衆議院

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第5号 平成26年10月24日(金曜日)

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平成二十六年十月二十四日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君

   理事 平口  洋君 理事 近藤 洋介君

   理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    越智 隆雄君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    小松  裕君

      新谷 正義君    鈴木 馨祐君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    松本 洋平君

      山田 美樹君    吉川  赳君

      泉  健太君    大島  敦君

      後藤 祐一君    郡  和子君

      福田 昭夫君    井出 庸生君

      河野 正美君    椎名  毅君

      山之内 毅君    輿水 恵一君

      濱村  進君    杉田 水脈君

      松田  学君    三谷 英弘君

      佐々木憲昭君    畑  浩治君

      村上 史好君

    …………………………………

   国務大臣         上川 陽子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣         山口 俊一君

   国務大臣

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   外務副大臣        城内  実君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   衆議院庶務部情報管理監  佐々木勝実君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  武藤 義哉君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  藤山 雄治君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  能化 正樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福井 仁史君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武井 俊幸君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           山脇 良雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福本 浩樹君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十三日

 辞任         補欠選任

  輿水 恵一君     遠山 清彦君

同日

 辞任         補欠選任

  遠山 清彦君     輿水 恵一君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     鈴木 憲和君

  泉  健太君     後藤 祐一君

  河野 正美君     井出 庸生君

  山之内 毅君     椎名  毅君

  畑  浩治君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     勝沼 栄明君

  後藤 祐一君     泉  健太君

  井出 庸生君     河野 正美君

  椎名  毅君     山之内 毅君

  村上 史好君     畑  浩治君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     豊田真由子君

    ―――――――――――――

十月二十三日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官武藤義哉君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣官房内閣審議官能化正樹君、内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣府大臣官房審議官福井仁史君、内閣府政策統括官倉持隆雄君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省大臣官房総括審議官武井俊幸君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、外務省大臣官房審議官山上信吾君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君、外務省大臣官房参事官水嶋光一君、文部科学省大臣官房審議官山脇良雄君、厚生労働省大臣官房審議官福本浩樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 きょうは特定秘密の関係をお伺いしたいと思いますが、本来、松島前大臣に今週の水曜日の一般質疑でお伺いしようと思っていたところ、大臣辞任になったということで、きょうにずれ込んだわけでございます。

 これは事務方にとっては非常に二度手間になっているわけでございまして、当然、松島大臣に対しても、この特定秘密、大変経緯のある話ですから、相当なレク等をしていたわけでございます。

 松島大臣に対して、事務方から、この特定秘密に関してどのぐらいの時間をかけて説明していたのか、これをまずお伺いしたいと思います。

上川国務大臣 おはようございます。

 事務方から聴取いたしましたところ、松島前大臣に対しましては、約三十時間、特定秘密保護法についての説明が行われたというふうに聞いております。

後藤(祐)委員 事務方にとっても、そして、十二月十日に施行になるということですから、これはきちっと政令等をチェックしなきゃいけないという意味で、この審議がずれ込んだことには我々としては遺憾でございますが、上川大臣、恐らくこれまでも、後ほどやりますけれども、公文書管理法ですとか、むしろ専門性が高い大臣だと思っておりますので、きょうは幾つか特定秘密の関係を確認したいと思います。

 まず、運用基準の中で、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがある場合は、理由を疎明すれば、各行政機関は、独立公文書管理監へ特定秘密を提供しなくてもいいというふうにされておりますけれども、独立公文書管理監は、疎明をされた場合に、疎明の理由だとか、あるいは、安全保障に著しい支障を及ぼすおそれの内容だとか、これがどうも本当か、その正当性に疑義があるのではないかというふうに考えた場合には、何ができるんでしょうか。何もできないんでしょうか。

上川国務大臣 ただいまの後藤委員からの御質問でございますが、まず基本的に、独立公文書管理監、この管理監は、運用基準におきまして、特定秘密である情報を含む資料の提出もしくは説明を求め、また実地調査をすることができるということになっております。行政機関の長は、求めがあったときは、特定秘密保護法の第十条第一項の規定によりまして、内閣府独立公文書管理監に特定秘密を提供するということになっております。

 行政機関の長でありますが、特定秘密の提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められないとして求めに応じられないときは、その理由を独立公文書管理監に疎明しなければならないということに運用基準でなっているところでございます。

 その後でございますが、独立公文書管理監は、行政機関の長から特定秘密の提供の求めに応じられない理由の疎明があった場合には、その理由の妥当性を確認することになるわけでございます。しかし、独立公文書管理監がその理由につきまして納得できないということで、仮に行政機関との間で調整がつかないというような場合におきましては、最終的には、内閣総理大臣に、独立公文書管理監への特定秘密の提供がなされるべきかということについての判断を仰ぐということになっておりまして、その上で適切に判断がなされるというふうに考えております。

後藤(祐)委員 一番最後の内閣総理大臣の部分というのは、これは法律の十八条四項に基づく、内閣府の長たるではなく、内閣の首長たる総理大臣として行うということでしょうか。もし、そうだとすれば、ここの部分というのは独立公文書管理監は何もできないと考えてよろしいでしょうか。

上川国務大臣 独立公文書管理監から、行政機関の長からの特定秘密の提供についての判断を仰がれるということでありますが、この内閣総理大臣ということでございますが、内閣の首長としての地位を兼ねているということを踏まえまして、総合的に判断をし、そして、必要があれば、独立公文書管理監に特定秘密を提供するよう、当該行政機関の長に求めることになるということでございます。

後藤(祐)委員 内閣の首長としての総理大臣が行うということが確認されました。ただ、実際、総理大臣がそういう判断をするかどうか、大変危ういと思っています。

 一つ、事例を挙げたいと思います。

 集団的自衛権の行使についての議論がこれから盛んになっていくと思いますけれども、七月一日に新三要件が示されました。その中で、そのうちの一つが、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険、これがあるかどうかというのが要件の一つになっているわけでございますが、実際に集団的自衛権を行使しなければならないような事態が例えば外国で起きて、この外国で起きているかどうかも含めたそれに関する情報というのが特定秘密に指定されるということは大いにあると思います。

 特定秘密に指定されてしまった場合、一体、国会はそれを知り得るんでしょうか。集団的自衛権の行使を決断する場合には、これは恐らく防衛出動あるいはそれに類するような国会の承認が必要になる場合も大いにあり得ると思います。その国会の承認に先立って、集団的自衛権の行使を行うべきかどうかを国会が判断するに当たっては、この特定秘密を知らないと判断できないわけであります。

 こういった場合に備えて、恐らく、衆議院、参議院に情報監視審査会が置かれたということだと思いますが、情報監視審査会も、結局、これは野党が共同して提案した国会法百四条の改正ということを与党はされませんでした。つまり、国会法百四条を改正しないままですと、国家の極めて重大な利益に回復しがたい悪影響があると政府側が理由を疎明した場合には、これは提供拒否されてしまいます。

 集団的自衛権の行使をすべきかどうかを国会が判断するに当たって必要な情報が提供拒否されてしまった場合、一体、国会はどうすればいいんでしょうか。この問題についての解決法、これについての上川大臣の御見解をいただきたいと思います。

上川国務大臣 ただいまの御質問でございます、特定秘密保護上、我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすと判断すれば、国会にも情報提供を拒むことができるということでありますが、今の、集団的自衛権の行使の新三要件ということで、その中の一つを言及されたというふうに考えております。

 このことにつきましては、ことし十月六日の衆議院の予算委員会におきまして、安倍総理が、政府としてある事態が新要件を満たすとの判断に至った場合には、そのような事実を含めた情勢認識などの情報を国会や国民の皆様に適切に公開し、その御理解を得ていくことは極めて重要であると考えているという旨の御答弁をされたというふうに承知しているところでございます。私としても、安倍内閣の一員として、総理と同様の考え方でいるところでございます。

 そこで、百四条との関係ということでございましたけれども、特定秘密の国会への提供につきましては、特定秘密保護法の第十条に関連規定が置かれているというところでございます。国会において必要な保護措置が講じられることなどが提供の条件とされているところでございます。

 この提供の手続についてでございますが、これは、国会法の第百四条の規定、先ほど御指摘いただきましたこの百四条の規定が適用されることとなっているというところでございます。

 そこで、国会法の第百四条の第二項でございますが、内閣または官公署は、報告や記録の提出について国会の求めに応じないときは、その理由を疎明しなければならないとされているところでございますし、またさらに、百四条の第三項におきまして、議院または委員会は、その理由を受諾できない場合は、国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣声明を求めることができるというような取り決めになっていることでございます。

 そして、行政機関の長が、このことでございますけれども、国会からの特定秘密の提供の求めに応じられないときということでありますが、これは、国会法の第百四条の第二項に基づきまして理由を疎明し、議院または委員会がその理由を受諾できないとして求めたときは、この三項に基づきまして、内閣として声明を出すことになるというふうに考えております。

 先ほど御指摘の個別具体の事例につきましては、お答えするということは差し控えたいというふうに考えておりますけれども、一般論として申し上げますと、国会において御議論いただく上で必要な情報については、国会に適切に公開されるものと認識をしているところでございます。

後藤(祐)委員 例えばイラク戦争のときに、大量破壊兵器があるかないかというのが非常に重大な事案になって、イギリスなんかでは、あるのではないかという情報を信じて軍を出して、なくて、これはもう大変な騒ぎになったわけですね。ですから、日本でも今後、あれは軍を出すという話ですから若干違うかもしれませんが、要は、特定秘密に指定されるような情報で判断せざるを得ないわけです。

 ですから、先ほどの、大臣が百四条の第三項を挙げられたのは非常に重要で、つまり、内閣の声明がなければ拒否できないわけですけれども、総理は、例えば集団的自衛権の行使をする、あるいは、個別的自衛権でもいいですよ、防衛出動を決定するには総理が決定するわけですけれども、これは国会の承認が必要になりますから、国会の承認が必要なようなこういった事案が起きるときには、少なくとも国会に必要な情報を提供しなければ、国会は判断できません。その場合は、内閣の声明を要求しない、つまり、総理の判断で、内閣の声明、百四条の三項はやめよう、ちゃんと国会に提出しよう、そういう運用で行うということでよろしいでしょうか。

上川国務大臣 安倍総理がこの十月の六日の衆議院の予算委員会におきまして御発言なさった、新三要件を満たすとの判断に至った場合には、そのような事実を含めた情勢認識などの情報につきまして国会や国民の皆様に適切に公開し、その御理解を得ていくことは極めて重要であるという旨の御答弁をされているというふうに思っております。私自身も、安倍内閣の一員として、同様の考えでございます。その答弁、大変大事だというふうに思っております。

後藤(祐)委員 お答えいただけないんですが、ということは、出さないこともあり得るということなんでしょうか。

上川国務大臣 個別具体の事例につきましてお答えするということにつきましては差し控えたいというふうに考えておりますが、一般論として申し上げれば、国会において御議論いただく上で必要な情報については、国会に適切に公開されるものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 出すということですか。これは一般論として述べているんですよ。個別具体の事例ではありませんよ。

上川国務大臣 繰り返しということでございますけれども、個別具体の事例についてはお答えすることは差し控えたいというふうに考えておりますが、一般論として申し上げれば、国会において御議論いただく上で必要な情報におきましては、国会に適切に公開されるものと認識しております。

後藤(祐)委員 出さない可能性があるということですね。

上川国務大臣 個別具体の事例につきましてはお答えをするということは差し控えたいというふうに考えておりますが、一般論として申し上げれば、国会において御議論いただく上で必要な情報につきましては、国会に適切に公開されるものと認識をしております。

後藤(祐)委員 はっきり答弁するように委員長から促していただけないでしょうか。これは、一般論を問うております。個別具体的な情報について言っているのではありません。

上川国務大臣 一般論として申し上げますと、国会において御議論いただく上で必要な情報につきましては、国会に適切に情報が公開されるものと認識をしております。

井上委員長 上川大臣、質問者の要望ですから、答弁の繰り返しじゃなくて、もう少し御説明をしていただければと思います。

上川国務大臣 集団的自衛権行使の新三要件に該当するということについて、該当するか否かを判断する情報について、仮に当該情報が特定秘密に指定されたとしてということでございますけれども、十月六日の衆議院の予算委員会におきまして、安倍総理が、政府としてある事態が新三要件を満たすとの判断に至った場合につきましては、そのような事実を含めた情勢認識などの情報を国会や国民の皆様に適切に公開し、この御理解を得ていくことは極めて重要であるという御答弁をされているところでございます。それに従って行動していくということでございます。

後藤(祐)委員 お答えいただけないようなので、確認すべきことはいろいろあるので、ほかに移ります。

 まず、内部通報について。

 運用基準の中では、特定秘密の概要や特定秘密が記録された文書の番号を用いるなどし、特定秘密は漏らしてはならない、内部通報のときもですね、とされておりますが、これは、概要というのはどうやって伝えるんですか。過去の漏えいしてしまったような具体的な防衛秘密、何回か例があったと思います、こういったものを例に挙げて、どうやって概要として示すのか、これを示していただけますでしょうか。

上川国務大臣 委員御指摘の通報制度ということでございます。

 運用基準におきましては、特定秘密を取り扱う者は、行政機関の設置する窓口に通報することができるとされているところでございます。そして、行政機関の長は、通報を受理した場合、必要に応じ調査を行い、不適切な状況が発生している場合には、適切な措置を講ずるものということでございます。

 また、通報者は、行政機関に通報をすれば不利益な取り扱いを受けると信ずるに足りる相当な理由がある場合には、独立公文書管理監に通報することができる。こうした制度になっているところでございます。

 このことにおいては、独立公文書管理監は、調査を行い、そして、不適切な状況を認めた場合には、行政機関の長に対し是正を求めることとなるわけでございます。

 今の通報制度ということでございますが、通報に当たりましては、特定秘密を漏えいすることがあってはならないということでございます。これはもう当然のことということであります。

 そして、運用基準におきまして、取扱業務者等は、特定秘密指定管理簿に記述された特定秘密の概要や特定秘密が記録された文書の番号を用いるなどし、特定秘密を漏らしてはならない旨規定しているところでございます。

 通報する職員につきましては、通常は、運用基準におきまして、特定秘密として取り扱うことを要しないよう要約したものを記述するということとしているところでございます。

後藤(祐)委員 具体的な例で説明してくださいと、これはそのとおり通告しているんです。全く答弁していないです。制度の説明は要りません。具体的な例で説明してください。

上川国務大臣 特定秘密指定管理簿に、指定に係る特定秘密の概要を記載することとされているところでございます。特定秘密の概要を記載することとされているということであります。

 行政機関において、いかなる形で記載をするかということにつきましては検討中であるということと承知しているところでございます。

後藤(祐)委員 行政機関が検討中と、そのぐらい難しいものを一体どうやって内部通報するんですか。要は、どこまで示しちゃったら特定秘密の漏えいになるのかがわからないわけですよ、通報者は。だから、例えば、こういう特定秘密であればこのぐらいぼやかして通報しなきゃいけないということを、過去明らかになってしまった事案で例として示さないと、通報しようがないじゃないですか。

 検討中ですか。ぜひ、検討した結果を後で示してください。この委員会に提出していただくことを御要請したいと思います。委員長、お願いします。

井上委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

後藤(祐)委員 実際、この通報先として、各行政機関に設ける窓口というところに原則することになっていて、でも、そんなのはするわけありません。ある要件を満たした場合には独立公文書管理監に通報できるという制度が今回の基準に示されています。そこは一歩前進だと思います。

 ですが、先ほど明らかになったように、独立公文書管理監というのは、非常に権限に限界があって、法律設置されていないものですから、各行政機関に対して、特定秘密を出せだとか指定解除しろとかという権限がないわけですね。そのような中で、そんな弱い機関に対して通報すると思いますか。

 これは人生をかけて通報するんです、内部通報者は。通報した後、きちっと物事が明らかになって疑いが晴れる、あるいは不正が明らかになる、それを期待して、その期待の確度が高いからこそ通報するのであって、先ほど言ったように、いろいろなおそれがあるとそこでとまっちゃうということであれば、ほとんど通報する人はいないんじゃないんですか。本当に内部通報が実現すると思いますか。

上川国務大臣 通報制度の件についての、実現性というか、ということについての御質問ということでございますけれども、通報制度そのものにつきましては、二重の仕組みになっているということでございます。先ほど少し長く説明をさせていただきましたけれども、行政機関のところに窓口を設けてするということでありますし、また、萎縮して、行政機関に通報すれば不利益な取り扱いを受けると信ずるに足りるような相当な理由がある等の場合につきましては、独立公文書管理監に通報することができるというふうにしているところでございます。

 独立公文書管理監の権限ということでございますが、通報を受理した場合に遅滞なく必要な調査を行うとともに、通報を受理した内閣府の独立公文書管理監は、必要があると認めるときには、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出もしくは説明を求め、また、実地調査をすることができるというふうにしておりまして、当該通報につきましては適切に処理をされるものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 通報があった場合にどう処理するかの話であって、通報が起きるんですかということを聞いているんですが。

 これはそもそも、通報については公益通報者保護法という一般ルールがあるんです。本来、それを適用すべきなんですよ。

 公益通報者保護法というのは、きょう有村大臣が来ているのでちょっとお伺いしますが、公益通報者保護法の場合、一般ルールとしては通報先というのはどうなっているんですか。各省だけですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 委員が特定秘密保護法と公文書管理法の関連を聞いていらっしゃると思いますけれども、基本的には……(後藤(祐)委員「公文書管理法なんて何も聞いていませんよ」と呼ぶ)でも、その関連でということは、各省庁……(後藤(祐)委員「公益通報者保護法のことを聞いているんですよ。公文書管理法なんて何も今聞いていませんよ」と呼ぶ)

 申しわけございません。私の所管ですか。

後藤(祐)委員 公益通報者保護法は所管じゃないんですか。今、後ろから秘書官からこしょこしょ……(有村国務大臣「済みません、御通告を……」と呼ぶ)まだ、あなたが発言する番じゃないんじゃないでしょうか。私の質問の時間なんですけれども。

 今、後ろの秘書官からアドバイスが入っておりますが、公益通報者保護法は所管じゃないとお考えなんですか。

有村国務大臣 恐縮でございますが、御通告をいただいていますでしょうか。

後藤(祐)委員 通告はしていませんが、基本的なことを聞いているんです。

 だから、所管というか担当、少なくとも担務でありますよね。担務であるとするならば、通報先はどうなっているのか教えてください。

有村国務大臣 各省庁にまずはなされるものと理解しております。

後藤(祐)委員 各省庁だけですか、通報先は。

有村国務大臣 当然、各省庁に通報されてから、内閣の方に報告は上がると理解をしております。

後藤(祐)委員 あくまで、各行政機関の中に設けられる通報窓口先だけですか。今、秘書官からアドバイスが来ているようですが。

有村国務大臣 本当に申しわけございませんが、今委員がお話しされていたときにちょっと秘書官が、ノイズが入りましたので、もう一度教えてくださいませ。

後藤(祐)委員 公益通報者保護法に基づく公益通報の通報先は、各行政機関の中に設けられる窓口だけですか。

有村国務大臣 明確に御通告をいただいておりませんので、正確なお答えを、すぐにお答えを、この会が終わりましたら省庁と正確なお答えを、調べてお答えをさせていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 これは公益通報者保護法の基本中の基本なんです。これは、各省庁が外部に通報者窓口をつくって、多くの省庁では弁護士事務所などを通報窓口にしているんです。そのことを御存じではないということですか。

