衆議院

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第14号 平成26年4月18日(金曜日)

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平成二十六年四月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    長島 忠美君

      福田 達夫君    福山  守君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      大島  敦君    後藤 祐一君

      津村 啓介君    若井 康彦君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      西野 弘一君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    浜地 雅一君

      大熊 利昭君    赤嶺 政賢君

      小宮山泰子君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 古屋 圭司君

   国務大臣         森 まさこ君

   国務大臣

   (再チャレンジ担当)

   (クールジャパン戦略担当)

   (規制改革担当)     稲田 朋美君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武川 光夫君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           高島  泉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       半田 有通君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    蒲原 基道君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局次長)            和迩 健二君

   政府参考人

   (環境省水・大気環境局長)            小林 正明君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     福田 達夫君

  遠藤  敬君     西野 弘一君

  村上 史好君     小宮山泰子君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     青山 周平君

  西野 弘一君     遠藤  敬君

  小宮山泰子君     村上 史好君

    ―――――――――――――

四月十七日

 社会保障制度改革推進法の撤回に関する請願(宮本岳志君紹介)(第六五七号)

 TPP交渉から撤退することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六五八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第六九七号)

 TPP参加反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第六五九号)

 特定秘密保護法の廃止に関する請願(笠井亮君紹介)(第七五五号)

 特定秘密の保護に関する法律の撤廃に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第七五六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第七五七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官武川光夫君、警察庁交通局長倉田潤君、厚生労働省大臣官房審議官高島泉君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長半田有通君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長蒲原基道君、中小企業庁事業環境部長松永明君、国土交通省自動車局次長和迩健二君、環境省水・大気環境局長小林正明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。

 本日は一般質疑であります。どうぞよろしくお願いいたします。

 安倍内閣は大変高い支持率を維持されておりますが、恐らく、この支持率を維持している背景というか要因は株価にあるんだろう、一つの要因だと私は思っているんですね。やはり株価が、率直に言って、民主党政権時代よりは総じて高い水準にある。株価というのは国民の期待値ですから、これが高い、したがって、政権に対する期待もまだ高い、こういうことなんだろうと冷静に思うわけであります。

 その株価が今乱高下を続けておるわけでありますが、株価がなぜ乱高下しているのかといえば、本当の意味でいわゆる成長戦略が実行、実現できるのかというところに対して、やはり、いろいろな要因はありますけれども、株価が今乱高下している一つの要因なんだろう、私はこう受けとめます。

 恐らくその試金石となるのが、一つは、本当の意味での規制の組みかえ、改革ができるかどうかが第一点、第二点はやはり税制なんだろう、こう思うんですね。きょうは、この二つについてお伺いしたいと思うわけであります。

 最初に、ちょっと順番を入れかえて、規制の大幅な見直しについてお伺いしたいと思うんです。

 最近、規制の改革において、本当の意味での改革にできるかどうかの試金石になる話が出てまいりました。従来から大きなテーマだったわけでありますが、医療分野のいわゆる混合診療の原則禁止を見直せるかどうかのテーマでございます。

 先日の政府の経済財政諮問会議・産業競争力会議において、規制改革会議の議長でもある岡委員が、いわゆる混合診療原則禁止の見直しに向けた新たな制度、選択療養制度の創設について提言をされました。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、この二ページ目に、規制改革会議がまとめた選択療養制度(仮称)の創設に関する内容のペーパーを添付させていただいております。国民皆保険制度の維持を前提としつつも、患者のニーズに応え得る制度を創設すると。

 私は、個人的には、積極的に本件は導入すべきという立場に立つものでございますが、これについては、日本医師会も含めて大変大きな議論があるところでもございます。医師会の主張にも、それなりに耳を傾ける点もあると私も理解をいたしますが、しかし、ここは、救われる患者がいるという点も含めて、かつまた、健康長寿の社会を実現するという意味も含めて、私は、前向きに考えるべきだという意味で、この財政諮問会議・競争力会議においての岡委員の御提案は意味がある、こう思うわけでありますけれども、大臣は、所管大臣としてこの制度の意義はどこにあるとお考えなのか、新しい制度の創設ですね。また、昨日は論点整理ということでペーパーをお出しになりましたけれども、規制改革会議としていつまでにこの方針を取りまとめる御予定なのか、お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 本来、保険料を払っている患者さんが保険が適用される診療を受けられた場合、保険が適用されるというのは当たり前のことで、いわば患者さんの権利のようなものだと思います。ところが、それに加えて、保険が適用されないものを加えて受けると、本来保険が適用されるものも含めて全部自由診療になってしまうというのが混合診療の原則禁止ということであります。

 現在、健康保険法八十六条で、評価療養と選定療養という形でその例外が設けられているわけですけれども、評価療養というのは、国があらかじめ決めていて、それを一般的に適用するというものであります。今回、規制改革会議が提案をいたしておりますのは、そうではなくて、患者発で、患者の選択によって、困難な病気と闘う患者が治療の選択肢を拡大できるようにということで設ける制度でございまして、私は大変意義があるというふうに考えております。

 いつまでにというお尋ねでありますが、三月末に、会議から示された選択療養制度の創設についての論点整理、そして一昨日の会議では、安全性、有効性の確認、患者に対する情報提供のあり方等について議論が深められたところでございます。

 安倍総理からは、困難な病気と闘う患者さんが未承認の医薬品等を迅速に使用できるように、保険外併用療養費制度の仕組みを大きく変えるための制度改革について関係大臣で協力して案をまとめてもらいたいという指示を受けておりますので、八十六条の評価療養、選定療養のほかに、選択療養という新しい制度を創設するべく、議論を深めてまいりたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 大臣、その議論を深めて、いつまでに規制改革会議は議論するんですか。これは前からずっと議論しているテーマであります。六月に規制改革会議として全体のものをまとめるとは思いますが、少なくともその時点までには一定のものを出されるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 年央の答申取りまとめに向けて、具体化するための検討をしているところでございます。

近藤(洋)委員 そこで、この議論でありますが、同じくこの経済財政諮問会議・産業競争力会議の場で、資料の四ページを見ていただければと思うんですが、田村厚生労働大臣が、いわゆる厚生労働省の提出した資料は、やや、言いぶりが若干異なっているといいましょうか、曖昧になっております。

 横のこの資料を見ていただければと思いますけれども、保険外併用療養の見直しということについて、現在の制度上の仕組みを検討、こういうふうな形になっていますが、この星印のところですけれども、先ほど稲田大臣がおっしゃった選定療養について、患者が選定するこのサービスについては、「規制改革会議の議論を踏まえつつ、今後検討」こういう書きぶりでございます。

 さて厚生労働省、この「今後検討」の意味ですけれども、新しい制度を導入することを前提に検討するのか、それとも、従来のスタンスのとおり、新しい制度は必要ないというお立場なのか、その立ち位置は今現時点でどちらに立たれているのか、お答えをいただけますでしょうか。

神田政府参考人 先日ございました産業競争力会議、経済財政諮問会議の合同会議に私どもの厚生労働大臣も出席させていただいております。その場でも申し上げておりますけれども、御提案のありました選択療養制度について、困難な病気と闘う患者が迅速に保険外併用療養を使えるようにするという問題認識については、共有をしているということをお答えしております。

 私どもとしては、既に大臣も国会で答弁されておりますけれども、一定の水準の安全性、有効性の確認が必要である、それから、どれだけ時間を要するかはともかくといたしまして、保険収載を目指すことなどに留意する必要があるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、厚生労働省としては、国民皆保険の理念のもとに、今申し上げたような点にも留意しながら、総理の御指示を踏まえて、今後、規制改革会議とも十分議論を行いまして、保険外併用療養の適用の迅速化、効率化に適切に対応していきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 審議官、もう一度伺います。

 新しい制度をつくるということ、要するに、規制改革会議が提言をしている選択療養制度の創設、新しい制度をつくる、もちろん国民皆保険を前提にするんですね、これは当然そういうことですけれども。

