですね。それは文明、文化、この医療もそうだと思うんです。先輩がいて、後輩を指導して、その後ろ姿を二十代の方が見ているだとか、そういった継承があると一番いいと思うんです。

 ですので、やはり、こういった経験を積まれた方がPDもしくはPOになる、そういった方々がいると下の方々が伸びて、それが経済成長になるということになりますので、私は極めて重要だと思います。

 その観点で、また別の角度から、では、PD、PO、そういった方々がいらっしゃると思うんですけれども、指摘があった、利益相反にならないかという視点があると思います。

 例えば、よく言われます、学閥だとかそういったもの、どうしても研究の世界というのは、恐らく、私も専門ではないからわからないんですけれども、いろいろな専門の方にお聞きすると、そう広くはない世界、もしかしたら極めて狭い世界かもしれない。そういった中においては、どうしても、もしかしたら個人的なつながりというのはおおよそあるのかもしれない。その中で利益相反にならないようにしなきゃいけないけれども、すると、なかなか選び勝手が難しいかもしれない。こういった点が御指摘であるんですけれども、この点に関してはいかがでしょうか。

菱山政府参考人 そういったPDやPOの採択や育成につきまして、どこの大学がいいかとか、そういったところで決まるものではなくて、一種の客観的な基準で決まっていくものというふうに考えております。

 当然ながら、専門分野やいろいろな分野に通じているということは、いろいろな人間的なつながりはあるかと考えておりますけれども、どこか恣意的に研究者を選んだり、決してそういったことがないように、客観的な基準で採択もしていきたいというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございます。

 そういった適切な人事といいますか、組織の箱をつくった後、中の人、本当にこういった方々は極めて重要だと思います。そしてそこに、ある意味、血の通ったお金といいますか、人に投資する、そういったことが極めて重要になってくると思っております。

 その中で、これもまた山中教授がおっしゃられていました、お金の問題でございます。

 先ほど委員からも御指摘がありましたけれども、アメリカの場合はNIHがあって、国があって、でも、そこでお金がもらえない場合は州でもあって、州でない場合、民間からの寄附があってと。ある意味、逃げ道があるということもおっしゃっていました。要は、ここでだめだから、ここでだめだから……。

 日本の場合は、今回、ある意味、国が全面的に投資する、そういうことになりますと、さらに責任が重大になると思います。このPD、POの方々、こういった方々がさらに責任を持って目ききをしなければいけないという仕組みであると思うのですけれども、その中で、先ほどもありましたファンドレージング、これは検討しないのかということですが、ここについては菅官房長官、いかが御認識ありますでしょうか。今後検討されるかどうか、よろしくお願いいたします。

菱山政府参考人 民間からのいろいろな寄附金につきましては、一つの課題だというふうに認識しております。

 日本医療研究開発機構につきましては、まず最初の各省からの研究費の補助金を一括して管理して、研究をスムーズに進めていくことが大事だというふうに考えております。

山之内委員 ありがとうございました。

 いずれにしろ、こういった目ききができる方が適切なお金を投資して伸ばす、極めて重要だと思っております。

 そんな中で、また参考人の方々もおっしゃられていましたけれども、できれば切れ目のない予算が助かるということをおっしゃっていました。例えば山中教授も、ある機械は国際競争入札になると。一億円、数千万円以上の機械というのは国際競争入札になって、半年近い時間がかかります、上半期に買わない限り、下半期で買おうと思っても買えない、要は研究がおくれてしまう、これはやはり国際競争、こういった最先端の研究では極めて重要と。

 私も実際にそういった最先端の研究をしたことがないから、そのスピード感というのはなかなか実体験としてはわからないのですけれども、そういった、実際されている方々が思われると。そういった意味で、やはり切れ目のない予算ということについてお伺いしたいと思いますが、これはどのように対応されていらっしゃいますでしょうか。

菱山政府参考人 まさに研究は国際競争の中で行われているものというふうに認識しております。また御指摘のとおり、研究費を時々のまさに必要に応じて柔軟かつ弾力的に執行できるようにするということは、研究者の事務負担を軽減することになりますし、研究成果を上げる上で、また、そういった競争の中でも非常に重要な課題であるというふうに認識しております。

 このような観点を踏まえまして、この機構のもとでは、事務手続を合理化して、機構職員による支援を充実して、研究者が非常に事務で忙しいといったところについては事務負担の軽減を図っていきたいというふうに考えておりますし、また機構に集約される研究費の執行の工夫によって、研究者が必要なときに必要な額の研究費を使用できるような対応をできるようにしていきたいというふうに考えております。

柴山委員長 山之内君、質疑時間が終了しております。

山之内委員 質疑時間が終了しました。

 いずれにしろ、こういった組織、今後、形を細かく人事も含めてつくられていくと思います。私は、この先のPDCAサイクル、ちゃんとうまくそれが機能しているのかを引き続き、この委員会等でチェックしていきながら、いいものになっていけばいいと思います。

 以上をもって質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もよろしくお願いを申し上げます。

 官房長官、お忙しいところ、ずっと着席していただいていて、かつ、きのうの通告で、何問かまとめてお答えいただけるという御配慮をいただきまして、そこの質問から先にまとめてさせていただきたいと思います。

 通告を申し上げている六番から九番というところでございまして、そうしましたら、九番、ちょっと後の方になるんですが、機構、新独法の組織の関係というところからまず入らせていただきたいと思うんです。

 これも、前回まで、私あるいは中島厚労委員がお伺いさせていただいた、究極的には既存三法人の合併の方がいいんじゃないかというような関係の関連なんですけれども、政府の方から事前にこれまでいただいている資料の中で、今般の新独法の効果、それに当たっての資料で、課題として、文部科学省、厚生労働省、経済産業省がばらばらに研究開発を支援している、これが課題なのであるというふうに書いてあるのですが、そうなりますと、結局、究極的には、この三省の下にぶら下がっている三独法を合併するのが最もこの究極的な目的、課題を克服するためにいいのではないかなというふうに思うわけでございます。

