衆議院

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第18号 平成26年5月16日(金曜日)

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平成二十六年五月十六日(金曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 柴山 昌彦君

   理事 関  芳弘君 理事 平  将明君

   理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君

   理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君

   理事 松田  学君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    秋葉 賢也君

      小田原 潔君    大岡 敏孝君

      鬼木  誠君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      清水 誠一君    新谷 正義君

      末吉 光徳君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    田野瀬太道君

      高木 宏壽君    豊田真由子君

      中谷 真一君    中山 展宏君

      長島 忠美君    福山  守君

      牧島かれん君    山田 美樹君

      吉川  赳君    大島  敦君

      岸本 周平君    後藤 祐一君

      若井 康彦君    遠藤  敬君

      杉田 水脈君    中丸  啓君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      浜地 雅一君    大熊 利昭君

      赤嶺 政賢君    村上 史好君

    …………………………………

   議員           後藤 祐一君

   国務大臣

   (行政改革担当)     稲田 朋美君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   総務副大臣        上川 陽子君

   厚生労働副大臣      佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      長屋  聡君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      市川 健太君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   参考人

   (東京大学大学院法学政治学研究科教授)      宇賀 克也君

   参考人

   (公認会計士・税理士)  樫谷 隆夫君

   参考人

   (三菱電機株式会社相談役・独立行政法人産業技術総合研究所最高顧問)    野間口 有君

   参考人

   (日本労働組合総連合会副事務局長)        安永 貴夫君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     田野瀬太道君

  田所 嘉徳君     末吉 光徳君

  高木 宏壽君     清水 誠一君

  豊田真由子君     牧島かれん君

  津村 啓介君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  清水 誠一君     高木 宏壽君

  末吉 光徳君     田所 嘉徳君

  田野瀬太道君     小田原 潔君

  牧島かれん君     豊田真由子君

  岸本 周平君     津村 啓介君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     青山 周平君

    ―――――――――――――

五月十五日

 日本軍慰安婦問題について日本政府へ早期解決を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八二二号)

 同(笠井亮君紹介)(第八二三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八二四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八二五号)

 同(志位和夫君紹介)(第八二六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八二七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八二八号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八二九号)

 秘密保護法の撤廃に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八三〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第八三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八三二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第八三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八三六号)

 同(宮本岳志君紹介)(第八三七号)

 全ての子どもの権利が保障される保育制度・子育て支援策の実現に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八八四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七八号)

 独立行政法人通則法の一部を改正する法律案(松本剛明君外三名提出、第百八十三回国会衆法第三一号)


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     ――――◇―――――

柴山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房行政改革推進本部事務局次長長屋聡君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長市川健太君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代さん。

高木(美)委員 おはようございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。

 実は、我が党は、参議院におきましては、あるとき長く行政監視委員長の席を担ってまいりました。今は九十八法人という独法の組織になっておりますが、それぞれに成り立ちが異なっております。それを一つ一つ実は調べましたのは我が党でございます。先輩議員がやりました。

 独立行政法人につきましては、平成十三年、中央省庁等改革の時期に合わせまして国の機関から分離創設された法人と、その後、特殊法人等整理合理化計画に基づいて特殊法人、認可法人、公益法人から独立行政法人化されたもの、また、中には施設等機関というところから成っていったものもあります。

 役職員の身分の非公務員化を進めたものの、肝心の組織と業務の見直しは不十分でありまして、公務員の天下りと税金の無駄遣いが横行したときもあり、事務事業の非効率また不公正が多発しておりました。

 こうしたところに対しまして、我が党も、独立した法人等の制度導入以来、さまざまな見直しの議論がなされてまいりましたが、制度の抜本的な改革はいまだ実現されていないままであると認識しております。

 問題意識としては、我が党は、一つは、非公務員型を基本としているが、国の財源措置が行われており、税金で行政を行う民間人を大量につくり出している、また、勤務条件を独自に設定できる、しかし、給与と退職手当以外の勤務条件や福利厚生については全く不透明、また、評価システムが機能不全、また、大臣の権限が弱く、無駄が放置されている、また、行政なのに責任追及されない、こうした点を課題として挙げてまいりました。

 中には、国民の厳しい目によりまして、目標を着実に達成し、スリム化、合理化にも一定の成果を上げてきているところもあります。

 そこで、まず大臣にお伺いいたします。

 今般の独法の制度と組織の改革の基本姿勢につきまして答弁を求めます。

稲田国務大臣 独立行政法人制度発足後、十年以上が経過をいたしております。今委員が御指摘のとおり、さまざまな課題もあります。また、効率的で質の高い行政の実現に大きく貢献はしてきたものの、例えば、一律の制度適用により政策実施機能が十分発揮されていない、また、目標、評価の実効性に欠け、適切なPDCAサイクルを確立できていない、また、業務運営の適正化が自律的に十分行われていないなどの問題も指摘されているところでございます。

 これらを踏まえまして、今回の改革では、独法制度を維持して、そして制度本来の趣旨にのっとって法人の政策実施機能の最大化を図りつつ、官の肥大化防止、スリム化を図る観点から、制度、組織両面で抜本的に見直すことといたしております。

 独法改革は、第一次安倍内閣以来の課題ではございますけれども、二度にわたり、その通則法の改正法が廃案になっておりますことから、今回の法案の成立に向けて全力を挙げて取り組み、改革の集大成になるよう、実現を目指してまいりたいというふうに考えております。

高木(美)委員 今回の改革では、独法の政策実施機能を伸ばすという観点から、給与、調達等といったさまざまな横串の規制は簡素化、弾力化をいたしまして、個々の法人の業務の特性を踏まえた柔軟な対応をしていこう、ここは評価できると思っております。

 本来、本当の独法改革は、一つ一つの組織をきちんと見直して、そして、その上で、そのあるべき政策実施機能また役割を評価しながら、そこにふさわしい、むしろ規制の観点をきちんと入れていくというのが望ましいとずっと私は持論として思っておりまして、そういうことを含めまして、今回は、このような形で、そこは少し簡素化、弾力化をしていく、そこに評価の目をきちんと入れやすくしていく、判断を入れやすくするということは重要であると思います。

 ただ、この一方で、今度は、その横串規制を弾力化して法人の自由度を高めるということが、かえって規律の緩みとか法人経営の放漫化にならないか、こういう懸念があります。

 このためには、法人運営の透明性を一層向上させて、法人や主務大臣の説明責任を徹底する、いわゆる見える化を推進することが重要であると思います。税が入るからには、国民の皆様に、見える化で説明責任も果たしていただかなければならない。

 今回のこの制度見直しで見える化がどのように強化されているのか、副大臣にお伺いいたします。

後藤田副大臣 高木委員まさに御指摘のように、運用の弾力化が規律の緩みにつながる、こういう懸念がございます。また、透明性の向上、説明責任を徹底することというのは大変重要なことだと思っております。

 平成二十五年の十二月二十四日の閣議決定におきまして、基本的方針でも、まさに「透明性を向上させるため、国民に分かりやすい形での情報公開の充実、すなわち「見える化」を推進する。」と明記をさせていただいています。

 具体的には、今回の改革によりまして、各法人の事業等のまとまりごとに予算の見積もりや執行実績を公表する、報酬、給与水準の妥当性を法人が説明した上で主務大臣が検証し、その妥当性や判断理由を公表する、そしてまた、このほか、法人は、評価結果の反映状況を公表する、そして内部統制の体制整備を業務方法書に記載し公表するなど、法人運営の透明性を向上させることとしております。

 これらの取り組みによりまして、法人や主務大臣の説明責任を徹底させまして、見える化を推進してまいりたいと思っております。

高木(美)委員 それでは、目標、評価の仕組みにつきましてお伺いいたします。

 これをいかに有効に機能させるかが重要であると思っております。新たな第三者機関が、個々の法人に対しまして、より実効性あるチェックを行えるように、その役割を強化すべきではないでしょうか。

 今回の法案でどのような手当てがなされているのか、答弁を求めます。

後藤田副大臣 委員御指摘のように、現行制度の第三者チェック機関のあり方と今回の見直しでは、厳しくなっております。

 今回の独立行政法人評価制度委員会は、行政評価機能を有する総務省に設置をいたしますが、内閣総理大臣が委員を任命することとなっております。今までは総務大臣任命ということでございましたが。

 また、中期目標期間終了時の見直しでは、委員会から内閣総理大臣への意見具申が新たに可能となります。また、委員会は、中期目標期間の評価結果に加えまして、新たに中期目標についてもチェックすることで、適正な目標管理を担保することとしております。さらに、委員会は、新たに総務大臣が策定する目標設定、評価の指針の内容を調査審議することとしております。

 このように、現行制度における政策評価・独立行政法人評価委員会に比べまして、委員会の機能、役割を強化することによりまして、より実効性のあるチェックが行われることが期待されます。

高木(美)委員 本日は、その指針を策定する総務省の上川副大臣にお越しいただいております。ありがとうございます。

 この評価の仕組みを簡素化する観点から、各府省の評価委員会は廃止して、主務大臣の権限を強化するということになっております。確かに、評価疲れとか、特に研究開発法人等については書類ばかり提出で研究が手につかないとか、そうしたさまざまなお話もあるところでございます。

 まず、政府横断的な観点から、総務省が各府省における独法の目標設定や評価のあり方に関して指針を策定するということになっておりますが、各府省における評価が、いわゆるお手盛りになるんじゃないかという懸念があります。こうならないように、指針でしっかり担保していくことが重要と考えます。

 この目標、評価の指針につきまして、総務省はどのような方向性、また、どのような内容を盛り込もうとしているのか、答弁を求めます。

上川副大臣 目標、評価の指針について、総務省の取り組みということでございますけれども、今回の改正法案で御提案している、この独立行政法人通則法の第二十八条の二第一項に基づきまして、総務大臣が評価制度委員会の意見を聞いて定めるものでございます。

 現時点におきましては、今般の独立行政法人制度改革での御議論、また、これまでの独立行政法人評価の経験を踏まえまして、適切な目標設定、さらに、適正かつ厳正な評価を主務大臣が行うために必要な政府統一のルールを定めることになるというふうに考えております。

 具体的に申し上げますと、目標設定に関する指針についてでございますが、例えば、まず、目標の具体性、明確性をしっかり確保するということ。また、第二におきましては、政策の中での独法の担う役割は何かという位置づけについて明確にするということ。さらに、一定の業務ごとに目標設定をしっかりするということ。事業ごとのまとまりのあるところでの適正な単位で目標を設定するなどでございます。

 また、評価に関する指針につきましては、具体的な指標をできるだけ数値目標化して、そして評価を実施していただくということ。そしてさらに、統一的な評価の基準あるいは設定区分の設定、これについても、しっかりと統一的なルールを持って実施していただくための基準を定めるということでございます。

 さらに、定数的な評価、定量的な評価の裏打ちをされる、では、その評価をした具体的な設定理由は何かということについてしっかりと付記していただく、こんなことを盛り込んでいるところでございます。

高木(美)委員 続きまして、もう一問、上川副大臣にお伺いします。

 総務省は、行政評価・監視機能、この役割も担っていらっしゃるわけですが、その活用も重要かと思います。第三者チェック機関の実務を担い、また行政評価・監視を行う総務省は、これらの機能をどのように活用していかれるのか、取り組みの姿勢をお伺いします。

上川副大臣 委員御指摘のとおり、この第三者チェック機関であります評価制度委員会の役割は極めて重要であるというふうに考えております。その活動に当たりましては、行政評価・監視機能によって得られましたデータ等につきましては積極的に御活用いただけるものというふうに考えております。

 各府省の施策の実施に際しましては、独立行政法人の果たす役割というのは極めて大きいというふうに考えておりまして、総務省の行政評価・監視機能につきましては、こうした各府省の業務の実施、運営の実態を把握して、その問題点を明らかにし、その改善の方向を示すものでございますが、今般の法改正によりまして、より独立行政法人の業務運営の実態について確実に把握できるようになるということもございますので、こうしたことから、国民の皆様に対しても、しっかりと鮮やかな切り口で説明責任を果たすことができるように努めてまいりたいというふうに思っております。

 さらに、独法の業務のPDCAサイクルでございますが、これはもとより、法人自身がしっかりと行う、さらに主務大臣が責任を持って回すべきものでございますが、総務省といたしましても、今申し上げたような姿勢で、評価制度委員会の事務局機能、さらには行政評価・監視の機能の両面を担うことによりまして、その取り組みに積極的に貢献してまいりたいと考えております。

高木(美)委員 鮮やかな切り口で、ぜひとも見える化をよろしくお願いいたします。説明責任をぜひとも果たしていただきたいと思います。

 私は、各府省の評価委員会が廃止されるということに対しまして、評価の質や客観性が低下するのではないかという懸念も聞いております。各主務大臣がしっかり責任を持って、所管するそれぞれの独法の役割、業務を把握しまして、むしろ、事業仕分けというのはうちの党もずっと実は言ってきた話で、民営化するもの、国に戻すもの、統廃合するもの、こうしたことを絶えず、いわゆる主務省庁と、そことの連携を含めまして、業務を、ここは切り出して独法に担わせるのかどうするのか、当然、そこには大もとの各省の事業仕分けがなければいけないわけでございまして、これは民主党さんがおっしゃる事業仕分けとはちょっと、済みません、ニュアンスを異にしておりますけれども、そのような見直しというのは私は必要であるとずっと考えております。そこと連動しながら、個々の独法につきましても、組織のあり方の見直し、また業務の見直しを不断に検証すべきではないかと思います。

 先ほども申し上げましたが、独法改革は、本来、法人一つ一つ、そういう観点から、先ほど上川副大臣からお話ありましたように、全体の政策の中での位置づけ、これをはっきりさせながら、今度は、現場に足を運びながら、それが果たしてきちんとできているのかどうか、また、もっとこういうことをやりたい、その方が国民のためになる、もし独法がそういうお考えがあれば、そこのところを勘案しながら、主務大臣としても検討していく、こういう方式が必要なのではないかと思います。

 ただ、一方で、果たして大臣が、御自分の役所が、所管する役所が、そこで所管する独法に対して厳しくできるかというと、私はそこにも懸念があります。特に、中期目標管理法人は、やはり目標期間が五年とか七年とか、長いところもあります。その間、厳しいチェックを免れることができるなどという、そういうことでは困るわけです。

 私は、むしろ、大臣のもとに有識者を含むチームを立ち上げながら、先ほど申し上げた見える化をしていくべきではないか、大臣はそのような不断の見直しを行っていくべきではないか。

 こうしたことが十分担保されているのかどうか、稲田大臣にお伺いします。

稲田国務大臣 今委員御指摘のとおり、法人みずからが、また主務大臣のもとできっちりとPDCAサイクルを回して不断に見直していく、それを国民にきちんと見える形にするということは非常に重要なことだというふうに思っております。

 中期目標管理の枠組みにおいても最も重要な中期目標期間終了時の業務、組織の見直しについては、今回の改正で、三十五条一項におきまして、主務大臣は、業務の継続または組織の存続の必要性の検証まで踏み込んだ検討を行い、業務、組織の廃止等の措置を講ずべきことを明記しております。また、この中期目標期間終了時の見直しに係る第三者機関のチェック機能についても、内閣総理大臣への意見具申を設けるなど、強化をいたしております。

 また、この中期の見直しに限らず、法人、主務大臣は不断に見直しをし、今回の改正では、法人は毎年ごとの評価結果を業務運営の改善に反映すべきこと、主務大臣は毎年ごとの評価結果に基づき業務改善命令を行うことが可能な仕組みとなっているところでございます。

 また、今回の改正で、独法を総務省の行政評価・監視の調査対象に追加することにしておりまして、主務大臣に対し適時適切な見直しを促す機能の強化も図っております。

 今回の改正によって、評価の質、客観性がさらに向上することを期待いたしております。

高木(美)委員 その見える化の大前提であります、これまで二度の法案に盛り込まれながら、いまだ実現していない、監事の機能強化等のガバナンスの強化措置ですが、早急に実現することが必要であると考えております。

 今回、この対応は、特に不適切な運営に対する対応は強化されているのかどうか、お伺いします。

後藤田副大臣 今高木委員からもお話ありますガバナンスの問題でございますが、やはり法人内外の業務運営をしっかり見ていく。

 先ほど大臣がおっしゃったような、まさに主務大臣の是正命令、業務改善命令もございますが、中において、いわゆる監事機能は、例えば平成二十四年法案と今回の法案を比較するならば、十九条では、まさに役員の不正行為等について監事から主務大臣への報告を義務づける、こういう規定を盛り込んでおりますし、また七十一条では、調査妨害を法人またはその関係法人がした場合には罰則を設ける、このような形をとっております。

 まさに、今まで以上に厳しく監事機能を担っていただき、強化してまいりたいと思います。

柴山委員長 高木さん、質疑時間終了です。

高木(美)委員 はい。

 独法がよくなった、不祥事がなくなったと国民の皆様からしっかりとそのような評価をいただけますように、見える改革を前に進めていただきたいことを念願いたしまして、終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 おはようございます。民主党の大島でございます。

 きょうは、独立行政法人の法案につきまして何点か質問をさせてください。もしも時間よりも早く終わるときには、私の次に控えている後藤祐一さんに私の残余の時間は渡したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 独立行政法人といっても、大臣、さまざまございまして、私も、例えば住宅金融支援機構の理事長さんだったり、JAXAの理事長さんだったり、あるいは国立病院機構、そして国立がんセンター、小さいところですと、国センですね、国民生活センターとか、さまざまな独立行政法人があって、それぞれ担っている内容は全然違うと思うんです。

 前回も御質問させていただいたときに、理事長さんの本音というのがありまして、皆さん、国のためにということで理事長を引き受けていらっしゃる方が非常に多いんです。JAXA、あるいは住宅金融支援機構とか、非常に大きいところですと、民間の大きな会社のOBの方が理事長になられる。理事長になると、それまでの全ての役職、社外取締役、顧問、あるいは幾つも持っているものを全てやめてからそのポジションにつくものですから、結構大変な思いをされている方が多いと思うんです。

 特に、この間も御指摘させていただいたんですけれども、国会に呼び出されるという物すごい負担感もあったりして、ジョブサイズに応じて、今の給与体系が事務次官の二千万円ぐらいで抑えられていますから、なかなか大変な仕事かなと。

 安定した政権でずっといくんでしたら、口説いた大臣と、まあ、次の大臣も多分引き継ぎがあっておおむね大丈夫だとは思うんですけれども、今後、時々いろいろな政治の動きがあったりすると、結構大変なのが理事長あるいは役員の皆さんだと思っていて、その点につきましての大臣の御所見、今回の独立行政法人改革の中で、給与の面あるいは理事長の採用の面につきまして、手短に今の御所見を伺えれば幸いと存じます。

稲田国務大臣 私も、担当大臣に就任いたしまして以来、例えば国立公文書館の前館長、また今の館長、理化学研究所の理事長、都市再生機構の理事長等にお会いをして、そのお仕事の内容ですとか、またいろいろなことを直接聞く機会がございました。

 委員御指摘のとおり、民間から来られた方もいらっしゃいますし、また公益のために大変御尽力をいただいている。そして、処遇という面では、今まで余りにも一律的な上限とかの運用、硬直的な運用をしていたという点も改めなければならないということで、今回もその考えを生かしてまいりたいというふうに考えております。

大島(敦)委員 給与の面につきましては、今回は大臣が説明責任を果たすということで、給与はある程度自由に決められるというたてつけになっているかと思います。民間とは違って公益を追求しますから、そこには一定の見識と公務に仕えるという思いが必要だと思うので、その点についての説明責任は各大臣に果たしていただこうかなと思っております。

 それで、前回も何回か大臣には質問させていただいている公募のシステム、役員の公募なんですけれども、久しぶりに、平成二十一年九月二十九日の「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」という閣議決定を、質問に当たりまして役所から取り寄せて目を通させていただきました。

 この制度は、私が主体的に関与した制度でして、もともとは、二〇〇六年に行政改革特別委員会がありまして、そのときの法案審議の中で、さまざまな国の公務員制度について調べる中で、米国の公務員制度、特に米国の採用について勉強させていただきました。

 日本の国家公務員法につきましても、もともとはGHQがつくった法律で、根底に流れているのは、公募というのが根底の哲学なんですけれども、当時は結構斬新な法案でして、それが日本の官僚機構の中で今の運用方針に変わってきたというのはあるんです。もともとは、米国の影響が非常に濃かったのが国家公務員法なんです。

 その中で、米国の国家公務員がどうやって採用されているかなと調べてみますと、お手元に、「USAJOBS」と書いてある米国の公務員の公募のサイトなんですけれども、恐らくこれは数万のポストがこういう形で募集にかかっています。

 米国ですと、公務員がそのポストを去ると、そこには全て公募ということで、こうやって真ん中ぐらいに、公募のポスト、財務・人事・情報技術サービス部長で、給与が十二万ドルから十七万ドルぐらいだ、勤務地はワシントンDCだとか、こういう形で公募がかかって、ここをクリックすると、きょうは大部にわたるのでつけていないんですけれども、職務明細書ということで、全部で四ページぐらいの、こういう仕事ですよという細かい内容が打ち出されて、これに基づいて応募しているわけなんです。

 日本の今回の公募システムについて、こういうことを考えながら、どういうシステムをつくったらいいかなと当時考えて、このシステムをちょっと援用したのが、日本の今行われている独法役員の公募でして、これは、当時二〇〇九年のときには、公務員のOBの皆さんの天下りの問題が国民の非常に大きな関心を引き起こしておりまして、その中で、公務員OBの方が独法の役員になられていて、その方が独法の役員を続ける場合に、任期が切れて、それについての説明責任を政府として果たす必要があると考えて、そのときには、独法の中で公務員のOBの方が理事長、役員を去るときには公募という形をとらせていただきました。

 ですから、今回、現行がどういうふうに行われているかということで、内閣官房のサイトから入って、役所にもどういうふうな経緯なのかということを聞いたところ、お手元にあるとおり、内閣官房のホームページには、「独立行政法人の役員の公募」という形で、これは、現在ではなくて、もう少し前の、現在もこういう形で出てきます。

 その中で、例えば二ページ目、中小企業基盤整備機構の理事長が公募になっていて、任期の期間が二十四年の七月一日から二十八年の六月三十日の四年間、年収が二千三十五万円だということで、ここには、「公募対象ポストのミッション、求められる人材のイメージ」ということで簡単に記載があって、ここのところをさらにクリックして階層を下っていくと、この独法の理事長の全部で六ページぐらいの結構詳細な職務内容書がついていて、これに基づいて応募をし、そして選考され、決まるわけなんです。

 お手元の資料には、決まった後も、現行、ずっと政府は、選考結果の総括表ということで、どういう過程で決まったかということも、応募が二十六人、書類選考で七人、面接で一人になった、これは資料の三ページを見てほしいんですけれども、前田さんという方から高田さんという方になって、前職はトヨタアドミニスタ株式会社の会長であるということで、選考過程も書いて、そして、四ページ目なんですけれども、一番最後に、「中小企業基盤整備機構理事長選任理由」ということで、選んだ選考委員会の皆さんがこういう形でこの人に決定しましたということを、全てこれは今公開されています。

 私はこういうことが非常に大切だと思っていて、公務員であるからとか、公務員でないからということは、余り意識はしていません。国にとってよりよい人がより多く選ばれることが対象でして、この公募のシステムですと、仮に公務員のOBの方が選ばれたとしても説明責任は果たせるんです。

 公務員の方であっても、応募をして、客観的に三人から五人の選考委員会にかけられて、一人か複数名を大臣にリコメンドして、そこからこの人ということを決めるということは、大臣にとっても、政治にとっても、私はリスクが減る話だと思っている。そういう透明性が、私は、今後の公務員、特に独立行政法人のように、公と民のちょうど中間のパフォーマンスを上げなければいけない、そういう機関にとっては必要だと思っております。

 今回、申しわけないんですけれども、政府案の中だと、公募のところを除いては、ほぼ私どもがつくった独法改革の法案と同じ内容だとは思うんですけれども、公募のところが、残念ながら、結構小さくなっているものですから、現行どおりのままということになっていて、確かに、それは、現行どおりのままだと運用しづらいのもよくわかると思います、公務員のOBの方がそのポストについて、その方の任期が切れて新しく募集するときにはということですから。

 そうではなくて、ここまで三年から四年かけて、各省庁そして内閣官房の中でもシステムとして練り上げてきたものですから、これは結構貴重だと思っていまして、もっとそれを拡大するという方向も私としてはあってもいいのかなと思っています。

 その点につきまして、大臣の御所見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

稲田国務大臣 現行の公募は、今委員御指摘のとおり、平成二十一年の閣議決定に基づいております。そして、今委員が御説明いただき、御指摘いただきましたように、公募の長所として、非常に透明性が高く、今、実際の運用も、きちんと、なぜ選んだかというところまで国民に説明責任を果たしていることで、信頼確保にも資している、また、幅広い層からの応募を受けるということができるという面があろうかと思います。

 ただ、一方で、公募を実施したものの、応募者に適任者が不在で、再公募等の追加措置を要した場合が約一割ほどあります。また、書類や面接による選考で必ずしも十分に適格性を事前に把握し切れなかった事例もあります。公募という方法で、任命権者が基本的に応募者の中からしか選ぶことができず、任命権者みずからの発意による主導的人事になじみにくい面もあろうかと思います。

 今回は、二十条三項で「必要に応じ、公募、」そして「必要な措置を講ずる」ということでありまして、公募は非常に、今御指摘になった長所もある反面、課題も見受けられることから、本法案では、原則公募、また公募の拡大という義務づけはすることなく、適任者を得るための選択肢の一つとして法律の中で明記をした次第でございます。

大島(敦)委員 なかなか大臣としても悩まれたと思うんです。この公募については、多分、政府内でも、あるいは公務員のOBの政治家の皆さんも多いものですから、結構ここは政治的にグリップしていかないと難しいところが公募のシステムです。

 私としては、今後の公務労働のあり方を考えると、国家公務員あるいは地方公務員の方がいらっしゃっていて、地方公務員の方は、例えば一つの市役所に入ると、ずっとその市役所の中でしか人事異動がなくて、一回、その市役所の中で、あるいは日本の中央官庁の中で、余りいい人事評価が受けられなかったりすると、なかなか役所をやめられないわけですよ。

 私も一回転職をしていて、民間のサラリーマンの場合ですと、会社の中で、ちょっとどうかなと思われるような、本人の期待とは違った人事評価をされた場合には、会社の中ですと、それは転職という形で自己救済手段に入れるわけです。日本の公務員全体ではそういうような手段がなくて、ひょっとすると政治家になるぐらいしか自己救済手段がないかもしれない。

 ですから、ここのところは、今後の十年、今の二十代、三十代の方は、一生その会社にいる、一生公務員であるということは前提にしていません。これからは、有為な人材というのはいろいろなところから採らなければいけないと思っています。

 そうすると、今だとそういう、下からどんどん上に上がっていく制度が、今後は、私は民間から公務というのはなかなか難しいと思っています。公務労働というのは、あくまで法律に基づいて法律をつくることですから、民間の、利益を追求するような教育を受けた人にはなかなかつらいところがありまして、ただ、中央官庁であっても、地方の都道府県、あるいは市町村、公務労働という一つのカテゴリーの中だと、そこの人材というのは自由に移動できるかと思います。

 ですから、この公募のシステムは、そこを前提として、一回、独立行政法人の役員という形で成果を上げたシステムだと思っていまして、今後は、このシステムを少しずつ、要は、独立行政法人の役員に拡大をし、その先には、全部を公募しろとは言っていないんです。一つの大臣、あるいは市町村長、あるいは都道府県の知事さんの、このポストは公募にかけてもいいというふうになってくれば、公務員の中でも、例えば結婚していて、東京で、どちらか一方が沖縄に御両親が住んでいらっしゃって沖縄で介護状態になった場合に、沖縄でそういうポストが、沖縄県庁の部長のポストあるいは課長のポストが公募にかかっていて、そこに応募をして、要はそこで就職をしていくというのも必要なのかもしれない。

 だから、そういう公務労働の中での、要は、できるだけ柔軟にやる気を持っていけるようなシステムとして設計したものですから、その点についても今回非常に残念だったのは、公募のシステムを、私たちとしては、原則として役員の皆さんには全て当てはめる。そうすると、政府参考人に伺おうと思ったんだけれども、大体ポスト数としては六百ぐらいのポストがあるから、それが二年ごとに公募にかかると、結構ボリュームが出てきますから、いろいろな人たちがチャレンジするということもあるわけですよ。これまでだと非常に少なかった。内閣官房のこの役員の公募も非常に、年に十件とか十五件ぐらいかもしれない。

 だけれども、そうやって多くの方が公募になると、私、今、五十七歳になってしまったんだけれども、私の同期とか私の先輩とかを見ると、一回、要は公務労働に、公に尽くしたいという方が多いんです、私の会社とか先輩を見ると。一回民間企業に来て、五十五を超え、ある程度の役職について、その後は、民間企業という生き方とともに公務でしっかりと働きたいという方が私たちの社会の中には結構ふえてきているところもあるんです。

 そこのところのニーズをしっかりと酌み取りながら、国の生産性向上あるいは国の仕組みをよくするために必要だと思っているので、その点につきまして最後に大臣から、公募のシステムについて、やはり私は原則公募がいいと思っているんだけれども、それはちょっと立場が違うんですけれども、その点についての大臣の御所見を伺わせていただきまして、残余の時間は後藤さんにお願いしたいと思います。

 以上です。

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、公務労働における流動化、また官民の交流、非常に重要な視点だと思います。

 今回、公募について、義務づけは法律の中では行いませんでした。しかしながら、平成二十一年の閣議決定については継続をしているところでございます。公募を義務づけなかったことは、先ほど申し上げましたので、課題が残ることについては繰り返し申しませんけれども、国家公務員法でも公募を義務づけていないということもございます。

 ただ、今御指摘になった委員の視点というのは非常に重要だと思いますので、今後の状況を見ながら検討すべき課題だというふうに考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 公募というのは、ここまで役所の中でも成熟させていただいたと考えておりますので、ここは大切にしてほしいなと思っているものですから、ぜひ大臣の御尽力をお願いいたします。

 以上で終わります。

柴山委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 先輩議員の大島議員の残していただいた時間も含めて質問したいと思いますが、まず稲田大臣にお聞きしますが、今回の独法の整備法、こんな分厚い法案でございます。ほとんどは形式的修正です。ですが、この中に一点だけ、極めて実質的に重要な改正部分がございます。どの部分でしょうか。

稲田国務大臣 国立病院機構の非公務員化を指しておられるのではないかというふうに思います。

後藤(祐)委員 そのとおりでございます。

 公務員独法、特定独法は実施法人になっていくわけですけれども、今まで非公務員型独法が中期目標法人になっていくというのが原則なんですが、この法律改正を機に、今まで公務員独法だった国立病院機構が中期目標管理法人、つまり非公務員型になるんです。

 私、この内容自体は適切な改正であると思うんですが、これはチェックできますか。大臣、これは全部チェックしましたか、この本。私は、自分が担当する法律は、新旧対照を全部チェックすることにしていますが、これはなかなかへこたれます。しかも、ほとんど形式ですから。ですが、これを見つけ出したんですね。大変なんですよ、これを見つけ出すのは。

 お願いしたいのは、この前も、イノベーション法のときに、イノベーションと全然関係ない、一括交付金に関する内閣府設置法の規定を削除するというものが潜り込んでおりましたけれども、そういった重要な修正については、例えば提案理由説明の中で触れるですとか、あるいは役所の皆さんが我々に対して説明する概要の文書の中で触れるですとか、何らかしていただかないと、このチェックをするのは確かに我々の仕事です、ですが、ちょっと問題があると思いますが、これについて、大臣、いかがお考えですか。

稲田国務大臣 整備法案に係る趣旨説明で、「個別法に各独立行政法人を中期目標管理法人、国立研究開発法人または行政執行法人のいずれかとする規定を追加する等、関係法律の規定の整備を行うもの」というふうに述べているところでございます。

