第16号 平成26年4月25日(金曜日)
平成二十六年四月二十五日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 柴山 昌彦君
理事 関 芳弘君 理事 平 将明君
理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君
理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君
理事 松田 学君 理事 高木美智代君
青山 周平君 赤枝 恒雄君
井林 辰憲君 大岡 敏孝君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
川田 隆君 黄川田仁志君
小松 裕君 笹川 博義君
新谷 正義君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
冨樫 博之君 豊田真由子君
中谷 真一君 中山 展宏君
長島 忠美君 福山 守君
三ッ林裕巳君 村井 英樹君
山田 美樹君 吉川 赳君
大島 敦君 後藤 祐一君
玉木雄一郎君 津村 啓介君
若井 康彦君 岩永 裕貴君
浦野 靖人君 遠藤 敬君
杉田 水脈君 中丸 啓君
山之内 毅君 輿水 恵一君
浜地 雅一君 大熊 利昭君
赤嶺 政賢君 村上 史好君
…………………………………
国務大臣
(経済財政政策担当) 甘利 明君
内閣府副大臣 西村 康稔君
内閣府副大臣 岡田 広君
防衛副大臣 武田 良太君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
内閣府大臣政務官 福岡 資麿君
外務大臣政務官 石原 宏高君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 古谷 雅彦君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 澁谷 和久君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 豊田 欣吾君
政府参考人
(内閣府地域経済活性化支援機構担当室長)
(金融庁総務企画局参事官) 小野 尚君
政府参考人
(総務省大臣官房地域力創造審議官) 関 博之君
政府参考人
(文化庁長官官房審議官) 作花 文雄君
政府参考人
(農林水産省生産局畜産部長) 原田 英男君
政府参考人
(中小企業庁次長) 横田 俊之君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 松永 明君
政府参考人
(防衛省防衛政策局長) 徳地 秀士君
政府参考人
(防衛省経理装備局長) 伊藤 盛夫君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
四月二十五日
辞任 補欠選任
青山 周平君 三ッ林裕巳君
秋葉 賢也君 黄川田仁志君
川田 隆君 井林 辰憲君
小松 裕君 冨樫 博之君
福山 守君 村井 英樹君
後藤 祐一君 玉木雄一郎君
遠藤 敬君 岩永 裕貴君
杉田 水脈君 浦野 靖人君
同日
辞任 補欠選任
井林 辰憲君 川田 隆君
黄川田仁志君 秋葉 賢也君
冨樫 博之君 赤枝 恒雄君
三ッ林裕巳君 笹川 博義君
村井 英樹君 福山 守君
玉木雄一郎君 後藤 祐一君
岩永 裕貴君 遠藤 敬君
浦野 靖人君 杉田 水脈君
同日
辞任 補欠選任
赤枝 恒雄君 小松 裕君
笹川 博義君 青山 周平君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第六三号)(参議院送付)
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○柴山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、参議院送付、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官古谷雅彦君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、内閣府大臣官房審議官豊田欣吾君、内閣府地域経済活性化支援機構担当室長・金融庁総務企画局参事官小野尚君、総務省大臣官房地域力創造審議官関博之君、文化庁長官官房審議官作花文雄君、農林水産省生産局畜産部長原田英男君、中小企業庁次長横田俊之君、中小企業庁事業環境部長松永明君、防衛省防衛政策局長徳地秀士君、防衛省経理装備局長伊藤盛夫君、防衛省地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○柴山委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜地雅一君。
○浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。
まず冒頭、甘利大臣、大変にお疲れさまでございます。基本合意には至らなかったということでございますけれども、きょうも、朝、私も、テレビでございますけれども、大臣の記者会見を拝見いたしまして、本当に政治家としての命をかけてのお仕事をされているなというふうに感じまして、本当に敬意を表しながら、また、基本合意には至っておりませんけれども、本来なら、至らないところがまだまだ距離が遠いのか、限りなく近いのか、お聞きしたいところでございますけれども、二十分の時間でございますので、この法案の審査に入りたいと思っております。
まず、今回の地域活性化支援機構の改正ということでございます。私は、国会議員になりまして初めての質問がこの地域活性化支援機構の法案でございました。昨年の二月の十四日、これがいわゆる補正予算にかかるということで質問をさせていただきましたので、非常に思い入れのある法案でもございます。
ただ、この法案が出たときに、前回の一年前、いわゆる金融円滑化法が三月で終了しそうである、基本的にはもう終了に向けて中小企業の出口戦略としての一環であったと思っております。地域活性化支援機構によって地方の核となる中小企業を育て、また再生させ、そして、少し小さ目の企業にとっては、中小企業再生支援協議会の中でさまざまなリスケやまた債権放棄を含めた協議が行われ、そして、残りの大体すごく小さな小規模企業については認定支援機関ということで、税理士や弁護士また公認会計士を使って再建計画の策定を行うということが昨年の目標であった。それに伴いまして、円滑化法が終わっても、金融庁の方では、やはり急激な激変の緩和をするために、円滑化法が終わってもリスケには限りなく応じるように我が党も申し入れをいたしまして、そのとおり運用をしていただいたわけでございます。
しかし、逆に、その運用がきき過ぎたのかどうかわかりませんが、私も、さまざま金融機関の方々、または認定支援機関の資格を持っている税理士さんに聞きますと、中小企業の新陳代謝、いわゆる廃業を促す、または転業を促すというところがなかなか行われず、過度に延命されているというふうに聞いておりますし、私もそのように実感をしております。
そこで、この認定支援機関の利用状況、少しこれが使いにくいという声もあったと思いますが、改善した運用の基準、これをまず一点教えていただきたい。
それと、中小企業再生支援協議会での再建策の支援の状況、これは、支援協議会ではやはり銀行出身者が多いということで、なかなか債権放棄という思い切ったところの協議が行われずに、とりあえずのリスケが行われておりまして、基本的には、中小企業再生支援協議会に持ち込まれた案件の九割がリスケでとまっているという現状も聞いております。
いわゆる抜本的な再建計画の支援はなかなか行われていないという現状でございますので、改めまして、この認定支援機関の現在の利用状況、改善した運用の基準、そして中小企業支援協議会での経営再建支援策の今の現状について、まず冒頭、お聞かせください。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
二点御質問ございました。認定支援機関による経営改善支援計画の状況、それから中小企業再生支援協議会の状況、この二点でございます。
第一点目、認定支援機関による経営改善計画策定支援事業の実績でございますけれども、昨年三月の事業開始以来、四月十八日現在で二千四百二十七件の利用申請となっておるところでございます。
伸び悩んでいる理由、背景といたしましては、金融機関ごとの取り組みの差、それから事業者に経営改善の必要性の理解がまだ届いていないということ、それから金融機関と専門家の連携不足、こういったことが、さまざまな要因があると考えております。
他方で、条件変更の申込件数自体につきましては、円滑化法の終了後も従前と同程度で推移している状況にございます。
景気が緩やかな回復基調にある現状を好機として捉えまして、中小企業、小規模事業の経営改善を本事業を通じて支援していくことが重要であると認識しております。
このため、本事業の一層の活用促進に向けた制度改善も指示しているところでございます。
具体的には、昨年十二月に、これまで既往債務の返済負担の軽減、これを要件としておりました。この要件を撤廃いたしまして、財務上の問題を抱えている中小・小規模事業者であればニューマネーの調達だけであっても対象とする、こういった制度改善を進めているところでございます。
今後とも、成功事例のPRも含めまして、周知活動の強化、こういったことを通じまして、本事業の推進に尽力してまいりたい、かように考えております。
第二点目の中小企業再生支援協議会の再生支援でございます。
再生支援協議会の再生支援は、債権放棄からリスケジュール、多様な支援の中から事業者の状況に応じまして最適な手法を選択していく、こういうことが重要であると考えております。
その際、再生支援協議会は中立公正な立場で支援を実施するという機関でございますので、いやしくも金融機関寄りの判断がされる、こういうことがあってはならない、かように考えております。
このため、さきの臨時国会において制定していただきました産業競争力強化法におきましても、独法の中小企業基盤機構に設置されました再生支援全国本部、これが各再生協議会の実施状況を評価する仕組み、こういったことを構築したところでございます。
こうした仕組みを活用しながら、各再生支援協議会が中小・小規模事業者の目線に立ってきめ細かい再生支援を実施していくことを確保し、中小・小規模事業者の事業再生をしっかりと支援してまいりたい、かように考えております。
○浜地委員 まさにおっしゃるとおりでございます。
私は福岡県なんですけれども、福岡県の第一号の認定支援機関の資格を取られた税理士の先生を知っておりまして、実はこの方も一件も認定支援機関のお金を使って再生していないということでございまして、なかなか、利用状況、苦しんでおられると思います。
当然、制度をつくったからといって、すぐにそういったものが抜本的に全部整理されるということはないとは昨年から思っておりましたけれども、引き続き、運用状況を見きわめながら、よりよい運用を目指していただきたいというふうに思っております。
続きまして、REVIC、いわゆる地域活性化支援機構の通称でございますけれども、ここの機能として、LP出資を今回行えるようにするという改正案でございます。
きのう、民間の投資会社の経営者の方とお話をしたんですけれども、この法案どうですかというふうに私質問しましたら、やらなくていいんじゃないかというふうにその民間の方はおっしゃるんですね。それは、地方にはなかなか有望な投資先がない、地方のファンドがなかなか育たないといっても、実は、当然地方にもお金はあって、まず、そもそも地方にそれだけのことをやってやる投資先がないんじゃないかというのがその方の疑問でございました。
それと、私自身も、もともとこのREVICは、GP出資を行って、いわゆるノウハウや人材の提供を行いながら、民間のファンドの方に大体一%から二%ぐらいの出資を行って、地域ファンドを育てるというところが目的だったと思います。そうなりますと、やはりGP出資のみで足りるんじゃないか。LPという、いわゆる支援機構の方がまさに投資家となって資金をたくさん入れる、口は出さずにとにかく任せるというところはちょっと法の趣旨からはずれるんじゃないかなというふうに、私は、この法案を見て、まず第一点目に感じました。
そこで大臣にお聞きしますけれども、このREVIC、支援機構にLP出資を今回機能として加える必要性について、もう一度しっかりとお聞かせいただければと思っています。
○甘利国務大臣 冒頭、TPPの日米協議について言及がありました。かなり開いていた間合いが縮まってきたことは事実であります。前進があったことは事実でありますが、決着には至っていないというところであります。両首脳から交渉の加速を命じられまして、それに従って、その趣旨においては達成ができたのではないかというふうに思っております。
LP出資を加える必要性であります。先生が接触をされた民間の方からの必要性については、若干疑義があるかなというお話でありましたけれども、結論から言うと、民間からのそういうニーズがあるということになるんだと思います。
昨年の改正時には、機構が民間金融機関等と共同で、事業再生・地域活性化ファンドの運営者、つまりGPとなることによって、御指摘のように、機構が保有するノウハウを地域金融機関に伝えつつ、事業再生等に資する資金供給を行っていくための措置を講じたところなんですが、こうしたファンドの運営を得意とする民間事業者がGPとなって地元の金融機関に有限責任組合員、LPとしての出資を募る場合には、必ずしも十分な資金が集まらない場合があるという指摘が、実は民間の金融機関やファンドの運営会社等から寄せられているところでありまして、そういう指摘も踏まえまして、今回の法改正においてこういうふうな対処をしたところであります。
これによりまして、民間資金の呼び水になるということが期待される、それから、ファンド運営者となる民間事業者等のノウハウも有効活用することによりまして、事業再生や地域活性化事業の支援を一層、より効果的に進めることができるのではないかということで、今回の法改正をお願いしているところであります。
○浜地委員 冒頭、TPPのお話もいただきましてありがとうございます。
本題に戻しますと、LP出資ということで、呼び水という言葉がありました。よく官民ファンドは呼び水という言葉が使われるわけでございますけれども、実際に、今回改正をしていただいて、まさに呼び水、一兆円のお金がございますので、有効活用していただくようになっていただきたいと思っています。
本当に、これは最後のチャンスというか、これでしっかりと地域のファンドが本当に育って、官のお金も入っているので自分たちもリスクマネーを出すという構造にしていただいて、また来年ぐらいにこの会社の社長さんに話を聞いたときに、やはりやっていただいてよかったねというふうに言われるように取り組んでいただきたい、そのように思っております。
続きまして、経営者保証に関するガイドラインがことしの二月に発表されまして、それに伴って、機構が特定債権を買い取りする業務をつけ加えるということでございます。
私、これを日経新聞で最初に見たときに、とうとう、結局、再生支援のためにプラスのお金を出すべきREVICがいわゆる買い取り機構になってしまうんじゃないかなという印象を、ぱっと見るとやはり思うわけでございます。なかなか出資先がなくて買い取りに使ってしまうのかということで、心境的にはすごく残念な気持ちになったんですね。
しかし、これからなぜそういった買い取り業務を加えるかという必要性は聞いてまいりますけれども、その前に、一部新聞報道では、特定債権の買い取りの対象が、経営者の個人的な保証がついている債権のみを買い取るといって、一般債権は買い取らないんじゃないかというような報道がございましたけれども、まず、そこの事実関係についてお聞かせください。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
先生先ほど御指摘ございました特定債権買い取り業務は、機構が経営者等の保証つき債権などを買い取りまして、経営者保証ガイドラインを活用して保証債務を整理し、事業再生や再チャレンジを支援することを目的としているものでございます。
実務上、経営者の方の保証債務の整理に当たりましては、事業債務の整理の方針と一体的に考えることが必要となります。このため、今般追加する特定債権買い取り業務におきましては、機構が金融機関などから、経営者の保証つき債権のみならず、当該事業者に対する債権全般を買い取ることができることとしておりまして、御指摘の報道は、必ずしも正確ではございません。
○浜地委員 そうですね。
そうなると、ちょっと必要性をずばり聞きますけれども、いわゆる地方の核となる中小企業の再建をそもそも目的とするREVICが、整理を前提としているこの買い取りを行う。なぜやらなきゃいけないんでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、機構は、地域の核となるような中小企業等の事業の再生の支援を行うものでございますが、その目的は、地域における総合的な経済力の向上を通じまして地域経済の活性化を図ることにございます。
機構が中小企業者等の代表者の保証つき債権等を買い取りまして、ガイドラインを活用して保証債務の整理を図るということによりまして、早期の事業再生または経営者の再チャレンジを支援するということは、地域における雇用創出等を通じた地域活性化に資するものでございまして、地域経済の活性化を図るという機構法の目的に沿うものと考えているところでございます。
○浜地委員 趣旨からの説明でございましたけれども、基本的には、私、いろいろな方と話をしましたし、また、省庁の方ともお話をしましたけれども、この債権放棄というスキーム、いわゆるこの中小企業のガイドラインというのは始まったばかりでございまして、やはりREVICの方で買い取って、しっかり受け皿があるんだ、金融機関も、債権放棄にという抜本的な方法等に向かっても、いわゆるREVICが買い取ることによって安心もできますし、ノウハウの蓄積ということがやはり重要じゃないかというふうに思っています。
その点をやはり強調された方がいいのかなというふうに私個人的に思いますけれども、東北等でも、二重ローン問題で、なかなか最初金融機関は、制度はできたけれども、その買い取りの仕組み、やり方というのがわからずに、運営委員会というのをつくって、やはり一つ手本を見せながらやられたというふうに聞いております。
ですので、このREVICの買い取りがいわゆる手本となって、では、REVICの買い取り期間は五年間ですから、いわゆる存続期間が五年間ですから、それが終わったらもう金融機関はこの経営者保証ガイドラインに沿った任意整理は行わないという事態にならないように、流れをつくっていただきたいというふうに思っております。
先ほど私、REVICの存続期間というのが五年という話をしましたけれども、しかも、東北の被災地では二重ローン問題で運営委員会というものがつくられて、いわゆる債権者と債務者の調整をする機能がございます。
今回はこのREVICや中小企業支援協議会がなるんでしょうが、仮にこのREVICの存続期間が満了した後に経営者保証のガイドラインに沿った任意整理を行う場合、どこにこの調整役を担わせようとしておられるのかをお聞かせください。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
まさに先生御指摘のとおり、今回のこの地域経済活性化支援機構を使って保証債務を買い取るという目的は、機構が買い取って整理をしまして、まさにベストプラクティスを示すことによりまして、金融機関によるガイドラインの利用促進を図ることでございます。
このようなベストプラクティスを示すことによりまして、機構の存続期間が終わった後におきましても、金融機関等債権者の間でガイドラインが積極的に活用される環境を整備してまいりたいと思います。
御質問の件でございますが、もともと、このガイドラインは、このガイドラインを使うときには、利害関係のない中立かつ公正な第三者が関与する準則型私的整理手続を利用することとされています。したがいまして、機構の存続期間終了後におきましても、中小企業再生支援協議会、事業再生ADR、特定調停などが金融機関と債務者の間の調整の役割を担っていくものと考えております。
○浜地委員 もう時間がありませんので、最後に大臣にお聞きします。
昨年から、中小企業の出口ということと再生という難しい課題がございまして、ただ、安倍総理がおっしゃる全国津々浦々ということは、当然、中小企業の再生、または転廃業をしっかりと促すということで、さまざまなメニューが用意されているわけでございますけれども、その実効性を担保する、今後やはり効果があるものに、目に見えていくことにするために、どのようにこれから取り組むお考えか、最後に大臣からお聞かせください。
○甘利国務大臣 金融円滑化法の期限が到来後、中小企業の真の経営改善を図っていくために何をするかということであります。
政府といたしましては、例えば、金融機関に対して、中小企業、小規模事業者の経営支援に一緒に取り組むよう慫慂する、背中を押していくわけです。そして、さらには、独力では経営改善計画の策定が困難な小さな中小企業、小規模事業者に対する全国の認定支援機関による計画の策定を支援するとか、あるいは中小企業再生支援協議会の機能強化を通じた再生計画のさまざまな取り組み、こういうものを進めてきたわけであります。
こうした中で、機構は、再生計画の策定支援であるとかあるいは債権者間の調整のみならず、出資、融資、そして債権買い取り、債務保証等の金融支援や経営人材の派遣も含む包括的な再生支援機能を有するものでありまして、地域における事業再生支援の重要な担い手の一つであるというふうに認識をしています。
そして、今後とも、機構が、地域の再生現場で活動している金融機関、中小企業再生支援協議会、そして事業再生ファンド等との連携を一層深め、これらの機関の機能がフルに活用されていくことによりまして、トータルな意味での地域の中小企業等の事業再生支援が実効的に行われるように促してまいりたいと思っております。
時限ですから、持っているノウハウを移転していく、あるいはベストプラクティスをつくって、こういうふうに民間の力を使って、あるいは協議会の力を使ってこの機構がフェードアウト後もやってください、そういう考え方が定着するように、期間中、取り組んでいきたいと思っております。
○柴山委員長 浜地君、持ち時間、終了です。
○浜地委員 終わります。ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。
本日は、地域経済活性化支援機構法の審議が主でありますが、あわせて、甘利大臣、このしばらく、けさ方まで、TPP交渉のど真ん中で大変御苦労されておられました。この間、委員会の質疑、我々委員会としても、甘利大臣にはできる限り交渉に専念していただきたいということで、一般質疑等で配慮させていただきました。
そういったこともこれあり、大変お疲れの中ではあろうかと思いますが、甘利大臣の所管する、所掌する分野についても質疑をさせていただくことになろうかと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、甘利大臣、環太平洋経済連携協定、TPPでありますが、大変異例の延長交渉を含めて、大変お疲れさまでございました。二十三日夜の首脳間のすし屋会談の後、まさかその後閣僚会談が行われるというのは、我々、外から見て全く予想しておりませんでしたが、しかもそれが三時まで行われる。課長級、局長級協議ならそういうこともあるのかもしれませんが、閣僚協議で三時まで、未明まで行われて、しかもその後、正式な首脳会談の後にまた閣僚交渉ということであります。
オバマ大統領の提案により、二十四日十時の首脳会談の際には、共同宣言の発表を留保して再び交渉、これは余りというかほとんど例がないのではないかと思うわけであります。従来の通商交渉の常識にはない異例の展開でありました。
大臣もお話しされていましたが、今月に入って閣僚交渉だけで四十時間でございますか、大変なロングランでありますし、この一両日だけでも三度の交渉、こういうことであります。その交渉にまず御苦労さまですと申し上げたい、こう思うわけであります。
TPPというのは、通商交渉でありますが、その枠を超えて、やはり今回改めて思うんですが、幅広い意味で日本の大きな対外政策の軸、経済安全保障戦略なんだなということをいろいろな意味で実感もさせていただいた、こう思うわけであります。
我々も、そもそもTPP、最初に、日本外交といいましょうか、出てきたのは民主党政権のときでありましたけれども、オバマ氏が提唱し、菅政権で最初に切り出したわけでありますが、少なくとも、私が直接かかわったのは野田政権の時代でありますが、日本の生きる道として、今後も日米同盟を基軸とするという思いでTPPというのに取り組んできた思いがあります。
今回、日米首脳会談で、尖閣諸島に日米安全保障が適用されるといったことが言われたということも、広い意味でやはり日米経済安全保障ということを実感させることにもなったな、こう思うわけでありますが、しかし、他方でこのTPP、そういう大義はあるわけでありますが、現実の交渉というのは多品目であり、大臣がいみじくもけさの記者会見でもおっしゃったように、両国間で死活的な問題もあるんだ、そう簡単ではないんだということをおっしゃいました。全くそのとおりで、個別の業界、品目によっては利害が鋭く対立する、各論反対のオンパレード、それを乗り越えてこられたんだろう、両方で歩み寄ってこられた、こういうことだろうと思うわけであります。
昨日、大臣が、もう一度TPP担当大臣をやるかと言われれば、もうやりたくない、こうぽろっとおっしゃったのは、いずれにしろ、それだけハードな交渉であるということの裏返しだろうと思って受けとめさせていただきました。
したがって、何を言いたいかというと、お疲れのところ恐縮で、この話をさせていただくのは、やはり、しかしそれだけ重要な大義のもとで、かつ個別の死活問題でもある、また過去の通商交渉の歴史を見ても、ガット・ウルグアイ・ラウンド交渉、またミニマムアクセス等々いろいろな交渉がありましたけれども、この交渉はそれをはるかに凌駕する大きな交渉である。したがって、その分だけ、やはりいろいろな交渉の縛りがあるのは私どもも十分承知しておりますが、可能な限り国会の場においても、やはり国民に対する説明の責任というのは、一つの日米首脳会談ということを終えたこの時点において、私はあろうかと、こうも思うのであります。
その上でお伺いしたいと思います。
まず、安倍首相は昨日の記者会見で、TPP交渉の全体の妥結に向けてリーダーシップを発揮することが私とオバマ大統領に課せられた責任だ、大きな観点から私とオバマ大統領は判断をしたいと。共同宣言の発表を留保して、かつ両閣僚に交渉を指示したことを受けた共同記者会見で、妥結に向けてリーダーシップを発揮するのは私、つまり安倍首相とオバマ大統領の両者の責任だ、首脳の責任だ、こうおっしゃっているんですね。判断も、私が判断をしたいということをおっしゃって、その上で甘利大臣に指示をされているということを発表しております。
恐らく、この上では、少なくとも昨日の十時の時点では、いわゆる来日中の大筋合意を目指すということは、対外的には、合意を目指す、大筋合意を目指すという指示は甘利大臣は受けておったし、その指示は変わりなかったのではないか、私はこう思うわけでありますが、そういうことでよかったのだろうか。
そして、あわせて、いずれにしろ、けさの大臣の記者会見では、いわゆるそうした合意については至らなかった、道筋は確認したが大筋合意には至らなかったということをおっしゃっております。したがって、きのうの総理の方針とは違う結果になったわけでありますが、その違う結果になった判断は恐らく安倍首相がされたんだろう、こう思うんですね、その至らない、仕方がないということの判断。具体的に首相に判断を仰いだのは、したがって、いつの時点でその判断を総理に仰いだのでしょうか、お答えいただけますか。
○甘利国務大臣 まず、冒頭、近藤筆頭初め本委員会の先生方には、私の通商交渉に最大限配慮をし、環境をつくっていただきましたことを、心から感謝を申し上げます。まさに国益がかかる交渉であります。そういう中で十分な時間をいただけたということで、そうでなかった場合よりは、国益を踏まえての交渉の後押しをしていただいたということになるわけであります。感謝を申し上げます。
そこで、日米首脳会談の席上で、両首脳からそれぞれの担当大臣、ですから、アメリカはUSTRのフロマン代表であり、日本は私でありますけれども、それに交渉の加速を指示すると。確かに、加速をせよという指示は今回もなされたわけであります。随時総理に報告をしながら、進捗状況を報告しながら進めていったつもりであります。
マスコミを含めて、大筋合意ができたかできないかという話、質問をよく受けるのであります。大筋合意というのはTPP交渉の中に正式にあるわけではありませんで、大筋合意の定義はないんですが、この辺で大筋合意かという割と主観的な判断というのがあるんだと思います。
今回の交渉、やはり、日米のセンシティビティーにかかわることでありますから、前からお話をしていますとおり、日本のいわゆる決議にある五品目の扱い、アメリカの自動車の扱いをどうするかということであります。
結論から言えば、これはもう完全に妥結したという項目はありません。全体にわたって話し合いを行いました。その話し合い時間は、今回それから前回、つまり、ここ一、二週間の東京とワシントンでの交渉時間数は四十時間にわたりました。そのうちの半分以上は一対一で、通訳だけ挟んで一対一の交渉で、こういう一対一の交渉を二十時間も行うというのは過去に例がないと思います、閣僚同士ですから、課長間とか局長間の協議ではありませんから。
その中で専門用語が飛び交うような話でありましたけれども、それらを通じて、間合いは確実に狭くなっております。具体的にどの項目がどうなったかというのはなかなかお伝えしづらいのでありますけれども、全体の間合いも各項目の間合いも詰まってきました。しっかりした前進はあったと思います。そういう評価はできると思いますが、決着はしておりません。どの項目一つとっても、これで完全に終了というところはありません。それが、残念ながらと言った方がいいのか、幸いにもと言った方がいいのか、それは立場によっていろいろ違うと思いますけれども。
そういうことで、大筋合意ということには至らないというふうに私は理解をいたしております。まだ共同声明は調整中だと思っておりますから、まだこの時点で発していないんだと思います。
ただ、いずれにしても、意味ある前進はあったというふうに思っておりますし、それは、日米両首脳で当初期待をし両国の閣僚に指示した、全てというわけにはいきませんでしたけれども、総理、大統領からそれぞれがもらった指示については、一定の報告はできたというふうには思っております。
ただ、まだ詰めなきゃならないところがありますから、これから日米間、そして全体会合、それぞれ間合いを詰めていく努力をしなければならないというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 余り細部のことを聞くつもりはないのですけれども、私は、オバマ大統領も相当、共同宣言の発表を留保して閣僚に交渉させたというのは、これはなかなか容易ならざる交渉だったんだと思うんですね。担われた甘利大臣は本当に大変だったと思うわけであります、普通はないことであるわけですから。しかも、くどいようですけれども、安倍首相は首脳会談で共同宣言の発表留保をのんだ上で、かつ、記者会見で、大きな観点から判断をしたいと総理がおっしゃった。
私は、率直に言って、深夜のすし屋会談の後の未明までの会談をやって、そして首脳会談、ここで合意できないとなかなか難しいというのが普通の常識でして、それを超えてまたやらせる。かつ、判断をしたいと総理がおっしゃってしまっているというのは、私は、要は何らかの判断がそこであったのではないかと思って伺ったわけです。要は、ここで、何かつかむものをつかみたいという総理の強いお気持ちが最終局面ではまだあったのかどうか、それとも違ったのかどうか、そういう意味で伺ったのです。
くどいようですけれども、昼の十時の首脳会談を終えて閣僚協議を終えた後に、総理に、いわゆる大筋合意というのは難しいというのは最初から伝えていたとは思うんですけれども、難しいというのは伝えておきながら、再交渉せよと、しかし、やはり難しいでしたと。でも、最終的なジャッジは私は総理だと思うんですね、これは。総理でないと、僕は甘利大臣のみでは判断できない部分もあったかと思うので、総理が、わかった、見送ろうといって最終的に判断をしたのは、総理の御判断はいつだったんでしょうか。
○甘利国務大臣 私は、総理からは、国益を踏まえて交渉せよということを、今回も、そして今までも常に言われております。
ただ妥結せよということであるならば、妥結だけをとるのであるならば、どっちかの主張にどっちかが寄っていけばそれで済んじゃうわけですから、そんな夜中までやる必要はないのであります。国益を踏まえつつという前提がありますから、いわばべた折れはするなということでありますから、ですから、どうしてもこういうことになるわけでありまして、何時間も何時間も同じことについて堂々めぐりがあったり、お互い、相手もこっちも感情的になって、決裂というようなぎりぎりのところまで行ってまた戻ってきたり、そういうことの繰り返しであります。
そういう中で、総理は、お互いが相手の立場を踏まえて譲歩しつつ着地点を探していくということを強くおっしゃっておられましたから、その指示に従ってやるべきことをやったということであります。
その結果、間合いは間違いなく縮まってきましたけれども、これだけの短い期間に、夜中までやったとしても、先方は、朝までやろうというような話もありました。寝ないでどうするんだ、寝ないでそのまま宮中行事に出ようと。そんな、首脳会談や陛下の前で居眠りする姿なんか見せられない、それは常識的な中でやっていこうじゃないかということで、ただ、事務方はほとんど二日間寝ていないと思います。そういうくらい、史上空前の協議をしてきました。
その結果、確実に間合いは詰まりましたけれども、ぎりぎりになればなるほど、まさに譲れない国益がかかってくるわけであります。ですから、作業項目が小さくなればなるほど時間がかかるという相関関係にあるんだと思います。
でありますから、何をもって大筋合意かという議論は、根本論がありますけれども、まだ共同声明が出ていませんから、そういう表現は我々は使えないというふうに思っております。
具体的に、何についてどうなったかというのは、なかなか申し上げられないのは、事情をお察しいただけるかと思います。
総理については、都度都度、報告をいたし、指示も仰いでおります。譲れないものは譲れない主張をしていいからということの指示もいただいておりますし、そういう極めてある種制約された中で、着地点を見出す努力をずっとこの間双方でしてきたということであります。
○近藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。
交渉の雰囲気というのは今の御答弁で何となくわかるのであれなんですが、あえて申し上げたいのは、前回の質疑のときにも申し上げたかもしれませんが、まさに交渉はお互いがお互い譲らなければいけない、当然でございます。どんな交渉でもそうでございますし、まさに国益を追えば追うほどそうでございますし、結局、米国政府も、日本政府もそうでありますが、では米国政府が譲れる状況にあるのかという根本論に私は立ち返ると思うんですね。
何を申し上げたいかといえば、すなわち、米国政府は、米国議会から包括的な交渉権を残念ながら得ていない状況にある。これはコインの裏表で、議会が納得されるような成果をかち得れば交渉権を得ていなくても大丈夫だ、こういうことかもしれません。
しかしながら、他方で、やはり米国政府は、包括交渉権を持っていれば、ある程度の譲れるカード、自分の手持ちのカードを彼らなりに持てるはずですが、しかし、残念ながらそれが、包括交渉権を持っていない米国政府の中においては、幾ら譲りたくても譲れない。譲りたくてもというか、譲れる権能を持っていない。となると、結局、幾ら日本側が交渉しても、ぎりぎりのところでやはり詰まってしまうのではないか。
そういう中で、甘利大臣が幾ら政治経験と手腕と、また日本の官僚諸君がさまざまな英知を結集しても、向こうが全くその権限を持っていないことを背景にぎりぎりのところで折り合えなければ、判断できなければ、要は最後は政治判断でございますから、判断できないというものであれば、やはり交渉というのはまとまらないのではないかと思うんですね。
どんな交渉でも、それは私どものやっている政党間の協議でも法案の協議でも何でもそうですが、最後は政治の判断ですから、そこの判断での持っている権能がどこまであるかというところに行き着くわけで、彼らはその権能がやはり最終的に日本政府と違ってなかったのではないかというところに私は行き着くと思っているんですね。
ですから、この交渉をこの状況で、大臣、確かに詰まってはいるんでしょうけれども、僕は、米国政府は判断ができないのではないか、かなりディテールのところまでは詰まるかもしれぬけれども、判断がなかなか、それはオバマ大統領といえどもできないのではないのかと思わざるを得ない節があるんです。
彼らが判断できたとしたら、裏を返すと、尖閣の安保入りというのは、これは関係ない話なので判断としてはできたのかもしれないけれども、TPPの枠内のところの判断というのは逆によりできなかったのではないかとすら思うわけでありまして、非常にこのTPPの枠での議論というのは難しくて、逆に、だからオバマ大統領は尖閣の議論とTPPをセットで持ってきて迫ったとも受け取れるわけであります、今回のタイミングで。
