第21号 平成26年5月30日(金曜日)
平成二十六年五月三十日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 柴山 昌彦君
理事 関 芳弘君 理事 平 将明君
理事 橘 慶一郎君 理事 西川 公也君
理事 平井たくや君 理事 近藤 洋介君
理事 松田 学君 理事 高木美智代君
青山 周平君 秋葉 賢也君
大岡 敏孝君 鬼木 誠君
勝沼 栄明君 勝俣 孝明君
川田 隆君 小松 裕君
新谷 正義君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 長島 忠美君
福山 守君 牧島かれん君
簗 和生君 山田 美樹君
大島 敦君 後藤 祐一君
津村 啓介君 若井 康彦君
遠藤 敬君 河野 正美君
杉田 水脈君 中丸 啓君
山之内 毅君 輿水 恵一君
浜地 雅一君 大熊 利昭君
赤嶺 政賢君 笠井 亮君
村上 史好君
…………………………………
国務大臣 山本 一太君
内閣府副大臣 後藤田正純君
文部科学副大臣 櫻田 義孝君
内閣府副大臣 井上 信治君
経済産業大臣政務官 田中 良生君
経済産業大臣政務官 磯崎 仁彦君
政府参考人
(内閣官房原子力規制組織等改革推進室長) 鎌形 浩史君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 倉持 隆雄君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 田中 正朗君
政府参考人
(資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監) 糟谷 敏秀君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 高橋 泰三君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 片山 啓君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房審議官) 山本 哲也君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官) 竹内 大二君
参考人
(原子力委員会委員長) 岡 芳明君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
五月三十日
辞任 補欠選任
吉川 赳君 簗 和生君
遠藤 敬君 河野 正美君
赤嶺 政賢君 笠井 亮君
同日
辞任 補欠選任
簗 和生君 勝沼 栄明君
河野 正美君 遠藤 敬君
笠井 亮君 赤嶺 政賢君
同日
辞任 補欠選任
勝沼 栄明君 牧島かれん君
同日
辞任 補欠選任
牧島かれん君 吉川 赳君
―――――――――――――
五月三十日
TPP参加反対に関する請願(笠井亮君紹介)(第一〇〇〇号)
特定秘密保護法の廃止に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一〇〇一号)
同(笠井亮君紹介)(第一〇〇二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一〇〇三号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇〇四号)
同(志位和夫君紹介)(第一〇〇五号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一〇〇六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇〇七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一〇〇八号)
同(穀田恵二君紹介)(第一一四〇号)
関東大震災時の朝鮮人虐殺の真相究明を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第一〇八七号)
同(照屋寛徳君紹介)(第一〇八八号)
同(吉川元君紹介)(第一一〇二号)
パチンコ店における出玉の換金行為を完全に違法化し、カジノ法の創設とカジノ特別区域の整備を求めることに関する請願(西村眞悟君紹介)(第一一〇一号)
韓国・朝鮮人元BC級戦犯者と遺族に対する立法措置に関する請願(中川正春君紹介)(第一一三九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第七九号)
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○柴山委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、参考人として原子力委員会委員長岡芳明君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房原子力規制組織等改革推進室長鎌形浩史君、内閣府政策統括官倉持隆雄君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、原子力規制庁長官官房審議官片山啓君、原子力規制庁長官官房審議官山本哲也君、原子力規制庁長官官房原子力安全技術総括官竹内大二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○柴山委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関芳弘君。
○関委員 おはようございます。自由民主党の関芳弘でございます。
今回、原子力委員会の設置法の見直しということで、非常に大きな意義を感じます。東日本大震災、本当に、私は、同じ日本の国民として、被害を受けた方々、そして、亡くなられた方々に、心から哀悼の意を表しますと同時に、私も、神戸で二十年ほど前に阪神大震災という大きな震災の被害を受けた、同じような被害を受けた者の一人として、その痛みに耐えなくてはならないのは、とてもやるせない気持ちでございます。
自由民主党も、そして安倍内閣も、まず今、日本のあるべき政策の姿として、その優先順位として最大のものの一つが東日本大震災の復興復旧であるということを明言しておる次第でございますが、その中におきまして、私ども神戸の住民が経験をしなかった、もう一つ非常に大きな災害というのが原子力の災害でございました。
今回、原子力委員会設置法の一部を見直すということにつきましては、これは本当に必然であると思います。非常に大切な内容をこの内閣委員会で議論させていただくに当たりまして、私は、ようやく原子力委員会の見直しが今ここで議論されることに、本当に感慨深いものがございます。
その内容を詰める際にもいろいろな議論がなされたことと思いますが、この原子力委員会を、今、もう一度存続し、新たな意義をもう一回みんなで考え直して、あるべき姿にしていこうと。その原子力委員会を見直して存続させる意義につきまして、まず質問させていただきたいと思います。
○山本国務大臣 御質問ありがとうございます。
今回の原子力委員会の見直しは、原子力をめぐる環境の変化、一昨年に秘密会議との批判を受けた原子力委員会の不適切な運営、こうしたことが国民の皆様の信頼を損ねる状況となったことを踏まえて、開始をされました。
具体的には、内閣官房に有識者会議を設置し、そもそも原子力委員会が必要なのか、関係各省で担うことのできない本当に必要な機能は何なのか、これについて検討が行われました。
有識者会議の結論としては、我が国の原子力利用が平和目的に限って行われていることを確保するために、分離されたプルトニウム量と将来の利用計画のバランスを確認し、利用目的のないプルトニウムは持たないという原則を厳格に確認するなど、プルトニウム利用、管理の透明性の向上のための取り組みは今後とも重要な事務の一つであることから、原子力委員会を存続させて、このような平和利用の確保等の重要な事務に絞り込むという方針が示されました。
また、原子力委員会の事務を全て各省に分散できないかとの検討も行われましたが、最終的には、引き続き、関係行政機関の事務の調整をする内閣府に原子力委員会を置くことが適切との結論が示されました。
こうした結論などを踏まえて、内閣府においても検討を行った結果、今回の改正法案では、原子力委員会を存続するものの、実態に即していない所掌事務は廃止縮小する、こういう改正を行うことにしたものでございます。
○関委員 今回、いろいろな意味を、そして意義を原子力委員会の存続ということに込められたということが非常によくわかりました。ぜひ、本当に前向きな、そして意義のある原子力委員会として存続をしていただきたいと思うところでございます。
二つ目の質問に移りたいと思います。
今回の、原子力委員会におきまして、変更する項目につきましてでございます。
存続する所管の事務の具体的な内容、また一方、廃止される事務というのが検討されました。その妥当性につきまして、詳細を教えていただきたいと思います。
○倉持政府参考人 御説明申し上げます。
有識者会議の結論を踏まえまして、平和利用と核不拡散、あるいは放射性廃棄物の処理処分等の原子力利用に関する重要事項につきまして、それに関する機能に重点化する、そして形骸化した事務等は廃止縮小するという案にさせていただいております。
具体的に申し上げますと、まず、存続させる事務でございますけれども、法第二条の第一号におきまして、「原子力利用に関する政策に関すること。」というのがございます。
これにつきましては、別途、法律に基づきましてエネルギー基本計画が定められるようになったこと等から、原子力政策大綱のような原子力政策全体を網羅する計画を原子力委員会が作成する必要性がなくなっているものの、先ほど大臣からも御答弁がありましたけれども、平和利用の確保であるとか放射性廃棄物の処理処分を初めとする政策課題、これについて、実施官庁とは異なる立場から企画、審議、そして決定する役割は引き続き必要だということで、この第一号事務を維持させていただいております。
それから、第二号事務でございますが、これは「関係行政機関の原子力利用に関する事務の調整」でございます。
これにつきましては、先ほど御説明した第一号の原子力利用に関する政策につきまして、関係行政機関との調整は引き続き必要でございますので、この第二号事務を維持させていただいております。
次に、廃止または変更する部分でございますけれども、法第二条第三号に「関係行政機関の原子力利用に関する経費の見積り及び配分計画に関すること。」というのがございます。
これにつきましては、近年、原子力委員会として見積もりを取りまとめる意義が少なくなっておりまして、また、配分計画といったことも既に廃止されておりますことから、この事務は削除することとしてございます。
続いて、第四号事務でございます。
これは「核燃料物質及び原子炉に関する規制に関すること。」ということでございますけれども、これも、近年、原子炉等規制法に基づく原子力委員会の意見聴取規定が大幅に縮小いたしました。そういったことや、原子力規制委員会の発足によりまして、全ての安全規制が原子力規制委員会に一元化されたということがございまして、この条項は削除することとしております。
ただし、原子炉等規制法に基づきまして、原子力委員会に対して平和利用に関して意見を聞く部分がございますので、これは残っておりますので、これは改正後の第四号事務に移動して規定をさせていただいております。
それから、五号事務には「原子力利用に関する試験及び研究の助成」。そして、六号事務として「原子力利用に関する研究者及び技術者の養成及び訓練」。
そして、七号事務として「原子力利用に関する資料の収集、統計の作成及び調査」、このうちの「、統計の作成」の部分につきまして削除することといたしております。
これは、当初は原子力委員会みずからが関係省庁を牽引する立場で、みずから予算を持っていたり事業を行っておりましたけれども、近年では各省でそれぞれ事業を実施しておりますし、関連する補助金、委託費等も廃止されておりますし、また、統計に関しましては、民間でも統計が整備されてきたという背景がございまして、この部分につきましては削除させていただいております。
最後に、八号事務でございますけれども、これは、今まで申しました七つの各号に掲げるもののほか、「原子力利用に関する重要事項」という規定でございます。
ここにつきましては、先ほど申しました第四号から移動する原子炉等規制法に基づく意見聴取の規定、そのほかの法律に基づいて、原子力委員会に対する意見聴取への対応を明確にするために、これに「法律に基づき委員会に属させられた事務」という部分を追加して残させていただくという内容にしてございます。
○関委員 ありがとうございました。
今回の見直しは、悲しい大震災という、この悲惨な状況を受けまして、改めてこの委員会のあるべき姿が浮かび上がってきたものでございますので、ぜひ有意義な運営体制の構築をお願いいたします。
次の質問ですが、原子力委員会の委員数を削減するということも項目に挙がっております。その理由を教えてください。
○山本国務大臣 今回、原子力委員会の業務について抜本的な見直しを行った結果、形骸化している事務等を廃止し、平和利用と核不拡散及び放射性廃棄物の処理処分等の原子力利用に関する重要事項に関する機能に重点を絞ることといたしました。
このような所掌事務の縮小に伴って、委員数については三人とすることが適切だというふうに考えております。
なお、今後の委員会の運営に当たっては、求められる役割を果たすために、従来の原子力委員会と同様に、重要な政策課題の審議には専門部会等を活用して各分野の専門家にも参画をいただくことを考えておりまして、三人で求められる役割を十分果たすことができるというふうに考えております。
○関委員 ありがとうございました。
人数削減になりますけれども、ぜひ、有効で、しかも深い、そして大切な内容の審議でございますので、この原子力委員会が有効に運営されることを心からお願い申し上げるところでございます。
それでは、最後の質問でございますが、原子力に関しましては複数の法律がございます。東日本大震災の後、今後も整備していかなければならないものも残っております。
機構法の附則におきましては、原賠制度に係る国の責任の明確化等につきまして、機構法の施行後できるだけ早い時期に必要な措置を講ずることも規定がされているところでございます。
同法の制定から三年が経過しました。この原賠制度、賠償責任をどのようにするのか、非常にまだ見えないところも多々ありまして、法律を策定していくのも難しいところでございます。そのような中におきましても、それでも我々は、国民に対する責任として、早くこの法律のあるべき姿というのを見直していかなければならないと思います。
そして、今申し上げた原賠機構法、具体的に措置を講ずる動き、そして体制の構築をそろそろ見直していく時期は、もう我々には時間が余り残されていないと思いますので、それにつきまして政府が今後どのような体制をとられるのか、御説明をいただきたいと思います。
○櫻田副大臣 お答えさせていただきます。
政府としては、これまで、原子力損害賠償支援機構法附則六条の趣旨を踏まえ、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。
具体的には、昨年末に閣議決定した福島再生加速化方針において、今回の福島第一原発事故に伴う賠償費用等の負担や事故収束への関与について、国と事業者との役割分担を明確化したところでございます。
今通常国会で成立した機構法改正において、事故が生じた場合に、賠償と事故収束の両面から事業者を支援する枠組みを整備することとともに、原子力損害賠償紛争解決センターの整備や時効特例法の制定にも取り組んできたところであり、これらは、原子力損害賠償制度の見直しの一環として位置づけられるものであります。
その上で、制度のさらなる見直しにつきましては、本年四月に閣議決定したエネルギー基本計画において、「本計画で決定する原子力の位置付け等を含めたエネルギー政策を勘案しつつ、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえ、総合的に検討を進める。」こととしており、今回、内閣官房副長官が主宰し、関係副大臣等から成る原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議を設置することとしたところでございます。
まずは、この副大臣等会議で当面の課題と今後の進め方を整理し、その後、有識者会議を設けて検討を進め、その意見を副大臣等会議の検討に反映させたいと考えております。
○柴山委員長 関君、質疑時間が終了します。
○関委員 ぜひ、その副大臣等会議、有効に、また、いい方向に進めていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介であります。
内閣委員会はいろいろな多岐にわたる法案を今国会も審議をしてまいりましたが、閣法はこの原子力委員会設置法改正案で最後となります。内閣委員会としては最後の法案でありますが、私は、極めて大事な法律が最後に来たな、こういう認識であります。
と申しますのも、先ほど関委員からの御質疑の中にもありましたが、大臣、この法案というのは、私はやはり、三・一一、福島の原発災害を受けて、日本が原子力政策に対してどう立ち向かうかといいましょうか、この三・一一の教訓をどう生かしていくかという一つの形になるからだろう、こう思うからであります。その意味では、中身は簡単な法改正でありますけれども、意義は極めて重い法律改正であろうと思います。そういった思いで質疑に立たせていただきますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず冒頭、山本大臣にお伺いをいたします。
この三・一一の東日本大震災によって起きた、よって起きたという言葉が適切かどうかは別にして、三・一一の福島原子力発電所の事故でありますが、この教訓を、ここの事故から政府はどう学んでいるのかということをお伺いしたい、こう思うんです。
この福島原発の事故について、国会事故調の黒川清委員長はこういう総括をされているんですね、報告書の中では。我々の反射的な従順さ、権力者を疑問視したがらない態度、計画を守り通すことへの情熱、集団主義、島国根性にあったと総括をし、それはメード・イン・ジャパンの災害だったという形での総括をされています。
これは非常に大きな総括をされているな、こう思うんですね。見方によっては、この福島原発の事故というのは、ある意味で、戦後、日本のもう一つの大きな敗戦だったのではないか、こういう指摘も受けています。
もちろん、当時の政権は我々民主党でございました。ですから、当時、私も与党でございましたし、当時の民主党政権の問題点も多く指摘をされておりますし、それ自体も責任を感じてはおります。
ただ、当時の事故対処の問題点のみならず、そもそも、福島原子力発電所の体制というんでしょうか、原子力政策そのものに対しての批判もあったのかと思うんですね。
例えば、いろいろな日本の持つ官僚機構の弱点が出たのではないか。それは、さまざまたまってきた日本の弱さというのが一気に噴出したのではないかといった指摘がある。事故のさまざまな、例えば、民主党政権のときの批判に代表的に言われるのは、時の総理が福島第一原子力発電所にわざわざ乗り込む必要があったのかということはよく批判をされます。ただ、そのときそのときの対処だけではなくて、原子力政策そのものの全体像の問題でもある、こうも思うんですね。
そういう観点から、あえて山本大臣に、要するに、原子力委員会というのは、少なくとも現行法では原子力政策全般を預かる委員会でございますから、原子力政策全般にかかわる大臣として、三・一一東日本大震災による福島原子力発電所の事故というものの教訓をどうここから学んでいるのか。あわせて、この原因というのは、原子力政策全体を預かる大臣としてどこにあるというふうに総括をされているのか、お答えいただけますでしょうか。
○山本国務大臣 今、近藤委員がおっしゃったように、この福島第一原子力発電所の原発事故の総括は大変大事だというふうに考えております。
今、いろいろな点を御指摘されましたが、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、過酷事故への対応策が欠如していたことを露呈したということだと思いますし、やはり最も重大な点は、いわゆる安全神話に陥ってしまっていたというところではないかというふうに思います。
政府は、東電の福島第一原子力発電所の事故を防ぐことができなかった、このことはもう真摯に反省をし、今いろいろと御指摘がありましたが、なかなか原因を一つに絞っていくというのは難しいと思いますけれども、この事故の原因等を踏まえて、こうした事故の再発防止のための努力を続けていかなければいけない、そんなふうに考えております。
○近藤(洋)委員 大臣、ありがとうございます。
まさに、過酷事故への対応策をとり切れていなかった、一言で、安全神話というものに陥ってしまった、それを醸成してしまった、政府としては、長く積み重なった原子力政策の歴史の中でそういう形になってしまったということが原因であったという総括だったと思います。
そこで、きょうは、原子力委員会の話でございますから、現原子力委員会委員長岡委員長に来ていただいております。
委員長のお許しを得て、岡委員長の御略歴、また、政府が岡委員長をなぜ委員長に任命したのかという任命理由、政府が提出をした資料を添付させていただいておりますが、ここにも記載されているように、岡委員長は、原子力のさまざまなといいましょうか、工学の分野で原子力にかかわってこられ、かつ、教育現場でも深くかかわってこられた方であられますが、原子力委員会委員長として、三・一一によって引き起こされた、ないしは福島原発の事故の要因また教訓をどのように総括をされているのか、お答えいただけますでしょうか。
○岡参考人 岡でございます。
御指摘のように、福島原発の教訓を生かす、特に安全面において生かすということは、今後の原子力政策にとって一番大事なことだと存じております。
事故の直接の原因は、津波を安全評価で考慮できずに指摘をできず、それからさらに、事業者の方も自主的にそれに対して対策をとれなかったということにあると思います。
そういう意味で、最新の知見を入れて安全について不断の努力を、特に、規制の遵守だけではなくて、事業者の方が自主的にそれ以上の安全性改良を重ねる。それとともに、推進と規制の分離とございますけれども、安全確保の観点から、安全をきちんと考えていく規制の方々のお仕事が重要であるというふうに思っております。
原子力委員会としても、こういう活動をきちんと見守って、安全がきちんと担保されているかどうか、きちんと見守っていくのが仕事だと思っております。
○近藤(洋)委員 大臣、委員長から御答弁いただきましたが、私なりに受けとめますと、余り片仮名は使いたくないんですけれども、リスク管理、平たく言えばリスクの管理ができていなかったと。
事故に対するリスクを管理する。リスク管理というのは、釈迦に説法ですが、リスクをいかにとるかというのは極めて難しい話で、技術というかアートというか、リスク管理というのは大変難しいことなわけです、技術なわけですけれども。
そのためには、さまざまな、例えば、いざというときに指揮系統がとられていなければいけないだとか、あとは、最初に、リスクを未然に防ぐためには、前例踏襲ではなくて、何かミスがあったときには、前にあったことを否定することに対しても早目に、言葉の言い方は損切りをしてというか、未然に防ぐためには先輩がやってきたことに対しても不断の見直しをして損を切るというかチェックをしていくとかいうことも必要でしょう。
さまざまなことが必要なリスク管理でありますけれども、官僚機構というか、官僚といっても別に霞が関という意味じゃなくて、それは企業であったって何だって、組織というのは、一つ間違うと、いかにリスクをとらないかという一種の隠しわざをしてしまうというか、リスクをとらないようなわなにはまってしまう。
ですから、一つ間違うと、組織というのは、リスクをいかにお互いがとらないようにするかというものに陥ってしまうということが出てしまう。それが頭のいい人の組織であればあるほど、リスクをとるということよりも、リスクをとらないような隠しわざを皆それぞれがしてしまうことの一つの集約が、最も頭のいい方がやっているはずの原子力。
ザ・ベスト・アンド・ブライテスト。原子力工学というのは、例えば、かつては東京大学の総長の南原さんという立派な学者がおりましたが、この人は東大原子力工学で最も頭のいい方、東大総長までなった方。こういう、原子力といえば、工学系の最も優秀な方がなった分野であります。
ですから、原子力の現場というのは最も優秀な人。官僚機構も最も優秀な人。東京電力という会社も、恐らく企業でいえば相当優秀な人たちが集まるところ。そういう優秀な人間が集まっているところの組織が、それは経済産業省も各省庁もそうですが、いかにリスクをとらないかということが集大成になってしまった結果なんだろうな、こういうふうに思うわけであります。
そこで、大臣にお伺いしたいんですけれども、だとすると、リスクをちゃんととるためには何が必要かというと、タコつぼにいろいろな組織があります。それを、よく言われることですけれども、それぞれの組織を一つ横串で見渡すような強いリーダーシップと司令塔的な機能がやはりどこかにきちんとあった方がいい。それぞれの組織の理屈を乗り越えて見るような分野、それもある程度強い権限を持ったところに直属した組織があった方がいいということは、洋の東西を問わず言われているわけであります。
その組織として、私は、原子力委員会の役割というのは、いろいろ問題点はあったけれども、原子力政策において、原子力に関する重要な政策については、引き続きいわば総理の直属の機関としての原子力委員会の役割というのはあると。すなわち、今の政府においては、資源エネルギー庁が原子力を推進する立場、原子力規制庁は徹底的に分離をしてチェックをする、権限を持ってチェックをするという立場、エンジンとブレーキ両方あるわけですけれども、そこからさらに高みに立って、トータルで、どちらの立場にもくみせず、しかしながら高みに位置して横串を見渡す立場に原子力委員会はあるという認識でよいのかどうか、お答えいただけますでしょうか。
○山本国務大臣 今、近藤委員のおっしゃった話は大変大事なお話だと思います。非常に勉強になりました。
官僚組織がリスクを避ける、リスクをとらない、そこについてはやはり、まさしく、官僚の能力は最大限に引き出しつつ、しかしリスクを、健全なという言い方はいいかどうかわかりませんが、適切なリスクをとらせるためには、やはり政治のリーダーシップが必要であり、おっしゃったようないわゆる総合調整、司令塔というものが必要なんだというふうに考えております。
そこで、現在、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野にわたって原子力が活用されております。関係各省がそれぞれ分担に従って責任を持って施策を実施しているというのが、今の現実でございます。
