第3号 平成26年10月17日(金曜日)
平成二十六年十月十七日(金曜日)午前九時三十分開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君
理事 平口 洋君 理事 近藤 洋介君
理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君
青山 周平君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 鬼木 誠君
勝俣 孝明君 川田 隆君
小松 裕君 新谷 正義君
鈴木 馨祐君 田所 嘉徳君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 山田 美樹君
吉川 赳君 泉 健太君
大島 敦君 郡 和子君
福田 昭夫君 河野 正美君
山之内 毅君 輿水 恵一君
濱村 進君 杉田 水脈君
松田 学君 三谷 英弘君
佐々木憲昭君 畑 浩治君
…………………………………
国務大臣
(国家公務員制度担当) 有村 治子君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
政府特別補佐人
(人事院総裁) 一宮なほみ君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 笹島 誉行君
政府参考人
(人事院事務総局職員福祉局長) 井上 利君
政府参考人
(人事院事務総局給与局長) 古屋 浩明君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 丸山 淑夫君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 上羅 豪君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件(人事院勧告)
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○井上委員長 これより会議を開きます。
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、特に人事院勧告について調査を進めます。
去る八月七日の一般職の職員の給与等についての報告、勧告及び公務員人事管理についての報告につきまして、人事院から説明を聴取いたします。人事院総裁一宮なほみ君。
○一宮政府特別補佐人 人事院は、八月七日、国会と内閣に対しまして、国家公務員の給与等に関する報告及び勧告を行い、あわせて公務員人事管理に関する報告を行いました。
このたび、その内容について御説明申し上げる機会をいただき、厚く御礼申し上げます。以下、その概要を御説明いたします。
まず、本年の国家公務員の給与の改定について御説明いたします。
月例給につきまして、行政事務を行う国家公務員と、企業規模五十人以上の民間事業所で事務・技術等の業務を行う従業員の四月時点の給与を精確に調査いたしまして、比較いたしました。その結果、本年の春季賃金改定における民間事業所の賃金引き上げの動きを反映いたしまして、公務員給与が民間給与を千九十円、〇・二七%下回ることとなりました。この較差を解消するため、世代間の給与配分の観点から、若年層に重点を置いて、俸給表の水準を本年四月にさかのぼって引き上げることといたしました。
特別給につきましては、公務における年間の平均支給月数と民間事業所における昨年冬と本年夏の賞与を含む直近一年間の支給割合を比較いたしました。その結果、民間事業所における好調な支給状況を反映いたしまして、公務が民間を下回ったことから、〇・一五月分の引き上げを行い、年間四・一〇月分とすることといたしました。その際には、勤務実績に応じた給与を推進するため、特別給の引き上げ分は、勤務成績を反映する勤勉手当に配分し、本年十二月期分から引き上げることといたしました。
このように、本年は月例給、特別給ともに七年ぶりに引き上げを勧告することとなりました。
次に、給与制度の総合的見直しについて御説明いたします。
国家公務員給与をめぐる現下の諸課題に対応するため、地域間、世代間の給与配分の適正化を図る観点から、地域の民間賃金の水準を踏まえて俸給表の水準を平均二%引き下げ、その中で、高齢層給与を抑制するなど給与カーブを見直すとともに、地域手当の見直しを行うことといたしました。
また、人材確保の必要性や円滑な人事運用の要請等を踏まえ、若年層の職員、広域的な異動を行う職員、やむを得ず単身赴任をしている職員にそれぞれ支給される手当の額を引き上げるなど、処遇の改善を図りました。
見直しは、平成二十七年一月から必要な措置を講じながら段階的に実施し、平成三十年四月に完成させることといたしました。俸給の引き下げに際しては、地方に在勤する職員の生活への影響を考慮いたしまして、激変緩和のための経過措置を講ずることによって、新制度への段階的かつ円滑な移行を図ることとしております。
続きまして、雇用と年金の接続及び再任用職員の給与について御説明いたします。
本年度から、公的年金の支給開始年齢の段階的引き上げに伴い、定年退職後に年金が支給されない期間が初めて生じておりますが、報告では、再任用の状況に言及するとともに、今後の雇用と年金の接続のあり方について本院の考え方を報告しております。
また、公務における再任用の人事運用の実態や民間の再雇用者に対する手当の状況を踏まえ、再任用職員に対しても単身赴任手当を支給することを勧告いたしました。
最後に、公務員人事管理に関する報告について御説明いたします。
人事院としては、本年の国家公務員法等の改正後においても担うこととされた人事行政の公正の確保及び労働基本権制約の代償機能を適切に果たし、現下の諸課題に積極的に取り組んでいくことが重要であると考えております。
本報告では、国家公務員法等の改正事項に関する本院の取り組みの方向性を示した上で、能力、実績に基づく人事管理の推進、女性の採用、登用の拡大、勤務環境の整備等の主な課題についての基本認識と取り組み状況を報告しております。
以上、本年の報告及び勧告の概要を御説明申し上げました。
委員長初め内閣委員会の委員の皆様におかれましては、人事院勧告制度の意義や役割に御理解を賜り、この勧告を速やかに実施していただきますようお願い申し上げます。
○井上委員長 以上で人事院からの説明は終わりました。
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○井上委員長 この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官笹島誉行君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、総務省自治行政局公務員部長丸山淑夫君、国税庁長官官房審議官上羅豪君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。
○大島(敦)委員 おはようございます。
内閣委員会で人事院勧告についての質疑をするのは初めてかと思います。これまでは、総務委員会でこの質疑はさせていただいております。前の通常国会で国家公務員法の改正案が通って、そして内閣人事局ができて、そして内閣委員会で今後は人事院勧告についての議論が行われることになりました。非常に感慨深く思っています。
私も二〇〇五年から公務員制度改革に携わっておりまして、前回の法案につきましても、一旦決着はつけた方がいいと思いまして、賛成をさせていただきました。そして、今回は、今の、現行の人事院勧告が続いているという前提で質問をさせていただきます。
特に、国家公務員法は、もともとは、法律が昭和二十年代にできたときは結構革新的な法案で、当時のGHQが大きく関与してつくった法律だと思っていまして、ですから、米国的な人事管理制度が色濃く入っている制度です。その中で、さまざまな歴史的な経過を経て今の国家公務員法が先般改正された上であります。
そうしますと、今の労働基本権の制約と人事院との関係、特に制度的な意義ですよね、人事院の中心的な業務というのは給与勧告です。制度的な意義と、そして、労働基本権が制約されている国家公務員に対して人事院が果たすべき役割は何かということ、そして人事院勧告についての総裁のお考えをまずは伺わせてください。
○一宮政府特別補佐人 人事院の給与勧告制度は、国家公務員は憲法で保障された労働基本権が制約されているための代償措置として、情勢適応の原則に基づいて国家公務員の給与水準を民間の給与水準に合わせるとともに、必要な給与制度の見直しを行うということによって国家公務員の適正な処遇を確保しようとするものです。勧告を通じて、職務に精励している職員に適正な給与を支給するということは、職員の努力、実績に報いるとともに、人材確保にも資するものである、組織活力の向上、労使関係の安定等を通じて、行政の効率的、安定的な運営に寄与するものと考えております。
本年は、春季賃金改定における賃金引き上げの動きを反映いたしまして、民間給与が国家公務員給与を上回る結果となったために、俸給表の水準を引き上げることといたしまして、特別給についても民間が公務を上回ったことから、引き上げを行うことといたしました。俸給表の水準の引き上げとボーナスの引き上げは、ともに七年ぶりでありまして、これまで給与が厳しい状況の中にあっても職務に精励してきた職員にとって、この改定は、士気の一層の向上につながると考えております。
また、本年の勧告では、国家公務員給与をめぐる諸課題に対処し、地域間、世代間の給与配分の適正化等を図るため、給与制度の総合的見直しを行うこととし、平成二十七年一月から必要な措置をとることといたしました。
私が本年四月に人事院総裁を拝命してから初めての勧告ということになりましたが、本年は、七年ぶりの給与水準の引き上げに加え、各般にわたる制度改正を勧告することとなり、労働基本権制約の代償機能という人事院に与えられた機能を適切に果たすべく、総裁としての重責を感じながら勧告に臨んだところでございます。
ただいま申し上げました人事院勧告制度の意義や役割に深い御理解をいただき、勧告どおり実施していただきますようお願いいたします。
○大島(敦)委員 総裁が指摘されたとおり、今回、給与がコンマ二七%上がることは了としたいと思うんですけれども、我が国を考えた場合に、先ほど五十人以上という話がありました。五十人以上が正しいかどうかの議論はここではしません。五十人以上という一つの会社の組織があって、総裁も、これまでの裁判官としての御経験から、日本の社会についてさまざまなお考えとか、あるいは知見を持っていらっしゃると思います。私も営業をずっとしていたものですから、五十人という会社は、地元だと意外と大きな会社です。五十人の雇用を確保しているというのは、地元だと大企業だと私は思っていまして、丸の内とか大手町とか、上場企業が企業ではなくて、小さな会社、五十人未満の会社もたくさんあるんです。
ですから、公務員として、五十人以上の会社がコンマ二七%給与が、さまざまな、本当に精緻な統計資料をとっていただくと上がっているということはよくわかるんですけれども、そこには上がっていない企業も、意外と大変な企業もあるということを認識いただきながら御答弁いただけるとその気持ちが伝わってくるかなと思っていまして、その点がこの五十人というところ、私としては、五十人のことについては了としながらも、五十人未満の会社の気持ちもひとつ踏まえながら人事院勧告していただけると助かるなと考えております。
それで、国家公務員の労働基本権の制約の代償措置を担う機関として、労使に対して中立公正であることの認識、本年の勧告と報告があります、その経緯における対応について伺わせていただきたいなと考えております。
やはり、給与というのは、私もサラリーマン、職員の皆さんもそうですけれども、結構気になるものです。給与の同僚とのほんの差異によって、やる気が起きたり起きなかったりというのは、結構微妙なところがこの給与ということでして、特に、中立であり公正であるということが、人事院勧告、そして、人事院がなぜあるかという基本だと思いますので、その点につきましての御所見を伺えれば幸いと存じます。
