第2号 平成26年10月15日(水曜日)
平成二十六年十月十五日(水曜日)午前八時三十分開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君
理事 平口 洋君 理事 近藤 洋介君
理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君
青山 周平君 石川 昭政君
越智 隆雄君 大岡 敏孝君
鬼木 誠君 勝俣 孝明君
川田 隆君 小松 裕君
新谷 正義君 助田 重義君
鈴木 馨祐君 田所 嘉徳君
田中 英之君 田畑 毅君
高木 宏壽君 豊田真由子君
中谷 真一君 中山 展宏君
山田 美樹君 湯川 一行君
吉川 赳君 泉 健太君
大島 敦君 郡 和子君
福田 昭夫君 河野 正美君
山之内 毅君 國重 徹君
輿水 恵一君 濱村 進君
杉田 水脈君 松田 学君
三谷 英弘君 佐々木憲昭君
畑 浩治君 村上 史好君
…………………………………
国務大臣 松島みどり君
国務大臣
(内閣官房長官)
(沖縄基地負担軽減担当) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長)
(海洋政策・領土問題担当) 山谷えり子君
国務大臣
(再チャレンジ担当)
(クールジャパン戦略担当) 山口 俊一君
国務大臣
(女性活躍担当)
(行政改革担当)
(国家公務員制度担当)
(消費者及び食品安全担当)
(規制改革担当)
(少子化対策担当)
(男女共同参画担当) 有村 治子君
国務大臣
(経済再生担当)
(社会保障・税一体改革担当)
(経済財政政策担当) 甘利 明君
復興副大臣 浜田 昌良君
内閣府副大臣 西村 康稔君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 福井 仁史君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 武藤 義哉君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 渡辺 一洋君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 前田 哲君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 谷脇 康彦君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 佐々木裕介君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 北村 博文君
政府参考人
(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 菊地 和博君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 笹島 誉行君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 武川 光夫君
政府参考人
(内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官) 道上 浩也君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 樹下 尚君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 丸山 淑夫君
政府参考人
(総務省統計局長) 井波 哲尚君
政府参考人
(外務省大臣官房長) 上月 豊久君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 河野 章君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 下川眞樹太君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 伯井 美徳君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 福本 浩樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 木下 賢志君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 藤井 康弘君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 富田 健介君
参考人
(日本銀行理事) 雨宮 正佳君
内閣委員会専門員 室井 純子君
―――――――――――――
委員の異動
十月十五日
辞任 補欠選任
大岡 敏孝君 石川 昭政君
鬼木 誠君 田畑 毅君
川田 隆君 湯川 一行君
濱村 進君 國重 徹君
畑 浩治君 村上 史好君
同日
辞任 補欠選任
石川 昭政君 大岡 敏孝君
田畑 毅君 鬼木 誠君
湯川 一行君 助田 重義君
國重 徹君 濱村 進君
村上 史好君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
助田 重義君 川田 隆君
―――――――――――――
十月十五日
国民経済及び国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案(第百八十六回国会衆法第一九号)の提出者「玄葉光一郎君外七名」は「玄葉光一郎君外八名」に訂正された。
総合的な行財政改革を推進するための基盤の整備に関する法律案(第百八十六回国会衆法第三四号)の提出者「前原誠司君外六名」は「前原誠司君外七名」に訂正された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事雨宮正佳君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官福井仁史君、内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣審議官渡辺一洋君、内閣官房内閣審議官前田哲君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長菊地和博君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官笹島誉行君、内閣府政策統括官武川光夫君、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官道上浩也君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長樹下尚君、総務省自治行政局公務員部長丸山淑夫君、総務省統計局長井波哲尚君、外務省官房長上月豊久君、外務省大臣官房審議官河野章君、外務省大臣官房審議官下川眞樹太君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、厚生労働省大臣官房審議官福本浩樹君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。
今国会も、前国会に引き続き内閣委員会の理事を務めさせていただくことになりましたので、どうぞよろしくお願いをいたします。
短い臨時国会の会期でありますけれども、充実した質疑を通じて国民の皆さんの負託に応えたい、このように思いますので、閣僚の皆様方におかれましても、しっかりとした御答弁をぜひよろしくお願いしたい、こう思います。
きょうは、所信に対する質疑であります。
まずは、新閣僚となられた松島国務大臣に対してさまざまお伺いをしていきたい、こう思います。
松島大臣、大臣は、政治家になられる前は、朝日新聞の記者として御活躍をされておりました。実は、私、松島大臣と同じ記者クラブで仕事をした経験がございます。随分前のことでございますが、橋本龍太郎通産大臣当時の通産省、現在の経済産業省の記者クラブでございました。当時、松島大臣は、政治部から経済部に移られたか、経済部から政治部に移られたかの時期だったかと思いますが、自民党が政権に復帰したばかりの、当時の自民党の中心人物、キーマンであられた橋本龍太郎大臣の番記者として、大臣への食い込みもすさまじく、大変有名であられました。大活躍をされておりました。当時、日経の名もない新米記者の私のことは多分御記憶もなかったと思います。天下の朝日新聞、しかも、当時は数少なかった女性記者として圧倒的に目立つ存在であられた松島大臣、御活躍であられました。
その記者経験のある大臣に釈迦に説法でありますが、記者会見というのは真剣勝負の場のはずであります。新聞記者は、もちろん記者懇、いろいろな、メモあり懇、メモなし懇、懇談の場というのはさまざまなルールで伺いますが、記者会見というのは、その大臣の発言一つ一つをきちんと、当然、オン・ザ・レコード、最近は動画でも配信される。真剣勝負の場ということは、当然、大臣は、何度も何度も、取材する側、される側、双方を御存じですから、承知かと思います。
そこで、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、一枚目のところであります。
十月十日の記者会見、閣議後の記者会見かと思いますけれども、大臣は、御自身の選挙区内で、我々としては有価物、既にネットオークションでは二千円、三千円の高値がついている、こういうことでありますから、当然有価物となっているこのうちわを配布して、公職選挙法に違反されているのではないかと指摘をされていること、さらには、過去の言動に反して赤坂宿舎に入居しながら週末は都内の御自宅に泊まっていた問題について、いろいろな雑音で迷惑をかけたことは残念だったと述べたと報じられています。
この発言は事実でありますか。どうでしょうか。
○松島国務大臣 お答え申し上げます。
近藤委員から、私の人生の過去についても御説明がございました。
問題の記者会見でございますが、本月十日の記者会見におきまして、私はこのように申し上げました。雑音で迷惑をかけたことは残念などと申し上げたのですが、私自身、本当に恥ずかしながら、私の真意を申し上げますと、本来の閣僚としての職務ではない、私個人の国会議員としての活動や言動について御指摘を受けたこと、そして、そうした指摘に対しての説明が不十分であったことなど、あくまで私自身の至らなさでお騒がせしたという意味で、私が雑音を発してしまったという気持ちで申し述べました。
しかし、後で読み返してみますと、当然、それがあたかも審議中の委員会での御指摘や報道について雑音であるかのような、そのようにとられても仕方がない言葉であったということ、私自身も、近藤委員と同様、新聞記者から政治家へという、言葉をとても大切にしなければいけない仕事を長くしてきながら、本当に悪い、おかしい使い方で誤解を招いて、多くの方々に御迷惑かけたことを非常に反省しております。
○近藤(洋)委員 私も議事録を取り寄せました。大臣の御発言のとおり、いろいろ指摘をされたが、どのような心境で臨まれるかという問いに対して、ありがとうございます、きょう法務委員会で所信挨拶します、これからいよいよ自分の仕事で、いろいろな雑音で御迷惑かけたことは残念でございますが、これからしっかり仕事を進めていく云々、こういう文脈でお話しされているんですね。
ただ、やはり、ここで意外だったのは、この記者会見で、もし大臣が今言ったような話だとすると、御自身の行動に対する謝罪の言葉が一言もなく、ただ雑音ということをおっしゃった。
大臣、朝日新聞の記者を長くお務めになられた方ならば当然御存じだと思いますが、別に大学のレベルで言うわけじゃありませんが、大臣はたしか東大だと思いますので、東京大学を御卒業された方なら当然だと思いますが、雑音という言葉の意味、どういう意味だか、雑音という言葉の意味をお答えいただけますか。これは小学生でも答えられますから。
○松島国務大臣 きれいでない音で、人の心をかき乱したりするような音だと思っております。
○近藤(洋)委員 広辞苑によりますと、雑音、一、騒がしい音、不快な感じを起こさせる音。二、比喩的に、関係者以外から発せられる無責任な発言、意見。これが二としてのあれなんですね。
まさにそうなんですよ。雑音というのは、不快な音であり、かつ、雑音といったときには、関係者以外から言われる無責任な発言、意見として使われる。これは広辞苑にどんと出ています。
言葉を大事にする経験を積まれている人ならば当然知っているはずです、この程度のことは。知らなければうそです、朝日新聞の記者として十数年もやられていたんですから。しかも、一年や二年じゃないですからね、十年以上現場の記者として活動されていたわけですから。
この言葉の意味を捉えれば、どう見ても、大臣のあの発言は、今そう釈明されたけれども、関係者以外からの無責任な意見によって騒がせたというふうにしかとれない。なぜならば、記者会見のときに謝罪をされなかったからなんですね。もし大臣が今おっしゃったようなことであるのだとするならば、きちんと謝罪をすべきだったんじゃないですか、記者会見で。自分の発言で御迷惑をおかけした、こういうことは残念である、関係各位に対して申しわけなかったと思うと。
これは普通に考えて、どういう立場であっても、責任ある立場なら当然出る発言ですが、なぜそういうふうに言えなかったのか。本当に反省していないからじゃないんですか。いかがですか。
○松島国務大臣 御質問は二つあったかと思います。
当然、雑音という言葉の、広辞苑の三つ目で言う他者の発言によって云々という、知っているはずだとおっしゃいました。私は、そのときの自分の発言の中では、その三つ目の項目というのを全く頭に置いておりませんでした。
したがって、このとき申し上げましたのは、いろいろな雑音で迷惑をかけたことは残念だったというのは、私の言動が雑音としていろいろな方々に迷惑をかけて、そして、これから仕事をしていくのに当たって支障があるとしたら残念だ、そういう意味で申し上げました。
でも、本当に、解釈、自分の至らなさ、その言葉遣いの至らなさについては、心から反省しております。
○近藤(洋)委員 なぜこんなことを言うかというと、大臣の、まさに、我々から見ると明らかに有価物であるうちわを配布して、これはうちわでないというふうに言い張ったわけでありますが、そうしたもろもろの問題について、これは国会で指摘を受けている。これは参議院の方で、予算委員会ですね。また、赤坂議員宿舎の問題については、衆議院の議院運営委員会での指摘です。
国会での指摘、しかも国会の堂々たる議論の場での指摘を雑音と切り捨てられてしまったら、これは我々、何のため、国会でこうやって議論をしているのか。どういった方を対象にしていいのか、大臣として我々は松島大臣を認めるわけにいかない、こういうことになってしまうんですね、雑音というふうに切られてしまいますと。こういった我々の国会の議論の積み重ねを、あれは雑音です、無責任な発言ですというふうに言われたら、とんでもない誤解、話なわけであります。
だとするならば、確認ですが、やはりあの発言は撤回し、そして国会に対して、衆議院議院運営委員会における指摘についても雑音ととられたわけですから、衆議院に対してもきちんと謝罪し、撤回する、こういうことでよろしいんですね。
○松島国務大臣 いずれにいたしましても、言葉の使い方が適切でなかった、そして、いろいろな方面に御迷惑をかけたということでありますので、今回の御指摘は重く受けとめております。私の発言の至らなさをおわびした上で、雑音と申し上げたことは撤回させていただきます。
○近藤(洋)委員 菅官房長官、我々からすれば、これはたび重なっているわけですね、問題な発言が。ツイッターでの発言、これも言えば切りがないですけれども、さまざまなこと、また、さまざまな行動も重なっているわけですね。
こうした行動、発言に対して、やはりまずはきちんと注意を促すべきでありますし、少なくとも、内閣として指導するというんでしょうか、注意をするということは当然かと思いますが、いかがでありましょうか。既にされているのでしょうか。
○菅国務大臣 一連のこうした問題につきまして、きのうの閣議後に法務大臣に対して、私の方から、くれぐれも誤解を招くことがないように留意して発言をするようにということを申し上げました。そして、法務大臣は私のその発言に対して、十分理解をし、今後は十分留意してまいりたい、そして緊張感を持って国会に臨んでいきたいということでありました。
○近藤(洋)委員 我々からすると、到底まだまだ納得できない部分がたくさんございますし、恐らく、また法務委員会においてもいろいろな指摘がなされると思います。きちっとチェックをしていきたい、こう思いますし、正直申し上げて、新聞記者松島記者は極めて優秀でありましたが、松島大臣は、今の現状では、国務大臣としての資質については相当疑いがあると言わざるを得ないと現時点で申し上げなきゃいかぬ、こう思います。
では、松島大臣に、具体的に政策についてどこまで見識をお持ちなのかということを伺ってまいりたい、こう思います。
昨日閣議決定されました、十二月十日に施行される特定秘密保護法の運用基準、政省令の改定についてであります。
大臣、国民の知る権利、このことを守ることと、この社会的な意義についてどのように認識をされているか、お答えいただけますか。
○松島国務大臣 いわゆる国民の知る権利につきましては、憲法第二十一条の保障する表現の自由や、憲法のよって立つ基盤である民主主義社会のあり方と結びつくものであるとして、十分尊重されるべきものであると考えております。
○近藤(洋)委員 大臣、またそうやって慎重に答弁だけ、一応丁寧にこちらも通告していますから読まれるのは結構ですけれども、もう少し大臣としてのきちんとした御答弁をいただきたい、こう思いますね。
二ページ目をごらんください。資料の二枚目ですね。これは、朝日新聞社の綱領でございます。
大臣、これはよく御存じですよね。「一、不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す。」等々、時間の関係で全部読むことは差し控えますが、大変立派な綱領です。
朝日新聞の記者は、この綱領を、記者手帳というか、常に肌身離さず持っているんですよ。なかなか立派なことでして、大臣は現役時代、朝日新聞社手帳を持って歩かれていましたか。
○松島国務大臣 いわゆる手帳としての使い方が、余り便利がよくはなかったものですから、携行はしておりません。
○近藤(洋)委員 ああ、やはり持っていないと今のような答弁になるのかもしれませんね。
私の知っている優秀な記者は大概持っていまして、きのうも、何人かの経済部、政治部の記者諸兄に、君、持っているかと聞いたら、はい、持っていますと言って、綱領をわかるかと言ったら、はいと言って。
これだけいろいろなたたかれ方をして厳しい環境にある朝日新聞でありますが、私は、日本のジャーナリズムにとって、やはり朝日新聞という社は大事な社だ、非常にそう思うんです。何といっても、やはり朝日新聞がしっかりしていないと日本のジャーナリズムは背筋が通らないと私は思います。そこは日経出身の私が言っても余り信用されないのかもしれませんが、やはり朝日新聞社というのは日本のジャーナリズムにとって大事な存在で、その多くの新聞記者たちがこの朝日新聞綱領を持ち、携帯、携行している。
そこにあるのは、やはりきちんとした報道をする、国民の知る権利を守ることによって、まさに民主国家というものをきちんとつくっていくんだという一種の使命感に燃えた多くの、これは朝日に限らずですが、読売だろうが産経新聞だろうが、どこでもそうだと思いますけれども、多くのジャーナリストたちの思いなんだろう、こう思うわけであります。
その国民の知る権利が大変懸念を、今回、この運用基準、施行令をめぐってされております。二万件を超えるパブリックコメントの多くが、知る権利を侵害するのではないかという懸念でありましたが、そのパブコメのほとんどが反映をされず、今回決定に至りました。菅官房長官は、会見では、適正を担保する仕組みを確保した、こう発言をされておりますが、本当に実際にその仕組みが運用されるのかどうかであります。
松島大臣、資料三枚目をごらんいただければと思いますが、特にこの場で伺いたいのは、不適正な特定秘密の指定をどう排除するか。何でもかんでも特定秘密に指定してしまう、どんどんどんどんこれが広がってしまうということをどう排除するかということで、今回創設されたのが通報制度であります。
これは政府の紙でありますけれども、政府の通報制度として内閣府独立公文書監というものが設けられることになっておりますが、内部通報は秘密を指定した行政機関への通報が原則とされています。
大臣、ここでなんですけれども、そもそも、指定した行政機関に対してそれはおかしいと通報するというのは、これは例えて言うならば、まさに、泥棒に、あなたは泥棒だ、こういうふうに通報しているのに等しいわけであります。自分が指定しているのに、それは不正だというふうに行政機関に言うわけですから、泥棒に、あなたは泥棒だと言っているのに等しいわけであります。
これでは全くもって実効性はない。なぜこのような制度設計をしたのか理解に苦しみます。なぜ独立公文書監に一元化しなかったのか、お答えいただけますか。
○松島国務大臣 運用基準では、不適切な特定秘密の指定等が行われていた場合の通報先について、まず各行政機関に通報することになっておりますが、これは、指定の必要性や理由について承知しているなど専門的な知見があり、通報に適切な対応をすることができる。そして、不適切な指定等があった場合には指定の解除等の措置を迅速に行うことができる。こういった点から、第一次的には各行政機関の窓口へ通報することとしております。
他方で、通報者が直接その行政機関内部の通報窓口に通報すれば不利益な取り扱いを受けると信ずるに足る相当な理由がある場合などには、各行政機関への通報を経ることなく、直接内閣府独立公文書管理監に通報できることとしております。
なお、運用基準におきましては、通報者の個人情報等を漏らしてはならないこと、通報したことを理由として通報者に不利益な取り扱いをすることのないようにしなければならないことなど、通報者の保護に万全を期すこととしているものでありまして、各行政機関の長への通報についても有効に機能するものだと考えております。
○近藤(洋)委員 全く理由になっていないですね。専門性があるから行政機関に、そういうことを言うわけですけれども、要するに、これが特定秘密である必要はないということをチェックする機関として管理監があるわけですから、チェックする機関に対して通報しないで、自分が通報した人に対して通報しても何の意味もない。答えになっていないと思うんですね。
しかも、大臣、この五ページ目を見ていただければと思うんですが、これは政府の資料ですけれども、いろいろ通報のルールを書いていますけれども、五ページ目の(カ)、行政機関の長は、特定秘密の提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められないとして、要するに、著しい支障が認められるときは求めに応じない、求めに応じないときはこの公文書管理監に説明しなければならないと書いているわけで、要するに、ここでも、著しい安全保障上の問題があるときは、独立公文書監にも資料の説明なり立入検査に応じない、こういうことを書いているわけですね。
したがって、行政の長が勝手に、これは著しい安全保障上の問題があると言ったら、この公文書監というのは政府内の組織ですよ、政府内の組織に対しても情報を開示しない、こういうことになっていますから、全くもってお手盛りの組織じゃないですか。これでどうやってチェックを担保するんですか。お答えいただけますか。事実上、チェック不能なんじゃないですか。
○松島国務大臣 答弁いたします。
今委員は、内閣府独立公文書監の独立性というか力というか、そういうものについての疑義をおっしゃったかと思うのですが、しかし、運用基準の中におきまして、各行政機関が内閣府独立公文書管理監等からの提供の求めに応じない場合には、その理由を疎明しなければならない旨を規定しております。その理由の妥当性も内閣府独立公文書管理監により確認がなされるため、特定秘密の漏えいのおそれがないにもかかわらず内閣府独立公文書管理監に特定機密が提供されない場合は極めて限定される、そのように考えております。無軌道にはならないと考えております。
○近藤(洋)委員 何で極めて限定されるんですか。だって、説明さえしてしまえば終わるわけじゃないですか。ほかに何も担保もないんじゃないですか。根拠を示してくださいよ。
○松島国務大臣 このたび内閣府に設置することにしました独立公文書管理監につきましては、内閣府本府組織令という政令におきまして、独立した公正な立場において検証、監察等の事務を行うことを明記してあります。また、運用基準におきましても、行政機関の長に対する資料要求、実地調査、是正要求などを定めており、特定秘密の指定等を十分にチェックするために必要な権限が与えられております。
したがって、独立公文書管理監は、必要な検証、監察等の事務を効率的、実効的に行うことができる立場であると考えております。
○近藤(洋)委員 根本を御理解していないんじゃないですかね、大臣。
組織令を見ると、そもそもこの独立公文書管理監は、命を受けて職務に従事すると規定されているんですよ。いいですか。命を受けて、内閣の命を受けてとされている。そうすると、この指揮監督権は内閣総理大臣にあり、そこでどこまで独立性が担保されるんですか、最終的に。
では、人事権は誰が持っているんですか。人事権で担保されるんですか。言うことを聞かなかったらすぐ首にされるような立場なんじゃないんですか。どういう方を想定されているんですか、独立公文書管理監は。
○松島国務大臣 内閣府独立行政官の人事発令につきましては、今後、十二月十日の施行までに内閣総理大臣がしかるべき人を任命されると考えております。
○近藤(洋)委員 いや、しかるべき人じゃなくて、要するに、政府の中の職員から、どういったクラス、審議官級なのか、局長級なのか、どういうクラスをイメージされているんですか、大臣として。担当大臣としてお答えください。
○松島国務大臣 政府の職員の中からとりあえずは審議官級の人を選ぶことになっております。
○近藤(洋)委員 大臣、それで独立性が担保できるんですか。大臣、よく御存じでしょう、経済部におりましたし、政治部もいたし。当時問題だったのは日本銀行の独立性で、きょうは雨宮理事もいらっしゃいますけれども、日本銀行がいろいろな形で大変な状況だったのを、独立性が担保できたのはなぜか。国会の同意人事だったからですよ、要するに、何だかんだいって。
国会の同意人事だから独立性が担保できた歴史は、大臣、御存じですよね、うなずいておられるから。その歴史を御存じだとするならば、独立行政管理監も本来なら国会の同意人事にすべきじゃないですか。いかがですか。そうあるべきだと思いませんか。
○松島国務大臣 独立公文書管理監は、公務員としてこれまでもそういった特定秘密の前身に当たるものなどを知っている人が望ましいと考えられております。
そしてまた、権限がないということをおっしゃいますけれども、そうではなくて、独立公文書管理監の事務や各行政機関との関係は運用基準の中に明記されております。これは、各行政機関の長に対し、資料の提出または説明を求め、または実地調査することができる。そして、検証、監察の結果、必要なときは是正を求めることができる。行政機関の長は、特定秘密指定管理簿の写しの提出、特定秘密の提供、年一回の報告をするということになっております。
この運用基準は閣議で決定したものですので、各行政機関の長はこれに従わなければならない、そういった中での独立公文書管理監の位置づけというのがされているわけでございます。運用基準によって、独立公文書管理監による検証、監察は厳正、確実に行うことができることになっております。
○近藤(洋)委員 大臣、聡明なはずの大臣、松島さんですが、どこまで御理解して答弁されているのか疑問ですね。
では、もう一件伺いましょう。この運用基準では、恣意的運用、拡大解釈をした場合の罰則はどのように規定をされていますか。特定秘密の指定に関して恣意的な運用を、指定した場合の罰則はどのように設定されていますか。
○松島国務大臣 仮に指定の要件を満たさない情報を特定秘密の指定にするようなことがあれば、その指定をする際の決裁文書は内容が虚偽の公文書に当たることから、違法性を認識しつつ、その決裁文書を作成した者や、その手続に関与した者等は、刑法で定める虚偽公文書作成の罪、これは懲役一年以上十年以下でありますから重い罪です、に問われ得ることになっております。
○近藤(洋)委員 法務大臣も兼ねていらっしゃいますからよくおわかりだと思うんですけれども、今回の特定秘密の秘密漏えい罪は懲役十年以下ですね。今回おっしゃったものが全て、では、恣意的運用、拡大解釈の場合に全て適用されるんですか。公文書偽造罪なるものが全て適用されるんですか。
○松島国務大臣 ポイントは、決裁文書に虚偽が書かれているかどうか、虚偽を書いて公文書として決裁文書をつくって、それを理解していない人に判こを押してもらったような場合になります。
○近藤(洋)委員 ですから、私が聞いたのは、全て入るか入らないかというと、そうすると入らないんですよ、要するに。拡大運用、恣意的な運用は、虚偽の決裁をつくったかどうか、そこがポイントであって、極めて限定的なんですよ。それだけで全て恣意的な運用が対象になるかというと、それだけじゃないでしょう、大臣。全てが当てはまらないんじゃないですか。恣意的な運用、拡大解釈の全てが当てはまらないんじゃないですか。
○松島国務大臣 指定について恣意的であるかということを聞かれましたので、指定が恣意的であった場合は、その文書をつくった人はそういう罪に当たるということを申し上げました。
○近藤(洋)委員 では、拡大解釈はどうですか。
○松島国務大臣 今回の運用基準などの定めでも、拡大解釈をしてはいけないということになっております。別表の四分野でいろいろ決めた、そして細目も五十五決めた、あの中のものに当てはまるものしか指定することはできません。
○近藤(洋)委員 だから、聞いているのは、では、拡大解釈は懲役十年以下になるのかということを聞いているんです。ならないんじゃないですか。
○松島国務大臣 拡大解釈というのがどういう場合かに応じまして、そして、違法な指定であるかどうか。拡大解釈をした指定はもちろんいけないわけですけれども、その指定の中に違法な事実とか違法の隠蔽が含まれているとか、そういった場合だとか、ケースによっていろいろな状況があると考えられます。
○近藤(洋)委員 だから、グレーゾーンが多いんですよ、要するにそこは。ここの部分は、必ずしもそう簡単じゃないんですよ。
何を言いたいかというと、グレーゾーンでどんどん拡大解釈されるわけですよ。そういう部分と、片っ方は懲役十年で厳しく罰して、片っ方はそうでない。公平性を欠くんじゃないですか。
○松島国務大臣 申し上げたいのは、拡大解釈というふうに委員がおっしゃるんですが、拡大解釈というのも、何をどのように拡大していて、それがどこまでのものかということが一概に言えませんので、個別の想定についてはお答えしかねます。
○近藤(洋)委員 この問題は、だから非常に多くの国民の方が懸念をしているんですね、ここの部分について。ジャーナリズムからも懸念の声が絶えないんですよ。
本来、こんなものを施行令、運用基準で変えていいのか。官房長官、これは自民党の中でも相当議論があったと聞いていますけれども。松島大臣は自民党総務会に御出席されているのかどうか知りませんけれども、大変な議論があったというふうに伺っております。
これは、与党の中でも相当な議論があった問題ですよ。そもそも施行令で決めていいのか。我々は、やはりある程度、法律事項も相当含まれるんじゃないか、こう思うわけでありまして、十二月十日に間に合わせなきゃいけないということでとにかくここはつくられたわけでしょうけれども、官房長官、いかがでしょうか、この運用基準等、五年以内というふうにおっしゃいますが、早目に見直すということを政府内で指示された方がよいのではないか。与党の中でもいろいろ議論があるやに聞いておりますので、いかがでしょうか、官房長官。
○菅国務大臣 与党の中で議論があったというのは事実ですけれども、しかし、自民党は、その総務会で、決められた手続に従って粛々と議論をして、審議会として了解をされたというふうに聞いています。
○近藤(洋)委員 この問題は大変多くの問題をはらんでいるということをまず申し上げて、引き続き松島大臣と議論をしたい、当局としたい、こう思います。
日本銀行の雨宮理事に来ていただいておりますが、経済運営について今度はお話を伺いたいと思います。
資料の六枚目に新聞記事を添付しておりますが、十月八日付の日経新聞の記事で、黒田日本銀行総裁、金融政策決定会合後の記者会見で一ドル百十円に迫る円安は景気にむしろプラスだと強調した、こういうふうに報じられております。
しかし、行き過ぎた円安というのは、むしろ私は日本経済にとってデメリットの方が大きい。特にこの一ドル百十円台という水準は、今の日本経済の現状を考えますと、エネルギーの部分、相当心配でございます。電力会社も値上げを申請し、二巡目に入ろうとしていますね。こういう状況の中で今の円安というのは非常に私は行き過ぎた感があると思いますが、黒田日銀総裁のこの円安はむしろプラスというのは一体どういう御認識なのか、日本銀行、お答えいただけませんか。
○雨宮参考人 お答え申し上げます。
特定の為替相場の水準について具体的にコメントを申し上げますことは差し控えさせていただきたいと存じますが、一般的に申し上げますと、円安は、これは釈迦に説法でございますけれども、輸出に対するプラスの効果ですとか、グローバルに展開する企業の収益の改善ですとか、あるいは株高といったようなプラス効果があります一方で、輸入コストの上昇やその転嫁を通じまして、これは今先生御指摘のとおりでありますけれども、非製造業ですとかあるいは家計の実質所得を圧迫するというマイナス効果がございます。
したがって、その効果のあらわれ方は、これは経済主体によって、あるいは企業によって、業種によって、地域によって大いに異なるわけでございますので、その点は念頭に置く必要があろうかと思いますが、ただ、この前総裁が申し上げましたのは、これを全体として見て、また、相場の変動が経済や金融といったファンダメンタルズに沿った方向の動きであれば、これは相場の変動は経済にプラスである、こういう趣旨で申し上げたものと理解しております。
○近藤(洋)委員 若干見出し先行であるということのような気がするんですね。今の雨宮理事の御答弁だとすると、黒田さんは何も、どんどん円安がいいと言っているわけではない、こういうことだというふうに理解していいわけですね。
私は、基本的には、自国の通貨が安くなってその国が栄える国というのはやはり異様だ、こう思いますから、そもそも、そこはやはり、日本国の日銀総裁が、円安がプラスだ、プラスだと言うのは、何をもって、余りそういう誤解を生むような発言はやはり控えられた方がいいな、こう思うわけであります。
甘利大臣、済みません、お待たせしました。むしろ行き過ぎた円安、きょうの為替、きのう、きょうと若干落ちついているようでありますけれども、一方で株が急に下がっていて、これはまたこれで株式連動支持率の安倍内閣としては心配なのでしょうけれども、先行き不安、こういうことなのかもしれませんが、行き過ぎた円安は地域経済にとっても大変心配。
甘利大臣、もはやJカーブ効果というのはない、こういうふうに見た方がいいのではないか。これは一ドル二百円になれば別ですよ、二百円というとてつもない数字になれば別ですけれども、百十円前後というかこの水準だと、いわゆるJカーブ効果というのは、残念ながらというか、ないような産業構造にもはやなってしまったのではないか、こう見るわけですが、いかがか。
そうすると、この行き過ぎた円安に対して政府としてのデメリット策を検討すべき時期に来ているのではないか、こうも思うんですが、経済財政担当大臣、経財担当大臣として、大臣、いかがでしょうか、この二点について。
○甘利国務大臣 いわゆるJカーブ効果、これは、為替が円安に振れると、一時的に輸入物価が高くなって、一時的に貿易赤字になるけれども、やがて輸出先の価格を下げることによって市場拡大をして輸出量がふえていくという効果でありますけれども、これが当初想定したほどに出ていないというのは事実であります。
ただし、別な形で円安のプラスが日本に返ってきている点もあると思います。
つまり、Jカーブ効果が出ていないのは、超円高のときに生産拠点が海外に移って、生産能力が国内に輸出ドライブをかけるほどそろっていないという点が一つあります。
それから、普通は市場の先の価格を下げられるわけですね。円ベースでいえば、百円で売っていたものを八十円にしてもペイするような価格構成になってくるわけですけれども、企業はあえてそれをしないで、利幅をとっているという形をとっています。それはそれで企業収益が拡大することに貢献をしています。それからもう一点は、GNIの方で、投資収益が日本に還元をされるときに円ベース換算をすると返ってくる円の総額がふえるという、この二つで、従来の、量をふやして貢献をするというのから、利幅をふやして貢献をするという形に還元の仕方が変わってきています。
それから、輸出が伸びないのは、輸出先のアジアを中心とする新興国の景気がいま一つ不透明ということで、輸出吸収力がないということだと思います。
従来の形とは違う形にせよ、返ってきていることは事実です。ですから、企業収益は過去にないくらい上がっています。問題は、それを国民生活にちゃんと還元していく手だてがその後とられるかどうかです。ここが一番我々が関心を持っているところでありまして、本来政府が介入してはいけない賃上げについて口を挟むということもあえてさせていただきましたけれども、それは好循環を回していく最初の一転がしということでしているわけであります。
