第10号 平成26年11月12日(水曜日)
平成二十六年十一月十二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 平井たくや君
理事 平口 洋君 理事 近藤 洋介君
理事 木下 智彦君 理事 高木美智代君
青山 周平君 穴見 陽一君
岩田 和親君 越智 隆雄君
大岡 敏孝君 鬼木 誠君
勝沼 栄明君 勝俣 孝明君
川田 隆君 小松 裕君
桜井 宏君 新谷 正義君
末吉 光徳君 鈴木 馨祐君
田中 英之君 高木 宏壽君
豊田真由子君 中谷 真一君
中山 展宏君 藤原 崇君
松本 洋平君 山田 美樹君
吉川 赳君 泉 健太君
大島 敦君 郡 和子君
辻元 清美君 福田 昭夫君
上西小百合君 河野 正美君
三木 圭恵君 山之内 毅君
輿水 恵一君 濱村 進君
杉田 水脈君 松田 学君
三谷 英弘君 佐々木憲昭君
高橋千鶴子君 小宮山泰子君
畑 浩治君
…………………………………
国務大臣
(女性活躍担当) 有村 治子君
内閣府副大臣 赤澤 亮正君
厚生労働副大臣 永岡 桂子君
厚生労働副大臣 山本 香苗君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
政府参考人
(内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室次長) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室次長) 久保田 治君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 武川 恵子君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 金子 修君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 福島 靖正君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大西 康之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 木下 賢志君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房統計情報部長) 姉崎 猛君
政府参考人
(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長) 安藤よし子君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 平井 裕秀君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
十一月十二日
辞任 補欠選任
青山 周平君 藤原 崇君
田所 嘉徳君 岩田 和親君
田中 英之君 穴見 陽一君
豊田真由子君 勝沼 栄明君
泉 健太君 辻元 清美君
福田 昭夫君 郡 和子君
大熊 利昭君 上西小百合君
河野 正美君 三木 圭恵君
佐々木憲昭君 高橋千鶴子君
畑 浩治君 小宮山泰子君
同日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 田中 英之君
岩田 和親君 末吉 光徳君
勝沼 栄明君 豊田真由子君
藤原 崇君 青山 周平君
郡 和子君 福田 昭夫君
辻元 清美君 泉 健太君
上西小百合君 大熊 利昭君
三木 圭恵君 河野 正美君
高橋千鶴子君 佐々木憲昭君
小宮山泰子君 畑 浩治君
同日
辞任 補欠選任
末吉 光徳君 桜井 宏君
同日
辞任 補欠選任
桜井 宏君 田所 嘉徳君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第二二号)
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○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室次長向井治紀君、内閣官房すべての女性が輝く社会づくり推進室次長久保田治君、内閣府男女共同参画局長武川恵子君、法務省大臣官房審議官金子修君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、厚生労働省大臣官房審議官大西康之君、厚生労働省大臣官房審議官木下賢志君、厚生労働省大臣官房統計情報部長姉崎猛君、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長安藤よし子君、経済産業省大臣官房審議官平井裕秀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上西小百合君。
○上西委員 維新の党の上西小百合です。
私は、去る十月三十一日の本会議で、維新の党を代表して、今議題になっております女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問をさせていただきましたが、私の事務所には連日、国民の皆さん方から、この法案にしてもしかり、そのときの大臣の御答弁にしても、余りにも抽象的過ぎて、あれでは政府が一体何をしてくれるのか全然わからぬ、こういうふうなお言葉ばかりが届いている、こういうのが現状でございますので、本日は、その部分を再度詳しく御確認をさせていただくとともに、私自身が本会議の時点で納得できなかったところを再度質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、代表質問で、私は、去る十月七日の参議院予算委員会の際、有村大臣と民主党議員との応酬を引用する形で、「御著書から、共働きの両親の子供は数十年後におかしくなるとのニュアンスが読み取れるとの指摘を全面的に否定され、」との、質問に至る前段階として述べさせていただきました。
私は、有村大臣のその著作のニュアンスをあらわしたわけではなく、参議院の予算委員会でそのようなやりとりがありましたね、こういう形で一種の引用をさせていただいた、こういうわけでございます。
それに対して、大臣は本会議場で私に御答弁を下さいまして、その御答弁では、「著書は出したこともありません。引用される場合は、どうか的確に引用をしていただきたいと存じます。」とお答えになりました。
有村大臣は、今まで本当に御著書を出されたこと、書かれたことがおありでないのでしょうか。御答弁をお願いします。
○有村国務大臣 おはようございます。上西委員にお答えをいたします。
私の人生において、表紙、背表紙、裏表紙のついた本を出版したこと、著書を出したことはございません。
○上西委員 ありがとうございます。
もう一度、いろいろ今説明をいただいたんですけれども、有村大臣は著書を出されたことがないということでよろしいでしょうか。端的にお答えをお願いいたします。
○有村国務大臣 お答えいたします。
今御答弁を申し上げたとおりでございます。
○上西委員 そうしたら、有村大臣の御認識の中では、背表紙、そういったものがついているものが著書である、こういった認識、そういったものでないと著書でないという認識なんでしょうか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
一般的に著書、本とは何かというふうになりましたら、表紙があって背表紙があって裏表紙があって、そこに私の名前を冠した著書は一冊も出したことがございません。
○上西委員 私が聞きたいこととちょっと、はっきりお答えをいただきたいわけなんですけれども、今は私は本会議のときとほぼ同じ内容でお話をさせていただきましたので、今の御答弁が、ほぼ本会議のときの私への御答弁の内容と変わっていなかったのかな、こういうふうに思います。
これは、今議運でも、有村大臣が秘書の方を通じて御説明されているとおり、有村先生の名前で著書を出版したものではなく、あくまでも寄稿したという有村先生の御認識により、上西議員に対して当該の答弁をしたものと存じます、こういうふうに有村大臣もお思いなんでしょうか。
また、なぜ秘書の方から、何々したものと存じますなどというお茶を濁すような説明しかされていないのでしょうか。御自身の御答弁が正しいと思われているのでしたら、御自身の名前で、こうだからこういうふうに答弁しましたとはっきり御説明をなさればいいと思うんですけれども、議運でもそういうふうな御対応をされているということですので、このことに関しましては、私としては大変に腑に落ちない。
こういうふうな状況でございますので、この二点について確認をさせてください。
○有村国務大臣 上西委員にお答えをいたします。
私がさきの上西委員の本会議での御質問に対してお答えしたのは、「著書は出したこともありません。」ということで、その事実を申し上げたステートメントから事実は一切変わっておりませんから、私の発言がいささかも変わることはございません。