ですから、今回できなかったとすると、私は、大臣、あえて申し上げると、やはりこのTPP交渉をしばらく、今後の展開なんですけれども、米国の政府が議会から包括交渉権を得てからきちっと臨むという形、すなわち、そういう体制を整える、米国内の環境が整ってから行った方がやはり実りあるものに、最後判断するという局面になるのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。今後の交渉、閣僚会議を開く条件というんでしょうか、状況にもかかわるかと思うんですが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 TPAはアメリカの国内の問題でありますが、御承知のとおり、なぜTPAをとるかというと、それをとって言えば、テーク・イット・オア・リーブ・イット、受けるか受けないか、中間がないということだから、アメリカ政府としては対議会上ハンドリングがしやすいということになるわけです。これは、我々がどうこうというよりも、彼らの責任でやることであります。
向こうは、確かに今TPAがとれていない状況、あるいは、とれていたとしてもそうかもしれませんが、向こうは当然議会に売れる内容にしたいということを言いますし、我々は、議会の了解をとれる、つまり衆参の決議との整合性、これは合格点から百点満点までの幅はあると思っているんですけれども、我々だって、そういう意味では議会の決議との整合性をとるという制約は当然ある。向こうは、議会にきちんと売れないと議会が通らない。そこのせめぎ合いになっているわけであります。
向こうが、では、議会に売れないから全部向こうの要望を通してくれといったら、こっちは整合性がとれなくなるわけであります。ですから、我々も整合性のとれる範囲を今一生懸命模索中なんだからということで、譲れないものは譲れないということになります。
そこで、では、着地点が未来永劫見つからないかというと、そうではないと思います。今回の交渉を通じて、シンガポールよりは東京、東京よりはワシントン、ワシントンよりは今回と、着実に間合いは詰まってきております。いろいろな知恵も双方で出されています。
でありますから、確かにTPAがとれた方がアメリカ政府としては、特にホワイトハウスと議会の関係が従来よりもぎくしゃくしていますから、周りから見てですね、彼らは自信を持っていらっしゃるんでしょうけれども、していますから、TPAはあった方がいいんだろうと思いますけれども、また、いずれ必ずとるんだと思いますが、だからその前に交渉を詰めることができないということではないというふうに交渉を通じて感じております。
オバマ政権におけるTPAの位置づけというか、これは意気込みも以前よりはかなりグレードは上がってきているなというふうに感じますし、でありますから、共同声明の時間を延期してTPPの行方を待とうという極めて異例の事態、私の経験でも余り聞いたことはありませんけれども、そこまでしても、とにかく間合いを詰める作業をしたいというアメリカ側の意気込み、これは従来より、どうしてもTPPをまとめたいという思いは、今の政権、強くなっているんじゃないかというふうに思います。
○近藤(洋)委員 最後に、これは議会の先生方に対する提言でございますが、大臣、このTPPの具体的中身についてはまた同僚の玉木委員がいろいろ質問されるかと思うのであれですけれども、一つの大きな山を本当に御苦労さまでございました。
私は、今回の一連の交渉も踏まえて、やはりこの通商交渉に関して、今回、特にTPPについては、情報管理の縛りというのが非常に強いと。
異例のことですけれども、これも内閣官房の方からですかね、名指しで、どこかの通信社とどこかの新聞社の報道がとんでもないという批判もございました。その真偽はともかく、大変情報管理に気を使われて、ただ、新聞社も報道機関もそれが仕事でございますから、私もかつてそれをしておりましたからよくわかるんですけれども、しかし、国民の生活に重要な影響を与えるものについてきちんとした報道をするというのは、彼らの責務でもあります。ただ、時として、私も取材される側に立ったこともございますから、それが国益を害することもあるというのもよくわかります。しかし、彼らの仕事でもある。
何を言いたいかというと、やはり適切な情報をきちんと、さはさりながら、政府において、私どもは政府にきちっとやっていただきたいという思いがある反面、やはりきちんとした情報を国民に対して開示することも必要なのではないか。それは、全てを開示せよと言うつもりはございません。最低限の開示の責任として、やはりそれは国会、国民の代表たる国会に対して一定の情報開示というのは必要ではないか。
アメリカは、前にも包括交渉権を、議会制民主主義の我が国でございますし、アメリカのようなものにしようとは私どもは考えておりません。しかし、一定の秘密会なりなんなりという議会のルールの中で、適宜の情報を、もちろん、政府・与党一体の中で、与党の中では共有される部分はあろうかと思いますが、しかし、与党の中で、では全ての議員というわけにもいかないでしょうし、しかし、これは与野党を超えて一定の部分についての情報開示というのは、私はルール化というのがあっていいのではないか、こう思うわけであります。
今般、民主党としては、いわゆる通商交渉、外交交渉に関しての情報開示法案を議員立法で提案をさせていただきました。ぜひ与党の自民党、公明党の先生方も、我々民主党政権下の時代には情報が不足しているということを随分指摘されました。与党の議員の中におかれても、いろいろな思いをお持ちの方がおろうかと思います。適切な情報の共有のあり方について、もちろん、秘密の保持の義務を当然課しつつでありますけれども、それに対するペナルティーも当然科しつつでありますけれども、そうしたルールをやはり日本の国会としてもきちんとつくるべきではないか、こういうことを申し上げ、議員立法として提案をさせていただきますので、与党の方にも御理解をいただきたいということを申し上げ、本論の質問に移りたい、こう思います。
さて、法案でございます。
今回の対象となる株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案でございますけれども、この法案は、御案内のとおり、金融円滑化法が民主党政権下時代に廃止されるということを踏まえて、その対応をどうするかという流れの中で検討が進められ、この機構が自民党政権下において設立をされた、こういう経緯でございます。
当時のことを思い出しますと、約三百万社を超える中小企業のうち、円滑化法の想定対象企業というのが三十万社ぐらいあるのではないか、金利の繰り延べ等々をやっていた会社がですね。大変膨大な企業がある。そして、円滑化法期限切れに伴って、支援をする対象が広がるのではないか、大変な混乱が予想されるのではないか、三万社、四万社の中小企業が大変な貸し剥がしになるのではないかということで、当時、私ども政権におりましたけれども、政策金融対応パッケージをつくらなきゃいかぬということも議論しておりました。
それから自民党時代にかわって、この機構法案も提出をされたわけでありますけれども、中小企業を取り巻く経済環境は、円滑化法期限切れのときとは随分空気は変わった、こう思います。
現時点での中小企業を取り巻く経済環境について、まず、経済再生担当大臣としてどういうふうに認識をされているか、大臣、簡単にお答えをいただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 円滑化法が終了して以降、その後、対象事業者はどうなっているのかということでありますが、内閣府も含めました関係省庁の副大臣等が連携して実態把握を行っておりますが、金融機関の融資姿勢や倒産の状況等について、これまでのところ、特に大きな変化というのは見られていないということであります。
政府といたしましては、この円滑化法の期限到来に当たって講じた総合的な対策がありますが、これにおきまして、地域経済活性化支援機構への改組、機能強化に加えまして、大まかに言いまして、以下の三点に取り組んできたわけであります。
まず第一は、金融機関による中小企業等の経営支援の一層の取り組み。つまり、円滑化法がなくなった後も、条件変更であるとかあるいは経営改善支援をちゃんとやってくださいねということで、それを受けて、金融機関が、円滑化法がなくても支障がないような最大限の取り組みを行うということ。
それから、独力では経営改善計画の策定が困難な中小企業等に対する認定支援機関による計画の策定の支援。これは、二万件以上あると思いますが、認定機関による支援ですね。
それから三点目としては、中小企業再生支援協議会の機能強化を通じた再生計画策定支援の確実な実施。
これらに取り組むこととして、各機関において対策にのっとった取り組みが進められているものというふうに承知をいたしております。
この中で、抜本的な改善が必要な中小企業等に対する支援は引き続き重要な課題であると認識しておりまして、今後とも、金融庁であるとかあるいは中小企業庁など関係する省庁とも連携して、中小企業等に対する再生支援に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。
そこで、委員長のお許しを得て資料配付させていただいておりますけれども、一枚目をごらんいただければと思うんです。
次は金融庁に、副大臣、恐縮です、お忙しいところ来ていただいて、伺いたいんですけれども、銀行なんですね、貸し手の問題なんですが、銀行は、リーマン・ショックから、近々また決算発表をされるわけですけれども、大変、空前の高収益を上げている、こういうことであります。
ただ一方で、この中小企業向け貸出残高をごらんいただくとわかると思うんですけれども、九七年、三百二十七兆円あった中小企業向け貸し出しは、二〇一二年で二百三十五兆円、三百二十七兆円から二百三十五兆円と、どんと減っております。特に、民間の貸し出しが大幅に減っておるんですね。これはどういうことかということなんです。
あわせて、二枚目ですけれども、この貸出比率をごらんいただければと思います。
貸し出しですけれども、これはちょっと見にくい表であれですけれども、いずれにしろ、預貸率が低下をしています。預金と貸し出しの比率、要するに、預金はどんどん集めているけれども、貸し出しはしていません。貸し出しの比率が随分減っています。全体で、預貸率八七が六三%まで、二〇〇一年から一三年でどんと減っていますということであります。とりわけ、その中で、中小企業、小規模向けの貸し出しの比率が、大企業向けはそんなに変わっていないんだけれども、中小企業向けが特に減っていますというグラフであります。
次のページが、都道府県別の数値を見ると、特に地方において預貸率が変化しています。地方都市が預貸率が低下しています、地方都市の貸し出しが減っています、こういうことなんですね、この表は。黒塗りされているところは、預貸率が低下しているところの日本地図であります。東北地方などは真っ黒になろうとしている、こういうことであります。
一方で、次のページ、四ページ目ですが、さて、金融機関の不良債権比率でありますけれども、預貸率が低下、貸し出しが低下して、では、中身はどうなった、体質はどうなっているかというと、不良債権比率は、これは平成で恐縮ですけれども、平成十四年、十年前は大手主要行で八%あった不良債権比率は、今一・八%と、大幅に減りました。貸し出しは減って、不良債権は減少し、財務状況はよくなった、こういうことです。
副大臣にお伺いしたいんですが、まず、中小企業向け貸し出しが減っているというのは、一体その要因は何なのかということと、もう一つ、金融機関の不良債権が減ったということは、一見、財務内容がよくなったということは、それはそれで金融機関の経営としては悪いことではありませんが、しかし、見方を変えれば、まさに安全運転をしている。中小企業向け貸し出しを減らして安全運転をしている。安全運転をしているということは、すなわち、リスクをとらなくなった、こういうことなんですね。
この一・八%は、八%、一〇%を超える不良債権比率は高過ぎてこれは問題ですが、ずっとこのところ主要行が一%台で、地方銀行も低水準でいる。これはリスクをとらなくなったということではないかと思うんですね。これについていかがでしょう、この銀行の体質について。
これは、他方で、監督庁として、金融監督行政として、金融検査が箸の上げおろしまで厳しくチェックをする、これはかつてにおいてはそうだった、そういうことをやってきた。これがまだ続いておって、素直な戦士たちの金融マンは、そういうことで、まだその体質から抜け切れていないのではないかとも数字としては見てとれるんですが、この状況について金融庁としてはどうごらんになっているのか、お答えいただけますか。
○岡田副大臣 近藤委員から二問お尋ねがありました。
最初の、中小企業向け貸し出しに減少傾向が続いているということにつきましては、銀行の経営状況につきましては全体として前向きな動きが見られます。具体的には、銀行の決算及び財務の状況については、与信関係費用の減少や株式等関係損益の増加等によって利益水準が足元で増加傾向にあり、自己資本比率も上昇傾向にあります。
他方で、過去二十年間近くデフレの状況が続いてきたこともあり、企業の資金需要が低迷し、金融機関による中小企業向け貸し出しは伸び悩み、貸出残高が減少傾向になる一方で、委員御指摘のように、預金が増加し、預貸率も低下してきたところであります。
しかしながら、昨年七月以降、銀行全体の中小企業向け貸し出しは前年同期で増加に転じ、本年二月末時点では前年同期比プラス一・六八%となるなど、各種施策の効果があらわれてきているのではないかと考えます。
金融機関におきましては、適切にリスクを管理しつつ、新規融資を含む積極的な資金供給を行い、顧客企業の育成、成長を後押しするという本来果たすべき役割を一層発揮していくことが求められているわけであり、金融機関としても、引き続き金融機関による顧客企業の経営改善、事業再生、育成、成長につながる新規融資に関する積極的な取り組みを促していきたいと考えております。
二点目のお尋ねでありますが、金融機関の財務の健全性やリスク管理体制等につきましては、これまでの検査監督等を通じて総じて整備がされてきたと考えています。検査マニュアルをつくりましてもう十年たちましたが、金融機関にも理解をしていただいたのではないかと考えています。
こうした中で、昨年九月に公表いたしました金融モニタリング基本方針におきましては、金融機関に対し、適切なリスク管理のもと、積極的な金融仲介機能の発揮を促し、デフレ脱却に向けた取り組みを金融面からサポートすることとしております。
この一環として、金融機関全体の健全性の観点から、余り重要でない小口の資産査定については各金融機関の判断を極力尊重するということにしているわけであります。また、金融機関が担保、保証に過度に依存することなく、融資先の事業内容やその成長性等を適切に評価した上で融資を行うための取り組みも促しているところであります。
こうした取り組みを通じまして、金融機関による積極的な金融仲介機能の発揮を促し、デフレからの脱却及び企業経済の持続成長につなげてまいりたいと考えております。
以上です。
○近藤(洋)委員 副大臣、ありがとうございます。
これは大事なことなんですね。資料の五枚目にも、今副大臣に御答弁いただいた、二十五年度の中小・地域金融機関向け監督方針を示させていただきましたけれども、検査マニュアルができて十年、定着したと。この定着が、時代に応じて厳しく検査するのが定着し続けるとまずいわけで、今副大臣に御答弁いただいたのは、その方向を、新規融資、きちんと細かい一つ一つのものを金融庁がチェックするのではなくて、金融機関の判断でやりなさいということに変えましたという御答弁をいただきました。
これは大きな変化だと思いますし、リスクをとれという形で金融庁がかじを切ったというふうに私は受けとめますし、そういうことであると思いますので、この指針をきちんと現場に浸透させてもらいたい、このことを要請したいと思います。
甘利大臣、お疲れのところ恐縮なんですけれども、大臣は中小企業施策の専門家というか、大変お詳しくいらっしゃるのであれなんですが。ドラマの「半沢直樹」をごらんになったことはないと思いますが……(甘利国務大臣「いや、見ました」と呼ぶ)ありますか、そうですか、お忙しくあられるから。まあ、はやりドラマでございまして、これはまさに銀行マンの物語でございます。
そこに出てくる常務が、大和田常務というのが出てこられます。半沢ネジというねじ会社に対して、企業の中身を見ずに、担保主義で、しかも本人保証で、その会社を潰してしまう、お父さんは自殺に追い込まれる、こういうストーリーでございました。
その中には、ちょっとおねえ言葉的な金融検査官も登場してまいりますが、不良債権化してしまうという、厳しく査定する、そんな金融庁の役人は今いないんじゃないかと思うんですけれども、そういう金融庁の官僚と、厳しく本人保証を求めていく銀行幹部というのが描かれて、大ヒットしたドラマでございますが、これがはやった。
要は、何を伺いたかったかというと、今回、経営者、個人保証の見直しガイドラインも、本人保証を、経営者の保証を、全部経営者保証をとるのではない、それはある程度制限をするんだ、事業を見るんだというような融資に、金融慣行に変えるべきだという大きな問題意識の中で、政府において見直しもされました。
ただ、まだまだ道半ばだ、こういうふうに私は思うんですね。政府において、今副大臣がお答えになったように、事業を見るような検査体制に変えたという御答弁もありましたけれども、実態はまだまだ道半ばだ、こう思うんです。
残念ながら、「半沢直樹」のドラマを見ながら、私も地元の金融機関の幹部の方と、半分冗談ながら、金融機関の常務に、この大和田常務、銀行の常務だと皆冷やかされるんじゃないんですか、どうですかと聞くと、率直に言って、だけれども、まだまだ銀行は古い体質というのは正直残っています、あれは劇画化された世界だけれども、でも、まだまだ過度な、事業を見ずに融資する担保主義も残っているし、経営再建に当たっては、さまざまな課題、本当にきちっとした再生を行わない課題も、銀行として体質は残っているというお話も聞きます。
そこで、大臣、銀行の体質改善に向けて、この地域活性化支援機構が果たす役割というのも私はあるのではないか、こう思うんです。何となれば、この地域活性化機構は、そもそもできたスタートは、私もこのスタートの時点、最初かかわってきた人間なのですけれども、地域金融機関の抱える不良債権をそれぞれ地域金融機関が抱え込んでいてしまったら、結局、何も終わらず、そのまま塩漬けになってしまう。それをひとつ加速させて、生き残れるものは生き残れるようにしよう、だめなものは速やかにきちっといい形で整理をしよう、だけれども生き残れるものは残そう、だけれども、今の銀行のままではなかなか難しい。
したがって、こういうものをつくって、地域金融機関においてその動きを加速させようという思いでこれがスタートしたと私は認識しておりますけれども、大臣なりに、この機構が銀行界の体質の改善に向けて果たす役割について、どういう役割を担うか、お答えいただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 「半沢直樹」は、ビデオを撮って、ずっと見ました。ある週は、NHKの政権特集、私が随分登壇をする政権特集と時間がかぶりまして、視聴率競争で完膚なきまでにやられてしまいまして、複雑な思いであったんですけれども。
御指摘のとおり、日本の金融機関は、本来の機能は、融資する先の経営能力とか将来性とか、そこをしっかり審査するという能力を持つべきであります。それが、個人保証とかあるいは担保主義で、そっちさえ押さえてしまえば、あとはそこの審査能力は余り必要ないということで、そこがだんだん弱体化してきたという歴史だと思うんです。
今回、機構が、しかも期限限定でなぜ存在をするかということは、いろいろな再生を手がけてきた専門家がたくさん入っていますから、それらの方々を通じて、機構がベストプラクティスをつくる、あるいはノウハウを伝授していくといいますか、本来の金融機関のあるべき姿、そこに誘導していければベストだと思うんですね。
やはり、ある種、指導員というのは、ずっといたら指導される側が育ちませんから、あるときからフェードアウトしていく。そのときには、指導者の経験、英知を受け取った人がひとり立ちをしていく。いわばそんな絵図が描けたらいいのではないかなというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。
あわせて中小企業庁にお伺いしたいんですが、この機構の役割がある、ただ同時に、率直に言って、この件数自体はまだまだ少ないんですね。対応を実行した、再生に向けた件数というのは少ない。これの前身の機関はJALの再生とかをやった機関でありまして、大きな会社をずっと手がけたケースもあったりして、中小企業の再生の実際の件数自体はまだ少ないわけであります。
一方で、四十七都道府県に設けている中小企業再生協議会、こちらの方も中小企業の再生に向けた役割というのは大変大きなものがある、こう認識しております。
我々のときに立てたプランでは、年間三千件ぐらいを目標に再生計画をつくったらいいんじゃないかということで、予算も措置して目標を立てたのは我々の時代でありましたけれども、現時点で、ポスト円滑化法というか、円滑化法期限切れ以降、どういう処理件数になっているのかお答えいただけますでしょうか。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業再生支援協議会におけます再生計画策定支援の実績でございますけれども、平成二十三年度におきましては二百五十五件にとどまっておりました。
平成二十四年度に、中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえまして、各再生支援協議会の抜本的な体制強化、これを実施したところでございまして、その結果、二十四年度におきましては千五百十一件、そして、平成二十五年度においては、まだ三千件には届いておりませんけれども、二千五百三十七件の再生計画の策定支援を実現したところでございます。
引き続き、地域経済を担う中小・小規模事業者の事業再生をしっかりと支援してまいりたいと考えております。
○近藤(洋)委員 内閣府に伺いますが、まさに、件数としては相当、協議会の方は、四十七都道府県で再生計画をつくってきているんですね。ですから、イメージでいうと、こちらの機構の方はやや大き目の中小企業の再生で、協議会の方は本当に小規模、小規模というか、売り上げでいうと一億円とかそういうイメージなのかな、わかりませんが、小さな会社というイメージなんですけれども、やはり連携が重要だ、こう思うんですね、すみ分け、連携。
そのすみ分けの必要性、連携の重要性についてお答えいただけますでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
機構におきましては、中小企業再生支援協議会が実施している再生計画の策定支援や債権者間の調整等の業務のみならず、出資、融資、債権買い取り、債務保証等の金融支援、あるいは経営人材の派遣を含んだ包括的な再生支援の機能を有しているところでございます。
支援対象につきましては、事業者の規模に一定の目線を置きつつ、基本的には、事業の内容、法人の種類、金融支援の必要性、事業再生の困難性等により、機構、協議会のいずれを活用するか判断されているものと考えております。特に、金融支援を伴う抜本的な支援が必要とされる場合には、機構による支援に向けた検討がなされるものと承知しております。
なお、これまでも、機構または協議会が相談を受けた案件につきまして、他方が対応した方が効果的かつ迅速な支援が可能となる場合には、相互に案件の仲介等を行うなど、密接な連携を図ってきておりまして、これまでに九件の案件につきまして、支援協議会と連携協力を行ってきているところでございます。
今後とも、協議会との連携を深めまして、中小企業等の事業再生や、地域活性化に対する支援を積極的に図っていくように促してまいりたいと存じます。
○近藤(洋)委員 まだ連携、数は少ないと思いますので、もっともっと拡大をしていただきたい、こう思います。
続いて、西村副大臣、お見えでございますが、よろしくお願いします。
ちょっと話題をぐっとかえて、休眠預金についてお伺いしたいと思うんですね。
休眠預金というのは、十年間にわたって出入金の移動がなく、本人の所在が確認できない預金のことを休眠預金、こういうふうに言いまして、この休眠預金、銀行口座で十年間出入金がない、本人確認ができないとなると、銀行がそのまま利益計上します。利益計上して銀行の利益になる。半分は税金でありますが、半分というか四割が税金になるわけでありますけれども、休眠預金というものがございます。
委員長のお許しを得て、六ページ目の資料をごらんいただければと思うんです。
これは、成長ファイナンス推進会議、旧政権時代のペーパーで恐縮ですけれども、この時代、このとき、私も事務局長で、当時、内閣府、古川大臣でございましたが、そのもとでまとめさせていただいた、成長ファイナンス推進会議という会議体のペーパー、政府のペーパーでありますが、そのときに、遊休資金の有効活用(休眠預金)ということで、考え方を政府としてまとめさせていただきました。
その際に、成長ファイナンス戦略の一つとして、この休眠預金に目的を与え、経済社会の成長に広く役立てるために、休眠預金を成長マネーの資金供給源として有効活用することを検討すると。そして、これまでの方針として、三つ、預金者からの支払い要求には応ずる仕組みとする、二つ目、過去の休眠預金にさかのぼって活用の対象としない、そして三つ目、しかるべき法的措置を講ずる、この三原則を打ち立てました。
休眠預金は大体年間どれぐらい発生するかといえば、金額ベースで、年間八百五十億円、払い戻しの請求が来るのが三百五十億円、ネットで五百億円。一年間で毎年五百億円のお金が生まれておりますが、これが銀行の利益として休眠預金がなるわけですけれども、これを国として活用しようという方針、三原則を打ち立てて、考え方を旧政権下時代にまとめさせていただきました。政府のペーパーでございます。これが中間報告。
あわせて、同じく、次の七ページ目ですけれども、成長ファイナンス推進会議、取りまとめ、七月九日のペーパーです。この際には、フィージビリティースタディーを行い、休眠預金の活用開始に向けて、二〇一三年度中にその活用策を含む必要な制度を整え、二〇一四年度中に体制を構築するといったこと。
残念ながら、民主党は、この間、政権から落ちてしまいましたが、いずれにしろ、方針は、この八百五十億円、ネットで約五百億円のお金について、社会に役立てよう、リスクをとるお金として考えていこうということも含めて、いろいろな議論を重ねてきたわけであります。
さて、西村副大臣、政府において、この休眠預金について、西村副大臣が座長となって検討も進められたということを伺っておりますが、この三原則は現政権下においても引き継がれているということでよろしいのでしょうか。
○西村副大臣 大変大事な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。
私どもも、御指摘があったように、休眠預金を何らかの形で有効に活用できないかという視点で、いろいろ勉強は重ねてきております。
昨日、ちょうど、超党派の休眠預金活用推進議員連盟というのも発足されたようでありまして、そこでも、私どもからも、この民主党政権の示された三点についても、経緯を紹介する中で御紹介をさせていただいたところであります。
今後、議連でいろいろ検討を深めていかれることと思いますけれども、私どもとしても、公共のために休眠預金を活用するというのは非常に大事なことだと思っておりまして、その際、このお示しになった三点も非常に大事な視点だと思っておりますので、政府としても、この議連の議論を踏まえながら、適切な対応をしていきたいというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 適切な対応というのは、では、引き継いでいるか、引き継いでいないか、明確でないので、ちょっと改めて。では、もう一点、金融副大臣、端的にお答えください。
この休眠預金を活用する際に、我々はスキームも考えました、金融庁が検討したんですね。その際に、各金融機関からお金を集めるスキームについても検討し、あらあらの考え方も整理し、法的な措置も必要ということで出しました。
金融庁においては、そのスキームについて現段階でも変更はないのか。また、法案が必要となっておりますが、法案についての検討状況、その後、金融庁としての法案、これはお金を集める方でありますけれども、使い方ではなくて集め方の問題でありますけれども、金融庁としての検討状況はいかがですか。
○岡田副大臣 休眠預金の移管、管理に係るスキームにつきましては、フィージビリティースタディーにおいて示されたとおり、コストや利便性の観点から、集中型と分散型がありましたが、分散型のフィージビリティーが高いものと私どもも考えております。
法案の準備に関しましては、昨日この議員連盟が発足したということもありますので、金融庁としては、当該議連における議論も踏まえ、必要に応じて所要の協力を行ってまいりたいと考えております。
以上です。
○近藤(洋)委員 一つ、議連は議連で大事なことで、我々民主党も出ておりますから、とやかく言うわけではないんですが、西村副大臣にお伺いしたいのは、この一年何をされてこられたのでしょうか。
と申しますのも、年間五百億円生まれているんです。この五百億円は、先ほどお話があった空前の高収益を得ている銀行の利益になっているんですね。国民のお金が年間五百億円、我々であれば、もうこのスキームを立ち上げて、何に使うかはともかくとしても、プールすることはできたわけです。
銀行界も当時いろいろ議論がありました。我々の資産です、税金払っています、何で取るんですか、こういうことを言いました。だけれども、いやいや、税金払っているどころか、ちゃんとあなた方、利益に上げているじゃないか、しかも、税金は四割だけれども、六割は銀行界の利益になっているじゃないかと。したがって、これは国民のために一度お戻しいただくということを、全国銀行協会ともけんけんがくがくの議論をした上で納得をしていただいて、このスキームをつくったんです。
西村副大臣、これは、一年間、五百億円のお金を銀行界にプレゼントしてしまったことになっているんですよ。議連で議論するというのは結構だけれども、なぜこの一年間何もしなかったのか、作業がおくれているのか、この理由をお答えいただきたいということが一点。
もう一つ、年間五百億円のお金が生まれるということはそうそうございません、今の財政状況の中で、はっきり申し上げて。この五百億円の使い道、スキーム、しかも民法上の財産をどうするということも含めて、具体的なお金のスキームは、きちんと政府で制度設計をして、政府において原案を決めるものだと私は思います。
議員立法を否定するつもりもありませんし、しかしながら、やはり全て、議員立法ですからそれの検討を踏まえてというのは、余りに、この一年間の動きも含めて、一体何をやっていたのか、政府のやる気があるのかないのかということも含めて、疑義を感じざるを得ないんですが、いかがでしょうか、お答えいただけますか。
○西村副大臣 まず、私どもも、この休眠預金は有効な形で、いわば公共、国益に資する形で使えないかということで、内部で勉強も進めてきております。
一方、そもそも国民の預金であることから、これは慎重にしなきゃいけないんじゃないかという議論も一方でありますので、そこはそうした考えも踏まえながら、検討を進めてきているわけであります。
御指摘のあった、閣法で出すのがいいのか議員立法でいいのかということ、これはいろいろ御議論あると思いますけれども、新しく予算ではない形で一定の、五百億程度の資金をいろいろ配分して使うということで、いわば予算の外の話ですから、国会の議決を経ずにこうした枠組みをつくるということになりますので、私どもとしては、議論を国会の場で行っていただいて、議員立法になじむんじゃないかというふうに考えております。
過去のサッカーくじとか競輪とかモーターボートとか、ちょっと仕組みは違いますけれども、そうしたものもこれまで議員立法でなされてきております。そうしたことも、経緯も踏まえてみれば、新しい、予算ではない、国会の議決を経ないものをつくるという観点からすると、超党派の議連で今後議論がなされると思いますけれども、私どもとしては、これまで与党内の議論に協力をしてきたところでありますので、今後は超党派でしっかりと議論していただいて、私どももそれをサポートしながら、いい形で立法がなされるということを期待したいと思います。
○近藤(洋)委員 いずれにしろ、作業がおくれたことによって、銀行界が一度諦めた休眠預金が、この政権下で五百億円、また来年おくれればまた五百億円、一千億円、銀行界は利益を得てしまっているということだけは事実として明らかである、作業がおくれた分だけ、結果として、我々が活用できるはずであったものがおくれてしまっているという事実は重く政府として受けとめていただきたい、こういうことは指摘をしたいと思います。
どういう立法作業がいいかというのは、これは判断だろうと思いますが、作業がおくれた結果、不作為によって、その分、一千億円のお金が消えてしまったということは、やはりこれ自体は、金融庁、内閣府、それぞれの、政府の責任においてです、かなりの部分、制度として詰めてきた話ですから、少なくとも、私はお金をプールすることはできたと思うんですね。ですから、それは非常にもったいないことをされたなということはあろうかと思います。
甘利大臣、最後に一点だけ、お疲れのところ恐縮です、これは大事な話なので、ぜひともお伺いしたいんです。
経済財政諮問会議・産業競争力会議において、人の働き方の問題なんですが、長谷川主査、武田の長谷川会長が新たな雇用制度を提案されておるんです。経済財政諮問会議、これは甘利大臣も御出席の会議でございますから、よくおわかりいただけているかと思うんですが、成果に応じて報酬を支払う仕組み、一般社員でも本人が同意すればできる、場合によっては残業代ゼロという形になる仕組みを提案されております。
私は、ちょっともう通告時間なので最後の質問になりますが、日本の人口構造を考えますと、きょうはちょっと伺えなかったのでまたの機会にしますけれども、大変な超高齢化社会を迎えるので、あと二十五年たつと、私の地元の山形県は約二人に一人が六十五歳という県になります。これはすさまじいことでございます。こういうことを考えると、日本人の働き方を何とか考えなきゃいけないというのは大変な問題だ、こう思っております。
そういう問題意識は持ちつつも、ただ、この長谷川主査の御提案、成果に応じて報酬を支払う仕組み、資料の最後のページに出させていただいていますけれども、これは、場合によっては非常に個人の、残業代ゼロで、働く環境を悪化させるのではないかという懸念も一部で出ております。現実に、公明党さんからも懸念する声が出ているやに報道されております。
この制度、提案について、財政、社会保障担当大臣でもあられますので、経済財政諮問会議・産業競争力会議で提案をされたこのプランについて、甘利大臣はどのように受けとめ、検討を進められる御予定か、お答えいただけますか。それを最後に、質問を終わります。
○甘利国務大臣 御指摘のように、人口が減少しています。これは抜本対策は別に当然とるとして、その中では、働く意欲があって健康である人は、年齢、性別を問わず、全員参加をしてもらわなきゃならない。
その際に、当然、働き方には制約があると思います、介護を抱えているとか、あるいは育児を抱えているとか、あるいはそれ以外の状況で。そういう人たちは正規社員の道がないとか、あるいはキャリアパスがないとか、いろいろな制約をされてしまうのでは、本当の意味の全員参加型ではない。いろいろな働き方があるけれども、それが、きちんと正社員であって、出世も妨げられないというような、いろいろな道をつくっておかなきゃならないと思うんです。そういう視点だと思うんですね。
その際に、だから、時間と給与がイコールじゃなくて、時間はフレキシブルがあるけれども、成果と給与がイコールとか、その中に働き過ぎ防止の歯どめをかけるとか、あるいは労使がしっかり了解をすることとか、あるいは会社から強制されないとか、いろいろな制約を考えながら、いろいろな問題点の防止措置を考えながら、しかし、働きたいと思う人が自分の働き方を使って働ける。それが、だから非正規ねという、いきなりそういう道じゃなくて、思いを達成できるような、そういう幅をつくっておきたいというところから出発しているんじゃないかというふうに思っておりまして、そうであるならば、前向きに捉えていいんだというふうに思っております。
○柴山委員長 近藤君、質疑時間が終了いたしました。
○近藤(洋)委員 時間で、津村委員の時間を若干いただきながら、最後申し上げたいと思います。
甘利大臣の御指摘の総論、私も同意見でありますが、全くそうであります。特に、日本人は働き過ぎだ、その象徴が、甘利大臣、本当に七十何時間かずっと働きづめなのかもしれませんが、後ろに控えられている官僚の諸君もそうかもしれませんが。
ただ、具体的な制度設計になって、成果主義で金額がイコールである、それはそれで一つの考え方ですが、しかし、これは制度設計を間違ってしまうと一方で大変危険な問題もはらむので、制度設計においては相当議論が必要であろうかという指摘をさせていただきたいと思います。
これについては、我々も、労働の再生、働き方の再生という問題については同じ思いではございますけれども、制度設計については、長谷川主査の御提案そのものは、まだまだ素直にそのとおりとは言えない部分が多々あり、相当な議論を深めなければいけないものではないかということだけを申し上げて、私の質疑を終えたいと思います。
○柴山委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 民主党の津村啓介でございます。
甘利大臣、連日大変御苦労さまでございます。
私の質問時間二十五分、五分ほど多分近藤さんの方にお譲りしていると思いますけれども、何問か御質問させていただく中で、西村副大臣そして小泉政務官、大変この機構法案にお詳しいお二人もいらっしゃっていますので、大臣には一問か二問に絞って質問させていただこうというふうに思っております。