司令塔という言葉の定義もいろいろあると思うんですが、この司令塔という機能に当たるかどうかは正直言って今明確ではありませんが、法改正後の原子力委員会においては、幅広い分野を対象として、原子力利用の理念となる分野横断的な基本的考え方を示したいというふうに考えておりまして、これを示しつつ、やはり関係各省の施策の状況に応じて原子力委員会が積極的にかかわっていくということにしております。
また、関係各省が協議を重ねて原子力政策を進める中、内閣府においては、関係各省の事務の調整、この役割を担っているというふうに考えています。
○近藤(洋)委員 ではそこで、次、委員長にお伺いします。
原子力についてはそういうことだ、引き続き原子力委員会が担うということでありますが、では委員長、原子力発電事業について委員長の御見識をお伺いしたいんです。
我が国は、基本的には国策民営、すなわち、原子力発電については、原子力事業については。原子力発電について、政府は方針を固めて、どういう方針でやるということを決めて、それに沿って民間事業者が発電をする、事業を行うという、いわゆる国策民営と言われる事業方式を展開してきた。国営会社ではない会社、民間事業者が発電を行っている、ただ、基本的な方向、環境整備については政府が行う、例えば今回エネルギー基本計画といったものを政府がつくってみたり、さまざまな方針は政府がつくるけれども、それに沿った形で民間事業者が発電を行うということを採用してきたと理解をしています。
ただ、ここで、プルトニウムを扱う核燃料サイクルなんですが、発電事業と原子力事業についてはそうですが、私は、発電事業とは確かに、発電を起こすのは国策民営というか民間事業者でいいと思うんですが、これからのことを考えると、プルトニウムを扱う核燃料サイクル事業、さらには高レベル放射性廃棄物の最終処分事業についても、現時点では国策民営の方式で行われようとしていると私は理解をしています。
ここのいわゆるバックエンドと呼ばれている議論なんですが、委員長にお伺いしたいんですが、私は、プルトニウムを扱う核燃料サイクル事業等のバックエンド事業、果たしてこれから民間事業者によっての運営が適しているのかどうかという議論だと思うんですね。まず、そもそも、プルトニウムというのは極めて扱いを慎重にしなければいけない、核不拡散の観点からも極めて扱いは慎重であるべきものであります。
かつ、というものであるということに加えて、今政府において進められている、また我々民主党政権の時代から考えてきた電力システム改革、いわゆる発電と送電の分離、さらには参入の自由化、電気料金の自由化といった電力システム改革が進む中で、特に発電と送電の分離がされる中で、一貫体制がなくなる中で、果たして、このバックエンドの分野について、本当にそれを担えるだけの力を民間事業者が持てるのかどうかという体力の問題、現実としてもあろうかと思いますが、非常に負担が重いのではないか、こうも考えるわけであります。
この現実論から見ても、また、扱う物質の難しさから考えてみても、私は、この国策民営は、少なくともバックエンドの部分についてはそろそろ見直す時期に来ているのではないか、こう考えますが、委員長の御見識はいかがですか。
○岡参考人 核燃料サイクルについて、いろいろな議論があることは承知しておりますけれども、閣議決定されましたエネルギー基本計画では、核燃料サイクルの推進について、安全確保を前提に、プルサーマルを推進する、それから六ケ所の再処理工場を竣工し、MOX燃料加工工場を建設し、さらに、むつに中間貯蔵施設の竣工を進めるというふうにございます。
また、最終処分に関しましては、「高レベル放射性廃棄物の処分については、国が前面に立って最終処分に向けた取組を進める。」というふうに記載されてございます。
原子力委員会といたしましては、このエネルギー基本計画と整合性をとりつつ、省庁横断的な課題、長期的な取り組みについて検討を行うことが必要だと考えております。
また、エネルギー基本計画においては、「国は、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者がこうした課題に対応できるよう、海外の事例も参考にしつつ、事業環境の在り方について検討を行う。」と記載されております。事業環境のあり方について検討を行うことは大変重要だと認識しております。
○近藤(洋)委員 委員長、その御答弁は、三・一一の前の答弁と今と全く変わっていないんですね。
何を申し上げたいかというと、三・一一で世界は変わったわけですよ。かつ、電力システム改革という大きなことも、もう法律も通ってしまっているわけですよ。その前の答弁と今の答弁と全く同じ。
かつ、もっとあえて委員長に申し上げると、何も進んでいないじゃないですか、核燃料サイクルについて。六ケ所村の工事は、では、今六ケ所は稼働しているんですか。していないですね。六ケ所の工事も進んでいない。「もんじゅ」は進んでいるんですか。進んでいない。
原子力委員会がつくった前回の大綱と比べて、では、これは事実関係だけなので、委員長、お答えください。
前回の原子力政策大綱で進めたイメージ、計画と比べて、今の、六ケ所村、「もんじゅ」、さらには最終処分、この三つについて、当時の原子力政策大綱で決めたものと比べて、この三つについて当時よりも計画が進んだものが一つとしてあるかないか、お答えいただけますか。
○岡参考人 事故がございまして、プルトニウムの需要、それから再処理工場その他が進んでいないのは事実です。耐震の見直しもございます。
そういうことで、今の御質問は非常に厳しい御質問ですけれども、今後、核燃料サイクル政策、非常に重要だと認識しておりますので、十分こちらでも検討させていただきたいと思っております。
○近藤(洋)委員 いや、委員長、僕は別に委員長をここで責めるつもりはないです。ただ、委員長は責任ある立場ですから。
要するに、前回の原子力政策大綱を決めたときと比べて何一つ進んでいない。むしろ、全部、この三つについて、最終処分場、さらには「もんじゅ」、そして六ケ所の核燃料サイクル、三つとも、計画よりも、当時の想定よりも全部おくれているわけです。これが客観的事実。さらに原子力をめぐる環境は難しくなっている。そして、それを担うべき事業者の環境も悪くなっている。そういう中で、順次検討していきますという同じ答弁では、では、この数年間、原子力委員会は、委員長、何をやってきたのか、何を議論してきたのかということになるわけであります。このことを議論するのが原子力委員会の役割だったはずなんですね。
そして、今回の法改正でも、まさに廃棄物最終処分等々については重要事項として引き続き位置づけますと書いているにもかかわらず、この重要事項についてきちんとした御答弁ができないというのは、この数年間、少なくとも、まあ民主党政権の時代も含めてですよ、それは我々も反省はしていますが、ただ、山本大臣、この一年間もどうだったのか、こういうことになるわけです。
事実関係を、資源エネルギー庁、ここで最終処分についてまずお伺いしたいんですけれども、資源エネルギー庁、来ていただいていますけれども、いわゆる原子力発電所から発生するごみ、高レベル放射性廃棄物についてでありますが、現在は埋立処分をする方式というイメージは固まっております、平たく言えば。しかし、場所は決まっておりません。
事業主体、では、誰が担うのかということでありますが、埋立処分をする、管理する主体は誰かということでありますが、これはNUMOと呼ばれる民間の事業主体が、高レベル放射性廃棄物、地下に埋設するわけでありますけれども、これが長期間をかければだんだんだんだん放射線を発しなくなる。大変超長期の期間でありますけれども、数百年にわたって管理する計画になっているはずでありますが、資源エネルギー庁、高レベル放射性廃棄物を管理する事業主体というのは、民間であろうかと思いますけれども、どういう事業主体でやって、そしてその民間会社は何年間にわたってそれを管理するという形になっているのか。今の事業スキーム、そしてその民間事業者の株主はどこになっているのかということも含めて、お答えいただけますか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
高レベル放射性廃棄物の処分事業でございますけれども、法律に基づきまして、先生御指摘のありました原子力発電環境整備機構、NUMOが実施主体となっております。NUMOは、法律に基づきまして、経産大臣の設立認可を得ている団体でございまして、主体としては、廃棄物の発生者たる電気事業者が主体となって設立した事業者でございます。この事業者は、最終的には地点選定、それから最終処分施設の建設等を行うことでございますけれども、想定といたしましては、約三百年ぐらい管理をするということを想定してございます。
こういった事業を確実に実施させる観点から、法律に基づきまして、発電を行った段階で、将来必要となる処分費用を確保するという法律上のスキーム、それから、その事業に対する国の適切な管理監督、それから、機構が解散してしまわないような歯どめというような制度的な担保をしているところでございます。
○近藤(洋)委員 部長、法律に基づいての会社ではありますが、では、そのNUMOの株主は電力事業者、電力会社であるということでよろしいですね。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
NUMO自体は株式会社形態はとっておりませんので。ただ、その処分の費用につきましては、電気事業者から拠出されたお金で賄うという形になっております。
○近藤(洋)委員 したがって、そうすると、その法人に拠出するのは電力会社がする。その費用については政府が保証する、運営費については政府が法的に担保をする、例えばその法人がする資金調達については政府が保証する、例えば政府保証債を発行できるだとか、資金調達については例えば政投銀が全て融資するとか、法的な担保はあるんですか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
処分費用につきましては、各電力会社が電気料金によって回収するというスキームになっておりまして、政府が保証するという制度にはなってございません。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。
これはまさに三百年を超える大変長期間を管理するのが、民間事業者が行う。徳川幕府だって三百年もっていないんですよね。民間が三百年管理、果たしてどうでしょうか。
そして、その費用は、政府じゃなくて電気料金。これも、かつての旧電気事業法であれば、総括原価主義で、間違いなく電気料金で回収できるスキームでありましたが、今度は自由化されるわけであります。したがって、電気料金で果たしてどこまで回収できるのか、このスキームも明らかではありません。果たして、電力が自由化される中で、その費用が、どれだけ、どういう形で回収されるのか、これも担保できません。政府が保証しているものではありません。
ここで大臣にお伺いしたいんですけれども、この最終処分という事業、三百年を超える、そもそも、三百年管理と言いますけれども、三百年たてば、最終処分場に埋設されたその放射性廃棄物が半減期を迎えてというか、いわゆる完全にきれいなものになるわけでは到底ありませんね。これは、何年かというのはあれですが、千年、物によっては二千年、いや、もっと超長期のものなんだと思いますが、三百年というのは一つの目安のはずであります。それだけの超長期のものを保管するのが民間企業でいいのかと私は非常に疑問であります。私は、ふさわしくないと思います。国営会社で行うべきであろうと思います。今のスキームは見直すべきだと思います。
この最終処分の形態のあり方一つとっても、今日的な電気事業法のシステム改革、改正を踏まえても、やはり大きく見直すべきだろう、少なくとも、国が主体となって行う体制で見直すべきだ、こう考えますが、山本大臣、原子力委員会担当大臣として、いかがですか。
○山本国務大臣 最終処分の事業については、さまざまな考え方があると思います。
安倍内閣の方針として先般閣議決定されたエネルギー基本計画においては、委員御存じだと思いますが、最終処分に関しては、「高レベル放射性廃棄物については、国が前面に立って最終処分に向けた取組を進める。」こういうふうな記載になっております。
原子力委員会という立場からいくと、エネルギー基本計画と整合性をとりつつ、省庁横断的な課題、長期的な取り組みについての検討を行うということに尽きるのではないかというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 大臣、国が前面に立って、まさにそのとおりなんです。ただ、ここは、国が前面に立ってというのは、前もそういうことでやってきているわけです、御存じのとおり。それは、旧自民党政権下も国が前面に立って、民主党の政権というものも国が前面に立って最終処分をしなければいけないという認識でやってきた。しかしながら、なかなか、ですから、今のこのスキームを具体的に見直す時期に来ているんじゃないかということを私は申し上げているわけであります。
大臣、この議論は、この議論の場として、総合エネルギー調査会というよりは、私は、まさにこれは国家の話ですから、原子力委員会がまさに高い見地で議論すべき話だろうと。
総合エネルギー調査会、経済産業相の諮問機関たる総合エネルギー調査会というのは、どうしてもそこは原子力推進という観点のみの議論になりがちになると思うんですね。私自身、経産副大臣を経験していてこんなことを言うのもなんですけれども、そこはやはり原子力委員会が議論すべきものであるし、あえて加えて言うと、この最終処分の議論、スキームのあり方、そして場所の選定の仕方については、私は、原子力委員会とあわせて、ここは提案なんですけれども、国会というのも一つかかわりの仕方があると思うんです。要するに、どこの場所にするかという議論も、これは国会でも議論すべきだと思うんですね、国会が責任を持つと。
ちょっと誤解を恐れず言えば、これはどこでも嫌ですよ、どこが持つにしたって。大変なことです。かつて東洋町という場所で調査を受け入れるということで住民投票になって、大変な選挙になったことがございました。これは、どこかが処分しなきゃいけないところを住民投票で決めるというのは、これは我々選挙をやる立場からしても、こんなことを住民投票で決める、住民投票も住民の意思も大事ですよ、しかし、住民投票で全てを決めてしまっていいのかという議論もございます。
そこは、やはり私は、国権の最高機関たる国会も、例えば、一計ですけれども、常設の委員会をつくり、その中で議論をし、スキームも含めて国会もその中にかかわりながら、もちろん、素案は政府、原子力委員会が考え、国会も一定の責任を負うというぐらいの、そして、五年、三年と長期の議論を重ねていかないと、最終処分のスキーム及び場所というのはなかなか決まらないし、いいものができないと私は考えますが、そういった枠組みも、これは大臣、お考えいただいていいのではないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 原子力委員会は、今回の法案が通ればですけれども、新しい姿で再スタートさせていただくことになります。
その原子力委員会でどんな議論をしていくかということは、これからいろいろと検討させていただくわけですけれども、さまざまな意見を踏まえて、状況もしっかりと見ながら、さまざまな検討を加えていきたいというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 山本大臣、ぜひ、ここは、さまざまな検討じゃなくて、やると。これはだって、原子力委員会の仕事ですから。最終処分も含めて廃棄物についてどう考えるか、これに重点を絞ると今回の法律で変えたわけですね。この最終処分をめぐる議論について、むしろ期限を区切って、しかも従来の発想を超えて、いつまでに進めるという意思は、ぜひ国会で、原子力委員会設置法を見直すこの議論において表明していただきたいと思うんですね。
というのは、やはり廃棄物の最終処分の議論をきちんとしない限り、そして、その費用負担は誰がするんだ、責任主体はどうなんだという、ここの結論が出ない限り、幾ら、例えば今の政府において安全規制がクリアされて、仮に原子力発電所が動いたところで、トイレなきマンションと言われている今の原子力をめぐる我が国の状況は変わらないわけです。
ここの部分をきちんと逃げずに決着をつけるということ、これも、今までの原子力政策の中でずっと先送りをしていた、誰もリスクをとらなかった。冒頭の福島原発の、誰もリスクをとらないでごまかしてきたという、一つの、原子力の違った意味でのリスクの先送り、とらなかった大きな問題だったと私は思うんです。
ここも、私は、きちんと結論を出していくということを、新しい原子力委員会発足に当たって大臣は表明すべきだと。そして、そのことを、新委員長、岡委員長が委員長に指名されるのかどうかは、国会の同意人事ですからわかりませんが、示すべきだと思いますが、再度、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 今、委員から御指摘のあった高レベル放射性廃棄物の最終処分でございますが、これはもう、実施官庁である経産省だけではなくて、研究開発を担当する文部科学省等も含めた省庁横断的な検討が必要だというふうに考えております。
ですから、原子力委員会では、各省における状況も注視し、省庁横断的な課題や長期的な取り組みについて、これはやはり新組織でも必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 ぜひ、きちっとした答えを出していただきたい、我々も野党の立場ですが、きちっと議論したい、こう思います。
続いて、岡委員長に伺います。
広い意味での、もう一つのリスクのとり方の話なんですが、原子力事故に対するリスクをどうとるかという中で、原子力賠償法の見直し議論についてお伺いしたいと思います。
先ほど関委員からもお話がございましたが、この原賠法の見直しについて、現在、原子力賠償法は、原則として、無過失・無限責任というのが基本であります。この無過失・無限責任というのはどうなのか、問題ではないかというのは、そもそも、この法律ができた当初から、東大の故我妻栄先生が指摘をされていたところであります。
我妻先生は、我が地元米沢の出身でありまして、郷土の星なのでありますが、民法の父、我妻先生も、この無過失・無限責任はおかしいということを指摘しておきながら、当時の、実は、大蔵省かどうかわかりませんが、いろいろな議論の中で、無過失・無限責任の法律ができ上がってしまった。しかし、ただし書きがあって、天変地異の場合はその限りにあらずという法体系でありました。
しかしながらといいましょうか、ただし書きがありましたけれども、福島原発については、三・一一東日本大震災についてはこのただし書きが適用されずに、無限責任が東京電力については課されている、こういうことであります。
この点なんですが、委員長、しかしながら、無過失・無限責任というのは、ある意味で、事故は絶対に起きない、起こしてはいけない、起きない、だから無過失・無限責任でいいんだというふうな、起きてはいけない、起こしてはいけない論の中でこそ成り立ったものであって、現実に事故は起こり得るという立場に立つと、まさに国策民営の中で行われている、民間事業者が行う我が国の原子力事業において、無過失・無限責任、しかも、三・一一のあの東日本大震災の震災ですらただし書きが適用されなかった今の原賠法は、これは見直すべきであるということだろうと私どもは考えております。
したがって、資料を添付しておりますが、現行法の原子力損害賠償支援機構法を制定したときには、政府は、附則六条に、「できるだけ早期に、」「賠償法の改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置を講ずるものとする。」と。
この「抜本的な見直し」というのは、原子力賠償法、原賠法の見直しを意味していたわけであります。これは、参議院の附帯決議においては、一年以内という附帯決議が付されています。政府は抜本的見直し、できるだけ早期に、国会の意思としては一年以内としているんですが、残念ながら、今の政府においては、三年たちましたけれども、何も出していないのが現実なのですが、委員長としては、この無過失・無限責任は見直すべきだとお考え、どういった御見識に立ちますか。お答えいただけますか。
○岡参考人 原子力の損害賠償に関する法律を含めた損害賠償制度は、文科省、経産省、内閣府が関係してございます。
政府においては、これまで、今御指摘のございました原子力損害賠償支援機構法を踏まえまして、いろいろな取り組みが行われてきております。
原賠制度のさらなる見直しについては、エネルギー基本計画を踏まえて、今後、必要に応じて関係省庁で検討が行われていくのではないかと考えております。
原子力委員会としては、この政府の取り組みをまずフォローしていきたいと考えております。
○近藤(洋)委員 きちっと原子力委員会としては問題意識を持って議論を深めていただきたい、こう思います。これは重要な政策事項の一つだ、私はこう認識しておりますし、原子力委員会としても、このリスクをどうとっていくかという観点から議論を深めてもらいたい、こう思います。
続いて、文部科学副大臣、お忙しいところ来ていただきまして、ありがとうございます。
原子力賠償法の所管は文科省でありますが、この点については、先ほども、副大臣級の勉強会というんでしょうか、検討会を開くという御答弁がございましたが、今、政府の検討状況はどうなっているのか。もう既にこの法が施行されて三年たっております。「できるだけ早期に、」の一年を過ぎてしまっておるわけでありますが、具体的に、いつこの原子力賠償法の見直し法案を政府において提案される御予定なのか。一年程度なのか、来年の通常国会を目安に検討を進められているのか、どういうスケジュール感で検討を進められているのか、副大臣、お答えいただけますでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、原子力損害賠償支援機構法附則第六条の趣旨を踏まえたさまざまな取り組みをこれまでも行ってきているところでございます。
先生、三年過ぎたとおっしゃっていただいておりますけれども、基本的には、この三年間何もやってきていないということではございませんで、具体的には、昨年末に閣議決定いたしました福島再生加速化方針におきまして、今回の東京電力福島第一原発事故に伴う賠償費用等の負担や事故収束への関与について、国と事業者との役割分担を明確化しましたほか、今通常国会で成立しました機構法改正におきまして、事故が生じた場合に、賠償と事故収束の両面から事業者を支援する枠組みを整備する。さらに、原子力損害賠償紛争解決センターの整備、あるいは、時効特例法の制定といったところにも取り組んできたところでございまして、これらも、原子力損害賠償制度の見直しの一環として我々は位置づけているものでございます。
その上で、制度のさらなる見直しにつきましては、さきに副大臣から答弁させていただきましたように、今回、内閣官房副長官が主宰し、関係副大臣等から成る原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議を設置することとしたところでございます。
この副大臣会議につきまして、まだ政府部内の最終調整を進めている最中でございますけれども、いつまでにということにつきましては、そういう時期も含めて具体的な進め方につきましては今後検討をするということになってございまして、副大臣等会議においてしっかり議論を進めていきたいと考えているところでございます。
○近藤(洋)委員 いつ副大臣会合は開かれるんですか。
○田中政府参考人 先ほど申し上げましたように、まだ政府部内で最終調整を進めているところでございますが、調整が済み次第、速やかに開催したいというふうに考えているところでございます。
○近藤(洋)委員 非常に遅過ぎますよね。これは、私も前回の経産委員会で総理に対して質疑をさせていただいたときも、文部科学省の姿勢は非常に消極的だったという印象を持っています。
文部科学省にとっては、この議論をするということは、要するに、財政負担を伴いますから財務省との調整があるのは十分承知しておりますし、大変難しいというのはわかりますが、したがって、これはやりたくないという気持ちは、役所として大変難しいテーマだしというのはわかりますが、しかし、御答弁にあったようなこれまでの法律で累次やってきましたというのは、これは言いわけにしかすぎませんで、原賠法の抜本的な見直しは一切手をつけてこなかった。附則に書いているのは原賠法の見直しであります。
原賠法の抜本的な見直しには手をつけてこられなかったし、これは別に、自民党の先生方も当時から必要だとおっしゃっていたし、我々もそういう認識であったし、それは、各党、国会はそういう意思だったわけで、それを逃げてきたのは、申しわけないですけれども、やったふり、リスクをとらない隠しわざを駆使するのはもうやめていただきたい、そういう隠しわざを、文部科学省において。
きちんと議論をして、そして堂々と法律を出されたらいいと思います。そして我々はその議論を受けて立つと言っているわけですから、これは大事な問題だという認識をしているわけでありますから、ぜひ国会に法律が出されることを待っておりますし、我々も提案をしていきたいということだけは申し上げたい、こう思います。やったふりの改革は、この件についてはやめていただきたい。
となると、この議論がきちんと決着をしないと、要するに、東京電力をどういうふうに立て直すかということも含めて一切先に進まないんです。それは東京電力のためではなくて、日本のエネルギーの安定供給も含めて、また電気消費者も含めて、利用者も含めて、文部科学省のその怠慢が日本のエネルギー全てを壊すことにもつながるし、そのことがかえって福島の被災者の方々にとってもマイナスになる、こういうことになるということを認識してもらいたいということだけ、強く申し上げたいと思います。答弁は結構でございます。
最後に、大臣、人材。
原子力委員会、最後の表ですが、人員が二十名を切っているんですね。原子力委員会の事務局、十三名だそうであります。まあ、多ければよいと言うつもりはございませんが、原子力委員会の職員数であります。
ちょっとこれは、先ほど言った最終処分の議論、さまざまなことを検討するにしても、やや少な過ぎやしないか、国際的な機関との連携、議論も必要だ、こう思います。IAEAとの、国際機関との連携などを考えても少な過ぎる、こう考えます。この辺、充実を図るべきかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。それを伺って質問を終わります。
○山本国務大臣 今おっしゃった、法改正後の原子力委員会を支援する事務局の体制については、専門性の確保のために、やはり参与とか調査員を活用する等の対応で人員を増強することを今検討しております。
もうこれは委員御存じだと思いますが、重大な政策課題が生じた場合には、必要に応じて、関係行政機関の担当部局等と共同して対応を行うことになっておりますので、こういう対応を行って、原子力委員会を支える事務局の体制を整えてまいりたいと。