 このあたりについて、そうだとはおっしゃれないと思うんですけれども、違うんだということなんでしょうから、改めて、考えの違いを明らかにするという意味でも御教示いただければというふうに思います。

菅国務大臣 まず、現状は、各省庁が、また各省庁のもとにある独法が、ばらばらで、縦割りの中で行われている。ですから、それぞれの予算の基礎研究あるいは臨床研究、さらにそうしたものが実用化までしっかりとつながっていない、そういう中で、特に医療分野と健康の中の特殊性として、人を研究対象として、被験者の健康に悪影響を及ぼし得る試験も伴うというこの臨床研究、あるいは、薬事法に基づいての承認申請、他の分野にない過程を必ず踏まなきゃならないという特性があります。

 このために、この医薬、健康産業を効率的に実施するためには、やはり医療分野の研究開発の特性に最適化された専門機関に医療分野の研究開発プログラムを集約して、所期の目的である基礎から実用まで切れ目のない支援を実施できる、そのために、やはり新たな独立行政法人が一番効率的であり効果がある、このように考えたところであります。

大熊委員 仮に、政府側のそういった案に乗ったとして、まあ、私どもが乗るかどうかは別としまして、その上で、新しい機構の組織なんですが、これは前回の御答弁で、通則法上、これはできてからであって、法律上そういう法律になっているんだよ、こういうお話ではあるんですが、そうはいっても、今、現状、全く白紙、こういうことではないんだろうというふうに期待をいたしますものですから、お伺いをするわけなんです。

 この組織は、もちろん、経理部とか総務部とかあるいは受付とか、一般的にどんな組織でもあるような、そういう組織ができるんだろうと思うんですけれども、具体的に、研究テーマのファンディングをいろいろ審査、検討するに当たって、テーマごとに、あるいは例えばがん研究ですとか感染症とか、私も素人ですからわかりませんが、そういったおおよそテーマごとに組織をつくっていこうとされる基本のお考えなのか、それとも、厚労省の関係、文科省の関係、経産省の関係といった、こういう役所ごとの対応、それぞれのプラス、マイナスかなというふうに思われる点、これは想像もできるんですが、この辺、どんな基本のお考えでされようとしていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

菱山政府参考人 この組織体制はまだ決まってございませんけれども、恐らく、省庁ごとではなくて、省庁ごとにすると縦割りになってしまいますので、テーマあるいは研究のいろいろな制度とか、そういった形でいくのではないかと思いますが、いずれにしろ、まだできておりませんので、今後検討していくことになるというふうに考えております。

大熊委員 ありがとうございました。

 法律上決まったわけではもちろんないので、恐らくということしかおっしゃれないんだろうと思いますが、テーマごとにということで、ひとり言でございますが、そうであれば、やはりテーマごとなら既存三法人を合併する方が、テーマごと、がんならがん、全部一緒になるわけですから、いいのではないかなというふうにも思うわけでございますが、そのあたりは意見の違いということなんだろうと思いまして、次に行かせていただきます。

 通告の六番目なんですが、新独法の、今度は研究そのものというより、組織としての経営管理全般についてお伺いしたいと思うんです。

 御承知のとおり、既存の独法、先週、中島厚労委員からも指摘させていただいたような、既存の独法の問題が幾つか生じているかと思いますが、新しい独法、ほうっておくと似たような問題が生じかねないという懸念もあるわけなんですが、こういったことを生じさせないような仕組み、こういったところを何かお考えになっていらっしゃるのかどうか、お伺いしたいと思います。

菱山政府参考人 国及び行政機関におきましては、法令等を厳正に遵守して、先生の御指摘は、多分、入札関係のことの御指摘だと考えておりますが、入札に係る手続について適切に対応していく必要があると考えております。

 今般の問題が指摘されています独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、いわゆるJEEDというものと聞いておりますが、これにつきましては、現在、厚生労働省において、事実関係の把握及び対応方針の検討も行われているものと承知しております。

 こうした事案もしっかり踏まえまして、日本医療研究開発機構においても、同様の問題が生じることのないよう、適切に事業を実施させるようにしていきたいというふうに考えております。

大熊委員 ちなみに、新独法で、調達、入札というのはどんなようなものが予想されるのか。ちょっと通告外なので、もし可能であればお答えを。大体でいいんですけれども、研究そのものはされないので研究設備はないと思うんですけれども、お願いします。

菱山政府参考人 二十七年度の予算になってしまいますので、これというように明確になかなか申し上げられませんが、例えばシステム、いろいろな経理システム等につきましては、入札等に係るものというふうに考えております。

大熊委員 一般的な組織管理用のそういったものなのかなというふうに理解をさせていただきました。

 また、戻るわけなんですが、であれば、既存のものを使えばそういうものは不要ではないかなというふうな意見も申し上げておきます。

 次へ行かせていただきます。

 今度は、機構の研究そのものの部分でございますが、先ほど来も議論になっておりますが、どのような意思決定をしていくのだろうかと。

 ファンディングということは、どこにお金をつけていくかという意思決定ですね。これを、例えばファンドと言われるような機能ですと、そのファンドの中に審査委員会あるいは投資委員会のようなものが通常あると思うんですが、そういった仕組み、恐らく単独のPOあるいはPDの方々が、勝手にといいますか決めるということじゃないんだろうと思います。

 組織的に、組織の中のPDなりPOの皆さんが集まった会議なのか、もっと上位の役員会のような仕組みを想定されていらっしゃるのか、その辺、法律ができてからということかもしれませんが、何か基本の考え方をお持ちであれば、御教示いただければと思います。

菅国務大臣 現時点の考え方ですけれども、PD、POのもとで専門家における評価も得ながら、まず、個々の研究テーマ等は決定をしていきたいというふうに思います。

 そして、最終的には、この機構におけるさまざまな研究費の配分先の決定等については、ここは理事長の責任ということになるだろうというふうに考えています。

大熊委員 念のためなんですけれども、事務方の方でも。

 理事長を支える理事会決定というようなことが、組織上、例えば会社法上の会社でしたら取締役会の決定ですとか、あるいはファンドですと投資委員会の決定、それは、条文上は、理事会決定、理事長が代表者で理事会が取締役会のような、そういう関係なんですか。その辺について、御教示いただけますか。