冒頭、一点、まず、この機構の位置づけみたいな大きな話ですので、ここは大臣にお伺いさせていただきたいんですけれども、公的企業再生の先行事例として、産業再生機構が以前、二〇〇〇年代初頭にございました。これは、当時の不良債権問題が大変深刻ということで、時限的な措置で設置をされて、一定の、非常に大きな成果を上げて機構の役割を終え、現在は存在しない組織でございます。また、この地域活性化機構の前身でございます企業再生支援機構、これは二〇〇九年の秋、民主党政権発足とほぼ同時期に発足をしたものでありますけれども、こちらはやはりリーマン・ショック後の日本経済を立て直すという、非常に短期的かつ非常に重要な課題の中で設置をされたということでございます。
今回、この企業再生支援機構の成果を踏まえて、さらにそれをある意味で延長する。しかし、リーマン・ショック後の景気の落ち込みというよりは、もう少し敷衍して地域活性化という、より構造的な問題に踏み込んで、この機構を昨年改組したというふうに理解をしておるわけですが、この新しい機構が、支援決定、これから五年間だ、残り四年間だ、支援決定の期限がですね、そして決定されてから支援する期間というのはそこから五年間ということで、長くて平成三十五年までに役割を終えるようなたてつけになっております。
官民ファンドのあり方については、民業圧迫その他さまざまな議論がありますので、これを永続する機構としてやすやすとそれをどんどんつくればいいということではないと思うんですけれども、あるいは後ほど議論させていただきます他の官民ファンドとの役割分担ということも日ごろから精査していくべきだと思うんですが、地域活性化というのはかなり構造的なテーマでありまして、アベノミクス三本の矢という、短期的なというか、非常に短期間でデフレ脱却を実現されようとされている、この目的とはちょっと、フェーズといいますか、もう少し時間のかかる、腰を据えて取り組まなければいけない課題だというふうに思うものですから、今回こういう形で地域活性化機構の役割を拡充されるということであれば、この期間も延長されるという選択もあったのではないかなと。
あるいは、後ほどスタッフの拡充が出てきますけれども、残り四年間で役割を終えるという組織に専門的なスタッフをリクルートしてくるというのは、なかなか大変なんじゃないか。その方々のキャリアパスも考えますと、もう少しこれは腰を据えた事業として、今回の改正で期間延長ということを取り上げてもよかったんじゃないかな、そういうことも思うわけですけれども、大臣はこの機構の位置づけについて、どう整理をされていますかなと。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
○甘利国務大臣 多分同じ認識だと思いますけれども、機構が目指す目的は、本来は民間のいろいろな仕組みの中でそれがなされるのが一番いいんだと思います。ただ、現状では、なかなかそうなっていない。そこで、今回の改正では、現場にあるニーズを受けとめて改正するわけであります。
そういう中で、専門スタッフもそろっていますから、ベストプラクティスをつくる、あるいは、機構の運営の範囲内、期間の中で、それらを将来担ってもらうような民間の機関にノウハウを吸収してもらう、あるいは、専門家にアドバイスをしてもらう。そして、この機構がフェードアウトしていく中で、それを十分民間のそれぞれの機関が担えるように育ってもらいたいということでありまして、こういう、民間にできないことを機構がやっていきますけれども、未来永劫機構が中にあっては、民間のそういうシステムが育たないということだと思います。
そこで、あえて期限を切って、その間に、機構が持っているノウハウあるいは経験的知恵、ベストプラクティスを民間に吸収していただいて、早く本来の姿が育っていくということを期待して期限を切っているというふうに理解をいたしております。
○津村委員 以下、少し各論に入ってまいりますので、西村副大臣そして小泉政務官と議論させていただければというふうに思っております。
官民ファンドの役割といいますか位置づけについて、今大臣に整理をしていただいたわけであります。私も、ある種、橋渡し的な役割を官民ファンドに期待する一人でございますけれども、やはりこれから、本当の意味でこの機構が、今一年弱で十件、いろいろな相談件数は百件ということかもしれませんけれども、実際に支援決定に至ったものは十件前後という中で、やはりその使い勝手をよくしていくのが今回の改正の趣旨ということだと思います。
一つ、民間の側から見ると、いろいろな官民ファンドが乱立をしているという一面と、また、地域活性化という目的からしても、内閣府に地域活性化事務局というのが、また全然違う切り口であるわけで、この辺の役割分担といいますか、逆に言えば、連携がきちんとうまくいっているのかどうか、窓口はどこなのか、こういったことが非常に重要なのかな、これから支援件数をふやしていくためには、少し位置づけを整理する必要があるのかなというふうに思うわけですが、二点お伺いいたします。
今、中小企業再生支援協議会というものが既存の組織としてあるわけですけれども、こことの連携件数が、連携して機構が再生支援を決定した件数が一件というふうに私は仄聞しているんですが、ここの連携が実態としてどうなっているのかということが一点。
それから、もう一つお伺いしたいのが、内閣府の地域活性化事務局、こちらは予算をつけているところなわけですけれども、金融とは少し違いますが、しかし、地域活性化ということで、政府の取り組みと連携するべきだと思うんですけれども、この二つの連携状況について、西村副大臣に伺いたいと思います。
○西村副大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。
官民ファンドの役割は、今、甘利大臣からも御説明ありましたけれども、基本的に、我々は、ガイドラインで整理もいたしたんですけれども、基本はやはり民業補完、できるだけ民間の活力で地域の再生、地域の活性化がなされていくということは基本だと思いますけれども、そうはならない複雑な案件であったり地域をまたがるような案件であったり、これはこの機構がやっていこうということであります。
そんな中で、まさに御指摘の中小企業再生支援協議会との連携ですけれども、案件の複雑度合いによって、地域の再生支援協議会ではなかなか賄えない、今申し上げた地域をまたがる案件とか、債権者が非常に多岐にわたるとか、そうしたケースはこの機構のノウハウを活用してやっていこうということで連携は密にしておりまして、御指摘のとおり、機構が再生支援を決定した件数は一件ですけれども、計画策定支援を終えたのは三件ありますし、調整を行ったり、いわゆるデューデリを行った案件も五件ありますし、このあたりはよく連携をとりながら、さらに機構ができるところは、機構は御案内のとおり出資の機能があったり、あるいは医療法人や学校法人というちょっと範囲も広くなっておりますので、こうしたところの特性も生かしながら、支援協議会とはさらに連絡を密にとって、果たすべき役割をしっかり果たしていこうと思っております。
それからもう一点、地域活性化統合事務局との連携。まさに、この地域活性化統合事務局がワンストップの拠点として、省庁を超えて横断的にさまざまな地域活性化を進めるというために設置をいたしておりますので、ここを中心にさまざまな地域活性化のプロジェクト、案件を整理いたしておりますけれども、私どもも、こことは連携を密にとりながら、担当の大臣が集まる閣僚会議もありますし、私も、甘利大臣がお忙しいときに私が代理で出て、この機構の趣旨を説明し、活用を促したり、あるいは政策パッケージにおいてもこの機構法の改正を紹介いたしておりまして、こことの連携もさらに密にしていきたいと思っております。
御指摘を踏まえて、しっかり今後も対応していきたいと思います。
○津村委員 地域活性化統合事務局との連携についてはちょっと定性的なお答えで、少しイメージがつかみにくかったんですけれども、中小企業再生支援協議会との連携の方は数字をお答えいただきましてイメージが湧きやすかったんですが、残念ながら、三件とか、五件とか、規模感というか、非常に小さい感じがいたします。
甘利大臣は、これは昨年の議論だと思うんですけれども、事業再生を必要とする企業数はおよそ四万、五万件規模であるというお話をされている中で、今回、この地域経済活性化支援機構法の改正案、参議院でも随分議論があったようですけれども、まだまだその対象になっているところは少ないというのが随分議論になっているわけです。こうした中で、他の協議会との連携が一件、三件というのはちょっと寂しいなという気がするんですけれども、具体的にはどういう形でここを拡充していこうとされますか、西村さん。
○西村副大臣 今回の改正もそうですけれども、専門家を地域に派遣したりとか、実際の企業に派遣をしたりとか、新たな機能も、買い取りが新たに業務として加えられたりしておりますので、そうした機能強化もしっかりと各地域に説明をしていく。説明会もずっと行ってきておるんですけれども、そうした中で地域活性化統合事務局との連携もさらに図って、いろいろな機会で政策パッケージを紹介する機会がありますので連携を図って、必要なものについてはこの機構がしっかりやるということの方向性を出していきたいというふうに思います。
ただ、基本は地域の地銀が対応していく、あるいはそれで賄えないものは再生支援協議会でやる、さらに言うと、地銀がつくったファンドで行うという、いわば地域で積み上げていきながら、どうしても難しい案件について機構が出ていって対応するということだと思いますので、そうしたところも、その役割分担もしっかり説明をしながら、必要な案件はしっかりと機構が対応できるようにしていきたいというふうに思います。
○津村委員 今回の改正条項といいますか、改正される中身について少し入っていきたいと思います。
今回の改正案の柱というのは三つほどあろうかと思います。一つは、特定組合出資、いわゆるLP出資の追加、もう一つは、経営者保証の付された特定債権買い取りの追加、そして、専門家派遣の拡充というこの三つでございます。
一つ一つ見ていきたいと思いますが、LP出資、有限責任の出資の追加、このことが恐らく一つ大きな柱だと思うんですけれども、このことで支援件数あるいは経済効果はどのような規模感で拡充されていくと思いますか、どういう想定でいらっしゃいますか。これは西村副大臣に通告させていただいていると思います。
○西村副大臣 御案内のとおり、民間だけではなかなか資金が集まらないようなケースについて、いわば呼び水として機構が出資をするというパターンのLP出資でありますけれども、この業務を追加したわけであります。
御案内のとおり、これまでも一千万円とか数千万円のオーダーで、既に再生に関するファンドには出資をいたしておりますが、そのぐらいの規模のものをも想定しながら、予算の枠はありますので、御案内のとおり、政府保証を含めれば一兆円まで枠がありますので、そうしたことを活用しながら、ぜひ呼び水として地域に必要なファンドが設立できるように対応していきたいというふうに思います。
○津村委員 もう一つ、専門家派遣のことについても、これは西村副大臣に伺わせていただきたいと思っております。
先ほども申し上げましたように、やはりこの機構の期限というのがあと四年という短い期間になっていることもありますし、非常にこれは専門性の高い業務という中で、なかなか人材のリクルートが難しいんじゃないかと思うんですが、参議院の方でも議論があったようですけれども、少し抽象的なお答えで、これから、一つは予算をどのぐらいとっているのか、定員をどういうふうに、人数をどのぐらいの規模をイメージされているのか。
それが、これからの新しい機構のやる気といいますか、体制にかかわってくると思うんですけれども、何人ぐらい採用されようとしているのか、その予算というのはどう措置されているのかということを伺いたいと思います。
○西村副大臣 現在、機構には百九十三名がおりますけれども、このうち、専門家は百十七名おります。
実は、枠は、既に平成二十六年度の予算におきまして、三百二十三名までの枠を確保いたしておりますので、まだふやすことができるということであります。今後、公募などの形を通じて、専門家をしっかりと増員して対応できるようにしていきたいというふうに思います。
○津村委員 百九十数名から三百二十三名と。百三十名対応するのはかなり思い切っていると思うんですけれども、これはいつまでですか、年度内ということですか。そして、採用の方法としては公募でということでよろしいですか。
○西村副大臣 御案内のとおり、基本的には、各事業年度ごとに主務大臣の予算の認可を受けますので、二十六年度予算においては三百二十三名という枠を確保いたしておりますので、その中で増員ができるということであります。
基本的には、公募の形を通じた採用を主として考えていきたいと思いますけれども、御懸念もあると思いますが、民間の給与水準に比べては若干低いことになりますので、ばりばり活躍している人がここに来れば若干減るということにもなりかねませんので、適切な採用条件をしっかり見定めていきたいと思います。
さらに、あくまでも民間補完という形で、公的な役割を果たす、そういう意識を持った方を採用しなきゃいけませんので、急な公募で、いい人を集めたいと思っておりますけれども、さまざまなルートを通じて確保していきたいというふうに考えております。
○津村委員 小泉政務官に一点、地方への広がりの話を聞かせていただきたいと思います。
地域活性化ということを言っているわけであります。そういうわけですから、リーマン・ショック後の立ち直りという、前身である企業再生支援機構とは、冒頭申し上げたように、役割が少し変わってくるわけで、より地域に目を向けたそういう体制づくりを、とりわけ、これから百三十人もふやすということであれば、よくよくお考えいただくべきだと思うんですけれども、実際にこれまでの支援決定の中身を見ると、福岡であるとか、和歌山であるとか、北海道であるとか、随分、まさに地域に根差した活動をされているわけであります。
そうした中で、今、オフィスは、東京から、ようやく大阪に一つオフィスをふやしたということでありますけれども、少し体制として弱いのかな、もう少し地域に目配りする方法があるのかなという気がするんですが、事前にいただいた御説明ですと、専用の相談窓口をつくるとか、地域金融機関からの出向者を受け入れるとか、そういったことは伺っているんですが、ちょっと受け身な感じがいたします。もう少し積極果敢に地域に出ていっていただきたいんですけれども、どういった工夫をお考えですか。
○小泉大臣政務官 津村先生御指摘のように、大阪にオフィスも最近オープンをされました。ただ、おっしゃるとおり、日本全国で三百万を超える中小企業がある中で、どこまできめ細かい支援をできるのかということについては、不断の努力が必要だと思います。
そういった観点から、先ほど西村副大臣の方からも御指摘がありましたが、今、年間約七百回、金融機関に対して機構の職員がヒアリングの訪問もしております。そして、各地の説明会では約八十回、機構業務の紹介などもしております。
オフィスを日本全国それぞれに構えるというわけにもいきません。大臣がおっしゃったとおり、やはり基本は、民間の活力を生かしていこうというのが基本的な考え方ですから、そういった中で、今のところ東京と大阪、そしてさまざまな機構職員の努力によって、できる限り件数もふやして、中小企業、地域経済の活性化につなげていきたいと思っております。
○津村委員 例えば地方自治体との連携なんかも一つの工夫だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○小泉大臣政務官 おっしゃるとおり、地域の自治体との連携、また、自治体の中でも、地元の企業に対する支援や相談などをきめ細かく把握している部局もありますから、そういった部局との情報共有など大変重要な観点だと思います。
そういったことも含めて、体制を強化して、今回抜本的に強化するわけですから、その機会を通じて、さらに地域の経済のあり方というものを前向きに、そして力強く再生することにつなげていきたいと思っております。
○津村委員 最後に一点だけ、甘利大臣、御質問させてください。通告の最後、多分三問あると思うんですけれども、それを一つにまとめます。ちょっと御説明をしますので、ごらんいただいてください。
地域活性化支援機構の出口の話を一つ伺いたいと私は思うんです。
支援終了後、これが本当に地域の活性化あるいは地域の雇用の確保につながったのかどうか、あるいはつながっていこうとしているのかどうかということを、やはり、支援の基準といいますか、きちんと加えていかなきゃいけないというふうに思うんですね。債権や株式の譲渡というのを、最後、どういうふうにイメージされているのかということを伺いたいと思います。
本当の意味で地域の活性化を進めていくのであれば、再生が終了した企業を民間に譲渡する際に、単に金額が幾らで売れるのかということではなくて、実際にどういう企業群が形成をされて、どういう雇用につながっていったのかということを、最後、支援を終了する際の一つの判断基準としてあらかじめビルトインしておくべきだというのが、私の主張といいますか、御提案でございます。
もし、甘利大臣、あれでしたら、西村副大臣でもほかの方でもいいんですけれども。よろしいですか。
○甘利国務大臣 未来永劫抱えているわけではないですから、譲渡するわけであります。その譲渡先がとんでもないところだったら再建の意味がないということ、それは御指摘のとおりであります。
そこで、ただ、では価格が高く買ってくれるところだけでいったら、あるいはとんでもないところに行っちゃうかもしれない。譲渡したことが本来の再生企業の将来に資するような、言ってみれば再建主になるわけでありますから、そういう点では、価格だけで判断するのではなくて、支援対象事業者が有する経営資源について譲渡候補先がどういうふうに活用していく方針なのかとか、あるいは雇用の維持、それから処遇に係るどういう方針を持っているかとか、事業シナジーがどう上がるかとか、そういうふうなことを評価の上に譲渡先を選定するということであります。今の話は株式譲渡に関してであります。
一方で、債権については、支援対象事業者からの全額の弁済を受けて処分完了となる場合がほとんどでありまして、支援当初から、弁済の確実性を重視しているということであります。
○津村委員 ありがとうございます。
質問はこれで終わらせていただきますけれども、最後に申し上げた点、これからできる工夫もたくさんあるんだと思います。
やはり、適正価格より高く買ってそれを切り売りしてというようなことをされたのでは、本来の意味での地域活性化にはつながっていかないわけでありますから、手を挙げている企業が過去どういう実績のある企業であるかとか、あるいは、その後、地域に貢献する形での経営をどう考えているのか、そういったところをきちんと精査して、本来の機構の役割に沿った出口を模索していただきたいと思っております。
以上で終わります。
〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
○柴山委員長 次に、玉木雄一郎君。
○玉木委員 民主党の玉木雄一郎です。
TPPについて、甘利大臣に質問させていただきます。
きのう、おとといと本当に遅くまで交渉に当たられ、そして、けさも朝早くから会見をされておられまして、本当にお疲れのことだと思いますけれども、質問を幾つかさせていただきたいと思います。
まず、先ほど発表されました日米共同声明について確認させていただきたいと思います。
このような表現が使われておりました。二国間の重要な課題について前進する道筋を特定したという言葉であります。英語で言うと、アイデンティファイド ア パス フォワード オン インポータント バイラテラル イシューズ、こういう言葉であります。一見聞くと、前進する道筋を特定したというのは極めてわかりにくいことでありますけれども、逆にこれが今回の厳しい交渉をある意味示唆しているのかなというふうに思っております。
この間、交渉に当たられた甘利大臣に、この意味するところ、前進する道筋を特定したということについて、どう解釈していいのか、交渉に当たられた甘利大臣から直接御説明をいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 現場で直接交渉に当たった私の感覚といたしましては、具体的に個々の項目がセットが終わった、交渉が完結したということではありませんけれども、個別にも全体にも間合いがかなり狭まってきてだんだん方向性が見えてきたということを表現すると、そういう表現になるのかなというふうに思っています。
○玉木委員 ということは、前にかなり進んだという理解でしょうか。
前回、シンガポールの閣僚会合、プログレスという言葉が使われたり、ランディングゾーン、着地点を見出したとか、いろいろな少し前向きな言葉が使われたとは思うんですが、今回はかなり苦労してつくられた言葉なのかなと思っておりまして、その意味では、甘利大臣は本当に厳しい交渉に臨まれた、そういったこともかいま見ることができる表現だというふうに思います。
改めてお伺いしたいのは、大変厳しい交渉だったと思うんですが、何がこの困難さの根本的な原因になっているのか、このことについて大臣からちょっと御説明いただきたいと思います。
○甘利国務大臣 TPPが掲げる原理原則を掲げていきますと、やはり日本にとってはセンシティビティーの主張がどれくらい通るかという厳しいことになるわけであります。ですから、基本的に自由化に向かっての度合いをできるだけ高くしたいという相手側と、もちろん、その趣旨はよくわかっているんだけれども、当然限度がありますよ、限界を超えて一〇〇%ということであるならば、もともと我々は入っていませんよというところなんですね。
要は、日本が参加を決めたときに、日米首脳会談がありました、前にもお話ししましたけれども、そこで、最終的に関税自由化ができないことをどう捉えるかということだと思うんです。それは交渉の結果として残ってくるものであって、最初から、はい、これはもうしない方に入れてねということでの交渉では全くない。ないけれども、限りなく高い野心を求めていくんだ、そして、何が残るかについては、交渉の結果として入れるものであって、最初から入れるものではない、まさにそこだと思うんです。
でありますから、我々は、衆参農水委員会との整合性を図るために、極力、誰が見ても整合性がとれていますねという方向に向かいたいですし、相手の方は、ホノルル合意の目標に向かってできるだけ進みたい。それがぶつかっているから、非常に難しい。しかも、最初、スタートは、間合いが広い中からやりますから割と進むのですが、収れんするにしたがってだんだんコア部分になってくるから大変ということであります。
○玉木委員 今まさに甘利大臣から御説明をいただきましたけれども、お手元に配っている資料の一をちょっとごらんいただきたいんですけれども、これは、昨年二月二十二日の日米共同声明であります。
私は、前もこれを指摘させていただいたんですけれども、今、この文章の第一パラグラフと第二パラグラフの、厳しいぶつかり合いというふうに翻訳してもいいかなと思っているんですが、大臣がおっしゃったのは、この第一パラグラフで、二〇一一年の十一月、まさにホノルル合意、ここで規定されているTPPのアウトラインについて両国が基本的に合意したと。
このアウトラインというのは、実は、おっしゃったとおり、ハイスタンダードで野心的で包括的で、ハイスタンダードでアンビシャスでコンプリヘンシブだということが高らかにうたわれているわけですね。
実は、ここの文章、右側に書いていますけれども、では、包括的、コンプリヘンシブというのは一体何だということを、定義のようなことが実は書いてありまして、ここを見ると、コンプリヘンシブ・マーケット・アクセスというのは、ツー・エリミネート・タリフスと書いてありまして、包括的だというのは関税の撤廃ということが原則的に書かれてあるわけですね。
ですから、アメリカからすれば、ここの原則に両国は合意したんだから、まずはほぼゼロに近づけていくのが原則だし、これに合意したんだから日本も入ってきたんだろうと。特に議会との関係ではそういうことを当然言わなきゃいけないアメリカ政府の立場があるということが一だと思います。
それに対して、我が国は、青括弧の中のパラグラフ二でありますけれども、センシティビティーがあることは認識したと。まあ、センシティビティーがあることを認識することとセンシティビティーに対して特別扱いをすることは別なので、あることは認めると。その上で、まさに大臣がおっしゃりました、「最終的な結果は交渉の中で決まっていく」、ただ、「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」、こういう文章でありました。このパラグラフ二をとって、総理は、あるいはこれまでも、聖域なき関税撤廃が前提でないと確認できたので交渉に入りましたという説明でありました。
ただ、この第二パラグラフを見ていただくとわかるように、「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」と。日本語としては極めて聞き取りにくい表現ですけれども、これは、逆に言うと、全ての者が合意して事後的に約束した場合には全ての関税撤廃もあり得る文章の中身になっています。
いずれにせよ、最終的な結果は交渉の中で決まっていくんですよということですので、もちろん、事前に、そして事後的にも、何か特別枠がこの二月二十二日の文章で認められているわけではないと私は思っています。
ただ、衆参の農水委員会の決議あるいは自民党、御党の決議、いろいろなものを甘利大臣は踏まえて、最大限これを実現しようと頑張っておられて、それが、最後、間合いが詰まってきて、ぎりぎり限られたところになると、まさにここで、アメリカ、あるいは日本も含めて、合意したこの原則と、ある意味、センシティビティーについてどこまでとれるのかということの激しいぶつかり合いを、まさに甘利大臣は、ここ数日、最前線でやられたということだと思います。
大筋合意には、これは残念ながらと言うべきなのか、幸運にもと言うべきなのかわかりませんけれども、至らなかった。それが、先ほどの、冒頭私が紹介しましたけれども、共同声明の中のあのわかりにくい、前進する道筋を特定したという言葉に帰着するんだと思います。
ここで質問です。まさに今後の道筋です。
五月、来月も閣僚会合があるとは思いますけれども、日米の首脳が集まって至った着地点がこの範囲です。これから幾ら議論しても、なかなかこの先がないような気がするんですけれども、他方で、安倍総理そしてバラク・オバマ大統領は、両閣僚に対してTPP交渉全体を早期に妥結させるよう指示を出しました。もう解決できないような宿題を上司からもらって一生懸命頑張らなきゃいけない、そういう立場に甘利大臣もフロマン代表もいるのかもしれません。
これから本当にTPPは、漂流することなく両国が納得できる妥結点に至ることが、果たして、時間をかけたからといって可能になるんでしょうか。大臣の見通しをお聞かせください。
○甘利国務大臣 交渉の終わるたびにコメントを発表しています。その中で、シンガポールが終わったとき、それから東京の日米交渉が終わったとき、ワシントンで日米が終わったとき、そして今回と出しております。
その中での進展は以前よりもあったというふうに思っています。これはかなり重要なことで、間合いが狭まれば狭まるほどスピードが遅くなるわけでありますけれども、しかし、その中で、今度、こういう手法、切り口でやっていこうということで方向性が見えてくるということは、それから先の作業はきちんと進んでいくという道筋も見えつつあるんだと思います。非常にわかりにくい表現なんですけれども。
というのは、こちらはこちらで、譲れないものがどんどん残ってくるわけであります。向こうは向こうで、日本の要求を丸のみすれば議会に売れない、つまり、向こうが通らないということになります。
そういう中で、いろいろシミュレーションをしながら、こういう方法はないか、ああいう方法はないかということを知恵を出しつつ、今までは全く、一本の道しか到達する道がなかったのが、こっちのアプローチがありこっちのアプローチがあるというふうにいろいろなことが見えてくるんだと思います。
そういう点で、絶望的な到達目標が、可能性が高くなってきている、絶望的ではなくなってきているというふうに私は理解をいたしております。
それで、では、次の閣僚会議までにと、私は、そういうセットの仕方は絶対失敗するということをシンガポールでも言い続けました。それは共有されたと思っているんですけれども、その場で、次はこういう方法でやりましょうと言われましたから。
それは何かというと、今まで、アメリカ主導で会議が設定されるとまず大臣会合ありきなんです。その間、事務折衝がそれに向けて普通は進むんです。しかしながら、大臣会合が設定されたら、そこで権限がある者が集まるから、その間、より権限のない者はスピード感が落ちてしまうんですね。もう難しいから大臣会合で決めてもらうしかないと。つまり、切迫感が事務折衝に出てこないんだと思います。
だから、事務折衝で間合いが詰まっていかなければ、あるいは、事務折衝プラス二国間の大臣会合で狭まっていかなければ全体会議は開くべきではないということを、強い主張をしたんです。全体会議を最初にセットしちゃうと、その間の事務折衝が余り意味がないものになっちゃう。つまり、権限がない者同士が集まっているんだから、この難しいやつは大臣会合でやってもらいましょうよみたいな話になっていくんだと思います。それが、会議を開けど開けど、間合いがこんなになってしまう。
それはそうです。大臣会合で、課長なんかが詰めることまで全部出されたらとてもやっていられないわけですから、こんなものは権限を託してやらせればいいじゃないか、これがこうなってきたときにどうするかを我々が判断するんじゃないのという話をしたんです。ですから、そういう持ち方に、以前よりはなるはずです。
ということは、これから我々がアメリカ以外との交渉も詰めていきます。アメリカ以外との交渉では、もっとハードルが低い国がたくさんありますから、そこが詰まっていく。そうすると、日米交渉も、現実的にどう落ちつかせるか。ここだけが、最後がまとまらないために全部を漂流させるわけにはいかないとか、いろいろな環境整備が出てくるんだと思うんですね。
日米交渉が一番難しいですよ。一番難しい日米交渉の間合いが以前よりは確実に狭まっているということは、他国との交渉が妥結していく可能性は高くなってきたんじゃないかというふうに思います。そして、そういう環境が整えば、一番難しい二国間交渉はさらに進むんじゃないかというふうに担当大臣としては期待しております。
○玉木委員 今大臣は二つの重要なことをおっしゃったと思っています。
一つは権限の話です。
確かに、権限がない者は、大臣同士でやるんだったら、下はもう動かなくなりますよね。そこで決めるのを待ちますから、一切事務的なものは進まなくなる。私も、この間、シンガポールの会合やいろいろなことを見てまいりましたけれども、やはり、アメリカとしても、トップで決めたらあとは何とかなるというような交渉のスタイルだったと思いますが、そこがなかなか機能しなかったということがよくわかった、この間の一連の会合だったのかなと思いますね。
では、なぜ権限がない者がやったらうまくいかないかというと、やはり、譲る権限がない者が幾ら下でやっても、何でそんなことを譲ってきたんだ、あるいは何でもっと言わないんだというふうに言われますから、その意味では、交渉を本当にやれる権限のある者というのは、押し込む権限もあれば譲る権限もないと、これは交渉にならないわけでありまして、ここも一つ問題点を改めて指摘をしたいのは、やはりTPAの問題であります。
アメリカの行政府自体が、議会との関係で、TPAなく交渉しているということが、まあ、フロマンさんは非常に怖い顔をされていますけれども、逆に言うと、甘利大臣と違って、巧みに譲歩しながら交渉を妥結させていくという、その譲歩の権限、あるいは複数のカードそのものを持ち合わせていない。つまり、百点満点の答案しか持って帰れない。つまり、八十点、九十点の答案を持って帰っても、親である議会から怒られて、もう一回やり直してきなさい、百点がとれるまで帰ってくるなというようなことを言われるので、百点しかとれないということでテーブルに座れば、これは交渉にならないわけであります。
やはり、その意味でも、アメリカの議会側のTPA法案の成立の見込みであるとか、あるいはオバマ政権のこのTPAの取得の状況などもよく見定めながらやっていかないと、私は、甘利大臣と違って、交渉の相手として、本当に同じ権限を持ってやっているのかということについても、この間見ていて疑義があるので、やはりTPAの動向についてはよくよく注視をしながら交渉を進めていくことが必要なのかなということを思いました。
もう一つは、他国との関係ですね。
次の質問に移りたいと思うんですが、オーストラリアとの間で日豪EPAを結んで、これがある種のてこというか、一つのスタンダードになって、もう全面的に関税をゼロにするという、まあ、ここはさすがにあり得ない選択ではなくて、合理的なスタンダードの自由貿易を促進する枠組みということが一つつくれれば、それを持ち込んで、TPPにもそのルールをマルチに適用していこうというのが、一つ戦略だったと思いますけれども。
今、新聞、これは誤報だというふうに政府も言っていますけれども、聞くところによると、二〇%台あるいは二〇%前後、あるいは例えばもっと下がって一けた台、あるいは一〇・五%という具体的な数字も出ておりますけれども、そういった、オーストラリアと妥結した以上の水準で、さらにアメリカとは譲歩するというようなことが出てきているというふうに聞いています。
それだと、オーストラリアからすれば、では、アメリカとそういうのを結べるんだったら、今度は自分たちも下げてよということになってくると思います。実際、オーストラリアとの協定の中では、他国とさらに有利な協定が結ばれた際には再協議ができるといったような中身も、この前の日豪EPAの中にはあるやに認識しております。
そういうことであれば、二国間と絡ませていくことも一つ期待されたんだと思います、オーストラリアとまず握れば、それをそのままTPPに持ち込めると。ただ、それを超えて要求がアメリカから来ているということだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
オーストラリア、日豪EPAのレベルを超えた、これはあえて牛肉に絞りましょう。牛肉に関して、日豪EPAを超える要求がアメリカから来ているのかどうなのか、そして、やはり日豪を超える水準でしか妥結することは難しいなという印象を今お持ちなのか、この間の交渉を振り返って、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 新聞やテレビの報道が個々ばらばらということは、それだけ中身について、日米の主張の隔たりがあるのを察知して、個々の、自分の観測記事で出しているんだというふうに思います。何の項目について決着をしたということはないわけですから、これは、マスコミが御自身の想像で書かれるのは、それはもうとめようがないところであります。
それで、日豪のEPA、これはTPP交渉の加速材料になったか減速材料になったかという二者択一でいえば、それは当然、加速材料になっていると思います、推測します。
なぜならば、アメリカの、具体的に言えば牛肉と、オーストラリアの牛肉は、ある種、全てではないでしょうけれども競合関係にあるわけですから、オーストラリアは少なくとも、発効次第、それ以外の現状が変わらなかったらアドバンテージを持つわけでありますから、そういう、何とかしなきゃという気持ちにはなったんだろうと推測をいたします。
TPPがどこの水準で決着するかというのは、向こうはホノルル合意ということをあらゆる場面で掲げているわけであります。物の関税はホノルル合意に向かっていくんだということであれば、我々からすればひっくり返るような話になってしまう。一方で、我々は、営農が継続できる、その道を求めていくんだから、TPPは締結をしました、日本の農業は全滅です、こんな選択はとれませんよということでやっているわけであります。
TPPと日豪の関係でいえば、最終的にTPP合意にオーストラリアが入れば、TPPと日豪と、事業者が有利な方を選択できるということになります。ですから、そのときに最終結果として、自分たちが利用したい分野で、日豪をとった方が有利だったか、TPPをとった方が有利だったか、これは事業者の選択によると思います。
最終的に、この時点で予断を持って申し上げることはできませんけれども、物品の市場アクセスについては、日本以外のほとんどの国は、とにかくホノルル合意というのをいつも掲げています。我々は、センシティビティーをちゃんと認めつつこの交渉はすべきだという視点に沿って主張しているというところであります。
○玉木委員 資料の二をちょっと見ていただきたいんですが、これも、昨日の日米首脳共同記者会見のオバマ大統領の日本語訳です。ちょっと私はまだ英文を見ていないので、日本語だけにしていますけれども、こういうことをオバマ大統領がおっしゃっておられます。
私から言いたいのは、日本経済において農産物、自動車といった分野の市場の開放度が制限されている、こういった問題は皆よくわかっている問題だ、解決されないといけない、安倍総理は勇気を持って認めてくださいましたということをおっしゃっているんですが、私は、日本の農産物の市場あるいは自動車の市場が、他者から批判されるほど閉鎖的であるとは思わないんですけれども、勇気を持ってこういったことを総理が認めたのか。
これは、ちょっと何を認めたのかは必ずしも明確じゃないんですけれども、今の牛肉に関して言いますと、日豪と一定の協定を結びましたけれども、こういうことを言われているとすれば、やはりオーストラリア以上のものを求められざるを得ないのかなと。そのことをまた、総理がこういうことをおっしゃっている以上、我が国としても一定程度認めざるを得ないのではないのかなという気がするんですね。
牛肉については、一点、最後に質問して終わりたいと思うんですが、仮に、日豪EPAのレベルを超える譲歩あるいは関税の引き下げが行われた場合には、TPPの国会決議には違反すると私は思いますけれども、大臣もそういう認識でよろしいでしょうか。