有村国務大臣 私が先ほどから申し上げていることは、各省庁に通告が行きますということで、知っているとか知らないという発言はしておりません。

後藤(祐)委員 私の今言ったことを知っていたら、その答弁ではなかったと思うんです。知らなかったということですか。

有村国務大臣 議事録に残りますので、正確なことを期してからという慎重性があったためでございます。

後藤(祐)委員 ですから、さっきの答弁した段階では知らなかったということですね。各省庁に外部の通報窓口を設けているという事実を有村大臣は御存じなかったということですね。

有村国務大臣 通告がなかった中で、私が申し上げた、各省庁に報告、通告が行くということは間違っておりません。

後藤(祐)委員 細かいことを聞くんだったらわかりますよ。でも、これは公益通報者保護法の基本中の基本なんですよ。

 各行政機関には、通報しても、例えば、人事上の報復が怖いだとか、握り潰されるんじゃないかとか思うことがあるので、外部にも通報できるようにしているというのは、これは基本中の基本なんですよ。このことを大臣は御存じなかったということが明らかになりました。

 それでは、何で特定秘密に関する内部通報は公益通報者保護法の対象にならないんですか、有村大臣。

有村国務大臣 恐縮でございますが、私は、各省庁に通告されるということを申し上げただけでございまして、そのことには何ら変更もございませんし、ぶれもございません。

後藤(祐)委員 これもわからないということなんでしょう。

 この公益通報者保護法の通報すべき対象事実というのは、犯罪行為というものが別表で限定列挙されていて、四百何十、一個一個の条文が書いてあって、これしか通報できませんとなっていて、特定秘密はその中に入っていないからなんですよ。それが狭過ぎるんじゃないかということも、公益通報者保護法の物すごい基本的なところなんですよ。これはぜひ勉強していただいて。

 ここは、そもそも、法律を見直すという期限が切れているんですね。実際、見直して、この対象拡大を検討していただきたいと思いますが、有村大臣、いかがですか。

有村国務大臣 後刻検討をさせていただきます。

後藤(祐)委員 では、この通報対象事実の拡大について御検討いただくということでよろしいですか。

有村国務大臣 御指摘があったことを踏まえて、省内に持ち帰らせていただきます。

後藤(祐)委員 持ち帰って検討していただくということでよろしいですか。

有村国務大臣 検討の是非も含めて、御報告させていただける状況を速やかにつくっていきます。

後藤(祐)委員 公益通報者保護法は、消費者庁が所管しているんです。消費者庁の担当大臣だから、有村大臣が担当なんですよ。そういうことでは大変困ります。

 先ほど公文書管理法のことがお答えしたそうだったので、それでは公文書管理法との関係をお伺いしたいと思います。

 これはむしろ、上川大臣が、前の大臣だったときに原案をつくられて、議員になられてから議員修正をされて成立させた、まさに上川大臣、生みの親と言っていい法律だと思いますけれども、この特定秘密保護法と公文書管理法の関係というのは非常に微妙なところがあって、特に、特定秘密を解除しても、その後、現用、つまり各行政機関でそのまま使い続けるので公文書館には移管しませんよという状態でずっと抱え続けて、結局国民には明らかにならないということが起きることが予想されます。

 公文書管理法というのはそもそも、今すぐは出せないけれども、やがては世の中に明らかになって、歴史の検証にさらされるというのが公文書管理法の趣旨だということは、今、上川大臣うなずいておられますけれども、本来の趣旨なんですが、特定秘密は、このままいくと、今申し上げたような運用になってしまうと思いますが、この特定秘密保護法と公文書管理法の関係について、特に今のところの問題点をどう解決するかについての上川大臣の見解を聞きたいと思います。

上川国務大臣 御指摘の、特定秘密保護法と公文書管理法との関係においてどう扱うかということでございますが、特定秘密が記録された行政文書につきましては、他の行政文書と同様に、公文書管理法に基づいて適正に管理されるという、基本でございます。

 運用基準につきましても、特定秘密が記録された行政文書も公文書管理法が当然適用されるとした上で、特定秘密保護法の運用その他特定秘密に関する業務を行う全ての者は、公文書管理法及び情報公開法においても、各規定の内容を正確に理解して、その適正な運用を徹底し、国民に対する説明責任を全うしなければならないということについて、この運用基準で明記しているというところでございます。

 この特定秘密保護法の運用が公文書管理法との関係で適切に行えるよう、施行に向けた準備に努めてまいりたいというふうに思っておりますが、先ほど、これは例えば、指定を解除した後あるいは有効期限が満了した後も、当該情報を記録した文書の保存期間を延長し続け、国立公文書館の方に移管されないのではないか、こういうおそれがあるのではないか、そういう御指摘でございます。ここについては、歴史的にたえ得るものにつきましては国立公文書館の方にしっかりと移管することができるように、この公文書管理法の趣旨を、理念を、しっかりのっとって、そして、このことについてもしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 上川大臣が公文書管理法を所管していただきたいんですが、残念ながらこれは担当は有村大臣なんですね。

 今の御懸念を、ちょっと今の答弁ですと、その先どうなるかは、変わらないような気がしますが、むしろ、担当であります有村大臣に、今の問題をどう解決していくのか、特に、現用であり続けるということについて、どう公文書管理法を、例えば改正して、そういう形で外に出さない、歴史の検証にさらされないディフェンスをしようとする省庁に対する改革案、どのようにお考えですか。

有村国務大臣 基本的には、特定秘密が記録された文書の取り扱いについても、ほかの行政文書と同様に公文書管理法に基づいて運用を図るというのが大前提でございます。

 その上で、毎年総理大臣への行政文書の管理状況を、各行政機関の長は行われるわけですが、延長する期間及び延長の理由を明記しなければなりません。ここで行政判断ができる機会がございますので、いたずらに延長されることはないと存じます。

 それから、大変恐縮でございますが、先ほどの、正確性を期すために、通報先ということで、私がちょっとちゅうちょがあったのは、事業者外部への通報があるときに、どんな条件かということを私がそらんじて言えなかったためでございます。内部通報では証拠隠滅のおそれがあることなどが、そういうことが背景にあったので、それを更問いに来るのではないかということでためらいがあったことを、恐縮ですがおわび申し上げます。

後藤(祐)委員 言わなくていいことを言わなくていいと思いますよ。私は、そんな条件について、そんな細かいことは確かに通告しなきゃわからないのはわかりますけれども、今の言いわけはいかがなものでしょうかね。

 有村大臣、やはり公益通報者保護法と公文書管理法は有村大臣が担当した方がいいと思いますが、いかがですか。(発言する者あり)失礼しました。委員長、間違えました。

 上川大臣に申し上げます。

 大変失礼しました。上川大臣が所管した方がいいと思いますが、いかがですか。

上川国務大臣 私が任命のときに総理からいただいた仕事は、この特定秘密保護法の円滑な施行に向けて国民の皆さんにしっかりと理解していただくように努めるということでございまして、それ以上ではございません。

後藤(祐)委員 有村大臣は、内閣官房と内閣府の業務見直しを実は担務として持っておられます。有村大臣が御決断すればできるんですね、今の話は。いかがですか。

有村国務大臣 そもそも、そのような御提案を受けるということは想定してありませんでしたし、私の判断というものではなく、行政ののりがございますので、そこは確認をさせていただきたいと思います。私の判断も当然あるでしょうけれども、それだけで決められるものだとは思いませんので、確認をさせていただきます。

後藤(祐)委員 担務は、有村大臣の判断でもないし、行政ののりでもありません。総理が決めるんですよ。間違っていませんか、今の答弁。

有村国務大臣 今、内閣府と内閣官房の仕事のあり方ということは、与党ともしっかり相談をしながら慎重に進めていくというのが私の姿勢でございます。

井上委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、ぜひ御協力をお願いします。

後藤(祐)委員 はい。

 大変頼りない状況が明らかになりました。今後も議論してまいりたいと思います。

 終わります。

井上委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 後藤祐一議員から、特定秘密保護法の運用基準に関連して、また、公益通報者保護法にも関連して重要な指摘がございましたので、私、重なっておる部分はちょっと割愛をしたいと思います。

 その上で、改めて、菅官房長官は多分聞かれていなかったと思うので、もう一度上川大臣にお伺いしたいんですけれども、有村国務大臣は公益通報者保護法の基本的な枠組みについて御存じないということが明らかになりました。これは、この公益通報者保護法をきちっとつくられてきた上川大臣からすると、こういったものに対して不安を感じられるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

 今、官房長官もおられますから、内閣の所掌にかかわることですけれども、やはりこの特定秘密保護法案の運用基準とも関連して、この法案については、この分野については大臣が所管すべきだというふうに私は強く感じますが、そういったことを内閣において具申したらよろしいと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。

 改めて、法務大臣、ちょっとこれは責任が、このままの状況が放置されますと非常に不安でございますので、いかがでしょうか。

上川国務大臣 ただいまの近藤委員からの御指摘でございますけれども、私、就任のときに命ぜられた事項ということにつきましては、特定秘密保護法の運用に至るこの大事なときに、これをしっかりと国民の皆様に理解をしていただいて運用できるかどうかということでございますので、それに万全を期して頑張っていきたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 そういう答えしか出てこないのは知っていて聞いているんですが、これは大変ゆゆしき問題だ、こう思います。

 そこで、官房長官に来ていただきましたが、やはりこの安倍改造内閣、大変残念なことに、小渕経済産業大臣が職を辞され、内閣委員会でも御答弁をされた松島国務大臣も職を辞されました。

 特に、小渕大臣、松島大臣とも極めて重要な閣僚、まあそれぞれ重要ですけれども、重要閣僚で、とりわけ小渕大臣については、安倍首相がひとつ強い意向を持って経産大臣に任命した。それぞれの国務大臣がそうですが、報道によると、とりわけ強い意向で引っ張られたというふうにも報道されております。

 組閣においては総理の専権事項でありますけれども、官房長官は、通例、そうした組閣においてもアドバイスをする立場であろうかと思いますので、このお二人の看板閣僚が職を辞された、しかも政治とお金をめぐる不祥事の責任をとられる形で職を辞されたという事態に陥ったことについて、どのように受けとめられているか。また、総理の任命責任について、どうお感じですか。お答えください。

菅国務大臣 小渕前経産大臣については、みずからの政治資金問題を引き続きしっかり調査して、政治家として襟を正したい、そしてまた、みずからの問題によって国政に遅滞を生じさせないように大臣を辞したいということでありました。

 また、松島大臣につきましても、我が国の基本法制、法秩序の維持を所掌する法務大臣としての立場にありながら、国民の皆さんに疑惑、誤解を与えるような事態を招いてしまった、そして同時に、やはり国会に対して遅滞をもたらすことは許されないという形で大臣の職を辞されたということであります。

 総理につきましては、こうした二人の辞任申し出を、残念なことでありますけれども、それぞれの大臣の意思を尊重したいということで受理を表明されました。そしてまた、総理自身、当時、辞表を受け取った後に、記者団の皆さんに、任命責任は自分にある、国民の皆さんに大変申しわけないということでおわびをされておられます。

 いずれにしろ、安倍政権というのは、国政に遅滞のないように、この二人の辞任を受けて、翌日に新大臣を任命して、全力で取り組んでいく、このことが極めて大事だというふうに考えます。

近藤(洋)委員 官房長官に引き続き伺います。

 説明責任ということであれば、これは国会においてですけれども、小渕前大臣は国会における説明責任をまだ果たされておりません。これは引き続き、政府・与党一体でありますから、ぜひそういった御指導をお願いしたいと思います。

 官房長官にもう一点伺います。

 これは、政治とお金の問題でほかの閣僚も指摘をされておりますが、靖国神社に三閣僚が参拝をされております、秋の例大祭に。政治資金のお金の使い方でちょっと官房長官に確認したいんですが、首相は、内閣総理大臣安倍晋三の名前で真榊と呼ばれる御供物を奉納しておりますけれども、これは常識的には、政治資金ではなくポケットマネーだろうと推察をします。

 官房長官にお伺いしたいのは、こういった御供物は、政治資金が使われるとすると収支報告書に載るように、靖国神社への捧物料とするのは私はやはり適切ではない、こう思うんですね。こういったものの供物料というのは、政治資金ではなくてポケットマネー、私費を使うものであるというのは当然だろう、こう思いますが、官房長官の御見識をお伺いしたいと思います。

菅国務大臣 私人の立場で贈られたと思いますし、私はポケットマネーだというふうに理解をしています。

近藤(洋)委員 恐縮ですけれども、ですから、そうだと思いますし、政治資金が使われるということ自体はやはり問題だと。

 いろいろ今、何とかクラブだとか、話題になっていますけれども、それと一緒とは言いませんが、適正な使い方として、やはり靖国神社への捧物料等は、政治資金が使われることは、これは違法かどうかは別にして、望ましくない、こう考えますが、官房長官の見識を伺いたいんです。

菅国務大臣 政治資金の使途については、政治活動の自由を最大限確保する観点から、原則として使途に制限はありませんが、国民に不信を持たれないよう、政治家として常に襟を正すべきだというふうに思います。

 また、この問題については、今委員から提案がありましたけれども、それは各党会派で決められることだろうと思います。

近藤(洋)委員 これは、政治家、もう一つ言うと、やはり内閣に属する方々、政府の立場であれば、余計そこは、靖国神社への、私は、靖国というのは大事な神社だという立場に立つものでありますけれども、政治資金から出されるものではあってはいけない、むしろ、それは完全にそことは切り離すべきだ、こう思うのが常識だろう、こう思うわけであります。

 官房長官、お忙しいのでもう一点だけ。済みません。

 自民党で税制の議論が活発になっていますが、消費税をめぐっていろいろな意見が出ています。最近は、山本議員が中心になって、消費税引き上げに慎重な議員の勉強会も出ているようでありますが、この勉強会、菅官房長官のお墨つきを得て発足されたという報道がされております。これは事実なのかどうなのか、いかがなものか。

 私は、もしそうだとすると、これはどうかと思うんですけれども、ただ、こういった動きについて官房長官はどう受けとめられているのか、お答えいただけますでしょうか。

菅国務大臣 私が関与したものでは全くありません。報道は事実無根であります。

 ただ、税というのは、政治家にとって極めて重要なことでありますから、国民の皆さんと最前線で接している政治家が、自分たちの意見を党内でさまざまな議論をするということは極めて大事だというふうに思います。

近藤(洋)委員 時間ですので、終わります。

井上委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 特定秘密保護法に関連をしてお聞きをしたいと思います。

 我々は、もともと、この特定秘密保護法については反対であり、廃止を求めているところであります。ところが、政府は、十月十四日、特定秘密保護法の施行に向けて、運用基準と政令を決定いたしました。きょうは、その内容について具体的にお聞きしたいと思います。

 今回の閣議決定では、内閣府本府組織令を改正し、内閣府に独立公文書管理監を置くということになっております。

 秘密保護法の附則第九条には、このように規定されております。「政府は、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関の設置」、こういうふうに言っております。

 この内閣府に設置された独立公文書管理監というのは、この附則第九条の言う「独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」に当たる、こう理解してよろしいですか。

上川国務大臣 ただいま佐々木先生から御指摘がございました、十月十四日の閣議決定において内閣府本府組織令の一部を改正したということで、第八条の第六項を追加したところでございます。

 御指摘のとおり、この独立公文書管理監、特定秘密保護法附則第九条に規定する、独立した公正な立場において、行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除並びに特定秘密である情報を記録する行政文書の管理の適正を確保するための検証、監察その他の措置に関するものについての事務を総括整理する旨を定めたところでございます。

 特定秘密保護法附則第九条に規定する新たな機関として独立公文書管理監を内閣府に置くということにしたものでございます。

佐々木(憲)委員 この独立公文書管理監とそのもとに置かれる情報保全監察室について、当時の森大臣はこう答えているんです。

 特定秘密を指定するインテリジェンスコミュニティーに所属する行政機関とは別の内閣府に置かれるもので、高い独立性を有する、こう説明をされているわけです。

 特定秘密保護法の第三条は、行政機関の長が特定秘密の指定を行うとする一方で、ただし書きで、政令で定める行政機関の長については、この限りではないと規定しているわけです。

 今回、閣議決定された秘密保護法施行令では、内閣府の長、これはどういう位置づけになっているか、お答えいただきたいと思います。

上川国務大臣 ただいま御指摘の特定秘密保護法第三条において、特定秘密を指定する行政機関の長が、規定している中で、ただし書きで、政令で定める行政機関の長についてはこの限りではないということでございます。

 今のところでございますけれども、行政機関を、することができる行政機関の中に内閣府というのが入っているところでございます。

佐々木(憲)委員 特定秘密を指定することができる、こういうことですね。独立公文書管理監は、みずから所属する行政機関のトップが指定した特定秘密について、その指定が適正かどうかを監察する、こういうことになるわけですね。

 自分で指定し、自分で監察するというわけですけれども、何でこれが独立ということになるのですか。

上川国務大臣 御指摘の点でございますけれども、独立公文書管理監、この任命権者、そして指揮監督権者、これは内閣総理大臣ということでございます。この任命者は内閣総理大臣でありまして、内閣総理大臣は職員に対する指揮監督権も有するというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 ですから、内閣総理大臣、これが指定するわけですね、特定秘密を。その指定が適正かどうかを監察する。それは、長は総理大臣ですから、自分で指定したものを自分で監察する、こういうことになるんじゃないですか。何でこれが独立なのかと。独立性が高いと言うんだから、何でこれが独立になるのかと聞いているわけです。

上川国務大臣 お答えいたします。

 特定秘密保護法附則第九条に規定いたします「独立した公正な立場」というのは、同法の施行責任を負います内閣官房から分離されていることをいうというふうに理解をしております。

 内閣府独立公文書管理監及びそのもとに置く情報保全監察室は、内閣官房とは組織上並列の機関として分離されている内閣府に置くこととされておりまして、そういう意味で、独立した公正な立場にあるというふうに言えるということでございます。

 なお、検証等を行う主体についてでございますが、特定秘密を指定する行政機関と分離されているということも重要と考えられるところでございますが、内閣府独立公文書管理監等は、特定秘密を指定する防衛省や外務省等とは分離されているということでございます。

 一方、運用基準におきましては、内閣府独立公文書管理監は、各行政機関の長が行う特定秘密の指定及びその解除等について検証、監察し、必要な場合には是正を求めることができる旨、行政機関の長はこの求めに対し適切な措置を講ずる旨を定めておりますけれども、運用基準は閣議決定でございまして、各行政機関はこれに従う責任を有することになるということでございます。

 こうしたことによりまして、内閣府の独立公文書管理監等による検証、監察等の事務につきましては、厳格に遂行されるものと考えております。

佐々木(憲)委員 質問に的確に答えていただきたいんですね。いろいろな説明をするのは必要かもしれないけれども、余り関係ないことを長々と読まないでいただきたい。

 私が聞いているのは、内閣府の長というのは内閣総理大臣ですね。特定秘密を指定するわけですよ、内閣総理大臣が。それを独立公文書管理監がチェックをする、こういうことになるわけですね。その長も内閣総理大臣。

 今、内閣府と内閣官房は別組織だと言いましたけれども、では、内閣官房の長は誰ですか。内閣官房の長は、主任大臣、これは内閣総理大臣じゃありませんか。だから、内閣官房の特定秘密も総理大臣が指定する、こういうことになるんじゃないんですか。指定するのかしないのか、これをはっきりしてください。

上川国務大臣 内閣総理大臣が行うということでございます。

佐々木(憲)委員 要するに、内閣総理大臣が全部やっちゃうわけだよ。

 結局は、秘密を指定するのも内閣総理大臣ですね。内閣府の長である内閣総理大臣。それがまたみずからチェックする。内閣官房の特定秘密も内閣総理大臣が指定する。全部内閣総理大臣、こういうことになるわけです。これはおかしいですね、何が独立ですか。