 しかしながら、今までの、メニューによって決めるのではなくて、患者さんがこれはどうだと言って要望をし決めることができる新しい制度の創設についてはどうなんですか。ここについての考え方を伺いたいんです。

神田政府参考人 結論から申し上げますと、今時点で、どのような仕組みをつくる、選択療養費制度をつくるつくらないということについて、厚生労働省として何か結論を置いて議論をさせていただいているということではございません。

 ただ、困難な病気と闘っている患者さんができるだけ迅速に未承認薬等を使うことができるようにするためにどのような仕組みがよいのかということで、規制改革会議とも十分協議をしてまいりたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 これはなかなか大変な課題なんですね。ですから、今までも、ずっと課題になりながら議論が進まなかったわけです。

 規制改革会議というのは、御案内のとおり、総理大臣の諮問機関であり提言機関であります。

 民主党政権時代もそうでありましたけれども、なかなか大変でございまして、我々は、規制の仕分けというような言い方で、それぞれ各省の持っている規制について議論をしました。しかし、なかなか折り合いがつかない。苦労した覚えがございます。

 大臣、ちょっと確認なんですけれども、まず一つは、規制改革会議で六月、年央にまとめると。しかし、新しい制度をつくるという規制改革会議の方向と今の厚生労働省の答弁ぶりは、まだかなり距離があるわけですね。これをまとめるというのは、規制改革会議として相当大変だ、私はこう思うわけであります。

 稲田大臣は、規制改革会議の担当大臣でもあるから、ある意味で、稲田大臣が攻める立場、まあ、攻めと守りと言っては適切かどうかは別にして、厚労大臣と協議する立場でもありますけれども、規制全体の総合調整を担う権限を持つ大臣であるという認識でよろしいんでしょうか。お答えいただけますでしょうか。

稲田国務大臣 御指摘のとおり、医療保険制度は厚生労働省が所管するものでありますけれども、規制改革については私が総合調整を行う立場でありまして、特に必要がある場合は関係大臣に勧告することができる内閣府特命担当大臣としての使命を担っているというふうに考えております。

近藤(洋)委員 では、本件について十分協議が調わない場合は、大臣として勧告をするということもあり得るということなんですか。

稲田国務大臣 関係大臣に対する勧告権は法律に定められているものでありますので、あり得るということでございます。

近藤(洋)委員 それならば、医薬品のときも勧告権を発動してもらえればよかったな、こう思うわけでありますが、そうはいっても、勧告権を発動することはなかなか容易じゃないと思うんですね、協議のもので。

 そこで、官房長官、お忙しいところ出ていただいておりますが、お伺いしたいのです。

 資料の五枚目。この規制改革会議の席上の発言について西村副大臣が記者団に対してレクチャーをしておりますが、総理の発言として、最後に総理からこういう発言があったと。下線の部分、先ほど稲田大臣が御答弁されたとおりでございます。「保険外併用療養制度の仕組みを大きく変えていくための制度改革について、関係大臣で協力して案をまとめてほしい。」総理はそのことを指示しました。

 官房長官は、健康・医療戦略推進本部の担当大臣でもございます。本件は、健康長寿社会実現にとっても一つの大きなテーマでもございますから、私は、当然、この関係大臣、総理の言うところのここの、本件の関係大臣は菅内閣官房長官、国務大臣も関係大臣のお一人だ、こういう認識ですがいかがかという点と、関係大臣であろうとなかろうと、特にあればなおさらでありますが、混合診療の原則禁止の見直しに向けた新制度の必要性はある、現時点でどのようにお考えか、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 関係大臣であるかどうかと言われれば、やはり基本的には厚生労働大臣と稲田規制改革担当大臣だというふうに思います。

 ただ、官房長官というのは内閣全体の調整の役割も果たしておりますから、私も、そうした中においてしっかり対応するというのが私の大きな責務だというふうに考えています。

近藤(洋)委員 二点目の、混合診療の禁止の見直しの新制度について、健康・医療戦略推進本部の担当大臣としてはどのような御所見をお持ちですか、お答えいただけますか。

菅国務大臣 まず、厚生労働相と稲田大臣の中で十分に議論を行っていただくと同時に、やはり、国民皆保険制度という、日本にとってはまさに世界に冠たる仕組みがあるわけであります。そういう中で、安全性だとかあるいは有効性、そうしたものを担保しながら、国民生活の中の健康長寿、そうしたものにとって何が必要かという観点からそこは考えていくことが大事だというふうに思っております。

 いずれにしろ、まずは両大臣の議論を待っていきたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 官房長官、官房長官のお立場としてはそういうことで、まず両大臣でというのはよくわかります。しかし、同時に、健康・医療戦略推進本部、今回あれだけ議論をさせていただいてつくったわけです。その担当大臣に官房長官が据えられている。

 この分野というのは、先ほど、健康・医療戦略も、要するにイノベーションと同時に規制改革も柱であるということも議論の中でございました。私は、この分野というのは非常に大事だと思うんですね。ですから、ぜひ官房長官が問題意識を持って、稲田大臣、厚労大臣の動きを見守りながら最終的に調整に乗り出し、そして結論を出すということでのお役目を果たしていただきたい、こう思うわけであります。

 続いて、税について伺います。

 報道によると、安倍首相は十六日に首相官邸で、野田毅自民党税制調査会長に対して、法人実効税率の引き下げを含む法人税改革について検討を指示したと伝えられております。

 法人税の実効税率の引き下げについては、菅官房長官御自身も、過去、経済財政諮問会議などでその引き下げの必要性を発言されておりますし、総理もダボス会議でも御発言をされているわけでありまして、官房長官も大変高い御関心をお持ちの分野だ、こう思っております。

 この十六日の会談は、総理指示は、当然、官房長官も把握されているとは思いますが、どういった内容だったのか。そして、この件は、首相官邸の法人実効税率に対しての大変強い意思表示だ、こう普通は受けとめられるわけでありますが、そういうことでよろしいのか、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 まず、法人実効税率の引き下げですけれども、総理は、ダボス会議で、この引き下げを含む法人税改革について、これは言及をしました。

 そして、党の野田税制調査会長に対して、法人税の改革にしっかり取り組んでほしい、そういう指示でありますけれども、もともと、この法人税の引き下げというのは、私たち自由民主党が、衆議院選挙、参議院選挙において選挙公約をしております。国際競争社会の中で、その競争環境を整える中に、この法人税の引き下げというのも入っています。

 これは、安倍政権が発足してから、ここについては必ず実現をするという強いメッセージの中で今日まで来ております。先般の、復興のための法人税を一年前倒しでやめること、こうしたことも、これは大激論が政府と党の中でありましたけれども、しかし、アベノミクスによって税収を確保することができた、そういう中で、一年前倒しの引き下げをさせていただきました。

 ダボスで総理が発言したということは、これは世界に向けての日本の強いメッセージでもありますから、そうした方向に向けて、内閣としては調整をして、その方向で物事を進めていきたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 そういう方向で進めていきたいという御発言でございました。

 私自身は、法人税を引き下げていく方向感というのは共有するものであるんですが、ただ、官房長官、きょうはちょっと、あえてもう一つの観点を申し上げたいと思うんです。

 一ページ目の資料をごらんいただければと思うんですが、要するに、社会保険料の負担と法人税の負担のこの表でございます。これは政府の出した資料ではございませんけれども、この表題は、社会保険料の負担率はOECDの平均並み、法人税の負担率は高いという見出しがついておりますが、私は、実は、この見出し、どうかなと思っているんです。

 というのも、確かに社会保険料、雇用主の負担率はOECDの平均並みではありますが、二〇〇〇年と比べると、ちょっと字が小さくて恐縮ですが、日本は五・四%にくっと上昇しているんですね。二〇〇〇年から二〇一二年まで、社会保険料の雇用主負担というのは非常にふえている。日本を除く平均は低下しているのに、日本だけが社会保険料の負担、雇用主の負担はふえている、ここに着目をしたいと思うんです。