○甘利国務大臣 最終的に個別項目が、どういう関税率にするか、あるいは関税の撤廃とか削減に至るのかは、予断を持ってお話しすることはできませんけれども、政府としては、取りまとめた結果が最終的に衆参の農水委員会の決議に抵触するのかしないのか、私は百点満点か合格点ぎりぎりかという表現をしましたけれども、その心は、最終的には議会で判断していただく。我々が、これこれこういう前提のもとにこれは合格点を一点上回っていますからというようなことは、なかなか判定しづらいと思うんです。最終的には、議会がどう受け取るか。
これは、アメリカはそういうきっちりとした決議はありませんけれども、やはり議会が承諾し得る範囲かどうか。それをぎりぎりでも超えなければという努力をしておりますし、私どもの方も、向こうの要望をそっくり受けたのではとても、それはもう明確に決議に抵触してしまう。そういう中で、どこまで頑張れたら決議に抵触しているというふうに捉えられないか、明確な基準はありませんけれども、できるだけ決議違反だと言われることがないよう、ぎりぎり交渉しているというところであります。
繰り返し申し上げますけれども、最終判断は議会の方でしていただくということになろうかと思います。
○玉木委員 最近そういう答弁を、林農水大臣もされるし、総理もそういった趣旨のことをこの前農水委員会で答えられたように記憶していますけれども、やはりそこは大臣、この前の内閣委員会でのやりとりでは、日豪EPAのレベルだったらぎりぎりTPPの国会決議には反しないというような、大臣の個人的な意見は表明いただきましたけれども、それをさらに踏み込んで譲歩するようなことは、私はどう考えてもTPPの国会決議に違反すると思いますね。自民党の中からもそういう、最後の譲れないラインだという話も出ておりますので、そこはぜひ、アメリカから何と言われようと、やはり守っていただきたいなというふうに思います。
それで、次に豚の話をしたいんですけれども、資料の三を見ていただけますか。
牛肉の関税、豚肉の関税、両方ともいわゆるセンシティブ品目として重要五項目に入っておりますけれども、大事なことは、有効な国境措置として機能する範囲にこの関税が、引き下げが抑えられるかどうかということだと思うんですね。
この豚肉については、実は、差額関税制度といって極めて摩訶不思議な関税制度になっていて、これはにわかに理解することが難しいので、ちょっと絵を描いてきましたけれども、分岐点価格というのが下にあります。これは枝肉と部分肉を分けて書いていますが、簡単に言うと、低い価格帯の肉には、差額関税といって、低くなればなるほどどんと高い関税が乗って、国内に流通する豚の値段が輸出国の値段のいかんにかかわらず、この基準輸入価格ぐらいに張りつくような制度になっています。
つまり、どんなに安くても、日本国内の流通は高い値段、まあ一定の値段。ある基準を超えると、そこからは四・三%の率でかかる従価税がかかっていって、関税がかかるということなんですけれども、まず、ファクトをちょっと伺いたいんですが、農林水産省に聞きます。
これは、そもそも、今アメリカから輸入されている豚肉の平均価格、日本円に直したもの、つまり、この下側の輸入価格が一体どの辺にあって、どれぐらいの税金がかかっている、つまり関税がかかっているのか、この事実を教えてください。
○原田政府参考人 お答えします。
最新のデータで申し上げますと、平成二十六年二月におけます米国からの豚肉の輸入価格、CIF価格でございますが、一キログラム当たり五百三十二円でございます。
○玉木委員 これは、見ていただくとわかるんですけれども、低い価格の豚が日本に入ってくるのを差額関税で守りましょうという制度なんですけれども、今聞いたら、アメリカから入ってくる肉の平均が五百三十二円ですから、部分肉価格の話だと思いますが、この分岐点価格の五百二十四円から八円だけ右に行って、この四・三の薄い率がかかっているんですよ、平均で。
これは実は、差額関税を維持しましょうとか今議論されていますけれども、この左側の差額関税のところは国境措置としてほとんど機能していないのが今の現状だと思いますよ。
私は何を申し上げたいかというと、従価税のところを下げようとかいろいろなことの議論はされていると思うんですけれども、この差額関税の制度自体が、安い肉とコンビネーションということが行われていまして、例えばキロ三百円の肉とキロ八百円の肉、例えばキロ三百円の肉だとこの高い差額関税がかかるんですね、でも、キロ八百円の肉と組み合わせて、平均して分岐点価格より上になるように組み合わせを工夫すれば、この差額関税は幾らでも抜け道として抜けることができるわけです。
国境措置としてそもそも機能していない、こういう運用をそもそもやっていいのかということは、農林水産省も、そして財務省の関税局もよく考えなきゃいけないという問題が一つあります。そのことをせずして、幾ら差額関税をどうしましょうと議論したって、もともと今現在もすかすかの空振りになっている税の可能性がありますから、まずこういったことをしっかり議論することが大事だと思います。
もう一つは、ポイントはこの右の従価税のところであります、この四・三%。
皆さん、さっき牛で三〇台後半のものを二〇台とか、さらに一桁という話をしていますけれども、豚に関して、アメリカから入ってくる肉にかかっているのは事実上四・三なんですよ。極めて低いところが出発点で、ここからどうしましょうかという議論なんです。
大臣、これは、四・三%、オーストラリアとの間は二・二、約半分にするということも決まったと思いますが、この四・三%を二・二にしてしまったら、ほとんどゼロ関税に近いんじゃないですか。
これは、交渉の中でひょっとしたらやっておられると思いますが、やはりこの制度自体の見直しをしっかりやっていくことが、例えば、差額関税制度は撤廃します、アメリカの要求どおり撤廃します、そのかわり、一〇%とか一五%、牛並みの関税をきちんと入れていくといった方が、よっぽど私は国境措置として機能すると思うんですね。
ですから、交渉の中で、単に現行制度を前提に率をいじるとか額をいじるということではなくて、せっかくなので、こういう制度はアメリカがもし要求するなら撤廃した上で、効果的な、有効な関税にむしろ変えていくということを交渉の中でぜひ進めていっていただきたいというふうに、これは強く要望しておきたいと思っております。
次に、今、大臣とこの間ずっとやりとりをさせていただきましたけれども、なかなかお答えいただけないですね。もちろん、交渉の中身にかかわることだということです。ただ、事ここに至って、これは本当に、農家の方だけではなくて、国民全体も、TPP交渉は一体何が議論されて、自分たちの生活や暮らしや仕事にどういう影響があるのかということについて、やはりもっと知りたいと思っているんですね。
もちろん、外交交渉であることは認めますけれども、秘密の保持も大事なんですが、必要な情報については、もう少し透明性を高めて、国会、国会議員、あるいは我々を選んでいただいている国民に対して、必要な情報の開示は私はすべきときに来ているんだと思っています。
ですから、実は、きょう、民主党を中心に、野党の皆さんの御理解も得て、資料の四に少しまとめておりますけれども、TPPの情報開示を促す法案というものを提出させていただいております。これは政府からぜひ出していただきたい。
ただ、外交交渉であるということは我々もよくわかりますので、国会議員には一定の守秘義務を何らかの枠組みで課しながら、そして政府と必要な情報を共有しながら、しっかりとした、国益にかなった交渉がきちっとまとまっていくような、そういう枠組みをぜひつくりたいというふうに思っておりますので、こういった点についても、ぜひ大臣にも御理解いただき、また、そういったことをある種、交渉の武器として、我々立法府側の声も武器として、国民の声も武器として、強い交渉をぜひ進めていっていただきたいなというふうに思っております。
甘利大臣には、以上、TPPについてお伺いをいたしました。
最後に一点だけ、知的財産のことについて伺いたいと思います。
知的財産も、TPPの交渉の中では重要な要素の一つだと思いますけれども、これから、デジタルコンテンツも含めて、アジアにいろいろな曲や、あるいはそういった映像の文化を広げていくと思うんですけれども、この著作権の保護がどう行われているのか。
端的にお答えいただきたいんですが、例えば作曲をして、歌をつくったときに、その著作権料は本人に対して適正に分配されているのか。そのことに対して、JASRACが今、その分配に重要な役割を果たしていると思っているんですけれども、この分配の仕組み、そしてそれが公平に行われているのかどうか、この点について最後、お伺いしたいと思います。
○柴山委員長 文化庁作花長官官房審議官、質疑時間終了ですので、端的にお答えください。
○作花政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、音楽の著作物の利用料徴収につきましては、多くはJASRAC、日本音楽著作権協会が徴収、分配の業務を日本では担っております。
この徴収の仕方につきましては、使用料規程に基づきまして、使用料を徴収し、利用区分ごとに集められた楽曲の利用報告に基づき分配しているところでございます。
この分配方法につきましては、放送の大部分、あるいはカラオケなどにおいては、実際に利用された曲目の全ての報告に基づいて行っておりますけれども、ライブハウス等の社交場につきましては、実際に利用された曲目全てを報告するということは、利用者側にとっても大きな負担となるため、全体の利用状況を推定するため、統計学に基づいて、無作為に調査対象店舗を選び出して、直接訪問するなどして、任意の一日に演奏された全ての利用曲目を収集し、いわゆるサンプル調査に基づいて行われている実態がございます。
以上でございます。
○柴山委員長 以上で質疑時間を終了いたしました。
○玉木委員 ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、松田学君。
○松田委員 日本維新の会、松田学でございます。
私も、役人時代に国際交渉の裏方をやったことがございますが、徹夜をしたことがございますけれども、大臣におかれては、本当にお疲れさまのところ恐縮ですが、私の質問は、大臣もお得意の経済談義から始めますので、どうぞリラックスをして御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。
消費税が八%に上がって、いろいろな経済指標もそろそろ出始めると思いますけれども、これまでの推移から見て、消費増税で景気が腰折れするという、多くの方が心配していた事態は私はそんなに心配はないんじゃないかという感じがしています。
心配なのは、むしろ、アベノミクスそのものの効果の持続可能性といいますか、これはよく私もいろいろなところで言っていますけれども、日本銀行にお金を積み、政府予算にお金を積んだだけであって、日本にはもともと対外純資産三百兆円、世界で一番対外純資産の多い国ですから、お金は十分あるので、きょうのこの法案にも関連すると思いますが、お金が回らないのが日本経済の問題で、何でお金が回らないのかというこの根源のところにまだアベノミクスは手を突っ込んでいないのじゃないかなというふうに思っています。
よく日銀のブタ積みという言葉もございますけれども、日銀にどれだけお金を積んだところで、それが金融機関の、今回オバマ大統領はアジア太平洋のリバランスを印象づける尖閣のことを言及して成功したんじゃないかと思いますが、ポートフォリオリバランスの方もちゃんと成功していかないと、なかなかお金が回らないのじゃないかというふうに思っています。
これからの課題は、やはり国民一人一人までどうやってお金が回っていくか、給料が上がっていくかどうか。
先般、私も行きましたが、観桜会で安倍総理は、「給料の上がりし春は八重桜」という俳句をお詠みになりまして、そこに来られた方々はどちらかというと社会的成功者の方ですので所得は上がっているかもしれませんし、役人はようやく少し上がりますし、国会議員も波乱がなければ少し戻っていくという状況なんですけれども、一般庶民の方々にとって、給料が上がったといってもやはり一部ですし、仮に上がったとしても、これが持続的に上がっていくという見通しがないと、経済学では恒常所得仮説というのがありますけれども、それが見通せないと、なかなかお金が消費に回っていくかどうかわからないというふうに思います。
ちょうど日銀の異次元金融緩和が行われて一年たったところで、大臣に、現時点で、賃金のことも含めまして、実体経済に例えば金融政策がどういうような影響を与えてきたのか、先ほどのポートフォリオリバランスなんかもありますけれども、今の評価をお聞かせいただければと思います。
〔委員長退席、関委員長代理着席〕
○甘利国務大臣 三本の矢の一本目の金融政策について、その後でありますけれども、黒田総裁のもとで、日本銀行において大胆な、いわゆる異次元な金融緩和が推進されつつあるわけでありますが、これがどう影響しているかと申し上げますと、マイナスで推移をしていた消費者物価、コアでありますが、前年比で一%を上回る上昇となっているわけであります。デフレ脱却に向けて着実な成果が上がっているのではないかというふうに認識をいたしております。
それから、肝心な金融機関、つまり、金融緩和が実体経済上、市中金融機関による貸し出しの伸びにどう結びついているかということであります。中小企業も含めて、金融機関の貸し出しの伸び率が高まるなど、リスクテークに向けた動きも見られるところであります。具体的に申し上げますと、これは貸出平均残高、前年比でありますけれども、二〇一二年十二月が一・四%でありましたけれども、一四年の三月には二・三%というふうに伸びております。
実体経済について言いますと、もう釈迦に説法でございますけれども、五四半期連続GDPプラス、有効求人倍率は本年二月に一・〇五、それから賃金については過去十年間で最高の賃上げの動き等々、堅調に推移をしていると思います。
成長戦略で言いますと、よく総理が引用されます幾つかは、米の生産調整の話とか電力の自由化の話等々の改革であります。法案も臨時国会で九本、そして今国会において三十本、成長戦略関連の法案を提出いたしております。
内閣発足後一年強になりますけれども、比較的順調に展開をしているものと承知いたしております。
○松田委員 インフレ目標二%というのが黒田緩和の目標でございますが、安倍総理は、デフレは貨幣的現象というふうに以前おっしゃって、私、どうも安倍総理御自身、経済学について二つ間違っているんじゃないかと思うのは、貨幣的現象というのは、結果論がそうであって、これは因果関係を言っているものではないと。
お手元の、きょうお配りの資料、これは、この法案の去年の審議のときにも同じようなものを配らせていただいたんですが、これを見ていただきますと、マネタリーベースとマネーストック。
マネタリーベースというのは、中央銀行が膨らますことができるお金でございまして、いわゆるバランスシートの規模でございますが、これは国債を買えば膨らむわけですけれども、実際の市中のいわゆるマネーサプライと言われているマネーストックというのは、米国でもユーロ圏でも、マネタリーベースを拡大したほどにはなかなかふえない。一番左が日本ですけれども、三倍ぐらいふやしても三割しかふえないとか、そういうものなので、これはなかなか、金融政策でマネーストック、マネーをふやすというのは簡単なことではない。
もう一つ、安倍総理の御認識がちょっと違うんじゃないかと思ったのが、この間、甘利大臣にも御答弁いただきましたが、九七年に消費税を上げたのがデフレにつながったというのも、これもちょっと違うんじゃないか。
私は、この二つ、ちょっと違うと甘利大臣の方からも総理に御進言いただければと思うことなんです。
このグラフがあらわすように、やはりマネーストックがふえるためには、実需がふえないと話にならない。その実需も、今懸念されているのが、円安で、サプライサイドで物価が上がって供給面から物価が上がると実質賃金が下がるので、これはデフレ効果になってしまうので、そうじゃなくて、需要側で上がらなければいけない。よく経済学では需給ギャップとかGDPギャップという言葉が使われていますけれども、これがやはり、まだマイナスですけれども、解消していかないと、いい意味での物価上昇が起こっていかないと思いますが、それが大体、今はまだ三角一・五%、昨年十―十二月ですけれども、現状というか、いつごろこのギャップが解消していくか。
あるいは、この前提となる潜在GDPというのは、これは私も大蔵省から経済企画庁に出向していたときに、この潜在GDPの推計方法というのはちょっとよくわからなかったんですね。平均的な生産要素の投入をすると、過去のトレンドから見て、このぐらいの供給力があるだろうというのは非常に曖昧な概念なので、これはもしかしたら、考えているよりももっと高いかもしれない、そうするとギャップはもっと大きいかもしれないという気もするんですが、その辺についての今の政府の考え方をお伺いしたいと思います。
○豊田政府参考人 お答えいたします。
まず最初に、潜在GDPの求め方でございますが、内閣府は、マクロ的な供給力を示す潜在GDPにつきまして、経済の過去のトレンドから見て平均的な水準で生産要素を投入したときに実現可能なGDPと定義いたしまして、推計を行っているところでございます。
より具体的に申し上げますと、まず最初に、産出量と労働投入や資本投入との関係を示した生産関数を想定いたします。そうして求めた生産関数に全要素生産性、資本投入量、労働投入量について短期的な変動をならした値を代入することにより、潜在GDPの水準を求めております。
また、将来を求める際には、全要素生産性上昇率や労働参加率等に一定の仮定を置きまして、生産関数にこれを代入して推計を行っているところでございます。
その上で、本年一月に公表いたしました中長期の経済財政に関する試算の経済再生ケースにおきましては、二〇二〇年代初頭にかけて全要素生産性上昇率が高まる等の前提を置いて試算した結果、足元、具体的に言いますと、二〇一三年の十―十二月期でございますが、その時期にマイナス一・六%程度存在するGDPギャップでございますけれども、二〇一五年度にかけて解消する姿となっておるところでございます。
○松田委員 二〇一五年度にかけて解消して、それで本当の意味での物価上昇というのが起こり始めるということは、なかなか簡単に二%ぽんといくかどうかというのは、まだまだこれから不確実性が大きいんじゃないかと思います。
基本的に、やはりお金が回っていかなきゃいけない、お金が回るために、どうも日本は、先ほどもいろいろ議論が出ていますように、金融の機能が十分でない、リスクテーク機能が十分でない、この論点にちょっと入らせていただきたいと思います。
官民ファンドというのは、最近、特に昨年からことしにかけて、予算でも次から次へとつくられまして、クールジャパン機構であるとかPFIファンドとか、今通常国会でも、国交省のマターなんですが、海外インフラファンドというのがこの間可決されたり、今回は、去年ここで可決しましたREVICについての機能強化であります。
よく、いわゆるエコノミストは、官民ファンドそのものを、官の過剰なる介入であると。ただ、日本経済にとって何で官民ファンドが必要なのか。また、この新しい地域経済活性化支援機構については、官民ファンド、既にできて一年たっているんですけれども、官民ファンド総括アドバイザリー委員会というのがあって、横串横断的にチェックしているというのは、どういう方針で今までこれをチェックされているのか。これについてちょっとお聞かせいただければと思います。
○古谷政府参考人 お答えいたします。
いわゆる官民ファンドは、成長戦略の実現、地域経済活性化への貢献、あるいは新たな産業、市場の創出といった政策的意義があるものに限定しまして、民業補完を原則として、民間でとることの難しいリスクを官民ファンドがとることによりまして、民間資金の呼び水となって、日本経済のために活用されるということを目的としております。また、公的資金を活用しておりますので、効率的な支援が求められております。
このような観点から、昨年九月に官房長官を議長といたしました関係閣僚会議を開催して、官民ファンドの運営状況の検証を行うためのチェック項目を、官民ファンドの運営に係るガイドラインとして決定をしております。官民ファンドの監督につきましては、まずは所管官庁が行っていただくということが第一義だと思っておりますけれども、政府一体として、横串チェックも重要であるとの観点で、現在、関係閣僚会議に設けた幹事会におきまして、先ほど申し上げたガイドラインに基づく検証作業を行っております。
御指摘の地域経済活性化支援機構につきましても、ガイドラインに基づいて評価を行うとしております九つのファンドの一つとして、現在、政策目的に沿って運営されているか、あるいは民業補完に徹しているかなど、検証を行っているところでございます。
○松田委員 私は、官民ファンドは、日本では、今の状況を前提とすると、必要悪と言ってはいけませんが、仕方ないのかなというふうに思っています。
その背景は、日本の特有として、まず一つは、年金基金の運用が国債に偏っていて、なかなかリスクのあるところに流れていない。これはかなりほかの欧米に比べても異常な姿ではないかと思います。
もう一つは、かつて日本では護送船団方式の銀行行政等々行われていたんですが、逆に言うとこれは国が銀行を守るというリスク分担を国がやっていたわけですね。これを、護送船団を外して、金融機関がみずからリスクを負いなさいというふうになりますと、今度は金融機関がリスクテークできなくなっちゃっている。
では、どこがリスクテークするのかというと、個人はリスクテークができる国ではない、戦後の日本は非常に平等ですから、お金持ちもいないですし、いわゆる資本家というのも余りいなくなっている、アメリカと違うとなってくると、リスクテークする主体が民間になかなかいなくなっちゃっているというのが今の実態なんじゃないか。
そういう意味で、官民ファンドというのは、かつては護送船団で国がリスク分担していたものを、今度は官民ファンドという形でリスク分担しているというふうなことでも言わないと、なかなか正当化できないんじゃないかと思うんですが、そこのところの、正当化されるという背景そのものを今度は改革していかないといけないんじゃないかと私は思います。
それで、きょうは年金の話も聞こうと思ったんですが、いつも厚労省の方から非常に極めて保守的でマイナーな答弁しかいただけないので、きょうはもう聞きませんが、やはり私は、年金というのはもともと労働分配の一形態として、産業の生んだ果実を国民に分配していくというのが本来の性格だと思うんですね。そうすると、国債に運用していくというのは、いわば将来の税金でそれを先食いしているようなものですから、むしろ生産的な投資をして、そこから分配を受けるというのが年金の本来の役割なんですけれども。
その上で、日本の金融市場に年金の投資先の受け皿が十分ない。例えばプライベートエクイティーであるとか、あるいはベンチャーキャピタルと言われるものが非常に未整備である。だから、そういう投資先もない。そういうものが非常に多様に育っていると、リスクとリターンを勘案して、適切なポートフォリオを組んで、逆にその方が国債なんかに運用するよりもリスクが少ないというのが本来のあり方だと思うんですね。
やはりファンドというのは、規模集中のリスク、かえって集中させると、国債も、例えばGPIFは今約五五%国内債に運用していて、これは厚生労働省からのガイドラインでそうなっているんですが、それで、そのほとんどが長期国債なんですけれども。アベノミクスが成功して物価が上がれば当然金利も上がる、金利が上がれば、その後、大量に抱えた国債が評価損で、これは逆に年金支給に支障をもたらすという深刻な事態にもなるので、早く年金の分散先というか、ポートフォリオを多様化させる先を金融市場の側で育てなければいけないんじゃないかというふうに私は思っています。
そういった意味で、ある程度金融庁もそこに力点を置いて、例えば、独立系のベンチャーキャピタルあるいはプライベートエクイティーの育成を強化する、結局、そういった意味で、資金の運用先としても、あるいは調達先としても、多様な総合的なクラスター、金融クラスターみたいなものを早く日本でつくっていかなきゃいけないと私は思うんですけれども、それに向けてどういうような進展を図られているのか、御答弁いただければと思います。
○福岡大臣政務官 委員御指摘のとおり、ベンチャーキャピタルであったりプライベートエクイティー、多様な資金供給主体としてこういったところを育成していくということは、極めて大切なことだというふうに考えております。
こうした観点から、投資運用ファンドの立ち上げを促進するために、平成二十三年度の金商法の改正によりまして、顧客をプロ等に限定した投資運用業の規制緩和を行うなどしておりますし、また、事業者に対するリスクマネーの供給を促進するため、今国会に提出させていただいております金商法の改正におきましては、インターネットを通じて多数の者から少額ずつの資金を集める仕組み、いわゆるクラウドファンディングといった仕組みの促進を図る、こういったものも盛り込みながら制度改正に取り組ませていただいているところでございます。
あわせまして、金融機関に対しまして、投資子会社や地域活性化ファンドなどのエクイティーファンド等を活用した創業、新事業の立ち上げによる企業の成長等に対する支援にも積極的に取り組むように促しているところでございます。
〔関委員長代理退席、委員長着席〕
○松田委員 そういった金融の多様化というのを進める一方で、もう一方では、肝心の銀行なんですが、日本はやはり間接金融中心で産業金融が行われている。銀行がしっかりしないといけないんですが、今回、新しい機構に、経営者保証に関するガイドラインに従った特定支援というのが盛り込まれることになっているんですけれども、信用保証というのは、バブルが崩壊した後、私もいろいろな知り合いの方がいらっしゃいましたが、たくさんの有為な中小企業経営者が、信用保証で耐えかねて、どんどんどんどん去っていった。
どれだけ多くの人材が日本から失われたのかということ、本当にこれは何とかしなきゃいけないと思ってきたことなんですが、とにかく日本では一旦会社を破綻させるともう二度と立ち直れない。あいつは失敗者というレッテルを張られると、銀行も金を貸してくれないし、口座も開けない。こういう社会ですと、もうとてもとても成長戦略どころじゃないんじゃないかと私は思います。
銀行の融資態度を見ても、先ほども、近藤委員の質問に対して、大臣、ちゃんと御認識されているのはよくわかりましたが、銀行というのは、とにかく事業や人に融資しているんじゃなくて、担保土地かあるいは個人保証に融資していると言ってもいいような状況が続いてきたんじゃないか。銀行が融資判断するんじゃなくて不動産鑑定士が融資判断しているような、そんなことを言っても過言ではないような、まさに、思考停止といいますか銀行員の責任回避といいますか、コンプライアンスを守っていればいいんだという、そういうことじゃなくて、やはり日本はこれから、課題先進国という言葉がありますが、コアコンピタンス、独自の価値を生み出す力というのをどんどん生んでいかなきゃいけない。それは、やはり価値判断を銀行がちゃんとしなきゃいけないということなんですね。
とにかく稟議で上がりやすい、リスクをとって、上から詰められて、客観的に説明できる、担保とかそういうので説明できればオーケー、そうでないときは、何かあったときに責任を問われるのは嫌だということで、国債に運用する、結果として日本は国債の金利が低くて、幾らでも国債が今まで回ってきた、デフレ経済と一体となって、銀行のリスクテークが行われないのが財政を支えてきたという、非常に奇妙な均衡といいますか、この状況を脱却するのが本当のアベノミクスだと私は思うんです。
このリスクテークを促すビジネスモデルをどうやってつくっていくか。金融行政、これはかなり大きなビジネスモデルのチェンジというものをある程度考えなきゃいけないと思うんですが、その方針につきまして、あるいは今までどんな成果を生んだかにつきまして、政府の御答弁をいただければと思います。
○福岡大臣政務官 委員は、この問題、一貫して問題意識をお持ちいただいているというふうに承知をしております。
おっしゃりますように、銀行が新規融資を含む積極的な資金供給を行っていくこと、これは極めて大事なことでございます。金融庁といたしましても、金融仲介機能を積極的に発揮するよう検査監督で促すとともに、例えば、今さっきおっしゃりましたように、不動産担保や個人保証に依存しない、企業の事業性に着目した融資を促進するABLの積極的な活用が図られるための環境整備であったり、また、経営者保証ガイドラインの浸透、定着を図っていくことによる経営者保証に依存しない融資の一層の促進、また、経営改善、事業再生支援等を促進する観点から、負債であるが資本とみなすことができる資本性借入金の一層の活用が図られるための環境整備であったり、また、いわゆる五%ルールの見直し、こういったことに取り組んでまいっております。
これらの施策の効果等につきましては、銀行全体の中小企業向け貸出残高は、昨年の七月以降、前年同期比でずっと増加をたどっておりますし、また、ABLであったり、また、経営者保証ガイドライン等については、まだ運用が始まったばかりでございますが、金融機関等のヒアリングによれば、ABL、資本性借入金の活用も伸展しているものというふうに承知をしております。
○松田委員 先ほど、甘利大臣はやはり御存じだなと思いましたけれども、銀行側で、経営とかあるいは貸付先の人を見抜く力が低下しているというようなことですね。
私は、実は自分の親が都市銀行にいたものですから、現場が多かったものですから、支店長なんかもやりましたけれども、引退して、ある公的な信用保証のチェックをするアルバイトをしていたことがあるんですが、久しぶりにそういう現場に来てみたら、後輩の銀行員が持ってくる内容が物すごく甘くて、どんどんだまされていると。それで、信用保証をどんどん実行しなきゃいけないような状況に追い込まれている、本当に今の若いやつは何にも銀行業を知らないな、こういうようなことをうちの父は言っていたんです。
やはりこれを聞いていると、よく、金融庁は金融処分庁だ、これを変身しなければいけない、金融行政も変えなきゃいけないと。今も御答弁ございましたけれども、それを幾らやったところで、銀行自体に能力がなくなっちゃっているというのが、長年にわたる担保主義で、事業や人を見きわめる力そのものがなくなっているんじゃないかということを私は非常に懸念をしているところであります。
こうなってくると、私もさっきビジネスモデルというふうに言いましたけれども、例えば、今回、GP出資というのがありますけれども、ただ、ああいうものというのは、ある程度お金を出した側が事業そのものにもかかわっていくというような、銀行もさすがに、いろいろなことを築いている先覚者たちは、例えば農業だとか医療であるとか環境とか、そういう極めて専門知識が要るような分野にどんどん自分たちが入り込んで、一緒になって、ともに事業者と一緒に富を生み出して、そこから成果として金融収益を事後的に上げていく、そういうモデルをつくろうじゃないかという動きを私は聞いたことがあるんです。
そうなってくると、ともに働き、ともに分かち合うという日本型の理念、日本型金融というものを展望できるんじゃないかという気もしているんですが、それぐらいの革新も必要だと思います。
また、長年にわたって、金融行政、金融処分庁と言われるようなことをやってきたものですから、どちらかというと、また銀行が、不良債権処理を通じて、借り手の側で、銀行からお金を借りることに対して物すごく不安があるといいますか、今はとにかく手元流動性、どんどんためちゃっているものですから、資金需要が足りないんだと常に。何でマネーがふえないかというと、必ず資金需要が不足しているというんですが、そもそも、資金を借りたら危ない、借りなくて済むようにしようという企業の体質がここまで根づいちゃっているというのもあるので、これは、相当抜本的な、大きなメッセージを国の金融行政も出していかなければいけないんじゃないかと思っています。
そこで、本機構なんですが、将来のこの機構については、組織も時限措置をとっていますけれども、私は、どちらかというと、この機構の位置づけというのは、先ほども議論に出ていましたけれども、やはり、民間の銀行の経営というか、リスクテークの姿勢の改善を促すための起爆剤として、例えば、ここでベストプラクティスを生み出して、民間金融機関に刺激を与えて、それを民間の金融機関が引き継いでいくという形で、いい形のいい循環をつくっていって、そうやって銀行の融資姿勢が大分改善されたというか、そういうものを検証しながら、機構というのはそれを果たせば役割を終えるというような設計をすれば、私は、何も、官民ファンドに対する批判というのも当たらない、これはまさに民の自立を促すための時限的な組織なんだという位置づけができるのではないかと思いますが、甘利大臣、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 ただいまのが模範答弁でございます。
○松田委員 ありがとうございました。考え方が同じであるということを確認させていただき、ありがとうございます。
結局、問われているのは金融行政だと私は思います。この機構が本当に必要になった背景、必要だからこそ、新しいニーズ、いろいろなユーザー側から、保証つき債権を買い取ってほしいとか、あるいはLP出資もやってほしいとか、いろいろな話が出てきて、結局これが肥大化していくということになると、これはまた一つの落とし穴になってしまいかねませんので、やはりここは、今申し上げたような点からチェックをしていく、官民ファンドのチェックというのも、こういう視点でやっていただきたいというふうに思っております。
そこで、お疲れの大臣に済みませんが、残りの時間、ちょっとTPPについて少しいろいろ議論させていただければと思います。
大臣は、国益、聖域を守るということで大変御苦労されているわけなんですが、ただこれは、私は野党の人間なので無責任なことを言うと言うかもしれませんけれども、本当に経済的なことを考えれば、TPPは、守るということよりも、日本開国、日本の市場は既に諸外国に比べて閉鎖的ではないわけですね。制度的にできることは、私もいろいろなことをやって、市場開放というのは、長年、中曽根政権のアクション・プログラムとかそういうのからずっとやってきましたけれども、世界で最も開かれた市場の一つになっているんですね。
ですから、TPPというのは、日本の開国というと非常に大きな誤解を与えるので、本当に一部の農産品の例外を除きますと、日本は開かれた国として、ほかの国々をもっと開放度の高い国にしていく、これはアメリカと同じ立場に立っていると思うんですね。そういうものとして私はTPPの意味があるということだと思うんです。
ただ、そういうふうに世界を開かせるためにも、あるいはアメリカも自動車を開いてもらうためにも、やはりこれは国際交渉なので、こっちも玉を持っておかなければいけない。玉を持つためには、我々もセンシティブなものがある。だから、相手に開いてもらうためには、我々もそう簡単には妥協できないよという国際交渉であれば、私は非常に意味のあることだと思います。
そもそも、関税撤廃といっても、来年すぐに関税撤廃するという話はもともとないと思うんですね。これは、長い長い時間をかけて、例えば十年、十五年、あるいは、アメリカの自動車でも何十年という数字もちょっと出ていましたけれども、その間に例えば農業も立て直していく。
本来、国境措置で完全に守ってしまうと、農業はどんどん衰退していく、かえって衰退させていく。競争させない、そうじゃなくて、財政方式でげたを履かせて競争させ、生産性を上げていって、それは農業にとってもプラスであるし、農業の保護にもなる。一方で、生産性の上昇に応じて関税をだんだんと段階的に引き下げていく。こうすれば、農業を守られるし、農業の生産性も高まる。これは経済合理的な考え方だと思うんですね。
この考え方というのは本当は出発点にあるべきなのに、そうでないところの、もう関税は撤廃しないというところでたがをはめられてしまっているので大変御苦労されていると思うんですが、経済的な考え方としては、私の申し上げたことについての妥当性については、甘利大臣はどういうふうに御認識されていますでしょう。
○甘利国務大臣 農業が果たす使命が幾つかあると思います。経済合理性は脇に置いておいて、それでも最低限の食料安全保障上守らなきゃならない線とかですね。
というのは、完全に食料生産を日本が放棄した場合、輸入した方が安いから、例えば仮に放棄した場合、では、いかなる状態があっても、輸出先の国は、自国を犠牲にしてもちゃんと約束を果たしてくれるのかどうかというようなことを考えなきゃいけないわけですね。でありますから、一〇〇%工業と同じ論理は持ち込めないんだとは思います。
ただ、ではどう強くしていくかということは、まさに産業の視点。産業の視点を持ち込むとして、産業が強くなるには、産業革命、産業革新が起こる、そういう視点を持ち込むのは、両方をどう組み合わせるかなのかなと思うんですね。
私がこの担当をして、いろいろな国の農業を見てかなりカルチャーショックだったところはあります。
ニュージーランドのフォンテラという世界最強の協同組合がどうなったかというのは、背水の陣になってからなったんですね。補助金を全部切られちゃったところから出発していて、生きるか死ぬかで合併が始まって、最後の四組合のうちの二つが合併してあれができたわけですね。
あるいは、オランダの農業というのは、もう完全にあれはIT産業ですよね。ですから、若者は集まる、土日もあれば、月給もちゃんとあるということですよね。
そういうように、農業だから、昔もそうだし、これからもこうなんだと、一言だともうどうにもならない。ですから、食料安全保障の観点から譲れない部分と、産業化の観点から大きく意識革新をする部分と、両方ともあるんだと思うんですね。それをどういうふうに組み合わせていくのがいいのかなというふうに個人的には思います。
○松田委員 その意味で、農業はいろいろな多面的機能がありますので、これはしっかり再生しなきゃいけない。
ただ、現状で、今の農業、ここのやり方が、これが本当に農業にとってハッピーな守り方なのか、農業再生のためには、政策のあり方そのものを本当は変えなきゃいけない、TPPは、それを、長期的展望を持たせてやるチャンスであったのではなかろうかという気持ちがあるものですから、こういう御質問をさせていただいた次第です。