これから、下請代金の改善も含めて、好循環を回していくための環境整備を引き続き努めていきたいと思っております。
○近藤(洋)委員 ありがとうございました。
そうだとすると、甘利大臣、好循環のところで、好循環を回す一つの手として法人減税をある意味でこの政権は強く主張されて、甘利大臣、また菅官房長官も含めて、中心になってこの議論を進めてこられた、こう理解しています。
私自身も、実は、前民主党政権下で法人税減税を五%、まあ、民主党が法人税減税をしたというのを誰も覚えてくれていないんですが、五%下げているんですね、実は。五%下げたんです。そのとき経産政務官をやっておりまして、議論を財務省とさんざんやった人間ですから、法人税を下げるという意義は私も理解しないわけではないんです。ただ、正直言って、今の時期、果たしてどうかなというのは実はあります。これはちょっと別の議論として。
法人減税のときに、ちょっと気になるのは、好循環の一方で外形標準課税という話がふわっと出てきているんですが、これは全く、好循環にブレーキするような、多くを言いませんが、赤字企業に課税する、要するに報酬に課税する、報酬というか、労賃に課税するというか、企業に対しての。そのお金は結局のところ、配当か経営者にしか行かないわけでありまして、設備投資に行っていただくならまだいいんですけれども、これは全く意味をなさない、外形標準課税の拡大は。これは非常にマイナスだ、こう思います。全く本末転倒で、何を目指しているのか全くわけのわからないことになる悪いメッセージだ、こう思います。
この法人減税と外形標準課税のバーター論、財源バーター論について、甘利大臣の御所見と、また菅官房長官の御所見、そのペイ・アズ・ユー・ゴーの、私はそもそもこれ自体もちょっといかがかと思うんですが、ペイ・アズ・ユー・ゴー原則の、単年度におけるペイ・アズ・ユー・ゴーの外形標準課税のバーター論、法人減税の財源論、これについて御所見を。
○甘利国務大臣 民主党時代の減税はいわゆるレベニュー・ニュートラルではなかった、減税額の方が大きかったですよね。(近藤(洋)委員「そうです」と呼ぶ)それは、それを通じて次の循環を転がして、税収が経済成長で伸びてくるという判断だったと思うんですね。
今回、まず、行き当たりばったりじゃいけないから、安定財源を確保する。しかし、経済成長の果実も減税に貢献できるんではないかということを少なくとも私は言っているわけでありまして、その合わせわざ、比率がどれくらいかというのは議論のあるところですけれども、増税した分だけ減税する意味というのはどうなんだろうかという議論がありますから、そこを議論するのが一つ。
それから、外形標準課税の議論についてはいろいろな議論がございます。安定財源としての議論以外に、賃金課税ではないかという指摘。それから、いかなる企業も受益を自治体からしているんだから、それに対しての会費は払えと。固定資産税があるじゃないかという議論もありますけれども、事業活動としての受益に対する対価を払うべきだという議論があるのと、それから、新陳代謝を促すんではないかという指摘をする方もいらっしゃいます。正直、賛否両論の中で、どの道が正しい、より適切なのか、議論を深めていって結論を出していくということになろうかと思います。
ただ、いずれにしても、一定の部分について、相当な部分についてはきちんと財源を確保して、行き当たりばったりにならないようにする。しかし、成長の果実もそういう形で還元してもいいんではないかという議論とあわせてしているところであります。
○菅国務大臣 私も、国際標準ですかね、その競争をできるような環境に法人税は引き下げるべきである。ここは、私、公の場でも何回となく申し上げています。ただ、外形標準課税について言及したことはありません。
いずれにしろ、このアベノミクス、成長軌道に乗せること、まさにデフレ脱却と財政再建、この二つの難しい問題をやり遂げる政権だ、そういう思いで取り組んでいます。
○近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。
○井上委員長 次に、福田昭夫君。
○福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。
このたびの改造で大臣に就任された皆さん、おめでとうございます。ぜひ、皆さんが信念を曲げずに大臣として御活躍されることを御期待しております。
きょうは所信に対する質疑なので、基本的なことをお聞きいたしますので、それぞれ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
まず、集団的自衛権の行使容認の閣議決定についてお伺いをいたします。
一つ目は、憲法九十六条の解釈について、七月一日の閣議決定に加わっていなかった山谷、松島、山口、三大臣にお聞きをいたします。
御案内のとおり、憲法九十六条には改正の手続が規定されているわけでありますが、今回は改正の手続を経ずに憲法を実質的に改正するものであり、戦後最大の暴挙であり、憲法違反だと思いますけれども、どう思われますか。三大臣、お答えください。
○山谷国務大臣 憲法九十六条は憲法の改正手続について規定したものでございます。委員おっしゃるとおりでございます。
この条文というのは承知しておりますけれども、御質問いただいた件は私の所管外でございますので、答弁は控えさせていただきたいと思います。
○山口国務大臣 福田先生のお尋ねでございますが、私も九十六条云々につきましては所管外でございまして、ここに立った途端、内閣の一員でございますので、いずれにしても、内閣の方針に従ってやっていくということで、この件については、これ以上は差し控えさせていただきたいと思います。
○松島国務大臣 憲法第九十六条は、憲法の改正手続について規定した条文であると承知しておりますが、御質問いただいた件は、私の所管外であり、答弁は差し控えさせていただきます。
○福田(昭)委員 それでは、三大臣とも所管外だということであるならば、あなたたちは今回、閣議決定したものに署名をしたというふうに考えてもよろしいですね、意見がないということであれば。どうですか。
○山口国務大臣 当時、閣議決定のときはまだ大臣ではございませんが、しかし、内閣の一員でございます。当然、閣議決定に従ってやっていくということでございます。
○山谷国務大臣 私も、七月一日、大臣ではございませんでしたけれども、内閣の一員として今後は従ってまいりたいと思います。
○松島国務大臣 閣議決定の効力は、原則として、その後の内閣にも及ぶというのが従来からの取り扱いとなっております。
なお、私は、この改造内閣の一員として、当然この決定に同意をしていることになります。
○福田(昭)委員 わかりました。三大臣とも、この安倍内閣の戦後最大の暴挙に賛成だということですよね。わかりました。
それでは、安倍総理は、外交を進める中で、価値観を共有する国と仲よくするんだということで積極的な外交を展開しておりますけれども、その中で、よく法の支配という言葉が出てくるんですよ、法の支配。しかし、今回の閣議決定は、まさに法の支配を覆したんですね。ですから、日本が法治国家じゃなくて人治国家になっちゃった。それについてどう思われますか。三人の大臣、お答えください。
○松島国務大臣 憲法九十八条は憲法の最高法規性等につきまして、また、第九十九条は憲法尊重擁護義務について規定した条文であると承知しておりますが、御質問いただきました件は、私の所管外であり、答弁は差し控えたいと存じます。
○山谷国務大臣 暴挙と委員はおっしゃられましたけれども、今回の閣議決定でございますが、我が国を取り巻く安全保障環境が客観的に大きく変化しているという現実を踏まえて、また、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分に留意して、そして、従来の政府見解における憲法第九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な当てはめの帰結を導いたものであると考えています。
政府の憲法解釈の基本的考え方を何ら変えるものではなくて、我が国の平和国家としての立場、そして、国際社会、国際機関と連携しながらこれまで平和国家として歩いてまいりました、そこを変えるものではないと考えております。
○山口国務大臣 私も同じでございまして、とりわけ、いわゆる遵守義務等々に違反するものではない。また、憲法解釈については特に所管でもございませんので、お答えは差し控えたいと思います。
○福田(昭)委員 二番目、三番目の質問の答えを述べていただいたようでありますので、ちょっと話を先に行きます。
御案内のとおり、憲法九十九条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」、九十八条には、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為」、つまり閣議決定ですね、その「全部又は一部は、その効力を有しない。」と書いてあります。
今回の閣議決定は、この九十九条、全ての国務大臣の現行憲法の擁護義務を、まさに本来なら安倍総理が先頭になってこの憲法を守る義務があるんです。その人が先頭になって憲法を壊す、とんでもない暴挙なんです、これは。それで、さらに九十八条には、この条規に反する閣議決定も無効だ、このように規定されてあるわけであります。
つまり、今回の閣議決定は、現憲法を擁護する義務のある方々が現行憲法の条規に反する行為をしたわけであって、無効であると思うわけでありますが、どう思われるか、三人の大臣、お答えください。
○松島国務大臣 御質問の趣旨が必ずしも定かではございませんが、先般の閣議決定における憲法解釈は、我が国を取り巻く安全保障環境が客観的に大きく変化しているという現実を踏まえ、従来の憲法解釈との論理的整合性と法的安定性に十分留意し、従来の政府見解、これは昭和四十七年の政府見解でありますが、これにおける憲法第九条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための合理的な当てはめの帰結を導いたものであります。
したがって、これは、従来の憲法解釈の再整理という意味で憲法解釈の一部変更ではありますが、従来の政府の憲法解釈のよって立つ基本的な論理は維持しつつ、その枠内で我が国を取り巻く安全保障環境の大きな変化という客観的状況を踏まえて検討した帰結として導き出されたものであって、合理的な解釈の限界を超えるような便宜的、意図的な憲法解釈の変更ではありません。
したがって、先般の閣議決定は、憲法の最高法規性や憲法尊重擁護義務に反するものではないと認識をしております。
○山谷国務大臣 今、憲法第九十九条、憲法尊重擁護義務についての規定の条文でございますが、御質問いただいた件は私の所管外であり、答弁は差し控えたいと思いますが、先ほど私も答弁いたしましたように、また松島大臣が今答弁なさいましたように、そのような解釈、基本的なところを変えるものではないと考えております。
○山口国務大臣 ただいまの御質問でございますが、先ほども申し上げましたように、九十八条、九十九条ですか、最高法規性あるいは遵守義務というものに反するものではない。
もう御案内のとおり、内閣としても、先般の閣議決定というのは、憲法の最高法規性とか憲法尊重擁護義務に反するものではないというのが見解でございますので、私も内閣の一員でございますから、そういうことでございます。
○福田(昭)委員 多分、何か日本には六百人の憲法学者がいるそうでありますが、この六百人みんな憲法違反だとどうも判断しているという話をしている方もいるぐらい、本当にこの問題は重大な問題でありまして、皆さんもいずれ裁判で判決が出れば安倍総理と同罪になるということですから、それをよく承知しておいてください。
それでは、三つ目ですけれども、先ほど基本的なものは何も変えないんだ、こう言っておりますが、では、基本的なものがどう変わるかということについてお聞きしたいと思います。
三つ目の質問でありますが、集団的自衛権行使容認の閣議決定は何をもたらすのかについて、三大臣と、内閣のかなめとして活躍中の菅官房長官にお聞きしたいと思います。
安倍総理は、先ほどの山谷大臣の答弁にもありましたが、基本的なことは変えないということで、集団的自衛権の行使を容認する際に、限定的に容認したものであって、危険なイラクやアフガニスタンなどへは自衛隊は派遣しない、そういうふうに予算委員会などで安倍総理は答弁をいたしておりますが、それは、そのとおりでよろしいですか。三大臣、お答えください。
○山谷国務大臣 イラクやアフガニスタンには行かないという総理の答弁、そのとおりだと考えています。
○山口国務大臣 同じく、そのように考えておるところでございます。
○松島国務大臣 同じ答弁でございます。
○福田(昭)委員 本当にアフガニスタンやイラクへ行かないんでしょうか。
先日、八日に発表された日米防衛協力指針の中間報告を見れば、いつでも戦争できることになる、戦争できる国になることは明らかじゃないかなというように思います。
周辺事態法の周辺を除いちゃうというんですね。そうすると、朝鮮半島の有事は、日本国の領土内あるいは領海内での有事だけじゃなくて、周辺事態が除かれると、それこそ、ホルムズ海峡も行くでしょうし、あるいはイラクやアフガニスタン、どこでも行くことになるんですよね。そう思いませんか。
○山口国務大臣 これはもう、記者会見等でも総理がおっしゃったとおり、そういったことはない。とりわけ、所管外でありますが、集団的自衛権と集団安全保障とはしっかりと区別をされておると私は理解をしております。
○松島国務大臣 御質問いただきました件は、私は所管外であり、答弁は差し控えたいと存じます。
いずれにいたしましても、私は安倍内閣の一員であり、その安倍内閣の方針に従ってまいります。
○山谷国務大臣 我が国の平和国家としての立場を守りながら、平和国家として国際社会の中で信頼していただけるような前進を続けていくということは、福田委員と気持ちは同じだと考えております。
○福田(昭)委員 私と気持ちが一緒なら、これは容認しちゃだめですよ。
大体、安倍総理は言うこととやることが違う。全く違う。だから、イラクやアフガニスタンに行かないと言っても、これから多分出てくるであろう自衛隊法の改正とか周辺事態法の改正とか、いろいろな改正が来年の通常国会できっとまとめて出てくるんだと思いますけれども、しかし、今回の日米の防衛ガイドラインの中間報告を見れば、明らかにこれは、世界じゅうどこでも行く、地球の裏側までも行く、実はこういう改定をしようとしているということは明らかだと思います。
これを否定するんだったらいいですよ、基本的に。ですから、そうなったら自衛隊がアメリカ軍の肩がわりをすることになるんですよ。まさにアメリカの狙いどおりじゃないですか。それで本当に日本の国民の生命と財産を守れますか。いかがですか。
○山谷国務大臣 国の存立を全うし、そして万全の備えをしながら平和国家としての歩みを続けていくという、御不安の国民の皆さん、また委員の御質問もございますけれども、丁寧に説明をしながら理解を深めていきたいと思います。
○松島国務大臣 私は、内閣の一員として、個人の意見を述べる立場にはございません。
○山口国務大臣 それこそ所管外でございますので、これ以上は差し控えさせていただきたいと思います。
○福田(昭)委員 皆さん、内閣は一致して事に当たるわけですから、安倍総理の方針に従って皆さんはやっているんでしょうけれども、結局、集団的自衛権の行使を容認するということは憲法違反であり、また閣議決定も無効であって、この暴挙を進めるということは、日本がまたいつでも戦争する国になるということであって、アメリカから要請されて断れますか、集団的自衛権の行使を容認した上で。そんなことは私、できないと思っています。
しかも、安倍総理は、集団的自衛権の行使を容認すると抑止力が高まるんだと言っていますけれども、しかし、それはあくまでも一時的に抑止力が高まるのであって、長期的に考えたら、抑止力なんか高まりません。一度使ったらそれでおしまいですよ。一度使ったら逆に恨みを買って、それこそ、今、日本の企業が世界じゅうに進出しておりますけれども、そうした企業やそこで働いている人たち、あるいは世界じゅう旅行して歩く日本の方々がテロに遭う機会がふえるんですよ。恨みは恨みを買い、やはり全く、いいことは何一つありません。
ですから、せっかくこんないい憲法九条というのがあるのに、これをしっかり守って、今までの自民党政権が続けてきたように戦争しない国を続けることが、実は国民の生命と財産を守るんですよ。そこをやはりしっかりやるべきだと思います。
菅官房長官、最後に、憲法違反、無効、そのことについてどう思われるか、お答えをいただきたい。
○菅国務大臣 委員の、憲法と違反ということは全く当たらないというふうに思います。
今回の閣議決定は、まさに新三要件、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、そして自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること、いずれにしろ、全て我が国の国民ということであります。
国民の生命と平和な暮らしを守るためのものであって、海外派兵は一般に許されないという従来からの原則は全く変わっていません。さらに、他国の防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使を認めたものでもないわけです。
あくまでも、この新三要件のもとに、日本は法治国家でありますから、これからこの法律に基づいて行うわけでありますから、委員のような心配は全く当たらないということを申し上げたいと思います。
○福田(昭)委員 いずれ、来年の通常国会には法律が出てきて、それがうそだということがはっきりすると思いますので、そのときにまたやることにしましょう。
それでは、二番目の質問の市場原理主義、新自由主義の考え方について、主に甘利大臣、最後に菅官房長官に御感想をお伺いしたいと思っています。
一つ目は、市場原理主義の考え方で中心的な考え方であります株主至上主義、市場万能主義について、甘利大臣はどうお考えになっているか、お答えをいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 株主至上主義、全て企業活動は株主のためにあるという考えだとしたら、我々はその考え方はとっておりません。
○福田(昭)委員 言うこととやることがこれも違うんじゃないですかね。
安倍内閣が進めております企業が世界で一番活動しやすい国、これは中小企業、雇用労働者、国民にとっては最悪ですよ。なぜなら、先ほど近藤委員からも話がありましたけれども、法人税を減税して、法人税は、御案内のとおり、利益が出ている企業しか納めていないんですよね。ですから、もうかっている企業の税金を減税して、赤字も含めた外形標準課税を拡大してカバーするなんて、とんでもない話ですね。
さらに、後で申し上げますけれども、これから消費税の一〇%への引き上げがあったり、あるいは残業代ゼロ、金銭解雇、あるいは生涯派遣、そのような労働法制の改正などをすると、まさに企業は一番いいかもしれません。しかし、働く人、国民にとっては、あるいは中小企業にとっては、こんなひどい国はないですよ。そう思いませんか。
○甘利国務大臣 先ほどの近藤議員と同じだとおっしゃいましたけれども、近藤議員の企業活動に対する考え方と福田議員とは、多分違うと思います。世界で一番企業が活動しやすい国にするのはけしからぬということ、反対は、世界で一番企業が活動しにくい国にする、こんな宣言をしたら誰も投資しません。大事なことは、企業は競争力を持って世界競争に勝ってもらわなきゃならないんですよ。企業が世界競争に負けた国で繁栄する国なんかありません。
要は、企業が勝った収益をどうやって社会に還元するかなんですよ。勝たなかったら還元できないんですよ。そこが違うと思いますよ。
○福田(昭)委員 それは違うと思いますよ。これだけの激しい競争の中で、日本の大企業は内部留保資金を幾ら持っているんですか。いっぱい稼いで、三百兆円も超えるほど持っているじゃないですか。ですから、甘利大臣の認識は違うと思いますよ。(甘利国務大臣「そうじゃないでしょう」と呼ぶ)そうじゃないか。あなたの認識は間違っている。
では、次に行きますよ。二つ目は、規制緩和と自由競争についてです。
次の資料を見てください。これは内閣官房参与となった京都大学の藤井教授の資料ですけれども、「インフレ期とデフレ期とでは、求められる経済対策は真逆になる」ということで、これは、去年も甘利大臣とやったんですが、甘利大臣は全くこのことを評価していなかったようでありますけれども、しかし、今、アベノミクスはまさにこの真逆のことをやっていて、沈没しようとしているんですよ。よろしいですか。
今、デフレを克服するのがアベノミクスの目標でありながら、デフレを克服するためには経済を温める諸対策が必要なのに、今、安倍内閣がやっているのは、経済を冷ます政策をやっているわけです。例えばですけれども、成長戦略の一丁目一番地は規制緩和だ、あるいは自由貿易を進めようとしている。これをやればやるほど、実は経済を冷ましていくんですよ。もうけるのは大企業だけ。
ですから、まさにデフレを克服するのが目標でありながら真逆の経済政策をやっているのがアベノミクスで、だから沈没しそうなんですよ。そのことを甘利大臣はどう考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 二十年近いデフレでありました。アベノミクスを推進していって、きょうの時点でいえばデフレではない、しかし、デフレを脱却するほど足腰は強くなっていないと申し上げました。これはうそではありません。数字の上でも間違いなく出ているわけであります。ですから、デフレを脱却してくるという手法は間違っていないと思います。
そもそも、デフレの正体というのは何なのか。物価が連続的に下がっていくわけであります。それにつられて経済規模全体がシュリンクをしていくわけです。そうしてしまうと、税収も確保できない、社会保障の安定財源も確保できない、財政再建もできない、みんなマイナスの方に行くんです。経済規模を大きくしていくという作業が必要なんです。
そのために、まず金融緩和をいたしました。どういうことが起きるか。マネーサプライがふえるわけです。市場に、物とマネーの関係が逆転する。だから、円の価値が相対的に下がるから物価が上がるということになるのであります。
あわせて、インフレ期待というのが発生をします。インフレ期待は、早く投資した方がいいという投資行動に移ります。だから改善をしていく。
その上で、財政政策をいたしました。つまり、公需をつくったわけであります。デフレの要因の一つは、需給ギャップというのがあります。そして需要をつくったわけです。
需給が安定してきたときに、今我々は何をするかというと、サプライサイドの改革をやるんです。売り上げが同じだとしたら、利幅をとっていく。それは賃金を下げてじゃないですよ。生産性を上げて利幅をとっていく。その利幅をとれるということは何になるかというと、それは次なる好循環を回す原資になるわけです。原資がなければ好循環は回らないんです。こういう経済の原理原則に従って手順を踏んでいるということであります。
公需をどんどんふやす、それは一時的にはできますけれども、これは借金でやるわけですからね。過去のやり方が、公需に頼った、公需から民需につながるような施策がなかった。だから公需で倒れちゃうんですよ。だから借金が膨らんでいくんですよ。
バックボーンをしっかり変えて、公需は一時的に民需につなぐ役をやる、そして、規制緩和をするということは、民需が活躍しやすいようにしていくんですね。そういう手順に従って、経済の原理原則に従って進めているということを、基本を御理解いただきたいと思います。
○福田(昭)委員 それは間違いなんですね。前回もお話ししたように……(発言する者あり)いいですか、よく聞いてください。アベノミクスの三本の矢を一体的に進めるのは私も賛成。前にも申し上げたように、大胆にやるのは財政出動なんですよ。金融緩和をやっちゃだめなんですよ。金融緩和でやったから、結局は、円が安くなって、株価が上がって、一部の輸出産業だけがもうかっているという構造になっているんです。ですから、これでは実体経済は絶対よくならないんですよ。
それはなぜなら、トリクルダウンがないから。トリクルダウンはないとアメリカのスティグリッツが証明しましたので、世界じゅうの経済学者でそれを信用している人はいないそうです。まあ竹中さんだけは何か信用しているそうですけれども。ですから、全く、新自由主義、市場原理主義の考え方でやっているからだめなんですね。
では、甘利大臣はデフレの原因は何だと思うんですか。
○甘利国務大臣 いろいろ巷間言われています。
その前に、財政出動をどんどんすればいいというのは、それは限界がありますよ。いつまでやるんですか。できませんよ。過去に財政出動をやって、民需につなげるということがつながっていかなかったじゃないですか。だから、振り返ってみたら借金の山になったと。それは御党からも指摘を受けていたはずですよ。
デフレの原因というのは、要するに需要と供給のバランスがとれていないということですよ。それから、デフレ期待がデフレを加速するということですよ。いろいろな要因はありますよ。
要は、物と貨幣の関係が逆転をしているからですし、貨幣が市場でしっかり回っていかないからですよ。だから、物の価値がどんどん下がって、連続的に下がっていく、それが企業の業績を下げていき、そして賃金を下げていく、マイナスのスパイラルを起こしているわけですよ。
我々は、プラスのスパイラルにしていくということであります。
○福田(昭)委員 大臣のデフレの原因は、あくまでも現象を言っているのであって、原因は何だというのを特定しないと処方箋は書けないんですよ。デフレの原因じゃない、大臣が言っているのは、デフレの現象、それを言っているのであって、そこが実は間違っている大きな原因なんです。
私は、大きな原因は二つあると思っていますよ、デフレの原因は。一つは、今、安倍内閣でもやっていますけれども、大企業の皆さんを初め、給料を上げてくれ、上げてくれとやっていますけれども、賃金がずっと下がり続けてきたというのは一つの原因だと思います。もう一つの原因は、官民ともに、固定資産がもう減耗しちゃったんですよ、償却しちゃったんですよ。にもかかわらず再投資がない。この二つが私は大きな原因だと思っています。
ですから、そういったことで、まさにこれは藤井先生の見事な表なんですよ。こういうものを参考にしてやらなかったらアベノミクスは失敗をしてしまうということなんです。
前にも言いましたけれども、今まで自民党政権時代から民主党政権時代も含めてだめだったのは、当初予算は財政規律を守ります、それで、ちょっと景気が悪いとなったら補正予算を組む、選挙があるといったら補正予算を組むという繰り返しを二十年間やってきたんですよ。この間に、実は、残念ながら、実体経済は一つもよくならなかった。したがって、まさに名目経済も伸びなかった。
御案内のとおり、財政規律のストックの健全化指標は分母が名目GDPですよ。分子が、政府は粗債務だと言っていますが、私は純債務が世界標準だと言っていますが、問題は、この分母、名目GDPが二十年間、一つもでかくならなかった、分母がですよ。分子だけ大きくなった。四百七十三兆円のGDPがまだ同じぐらいしかない。(甘利国務大臣「それを言っているんじゃないですか、ずっと」と呼ぶ)だから、そのためにはこの藤井先生の考え方に従ってやらないとだめだと言っているんですよ。
ですから、インフレ期とデフレ期というものの対応は違うということを言っているのであって、ですから、いずれにしても、予算委員会でうちの前原委員の方からもアベノミクスの誤算というのを五つほど挙げましたけれども、まさにアベノミクスは誤算続きであります。それは具体策が間違っているから誤算続きであって、そこをやはりしっかり反省して、大胆な見直しをしないと、本当に沈没しますよ。
それから、前にも言いましたけれども、少なくとも十五年以上も続いたデフレですから、五年から十年の計画を立ててやらないとだめなんですよ。そうしたら去年、何と言いましたか、甘利大臣は。財政規律があるから五年計画はつくれませんと言ったじゃないですか。あなた、そう言ったんですよ、去年の内閣委員会では。そうしたら、消費税を三%上げたら心配になって、五兆四千億の経済対策と、それから一兆円の減税をやったじゃないですか。
今回、アベノミクスで実質経済が伸びているのは、正直言って大型予算ですよ。金融緩和したから伸びているんじゃないですよ。補正予算も含めた大型予算で経済が伸びたんですよ。それと、それこそ消費税導入の駆け込み需要、これで経済は実は成長したんですよ。金融緩和で成長したんじゃないですよ。
しかも、実は、日銀がやることは同じなんですよ。日銀は、金融緩和も財政出動も、市中に出回っている国債を買い上げればいい話であって、日銀がやることは全く同じで、しかし効果は全く違うということをやはりしっかりと踏まえて、金融緩和と財政出動の効果の違いというものをしっかり踏まえた経済対策をとらないとだめだということを指摘して、意見はかみ合わないようでありますから、今回はもうやめておきます。
またさらに、きょうの新聞によると、自民党では、規制改革の反対派を封じ込めるために、またぞろ、成長戦略の第三の矢の柱である規制改革を党の立場からも推進するというんですよ。これは、今デフレ脱却のために、どんな規制緩和をするのか知りませんけれども、やはり何度も議論しているんですが、今の状態では規制緩和が成長戦略の一丁目一番地ということはあり得ませんので、そこもしっかり踏まえて、私は、しっかり日本の経済を立て直すことを提言して、質問を終わりにしたいと思います。
時間が来ましたので、終わります。
以上です。
○井上委員長 次に、郡和子君。
○郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。
まず、私は、きょうは男女共同参画についてお尋ねをさせていただきたいと思っております。
有村大臣、大臣御就任おめでとうございます。
女性活躍推進法案の要綱が発表になりました。近々、法律案も出てくるんだろうというふうに思います。中身をちらっと見させていただきましたけれども、大企業、従業員が三百一人以上に女性登用の数値目標を義務づけましたけれども、企業が実情に応じて数値を設定でき、何を公開するか、これは判断させるというようなものでございました。見させていただいたところ、大枠をつくったにすぎず、非正規雇用の問題ですとか、それからまた賃金格差の解消について全く触れられていない、大変残念に思ったところです。
二〇二〇年までに指導的地位にある女性の割合を三〇%にする、このことは、二〇〇五年に閣議決定された第二次男女共同参画基本計画以来の目標でございます。
二〇〇五年当時、男女雇用機会の均等の推進、仕事と家庭、地域生活の両立支援と働き方の見直し、これを掲げました。一九九九年施行の男女共同参画社会基本法の精神や社会政策的な見地もきちんと踏襲しなければ、対応に限界があると私は考えているところです。すなわち、男女が、性差別を受けず、家事や育児、社会生活などで責任を分かち合う、分担し合う理念を生かすことで、子育てなど家庭生活の男女協力、これが重要なのだというふうに思っているわけです。
全ての女性が輝くとおっしゃって、安倍総理が新しく女性活躍担当大臣をつくられたわけでありますけれども、この名称に私自身はいささか違和感を覚えているところです。
そこで、有村大臣に伺います。
女性活躍担当大臣とあわせ、男女共同参画担当大臣でいらっしゃるわけですけれども、それぞれどのような区分がなされているんでしょうか。男女共同参画担当大臣で女性の輝く社会をつくるわけにはいかないと考えておられるんでしょうか。
○有村国務大臣 おはようございます。
まずもって、就任に当たり御祝意をいただきましたことに、心を込めて御礼を申し上げます。責任の重さを痛感しております。
この分野に非常に造詣の深い委員ならではの的確な御質問だというふうに思っております。
私自身も、今回初めて女性活躍担当ということで新設されたポストが、社会的にも、国際的にも、また政治的にも極めて重要なミッションを担っているということを鑑みて、では、従来頑張ってこられた男女共同参画部局やその方々との関連はどうだということを、冒頭から、やはりそこの仕組みをどのようにするかということにかなりの時間を割いてまいりました。
その上で考えますことは、人口減少、超高齢化が進む中で、さまざまな状況に置かれた女性がみずからの希望を実現して輝くことによって、我が国最大の潜在力である女性の力が十分に発揮されること、そして、それを我が国の社会の活性化、一部では経済の成長戦略に乗せるという考えもありますが、そういうことの社会の、持続可能な日本をつくっていくための大事な層、もっともっと光を当てて、本来持っていらっしゃる能力や意欲を伸ばしていくことができる伸び代がある層だということで、現内閣の最重要課題であり、集中的にこの女性活躍について取り組むというために創設されたものと認識をしております。
お問い合わせいただきました男女共同参画、また担当大臣としては、御指摘をいただきましたように、男女共同参画社会基本法に基づいて、男性、女性ともに、社会のあらゆる分野において活動、参画する機会が確保されて、均等に社会的利益を享受することができ、ともに責任を負うべき社会、男女共同参画社会の形成を、長年の蓄積をもってそれを生かすように推進していくということで、私の大臣時代に新しく新設された女性活躍と男女共同参画は、分野としては連携をすることが非常に多うございますけれども、集中的に女性の方にフォーカスを当てて、その活性化に努めていくということで、新設のポストですから、それに見合う組織陣営も組み始めているところでございます。
○郡委員 すべての女性が輝く社会づくり推進室の設置が十月の三日に決定をされたわけです。組織図を見せてほしいとお願いをいたしました。そういうものはないということでした、今のところ。ほとんどが併任であるという回答でした。
これが送ってもらった組織図なんですけれども、男女共同参画局のところに四角くくくってあります。これが推進室だというふうに理解せよということなのかなというふうに私は思ったところですけれども、でも、さすがと思ったんです。わざわざ男女共同参画じゃなく女性ということを打ち出すところが安倍総理のすごいところだな、あるいは、男女共同参画という言葉が余りお好きでない安倍総理らしいなというふうにも、率直なところ、個人的な感想ですけれども、強く思ったところです。
ところで、世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数ですけれども、二〇一一年は百三十五カ国中九十八位、一二年が百一位、そして一三年が百五位と低迷をしております。その主な要因は、女性の稼得力の低さ、議員など政治経済における重要なポストに女性が少ない、こういうこと、これが改善が進まないということが挙げられております。この男女平等指数というのが高い国は、経済も元気で、財政も健全であります。
さて、日本の男女間の待遇格差と働き方に関する国際社会の指摘、要旨を、言うまでもないのでしょうけれども、改めて御紹介しますと、仕事と生活の両立が実現していない、女性の多くが出産、育児、退職する、職場復帰は困難、理由は、ハードワークや周囲の理解のなさ、待遇上の不利益や差別、女性は低賃金で非正規雇用でしか復帰できない、世帯単位の税・社会保障制度によって、被扶養者になっている女性の仕事へのモチベーションが、それぞれ課税最低限ないし第三号被保険者の範囲で調整して働く傾向が強まっている、おおむねこのようなものでございます。
これらの指摘をどのように捉えて、どう改善を図っていくおつもりですか。
○有村国務大臣 御指摘のフィードバックを受け、心して、敬意を持って拝聴いたします。
組織図に関しましてですが、これは恐らく、出したがらないというより、まだでき上がっていない、検討中というところですので、その組織図がきれいにでき上がり次第、御報告させていただけるかというふうに思っています。
九月三日に新しいそういう概念が安倍総理から……(郡委員「十月三日」と呼ぶ)九月三日の内閣改造で初めて発表されたわけでございますので、それからの組織づくりということで、今鋭意努力をしております。
ジェンダー指数のことに関しても、やはりジェンダー指数が高いところは経済的にも、また社会的にも活性化しているという現状を鑑みて、これをどう安倍内閣で実現して順位を少しでも上げていくかということに、一つ一つの信憑性、そして、議員の数とか、どうやったらこれが順位が上がって、また日本が文字どおりやっている、実効性を高めているという発信ができるかということは、一つ一つ細かく見ていきたいというふうに思っております。
先ほど御指摘をいただきました、就業率が低くなる、結婚を機に、あるいは出産を機に、そういうことでの差別があってはいけないということで、ここの分野も、非正規雇用の方々が正規に行けるよう、あるいは一旦離職した方が出産、子育てを経てまた戻っていけるようなことも、今回の十月十日に発表させていただきました政策パッケージにも入っておりますけれども、そのようなことも当然取り組んでいこうというふうに考えております。
○郡委員 時間が限られておりますので、答弁を端的にお願いいたします。
二〇一〇年の十二月、民主党政権で第三次基本計画を閣議決定いたしました。策定過程で国民各層に幅広く呼びかけまして、意見、要望をお聞きし、女性団体、個人などから寄せられた多くの意見などを可能な限り反映するよう努力してまいりました。