 現在、特別管理秘密というのがありますね。政府が、カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針に基づいて、各行政機関が保有する国の安全、外交上の秘密その他の国の重大な利益に関する事項であって、公になっていないもののうち、特に秘匿することが必要なものとして当該機関の長が指定したものを特別管理秘密、特管秘ということで管理をしているそうであります。定義からいいまして、この多くが秘密保護法の特定秘密へ移行をするということが想定されるわけであります。

 まず、確認をしておきたいんですが、政府に特別管理秘密が何件あるのか、全件数、それから、多い省庁の上位六位まで言っていただきたいと思います。

能化政府参考人 現在運用されております特別管理秘密についてのお尋ねでございます。

 特別管理秘密文書等の件数でございますが、平成二十五年十二月末現在の数字ということで申し上げさせていただきますが、全省庁の合計が約二十七万二千件でございます。それから、そのうち多いところ上位六機関とおっしゃられたと思いますが、一番目が内閣官房でございまして、約三十五万三千件、それから、二番目が防衛省でございまして、約五万六千件、三つ目が外務省でございまして、約二万二千件、四番目が公安調査庁、約一万五千件、五番目が警察庁、約一万四千件、六番目が海上保安庁、約九千五百件となっております。

佐々木(憲)委員 総計について先ほど二十七万と言いましたが、これは四十七万の誤りじゃありませんか。

能化政府参考人 恐縮でございます。四十七万二千件、平成二十五年十二月末現在の全省庁合計が四十七万二千件でございます。失礼いたしました。

佐々木(憲)委員 計算が合わないんだけれども。合計約四十七万二千件、こういうことですね。

 それで、内閣官房に集まっているのが三十五万三千件ですから、七五%、四分の三が内閣官房なんですね。現在、特別管理秘密がそれだけ内閣官房に集中しているということになるわけであります。この閣議決定された集団的自衛権行使の司令塔となる国家安全保障会議、NSCの特別管理秘密も内閣官房が保有している。これらの特別管理秘密が特定秘密に移行するということが想定されるわけであります。

 この特定秘密の指定において、内閣総理大臣が自分の都合が悪いことを隠していないか、不適正な秘密指定をしていないか、これを内閣府の独立公文書管理監が検証、監察する、こういう仕組みになっているわけです。こんなことが本当にできるのかどうか。

 確認したいんですけれども、独立公文書管理監は、内閣総理大臣が指定した全ての特定秘密について、内閣総理大臣に提出させるという権限、これはあるのかどうか。

上川国務大臣 お答えをいたします。

 独立公文書管理監は、運用基準に基づき、必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対して、特定秘密である情報を含む資料の提出を求めることができ、内閣総理大臣は、その求めがあったときは、特定秘密保護法第十条第一項の規定により、独立公文書管理監に特定秘密を提供するものとするとされているところでございます。

佐々木(憲)委員 求めに応じられないときは一体どうするんですか。

 これは運用基準によると、理由を内閣府独立公文書管理監に疎明しなければならない、こうなっているわけですね。仮に提出できないというふうに疎明した場合、その疎明に対して独立公文書管理監が、その疎明は納得できない、出しなさい、こういった場合はどうなりますか。

上川国務大臣 御質問の、疎明に対して独立公文書管理監が納得できない場合ということでございますが、その提供が我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認められない理由を独立公文書管理監が理解できるように具体的に疎明することとなりますので、独立公文書管理監が納得しないという事態がしばしばあるということは考えておりません。実務上は、独立公文書管理監と、特定秘密に関する業務を行っている内閣官房や内閣府の部局との間で十分な調整が行われるものと理解をしているところでございます。

 なお、仮に特定秘密が提供されない場合におきましても、行政機関に対し、特定秘密を明らかにしない形で特定秘密の指定等の必要性の説明を求めるなどによりまして、実効的に検証、監察等を行うことができるものと考えております。

佐々木(憲)委員 それは説明するんでしょう、疎明するわけですから。

 そこで、しばしばそれが納得できないという場合は起こらないだろうと言われるんですけれども、しかし、起こり得るわけですね、それは全くないとは言えないわけです。その場合に、それ以上のことができるんですかと聞いているわけです。

上川国務大臣 仮に独立公文書管理監と内部部局との間で見解の一致を見ないということがございましたならば、内閣総理大臣が、双方の主張を踏まえて、いずれかに偏することなく公平に適切な判断を行うことができるものと考えております。

佐々木(憲)委員 総理大臣が双方の主張といったって、総理大臣自身が自分で疎明するわけであります、これは出せないと。それが正しいかどうかは総理大臣が判断する、こんな説明で納得できませんね。結局、総理大臣が自分で全て決めるということになるじゃありませんか。

 国会の場合は国会法第百四条第三項で内閣声明を要求できるというふうになっていますけれども、そういう規定はないわけであります。疎明に対して納得しなかった場合の規定はないわけであります。調整するという話しか今ないわけですね。疎明を行うのは、自分の任命権者である、指揮監督権者である内閣総理大臣。だから、疎明というのは名ばかりで、これは事実上の中止命令になり得るわけであります。

 これまでも、核密約問題でまさに問われたのは、内閣総理大臣自身がみずからに都合の悪い密約を隠して、国民と国会にうそをついてきたということです。これまでのやりとりでも、独立公文書管理監というのは何の独立性もないということが明らかになりました。総理のうそをチェックできないということじゃありませんか。重層的なチェック機関と言うけれども、官房に設置する保全監視委員会、これも、総理が指定したものをチェックするのはやはり総理なんですよ。身内が身内をチェックする機関を幾らつくったって重層的じゃありませんね、これは。チェック機関としての意味は全くない。結局、内閣総理大臣の意向で全てが決まる、こういうことになるわけですよ。

 今、現実にある特別管理秘密、特管秘と言われているものも圧倒的に内閣官房に所属している。そういう状況の中で、国会で出せということがあったとしても、それは最終的には総理大臣の判断で出せないということになるし、幾らこういう身内のチェック機関を二重、三重、四重に重ねていったって、総理大臣が最終的に決めるという仕組みは全く変わらない。

 こういうことで、もう時間が参りましたけれども、今回の閣議決定が行われた内容を見ますと、いかに総理大臣の独裁的な上意下達型のそういう仕組みになっているかということが非常に明確になりました。我々は絶対にこれは認められないし、この法律そのものはもう廃止しかない、そういうことを最後に申し上げまして、終わりたいと思います。

井上委員長 次に、泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 まず、本日は、山谷大臣にお伺いをしなければなりません。

 始めます。

 まず、在特会との関係についてということでありまして、端的に、在特会の顧問または会員であったことはございますでしょうか。

山谷国務大臣 在日特権を許さない市民の会、略称、在特会なる団体とは、私は何ら関係をしておりません。

泉委員 そうしますと、例えば、会費を大臣の側から払われたりしたことはないということであると思いますが、報道によるとで恐縮ですが、参議院比例八十四支部に対して、二〇一〇年の一月、六月で、この会に関与している方からの献金があったというふうに聞いておりますけれども、調査はされましたでしょうか。

山谷国務大臣 その方については、主婦ということだったというふうに理解をしております。

泉委員 主婦であったという、恐らく献金当時はそういう御理解だったと思いますけれども、報道では、団体と密接に関係のある方だということが出てきておりますが、それに対して何か対応をされる御予定はございますでしょうか。

山谷国務大臣 主婦であったというふうに思っておりますし、その方が今どういう活動をしているのか私存じませんので、調べてみたいというふうに思っております。

泉委員 続きまして、教育再生地方議員百人と市民の会という団体がございます。こちらの顧問だったこと、あるいは会員だったことはございますでしょうか。

山谷国務大臣 お尋ねの団体が教育再生地方議員百人と市民の会であるとすれば、与野党にわたる多くの国会議員とともに私が顧問についていた団体であると思います。

 しかしながら、具体的な活動状況、積極的な活動がなかったというふうに思っておりまして、これは大臣経験者とか民主党の議員さんも、多くの国会議員が参加しているものだと承知しております。

泉委員 今、顧問だったことはというふうに私はお伺いしたんですけれども、御自身も顧問であったということを今おっしゃられたように伺いました。

 改めてですけれども、顧問なのか、それとも顧問であったのか、やめられたとすればいつおやめになられたのか、あるいはやめられていないのか、お答えください。

山谷国務大臣 この御質問でちょっと調べたんですけれども、以前のこの百人の会のホームページには、多くの国会議員たちとともに私が顧問となっているんですが、今消えているということでありまして、大臣になって、恐らく全ての役職を引いているのではないかと思います。

泉委員 そうしますと、御本人は、やめたくもなかったし、やめる認識もなかったけれども、誰かが配慮をして顧問を引かせたということでよろしいですか。

山谷国務大臣 全てのいろいろな関係団体の役職を退いているというふうに思っておりますが、この団体自体は活動はそれほどなかったというふうに思っておりまして、よかったら民主党の議員の方にも聞いていただければと思います。

泉委員 活動があったかなかったかということはよく存じ上げません。

 そして、私は大臣にお伺いをしております。それを、ほかの方に聞けばよいんじゃないでしょうかというのは少々失礼ではないでしょうか。

 改めて大臣にお伺いします。

 活動があったかなかったかではなくて、大臣は今現在も顧問という御認識なのか、そうではないのか、これをはっきりお答えください。御自身のことですから、あるいは、私は知りません、事務所が全部やっているんですとおっしゃられるのか。

 今の大臣の論法でいけば、大臣、過去おつきになった役職を全てやめなきゃいけないですよ。大臣になったんだから全ての役職を退くとおっしゃるのであれば、全てやめられるということになりますが、それでよろしいですか。

山谷国務大臣 整理をしているところだというふうに思っておりますが、現在、ホームページから私が顧問だという記載は消えているようでありますが、今聞きましたところ、まだ顧問をやっているということでございます。

泉委員 そういう活動はちゃんとされているのかもしれないですね。大臣の話題が出てきたので、大臣を顧問団から削除するという活動は的確になされているのかもしれませんが、今現在も顧問であるということがよくわかりました。

 ちなみに、ここは会員制をとっているような感じもホームページからは見受けられますが、会費は払われておりますでしょうか。

山谷国務大臣 存じませんので調べます。ないと思います、恐らく。

泉委員 またそれは調べて御報告をお願いいたします。

 続きまして、全ての役職を退かれたらしい大臣にお伺いするのはあれなんですが、日本教職員組合問題究明議員連盟というのがございまして、大臣は事務局長をされていたということでございますが、現在も事務局長でございますでしょうか。

山谷国務大臣 お尋ねの議連でございますが、日教組問題を究明し、教育正常化実現に向け教育現場の実態を把握する議員の会だと思いますが、この会は、公教育への信頼を取り戻すことを目指して自民党の国会議員で設立したものでございます。当時は事務局長でございまして、八回開催されたということでございます。

泉委員 現在も事務局長ですか。

山谷国務大臣 会長が御勇退されておりまして、その後、新たにというような事務局体制をまだ明確にはつくっていないところでございます。

泉委員 そうすると、通常では役職は継続されているものと判断いたしますけれども、この役職は、大臣、今こうやってやりとりをされるようになって、御自身も今の状態がわかられたと思いますが、これは継続をされますでしょうか。

山谷国務大臣 これは、自民党の議員の会でありまして、会長が御勇退されたので、またどうするかというのは、多くの自民党の皆さんを含め、御相談することだと思っております。

泉委員 ちなみに、何か究明できたことはございましたでしょうか。

山谷国務大臣 ございましたけれども、詳細についてのことは、所管外でございますので、コメントを今回は控えさせていただきたいと思います。

泉委員 その中でなのかどうなのかわからないんですけれども、大臣、平成二十二年十月二十一日、参議院内閣委員会で御質問をされております。蓮舫大臣に質問されているわけですが、その中の議事録で、「日教組の支配が強いところは全国学力調査をやってみたら下の方に並ぶんですね。」というふうなことを御発言になられております。

 実は、私の地元京都というのは、私も今調べてみたんですけれども、日教組の組織率というのは一%ぐらいでありまして、私もほとんど支援を受けている人間ではないんですけれども、ただ、支援を受けている受けていないというよりも、大臣であられる以上、ある意味の、質疑あるいは答弁、双方において、責任ですとか正確性ですとか、やはり根拠に基づくものでなければいけないというふうに私は思います。

 そういった意味で、「日教組の支配が強いところは全国学力調査をやってみたら下の方に並ぶんですね。」ということを、大臣が、質問ではなく、質問の中の御自身の言葉として、そうなんですということをおっしゃられているわけです。この見解は今も一緒でしょうか。

山谷国務大臣 もろもろ分析したことでそのようなコメントとなったと思いますけれども、本日は、内閣の一員として職務に専念したいので、控えさせていただきたいと思います。

泉委員 いや、大臣としての適格性ということについては、これは過去のさまざまな発言ですとか行為、行動がやはり関連してきます。そういった意味で、まさに国会内での御自身の御発言でありますので。

 では、統計的な事実というふうにお考えになられているんでしょうか。

山谷国務大臣 国家公安委員会委員長として答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

泉委員 いや、それは、委員長、いかがですか。そういう委員会で成り立ちますかね。過去の御自身の御質問であって、それについての見解をお伺いする。これは言えませんか、委員長。いかがですか。

山谷国務大臣 いろいろな情報を集めながらいろいろな分析をしたことでありまして、短時間ではなかなかできませんし、本日の内閣委員会で国家公安委員長として答弁をするのは適切ではないのではないかと思っております。(泉委員「いや、そんな勝手な判断は困りますよ。適切じゃないかどうかというのを何で勝手に判断されるんですか。それは違いますよ。しっかり協議してくださいよ。これは答弁拒否ですよ」と呼ぶ)

井上委員長 山谷委員長、答弁をお願いします。

山谷国務大臣 教育問題でございますので、所管外でございますので、コメントは控えたいと思います。

泉委員 私は、教育行政について伺っているのではありません。文部科学大臣の所管について伺っているわけでもありません。あなたの発言にのみ伺っています。もう一度お答えください。

山谷国務大臣 幾度ものお尋ねでございますが、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。(泉委員「だめですよ、こんなの。答弁拒否じゃないですか。おかしいですよ。何の理由ですか。そうしたら明確な理由を言ってください。とめてくださいよ」と呼ぶ)

井上委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 それでは、速記を起こしてください。

 山谷委員長、その過去の発言について、その当時の経緯とかお考えを、御発言をお願いいたします。

山谷国務大臣 日教組の組織率と学力テストの結果というのは、相関関係がある場合もありますが、ない場合もございます。例えば、私のふるさとである福井は、割合、日教組の組織率は高いのですが、大変学力テストがよいのです。

 それは、特定の、さまざまな副教材等々を使って、学習指導要領以外のことを積極的に時間を使ってなさられるような地域は必ずしも学力が伸びなくて、そういう実態を言ったものだというふうに思っております。

泉委員 おもしろい御発言ですね。相関関係がある場合もない場合もございますと言ったら、普通はそれは、ないという結論になるんじゃないでしょうか。「日教組の支配が強いところは全国学力調査をやってみたら下の方に並ぶんですね。」とおっしゃられているわけですね。

 今おっしゃられたように、福井、組織率も高いですが学力も高い。そのほかにもそういう県もあって、統計的にこれが正しい御発言かというと、大臣、この際、しっかり取り消された方が私はいいと思うんです。恐らく、どの統計学者に聞いても、それは有意なものではないということをおっしゃられると思うんですね。

 やはり、大臣、過去、委員としてこういう御発言をされたということは、その当時のお立場もあったと思います。一方では、公安委員長であり、今、大臣でございますから、こういう発言についてそのまま残しているということはいかがなものかと思いますが、それを、引き続きこの立場を維持されますか。

山谷国務大臣 組織率と学力が相関関係にある場合もない場合もあるということではありますが、組織率とは違って、特定の考え方を教科書以外のことを使って教える時間を大変に持っている、そういう地域も、日教組の強い地域もあるわけです。そのことを申したことでございます。

泉委員 そのことを申したのであれば、このような表現にはならないんだと思うんですね。

 そういった意味では、ぜひ、やはり事実に基づいた判断をしていただきたいと思いますし、この表現でありますので、それが事実でなければ、やはり私は立場を改めていただきたいというふうに思います。

 さて、続きまして、警察庁にお伺いをしたいと思います。

 まず、在特会ですけれども、これはいわゆる、そういうカテゴリーがあるかないかというのはあるんですが、監視の対象の団体なんでしょうかということをお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 在日特権を許さない市民の会につきましては、監視という内容もよくわかりませんけれども、そういういわゆる監視の対象ではございません。関心は持ってもちろん見ておりますけれども、監視の対象ではございません。

泉委員 関心は持っておられるわけでして、例えば構成人数ですとか誰が主要メンバーかということは把握はされていますでしょうか。

高橋政府参考人 会員数等、警察がどのような情報を把握しているかにつきましては、詳細な答弁は控えさせていただきたいと思いますが、在特会のホームページによりますれば、昨日現在、十月二十三日現在、会員数は約一万五千人となっているというふうに承知しております。

泉委員 ちなみに、警察庁にお伺いしますが、在特会と関係をしている国会議員も存在しているという認識でよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 その関係しているという中身がちょっとよくわかりませんので、お答えできません。

泉委員 かかわりがある、意思疎通をしている、やりとりをしたことがあるということを警察は見聞きしたことはございますか。

高橋政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、在特会について、どのような活動ですとか、どのような交友関係にあるかということについて、警察がどのような情報を把握しているかということにつきましては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。

泉委員 山谷大臣、改めてお伺いするんですが、一緒に写真を撮った方との人間関係があるだとかないだとか、その人が在特会だとは知らなかっただとかいうことを伺ってはおります。

 これは、もう一度確認なんですが、その方と面識はあるけれども、その方が在特会だったことを知らなかったということでよろしいですね。

山谷国務大臣 その方のホームページに私との写真がアップされていたということでございますが、私は、全国を選挙区とする議員でありまして、全国さまざま、いろいろなところでいろいろな方たちと、写真を撮ってほしいと求められれば撮っているところでありまして、あなたはどういう考えでどんな団体に所属していますかということを一々聞くわけにもまいりませんし、それは泉委員も御理解いただけるのではないかなと思います。

 ただ、在特会がヘイトスピーチをしたり、また威力業務妨害罪等で検挙されたと。

 ヘイトスピーチに関しましては、特定の国や民族を誹謗中傷し、差別発言をして、侮辱的な表現をし、憎悪や対立の心をあおっていくという、これは本当に憂慮にたえませんし、全く遺憾なことだというふうに思っております。愛と寛容の融和的な社会をつくりたいと思っている私の信条とは、在特会の活動は全く相入れないものであります。

 警察といたしましては、違法性があれば、法と証拠に基づいて厳正に対処をしていくべき問題と思っております。

泉委員 もう一度確認ですけれども、その男性の方ですけれども、全国さまざまな方とのおつき合いがある、あるいは出会いがあるというのはよくわかります。一方で、その方が、先ほどのその百人の会ですけれども、二〇〇七年には第九回の総会を行って、基調講演に山谷大臣が行かれて、そういった意味で、おつき合いは今まであったと思うんですね。

 もう一度確認ですけれども、私が伺いたかったのは、いろいろな方々とおつき合いがあるから、どこまでを知らなかったのか、どこまでを知っていたのかということを知りたかったんですね。それは、その男性の方が在特会であることを知らなかったのか、男性の方の名前も知らなかったのか、それを聞きたいんです。名前は知っていたし、おつき合いはあったけれども、在特会であるということは知らなかったということなのかの確認です。