いわゆる直接支払いというのは、農水省も今度いろいろな法案を出していますけれども、これがこれからの流れであるとすると、そこをうまく組み合わせながら農業の生産性を上げていくという道があるんじゃないかという意味であります。
大臣も大変お疲れでしょうけれども、お疲れになるだけのやりがいのある仕事になるのがこのTPPじゃないかと私は思っています。
というのは、これからちょうど日本はチャンスだと思うんですね。これはもう少し大きな、大局的に見れば、大げさなことを言うと、二十一世紀の国際経済秩序づくりがいろいろなところで今始まっていると思うんですね。その中で、日本がTPPでアメリカと合意するということは、大変大きな日本の国際的な立場を得ることになるわけであります。
やはり、このTPPというのは、私は、ルール・オブ・ローだと思っていまして、例えば、中国というルールを守らない国、安全保障でも経済でも守らない国というのはやはりあるわけですから、それに対してアメリカと日本がルールをきっちりとつくって、それを守る国々で仲よくやっていこう、世界秩序をつくっていこうという一つの経済版としてこれがあるんだと思うわけですね。
そういった意味で、私は、守る守るということじゃなくて、どうしてもメディアはそっちに関心が行きますが、TPPでつくられる経済取引のいろいろな国際ルールが日本にとってこういうふうなプラスになるんだということを、もっともっと大臣がアピールしていただく機会があればと思うんですが、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 TPPは、いろいろな意味で包括的です。物品の市場アクセス、それ以外の市場アクセス、そしてルール。
これから日本が多方面に経済展開をしていく場合に、例えば、日本の企業がある国に投資をした、最初は税金も安くてよかったけれども、突然税金がふえていった、これはたまらぬと撤退しようと思ったら罰金が来たとか、そういう予見性がないところに日本の資本が行くというのは非常に危険ですから、そこは予見可能性のルールをつくっていくとか、あるいは、ある国においては、政府調達について内資と外資とを明確に分けていて、外からの資本が入らないようにする、つまり、外の企業にチャンスがないとか、この内国民待遇をとっていくということは、日本の企業が、資本が活躍する場がふえていくわけであります。知財についてもそうでありまして、いろいろな部分を含んでいるわけですね。
ですから、ごく一部の部分だけを捉えて、これだから損だ、やめた方がいいということとは違って、大きな可能性を包括的に見ながら価値判断をしていくべきだというふうに思っております。
○柴山委員長 松田君、質疑時間が終了いたしました。
○松田委員 ありがとうございました。
TPPは世界のGDPの四割を占める、これがFTAAPになれば六割を占める。一方で、日本、アメリカ、EUの間でも動きが出ている。RCEPも動いている。こういう中で、その全てに入っている日本にとって国際ルールのチャンスであるということで、ぜひ大臣、二度とやりたくないとおっしゃらずに、大変歴史をつくっている局面だということで、引き続き頑張っていただければと思います。
どうもありがとうございました。
○柴山委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時十四分休憩
――――◇―――――
午後二時三十九分開議
○柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。中丸啓君。
○中丸委員 日本維新の会、中丸啓でございます。
本会議が終わりまして、大臣も大変お疲れだと思いますけれども、言っても楽にはならないとは思いますが、頑張って質問をさせていただきたいと思います。
まず、きのうもずっとお話を、討議をされていたと思うんですけれども、TPPなんですけれども、中身のことではなくて、そもそも論をちょっと大臣にお伺いしたいと思います。
TPPは、要は、TPPだけに限らず、二国間EPAでもそうなんですけれども、関税を撤廃するなり削減するなりということをやるわけなんですが、関税ということは税収なわけです、当然ですが。これを削減すると、特に保護しなければいけない産業とか、農業とか畜産もそうですが、そういったところに一定の補償をしないとバランスがとれないというふうに考える、これは、我が国ではなく、各国共通の議題だと思います。
そうすると、入ってくる税金は減るんですけれども、使う予算はふえるという現象が起こるわけです。このバランスをどういうふうにお考えになって交渉に当たられているか、また、その見込みというか、どの程度予測をされているか、お聞かせ願えればと思います。
○甘利国務大臣 関税を極力なくす交渉、そして必要な関税はできるだけ守る交渉が攻防戦でありますけれども、全部がセットされますと、例えば日本に入る関税が交渉後にどれくらい減額になるかというのは、全部交渉が落ちついた時点でわかりますから、今はまだ、予断を持ってお話しするのは誤解を与えることだと思います。
ただ、日本が相手国に払っている関税と日本のもらっている関税を単純比較しますと、これはTPP十二カ国を対象としてですけれども、日本が払っている方が四千七百億で、日本がもらっている方が二千四百億です。ということは、これだけ見れば、いかに日本が本来開かれている国かということになろうかと思います。
もちろん、TPPというのは、関税交渉だけでなくて、それ以外の、市場アクセスであるとか、あるいはルールをどうつくっていくか、これは将来の経済戦略上、極めて重要な部分になってくると思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
今お答えいただいたように、実際には支払い関税の方が大変多いというのが現状であるということだと思います。
そうすると、実際に、いろいろな品目を今お話しになられていると思うんですが、交渉中で、お答えできる範囲で構いませんので、単純に税収を減らして何らかの一定の補償なり何かをしなければならない業種、産業というのはどのようなものを想定されているか、一つの例で構いませんので、教えていただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 日本は、工業品の関税は平均してもほぼゼロに近い数字だと思います。でありますから、工業品に関してTPPを通じて税収が減るかといえば、それはほとんどないと思います。やはりどうしても、農産品を守って関税をかけておりますから、農産品に関して関税で入ってくるというところがかなりの部分だと思います。
一方で、払う方、もちろんこれは輸出事業者が払うわけでありますけれども、それでは工業製品が払っているという部分がほとんどではないかと思います。
農産品輸出も、今五千五百億ぐらいまでいきまして、もちろんこれを一兆円にしようというのが安倍内閣の成長戦略の一つでありますけれども、全体として、輸出総額に占める金額ではうんと少ないですから、払っている相手の関税がなくなれば、輸出事業者が払う負担がそれだけ減るということになりますが、そっちはほとんど工業製品だと思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
今、工業製品というお話だったので、ちょっと視点を変えまして、工業製品、例えばわかりやすく言えば、自動車ではトヨタさんとか、私のいる広島だったらマツダさんとか、こういった企業があるわけですけれども、グローバル競争をしていく、そういう世界規模の企業というふうに考えたときに、今、OECDでも非常に問題になっている点がございます。
税源侵食と利益移転、BEPSの行動計画というのを策定されているということで、ちょっとOECDの方からヒアリングを行ったんですけれども、今、グローバルで戦う中で、日本の、我が国の法人税が非常に高いということで、下げていかないといけないという問題があるんですが、実は、海外の企業と我が国の企業が競争していく中で、今OECDがやっているこの税源侵食と利益移転の問題は非常に大きいというふうにお伺いをしました。
というのも、俗に言うタックスヘイブンを使用することで実際の実効税率を五%ぐらいまで下げている国際企業が、かなり、我が国ではないんですが、アメリカとかそういうところにある。なかなかアメリカ政府も、そこに対してメスを入れることはできない状況になっている。こういった、ある意味、法人税、企業がお支払いになられる税金という面で見たときに、非常にバランスが世界的に難しい状態になっていて、逆に、二重課税になったりしている部分もあるわけです。
この問題をどういうふうにしていくかというのは、今OECDが中心になってやっているんですけれども、この問題に関してどのように捉えられているか、経済財政担当大臣として、甘利大臣にお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 具体的な企業名を出してどうかと思いますけれども、スターバックスの事件とかアップルの話ですね。そこの国で相当規模の売り上げがあるけれども、納税額を見たらほとんど払っていないというようなことになります。それで、では、どこで払っているのかと思ったら、一番税率の低いところに本拠地を置いてそこで払うとか、こういうことはいかがなものか。言ってみれば、そこである種の行政サービスを受けているわけでありますから、上がった収益に対する応分の税を払うべきだということ。
それから、さらに、最近は電子商取引が盛んになってきます。このルールをどうするかというのも、税の部分はOECDが問題提起していますけれども、いろいろな取引のルールについてはTPPでやりますけれども、これは典型的な例で言えば、同じものを買うのに、楽天で買うのとアマゾンで買うのと、片や消費税を払わなくていい、片や消費税をもらう。消費税率が上がってくるのにしたがって、二社間の競争力格差はついてきてしまうわけですね。まさにこれはアンフェアという指摘がありますけれども、そのとおりだと思います。
そういう問題、一国ではどうしようもないような対応について、国際機関でしっかり問題点を整理して、各国がみんな同じテーブルに乗って議論をしよう、こういうことであると思います。それは、今OECDのBEPS、これはベース・エロージョン・アンド・プロフィット・シフティングの頭をとったあれですね、税源侵食と利益移転、このOECDの委員会ですか、ここは日本の財務省の審議官が議長をやっていますから、ここで相当突っ込んだ議論がなされていると思いますし、各国共通の悩ましい問題について、共通認識とルールができるのではないかというふうに思っております。
○中丸委員 これは大変大きな問題なんです。というのが、一つ例を挙げますと、OECDでEU指令というのが出て、EUの域内取引に関して国内法でこういうふうに定めてくれというようなことで、ちょっと前ですけれども、例えば個人情報保護法なんかもそうですけれども、こういったもののルールづくりとか枠組みで、残念ながら、我が国は非常に、どちらかというとOECD加盟国の中でも後ろの、先進国ですけれどもかなり後ろの方で何とか法律を整備して追いついているというのが現状でして、今回のこのBEPSに関してなんかでいうと、アジアでは韓国が今非常に積極的に取り組んでいる。
というのも、韓国自体が、ビジョンとして大きなシンガポールを目指すとか、そういった視点で国家戦略として非常に取り組みをやっている中で、そういうアジアのほかの国にリーダーシップをとられて、やはりまた後塵を追っかけていくようなことにならないように、国際的なルールづくり、やはり、ルールというのは積極的にルールづくりを率先してやったところがどうやっても有利になる、国益につながるというふうに考えるんですけれども、それについて何かお考えがあれば。
○甘利国務大臣 先ほどのOECDの委員会は、OECD租税委員会、ここで取り組んでいるわけでありますが、ここの議長は財務省の浅川審議官がやっています。日本が議長役としてリーダーシップをとっているところでありますし、そういう中で存在感を示して、各国が納得がいくルールづくりができればというふうに期待をいたしております。
ことしは日本がOECDに加盟して五十周年になります。この春の連休中、国会のお許しをいただければ、私も行きまして、幾つかのセッションで議長を務めることになっております。いろいろな点でOECDをうまく使って、時代に見合ったルールができればというふうに思っております。
○中丸委員 ぜひともこのルールづくり、議長国でもあるわけですから、しっかりと中心になってリーダーシップを発揮していただきたいということをお願い申し上げます。
それから、今、アベノミクスの三本目の矢のところで、なかなか、特に地方や中小企業に広がりが見えないという意見はさまざまなところでお伺いしますし、私が住んでおります広島においても、やはりそのような声はたくさん、有権者の皆様、企業の皆様からお伺いします。
そういう意味では、日本は少子高齢化と言われまして、市場自体、マーケット自体が縮小していくんじゃないかというような意見もございます。そういう中で、グローバル展開というのは非常に大事だと思うんですが、残念ながら、国内の九〇%以上と言われる中小企業者はグローバル展開というのは非常に難しいというふうに思うんですけれども、中小企業が海外展開を行うに当たっての課題をどのように捉えられているか、中小企業庁の参考人の方にお伺いします。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業の海外展開の現状でございますけれども、輸出と直接投資、合わせて一万社強ということになっております。全国三百八十五万社の中小企業の〇・三%という状況になっております。
そういった中で、昨年六月に策定されました成長戦略の中で新たに五年間で一万社というような目標を掲げてやっておりますけれども、アンケート調査をとりますと、中小企業者も四割強の企業が海外展開を準備中である、あるいは関心があるという回答になっております。これは、委員御指摘のように、人口減少社会の中でマーケットがどんどん縮小していく中で、海外にその販路を求めたいという意識のあらわれかと思います。
中小企業は、大企業に比べまして、人、物、金、そして情報収集力、いろいろな経営資源が不足しております。特に海外展開につきましては、本日閣議決定させていただきました中小企業白書においてアンケート調査をやっておりますけれども、販売先の確保、あるいは信頼できる提携先の確保、こういったことが最も重要な課題であるというふうに認識をしております。
○中丸委員 ありがとうございます。
今、重要な課題を幾つか挙げていただいたと思いますが、当然、課題、問題点を見つけるだけでは何も解決に結びつかないわけでありまして、課題に対する対応について何かお考えがあれば、続けてお伺いします。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業は、まず、人の面、なかなか人材がないということでございますけれども、新興国でのビジネス経験豊富なシニア人材、こういった方がたくさんいらっしゃいます。補正予算等を活用しまして、昨年度末までに千名、こういったシニア人材を中小企業に派遣するという事業を行っております。さらに、今年度は、追加的に五百名の派遣を予定しております。
それから、国内には外国人留学生が多数いらっしゃいます。こういった方を中小企業にマッチングして就職していただくということで、戦力になっていただこうということでマッチング事業をやっておりまして、昨年度は約五百名の留学生が採用されている、こんな状況になっております。
それから、海外におけるパートナーにつきましては、内外の展示会への参加、あるいは、現地に訪問するということで、パートナー提携する前に実際に会って、フェース・ツー・フェースで会って確認をするということが大事だというふうに考えておりまして、こういったフィージビリティー調査に対する支援を実施しておりまして、昨年度は百十三社に対して支援を行っております。
このほか、海外展開現地支援プラットホームということで、中小企業庁からジェトロに補助金を出しまして、昨年度は八カ国十都市、今年度はさらに五カ国七都市追加したいというふうに思っておりまして、現地にコーディネーターを置きまして、コーディネーターを中心に、ジェトロや在外公館、あるいはいろいろな支援機関、ネットワークをつくりまして、こういったところを活用しながら、適切なパートナー探し、こんなことを支援していきたいというふうに考えております。
○中丸委員 ありがとうございます。
今、いろいろお話をお伺いしたんですけれども、現状一万社で、これを五年間かけて一万社増加、〇・三%が〇・六%という、数字だけ見れば倍増ですけれども、分母が非常に小さいと言わざるを得ないと思います。
大企業、世界企業というのは、もちろん、独自でそれなりの人、物、金、情報をしっかり持って海外展開をやられるわけですけれども、地方の中小企業というのは、そういう興味があっても、人、物、金、情報、全部がないんです。
マッチング事業とかも非常に大事なんですけれども、これも一部でありまして、先ほどジェトロのお話が出たので、一つ事例として、私が経験したことを挙げさせていただきます。
私が会社を経営しているときに、海外からミネラルウオーターの買い付けをやりました。輸出だけではなくて、やはり輸入も、国内の中小とか、国内企業のやはり足腰を強くする新しい商材を入れてくる、競争力をつけるということは非常に重要でございます。
そのときに、国内のいろいろなミネラルウオーター、加熱していないミネラルウオーターに対する制限とかありまして、EU加盟国の基準ではオーケーなんだけれども、同じEUの基準をクリアしていても、EUの準加盟国の場合は、EUで流通している商品であっても輸入できないんじゃないかとか、さんざんこれはもめまして、最後は、現地の国の大使館の方が間に入っていただいて、何とかなった。
そのときに、一番初めに相談に行ったのはジェトロなんですね。ジェトロの人から言われたことは、ではコーディネーターを紹介しますとか、商社を紹介しますと。そうすると、着手金とか、調査費だけで莫大な金額を請求されるわけです。だから、実際、そういう調査ができずに、では我々はどうしたか。自分で現地の国に飛んで、現地のメーカーと交渉して、こっちで厚生省、税関、それから乙仲の契約も探して、大使館まで行って交渉して初めてそれで輸入が成り立ったわけですね。
私が申し上げたいのは、そこまで本当に中小企業ができるかどうか。輸入一つとってもです。輸出もそうです。
そして、今、ジェトロさんというのは、非常にそれなりの決められた枠の中で頑張っておられますけれども、実際にどんな企業があって、どんなものを持っているか、待っているだけなんです。持ってきてくれるのを待っている、言ってくれるのを待っているだけなんです。
ちなみに、私がやっていた会社に、当時、景気のいいころもありまして、ベンチャーキャピタルさんとか、いろいろ出資したいとかいう話もいただいたりしたこともあったんですけれども、それは、待っていたんじゃなくて、自分たちで調査をして来ました。そして、いろいろな支援策とか、コンサルティングとか、いろいろ相談に乗っていただきました。
待っている。今、例えば子供が生まれても届けに行かないといけない、家族が死んでも届け出に行かないといけない。基本的に、我が国のやっている施策というのは、補助金とかもそうですけれども、全部待っているんです。
私は、ここに非常に大きな問題点があると思いまして、より積極的にこれは前に進めていかないと、要は、GDPもそうですけれども、やはり、中小企業の雇用の安定化、もちろん、所得もふやしていただく、売り上げも上げていただく、企業が発展していくのに、このグローバル化というのは非常に大きな流れになると思うんです。
国内で六割、七割ぐらいの人が中小企業で働いているわけですから、国内の個人所得がGDPの六割以上を占めているという現状を考えれば、ここの底上げというのは日本の国力全体を上げていくのに非常に大きな点で、今の待っているやり方で本当にいいのかどうかというのは非常に大きな疑問がございます。
これは、我が党も今、我が党の経済政策というのをPTを通じてつくっているわけでございますけれども、まだそこにもちょっと入れていなくて、きょうは、一つの私からの提案ということで聞いていただきたいと思うんです。
海外の進出には、まず海外の情報が非常に重要になります。一部アジア地域等も含めて、ERIAというところで調査をしていただいているということなんですが、これはあくまで調査でございまして、調査の結果というのは、やはり、いつでもどこでも誰でも引き出せる、もしくはそういう調査をやっているということ自体も広く知られなければ、そのデータ自体が生かされることはないわけで、集めただけの調査であれば、その関係した人しか見れないわけで、本来、それを活用することすら知らない人に渡してあげることによって、その人が、ああ、こういうことだったら、うちのこういう製品はこの国に出せるじゃないかということを知らないまま眠っている、ある意味ダイヤモンドの原石が我が国にはごろごろしていると思うんです。
だから、世界遺産に和食が認定される、そうすると、和食をやっている外食産業のお店というのはごまんとあるわけですね。国内の大手のチェーンだけじゃなくて、今回、安倍総理がアメリカのオバマ大統領と一緒に食事されたおすし屋さんなんかもそうだと思いますけれども、非常に特異性の高い、技術力のある食べ物を産業として行っているお店というのは、ニッチな市場でもあるわけです。
こういうものをどうやって海外に持っていって外貨を稼いでいただくか、企業として発展していただくか、これは、日本の文化の発信にもつながることにもなりますし、工業製品だってそうです。今、下請でまだ二割ぐらいは今回の消費税が転嫁できていないというお話もありますけれども、こういった皆さんにも、自分たちで海外に持っていけない、かといって、いや、ジェトロがありますよ、何がある、いや、補助金もあります、あれもしていますよと言っても、待っていては、やっている人たちはもう日々の仕事で手いっぱいなわけですから、そのいろいろな企業の特色をしっかりと国内で集めて、逆に、こういうのがあるんですけれどもできませんかというような体制を、私はぜひつくる必要があると思います。
それは、政府と、国がもちろん旗振りはしないといけないと思いますけれども、政府だけでは多分できないと思うんです。これはもう人も組織も全然足りません。そのために、例えば、各地方の金融機関、そういったものもあります。それから、商工会議所、中央会、こういったものもあります。それから、各地には、地方の自治体、行政があります。そして、研究開発が必要であれば、大学等もあるわけです。
まさに、そういった官民が、オール・ジャパンで、各省も連携して、そういう人材育成であるとか、支援機関をどうつくっていくかということを考えていかないといけないと思うんですが、今取り組まれていることがあるとすればどんなものがあるか、参考人の方、教えていただいてよろしいでしょうか。
○横田政府参考人 お答え申し上げます。
この通常国会に、中小企業庁、小規模企業振興基本法案を提出させていただいておりますけれども、三百三十四万社の小規模事業者を支援していく上で、委員御指摘のように、待ちではだめだ、攻めの姿勢でこちらから出向いていかなければならないという認識、私どもも持っております。
そうした中で、小規模事業者の支援の先頭に立つのは、商工会、商工会議所に配置されている八千名の経営指導員であるというふうに思っております。
こういった経営指導員にさらにパワーアップしていただいて、海外展開支援施策も含めまして、事業再生、あるいは事業引き継ぎ、場合によっては廃業、いろいろな課題について、まず経営指導員が相談に乗り、さらに高度な専門家のサポートが必要なものにつきましては、今、二万一千機関の認定支援機関というのがございます。ここに税理士、公認会計士、金融機関、いろいろな機関に入っていただいていますので、これをうまくつなぐような支援体制を構築していきたいと思っております。
ちなみに、二万機関の認定支援機関の中で、海外展開支援をするという機関が現状七百四十三社ございまして、その中に金融機関も百五十五社入っております。こういったところに対して、基本的な海外展開支援施策あるいは人材、こういったものについて研修を行いまして、海外展開をぜひしたいという中小企業を掘り起こし、それを専門機関につなげ、一社でも多く海外マーケットに食い込んでいく、こんな支援をさせていただきたいと考えております。
○中丸委員 まさに取り組みを始められているということは非常に頼もしいんですけれども、先ほど申し上げたように、五年間で一万社増加、今やっているのが一万社ぐらいと。八千人の経営指導員で、私が言っているのは、一部のそういうごくごく少数の企業ではなくて、例えば漆塗りでもそうかもしれません。これは実は農業の国際展開にも使えるものなんですね。だから、中小企業庁がやっているとか農林水産省がやっているとかそういうものじゃなくて、これを本当にオール・ジャパンでやるんです。
そうすると、人材が足りないじゃないかという御意見があるんですけれども、実は私は、この霞が関で働いておられる役人の皆さんは非常に、この一年少しの間接触させていただいて、優秀な方が多いなと本当に思っています。
ただ、残念なことに、その最終目的地といいますか、肩書、役職でいいますと次官というところになれるのはそのときに各省庁でたった一人だけ。その下に局長の方とかそういう方がおられる。非常に優秀だけれどもそこになれない方もたくさんおられるわけですね。
そういった方々が外にぼろぼろ出ていったりとか、よく批判するときに使われる、何か天下りをしているんじゃないかとか、そういうふうに言われるわけです。だから、そういう優秀な人材というのはこの霞が関にも非常にたくさんおられるというのがまず一つ。
それから、これは例えばメガバンクとか地方銀行でもそうです。やはり頭取になれる人は一人、役員になれる人は一部。銀行なんかは、五十代のうちに何とか研修とかを受けて、何とかリースとか子会社で、自分に経営権があるようなないような、よくわからないところで定年を迎える。それにすら漏れた人はどうするかというと、今まで取引のあったところの企業の経理部長になってみたり経理課長になる、そういうふうになっているんですよ。
これは、人材が非常にもったいない。こういう優秀な人材をしっかりオール・ジャパンで集めて、こういうところでやって、それぞれそれなりの、一緒に、ともに汗を流すような仕組みというのをやはりもっとつくるべきだというふうに私は思うんです。
そういったところまで、今までの既存の組織だけではなくて、先ほど申し上げたように、もっと幅広い人材、だから、その人たちを雇い入れるという発想ではなくて、その人たちが持ってきたら、では、あなた、このプロジェクトを推進してみるんだったら、持ってきたら、一緒にやってみたらいいじゃないか、それに対する支援はしましょう、ノウハウも出しましょう、こういう機関も使えますよと。
だから、こっちが人ありきでやるんじゃなくて、プランをある意味、公募ではないですけれども広くやって、その人たちに企業も探してもらえばいいわけだし、商品も探してもらえばいい。探してきた人には、そこと一緒になってやってもらうから、一緒になって連帯責任を負っていただくというふうに、こういうのを今ぜひやるべきだということを、実はOECDの方もおっしゃられているんですよ。日本政府がやるんだったらぜひ一緒にやりたいと。やりたいとおっしゃられているんですよ、これは本人に聞いたんだから、私。そういう話をしたら、韓国もやりたいと言っているというんです。
これは我が国だけじゃなくて、我が国でやれば、アジアの一つの受け皿、成功例をつくること、いきなり物すごく大きなことはできなくても、この仕組みが構築できれば、それが一つの成功事例となってたくさん広げていくことができるんです。
そうすると、年商で五十億、百億で海外展開をちゅうちょしているような中小企業、でも、地方に行けば五十億、百億でもかなり大きな会社なんですよ。その下の会社でさえ、そういう仕組みがあれば大きくなれるんですね。それが五十社、百社出て、実際に失敗するところも出るでしょう。でも、その中の一つ二つが第二の楽天、第二のアマゾンになるかもしれないわけです。
今からせっかく、TPPもそうですけれども、グローバル展開、こういう租税と二重課税の問題、いろいろなものを、ルールをクリアしていく中で、それはクリアするのも大変ですけれども、クリアするだけじゃなくて、積極的にこういう機会を利用して、本当にオール・ジャパン、少子高齢化の中で、そうやって、社会の今の仕組みのピラミッドの中に入り切らなかった人たちに、これも再チャレンジだと私は思うんです、お金じゃなくてチャンスを上げる。
持ってきたものに対してどうやって一緒にやっていくかを考えるような組織、こういう組織は、今まで我が国には本当にトータルでそれができるものというのはなかったと思います。
こういうものをぜひつくっていただきたいと私は思いますし、日本維新の会の経済政策の一つとして、私もプロジェクトチームの一員なので、提案をしてまいりたいというふうに思いますけれども、こういった展開について、甘利大臣の御感想をいただければと思います。
○甘利国務大臣 日本の中小企業、中堅企業が海外展開する際、あるいは逆に海外から国内投資を呼び込む際、やはり一番の問題は、いろいろあるけれども、ワンストップで処理をしてくれるシステムがあるかどうかが一番大事だということをよく聞きます。しかも、そのワンストップが、ただ受付窓口、これはあっちに行ってください、こっちに行ってくださいじゃなくて、ある程度のことはそこで消化してくれるというと、投資のハードルはうんと下がってくるという声を聞きます。
この海外版を日本の中小・中堅企業に対してどれくらい提供できるかだと思うんですね。これをジェトロや大使館を通じて、連携をして、もちろんジェトロが中心になるんでしょうけれども、ワンストップの窓口であり、ただ受付が一個あるというだけじゃなくて、ある程度のそれから一歩踏み込んだ対応までそこで相談できるというようなことにしていくことが一番大事だというふうに思っております。
もちろん、いろいろ、海外展開する一貫支援のファストパス制度であるとか、現地での知財や法務、労務の相談を一元的に受ける中小企業海外展開現地支援プラットホームの整備等々、ある程度進んでいるところはあります。
実情に見合って、名実ともにワンストップサービスができるように、いろいろと対応をしていくべきだと思いますし、そういう努力を払いたいと思います。
○中丸委員 ありがとうございます。
そういった意味では、先ほど韓国の例を挙げまして、韓国が大きなシンガポールを目指すんだというようなお話もさせていただいたんですけれども、我が国も、そうやって、本当に中小企業を、いろいろな技術やアイデア、行動力を持っているところを、もっともっと眠っているダイヤモンドを掘り起こして、それが形になるように、待っているのではなくて、掘り起こしをする作業自体を積極的にやる必要が、これからの日本経済を強くしていくために本当に必要だと思います。
そういった意味では、今大臣からも非常に前向きなお話はいただきましたけれども、お疲れのところ、なかなかあれだとは思いますが、もう一言、ぜひとも、こういったことを本当に各省庁、民間企業も飛び越えて、さっきも申し上げたように、今の既存の組織に上り詰めることができなかった人たちの大きなチャンスとして、政府のつくった組織とか政府の出先機関の窓口でやると、どうしてもワンストップとはいっても結局窓口だけになって、これがジェトロさんも実際そうなんですよね。だから、そうではなくて、それをやりたいという人が出てくるのを受け入れるような形についてお考えいただけるかどうか、御答弁いただければと思います。
○甘利国務大臣 これは、投資を受け入れるのも、それからこっちから出るのも同じようなことだと思いますが、受け入れる方の会議の議長役を私が、閣僚会議をやって、きょうスタートすることになります。
今まで、外資の関係者から対外投資をするに当たって何がハードルかと、もちろん税とかそういう問題もありますけれども、それ以外にも、この海外版とか、ちょうど裏返しの話でありますから、応用できると思います。そして、投資をしようとする企業からの要望事項を、今度は外に出ていく企業に対する裏返しの支援として、それをいかにワンストップで、受付窓口を一つ置くというだけではない、本当の意味でのワンストップで整備できるか、これから検討していきたいと思っております。
○柴山委員長 中丸君、質疑時間が終了です。
○中丸委員 はい。
ありがとうございました。
ぜひとも、国内の産業基盤、経済基盤を底上げするために大変大切なことだと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げて、終わります。
○柴山委員長 次に、杉田水脈さん。
○杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。
本日は、まずは株式会社地域経済活性化支援機構法のことについてお尋ねをしたいと思います。
この支援機構なんですけれども、地域から期待されている主な業務というのはいわゆる人材の派遣、専門的な人材の方々を今までだったらファンドだとか地銀だとかいったところに派遣していて、今回はそれをさらに広げて、その先の中小企業なんかにも専門家を派遣していくという改正になるかと思うんですけれども、これは、私、地域の経済を活性化させる、そのことをしっかりそこの中に入ってアドバイスをして回していくというのは非常に難しいお仕事だと思うんです。
この仕事をされる、派遣される専門的な知識を持った人材というのは一体どういった方なのか、また、その人たちはどういう要件を満たしていて、どういう処遇でというか、どういう働き方で派遣をしていくのか、そこの具体的な部分について最初にお尋ねしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
機構による専門家派遣は、派遣先である金融機関等のニーズにより派遣先での活動が決まってきますことから、派遣される専門家の能力、それから今御質問のございました派遣期間等を一概に申し上げることは困難でございますが、これまでの機構の派遣業務を事例として申し上げますと、例えば、企業価値の見きわめや再生計画の策定、ハンズオンによる経営指導といった経験を有する方、またファンドの組成や運営業務についての経験、知見を有する方などを、金融機関や事業再生ファンド、地域活性化ファンドに派遣しているところでございます。
今後とも、機構が専門家の派遣を希望する方々のニーズをきめ細かく酌み上げまして、事業再生や地域活性化事業の支援の担い手の支援能力の向上に資するために、最適な人材を派遣していくよう、しっかりと指導してまいりたいと存じます。
○杉田委員 派遣先の求めに応じて非常に柔軟性があるという御答弁だと思うんですけれども、使う側からすれば本当に使い勝手のいいというか、私は、望ましい、そういう制度だと思うんですが、逆に派遣する側からしてみれば、それだけ多様な能力を持った方々を集めていなければならないというような、さらにハードルが上がっているような気がするんですけれども、その確保ですね。
先ほどの中丸委員の質問の中にもいろいろ、金融機関のOBの方々をいかに利用していくかというようなことのお話もあったんですけれども、そういったことも含めて、派遣するそういう専門家の方の確保という部分は今どのようにされていらっしゃるのか、一点お聞きしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
現在、この地域経済活性化支援機構には、百名を超えます事業再生や地域活性化の専門家がおります。まずはそういう方々に、それぞれのニーズに応じまして派遣先に行っていただくということが考えられますが、さらにそれを超えまして、必要に応じまして、例えば公募等の形、さまざまなルートを使いまして、必要な専門人材というものを外部から登用していくということも今後考えていくことが必要というふうに考えているところでございます。
○杉田委員 公募も行われるということですので、しっかりとしたプロフェッショナルな方々を派遣していただけるようにお願いしたいと思います。
この機構、私は必要なことだと思うんですけれども、そもそも、各地方の自治体の中には、いわゆる産業政策課だとか産業振興課だとか、そういった、地域の経済を活性化させるにはどうしたらいいかということを日夜考えて働いていらっしゃる部署があると思うんですね。私が勤めていたような自治体でも、そういった地域の産業政策の専門の担当課というのがありました。
本来ならば、そういうところがしっかりと機能していれば地域経済は活性化していくはずだと思うんですよ。そういった自治体の中にある産業政策を担当する部署と、それからこの株式会社地域経済活性化支援機構なんですけれども、一体どのような役割分担になっているのか。それと、今まで自治体の中でそういう地域の経済の活性化を担っていくであろうその担当課がこういうことができなかったから今この機構が必要なんだとか、そういったところについてお尋ねしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
地方におきましては、特に事業再生等のノウハウを有する専門家の方々は少なく、自治体のみでは必ずしも十分な支援を行うことができないという、そのような場合も考えられるために、機構は、各地域の金融機関等の地域の再生現場の担い手に専門家を派遣できる仕組みを設けているところでございます。
ただ、今後は、こうした機構の枠組みが自治体におけます各種の産業政策と相乗的な効果をもたらすことができるよう、自治体との連携をさらに強めるよう努めてまいりたいと存じます。
○杉田委員 自治体との連携をさらに強めていくというような御答弁だったんですけれども。
実は、私、この質問をするに当たって、きのう、内閣府の方々に質問をとりに来ていただきました。そのときに、自治体の中にあるそういう産業の政策課というのが今まで機能しなかったから今回こういう機構が必要になって、今回じゃないですね、前回ですけれども、つくられたのかというような質問をしたいですというふうに申し上げましたら、そのことはちょっと内閣府ではお答えしづらいので、総務省を呼んでくださいということになりました。