 何を言いたいかというと、やはり雇用の七割を支えている中小企業にとってみると、法人税の引き下げ、これはこれでありがたいかもしれない。私ども民主党政権時でも、実は、中小企業に対しての法人税の引き下げということを実際実行しました。大企業だけではなくて、幅広くこの効果を広げたいと。しかし、同時に、やはり最近よく聞くのは、社会保険料の事業主負担を軽減してくれ、これが非常に重たい負担になっていると。実際に、法人税は払えない企業もたくさんあるわけで、ここを下げてもらうことが、雇用を、正社員をふやすことになるんですという声が、圧倒的にここのところ多いのも事実なんですね。

 ですから、この二つをやはり冷静に見て、税なのか社会保険料なのか、広い意味での企業負担でございますから、私は、税も社会保障も、負担という意味では一緒だと思うんですね。ここを、法人税率だけにとどまらず、社会保険料の負担軽減というのも一つ視野に置くべきではないかとも思うんです。

 官房長官、いかがでしょうかね。要するに、国際公約なのはわかりますし、私も、現在、法人実効税率は高過ぎると思っていますが、しかしながら、今の日本の地方の置かれた、中小企業の置かれた状況も含めて、幅広くこの恩恵を国民津々浦々にという観点からすると、社会保険料の負担軽減も改革の視野に入れていいのではないか、検討の中に入ってもいいのではないかと思うのですけれども、官房長官の御見解、いかがでしょうか。

菅国務大臣 委員から御指摘いただき、またこの表も、今拝見させていただいています。

 今、法人税も社会保険料の事業主の負担も、いずれにしろ企業から見れば大きな負担である、ここは変わらないというふうに思います。

 そういう中にあって、減税というのは、限られた財源、そして財政再建という我が国にとっては、ここも避けることができない問題を抱える中で、今私どもは進めているということ、このことは委員も御理解をいただけることだろうというふうに思います。

 そういう中で、被用者保険は、被保険者の収入に応じて保険料を負担する制度であって、これを被保険者と事業主で負担をする仕組みになっておるわけであります。そういう意味で、保険料水準は給付費全体との見合いで設定をされ、法人の負担軽減を理由として軽減する性格のものではないということであります。

 法人税率の引き下げと同列に検討すべきものではないというふうに考えておりますけれども、ただ、税全体を見渡す中で、こうしたこともやはりその範疇に入るというふうに私は思っています。

柴山委員長 近藤君、質疑時間です。

近藤(洋)委員 時間ですのでやめますが、ぜひ官房長官、税と社会保障の一体改革でございますから、そういう中で社会保険料の改革にも取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

柴山委員長 次に、勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、一般質疑ということで、自殺対策についての御質問をさせていただきます。

 まず、自殺対策についての全般的な対応策について御質問させていただきます。

 我が国は、バブル経済崩壊後の長期間の景気の低迷や、高齢化社会、また先日も人口推計によりますと我が国の四人に一人が六十五歳以上という中で、その時々の社会情勢、東日本大震災等もありました、さまざまな複合的な要因の上に、年間の自殺者の数が三万人を超えるという状況が長らく続いてまいりました。

 このような状況の中で、平成十八年には自殺対策基本法が制定され、また、自殺総合対策大綱等の整備がされまして、さらに、昨今のアベノミクス効果によりまして、景気の回復傾向によって、我が国の自殺者の数は、平成十年以降十四年連続で三万人を超える状況が続いておりましたけれども、平成二十四年の自殺者の数は二万七千八百五十八人と、十五年ぶりに三万人を下回りました。昨年も二万七千二百八十三人と減少傾向になっておりますけれども、いずれにしましても、この二万七千人という数は非常に大きな数であります。

 そこでまず、自殺総合対策大綱にある、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すという目標のもと、どのような具体的な目標を立てて施策を行っているのか、お伺いをいたします。

森国務大臣 自殺総合対策大綱においては、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指しておりまして、具体的な数値目標として、平成二十八年までに自殺死亡率を、平成十七年と比べて二〇%以上減少させることを掲げております。これによりますと、平成十七年の自殺死亡率が二四・二であったところ、平成二十八年の目標は一九・四というふうになりますが、平成二十四年で今二一のところまで減少をさせてきているところでございます。

 大綱においては、自殺総合対策の基本的な考え方を示した上で、当面の重点施策として、生活上の困難、ストレスに直面したときの対処方法を身につけさせるための教育の推進、自殺未遂者が必要に応じて精神科医によるケアを受けられる体制の整備、労働者が働きやすい職場環境の整備、大規模災害における被災者の心のケアなどのさまざまな取り組みを掲げ、着実に実施をしてきております。

 自殺対策を担当する大臣として、今後も、関係省庁と連携して、大綱に基づく施策を推進してまいります。

勝俣委員 いずれにしましても、二万七千人という非常に大きな数字でございますので、個々の原因を一つずつ少し見ていきたいなというふうに考えております。

 こうした二万七千人を超える自殺者の一番多い原因というのが健康問題を理由とする中で、その具体的な対策を立てて考えていかなければならないわけでありますけれども、特に、高齢化社会の中で、体の病気を患い、みずから命を絶ってしまうということは、非常に残念でなりません。

 先ほどありましたけれども、成長戦略の一つとして健康長寿社会を目指す我が国にとって、健康で長生きしていただくことで経済活動がさらに活発になっていくわけであります。その根本として、やはり、病気をしない、病気になりにくい、心身ともに健康な体をつくっていくということが重要なわけであります。そのためには、やはり幼少期からの食育であったり、例えば、日常的な運動を初めといたします予防医療、また統合医療等の推進など、その根本をしっかりと長期的にサポートしていくことが必要なことであるというふうに考えております。

 健康問題を原因とする自殺者を減らしていくための具体的な施策をお伺いいたします。

蒲原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、健康問題を原因として自殺した人の半数がうつ病を原因とするという状況でございます。その意味で、うつ病の予防あるいは早期発見、早期治療というのが非常に大事であるというふうに認識をいたしております。

 厚生労働省といたしましては、一つは、第二次健康日本21におきまして、心身機能の維持及び向上のために、一つ、睡眠の目標等の幾つかの目標を掲げまして、そうした対策の一環として、ことしの三月には、健康づくりのための睡眠指針二〇一四というのを公表しております。こうしたものの普及等、心の健康づくりにおける睡眠の重要性の普及啓発を行っているのが一つでございます。

 また、うつ病の早期発見、早期治療の対策については、うつ病を抱えた方々に接することが多いかかりつけ医の先生方あるいは身近な看護師の方々がおられますので、そうした方々に対して、いわゆる早期発見がうまくできるような研修を実施いたしまして、うまく、早い段階で精神科医につながるようにやっているところでございます。

 なお、先生から話がございました統合医療の関係でございますけれども、平成二十五年に統合医療についてまとめた報告書がございます。この中で、各療法については、科学的知見を収集するとともに、これらをもとにして必要な情報を広く発信していくことが非常に大事であるというふうにされておりまして、この報告書を踏まえまして、研究の推進等に取り組んでいるところでございます。

 以上の取り組みに加えまして、現在、大臣を本部長といたします健康づくり推進本部を厚生労働省につくっております。その中で、重点的に取り組むべき課題の一つとして、地域・職域におけるこころの健康づくりの推進というのを掲げております。

 こうした取り組みも含めて、うつ病の予防に向けて省内横断的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

勝俣委員 やはり自殺に至るまでの段階段階でそれぞれ対応策を立てていくということが本当に必要なのかなというふうに思っております。

 次に、先ほどの健康問題を原因とする自殺者の次に多い原因といたしましては、やはり経済、生活問題というものが挙げられております。

 その中の多重債務を原因とする自殺者の数は、平成二十二年の貸金業法の完全施行によりまして減少傾向になっておりますけれども、これは逆に言えば、こうした対策によって助かった方々、命を救われた方々が多くおられるというわけであります。