○一宮政府特別補佐人 先ほども申し上げましたとおり、人事院は、労働基本権制約の代償機能として、毎年の給与勧告に当たりまして、情勢適応の原則に基づいて、官民給与を精確に把握した上で精密な比較を行うことはもちろんのこと、各府省、職員団体を初め、各方面の御意見も伺いつつ検討を進めた上で、人事院としての責任で給与勧告の内容を決定しております。
本年の勧告におきましては、地域間、世代間の給与配分の適正化を図るため、給与制度の総合的見直しを行うということとなりましたが、この見直しの諸課題についても、各府省、職員団体等の関係者の意見、要望を聞きながら検討を進め、今般の見直しの施策を取りまとめたところでございます。
○大島(敦)委員 人事院の役割として、職員の適正な利益の保護ということがうたわれています。今回の勧告、報告では、どのようにこの点、人事院の、労使に対して中立公正であるとともに、この職員の適正な利益の保護という点が結構キーだと思うので、その点についての反映ぶりについて御答弁をお願いいたします。
○一宮政府特別補佐人 国家公務員法第三条は、職員の利益の保護を人事院の基本的役割の一つとしております。
人事院の給与勧告制度は、労働基本権制約の代償機能として、情勢適応の原則に基づいて国家公務員の適正な処遇を確保しようとするものであるということは、先ほど来申し上げているところでございます。
また、民間準拠による給与水準の改定のみならず、国家公務員給与をめぐる諸課題に対応し、適正な給与制度を実現していくということは、国家公務員給与に対する国民の理解を得ていく上でも重要なことでございます。
さらに、国の組織における事情を念頭に置きながら適正な給与配分というものを行うことが、公務への必要な人材の確保、公務の能率的な運営につながるものであるというふうに考えております。
今般の給与制度の総合的見直しにおきましては、このような基本的な考え方に立ちまして、地域間、世代間の給与配分の適正化を図るという制度改正を行うとともに、人材確保の必要性、円滑な人事運用の要請等を踏まえ、若年層の職員、広域的な異動を行う職員、やむを得ず単身赴任をしている職員等の処遇の確保を図ったほか、職員の生活への影響を考慮し、激変緩和のための経過措置を講ずることにより、新制度への段階的かつ円滑な移行を図ることとしたところでございます。
人事院としては、今後とも、労働基本権制約の代償機関として、法律に定められた責務を適切に果たしてまいりたいというふうに考えてございます。
○大島(敦)委員 勧告、報告は本年の給与改定と給与制度の総合的見直し、普通ですと本年の給与改定だけですので、先ほど総裁が御答弁された給与の統計資料に基づいての勧告だけなんですけれども、給与制度の総合的見直しということで、結構大きな見直しが入っているかと思います。
給与制度の総合的見直し、制度の大きな改革は、前回は平成十七年の勧告と報告によって給与構造改革、構造改革ですから非常に大きな改革として人事院は要は勧告をし、報告をし、そして、それ以来の今回のものと思います。
今回の構造改革は、前回の給与構造改革が十八年から段階的に実施して平成二十二年で完成しておりますので、それから思えば、三年半たって今回の勧告、報告になっています。ですから、給与制度の総合的見直しを指摘する必要が、もう少し制度が定着してから大幅な今回の給与制度の見直しをしてもいいかなと思っておりまして、給与制度の総合的見直しが客観的、具体的になぜ必要だったかについての御答弁をお願いいたします。
○古屋政府参考人 ただいまの御質問でございますが、国家公務員給与につきましては、今御指摘がございましたとおり、地域における公務員給与水準の是正、年功的な給与上昇の抑制等を行うために、平成十八年度から平成二十二年度にかけまして、俸給制度、諸手当制度全般にわたる改革として給与構造改革を実施しておりました。
この給与構造改革の実施によりまして、地域ブロックで見た民間賃金との差の縮小、高齢層の給与水準の抑制などに一定の成果は上がったというふうに認識しているところでございます。
しかしながら、地域間の給与配分の見直しに関しましては、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員給与が高いのではないかといった指摘は依然として見られるということに留意しまして、そうした地域における官民給与の実情を把握した結果、実際に官民の給与差が確認されたところでございます。
これを踏まえまして、全国共通に適用される俸給表の水準の引き下げを行うとともに、地域手当の見直しを行うなどの措置を講ずる必要があると判断いたしました。
また、世代間の給与配分の見直しに関しましては、初任給などの、若年層において国家公務員給与が民間給与を下回っている一方で、公務において在職期間の長期化が進んだことに加え、地方の管理職等を中心に五十歳代後半層において昇任する人事慣行等があることから、五十歳代後半層については、国家公務員給与が民間給与を上回っている状況ということになっております。
このような状況を踏まえまして、若年層の給与水準を改善し、一方で五十歳代後半層の給与水準を抑制するといった給与カーブの見直しが必要であるということを認めたところでございます。
このほか、国におきましては毎年二割程度の職員が転勤しているという状況等を踏まえまして、職務や勤務実績に応じた給与配分の見直しとして、広域的な異動を繰り返す職員、やむを得ず単身赴任をしている職員に対する手当額について引き上げを行うなど、必要な措置を講ずることとしたところでございます。
このような基本的な考え方のもとで、俸給表、諸手当のあり方を含めた今回の給与制度の総合的見直しを行うこととしたところでございます。
○大島(敦)委員 総裁、今の局長からの説明ですと、前回の給与の構造改革が二十二年に終わってからも、民間の企業の中で大きな人事あるいは給与の変化があったので今回の見直しにつながったと理解をさせていただくんですけれども、今後さらに加速して、民間の働き方あるいは給与のあり方あるいは人事管理のあり方は変わっていくことが想定されると私は思うんです。
ですから、安定した私たちの国の企業環境から、結構激変していく企業環境に移っていくと思っていまして、例えば、団塊の世代の皆さん、ほとんどがもう六十五歳以上になっていますから、若年層というのは、二〇〇〇年代には、団塊の世代の皆さんも現職であり、そして、いろいろなシステム化、あるいは、これはムーアの法則といって、半導体が一年八カ月から二年間で集積度が高まっていくことによって業務のシステム化が進んで、簡単な仕事はほとんど蒸発したのが二〇〇〇年代で、今後の社会というのは結構変わってくるんです、働き方が。
ですから、公務員における給与あるいは処遇のあり方あるいは人事管理制度というのも、これまで以上に早く見直さなければいけないなと考えておりまして、その点については、今回質問通告しておりませんので、その問題意識について若干今後考えていただければなと考えております。
そして、平成十七年の勧告、報告の際には、当時の人事院総裁の談話で、給与の総合改革、これは「昭和三十二年に現在の給与制度が確立して以来、五十年振りの大きな改革となります」ということを指摘されております。
無論、時間の経過が給与制度の改革の必要を決定するものではありませんし、社会経済情勢の変化に対応するとともに、国民の納得を得るための不断の努力が不可欠であると思う一方で、重要なのは、改革された給与制度における職員の定着であると考えております。
人事院がみずから五十年ぶりと指摘した大改革の完成から三年半、先ほど局長が御説明されましたとおり、給与構造改革の、職員の定着という観点から、今後の給与制度の総合的見直しをどのように考えているかについての御答弁をお願いいたします。
○一宮政府特別補佐人 給与制度を見直す際には、新制度への円滑な移行を図り、制度を定着させるということが重要であるというふうには認識しております。この点、今回の給与制度の総合的見直しにおいては、平成十七年から段階的に実施した給与構造改革における取り組みの成果を踏まえた上、さらに見直しを行う必要があると認められる内容について勧告しておりまして、内容的には連続性のある見直しとなっております。その上で、経過措置も講じながら、段階的かつ円滑に新制度への移行を図るということとしております。
○大島(敦)委員 総裁も多分、前は仙台の裁判所に勤務をされていて、被災された、東日本大震災のときにも仙台で勤務をされていたかと思います。東日本大震災の復興あるいは再生、そして、今回の御嶽山の噴火災害とか広島の大水害、公務員の皆さんの懸命な奮闘がなされています。
私も、地元の国土交通省の河川の職員の皆さんとお話しすると、やはり、関東の職員の方であっても、四国とかあるいは関西で大きな水害が起きれば、もうそちらの方に出ていって、二週間ぶっ通しでその河川を歩きながら現状を把握し、それで応急的な措置につなげている、そういうことをよく伺います。
ですから、このような地域の公務員の努力、それは国家公務員の方もそうですし、地方公務員の方もそうです、その努力に関する総裁の認識について御答弁いただければと思います。
○一宮政府特別補佐人 御指摘のような、地域の国家公務員を初め全国各地の国家公務員には、全体の奉仕者としての使命感を持って、国民の安全、安心の確保など、それぞれの職務に精励し、国民生活を支えていただいているということに対して、心からの敬意を表したいと思います。
給与勧告を通じて適正な給与を支給するということは、このような職員の努力や実績に報いるとともに、組織活力の向上、労使関係の安定等を通じて行政の効率的、安定的な運営に寄与するものと考えております。
○大島(敦)委員 昨年なんですけれども、人事院は、職員の給与等に関する報告の中で、給与制度の総合的見直しの必要性について、「職員の士気や組織の活力の維持・向上を図っていくために、」と指摘をしております。東日本大震災の復興再生を初め、厳しい職務環境のもとで職務に従事している地域の公務員にとって、給与水準の引き下げとなる給与制度の総合的見直しが職員の士気の維持向上になるか、その点についてちょっと御所見を伺いたいんです。
人事院勧告というのは、国家公務員に対する勧告なんですけれども、地方の公務員の処遇に関しても、結構、人事院勧告を横に見ながら決めるということがこれまでも行われてきていて、前回、東日本大震災の復興と、あと、厳しい経済情勢を考えて、二年間、裁判官の皆さんも含めて、国家公務員の皆さんの給与は七・八%下げさせていただきました。幹部で一〇%で、八%、五%ということで、平均すると七・八%でした。
地方公務員は、ずっとそれまで、三位一体改革の改革等で財源を圧縮されていましたから、独自に給与を下げていた経緯があります。ですから、その給与を下げていた経緯で、さらにということも求められてあったものですから、やはり給与というのは、先ほど総裁がおっしゃったとおり、地方公務員もあるいは国家公務員も、職員の皆さんがより生き生きと、あるいはより充実感があり、より職務に忠実に働くための大きな意思の源泉かもしれません、公正とか公平を前提にしながら。
ですから、その点について、給与制度の総合的見直しが職員の士気の維持向上になるかという点について御答弁をお願いいたします。
○一宮政府特別補佐人 給与制度の総合的見直しでは、地域の民間賃金の水準を踏まえて、全国共通の俸給表の水準を平均二%引き下げるとともに、地域手当の見直しを行うことといたしました。また、若年層の職員、広域的な異動を行う職員、やむを得ず単身赴任をしている職員にそれぞれ支給される手当の額を引き上げるなど、処遇の改善も図りました。
このように、より適正な給与配分を実現することによって、公務全体として見れば、職員の士気、組織の活力の維持向上や、必要な人材の確保につながると考えております。
今回の見直しにより給与水準が下がる職員にとっては非常に厳しい内容とはなりますが、特に地方に在勤する職員の生活への影響を考慮いたしまして、三年間は給与が下がらないよう経過措置を講じ、段階的かつ円滑に新制度への移行を図ることとしており、職員の皆さんの御理解をいただきたいというふうに考えております。
○大島(敦)委員 最後に、先ほど冒頭に指摘をさせていただいた労使に対して中立公正という点と、あと、政治からの独立というのがあります。