今の御指摘は大変ありがたいと思っていまして、事務局の強化については、いろいろと検討させていただきたいというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。
○柴山委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介でございます。
本日は、原子力委員会についての議論ということですけれども、今国会では内閣府設置法の改正もございまして、総合科学技術会議を総合科学技術・イノベーション会議ということで改組が行われまして、たしか五月の十九でしたでしょうか、先週の月曜日から新体制発足ということでございます。また、それに続きまして今回は原子力委員会ということで、内閣府、合同庁舎四号館ですか、七階の体制が大きく変わるということだと思います。先般、CSTP、総合科学技術・イノベーション会議のところでも申し上げましたが、名前を変えたり、あるいは体制を変えても、それが本当に目的に沿っているのか。法律で定められていることもございますけれども、それをこれから議論いたしますが、運用の部分で、大臣のかけ声一つで随分実態を変えていくことができると思っております。
一年半、大臣のポジションにおられて、精力的にここまで科学技術政策を進めておられる山本大臣ですので、この大事な組織改編のタイミングに大臣の職にいらっしゃるわけですから、これから幾つか今後の運用方針について御質問を差し上げますけれども、ぜひ前向きに、意欲的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
まず最初に伺わせていただきますけれども、原子力委員会、今回は規模を縮小する議論になっておりまして、それはそれで意味を見出していきたいと思いますが、これまでの約六十年ぐらいですかの歴史の中で、非常に大きな期待を担った時期あるいはその役割を見直す時期、幾つかのフェーズがあったかと思います。
二十世紀の総理府あるいは科学技術庁のもとに置かれた時期、それを第一フェーズとすれば、橋本行革の後この十数年間というのは、総合科学技術会議との連携の中で位置づけがなされておりますし、今回また、震災後新たに体制を変えていくということで、私は大きく三つのフェーズに整理をしたいと思いますけれども、大臣は、この間の原子力委員会の役割の変遷について、どのように総括されているでしょうか。
○山本国務大臣 これも委員よく御存じだと思うんですが、原子力委員会は、昭和三十一年、一九五六年に、原子力に関する行政を強力かつ総合的に推進する機関として設立をされました。当時、原子力の研究開発及び利用の推進と、規制の両面を担っておりました。
それが、昭和五十三年、一九七八年には、原子力委員会から原子力安全委員会が分離されて、安全の確保のための規制について等は原子力安全委員会が所掌することになったということです。
平成十三年、二〇〇一年の中央省庁再編に伴う審議会等の整理合理化計画で、原子力委員会は内閣府に置かれることになりました。その機能を継続するものとされたんですけれども、委員長が、今まで国務大臣だったものが有識者委員へ変更されるということがありまして、さらには、原子力委員会決定についての内閣総理大臣の尊重義務というものは廃止されることになりました。
そして、福島第一原子力発電所事故後、平成二十四年、二〇一二年に、原子力安全委員会及び原子力安全・保安院の事務、文科省及び国交省の所掌する原子力安全の規制、核不拡散のための保障措置等に関する事務を一元化して、環境省の外局として原子力規制委員会が設置されたという経緯でございます。原子力委員会は、これに伴い、安全の確保のうちその実施に関するものは所掌から除外されることになりました。
もう委員御存じですが、一言で言うと、原子力委員会は、時代に応じてその役割が見直され、役割が大きく変わってきたというところだというふうに考えております。
○津村委員 時代に応じて役割が大きく変わってきた、それはそのとおりだと思いますが、私は、しかしながら、この六十年近く、原子力委員会が本質的に担ってきた役割、そのど真ん中のところがぶれてきたということではないと思っています。
原子力委員会がそもそも設置された趣旨というのは一言で整理できると私は思うんですけれども、大臣、今の御答弁を一言でまとめていただきたいんですが、原子力委員会というのは本質的には何をする組織なんですか。
○山本国務大臣 一言で言うと、原子力政策に関する総合調整を行うということではないかというふうに思います。
○津村委員 おっしゃるとおりだと思います。大所高所からさまざまな行政各部にまたがる原子力にかかわる政策の総合調整を行うところだというふうに思います。
では、その総合調整を行うためのツールなり事務局体制が整っているかということを問いたいと思っております。
通告の二問目でございますけれども、原子力政策大綱の位置づけでございます。
先ほど整理させていただいた第一フェーズにおいては、原子力の長期計画というものがございました。これにのっとって行政各部のPDCAを回していくというか、チェックを行ってきた。そして、第二フェーズ、橋本行革以降では、原子力政策大綱というものを、これは法律に定められているわけではございませんが、原子力委員会が自発的にやはり総合調整を進めていく上ではそうした中長期ビジョンが必要だということで、原子力政策大綱を策定した。そして、それを見直そうとしているときに、不幸にして大震災が起きて、その後、議論は中断をしているということでございます。
これから総合調整を進めていく上で、やはりこうした中長期のビジョンが必要だと思うんですが、原子力政策大綱はこれからも原子力委員会で作成を続けられるということでよろしいですか。
○山本国務大臣 委員がおっしゃったとおり、原子力政策大綱の経緯については繰り返しませんが、エネルギー基本計画とやはり内容に重なる部分が多いとのことから、いろいろと有識者会議でも議論が出ましたが、法改正後の原子力委員会においてはこのような今までのような網羅的かつ詳細な原子力政策大綱は作成をしない、こういう方針にいたしました。
○津村委員 大臣、ここは、法律上つくってはいけないということになっていないんです。原子力委員会あるいは担当大臣である山本大臣がどう御判断されるかで、ここは運用で賄える場所なんですね。
先ほどおっしゃられたように、原子力委員会は大所高所から総合調整をするのが仕事であるはずです。今、エネルギー基本計画とおっしゃいましたが、エネルギー基本計画というのは、原子力委員会が発足して、かつ橋本行革での設置法改正の後、二〇〇二年の議員立法でエネルギー政策基本法というのが制定をされて、そこでエネルギー基本計画というのが位置づけられているわけですけれども、ここは、原子力委員会の意見を聞く定めがない、つまり、原子力委員会とは直接法律上の関係のないたてつけの組織なんですね。
そこに原子力政策の総合調整の役割といいますか、エネルギー基本計画の役割を委ねて、自分たちでは政策大綱をつくらないということでは、原子力委員会、体をなしていないじゃないですか。どういう基準に立って総合調整を行うのか、どうやって政策評価を行うのか、その座標軸を自分で持たずに、自分たちが直接法律上関係を持たないエネルギー基本計画があるからつくらなくていいという今の大臣の御答弁は、原子力委員会の位置づけを相当おとしめる御答弁じゃないかと思いますけれども、もう少し違うお答えはないんですかね。
○山本国務大臣 私が申し上げたのは、これは委員もよく御存じだと思いますけれども、エネルギー基本計画とやはり原子力政策大綱はかなり内容的には重なっている部分がありますが、しかし、今委員のおっしゃった御指摘は非常に大事なポイントだというふうに思っております。
法改正後の原子力委員会において、引き続き原子力委員会が原子力政策全体を含む基本的考え方を示す、今おっしゃったように、その役割は重要だというふうに考えておりまして、今いろいろとお話ありましたが、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野を対象として、基本的な考え方はしっかり作成をしたいというふうに考えております。
この基本的考え方に基づいて、平和利用、放射性廃棄物の処理処分等といった重要な政策課題を中心に、原子力委員会が関係各省における施策の実施状況というものをきちっとヒアリングをして、必要に応じて今後の取り組み等に関する考え方も示すということで具体的な施策の推進を促したいと思っていまして、これによって求められる役割を果たしていきたいというふうに考えております。
○津村委員 非常に重要な御答弁をいただいたと思っております。
長期計画というものが以前あって、最近では政策大綱というものがありました。名前は変わってもいいと思うんです。今おっしゃられたように、基本的な考え方という名前でもいいかもしれませんし、原子力政策ビジョンということでもいいかもしれません。
いずれにいたしましても、原子力委員会が透明性を持って、外部から、どういう考え方を持っているのか、どういうビジョンを持っているのかということがチェックできるような形で、やはり何らかの文書をまとめて、五年、十年の展望を示すということは非常に重要な、大臣が冒頭におっしゃられた総合調整という原子力委員会の本質にかかわる部分だと思いますので、これから政策大綱にかわる新しいそうした発信をされていくということを確認させていただきたいと思います。もう一度御答弁ください。
○山本国務大臣 今申し上げたことはぜひ進めたいというふうに考えております。
○津村委員 それでは、先に進ませていただきますが、原子力委員会は、非常に国民的関心の高い組織でこれまでもあり続けましたので、いろいろな発信をしてきたわけです。今の政策大綱が一つ。それを名前は変わっても続けられるということですから、ぜひ頑張っていただきたいわけです。
もう一つは、原子力白書というものがありました。しかし、残念ながら、ここ数年間は、民主党政権の途中からですけれども、震災があったことも含めて、そこにマンパワーを必ずしも割けないということだと思いますが、発行が途絶えていると思います。これから、この原子力白書の扱いは新しい委員会になってどのようにお考えでしょうか。
○山本国務大臣 原子力白書については、今委員が御指摘になったとおり、平成二十一年版、平成二十二年三月公表以降、原子力委員会の見直し等を行っていたこともあって、作成をしておりません。
ただ、原子力委員会の在り方見直しのための有識者会議の報告書の中にも、白書についてはやはり作成する意義がある旨の指摘がなされております。ちょっとメモをここに持ってきたんですけれども、やはり、「委員会等での日常的な情報収集活動のみならず、定期的に資料を収集、整理することが重要」だ、つまり、データアーカイブをきちっと整備していくことが重要だというような指摘もありまして、白書の作成、そのタイミング等については速やかに検討していきたいというふうに考えております。
○津村委員 続けていきたいということで確認ができました。大変意義深いと思っております。
もう一つ伺わせていただきたいと思います。人材育成について。
先ほど近藤委員からも若干、特に事務局についてお触れになっていたように思いますけれども、私は、特に原子力委員会ができたばかりのころは、海外の留学生の派遣とか、相当微に入り細に入り、原子力委員会が行政全体の意思決定にかかわっていたやに仄聞しておりますけれども、最近、それが若干形骸化といいますか、なかなか実態として、原子力委員会がいわゆる広い意味での原子力分野の人材育成にかかわられてこなかったという反省が有識者会議でも見られたと思います。
そうした中で、今回、委員会の新しい法律では人材育成の条文が削除されているわけですね。これは非常に残念といいますか、実態に即しているということなのかもしれませんけれども、経産であったり文科であったり、いろいろなところで原子力政策にかかわっている方はいらっしゃるわけですけれども、国全体として、これから、原子力、正直申し上げて、最近の高校生、大学生の間で原子力工学の分野の志望者が漸減傾向にある、場合によっては、震災以降は、原子力をこれから自分が専攻していこうという若い方がどうしても減っている、あるいは非常にディスカレッジな状況にあるという中で、やはり原子力委員会が、これからも日本の国策として、廃炉技術なのか、いろいろな意味でしっかり人材をサポートしていくというメッセージが必要だと思うんです。
ここは、新しい法律の中で、原子力全体の話が条文にあると思いますけれども、この第一項のところで読み込んでいくという話なのか、あるいは、人材育成についてはもう行政各部に委ねるということなのか、どういうふうに理解すればよろしいでしょうか。
○山本国務大臣 津村委員、本当にこれまでの御事情もよく御存じなので、余り細かくは申し上げませんけれども、原子力委員会設置法の二条の六号、これはもう黎明期、原子力委員会設立の当初ですが、原子力利用を担う研究者、技術者が非常に不足していたということで、計画型の育成を実施しておりました。
その後、これもよく御存じだと思うんですが、原子力委員会が直接人材養成に関与する意義がだんだん低下してまいりまして、各省でも人材養成に関する取り組みを実施しているという状況があるわけですけれども、今言及のあった研究者等を海外へ派遣する等々の事業も廃止されているということで、実態を考えると、この第六号は削除するという結論になりました。
ただし、原子力人材の養成に係る政策は重要だというふうに思っておりまして、引き続き、二条一号の「原子力利用に関する政策」の一つとして、新しい原子力委員会は、人材養成の実施を担う関係各省の調整機能を担っていきたいというふうに考えております。
人材育成に関しては、原子力委員会、御存じだと思いますけれども、過去にもいろいろと見解を出しておりますし、今、各省において人材育成の取り組み、いろいろとあります。文科省の例えば国際原子力人材育成イニシアティブとか、あるいはそのほかの省庁もあると思うんですけれども、こういうところについては、きちっとヒアリングをしたりしながら、こういう取り組みを促していくような形になるべきではないかというふうに私は考えております。
○津村委員 次に、原子力委員会の委員が、これまでの五名から今回三人に減員されるということの意味合いについて、少し議論させていただきたいというふうに思います。
原子力委員会の重要な役割は、先ほどおっしゃられたように国内における原子力政策の総合調整でありますけれども、それに続いて非常に重要なのは、海外との原子力政策の意見調整、そういう意味でも総合調整かもしれませんが、あるいは海外への発信というところが非常に重要で、私も原子力委員会の担当をさせていただいた時期がありますけれども、非常に活発に海外出張されたり、あるいは英語でブログを書かれたり、原子力委員の先生方は工夫をされていたように思います。
そういう意味で、原子力委員の皆さんの海外派遣、海外出張というのは、私は非常に重要な取り組みだと思って、そういう角度から聞かせていただきたいと思いますが、原子力委員長、委員長代理の海外出張、多いときでは年間どのぐらいの日数、海外に出られているんですか。
○山本国務大臣 平成二十一年度以降でいうと、最も多いときで、近藤前委員長が平成二十一年度に六回、それから鈴木前委員長代理が平成二十五年度に十回海外出張を行っております。
日数については、三、四日から、一番長いと、余りありませんけれども十二日、十三日というのも何件かあった記憶がございます。
○津村委員 年間六回あるいは十回、長ければ十日、短くて三、四日ということですから、年間五十日前後ということになろうかと思いますけれども、当時は五人委員がいたわけです。そして定足数が三人だったんだと思います。そのときに、一人の方が一週間出張に行っている、そういうことは何とかなるということかもしれませんが、原子力委員会の定例会合は週に一回行われているはずで、つまり、一週間出張に行かれると、一人欠けた状態が常態化するわけですよね。
これから三人で運用されようというときに、定足数が二ということで、一人の方は非常勤という状態で、これは海外出張がこれから減ってしまうんじゃないか。あるいは、海外出張を減らさないとすれば、逆に、国内での議論、突発的なテーマが生じたときに、非常勤の方は基本的に週に一回、その日しか来ないわけですから、ほかの日にはなかなか都合がつかないわけですね。そうすると、常勤のお二人のうちの一人が海外に行っているときには緊急会合が開けないということはございませんか。
○山本国務大臣 まず申し上げますと、津村委員がおっしゃった原子力委員長、委員の海外出張、これはもう引き続き非常に重要な役割だというふうに私も認識をしております。
法改正後の原子力委員会においては、原子力委員会の委員数を委員長及び委員二人の計三人体制にするということになっておりますが、会議の定足数についても、委員長及び一人以上の委員の出席により会議を開き、議決することができるということにしております。
法改正後の委員三人の体制においても、会議の開催の時期について十分に調整を行うことで、国際会議等の場で対外的な説明、意見交換等の活動を引き続き行っていくことは可能だというふうに考えています。これは、内閣委員会で津村委員の方から御指摘があって、それも受けて、実は事務局ともいろいろと議論させていただいて、今のそういった御懸念はもっともだと思うんですけれども、そういうことがないように、これは十二分に運営それから活動にしっかりと配慮していこうということにしておりますので、もう何度も申し上げましたが、専門の委員会を活用したり、さまざまな工夫をすることによって、この体制できちっと対応したい、ぜひそのようにきちっとした十分な体制をとれるようにやってまいりたいというふうに考えております。
○津村委員 御丁寧な答弁、ありがとうございます。
海外出張というのは、費用のかけ方とか、長過ぎるんじゃないかとか、いろいろとネガティブな議論をされることが多いんですけれども、私は、ポジティブに、ぜひ海外出張をしっかりやっていただきたい、対外発信を今だからこそやっていただきたいという思いでお話をさせていただきました。そのためには周囲の理解とサポートが大変重要だと思いますので、大臣、ぜひイニシアチブを発揮して、新しい原子力委員の皆さんが働きやすい環境をつくっていただきたいというふうに思います。
もう一つ少し心配しているんですけれども、やはり、人数が減ってしまうということで、今まで精力的にされていた活動、お仕事が減っていくことを懸念しているんですけれども、原子力委員会の大変重要な取り組みとして、先ほどは海外への発信を申しましたが、やはり国民との対話ということをこれまで原子力委員の皆さん、大変心を砕いてこられました。
ある委員の方は、毎月のように福島に通われて、非常に被災地の方々とのコミュニケーションを大切にされてきたというふうに記憶しておりますけれども、国民の御意見を聞く会というものを年間四、五回これまでされてきたと思うんですが、残念ながら、震災後はそうした個別の被災地訪問の方に重点を置かれて、いわゆる国民の御意見を聞く会というのはなかなか開催できていないと思うんですけれども、これから国民の皆さんとの対話あるいは被災地の訪問、こういったことが委員の減員によって縮小されていく、そういう懸念はありませんか。
○山本国務大臣 やはり、国民との対話というものは非常に大事だと思っていまして、津村委員からよく科学技術・イノベーション政策について、この必要性についていろいろと言及をいただいていますけれども、私もこの国民の御意見を聞く会は非常に大事だと思っています。
これまで、原子力政策の決定過程で、市民参加の拡大を通じて国民の理解を促進するということで、地域市民懇談会、平成十四年から二十一年まで調べてみたら、十八回開催をしております。新たな原子力長期計画策定の準備作業としても、この長計についての意見も十六年から十七年度まで二十一回やっておりまして、そのうち二回は一般の方の御意見ということでございます。それから、原子力大綱の策定に際しても、この会を平成十七年に五回やっておりまして、一般の方々の御意見を聞いております。
法改正後の原子力委員会において、いろいろな政策課題の取り組みが議論されると思いますけれども、国民の理解を得ることは重要だと思っていますので、国民の意見を聞く会のような場を設置することについても検討してまいりたいと思いますし、担当大臣としては、これはぜひ前向きに議論するべきだ、こういうものが必要だという認識でおります。
○津村委員 ありがとうございます。
最後の質問にしたいと思いますけれども、通告しておりません。申しわけありませんが、先般かわられた近藤委員長あるいは鈴木達治郎委員初め前回の委員の皆さん、そして新しく岡さんたちが任命をされているわけですけれども、大臣は、この原子力委員の皆さんと、いわゆる会議にたまたま同席するということではなくて、ちょっとお話をしようとアポイントメントをとってお会いになる機会というのはどのぐらいの頻度であるんですか。
○山本国務大臣 これまで大変御尽力をいただいてきた原子力委員の方々と、特に、当初、私が担当大臣になった後は、意外と何度もお部屋を訪ねたりしていたんですが、その後、なかなかコンタクトする機会が少なくなっていまして、このことを実は大臣として大変反省しております。ほかにもいろいろな会議があったとはいえ、やはり原子力委員の皆様方ともう少し担当大臣として定期的にコンタクトをとるべきだったというふうに思っていまして、そこを大変反省しております。
今度は、この法律を通していただいた後、新たな原子力委員会ができたときには、今の津村委員のアドバイスもいただきながら、もう少しきちっと定期的に委員の方々との接触、対話というものをふやしてまいりたいというふうに考えております。
○柴山委員長 津村君、質疑時間が終了します。
○津村委員 はい、わかりました。
例えばお昼とか、ランチとかでもいいと思うんです。原子力委員の重職を務められた方、どなたとは申しませんが、やはり政治に非常に翻弄される部分があるんだと。それはいい意味でも悪い意味でもだと思いますが、大臣の関心一つで相当その運営が変わってくる、ほとんど関心を示されない大臣も過去にはいらっしゃった、逆に、非常に気にかけてくださる大臣もいて、そういう場合は非常に仕事がしやすいというお話を聞いたことがあります。
新しい委員会の発足です。そして人数が減るわけです。先ほどから申し上げた重要な役割をこれからもしっかりと担っていただくためにも、大臣がぜひ今新しい原子力委員会の皆さんをサポートしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○柴山委員長 次に、河野正美君。
○河野(正)委員 日本維新の会の河野正美でございます。
ただいま議題とされております原子力委員会設置法の一部を改正する法律案について、私、四十分いただいておりますので、質問させていただきたいと思います。さきの委員から質問があったものと重複する点もあるかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
まず、山本大臣にお尋ねいたしたいと思います。
本法案は、科学技術政策担当の内閣府特命担当大臣である山本大臣が担当されているわけでございます。先ほど、ここに来る前にインターネット中継を見ておりましたら、大臣が答弁されるときに、大臣のお顔が見えないぐらいいろいろ肩書がたくさん出ておりまして、非常に多くの重責を担われておられるというふうに思っております。
多様な政策課題に取り組み、非常にお忙しいと思っておりますけれども、東電の福島第一原発の事故と、その際の、前政権の問題でありますけれども、政府や原子力委員会の対応について、大臣としてどのように今のところ認識されているのか、加えて、原子力そのものについての大臣のお考えというのをお聞かせ願えますでしょうか。
○山本国務大臣 エネルギー基本計画において、東京電力福島第一原子力発電所事故とその際の政府の対応については、これは委員御存じだと思いますが、まず、「東京電力福島第一原子力発電所事故によって、国民の、そして世界中の誰もが原子力エネルギーが有するリスクを改めて認識した。」さらには、「東京電力福島第一原子力発電所の事故は、過酷事故への対応策が欠如していたことを露呈した。」加えて、「政府は、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生を防ぐことができなかったことを真摯に反省し、福島の再生に全力を挙げるとともに、事故の原因や原子炉内の状況を踏まえ、このような事故の再発の防止のための努力を続けていかなければならない。」こういうことが記載をされております。
さらに、同計画では、原子力の位置づけに関して、「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」だというふうに記載をされております。
私としても、エネルギー基本計画におけるこの記載については適切なものだというふうに考えております。
〔委員長退席、関委員長代理着席〕
○河野(正)委員 平成二十四年十二月に民主党政権がまとめられた基本的考え方と、二十五年十二月、現在の安倍政権で出された報告書のスタンスの違いというのをお尋ねいたしたいと思います。
今、大臣、適切なというふうにおっしゃっていたので、結論はほとんど変わらないように思うんですけれども、新たに検討会を設けて議論を重ねたことについての大臣の狙い、どのような意味があったかについてお答えいただきたいと思います。
○山本国務大臣 委員も恐らくこの十二月の報告書をお読みになっているので、恐らく十二分におわかりをいただいた上での御質問だと思いますが、平成二十四年十二月の報告書、これは私もしっかり読ませていただきました。
例えば、見直しをした後の一つの形として、平和利用の確保とかあるいは廃棄物処理の問題、これは重要だろうというような方向性については書かれてあったと思いますけれども、実は、見直し後の原子力委員会の組織形態については、幾つかの選択肢を提示するというところまででございまして、実際に原子力委員会がどうあるべきかという方針は、まだあの段階では明確に示されておりませんでした。
一方、現政権において、改めて原子力委員会の抜本的な見直しを行う必要があると判断をいたしまして、内閣官房に有識者会議を設置し、行政学を初めとした幅広い知見をお持ちの方々に参加をいただいて御議論をいただきました。
これも御存じだと思いますが、有識者会議の結論としては、原子力委員会を存続させると同時に、その事務については、平和利用の確保、放射性廃棄物の処理処分等の原子力利用に関する政策の重要事項に重点化すべきだ、こういう明確な方針を出していただきました。
私も、有識者会議の場に出席をいたしまして、実際の議論の段階から有識者の御意見を伺いました。平成二十五年十二月の有識者会議報告書の内容というものはこれは参考にすべきものだというふうに考えておりまして、この報告書も踏まえて内閣府において今回の改正法案を取りまとめている、こういう流れでございます。
○河野(正)委員 次に、原子力の位置づけについてお尋ねをしたいと思います。
