衆議院

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第7号 平成26年10月31日(金曜日)

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平成二十六年十月三十一日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君

   理事 平口  洋君 理事 近藤 洋介君

   理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    越智 隆雄君

      大岡 敏孝君    鬼木  誠君

      勝俣 孝明君    川田  隆君

      小松  裕君    新谷 正義君

      鈴木 馨祐君    田所 嘉徳君

      田中 英之君    高木 宏壽君

      豊田真由子君    中谷 真一君

      中山 展宏君    松本 洋平君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      吉川  赳君    泉  健太君

      大島  敦君    後藤 祐一君

      郡  和子君    福田 昭夫君

      大熊 利昭君    河野 正美君

      高橋 みほ君    山之内 毅君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      杉田 水脈君    松田  学君

      三谷 英弘君    佐々木憲昭君

      玉城デニー君    畑  浩治君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  有村 治子君

   内閣官房副長官      加藤 勝信君

   総務副大臣        二之湯 智君

   厚生労働副大臣      永岡 桂子君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       笹島 誉行君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       若生 俊彦君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          井上  利君

   政府参考人

   (人事院事務総局人材局長)            大下 政司君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          丸山 淑夫君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   西田 安範君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     山田 賢司君

  泉  健太君     郡  和子君

  福田 昭夫君     後藤 祐一君

  河野 正美君     高橋 みほ君

  畑  浩治君     玉城デニー君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     鈴木 馨祐君

  後藤 祐一君     福田 昭夫君

  郡  和子君     泉  健太君

  高橋 みほ君     河野 正美君

  玉城デニー君     畑  浩治君

    ―――――――――――――

十月三十日

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案(内閣提出第一六号)

同月三十一日

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)

 国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官笹島誉行君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、人事院事務総局職員福祉局長井上利君、人事院事務総局人材局長大下政司君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、総務省自治行政局公務員部長丸山淑夫君、財務省主計局次長西田安範君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。

 まず初めに、私は、国家公務員制度全体について、大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 このたび、内閣の人事局が立ち上がりました。この内閣の人事局、今、やはり一つ一つの政策が一つの省庁だけではなかなかおさまらない、全体が連携をしながら、省益よりは国益という視点を持った、また、そういったコーディネートができる人材の登用が非常に大事になっている。そのような中で、内閣人事局におきまして人事の一元化をしながら、そういった全体観に立って人材を育成しながら登用を図っていこう、こんな取り組みの中でこの人事局が設立されたというふうに思っております。

 そこで、有村大臣は以前、民間の企業の人事部の能力開発の担当の部門でも御活躍をされていた、そういったことも伺っておりますが、今回、この人事局の発足により、人事管理において具体的にどのような点が変わったのか、また、どのように変えていこうとしているのか、また、現在の取り組みや今後の抱負について、国家公務員制度担当になられた有村大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

有村国務大臣 おはようございます。

 御指摘ありがとうございます。

 内閣人事局が発足して五カ月が経過いたしました。スピード感を持って課題に取り組み、さまざまな成果を上げることができつつある、その着手し始めた第一段階に入ったという認識でございます。

 具体的には、官房長官の御担当ではありますけれども、今夏の人事について、幹部職員人事の一元管理のもとに、本年六月に改定されました採用昇任等基本方針において幹部職への任用方針をあらかじめ明らかにさせていただいた上で、任免協議を行ったことなどがありまして、女性の積極的登用、府省間の人事交流の推進を含め、先ほど委員おっしゃったように、省益ではなくて国家国民益の追求という意味では、内閣全体で戦略的な人事配置ということに着手でき始めたというふうに認識をしております。

 また、この基本方針のもとで、女性職員の採用、登用の拡大や職員のワーク・ライフ・バランスを政府一体として推進していくことを確認しておりますし、今月十七日には、具体的な施策を盛り込んだ政府全体の取り組み指針を取りまとめていただいたところでございます。

 加えて、国家公務員法等改正法を踏まえ、総人件費や幹部候補育成課程に関する方針等を策定しました。

 引き続き、政府全体で適材適所となる戦略的な人事配置を行うために、次世代を担う若手職員、女性職員の活躍推進など、すぐれた人材の育成、活用を推進したいと存じます。

 私の民間企業に対しての、御質問の中で御言及いただきましたが、国家公務員の皆様のやる気、士気ということを引き続き高めていけるように、そういう姿勢で取り組むことも大事だなというふうに思っております。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 まさに、人事の管理において、一人一人の勤務実績を的確に評価し、人材を育て、適切に配置していけるかどうか、大変に重要な課題であると思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 さて、そこで、今回の一般職の職員の給与に関する法律の改正において、ボーナスの引き上げ分は全て、勤務実績を反映する勤勉手当に配分するとしています。ここで、勤勉手当が公平公正に支給されるためには、人事評価が適正に実施されなければならないと思います。

 そこで、現在、適正な人事評価を行うための仕組みはどのようになっているのかについてお聞かせ願えますでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の国家公務員の人事評価制度は、平成二十一年十月から実施されてきておりまして、その評価結果は、給与で申し上げれば昇給や勤勉手当に活用されているところでございます。

 この人事評価は、職位ごとに定められた客観的な評価基準に照らし、発揮した能力を評価する能力評価と、面談等の所定の手続を経て設定された目標に照らして、上げた業績を評価する業績評価から構成されているところでございます。

 人事評価に当たりましては、評価者以外にも複数人が確認を行うなど、公正性、透明性にも配慮しつつ、適切に評価する仕組みを整備しているところでございます。

 今後とも、職員の人事評価制度に対する理解を深めさせ、評価者に対する訓練に取り組むなど、人事評価制度の適切な運用に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 適切な評価、運営、よろしくお願いしたいと思いますが、今回のこの改正につきましては、地方公務員にも適用されるというふうに伺っております。やはり、地方においても人事評価が適切に行われることは大変重要な課題であると思いますが、現在の取り組み状況と今後の方針についてお聞かせ願えますでしょうか。

丸山政府参考人 地方公共団体における人事評価につきましては、能力、実績に基づく人事管理を推進する観点から、従来から助言等を行いまして、その普及を図ってまいりました。その結果、勤務評定の制度の運用といたしまして、国の人事評価制度と同様の取り組みを行っている団体は、平成二十四年度で、都道府県で約八割、指定都市で九割を超える水準となっておりますが、市区町村では三割程度といった状況でございます。

 総務省といたしましては、さらなる人事評価の導入を図るため、従来の勤務評定制度にかえまして人事評価制度を地方公共団体に導入する地方公務員法の改正案をさきの通常国会に提出いたしまして、四月に成立させていただいたところでございます。総務省としては、改正法に基づきまして、平成二十八年四月からの本格実施を念頭に、地方公共団体に対しまして、説明会の開催や関連する通知の発出、人事評価に係る専門家の派遣などを積極的に行いまして、必要な助言等を進めてまいります。

 また、人事評価制度の円滑な導入や運用に向け、有識者や地方公共団体の実務家によります研究会を開催しまして、小規模団体を初め、人事評価制度がいまだ導入されていない団体の参考になりますように、人事評価の実施規程や評価記録書、実施要領などの参考例を中間報告として取りまとめまして、ことし十月に情報提供したところでございます。

 引き続き、総務省としても、必要な助言、情報提供等を行いまして、人事評価制度の円滑な導入や運用とともに、勤勉手当を初め、給与等への反映が適切に行われますよう取り組んでまいります。

輿水委員 どうもありがとうございます。

 ちなみになんですけれども、今回の実務実績による人事評価、勤勉手当で、最も優秀な職員と標準な職員の方の間に生ずる差というもの、この額というのは、職員の皆様が、一生懸命働いていこう、また、自分のやったことをしっかり評価してくれて、次も頑張ろうというふうなインセンティブとして十分働くと考えているのかどうなのか、その点についてお聞かせ願えますでしょうか。

古屋政府参考人 勤勉手当は、今お話がございましたように、基準日以前における直近の業績評価の結果、これに基づきまして四段階の成績区分に決定されることになっております。

 その具体的に適用する成績率に関しましては、人事院規則で定める範囲内において各府省がそれぞれ決定するということになっておりますが、平準化されます二十七年度以降につきましては、例えば、三十五歳の係長で標準という職員につきましては、勤勉手当につきましては各期約二十万三千円となっているところでございます。

 これに対しまして、特に優秀な職員の支給額というのは、幅がございますが、二十六万三千円から四十二万四千円の範囲で決定するということになっておりますので、約六万円から約二十二万円加算されるということになりますので、職員にとっても十分なインセンティブになっているのではないかと考えております。

輿水委員 わかりました。どうもありがとうございます。

 さて、昨今、今国会も地方創生が大変重要な課題となっておりますし、また、地域のまち・ひと・しごと、そういった地域に光を当てて、地域がいかに発展するか、成長していくか、ここが大きな課題になっておるわけでございます。

 そんな中で、やはり地方機関に勤務する国家公務員に対して適切な評価や処遇を確保し、地方経済等を好転させる責任を積極的に果たしていただくことも大変重要なのかなと思いますけれども、この点についてのお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、地方機関で勤務する職員も含め、公務員の適切な処遇を確保することは重要な課題であると考えておりますが、給与について国民からの理解を得るためには、地域ごとの民間給与水準をより的確に公務員給与に反映させることも重要であると考えております。

 なお、官民較差に基づく平成二十六年度の給与の引き上げにより、平均年間給与は一・二%増加することになりまして、今回の給与制度の総合的な見直しにおきましても、職員の生活への影響等を考慮しまして、平成二十七年四月から三年間の現給保障措置を講ずることとしておりまして、直ちに地方機関の給与が下がるわけではございません。

 いずれにしましても、地方創生等重要な課題に取り組んでいくためには、私自身も公務員の一人でございますけれども、公務員の一人一人が国民の立場に立って責任を自覚して職務に当たることが重要なことであると認識しているところでございます。

輿水委員 ありがとうございます。

 そしてもう一つ、地方というと地方自治体、そこの職員、国では内閣人事局でそういった総合的、統括的な仕事をする人材の育成と配置を進めようとしているわけですけれども、やはり地方においても、もう今は、国から来た制度をどう使うかというよりも、今地域にある資源をどう活用して新しい町づくりを進めるか、そういった企画力やコーディネート力を持った人材の育成が必要だと思うんですけれども、先ほどの人事評価のあり方の改革と同時に、そういった人材の育成についての考え方をお聞かせ願えますでしょうか。

丸山政府参考人 地方創生に取り組んでいく上で、地方公共団体が地域の課題についてみずから考え解決していく政策形成能力や、高度化、多様化する住民ニーズに的確に対応できる高度な能力を持った職員の育成が不可欠であると考えてございます。総務省といたしましては、従来から、各地方公共団体に対しまして、人材育成の基本方針や研修に関する基本的な方針の策定と積極的な取り組みを促してまいりました。

 地方公共団体におきましては、それぞれの団体における研修の充実を図るとともに、総務省自治大学校などの全国的な研修機関も利用されるなど、自主的、積極的に職員の資質向上に努めていただくことが重要であると考えております。総務省としても、引き続き、必要な情報提供を行うなど、各団体の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。

 また、さきの通常国会で成立した改正地方公務員法におきまして、地方公共団体で導入することとなった人事評価では、面談やフィードバック等を通じた人材育成も狙いの一つとしているところでございまして、地方公共団体における人事評価制度の円滑な導入や運用が図られますよう、引き続き必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。

 申し上げましたように、地方公共団体における基本方針の策定と各種の研修の充実、さらに適切な人事評価の実施を通しまして、地方公共団体における総合的な人材の育成をさらに推進してまいる考えでございます。

輿水委員 どうもありがとうございました。

 本当に、人材が育ち、その人材の皆様が縦横無尽に活躍できる国家公務員また地方公務員の組織の構築を期待し、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 先週に引き続き内閣委員会で質問させていただくことに感謝申し上げたいと思います。

 まず、今回の給与法改正で、いわゆるボーナス、勤勉手当、期末手当に当たる部分が〇・一五カ月分上がるということになっておりますけれども、これは勤勉手当相当分に充てるということになっておりますが、もともと勤勉手当がなくて期末手当しかない特別職、指定職、任期付研究員、こういった方も、期末手当だからといって上げないというわけではなくて、同じように措置されるというふうに伺っております。

 これは、そもそも、官民比較した結果、勤勉手当と期末手当のもともと受け取っておられる割合というのは職によって若干違うところがあるんですけれども、ボーナス全体として〇・一五カ月上げるという考え方だというふうに理解してよろしいでしょうか。これは人事院総裁にお願いしたいと思います。

一宮政府特別補佐人 特定任期付職員及び任期付研究員につきましては、採用時において有する高度の専門的な知識経験またはすぐれた識見を一定の期間活用して遂行することが特に必要とされる業務等に従事し、一定の業績を上げることが期待される職員でありまして、給与上の評価は基本的に俸給そのもので行うことから、勤勉手当は支給されません。

 このため、これらの職員の期末手当については、一般職員の期末手当及び勤勉手当の年間支給月数との均衡を考慮して支給割合が定められており、今回、期末手当について〇・一五月分の引き上げを行うこととしたところでございます。

後藤(祐)委員 期末手当しか受け取っておられない公務員の方であっても、ボーナスが上がるわけですね。

 そういう考え方だとしますと、非常勤職員について伺いたいんですけれども、非常勤職員については、平成二十年八月二十六日の人事院事務総長発の指針というもので、「相当長期にわたって勤務する非常勤職員に対しては、期末手当に相当する給与を、勤務期間等を考慮の上支給するよう努めること。」というふうにされております。

 このように、既に期末手当に相当する給与が支給されている非常勤職員については、今回のボーナス引き上げに伴って同じように措置すべきじゃないのかなというふうに考えるんですけれども、これについて、きのう、事務方、これは特に人事院の事務方からの御説明だと、各行政機関の長が予算の範囲内で御判断いただくことという、ちょっと頼りないお話があったんです。

 この非常勤職員は、私も役所に勤めていたことがありますけれども、女性の方が多いんですね。特にこれはあえて女性活躍担当大臣である有村大臣にお伺いしたいんですが、女性活躍担当大臣かつ公務員制度担当大臣として、非常勤職員の中で期末手当に相当する給与をいただいている方については、今回の他の公務員の方と同じように引き上げるという方向でやっていただきたいなと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 両方の担当大臣ということでの御指名でございます。

 委員御指摘のとおり、やはり非常勤職員の方々の処遇、また特に女性の方々ということで、さまざまな措置が行われたというふうに承知はしておりますが、先ほど委員、頼りない答弁というふうに、きのうのレクであったようでございますが、問題意識ということは共有をしていって、今後、何ができるかということを女性活躍の方でも検討させていただきたいと思っております。

後藤(祐)委員 昨年、二十五年六月十四日の日本再興戦略の中で、隗より始めよとして、「男女の仕事と子育て等の両立支援について、まずは公務員から率先して取り組む。」ということも決められているようでございますので、ぜひ、両方の担当をされておられる有村大臣から、これは形式的には各行政機関の長の裁量になってしまいますので、これは人事院よりも大臣の仕事だと思いますので、ここは各行政機関で徹底されるように御指導いただきたいと思います。

 続きまして、似たテーマで、育児休業期間の職員というのも同じような面がございます。今の再興戦略の中にもありましたように、率先して取り組んでいただきたいと思うんですね。育児休業期間の職員の期末手当、勤勉手当、これについても、女性活躍という観点からしますと、ぜひ同じような改善を検討すべきだと考えますが、有村大臣のお考えを聞きたいと思います。

有村国務大臣 後藤委員の真摯な問題提起に対して感謝と敬意を申し上げます。

 民間企業における賞与算定の際の育児休業の取り扱いを見ますと、多くは出勤日数や休業期間に応じて支給されているという現状がございます。その一方、公務取り扱い、公務員に関しては、期末手当については、育児休業の二分の一の期間を在職として取り扱う、また、育児休業が一カ月以下である場合は休業という期間とみなさないで在職期間から除算しないという意味では、民間企業の状況と比べても一定の配慮がなされているものというふうに理解をしております。

 ただ、その一方、育児休暇の取得促進は官民問わず重要な課題でありますし、そして、やはり育児に責任を有する男女の職員については、給与のみならず処遇の改善、なかんずく休業をしっかりとりやすくするような風土やあるいは組織の文化をつくっていくということが国家公務員の処遇に関しても極めて大事なことだと思っております。両方兼務しておりますので、両方の視点から推進をしていきたいと考えております。

後藤(祐)委員 ぜひ大臣の督励をお願いしたいと思います。

 一方で、微妙なのは特別職なんですね。総理大臣、大臣、副大臣、政務官といった方々、同じようにボーナスが上がります。形式的には理解できないこともないんですが、民間企業で、非常に収支が厳しい、経営が苦しいというときに、社長や役員というのはなかなか、お給料はともかく、ボーナスはいただけないというのが通常であります。

 今、日本の財政は大変厳しい中で、今度消費税の増税まで検討しているというときに、示しをつけなくていいのかということからしますと、実は、国家公務員全体が七・八%下げたときに、総理大臣がマイナス三〇%、国務大臣、副大臣がマイナス二〇%、政務官、大使、公使、常勤委員長、こういった方がマイナス一〇%ということが、これは法律で措置しておりました。今、自主返納みたいな形でやっているというふうに伺っておりますけれども、今回、ボーナス上昇分というのをこの方々に当てはめる形になっておりますが、今から変えるのはなかなか難しいところはあるかもしれませんけれども、特にこれから消費税増税の議論がさらになされる中で、こういった方々、特に特別職の方々のボーナスについては、少しそういう観点を踏まえて、財政の状況等を踏まえて、やはり身を切るという意味でも別の扱いをすることを検討すべきじゃないかなと思うんですけれども、これについての有村大臣の御見解をいただきたいと思います。

有村国務大臣 後藤委員の問題意識は、率直に申し上げれば、私もそのように思った時点が正直なところございました。

 ただ、特別職の職員には、一般的に国会議員から就任が多いことが想定される国務大臣、三役等のほか、宮内庁長官やあるいは公取の委員長、審議会の委員とか、一般職からつくことの多い大使や公使なども含まれていて、一般職の職員給与との均衡を図るということは極めて大事な公平性がある、そこが妥当だということになりました。

 そういう意味では、特別職の職員の給与のあり方についてはさまざまな御意見があることには留意いたしますが、一般職からの均衡ということも気をつけなきゃいけない一点であることを御報告させていただきたいと存じます。

後藤(祐)委員 今はおられませんが、民間人から大臣に仮に登用していた場合には、その方は自主返納をしない方がいいということをおっしゃっているようにも聞こえるんですが、それはどうかなという気がするんですね。やはり、政治任用として登用される方については、そこは、ある意味、同じ扱いをしていくのが自然なことかなと思いますので。ここはルールの話というよりは政治的決断の問題だと思いますので、前段の有村大臣のお考えというのは大事だと思います。特に、消費税を八から一〇に上げる決断をするときには、非常にそういったことが問われると思います。今の御答弁は重いものと受けとめますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 続きまして、今回の給与法で、大変重要な、総合的見直しに係る、特に地域手当が変わることに伴ういろいろな影響について指摘をしていきたいと思います。