山谷国務大臣 その方が在特会の会員だったとは存じませんでした。その方も、すぐ、一年ぐらいでやめられたというふうに聞いております。

 教育再生のその会の方と、それから、拉致の救出活動もやっていらしたという方らしいので、随分アクティブな方なんだなというふうに思っております。

泉委員 続いて、いわゆる在日特権という言われ方をするものについてですけれども、大臣、改めて、在日外国人に特権はあるとお考えでしょうか。山谷大臣。

山谷国務大臣 在日特権というものの説明をもう少し詳しく泉委員からしていただけるとありがたいと思います。

泉委員 もう一度質問しますね。

 私は、在日特権という言い方をしていません。大臣は在日外国人には特権があると御認識になられていますかという質問をしています。

山谷国務大臣 国家公安委員長としての答弁は、実はなかなか難しゅうございます。

 例えば特別永住資格、これは、特別永住者は出入国管理及び難民認定法の特例として通常の外国人と異なる扱いを受けるという、特別な扱いの根拠となる法律がございまして、これは法務省の管轄でございますし、もろもろ、それぞれ、何が特権なのかは定かではございませんけれども、それぞれ法律や通知に基づいているというふうに一般には理解しております。

泉委員 実はそこが肝心なところでして、特権というと、いわゆる特別な権利をほかよりも優遇されて持っているという認識だと思うんですね。一方では、法務省での言葉遣いも含めて特例という言い方をされていまして、それを、ある意味、特権という認識を持つか、特例であるということで判断をするのか、ここが実は大きな問題ではないのかなと思うんですね。さまざまな過去の経緯があって、その経緯によって特例を設けているのであって、それは特権ではないという考え方、これはあると思うんです。

 そういった意味で、まさに特権かどうかということが問題になっていて、改めて、大臣がおっしゃられた特別永住資格ですけれども、これは特権という御認識はございますでしょうか。大臣自身の御見解をお願いします。

山谷国務大臣 国家公安委員会委員長としては、答弁は、お答えする立場にはないと思いますが、今申しましたように、特別永住資格というのは、特別な扱いの根拠となる法律として、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法であります。

泉委員 もう一回聞きますね。余り委員会をとめたくないので、聞いたことにちゃんと答えてください。

 私は今、特権と特例の整理をしました。その中で大臣は、特例としては、特別永住資格というのは世に伝わっていることですから、それは多くの方が共通認識として持たれていると思います。しかし、これを特権だと思うかどうかということについてお答えくださいということです。

山谷国務大臣 何度も申しておりますけれども、特例法に基づくものだと考えております。

泉委員 では、特権ではないということでお答えいただけますね。

山谷国務大臣 特例法に基づくものだと何度も答弁しております。

泉委員 続いて、例えば在日外国人の方々の通名使用というのがございますが、これは、大臣、特権だというふうにお考えになられますか。

山谷国務大臣 通名制度については、特別な扱いの根拠となる法令として、住民基本台帳法、住民基本台帳法施行令でございます。したがいまして、特別な扱いの根拠となる法令に基づくものだと考えております。

泉委員 これも改めてですが、特別な権利だということの特権ということではないということで、大臣、よろしいですか。

山谷国務大臣 繰り返しになりますが、特別な扱いの根拠となる法令に基づくものであります。

泉委員 これはやはり人権感覚という意味で大事なことであるというふうに私は思いまして、質問させていただきました。

 山谷大臣、ありがとうございました。

 続いて、有村大臣に質問させていただきたいと思います。

 きょう、資料を配らせていただきました。平成二十四年の自民党さんがつくられたニュースでありまして、田村筆頭はよく活躍をされていた分野でもありますけれども、この当時、このニュースを見ると、相当、子ども・子育て新システムに反対をされていたわけですね。特に真ん中の部分の、一、二、三と書いてあります、「民主党が進める新たな制度の問題点」ということでございまして、「総合こども園などの施設には、待機児童の八割以上を占める〇〜二歳児の受け入れを義務付けていない」「目的の大きなテーマである待機児童の解消にはつながりません。」というふうにおっしゃられているわけですが、新制度でこれは何か改善されたんでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 そもそもでございますが、自民党が書かれていることに関しては、自民党にお問い合わせをいただきたいと思います。

泉委員 違います。政権与党が書いた政策を政府がどのように対応されたかということを伺っていますよ。

有村国務大臣 平成二十四年三月に当時の民主党政権によって提案された子ども・子育て新システムを、同年の六月に自公民三党合意に基づいて必要な修正が加えられた。その加えられた上で、私たちは、この子ども・子育て支援新制度を円滑、着実に施行させることが必要であると考えております。

泉委員 もう一度お聞きしますね。

 私は、政府のこの問題の担当者である大臣に、新制度についてお伺いをしています。新制度においては、認定こども園にゼロ―二歳の受け入れを義務づけているでしょうか。

有村国務大臣 義務づけておりません。

泉委員 義務づけることが待機児童の解消につながるというふうに大臣はお考えでしょうか。

有村国務大臣 今、待機児童の解消ということで、量の拡大ということを予算もつけてやっていっておりますので、それでまず第一義的に待機児童の解消を図りたいというのが我が方の考えでございます。

泉委員 自民党と政府はあくまで違うとおっしゃられるのであればですが、義務づけていないため待機児童の解消にはつながりません、それが問題点ですとおっしゃられていた割には、何か新制度になって変わったかといえば、それは変わっていないということであります。

 続いて、三番。「制度の移行期は大変複雑になり、行政の所管も、内閣府・文科省・厚労省の三重行政となります。」これは、新制度では、所管は三つでよろしいでしょうか。

有村国務大臣 当然、今までの文部科学省と厚生労働省と連携することになりますが、所管は内閣府になります。

泉委員 「五つの類型が共存することになります。」ということも問題点に挙げられておりまして、きょうお配りした資料の裏面を見ていただきますと、認定こども園については、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型、そして、自民党さんからの御要望もありまして、幼稚園を存置し、保育所も残すという形になりまして、これは、類型は幾つと考えてよろしいでしょうか。

有村国務大臣 くくりとしては、三つと理解しております。

泉委員 何個。三つですか。

有村国務大臣 大きなくくりとしては、保育園と幼稚園と、それから、当時の民主党政権は総合こども園とおっしゃっていましたけれども、三党合意を経て認定こども園になるので、大きなくくりとしては三つになります。

泉委員 その大きなくくりでいうと、恐らく民主党のときも総合こども園という一くくりだったと思うんですが、その連携型だとか幼稚園型、保育園型と分けてこの「民主党が進める新たな制度の問題点」というところに書いてあったわけでありまして、それはちょっといかがかなという感じがいたします。

 改めてですけれども、大事な問題を伺いたいと思います。

 今、認定こども園、これが果たして本当にしっかりとした給付を受けられるのかという問題がありまして、特に、幼稚園と保育所が一緒になると園長ポストが一つになってしまうという問題が出てきて、そうすると、そこの部分のお金も一人分になってしまうということで、大変憂慮をされております。ここは、私は、ぜひ経過措置を設けるなりして、しっかりと減収にならない措置が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 委員の御指摘は極めて大事な御提案だというふうに認識をしております。

 今まで、支援新制度、二重行政の解消を目的として、いわゆる幼保連携型認定こども園、単一の施設とするよう制度改正を行っておりますが、おっしゃるように、施設長が二人から一人になるというコスト減を前提として公定価格の単価を設定していますが、いろいろな現場の課題が出てきております。この点においては、与党でも、岡田広先生、公明党の高木委員からも御指摘をいただいておりました。

 この声を受けとめまして、現場や利用者の混乱なく新制度を円滑に実施するという観点から、施設長の人件費についての経過措置を検討することが必要ではないかというふうに考えておりまして、けさの閣議後の記者会見において、現に幼保連携型認定こども園を運営している施設が新制度に移行する場合における施設長の人件費に係る経過措置について、今後の予算編成過程で検討を進めるという旨をけさ発表させていただいたばかりでございます。

泉委員 大変前向きな御答弁、ありがとうございます。

 今、市町村なり認定こども園が困らないようにという視点があったと思います。その会見の中で、全てを私は存じ上げないんですけれども、さらに言うと、減収の可能性がある要因として、自治体単独事業、まずこれが一つであります。そして、一時預かり事業、これが二つ目であります。

 ここについて、しっかりと、国から移っていったときに、あるいは、これまでの自治体の市町村事業がちゃんと同額確保されて、トータルでその園にとってマイナスにならないのかということをまさに心配されております。

 そこが、どうやって地方主権の中で政府として確保できると断言できる状態になるのか、政府として何か支援をされる考えがあるか、お答えください。

有村国務大臣 委員からは、真摯な問題意識に基づいての御提案をいただいていると認識をしております。

 自治体の単独補助が旧制度と同額に全額できるかどうかというところでございますが、認定こども園を含む私立幼稚園の円滑な移行を図ることは極めて重要だと省庁としても考えております。

 国としては、私立幼稚園の円滑な移行を図る観点から、各都道府県に対して、九月、十月、それぞれ事務連絡をして、都道府県の単独の助成内容に係る検討方針を引き続き今公表させていただいて、そして、引き続き支援をいただきたい旨を発表しております。

 また、けさの閣議後の記者会見において表明いたしましたが、新制度移行に伴う大規模の減収には、定員規模に応じた各種加算、加配要件のあり方について予算編成時に検討を進めますということをけさ初めて発表させていただきました。

 そしてまた、もう一つ委員からお問い合わせをいただきました、都道府県私学助成でなされていた預かり保育が、今回は市町村事業になる、一時預かりというふうになりますけれども、ここは、現行の預かり保育における国の私学助成と同程度の水準を維持しつつ、消費税による質改善の財源の確保の状況に応じて充実を図るという考え方を基本に、先月、仮の補助単価をお示ししたところでございますけれども、私学助成の預かり補助を受けている園については、一時預かり事業への円滑な移行が困難な園に対して、引き続き、私学助成の補助対象として経過措置を講ずるというふうにしておりまして、円滑な移行が図られるように取り組んでいきたいと考えております。

泉委員 きょうは公益財団法人の制度についても伺いたかったわけですが、もう時間が来ましたので、終わらせていただきます。

 最後に一点だけ。

 きのう、派遣労働の現場で働いている女性の方から国会内で話を伺いました。そうしましたら、妊娠をきっかけにして会社をやめさせられたというようなことがありまして、やはり女性の活躍は非常に大事であります。絶対こういうことを許さないように政府全体で取り組んでいただきたいことをお願い申し上げ、私の質問を終わらせます。

井上委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 本日は、原子力委員会担当の山口俊一国務大臣に質問をさせていただきたいと思っておりますが、その前に、泉委員の方からもずっとお話がありましたけれども、若干、我が党としても、山谷大臣に対してお尋ねをしたいと思っております。

 まず、昨今、しばしばヘイトスピーチなる言葉が報道されております。山谷大臣がこの言葉を聞いて、報道に関して、どういった御感想をお持ちかをお聞かせください。

山谷国務大臣 ヘイトスピーチに関しましては、特定の国や民族を誹謗中傷、差別的言動をし、名誉毀損をし、対立と憎悪の心をあおっていくようなものだというふうに思っております。愛と平和と寛容な社会づくりを目指している私、そして多くの人々にとっては受け入れられないものであるというふうに考えております。

河野(正)委員 私の出身地、福岡県なんですけれども、福岡県は、アジアのゲートウエーということを自任しまして、アジア諸国との民間レベルでの交流、あるいは経済活動、あるいは外貨獲得に向けて一生懸命頑張っているところでございます。こういったヘイトスピーチということによって、真摯に友好活動を行っている市民の多くが不愉快な思いをしているところであります。

 国家公安委員会委員長として、こういったいわゆるヘイトスピーチの取り締まりについてどのようにお考えであるか、お聞かせ願います。

山谷国務大臣 警察では、いわゆるヘイトスピーチと言われる言動やこれに伴う活動については、個別の事案にはよりますけれども、刑法の名誉毀損罪や威力業務妨害罪等が成立する場合は、法と証拠に基づき、取り締まるなど、厳正に対処するものと承知しております。

 今後も、警察を督励するに当たっては、この種事案に対する厳正な対処について配意してまいります。

河野(正)委員 しっかりと職務を遂行していただくことを期待しております。

 それでは、山口大臣にお伺いをしたいと思います。

 まず、原子力委員会について伺います。

 法改正後の新体制の原子力委員会の動きについて、施行に向けてどのような準備をされているのか、お答えいただきたいと思います。

倉持政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力委員会につきましては、さきの通常国会におきまして原子力委員会設置法の一部を改正する法律が成立いたしまして、公布日である六月二十七日から六カ月以内に施行することとなっております。

 改正法の施行に当たりまして、国会両議院の同意を得て委員長及び委員の任命を行う必要がございまして、現在、その準備を鋭意進めているところでございます。

河野(正)委員 海外の原子力政策担当者との会談の機会も大臣は少なくないと考えております。

 また、就任直後から、九月二十二日から二十六日まで、ウィーンで開かれた国際原子力機関、IAEA第五十八回総会にも、政府の代表として臨まれたと思っております。

 こういった知見も踏まえまして、山口国務大臣の原子力についての考え方についてお示しいただきたいと思います。

山口国務大臣 お答えをいたします。

 今、倉持統括官の方からも御答弁がございましたように、原子力委員会の役割というのは大分変わってまいっておりますが、今の御質問にお答えをいたしますと、原子力というのは幅広い分野にわたって活用されておりまして、特にエネルギー源としての原子力につきましては、ことし閣議決定をされましたエネルギー基本計画におきまして、安全性の確保を大前提にして、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源というふうに位置づけをされておるところでございます。

 原子力委員会につきましては、さきの通常国会において、たしか河野先生も御質疑いただいたと思うんですが、関係各省がそれぞれ責任を持って実施をしておる施策の取り組みを俯瞰しつつ、原子力の平和利用、放射性廃棄物の処理処分等の重要事項に重点化をするというふうなことになっております。

 原子力委員会につきましては、エネルギー基本計画等と整合性をとりながら、エネルギーに関する原子力利用、研究開発、放射線利用等の幅広い分野を対象として必要な役割を果たしていくように、担当大臣として努力をしてまいりたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 次に、放射性廃棄物の最終処分に向けた取り組みについて伺いたいと思います。

 我が党の橋下徹共同代表も、常日ごろ、高レベルの核燃料廃棄物の処分について、いつも懸念を示しているところでもあります。

 我が国、我が国民は、既に原子力発電の恩恵を享受してまいりました。しかし、排出されるごみは、トイレのないマンションとやゆされることもあるように、どのようにどこで処分するのか、ほとんど決まっていないというふうに認識しております。

 昨年、私は、衆議院の環境委員会の理事としまして、フィンランドのオルキルオト島にありますオンカロという施設を訪問させていただきました。フィンランドは、十万年後の安全ということで、世界で唯一、核燃料廃棄物処理のための施設がつくられているというふうに思っております。

 フィンランドの現地の事情も聞いてまいりましたけれども、我が国では、大臣の御出身地でもあります、四国の高知県のある町が検討に入っただけで大きな問題となったというふうにも聞いております。近々、私のふるさとでもあります九州の地から原発が再稼働され、核のごみがふえてこよう、ふえ続けようとしているところであります。

 まず初めに、今日まで最終処分の取り組みが進まなかった点について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

山口国務大臣 ただいまお話をいただきましたように、正確には徳島県じゃなくてお隣で、ただ、やはりあの当時の状況を見ておりますと、高知県の知事さんがちょっと待てよというふうなお話がございました。同時に、実は、隣接、ちょっと離れておるんですが、徳島県側の町長さんとかの方からも異論が出てああいう格好になっていったわけでありますが、政府としても、そういったやり方、これまでのように手を挙げてくれというふうなやり方ではどうなのかなというふうなことで、見直しも検討されておるようでございます。

 先生のお話のとおりで、確かにトイレのないマンションというふうなやゆをされております。これは、御指摘もございましたけれども、今、スウェーデンが具体的に進んでおりますが、フィンランドも大体ほぼ方向性が固まったやに聞いておりますが、大変重要な課題でございます。

 原子力委員会としても、実施官庁における検討状況を注視しながら、必要な取り組みを検討していくことになるであろうというふうに考えております。

河野(正)委員 非常に大きな問題ですので、やはり将来世代にツケを回すことなく、しっかり検討を始めなければいけないというふうに考えているところであります。

 また、大臣、日本学術会議も担当かと思いますけれども、直接処分も選択肢にすべきという提言を日本学術会議がまとめておられます。

 先ほどからお話ししているフィンランドというのは、氷河期から長期にわたって安定した地層に埋めていくというふうなことで工事が行われているわけですけれども、非常に地震が多くて、さらに我が国は、近隣諸国から森林売買などで土地を狙われるほど、水資源を豊富に有するという国でもございます。

 そういった我が国の特性から考えますと、地震の心配も地下水による侵食のおそれもない場所というのが果たしてあるのでしょうかというふうに考えているところでありますが、大臣の認識としてはいかがでしょうか。

山口国務大臣 先ほどの御質問にも関連をしておるわけでありますが、委員も御承知の特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律というのがございまして、この中で、特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針とか特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画、これを定める際には経済産業大臣が原子力委員会の意見を聞かなければならないというふうなことになっておるわけでございます。

 ただいまお話がございました学術会議等々との問題もございますが、原子力委員会としましては、御指摘の一昨年の日本学術会議の方からの回答に対しまして、外部有識者との意見交換を踏まえて、高レベル放射性廃棄物の処分に関して実は総合的に検討いたしました。これは、学術会議の方からは、当然委員も御案内だと思うんですけれども、いわゆる暫定保管みたいな考え方もありますねというふうなお話でございました。

 こうしたことを踏まえまして、原子力委員会では、平成二十四年十二月に、今後の取り組みのあり方として、処分すべき高レベル放射性廃棄物の量と特性というのを原子力、核燃料サイクル政策と一体で明らかにすること等を盛り込んだ見解を取りまとめて、提言をさせていただいております。

 この高レベル放射性廃棄物の処分につきましては、最新の知見等に基づいて、国民全体が協力をして取り組むべき重要な課題でもございます。原子力委員会において引き続き適切に検討を進めてまいりたいと考えておるところでございます。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 再処理ということも、いろいろプルトニウムの問題とかで海外諸国との関係もあると思いますので、いろいろな選択肢を持ってしっかりと早急に検討していかなければならないというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 研究開発について伺いますが、「もんじゅ」の開発の経緯について、大臣、どのようにお考えなのか。これまで莫大な公費が投入されてきたんですけれども、それに対して、果たして成果が上がっているのか、大臣に伺いたいと思います。

山口国務大臣 お答えをさせていただきます。

 「もんじゅ」につきましては、御案内のとおりで、主として文科省ということになりますが、この「もんじゅ」につきましても、エネルギー基本計画におきまして、廃棄物の減容、有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点というふうに位置づけをして、これまでの取り組みの反省とか検証を踏まえて、あらゆる面において徹底的な改革を行って、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめるというふうなことを目指し、そのため実施体制の再整備あるいは新規制基準への対応など克服をしなくてはならない課題がたくさんございまして、国の責任のもと、十分な対応を進めると記載をされておりまして、関係各省、とりわけ文科省において取り組みが進められておるというふうに承知をいたしております。