そもそも、安倍内閣は原子力をどのように位置づけておられるのかを伺いたいと思います。
新しい原子力委員会を設けるに当たっては、やはり原子力についての内閣の方針、つまり政治的な意思がはっきりとしていなければならないんじゃないかなと思います。そこが不明確なまま原子力委員会が原子力の利用について審議するのは極めて困難な問題と考えておりますが、この点、いかがでしょうか。
○山本国務大臣 安倍内閣の政策における位置づけということは、やはり先般閣議決定されたエネルギー基本計画の中身だというふうに思いますけれども、この基本計画では、原子力の位置づけとして、「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。」こういう位置づけがなされております。
さらに、これも委員御存じだと思いますが、原子力発電所については、安全性の確保を大前提に、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減をする、これが基本方針となっております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
私も、環境委員会でふだん理事をさせていただいておりますので、その辺、再生可能エネルギーとかいろいろ、また核燃料廃棄物の問題も勉強させていただいておるところであります。
続きまして、原子力委員会の役割について確認をさせていただきたいと思います。
今回の法改正によりまして原子力政策大綱が廃止されます。これまで大綱が果たしてきた役割についてどのように評価をされているのか、そしてまた、大綱が廃止された後はどのような形で国の原子力に関する考え方を内外に対して示していかれるのかをお尋ねしたいと思います。
○倉持政府参考人 御説明申し上げます。
原子力委員会でございますけれども、二〇〇五年、平成十七年でございますが、当時、その後の数十年にわたる我が国における原子力の研究開発そして利用に関係する国内外の情勢を展望して、原子力政策大綱というものを策定したところでございます。
そして、その後、同年十月には、この原子力政策大綱を原子力政策に関する基本方針として尊重し、原子力の研究開発及び利用を推進することとする、そういう旨の閣議決定が行われておりまして、当時、原子力政策大綱は原子力政策に関する基本方針として位置づけられ、その後の原子力政策の推進に寄与してきたものというふうに考えているところでございます。
そして、廃止された後の原子力に関する考え方をどう示すのかとお尋ねでございました。
今お諮りしております設置法の改正後の原子力委員会におきましては、エネルギーに関する原子力利用であるとか研究開発、あるいは放射線利用等の幅広い分野を対象といたしまして、原子力利用に当たっての理念となる分野横断的な基本的考え方というものを策定することを考えております。
この基本的考え方に基づきまして、平和利用や放射性廃棄物の処理処分等といった重要な政策課題を中心に、原子力委員会が関係各省における施策の実施状況を聴取し、必要に応じて今後の取り組み等に関する考え方を示すことによりまして具体的な施策の進展を促すということで、求められる役割を果たしてまいりたいと考えているところでございます。
○河野(正)委員 今回廃止される原子力にかかわる人材の育成、研究者及び技術者の養成、訓練についてお尋ねをいたしたいと思います。
福島の第一原発の廃炉にも相当な期間がかかると言われておりますし、今後、廃炉をしなければならない原子炉もふえていくと思っております。また、原子力を重要なベースロード電源と位置づけておられる、先ほども御答弁にありましたように、現政権の考え方に立てば、この点は私の考えとは若干異なりますけれども、原子炉の新設あるいはリプレースも進めていかなければならないのかもしれません。その際には、これまで培ってきた原子力技術のさらなる革新、イノベーションを進めることも必要なのだというふうに考えております。
大臣は、科学技術政策担当大臣として、原子力にかかわる技術者、研究者の育成について、今後どのように取り組まれるかをお聞かせください。
○山本国務大臣 先ほども答弁の中で申し上げたと思うんですけれども、現在、民間企業や研究機関における原子力利用に係る研究開発というものが一般的になっておりまして、研究者及び技術者の育成、養成、訓練についてはこうした組織がみずから実施しております。各省においても、こうした人材育成に対する支援等の取り組みを実施しております。
ただし、先ほども申し上げたとおり、人材育成は非常に大事なことだというふうに考えておりまして、法改正後の原子力委員会においては、原子力委員会設置法第二条第一項の「原子力利用に関する政策」の一つとして、人材育成の実施を担う関係各省の調整機能、こういうものは担っていくべきではないかというふうに考えています。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
しっかりとそういった人材も育成していただきたいと思いますし、そういう連携がうまくいくことを願っております。
次に、新しい原子力委員会が担う事務についてお尋ねをいたします。
「原子力利用に関する重要事項」というのは、具体的にはどのような事項かをお聞かせください。
○倉持政府参考人 この「原子力利用に関する重要事項」という条項につきましては、従前もあったわけでございますけれども、例えば、原子力委員会におきまして、福島第一原子力発電所の事故の後に、それに対する課題への対応といったようなことで対応してきたことがございます。こういった事項が該当するものというふうに考えております。
○河野(正)委員 次に行きますけれども、「関係行政機関の原子力利用に関する事務の調整」というのは具体的にどのような任務か、お聞かせいただきたいと思います。
現在、内閣府特命担当大臣としても、原子力防災担当は石原大臣、原子力損害賠償支援機構担当の茂木大臣というふうに分かれておられます。原子力政策のうち科学技術に関する部分を担当する文部科学大臣も加わり、我が国の原子力政策の事務の調整というのは、広範な行政機関にわたるもので、非常に重要な役割があるというふうに思っております。
そうした事務を支える事務局の体制は、これまでどのように構築されてきたのか、お聞かせください。
○倉持政府参考人 現在、エネルギーに関する原子力利用あるいは研究開発、あるいは放射線利用等の幅広い分野にわたり原子力は活用されております。関係各省がそれぞれの分担に従って、責任を持って政策を実施しているところでございますけれども、原子力委員会におきましては、こうした関係各省における原子力利用に関する事務の調整を行うということになっているわけでございます。
具体的な例といたしましては、先ほど大臣も御答弁いただきましたけれども、今、非常に重要な人材に関しましては、関係各省における人材育成等に関する政策について、関連する施策が有効に実施されるよう、関係各省の施策の状況に応じて必要な取り組みを行うこと等が考えられるところでございます。
事務局体制についてでございますけれども、これは、原子力委員会の役割に伴いまして、いろいろ変遷してまいりました。
現在、事務局員は、かつては電力会社とか電機メーカーからの出向者もおられましたけれども、今はそういう出向者はお帰しをして、十五名体制というふうになってございますけれども、改正後の原子力委員会を支援する事務局の体制につきましては、専門性の確保のために、参与や調査員を活用する等の対応により、人員を増強することを検討しているところでございます。
また、重大な政策課題が生じる場合には、必要に応じ、関係行政機関の担当部局等と共同して対応を行うこととしております。
こうした対応を行いまして、原子力委員会を支える事務局体制を整えてまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 今御答弁にありましたけれども、かつては電力会社等からの出向者がおられて、その存在が委員会の中立性を脅かすのではないかという指摘もあったというふうに思っております。今はそのような出向者はいないということでよろしいんでしょうか。
それでは、今、専門性を確保して、十五名体制からふやしていくということですけれども、これはちょっと通告はしていませんけれども、どういった方、どういったバックグラウンドの方が来られるのかというのは通告しておりますけれども、ふやしていくわけですか。
○倉持政府参考人 今後の事務量に応じまして、例えば、調査員の形でも、いろいろ公募をする等によりまして、もちろん、仕事の中身によりまして、どういう経験をお持ちの方とかいう条件はつける場合がございますけれども、そういう形で、広く公募をする等によりまして人材を確保してまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 確認ですけれども、そうしたら、人材を広く確保して、いろいろ専門性のある方を集めて、ふえるということですね。
○倉持政府参考人 検討していくということでございます。
○河野(正)委員 ちょっとよくわかりませんけれども、今の答弁ぶりをずっと聞いていますと、ふえるのではないかなというふうに認識をさせていただきます。
それでは、次に移ります。
平成二十五年十二月にまとめられました有識者会議の報告書、「原子力委員会の在り方見直しについて」というものでは、新しい原子力委員会の立ち上げに当たり、新しい名前、例えば原子力平和利用委員会などの名前をつけてはどうかというふうに名称変更ということも提案されたというふうに伺っております。
今回、原子力委員会の名称をあえてそのまま残したことについて、意味をお聞かせ願えますでしょうか。
○倉持政府参考人 有識者会議の報告書では、見直し後の原子力委員会では、平和利用の確保や放射性廃棄物の処理処分等の政策課題に重点を置くとともに、その他今後生じ得るさまざまな政策課題にも必要に応じ取り組むべきというふうにされております。
御指摘のように、名前についての御議論もございましたけれども、そもそも、現行の原子力委員会におきましても平和利用に関する事務は重要な役割でありまして、法改正後の原子力委員会においてもその役割は大きいと考えられます。
他方、その他の事務についても依然として一定の役割が期待されておりまして、こうした多様な事項を対象とすることから、名称は変更しないということにいたしました。
○河野(正)委員 今大臣は離席されておられますけれども、先ほどから御答弁の中で平和利用ということも随分強調されていたと思いますので、またこういった名前を検討されてもよかったのかなということでお尋ねをいたしました。
エネルギー基本計画との関係についてお尋ねをいたします。
先日閣議決定されましたエネルギー基本計画の計画策定プロセスで原子力委員会がどのような役割を果たしてきたのかを教えていただけますでしょうか。
○倉持政府参考人 原子力委員会は、経済産業省総合エネルギー調査会基本政策分科会が昨年十二月に取りまとめられましたエネルギー基本計画に対する意見、これに示された原子力利用に係る方針について、当面取り組むべき課題を適切に取り上げていると評価するとともに、エネルギー基本計画を実施していくに際して留意すべき点を見解として取りまとめたところでございます。
そしてまた、原子力関係閣僚会議におきまして、エネルギー基本計画の原子力部分について関係閣僚間で議論され、原子力委員長から、廃止措置に関する人材確保の着実な推進、あるいは核不拡散の遵守等について発言をいたしまして、これらを踏まえた政府の原案が策定されたものというふうに承知をしております。
○河野(正)委員 エネルギー基本計画におきましては、先ほども申し上げましたけれども、原子力はエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源とされ、原発依存度は可能な限り低減させる方針のもと、確保していく規模を見きわめると示されております。
しかし、計画では、今答弁には若干あったと思いますが、将来の我が国のエネルギーバランスのあり方について数値で示されておりませんので、国民は、政府が原子力を初めとしたエネルギーの将来像をどのように考えていくのか、よくわからないんじゃないかなというふうに思います。先ほど大臣の答弁からも再生可能エネルギー云々というお話が出ておりますけれども、そういったところで、どういう方向性で、どういった形で進めていくのか、もうちょっと詳しくお聞かせいただけますでしょうか。
○倉持政府参考人 原子力のエネルギー利用につきましては、今日、原子力だけで議論できませんで、やはりエネルギー全体の中での御議論というものが必要でございます。エネルギー政策基本法に基づきましてエネルギー基本計画が閣議決定されたというところでございまして、原子力発電の位置づけ等を含めた原子力政策の大きな方向性等につきましては、この計画において示されるものというふうに考えております。
他方、法改正後の原子力委員会におきましては、引き続き原子力政策全体を包含する基本的考え方を示す役割は重要と認識しておりまして、エネルギーに関する原子力利用あるいは研究開発あるいは放射線利用等の幅広い分野を対象といたしまして、基本的な考え方を策定していくことを考えております。
その基本的な考え方に基づきまして、平和利用であるとか放射性廃棄物の処理処分等といった重要な政策課題を中心に、原子力委員会が関係各省における施策の実施状況を聴取いたしまして、必要に応じて今後の取り組み等に関する考え方を示すことにより具体的な施策の促進を促すということで役割を果たしてまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 やはり国民の皆さんにわかりやすいような形で将来像を提示していただきたいと思います。
次に、原子力政策の信頼確保のための方策についてお尋ねをいたしたいと思います。
先ほどの質問とも関連しますが、原子力政策の考えを国民に広く知っていただくために、これまでどのような努力をされてきたのか。過去、原子力委員会が原子力政策大綱案について国民の意見を聞くために開かれた公聴会に電力会社の社員が大量に動員されているなどといった事例もございました。そういったことが露見する、公になることで、かえって国民の不信感を高めてしまうのではないかと危惧しております。
これからの原子力政策は、国民に広く公開され、中立公正性を担保した上でいくということが重要じゃないかと思います。今後、国民の原子力への不信感を払拭し、信頼と理解を得ていくため、新しい原子力委員会はどのように取り組みを進めていかれるのかをお聞かせください。
〔関委員長代理退席、委員長着席〕
○倉持政府参考人 委員御指摘のとおり、原子力委員会におきましては、これまで、原子力政策の決定過程におきまして、市民参加の拡大というものを通じて国民の理解をより一層促進するということを目的といたしまして、地域市民懇談会を平成十四年から平成二十一年まで合計十八回開催し、一般の方の御意見を伺ってきております。
また、新しい原子力長期計画策定の準備作業といたしまして、長期計画、長計についてご意見を聴く会ということで、平成十六年から平成十七年まで合計二十一回開催しており、そのうち二回において一般の方の御意見を伺っているところでございます。さらに、原子力政策大綱の策定に際しましては、原子力政策大綱(案)に対するご意見を聴く会というものを平成十七年に合計五回開催いたしまして、一般の方の御意見を伺っております。
他方、先ほど委員御指摘のような事例は大変残念なことでございますので、こういったこと、しかし、やはり一般の方の御意見、対話をするということは非常に重要でございますので、そういった過去の教訓も踏まえながら、改正後の原子力委員会におきましても、重要な政策課題の取り組みを進めていく上で国民の理解を得ることは大変重要であると認識しておりますので、こういったご意見を聴く会のような場を設置することについても引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 次に、放射性廃棄物の処分方策についてお尋ねいたしたいと思います。
原子力委員会は、放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みを進めてこられました。これまでの取り組みをどのように評価しているのか、そして、今日まで何ら前進していないようにも思えるわけでありますけれども、今後も原子力委員会が役割を負うことによって議論を前進させることにつながるのか、そういった点。そして、新しい原子力委員会がこの問題にどのような方針で取り組んでいくかについて、お考えをお尋ねいたします。
○倉持政府参考人 原子力委員会では、平成二十四年に「今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について(見解)」というものを取りまとめております。その内容といたしましては、高レベル放射性廃棄物の処分の今後の取り組みといたしまして、最新の知見を反映して地層処分の実施可能性について調査研究をすること、二番目に、最終処分の前段階としての暫定保管の必要性と意義を踏まえて取り組みの改良、改善を図ること、三番目に、処分に係る技術と処分場の選択の過程を社会と共有する仕組みを整備すること、そして、国が前面に出て再構築に取り組むことなどが重要であるというふうにその見解の中で指摘をしているところでございます。
この放射性廃棄物の処理処分につきましては、大変重要な課題であると認識しておりまして、原子力委員会としては、関係各省における施策の進捗状況を注視しながら、省庁横断的な課題あるいは長期的な取り組みにつきまして、実施官庁とは異なる立場で意見を述べることが必要であるというふうに認識しております。
以上でございます。
○河野(正)委員 放射性廃棄物の処分につきましては、私は、環境委員会で昨年フィンランドのオルキルオト島のオンカロも行かせていただきましたし、その後、年末には青森県の六ケ所村も訪れましたので、この辺を話し出すと時間が足りなくなってしまうんですけれども、続きまして、日本学術会議の提言についてお尋ねをいたしたいと思います。
二〇一〇年九月、原子力委員会の委員長は日本学術会議会長宛てに「高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組みについて」の審議を依頼しておられます。それに対して、高レベル放射性廃棄物の処分政策の抜本的見直しを求める提言が回答されておるわけであります。こういったものと、あるいは日本学術会議の提言の中では、一旦白紙に戻すぐらいの覚悟を持って見直す、埋設処分にこだわらずに仕切り直すというようなふうに受けとめているんですけれども、政府としての考え方をお聞かせください。
○倉持政府参考人 委員御指摘のとおり、原子力委員会におきましては、平成十四年から原子力発電環境整備機構、NUMOが行っている文献調査地点の公募に対しては、これを受け入れる自治体があらわれない状況が続いておりまして、原子力委員会といたしましては、平成二十二年、関係行政機関に対して、地点決定に至る取り組みに知恵を出すように求める一方、日本学術会議に対しまして、同年九月に「高レベル放射性廃棄物の処分に関する取組みについて(依頼)」という委員長発の文書をお出しいたしまして、高レベル放射性廃棄物の処分の取り組みにおける国民に対する説明や情報提供のあり方についての提言を依頼したところでございます。
そして、学術会議から、その提言というものをいただきまして、それも含めて、先ほど御紹介いたしました見解というものを取りまとめているところでございまして、それをもとに、また関係各省の施策の進捗状況をフォローするという状況にございます。
○河野(正)委員 埋設処分ということで決められているわけですけれども、やはり地震が多いし、また地下水が豊富な我が国においては、地層処分というのは非常に厳しい問題じゃないかなというふうに、フィンランドに行かせていただき、そして青森県で見てきた状況から思っております。
時間も余りありませんので、ちょっと先に進んで、話題をかえていきます。
今、使用済み核燃料というのが、日本各地の原子力発電所に相当な量が保管されているわけであります。それもお聞きするような通告はしていたかと思いますが、具体的な数値よりも、これは核セキュリティーの観点からどのように考えられているか。安全なんでしょうか、大丈夫でしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
現在、全国で使用済み核燃料は一万七千トン、各発電所に約一万四千トン、それから六ケ所の日本原燃の再処理工場に三千トンございますけれども、これはそれぞれの事業者におきましてきちっと管理をして、その管理におきましては、原子力規制委員会の指示のもとに行っていると考えております。
○河野(正)委員 何カ所か原子力発電所も見させていただきましたけれども、実は、ゴールデンウイークの間に、私、福岡ですので、佐賀県の玄海原子力発電所も見させていただきました。
パトカーが二台ぐらいとまっているだけで、そしてまた、原子力発電所というのはどうしても水を使う、水で冷やしたりすることから海辺にあるわけなんですけれども、もう本当に、見えるところに普通の漁船がある。かなり温水が出ていくので、いい魚礁になったりもしますから、普通に漁師さんとかがいる。
これは民間の方が善意でやっているんだったらいいんですけれども、非常に危険な状況じゃないかなと思いますので、あえて提言をさせていただきました。
時間もありませんので、また先に行きます。
安全保障における原子力の役割についてお尋ねをいたします。
二〇一二年六月に改正されました原子力基本法で、目的規定に「我が国の安全保障に資する」という新たな文言が加えられております。この規定が追加された経緯についてお尋ねをいたします。
○片山政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の文言が規定をされました経緯、目的についてでございますが、原子力規制委員会設置法によりまして、原子力規制委員会が原子力の安全規制、核セキュリティー及び核不拡散の保障措置業務を一元的に担うという観点から規定されたものというふうに理解をいたしております。
○河野(正)委員 続きまして、大臣の方にお聞きしたいんですけれども、山本大臣は、当時、自民党の総合エネルギー政策特命委員会委員長をされておられて、この問題に熱心に取り組まれていたというふうに聞いております。その委員会の取りまとめにおいても、安全保障上の観点が取り上げられております。
原子力の利用が我が国の安全保障に資するというのは具体的にどういうことを念頭に置いておられるのか、大臣はブログ等でもいろいろ発信されているようでございますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○山本国務大臣 繰り返しになって恐縮ですが、御指摘の、「我が国の安全保障に資する」という文言については、原子力規制委員会が、原子力安全規制それから核セキュリティー及び核不拡散の保障措置の業務を一元的に担う、こういう観点から規定されたものというふうに理解をしております。
○河野(正)委員 我が国の原子力政策というのは、一九五五年に制定された原子力基本法によりまして、その方向性が大きく規定されているわけであります。
原子力の研究開発、利用を推進することで、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業振興を図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与することを目的としたという法律だと思います。
その基本方針として、第二条で、原子力利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営のもとに、自主的に行い、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものというふうに定められております。ここで「平和の目的に限り、」と規定することが、我が国が原子力を利用していく上で、いわゆる軍事利用を進めないような法的な歯どめとなっています。
このことと、二〇一二年に追加された「我が国の安全保障に資する」という規定は、一見矛盾するようにも思われるわけですけれども、これらの規定について、政府はどのように認識されているかをお聞かせいただきたいと思います。
○片山政府参考人 お答えいたします。
原子力の研究開発及び利用は平和の目的に限り行うものとする旨の規定内容は、原子力基本法の改正前後を通じて変わるところはございません。
したがいまして、平和の目的に限るという方針に何ら影響を及ぼすものではないと理解をしております。
○河野(正)委員 質問を大幅に省かせていただいたので、ちょっと時間も微妙に余ってしまっているわけなんですけれども。
本当に核の廃棄物処理というのは非常に大きな問題だと思っておりまして、ずっと見せていただきましたけれども、フィンランドのオルキルオト島でも、オンカロというすごい施設で、すごいお金がかかっています。大変な施設ですし、この前も、スウェーデンでしたかと思いますけれども、来られていた方が、地層処分を決めたということでお話を聞いていましたら、処分場が見つかったことが非常にラッキーだったと。一番最初に言われた言葉がラッキーということで、さすがに通訳なしでもすぐわかったわけなんですけれども。
そういうふうに非常に難しくて、岩盤をどういう強固な岩盤で、安全、安心で、あれは「十万年後の安全」などというDVD、映画等もありますので、そういったことで処分というのは非常に大変な問題だと思いますし、お金もかかりますし、しっかりと検討しなければいけない。
そしてまた、今、ベースロード電源として使いながら検討されるわけですけれども、国が先頭に立って、しっかりとその処分場をどうするのかというのは決めていかないといけないと思います。
我が党の橋下徹代表も、そういった点で、我が国はトイレのないマンションであるということで、そういったことがないようにしっかりと高レベルの放射性廃棄物の処分はしなければ、きちんと考えなければいけない問題というふうに言われておりますので、この点は、しっかり私も先頭に立って今後も発信して、いろいろと議論をしていきたいと思っております。
時間がこれでほとんどなくなってきましたので。
ここまで指摘してきたように、新しく発足する原子力委員会に課せられた役割は大変重い、重要なものだと思っております。三人の委員とわずかな人員、多少、専門性のある方をふやすというふうにおっしゃっていましたけれども、こういった事務局体制でそれを実現していくには、非常に困難な道のりも予想されるわけであります。
これまでも、いわゆる原子力村というふうにやゆされたように、閉ざされた議論により結論を出すのではなく、委員会での議論が国民にしっかりと公開され、透明度の高い運営によって、国民を巻き込んで未来への責任を持って進めていくような議論が繰り広げられることを願ってやみません。原子力の利用について、国民が本当に自分たちの課題として考える機会を提供し、政府や業界だけではなく、国民の方を向いた委員会となって進んでいくことを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、山之内毅君。