そして、委員が指されている、蓮舫委員から引用をされた、これは「新米ママ、国会で走る!」という、月刊誌から頼まれて寄稿をしたもの。数回書いて、それをホームページに書いたら、ホームページに上げたらそれを著書というのか、自分の手書きじゃなくて、印刷所を経たらこれを著書というのかというふうに言われれば、私は、もし私がこれを著書です、著書を出しましたというふうに申し上げたら、それこそまさに詐称ということで、国民の皆さんのそしりを受けることになると思いますよ。そして、その月刊誌を出版している人も、私が出版をした、著書を出したなんて誰も思っていません。
それで、秘書が書いた、秘書が伝えたものに関しては、まさか、秘書が書いたものに有村治子本人が書いたかのような発言はできません。ですから、御要望に応じて、議運なり、あるいは国会の対応なり、私の事務所の秘書なり、あるいは私の発言なりというのは、全て的確に心を込めてお答えをさせていただいている次第でございます。
○上西委員 今のは、秘書の方がお書きになられたとおっしゃいましたが、秘書の方がお書きになられたということで指しているのは、本会議での御答弁なのか、あるいはこの用紙のことなのか、どちらなんでしょうか。
○有村国務大臣 本会議における私の答弁は、私及び省庁の責任において発言をしております。秘書は一切入っておりません。
当然、お聞きになられたそのファクスについて、秘書がというふうにおっしゃるから、その経緯を申し上げた次第でございます。
○上西委員 わかりました。それは当然のことだと思うんですけれども。
ですから、私が申し上げたいのは、秘書が書いたものを私が書いたというふうに言うことはできません、それはそうなんですよ。そうではなくて、それでしたら、有村大臣から直接、有村先生のお名前で御対応していただければよかったんじゃないかな、こういうふうなことを言いたかったということでお伝えをしておきます。
そして、次に参りますが、十月三十一日の本会議で、私の代表質問に対する有村大臣の御答弁は、まるで私が事実を調べずに、適当に質問したような印象を多くの国民に印象づけ、そして、まさに私を罵倒するかのごときの御答弁だったと私は感じましたので、ここで私があの質問をするに至った経緯及び事実を御説明させていただきたいと思います。
私は、参議院の予算委員会のやりとりを拝聴していて、民主党議員が大臣の書かれたエッセーというふうに繰り返していたのが印象的だったので、代表質問の作成に取りかかり始めた当初は、大臣が共働きの両親の子供は数十年後におかしくなるというニュアンスの本を書かれ、それを民主党議員が追及しているのだな、こういうふうに思い込んでしまったので、一番最初に提出した質問通告には、大臣が上梓されたエッセーの中でそういうふうな記述をされていると書いていました。
特段その内容にかかわる質問ではありませんでしたが、念のため、話題になったエッセーを私の方でも取り寄せたところ、先ほど大臣からおっしゃっていただきましたが、「チャイルドヘルス」という子育ての専門誌に寄稿された「新米ママ、国会で走る!」という記事であることがわかり、上梓という言葉は適切ではないというふうに判断したので、即座に、先ほど申しましたように、御著書から、共働きの両親の子供は数十年後におかしくなるという形で、こういうふうなニュアンスが読み取れるとの指摘を全面的に否定されという形で、上梓という言葉をわざわざ抜いて、訂正して通告をし直しいたしました。
本会議で、大臣は、本の出版はしていない、今もそうでしたけれども、力説をされている、こういった御様子ですけれども、現にこのエッセーは存在をしておるわけでございます。そして、そのエッセーの全体から、参議院の女性議員がそのようなニュアンスが読み取れると述べられていて、そうしたやりとりがあったことを私は引用させていただいたわけでございます。
さて、ここで、著書に関して、幾ら大臣が、出版はしていない、こういう御認識でそういうふうにおっしゃっていただいても、日本語には意味というものが定められておりまして、それは幾ら大臣でいらっしゃっても個人の認識で変えられるものではございません。
大辞林第三版等によりますと、著書とは、書物を書き著すこと、また、書き著した書物、著作となっています。すなわち、一般的な国語辞典の代表格に著書イコール著作である旨が明記されています。そして、著作とは、書物などを著すこと、また、書き著したもの及び著述、こういうふうにされていますので、著書イコール著述となり得るわけでございます。エッセーやコラムを雑誌等の一部として掲載した場合も、著書の範疇に属することが明白なわけでございます。
蛇足ながら、エッセー等の寄稿文も著作権法上の保護対象になり得る、こういった判例は枚挙にいとまがございませんし、加えて、この著書のページの下には、有村大臣の御紹介を「著者プロフィール」、こういった題目で行われております。ですので、著者が書き著したものを著書と表現して何の問題、そごがあるのか、私には甚だ疑問でございます。
先ほど申し上げました、上梓というのは、平たく言えば、確かに本を出版することです。ですから、あえて私は、その上梓という言葉は一切使わずに質問をいたしました。有村大臣は、今の私の著書という日本語の説明と御自身の本会議のときの私への御答弁を照らし合わせて、どのようにお考えになりますでしょうか。御見解をお聞かせください。
○有村国務大臣 明確に申し上げれば、見解の相違でございます。
もし委員が、本会議におきまして、有村の著述や著作について聞くというふうにおっしゃっていただければ、私は、そのまま、そのとおり、心を込めてお答えをしていたと思います。著書というふうにおっしゃったので、著書は一切出していないという立場は変わりはございません。
○上西委員 ですから、今申し上げたように、日本語の意味、これは辞典に載っているんですよ。そうしたら、その意味で私が質問をした、正しい日本語の使い方をした私の質問が間違っていた、こういう形なんですか。
○有村国務大臣 委員にお答えをいたします。
委員は、本会議において、委員のお言葉を引用いたしますと、「随所で伺う有村大臣の育児観、家庭観からは、結婚イコール嫁入り、文字どおり女が家に入ること、赤ちゃんは母親と肌を離さず育てるべきだといった儒教思想や家長制度論に近いものを感じてしまいます。」というふうにおっしゃっていただいております。どこがそう感じられるのか、根拠を述べずにそのような言い方をされるということは、ぜひお示しをいただきたいと存じます。
先ほど引用していただいた、子供は数十年後におかしくなるというニュアンスが読み取れるというのは、確かに参議院の委員会におきましての蓮舫議員がおっしゃった御発言と記憶しておりますけれども、それ自体が全く事実には即しておりません。
十年ほど前からこの原稿を私のホームページに載せていますが、そのように、蓮舫さんのように読み取った方は一人もいらっしゃいませんで、そのようなことはどうかというような反論をいただいたことは、十年来、一件もございません。もし、私がそのようなニュアンスを読み取れる原稿を自分のホームページに載せていて、それが問題であるならば、この十年来で、とっくの昔に炎上しているはずでございます。
そういう意味では、十年来、この記事をホームページに載せていて、一切の文句が、あるいは批評やコメントが出てきていないということ自体のその事実を鑑みましても、皆様、蓮舫委員と、それからそれを引用された委員のこの表現は、果たして適切なのか、事実に即しているのかどうかということは疑義を覚えます。
○上西委員 いろいろ説明をいただいたんですけれども、それは後ほど、寄稿されたもの、このエッセーですね、その中身の内容については少し触れさせていただきたいと思います。
今、私が質問した内容というのは、私は、正しい日本語の意味に基づいて、著書、こういうふうに申し上げたんですけれども、それに対して有村大臣は、それは見解の相違なんです、こういうふうにおっしゃったわけなんですが、これは辞書に載っているんですから、見解の相違も何もないと思うんですけれども。
○有村国務大臣 辞書にはいろいろなことが載ってございます。
私は、このペーパーを見て、これを著書だとはよもや思えないという見解に全くの変化はございません。
○上西委員 そうしたら、一般の通念上といいますと、では、大臣の御見解からいくと、その辞書がおかしいということなんですか。
○有村国務大臣 辞書は正しいものであるというふうに思っております。
一般の通念上というふうに委員はおっしゃいましたが、一般の通念上に照らし合わせれば、これを著書だと思う人はいないと思います。
○上西委員 それは大臣の判断でありまして、私は、本会議の代表質問をつくるのに当たって、変な話、こういった言葉で使い方は合っているんだろうか、この言葉を使って誤解を受けないだろうかと、辞書を引いたりとかそういった形でつくっている。
こういったこともありますから、やはりそういった、有村大臣が、辞書に載っている言葉は、それは一般通念上では考えられないんだ、こういうふうにおっしゃられると、少しどうなのかなと思うんですが。