 また、中小企業、小規模事業所の経営者の方々が負債や事業不振を理由にみずから命を絶つケースも少なくありません。

 私も実は前職で十一年間、銀行員生活を送っておりましたけれども、過剰債務や事業不振で銀行から融資が受けられなくなったり、また、担保、保証人制度の中で自宅までもとられてしまう、また、第三者保証人に迷惑をかけてしまった、そんな理由でみずから命を絶ってしまうという、本当に、非常に残念なケースを多々見てまいりました。

 近年、こうした担保、保証人制度の見直しも進んでおりまして、本年二月から経営者保証に関するガイドラインが適用開始されております。もちろん、経営者に経営責任を強いるということは必要なことでありますけれども、過度な保証を求めて追い詰めてしまうことは、絶対にこれはあってはなりません。

 そこで、この経営者保証に関するガイドラインによって、どのような点が具体的に改善されているのか、お伺いをいたします。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、担保や個人保証に過度に依存してきた従来の融資行動、これを改善していくことは極めて重要な政策課題と認識しております。このため、本年二月から、経営者保証に関するガイドラインの運用を開始したところでございます。

 今ガイドラインの具体的内容でございます。

 第一に、融資の決定段階でございますけれども、法人と個人が明確に区分、分離されている場合など、一定の要件を満たす場合には、経営者の個人保証を求めないこと。

 第二に、保証の履行段階でございますけれども、早期に事業再生や廃業の決断をした際に、一定の生活費を残すことを検討することや、また、華美でない自宅について、分割弁済などにより住み続けることができるようにすること、こういったことを検討すること。

 第三でございますけれども、保証債務の履行時に返済し切れない債務残額は原則として免除すること。

 こういった内容を定めているところでございます。

 このガイドラインに基づきまして、金融庁と連携しつつ、このガイドラインの利用促進と周知徹底を進め、融資現場の対応を目に見える形で変えていきたいと考えております。

勝俣委員 経営者が本当に経営に集中できるような形で、そういった対策を立てていただければというふうに考えております。

 次に、若年層の自殺者の増加について御質問をさせていただきます。

 三万人から二万七千人ということで、全体的には減少はしてきているんですけれども、残念なことに、この若年層の方々の自殺が非常にふえているということで、近年、年齢階級別に自殺者数を見ますと、本当に大変残念なことに、これからの日本を背負っていく二十代、三十代といった若年層の自殺が非常に増加傾向にあります。

 その原因の一つとして、やはり、この二十代、三十代は、ほかの年齢階級と比較して、勤務問題、これが大きな割合を占めているわけであります。仕事の失敗や職場の人間関係等が原因となっているケースがあるわけであります。

 私は、先ほど申しましたように、銀行員時代に四年間人事部におりまして、私より若い社員を身近で見てまいりました。何よりも、こうした若い社員は、全体的な印象といたしまして、競争環境に非常になれていないなという印象を感じました。

 例えば、私自身も三人兄弟なんですけれども、物心ついたときから、まず、テレビ番組のとり合い、要は兄弟同士のそういった競争があるわけですね、おやつの奪い合いですとか。最初の競争がそこから始まるわけなんですね。

 ところが、今、現代の少子化によって、一人っ子が多いですとか、兄弟の数が少ないということで、そのまま小学校に入学する、小学校に入学すると、ゆとり教育の中で順番をつけないような環境で育つ、そしてまた、さらに大学全入の時代に受験戦争もないということで、要は挫折を知らないわけなんですね。

 こうした競争環境の少ない中で育って会社に入りますと、まさに、社会人になると、企業間競争、また、同期との出世競争、営業ノルマ等々、競争社会が待っているわけであります。そして、その環境に適応できないで悩んでしまうという若者がたくさんいるわけであります。

 そんなわけで、私も、銀行員時代に、メンタルヘルス・マネジメント検定二級というものを取得いたしまして、少しでも若手社員のサポートができればというふうに考えてきたわけなんですけれども、多様化する労働環境の変化の中で、この若年層の自殺増加傾向に歯どめをするために、対策についてお伺いをいたします。

半田政府参考人 私ども厚生労働省では、平成十八年に、事業場における基本的なメンタルヘルスケアの取り組み事項を示しました労働者の心の健康の保持増進のための指針というものを策定してございます。

 これに基づきまして、労働基準監督署などによる指導、それから、全国に配置してございます産業保健総合支援センター、この支援センターを通じた相談対応、訪問支援などを行っているところでございます。

 また、職場におけるサポートのほかにも、メンタルヘルスポータルサイト、こころの耳というものを設けてございまして、これを通じまして、労働者の方に対しまして直接、相談機関の御紹介ですとか、事業場における取り組み事例などの情報提供などを行っているところでございます。

 今後とも、これらの取り組みを進めまして、職場におけるメンタルヘルス対策を推進していこうと考えているところでございます。

勝俣委員 いずれにしましても、若い人たちを育てていく、日本の本当に産業力の源泉になるわけでございますので、上司となる人たち、管理職となる人たちがしっかりとそれを育てていく、また気づいてあげるということが本当に必要なことなのかなというふうに考えております。

 次に、地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策について御質問をさせていただきます。

 先ほど来からありますように、こうした自殺を未然に防いでいくためには、やはり、家族や職場、また友人といった、本当に近くにいる方々が気づいて正しい対処をしていくということが必要なわけであります。

 こうした中で、各地域で、私の地元静岡県でもゲートキーパーの養成を推進しているわけでありますけれども、私も中心となってやらせていただいておりますけれども、実感として、なかなか市民の皆さんに広く普及していないなというのが現状であるわけであります。

 そこで、こういったゲートキーパーを含む地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策の具体的な取り組みについてお伺いをいたします。

武川政府参考人 お答えいたします。

 自殺を考えている人は何らかの自殺のサインを発していることが多いということでございまして、全ての国民が、身近にいるかもしれない自殺を考えている人のサインにいち早く気づくことが重要でございます。

 この考え方に立ちまして、自殺総合対策大綱におきましては、当面の重点課題として、さまざまな分野でのゲートキーパーの養成の促進が盛り込まれているところでございます。

 内閣府におきましては、地方公共団体等が実施するゲートキーパー養成研修に活用するため、研修用のDVD及びテキストや啓発用の手帳を作成して、ゲートキーパーの養成を促進しているところでございます。

 また、各都道府県において造成いただいております地域自殺対策緊急強化基金を活用しまして、各地域において、このゲートキーパーの養成等を初め、さまざまな取り組みを支援しております。

 具体的には、孤立防止のための独居老人宅への訪問の実施、あるいは、自殺は経済的事由が多うございますので、多重債務等の法律相談と心の健康相談をあわせて行う包括相談会の実施、また、観光地等で自殺多発地域がございますが、そのような地域におきまして、住民によるパトロールの実施、掲示板の設置等の自殺防止活動を展開しているところでございます。

 内閣府といたしましては、今後とも、基金等を通じて、地域における自殺対策を着実に推進してまいりたいと考えております。

勝俣委員 いずれにしましても、地域レベルの本当に密な取り組みというものが必要となってくると思いますので、今後ともぜひよろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、自殺者遺族のケアについての質問をさせていただきます。

 年間二万七千人という自殺者がいるということは、その倍以上の数の遺族の方々、親御さんですとか御兄弟ですとか、遺族の方々がいらっしゃるわけであります。こうした深い傷を負ってしまった遺族の方々をしっかりとケアしていくことも、私はこれから本当に必要になってくるのかなというふうに考えております。

 こうした自死遺族のケアに対する取り組みについてお尋ねをいたします。

森国務大臣 不幸にして自殺が生じてしまった場合、残された人に与える影響を最小限に抑えるための適切な支援を提供することは重要でございますので、自殺総合対策大綱において、当面の重点施策として、残された人への支援の充実を盛り込んでおります。