同計画は十五の重点分野を掲げ、それぞれについて、二〇二〇年までを見通した長期的な施策の方向性と、二〇一五年度末までに実施する具体的な施策を盛り込んでいます。また、実効性のあるポジティブアクションの推進を掲げ、各重点分野において期限及び目標を定めたゴール・アンド・タイムテーブル方式のポジティブアクションを導入したわけでございます。
成果目標は、二〇〇五年に閣議決定した男女共同参画基本計画第二次の二倍近い八十二項目、延べにすると百項目を優に超えております、これを設定して、政治分野、司法分野、経済分野などこれまで取り上げてこなかった分野や、必ずしも積極的ではなかった分野についても積極的に働きかけることといたしました。
なお、統計情報等については可能な限り性別データを把握することを盛り込んでいて、各府省において対応を進めたはずであるというふうに思っております。
また、ジェンダー主流化、この視点に立つことが重要だということも盛り込ませていただきました。
統計情報等に関する各府省の対応、ゴール・アンド・タイムテーブル方式のポジティブアクションや成果目標など、この第三次基本計画は継承されると考えていいのでしょうか。
○有村国務大臣 時間を短くということですので、かなりの部分を割愛させていただきますが、今委員御指摘いただいたように、第三次の男女共同参画基本計画、アクションプランは、第二次と比べて二倍近い八十二項目、大変思いを込められた、また知恵、知識を入れられた成果だというふうに敬意を持っております。
ジェンダー統計、いわゆる男女別等の統計についても、男女がそれぞれ置かれた状況や現実を客観的に把握するためには、男女別にして初めて見えてくる情報やデータもあるということで、その充実に努めていただきました。その知恵や、反映をした上で、今月から次期の第四次計画の策定に向けた検討を開始し始めました。
まずは、多岐にわたる政策の推進状況や成果目標の達成状況をしっかりと検証した上で、今後の成果目標のあり方を検討していきたい。その中には、当然、第三次のできたかできなかったか、どこをてこ入れしたらできるのかということも引き継いでいきたいというふうに思っております。
○郡委員 質問の形式にしておりましたけれども、時間の都合で、大変申しわけないんですけれども私の方から申し上げておきたいと思います。
特に、第三次の基本計画の第三分野、「男性、子どもにとっての男女共同参画」について書き込ませていただいたものでして、男性の育児休業の取得率、平成二十一年は一・七二%だったわけですけれども、目標を平成三十二年には一三%にするということで、二〇一一年、平成二十三年度は二・六三%でありました。取得日数はどうかといいますと、残念ながら、五日未満が四一・三%です。二〇一三年は取得率が二・〇三%にダウンしていて、取得日数の数字は出てきていません。検証も分析も不十分じゃないかというふうに思っています。
また、短時間勤務を選択できる事業所の割合、これも目標として掲げたわけですけれども、取得率の検証は行っているのでしょうか。男性の取得率についてのデータはあるのでしょうか。短くお答えください。
○木下政府参考人 短時間正社員制度につきましての現在の状況でございますけれども、平成二十五年度におきまして、短時間正社員制度があると回答した企業は二〇・一%でございます。議員御指摘の、性別を含めた実際の取得率の把握や検証はできておりません。
今後は、制度を導入した企業の運用状況も踏まえながら、取得率の実態把握にも努めてまいりたいと思っております。
○郡委員 残念ながら男性、女性のジェンダーでの統計がないということで、本当に残念です。大臣、こんなことでいいというふうにお思いでしょうか。
通告していませんけれども、ことしの男女共同参画週間のキャッチフレーズ、何か御存じですか。
○有村国務大臣 前半の方の男性の取得率の問題ですが、これは極めて低いというふうに問題意識を委員と共有しております。
その上で、育児休業中の給与の減少が課題の一つというふうに思っておりまして、本年四月から、男性、女性ともに、育児休業をとられる方の給付を給与の実質八割まで引き上げたところでございます。ただ、これがなかなか多く知られていない。私自身も、ここはもっと言わなきゃだめですよというふうに申し上げたところなので、積極的に周知して、男性も安心して育児休暇をとれる、そして、そこで経済的な不利益を得ないというふうにしていきたいと思っております。
同時に、私の秘書官も育児休業をとった方で、この忙しい中でどうしてとれたというふうに聞きましたら、やはり上司の理解があったということを皆さん異口同音におっしゃいますので、いわゆる育児のメン、イクメンと同時に、イクボス、どうやって部下の家庭状況に思いをはせていただくか、そういう方々を育成して、それが人事的に積極的に評価されるようにしていくことも大事なことだと理解しております。
○郡委員 ことしの男女共同参画週間のキャッチフレーズ、お願いします。
○有村国務大臣 「家事場のパパヂカラ」というふうに理解をいたしております。
○郡委員 残念でした。すぐさまお答えいただけなかった。
先ほど田村前厚労大臣もいらっしゃったんですけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、厚労省の方で頑張っていただいて育児休業の雇用保険の改正をしていただきました。「家事場のパパヂカラ」、家事をすればのパパヂカラ。優秀作品は「今年は、パパが育休」、同じく「家を楽しみ、職を楽しむ。」実にいいなというふうに私は思ったわけです。
ところが、先日発表されましたすべての女性が輝く政策パッケージの記載、女性が輝くことは、暮らしやすい社会、活力ある社会をつくることにつながる、子育てがしやすい、安心して介護ができる、ライフステージに応じた柔軟な働き方ができる、家庭や地域に十分かかわることができる、安心、安全な生活ができる云々とありました。これではまるで、女性が子育てや介護もやって、そうしたライフステージに合わせて仕事もしなさい、基本は女性が家庭責任を負うというふうにも読めるわけです。
安倍総理は、二〇〇〇年代の前半に、男女共同参画へのバックラッシュに中心的な役割を果たされました。著書「美しい国へ」においてもジェンダーフリーを批判し、「子どもたちにしっかりした家族のモデルを示すのは、教育の使命」と記されております。その安倍さんが総理の座に返り咲かれて、今度はアベノミクスのもとで、成長戦略の中核として、労働力不足の解消などのために女性の活躍を大きく打ち出しました。しかも、同じような御発言をされてきた女性の皆様方を閣僚としてお迎えになっておられます。
有村大臣も安倍総理のお考えと近くていらっしゃって、男女の社会的差別をなくすジェンダーフリーの運動を否定なさっているようでございます。
大臣が参加されている日本女性の会、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正に反対する請願署名を集めて、第三次男女共同参画基本計画への夫婦別姓盛り込みを断固反対する集いを開催するなど、この導入に反対運動を展開しておられました。
この日本女性の会は、平成十三年に発足した日本会議の女性の会の組織ということです。
この日本女性の会の親組織の日本会議のホームページに掲げられている活動方針によれば、近年は、夫婦別姓を導入する民法改正案や、男らしさ、女らしさを否定する男女共同参画条例が各県で制定され、子供や家庭をめぐる環境がますます悪化していますという問題意識のもとに、子供や家庭を守る国民運動を推進するために設立されたとされています。
さらに、その日本会議は、「目指すもの」の説明の中で、行き過ぎた権利偏重の教育、我が国の歴史をあしざまに断罪する自虐的な歴史教育と並んで、ジェンダーフリー教育の横行は、次代を担う子供たちのみずみずしい感性を麻痺させ、国の誇りや責任感を奪いますとの認識を示されております。
大臣は、こうした日本会議及び日本女性の会の現状認識、問題意識を共有しておられるんでしょうか。また、大臣は、これらの団体の認識について、現時点でどのような見解をお持ちになっていらっしゃるんでしょうか。
また、有村大臣御自身の通信物に、両親が責任あるポジションについて仕事を続け、十数年以上たって家族機能が破綻し、親子関係において修羅場を経験している方も少なくないと述べておられます。さぞや今、将来の御家庭に対して不安を持っておられるんじゃないかと心配をするところです。
女性の活躍とは、子育てや介護などの家事、家庭責任は女性が担った上で仕事も男性並みにやりなさいということでしょうか。それが輝くということでしょうか。
○有村国務大臣 委員、数々の御指摘をありがとうございます。
すべての女性が輝くパッケージを、十月十日、先週の金曜日に発表させていただきましたが、その中でも、ぜひ一言一句読んでいただきたいと思いますけれども、家事とかあるいは育児の責任ということは男女ともにということで、労働力の時間を短縮するということも男女ということで、党本部、与党、公明党、自民党も極めて冷静にそこは全部チェックをしておりますので、男女がともに家庭も運営するということを全ての文言で貫かれているはずでございます。
それから、委員の御指摘、かなり論理の飛躍があるというふうに思います。
私は、男性、女性の社会的差別をなくすことには一貫して賛成で、女性だから東京大学に行くのはだめだよねとかと言っている親御さんのところで困っていた人がいた、いや、東京大学へ行った方がいいよ、嫁のもらい手がない、そんなことはないといって、差別をなくすことはみんなでやらなきゃいけないということを保守の会が開催された会でも一貫して申し上げてきました。ですから、男女の社会的差別をなくすことに反対したことは一度もないということを私の名誉をかけて御報告させていただきます。
また、日本会議女性の会のことでございますけれども、その方々は常に、日本の未来を確かにしたい、女性のみずからの経験を生かしたいということで発言をされておられます。私は、ボランティアとはいえ、その副会長になってほしいということで言われていますが、共働きを否定したり、そういうことをもし彼女たちがやっているとしたら、ボランティアとはいえ、私に副会長になってくれとはおっしゃらないはずです。
そういう意味では、有職、仕事を持ってやっている方も、賛同している方はそこの会に入っておられるので、彼らが、働く女性あるいは家にいる女性、それぞれの立場を尊重しようというふうな活動趣旨をやっていらっしゃることは、明確に私は認識をしております。
○郡委員 男女共同参画会議の議員メンバーの一人、安倍総理が肝いりでお加えになった高橋史朗氏、二〇一三年の男女共同参画局の「共同参画」、私も毎月読ませていただいております、この九月号で、巻頭にこういう記事を載せておられました。
我が国のこれまでの少子化対策は、出生率の回復につながらなかった。地方の出生率が急落しているにもかかわらず、従来の少子化対策は都市部で働く正社員の女性中心で、全国的なバランスのとれた対策と、松田茂樹氏が「少子化論」において指摘している育児期においておよそ八割を占める典型的家族が子供を産み育てやすい環境をつくるための施策が不足していた。
少子化対策としての従来の子育て支援策は、働く女性の子育て負担を保育サービスの量的拡大によって軽減することが主目的になり、親としての成長、発達を支援する親育ち支援という視点が欠落していた。親は子育てを通して親として成長する存在であるから、親子がきちんと向き合う環境を整備し保障する子育て支援が必要である。
男女共同参画第四次基本計画の策定に向けて、これまでの項目、数値目標などの根拠の総点検を行うとともに、親子が向き合う家族のきずなを深めるという視点から男女共同参画のあり方について根本的に見直す必要があろう。こう書いておられました。
ちょっと読むと、男女とも、親としてかかわる時間をつくれ、親としての責任をとれるようなそういう社会をつくれともとれるのですけれども、高橋氏自身のメルマガでは、もっと詳細に書き込んでおられました。
少子化の対策としては、夫は仕事、妻は家庭という家族像を典型的と捉え、そこに重点を移して行うべきだと主張して、働く女性の子育て負担を保育サービスの拡大により軽減することではなく、むしろ、夫は仕事、妻は家庭という、高橋氏がマジョリティーとみなす家族像において、家族のきずなを深めるべきだという主張です。そして、第三次基本計画を根本的に見直し、それが第四次基本計画で目指す男女共同参画であるというふうに高橋氏は述べておられます。
成長戦略などにおいてうたわれている女性の活躍と矛盾するんじゃないでしょうか。これで、二〇二〇年、三〇%が本当に可能なのでしょうか。
○有村国務大臣 男女共同参画会議は内閣府に置かれる重要政策会議の一つでございまして、その政府の会議の一つ一つに参画をされているお一人お一人について言及をすることは差し控えますが、先ほどおっしゃった高橋史朗先生も含めて幅広い分野の有識者に参画をいただいており、男女共同参画社会の形成に向け、その御知見を活用していただくことを御期待しております。
○郡委員 私はやはり、さきに述べましたように、男性も女性もともに、家庭的な責任も負い、そして働いていくということが重要なんだろうというふうに思っております。
今、政府の中で、労働規制の緩和が大幅に進められようとしていることについては、これでは男性もなおのこと厳しい状況が続きましょうし、男性の中でも格差が生じてまいりますし、また、男女の格差も広がりますし、女性の分断、女性の格差も広がってくるということを懸念しております。
女性活躍担当大臣をつくられるのであれば、私は、男性家庭活躍担当大臣をつくられた方が、全ての女性が輝く社会が近づくんじゃないだろうかというふうにも思っているところです。
それを裏づける記事を御紹介したいと思います。
私は、第一子出産の際、専業主婦をするため家庭に入りました。略。その結果、八カ月を過ぎるころから、頭痛、不眠、食欲不振、おっぱいも出なくなって、ノイローゼ状態。母親とはいえ、一人の人間としての女の生きがいをノイローゼになるほど殺し続けなければならないのでしょうか。略。夫と話し合い、無理のない範囲で、夫婦がバトンタッチしながら育児しようと方向転換したのです。しかし、略、首都圏で働く主婦が七割近くになっているというのに、男性の家事へのノータッチぶりは二十年前と同じ。
この記事は、一九八八年七月二十三日付のサンケイリビングに掲載されたものでございます。
また、赤ちゃんを抱いた母親はみんな幸せなんというのは大うそ。仕事をしながら、ほとんど年子で三乳幼児を育てていた数年間、私は幾度となくこうつぶやいたものであった。略。日本の子育て環境は決してよいとは言えない。略。それにしても、父親の存在感の希薄さは何とかならないだろうか。
これは、一九九七年三月六日付の産経新聞夕刊の記事です。
子育て中のお母さんの時折の迷いやら、いら立ちも素直にお書きになっているなというふうに思いました。書かれた方は、山谷えり子大臣であります。
当時は山谷大臣も夫婦別氏の推進派でいらっしゃって、男女共同参画には大変造詣の深い方だと、今の記事を御紹介するまでもなく、そのように思っております。ですが、先日の参議院の予算委員会での答弁について、男女別氏については私の意見と異なるということで民主党を離党したというふうにおっしゃっていました。これは大変な虚偽答弁であるというふうに私は認識をいたしました。この問題でもまた質問に立たせていただきたいというふうに思っております。
横道にそれてしまいましたけれども、父親が育児に協力的だと第二子を授かりたいというふうに思う女性がふえている、こういうデータがあるわけです。田村前厚労大臣が戻ってこられましたけれども、田村大臣も本当に真摯に取り組んでいただきました。
そして、私たち民主党政権は、男性にとっての施策というのも重要課題だとして取り上げて、ワーク・ライフ・バランスを確保するとともに、男性の育児、家事への協力、そしてまた、非正規雇用が拡大した問題や貧困など、生活上の困難に直面する男女への支援策を盛り込んだわけでございます。第四次計画が第三次計画よりも後退しないことを強く要望いたします。
河野談話について菅長官に伺う予定でしたけれども、申しわけございません、時間が参りましたので、次回に回させていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
本日は、甘利大臣と、TPPと経済政策について議論させていただきたいと存じます。
甘利大臣におかれては、TPPの大変な、タフな交渉だと思います、アメリカ側を中心として。かなりぎりぎりのところを尽力されている御苦労は、大変敬意を表させていただきますし、本当に大変だと思いますので、よろしくお願いしますということを申し上げて、議論に入りたいわけです。
まず、九月の二十二ですか、日米の協議をフロマン代表とされたということ。そして、新聞によると、それを踏まえて、踏まえてもないですが、そのときの状況もなかなか大変な状況だったようですが、日米実務者協議も何かきのうやっておるというのもちょっと読んだところですが、トータルで、TPPの交渉状況というもの、あるいはそれを踏まえた今後の動向というものを総論的にお教えいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 九月にワシントンで閣僚会合を行いました。実は、これは期待したような展開にはなりませんでした。
年内交渉大筋合意のスケジュールを考えると、これはオバマ大統領が十一月大筋合意ということをぶち上げられたわけですが、それから逆算すると、九月の訪米は極めて大事なものでありました。
でありますから、私は、日米間の大どころについては決着をさせなきゃならないという思いで、そういう心構え、準備をして臨んだつもりでありますけれども、こちらの準備に相当する準備がアメリカ側になかったというところから、しっかり議論がかみ合わなかったということで、結局、物別れに終わってしまったわけであります。
さすがにアメリカ側も、スケジュールを考えると、このまま日米間、放置はできないということで、その後、安倍総理とバイデン副大統領との間で、政治家同士、お互い双方が柔軟性を発揮して決着をさせるということで担当大臣以下に指示しようということになって、それを受けて、今あの実務者の協議がなされているわけであります。
これは、結論からいいますと、従来に比べてかなりいい方向になってきたと思います。それはどういう意味かと申しますと、双方が立場をしっかり示して、どこまでお互い柔軟性を発揮できるかという、実務的な、実質的な議論になっているんだと思います。哲学論に終始するようなことではなくて、実務作業として決着に向けて双方が汗をかいているという点に関して、従来よりはかなり前進をしているんだと思います。
シドニーでの閣僚会合が二十五、六、七日と行われます。私も国会のお許しをいただければ参加するつもりでありますけれども、そこではまさに大臣同士の協議が行われます。
ということは、その前に、大臣で解決しなければならない問題と事務レベルで解決しなければならない問題にきれいに分けて、事務レベルはある程度めどがつくということが必要なんですが、では、事務レベルが全てめどがついているかというと、実はまだそこまではいっておりません。アメリカ側も本国に持って帰って対応を協議しなければならない点も事務レベルでもあると思いますし、ここはこれからシドニーまでの間に引き続き双方が努力をしなければならないというふうに思っています。
○畑委員 今までの交渉だと、米側の態度がかたかった、そこで今のお互い歩み寄るという話ですが、恐らく日本は、相当程度というか、かなりというか、ぎりぎりの提示をしているのだろうと思います。
私自身は、方程式合意と言われるいわゆる関税の話は、衆参農林水産委決議違反だと思いますし、賛成ではありませんが、さはさりながら、そこはぎりぎりまで出したということの中で、今、そういう事務的な詰めをしよう、お互いかなり歩み寄ってやらなければいけないということになったということは、九月の日本側が提示した案、これはこれとして、日本はこれ以上踏み込んではいない、むしろアメリカが寄ってきた、一定の歩み寄りを示してきたのでこういうふうになったと理解してよろしいんでしょうか。
○甘利国務大臣 余り内容を詳細について申し上げることはできないというのを御理解いただきたいと思いますが、今までの交渉過程で、まだ方向性が未定の問題と、方向性がこの方向でというところがあります。九月以降は、まだ未定の部分についてどうしていくかということで、双方忌憚ない意見交換をしているというところであります。
一つ一つ解決をしていかなければならないのと、それから全体がセットになってくるという関係もありまして、日本側が攻めるところもあれば、アメリカ側が要求してくるところもある、そこのバランスをとりながら、なおかつ、日本としては、衆参の国会決議がありますから、そこのところとの整合性をしっかり視野に入れながら、難しい交渉をしているというところであります。
○畑委員 九月の段階から先に進んで、これから、日本側からさらなる妥協の案を提示する用意があるのかどうか、ここは非常に危惧するところでありまして、例えば、よく巷間言われている方程式合意、セーフガードの発動基準ということについても、米韓FTAだと、実際には発動できない輸入数量基準としているというふうなことも聞いたことがあります。
恐らく、方程式合意なり関税の話でセーフガードの議論をめぐるところは、実際にはどれぐらいの輸入数量をやったらこのセーフガードが発動できるんだというところで、アメリカはゆるゆるにしようとするところじゃないかと私は予想しておるわけです。
日本側から、さらなる、精いっぱい九月の段階で出した以上の妥協案は今後出すつもりはないし、アメリカから言われても出すつもりがないということはちょっと確認したいんですが、その点、お答えいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 基本的に、交渉の大原則というのは、リオープンはしないということですね。一旦決めたことを、悪い悪い、あれは撤回してもっとこうやってくれということは、してはいけないというのが原則だと思います。
ただし、リバランス、つまり、うちはこうやったけれども、こっちはこう譲るから、そっちはもうちょっとこうしてねというような、バランスをとり合うというのは、交渉のすべとしてこれはゼロではないというふうに思っております。
基本は、こちらが一旦決めたことを一方的に譲るというリオープンはしないというのが交渉の原則で、取り組んでいるつもりであります。
○畑委員 もちろん交渉はそのとおりなのであります。
実は、アメリカというのは、交渉上手で、はったりで十倍ぐらい吹っかけてくる国ですから、自動車も、実はまとまったつもりだったのが今になって自動車部品の話も吹っかけているということも聞きますので、むしろ、一旦出したものを彼らは撤回してまたつり上げているような条件だというふうに私は思うんです。
そういう中でもお互いバランスをとるということで、向こうが何らかの妥協をしなければこっちはさらに妥協に進めないということですが、その妥協の内容が関税の農産物をめぐるところであっては、私は、これ以上の妥協というのは全然論外だと思っております。
引き続きお伺いしたいんですが、日本が精いっぱい努力しているというのは、これは私はそのとおりだと思うし、かなり出血サービスも含めてやっているような感じだというのは危惧しているし、そうだと思うんですが、このままいって、仮にうまくTPPがまとまらない場合は、やはり米国側に責任があるのか。そこはうまく日本としては国際交渉の理屈のつけ方を考えなければいけないと思うんですが、うまくまとまらない場合の責任というか、そこはどこにあるとお考えですか。
○甘利国務大臣 今まとめる努力をしているところでありまして、まとまらない場合どう申し開きをするかということは、まだ私の頭の中にはありませんで、総理もオバマ大統領も、両国首脳は、何とか新しい、世界の先駆となるような枠組みを成功させたいというふうに思っておられるわけでありまして、私も担当大臣として、現時点、これを何とかまとめるために全力を投じているところであります。
○畑委員 そこはぜひともしっかり御奮闘をお願いしたいと思っております。
それで、実は、地方創生との関係をお伺いしたいと思っておりまして、地方創生を進めるという中でTPPというのはどうなのかなという思いを私は持っております。
これはもちろん、TPPをやることによって、それを波及させて地方を持ち上げるということは理屈としてはあるんでしょうが、実は、地方というのは農林水産業の占める比重が大変高い。そういう中で、これまでの試算でもありましたが、農水省の試算で、農林水産物の生産額はTPPで三兆円減少する、農業の多面的機能というものも一兆六千億程度という試算が出たわけであります。
農村所得を倍増させるという政策を政府は行っておって、そしてこの前の国会では農地の多面的機能支払いの法案も成立したわけですが、そこは矛盾しないんでしょうか。その点をちょっとお伺いしたいと思います。
○甘利国務大臣 地方創生で大事なことは、アベノミクスの成果を、大都市だけではない、大企業だけではない、地方にも、そして中小企業にも均てんをしていくというのが一つありますが、もう一つの柱は、地方独自の強みを地域の発展につなげていくための方策が必要であります。
地方には、おっしゃるような一次産業、それからサービス産業が主であります。問題は、これを守ると地域が繁栄するというのではなくて、これが攻められるような、攻める姿勢に転じられるような力をつけさせるのが地域の発展につながっていくわけであります。
我々が野党時代にも、農業の六次産業化ということがありました。つまり、農業を成長産業にしていくということであります。これは農業の攻める姿勢だと思います。
よく言われることでありますけれども、農業国として成功している国は、農地面積の狭さやハンディキャップを嘆くのではなくて、農業をいかに産業化していくか、これをIT化していくかということだというふうによく言われているわけであります。
日本の農業をまさに成長産業化、戦略産業化していって、市場を国内外に求めていく。国内市場もそうでありますし、海外市場に向けても、日本の農産品は守るだけで外へ攻めていかないという感覚から、むしろ、よくて、安全でおいしいもの、これは市場があるんだ、その市場とどうつなげていくか、その市場に向けてどうブランディングしていくか、その市場に向けてニーズをどう開拓していくかというようなことを産業政策的に考えていって攻めていく、そういう姿勢が大事だと思います。
TPPは、これが参加国の間で結ばれていくといろいろな問題点の問題提起がしやすくなります。例えば、理解しがたい検疫によって輸出が阻害されているという点は、そのハードルを下げさせるためのツールにもなるのでありましょうし、あるいは、安全基準について十二カ国間でしっかりとしたルールをつくっていく、そうすれば、どこの国民も共通して安心して安全なものを食べられる。であるならば、日本の安全性はさらに高い評価を受けていく。これだけ高い安全性がありながら、防疫のハードルが高くて相手の市場に入っていけないというようなことはなくなっていくということだというふうに思っております。
○畑委員 百歩譲って構造改革的な農業政策が効果があるとしても、安全基準は別として、関税の部分がかなり、そこは開放するのは危険だと思っております。
TPPというのは、考えてみてください、あの加盟国を。今後広がるというのかもしれないけれども、中国も台湾も入っていませんし、韓国も入っていない。自由貿易を進めるのであれば、まさにこういう市場を、日本が輸出する相手先の市場を取り込んだような自由貿易協定をつくらなきゃいけないと思います。それも、日本の実情を踏まえた形でやれるような柔軟なシステムを。TPPはそうなっていないと思うし、TPPを結んだから日本の地方創生に、よくなるとは私は思えなくて、むしろ副作用の方が大きいんだと思います。
結局、日本の自動車等の工業製品を輸出するために田舎の農産物を犠牲にしているというふうな形だと私は思っております。現行のTPPの範囲、そして進め方、TPPの性格というものは、私は地方創生には副作用の方が大きいというふうに思っております。
時間もありませんので、ちょっとこの議論はここまでにしまして、次に、経済財政担当大臣としての甘利大臣と議論させていただきたいと思いますが、円安がどういう効果があるんだ、今問題ないのかという観点からの議論であります。
貿易収支は二十六カ月赤字で、経常収支も二〇一三年下半期から二〇一四年上半期と、引き続き二半期連続で赤字だということであります。これを見ていると、事実として、円安環境なんですが輸出は伸びていないということにならざるを得ません。ここの原因は何だとお考えでしょうか。
○甘利国務大臣 経常収支が一時的に赤字に陥っている、これはいろいろな原因があります。主要原因は、エネルギーの緊急輸入措置が響いているということ、それから、円安にもかかわらず、輸出が思うほど伸びていない。一方、円安によって輸入価格、数量は伸びているということになるわけであります。
輸出が期待したほど伸びていないという理由は、三点あろうかと思います。一つは、かつての行き過ぎた円高のときに、日本の生産拠点が、生き残るために海外展開をしているということ。そして二点目は、お得意様市場といいますか、日本が輸出先としているアジアを中心とした新興国の景気が思わしくないということ。もう一点は、輸出企業が価格を下げられるようになったけれども、価格を下げてシェアを伸ばしていくという手法はとらないで、価格を据え置きのまま利幅をとっていくという行動に出ている点。これらが、輸出が想定したほど伸びていないという理由だと思います。
ただし、従来とは違った形で国益に貢献をしているというのは、輸出価格を下げないで利幅をとっているということは、企業の収支がよくなっているということであります。あわせて、海外投資の配当が日本に返ってくるときに、円ベース換算をしますと、その金額が伸びていくということ。つまり、お金ベースではかなり貢献がなされているということはあろうかと思います。
ただし、輸入価格の上昇が国民経済に与える影響もしっかり見ていかなければならない。プラスマイナスで、プラスがより多くなるように、しっかり目配り、気配りをしていく必要があろうかと思います。
○畑委員 結局、価格据え置きというか、価格を下げないで利幅をとっているという話がありましたが、それは別に日本の企業の生産力が、海外競争力が伸びているわけではなくて、ドル建てのお金が一定であれば円安になれば高くなるんだから、当たり前のことで、何も経済にいい波及効果だとは私は思いません。
とともに、やはり今、海外に拠点を移すという動きがある。これが大きい中で、結局、円安政策の誘導、円安誘導は経済政策的にきかないのではないかな、ききにくくなっているのではないかなというふうに思います。特に、輸入物価に係るエネルギーあるいは食料、飼料等は価格弾力性がありませんから、つまり、必ず使わなきゃいけないものだから、円安になってもその輸入を減らすわけにはいかない。となると、副作用の方が大きくなっているのではないかなと思います。
そういう中で、ここは円安政策の転換というのが私は必要だと思いますし、なぜそういうことを言うかというと、トリクルダウンというのは、先ほど福田先生の議論にもあったような気がしますが、きかないんですよ。これは事実としてきいていない、十数年。なおかつ、論理的にも、ジョセフ・スティグリッツ教授が言ったこともそうですが、最近、「二十一世紀の資本論」で、トマ・ピケティ教授ですかね、格差は拡大するものだと言っている。
結局、では、中間層をつくって消費をふやすにはどうすればいいか。それは、一般の人の所得というか購買力をふやさなきゃいかぬ。そのためには、GDPの六割は個人消費が占めますから、この個人消費を高める。そういう意味で、分配は単なる社会民主主義政策ではなくて、成長戦略のためにこそ必要だと私は思います。多分、そこの路線というか認識が違うというか、価値観が違うのだろうと思います。
そういうことを考えるときに、円安でトリクルダウンを狙うとか、企業の業績を大企業を主に波及させて末端にやっていく、これは無理だろうなというのが前提の中で、円安政策を変える気はないんでしょうか。その点をお伺いします。
○甘利国務大臣 政府が意図的に円安に誘導しているということではなくて、結果として円安になっているということをまず御理解いただきたいと思います。
それから、トリクルダウン政策はもはや見込めないという話が随分出ますけれども、要は、では、企業は世界競争に勝って利益を得た方がいいのか、世界競争に負けて利益がない方がいいのか。
配分政策は原資がなければできないんですね。果実は生まれなければ分配はできないという大原則があります。そして、日本の労働者のほとんどは雇用者で、法人に所属をしているわけです。その所属しているもとが元気じゃないと、所属構成員、会社はずっと赤字続きだけれども、うちの社員はすごく元気だよというのはあるんですかね。会社はずっと赤字でどうしようもないけれども、ボーナスはふえてねというのはありませんよ。だから、要するに、果実は生まれなければ分配はできないんです。
ただ、要は、生まれて、分配をしないという現象はあるかもしれません。だから、政府がやることは、果実を大きくして、それを次に分配させるような環境整備をしていくことが大事なんです。
賃金は、経団連の見方でも連合の見方でも、過去にないくらい上がっているのは事実なんです。ただ、物価を追い越していけない。ただ、私は、一年で、単年度でそれはできませんということは前から申し上げておきました。
ということは、大事なことは、この次も賃上げが行えるような環境をどうやって我々はつくっていくかということだと思うんです。これが好循環であります。企業が業績を上げる、それが賃金にはね返る、それが消費にはね返る、それが企業業績にはね返るという循環を回していかなければならないんですね。資本主義経済の中にあっては、ただ分配政策だけとって、原資を拡大するという政策に目配りをしないということは、長くは続きません。
○畑委員 私は別に成長を否定しているんじゃなくて、分配しろという共産主義じゃありませんから、それは成長は必要なんですよ。成長は必要なんだけれども、成長のために、円安も、それは結果として金融緩和の結果だと思いますが、そうなっている。では、実需をつくらないでそういう円安誘導をしていいのかということを言いたいわけです。
もう一つ申し上げたいのは、好循環を生むと言っておりましたけれども、これはいつまで待つか。一年では無理だと思いますが、いつになったらそうなるかという経済的な実証というのが十分されていない。
例えば、昔、竹中さんあたりも、日本の経済がよくならないのは規制緩和が足りないからだと言いましたね。では、規制緩和はいつまでしたらいいかという議論になって、結局、規制緩和だけでは経済がよくならなかったというのも事実であります。結局、経済政策はバランスなんですよ、おっしゃるとおり。成長戦略と分配と、そして規制緩和。
ただ、私が言いたいのは、そこの分配政策が必ずしも、不十分じゃないか。これは、賃金は上がりましたよ、大企業は。ただ、実際、非正規の人がふえて、非正規の部分は下がっているじゃないですか。つまり、総理はトータルの雇用者としてはふえていると言うけれども、安い労働者がふえたから、掛ければ全体は上がるんですよ。そこのところを見ないで言っては困ると思います。
そこで、時間が足りなくなりましたが、日銀に来ていただいていますが、まさに今申し上げた金融緩和の問題を議論したいと思います。
金融緩和というのは、本来、私は、実需があって、そのためにお金を供給するということだろうと思います。ただ、今は金融緩和先行型になっていますから、実際、データを見れば、マネタリーベースとマネーストックの関係は、二〇一三年三月のマネタリーベースが百三十五兆円で、ことし九月のマネタリーベースが二百四十六兆円。百十一兆円ふえていますね。異次元の金融緩和です。マネーストック、これは末端に行く実際の貨幣の流通、これがふえているかというと、結局、八百三十四兆円から八百七十七兆円と四十三兆円ふえたと、ふえたとおっしゃいますね。
ただ、実際に、これは経済学の教科書だと、マネタリーベースの増加の数倍のマネーストックの増加が起こらなければならない。なぜならば、市場への信用創造が拡大、拡大、拡大していくわけだから。では、百十一兆円と四十三兆円を比べると幾らかというと、これは半分弱ですよね。一方、結局、このマネーストックの増加の傾向というのは、異次元の緩和の割にはふえていない。ふえているんだけれども、従来のトレンドの中なんですよ。
だから、そこは結局、何のためにこの金融緩和が必要になるのかなと。つまり、悪影響ばかり及ぼしているじゃないですか、実需に関係なく。ここの評価をいただきたいなと思います。お願いします。
○雨宮参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘ありましたとおり、量的・質的金融緩和を始めましてから最近になるまで、マネタリーベースを大量に供給してございます。
このマネタリーベースの大量の供給でございますけれども、これは、金利の大幅な低下ですとか、あるいは株式資産価格への波及等を通じまして、銀行が貸し出しを増加させやすい環境、あるいは企業や個人が借り入れをふやしやすい環境をつくるという点で、マネーストックあるいはその背後にある実体経済活動の活性化にも寄与しているというふうに考えてございます。
ただし、こうした実際のマネーストックの伸びにつきましては、このような金融緩和的な環境のもとでも、銀行の貸し出し姿勢ですとか、あるいは個人や企業の資金需要に影響されるわけでございます。