○有村国務大臣 辞書に載っていることが一般通念上どうかなんということを、私は一度も発言をしておりません。辞書は正確に載せていただいているものと認識をしております。
ただ、私がこれを著書と言おうものなら、本当に、詐称ということで国民の皆さんから大変な非難を浴びると思いますよ。背表紙もないですし、私が書いたもので、ホームページに書いたものを、これを著書と呼べるかといったら、それこそ、一般通念上からしたら、相当な乖離があるというのが世間の一般ではないでしょうか。
○上西委員 まあ、見解の違い、見解の違いでずっと行き来しても、時間ももったいないと思いますけれども、そうしたら、有村大臣のおっしゃる著書ということは、背表紙、そういったものがついているものじゃないといけないということなんですかね。
それじゃ、次に参りたいと思います。
私は、今御説明させていただきますけれども、私が思っているところによりますと、本会議前夜の検討会で、先ほど申し上げましたが、一番初めに私が提出した原稿が、つまり、最終的にこれは間違っていたのでやめますと取り下げた原稿がそのまま使用され、結果的に、そこでまとめられた答弁書を本会議場で有村大臣がそのままお読み上げになられたのではないかな、こういうふうに思えてなりません。
だとしたならば、要するに、本会議場のひな壇では、有村大臣は私の発言にしっかりと耳を傾けていただいていなかったのではないかな、こういうふうにも思えるわけでございます。
先ほど申し上げましたが、正しい日本語、お互いの認識の違いということもありますけれども、やはり私としては、しっかりと辞書から意味を調べて、そして代表質問をつくっているわけですから、正しい日本語でありますから、私の質問を、真摯にきっちりと前向きに答弁をしようというお気持ちがあったのであれば、ああいう答弁にはならなかったと思いますし、今も申し上げましたように、あのときの問題提起の仕方は正しかった、こういうふうに思っております。
ですので、私から言わせていただければ、そして、私の事務所に寄せられています国民の皆様からの御意見としては、あのときの有村大臣の御答弁はいかがなものかというふうな意見も寄せられているわけなんですけれども、これに対して、有村大臣、御説明をいただきたいと思います。
そして、何度も申し上げて恐縮ではございますが、こういった形で私は正しい日本語の使い方を用いて質問をしたわけなんですね。ですので、ああいった答弁をいただくこと自体、非常に不合理だと思いますし、私は、本会議場において、かくはずのない恥を国民の皆様の前でかかされた、こういうふうに感じておるわけでございますが、有村大臣のこれに対しての御説明もいただけますでしょうか。
○有村国務大臣 それぞれ議場での発言は大変重いものでございます。上西委員も一生懸命準備をされたと思います。我が方も、省庁ともにみんなで、昼夜を分かたず一生懸命に用意をしております。
その上で、前夜の御準備にどのような経過があったかは今初めて御開陳をいただきましたけれども、前夜にどのような御準備があったにせよ、本会議場で出た言葉によって、それを拝聴して本会議場で私も御答弁申し上げているということで、当然、本会議場での上西委員の御発言ということは、誰も話さずしっかりと耳を傾けておりますし、それに対しての御答弁を真摯に申し上げた次第でございます。
○上西委員 今御説明いただいたんですけれども、ですから、私といたしましては、訂正前の原稿で御答弁書を書かれた、そのままでお読みになられたから、お互いの認識の違いからこういった答弁が生まれたのではないかな、こういうふうにも感じているわけでございます。
次に、もう一度このエッセーの方に戻らせていただきます。
大臣のこの御著書、「新米ママ、国会で走る!」これを、私も、私心を捨てて客観的な立場から読ませていただきました。
確かに、大臣おっしゃいましたように、共働きの両親の子供は数十年後におかしくなると断定されているわけではございませんし、有村大臣は参議院議員をされながら二人のお子様を御出産になられ、育児をされながら議員活動もそつなくこなされている、こういうわけでございますから、私自身が共働きである、こういった形で反論される点は理解できます。
しかし、このエッセーを読ませていただいた読者の感想としては、共働きで数年後に破綻した家庭を他山の石として、そのようになってはならないと肝に銘じて頑張っている、こういうニュアンスがあるのも紛れもない事実であるということをまずは申し上げたいと思いますし、したがって、有村大臣の、よく読んでいただきたい、共働きの家庭を否定するような発言は今まで一度もしていない、私自身が共働きだというこの前の御答弁には違和感を感じざるを得ないということをお伝えしておきたいと思います。
加えて、本法案の趣旨は、手短に申し上げると、女性が社会に出て活躍することを応援する、こういう法案であると思います。これに関して、私自身も、国政に携わるこういう貴重な責務を負わせていただいている立場の女性として、世の中の女性がますますやりがいを持ってあらゆる職務に挑戦できるのではないかと思いますので、傾向としては評価をさせていただきたいと思いますが、中身を見ると、非常に具体性が乏しく、冒頭も国民の皆様からのお声を紹介させていただきましたとおり、だから、実際に国が何をしてくれるつもりなのか、これがさっぱりわかりません。
これは、有村大臣の御著書や、さまざまな場所でなされる御発言から推察される、有村大臣の、先ほど大臣はおっしゃいましたけれども、結婚イコール嫁入り、文字どおり女が家に入ること、赤ちゃんは母親と肌を離さずに育てるべきだといった育児観、家庭観からの影響でしょうか。有村大臣の育児観、家庭観と逆行される法案だから、このように中身のない法案になっているのでしょうか。
加えて、有村大臣は、今の大臣職に就任されるまで、主婦が働くことで夜遅くまで預けられる子供がふえ、社会を殺伐とさせると主張している団体の副会長をされていました。まさか、御自身の思想信条と多少なりとも異なる団体の役員のポストをお引き受けになられる、こういった節操のないようなことはされないと思いますし、そのような家族観、育児観をお持ちであると思います。
ですので、そういった育児観をお持ちであると思いますが、そのことに関しては私は別に全く悪いことだとは思いませんし、そういったお考えを評価される方も当然多いと思います。ですので、正直に大臣の家族観、育児観を、曖昧なお言葉ではなく、御著書で書き著されているように、わかりやすくお教えをいただきたいと思います。
○有村国務大臣 上西委員からは、たくさんの御質問をいただきました。一つ一つお答えをしていきたいと思います。
そもそも、委員がおっしゃったように、有村大臣の育児観、家庭観からは、結婚イコール嫁入り、文字どおり女が家に入ることといった儒教思想や家長制度論というふうに、近いものを感じてしまいますとおっしゃっていただきますけれども、私は、そのような発信をしたこと、思ったことは一度もございません。
私の母も建築士、私の祖母も医者でございまして、双方ともに共働きでやってきました。共働きで家庭を、子供を産み育て、やってきましたので、そのような環境はいわば私にとっては当たり前のことでしたから、そこにとやかくの発言をする、あるいはそれに疑義を唱えるという価値観そのものを一切持っていないということを明確にさせていただきたいというふうに思います。
そして、「チャイルドヘルス」というところでございますけれども、これも以前発言も申し上げましたが、凶悪犯罪に手を染める子供たちの動向、生い立ちなどについて研究をされている専門家と意見交換をして、いわく両親が責任あるポジションについて仕事を続け、十数年以上たって家族機能が破綻し、親子関係において修羅場を経験している方々も実際には少なくないという事実を述べているだけでございまして、よもや子供がおかしくなるなんという発言や、それが読み取れる意図の文章は一切ございません。それは、別の委員の方のレッテル張りだったというふうに思っております。
それを他山の石としているかというと、そうではありません。そのリスクは、実際に共働きをして、そして激務をやっている私にもそのリスクというのは当然ある。その上で、家庭を幸せに、そして仕事もやっていかなきゃいけない、そういう御家庭にはそれなりの覚悟とそれなりのノウハウをつくっていくことが大事ですね、そのノウハウはこういうものがあるんじゃないかと考えます、そういう表明をしているわけでございます。
○上西委員 そうしたら、今大臣がおっしゃられましたように、大臣の御思想とされましては、いや、そうじゃなくて、共働きとしてどんどん女性が社会に出ていく、こういった御思想であるということを御確認させていただきました。
となると、今申し上げましたように、主婦が働くことで夜遅くまで預けられる子供がふえ、社会を殺伐とさせると主張している団体の副会長に就任されていますが、以前も、同日の予算委員会でほかの大臣が、ある団体の幹部と同じスナップ写真に写っていた、こういうことを追及され、政治家である以上、一緒に写真を撮ってと依頼されれば断れない、こういうふうに語っていらっしゃいましたし、私もそういった方々のお気持ちは重々承知をいたしております。