 今回は、俸給表全体の水準を二%下げて、それを財源にして地域手当を見直すという形になっております。お手元に資料配付させていただいておりますが、縦の軸が現行のパーセント、横の軸が新しいパーセントで、全体で俸給表を二%下げておりますので、例えば一八%である東京特別区が二〇%になる、これは、ある意味、プラマイ・ゼロなわけですね。

 ところが、よく見ますと、例えば、現行六%で新しくも六%になっているところに仙台市とか宇都宮市とか、こういったところがあります。こういったところは、実質的に俸給表が二%下がるので、〇・三改善する分を入れても一・七下がるというような形になってしまうわけですね。

 これはもちろん、各地域の官民均衡を見て決めているんでしょうが、ちょっとこれは詳しく見てみたんですね。その後ろの二ページ目と三ページ目をごらんいただきたいんですが、二ページ目を見ますと、地域手当の支給基準というのは、例えば今の六%のところについて言うと、平均賃金指数というものが九七・五から一〇一・〇未満のところは六%というふうになっています。ここは、刻みは六の次は一〇と、随分間があいているんですね。

 では、実際に仙台市がどうなっているかというと、三ページ目をごらんください。仙台市は一〇〇・八、あと〇・二あれば一〇%に行ったわけです。これは、六%と一〇%の間に八%という刻みがあれば、仙台市は間違いなく八%という刻みに入ったはずなんですね。

 ここは何でこんなに刻みがあいているんでしょうか。特に、俸給表を二%下げて地域手当の財源をつくり出しているので、事は結構深刻でありまして、ここの幅が大き過ぎるということは、特に仙台は国家公務員がたくさんおられる市なんですね。これは影響がかなり大きい話だと思うんです。

 実際、このことは後ほど厚労省の関係でお伺いしますけれども、もう一枚めくっていただいた四ページ目、この地域手当というのは、公務員だけではなくて、医療や、障害者の皆様、あるいは保育、介護、こういった制度に準用されている場合があるんです。

 その保育というところを見ていただきますと、これは、よく見てください、八%というのを独自につくっているんですね。保育は、注三というところを見てください、現行の国家公務員の地域手当七区分を基本としつつ、独自に八%の区分を設定とあるんですね。やはりここは間があき過ぎていて、ちょっといかがなものかという運用を厚労省の方ではもう既にされておられるんです。

 ちょっと戻りますけれども、特に仙台市はかわいそうですよ。六と一〇という、すごくあいてしまっているがゆえに、この一〇〇・八というのは、あと〇・二あれば一〇%もらえたところが六になってしまうというのは、ちょっと刻みとして、一%刻みにするかどうかはともかく、せめて二%刻みぐらいにして、八%という区分をつくることは考えられなかったんでしょうか。これは人事院総裁になるかもしれませんが。

 あと、今回はいろいろな理屈をおっしゃるのかもしれませんが、次の改定のときに形を変えるときに、ぜひこのことはよく重く受けとめて再検討していただきたいと思いますが、その可能性も含めて、総裁に御答弁いただきたいと思います。

一宮政府特別補佐人 地域手当の支給割合につきましては、現行制度との連続性、制度の安定性等を考慮して設定しているものでございます。

 また、今回の見直しにおきましては、地域手当の激変緩和の観点から、職員の生活への影響などを考慮いたしまして、見直し後の地域手当の支給割合が現行の支給割合を下回ることがないようにするとともに、それとの均衡も考慮いたしまして、支給割合が引き上がる場合も一段階に抑制することとしております。

後藤(祐)委員 現給保障があればいいということではないと思うんですね。一度固定されてしまうと、なかなかそう変わらないわけです。その後、例えば仙台市の給料が上がっていったら、ちょっとかわいそうなことになる可能性があると思うんですね。

 これはちょっとうがった見方かもしれませんが、仙台市は国家公務員が極めて多い都市なんですね。この一〇〇・八という数字、大丈夫ですかね。一〇一・〇だったということはないでしょうね。

 刻みが大きいことについての理由は、今は残念ながら御答弁いただけなかったと思うんです。

 過去との連続性ということに関して言うと、俸給表を二%下げているという物すごく重大な変更が今回あったわけですから、ちょうどそういう見直しをするにはいいタイミングだったと思うんですね。ぜひ、次の見直しをするときには、こういった事情を踏まえて対応していただくことを改めて申し上げたいと思います。

 きょう二之湯総務副大臣にお越しいただいておりますけれども、今の例で明らかになったように、この地域手当、かなりいかがなものかというような面もあるんですね。こういった話というのは、地方公務員の給与決定に、ある意味、影響を与えてしまう可能性があるんです。

 ただ、例えば、今の例でいうと、仙台市の地域手当が六%であるなんということは、仙台市あるいは宮城県の地方公務員のお給料を決めるに当たっては、ほとんど気にする必要はない数字だと思うんです。民間企業のお給料がどうであるかということはいろいろな参考にすることはあるかもしれませんけれども。

 これはもう一度確認をしたいんですけれども、今回の総合的見直しの話というのは、地方公務員の給料に対して、今の例で明らかになったように、余り考慮し過ぎちゃいけない話であって、あくまで地方公務員の給料については地方公共団体における労使協議、これを踏まえて自主的、主体的に決定するということについて、そして、国はこれを邪魔したり、阻害したり、関与したりしてはいけないということについて確認をしたいと思います。副大臣、お願いします。

二之湯副大臣 お答えいたします。

 今の地域手当の決定については、私も各地方団体から、なぜうちの地方団体が隣の団体と差があるのだというような意見はよく聞くところでございます。

 しかし、地方公務員の給与については、地方公務員法の規定に基づいて、各自治体の議会の条例によって定められる、こういうことでございます。

 総務省としても、これまで、地方公務員法に基づいて、地方の公務員の給与が住民の理解と協力が得られるように、そういうことで、ひとつ必要な助言等を行ってきたわけでございます。

 それで、総務省といたしましても、有識者検討会におきまして、地方公務員の給与制度は国家公務員の給与制度を基本とすべきである、地方公務員の給与決定原則に基づいて検討されるべきであるということ、それと、地域民間給与のより的確な反映や五十歳代後半層の水準の見直しなど、国家公務員給与の捉える課題は多くの地方公共団体においても共通の課題でございますので、各地方公共団体は国の見直しを十分踏まえて給与制度の見直しに取り組むことが必要であるという提言をいただいておるわけでございます。

 総務省といたしましては、地方公共団体に対して、この提言や国家公務員給与の見直し方針を踏まえ、地域民間給与のより的確な反映などを適切に見直すよう、十月七日の閣議決定及び同日付で通知を発出して地方公共団体に要請したところでございまして、これから地方公務員給与のあり方について必要な助言等を行っていきたい、このように思っております。

後藤(祐)委員 ちょっと心配な答弁なんですが、あくまで地方公務員のお給料は各地方公共団体における労使協議、これを踏まえて自律的、自主的に決めるということについて、もう一回確認をさせていただきたいと思います。それとあわせて、地方交付税でこれを国が阻害するということもないというふうに考えてよろしいでしょうか。あわせて、もう一度答弁をお願いしたいと思います。

二之湯副大臣 地方公務員の給与の決定については、都道府県の人事委員会、あるいは指定都市にも人事委員会がございますし、各都道府県下の自治体においては、都道府県の人事委員会の勧告に基づいて決定されるべきものと承知をいたしております。

後藤(祐)委員 いや、委員会とか、これは地方公共団体で条例でもって決めるわけですから、ちょっと、もう総務の世界でプロでありまして、政官要覧に「自治体に権限・税財源がしっかり保障され、自由な発想での街づくりを目指したい」と書いておられる副大臣でございますから、もうちょっとはっきり、地方公共団体における自主的な決定だ、労使協議を踏まえた自主的な決定だということをお答えいただけますでしょうか。

二之湯副大臣 地方分権時代において、地方の公共団体の財政力の弱いところ、強いところがあるわけでございますけれども、そういうところを十分勘案しながら、住民によって選ばれた議会の議員さんが、それぞれの地方公共団体のそういう給与を決定していただきたい、このように思います。

後藤(祐)委員 ありがとうございました。

 きょう永岡厚生労働副大臣にもお越しいただいていますが、既に先ほど紹介させていただきましたが、この地域手当、非常に多くの、特に厚生労働省関連の、我々国民に非常に身近な政策に非常に大きな影響を与えております。

 配付させていただいた先ほどの資料でございますが、この四ページ目に、こういった区分がこういった刻みであること、あるいはそれぞれの、医療政策ですとか障害者政策という政策論というよりは、この地域手当をどう捉えるかということが大事になってくると思うんですけれども、厚生労働省として、地域手当がこういう形になっているということについて、いかがお考えでしょうか。

 特に、先ほどの保育のところは、一つ足して八%という刻みをつくっているということは非常に建設的で、現場のことをよくお考えになっておられる対応じゃないかなと思うんですけれども、そこら辺も含めて、厚生労働省としてのお考えを伺いたいと思います。

永岡副大臣 後藤委員にお答えいたします。

 厚生労働省が所掌いたします医療、介護、そして障害に保育サービス、このそれぞれのサービス提供地域ごとの人件費の地域差を調整するために、人事院が制定いたします国家公務員の地域手当に準拠した区分を制度ごとに設定しております。来年から実施されます今回の人事院勧告を踏まえまして、制度ごとに関係審議会などで検討しているところでございます。

 例えば、介護につきましては、平成二十七年度の介護報酬改定に向けまして、人事院勧告の見直しを踏まえた対応を行う方向で、これは社会保障審議会の介護給付費の分科会におきまして議論を行っております。その対応に当たりましては、人件費の変動の介護報酬単価に与える影響ですとか、また、従来の地域区分から大きく変動する地域、自治体への影響なども大変考慮いたしまして、自治体からの意見もしっかりと伺った上で、地域区分を設定するということを検討していきたいと考えております。つまり、自治体からの御意見、これが大切というふうに考えております。

後藤(祐)委員 非常に影響があるんですね。前大臣の田村先生も今おっしゃっておられましたけれども。

 例えば、一ページ目の、私の近いところでいうと、町田市というところは今一五%、相模原市というところは一〇%。五%差があるんです。その結果、介護の人件費の部分、ここに随分差が出ちゃうんですね。接していますから、どこで働くかというと、町田市に行って働きたいという方がふえちゃって、相模原市で介護人材を採るのが大変になるという、現場での物すごく大きな問題の原因になっちゃっているんですね。ぜひ、滑らかに、公平な感じになるように、御審議をいただければなと思います。

 有村大臣、ここまで影響が大きい話なんです。人事院総裁、ここまで影響が大きい話なんです。ぜひそこを踏まえてお考えいただきたいと思います。

 続きまして、独立行政法人の給与決定に行きたいと思います。

 これはことしの通常国会で、五月二十三日の独立行政法人通則法改正案の質疑において、当時の稲田大臣が、中期目標管理法人、行政執行法人ともに、次の答弁をしておられます。「個別法人の給与の具体的な支給基準については、これまでと同様、労使交渉を経て各法人が自主的、自律的に定めていくものと理解をいたしております。」と。

 この給与法が成立したとしても、各独立行政法人における給与決定、これについては、同じように、各独立行政法人が、労使交渉を経て、自主的、自律的に定めるというふうに理解してよろしいでしょうか。これは、二之湯総務副大臣、確認までにお聞きしたいと思います。

二之湯副大臣 独立行政法人の給与の支給基準につきましては、独立行政法人通則法の給与等の支給の基準に関する規定に従って必要な考慮、参酌をした上で、各法人において、労使交渉を経て決定されるものだと承知しております。

 今回の給与法改正後においても、これまでと同様、労使交渉を経て、各法人が自主的、自律的に定めていくものと思います。

後藤(祐)委員 明確な答弁をありがとうございます。

 続きまして、定員管理、総人件費管理に移りたいと思います。

 これからは有村大臣だと思いますけれども、内閣人事局ができました。そして、総人件費に関することという新しい所掌事務ができました。今までは額の話、プライスの話、Pの話だったわけですけれども、総人件費というのはP掛けるQ、額掛ける人員ということになります。

 人員に関して言うと、この総人件費に関することという所掌事務を果たすために、では、どういう考え方を示されているのかなと説明をいただいたら、ことしの七月二十五日に国家公務員の総人件費に関する基本方針という閣議決定がございますが、定量的な方向性は全く示されておりません。「総人件費の抑制を図る。」という抽象的な言葉があるだけでございます。

 ある意味、給与、額に関する部分は、この中でも人事院勧告を尊重するというふうに書いてありますし、なかなか内閣人事局でどうこう左右するという話じゃないと思うんですね。もちろん、定数査定の一部はあるかもしれませんが、基本的には人員をどうするかという話だと思うんですけれども、残念ながら、純減計画というのがありません。定員削減計画というのを今度またつくるようですけれども、定員削減計画というのは、マイナスを決めた上で毎年プラスを戻すということで、結果的な数字に関しては何らコミットしたものになっていないんです。

 この純減計画というのは、かつて、平成十八年から二十二年度には、五年間で五%減らすというものがありました。現在はありません。次もありません。総人件費に関することという所掌事務を新たに与えられたにもかかわらず、この定員の純減計画がないという中で、どうやって中長期的な総人件費を管理していくおつもりなんでしょうか。

有村国務大臣 総人件費は、御指摘のとおり、PとQ、給与と定員が大きな要素になると理解をしております。給与水準については、御案内のとおり、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するというのが一貫した姿勢でございます。もとより、民間の水準を踏まえて決定されます。

 定員については、その時々の行政需要に的確に対応する観点から決定されるべきものというふうに理解をしておりまして、あらかじめ具体的な数値目標を設けることはなじまないというふうに考えております。

 しかし、同時に、基本方針では、定量的な目標は定めていないものの、政府としては、今回初めて、人的資源、予算を効果的に配分すること、構造的な予算の増加の抑制を図ること、そして人件費の生み出す価値を、生産性を高めること、それから国民の理解を得るように努めることということを基本的な考えとして明記をいたしました。人件費に関連する中長期的な運用方針を定めたものでございます。

 そして、委員御指摘いただきました、五年間、小泉政権の中で努めたということでございますが、そのときには郵政公社化、国立大学法人化、独立行政法人化ということで、かなり固まった数の異動ができたという現状がございます。やはり、現在は、内閣の重要政策に的確に対応できる体制を構築すること、そして機動的にその体制を実現することが重要だと考えております。

後藤(祐)委員 大臣、ここは政治家が頑張らなきゃいけない部分なんです。役所はそうやって上げてきます。役所はみずから人数を減らそうとはなかなかしません。そのまま言いなりになっちゃだめな部分なんです、ここは。かなりの程度、お役所の方は詳しいし、よく知っておられるし、正しいことを言う場合が多いんですけれども、こういったところで目を光らせないと、政治家が大臣についている意味が私はないと思うんですね。

 特に、総人件費、定員の管理をするときに、途中で突然おやめいただくこととかはなかなかできないわけです。人数を長期的に抑制していくためには、やはり採用をどうするかというところが最大のポイントになります。

 この採用の数については、民主党政権のとき、相当苦しい思いをして減らしました。二十一年度八千五百十一人というもとの数字があって、それに対して、二十三年度、四割削減目標を掲げて、五千百九十一人。このとき、大島先生なんかは副大臣で御苦労されたと思います。二十四年度は、この二十一年度の三割削減の目標で、五千九百八十八人。二十五年度は、二十一年度の六割削減を掲げて、これは自公政権に途中でかわりましたけれども、もう採用試験なんかやっちゃっていましたから、五割削減に目標を落として、それでも五千一人。相当減らしたんですね。

 ところが、二十五年の三月二十六日の閣議決定で「国家公務員の新規採用の方針について」というものがあるんですけれども、この中では「採用数の上限値を定める方式をやめ、」ということで、全省庁合計の採用の数の上限を、天井、ふたをするというやり方をやめてしまいました。その結果、何が起きたかといいますと、今年度、二十六年度の採用数というのは、まだ途中なので、これは年度を通じての数字なので、途中で入る方もおられます、数字がまだ出ていないんですが、主に新規採用だと思いますが、四月一カ月間の採用者数を比べてみました。二十六年四月は七千四百十五人。四月だけで比較すると、その前の年の二十五年度は三千九百九十八人だったんです。物すごい数ふえているんですよ。

 確かに、行政需要というのは、それはいろいろ、説明は幾らでもつきます。ですが、少ない中でやりくりするということをもう少し考えなきゃいけなくて、採用の数について、内閣人事局は、政府全体の方向性について何らの考え方もないと理解してよろしいでしょうか。つまり、各行政機関は、それぞれの定員の数、あるいは定数の数等、そういった自律的な縛りの中で、ある一定の制約はあるかもしれませんが、かなり自由度を持って採用数を決定できて、今までのような、政府全体としての採用数を少しでも抑制するような考え方は一切ないというふうに考えてよろしいでしょうか。

有村国務大臣 御指摘のとおり、数値目標を設けてはいないものの、厳しい財政事情を踏まえて、各省庁でしっかりとここの部分に問題意識を持っていただいて、総人件費を増加させないということが極めて大事なことだと思っております。

 また、上限を定めて採用自体を厳しく抑制した場合には、年齢構成のゆがみ、あるいは組織の活力の低下、若い層がいなくなるということで、これは民主党政権では本当に歯を食いしばっておやりになったと思いますけれども、同時に、若者の雇用機会を奪う懸念ということも当時議論がなされました。そういう意味では、公務の円滑また適切な遂行には影響をもたらすおそれがあるということを認識しております。

後藤(祐)委員 要するに、何もないということですね。

 採用をある程度抑制するということをしないで、中長期的な総人件費がコントロールできるわけがないじゃないですか。これは、新たに総人件費に関することという所掌事務が内閣人事局に加えられて、むしろやることが後退している。どうやってコントロールするおつもりですか。一回役所に入っていただいたら、四十年ぐらい勤めるわけですよ、多くの方は。固定費になっていくんです。

 これは、ちょっと、今の御認識ですと、将来、本当に心配になってくるなと思います。その懸念をお伝えするとともに、まだ時間がちょっと残っていますから、最後に基本的な認識を一つお聞きしたいと思いますが、労働基本権についてです。

 労働基本権については、長い議論がございました。国家公務員制度改革基本法の十二条というのがあって、「国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとする。」という大変重要な条文がございます。