実際に企業の資金需要という点で見ますと、今、大変潤沢な手元資金を持っておりますので、設備投資が出てもすぐには貸し出しにはつながりにくいという面もございますので、こうした点を踏まえますと、このようにマネタリーベースの伸びがそのまま一対一でマネーストックあるいは貸し出しの伸びあるいは増加に対応するものではないということはぜひ御理解いただきたいと思いますが、それを踏まえましても、この大幅な金融緩和は、全体としてはマネーストックあるいは実体経済活動の活性化には寄与しているというふうに考えてございます。
○畑委員 では、甘利大臣に端的にお伺いします。
端的には、実需のないときの金融緩和の効果というのは何なんでしょうか。
○甘利国務大臣 その議論は、実は我々が野党のときに党内でさんざんやりました。私も、どっちかというと先生の感覚に近かったのかもしれません。
しかし、実際に異次元の緩和をしてどういうことが起こったかというと、さっき言いましたけれども、資産価格が上がった、それによって実は消費が伸びています。
従来、日本の景気回復過程というのは、輸出ドライブがかかって、それで景気を牽引するという形です。今回初めて、消費が伸びて景気を牽引するスタートを切ったというところがうんと違うと思いまして、私も少し考え方を改めたというところでございます。
○畑委員 時間がないので申し上げておきますが、結局、消費が上がったと言うんですが、若い人は資産を持っていないんですが、消費はその若い世代はふえていない。結局、株価の上昇の効果なんだろうと思うんです。そしてもう一つは、やはり消費がふえる、そのマインドなんでしょうね。確かにデフレを脱却してふえてきた、物価は。ただ、それは結局、マインドだけなんですよ。マインドの割には実態的な効果が出ていないという、そこに私はこの金融緩和及び今の経済政策の問題があるんだろうと思っております。
そのことを申し上げて、これはまた後ほど内閣委員会や予算委員会で議論する場があろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○井上委員長 次に、山田美樹君。
○山田(美)委員 自由民主党、東京一区選出の山田美樹でございます。
本日は、質問の時間をいただき、ありがとうございます。
まず最初に、拉致問題担当大臣も兼務されている山谷えり子国家公安委員会委員長に、北朝鮮による拉致問題についてお伺いいたします。
今から十二年前、私は内閣官房の職員でした。小泉政権下で拉致問題が急展開したため、私は、直接の担当者ではありませんでしたが、何度か御家族の方々の会合などのお手伝いをしたことがありました。
最も心に残っているのが、拉致被害者の蓮池さんと地村さん御夫妻が、北朝鮮に残してきたお子様方五人を連れて再び日本に帰ってきた日のことです。
羽田空港から御家族を乗せたリムジンバスが赤坂プリンスホテルの別館側の玄関に到着し、御家族がバスからおりてきたとき、私もその場でお迎えした一人でしたが、何十人もの報道のカメラが一斉にフラッシュをたいて、目の前が真っ白になりました。今から思えば、あのとき、生まれて初めて祖国の地を踏んだお子様方にフラッシュの光を浴びせるのではなくて、例えば拍手で迎えるとか、みんなで声を合わせてお帰りなさいと言ってお迎えすべきではなかったかという気がしています。
拉致被害者の一人、横田めぐみさんは、私が通っていた東京・大井町の私立小野学園幼稚園のちょうど十歳先輩です。北朝鮮が一度目の調査を発表した日、私は、当時、官房副長官でいらっしゃった安倍総理が横田めぐみさんの御両親と面会されている部屋の前で、不審な人が近づかないように見張り番をしていました。
交代で部屋に戻ったとき、テレビのニュースで、めぐみさんは病院の裏山で自殺して亡くなったと聞きました。余りにむごい内容に、私は、部屋から出てきた横田さん御夫妻のお顔を見上げることができませんでした。ところが、お母様の早紀江さんは、意外にもいつもどおりだったのです。ほらほらお父さん、こっちよこっち、行きますよ。お母様の揺るぎないお姿は、あれから十二年たった今も変わりありません。
私は、自分と全く同じ子供時代を過ごした私の先輩が、必ず日本に帰ってくると信じています。
子供のころ、毎朝こんな歌を歌っていました。「先生おはよう 皆さんおはよう 小鳥もチッチと歌っています」。そして、毎日練習したはとぽっぽ体操は、きっとめぐみさんの記憶の中にも残っているはず。日本に帰国されたら、それを思い出してもらえたら、北朝鮮で失われた三十七年間を飛び越えて、幸せだった子供時代とこれからの日本での生活がつながるのではないかと願っています。
めぐみさんを初め被害者全員の救出と行方不明者の方々の調査に全力で取り組まれている山谷国家公安委員長に、改めて拉致問題解決に向けた御決意をお伺いいたします。
○山谷国務大臣 本日十月十五日、拉致の被害者五名が御帰国されて十二年目に当たります。
山田委員は、日本人の安全を守るということを政治信条にして、また、官房副長官補室で、小泉訪朝そして被害者の御帰国、そして御家族のいろいろな会合の担当をされていた。そんな中で、本当に、今お話をお聞きしまして、またその思いの深さを共有したところでございます。何としても被害者全員の御帰国ということを、結果を出さなければなりません。
北朝鮮による拉致というのは主権侵害であり、また、国民の生命身体に危険を及ぼす極めて重大な問題でありまして、警察では、拉致容疑事案と判断された事案はもちろんのこと、拉致の可能性を排除できない事案についても、昨年三月、警察庁外事課に特別指導班を設置し、改めて徹底した捜査、調査を推進しているところであります。
今後とも、関係機関と緊密に連携を図りつつ、警察の総力を挙げて全容解明に努め、国家公安委員会として警察庁を督励してまいりたいと思います。
また、北朝鮮に残されている拉致被害者の方、心、健康状態、これからどんどん寒くなっていきますそのお暮らし、そしてまた日本にいる御家族のことを思いますと、寂しさ、そして怒りを感じます。安倍内閣のときに拉致問題を解決するんだという安倍総理の強い決意のもとに、そして、被害者と家族が抱き合う日が来るまで私の使命は終わらないという総理のリーダーシップのもとに、全ての拉致被害者の帰国という具体的な成果、結果につなげていきたいと思います。
○山田(美)委員 山谷国家公安委員長のもとで一日も早くこの問題が解決することを切に願っております。
山谷委員長への質問は以上です。御多忙かと思います。よろしければ御退出いただいても結構です。ありがとうございます。
次に、女性も男性もともに活躍できる社会づくりについて、有村治子男女共同参画担当大臣にお伺いいたします。
今国会の最重要テーマである女性の活躍については、先日政府において、すべての女性が輝く政策パッケージをお取りまとめいただき、近くこの内閣委員会にも女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案が提出される予定と伺っております。
日本が諸外国に比べて女性の社会進出がおくれている理由の一つに、日本社会特有の残業体質があると感じてきました。女性が働きやすい社会、男女ともに子供を育てやすい社会を実現するためには、そもそも大前提として、男女を問わず人間らしい働き方ができなければなりません。日本人のライフスタイルそのものを変えていく必要があります。
大変興味深いことですが、仕事がハードなことで知られる外資系のコンサルティングファームにおいても、同じ一つの会社でも、国によって働き方が全く異なります。
私自身の経験ですが、東京のオフィスでは、霞が関ほどではありませんが、多くの人が職場で深夜、明け方まで働いていました。上海のオフィスでは、職場で夜更かしするのは日本と同じですが、夕食は毎晩同僚とにぎやかに円卓を囲んでいました。ロンドン・オフィスで働いたときには、午後六時を回ったら一旦仕事をお開きにして、みんな自宅に帰って家族そろって食事をする、夜九時以降にそれぞれ自宅からテレコンで仕事を再開する。深夜にオフィスにいる人なんてほとんどいませんでした。
同じことが日本の企業にできないはずはありません。日本企業の中でも、残業ゼロをかけ声だけに終わらせないために、夜八時には強制的にオフィスを消灯、施錠して、朝型の働き方を推進しているところもあると聞いています。それでも、ビジネスには相手がありますから、一つの企業だけでなく、社会全体として残業をなくさなければ実効力はありません。また、お互い姿が見えないところで自由に仕事をするからには、仕事を成果できちんと評価する仕組みも必要です。
働く日本人の生活の質、クオリティー・オブ・ライフの向上のための方策について、有村大臣のお考えをお聞かせください。
○有村国務大臣 お答えいたします。
御経験に基づいた御示唆、しっかりと拝聴いたしました。ありがとうございます。
時間が限られておりますので簡潔に申し上げますが、女性が活躍するには何より男性の働き方を変えてくれというふうに、官邸における会議においても指摘される切実な声だと思います。そういう意味では、女性の活躍、女性の働き方を直視するというのは、とりもなおさず、これは男女ともに働き方を見直すということであり、また、豊かな日常生活を実現することによって国の活性化を結果的に図るということにもなりますので、ここは当然、女性にフォーカスを当てますが、男女とものワーク・ライフ・バランスということを狙ってやっていきたいと思います。
QOL、暮らしの質ということでございますけれども、例えばトイレは、全ての女性も男性も使います、エブリワン、それから毎日使います、エブリデー、そして、経済力のあるなしにかかわらず、どこに住む住まないにかかわらず、日本語がわかるわからないにかかわらず、トイレを使います。そういう意味では、二〇二〇年のパラリンピック・オリンピック、観光立国というところもございますので、世界の中で誇れる公共性を持っている日本のトイレが、世界の中で、日本で最も美しくて安全で快適なトイレということは、ある意味でクールジャパンにもなるというふうに思っています。
働きたい人、家にいたい人、地域で活躍したい人、いろいろな女性にフォーカスを当てますけれども、やはり全ての女性、そして、結果的に男性の暮らしの質が上がるようにということは当然意識をして、これからいろいろな施策を果敢にやり遂げていきたいというふうに思っております。
以上です。
○山田(美)委員 ありがとうございます。
物理的、精神的にも豊かな生活を実現できるよう、有村大臣の力強いリーダーシップをよろしくお願いいたします。
最後に、東京の国際競争力強化と地域経済の再生について、西村康稔副大臣にお伺いをいたします。
先日、東京オリンピックから五十周年を迎えました。前回のオリンピックは、日本の戦後の復興のシンボルであり、日本の持てるリソースを全て東京に集結して、新幹線をつくり、首都高速をつくったわけですが、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けたインフラ整備にしても、やはりある程度さまざまなリソースを開催地の東京に集中させなければいけません。
けれども、日本経済全体は、これから、東京一極集中ではなく、全国に分散させていかなければならない。日本経済は、今後五、六年の間に集中と分散という相反する二つの目標を実現するという非常に難しい課題を迫られています。
その一方で、本当に東京は言われているほど豊かなのかという問題があります。少子高齢化は東京よりも地方の方が進んでいますが、人口の絶対数で見ると都心の高齢化も深刻です。例えば、私の選挙区である港区では、七十五歳以上の人口がもうすぐ二万人を超えます。新宿区では既に三万人を超えています。二万人から三万人というのは、地方では一つの市に相当する人口規模です。介護給付などの負担が増加の一途をたどっている上に、高齢者施設や保育所などの整備に必要な用地の取得に、東京は地方の約十倍のコストがかかると言われています。
これまで東京から地方へ税収の移転が続けられ、今後さらにそれを拡大しようという議論がありますが、地方も経済の活性化によって自力で税収を得られるような経済構造をつくっていかない限り、世界の中の東京の力も失われて、東京も地方も共倒れになってしまいます。
グローバル経済の中での東京の発展と多様性豊かな地域経済の再生をどのように両立させて進めていくのか、西村副大臣のお考えをお聞かせください。
○西村(康)副大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。
委員の御地元の東京も、都心を中心にしてグローバルな経済を引っ張っていく、金融機能であったり産業機能であったり、日本全体を引っ張っていく、さらには世界全体を引っ張ってもらう、その活力の維持向上と、それから、東京でも、田舎の方に行けば、委員長のような田舎もありますので、商店街も、地方と同じように厳しい状況にある商店街もあるんだと思います。
そういう意味で、東京自身も東京の中での中央部への一極集中もあるんだと思いますので、東京全体の活力を維持していくということ、これも非常に大事なことだと思いますが、あわせて、地方の再生とこれを相反することなく両立させていく、これをどうやっていくかというのが御指摘のとおり大きな課題だというふうに思います。
東京は、グローバルな経済、日本の最先端、世界の最先端を引っ張ってもらうためにも、都市ランキングで今四位の位置にあるんですけれども、これを何とか、二〇二〇年までにワンランク、今すごく、三位との差は一位に、ニューヨーク、ロンドン、パリですけれども、この差は縮まっていますので、これを何とか上げていこうということで、成長戦略、国家戦略特区を中心に、さまざまな施策を講じているところであります。
あわせて、地方は地方で、御指摘のように、人手が足りない、人材不足、いろいろなことから、課題は大きいものがあります。これは、成長戦略の中で、人材バンクをつくったり、あるいは、地方の金融機関も、担保があるかないかに依存せずにもっと事業性を評価して融資をしていくとか、いろいろなことを講じてきております。
こうしたことをあわせてやることによって、日本全体が底上げされつつ、さらにそれを東京が中心になって引っ張っていただけるように、両方の施策をしっかりと講じていきたいというふうに考えております。
○山田(美)委員 ありがとうございます。
二〇二〇年をゴールとした政策目標をさまざま掲げているかと思いますので、こうした重要政策については向こう五年半のマイルストーンをつくって、国と地方、官と民とが目標を共有して、日本を挙げて、一丸となって取り組んでいただきたいと思います。
以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、高木美智代君。
○高木(美)委員 公明党の高木美智代でございます。
本日、私は、来年度から本格施行になります子ども・子育て新制度につきまして質問をさせていただきます。
幼児教育、保育の量の拡充と質の改善を目指すものということで、今、国、地方自治体、また事業者等で、急ピッチで準備が進められております。本格施行を目前にいたしまして、今、この認定こども園につきまして懸念が寄せられております。
実は、今筆頭理事の田村先生と私と、三年前、実務者としてこの中身を取りまとめたという経緯がございます。責任があると思っております。また、大臣におかれましては、現在、目下子育て中であられて、文部科学大臣政務官も務められ、そしてまた保育にも明るいということで、私は最適任であると思っております。また力を合わせてこうした多くの課題の解決に向けまして頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
問題点につきまして、具体的にきょうは明らかにさせていただきたいと思います。
まず、この幼保連携型の認定こども園の普及につきましては、新制度の柱であるということは御承知のとおりです。新制度におきましても、その普及を図る方針に変わりはないのかどうか、大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。
○有村国務大臣 御指摘ありがとうございます。極めて大事なポイントだと認識をしております。
子ども・子育て支援新制度、来年の四月に予定どおり実施させていただきたいと思っております。教育、保育を提供する施設として、御案内のとおり、こども園、幼稚園、保育園、三つの施設類型を設けておりまして、どのような教育、保育の提供体制にするかは、最終的には地域や事業者の選択、ニーズに委ねる設計としてございます。
同時に、認定こども園は、親の就労のいかんにかかわらず施設利用が可能であるなど、保護者や地域の多様なニーズに柔軟かつ適切に対応する施設として、多くの保護者や施設から一定の評価、高い評価を得ておられるところもございますので、引き続き地域のニーズや事業者の希望に応じてその普及を図ることが重要だと考えております。
○高木(美)委員 若干、その多様なニーズに対応できる、そして柔軟な進め方、そしてまた保護者のニーズに応じたという、こういう柔軟性が、やはり今回のこの新制度におきまして、どうしても、経費が伴う積み上げ型の試算であるとかそういうところから、いろいろ苦情が来ているというのが今の状況でございます。
そこで、きょうお手元に資料を用意させていただきました。これは七月に実施した新制度への意向調査の内容でございます。これによりますと、幼保連携型認定こども園と幼稚園型認定こども園につきまして、既に認定を返上したいという意向を示している園が約一割、特に大規模園に多いという傾向でございます。
私も、幾つか東京の事業者の方から御意見を伺いましたが、公定価格が低過ぎる、ある事業者は三・一億円の現行収入に対して一・七億円になってしまうという試算もあるようです。
それには定員数を減らすしかない。したがって、今まで進めてきた幼保連携型を幼稚園型、単独型の認定こども園とする、そしてまた、一緒にやってきた一、二歳児の保育所部分は認可保育所に戻すしかない、こういうことを今進めていらっしゃるようです。定員も、四百二十名定員であるのを百九名減らしていかないと、この公定価格の減額に対して対応できない、こういうお話でございました。
また、今までは三歳になったら自動的に保育所から認定こども園に入ることができたけれども、今後はできない子供も出てくるかもしれない、こうした不安もありました。
こういう状況に対しまして、どのように政府は受けとめ、対応してきたのか、内閣府に伺います。
○武川政府参考人 お答えいたします。
認定こども園は、親の就労の有無にかかわらず施設利用が可能であること、保護者や地域の多様なニーズに柔軟かつ適切に対応する施設として多くの保護者や設置者から一定の評価をいただいておりまして、引き続き地域や事業者の希望に応じその普及を図ることを重要と考えております。
先生から御指摘のございました、先日実施した意向調査においては、回答のあった幼保連携型認定こども園のうち一二・四%が、また回答のあった幼稚園型認定こども園のうち六・九%が認定を返上する可能性を回答しているところでございます。
私どもとしては、その主な原因といたしましては、〇・七兆円の範囲で実施する事項をもとに、本年五月に作成いたしました公定価格の仮単価に基づきまして各事業者において試算を行われたところ、現行より減収が見込まれる結果であるというふうに聞いております。
しかしながら、一部、制度改正に起因するものがありますが、必ずしも適切な試算や比較がなされていない場合も多々ございまして、各事業者が正しい試算が行えるよう、本年八月から九月にかけまして、自治体や関係事業者に対する説明会やQアンドAを配付するなど、説明に取り組んでいるところでございまして、引き続き丁寧な情報提供に取り組んでまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 認定こども園の事業者の方たちから、柔軟な運用を求める声が多くあります。
例えば新制度における園の開所日、今は、土曜日も全部入れて週六日間、そして時間も十一時間、これが義務づけされておりまして、また、定員等についても厳格になっているかと思います。これも地域の実情に応じて弾力的な運用をしてほしいという指摘があります。
例えば、土曜日開所、十一時間開所しなければ公定価格が減額となるというのが今のシステムとなっております。ただ、地域によっては、先ほど委員長のお話がありましたが、そうした周辺地域におきましては、パートの方が圧倒的に多くて、むしろ八時間で足りるという地域もあります。また、四百人規模の認定こども園におきましても、土曜日の利用は二、三人。ですから、ここは公定価格を減額するのではなくて、小規模保育との組み合わせでもいいというふうにするなど、むしろ、開所している方が人件費等のコストがかさむ、またそれが経営を圧迫する、こういう状況があります。
こういうことに対しまして、見解を求めます。
○武川政府参考人 今、認定こども園の事業者からも、御指摘の点を含め、さまざまな問い合わせや要望をいただいております。
新たな幼保連携型認定こども園の開園日や開園時間につきましては、日曜祝日以外は一日十一時間開園することを原則といたしておりますが、例えば、土曜日など保育の利用希望者がない場合には開園しないこともできるなど、保護者の就労状況等の地域の実情に応じ、各施設の判断で弾力的に運用できることとしております。
また、もう一点の利用定員でございますけれども、例えば保護者の就労状況が変化して、子供の認定区分に変更が生ずる等の場合においても、継続して同一の園で教育、保育を受けることができるよう、該当の利用定員にあきがあることはもちろんのこと、あきがない場合にあっても、一定の範囲内であれば一時的な定員超過を認める等、柔軟な取り扱いをいたしております。
引き続き、関係事業者や自治体の声を真摯に受けとめ、新制度が円滑に実施できるよう、しっかりと準備してまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 今のお話では、土曜日を開所しなくても減額はしないということを確認したいと思います。
また、先ほど、定員にあきがあれば当然、一号から二号に移ることもできるというお話だと思うんですが、あきがなくてもそこは弾力的にやるということで、武川統括官、よろしいんでしょうか。減額の問題なんです。
○武川政府参考人 定員の部分は弾力的にできますが、常態的に土曜日を閉所するようになりますと、一定の減額はせざるを得ないと考えております。
○高木(美)委員 そこを、小規模でも可能とか、少しそれは弾力的な運用をさらに求めたいと思います。ぜひ御検討ください。何らかの形で対応していればそこで保育は十分成り立つわけですから、その点をお願いしたいと思います。
こうした公定価格の仮単価で試算した結果、大規模園ほど減収が発生するといった指摘があります。人数が多くなるほど公定価格の伸びが低く抑えられています。そもそも、幼児教育、保育の世界にスケールメリットという考え方は合わないのではないかと私は思います。ぜひ、この点の対応策を、検討を重ねて要請いたします。
もう一つ、減収が発生するというのは、現行の私学助成の水準との関係が大きな要因と考えます。都道府県の協力を求め解決することが急務と考えます。国の対応はいかがでしょうか。
○伯井政府参考人 お答え申し上げます。
本年五月の公定価格の仮単価に基づきまして、認定こども園や幼稚園の事業者が試算を行った結果、現行の私学助成による収入との比較で、御指摘のように、大規模園ほど減収が発生するという事例がございます。
このことは、御指摘いただきましたように、私学助成の水準に都道府県で違いがございます。また、その配分方法も、園の規模に応じてどの程度増減させるかも含めて都道府県が設定していること。一方で、公定価格は、現行の私学助成等についての全国的水準をベースにしておりますが、スケールメリットといった点も考慮して、大規模施設は比較的低い単価となるよう設定がされているということがございます。そうしたことから、個々の園について見ると減収が生じているということでございます。
このことに対しまして、私どもといたしましては、各都道府県に対し、四月四日の自治体向け説明会、あるいは十月一日付で文書の事務連絡を発出いたしまして、新制度に移行する私立幼稚園に対しても、引き続き各都道府県が私学振興の考え方に基づき独自に助成を行うことは可能であること、とりわけ、現行の私学助成の水準が国庫補助あるいは地方財政措置により保障している水準よりも高い都道府県におきましては、新制度に移行する私立幼稚園に対しても、引き続き、地方自治体独自の助成を継続して実施するか否か等を検討していただきたいということを強く説明、要請しているところでございます。
引き続き、要請を行ってまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 ありがとうございます。
大臣に最後に御答弁をお願いしたいんですが、例えば知事会に大臣みずから要請をされるとか、何らかの形でぜひとも行動をお願いしたいと思います。これが全部、いわゆる利用料の急激な変化につながりかねないと私は懸念しております。従来どおりの私学助成の拠出の要請をぜひお願いしたいと思います。
重ねまして、この解決策の一つとしては、チーム保育加算、また二人園長、施設長問題についての経過措置など、経営が維持できるための措置というのは、私は最低限必要だと思います。当分の間、こうした経過措置がなければ、これは園としては経営ができないです。総理は、「予算編成過程での必要な調整を行っていく」と予算委員会でも答弁されておりますが、予算編成過程では実は間に合わないんです。十二月の地方議会で利用料などを決定していただかなければ、保護者は不安でたまらない。これに対して、基本的方針を早く示していただきたいと思います。
この二点、要請をさせていただきます。答弁、いかがでしょうか。
○有村国務大臣 極めて大事な御指摘をいただいたと思っておりまして、問題を共有しております。
私学助成に関しましては、四十七都道府県の実務状況を拝見しました。率直なところ、むらがございますので、私学助成に関しては、こういう状況だということを、各都道府県にこのデータを早く出すべきだという指示を既にいたしました。
必要であれば知事会というお話も御提案いただきましたけれども、私学助成のむらがある、それを、都道府県の裁量によって私学助成に引き続き力を入れていただきたいということを、意思を明確にしていきたいと思います。
それから、大規模なところが、スケールメリットということで、結果的に公定価格の一人当たりの金額が低いということは本当にフェアかどうかということは、私も問題意識を持っておりまして、やはり本来の目的が待機児童の減少、解消ということであれば、公定価格云々でその数がシュリンクするようなことはあってはいけないというふうに思いますので、何とか是正を図っていきたいと思っております。
最後にですが、委員の問題意識と御貢献に心から敬意を表した上で、私もこの分野に取り組んでまいりました。田村先輩とともに取り組んでまいりました。そこで痛感をすることは、今回の子ども・子育てを成功させるためには、幼稚園も強くなってもらわなきゃいけない、保育園も頑張ってもらわなきゃいけない、認定こども園も絶対に成功させなきゃいけない。三者がそれぞれに、どっちがいいとか、どこが全てというのじゃ全くなくて、それぞれがそれぞれによって立つ基盤を強化していただく、そしてそれを支援していくということが、結果的に、予算の獲得も、そして社会の信用も、安心も含めて、極めて大事なことだと思っております。
○高木(美)委員 今、大臣が最後におっしゃった、それぞれなんですが、今の認定こども園は、国の高い幼児教育の質と保育、この両方を提供しようと、国の政策に賛同して今まで一緒に頑張ってくれた人たちなんです。その人たちが涙ぐんでいるんです。ここをどうしていくのか。それぞれがじゃないんです。例えば、では公立保育所の幼児教育というものはどうなっているのか。大臣、ここは本当にしっかり見ていただかなければ困ります。
というさまざまな課題がございますので、ぜひとも、先入観なく、もう一回それぞれ、保護者の意見をよく聞いていただき、事業者にも会っていただきまして、今後の適切な対応策、まず基本方針をもう一度しっかり、先ほど申し上げたチーム保育の加算とか、具体的にはっきり、いち早く示していただくことが、やはり知事会にも、それをやるから都道府県もやってくれ、ここに大きく力が出るのではないかと思っております。よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、山之内毅君。
○山之内委員 維新の党の山之内毅です。
本日は、大臣の所信に対して質疑をさせていただきたいと思っております。
今回は、特に景気、経済それから地方創生、この地方創生に至っては、当然、この臨時国会の目玉の一つであると思っております。
私は、約二年前、初当選して以来、内閣委員会に所属させていただいております。その中で、当然、アベノミクスというものが始まって、その進捗状況というのは逐次お伺いしないといけないなと思っております。かつ、政策を打つときに、いきなり初めから反対だというわけではなくて、やはり一年ぐらい経過を見て、では今、約二年近くたって、それがどのように効果があらわれているのか、こういったことを検証していくのも健全な野党としての役目だと思っております。その観点から質疑をさせていただきたいと思っております。
予算委員会等、今、本委員会でも質疑等ありました。アベノミクスが始まって、いろいろな状況、当初予定していたものと違ってきた部分も出てきていると思っております。
甘利大臣の所信におかれましても、このところ一部に弱さも見られており、先行きについても景気を下押しするリスクに留意が必要と。また、円安やエネルギーコストの上昇が中小企業や地域経済に与える影響も注視してまいりますとありました。
率直に、先ほどの質疑でもありましたけれども、今のアベノミクスの状況、当初予定していたものと、そして今を鑑みて、今の状況に対するお答えをいただけますでしょうか。甘利大臣、お願いいたします。
○甘利国務大臣 アベノミクスのまず目指すところは、デフレの脱却を図る。デフレの脱却を図らないと経済対策の効果がきいてこない。これが過去の失敗で、今まで、財政出動政策も多々やりました、成長戦略もあまたつくりました。これがきいてこなかったのは、ひとえに、お金は使わない方が得だという環境がある限り、財政出動は一過性になってしまうし、民間投資は起こってこない。お金は置いておくだけで、物の価値の方が下がってきますから、相対的にお金の価値が上がってくる、活用しなくても価値はふえるということになると、消費も活用も起きてこない。
ですから、大胆な金融緩和政策そして機動的な財政出動政策によってこのバックボーンを変えて、需給ギャップもかなり狭くなってきた。だからこそ、今、成長戦略がきいてくるということで、成長戦略を行っているわけであります。
ただ、もちろん、この思惑どおりに見事にいっているというわけでない部分もあります。一つは、輸出が想定したほど伸びてこない。この理由は、先ほど来申し上げたような三つの理由があります。さはさりながら、そこのところは、貿易赤字の解消というようなことに期待したほど貢献はしてくれない。一方で、円安による消費者物価の上昇ということについては、これは想定どおりあらわれてしまっていますから、これを賃金上昇が超えていくというのは、なかなか一年ではうまくいかない。
大事なことは、一巡目はうまくいきました、二巡目、三巡目とつなげていくことが重要である。それは何かというと、企業業績が上がってきたならば、それを賃金改善やあるいは下請代金の改善に向けていく。そういう二巡目以降の好循環の歯車を回していくことが大事だというのが今だというふうに思っております。
○山之内委員 ありがとうございます。
先ほど来からおっしゃられているとおり、輸出が思ったより伸びていない。
これは予算委員会でも御指摘があったと思うんですけれども、当初、二〇一三年度は経常収支を四・六兆円ほど見込んでいたけれども、実態は八千億の黒字だった。二〇一四年度は八兆円ほど見込んでいたけれども、今のところ上半期で五千億円の赤字というのもあったと思います。
また、私も約一年、それ以上前から、要は、アベノミクスの成否というのは物価上昇に対して賃金が追いつくかどうかというところだと思っておりますし、それがある意味、成功しているところもあれば成功していないところもある。どちらかといいますと、都市部の方でボーナスも上がった、そういったところは成功しているかもしれない、ですが、地方中の地方まではなかなかそれが還元されていないのではないかというのもあったと思います。
予算委員会でもあったのは、やはり、このアベノミクスというのには光と影があるんじゃないのか。当然、デフレを脱却しなきゃいけない、これは我々の党も共通認識でございます。やはり、消費、それから当然投資の方も積極的に出していく、いわゆる景気の好循環ですね、それを持続させていかなければいけない。当然、景気が好循環になって企業の収益が上がる、それから賃金も上がる、そして消費が上がるという好循環だと思うんです。
この光と影の部分においては、言われているのが、いわゆる資産家といいますか、ある意味、株を持っている方とそうでない方、もしくは都市部と地方、それから大企業と中小零細企業というのも話になります。
先ほど甘利大臣も言われたとおり、CPIの方も、コアの方は一・一、コアコアの方は〇・六ですか。ですので、エネルギーコストの増加もあるとは思うんですけれども、それに対して賃金の上昇が追いつくかどうか、ここが一番懸念するところだと思います。一部では、やはりコストプッシュ型インフレになっているんじゃないかという懸念もあると思うんです。
そこで、当然、都市部と地方の格差、私は委員会でも一年前から言わせていただいたのが、これが国益にかなう、中央に全て人口集約、東京一極集中になれば国益に資するのであればまた考えないといけないかもしれないですけれども、例えば特殊出生率、これ一つをとってみても、東京の特殊出生率はたしか一・一、全国平均は一・四、私は地元が鹿児島なんですが、九州は比較的高くて、沖縄は一・九ぐらいですか。ですので、当然、人口が東京に集まれば集まるほど、ある意味ブラックホール化ということになっているのではないかと思っております。
そういった光と影、この影に対する処方箋を打っていかなきゃいけないと思っているんです。ここに対しては、甘利大臣はいかがお考えでしょうか。
○甘利国務大臣 幾つか必要なことがあります。
まず、国全体の経済でいいますと、デフレギャップが縮んできているというときに何をするかというと、サプライサイドの効率を上げていく、生産性を上げていく。
つまり、何が言いたいかというと、供給力と消費する力の差というのがオーバーサプライになりますね。これが物価を下げるダンピング要因になるわけです。売れ残っているものでありますから、安売りをかけて消化しなきゃならない。この需給ギャップがおさまってくる。ここで何をやるべきかというと、生産側の生産性を上げていくということは、同じ売り上げでも利幅が多くとれる。これは人件費を下げてじゃないですよ、生産効率を上げて利幅をとっていく。そうすると、これを循環する、原資がふえていくということになりますから、今やるべきは、今度はサプライサイドの改革をやっているわけであります。
成長戦略の改訂版では、稼ぐ力、収益力を増していこうということをやっているわけです。それは、会社の基本的な経営姿勢に外部の目を入れるということと、それから投資家も、利ざやをかすめ取るような投資家ではなくて、企業の企業価値を上げていくような中長期的な、企業を育てていくような視点を投資家が持っていてくれという、これは日本版スチュワードシップ・コードということで、経営する方も投資をする方も、企業価値を上げていく方向でそろえていくということをやっています。
あわせて、イノベーションを進めていくような環境整備をしていく。投資減税、研究開発減税をしっかり目配り、気配りをしていくということと、日本国家自身にイノベーションが絶え間なく起きていくようなナショナルシステムをつくっていくということですね。
青色ダイオードがノーベル賞をとりました。これは、二つの視点で我々に暗示をしているところがあります。一つは、基礎研究の大事さです。もう一つは、基礎研究を市場とつなげていくことが大事だということです。これを基礎研究、つまり、原理的にはわかっているはずだけれども実用化ができないというところから実用化をしてしまった。
物づくりの日本の力と、それから、基礎研究の中からシーズを見出していくというのをつなぎ合わせる必要があるんですね。これが今、我々が提案している、イノベーション・ナショナルシステムというのを今つくり上げているわけです。そうやってサプライサイドを強化していくということが大事で、その収益を次はどうやって、企業の中に内部留保でためてしまってここが膨れ上がるだけにしてしまわないで、よりよい還元のために吐き出させるか、これを取り組んでいく必要があるわけであります。
ですから、一巡目は回りました、賃金は過去十数年例がないくらい上がりました。でも、この一回限りの上がっただけでは、物価と、しかも、消費税の上がった分をオーバーライドすることはできません。ですから、これを何回かやっていく。消費税上乗せ分というのはワンショットですから。
ただ、毎年毎年、物価も安定目標で上げていくというのは毎年きいていきますから、少なくとも、ワンショットプラス毎年きいていく分を複数年で乗り越えていくだけの賃金改定循環がなされるということが大事だと思っておりまして、それに全力投球をしていきたいと思います。
○山之内委員 ありがとうございます。これは恐らく、国全体のイノベーションということだと思います。