○山之内委員 日本維新の会の山之内毅でございます。
今回、原子力委員会設置法の一部の改正ということで、原発、特に原子力ですけれども、こういったものは、多くの国民の方々、そして世界の方々が注視している問題であると思います。
私も、さきの衆議院選挙前、福島の原発事故があった際は、一国民としてテレビでこの事故を見ておりました。建屋が吹き飛んで、そういった極めて重大な事故で、特に福島の方々におかれましては、今なおまだその被害に悩んでいる、苦しんでいらっしゃる方がいる。この原子力委員会というものの意義というのは極めて重要であると思っております。
そこで、今回、今まであった事務等を一部削除して、廃止して、改正する、集中するということですが、ここで大臣に改めて、今回の原子力委員会、こういったものの大切さ、重要性についてお答えいただけますでしょうか。
○山本国務大臣 先ほども御答弁申し上げたとおり、原子力委員会は、時代の変遷で随分役割が変わってまいりました。業務が縮小されてきた部分もありますが、やはり原子力政策の総合調整をするという機関としては非常に大事だという議論もありまして、結局、存続をさせることになりました。
人数の問題、いろいろと議論がありましたけれども、三人の体制でも、平和利用を含めた新たな原子力委員会で取り組むべき課題にしっかりと取り組めるように、体制を整えて責任を果たしてまいりたいというふうに考えております。
○山之内委員 ありがとうございます。ぜひお願いしたいと思っております。
そもそも、この原子力委員会は昭和三十一年に設立したと私も教えていただきました。この当時の時代背景から今の時代に至るまで、約五十年以上たっていると思います。当時は、日本においてエネルギーの問題がありまして、原発を今後つくっていく、その中で、例えば研究者、技術者の養成及び訓練等もあったと思います。それから、時代がたちまして、原発が建っていきました。それから、原発を新規建設というのはまだなかなかないでしょうけれども、これを今度は維持管理、もしくは、一部においては原発依存度を低減していくということで、廃炉の方向もあり得ると私は思っておるんです。
その中で、今までは、原子力委員会というのは、つくる時代から、今後はまた維持する、時代が変わってきたという認識でよろしいでしょうか。こちらの方を大臣、お答えいただけますでしょうか。
○山本国務大臣 今委員いろいろおっしゃいましたけれども、先ほども御答弁申し上げましたが、当初、原子力委員会が発足したときといろいろと時代の背景が変わっているということで、特に、最初は推進も規制も両方担っていた組織だったものが、いろいろと切り離されて、時代の変遷に従って役割が変わってきたということだと思います。その時代に合った役割は何かということを議論して、今回のような形になったということだと思っております。
○山之内委員 ありがとうございます。
私も今改めて、日本地図の中に、どこに原子力発電所があるか、何基あるか確認させていただきました。その中で、運転中のもの、建設中のもの、着工準備中のものがあると思います。これについて、今現在の状況について数を教えていただきたいと思うんですが、よろしいでしょうか。
○田中大臣政務官 お答えいたします。
今現在、原発でありますが、再稼働に向けて申請が出ているものでありますが、十一原発十八基の適合申請が行われている状況にあります。
今後、原子力規制委員会での安全性が確認された段階におきまして、立地自治体等関係者の理解を得ながら、そしてまた国としてもしっかりと説明しながら、規制委員会において安全、適合と判断されたものに関してはそれを尊重していきたい、そのように考えております。
○山之内委員 ありがとうございます。
これだけの原子力発電所が日本にはあるという中で、やはり私は耐用年数というのも考えていかなければいけないと思うんですね。さきの法改正もあったと思うんですけれども、原発は原則四十年ということで、延長可能で二十年。原子力発電所というのも人間がつくったものですので、永久的にではなくて、いつかはやはり老朽化もしていく。
私は、今、原発事故というものが福島でありまして、これはもう決して、二度とあってはいけないことだと思っております、この日本の国土を守る意味でも。その中で、やはりリスクのことを考えないといけないので、可能性があり得るとしたら、地震、津波、それから、あってはいけないですがテロ、それから、やはりつくったものですので老朽化等、こういったものの不備があって、もしくはそこに人為的ミスがあって事故が起こってしまう、こういったものが大体あると思うんですね。
その中で、やはり、古い原発に至ってはもう運転開始から四十年近くたつものもありますし、今後十年、二十年たつと、当然そういった原発もその時代を迎える。さらに延長二十年というのもあるかもしれませんけれども。
その中で、今、運転開始から一番古い原発の運転期間、いつからあるか、わかればお答えいただけますでしょうか。
○田中大臣政務官 お答えいたします。
ちょっと事前に通告がなかったもので手元に正確な資料はございませんが、一番古いものに関しては、四十年近く前のものというような状況にあります。
○山之内委員 ありがとうございます。四十年近く古いものがあって、それが二十年延長は可能と。そもそも、この四十年であれば大丈夫だとか何年であれば大丈夫というのも、なかなか厳しい、簡単な問題ではないと思うんですけれども。
いずれにしろ、先般、エネルギー基本計画がございまして、私も当然拝見させていただいております。
この原子力というものは「重要なベースロード電源である。」と。と同時に、先ほど大臣もおっしゃられておりましたけれども、「原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。」そして、やはり極めて重要な文言が、「将来世代に先送りしないよう、現役世代の責任として、国際的なネットワークを活用しつつ、」使用済み燃料の問題、これも「着実に進めることが不可欠である。」と。私はまさにそうだと思うんですね。
やはり、私もまだまだ若輩で三十二歳ではございますけれども、恐らく三十年後も生きているとは思います、六十二歳になっても。やはり、こういった将来世代に先送りをしない原子力政策、もしくはエネルギー政策というのは極めて重要だと思います。当然、かといって、今の日本の財政の問題もありますし、ただ、経常収支の問題もあります。では、あしたから全て廃炉である、なかなかそれも厳しい現状なのもわかっております。
その中で、どのようにロードマップをつくっていって、それを形にしていくか。やはり、理想的には、私は再生可能エネルギーをどんどん普及させるべきだと思います。ですが、どのようなロードをやっていって、この原子力委員会というものがその中でかかわっていくか、その点からしても、原子力委員会というのは極めて重要な委員会の一つであると思っております。
その中で、先ほど我が党の河野委員からもありました、やはり最終処分地ですね。河野委員は、さきの視察の方でオンカロの方にも行かれたということだと思います。
今現時点で、最終処分場、これについてどのような方向性で進めたいか。もしくは、もちろん具体的な立地県というのは決められないと思いますが、これは政治が決めないといけない問題であると思うんですね。これについて御意見ありましたら、お答えいただけますでしょうか。
○田中大臣政務官 核燃料サイクルですとかプルサーマル計画について、関連の御質問かと存じますが、まず核燃料サイクルについては、六ケ所の再処理工場の竣工遅延ですとか、また「もんじゅ」のトラブルなど、こうしたものが続いてきた。このような点はやはり真摯に受けとめていかなくてはいけない、直面する問題も一つ一つ解決していかなくてはならないと考えているところでございます。
また、最終処分地の問題も、今まで公募という形でやってまいりましたが、科学的な見地に立って、地質、いろいろな部分もあります。そういった中で、最適地というものをこれから国としても示していく必要があろうか、そのように考えているところであります。
○山之内委員 ありがとうございます。
この最終処分場、これはどのように決定するか。やはり、各自治体の方がうちに来てくださいと手を挙げるのはなかなか厳しい問題だと思うんですね。それは、各自治体の住民の方々がいらっしゃいますし、それを手を挙げるというのはなかなか厳しい。
そういった状況の中で、先ほど各委員からも御指摘があるとおり、やはり、よくやゆされるのが、トイレのないマンションだと。こういった問題、やはり原子力政策、エネルギー政策を進める上ではこういったものも必要ですし、先ほどお答えいただきましたプルサーマル、核燃料サイクル、それから「もんじゅ」の件、これに関しても、やはり、なるべく早い段階で進めるのであれば進める、そして最終処分場、そういったものも検討するというのをしなければ、特にこれは、やはり政治が大きな決断をしなければ、なかなか前に進まない問題の一つであると思っております。
その中で、今回、本委員会が大きく変わった点は、削減等ですね。それから所掌事務の変更と委員数の変更であると思っております。その中、一から、一、二、三、四と変更になりまして、四番目。「前三号に掲げるもののほか、法律に基づき委員会に属させられた事務その他原子力利用に関する重要事項」とあります。
改めてですが、この法律に基づき委員会に属される事務、これについては具体的にどの法律を指すのか、教えていただけますでしょうか。
○倉持政府参考人 お答え申し上げます。
まず、原子炉等規制法に基づきまして、その認可に当たり、平和利用に関しまして、平和的目的に沿っているということに関しまして、原子力委員会の意見を聞くこととなっております。
そのほか、例えば、独立行政法人の日本原子力研究開発機構の中期目標等を定めるときに原子力委員会の意見を聞く、そういった法律によりまして原子力委員会の意見を聴取するということがございますので、それを受けてこの条項を用意したものでございます。
○山之内委員 その中の一つに、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律、こちらは入っているという認識でよろしいでしょうか。(倉持政府参考人「はい、済みません」と呼ぶ)
先ほど話もさせていただきましたけれども、最終処分に関しても、やはりこの原子力委員会において話をされる。その中で、私も第十四回の原子力委員会の臨時会議議事録を拝見させていただきました。その中で、現在、使用済み燃料、我が国では一万七千トンあるということです。これを、中長期的には、この一万七千トン使用済み燃料、固化体換算で二万四千本になる。それが、二〇二一年ごろには累計四万本になる。どんどんこの本数がふえていくわけですね。
その中で、この問題ですね、どんどんふえていってしまう。二〇二一年といいますと、もう七年後。それから十年後、二十年後。さかのぼって、ある程度早い段階でそういったものを決定しなければいけない。
その中で、やはり国内の最終処分から、先ほど国際的ネットワークというのもございました。繰り返しになりますが、「使用済燃料問題は、世界共通の課題であり、将来世代に先送りしないよう、現世代の責任として、国際的なネットワークを活用しつつ、その対策を着実に進めること」と。
国内はもちろん、国外にも今ある程度アプローチをしているという御認識でよろしいでしょうか。
○田中大臣政務官 お答えいたします。
最終処分に関しての問題でありますが、現在、国内におきましては、昨年十二月に最終処分関係閣僚会議が開催されまして、そして、科学的根拠に基づく国からの適地の提示というものを新たなスキームとして構築した、これを決定したところであります。
国際的な問題でありますが、そうしたものも、委員御指摘のように、今後、さまざまなアプローチ、可能性は検討していきたい、そのように考えております。
○山之内委員 ありがとうございます。
今答弁いただいたように、こういった重要なことについて、この原子力委員会が大臣含め皆さんに意見をお伝えするという形になっていく。改めて、極めて重要な委員会であると思います。
その中で、今回、三名の方に減されて、組織としては、合議体である委員会組織として、いわゆる八条委員会相当の組織、委員の任命は国会同意人事とすることが望ましいとなったと思います。
これに至った経緯というのを説明いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
○山本国務大臣 今回の原子力委員会の見直しですが、原子力をめぐる環境の変化、先ほどから何度も御答弁申し上げていますが、時代の変遷とともに役割が変わってきたということに加えて、一昨年、秘密会議という批判も受けました。こうした不適切な運営もありまして、国民の皆様の信頼を損ねる状況となった、こういうことも総合的に踏まえてこの見直しが開始されたということです。
具体的には、内閣官房に有識者会議を設置して、そもそも原子力委員会が必要なのか、関係各省で担うことのできない本当に必要な機能は何か、こういうことを議論してまいりました。
有識者会議の結論としては、先ほどからいろいろ出ていますが、原子力委員会を存続、その事務については、平和利用の確保、放射性廃棄物の処理処分等の原子力利用に関する施策の重要事項に重点化すべきだという結論が出されました。
さらに、原子力委員会の事務を各省に振り分けられないかという検討もありましたけれども、最終的には、引き続き、関係行政機関の事務の調整をする内閣府に原子力委員会を置くことが適切だ、こういう結論が示されました。
こうした結論等を踏まえて、内閣府において検討を重ねた結果、今回の改正法案では、御存じのとおり、先ほど委員もおっしゃったとおり、原子力委員会は存続するものの、実態に即していない所掌事務は廃止縮小する等々の改正を行うことにした、これが経緯でございます。
○山之内委員 時間が参りました。
このように、委員会を変更、改正されると。やはり、こういったものが機能して、先ほど申し上げたさまざまな課題がまだあると思います。これも、委員会の方々と大臣含め皆様が連携して、一つ一つ解決して、やはり国民の方々に信頼を持たれるような組織にしていただきたいと思います。
以上をもちまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、松田学君。
○松田委員 日本維新の会の松田学でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、もともとできの悪い文科系でございますので、原子力政策といっても、本当に突っ込んだ議論ができるような資格はないんですが、与えられた十五分で、極めて文科系的な質問を幾つか科学技術担当大臣等にさせていただければと思います。
三・一一が起きたときに私が非常に感じたのは、やはり、右肩上がりの西洋文明というのが、地球が支え切れなくなってきているんじゃないか。一種の循環型の、地球と共生するソリューションというのは日本がこれから出していかなきゃいけないんじゃないかということで、私は、これから、大げさな言葉で言うと、二十一世紀の世界秩序というのを日本がソリューションを出しながら、まさに課題先進国と言われている、そういう位置づけに日本があるんじゃないかなという気がしてならないわけなんです。
そういう点でいうと、エネルギー体系も、やはり再生可能エネルギーの可能性をとことん追求するというのは一つの国是だろうと思いますが、しかし、さはさりながら、それが実用化されるまでの間は、原発というものからやはり我々は逃げられないというか、日本は原発事故を起こした国だから原発が嫌だというのであれば、これは無責任であって、むしろ世界じゅうがこれから原発をどんどんつくっていく流れに、これからはもうエネルギー需要がどんどん拡大していくわけですから、その中にあって、そうであれば、世界の原発の安全性に対して、日本はもう世界的に貢献する国になるんだというぐらいのことを国家目標の一つに据えて、ということが私は必要じゃないかと思います。
この点についての大臣のお考え、そして、そのためにも、日本が今後とも原発技術を維持しなければいけないというのが私は基本にあると思うんですね。そうなってきますと、それは、商用原発を稼働させなければ維持できないのかという点について、お伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 さきの原発事故については、いろいろ先ほどもその原因についての議論がありましたけれども、やはり安全神話に陥っていた等々、いろいろな要因があると思いますけれども、これについては、しっかりと反省をしなければいけないというのが政府の姿勢だというふうに思います。
この安倍内閣の方針ということでいえば、先般閣議決定された新しいエネルギー基本計画があるわけですが、その中で、「事故の経験と教訓に基づき、安全性を高めた原子力技術と安全文化を共有していくことで、世界の原子力安全の向上に貢献する。」こういう旨が明記をされておりまして、私も全くこの姿勢に、当然ですけれども、内閣の一員として、同調しているといいますか、支持したいというふうに考えております。
○倉持政府参考人 お尋ねの日本の原子力技術の問題でございますけれども、原発の依存度にかかわらず、今後も原子力に係る研究開発であるとか人材育成を進めまして、技術と人材を維持していくことは大変重要というふうに認識しております。その意味で、身近にプラントがあるということは優位だというふうにも思います。
ただ、いずれにしましても、原子力発電所の再稼働に関しましては、エネルギー基本計画におきまして、「原子力規制委員会により世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」というふうに明記されているところでございます。
○松田委員 稼働の是非ではなくて、技術的な観点から、商用原発を稼働していないと原発技術の維持が非常に難しいのかどうかという技術的な観点からのお答えをいただきたいんですが、いかがでしょうか。
○倉持政府参考人 技術的に言えば、例えば、プラントをきちんと運営していくというところでの蓄積等は非常に重要なことでございます。
これが、必ずしも国内にあるかないかというところで、それで決定的な差というのがどこまであるかということは議論があるとは思いますけれども、いずれにしても、そういう場合でも、国内にあるということは、国外に比べればはるかに優位であるというふうに考えております。
○松田委員 その方がベターであるということですね、マストかどうかは御答弁がなかったというふうに理解いたします。
それから、次の質問ですが、私は、日本というのは日出る国と言われている国、これは、紀元六百七年に聖徳太子が隋の皇帝の煬帝に送った国書に、御案内のとおり、日出るところの天子、書を日没するところの天子にいたす、つつがなきやと。当時は、西側にはローマ帝国があり、東側にはこの隋があった、そういう二つの帝国に対して日本の聖徳太子は対等な国交関係を要求したという、まさに独立日本を象徴するような、それが私は日出る国だろうというふうに思っているんですが。
その日出る国というのは、よくよく考えてみると、一番東側から太陽が昇ってくる、海に囲まれているところに日本がある。やはり、この海洋に恵まれたということをいかに活用してこれからのエネルギー体系をつくっていくかということで、私は、潮流発電だとかいろいろな可能性を追求すべきだと思っているんですが、これはまだ非現実的だと言われているのが、核融合です。
核融合反応というのは太陽そのものなので、それも海水の重水素を使うということで、まさに、日本にとっては一番この日出る国にふさわしい技術のように思いますけれども、核融合、これを将来的に実用化していく上で、国内で原発技術を維持向上させていくということと切っても切れないような関係にあるのかどうか、いろいろな方にその質問をするんですが、なかなかすぱっと割り切った答えが出てこないんですけれども、それについてお聞かせいただければと思います。
○倉持政府参考人 核融合につきましては、第四期の科学技術基本計画におきましても、核融合の研究開発につきましては、エネルギー政策や原子力政策と整合性を図りつつ、同時に、その技術の特性、研究開発の段階、国際約束等を踏まえ、これを推進することとされているところでございます。
お尋ねの国内との関係でございますけれども、御案内のように、核融合といわゆる今の実用炉の核分裂を利用する原子炉とは原理的には異なりますけれども、ただ、大きなプラントでもございますし、例えばトリチウムの取り扱い技術であるとか、冷却技術であるとか、関連する技術という部分がございます。
いずれにしましても、核融合技術というのは巨大なシステム技術でございますので、今後の技術開発の中で、原子力技術を初めとしたさまざまな分野と連携していくことが必要だというふうに考えております。
○松田委員 将来的な課題として、それまでの間、原発というものを維持せざるを得ないとした場合に、一つの選択肢としてよく言われているのは、これもさんざん国会でも議論されたことがあると思いますけれども、トリウム発電という第四世代の原発技術がある。これも、私は文科系なのでよくわかりませんけれども、もともと原発事故というのは、燃料が固体であることによっていろいろなリスクが高い、これを液体にするということで相当なリスクが、ほとんど原発の事故の脅威というのが激減すると言われておりますし、それから、トリウムの場合ですとほとんどプルトニウムを生まないということで、いろいろなメリットがある。
安全で効率も高く、かつ小型であるということで、原子力委員会も、二〇一二年に発表した見解の中で、このトリウムの利用についても今後の取り組みを研究機関等に促しているんですけれども、こういったことを本格的に推進することも、あの福島の大事故を起こした日本としての責務の一つではないかと思いますけれども、この位置づけをもっと明確に示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○倉持政府参考人 トリウムの溶融塩炉につきましては、特徴を持っている炉のタイプでございます。このトリウム利用につきましては、実用化に向けた研究開発段階でございまして、現在、研究機関、大学において研究開発が進められている状況と認識しております。
原子力委員会におきましては、昨年五月にトリウム溶融塩炉に関する研究等の事業を行う関係者から、開発の状況について説明を受けているところでございます。
原子力委員会といたしまして、今後とも引き続き今の研究開発の進捗状況を注視してまいりたいというところでございます。
○松田委員 ぜひ、本格的に政府の方針として推進を位置づけていただければというふうに思っております。
それから、先ほどから出ている最終処分地の問題にも絡むんですが、私、先般、日本維新の会、日本維新の会の名称、今国会中は続きますけれども、維新の有志で、青森県の六ケ所村、日本原燃を視察してきまして、そこでいろいろ見てみて、いろいろなことに気がついたんですが、日本の技術的な状況、実態をよく踏まえなければ、この原発の問題、エネルギー問題というのはやはり議論できないなと。
その実態として、これもなるほどと思ったんですけれども、フィンランドのオンカロと呼ばれる直接処分方式というのは、いわゆる放射能レベルがかなり高い状態でやるのに対して、日本原燃ではガラス固化体にしてやっている。その過程で相当放射性も下がり、かつ、そういう保存方法ですと最終処分の面積や体積も非常に小さくて済むということで、それで、ガラス固化体の形で現在全国の各原発施設から出るいわゆる放射性廃棄物を中間貯蔵する場所が、四十年分もう既に六ケ所村にある。であれば、極端なことを言えば、四十年先に最終処分地が決まっていればこれはいいんだという話すらあったんですけれども、トイレの問題の解決ですね。
そうしますと、それが、是非はともかくとして、仮にそれぐらいの期間で決定すればいい問題とすると、それまでの間に決定できないというのは、民主主義に対する悲観論もあると思いますが、余りにも民主主義に対しての悲観論でありまして、また、それまでの間に何らほかの方法も科学的に開発できないとすれば、人類の知恵に対する悲観論だと思うんですけれども、科学技術担当大臣としてこのあたりについてどういうふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○山本国務大臣 エネルギー基本計画において、「廃棄物を発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、」「問題の解決に向け、国が前面に立って取り組む必要がある。」というふうにされております。
私、原子力委員会担当大臣として答弁させていただきますが、平成二十四年の原子力委員会の見解において、科学の進展に応じて、新たな知見を反映できるように、段階的かつ柔軟に意思決定しながら進めることを条件に、地層処分を妥当な選択とし、定期的に最新の知見で評価することが重要だというふうにしております。
エネルギー基本計画においても、「地層処分の技術的信頼性について最新の科学的知見を定期的かつ継続的に評価・反映するとともに、幅広い選択肢を確保する観点から、直接処分など代替処分オプションに関する調査・研究を推進する。」というふうにされております。
いろいろ議論はありますが、いずれにせよ、高レベル放射性廃棄物の最終処分というのは極めて重要な政策課題でございまして、原子力委員会としても、エネルギー基本計画との整合をとりつつ、今後とも取り組んでいかなければいけないものだというふうに考えております。
○松田委員 これは一つの提案なんですが、技術的な問題と、もう一つはいわゆる意思決定の問題で、この意思決定について、従来、やはり住民の反対というのは結局最終的にあるので、住民とのリスクコミュニケーションのようなことを、これはヨーロッパ諸国なんかでも、いわゆる上から、決定、通知、擁護型モデルと言うらしいんですが、そうではなくて、参画し、そして相互作用、あるいは協力型モデルと言われているようなんですが、これはOECDでもそういう報告があるそうなんですけれども、そういうものをやっていくことによって、例えば、BSE問題なんかもそういうやり方が非常に大きな効果を発揮したという報告もあるんです。
これを推進されている方が元動燃事業団理事の坪谷さんという方、先般、私もお話を聞かせていただいたんですが、このリスクコミュニケーションのやり方、いわゆる参加型、市民参加型あるいは地域社会参加型の意思決定手法というものもいろいろ考えていってはどうかという御意見だったんですが、政府としてはどんな御見解でしょうか。
○倉持政府参考人 原子力委員会は、平成二十四年十二月に「今後の高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る取組について」という見解を示しております。その中で、「処分に係る技術と処分場の選択の過程を社会と共有する仕組みを整備すること」などを示しているところでございます。
また、エネルギー基本計画におきましても、国が「多様な立場の住民が参加する地域の合意形成の仕組みを構築する。」というふうにされているところでございます。