 これについては、さきの国会での国家公務員法成立のときに、次のような附帯決議がありました。「自律的労使関係制度について、国家公務員制度改革基本法第十二条の規定に基づき、職員団体と所要の意見交換を行いつつ、合意形成に努めること。」という附帯決議がありましたし、これはいろいろな議論を経た結果、稲田大臣からもお答えいただいたものでございます。

 また、菅官房長官も、「今回、十二条の規定に基づいて、職員団体との所要の意見交換を行いつつ合意形成に努める、ここが合意されたわけでありますので、自律的労使関係制度について、しっかりと職員団体を含む関係者の御意見を伺いながら、政府として適切に対応していきたいと思います。」とお答えになられています。

 有村大臣、これは本当に大事な話なんです。この附帯決議に基づいて、官房長官の答弁に基づいて、自律的労使関係について、職員団体を含む各関係者の御意見を伺っておられますか。そして、その後の検討をどう進めておられますか。これについて、現在の状況、そして有村大臣のお考えを示していただきたいと思います。

有村国務大臣 労働三権について、後藤委員初め菅長官及び稲田先生の間で熱心な御議論があったこと、そして、関係各方面での意見交換がなされて、それを尊重する、そういうディスカッションが行われたことも背景を理解しております。

 メリット、デメリット双方がございます。また、国家公務員ということの特殊性もございます。労働基本権問題については、さまざまな御意見を伺いながら、引き続き慎重に対応していくことが大事だと理解をしております。

後藤(祐)委員 答弁しておりません。職員団体等関係者の御意見を聞きましたか。そして、今の検討状況をお聞きしております。

有村国務大臣 この間、国家公務員制度の担当大臣として、連合を初めとする皆様、職員の方々の率直な御意見を聞く機会を設けさせていただきました。そこでもさまざまな御意見をいただいておりますので、そのコミュニケーションチャンネルを大事にして、意思疎通を図ってまいりたいと存じております。

後藤(祐)委員 ぜひ、自律的労使関係については、歴史がございますので、大臣もこの意義を御理解いただきながら、丁寧な意見交換を進めていただきたいと思います。そして、我々は、自律的労使関係の確立、特に労働協約締結権の実現に向けて今後も頑張ってまいりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、郡和子君。

郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。

 給与法改正案の中で、私は、給与制度の総合的な見直しについて特に取り上げさせていただきたいというふうに思っています。

 と申しますのも、地域間の給与配分の見直しが、私は被災地の議員ですけれども、被災地の、東日本大震災の復興再生などに従事している地域の公務員の皆さんたちの士気というようなことを考えたときに、どのような影響があるかということについてお話を聞かせていただきたいと思っています。

 まず、国政における最重要課題として、東日本大震災の復興再生については、安倍総理大臣も所信表明演説において、今後も、暮らしを支えるなりわいの復興を力強く支援してまいりますと述べて、また、被災者の皆さんの心の復興にも大きく力を入れてまいります、仮設住宅への保健師の巡回訪問、子供たちが安心して遊べる居場所づくりなど、被災者の方々の心に寄り添いながら、きめ細かく、丁寧な取り組みを進めてまいります、こういうふうに指摘をされました。

 安倍政権の閣僚として、東日本大震災の復興再生について、有村大臣の御認識をまず伺いたいと思います。

有村国務大臣 今回の改造で、それぞれ一人一人が復興大臣になったつもりで取り組むようにという御指示もいただいておりますし、そもそも私も、委員御案内のとおり、宮城県を中心として、被災地も含めた全国区が私の選挙区でございますので、引き続き、今までも取り組んでまいりましたし、これからも心して取り組んでまいりたいと考えております。

郡委員 新しい閣僚の方の中には被災地の福島にも一度も行ったことがないという方もおられるのは、大変に残念で残念でなりません。

 今、有村大臣はこれからもしっかりと取り組んでいくのだというふうなことを言われたわけですけれども、現在、地域において、東日本大震災だけではありません、広島の土砂災害、それからまた御嶽山の噴火などの自然災害に対して、国家公務員の方々、地方公務員の方々、懸命な奮闘がなされているんだというふうに思います。このような地域の公務員の必死の努力に対しての大臣の御認識を伺います。

有村国務大臣 大事な御指摘だと思っております。公務員の皆さんが公僕としてただひたすらに、ひたむきに職務に励んでいただいているお姿を見ますと、国民の一人としても、政治家としても、また大臣としても大変ありがたいことでありますし、そのような真面目に取り組んでいらっしゃる公務員の方々の取り組みを、しっかりと現実を踏まえて広報していくことも大事なことだと思っております。

 特に、被災地においては、厳しい勤務環境に置かれる場合、職員の方々の健康やメンタル面でのケアも必要だと思っておりますし、こうした配慮も行いながら、一日も早い復旧復興に向けて、中核となっておられる公務員の方々が重責を果たしていただくよう、やはりしっかりとケアをしていきたいというふうに考えております。

郡委員 それでは、東日本大震災の復興再生に取り組んでいる現場の公務員のことについてお尋ねをしたいと思います。

 岩手、宮城、福島の被災三県において、東日本大震災の復興再生のために派遣あるいは出向している国家公務員の数、また全国の地方公共団体から派遣をされている地方公務員の職員数についてお尋ねをいたします。きょうは総務省にも来ていただいておりますので、大臣、そして政務官、よろしくお願いいたします。

笹島政府参考人 まず、国家公務員について御説明を申し上げます。

 東日本大震災の被災三県及び市町村への国家公務員の派遣につきましては、被災自治体のニーズに対応して、発災当初は最大約千人の国家公務員を派遣していたところでございます。

 現在は、被災自治体のニーズが地方公務員に移ってきているということでございまして、各府省から被災自治体で支援業務に従事している人数は、本年九月十一日現在で七十人となっております。

 このほか、復興庁が独自に、青年海外協力隊帰国隊員、国家公務員OB、あるいは民間実務経験者等を非常勤の国家公務員として採用して被災自治体に駐在させているということもございまして、その人数は本年九月十一日現在で百九十八人と承知しております。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 東日本震災の被災三県及び市町村に派遣されている地方公務員の数でございます。

 全国の自治体の積極的な協力によりまして、これまで延べ八万七千人以上、うち被災三県のみに限れば八万五千人以上ということでございます。平成二十六年四月現在で二千二百二十九人、うち被災三県のみに限れば二千二百二十七人の職員が被災自治体に派遣されているところでございます。

 以上です。

郡委員 きょう私が皆様にもお配りいたしました資料の一と二でございますが、二については、今あかま政務官から御説明がありましたが、日付が違っているのか、数がちょっと違っているようでございます。

 時間がたつにつれて、応援の人員が国家公務員から地方公務員に移ってきているというふうなことでありましたけれども、国家公務員の身分を一旦やめて、身分がえをして、復興に絡んで被災三県に入っている公務員も少なくないだろうというふうに認識をしておりますが、それについては把握はされているんでしょうか。その点についてはいかがですか。

笹島政府参考人 先ほど申し上げましたのは、国家公務員の身分をもって地方自治体に派遣されているという例でございます。

 国家公務員を一旦退職して地方公務員となって働いているという人数は、今のところ、ちょっと手元にございませんので、そういった人間もいるということでございます。

郡委員 そうなんですよ。多くの方々が被災地に入っていただいて、県の職員になっていただいたり、市、町の職員になっていただいたりしております。しかし、それは把握をされていないということでございました。

 各省庁ではそういう人数をしっかりとっておられるのかもしれませんが、総務省も、それぞれの自治体に問い合わせればその数を把握することができるんだと思いますが、なぜ調査なさらないんでしょうか。

丸山政府参考人 ただいまの点でございますけれども、私どもといたしましては、被災自治体からそれぞれの復興事業に必要な人材についてお話を伺いまして、全国の自治体の協力のネットワークを生かしながら、できる限り具体の要望に応えるようにしているところでございます。

 それ以外の個別の被災自治体の人員の状況につきましては、被災自治体自身が復興事業に今従事しているところでございまして、やはりその負担の問題も考えまして、慎重に取り扱っているところでございます。

郡委員 そんな、数を調べるのは簡単にできることです。そういう被災地の実情を聞くことを怠ってはいけないと思いますよ。

 私自身も、政権にあったときに復興の政務官を務めましたけれども、被災自治体の職員への支援、霞が関から、また全国の自治体からと、特段の取り組みをさせていただきました。例えば、復興庁設置まで、宮城の東日本大震災の復興対策本部には国家公務員が十人弱でございました。霞が関、また全国の出先の国家公務員で増員を図りまして、復興局を自民党政権にお渡しするまでには、民間の方々も含めておよそ百人弱の規模になったというふうに思っております。また、各自治体からの支援人員の要望にも、当時、随分と知恵を絞りました。

 それでは、今、国家公務員の派遣、出向、地方公務員の支援は、被災地の機関や地方公共団体からの要請に基づいてきちんと行われているんでしょうか。また、派遣、出向、そして支援の実態、要請を充足できているのでしょうか。お尋ねします。

あかま大臣政務官 お答えいたします。

 被災自治体からの人的支援の要請、これを充足できているかというお尋ねでございます。

 まず、数という観点から。被災市町村において九月現在で一千四百九十七人の人材確保の要請、これに対して、一千二百五十人の人材が確保されているところでございます。いわゆる充足率ということでいえば、八三・五%がなされている。被災三県、岩手、宮城、福島の県庁、ここにおいては、各県に確認したところ、十月現在で一千十一名の人材確保の要請、これに対して八百八十八名の人材が確保されている。充足率でいえば八七・八%というところでございます。

 この充足率、数字という部分では充足率なんだろうと思っているんです。ところが、やはり各被災三県の思い、要望というものはまた別の部分、視点はあるというふうには思っております。

 その意味では、総務省として、これまで以上に、職員派遣の要請、この本質的な部分であるとか、またいろいろな形でのサポート、例えば任期つき職員等の採用の支援であるとか、民間企業等の人材の活用の促進等々を積極的にやりながら、情報の提供、また連携を図っていかなければならない、そういうふうに思っております。

 以上です。

郡委員 実際の復興業務に携わる人員のみならず、各地方公共団体がそこに人を充てるために、通常業務をする人員も足りなくなってきているんです。こういうことにもきめ細かく目配りをしていただいて対応いただきたいというふうに思います。

 なお、復興庁は、各省庁よりも権限を強くして、横串を刺す、そして調整をするんだ、そういうふうに制度設計したわけですから、復興庁でもその実態をつかめていないとしたら、大変にお粗末なことだなというふうに思います。なお一層の取り組みを要望したいと思います。

 国政における最重要課題というわけでございまして、一刻も早い復興再生が求められていることに対して、被災地が求めている必要な人員すら充足できていない現状、今、八〇%を超えているというふうなお話でしたけれども、実態はもっと厳しいのだというふうな御認識を持っていただかなくちゃならないというふうに思っております。

 先日、法務局の職員の方からお話を聞かせていただきました。登記業務に携わっておられる職員の方です。震災後の登記業務は、職権による建物の滅失登記、これが大変煩雑になりましたけれども、それが一段落する間もなく、震災復興型登記所備えつけ地図の作成業務、また、土地区画整理事業などの大型登記事案、被災者の住宅確保、復興事業の本格化での登記の申請、相続などなど、大変な事業が山積みになっております。大臣に想像できますでしょうか。

 しかも、これらの案件は複雑さを増しておりまして、これまで、平常でしたらば四日ほどで書類をそろえられたものが、二週間以上もかかっているというようなお話でございました。円滑な復興再生のためには、支える側の公務員の職務環境、職場環境、これが健全であらねばならないというふうにも考えているわけです。

 そこで、政府は、これらの従事または派遣されている公務員の職務実態について、具体的には、定年以外の早期の退職状況、超過勤務の状況、メンタルを含む健康状態について把握されておりますでしょうか。

あかま大臣政務官 今、郡委員おっしゃるとおり、被災自治体における職員のいろいろな実態、それは、メンタル的な要素であるとか、早期退職等々のこと、これらについてどのような把握ということでございますので、お答えします。

 まず、復興関係業務に従事している職員の超過勤務や健康状況については、基本的には各地方公共団体において適切に把握をされているものというふうに思っております。

 それであっても、総務省といたしましても、被災自治体の事務負担、これなんかを鑑みながら、復興関係業務に従事している職員の退職、超過勤務等の健康状況に、調査はしていませんが、そうした苦労されている状況というものを把握しながら、被災地におけるメンタルヘルス対策、この対策として、平成二十三年度から、地方公務員災害補償基金とともに、派遣職員を含めた被災地の地方公務員に対する対策事業、これを行っております。この事業でございますが、平成二十六年度は、百三十七団体、延べ約九万人を超える参加者を予定しております。

 なお、参考までにでございますけれども、これまで、経年で、各年度実績でございますが、平成二十三年度は、二十一団体、延べ一千九十四名、平成二十四年度は、百二団体、延べ二万九千八百六十二名、平成二十五年度は、百二十一団体、延べ八万六千五十二名というふうな実績でございます。

 また、さらに具体的に申し上げれば、プライバシーに配慮したストレスチェック等の臨床心理士によるカウンセリング、専門家によるセミナーなどを、地方公共団体、自治体の経費負担なしでやっておるところでございます。

 それであってもなお、職員の健康管理であるとか安全衛生対策、これは十分配慮しながら復旧復興業務に当たっていただかなければならないし、その上では、総務省としても引き続き、被災自治体の要望を伺いながらやってまいらなければならない、そういうふうに思っております。

 先ほど、委員のお言葉の中に、きめ細かくという言葉もございました。また、我々とすれば、きめ細やかさを求めながら、地方自治体としっかりと連絡、連携しながら、情報を共有しながら対処、対応をしていかなければならない、そう思っております。

 以上です。

郡委員 今、政務官からお話ありましたけれども、調査をしていなくてどう把握するんですか。実際、やっていらっしゃらないんですよ。やらなきゃだめですよ。そして、それにあわせてどう対処していくのかということが重要なんじゃないですか。今、メンタルヘルスについてのことを述べられましたけれども、それ以外でも、どういう状況に地域があるのかということ、それを見ていっていただかなくちゃ困ります。

 きょうは、資料に、七月二十七日付の毎日新聞の記事、それから九月十日付の東京新聞の記事をお渡ししております。七月二十七日付の毎日新聞の記事は、四十二市町村のアンケート調査結果、百六人が退職をしているんです、退職ですよ。また、心身の疲弊の深刻、職員の重圧。それから東京新聞では、福島十市町村、職員大量退職、復興支援、復興支える側も限界と報じられております。

 これは、復興再生に取り組んでいる公務員の実態に対して社会的な関心が高いということもあらわしているんだろうというふうに私は認識をしております。そういう意味においても、総務省の取り組み、また内閣府の取り組みも甘いのではないかなというふうに思います。

 安倍総理は、被災地の復興なくして日本の再生なし、最近は余り聞かなくなりましたけれども、再生復興を現場で担う公務員の職務実態すら把握していないというのは重要な問題であると考えます。復興が政府の中で風化しているのではないでしょうか。

 今回、そういう中で人事院の勧告が出されまして、人事院は、民間賃金の低い地域を中心に公務員給与が高いとの指摘に対して必要な措置を講じること、職員構成の高年齢化や雇用と年金の接続を図るための給与カーブの見直しが必要であること、公務に必要な人材を確保して組織の能率的な運営を図っていくことを課題として提起し、これに対応するために、俸給表、それから諸手当のあり方を含めた給与制度の総合的見直しを行うことといたしました。その対応方針は、地域間の給与配分の見直し、世代間の給与配分の見直し、職務や勤務実態に応じた給与配分、この三つを示しておられるわけでございます。

 そこで、伺います。

 給与法改正案で措置されている給与制度の総合的見直しによって、岩手、宮城、福島の被災三県に勤務している職員の給与水準はどのように変わるのでしょうか。また、県職員及び市町村職員の給与水準はどのようになるでしょうか。

笹島政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどの派遣の人数の件で一言ちょっとつけ加えさせていただきますけれども、私どもで、先ほど申し上げた、身分を一回切って地方公務員で働いているといった者の数は把握しておりまして、調査を行っておりますので、今手元には持っておりませんけれども、また別途、御報告させていただきたいと思います。

 今の御質問の件でございますけれども、岩手、宮城、福島の被災三県の給与でございますけれども、平成二十七年度から実施する給与制度の総合的見直しは、地域間、世代間の適正な給与配分等の観点から、俸給表水準を平均二%引き下げた上で、その分を地域手当に配分するものでございまして、御指摘の三県につきましても、俸給表の水準は二%引き下げられるということになります。ただ、これに対しましては三年間の現給保障措置を講ずることとしていることから、直ちに職員の給与水準の低下につながるものとは考えていないところでございます。

郡委員 今回の総合的見直しは、民間賃金の低い地域における官民給与の実情を適切に反映させるための見直しだというふうに承知をしております。所得の低い十二の県を取り出して、県単位で水準を比較して、差が二・一八ポイントであるとして、俸給表の水準を平均二%引き下げました。

 比較方法がこれまでと全く違っているんですね。なぜそのような比較にしたのでしょうか。

一宮政府特別補佐人 給与構造改革における地域間給与配分の見直しにおいては、地域ブロック別の官民較差に着目して俸給表の水準の引き下げを行いました。

 しかしながら、地域ブロックには民間賃金の高い政令市が含まれているということから、地域ブロック別の民間賃金の平均が高くなるという傾向にあり、民間賃金の低い地域を中心に、公務員給与が高いのではないかといった指摘が依然として見られました。

 そこで、地域ブロックではなく、賃金構造基本統計調査による都道府県別の所定内給与の平均額が低い方から四分の一となる十二県を一つのグループとして官民比較を行うこととしたものでございます。

郡委員 では、なぜ十二県なんでしょうか。十県ではない、十五県でもない、二十県でもない。この十二ということに、どういう根拠があり、合理性があるんでしょうか。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 この十二県については、今御説明いたしましたように、一つは、政令市等を含まないということ、それから、前回の地域ブロック別を設けた際にも議論になったところでございますが、官民の精緻な比較を行うという中でのデータ数の問題がございます。そういうことで、今回も、前回の地域ブロック別の最低数を超える部分が確保できるというところでの都道府県の数ということで、今回十二県ということで、これであれば地域における官民給与の実情を適切に把握できるという判断をいたしたところでございます。

郡委員 私にはその理屈がよくわかりません。

 また、二〇〇五年の勧告の給与構造改革はブロック単位で比較をしていたわけで、翌年から四・八%下げることを段階的に行って、二〇一一年までで完成をしましたですよね。これについて、一昨年、二〇一二年、検証を行っておられますよね。所期の目的を達成したというふうにおっしゃっていたのではないかというふうに思っています。

 であるのに、今回、わざわざ、民間給与の低いところ、この十二県を取り出して、それを根拠に引き下げる、これは一体どういうことなのかなというふうに考えてみたところです。多少うがった見方かもしれませんけれども、二〇一二年から一三年までに何が起きていたかなということを考えますと、参議院選挙があったなということです。