先ほど、私が、光と影で、副作用というところだったんです。その副作用というのが、当然、ある意味、中央集権体制で資本主義となれば、人、物、金を東京に集めたわけですので、それは明治のころ、国際競争力を高めるためにやった方法だと思います。その方が効率はよかったと思います。
その反面、今我々が申すのは、もうこれだけインフラも整ったインターネットの時代です、SNSもある、こういった中であれば、ある程度、地域のことは地域に任せた方がいいんじゃないか、地方分権もしくは道州制というものも考えていかないといけないんじゃないかというのは話をさせていただいているんです。
当然、先ほどの副作用というのがどれぐらい続くのかということだと思うんです。時間です。これが例えば、アメリカも、QE1、QE2、QE3でしょうか、ある程度、三発目でとめたわけです。これが日本も、ある意味、出口戦略ということだと思うんですけれども、いつまでするか。これの期間が長ければ長いほど、時に都市部と地方の格差、この光と影、影の部分が色濃く出てきてしまうと思うんですね。影が色濃く出る前に光の部分をより上げていかないといけないというふうに思っているんです。
それで今回、地方創生ということが出てきたんだと思うんですけれども、私は、当初、政府の方、見識がある方であれば、当然こうなるのは予測されていた方もいらっしゃると思うんです。やはり、ある意味、アベノミクスでやると、都市部と地方の格差が出てくる。例えば物価上昇であれば、私は鹿児島でございますが、特にトラックの運賃ですね。やはり物流コスト、そういったものが上がる。それから、一世帯当たりの車の保有というのも地方の方が多いわけですね。首都圏であれば〇・四七でしたか。一番は福井県ですか。
要は、アベノミクスで期待を喚起する、あしたはよくなる、消費が活発になるだろうということとは逆なことが起きているわけですね。どちらかというと、生活必需品が上がる、ガソリンが上がる、そして消費税が上がる、そうなるとちょっと消費を抑えようとなってしまう。逆に、好循環よりは、どちらかというと悪循環になりがちになってしまう、気持ち的に。
私も今、東京と鹿児島を行ったり来たりしています。その中において、やはりこの地方創生というのが極めて重要になりますし、早いうちに手を打たなければいけない。
そこで、今回小泉政務官にも来ていただいております。全国各地へ行かれていると思いますが、今回の地方創生、政府が提出しておりますが、この効果はどのようにあるか。地方創生によって、本当に先ほど言った影の部分を埋めるほどのものがあるのかどうか。これについてお答えいただけますでしょうか。
○小泉大臣政務官 地方創生において、地方のアベノミクスによる影というお話がありましたが、結果を求めるに当たっては、短期的に今対応をしなければいけないことと、そして中長期で、これは日本の国家的な構造課題に対してどういった処方箋をやるか、そういったことがやはり大事だと思います。
地方創生がこれだけ政府の中でも大きなテーマになってきた一つは、やはり人口減少、急速に進む人口減少にどう対応し、そして、活力ある日本の経済そして生活の豊かさを後世に引き渡していけるか、こういったことがきっかけだと思います。
その中で、やはり今までは、発想として、均衡ある国土の発展、そういった言葉がありましたが、私の問題意識として持っているのは、それなら果たして均衡ある国土の発展になっているだろうかと。それは、ほぼ大部分の方が、そうではないと思っていると思うんです。
そこで、この地方創生において大事だと思われるのは、まずは成功例をしっかりとつくるんだ、そして、その成功しているところがどんな取り組みをやって、ほかの町とは違う何をやっているからこそ、地方でも活力ある地域社会、地域経済の構造をつくっているのか、そういったことを意識しながら、今、日本全国を回っております。
例えば、先月九月には岩手県の紫波町に行きましたけれども、紫波町で進めているオガールプロジェクトという町有地の民間活用のプロジェクトは、身銭を切らなければ町づくりは絶対に成功しないんだという地域のみんなの総意で、補助金を使わないと決めたんです。そして、地域のみんなで株式を発行して、株を持ち合うことによって、この町有地の民間活用が成功すれば収益になってみんなに返ってくるけれども、失敗をすればみんなに返ってくる、だから身銭を切ってやるんだと。
その結果、その町有地の中に入れた、いわゆる道の駅のようなマルシェも、農水省の補助金を使わないことに決めたんです。使うことで一体何が起きるかというと、最初は楽かもしれないけれども、地元のものしか扱えなくなります。だけれども紫波町は、道の駅に来る方は地元の方も来る、毎日地元のものを食べたいわけではない、いいものを置きたい、だったら補助金を使わないで置きたいものを置く方がいいだろう、そういったことを考えて、地方創生における精神を体現してくれているような、そんなすばらしい町づくりだと私は感じました。
そして、徳島県の神山町では、今、サテライトオフィスを大分入れていて、町の歴史上初めて人口が社会増を達成しました。これから地方創生における若手の官僚を神山町にも送り込む予定で、実際に霞が関でも、今までにない、サテライトで私どもと仕事をするということを通じて、課題を、可能性を探っていきたいと思います。
岡山県の真庭市でも、林業をベースにして、木質バイオマス、そして木材でも高層で建てられるCLT、こういったもので、来年には二万二千戸の電力を賄うほどの魅力的な町づくりをやっていますから、こういった一つ一つ、地域で、ないもの探しじゃなくて、あるもの探しをして頑張っている町を全力で、人の面でも、また資金面でも的確な支えをして、地方創生が成功例として日本の中でいろいろな地域の名前が挙がってくるように持っていきたいな、そういうふうに考えております。
○山之内委員 ありがとうございます。
今、小泉政務官が言われた、地域がある意味自主的に自立していくということだと思います。私どもの党もその発想でございます。ですので、そのようになっていけば一番健全だし、適切だと思います。
ただ、今回、地方創生、各予算があります。この五年間も約五兆円ほど費やして補正予算を組んだ、それをやってきた。そして、同じような、まち・ひと・しごと本部のようなものも当然あった。地域再生本部、また、内閣官房に地域活性化総合本部もつくられた。
やはり、まさに小泉政務官が言われたような形、従来と違う形にしないと、当然、地方創生はあり得ない。私どもは、そのアプローチは、地方分権をより進めて、道州制も含めたものがいいんじゃないかと。アプローチの仕方だと思うんです。
その中で、当然、私が危機認識を持っていますのは、日本創成会議が発表した、座長が増田寛也さんですか、要は、二〇四〇年には、千八百ある市区町村のうち八百九十六の自治体が消滅し得る、可能都市と。あれは全国の市町村に衝撃を与えたレポートだとは思っております。
私も今、若輩、三十二歳でございますから、小泉政務官と同世代だと思うんですけれども、要は、地方中の地方、ここにやはり雇用がなくなる、そして、そこで生活できなくなる。先ほども特殊出生率の例も言いました。要は、そこに雇用、仕事がないから、どうしても東京に来てしまう。これは明治のころから、戦後から、それから今なお、さらにそれに拍車がかかっていると思うんですね。これをとめるということは並大抵のことじゃないと思うんですね。
これは実際、私も、今、鹿児島と東京を行ったり来たりしながら、同世代の方々と話します。先ほど言われたような、実際に、日本創成会議のレポートだと、二十歳から三十九歳の女性の方々、この方々が、ある意味、いなくなってしまって、お子さんが生まれなくなる、特殊出生率が下がってしまうということだと思うんです。当然ここには早急に手を当てなければいけないし、これは一朝一夕ではないと思っています。
鹿児島の実態でいいますと、有効求人倍率はまだ、上がったとはいえ、〇・七四なんですね。これはもう、当然、非正規の方も合わせてです。雇用がない。
それから、建設業の方ともお話しします。そうすると、アベノミクスで財政出動した。公共事業、もちろん受注しているものもありますけれども、肝心かなめの若い方々が、労働者ですね、そういった方々がなりたがらない。雇用のミスマッチもそこに起きているわけですね。要は、田舎で大変な肉体労働の建設業をするぐらいなら、都市部で、ちょっと給与が高いからそっちに行こうかな、こういった流れ、この大きな流れ。
それから、女性の雇用というのもなかなか厳しい。多いのはやはりどうしても公務員の方、看護師さん、もしくは保育士さん。こういった方は安定はしているかもしれない。ですけれども、一般の普通のサービス業だとかも含めて、なかなか女性のそういった雇用がない。
こういった問題というのは、ある意味、国が主導してやってその産業構造まで本当に変えられるのかどうか。
私も、九州の成長戦略を考えたときにどうするか。実際にできるのは、もちろん、一時的には、都市部、東京だとか大阪、そういったところで収益を上げる企業がふえる。その結果、最終的には九州の市場が温まってきて、九州で市場ができる。最終的には、やはり地政学的メリットを生かして、アジアと結びつきを強くするということだとは思うんです、新たな市場。
実際、鹿児島においてどういった企業が大きく収益を伸ばしているかといったら、大体、通販事業だとか。要は、商圏をそもそも、本店は鹿児島にあるんですけれども、大体の収益は東京。例えば、印刷会社でもありました。印刷会社の本店は鹿児島だけれども、工場は山梨に置いて、山梨からどんどん首都圏に出荷していく。収益の八割は首都圏。ある意味、そういったところのみが成長していて、鹿児島もしくはそういった地方中の地方を市場としているところはなかなか厳しいという現状だと思います。
そういった中で、今回の地方創生というのをある意味根本的に見直されないといけないし、ここで、ある意味、地方中の地方が本当に活力を取り戻さないと、先ほどのアベノミクスも成功しないと思うんですね。
当然、財政健全化も厳しい。我々の世代は、十年、二十年、三十年、私は三十年たってちょうど六十二ぐらいだと思いますけれども、当然そのころの財政にも責任を持たないといけないと思っています。その中で、財政健全化は、当初、二〇一五年、これに対して、二〇一〇年度GDP対比半減をする。それで、二〇二〇年には黒字化という当初目標があったと思います。
今の状況、甘利大臣、この当初の目標、いかがお考えでしょうか。これに達成の道筋はありますでしょうか。
〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕
○甘利国務大臣 結論から言いますと、二〇一五年の健全化目標については何とか射程に入ってきている、ただし、二〇二〇年のは、当初から、現状の延長線上ではまだ達成ができないということであります。
具体的に申し上げますと、内閣府の行っています中長期試算の経済再生ケース、経済が再生していくケースでありますけれども、いい方のケースですが、これでいいますと、国、地方の基礎的財政収支の対GDP比は二〇一五年でマイナス三・二ですね。目標としていましたのがマイナス三・三ですから、これを上回るということになります。二〇二〇年度、ここでは、黒字化を図るというのが、まだマイナス一・八%残るわけであります。この二〇二〇年の黒字の目標には、さらなる収支改善努力が求められるということであります。
引き続き、聖域なき歳出削減、そして経済成長を軌道に乗せていくことが必要かと思っております。
○山之内委員 ありがとうございます。やはり、財政再建も両輪でやっていかないといけない。
その中で、今回、法案はまだ委員会では質疑されていませんけれども、国家公務員の給料改定がある。私どもも、当然財政再建はしなきゃいけない中で、一方で、今回、消費増税二%もある。消費増税二%は七―九のGDPを判断して十二月ごろに判断するということだと思うんですけれども、その前に、消費増税は、ある意味、景気の状況を判断して、状況を鑑みてやる。一方で、今回、国家公務員の給料、それからそれに準じて地方公務員の給料も上がると思います。これについては、もう上がるのが決まっている。こうなってしまうと、なかなか国民の理解は得られないんじゃないのかなと思っているんです。
一番理想なのは、景気の好循環ができたと。私どもも、一生懸命働いている国家公務員の方の給料を上げたいとは思います。ですけれども、国民の理解が得られない。先ほど言ったような、期待、何だとなってしまっては、やはりその悪循環にもなり得る一つだと思います。
その中で、今回、有村大臣、国家公務員の給料、これは、どれぐらい上がる予定でしょうか。総額でございます。参考人でも結構でございます。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員について申し上げますと、本年の人事院勧告におきまして、平成二十六年度の給与水準の改定として、俸給表を平均〇・三%、ボーナスを〇・一五月引き上げることとされているところでございます。
この勧告の実施に伴う平成二十六年度の給与改定分の所要額は、財務省によりますと、義務教育費国庫負担金等を含む国が負担する人件費ベース、二十六年度予算で七兆四千九百六十六億円ということになりますけれども、このベースで計算しますと、約八百二十億円ということでございます。
○山之内委員 これに準じてということですが、これは、あとは地方公務員の方は、今、数字上はどうなっていますでしょうか。
○丸山政府参考人 お答えをいたします。
平成二十六年度の給与改定に関しまして、地方公務員給与の影響額でございますが、地方公務員について、仮に平成二十六年人事院勧告に準じて本年度の給与改定を行うこととした場合の影響額は二千二百億円程度、国庫支出金を除く一般財源ベースで千九百三十億円程度と見込まれるところでございます。
○山之内委員 総計約三千億ぐらい、重複する部分もあるとお聞きしておりますけれども、やはりなかなか、先ほど言ったように地方中の地方は厳しい状況、このような状況の中でまた公務員の給料が上がる。
私も、別に公務員の方々を敵視しているわけでは全くないんです。ただ、消費増税が二%を迎えている中で、我々も将来的な消費増税はやむを得ないと思っております。それは今後の財政健全化のためには仕方ないことなのかもしれないのですが、先ほど言ったような今のタイミングであれば、せっかくデフレから脱却しようとしているときに、そのデフレ脱却のための圧力になってしまうんじゃないか、そしてそれは地方中の地方ほどそのような状況になってしまうんじゃないか。逆を言えば、地方を活性化させて全体の好循環を生まないといけない中においてはいかがかなと思うんです。
これについては、有村大臣、今回の給料を上げることについてはいかがお考えでしょうか。
○亀岡委員長代理 有村国務大臣、時間がありませんので、簡潔にお願いします。
○有村国務大臣 はい。
公務員の給与については、人事院勧告に基づき、民間準拠を基本として改定を行ってきております。公務員給与に対して、委員御指摘のように、やはり主権者たる国民からの理解を得ることも重要だと考えております。
人事院の勧告というのは労働基本権制約の代償措置でありますものですから、これを尊重して国政全般の観点から検討を行った結果、勧告どおり給与を引き上げるとともに、給与制度の全般的な見直しを実施することは妥当であるという判断をいたしております。
以上です。
○山之内委員 時間が来ております。
いずれにしろ、景気の好循環、順番が、さまざま議論するところはあると思いますが、地方創生も含めて、根本的な問題に短期的にも、そして中長期的にも対応していただくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○亀岡委員長代理 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 次世代に胸を張れる日本へ。次世代の党の杉田水脈です。
次世代の党になって初めての委員会質問ということですので、やはりこの問題から入っていきたいと思います。慰安婦問題なんですけれども、ことしの五月九日のこの内閣委員会で、女子差別撤廃条約に基づいてその実施状況の報告を求められております中の慰安婦問題の部分について、どのようにこの状況を報告書を作成いたしますかというような質問をさせていただきました。
そのときに政府参考人の方からいただいた答弁が、私が質問したのが五月でしたから、この報告書を出すのが七月ということで、「今まだ関係省庁で検討中でございまして、現時点で、こういう内容あるいはこういう方向でということは決まっておりません。」というような御答弁をいただきました。
まあ、七月の五月なんで、方向性ぐらいは決まっているんじゃないかなと私は思ったんですけれども、その御答弁を受けまして、そのころは、もう既に予算委員会で石原信雄元官房副長官からいろいろ河野談話の形成過程についての証言もございましたし、また、菅官房長官を中心に政府の方での検証も進んでいた段階でございましたから、今までと同じような報告ではもう通用しませんよ、もうちょっと踏み込んだ報告が必要であります、そのような形で報告書を作成してくださいということを要望しておりました。
ことしの九月にこの女子差別撤廃条約の実施状況についての報告書というものが私の手元に参ったんですけれども、ここの中での慰安婦問題に関する報告の部分、皆様に本日参考資料としてお配りをさせていただいております。
今回が第七回、第八回の報告ということになっておるんですけれども、私の方では、女子差別撤廃条約に基づいて慰安婦の問題の状況報告を求められるようになった以降の、第四回、第五回、第六回の報告書も手元にあるんですが、全く同じなんです。日本は既にもう謝罪をしております、首相がそういった謝罪の手紙を書いています、それから、アジアの基金によってそういった賠償もきっちりとしておりますというような内容しか書かれていないんです。
全く今までと同じ内容の報告なんですが、なぜこのような報告になったのか、まず最初にお尋ねしたいと思います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
女子差別撤廃条約に関する政府報告についての御質問でございますけれども、委員既に御案内のとおり、女子差別撤廃条約の中で、定期的にこの条約の目的実施のためにとった措置を報告するというのがございまして、この定期的な報告として、今先生がおっしゃったとおり、本年九月に出したところでございます。
今回出しました中で慰安婦関係についての記述というのもございますけれども、ここにつきまして御指摘がございました。
この問題に関します我が国の基本的な立場というのは、総理あるいは官房長官を含めて累次表明しているとおりでありまして、基本的なところは変わっておらないというところでございます。この九月の政府報告でも、慰安婦問題に関しては、そのような政府の立場というのを踏まえた上で、直近のさまざまな考え方についても少し加えて記述しているところでございます。
いずれにしましても、この問題につきまして、日本政府が求めていくことは、正しい事実認識に基づいて、日本の取り組みに対して国際社会から正当な評価を受けたいということでございますので、このため、日本政府としましては、国際社会に正しい事実認識を持ってもらえるように、これまで以上に発信を強化していきたいと考えているところでございます。
○杉田委員 正しい事実認識に基づいてそのようなことを海外に発信していく、わかっていただくことが大事だという答弁をいただいたんですけれども、この報告書が出たのは七月なんですが、その後の八月に朝日新聞が、今までの記事が捏造であったということを認めて、訂正記事を出しました。そのようなことがこの報告書の中には全く反映をされていないんです。
これを受けて、先週の予算委員会の中でも、我々の山田宏幹事長が、もう日本は謝罪をする必要はないんではないか、これは全部、捏造に基づいて慰安婦問題というものがつくり上げられたものであるから、日本は誰に対しても謝罪をする必要はないんじゃないかというようなことで、岸田外務大臣とも質疑をさせていただいております。
こういった考えに基づいて、この報告書自体も私は訂正されるべきだと思います。まさしく、正しい事実に基づく認識を広めていくということであれば、この報告書をもう一回きちっとつくり直す必要があると思うんですが、今後、これをどのようにつくり直していかれるのか、そのプロセスも含めて、どのように改めていくのかについてお答え願いたいと思います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
やや条約の運用の実務にかかわる細かい点が入ってきてしまいますけれども、先ほど申し上げたとおり、この政府報告というのは、条約の中で定期的に提出が求められているものでございます。したがいまして、今先生からも御指摘があったとおり、前に出した報告以降について政府がこの条約のためにとった措置というものを記述するわけでございますけれども、実務的な観点から、これは対象期間というものを設定して作業しているものでございますから、今回の九月に提出しました報告書におきましては、前回報告以降、すなわち、二〇〇六年、平成十八年の七月以降、昨年、二〇一三年の十二月までに政府がとった措置というものを対象に作成した次第でございます。
このために、実務的な話でございますけれども、御指摘の朝日新聞の誤報の撤回というのが本年八月ということでございましたので、この報告の対象期間内には含まれていないところでございますが、ただ、この報告で全てが終わるというわけではございません。
女子差別撤廃条約におきましては、この報告というものを踏まえて、今後、この条約の委員会による口頭、対面による審査というものがございます。まだ、これはいつ行われるか時期は決まっておりませんけれども、そのような対面、口頭での審査の中で、この報告書を提出した後に起こったことも含めて、我が国としての取り組み、考え方、そういったものが正しく理解されるように取り組んでいきたいと考えておる次第でございます。
○杉田委員 今回が第七回及び第八回の報告ですので、第九回を待たなければいけないのかもしれませんが、これは本当に、もう時間がない、早急にやっていただかないといけない状況だと思います。
国内では、さまざまな検証が行われまして、新たな真実も明らかにされてきているわけです。これがかなり国内では浸透してきているように私も感じておるんですけれども、何一つ対外的な動きにつながっていないということが今非常に懸念されているんです。
ここで菅官房長官にお尋ねしたいんですけれども、この間の予算委員会の質疑の中で、国際社会にも日本の名誉が傷つけられたという事実がありますということで、これを今後変えていかないといけないというような御答弁をいただいておるんですけれども、この女子差別撤廃条約の報告書のあり方とか見直しとかも含めて、この問題に対して対外的に、今後どのような広報、正しい事実を発信していくのかということについてお答え願いたいと思います。
○菅国務大臣 まず、河野談話ですけれども、検証作業を行った結果、幾つか明らかになったんですよね。それは、当時は日韓両政府の間で、この問題に区切りをつけて、未来志向の関係とすることを意図して努力をする中で、両国間で調整して行われたものである。
さらに、強制連行を確認できないということが明らかになっています。
そしてまた、元慰安婦への聞き取りでありますけれども、これについては、韓国政府からの要請を受けて、真相究明よりも、日本政府の、元慰安婦の方たちの気持ちを理解するために実施された、それで裏づけ調査をしなかった、こういうことが明らかになってきたんですね。
そしてまた、この報告書では、当時の韓国の大統領も河野談話を評価していた。さらに、その後、日本は、アジア女性基金とかいう形で、人道的な、総理の手紙とか償い金という形を行ってきている。
こうした経過を経て、日韓関係はしばらくよかった。しかし、ここに数年前から再びこの問題が提起されるということは極めて残念である、こういうふうに申し上げたいというふうに思います。
そういう中で、日本政府は、いわゆる河野談話においては、強制連行が確認できないとの認識に立って、事実関係をゆがめることなく、韓国側とぎりぎりの文言調整が行われてできたものであるという形で、私たちは河野談話は継承する、見直しはしないということを明確にしています。
ただ、一方、河野談話の記者会見のときに官房長官が、強制連行の事実があった、そういう認識を問われて、そのように解釈してもいいですということの発言というのも、これに書かれています。この発言だとか、委員が問題にしています、朝日新聞が報じている吉田清治氏の証言によって、あたかも強制連行があったような、そうした事実に関する認識が韓国を初め国際社会に広まっていったと。
そういうことで、政府としては、客観的事実関係に基づいて、正しい歴史認識、これが形成されるように、日本の名誉や信頼の回復を図るべく、日本の基本的立場や取り組みについて、これまで以上に戦略的に行っていきたいというふうに思います。
具体的に申し上げれば、その予算でありますけれども、昨年度からことしにかけて、内閣府政府広報室の国際広報予算というのは二倍に引き上げました。来年はさらに二倍にしたい、こういうふうに思っています。そうした中で、まさに戦略的広報というものを委員からも再三にわたり指摘されておりますので、しっかり対応していきたいというふうに思います。
ちなみに、先般、山田委員から質問がありました、外務省のアジア女性基金の呼びかけた部分、これは整理を行いました。
〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕
○杉田委員 ホームページから削除されていることは確認させていただいております。どうもありがとうございました。
強制連行のうそだけではなくて、例えば韓国が今世界じゅうに広めているのは二十万人、それに何か中国が悪乗りして、朝鮮半島で二十五万人、中国大陸で二十五万人の合計五十万人が強制連行されたみたいなうそも広まっていますけれども、これも朝日新聞が、女子挺身隊と慰安婦を混同してしまったがためにこの二十万人という数字がひとり歩きしてしまったというようなことも認めていますから、向こう側が広めているうそは一つ一つちゃんと日本の真実で論破ができるはずなんです。だから、こういう形できっちり一つ一つ論破していく必要があるのではないかというふうに私は考えております。
この件、ちょっともう時間がないので、女子差別撤廃条約についてきょうはお話をさせていただきたいと思うんです。
先日、ノーベル平和賞が決定しまして、パキスタンのマララ・ユスフザイさん、十七歳の少女が受賞いたしました。私の娘も同じ十七歳なんですけれども。私は、日本国憲法九条がノーベル平和賞を受賞しなくて本当によかったな、日本が恥をかくところだったなというふうに思っておるんですけれども、このマララさんは、女性も教育を受けさせてほしいというようなことを主張して、銃撃されたんですよ。
女子差別撤廃条約をいろいろ隅々まで読んでおるんですけれども、こういった、例えば命にかかわるような女性差別があるような国とかにとってはこういう条約というのは本当に必要なものではないかと思うんですけれども、日本はそれと比べてどうですか。女性の差別は存在しますか。私は、女性差別というのは存在していないと思うんです。その中でこの女子差別撤廃条約というのを日本は結んでしまっています。
この条約の中には、「女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。」と書いています。要するに、日本の文化とか伝統を壊してでも男女平等にしましょうというようなことが書いてあって、これは本当に受け入れるべき条約なのかどうかということがあるかと思うんです。
日本は戦後、国際条約とか国際的ルールづくりについて、余りにも今まで受け身であったと言わざるを得ないと思うんです。一回つくってみて、やってみて、おかしいということがあればクレームをつけることができるはずなんですが、戦後一度も国連に対して修正動議を出したことがないんです。
このようなこともしっかりと検討していただいて、このような日本の風土に合わないような条約は、やってみておかしいと思ったらそれを撤廃するような方向にもしっかりと考えていっていただけたらと思います。
そうしましたら、ちょっと時間もなくなってまいりましたので、次の質問に参りたいと思います。
有村大臣、女性活躍担当大臣ということで、私も今までの予算委員会なんかでのいろいろな質疑の内容とかを見させていただきました。新聞記事にも、やはり注目されているのでいろいろなことが取り上げられているんですけれども、例えば、この間の参議院の予算委員会の中で大臣が共働きを否定したんじゃないかとかいうようなことも言われておったんですけれども、私はここで問題になった発言とかは何ら問題もないと思いますし、大臣がおっしゃっていることはまさしくそのとおりで、入閣前の発言も含めて、本当に私は支援していきたいと思うんですね。そういうものを曲げていただきたくないと思っているんです。
お尋ねしたいのは、これから出てくる例えば女性活躍に関する法案が有村大臣の過去の発言と矛盾するものなのでしょうか。そのあたりをお聞きしたいと思います。
○有村国務大臣 エールを送っていただき、ありがとうございます。当然ながら、私は信念を持って今まで言動を行ってきましたし、それをぶれることなくやっていきたいというふうに思っております。
そして、男女共同参画と女性活躍ということで、両方のバランスをとってやっていきたいというふうに、社会にとって、その御家族にとって、また次世代にとっても幸せかどうか、健全かどうかという視点で、双方はそごがないというふうに思っております。
また、先ほどちょっとお話がありましたけれども、私は共働きの御家庭を否定するような発言は全く行っていないということも、いま一度明確にそのスタンスをさせていただきたいと存じます。
○杉田委員 そうなんですね。共働きを否定している発言では全くないんです。
おっしゃっていらっしゃることが、女性が働くことが美徳となり、婚期が遅くなり、子供の数が減り、子供を持つ主婦が働くことで家事どころか子育てまでも外注され、保育園で夜遅くまで預けられる子供がふえている、このことが社会を殺伐とさせ精神的に貧困とさせていることに思いを致さなければ。
これは、大臣の発言ではなくて、大臣がされていらっしゃる団体のことなので、賛同する部分もあるし賛同しない部分もあるというのは、本当にそのように思っておりますし、大臣がずっと、家族のきずなの大切さを後世に伝えていきたいとおっしゃっていることはまさしく正しいことだと思いますので、それを貫いていただきたいと思います。
もう一点、これも参議院で話題になったところで、選択的夫婦別姓のお話なんですけれども、有村大臣を含め何人かの今回入閣された女性閣僚の方は、これに否定的な考え方を持っていらっしゃる方がいらっしゃいます。
私は、山谷大臣が過去に発言されたという、これが夫婦解体法だというのは、まさしく夫婦解体につながると思います。なので、こういう法案は前に進めるべきではないというふうに思っておるんですけれども、これも一点、関連をお聞きしたいんです。
これから出てきます女性が輝くというような法案において、選択的夫婦別姓のことと何か矛盾するようなこととか、こういうのが取り上げられたりするようなことは、今後この法案においてありますか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
選択的夫婦別氏制度についての山谷大臣のかつての御発言については、山谷大臣に御照会をいただきたいというふうに思っております。
この別氏制度については、せんだって、第一義的に責任を持たれる法務省の法務大臣が、国民意識の動向ということも踏まえて進めないとできないと現時点では明言をされていらっしゃいますので、今後の法務省における対応、あるいは国民意識の動向ということを鑑みていきたいと思います。
国民に広くかかわる課題でありまして、私自身は、今を生きる私たちのみならず、子々孫々の家庭のあり方、日本の家族のあり方とかかわってくる問題でありますので、動向を心して注視させていただきたいと存じております。
○杉田委員 どうもありがとうございました。
これから出てきます女性活躍に関する法案について楽しみに待ちたいと思います。よろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○井上委員長 次に、三谷英弘君。
○三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。
本日、三十分の時間をいただきました。
内閣委員会に関しましては、私は、今国会からこちらに所属をさせていただいております。初めてということもありますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それから、本日は所信に対する一般質疑ということで、多くの大臣に御列席をいただいておりますこと、こちらにも同時に感謝をさせていただきます。ありがとうございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、これは実はことしの本会議それから安全保障委員会においても取り上げさせていただきました、いわゆるサイバーセキュリティーといいますか、そういった問題について質問させていただきたいと思います。菅官房長官でございます。
アメリカでもそうですし、その他、ヨーロッパでも、またオーストラリア、そして韓国でも同様の動きは広がっておりますけれども、いわゆるバックドアと言われるようなものをつくることができるような機器、特定の企業名を挙げてしまうと、中国のファーウェイというところが特に俎上に上っているところではございますけれども、そういったものを使った機器というものを日本の国内で、特に官公庁で使っているということであれば、非常にセキュリティー上のリスクがあるのではないかという指摘があるわけです。
そのとき、本会議場では、これからそういった機器の使用について調査をしていくというような回答をいただきましたけれども、こちらの調査の現状について、どのようになっているかということについてお伺いしたいと思います。
○菅国務大臣 本会議において、三谷委員からそういう指摘を頂戴しました。私どもも、ありがたく受けとめて、早速対応させていただいています。
まず、政府の情報システム、これを調達する際には、安全性の確保、これは極めて大事ですけれども、しかし、各府省が調達しようとしているもの、あるいは既に調達をしている情報システムを構成する機器の調達先については、NISCが中心となって随時調査をしてきております。
そして、調査結果については、政府機関が保有する情報システムを構成する機器の詳細情報が中に含まれていますので、そのことを明らかにすることによってさまざまな問題が生じますので、ここについてはセキュリティー上の理由で控えさせていただきたいと思いますが、当時委員から指摘をいただいたことについてしっかり対応させていただいています。
○三谷委員 ありがとうございます。
今、調査に関して対応していただいているということでございますけれども、これからの機器の調達に関して取り扱いを変更したというようなことはございませんでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
政府が情報システム等を調達する際には、機器の安全性の確保、いわゆるサプライチェーンリスクへの対処が大変重要であるというふうに認識しております。
このため、ことしの五月、官房長官を議長といたします情報セキュリティ政策会議におきまして政府機関統一基準を改定いたしまして、調達の際の安全性の確保につきまして、より具体的な措置について各省庁に求めているところでございます。
今後は、この改定された統一基準に基づきまして、政府における調達についてセキュリティー水準の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
○三谷委員 ありがとうございます。
いわゆるサプライチェーンリスクというものについてしっかりと御対応いただければと、そのような対応を随時進めていただいているというふうに理解しておりますので、引き続きそういった対応もお願いを申し上げます。
それから、やはり情報の漏えいというものに関しては、どうしても意識がおくれてしまうというところは間違いないことではないかというふうに考えております。
ここで一つ問題提起をさせていただきたいんですけれども、例えば携帯電話を使って電話をするということに関しては、憲法上いわゆる通信の秘密というものがありますし、それが基本的には保障されているという中で安心して会話をすることができる。例えばGメールに関してはどうか。そういう意味では電話に比べると大分安全性は低くなるんだろうけれども、やはり一定の安全性というのはあるんじゃないかというふうに考えることもある程度はできるんじゃないか。
しかしながら、最近はやっております携帯電話等々でのメッセージ交換サービス。例えば、先日もそういった疑念があるんじゃないかというふうに言われておりましたLINEですとか、そういった誰もが手軽に使えるサービスを使うと、そこでのやりとりというのは全て別のところに筒抜けになってしまうというような懸念があるわけでございまして、どうしても普通のメールですとかそういったものと同じような感覚で使ってしまうという方が、これはまだ一般的には少なくないんじゃないかなというふうに考えているんです。
その点について、国家公務員におけるそういうメッセージの交換サービスといったものの利用の状況、そしてそれについての規制等々がございましたら、お答えいただければと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