 国立病院機構を中期目標管理法人とする規定の追加は、この趣旨説明の中に包含をされており、かつ、非公務員化は、中期目標管理法人としたことに伴うものであることから、御指摘は当たらないのではないかというふうに考えております。

後藤(祐)委員 個別の話が総論の中に包含されておりで、これを見つけ出すことは不可能ですよ。余りに詭弁なので、苦笑が漏れております。

 今回はもう出てしまったものですから、今後、こういった法案、こういう形式的に分厚いような法案のときは特になんですが、実質的な意味内容があるときは、ちゃんとわかるように、提案理由説明及び概要を説明した文書の中で触れていただけるようお申し入れをしたいと思います。

 では、本論に入りたいと思います。

 先ほど大島議員からも公募の話がございましたが、現在、独法の役員の公募を行っている根拠は、「独立行政法人等の役員人事に関する当面の対応方針について」、平成二十一年九月二十九日閣議決定。民主党政権になった直後の閣議決定ですが、現在及び今後も、引き続きこれに基づいて行うということでよいのでしょうか。今後、政権がかわった後も、これに基づいて行われるということでよろしいのでしょうか。

稲田国務大臣 公募に関しては、現在、その平成二十一年の閣議決定に基づいて実施をしているところでございます。そして、それについて変更するということは想定はいたしておりません。

 ただ、今委員が御指摘の、政権がかわった後はどうなるのかという御質問でありますが、政権がかわったときに、閣議決定が、政権の意向で内容を変更する場合というものはあろうかと思います。

 ただ、一度閣議決定されたものを変更するとすれば、それなりの合理的な理由、また、国民に対する適切な説明責任というのは果たしていかなければならないのではないかというふうに考えております。

後藤(祐)委員 ちょっと言い間違え、多分、最初、今後ではなくて現在だと思います。

 だとするならば、今回の政府案の二十条三項の「必要に応じ、公募」というところの「必要に応じ、」とは、少なくとも現政権においては、先ほどの閣議決定に基づいて行うということであり、かつ、政権がかわった後も、この「必要に応じ、」の解釈は、この閣議決定に基づいて行うという理解でよろしいですか。

稲田国務大臣 現在の運用について、平成二十一年の閣議決定に基づいているということは、この規定の中の「必要に応じ、」の「必要」があるというふうに考えております。

 そして、先ほど答弁いたしましたように、政権がかわって、そして社会情勢が変わって、その必要性が変わるということはあり得るのだろうと思いますが、いずれにいたしましても、きちんと説明責任を果たしていかなければならないというふうに思っております。

後藤(祐)委員 閣議決定で定めている公募のやり方についてのルールが若干微妙に変わるということは、時代が変われば、十年後、二十年後変わることは私は否定しませんが、原則公募でやるということについては将来に向けて確定させる必要があると思うんです。ただ、原則公募の公募のやり方についての進化はあり得ると思う。そこが、我々の衆法の原則公募、しかも、その原則というのは、大変厳格な要件を法律上課しています。

 そこのところについて、この政権ではこの閣議決定を守るということですから、将来の政権において、この「必要に応じ、」の解釈が、この閣議決定ではないけれども公募はやる、ただ、公募のやり方については微修正があるかもしれないという意味なのか、それとも、将来の政権において、やはり公募はもう極めてやらないに近い感じで運用される場合もあり得るという、非常に後ろ向きな解釈もあり得るということなのか、「必要に応じ、」の解釈をもう一度お願いします。

稲田国務大臣 先ほどの御質問でも、公募について非常に積極的に評価すべき点、また課題もあるということもお答えをしたところです。その上で、二十条において公募を義務づけるというのではなくて、「必要に応じ、」ということで、公募ということを法律の中に盛り込んでおります。

 そして、現時点において、平成二十一年の閣議決定に従うということでありますが、法的に拘束するのかどうかといえば、法的に拘束するということではないというふうに思います。

後藤(祐)委員 そのとおりなんです。将来の政権、この政権においてはある程度拘束があると思います。大臣がずっと続けばより拘束が高いと思いますが、将来の政権は拘束できないんです。そこが、我々の案と皆さんの「必要に応じ、」の違いなんです。

 ここはぜひ、現在の運用はそれほど違わないということなんですから、そんなに違わないんです、実質的にやろうとしていることは。ただ、将来の政権をどう拘束するかということについての意見が大きく違うわけです。ぜひ、これについては折り合って、これからも議論を続けて、来週もあるようでございますから、ぜひ原則公募というものを法定していただくよう御検討いただきたいと思います。

 それと、この同じ二十条の部分で、現在、独法の長を任命する場合は、平成十三年三月二十三日、閣議における内閣官房長官発言によって、閣議口頭了解を経た上で任命することとされています。これは今後の政権でも変更はないんでしょうか。もうちょっと正確に言いますと、今の政権での間変えるつもりはないか、及び将来政権がかわった後も変更はないというふうに考えてよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 今御指摘のとおり、現在は閣議口頭了解ということであります。これは、法人の長に、公共性の高い事業について広い裁量が与えられていることを考慮し、当該人事を各大臣に周知せしめるために行われているものであります。

 現政権ではこういう運用をしているわけですけれども、将来の政権まで縛るかといえば、そういうことではないというふうに思います。

後藤(祐)委員 我々が提出している衆法では、二十条一項で、「法人の長は、」「主務大臣が内閣の承認を得て任命する。」と書いてあって、この部分が差分になっているんですね。つまり、将来の政権を拘束します。

 閣議口頭了解でやることと「内閣の承認を得て」は、実質的にはクリアをとる方は同じです。ですから、これも先ほどと同じように、現在における運用を将来に向けてやはりやるべきかどうかということでございますので、これは、さきに成立した国家公務員法の中でも、部長以上の人事は内閣人事局が見るということになっているわけですから、それとの平仄を合わせるという意味でも、今、独法の長は大変重要だという答弁もございました、ぜひ、これは将来の政権を拘束する形で内閣の承認を得て任命をするという形に改めるべきだと考えます。

 これについてはまだ時間がありますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。質問はするつもりはないです。

 次、定年に行きたいと思います。

 現在、独法の役員の定年に関する根拠は、「特殊法人等の役員の給与・退職金等について」、平成十四年三月十五日閣議決定であります。現在もこれは維持されているのか、そして、今後の政権、将来の政権においてもこれは維持されるんでしょうか。

 そして、これも同じです。もしされるのであれば、我々の衆法においては、内閣総理大臣が定める基準に基づき定年を定めるということになっておりますが、この内閣総理大臣が定める基準をこの閣議決定にすればいいわけでございますから、そうすべきではないか。つまり、将来の政権もこの閣議決定を適用するということで拘束すべきだというふうに考えますが、さきの事実関係とあわせて答弁をお願いします。

稲田国務大臣 独立行政法人の役員について、今回の見直しでは、国家公務員や民間企業においては独法役員のような任期つき任用のケースについては法律上の定年制はない、また、適材適所の人材配置が最重要であり、一律、一定の基準を導入することは妥当でないということから、定年等の在任年齢に係る規制をあえて法律では設けることはしませんでした。

 他方、国家公務員OBが何カ所も独法役員ポストを渡り歩くことは到底国民の理解を得られるところではありません。

 このため、六十五歳を原則としつつ、個々の事情に応じて弾力的に例外を認めるとする、今委員御指摘の平成十四年三月十五日の閣議決定によるルールを継続しているところでございます。

後藤(祐)委員 先ほどと一緒です。現在はそれを適用しているわけです。しかも、その意義も、わたりの防止ですとかおっしゃっておられました。

 この十四年のルール、私は適当なところだなと思っています。六十五歳というのは、やがて年金受給年齢が後ろに下がっていく話との整合性もとれておると思いますし、どうしても理事長あたりに六十七歳ぐらいの人を雇いたい場合は、特殊なルールで七十歳も時にはいいですよという、運用し得るルールだと思いますので、ぜひ、これを法律に位置づけるためにも、内閣総理大臣が定める基準に基づきという規定を入れていただきたいというふうに申し入れておきます。

 ちなみに、このルールに基づいて、現在、実際にどうなっているんでしょうか。つまり、理事長、副理事長は特段の事情がある場合は七十歳、それ以外の役員は六十五歳というのがルールでありますが、全部の独法の中で、これを超える年齢の者はいるんでしょうか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 残念ながら、今、手元に数字を持ち合わせてございませんけれども、六十五歳を原則としつつ特に必要な場合はということで、柔軟に運用がなされているものと考えております。

後藤(祐)委員 きのう質問通告のときに、どうなっていますかと私聞いたはずです。それについては報告してください、事実関係だから事前に下さいと言ったはずです。これについては、事実関係ですから、後で私のところに資料を持ってきていただけるようお願いします。

 次、役員報酬について。

 役員報酬については、累次の閣議決定がございます。この調査室のつくられた資料の百三十八ページから百四十ページまで、全部読み上げると時間がかかるんですが、「特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について(平成十四年十月十八日特殊法人等改革推進本部決定)」の2、「独立行政法人、特殊法人及び認可法人の役員の退職金について(平成十五年十二月十九日閣議決定)」の1、「行政改革の重要方針(平成十七年十二月二十四日閣議決定)」の4、「独立行政法人整理合理化計画(平成十九年十二月二十四日閣議決定)」の3の1ポツの(4)、「公務員の給与改定に関する取扱いについて(平成二十二年十一月一日閣議決定)」の3(3)、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針(平成二十二年十二月七日閣議決定)」の3の4ポツの1。百四十ページまでにしましょう。

 これらは現在有効ですかという質問を事務的にしたところ、この中の、百三十九ページの平成十九年十二月二十四日のものの1ポツ(4)1エの、独法の長の報酬を事務次官の給与の範囲内とするよう要請することという部分については、昨年の閣議決定で改正されているという。それと、もう二つ、二十二年十二月七日閣議決定の4ポツの1「人件費の適正化」については、最初の二つの丸については今適用されていない。逆に言うと、それ以外は現行も有効であるという事務的な説明がありましたが、それで間違いないでしょうか。確認の質問をしたいと思います。

長屋政府参考人 お答えを申し上げます。

 そのような理解でよろしいかと思います。

後藤(祐)委員 これは通告しているんですから、頼みますね。

 このルールの縛りは少なくとも現政権では維持されていると理解します。次官の給与以下にするかどうかについては、先ほどの議論が続くということだと理解しています。それ以外のところについては、少なくとも今のところは共通理解に達しているというふうに確認させていただきました。

 次、情報公開ですが、今、資料を配付させていただいておりますが、一ページ目の上の段が民主党政権時代の基本方針、下の段が自民党政権になってからの閣議決定です。それぞれの独法の情報公開の部分でございますが、差分がございます。

 この中の民主党政権の上の方の部分の最初の丸、具体的にこういったものを新たに公表するとなっています。「事業部門・間接部門別職員数、公務員OBの再就職先との取引状況、会費等契約によらない支出の状況、交付金の使途や資産保有状況に係る情報」、こういったものは現在公表されているんでしょうか。そして、今後、公表し続けるつもりがあるんでしょうか。そして、この公表はいかなる根拠でもって公開を義務づけるんでしょうか。

 我々はこの閣議決定で義務づけているつもりでしたが、この平成二十四年一月二十日の閣議決定は恐らく今効力がない状態だと思いますので、もしやっているということであれば、どうやってそれを義務づけるのかもあわせてお答えください。

稲田国務大臣 平成二十四年一月二十日の閣議決定において、今御指摘の情報公開の規定が、条項があるということは事実でございますし、承知をいたしております。

 このうち「事業部門・間接部門別職員数」は、昨年の独法改革等に関する分科会の法人シートに記載され、行革推進会議のホームページで公表いたしております。

 また「会費等契約によらない支出の状況」は、民主党政権の方針を引き継ぎ、各法人において公表をいたしております。

 さらに「資産保有状況」は、独法会計基準に従い、財務諸表の附属明細書に記載され、各法人において公表をされております。

 また「交付金の使途」については、昨年末の独法改革の基本方針において、運営費交付金の予算の見積もり及び執行実績を明らかにすることとされ、今回の改革の実施に伴い公表をすることといたしております。

 一方、「公務員OBの再就職先との取引状況」については、既に公表されている情報を参照することによって把握可能であることから、法人事務の負担も考慮して、開示の義務づけを見送ったところであります。

 いずれにいたしましても、今回の独法改革において情報公開の充実を図ることといたしておりまして、その細目は改正法の施行までの間に鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 その下の自民党の閣議決定、中身はほとんど書いていないんです。ぜひ、稲田大臣、今言ったような具体的なところを、今後どれを公表するか、決められるんです、大臣が。

 今の「公務員OBの再就職先との取引状況」のところだけ非常に曖昧というか、義務づけを見送ったということでございますが、いろいろな情報を使えば把握可能と。把握できませんよ、そんなの。世の中一般の人は、少なくとも。どこにOBがいるかわからないんですから。それはちょっと詭弁だと思いますので、これも含めて、ちゃんと今後の情報公開の対象に含めていただけるよう、こういうところで後退させるのは大変もったいないと思いますので、一回応じたことは役所は前例に従ってやりますから、ぜひやってください。これに限らず、ほかの情報についても提供したらいいと思いますし。

 ただ、大事なことは、大臣、それをきちっと閣議決定しなきゃいけないんです。我々は閣議決定がありますが、この二十四年一月二十日、消えていますでしょう。ですから、例えば「公務員OBの再就職先との取引状況」をやると決めても、それは縛らなきゃいけないんです。ぜひそれを閣議決定レベルで拘束する形で、だから、もう一回何らかの閣議決定をする必要があるんじゃないかと思いますので、大臣の奮闘を厳しくチェックしていきたいと思っています。

 次、不要資産に行きたいと思いますが、これについても参考資料がございますが、独法の不要資産については通則法八条三項で定義されておりますが、これが非常に曖昧な定義でありまして、具体的な定義については、配付資料の二ページ目に、これは民主党政権時代の行政管理局の各省に通知した文書の中にかなり具体的に書いてあって、三ページ目を見ると、かなり具体的なんですね。

 本部が首都圏にある場合の東京事務所の土地建物。稼働率が低く、中期計画期間中に使用される見込みのない動産、例えば、年間営業日数に対する稼働日数五〇%未満等。入居率が低い職員宿舎、例えば、入居率五〇%未満。稼働率が低い宿泊施設、教育・研修施設、例えば、利用日数五〇%未満。独法が保有することが必須と考えられない福利等施設、保養所、運動施設、遊戯施設等。これはかなり具体的なんです。

 これに基づいて、平成二十二年度、二十三年度については国庫納付がかなり広範に行われました。配付資料の次のページ、四ページ目に、この基準に基づいてこういったものが国庫納付されまして、その次の五ページ目、トータルで合わせますと、何と九千七百三十億円国庫納付されている。つまり、約一兆円が国庫納付されているということで、大変効果があったわけです。

 まずお聞きしたいのは、この九千七百三十億円全て、これは個別の独法の資料を見ればわかるはずなんですが、きのう事務方に全部把握していますかと聞いたら、これは総務省になるのかもしれませんが、把握していないということでした。現時点で把握されておりますか。そして、把握されておられないのであれば、今後、全て把握し、把握した上でまとめて総務省のホームページ等で公表すべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

上川副大臣 御質問の国庫納付の実績ということでございますが、独立行政法人会計基準におきまして、財務諸表に不要財産の国庫納付の実績を注記するということとなっているところでございます。

 二十四年度の各独法の財務諸表におきまして国庫納付等の額として記載されている額から集計いたしますと、約八百三十一億円ということでございます。

後藤(祐)委員 総務省として全ての独法の不要資産を把握していますかと伺っています。

 つまり、私はきのう、印刷局の分について個別に全部いただきました。これは全部公表されているデータですよ。つまり、何で大事かというと、これから監事の話をやりますけれども、会計基準にもあるわけですから、監事がこれは不要じゃないかなという目で自分の独法の資産をチェックしなきゃいけないわけです。

 そのときに、では、ほかのところで過去どうだったかなと、例えばこういったものというのは入るのか入らないのか微妙なときに、過去のほかのところの独法の前例に当たるというのは常識的な実務なんです。そのときに、では、過去不要資産として国庫納付したもののまとめたものはないかと、真面目に監事をやろうと思えばそういう仕事ぶりになるはずなんです。ところが、総務省はそれをまとめたデータを持っていないと言うから、それを持っていますかと伺っています。

 だって、これは公表データですから、集めるだけなんですよ。それを今後やりますか。それを総務省のホームページに張りつけてあったら、各独法の監事は仕事がしやすいじゃないですか。全ての監事がそれぞればらばらに、全ての九十幾つもある独法に対して全部集めるんですか。総務省、やってください。

上川副大臣 御指摘の、公表する財務諸表に、注記に記載されている、こうした不要財産の国庫納付の実績というのが記載されているところでございます。今九十八の独立行政法人がございますけれども、今回の独法改革に伴う運用の見直しを行う中で、わかりやすい情報開示などの点から、この国庫納付の実績の取りまとめ、そして情報公開のあり方につきましてしっかりと検討してまいりたいというふうに思います。

後藤(祐)委員 やってくださいね。

 今抽象論でおっしゃったので、含みを残していただいたというところはぜひ、上川副大臣、行革を非常に前からやっておられて、私も役所にいたころ御説明に伺ったことがありますけれども、非常に前向きな方だと思いました。これは公表データですから、それを集めるだけですから、副大臣が一言担当課に指示すればそれで終わりなんですよ。これは簡単にできることですので、ぜひよろしくお願いします。

 次、今回の法案のメーンであるところのガバナンスの問題、監事による監査を中心に聞いていきたいと思います。

 まず一つ確認をしたいと思いますが、十九条の二で、監事の、法人の長と主務大臣への報告義務について規定されております。

 この主務大臣に対する報告のところについては、追加部分であって、一定の評価をさせていただきたいと思いますが、この読み方として、「役員が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、」とあって、「又はこの法律、個別法若しくは他の法令に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるとき」とあるんですが、この「又は」以下の不法云々というところについては、役員以外の職員が法律に違反するようなことがあった場合も含まれるんでしょうか。

 つまり、この文章の読み方として、「役員が」とある最初の方の主語は、途中の「認めるとき、」で終わっていて、「又は」以下は、「役員」が主語ではなく、職員による不法行為も対象となるという解釈でよろしいでしょうか。確認したいと思います。

長屋政府参考人 先生御指摘のとおりでございまして、後段部分につきまして、その主語は、「役員」ではなく、一般にこれらの事実があると監事が認めたときということで、法人の長及び主務大臣に報告義務が生じるということになります。

後藤(祐)委員 これは、読み方、当たり前のようですが結構難しいので、重要な答弁だと思います。

 この十九条の二によって、悪いことが起きたときは監事は主務大臣に報告義務があるわけですが、とは言っても、その独法で何が起きているか、監事は通常そう簡単にわかりません。悪いことほど隠蔽するわけですから。

 調査権限はいろいろ今回付与されておりますし、それは重要なことだと思いますが、報告義務、独法の役員や職員が何らか悪いことがあったときには監事に報告するという義務をかけないと、先ほどの十九条の二で監事の主務大臣への報告義務が課せられているんですけれども、監事が知る由もない中で報告義務だけかけられているわけです。

 これに対しては、二十一条の五というところが新設されていて、当該独法に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは、直ちに当該事実を監事に報告しなければならないということが規定されていて、この部分は価値があると思うんですが、つまり、著しい損害という経済的な面だけについては監事への報告義務があるんですが、先ほどの十九条の二の監事の主務大臣に対する報告義務は、経済的な部分だけではなくて、むしろ、法律違反があった場合には報告しなきゃいけないという、もっと広い概念なんです。

 ところが、この法律違反部分については、二十一条の五で、役職員は監事に対して報告義務は課せられていません。これですと監事はなかなか知ることが難しいことになりますが、これは、なぜ、十九条の二の規定に合わせて、二十一条の五の中でも十九条の二の監事の報告義務の内容をそのまま役職員の監事への報告義務という形で規定しなかったんでしょうか。そして、その漏れている部分については、実務上、どうやって役職員の監事への報告義務をかけていくつもりでしょうか。

 これについては、次のような二つの関連する記述があります。

 一つは、二十五年十二月の閣議決定で、「監事の機能強化等による法人の内部ガバナンスの強化」というところで、「法人は、法令等を遵守しつつ業務の適正を確保するための体制を整備する。」というふうにされております。それ以上のことは書いていないです。一方で、「監事監査に関する参考指針について」というところでは、「法令違反行為、業務上の事故その他業務運営に著しく影響を及ぼすと認められる事態が発生したとき及び業務運営に関する内部通報、外部告発等があったときは、関係者は、速やかに監事に報告するものとする。」とありますが、これはどの程度の法的義務があるのか微妙なところであります。

 このように、やはり、内部ガバナンスを進める上で、監事への報告義務をどう規定するかが極めて重要なんです。その観点から、先ほどの二十一条の五が新設されたことは一定の評価はいたしますけれども、まだ抜けている部分があるんです。

 先ほどちょっと質問は申し上げましたが、なぜ、今の部分、不法行為の部分が除かれてしまったんでしょうか。そして、それをどう実質的に担保していくつもりでしょうか。

稲田国務大臣 監事の機能強化というのは、今回の改正の最も重要なポイントの一つであるというふうに考えております。

 今委員の御指摘は、十九条の二と二十一条の五の監事への報告義務の範囲についてのお尋ねでございます。

 現行の監事監査に関する参考指針において、「法令違反行為、業務上の事故その他業務運営に著しく影響を及ぼすと認められる事態が発生したとき及び業務運営に関する内部通報、外部告発等があったときは、関係者は、速やかに監事に報告するものとする。」というふうにされております。

 また、先ほど御指摘があった内部からのガバナンスの問題ですけれども、これは、今回の新通則法第二十八条において、法令遵守等内部統制の体制整備を法人の業務方法書に定めるということを規定したところでございます。

 法案が成立しました後、この業務方法書における内部統制の記載内容の検討、また、監事監査に関する参考指針の見直しの際に、新通則法に対応して、監事機能の強化に資するものとなるよう、独法制度の運用を担う総務省を初めとする関係省と相談をしてまいりたいというふうに考えております。

後藤(祐)委員 業務方法書に書くと法的拘束力がありますか、二十八条とあわせて。今私が申し上げた内容が業務方法書に書かれてそれが法的拘束力を持てば、それは一定のやり方だとは思いますが、法的拘束力がありますか。

稲田国務大臣 内部からのガバナンスということから、法令遵守等の内部統制の体制整備を法人の業務方法書に書くことを法定いたしておりますので、その中に書かれたことも法的な拘束力があるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 重要な答弁だと思います。

 監事監査に関する参考指針では拘束力はないと思いますので、業務方法書に記述すべきだと思いますが、いかがお考えですか。

稲田国務大臣 今御指摘の点も含めまして、監事機能の強化に資するものになるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 重要なやりとりだと思います。

 大臣のリーダーシップで、先ほど申し上げたような不法行為のところの説明義務が、法的義務として独法の役職員が監事に対して義務を負うということを業務方法書で定めていただけますか。もう一度確認します。

稲田国務大臣 法案成立後、業務方法書における内部統制の記載内容について、監事機能の強化に資するよう検討していきたいと思います。

後藤(祐)委員 稲田大臣がいるうちにやってくださいね。今のは重要な答弁だと思いますので、ぜひ早くこれは手を打ってください、もう具体的な話でございますから。

 それと、監事は説明をいろいろな方に求めることができるんですが、そして、監事による調査を定めた十九条五項、この調査を妨げたときは、七十一条五号で役員に対しては罰則がかかります。つまり、役員が文書を出さない、説明しないといった場合には罰則がかかりますが、職員にはかかっていません。

 ところが、いろいろな文書隠蔽は末端で起こります。職員の監事への文書提出及び説明義務はいかにかけるんでしょうか。

稲田国務大臣 役員に関しては、今御指摘の七十一条一項五号で過料が科されるということになっております。

 お尋ねの、職員が監事の調査に協力をしない場合には、法人の長を初めとする役員が協力するよう指示し、または職員の任命権者である法人の長により当該職員を処分するなど、法人内部の規律維持の中で対応されるべきだというふうに考えております。

 監事の調査に対する職員の協力については、改正通則法に対応し、監事機能の強化に資するものになるよう、独法制度の運用を担う総務省を初めとする関係者と相談をしてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 これについても先ほどの業務方法書に記述すべきだと思います。業務方法書に記述すれば、業務方法書違反だとして処分は非常に根拠を持つものになりますが、業務方法書に書くべきではありませんか。

稲田国務大臣 法案成立後、業務方法書における内部統制の記載内容の検討、監事監査に関する参考指針の見直しの際に、監事機能の強化に資するものとなるよう、独法制度の運用を担う総務省を初めとする関係省と相談をしてまいりたいと考えております。

後藤(祐)委員 各省協議をすると、各省は反対、反対、反対と来ますから、総務省、ちょっとこれは通告していないので、副大臣、苦しいかもしれませんが、前を向いている副大臣に、ぜひ、これは稲田大臣に協力的な姿勢で応じていただけますか。

上川副大臣 ただいま稲田大臣が御発言なさったことの趣旨をしっかりと生かして、協力してまいりたいと思います。

後藤(祐)委員 まだ続きがあるんですが、来週もまだ審議が続くということで、来週また議論をさせていただきたいと思います。

 きょうは前向きな答弁もありましたが、やはり我々の出している法案とずれもあります。ぜひ、これは我々の法案の御検討をいただけるようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、松田学君。

松田委員 日本維新の会、松田学でございます。

 私の方からは、この後、維新の会の議員が続いて質問に立ちますので、その前ぶれとしまして、中身の話の前に、先般、代表質問でいろいろ聞かせていただいた点について、行政改革の基本的な姿勢というか、そのあたりを中心に、もう一度さらに突っ込んだ御答弁をいただきたいということで、最初、若干の質問をさせていただいて、残りの時間を、民主党、みんなの党共同提案の法案について幾つかの確認をさせていただければと思っております。

 まず、きょうも説明責任という言葉が何度も出てきていますが、そもそも今回の法案の、国民が納得するような説明というのを、先般も代表質問で聞かせていただいたんですが、消費税が四月一日から上がって、政府の姿勢として、行政改革をしっかりやるということでやってきた。上がった直後に出てきた法案として、これは、民主党政権のときに独法の削減数が三十七削減というのが、今回、政府案では十三の削減に、削減数が相当減っているというのは、一見すると、量的な点から見れば、どうも後退というふうに見えるんですが、やはりこの辺は、どの点が行革として国民が納得のいくような内容なのか。

 私は、その点で代表質問でも、なかなか財政の実態が国民に明らかでなかったので、公会計改革をして、国民に財政の実態を明らかにできるような財政運営をして、そして、負担に対しては納得できるような負担ということを提案したわけなんですが、行政改革についても、やはりいろいろな仕組みを変えていくんだ、先ほどから、見える化ということで、私も財政も見える化ということを提案したんですが、この独法改革も、見える化というのは一つの論点かと思います。

 ただ、先般、私の代表質問に対して稲田大臣の答弁は、行政改革に全力で取り組むと、ごく当たり前のことしかおっしゃっていただけなかったものですから、この点について、もう少し踏み込んだ、行革にかける姿勢とこの法案との関係について御答弁いただければと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

稲田国務大臣 委員御指摘のとおり、消費税の増税という国民の負担において、行革、私は、これは与野党関係なく不断に取り組むべきものであり、行政改革を進め、そして、それを国民に見える形でお示しすることによって、行政に対する信頼を回復することができると思っております。そして、行革は、それにとどまらず、将来の国の形を指し示すべき重要な取り組みであるというふうに考えています。

 独立行政法人に関しても、国民からの税金を原資の大半として、毎年度、多額の財政支出が行われております。これを踏まえて、適切なガバナンスのもとで、国民に対する説明責任を果たしつつ、法人の政策実施機能の最大化、官の肥大化防止、スリム化を図ることが必要であるというふうに考えております。

 今回の改革では、今までの一律の規定を見直して、業務の特性に対応して研究開発法人など三つの法人分類を設ける、また、主務大臣のもとで政策のPDCAサイクルを強化して、目標、評価の一貫性、実効性を向上させる、さらに、法人内部のガバナンスを強化するほか、主務大臣による是正措置を整備するといった制度見直しを行うことによって、真に政策実施機能の強化に資する組織の見直しを行うこととしたものでございます。

松田委員 政府の行革に向けた決意というものを、今の状況に合わせて論理的に組み立てて説明すべきではないかと私は思っております。

 まず、改革というのは事実の正確な認識からスタートすべきだということで、本委員会でも、また代表質問でも取り上げましたが、日本は先進国の中で量的な意味では最も小さな政府に入っている。そこでの行革というのはどういう意味を持つのか。

 やはり、日本がこれから人類史上始まって以来の超高齢化社会になっていくと、負担の問題というのが、今までの、ほかの国々に比べて、さらに一層重く先鋭に突きつけられてくる。そうなってくると、日本は、ほかの国に比べて小さい政府では済まない、多分人類史上始まって以来の極小の政府というか、そこまで目指していくんだというぎりぎりのところにチャレンジをしていくんだと。

 そうなってくると、民間だけではなくて官の分野も、一人当たり生産性というか、置きかえる指標があるかどうか、それは別としまして、やはり生産性を上げていくんだということをよほどの覚悟でやらなければいけない、相当な高い効率性と効果をもたらすような、そういう仕組みをつくらなきゃいけないんだというふうな、そういう論理展開の中にこういう独法改革というのは位置づけられなければいけないと私は思っているんですね。

 その際に、もう一度事実確認で恐縮ですが、先般、代表質問で、国家公務員の人件費の対GDP比というのは、これは二〇〇五年に比べて二〇一五年は半減させるという目標を立ててきたわけなんですが、これをどうやってやるのかということに対する稲田大臣の御答弁、これは、量的な削減というのは世界でも、これも、人件費の対GDP比も先進国で最も小さいものをさらに小さくするというのはどうやってやるんだということに対して、大臣は、地域間や世代間の給与配分の見直しなどを内容とする給与制度の総合的な見直しということを答弁されているんですが、これはちょっと一見わかりにくいので、どういうメカニズムでこれがこの目標達成に、実現に向かうのか、そのメカニズムをちょっと御答弁いただければと思います。

稲田国務大臣 まず、平成十八年の行革推進法における、平成十七年度のGDPに占める国家公務員の人件費の総額の割合の二分の一にできるだけ近づくことを長期的な目安として留意しております。そして、最新の確定値となる平成二十四年度のGDP比については、十七年度比で約七割の水準となっております。

 この二分の一という目標は、GDPの大きさによっても随分変わってくるのではないかというふうに思っておりまして、二分の一ということにこだわるということでは必ずしもなくて、地域間や世代間の給与配分の見直しなどを内容とする給与制度の総合的な見直しの検討、また、内閣人事局における、新たに、国家公務員の総人件費の基本方針、新たな定員合理化の計画を策定するということなどでバランスをとりながら、適切に対応をしていくということを申し上げたところでございます。

 国家公務員の総人件費のあり方については、行革推進法の規定に留意しつつ、適切に対応をしていきたいというふうに考えております。

松田委員 今の話でも、どうも、何をどういうふうにすれば量的にさらに低下していくのかということがよくわからなかったんですが、やはり量的にさらにスリム化を図っていくというのは、この独法改革もそうなんですけれども、質的に中身を変えていく、やり方を変えることによって、こういう運営になるから、結果としてさらに小さくなっていく、スリム化していくんだという、その質的な点の説明について、よほど説得力のある理屈が必要だと思うんですね。

 先般もこの点を代表質問で聞かせていただいたんですが、スリム化のところはいろいろなことをおっしゃっていました、チェックを強くするとか監視を強める、運営費交付金の効率的使用とか、調査権限とか不正のチェック、そういうチェックをやって小さくするのはわかるんですが、むしろ、そうではなくて、多分、独法の生産性を上げる中でどうやってスリム化が実現していくか、そのメカニズム、スリム化のメカニズムについて、もう一度ちょっと納得のできる御答弁をいただければと思います。