菱山政府参考人 独立行政法人につきましては、理事長に決定権があるということでございます。

大熊委員 それは、独法全体でそういうたてつけになっていると、この新独法特殊ではなくて、全体でそうなっている、こういうこと。一応、確認のためにお願いします。

菱山政府参考人 これは、独立行政法人のたてつけということでございます。

大熊委員 それはまた、理事長という個人というか一人の方に相当の重責が、一般的な組織よりも、会社法上の会社とか一般的なファンドよりも、これはある意味、相当特殊な形態であるということを私も初めて勉強させていただきました。

 であればこそ、余計に、理事長はどんな方なのかというのは非常に重たいことになるんだろうと。これはまた、今回の法案じゃないですけれども、通則法上、事前に決めなくてもいいというのがちょっと物足りないなというか、心配だなというところは同時に感じたわけでございます。

 続きまして、次に参らせていただきますと、今度は、では、その適切な意思決定が仮に行われたとして、ファンディングがなされましたよというその後の話なんですが、もちろん、御説明のとおり、PDとかPOの皆さん方で管理、支援というのが行われていくんだろうと思いますが、ところが、残念ながらといいますか、ちょっと失敗したぐらいでくじけるなという、もうちょっと中長期的に見てとか、そういう観点もあるんだろうと思いますが、でも、これはもう誰がどう見ても、ちょっと方向転換をせざるを得ないねというような場合、どういうふうに以前の決定を覆すんだと。

 例えば、今のお話ですと、理事長決定でなされたことを下の人たちが覆せるかという、取締役会のような組織決定ならまだしも、では、トップの決定を今度は本当の方向転換、覆せるのかという重大な局面がちょっと想像できてしまうんです。

 この点の仕組みについて、また、法律ができてから、これからということかもわかりませんが、何か教えていただければありがたいと思います。

菅国務大臣 基本的には、機構内に、評価のための専門家による会議というものを設置したいというふうに思います。その会議の中で、いわゆるPDが、進捗に応じて、専門家の皆さんからの評価、またその結果、そういうことを評価していただいて、これが研究費の配分等に反映するわけでありますから、そういう中で、必要に応じて、御指摘のように対応していきたいと思います。

大熊委員 これは私のちょっとした提案というほどのものでもないんですが、その場合に、やはり、専門家集団の皆さんと理事長との関係において、簡単に申しますと、理事長から人事なりいろいろな権限を受けている方ですと、なかなか独立した判断がしにくい、こういう組織の常でございます。そういう部分じゃない、ある程度独立した方が、過去の一番トップの偉い方の決定も覆せるような、そういう権限を持った、そういう体制に持っていっていただくことを希望といいますか、提案を申し上げたいというふうに思います。

 以上で官房長官、終了いたします。あと五分程度、どうぞ御休憩いただいても結構でございます。

 あと五分でございます。残り、事務方の皆さんにお伺いしたいんです。

 先ほど松田委員の方からデンマークのバイオバンクのお話が出ました。これは通告ではないので可能であればなんですが、同じ資料、先ほど言及させていただいた、政府の内閣官房の皆さんからお配りいただいた、タイトルは「健康・医療戦略推進法案の概要の骨格」という、レクのときに最初にお配りいただいた資料の六ページ目に、「日本医療研究開発機構に求められる機能」というシートがありまして、この中に、「EBM(エビデンス)に基づいた予防医療・サービス手法を開発するためのバイオバンク等の整備」、こう書いてございます。

 これは多分、デンマークのバイオバンクと違う意味だろうと思うんですが、一応、このバイオバンク、日本型バイオバンクということなんでしょうか。これはまさかデンマークみたいに、全国民の検体提供みたいな、そういうことは無理、行く行くは私もそういうふうな方向であるべきだと思うんですが、日本でというか、ここで内閣官房さんが書かれたこの当面の目標というか、これは一体何なのか、ちょっと簡単に教えていただければと思います。

菱山政府参考人 デンマークのような、全国民を対象としたものではございません。

 我が国において、今、バイオバンクというのは実は幾つかございます。代表的なものにつきましては、東京大学医科学研究所や理化学研究所が共同で設置しておりますバイオバンク・ジャパンというのがございます。それは、済みません、ちょっと手元に数字がございませんが、二十万から三十万の症例を集めて、患者さんから血液をいただいて遺伝子を分析する、特にSNPSを分析するものでございます。

 それ以外に、東北メディカル・メガバンクというのがございまして、これは東北地方の復興関係ということでございますが、健常人の試料をいただきまして、これも遺伝子の解析、それからさまざまな生化学的な解析などをしていこうというものでございます。

大熊委員 それでは、現行のマイナンバーの法律であったとしても、そういった仕組みのものは、自主的にというか、純民間かどうかは別にして、国以外の民間的なベースでも、どんどんというか、整備可能なんだ、こういう理解をさせていただいたんです。

 先ほどのデンマークの人口、五百万とか六百万ですので、二十万、三十万の症例を集めれば、多分、統計的には、ほとんど意味は同じような、有意なデータなりがとれると思うので、ぜひそういったものをかなり充実させていくべきではないか。要するに、マイナンバーの法律が医療まで拡大しなくてもできるならという認識を持ったんですが、一言、もしあれば。

菱山政府参考人 今御紹介申し上げましたバイオバンクにつきましては、基本的には、行政が定めた指針に沿って行われてございます。インフォームド・コンセントや、あるいは情報のいろいろな収集、提供、そういったことについていろいろな苦労がありましたが、そういった指針等を活用して克服をしてきております。

 ただ、それで全てが解決するというわけではございませんが、研究におきましては、そういったシステムが今でき上がって研究が行われているというものでございます。

大熊委員 最後に、お金と人の質問をさせていただこうと思ったんですが、もうほとんど時間がないということなんですが、この独法、恐らくお金がまたじゃぶじゃぶになる可能性があると見ているんです。なぜならば、一千億超のお金が入ってきて、それからファンディングがちょっとずつ出ていくわけですから、物すごく資金繰りがゆとりのある、お金じゃぶじゃぶになる。