各政党は、国家公務員の処遇について、それぞれ考え方、公約あるいは国民に対する約束をしてこの場に臨んでいると思います。現行制度を前提とすれば、人事院は、第三者機関で、かつ中立的な機関でありますから、政府との接点ではなくて、各政党、政治との接点というのは、やはり一定の距離感があるべきだと私は考えていまして、そのことが人事院制度に対する信頼を国民あるいは職員の皆さんからかち得る、あるいは安定的に国民からの信頼を継続できる点だと思いますので、その点についての御所見を、総裁としてのお考えを伺わせてください。
○一宮政府特別補佐人 人事院は、労働基本権制約の代償機関として、毎年の給与勧告に当たりまして、各府省、職員団体を初め、各方面の御意見も伺いつつ検討を進めた上で、人事院としての責任を持って給与勧告の内容を決定しております。
国家公務員給与について、各党からもさまざまな御意見をいただくことがあります。それらにつきましては、国家公務員給与に対する御意見の一つとして受けとめております。
一方、今回の給与制度の総合的見直しを初めとして、給与勧告は、先ほど来申し上げていますように、労働基本権制約の代償措置として、国家公務員の適正な処遇を確保するとともに、人事院がみずからの判断により見直しの必要性を認めた諸課題について検討を行い、成案を得て行うものでありまして、このように、人事院に与えられた責務を的確に果たしていくということが求められているというふうに認識しております。
○大島(敦)委員 終わります。
○井上委員長 次に、山之内毅君。
○山之内委員 維新の党の山之内毅と申します。
今回、人事院勧告に基づく、人事院総裁にお越しいただきまして、また、大臣の方にもお越しいただきました。
給与というのは、さっきの委員もおっしゃられましたとおり、重要なものということだと思います。公務員の給料というのは一体どれぐらいが適正なのかということだと思うんです。それは当然、財政状況にもよると思うんです。私も、何でもかんでも、公務員は給料が高いからけしからぬだとか、いや、公務員は給料が低いんだよだとか、どこら辺が適正なのか、こういったものをやはり議論の中で深めて、かつ、国民の皆さんの信頼を得て適切にしていかないといけないんだろうなと思っているんです。
そんな中で、やはり私が感覚として気になるのが、この人事院総裁の談話にもあります「民間給与が国家公務員給与を上回る結果となりました。」と。私は、感覚なんです、まず感覚で、あれっ、そんなに上回ったのかなと。これは全国津々浦々までです。都市部はもしかしたらそうかもしれない。地方中の地方だとか、そういったところでは、もちろん各都道府県の人事委員会の方で統計をとると思うんですけれども、そこまであるのかなと。まずそれが出発点です。
そこで今回、まず、人事院の方でもサンプル調査を行っていると思うんです。そもそも、民間給与の平均のデータを出す、このやり方というものがどのようなものになっているのか、これについて確認をしていきたいと思うんです。
まず、そのことの説明をしていただきたいのですが、調査期間だとか調査時期、この資料もいただきました。また、調査の範囲、どれぐらいの事業所、事業所規模はどの程度のものなのか、抽出方法だとか、こういったものについて御説明いただけますでしょうか。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
今、民間給与実態調査ということでございますが、現在、全国の企業規模五十人以上、かつ、事業所規模五十人以上の民間事業所を母集団といたしまして、これを都道府県等別に組織、企業規模、産業によりまして層化いたしまして、この各層から無作為に抽出して行うという、いわゆる層化無作為抽出法により調査事業所を選定いたしておりまして、現在、標本事業所は約一万二千というふうになっているところでございます。ここに調査員が実際に赴いて調査を行うという実地調査の方法によって実施しているということでございます。
本年の場合は、公務の行政職俸給表(一)と類似すると認められる事務・技術関係職種の約四十五万人につきまして、本年四月分として個々の従業員に支払われた給与月額、及び、当該従業員の役職段階、学歴、年齢等、給与決定要素でございますが、これらを実地に詳細に調査を行っております。また、民間事業所におけるボーナスの支給状況を把握するために、昨年八月から本年七月までの直近一年間の支給実績についても調査を行ったところでございます。
本年の調査完了率は約九割と引き続き高い調査完了率を維持しておりまして、民間の状況を的確に把握できたというふうに考えているところでございます。
○山之内委員 私もこの資料を拝見させていただいて、全国、調査機関は、人事院並びに都道府県、政令指定都市、特別区及び和歌山市の各人事委員会。要は、人事院も含めて、各都道府県のそういった人事委員会から統計をとられたと思うんです。それが、全国の民間事業所、事業所規模が五十人以上、そういったところが五万五千四十七事業所。その中から、今回は一万七百五十の事業所を一応無作為に抽出する。そもそもここが五十人以上となっているんですね。
あとは、この資料も見させていただきますけれども、全企業規模ですので、例えば、何とか銀行、それが全国に各支店もあると思います。だから、企業規模が三千人以上の、かつ、その各都道府県の事業所が五十人ぐらいあるだとか、細かく、千人以上三千人未満、五百人以上千人未満、百人以上五百人未満、五十人以上百人未満だとかに分かれていると思うんです。
ここの、今、五十人以上と規定する理由ですね。一人から九人だとか、十人から二十九人でもいいと思いますが、この五十人以上とする理由は何でしょうか、教えていただけますでしょうか。
○古屋政府参考人 平成十八年にこの対象の規模の見直しをいたしております。その当時の議論といたしましては、民間の実態を公務員給与に反映することができるように、なるべく広く考えたいということで見直しをしたところでございます。
その際、先ほど申し上げました官民の給与の比較をする際に非常に重要になりますのが、役職段階、こういうものを基礎に比較を行うという中で、民間の事業所五十人以上の規模であれば役職段階が精確に把握できる、比較できるというふうな考え方でもって、五十人以上が適当と。それ以下に関しましてはなかなか比較することが困難ということで、五十人のところで設定をさせていただいたというところでございます。
○山之内委員 役職規模ということなんですね。その結果なんです。
今回の人事院の調査の結果、大体約一万社ですね。そうなると、従業員五百人以上の企業が大体四千社ぐらい、百から五百、これぐらいの企業が四千社程度、五十人から百人、一番小さい、この企業は大体二千社程度ですか、大体それぐらいになるという状況だと思います。要は、官と民というときに、中小零細企業がある意味ごっそり抜ける形になると思うんですね、五十人の事業所規模となると。
片や、私も先ほど質疑の冒頭で申し上げましたとおり、感覚として、これは本当に民間の平均と一緒かなというところからやはり始まるんです。私も新人ですから、この場に。当然、この議論というのは過去にもされたことがあるとは思うんですけれども。
その中で、片や、国税庁の調査、民間給与実態統計調査というのもまたあるわけですね。これの調査方法、二万社に対してしていると思うんですけれども、これについて、どのような調査の形になっているか、教えていただけますでしょうか。
○上羅政府参考人 お答え申し上げます。
国税庁が実施しております民間給与実態統計調査は、民間の事業所を対象としましたサンプル調査でございまして、平成二十五年分調査における標本事業所数は二万五百二十五所でございます。
私どもは、一人以上の事業所から対象としておりまして、一人以上また百人未満の標本事業所数は一万四百三十七所でございます。
○山之内委員 そうですね。百人未満だと一万四百三十七でしょうか。あとは、先ほどの百から五百未満というのが大体三千ぐらいですか。五百人以上のところが八千社ぐらいでしょうか。百人未満は一万社ですね。やはり当然、サンプルをとった数が違うわけですね。
その結果、今、国税庁の調べでいうと、民間の平均給与というのは幾らになりますでしょうか。
○上羅政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました民間給与実態統計調査でございます。一年を通じまして勤務した給与所得者の平成二十五年分の平均給与につきましては四百十四万円でございます。また、この平均給与から平均賞与を除きました平均給料手当の額は三百五十三万円となってございます。
○山之内委員 三百五十三万、三百五十万円ぐらい、ボーナスを入れれば四百十万円ぐらいということだと思うんです。
片や、人事院の方で調べた平均給与、これはどれぐらいになっていますでしょうか。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
先ほど出ましたように、国家公務員の給与との比較ということをするという前提で民間給与実態調査を行っております。そういうことで、先ほど来申し上げましたように、約四十五万人を対象に比較するわけでございますが、これを比較する上では、主な給与決定要素であります役職段階、勤務地域、学歴、年齢等をそろえて比較するということでございまして、単純な平均値ということではございません。
その結果といたしまして、先ほど、〇・二七%、千九十円という数字を申し上げておりますが、約四十万円というふうになって、現行給与でいうと四十万八千四百七十二円ということになっておりますが、そういう数字になっているということでございまして、対象の職員でありますとか、先ほどから申し上げている役職段階、勤務地域、それらの違いが結果としてあらわれてきているというふうに考えているところでございます。
○山之内委員 平均で月収四十万ということですから、単純に十二カ月すると四百八十万円。先ほどの民間だと三百五十三万円ですか。やはりそうなんです。もちろん、役職に合わせてということ、事業所のサンプルのとり方によって要はこうも差が出るんですね。片や四百八十万円、さらに、三百五十三万円。かつ、公務員の方々には、今回、ボーナスでまた、四・一カ月でしょうか、あると。
要は、先ほど言ったように、民間の方はボーナスを入れて四百十万円ぐらいですので、民間といいますか、国税庁の調査ではですね。それで、公務員の方も、その平均給与に合わせると、四百八十万足す、四カ月であれば大体百六十万円ぐらいでしょうか、六百四十万円ぐらいですか。やはり差があるんですね。
私は先ほど、これを全部絶対合わせろというわけではないんです、適正なのはどこあたりなのかなと。
一般的に言うと、私は二年前まで一般国民でしたので、官民較差というと、一国民で、民の平均だと思うんです。民の平均といったら、六百二十万も、そんなにあるかなと思ったら、やはり国税庁の方で調べたのが大体それぐらいの額なのかなと。それで、かつ、地方中の地方に行くと当然やはりまた差があるんですね。私も実際、地元で。
私は、ここで言いたいのは、適正な額というのはどれぐらいなのかなと。それは当然、先ほど言ったように、財政状況も含まれると思うんですね。今、残念ながら、日本のプライマリーバランスというのは、先般の大臣所信でも甘利大臣に質疑させていただきましたけれども、二〇二〇年までの黒字化のめどが正直立たないという状況。皆さん御存じのとおり、累積の借金はもう一千兆以上。こういった状況の中で、では国民の皆さんに理解を得られる適正な額、官民較差というのはどれぐらいなのかなというふうに思うんですね。
これについて、きょうお越しいただきました有村大臣、いかがお考えでしょうか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
本年度の人事院勧告についての大臣としての所感ということでございますが、本年度の給与改定につきましては、御案内のとおり、平成十九年度以来七年ぶりに月給及びボーナスを引き上げ、年間給与は一・二%程度増額となるという内容です。
人事院勧告は、先ほどから議論がございますように、官民の給与実態の客観的調査に基づいて行われておりまして、民間の給与が上昇したことを反映して、今回の勧告をされたものだと認識をしております。
政府としては、やはり、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を従来からも尊重していくという基本姿勢を貫いていらっしゃって、私も現在その任にございますので、勧告どおり給与改定及び給与制度の総合的見直しを行うことが妥当だ、適切だと私は判断しております。
○山之内委員 適切だと。