総務省の担当の方が来られました。そうすると、総務省の方は、それはちょっと私どもでは答えられませんと。そもそも、その総務省の担当の方は、この地域経済活性化支援機構のことを知らなかったんです。私は役割分担についてというのをお尋ねしたかったんですが、そういうのがあるんですかみたいな反応であって、次に総務省から返ってきた答えは、経済産業省に聞いてくださいということだったんです。
というのは、例えば福祉の部局だったら、私たちの市役所もそうだったんですが、福祉の部局だったら、わからないことがあったら何かというと厚生労働省に聞くわけなんですね。だから、自治体の中でも産業とかの政策をしているところの上に当たる省庁は経済産業省なので、総務省ではお答えできませんと言う。
では経済産業省に聞きたいと言うと、いやいや、自治体のことは総務省に聞いてくださいという答えが返ってきて、きのう、結構、もう夜の七時か八時ぐらいまで、ずっと、うちではお答えできません、うちではお答えできませんの押しつけ合いだったんです。
最後の最後、私はきょう、どなたがお答えいただけるのかというお答えをいただかないまま、ここの質問に立たせていただいておりまして、内閣府の方がお答えいただいたので、本当にありがたいなと思ったんですが、思っていた以上に縦割りですよね。
要するに、地域の経済を活性化させていくということなんですよ。そこのところで、やはり連携が必要ですし、総務省の方が、この支援機構がわからないので、役割分担がどうなっているかわからないので、それは支援機構をつくった内閣府に聞いてくださいというようなことだったんですけれども、これはまた逆戻りになったり、また違う省庁に行ったりということだったんですが、ここが私、本当に一番問題なんじゃないかなというふうに考えているんですけれども、そのあたり、いかがでしょうか。
○関政府参考人 お答えいたします。
いろいろお手間をとらせまして、大変申しわけございませんでした。
実は、この地域経済活性化支援機構の法案は私も共管をしております。私どもの方の者がきちんと先生のテーマを事務的に把握して御相談しておれば、そのような返事は申し上げずに、実は一緒になってずっとやってきているものですから、意思疎通は我々の上で十分とれていますので、大変お手間をとらせて、お時間をとらせたことにつきまして、まずもって冒頭おわびを申し上げたいと思います。
実はこの機構で、今回、専門家の派遣というお話も、我々、もともとお聞きしております。これは大変いいことであると我々も思っていまして、もともと、先生おっしゃるように、自治体にも産業政策部門がございます。そこで、いろいろな専門家の派遣依頼を受けてお出ししている。
それから、私どもは最近、地域で、イノベーションサイクルといって、産学金官で、事業を立ち上げるときに専門家をそういう企業に派遣する仕組みも、立ち上げの面では用意しておりますが、事業の再生という面になりますと、自治体はたくさんございますので、中には、やはりそういう専門家が欲しいという声もございます。
できるだけ多くの選択肢を自治体の方は持ちたいというのがこれは事実だと思いますので、そういう面で我々は連携して取り組んでおりますので、昨日のことにつきましてはおわび申し上げますが、仕事の面ではきちんとやってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○杉田委員 ありがとうございます。
今後連携していっていただけるということなので、その部分に期待していきたいと思うんですけれども、確かに、先ほどおっしゃったとおり、私も、再生のところまで踏み込んでやっていけるような規模の自治体もあれば、なかなか産業政策を担えるような人材の方が集まらないという自治体も実情としてあると思うんですね。そんな中で、この機構の果たす役割は私は非常に大きいものだと思って期待をしておりますので、ぜひ連携をとりながらしっかり進めていっていただきたいと思います。
もう一点、同じような質問なんですけれども、これは、地域銀行とか地域の信用金庫、信用組合なんかにも専門の方を派遣しているんですが、これも、そもそもを言えば、きょうの午前中の質問の中にもありましたけれども、そういう地銀だとか地域に密着した金融機関で働いている方々が担う仕事じゃないかという話があって、そこのところに逆に派遣をしていかなければならない状態というのは、裏を返せば、なかなか地域で人材が見つけにくいんじゃないかとか、そういったような問題点というのが指摘されるのではないかと思うんですが、そのあたりはいかがなんでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
地域におけます中小企業の事業再生、あるいは新事業の創出等の地域経済活性化に資する事業活動というものをより確かなものとするためには、その支援の担い手である、まさに先生おっしゃるとおり、地域金融機関の支援能力というものを向上させていく必要がございます。
地域金融機関は、確かに、金融面、財務面の分析等では、当然、非常に能力を持っておりますけれども、例えば、どうやって事業再生したらいいのか、どうやってもうけたらいいのか、そのようなノウハウや経験を持った金融機関の職員というのは残念ながら限られておりまして、金融機関としましても、そのような能力の向上が課題となっているところでございます。
このため、昨年三月の法改正におきまして、機構におります専門家のノウハウというものを民間の金融機関に提供することを目的として、この専門家の派遣を行うことができるとの措置を講じたところでございます。
○杉田委員 ありがとうございます。
専門家を派遣していくことによって、今度はそこの地銀だとか信用金庫なんかが自分たちで自立をして、そういう事業も担えるようになっていくというところが将来像としては望ましいのではないかと思いますので、ぜひ頑張ってやっていっていただきたいと思います。
これまでに、この地域経済活性化支援機構さん、いろいろ、もう既にそういう派遣もしていらっしゃいますし、いろいろな相談を受け付けて、いろいろなところの支援をした実績があると思うんですけれども、これまでの事例の中で、例えば、大変うまくいった例とか、逆に、相談に乗っても専門家を派遣してもなかなかうまくいかなかった事例というのがあると思うんですね。そういう事例をちょっと具体的に教えていただきたいのと、それから、うまくいった事例とうまくいかなかった事例の、その分析をしていらっしゃるのかどうか。
うまくいった事例とうまくいかなかった事例の、どうしてこの差が生まれるのかというところをきちっと分析していけば、いろいろなことに生かしていけると思うんですけれども、そういった点をちょっと具体的に教えていただきたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
機構のこれまでの支援実績の中で、まず主な成功事例でございますが、いわゆる第二会社方式と申しまして、会社を二つに割りまして、その会社のいい部分、例えば競争優位性のある事業とか成長が見込まれる分野、そういうものの経営資源を第二会社、いい会社の方に再配分を実行したことによりまして再生を果たした事例というものがございます。
他方、最終的に残念ながら再生が果たせなかった事例といたしましては、当初支援したときの予想以上の需要の縮小等によりまして大幅な収益改善に至らず、事業再生計画の達成に至らなかったというような事例がございます。
これは、それぞれの支援案件につきまして、その支援期間中におけます業種をめぐる外部環境の変化もさまざまでございますので、なかなか成功、失敗の要因を一概に述べることは困難でございますが、当然、機構といたしましては、これまでのさまざまな経験というものをきちっと生かしながら、今後取り組んでいく案件に可能な限りやっていく。
ただ、やはり機構は、民間ではなかなか対応困難な、そういう難しい案件に取り組みますので、どうしても全てうまくいくということは必ずしも保証はないわけでございますが、いずれにいたしましても、機構といたしましては、可能な限り多くの中小企業の事業再生を図りまして、その責任を果たしていくことが重要と考えているところでございます。
○杉田委員 ありがとうございます。
きちっとした分析をなさっていらっしゃると思うんですけれども、いわゆるコアコンピタンスを見きわめたりとか、SWOT分析を行ったりとかして、それぞれの会社の強みとか弱みとか、そういったところをちゃんと分析した上で適切な指導が行われた結果、うまくいった会社が多いというような、そういう御答弁だったのじゃないかなと思うんです。
先ほどもおっしゃっていました、非常に難しい事例をたくさん取り扱ってきたということなんですけれども、ここできちっと分析ができて、こういう形をすればその事業は再生していくんだというような事例がたくさん積み上げられていくと、そうやって一つ成長戦略に生かしていけるんじゃないかなと思うんですね。
産業競争力会議なんかの中でどんどんその成功事例を出していって、こういう形の手法があるんだということを取り入れて、今後の日本の成長戦略の中にそういうのを生かしていけたらいいんじゃないかなと私たちなんかは考えるんですが、そのあたりの連携というのはどうなっているでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
大きく分けますと、二つあると思います。
一つは、機構がこれまで支援を進めていく過程で見出されたさまざまな課題、あるいは地域の再生現場からのニーズというものを踏まえまして、これもまさに昨年の法改正や今般の法改正、そういうものによって機構の機能の見直しや拡充を図るなど、まさに過去の支援から得られました経験というものを政府の政策立案につなげている、これが一つあると思います。
もう一つ、これは機構の独自の取り組みでございますが、実は、機構は過去の支援実績を取りまとめました再生事例集というものをつくって、これを公表しております。これを公表することによりまして、地域金融機関などの地域における支援の担い手と、まさにそういう再生のノウハウの共有を図ってきておりまして、こういう事例集の公表、シェアというものが地域の再生現場の支援能力の向上、ひいては地域経済の成長につながっていく、こういうルートも考えられるのではないかというふうに考えているところでございます。
○杉田委員 ありがとうございます。
もう一点お聞きしたいんですけれども、その支援をした事業の後のフォローというのがどうなっているのか。
例えば、そのときは非常にうまくいって再生が軌道に乗ったけれども、その後また失速してしまったような事業があるのか、それとは逆に、そのときはなかなか効果が出なかったけれども、時間を置いて徐々に力をつけてきたというような事業があるのかとか、そういった長期で見てのフォローというのをしていらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
機構による支援が完全に終了した後に機構が引き続き事業者の状況をフォローしていくということはなかなか制度上困難でございますが、まず、その支援を終了する、いわゆる出口、エグジットするに際しましては、機構は、当然のことながら、その事業先会社の経営の今後の見通し、本当に事業支援を終わらせて大丈夫かということをきちっと分析し、見きわめるということをやっていくことが大事だと思います。
その上で、このエグジット、機構が支援を終わった後は、やはりこれは、まさに民間の金融機関というものがきちっと継続的な資金供給等を通じまして、その事業者とそれまで以上に強固な関係を築いていく。要するに、金融機関が今度はきちっと事業者を支えてフォローしていくというようにしていくことが重要ではないかというふうに考えているところでございます。
○杉田委員 ありがとうございました。
しっかりと出口のゴールイメージを決めて取り組んでいらっしゃるということですので、そのあたり、しっかりまた進めていっていただきたいと思います。
いろいろ説明を受けたときに、支援実績なんかも見させていただいたんですけれども、例えば相談の受け付け件数が、地域経済活性化支援機構では百五件となっておりまして、企業再生支援機構と合わせまして四百二十三件という形になっておるんですけれども、これは、全国展開として見れば、まだまだもっと数が伸ばせるんじゃないかなと思うんです。
相談に来ていたら救えていたはずの会社とか、そういうようなものが一体どのくらい存在するのかということと、では、なぜその会社はなかなかここの機構に相談に来ることができなかったのか、そういったことについての考えられる理由の分析はなさっていらっしゃいますでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、旧企業再生支援機構におきまして、相談に来なかった理由というものについて、なかなかお答えするのは難しいのでございますが、一つ考えられる理由といたしましては、地域経済活性化支援機構になる前の旧企業再生支援機構の時代でございますが、この時代には、支援対象事業者の名称等の公表義務が課せられておりました。
これが、特に中小企業の場合におきましては、仮に支援を受けることになりますと、名前が公表されるということになりますと、やはり地域では風評被害につながる、そういう懸念から、機構の活用をためらわせるというような指摘がなされたところでございます。
このようなこともございましたので、昨年の機構法の改正におきましては、こうした問題の解消を図るため、支援先の名称等を一律に公表することは義務づけないこととしたところでございます。ただ、当然、国民の皆さんに対する説明責任を果たす観点から、支援対象事業者の属性、例えば所属の地方とか業種というものは公表することとしております。
また、機構自身による多くの企業を支援するための取り組みとしましては、先ほど百五件という話がございましたが、やはり今、地域経済活性化支援機構に改組いたしましてから、機構の職員が全国の金融機関を年間で延べ七百件程度訪問しまして、再生支援の相談や質問を受け付けまして、支援案件、相談の掘り起こしというものを進めているところでございます。
今後とも、こういう機構の取り組みを促しまして、できる限り多くの中小企業の皆様の御相談に乗って、支援をしていくというふうに努めてまいりたいと存じます。
○杉田委員 そのような訪問をして、ずっと広報活動に努められているということで、今後も頑張っていただきたいと思います。
それから、匿名のシステムが導入されて、そういう会社の名前が公表されなくなったという点は私も非常に評価したいと思いますが、一番最後に、例えば、結果が出せて、晴れてそこの事業とかなりが軌道に乗ったときには、ぜひそれは名前を公表して、そうすると、全国からそこのところに視察がいっぱい行ったりとか、また注目が集まるということになりますので、匿名にするというのは私は一つ非常にいいアイデアであったと思いますが、それを今後、うまくいったときには公表していく、どの段階で公表していくかということについても検討していただければと思います。
地域の経済の活性化を支援する政策というのは非常にたくさんあると思うんですけれども、例えば中心市街地活性化法なんというのも、こういう地域の経済を活性化するような政策ではないかというふうに思うんですけれども、私は、そういったたくさんある中でも、この地域経済活性化支援機構のシステムについては非常に評価をしたいと思うんですね。
それはなぜかというと、頑張るところを応援していこうというような、一生懸命頑張っている、努力しているところを応援していこうというシステムになっている部分を非常に私は評価をしていきたいなというふうに思っているんですね。
例えば中心市街地活性化法なんかは、ばんと、ここの地元の商店街を全部活性化させましょうということでいろいろ支援をしていくんですが、その商店街のお店の中には、頑張っているお店もあるし、頑張っていないお店もあるしというようなところも全部まとめて、もう全部支援しちゃいましょうというようなところがある中で、本当に頑張っているところを支援していこうという姿勢が評価できると思うんです。
これは、中心市街地活性化法だけではなくて、我が国の政策というのは、例えば農業にしたって、大学の補助金にしたって、頑張っているところも頑張っていないところも一緒くたに同じ基準で全部支援しましょうというような施策が私は余りにも多過ぎると思うんですね。
どんどんどんどん、こういった今回の支援機構のような、頑張っているところに本当に支援が届くというような政策に転換していっていただかなくてはいけない、今後の日本の政策は。それを日本維新の会としては強く望んでいくところなんですけれども、こういった事業として成り立つところだけを、頑張っているところだけを支援していくシステムに今後どのように転換していくのか。
これは全体のことなので、産業全体の方向性として、大臣にお尋ねしたいと思います。
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、この機構は、一言で言えば見込みのあるなしをしっかり目ききして、見込みのあるところについては手厚い自立策を応援していくということになるわけであります。
機構は、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている、そういう事業者に対して、債権の買い取り等を通じた事業の再生支援等を行うことを目的としているわけでありまして、具体的に申し上げれば、支援基準に従って事業者の再生可能性等を審査しまして、再生が見込まれる事業者について支援決定を行うものであります。
機構の業務は、まさに御指摘のとおり、頑張っている事業者をしっかりと支えていくということでありまして、今後とも、機構がより多くの事業者に対して適切な支援を行っていくよう促してまいりたいと思います。
べたで救いの手を差し伸べるのか、やる気とか可能性のあるところにより手厚く伸ばしていくのか、それは確かに、本人のやる気と能力とポテンシャル、それを引き出して、自立していくように支援していくというのが本来の産業政策の原点だというふうに思っております。
そういう思想は、安倍内閣において、この機構だけではなくて、どう産業化をしていくのか、これから、今まで産業化という視点のなかったか、あるいは少なかった農業であるとか医療や介護の世界に産業化という視点を当てて、そして、いろいろと革新的な努力の意思に富む人たちが事業に活躍できるようにその能力を引き出す、そういう環境整備をしっかりしていきたいというふうに思っております。
○杉田委員 実際に私が市役所に勤めていたころに、そういった産業政策を担当するところの課長さんとお話ししたことがあって、商店街に対して補助とかを出しているわけですよ。でも、もうそこはシャッター街で、後継者の方もいらっしゃらないというところなので、では、これは、商店街の補助をやめてしまったら、この人たちは多分もう生活保護になってしまうだろう、だから、これを産業政策でお金を出すのか、福祉政策としてお金を出すのかだけの違いなんだというようなことをおっしゃっていた課長さんがいらっしゃいました。
だから、本当に私たちが思い描いている地域経済の活性化というところよりも、もっと本当に低い次元のところでしんどい思いをしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるという中で、今後は、私は、そういうところがあっても、もう、先ほど大臣がおっしゃった、べたでみんなを救っていく政策よりは、やはり、可能性があって頑張っている人たちを支援していくというところに、どこかできちっと切りかえて、判断をして、政策を引っ張っていかないといけないというふうに思っておりますので、大臣には期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
続いて、大臣、お疲れのところ申しわけございません、TPPについての質問に移っていきたいと思うんですけれども、まずは、これはどういう方向に持っていかれるのが一番日本としてベストなのか、今の段階で大臣が考えていらっしゃいますTPPのゴールイメージというものについてお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 まず、TPPが従来のFTA、EPAと違うのは、カバレッジの範囲が物すごい広いということと、それから、かつてないくらいに深掘りをしようと。つまり、広さと深さが違う。体積で圧倒的に違うというものをつくり上げていく、それが結局、参加国全てのプラスになるという共通認識でやっているわけです。
ただし、当然、国柄というのはありますから、それから経済の進捗状況の差というのはありますから、その国柄、どうしてもその国が最低限守っていかなきゃいけない、カバーしていかなきゃいけない部分というのは相互にしっかり思いをはせて、だけれども、しかし、それで全て網をかぶせてしまわないで、最低限何が必要かということをしっかり各国が認識し合って、そして、そこから一歩出るところについては、思い切って自由度合いを広げていく、深めていく、そういうトライを今各国がしているところでありますし、各国の担当大臣が、ある部分、国内関係者に理解を求めつつ行っているわけであります。
現状で、全く深掘りあるいは幅広ということをしないということであれば、在来型の経済連携以下になってしまうわけでありますから、そこにどこまで各国の担当者が踏み込めるかということだというふうに思っております。
これは、物品の関税以外に、ルールの分野とか、それから関税以外の市場へのアクセスの自由度合いを高める等々ありますから、日本の企業が対象国企業に投資をしていく際、投資が守られる予見性、各国が想定していないような行動に出たときに、ちゃんとそれについて抗議を申し出ることができるとか、あるいは、一国では守られている知財が別の国に行くとじゅうりんされてしまう、そこにきちっとしたルールを位置づかせるとか、いろいろな新しい分野があります。さっき質問で出ていました電子商取引のルールなんというのも、ないから混乱しているわけであります。
そして、その分野は、これからどんどん経済取引なんかでふえていくわけです。そこで、より適切なルールを先につくって、それを世界じゅうに展開していく、その一番もとになる仕組みだと思うんですね。参加各国、全ての国にとってプラスになるような着地点を目指していきたいというふうに思っております。
○杉田委員 国益と国益の戦いだと思うんですね。最前線に立って戦っていただいている甘利大臣には、本当に心からエールを送りたいと思っております。
次に、どうしても、TPPの問題となると、製造業とか医療とか農業がどうなるのか、そういった報道しかなされないという部分が大きいんですけれども、日本の産業の大部分を占める、GDPの七四・九%を占めるのは第三次産業なんですね。この第三次産業というのが、TPPによってどのように変わっていくのか。
私は、これはメリットの方が大きいんじゃないかと思うんです。きょうはこれを質問しようと思っていたんですけれども、ちょっと時間の関係で割愛させていただいて、多分、この第三次産業においてはもたらすメリットの方が大きいと思うので、そういったところももっと表に出てくるような、報道に載って、国民の皆さんが興味を持っていただけるような方向性に行くことを私としては期待しております。
最後は、TPPのことからもちょっと離れまして、経済財政政策担当大臣として甘利大臣にお聞きしたいんです。
例えば、経済産業省のホームページなんかを見ますと、クール・ジャパン戦略なんというようなものがばんと載っておりまして、では、今、日本の現状はどうで、世界の市場がどうなっていて、世界の人たちがどのような商品を、どのような価格で、どのくらいの量が欲しいのか、いわゆる市場分析をして、それをもとにして戦略を立てている、私は、これはあるべき姿だと思うんです。
逆に、では今度、農林水産省のホームページを見て、農業・農村基本計画なんというのを読みますと、私たちはここが困っています、耕作放棄地が多くて困っていますとか、困っています、困っていますというような感じの施策が多く並んでいて、消費者が望む姿というか、そういう市場の分析を行って戦略を立てていこうという姿勢が全く見えないんですね。
これは、先ほども省庁の縦割りの話というのがあったんですけれども、こういったところで、いいところの部分はそれぞれの分野にも生かしていったとして全体の産業の活性化というのがなされていくと思うんですけれども、そのあたり、今後の経済の財政政策担当の大臣として、今後、こういう縦割りを排して日本の産業全体を活性化させていくというところで、大臣の意気込みをお聞きしたいと思います。
○柴山委員長 甘利大臣、質疑時間終了ですので、端的にお願いいたします。
○甘利国務大臣 日本経済再生本部は、本部長は総理であります。私は、ある種事務局長的な役割をしております。そこで成長戦略、再生戦略をつくっておりまして、例えば、農業をいいますと、農業、守るというのが主語、述語という感じで来るんですが、農業、攻めるという逆の発想で捉えてみたいと今思案中なんですね。農業を新たな産業フロンティアとして捉えていく。
和食が世界遺産登録をされました。オバマ大統領を安倍総理がお招きするのに、極めて有名なすし屋さんを選んだ、大統領はすしを食うのかねと言ったら、大好きだと。そして、今まで生きてきた中で食べたすしで一番おいしくて、一番ハッピーな時間を過ごしたということなんですね。
世界を見ますと、日本食はいっぱいあるんですけれども、怪しげな日本食がほとんどです。オーセンティックな、本物というのは少ない。ですから、日本の食文化が遺産に登録された、しかし、本当のすばらしさに接せられる環境に浴している人は少ない。これは、新たなフロンティアになるわけですね。
ですから、守っている分野というのは、逆の発想をしてみれば、幾らでも攻められる分野になるんじゃないか、そういう発想をもって成長戦略に取り組んでいきたいと思っております。
○柴山委員長 質疑時間が終了いたしました。
○杉田委員 大臣、ありがとうございました。
終わります。
○柴山委員長 次に、山之内毅君。
○山之内委員 日本維新の会の山之内毅でございます。
冒頭、先ほど私どもの松田理事とも民主党さんとも協議させていただきまして、甘利大臣、大変お疲れでいらっしゃるということですので、私、一、二点質疑させていただいた後、隣の別室で、よろしければ御休憩いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、お聞きしたい一点、二点。
単純に、先ほども再三申し上げられましたけれども、TPP、今後に対する決意の方と、あとは、今の現状、今回の法案なんですけれども、地域経済活性化支援機構法案、私は、こちらは地方ほど必要としているんじゃないかなと思っております。やはり、今のアベノミクス、この現状認識ですけれども、安倍首相も、全国津々浦々までその波及をさせなきゃいけないという中で、私はやはり、都市部と地方というのは徐々に徐々に格差が出てきているかな、そういった仕組みに今日本はなっているのかなと。その中で、こういった支援機構法案もさらに活躍していただきたいと思うんです。
この二点についてコメントしていただきまして、その後、御退席をお願いいたします。
○甘利国務大臣 済みません、各党に御配慮いただいて、本当に感謝を申し上げます。
まず、TPPであります。
TPPは、何と表現するか、意味ある前進はあったと思います。
今まではサムプログレス、少し前進した、これが今回はもう少し意味ある前進があったというふうに思っております。それは、日米間で協議をしております中で、いろいろ整理がついてきた。だから、みんな着地したというんじゃなくて、きれいに整理ができてきて、では、あとどういう方向で努力をすれば着地するんだと。その可能性は、従来に比べればはるかに高くなってきたんだと思います。
そういう意味で、今回の日米協議というのは極めて意義深いものだったというふうに思っております。もちろん、まだ重要な部分が着地したわけではありませんから、しかし、その目指すべき道筋について霧が晴れてきたという感じで受け取っております。
日米間、やはり、重要五品目プラス自動車でありますが、両国にとって極めてセンシティブな部分であります。そこの部分に焦点が当たれば当たるほど、国内の理解をどう得るかというのが難しくなってくるのでありますけれども、ここは、なかなか表現が難しいのでありますけれども、いろいろなことが結構整理ができてきたと思っております。
オバマ大統領も、自身のレジェンドといいますか、二期八年間の実績の大きな一つにこれをしたいという意志がかなり強いんだと思います。でありますから、ぎりぎりまで両大臣に号令をかけようということを、首脳会談の席で、フロマン代表と私に向かって、今この場を抜けてもいいからやってくれというぐらいの思いだと。二人とも眠そうだからコーヒーを差し入れしようかとか言うぐらい、かなり前のめりになってきている。アメリカ自身が、どうしても収れんさせたいという強い意志を持ったということ。ということは、もちろん日本側も、国益を主張しながら、そう言う以上はそちらも譲る部分は譲るんですよという主張がより明確にできるということだったというふうに思っております。
いつ着地するのかというのは、これは非常に難しい話でありますけれども、オバマ大統領は中間選挙に向けて、もちろん完全妥結には時間はうんとかかりますよ、細かい作業がありますから。ですが、一応十二カ国が着地をするというのを、その目星が立つのを恐らく中間選挙に対する実績にしたいという思いがあるんじゃないかと思います。ですから、そういう意味で、中間選挙を越えるという意見もありますけれども、むしろそれを実績にするんじゃないかという意見もありますから、だんだん着地点の時期がはっきりしてくるんじゃないかと思います。
わかったような、わからないような答弁で済みません。
それから、地域間格差の話です。
これは、確かにアベノミクスでいろいろな数値が、経済指標がよくなってきました。ただ、体感温度でいうと、やはり地域の人は、まだそれが俺のところまで来ているという感じがないよというのは多いです。
そこで、どうやって地域に届けるか。
地域版の産業競争力協議会というのをつくって、成長戦略の地域版の提言もいただいています。この間、その知事さん方に集まっていただきまして、私が直接お話を承りました。
こういうアイデアもありますけれども、今回のREVIC法の改正で、地域の経済の中核となる中小企業の再生を図っていく。その際に、地域のファンド等から、機構にこういう機能があればより再生が進むのではないかという声を受けて、機構法の改正案を今日出させていただいた次第でありまして、地域の経済の中核となる中小企業の再生を図っていくとして、そして地域の再生システムを強化していく。地域金融機関についても機構のノウハウを移転して、いい事例をつくって、みんなであとはできますよねという環境をつくっていくということのために資するものというふうに思っております。
〔委員長退席、橘委員長代理着席〕
○山之内委員 ありがとうございます。
では、甘利大臣、どうぞ、御休憩の方を。
では、引き続きまして質疑をさせていただきたいと思います。
今回、先ほど甘利大臣もおっしゃられました、アベノミクスの方ですけれども、体感温度としては、まだ地方の方まで届いていない。私も、日銀が発表されたさくらレポートというのを拝見させていただきました。全体的には「緩やかに回復している」や、回復しているというのがあるんですけれども、やはり、そもそも都市部と地方で産業構造が違ったりする。特に、私は地元が九州、鹿児島ですけれども、九州は、どちらかというと公共事業の受注が多くなっている。そういった、そもそも都市部、東京もしくは関西圏、九州でも福岡と地方中の地方というのは産業構造が多少違うのかなという認識です。
その中でよく言われるのが、その各地域地域の市場規模というのが今後拡大していく、未来に向かって拡大していくというものを、ブルーオーシャンと言うと聞いております。逆に、その市場規模が縮小していくところをレッドオーシャンと、ある意味、残酷な言い方であれば血の雨が降るような、要は、各地域の市場が拡大していき得るところというのは、比較的、地方の戦略が立てやすい。
これはもちろん、地方だけで任せてもできることじゃないと思うんですね。国、自治体が連携しながら、政治、行政も連携しなきゃいけない。これは今回の件もそうですけれども、銀行そして民間の企業の方々も連携しないといけない。地方の一企業だけ、それとパートナーの銀行だけでやっても厳しい。
というのは、私の地元、鹿児島で、今売り上げを伸ばしている企業というのはどういったところかといいますと、お話しさせていただいた、一つの印刷業の方がいました。その印刷業の方はどういった戦略を持っているかというと、もう鹿児島の市場はある意味諦めた。八割は、都市部、東京でビジネスをしている。本店は鹿児島にあるんですけれども、例えば山梨と東京あたりに印刷工場を置いて、今は電子で受注できますので、メールのやりとりもできる。そこからどんどん、都市、首都圏に印刷物を出している。これが収益の八割ですね。
それとか、例えば小売りの宝石店であっても、鹿児島が本店ですけれども銀座だとか表参道に店舗を出して、その収益を鹿児島に還元させるだとか。あとは、通販ですね。通販事業というのは、例えば本店は鹿児島であっても、ビジネスの商圏は、直販すれば全国に行ける。ある意味、地元の商圏とは別なところの商圏、いい商圏をターゲットにしたところというのは、実際に売り上げも上がって、収益も上がっている。
私も地元でそういった中小企業の方々とお話しさせていただいたり、地方銀行の何々会というのがあるんですね。大体二十社ぐらいでしょうか、各、何々市、何々店の集まりがありますけれども、そういったところに行かせていただくと、やはり、商圏を外に求めて積極的に戦略を立てられるところは営業成績が伸びていって、極論を言うと、売り上げであれば二桁ぐらい違ったりする、そういったところがあるんですね。こういった現状が、今の日本の現状の一つだと私は思っているんですね。そこで、今回、株式会社地域経済活性化支援機構法案の一部改正があるということだと思います。
まず、今回、その認識の中で、REVIC本体が、そもそもある程度案件を抱えていらっしゃる。それからまた、私もお聞きしますと、山口だとか北海道、和歌山それから関西圏、そういったファンドが出てきた。細かく言うと、子会社のREVICキャピタルというところがしているようですけれども、そういった、今後、まず本体で何件あって、それから、各、細かいところ、例えば山口ではどういった件数があるのか、こういった点を教えていただけますでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
昨年三月に地域経済活性化支援機構としてスタートしたわけでございますが、まず、事業者に対する直接的な支援は十件でございます。これは全国で十件でございます。その内訳を見ますと、一件の中堅企業を除きまして、中小企業や医療法人、学校法人が支援先でございまして、ほとんどが中小企業となっております。
また、百十七件の個別的な事業再生の相談も受けておりまして、そのうち、金融機関や事業者等において調整中のものが五十九件、デューデリジェンス等、事業者、金融機関と具体的な調査、協議中のものが十八件となっています。
また、今先生からお話がございましたような事業再生ファンド、地域活性化ファンドというものを現在五件設立しているところでございます。
あとは、これは昨年から始めたのでございますが、専門家派遣ということで、全国の地域金融機関、事業再生ファンドに対しまして、現在、十九先、専門家を派遣しているところでございます。
○山之内委員 ありがとうございます。
この他に、地域に新しく五件あるということです。これは、どの程度ふやしていくのか。
例えば、もちろん、これは、国の方がふやしたいと言っても、地元の地方銀行さんから初め意見が合致しないとつくれないとは思いますけれども、今後、四十七都道府県の中でどの程度の規模を検討していらっしゃるのか。どの程度ふやす、こちらとして、国としてあるのか、そちらの方を教えていただけますでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
確かに、これは相手のニーズがあるのでなかなか一概には言えませんが、一応、私どもは、あくまでも予算積算上の数字でございますが、このように考えてございます。
一つは、まず、大きく分けますとファンドというものは、REVICが、地域経済活性化支援機構が出資できるのは二つの種類のファンドがございます。一つは事業再生ファンド、もう一つは地域活性化ファンドでございます。
予算積算上の話でございますが、今考えていますのは、事業再生ファンドにつきましては全国を十のブロックに分けまして、そこの十のブロックに二つずつぐらい。それから、地域活性化ファンドにつきましては各県、つまり、四十七ということであります。そういう意味では、合わせて六十七のファンドに出資ということを予算積算上は見込んでございます。
また、一ファンドの平均規模は、今、平均値でいいますと二十から三十億ぐらいでございますので、大体、二十八億ぐらいのファンドに出資していく。また、もちろん、ファンドにおいては二十八億でございますので、その最大五〇%と見まして十四億、最大十四億で六十七ファンドへ出資するというようなことを予算積算上は見込んでいるところでございます。
○山之内委員 ありがとうございました。
各都道府県にそちらの地域活性化ファンドは計算上は四十七されている、事業再生の方は二十で六十七ということをお聞きいたしました。
ここから後は、今後、そういった地域にファンドができていく。先ほど、我が党の松田理事の方からも話がありました。できればこういったファンドがなくて、健全に運営されている、そういった社会というのが望ましいと。例えられて、必要悪だと言われましたけれども、私もそう思います。本来は、銀行がそういった多少のリスクをしょって融資される。でも、かといって銀行だけを責めても、これは厳しいところもあるのも実情だと思います。
というのは、私も、先ほどと重ねてなんですけれども、地方になると、伸びていく産業というのはなかなかないという現状ですね、なかなか厳しい。やはり融資をしたくても、そういった、今後伸びていくだろうところを見つけ切れないというのも現状あると思います。これは、もちろん人材の面から、人、物、金、こういったもの全てですね。やはり、各四十七都道府県に置いていく中で、地方中の地方ほど、これを成功させるというのは極めて難しいのかもしれないと思います。