 要するに、長期的に言うと、ネットゼロだとしても、入りが大きいんですよ。ファンディングで出ていくのがちょっとずつ出ていきますから、要は、前々々回指摘させていただいた独法のように、滞留資金がすごく大きくなりやすいという危険性をもともとはらんでいるので、それで新独法が危険だというふうに申し上げている部分もそういうことがあるんですが、最後に一言、そういうことはないんだというふうに、ちょっと、力強くお答えください。

柴山委員長 菱山内閣審議官、質疑時間が終了しておりますので、端的にお願いします。

菱山政府参考人 この機構につきましては、業務経費は各省からの補助金、単年度の補助金で交付されていて、予算の方も単年度で執行されるということでございまして、仮に剰余金が発生しても国庫に行きます。

 したがって、そういった先生が御心配のことは発生することはないと思います。

大熊委員 単年度だとしても月次で相当、期中で余りますから、国立病院機構もそうですから。

 以上で質問時間を終了して終わります。ありがとうございました。

柴山委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 私は、前回の質疑で、現場の研究者の声を直接反映する仕掛けは法案の中にあるのかとお聞きしました。そのような仕掛けが法案の中にあるということは確認できませんでした。情報開示については、戦略本部等の議事録、配付資料が非公開とされる可能性が大きく、かなめとなる創薬支援ネットワーク協議会の場合は、原則非公開となっていることも明らかになりました。

 きょうは、製薬業界との関係についてただしたいと思います。

 先日の質疑の中で、創薬支援ネットワーク協議会の中に日本製薬工業協会、製薬協の会長が入っていることを確認しました。製薬協の手代木功氏は、塩野義製薬の社長であります。

 この方は、内閣官房の中の健康・医療戦略室健康・医療戦略参与を務めていると思いますけれども、いかがでしょうか。

中垣政府参考人 ただいま御指摘のございました日本製薬工業協会の会長は、創薬支援ネットワーク協議会の構成員を委嘱されまして、また、健康・医療戦略参与にも任命されております。

佐々木(憲)委員 配付資料を見ていただきたいんですけれども、上半分は、健康・医療戦略の推進体制の全体像が示されております。下半分は、司令塔機能等、日本医療研究開発機構の業務が示されております。

 上の部分の健康・医療戦略推進会議にぶら下がっているのは、今指摘をしました創薬支援ネットワーク協議会のほかに、左側から、次世代ヘルスケア産業協議会、医療国際展開タスクフォース、次世代医療ICTタスクフォース、健康・医療戦略ファンドタスクフォースがあり、その下に事務局機能として内閣官房健康・医療戦略室がありますね。

 そこで、これらの組織に業界関係者が入っているのはどこか、また、今後入る可能性があるのはどこか、お示しいただきたいと思います。

中垣政府参考人 御指摘の図の中でございますと、先ほど申し上げました健康・医療戦略参与、それから次世代ヘルスケア産業協議会、それから創薬支援ネットワーク協議会、この部分には業界の代表の方という形で入っていらっしゃると思います。

佐々木(憲)委員 今、三つの組織について指摘されましたが、ほかの部分については、入る可能性は否定はできないと思いますが、いかがでしょうか。

中垣政府参考人 まず、右側に書いてございます医療分野の研究開発に関する専門調査会の部分につきましては、これは医療分野の研究開発に関して学識経験を有する者として委員を委嘱しまして、あくまで学術的、技術的な観点から助言いただくものであるため、そういった業界を代表する立場の者を委員に委嘱するということは考えておりません。

 また、医療国際展開タスクフォース、これにつきましては、関係省庁とそれから団体、それが一つ、MEJと言っております社団の方が入っておるものでございます。

 それから、次世代医療ICTタスクフォースにつきましては、学者の方とかそういった学識経験者だけでございまして、そういった業界の方というのは考えておりません。

 それから、右側の医療戦略ファンドタスクフォースにつきましては、これから具体的に立ち上げる形になりますけれども、今のところは考えておりません。

佐々木(憲)委員 それでは、健康・医療戦略を推進する司令塔のかなめの部分に密接な利害関係を有する業界代表が入る、これは大きな特徴だと私は思います。

 民主党政権のもとでも似たような組織がつくられまして、二〇一〇年六月十八日に閣議決定されました新成長戦略の中に七つの戦略分野がありまして、その一つとして「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」が位置づけられておりました。

 その年、二〇一〇年十一月八日に新成長戦略実現会議が開かれまして、内閣官房長官を議長とする医療イノベーション会議を設置することが決められました。

 さらに、二〇一一年一月七日、内閣官房のもとに医療イノベーション推進室が設置された。ここにも、医薬品業界、医療機器業界の代表が入っていたと思いますけれども、これは間違いありませんか。

中垣政府参考人 ただいま御指摘いただきました医療イノベーション会議と申しますのは、国家戦略担当大臣を議長に、関係府省の大臣、内閣官房副長官で構成されておりましたけれども、医薬品や医療機器の業界団体の代表者がオブザーバーとして会議に参加していたと承知しております。

 また、内閣官房に設置されました医療イノベーション推進室におきましても、業界団体の推薦を受けた者を職員に任用していた、このように承知いたしております。

佐々木(憲)委員 当時から、日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会など、業界関係者が入っていたわけです。

 安倍内閣は、昨年、二〇一三年二月二十二日に、民主党政権下でつくられた医療イノベーション会議、医療イノベーション推進室、これを廃止して、健康・医療戦略室を設置したわけですね。新しくつくられた健康・医療戦略室のトップは菅官房長官でございます。

 確認しますけれども、この健康・医療戦略室の中に、企画官あるいは参事官補佐として日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会のメンバーが入っていると思いますけれども、これは間違いありませんか。