 今、官製ワーキングプアと呼ばれる非正規の問題も顕著になってきております。今回、給与を引き上げようという動きが多くある中で、しかも、被災地で大変厳しい環境の中で公務員として業務に当たっている皆さんたちの給与を引き下げるというのはどういうことだろうと、私は本当に信じられない思いでいるわけであります。

 地域創生という金看板にも、安倍政権が掲げる金看板にも反するのではないでしょうか。せめて集中復興期間が終了するまで慎重に議論すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

古屋政府参考人 総合見直しの中では、先ほど来申し上げていますように、地域の問題、それから若年層、高齢層の配分の問題といった、さまざまな問題を総合的に見直すということにしたところでございます。

 今回の見直しにおきまして給与水準が下がる職員にとっては確かに厳しい状況ということはございますが、先ほど来出ておりますように、三年間の経過措置ということで、給与が下がらないようにという措置を講じながら、段階的に移行したいということで考えているところでございます。

郡委員 公務員の給与制度というのは、社会経済情勢の変化に対応するとともに、国民の皆様方の納得を得るための不断の努力、説明が必要だということ、これは不可欠だというふうに思うわけですけれども、一方で、見直しには、職員の士気ですとか、それから組織の活動の維持向上、これも求められているんだというふうに理解をいたしております。

 東日本大震災の復興再生を初め、厳しい職場環境のもと仕事に従事しておられる地域の公務員にとって、給与水準の引き下げとなる今回の給与制度の総合的見直し、これは職員の皆さんたちの士気の維持向上につながるのでしょうか。大臣、いかがお考えでしょうか。

有村国務大臣 委員御指摘のように、公務員給与に対する国民からの理解を得るというのは極めて大事なことだと存じます。

 同時に、今参考人の方から御答弁ありました、俸給表の引き下げに際しては三年間の現給保障をするという措置を講ずるということで、直ちに職員の給与水準の低下につながるものではないというふうに考えておりますが、やはり、被災地も含めて、国家公務員、地方公務員がそれぞれの地で責任を持って精力的にやってくださっている、こういう世界に冠たる日本の公務員の方々の貢献があるということは、もっともっと積極的に伝わるべきであると思いますし、その方々のまともな仕事に対しての社会的称賛ということも士気には極めて大事なことですから、報道や私たちの発言からもそれをたたえていきたいと考えております。

郡委員 だからこそ、今回、集中復興期間がせめて終了するまで慎重に議論を続けていくべきではないかということを申し上げているわけです。

 給与制度の総合的見直しによって、私も、先ほど法務局の職員のお話もいたしました。また、新聞記事ではございますけれども、震災を理由に百六人の公務員の皆さんたちが任期途中で退職をせざるを得ないような状況に追い込まれている。こういうところを考えますと、今回のこの見直しは被災地域の公務員の士気の低下を招くのではないかと大変懸念をしているのでございます。

 そのことは、ひいては東日本大震災の復興再生のおくれに直結してしまう、そういう影響を及ぼしかねないというふうに思っているわけで、そのことを改めて指摘させていただきたいと思います。

 少なくとも、被災地を初め地域で働く職員が、みずからの健康を害することなく、復興再生に向けた作業を遂行できるよう、必要な要員の確保と健康、安全対策の徹底に万全を尽くすべきだということを申し上げて、時間になりました、質問を終えます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、山之内毅君。

山之内委員 維新の党の山之内毅です。

 前回の人事院総裁をお招きしての人事院勧告についての質疑に続きまして、今回、給与法の質疑もさせていただきたいと思っております。

 公務員の給与、どれぐらいが適正かということは、さまざまなお立場から議論があると思っております。まず、有村大臣にも、人事院総裁が来られたときにもお越しいただいて、今回も質疑をさせていただくんですが、我々の党も、私個人もそうですが、今の日本の経済状況、それから財政状況、そして、その先の将来に向けた状況、これを当然考えた上で総合的に判断していかなければいけないんじゃないのかと思っております。

 この先行きは当然、財政健全化、きのうの予算委員会でもありましたが、プライマリーバランス、やはり二〇一五年までには半減、それから、二〇二〇年までには黒字化を目標とする。ただ、二〇二〇年に黒字化というのに対しては、なかなかそのめどが立たないという状況だと思っております。

 また、片や消費増税を控えている。この判断は、七―九のGDPを、十二月に判断されることで、これに対しては与野党で、上げるべきだ、いや慎重にすべきだという議論があることと思っております。

 その中で、当然、今の経済状況、財政状況、こういったもの、有村大臣におかれましては、行革担当大臣だと思います、日本の今の状況についての御見識、御認識をお伺いしたいと思うんですが、御所見をいただけますでしょうか。

有村国務大臣 委員からは、今の状況はどうかという御質問をいただきました。

 当然、上がるか下がるか、全体のトレンドを見て、人事院勧告を尊重しておりますけれども、人事院勧告の調査、民間の給与調査については、一万二千四百事業所、五十人以上を対象として調査をされています。公務と同種同等の役職段階の従業員の、公務の組織構成に鑑みて、一定数の部下を持つ者を調査する必要がある、そして、民間企業を調査すれば従業員の給与は広く把握できる、そういうことでございますので、かなりの信憑性があるというふうに思っております。

 そして、人事院の勧告に基づいて、私どもが国家公務員の給与の官民水準均衡を図るという意味では、現在の状況、一定の上昇があるということは私は妥当なことだと思っております。

山之内委員 ありがとうございます。

 その妥当性、この前の人事院総裁をお招きしたときも私の方から質疑をさせていただきましたが、この調査についてなんです。

 当然、過去から経緯があるのも私も勉強させていただきました。

 この職種別民間給与実態調査、人事院の方で、各都道府県から、人事委員会の方から、全国で統計をとっておられると思います。

 第一回は昭和二十三年。その当時は、調査事業所の規模というのは、ざっくり大企業と書かれております。まあそうだと思います。昭和二十三年といいますと、戦後、復興間もないころ。その後は、昭和二十四年には、産業別に、三十、五十、百、五百人以上だとか、その調査の規模等、どれが適正なのかというのを考えてこられたことと思います。それから、昭和二十五年には、百人以上としたときもあれば、九月には五人以上、調査事業所の規模、そういった時期もあるようです。

 昭和四十年になりまして、事業所規模五十人以上、企業規模は百人以上というのがある程度確定されたようです。それ以来、それをずっと踏襲されまして、平成十八年に、事業所規模五十人以上かつ企業規模を五十人以上とされたと私も聞いております。

 まず、平成十八年に、企業規模を百人以上から五十人以上に下げた、この理由の方をお聞かせいただけますでしょうか。

古屋政府参考人 今御指摘の、企業規模百人以上というのは長年続けてまいったところでございますが、平成十八年当時におきましては、国会での議論も含めまして、必ずしも社会的なコンセンサスが得られているとは言いがたい状況にあったところでございます。

 このような状況を踏まえまして、人事院としては、月例給において同種同等のものを比較するという原則のもとで、その同種同等の業務を行う民間企業の従業員の給与をできる限り広く把握し、民間給与をより適正に公務の給与に反映するためにはどうするかということで検討いたしました結果、平成十八年以降、調査対象企業規模を五十人以上に改めたというところでございます。

山之内委員 ありがとうございます。そのように変更した経緯があるということだと思います。同種同等ということなんです。

 私は、これが何人が適正なのか、それによって、例えば、事業所規模が仮に四十人として企業規模も四十人とすれば、当然、調査の結果の給与は変わるし、恐らく下がると思うんですね。それは、ある意味、大きい企業、大企業の方が給与は高いでしょうから。

 私も前回も質疑させていただいたんですけれども、これは、国税庁の方でも民間給与実態統計調査があると。その調べでは、もう本当に一人から九人の事業所までくまなく統計をとれば、そのときの大体の給与、これは三百五十三万円となる、ボーナスを入れたら四百十四万円、これが大体民間の実態だと思うんですね。それに対して、五十人以上の事業所でかつ企業規模が五十人とすれば、大体平均が月収四十万円、掛ける十二カ月、四百八十万円、それに、ボーナスが今回は四・一になるということで百六十万円、足すと六百二十万円ぐらいですか。結果、差ができるわけですね。

 となりますと、もはや官民較差があるということ。もちろん公務員の方々の適正というのはどこら辺が妥当かわからないですが、先ほどの、経済状況それから財政状況を総合的に判断して、かつ、この官民較差というのもある意味調査の仕方によっては変わるという状況で、それを踏まえて、では、国民の皆さんに、こういった状況だけれどもどうですかといったときに、御理解がいただけるのかなと思っているんですね。

 きのうも、米国の方のFRBでは、ある意味、量的緩和を終了するということだと思います。それを受けて、当然、日本経済にも影響があるとは思うんです。

 今後、さまざま諸課題はあると思います。財政健全化の道筋、日本は簡単にはいかない、厳しい状況だと思うんです。この中で、それを踏まえてなお、有村大臣、この状況でやはり上げるというのが、私は何も、急激に下げるというわけではないんですが、この状況下においてもなお上げるのが妥当でしょうか。お答えいただけますでしょうか。

有村国務大臣 現下、内外で厳しい状況であることは私も把握をしております。その中でも、公務員の給与について、人事院勧告に基づくと、先ほど委員がるる歴史を述べていただきました、民間準拠を基本としての改定でございまして、そういう意味で、どのような方向に行くにせよ、やはり、国民の皆さんからの理解を得る上でも、民間準拠で人事院勧告に基づくという原則を貫くことが大事なことだというふうに思っております。

 下げるということでは必ずしもないというふうにおっしゃいましたけれども、やはり民間に準拠して一定の給与を確保することは、優秀な人材を公務員として確保するということからも大事でございますので、そういう意味では、地域間、世代間の給与配分の見直しを実施して給与制度の総合的見直しということも盛り込んだ上で、中長期的には人件費の増加の抑制に資するものとなっていることからも、私は妥当と判断をしております。

山之内委員 今、定足数がちょっと足りないということだと思うんです。質疑の方、委員長、検討いただけますでしょうか。

井上委員長 それでは、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 それでは、速記を起こしてください。

 質疑を続行してください。山之内毅君。

山之内委員 今、有村大臣にお答えいただきました。一つの観点は、やはり優秀な人材の確保ということがあると思います。

 私も、これからの時代、長期的に考えると、十年、二十年、三十年の長期的な時代を考えると、ある意味、給与に対して、給与を高くもらいたいからということでは、もしかしたら、もう公務員に、もしくは政治家はもちろんだと思いますけれども、なってはいけないんじゃないかな、そういう時代も考えないといけないと思うんです。

 もちろん、安定性はあると思います。その中でも、この国、財政が厳しい、そして地方も当然厳しい、こういった時代においては、やはりそういったところも総合的に考えて、なおそういった優秀な人材の方が来ていただかないと、もうとても耐え切れないと思います。それは、ある意味、日本人、我々全員に課せられているのかもしれないです。そういった方々が入らないのであれば、もしかしたらそれまでなのかもしれない。

 いずれにしろ、財政状況を考えた上、それで給与の方も適正なものを考えていかないと、逆に国民の理解を得られない。結果、公務員の方々に批判が集まる。

 特に地方の方ではその格差はやはりありますので、皮肉な言い方をされるのも、私も地元を回っていたら聞きます。例えば農家の方と話すと、我々農家は、サラリーマンの給与をもらいたいなら二倍働かないといけない、公務員の方の給与をもらいたいんだったら三倍働かないといけないというような皮肉も言われるんです。

 そういった中で、ある意味、優秀な人材というのは、私はさまざまな定義があると思いますけれども、やはり熱意を持ってその地方を、それから、国家公務員の方であれば、国のためにどれだけ熱意を持って仕事をされるかというところが指標になってくると思うんです。

 今回も、官民較差、人事院総裁の談話もあります。民間給与が国家公務員の給与を上回る結果となりました、そういったことなんですが、では、果たして一般の方々が本当にそのような認識であるのか。私はちょっと厳しいと思います。もちろん、都市部、一部ではそうかもしれないです。今回も、地域格差で見直し、東京二十三区の方では二〇%、そういったのもされていると思うんですけれども、全国津々浦々だとなかなか厳しいという状況だと思います。

 それを踏まえてなお、今後の方向性、見通し、こういったものの中で、適正な給与のあり方というのを本格的に議論しないといけないんじゃないかなと。先ほど、後藤委員の方からも、菅官房長官初め、さまざま議論されているとは思うんですけれども、いずれにしろ、そういったことも踏まえなければ国民の理解というのは今の状況では得られないんじゃないかと思っているんです。

 また、給与カーブのお話もあります。いわゆる世代間の給与の問題。民間のリサーチ会社等お聞きしますと、やはり五十代から給与カーブが下がるわけですね。片や、どうしても、公務員の組織は年功序列の組織でございます。さまざま、多少はしているようなんですけれども、まだまだ民間の実態に沿うような形ではないと思います。

 今回、給与カーブの方の見直しをされるということですが、この方向性、今後どのようにされていくのか。これについて、有村大臣、お答えいただけますでしょうか。

有村国務大臣 委員が御指摘いただきましたとおり、やはり、国民からお預かりしている税金を無駄にすることなく、行政効果や政策効果を最大限発揮させるための行政改革や国家公務員制度があるということは、主権者たる国民の皆さんの理解や支持をいただけるためにも極めて大事なことだと考えております。

 今回、国家公務員の給与については、従来から、給与関係閣僚会議ということで、主に三つの視点で議論をしてまいりました。労働基本権制約の代償措置である人事院勧告ということを尊重すること、また、人事院勧告の実施による国の財政への影響ということ、それから、委員も御指摘のように、我が国における雇用や所得の状況、経済状況という国政全般の検討を行うことということで、先般、私自身も、給与関係閣僚会議の構成メンバーとして、国家公務員の給与担当として出席、発言をさせていただきました。

 今後とも、関係省庁を挙げて、また大臣の的確な意見ということも表明した上で、人事院勧告ということを尊重して、また行政の円滑な効率化ということを図っていくことが、極めて大事な将来だと考えております。

山之内委員 大臣、この給与カーブでございます。ある意味、今回はそれも多少反映して、若い方々、こういった方々に対してはなるべく手厚く、事務次官級の方はボーナスのみでしょうか、そういった増がある。表もいただきました。

 その中で、先ほどの話であれば、若くて優秀な人材ということであれば、例えば初任給、今の増加しない範囲の中で、今の財源の中で、若い方々の比率をちょっと上げてあげて、年配の方はちょっと我慢していただくということでも、先ほどの若くて優秀な人材というものも、子育て世代の方は、ある意味、出費、さまざまお金が一番かかると思います。そういった中での所得の再分配というわけではないですけれども、そういったのも給与カーブの見直しをもってできるんじゃないかと思うんですが、これについて、大臣、いかがお考えでしょうか。

有村国務大臣 委員御指摘のとおり、五十歳代の中でも後半の給与水準については、相当程度、民間の水準を上回っているという状況がございます。そういう意味で、給与制度の総合的見直しにおいて平均二%引き下げを行うという中で、五十代後半層の職員が多く在職される号俸については、最大四%の俸給月額の引き下げを行うというふうにしたところでございます。

 五十代、給与水準、どのようにあるべきかということでございますが、民間では、おおむね五十代後半に、出向や転籍、役職定年などで給与が減少するということに対して、国家公務員では、先ほどおっしゃった長期化、セニョリティー、地方の管理職を中心に、五十代後半に昇任する人事慣行となっておりまして、ここにやはり官民の違いが見られること、そして、四十代、五十代前半の給与については民間水準を上回っていないということで、やはり、若年層が多く在職する号俸については改定率を引き上げてめり張りをつけていくということは妥当なことだというふうに思っております。

山之内委員 質疑時間が終了いたしました。

 いずれにしろ、今後、中長期的な展望、日本の財政状況も踏まえて総合的に検討していただくことをお願い申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、大熊利昭君。

大熊委員 維新の党の大熊利昭でございます。

 久しぶりにこの内閣委員会に戻ってまいりまして、思わず前の党の党名を言いそうになりましたが、維新の党でございますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まず、済みません、ちょっと通告にはないんですが、ざっくり感で、有村大臣、前の稲田大臣からこの公務員制度関連はどのような引き継ぎを受けていらっしゃるか。ポイント的なところ、どんなふうにそういった引き継ぎがあったかを、感想でも構わないんですが、ちょっと教えていただけないでしょうか。

有村国務大臣 九月三日に第二次安倍改造内閣の発足が行われまして、翌四日に稲田前大臣と引き継ぎ式を行わせていただきました。フォーマル、またオフサイトでのインフォーマルな会話も含めてですけれども、稲田大臣が相当程度の思い入れを持って公務員改革をなされたということで、この新しい制度を実行するという意味では、官僚を信じてやるように、官僚の言うとおりにはならないように、その両方の価値をいただいた上で、やはり、機動的に、現下の体制にしっかりと応え得るような布陣を立てることが大事だと思いますということで引き継ぎを受けました。

大熊委員 そうしますと、さきの通常国会で公務員改革関連法案が成立したわけでございますが、改革というのはこのでき上がった法律のもとでやるんだ、つまり、もう公務員改革というのは法改正を伴うものはないんだ、こういう認識でよろしいのでしょうか。

有村国務大臣 特段、法改革を伴うとか伴わないというようなお申し出はなかったと記憶しております。

大熊委員 はい、わかりました。

 それでは、大体通告に沿ってお伺いをしたいと思います。

 まず最初に、そもそも論なんですが、この給与三法、毎年出ている法律なんだろうと思いますが、提案理由説明を見ても、例えばこれは三行目のところなんですが、「政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり、平成二十六年度の給与改定を行うとともに」というふうに提案理由説明で書いておりまして、提案理由説明なのに理由が書いてない、こういうことでございまして、この理由が書いてない理由、あるいは理由は何なのか、この辺をちょっと教えていただけますでしょうか。

有村国務大臣 そもそも提案理由説明というのは、法律の背景、趣旨、主要な内容について簡潔に御説明を申し上げるものと理解をしております。

 せんだっての提案理由説明においては、八月七日の人事院勧告を受けて、その内容を検討した、勧告どおり給与の改定と総合的見直しを実施することが妥当だという旨を発言させていただきました。

 理由というところでございますけれども、やはり、給与関係閣僚会議で、労働基本権の代償措置である人事院勧告の尊重をするということを、私、担当大臣として発言いたしましたし、麻生財務大臣からは財政への影響、また、雇用や所得の状況ということで甘利大臣の御発言など、総務省からも、地方公務員のあり方について高市大臣からも御発言がありました。そのような議論をしっかりと踏まえた上での、この間の趣旨説明をさせていただいた背景にございます。