 内閣府では、地域自殺対策緊急強化基金を通じて、遺族の自助グループ等の運営、遺族向けのリーフレットの作成、支援者に対する研修などの各地域における取り組みを支援しております。

 我が国の自殺者数は近年減少傾向にあるものの、依然として多数の方が自殺で亡くなられていることに変わりはありません。

 ずっと減少をしてきておりますが、先ほど委員が、銀行にお勤めになっていらっしゃったということですが、私は国会議員の前は金融庁におりまして、多重債務対策のところにおりました。そこで自殺対策もしておりまして、地域のネットワークづくりというのをしておりましたけれども、やはり、資金が足りないんです。一生懸命にやられている地域の方が、資金が足りないんですというお声が多くありました。

 そこで、麻生政権のときに、先ほどからお示しをしております地域自殺対策緊急強化基金、これを初めて創設したんです。これを十分の十でやりました。そこから、皆様のお取り組みを通じて、徐々に自殺者数が減少してきているものというふうに認識をしております。

 その基金の中で、今御質問の遺族の方への対策もできることとなっておりますので、より効果的にこの基金を通じて対策が打てるように、関係省庁そして地方自治体等と連携をして取り組みを推進してまいりたいと思います。

勝俣委員 いずれにしましても、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すという目標を早期に実現すべく、さらなる綿密な対応策を推進していただけるようお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、西野弘一君。

西野委員 きょうは当初、公安委員長の方からと思っていたんですが、ちょっと順番を入れかえさせていただいて、稲田大臣に御質問させていただきます。

 まず、クールジャパンについて伺いたいと思います。

 もう二年ぐらい前ですかね、いわゆる韓流ブームというのがありました。私も地元で、当時は大阪の地方議員でしたので、いろいろな宴席にもお招きをいただいて、二次会となると大体みんなKポップとかを、お母さん方も振りつきで歌われたりしていまして、それを見ながらすごく微妙な気持ちだったんですけれども、それがAKBだったらよかったのかという問題でもないんですが。

 それだけ、テレビのチャンネルを回しても、どこを見てもいわゆる韓流ドラマばかりでして、これはもう韓国は国家戦略的にいろいろなことをやってきているなというふうにも思っていました。

 実際、今でもレンタルビデオ屋さんみたいなところに行くと、もう今はビデオと言わないんですかね、レンタル屋さんに行くと大体韓流コーナーみたいなのがあって、いまだに韓流ドラマとかそういうもののDVDなんかが並んでいるんですけれども、一方で、本屋に行くと、いわゆる嫌韓というか、韓国に対してネガティブなイメージの書籍であったりとかを置いているコーナーもあったりします。あれを見ていると、幾ら国のイメージを上げようと頑張っても、そうそう簡単にはいかないんじゃないかなというふうにも思ったりもします。

 日本も、これは当然、外交的にも、国家戦略的にも、国のイメージというものを上げていかなければいけない。そこにクールジャパンというものが出てきたんだというふうに思っておりますけれども、やはりこれは本当に、実効を上げていくというのはなかなか難しいところもあると思いますが、現段階までのお取り組みと、またこれからどのように展開されていくのかということをまず伺いたいと思います。

稲田国務大臣 私はクールジャパン戦略担当大臣の初代なんですが、今まで各省庁ばらばらに取り組んでいたクールジャパン戦略を一緒にやろう、そしてそれを経済成長にもつなげていくし、日本のファンを、世界じゅうからのファンをふやしていこうということなんですが、各界の代表的な方々七人に集まっていただいて推進会議を開きまして、アクションプランなどを取りまとめました。

 三つキーワードがあります。

 一つは、このクールジャパン戦略を、国家戦略というよりも、国民一人一人の社会的なムーブメントというふうに捉えています。

 二つ目は、各省縦割りではなくて、みんなで一緒に出ていこうという、一緒にというキーワードです。

 そして三つ目は、韓国は国家戦略としてやっておられますが、やはり民間のクールジャパン戦略を政府は後方から後押しすべきだというふうに考えております。

 総理や私もトップセールスを、海外に行って日本のよさを発信しておりますし、地方版クールジャパン推進会議、またクールジャパン推進ホットライン、またクールジャパン機構ということで、財政面からの支援もやっております。

 また、来週からは、CJムーブメント推進会議を立ち上げて、東京オリンピック・パラリンピックに向けて日本の魅力を発信する好機につなげてまいりたいというふうに考えております。

西野委員 本当にこれは国家戦略的にしっかりとやっていただかないと、中国、韓国なんて、自分の国の中だけではなく、よその国に行って、でたらめばかり言い散らかして、日本をおとしめるようなことをやっているわけですから、ああいういわゆるディスカウント・ジャパンというんですか、そういうことをやっているような国があるわけですから、これは本当に国家戦略としての、闘争に近いものだと思います、イメージアップというのは。しっかりと頑張っていただきたいと思います。

 質問をするに当たって、ネットで稲田大臣の御活躍もいろいろと拝見しましたら、ゴシロリというんですか……

柴山委員長 ゴスロリです。

西野委員 ゴスロリですか。ゴシック・アンド・ロリータというんですかね。あの写真がありまして、私は、以前から大変敬愛している稲田大臣のあの姿を見て、非常に、何ともコメントのしようのないことだったんですが、稲田大臣が好んでされているのかされていないのか、私はわかりませんが、ああいうサブカルチャーと言ってしまうと怒られるかもわからないんですが、むしろ、ああいうのは、余り国が、また大臣が先頭を切って世界に発信していくというものではないのじゃないかなと僕は思っています。いろいろな考えの方はいらっしゃると思いますが。

 むしろ、稲田大臣というと、日本の伝統に基づいて、またその伝統をもとに新たなものをつくっていくんだというようなものがやはり稲田大臣のイメージなんですね。だから、できれば、そういった伝統と創造というものですか、そういうような形で進めていただきたいと思うんですが、いかがですか。

稲田国務大臣 パリでのゴシック・アンド・ロリータなんですが、一説によると、このゴスロリというのも、日本発なんですが、そのルーツは十二ひとえにあって、ある意味、伝統と創造で、このかわいいというのはもう既にフランス語にもなっておりますので、いろいろなクールジャパンの考え方があると思います。

 第二期では、やはりクールジャパンをデザインするということで、そのクールジャパンの、余りにもごった煮になるのではなくて、今委員がおっしゃったように、いろいろな整理をして、日本のクールさというのを発信していけたらなというふうに考えております。

西野委員 そうですか、大変不勉強で申しわけございませんでした。まさか十二ひとえからきているとは思いませんでしたけれども。

 とにかく、いろいろな形、いろいろな発信の方法もあるとは思うんですが、しっかりと他国に負けないように先頭を切って頑張っていただきますように、僕なりに激励させていただきまして、質問にかえさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 続いて、私も昨年から、うちの日本維新の会のオートバイ議連というのがございまして、そちらの事務局長をさせていただくようになったんですが、それで初めてこの自動二輪の業界の問題をいろいろ勉強させていただいて、ああ、これはもう大変な状態なんだと思いました。

 実際に、昭和六十三年がバイクの売上台数がピークだったようなんですが、そのピーク時が三百万台で、今では百三十万台にまで落ちています。都市部でも利用者が半減しておりますし、これは、よく言われていることは、オートバイの駐車場がない、駐車場がないのに取り締まりばかりが先にきつくなって、オートバイというのは、ぱっと乗っていってどこかにとめてというイメージが僕もあったんですけれども、その取り締まりがきついばかりに利用者が減ってきたという声をよくユーザーからも聞いています。

 やはり、こういういろいろな、取り締まりも含めたいわゆる規制を強化していくということにおいては、その規制をされる側のいろいろな声も聞いていくということも必要なのではないかなと思っておりまして、ちょっときょうはその観点で御質問を何点かさせていただきたいと思っております。