その中で、なお肝になるのは、やはりこれはNIH、日本版NIHとは言わなくて、健康・医療の法案もありましたけれども、あのときもお話でありました、やはり目ききになると思っているんですね。これから伸びるところ、そういったものはどうか、それを目ききする方がある意味キーマンになる。そういった状況だと思います。
この前も、アマチュアですけれども、鹿児島出身の、まだプロゴルファーじゃないですね、女子ゴルファーで勝みなみちゃんという方がいらっしゃったんですけれども、あの方も、私は、まだ彼女が小学生のころからゴルフ場とかでも隣にいたんです。例えば、ああいった方が今後伸びるだろうなというのを見きわめる力だとか、それとは別に、ある意味、もう企業体としてはかなり厳しいなというところもあるかもしれない、でも、うまくスイッチを入れれば変わるかもしれない、この目ききというのは極めて重要になってくると思うんですね。
その中で、今回改めて、今までのGP出資というところからLP出資というのも加えた。当初はなかったLP出資、これを入れた意味、効果をどのように検討されているか、こちらについて教えていただけますでしょうか。
〔橘委員長代理退席、委員長着席〕
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
昨年の機構の改正時には、機構のファンド運営子会社が民間金融機関と共同で、事業再生または地域活性化ファンドの運営者、これはGP、無限責任組合員となることによりまして、機構が保有するノウハウというものを地域金融機関に伝える、トランスファーする、伝えていきながら、事業再生等に資する資金協力を行っていくための措置、このような措置を講じたところでございます。
一方で、昨年の法改正後、例えば、このようなファンドの運営を得意とする民間事業者が、無限責任組合員、まさにGPとなってファンドをつくる。ところが、なかなか地元の金融機関が、有限責任組合員、これはLPと呼んでいますが、LPとしての出資を募る場合に、必ずしも十分な資金が集まらない場合があるとの指摘が民間の金融機関やファンド運営会社等から寄せられたところでございます。
このような指摘も踏まえまして、今回の法改正におきまして、事業再生・地域活性化ファンドに対する出資者、LP、有限責任組合員として資金を追加する、そのような業務を機構に追加することとしています。
御質問にございました効果でございますが、これによりまして、二つあると思いますが、一つは、民間ファンドの設立や、そのファンドの規模の拡大に当たりまして、機構の出資が民間資金の呼び水となることが期待されるということでございます。もう一つは、ファンド運営者、GPとしてファンドを運営している民間事業者のノウハウというものを有効活用することによりまして、事業再生や地域活性化事業の支援を一層効果的に進めることができる。この二つの効果が期待されるところでございます。
○山之内委員 ありがとうございます。
言われました、やはり地方銀行、特に地方の方だと、それだけで出資を募って集めるのはなかなか厳しい中で、呼び水ということだと思います。
そこで、お聞きしたいことがあるんですけれども、また地元で恐縮ですけれども、例えば、地方ほど銀行の数というのはある程度限られているんですね、鹿児島だったら主要なのは四社ぐらいですかね、信用金庫も入れて。
そういったところで、各銀行から出資を募って、A銀行、B銀行、C銀行と集まる。それが、例えば、今回これは再生しようという一つの会社が出てきた、そこの一番の得意先といいますか取引銀行がA社だった。そうすると、一件目はいいでしょう、例えばこれが、二件目もA社、三件目もA社、四件目もA社、そうなると、皆さん、B銀行、C銀行からすると、あれ、何かA銀行の得意先ばかり再生していないかだとか、そういったことになる可能性もある。
そういった場合の、ある意味、ガイドラインじゃないですけれども、そういったものに対するある程度の規制といいますか規則といいますか、そういったものは用意されていらっしゃいますでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
機構による支援というものは、支援基準というものに従いまして、事業の再生の見込み等を踏まえまして中立かつ公正な立場から行われることとされておりまして、今先生御指摘のような、支援対象が特定の銀行の取引先に偏るというようなことはないものと考えております。
また、機構は、支援決定を行ったときには、主務大臣に報告することが義務づけられておりますので、そのような報告を通じまして、機構が中立公正かつ適切に支援決定を行っているか、私どもがしっかりと監督してまいりたいと存じます。
○山之内委員 ありがとうございます。ぜひ適切に運用していただきたいと思います。
続きまして、経営者の保証に関する件でお伺いしたいと思います。
今回、経営者保証つき貸付債権等の買い取りをREVICがされて、経営者保証に関するガイドラインに従い整理することによって、経営者の再チャレンジを支援するということでございます。
改めて、経営者保証に関するガイドライン、これについて教えていただけますでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業、小規模事業者等の経営者保証には、経営の規律づけや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や早期の事業再生を阻害する要因となっている等の指摘がございまして、その見直しは重要な政策課題であると認識しております。
この課題の解決に向けた具体的な取り組みといたしまして、委員御指摘のとおり、経営者保証に関するガイドラインというものが昨年十二月に策定されまして、本年の二月から適用されてございます。
このガイドラインは、経営者保証における合理的な保証契約のあり方というものを示しますとともに、事業再生の早期着手や、その後の安定した事業継続等を促すための保証債務の履行請求時の考え方を明確化したものでございます。
このガイドラインの積極的な活用によりまして、中小企業や、創業を目指す方々の取り組み意欲が増進され、それらの方々の活力が一層引き出されることが期待されるところでございます。
○山之内委員 ありがとうございます。
では、教えていただきたいんですけれども、今回、保証つき貸付債権等の買い取り、いわゆる根抵当権とかを設定されていて、その中に個人の家だとか建物、そういったものが入っている場合、こういったものはREVICで買い取りしていただけるのか。片や、中には、自宅をまた別途個人的に銀行と契約をして、例えば改修、改築、増築だとか、別に個人として契約している場合があるんですね。
こちらの、事業主として、事業主体として個人の土地建物がある債権と、個人の債権、これは買い取りされるのか。そして、個人の債権に関しては、当然買い取り対象じゃないのか。こちらについて教えていただけますでしょうか。
○小野政府参考人 どのような契約で融資をされているかによるかと思います。
例えば、往々にして、個人経営者の方々は、個人の名前で実は本当は法人のために使うというような債権もございますし、そこはケース・バイ・ケースでございます。
ただ、基本はやはり、そのような、本来は事業のためなんだけれども、事業のためにお金を借りているんですが、個人の名前で保証をつけているような債権、そういうものがありまして、それを、仮にもし事業がうまくいかなくなって、どうしても保証債務を履行しなくちゃいけないというような場合、その場合におきましては、このガイドラインを使って、一旦全部そういうような保証つき債権というものを例えばREVICが買い取りまして、そこで整理をしていこうというものでございます。
そこはやはり、資金の目的によりまして、特に個人事業者の方はそういうケースが多うございますので、ケース・バイ・ケースであるというふうに考えてございます。
○山之内委員 ありがとうございます。
こちらは契約のケース・バイ・ケースということだと思います。地方中の地方ほど、中には私の知り合いでも実家が倒産してという者もいますけれども、やはりそういった、もちろん経営者保証もしつつ、すごい大事なことだと思います、かといって、では、過度に何でも個人債権をREVICがやるとなると、これは最終的には間接的に国民負担になってしまう。このバランスがあると思います。
いずれにしろ、こういったものをつくって、一日も早く、健全な形、銀行が多少のリスクをとってでも融資をしていって、健全に回っていくようなものを目指していただきたいと思います。
以上で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、大熊利昭君。
○大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。
私の方も甘利大臣にお休みいただくということで、事務方の皆さんには逆にしっかりお答えいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
まず、基本的な考え方、認識なんですが、これは、これまでも、去年の二月の、この法案の前の改正のときの質疑でも申し上げたんですが、やはり、地域を活性化する、それはもちろん大事だ、そのためにいろいろビジネスを盛んにしていく、これも大事だ、そのために貸し出しあるいは投資もふやしていく、これも大事だろうと思うわけなんですね。
例えば、私、財務金融委員もやっておりまして、先日、水戸の方に与党の皆さん、野党の我々も含めて視察に行ってまいりました。
なかなかやはり地方は大変なんだなという実感を体感してまいりまして、ある金融機関は預貸率が何と二〇%を割っているということなんですね、大変だと。貸し出しがふえないのはどうしてだろうかといろいろ議論をして、それは、金融機関数行と、そして、それとは別に地元の事業者さん何社かと、金融機関と一緒のところで議論をしてもなかなか本音も言えない部分がありますが、時間を分けてそれぞれ議論した。貸し手側も借り手側もそれぞれに理由があって、なかなか容易じゃないということは理解をしているところなんです。
では、そこでなんですが、実は私も金融業界出身でございまして、ある一時期、ファンドのビジネスもかかわったことがあるんですが、このファンドというのは、資本主義と一言に言っても、いろいろなビジネス形態があるわけでございますね、物づくりもあれば、あるいは、その中で、金融機関、その中でというか、金融業もあって、その金融業のいろいろな中にある中でも、さらにファンドというのは、資本主義の中でも一番原理主義的な、一番資本主義の中の資本主義、ウォールストリートのあのグリーディーな人たちがやっているビジネスモデルなんですね。なので、根本的に、霞が関のカルチャーと水と油以上に違うものをどうして霞が関の皆さんがやるのであろうかというのが、基本的な立ち位置として疑問点としてあるわけなんですね。
その上で、いろいろお伺いをしていきたいんです。
例えば、本年の三月十九日、当委員会におきまして、官房長官に同じような観点でお伺いしました。やはり、官がいろいろお金、ファンドをやるというよりも、本来は民間がやるべきですよね、そのところについては官房長官も御賛同をいただいていて、例えば、議員からの御指摘の、議員というのは私のことなんですが、官房長官が、これがいつまでも続くとか、あるいは民のぬるま湯というんですかね、そういうことになってしまったら何もならないというふうには認識をしているというふうな御答弁をいただいておりまして、その後続けて、「そういう中で、それぞれのファンドにおいて、存在の期間というものを設けるだとか、あるいは役割を途中から民間に任せるとか、そうした創意工夫ということはしっかりと行って、所期の目的にかなうようなファンドにしたいというふうに思います。」こういう御答弁をいただいているんですね。
要するに、ざくっと申し上げますと、民間へ少しずつか、あるいは時間をかけてか、任せていくというような方向性があってしかるべきなんですが、今回、官の機能を強化するというのが、これはまさに逆の方を行っているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですが、この点についていかがお考えなんでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の官房長官の御答弁と同様、地域経済活性化支援機構が担う事業再生、地域経済活性化に向けた支援というものは、本来、民間部門において自主的な取り組みとして行われることが望ましいと考えておりまして、そのため、機構は時限の組織として設立されているところでございます。
確かに、御指摘のとおり、今般、ニーズがあるということで、LP出資、あるいは、昨年、経営者保証のガイドラインが策定されまして、その利用促進を含めていくということで、必要な機能の拡充を図るべく、機構法の改正を提案させていただいております。
しかしながら、今般、機構の支援決定また業務完了の時期についての見直しは行っておりませんで、最終的には、機構は、その役割を終えまして、機構に蓄積された各種支援ノウハウは民間部門に移転、還流していくとの基本的な考え方には変わりはございません。
○大熊委員 確認しますが、この官民ファンドの機能を追加するんですよね。そうじゃないような今御答弁があった。機能を追加するんですよね。だから、官の役割は大きくなるんですよね。そこの点、ちょっと御確認お願いします。
○小野政府参考人 御指摘のとおり、機能は拡充いたしますが、その終わる期限、支援決定期限は平成三十年三月、存続は最大三十五年三月、そこは変えないということでございまして、そういうことは、つまり、過渡的なものであって、そこのエンドは変えないということで、申し上げたかったことでございます。言葉足らずで申しわけございません。
○大熊委員 政府側の考えとすると、期限は変わっていないからいいんだ、こういうふうな理解でございますが、その間、ではさらにもっともっと機能を追加してしまったら、これは今度はまた、ニーズはあるにしても、逆に、民間との補完という以上に、小さなマーケットに鯨が来るような、水槽に鯨が入ってくるような、そういうことにはならないかというような懸念を持つわけなんですね。
先ほどの冒頭に戻ると、やはり、霞が関の皆さんのいいところを使うと、やはりコンサル機能に特化してやった方がいいんじゃないかなというふうに思うんですね。先ほど伺いましたら、国だけじゃなくて、板橋区ですか、そちらの方でもそういったところにほぼ特化したようなそういう仕組みがあるやに伺いましたが、やはりそういうところに特化して、企業支援だとかあるいは再生支援、その方がむしろ、これは私の意見ですけれども、霞が関の皆さんの、あるいは周辺の皆さんの得意なところを発揮できるのではないか。
このファンドというのは、繰り返しですが、ウォールストリートの一番資本主義っぽい、原理主義的な、そういう仕組みなので、余りにも違う体質のものを事業としてチャレンジしといいますか、やろうとして、既にやっているわけですが、ではないかというふうなことで、では、例えばということに、次、各論に移らせていただきます。
通告しているのは、まず、コロナ工業とかアークとか具体的な事例なんですが、その前にちょっと、午前中に口頭でお話し申し上げたんですが、現状の、このコロナ工業とかアークというのは、昔の企業再生支援機構のときに入った案件だと思うんですが、現在、REVICの中で、REVICキャピタルという子会社にお移りになっていらっしゃって、ここが、直近で幾つかファンドを立ち上げていらっしゃる中で、例えば、北海道オールスターワンというファンドですか、こういったものを立ち上げていらっしゃるわけなんですが、ここのGPとしてREVICキャピタルがなっている、もう一社は北洋キャピタルですか、北洋銀行の子会社、この二社でco―GPということでなっているということなんですが、まず、このGPとなっているREVICキャピタルは、第二種金融業の登録業者なんでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘のございました、機構のファンド運営子会社でございますREVICキャピタル株式会社におきましては、事業再生ファンドや地域活性化ファンドの運営を行いますことから、ファンドのGPとなり、主に機関投資家向けの募集や運用に係る業務も行うため、金融商品取引法六十三条第二項の規定に基づく適格機関投資家等特例業務の届け出を行っているものと承知しております。
○大熊委員 繰り返しですが、適格機関投資家向けということで、第二種ということではない、つまり、一般投資家は募集しないんだということでよろしいですね。
その場合、届け出であったとしても、金商法上の金融業者であることに変わりはないわけですよね。その場合というのは、普通、表示するわけですよね。会社の受付だとか、あるいはホームページを見ますと、(金商)何号とか番号を表示するんです。REVICキャピタルにはそういう表示がホームページ上にないんですけれども、これは、金商法上、法令上義務づけられていませんかね。
○柴山委員長 確認できますか。(小野政府参考人「確認いたします」と呼ぶ)
通告はされていましたか。(大熊委員「では、これはいいです。具体的にはそこまで言っていない。後でいいです」と呼ぶ)
では、確認をして、後刻報告をしてください。
では、次の質問をお願いします。大熊君。
○大熊委員 ちょっと気になったものですから。金融取引業者であるということを通常は表示することになっているはずなので、そうしていないというのはどうなのかなと。
どうしてそんな細かいことを言うんだということなんですが、実はこれは財金でもやっているんですが、ファンド、当然これは金商法で規制されているわけなんですけれども、官民ファンドだけはなぜか、なぜかというか、からくりはあるんですが、金商法の規制対象外になっているわけなんですね。民間のファンドは当然全部規制されているわけなんですが、官民ファンドというのは、こちらの今回の内閣府のファンドだけじゃないです、農水省も環境省も国交省も経産省も全て、金融商品取引法の対象外になっている。
個別にファンドそのものは二種で届けていたり、それはあるんですけれども、ファンドそのものは適用除外という仕組みではないんですけれども、株式会社だからそもそも金商法の対象外だよ、そういうところが多いわけなんですが、しかしながら、やっていることは民間のファンドと同じなので、これはやはり、金商法の趣旨からしても、同様にしっかりと管理監督する必要があるのではないかというふうなことの中で、先ほどの細かいお話を申し上げたんですね。
したがって、念押しなんですが、金商法の適用外ではあるものの、例えば、今回ですと、今回のこの法律に基づいて金商法並みの管理監督、これがしっかりなされていくんだ、こういう理解をして差し支えないかどうかだけ、ちょっと御確認をお願いいたします。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、地域経済活性化機構の場合には、GPとなりまして機関投資家向けの募集や運用を行う業務、これを行うためのREVICキャピタルという会社をつくりまして、先ほどの先生の御質問はまた確認いたしましてお答えいたしますが、金商法上の届け出を行って、そのREVICキャピタルが行うということでやらせていただいているところでございます。
○大熊委員 形式はそうなんですけれども、実態はREVICそのものがいろいろ仕組んでいるわけでございますから。このREVICという親会社は、何ら金商法上の登録、届け出をしていないわけでございますね。金商法の対象外。しかしながら、実態は、REVICキャピタルじゃなくて親会社であるREVICがやっているわけなんですね。
だから、これは、民間が同じことをやったら脱法行為じゃないかということになるおそれがあるわけでございまして、実態は、REVICキャピタルじゃなくて、REVICキャピタルは執行子会社ですから、REVICがやっているので、ここは一体として管理監督をしていただく必要があるんだろうというふうに思いますが、それでよろしいでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたように、REVIC自身、機構自身は、そういうファンドのGPとしての運用とか、そういうのはやらないようにしてございまして、そのためにこのREVICキャピタルをつくってやらせておりますので、今後とも、REVIC自身、機構自身がそのような運用ですとか募集とか、そういうことはやらないように、引き続きちゃんときちっと指導していきたいと思っております。
○大熊委員 そうしますと、REVICそのものの機能を、これをもう一回整理して、企画立案的なものに限って行うんだ、そういうことなんでしょうか。それで、それと実際の執行子会社、これはそんなに明確に区分できるんですか。包括的なものなんじゃないんですかね。
○小野政府参考人 繰り返しになり恐縮でございますが、もともと、そのREVICキャピタルというものを昨年つくりましたのは、そのようなGPというものは、きちっと別途運用子会社でやっていって、そこがちゃんと金商法上の規制を受けながらやっていこうということでやったものでございますので、そこは、繰り返しになり恐縮でございますが、きちっと分けまして、機構はそのような運用とか勧誘は行わないように、今後もちゃんときちっと分けていきたいというふうに考えているところでございます。
○大熊委員 分けるのは結構です。
そうすると、では、REVICは何をするんだ、どんな機能なんだというところをもう一度、ちょっと確認も含めてというか、しっかりと整理して教えていただけますか。
○小野政府参考人 REVICが行う業務は、一つは直接の再生支援という従来からの業務でございます。それから、専門家の派遣という業務がございます。それから、まさに先生がおっしゃったような企画。ファンドに関しましては、企画と申しますか、実際の運用や勧誘はきちっとREVICキャピタルがやるということでございますけれども、企画とかそういうものをやるのがREVIC自身だというふうに理解しているところでございます。
○大熊委員 しかし、そうすると、GPというのはファンドの業務執行者ですから、これは再生支援そのものも含んでいるんじゃないですかね。だって、GPとしてLPからお金を集めます、そこからいろいろなところに投資しにいくわけですね、再生対象企業に投資しにいくわけですよね。違いますか。ファンドから、例えばここに、今の北海道オールスターワンから対象企業にお金が出るんじゃないんですか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
私が最初に直接の再生支援と申し上げましたのは、もともと機構がやっていて、機構のお金でやっている支援業務でございます。
今先生の御指摘のございました例えば北海道キャピタルのような、これはまさにREVICキャピタルと北洋キャピタルが一緒になってファンドを組成し、そこのファンドからいろいろなさまざまな事業再生のための投融資をやるということで、そこは二つは違うということでございまして……(大熊委員「第二会社方式の方ですか。昔のもの」と呼ぶ)いや、違います。前からやっていたものです。
○大熊委員 昔の企業再生支援機構時代のスキームのことをおっしゃっている、そういう意味ですね。そこはわかります。
そうすると、これは結局、去年の二月の法改正が、前のことと違うことをやり始めた、こういうことになったということが今明らかに、私だけが明らかになったというより多くの人がそうじゃないかと思うんですが。要は、違うことをやり始めたということですよね。だって、以前のは第二会社方式等で、ファンドじゃなかったわけですから。去年の二月以降ファンドになって、今回、そのファンドの機能が追加されたということですから。昔の第二会社方式の企業再生支援機構とは違うことが、去年の二月以降、ファンドという形で、実は新しい仕事が起こってきたんだ、そういうふうな理解をさせていただきました。スキームも確かに違いますしね、以前のものはファンドというスキームではないですからね。そういう理解です。
その上で、では、その昔の二件、コロナ工業、これも以前も申し上げましたが、倒産していますね。これは、八・九億、エクイティーを突っ込んだのがゼロになっている。これに対する責任、これは責任というのは、通常、公務員の皆さんで責任と言うとやめるとか首になるとか、それを責任とお思いかもしれませんけれども、冒頭申し上げたように、ファンドというのは資本主義の原理でして、そういった場合の責任というのは自腹を切るということなんです、平たく申し上げますと。八億九千万円税金が吹っ飛んだよ、それに対して、どなたがどのぐらい自腹を切ったのかというと、多分ないと思うんですね。そこが、冒頭の、霞が関の体質とファンドというのが全く相入れないんじゃないかということなんですね。
普通、民間でやった場合、こういったケースは、ファンドのGP、つまり、独立系のファンド、自分でヘッジファンドとか投資ファンドをつくった人は、自分の財産を失うんですね。自分の財産を失うから、そういった高いリスクを負っている。だから無限責任なんですからね、GP。それに対応して三〇パーとか四〇パーとかのリターンを得るという、それが冒頭申し上げたウォールストリートのグリーディーな人たちのスキーム。これがまさにファンドなんですね。
戻りますと、八・九億円吹っ飛んだ。しかも、去年の二月、この場で法律を改正、衆議院で、この委員会で通した一カ月後に倒産しているわけで、そのときに、あと一カ月、ちょっとコロナ工業というのはなかなか大変な企業で、もうそろそろ倒産するとか何とかという情報開示は一切なかった。それで、通してみたら一カ月後に倒産しているわけですね。それは事実ですから。
その八・九億について、やはり誰も何も金銭的な責任をとっていないんだ、こういう事実関係だけ確認をさせていただけますか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のコロナ工業につきましては、平成二十三年五月に、当時の企業再生支援機構が支援決定を行いまして、以後、再生に取り組んでおりましたが、予想以上に国内需要が縮小したことから大幅な収益改善に至らず、昨年四月に民事再生の申し立てを行ったものと承知してございます。
その結果、機構の保有する株式、債権につきましては、一定の毀損が見込まれることになったことはまことに残念ではございますが、外部環境の急激な変化があった中で、機構は、それぞれの時点において、最善の対応策を検討し、実行してきたものと考えてございます。
この責任の問題でございますが、特にこの地域経済活性化機構におきましては、民間だけでは対応が難しい事業者の再生支援に積極的に取り組み、地域経済の活性化に資する事業活動を支援することが求められているところでございます。こうした役割を踏まえますと、仮に個別の再生に係る投資が最終的に毀損することとなった場合でありましても、そのことをもって直ちに機構の経営陣の責任が問われるというのは適切ではないと考えてございます。
一般論として申し上げれば、法的には、まず、機構法に基づき適切な手続によって慎重に審査が行われていること、支援後の適切なモニタリングが行われていること、それから必要が生じた場合には毀損の回避のための適切な措置を講じていくことといった、経営陣に期待される役割を十分に果たしているものであれば、責任は問われることはないのではないかというふうに考えているところでございます。
○大熊委員 私は、何もリスクをとるなということじゃなくて、こういういわゆるPE、投資ファンド、これというのはリスクがあるわけで、では、一般的に、例えば、民間でPEをやるなということじゃなくて、どんどんやった方がいいと思っているわけなんですね。
だから、問題は、今の答弁のように、責任をとらなくてもいいんだ、それがやはりどうしても霞が関の体質なんですよ。
今回、別件で、独法通則法で、独法の役員については損害賠償責任が入ることになりましたが、公務員の皆さん方、公務員法の改正で入りません、落ちましたからね。皆さんたちには責任は求めようがないわけ。まさかファンドの投資先のお金に手をつけちゃったとかそういう極端な例じゃなくて、通常の業務のもとでやっていて倒産してしまったということに対しての責任は問いようがない。だけれども、これは、申し上げたように、民間のファンドだったらそんなことはありませんからね。自分の財産が飛ぶんですよ。
だから、こういうことを、ファンドと霞が関の体質は全く違うので、これは、皆さん方の得意わざである頭を使ったコンサル機能、これに特化した方がやはりいいんじゃないかなというふうに思います。
もう一つ、アーク、これは逆にうまくいっている方の事例でございます。うまくいっている方。これは上場もし続けていますし、うまくいっていますよね。これは丸三年たっています。通常、投資ファンドというのは三年でエグジットですよ、三年から五年で、まあ七年とかもありますが。そろそろこれはエグジットの計画をもうこういった場で情報公開されてもいいんじゃないですか。かなり、これは二百億以上キャッシュがありますのでね。今期もいろいろ子会社を売ったりして、売り上げ規模は減っているようですけれども、収益、予想で、最終利益のプラスの数十億ですかね、黒転されるので、ここはひとつ早目にエグジットをして、税金負担というもの、プラスで終えた方がいいんじゃないかと思います。この点、いかがでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘のございました株式会社アークにつきましては、平成二十三年三月に支援決定が行われまして、同年六月に買い取り決定、それから機構の出資決定が行われました。その後、機構が同社の抜本的な事業再構築を進めまして、再生に一定のめどが立ちましたことから、本年三月に、機構が保有する全ての債権につきまして弁済を受けたところでございます。
今後は、機構による支援の完了に向けて、機構が現在保有しておりますアーク社の株式の処分を行っていくものと承知しておりますが、まずは、機構による支援完了後の経営の見通し等について十分検討を行った上で、機構が保有いたします株式の処分の可否が判断されていくことになるものと承知しているところでございます。
○大熊委員 順調に再生が進んだということなんですが、ちょっと具体的に、優先株九十億という理解で合っていますよね。それで、その優先株九十億をどのようにエグジットをしていく予定なのか、可能な範囲で結構なので教えていただけますか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、機構からアークに対しまして九十億出資してございますが、先ほど申しましたように、まだどうやって、機構が最後、支援を終わらせるときには、やはり、その会社が将来ちゃんとしっかりやっていけるかということを、そういうのを見きわめながらやっていきますので、現在その見きわめをやっているところでございますので、申しわけございませんが、現在のところ、私どもの手元にはその具体的な計画等のものはないところでございます。
○大熊委員 これもまた、民間ファンドとの、一般的な投資ファンドとの大きな違いなんですね、まさに今答弁で明らかになったように。
普通、民間ファンド、投資のときは、出口、どうやって売るか、何年ぐらいに、これも全て審査するんですよ、投資の入り口のときに。今言われたところで明らかになったのは、それを審査せずに投資を実行したということなんですよ。明らかにわかりませんとお答えになったですから。これがやはり違うんですよ。
もう一回申しますと、例えば、エグジットは、通常、上場するかMアンドAで売るかということなんですけれども、ある案件が入ったら、大体三年後、通常、IRR三〇パーですと、三年で倍にするんですね、エクイティー部分を。大体そのような計画で売るか、上場させるかという計画を、最初に、投資実行のときに立てるんです。
企業再生支援機構ではそれをやっていなかったということが今明らかになったじゃないですか。首を振っております。では、売る計画が明らかになっているんですか。
○小野政府参考人 申しわけありません。最初の経緯からお話しすればよかったのでございますけれども。
もともと機構も、支援決定に当たりましては、支援基準の中で、三年以内に一定の生産性の向上や財務健全化に係る基準を満たすことを求めておりまして、そういう基準をクリアするということによりまして、投下資金の回収可能性を担保しているところでございます。
また、今御指摘のございましたエグジットの可能性につきましても、投資決定の段階で事業再生後のエグジットの可能性を確認するという観点から、そもそも支援基準の要件の中に、三年以内に、新たなスポンサーの関与等において申込者のリファイナンスが可能な状況となるなど、申込事業者に係る株等の処分が可能となる蓋然性が高いと見込まれることというのは掲げておりまして、機構におきましても、支援決定時に、出口戦略、見通し等の審査は行っているところでございます。
さらに、先生の御質問をちょっと誤解いたしまして、九十億をどういうふうにして処分するかという方法というふうに誤解したものですから答えを間違えましたが、当然、処分に当たりましても、支援基準に定めています生産性向上や財務健全化の基準を満たしているか、あるいは、企業価値の向上により投下資金以上の回収が見込まれるか等々を確認して、それで最終的に判断するということでございますので、何も計画なくやっているということではございません。
○大熊委員 投資実行のときにスポンサーというふうにおっしゃいました。新たなスポンサー、事業スポンサーを探してエグジットをするんだ、そういう計画のもとに投資を実行した、こういう理解でよろしいでしょうか。
○小野政府参考人 一定期間内にスポンサーがあらわれる可能性等も含めて、エグジットができる、そういう蓋然性が高いと見込まれるかということで、必ずしもスポンサーに決めているわけではございません。
○柴山委員長 大熊君、持ち時間が終了いたします。
○大熊委員 はい。
ですから、こういうところをもっとはっきりぎりぎり詰めて、しっかりやらないといけない。例えば自社株買いだってあるわけですよ、二百億以上キャッシュがあるわけですからね。
そういうところをもっと具体的にエグジット計画を、この段階でわからないというようなことじゃなくて、もっと回収に向けた具体的な計画というのを定める必要があるんじゃないかなというふうに思います。
時間となりましたので終わります。
以上です。
○柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
時限を迎えていた企業再生支援機構を衣がえする法案が成立をいたしまして、昨年、地域経済活性化支援機構が発足をいたしました。企業再生支援機構の支援実績はわずか二十八件、目立ったのは、中小企業の再生ではなく、大企業の日航の再生で、その過程で、労働者の首切り、日航の管財人を務めた支援機構がさらには不当労働行為を行うという労働者への背信行為でありました。
内閣府に聞きますが、昨年から、その看板を地域経済活性化支援機構につけかえたわけでありますが、相談受け付け、支援実績はどうなっておりますか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
昨年三月に、地域経済活性化支援機構としてスタートして以降、本年三月末時点で、百十七件の個別案件に係る具体的な相談、機構の場合には、実際にその資料等が提出されたものを受けまして相談とカウントしておりますが、その百十七件の個別案件に係る具体的な相談を受け付けるとともに、十件の支援決定を行っているところでございます。
○赤嶺委員 中小企業の再生については、経産省のもとで中小企業再生支援協議会が同様の活動を行っております。
経産省に聞きますが、中小企業再生支援協議会では、相談活動とともに、金融債権の放棄やリスケジュールなどの支援実績がありますが、二〇一三年一月から二〇一三年十二月までのそれぞれの実績はどうなっておりますか。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
中小企業再生支援協議会、平成十五年来、全国四十七都道府県に設置したものでございますけれども、手元の数字で平成二十五年度の数字でございますけれども、四千百二十八件の相談対応をいたしまして、二千五百三十七件の再生計画の策定支援を実施しております。
引き続き、地域経済を担う中小・小規模事業者の事業再生をしっかりと支援してまいりたいと思います。
○赤嶺委員 今お答えいただいたんですが、中小企業の再生支援業務においては、中小企業再生支援協議会の支援実績、これは支援機構の数十倍もあるわけです。都道府県に組織もあるとのお話でありました。その一方で、支援機構は地域に組織もない。しかも、時限組織で、これから地域組織を張りめぐらしていくという、そういう話でもないわけですね。
今回の改正では、経営者の個人保証つき債務等を経営者保証に関するガイドラインに基づいて整理するための特定債権買い取り業務がつけ加わります。確かに、複数の金融機関の債務が整理の対象となるときには、その協議をまとめ上げるときに第三者の関与は有益であります。
経産省に再び聞きますが、経営者保証に関するガイドラインに基づいて経営者の債務を整理する必要が生じた場合、中小企業再生支援協議会はその相談や支援業務を行うことはできますか。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
再生支援協議会、再生計画の策定の支援の一環といたしまして、債権者との調整の支援を実施してございます。したがいまして、支援を実施するということは実際にできることでございます。
今後とも、経営資源を有する中小企業、小規模事業者の事業再生を一件でも多く実現するために、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 そこで、大臣にお伺いいたしますが、ガイドラインに基づく経営者の債務整理の支援という場合には、その対象は、まず中小企業そのものということになっていきます。