大熊委員 もっとストレートに言いますと、人事院勧告どおり実施するんです、なぜならば、それほど財政状況も厳しくないし、公務員の皆さんはしっかり働いているし、特に問題はないんですということを提案理由説明に書いておけば、それは一つの見識として、政府の考え方なんだなというふうにわかるわけなんですが、今大臣がおっしゃる、人事院勧告を尊重し、これは代償措置なわけですから当たり前のことであって、別にこれは理由とか背景を言っているわけじゃない、制度そのものを言っているだけのことですから。なぜ書いていないのか、書くと何かいろいろ差しさわりがあるから書いていないのか。率直に書いていただければいいんじゃないかと思うんですね、提案理由説明に。

 提案理由説明というのは理由は書かなくてもいいんだ、こういうことなんでしょうか。

有村国務大臣 推測でございますが、私も今回、国家公務員制度担当として、この改正をするのは初めてでございますが、今までどのような基準で書かれてきたかというところで、余り現下の状況ということを書かれていなかったのかもしれませんので、今回の御指摘を受けて、過去どのような説明をされていたかということは見てみたいというふうに思います。

大熊委員 担当の大臣の御答弁としてはちょっと心もとないな、法律を出される前にそういったところはしっかり勉強していただければなというふうに思います。

 一番目の質問と次の質問、つながるわけでございますが、財政状況と人事院勧告実施の関係について伺うという通告でございます。

 委員の皆様方にも配付させていただいている資料、昭和五十七年度と平成二十六年度、財政状況を簡単に比較した表があるんですが、昭和五十七年度、これは人勧どおり実施していない、実施見送りの年なわけでございますね。この人勧を実施しなかったときは、財政状況が非常に厳しいというようなことでもって実施しなかった。これは、そういった政府の方針、閣議決定でしたわけでございます。

 では、昭和五十七年度はどんな財政状況だったかといいますと、お配りの資料のとおり、一般会計税収三十・五兆、歳出が四十七・二兆、確かに歳出の方が多いわけなんですが、公債発行額十四・〇、公債依存度二九・七パー、公債残高九十六兆円、今でいうと丸が一つか二つ小さい数字なんです。利払いは六・六兆、残高は一般会計税収の三・二年分、それから公債残高のGDP比が三四・九%ということで、現在の状況と比べると、これが危機的な状況かと思えるほど危機的じゃないというふうに見受けられる中で、当時の鈴木内閣では、政府の方針、閣議決定として人勧見送りしたんです。これは事実なんですから、自民党政権のもとでです。

 こういった中で、理由の説明もなく人勧を完全実施するということについて、細かいことは事務方の御説明があるのかもしれませんが、大臣の率直な政治家としての御意見、これをまず一言お願いしたいんです。

有村国務大臣 やはり人事院勧告を基本とする、尊重するということは、上がる場合も下がる場合も含めて、公務員給与に対する国民からの理解を得る上でも極めて大事なことだと、私は、御質問をいただきましても思います。

大熊委員 当然、財政状況というのを考えるわけですね。先ほどの大臣の答弁の中で、麻生大臣のお話も参照されておられました。

 現下の財政状況、では、今度は平成二十六年度を読み上げますと、公債発行が四十一・三兆、公債依存度が四三%、借入金を除いて公債残高七百八十兆、入れるとこれは千百兆ぐらいになると思うんですが、利払いが十・一兆、残高は一般会計の十五・六年分ですからね。それから、公債残高のGDP比一五六%。

 立場は違いますが、こういった財政状況の中で、やはり消費税も上げなければならないんだという議論がこれまでも出てきていたし、その中で実際四月に消費税も上がったし、この十二月にどうするのかということもあるんだろうと思いますが、では、一方で、公務員人件費は〇・三%上げる人勧どおりというのは、これは何か整合していないなというのが一般的な国民感情だと思うし、論理的に見ても、これは五十七年と二十六年を比べてどっちが財政危機の状況なのか。

 まず、そこのところだけちょっと大臣の御意見、五十七年と二十六年、どっちが財政的危機的状況なのか、お答えいただきたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 五十七年は、ただいま御指摘がありましたように、人事院勧告を凍結するというふうなことがございました。

 当時も、政府は、人事院勧告制度尊重という基本姿勢は維持しておりました。一方で、確かに、公債残高の規模とか公債依存度とかは違うわけでございますけれども、当時の事情としては、例えば、五十六年度に二兆五千億円の歳入欠陥が生じた、あるいは、五十七年度におきましても六兆円にも上る歳入不足が予想されていたといったことで、当時においては大変厳しい状況であり、財政非常事態宣言も行って、政府として全体的に歳出を見直す中で、人事院勧告の凍結に至ったということでございます。

 また、近年におきましては、御案内のように、東日本大震災の復興財源確保という観点から七・八%の削減を行ったわけでありますけれども、これについても、やはり、一般的な財政状況というのは厳しいわけでございますけれども、復興財源の確保という観点から、臨時異例の措置ということで二年間の措置を講じたというところでございます。

大熊委員 五十七年のお話はそうだろうと思います。それに加えて、現在もっと厳しくなっているのではなかろうかという、なかろうかというか、これはもう数字を見れば一目瞭然でございまして、これは政治的に、政治家として、大臣、見ていただいて、今の方が厳しいですよね。そこだけちょっとお答えいただけますか。

有村国務大臣 御指摘の意図は理解いたします。

 ただ、民間給与に準拠しての人事院勧告を、では尊重しなくていいのかというふうになった場合の弊害は、これは今後の前例になっていくことになりますし、それに不安を覚える人も少なからず、大変いらっしゃるということを考えれば、先ほどの政府参考人がおっしゃったように、鈴木内閣のときにも、人事院勧告を尊重するというスタンスは崩しておられません。

 そういう意味で、やはり人事院勧告を尊重する、これは労働基本権の代償措置であるということにしっかりと鑑みて、ここには国民的なコンセンサス、支持はあるものと理解をしております。

大熊委員 前例になっては云々というお話がありましたが、前例はあるんですよ、昭和五十七年。もう既に前例はあるんですよ。それで、もっと厳しい状況になっているんです。前例は既にあるんです。おかしくないですか。

笹島政府参考人 先ほど大臣から申し上げましたように、毎年、給与関係閣僚会議におきまして、財政の状況、景気の動向、あるいは、給与の引き上げあるいは引き下げが経済に与える影響、こういったものを総合的に検討するわけでございまして、近年で申し上げれば、財政が厳しい中での財源確保という観点からは、二年間の減額措置をやったということでありますけれども、昨年、戻すという決断を政府としてしたわけであります。

 その際には、給与については、総合的な見直しという観点から、地域間、世代間の配分を見直していくという方向で改革を進める、一方で、復興のための臨時異例の措置は終わりにして、人事院勧告制度を尊重して対応していくというような流れでことしに至っているわけでございまして、そういった流れと、ことしにおける景気への影響、地方への影響等々、全体を勘案しながら今回の判断に至ったものと理解しているところでございます。

大熊委員 では、ちょっと確認のために伺いますが、昭和五十七年度は人事院勧告を軽視したんですか。

笹島政府参考人 当時の人勧凍結については裁判にもなりまして、最高裁判決まで行っておりまして、平成十二年三月十七日に判決が出ておりますけれども、その中におきましても、政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持し、将来もこの方針を変更する考えはなかったものであるがといったことでありまして、政府としての基本姿勢はあったと。その上で、やはり当時も異例の措置として、三年間という期間を区切って措置を講じたというふうに理解しております。

大熊委員 定足数が足りていないというので、一言だけちょっと。

 五十七年においても人事院勧告は尊重していたんだ、ここだけ確認できましたので、ちょうどいいところなので、定足数が足りていないということで、委員長、ちょっとお願いをいたします。

井上委員長 質疑を続けてください。

大熊委員 では、続行します。

 人事院勧告を尊重していたということで、今般においても、大臣、先ほど人事院勧告を尊重しと答弁されていましたけれども、人事院勧告を軽視しろなんて一言も言ってないんですよ。人事院勧告を尊重してくださいというベース、これは昭和五十七年と全く一緒ですよ、今でも。この二十六年、今回のこの法案についても私の姿勢も一緒です、それは代償措置ですから、そういう制度なんですから。その中でプラス〇・三%なんですかということを問うているわけですよ。

 では、聞きますけれども、昭和五十七年のときに、まあ、またあちらが答えるかもしれませんが、人事院勧告を尊重する中でもう一つ数字的な歯どめがあったんですね。尊重という範囲内で、ではどこまで下げられるんだろうというのがあったんです、昭和五十七年度。それは御存じですかね。まあ、御存じなくてもあちらが答えるんですが、ぜひ、ちょっとその辺のところをよく勉強していただきたいと思います。

笹島政府参考人 人事院勧告を凍結する、あるいは人事院勧告に基づかずに給与を削減するというのはやはり相当の理由が必要でありまして、先日の例であれば東日本大震災に対する復興財源の確保というのはありますけれども、そういった理由と、それから、具体的な下げ幅の合理性といったものもあったかと思います。当時の下げ幅が五%未満であったといったのも、当時の判断の基礎にあったというふうに理解しております。

大熊委員 そのとおりなんです。五%というのが一つのベンチマーク的な数字なのかなと。これは裁判云々じゃないですよ。政府も自民党政権ですから、制度はずっと戦後一貫して同じですから。その中にあって五%というのが一つの考え方であって、何も、では人勧じゃなくて一〇パー下げろ、二〇パー下げろというのは、それ単独では、公務員改革をやって、例えば労働基本権を付与した上で、交渉の上でと、これは可能ですけれども、一〇、二〇下げろ、こういうことをいきなり主張しよう、そういうことじゃないんですね。

 一つの五%というメルクマールがあるわけですよ。にもかかわらず、いきなり、理由もなしに、この法案は〇・三%だと言われても、ちょっと待ってくださいということになるんですね。これは、一般的な国民的な感情、あるいは、普通の人にこういうことでと説明すれば、みんなそうだなと言うと思いますよ、大体の人は、公務員の方以外は。普通にそう思うんですけれども、一言、大臣、感想をお願いします。

有村国務大臣 昭和五十七年のときの人事院勧告は、月例給を平均四・五八引き上げることという勧告がなされていました。

 先ほど委員、軽視してということは意図していないとおっしゃっていましたが、私も、軽視してという言葉は一言も使っておりません。尊重しなくていいのか、仮にそういう場合になったらということで、尊重する、しないという言葉しか使っておりません。

 昭和五十七年の四・五八の引き上げということを見送られたという状況は確かにありましたけれども、今回は、委員御指摘いただきましたように、月平均〇・三%の引き上げで、初任給で若年層に重点を置くということは、東日本大震災の復興財源に御協力いただいた皆様からも、少なくともそのベクトルが右上に行くという意味でも、私は、国民的な理解、支持は得られるものと認識をいたしております。

大熊委員 ちょっとそこは、国民の皆さんがどう判断、考えるかというのは、その考え方、感じ方については意見の異なるところなのかなというふうに思います。

 一方、その次、通告をさせていただいています、一人当たりのというんじゃなくて、人件費全体ですね、総人件費の問題に進ませていただきます。

 総人件費改革というのが、かつて、平成十七年から二十年にかけてあったわけなんですが、総人件費改革はちょっとその次に伺うとして、プラス〇・三%上げたとして、今般の総人件費というのは幾らとなる予測なんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十六年度の給与水準の改定としまして、俸給表を〇・三%、ボーナスを〇・一五月引き上げることとされているところでございます。

 この勧告実施に伴う平成二十六年度の給与改定分の所要額は、財務省によりますと、義務教育費の国庫負担金等を含む国が負担する人件費七兆四千九百六十六億円のベースで申し上げると、約八百二十億円。それから、国家公務員の総人件費、先ほどの義務教育費の国庫負担金等を除いた総人件費ベース、これは平成二十六年度で五兆九百九十六億円でございますけれども、このベースで計算しますと、約五百三十億円の増ということでございます。

大熊委員 そこで、その二十年以降の総人件費改革、これは行政改革のうちの一つということになるんじゃないかと想像しますが、この取り組みというのは、現在、制度あるいは正式な事務としては終わっているという理解でよろしいんですか。それとも、ある部局があって、担当して引き続きやっているんだという理解なんでしょうか。組織を統括するということであれば、大臣、どちらなんでしょうか、お願いします。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 五月三十日に発足しました内閣人事局におきましては、御案内のように、給与制度にあわせまして、機構・定員あるいは級別定数の機能も持っているところでございまして、あわせまして、国家公務員の総人件費に関する役割も担っておりまして、七月に国家公務員の総人件費に関する基本方針を策定したところでございます。

大熊委員 私もちょっと勉強不足で申しわけないんですが、では、その七月の方針では、かつての総人件費改革との比較でいうと、GDP比で何%ぐらいというものを目標にしたものなんでしょうか。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 この方針の中では、基本的な考え方として、人的資源、人件費予算を効果的に配分すること、構造的な人件費予算の増加の抑制を図ること、人件費の生み出す価値を高めること、総人件費に関連する各制度及びその運用状況について国民の理解を得るように努めること等の基本的な考えを示した上で、人件費に関連する制度の中長期的な運営方針を定めておりまして、具体的な数値目標等は規定しておるところではございません。

大熊委員 事務方からそういうお話なので、ではそこで、ちょっと政治的に大臣にお伺いします。

 かつての、総人件費改革を含む行政改革の重要方針、閣議決定、平成十七年十二月二十四日、これは自民党政権。これはなかなかいいことが書いてありまして、さすが自民党政権だなというふうにも思ったわけでございますが、GDP比で総人件費をおおむね十年で半減、こういう目標になっているんですよ。

 そうすると、大体十年たっています。さっき、五兆ちょっとと言いましたね。GDPも残念ながら下がっていますから、比率は変わっていないんですよ。人件費も五兆三千から五兆九百億とおっしゃいましたね、下がっていますが、GDPも五百プラスアルファから四百九十……(発言する者あり)知っています、これは決して与野党を通じていいことではないんですが。ということは、ちょっと電卓は持っていませんけれども、比率はほとんど変わっていません。

 かつての自民党政権が目標にしたこの人件費GDP比半減という数値目標を、していないというんだったら、政治的にされたらどうでしょうか。これは、大臣の大きな仕事として、非常に価値のある仕事になると思うんですが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 委員御指摘のお話は、小泉政権下で行われたものというふうに理解をしております。

 取り組みの結果、五年間で一万七千四百七十三人の純減ということでございますが、当時は、農林統計関係の方が二千四百人、食糧管理二千百九十六人、北海道開発関係の方が千人以上ということで、大幅にここは人事の削減ができるというめどがあって、そこを大胆になされたわけでございまして、現在それがなされていてかなりスリムになっているということを考えると、GDP比というのはそぐわないというふうに現在認識をしております。

 また、近年は、先ほどから話題になっております東日本大震災や天災、あるいは尖閣諸島へ海上保安庁を、現下の課題、特に緊急的に多数の定員を配置しなければならないということも国内外で多数生じておりまして、こういう課題に機動的に、戦略的に日本が対応していくためにも、あらかじめの純減目標、あらかじめの目標ということを定めることは妥当ではないという認識でございます。

大熊委員 私どももちょっと誤解される面もあるんですが、小さな政府といったときに、ただ小さくすればいいということじゃなくて、やはり、大きい小さいにかかわらず、効率的ということなんですね。数が一定であれば効率的にということで、今言われたことは、効率化、行政改革、そういうことはやらないというふうに聞こえますよ。

 それから、GDP比半減という目標をしてくださいと言っているんじゃないんです。数値目標をやってくださいと。そこを誤解されていませんか。数値目標すらできないんですか。

有村国務大臣 繰り返しになって恐縮でございますが、労働基本権制約の代償措置という人事院勧告を尊重するという立場でございまして、数値目標ということは、的確に行政需要に対応するという意味からも、設けることはなじまないというのが現政権の基本的スタンスでございます。

大熊委員 結論のところを伺って、大変残念だというふうに思いました。

 その前段のところ、それは論理的に違いますよ。総人件費改革というのは、全体の人件費の問題であって、一人当たりの人勧制度云々ということとは、何のとも言いませんけれども、関係ないですから、そこはちょっとロジックが違うんじゃないか。結論はわかりましたけれども、後ろの方の書いたロジックが違うんじゃないかと思うんですけれども。

有村国務大臣 一人一人の給与に関しては、当然俸給に基づいて、人事院勧告というのは前提論としてございました。

 数値目標を設けないということ、なじまないというのが現政権の方針ではございますけれども、御指摘のとおり、厳しい財政状況を踏まえれば、総人件費を抑制していくという必要は当然問題を共有しております。職員構成の高齢化、セニョリティーですね、シニアになっていく組織が本当に健全なのかどうかという議論と相まって、総人件費の増加の抑制、そして簡素で効率的な行政組織、体制を確立することによって総人件費の抑制を図るということは、これからも果敢にやっていかなければならない、このスタンスは明確にさせていただきたいと存じます。

大熊委員 でも、数字で明確にというか、全く目標が示せないということを果敢にとか明確にと言われても、ちょっと言葉に信頼性というものが、では実態はどのぐらいになるのかということが、全く置けないという感想を最後に申し上げて、終わりたいと思います。

 以上です。

井上委員長 次に、杉田水脈君。

杉田委員 次世代の党の杉田水脈です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 ちょうど去年の臨時国会の中では、この内閣委員会で公務員制度改革というのを、連日のように前大臣の稲田大臣と質疑をさせていただいておりました。

 改めて有村新大臣にお尋ねしたいんですけれども、昨年鳴り物入りでやっていました公務員制度改革の本質は一体どこにあったのか、お尋ねしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 本質は、縦割り行政の弊害を排すること、そして各府省一体となった行政運営を確保する、機動的にスタッフィングをするということの体制をつくっていくこと、そして総合的に人材戦略を確立することによって人を育てていくこと、そして結果としては、我が国が内外で直面するさまざまな課題に対して、機動的、迅速、適切に対応することが目的だと理解をしております。

杉田委員 ありがとうございます。

 そのとおり縦割りを排してということで、機動的に、総合的にやっていかれるということの本質だったというふうに思うんですけれども、ちょうど去年の議論のときに、内閣人事局ができますということに関して、我々も当然、公務員改革というのは目指してきたところでございまして、縦割りの行政は排除しないといけないということで、人事局で一手にそういった人事とかというものを引き受けてやっていただくというのには当然賛成だったわけなんですが、その中で、人事院を残すのか残さないのかといったような議論というのが非常になされておりました。

 そもそも、去年なんかは、よくあったのが、公務員改革の今までの流れというのがありまして、自民党さんもそもそもやっていらっしゃったときは、去年はちょっと私たちは最終的には骨抜きだということで反対をさせていただいたんですけれども、そもそも自民党さんが出していらっしゃった案というのは非常によくできていた。

 そういうふうなところからの変遷などを見ながら、内閣人事局で本当に一元化するのであれば、やはり人事院をなくして、そこのところに権限を集めて、しっかりとやっていくべきではないかということだったんですけれども、今回、人事院は残した形になっております。