政府機関が業務上、今先生御指摘のような外部の情報サービスを利用する際には、その特性に鑑みまして、要機密情報を取り扱わないこととするとともに、こうしたサービスを利用する際には責任者を定めるというふうにしているところでございまして、その旨、先ほど申し上げました情報セキュリティ政策会議におきまして決定をいたしました政府機関統一基準に規定をし、その遵守に努めているところでございます。
○三谷委員 一応念のため確認ですけれども、それは機関として、国として、地方公共団体としてやるのではなく、一国家公務員の使用に関してそういった同様の規制があるというようなことであるのか。それから、いわゆる一般的なソーシャル・ネットワーク・サービスと、そういった表面上一対一通信に見えるようなメッセージ交換サービスというものに関して、何らかの取り扱いを変えるような、そういった指導がなされているのか。この二点について簡潔にお答えください。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました政府の統一基準でございますが、こちらは、政府機関の職員が業務上こうしたサービスを使う場合の規定ということでございます。
当然のことながら、こうしたサービスを私的に利用する場合には、個人の自覚と責任において自由に行うべきではございますけれども、昨今の状況に鑑みまして、平成二十五年六月に、当時の総務省人事・恩給局より「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」というものを策定し、各府省に周知をされたものというふうに承知をしております。
○三谷委員 お答えいただきましてありがとうございます。
これは全くもって別の世界の話ではありませんで、例えば、自分自身がこういうサービスが危ないということで幾ら使用を制限しても、自分の友人または家族がこういったサービスを使うという場合には、そこの電話帳の中に入っている情報が全て集約されてしまうということでございます。
ですので、さすがに、一人の名前と電話番号というのが同じものが幾つもあれば、当然ながら、その人の携帯番号はこの番号だということが明らかになっちゃうんです。自分が幾ら注意をしても、そういった自分のところではコントロールできない、携帯番号が外に漏れたから、では何だという話ももしかしたらあるかもしれませんけれども、そういった危険と常に隣り合わせであるんだということですね。それは、もちろん国会議員、我々だけではなくて、国家公務員の側においても十分に注意をしていただければということをお願いさせていただきます。
最近は、いわゆるビッグデータ等々で、さまざまな形で個人を特定するということが次第に容易になっていくような状況でございますので、そこら辺については、十分に注意してもし過ぎることはないのかなというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
それから、きょうは菅官房長官に全部でできれば三点お伺いをしたいというふうに考えておるんですが、二点目に関してです。
これは手短で結構ですけれども、今、香港におきまして、一国二制度を守るんだというような形でデモが行われております。そのものに対して官房長官が記者会見でどのように意見を表明されたのかということについては十分認識をしておるんですが、ただ、昨晩、デモを実力行使によって排斥するというような事態も一部では発生している状況でございます。
その現状を受けて、やはり今の動きに対してどのように考えられているのかということについて、少なくともEUでは、対話が必要だというようなメッセージを言ったりとか、オバマさんに関しては、むしろデモに対して一定の支持の見解を表明されたりというところもある状況ではございますけれども、この点について、菅官房長官の御認識を伺いたいと思います。
○菅国務大臣 我が国にとっても、香港が引き続き一国二制度のもとに、我が国との緊密な関係を維持しながら発展をされていく、このことは期待をいたしております。
ただ、そうした中にあって、我が国は、国際社会の普遍的価値である、自由、基本的人権の尊重、さらに法の支配、これが中国においても保障されるのが極めて重要であるという立場というのは、一貫して私ども述べてきたとおりであります。当然のことながら、香港に対してもこの立場は全く変わらないということであります。
そして、我が国としては、現在の事態が平和裏に収束することを望んでおり、その香港の推移というものを見守っていきたいというふうに思います。
○三谷委員 時間の関係上、これ以上ということは差し控えたいと思いますけれども、この今の香港の動きというのは、実は香港だけにとどまらない。日本と非常に近接な関係を持っております台湾においても、この香港のデモの情勢というのを非常に注意深く見守っているというような状況ではないかと思っております。
台湾の方々は、彼らは彼らで、中国との関係をどのようにしていけばいいのかということについて非常に、今回のデモの対応を含めて、憂慮して見守っている状況ではないかと思っております。日本がこれからもそういったアジアの国々と仲よくしていくというためには、場合によっては踏み込んだ対応、意見の表明等々をしていただければということをお願いさせていただきます。
それから、菅官房長官に三つ目ということでございますけれども、所掌外というふうなことになってしまうかもしれませんけれども、今、国家の安全保障上のリスクにもなっているんじゃないかというふうに考えております、いわゆるエボラ出血熱への対応について、若干お伺いしたいというふうに思います。
九月二十五日、安倍総理大臣が国連のエボラ出血熱流行対応ハイレベル会合におきまして、四千万ドル規模の資金提供を行うというようなことも表明をされました。
正直言って、そのときは西アフリカに対する援助というような思いというか、そういった観点が強かったのではないかというふうに考えておりますが、それから一カ月もたたないうちに、スペインで発症し、そして二次感染し、同じようにアメリカでも発症し、二次感染をしているというような状況で、これは日本にも入ってきかねない状況であるかというふうに考えております。
その中で、一旦日本にもし一人でも入ってくれば、各国の対応を見れば明らかですけれども、一人発症者が出たら、今まで触れた人は百人規模で二、三週間隔離されるわけです。そして、そういった方が何人出るかということによって、もちろん、どういう形で感染をするかということはこれからの調査も待たなければいけませんけれども、いわゆる通勤ラッシュというようなものに乗ることができないといった、ある意味パニック的な状況にもなりかねないというようなこともありますし、本当に日本の経済に大きな影響を与えかねないというようなところでございます。
そういう環境の変化を踏まえて、九月二十五日の時点と今の時点と、その対応について、そしてこの危機に対する認識に変化があったかどうかということについてお答えいただきたいと思います。
○菅国務大臣 危機の認識に変化があったかどうかといえば、それは間違いなくあります。というのは、当初西アフリカだけだったんですけれども、これが欧米諸国にも感染をし、先般、WHOで緊急事態宣言を発出もいたしております。
政府としては、関係省庁が連携をとりながらしっかり対応しているところでありますけれども、そのために、出入国者に対しての注意喚起だとか、あるいは渡航に関する適切な情報提供、あるいは感染が拡大をしている西アフリカ諸国に対する支援を行うとともに、この出血熱の疑いがある者が発生した場合、対応できるように既に国内では体制を整備して、当たっているところです。
○三谷委員 もちろん発症した場合というところではございますけれども、今回のエボラ出血熱の本当の一番の脅威は何かといえば、感染してから発症するまでの期間が極めて長いというところにあるわけでございます。まだ発症する前には感染をしないというような考えもありますけれども、発症するまで感染しないということでは片づけられないような事象も起きているようでございます。いろいろな症例を私もさまざまな情報で見ておりますけれども、そういった例もあるようでございます。
ですので、国内に入ってきたら食いとめていくというのはもちろんそうだとは思いますけれども、国内でエボラ出血熱の発症をした人が出たという時点で、では、潜在的に感染した人はどれぐらいいるんだというようなことに、そういう意識に当然つながっていくと思います。
ですので、入ってこないような対応というか、これは、西アフリカを含めて、そういったところでできる限り封じ込めていただくということが、日本の安全保障という観点からでも重要になってくるんじゃないか。水際で阻止するということで本当に足りるのかどうかということなんです。
つまり、簡単に言えば、先日の九月二十五日の四千万ドルの規模の援助というものはありました、それは大変なことだったと思いますけれども、さらに何らかの追加的な対応をそういった国々に行うとか、そういったことも考えていただきたいというふうに思うんですけれども、その点についてどのように。
○菅国務大臣 実は、きょう午前中、総理とオバマ大統領との会談がありました。その中で、エボラ出血熱に対しての日本への協力要請もあったところであります。当然、日本としては、今委員から指摘されました、まさに、できれば現地で抑えることができるような国際協力、これは全面的にやっていきたい、そういうふうに思っています。
○三谷委員 ぜひとも、時間の関係上もありますし、あと個別の話はもしかしたら厚生労働委員会でということになるかもしれませんので、引き続き、この問題、しっかりと取り組ませていただきたいというふうに考えております。ありがとうございました。
それでは、続きまして、松島大臣にお伺いをしたいと思います。
松島大臣は前回の国会までは経済産業委員会で副大臣としていらっしゃって、質疑等々でいろいろなやりとりをさせていただいたというところでございます。今回に関しては、内閣委員会ということもございますので、特定秘密保護法についての質問をさせていただきたいというふうに考えております。
これは特段資料としてお配りはしておりませんけれども、各党合意というものが行われたという経緯は多くの方々も御存じじゃないかというふうに考えております。
平成二十五年の十二月五日、去年の年末ですけれども、自由民主党、公明党、日本維新の会及びみんなの党、この四党合意の中で、特定秘密保護法案というものに対して合意をさせていただいております。本来的にはこの内容を附帯決議という形で、衆議院及び参議院の院の意見ということで取りまとめたいところではございましたけれども、そういった状況にはなかったということで、この合意ということでやらせていただいております。
ここの内容、みんなの党といたしましても、当時さまざまな状況がございます中で、やはりこの特定秘密保護法というものが極めて重要であるというようなことを認識いたしまして、これは党利党略ではなく、しっかりと進めなければいけない、ある意味リスクをとって進めさせていただいたという経緯もございます。
その中で、この合意事項に記載されております状況、ここが具体的に対処されているかということについて、念のため確認させていただきたいと思います。
○松島国務大臣 三谷委員がおっしゃいました四党合意、昨年の臨時国会でございますけれども、この合意をしっかり踏まえて幾つかのことを行っております。
何よりも重要なのは、特定秘密保護法の適正な運用を確保するために、特定秘密の指定等の検証、監察を行う組織の設置につきまして、四党合意を踏まえて、内閣府に独立公文書管理監を設置することといたしました。また、運用基準におきまして、この特定秘密の指定等の検証、監察を十分に行うために必要な権限をここで具体的に定めているところでございます。
引き続き、十二月十日の法の施行に向けて必要な準備を行ってまいりたいと思います。
○三谷委員 ありがとうございます。もう少し最初の答弁で踏み込んでいただいてもよかったのかなと思ったんですけれども。
そこで、「独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」というものなんですが、本日の民主党の近藤委員の質問の中でもありましたけれども、やはり一番重要なことは、国家機密といいますか、本当にこれを漏らしてはいけないセキュリティーに関する情報というものがあるんだという一方で、それに関係ない情報というものはしっかりと国民に対して知る権利として出していくというようなことが、これは重要になってくる。
これはもう明らかに車の両輪といいますか、車の両輪というよりも、一部の情報、本当に出してはいけない情報以外は基本的には国民の知る権利に資するべきだという、どちらかというと知る権利の方が重いのではないかというふうなところもあるぐらいですけれども、その点について、独立した公正な立場という形でこの管理監というものがなっているか。その人事の点を含めて、改めて御認識をお伺いしたいというふうに思います。
○北村政府参考人 お答えいたします。
四党合意におきましても、この法律の附則九条に基づいて設置される新たな機関というものが、内閣官房から独立してしっかりとした権限を行使できるということは重視されているところでございます。
今回、私ども、内閣府本府組織令を改正する中で独立公文書管理監というものを設置いたしますとともに、その権限につきましては、運用基準というものの中におきまして明確に規定をしたということでございまして、独立した権限の行使というものがしっかりとできるような枠組みをつくったというふうに考えておるところでございます。
なお、先ほどの独立公文書管理監の人選等につきましては、今後施行までの間に検討が進められて、公正かつ実効的なチェックを機能的に果たすことのできる方が選定されるものというふうに判断しているところでございます。
○三谷委員 ともかくも、この運用基準というのは、昨日これが公表されたということ、閣議決定されたわけですから、その内容につきましてはこれから十分に検証、検討させていただきたいというふうに考えておりますけれども、これは事前の検討のみならず、今後の運用ということについても非常に重要な問題でございますから、我々としても、四党合意というものの中でしっかりとこの特定秘密保護法というものが運用されるかということについては引き続き注視をしてまいりたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
もしかしたら松島大臣には物足りない質問だったかもしれませんけれども、御容赦いただければと考えております。
それから、三点目でございます。次の問題に移らせていただきます。
山口大臣に若干質問させていただきます。クールジャパン担当大臣ということでいらっしゃいます。きょうは、本当に総花的な質問になって申しわけありません。
私も、このクールジャパンというものについては非常に重大な関心を持っておりまして、何とかこのクールジャパンをうまくやって進めていただきたいというふうに考えております。
自分に関しては、アニメとかゲームとか漫画とか、そういういわゆるポップカルチャー的なものを何とか世界に売っていきたいという思いはあるんですけれども、山口大臣は、何か、見る限り、そっち方面ではないような感じがするんですけれども。(発言する者あり)いや、見る感じです。だからこそ、このクールジャパンについてのどこの部分を特に伸ばしていきたいというふうにお思いなのかということについてお答えいただきたいと思います。
○山口国務大臣 お答えをいたします。
私も、オタクではありませんが、実は、結構ポップカルチャーが大好きで、アニメはもちろん、しかも、かつて麻生財務大臣のもとで副大臣をやっておりまして、うつったのかどうかわかりませんが、漫画も一生懸命読んだり、同時に、当時、麻生内閣のときに総理補佐官をやっておりましたときに、お台場の方にアニメ館というかメディア館の話があったんですが、これも公営漫画喫茶みたいに言われて、あえなくついえましたが、やはりああいったことは非常に大事なんだろうと思うんですね。
御案内のとおり、我が国は、今のお話のポップカルチャーを初め、伝統とか文化に裏打ちをされたさまざまなもの、あるいは食がありますよね。これをクールジャパンということで、せっかくあれだけ外国の皆さん方から評価をいただいておるわけですから、しっかり売り込んでいきたいというふうに考えています。
同時に、今国会は特に地方創生ということも大きな課題になっていますが、地方にもやはりいろいろあるわけです。これをしっかり発掘していって、クールジャパンの中でもっともっと発信をして売り込んでいけないだろうか。これがひいては日本の経済発展にもつながりますし、同時に、例えばテレビのコンテンツ等々、やはり日本のライフスタイルも売り込めるわけですよね。
先生はお若いですけれども、私なんか、子供のころは、アメリカのホームドラマを見ながら育ったわけで、あれが理想的な家庭じゃないか、ライフスタイルじゃないかみたいな思いがあって、やはりその影響力というのはすごく大きいと思うんです。
ですから、そういった意味合いで、もちろんビジット・ジャパンというのもあろうかと思いますが、非常に大事な取り組みだということを自覚いたしておりますので、ポップカルチャーがお得意の先生、またいろいろと御指導、御教示を賜れればと思っております。
○三谷委員 ちょっと、塩を送ってしまったような状況になってしまって反省をしているんですが。
本当は、そうではなくて、実は、特に山口大臣におかれましては、恐らく、地方のいろいろな文化とかそういったものも世界に発信していくというような状況にも興味を持っていらっしゃるんじゃないかと思いまして、いろいろ私も調べているんですけれども、日本酒を世界に売っていく。
これは、酒蔵は日本全体で千二百ございまして、その中で日本酒とあるんですけれども、一〇〇つくられるうち、日本で、国内で消費するのが九七で、三%しか国外に輸出されておりません。一方で、ワイン、フランスの方では、一〇〇つくるうちの七〇が海外に輸出されているというような状況もございます。
文化を世界に発信していくというような中で、こういったものを世界に売っていくということをすれば、もちろんその売り上げがよくなるということもありますけれども、例えば、地方の休耕田に酒米をつくっていくというようなことに変えていけば農家の収入も多くなるですとか、そういったいろいろな多面的な効果もあるわけでございますから、そういった意味でのクールジャパンというのもぜひ推進していただければというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
この点について、またいろいろ取り上げさせていただきたいと思います。
それから、時間の関係上、続いて、山谷大臣に伺いたいと思います。総花的で申しわけありません。
山谷大臣といえばというところもありますけれども、私もいつも、領土問題というものには非常に関心があるところでございまして、島根県で行われております竹島の日には、実は、当選以来、二年ですけれども、連続して出席をさせていただいております。
この竹島というのが日本の固有の領土であるということは明らかなことだろうというふうに考えておりますけれども、一方で、韓国の方のプロパガンダというものがとにかくすごいんです。韓国の側が、日本が竹島の地は韓国領だと認識していた地図が出てきただとか文献が出てきたとかというのは、のべつ幕なしにずっと出てきているような状況で、最近もまたありましたけれども、そういったものに対して、どうしても日本の情報発信、世界に対する情報発信がまだまだ足りていないんじゃないかというような声も正直強いんじゃないかと思います。
その点についての御認識と、これから内外発信を強化するというふうに所信でおっしゃっておりましたので、その点についての御見解を伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 ありがとうございます。
領土情勢を取り巻く状況が厳しさを増す中で、我が国の領土主権をめぐる立場について正確な理解を国内外において浸透させていくことは、切迫した課題だと認識しております。
安倍内閣は、我が国の領土、領海、領空を断固として守り抜くとの決意を持って、毅然かつ冷静に対処していく方針で臨んでおりまして、現内閣は発足とともに歴代内閣で初めての領土担当大臣を置きまして、昨年二月には内閣官房に領土・主権対策企画調整室を設置したところであります。
領土主権は国家の存立の基本でありまして、私、総理のもと、これまでの経験を踏まえつつ、国内外において我が国の立場に関する正確な理解が浸透していくように全力で取り組んでいきたいと思います。
具体的には、今年度予算に基づきまして、領土教育の充実を図るための各都道府県教育委員会の指導主事等を対象に実施する領土主権に関する教員等セミナー、あるいは、尖閣諸島及び竹島に関連する資料を調査し、デジタルの資料集、目録を編さんする事業、また、我が国の領土主権に関する重要な論文を英訳して国際社会に向けて発信していく、また、独自のウエブサイトを通じた発信、海外出張の機会を利用して対外発信など、我が国の立場を強く発信していきたいと思います。
○三谷委員 関連してですけれども、そういった強く発信をするということであれば、国が竹島の日をつくるというのも一つの考え方ではないかと思いますけれども、その点について御認識を伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 島根県主催の竹島の日への政府対応は、二〇一三年、第八回から、竹島の日式典に島尻内閣府大臣政務官が政府関係者として初めて出席、また、本年も亀岡政務官が政府関係者として出席をされました。
お尋ねの件についてでございますが、諸般の情勢を踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。
○三谷委員 甘利大臣にお越しいただいているので、時間の関係で一言だけお伺いしたいと思います。
NPO税制に関して、これがなくなる、見直されて非常にNPOに対する寄附がしにくくなってしまうんじゃないかというふうに懸念をされているという方が多くいらっしゃいます。先日、その院内集会も開かれました。このNPO税制、税額控除を引き続き行っていくということについて、甘利大臣の御認識を伺いたいと思います。それで終了いたします。
○甘利国務大臣 NPOは、地域社会を担っていく、いわばインフラのような役割を相当担ってきつつあります。そして、NPOがしっかり運営されていくための寄附税制ということは重要だと認識をいたしております。その上で、適切に対処してまいります。御心配はないと思います。
○三谷委員 ありがとうございました。
○井上委員長 次に、木下智彦君。
○木下委員 維新の党、大阪維新の会の木下智彦でございます。
今国会、この内閣委員会の理事を拝命させていただきました。これから法案審議等々に、閣僚の皆様、それから井上委員長、それから理事、委員の方々の御協力のもと、しっかりとした審議がなされることをお願いいたします。よろしくお願いします。
まず最初に、きょう、もう時間が、最初は四十五分からということで、十分遅くなってしまいまして、松島大臣が一時までということなので、ちょっと当初の予定を前後を変えましてやらせていただきます。
そうはいいながら、ちょっと皆様のお手元にすごい資料が来ております。これは、私の認識では余りにもどぎついと思われるようなもので、今回の資料にするのもちょっとはばかったんですけれども、どうしてもやはり皆様に理解していただきたいと思いまして、配らせていただきました。
まずこのお話からさせていただきたいんですけれども、実は、このお話はクールジャパン担当の山口大臣、先ほど、ポップカルチャーにも非常に造詣の深い方だということで非常に心強く思っておるんですけれども、その前に、特定秘密のお話を本当はするはずだったんですけれども、多分もう時間がないので一言だけ松島大臣にお話をいただきたいんですけれども、恐らく特定秘密の話をすると時間がたってしまうので、一言コメントをいただきたいんですね。
この写真を見ていただいて、これが今アメリカで、ECサイト、インターネットで販売されているようなもので、これは日系企業が販売しております。これがいい悪いというのはちょっとはばかりますけれども、これを見て、女性の目線でどう思われるか。というのは、松島大臣は、今までも性犯罪に対しての非常に強い思いを、量刑のことについても御発言されておりますので、一言先にこれだけ言っていただいて、御退席いただければと思います。
○松島国務大臣 何ら法務大臣として法務省と詰めたものではございませんが、これは所見にいたしまして、これは児童ポルノとは言いがたい年齢かなとは思うんですが、いろいろな欲情の誤った形の扇動になるというのは言い逃れることはできないだろうと思っております。それを日本企業が販売しているとしたら、非常に残念であります。もちろん、表現の自由ということはあるにしても、そう思っております。
同時に、私自身、私の後援者の方たちから言われているのが、日本ほど、ビニ本と言ったり、あるいはビニ本にもなっていない週刊誌なんかであられもない格好の女性がいっぱい写っているのがこれだけあると、観光立国、そして東京オリンピック・パラリンピックへ向けて恥ずかしい、何とかしてくれというような声を聞いているのも事実でございます。
○木下委員 ありがとうございます。事前に通告がないところ、お答えいただきました。
松島大臣は実は私の高校の大先輩でして、見ていてきょうは朝からお元気がなかったので、お元気を出して次へ行っていただければと思います。
今の松島大臣のお話は個人の御所見だというふうに私はとりたいんですけれども、これが実は、クールジャパン機構という昨年成立した法律でできたファンドがあります、そこから、クールジャパン機構のサイトを見ていたんですね。そうしたら、ことしの三月末の決算書類とかを見ていても、何もまだ、どこかに出資したであるとか、どういうことをするとか、まあ、立ち上がってすぐだったので書いてなかったんです。
どういうことをしているんだろうというのは、私も経産委員会に前回所属しておりましたので、気にしておりました。そうしたら、この九月の二十五日に、四件ほど出資先が決まりましたというのが出ておりました。そのうちのこれは一つなんですね。
ちょっとここで、最初にちょっと前後してしまいましたけれども、今その四つについて、どういうものがクールジャパン機構から出資が決定したかといったその辺の経緯等々について、政府側からお話しいただければと思います。
○富田政府参考人 お答えをさせていただきます。
クールジャパン機構の出資案件の状況でございますけれども、本年九月の二十五日でございますが、クールジャパン機構より、設立以降初めての投資案件四件についての公表がなされました。
具体的な内容でございますけれども、一つは、中国それからマレーシアにおいて、従来にない大規模な日本商材を取り扱うジャパン・モールを展開する事業、これは中国とマレーシアでそれぞれ一件ずつでございます。それからもう一件が、ベトナムにおいて、日本の高品質な食材を流通させるためのコールドチェーンを整備する事業。それからさらに、アメリカ、インドネシア等におきまして、漫画、アニメ等のジャパン・コンテンツに関連した物販事業を強化するという事業。合わせて四件でございますが、総額で約百四十五億円の出資決定を行ったということでございます。
私どもといたしまして、日本の地域の産品あるいはファッション、日本食、コンテンツを取り扱うさまざまな地域の中小企業、地域の企業にとって、海外展開への大きな足がかりあるいはプラットホームになっていくものだというふうに期待をいたしておりまして、クールジャパンを推進する観点から、日本の魅力ある商品やサービスの海外展開がさらに一層進むように、私どもとしても取り組んでまいりたい、このように考えてございます。
○木下委員 説明という形だった、答弁になっていないというお話もありますけれども、お話がありました。
そうですね、せっかく松島大臣にお話しいただいたので、できれば、女性の目線ということで、山谷大臣からも一言、この写真を見てどう思われるかということをいただければと思います。
○山谷国務大臣 個人的感想でありますが、女性の尊厳という視点から見て、残念であります。
○木下委員 ありがとうございます。お二人ともそういう御意見をいただけたのは、非常に私としては勇気のあるお言葉をいただいたんだと思います。
なぜこれを言うかというと、今、総額は百数十億円というお話がありました。このECサイト、もう既にあるECサイトなんですけれども、アメリカとそれから日本に主たる事務所を置く会社です。名前が東京オタクモード・インクという会社でして、恐らく相当これは売り上げがあるんだと思うんですね。ただ、これにクールジャパン機構から、これからの三年間、向こう三年間で十五億円投資をするということが決定されましたということが、クールジャパン機構のホームページに載っているんです。ほかの三件もいろいろと見たんですけれども、どうしてもやはり、これを見ていると、これだけじゃないです、私の価値観ではどうかというのはあるんですけれども、ほかの、そんなどぎついものでないものも売っています。ただ、物すごく目につくんですね。
こういうのをどういう評価で投資対象とするのかというところが、私、そこはまず聞かせていただきたいんですね。よろしいでしょうか。大臣、もしくは政府側からでも結構です。大臣、もしよろしければ。
○山口国務大臣 ただいま初めて私も拝見をしたわけで、どきっといたしました。
クールジャパンということでいろいろな施策を展開しておるのはもう先生も御案内のとおりで、その中の一つがクールジャパン機構ということで、政府と民間の出資で、今後、ポップカルチャーを含め、日本の商品を扱う等々で、これをもっともっと広めていきたいということでやっておるわけです。
確かに、この会社の名前は聞いたんですが、ああいうのがあるというのは知りませんで、表現の自由等々いろいろあるんでしょうが、女性閣僚のお二人からはああいうふうな御発言もございました。私も個人的に、ぱっと見て、まあ、クールじゃなくてホットですね、これは。ちょっとどうなのかなという気もいたします。
そこら辺は、これは機構の方は主として経産省の方で取り組んでいただいておりますので、私の方としても、しっかりと事情とか現状とかこれからやろうとしておること等々聞いて、善処いたしたいと思います。
○木下委員 非常にホットな御答弁をいただいたと思います。ありがとうございます。
経産省がメーンということなんですけれども、もう少しお話しさせていただきますと、やはり、これは真面目な話として、機構からお金を入れるときには、恐らく、一番大きなものというのは、その投資対象が収益性がちゃんとあるのかどうかということ、これは非常に大きなことだと思うんです。今までの、よく批判を受けるのは、国からお金を出すものについては全然投資効果が考えられていないんじゃないかというものが多いという中では、その中身はちょっと問題があると私は思っていますけれども、収益性があるんだろうなというふうに思います。
ですから、そういう意味では、いいのかどうなのか、本当にどうなのかというところは私も結論を出しにくいところだなとは思いますが、そういう観点でやってしまうとこういうことになるんじゃないのかなということが一つなんです。
この話は余り私は長々としたくないので、もうこれはおいておきまして、もう一件、四件のうちもう一件あります。
もう一件は、ベトナムに対して、ベトナムのある地域で日本の生鮮食品であるとかチルド品であるとか、そういったものを輸出できるようなプラットホームをつくるということで、ベトナムに大型の冷蔵庫設備を持ったような倉庫というんですか、そういったものを設置する、それに対してお金を出しますというお話で、これは七・五億円というお話を聞いています。この七・五億円なんですけれども、ジョイントベンチャーとして一緒に出資をする会社が二つありまして、一つは日本ロジテムさんという会社、もう一つが川崎汽船さんという会社なんですね。
取り組みとしては私はすばらしいことだなと思っているんです。というのは、やはりこれからベトナムは市場としても非常に魅力がある。ここに日本の商品をどんどん出していくというのは、ビジネスチャンスとしても相当大きいだろうと。私、二十年間総合商社で働いておりましたので、そういう感覚はあります。だから、すばらしいことだなというふうに思うんです。
ジョイントベンチャーでやる会社が、一つとってみると、川崎汽船さん、この三月期の決算を見てみますと、売上高が一兆二千億、経常利益三百八十億ぐらいだったと私は記憶しているんですね。そういう会社をジョイントベンチャーで持たれている。ただ、私の感覚でいうと、ベトナムでそういうプラットホーム事業をやるときに、そんなのは、本当であれば、事業性があることは考えられるんだから、単独でもやっちゃえそうな会社さんなんですよね。それが、政府がわざわざクールジャパン機構を通して出資すると。
いいのか悪いのか、ここは難しいところだと思います。というのは、先ほど言いましたように、クールジャパン機構で投資する案件は、収益性をやはりちゃんと見なきゃいけない、それから、投資効果としてクールジャパンが発信されていくことを見なきゃいけない、それはわかるんです。ただ、本来であれば、民間企業が単独でもビジネスチャンスがあれば、それから資金力があればやっていくというところにわざわざクールジャパン機構がお金を入れるということについて、もう少し、一歩立ち戻って考えてみる必要があるんじゃないかなと。
ここは難しいところだと思います。ただ、クールジャパン機構に総額で今政府から八百億円程度お金を入れていこうというような話も出ております。その使い方も考えてみたときに、本来のあり方はどうなのかということをここで一言お話しさせていただきたかったので、もうどちらでも結構ですので、御答弁いただければと。
○富田政府参考人 お答えをさせていただきます。
委員御指摘をいただきましたとおり、クールジャパン機構、官民ファンドの役割というのは、あくまで民業補完に徹するということだと私どもは考えております。したがいまして、リスクが高くて民間のみでは十分な実施が困難なものに対象を絞って支援をしていくということが運営の基本的な考え方だと思います。
御指摘をいただいたベトナムの件でございますけれども、私どもが承知をいたしておりますのは、幾つかやはり民間事業だけでは大変高いリスク、ハードルがあるというふうに聞いております。
それは、まず第一点は、ベトナムの場合、小売の事業の展開についてまだまだいろいろな政府規制がございまして、一本調子で小売ビジネスが外資を受け入れるという状況になかなかないという問題が一つございますのと、それから、ほかの周辺国と違いまして、まだまだ日本食に対する認知度、これからだということでございますので、事業者の側からは、かなり先行的な、将来を見据えた投資ということで、すぐに何か事業収益がきちんと計算をできるというところまではなかなかいっていないということでございますので、今回、そういったことも含めまして、厳正な審査を行った上で判断をしたというふうに承知をいたしております。
○木下委員 山口大臣、恐らく、こういうことをしっかりと見ていただけるのは、私は山口大臣だと思っております。今のベトナムのこの話、同じようなことをほかのアジアの国でもやろうとされているというようなこともちょっと書いてありましたので、それに対してクールジャパン機構が投資を考える際には、その辺のことのバランスもしっかり考えた上で指揮をとっていただければと思いますので、よろしくお願いします。
では、次のお話に移りたいと思います。
次に、先ほども御答弁いただきました山谷大臣にお話をしていただきたいんです。
所信の中で五つの施策という形で挙げられていて、少し読ませていただきますと、世界一安全な国日本をつくり上げるための諸施策ということで、五つ。サイバー空間の脅威への対処として、警察の対処能力、体制の強化、それから、ストーカー、配偶者からの暴力、児童虐待、特殊詐欺の被害未然防止、暴力団など組織犯罪対応、テロ対策と北朝鮮拉致の捜査、調査の強化、捜査環境の変化に伴う捜査手法、取り調べの高度化への取り組み、基盤整備という形で、この五つを挙げられています。その最後の部分に、以上五点に関し、「女性の視点を一層反映しつつ、積極的かつ合理的な警察運営を推進し、」というような一節があります。
私、思っていて、ストーカーであるとか配偶者への暴力とかそういった感じのところには、女性の視点というのは、私の感覚ではぱっと思いつくんですけれども、ほかの四つ、例えば暴力団などの組織犯罪とかサイバー空間の脅威への対処、ここで女性の視点というのはどういう感じのことであるのかということをお話しいただければと思います。
○山谷国務大臣 世界一安全な国日本をつくり続けたいと思います。安全、安心、そして治安というのは国民生活の基盤だというふうに思っております。
日々変化する社会環境や治安情勢への対応と社会における女性の活躍推進がさらに求められている中、組織における女性の力をより一層活用することは警察の重要な課題だと認識しております。
具体的には、出産や育児等を経験した女性が有しているこれらの経験に基づく視点、あるいは生活者としての視点、警察業務に反映することのほか、女性職員の活動を通じて子供や女性や高齢者等の心に配意したきめ細かな対応を図るなどして、強くて優しい警察、安全、安心な社会の実現に取り組んでいきたいというところでございます。
○木下委員 ありがとうございます。
今のお話、私は物すごくいいお話だと思うんです。
ただ、一言言わせていただきたいのは、私、男性として、男性も同じような目線を持っていますので、それだけは一言、男性としてお話をさせていただきたいな、それだけでございます。