高レベル放射性廃棄物の最終処分につきましては、実施官庁である経済産業省だけでなく、研究開発を担当する文部科学省等も含めた省庁横断的な検討が必要でございます。
原子力委員会におきましては、各省における状況を注視し、省庁横断的な課題や長期的な取り組みについての検討が必要だというふうに考えておりまして、そういった取り組みの中で参加型のやり方ということについても深めていきたいというふうに考えております。
○松田委員 ぜひよろしくお願いします。
最後に、日本の国際社会の中での位置づけ、日本の国柄、あるいは唯一の核被爆国である、また核兵器を保有していない国の中で唯一核燃料サイクルを進めた国であるといったことに鑑みますと、やはり、核燃料サイクルを通じて国際的に貢献するということも、世界の課題先進国のあり方の一つではないかという意見は結構強いと思うんですけれども、この点について科学技術担当大臣としてどういうふうに考えているか、最後にお聞かせいただければと思います。
○柴山委員長 端的にお願いします。
○山本国務大臣 エネルギー基本計画では、核燃料サイクルの推進ということで、平和利用の話とか、プルトニウム回収、利用のバランスを十分に考慮するとか、いろいろな話がありますけれども、いずれにせよ、世界の原子力平和利用、核不拡散への貢献について、非核兵器国としての経験を生かしていろいろな貢献をするということは非常に大事だというふうに思っておりますし、こういう取り組みについては、IAEA等の国際会議の場で発信しておりますが、今後ともそうした活動を進めていくことが大事だというふうに認識をしております。
○松田委員 甚だ文科系的な質問ばかりでございましたが、どうもありがとうございました。
○柴山委員長 次に、笠井亮君。
○笠井委員 日本共産党の笠井亮です。
初めに、きょうの質問順序については御配慮ありがとうございます。
まず、法案について伺っていきたいと思います。
この間、政府内で経済産業省を中心にして原発推進体制の構築が進められてきた。そして、東京電力福島第一原発事故以降、原子力規制委員会の設置など体制の再構築が行われてきた。今回の設置法の改正案というのは、そうした経過ということで先ほど大臣からもありましたが、それに見合って、原子力委員会の所掌事務そして体制等を整理縮小しようというものであります。
そこで、まず山本大臣に伺います。
原子力委員会は、いわば、長きにわたって原子力政策を担って、原発推進の旗を振り続けてきた。そして、まさに政府自身も言われたような原発神話の中で福島事故が起こったわけでありますけれども、そのことへの深刻な反省というのがこの法案のどこに盛り込まれているのか、お答えいただきたいと思います。
○山本国務大臣 今、笠井委員御指摘のとおり、原子力委員会は時代に応じてその役割が変化してまいりました。
しかし、そういう中で、東京電力福島第一原子力発電所事故の発生後、事故の発生を防ぐことができなかったということを真摯に反省する観点から、原子力規制委員会が発足する等、原子力をめぐる環境は着実に変化しているというふうに考えております。
加えて、一昨年、原子力委員会の不適切な運営によって国民の信頼を損ねることになり、こうした反省も踏まえて、原子力委員会の抜本的見直しを行うことになったという経緯でございます。
こういう状況をしっかりと勘案して、昨年、原子力委員会のあり方を見直すために有識者会議を設置して議論をし、その結果を受けて、内閣において改正法案を提出させていただきました。
今回の改正法によって、新しい原子力委員会を立ち上げ、重要な政策課題に真摯に取り組んでいく、きちっとした透明な議論をしていく、こういうことで改めて国民の方々の信頼回復に努めてまいりたいと思っております。
○笠井委員 踏まえてと透明なということを言われるんですけれども、この法案自身で見ますと、そうした深刻な反省ということが明確にないということはあると思うんです。やはり、きちっとした反省が踏まえられていないというふうに言わざるを得ないと思うんです。
もう一つ伺いたいんですが、安倍内閣は、本年四月に閣議決定したエネルギー基本計画で、原発を重要なベースロード電源と位置づけて、今後も原発を使い続けるということを言いました。そういう方針を決めたわけですけれども、法改正後の原子力委員会は、この方針に沿って、原子力利用に関する政策等について企画し、審議し及び決定するということになるんでしょうか。
○山本国務大臣 原子力政策を含む全体のエネルギー政策、これは、法律に基づきエネルギー基本計画が閣議決定されるということになっております。原子力発電の位置づけ、方向性等を初めとするエネルギーに関する原子力政策についても、同計画の中で示されるというふうに考えております。
一方、法改正後の原子力委員会ですけれども、きょうも答弁を申し上げましたが、引き続き、原子力政策全体を包含する基本的考え方を示す役割は重要と考えられておりますので、エネルギー基本計画と整合性をとりつつ、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野を対象として、基本的な考え方を策定したいというふうに思っております。
この基本的な考え方に基づいて、平和利用、放射性廃棄物の処理処分等といった重要な政策課題を中心に、原子力委員会が関係各省における施策の実施状況を聴取する、ヒアリングをして把握をして、必要に応じて今後の取り組み等に関する考え方を示す、それによって具体的な施策の推進を促すということで、原子力委員会に求められる役割を果たしていけるというふうに考えております。
○笠井委員 まさに、整合性をとりつつと、基本計画との関係を言われました。そういう点でいうと、その枠内でやっていくという話になるというふうに、私、今、答弁を聞きました。
福島事故を体験した日本国民は、この間の累次にわたるパブリックコメントや世論調査を見ても、八、九割が原発ゼロを望んでいる。再稼働も反対が多数であります。
去る五月二十一日には、大飯原発三、四号機の運転差しとめ訴訟で、画期的な判決が言い渡されました。この判決は、福島事故以降三年二カ月の現実を踏まえて、憲法で保障された人格権を最優先にして、他の技術と異なる原発の本質的な危険性を強調し、原発安全神話を断罪して、国民の命よりコストを優先する考え方をきっぱり退けた。私は、今政府がやるべきは、原発推進政策の継続ではなく、これときっぱりと決別をして、原発ゼロを直ちに決断するということだと思います。このことを強く申し上げておきたいと思います。
そこで、今後の原発をどうするかの大前提というのが福島事故の原因と真相究明にあることは、言うまでもないと思います。この間、いわゆる吉田調書、東京電力福島第一原子力発電所の元所長の吉田所長のヒアリングの記録の内容が一部マスコミに報道されましたけれども、これを見ましても、これまで知られていなかった事故発生直後の一F現場の緊迫した状況や、東電本社の対応が明らかになっております。
この調書も含めて、政府の事故調は、事故関係者七百七十二人から聞き取って、聴取結果書、いわゆる調書を作成したと承知をしております。いずれも、いまだ未解明な事故究明にとって不可欠な資料だと思うんですけれども、全部いまだに非公開という扱いになっている。
そこで伺いますが、政府事故調が収集した調査記録というのは、現在どこに保管されていて、誰が管理しているんでしょうか。
○鎌形政府参考人 お答え申し上げます。
政府事故調の調査資料につきましては、内閣官房原子力規制組織等改革推進室が保管しております。
○笠井委員 政府事故調は、この一連のヒアリングの記録は原則として外部に開示しないとしておりましたけれども、その理由として何を挙げていたんでしょうか。
○井上副大臣 お答え申し上げます。
政府事故調の行った関係者からのヒアリング、これは非公開を前提に任意の協力を得て行ったものであるため、その記録と関連資料については非公開の扱いとしているという理由であります。
○笠井委員 政府事故調自身が国会事故調に対して畑村委員長の名前で出した文書だと、もう少しそこのところを詳しく述べていると思うんですが、どういうふうに言っているでしょうか。
○鎌形政府参考人 政府事故調が国会事故調に吉田元所長のヒアリング記録を提出した際に、畑村委員長名の、資料提出に関しての考え方を示した文書がございます。その中では、非公開で行ったヒアリング記録を外部に開示した場合に、ヒアリングの相手方との信頼関係が破壊されることとか、あるいはヒアリング対象者その他の関係者の名誉、プライバシー等にかかわる事柄も記録されていることなどを掲げていると承知してございます。
○笠井委員 それを見ますと、今部分を言われたんですが、こういうことを言っております。ヒアリングの相手方が不開示を希望する場合には、ヒアリングの記録は外部に開示しないことなどを前提に、任意の協力を得て、調査活動を行ったと。不開示を希望する場合にはということを言っている。そして、非公開で行ったヒアリングの記録を外部に開示した場合に、相手方との信頼関係が破壊されということを、今言われた部分なんですが、新たなヒアリングの相手方からの協力も期待できなくなり、今後の調査活動に著しい支障を生じるほか、関係者の権利利益を侵害するおそれということを含めて述べているわけです。
そこで、鎌形室長、これらの資料について、五月の二十一日の当院衆議院の経済産業委員会で、我が党の塩川鉄也議員の質問で、ぜひ開示を求めたいというふうに述べながら、その中でさらに、官房長官が、現在、事故があったときに対応する人には、この調書を職員立ち会いのもとで開示して対応できるようにしているというふうに言っているんだけれども、どういうことなのかということに対して、事故究明の観点から、原子力規制庁の職員が閲覧したことがあるということを答弁されていると思うんですけれども、何回、何を、何のために、何人閲覧したということになっていますか。
○鎌形政府参考人 御指摘のように、事故原因究明等の観点から、行政機関の職員が閲覧が必要な場合であって、業務上の必要性が真に認められる場合に閲覧が可能としてございます。
これまで、原子力規制庁の職員が二名閲覧した、こういうことがございます。政府の事故調の調査資料をということでございます。
○笠井委員 あの質問の中では、調書ということを含めて聞いているんですが、資料の中にはそういうことも含まれているということですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたように、規制庁職員二名がこの資料の閲覧をさせていただいておりますけれども、その目的は、福島第一原発事故の継続的な究明に関しまして、技術的な側面からの検証を進めるという観点から、図面などの技術資料を閲覧したのみであるというふうに承知しているところでございます。
○笠井委員 それは、調書に伴って出ている図面などのそういう資料ということですか。質問をしたときに、二人閲覧したということで答弁されているのは、そういう話として流れになっているんだけれども。
○山本政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたように、この閲覧の目的は、事故原因の継続的な究明という観点から、具体的に言いますと、四号機の建屋の爆発が起きたこと、それから、一号機の原子炉内で出水などがありましたけれども、私ども規制庁が保有していない図面あるいは資料が政府事故調の資料の中にあるのではないか、そういう問題意識のもとに閲覧したものでありますが、特に新たな資料はなかったものというふうに承知しているところでございます。
○笠井委員 それはヒアリングの中で出てきた資料というふうに理解していいんですか。
○山本政府参考人 主に閲覧をいたしましたのは図面等の資料でございまして、特にヒアリングの調書というものではございません。
○笠井委員 ヒアリングの調書って、ヒアリングの過程で出てきた資料かどうかを聞いているんです、それ以外のことなのかどうかと。
○山本政府参考人 まず、御指摘の吉田所長のヒアリング記録、これに関しましては、閲覧はしてございません。それ以外の、先ほど言いました技術的な側面からの図面等を閲覧したものでございます。
○笠井委員 鎌形さんにもう一回伺いますけれども、この間答弁した趣旨というのは、資料というのは、その調書の流れで聞いているわけですけれども、その中で、ヒアリングの中で集めた資料ということでの資料ということなんでしょうか。そこのところはどうなんですか。
○鎌形政府参考人 私が過去、委員会で御答弁申し上げたときには、政府事故調資料についてということの文脈で申し上げた、そういうつもりでございます。
○笠井委員 問いは調書について聞きながら、政府事故調の資料と言われているわけですけれども、とにかく、そういう形で、政府事故調が非公開と基本的に言っているものについては、政府職員である、事故原因の究明のためと言いながら、一部はそうやって見ているということはあるわけですね、閲覧しているということは認めたわけですから、そういうことであります。
しかも、不開示理由を述べた畑村委員長の文書というのは、平成二十四年五月三十一日付で、政府事故調がまだ調査途中のものなんですね。もう報告書が出て調査が終わったわけですから、あの中で幾つか理由を挙げていた中で、今後の調査に支障があるということでいえば、そういう意味では支障はない。
それから、相手方の不開示の希望があるということであればそのときはということが前提になっていたわけですけれども、それは改めて可能な限り聞けばいいわけです。それから、吉田調書について言えば、これは官房長官も、御遺族からの違う形の申し出があれば当然考えるべきということで記者会見でも言われているけれども、そういうことも含めて、可能な限りいろいろな形で工夫すればいい問題だと思うんです。プライバシーを配慮すればいい。
今、この問題は、事故究明が必要だと、立場の違いを超えて本当に大きな声になっています。新聞紙上でも、各社説で、原発推進というふうな社論を持っている方のところからも、開示は必要だということが出ている。自民党の中からもあると承知しております。
あのような事故が二度と起きないようにするためにも、この調書というのは貴重な国民の共有財産だと思うんですね。それを、私は吉田調書というふうに限定しません。七百七十二通ある。そういうことについて言うと、できる限り開示するという姿勢を政府が持つ、これは最低限必要なことで、公開するということを原則にしながら、できないものはその理由を明らかにして、最大限閲覧あるいは開示ということで、しっかりとやはり政府自身が対応する、これが今必要じゃないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○井上副大臣 先ほどの答弁と少し繰り返しになってしまうところは申しわけないんですが、この関係者からのヒアリングについては、やはり非公開を前提に任意の協力を得たというところを重く見ております。
ただ、それ以外の調査資料については、資料の内容に応じて、情報公開法などにおいて不開示情報に当たるものでなければ開示する、そういったことで適切に対処していきたいと思います。
○笠井委員 畑村委員長の文書を私もここに持っていますけれども、先ほども紹介しましたが、非公開を前提にじゃないんですね。そこで言われているのは、ヒアリングの相手方が不開示を希望する場合には、ヒアリングの記録は外部に開示しないことなどを前提に、任意の協力を得て、調査活動を行ったということでありまして、相手方が不開示を希望したかどうか、これについては個々に違うはずなんです。
ですから、そのことを改めて今からだって確認したらいいし、必要なことなので、できる限り開示して、やはりこれは原因究明しようじゃないか、政府もそういう立場なんだと、確認をしながら、開示してもいいよという方の資料については出す。御遺族であれば、例えば、今はこうだけれども、本人はこういうふうに上申書を出したけれども、しかし、今こういう状況だったら、ぜひこれは、全部でないにしても大事なこういう部分については出してもらっても結構ですという形での確認をして、できる限りやるというのが究明のために必要だ、これこそ今政府のとるべき姿勢じゃないでしょうか。いかがですか。
○井上副大臣 御意見は御意見としては承りますが、現時点では、繰り返しになりますが、やはり非公開を前提として任意の聴取だということで、今の取り扱いをしたいというふうに思います。
○笠井委員 現時点ではというのは、よく検討してもらいたいと思います。これは、政府が本当に究明して二度と繰り返さないという姿勢をとるのかどうかという一つの試金石になりますから、そのことは強く求めておきたいと思います。
さて、今後原発をどうするか、もう一つの大前提は、福島事故の収束と廃炉の問題でありますけれども、それ抜きに今後は語れない。これも大きな問題です。これも本当に立場の違いを超えてやらなきゃいけない。
去る五月十九日に、私も一Fに三度目になりますけれども行ってまいりました。我が党としても視察をしたんですが、行ってみて、結論的に言うと、汚染水対策の見通しもなくて、現場で前面に出ると言ってきたはずの国の姿は見えない。これが前面だなということがない。私自身、昨年三月、十一月に続いて三度目でありますけれども、事故から三年二カ月、いまだ収束とほど遠い状況にあることを痛感いたしました。
そこで、経産省に伺いますが、一Fの、福島第一原発の廃炉・汚染水対策現地事務所に派遣されている国の職員数を見ると、昨年十月二十一日時点で十三人、ことし三月二十六日時点で十七人というふうに承知をしておりますけれども、今現在、増員したのか。現時点で何人になっているのか。実際には、汚染水対策を一Fでやっているのは、ほとんど東電とそれから協力会社の社員じゃないかと思うんですけれども、その辺で、今、国の現地事務所で職員数は何人になっていますか。
○糟谷政府参考人 廃炉・汚染水対策現地事務所でございますけれども、五月一日に一名増員をいたしまして、現在十八名でございます。このほかに、非常勤職員が一名おります。
○笠井委員 十八プラス一と、ほとんどふえていないんですよ。
本当に大変な作業をやっていて、今、六千人が毎日作業をやっているという状況で、一つ一つがどうなるかという状況で、私は、これは本当にこれでいいのかということを言いたいと思います。
東電には原子力損害賠償支援機構を通じて多額の国費が投入されておりますけれども、累積額で幾らになるか、資金交付と出資、それぞれ合計額を言ってください。
○糟谷政府参考人 政府から原賠機構に対しましての出資は七十億円でございます。原賠機構から東電に対しましては、一兆円出資をいたしております。
それから、原賠機構から東電への資金交付額でございます。これは賠償のための資金を交付いたしておりますが、今月の二十三日現在、二十二日に最後の交付をいたしまして、現在四兆五百四十七億円でございます。
○笠井委員 そこで、肝心な汚染水対策でありますけれども、この処理の切り札と呼ばれている多核種除去設備、ALPSと言われていますが、これはトリチウム以外は取り除けるというわけでありますけれども、トラブル続き。
つい先日も、私が行ったら、三系統中、一系統は動いていたのも、それも翌日とまるということで、ホット試験中と呼んでいるわけですけれども、三系統が全て正常に運転したことはほとんどないという状況だと思います。
製造、設置したのは東芝でありますけれども、トラブル続きで計画どおりの汚染水処理ができていない、そういう状況であるわけですけれども、東電は、ALPSの製造、設置、あるいは維持管理のために幾ら支払っているというふうに政府は承知していますか。
○糟谷政府参考人 現行のALPSに東京電力が幾らの額を投じているかということにつきましては、東京電力と受注者との契約にかかわる事項でありまして、政府として、その金額を申し上げる立場にはございません。
○笠井委員 東電は、本来ならとっくに破綻しているはずだけれども、先ほどあったように、原賠機構を通じて多額の国費を投入して今生き延びているという状況です。
国が全面的というふうなことをやっていて、東電がそういう状況のもとにあって、私は、一般的な理由で答えられないという言い方では通用しないというふうに思うので、明らかにすべきだということを求めたいと思うんです。
このALPSがたとえ正常に運転していたとしてもトリチウムの除去はできないので、現状ではタンクにため続けるしかないと思うんですけれども、そして、汚染水を絶対海に流すことは許されないということだと思うんだけれども、現在、汚染水タンクは一Fの敷地内に何トン分置かれていて、今の状況で敷地がいっぱいになるまでにあと何カ月の猶予があるというふうに見通しているのか。それから、敷地外にタンクを置く検討が進んでいるのか。それから、汚染水漏れを何回も引き起こしてきたボルト締めのタンク、これを溶接式タンクに置きかえる作業が進んでいると思うんですけれども、計画は予定どおり進んでいるのか。この三点についてお答えください。
○糟谷政府参考人 まず、先ほど御質問ありましたALPSでございますけれども、これはクロスフローフィルターというフィルターの一部の部品が放射線で劣化をしたということでございまして、三系列とまったのは全部同じ原因でございます。このフィルターを今交換しておりまして、一系列は既に運転を開始しております。残る二系列についても、六月の上旬及び六月の中旬にそれぞれ再開を予定しております。
それから、タンクについての御質問でございますが、現時点で、福島第一原発の一号機から四号機の汚染水に係るタンクの総容量は約五十二万立米でございます。その中に約四十八万立米の水をためております。
タンクの設置につきましては、もともとの計画を一年前倒しいたしまして、今年度中に約八十万立米の容量を確保するということにしております。残りは、今、四十八万立米の水がありまして、約八十万立米まで容量を確保するということで、一日四百トン汚染水がふえていくというふうに単純に割り算をいたしますと、二年を超える分になろうかと思います。
この八十万立米のタンクは、いずれも敷地の中に建設することを予定しておりまして、敷地外にタンクをつくる計画は、現時点でございません。
それから、リプレース、ボルト締め型、いわゆるフランジ型のタンクのリプレースでございますが、これは現在建てておりますタンクは全て溶接タンクでありまして、順次リプレースをする計画としております。
ただ、ボルト締め型タンクのリプレースに先立って、事故の直後に使いました、漏えいリスクの高い横置きのタンク、こちらを先にリプレースしようと考えておりまして、現在、その残水処理、つまり、水を抜いた後の残った処理をどう最終的に処理をするかというあたりの詳細を詰めておるところでございます。
○笠井委員 ALPSについては、フィルターの話以前にも何回もトラブルがあって、いろいろな要因でとまったりする、そういう状況が続いているんですよ。あれだけじゃないんです。
今タンクの話でも、前面というふうに国が言っておきながら、確たる見通しを述べられなかったわけで、やっていることは今こうやっていますというだけの話なんですね。それに加えて、地下水バイパス、海への放出を開始したわけですけれども、それも五月二十六日に、井戸の一つから東電の放出基準を超えるトリチウムが検出されて、放出がストップしている。こういう原因もわからずに、放出を再開する、あるいは汚染したものを出していくなんということになったらとんでもないわけで、これも厳しい批判が上がっている問題であります。
凍土遮水壁はどうかといいますと、これは、陸側には凍土遮水壁をつくって地下水の流入を防ぐということで、ことし六月着工予定で、原発建屋の周りを総延長一・五キロの長さで氷の壁をつくるという本格的な工事が直前に迫っているわけですが、その本格工事を前に、今資源エネ庁は、地下水の流入抑制のための凍土方式による遮水技術に関するFS事業、フィージビリティースタディー事業を十二億八千万円の予算で去年八月から委託事業としてやっていると思うんです。
これは先日、視察でも見てきたんですが、十メートル四方のところでやっているという実験でありますけれども、これも、昨年度末、三月末には完了しているはずだったけれどもまだやっているという状況で、実験の結果、凍土技術の確立、この工法は一・五キロやっても問題ないというところまで今確認できたんでしょうか。
○糟谷政府参考人 小規模凍土遮水壁の実証事業でございますけれども、三月十四日に凍結を開始いたしまして、三月二十四日には凍結管の中間点にある温度計が氷点下を示しまして、閉合、つまり壁ができたことを確認いたしました。大体、十日から十二日で閉合するということを確認してございます。
その上で、閉合した中から水をくみ出しまして、それをくみ出しても凍土遮水壁の外側の地下水位に影響がなく、凍土遮水壁による遮水の効果がしっかりと確保できるということを四月の初めに確認する試験を行っております。
これ以外にも、凍結管を入れます穴を現場と同じ環境で施工して、どういうやり方でうまく一番施工できるかという手法も確認をいたしましたし、それから、水位のコントロールをするための手法、こういうことについても確認をしてきております。
さらに、現在、凍結した後、凍結を維持するための運転について、過剰な凍結を抑制しながらしっかりと壁を維持するためのいろいろな条件、運転条件を変えながらデータをとっておりまして、これは、実際の凍土遮水壁の設計、施工計画に全て反映をさせていくということでございます。
○笠井委員 今そういう状況で実験をやっていると言われましたけれども、全長一・五キロで深さ三十メートルになる遮水壁を実際に施工するというのは、今度が初めてで、世界も例がないわけですよね。
今、実証実験をやったけれども、それで本当に大丈夫かという問題について言うと、ALPSだって、やったらまたいろいろなことが起こっているわけで、いろいろな形でやはり問題が出てくる。
規制庁に伺いたいんですけれども、この間、原子力規制委員会は、地盤沈下のおそれがあって、それによって建屋が傾く、建屋の中の汚染水が外に流れ出すというおそれがあるということで、この凍土壁について大きな懸念を示されていたけれども、五月二十六日の評価検討会では、更田委員が、規制委員会は着工を妨げるものではないと表明して事実上ゴーサインを出した、懸念された問題というのは完全に解決したと。
途中でトラブルが起きた場合どうするかという問題は、どういうふうに答えますか。
○山本政府参考人 御指摘のとおり、まず凍土壁を設置することによって原子炉建屋などに悪影響がないかどうか、これをしっかり見るのが、まず私どもの審査の視点の上で大変重要な視点でございました。
それで、御指摘のとおり、今週の月曜日に専門家も交えた評価検討会を開催いたしまして、凍土壁を設置することによって地下水位が当然下がってまいりますけれども、その水位の変化によって地盤沈下の割合がどの程度起きるかといったことの評価を行いました。
これは、建屋の下の各地層ごとにどれぐらいの沈下量が生じるかということをシミュレーションいたしまして、そして、建屋の四隅に、全体としての不等沈下の割合がどの程度におさまるかといったことの評価も行いました。