稲田国務大臣 今御指摘になったとおり、今回の改革では、PDCAサイクルをきっちりと回せるようにする、また、法人のガバナンスを法人の内外から強化することによって、質的にいいものにすることによってスリム化を図っていくということでございます。

 政府としては、独法の組織や業務の見直しに当たっては、官民の役割分担の明確化、民間能力の活用等の視点でチェックをすることにより、官の肥大化防止、スリム化を図ってまいりました。冒頭述べましたPDCAサイクルという意味からは、中期目標期間終了時における法人の業務や組織の全般の見直し、毎年度の業績評価を受けた業務改善の際には、民でできるものは民でという視点での見直しを徹底していく。

 また、今回の法改正では、中期目標期間終了時の見直しに関して、第三者機関は、各主務大臣に対し、総理への意見具申も視野に入れた勧告を行うことができるよう、評価、見直しに係るPDCAサイクルを強化いたしております。

 また、ガバナンスという意味では、運営費交付金を適切かつ効率的に使用する責務を課す、調査権限を明確化、役員の不正行為等の主務大臣等への報告の義務づけなど監事の機能強化などで、きちんとガバナンスを強化し、みずからを律する体質の強化が図られることになると思います。

 このようにして、PDCAサイクル、またガバナンスの効いた引き締まった業務運営により、スリム化につながっていくというふうに考えております。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

松田委員 要するに、PDCAというのを重要な柱と考えているということなんですが、私は、官の生産性を高めていくというのは、やはりいい人材にたくさん来てもらって、やる気を持って頑張ってもらうということに尽きると思うんですね。

 その意味で、役員の公募の話もあるんですが、これはまた機会を改めて議論させていただきたいと思います。ちょっと時間が迫ってまいりましたので、まだ来週も審議するということでありますので、またよろしくお願いします。

 それで次に、民主党、みんなの党共同提案の方についてなんです。

 今の、PDCAのサイクルというかその強化、あるいは、私は、ニュー・パブリック・マネジメントというのはもともと独法精神の根本にあったと思うんですけれども、民主党の御提案の中で、日本の行政組織に問われる課題というのはやはりもともとあって、その上で、この案が政府案よりもどういう形ですぐれているのかというのを、幾つかの観点について、まとめてちょっとお聞かせいただければと思います。

 まず一つは、ニュー・パブリック・マネジメントの進化という点で、どちらかというと、民主党の御提案は、政府案に比べると、いわゆる行政改革という視点に非常に力点があるように、政府案は、どちらかというと、ニュー・パブリック・マネジメントをより徹底させるという方に力点を置いているように一見見えるんです。その点は、民主党提案が政府案よりも、結果としてこっちの方がすぐれているということが言えるのかどうか。

 それから二番目は、独法役職員に有為な人材を確保していく。政府案の方は、より各独法の自由な裁量に任せる部分をつくって、よりいい人を弾力的に柔軟に確保できるように見えるんですが、それに比べると民主党提案は、少し縛りがきついというようにも見えるんですけれども、その点。

 それからもう一つは、役職員の士気向上、現場の活性化、これも連なる話なんですけれども、この点から見てどうか。

 それから、研究開発法人ということを政府案では分類して立てているんですが、これは、民主党提案はそこがないということなんですが、そういった意味で、研究開発機関については、成果向上に、やはり民主党提案の方がメリットがあるんだというのがあるかどうか。

 それから最後に、無駄の削減、財務の効率化という行革の点から見てどうか。

 この五点について、政府案に比べてこちらの方がメリットがあるという点を御答弁いただければと思います。よろしくお願いいたします。

後藤(祐)議員 まず、PDCAサイクルの強化などニュー・パブリック・マネジメントの進化の観点からは、主務大臣が法人の目標設定から評価まで一貫して行うということが、現行から一番大きく変わる点だと思いますが、これは衆法の仕組み、我々がもともと最初につくった衆法の仕組み、民主党政権時代のものですね、それを今回の閣法はそのまま採用しておりまして、ここについては条文上の大きな違いはないと思います。

 いずれの案が成立するにせよ、これに基づいて主務大臣による評価というのが重要になってくるわけです。主務大臣がどれだけ行政法人に対してお手盛りにならないで厳しくチェックできるか、評価できるかというのは、大臣にかかっています。これについては、民主党政権時代の事業仕分け等における独法に対する厳格な姿勢と現政権のこれまでの独法に対する姿勢をぜひ比較していただきたいと思います。

 第二に、役職員への有為な人材の確保については、私どもの案の第二十条において、役員は原則公募を行うことを明記しておりますが、これによって、さまざまな分野からより広い有為な人材を確保することが可能になるものと思われます。公募が導入される前、このぐらいの割合は役所の人の取り分だもんねという感じになっちゃっていたころからは既に変わっているのではないでしょうか。

 第三に、役職員の士気向上と現場の活性化についてですが、これも、今申し上げた役員の公募制導入によって、民主党政権時代になる前、独法役員に占める退職公務員の比率は二九・五%でしたが、これが、民主党政権にかわった後、六・九%まで下がりました。退職公務員による独法役員就任が大幅に減ることは、逆に言うと、結果として、独法の内部職員からの役員昇格の可能性が高まることにつながります。これは、役職員の士気向上と現場の活性化に資するところは大きいというふうに考えます。

 第四に、研究開発の成果の向上についてでございますが、研究開発法人制度については、形式は若干、我々の衆法と閣法は違うところはありますが、実質的に制度の設計についてはそれほど違わないものだと考えております。違うのは、民主党政権のときの閣議決定において、現在の政府案に比べて、個別の独法をどうするかということについては大きく違っていて、研究開発法人についてもより多くの組織の統合を掲げております。これによって、スケールメリットを確保しながら、基礎や応用に至る研究者間の交流が促進されることで、開発の成果の向上につながるというふうに考えております。

 最後に、無駄の削減と財務の効率化についてでありますが、まず、人事の面では、役員の公募制の導入によって能力本位の人事が行われることによって、国の役所との不透明な関係ゆえに発生する潜在的な無駄というものは削減されることが期待されると思います。また、役員の定年制による新陳代謝促進、報酬の上限設定による不当な高額報酬の防止、こういったことによって無駄の削減を徹底しております。

 また、目立たないですが、我々の案の第二条第二項の中期目標行政法人の定義の中で、「一定の自主性及び自律性を発揮しつつ中期的な視点に立って効果的に執行することが求められるものを行うことを目的とする法人であって、」という部分がございますが、なぜか、我々の案よりも後につくった閣法においては、この「効果的に」の部分だけ削除されているんですね。ここも実は違う部分なんです。こういうせこいことをしないでいただきたいなと思うんですが。

 さらに、閣議決定ベースで申しますと、民主党政権当時の平成二十四年一月の閣議決定において、法人内部の不要資産の留保防止の仕組み構築、不要、過大な会費支出のチェック、関連会社との契約や随意契約の透明性の確保、こういった面でも財務面での徹底した無駄の削減を進めることとしておりますが、こういったことは現政権の二十五年十二月の閣議決定においては削除されてしまっております。

 このように、無駄の削減、財務の効率化に対する意気込みの違いは明らかだと考えます。

柴山委員長 質疑時間は終了しました。

松田委員 いろいろな論点が明らかになりました。

 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

柴山委員長 次に、中丸啓君。

中丸委員 日本維新の会、中丸でございます。松田委員に続きまして質問させていただきます。

 今回の独法通則法の改正案のポイントは、法人を三分類に分類したというところが一つ大きな視点だろうというふうに思います。多種多様な独法を一つの型に当てはめることが不都合であるというところからだと思うんですけれども、そこは理解できるんですけれども、なぜ三つなのか。九十八法人を三つ。いろいろ、何型とか期限があると思うんですが、三つという分類になった経緯、考え方を簡潔に説明していただけますか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の独法制度の見直しにおきましては、一律に同じ規律、共通ルールを適用することを改めまして、法人の業務の特性を踏まえまして、目標管理の期間の相違に着目して、単年度、三年から五年の中期、五年から七年の中長期、このような三分類の目標管理の仕組みを導入しまして、最適なガバナンスを構築するために分類しているものでございます。

 具体的には、このうち、研究開発を主要な業務とする法人という固まりが一つございまして、これにつきましては、研究開発の成果を最大化するために、研究開発のプロジェクトは長期のものもございます、また専門性も高いということで、こういった特性を踏まえまして、五年から七年の中長期的な目標管理を行う法人として、国立研究開発法人という類型を設けました。

 それからもう一つ、国の業務と密接に関連した業務を担う法人につきましては、国の相当な関与のもと、正確かつ確実な業務執行を実現するために、国の単年度予算管理と合わせた単年度の目標管理を行う必要があるということで、行政執行法人という分類を設けてございます。

 このほかといたしまして、一般に国民向けのさまざまなサービスを提供する法人というのは、高い自主性、裁量を発揮した業務運営により高い成果を上げるということで、これにつきましては、現行と同様の三年から五年の目標管理を行う法人として、中期目標管理法人と名づけ、これらの三つの分類としたものでございます。

中丸委員 分類について今、簡潔に御説明いただいたと思うんですけれども、三年から五年とかで、中期目標、研究開発、行政執行という分け方だと思うんですけれども。

 予算的なものは単年とか三年とか目標管理というのはわかるんですけれども、本来、例えば三年で目標が立ったとして、では三年後にはこの独法をなくすのかどうか。要は、三年間の目標とか三年間の管理ということは、四年目はどうなるのかという話が出てくると思うんですよ。続けているものであれば、目標はあくまで単年度なら単年度の目標、中期なら中期目標であって、本来、その独立行政法人が存在する意義を考えたときには、基本的にはその独法が生まれてから解散するまでの間、この間を貫くものというのも私は逆に必要だと思うんですけれども、今回、そういった観点も含めて三つに分類されているんでしょうか。いかがですか。

長屋政府参考人 委員言われました単年度管理型の法人についての組織の見直しの関係のことかと思います。これにつきましては、条文上もございますけれども、業務の効率化に係る実施状況につきましては、これは三年から五年の中期的なスパンできちっと評価していく、そういうことにしてございます。

 ただ、その中でも、特にこの法人につきましては国と非常に密接関連の業務をしている法人でございますので、組織の廃止ということが直ちにできるようなものかというと、一般の法人よりはその難度は高いものでございますので、直接的なその組織の見直しのためというよりは、まずは業務の効率化のためにその実施状況を把握して直していく、その中に、組織の見直しの機会があればそれもあわせてやっていく、そういったこととしているところでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 今、効率化というお話が何度も出てきていると思うんですけれども、実際、効率的に運用していく、そしてその目標に向かって進んでいくために、今回、PDCAサイクルという言葉が何度も出てきていると思います。このPDCAサイクルの視点から考えたときに、PDCAサイクルを導入することはあくまで手段であって、目的ではないわけで、このPDCAサイクルをしっかりと機能させていくこと、これが非常に重要であります。

 このPDCAサイクルというのは、非常に有名な企業の導入例でいいますと、カイゼンという言葉が、日本語なんですけれども、世界的に普及した。俗に言うトヨタ式というのがこのPDCAサイクルの基本というふうに言われていまして、日本発のこういったやり方というのは非常に海外でも評価されています。

 そして、PDCAサイクルは、そういった大企業だけではなくて、小さな中小企業でも実際に非常に有効的に使われているということも実証されているものであるんですけれども、政府案を見ると、主務大臣を評価主体として、主務大臣が独法を管理した上でPDCAサイクルを強化するというふうになっているんですけれども、管理して、強化したものに対して第三者委員会が評価、点検を行うというふうに、ここだけ読むと非常に水も漏らさぬ体制になっているように思うんです。

 私も、以前も申し上げましたけれども、社会生産性本部がやっている経営品質賞の審査員とかをやっていまして、各項目ごとに評価したりとか、その組み立てをやっていて、今回の政府案を見て、一つ疑問点がございます。

 というのは、PDCAサイクルが回ってその改善が行われる、効率化が行われる一番みそは実は、これはやっている人たちが主体になるからなんです。主体となるということは、目標、問題点、課題、何を項目としていくかということを自分たちが考えるんです、本来。これを、上からつくられたものを押しつけられてやるとどうなるかというと、これは、組織というのは非常に単純でして、言われたことしかやりません。言われた改善点しかやりません。ということは、第三者とか外部の人が見て、ここを変えた方がいいんじゃないかということしか出てこないわけです。

 事件は現場で起こっているわけですから、現場の主体性をどういうふうに取り入れていくかというのがどうも読み取れなかったんですけれども、法人の職員一人一人が、この法人の運営をよりよくしていくんだ、参加意識を持つこと。それから、さっき、単年度、中長期とありましたけれども、生まれてからなくなるまでのトータルを通すという意味には、これは、その組織の存在意義とか理念というのをまず共有すること、非常に大事なんですね。これは民間企業であろうと独法であろうと、組織である以上は全てそういうことになると思うんです。

 法人みずから、職員一人一人、みずからが積極的に主体的に自己改善に取り組んでいくことが重要なんですけれども、それについての御見解をお願いいたします。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 中丸委員御指摘のとおり、やはり法人の運営改善にはまさに法人みずからが主体的にPDCAを回すということが大切だということは、もうおっしゃるとおりでございますし、委員がまさにコンサルティングをやられていたとおり、まさに、中からはなかなか改善できないものを外から、生産性を上げるだとかやる気を起こすとか、こういうことは本当に組織運営においては大変重要だと考えております。

 今回の法律では、主務大臣の法人の管理にかかわるPDCAサイクルを規律しておりまして、法人内部での取り組みにつきましては、法人の自主性や個性の特性に配慮し、共通的な規律や仕組みは設けなかったものでございます。これはやはり、いろいろな法人がございまして、それを一律的に、共通的に、どう回せとかということがなかなかできにくいということであったわけでございます。

 ただ、第二十八条の四に、評価結果の取り扱いということに、まさに委員御指摘の改善という言葉もしっかりと明記しておりまして、やはり、中期計画だとか年度計画、事業計画というのを、大臣の許可だとか届け出だとか評価を受けるということになっています。これは、主語は主務大臣がしっかり評価したり許可したりということでございますが、法人自体におきましても、事業計画、年度計画、中期計画についてしっかりと業務運営の改善に適切に反映させるということを二十八条の四に書かせていただいていまして、毎年度、評価結果の反映状況を公表するというところにおいて、私どもは、法人みずからのPDCAのサイクルを回すべく、ここで規定をさせていただいているところでございます。

中丸委員 ありがとうございます。

 今副大臣の方から、各法人一律で行うことは難しいと。もちろんです。そうなんですね。だからこそ、各法人の、かかわっている人を含めてみずからが自分たちの、わかりますか、評価というのは、外部からだけではなくて自分たちで自分たちを評価するという項目がこのPDCAサイクルの肝なんですよ。だから、自分たちが参加して自分たちで改善して自分たちも評価する、そしてそれが外部から見たときにどうかというのをやっていくのが、本来、経営品質の中で培ってきた、本当に長年、毎年毎年イノベーションをかけながらやってきてつくっている知的財産といいますか、日本の財産だと思うんですね。

 こういったものを持ち込んでいかないと、一律だから難しいからやらないではなくて、一律ではないからこそ各自に主体的にやっていただく必要があるんだということをちょっと申し上げておきたいというふうに思います。

 私はもうそういうふうに考えますし、ぜひとも、せっかく経済産業省の外郭団体、社会生産性本部が中心になって、各地で、全国で、それぞれ本当に自主的に民間とか地方行政がこの経営品質というものをやっているわけですから、本当に長年、多くの企業や自治体の実績が出ています。非常に有効な知的財産であると思いますので、ぜひとも、そういうのも含めて、各法人一律ではなくて、各法人ごとにその取り組みを考えていく、イノベーションをかけていくということを考えていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

後藤田副大臣 中丸委員がおっしゃるように、今後、職員の参加意識の向上ですとか、法人による主体的な自己改善の取り組みが積極的に促進され、また、こうした自己改善が適切に評価されるような、そういう運用をしてまいりたいと思います。

 ありがとうございます。

中丸委員 御答弁ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いいたします。

 今度は、PDCAサイクルを行って、公表を行っていくというふうに後藤田副大臣の方からもございましたけれども、公表だけではなくて、先ほど申し上げたのは、経営品質賞といいまして、これは表彰されるんです。

 表彰されるときに、どういう取り組みだったかということを分析も含めて発表して、点数化して、その上で、提出されている各企業、自治体、団体の組織活動、改善活動、取り組みがどれだけ効率的にできたか、それはもちろん、改善というのは、要は、ただ倹約したりとか節約したりだけではなくて、結果を出して伸びていったかというのも含めてトータルで評価するようになるんですけれども、こういう評価、表彰するような先進的な取り組みを今行っているわけですけれども、その評価に当たっては、何を評価するかというのが重要なわけですね。

 例えば企業の決算報告書を見て、前年比に対して経費をどれだけ削減したか、利益率がどれだけ向上したか、生産性がどれだけ向上したか、こういう数字で見える部分だけではなくて、先ほども申し上げたように、これは内面的な意識の部分、例えばチームワーク、意識の共有がどれだけ上がったか、こういったことも数値化することが可能になっているんですね。その基準自体も、前回も申し上げましたけれども、毎年、その基準も見直す。もちろん現場も見直す、だけではなくて、この基準自体も、それでいいのかというところも含めて毎年見直しながら適切なバージョンアップをしていく努力をするということだと思うんです。

 外郭団体ではありますけれども、こういう民間も含めた取り組みを大いに参考にしていただいて、成果を上げた事例、要は、表彰するということは、こういういい事例がありましたよ、評価された企業とか団体というのは、全国を回って、何がよかったのかというのを説明しながら、質疑応答で、うちの会社、うちの団体はこうなんだけれどもというような質問を受けながら、そういう場合は我々の取り組みはこういうふうにしましたという、質疑応答とかも含めて、そういった形の勉強会も行われるわけですね。

 せっかく九十八法人もあって、各自が取り込めばこれは物すごいデータベースにもなりますし、特に優良事例、逆に、うまくいかなかった事例も一つの教訓、財産になると思うんです。こういう知見を共有していくような方法とか、そのいい例を別の各法人に普及することが望ましいというふうに思うんですけれども、稲田大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 非常によい視点を指摘いただいていると思います。

 各人がきちんとPDCAサイクルを回す仕組みというのを今回の改正法で至るところに入れております。ただ、それが縦割りになったのでは非常にもったいなくて、それをきちんと、いい例も失敗例も横展開して、全体的な独法の質を上げていくという御指摘だというふうに思います。非常に有益な御指摘だと思います。

 現在でも、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会において、他の法人にも参考となるすぐれた取り組み事例を取りまとめて公表するなどの取り組みを行っているというふうに承知をいたしております。

 今回の改正で、総務省に独立行政法人評価制度委員会が新設されるということも契機として、一層、情報公開、また独法の運営改善を支援、促進する取り組みが進められることを期待いたしております。

中丸委員 その中で、知見の共有だけではなくて、実はここにお互いの改善、イノベーションにかかわる競争原理が働くんです、表彰という制度は。

 知見を共有する、表彰するという行為、要は、例えば、九十八法人、毎年出してもらって、それで例えば上位三法人を表彰するなり一定の評価を、要は、一法人がどうだったかだけではなくて、九十八法人の中でどうだったかという評価も含めて、そのいいところをもちろん出していくんですけれども、いい評価をしたところの、さっき言った、知見を共有するお話を、逆に、監査をしたり管理する側が、ああ、そうですか、こういういい例がありましたよではなくて、先ほども申し上げたように、自主的にやっている各九十八法人にやはり担当する人がいて、それを動かす人がいて、改善担当者がいて、そういう人たち、まさにそこにいる人たちがその場に来て、表彰を受けたところ、そういったところの話を直接聞いて、自分たちは今こういうことで悩んでいる、こういう壁があるんだ、それに対して、似たような事例があれば、どうやって越えられましたか、まだ自分たちが見ていない視点で成功例を見たら、ああ、そういう見方もあったのか、そういう気づき。

 このPDCAは、理念が一番大切なんですけれども、気づきというのが大事なんですよね。この気づきをいかにして醸成するかというのが実はPDCAサイクルと改善の肝なんです。ですから、自主性というのが必要だし、そういった競争だったり表彰制度というのが必要なんですね。これは、本当に、経営品質賞の中では、一番初めにセルフアセッサーという専門のコンサルタントの養成講座の中で言われるのは、この気づきをどうつくるかというところなんですけれども、そこについて、そういったのもぜひ取り入れていただきたいと思うんですけれども、稲田大臣、いかがでしょうか。

稲田国務大臣 今回、自主性、自律性、そして、上から押しつけられるのではなくて、そういう、みずからが気づくということが重要だという指摘、大変そのとおりだというふうに思います。

 今の、評価委員会ですぐれたそういう法人また職員を呼んで話を聞いて、評価あるいは表彰等をする、そしてそれをまた国民に発信するということも、非常に独法の質の向上に資するのではないかというふうに思います。

中丸委員 私は、よくある、独立法人イコール悪とかイコール無駄とかということではなくて、本当に成果のあるものを出していくための組織だというふうに考えますので、その実をとるという意味でも、今大臣に非常に前向きな御答弁を頂戴しましたので、取り組んでいただきたいと思いますし、私も、多少ではありますけれども、それなりに経験もございますので、もし何かあれば、お伺いいただければ参考になるようなお話も少しはできるのではないかというふうに思います。ぜひとも協力をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 今、組織のお話をさせていただきましたけれども、今回、役員人事についてちょっと御質問させていただきたいと思います。

 役員人事、通常の組織であれば、会社であれば、社長であったり、常務、専務、取締役、執行役員等、その役員の人事というのは当然業績の評価と連動しているものになるわけですね。

 今回の独法の改善に関しては、改正案に関しては、役員の損害賠償責任というものがガバナンスを強化する意味で導入されるということは非常にいいことだと思うんですけれども、逆に言えば、損害賠償というのは、何か変なことをしたから、おかしいことをしたからということで起こり得るものであって、要は恣意的なもの、そういうものが含まれているわけですけれども、逆に、今までなぜなかったのかというのを思ったんですけれども、今までなぜなかったのか、何か答えがあれば教えていただきたいと思います。

長屋政府参考人 独法制度の性格でございますが、現在の法律で特定独法と言っておりますが、これにつきましては国家公務員型でございます。それと別に独法制度、それ以外の一般の独法制度を考えた場合には、みなし公務員という規定を個別法で置くものも多うございますが、基本は、公的な主体でありながら、本人はいわば民間人の立場である、そういう考えのもとで当初立案した経緯も踏まえて、現時点、まだそのような規定がないのではないかと考えておりますが、その後の経緯と、またこの法人の存在意義と、一方でいろいろな問題事例なども含めて考えた場合、あるいは法人の責任なども考えた場合に、今回、このような規定を設けることになったということでございます。

中丸委員 こういう損害賠償的なものというのは、本来、もともとあるべきものだったということだと思います。なかったものができたというのは、非常に前向きに一歩前進というふうに捉えていますけれども、独法の運営をよりよくしていくために、役員のそういった損害賠償も含めて、責任を明確化し、不正、不当行為の責任を追及するようにしたわけですね。

 それだけではなくて、業績の評価を役員の人事それから報酬に反映させていくことが、役員の皆さんの責任感、それからモチベーションを高めていくことは非常に大事だろうと思います。だから、昇給もあれば減給もある、昇格もあれば降格もある、これは、組織であれば本来、当然のことでございますし、仕組みをPDCAで変えるのであれば、当然、人事もPDCAで変えていく必要があるというふうに思いますけれども、そこまでは今回、踏み込めていないというふうに思うんです。

 要は、目標を達成した場合に、非常に良好な業績を上げた場合は、当然、これは信賞必罰、やはり報奨を上げたりとか、昇格をしたりとかにふさわしいような実績もあるわけで、逆に、能力不足等とかで十分に実績を上げられなかった場合には、配置も含めて考えないといけない。

 今は、任期ありきでやると、例えば能力不足の人が延々とい続けることも、要は、おかしなことさえしなければい続けることもあるわけで、それは組織にとって大きなマイナスになりますし、本来もっと上のポジションでやった方が能力を発揮できる可能性と実績を出している人が、そのまま、やはり上の任期が決まっているがために動けない、これを世間では硬直した組織というふうに呼ぶわけでございますけれども、こういうのを的確に反映していくことが重要であると。

 今回の法案には盛り込めていませんが、我々も、基本的にこの法案については非常に前向きに取り組んでいきたいというふうに日本維新の会も思っていますけれども、そういったところも、附則なり附帯決議なり修正という形になるかどうなるかわかりませんけれども、やはりちょっと申し上げていきたいというふうに思いますし、組織の硬直化を避ける意味では、やはり仕組みも大事ですけれども、人事しかないと思うんです。それについて、稲田大臣、一言お願いします。

稲田国務大臣 独法の機能強化、質の向上のために、適材適所と同時に信賞必罰というのは非常に重要だと思っております。

 通則法において、役員の処遇については、報酬は業績を考慮する、役員の職務の執行が適当でないため法人の業績が悪化した場合であって、その役員に引き続き職務を行わせることが適当でないと認めるときは、主務大臣または法人の長はその役員を解任することができるというふうにされております。

 これを踏まえて、法人の長については主務大臣が、法人の理事については法人の長がそれぞれ責任を持って、その業績を報酬等の処遇に的確に反映することが必要であると考えておりますし、また、職員についても、給与等の処遇の扱いを弾力化して、信賞必罰を徹底することが重要であると考えております。

 昨年末の独法改革の基本方針においても、業績評価を反映するため、業績給等の導入状況の公表、また報奨金制度の導入などを促すということをしているところでございます。

柴山委員長 中丸君、質疑時間終了です。

中丸委員 ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 本日はありがとうございました。

柴山委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 日本維新の会の杉田水脈です。

 本日は、独立行政法人の通則法の改正案について質疑をさせていただくんですが、まず初めに、この改正案なんですけれども、政府案とそれから民主、みんなの党案というのが出てきておりますけれども、この二つの法案の大きな違いというのを御説明いただきたいと思います。

稲田国務大臣 一番大きな違いは、民主党、みんなの党御提案の法案は、独法制度自体を廃止するということでございます。これに対して、政府案では、独法制度自体が悪いものであるわけではなくて、その制度の本来の趣旨に立ち戻って必要な見直しをするというところが、まず前提として大きく違っているというふうに思います。

 さらに、研究開発を行う法人の位置づけも異なっておりまして、民主、みんなの党の法案では、研究開発法人について独自の分類を設けておられませんが、政府案では、研究開発の最大限の成果の確保との目的を達成するため、国立研究開発法人という分類を設けております。

 さらに、法人の役員に関し、民主、みんなの法案では、任命について、原則公募とされたところですが、政府案では、適材適所の実現方法は多様であることから、公募や推薦の求め等を努力義務といたしております。

 さらに、ガバナンスの強化という観点からは、監事による違法、不正行為の主務大臣への報告義務、また各独法による評価結果の反映状況の公表の義務といった措置の新設は、政府案において民主党案を進化したものというふうに考えております。

杉田委員 大きな違いというのは、独立行政法人の制度を維持するかどうかというところではないかというふうに私は理解させていただいたんです。

 先ほど松田委員の説明の中にもありましたように、この独立行政法人というものが入ってきたのは、いわゆるニュー・パブリック・マネジメント、イギリスの行政改革というものを日本がどんどん取り入れていったときに、私は、地方の公務員をしていたときには、そのころはPFIだとか行政評価というものをずっと研究していたわけですけれども、これが国の組織の中では、中央省庁の改編等の中で独立行政法人が生まれてきたものだと思います。

 ですので、私は、これは行政改革の一つの手法として評価できるものではないかなというふうに考えておりまして、これを廃止してしまうということではなくて、もし今これが機能しないような状態に少しでもなってきているのであれば、そこの部分を、運営を見直して、どのように機能的にしていくかということの方が大切ではないかというふうに考えております。

 それで、お尋ねしたいんですけれども、これまでこの制度の運用を行ってきた中で、この独立行政法人制度のどういった点が評価できて、そしてまた、どういった点には問題があったという整理をしていらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。

稲田国務大臣 今御指摘にあったとおり、独立行政法人制度自体は大変意義のあるものだというふうに思います。

 何が評価できる点かということでございますが、これまでの、制度創設までの特殊法人等と比べ、主務大臣による過剰な関与を廃し、目標管理と運営費交付金の仕組みのもと、法人が自主性を発揮した業務運営を行い、業務の質の向上と効率性を推進したこと、また、各種情報を公表することで業務運営の透明化が向上したこと、定期的な業務、組織の見直しでスリム化を実現したことなどが評価できる点だと思います。

 一方、どういった点が問題、課題であるかといいますと、一律の制度が適用されて政策実施機能が十分発揮されていない、また、目標、評価の実効性に欠けて、適切なPDCAサイクルが必ずしも十分に確立できていなかったこと、また、業務運営の適正化が必ずしも自主的に行われず、非効率的な運営、不祥事等も発生したということから、今回の見直しをしたところでございます。

杉田委員 先ほど大臣が御答弁いただきました問題があった点については、今回のこの法改正の中でどのように改善されているのかというのは、後ほど一つ一つお尋ねしていきたいと思うんです。

 まずは、今回のこの法案の中で、法人の統廃合についても閣議決定をされていることかと思うんですけれども、これが、民主、みんなの党の法案であると、百二余りある法人を六十五の法人にするということになっております。これが政府の方になりますと八十七法人という形になっていまして、どちらがたくさん削減しているかというと、みんな、民主案の方が削減は大きいんですけれども、私は、その内容を見ていきたいなというふうに思うんですね。

 例えば、統合の中では、理化学研究所を初めとして、防災科学技術研究所だとか、海洋研究所といった、そういう五つのところを一つに統合するという形に民主、みんなの党の法案の方はなっているんですけれども、私、これについてはちょっと疑問がありまして、今、ただでさえ理化学研究所は問題になっておりまして、組織が肥大化しているのではないかというようなことが非常に問題になっている中で、五つあるものを一つにしていくのが正しいのかどうかというふうなことは非常に思っておりますので、これは統合しないというような政府案の方が今の現状に即していると思うんですが、一点お尋ねしたいんです。

 防災科学技術研究所というのがあります。これは、兵庫県なんかに耐震工学研究センターというものがありまして、実物大の構造物を使いまして耐震の研究を行うという、全世界最大規模の実験施設があるわけです。こういった施設は、今本当に震災とかが多発しておりますから、統合せずに存続することが私は望ましいと思うんですけれども、その昔、今回の民主党、みんなの党案より前の自民党案の中では、防災科学技術研究所と海洋研究開発機構が統合する、この二つを統合するという案があったんですけれども、今回これも盛り込まれていなくて、それぞれ別々に存続するという形になっています。

 前の民主党案ではこれを統合するとしていまして、今回はこれを統合しない。私は統合しない方を支持しておるんですけれども、そういった経緯だとか、今回それを見送った意義とかを確認しておきたいと思います。

後藤田副大臣 杉田委員おっしゃるとおり、平成十九年には自公政権では防災科研と海洋機構の二法人を統合、二十四年の民主党政権での見直しは、防災科研、海洋機構に加えまして、物質・材料研究機構、科学技術振興機構、理化学研究所の計五法人を統合する、こういう内容であったわけでございますが、我々としましては、単なる数合わせではなくて、まず、やはり政策実施機能を強化するという半面と、そしてまた、いわゆるスリム化、官の肥大化を防ぐスリム化、この両方を充実させるという観点から、過去二回の見直しで統合の対象とされましたこの二つの法人を、改めて統合の是非について議論を行いました。

 委員も阪神大震災を御経験され、そこで公務員として御活躍された中で、釈迦に説法でございますが、先般のまさに東日本大震災も含めて、やはり防災の、また減災の政策というものの重要性はどんどん高まってきているということもございます。