それからもう一つ、きょう山田委員からあった拉致のお話で、ふっと今思いついたんですけれども、赤坂プリンスホテルに拉致被害者の方が帰ってきてバスをおりたときにフラッシュがたかれて、そうじゃなくて、ちゃんとお帰りなさいと手をたたいてあげるべきだというお話、非常に私は心に入りました。ぜひとも次はそういうふうにしていきたいと思いますので、山谷大臣、ぜひそういうふうにしていただくようにお願いしたいと思います。
それからもう一つ、用意していた質問の方なんですけれども、ちょっと時間がなくなってきたので大分はしょらせていただきますけれども、竹島のお話です。
今まで、外務省のホームページ等々を見ていると、ICJ、国際司法裁判所に対して付託合意を韓国側に取りつけるような、そういった動きを何度もしてきているということなんですけれども、なかなか動いていないという状況です。
山谷大臣として、私は思っているんですけれども、在任期間中、どれぐらいになるかというのはあるんですけれども、その間にまたICJへの付託合意について韓国側に何かしら働きかけみたいなことを御予定されているかなと思いまして、というのは、所信の中にも内外に発信していくというような形のことを書かれていたので、その辺についてどういうふうに思っていらっしゃるか。
○山谷国務大臣 竹島は、歴史的事実に照らしても、かつ国際法上も明らかに日本の固有の領土であります。
今委員御質問の件は、本来は外務省が答えるべきことかなというふうに考えておりますが、確かに、一九五四年、六二年、そして二〇一二年、付託を韓国に提案いたしました。しかし、韓国が乗ってこないという状況にあります。
竹島問題については、法にのっとり、冷静かつ平和的に紛争を解決するという考えに基づき、さまざまな検討、準備を進めているところであり、種々の情勢を総合的に判断して、適切に対処していきたいと思います。
○木下委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、甘利大臣にお話をお聞かせいただきたいと思います。
TPPの交渉について、これは内容はすごく厳しい話ですが、お答えは簡単だと思いますが、今の状況を概略教えていただきたいんです。
というのは、これからは本当に正念場だと思っております。きょうの御答弁の中でも同じようなことはあったかもしれませんが、一言、今どういう状況にあるのか、それから最終的な着地点というのはどこにあるのかということを、今の概略で結構ですので、お話しいただければと思います。
○甘利国務大臣 きょうも含めて、事務折衝を精力的に行ってきました。
今回の事務折衝は、私の目から見て、かなり内容の充実したものだというふうに思います。というのは、今までは、考え方とか方向性とか、方程式とか言いましたけれども、そういうことのすり合わせにかなり終始をしておりました。今回は、もう期日も迫っているものでありますから、具体的な双方の考え方が示されて、間合いを詰めるという作業に入っておりまして、名実ともにいわゆる実務作業が進みつつあると思います。
私がいつも申しておりますのは、大臣会合に至るには、大臣会合以外の事務折衝で処理できる部分は処理をして、高度な政治判断が必要なという部分だけが残って大臣会合を行う。今まで、どちらかというと、本来事務レベルで処理しなきゃいけないものが、事務レベルにマンデートが十分に与えられているとは言えず、結局、双方言い合いで終わってしまうということになりがちだったわけですね。
今回は、大臣折衝に何を残すか、政治的に判断しなければならないものは極力詰めようという姿勢が双方に明確に出てきているからこそ前進が見られているんだと思います。もちろん、まだ残りは大臣折衝だけというところまで至っておりません。アメリカ側も、アメリカ本国の判断が必要な部分もあろうかと思います。ただ、今までからすれば、本当に実務的に課題の解決が前進しつつあるというふうに思っております。
○木下委員 ありがとうございます。
ぜひ、妥協という部分はなるべくないようにして、負けない交渉、交渉のプロフェッショナルだというふうに私は思っておりますので、よろしくお願いします。
というのは、余り時間がない中で言うのもあれなんですけれども、ことしの二月に会見をされた際に、聖域について、カードを何枚か切るようなこともあるかもしれないというふうにおっしゃられておりました。私はあれは、交渉というのはそうやってやるものだというふうに思っておりますので、ああ、すごいことを言われるなと思ったんですね。
ただ、ここで言うような話じゃないかもしれませんが、私は経済産業委員会に当時おりました。そこの間にたばこ部屋があるんですね。名前は言いません、ただ、今の農林水産大臣の方が、もう一人、自民党の二期目の方とお話をされていて、甘利大臣、すごいことを言ってくれた、すばらしいことを言ってくれた、あそこでああいうことを言えるというのはすごいんだというふうに言われていたんですね。
それは、ああ、そうだなと思って聞いていたんですけれども、ただ、俺は今までのスタンスを変えずにやっていくというふうに言われていて、おおと思っていたらその方が農林水産大臣になられたので、そんないろいろな、何か足を引っ張ると言ったらあれですけれども、そういう人に負けないように、しっかりとした政府としての交渉をしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
もう時間がなくなりまして、せっかく小泉政務官に来ていただいているので、一言お話しいただきたかったんです。これは本当は菅官房長官にお話しいただきたかったんですけれども、簡単にいきます。
今、政府で、経済最優先という形で言いながら、それで地方創生をやっていくというふうに言われています。ただ、私、きょうもいろいろなところでいろいろなお話がありましたけれども、経済最優先というのと地方創生というのが実際に両立が成り立つのかということなんです。
これは、細かく言うと相当やりとりをしなきゃいけないと思います。ただもう、一度、我が党の委員に対してお話しいただいていますので明白だと思いますので、一言だけお話しいただければと思います。
○小泉大臣政務官 改訂版の日本再興戦略では、活力ある地方の実現なくして成長戦略の成功なし、そういうふうに明確に書いてあります。ですので、アベノミクスの経済最優先、政権のそういった姿勢と、地方でも一人一人が豊かさとそして経済成長の実感を実現できるようにという、そういった方向性においてそごが生じるとは考えておりません。
○木下委員 ありがとうございます。
そこに行くまでの道のりというのは相当長く、険しく、本当に厳しい状態だとは思います。ただ、これを乗り切っていかなければならないというふうに思っておりますので、それはここにいらっしゃる皆様と一緒になって頑張っていきたいと思います。
きょうは、どうもありがとうございました。
○井上委員長 午後一時五十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後一時二十四分休憩
――――◇―――――
午後一時五十五分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。河野正美君。
○河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。
今国会より新しく内閣委に加えていただきました。よろしくお願い申し上げます。
本日は、新しくあるいは改めて内閣委員会の御担当となられました大臣の皆様に対しまして、安倍内閣あるいは大臣みずからのお考えについてお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
まず冒頭、菅内閣官房長官にお尋ねをいたしたいと思います。
今国会、六十三日間という日程ということになっております。この間に、内閣の提出の法案や条約が約三十本予定されているというように認識いたしております。
内閣が提出される法案は、我が国が国際社会の一員あるいはトップリーダーとして行動していくためには極めて大切な法律が出てきているものと信じております。しかし、この日数でこれだけの法案や条約を適切に審議するのは極めて困難ではないかと思っているところであります。
加えて、我が党が提出したものを初め、国民生活に密接に関係し、極めて重要であると思われる議員立法も少なからず継続審議となっていると思っております。また、これから各党会派におかれまして提出するものも少なくないと思いますし、その中に、我が国にとって非常に重要な議員立法も含まれているというふうに考えております。
これら議員立法について、しっかりと審議をする時間があるのかどうか、また、真摯に議論していただけるのかどうか、そういったおつもりがあるのか否かについて、方針をお聞かせいただきたいと思います。
○菅国務大臣 まず、内閣としては、提出した法案について、ぜひ御議論いただいて成立させていただきたい、当然のことだと思います。また、議員立法におかれても、それぞれ各党会派からの法案であります。
いずれにしろ、これは、私ども内閣というよりも国会で決めていただくことでありますので、全委員におかれましても、この委員会でぜひ審議促進して全ての法案が成立することができるように、御協力をお願いしたいと思います。
○河野(正)委員 ありがとうございます。
本当に、私もかかわっている議員立法も幾つかありますし、真摯に与野党協調して検討をしていけたらいいなというふうに考えておるところであります。
次の質問に移らせていただきます。
私、閉会中に、当時、決算行政監視委員会の委員として、視察で、東日本大震災の復興予算の執行状況について、東北、岩手、宮城を訪問させていただきました。この際に非常に印象に残った言葉がありまして、現地の方々が、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会ということを多く、頻繁に口にされていたことであります。東京にいるよりオリンピックのことをよく聞いたんじゃないかなと思うぐらい話題になっておりました。
我が国の震災からの力強い復興、先ほどの午前中の質問で、さきの東京オリンピックも、もう五十年前でしょうか、日本の復興、戦後の復興をアピールしたという発言がありましたけれども、今度のオリンピックにおいても、力強い復興を世界に示すはずではないかと思っております。
我が国の震災からの力強い復興を世界に示すはずの東京オリンピック・パラリンピックが、資材の高騰やあるいは労働力の不足を招き、復興の妨げになってしまわないのかということを、現地の方々は随分懸念を持っておられた印象があります。
東京への人材集中あるいは資材の高騰によって、造成された土地への、いわゆる高台移転など、被災された個人が発注する、今までは、造成とか、国あるいは県レベルでやってきたものがあったと思うんですが、これから個人が発注するようになってくる。一般住宅がすぐには建たない、工務店や住宅メーカー、ハウスメーカーなどの受注が数年待ちであるとか、あるいは資材の高騰等によって一・五倍に価格が上がっているなどというお話も耳にしてまいりました。
こういった懸念について、国として、官房長官、いかにお考えでしょうか。あるいは復興庁からコメントをいただきたいと思います。
○浜田副大臣 河野委員におかれましては、閉会中に被災地、宮城、岩手を御訪問いただいたことにまずもって御礼申し上げたいと思います。
御質問いただきましたオリンピック開催に伴う資材、人材不足の問題でございますが、被災地における復旧復興事業の円滑な施工確保に向けては、国土交通省を初め関係省庁、関係自治体、業界団体と連携して必要な措置を講じてきているところでございます。
具体的には、まず人材不足の問題でございますが、復興ジョイントベンチャーの導入等により、広く全国から人材を集めるとともに、発注ロットの大型化、主任技術者の配置基準の緩和や各機関の発注見通しを統合し公表することなどによりまして、人材をできる限り効率的に活用するということを可能としております。
次に、資材不足の問題でございますが、骨材の地域外からの調達や公共による生コンプラントの設置、地域ごと、資材ごとに関係者によるきめ細やかな需給見通しの情報共有などを実施してきております。
また、国土交通省においては、被災地での賃金上昇傾向を踏まえまして、昨年四月、また本年二月、二度にわたりまして賃金の引き上げをしていただきまして、合計で三一%引き上げていただきました。さらに、被災三県での現場諸経費の割り増しも実施していただいているところでございます。
こうした取り組みによりまして、個別に見れば課題はあるものの、入札不調は今年度に入って改善してきている、一度不調になった工事についても、二度目以降の発注ではほぼ契約に至っておりまして、積み残しはないと現場からは聞いているところでございます。
引き続き、人材や資材の状況を注視し、復興加速化に向けて全力で取り組んでいく決意でございます。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
現地の方、本当にそういった懸念をお持ちでしたので、ぜひ、復興して日本は元気だということを東京オリンピック・パラリンピックで示していただきたいと思いますが、官房長官、よかったらコメントをいただけますでしょうか。
○菅国務大臣 安倍政権の三本柱の一つに、東日本大震災からの復興というのがあります。総理は閣議の際に、それぞれの大臣が所管大臣になったつもりで当たるように、そういう強い指示もありますので、そうした中で、しっかりと被災地の皆さんの思いに寄せて、しっかり対応していきたいと思います。
○河野(正)委員 ありがとうございました。官房長官は以上でございます。
次に、山谷国家公安委員会委員長にお尋ねをいたしたいと考えております。
まず、危険ドラッグ対策について伺いたいと思います。
これまでのような指定薬物への対応では、販売業者とのイタチごっこを解消できないというふうに思っております。先手を打ってしっかりと規制することで業者を追い込んでいく必要もあるかというふうに考えております。
政府としても当然、この問題は十分に検討されていることと思いますが、今月十日、野党七党によって、いわゆる危険ドラッグ対策法案が提出をされております。金曜日に厚生労働委員会の方で参考人意見聴取なども行われるというふうに聞いておりますけれども、野党提出法案をどのように扱っていくのか、また、政府としても対案等を御用意されているかと思いますが、その辺の状況についてお聞かせください。
○山谷国務大臣 委員は医学博士でもいらっしゃいまして、危険ドラッグ対策についてしっかりと取り組んでいただいているというふうに承知しております。
お尋ねの法案については、薬事法を一部改正するものであると承知しておりますけれども、議員立法についてでございますので、所見を申し上げることは控えたいと思います。
いずれにせよ、今後とも、危険ドラッグの乱用の根絶を図るため、関係機関とも連携し、各種法令を駆使した取り締まりの強化、危険ドラッグの危険性についての啓発を強化するなど、政府の緊急対策に掲げられた政策を推進するよう、国家公安委員会として警察を督励してまいりたいと思います。
○河野(正)委員 取り締まりのあり方についてお尋ねをいたしたいと思います。
警察における危険ドラッグへの取り組み、厚生労働省との役割分担ということもあると思いますが、それについてお答えください。
○山谷国務大臣 厚生労働省の方は、所管する薬事諸法令の規定に基づき、危険ドラッグ店への立入検査や指定薬物の指定等の行政措置のほか、指定薬物の所持、使用の摘発等、薬事行政一般を所管しているものと認識をしております。
警察の方といたしましては、取り締まり機関でございます、乱用者や販売業者等に対する取り締まりを徹底し、昨年に比べ、検挙事件数、人員ともに大幅に増加させているほか、未規制物質に起因する事件、事故について把握した場合における厚生労働省に対する通知や、厚生労働省が実施する行政命令の実施等に協力しているところでございます。
○河野(正)委員 よろしくお願いいたします。
法律と関連いたしまして、治療について若干お聞かせいただきたいと思います。
今お話ししていただきましたけれども、私、精神科医として、覚醒剤精神病など多くの薬物依存の患者さんを診てまいりました。警察の保護房の中に入ったりとか、あるいはテレビドラマに出てくるような取り調べ室で診察をしてきました。そういうときというのは、犯罪者ですので、警察の取り調べ室に入るまでは手錠に腰ひもとかをつけているんですけれども、医者が診察するときは全部手錠を外して、警察官も陪席しないでいなくなっちゃったりするので、随分びくびくしながら診察したこともあるんですけれども、そういうことをたくさん経験させていただきました。
危険ドラッグは、覚醒剤精神病よりも短期的には激しい症状を呈するような印象を受けております。したがって、精神病症状の治療とともに、身近に入手できるという状況をなくすことや、依存症対策というのが非常に大切な問題となってくると思います。
昨年、薬物事犯の刑の一部執行猶予というのが議論された際に、私、法務委員会に行きまして、質問の機会をいただきました。薬物事犯を長く刑務所に服役させておくより、早期に出所していただき、残りの刑期を執行猶予として、あとは薬物依存症の教育などを受けていただこうというものであります。
ぱっと聞くと、刑務所にずっと入れておくより、外で薬物治療を行うということで、なかなかよさそうかなと思われるかもしれないんですが、では、その教育プログラムを持つ施設がどれだけあるのかということで質問させていただきました。御承知のように、四十七都道府県あるわけなんですけれども、その際の答えが、びっくりすることに、病院、医療機関はわずか全国で二十三カ所、精神保健福祉センターなど公的な機関は七カ所ということでありました。合わせても三十カ所しかない。
四十七都道府県で三十カ所しかないということは、刑が一部執行猶予になっても、身近でそういうしっかりとしたプログラムが受けられないということであります。
これは今、ふえてきたんでしょうか。政府参考人の方で結構ですので、現状を教えていただきたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
薬物依存症に対する治療といたしましては、いわゆる認知行動療法を用いた治療回復プログラムがございますけれども、これを行っている医療機関の数は平成二十六年の一月末現在で二十五カ所でございまして、保健行政機関ということで申しますと十二カ所でございます。先生御指摘の際の答弁に比べますと若干ふえているというような、そういう状況でございます。
○河野(正)委員 それでも三十七カ所ということで、余りふえていませんけれども、ちょっと前向きになったのかなと思います。
危険ドラッグに関しましては、薬物の乱用、依存への対策も不可欠であるとともに、やはり依存症対策の施設もふやしていかなければならないというふうに考えております。
本当に、さっきちょっと笑い話的にお話ししましたけれども、こういった依存症の患者さんを診るというのは非常に怖いと思われるのか、今、専門家というのもなかなか育ちません。私は一生懸命診てきたつもりなんですが、嫌がる若い先生方はたくさんいらっしゃいます。
そういった意味から、専門家養成の必要性、教育啓発をしっかりやらなければいけないと思いますけれども、これは、山谷大臣、よろしければお考えを。
○山谷国務大臣 薬物乱用防止対策でございますが、第四次薬物乱用防止五カ年戦略に基づき、政府を挙げた対策を講じているところでございます。
警察におきましては、街頭キャンペーンの実施、文部科学省と連携した学校における薬物乱用防止教室の開催等、さまざまな広報啓発活動を実施しているところであります。
また、薬物再乱用防止対策については、主に医療や矯正等の観点から取り組まれるべきものでありますが、警察においても、薬物事犯者やその家族に対して、都道府県の精神保健センターや全国の家族会等を紹介するなどの情報提供を実施しております。
まだ数が足りないということでございますが、今後とも、厚生労働省等関係機関と連携し、薬物乱用防止対策及び再乱用防止対策が効果的に推進されるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
○河野(正)委員 ありがとうございます。
厚生労働省の方は、何かコメントございますか。
○藤井政府参考人 厚生労働省といたしましては、薬物を初めとした各種依存症につきましては、適切な治療と支援により、回復が十分可能な疾患であると考えております。
一方で、なかなか依存症者の皆様が必要な治療を受けられていないというような現状があろうかと思います。
こういった状況を踏まえまして、今後の取り組みといたしましては、一つは、薬物依存症者あるいはその家族に対する相談支援体制の整備、あるいは薬物依存症者が必要な医療を受けられる体制の整備、さらに、医療機関、行政、自助団体等の連携体制の整備といったようなことが必要であるというふうに考えております。
具体的に若干申し上げますと、まず、相談支援体制の整備といたしましては、依存症への対応力の強化ですとか、あるいは家族への支援の充実を図るために、いわゆるダルクでありますとか、そういった依存症回復施設の職員ですとか依存症者の家族に対する研修等を行ってまいっておりますし、また、必要な医療を受けられる体制の整備といたしましては、これは今年度からの事業でございますけれども、全国五カ所の依存症治療拠点機関を指定いたしまして、そこで専門的な相談ですとか治療ですとか、あるいは回復支援を行ってまいるような体制もつくってきております。
こういった取り組みを通じまして、今後とも、依存症対策のさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
この危険ドラッグの問題は、やはりテレビとかを見られてわかるように、激しい症状が出ますけれども、その激しい症状の治療よりも、まず、そういうドラッグに手を出さないこと、そして、依存症になってまた再び手をつけないということが大事なことだと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
また、山谷大臣は死因究明等推進計画も担当されているかと思いますが、こちらの方も専門医が非常に少ないというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
次に、領土主権対策の担当ということでお尋ねをいたします。
私は九州の選出でございますが、御承知のように、長崎県には対馬という島がございます。近年、韓国からの訪問客が大変に多く、韓国資本による土地取引なども多い、あるいは自衛隊基地の隣接地が外国の方によって購入されている、こういったことから、対馬が危ないというふうな懸念を持っておられる方も少なからずいるかと思います。
しかし、行かれた方はおわかりと思いますけれども、対馬には長崎県の方々の日常の暮らしがあります。人が住んでいるということが、島を守り、我が国固有の領土を守るためには極めて重要な要因になるのではないかなと私は思っております。
山谷大臣は、尖閣列島などに関して極めて深い造詣がおありだと思いますが、この点、いかがでしょうか。
○山谷国務大臣 日本は多くの島々がございまして、その島々に人々が安心して暮らしていただけるということが大事だと思っております。対馬も、女医さんがわざわざ対馬に引っ越されて、対馬の人々の安心を守りたいと言っていらした、そんな出会いも私にとっては印象的であります。
尖閣諸島は我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、我が国は現にこれを有効に支配しておりまして、尖閣諸島をめぐって解決すべき領有権の問題は、そもそも存在しておりません。
私の担当は、国内外発信、領土主権に関することでございます。一生懸命頑張っていきたいと思います。
○河野(正)委員 山谷委員長は、日本の領土を守るため行動する議員連盟の会長をされていると思います。今回の大臣就任で、いろいろなそういった領土問題、まあ、尖閣は領土問題じゃないというあれですけれども、対応されていると思います。
大臣は、二〇一二年八月、慰霊祭のために魚釣島への上陸を申請し、政府の許可を得られなかった、そういったことから洋上慰霊祭をとり行われたというふうに聞いております。その際、船から海に飛び込み、上陸して慰霊祭を行ったということで、委員長の、正当化はできないが気持ちはわかるというコメントが報道されているかと思います。
担当大臣となられまして、今でもこういったお考えは同じでしょうか。
○山谷国務大臣 魚釣島で以前は上陸して慰霊祭をやっていたこともございました。上陸しての慰霊祭を申請したところでございますが、政府として認められなかったので、上陸はしないようにということで洋上慰霊祭を行いました。
その上で、尖閣諸島への邦人の上陸についての質問でございますけれども、政府としては、尖閣諸島及び周辺海域の安定的な維持管理という目的のため、原則として、政府関係者を除き、何人も尖閣諸島への上陸を認めないとの方針をとっているところでございます。
○河野(正)委員 私、環境委員会の方で理事もさせていただいているんですけれども、尖閣諸島におきましては、センカクモグラなどの固有種、あるいは野生化したヤギなども存在し、貴重な自然環境を守っていく取り組みも必要ではないかなというふうに考えております。
繰り返しになりますけれども、人が住んでいる、人がいるということは、島を守っていくために極めて重要な要因ではないかというふうに思っております。
委員長御自身も、平成二十三年二月の質問主意書によって、実地調査の必要性を政府にただしておられます。
今後、委員長みずから、尖閣諸島への上陸に向けて行動されるお気持ちはあるのかないのか。先ほどの答弁にもありましたけれども、再度お尋ねいたします。
○山谷国務大臣 私の担当は、領土主権に関する国内外への発信でございますので、今の御質問についてのお答えは控えさせていただきます。
○河野(正)委員 私も、福岡県で玄界灘に面する選挙区で活動しておりますので、離島の発展のため、力を尽くしていきたいというふうに考えているところであります。
離島防衛という面からも、あるいは環境保全、今大規模災害が各地で多発しておりますけれども、山を守っていくという意味からも、人が住んでいくということは大切ではないかなというふうに思っております。
時間もありませんので、次に、有村大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
さきの大臣所信におかれまして、大臣は、「国民からお預かりしている税金を無駄にすることなく、」という発言がございました。無駄ではないにしても、やはり税金の使途というのはしっかりと明らかにしておくことが大切ではないかなというふうに考えておるところでございます。
そこで、我が党が、今、いろいろ報道されているところであります文書通信交通滞在費について、大臣のお考えを伺いたいと思います。
我々国会議員は、御承知のように、月額百万円の文書通信交通滞在費の支給を受けています。使途の特定や公開がなされていない、しなくていいということになっているわけでございます。
私は、決して、政治活動は残念ながらお金がかかりますし、無駄ではないという認識ではございますが、それを国民の皆様に明らかにして、判断していただくということは一方で大切ではないかなというふうに考えているところでございます。
使途の明確化、公開について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○有村国務大臣 委員御指摘のように、行政改革については、国民からお預かりしている税金を無駄にすることなく、行政機能や政策効果を最大限に発揮させるため、これに不断に取り組むとともに、その成果を国民に御理解いただけるように、しっかりとアカウンタビリティー、説明責任を果たしていくことが極めて重要だというふうに考えております。担当大臣としても、たびたび同じラインで発言をさせていただきました。
その一方で、今御指摘の文書通信交通滞在費、いわゆる文書交通費ですけれども、などの政治活動の諸経費につきましては、そもそも、それぞれの国会議員が国民に疑念を持たれないように責任を持って行動すべきものだと考えております。その上で、公開のルールについては、議員活動にかかわることでありますので、国会において各党各会派でよく御議論いただくことが重要であり、妥当だと考えております。
○河野(正)委員 この点は、我が党がまずみずから公表することで議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、少子化対策に関連してお尋ねをいたします。
現在、子宮頸がんのワクチン接種が大変微妙なままになっている状況かなと思っております。厚生労働省の方から、現状と見通しについて簡単に御説明いただけますでしょうか。
○福本政府参考人 お答えいたします。
子宮頸がん予防ワクチンでございますけれども、平成二十五年四月に予防接種法上の定期接種に位置づけ、実施をしたところでありますけれども、その年六月の厚生科学審議会の副反応検討部会におきまして、ワクチン接種後に広範な慢性の疼痛が特異的に見られたということから、積極的な接種勧奨を差し控えた上で調査を進めるべきということになりまして、厚生労働省としても、それを受けて対応いたしたところであります。
その審議会におきましては、症例調査の結果でありますとか、あるいは患者を診察されておられます医師などの参考人からの発表を行うなど、これまで時間をかけて検討、御議論をいただいてきているところであります。
加えて、厚生労働省の対応でございますけれども、今般、子宮頸がん予防ワクチンの接種後に多様な症状を呈する患者の方々に対して、診療と副反応調査の充実を図るという観点に立ちまして、一つは、各県に少なくとも一つ、協力医療機関を選定するということ、二つ目には、副反応報告が確実に行われるように現場に要請するということ、三つ目には、副反応が報告された患者さんについて追跡調査を強化するという対策を新たに講ずることといたしたところでございます。
厚生労働省としましては、これらの新たな対策の結果も踏まえまして、引き続き、このワクチンの安全性等について審議会で御議論をいただき、その結果に基づいて、積極的勧奨を再開するかどうか、その是非を判断することといたしたいと考えております。
○河野(正)委員 時間がなくなりましたので簡単にちょっとお話しさせていただきますが、子宮頸がんの問題は、ワクチン接種よりも検診制度を充実させるべきじゃないかと思っておられる方もいらっしゃるかと思います。しかし、検診というのは、あくまでも、がんになった方を発見する早期発見が目的であり、不幸にしてがんであったけれども、子宮を摘出したから命が助かったのでよかったねというようなものだと思います。
やはり、早期発見というのも非常に大事なことでありますけれども、子宮を摘出してしまうということになれば、命は助かったけれども子供が産めないということになります。そういったことから、私の親しい産科の先生などでは、やはり少子化対策という面からも、しっかりと子宮が守られるように、子供が産める体であるように、ワクチン接種を推奨すべきではないかというお考えもあります。そういうふうに意見を伺っております。
やはり、こういった今どっちつかずの状態というのを早く打開して、政治的にきちんと方針を出すべきじゃないかなと思いますが、厚労省の担当でもあると思うんですが、少子化対策という面から、一言コメントをいただければと思います。
○有村国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど政府参考人がおっしゃっていただきましたとおり、厚労省において、ワクチンの接種後に多様な症状を呈する患者については、田村前厚生労働大臣の御貢献のもとで大きな対策が講じられることになった、その御貢献を私からもたたえたいというふうに存じております。
基本的には、先生、医療的な専門知識をお持ちの上で政治家としてお伺いしていただいていると思っているんですけれども、国際的にも広く使用されているワクチンではございますが、日本においては多様な症状が接種後に特異的に見られたということでございますので、安全性などについて厚生労働省の審議会でまずは専門家によって検討をしていただくことが大事だというふうに思っております。
ちょっと、この調査を抜きにして少子化担当大臣としてコメントすることは控えさせていただくことが妥当かと考えております。
○河野(正)委員 残り時間が余りありませんので、甘利大臣に最後にちょっとお聞きしたいと思います。
私、医師として、政治家として活動していく中で、税と社会保障の一体改革ということで、社会保障制度を守るために消費税を上げていく、一〇%、あるいは将来もっと上がるのかもしれませんが、そういうふうになっていくというふうに認識しているところでありますけれども、その消費税によって、今、簡単に申しますと、控除対象外消費税額ということで、いわゆる損税ですけれども、医療機関が病気になった方から税金をいただくことはおかしいんじゃないかということで、医療は非課税、介護も非課税ということになってございます。
そういったことから、消費税を上げることによって、これから、耐震構造の問題であるとか、あるいは、昨年、私の地元の福岡でも医院で不幸な火災事故がありまして、スプリンクラーをつけなければいけない、そういうふうな高額な投資を迫られたときに、本当は社会保障制度を守るための消費税によって医療機関が崩壊してしまうという懸念がありまして、それは非常に何とかしなければいけないと思っているところです。
時間がなくなりましたので、一言、これについて御見解をいただければと思います。
○甘利国務大臣 もちろん、医療機関といえども、購入するものに関しては消費税がかかってくる。その分をどう転嫁していくんだということで、その分に関して、診療報酬できちんとカウントされているわけであります。二十六年度の改定でいいますと、その消費税にかかわる分として、五千六百二十億円、プラス一・三六%の改定が行われています。
これは、医療経営実態調査によって実態を把握した上でカウントいたしておりまして、この分については医師会についても理解をいただいているところだというふうに承知いたしております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
いろいろ聞きたいことはたくさんあったんですけれども、時間が来ましたので、また今後、機会をいただければ、この点について深くお聞かせいただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、松田学君。
○松田委員 次世代の党の松田学でございます。
これまた引き続きまして内閣委員会でお世話になりますが、よろしくお願いいたします。党の人数が少なくなりましたので、理事からオブザーバーに格下げになりましたけれども、御指導をいただけるよう、よろしくお願いいたします。
まず、きょうの審議も六時間に及ぶ審議ですので、ずっとやっていますと中には重複する質問も若干あるかと思いますが、最初にお聞きする質問は全く重複しないと思います。
我々次世代の党は、日本維新の会のときから是々非々ということで臨んできたわけでありまして、また、維新の会も次世代の党も、国家観そのものは安倍総理に大変近いものがあるんじゃないかというふうに思っております。
自民党全体はどうかわかりませんが、少なくとも安倍政権は、憲法改正とかあるいは集団的自衛権、道州制などの統治機構改革、国家の枠組みのレベルでは我々と同じ方向を向いているというふうに認識をしております。次世代の党が積極的に取り上げております従軍慰安婦などの歴史問題についても、安倍総理も菅長官も我々と認識は同じじゃないかというふうに思っております。
しかし、先般の平沼党首の代表質問、あるいは私も昨日の本会議で申し上げましたが、今般、所信表明演説も、あるいは今国会でのテーマ設定も、どうも我々次世代の党が安倍政権に対して是々非々の是とする論点が棚上げになっているといいますか、ほとんど取り上げられないような感じになっておりまして、憲法改正や道州制を含めて、戦後レジームから決別して新しい国づくりをするというのは、私は安倍政権の基本的な目指すところだと思いますが、改めて官房長官の御決意を確認したいと思います。
○菅国務大臣 安倍政権というよりも、憲法改正というのは、私ども自由民主党のまさに立党の精神でありますので、それは自民党所属国会議員全員が所有しているというふうに思っています。
そして、道州制でありますけれども、道州制に対しましても、自民党は、かつての衆議院選挙や参議院選挙で公約に掲げております。そしてまた、道州制担当大臣というものを初めて置いたのが第一次安倍政権でありますので、その思いは全く変わらない、このように考えています。
○松田委員 次世代の党は、自立、新保守、次世代という三つのキーワードを掲げて結党されました。安倍政権も、本来の保守政党としての自民党として、この点は共通なんじゃないかという気がしております。
ただ、どうもいろいろと個別の法案等を見てみますと、昨日も本会議で申し上げましたが、例えば、自立ということを標榜しながら、結果として中央依存というか官僚支配をしかねないような法案もあるし、あるいは予算の組み方もあるんじゃないか。この点は我々が政権の外側でチェックをしていくということで、チェック・アンド・バランスということで、日本を最適解に導いていくということかと思います。
いずれにしても、公会計改革というのは、国民みずから、財政について把握をして、将来世代に対する現役世代としての責任をきちっと考えながら財政の選択をしていくということで、これも自立の精神につながると思いますし、道州制というのも、地方の自立、自立的経済発展ということで、やはり自立という考え方を明確にしていけば、安倍政権も次世代の党の基本的な方針には賛同できるんじゃないかという気がしております。