 原子力委員会でありますが、こうしたエネルギー基本計画と整合性をとりながら、必要な役割を果たしていくというふうに考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 文科省担当ということは存じ上げておりますが、実際、私も「もんじゅ」を見せていただきました。そこで働く多くの方もおられますし、やはり、どうするか、方針を持って、しっかりと国が方向性を持って早く検討していかなければいけない問題だというふうに考えております。

 次に、次世代原子炉、いわゆる高温ガス炉などの技術開発について、大臣の認識を一言お聞かせください。

山口国務大臣 御指摘の高温ガス炉でございますが、これはもう御案内のとおりで、ヘリウムを利用するわけでありますが、これにつきましても、実は、エネルギー基本計画におきまして、水素を製造するというふうなこともあるわけでございまして、この水素製造を含めた多様な産業利用というものが見込まれております。固有の安全性を有する高温ガス炉など、安全性の高度化に貢献をする原子力技術の研究開発を国際協力のもとで推進をするというふうにこの基本計画にも記載をされております。

 各省庁におきましてもこの線に沿って取り組みが進められておるというふうなことで、原子力委員会としても、こうしたエネルギー基本計画と整合性をとりながら必要な役割を果たしていくということになると思いますが、将来を考えると、なかなか有望な一つの考え方といいますか、原子炉であろうというふうには思っております。

河野(正)委員 最後に、原子力発電の考え方についてお尋ねをしたいと思います。

 原発の再稼働を進めるのであれば、国民に対して、絶対安全ではない、必ずしも低コストとは言えない、けれども、日本の電力の安定供給には必要である、先ほど重要なベースロード電源というお話もありましたが、そういったものであると真正面から、ありのまま事実を示していくことも大切なことではないかなと考えております。

 私の地元、九州・福岡では、九州電力が鹿児島県の川内原子力発電所再稼働を準備している一方で、太陽光や風力など再生可能エネルギー事業者が発電する電気の新たな受け入れを制限するというような方針が示されました。若干、小規模の、個人用のものについては方針も転換されるようですけれども、地域では非常に、連日大きな不満の声が聞かれているところでございます。

 原発再稼働が前提で、再生可能エネルギーのコストダウンにつながるような施策は行わない、そのようにも受け取られかねないと思っております。

 国民に対する情報発信について、大臣の考えをお聞かせいただきたいと思います。

山口国務大臣 ただいまのお話でございますが、この原子力発電所の再稼働につきましては、これは安倍総理もしょっちゅうお話をしておられますが、政府においては、安全性が最優先であるというふうな前提のもとに、原子力規制委員会の規制基準に適合すると認められた原発について、その科学的、技術的な判断を尊重して、再稼働を進めていくというふうな方針が示されておるところでございます。

 こうした方針を踏まえて、やはり御指摘のとおり、国民の皆さん方の御理解が必要でございますので、丁寧に対応していく。同時に、今これもお話しいただきましたように、正直にしっかりと説明をしていく、ともかく努力を積み重ねていくというふうなことであろうと思っております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 我が党は、原発ゼロであるとか再稼働は絶対だめだという立場ではございません。しかし、総合的に勘案すれば、原発は決して安いエネルギーではないと思っておりますし、一〇〇%の安全という言葉もないと思っております。一旦事故が発生すれば、人類は残念ながら原子力を一〇〇%コントロールすることはできないというふうに考えているところであります。

 また、フィンランドは、わずか二基の原発のために巨大な施設をつくって廃棄物を処理しようというふうにされております。我が国は、商用原発が五十四基ございました。将来世代の子供たちにツケを背負わせるのではなく、我々世代でしっかりと責任を持って検討して処分していかなければならない問題だと考えております。

 以上申し述べて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

井上委員長 次に、椎名毅君。

椎名委員 おはようございます。椎名毅でございます。

 内閣委員会は初めてなんですけれども、どうぞよろしくお願い申し上げます。二十分質疑時間をいただきました。感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは、政府の感染症危機管理のあり方について伺いたいというふうに思っているんですけれども、その前に、党から言われて、ヘイトスピーチについてちょっと山谷大臣に御意見を伺いたいというふうに思います。

 僕自身は、ヘイトスピーチというもの自体は忌み嫌うべきものであるというふうに思っています。他方で、やはり表現なんですね。表現の内容に関して規制をかけるという話になると、やはり、表現内容規制というのはかなり限定的に考えるべきであるというのが日本国憲法の基本的な立ち位置なんだというふうに思います。ヘイトスピーチというものを規制した方がいいという考え方もあるやには聞きますけれども、私自身は、それはやはり、基本的には、言論の自由市場の中で解消されて、そういう言論が信頼を持たないようにしていく、こういう言論の要するに競争関係というのをつくっていくべきなんじゃないかなというふうに思っています。

 ヘイトスピーチについてどう思いますかと山谷大臣に伺おうと思ったんですけれども、るる今まで何人かの先生方に同じような御答弁をされてきたので、ヘイトスピーチについて、取り締まりなり、今後どのようにしていったらいいかということについて、大臣の御見解をお伺いできればというふうに思います。

山谷国務大臣 ヘイトスピーチに関しては、現状、憂慮にたえないということは繰り返し申しました。その上で、今、椎名委員が、表現の自由ともかかわってくる問題ではないかというような問題提起もございましたけれども、今、自民党ではプロジェクトチームをつくっておりますし、各党いろいろ議論が始まっているところだというふうに考えています。そして、国民的議論も踏まえながら、深まりを期待しているところでございます。

 国連人種差別撤廃委員会から勧告を受けたことも踏まえまして、警察を督励するに当たっては、この種事案に対する厳正な対処について配意してまいりたいと思います。

椎名委員 ありがとうございます。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 私自身は、この仕事につく前に国会事故調というところで原発事故の調査をしておりまして、この報告書の中に、「政府の危機管理体制の見直し」、「緊急時に対応できる執行力のある体制づくり、指揮命令系統の一本化」という提言をしております。

 内閣法十五条というところに、内閣官房に危機管理監を置くと言って、危機管理監がそれぞれ危機対応をするというようなことが書かれております。

 昨今、西アフリカにおいてエボラ出血熱が大流行しています。今現在、新しい数字ですと、感染者が九千九百三十六名、死亡が確認された人間が四千八百七十七名ということで、大体致死率五〇%前後ということで、非常に危険度の高いウイルスだというふうに言われています。

 こういったウイルス感染症を含めてですけれども、危機対応をどのように行っていくのかということ。これはエボラ出血熱だけではなくて、その他感染症も含んでですけれども、内閣官房で初動対応するのかどうか、それから、実際、その初動以降どのように対応していくのか、さらには、今のアフリカのエボラ出血熱の流行に対応して、実際、どのような御準備がなされているのかというところについて、官房長官に伺えればと思います。

菅国務大臣 まず、御指摘のエボラ出血熱、これについては、極めて危険性が高くて、仮に国内で感染が発生すれば、国民の生命身体に極めて大きな影響を受けるものでありますから、これは盤石な体制をとる必要があるというふうに考えています。

 そして、現在どのような体制かと申し上げますと、国内で発生した場合、あるいは国外で発生した場合、あるいはその中でも検疫で発見された場合、あるいは感染者が医療機関に検査で発見された場合、さまざまなケースがありますので、そうしたものに、想定できるように、政府としては、初動については、官邸対策室、ここの設置、関係閣僚に協議などを行い、内閣官房を中心に、政府一丸となって、情報収集、対処方針の決定、国民への情報発信、こうしたものを、今、先ほどありました危機管理監のもとで対応を行っていきたいというふうに思っています。

 現実的に、初動以降の対応については、感染状況等も含めて、厚生労働省を中心に、関係省庁が連携をしながら、これはしっかり対応していきたい、そのように考えています。

椎名委員 ありがとうございます。

 済みません、山谷大臣、もう大丈夫ですので、お帰りになられて結構でございます。

 緊急事態に対する政府の初動対処体制実施細目というのがありまして、これに基づいて内閣官房でそれぞれ初動の対応について決めていくということなんだろうというふうに思います。今、対策本部をつくっているという話だったので、非常に心強いなというふうには思っています。

 この緊急事態に対する政府の初動対処体制実施細目、これによると、幾つかの行為類型、幾つかの危機類型に応じて、幾つか、緊急参集ということで、関係省庁の対応する方々を参集して、それぞれ情報共有等々をやるということが書かれています。

 その中で、幾つかあるんですけれども、表になっているんですけれども、NBCテロその他大量殺傷型テロという中で生物剤というのがあって、新型インフルエンザ、鳥インフルエンザ等々の国内外におけるヒト・ヒト感染という表がそれぞれあるんです。基本的には、新型及び鳥インフルエンザというところとエボラ出血熱関連の感染症はおおむねイコールで考えるべきかなというふうに思っていますけれども、表を見ると、やはり、多少呼ばれる人が違うんですね。

 しかし、今、アフリカでエボラ出血熱に感染している人たちがたくさんいる。スペインでも、それからアメリカでも、二次感染した人がいる。日本でも例えばエボラ出血熱っぽい人が出たとすると、これは同じく二次感染なのかなというふうに思うのが人間の常だとは思いますが、実は二次感染ではなくてテロという、バイオテロという可能性もなきにしもあらずなわけですね。そういうところまで考えてやはり政府の危機管理というのはやらなきゃいけないのかなというふうに思っています。

 特にウイルスというのは、フリーズドライ方式とかそういう形で比較的、規制とかその他もろもろはさておくとして、持ち運ぶことができるような形になるというふうには聞いているので、やはり、国内でこういったことが仮に起きたときに、テロなのかそれとも二次感染なのか、それで初動対応等々を考えていかなきゃいけないと思うんですけれども、もしテロだった場合、もしエボラ出血熱の二次感染が国内で起きた場合、こういったことを、どのように区別したり、どのようにシームレスに対応したりというのが結構重要なのではないかと思うんですけれども、官房長官の御意見をいただければと思います。

藤山政府参考人 今委員御指摘のとおり、感染症の場合、あるいはテロの場合ということで、それぞれ体制が異なることが想定をされているという現状にあるのはそのとおりでございます。

 実際に今委員がおっしゃったような事態になった場合にどうなるかということですけれども、危機管理監の判断としましては、恐らく、そのときの情勢あるいは現場の状況というものを踏まえて、万が一テロの可能性があるという状況であれば、感染症に対するチーム、そしてテロに対するチーム、これは双方、要するに総合的に招集をして対応する。この以後の対応についても、テロの可能性もにらんだ形で政府として対応していくということになるというのが一般的であろうというふうに考えております。

椎名委員 ありがとうございます。

 引き続きまして、きょう、厚生労働省の参考人の方にいらっしゃっていただいておりますけれども、実際、今、先ほど官房長官からもお話がありましたが、厚生労働省中心に対応していただく。特に二次感染を防ぐためには、感染症の二次感染、それからパンデミックのようなもの、これを防いでいくためには、やはり水際対策が大事だと塩崎大臣もおっしゃっておりました。

 現在、水際で検疫という形で、罹患している方々をチェックするというのが基本的な国の方向性かなというふうに思いますけれども、感染症に罹患している人について、これを検疫という形で全部チェックして、場合によっては隔離、停留、こういった形で措置をとることが可能なのかどうか。それから、仮に、感染症ウイルスそれから細菌に感染している人がすり抜けて入国してしまったような場合、こういった場合についてはどのように考えたらいいのか、教えていただければと思います。

福本政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回のエボラ出血熱に関しての水際対策から申し上げますと、西アフリカの発生国に滞在された方でありますけれども、入国の際に空港の検疫所に立ち寄っていただくということをしております。

 やり方といたしましては、検疫所で掲示をするとか、あるいは呼びかけをする、あるいは機内アナウンスでそれをお願いするとか、それから入国審査、国籍が西アフリカにある方々は入国審査の際と、連携をとる形で、まず検疫所に立ち寄っていただくということをいたしております。

 その検疫所でどうするかでありますけれども、その立ち寄っていただいた方については、滞在国で行動歴がどうであったか、それから今の健康状況を問診等いたします。その結果、そこでもう発熱あるいは嘔吐されているというようなことで、エボラ出血熱の感染を示す症状がある場合には、先生おっしゃいましたように、隔離措置ということになりますが、そこではまず症状がないという場合には、そこで、その方の氏名とか連絡先、あるいはその後どういう旅行をされるのか、どこに行かれるのかというようなことを聞き取りまして、潜伏期間であります二十一日、最大二十一日でありますけれども、毎日二回、体温をはかっていただいて、その症状があるかどうかを含めて、検疫所に報告するということをお願いする。これは、法律上も義務づけて、それをお願いしておるというのが水際での対策であります。

 その結果、一旦入国されてからですけれども、潜伏期間内に入国される場合、要するに、検疫所では発症していないような場合は入国をするということになりますが、入国された後発症するということが起こり得ます。その際、国内でどういう対策をとるかということについて続けて申し上げますと、実際そういう場合は、医療機関に診察でかかられることになります。医療機関では、発生国に渡航歴があるということ、それからエボラ出血熱の症状であるということがありますと、検査のステップに進みます。具体的には、血液等の検体を採取するということをしていただきまして、その検体は、都道府県を経由いたしまして国立感染症研究所というところに運ばれる。その国立感染症研究所で遺伝子検査を行いまして、遺伝子検査の結果、エボラウイルスの存在が血液検体中に確認されれば確定患者ということになります。

 確定患者ということになれば、入院隔離ということでありまして、特定感染症指定医療機関あるいは第一種感染症指定医療機関ということで、設備なりを整えた医療機関が全国に四十五カ所あります。そこで入院していただいて治療に進むというようなステップでございます。

椎名委員 ありがとうございます。

 今のお話で何が聞きたかったかというと、要は、基本的には検疫というのは厚生労働省、国です。検疫をすり抜けるということが往々にしてあるわけですね。潜伏期間がエボラ出血熱だと大体七日ぐらいとか言われていますけれども、二十一日ぐらいということもあったりします。結構幅のある期間なので、発熱もせず普通にすり抜けていくということがあります。

 検疫を通過して、一応、渡航歴のある人たちというのはそれなりに報告義務とかがあるんですけれども、人間というのはどうしても弱いものでして、そういう面倒くさいことは大体避けたいものでして、さらに言うと、ふだん忙しいので大体忘れちゃったりとか、いろいろそういうことがあって、だんだんそういうことに意識がなくなって、いろいろな人にさらにコミュニケーションをとっていくみたいなこともあったりするんじゃないかというふうに思います。

 では、実際発症すると誰が管轄するかというと、基本的には、第一義的には自治体、都道府県なんです。要するに、この権限関係というのが問題ではなかろうかというのが、私自身の提示したい問題意識の一つです。

 さらに続いていきますと、実際、先ほどテロの話を少ししましたけれども、海外で起きているからといって、国内で症例が出たときに、それがテロなのかどうか、それとも二次感染なのかどうかというのを判別するためにはきちんとチェックしなきゃいけないわけですね。

 エボラウイルスにも実は型番があって、エボラスーダン、エボラザイール。マールブルグウイルスとか、幾つか種類があるわけです。これによって実は致死量が違うんですけれども、我が国には、エボラウイルスかどうかをチェックすることはできても、エボラウイルスの型番をチェックすることができる潜在的な能力を持っている施設はあるけれども、その施設が指定を受けていないので研究ができないという現状にあります。

 バイオセーフティーレベル4の研究施設ということで、国立感染症研究所、武蔵村山にある研究所なんですけれども、この研究所が、感染症法五十六条の三の第一号だと思いますけれども、「厚生労働大臣が指定する施設」と書いてあるんですが、指定がなされていないということで、研究できていないんです。

 でも、情報がなければ対策は打てない、危機管理の基本は情報だと思うんです。これについて、厚生労働省の見解を聞きたいと思います。

福本政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、感染症法上、エボラウイルス、これは一種病原体というものに位置づけられておりますけれども、それを所持して操作できるというのは、厚生労働大臣が指定した施設、一種病原体等取扱施設というふうに呼んでおりますが、そこに限定されています。ただ、そこはいまだ指定をされていません。

 確定診断自体は、先ほども申し上げましたように、検体検査ということですので、こういう施設でなくても可能でありますが、さらに進みまして、要するに、検体から、患者さんからエボラウイルスを分離して、その分離したウイルスそのものを用いていろいろな試験を行う、あるいは研究を行うということになりますと、この限定された施設でなければできないということになっております。

 この一種病原体等取扱施設でございますけれども、設備等は、いわゆるBSL4である必要があるということで、その要件を満たした施設は、今御指摘ありました国立感染症研究所の村山庁舎内にある施設というのがこれに該当しておりますが、地域の住民の方々がやはり心配をされることもありまして、法律上の指定というところには至っていないということでございます。

 従来から、我々厚生労働省といたしましては、この地域住民の方々の理解を得て指定ができるようにということにしてきておるところでございますけれども、今般のエボラ出血熱について万全の対策を講じていくということであれば、やはりそういう指定が必要であると思っておりますので、引き続き、理解が得られるように努力をしてまいりたいと考えております。

椎名委員 時間もないので最後の質問です。

 今、指定をしていただけるように努力をしていただけるというお言葉をいただいたので、非常にありがたいなと思います。

 先ほど来お話をしてきたことの私の真意は何かと申し上げますと、それは要は、初動は官邸で、初動以降は各省、さらに言うと、各省と自治体と分かれていることもあるということで、やはり政府、官邸で、一元的に危機管理に対応する役所、施設等を設置する必要性があるのではないかということは私も常々申し上げているわけです。

 いわゆる日本版FEMAと呼ばれているものでして、これは防災の文脈で語られることが多いですけれども、それ以外にも、オールハザードアプローチと申しまして、防災だけではなくて、感染症危機管理を含めたさまざまな危機に対して、一定程度統一したアプローチで、一定程度統一した組織で対応するべきではないかというような考え方なんですけれども、この日本版FEMAを設置するべきである、こういった考え方について、官房長官の御意見を最後に伺えればと思います。

菅国務大臣 危機管理の基本的な考え方というのは、委員のおっしゃるとおりだというふうに思います。やはり一元化して、スピード感を持って対応する、ここは私どもも常に気をつけているところであります。

 今のお話でありますけれども、例えば大規模な自然災害などが発生した場合は、内閣官房あるいは内閣府を中心に関係省庁が一体となって行っている。まず、現在においては、現在の制度の中で私たちは全力で取り組んでいる、これは当然のことだというふうに思って頑張っています。

 それと同時に、今御指摘のありました日本版FEMA、これについて、一元的に扱う組織でありますけれども、内閣府においてことしの八月に立ち上げました政府の危機管理組織のあり方に関する関係副大臣会合、ここにおきまして、現在の体制でどうなっているのか、この検証を今しっかりしてもらっています。

 それと同時に、御指摘がありましたように、主要国がどんな状況なのか、そうしたものを踏まえた中で、我が国の最適な危機管理体制、こういうものについての検討結果、一定の方向性というものを年度内ぐらいにつくっていきたいというふうに今思っています。

椎名委員 どうもありがとうございます。

 時間も来たので終わります。引き続き御検討いただければと思います。ありがとうございます。

井上委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党の松田学でございます。

 前回の質疑で、私ども次世代の党が重視をしています、日本の国家レベルでの基本路線といいますか、それについて若干の御質問をさせていただいたことを受けまして、菅官房長官に何問か御質問させていただければと思っています。

 その際に御答弁をされた中で、憲法改正については、安倍政権ということではなくて、自民党全体で、立党の精神であり、全議員がそういう精神を共有しているというふうに御答弁されたと思いますが、その憲法改正も含めて御質問したいと思います。