中垣政府参考人 内閣官房健康・医療戦略室に常駐する職員につきましては、日本製薬工業協会、日本医療機器産業連合会から推薦を受けた者を非常勤の国家公務員に任用しておるところでございます。

佐々木(憲)委員 このように確認していきますと、初めから重要な部分に製薬業界、医療機器業界の関係者が入っている、戦略の作成にかかわっているということがわかるわけであります。

 この体制のもとで進められようとしている健康・医療戦略のポイントは、一つは、先端医療の分野に資源配分を集中するということ、二つは、省庁の縦割りを排除して横断的な連携を進めるということ、三つ目は、基礎研究から実用化まで切れ目のない取り組みを行うということにあります。

 簡単に言いますと、業界側が実用化の観点から基礎研究を選定し、そこから実用化に至るまで資金を集中する、こういうやり方だと思うんです。

 官房長官にお聞きしますけれども、こういう戦略自体、業界側から出されたと見てよろしいんじゃないでしょうか。

菅国務大臣 そうした御指摘は全く当たらないと思います。

 あくまで私たちは、世界の中で最も最高水準の医療体制をつくり上げること、そして同時に、健康・医療産業を戦略的に海外に輸出をしていく、そして人類の夢であります健康で長生きをすることのできる社会をつくっていきたい、そういう趣旨の中であります。

佐々木(憲)委員 当たらないと言われましたけれども、例えば、製薬協の手代木会長は、二〇一一年の「製薬協ガイド」というのがありまして、その中でこう述べているわけです。

 「各省庁の枠を超えてのライフサイエンス関連予算の一本化、ならびにイノベーション施策の司令塔機能の強化を強く訴えてまいります。」そのため、関係省庁への政策提言活動を行います、こうしているわけですね。

 つまり、業界側からこういう戦略を大いに提起していきたいと。そして、この業界の関係者を直接、国家戦略である健康・医療戦略の作成に当たらせる、そうなりますと、公平公正な政策が推進できるのかというような疑問が出てくるわけです。

 例えば、今年度、科学技術振興費の四%相当分を内閣府が各省庁、関係省庁から計上させて、ボトムアップ部分に提供されている科研費の比重が相対的に低下するという結果を招いております。

 先日の参考人質疑で、参考人の大隅氏はこう言っているんです。基礎研究に十分な配慮がなされているか、我が国の生命科学研究のパイの大きさ全体が全然足りない、我が国が健康・医療の研究開発を推進していくという上で、本当に予算がこれで十分なのかという問題提起をされました。

 官房長官、この声にどのようにお応えになりますか。

菅国務大臣 基礎研究というのは極めて重要である、そのことは、まさに自由に研究することによって、一般の国民が予期せぬような発見等もあり得るわけですから、そこは十分配慮させていただいております。

佐々木(憲)委員 いただいておりますと言いますけれども、実際にその全体の基礎研究に係る予算が特定の分野に集中しますと、ほかの分野が手薄になりまして、基礎研究そのものが枯渇していく危険性があると専門家が指摘しているわけであります。全体のボトムアップ部分を予算をさらに拡充していくというのはまだわかりますけれども、現実には、選定が重点化されていくわけです、選定されて。そこのところを変えない限りは、この声に十分応えたことになりませんので、指摘をしておきたいと思います。

 最新版の「製薬協ガイド二〇一二―二〇一三」を見ますと、こう書いております。

 「製薬協としては、各省庁の枠を超えてのライフサイエンス関連予算の一本化、イノベーション施策の司令塔機能の強化、ならびに法人税の低減・研究開発に関する優遇税制の充実など、イノベーションの推進に重要な施策の実現をこれまで以上に強く訴えてまいります。」こう述べております、業界の立場から。

 ここで、法人税を下げなさいとか、あるいは研究開発減税を充実しろとまで言っているわけですね。私は、これはまことに厚かましいんじゃないかと思っているんですけれども、製薬大企業は、これまで研究開発減税の恩恵を一番受けてきたわけですね。

 財務省に確認したいんですけれども、業種別法人税の税負担率、繰越欠損金控除前の所得に対する割合ですけれども、この中で、医薬品の場合は何%になっているか、数字がわかりましたら、それもあわせて示していただきたいと思います。

星野政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生が御指摘になられました業種別の法人税の税負担率としての医薬品の数字でございますけれども、先般、三月末の政府税制調査会に提出いたしました数字でございますが、平成二十四年度の業種別法人税の税負担率の資料の中で、医薬品業に対します税負担といたしましては、租税特別措置による特別税額控除の影響の割合としては五%、それから、医薬品業全体の税負担率としては一九・九%という数字になっております。

佐々木(憲)委員 結局、法人税率は二五・五ですね、国税の場合。これが一九・九、相当低くなっているわけです。研究開発減税の恩恵というのは膨大なものでありまして、これは、今の御答弁は国税分であります。

 各社の有価証券報告書を見ますと、例えば、医療用医薬品国内売り上げトップの武田薬品の場合は、研究開発費が三千二百四十三億円、売上高に占める割合が二〇・八%、非常に高い。そのため、国税、地方税を含む法人税の実効税率は、本来三八%ですけれども、試験研究費などの税額控除によって二五・八ポイントも税率が軽減されております。第二位のアステラス製薬は、研究開発費が千八百二十億円、売上高に占める割合は一八・一%ですけれども、国税、地方税を含む法人税の実効税率は三七・七%ですが、二・五ポイント、税率が軽減されております。第三位の第一三共は、研究開発費が一千八百三十億円、売上高に占める割合は一八・三%、実効税率は三七・八%ですけれども、この減税効果適用後は二六%しか法人税を負担していない等々、挙げればもっと挙げられますけれども、時間がありません。ほかの企業も同様であります。

 国民には消費税、今大変な負担になっているわけですね。製薬業界にさらに減税せよというのは、これはちょっと不公平ではないかと私は思いますが、官房長官、どのようにお考えでしょうか。

菅国務大臣 製薬業界ということだけでなくて、まさに国際社会の中で日本のそうした法人が同等に競争できるような環境を整備していくことは、ここは政府の大きな責任の一つだというふうに考えています。