 バイクのユーザーさんにいろいろ伺っていますと、いろいろなカスタマイズをするのが一つのバイクに乗る楽しみだそうで、そのカスタマイズする中で一番最初に皆さんがやるのが、マフラーですね、消音器を少しカスタマイズするというのがまず最初の入り口らしいんですけれども、一方で、マフラーを変に改造してしまうと騒音が出たりとか、また排ガスの問題も出てきますのでいろいろな規制があるんですが、まず環境省さんに、この規制の基準について伺います。

小林政府参考人 今お尋ねの二輪車の交換用マフラーに関する規制の現状でございます。

 御承知のように、新車の騒音の規制は、これは国際的な標準もございますので、こういったものをにらみながら逐次強化しているわけでございますが、平成二十年の中央環境審議会の答申の中におきまして、使用過程車に対する騒音低減対策として、交換用マフラーによる走行時の騒音低減対策を目的とするマフラーの事前認証制度の導入ということが提言をされたものでございます。

 これを受けまして、現在、交換用マフラーにつきまして、試験法、そしてその規制値、表示方法などを定めました技術基準、これは国土交通省の方で定めていただきまして、性能の確認というものが行われているところでございます。

 この制度によって、適切な交換用マフラーには表示がなされることになりますので、この表示を車検などに活用するということによりまして、不適切な交換用マフラーが市場から排除されていく、こういうことが期待されるわけでございます。

 これについて今後どう取り組んでいくかということでございますが、二輪車の交換用マフラーの試験法は、新車の加速走行騒音試験と同一の方法を採用してまいりました。

 そういう中にありまして、新車につきまして、平成二十四年にまた新たな規制が提言をされまして、これは国際基準の加速走行騒音試験法でありますISO362―2というものを導入する、こういうことが答申をされ、二十六年一月から導入をされた、こういうことでございます。

 新車の二輪車に適用されているこの新たな試験法は、現行の試験法に比べますと、進入速度などの確認のために事前に走行することが必要であるなどの理由から、試験に要する時間が一定程度長くなるというようなことを承知しているところでございます。

 今後、二輪車の交換用マフラーに対する対策に関して、今先生から御指摘もありました関係者の意見も聞きながら、また関係省庁にわたる問題でございますので、関係省庁連携をしながら検討していきたいと考えているところでございます。

西野委員 今、環境省さんに御説明いただいたんですが、今説明いただいた規制について、国交省さんの方で、JMCAさんですね、全国二輪車用品連合会さんのマークなども利用されて車検時に対応されているということですけれども、その点について伺いたいと思います。

和迩政府参考人 二輪自動車等の後づけマフラー騒音に対する取り組みについてでございますけれども、国土交通省では、平成二十年の環境省の中央環境審議会中間答申を受けまして、二輪自動車等の後づけマフラー騒音に関して、道路運送車両の保安基準の枠組みにおきまして、騒音低減機構を容易に除去することができる構造の禁止や、使用過程車及び並行輸入車のマフラーに対する加速走行騒音防止性能の義務づけを規定し、継続検査等におきまして基準の適合性を確認しております。

 継続検査等の際には、同基準に適合するものとして、主に、性能等確認済み表示、これは御指摘のものでございますが、これや、いわゆるEマークと呼んでおりますが、国連欧州経済委員会規則適合品表示などによりまして確認を行っているところでございますが、その他、これらの表示以外に、加速走行騒音レベルが規制値以下であることを証する公的試験機関のデータの提示による確認も行えるようになってございます。

西野委員 要は、環境省さんが一定の規制というか基準を設けられて、それをクリアしたものにマークをつけて、そのマークがあれば、国交省さんの、今御答弁いただきましたけれども、車検時にそれは適合しているんだというような御判断をいただくということだと思うんですが、実際、バイクは、二百五十ccより上と以下で、より上は車検が必要ですけれども、二百五十cc以下は車検が要らないんですね。

 実際に騒音を出しているバイクなんかを、警察庁さんの方でどれだけ年間検挙数があるかということを把握しておられると思うんですけれども、二百五十ccより上と以下で、どれぐらいの数字、検挙数が挙がっていますか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 二輪車の騒音に関する取り締まりについてのお尋ねでございましたが、二輪車の騒音関係の取り締まりといたしましては、近接排気騒音を測定しての整備不良車両の取り締まり、それからマフラーを外すなどの消音器不備車両の取り締まり、それから空吹かしなどの騒音運転の取り締まりがあるところでございます。

 二百五十ccを超える普通二輪及び大型二輪につきましては、普通二輪については、平成二十五年中、ただいま申し上げました三類型でございますけれども、合計千五百六十八件の検挙がございました。また、大型二輪につきましては、八十四件の検挙があったところでございます。

 なお、二百五十cc以下でございますが、これは軽二輪、原付というものがございますけれども、軽二輪につきましては、平成二十五年中、一千十件の検挙がございました。また、原動機付自転車につきましては、七百六十六件の検挙があったところでございます。

西野委員 要は、二百五十ccより上も以下も大体同じぐらいの数の検挙数があるということなんですね。

 では、車検を受けているバイクも車検を受けていないバイクも、もともとのバイクの台数も違うとは思うんですけれども、大体同じぐらいの検挙数があるということですから、これはどういうことかなと考えたときに、車検のときはちゃんとしたマフラーをつけていても、車検が終わった後にそういった違法なマフラーに取りかえて、うるさい音を鳴らして走っているということなのかなということは簡単に想像ができます。

 そういう中で、先ほどお話がありました、環境省さんの規制がすごく今度厳しくなったということですけれども、その厳しくなったので、実際に、今までの新車の試験は一日七十本ぐらいのマフラーを検査できていたのが、今度は、その新しい新基準に変えると、一日に二本か三本しかできないということなんですね。それだけ、一日にはける本数というか、検査できる本数が減りますから、当然これはコストもかかってくるわけで、今までは一本当たり一万円ぐらいでできていたのが、これからは、その新しい新基準に変えてしまうと一本当たり三十万かかる。

 一万円のものが三十万かかるということですから、新たな規制のかけ方として、これは本当に実態というか、合っているのか、実勢に見合ったものなのかなということが本当に疑問ですから、この辺はしっかりと規制をかけられる側の方とも意見交換をされて、実勢に見合った、実態に見合ったものに変えていただく、これは要望しておきます。

 時間がありませんので、最後に国家公安委員長に伺いたいんですが、こういった車検の基準であったりとか規制を幾ら強化しても、実際にその後で入れかえて、違法なものに変えられてしまったらこれはどうしようもないので、真面目な人がばかを見る、正直者がばかを見るようなことになってはいけないので、これをなくすためには、やはりしっかりと取り締まりをしていただかなくてはいけないと思っております。

 まず、伺いましたら、大体、年間シートベルトの検挙数が百四十八万六千七百二十三件ですか、去年一年間で検挙されているんですが、この騒音関係の全体の検挙数、先ほど御答弁いただきましたけれども三千五百件ぐらいですから、検挙数でこれだけ差があるということは、ちょっと、それだけシートベルトの方が大分一生懸命やってはるのかなという印象をやはり受けますので、これは、ぜひ騒音の問題に対してもしっかりと取り締まりを強化、また罰則も含めて強化していただきたいと思いますが、最後に、いかがでしょうか。

古屋国務大臣 委員御指摘のように、二輪の騒音というのは、これは市民の平穏な生活も乱しますし、しっかり警察としてもこれから国交省等々と連携して取り組んでいきたいと思います。

 実は、私もかつて自動二輪に乗っていまして、限定解除の、持っておりまして、よくわかるんですけれども、やはり法律、ルールを守るということが大切ですよね。

 ただ、この取り締まりは徹底しますけれども、今おっしゃるように、つけかえたりとか、それから、現実にこれは警察だけでできることではないと思いますけれども、法令で定めている基準以上のマフラーをつくったり、あるいは販売するということ自体問題なわけですよね。やはり、そういったところまでも踏み込んで対応する必要性はあるのではないかなというふうに私は思っている。これはもう警察だけでできる話ではないですよね。