 まず最初に、最近ちょっと話題になっております、日本国憲法第九条あるいはそれを守ってきた日本国民がノーベル平和賞の候補に挙がっていたということについて、官房長官はどのように受けとめているか。一般論としてでも結構ですが、一般論として、ノーベル平和賞というのは、恐らく、世界平和へ貢献したものに与えられるものだと私は思いますが、そういった意味では、憲法九条が世界平和に貢献してきたものとして評価できる点があるのかどうかについて御見解を伺いたいと思います。

菅国務大臣 ノーベル賞の候補者というのは、これは非公開ということを言われています。ですから、政府としては、具体的に全く承知をしておりませんので、これについてはコメントすることは控えたい、こういうふうに思います。

 ただ、いずれにしろ、我が国が戦後一貫して、もう七十年近くなるわけでありますけれども、平和国家として国際社会の平和と繁栄のために尽くしてきた、このことについては多くの世界の国々から高い評価をいただいていることは事実だというふうに思っています。安倍総理も、国際協調主義に基づいて積極的平和外交、こうしたものを就任以来展開いたしておるところでありますし、これからも世界の平和と繁栄のために、私ども、全力で取り組んでいきたいというふうに思います。そして、こうした日本の行動によって、そこは評価されることだろうというふうに思います。

松田委員 私は、憲法九条がそもそもノーベル平和賞の対象になるとすれば、これは日本が侵略戦争をしないようにした条文ですから、それがないと日本は侵略戦争をする国民なんだということを言っているような、論理的に言うと。これは、今、菅長官がお答えになったように、日本が戦後追求してきた、日本民族が平和を愛する民族であり、世界の平和に貢献してきた民族であるということの前提が、違う前提を置いた議論になってしまうんじゃないか。

 逆に私は、九条がその受賞の対象になるというのは、もし受賞されるのであれば、日本が、九条がなければ戦争するような民族なんだ、危険な民族なんだと言っているに等しいような気がしまして、どうもおかしいな、この議論はと。こういうことを提起した方も、なぜそんな論理的におかしな、自分の国を卑下するような提起をしたのか、私は非常に理解に苦しむところがございます。

 むしろ、表彰されるとすれば、憲法前文がすばらしいことをうたっているわけですね。自国のことのみ専念して他国を無視してはならない、あるいは、平和の維持で努力している国際社会で日本も名誉ある地位を占めたいという理想もうたっているわけでありまして、私は、安倍総理が積極的平和主義ということをおっしゃっているのは、多分この前文の精神に即しているんじゃないかなという気がしているんです。

 憲法九条は、自分が加害者とならないための禁欲的自己規制、これは消極的平和主義ですけれども、憲法前文は、世界平和の貢献者となるための利他的自己犠牲、これが積極的平和主義だと。私は、この前文の精神に従って日本が積極的に平和貢献をすれば、いずれそれがノーベル平和賞の対象になるということは、菅長官が今御答弁されたような趣旨じゃないかというふうに整理すべきだと思っております。

 最近の集団的自衛権、集団安全保障をめぐる議論というのは、そもそも、一九九〇年、湾岸戦争のときに、日本があれだけお金を出しても、金だけ出して人を出さないといってクウェートから感謝されなかったというところが私は非常に大きなトラウマになっているんじゃないかな、出発点はどうもあの辺にあるんじゃないかなという気がしております。その流れの中で、安倍総理が、積極的平和主義ということが、私は何となく、ああいう戦争に参加することはこの新三要件でもあり得ないということは、菅長官、この間お答えになった。ただしかし、本当は、そういうこともそろそろ日本も考えなきゃいけないんじゃないかという問題提起が積極的平和主義というところの中に含まれているような気もしないでもないんです。

 そもそも、平和主義というのは、手段としての平和、つまり、平和を実現するために非暴力的手段によって平和を実現するというのと、目標としての平和というのは、これは、手段は場合によっては武力行使をすることがあっても、平和を実現する目標の方を大事にしているんだという考え方で、どうも国連というのは目標としての平和の方の立場に立っている。

 安倍総理も、昨年九月の国連総会で、積極的平和主義の立場から、国連の集団的安全保障措置により、より積極的に参加できるよう図ってまいるということだから、国連の考え方に協力していくという流れから見ると、どうも本音は、将来的には、この間否定をされた、イラク戦争や湾岸戦争に参加するようなことはないということは、今の憲法ではそうだと。しかし、これは、未来永劫そうだということをおっしゃっているのか、あるいは、場合によっては、こういった意味での積極的平和主義を可能とするような憲法改正のアジェンダの中に、こういうことも考えるということは想定されているのかについて、伺いたいと思います。

菅国務大臣 総理の積極的平和主義、また、新三要件を提示した、それの中で、イラク戦争や湾岸戦争に参加することはないというふうに私も申し上げております。

 先般の閣議決定は、我が国を取り巻く安全保障の環境がますます厳しさを増す中にあって、我が国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るため必要最小限度の自衛的措置、その武力行使を認めるものであります。そして、国際協調主義に基づく積極的平和主義のもとに、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献をするために、国内法を整備していこうということであります。

 自衛隊が、武力行使を目的として、かつての湾岸戦争やイラク戦争における、敵を撃破するために大規模な空爆やあるいは砲撃を加えたり、敵地に攻め入るような行為に参加することは、必要最小限度の自衛の措置の範囲を超えるもので、新三要件を満たすとは考えられずに、このような実力の行使は憲法上認められないということを申し上げておるところであります。

 さらに踏み込ませていただきますと、憲法改正の是非については、国民的な議論の深まりの中において判断されるものだろうというふうに考えております。一方、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、ありとあらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法整備、これを行うのが政府の役割だというふうに思っています。

 ですから、これは、現在は憲法九条の枠内の基本的な論理の中で行う必要があるというふうに思っておりますので、必ずしも憲法改正を行う必要はないというふうに基本的に考えているところであります。

松田委員 積極的平和主義というのは、どうも定義が曖昧といいますか、今までいろいろな総理等の答弁を見てもどうもはっきりしないんですが、お手元に配付いたしました岸田外務大臣の御答弁、これは割と具体的に書いてある御答弁でありまして、この中で、「国際社会の平和と安定のためのパートナーとの外交・安全保障協力の強化、」というのがございます。

 この積極的平和主義にも該当すると思いますが、私ども、先般、次世代の党の国会議員六名、私も行ってまいりましたが、フィリピンに行ってまいりまして、向こうの国会議員、下院議員の超党派の方々と、一つの合意、海洋における法の支配を推進するための協力に関する共同文書に署名をしてまいりました。

 要するに、中国を念頭に置いて、お互いに安全保障の協力を推し進めていこうということで、できればこれをほかのアジア周辺諸国、ベトナムとかそういった国にも拡大していきたいということを我々は考えているところであります。

 その際に、フィリピンのいろいろな方々にお会いしましたけれども、日本がこの東アジアの安全保障の上でもリーダーになってほしいとか、あるいは集団的自衛権の行使容認についても、何となく、公式には言いませんが、大歓迎というか、そういうようなことがひしひしと伝わってきて、日本に対する期待というのは予想以上に強いと非常に感じたところであります。

 また、そういった海洋国家と、いろいろ点を結んでいきますと、いろいろな意味で抑止力等の強化にもなるということでありますので、これは、いわゆる国益上非常に重要な、意義ある動きだと思っておりますけれども、これについて、官房長官として、こういった連携関係の構築の有する意義についての御認識と、こういった我々国会議員の国を越えた動きをどのように生かしていくかについて御答弁をいただければと思います。

菅国務大臣 我が国は海洋国家でありますから、航行、飛行の自由や安全の確保というのは極めて重要であるというふうに考えています。

 我が国としては、総理がよく申し上げておりますように、力でなく、法の支配に基づいて、開かれて、そして安定した海洋の維持発展のために、各国と緊密に連携をしながら、また協調をして主導的な役割を果たしていきたいというふうに思います。

 総理は、本年の五月でありますけれども、シンガポールのシャングリラ・ダイアログにおきまして、海における法の支配の三原則という講演をさせていただきました。国家は法に基づいて主張をなすべきである、主張を通すために力や威圧を用いないこと、さらに、紛争解決の平和的収拾を徹底すべきこと、こうしたことを訴えまして、各国から極めて高い評価をいただいたところであります。

 そしてまた、今、松田委員が言われましたけれども、次世代の党の国会議員の皆さんがフィリピンを訪問されて、フィリピンの国会議員の皆さんと海洋における法の支配の推進のための共同文書をまとめられた、このことは、今、総理が講演で述べましたけれども、そうした私たち政府の方針とまさに一致するものであるというふうに思っております。非常に皆さんの行動は有意義なものである、そして、高く評価を申し上げたいというふうに思います。

 こうした課題について、オール・ジャパンで、政府、与野党を問わずに必要なことについては対応していくというのは極めて大事なことであるというふうに考えています。

松田委員 どうもありがとうございます。

 それで、こういったフィリピンの方々にうちのある議員が会うたびに必ず、我々は憲法改正を考えているんだと言うと、大体皆さんは喜んでいたんですけれども、こうやって期待されている面もあるということ。

 この憲法改正、自民党も立党の精神であるということでございますが、今、与党がこれだけ安定多数でありますし、野党の中にも、我々のように、改憲勢力が結構多いというめったにない国会情勢だと思いますので、余り政局で解散するよりは、きちっと憲法の議論をして、次の国政選挙、総選挙は、憲法を問えるような、そういうやり方をした方が、安倍政権本来の目的といいますか行き方と合致するんじゃないかと思いますが、その憲法改正に向けた段取りというのをどんなふうに想定されているか、お伺いしたいと思います。

菅国務大臣 さきの国会において、国民投票法が改正をされました。そして、十八歳以上の若者の投票参加への道が開かれたところであります。これは、憲法について、未来を担う若者を含めて、国民的議論を深める上で一歩大きな前進だというふうに私どもは考えております。

 今後、憲法改正については、国民の中の議論、これがさらに深まっていくということが何よりも大切だというふうに思っております。その議論の深まりだとかあるいは憲法審査会の検討を踏まえた中で、改正の方向性というのがここは出てくるんだろうというふうに考えています。

松田委員 衆参両院の三分の二以上という厳しい要件がありますので、このチャンスを生かした方がよろしいのではないかということを申し上げます。

 次は、ちょっと話題はかわりますが、従軍慰安婦に関する河野官房長官の談話についてです。

 お手元の資料の一枚目の真ん中に河野談話からの引用がございますが、この「慰安婦の募集については、」「甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」という文章だけを読みますと、これは強制連行ではないかというふうに解釈できないわけでもないような文章なんです。もちろん、この談話には強制連行という言葉そのものはないんですけれども。

 一方で、政府は、強制連行を示す資料はないというのが政府の立場だということであります。

 一方で、先日の参議院の内閣委員会の菅官房長官の答弁を一番下に引用してありますが、日本政府がこの河野談話の検証をして、日本政府がいわゆる強制連行を確認できないとの認識に立って、事実関係をゆがめることのない範囲でぎりぎりすり合わせが行われた文書である、だから、河野談話を継承し、見直すことはないと。

 これが、非常にわかりにくいといいますか、非常に不明確なので、ちょっと論理的な整理が私もよくわからないのでお聞きしたいんですが、菅長官は、河野氏の当時の発言、これは、強制連行という事実があったという発言に対して、大きな問題であるという発言をされておられます。これは、確認できない事実があるのに、そういう事実があると言ったことは大きな問題だというふうにおっしゃったというふうに伺っていますけれども、確認できない事実があるのに、この河野談話には、そうとられかねない文章があるということも大きな問題ではないかと。だとすれば、論理的に言うと同じことではないかという気がいたします。

 ですから、これは、見直さないのであれば、河野談話というのは強制連行を認めたものではないんだということを明確に言うか、あるいは見直すか、どっちかじゃないかと思うんですが、菅官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 ここについては、まずこの慰安婦問題について第一次安倍政権で閣議決定をされた中に、これまでに政府が発見した資料の中には、軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見当たらなかった、ここについては、第一次安倍政権で閣議決定をいたしております。

 さらに、この河野談話について国会でさまざま議論があって、次世代の党の山田議員から、当時の事務方の最高責任者である石原官房副長官を証人として招致したい、そういうことで、予算委員会で石原さんが証人として出てまいりました。そこで、石原さんが発言したのが、この談話というのは両国間ですり合わせをした可能性がある、そして、ようやくこのことによって日韓両国がお互いに未来志向になったのに、また年月がたってこんな状況になっていることは極めて残念だという発言があって、それに基づいて検証すべきだと。

 そこを受けて、政府として、有識者の皆さんに検証をしていただきました。そこで明らかになったのが、やはり河野談話というのは、当時、日韓両政府が、この慰安婦問題に区切りをつけて、未来志向の関係を築くことを意図する中で、両国の間で、まさにすり合わせをし、つくられたものであったということが、これは明らかになったんですね。それと同時に、韓国政府の文言調整においては、韓国側は強制だとずっと主張していたと。

 しかし、日本は、強制連行というのは確認できないというその認識に立って、事実関係をゆがめない中でぎりぎりのすり合わせが行われて、このような文書になってきたわけであります。そういう未来志向のために、お互いが、まさに努力をして努力をしてできた文書である、ですから、政府としては、河野談話を継承し、見直しはしない、こういうふうに申し上げているところであります。

 一方、この河野談話を発表するときの河野官房長官の記者会見で、強制連行の事実があったという認識なのかと問われたときに、そういう事実があった、結構ですと、当時官房長官が記者会見で認めた。ここは大きな問題だということを私どもは今申し上げているところなんです。

 そして、この河野談話は、強制連行を確認できないという中でつくられたにもかかわらず、その後、今言われた官房長官の記者会見の発言、さらにまた、当時朝日新聞が報じていた吉田清治氏の証言によって、あたかも強制連行があったかのような事実に反する認識が韓国を初め国際社会に広まっていること、ここが極めて問題だというふうに思っています。ですから、私は、先日の答弁でこうした問題を申し上げたところであります。

 ですから、こうしたことを政府として、こうした強制連行を示す資料はなかったということ、あるいは慰安婦の総数を示す資料、それを推定される資料はないという客観的事実に基づいて正しい歴史認識が構成されるように、日本の名誉、信頼回復を図るべく、それぞれの国に対してしっかりと今広報活動を行っていっているというところであります。

松田委員 その努力が実るためにも、今既に海外でも日本人の子供がいじめに遭っているという実害が発生していますので、河野談話が強制連行を認めたものではないということをもっと明確に発信した方が私はいいと思います。それはぜひそうしていただければと思います。

 時間がちょっとなくなりましたので、もう少し聞きたいことがあったんですが、それを飛ばしまして、せっかく有村大臣がお越しなので、ちょっと別の質問に移らせていただきます。

 国立公文書館の問題なんですけれども、私は、この河野談話の話も含めて、自国の歴史や文化や伝統というのは、やはり日本人みずからがよく知る必要がありますし、海外に発信していく上で、どうも日本の国立公文書館というのは、これだけの長い歴史と独立性というか継続性を持った日本のものにしては、余りにも、歴史的文書の保存という面では非常にきちっとしていないといいますか、政府の公式文書だけじゃなくて、古代史まで含めたいろいろな資料をきちっとシステマチックに保存、展示するような仕組みをもっと整えるべきであろうと。

 私も、昨年、内閣委員会の出張でエストニア共和国の公文書館を訪れたんですが、この国は、小国ながら、公文書館を国家の基盤というふうに位置づけておりまして、いろいろな各政府機関の公文書は、全て公文書館の判断で保存するかどうかを決定して、体系的に保管、閲覧に供して、徹底的にアーカイブ化も進めている。国民誰もが無料でグーグルでアクセスできるようなことを目指している。

 人口がエストニア共和国はたった百三十万人で、日本は百倍の人口がいるんですが、お手元の資料を見ていただいても、エストニアの数字はここに出ていませんが、エストニアは職員数が二百二十人、日本は四十七人。もちろん、アメリカやイギリスなんかと比べても、余りにも人数が少ない。

 今、我々次世代の党でも、中山恭子参議院議員を中心に、座長になってPTをつくりまして、こういった公文書館の整備をすることを強く要望しているところでありますけれども、単に箱物をつくるだけでなくて、システムとしてもう少しきちっとしたものを確立すべきだと思いますが、有村大臣の御見解あるいは方針についてお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 委員御指摘のとおり、公文書管理というのは、過去、現在、未来をつなぐ、国の歴史や民主主義のインフラであると考えております。その充実は将来世代への責任であることを踏まえて、政府としても、重要な歴史公文書を保存し、展示等を通じて国民に広く利用していただくことは、大変重要な課題というふうに認識をしております。

 その中で、国立公文書館の機能、施設のあり方について、本年五月から調査検討会議において議論が行われております。御案内のように、本年八月に中間提言が取りまとめられました。今年度末をめどに、これからも提言が積極的になされるように進めていきたいというふうに思っております。

 その中の提言においても、委員が御指摘のように、展示や学習する機能の重要性ということ、そして、国の歴史の象徴にふさわしい様態であることということも、当然これからも深掘りをしていきたいというふうに考えております。

松田委員 ありがとうございました。

 情報をIT時代にきちっとシステマチックに管理運営していくというのは、非常に国家の基盤として重要なことだと思っております。

 その意味で、時間があればマイナンバー制度のことについても伺おうと思ったんですが、向井審議官、お越しいただいていますけれども、彼がしっかり頑張ってくれていると思いますが、応援する質問をしようと思っておりましたが、ちょっと時間がございませんので、これは次回に回させていただきます。ありがとうございました。

 以上です。

井上委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、二十分間、前回に引き続いて、主にサイバーセキュリティーというようなことを中心に取り上げさせていただきたいというふうに考えておりますが、一点、きょう、重大なことを知りまして、これは通告はないんですけれども、前回の木下委員の質疑にけんかを売るわけではないんですけれども、その点に関して山口大臣の御認識をちょっと伺いたいところがございます。

 何かといいますと、前回の木下委員の質疑の中で、東京オタクモードさんがクールジャパン機構の出資を受けますというような話があって、でも、その中で、アニメとか美少女とかのフィギュア、こんなものが取り扱われているんですよというような質疑をやって、そのときにいらっしゃった女性閣僚の皆さん、山谷大臣とか松島前大臣もいらっしゃいました。そういったときに、眉をひそめられて、これはちょっとというふうになって、どうなったかというと、実は今、そのサイトからそういったものは全部なくなっているんですよ。

 別に僕自身がこれを大騒ぎしたいわけでもなくて、木下委員が今後そういったことも考えられているということなので、あらかじめ僕も問題提起したいというふうに思っているんです。

 こういういわゆる日本のオタク文化といいますか、いわゆるクールジャパンの中身の問題について、例えば政府がお金を出すなりなんなりということによって今までのビジネスのあり方に制約を課すということがあってよいのか。そういうビジネスの中身、よく、政府が文化にお金を出したらその文化なりなんなりがつまらないものになるというように言われていますけれども、まさにそういう典型になっているんじゃないかというふうに思っているんです。

 その点について、大臣、これは通告はありませんけれども、クールジャパン担当大臣としてぜひお答えいただきたいと思います。

山口国務大臣 お答えをいたします。

 基本的には、私も今のお話と相通ずる部分が多々ございます。

 この間、私にお聞きになる前に女性議員の閣僚に答弁をいただいたということで若干そういう流れになったのかなと思いますが、あのときに御答弁申し上げましたように、私もすぐに調べました。機構の話も聞きました。やはりネットでも、ごくごく一部というか、しかもずっとある中で、例えばこの間の写真を私も拝見したんですが、ゲームの一部のものだったりするわけですね。機構の方も、全く問題ありませんというふうなお話でございました。