しかし、私は、自分の考えと異なる団体から役員の就任や推薦依頼あるいは協力を仰ぐ申し入れがあっても、自分の考えと異なれば協力できないのにそういった役職を引き受けるということは、団体を侮辱することにも当たるのではないかと思いますので、恐縮ながらお断りをさせていただくこともございます。
団体の考えと大臣の御自身の考えが異なるのでありましたら、なぜそういった団体の役員をお引き受けになられたのでしょうか。お教えをいただきたいと思います。
○有村国務大臣 お答えをいたします。
恐らく、上西議員がおっしゃっていらっしゃるのは日本女性の会のことだというふうに理解をしておりますが、まず大前提として、国務大臣として特定の団体の主義主張についての見解を申し述べるのは差し控えさせていただきたいというふうに存じます。
その経緯でございますけれども、先方の日本女性の会発足に当たって、平成十三年に先方からの御依頼があって、ボランティアで副会長をお引き受けしてほしいということでございました。日本女性の会、日本の未来のために、女性でできることを、私たちでできることをやっていこうという御趣旨でございますので、ボランティアで副会長をお受けしました。
もし、この日本女性の会の方々が、共働きはだめだとか、万が一ですよ、だめだとか、そういうふうに思っていらしたら、ずっと共働きで子供もいる私に副会長になってくれとは言われないはずでございます。そういう生き方もあり、実際にそういう会員の方々もたくさんいらっしゃいますので。
会のホームページの一行目に全て賛同するかといえば、私は全てに賛同するわけではございませんが、会の向きとして、女性でできることをやっていこう、そして、この社会を少しでも住みやすいように、家族、子育て世代に応援をしていこう、そういう趣旨には、私は賛同をいたしております。
○上西委員 わかりました。
そうしたら、端的に御質問させていただきます。今申し上げました、主婦が働くことで夜遅くまで預けられる子供がふえ、社会を殺伐とさせる、この文言に関しては、有村大臣は御反対ということでよろしいでしょうか。
○有村国務大臣 その表記があったことを民主党の委員のテレビ中継入りのところで私は初めて知ったわけでございますけれども、確かにその表現は誤解を生みやすいというところで、やはりこの表現はもう少し、夜遅くまでやらなきゃいけない人たちもたくさんいる中では、御配慮いただいた表現にされた方がいいんじゃないですかという表明は、その事実を知った後にいたしております。
○上西委員 そういった表明をされている、だから有村大臣のお考えではない、今こういうふうに御説明をいただいたわけなんですけれども、この御著書に大臣の書かれているところによりますと、「両親が、責任あるポジションに就いて仕事を続け、十数年以上たって家族機能が破綻し、親子関係において修羅場を経験している方々も、実際には少なくありません。」と書き著していらっしゃるところを拝見いたしますと、またこれも今の御答弁とちょっと異なるような気がするんですけれども、これに関して御所見をお願いいたします。
○有村国務大臣 お答えいたします。
委員がまさに読んでいただいたその直後に、実際には修羅場を経験している方も少なくありませんという直後に、
もちろんその多くは、「子どものために」精一杯働いてきた、子ども思いの善良な両親ですから、「ひたむきに働いた結果、家庭機能を失う」というのは、悲しむべき、とても皮肉なことです。仕事の拘束によって、子どもに常に寂しい想いをさせてきたという負い目からか、どうしても子どもには必要以上に甘くなり、親としての権威と自信を示せてこなかったしっぺ返しが、数十年後にくるかもしれないというのは、本当に怖いリスクです。この「ゆるやかに忍び寄る家族の危機」が、日ごろ目に見えて感じられる変化ではないことも、事態をやっかいにする一因です。
ということで、みずからに対してもそういう危機があるということを言い聞かせた上で、政治家として、専門家の方々の議論ということを御紹介させていただいた、そういう背景にございます。
○上西委員 では、これに書かれた文章は御紹介ということなんですか。誰かの意見の御紹介ということなんですか。それは別にいいですけれども。
実際に少なくはありません、今おっしゃられましたね。本当に怖いリスクです。こういうリスクがあるのに、では、この法案を進めていいんですか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
そういうリスクを抱えながら、そして、実際に、全国の働きながら子育てをしているお母さんたちは、子供はおうちで寂しがっていてかわいそうねなんというアドバイスにも似た、また批判にも似た、そういう言葉をいろいろかけられながら、それでも頑張ろうと思ってくれている、そういうみんなが全国で頑張っているわけですから、その上で、両立するためにはどういうことに気をつければいいのか、どうやったら幸せと、そしてお仕事ということ、あるいは介護などの両立を支援し得るのか、そのノウハウをみんなで蓄えましょうという呼びかけをすることに、私は何らそごを感じておりません。
○上西委員 では、このエッセーは、有村大臣が広く一般の皆さんに、こういったことに注意しなさいよというふうな指南書ということですかね。
それでは、今親子関係の話に触れましたので、大臣は、もしかすると、そんなことは不可能だ、こういうふうにお思いかもしれませんけれども、仕事と家庭の両立に関して質問をさせていただきたいと思います。
法案の目的には、女性の職業生活における活躍を推進すると同時に、職業生活と家庭生活との両立を可能にする、こういうふうに明記されていますが、法案で義務化しようとしている事業主行動計画では女性採用比率や女性管理職比率の目標を定めるというふうにしており、職業生活における活躍の数値目標が強調される一方で、大切な子育て、介護等の家庭との両立に欠かせない施策が見えてきません。
これは、国民の皆様が最もこの法案で期待し、そして、この法案を推進するのであれば、より、これまで以上にそういった施策を進めていかなければならない、そういった意味で、この法案よりも実は注目をしてやらなければならない、こういう部分であると思いますが、この仕事と家庭の両立の課題について、大臣は、具体的にどのような施策、これまで以上にどういった支援、施策をお考えでしょうか、どういうふうに進めていかれるおつもりでしょうか、お聞かせください。
○有村国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘のように、女性の職業生活における活躍の推進のためには、長時間労働の抑制を初めとする仕事と家庭の両立ができること、できるような環境をつくること、大変重要な課題だと認識をしております。
この法案においては、女性の職業生活における活躍推進の基本的原則、大前提として、女性に対する採用、昇進など職業生活に関する機会の積極的な提供ということと同時に、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立という両者を基本原則に挙げています。
今後、具体的にというお話ですが、この基本原則にのっとり国がこれから策定していきます基本方針、これは閣議決定をなされる重いものだと受けとめております、その基本方針に基づき定める行動計画策定指針においては、男女を通じた長時間労働の是正など、具体的な内容を盛り込む方向で現在鋭意検討をいたしております。
今回の法案に基づく取り組みを通じて、女性が働く場において十分活躍しながらも、職業と家庭の両立が図られる環境の整備を進めていきたいと思っております。
また、もとより、この法案は職業生活ということにフォーカスを当てていますけれども、私は一人の主婦として家族の健康を守りたい、それが私の人生の大事な任務であり誇りだわ、喜びだわという方々は引き続きその生き方が尊重されるように、そういう方々にもエールを送っていくということも、その立場も明確にしたいと考えております。
○上西委員 今いろいろ御説明をいただきまして、本当にそうであればすばらしいと思うんですが、今の時点で、これから審議をしていきます。いろいろ最近出てくる法案はそういうのが多いんですけれども、これから審議をしていきます。選挙のお話も出ていますし、いつ審議をされるのかな、どういうふうに考えていらっしゃるのかなと私は不思議でならないわけなんですけれども。
今、有村大臣、子育て、育児、それと仕事を両立させていく、こういうふうにいろいろおっしゃっていただきました。しかし、この有村大臣の御著書では、「安易な気持ちで子育ての外注化を助長してしまったことで、数十年後、結果的に家族を崩壊させてしまっているような政策も見受けられます。幼少期に家族体験が少なかった子どもが、三十年後・五十年後に親を殺し、親に殺されるような事件が、日本社会で実際に起こるようになってきました。」という形で、この言葉を日本の文部行政のかじ取りに向けて説得力のある発言を続けていらっしゃる先生のお言葉とし評価し、御紹介をされているわけなんです。