 それで、内閣の人事局ができました。人事院と内閣人事局の役割分担という部分を含めて、人事局ができて一体何が変わったのかということについてお尋ねしたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣人事局は、幹部職員人事の一元管理、人事行政、行政組織を一体的に行うことによって、さまざまな課題に取り組んでいるところでございます。この発足に当たりましては、御案内のように、総務省からの機能移管、あるいは人事院からの機能移管もあったところでございまして、その新たな機能のもと、我々も日々努力をしているところでございます。

 具体的な成果を一職員の立場で申し上げるのもなんでございますけれども、幹部人事の関係では、幹部職員の一元管理という仕組みのもとで、採用昇任等基本方針におきまして幹部職員の任用方針をあらかじめ明らかにした上で任免協議等が行われた結果、女性の積極的登用や府省間人事交流がより一層進められたものと考えております。

 また、採用昇任等基本方針におきまして、管理職への任用、あるいは女性職員の活躍、ワーク・ライフ・バランスの推進等について新たに指針を定めたことに基づきまして、今月十七日に取組指針を決め、その中で、産前産後休暇、育児短時間勤務、育児時間の代替職員を配置できるようにするといったことで、人事院や定員管理の部局ともいろいろ連携を図りながらこの取りまとめを行ったというところでございます。

 それから、内閣の重要政策課題や行政需要の変化に応じた効果的、効率的な業務体制を実現するために、機構・定員の審査と級別定数の設定、改定を一体的に行うこととしたところでございます。

 こういったことによりまして、内閣人事局に総務省あるいは人事院から必要な機能を集約したことによりまして、よりスムーズに取り組みが進んだというふうに理解しております。

 人事院は引き続き、労働基本権の代償措置の機能あるいは人事行政の中立公正性の確保という観点から、そういった責務を負っているところでございます。

 我々としましても、人事院と連携をしながらさまざまな取り組みを進めているところでございまして、具体的には、採用試験の実施を担っている人事院との関係で申し上げれば、採用試験に関しまして、経験者採用試験の拡充を図ったところでございますし、また、女性の申込者、合格者の拡大に向けた広報活動等のあり方についてもいろいろ連携を図っております。また、働く時間と場所の柔軟化ということにつきましては、具体的な制度を所管しているものも人事院にありますので、人事院とも連携をとって検討を進めているところでございます。

杉田委員 スムーズに取り組みが進んだというふうに御答弁いただいたんですけれども、今まであった組織がまた違った組織になった、それの取り組みがスムーズに進んだというのは、これは成果じゃないですよね。何が実現できたかということが成果なわけで、全然具体的に、具体化に欠ける部分だったと思いますが、結局、合理化、スリム化というのは、どのようになされたのでしょうか。

 そして、今回の公務員改革によって内閣人事局ができたというような形によって、これは国民にとっての何かメリットはありますか。先ほども大熊議員の質疑を聞いておりまして、その中で、では人件費はどのように抑制できたのかということについての答弁もあやふやなものだったというふうに私は思うんですけれども、やはりそういったところが縮減できて初めて、国民にとってメリットがある組織改革だったと言えると思いますし、また、その組織の中でどのように皆さんが働きやすくなったのか、本当に能力に応じて登用が行われるようになったのかとかいうようなところが具体的に出てこないと、そういったことがわからないと思うんです。

 もう一度お尋ねしますが、合理化、スリム化はどのようになされているのか、そして、国民にとってのメリット、組織内にとってのメリットに重点を置いてお答えいただきたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣人事局の発足に当たりまして組織が肥大化するということでは、国民の理解が得られないというふうに思います。したがいまして、その設置の際におきましては、組織につきましてはスクラップ・アンド・ビルドに基づく既存組織の合理的再編成を徹底し、また人員についても、新たな業務がいろいろある中で、政府全体としての増員は行わず、その担うべき機能に必要な体制を確保したところでございます。この体制の中で、私ども職員一丸となって課題に取り組んでいるというところでございます。

 発足してちょうど五カ月がたったところでございまして、これまで、先ほど申し上げましたような採用昇任等基本方針の改正でありますとか、人件費の基本方針でありますとか、いろいろな基本的な枠組みを決めてきているところでございます。

 特に、これから重点になろうかと思っておりますのは、やはり女性の活躍、働き方改革、ワーク・ライフ・バランスの推進といったものでございまして、これにつきましては、単に人事管理というだけではなくて、仕事の仕方、させ方、いろいろな処遇も含めて、さまざまな改革が必要になってくるわけであります。

 そういった観点からは、内閣人事局に集まった機能の中で連携していい方向に持っていく、あるいは、総務省、人事院に残った機能と連携をしながら進めていくということで、政府全体で戦略的な人材配置をするといったような課題がありますけれども、こういったこと、あるいは今申し上げたような働き方改革、こういったものに向けて、我々もこれからさらに努力をしてまいりたいと思っているところでございます。

杉田委員 長々と御答弁いただきましたけれども、スクラップ・アンド・ビルドを行って、新たな課題に取り組む、担うべき体制を整備するとか、職員が一丸になって取り組むとかというのは、別に、公務員改革を行わなくても普通にできることだと思うんです。

 だから、それを行って何が変わったのかということをお聞きしたいなと思っているのと、それから、済みません、先ほどから何度も答弁を聞いているんですが、女性の活用が進むだとか、女性の登用が進むだとか、先ほどは採用のことについても、女性がたくさん採用されるようにと。別に、普通に試験を行って、いい人材を入れているんだったら、そこは女性とか男性とか関係ないんじゃないですか。女性だからといって、たくさん採るんですか。

 去年議論をしているときには、こんな話は一つも出てこなかったです。この公務員改革をやる中で、女性をよりたくさん登用しやすくしますとか、採用しやすくしますなんということは一つも出てこなかったのに、なぜ、ことしになってこういうことが出てくるんですか。これは通告していないけれども、お答えいただけますか。

笹島政府参考人 女性の活躍推進というのは、安倍政権の重要な課題であるというふうに認識しておりまして、それは民間でも国家公務員でも同様に取り組まなければいけない課題だと思っております。

 特に女性の活躍という観点から申し上げると、公務員が長時間残業であるとか、仕事の仕方がまだまだ改良の余地があるとか、こういった点はやはり見直していく必要があるということで、まさに内閣人事局としては、こういった課題については取り組む必要があるというふうに考えているところでございます。

杉田委員 女性も男性も、別に、能力によってきちっとしたところにちゃんと登用であれ採用であれしていけば、女性がどうとかという問題では全くないんですよ。残業が長いから女性はできないからと。では、女性だけ育児の間は残業しないでいいですということをすると、逆に女性が行ける部署を狭めてしまう、これは逆効果になってしまうというようなことも一点指摘をしておきたいというふうに思います。

 この質問を幾らしても具体的な答えが全く返ってこないので、次の質問に移りたいと思います。

 この人事院勧告制度というのは、公務員の身分保障の、代償としての制度である、これはもうずっと政府のお考えだと思いますし、私もそのように思っておりますけれども、では、仮に公務員に労働三権を付与した場合のメリット、デメリット、これを大臣にお答えいただきたいと思います。

有村国務大臣 先ほどの委員の御指摘、まさに男女ともに、相応の意欲、能力がある方が適材適所につかれるというのが大前提であることを私も認識いたします。

 メリット、デメリットということでございますが、国家公務員は、給与が国民の税金で賄われているということ、また、給与等の勤務条件に民間企業のような市場原理が働かないということ、また、国民、国家全体の奉仕者として国民に対して労務提供を求められることなどの特殊性を有することから、労働基本権が制約されております。

 このうち、協約締結権の付与については、例えば、労働条件について労使交渉で主体的、自律的に決定することで、職員の士気が向上するというメリットが指摘される一方で、労使交渉が長期化した場合には、公共の業務執行に影響が出るというおそれがあること、また、交渉のコストが増大して混乱を招くおそれがあるというデメリットも指摘されるかと思います。

 さらに、スト権、争議権の付与については、労使に自主的決着を促すというメリットが指摘される一方で、公務の停滞をもたらして、国民生活に影響を及ぼし、結果的に公務員自身に対する国民の信頼を失うというデメリットも指摘されます。

 そういう意味では、国家公務員の労働基本権問題については、さまざまな意見がございますし、引き続き慎重に対応することが大事なことだと認識をしております。

杉田委員 昨年度も、再三この内閣委員会の場でも、いわゆる公務員の労働組合、公務員には労働組合はありません、職員団体しかないんですけれども、でも、全国の自治体とか国家公務員とかの職員団体が労働組合と名乗っていることによって、非常におかしな状態になっていると。

 私も実際に市役所の職員として働いていたときに、議決をしなかった場合は組合の人たちが玄関に張りついて職員を中に入れないというような、そういうことが実際にあったりしました。労働三権が与えられていないにもかかわらず、そういったことが実際の現場では起こっている。もうなかなか、そういうふうなところも減ってきているかとは思いますが、組合の組織率なんかがまだまだ高いような自治体もありますので、このあたり、もう一度きちっと整理をした形で考えていただけたらというふうに思っております。

 メリット、デメリットということで、ほとんどメリットの部分が聞かれてこなかったんですけれども、もしもこれも民間と同様できちっと議決する形になってくれば、先ほどから言っておりますような、総人件費が落とせるというようなメリットも当然出てくるということも考えられると思います。そのあたり、財政状況なんか等勘案して、もうちょっとこの部分は詳しく研究をしていっていただきたいなというふうに考えます。

 それでは、最後の質問に参ります。

 再任用の職員についてなんですけれども、これも、普通の、一般の職員の方については、人事院でどういうふうな形を基準にしてその人たちのお給料を出していくのかというようなことはよくわかるんですけれども、再任用、再雇用というのは、民間では非常に事例が少ないと思います。サンプルになっている数が非常に少ないので、給与の決め方自体が、それが妥当かどうかというのが非常に不透明であるというふうに思っておるんですけれども、内閣人事局としては、どのような基準においてこの再任用の職員のお給料が適正だという形で定めているんでしょうか、お答えいただきたいと思います。

古屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国の再任用職員の給与水準につきましても、民間の再雇用者の給与を参考として検討することが適当である、まず基本的にはこう考えております。

 今御指摘のように、平成二十五年度から公的年金支給開始年齢段階的引き上げということになりまして、本年初めて、公的年金が全く支給されない民間企業の再雇用者の個人別の給与額が把握できるようにようやくなったというところでございます。

 人事院といたしましては、今後も引き続きその動向を注視しながら、一方で、各府省における今後の再任用制度の運用状況、諸手当の取り扱いを含めまして、再任用職員の給与のあり方について必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

杉田委員 先ほどの御答弁にありましたように、ことし初めて民間の状況が出てきたと思うんですね。

 公務員の世界では、再任用というのはもう随分前から制度ができまして、実際にそれに基づいて国家公務員もそれから地方公務員の方も運用されていると思うんですけれども、今までの決め方と、それから、今回初めて出てきたので、その民間のものを参考にして決めたというふうにおっしゃっていらっしゃいますが、先ほども申し上げたとおり、なかなかこの制度を採用している民間企業が少ないので、サンプルは少ないと思います。

 実際に、ことし初めて統計で出てきた給与が妥当なものなのか、適当なものなのかというのは、これはやはり、この金額が出てきましたから、これに基づいて、これに準じて国家公務員もこうしましたというのではなくて、それが妥当なものなのかどうかというのをきちっと調査する必要があると思うんですが、そのあたりはどのようになっていますか。

古屋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げたように、本年初めて調査した結果でございますが、民間の例えば係長級の再雇用者と国の再任用職員の給与ということでございますと、約二十九万円弱、二十八万九千円と二十八万五千円、それから、主任級以下でありますと二十四万一千円と二十三万六千円ということで、現在のところ、ほぼ見合った状況になっているところでございます。

杉田委員 これはさまざまな取り組みをしているところがあると思います。例えば、ある一定の役職についていた方が再任用になったら、今度は全く役職のない、いわゆる平社員みたいな形の給与に戻るとかいうようにしているところもたくさんありますし、そのあたり、やはり、単に金額がこう出たというところだけではなくて、その運用の仕方とかというようなところもきっちりと研究をした上で、適正な給与というのを考えていっていただければと思います。

 以上です。終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 本日、この給与法の改正案につきまして、十五分いただいておりますので、しっかりと質問をしてまいりたいというふうに思います。

 まず、今般の給与の引き上げといいますか、今回の法律案、その趣旨について、有村大臣にお答えいただければというふうに思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 人事院勧告がなされた。その人事院勧告は民間準拠を基本としておりまして、そして、その人事院勧告が今回は引き上げというものであった。そういう意味では、従来から政府が行っておりますように、人事院勧告制度を労働基本権制約の代償措置として尊重する、その立場を貫いて、引き上げるのが妥当だというふうに考えている趣旨でございます。

三谷委員 今お答えいただきました。わかっていることではありましたけれども、改めて、ちょっと自分の質問に、ある意味、勢いを出すために答えていただいた部分はあるんです。

 何かと申しますと、今、民間の給与が上がったということによって、それで今回、公務員の給与も上げていくというようなことなんだろうというふうに思います。

 公務員における労働基本権が制約されている代償措置という部分はもちろんそうなんですけれども、しかしながら、昨今の経済情勢の急激な悪化というものの中で、果たしてこの後も民間の給与が維持されていくのか。高どまりという表現までは上がっていないとは思いますけれども、民間が上がっているというようなことではございますけれども、果たして引き続き上がり続けていくのかどうかということについては、非常に疑問なしとしないところであります。

 ちょっと事実関係を確認させていただきたいんですけれども、今回上げるということになりましたが、これは四月にさかのぼって上げられるんだというふうに理解をしております。ある意味、本来的には支払われる分よりも低くしか支払ってこなかったので、その分まとめて一括して払うというようなことをやる。

 退職者については、銀行口座を確認して、そこの銀行口座に振り込んでまでその差額分を支払う、こういう理解でよろしいでしょうか。

古屋政府参考人 法律がさかのぼって適用されるということになりますと、そういう方についても遡及して支給されるということになるわけでございます。

三谷委員 では、仮定の話になりますけれども、来年の話を質問させていただきます。

 来年、もし民間給与が下がった場合に、もちろん、改めて人事院勧告なりなんなりが出て、給与を下げるだ何だというのが来年度以降あるんだろうとは思いますけれども、その場合に、多分この時期に審議がされるとすれば、やはり四月にさかのぼって遡及適用がされる。本来であれば払うべきでなかったものについて払い過ぎてしまったということですから、その分、支払ってしまった公務員から取り戻すというような措置をするんだろうというふうに思います。

 そのやり方について、現在、現職で、引き続き支払われている方についてはどうするのか。それから、その期間、やめられてしまった方、その方には、払い過ぎている分をどのように取り戻すのか。その点についてどのような処理がされているか、お答えください。

古屋政府参考人 ちょっと仮定のことについては申し上げにくいんですが、過去の取り扱いということで申し上げますと、過去、引き下げ改定を行った際には、十二月のボーナス、これから支給されるものについて調整を行っているということで、在職者については調整をさせていただいている。ただ一方で、マイナスの場合には不利益の遡及改定ということになりますので、法律上、そういうことができないという形になっているところでございます。

三谷委員 結局、今の答弁で明らかになったことは、これはささいなことなのかもしれないんですけれども、こういう取り扱いがされているんですよということをぜひとも国民の皆様に知っていただきたいと思うんですが、途中で退職された方、給料がふえる場合には、給料がふえた分、どこの口座に振り込めばいいですかということを全部確認して、それで追加で払うんです。やめられた方に対して、給料が下がる場合は、払い過ぎてしまったものを取り戻すということはやらないんです。

 これが、今後どういうふうな経済情勢になっていくかというのがまだわからないよという中だったら、それはもちろん、よくわからない中であるかもしれない。もちろん、それだけでも、利益は遡及させるけれども不利益は遡及させないという扱いが適切なのかというのは一つ議論になるとは思いますけれども、それだけではなくて、実際、もし来年、今のままでいくと民間の給与の水準が下がるかもしれないということが、ある程度、もしかしたら蓋然性があるかもしれない中で、今回、給与を上げるということによって、公務員の方が、やめられた方に対しては取り戻さない、払うものだけ払って、取り戻すのはしないということで、果たして理解が得られるものなのかなということについては、一点、疑問を呈させていただきます。

 それからもう一つ、こういったことは全く制度の趣旨と違うんですよという指摘があるかもしれませんけれども、今回、ことしの四月に、復興財源を捻出するために一定の給与水準が下げられている、そういった措置がなくなったということでございます。一般的に見れば、七・八%給料が上がったんだというような見方をされてしまうと思いますけれども、そこの事実関係についてお答えいただきたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 給与減額の特例措置は二年間の時限措置でございまして、ことしの三月、法律の規定どおり終了したということをもって、その分は戻ったということでございます。

三谷委員 そういう意味では、あくまでも時限措置ということでございますから、七・八%減額されたのが戻った。

 ただ、どうしても、七・八%、今回の四月で給料が、一般的には、額面としてはふえているわけです。その上でさらに給料をふやすということについて、これだけの消費税の増税というものが進んでいる中で、そして日本の財政状況が厳しいという中で、果たしてそれで理解が得られるのかということについても、改めて疑念を呈さなければいけないかなというふうに思っております。

 そもそも、公務員制度改革についてのお考えなんですけれども、前回の通常国会において、公務員制度改革、一定の前進を見たというふうに評価をしてよいのか、それとも、なかなか改革が進まなかったというふうに見ればよいのか。それはいろいろな評価があろうとは思いますけれども、この公務員制度改革の進捗について、大臣の評価をいただきたいというふうに思います。

有村国務大臣 私の印象といたしましては、やはり国家公務員制度改革については、与野党ともに、どのような立場をとられるにせよ、本当に一生懸命それぞれの立場でお考えいただいているという強い印象を持っております。

 先般の国家公務員法の一部改正によって、まず縦割り行政の弊害を排そう、そして各府省一体となった行政運営や人材をつくっていくということを狙って、政府としての総合的な人材戦略を確立していこう、その体制の第一歩は踏み出せたというふうに思っております。

 内閣人事局、今回、稲田前大臣のときにおつくりになったものですけれども、この改革の趣旨を私も継がせていただいて着任をいたしていますが、スピード感を持ってさまざまな取り組みを進めているつもりでございます。

 具体的には、国家公務員の採用、昇任、総人件費に関する方針ということを定め、また、現安倍内閣での女性職員の活躍と働き方をどんどん改革して、男女ともに国家公務員のワーク・ライフ・バランスを推進していかなきゃいけない、それが私どもの担当だけではなくて、各府省挙げて、事務次官クラスの検討会議で基本方針を定めていただくなど、そういう意味では、一定の成果は見えてきているというふうに思います。引き続き、成果が上がるように取り組みたいと考えております。