私も、ここで考えるんです。この適切というのは、官民較差で判断するのか、先ほど言ったように、財政状況も含めて判断するのか。もうこれは皆さん御存じのとおり、消費増税が、二%上がり得るわけですね。これは、やはり景気状況を判断してということだと思うんです。片や、この給料は、ある意味、景気状況を考慮しないのかな。まあ、十二月で判断するわけですから。もちろん、先ほど議論があったとおり、労働基本権、いわゆるストライキ、これもあるんです、わかるんです。
当然、若い職員の方、私も一生懸命働いている方もたくさん拝見させていただいていますし、そういった中で、適正な、今回は若い方々を多少優遇する、年配の方は余り上がらない、そういった差をつけているようで、世代間である程度是正はしているようですけれども、ただ一方で、やはりある程度の給与がないと、ある意味、優秀で若い方も来ないのもこれは事実だと思います。
ただ、この財政状況で、我々政治家もそうなんだと思うんですけれども、なかなか今後は、ある意味、給与をたくさんもらおうと思って公務員になるということは厳しいんじゃないかな。というのは、やはり安定があるんですね。ここも安定があると思うんです、公務員は。
やはり、地方中の地方でどうなるかというと、なりたい職業ランキング、どうしても公務員の方が上位になるわけです。それは決して悪いことではないと思うんですが、その理由が、国のため、地方のため、給与はもしかしたら低いかもしれない、民間よりはもらえないかもしれないけれども頑張るということであれば、私はとうといと思いますけれども、いや、民間だったらいつ首になるともわからないし、安定しないから公務員と。それで給料も、先ほど言ったように、サンプルのとり方によってはある意味変わってしまうんですね、実態と。こういった状況だと思うんです。
この中で、本当に適正なのは、今の経済状況、もちろん、安倍さんのアベノミクスというのをやってデフレから脱却しようとしているということだと思うんですけれども、今の状況で上げるのが本当に適切なのかどうか。人事院総裁の方におかれましても、ここの所見というのをお聞きしたいんですが、いかがでしょうか。
○一宮政府特別補佐人 先ほど来お話ししておりますように、国家公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割を人事院としては果たしておりますので、民間準拠ということでございますので、民間の調査を的確にさせていただいて、それに合わせた給与を勧告するというのが人事院の役割というふうに認識しております。
○山之内委員 労働基本権ということですね。さまざまな要因はあると思います。
ただ、これは国と地方とは一概には比較できないと思うんですけれども、ちなみに、我々維新の党で、大阪維新の会、御存じだと思うんですけれども、どういう順番でやったか。これが全部のモデルケースとは言いませんけれども、その実態実態であると思いますけれども。
例えば大阪府市。市長は橋下徹ですが、府知事は松井一郎。まず、退職金は八割以上カットしていると思いますね。大阪府議の方は三割給与カットですか、市議の方は二・五だったんですかね。大阪府議の方はまた議席を二割削減したんでしょうか。それをもって大阪の公務員の方々は、やはり、多少政治家が身を削った、だったら、公務員の給与もカットしたんですね、カットして何も言えないだろう、やむを得ないだろうと。その後、さまざまな改革をして、ようやく、今年度ですか、いわゆる大阪で言う単年度の黒字化が見えてきたという状況で、それをもって公務員の方の給料も多少もとに戻したというふうに聞いているんです。
やはり財政健全化という、私なんかも若輩ですけれども、将来にわたって、これは十年、二十年、三十年、何十年かかるんでしょうか、この道筋を立てないといけないという観点、これがないと国民の方々の理解も得られないですし、それに、やはり私、地元の公務員の方々も言われるのがかわいそうだと思うんですね、公務員は給料が高くて安定していていいなと。まあ、都市部は違うかもしれないですけれども。
やはり、そういったのを含めて、適正な額というのは、もちろん調査によってある程度、もしかしたら、五十人以上というのを例えば四十人としたら変わるかもしれないですし、三十人としたら変わるかもしれないですし、そういったところも考えていかないと、結果、それが批判に回ってしまう。そうすれば、そこで働いている方々も、モチベーションを持って、この国のため、もしくはこの地方のため一生懸命やっているんだというのがなかなか言いづらくなる。そういった悪循環になるのはよくないなと私は思うんですね。
そういった観点から、官民給与較差のことについては、ある意味、適正な、官民と、民と言うからにはどの程度のサンプルをとるのが的確かというのは、今の質疑の中で、必ずしもこのとり方だけがベストではないと私は思っております。
その中で、またもう一つ、給与カーブというのがあると思います。これは、いわゆる世代間で給与カーブということだと思います。
私も、民間の調査機関の方に資料を見せていただくと、これも必ずしも一致するものではないと思いますが、民間の方はやはり五十歳ぐらいをピークに下がっていくんですね。これは、さまざまな、早期退職する方もいらっしゃるかもしれないですし、人事異動の形もあるかもしれないですが、これに比べて、人事院総裁は、ある意味、公務員の方々もそれに合わせていくという方針は間違いないんでしょうか。
○古屋政府参考人 今の先生のお話もございましたとおりに、民間企業では、一般に、五十歳代、特に後半層において、例えば昇給が抑制されるということでの給与水準の上昇の抑制でありますとか、また、役職をおりてスタッフ職のポストに異動するということが一部見られたりということで、賃金水準が抑制されたり下がったりというケースがあるということで我々としても承知しているところでございます。
今回の公務の方を見た場合には、在職期間が一方で長期化しているということや、地方の管理職を中心に人事管理の実態を見たときには、むしろ昇任がおくれてきているということもございまして、やや公務の方の人事管理自体の違いが給与にも反映されているということでございます。
それで、高齢層の国家公務員の給与水準につきましては、こうした民間の年齢別の賃金の状況も参考に、昇給の抑制、給与カーブのフラット化に取り組むということで、民間の給与カーブと大きな乖離がないようにする必要があるというふうに考えているところでございます。
今回の給与制度の総合的見直しにおきましても、この五十歳代後半層の国家公務員給与、これが民間給与を上回っているという状況を踏まえまして、五十歳代後半層の給与水準を見直すこと等によりまして世代間の給与配分の適正化をするといったところにつながったところでございます。
○山之内委員 ある意味、これも近づけていくということだと思います。
質疑時間も終了いたしました。まだまだ、あとは、先ほどの官民の給与の較差、これもどれぐらいが適正か、それから給与カーブの件、それからまた正規雇用、非正規雇用というのも、各省でも非正規で雇用されているところもあると思います。いずれにしろ、適正な形、これは、国民の理解を得られる、そして、今の国そして地方の財政状況を踏まえた上での判断というのをよろしくお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 次世代の党の杉田水脈です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
きょうは人事院勧告に関しての質疑ということで、国家公務員の給与の問題、それから地方公務員のことも、総務局の方にも来ていただきましてお聞きをしてまいりたいと思います。
まず一点目なんですけれども、人事院勧告では従業員が五十人以上の企業の給与比較で決めているという形になっているんですけれども、きょう皆さんの方に人事院から配られました「給与勧告の仕組みと本年の勧告のポイント」という資料があるんですけれども、こちらの三ページ目の中に、民間給与とどのような形で比較をしているのかというような図が詳しく載っています。
ここの説明文の中に、「具体的には、以下のとおり、役職段階、勤務地域、学歴、年齢階層別の国家公務員の平均給与と、これと条件を同じくする民間の平均給与」という形で、この二つを比較しているというふうに書かれているんですが、本来ならば、給与を比較する、給付水準を比較する場合は、仕事内容で比較をするべきではないかと思うんですね。
例えば、事務職なら事務職、どういう系統の事務職なのか、技術職の方でも、例えば科学技術職なのか、電気技術職なのか、土木の技術職なのか、そういったさまざまな技術職がありますので、そういった仕事内容の比較というのも必要ではないかと思うんですけれども、この仕事内容の比較はどのようになされているのか説明いただきたいと思います。
○古屋政府参考人 公務も民間も、仕事内容という観点ではどのような仕分けをするかという議論があろうかと思います。
現在は、今御指摘がございましたとおり、事務・技術関係職種という、そういう意味では大枠になろうかと思いますが、そういう大きな枠組みの中で比較をしているということでございます。いわゆるデスクワークでの比較をしている。
その比較の内容につきましては、今もお話がございましたように、現在日本で行われている給与決定要素ということで見ますと、役職段階、勤務地域、学歴、年齢、これが大きな給与決定要素になっておりますので、その事務・技術関係職種の中におきまして、これを同じくする者同士の比較ということによって官民の水準を考えるということで現在させていただいておりまして、細かい仕分けの仕方というのはなかなか難しいのかなというふうに考えているところでございます。
○杉田委員 事務、技術とあと一つの、大枠で三つの類型しかないというふうな御答弁だったんですけれども、ここの部分がそもそも、先ほども山之内委員の方から、民間との較差が非常に問題になってきているというようなところで、どうしても不公平感が国民の皆さんの間で感じられるというのは、そういったところの仕事内容がきちっと比較ができていない部分というのもあるかと思いますので、今までどおり本当に大枠だけで比較するのがいいのかどうか、そういったこともいま一度御検討をお願いしたいと思います。
次の質問なんですけれども、私はちょっと疑問に思っているんですが、私が公務員になったころはバブルでしたので、結構、公務員に合格をしても、条件のいい一般企業とかそういうところに、違うところに行ったりする方がいらっしゃったんですけれども、今はどうなんでしょうか。例えば、国家公務員に受かられても、内定していても、やはり一般企業に行きますから辞退しますという方は、結構行っていらっしゃるんでしょうか。
○古屋政府参考人 実際に、公務員は採用試験を行って採用するということになっておりますので、採用試験の申し込みを含めて民間の景気に影響される部分があるというのは、御指摘のとおりかと思います。
○杉田委員 きのうレクチャーに来ていただいたときに、まさかもう今どきはそんな人はいないでしょう、これだけ公務員も人気が高いですから、公務員を蹴って民間に行かれるような方はいらっしゃらないんじゃないですかとお聞きすると、いや、結構いるんですよというようなお答えをいただいたんですね。
そこで、ちょっとお尋ねしたいんですが、例えば民間では、ここの企業の内定が出ていたのに違う企業に行ってしまったというような場合は、ライバル企業との間で、どのような形で、いい人材をとられないようにするにはどうしたらいいかというようなことが、いろいろ人事戦略が行われていると思うんです。
やはりよい人材を公務員も確保していかないといけないと思うんですけれども、そのよい人材を確保するために、採用時に、例えばライバル企業みたいな、違う企業に行かれた、どういう企業にその学生は行かれているのかとか、そういうのも分析したりとか、また、そのライバルとなり得る企業の分析なんかも行って、そういうのをちゃんと意識して人事戦略というのは行われているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
○古屋政府参考人 先ほど来出ていますように、国家公務員の給与水準につきましては、なるべく広く民間企業の給与水準と合わせるという民間準拠の原則のもとに勧告を行っておりまして、これがある意味、適正な給与を確保するということでありまして、ひいては人材の確保に資するということで考えておるところでございます。