有村大臣のこの御著書を拝読させていただくと、どうしても、有村大臣が女性が外で働きやすくするための育児制度を推進されていらっしゃるのかな、本当にしてくださるのかなと、やはり国民の皆さんも不安だろうと思いますし、私もちょっと不安だなと思うわけなんですけれども、こちらの御著書を踏まえて御答弁を再度お願いします。
○有村国務大臣 有村が育児支援をしてきたのか、するのかというようなお問い合わせをいただきました。
初当選以来、私は一貫して、全国の保育園の先生方、また保護者の方々と、芋掘り、運動会、入園式、卒園式など機会を捉えて、あるいは園児がいらっしゃらない現場で安全性を確認したりということ、その数は最も多いグループに入るのではないかというふうに思っております。一貫して、就学前の子供たちの安全や、あるいは保育環境ということの整備に努めてまいりました。これからもやっていきたいというふうに思っております。
○上西委員 まだまだ、クオータ制だとかいろいろ聞きたいこともあったんですけれども、もうそろそろ時間でございますので、今さまざま申し上げましたが、やはり、職場である程度の地位を与えられ、そして活躍できるようになったとしても、家庭が犠牲になってしまえばこれは意味がありませんし、男性社員が、今、現実問題、家庭を犠牲にして仕事に打ち込まなくてはなかなか実績を上げるのが難しい、こういうのが現実でありまして、国民の皆さんの認識も当然そうであると思います。
ですので、大変この両立というのは難しい課題であり、そして、これから少子高齢化が進む日本で欠かせない検討課題でありますので、今後検討していく、今後がいつなのか、しっかりと、いつまでという期限を決めて、そして具体性のあるものを国民の皆さんに発信をして実行していただく、こういった形でお願いをしたいと思います。
どうもありがとうございました。
○井上委員長 次に、中谷真一君。
○中谷(真)委員 自由民主党の中谷真一でございます。
本日は、委員長初め委員各位の皆様には、質問の機会をいただきまして、この場をおかりして心から感謝を申し上げます。
私、この質問をせよと言われたんですけれども、実は私、前職は自衛官でございまして、十年間勤めたんですけれども、私の職場には一人も女性がおりませんでした。そこから一転、この世界に入ってきてからは、私は山梨県というところで衆議院議員をやっているんですけれども、私の党、今、三人代議士がおりまして、私以外の二人は女性でありまして、そういった意味では、男性社会から、女性と男性が混在するというか一緒にいる、そういう職場に来たというところで、そういった経験も踏まえて質問をさせていただきたいというふうに思います。
私、女性の社会進出というのは、女性と男性の争いのような、そういう社会政策の一環として語られることが非常に多いというふうに感じております。ただ、今回、女性の活躍については、政府は今法案では、経済における成長戦略につながるんだという視点で非常に議論をし、また、そのようなつくり方をされているというふうに感じております。
そこでお聞きをしたいのは、経済において成長戦略となるんだと言っている、その理由をぜひお聞きしたいというふうに思います。内閣府と経産省から、よろしくお願いします。
○赤澤副大臣 有村大臣が参議院の本会議に向かわれましたので、まことに恐縮でございますが、私からお答えをさせていただきます。
特に冒頭で、中谷委員から、自衛官当時、同僚に女性がいなかったということで、今女性と一緒に働ける喜びをかみしめておられるというようなコメントもございましたので、しっかりこの分野で御活躍いただき、御指導いただきたいということを思っております。
我が国においては、成長戦略といったようなことで今回大々的に取り上げておりますが、そういうことがある前から、指導的地位に占める女性の割合が先進諸国と比較して大きく下回っているということで、女性の力が必ずしも十分に発揮をされていない、何か問題があるんじゃないかということで、ずっと取り組みを進めてきております。
このため、女性がその個性と能力を発揮できるよう、これまでもさまざまな取り組みをやってきておりますが、今まさに、さらにつけ加わった事情として、我が国は著しい少子高齢化のステージに入ってきたということで、持続的成長を実現し、社会の活力を維持していくことが急務になった。こういう状況の中で、働けていないけれども働きたいという女性が約三百十五万人いらっしゃるということであります。
我が国の最大の潜在力である女性の力の発揮が不可欠でございまして、女性の活躍の場を充実させることは焦眉の課題、さらに一歩進んだ対応が必要ということで、このたび、法案を提出させていただいております。
法案の具体的な効果ということで、企業において女性の活躍が進むことにより、新たなアイデアや付加価値、女性の視点というものが加わることでそういったものが生み出され、企業の成長が促されることとなって、その結果、我が国の経済にも好影響を及ぼし、豊かで活力ある持続可能な社会の実現に資するものと考えてございます。
○平井政府参考人 経済産業省からも御答弁させていただきます。
グローバル経済社会の激化、少子高齢化の中での人材の確保、多様性による企業競争力の強化ということを考えますと、女性の力を最大限発揮するということが非常に重要だというふうに我々も思っているところでございます。
そのような観点から、当省におきましては、平成二十四年度から、ダイバーシティ経営企業百選、それからなでしこ銘柄の選定ということで、女性を積極的に活用いたしましてイノベーションですとか生産性の向上の成果を上げている企業の実例を広く発信させていただいているところでございます。
具体的に女性の活躍が企業の競争力の強化につながった例といたしましては、例えば、女性の視点を生かして、子供を抱いて乗りおりしやすい、ドアが大きく開いたそうした車を開発いたしましたところ、ハイブリッド除きではありますけれども、ガソリン登録車においては八カ月連続販売台数一位を確保したような事例、さらには、女性が商品企画に参画をいたしたということで、妊娠、授乳中の女性のニーズに応えたノンアルコールビールが開発されて、そのような新市場が広がったといったような成功事例もその中には入っているわけでございます。
そのほかにも多数の例がございますけれども、以上二つの事例を御紹介させていただきました。
ありがとうございました。
○中谷(真)委員 今、副大臣と経済産業省の方からお答えいただいたように、女性が入ってくることによって経済成長をするんだと。私は、どんないいことでも、やはり経済活動でありますから、これがだめになってしまうというようなことではなかなか続かないんだろうというふうに思います。
今の御答弁をお聞きして、私は、これはやはり経済成長につながっていくと。特に、家を買うとか車を買うなんというのは、女性の影響が非常に強いわけでありまして、そこに女性の視点を入れていくということは非常に大切だ。
また、私、自衛官時代、十年間男ばかりのところにいたんですけれども、男性というのはナイーブでして、なかなか意思疎通を図るとかというのが苦手な部分もあります。例えば、先輩が帰るまで帰らないとか、そういったことで長時間労働になってしまったりとか、また、先ほども申し上げたように非常に風通しが悪いとか、そういったこともやはりあるんですね。
そこに、私は、その後この世界に来て女性と一緒に働くようになったんですけれども、そういった意味では、そういう風通しであるとか、そういったものも改善をされるのではないかなというふうに思っているところであります。
やはりこの政策を経済成長につなげていくという意味では、私は、これは職場環境をこの政策によって変えていくんだということが必要ではないかというふうに思っております。そういった意味では、女性に男性のように働いてもらうというものではなくて、職場環境を変えるという意味では、男性の、例えば長時間労働や風通しの悪さとか、こういったものを変えていく、こういったことも必要ではないか、私はこれが必要なアプローチではないかなというふうに思っているわけであります。
管理職に昇進した女性の四割は未婚だそうです。六割は子供がいないとか。政府は出生率を上げるというふうに言っていますので、これを男性のように働けるようにしてしまうという政策では、私はこれは逆行するというふうに思っております。
子育てというものは、どうしても女性が職場に入ってくると発生をすると思うんですけれども、私は、そういったものも男性を含めた長時間労働を防ぐ大きな理由になってくるのではないか。子供を迎えに行きますからとか、こういったこともなってくるのではないかというふうに思います。