三谷委員 今後の取り組みに関してなんですけれども、我が党内でもいろいろな議論が正直ありました。

 例えば、公務員制度改革について、三歩前に踏み出さなければいけないというときに、三歩踏み出すまで頑張るか、それとも一歩踏み出した段階でとりあえずは手を打って、二歩目、三歩目はまた後ほど議論を重ねていく。どっちがいいのかというような話がありまして、最終的には、やはり我々としては、みんなの党というのは公務員制度改革というものをぜひとも行いたいという思いの中で結党された政党でございますから、そういう意味では、三歩踏み出すべきだというような考えというものをとらせていただいたというようなことではございます。しかしながら、一方で、一歩ずつ踏み出せばいいんじゃないかというような考えもあったかと思います。

 なので、その意味では、有村大臣の今後の二歩目、三歩目というものと、これからどのような改革をしていかなければいけないのか。我々としては、能力給というものをもっともっとふやしていくですとか、今の人事制度のあり方を変えていくというようなことをさまざま提案させていただいておりますけれども、そういったものについての有村大臣のお考えというものをお聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 後にみんなの党を設立される渡辺喜美先生が自民党の大臣としてこの法案を通されたときにハイタッチをしたのを、今の御報告をいただいて思い出しておりました。

 これからどうするかというところでございますが、今、内閣人事局ができ上がって、一歩を踏み出しておりますので、やはり一つ一つの検証をしていくことも極めて大事だと思います。

 PDCAサイクルを回して、実際に変わったところでどのような効果が出たのか、どのような予期せぬ弊害が出てきたのかどうか、それは国民の皆様からどのように受けとめられているかどうか、そして、実際に国家公務員の方々がどのような受けとめをしてくださっているのかどうかということもかなり見ていかなきゃいけない。その上での、的確な、妥当なラインでの改革を進めていかなければならないというふうに考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味では、ぜひこれからも、我々としてはしっかりと前向きな公務員制度改革のあり方というものを引き続き提案させていただきたいというふうに思っております。

 それから、もう一つ、どうしても我々みんなの党といたしましては、公務員給与の二割削減というものは結党以来訴えております。国家公務員だけではありません、国会議員の給与、報酬の削減というものも三割、そして、ボーナスに関しては五割というようなことは訴えさせていただいております。

 そういう意味では、なかなか公務員の皆様からの評価というのは厳しいものがあるのは理解をしておりますけれども、その中で、でも、我々として、若い方々への配慮というものはしっかりやっていかなければいけないということは十分理解をしているわけでございます。総人件費というものを抑えつつも若年層への配慮を行う。今回、どのような配慮がなされたか、お答えいただければというふうに思います。

古屋政府参考人 ことしの官民較差に基づいての配分ということでございますが、若年層に関しましては、初任給の層については二千円アップということで、率に直しますと、ほかのところと比べて大幅なアップということにさせていただいたところでございます。

三谷委員 二千円というのは大幅なんですけれども、ただ、一方では、スズメの涙というような評価もあるところではないかというふうに思います。

 そういう意味では、しっかりと本当に働いた方が報われる、しっかりと実績を残した方がしっかりと評価をされていくというような、そういう公務員制度というものをぜひとも実現していただきたい、これはもう有村大臣に心からお願いさせていただきまして、本日の私の質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

 法案の質疑に入る前に、前回、十七日の当委員会で、私は、総合的見直しによって、給与が上がる職員、変わらない職員、下がる職員、それぞれ何人か、全体に占める割合は何%かと質問いたしました。その段階では計算していないということでしたので、もう計算ができたはずでありますので、それを示していただきたいと思います。

古屋政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの、俸給水準がどうなるかということでございます。

 一般職の給与法が適用される職員につきまして、俸給水準が一律二%引き下がるものとして試算いたしまして、俸給月額と地域手当で見た場合に、給与水準が引き上げとなる職員につきましては四万五千八十九人で一七・七%、おおむね維持となる職員につきましては六万七千百三十九人、二六・三%、それから引き下げとなる職員は十四万三千四十九人で五六%となっておるところでございます。

佐々木(憲)委員 では次に、人事院勧告の内容から確認していきますが、給与制度の総合的見直しは、勧告によりますと、俸給水準を平均二%下げて、その引き下げ分を原資として地域手当の支給割合の引き上げ等の見直しを行う、こうなっているわけですね。つまり、全国共通に適用される俸給表水準を、民間賃金水準の低い地域の官民較差に沿って平均二%下げる、その一方、引き下げた分を原資として、その分を他の手当に振り分ける、したがって給与水準、給与総額は変わらない、こういうことだと思いますけれども、総裁、そういう理解でよろしいですね。

一宮政府特別補佐人 人事院の給与勧告は、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本としていることは、委員のおっしゃるところでございます。

 官民比較に当たりましては、同種同等の者同士を比較するということが適当であることから、職員数が最も多い国の行政職俸給表(一)適用職員の給与と、民間企業の事務・技術の業務を行う従業員の給与を比較しております。

 今般の給与制度の総合的見直しは、行政職俸給表(一)の給与水準を維持しつつ、給与配分の見直しを行うこととしております。(佐々木(憲)委員「総体は変わらない」と呼ぶ)行政職俸給表(一)の給与に関しては、トータルは変わらないということになっております。

佐々木(憲)委員 今回政府が出した給与法は、この人事院勧告どおり実施する内容だということであります。これは間違いありませんよね。確認です。

有村国務大臣 お答えいたします。

 佐々木委員御指摘のとおり、今般の一般職の給与法案は、人事院勧告に基づいて実施するものでございます。

佐々木(憲)委員 この給与制度の総合的な見直しは、給与水準、給与総額は変わらないということになっているわけです。したがって一般職国家公務員全体の不利益変更ではない、したがって労働基本権制約の代償機能としての人事院の役割は果たした、そういう認識でしょうか。

一宮政府特別補佐人 人事院は、労働基本権制約の代償機関として、情勢適応の原則に基づいて国家公務員の給与水準を民間の給与水準に合わせるとともに、必要な給与制度の見直しを行うことによって国家公務員の適正な処遇を確保しているところです。

 今般の給与制度の総合的見直しにつきましても、情勢適応の原則のもと、地域間の給与配分の見直し等の諸課題に対応し、適正な給与制度を実現しようとするものでありまして、人事院としては、労働基本権制約の代償機関としての責務を適切に果たしているものと考えております。

佐々木(憲)委員 そうすると、一般職公務員全体の不利益の変更にはつながっていない、こういう話でありました。本当にそうなのかどうかということを確認したいと思いますが、財務省に具体的な数字を聞きたいと思います。

 給与制度の総合的見直しを実態に即して計算するとどうなるか、国家財政から見た国家公務員給与総額の増減、それから地方公務員の給与総額の増減、その数字を示していただきたい。

西田政府参考人 お答え申し上げます。

 給与制度の見直しによります人件費削減効果についてのお尋ねでございますが、給与制度の総合的見直しによる影響額は、見直しが完成をいたします平成三十年度時点におきまして、国が負担する人件費ベースで三角の六百億円程度、地方公共団体につきましては、総務省の試算によれば三角の二千百億円程度でありまして、義務教育国庫負担金等の両者に重複している部分を除く国、地方の純計ベースでは三角の二千五百億円程度となっております。また、このうち一般職の国家公務員については、三角二百億円程度の人件費削減効果を見込んでおります。

佐々木(憲)委員 今、三角と言われたのは、マイナスということでよろしいですね。

西田政府参考人 マイナスということでございます。

佐々木(憲)委員 一般に通用する言葉を使っていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、今御答弁がありましたように、国家公務員はマイナス六百億円、地方公務員マイナス二千百億円、全体で、重複を除くと二千五百億円の削減、こうなるわけですね。しかも、一般職国家公務員の場合、給与総額はマイナス二百億円と。

 有村大臣、私はこれはおかしいと思うんですが、全体としてはバランスがとれている、給与総額としては変わらない、こういう話でありましたが、現実の数字は大変大きなマイナスになっているわけですね。

 人事院勧告は、民間給与との較差に基づく給与改定によって月例給で〇・二七%、ボーナスで〇・一五月分の引き上げを行って、その水準のもとで、全体のパイのうち平均二%下げて、それを原資として地域手当の見直しなどの再配分を行う、こういう説明でありました。全体のパイの大きさは変わらないのに、なぜ給与総額が減少するのか、それを説明していただきたい。

有村国務大臣 先ほど御確認をいただきました、国家公務員給与については人事院勧告制度に基づくという基本でございまして、地域間、世代間の適正な給与配分の実現を図るという観点から人事院勧告が出され、その人事院勧告が給与制度の総合的見直しを実施することが妥当だということで、勧告に基づいて判断をしております。

 ここなんですが、平成二十七年四月から三年かけて段階的に実施をいたします総合的見直しの結果として、佐々木委員御指摘いただきました人件費への影響が生じます。

佐々木(憲)委員 要するに、引き下げということになるわけですよ。政府が提案した給与法案は、一般職国家公務員給与の引き下げ法案になっているわけですね。

 人事院勧告では、パイの大きさを変更せずに、その中で配分だけを変える、行(一)を中心に計算をした。給与がふえる人もいるし、減る人もいる。私たちは、この配分の見直しは地域格差を拡大するものとして反対でありますけれども、あなた方の説明では、その結果として給与総額は変わらない、だから労働基本権が制約されている一般職国家公務員全体の不利益変更ではない、こういう説明でありましたけれども、パイの大きさが減少して給与が下がって、結果として不利益を与える、こういうことになっているんじゃありませんか、大臣。

有村国務大臣 上がったり下がったり、あるいは横ばいであったりということがあり得ますが、どのような状況になっても、人事院勧告どおりにする、それを尊重するという立場は堅持させていただきたいと存じます。

佐々木(憲)委員 では、人事院に確認しますけれども、これは何で全体として数字が下がるんですか。バランスがとれている、総額は同じだ、こういう話だったわけですけれども、下がるという結果が出るというのはおかしいじゃないですか。

古屋政府参考人 先ほど御説明申し上げたとおり、公務員の給与は、最も一般的な俸給表である行政職俸給表(一)について官民比較を行い、給与水準、具体的な改定の内容を決定していくということにしておりまして、他の俸給表につきましては、行(一)との均衡を基本に改定を行っているということでございます。

 そういうことで、一般職給与法職員全体で見た場合には、給与水準の動きというのは行政職俸給表(一)と全く同じ結果になるとは限らないということでございますが、多様な職種を抱える国家公務員におきましては、適用される職員数が最も多く、同種同等の者同士で官民比較を行うことができる行政職の(一)の職員を基本として決定することが現実的であり合理的な方法であるということで、これまでもそういう方法をとってきたところでございます。

佐々木(憲)委員 労働基本権制約の代償機能としての役割というのが人事院ですよね。労働基本権を制約されている職員、これは一般職国家公務員二十六万人も含む、そういう全体のものですよね。ところが、計算は、その中のいわゆる行(一)と言われる部分、これをやった、あとは当てはめるんだと。当てはめた結果がマイナスになっているわけですね。

 となりますと、要するに、労働基本権の制約の代償機能というのは果たされていない、結果としてマイナスになっている。自分たちは行(一)を基準にやったんだからそれでいいんだ、あとは結果はどうなろうが、それはマイナスになろうがどうなろうが関係ない、こういうことになったら、人事院としての役割は果たせないじゃないですか。

 これは、事実上、人事院が総合的見直しをやって、結果として給与引き下げの勧告をした、こういうことになるわけであります。これは私は非常に重大な問題だと言わざるを得ない。一般職全体がマイナスになるわけでありまして、政府は全体で二千五百億円のマイナスと計算しているわけですね。このマイナスが直撃しますと、大臣、これは特に地方に大きな影響が及ぶわけですね。

 だから、今、地方の創生とかいろいろ言われていますけれども、勧告どおりに実行したと言われる給与法の改正によって、実際には地方の公務員の給与ががくっと下がり、そして、それに依拠している、準拠している民間の場合も影響するわけですよ。結局、東京一極集中とかあるいは人口減少とか、そういうことが言われていますけれども、そちらの方にマイナスの影響が及ぶ、こういう結果をもたらすんじゃありませんか。大臣の認識を聞きたいと思います。

有村国務大臣 佐々木委員、繰り返しで大変恐縮でございますけれども、やはり各地域地域の民間に準拠するということで、一万二千カ所を上回る事業所の確認をとっておりますので、それを丁寧に繰り返すという作業を重ねていくことになるかと存じます。

佐々木(憲)委員 何の答弁にもなっていないですね。

 今回の給与法改正案は、労働基本権制約の代償機能としての人事院勧告としては致命的な欠陥のある、そういうものでありまして、給与水準、給与総額を引き下げて、一般職国家公務員給与の引き下げ法案、こうなっているわけです。これは断固として我々は容認できませんね。

 前回の質疑でも明らかにしたように、地方自治体八六%、千五百七団体の地方公務員の給与が下がるわけです。国と地方のトータルでは、財務省への確認のとおり、二千五百億円のマイナスになる。今回、これが明確になりました。これでは地域格差を拡大して、かつ地方を疲弊させる。

 こういう二重、三重に重大な内容を含んでおりますので、我々としては認められない、このことを指摘して、終わりたいと思います。

井上委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 生活の党の畑浩治でございます。

 法案の前に、ちょっと総論的な質問というか議論をさせていただきたいと思います。

 国家公務員、特に霞が関の公務員の勤務体制というか勤務のやり方ということについてでありまして、私も経験があるんですが、問題意識を持っています。というのは、霞が関の役人というのが、長時間残業、長時間労働でやっているのは大変ですが、かなり非効率なところがあるんじゃないかなと思っております。

 というのは、例えば、まず、質問の関係の作業。これは政治家も悪いんですけれども、通告が遅くなってしまう。ただ、遅いのも、政治家もかなり会議が重なって遅くなってしまうことがあって、恐縮だと思っておりますが、そういうこともあってかなり待機させてしまう。

 これについてはいろいろあるんですけれども、実は、もっと役人のサポートなしで、政治家も国会だともっと大所高所の政策論を議論して、それに対して政府に入っている政治家、大臣初め政治家も、役人の細かいサポートなしに、細かいデータは別として、やはりノー原稿で答えるぐらいの議論をしなきゃいかぬという国会改革も必要です。

 また、公務員の仕事について言うと、大変なのは、例えば法制局の法案審査、あと財務省の予算折衝、そういうもの。あれはかなり待機の時間も長かったり、あと、折衝した後にいろいろな宿題が多くて、次の日までにすぐ出せとか、とんでもない難しいものを次の日にまた出すとか、いろいろあって。それからもう一つ、各省折衝ですね。内閣制度ですから、各省の同意がないと閣議に出せないという。これも、前の民主党政権はそうじゃない、事務次官会議を廃したこともありましたが、いろいろな体系の変え方も必要なんだろうと思います。

 こういうことは大きな統治機構の改革も必要でありますけれども、当面、霞が関の官僚の皆さんの仕事の仕方をもっと効率的にすべきじゃないかなと。各省折衝も、細かいことはかなりやらなくなったと聞いていますが、そういうところをもっと簡素に、余り省益を言わないような各省折衝をやるとか、あるいは、例えば財務省なんかのあれについてももっと直前に呼び出しをするとか、できるところはかなりある。

 あと、上司に仕事を上げる場合も、霞が関というのは対面で、上げて説明しなきゃいけない文化があったろうと思います。民間だとかなり、メールとか、あるいは、単なる報告事項であればペーパーをばさっと置いて上司にこれで読んでもらう。そういうこともしなきゃいかぬし、こういうことも含めて、メンタルの部分を含めた改革が必要だと思っております。

 こういう霞が関の役人の勤務の負担軽減のための改革というのはどのように進めておられるんでしょうか、お伺いします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 畑委員、建設省、国土交通省でお働きになって御貢献をされてきたという御経験に基づく問題提起であったかというふうに存じます。

 内外の国際比較調査、るるございますが、それを見ても、やはり日本の課題として、長時間労働をどのようにするかというのは、現内閣の課題でもありますし、日本の課題だというふうにも思っております。

 私自身、率直なところ、大臣秘書官ということで、女性秘書官の方があったら大変楽だなというふうに思ったこともございましたが、二十六時とか二十八時という時間がございまして、その時間に、昼夜を問わずやっている。これが前提とされているのが本当にいいのかどうかということは、なぜ男性秘書官ばかりになるのかという理由になっているということは痛感をして、現実問題として御報告をさせていただきます。

 その上で、やはり、男女全ての職員の働き方改革を進めることが極めて重要だと認識しています。

 具体的には、やはり部下の皆さん、両立をしていらっしゃる、介護もある、子育てもある、そういうワーク・ライフ・バランスの、部下のバランスに意識を持って取り組んでいただく上司が人事上適切に評価されるような土壌をつくっていくことも極めて大事だというふうに思っております。

 今月十七日、国家公務員の女性活躍また男女のワーク・ライフ・バランス推進のための取り組み指針ということを府省の事務次官級に集まっていただいて公表していただきました。この指針には、働き方改革ということを取り組むために、霞が関における法案作業業務や国会関係の合理化についても盛り込んでおります。男女問わず、やはり職員が責任と誇りと、そして健康を維持しながら働けるような環境づくりということを一丸となって取り組まなきゃいけないというふうに考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 実は、こう申し上げるのは、霞が関の官僚も、まさに生活を楽しんで、そして仕事に縛りつけられないで、地域にも入っていっていいし、休業もとってもいいし、あと、社会の実態もそれでこそわかるというものです。霞が関だけで政策をつくっていると、どうしてもいびつなものになってしまいますので、そういう観点からも、やはり改革はこれからも進めていただきたいと思います。

 それでは、国家公務員の給与の関係についてお伺いしたいと思います。

 国家公務員の給与、これは、民間の流れを考えると、いずれは抜本的な改革をやはり進めていかなきゃいけないんじゃないかなという思いがあります。というのは、今、国家公務員の給与というのは、俸給表に従って、年功序列の要素があります。というか、年功序列ですね。一年一年上がっていくわけだから。ただ、これは、民間等を踏まえて、能力的な働き方ということで考えた場合には、職務給なり能力給ということをベースにしていく時代が来るのじゃないか、来なきゃいかぬのじゃないかなと。

 これは、例えばポストによって給料を決めるということでもいいのだろうと思いますが、今後どのように年功序列賃金制度を改革していくか。中長期の課題にもまたがりますけれども、そこのところの方向性をお伺いしたいと思います。

一宮政府特別補佐人 人事院は、年功的な給与水準の上昇を抑制するために、平成十八年度から平成二十二年度にかけて行われた給与構造改革におきまして給与カーブのフラット化や新たな査定昇給制度の導入を行ったほか、人事評価結果の給与への反映、五十五歳を超える職員の原則昇給停止などの見直しを行ってきたところです。本年の給与勧告におきましてもより一層の給与カーブのフラット化を進めるなど、引き続きその見直しに取り組んでおります。