佐々木(憲)委員 法人税の減税を次から次へと要望して、減税しても減税しても、内部留保が膨れるだけで、実際には賃金にも回らないし、本当に効果があるのかというふうに思うんです。

 例えば、武田薬品の場合、内部留保が幾らあると思いますか。二兆四千二百九十五億円ですよ。莫大なものですね。大塚ホールディングスの内部留保は一兆三千四百七億円、アステラス製薬は一兆一千百七十一億円です。こんなに積み上がって、減税すればするほど積み上がっていっている、これを活用しないといけないのではないか。

 それだけではなくて、私がここで指摘したいのは、これだけの膨大な内部留保を抱えて減税を受けている、そういう企業が自民党に献金をふやしているわけですよ。製薬協に加盟している企業は七十二社あります。自民党の政治資金団体である国民政治協会が受け取った製薬協の会員会社からの政治献金は、二〇一一年は五千七十四万円であります。二〇一二年は六千八百万円。増加しているんですね。政権に復帰した二〇一三年の数字はまだ出ていないですけれども、さらに増加しているかもしれません。

 これは、製薬業界と自民党の癒着じゃないかと言われても仕方がないと思いますよ。官房長官、どう思いますか。

菅国務大臣 そこは当たらないと思いますし、自民党では、適切に法律に基づいて対応しているというふうに思っています。

佐々木(憲)委員 製薬業界を初め関連業界が自民党に、自民党だけではありませんけれども、たくさんの政治献金を提供する。それを受け取って、そして、その関係業界の関係者をこういう戦略の非常に重要なかなめになる組織のところに次々と据えつけているわけですね。それで、その戦略を受けて全体の国家戦略を組み立てる、これは大きな癒着関係にあるというふうに私は言わざるを得ないですね。

 その結果、国民の側からいいますと、やはり研究の特定分野への偏重、そしてそのほかの分野の研究費の枯渇状況、こういうものを促してしまう。結果として、国家戦略として考えていた研究開発全体が、進むどころか、大きな後退を招いてしまうのではないか、私はそういう危機感を持っております。

 したがって、今回のこういうやり方については、非常にいろいろ問題があるというふうに思っておりまして、賛成できないという立場でございます。

 以上述べまして、終わらせていただきます。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上でございます。

 最後の質問となります。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

 今回の法案でございますけれども、世界的にすぐれた日本の基礎研究をより迅速に、また確実に実用化に結びつけていくか、それを一元的に戦略を構築して、国の指揮のもとに産官学の連携を強め、それを推進していこう、そういう内容だと理解をいたしております。

 そのためには、まず、基礎研究から実用化まで、シームレスな流れ、支援体制がいかに構築をされるか、そのことが重要だ、今までの議論を踏まえてそのように特に思っておりますけれども、この法案の目的を達成させるためには三つのシームレス化が重要だと私は考えております。

 まず一つは、基礎から実用化までの研究のシームレス化、二点目は、予算執行のシームレス化、そして三番目は、研究支援者の雇用のシームレス化、この三つが大変重要ではないか、そのように考え、またその中で幾つもの課題も散見をいたしておりますので、その点について、きょうは政府に確認をさせていただき、そして最後に菅官房長官に総括的な見解を伺いたい、そのように思っております。

 それでは、まず第一に、研究のシームレス化でございますけれども、これも何度も出てきている問題でございますけれども、基礎研究への支援の充実また継続というものがいかに確保されるのか、そのことは何度も指摘をされております。シームレス化、いわゆる実用化に重点を置く余り、基礎研究が手薄になるのではないか、そういう指摘も何度も出ておりますし、参考人質疑でもその点に対する懸念が示されました。

 その点について、政府として、基礎研究への支援の充実そして継続についての考え方を改めてお伺いしたいと思います。

山脇政府参考人 お答えいたします。

 基礎研究は、新たな知の資産を創出する、また世界共通の課題を克服する鍵となるものでございます。独創的で多様な基礎研究の推進は、世界で最もイノベーションに適した国づくりに不可欠なものというふうに認識をしております。

 このため、文部科学省におきましては、研究者の自由な発想に基づいて行われる研究を幅広く支援する科学研究費助成事業、またイノベーションにつながる、技術的、新技術シーズの創出を目指した戦略的創造研究推進事業などを推進しております。世界最高水準の基礎研究の強化を進めているところでございます。

 今後とも、中長期的な観点から、すぐれた基礎研究をしっかりと支援するということを継続してまいりたいと考えております。

村上(史)委員 官房長官も、事あるごとに、基礎研究の重要性ということは御答弁をされておられました。そのことが、まさに今後の実用化に向けての本当の基礎になるところでありますので、今後とも、その点に対する注意を喚起させていただきたい、そのように思っております。

 そして、二点目でございますけれども、これも何度も質問が出ております、いわゆる目ききの問題でございます。肝であるとも言われておりますけれども、この目ききの中で課題となっているのが、まず、何かのひもつきであってはいけないということ、また利益相反の問題もありますし、先見性、客観性、中立性をいかに確保していくかということが課題になっていると思います。

 改めて、その点に対する見解を確認させていただきたいと思います。

菱山政府参考人 先生の御指摘のとおり、大変目ききは重要だというふうに認識しております。特に、客観性、利益相反性あるいは中立性、そういったことをどのように確保していくかというのは今後の課題だというふうに考えておりますが、例えば、ある特定の方と研究の仲間であったりとか、そういったときに、そういったことも含めて、よくその辺は事前調査をするということが必要だというふうに考えております。

 また、目ききの能力というのも、これはなかなか客観的に評価するのは難しいかもしれませんけれども、いろいろな情報を集めまして評価をしていくことが必要かというふうに考えております。

村上(史)委員 もちろん、今御答弁いただいたように、中立性、客観性を確保していくことは、誰もが重要だということは認識しているんですけれども、それをいかに担保していくかということが今後の大きな課題だと思います。そういう面で、機構の中にそういう、倫理委員会ではありませんけれども、そのような形で絶えず検証していく、そういう体制が必要ではないのか、そのことを指摘させていただきたいと思います。