 また、海洋政策におきましても、やはり海洋資源の問題だとか、また領土の問題だとか外航の問題だとか、まさに海洋政策における専門的な、中核的な研究機関として、やはりこれも海洋機構としてしっかり残さなければいけないのではないかという考え方に至りました。

 また、東日本大震災を踏まえまして、地震、津波対策の強化のために、今、先ほどお話ございました海洋機構が整備を進めております地震・津波観測監視システムの防災科研への移管や、また、これはやはり両組織がしっかり有機的に交流することも大事だということも踏まえまして、これからしっかりと人事交流も含めた連携強化を行うこととしたものでございます。

 これによりまして、両法人それぞれの政策分野での役割を十分に、今まで以上に発揮しつつ、連携強化によって喫緊の課題である地震、津波対策の強化にも資するということでございますし、国民の生命、安全につきましてもしっかりと働いていただきたい、こういう組織にさせていただいたところでございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 震災の研究に関する分野は私も本当に国として力を入れていただきたい分野だと思いますので、そのような趣旨に沿った運用をよろしくお願いしていきたいと思います。

 我が国の科学技術のイノベーションを進めていく上で、研究開発の独立行政法人の役割は非常に重要だというふうに考えております。

 先ほどの稲田大臣の御答弁の中にもありましたが、研究技術の類型が新たに加えられるという部分がこれまた民主の法案と違うところだというふうに御説明されましたけれども、これによってどのような効果を期待していらっしゃるのかということをお尋ねしたいと思います。

後藤田副大臣 ただいま御指摘をいただいた類型は三類型でございますが、特に研究開発の類型が設けられまして、その期待される効果ということでございます。

 先ほど来御議論ありますとおり、全法人に一律の共通ルールの適用を我々は改めまして、法人の行う業務の特性に応じて類型化したわけでございます。

 特に、研究開発を行う法人につきましては、研究開発成果の最大化を図るために、他の中期目標管理法人とは異なる特有の目標管理の仕組みを導入する。例えば、これは目標管理ということももちろんでございますけれども、特に総合科学技術会議が案を作成するだとか、また、法人の長の任期の特例を設けたりですとか、こういった独自の規律の中で、他の法人類型とは別に独自の類型を設けることといたしたものでございます。

 また、こうした独自の規律を設けることによる最大の目標は、法人における国の政策実施機能を向上させまして、その研究開発の成果の最大化を通じまして、我が国の科学技術水準の向上、国民生活そして経済社会の健全な発展を期待する、こういうものでございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 時間がなくなってまいりました。先ほどから中丸委員の質問の中でも、かなり詳しくPDCAサイクルの見直しとガバナンスの強化のことについては質疑がされているんですけれども、このPDCAサイクルがしっかり機能するように、今回は主務大臣が評価主体になるということになっております。私は、この主務大臣が評価主体になるということは、その目標に対する達成度をはかるという意味では非常に一貫性があると思われますので、評価はしたいと思うんです。

 その一方で、大臣もお忙しいと思います。本当にそういうところまで目くばせができて、きっちりとしたことができていくのか、ただのお手盛りになってしまう可能性は少なからずあるのではないかと思うんですけれども、この点についてどのような措置がとられることになるのかということについてお尋ねしたいと思います。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、入り口段階になりますけれども、総務省に設置する独法評価制度委員会の方で、総務大臣が策定することとしている目標設定に当たっての指針というものをきちんと点検した上で、これに基づいて主務大臣が目標を具体的、明確に設定する、そういった手順を踏むということで適正性を確保することになります。

 それから、主務大臣が中期目標をつくって法人に指示する段階にあっても、この第三者機関である独法評価制度委員会が点検するということで適正性を担保するということとしております。

 また、毎年度の評価結果が著しく不適正な場合には、評価制度委員会の方が随時調査審議し、主務大臣に対し意見を述べることが可能となっております。

 さらに、今回の法改正で、総務省の行政評価・監視の対象に独立行政法人の業務を追加するということとしてございまして、こういった仕組みをいろいろ取り合わせまして、政策責任者である主務大臣によるPDCAサイクルの強化という面と、中立公正な独法評価制度委員会による関与など、これらが相まって目標管理の実効性が一層高まっていくものと考えております。

杉田委員 先ほどの御答弁の中に、中期目標が終了したらそういう特別の委員会を設けて、その中で評価を行っていくといったものがあるんですけれども、これまでも、中期目標が終了した際には組織全体の見直しをすることとされておりました。今回のこの改革で、この点についてはどのように具体的に改善されているのか、より意味のある組織、業務の見直しが求められるようになるのか、そこの部分、これまでとこれからの違いをお尋ねしたいと思います。

稲田国務大臣 今回、この中期目標期間の終了時というのを独法における一つの大きなターニングポイントと捉えて、第三者機関の厳格なチェックのもと、きちんと見直すということを規定いたしております。

 中期目標の業績評価を最終年度に実施し、その結果に基づき、主務大臣は法人の存廃を含めた業務、組織の全般的な見直しを検討することといたしております。

 また、総務省の独法評価制度委員会が、この主務大臣による法人の業務、組織の見直し内容を点検する仕組みを入れております。

 さらに、独法評価制度委員会の点検の実効性を高めるため、主要な事務及び事業の改廃について、主務大臣への勧告、内閣総理大臣への意見具申の仕組みを設けることといたしております。

 そういった仕組みにより、より実効性の高い見直しが図られるというふうに考えております。

杉田委員 第三者機関を設けて、より厳しく中間目標がきちっとされているかどうかというようなことについての見直しがなされるという御答弁でございました。

 この後、監事の権限強化についても質問を用意しておったんですけれども、時間が参りましたので、これで終わりとさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 前回の一般質疑やその前の本会議の登壇でもって、この独法の関連、主として資金管理ですね、資金一括管理、こういったところを含めてお尋ねをしております。そういった文脈で本日も、ほかもありますが、御質問させていただきますので、そういった視点でお答えをお願いしたいというふうに思います。

 まず、独法通則法の第一条ということで、独法の「制度の基本となる共通の事項を定め、」とあるわけでございます。この「共通の事項」、この関係で、一体、独法というのは、前回大臣が答弁されたように、独立ということからして、独立に、あるいは表現を変えますとばらばらにやるものなのか、それとも、内閣、政府として共通のマネジメントをするものなのか、根本問題をお伺いします。どちらなんでしょうか。

稲田国務大臣 今回改正をいたします独法通則法ですが、この通則法は、独法運営の共通事項を定める法律であるというふうに考えております。

大熊委員 そのとおり、第一条にもそう書いてある、私が質問で申し上げました。この意味するところなんですね、伺っているのは。

 共通事項を定めるということは、全体最適化のマネジメントをするんだと。普通は、私は民間出身なんですが、グループ企業経営からすると、今はもう財務なんかも連結ベースですから、単体がよくても連結がだめだとだめなんですね。子会社同士で足を引っ張ったり、親と子でけんかしたり、足を引っ張ったり、同じような事業をして、これはだめなんですね、連結ベースですから。

 したがって、政府においても、独法を含めた連結ベースで全体の最適化を図るべきじゃないか。例えば資金もあるんじゃないのということで、ずっとそういう文脈でお話ししているんですが、どうも何か、余りそういうところに御意見の同意ができていないんじゃないか、そういう懸念があるので伺っているんです。

 これは全体の最適化をする全体マネジメントなのか、前回大臣が答弁された、独立だからばらばらでやりますというような趣旨を答弁されているんですが、これは一体どっちなのか、お答えいただければと思います。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 独立行政法人制度、この独立行政法人は、中期目標管理と使途を特定しない運営費交付金を前提として国から独立した法人格を付与し、理事長の裁量と責任のもとで自主性、自律性を発揮した業務運営を行わせるということを制度の根幹といたしておりまして、やはり、経理の意味でも個々の責任ということを重視しております。

大熊委員 国から独立した、そういうキーワードがありました。

 そうすると、国の全体最適化管理、今回、例えば公務員法の改正で内閣一元化という人事をやるわけですね。これは、やはりこの内閣委員会の内閣の重要政策含めて全体の、その政権なり政府の全体の政策の整合性というのをとってやると思うんですね。でも、独法は国から独立したということでばらばら、各省のもとにあってばらばら、まあ、言い方を変えると各省縦割り、役所の方は縦割りがちょっと改善するかもしれないけれども、下の方は、独法の方は相変わらず縦割り、こういうことなんですか。

 国から独立したということで、そうじゃなくて、私が言っているように最適化を図るんだ、全体のマネジメントをやるんだということなんですか、どちらなんでしょうか。

市川政府参考人 誤解を招く説明で大変恐縮でございます。

 全体の最適化を図るという意味では、まさに共通の組織の規律それから会計の規律等々を独法通則法という形で入れております。特殊法人の時代のように、各組織の規律が完全にばらばらということではなくて、独法通則法という共通の規律を入れているということで、制度の調和を図っているということでございます。

大熊委員 全体の最適化という御答弁がありました。

 確認をいたしますが、全体の最適化を政府としてやるんだ、独法は百二個ですか、一個減って一個ふえたか、ふえると思うんですが、全体の最適化とおっしゃいました。つまり、全体のマネジメント、それぞれ業務執行をする主務大臣の権限があると思うんですが、政府全体としての最適化を図るんだ、こういうことでよろしいでしょうか。確認のためにもう一度御答弁ください。

市川政府参考人 全体の最適化ということでございますが、その内容が、仮に、例えば独法の資金管理を国に集中させることで、独法の採算上の責任を弱めるというようなものであれば、先ほど御説明いたしました、それぞれの責任のもとで自主性、自律性を発揮させるという法制度の根幹とは相入れず、また、今般の改革方針にもそぐわない面があるのではないか、そのように私どもは考えている次第でございます。

大熊委員 資金の一括管理で採算上の責任を弱めるんですか。

市川政府参考人 先日、キャッシュマネジメントシステムについて御指摘をいただきまして、私どももヒアリング等々、いろいろ勉強させていただいたところでございますが、その中で、例えば独立採算制の意識が低くなる等のそういう問題も指摘されているところでございます。

大熊委員 もう一回最初の質問に戻るんですけれども、独立採算ということは、ばらばら採算ということですか。

市川政府参考人 独立行政法人につきましては、今回、本日の質疑に何度もありましたとおり、その原資の大半を運営費交付金のような財政資金に依存しているという面があることは事実でございますが、ただ、独立行政法人の会計基準が企業会計原則に非常に近いものになっておりまして、各法人それぞれの会計の健全性というものをきちんと示せるような、そういうシステムとなっております。

大熊委員 それはそうなんですけれども、お伺いをしておりますのが、資金の政府による一括管理、だって、出てくるのはまとめて出てくるわけですから、財政資金ですから。政府からして、出た後は野となれ山となれ、そういうことなんですか、違いますよね。政府が一括管理をすべき、つまり、資金の全体最適化も、先ほど全体最適化と言われました、資金についても、やはり野となれ山となれじゃなくて、最適化、効率化、全体のマネジメントを政府として、政府のどこがやるか、新しい機関をつくるのか、前回大臣が御答弁されましたが、私は財務省でもできるんじゃないかと思いますけれども、そういうことなんですよね。どうなんですか。

市川政府参考人 当委員会での委員からの累次の御指摘を今振り返りますと、委員からの御指摘の中には、政府は、財政資金を出しただけで、それの回収を考えていないんじゃないのか、そういう御意識もあるんじゃないかと存じます。

 もしよろしければ、独立行政法人における利益の処分、それが国庫にどのように戻ってくるかということについて御説明させていただきたいんですが、不要資産ではなくて、利益が戻ってくるというシステムがございます。

 これは、毎事業年度、損失を埋めてなお利益に残余がある場合には、これを積立金あるいは目的積立金に整理しなければならない、うち、積立金というのは次年度以降の損失の補填以外に使われてはいけないということになっております。これは四十四条でございます。二項でございます。

 一方、目的積立金は、法人の経営努力に係る利益に限り積み立てが認められており、それは財務大臣との協議の上、主務大臣の承認を受けて、中期期間中にあらかじめ中期計画で特定された使途に充てることができるというふうになっております。

 このように積み上がりました積立金、目的積立金、これの処分でございますが、これは、独法通則法では、各法人の個別法で規定されるということになっております。そして、各法人の個別法、設置法である個別法というものを見ますと、これは原則として、中期目標期間終了時に次期中期期間に繰り越すことがやむを得ないものとして承認されない限りは国庫納付が義務づけられる仕組みとなっております。当然のことながら、ここの繰り越しの承認も財務大臣協議ということになっております。

 ですので、利益を毎年度積み立てていく段階、そして、中期期間を終了して繰り越しとそれから国庫への納付とを振り分ける段階、そこで財務大臣のチェックも入るという、まさに国が必要性を勘案して国庫に回収する仕組み、そのようになっております。

大熊委員 二つのことがごっちゃになっていまして、意図的にされているのか本当にそうなっているかはわかりませんが、国庫に回収する、企業会計、株式会社でいえば減資をしたり配当をしたりするという、つまり、株主総会、総会決議に係るようなものと、それからもう一つは資金管理ですよ、キャッシュマネジメントのような。

 これは、そんな、銀行が資金マネジメントシステムを提供した事業会社の、グループ会社の事業に、独立性に制限をかけるなんということはないんですよね。だけれども、前回、大臣もそういう懸念があるかのような答弁をされておりまして、法人の業務運営の独立性が損なわれるおそれがあると言っているんですね。こんなことはあるわけがないんですよ。

 そこを、今のお話でも二つをごっちゃにしている。剰余金を国庫に戻すという話、それは次に確かに行きたいんですが、その手前で、まず資金の全体管理をやりましょうねと。その上で、後から出てきましたが、剰余金と呼ぶのか、不要資産と呼ぶのか、それから、法律に規定されている不要財産、これは法律に規定されている言葉で、不要資産と私はもちろん一般用語として言っている。それから、独法の閣議決定した方針では違う言い方をしていますよ。余裕金という違う言い方をしているわけですね。あるいはもう一つ、一時的余裕金という、私がつくりました。いろいろ出てくるわけなんですね。

 要するに、まず資金管理をやりましょうね、それで余ったら、あるいは不要になったらという、表現はともかく、国庫に返してくださいね、こういう順番なんですね。二つのことをいきなりお話しされたけれども、要は、二つ目のことが、つまり、独法の独立性を損なうから一つ目が、つまり資金管理ができないということは、これは二つのことをごっちゃにした御答弁、考え方であって、そんなことはないんです。

 もう一回言いますけれども、実際に銀行がグループ会社に対して、ある事業会社にCMSを提供して、それでグループ会社の独立性を損なうような、そんな影響なんて与えていないし、与えられるはずもないし、法的にも、実務上も、実態上もあり得ないんですね。そういうことはあり得ないんです。という認識でよろしいですか。

稲田国務大臣 独法通則法の一条にも規定されており、通則法の名のとおり、制度として共通化を図るということがこの通則法の目的であろうと思います。また一方、独自性を認めるという意味からも、過度の共通性は硬直性を生む。この両者のバランスをどう図るかということではないかというふうに思っております。

 通則法、会計基準などルールは共通しておりますが、事業は独立行政法人個々、当然多種多様でありまして、お金の使い方等も多様であります。しかし、効率性は追求をしていく。そのバランスに立った上で考えていかなければならないという意味において答弁をしたところでございます。

大熊委員 私もバランスは大事だと思っております。

 ごく簡単に言いますと、事業は独立、会計、資金は全体最適化、マネジメントというふうにすべきであると思うんですが、どうでしょうか。

稲田国務大臣 まさしく、どこでバランスをとるかということだというふうに思います。

 大熊委員の御提案は御提案として、検討すべき点もあろうかというふうに考えます。

大熊委員 事業は独立、資金、会計は共通ルール、そして共通マネジメント、全体最適化ということで、これまで検討したことはなかったというふうに前回御答弁されているので、ぜひ真摯に御検討をお願いしたいというふうに思うわけでございますが、御確認でお願いしたいんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

稲田国務大臣 前回、今まで検討したことがあるかというお尋ねであったものですから、検討したことはないということを申し上げました。将来にわたって検討するつもりがないという意味の答弁ではありませんので、委員の御提案は御提案として、必要があれば検討すべきだというふうに考えます。

大熊委員 いやいや、最後のところ、惜しいところまで行ったんですが、必要があればというところがちょっと一言どうなのかなと。

 るる申し上げたとおり、必要だと思うんですよ、今時点で。前回はこれは直ちに必要じゃないというふうに御答弁、議事録もあるんですが、そうおっしゃらずに、必要だと思うんですが、どうでしょうか。

稲田国務大臣 現時点においてその必要性は感じておりません。見解の相違だと思います。

大熊委員 いや、そうすると話が戻っちゃうわけですよね。

 何で、資金、会計は共通ルール、全体の最適化、そして事業は独立ということ、そうすると、資金の全体管理をして資金の効率性を図るということは当然で、先ほど後藤委員の方からいい資料が出ていましたね。総務省の方からも、そういった趣旨の方針ですか、こういったものが出ているわけです。「必要最小限の財務基盤で効率的な業務運営を行う必要があり、保有する資産についてもこれを必要最小限とすることが求められているものと考えられる。」こういうのが出ているわけなんですが、では、これは違うんだ、大臣はこういうお考えなんですか。これは、行政管理局、二〇一二年一月二十日改定、独立行政法人の保有資産の不要認定に係る基本的視点、そういった紙でございますが。

稲田国務大臣 私はそういうことを言っているのではなくて、独立行政法人については、既に、業績評価等を通じて、金融資産について保有の必要性、事務事業の目的及び内容に照らした資産規模の適正性について点検させることになっており、不必要な資金保有はチェック対象となっております。

 さらに、今回の改革によって、法人の業務運営や財務状況等の透明性を向上させる、監事の監査権限を強化、明確化するということになっており、不要資産についてもより的確な検証が可能となるというふうに御答弁をした次第でございます。

大熊委員 そうすると、ゴール、目的、ここの部分はどうも共通したお考えであろうということが確認できました。もし異論があったら後でと思います。

 そうすると、今度は、では手段、手法の問題です。

 それぞれやらせていますというのか、私が申し上げるように、全体最適化ですと全体を一括管理してやった方か、どっちが手法として効率的なのか、すぐれていますか、こういう手段の競争の問題です。

 なぜ、前者がすぐれているんですか、ばらばらにやった方がいいんですか。

稲田国務大臣 独法制度の趣旨に照らして、一定の共通のルールは必要ではありますけれども、自主性、自律性を発揮した業務運営を行わすことが制度の根幹であるというふうに考えているからであります。

大熊委員 いやいや、ゴールは共通した、議論の土台はできたので、次、手段、手法のことを伺っているんです。

 なぜ、それぞれの独法に独立してやらせた方が効率的なアウトプット、目的に達するのか。いやいや、違うでしょう、全体最適化、全体を一括管理した方が効率的にできるでしょうと言っているんです。

 同じ質問ですが、お答えください。

稲田国務大臣 共通のルールについては、通則法で定めております。

 さらに、独法の資金管理を国に集中するまでするということは、独法制度の根幹とは相入れないのではないかという趣旨で、現状、今回の改正法案で検証が可能であるということを御答弁している次第であります。

大熊委員 いや、ですから、また話が半分ぐらい戻って、資金、会計、これは別に、事業のマネジメントに突っ込む、そのものに、意思決定に突っ込むわけじゃないわけですよ。単に資金管理をするだけですからね。銀行は別に、さっきも申し上げたように、大手企業グループのそういった事業そのものに、意思決定に関与するということじゃないわけですよね。特殊な状況になれば別ですよ、債権者としての権限を行使しようとする。だけれども、普通の、通常の状態はそういうことじゃないわけですね。

 だから、今度は手法の効率性の競争になるわけであって、これは、やはり目的を達成するために一番いい手法を使うべきだというふうに私は思うんですね。全体最適化をするような手法、全体管理をする。全体管理をしても、事業の独立性を損なうことなく全体管理をするんですよ。資金管理だけですから。何回も申し上げます。

 これは、別にマイナス面は特にないんじゃないですか。新たにシステムを自前でつくるとなると費用がかかりますねとか、大臣おっしゃられるように、新たな機関にやらせるとなると、ちょっと行政改革のあれに逆行するんじゃないかとか、そういう個別の問題点はあります。それは私も、そういう個別の問題点に対しては、乗り越えなきゃいけませんねと。

 とにかく、これまで検討したことはないとおっしゃるんだったら、では、検討しましょうよ、あるいはしてくださいということなんですね。それを、検討する必要があらかじめないというのは、ちょっとどうなのかなということなんですね。

 もう一度同じ質問ですが、どうでしょうか、大臣。

稲田国務大臣 未来永劫検討しない、そういう硬直的な答弁をしているのではなくて、今回の改正法案において、資産管理についても的確な検証が可能であるというふうに現時点で考えております。

 大熊委員の提案は、提案として受けとめるということでございます。

大熊委員 私としては、ちょっと納得が、なぜ納得がいかないかというと、この場で申し上げたように、具体的に、七兆二千億、年金の部分を除いても四兆、返せるはずであるというお金があるんです。

 四兆円、これは不要財産とまでは、法律上規定されている、先ほど出ました八条で、各省省令で書いてある、いわゆる法律上の不要財産には当たらないと思いますが、会計的に見たときに、四兆は、いきなり全部返してくれと言っていませんよ、資金ショートしますから、ここでも前に申し上げたように。資金繰りを見ながら、ちょっとずつでも、時間をかけてでも、あるいは一部でも返してくれそうなものが、財務省の資料で、財政法二十八条に基づく参考書類ということで配られていますから、これを見ると、足し合わせると、あるんですよ。だから言っているわけです。

 個別にやらせていて最適化になっていないから、四兆あるから、四兆が非最適化になっているから言っているんです。

 この四兆を何とかするために、もう一回言いますけれども、全部返してくれとは言いません、少しずつでも、一部でもと、そういう計画、工程表というんでしょうか、マイルストーンというんでしょうか、そういうことが政府として少なくとも検討されてしかるべきなんじゃないかということを申し上げているんですが、いかがですか。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 委員より御指摘のありました七兆ないし四兆の金額でございますが、委員の御計算は、現預金、有価証券の額、それが純資産を下回っていれば、その額が全てその四兆の基礎になっていくということでございます。

 ただ、御承知のとおり、各法人はさまざまな事業ニーズに基づいて現預金、有価証券を保有しております。

 私ども、この法律の中で不要財産と言う場合には、まさにその事業にとって必要はないということを確かめた上で不要財産というふうに言っております。例えば、手元流動性のために必要だ、例えばディスバースを待っている事業資金である、そういう形で持っている資金を、不要財産であって国に直ちに収納して構わないんだという判断には立てないものでございます。

大熊委員 ですから、そういったことを百二の独法それぞれにやらせているから、言われた手元流動性、これはみんな、資金ショートしたら大変ですから、保守的に持ってしまいますから、だから非効率になるんですよ、それぞれにやらせると。

 だから、発想そのものを、PDCAサイクルではこれは解決できない問題なんですね。PDCAサイクルというのは改善ですよ。だけれども、根本的に手法、手段、政策そのものが改められるということでは、前回、大臣、本会議での御答弁のとおり、これは大臣が政策そのものを変えるということで、それは本会議の御答弁どおり。でも、私は、違うんです、手法のことを言っているんです。政策は同じでも手法そのものを、PDCAは改善でしか変えられないんですよ。今私が申し上げたようなCMS、これはPDCAでは出てきませんから、根本的に変える必要があるときは、例えばPDCAでは回らないんですが、こういうことが必要なんじゃないかと言っている。

 なぜかというと、そういうお金が、四兆いきなり全部これは黒だと言っているんじゃない、グレーだと。可能性があるんじゃないのと。だから、検討しませんかと言っているだけで、事前に検討する必要がないと言われても戸惑ってしまう、こういうことでございますが、いかがですか。

市川政府参考人 ブラックではなくてグレーであるという御指摘、これは私どもも、この四兆の中に全く、今この時点、不要財産が一銭も紛れていないということは申し上げられないわけでございます。

 ただ、それがCMSによってあぶり出されるんじゃないかという御指摘でございますが、先ほど、CMSは別に経営権を侵害しない、銀行は経営権を侵害しないという御指摘でございましたが、実は、CMSを、銀行がサービスをプロバイドするときに、それを受ける側が、親会社、統括会社と子会社、統括会社がまさに子会社の金の出入りを全て管理するということが必要になるわけでございます。そうなりますと、例えば決済日の前四日ぐらいでもうキャッシュの出入りはよせということを統括会社が共通ルールに定めなければいけないというような、そういう例もあるようでございます。

 そういう意味で、その統括会社が子会社、この場合は各独法になるわけでございますが、各独法の経営の自主権をかなり制約することになる、その点を私ども申し上げているところでございます。

大熊委員 いや、ですから、根本問題は、最初に、冒頭に伺ったでしょう。要するに、出資金は全て政府が持っているんですよ。だけれども、出資者としてのガバナンスをきかせないんですか、きかせるんですかという話なんですよ。今言われたのはきかせないという話ですから、私はきかせるべきだというふうに思っているので。きかせないということですか、ガバナンスを。百二の独法の出資金を全部政府が持っているんですよ。ガバナンスをきかせないということですか。

市川政府参考人 御答弁申し上げます。

 冒頭御説明させていただきました、独法制度の根幹は、まさに独法の理事長の責任と裁量のもとで最高のパフォーマンスを上げていただく。そして、その果実につきましては、先ほどちょっと先走って説明してしまいましたが、剰余金の中期期間終了後の国庫納付という形で刈り取るということ、それが一番効率的なガバナンスであろう。

 もちろん、業務についての共通ルールとか透明性についての共通ルールというものは独法通則法の中で用意するわけでございますが、そういうたてつけになっているところでございます。

柴山委員長 大熊君、質疑時間が終了です。

大熊委員 終了なんですけれども、刈り取るのはいいんですけれども、途中の管理をしてください。稲の刈り取りだけやるというんじゃなくて、途中の管理が必要なんじゃないですかということを繰り返し申し上げて、また次回やりたいと思います。

 以上で終わります。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 法案について質問をしていきます。

 現在、本法案の対象となる独立行政法人は十二府省庁にまたがり、九十八法人が存在し、多様な業務を行っています。こうした多様性の中で、独立行政法人の共通の特徴について説明をしていただけますか。

稲田国務大臣 独立行政法人は、中央省庁等改革の一環において、政策の企画立案と実施機能を分離し、効果的、効率的な政策実施を行うことを趣旨として設立されたものであります。

 その共通の特徴は何であるかというお尋ねですが、通則法第二条第一項に定められているところですけれども、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業のうち、国が直接実施する必要はないものの、民間の主体に委ねると実施されないおそれのあるものを実施するものであるということでございます。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

赤嶺委員 独立行政法人が行っている事務事業については、公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであり、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるという、今の御説明のような共通の特徴を持っていると思います。

 独立行政法人制度は、こうした公共的業務を行政が直接執行するのではなく、行政における企画立案部門そして実施部門に、法人格を与えて運営裁量を与える、政策実施のパフォーマンスを向上させる、この点も御説明のとおりだと思います。

 その独立行政法人の特徴を押さえた上でなんですが、今回の法案の一つの柱が、先ほどから論議になっているPDCAサイクルであります。法人の政策実施機能を発揮させるために、PDCAサイクルが機能する目標、評価の仕組みを構築することとされております。

 現行制度では、独立行政法人の目標を大臣が定め、独立行政法人の業績評価は、第一義的には主務省に置かれる独立行政法人評価委員会が現行法では行うことになっているわけです。現行制度では、なぜ独立行政法人の評価を大臣ではなく評価委員会が行うことになっているんですか。

稲田国務大臣 御指摘の、独法の評価を主務大臣ではなく各省の独立行政法人評価委員会が現行制度において行うこととなっている趣旨は、法人の業績評価を客観的かつ中立公正に行うという趣旨であるというふうに理解をいたしております。

赤嶺委員 現行の制度で第三者の評価委員会が評価を行うのは、客観的、公正中立。そして、独立行政法人の実績評価に当たって専門性及び実績に関する知見を踏まえる、そういうことも現行法の評価委員会が置かれた理由になっているわけですね。

 今回の法案では、大臣本人が評価を行うことになっています。これまでは、そういうやり方ではお手盛りになるから、現行法は評価委員会に客観的かつ中立公正な評価を求めてきたのではないかと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 今回、御指摘のとおり、PDCAサイクルの強化の目的から、政策責任者である主務大臣が評価を行うということにしておりますけれども、一方、委員御懸念のお手盛りの評価にならないように、目標設定、評価の基本的なルールとなる指針を、総務省に設置する独法評価制度委員会の点検を受けて、総務大臣が策定をすることにしております。

 また、独法評価制度委員会が主務大臣の中期目標の目標案、業績評価結果を点検し、適正な評価を担保する仕組みとしております。

 さらに、毎年度の評価結果が著しく不適正な場合には、独法評価制度委員会は随時調査審議し、主務大臣に対し意見を述べることが可能としております。

 さらに、総務省の行政評価・監視の対象に独立行政法人の業務を追加することにいたしておりまして、PDCAサイクルの強化とお手盛りのない中立公正な独法評価制度委員会による関与が相まって、目標管理の実効性が一層高まるというふうに考えております。

赤嶺委員 今るる説明をいただきましたが、総務省にも独立行政法人評価制度委員会があるというお話でした。

 現行法では、主務省に置かれている評価委員会は、中期目標期間全体の評価はもちろんのことですが、毎年評価を行っております。新たに総務省に設置される評価制度委員会は、毎年チェックを行うことになるのですか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 現行制度では、総務省のもとに政策評価・独法評価委員会というものがございまして、こちらの方では二次評価として毎年度チェックを行っているということでございます。

 今回の改革におきましては、一次評価、二次評価といった多層的な評価を見直しまして、総務省のもとで置かれる評価制度委員会につきましては、毎年度の業績評価につきましてはルーチン的な意味では関与しないこととしております。

 総務大臣が策定する指針に基づきまして、主務大臣の方で責任を持って毎年度の業績評価を適正、厳正に行ってその結果を公表するという仕組みにしておりますが、他方、この評価制度委員会につきましては、評価の実施が著しく適正を欠くと認めるときには、随時、主務大臣に対して意見を述べることが可能という仕組みにしております。

 さらに、総務省の行政評価・監視の対象に独立行政法人の業務も追加することとしておりまして、こちらの方でも必要な改善方策を勧告することも可能、このような仕組みとしているところでございます。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

赤嶺委員 基本的には、毎年、行政評価は主務大臣が行うことであります。大臣が毎年お手盛りの評価を行っていた場合、それが積み重なって、矛盾に気がつかなくなるおそれもあるのではないかと懸念を持っているわけですが、ちょっと一つの事例を検討してみたいと思います。

 きょうは文科省にもおいでいただいております。文科省に聞きますが、奨学金業務を行っている学生支援機構のホームページには、現在、「奨学金返還相談センターの電話が繋がりにくい状況について」と張り紙がされておりまして、お知らせが掲載されています。こういう状態では、相談を必要としている奨学生の皆さんに大変な不便と迷惑をかけている状態だと思いますが、なぜこのような事態になっているんですか。

佐野政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘のとおり、本年四月上旬に、奨学金返還相談センターの電話が非常につながりにくい状況となりました。したがいまして、奨学生や奨学金の返還者の皆様方に多大な御迷惑をおかけいたしましたことは大変遺憾なことであったと思っております。

 日本学生支援機構の中期目標、中期計画におきましては、その中におきまして、業務の効率化の観点から外部委託の推進を掲げておりまして、これを踏まえて、この奨学金返還相談センターの設置及び運営業務につきましても、平成二十一年十月から民間の業者に業務委託してきたところでございます。

 今先生から御質問がございましたように、今般このようなことが起こってしまった理由といたしましては、私どもといたしましては、ことし四月から新たな業者を五年契約で締結したところでございまして、当該業者の事前の業務研修に不十分な点があったというふうに認識しております。また、例年、四月は相当相談件数が多い月でもありまして、そういったこともあり、非常に電話がつながりにくい状況となってしまったというふうに分析しているところでございます。