都道府県全てに組織を持つ中小企業再生支援協議会でも支援が可能という答弁でありました。大臣に伺いますが、東京と大阪にしかない支援機構で同じような業務を行う必要があるのか、この点を伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 今の御質問は、再生支援協議会でも経営者保証ガイドラインを利用した支援を行える、機構が特定債権買い取りを行う必要性いかん、これは支援協議会と重複するのではないかという御質問ですか。
機構のみならず、再生支援協議会においても経営者保証ガイドラインを利用した支援が行われるのは御指摘のとおりでありますが、しかしながら、今般、機構に追加する機能は、協議会とは異なって、機構みずからが経営者の保証つき債権等を買い取り、みずからが債権者となって、ガイドラインを利用して保証債務の整理を図ろうとするというものでありまして、言ってみれば、より踏み込んだ支援が可能になると期待をされるところだと思います。
さらに、機構による特定債権買い取り業務というのは、事業再生を目指す経営者のみならず、事業を一度清算した上で再チャレンジを目指す経営者の保証債務の整理をも支援しようとするものでありまして、こうした特定債権買い取り業務については、再生支援を目的とした協議会の機能との重複というのはないものというふうに考えております。
いずれにいたしましても、機構としましては、一つでも多くの保証債務の買い取り、整理の事例を積み重ねていって、ガイドラインに基づく保証債務の整理のいわばベストプラクティスを示すことによりまして、民間金融機関によるガイドラインの利用促進が図られていくように努めてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 今、大臣に答弁いただいたんですが、ただ、中小企業再生支援協議会の支援実績には、中小企業再生ファンドへの買い取りも含まれています。
今回の法案、所管は内閣府ということになっておりますが、その機構の担当室の職員八名は全て金融庁の職員が来ているということも伺いました。この法案は、実質的に金融業界を所管する金融庁の法案だと指摘せざるを得ません。
そこで、その支援機構の出資者について確認をいたしますが、支援機構の資本金二百三十一億円のうち、預金保険機構出資分二百二十六億円の出どころについて、政府出資分百三十億円のほかにどのような資金が預保を通じて支援機構の資本金になっているのですか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
預金保険機構による二百二十六億円の出資には、ただいま御指摘ございましたように、国から預金保険機構に対する出資金百三十億円のほか、民間金融機関等からの出資金九十六億円が充てられているところでございます。
○赤嶺委員 つまり、地域経済活性化支援機構の株主は、政府と民間金融機関になるわけです。
大臣に伺いますが、債権整理においては、債権を持つ金融機関はできるだけ多く債権を回収したいと考えますし、債務を負っている事業者はできるだけ金融機関に債権を放棄してほしい、このような流れは自然であるわけです。金融機関と事業者の利害は対立関係にあるのではないですか。
○甘利国務大臣 お尋ねですが、特定債権買い取り業務に基づき、保証債務の整理を図る過程で、金融機関は債権放棄を求められることもあります。でありますから、事業者及びその保証人である経営者と金融機関とは利益相反の関係となることも確かにあり得ると考えられます。
しかしながら、特定債権買い取り業務については、必ずしも利益相反のみが生じるわけではなくて、金融機関にとってみても一定のメリットがあると考えられます。
それはどういうことかというと、例えば、早期の事業再生への着手によりまして、破産に至る場合よりも多くの回収が見込まれる。ただいたずらに手をこまねいていて、破産してしまって全く回収が見込まれないことよりも、早期の着手によってより多くの回収が見込まれるということもあると。
あるいは、経営者保証に関するガイドラインに基づきまして、保証債務の整理を行うべく、機構に債権売却をすること等によりまして、金融機関の債権管理コスト、このコストも負担軽減が期待をされるといったメリットも考えられると思います。
いずれにいたしましても、機構が一つでも多くの保証債務の買い取り、整理の事例を積み重ねていって、ガイドラインに基づく保証債務の整理の、いわばベストプラクティスを示すことによって、民間金融機関によるガイドラインの利用促進が図られていくように、ぜひ努めてまいりたいと思っております。
○赤嶺委員 再チャレンジの支援ということですが、やはり中小企業、私たちが地域でいろいろな話し合いをしていても、金融機関はやはり怖いという印象を強く出してこられるわけですね。
今回の組織改正も、むしろ地方にも組織がない。しかも時限組織。中小企業や経営者の再チャレンジを支援する上で、性格も能力にも私たちは極めて疑問を持っているということを申し上げておきたいと思います。
さて、そこで、今回、日米首脳会談が行われました。TPPも問題になりましたが、一方で、日米同盟の問題、これも大きなテーマでありました。そこで、きょうは、日米同盟の問題についても、日米首脳会談について伺っていきたいと思います。
まず、外務省に伺います。
安倍首相は、昨日の共同記者会見で、集団的自衛権の行使に関する検討について、オバマ大統領から、歓迎、支持する立場が示されたと述べておられます。一方、会談に先立つ報道機関の書面インタビューでは、集団的自衛権行使の動きを称賛するとしながらも、日米同盟の枠内におさめること、国連平和維持活動が恩恵を受けることになること、そして、日本の防衛政策について各国に説明すること、説明責任などについても言及しております。
会談の場で、具体的にどのようなやりとりがあったんですか。
○石原大臣政務官 お答え申し上げます。
赤嶺委員、御理解されていると思いますけれども、会談の中の一言一句というのはこの場では控えさせていただきたいんですけれども、本日発信をいたしました共同声明の中で、一部になりますけれども、「米国は、集団的自衛権の行使に関する事項について日本が検討を行っていることを歓迎し、支持する。」という共同声明の内容を発表させていただいているところであります。
○赤嶺委員 そこで、その際に、それは日米同盟の枠内におさめることだとか、各国への説明が必要だということなどについては言及があったのか、あるいはそういう条件がついているのがアメリカ側の立場というぐあいに政府は理解しておられるのか、その点、重ねて聞きたいんですが、いかがですか。
○石原大臣政務官 安全保障の関連で、集団的自衛権等と憲法との関係の検討について、今後、法制懇の報告書が提出される見込みであり、その後、政府見解を示したいというふうにオバマ大統領に述べたところであります。
○赤嶺委員 かなりいろいろな条件もつけているなということを紙面のインタビューの中でのやりとりを見ていて注意深く読んだところであります。
そこで、集団的自衛権の問題とあわせて、尖閣諸島が日米安保条約五条の適用範囲にあることを明言したことが、これはかなり大きく報じられています。
一方で、私はテレビの中継でたまたま見る機会があったんですが、オバマ大統領は会見の中で、その見解は新しいものではない、このように述べた上で、従来の米国政府の立場と変わらないという認識を示しておりました。その一方で、大統領が強く強調していたのは、日中が事態をエスカレートさせず、あくまで平和的に問題を解決するということだったと思います。この点はどのように認識しておられますか。
○石原大臣政務官 お答え申し上げます。
共同声明の中でも、「中国との間で生産的かつ建設的な関係を築くこと」ということを書いてありますけれども、そういう考えを持っているところであります。
○赤嶺委員 かなり冷静に対応を求めていたということを強く思いました。
さて、そこで、普天間基地の五年以内の運用停止についても触れておられます。安倍首相は、五年以内の運用停止を含む沖縄県知事からの要望には、我が国としてできることは全て行うとの姿勢で対応する考えであるので、米国と十分に意思疎通しつつ検討を進めていきたい、このように述べておられます。
これは、県知事の要望に対する日本政府の対処方針を説明したもので、五年以内の運用停止を日本政府が正式にアメリカ政府に求めたものとは言えないと思いますが、この点、いかがですか。
○石原大臣政務官 普天間飛行場の五年以内の運用停止を含む沖縄県知事からの要望については、二十四日に行われた日米首脳会談において、安倍総理からオバマ大統領に対して説明をし、米国と十分に意思疎通をしつつ検討を進めていきたい旨、述べたところであります。
○赤嶺委員 知事の要望についてアメリカ側も検討するように、そういう求め方を安倍総理はしたんですか。
○石原大臣政務官 いずれにしろ、沖縄県知事からの御要望については、米国初め相手のあることでありますので、政府を挙げてその実現に向けて全力で取り組んでいく考えであります。
○赤嶺委員 アメリカに日本政府の意思として伝えたかどうかを念押ししたつもりでしたが、今までと全く同じ答弁であります。
そこで、武田副大臣に伺います。
普天間基地の移設については、安倍首相は、強い意志を持って工事を早期かつ着実に進めると述べました。
沖縄防衛局は、四月十一日、名護市に対して、新基地建設に伴う岩礁破砕や埋蔵文化財の有無に関する意見、漁港施設の占有許可などを求める六項目の文書を提出いたしました。いずれの文書にも、五月十二日までという一カ月の回答期限を一方的に設定し、回答がない場合には処理を進めると明記しております。
事業者の側が回答期限を設ける法的な根拠は何ですか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
普天間飛行場代替施設建設事業につきましては、現在、事業開始に向けた準備を進めているところでございまして、今後の調査、設計を経て速やかに工事に着手するとともに、事業期間が少しでも短縮されるように努め、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移設に向けて、引き続き全力で取り組んでいるところでございます。
このため、工事等の実施に必要な法的手続につきましても円滑かつ速やかに進める必要があると考えておりまして、去る四月十一日、文書を提出いたしました六件につきまして、一カ月後の五月十二日の回答期限として名護市等の方へお願いしたものでございます。
○赤嶺委員 円滑かつ速やかに進めたいということで一方的な期限を設ける法的な根拠はどこにあるんですかということを聞いているわけです。
今、お願いしたものという答弁でありましたが、法的根拠はないんですか。
○伊藤政府参考人 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、一日も早く本事業を進めるために、五月十二日の回答期限としまして名護市等へお願いをしたものでございます。
○赤嶺委員 お願いをしたもの、法的根拠があるかないかを聞いたんですが、お願いをしたものという答弁の繰り返しであります。
ところで、漁場内における岩礁破砕については、沖縄県漁業調整規則第三十九条で、知事の許可を受けることが義務づけられております。
許可を受ける際の具体的な手続については、沖縄県の岩礁破砕等の許可に関する取扱方針に定められています。許可申請書の添付書類の一つに関係市町村長の意見書が挙げられていますが、そこには回答期限に関する規定は一切ありません。
岩礁破砕に関する関係市町村長の意見書の提出に回答期限を設ける根拠となる規定はない、この点は確認できますね。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘のとおり、四月十五日に、名護漁業協同組合及び宜野座村漁業協同組合に対しまして、本事業に係る岩礁破砕等許可申請書に添付する同意等を求める文書を提出いたしまして、その文書の中におきましては、特定の期限は記述しておりません。
これは、諸般の事情に鑑みまして、さまざまな手続が必要であるということも考慮いたしまして、そのようにしたものでございます。
○赤嶺委員 武田副大臣、漁協には期限をつけていない、同じような手続で、名護市には期限をつける。こんなのは、同じ法律のもとで、これは公平ですかね、狙い撃ちじゃないですか。こんな不公平さ、国の手続で許されていいんですか。
○伊藤政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、名護市等に提出いたしました具体的な申請書に対しましては、六件の文書について回答期限をつけております。基本的に、さまざまな過去の事例や事情を勘案して、この回答期限というのを一カ月後として名護市等にはつけさせていただいたものでございます。
漁業協同組合に出しました岩礁破砕等に関する文書には期限をつけておりませんけれども、漁業協同組合におきましては、さまざまな手続が必要であろうというふうなことも勘案して、そういうふうな対応をしております。
○赤嶺委員 全くでたらめな答弁であります。
今度は、同じ名護市に、埋蔵文化財の有無について調査、五月十二日期限というのを出しました。文化庁に確認してみました。文化財保護法上、回答期限を設定する根拠規定はないとの回答でありました。名護市への文書提出に当たって回答期限を設けることについて、防衛省はそれぞれの法律を所管する省庁に対して事前に確認をしたんですか。
○伊藤政府参考人 具体的にその文書の提出に当たりましては逐次関係省庁に対して調整をしているわけではございませんが、全般的な状況につきましては関係省庁ともよく調整をしているところでございます。
○赤嶺委員 今回の名護市への申請に当たって、五月十二日という期限をつけたのは、法的な根拠は全くないわけですね。同じもので、一方には期限はつけていない、その理由も曖昧であります。
時間が迫ってまいりました。武田副大臣、こんな不当な、不公平なことを許してはいけないと思うんですが、撤回するおつもりはないかどうか。いかがですか。
○武田副大臣 委員御指摘のように、普天間飛行場を初めとする負担軽減策について、我々はできることは全てやる、総力を挙げて取り組んでおります。
その上で、さまざまな問題については、それぞれ個別にさまざまな環境、要因というものがついてまいります。それを適した形で、実現へ向けて総力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
○赤嶺委員 ちょっと意味不明な答弁であります。負担軽減について全力を尽くしているけれども、負担は増大するばかりで、今私が聞いたのは、こんな期限をつける不当なやり方、お願いと言うけれども、それはお願いであって何の根拠もないんだから、一方では期限をつけていない団体もある、こんな不公平なことが法のもとで許されるはずがないじゃないか、こう申し上げているんです。いかがですか。
○武田副大臣 不公平という御指摘についてどう思うかということについては、ちょっとそれぞれ事案が違うのでお答えを避けたいと思いますけれども、とにかく一刻も早い普天間の危険除去、そして固定化を避けなければならないという思いの中で、沖縄県の皆様方のお気持ちを我々も酌んで励んでおるところでありますので、どうか御理解をいただきたいと思います。
○赤嶺委員 全く理解できないですね。
政府は、地元に丁寧に説明をすると言っておりますが、実際にやっていることは真逆であります。意見書の提出は、事前の調整もなく、金曜日の夕方五時前に一方的に置いていきました。稲嶺市長は、ルールや礼儀を感じることはできず、行政として考えられない、環境アセスのときから強引に押しつけている感さえすると批判しています。
地元の意見を聞かずに、有無を言わさず基地を押しつけようとする安倍内閣の強圧的な姿勢は絶対に許されないということを強調して、質問を終わります。
○柴山委員長 次に、村上史好君。
○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。
きょうも、本当に長時間、特に甘利大臣、御苦労さまでございます。極力大臣の負担がないように質問をしていきたいと思っております。
事前には十数点、質問通告をさせていただきましたけれども、ほとんどがダブっておりますので、それをまとめる形で質問をさせていただきたいと思います。
まず、機構のこの一年の活動実績については、再三質問が出ておりました。それを、改めてでございますけれども、この一年を総括的に振り返って、まず自己評価をしていただきたいと思います。
その上に立って質問をしたいんですけれども、機構の実績は数字的には褒められたものではありません。しかし、機構側の説明によりますと、単に支援の数ではなくて、事業再生の難易度が高い地域の中核的な企業を重点的に支援することが大事なんだ、そのためにも、経済政策の一環として、機構の業務を拡充し、地域経済の活性化を図る、そのことを目的として今後展開をしていきたい、そういうことではありますけれども、それでは、具体的に、どのように地域の活性化につなげていくのか、御説明をお願いしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
事業再生を必要とする全ての中小企業に対しまして地域経済活性化支援機構が直接の支援を行うことは困難でございます。やはり、金融機関、中小企業再生支援協議会、事業再生ファンド、中小企業支援ネットワーク等の外部機関と連携して、一つでも多くの中小企業の再生支援に取り組んでいくことによりまして、トータルな意味での地域の中小企業の事業再生支援を積極的に推進していくことが重要と考えております。
ただ、こうした中で、地域経済活性化支援機構におきましても、相談件数あるいは直接の再生支援の決定件数もふやしていく必要がございます。このため、これまで相談受け付け件数の対象外でございました相談や質問等につきましても相談件数としてカウントし、相談の段階からきめ細かな進捗管理を行ってまいりたいと存じます。
また、再生支援業務の努力目標を設けまして、経営陣による厳格な進捗管理の強化を図っていきたいと存じます。
また、機構の専門家によるプレデューデリジェンスの調査項目をできるだけふやしましてデューデリジェンスの費用の削減に努めるとともに、相談者に過去のデューデリジェンスの費用の実績を開示することで費用の予見性を高めるなどの、機構の再生支援業務の見直し、強化を図っていきたいと存じます。
このような対策を総合的に講ずることによりまして、機構による中小企業に対する事業再生の支援の一層の効率化、迅速化を図ってまいりたいと存じます。
○村上(史)委員 今後のことですから、具体的な形でというのは難しいと思いますが、今の御答弁では先ほど来の答弁と同じでありまして、今後どういう形で地域活性化に本当にストレートに結びつけていけるのかというところが残念ながら私には不明確に感じました。その点については、今後ともフォローアップしていかなければならない課題だろうと思っております。
続きまして、今回の機構法の改正案について、欠落をしているのは、午前中の質問でも、あるいは先ほどの質問でも出ましたけれども、地域経済の活性化ということになれば、やはり自治体との関連というのは大変重要な要素だろうと思います。この法案には自治体との連携ということは触れられておりませんが、午前中の質問に対して小泉政務官は、重要な視点だという御答弁をされました。
改めて、今後の機構の運営にとって自治体との連携はどうあるべきなのか、再度御答弁をいただきたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
従来から、地域活性化関連業務におきまして、やはり地方公共団体は非常に重要な関係者だという認識のもとに、積極的な意見交換を行ってきたところでございます。例えば、本年一月に和歌山県の地域金融機関との地域活性化ファンドを設立した際には、県からも公式の応援メッセージなどをいただいたところでございます。
また、もともと私ども機構がやっています直接の事業再生支援、これは特に、再生支援対象事業者が地域の病院ですとか学校とか、各分野において中核的な役割を担っている事業者でございまして、このような事業者の再生支援を行っているところでございます。このような支援が地域に貢献しているということは、各地方公共団体の方々にも十分認識していただいているところだと思います。
また、先ほどちょっと話題になりましたが、私どもは地方公共団体を所管する総務省とも積極的に連携を図っているところでございまして、例えば、総務省と地域の元気創造施策説明会などをやりまして、地方公共団体の職員に対しましてREVIC、地域経済活性化支援機構の業務を説明したり、また、総務省の方で機構が関与する場合などの地域活性化ファンドへの地方公共団体への出資について特別交付税措置を講ずる、そのような協調措置をとっているところでございます。
いずれにいたしましても、引き続き、地域活性化のためには、まさに先生おっしゃるとおり、地方公共団体との積極的な連携が欠かせませんので、今後もこのような公共団体との連携というものをしっかりとやってまいりたいと存じます。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして経営者保証についてお尋ねをしたいと思います。
再チャレンジがなかなか進まない理由の一つに経営者保証の問題があるとよく言われております。安倍総理も、日本のベンチャー精神を阻んでいるのは何か、それは個人保証の慣行だということもおっしゃっておられます。また、ベンチャーがどんどん生まれ、投資があふれるような日本をつくるためには、個人保証の偏重の慣行から脱却しなければならないとも発言をされておられます。
これに対して、経営者保証に関するガイドラインをことしの二月一日から適用し、そして政府では、今後、ガイドラインに沿った整理手続を促進するための支援が必要だとしておられます。
そこで、今回、機構の業務に、経営者保証を有する事業者を対象に、事業者及びその代表者等の債務の整理に関する支援業務を追加されました。改めて政府のこの業務に対する考え方についてお尋ねをしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生御指摘のとおり、昨年十二月に、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的、自律的な準則として、事業再生の早期着手やその後の安定した事業継続等を促すための保証履行請求時の考え方を明確化いたしました経営者保証に関するガイドラインが策定、公表されたところでございます。
また、昨年十二月に閣議決定いたしました好循環実現のための経済対策におきましては、経営者保証に関するガイドラインの利用促進を図っていくと。このことから、中小企業、小規模事業者の革新を推進するための競争力強化策の一つとして掲げられているところでございます。
今回の法改正におきましては、まさにこの経営者保証ガイドラインの利用促進を図る観点から、特定債権買い取り業務というものを新たに設けまして、機構が経営者等の保証つき債権等を買い取りまして、このガイドラインを活用して経営者の保証債務を整理いたしまして、早期の事業再生や経営者の再チャレンジ支援を行うことができるようにした、まさにそれが今回の法改正の一つの狙いでございます。
○村上(史)委員 実は、もう既に御承知かと思いますけれども、法務省の法制審議会の民法部会においては、経営者保証も含む債権関係の規定の見直しが今行われております。この七月にはその要綱も出てくるという予定になっております。
個人保証に依存しない融資を確立していくことが求められているんですけれども、このような動きがある中で、なぜ今回の改正で機構の業務拡大を先行して債務整理を実施することになったのか、その理由、考え方を御説明いただきたいと思います。
〔委員長退席、関委員長代理着席〕
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど御説明させていただきましたように、今回の法改正におきまして、この経営者保証ガイドラインの利用促進を図るという観点から、機構に特定債権買い取り業務というものを新たに設けまして、機構が金融機関から経営者等の保証つき債権を買い取りまして、このガイドラインを活用することによりまして、経営者の保証債務を円滑かつ速やかに整理いたしまして、事業再生や経営者の再チャレンジ支援を行うことができるようにしたものでございます。
機構が一つでも多くの事例を積み重ねていきまして、このガイドラインに基づく保証債務の整理のベストプラクティスを示すことによりまして、ガイドラインの利用促進が図られることが期待されるところでございます。これはまさに、先ほど申しました経済対策に掲げました、中小企業、小規模事業者の革新を推進するための競争力強化策の一つとして、このガイドラインの利用促進に沿うものだと考えております。
一方で、確かに、先生御指摘のとおり、現在、法制審議会において個人保証の範囲を経営者等に制限し、第三者保証を原則禁止することの是非を含めました債権法にかかわる幅広い論点につきまして検討が行われているところでございます。
現時点では、この経営者の保証債務の円滑な整理を目的とする機構の新たな業務につきましては、法制審議会におけますこれまでの議論と特段その方向性についてそごはないものと認識しているところでございますが、いずれにいたしましても、今後とも、法制審議会における議論の状況は注視してまいりたいと存じます。
○村上(史)委員 まさにそのガイドラインですけれども、これは全銀協あるいは日商が中心となってまとめたものです。その実行例を、ベストプラクティスを示していく、それを、なぜ機構がその役割を担わなければならないのか。そして、再チャレンジを可能にするといういいメリット、効果はあるものの、リスクをしょうわけです。機構がそのリスクで収支の悪化も懸念されるという指摘もございます。その点に関してはどのようにお考えでしょうか。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
収支悪化の懸念についてでございますが、機構がこの特定債権買い取り業務を行うに当たりましては、今後、主務大臣が定めます支援基準におきまして、事業者及び経営者の財産の状況等の適切な把握が可能となるような、例えば、事業者及びその経営者が弁済について誠実であり、それぞれの財産状況について債権者に適時適切に開示していること、さらには、事業者の債務の保証人である経営者が、この機構に対しまして、みずからの資力を証明する資料を提出し、開示情報の正確性について表明保証を行っていることというような基準を盛り込みたいと考えてございます。
また、そのような申請を行う方々の財産状況の適切な把握というほかに、債権の買い取り価格の算定におきましては、もともと法律に「適正な時価を上回ってはならない。」と書いているところでございまして、この法律の規定にのっとりまして、個々の実情に応じた、適切な価格づけが行われ、全体として毀損や国民負担にならないように進めることとしております。
いずれにいたしましても、内閣府といたしましては、このような、今申し上げましたような措置を講ずることによりまして、特定債権買い取り業務が全体として公的資金の毀損、国民負担にならないよう、実施状況に留意しつつ、一方で、機構により、一つでも多くの保証債務の買い取り、整理の事例を積み重ねることによりまして、ガイドラインに基づく保証債務の整理のベストプラクティスを示すことによりまして、民間金融機関によるガイドラインの利用促進が図られ、このガイドラインが日本の融資慣行として浸透、定着していくというように進めてまいりたいと存じます。
〔関委員長代理退席、委員長着席〕
○村上(史)委員 ありがとうございました。
それでは最後に、雇用への配慮について、二点ほどお伺いをしたいと思います。
平成二十一年の地域力再生機構法では、「雇用の安定等に配慮しつつ、」という文言がございます。また、二十四年の企業再生支援機構法におきましても、同じような表現を使っておられます。
今回、地域経済活性化支援機構法では、「雇用機会の確保」という表現に変わっております。また、法案の中身を見ましても、いわゆる雇用政策については言及をされておられません。なぜ今回このような表現になったのか、お尋ねをしたいと思います。
○小野政府参考人 お答え申し上げます。
議員御指摘のとおり、昨年の法改正におきまして、法目的で、機構が「雇用機会の確保に配慮」することとされてございます。また、特定債権買い取りによる支援や従来の再生支援を行うかどうかを決定するに当たりまして、法律上、申し込みをした事業者における弁済計画や事業再生計画についての労働者との協議の状況等に配慮しなければならないというような規定がございます。
機構が特定債権買い取りや従来の再生支援業務を行うに当たりましては、このような規定の趣旨を踏まえまして、事業が清算される場合であろうが、再生される場合であろうが、いずれにいたしましても、事業者が労働者の理解、協力を得るための努力を行っていることを十分確認した上で支援を進めることとし、雇用機会の確保という法目的が遵守されるよう機構をしっかりと指導してまいりたいと存じます。
○村上(史)委員 それで、支援申し込みの際に提出する事業者及び代表者等の債務の弁済に関する計画の記載項目はどのようなものなのか、また、雇用に関するものが含まれるのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○小野政府参考人 特定債権買い取りの申し込みを行う際に添付されます今御指摘ございました弁済計画でございますが、これは、基本的に、事業者及びその保証人たる経営者が、必要に応じまして、事前に、機構や金融機関、弁護士、税理士等の債務整理を支援する専門家と相談しながら策定することとなります。
今後、どういうものを書くかでございますけれども、基本的に、この弁済計画には、もともと経営者保証ガイドラインの利用を前提とした特定債権買い取り制度でございますので、このガイドラインで記載を求めている事項が盛り込まれると考えております。
具体的には、経営者の財産の状況、保証債務の弁済計画、資産の処分、換価の方針、対象債権者に要請する保証債務の減免等の事項が盛り込まれることとなります。
他方、機構が特定債権買い取りの支援の有無を決定するに当たりましては、先ほど申し上げましたように、法律上、申し込みをした事業者における弁済計画について、「労働者との協議の状況その他の状況に配慮しなければならない。」というふうに書いてございます。
したがいまして、その弁済計画に雇用に関する点が記載されているかいないかにかかわらず、事業者が労働者の理解、協力を得るための努力を行っていることを十分確認した上で機構が支援を進めるよう、機構を指導してまいりたいと考えております。
○村上(史)委員 いわゆる記載項目には雇用の項目はないけれども、それは再生する側にその配慮を求めるということだと思いますが、もちろん雇用のためのあれではありませんけれども、ただ、地域活性化というのは、企業が再生をする、再チャレンジができる、そのことによって地域がまた再び元気になるというのはもちろんでありますけれども、それを支えるのは人であります。従業員、そこで働く人々です。どうしても、再生をする上においては、合理化というものがついて回ります。効率化というべきなのか、わかりませんが、そういう面で、そこで働く人々の雇用に対しても注意を払う必要があるということを指摘して、この問題については終わりたいと思います。
それでは、最後の質問でございます。
甘利大臣、お疲れのところ、本当に御苦労さまでございました。TPPの関連で、一点だけ確認をさせていただきたいと思います。
日米共同声明、おくれて発表をされました。その中で、TPP交渉妥結に向けて大胆な措置をとることを確認したという文言がございます。この大胆な措置というのは何を指しているのか、お尋ねをしたいと思います。
○甘利国務大臣 共同声明の中に、大胆な措置をとることにコミットしたという文章、文言が入っているわけであります。これは、TPPが目指すのは、御案内のとおり、物品の市場アクセスだけではなくて、サービスであるとか、投資であるとか、政府調達等の市場アクセス、そして知財とか電子商取引とか国有企業、環境等、幅広い分野での新しいルールをつくるという、いわば包括的で野心的な二十一世紀型の協定と言われているわけであります。
これらの幅広い分野全体として、TPPの目指す高いレベルの合意を達成するために、今後も日米両国が最大限の努力を重ねていくということであります。それらを今後も首脳間で確認をし、担当大臣がそれを受けて、合意に向けての作業を進めていくということであります。
○村上(史)委員 全くわかりませんでしたけれども、交渉でございますので、大胆な措置、具体的にこれだということは言えないとは思いますけれども、これは、日本の立場とすれば、日本の国益を最大限確保していただく、もうその最前線で頑張っておられる甘利大臣でございます。これからもタフなネゴシエーション、あると思いますけれども、御健康に留意をされて頑張っていただきますことをお願いして、質問を終わりたいと思います。
○柴山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○柴山委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、地域経済活性化支援機構法の一部改正法律案に対して反対の討論を行います。
地域経済活性化支援機構は、時限を迎えていた企業再生支援機構を衣がえして発足させたものですが、その企業再生支援機構の支援実績はわずか二十八件、注目を浴びたのは、中小企業の再生ではなく、大企業の日航の再生においてでした。しかも、その過程で労働者の首切りが行われ、事もあろうか、支援機構が不当労働行為さえ行ったのです。支援機構は、労働者と国民への背信行為を繰り返したのであります。
新たに発足した地域経済活性化支援機構の所管も内閣府ですが、その担当室職員の身元は全員金融庁職員というように、事実上の所管は、金融円滑化法終了後、中小業者に廃業、転業を促す方向にかじを切った金融庁にほかなりません。機構への出資金の四割強も民間金融機関が拠出しています。本法案は、経営者の貸付債権などの買い取り業務を追加し、経営者保証に関するガイドラインの利用促進を打ち出していますが、こうした背景のもとでは、支援機構が中小事業者本位の再生ではなく、銀行等本位の廃業強制のツールとして使われかねません。
さらに、ファンドへの新たな出資業務の追加は、本来、投資会社や金融機関等が負うべきリスクを税金によって肩がわりするリスクを高めるものです。
そもそも、中小企業の再生では、都道府県単位に中小企業再生支援協議会も組織されており、機構そのものの存在理由も疑問です。まともな実績も残せなかった企業再生支援機構自体の真剣な総括を行い、事業の期限であった一昨年度末で、機構そのものを終了させるべきだったということを最後に指摘して、討論を終わります。
○柴山委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○柴山委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、参議院送付、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○柴山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○柴山委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
その趣旨は案文に尽きておりますので、案文を朗読いたします。
株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 株式会社地域経済活性化支援機構(以下「機構」という。)は、相談件数に比べ支援決定件数が依然として少ないことに鑑み、更に業務の効率化、迅速化を図り、より多くの支援を可能とする体制を構築すること。
二 機構においては、デューディリジェンスの簡易化を図るなど一層の工夫を行い、多額の債務に苦しむ中小企業においても機構を利用しやすいように費用の低減化を図るとともに、要する費用の予見可能性を高めるように努めること。
三 機構においては、特定債権買取業務に積極的に取り組み、「経営者保証に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)に基づく保証債務の整理のベストプラクティス(模範となる事例)を示すよう努めること。
四 金融機関等関係者がガイドラインを尊重、遵守するように、その周知を図るとともに、金融機関等に対する検査、監督を通じ、金融実務において定着するよう努めること。また、ガイドラインに更に検討を加え、必要に応じガイドラインのQ&Aの充実を図るなど金融機関等の不安が生じないように努めること。
五 個人保証に依存しない融資を確立するべく、民法(債権法)その他の関連する各種の法改正等の場面においてもガイドラインの趣旨を十分踏まえるよう努めること。
六 特定支援対象事業者による今後の再チャレンジが円滑に進められるように、関係省庁及び関係金融機関等の密接な連携の下で、中小企業・小規模事業者である特定支援対象事業者の目線に立ったきめ細かい支援を行うこと。
七 この法律の施行後三年以内に、民間金融機関等の自らリスクを取る経営姿勢への改善状況を見据えながら、機構の組織の在り方を含め、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○柴山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。甘利国務大臣。
○甘利国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
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○柴山委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○柴山委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後五時五十分散会