それらの評価の検討の結果、全体の地盤沈下量は極めて小さく、かつ、不等沈下の割合も、建築基準法あるいは私どもの規制基準によりますところの範囲内に対して十分な余裕を持っているということが評価できましたので、まずは、地盤沈下については大きな影響、おそれはないものであるという評価をいたしたところでございます。
したがって、そういう検討結果を踏まえまして、今御指摘ありましたように、まず着工をすることについては妨げるものではないという評価をしたところでございます。
○柴山委員長 笠井君、質疑時間が終了します。
○笠井委員 なさそうだなという評価をしたという話なんですけれども、時間になりましたので、最後に、大臣に一言。
国が前面というふうに安倍総理が言ってから九カ月になりますが、実際にはまだどの対策も途上で、どうなるかわからぬという状況もある。大臣も閣僚として原子力災害対策本部のメンバーであり、原子力委員会を所掌しておられるわけでありますけれども、今こそ、この汚染水対策を初めとして、事故収束と廃炉に総力と英知を結集して、そしてまさに国が前面に出る、文字どおり見える形でやる、これが必要だと思うんですが、最後にいかがでしょう。
○山本国務大臣 東京電力福島第一原子力発電所事故への対応については、平成二十三年に、原子力委員会のもとに東京電力福島第一原子力発電所中長期措置検討専門部会というのを設置いたしまして、中長期の取り組みに必要な研究開発課題の制定とか、その解決に向けた取り組みの分担のあり方等を取りまとめて、政府の中長期のロードマップの作成に寄与いたしました。
現在、総理の指示のもとで関係各省が総力を挙げて取り組んでいるというふうに承知をしておりまして、必要に応じて、原子力委員会においても積極的に対応していくべきだというふうに考えております。
○柴山委員長 質疑時間終了です。
○笠井委員 見通しのないまま再稼働は絶対許されないということも一言申し上げて、終わります。
○柴山委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十七分休憩
――――◇―――――
午後一時十分開議
○柴山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。大熊利昭君。
○大熊委員 みんなの党の大熊利昭でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
私、何十年か前に大学で物理学科だったもので、原子力じゃないんですけれども、このメカニズムの本当の原点ですね、特殊相対論から出てくるE=mc2、これ、紙と鉛筆で習ったというところまででございますが、しかしながら、ここからが重要なところでございます。原子力政策はずぶの素人でございまして、突っ込んで勉強したことはございません。今回、素人っぽい質問からいろいろ入るかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず伺いたいところとしましては、今回、所掌事務が縮小されるということではございます。その関連で、そもそも、原子力政策の企画と、利用のついた原子力利用政策の企画、この違いというのは、利用が入っている、入っていないでもっての具体的な違いというのはどんなところなのか。
それと、原子力委員会というのは後者に特化してといいますか行う、そういうことなのか、それともそうじゃないのかというあたりをちょっと教えていただければと思います。
○山本国務大臣 大熊先生が理系だということを聞いて、大変尊敬の念を持っております。私、文系なものですから。
御指摘の原子力政策と原子力利用政策の違い、きのう、大熊委員のこの御質問を見ながらちょっと考えていたんですが、この違いについてはなかなか、完全に同じなのかどうかというのはちょっと明快でないところもあるんですけれども、原子力基本法の第一条に、「この法律は、原子力の研究、開発及び利用」、これをもって「「原子力利用」という。」と。「を推進することによつて、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もつて人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与することを目的とする。」と規定されておりまして、我が国においては、やはり原子力政策と原子力利用政策は極めて近いものではないかというふうに思います。
また、原子力委員会は、原子力委員会設置法第一条の目的として、「原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)に関する行政の民主的な運営を図るため、内閣府に原子力委員会を置く。」と規定されております。同時に、同法の二条で「委員会は、次の各号に掲げる事項(安全の確保のうちその実施に関するものを除く。)について企画し、審議し、及び決定する。」と規定をされておりまして、原子力委員会は、安全の確保のうち、その実施に関する部分を除いた原子力利用に関して企画、審議、決定を行う組織ではないか、そんなふうに考えております。
○大熊委員 ありがとうございました。
意外と素人っぽい質問というのは難しいのかなというふうにも、質問者の方から改めて思った次第でございます。
続きまして、似たような話でございますが、そうしますと、原子力委員会と原子力規制委員会、この両者の関係、これはどういうふうになるのだろうかということ。
それから、単純に規制と利用と、研究開発も含めた利用それから規制ということになりますと、チェック・アンド・バランスということになろうかと思いますが、チェックですね、これはどういったふうになされていくのであろうか、ちょっと教えていただければと思います。
○倉持政府参考人 原子力委員会設置法の第二条におきまして、「委員会は、次の各号に掲げる事項(安全の確保のうちその実施に関するものを除く。)について企画し、審議し、及び決定する。」と規定されておりまして、原子力委員会は、安全確保のうち、その実施に関する部分を除いた原子力利用に関して企画、審議、決定を行う組織であるというふうに考えております。
また、原子力規制委員会設置法の第三条におきましては、「原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ることを任務とする。」と規定されておりまして、原子力規制委員会は、原子力利用における安全の確保を行う組織であるというふうに考えられます。
そうしたそれぞれの組織の事務や任務等を踏まえますと、必ずしもチェック・アンド・バランスの考え方から由来していると言い切れないのではないかと思われますけれども、ただ、原子力委員会設置法第二十六条におきまして、「委員会は、第二条各号に掲げる事項のうち、原子力利用における安全の確保に関係がある事項について企画し、又は審議したときは、その旨及び内容を原子力規制委員会に通知しなければならない。」とございます。
また、「委員会は、第二条各号に掲げる事項のうち、原子力利用における安全の確保に関係がある事項について決定しようとするときは、あらかじめ、原子力規制委員会の意見を聴かなければならない。」と規定されておりまして、原子力利用における安全の確保につきましては、その実施を含めて原子力規制委員会の役割が大きく、それ以外の原子力利用については、実施官庁とは異なる立場での原子力委員会の役割が求められているものと考えております。
○大熊委員 ありがとうございました。
今お答えいただいた中で、チェック・アンド・バランスの考え方から必ずしも由来していないのではないかということだとすると、そうしますと、原子力委員会ということにこだわらずに、政府全体としていわゆるチェック・アンド・バランス、これはどういう仕組みで担保されているのか、全体観を教えていただけないでしょうか。
○倉持政府参考人 したがいまして、原子力委員会と原子力規制委員会の間では少し、まさに役割分担ということがなされているのではないかというふうに認識しておりまして、ただ、繰り返しになりますけれども、安全確保については、もちろん実施も含めて規制委員会の役割が大きいので、規制委員会の意思といいますか、そこの方が強く働くという理解でございます。
○大熊委員 午前中の質疑で、後でもちょっと関連を伺いたいと思うんですが、原子力委員会は総合調整の機能というような大臣の御発言があったんです。
この総合調整とチェック・バランス、全く同じかというのは若干違うかもしれませんが、そうすると、このチェック・アンド・バランスというのは政府全体としては、もう一度確認なんですが、どういうふうに、冒頭申し上げましたが、光速の自乗でエネルギーは出てきますので、やはり危ないものですよね、推進か反対かはともかくとしまして。したがって、チェック・アンド・バランスというのは重要じゃないかと思うんですが、前回の独法の質疑でもPDCAはさんざん出てきましたが、そういう考え方ですね。これは政府全体としてはどういうことになっているのでしょうか。
○倉持政府参考人 いずれにしましても、原子力規制については、技術的に、むしろ独立性を高めてきちんと判断するということで規制委員会ができた経緯があると認識しております。
ただ、そういった仕組みも含めて、実施のところを除いて原子力のことについて全体を見ているのが原子力委員会であるというふうに認識しております。
○大熊委員 では、全体のチェックをしている、バランスを考えながらチェックをしているんだ、そういう理解をさせていただきました。
半分ぐらい戻りまして、二条の所掌事務、ここにはダイレクトに研究開発という言葉は書いていないんですが、やはり、百年前に生まれた技術といいますか物理現象をいろいろな形で、もちろん兵器にも利用しているわけなんですが、発電にエネルギーを利用していますということの中で、いまだに、百年たっても研究開発がまだ途上である、そういう分野なわけで、利用するにしても規制するにしても何をするにしても、研究開発というのは全部にかかってくるんじゃないか、研究開発があって規制がある、研究開発があって利用がある、研究開発があって何々があるということじゃないかと思うんですね。
そうしますと、法律上の文言に、これはどう読んでも、削る前も見ても、研究とか研究開発というのはないと思うんですけれども、ちょっと見落としなんでしょうか。
○倉持政府参考人 ちょっと資料の作成があれだったかもしれませんけれども、原子力委員会設置法の第一条「目的及び設置」のところで「原子力の研究、開発及び利用(以下「原子力利用」という。)」というふうに定義がなされておりまして、それを受けた第二条で「原子力利用」というふうに規定されておりますので、第二条一号の「原子力利用」は、原子力の研究、開発及び利用を含むものであるというふうに理解しております。
○大熊委員 わかりました。第一条の中に入っている、ちゃんと入っているということが今よくわかりました。ありがとうございました。
そうしまして、次は、原子力委員会の委員長さん、それから委員の方々、今回、所掌事務が減少したということに伴うと考えていいのかわかりませんが、委員長及び委員の数が五人から三人、非常勤の人数が二人から一人になるということなんですが、この委員長、委員の方の適格要件、それから一方、また、あればなんですが、非適格要件を、それぞれ教えていただければと思います。
○倉持政府参考人 御指摘の件に関しましては、現在、原子力委員会設置法の第十一条におきまして、委員長及び委員について「政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすること。」が、また、委員長及び常勤委員につきましては「内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。」が、それぞれ禁じられているところでございます。
また、現在の社会情勢を踏まえまして、電力会社等の出身者の方は、原則、原子力委員会の委員長や委員として適切ではないというふうに考えておりまして、国会で同意が必要な委員長や委員の選定段階で除外させていただくこととしております。
○大熊委員 十一条の規定は、非常に一般的過ぎるような規定ではないかというふうに見えるんですね。
例えば、俗に言う、今、電力会社の方のお話がありましたが、原子力村というんですかね、そういった方というのは、高い位置から総合調整をするんだという役目を考えると、ここはやはり除いておく、そういう条文にしておく必要があったのではないかというふうにも思うんですが、その点、お願いします。
○倉持政府参考人 御指摘の点でございます。
原子力規制委員会設置法におきましては、原子力関係の事業者や原子炉を設置する者等については委員長や委員となることができないとの規定が設けられているということは承知しております。
一方で、原子力委員会に求められる専門性を踏まえますと、原子力事業者や原子炉を設置する者に含まれる可能性がある研究機関であるとか大学の有識者を一律に法律で除外することについては、難しい側面もあると考えております。
先ほども申しましたけれども、いずれにしましても、現在の社会情勢を踏まえれば、電力会社等の出身者は、原則、原子力委員会の委員長や委員として適切ではないというふうに考えておりまして、国会で同意が必要な委員長や委員としては、候補の選定段階で除外させていただいているところでございます。
○大熊委員 これも、委員長さんなり委員の方のそれぞれのポスト、やはり、どういう職務であるのか、どういうことが期待されるポストであるのかということがしっかりと明示されることで、いや、やはり原子力の研究をされている方が必要なポストなんですということがしっかりあれば、これはおっしゃるとおりだと思うんです。やはり、そういったことが多分ないんだろうと思うんですね。
では、具体的に言うと、職務明細書というのは、しっかり書いた紙でつくられているのかどうか。恐らくないんじゃないかなと思うんです。こういうのは法律レベルで書けないにしても、下位の法令で定義しておく必要があるんじゃないかなというふうにも思うんですが、いかがでしょうか。
○倉持政府参考人 原子力委員会の委員長や委員の候補者を選定する段階で、公開情報をもとに経歴等を確認するとともに、候補者として依頼を行う際に、口頭で御本人に電力会社での在職経験や過去三年以内に寄附等がないことについて確認を行っておるところでございます。さらに、その旨を書面による申告でも確認させていただいているところでございます。
○大熊委員 不適格要件の方の考えじゃなくて、こういう職でというところの方ですね。それについて、法律レベルでは書けないにしても、下位の法令でもって、もう少し詳しく定義する。
先ほど、午前中も公募の話が出たと思いますが、そういった場合に、公募にも使えるわけですよね。こういうポストで、こういうキャリアの方、なぜならばこういう仕事だから、今回、所掌事務がこういうふうに変わったからということを、はっきり、そこまでこの条文には書けないわけなんでしょうから、そういうところをしっかり用意されておくべきじゃないかなというふうに、ちょっと意見だけ大臣にも聞いていただいて、申し上げて、次に参ります。
次はまた非常に一般的な話なんですが、仮に、三・一一の福島の原発事故がなかった場合、起こらなかった場合というのは、今回の見直しというのはなかったということになるんでしょうか。
○倉持政府参考人 原子力委員会は、昭和三十一年の設立以降、時代の変遷とともに、その役割も見直されてきたところでございます。
近年は、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野にわたり原子力が活用されておりまして、関係各省がそれぞれの分担に従って責任を持って施策を実施しているところでございます。
また、有識者会議報告書では、これまでの原子力委員会において策定していた原子力政策大綱については、別途つくりますエネルギー基本計画と内容に重なる部分が多いことや、原子力委員会の既に形骸化している事務等について指摘がなされているところでございますので、そういったところを踏まえますと、仮に福島第一原子力発電所の事故がなかった場合においても、原子力委員会の役割を見直すことは必要性があったものと考えております。
○大熊委員 今の同じ質問を逆方向から伺いますと、そうすると、この法律の提案理由にも、「東京電力福島第一原子力発電所事故等による原子力をめぐる環境変化等を踏まえ、」と書いてあります。
原発事故による今回の法律の見直しに与えた影響、これは一体何なのかについて教えていただければと思います。
○倉持政府参考人 一つには、そういった事故を受けまして原子力規制委員会ができて、安全に係る業務の一元化がなされるといったようなことがあったということがございます。
○大熊委員 済みません、具体的にどういうことを事務に、形態というよりは、具体的にここが反省だから、ここを原子力委員会でやるんだというところ、そういったところというのは何かないんでしょうか。
例えば、後で質問申し上げたいと思うんですが、放射性廃棄物の関係とか、その他、IAEAへの説明とか、何か、ここが変わったんです、なぜならば三・一一の事故を踏まえたんですという、そういうクリアな具体的なところというのは何かないんでしょうか。
○倉持政府参考人 三・一一の事故の後、例えば核物質防護であるとか保障措置の事務といったものが規制委員会、規制庁側に移るといったようなことになりまして、従来原子力委員会が見ていた部分も移管されているというところがございまして、そういったことは、今回、三・一一の事故の後の環境の変化であるというふうに認識しております。
○大熊委員 事務が移っていったという影響はわかったんですが、逆に、残ったものについて、こう変わったというところというのは、具体的には余り御説明は難しいということでしょうか。
○倉持政府参考人 ここは何か組織的に議論をしてこうだということではございませんけれども、やはり原子力委員会としても、これからさらに一層例えばセーフティーカルチャーを高めるとか、セキュリティーのカルチャーを高めるとか、そういったところのより深い意味合いというものをやはり感じますし、そういったことについての検討も深めていく必要があるんじゃないかというふうに認識しているところでございます。
○大熊委員 私が申し上げるのも大変僣越なんですが、総合調整機能があるということで、事故を踏まえてより強い権限を行使していただくように、アクティブにやっていただいた方がいいんじゃないかなというふうに思います。そういった中、事務方の人数が減ってしまうというのはなかなかやりにくい部分もあるんだろうと思いますが、その点は期待をさせていただきます。
続いて、放射性廃棄物の最終処分の計画の関連でございます。
これは、原発事故前の平成二十年に特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針というのが閣議決定されているわけでございます。この中で、平成四十年前後を目途に最終処分施設建設地を選定して、平成四十年代後半に最終処分開始というふうになっているんですが、これは、震災を受けてリニューアルされて変わっているということなのか、政権交代が二回ありましたけれども、そのまま生きているということなのか、まず御確認をお願いいたします。
○倉持政府参考人 委員御指摘のとおり、平成二十年三月十四日に閣議決定が行われておりまして、その後、これはその決定のままになっております。
○大熊委員 それは逆にちょっとびっくりしまして、平成二十年のまま、要するに、できるんだ、そういうことを今の安倍内閣でも思っていらっしゃるんだ、そういうことですね、変わっていないということは。違いますか。
○倉持政府参考人 これは、先般閣議決定しましたエネルギー基本計画も踏まえつつ見直しを行っているというところでございます。
○大熊委員 安心しました。
大体でいいんですが、そうすると、もうしばらくすると、これにかわる新しい基本方針が出てくるんだと。いつとは言えないかもしれませんが、そういう理解で大体よろしいかどうか。できれば、いつごろかというのを教えていただければと思います。
○倉持政府参考人 これは特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づいてつくられるわけでございまして、これを改定する際には原子力委員会の意見も聞かれることになっております。したがいまして、原子力委員会の方でも準備する必要がございます。
ただ、ちょっと私どもの方で、今、いつごろかという時期は、申しわけございませんが、申し上げられません。
○大熊委員 それでは、また出てくるときを楽しみに待っております。
今お話もございました原子力委員会の意見表明の関係で、通告を申し上げておりますのは、例えば一例でということでお伺いしようと思うんですが、平成二十五年十二月二十四日に、「もんじゅ研究計画について(見解)」というのを出していらっしゃいます。この中で、いろいろありまして、まず前段階でこういった意見を出されました、その後どうなっていくのか。その意見を出される相手方が要は放置したらどうなるのか、あるいは強制力があるのか。どういうふうにこのせっかくの意見表明を、見解を使っていかれるのか、これについて大体のところを教えていただければと思います。
○倉持政府参考人 お尋ねの「もんじゅ」の研究計画についてでございますけれども、原子力委員会は、文部科学省の原子力科学技術委員会もんじゅ研究計画作業部会が取りまとめたもんじゅ研究計画に対しまして、同計画で示された研究開発の進め方は当面の取り組みとして妥当なものと評価をいたしました。ただし、その実施に当たっては、日本原子力研究開発機構は抜本的改革を進め、安全を最優先とする運営体制を確立し、そのことを国民に丁寧に説明していくことを強く求める、そういう内容の見解を平成二十五年十二月に取りまとめております。
現在、日本原子力研究開発機構においてさまざまな観点からの改革が進められていると承知しておりますけれども、原子力委員会といたしましては、この見解で示された内容を踏まえて、適切な、必要な対応が進められることを注視しているところでございます。
仮に言うことを聞かないようなことがあれば、再度見解も出すこともありますし、それでも何か動かないということがありますれば、最終的には内閣総理大臣を経由して勧告を行うということも可能でございます。
○大熊委員 この見解の中で、例えば、今もお話ありました、機構の徹底した組織改革を断行するべきである、こうあるわけなんですが、具体的に、徹底した組織改革、これはどういったものを想定してお書きになったのか、教えていただきたいと思います。
○倉持政府参考人 私ども事務局として、何か原子力委員会の方で具体的な中身で見解をまとめられたとは承知しておりませんけれども、これを受けまして、今、例えば原子力研究機構の方では組織再編等を進めているということがございます。
いずれにしましても、先ほど申しましたように、報告、また聴取をいたしまして、それでどうかという判断をしながら、また検討を進めていくというところでございます。
○大熊委員 具体的に、半年たっているわけなんですが、機構は何かこの見解を受けてアクションを起こしたんでしょうか。先ほどからのPDCAのような観点に立つと、チェックをされて、意見表明をされて、何かアクション、そういったことを、その取っかかりでもいいんですが、何も半年の間やっていないんでしょうか、その辺を教えていただければと思います。
○倉持政府参考人 日本原子力研究開発機構におきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、本年の四月一日付で組織再編を行っておられます。日本原子力研究開発機構の改革計画、あるいは原子力機構のミッションを的確に達成する強い経営を確立するというために、理事長を中心とする経営を支援する機能の強化を図るための戦略企画室、安全・核セキュリティ統括部及び法務監査部を設置するなどの機構再編をまず行われたというふうに承知をしております。
○大熊委員 例えば、こういったところでぜひ原子力委員会さんの総合調整機能を積極的に発揮していただきたいんです。
今伺っていて思ったのは、非常に隔靴掻痒感がございまして、私だったら具体的に、一万点を超える機器の点検漏れがあった、この部局の部長は、首にはできないかもしれませんが、こういう人はしっかりと責任をとってもらって降格をしてもらうとか、違うところに移ってもらうとか、こういう組織改革をやれということを総合調整機能を発揮していただいて、強い権限を発揮して、総理に行くまで待っていると随分時間がたつと思うので、これは具体的にできると思うので、この一万点の点検漏れ、しかも震災後ですからね。こういうのをぜひしっかり頑張ってやっていただきたいというふうに思いまして、時間となりました。終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○柴山委員長 次に、村上史好君。
○村上(史)委員 生活の党の村上史好でございます。
きょうは、前半が法案に関する質問、そして、後半は福島第一原発の現状について何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
ちょうど昼食も終わりまして、眠気が差すころでございます。そうならないように一生懸命質問をさせていただきたいと思いますけれども、そのためにも、御答弁のほど、よろしくお願いしたいと思います。
きょうの午前中からの質疑の中で何度も繰り返されておりますけれども、今回の法案の主なところは、所掌事務の縮小、それに伴う原子力委員会の役割を重点化するということでございます。
昭和三十一年に原子力委員会が発足をした。そのときの役割は、何といっても、原子力政策を推進する、原子力発電所を中心としたエネルギーの発展を目指して発足をしたわけであります。そして、その後、時代の要請に合わせて何度も改正を繰り返してきた。そして、今日、今回提案をされているというその流れについては理解をいたしております。
そこで、確認ではございますけれども、今回の改正によって、原子力委員会の原子力利用の推進の司令塔の役割は終わった、その機能は終えたんだということを明確にお答えできるでしょうか。
○山本国務大臣 今、委員の方から、司令塔という言葉がありました。司令塔という、いろいろ定義にもよると思うんですけれども、総合調整という点でいうと、やはり原子力委員会には大事な役目が残っていると思っていまして、現在、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野にわたって原子力が活用されているわけですが、関係省庁がそれぞれの分担に従って責任を持って施策を実施しているというのが現状でございます。
法改正後の原子力委員会においては、こういう幅広い分野を対象として、今回、何度も答弁で申し上げましたが、原子力利用の理念となるような分野横断的な基本的考え方はしっかりと示したいと考えておりまして、これに基づいて、関係各省の施策の状況に応じて積極的にかかわることとしていきたいと思います。
きょうも質疑の中で出ておりましたが、例えば、原子力委員会が決定をする、意見を言う、これをいかに反映させていくのかという点については、きちっと関係省庁にその方針についてのヒアリングをする、状況を把握してフォローアップするということが大変大事だというふうに思っております。