 本件につきましては、所要の対応を行った結果、五月に入ってからは、奨学生の皆さん、あるいは先ほど申し上げました奨学金の返還者の皆さんからの問い合わせに対する一つの目安として応答率というものがございますが、昨年並みの九〇%を超えまして、状況は着実に改善しているところでございます。

 今後とも、奨学生等に御迷惑をかけることのないよう、日本学生支援機構に対しまして指導を徹底してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

赤嶺委員 文科省は、質問は以上であります。

 そこで、今、改善をされているとおっしゃいましたけれども、それは、民間に委託している業者というのはコールセンターなんですね。そのコールセンターが四月から変更になったけれども、対応できなくなって、逆に、今改善されたのは、支援機構本体の職員を急遽派遣して対応を図ったというところもあるわけです。

 中期目標には、業務の外部委託の推進を掲げております。私たちは、こういう業務の外部委託の推進ということに賛成するものではありませんが、ただ、今度の法案との関係で見ますと、外部委託のやり方が悪かったのか、それは支援機構の側に問題があったということになります。この場合、中期目標の方にも問題があったということにもなります。

 こうした場合、大臣みずから業績評価を行った場合、今回の問題はどちらに問題があったのか、客観的かつ中立公正な評価、これは期待できずに、こういうことが繰り返されるということになりはしないかと思いますが、これは今の仕組みの問題でありますので、仕組みの問題を、文科省ではなく、内閣官房の方に聞いていきたいと思います。

稲田国務大臣 一般論の仕組みとしてお尋ねでございますので、仕組みのことを説明したいと思います。

 今回の改革法案では、総務省に設置する独立行政法人評価制度委員会による点検を通じて中立性を確保しつつ、主務大臣に法人の目標設定、評価について責任を持たせることといたしております。

 したがって、主務大臣が、年度評価の中で中期目標に問題があると判明した場合、評価結果を踏まえ、主務大臣の責任により速やかに中期目標の変更を行うこととなります。その上で、主務大臣が行う毎年度の業績評価が著しく不適正な場合には、独立行政法人評価制度委員会が中立的、客観的な立場から主務大臣に対して意見を述べることが可能となっており、これらの仕組みを通じて、主務大臣がより客観性を持って評価を行う仕組みが担保されているということでございます。

赤嶺委員 確かに、去年の十二月の閣議決定の独立行政法人改革等に関する基本方針の中には、PDCAサイクルが機能する目標、評価の仕組みの構築について触れておりまして、そして、「主務大臣は、目標案又はその変更案を作成する際には、法人と十分に意思疎通を図るものとする。」こういうこともあるわけです。

 目標が達成できない場合に、その実施部門に問題がある場合だけでなく、目標そのものに問題がある場合も当然あるわけですね。

 基本方針に書かれた、「目標案又はその変更案を作成する際には、法人と十分に意思疎通」されれば、目標の方に問題があった場合に早目にそれを変更する、こういうことができると思いますが、この密接な連携というか意思疎通、これは法律の中にどこに具体化されておりますか。

稲田国務大臣 中期目標を定めるに当たって、法人の業務内容、業務実態を十分に把握して行う必要があり、そのために、恒常的な意思疎通を行うということは前提であるというふうに思います。法律上、特段の規定は設けておりませんが、当然の前提だというふうに考えております。

 ただし、今般の改革においては、主務大臣の政策意図を法人にきちんと把握させるとともに、業務内容や業務実態等を踏まえた目標設定を行う旨を明確化するため、年末の改革の基本方針の閣議決定において、主務大臣が中期目標を定める際に法人と十分に意思疎通を図る旨を明示しているところでございます。

赤嶺委員 当然の前提とはいえ、基本方針に明記せざるを得ないのは、そういう懸念があるからだと私は思うんですよね。法律の中に特段規定しているわけではないがということで。

 私、今回の法案で質疑を行うのに先立ちまして、多くの関係者から話を聞きましたけれども、共通して指摘されていたのが、上から画一的な目標が押しつけられ、現場は疲弊している、こういうものでありました。

 現行の独立行政法人評価委員会が実際にどのように機能しているか、これについても甚だ疑問ではありますが、建前は、専門性及び実績に関する知見を踏まえ、客観的かつ中立公正に評価を行うということでありました。

 ところが、今度は、目標を立てた本人が毎年の業績評価を行うということであります。

 大臣は、法人に対する業務改善命令など、法律上の権限だけではなく、運営費交付金などの予算の権限も持っていて、法人に対しては、意思の疎通という前に、圧倒的に強い立場にあるわけです。その上に、専門性及び実績に関する知見を踏まえ、客観的かつ中立公正に評価する機関というものがなくなってしまったら、大臣のお手盛りの評価、恣意的な評価の危険性が一層強まるのではないかと思います。

 基本方針は意思疎通を強調しておりますが、具体的な担保もないという点では、これは、現在の法律に比べて、改革ではなく、やはり改悪になっていく、現場の疲弊を招いていくということを指摘しておきたいと思います。

 次に、今回の法案で、これまで総務省に設置されていた政令で定める審議会、これにかわりまして、新たに独立行政法人評価制度委員会が設置をされます。この新たな第三者機関、中期目標管理法人に対するチェックの内容において、これまでの機関と何が変わるんでしょうか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、独立行政法人評価制度委員会につきましては、新たに、いわば入り口段階におきまして、総務大臣が定めます中期目標あるいは評価に係る指針、これについて第三者的な立場からチェックする。それから、主務大臣が法人に指示することとなる中期目標をチェックする。それから、中期目標期間終了後の見直しに際しまして、内閣総理大臣への意見具申を可能とする。その他評価の制度や実施に関する重要事項の調査審議を行う。こういった点につきまして、現在の委員会よりも、新たな機能、権限を付加しておりまして、その点、充実しているものでございます。

赤嶺委員 それでは、あと一点、ちょっと具体的に聞きたいんですが、現行の政令で定める審議会は、「審議会は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関し、主務大臣に勧告することができる。」となっております。

 この勧告機能については強化されている、このように認識してよろしいでしょうか。

長屋政府参考人 強化ということの捉え方次第によりますけれども、組織の見直しというのは大変重要な事柄でもございまして、勧告だけでなく、内閣総理大臣への意見具申も含めて、その機能の充実を図っているところでございます。

赤嶺委員 どこから見るかによってそれが強化なのかという、どこの立場から見るかによってそれは違うんだというお話だろうと思うんですが、まさに今、違う立場から見ていろいろ懸念を指摘しているわけです。

 勧告事項については、内閣総理大臣の指揮監督も行われるように意見具申できるようになっています。現行法では勧告どまりでありました。今回の法案では、総理大臣に対する、総理大臣の指揮監督も行われるような意見具申まで機能が強化をされました。

 そこで、法律の第三十五条は中期目標の期間の終了時の検討に関する条項でありますが、これまでは、検討の結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする、このようにありました。今回の法案では、「業務の廃止若しくは移管又は組織の廃止その他の所要の措置を講ずるもの」ということで、所要の措置の内容に業務の廃止や移管や組織の廃止が明記されております。

 つまり、中期目標の期間の終了時の検討は、業務の廃止などを行うためにそういう検討をやるのかということを懸念するわけですが、この点はいかがですか。

稲田国務大臣 現行制度においても、中期目標の終了に際して、定期的に業務及び組織のあり方について見直しを行い、業務の廃止を含めた必要な措置を講ずることが制度の特徴であるというふうに考えられております。

 中期目標期間の評価結果、法人の設立目的などを踏まえ、主務大臣における厳しい見直しを促すため、業務の継続の必要性を検証させた上で、業務の廃止または移管を含めた所要の措置を講ずることを求めるものでございます。

 総務省の独法評価制度委員会は、主務大臣の見直し内容を点検するにとどまらず、主要な事務及び事業の改廃の勧告、内閣総理大臣への意見具申が可能であり、主務大臣は業務についても厳正な見直しを進めることが求められております。

赤嶺委員 独立行政法人が行っている業務、事業については、冒頭、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要なものであり、民間の主体に委ねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるものという御説明でありました。まさに、国民生活上不可欠の業務や事務を適切に遂行するために独法通則法があると思います。

 その法律において、評価委員会の改廃勧告権の強化あるいは組織の廃止の規定、これを、今までもそうだったということをおっしゃっておりましたが、今度、非常に法律に書かれるということの重みがあるわけですね。

 私は、本来の独法が負っている役割と、そんな業務は廃止してもいいよという考え方は矛盾しているのではないかと思いますが、いかがですか。

稲田国務大臣 目標の設定時において、公共上の見地から確実な実施が必要であるという業務であっても、その後の社会経済情勢の変化に伴い必要性が低下した業務、また、国民ニーズに即していない業務、成果が不十分な業務は、税金を財源とする以上、廃止を含めて厳しく見直しを行うことが必要であるというふうに考えております。

赤嶺委員 業務の廃止がもたらす問題などについては、また次回聞いていきたいと思います。

 終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。本日もどうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず、独法改革と成長戦略について稲田大臣にお聞きしたいんですけれども、その前に、御承知のとおり、閣法並びに衆法、二案が審議をされます。その両案の違いをより明確にするために、それぞれのお立場から見解を伺いたいと思います。

 まず、私の認識ではありますけれども、衆法については、徹底した行革を実行すること、また、それによって予算の無駄遣いをなくして財政に寄与する、そして、予算を優先度の高い政策に振り向けていく、その結果として社会の活力を向上させていくというスタンスがあると思います。

 一方、閣法につきましては、この独法改革を通じて、経済成長により貢献できる分野については自由度を高め、資金や人材を集中させ、そして成長の牽引役を担わせていく、いわゆる成長戦略の視点からの取り組みがあると思います。

 そういう面では、私の認識ではありますけれども、それぞれのお立場から、違いがあれば、また、つけ足すものがございましたら御説明をお願いしたいと思います。

 まず、大臣の方からお願いいたします。

稲田国務大臣 最も大きな違いは、独法制度を廃止するか、それとも、独法制度自体の機能というか価値は、意義は認めつつも、もう一度制度の趣旨に立ち返った改革をするかということだというふうに思います。

 政府提案の場合は、独法制度自体に意義を認めつつも、平成十三年に制度がスタートして、そして、貢献した部分もあるけれども、やはり課題もあるというふうに認識をいたしております。

 例えば、一律の制度適用により政策実施機能が十分発揮されていない、また、業務運営の適正化が自律的に十分に行われていないガバナンスの問題など、問題点が指摘をされております。

 そこで、今回の政府案では、独法制度を維持しつつも、制度本来の趣旨にのっとって、法人の政策実施機能の最大化を図りつつ、官の肥大化防止、スリム化を図るという観点から、改革の集大成として、制度、組織両面で抜本的に見直しを行うものであります。

 今回の改革で、各法人が各府省の施策の最前線の実施機能としてその機能を十分に発揮することによって、現政権が進めております成長戦略の推進にも大いに寄与するものというふうに考えております。

後藤(祐)議員 まず、行政改革との関係では、従来不十分であったガバナンスを強化して財政規律を強化する、こういうことで予算の無駄を省いていくという点がありますが、ここは二つの法律にそれほど差はないんじゃないかなと思います。具体的なやり方は、先ほど議論したとおりで、違ってくるかもしれません。

 むしろ、差があるのは、法律上の違いとなっているのは、役員の公募制、定年制、報酬上限制、あるいは、閣議決定ベースまでおりてみますと、現政権の二十五年十二月の閣議決定にはない、平成二十四年一月の閣議決定で定めた随意契約や一者応札の見直しなど、こういったことによって独法における業務の適正性を確保していく、こういった点が行革について随分違う部分だと思います。

 一方、成長戦略との関係では、例えば研究開発法人について、ほかの独法とは異なる制度設計を行うという点では、形式的には政府案と我々の案というのは違うように見えますが、ほとんど内容的には独創性を発揮しやすくしようという点では同じだ、極めて類似しているという意味で、我々の法案も成長戦略にその点で寄与する面があるというふうに考えます。

 ただ、この制度ができ上がった後、個別に研究開発法人をどういう形で統合していくかという点では考え方に違いがあるようでございまして、先ほど申し上げたように、より大くくりで統合を進めていくと、その中での研究者の自由な異動ですとか、こういった面での独創性発揮は、むしろ、我々の考え方の方が図られるのではないかというふうに考えております。

村上(史)委員 どうもありがとうございました。

 共通する部分は当然あるわけですが、また、今御答弁にもありましたように、随意契約の問題、あるいは役員の公募の問題では、政府案とは大きく異なってくるということだと思います。

 もちろん、私はもともと民主党におりましたので、そのときは、当然、方針としては独法、特殊法人改革の中でゼロベースで見直して、必要なものだけは残していくというような基本的な考え方、私も今もそのことを思っておりますけれども、この法案はまた別の角度から質問をさせていただきたいと思います。

 そこで、政府は、独法通則法の改正案に続き特定国立研究開発法人法案の提出を予定されておられましたけれども、今回、提出は断念をされました。ただ、やはり、この両法案はセットでやるべきだというふうに思っております。主眼である特定国立研究開発法人法案が見送られたことによって成長戦略への寄与ができなくなる、また、おくれるというばかりではなくて、本来、この通則法を審議するだけでは全体の法改正の意味あるいは目的が貫徹されないのではないかなというふうに思います。

 さきの内閣委員会でも、内閣府設置法改正案と、健康・医療戦略推進法、それと独法の日本医療研究開発機構法を別々に審議したという経緯もあります。

 本来なら、この通則法に基づいて新たに設置する独法についても審議をすべきだというふうに私は思っておりますけれども、なぜ今回法案を提出するのを断念されたのか、お尋ねをしたいと思います。

稲田国務大臣 今回の通則法の改正でも、国立研究開発法人という一つの類型を認めて、そしてその特質に合った通則法ということを考えているわけであります。そしてその上で、国立研究開発法人の改正の上で、それを一般法として、その特別法、特例法として、世界トップレベルの研究開発を推進し、成長戦略を進めるため、通則法の特例を設けるための特定国立研究開発法人制度ということを考えていたわけであります。

 ただ、特定国立研究開発法人に係る法案については、対象の法人の候補である理化学研究所において、STAP細胞研究問題をめぐってガバナンス体制の再構築や危機管理マネジメントの強化に向けた対応が進められておりまして、理研の対応等を見きわめた上で、科学技術担当大臣が今国会への提出を見送ると判断されたものというふうに承知をいたしております。

 ただ、今申し上げましたように、通則法と特定国立研究開発法人制度との関係は一般法と特例法という関係にありますものですから、本法案の成立をしっかりと図っていくということが重要であるというふうに考えております。

村上(史)委員 特例法としての位置づけがあるということですけれども、もちろん、理化学研究所の一連の問題が背景にあるということは私自身も承知をしておりますけれども、この問題はいつ片づくのかわからないということで、これは、法案そのものは大臣が提出されるわけではないわけですね。ですから、いつごろこの法案が出てくるのかというのは、ちょっと大臣の御答弁から無理かなと思いますけれども、いわゆる成長戦略の一つの独法という位置づけがあるならば、早期にこの法案についても国会で審議をなされることを期待したいと思っております。

 そこで、そういう今回の法案見送りに伴って、この独法通則法の改正によって、具体的に国民にとってどのような成果が示されるのか、その辺を明らかにすべきだと思いますけれども、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 今回の独法改革の国民に対する効果ということでありますが、そもそも独立行政法人というのは、行政の実施部門を分離して、独立の法人格を与えて、業務の質と効率性の向上を図ることを目的としたものであります。そういった制度の趣旨にのっとって、政策実施機能を最大限発揮させて、官の肥大化防止、スリム化を図ることを目的といたしております。

 また、独法の運営は国民からの税金等を財源にしていることから、法人の業務運営や財務状況など、透明性を向上させるため、国民にわかりやすい形での情報公開の充実を図ることといたしております。

 これらの取り組みをしっかりと実現させて、政策の実施機能である独立行政法人が、国民に対して説明責任を果たしつつ、効率的で質の高い行政サービスを提供することが、国民に対する効果ではないかというふうに考えております。

村上(史)委員 であるならば、当然、税金の無駄遣いを省いていくためにも、組織の見直しというものは切るわけにはいかないということで、組織の見直しについて二点ほどお伺いをしたいと思います。

 民主党政権では、平成二十四年の一月二十日に閣議決定をされました基本方針で、その見直しとして、百二法人を六十五法人に大幅に縮減方針が示されました。廃止七法人、民営化七法人、統合減による法人が二十三法人ということを閣議決定されました。その方向で進めようとされておられました。

 一方、現政権では、百法人から八十七法人への縮減方針という小幅な縮減にもかかわらず、それもできずに九十八法人だということで、政府の行革への取り組みが腰が引けているのではないかという指摘もあると思いますが、この点について大臣の見解を伺います。

稲田国務大臣 繰り返しになりますけれども、民主党政権下の改革と今回の改革では、独法制度に意義を持たせるのか、それとももう廃止してしまおうかという前提で大きく違います。その意味で、数だけを比べられるというものでもないのではないかというふうに思っております。

 そういう意味で、数だけを比較するというよりも、むしろ、統合することによって政策実施機能がより強化されるという点を重視して、一つ一つの独法について細かく事情聴取、ヒアリング等を進めた結果、今回の数になったものでございます。

 今後、この法人の統廃合等については、平成二十七年四月以降、可能な限り早期の改革実施を目指して、迅速に講じたいというふうに思っております。

村上(史)委員 今大臣の御答弁、理解しないわけではありません。もちろん、必要なものを削る必要は全くありません。

 ただ、きょうは法人一つ一つの中身については議論はできませんけれども、ざっと見ましても、もう要らないのではないか、役割を終えたのではないかという法人は幾つも見受けられますし、統合も、もっともっと数をふやせるという法人もあると思います。

 そういう面で、ある面では、行政サービスを充実させる部分で必要な法人はあることは事実ですけれども、だからといって、それを大義として組織を温存するということがあってはならないというふうに思っております。その点は指摘をしておきたいと思います。

 ただ、組織の見直しによって、統廃合によって、どうしても雇用の問題が起こってまいります。この雇用に対する対策についてはどのようにお考えなのか、大臣並びに提出者にお伺いしたいと思います。

稲田国務大臣 きょうの質疑の中でも、人事、そして職員が誇りと使命感を持って働くということが重要である、意欲的に働くというのは重要であるということを質疑の中でも言ってきたところであります。そういった意味での環境整備は不可欠だというふうに思っています。

 その観点から、昨年末の改革基本方針の閣議決定においても、改革を推進するに当たっては、独立行政法人で現在働いている職員の士気の向上や雇用の安定にも配慮する旨を盛り込んだところでございます。

 こういった前提に立ちつつ、職員一人一人が自発性、創意工夫を大いに発揮し、各法人が経済成長や国民生活の向上に最大限貢献できるよう、しっかりと改革の実現を図っていきたいというふうに考えています。

後藤(祐)議員 委員が先ほど御指摘された平成二十四年一月二十日の閣議決定の独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針において、「役員の体制についても必要最小限の規模とする。」とされていますが、行政法人が統合されると当然理事長は減るわけで、理事長を初め役員の数は減るものと考えられます。

 そして、その同じ基本方針の中で、「事務・事業及び組織をそのまま引き継ぐのではなく、整理・合理化を徹底的に行った上で統合する。」としております。この事務の整理合理化に伴って、職員の雇用に対する御心配は当然出てくるわけでございまして、これは民主党政権当時も議論になりました。なので、この当該基本方針においては、「制度及び組織の見直しに基づく取組を進めるに当たっては、独立行政法人の職員の雇用の安定に配慮する。」旨を規定しております。

 今後、具体的な組織の統合といったものがいずれにせよ実行されていくというふうに思いますけれども、個々の職員の雇用の安定には当然、十分に配慮することが重要だと考えております。

村上(史)委員 大臣の方も後藤委員も、雇用には配慮すると。ただ、具体的にどういう配慮があるのかなということをお聞きしたかったんですけれども、これはまた次の機会に話をさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間も迫ってまいりましたけれども、法人の分類について、二点ほどお伺いしたいと思います。

 衆法では、独立行政法人ではなく行政法人という名称を使われておられます。なぜ名称を変更する必要があったのか、その点についてまず伺います。

後藤(祐)議員 先ほど指摘しました平成二十四年一月二十日閣議決定の基本方針では、その中の「背景と基本的考え方」という部分において、まずガバナンスが不十分である、無駄や非効率な業務運営が生じている、目標設定が不明確であり、客観的な評価が困難、評価の実効性が欠けている、業務運営の透明性が低く、第三者のチェックが不足している。このように、組織のあり方と業務運営の両面でのほころびが露呈するに至っているという大変厳しい現状認識に立って、組織をゼロベースで見直すという観点でこの改革法案はつくられております。

 一方、平成二十五年十二月二十四日に閣議決定された今回の閣法のベースになっている基本的な方針の中にも「基本的な方向性」という部分があるんですが、今申し上げたような、平成二十四年閣議決定のような厳しい現状認識は示されておりません。

 閣法は、民主党政権時代に閣議決定された今回の衆法をベースにつくられているため、個別の制度論はかなり似ている部分もありますけれども、現状に対する認識の厳しさ、抜本改革の必要性という点では異なる部分がかなりあると思います。したがって、我々の提出している衆法においては、新たな法人制度の名称を行政法人と改めて、現行の独立行政法人から変更しておりますが、閣法では独立行政法人の名称を維持されておるということだと思います。

 この名称の違いに、現行の独法制度が不十分であって、抜本的に改革すべきだという私どもの改革への意思が示されているというふうに御理解いただきたいと思います。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 まさに衆法の意味するところを明確にお答えいただいたと思います。これもまた次の審議で参考にさせていただきたいと思います。

 それでは、大臣にお伺いをいたしますが、公務員型八法人の中で、今回、国立病院機構だけが行政執行法人ではなくて中期目標管理法人に分類をされました。いわば非公務員型になったわけでありますけれども、これはどのような考え方に基づいてなされたのか。また、その目的、狙いは何なのか、お尋ねをしたいと思います。

稲田国務大臣 国立病院機構は、基本的に診療事業による自己収入により運営をされています。このため、職員の採用や病棟等の整備についても、中長期的な収支状況を踏まえつつ、みずからの経営判断でより柔軟かつ弾力的に行われるようにすることが望ましいことから、中期目標管理型法人とし、それに伴い、職員身分について非公務員としたものでございます。

 また、今回、職員身分が非公務員となることで、国家公務員法が適用されなくなることから、六十五歳以上のベテラン医師の継続任用、また、育児中の医師や看護師の短時間正社員としての任用等、より柔軟な人材確保が可能となるなどのメリットがあるというふうに承知をいたしております。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 それでは、役員の任命について衆法提出者にお伺いをしたいと思います。

 閣法では、役員の任命については、公募あるいは候補者の推薦を求めてということで、公募については努力義務規定になっておりますが、衆法では、まさにずばっと原則公募だという原則を出しておられます。その理由、先ほども質疑がございましたけれども、改めてその理由と、そして定年の問題なんですけれども、衆法でも、内閣総理大臣が定める基準に基づき、その役員の定年についての規程を定め、主務大臣に届け出なければならないという条文になっておりますけれども、この定年は何歳なのか、そのことも含めてお尋ねをしたいと思います。

後藤(祐)議員 公募制を原則とするのは、法人の政策実施機能を最大限に発揮できる適切な人材をより広く、より公正に求めるためです。また、法律で原則公募と規定することによって、役員人事における法人と各所管省庁との関係の透明性も高まり、国民の適切な監視のもとで法人運営が可能になるものと考えております。

 続きまして、定年制の問題でございますけれども、現行では、閣議決定に基づいて、独法の役員の在任は原則六十五歳、理事長、副理事長クラスについては、特別の事情がある場合は七十歳まで、こういう運用がなされておりますが、今後、年金支給開始年齢が六十五歳に向けて上がっていくことが決まっておりますので、雇用と年金の接続自体、社会的問題にどんどんなってきます。これを踏まえますと、原則六十五歳という役員定年年齢をこれから引き下げていくというのは現実的ではないというふうに考えます。

 一方で、組織内での新陳代謝の必要性など、六十五歳からさらに引き上げていくという必要性も現時点では特段ないものだと考えております。

 また、特別の事情がある場合に、六十五歳を超える方に理事長等に御就任いただくことも、合理的な理由があれば、現行の運用と同じように、あり得ることだというふうに考えております。

 つまり、現行の閣議決定ルールはある程度合理的なものであるというふうに考えておりますので、ただ、ルールをきちっと定める、法律で何歳と書く必要はありませんが、きちっとルールを定めるということを法律に定めることはやはり必要だということで、我々の法律では、法律に根拠のある形で定年年齢を定めるべきだということで、そこの部分が閣法と違うわけでございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 続きまして、報酬の問題について一点だけお伺いをいたします。

 衆法では、役員報酬において上限を設定するとあります。この上限というのは、それ以下でなければならないという抑制型なのか、ここまでは上げていいですよという意味なのか。私は抑制的な意味で捉えたいと思いますが、提出者として、どのようなお考えのもとにこういう表現になっているんでしょうか。

後藤(祐)議員 行政法人の業務は公共上の見地から行われるものであり、国の行政機関と同じく、役員の報酬についても、国民の理解と高い透明性のもとに支出がなされるべきであり、一定の抑制のもとに置かれるべき面があると考えます。

 一方で、行政法人の中には、世界の最先端を走る研究開発を担う法人から、定型的な業務を国の委託により行う法人までさまざまあります。特段の合理的理由がある場合には、他の役員報酬よりも高い報酬を定めることも認められる必要があると考えます。その意味では、特段の合理的理由がある場合にはそこまで支払ってよいという面も、そういう側面もないわけではないというふうに思います。

村上(史)委員 それでは、最後の質問になります。大臣並びに提出者にお伺いをいたします。

 独法の契約方式は、法令上では規制はございません。ただ、整理合理化計画では、効率化のために、独法の契約方式も、一般競争入札等を原則として随意契約も認めるということになっております。この随意契約の見直しについて、今後の積み残された課題として私はあると思っておりますけれども、この問題についてどのように取り組んでいかれるのか、それぞれお伺いをして、終わりたいと思います。

稲田国務大臣 独立行政法人を含む公共調達全般について、これまで、随意契約をより競争性の高い契約へ移行する取り組みが進められてきました。しかしながら、特殊な機械等で調達先が限定される場合や緊急的な場合など、国の調達手続で随意契約が認められている場合でも、独法では一律に一般競争入札が行われ、速やかな調達が困難となって、政策実施機能の停滞をもたらしたり、国際競争上のマイナス要因になっているという指摘がございます。

 このため、随意契約によることができる具体的なケースを総務省が示し、各法人がこれらを会計規程等において明確化することによって、調達に係る公正性、透明性を確保しつつ、調達の合理化を図るとの見直しを行うことといたしております。

 当然のことながら、随意契約によることが適当でない調達については、より競争性の高い契約へ移行させるなど、調達改善の取り組みは継続していくこととしており、硬直的、機械的な一般競争入札の適用など、行き過ぎは是正しつつも、実効性のある調達改善の取り組みを行ってまいりたいと考えております。

後藤(祐)議員 平成十九年の閣議決定以降、民主党に政権交代した直後の平成二十一年十一月十七日に「独立行政法人の契約状況の点検・見直しについて」を閣議決定しまして、この中で、各独立行政法人に契約監視委員会というものを設置して、随意契約が継続されている理由のチェックを行うとともに、主務大臣による点検、主務大臣から総務大臣への報告を行うことで、独法制度全体における契約の競争性の確保を図ったところであります。

 さらに、二十一年十二月二十五日の閣議決定においては、随意契約は真に合理的な理由があるものに限定されているか、競争入札についても実質的な競争が確保されているかなどを検証するよう、さらに追加したところでございます。

 これらによって実際の数字がどうなったかと申しますと、まず、競争性のない随意契約の契約全体に占める割合を件数ベースで見ますと、平成二十年度は全体の二六・〇%だったものが、平成二十四年度には一四・五%まで、一一・五ポイント改善しております。また、一者応札・応募の競争契約全体に占める割合も、これも件数ベースで見ますと、平成二十年度の四一・九%から平成二十四年度の三二・一%まで、九・八ポイント改善をしております。

 このように、いまだ不十分であるものの、こういった閣議決定によって、具体的な成果につながっていると理解しております。

 加えまして、現在、当委員会に継続審議となっております民主党提案の行政改革実行法案の第十八条において、これは国の行政機関ですが、国の行政機関の調達について、一者応札等の実態検証、入札参加条件の見直し、総合評価方式の透明性確保、職員による入札談合に関与する行為に対する罰則導入の検討。あるいは競り下げの方法を活用した調達の試験的拡大、こういったことを定めておりますけれども、これらについても、行政法人の調達においても、適用可能なものについては導入を図っていくことも期待されると思います。

 先ほど稲田大臣から国際競争力云々という話がございましたが、特殊なケースにおいて、特例というのは、幾つかやることはあり得ると思うんですね。ですが、それを一般ルールにしてしまうと、その他多くのものが、見えにくいところで、よろしくない形で昔に戻ってしまうというのは大変よろしくないことだと思いますので、正々堂々と随意契約できるものについては個別にチェックをしていくということではないかと考えています。

柴山委員長 時間が終了しました。

村上(史)委員 時間が参りました。

 質問を終わらせていただきますが、今の質疑を通じても、それぞれいいところがございます。それを何とか組み合わせる形でいい独法改革ができるように期待をして、終わります。

 ありがとうございました。

柴山委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案及び独立行政法人通則法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びに第百八十三回国会、松本剛明君外三名提出、独立行政法人通則法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、東京大学大学院法学政治学研究科教授宇賀克也君、公認会計士・税理士樫谷隆夫君、三菱電機株式会社相談役・独立行政法人産業技術総合研究所最高顧問野間口有君、日本労働組合総連合会副事務局長安永貴夫君、以上四名の方々から御意見を承ることにいたしております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。

 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。各案について、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 宇賀参考人、樫谷参考人、野間口参考人、安永参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。

 なお、参考人各位に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対して質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、宇賀参考人にお願いいたします。

宇賀参考人 東京大学の宇賀と申します。

 本日は、独立行政法人改革関連法案について意見を述べる機会を与えていただきましたことに、御礼申し上げます。

 この法案には多岐にわたる論点が含まれておりますが、時間の制約がございますので、独立行政法人の類型化に応じた規律の重要性に絞って意見を述べさせていただきます。

 一九九九年に独立行政法人通則法が制定されましたが、その年に日本公法学会で「特殊法人と独立行政法人」と題する報告を行いました。その学会報告が、翌年、学会誌の「公法研究」に掲載されました。本日はその論文を配付させていただきましたが、その中の赤線を引いた部分で、当初から、独立行政法人の類型に応じた規制を検討する必要性を指摘してまいりました。

 行政改革会議が独立行政法人化によりアウトソーシングする候補として主に念頭に置きましたのは、国家行政組織法八条の二の「施設等機関」でございましたが、当時、国立大学も国家行政組織法上はこの「施設等機関」として位置づけられており、独立行政法人化の候補になりました。しかし、大学の自治、学問の自由を保障された国立大学に独立行政法人に係る一般的ルールをそのまま当てはめることには無理があると言わざるを得ず、さまざまな議論の末、結局、国立大学は法人化されることにはなりましたが、独立行政法人通則法の適用対象とはされず、大学の自治、学問の自由にも配慮した国立大学法人法が別途制定されることになりました。したがって、国立大学法人、大学共同利用機関法人は、狭義の独立行政法人とはされませんでした。

 しかし、国立大学法人、大学共同利用機関法人も、中期目標に沿って中期計画を立て、評価を受ける等、独立行政法人通則法と類似の仕組みをとっており、独立行政法人通則法の規定もかなり準用されておりますので、広義の独立行政法人と呼ばれることもございます。

 そういたしますと、国立大学法人法の制定によって、広義の独立行政法人の中に、独立行政法人通則法の規定の適用を受ける狭義の独立行政法人と、国立大学法人法の規定の適用を受ける国立大学法人、大学共同利用機関法人という類型ができたとも言えます。