 特に暴走族については、実は昨年、有識者懇談会を初めて八月に立ち上げて、十二月に報告を出した。それは、真に事故防止に資する取り締まり、規制のあり方の見直しについての最終報告をいただきました。これは、レーシングドライバーの中嶋悟さんとかモータージャーナリストも入っていただいて、もちろん、被害者の関係の方も入っていただいて、相当濃密な議論をして出してきたんですけれども、その中で、一つ、やはり悪質な違反、これはもう徹底して取り締まれということがしっかり記されましたので、私どもとしてもそういった悪質な違反行為については厳しく取り締まっていく、しっかり警察を督励してまいりたいというふうに思います。

柴山委員長 西野君、質疑時間が終了しております。

西野委員 時間になりましたので、これで質問を終わらせていただきます。

 本当に踏み込んだ御答弁をいただきまして、ありがとうございます。

柴山委員長 次に、小宮山泰子さん。

小宮山委員 本日は、国家公安委員長でもあり、内閣府特命担当大臣として死因究明等の推進も受け持たれる古屋大臣、そして、再チャレンジ担当大臣としての稲田大臣に質問をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、最初に、死因究明に関してでありますけれども、平成十八年発覚の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒や平成十九年発生のいわゆる時津風部屋事件など、それを契機に死因究明に対する国民の関心が高まり、死因または身元を明らかにする体制や法制上の問題点について改善を図るべく、議論、検討が行われてきたというふうに認識をしております。

 これを受けまして、平成二十四年六月には、死因究明及び身元確認の推進に係る施策について、そのあり方を横断的かつ包括的に検討し、死因究明等を総合的かつ計画的に推進することを目的とする死因究明等の推進に関する法律が議員立法により成立し、同法に基づき、平成二十四年九月、内閣府に死因究明等推進会議が設置されたところであります。

 この会議を決定されまして、この法律は、平成二十六年九月までの二年間で失効する時限立法であります。最終報告書案が検討会で示された。この後、この取り組み並びにスケジュールなどについて確認をさせていただきたいと思います。

 また、これが、私自身、埼玉県から選出させていただきまして、細川律夫前衆議院議員が大変熱心にされておりました。また、私の近所にも、検案をされる、立ち会いをされる医師がおります。また、それをよく見ている医師もおりまして、大変この問題については、さまざまな方にお話を聞いております。

 しかし、実態としては大変過酷な中で御協力をされているということも伺っておりますので、この最終報告案を受けて、どのような、また法案が失効を目の前にしておりますので、今後について、大臣より、ぜひお聞かせください。

古屋国務大臣 委員御指摘の、死因究明等の推進に関する法律、二年前にできまして、これに基づきまして、今、最終報告案が検討会で示されております。特に先週の十一日に開催をされました第十八回目の死因究明等推進計画検討会においては、最終報告書の案について、おおむね構成員の了解が得られまして、座長一任となった、こういうふうに承知をいたしております。

 今月中には最終報告書を取りまとめて、本年六月中をめどに、死因究明等推進会議を開会して、死因究明等推進計画の閣議決定を目指していきたいというふうに思っております。

 それから、失効後もどうするのかという御質問がありました。推進法が二年で、これは時限立法でございますので、その失効後も推進計画に基づく施策を推進するように、政府においては、関係省庁間の施策の管理とか調整を行う体制を新たに構築したいというふうに考えています。

小宮山委員 ぜひ大臣、よろしくお願いいたします。

 また、先ほどお話しの、恐らく柴山委員長もこの問題は大変熱心にかかわられたのではないか、やはり法曹の皆様方にとっても大変関心のあるところでもあり、また、その現場をかいま見ることがある法曹の方々は、特に感じるところもあるんだと思います。

 また、死因究明というものがきちんとされることによって、自殺か他殺かわからない、また、本当に医師不足というものも言われている中において、現場において、医師が到着するまで警察の方々がその現場での検証をしながらもお待ちされたりとか、また、やはり開業医の方がこの任に当たられている方が多いということを考えますと、日中はそれぞれの患者さんたちの診療をしながら、夜間に呼び出されれば飛んでいって、死亡診断書、死因の検案に立ち会うというようなこともされているようであります。

 できれば、そういったことが一切ないままで終わればいい世の中なんですけれども、残念ながら、そうもいきませんし、時、場所を選ぶ案件でもございません。

 そういった中において、検視に立ち会い、また検案書を作成する医師などの待遇面での改善への取り組みの現状並びに今後の対応や計画、その裾野を広げること、また、多くの方が検視に対しての知識を深めることによって、人員確保など、今の現状として、数少ない方々が過酷な中また密度の濃い中でされるという、その立ち会われる医師に対しての今後の計画についてお聞かせください。

高島政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省といたしましても、警察の検視等に立ち会いまして、検案を行う医師をしっかり確保して、できる限り正確な死因を究明していくというのは非常に大事な課題である、こういうふうに考えております。

 現在、内閣で取りまとめます死因究明等推進計画検討会の最終報告書案が出ておりますけれども、この中においても、検案について幾つか御指摘を受けております。

 一つは、検案に係る研修の充実や人材を確保するため、日本医師会において、全国的な組織化を行い、検案をする医師のネットワークを強化することとされておりまして、厚生労働省初め関係省庁もできる限り協力する、こういうふうにうたわれております。

 今委員から御指摘のありました、検案をする医師の方々への対応ですけれども、今、やはり警察との関係で、個人で受けているような場合が大変多いと聞いております。これからは、やはり県の医師会としてもしっかりと組織として対応していただく。それは、日本医師会の方でも全体としてまとめていくという体制で強化していくということでございますので、いろいろな面の、個々の検案に携わる医師の処遇の面だとかそういったことも、そういった医師会等を通じていろいろなまた協議がされていくんだと思います。

 それから、検案に関しましては、日本医師会と連携して、医師の検案に係る研修内容の充実を図り、五年後を目途に、原則、専門的な研修を修了した医師が、検視等への立ち会い、検案を実施できるよう、検案に携わる医師の充実とそれから技術向上を図るということとされております。

 それから、全ての医師が基本的な検案の能力を維持向上できるよう、基礎的な検案に関する研修会への参加を促し、医療現場の医師も活用できるよう、ホームページ等を通じて教材の提供に努めていく、こういうふうにされております。

 厚生労働省といたしましては、この報告書案に基づきましてこれから死因究明等推進計画が作成されると思いますが、この計画に基づきまして、しっかり対応してまいりたい、こういうふうに考えます。

小宮山委員 ぜひ、多くの方が検案に対する技術の向上をされ、そしてこの方がこれに参加をするということも重要かと思いますので、この計画が着実に、そして、できることなら、今、四千人ほどでしたか、担当できる方、していらっしゃる方がいらっしゃるかと思いますが、これがもう少しふえるということ、裾野を広げる、また、基礎的な知識、技術だけではなく、多くの方が参加されるような、そういった環境整備に努めていただきたいと思います。

 というのは、やはり死因によっては、さまざまマスコミの、特に地方のサツ回りという表現をよく使われますけれども、警察担当の記者さんたちは、まだまだこの問題に、またこういった制度に対しても理解がない場合があると。実際に担当されたお医者さんとかも、大変心ない質問や投げかけがあったということも聞いております。こういったことも、やはりこれを受け持つ、そういった医師たちが二の足を踏むことになるのではないかというふうにも推測もされます。

 ぜひ大臣、この問題というか、こういった制度があって、多くの医師が頑張っているというようなことも含めて、もう少し告知や情報提供等をしていただくということも、公安委員長もされておりますので、当然、記者クラブ等ともさまざまおつき合いもあるかと思いますが、やはりこういった、地道に真相を究明するために活動されているという役割がある方々のことももっとお知らせいただきたいのですが、通告はしておりませんが、大臣の熱意を聞かせていただければ幸いです。