 そして、実用化に向けては、基礎研究から最低でも十年かかるとよく言われております。その間、ずっと一貫した支援が必要でございます。特に、基礎研究から臨床へ移行する場合、参考人からもお話がございましたけれども、基礎研究の何倍もの資金が必要だというふうに指摘をされておりますけれども、そのような支援のシステムをどのように構築をしていくべきか、その点について、政府の見解をお伺いしたいと思います。

菱山政府参考人 まず、研究プログラムを統括いたしますプログラムディレクターの目ききによりまして有望な成果を見出してくる、それから、実用化を見据えて、基礎から実用化まで一貫した研究マネジメントを実施していくことが必要かというふうに考えております。

 また、あわせて、そういった研究の面だけではなくて、知財ですね、知的財産権をどのように確保するかといった専門家からのさまざまなアドバイス、例えば知財取得戦略の立案支援、どのような国に出願するかとか、いつのタイミングで特許の出願をするか、そういったことも含めて御支援するようなことも、アドバイスすることも必要かというふうに思いますし、また、臨床研究がここではかなり重視されますので、臨床研究をサポートしていくということも必要でございますので、その際、各大学や研究機関におきまして統計、生物統計とか、そういったことの専門家を置けるように御支援するとか、そういったさまざまな御支援をしていく必要があるというふうに考えておりますし、そういったシステムをぜひ構築していきたいというふうに考えております。

村上(史)委員 それでは次に、予算の執行のシームレス化についてお尋ねをしたいと思います。

 この点も先日の参考人の方から指摘をされておりました。年度末に予算がなくなってしまって、次の年度まで待たなければならない、その結果、研究に支障を来す、そういう例が現実に起こっているんですということを山中教授がお話をされておられました。

 勢い、山中教授は自分のポケットマネーで研究費を調達したというようなことをおっしゃっておられましたけれども、個人の負担を強いるというのはやはりだめだと思いますし、大きな成果を生むためには、やはり予算、費用の絶え間ない執行を確保するということが大変重要だと思いますけれども、その点に関してどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。

菱山政府参考人 研究者の側から見ますと、研究の申請事務に忙殺されたり、実用化の途中で研究費が途切れてしまったり、あるいは、今先生が例に挙げられましたように、年度途中で研究ができなくなってしまったりという問題があったりしたというふうに認識しております。

 今回、日本医療研究開発機構で研究費の配分業務を集約することによりまして、研究開発の進捗に応じました最適の研究費を切れ目なく確保できるようにすること、すなわち、基礎の段階で切れるというわけではなくて、基礎から実用化まで切れ目なく確保すること、それから、研究費に関する情報提供や申請の窓口、手続が一本化されて事務負担が軽減するといったメリットがもたらされるというふうに考えております。

 また、あわせて、事務手続の合理化とか機構職員による支援の充実によって研究者の事務負担の軽減を図るということとともに、機構に集約されました補助金の執行の工夫により、研究者が必要なときに必要な額の研究費を使用できるような対応を図るといったことを通じていきたいというふうに考えております。

 あわせて、機構側だけではなくて、大学や研究所側ともよく協力して、研究費の使い勝手をよくしていきたいというふうに考えております。

村上(史)委員 法律で予算は単年度主義ですので、一遍にそのことで解消というわけにいかないと思いますが、基金的なものをうまく活用するとか、もう既に基金は実施をされておられますけれども、また工夫をして、研究に支障がないようにサポートをしていただきたいな、そのように指摘をしておきたいと思います。

 それでは、最後に、研究を支える支援者の雇用のシームレス化でございます。

 この問題も、多くの参考人、特に大学の研究者の方から意見がございました。幸い、今まで有期雇用五年のところを十年に引き上げていただいた、それはありがたいことだということもあわせておっしゃっておられましたけれども、しかし、有期でございますので、その後のいわゆる身分保障がないということで、研究者に対してはやはりそれなりの身分保障が必要ではないか、そういう面で、労働派遣法のことも含めて法改正を求める声もございました。

 今回、特に、機構を設けるに当たってこの問題に対してどのような御認識を持っておられるのか。そして、機構で雇用をする、また人材を抱えるというところまでは全く法律には触れられておりませんけれども、ただ、有期雇用であっても、プロジェクトからプロジェクトに移行する、その調整ぐらいは機構の中でできるんじゃないかなというふうに思いますけれども、その点について御見解をお伺いしたいと思います。

菱山政府参考人 今先生御指摘のとおり、有期雇用期間、十年に延長された職種もあるところでございます。それ以外に、今回、日本医療研究開発機構におきましては、各省の予算配分調整や研究支援スキームの整合性の確保等の取り組みを推進することによって、研究支援者の雇用につきましても、今までよりは、予算が集約することによって、より見通しの立つものになるというふうに考えております。

 私どもも、有期雇用に起因する不安定性について一定の対応を図ってきたところでございますが、研究支援者の安定的なキャリアパスを築いていくことは非常に重要な課題だというふうに認識しております。

 ただ、このキャリアパスの問題につきましては、医療分野だけではございませんので、科学技術全体の中でも考えていく必要があるだろうということでございます。総合科学技術会議における研究者等の人材の育成に係る方針も踏まえまして、医療分野の特殊性にも配慮しながら必要な措置を検討していくというふうに考えております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 この雇用の問題は、研究者の立場から、そういう人たちを抱えていて、やはり、研究者のサポートをしてくれる方々の将来のことも考えて、それを研究者が心理的に圧迫を受けるという面からやはり解放してほしいという思いもあろうかと思いますので、これはまた今後の大きな課題として、引き続き御検討をいただきたいと思います。

 それでは最後に、菅官房長官にお尋ねをいたします。

 今回、この法案に対する、さまざまな角度から、課題、例えば独法でいいのかどうかも含めまして、いろいろな意見が出てまいりました。また、課題も全てクリアできたわけではありません。来年の設立、スタートに向けて、官房長官の思い、そして、これをいかに大きく育てていくかという視点から官房長官の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。