個別の職種なり、そういうものに関しましては、まさに国家公務員は多種多様な職種もございまして、どこがどう競合するというのはなかなか難しいというふうには考えております。
ただ、ことしの勧告におきましても、民間企業全体との比較になるわけでございますが、初任給に関しまして差が生じているということで、今回は、俸給表全体の平均改定率を大きく上回る改定率での改善を行うなど、そういった点についても着目しながら見直しをさせていただいているところでございます。
○杉田委員 そういうこともあって、今回は、特に若い方々の給与水準を上げられたというふうには思うんです。
そういう私も、大学を出てすぐは、実は、国家公務員の試験、内定をいただいておったんですけれども、お給料がいいということで民間の方に就職したという、自分自身もそういう経験があったりとかもするんですが、やはり戦略的な、人事戦略というものをきちっと持って、そのあたりもしっかり分析をしていく必要があるのではないかということを一点指摘しておきたいというふうに思います。
今回の改定で、再任用の職員の給与についても改定がなされておるんですが、一点、再任用職員に今までは支給されていなかった単身赴任手当を支給するという形に決定をしたというふうにお聞きをしたんです。
この単身赴任手当なんですが、例えば、小学生の子供とかがいて、家族四人とか五人とかいう家庭で、お父さんだけが違うところに赴任をします、子供さんの学校の関係とかそういうのがあって、家族はなかなかついていけませんというような単身赴任。もしくは、もう子供さんがみんな成長してしまって、独立をしてしまって、そこに奥さんしかいらっしゃらない、本来、専業主婦の奥さんだったらついていけるけれども、その奥さんは、例えばそこで勤務をしていてついていけないとかというような場合。さまざまなパターンが考えられると思うんです。
これは全部、同一の単身赴任手当になっているんでしょうか。
○古屋政府参考人 国家公務員に関する単身赴任手当につきましては、支給要件が定まっておりまして、官署を異にする異動に伴いまして転居し、その結果、やむを得ない事情があって配偶者等と別居し、単身で生活することになったという者に対する手当ということでございまして、そのやむを得ない事情というのは、今お話がございましたように、子供の教育でありますとか配偶者の就業ということでございまして、それらの事情がないという場合については支給しないということで、支給の要否を判断しているところでございます。
○杉田委員 ここが根本的に、私はちょっと考えていただかないといけないかなと思うんですが、単身赴任をするのは父親とは限りません、母親の場合もあります。そのときに、やはり、子供が小さい家庭でお父さんなりお母さんが単身赴任をするのと、もしくは、もう子供の手が離れて、もっと言えば独立してしまってというところで配偶者の方が単身赴任されるのとでは全然状況が違うのに、今のところそれが勘案されていないということで、きのうはお聞きをいたしました。
特に、再任用というのは、基本的には六十歳を超えていらっしゃる方に対して出すものですから、言ってみれば、子供さんたちは独立されていたりとかするような場合が多いのではないかと思うんですね。
ですので、再任用だけに限ったことではなくて、単身赴任の手当というものを考えるときに、家族というものをやはりちゃんと考えて、家族のあり方の上でどのような影響を及ぼすかというようなことも単身赴任手当においては勘案していく必要があるのではないかということを指摘しておきたいと思います。
それでは、ここからは、地方自治体の公務員給与のことについて質問をさせていただきたいと思います。
地方自治体の方の公務員の給与というのは、ある一定規模以上のところについては人事委員会を設けて決めていかれますし、それ以外のところは公平委員会などで決めていくという中で、人事院勧告は参考にしてというような形にはなっておるんですけれども、なかなか強制力がない、独立性を持って決めているというようなところが普通ではないかなというふうに思うんです。
我々次世代の党も、地方分権とかそういったことはしっかりと進めていかなければいけないというような立場には立っておるんですけれども、もしも将来、例えば、きっちりとそういう分権なんかもできて、地方が地方の財源で、それでちゃんと人件費とかも担ってというような形になっていく中では、もしかしたら、すごいスーパーエリート級のお給料を払って、スーパーエリートを集めるような役所が出現してきても、それは全然構わないことではないかというふうに思うんですが、今の状況というのはなかなか、やはり地方が自立できていません。その中で、人件費が占める割合が非常に大きいという中で、独自の決め方を行っている。
私がいた自治体なんかも、例えば、人事院が今までずっと下げていたわけですよね。人事課なんかは、交渉のときに、人事院もことしも下がっているので下げてくださいというふうに交渉を出すんですよ。そうすると、組合は絶対にノーと言いますから、そこで組合交渉になって、結局下がらないという形になるんですね。今回のように、このように上げるという形になると、今度は組合の方が、人事院も上げているんだから上げなさいというような要求をしてくるわけなんですよ。
その結果、きょう、皆さんの方に資料としてお配りをしておるんですけれども、公務員給与ランキング、こういうのは毎年出てくるんですね。地方公務員でお給料が高い都市がどういう都市かというようなことが、いろいろ民間の雑誌屋さんがこういうランキングを出すんですけれども、どうしても、労働組合が強いところは、そこの財政規模だとか財政状況に関係なく、公務員のお給料が高く出てくるというような傾向があるんですね。
そういうこともありますので、やはりある程度、人事院勧告に準拠してちゃんとしなさいというようなことも求めていく必要が、地方分権に逆行すると言う方もいらっしゃるかもしれませんが、今の段階では、今、国の借金の中で、地方の借金が本当に大きく膨らんでいる中では、そんな好き勝手に、組合が強いところがどんどんお給料を上げるというようなところはどんどん改めていかなくてはいけないと思うんですが、そのあたりはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
○丸山政府参考人 地方公務員の給与につきましては、地方公務員法の趣旨に沿いました適正な給与制度とその運用が図られ、適切に各議会において条例が整備された上で、地域住民の理解と納得が得られるものとすべきものと考えてございます。
総務省といたしましては、職員の給与改定を行うに際しまして、地方公務員法に沿って適切に対応するとともに、人事委員会の給与に関する勧告及び報告を踏まえつつ、地域の民間給与等の状況を勘案して適切に対処するよう助言を行っているところであります。
また、従来より、不適正な給与制度や運用等につきましては、適正化を助言しております。
地方公務員給与の現状といたしましては、ラスパイレス指数は、国家公務員の給与減額措置の影響を除きまして、平成十六年以降、相対として国を下回っております。また、不適正な昇給運用等、いわゆるわたりでございますが、その是正や諸手当の見直しも進んできていることなど、総じて適正化が行われているというふうに理解しております。
ただし、個別に見ますと、まだ課題を残している団体もございます。
総務省といたしましては、団体間の比較を可能とする給与情報の徹底した開示、公表や、個別団体への助言などによりまして、引き続き機会あるごとに地方公務員給与の適正化を進めてまいります。
○杉田委員 先ほど、地域住民の理解と納得を得て決めているというようなことが答弁の中にあったんですが、一体、ではどれだけの自治体が地域住民の理解と納得を得て公務員の給与を決めているのか。そんなきれいごとでは絶対決まっていないです。
それから、こういうランキングとかが出ると、今度も統一地方選とかが春にはありますけれども、多分、高いところはもっと公務員給与を下げましょう、こんな高いお給料をもらっているのはおかしいですよねというようなことを言って立候補する議員さんはたくさんいらっしゃると思うんですね。そこが目指す姿とは全然違っているということをもっと認識していただいて、このあたり、きちっと分析も含めてもっと考えていただかなければいけないというふうに指摘をしておきたいと思います。
この記事をごらんいただければと思うんですけれども、二つ目の項目で、「震災対応で残業代増えた福島・相馬市」というのがあるんですね。震災対応で例えば何日も泊まり込みでとかという形になると、その残業代が支払われるんですよ。私も、阪神・淡路大震災を市の職員として経験しましたが、全額支払われました。その年、年収ががんと大きくなりました。ただ、すごく被害が大きかった神戸市は、全額支払われていませんでした。
だから、やはりそのあたりは、自治体の財政状況によってばらばらであったりとかもしますし、それから、今は震災だけではなくて非常に災害が多いです。この二週間ほども、毎週のように台風がやってきて、市役所の職員の方々は泊まり込みでその対応に当たっていらっしゃるところが非常に多い。ことしなんかは本当に多かったと思うんですが、その災害対応の残業代が非常に財政を圧迫するような状況になってきているという現状があると思うんですね。
この地方公務員の残業代について、何らかのガイドラインをつくる必要があるんじゃないかと思うんです。先ほども言いましたように、全額払われるところもあれば払われないところもありますし、また、こういった額が大きくなってしまって、その地方自治体の財政を圧迫するというようなこともございますので、ある一定の何かガイドラインをつくる必要があるべき時期に来ているのではないかと思いますが、そのあたり、いかがお考えでしょうか。
○丸山政府参考人 災害対応は、地域住民の安全、安心の確保の立場から、地方公共団体の行う最も重要な役割の一つと考えております。また、この業務に携わる地方公務員に対しましては、適正な給与等の保障は重要なことだと認識しております。
地方公務員の時間外勤務手当についてのお尋ねでございますけれども、これにつきましては、地方公務員法等に基づきまして、時間外勤務命令を発して正規の勤務時間を超えて勤務させた場合においては、時間外勤務手当を適正に支給すべきものでございます。
各地方公共団体におきましては、こうした法律の規定を踏まえ、条例の定めるところによりまして、時間外勤務手当の支給について適切に対応すべきものと考えてございます。
○杉田委員 その適切にというところで、やはり自治体の財源というのは限られているわけですから、執行しようにもできないようなところもやはり出てくるかと思うんですね。そういうところを今後どうしていくかということをきちっと考えていただきたいというのが、私の質問の趣旨なんです。ですから、先ほどのでは答弁になっていないと思います。
このあたりもしっかり今後の課題と受けとめて考えていっていただいて、やはり、それはきちっと適正にお支払いしないといけないものではありますけれども、人件費によって住民サービスが低下してしまえば、本当に本末転倒だと思います。そのあたりのことも勘案した上で、きちっとしたガイドラインなどを設けていく必要があるのではないかと私は思っておりますので、御検討の方をよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、三谷英弘君。
○三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。
本日は、人事院勧告についての質疑、十五分、限られておりますので、早速入らせていただきます。
我々みんなの党は、結党以来、行政改革をうたわせていただいております。その中で、公務員の人件費を二〇%、二割カットしていくということを選挙の際にも掲げさせていただきました。そういった旗を現在もしっかりと掲げさせていただいているところではございます。
そうはいっても、ただ単に削れというふうに申し上げているわけではございません。
今回の人事院勧告の内容を拝見いたしますと、大きく二点ある。
一つは、今般のさまざまな経済状況に鑑みて、民間の給与水準も上がっているんだから公務員の給与の水準も上げるべきだ。もちろん、七年ぶりの上昇ということでございますから、そういう意味では、昨今の経済上昇、経済環境を反映した、今までの考え方に沿うと、それは適切な内容になっているんじゃないかというふうには思います。