 さらに、総合法律支援法に基づく日本司法支援センター、いわゆる法テラスも、行政と司法の接点に位置する法人であり、法人運営において最高裁の関与が必要であるため、独立行政法人通則法に基づく狭義の独立行政法人とはされませんでしたが、評価の仕組み等、独立行政法人通則法と類似の仕組みをとっており、独立行政法人通則法の規定もかなり準用されておりますので、これも広義の独立行政法人と言うことができます。

 このように、独立行政法人通則法の規定をそのまま適用することが適切でない場合に、別の法律で通則的規定を置き、必要な範囲で独立行政法人通則法の規定を準用する例は存在し、広義の独立行政法人の中での類型化は既に行われていると言えるものでございますが、独立行政法人通則法の適用対象とされる狭義の独立行政法人の中におきましても、多種多様な類型が存在し、現行の独立行政法人通則法の規定を一律に適用することには問題があると思われます。多種多様な法人の特性を踏まえ、一律的、硬直的な制度の枠をはめることを回避することが望ましく、本委員会で審議されております改正案も、このような配慮を行い、過度の画一的な規制を是正しようとしている点で、適切であるというふうに存じます。

 次に、独立行政法人の具体的な分類について意見を申し上げさせていただきます。

 政府提出の独立行政法人通則法改正案におきましては、中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人の三分類がとられております。議員提出の独立行政法人通則法改正案におきましては、中期目標行政法人と行政執行法人に大別されておりますが、中期目標行政法人に含まれる国立研究開発法人についての特例規定が設けられておりますので、政府案と基本的には同じ考え方がとられていると言ってよいように思われます。

 まず、国立研究開発法人という類型を設け、研究開発の特性に配慮したルールを定めた点を高く評価したいと存じます。研究を始めてから成果を出すまでにはかなりの長期間を要することが少なくなく、特に自然科学の分野ではそうであると思われます。国立大学法人法では、そのことにも配慮して、中期目標の期間を六年としております。国立研究開発法人の場合も、三年から五年という中期目標の期間は短過ぎ、五年から七年という中長期的な目標期間にすることは適切と考えます。

 また、国立研究開発法人の目的として、研究開発成果の最大化が明記されたことも妥当であると考えられます。研究開発は、定量的な目標を設定することにはなじまず、研究上の課題を解決することが目標となるべきであり、この点を踏まえた目標の設定と評価が行われることを期待いたします。

 中期目標管理法人は、現行の独立行政法人と同様、三年から五年の中期的な視点に立って業務を執行することが求められるのに対し、行政執行法人は、事業年度ごとに定める業務運営に関する目標を達成するための計画に基づき業務を行うこととされております。公務員型という点では、現行の特定独立行政法人と共通しておりますが、特定独立行政法人は、公務員型という点以外は、それ以外の独立行政法人と共通のルールの適用を受けるのに対し、行政執行法人の場合、目標達成期間が異なるにとどまらず、主務大臣が必要に応じ監督命令を出すことができることとされております。

 これに対し、中期目標管理法人、国立研究開発法人の場合、違法行為をし、もしくはするおそれがあると主務大臣が認めるとき、または業務運営が著しく適正を欠き、かつ、それを放置することにより公益を害することが明白である場合において、特に必要があると主務大臣が認めるときに限り、是正・業務改善命令を出すことができるとされております。

 行政執行法人に対し、主務大臣が必要があると認めるときに監督命令を出すことができるとすることは、監督権限を相当に強化するものでございますが、行政執行法人の候補として予定されている法人が行うこととされております業務は、国が直接実施しても全く不合理ではないものであり、行政執行法人につきましては、主務大臣による監督を他の類型の法人以上に強化することは不適切とは言えないと思われます。

 以上のように、中期目標管理法人、国立研究開発法人、行政執行法人に三分類し、法人の特性に配慮したルールを適用する方針は支持できるものでございます。

 最後に、以上の三分類のもとで、同一の類型に含まれる法人の間でも、なお、その事務及び事業には特色がございますので、目標の設定や評価に当たっては、その特性に十分に配慮した運用が行われるようにという希望を述べさせていただきます。

 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

柴山委員長 ありがとうございました。

 次に、樫谷参考人にお願いいたします。

樫谷参考人 公認会計士をいたしております樫谷隆夫と申します。

 このたびは、独立行政法人改革及び独法通則法の改正に関しまして意見を述べさせていただける機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

 私は、独立行政法人制度の創設以来、独法改革や評価、独法会計基準に関与しておりましたので、その中で感じましたことを何点かについて意見を申し上げたいと思います。

 行政改革会議の最終報告にありますとおり、自由かつ公正な社会を形成するのにふさわしい二十一世紀型の行政システムの仕組みの一つとして独立行政法人制度が創設されましたけれども、独法制度も十年を超えることとなりまして、その中で課題もたくさん出てまいりました。

 まず第一は、企画立案と実施機能の連携についてであります。

 独法制度は企画立案と実施機能を分離し、企画立案は主務省、実施は独法が担うとされております。この考え方は、簡素で効率的な行政サービスを提供するには最も適しているものと考えます。

 しかし、企画立案を担うといっても、長年、実施の部分に関与していなければ、本当にすばらしい企画立案ができるのか、あるいは、実施機能を担うといっても、実施の企画は必要でありますし、実施の際のさまざまな経験から企画をしていくところもあり、完全な分離をすることは困難であるばかりでなく、むしろ弊害をもたらすこともあり得ます。そのために、主務省と独法の連携が極めて重要であると考えております。

 現行の独法通則法では、主務大臣が中期目標を与え、それに基づき、独法が中期計画、年度計画を策定し実施する。中期あるいは年度計画の実施状況を、各府省に設置されました第三者機関であります独法評価委員会が一次評価をし、総務省に置かれた政独委が二次評価をすることになっております。したがって、主務大臣は中期目標を与えるということはあっても、C、すなわちチェックは直接は行わないので、次のアクションに必ずしもつながらないという仕組みになっております。

 今回の改正法案では、主務大臣が直接評価をすることになっているため、独法から直接実施に関する報告を聞き、評価を行うので、企画立案、実施、評価が一貫して主務大臣のもとで行われることになります。したがって、次のアクションにつながりやすく、PDCAサイクルがよりスムーズに回りやすくなると思われます。

 第二は、評価の客観性についてであります。

 主務大臣が所管の独法を直接評価を行う場合、評価の客観性が問題となりますが、新しく総務省に独立行政法人評価制度委員会が設置され、中期的な観点から評価することになっていること、通則法上の制度ではありませんけれども、今回、総務省行政評価局による行政評価局調査、すなわち、政策評価や行政評価・監視もあわせて行えることとなりましたので、新しく設置される独立行政法人評価制度委員会による評価と行政評価局調査との密接な連携ができるので、以前、私が二次評価を担当している政独委の委員として感じました、いわゆる隔靴掻痒感はより少なくなると考えておりますし、また、より突っ込んだ評価も可能となり、評価の客観性もさらに強化されるものと考えております。また、独立行政法人評価制度委員会は、中期的な観点からの評価を中心に行うことになるので、効率的な評価を行うことができ、また、評価を受ける側も、いわゆる評価疲れから一部でありますけれども解放されることになると考えられます。

 評価の実効性をさらに上げるためには、総務大臣による法人の業務の特性や類型を踏まえまして、目標設定及び業績評価に関する統一的な指針を定めるということになっておりますが、いずれにしても、目標設定や業績評価の当否、適否が評価の客観性、実効性を高める重要な要素となると考えております。

 第三は、独法のガバナンスであります。

 独法は、政策目的、目標をより効果的、効率的に達成するため、自主的、自律的運営が期待されております。

 独法は、自主的、自律的運営を行う一方、公的資金をその財源とする独法につきましては、そのガバナンスも強化されなければなりません。その一つが、前述した独法の評価制度の整備と監事監査の強化であります。

 今回は、長年指摘されておりました監事の権限と責任について明確となったことは、主務大臣からの法人への是正命令の導入を含め、独法のガバナンス機能がより強化されたものと評価できます。強化された監事監査の機能が十分に発揮できるよう、予算措置も含めて独法内部で具体的な体制整備をすることなどについて、独法のトップマネジメントは十分理解する必要があると考えております。

 第四は、独法の運営についてであります。

 今回の独法通則法改正法案では、今までの課題を解決するため、さまざまな制度の改正が行われることになっており、評価できます。

 ただし、独法による良好な行政サービスをより効果的、効率的に国民に提供するには、制度の整備も重要でありますけれども、その運営も極めて重要であります。それは、会社法等、同じ制度で運用されている民間の企業においても、すばらしい業績を上げ成長を続けている企業もあれば、残念ながら破綻する企業もあります。その違いは何でしょうか。

 企業の成功や破綻は、経済状況や時代背景などに起因するものもありますけれども、多くはその運営の巧拙がその原因となっていることを、私は事業再生などの業務を仕事として行っていて、感じております。どのような場合であっても、制度や組織の整備とその運用は車の両輪であり、両者がうまく回転して初めて当初期待した成果が発揮できるものと考えております。

 今まで運用についての課題はたくさんありますけれども、そのうち、以下のものも重要であると考えております。

 すなわち、独法のマネジメントを行う際に、優良な企業が駆使して成果を上げているようないわゆる管理会計的な手法がほとんど使われていないことであります。マネジメントによる業務運営の適正化や効率化への対応が不十分であった原因の一つはここにあると考えております。

 パブリックセクターでは、費用対効果とか最小の費用で最大の効果と言われながら、実際は効果の把握も十分でないし、費用に至っては、合理的かつタイムリーに把握できる仕組みである複式簿記の導入がされていないこともあって、単なるキャッチフレーズ、枕言葉に終わっております。

 独法におきましては、会計は複式簿記により記録され、費用等は発生主義で把握され、財務諸表が作成されております。その意味では、個々の政策や事業、プロジェクトごとの費用、コストの把握、あるいは事業の内容によってはその損益の把握が可能であります。

 しかし、これらに対するコスト把握にはシステム的な対応も必要なことから、一定のシステム投資も必要であり、予算の制約上からなかなか進まないこと、それから、民間企業で行われている、いわゆる管理会計的な手法が公的部門ではほとんどないというようなことがその原因となっておりますが、何といっても、苦労してその効率化を進めるインセンティブが少ない、あるいはほとんどないことが、みずから進んで管理会計的手法を苦労して開発して活用することに独法のマネジメントが積極的に取り組まない理由の一つではないかと考えております。

 さらに、独法制度については、平成二十五年、去年の十二月二十四日に閣議決定されましたいわゆる基本方針についての中で、「その他新たな独立行政法人制度及び組織への移行に当たっての措置等」で、職員の自発性、創意工夫を通じて経済成長や国民生活の向上に最大限貢献できること、法人間における業務実施の連携を強化し、共同調達や間接業務の共同実施を進めること、みずからの事務事業の見直しを行うため、業務フローやコストの分析を行い、その結果に基づいて、民間委託を含めた自主的な業務改善を図るべきなどが記載されております。マネジメントの巧拙は、基本的には地味なことをいかに積み重ねるかであります。これらのことが着実に実施されることを期待いたします。

 それから、グループ法人へのガバナンス及び運営についてであります。

 現行では、独立行政法人は連結財務諸表を作成しているものの、いわゆる子法人に対するガバナンスが不明確であったものが、今回、監事の職務権限において、子法人に対する事業の報告の要請や業務及び財産の状況の調査権限を付与される規定が整備されるなど、独立行政法人の連結経営を進めるに当たって効果をもたらすものと考えます。

 最後に、今回の独法改革を真に実のあるものにできるかどうかは、この法案で改正された制度を今後どのように運営していくかにその成否がかかっております。

 今後、総務省、各府省、独法が今回の独法改革の基本的な考え方を十分に理解した上で、この制度が運用されることを期待しております。

 以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

柴山委員長 ありがとうございました。

 次に、野間口参考人にお願いいたします。

野間口参考人 三菱電機の野間口でございます。

 昨年の三月まで産業技術総合研究所の理事長をさせていただいておりました。

 このたびは、独立行政法人改革について意見を述べる機会をいただき、どうもありがとうございます。民間の研究開発や企業の経営、研究開発独法である産総研の理事長をしました経験を踏まえまして、私の考えを述べさせていただきたいと思います。

 総じて、今回の改革が独法制度の本来の趣旨に沿った形で進められていることに賛成でございます。特に研究開発法人につきましては、新たな制度の必要性を常々実感しておりまして、いろいろなところで意見を発信させていただいておりましたけれども、今回、中期目標管理法人、行政執行法人とともに国立研究開発法人の三つに分類して、それぞれの特徴を最大限に発揮できるような法整備を目指そうということでありますので、大いに期待しております。

 国立を名乗ることは、研究所の職員の意欲の向上、それから一般社会の人が研究所を期待を持って活用しようとする上でも、大変よい効果を発揮するものと考えます。

 例えば、米国では産総研的存在の研究所がたくさんありますが、アルゴンヌ国立研究所、アルゴンヌ・ナショナル・ラボラトリー、再生可能エネルギーに関しては、国立再生可能エネルギー研究所、ナショナル・リニューアブル・エナジー・ラボラトリーなど、ナショナルラボ、国の研究所であると名乗っているわけでございます。

 実は、産総研も、英語名ではナショナル・インスティテュート・オブ・アドバンスト・インダストリアル・サイエンス・アンド・テクノロジーと言っておりまして、外国の人に御理解いただくようにしておるわけですが、ならば国内向けも率直に国立を名乗ることが自然であり、役割や期待を明確にするものだと思います。

 低炭素への取り組みなど、国を背負って世界のルールづくりに参加するとか、先進的なフロンティアの開拓競争などに携わる研究、これが国立研究開発法人が取り組んでいるところでございます。

 現在、世界は、もうこれは先生方、釈迦に説法でございますけれども、科学技術イノベーション競争の時代であり、先進国、途上国を問わず、国、地域間で競争しております。昔は南北問題というような表現がありましたけれども、今は、科学技術イノベーション競争の時代でありまして、新興国等の追い上げも厳しく、国、地域が入り乱れて世界的な競争をしているわけでございます。

 また一方、現代社会は、科学技術の進歩によりまして大変な恩恵を日々我々は享受しておりますが、その反面、気候変動問題とか危険物質による被害などなど、地球規模の大きな難しい課題に直面しております。

 これらのような状況下での科学技術イノベーションの推進は、学者の先生方の知的好奇心主体の研究に重きを置く大学や、利益確保を優先せざるを得ない企業の取り組みだけでは不十分でありまして、公的な研究機関も参加して、我が国の力を結集して進める形をとることが必要だと思います。

 役割を全うし、成果を最大化するためには、それぞれの機関の特徴を生かせるような裁量の柔軟性を担保することが必要であると思います。

 私は理事長になりまして、すぐに職員の皆さんといろいろ議論しました。独法化によって大変改善されたところがある、マネジメントがやりやすくなった、資金の使い方がやりやすくなった、人材の招聘等もやりやすくなったなど、よい点を指摘してくれました。したがいまして、過去の独法化によるメリットはしっかりと評価し、維持すべきであると考えます。

 しかしながら、現在の独法制度では、定型的な業務を効率的にしていくための組織を想定したつくりになっておりまして、先ほど宇賀先生の指摘にもありましたように、研究開発のように、長期にわたり試行錯誤を繰り返しながら世界最先端の知見を生み出していくというような組織に対しては、必ずしも適したものにはなっておりません。基本的なたてつけに問題があるように思います。かえって、効率化という所期の独法化の狙いからも逸脱してしまうおそれがあるように感じておりました。

 二、三の例を申し上げます。

 国内外の人材活用、流動化に関して述べます。

 産総研には優秀な人材がおりますが、全ての研究者が世界的なノーベル賞級の研究者になるとは限りません。しかし、ノーベル賞級ではないが、企業や地方の公設研に行くと相当の力を発揮してくれるという人材が多くおります。

 そういう人材を産総研で応援して、各県の公設研の研究者として活躍してもらうなどのことを考えますと、例えば、国の資金を地方の資金へ援用していいのかとか、民間的センスでは出てこないような、いろいろな課題が生じます。そういったことをしっかりと説明して、問題がないような形で進めようといたしますと、その間にチャンスを逃して、せっかくの機会を逸するということも多々ありました。

 また、ブレーンサーキュレーションという点で申しますと、特にアジアとの交流でいいますと、国のプロジェクトに、アジアの優秀な人材あるいはアジア国の礎となるような人材をチームに招聘することがありますが、プロジェクトが存在する間はそれでいいのでございますけれども、プロジェクト終了とともに資金的に窮屈になりまして、研究所の中でいろいろ非常に工夫、苦労をいたしました。

 それから次に、調達について述べます。

 調達の際の問題点としては、先端的な立派な研究が進展し、次のステップへの構想が成り立った際に、成果を具現化する、試作するための設備をつくることが多々あります。そのような場合でも、必ず相見積もりをとって競争入札にするという制約があります。そのための手間と時間の浪費、知的財産の競争でタイミングを失するなど、大きな問題を感じました。大きな時間的ロス、費用的なロス、成果喪失の問題などの影響が出てくると思います。

 産総研では、先端的な研究機材に関しましてたくさんアイデアが出ます。スピーディーに成果につながる仕組みが必要ではないかと考えます。

 それから、研究力の強化、経営の柔軟化についてコメントいたします。

 自己収入の獲得、期中の外部からの収入、寄附などがありますと、それらを経営の現場に十分活用したいのでありますが、現行制度では、むしろ次に獲得する予算が減るという方向の力が働き、研究の柔軟化、効率化という点で工夫して、それを生かすというインセンティブが働きにくい形になっていると思います。

 無駄遣い防止は当然であります。しかしながら、獲得した資金で研究をスピードアップさせ、結果として研究費トータルの節約にもつながるということ、そういった工夫が評価されるような制度が望まれます。

 それから、現行制度では、中期目標、中期計画、年度計画、評価結果について全て公開のルールとなっておりますが、業務の透明性から全て公開が必要な法人もあると考えますが、先端的な研究開発に関しましては、全て公開することが国益にかなうのかどうかという検討も必要かと思います。世界との競争ということで、公開のタイミングをそれぞれの独法の工夫に任せるというような柔軟性も必要かと思います。

 それから、実を言いますと、このようなことは理事長のときにいろいろなところで申し上げたのでございますが、それは理事長の裁量でできるという指摘や、理事長が勇気を持って決断すればできるという指摘がありました。ただし、それを突破するには大きな労力と時間を要することも否定できません。

 むしろ、成果の最大化、経営の柔軟化、研究開発のマネジメントの最適化などについてのさまざまな工夫がポジティブにインセンティブとして実感できるような仕組みにする必要があると思います。今回はそれに近づいていると私は思っております。

柴山委員長 間もなく時間が終了でございます。

野間口参考人 そうですか、済みません。

 では、言いたいことはこれでほとんど述べましたので、以上で終わります。(拍手)

柴山委員長 ありがとうございました。

 次に、安永参考人にお願いいたします。

安永参考人 日本労働組合総連合会、連合の副事務局長をしております安永でございます。

 本日は、このような機会を与えていただきましたことに感謝申し上げたいと思います。

 議題でございます独立行政法人通則法改正案につきましては、労働者、ひいては国民全体の生活の安定と安全の確保を目指しております私ども連合の立場から、独法の機能がより充実強化されるものとして評価させていただいております。国会における積極的な審議を期待するものでございます。

 なお、独法役員の任免、定年、報酬の取り扱いにつきましては、国民が納得する結論を得るための対応を切望いたします。

 その上で、私からは、独法に働く仲間からのヒアリングなどを踏まえ、四点について意見を述べさせていただきます。

 その一つは、独法の現状についてでございます。独法は、その発足以降、国民生活の安定と向上を目指し努力を続けていると認識しております。

 二〇〇一年四月、独法制度が発足して以降、各法人及び法人で働く職員の皆さんは、社会経済、社会保障、農林水産、環境政策など幅広い分野で、私たち国民が安心で安全な日常生活及び社会生活を送ることができるよう努力を続けていると認識をしております。例えば、政策金融の実施、日本企業の海外ビジネス支援、消費者被害の予防と救済、重度の知的障害者の自立支援、日本銀行券を初めとする証券類などの製造、純正画一で偽造されない貨幣の確実な供給など、極めて多方面かつ国民にとって不可欠な業務を遂行していることなどでございます。

 また、特に三年前に発災をいたしました東日本大震災に対しては、救援、復旧、復興に向け、組織を挙げて取り組んでこられております。

 発災直後、水産総合研究センターでは、調査船を活用してカップ麺、紙おむつ、下着などを被災地に届けるとともに、水産大学校では、学生の皆さんとともに被災地へ支援物資を運搬し、また被災者を船内に招いて食事や浴室を提供したとのことでございます。新エネルギー・産業技術総合開発機構では、瓦れきの解体、分別作業を効率的に行える作業機などを開発し、また森林総合研究所では、森林生態系における放射性物質の吸収、蓄積に関する調査などを、運営費交付金を組みかえて取り組んだとのことでございます。

 復興に向けた事例では、高齢・障害・求職者雇用支援機構、ポリテクセンターを利用された方からは感謝の言葉が届いているそうでございます。

 その一つを紹介しますと、大震災で勤務先が大きな被害を受け、全従業員が解雇となる中、再就職への準備として震災復興訓練コースを受講しました、住宅建築施工の基礎技能を半年学び、ポリテクセンターから勧めていただいた木製家具などの製造販売企業に就職することができましたとのことでございます。

 また、農業・食品産業技術総合研究機構では、津波冠水により海水の影響が残っている農地を対象に、耐塩、耐湿性の作物品種の開発を進めているとのことでございます。

 こうした取り組みに対し、被災地住民の皆さんからは感謝されるとともに、法人の職員の皆さんも、こういう経験を通じて、国民のために一生懸命頑張ろうという気持ちを強くしたと伺っております。

 このように、独法は、国民生活及び社会経済の安定などの公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業を懸命に遂行しており、今般の改革が、さらに安定的、効率的な法人の運営に資するものとなる必要があるというふうに考えます。

 二点目として、独法の自主的業務運営を生かす改革としなければならないということでございます。

 独法制度は、中央省庁再編推進本部が一九九九年四月に決定した、中央省庁等改革の推進に関する方針に基づき創設されたものでございます。

 この方針では、独法制度の趣旨として、独法の制度を設けるに当たっては、事前関与、統制を極力排し、事後チェックへの重点の移行を図るため、主務大臣の監督、関与その他の国の関与を必要最小限のものとするとしております。

 また、中央省庁等改革基本法は第三十六条で、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」、途中省略させていただきますが、「効率的かつ効果的に行わせるにふさわしい自律性、自発性及び透明性を備えた法人の制度を設けるもの」としております。

 これは、一定の業務を効率的かつ効果的に実施するという目的を達成するために独法を設置し、かつ法人に自主的、弾力的運用を認めようとするものでございます。したがいまして、行政組織でありつつも、国の関与を可能な限り抑制する点にこそ独法設置の意味があるというふうに考えております。

 今回の改革では、PDCAサイクルが機能する目標、評価の仕組みの構築がうたわれ、法案化されております。このことで、主務大臣による毎年度の業績評価が法人の自主性、弾力的運営を阻害するものになっては本末転倒でございます。

 なお、総務大臣による目標、評価に関する指針については、主務大臣の政策実施目標及び法人の現実的な能力に配慮したものとする必要があるというふうに考えます。

 三点目として、法人職員の給与の基準は、労使交渉において決定されるものだということでございます。

 法案では、中期目標管理法人及び国立研究開発法人の職員の給与等の基準について、第五十条の十第三項で、現行通則法第六十三条三項にはありません非現業国家公務員の給与考慮規定を設け、また、行政執行法人職員の給与の支給の基準については、第五十七条第三項で非現業国家公務員の給与を参酌する規定を新たに設けております。

 国家公務員身分を持つ法人職員に適用される、特定独法の労働関係に関する法律、改正後は行政執行法人の労働関係に関する法律で明らかなとおり、当該職員には団結権及び団体交渉権があります。また、国家公務員身分を持たない法人職員には、当然、これに加えて団体行動権がございます。

 したがって、法人職員の給与等は、そもそも、法人の類型にかかわらず、労使の交渉において自律的に決定するものであることを強調させていただきたいと思います。

 最後に、四点目として、今般の改革をもって長年の改革論議に一旦終止符を打ち、改革の実行に向け踏み出すべきであること、及び、政府として雇用確保に責任を持つべきであるということでございます。

 独法制度発足以降、法人組織の統廃合、特殊法人から独法への移行、多くの職員の非国家公務員化、二〇〇七年の整理合理化計画、二〇一〇年の独法事務・事業の見直しの基本方針、二〇一二年の制度及び組織の見直しの基本方針、そして今回の改革と、独法の事務事業と制度、組織の見直し、改革は間断なく続いてきました。

 こうした中、独法に勤務する職員は、職場の将来展望に大きな不安を抱きつつも、国民のニーズに応え、良質で有効なサービスを提供するため必死で職務に精励してきております。

 よい仕事は、落ちついて、安心して働ける職場があってこそ可能となります。独法の改革については、稲田大臣がおっしゃっているとおり集大成にすべきと考えます。

 また、今後の法人組織の統合等に際しての雇用と労働条件につきましては、労使における交渉・協議、合意によることは当然のこととして、独法改革等に関する基本方針にある「雇用の安定にも配慮」を踏まえて、政府として雇用確保に責任を持つべきであるということを申し上げて、私からの意見といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

柴山委員長 ありがとうございました。

 以上で各参考人からの御意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

柴山委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中谷真一君。

中谷(真)委員 皆様、こんにちは。自民党の中谷真一でございます。

 きょうは、このような機会をいただきまして、心から感謝を申し上げます。

 また、四人の参考人の先生方には、今、本当に大変ためになるお話をいただきました。ありがとうございました。

 本当に、今いただいたような御意見をいただきながら、この法案について深く議論をして、そしてよりいいものをつくっていかなければいけない。ただ、もう少しお聞きしたい部分がございますので、少々質問をさせていただきたいというふうに思います。

 私は、政府の業務を実施していました。ただし、自衛官でしたので独立行政法人ではなかったんですけれども、そういった経験も踏まえまして質問をさせていただきます。

 独立行政法人の今回の改革に当たって、特に宇賀先生のお話と野間口先生のお話をお聞きすると、やはり私は、この研究開発部門というのがちょっと異質なのではないかというふうに感じるわけでございます。そういった意味では、これまで運用してきたこの制度において、やはり自由度と、いわゆる独法のそもそも持っている自主性、自律性、こういったものを発揮するに当たって一番よくないと思っていた分野は、研究開発機関ではないかなというふうに思うところでございます。

 そういった意味では、今回、この研究開発機関を特出しにして三類型にしたことは、私は評価できるのではないかなというふうに思っております。

 また、さらに、不祥事もありまして、これに対してしっかりとしたガバナンスをという改革でもございます。これは相反する改革であるというふうに思いますけれども、そういった意味では、今回、主務大臣の関与を非常に強めた、目標の設定、計画策定、評価、そしてもしだめならば改善命令まで含めて、今までに比べたらかなり強い関与をしていくようになるだろうというふうに思うわけでございます。この点に関しましても、やはり私は、この研究開発分野というのは余りなじまない分野ではないかなと。

 研究開発分野というと、どちらかというと、時には砂漠にも水をまいて、ひょっとしたら、そこから世界を変える大輪の花が咲く可能性もあるわけであります。ただ、水をまかなければ咲かないわけであります。そういったことを目標設定して、計画をつくって、評価するというのはなかなか難しいんだろう、これをするにはかなりの高い見識と経験が必要になってくるという意味では、今回の中では非常になじみにくい。

 そういった意味では、今回、研究開発法人については特別の措置をするというところまで含め、この法律については議論をしているわけであります。

 そういった観点で、三類型にした、また研究開発法人をかなり特出しをしたという点では、私はいいのではないかというふうに思いますけれども、この点に関しまして、宇賀参考人、野間口参考人から御意見をいただきたいと思います。

宇賀参考人 ただいま国立研究開発法人について御質問いただきました。

 私も、今回の改革の中で一番高く評価している点が、国立研究開発法人という類型を設けまして、それについて研究開発の特性に応じた、そうした仕組みを用意したところでございます。

 研究開発の分野というのは、やはり他の行政分野とは違う特色がございます。何か具体的に定量的な目標を立てて、それに向かって効率的に行っていくというよりも、こういう課題を解決するためにはどういうふうに進んでいったらいいかということで事業を進めていくわけでございます。

 そして、ある目標を立てましても、実際に研究を進めていく中で、思いがけない副産物が出てくる、当初は予想していなかったような、そういう別の方向に発展していくということもよくあるわけでございます。

 したがって、目標の設定の仕方とかあるいは評価のあり方、これはぜひそうした研究開発の特性というものを十分に踏まえて行っていただきたいというふうに思っております。

 また、こうした研究開発分野の評価というのは、やはりその分野の専門家でないとできないと思います。また、同じ学問といいましても、非常に今高度に複雑多様化しておりまして、ある研究分野の評価というのはやはりその分野の専門家でないと困難でございますので、評価に当たりましては、ぜひそうした専門家の意見を十分に反映した形で行っていただきたいというふうに望んでおります。

野間口参考人 ただいま大変よい指摘をいただいたと思います。先生のような方がたくさんおられますと、研究に携わる研究者も大いに張り切ってくれるんじゃないかと私は思います。

 特に、研究開発法人といいますのは、国を背負って研究している面が非常に多くあります。先ほど科学技術イノベーション競争と申しましたけれども、欧米もそうですし、中国、韓国等も一生懸命力を入れて研究開発、イノベーションに取り組んでいる。

 そうすると、いろいろな技術あるいは応用の競争の様子がわかる。そういうのを踏まえて、日本もその中で存在感を発揮していくためには、いつごろどういった成果を出すべきかというのは、明確ではありませんけれども、大体ビジョンとして描けるわけですね。

 そういうものをもとにして計画を立てて、これにチャレンジしようじゃないか、こういうふうに頑張りたまえというふうに主務大臣の方から示される。それに向かって、その包括的な指示のもとに、では、具体的な研究課題というのはどういうのがあるかということで定めて取り組んでいく。その取り組みがちゃんとした考えあるいは進捗になっているのかというのを評価いただくというのは、私は絶対必要だと思います。

 主務大臣もそうでありますし、それから、組織としての効率的な運営、私も企業におりまして、二千人ぐらいの研究陣がおりましたけれども、やはり組織として経済的に効率的にやってくれなきゃいけません。そういった意味の第三者の評価というのもこれは絶対必要でございます。

 そういったことを織り込んでいただいて、日本として、研究開発成果がより多く実る、大学の研究、企業のチャレンジ、これに国立研究法人の全体をまとめる力が加わりまして、よりよい成果が出ていく、そういうふうになるんじゃないかと期待しております。

中谷(真)委員 ありがとうございました。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど樫谷先生が、やはり制度はあっても、どう運用するかで大きく変わってくるんだということをおっしゃいました。これは、誰が運用するんだという点でも非常に重要なことだというふうに思っております。そういった意味では、私は、人材の確保というのは極めて重要なことであろうというふうに考えるわけであります。

 そういった意味では、今回の改革の中には、絶対天下りは許してはいけないわけであります。ただ、これまで原則公募という形をとっていたところに対しまして、内閣案ではここを、公募については一つの手段というように位置づけをしたわけであります。

 私は、先ほど来ありますけれども、やはり業種はさまざまであるという点が、一つの手段からしか人を引き入れることができないということはなじまないのではないかということと、また、よい人材、この人を絶対というような人材を引っ張ってくるときには、それなりのお給料をしっかりと確保することできれば、高い金額を提示してそのクラスの人たちを引き入れてくるということができるかもしれませんけれども、そうではない場合が多いという場合において、だけれども日本のために頼むよというふうに言う場合に、公募というのはなじむのか。