古屋国務大臣 今度、最終報告書を取りまとめていくことになりますけれども、今御指摘のように、いわゆる検案を、医師個人という形ではなくて組織として対応していくということは、検案の高度化、全国斉一化ということにも資するだけではなくて、やはり警察にとっても、医師からもいろいろな助言をいただくことが可能となるわけでありまして、そういう意味では、大変私は意義が深いというふうに思っております。

 今後、警察としても、そういった医師の確保であるとか、あるいは技術向上に向けて情報をお互いに共有し合う等々、関係省庁がさらなる連携をしていくべきだというふうに考えておりまして、警察にもそういう趣旨をしっかり督励してまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 担当大臣としての御答弁、ありがとうございます。

 さて、今回内閣委員会で質問させていただくときに、所管大臣の肩書等を改めて拝見させていただきますと、本当に多岐にわたるんだなというのを感じました。特に、稲田大臣におきましては、再チャレンジ担当大臣としての任命もなされています。

 ただ、残念ながら、ここ最近のところ、再チャレンジという言葉を一番使っている大臣は、検索をすると、経済関係でありますが、茂木大臣がどうも一番多いようでございまして、ここは何とかやはり稲田大臣に、再チャレンジできるというのは本当に必要なことだと思いますので、頑張っていただきたいなという思いで、きょうは質問をさまざまさせていただきたいと思います。

 まず、確認させていただきたいことは、再チャレンジといってもさまざまな方向性がございます。再チャレンジとは何を意味するのか、わかりやすく具体的に端的に、大臣から改めてお聞かせください。

稲田国務大臣 再チャレンジの意味ですけれども、仮に失敗をしても、意欲さえあれば何回でも再挑戦ができる社会、そのための多様な機会をつくっていく。それから、日本は、どちらかというと失敗した人に対して冷たい。失敗したということが決してマイナスではなくてプラスにもなるんだということを国民の意識としてつくり上げるということも重要ではないかというふうに考えております。

小宮山委員 いろいろ担当されておりますので、大体過去三回ほど、大臣所信、所信的挨拶も含めてですけれども、その中において同じようなことが多くございます。最初のときには失敗してもという言葉がなかったのが後から加えられたというふうに、記録を見させていただきました。

 でも、一番最近の、昨年の主な取り組みとしては、若者・女性活躍推進フォーラムの開催による我が国の若者・女性の活躍推進のための提言の取りまとめというのをされております。しかし、若者、女性、安倍内閣の方針かもしれませんけれども、この方々は失敗しているんでしょうか。やはり、このあり方というものが大変明確になっていないのではないか。また、さまざま読ませていただきますと、障害を持っている方にもとおっしゃいますけれども、この方が失敗しているとは私は思いません。そういうことを考えますと、失敗をしたと最初から言うのでは、これはある一部なんだと思います。

 失敗学というのを調べますと、失敗には類型があるそうでありまして、ここがコンセンサスを得ているかわかりませんけれども、織り込み済みの失敗、結果としての失敗、回避可能な失敗というのがあるんだそうです。こういうのを考えますと、回避可能な失敗ということがあるならば、これをしっかりと政府は制度として酌み上げるべきではないかというふうに思います。

 この点に関して、ぜひ、何かを失敗した方が、成功した方、再出発ができた方から今ヒアリングをされているようですけれども、内閣府の仕事の中に自殺対策も入っております。また、昨年は、日本では六人に一人が貧困状態という、最初からチャレンジもできないかもしれない、そういったことのために、私どもは議員立法で貧困対策の法案を出して、先般、会議も開いていただきました。

 そういう意味では、今後は、失敗をというのは頭につけずにやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 御指摘のとおり、再チャレンジは、何らかの失敗を経験した人だけでなくて、あるいは後天的に障害を持った方、そして、もう一度同じこと、あるいは別の道でチャレンジを行うことでもあります。また、若者、女性はという話がありましたが、若者が社会に出るに当たってのさまざまなチャレンジ、また中高年の第二の人生におけるチャレンジ等、失敗に限らず、さまざまなチャレンジの支援をすることが重要であるというふうに考えております。

 今、成功した人ばかりの話を聞いているという御指摘ですけれども、再チャレンジ懇談会では、一度事業に失敗して再度起業された方、倒産経験を生かして支援する側として頑張っていらっしゃる方、引きこもりの状態から就業、起業とステップアップできた若者など、再度挑戦する意欲を持って頑張ってこられた方々の御経験談などを発信して、国民全体の意識の高揚などにも努めているところであります。

 懇談会等の意見を通じて、挑戦を阻害している課題をきっちりと把握した上で、必要であれば制度、事業の改善を図ることとして、関係省庁と連携しながら再チャレンジ関連支援策を推進しております。

 もちろん、御指摘のとおり、失敗して今まさに苦しんでいる弱い人の声を聞くことも重要であるというふうに認識をいたしておりまして、必要に応じて今後は検討していきたいというふうに考えております。

小宮山委員 懇談会のさまざまなお話を伺っていくと、なかなか、再チャレンジという定義、対象者というのが不明確になってきているというふうにも感じます。でありますので、私といたしましては、やはり課題をもう少し絞り込む、例えば、再就職ができるようになるとか、再度収入が得られるようになるとか、そういったところに焦点を当てた方がいいのかなというふうに思っております。再チャレンジ担当というか、チャレンジ可能社会実現担当大臣、そういった方が、恐らく、本来の大臣のさまざまな今までの経験等を生かせるのではないかというふうに思うところでもございます。

 最後に、ちょっと端的になりますけれども、それであるならば、政府の中において、ぜひ大臣にはお願いをしたいこともございます。

 この中で、再チャレンジ、冤罪の問題がございます。特に最近では、三月二十七日に袴田事件、静岡地裁が再審開始を決定いたしました。

 一九八〇年に死刑が確定していた袴田巌さんの刑の執行停止も決まり、袴田さんは同日、東京拘置所から釈放されました。それに対して、静岡地検は、再審開始を認めた決定を不服として、東京高裁に即時抗告、再審をめぐる審理はまだ続いています。四十八年間も拘束され、この中で、正直、本当につらい思いもした、精神的にもやられる。しかも、静岡のこの裁判の中では、証拠を捏造した、そして、取り調べの厳しさがあります。

 この四年間ほどの中でDNA鑑定の技術が上がったこともあります。服役中の受刑者が無罪判決となるケースが多々挙げられます。アメリカでも、死刑囚十八人を含む三百人以上の無実が明らかになったといいます。アメリカで数が多くなったのは、事件の遺留物の保存を義務づけて、受刑者がDNA鑑定を求める権利を保障する法律整備が進んだというふうにも聞いております。

 これに対して、日本はまだこの法整備が進んでいない。早急にやはり審理をし、そして無罪の方はきちんと社会で復帰ができる、再チャレンジができるということを目指していただきたいと思います。

 ぜひ、法務委員会ではないですけれども、再チャレンジということであれば、こういった行政の失敗、ここから学ぶことはたくさんあるかと思います。それを正していただきたいと思いますが、大臣の決意を聞かせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

稲田国務大臣 無実の人が刑務所で長い間拘束をされて、そして、それが再チャレンジできる社会であること、もちろんでありますし、なぜ無実の人がそういう長い間拘束されたか、その行政の失敗ということもきちんと認識をして生かしていくというのも再チャレンジであるというふうに思います。

柴山委員長 小宮山さん、質疑時間が終了いたしました。

小宮山委員 大臣、ありがとうございます。ぜひ、していただきたい。

 また、男性においては、恐らく、冤罪は、身近なところでは痴漢問題という、一度逮捕されますと、場合によっては家庭崩壊、会社も即やめなければならない。なかなか再チャレンジできるものではありません。近所にうわさが流れれば、それこそ取り返しのつかないことでもございます。

 だからこそ、この問題、ぜひ大臣のもとでしっかりと、法務省の管轄かもしれませんけれども、再チャレンジ担当大臣として頑張っていただくことを心から願いまして、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十三日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時二十九分散会


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