しかしながら、そもそもの国家公務員の給与水準というものがどうなのかということについては、やはり申し上げなければいけないかなというふうに思っております。
そういった観点から、幾つか質問させていただきます。
二〇一四年の四月から、震災対応として七・八%削減されていた給与が戻っているという理解でまずはよろしいでしょうか。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘がありましたように、震災復興財源確保との観点から、国家公務員、平均七・八%の給与の削減を二年間行ったところでございまして、この法律につきましては、二年間という時限でございまして、その法律の規定どおり、ことしの三月末をもって終了したというところでございます。
○三谷委員 今お答えいただきましたとおり、七・八%そういう意味では上がって、それは削減幅がなくなったということではございますけれども、さらに今回の給与引き上げということでございます。
国家公務員の給料というものが極めて低いんだ、その激務に対する対価としては非常にこれは見合わないというような声というものは、私もよく私の周りからも聞いているところではございます。
しかしながら、そこには幾つかの誤解がある。これはもう何度も、恐らく、もしかしたら総務委員会のやりとりの中でも指摘をされているところではないかと思いますけれども、私もこの点についてはもろもろ申し上げていかなければならないかなというふうに思っておりますが、大企業におきましても、中小企業においてはもとよりですけれども、今までであればあったようないわゆる終身雇用というものが果たして残っているのかどうかというようなことをまず考えていかなければならない。
一旦就職をすれば、基本的に、つつがなく仕事をしていけば、もちろん激務だろうとは思いますけれども、その中で、懲戒解雇処分、分限処分、そういったものにならない限りは定年のときまで続けられる仕事、そういう立場というのは、実はもう民間にはないんだろうというふうに考えているわけでございます。
民間の方が給料が高い、就職のときに外資に行った方が給料が高いというようなことはもしかしたらあるのかもしれませんが、しかしながら、外資企業では、基本的にはそのポジションに基づいて給料が支払われるということでございますから、そのポジションというものである限りは、年限、幾ら何年かかっても基本的には給料は上がりません。ほかのポジションについて給料を上げたいというふうに思うのであれば、その社内での別のポジションというものを獲得していかなければいけないという意味では、これは大変なことです。
しかも、そのポジションに見合う仕事の水準というものをやっていかなければ、当然ながら首が切られてしまう、これは当たり前のことでございますから、民間の方が給料が高いというのは、果たしてそうなのかどうかということでございます。
この人事院勧告というものが、現在では五十人以上の企業、そういった事業所を対象に調べているんだというような話で、そこの給与の水準に見合った給与を国家公務員に対しても支払っていくというような理解であるとは思いますけれども、しかしながら、リスクというものとメリット、これは当然ながらバランスさせていかなければなりません。
一旦就職しても、何らかの理由でどんどんその立場を追われてしまうというそれだけのリスクが高い立場であれば、給料が高くても当然なのかもしれませんけれども、しかしながら、一旦就職すれば、職を奪われる、そういうリスクが基本的にはないという立場では、果たして民間給与と同じ水準の給与を払うという考え方でそもそもよいのかどうかということについて、これはリスクとバランスしないんじゃないかというような考え方もあるんじゃないかと思います。
もちろん、この点、何度も何度も国会でも審議されていることではないかと思いますが、ぜひ、大臣もかわったことですし、これは通告にはそういう意味ではありませんでしたけれども、有村大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○有村国務大臣 御通告をいただきませんでしたが、お答えを申し上げます。
やはり、国民の負託に応えて、主権者たる国民の皆様からの納得性を得る人事制度、また、これは人事院勧告に基づく給与ということが極めて大事だと思います。
官民のそれぞれ責任の重さ、あるいは責任の時期というのは違ってきますけれども、やはり、全体として安定性を持って安心して職務に精励していただく環境をつくることは大事なことだと認識をしております。
○三谷委員 そういう意味では、お答えとしてはそういったものになるというふうには理解をしておりますけれども、ぜひともこういった問題提起というものは引き続き続けていきたいというふうに考えております。
ただし、先ほどの維新の山之内先生の質問の中にもあったかと思いますけれども、やはりこれは、世代間格差というようなところも一つあるのではないかというふうに考えております。
基本的に、入省してしばらくの間というのは、本当に低い給与水準の中で働かざるを得ない。しかも、そういう若い方々が基本的には物すごい残業を強いられているというような状況もあるわけでございます。
これも個別の調査というものをもとにお話をした方がよいのかもしれませんけれども、国家公務員の中でのさまざまな組織の調査によれば、まだまだサービス残業というものもあるというふうな話も聞いているところではございますけれども、そういった若い方々と、その組織内で長期間ずっと仕事をされてきて、もちろん仕事のできふできというものによって昨今の改革によって多少のばらつきは出てきましたけれども、基本的には右肩上がりで給料が上がっていく。そういう意味で、能力に見合わないような給料をもらっている。正直、民間であれば、同じ給料を果たして今もらえるんですか。
入省時は、皆さん、もちろん出身の大学もいいでしょう。それから、入省するときの国家公務員試験、その中での成績もよかったでしょう。しかしながら、そういう勉強、テストの点と、実際に仕事についてみて、こいつ、使える、使えない、全然違うことだって幾らでもあるわけですよ。それは、民間にいてもそう思います。
正直、民間にいると、幾らいい大学を出ていても、幾ら就職をした当時期待されていても、残念ながら、どんどん淘汰されていく、これが当たり前なんです。
しかしながら、国家公務員の中には、そういうふうな、能力によって、仕事のできふできによってとにかく差をつけていくというのができていないわけですから、そうであれば、これはもう、悪平等かもしれませんけれども、長期間働いている方々に回している給料をもっと若い人に振り向けていくぐらいの、本当に働いている人たちに給料を支払っていくというような形に変えたらどうですか。その点についてお答えをいただきたいと思います。どなたでも構いません。
○古屋政府参考人 先ほどお話がございましたが、平成十八年からの給与構造改革というのが、まさに今御指摘の、勤務成績を反映するということ、それから、そういう意味では、長期の給与カーブについて是正するということでスタートしております。
今回も、その見直しの中で、高齢層については、民間との関係で、さらに抑制をする必要がある、それから、先ほど申し上げたように、初任給については改善していく必要があるということで、今、その見直しを引き続き進めているというところでございます。
○三谷委員 そこの見直しというのが、内容を私が申し上げるのもなんなんですけれども、初任給に関しては、今回、俸給全体については二%引き下げるところを、初任給等は引き下げをしない、その分、五十歳代後半層が多い号俸については四%引き下げる。やってはいるんですけれども、しかしながら、私が申し上げた問題意識というのは、その程度の差にはないわけです。
もっとそこの給料の、もちろん、人件費総額というものを容易に動かすことができないという中で若い方々に給料を支払っていくためには、どこかを削らなきゃいけないわけです。そういう意味では、高齢者、長期間働けば働くほど給料に差が出るような仕組みというものをぜひとも導入するということも、前内閣委員会でも、そういった国家公務員制度改革に関する法案が前国会でも通りましたけれども、この問題意識というのは引き続き提起をしていきたいというふうに考えております。
それから、きょうは時間が限られておりますので、あと若干ですが、心の健康について申し上げたいと思います。
これは今までのトーンとは少し違いまして、お願いしますよということなんですけれども、残業が非常に長いというような中で、非常にプレッシャーが課せられているという方が多くいらっしゃると思います。
今、国家公務員の中で、一般職の非現業の方ででございますけれども、心の病気を理由に長期休暇をされている方々の人数、それから、毎年、自分の命を絶たれる、自殺される国家公務員の方々の人数についてお答えいただけないでしょうか。
○井上政府参考人 お答えいたします。
一般職国家公務員について、心の健康の問題によって一カ月以上勤務しなかった長期病休者の全職員に占める割合は、平成八年の〇・二一%から平成十八年度の一・二八%と、約六倍もの急激な増加傾向にありましたが、平成二十三年度は一・二六%、平成二十四年度には一・二四%と、増加傾向に歯どめがかかっております。
しかしながら、長期病休者全体に占める心の健康の問題による長期病休者の割合は六割を超え、依然として高い水準にあり、そのうち、六カ月以上の長期にわたって勤務しなかった者の割合に増加の傾向が見られます。
それからまた、平成二十四年度の心の健康の問題による長期病休者のうち、平成二十二年四月以降で長期病休が二回目以上となる職員が三人に一人となっておりまして、心が不健康な状態が長期化し、再発しやすい現状にあるというふうに考えられます。
それから、一般職の国家公務員における自殺者につきましては、平成二十四年度については四十四人で、職員十万人当たりの死亡率は十五・九でございました。
○三谷委員 決して少なくない、むしろ多い数ではないかと思いますけれども、今の数字を受けて、大臣の御意見、そして、それの改善に向けての決意を伺いたいと思います。
○有村国務大臣 三谷委員の御指摘は、極めて大事な問題提起だというふうに思っております。
意欲を持って職に取り組んでいる方々が心の健康、心身のバランスを崩して長期病休に追い込まれてしまうような事態は、官民の別なく、極めて残念な事態であり、未然防止と着実な復帰のための取り組みが極めて重要であると認識しています。
先ほど委員から、国家公務員の働き方、激務と形容されましたけれども、まさにこのような事態になっているのは、職員に過重な負担が一定期間以上、あるいは長期にわたってかかり過ぎていることが主要な原因の一つだと考えております。やはり職員の働き方自体を改革していくことが必要です。
現在、内閣の重要課題として、女性の活躍と国家公務員のワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んでおりますが、やはり、男女を問わず、国家公務員が健康で職務に精励することができ、そして、組織として国家国民の負託に応えるべくいい仕事をしていただくことは、極めて大事なことだと思っております。
本日、女性活躍とワークライフバランス推進協議会がございまして、各府省の事務次官が官邸で集まりをされます。そのときに、私の方からも、国家公務員のワーク・ライフ・バランスを守っていただけるよう、女性活躍を進めていただけるよう、事務次官のリーダーシップを御期待するし、これからの経過もしっかりとモニタリングさせていただきたい旨、発言、指示をさせていただく予定でございます。
○三谷委員 ぜひともよろしくお願いいたします。
これで質問を終了いたします。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、佐々木憲昭君。
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
今回、人事院は、職員の給与の引き上げとともに、給与制度の総合的見直しに関する報告と勧告を行っております。