 今御指摘いただきましたように、文化というのは、やはりある意味でわい雑な部分もあるわけですね。そこら辺が相まって文化なんだろうと思いますので、極力そこら辺は、私も、政府が介入するなんてとんでもない話だと思っております。ただ、税金をお渡ししてやってくださいという事業なものですから、やはりその過程においては慎重であるべきと思いますが、先生の御指摘のとおりだと思います。

三谷委員 すばらしい答弁をいただきまして、ありがとうございます。

 私も、海外でアニメですとか漫画ですとか、それを具体的にはアメリカで売る仕事の手伝いをしていたものですから、現地で売るのが、マネタイズするというのがいかに難しいかということは理解をしているつもりです。その中でビジネスの幅を政府が関与することによって狭めてしまうということになったら、逆にこれは角を矯めて牛を殺すことになりかねませんので、そこら辺については御配慮いただきたいと思いますし、そういった御答弁がいただけたというふうに理解をしております。ありがとうございます。

 それでは、内容に移らせていただきます。

 まず、サイバーセキュリティーに関してなんですが、先日、日中韓での協議というものが行われたということが報道されておりました。

 この点について、この日中韓での協議というものが何を獲得目標として開かれたのか、そして、そこで具体的にどういったことが成果として得られたのかということについてお答えいただきたいと思います。

城内副大臣 お答えいたします。

 今週火曜日、二十一日に、北京におきまして日中韓サイバー協議が開催されたところであります。我が方からサイバー政策担当大使の河野章外務省総合外交政策局審議官、そして韓国からは崔盛周外交部国際安全保障大使、また中国からは傳聡外交部サイバー事務調整官が出席いたしました。

 今回のサイバー協議におきましては、最近のサイバー環境やサイバー分野における各国の施策や戦略等について協議が行われました。また、国連サイバー政府専門家会合、ASEAN地域フォーラム等の国際的なプロセスにおけるサイバーに関する取り組みについて意見交換が行われました。

 また、日中韓協力につきましては、今後進めていくべき協力について議論を行うことを通じ、各国の基本的な考えを共有するとともに、具体的な協力案件を探求していくことで一致したところであります。さらに、今後の対話継続を念頭に、サイバー政策に関するやりとりを外交当局間で続けていくことが確認されました。

 いずれにしましても、こうした日中韓の議論を通じまして各国間の信頼醸成を図ることは、安定したサイバー空間を構築する上で有益であったと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 もちろん、日中韓と場所的にも近接している国がいろいろな協議をするということはよろしいかと思いますが、サイバーの世界ですから、インターネット上の世界ですから、場所的な近接性というのは正直余り大きな問題ではない。それだけ大きな案件があり得る関係なんだというふうなことを認識されているんだろうというふうに思っております。

 この点、一点だけ事実関係を確認させていただきたいんですけれども、二〇一一年の七月です。私が当選する前のことでございますけれども、全衆議院議員のメールサーバーのパスワードというものが漏えいをしたということで、一定期間、衆議院議員の授受されているメールが、そのサーバーに残っているメールが、全て他国から、誰でも見られるような状況になってきたというようなことでございますけれども、この状況をつくったといいますか、そういうメールのパスワードの漏えいというものは、どこからアクセスが来て、どこから攻撃が来て、どこに情報が行ったか、その辺の、どこから来てどこから出ていったかというようなことを追跡されていると思いますけれども、現時点でわかることについてお答えをいただきたいと思います。

佐々木参事 お答えいたします。

 二〇一一年、平成二十三年の事案と申しますのは、いわゆる標的型メール攻撃と言われるもので、ウイルスを仕込まれたメールを受領し、その添付ファイルを開いたことによりまして感染したというものでございます。この感染を発端にして、衆議院議員のパスワード等のデータが漏えいした可能性がございます。

 その攻撃メールの発信元については、実はわかっておりません。ただ、被害に遭った端末が不正に通信を行おうとした先が海外のサーバーであること、具体的には、中国とシンガポールのサーバーであったことがわかっております。

 以上でございます。

三谷委員 ここで中国という名前が出てきたからといって、直ちに中国がやったんだと言うつもりはもちろんありませんけれども、しかしながら、こういった情報もあります。

 サイバー攻撃というものが多数毎年行われているわけですけれども、警察がインターネット上に設けているいろいろなセンサーというのがあるんですね。そういったものに対して探索行為をしてくるのに、どこから探索をしてくるんだというような情報、これを調べますと、その大半、多くが中国から来ているというような情報もあります。

 実際のサイバー攻撃というのはいろいろな踏み台を経て来ますから、一義的には、中国から直接に来る、接続先に指定されるということは余りないようではございますけれども、しかしながら、探索するもとというものはそこの中国から来ているんじゃないかというような一定の類推も成り立つわけでございます。

 もちろん、これはいろいろな安全保障上の問題もありますし、いろいろな仮想敵国というふうに言われる国としっかり対話をするということは大事だということは理解をしておりますけれども、ぜひとも、そこの目的、中国とやりとりをするということで、手のうちをさらけ出すようなことにならないようにしていただきたいというふうに思います。

 そこら辺についての、今後の日中韓のサイバーセキュリティーについての協議の中で、留意点、こういったことに留意していきたいということをぜひともお答えいただきたいと思います。

城内副大臣 今御指摘の点はまた非常に重要なことだと思いますが、いずれにしても、今回の日中韓協議でそういうことも含めてどういうやりとりがあったかということは、事柄の性質上、ちょっとここで申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、今回のこの火曜日に行われました北京の協議は、国際的な規範、地域及び国際的なプロセス、サイバー政策に関する日中韓協力の将来の方向性などについて意見を交わすことが主たる目的であったわけであります。

 今後、いろいろなトラブルが、仮に具体的なトラブルが生じた場合は、その具体的な態様にもよりますけれども、必要に応じて、外交当局間でしっかりと、場合によっては情報交換、あるいはいろいろな形で具体的なアクションをとるということが、こういう対話があるわけですから、期待されるところであります。

三谷委員 ありがとうございます。

 隣にある大国というものとどうつき合っていくかというのは非常に難しい問題でございます。

 このサイバーセキュリティーも一つの問題だと思いますし、もう一つ、これは、今そこにある危機といいますか、こういった事態が実際行われているんじゃないかということに関して言いますと、いわゆる技術漏えいというものについても、今まで以上にしっかりと目を光らせていかなければならないのではないかというふうに考えております。

 私のところにも、中国のそういったところに取引を邪魔されたというふうに言うと、また平たい言い方に過ぎるかもしれませんけれども、そういった方々からの御相談なりなんなりがありまして、いろいろ聞いてみると、確かに、さまざまな形で日本の科学技術というものにアクセスしてこようとしているんだなというような実態というものがわかりつつあります。先日、産経新聞でもそういったことが記事にされておりましたので、ちょっとそこも踏まえて質問させていただきたいと思います。

 情報通信研究機構というものが、中国の科学院、SIMITというところと契約をして、そのSIMITと一緒に共同開発していこうというようなそういった覚書を締結している。それから、理研、有名なあの理研ですけれども、それとあとSIOM、これも中国科学院の一つの組織ですけれども、そことさまざまな共同開発をしていくというような話でございます。

 まず、この理研とSIOMとの間の契約、これは具体的に、日本側のメリット、どういったことを目的として、理研と中国科学院と共同開発をしていこうというような覚書を締結されているのかということについてお答えいただきたいと思います。

山脇政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の理研におきましては、光科学研究の一層の発展のために、中国科学院の上海光学精密機械研究所、先生御指摘のSIOMとの協力を進めるために、平成二十五年九月に覚書を締結しております。

 この覚書では、研究活動としての情報交換の実施とか、人的交流の実施などが規定されておりますが、まだ具体的な連携研究は行われておりませんけれども、理研では、微細な精密加工技術に適した低出力のレーザー技術に関する基礎研究を行うことを想定しております。

 そのSIOMとの連携によりまして、理研が所有していない研究機器を活用した研究ができるということがメリットであろうというふうに聞いております。

三谷委員 今、最後のところ、理研が持っていない研究機器を使ってそれを研究開発できるというふうな話がありました。具体的にはどういう研究機器のことを想定されているんでしょうか。

山脇政府参考人 微細な精密加工技術のレーザー技術ということですが、具体的には、低エネルギーレーザー発振装置など、理研が有していない機器について、SIOM側が有しているものと相乗効果を狙った基礎研究、共同研究、連携研究をしていきたいということがあるというふうに聞いております。

三谷委員 その低出力云々かんぬんというところでございますけれども、このSIOMというところが、中国の中では人民解放軍とある程度つながっている、レーザー兵器技術開発というものも一部で手がけているというような組織であるという認識はございますか。

山脇政府参考人 私ども、この中国科学院のSIOMという機関は、光科学研究という分野におきまして高い研究実績を有する研究所であるというふうに承知をしております。その他の先生御指摘の情報については、私ども詳細は認知しておりませんが、合意に基づきまして、技術漏えいなどに対処した形で協力を進めるということが前提で進めております。

三谷委員 そこが、そういう軍事転用はしないということをちゃんと約束を守ってくれるということがもちろん大前提でこの共同開発なりは進めているというふうに思っておりますけれども、しかしながら、果たして約束は守られるのかどうかということもしっかり考えていかなければいけないんじゃないかというふうに思います。

 そもそも、先ほどの、低出力装置ですか、そういったものを持っているというところが、このSIOMですか、それを持っているということでしたけれども、ほかの、例えばアメリカですとかヨーロッパですとか、そういった同じ自由主義諸国といいますか、そういったところにそういったものを持っているところはなかったんですか。

山脇政府参考人 今、情報が手元にございませんので、その詳細、お答えをこの場で申し上げられませんが、理化学研究所におきましては、欧米諸国、先進諸国との研究協力もしながら、最適な国際協力を進めていくことが基本方針というふうに考えております。

三谷委員 この内容について確認をしたところ、これは実際、改めて確認をしていただきたいんですけれども、ほかにそういった機器を持っているところはあるかもしれない、しかしながら、何でこのSIOMと覚書を締結するなりしてこういう開発を進めるということに至ったかというと、その担当する博士の方なりの、ちょっとその具体的な立場はわかりませんけれども、中国のこのSIOMがそういう機器を持っているからそことやろうとしたというふうに聞いているんですけれども、それでよろしいですか。

山脇政府参考人 先ほどのお答えいたしましたところでございますが、低エネルギーレーザー発振器など、理化学研究所が有していない研究機器あるいは研究の実績などを踏まえて、そことの連携をすることによる研究の進展を望んでいるというふうに聞いております。

三谷委員 そうなんですけれども、しかしながら、しっかりと、本来的には、こういう技術開発なりなんなりというのは、そこで生じた、どのような成果物があるかというのはわかりませんけれども、それを軍事転用される危険性があるということは十分に理解をした上で、例えばアメリカですと、DARPAという組織がありまして、そこでは、荒唐無稽なさまざまなアイデアを何とか形にしていこうというような形で莫大な予算が投じられている。それはアメリカの中で行われていることです。

 日本でも、そういった観点からさまざまな研究開発というものを、その実現可能性というのはさておいて、それを何とか実現していこうというような動きが最近は起きているんですが、海外とこういう研究を共同して行うということには、それが軍事転用された場合にどのような影響があるか、これは十分考えていかなければいけない。そういったときに、共同して研究を行っていく、それが場合によっては軍事転用される可能性も否定できないわけですから、そういったものをやる場合に、中国というものと進めていくということが果たして適切なのかどうか。

 この点について、何らかの縛りがあるのかどうか。それは、IT担当といいますか、そういう情報通信等々も担当されておりますし、サイバーセキュリティ法案の所轄でもございます、科学技術全般についても所轄をされております山口大臣、この点について、別に各研究機関が好き勝手に、自分がたまたまそういう関係があるからそことやっていきますというようなことで全くよいのかどうかということについてお答えいただきたいと思います。

山口国務大臣 委員からは、先般、官房長官に対してファーウェイのお話等もございまして、セキュリティーに関しては大変御関心が高いというふうに思っておりますが、確かに、今のお話のとおりで、非常に難しい面もあろうかと思います。

 私どもとしては、御案内のとおり、科学技術協定を実は締結していますが、これも、もう既に四十七の国、地域と三十二の協定を締結して、基本的に、多面的な国際協調及び協力を推進しておるということで、具体的に、主として、先進国との間では、相互の強みを生かして双方にとって利益をもたらす協力、あるいは、新興国、開発途上国との間では、人材養成等も視野に入れた科学技術協力を推進しておるというふうなことであります。

 ただ、お話しのとおり、これが一方的な技術流出等にならないように、あるいは、軍事転用云々というふうな背景も留意をしながら、これは国際標準化戦略も実はございますし、そういった知的財産戦略にも配慮した上で、慎重にやっていきたいと思っております。

三谷委員 もう時間もなくなりました。何も、排外的なことを言うつもりはありません。日本の安全保障の観点からも、日本が有する科学技術の漏えいというものは、これはしっかりと妨げていただきたい、それから、そういったものが漏えいした場合に軍事転用されるときの危険性というものを認識して、あらかじめ対処をしていただきたいということを改めて申し上げさせていただきまして、私の質問を終わりとします。

 ありがとうございました。

井上委員長 午後零時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時二十分開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。井出庸生君。

井出委員 維新の党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いいたします。

 きょうは、特定秘密保護法のことについて、官房長官と法務大臣に質問をさせていただきます。

 いよいよ十二月十日から法律が始まる。十月十四日の閣議決定がありました。運用基準というものができ上がった。しかし、私は、特定秘密、法務大臣がその担当大臣となるということについて、まず疑問を持っている。それは、かつて、森少子化担当大臣がこの担当になったときもそういう議論を、ほかの先生、ほかの声としてあったかと思うんですが、森大臣に関して言えば、ずっと議論をされていく中でこの法律にかなり精通された。しかし、この法律の準備が詰まってくるにもかかわらず、その任から外れて、今度は法務大臣ということになっております。

 私は、これだけ国民の関心が高い法律であり、また、この法律の性質、国家の安全保障にかかわる重要な秘密を扱っていくという意味において、特定秘密保護法の御担当というのは、その大臣を置くというのであれば、やはりその責任者というものはまず官房長官にやっていただきたいと思うのですが、官房長官、いかがでしょうか。

菅国務大臣 委員御承知のとおり、任命権者は総理大臣でありますから、内閣総理大臣が判断の上で、上川大臣に対して、特定秘密の保護に関する制度に関する事務を担当するようにという指示をされたんだろうというふうに思います。

井出委員 総理からの御指示という話なんですが、特定秘密の担当を法務大臣に置くということに、官房長官は、これから特定秘密の運用に当たって、法務大臣がやることが何かメリット、プラスがあるとお考えになっているかどうか、伺いたいと思います。

菅国務大臣 この件につきましても、総理大臣が総理の判断で、これは任命権者は総理大臣ですから、総理は、上川法務大臣がこの担当をするということに対して最良だという判断を下されたんだろうというふうに私は思っています。

井出委員 もう一点、重ねてその判断について伺いたいんです。

 上川大臣個人の資質を総理は買われたのか、それとも法務大臣というそのお立場を買われたのか、どちらと官房長官はお考えですか。

菅国務大臣 いずれにしろ、任命権者たる総理大臣が、さまざまな状況というものを総合的に判断されて、上川法務大臣を任命されたんだろうというふうに考えます。

井出委員 上川大臣にも伺いたいのですが、今、総理からの任命で特定秘密を担当されると。

 上川さん御自身は、総理がどういう思いでこの法律の担当を上川大臣に託されたと受けとめられていらっしゃいますか。

上川国務大臣 今回の任命におきまして、内閣総理大臣から、特定秘密の保護に関する制度に関する事務を担当するよう、国務大臣として当該事務を担当するということで指示を受けたところでございます。

 そういう意味で、安倍内閣の一員として、与えられた責務をしっかりと全うしてまいりたいというふうに思っております。

井出委員 今、国務大臣としてというお言葉がありまして、この十月の十四日に閣議決定があって、そのときは松島前大臣が御担当だったのですが、ああいう形になられた。引き続き法務大臣がその任をということで、私は、松島前大臣、上川大臣をその担当にしたということは、やはり法務行政の責任者という部分も総理の頭の中にあるのかなと思っているんです。

 ただ、私は、この法律というものと法務省というものが一体どれだけ関係があるのかと。この特定秘密保護法の対象となる情報、法律の別表を見れば、それは明らかに、防衛であったり、外交であったり、特定有害、テロリズムということで、私はそちらの部分は警察かと思いますし、何よりも法務大臣はNSCの四大臣会合に入っていないかと思うのですが、そういうこの法律の性質から考えても、やはりその担当というものは、法務大臣ではなくて官房長官であっていただきたいと思います。

 伺いたいのですが、上川大臣は、一体、特定秘密保護法について、具体的にどういうことをやっていく任務にあるのか、それをまず官房長官から伺いたいと思います。

菅国務大臣 いずれにしろ、十二月十日の施行が決まっていますから、そうした施行に向けての準備をまず行っていく、そうしたことだろうというふうに思います。

井出委員 そうしますと、十二月十日の法施行になれば、また任務の変更というものがあり得るということですか。

菅国務大臣 いずれにしろ、任命権者は総理大臣ですから、総理が上川法務大臣をまず任命したわけでありますから、総理大臣が適切に判断をしていくということが全てだろうと思います。

井出委員 当面は十二月十日に向けた準備ということが法務大臣の任務になってくるかと思いますが、法務省は法務省で、特定秘密を指定する十九の行政の長に入っております。法務省の所管、管轄で、特定秘密、こういうものがなり得るんじゃないか、そういう御自身の準備状況、頭で思い描いているようなことが今あれば、上川大臣に伺いたいと思います。

上川国務大臣 先生の先ほどの御質問の中で、私は国務大臣として任命を受けたというふうに理解をしております。そこのところだけ、御理解いただきたいというふうに思っております。

 法務省としてということでございますけれども、法務省につきましては、平成二十六年六月時点で特別管理秘密として指定している事項がございます。特定秘密の指定を行う見込みがあるということでございますので、指定を行う行政機関として法務省が位置づけられているというふうに思っております。

井出委員 その担当、責任者に誰がふさわしいかというところをいろいろ伺っているんですが、これだけ国民的な関心の高い事案、運用基準に当たっても二万八千件の意見があった、そういうことも承知しております。

 準備の最終段階と、そして最初の滑り出しというものは非常に重要ですし、それは、この法案審議が始まったときからそれにかかわっていた方にやっていただきたい。そうなれば、やはり官房長官しかいないと私は思うんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 任命権者は総理大臣でありますから、総理が任命をされたわけでありますし、総理大臣は官房長官も経験されておりましたので、そういう中で、全体を考えた中で、適材適所という形で上川大臣を担当という形にしたんだろうと思います。

井出委員 きょう、お二人に答弁を求めているのは、この法律の最後の準備状況、また、滑り出しの後どういう体制になるのかわかりませんが、現段階では法務大臣がその担当の任にありますけれども、私は、やはり何か実質的な問題については官房長官の御見識というものがこの法律にとって非常に肝だと思って、そこで来ていただいておりますし、また、今後もそういう思いでいていただきたいと思います。

 一つだけ各論の話をお伺いしたいのですが、特定秘密というものは、別表の該当性、そして非公知性、公になっていない、そしてもう一つが特段に秘匿する必要性、その三要件だと。それは、先ほど上川大臣も法務委員会でお話しされたのを私は聞いておりました。