我々、新保守ということも掲げていますけれども、実はこの夏に野党三党の保守系議員が集まって、保守とは何かということを随分議論したんですが、保守というのも、一義的に何が保守かというのはなかなかわかりにくいところがありまして、単に現状を変えないのが保守ではないということは明らかなんですけれども、安倍政権がよって立つはずの保守主義とはどういうことであるかについて、官房長官の御見解を伺いたいと思います。
○菅国務大臣 大切なものは守り続けながらも、時には勇気を持って改革をしていく、このことも極めて大事だというふうに思っています。いずれにしろ、改革マインドというものを常に持ちながら、古きよきものは残していく、そのことが極めて大事だというふうに思います。
○松田委員 これは、先ほど杉田委員が従軍慰安婦の問題を聞いたと思いますので、私は省略しようと思ったんですが、けさほど近藤委員が配った朝日新聞の綱領を見て、改めて聞きたくなってしまったんです。
最初に、「不偏不党の」と始まっているんですが、この間、予算委員会でうちの山田宏幹事長が偏向報道というふうに表現したとおりだったと思いますし、それから、「真実を公正敏速に報道し、」、これが本当に真実の報道だったのかという点についても、まさにこの新聞社の根幹が揺るがされている。この間、予算委員会で総理も、日韓関係に大きな影響を与えた、そして打撃を与えた、この記事によって傷つけられた日本の名誉を回復するためにも今後努力していただきたい、民主主義がしっかりと健全に機能する上においては、報道の自由、極めて重要であろうと思います、であるからこそ報道機関の責任は重たいというふうに答弁をされております。
我が党は、先般、山田宏が申し上げたとおり、今国会において、朝日新聞の社長あるいは河野元官房長官の参考人招致ということを求めているわけでありますけれども、改めて官房長官の御見解を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
○菅国務大臣 朝日新聞という個別の報道機関の内容についてコメントすべきではないというふうに思いますけれども、しかし、朝日新聞の慰安婦の報道ですか、この誤った報道によって多くの方が苦しみ、そして日韓関係、さらには国際社会で日本の名誉が傷つけられた、ここは事実であったというふうに思います。
朝日新聞においては、現在、第三者委員会において徹底した検証を行う、こういうことを社長が表明しております。そういう中で、やはりしっかりと検証していただいて、それと同時に、日本だけでなくて海外にも大きな影響を与えておりますので、そこはしっかり是正に努めてほしいというふうに思っております。
いずれにしろ、この問題については、国会で判断をすることに委ねるべきだというふうに思います。
○松田委員 それから、さんざん議論になった集団的自衛権と憲法解釈の問題ですね。これは最初、質問通告するときに、安保法制大臣ができたのでそちらにという話があったんですが、やはり内閣委員会としても政府の全体の方針というのは聞くべきであろうということで、あえて質問通告をさせていただいたんです。
七月一日の閣議決定、新三要件と呼ばれています。閣議決定を論理的に見る限り、集団的自衛権ではなくて集団安全保障、こちらの方も、新三要件さえ満たせば武力行使というかそういうことが論理的にはできる構造になっているんですが、もちろんその中には、できるもの、できないものもあろうとは思いますが、一方で、総理が先般答弁されたところでは、自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してありませんというふうにおっしゃっているんです。
先般の閣議決定は政府としての新しい憲法解釈を示したものだと思いますけれども、この総理答弁というのは、憲法解釈として言っているのか、あるいは、安倍政権が示しているいわゆる憲法解釈に上乗せした安倍政権の方針として言っているのか、あるいは、この閣議決定は憲法解釈の論理的な帰結として出てくるものなのか。ちょっと細かい質問で恐縮ですが、御認識を官房長官から示していただければと思います。
○菅国務大臣 今回の新三要件の必要最小限の範囲を超えるものでありますから、総理が言われたように、湾岸戦争やイラク戦争に参加することはできないというのは明快だと思います。
○松田委員 つまり、何が言いたかったかといいますと、新三要件ということは、我々も基本的に方向性は同じなんですが、ただ、我々が考えていますのは、これは代表質問で平沼党首も申し上げていましたように、全体像を示して、その中でネガティブリスト方式でできないものを明らかにしていくということでありまして、であれば、やはり安全保障基本法というのをしっかり出して、それと一体の形で、憲法解釈はこうである、しかし、できないものはこうであると。
こういう全体像が示されないから、私も最近は、最近はということはありませんが、地元でいろいろと活動をしておりますけれども、やはり皆さん不安に思っているのが全体像が見えないということで、なし崩し的に拡大解釈されていくんじゃないかというのが、どうも我々も、集団的自衛権の行使を支持する立場としても、非常に説明がしづらいところであります。
やはり基本法というのを、我々も提案しますけれども、政府としても、その点についての物の説明の仕方について一層の工夫をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菅国務大臣 この新三要件というものを掲げている中で、そこは非常にわかりやすいんじゃないかと私は思っています。
いずれにしろ、海外の場合はこの新三要件に基づいて判断をするわけでありますし、そして、国会にも当然報告をするということもこれからの中で取り入れられるというふうに思っていますし、今、この閣議決定を基本として法案を整備しているわけでありますから、法案が整備されて国会に提出されたときには、そこはしっかりとそうした不安は払拭できる、このように思います。
○松田委員 菅官房長官、お忙しいと思いますので、ここで結構でございます。どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
次に、甘利大臣でございます。
経済問題についてですが、さんざん今国会でも、物価が上がっているじゃないかということで、きょうも議論がありました。
私ももともと、経済企画庁に出向したり、いろいろと経済にはかかわってきたんですが、やはり経済を見ていると、物価というのはもともと経済の体温計と言われているものでありまして、体調の結果として体温たる物価が上がったり下がったりする。何が何でも物価が上がってよいかというとそうでもないわけでして、何が重要かというと、体温が何を要因として上がったり下がったりしているか、つまり体の方が重要であるということで、昔からインフレ目標二%というのが議論されるたびに、インフレ率が大事なんじゃなくてやはり経済が大事なのであり、あえて言えば名目成長率だなんということはよく議論していたんです。
現在の物価上昇は、やはり実態を見れば、円安などによるコストプッシュ型の物価上昇という要素が相当強い。
もともとインフレ目標二%の物価上昇というのは、体温が上がっていくその背景として体調がよくなっていくといいますか、経済全体がよくなっていって、その結果として二%に上がるというディマンドプルの二%の想定だったんだと思います。
ただ、実際を見ますと、お手元の資料を見ていただきますと、実質可処分所得が前年比五%ものマイナスが足元で続いているということからわかりますように、物価上昇による実質的負担というのは、消費税の増税というのは、その分が社会保障の給付に回るのであれば国民全体で見ればチャラということになるんですが、いわゆる交易条件が悪化することによってそういう実質的な所得がコストプッシュで下がるというのは、これはじわじわっとあらわれてくる大きなマイナス要因である、経済全体として。
特に、為替予約というのは数年単位でなされているという話があって、これまでは円高のときに、輸入のときに結んだ為替予約がきいていたのが、これから円安に洗いがえされていくと、輸入物価がさらに上がっていく要因になっていく、企業の収益も圧迫されていくという話も一方であるわけで、やはりじわじわっとマイナス要因がきいていくという意味で、名目賃金が上がっていくから大丈夫という総理の御答弁もありますけれども、やはりそういう点を見てみますと、現下の日本経済が、アベノミクスが想定していた経済の動きと少し軌道がずれてきているような感じがしていますが、その点についての甘利大臣の御見解をお願いしたいと思います。
○甘利国務大臣 経済が堅調に成長していって、その結果として適切な物価上昇が起きる、物価上昇を人為的に起こして経済が健全になっていくかという御議論。
確かに、経済がしっかり成長していって、それと並行して適切な物価上昇、安定的な物価上昇があるというのが理想かもしれませんが、病気になるから体温が下がるのか、体温が下がるから病気になるのか。冷えてほっておくと風邪を引いちゃうものですから、温めて風邪にならないようにするというのもあるんだと思います。
要は、いろいろなことをやってきました。日本経済を安定成長軌道に乗せるために、経済対策もやりました、あるいは、補正予算を組んで財政出動もやりました。出動している間はきいていますけれども、出動が終わった途端にもとに戻っちゃう。それは民需主導の経済に火が点火をしていかないからだと。何で点火をしないかをよく検証してみたら、お金を使う方がいいというインセンティブが働かない。それがデフレなわけです。ですから、ここはかなり人為的にもデフレ環境を改善するということをやってきたわけです。
専門家にレクチャーをするつもりはありませんけれども、映像を通じて見ていらっしゃる方もいらっしゃるかと思いますので付言をしておきますけれども、お金の供給量をふやして物とお金の関係を逆転させると、円の価値が落ちて物の価値が上がるから物価が上がってくる、あるいは、インフレ期待から消費や投資が起きてくるということを期待して、それはある程度期待どおりにいっているんだというふうに思います。
物価が上がったままで後がついてこないということだと問題があるし、円安のままで輸入物価が高くなっているだけで終わってしまったら、まさに期待どおりの循環経済になっていかない。要は、円安になって企業が収益が改善した、それが消費力につながっていくという循環をしっかりつくることが大事だと思っております。
一巡目はうまくいったんだと思うんです。賃金も、まだ不十分ではありますけれども、過去に例がないくらい上がりました。ただ、一巡だけじゃ物価上昇プラス消費税上乗せ分を乗り越えていけないんですね。これが常にサイクルで起きるようにしなきゃならない。だから、二巡目の環境をつくるというのはすごく大事だというふうに思っておりまして、好循環がしっかりとでき上がっていくように最大の努力をしているというところであります。
○松田委員 昔、プラザ合意後の円高のときに、経済企画庁系のある著名なエコノミストが、円高はプラスマイナス差し引きでおつりが来るというふうに言っておられたのを私もよく記憶しているんですが、逆に言うと、円安はプラスマイナス差し引きでやるととられる分の方が多いということになるのかもしれませんけれども、これは恐らく経済の局面によって変わってくると私は思っています。
例えば、円安が典型的にきくのは、不完全雇用の状態です、不稼働資産があるので。これは、円安で海外に輸出がふえれば、不稼働な資源が稼働し始めて、所得がふえて、乗数効果が働く。しかし逆に、現状は、お手元にあるように、失業率がかなり低下していまして、完全雇用と言っていいかどうかわかりませんけれども、かなり自然失業率に近づいている。その状態に来ると、そういった現象が起こらないで、逆に、円安がデメリットの方が大きいような局面に入っているのではないかという気がしないでもないんですね。
望ましい円レートの水準は幾らかといえば、それはファンダメンタルズを反映したのがいいと言うに決まっているでしょうけれども、先般、黒田日銀総裁が、これも予算委員会でしたか、答弁をされていますけれども、黒田日銀総裁は、ファンダメンタルズを反映した円安であれば、むしろ経済にとってプラスであると。でも、本当にそうなのかなという感じがどうも拭えない面もあるんです。
甘利大臣は、今の日本経済がどういう状態であれば円安が大きくメリットに出てくる、あるいはデメリットになる、そのあたりの判断の分かれ目についてどういうふうにお考えか、お聞かせいただければと思います。
○甘利国務大臣 経済の実態、実力を反映した為替相場はどの辺にあるかというのはなかなか言及しづらいし、私の立場でこの範囲ですと言っちゃうといろいろ市場に影響を与えるので、言ってはいけないということになっているんだと思います。
ただ、リーマン・ショック後に急激に円高が進みました。世界経済がやられたら円が強くなったというのは、あの時点の円高というのは、まさに日本の経済状態、ファンダメンタルズを反映はしていないんだと思います。それが、実体経済に沿って為替が動きを始めたというふうに理解をするのがいいのかと思いますが、どこまでで線を引くのがというのは、私から言わない方がいいと思います。
それから、実体経済を反映した為替だとすると、為替は強い方がいいのか弱い方がいいのか。これは、実体経済をきちっと反映しているのであれば、強い方がいいに決まっているんです。購買力はうんと強くなっていきますし、輸入品は安く入ってくるわけでありますし、それでも輸出は競争力があるというのが最高なのであります。
差し引き、輸入によるマイナスと輸出によるプラス、特に輸出によるプラスは、物量ベースじゃなくて、利幅を稼ぐというのと円ベースで返ってくるというのが両方あるということを申し上げましたけれども、それを差し引きして、残っている方が多いのか、むしろなくなっちゃう方が多いのかというところあたりが、その幅の上の方かなというふうに考える次第です。
○松田委員 もっといろいろ議論したいんですが、時間がそろそろなくなってきましたので、所信に対する質疑という趣旨を踏まえて、先般の所信で甘利大臣のおっしゃっていたTPPに関してなんですが、それだけ最後に触れさせていただきます。
所信では、国益をしっかりと最終的な成果に反映すべく全力を挙げて交渉に取り組んでまいるということなんですが、ここで言っている国益というのは、これを普通に解釈すると、自民党政権の場合ですと、いわゆる農業の関税をできるだけ守って、今の保護方式を維持するというふうに受け取れるんですが、私は、TPPが目指している最終的な成果というのは、恐らく、日本に関して言えば、従来の関税で保護する方式から、直接支払い、ヨーロッパ型の財政方式ということにしながら開放していくということになる。
そこにはちょっとそごがあるんじゃないかと思うんですが、甘利大臣がおっしゃっている国益と、それがTPPとしての成果とどういうふうに関連しているのか、論理的に御説明いただければと思います。
○甘利国務大臣 論理的に説明できるかどうか、ちょっといま一つ自信がないんですけれども、TPPは、市場アクセスの改善、アクセスというのは、関税以外にも、例えば政府調達であるとか、いろいろな部分にバリアがあります、それを外していって、日本経済がアクセスしやすいようにしていくということがあります。
加えて、ルール分野で、知財の共通のルールをつくるとか、あるいは環境に対する取り決めをきちっとするとか、広範なルールづくりに資するものです。
要は、大事なところは、そのルールがこれからもっと広範囲な場所でのルールになっていくのではないか、だとしたら、チャーターメンバーになっておいた方が得だということでありまして、それ全般を含めて、国益、国民益と称しているところであります。
○松田委員 ありがとうございました。
私はまさに、TPPというのはアジア太平洋に経済取引の秩序づくりをするということにほかならないわけでありまして、それが日本の国益を反映した秩序づくりになるということがTPPの成果と一致するんだというふうに認識しておりますので、そこをもっともっときちっとアピールしていただいた方が反対派をさらに抑えられるんじゃないかという気がしておりますので、今後とも頑張っていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
どうもありがとうございました。
○井上委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
まず、菅官房長官に確認をしたいと思います。
十月三日の記者会見で、IR法案、カジノ賭博解禁法案でありますが、これについて、今国会で成立させるべく全力で取り組んでいると述べたと報道されておりますけれども、これは事実でしょうか。
○菅国務大臣 政府としては、六月二十四日に、日本再興戦略に基づいて、閣議決定をいたしております。現在国会で審議中のIR推進法案の状況やIRに関する国民的議論を踏まえ、関係省庁で検討を進めることといたしております。
御指摘の点につきましては、この閣議決定の趣旨を私から申し上げたということです。
○佐々木(憲)委員 当委員会で継続審議となっているのは、自民、維新、生活の三党が出した議員立法でございます。それを官邸側が成立させるべく全力で取り組むと言うのはちょっと奇妙な発言でありまして、先ほども官房長官は、議員立法については内閣というより国会でという答弁をされましたね。
官邸と議会というのは、それぞれ独立しているものであります。議員立法の法案を成立させるために官邸が全力で取り組むということになりますと、これは議会に対する介入というふうに受け取らざるを得なくなるわけで、これは具体的にどんな取り組みをしているのか、言っていただきたいと思います。
○菅国務大臣 日本再興戦略、これは閣議決定したものでありますけれども、この中には、いわゆるIRについては、観光振興、地域振興、産業振興等に資することが期待をされる、他方、その前提となる犯罪防止、治安維持、青少年の健全育成、さらに依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要なことから、IR推進法の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進めている、そういうことです。
○佐々木(憲)委員 これは、議会に対する取り組みというよりも、政府部内の話だということですね。
それでは、新成長戦略に基づいて七月に約二十人のチームを発足させたというふうに聞いていますが、これは事実でしょうか。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
ことしの七月に、内閣官房に、特命担当をする者として私以下二十数名の者が発令をされまして、IRに関する関係省庁の検討の勉強ということを始めているところでございます。
○佐々木(憲)委員 二十人のチームというのは事実なんですかと聞いたんです。
○渡辺政府参考人 お答えいたします。
十月の一日現在で、常勤二十五名の体制でございます。
○佐々木(憲)委員 報道によりますと、政府は十月二日、カジノを中心とした統合型リゾート施設の整備を促す推進法案の成立を見据え、五十人体制の推進本部事務局を設置する方針を固めた、内閣官房の検討チームの人員を倍増し、関連法案や規制機関のあり方など具体化に向けた協議を行う、また、有識者による審議会も設けて治安上の問題点や依存症対策を検討し、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックまでの施設整備を目指す、こういうふうに報道されていますけれども、こういうことをやっているという理解でよろしいですか。
○菅国務大臣 そうした報道があったことは承知しておりますけれども、事実は全く違います。
○佐々木(憲)委員 これは、法案が通るかどうかはまだわかりませんからね、審議中ですから。それなのに、こういう形で、二十五人の体制をまずつくった、これは新成長戦略に基づいて政府部内でやったと。今度は、法案が通ることを前提にして五十人でこうだああだという細かな報道までされるということになりますと、これは事実ではないと今否定されたのであれですけれども、もしそういうことになると、ちょっとこれはやり過ぎじゃないかと思ったものですから、確認をしたわけであります。
それで、次は、政府はギャンブル依存症対策ということも行うと言っていますけれども、この依存症の実態がどれほど深刻かということを知っているのかどうか。その依存症の問題というのは、政府の中にもいろいろな問題点としてあらわれているわけであります。
例えば、外務省にちょっと確認をしたいと思います。
昨年六月二十日、在コンゴ民主共和国日本大使館事務所で放火事件がありましたね。外務省は在コンゴ日本大使館三等書記官を放火と公金横領で告発したと聞きますが、これは事実でしょうか。また、横領した公金は幾らでしょうか。
○上月政府参考人 お答えいたします。
山田真也元外務省職員でございますけれども、二十五万八千六百三十七ドル及び二十一万六百コンゴ・フラン、合計で日本円にしますと二千二百万円相当でございますけれども、横領したとの事実により、平成二十六年二月十三日に起訴されております。
○佐々木(憲)委員 この外務省職員が日本円にして約二千二百万円横領した、その理由は何でしょうか。その金は何に使ったのか。外務省、把握していますか。
○上月政府参考人 お答えいたします。
昨年六月にこの在コンゴ民主共和国日本大使館事務所の火災が発生しましたが、その直後に公金の亡失が確認され、外務省として原因及び経緯等の調査を行いました。
山田元職員が当時現地のカジノに通っていたことを把握しております。山田元職員がカジノ通いのために公金を横領し、これを隠蔽するために放火したものと認識しております。
○佐々木(憲)委員 この外務省職員はカジノに出入りをしていた、そのための資金を横領した、こういうことであります。
この二千二百万円を横領しただけではなくて、放火したわけですからね。これは、焼けた大使館の部屋あるいは机、こういう物的損害もありますね。それから、この事務所全体の損害賠償金が請求される。借りているわけですから。そういう可能性もある。これは、損失が一体どのぐらいの総額になるのかですね。幾らですか。
○上月政府参考人 お答えいたします。
本件火災により焼失した物品の損害額については、現時点で判明しているものは約五百万円でございます。
また、現地の大使館は、現地のオフィスビルの四階の全てと三階の一部を賃貸していたところ、本件火災により、このうち四階部分が半焼いたしました。この事務所に係る損害額につきましては、現在この賃貸主の家主と協議中であり、いまだ確定しておりません。
○佐々木(憲)委員 総額で億単位という話も聞いておるわけです。これは大変な事態だと私は思います。前代未聞ですよ。大使館の職員が自分で火をつけて、金を横領して、横領したのを隠すために火をつけたわけであります。
こういうことに何でなるのかということで、これは「ギャンブル依存とたたかう」という著書があります精神科医で作家の帚木蓬生さんという方がいらっしゃいまして、こう言っているわけです。病的ギャンブラーは、ギャンブルでつくった借金はギャンブルで勝って返すという妄想じみた不合理思考に支配される、本人は今度こそと思い続けて、いよいよ深みに落ちていきます、そして、どうにもならなくなったときに一挙に逆転の決意で犯罪に手を出します、そのとき、善悪の判断基準は二の次になり、目の前の金策が優先されます、こういうふうに指摘しているんです。これはギャンブル依存症の特徴なんですね。
この外務省職員の放火横領事件も典型的なケースだったのではないか。外務省は、この職員がギャンブル依存症であったかどうかという点は調べていますか。
○上月政府参考人 現在、山田元職員は勾留中でございまして、ギャンブル依存症であったかどうかということについては、検証をまだしておりません。
○佐々木(憲)委員 これはその可能性が非常に高いんですが、そういう検証をする意思が外務省に十分ないんじゃないかと私は思います。
これは外務省だけじゃありませんよ。ギャンブル絡みの横領、詐欺、殺人事件というのは枚挙にいとまがありません。
報道されたものだけを紹介しましても、例えば、自衛隊の陸自一佐の収賄事件。借金が数百万円あった、返済に困り業者に現金要求、陸上自衛隊の装備品の発注をめぐる汚職事件で逮捕され、この一等陸佐は、パチンコなどのギャンブルでつくった消費者金融への借金が数百万円に上っていたという報道があるわけです。
また、現職警官、強盗未遂、懲役七年を求刑という見出しがありまして、かけごと過熱、公金に手を出す。あるいは、職場に広がる動揺、国保料十億円着服容疑などなど、これは一々日付も何も今言いませんでしたけれども、ギャンブル依存症というのは社会的に深刻な被害を与えているわけであります。
厚労省の調査では、ギャンブル依存症は五百四十万人に上るという報告があります。
菅官房長官にお聞きしたいんですけれども、IRを推進するよりも前に、ギャンブル依存症の対策、これをまず優先させるということが必要なんじゃないですか。
○菅国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、日本再興戦略の閣議決定においては、いわゆるIRについては、観光振興、地域振興、産業振興、こうしたことに対して期待をされる。一方、その前提となる犯罪防止、治安維持、青少年の健全育成、依存症防止等の観点から問題を生じさせないための制度上の措置の検討も必要である。そういうことから、この推進法の状況を見ながら、国民的な議論を踏まえ、関係省庁において政府としては検討をしているということであります。
○佐々木(憲)委員 ギャンブル依存症の対策を優先させてやらずに、この法案が通ると同時にそっちもやるんだという程度の対応では、賭博場を開いて、そして新たにギャンブル依存症をふやすような話、これはまことに奇妙な、私どもは認められないというふうに思っております。
我が国では、賭博というのは千三百年にわたって禁止されてきた歴史があるわけです。人の金を巻き上げ、人を不幸にしてもうけを上げるというのは、これは犯罪ですよ。到底これは認められない。そういう認識が定着してきたから、賭博は犯罪である、こうなっているわけですね。
最近、公明党の井上幹事長が十月一日の記者会見で、マイナス面が非常にあり、懸念もある、こう発言をしておられます。それから、谷垣幹事長、この方も極めて慎重な態度をとっております。マイナス面が非常にある、こういうふうに言っているわけですね。朝日の世論調査でも、カジノ解禁法案について、反対は五九%。賛成三〇%を大きく上回っております。
菅官房長官、このような状況をどのように受けとめておられますか。
○菅国務大臣 我が国の経済の成長と地域の活力のために、観光は大変重要な分野だというふうに私たちは考えています。
委員はカジノの話ばかりされておりますけれども、IRというのはまさに総合リゾートでありまして、そのうちのほんの数%がカジノというふうに私どもは承知をいたしております。
ですから、そういう意味で、治安や青少年への悪影響等の観点から制度上の措置を講じることも必要だろう、そういうことで、今、政府で閣議決定に基づいて検討をしているところであります。
○佐々木(憲)委員 カジノを核とするIRというのが、政府が表現をしているわけでありまして、何で核にしなきゃいかぬのですか、こんな賭博を。
賭博はおいておいて、観光にしっかりと取り組むという、これは当たり前の、我々は賛成ですよ、それは。観光に取り組むというのは、日本の自然あるいは日本の文化、そういうものを国際的に、大いに観光に来ていただいて世界に発信していく、これは賛成ですよ。しかし、何でその中核に賭博場を設けるんですか。賭博場を設けなくたってやれるじゃないですか。そのことを私は強調しておきたいと思います。大体、ばくちで経済が成長するはずなんかありませんからね。
次に、甘利大臣にお聞きしたいと思います。景気の現状認識であります。
四月から消費税八%に引き上げられたことから、四―六月期のGDPは前期比で年率七・一マイナスということで、大変衝撃的な落ち込みとなりました。政府は、駆け込み需要の後の反動減で、やがて回復する、こういうふうに言っておりましたけれども、余りにも楽観的ではないかと思うんです。
まず、議論の前提として、数字を確認しておきたいと思います。
景気動向指数、最近発表されました、これはどうなっているか。先行指数、一致指数、遅行指数、それぞれの直近の数字を前月比で示していただきたい。また、何カ月ぶりの下落になっているか、そういう点も明らかにしていただきたいと思います。
○道上政府参考人 景気動向指数の数字についてお答え申し上げます。
ことし八月分速報の景気動向指数の一致指数でございますが、前月差で一・四ポイント下降し、二カ月ぶりの下降となりました。また、景気動向指数の先行指数につきましては、前月差で一・四ポイント下降し、三カ月ぶりの下降。それから、景気動向指数の遅行指数につきましては、前月差〇・四ポイント下降し、四カ月ぶりの下降となりました。
○佐々木(憲)委員 駆け込み需要の後の反動減、その後、八月。これは回復軌道に乗っていないんじゃないですか。三カ月ぶりとか四カ月ぶりの下降局面に入ってきている。ですから、景気は全体として下降局面に入ったんじゃないか、数字を見ますと。甘利大臣の認識をお聞かせいただきたい。
○甘利国務大臣 確かに、消費は力強い回復というところまでいかないのは事実であります。
ただ、日本経済の基本的な数字に関しては、いい数字がたくさんあるわけであります。雇用情勢であるとかあるいは有効求人倍率であるとか、あるいは企業業績も、余り報じられていないんですけれども、売上高利益率というのが発表されましたけれども、五・二%です。これは統計をとって以来の最高数値です。いつから統計をとったかというと、一九五四年ですから、六十年間で一番いい数字が出ているわけです。
要は、ですから、共産党さんも指摘されているように、内部留保がたまっているじゃないかと。もちろん、これは現金だけたまっているわけじゃなくて、設備に置きかわっているのもありますけれども、好循環を回していく、企業がしっかりもうけたのであるならば、次なる好循環を回していくための対応をとるような環境整備を我々がするということが必要だというふうに思っております。
○佐々木(憲)委員 力強い回復ではないということで、消費は最近かなり落ちてきている。失業率が減ったと、有効求人倍率の話もされました。
ただ、問題は、非正規雇用の方はふえていますけれども、常用雇用の方、正規雇用がなかなかふえていかない。そういう構造的な問題というのがあるわけです。これは改善されていないと思います。収益が上がっても内部留保に回って、なかなか労働者の賃金に回らない、そういう状況だと思うんですね。一番肝心なことは、国民の消費購買力が上向くのかどうか、これがやはり鍵だと思うんですよ。
その点で、例えば、内閣府が十月十日に発表した消費動向調査、これがありますけれども、九月の時点の消費者態度指数、これがどうなっているか。前年同月比で何%マイナスになっているか、また、消費者態度指数を構成している意識指数の中で、暮らし向き、収入のふえ方、雇用環境、これが対前年比で減少率はどうなっているか、示していただきたい。
○道上政府参考人 九月の消費動向調査におきます消費者態度指数でございますが、消費者態度指数は前年同月差で五・五ポイント低下いたしました。その消費者態度指数を構成いたします四つの意識指標について、それぞれ前年同月差を申し上げますと、暮らし向きにつきましては五・一ポイントの低下、収入のふえ方は二・三ポイントの低下、雇用環境は五・八ポイントの低下、耐久消費財の買いどき判断は九・〇ポイントの低下となっております。
○佐々木(憲)委員 今確認したように、消費者態度指数、九月になっても回復しないばかりか、逆に悪くなっているんですよ。
家計調査で、勤労者世帯の実収入、これは昨年十月からことしの七月まで連続十カ月マイナス、可処分所得は昨年八月からことしの七月まで十二カ月マイナスであります。消費支出も四月以降連続マイナスですね。
大臣もおっしゃったように、消費は回復するよりもどんどん落ち込んできている、これは事実じゃないんでしょうか。
○甘利国務大臣 この種の統計調査は、内閣府と厚労省、そして総務省とやっているんですね。
内閣府の動向調査というのは、今どうかという、これから六カ月先を見越して、どんな感じになりそうですかという肌感覚を聞いているものですね。ですから、これから先、消費税も上がる、物価も上がる、大変だぞ、大変だぞと言えば、やはり気持ちとしては大変になるんじゃないかなと。佐々木委員が、これから大変だ、大変だとおっしゃると、影響力がありますから、本当に大変かなというふうになってくるという部分はあるんですね。
事実関係の調査というのは、総務省の家計調査と、それから厚労省の毎勤調査というのがあります。これは、今実際にお金がどうなっていますかという調査ですね。その、お金がどうなっていますかという調査だと、毎勤調査、前にやっていらっしゃった方がいらっしゃいますけれども、ここだと二・一ぐらい上がってきている。ただ、総務省だとマイナス一・六。この乖離は何なのかという議論はこの間もさせていただきましたけれども、必要ならいろいろ議論していきますが、実態調査ではいろいろばらつきがあって、プラスのいい面もかなり出ているというところであります。
だから、これからの暮らし向きがどうなりそうですかというところにできるだけ明るい希望が持てるような方向性を示していくことが大事だと思っております。
○佐々木(憲)委員 要するに、先行きが暗くなっている、こういうことですよね、実感として。何で暗くなっているかというと、私が言っているんじゃなくて、政府の政策が暗くしているわけですよ。だから、負担ばかりふえて、物価が上がって、それで先行きに希望を持てと言われても、なかなかこれは展望が持てないわけです。
だから、例えば日銀の生活意識に関するアンケート調査を見ましても、この九月時点の調査ですけれども、ことしの三月、ゆとりがなくなってきたと答える人は三八・一%だと。九月は四八・五%にふえているわけです。ゆとりが出てきたと答える人はわずか四・四%、もうほとんどいないんですよ。収入の低い階層ほど駆け込み需要をするほどのゆとりがないから駆け込み需要がないので、反動減だけ起こってマイナスになっている、こういう状況です。
これは数字を一つだけ確認したいと思いますが、家計調査で収入階層の一番低い第一分位、一番高い第五分位のそれぞれについて、実収入、消費支出、これの対前年比の伸び率を直近で示していただきたい。
○道上政府参考人 家計調査の数字でございますけれども、年間収入階層五分位別の実収入の、ことし、二〇一四年五月から八月の結果を前年同月と比較いたしますと、収入が最も高い階層におきましては実額で八十六・七万円、前年比でマイナス一・六%、収入が最も低い階層では金額で二十九・一万円、前年比でマイナス五・九%でございます。それから、消費支出につきましても、同じくことしの五月―八月でございますが、収入が最も高い階層では四十二・三万円、前年比で〇・九%、収入が最も低い階層で二十・六万円、前年比でマイナス八・五%という数字になっております。
○佐々木(憲)委員 これは事実の数字ですけれども、収入が高い方はそんなに落ちていないわけです。しかし、収入が低い方は、収入も落ち、消費もがくっと減っている。これは格差が広がっているということだと思うんですが、格差の拡大という認識はありませんか。
○甘利国務大臣 収入と消費の関係を追ってみますと、所得の比較的低い層では、実質賃金の目減り以上に消費を抑えているんです。これは生活防衛に入っている。つまり、どういう消費行動かというと、これから消費税がさらに上がってくるし、より財布のひもは、無駄なものには使わないようにしようという行動なんだと思います。
一方で、年齢層の高いところですと、所得のぐあい以上に、収入以上に消費しているという、年齢別に調査をしてみると、そこも出てきます。そこは、将来に向けてどれくらい安心感を醸成できるかということになるんだと思います。
ですから、何度も申し上げていますけれども、好循環、つまり、企業が収益を拡大した、それがきちんと次の循環を回すような方に回っていく。一巡目は一通りはできたと思うんです。二巡目以降をしっかりしていくことが、一回限りじゃなくて、これからも給与は上がっていくんだという感覚を持ってもらうことが消費拡大につながるんだというふうに思っています。
○佐々木(憲)委員 生活防衛に回るというのは実態だと思いますよ。
将来物価が上がる、賃金がそれ以上に上がらないかもしれない、こうなってくると、余り無駄遣いしちゃいけないな、こうなるわけですね。だから、政府の方は、何かインフレ期待で、インフレが将来進むから早く消費しようという話で、消費はふえるだろう、そっちの方に軸足を置いた議論がありますが、これは余り現実的じゃないと思いますね。
実体の経済の動きを見ていると、これだけ負担がふえ、物価が上がっている、こういう状況の中で、収入が実質的には減っているし、消費も抑えられている。将来の明るい見通しが出ると言うんだけれども、将来、消費税増税と言っているわけでしょう。だから、そういうことになってくると、ますます消費が減って、日本経済はおかしくなる。
だから、今の状況はいいことは何もありませんので、消費税増税はやらない方がいい。消費税増税をしたら、かえって逆ですよ。税収が逆に落ち込みます。
このことを指摘して、時間が参りましたので、以上で終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、来る十七日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十分散会