 また、公募したけれども、来た人材が本当にこの業種に合っているのかという中、えいやと決めるとか、こういったものではやはりよくないというふうに思うわけであります。そういったところで、では手を挙げてもらおうとか、こういった公募を作為するようになっても、私は、これは本末転倒であるというふうに考えるわけであります。

 そういった意味では、私は、今回とった措置というものは適切ではないかというふうに考えますが、この点に関しまして、樫谷参考人の御意見を頂戴したいと思います。

樫谷参考人 それでは、公募について申し上げたいと思います。

 私も、実は公募に対しての選考委員会の委員を、ある独法について何回かやらせていただいたことがありますので、その経験を踏まえて申し上げたいと思います。

 公募というのも、非常にすぐれた制度であるということではありますけれども、その委員として考えまして、今応募された方が、もっとほかにいらっしゃるのではないかという懸念も実はあって、本当に数人、あるいはもっと少ない場合もありますけれども、その中で選んでいいのかどうなのか。

 いや、その中でも、すばらしい方もいらっしゃいますし、ちょっとこれはどうなのかな、どうやって、なぜ応募されたのかなというような方も正直言っていらっしゃいますが、それは置いておきまして、それなりにすばらしい方が、皆さん応募もされております。

 それは、先生先ほどおっしゃったように、何か裏があったのかどうか、それはわかりませんが、少なくともされていることなので、結果はよかったかなと思うんですけれども、ではもっとほかにいらっしゃるかという観点から見ると、やはりちょっと不足するかなという気がいたします。

 それからもう一つ、本当にガチンコ勝負で公募するとなると、例えば国家公務員の方でその業務に長年従事されていた方が、恐らく、勝つという表現がいいかどうかわかりませんが、やはりすばらしい対応をされるのではないかなというふうに思いますね。一定の審査要項がありまして、その要項に従ってやっていくには、やはりそういう長年関与された方が一番すばらしい。

 ただ、現状は、公務員の方は応募しちゃいけないということにはなっていないと思いますけれども、差し控えていらっしゃるようなこともありますので、やはりこれは国民の観点から見ると、公務員であろうとどなたであろうと、適任者が一番望ましいという意味では、今回の制度が一定の評価ができるというふうに考えております。

 以上でございます。

中谷(真)委員 ありがとうございます。

 非常に勉強になる御意見、ありがとうございました。

 最後の質問にさせていただきます。

 組織を活性化させるためには、やはりそこに所在をしている人たちにいかにやる気になっていただくかというところが、また重要な視点となるんだろうというふうに思います。そういった意味では、ポストと報酬というのは極めて重要な問題である。

 私も自衛官でした。やはり公益というものは、なかなか、数値にあらわして評価するというのが極めて難しい業種であるというふうに思っております。そういった意味では、評価と、今回はちょっと報酬という形にさせていただきますけれども、この評価に対して報酬に反映していくということは極めて難しいし、これまでは余りうまくいっていなかったのだろうというふうに思っております。

 そういった意味では、これを今後どのようにしてやっていけばうまくいくのかというようなことにつきまして、御意見を頂戴したいというふうに思います。もう時間もありませんので、端的にお願いいたします。野間口参考人と安永参考人にお聞きしたいと思います。

柴山委員長 それでは、質疑時間が終了しますので、それぞれ一言ずつ、端的にお願いします。

野間口参考人 大変重要な指摘ですけれども、難しい問題でございます。

 例えば産総研で申し上げますと、いろいろな表彰制度を設けておりまして、金一封は上げられないんですが、賞状を提供しまして、張り出す。外部から来た人も、ああ、こういう成果を上げたのかというのが見えるようにしようと。それから、ワンランク上の研究者としての位置づけの人を選定するときは、そういう人を優先的に選択する。

 そういうことで、できるだけ成果を上げた人が活性化するようにということは必要だと思います。

安永参考人 ありがとうございます。

 私どもは、この二〇一四年も、春に春闘ということで進めてまいりましたが、その一番のポイントは、人への投資というのを主張させていただきました。人材の育成と、それに沿った目標と、それから評価をして、きちんと処遇する、そういったものがきちんと回っていく、そういうふうな制度にしていただかなければならないというふうに思っております。

 以上でございます。

柴山委員長 質疑時間が終了しました。

中谷(真)委員 大変勉強になりました。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、参考人の先生方、大変にお忙しい中を、貴重な御意見を賜り、心より感謝を申し上げます。

 本当に、さまざま多種多様な、そういった法人が、今までは一律の独立行政法人という形で縛られて、なかなか自由な、そういった活動も制限をされていた。今回、三類型に分かれて一歩前進というか、しかし、宇賀先生もおっしゃられていましたが、やはり、目標の設定とか評価のあり方、同じ類型の中にあってもまだまださまざまな法人がある中で、そういったものをいかにきちっと適切に進めていくか、これがまた大事になってくる、そんな御指摘もいただきました。

 また、樫谷先生からも、企画と立案、そして実施という部分が分かれていることはいいんだけれども、やはりきちっとした実績を出していくためには、その連携がまさに必要である、大切な御指摘をいただきました。そんな中で、やはり会計士の先生でございますので、費用対効果、こういったものをどうきちっと見ていくのか、今、ここが一つ大事なところである、そんな御指摘もいただく中で、制度は変わったとしても、運用というか運営、それ次第で、これが大きく価値あるものになるのか、やはりやっても変わらなかった、そういうふうになる、そういった御指摘もいただきました。

 さらに、野間口先生からは、特に研究開発型の法人につきましては、今までの定型的な業務を効率的というよりも、やったことがない、そういったものを新たに開く上では、国の力を結集して進める、そういった成果の最大化を目指す上でも、さまざまな人材の交流だとか、あるいは成果を具現化する、ここにやはり最終的な意味があるし、そこに効果が出てくる、そのためのルールというものもちゃんとしていかないと意味がないんじゃないか、そんな御指摘もいただきました。

 安永先生におきましては、国の関与を可能な限り、弾力的な運営をしながら、やっている皆さんが、すばらしい一つ一つの法人、やはりこの世の中に必要な、また大切な、そういったものでございまして、誇りと自信を持って、また将来の自分の立場というものに安心をしながらしっかりと働ける環境づくり、こういったものが大切だ、いずれにしても、制度は変えたものの、これから運用、運営の部分で本当の勝負があるというお話でございました。

 もう一度ここで改めて、まさに制度はこういった形で、また、PDCAサイクルといっても、それがどういう視点でどういうふうに動くことによって今回の改革がより効果的なものになるのかという点が大事だと思うんですけれども、この制度を改革して、運用という部分で一番留意する、そこをしっかりと押さえることによって、この制度改革が、新しい独法の大きな進展、また成果が最大化できる、そういったものにつながるんだという、そのポイントを皆様方に一言ずつ、大変に広い質問で申しわけございませんが、本当はお一人お一人三十分ずつぐらいやらないとなかなか出てこないことかもしれませんが、お一言ずつで絞っていただいて御答弁をいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

宇賀参考人 一点に絞って申し上げますと、私は、やはり評価ですね。評価に際して、各法人の特性というものを十分に反映した形での評価が行われるということが非常に重要であるというように考えております。

樫谷参考人 私も評価だと思いますが、目標設定ですね。これは極めて難しいと思っております。難しく言えば、必ず達成できるような目標をつくるとか、あるいは、高過ぎて達成できなくて評価を下げてしまうとか、ミスリードしてしまうとかということもありますので、目標設定というのは極めて重要である、こういうふうに考えております。

 もちろん、評価も極めて、ただ、目標設定が十分できれば、評価も比較的しやすいというふうに考えております。

野間口参考人 大変重要な指摘でございます。

 私は、今回のこの法律、行間に、これまでの研究、例えば産総研のような公的研究機関は非常にコストを発生するものだと、これをいかに効率よく低く抑えるかという工夫をしろというのが世間的な理解だった。ところが、今回の法案の行間には、国の力、宝を生み出す先兵だというような位置づけのもとに考えていただいているというふうに読み取れると思っておりまして、ぜひ、そういうものが具体的な施策として生きるような形で、引き続き各施策の制度化に御指導いただきますようにお願いします。それが一番大きな効果を発揮するんじゃないかと思います。

安永参考人 ありがとうございます。

 評価の、単年度だけの評価ということ、目標設定、評価ということにならないように留意をしないといけないというふうに思っておりますし、自主性の尊重、それから自己改善のインセンティブの向上ということが言葉だけにならないように、しっかり注視をさせていただきたいというふうに思っております。そのためにも、この改革を一旦の集大成ということで終止符を打って、腰を据えて取りかかっていくことが必要だというふうに思っております。

 以上でございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 PDCAサイクルの中でやったことに対して、どう評価をして、また改善を加えていくのか、まさにそのことも大事なんですけれども、その上で、私も、先ほど樫谷先生がおっしゃられたように、目標の設定、ここを間違ってしまうと、幾らこの見直しをしても変な方向に行ってしまうのではないか、また、目標をきちっと設定することによって、自分たちのやっている業務がどれだけ大事なことで、この目標を達成しなかったらどうなるのか、そういったきちっとした使命感と責任感を持って遂行するような、そういった目標の設定が非常に重要になってくると思うんです。

 そういった、個々、多種多様な法人が、三類型に分けたといっても一緒になっているんですけれども、やはりその目標の設定をいかにそれぞれの法人が正しくやっていくのか、そのためのポイントとなるような点につきまして、先生方に一言ずつお願いできますでしょうか。

宇賀参考人 ただいまおっしゃられた点は非常に重要な点で、まず、その目標そのものが適切でないと、それに向かって努力しても間違った方向に行ってしまうということが確かにございます。そのためには、目標を設定するに際しまして、主務大臣が各法人から十分に意見を聞いて、現場の実情からかけ離れたような目標を設定しないということが重要でございますので、ぜひ、主務大臣が目標を設定するに際しましては、各法人の意見を十分に反映させていただきたいというふうに思います。

樫谷参考人 目標設定のポイントというのはなかなか難しいんですけれども、先生先ほどおっしゃったとおり、目標設定に向かって、独法の職員全員がその達成に向けてやらなきゃいけないわけですけれども、独法の職員がわかるというんですかね、まず中の話なので、外の話でもあるけれども、目標は、外での公約でもあるけれども、中での約束でもあるわけですね。だから、独法の職員がここに向かっていけばいいんだということがやはりわかりやすい目標でないといけないというふうに考えております。

野間口参考人 もう既にお二方から大変よい指摘が出たと思いますが、この三つの類型の法人の中で、研究開発法人といえども、ほかの法人、あるいはその余の大学とかとも連携して、自分のところにとどまらずに世間を広く見ながら、自分のところの目標が是か非かとよく検討しながら進めていく、こういうことは非常に重要かと思います。

安永参考人 一言で申し上げて、職場の感覚がどう上に伝わり、上の立てた目標が職場にどういうふうに伝わるかということだと思います。

 ただ、それぞれの組織が大きかったりして、なかなか上司に対して言えなかったりとか、部下にきちんと伝わらなかったり、そういうことが間々民間でもございます。そのためにも、労使の協議の場的なものをぜひ活用していただいて、うまく職場の声が上がるように努力していただければというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 そして、今回の法案の一つのポイントが、類型と同時にPDCAサイクルが機能する目標、評価、仕組みの構築という形になっているんですけれども、単純に、これは今回言わなくても当然やるべきことでございますし、やってきたことだと思うんです。

 これを一律にやるよりも、たまには、ことしはこの独法でとか、これは抜き打ち的になってしまうかもしれないんですけれども、丁寧に一つ一つこういったサイクルできちっと見て、目標の設定が正しかったのか。あるいは、三年から五年の目標のものもあれば、長期、七年のものもあると思いますけれども、だからといって、それを達成するためには中間的なステップの目標があるわけで、そういったところもきちっと管理をしながら、丁寧に一つ一つ見ていくような、そして、こういうふうに見られるんだったらきちっとやらなきゃいけないんだ、そういった取り組みなんかも必要ではないかな、より深く評価をする必要もあるのかなと思うんです。

 時間も迫っておりますので、この点につきましては、会計士、税理士でございます樫谷先生の方に、費用対効果のあり方、あるいは目標に対してきっちりとかけた費用分だけ成果が出るようなあり方をしっかり評価し、また、その方向に全体が行くような、そういったサイクルのあり方につきまして、御所見をいただければと思うんですけれども。

樫谷参考人 なかなか難しいと思いますが、今まで政独委というところで、私は二次評価の経験がございます。年度評価とそれから中期目標の評価というのがございます。年度評価は今回はございませんが、新しくできました独立行政法人評価制度委員会では、見直しについてでありますけれども、中期目標期間の評価ということになっておる。

 とはいっても、では終わってから評価したらいいのかということではなくて、先生おっしゃったとおり、その途中途中、何回か評価をしていかないと、途中の中間評価というんでしょうか、それをしっかりしていかないと、終わってしまったのでは実は遅いので、やはりそのプロセスプロセスでしっかり見ていくということが必要ではないかというふうに思っております。

 以上であります。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、そしてまた私たちが懸念しているのは、評価のために仕事がふえるのでは意味がないわけで、そういった意味でも、目標とその中間の管理する内容をきちっと決めておくことによって、仕事をきちっとやれば、自然に、それがそのまま評価のそういった書類にもつながってくる、そういった取り組みも必要なのかなというふうに感じているところでございまして、まさに今回の改正は、本当に運用面、運営面でしっかりと効果が出るものになるように、私たちもしっかりと見守りながら取り組んでまいりたいと思います。

 きょうは本当にありがとうございました。以上で終わります。

柴山委員長 次に、大島敦君。

大島(敦)委員 参考人の皆様、まことにありがとうございます。民主党の大島です。

 私も、三年と三カ月、与党を経験させていただいて、二回ほど内閣府と総務の副大臣を務めて、多分、情報の非対称性が大分薄まったのかなと思っていまして、野党しか経験していないのと、一旦政府に入って役所の皆さんと仕事をしてみると、大分この情報の非対称性が少なくなって、国会審議も本当に充実をしてきているのかなと思っています。

 それで、一番最初に伺いたいのは、宇賀参考人と樫谷参考人に伺いたいところがございまして、一つは、今回、監事の権限を強化しています。

 小さな独法ですと、大体、理事の方の顔と名前がわかると思うんですけれども、きょうの野間口参考人がいらっしゃった産総研ですと、結構、地方まであって、非常に大きな組織です。その中で内部統制をどうやってやっていこうというところ。

 特に、事件は知らないところで起きてしまいますから、内部統制についての監事の権限、これは、きょうの午前中に我が党の後藤祐一議員が、業務方法書を活用した方がいいんじゃないかという御発言もあったりして、ここの、制度として整えることによって自然に内部統制ができるような仕組みについて、まず、公認会計士でいらっしゃる樫谷参考人からの御意見をいただければと思います。

樫谷参考人 内部統制についてという御指摘でございました。

 監事監査について、監事も内部統制の監査をするということになっております。

 内部統制というのは、いろいろな観点から見るところがございまして、一つは、会計士的に言うと、財務情報を誤りのないようにするための内部統制というのがございます。それから、弁護士的に言いますと、コンプライアンスを守れというような内部統制なんです。

 本来、アメリカのCOSOレポートというのが一つの内部統制のベースになっておりまして、そこでは、まず、限られた資源をいかに有効かつ効率的に、効果的に活用するかというところがあって、その活用の中で行き過ぎてはいけないので、コンプライアンスを守りなさいよとか、あるいは、情報開示がしっかりできるような仕組みをつくりなさいよというふうになっているんですが、どうも主客転倒しているところがございますので、やはり、この内部統制の本来に戻る必要がまずあるというふうに思っております。

 監事も、多分、監事さん一人だけではなくて、例えば、三人の監事がいらっしゃって、会計士ばかりではしようがないということは、ちょっと言ったら会計士協会から怒られるかもわかりませんが、まあ、しようがないので、いろいろな、事業がわかる方とか法律がわかる方とか、あるいは会計がわかる方とかというように、やはり立体的に物事を見ないといけないと思っております。

 そういう観点から、内部統制が本当に効率的に行われているのかどうかというようなことは事務事業の経験者の方にやっていただいたらいいし、財務情報については会計士的な見方もあるでしょうし、コンプライアンス的には弁護士の方もあると思いますので、そういうように立体的に見るということがまず一つ。

 それから、確かに、大きな組織ですと、なかなか監事も回り切れないというところがあります。したがって、これは私も申し上げたんですけれども、そのような実態を踏まえて、やはり、予算措置というんですか、あるいは内部監査制度などがございますので、そういう内部監査制度と監事との連携、そこをうまくやることによって、より効率的な監査ができるのではないかなと思っております。

 なかなか、全て何の問題もないというようなことについては、やはり、費用対効果の関係から、完璧なものにしてしまいますと動きがとれなくなってしまう、かといって、ゆるゆるになってしまいますと、物事が進まないとか、おかしなことが出てくるというように非常に難しいので、結果的にこれもPDCAサイクルで、何か起こっちゃいけないんですけれども、起こることもあり得るということを前提の内部統制、起こったときにどうするかという危機管理、これらのものを総合的に判断するべきものじゃないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

宇賀参考人 私、地方公共団体の監査委員の制度あるいは外部監査制度、それについての見直しの研究会などにも出ておりました。そこでも、今おっしゃられたようないろいろな、どうやってその実効性を確保するかということが議論されております。

 やはり、監事による内部ガバナンスを充実していくためには、その補佐体制というものの充実ということも欠かせないというふうに思われます。また、今、樫谷参考人がおっしゃられましたように、もちろん公認会計士の方の専門的な知見というものが必要でありますけれども、または弁護士の方の法的な知見、そういったものが組み合わされていかないと実際には難しいケースというのが多いと思いますので、そうした体制の整備ということを考えていく必要があるというふうに考えております。

大島(敦)委員 ありがとうございます。

 樫谷参考人は、独法の評価委員会の委員でいらっしゃいました。私は、独法の評価委員会の皆さんは物すごくいい仕事をされているといつも感謝をしております。

 私が内閣府の副大臣のとき、ある独立行政法人なんですけれども、予算が大幅に超過をしてしまいまして、それで相談を受けたんです、どうしましょうかと。結構、全体的に二割ぐらい超過していまして、そのときに、独立行政法人の評価委員会があるということを知っていたものですから、委員のメンバーの皆さんにお願いして、全て公開で検討会を持っていただいて、どうしてこういうふうに予算がオーバーしてしまったのか、それは別に悪事ではなくて自然にオーバーしてしまったんですけれども、その点についての御評価をしっかりといただいて、非常に有益だったものですから。

 この評価委員会の皆さんの、極めて地味な仕事で、レポートを読む国会議員も少ないかとは思うんですけれども、物すごくいい仕事をされておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

 野間口参考人に伺いたいんですけれども、私、時々、産総研にはお伺いをしておりまして、いつも伺うと、一年に一回は行かないんですけれども、数年に一回ぐらいの間隔で産総研にお伺いをして、各研究者の方と意見交換をさせていただいています。

 ですから、野間口参考人が理事長だった時代に、幾つかの成果、例えばカーボンナノチューブだったり、あるいは半導体の新しい生産方式だったり、次世代の半導体であったり、あるいは排気ガスを電気にかえるとか、さまざまないい研究をしていて、理化学研究所が基礎的な研究で、民間の中央研究所があって、ちょうどその間の研究をされているのが産総研だと思っていて。

 その中で、特に野間口参考人も、三菱電機の役員から、今は相談役ですけれども、産総研にいらっしゃったときに、多分、全ての公的な役職ですか、民間の、私も、大島さん、引き受けてみたら本当に所得が三分の一になっちゃったよなんという話も伺うんです。ですから、産総研の理事長を引き受けるときの、国のために一生懸命仕事をするということと御自身の所得の問題をどう考えたのかについて、ちょっと露骨なんですけれども、非常に参考になるものですから、伺わせていただければ幸いです。

野間口参考人 ありがとうございます。

 余り思い出したくないことでございますけれども。私は、理事長の話がありましたときに、私よりも適任の方が大学等におられるだろうということで固辞いたしましたけれども、強く要請されまして、最終的に引き受けました。

 どうして引き受けたかと申しますと、先ほども申しましたけれども、科学技術イノベーションでしか我が国は生きていけない、資源も少ないですし、人口もこれから少子高齢化を迎えていく、科学技術イノベーションが最も大事だ、それにかかわっている若者を応援したい、最大の応援者になろうということで引き受けたわけでございますけれども、引き受けてから驚きましたのは、大変収入が減りまして、先ほど先生の方から三分の一というお話がございましたけれども、それよりもっと減ったのかなと思います。

 ただ、産総研へ行きまして、私、よく耳にしましたのは志という言葉でした。特に経済産業省ですけれども、あるいは、たまには外務省の大臣等に随行するという研究者がございました。そのときに、技術的なサポート役として、日本からしっかりした情報を発信するために我々はその任についているんだということで参加しましたということで、本当に、当時は民主党の大臣がほとんどでございましたけれども、帰ってきますと、研究者が、大変いい役をさせていただいたと言って、これは少々の報酬だけでない、そういう志みたいなものが彼らを支えているんだなと。

 そこへ持ってきて、今回の国立ということでやっていこうということになりましたので、これは非常にいいことじゃないかと思っております。

大島(敦)委員 ありがとうございました。

 私たち政治家も志でやっている仕事なものですから、共通しているところはほんの少しあるのかなと考えております。

 本当に、今の野間口参考人の御意見、非常に貴重でして、所得ではなくて、日本に対する御貢献ということで皆さん引き受けていただいているというその事実を政治の側もしっかり認識しながら、各理事長の皆さんとは会話をし、あるいは対応を考えるということが非常に必要だと思っております。

 安永参考人に伺いたいんですけれども、安永参考人は労働組合の連合の方でいらっしゃいます。今後行われる法人組織の統廃合があるかと思います。幾つかの法人をまとめていこうという動きでして、組合としては雇用確保ということが一番大切なテーマかなと思います。

 これは恐らく、独立行政法人の各従業員の皆さんも、本当に一線で他流試合で海外の研究者ともやっていける方はそれほど意識していらっしゃらないかもしれませんけれども、それを支える多くの皆さんはこのことについて極めて注目をしているかと思いますので、その点についてどのようなお考えを持っていらっしゃるかについて、お伺いできればと思います。

安永参考人 ありがとうございます。

 法人組織の統廃合につきましては、廃止法人に係る個別法の廃止、それから統廃合先法人に係る個別法の改正をもって行われるというふうに存じておりますが、その際に、労使における交渉・協議、合意に基づくことは当然のこととして、雇用問題が生じる事態に陥った場合は、独法改革等に関する基本的な方針、昨年の十二月閣議決定でございますが、それに明記をされております、独法で現在働いている職員の雇用の安定に配慮ということを十分に踏まえていただいて、雇用確保に向けて政府や各法人が適切に対処していただくことを強く求めてまいりたいと思っておりますし、そのことが、今の志といったことにもつながっていくのではないかというふうに思っております。よろしくお願いいたします。

大島(敦)委員 時間となりましたので、各参考人に対する私の質問はここで閉じさせていただきます。

 独立行政法人の改革というのは大きな行政改革の一環だと思っておりまして、私も衆議院議員になる前には民間企業で働いておりまして、民間企業における生産性向上運動に近いのが国の行政改革です。常に組織に対して刺激を与えていないと、組織というのはなかなか目を覚まさないところがありまして、ですから、これは絶え間なく、よりよい制度、ですから百点満点の制度というのはないと思っています。それぞれについて六十点から八十点ぐらいの幅の範囲内で要は制度設計をすることだと思っていまして、あと、時代の変化にもついていかなければいけません。

 きょう皆さんの御意見を伺って、非常に参考になりましたので、今後も行政改革そして独立行政法人改革の一助にしていきたいと思いますので、各参考人の御意見、まことにありがとうございました。

 終わります。

柴山委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 日本維新の会の山之内毅です。

 各参考人の方々におかれましては、お忙しい中、御足労ありがとうございます。

 本委員会、午前中から各委員の方々、そして今参考人の方々が来られて意見を頂戴させていただきました。大変勉強になりました。

 私の認識では、宇賀参考人からは、今までの独法の画一的なもの、そういったものをなくすということをおっしゃられました。

 樫谷参考人から、PDCAサイクル、特に、今までA、アクションがちょっとなかったんじゃないかというお話と、会計士でいらっしゃる観点からは、管理会計制度の必要、それから、発生主義式、複式簿記、費用対効果を出していこうという御指摘をいただきました。

 また、野間口参考人からは、国立ということで、先ほども委員のお話でありました、志を持って国を背負う、その気概を持ってしていきたいと。それからまた、おもしろい御指摘は、研究所では全てがノーベル賞の候補者の方々ではないですけれども、例えば、地方へ行けば十分優秀。ある意味、人材版地方分権といいましょうか、地方から人材が流出している中で、逆に地方へ行く、そういった意見もありました。

 また、安永参考人からは、独法は自主的、自律的で、社会に貢献しなければならない、そういった御指摘をいただきました。

 今回、各委員からもお話があったと思います、まず大きな三分類に分ける、それぞれの特性に合わせた法人に設定する、それからPDCAサイクルをしっかりする、それから、法人内外からの仕組み、ガバナンス等、主務大臣の評価に変更する、こういった点が変更の重要な点だと思っております。

 その中で、先ほど、今度、主務大臣が指針を表明するようになると。これは、先ほどの議論でも、具体的な数字を出した方がいいのか、いや、それともある程度幅を持たせた方がいいのかというのは、各法人によってこれも違うんだろうと思います。

 その中で、残念ながら不祥事のようなものが起こってしまった場合、これは評価はどうするのか。今後、総務大臣が指針を出していくと思うんですけれども、これはどういったものが好ましいかというのを参考人から教えていただきたいと思うんですが、これは、宇賀参考人、樫谷参考人、それから野間口参考人、教えていただきたいと思います。

    〔委員長退席、関委員長代理着席〕

宇賀参考人 総務大臣が一般的な観点から指針を出すということは、これは重要なことであると思っております。

 ただ、先ほど申し上げましたように、法人においてさまざまな業務を行っており、そして、その多様性というものを反映することをやはり不可能にしては困りますので、その意味で、一方で基本的なことを指針として定める、しかし、その際に、画一的な規律にならないような、そういう柔軟性を残した、そういった指針にしていただきたいというふうに考えております。

樫谷参考人 中期目標がどうあるべきかということだと思いますが、評価のしやすさという観点から見ると、やはり数字で明確に出すのが一番評価がしやすいわけでございますが、ただ、なかなか数字で表現できない部分があります。何事もそうかもわかりませんが、パブリックセクターも、数字だけで議論するのではなくて、その政策目的、目標があって、そこで評価されるわけで。

 やはり、数字と、それからその裏づけと、うまくバランスをとりながら説明をしていただくのが一番いいのかな。説明だけではなかなかわかりにくい、かといって数字だけでもやはりミスリードをするというところがありますので、そのバランスをうまくとったような中期目標にしていただくということが大事だと思っております。

 それから、不祥事についてなんですが、これについての扱いについて、不祥事が一つあることによって独法を全否定されてしまいますと非常に困ることになっておりまして、もちろん全否定するような不祥事も中にはひょっとしたらあるかわかりませんが、それは極めて少ないと思っておりまして、評価の際に、やはり、全体的な部分と不祥事の部分とを総合的に判断したような適切な評価、大局的な評価を私はするべきだ、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

野間口参考人 マネジメントにかかわる大変重要なポイントと思いますが、研究テーマによりまして、その目標の決め方というのが多々あるんじゃないかと思います。

 もう産業界に活用してもらおうと、出口に近づいているようなテーマでしたら、数値目標等を挙げて、これは世界との競争をする上で産業界が喜んで引き受けたいというようなレベルの達成を定めるというのもあるでしょう。

 ところが、例えばレアメタルの調達のような問題が国際的な案件で生じました場合、レアメタルの代替の可能性があるのかないのか、そういうのを探索しろというのは、なかなか数字とかなんとかにはそぐわないと思いますので、そういうのは、また可能性を見つけるような目標の定め方とか、テーマによっていろいろあるんじゃないか。

 事実、今この内閣委員会でこういうことを議論していただくというのは、これからの目標設定に非常に、そういう意味で、いい参考になるんじゃないかと思います。

 それから、不祥事でございますけれども、これは、私も民間企業におりましたし、どこでも起きます。こういうのは、仕組みとして、早期発見、それから再発防止、それから若い人のオリエンテーションといいますか教育といいますか、こういった仕組みを組織の中にちゃんとビルトインするようなことが必要じゃないかと思っております。

 現在、ほぼできているのでございますけれども、ともすれば生じてしまいますので、私は、そういうときはすぐ、傷が浅いうちに対策を打つということじゃないかと思います。

山之内委員 ありがとうございました。

 おっしゃられていたような一律の評価、評価というのは極めて難しいと思います。例えば、一般の営業の利益であれば、当然数字があって、これだけ収益があったとわかりやすいんですが、こういった評価のあり方というのは、ある意味、独法の肝の一つであると思っております。

 今、私も手元でいろいろな評価の、各独法の評価の表をいただいたんですけれども、いろいろ評価の数字の方法があって、例えば、S掛ける一だとかS掛ける二だとか、片や、ある独法ではAプラスだとか、ある独法ではイ、ロ、ハだとか、あとはAプラス掛ける三だとか、複合的ないろいろな評価の方法がある状況で、どれがどれぐらいいいのかというのはなかなかわかりづらい。

 正直、私もそうですけれども、一般の国民の方々が、皆さん国のために頑張っているんだよというのをわかりやすく、かつ、評価がこういうふうにされているよと、やはり説明もしていかないといけないと思うんですね。その中で、こういった評価の数字、せめて、S、A、B、C、D、何にするのかとか、こういったのをある程度統一する、こういったところも変えていった方がいいんじゃないか。

 こういった点に関しまして、樫谷参考人と野間口参考人、もし御意見がありましたら、よろしいでしょうか。

樫谷参考人 確かにおっしゃるとおり、今、独法がそれぞれ、独法というよりも各府省ごとに実は評価の扱いが違っておりまして、これは、三段階でやる場合と五段階でやる場合とその他の場合と、非常に扱いが違っております。

 これは、少なくとも、国民に対する説明責任という観点から見ると、各府省の都合、それぞれ事務事業が違いますので、わかるような気もしないでもないんですけれども、やはりこれは統一した評価、ランクのつけ方にしていかないと説明責任にならないということと、それから、国のために頑張っているという姿を、これは、では国土交通省と環境省とがあって、評価のやり方が違えば、環境省は頑張っているけれども、国土交通省は頑張っていないというような話になっても困りますので、やはりそれは統一した評価の仕方が必要だというふうに考えます。

 以上でございます。

野間口参考人 先ほどの先生の御質問を私ちょっと取り違えたかもしれませんけれども、先ほどは、具体的な研究テーマに対しての評価といいますか目標設定の特徴を申し上げました。

 ただいまの御質問といいますか御意見に関しまして私が感じますのは、ある程度共通化できる評価尺度もあるのじゃないかと思います。それプラス各機関にミートするような評価項目を加えていく。今、総合科学技術会議を初め、いろいろそういうことを検討していただいていると私どもは民間としては思っておりますけれども、ぜひ、そういったこの場でのような議論を深めていただいて、よりよい評価制度につながるようにしていただきたいなと思います。

    〔関委員長代理退席、委員長着席〕

山之内委員 ありがとうございました。

 やはりこういったものを国民の方々にわかりやすく伝えて、頑張っているんだよと。目のかたきになるような独法であってはいけないと思っております。やはり国益を背負って前に行って、先ほど野間口参考人もおっしゃられていました、国、地域間での競争が激化しているような状況の中で、やはり国を挙げて総合的に努力をしていくという姿勢が極めて必要だと私は思っております。

 その中で、今回の改正法案の第三十五条の一項にあるんですけれども、中期目標の期間の終了時の検討という規定でございます。

 今までは、中期目標が終了して次に行くときにはどこで設定するかというと、終了時において、例えば仮に五年であれば、五年が終わった終了時において、次の、その存続をどうするか、この独法はどうするのかというのを決めていたと思うんです。今回はそれが「中期目標の期間の終了時までに、」と。