そういったふうに思うところでありまして、このことについて政府のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○赤澤副大臣 全く御指摘のとおりでございまして、私どもの手元にある調査でも、男性が育児、家事に参加をする時間が長ければ長いほど、女性は第一子の出生のときに仕事を続けていただける可能性が高いとか、第二子以降を出産してくださる確率が高いとか、その辺は有意に結果が、調査をするとあらわれてまいります。いかに男性の側の育児、家事への参加が大事かということは御指摘のとおりでございます。
さらに、男女を問わず、我が国の長時間労働というのは本当に大きな問題でございまして、女性の活躍を推進するために、男女がともに仕事と子育てとを両立できる環境整備が喫緊の課題です。男性、女性問わずということで、多様で柔軟な働き方の推進や働き方改革などのワーク・ライフ・バランスの推進に向けた取り組みが本当に重要になってくると思います。
このため、十月十日に取りまとめましたすべての女性が輝く政策パッケージに基づいて、長時間労働の抑制を初めとした働き方の改革でありますとか、多様で柔軟な働き方の推進、さらには男性の家事、子育てへの参画促進、男性の意識と職場風土の改革に関する取り組みなど、今先生が御指摘になったような観点を極力全面的に取り込んで、しっかりと進めていかなきゃならぬという取りまとめになってございます。
重ねて、政策パッケージでもそういうことですけれども、長時間労働への対応は法案の目的を達成するためにも重要なテーマの一つでございまして、本法案に基づく基本方針あるいは行動計画策定指針を策定する場合に当たって、長時間労働への対応についても具体的な成果を得るように最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○中谷(真)委員 御答弁ありがとうございます。
私も、本当に、長時間労働を防ぐということは、非常に日本の職場環境をよくする、そしてそれがまた経済成長につながるという意味では非常に重要なことだというふうに思っておりますので、またぜひよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。
ただ、これを実現するためには、私は、女性を指導的地位に押し上げていくということはある程度一挙にやっていかなければいけないというふうに考えております。少しずつ入れていってもなかなかこれは難しい。人間というのは居場所をつくりますので、男性が今いる中でそこに入っていくというのは、私は、やはり慣習を打ち破るというのはかなりの力が必要だというふうに思っております。
そこでお聞きしたいのは、今法案における実効性、それが可能かどうかというところについてお聞きをしたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
○赤澤副大臣 働く場面での女性の活躍を実現するためには、企業などの主体的な取り組みを加速化させることが不可欠であると考えております。本法案を制定することにより、企業などの行動計画策定を促進し、女性の職業生活における活躍を推進することとしております。
具体的には、企業等が女性の採用状況あるいは登用状況など女性の活躍に関する現状をみずからまず把握、分析していただくということがあります。その上で、数値目標の設定を含めた女性の活躍推進のための行動計画を策定、情報開示することなどを定めております。さらに、国、地方公共団体、それから従業員三百一人以上の企業については、行動計画の策定、公表を義務づけております。この公表のところはかなりきくと思っておりまして、このように、本法案によって女性の職業生活における活躍を強力に進めていく枠組みがつくれるのではないかと大いに期待をしているところでございます。
○中谷(真)委員 ありがとうございます。
私は、今法案は、これまでやってきた政策から大きく一歩前進した非常に画期的な法案であるというふうに思っております。ぜひ、この法案を進めていただいて、しかもその実効性をしっかり確認していっていただきたいというふうに思います。
ただ、進めていくに当たって、私は、幾つか考慮しなければいけない事項があるんだろうというふうに思うわけであります。やはり、その一つが、先ほども申し上げましたけれども、どれぐらいの割合をやっていくのかという意味では、今、政府は、二〇年までに三〇%というふうに言っておりますけれども、さまざまな業種がありますから、ここは一律にしてしまうのは非常に難しいところだろうというふうに思います。例えば私がいたような職場では、なかなか、三〇%女性を入れるということは非常に難しいし、それに比べて、三〇%どころではなくて、もっと、五〇%、六〇%を求めてもいい職場もあるんだろうというふうに思います。
そこでお聞きしたいのは、業種別におけるそういった目標の評価、またその指導についてどのように考えておられるか、厚労省にお聞きしたいと思います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、女性労働者の現状や女性の活躍に係る課題は、業種により、また各社各様でございます。そこで、本法案におきましては、各企業がその実態を十分に把握して課題を分析した上で、課題を解決するのに最もふさわしい取り組み内容とそれに応じた数値目標を定めた計画を策定していただくということにしております。
また、取り組みに対する評価といたしましては、事業主による女性の職業生活の活躍の推進に関する取り組みの実施状況が優良なものであることなどの一定の基準を満たすものに対しては認定を行うという考えでおります。
この認定基準の具体的な内容につきましては、今後、労働政策審議会においてさらに検討を行うこととしておりますけれども、その際には、女性の活躍状況が一定の水準以上にあるということのみならず、計画期間において達成された成果の進展度合いについても評価できるようにするとともに、業種などの特性についても配慮すべきであると考えております。
○中谷(真)委員 ありがとうございます。
やはり業種によってというところは非常に重要なところだと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。
さらに、配慮すべき点として、私は、やはり出産、子育てをするという、女性には大きなターニングポイントというか、そういうものがあるんだろうというふうに思うわけであります。
女性の六割が第一子を出産したときに退職をされてしまうというデータがございます。ということは、やはりその出産、子育てから職場復帰というところが非常に重要なんだろう。ところが、やはり日本の労働環境というのは、実は余り、流動性に乏しいと言われていて、なかなか復帰してくるのは難しいというふうに考えているんですけれども、でもこれは絶対にやらなければいけないことだというふうに思っております。
そこで、そういうことに対しての施策について厚労省からお聞きしたいと思います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、出産、子育てからの円滑な職場復帰を支援するということは、子育てをしながら女性が活躍するためには非常に重要なことでございます。
このため、再就職を考え始めた女性などが容易に参加できる託児サービスつきの再就職セミナーの実施であるとか、職場復帰に関する総合情報サイトによる相談対応や情報の提供、また、育児などによって離職した女性が円滑に再就職して職業キャリアとしてステップアップしている企業の好事例集の作成、周知などに取り組んでいるところでございます。
また、子育て中の女性などを対象に、子供連れでも来所しやすい環境を整備して、担当者制によるきめ細かな職業相談、職業紹介を行うマザーズハローワーク事業も推進しているところでございます。
さらには、復職に向けて育児休業期間中に行う研修ですとか、復職後に行う研修などのそういった教育訓練に取り組む事業主に対しては、キャリア形成促進助成金によって訓練経費や訓練期間中の賃金の一部の助成などをするコースをことしから創設したところでございます。
こうしたメニューをフル活用して、出産、子育てからの円滑な職場復帰を全力で支援してまいりたいと考えております。
○中谷(真)委員 ありがとうございます。
あと最後にもう一つ。
私は、子供の成長にはやはり親がかかわるべきだというふうに思っております。ただ、今の議論というのは、どちらかというと、預けやすくするというか、そういった方向に議論が行きがちだなというふうに考えているわけであります。子供を預けるのに対しては補助をしているんですけれども、みずから育てることに対するインセンティブは非常に弱いなというふうに考えております。
また、私は、例えば祖父母とか、こういった力を使うというところも非常に重要だろうと。そういった意味では、三世代同居すれば大きく減税するよとか、そういったことも必要である。また、先ほど、最初の方にも述べましたけれども、やはり男性の労働時間を縮めていくということも必要なんだろうというふうに思っております。私は、やはりそういった施策を通じて、ただ子供を預けていくというものであってはいけないというふうに思います。