○村上(史)委員 明確に役割は終わったというわけではない、新たな役割があるんだ、重要な役割があるんだということでございますけれども、報告書を引用させていただきますが、報告書の中で、今後は、新しい委員会は、原子力利用の推進を担うのではなく、原子力に関する諸課題の管理、運営の視点から活動をすべきだという指摘をしておられます。
政府におかれましては、この指摘とは別に、原子力の利用、あるいは、原発の再稼働並びに推進の立場は変わらないと思います。
本来、この原子力委員会は、原子力基本法のもとで三十一年に設置をされました。そういう背景の中で、今回の原子力委員会は、原子力利用の推進を担うのではなくという指摘があるように、今後は、その推進の役割をどの組織が担うのか、お尋ねをしたいと思います。
○山本国務大臣 原子力政策に関する重要事項については、関係行政機関の緊密な連携のもとでこれを総合的に検討するということを目的とした原子力関係閣僚会議というものが今開かれております。さらに言うと、原子力関係閣僚会議には原子力委員長が出席者の一人として参加をしておりまして、昨年十二月に開催された第一回の会合では、福島第一原発事故の除染、廃止措置の確実な推進等について発言を行いました。
加えて申し上げますと、現在、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野にわたって原子力が活用されているわけですが、もう一回申し上げますけれども、関係各省がそれぞれの分担に従って責任を持って政策を実行しているということで、内閣府が関係各省の事務の調整を行う、こういう形でございます。
○村上(史)委員 よくわかります。大臣は、いわゆる原子力委員会の推進の役割云々のところはちょっとごまかしておられて、ほかのところについては、関連性の中でさまざまな意見を反映させたりということで、全体としての原子力政策には大きくかかわっていくんだということはよくわかります。
ただ、報告書の中の指摘については大臣のお答えは触れておられませんけれども、報告書を前提にしてちょっとお話をさせていただきたいんです。
この新委員会、改めて申し上げますと、原子力利用の推進を担うものではないということを言いながら、核燃料サイクル政策については、実施に責任を持つ省庁と異なる立場で技術オプションの評価等を行う意義がある、こういうふうに指摘をしておられます。これは、現実的には原子力利用の推進の役割を担うことにならないのかというふうに思うんです。
といいますのは、核燃料サイクルの政策を進めていくためには、原子力の稼働、推進が前提であるはずです。これだけが単体であるわけではないということを考えるならば、結果として、核燃料サイクルの政策を進めることで推進の役割を担うことになるのではないかという疑念があるんですけれども、その点について見解をお伺いしたいと思います。
○山本国務大臣 今委員の方から言及のあった、昨年の原子力委員会の在り方見直しのための有識者会議報告書において、省庁横断的な課題、長期的な取り組みとなる放射性廃棄物の処理処分を中心とした核燃料サイクル政策等については、関係省庁との役割分担のもとで、見直し後の原子力委員会が実施に責任を持つ省庁とは異なる立場で技術オプションの評価等を行う意義がある、こういう見解が示されております。
放射性廃棄物の処理処分については、原子力利用を推進するか否かにかかわらず、引き続き重要な課題であるというふうにもちろん認識をしておりますので、原子力委員会としては、実施官庁における検討状況を注視し、省庁横断的な課題に取り組んでまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 それでは、引き続きまして、新委員会の役割として、プルトニウムの利用、管理のことでお伺いをしたいと思います。
報告書では、プルトニウム利用、管理の透明性の向上のための取り組みは、今後とも重要な事務の一つであるというふうに位置づけております。一方、海外のプルトニウムの保管量の確認は、国内プルトニウムの保管量の把握とあわせ、原子力規制委員会が原子炉等規制法に基づく報告を徴収することなどにより、法的根拠を有したものとすることが望ましいと指摘をしております。
原子力規制委員会との連携、関係を含めて、プルトニウムの利用、管理について今後どのようにされるのか、御見解を伺いたいと思います。
○山本国務大臣 プルトニウムの利用目的の妥当性とか、あるいは将来のプルトニウム利用計画については、原子力利用に関する政策を所掌事務としている原子力委員会においてこれまで確認してまいりました、これは御存じだと思いますが。こういう経緯もありまして、法改正の後でも原子力委員会がこれを行うことが適切だろうというふうに考えております。
また、法改正後の原子力委員会において、原子力規制委員会の独立性は当然尊重しつつ、プルトニウムの利用、管理の透明性を向上するために、必要に応じて密な情報交換等を行う、これも私は必要だというふうに考えております。
○村上(史)委員 それでは次に、組織の見直しについて、何点かお尋ねをしたいと思います。
新委員会では、委員のみで十分な多様性、専門性が確保できない場合は、参与及び専門部会を活用するのが望ましいとございます。
今までも専門部会はあったと思いますけれども、今後の人員の確保を含めて、その活用についてどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。
○山本国務大臣 近年、原子力委員会において、専門的事項について、外部有識者を交え議論する必要がある場合には、専門部会を設置して対応してまいります。参与については、活用しておりません。
もう少し参与の活用について言うと、いろいろな経緯があってこれまで参与を活用していないわけですけれども、将来的には、これから原子力委員会、先ほどからいろいろ御議論が出ておりますけれども、五人を三人にするという中で、原子力の平和利用についてのいろいろな仕事に支障がないように、これをきちっと進めていく中では、参与の活用も一つの検討課題だというふうに思っております。
○村上(史)委員 ありがとうございます。
それと、新委員会は、政権や大臣から独立した立場を保つよう配慮すべきという指摘もございます。今後、新しい委員会の独立性をどのように担保していかれるのか、お尋ねしたいと思います。
○山本国務大臣 原子力委員会が自主性を持って活動するということは、大変重要だというふうに思っております。
他方、政策を実施するのは内閣の責任ですので、両者の間でそごが生じないように意思疎通を図ることも極めて重要だというふうに思います。
担当大臣としては、原子力委員会の考え方を尊重しつつ、重要な政策が着実に実施されるように取り組んでまいりたいと考えております。
○村上(史)委員 今の御答弁は、もちろん、担当大臣でいらっしゃいますし、内閣が現実に執行していく、行政をつかさどっていくという意味においては、全くかかわりがないというわけではないと思います。
それは十分理解できるんですが、独立性を保つというところが、今大臣の御答弁の中にはちょっと含まれていなかったのではないかなと思うんですが、もう一度お願いいたします。
○山本国務大臣 自主性を持って活動することは重要だ、こういう言葉の中に十二分に私の意図は伝わっているんじゃないかと思います。
○村上(史)委員 わかりました。もうそれ以上は申し上げません。
また、報告書によりますと、新委員会が再び原子力村にならないための事務局体制について、三点ほど指摘をされております。
まず、利害関係者からの出向は原則禁止をする、また、利害関係者が新委員会の業務に参画する場合は、組織的に分離した状態での参画を原則とする、また、原子力関係の独立行政法人であっても、利害関係者としての側面を持つ場合には、原則受け入れを禁止すべきだと指摘をいたしておりますけれども、これに対する御見解と、そして、この指摘に対する担保はどういうふうにしていかれるのか、お尋ねをしたいと思います。
○山本国務大臣 この原子力委員会の見直しが始まった経緯を考えれば、今委員がおっしゃったように、新しくスタートをする原子力委員会の運営が透明に行われる、国民からの信頼をしっかりと取り戻すためにも、透明に行われるということは非常に大事だというふうに思っております。
有識者会議の報告書では、今委員からも御指摘ありましたが、事務局のあり方について、事務局職員には、電気事業者、原子力機器メーカーなどの利害関係者からの出向は原則として認めない、こういう方向が出されております。事務局には、これも委員御存じだと思いますが、本年三月末まで原子力機器メーカー等からの出向者が三名おりましたが、現在、出向者は在籍しておりません。
今後、こうした利害関係者を出向者として認めないよう、必要なルールをしっかりと定めてまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 この指摘を踏まえて、きっちり透明性を図ってルール化をしていくという中でそれを実現していきたい、そういうふうに理解をいたしました。
それでは、法案関係では最後になりますが、今回、原子力委員会の委員を五名から三名に減員するということになっております。大きな要因として、所掌事務の減少、いわゆる仕事の量が減ってきたということだと思うんですけれども、ただ、先ほど来大臣も何度も繰り返しておられますけれども、原子力委員会の役割というのは以前と変わらず大変重要だ、事故対応あるいは放射性廃棄物の処理など、重要な課題をつかさどっていくということを何度も強調されておられます。
であるならば、五人から三人に減員するというのは、所掌事務が減ったといえども、その役割を考えるならば、本当にそれでいいのかどうか、減員、削減をする理由、その妥当性というものをやはり明確にしていただきたいなというふうに思います。
○山本国務大臣 委員も御存じのとおり、原子力委員会の役割は時代の変遷とともに変わってまいりました。業務自体は縮小してきたと思いますが、ですから、時代とともに大きく変化をしてきたと言った方がいいかもしれませんけれども、法改正後は、平和利用、放射性廃棄物処理処分等の課題に重点化をしていく、こういうことにしております。
一方で、従来の原子力政策大綱のような、網羅的で、かつ詳細な計画は今後作成をしないことにしまして、形骸化している事務等は廃止縮小するということにいたしました。しかしながら、きょう、答弁で何度も出ているように、やはり総合調整を担う組織としての重要性に鑑み、基本的な考え方、これはきちっと定めさせていただいて、原子力委員会としての方針はしっかり打ち出していきたいというふうに考えております。
今後の委員会の運営に当たっては、求められる役割を果たすために、従来の原子力委員会と同様に、重要な政策課題の審議には専門部会等を活用する、各分野の専門家にも参画をしていただくことを考えておりまして、三人で求められる役割を果たすことができるというふうに考えておりますし、きょう、何度か、この人数の点についてはいろいろな御指摘もありましたので、これから新たな原子力委員会が役割を果たしていくために支障が生じないように、きちっとした体制を組んでまいりたいというふうに思っております。
委員は三人ということですけれども、それぞれ、特定分野の代表という側面ばかりでなく、高い見識に基づいて、より幅広い視野に立って活動していただく、このように考えております。
○村上(史)委員 ありがとうございます。
委員の数だけではなくて、専門部会等も含めて総合的に役割を果たしていきたいという御答弁だと思いますので、今後とも、原子力委員会が十分国民の期待に応えられるような役割を担っていただきたい、そのことをお願い申し上げて、法案関係については終わらせていただきたいと思います。
それでは、福島第一原発の現状について何点かお伺いをしたいと思います。
これもちょっと復習の意味がございますけれども、福島原発の廃炉作業を含めて、事故対応について、新しい委員会は今後どのような役割を担っていくのか、もう一度大臣にお尋ねをしたいと思います。
○山本国務大臣 今御指摘のあった福島第一原子力事故への対応については、原子力委員会のもとに東京電力株式会社福島第一原子力発電所中長期措置検討専門部会というものを設置して、中長期の取り組みに必要な研究開発課題の道程とか、あるいはその解決に向けた取り組みの分担のあり方等を取りまとめて、政府の中長期ロードマップの作成に寄与いたしました。これは以前のことですけれども、そういう形で寄与してまいりました。
法改正後の原子力委員会においても、福島原子力発電所事故に関する課題はもちろん重要であると考えておりまして、必要に応じて専門部会を設置して検討を行う、こういったことを通じて、引き続き求められる役割をしっかりと果たしてまいりたいと思っております。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
まさに原発はまだ事故収束に向けての進行中でございますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
それでは、汚染水対策を含めた廃炉作業の現状について御説明をいただきたいと思います。
○磯崎大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。
東京電力福島第一原発の廃炉・汚染水対策につきましては、世界にも前例のない非常に困難な事業ということでございますので、東京電力、事業者任せにせずに国が前面に出ていく、そういうスタンスで臨んでおるところでございます。
汚染水対策につきましては、昨年の九月に原子力災害対策本部で基本方針というものを決定いたしまして、そのときに、緊急対策と、あるいは今後一年から二年に対しての抜本対策、こういったものを取りまとめておりますし、また、昨年の十二月には、いわゆる予防的、重層的な対策ということで追加対策もまとめさせていただいているところでございます。
これら全てを通じまして、基本的な方針としましては、まず汚染源を取り除くということ、そして汚染水に水を近づけないということ、そして、三点目は汚染水を漏らさないという、この三つの方針で取り組みを進めております。
また、汚染水を取り除くという対策につきましては、いわゆるALPSと言われております多核種除去装置、これを今稼働しておりまして、汚染水の浄化を実施しております。今、三系統ございますけれども、東京電力の方でも同施設の増設を決定しておりまして、ことしの秋に向けまして、その稼働の準備を進めているところでございますし、また、国としましても、より高性能な多核種除去装置、この導入を、年度内の稼働を目指して今、開発を進めているところでございます。さらに、貯水タンク内の汚染水の早期浄化を目指していくという、これがまず取り除くという対策でございます。
二つ目の近づけないという対策では、今月に入りまして、二十一日でございますけれども、地下水バイパス、この運用を開始いたしまして、既に二回にわたりまして排水を実施しているところでございます。平成二十五年度の予備費及び補正予算で三百十九億円を手当てしております凍土遮水壁、これにつきましては、来年春ごろの運用開始を目指して今、工事を実施しております。
そして、三点目の漏らさないという点につきましては、海側におきます水ガラス、これはことしの三月に工事を完了しておりますし、また、海側の遮水壁につきましては、九月からの運用開始に向けまして、今、工事を進めております。さらに、タンク、これは、ボルト型のタンクから、漏えいリスクの少ない溶接型のタンク、これへの置きかえを今進めているというところでございます。
もう一つの廃炉につきましては、中長期のロードマップに従いまして今進めているところでございまして、昨年十一月から、四号機のいわゆる使用済み燃料プールの燃料取り出し作業を開始しておりまして、既に六割程度取り出しを完了しているというところでございます。また、三号機におきましても、使用済み燃料プール内の大型瓦れきの除去等を実施しまして、来年度上半期から取り出しを目指しているということでございます。
いずれにしましても、やはり、この作業といいますのは、なかなか過去に例を見ない、技術としても確立をしていないものでございますので、国内外からの英知を結集するという意味でいろいろ公募等も実施をしておりまして、汚染水に関する検証事業につきましては三月から公募を開始しておりますし、また、廃炉の代替工法、今、水につけておりますけれども、例えば空冷といった、そういった代替の工法につきましての検証事業の公募も六月ごろに予定をしているということでございます。
こういったもので、廃炉・汚染水の対策の円滑な実施に向けまして、全力を向けて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○村上(史)委員 昨年、安倍総理がオリンピックの招致の演説の中で、アンダーコントロールということで、国が前面に出て汚染水対策をして、安全な日本である、そういう日本でオリンピックを開催できるようにということで、肝いりでやっておられることは承知をいたしております。
ただ、この汚染水も、一生懸命やっておられるのはわかるんですが、よくトラブルがあるということで、ALPSの問題も、先ほど質疑もございましたけれども、再三トラブルを起こすということで、一概に順調に進んでいるというわけでもないと思います。そういう面で、この水対策というのは本当に大変難しい取り組みだと思っておりますので、この問題については、細心の注意を払いながら、なおかつ有効に対策ができるように、今後とも努力をしていただきたいというふうに思います。
実は、私は凍土方式の遮水壁の問題を質問する予定でございました。先ほど、笠井委員の方から同趣旨の質問がございました。いわゆる地下水を遮水することによって原子炉建屋の下の地盤が沈下するのではないかという危険性を指摘する専門家がいるけれども、どうなんだということをお聞きするつもりだったんですが、もうお答えをいただきましたのであえていたしませんけれども、確認の意味で、技術的に、理論的に大丈夫だという論拠をお示しください。
○糟谷政府参考人 五月二十六日の原子力規制委員会の特定原子力施設監視評価検討会で御説明を申し上げております。
例えば、福島第一原発、これは、建屋が設置されている支持基盤でございますけれども、本来の地盤を約四十メートル程度切り土した岩盤でございます。つまり、四十メートルの厚さの土がずっと乗って、それだけ圧縮をしていたということで、過去に十分な荷重を受けておりまして、支持力は建屋の荷重に対して十分な安全性を有しているということをまず御説明しております。
加えて、非常に保守的な条件で、沈下量、どれぐらい沈み込むかということを計算いたしまして、その際に、沈下量が均一じゃないことによって、不等沈下といいますけれども、建屋が傾くのではないか、これを非常に保守的な条件で計算いたしましたところ、最大でも一万分の一程度である。これは、原子力規制委員会の審査ガイドで二千分の一以下であるべきだ、それから日本建築学会で五百分の一から千分の一までにとどめるべきだ、こういう目安値と比べましても十分な余裕があるということ、こういったことをお示しいたしまして、この特定原子力施設監視評価検討会の場で、地盤沈下の説明について一定の理解が得られたということでございます。
○村上(史)委員 ありがとうございました。
私は専門家ではないので、これ以上突っ込む材料がないんですけれども、そうならないように祈っております。
最後に、作業員の確保についてお尋ねをしたいと思います。
今、事務方にお聞きしますと、常時三千名が必要であるけれども、それ以上の人数を確保しているので、当面、作業員が足らなくなるということはないということは伺っておりますけれども、ただ、人為的なミスが重なるということが今までもございました。いわゆるヒューマンエラーです。これは、単に作業員の数が確保できたからということではなくて、いわゆる作業員の技能の低下ということ、初心者がそういう工事をやっているケースが多いのではないかというふうに言われています。
年間被曝量の関係もあって、熟練した人がすぐに復帰できないということもございます。また、今後、東京オリンピックあるいは東北の復興全体の作業が、建設が佳境に向かっていく中で、作業員の確保も難しくなるのではないかという指摘もございます。今後の福島第一原発の作業員の確保についてどのように対策をとられているのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
○磯崎大臣政務官 お答えをいたします。
廃炉・汚染水対策は、非常に高い放射線のもとで、非常に過酷な労働条件のもとで高度な技術を要する作業が必要ということでございますので、その人材を確保していくためには、やはり専門性の高い人材がモチベーションを持てる、そのような労働環境のもとで作業していく、そういう状況をつくっていくことが必要だろうというふうに思っております。
これにつきましては、既に、炉の設置主体であります東京電力の方で、例えば、放射線量を低減させるでありますとか、あるいは安定して働ける雇用環境を整備する、そういったことに取り組んでいただいておりますけれども、私ども政府としましても、例えば、今、東京電力の方で、中長期的にやはり人員を確保するということになりますと、随意契約の形式をとる、そういうことも対応していただいておりますので、こういったことにつきまして、私どもも非常に重要なことだろうというふうに思っております。
昨年九月に設置をいたしました、赤羽副大臣を議長とします廃炉・汚染水対策現地調整会議におきましても、こういった工程の管理をしますとか、あるいは、労働環境の整備につきましては、現地事務所で関係企業にヒアリングを行ったりするということで、東京電力さんに対しまして、作業員の要望等をきちんと把握して、労働環境改善の反映につなげていくような、そういったことも我々としてもやっていきたいというふうに思っております。そのことによって、きちんと人材の確保につなげてまいりたいというふうに思っております。
○柴山委員長 村上君、質疑時間が終了しました。
○村上(史)委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
○柴山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○柴山委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。赤嶺政賢君。
○赤嶺委員 私は、日本共産党を代表して、原子力委員会設置法改正案に反対する討論を行います。
本法案は、原子力委員会の権限を削減し、その役割を再編するもので、新たな原子力推進体制の再構築の一環をなすものであります。
政府は、今回の法改正の背景として、東電福島第一原発事故等による原子力をめぐる環境変化等を踏まえ、原子力委員会の役割について抜本見直しが必要となったと説明しています。
しかし、ここには、一九五六年に原子力基本法、原子力委員会設置法が施行され、その後、原子力委員会が我が国の原子力政策の中核にあって、役割の変遷を経ながらも、原発推進の安全神話を振りまき、今回の重大な事故を招いたことへの深刻な反省がありません。
山本担当大臣は、昨年七月、原子力委員会の在り方見直しのための有識者会議の第一回会合において、原発再稼働方針を明記した日本再興戦略に言及し、エネルギー基本計画において中長期的なエネルギー政策の方向性を明らかにする方針であると述べた上で、その方針のもとで、原子力委員会の役割を見直すことが必要と述べています。
エネルギー基本計画は、原発を重要なベースロード電源と位置づけ、国が前面に立ち、再稼働を進め、輸出を推進するものであり、今後も原発を使い続けることを宣言したものにほかなりません。
この原発推進の方針のもとで、これまで原子力委員会が策定してきた原子力政策大綱を廃止し、既に形骸化しているとして、原子力委員会の事務の廃止、縮小を法案に盛り込んだのであります。これは、既に、新たな原発推進体制が再構築され、進行していることに合わせて原子力委員会を再編するものにほかなりません。到底容認できません。
以上、反対討論といたします。
○柴山委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○柴山委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、原子力委員会設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○柴山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○柴山委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、平将明君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会及び公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
原子力委員会設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 東京電力福島第一原子力発電所事故の収束に向けて、放射性物質による影響の軽減・解消を図るための取組や廃炉に向けた研究開発等を強化すること。
二 エネルギー基本計画(平成二十六年四月十一日 閣議決定)を踏まえ、原子力委員会は、原子力損害賠償制度の見直しや、高レベル放射性廃棄物の最終処分を含む核燃料サイクル政策の在り方など、原子力政策全体について早急に検討すること。
三 東京電力福島第一原子力発電所事故等により原子力行政に対する国民の信頼が大きく低下することとなったことから、国民の信頼醸成に向けて、公正な政策決定プロセスの設計等に努めること。また、原子力委員会及び事務局の運営に当たっては、利害関係者との関与について国民の疑念を招かない措置を講ずるなど、透明性の確保に十分に留意すること。
四 原子力委員会及び原子力規制委員会は、互いの動向や問題意識を理解するため連携体制を構築すること。
五 原子力委員会は、国際原子力機関(IAEA)を始め諸外国の関係機関との連携強化を図り、世界の原子力平和利用と核不拡散への貢献に努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○柴山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○柴山委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山本国務大臣。
○山本国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○柴山委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○柴山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○柴山委員長 次回は、来る六月四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時十七分散会