 人事院としては、今後とも、情勢適応の原則に基づいて国家公務員の給与水準を民間の給与水準に合わせるとともに、必要な給与制度の見直しを行うことによって国家公務員の適正な処遇を確保していきたいと考えております。

畑委員 今のお答え、当面はそうなんでしょう。

 ただ、この改革も、あくまで年功序列を前提にして、それを緩和するような改革にすぎないんだろうと私は思います。これは来年やれという課題でもないし、再来年というわけでもないですが、現行の年功序列を前提として、それを緩和していくという形の方向の改革ではなくて、給与体系というか、給与制度の俸給のつくりのあり方、そこの賃金制度抜本改革をする時代が来なきゃいかぬと私は思っております。これはしっかりとこれから議論していただきたいし、私もちょっと問題をこれからも議論させていただきたいと思います。

 きょうはそのことだけを述べておきたいと思います。

 次に、今回の給与法でありますが、これは、上げるということを認めるとしても、すっきりしない部分があって、ちょっと説明をいただきたい部分があるわけです。それは、特別職が一般職に倣って引き上げられる理由なのであります。

 これは、一般職の公務員を上げるというのは、人事院勧告を踏まえてやるというのは、当然、やむを得ないというか、合理的だとしても、これから消費税を上げるという議論をする場合に、政治家としては身を切る改革が必要ではないかという議論をしております。そこの身を切る改革が見えない中で消費税を上げるということがあっていいのかというのは、これは当然だと思います。私も、そこはかなり言われておりまして、では政治家はどうなんだと。そこに対する有権者への説明もできなければいけないと思います。

 特別職、今回、政治家である特別職を対象としているわけですが、それが一般職に倣って引き上げられる理由というのは何なんでしょうか、確認しておきたいと思います。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、一般職の職員につきましては、ボーナス、期末・勤勉手当の全体の月数を民間準拠で決定しているところでございまして、今回の改定におきまして、その月数を〇・一五月分引き上げることとして、具体的には、成績主義を推進する観点から、指定職職員も含め、勤勉手当を引き上げるということにしたところでございます。

 特別職でございますけれども、特別職の中には、さまざまな職種がありまして、もちろん政治家の方がつかれるポストがありますし、それ以外の職種も多々あるわけでございます。

 そういった人たちのボーナスでございますけれども、そういった特殊性を踏まえまして、期末手当のみになっております。その支給月数は、一般職の指定職職員のボーナス、これは一般職でございますので期末手当、勤勉手当、両方ありますけれども、その全体の支給月数と同じ月数としているところでございます。これは、やはり、一般職の職員の給与との均衡、あるいは公務員全体の給与体系という観点から、今回も一般職の指定職職員のボーナス引き上げに準じて特別職の職員の期末手当を引き上げることとしたというところでございます。

畑委員 現行の法制度を前提にすればやむを得ないということで、法制度をあくまで前提としておりますので、そういう答弁だと思います。やむを得ないのかもしれません。特に一般職と特別職の給与の均衡、一般職の給与が特別職を超えてはいかぬというのも法制度上あるようですのであれですが、これから特別職の給与のあり方というのをやはり改善というか検討しなきゃいけないというのは一つ問題点として申し上げたいと思います。附帯決議にそういうのも入っておると思いますが、検討課題になろうかと思います。

 そして、もう一つお伺いしたいんですが、ちょっと話がかわりまして、再任用と新規採用の関係でありまして、平成二十八年度には年金支給開始年齢が六十二歳に引き上がる予定だということであり、再任用希望者の増加が見込まれるんだろうと思います。

 他方、財政の悪化等を理由に公務員の総人件費とか定数の削減が続けられていて、そのような状況の中で再任用職員が増加すれば、新規採用職員とか若年層の職員が減少していくということにならざるを得ないのだろうと思います。

 これは、公務員の体系上というか年齢構成からしていびつになってくるんじゃないかなという問題意識を持っております。かなり難しい課題です。三元連立方程式を解くような課題でして、新規の採用もある程度やはりバランスよくしなきゃいかぬ。再任用もある程度応えなきゃいかぬのでしょう。ただ、そこも考えながら総人件費もふやさないというのは簡単でないことはわかりますが、そこの公務員のやはり人事の、人事というか公務員の年齢層のバランスをとることが必要なんで、新規採用をいたずらにがんがん抑制すればいいものじゃないという問題意識を私は持っておりますが、そこのところも含めて、ちょっと見解をお伺いしたいと思います。

有村国務大臣 畑委員の問題意識を共有いたします。

 現在の年齢構成でございますが、御指摘のとおり、組織全体として中高年層が多くて若年層が少ない、組織としてはシニアな組織になりつつあるということでございます。

 在職期間の長期化、定員合理化に伴う新規採用の抑制によるものと考えられますけれども、総人件費の抑制、また同時に、組織活力の維持をするという観点からは、早期退職募集制度の活用などによって、やはり全体としての年齢別構成の適正化を図っていくということはこれからも重要になってくると認識をしております。

 再任用を含めた高齢者雇用の要請、バランスを勘案しつつ、同時に、若い人たちがやはり積極的に働ける、そして能力を活用できるという意味での活力を維持していけるように、安定的、計画的に新規採用を行っていくべきだと考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 きょう議論していますと、当面の給与法の改正というか当面の給与引き上げというのはこれはこれであるとして、やはり中長期的な課題が大きいなとこの公務員制度については思った次第であります。

 こういうことを含めて、本当は、あるべき公務員制度というのをしっかりつくっていく、そのことも今後しっかり議論しなきゃいけない課題だということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大熊利昭君。

大熊委員 私は、維新の党を代表して、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律(以下、給与法)案を含む三法案について、反対討論を行います。

 主な反対理由は、以下のとおりであります。

 この四月からの消費増税及び今後のさらなる国民負担の増大の可能性を考慮すれば、順序として、まず、政治家に加えて国家公務員が身を切るべきであるところ、今般の給与法案では逆に〇・三%の上昇となっており、国民の理解を得るにはほど遠い措置であります。

 本来、国家公務員制度改革基本法を踏まえて労働基本権付与の問題を解決し、人事院勧告制度からの脱却をすべきであるところ、いまだにその出口は見えておりません。

 本来、給与は、民間と同様の労使関係の中で交渉によって決められるべきであります。その中で、仮に百歩譲って、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告制度を容認したとしても、現下の厳しい財政状況において、内閣として人事院勧告どおりの給与改定は、国民の感覚としても、また政府の過去の決定に照らしても、整合するものではありません。

 昭和五十七年の人事院勧告実施見送りの際は、当時の自民党による政府は、「未曽有の危機的な財政事情の下において、国民的課題である行財政改革を担う公務員が率先してこれに協力する姿勢を示す必要があること」としていました。

 当時と現在を比較すれば、公債依存度は二九・七%から四三%、公債残高は九十六兆円から七百八十兆円、税収の三・二年分から十五・六年分、GDP比三四・九%から一五六%であり、当時の「未曽有の危機的な財政事情」より、現在ははるかに悪化しているのであり、その中での勧告どおりの給与改定は、理由の説明ができません。実際、政府からの法案の提案理由説明にその理由が書かれておりません。

 一方、公務員制度改革を踏まえても、全く納得のいく状況ではありません。

 本来、給与は、それぞれのポストの職務明細を定め、その職務遂行に対する対価であって、現行の年功序列的な運用がなされている俸給表ベースの考え方を抜本的に変えるべきであると考えます。

 実際、かつて、平成二十一年の公務員制度改革の検討過程では、国家公務員法改正案に職務明細書を定める規定があり、その実施がなされれば上記の基礎を整えることができたはずでした。しかし、先般、政府が提出し、成立した国家公務員法には、その部分が丸々削除され、跡形もなくなっておりました。そうした状況では、多少の改善は手当て可能ではあるものの、年功序列的な給与制度の運用がベースとなるしかないわけであります。

 その意味も含め、引き続き、真の公務員制度改革を求めてまいります。

 以上、反対討論といたします。(拍手)

井上委員長 次に、松田学君。

松田委員 次世代の党、松田学でございます。

 私は、次世代の党を代表して、今般の給与三法案に対して、反対の立場から討論をいたします。

 我が国におきましては、かつて大平政権が一般消費税の導入に失敗して、増税なき財政再建が掲げられて以降、三十年以上にわたり、歳出削減、行政改革による財政再建努力が続けられてきましたが、OECD加盟三十四カ国の中で比較した我が国の客観的な数字を見ますと、労働力人口に占める一般政府雇用の割合は下から二番目、一般政府の雇用者報酬の対GDP比は最低の水準にありまして、少なくとも、量的には先進国でも最も小さな政府であるという事実があります。

 ただ、たとえそうであっても、世界に例のない超高齢化社会を迎え、今後、これを支える国民負担の問題が先鋭化していく我が国としては、行政部門のさらなる量的スリム化を図り、これも世界に例のない極小の政府を目指すべきであると考えます。そのためには、公務員一人当たりの生産性を高めることによって効率化を図っていかねばならず、この点こそが我が国における行政改革の最重要課題であると考えます。

 その上で、何よりも重要なのは、公務の分野を、真に意欲と能力のある公務員が伸び伸びと仕事ができる、魅力のある職場にすること、そこに官民を問わず有能な人材を集め、人材活用を図っていくことであります。

 このような観点から、さきの国会で成立した国家公務員制度改革法案の審議に当たり、当時私が所属しておりました日本維新の会は、身分から職業へとの考え方のもと、内閣人事局が人事を担うこととなる指定職の幹部公務員については、身分保障を撤廃し特別な職と位置づけることなどを内容とする修正案をみんなの党とともに提案いたしました。

 そのような趣旨に鑑みれば、指定職の幹部公務員については、その給与等の待遇を、今般の法案のように、これまでどおり人事院勧告に基づいて一律的に決めるということではなく、政府全体の人事マネジメントの中で、さまざまな要素を勘案して、もっとめり張りのついた形で、専ら内閣人事局が決定すべきものと考えます。

 そもそも、労働基本権制約の代償である人事院勧告は、手厚い身分保障のもとに置かれた公務員制度の仕組みのもとに営まれてきたものであり、これが幹部公務員をも対象とし、それに基づいて給与法を改正していること自体が、私たちが考える新しい公務員制度のあり方と反するものであります。

 例えば、優秀な民間人を起用すべきポストについてはそれにふさわしい報酬を用意して官民人事交流を促進する、プロフェッショナルとしての性格の強いポストはその職種の報酬の民間の相場を勘案することなども含め、内閣人事局による人事マネジメントを徹底させ、そのもとに給与が決定される仕組みを構築することが、今般ようやく緒についた公務員制度改革の趣旨を十全に生かす道であると考えます。

 最後に、以上申し上げたような公務員給与の改革こそが我が国の労働市場全体の改革につながる道であることを指摘しながら、次世代の党としての反対討論といたします。

 以上です。(拍手)

井上委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案等について、反対の立場から討論をいたします。

 このたび政府は、人事院勧告に基づき、本年四月にさかのぼって給与水準の引き上げを行おうとされておりますけれども、近時の急激な経済指標の悪化を踏まえ、今後も民間給与の水準が維持される蓋然性は極めて低いと言わざるを得ません。

 来年民間の給与水準が下がった段階で改めて公務員給与の水準を下げるから問題ないとの考え方もあるかと思います。しかしながら、先ほど質疑でも確認させていただきましたとおり、一旦支払われた給与のうち、払い過ぎた部分を取り戻すことは退職公務員についてはできません。もらうときはもらう、返すときは返せないということでは、有権者の理解は得にくいと言わざるを得ません。

 また、そもそも、本年四月、東日本復興財源捻出のため一定の給与が引き下げされていた時限措置が撤廃され、給与が戻っています。民間で働く立場からすれば、ことし給与が上がって、さらに給与が引き上げられるということについて、納得をしがたいのではないでしょうか。

 また、この法律案を見る限り、若年者への配慮というのは、言葉も悪いですがスズメの涙程度であり、人件費総額を抑えたまま、若年者によりインセンティブを与えるような本質的な工夫もなされておりません。

 我々みんなの党は、現下の経済情勢に鑑み、公務員給与の水準が余りに高いとの理解に基づき、総人件費二割削減を訴えておりますが、リスクを負う者が多くのリターンを得る、本当に働く者が多くの支払いを得る、こういった形の給与体系の実現を求め、間断なき公務員改革の実現を求め、これに反すると言わざるを得ない本法律案に対しては反対させていただきます。

 以上で討論を終わります。(拍手)

井上委員長 次に、佐々木憲昭君。

佐々木(憲)委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案及び関連二法案に対し、反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、法案が措置する給与制度の総合的見直しが一般職国家公務員の給与を引き下げるものとなっているからです。

 人事院は、給与制度の総合的見直しについて、平均二%の引き下げ分を原資として、地域手当の支給地域、支給割合を見直すものと説明してきましたが、配分の見直しにとどまるのは行政職俸給表(一)職員十四万人にすぎません。それ以外の十一万人を含めた対象職員全体二十五万五千人では、給与総額が二百億円減少すること、全職員の約六割に当たる十四万三千人の給与が下がることが質疑で明らかになりました。

 人事院の給与制度の総合的見直し勧告は、単なる配分の見直しではなく、給与引き下げ勧告そのものであります。人事院の労働基本権制約の代償機能としての役割をみずから投げ捨てるものであり、こうした勧告を完全実施する法案は認めることができません。

 反対の第二の理由は、給与制度の総合的見直しが、職員の給与は、その官職の職務と責任に応じてこれをなすとする職務給の原則に反し、その逸脱を拡大するからであります。

 公務員の賃金は、職務給の原則により、全国共通であるはずであります。しかし、二〇〇五年の勧告で導入された地域手当により、地域間格差が持ち込まれ、今回の給与制度の総合的見直しは、この地域間格差をさらに拡大するものにほかなりません。

 反対理由の第三は、給与制度の総合的見直しによる給与の引き下げと地域手当格差の拡大による地域間格差をさらに拡大するからであります。

 給与引き上げ勧告の実施は当然でありますが、今回の見直しが地方自治体に波及すると、全市町村の八六%に当たる千五百七団体の地方公務員の給与の引き下げとなり、国、地方全体では、二千五百億円のマイナスとなることも明らかになりました。地域格差を拡大し、かつ地方を疲弊させることは明らかです。

 なお、他の関連二法案も、この給与制度の総合的見直しを前提とし、給与制度のゆがみを拡大するものであり、反対であります。

 以上、討論といたします。(拍手)

井上委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

井上委員長 これより採決に入ります。

 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、国家公務員退職手当法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 この際、ただいま議決いたしました各案中、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、平口洋君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び生活の党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 女性の社会進出と活躍を促進するとともに、少子化対策を推進するため、育児に責任を有する国家公務員の処遇の改善について検討すること。

 二 今回の改正に当たり、常勤職員との給与格差の拡大を抑制するため、非常勤職員の処遇の改善に努めること。

 三 東日本大震災からの復興・再生等の促進と、その業務に従事している公務員の士気の確保を図るため、必要な体制の整備や健康対策等の措置を講ずること。

 四 自主性及び自律性の発揮という独立行政法人通則法の趣旨並びに職員に適用される労働関係法制度にのっとり、職員の給与改定及び給与制度の見直しに関しては、独立行政法人の労使交渉における決定に基づき対応すること。

 五 地方公務員の給与改定及び給与制度の総合的見直しに関しては、地方公務員法に基づき地方公共団体における自主的・主体的決定が適正になされることを旨とすること。

 六 国の財政事情が厳しい折、今回の改正により特別職の期末手当が引き上げられるが、国務大臣、副大臣及び大臣政務官等の特別職の職員並びに事務次官等の高位の政府職員の給与については、民間企業の給与体系も参考にしつつ、中長期的に検討すること。

 七 国家公務員の総人件費に関する基本方針を踏まえ、実効性のある総人件費管理に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。有村国務大臣。

有村国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を踏まえ、配慮してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

井上委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

井上委員長 次に、内閣提出、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案及び国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。山谷国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案

 国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山谷国務大臣 ただいま議題となりました犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案及び国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 まず、犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。

 この法律案は、最近における犯罪による収益の移転に係る状況等に鑑み、疑わしい取引の届け出に関する判断の方法、外国所在為替取引業者との契約締結の際の確認義務、特定事業者の体制整備等の努力義務の拡充等について定めることをその内容としております。

 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、疑わしい取引の届け出に関する判断の方法に関する規定の整備についてであります。

 これは、疑わしい取引の届け出を行うかどうかの判断について、特定事業者は、取引時確認の結果等に加え、犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、かつ、主務省令で定める方法により行わなければならないこととするものであります。

 また、この犯罪収益移転危険度調査書については、犯罪による収益の移転の危険性の程度等を記載することとし、毎年、国家公安委員会が作成、公表することとするものであります。

 第二は、外国所在為替取引業者との契約締結の際の確認義務に関する規定の整備についてであります。

 これは、業として為替取引を行う特定事業者は、外国所在為替取引業者との間で、為替取引を継続的にまたは反復して行うことを内容とする契約を締結するに際しては、当該外国所在為替取引業者が取引時確認等に相当する措置を的確に行うために必要な体制を整備していること等を確認しなければならないこととするものであります。

 第三は、特定事業者の体制整備等の努力義務の拡充についてであります。

 これは、取引時確認等の措置の的確な実施のため特定事業者が講ずるように努めなければならない措置として、取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成、業務を統括管理する者の選任等を追加することとするものであります。

 なお、この法律の施行期日は、犯罪収益移転危険度調査書の作成等に関する規定については公布の日、その他の部分については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 次に、国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案について御説明いたします。

 この法律案は、国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等が国際的なテロリズムの行為を非難し、国際連合の全ての加盟国に対し当該行為を防止し、及び抑止するために国際テロリストの財産の凍結等の措置をとることを求めていることを踏まえ、我が国が実施する当該措置について必要な事項を定めることをその内容としております。

 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、国際テロリストの公告についてであります。

 これは、国家公安委員会が、国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号、同理事会決議第千三百七十三号等を踏まえ、国際テロリストの氏名等を公告することとするものであります。

 第二は、公告された国際テロリストの財産の凍結等の措置についてであります。

 その一は、公告された国際テロリストが金銭等の贈与を受けるなどの行為をするときは都道府県公安委員会の許可を受けなければならないこととするものであります。

 その二は、都道府県公安委員会が、公告国際テロリストに対し、所持している財産の一部の提出を命じ、仮領置することができることとするものであります。

 第三は、その他所要の規定の整備についてであります。

 これは、外国為替及び外国貿易法との適用関係、罰則その他所要の規定を整備するものであります。

 なお、この法律の施行期日は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、両法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。

井上委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十一月五日水曜日午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十三分散会


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