菅国務大臣 ただいま委員から御指摘のありました三つのシームレス化、この法案の目的を達成する意味で極めて重要な御指摘である、このように私は受けとめさせていただきました。

 そして、まさに世界最高水準の医療を実現し、そしてまた健康・医療の産業を戦略的な産業として育成し、国の内外の国民の皆さんが健康で長寿社会を形成することができるように、全力で取り組んでいきたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 終わります。

柴山委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、内閣提出、健康・医療戦略推進法案に対し、平将明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の共同提案による修正案が、また、大熊利昭君から、みんなの党提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。

    ―――――――――――――

 健康・医療戦略推進法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました健康・医療戦略推進法案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 第一に、健康・医療戦略推進法案の附則に検討規定を加えることとし、政府は、この法律の施行後三年以内に、臨床研究において中核的な役割を担う医療機関における臨床研究の環境の整備の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。

 第二に、その他所要の規定を整理することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

    ―――――――――――――

 健康・医療戦略推進法案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

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大熊委員 ただいま議題となりました健康・医療戦略推進法案に対する修正案につきまして、みんなの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 独立行政法人日本医療研究開発機構を設立しないこととすることに伴い、独立行政法人日本医療研究開発機構に関する規定を削除することとしております。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

柴山委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより両案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。

赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、健康・医療戦略推進法案、独立行政法人日本医療研究開発機構法案に反対する討論を行います。

 反対する理由は、予算配分の重点化により日本のボトムアップ型の基礎科学研究体制を弱めること、情報が国民に開示されないこと、国民全体が医療研究の成果を享受できないなどの重大な問題があるからです。

 法案は、医療開発の計画から出口戦略までの全ての過程において、国民と国会による検証と関与を排除しております。

 特に、研究成果の実用化の立場で検討する創薬支援ネットワーク協議会は、会議の内容が原則非公開となっています。しかも、その非公表措置が妥当か否かを点検する担保措置もありません。結局、総理が委員に任命した製薬業界の利益代表が検討過程を掌握するもとで、国民の目が届かないところで医療戦略を決めることになります。

 また、法案は、医療分野の研究開発関連予算を一元化し、重点的な予算配分を行うとしています。

 しかし、戦略本部によって医療分野の実用化に特化した研究開発に偏重した配分を行うことは、研究者の自由な発想に基づくボトムアップ型の研究をサポートする唯一の公的研究資金である科学研究費補助金の相対的低下を招くことになりかねないと、国内の六十二の関連学会が懸念しています。

 医療戦略法案と戦略特区法案は、同じ方向を向いています。社会保障の国民負担増路線が強化しているもとで、産業競争力会議や規制改革会議は、国民皆保険制度を崩す混合診療を議論しています。実用化にこぎつける最新の新薬や医療機器は、最初から保険外適用を目指して開発することになります。

 国民の税金を使用した医療の研究成果に基づく新薬や医療機器の恩恵が、国民全体の医療・健康増進に結びつかないことになりかねません。

 以上指摘して、反対討論といたします。

柴山委員長 これにて討論は終局いたしました。

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柴山委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、健康・医療戦略推進法案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、大熊利昭君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、平将明君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、独立行政法人日本医療研究開発機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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柴山委員長 この際、ただいま議決いたしました両案に対し、平将明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。津村啓介君。

津村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    健康・医療戦略推進法案及び独立行政法人日本医療研究開発機構法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切に対応すべきである。

 一 医療分野の研究開発において、国立高度専門医療研究センター及び独立行政法人日本医療研究開発機構の連携を強化するとともに、大学、臨床研究中核病院等の臨床研究を行う機関を一体とした臨床研究基盤を構築し、創薬・医療機器等の開発から実用化までの取組を加速化させること。

 二 臨床研究等の推進・活性化のため、国際共同治験にも対応できる臨床研究・治験のための拠点整備に努めるとともに、倫理・医学統計の専門的な人材の育成を急ぐこと。

 三 医薬品や医療機器に関連する企業・団体からの透明性が確保された拠金を原資として、臨床研究の推進に資するための組織を公的機関内に整備することについて検討を行い、適切な措置を講ずること。

 四 臨床研究における不正防止の取組を推進するため、独立行政法人日本医療研究開発機構は、業務を通じた医療分野の研究開発に関する研究不正の防止に関するノウハウの蓄積及び専門的な人材の育成に努めること。

 五 健康医療情報を健康・医療に関する研究開発に有効活用するため、これらの情報の適切な電子化及び研究開発の目的に応じた統合について検討を行うとともに、電子カルテの活用等ICTによるビッグデータの活用を含む実践的なデータベース機能の早急な整備、健康・医療に関する研究目的での利用に向けた健康医療情報の第三者提供の在り方について検討を行い、適切な措置を講ずること。

 六 医療分野の研究開発の成果が健康長寿社会の形成において重要な役割を果たすことに鑑み、医療分野の研究開発の重要性に対する国民の関心と理解を深めるよう努めること。

 七 医療分野の研究開発における重点領域の設定に当たっては、国民・患者のニーズも踏まえること。

 八 創薬支援業務等に関する独立行政法人医薬基盤研究所から独立行政法人日本医療研究開発機構への業務移管、特に創薬支援ネットワークの本部機能の円滑な移行に向け万全を期すこと。また、医療機器の開発を進めるため、大学、研究開発法人、その他の研究機関及び企業等からなるネットワークの設立に向けての検討を進め、適切な措置を講ずること。

 九 機構の役員の選任に当たっては、幅広い視点と中長期的な視点から公正な判断ができる人材の登用に努めること。また、公募を経て選定された場合を除いては、公務員OBを役員に選任することを認めないこと。

 十 この法律の施行後五年以内に、独立行政法人日本医療研究開発機構の組織の在り方を含め、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

柴山委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。菅内閣官房長官。

菅国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえまして配慮してまいりたいと存じます。

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柴山委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

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柴山委員長 次回は、来る十一日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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