給与制度の総合的見直しでは、地域間給与配分の見直しと世代間給与配分の見直しが勧告されております。地域間の給与配分の見直しでは、俸給を一律二%カットした上で地域手当の見直しを行い、また、世代間の給与配分の見直しでは、特定の世代については最大四%の引き下げを行うものとなっております。
まず、世代間給与配分の見直しの根拠についてお聞きをしたいと思います。
報告では、五十代後半層については、国家公務員給与が民間給与をなお四%程度上回っているとされております。比較の対象となった国家公務員給与は、国家公務員給与等実態調査と聞いておりますが、民間給与の方はどのような調査に基づいているのか、その数値も示していただきたいと思います。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
民間につきましては、厚生労働省の調査でございます賃金構造基本統計調査のデータに基づいているところでございます。五十代後半層の民間の給与水準につきましては、五十一万円ということになっているところでございます。
○佐々木(憲)委員 国家公務員の方は幾らですか。
○古屋政府参考人 国家公務員給与等実態調査に基づく数値としては、五十三万六千円となっております。
○佐々木(憲)委員 人事院は、みずから行っている職種別民間給与実態調査というのがあると思うんですが、その数字があるはずでありまして、それを使わずに、今回、厚生労働省の賃金構造基本調査の数値と比較したわけであります。その理由は何でしょうか。
○古屋政府参考人 官民比較に際しましては、主な給与決定要素であります役職段階、勤務地域、学歴、年齢、これを同じくする者同士の対比をさせる、いわゆるラスパイレス方式によって官民較差を算出しているというところでございます。
一方、今回の世代間配分に関しましては、昇進管理などの官民の人事管理の実態がそれぞれ異なる中でありましても、年齢別の民間賃金の傾向も踏まえていく必要があるということから、見直しを行うことを考えているものでございます。
このような観点からは、官民の年齢層の一部のみを取り出してラスパイレス比較をするということは適当ではなく、年齢別の民間賃金の全体の傾向を把握できる賃金構造基本統計調査を用いることが適当であると考えたところでございます。
○佐々木(憲)委員 では、確認いたしますが、同じやり方で、民間の五十代前半、その数値は幾らでありますか。それに対する国家公務員の数値はどうなっていますか。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
五十代前半層の給与水準につきましては、民間が五十二万一千円でございまして、国家公務員については五十一万円でございます。
○佐々木(憲)委員 そうしますと、国家公務員五十一・〇万円、民間五十二・一万円ということは、民間の方が二ポイント程度高いわけですね。
五十代後半が四ポイント高いからその分を引き下げるというなら、五十代前半は民間より二ポイント低いわけでありますから、これはその分を引き上げないと、つまり、民間の方が高いわけで、その分を引き上げないとつじつまが合わない、こういうことになると思いますが、なぜそうしなかったのか。総裁、いかがですか。
○一宮政府特別補佐人 公務員給与について、適切な年齢別配分を実現するためには、全体として年齢別の民間賃金の傾向を踏まえることは必要ではありますが、昇進管理など官民の人事管理の違いがあることを踏まえますと、年齢層ごとに官民の給与水準を完全に一致させるということはできませんし、必ずしも適当とも考えられません。
なお、今般の見直しにおきましては、俸給表の水準を平均二%引き下げ、その中で、五十歳代後半層の職員が多く在職する高位号俸については、最大で四%程度の引き下げを行うということにしておりますけれども、その際、民間給与を上回っている状況にない四十歳代や五十歳代前半層の職員の給与水準に与える影響に留意して、平均引き下げ率を上回る改定を行う範囲を限定するなどの配慮をしたところです。
また、四十歳代や五十歳代前半層の職員に対し、勤務成績に応じた昇給機会を確保するという観点から、必要な号俸の増設も行ったところでございます。
○佐々木(憲)委員 どうも説明が説明になっていないと思いますね。
調査をして官民のそれぞれの数値を出したわけでありますから、それで五十代後半がこうだということで、今度は五十代前半の分は逆転しているわけですね。そっちの方はそのままにしておいて、下げる方だけやる。これはおかしいですね。
それから、人事院は、給与の勧告を行うために、今回の勧告の説明資料にあるように、民間給与との比較方法、ラスパイレス比較、これは今までもやってきた精緻な方法でありますが、民間給与と公務員給与の比較をこれで行っているわけです。この方法で、五十代後半の職員について、その役職段階、勤務地域、学歴に対応する民間給与との比較をなぜ行わなかったのか。行うことは私は可能だと思いますけれども、可能ではないんでしょうか。総裁、いかがですか。
○古屋政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますが、先ほど申し上げたとおり、世代間配分ということでの見直しということでございまして、それぞれの水準をラスパイレスで求めてその較差を埋めるということではございませんので、民間の賃金の傾向を踏まえていくという観点からこの資料を使わせていただいたところでございます。
○佐々木(憲)委員 いや、私が聞いているのは、みずから収集した民間給与のデータ、これを使って公務員との比較を行う、その役職段階、勤務地域、学歴に対応することは当然可能だと思いますが、数字はあるわけですね。したがって、可能かどうかということを聞いているわけです。
○古屋政府参考人 可能かどうかということでいえば、そういう意味では、新たにプログラムといいますかそういうものを全てもう一度設定して算出するということは、要素としては可能ではございます。
○佐々木(憲)委員 では、後でその数値を出していただきたいというふうに思います。
次に、地域間給与配分の見直しでありますが、全体として、俸給表の水準を平均二%引き下げる一方で、地域手当は最高一八%から二〇%に引き上げる、こういう方法で見直しを提起しております。
この見直しによって、給与が上がる職員、変わらない職員、下がる職員、それぞれ何人か、また全体に占める割合は何%か、示していただきたいと思います。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
俸給月額、地域手当を合計して増減が生じる職員数というのについては算出しておりませんので、まず俸給月額について、行政職俸給表(一)でお答えいたしますと、俸給月額が引き下げとなる職員数は十三万二千六人で九三・二%、俸給月額が変わらない職員は九千五百六十八人で六・八%となっております。
また、地域手当につきましては、現在支給されている職員で見直し後に支給されなくなる職員はおりません。他方、現在地域手当が支給されていない職員で新たに地域手当が支給されることとなる職員数は、行政職俸給表(一)の分でありますと三千五百人で二・五%となります。
○佐々木(憲)委員 この見直しの職員への影響についての試算は、当委員会に数字を出していただきたいと思います。
今回の人事院勧告に対して、全国知事会、全国市長会、全国町村会は連名で意見書を出しているんですね。これは余りないわけであります。
何を心配しているかというと、この勧告により、地方と都市部の公務員給与水準の格差拡大が生じるばかりでなく、特に地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等も多いことを踏まえると、結果として、官民を通じて地域間格差が拡大することになりかねない、これが全国知事会、全国市長会、町村会の意見なんです。
確認をいたしますけれども、地域間の給与配分の見直しによって地域手当がつく市町村の数、その中で給与が下がる市町村の数、給与が変わらない市町村の数、上がる市町村の数、それぞれ幾つですか。
○丸山政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体につきまして、仮に国と同様の、給料表の平均二%の引き下げ及び地域手当の支給割合の見直しを行うものとして、単純に当てはめまして機械的にその影響を見込みますと、給料と地域手当を合わせた給与水準について、給与水準が上昇すると思われる団体は二百五団体、おおむね維持されると思われる団体は三十団体、低下すると思われる団体は千五百七団体となります。
ただし、国におきましては、俸給水準の引き下げに際しまして、激変緩和のため、三年間の経過措置、現給保障を講ずることとしており、同様の措置を地方公共団体においても実施した場合には、給与水準が直ちに下がることはないと考えております。
また、地方公共団体における給料表や職員構成は一様でないことから、人事院勧告を基本とした取り組みを行った場合の実際の影響につきましては、仮定したような機械的な方法で正確に見込むことは困難と考えております。
○佐々木(憲)委員 今数字を確認しましたけれども、下がる自治体が圧倒的に多いんです。八六・五%の自治体が下がる。これは計算が、もちろん一定の前提を置いた上でですよ、そうなるわけであります。
公務員の方は、地域手当が支給される自治体は二百六十と聞いておりまして、その中で、上がるのが百二十二、維持が六、下がるのが百三十二、こういうふうになっていると思いますが、これは確認しておきたいと思います。
○古屋政府参考人 見直し後の支給地域につきましては、二百六十地域でございます。それから、今回、地域手当の支給地域として指定する地域のうち、俸給それから地域手当の合計ということですが、これは俸給水準を一律二%引き下げとして試算させていただきますと、水準が引き上がる地域が百二十二地域、それから、おおむね維持される地域が六地域、引き下がる地域が百三十二地域となります。
○佐々木(憲)委員 今回の見直しは、二〇〇五年の勧告で導入した、民間賃金が公務員給与より低いブロックに合わせて給与水準を下げた、これに続いて、さらに、より低い地域をわざわざ探して俸給水準を下げる、こういうことをやったために、今紹介されたような多くの地域、多くの自治体で水準が下がるわけであります。これをやりますと、地方公共団体が心配しているように、地域間の格差が拡大されることは明らかだと思うんですよね。
これは総裁にお聞きしますけれども、今回のこれは、やはり格差を拡大する方向に作用すると私は思うんです。どのようにお思いですか。
○一宮政府特別補佐人 地域に勤務する国家公務員の給与につきましては、特に民間賃金の低い地域を中心に、公務員給与が高いのではないかという御指摘が依然として見られることに留意いたしまして、そうした地域における官民給与の実情を把握した結果、官民の給与差が確認されました。
これを踏まえて、地域間の給与配分を適正化するため、全国共通に適用される俸給表の水準の引き下げを行うとともに、地域手当の見直しを行うなど、措置を講ずる必要があるというふうに判断いたしました。
なお、特に地方に在勤する職員への影響に配慮いたしまして、俸給の引き下げに際しての激変緩和のための経過措置等を講ずることとしております。
○佐々木(憲)委員 私が質問したことにまともに答えないんですよね。書いたものを読むだけでは、これは全然だめですね。
今回の結果を見れば明らかなように、上がるところと下がるところが生まれて、結果的に地域の格差が拡大する。特に過疎地域が下がっていくということになるわけですよ。今は地域創生だとかで格差の問題が大問題になっているのに、そういうことについて何の配慮もなしに、今回こういうことでやりましたから後の影響は知りません、こういうことでは困りますので、そこはしっかりやってもらわないと困る。このことを最後に申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、畑浩治君。
○畑委員 生活の党の畑浩治でございます。
早速、質問に入らせていただきます。
まず、年功序列の給与体系というものを、将来、中長期でどうあるべきというふうに考えているか伺いたいと思います。
今回、給与カーブのフラット化、世代間の給与配分の見直しということを行って、そこは現行の制度を前提に配慮した形でやっているなとは思います。