そこで、政府のお考えをお聞きしたいと思います。副大臣、よろしくお願いします。
○赤澤副大臣 子供が心身ともに健やかに育っていくためには、子供を安心して産み育てることができる環境が大変重要であると思っております。
親のぬくもりといいますか、家庭のぬくもりが重要、おっしゃるとおりでございますが、保育所に子供を預けることが必要な方はもちろんそういうニーズをお持ちで、現実には対応しなければなりませんので、これは安心して子供を預けられることが絶対に必要であるというふうに考えます。
政府としても、こうした方々のニーズの高まりにきちっと対応していきたいと考えておりますし、一方で、保育所に子供を預けている場合にあっても、父親が子育てに参画をし、可能な場合には祖父母の力をかりて家族が子供を育てていくということにも重要な側面があるだろうと思っております。
内閣府としては、今週末でございますけれども、十一月の十六日を家族の日としておりまして、家族の日などを通じて子育てを支える家族の大切さについて理解を深めてもらうための取り組みを進めるとともに、先般、十月十日に取りまとめたすべての女性が輝く政策パッケージにおいても、男性の家事、子育ての参加促進を盛り込んだところでございます。
これらの取り組みを通じて、子供を安心して産み育てることができる環境の整備を進めてまいりたいと考えております。
○中谷(真)委員 質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。また、非常にいい御答弁をいただきました。
これで質問を終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、豊田真由子君。
○豊田委員 自由民主党の豊田真由子でございます。
本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
女性が活躍する社会の実現は、成長戦略にも位置づけられている重要な政策でございまして、諸外国からの期待も非常に大きいところであります。九月に東京で開催されました女性版ダボス会議、これは世界各国から多くの女性のリーダーの方がお集まりでしたが、私もお話をさせていただきますと、皆様は、これは非常に画期的なことである、日本も大きく変わっていくんだという期待の高さを実感したところでございます。
ただ一方で、全ての女性が輝くといった場合に、私は、多様な生き方や価値観を尊重するということも非常に大切だと思っております。家庭を支えておられる専業主婦の方、また就職や結婚という選択肢をとらなかった女性も多くいらっしゃいますし、ライフステージや状況に合わせて生き方を変えるということも一般的に行われています。また、私の地元でも、長年農業や商工業などの家業に従事をされて、家庭を切り盛りされ、そして地域にも大変な貢献をして一生懸命頑張っていらっしゃる女性はたくさんいらっしゃいます。そうした方が地域の元気を支えているということを日々地元を歩くと実感するところであります。しかし、この法案で言うところの働く女性にはこういった方は該当しない場合が多いと思います。
輝き方はさまざまであります。全ての女性が輝くためには、私は、こうした多様な価値観や生き方を認めて、それぞれの方が抱えておられる悩みや問題にきめ細やかに対応していくこと、これが必要であると思います。こうしたことを踏まえまして、今回の法案を含めた、すべての女性が輝く政策パッケージ、これが目指される社会のあり方をお伺いしたいと思います。
○赤澤副大臣 安倍内閣が目指す全ての女性が輝く社会とは、全ての女性がおのおのの希望に応じて、家庭、地域、職場と、今委員が御指摘になった全ての場面で個性と能力を十分に発揮して輝くことができる社会ということでございます。女性が暮らしやすい社会は、男性や高齢者なども含む多くの人にとっても、全ての国民にとって暮らしやすい社会ということが言えると思います。
我が国最大の潜在力である女性の力を十分に発揮できるようにすることで、企業、行政、地域などの現場に多様な価値観や新しい視点や創意工夫がもたらされ、社会に活力が生まれると認識をしているところでございます。
○豊田委員 ありがとうございます。
さきの委員の方々と質問がかぶらないように、ちょっと調整をしたいと思います。
今御答弁いただきましたように、私は、女性のみならず、全ての男性も輝く社会でなければいけないというふうに思います。女性も男性も、そしてあらゆる世代の方が、皆様が希望と安心を持って、誇りを抱いて前を向いて進んでいける、そういう日本のために、また委員の皆様と力を合わせてまいりたいと思っております。
今回の法案の目的の一つは、働く方の雇用環境の改善ということがあると思いますが、この雇用環境の改善、特に中小企業の方にとっては負担が大きいという話をよく伺います。そもそも従業員の方の数が少ない場合は、育休の取得により一人欠けてしまった、そうすると、残念ながら、雇用主の方にも職場の同僚の方にも大きな負担がかかるという現状がございます。時限的雇用で質の高い代替要員の方を確保するということは、容易ではありません。また、仮に確保できた場合にも、その職場全体にかかる負荷が、やはり大企業に比べると大きい場合が多うございます。
中小企業の元気が地域を活性化するということも踏まえれば、こうした実情を踏まえて、中小企業で働く方々のワーク・ライフ・バランスの充実のためにも、企業側の負担に配慮した、実効性のある対策をとることが必要と考えますが、いかがでございましょう。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、中小企業では、育児休業取得者の代替要員を確保することが難しい、あるいは職場のマネジメントが難しいといった、両立支援施策を進める上で課題が指摘されているところでございます。
このため、都道府県労働局雇用均等室におきましては、中小企業を訪問して育児休業制度や短時間勤務制度などの規定整備の助言指導を行うとともに、実際に中小企業において行われている、例えば、情報共有や、多能工化の取り組みを進めて育児休業取得者等の欠員をカバーできるようにした事例などの情報提供をしているところでございます。
また、平成二十七年度予算の概算要求におきましては、育児休業取得者の代替要員確保を支援する中小企業両立支援助成金の拡充を盛り込んでいるところでございまして、こうした施策によりまして中小企業における両立支援の取り組みをさらに支援してまいりたいと考えております。
○豊田委員 ありがとうございます。中小また小規模事業者の方にしっかりと配慮をして、施策を進めていただきたいと思います。
次に、なぜ我が国で女性の活躍が進んでこなかったのか、その課題と解決策について考えてみたいと思います。
世界経済フォーラムが発表した各国の男女格差を指数化したランキングにおいては、残念ながら我が国は百四位、G7の中では最下位という結果が出ております。
例えば、女性の活躍と少子化の問題、OECDの調査によれば、一九八〇年ごろは諸外国の女性の就業と出生率の間に負の相関関係が見られましたが、状況は改善し、現在では、女性の就業率が高い国では同時に出生率も高いという傾向が見られております。
我が国の少子化の背景には、晩婚、晩産化、子育てをしながら働き続けられる環境整備が不足していること、男女を通じた長時間労働、また、家事、育児分担の問題など、さまざまな問題が複合的に絡んでまいります。出産後に離職するM字カーブや介護離職問題を考えれば、女性の活躍には子育てや介護を支える仕組みが不可欠であります。
このとき重要なのは、法律や制度を変えていくことももちろん必要でありますが、実際の社会というものは、その国の歴史や習慣、また、国民の意識や社会慣行、こういったものに大きく依拠をしています。例えば、有給休暇の平均取得日数、日本は七日、フランスは三十日、年平均の総労働時間は、日本が千七百六十五時間、フランスが千四百二時間であります。
実際、私は、仕事をしながらヨーロッパで出産と子育てをいたしまして、日本との大きな違いに大変衝撃を受けました。六時を過ぎますと、もうオフィスに人は残っていません。また、夏は、七月、八月、本当に町から人が消えてしまいます。休暇を二カ月とるということが当たり前に行われています。そして、夕食は家族そろって囲む。また、子育てをしながら仕事をするということが余りにも当たり前に社会で認容されているがために、それに直面した方に対して、上の世代の方も下の世代の方も、今まで自分がやってきたこと、そして、これから自分がやることだということで、非常に当たり前に、温かく負担をシェアしてくださるという状況を私は見ておりました。
このように、制度や法律とともに、国民の皆様、人々の意識や慣行というものを変えていくということが、私は車の両輪であるというふうに思っております。