 そうだと思うんですね。今回の独法の評価を拝見させていただいても、例えば単年度、そういった評価でも、やはり普通の府省の評価の方々も大体九月ごろにされている。半年かかるわけですね。終わってから九月。政策評価の方はさらにそれより、大体一月ぐらいですから、三カ月から四カ月。約十カ月ぐらいかかるわけで、そうなると、逆算すれば、五年で終わるのであればもう四年ぐらいのときから評価をしていかなければ、要は、先ほど樫谷参考人も言われたPDCAサイクルのAが続かないと、PDCA、PDCAとなっていかないといけないのが、そこで、次の中期目標が始まっている途中でチェックしてしまう。

 こういった状況になってしまいますと、やはり批判というかそういうのよりも、自分たちがやっていたことがどうだったかなとチェックして、自己反省じゃないですけれども、客観的に見てよりよくしていこうという視点にならなかった。

 その点で、この改正は私は十分大きな意義があると思っておるんですが、この点について、まさに政策評価をされていらした樫谷参考人、この改正について、どういった経緯があったかとか、思うところがありましたらお答えいただけますでしょうか。

樫谷参考人 おっしゃるとおり、中期目標を終了してしまって評価をしたのでは、中期計画がその次の、三期目の中期計画にしか反映できなくなってしまうという意味では、おっしゃるとおりでございます。

 今まで実務的にどうやっていたかといいますと、例えば政策評価・独立行政法人評価委員会、政独委でございますが、そこでは、事実上三年目の、五年の場合は、三年目の後半から四年にかけて、四年が終わったころに事前評価、中期目標終了時の事前評価を行いました。そして、かつ、そのガイドラインも出しました。その上で各府省に伝えました。各府省もそのようなことを前提に評価をしていただいて、ちょうど中期目標、次期の中期目標の設定が終わるころ、これが二月ぐらいなんですけれども、二月ぐらいに間に合うように事実上はやっていたということなので、そういう意味では、今回修正していただいたということで、むしろ実務に法律を合わせていただいたというようなところがあるのではないかなというふうに考えております。

 以上でございます。

柴山委員長 山之内君、質疑時間が終了しました。

山之内委員 ありがとうございました。

 今回、いずれにしろ、独法というものが社会的にもちゃんと適正に評価されて、国益を背負ってどんどん前に進んでいただけることを期待して、質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

柴山委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 みんなの党の大熊利昭と申します。本日はどうもありがとうございます。

 まず、総論的なところから各参考人の先生方に教えていただければと思いますが、今回の政府案、改正案で、あえて言うならばということでも結構なんですが、不十分な点、あるいは問題点、こういったところは何なのか。今までずっときょうの質疑、かなりポジティブなお話が続きましたので、野党でございますので、ネガティブなところから入らせていただきたいと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

宇賀参考人 これは法案には盛り込まれておりませんで、運用上これからやっていただくということになっているのかなというふうに思いますが、やはり各法人に自主努力、そのインセンティブを付与する仕組みというのは非常に重要だと思います。

 先ほど野間口参考人からもお話ございましたように、努力をするとその分が運営費交付金から控除されてしまうというのでは、自主努力するインセンティブというものは湧かないわけでございます。この点、これまでもいろいろな形で不満の声を耳にすることがございました。

 今回は、法案の中では直接その点について盛り込まれてはいないかと思いますけれども、運用上は、こうした経験を踏まえて、改善する方向でやっていただけるというふうに伺っておりますので、ぜひその努力をしっかりとしていただきたいというふうに思っております。

樫谷参考人 樫谷でございます。

 御質問の中で、私、今回、独立行政法人改革の分科会の会長をやっておりましたので、不十分な点があるかと言われると、ちょっと難しいところもあるんですが、その中でどういうことを言いましたかというと、今まで、独法は相当批判をされていたものもあるわけですね。その中で、よく冷静に考えますと、どうもこれは独法の責任じゃなくて主務省の、つまり、中期目標の与え方が問題だったんじゃないかというところも実はたくさんあります。

 例えば、私のしごと館というような一連もありましたですね。あるいは雇用・能力開発機構というところがあります。ああいう、予算、あれは多分数百億を使って、年間の赤字を十億、二十億の赤字の垂れ流しだったということがあるわけですが、あれはよく考えたら、確かにそれをつくった独法もとんでもないということかもわかりませんが、もともとあれは目標の中に入っていたんですね。

 そういう意味では、独法というのは何なんだと。独法の責任、いや、やったものが悪いんじゃないかと言われるのか、企画したものが悪いと言われるのか、どっちなんだというところがあって、もう少し、独法の拒否権と言うとちょっと語弊がありますけれども、そういうことも考えたらいいのではないかと。いや、こんなことをやったら我々が批判されます、廃止されちゃいますというものも中にはあるかもわかりませんのでという話をしたことがあります。

 そういう意味では、今、独法が非常に意欲を持ってやっていると思いますけれども、企画立案の段階での問題点と、それから実施の段階の問題点と、何か問題点が出たら、もっと冷静に考えなきゃいけないのではないかなというところがございました。

 以上でございます。

野間口参考人 大変答えにくい御質問なんですが、私が申し上げたかったのは先ほど宇賀先生に先に言われてしまったのでございますけれども、もう一つ、通則法、新しいのを読みながら感じましたのは、グローバル化時代に、もっと人材面でもグローバル活用という視点が明示的にどこかに入ってもいいのかなというような感じがいたします。

 これは、では、おまえの会社はどうだと言われますと、みんな役員は日本人でございますし、海外拠点のトップもほとんど日本人で占めておるわけで、グローバル化はおくれていますので、偉そうなことは言えないんですが、日本国の独法、国立研究所は、世界におけるれっきとした研究機関で、冠たる研究機関でございますので、もう少しグローバル人材活用という視点が入るのは、インセンティブになるような視点が入ってもいいのかなと思いながら読ませていただきました。

安永参考人 ありがとうございます。

 評価するというふうに申し上げましたので、なかなか申し上げにくいんですが、唯一、私ども働く者の立場から申し上げるとするならば、給与等の基準について、非現業国家公務員の給与考慮規定とか非現業国家公務員の給与を参酌する規定というものが新たに設けられたということだと思っておりまして、また、私どもとしては、法人の類型にかかわらず、労使の交渉において、自律的に決定するものだというふうに認識をいたしております。

 参酌するというのは、いいところを参考にするという意味だというふうに思っておりますので、その意味では心配はないかもしれませんが、そういう運用がなされるべきだというふうに思っております。

大熊委員 ありがとうございました。

 続いて、今のお話にも関係するところはたくさんあるんですけれども、個別に、まず、これは樫谷先生の方からのお話で、独法については、管理会計の手法が余り使われていないんじゃないかということ、まさに今お話のあった、効率化するインセンティブというものがちょっとないんじゃないかということでございまして、私もこの委員会で、るる、独法にいろいろ、不要資産といいますか、現預金がたくさん積み上がっている、これを、上場会社もそうですけれども、何とか国庫、つまり、納税者に、全部とは言わないんですけれども、一部返してくれませんかというような質疑をずっとやっておりまして、水かけ論みたいな話なんですが。

 やはり先生御指摘の、返してもらうに当たってのインセンティブがないという問題もあるのかなということで、企業ですと、株主に還元すると同時に、役員賞与等のインセンティブというものがあるわけですよね。あるいはその手前、税前でしょうけれども、従業員さんへのボーナスというものはあるので、こういった、人事評価あるいは報酬などに組み込むような、そういった仕組み、残念ながら、今回、この法律にはないというわけなんですが、こういったことを具体的に、インセンティブの考え方としてどうかなというふうに思うんですが、会計士の先生でもおありになると思うので、ちょっと一言、アドバイスいただければと思います。

樫谷参考人 不要資産ということにつきましては、以前、不要資産については国庫に召し上げるということで、独法の評価委員会あるいは政独委でも、不要資産については厳しく評価をするようにということで評価をしておりますし、また、独立行政法人については、独立行政法人会計基準というものがございまして、その会計基準でもって、決算書を組んでおるわけでございますが、その中で、実は、企業にもありますように、減損会計というのがございます。減損会計というのは何かというと、企業では、工場等で採算が合わないものについてはもう減損していくんだ、こういうふうな発想でございます。

 独法は採算が合うか合わないかという観点ではございませんので、活用しているかどうか、こういう観点から、減損があるかどうかということを見ていくわけです。活用しないということが決まれば、減損していくわけでございますが、その途中の段階で、活用状況が極めて悪いというような状況の中では、減損まではなかなか会計的にはしていないのでございますけれども、財務諸表の脚注などでそのような表示をすることになってございます。

 だから、そういう意味では、資産の中でも固定資産的なものについてはそうでございます。

 ただ、先生おっしゃるのは、現金とか現預金とか有価証券についてでございます。これにつきましても、やはり政独委あるいは各独法評価委員会でも、それが過剰じゃないかどうかという観点で見ております。

 つまり、預金の中でも、独立行政法人ですので、パブリックセクターですので、いろいろな名目で積み立てられておりまして、そこがなかなか突破できないということもございますし、それから、一見、過剰なように見えても、会計的な整理の中で、運営費交付金債務という、お金はもらったけれどもまだ実行していないものは借金だというようなこともありますし、あるいは未払い金とかというのがございますので、そのようなものも踏まえて、厳しく評価はしております。

 ただ、インセンティブがないと言われたらそのとおりなんですが、どのようなインセンティブをつくったらいいのか、なかなか大変でございましたので、多分、余り細かく見ずにやっている部分もあるのかもわかりません。

 以上でございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 時間もあと五分ということで、先ほど、公募について、これも樫谷先生の方から、公務員の方の応募というものが控えられている実態があるのではないか、そういう御指摘がございました。ああ、なるほどなという部分も感じたわけなんです。

 一方、例えば、国家公務員の方の公募の制度について、直近での成立しました政府案の国家公務員関連法ですと、ちょっと弱まった面があるんですが、その前の、もともとの公募の仕組みですと、内外公募というのがありまして、ただ公募というと、外の人どうぞという話なんですが、この内外公募というものを、法律には残念ながら今回書き込めていないわけなんですが、法律以下の法令なり、あるいは総務省なりその他の役所の通達でも、これは今後のことでいいと思うので、その内外公募をやっていくんだということをやっていけば、おっしゃられた懸念、公募についての問題点というのがある程度払拭できるかなとも思って伺ったんですが、この辺、一言いただければと思います。

樫谷参考人 内外という意味は、役所あるいは民間という意味というふうに理解してお答えいたしますと、主務省の方が応募されないだけで、他の役所の方が公募に応じられることも、私の経験ではありました。

 そういう意味では、内外公募という意味では、私は、国民からいえば、一番適任者が役人であろうと民間人であろうと、それはより適任者を選任するべきだ、こういうことなんですが、今まで、少なくとも、私の乏しい経験の中では、主務省の独法について主務省のOBの方が手を挙げられたケースがないので、事実上、何か規制がされているのかいないのか、ちょっとわかりませんが、されているのかなと思いながら、そのような発言をさせていただいたということでございます。

大熊委員 ありがとうございました。

 この問題はやはり、そのポストの職務明細書とのセットの問題だろうと思いますので、そこをしっかりすれば、同じ主務省の役所の方からの応募で採用であったとしても、別に後ろめたいものではないんじゃないかなというふうに、私どもは天下りをよく批判する政党なんですけれども、そういうプロセス、透明性を確保すれば、逆にどんどんいいんじゃないかなというふうにも思ったりもしているところでございます。

 あと数分なんですけれども、先ほどから出ております研究開発法人の方の評価の問題についてなんです。

 これも野間口先生と宇賀先生の方から教えていただければなんですが、まず一点、かなり専門性が高い研究というのが当然多くなってきているということで、同じ分野の人が、専門家が評価をするということが必要なんじゃないかという御指摘があったかと思うんですが、宇賀先生の方だったかと。違ったらごめんなさい。

 一方で、これは逆に考えますと、同じ分野での御研究をされている研究者間というと、どうしてもライバル同士ということにならないかなという懸念が当然あるわけなんですが、この点の問題点を防ぐといいますか、いや、大丈夫なんだ、客観的な評価なんだという仕組みにするための工夫みたいな、そういった点を教えていただければと思います。

野間口参考人 国立研究機関の評価といいますのは、これはほかの独法もそうだと思いますが、自己評価がございます。それから、今、何回も出ました主務大臣による評価、それから総務省で設置される第三者評価、さらには総合科学技術会議として日本全体を俯瞰するような視点からの評価、そういったものがあろうかと思っておりますが、いずれの評価も、それぞれに私は意味があると考えております。

 私が理事長のときに経験しましたことを一つだけ紹介させていただきたいと思うんですが、バイオマスの研究というのを産総研でやっておりました。産総研でやるのは、分野が、バイオマスという分野は産総研らしくない、けしからぬ研究じゃないかという指摘がありました。農水省でいいじゃないか、あるいは大学等の研究でいいんじゃないかという話がございましたけれども、バイオマスの産業利用という観点からは、産総研的な研究が一番適しております。

 ただし、新しい種の発見とかその活用といったものは農水省の研究機関であろう、もっと基礎的な研究という点では理研があるであろうと。バイオマスの研究という文言一つ取り上げても、実に多様な視点からの評価が必要であります。そういったのを踏まえて、各省庁がしっかりと評価されるということが必要だ。

 加えて、総合科学技術会議等で、日本全体ではどういう姿になっているんだという視点から評価に関与して、適切なアドバイスをお互いにし合えるようにするという、そういう議論に私は今なりつつあると思っておるのでありますが、ぜひそういう形に持っていっていただきたいなと思っております。

柴山委員長 時間が終了しております。

大熊委員 本日はどうもありがとうございます。

 以上で終わります。

柴山委員長 次に、赤嶺政賢君。

赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。

 きょうは、四人の参考人の先生方、本当にありがとうございます。

 そこで、最初に宇賀参考人にお聞きいたしますが、かねてから先生の方は、「独立行政法人評価における政策評価・独立行政法人評価委員会の役割」などという論文で、「独立行政法人評価の公正中立性の確保が、独立行政法人制度にとってきわめて重要であることに照らして、独立行政法人通則法は、独立行政法人の主務省に、その所管にかかる独立行政法人に関する事務を処理させるため、独立行政法人評価委員会を設置する」と記述されておられます。

 今回の法案では、各省に置かれていた評価機関が廃止をされまして、総務省に設置をされる評価機関一本になってきます。

 各独立行政法人の業務は多種多様であると繰り返されてまいりましたが、これまで各省に置かれていた評価機関は、いわば専門性及び実績に関する知見に基づいて、中立公正な評価を行うこととされてきました。現場からさらに遠い総務省の評価機関も同じような専門性及び実績に関する知見に基づく評価ということで、どのようにお考えになるか、懸念もあるんですが、その点、先生の御意見を伺いたいと思います。

宇賀参考人 ただいま御指摘ございましたように、今回の法案では、各府省に置かれる独立行政法人の評価委員会というものは廃止され、そして、総務省に置かれる第三者機関としての独立行政法人評価制度委員会、ここがいわば横串で、評価の指針等をつくるということになります。その際、今おっしゃられたように、その専門性、これをどういうふうに反映していくのかという問題がございます。

 これはこれからの運用ということになっていくと思いますけれども、総務省の方で指針を作成するに際しまして、やはり、各法人の類型、今回、三分類ということになりますけれども、それぞれの法人の類型に応じた、そうした特性を反映した指針をつくっていくという必要がございます。

 そのためには、その総務省の独立行政法人評価制度委員会の中に、そうした部会なり分科会なりをつくって、そして、そこでそうした専門性というものが反映されていくということが必要になるのではないかというふうに考えております。

赤嶺委員 それでは次に、樫谷参考人に伺いたいと思います。

 先ほどの私のしごと館の話の続きではないんですが、本当に考えさせられる話であります。

 現場から離れた企画部門が具体的な目標を立案する難しさというのは、有識者懇の中でも先生繰り返されておりますが、こういうように表明されておられます。「目標をつくるのですけれども、誰がつくるのか。つまり、今は主務大臣、大臣がつくれるはずがないので、担当部局がつくっていると思うのです。」「企画立案と執行が離れてくると、どうしても大きな目標はつくれるのですけれども、具体的な目標までつくれる能力がなかなかなくなってくる可能性があるのです。」。この御意見と先ほどのしごと館の話とちょっと重ね合う感じを抱いたんですが。一方、今回の法案によって、大臣が評価することでPDCAサイクルが機能するとも言われました。

 参考人が懇談会で指摘したように、目標は実際には現場から離れた官僚がつくり、もしかすると評価も現場から離れた官僚が行うことにならないか。これで適切な目標設定や評価が行われるのか。この点についてどうお考えか、御意見を聞かせてください。

樫谷参考人 PDCAサイクルといっても、いろいろなレベルでのPDCAサイクルがありまして、独法は独法内部のPDCAサイクルがある、部門は部門のPDCAサイクル、主務省としてのPDCAサイクル、それから、国全体としてのPDCAサイクル、いろいろなPDCAサイクルが実はございます。

 今回、PDCAサイクルをするというのは、主務省として企画立案をしたものについてPDCAサイクルを回していこうということだと思いますので、そういう意味では、主務大臣が、実際は大臣がつくれるはずがないので事務局がつくっているというのはそのとおりだと思いますけれども、これは最終的には大臣の名前で出しますので、誰がつくろうと大臣の責任であるということになると思いますが、そういう意味では首尾一貫している。つまり、大臣の責任がより重くなったというふうに私は考えております。

 以上でございます。

赤嶺委員 それでは次に、野間口参考人に伺いたいと思います。

 野間口参考人は、産総研の理事長も務めておられました。そこで、研究機関独法の問題について伺いたいんですが、研究には、先ほどから言われていますように、基礎研究、そしてシーズ研究から産業に結びつくまでの応用研究まで、いろいろな段階の研究があると思いますが、民間企業でも大学でもない、いわば独立行政法人の研究機関のやるべき研究、そのミッション、これらについて御見解を伺いたいと思います。

野間口参考人 御指摘ありがとうございます。

 国立研究機関というんですか、独法の研究機関のやるべき研究は、端的に言って二つあると思います。

 一つは、我が国の産業にこれから将来必要だけれども、一企業あるいは一大学だけでやっていたのではスピードではどうも外国に負けそうだね、そういうときに、国立研究機関がそこに人材を投入して、大学とか企業も巻き込んで、先導的な研究をする。まだ飯の種にはならぬけれども、数年後の飯の種を先導的にやろう、そういうことでやる研究が一つです。

 その例が、皆さん方を取り巻いております例えばヒートポンプとかレーザーとか、そういったものは全てそういう形で、過去の先導的研究、これは、私たち通産省に一番近い人間ですけれども、経済産業省の前身の通産省時代の大型プロジェクトとかそういうので成功して、今我々の産業を支えて、国の産業を支えているというものでございます。

 それからもう一つは、一企業に任せていたら、その企業が有利になるようなルールを決めてしまうんじゃないかと。規格とか標準とかそういったものは、独法のような中立的機関が入って、しっかりとみんなの合意がとれるようなものを決めましょうと。これは、今技術の融合がいっぱい進んでおりますので、世界的にその必要性は、案件は増しておるわけですので、そういうものを独法としてやるという、端的に言って二つのパターンがあるんじゃないかと思っております。

赤嶺委員 それでは、安永参考人に伺います。

 独法の業績評価等についても繰り返し議論をされてまいりましたが、いわば組織の改廃につながるような議論も出てくるわけであります。安永参考人も強調されておられましたが、そこで働く労働者にとっては重大な事態であるわけです。そうした見地から、この目標の設定、業績評価、これが労働者の生活に直結しかねないという点で、どうあるべきだと考えておられるのか。

 あと一問、ちょっとつけ加えて、再就職のあっせん禁止が新たに規定をされ、その例外として、組織の改廃に伴って離職を余儀なくされた職員などのあっせんが認められる規定も盛り込まれております。労働者の雇用を保障する観点から、この組織の改廃に対する法案の雇用対策、先ほども御意見を伺いましたが、もう一度お願いしたいと思います。

安永参考人 ありがとうございます。

 今回の法案によります前に、法人にはさまざまな類型があるというふうに思っておりまして、研究から始まって、文化振興、金融業務、国際業務、人材育成、それから行政事業といったような形になっておりますので、さまざまな類型、それぞれに業務の特性というものがあるというふうに思っておりますので、その業務の特性を踏まえた業務運営ができるように、目標設定とか評価の指針策定にあっては、十分それぞれの個別に考慮がなされるべきだ、その場合にも、労働者の意見を聞きながらということが重要であるというふうに思っております。

 それから、組織の改廃でございますが、それぞれの組織、ずっと永年続くというものでもありませんし、議論の上で改廃ということもあるんだろうというふうに思っておりますが、これも先ほど申し上げましたように、今回、雇用について、きちんと、雇用確保に向けて、政府の各法人、それから国として適切に対応していただくということを強く求めさせていただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

赤嶺委員 それでは、一巡しましたところで、もう一度、産総研の理事長でかかわっていらっしゃいました野間口参考人に、こういう問題はどのようにお考えになるかという、ちょっと重なる面はありますけれども、質問をしたいと思います。

 いわば、いろいろな研究がありますが、その土台である基礎研究はおろそかにしてはならないというのはそのとおりだと思いますが、将来どのように役に立つかわからない、あるいは社会や産業に貢献する研究になるかもしれない、しかし、鳴かず飛ばずの研究になるかもしれない。そういう研究開発という業務、これは明らかにあると思いますが、これはどのように運営していくべきだと考えられますか。

野間口参考人 研究所運営上、大変悩ましい、ですけれども重要なポイントでございます。

 私どもは、これは民間企業の研究でもそうでございますけれども、必ず最低年に一回は評価して、次の、それを進める、ゴーかストップかの判断をいたします。それから、どういうふうに修正したらいいかとか、そういうのも中間的な評価として入れながらやっていく。どうしてもこれは鳴かず飛ばずで終わりそうだというのは、思い切って改廃していく。

 産総研の例でいいますと、創設以来もう十年以上たっておりますけれども、スタートの時点での研究センターというのは、ほとんどもう看板をかえて、歴史的な使命が終わったというふうに位置づけておりまして、また、その時点での新しい課題に入れかえながらやっていくということでございます。

 ただ、そこで注意すべきは、そこで育った人、これは、研究成果としては社会に実装するところまでいかないけれども、すばらしい人が育ったというのはしっかりと、これはマネジメント層がよく見て活用の仕方を考える、そういうことも必要かと思います。

柴山委員長 質疑時間が終了しました。

赤嶺委員 終わります。

柴山委員長 次に、村上史好君。

村上(史)委員 生活の党の村上でございます。

 私が最後でございます。長時間、本当に御苦労さまでございます。どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。

 私は、行革という視点から各参考人の御意見をお伺いをしたいと思います。行革といいましても、数を減らす行革もあれば、効率化を求める行革もあります。そのことを十分踏まえながら、あえて質問をさせていただきたいと思います。

 私は、午前の質疑の中で、組織の見直しについて担当大臣と質疑をさせていただきました。法人の数を減らす、統廃合をする、そのことによって行革を推進していくという立場。大臣は、数の問題ではなくて質の問題だと。これは官僚からよく言われる話なんですけれども、そういうことで、数を減らせばいいというものではないということはもちろん承知をしておりますけれども、とはいえ、歴史的な経過の中で役割を終える法人もあろうかと思います。

 そういう意味で、今後行革を進めていく中で、法人の統廃のあり方、基準といいますか、なぜ廃止をするのか。そしてまた、新たにつくるということも当然ございます。そういう基準といいますか、視点はどこに置くべきなのか。そのことについて、四人の先生方にまずお伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、橘委員長代理着席〕

宇賀参考人 この独立行政法人、やはり組織の見直しということが非常に重要でございますけれども、その際の基準となる考え方ということでございます。

 やはり、もちろん業務そのものが不要になるということもございますので、その場合には当然廃止という選択肢になると思いますけれども、業務そのものはなお必要であるけれども、しかし、ある別の法人と統合してやった方が効果が上がる、そういった場合には、当然、今度は統合を検討するということになると思います。

 したがって、そうした統合というものを考えるときには、やはり、ただ数を減らすということではなくて、統合によって実際どういうふうな効果が出るのか。場合によっては、統合することによってマイナスの効果が出るということもあり得るわけですから、統合することによって本当にプラスの効果が出るのかどうかということを十分に検討した上で進めていくべきものだというふうには考えております。

樫谷参考人 実は、統合については非常に難しい問題だと思っておりまして、数の論理も決して否定されるべきものではないというふうに思っておりまして、やはり数を減らすことによっていろいろなコストが下がるという側面もございますので、数の論理も必要だとは思いますが、独立行政法人が何のためにあるかということになりますと、やはり国民に対する公的サービス、良好なサービスを有効かつ効率的、効果的に提供するというところにありますので、その観点から見ていく必要があるんじゃないかと。

 例えば、今回、農水省の法人の幾つかの統合をしていただいたんですが、そこは、農水省の今回の政策目的、目標は、攻めの農業、こういう観点だったわけです。では、攻めの農業を行うためにどういう研究機関、農水省としての研究機関が一番あるべきなのかというふうな、実は私、そのときに質問をいたしまして、その観点から考えてもらいたいということで、実は農水省から統合の提案があったんです。無理やり統合させるということも、実は今まで私も多少片棒を担いだ過去もありますので、余り言いにくいところもあるんですけれども、今回については、やはり政策目標、目的をいかに達成するかというところがあります。特に、農業というのは極めて重要ですので、攻めの農業の中でどういう法人形態が一番、農水省、あなたの責任です、大臣の責任ですということですので、その観点から提案をいただきたいという話をいたしました。

 以上でございます。

野間口参考人 ただいまの御質問でございますけれども、私は、国がやるべき行政業務に関しましては、歴史的な必要、使命がもう少なくなって、やめてもいいんじゃないかというのが出てくるかもしれないんですが、ここはよくわかりません。

 事研究に関しましては、二〇〇一年の産業技術総合研究所創設へ向けての政府での議論、これが非常に参考になるんじゃないかと思います。

 機械技術研究所、電子技術総合研究所、化学技術研究所などなど、十六の研究機関がございました。これを統合して一つにしようということで、私は二〇〇九年に理事長になりまして、なぜそういうことができたのかということを、本省の官僚の皆さん、あるいは、どういう研究所にしたらよかろうかということで参加した産総研の研究者のベテラン級と何度も議論をし、話を聞きました。

 世界とこれから競争をしていく上で、一技術分野の研究というのではもう間に合わぬ、融合して新しい血を生み出すような取り組みをやらないかぬということで一大決心をして、十六の機関を一つにまとめた。そして、研究した上で、組織はそうして、研究領域を六つ決めまして、ライフサイエンスとか情報通信とか環境・エネルギーとかそういうふうに決めまして、そこに、これまでいろいろな研究所に所属していた研究員、一番適切と思われる形で分配し直したということがございます。

 こういうのを見ますと、やはりこれから、研究機関がその存在の責任を果たす、そういう観点から整理統合はなされていくべきじゃないかというふうに思います。

安永参考人 ありがとうございます。

 そもそも独法を初めといたします行政機関全体の任務は、公共サービス基本法でうたわれておりますが、「国民が健全な生活環境の中で日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう」ということでございますので、そのために必要な事務事業を実施するということにあるんだろうというふうに思っております。

 したがって、独法が遂行いたします事務事業が必要な事務なのか、必要な事業なのかということについて、全般にわたる検討が行われてきたというふうに思っております。そして、その結果に基づいて、まず業務の廃止などが検討されて、業務の廃止は当然、その組織の改廃にもつながるというふうに思っておりますので、つまり、まずは必要な事務事業であるかどうかというような検討がされ、今もお話があったように、一つのところでやった方がいいのか、それでない方がいいのかというような検討がされた上で、組織の廃止を含めた、統合も含めた見直しが行われるというふうに理解をしておるところでございまして、まず初めに数ありきという問題ではないというふうに理解をいたしております。

 以上でございます。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 もちろん、行革といえばすぐ数ありきという傾向があることは事実だと思います。今の先生方の意見を踏まえながら、今後の行革の議論でまた参考にさせていただきたいというふうに思います。

 それと、今までの先生方のお話を聞いておりますと、いわゆる国立研究開発法人に対する期待というのは相当なものだと感じました。もちろん、このことによって新たな産業を生み出す、技術を生み出す、そういう面で技術立国日本という本来の姿を取り戻すためにも大変重要な法人になり得る存在だというふうに思っております。

 しかし、残念ながら、今回、午前中の質疑でも議論いたしましたけれども、特定国立研究開発法人、本来、通則法とセットで出されると我々も思っておりましたけれども、理研の問題もございましたので、それが提出に至りませんでした。

 特に樫谷先生、野間口先生はそれに大きくかかわっておられた。今回、それが提案されなかったということに対する受けとめと、それと、将来、この法人が果たすであろう役割についてどのように期待をされているのか、お尋ねをしたいと思います。これについては宇賀先生も含めて、樫谷先生、そして野間口先生、御三人にお願いしたいと思います。

    〔橘委員長代理退席、委員長着席〕

樫谷参考人 理研については、極めて残念、まだ結論が出たわけじゃありませんので慌てて言うことはないかもわかりませんが、ちょうど一月にSTAP細胞という大きな記事が出て、大変私も喜び、うれしかったわけです。これで先生がおっしゃったように特定国立研究開発法人ですか、それの成立がうまくいくだろうな、こういうふうに思っておりましたけれども、残念ながらこういうことになってしまって、極めて残念でございます。

 ただ、これが理研の全てではないというふうに思っておりまして、やはりそういう大局的な御判断をして、理研のすばらしさもたくさんありますし、理研を潰すことになってはいけないですし、それからもう一つは、小保方先生、これもまだ結論が出たわけじゃありませんので、若い方を潰すようなことがあってはいけない、こういうふうに考えておりまして、冷静に今回判断をして評価をしなければいけないな、こういうふうに考えております。

 ただ、一番問題なのは、今後起こさないこと、これが一番のポイントだと思っておりまして、今回、改革委員会ですかができますので、その報告をよく見させていただいてからその評価をしていくということが大事かなというふうに思っております。

 以上でございます。

野間口参考人 独法の理事長をやめましてからもう一年半ぐらいたちますので、理研の問題については私は詳しくはないのでございますけれども、研究者倫理というのは、これは大学も含めて非常に意を使って各機関は間違いのないようにやっておりますけれども、何しろ多くの方々が参加している世界でございますので、時としてこういった間違いが起こったこともあろうかと思いまして、非常に残念でございます。

 再発防止にしっかりと今取り組もうとしておられるということで、私も、先ほど樫谷参考人がおっしゃられましたように、期待しているところでございます。

宇賀参考人 私も、特定国立研究開発法人の制度には大変期待しております。

 世界のトップレベルの研究をしてグローバルな競争に勝ち抜いていくためには、やはり特定国立研究開発法人制度のようなものが必要で、そして、グローバルな人材の獲得競争に打ちかっていかなければならないというふうに思っております。

 今回、非常に残念なことが起こりましたけれども、しっかりと検証して、そして、再発防止策を講じて、ガバナンスの仕組みをしっかりと確立した上で、特定国立研究開発法人として頑張っていただきたいというふうに思っております。

柴山委員長 村上君、質疑時間が終了しました。

村上(史)委員 ありがとうございました。

 時間も一分ほど余っておりますけれども、一応、質問の方は終わらせていただきます。

 四人の先生方、本当に長時間ありがとうございました。

柴山委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、一言お礼の御挨拶をさせていただきます。

 参考人各位におかれましては、大変貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございます。委員会を代表して心から感謝を申し上げます。(拍手)

    ―――――――――――――

柴山委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の各案に対し、総務委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び参考人から説明または意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会は、来る二十一日水曜日に開会の予定でありますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十六分散会


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