ただ、これから、抜本的に考えるとすれば、民間企業が年功序列の賃金体系を廃止して能力給に転換しているという中で、公務員の給与体系も現行の俸給表に基づいて級別というのがいいのかどうかというのを考えなければいけないだろうと思います。
これは、いかにフラット化していっても、入って、そして年限によって上がっていく、結局そうなんです。今、同期でも昇進のスピードは微妙に変わっていますけれども、ただ、やはり基本はそこにある。だから、ある程度上がっていくことが年功で保障されているわけです。
公務員は、きょうも議論が出ましたが、キャリア官僚というのは、若いころほどこき使われて働いていますね。私も公務員出身ですが、すごい残業で午前様帰りで、局長とか上になればなるほど、これは重要な職務をやっているんですが、そこは給料が高くなってそこの負担はそうでもないという中で、アンバランスであるという気は私も現役のときから持っておりました。
ただ、給料のあり方というのは、やはりそこはもうちょっと、若い人にモチベーションを高めたり、あるいは競争を促す、能力給に転換するということをしなければ、官僚制度というのはもう結構沈滞するんだろう、私はそういう問題意識は持っております。
今後、どのような方向になっていくのか、中長期観点も含めてお伺いしたいと思います。
○一宮政府特別補佐人 人事院は、年功的な給与水準の上昇を抑制するために、平成十八年度から平成二十二年度にかけて行われた給与構造改革におきまして給与カーブのフラット化や新たな査定昇給制度の導入を行ったほか、人事評価制度の給与への反映、五十五歳を超える職員の原則昇給停止などの見直しを行ってきたところでございます。本年の給与勧告におきましてもより一層の給与カーブのフラット化を進めるなど、引き続きその見直しに取り組んでいるところです。
人事院としては、今後とも、情勢適応の原則に基づいて国家公務員の給与水準を民間の給与水準に合わせるとともに、必要な給与制度の見直しを行うということによって国家公務員の適正な処遇を確保していきたいと考えております。
○畑委員 現段階ではそうなのだろうと思います。将来的には、やはり公務員の給与体系も、現行の俸給を前提としたやり方でやっていくのがいいのかどうかというのは、もうちょっと考えなければいけないだろうと思っております。これは中長期課題ですから、きょうは指摘ということで、今後また議論させていただきたいと思います。
次に、個別論ということでお伺いさせていただきます。
寒冷地手当について伺います。
今回の勧告では、気象庁の新しいデータでありますメッシュ平年値二〇一〇をもとに、寒冷地手当の支給地域の改定が予定されているところであります。
私は、岩手の出身で、岩手の選出の議員なんですが、岩手県でも冬は多くの地域で大雪や寒さに悩まされるということでありまして、これは地球温暖化の影響もあって、平均気温は上がる傾向になっているのかもしれませんけれども、どか雪とかすさまじい寒さなどの異常気象も多発しておりまして、平年値が必ずしも実態を反映しているとは言えない面もあるし、また、こういう温暖化の中で、急激なそういう変動に対してなかなか、そういうことであればあるほど負担も大きくなったり、想定もできないような負担も出てくるということもございます。さらに、最近は灯油価格が高騰しておりまして、地域の人々は大変苦労されております。
以上のことからも、もっと地域の実情に合うように見直すべきだと思うんですが、それはいかがでしょうか。
○古屋政府参考人 お答えいたします。
公務員給与につきましては、国民の理解と納得を得るという観点からは官民の均衡を図るということが適当ということでございまして、寒冷地手当につきましても、民間事業所における同種の手当の水準を考慮しながら設定してきているところでございます。
民間事業所における寒冷地手当、同種の手当には、例えば灯油価格の変動も含めたさまざまな要素も含まれているということでありますので、こういったものを適切に把握しながら進めてまいりたいというふうに考えております。
○畑委員 今回、寒冷地の関係は、支給地域の見直しで、手当が不支給となる地域も出てまいります。これは見直しの結果としてそうなるわけですが、そこは急に支給対象にならないことになると困ると思うんですが、経過措置についてはしっかりとっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
○古屋政府参考人 今御指摘のとおり、本州におきましては、指定地域から外れるところが出てまいります。その際、寒冷地手当が支給されなくなる職員に対しましては、月額で最大一万七千八百円とその額が大きいということもございまして、今回は三年間の経過措置を講ずることを考えているところでございます。
○畑委員 ありがとうございました。
次に、医療職の給与について伺います。
岩手県のような田舎、地方だと、医療職の不足が深刻な状況になっております。ここで、医療職、医師あるいは看護職があるわけですが、医療職の給与について、民間との水準と比べてそごがないのかどうか、その点はどうなっているか、伺いたいと思います。
○古屋政府参考人 医師の給与につきましては、従来、民間が国を上回るという状況にございます。
こうした医師の給与につきましては、人材確保の状況等も総合的に考慮しながら、過去、見直しをしておりまして、平成二十年の勧告におきましては、医師の給与の特別改善ということで大きな見直しを行っております。
また、平成二十一年以降の勧告におきましては、官民比較の結果に基づきまして、各俸給表におきましては引き下げを行っておりますが、いずれの年におきましても、医療職俸給表については、医療職俸給表(一)、医師に適用される俸給表でございますが、これについては引き下げを行ってこなかったところでございます。
また、今回の総合的見直しにおきましても、国の医療施設に勤務する医師の処遇を確保するという観点で、医療職(一)についての引き下げ改定は行わないということにいたしております。また、医師に対する地域手当の特例というのがございますが、この支給割合についても、現行の一五%から一六%への引き上げということにしたところでございます。
医師の人材確保ということに関しましては、本院としても、引き続き、総合的な事情を考慮しながら対応してまいりたいというふうに考えております。
○畑委員 ありがとうございました。
実は、こういうことをお聞きしたのも、田舎になれば、地方になればなるほど公立病院の占める割合が高い。岩手県の場合は、県立病院がまだ医療の基幹的な役割を持っております。そういう中で、まさに、これは政策的な側面も含めて、医療職の給与をしっかりと確保していくということは重要だと思っておりまして、そういう観点から今の答弁をお伺いしまして、地方にとって安心のあるというか不安のないような形の措置がされているということがわかりまして、その点、今後とも御配慮を賜りたいと思います。
次に、通勤手当について伺いたいと思います。
地方の都道府県というのは、これは大変広くて、なおかつ公共交通が整っていないということがあって、通勤に車を使っている人が多いというか、通勤が車というのが普通というか、そういう実態になっております。結局、そういうことで、交通費というのは、公共交通の定期代ではなくて、ガソリン代とか有料道路代というか、特にガソリン代がかなり占めているわけですね、高いという。
これも、昨今、やはりガソリン代が高くなっている、こういうところも含めて、今の経済政策というのは地方の一般の人にかなりしわ寄せが行っているというのはもう事実でありますが、ガソリン価格の高騰から通勤交通費が高くなるということであります。地方は、車というのは別にぜいたく品でも何でもなくて、本当に必需品なわけですが、これは公務員も例外ではありませんで、ここに対するしっかりとした配慮がなければやはり大変なことになります。
そういうことで、通勤手当改定に当たって、ガソリン代の高騰についての配慮をしっかり行うことが重要であると考えていますけれども、この点はいかがになっていますでしょうか。
○古屋政府参考人 通勤手当につきましても、基本的には、官民の均衡という観点から手当の水準を見直していくことが適当というふうに考えておりまして、現在の通勤手当、自動車等を使用する場合でございますが、この手当につきましては、民間におきましてもガソリン価格の変動を反映されたものというふうに考えておりまして、その反映された民間の通勤手当、同種の手当につきまして把握しながら改善をするということで、今回もその趣旨から見直しを行ったところでございます。
○畑委員 ガソリン代の高騰について、民間との均衡を考えて見直したということで、その点は配慮されていると理解してよろしいのでしょうか。ちょっとその点を確認を。
○古屋政府参考人 本年の給与改定におきまして、自動車等を使用する交通用具使用者に関する通勤手当に関しましては、四月にさかのぼって改定を行うということでの勧告内容となっているところでございます。
○畑委員 ありがとうございました。
それでは次に、能力、実績に応じた給与を支給するに当たって、人事評価について伺いたいと思います。
これは、今回、ボーナスを〇・一五カ月分引き上げて、勤務実績に応じた給与の推進のために勤勉手当に配分するということで、これは能力に配慮した給与体系の一環というか第一歩なのだろうという評価をしております。
さはさりながら、能力、実績というのを評価するのは公務員の制度では大変難しいわけでして、民間のように営業成績とか数字で出るわけではありません。そして、私もかつて経験がありますが、ボーナスなんかにつける勤務実績も、S、A、B、Cとかあって、割合が決まっているわけですけれども、なれ合いと言ってはなんですが、五年に一回、この人をこうやろうとかというのは、実はあったことはあったわけですが、そんなことをしては本当は、本当はというか、そんなことはいけない。
なぜそういうことになるかというと、評価の基準が曖昧だというところもあるんですね、公務員制度というのは。先ほど申し上げましたが、数字で出ない。幾ら法律を通したらいいとか予算をとったらいいかというのは、これは別に本質じゃありませんので。しかも、さばきの問題、運びの問題、政治家もそうですが、なかなか目に見えない、客観化しがたい能力ということが、実績が問われるわけで、そこをどう評価するかというのが難しいわけです。
そこを厳正かつ公正に評価を決めていかなければならない。そこが大前提なわけですが、そこはしっかりできているんでしょうか、今の段階で。
○笹島政府参考人 お答え申し上げます。
現行の国家公務員の人事評価制度は、先ほど御指摘がありましたように、客観性とかそういった観点からどうなのかとか、透明性の観点からどうなのかとか、いろいろな議論がありまして、今の制度は、そういった議論も踏まえて、平成二十一年の十月から実施されてきております。評価結果は、ただいま御指摘の勤勉手当のほか、昇給でありますとか昇任でありますとか、幅広く活用しておりまして、能力・実績主義の人事管理の基礎となるというふうな位置づけをしているところでございます。
この人事評価制度でございますけれども、二つの要素がございまして、一つは、職位ごとに定められた客観的な評価基準に照らし、発揮した能力を評価する能力評価、もう一つは、面談等所定の手続を経て設定された目標に照らして、上げた業績を評価する業績評価から構成されております。
人事評価に当たりましては、評価者以外にも複数人が確認を行うなど、公正性、透明性にも配慮しつつ、適切に評価する仕組みを整備しているところでございます。
引き続き、人事評価制度に対する職員の理解を深める、あるいは評価者に対する教育等に取り組む等通じまして、人事評価制度の適切な運用に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○畑委員 まさに、基準はしっかりつくったということは、これは当然ですが、基準をつくった上で運用をしっかりと厳格に行うということが大事なのだろうと思います。
公務の世界、数字が明確に出る世界ではないのでそこが難しいということはかねて思っていましたが、そこもしっかり引き続きやっていただく、運用の面の徹底も含めてしっかりとやっていただくよう申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次回は、来る二十二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十八分散会