 私は、その非公知性の部分というものは非常に問題意識を持っております。

 かつて、私も何度か質問しましたが、西山事件がありました。西山事件というものは、西山元記者がいろいろ取材をされて、まず国会で取り上げられた問題、それを何年かたって、アメリカの公文書、また西山さんの主張に沿った証言も、実際、当時の政府関係者からも出てきた。そうやって、幾らでも、その密約というものがもはや明らかな事実であるということを認める段階が何回でもあったにもかかわらず、日本政府はずっとそのことについて言及をしなかった、黙ってきたということがあります。

 私は、今回の特定秘密保護法が始まったからには、こうした密約のような問題があったときに、非公知性というものがわざわざ三要件の中に入っているのであれば、必ず、そういった過去の密約のようなことを繰り返してはいけないと思っております。その件について、まず上川大臣にその御見解をいただきたいと思います。

上川国務大臣 委員御指摘の運用基準のところでございます三要件ということで、その中の一つとして、非公知性の原則ということで御指摘がございました。

 特定秘密に指定された情報と同一性を有する情報が報道機関や外国の政府その他の者により公表されていると認定する場合につきましては、たとえ我が国の政府により公表されていなくても、公になっていないとの要件、つまり、非公知性を満たさないという判断でございます。

 この特定秘密と同一性を有するかどうかの判断につきましては、個別具体的な状況を踏まえつつ、特定秘密の指定をした行政機関の長が行うことになるということでございます。これが運用基準、基本でございます。その運用基準に従って対応していくということでございます。

井出委員 官房長官に伺いたいのですが、西山事件、密約に関して言えば、政府はそのことに長年言及をしてこなかった。その政府のかたくなな姿勢を見て、政府にも立場があるだろうな、そう受けとめた人もいたのではないか。私もそういう思いで見ていた時期もあります。

 しかし、この法律ができれば、非公知性が失われたらそういうものは秘密を解除する。そうすれば、西山事件に照らして言えば、いや、これは過去にそういうことがありました、でも、そのときの外交状況でそういう判断だったんですということは政府としても説明しやすくなるんじゃないかと思いますし、ぜひそういう運用をやっていただきたい。実質責任者にコメントをいただきたいんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 上川担当大臣が、そうしたことも含めてしっかりとした方針を示してくれるだろうと思います。

井出委員 指定を解除する、しないというのは行政の長の判断かなと思うんですが、やはり特定秘密は、先ほども申しましたが、その秘密の中身は、外交に関するもの、防衛に関するもの、特定有害活動、テロリズムの防止。ただ、特定秘密の指定の解除というものは、行政の長の判断もまずしかりですが、それは、政府として、内閣として、情報共有ですとか、そういうことも必要かと思うんです。

 そのときに、仮に、十二月十日以降、法務大臣が特定秘密の担当だ、そうしたときに、外務大臣から、防衛大臣から、秘密の指定を解除すべきかどうか、そういう話があったときに、したい、したくないという、それぞれ行政の長としての意見はあるかと思うんですが、その最終的な政府の判断といいますか、それをよしとする、しないというところの政府の判断というものは、私はやはり、法務大臣、法務行政の長ではなくて、官房長官だと思うんですよ。いかがでしょうか。

菅国務大臣 そこはやはり担当大臣の判断ということになるというふうに考えます。

井出委員 上川大臣の御見識、また、こうやって急な中、法務大臣になられて、きょう、先ほど法務委員会の質問も聞かせていただきましたけれども、本当に一生懸命取り組んでいただいていると思いますし、そういうスタンスでこの特定秘密のこともやっていただけると思うんですが、この特定秘密という法律は、やはり法務大臣という一行政のトップが最高責任者であるには、ちょっといかがなものか。

 もちろん、この内閣委員会ですとか、特別委員会をつくってずっと法案の議論もしてきましたし、何よりもやはり国民の関心が高いわけですね。もちろん、世論もあった、我々国会の議論もありました。与党の中でも、自民党の総務会でもいろいろな御意見があったという報道も聞いております。

 ですから、この滑り出しというものはぜひ、ずっとこの間の議論を見守ってこられた官房長官にやっていただきたい。それをぜひ総理にみずから手を挙げて言っていただきたいんですが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 うれしくもあり、うれしくなくもありというんでしょうか。

 いずれにしろ、先ほど申し上げましたけれども、総理御自身、官房長官を経験していますから、官房長官の仕事というものも十分総理は理解をしているわけであります。そういう中で、やはり適材適所という形で上川大臣を総理は任命されたんだろうというふうに思います。

井出委員 この問題に限らないんですが、それぞれ御担当の大臣を総理が任命するので、総理の任命責任というものが出てくるようなことだと思うんですが、私は、官房長官にやっていただいた方が、任命責任と実務の責任と、それが一つになって、この法律の運用というものが責任を持って図られると思いますので、ぜひみずからお手を挙げていただいて、私もまたほかのところでいろいろ発言をしてまいりたいと思います。

 この法律は非常に関心を持っておりますので、引き続きよろしくお願いします。

 時間になりました。終わります。

井上委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 まず、特定秘密の関係、今回、運用基準が出た関係を踏まえて質問させていただきたいと思います。

 この特定秘密の指定の要件、これは判断基準は三つあるわけですが、実は、この要件というのがなかなか具体化されていないという思いを持っております。つまり、本来、この要件を定めるためには、判断の合理化、客観化のための方策が基準案で相当程度基準化されていなければいけないんだろうと思います。例えば、何々をしてはいかぬよという話をしても、そこの構成要件がなきゃいかぬ。

 そういう中で、まず、これは端的に言うと、別表該当性の中で、非公知性、特段の秘匿の必要性ということですから、別表の該当性という例示があるだけにすぎないという問題意識を私は持っていまして、別表の該当性というのは、項目がずらずら書いてありますけれども、これは別に、この範囲内で決めるということで、何ら基準たり得ないと私は思うんです、例示を書くだけでは。

 そういう意味では、ここは非常に抽象的というか、例示だけであって、特段の解釈指針、判断基準というのをここにもっと書かなきゃいけなかったのかなと思うんですが、ちょっと曖昧だと思うんですが、そこの問題意識、いかがお考えでしょうか。

上川国務大臣 ただいま、別表の項目につきまして、例示にとどまっているのではないかという御指摘がございました。

 特定秘密保護法におきまして、特定秘密に指定できる情報につきましては、三要件ということで、一点目は別表該当性、さらに非公知性、そして特段の秘匿の必要性ということでございます。

 この三要件のうち、別表該当性につきましては、法律の別表には四分野二十三項目が法定されているわけでございますが、運用基準におきましては、これをさらに五十五の事項に限定、細分化しているということでありまして、何が特定秘密とされるかを可能な限り具体的に示したところでございます。

 この五十五の事項の細目は、例示ではなくて、別表該当性の判断はこの事項の細目に該当するか否かにより行うということにつきまして、運用基準でも明記しているというところでございます。その意味では、指定基準がより明確になったものというふうに考えております。

畑委員 というのは、これは、限定されたとしても、では、この事例の中で何なんですかという要件がわからないわけですよ。これだと構成要件としては全く失格だと思います。もちろん、この中で、非公知性、特段の秘匿の必要性はあるけれども、外枠は限定はされているけれども、この中の何なんですか、そこの解釈指針、基準を書きなさいと私は言っているわけです。

 それがないのはなぜでしょうか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 特定秘密保護法の制定の過程におきまして、別表の四事項二十三項目というものが必ずしも明確ではないという御議論がございました。その中におきまして、その判断の基準となるようにということで、運用基準におきまして、その別表の事項、項目の細目というものを定めていきますというふうに、昨年の国会におきまして担当大臣の方から御答弁申し上げてきた。

 その基準という意味におきまして、今回、運用基準におきまして五十五の事項というものを定めたものでございまして、それが曖昧であると言われますと、私どもといたしましては、可能な限りではございますけれども、具体的にすることによりまして、法律の二十三項目の判断基準となるもの、解釈指針となるものをお示ししたというふうに考えておるところでございます。

畑委員 私はそう思いませんが、であれば申し上げますが、ここの部分とは別に、もう一つの要件で特段の秘匿の必要性というのがありますね。これは、何々など我が国の安全保障に著しい支障を与える事態が生じるおそれがあるか否かにより行うと。ここも非常に曖昧だと思うんです。曖昧かつ曖昧の中で判断する要件ですから、非常に曖昧です。

 では、ちょっとお聞きしましょう。

 この情報漏えいによって著しい支障を与えるおそれが生じる蓋然性のある事象に限定するというんですが、著しい支障というのは、これも書いてないんですが、これはどういうことなんでしょうか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 特段の秘匿の必要性の判断でございますけれども、確かに、この項目につきましては、その時々の国際情勢といったようなものによって変わり得るということはございます。

 しかしながら、その点につきまして、運用基準におきましては、委員お尋ねの、我が国の安全保障に著しい支障を与える事態はどういうふうな場合かということにつきまして、一つには、安全保障のため我が国が実施する施策、取り組み等に関し、これらの計画、方針、措置その他の手のうちやこれらのための我が国の能力が露見し、対抗措置が講じられ、我が国に対する攻撃が容易となったり、あるいは、外国の政府等との交渉が困難となったりするということが一つ。もう一つには、外国の政府その他の者との信頼関係や我が国の秘密保護に関する信用といったものが著しく損なわれ、その結果、今後の情報収集活動、あるいはその外国政府等との安全保障協力などが滞るというようなことを、具体的に我が国の安全保障に著しい支障を与える事態ということの例示としてお示ししているところでございます。

畑委員 当たり前のことを言っているだけであって限定されているとは思いませんが、もしそういう御答弁があるならば、そこの部分も解釈指針で書いたらよかったと私は思うんです。そういうことを言わないで、答弁でそうお答えになっているから、国会で聞いて初めてこのお答えをいただけるのはおかしいと思うんです。

 事ほどさように、国民の権利義務をかなり制約するものであるにもかかわらず、法律で曖昧、なおかつ運用基準も曖昧、曖昧さが払拭されないからいろいろな議論が起こっていると私は思います。

 そういう問題は非常にあって、今のを踏まえて、通告していませんが、これは大臣にちょっとお聞きしたいんです。

 その運用基準というか構成要件が曖昧だと思うんですが、その問題は払拭されているとお考えでしょうか、今の答弁を踏まえて。

上川国務大臣 ただいまの答弁というところに端的に示されているとおり、運用基準が、しっかりと運用することができるように、国会の中での御議論ということもしっかりと踏まえて取り組んでいきたいというふうに思います。

畑委員 取り組むのは当たり前でして、私が言いたいのは、この運用基準が明確になっているのかということなんですが、お答えいただけなくて、国民の皆様の疑念はこの議論でかなり深まっていると思います。

 では、引き続き議論を続けさせていただきます。

 次に、特に遵守すべき事項で、これも、公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を指定し、またはその隠蔽を目的として、指定してはならないと。いわば、法令違反の事実を指定して、隠蔽を目的としてはならないということなわけです。

 これはこれでいいんですけれども、しかし、特定秘密の指定の禁止対象となるものは法令違反によるものばかりじゃないわけで、例えば、秘密指定によって法令に違反しなくても不当なものを隠すとか、あるいは、その情報を秘匿することで個人や組織が不当な利益を得ることを防止しなきゃいけないわけです。

 なぜこういうことを言うかというと、例えば、アメリカの大統領令において秘密指定禁止事項というのがありまして、これは何も法令違反だけではなくて、行政の非効率性、過誤の秘匿。行政が非効率だとか間違ったことを秘匿する。違法じゃないかもしれません、不当な場合もあるかもしれません。あるいは、特定の個人、組織、機関の批判を防止するために指定してはいけない。競争の制限のために指定してはいけない。国家安全保障上の利益を認められない情報の公開を妨げ、遅延させるために秘匿してはいけない。要は、不当な利益の排除を念頭に置いて、そういうのは指定してはいけないと書いているわけです。

 本来、法令違反だけじゃないんですよね、指定してはいけないのは。そのようなことが日本の場合には書いてないわけですが、これはなぜでしょうか。

北村政府参考人 お答えいたします。

 まず、運用基準におきましてでございますが、特定秘密保護法上、先ほど三要件のお話がございましたけれども、特定秘密に指定することができる情報といいますのは、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるというものでございました。

 この点と関連いたしまして、これも法律制定時の国会での御議論におきまして、政府における違法行為を隠蔽するというような目的での指定はできないように法律上定めるべきであるという御議論がございました。

 この点に関しましては、私どもといたしましては、違法な情報、違法な事実、法令違反の事実を隠蔽する、そういう目的で指定するというのは、そもそも指定の要件、先ほどの、安全保障の観点の秘匿の必要性というものはないわけでございますので、そもそもそういう指定は違法、無効でございます。そのことにつきまして、法律に定めるまでもございませんという答弁でございましたが、なおこの点につきましてさまざまな御議論がございまして、しからば、その点につきましては今後明らかにしていきましょうということがございました。

 そのことを受けまして、このたび運用基準の中におきまして、先ほど委員から御説明のありました、法令違反の事実を指定することや、法令違反の事実の隠蔽を目的とした指定をすることは禁止するというふうにされたところでございます。

 もちろん、それ以外の場合でありましても、ある情報を、安全保障の観点からではなく、御指摘のような、何らかの不当な目的で特定秘密に指定する、何らかの不当な利益を得るために指定するというようなことは、やはり安全保障の観点ではございませんので、そもそも指定の要件を欠く違法な指定でございまして、許されないと考えておりますけれども、そのことは当然でございますので、運用基準に改めて規定しなかったものということでございます。

 なお、先ほど、アメリカの大統領命令にはそれらの点について詳細に規定しておるのに、私どもの運用基準の方では規定していない、これはおかしい、あるいはなぜであるかというような御指摘がございました。

 例えば、この指定事項というものを見ました場合に、アメリカの大統領命令におきましては、八項目が示されております。軍事計画、武器システム、作戦というのは一項目めでございます。二項目めは外国政府情報でございます。以下省略いたしますけれども、実は、これに対応するものが運用基準では五十五項目でございまして、指定できる項目について見れば、それは私どもの運用基準の方が大統領命令よりもはるかに詳細に規定しているというふうには考えているところでございまして、一概に、当然、違法、無効な指定となるべき事柄の列挙が足りないことをもって、私どもの運用基準が曖昧、不明瞭であるというふうには考えていないところでございます。

畑委員 いや、曖昧、不明瞭ですね。

 事項は細かく列記しているけれども、まさにそういう考え方の部分が、これは書くまでもないという答弁もあったけれども、書いてない、そのことが問題だと私は申し上げております。

 この運用基準の問題というのは、やはりいろいろあるなというふうに思います。

 次に、済みません、本来、きょう、大臣に通告しておりまして、大きな話を一つさせていただくつもりなんですが、事務方が解釈の話の補足答弁に終始しておりますけれども、そこは残念なことでありますが、引き続きちょっと質問をさせていただきます。

 国民の知る権利侵害についてというところで、特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がないという問題意識を持っていまして、多くの秘密が国民の目に触れることなく廃棄される可能性があるのは問題じゃないかと思っております。

 三十年を超えるものについては国立公文書館等に移すことになっているんですが、三十年以下のものについては全て移されるわけではない。歴史公文書等に該当しないものについては、総理大臣の同意を得て廃棄するとされているために、結局、何が秘密なのかわからないまま葬られてしまうものがある、こういう問題があると思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

上川国務大臣 ただいまの御質問でございますが、運用基準にも明記されているとおりでございまして、特定秘密が記録された行政文書も、公文書管理法の適用を当然受けるということでございます。したがって、保存期間が終了した文書は、歴史公文書等に該当する場合には国立公文書館等に移管される、該当しない場合も、廃棄する際は内閣総理大臣の同意を得ることが求められているところでございます。

 特定秘密保護法及び運用基準におきましては、先ほど委員の方から御指摘がございましたとおり、指定後三十年を超えた特定秘密が記録された文書などにつきましては、保存期間満了後、全て国立公文書館等に移管されるものとされているところでございます。

 このように、公文書管理法と特定秘密保護法に基づいて、特定秘密が記録された文書につきましても、歴史的な検証に資するよう適切に管理されることになると考えております。

畑委員 歴史的公文書等じゃなければ、三十年以下のものは、総理が同意すれば廃棄できるわけですね。

 となると、結局廃棄されると思うんですが、そこの問題意識はお持ちでしょうか、大臣。

上川国務大臣 公文書がどのように歴史的公文書として認定されるのか、これは専門家、アーキビストのしっかりとした判断というのが極めて大事だというふうに考えておりまして、公文書管理法の中でもそのことを明記しているところでございます。

 そして、歴史的にたえ得るものということにつきましても、私自身、公文書管理法をつくった立場の一人でございますけれども、そのことにつきましては、でき得る限り歴史的な時間軸を長くとって、そして、大事なものはしっかりと残していくということを理念として掲げているということでございますので、これがしっかり運用できる公文書管理法の運用だというふうに確信をしているところでございます。

 この秘密保護法につきましても、公文書管理法とリンクをしているということでございますので、その理念にのっとってしっかりと保存をしていくということになろうかというふうに思います。

畑委員 まさに問題は、歴史的文書は何なのかというところは、しっかり運用していただくのはいいのですが、そこもやはり解釈が曖昧で、歴史的な公文書じゃなければ廃棄されちゃうんです。そこのところも本当は運用基準にしっかり書いておかなければいけなかったわけです。

 これからも議論させていただきますが、運用基準はかなり曖昧で問題があるという問題意識を持っていまして、この点についていろいろお聞きしたかったんですが、大臣、退室して結構でございます。これはこれで、また引き続き議論をさせていただきましょう。

 残りの時間、有村大臣に来ていただきまして、ありがとうございます。

 時間がなくなりましたので、一つお伺いしたいんですが、今回の少子化対策というか、女性の特に結婚、出産ということについて、極めて個人に立脚する分野であります。

 もちろん、これについては、国がその環境をつくっていく、そしてその障害を除去していくというのは非常に重要で、言うまでもありません。

 ただ、私の知り合いの女性からは、一つ言われることがありまして、まち・ひと・しごと創生法の、これは大臣は所管ではありませんが、ちょっと女性の大臣の立場から所感を聞きたかったんですが、二条の三号で、「結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本としつつ、結婚、出産又は育児についての希望を持つことができる社会が形成されるよう環境の整備を図る」。

 「環境の整備を図る」という最後の結びはいいんですが、特に出産について「希望を持つことができる社会が形成されるよう」というふうに書いていまして、ここは何か違和感があると言う女性が結構いまして、国に言われることじゃない、環境を整備してくれればいいのであって、プロパガンダ的にというか、ここの条文にそういうふうに書くのはどうなんだろうと。

 環境をつくることはいいんですが、子供を出産したくてもできない人もいるし、いろいろ思っている人がいる。こういう中で法文に書くことが、何となく違和感を覚えるとともに、国からかなり介入されるとか、かなり厳しく言われているような気がする、そういうふうに言う人がいるんですが、それについての所感、どうお考えか、伺いたいと思います。

有村国務大臣 今委員御指摘いただきましたように、女性の置かれている状況はさまざまでございます。おのおのの希望に応じて女性が個性と能力を十分に発揮することができる社会をつくることが大前提だと考えております。その女性の生き方について、特定の考え方を国が押しつけるようなことがあってはならないことは論をまつまでもない、明確に、そのようなことがあってはいけないというふうに私も思います。

 なお、御指摘のまち・ひと・しごと創生法案の第二条第三号と理解しておりますけれども、「結婚や出産は個人の決定に基づくものであることを基本」と規定されていると承知しておりまして、これも委員御指摘のように、希望を持つことができる社会の形成、環境整備を図ることというのが本来のうたわれている内容だと理解をしております。

畑委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る二十九日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時散会


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