そして、どうしてそれが実現可能なのかということを考えた場合には、やはり、仕事と家庭と自分の時間、これは、人生、三分の一ずつなんだというようなことを私はフランス人の友人に言われました。そして、仕事の内容を見ていると、やはり皆さん、無駄なことはしない、やらなくていいことはやらない、そういうことでこのバランスを非常に気を使ってとっていらっしゃる。
こうした状況を見ますれば、我が国におきましても、長時間労働の是正、また有休を含めた、そして育休取得の促進など、子育てをしながら当たり前に就業を継続できる社会、こうしたこと、また、女性の活躍に当たっては、国を挙げて結婚、妊娠、子育て期までの切れ目のない支援を行っていくこと、こうしたことを、国民の意識を変えていくということも含めて抜本的に取り組みを行うということが今こそ必要であると思いますが、御見解を伺いたいと思います。
○大西政府参考人 委員御指摘のとおり、男女がともに仕事と生活を両立させながら生き生き働いていくということは非常に大切でございます。それにつきましては、我が国の長時間労働という慣行を見直していくということもやはり大変重要であると考えております。
現在、厚生労働省では、厚生労働大臣をトップといたします長時間労働削減推進本部というものを設置しておるところでございます。ここにおきましても、従来からやっております、相当の時間外労働が認められている事業場への重点監督のほかに、大臣を筆頭に省の幹部が経済団体や業界のリーディングカンパニーに働き方の見直しというものを働きかけていく、そういった活動にも取り組んでいるところでございます。
そうした中で、業務の見直しで時間外労働の削減やまとまった年次有給休暇の取得などの働き方の見直しに意欲的に取り組む企業の事例を収集して広く周知していったり、あるいは、中小企業に対しては職場意識改善助成金という、こういった業務の効率化に取り組む中小企業への支援策、こういったものについても行っておりまして、労使の自主的な取り組みの改善というものに力を入れて推進してまいりたいと考えておるところでございます。
また、諸外国の状況ということも御指摘ございましたが、現在、労働政策審議会におきましては、長時間労働の抑制策や年次有給休暇の取得促進策について検討しているところでございますが、こういった中では諸外国の状況等も参照しながら労使で検討を進めていただいているところでございます。
こういった取り組みを通じまして、長時間労働の是正といった、こういった働き方の改革を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○豊田委員 子育てを推進するということで、来年四月から子ども・子育て支援新制度がスタートいたします。ただ、地元の保育園また幼稚園の御関係者や御父兄からは、情報が不十分である、また、移行すべきかどうかの判断も正確にできないといった不安の声を聞きます。
大きな制度改正でありますから、しっかりと自治体や現場の事業者の方々に理解がなされるよう、きめ細やかに対応するとともに、必要な財源の確保や保育、教育の現場で汗をかく方々の処遇の改善などもあわせて図っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○赤澤副大臣 全く委員の御指摘のとおりだと思います。
来年四月から施行を予定している子ども・子育て支援新制度については、円滑かつ着実に実施することが非常に大事だというふうに考えています。そのためには、事業者や自治体を初め関係者の新制度に対する理解を深めることが重要でありまして、これまでも、事業者や自治体に対し、説明会の開催や、QアンドAをつくって公表するなど、取り組んできております。
ただ、御指摘のとおり、私から見ても、まだ周知が必ずしも十分とは言い切れない、その結果、関係者が不安を覚えるということがあるというふうに認識をしております。引き続き、施行準備に必要な情報の迅速な提供に努めてまいります。
また、委員御指摘の保育士や幼稚園教諭などの職員の処遇改善、これも重要な課題だと思っております。本制度において、質の改善と私ども呼んでおりますが、その中で実施をすることにしております。
これを含めまして、本制度に基づいて幼児教育、保育、地域の子育て支援の質、量の充実を図るためには一兆円を超える財源が必要であるということで、政府はその確保に努めることとされております。総理からも、財源の確保について、消費税分はもちろん、それ以外のものも含めてしっかりと対応してまいりたいという答弁をしているところでありまして、私どもも、引き続き最大限努力をしてまいりたいと考えております。
○豊田委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
私は、欧米で仕事と子育てを両立しやすくしている理由の一つに、保育所や学校と、家庭をつなぐ、また、育児と家事の手助けをしてくれる良質で豊富なベビーシッターの存在というものが大きいと思っております。
今、政府は、四十万人分の保育所、三十万人分の学童保育の整備を進めております。この質と量の拡充はもちろん必須でございますが、それだけでは、私は、なかなか働く親のニーズは満足し切れていないところがあると思います。
ベビーシッターというのは、密室で子供の命を預かる、責任ある仕事であります。また、本年三月の痛ましい事件を受けまして、このたび、厚労省の専門委員会において、ベビーシッターに届け出制を導入することとなったということでございますが、しっかりと質の確保が図られる、実効性のある制度にしていただく必要があると思います。
また、それと同時に、一般に利用しやすい価格で、親身に愛情深く子供の面倒を見て、家事も手助けをしてくれる、そういった働く親御さんのニーズに沿ったベビーシッターを業として振興していくことが、我が国の働く親を支え、また、女性も男性も活躍を推進することに大きく寄与すると考えますが、今回、外国人の方の家事支援の問題なども検討されていると伺っておりますが、今後の検討の方向はいかがでございましょう。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
まず、先ほどお尋ねのありました結婚、妊娠、子育て期までの切れ目のない支援……(豊田委員「時間がないのでいいです」と呼ぶ)よろしいですか。失礼いたしました。
ベビーシッターの関係でございます。
御指摘のように、三月の痛ましい事件がございました。これを受けまして、有識者から成る専門委員会を設置し御議論いただいておりまして、ベビーシッターを含めて、一日に保育する乳幼児の数が五人以下の認可外保育施設や訪問型の預かりサービスにも届け出義務を課すといったようなこと、また、マッチングサイトなどにつきましては、ガイドラインを作成してその遵守を求めるというような内容についての議論が取りまとめられたところでございます。
こうした届け出制などの取り組みにつきましては、利用者が適切に選択をするということを通じまして保育者の質の向上にも資するものと考えておりまして、関係省庁とも連携しながら、子供の預かりサービスを安心して利用できる環境の整備に今後努めてまいりたいと考えております。
○豊田委員 ありがとうございます。
先ほどM字カーブや介護離職の問題に触れましたが、介護や看護を理由として離職、転職した雇用者の方は、女性が七・六万人、男性が一・九万人、合計で九・五万人、平成二十四年のデータでいらっしゃいます。
女性の活躍に不可欠な保育や介護を担っている、これは社会福祉法人の存在が大きゅうございます。また、日本の障害者福祉や児童養護、こうした分野においても、日本を支えてこられたのは社福の皆様であります。
もちろん、ガバナンスの強化や透明性の確保をしっかりと行っていく、これは当然のことであります。ただ一方で、そもそも、社福には事業や財産処分等の制限がございます。また、内部留保や収支差のデータやその解釈についても現在さまざまな議論がある中では、日本の介護、保育、障害者福祉、児童の養護といった国民の安心を守っていくためにも、社福の課税問題については慎重な検討が必要と思いますが、いかがでございましょう。
○永岡副大臣 豊田委員御承知のとおり、社会福祉法人というのは、公益性の高い社会福祉事業を主たる事業とする非営利法人でございます。社会福祉のニーズが多様化する中、また複雑化していく中におきまして、生活困窮者でありますとか、本当に、地域における支え合いなどの面において、営利法人が敬遠しがちな収益性の低いそういう事業にもしっかりと取り組んでいるというのが現状でございます。
地域におきましても社会福祉法人が果たしていく役割というのはますます重要になってくると見込まれるわけでございますが、厚生労働省といたしましては、社会福祉法人がこうした福祉サービスの基盤としての役割をしっかりと果たしていくためには、やはり税制措置の意義は大きいと考えております。
こうしたことも踏まえまして、社会福祉法人がその役割をしっかりと果たしていくことができますように、公益性、非営利性を担保する観点から、委員おっしゃいますとおりに、経営管理の体制の強化ですとか運営の透明性の確保、また財務規律の確保などに取り組んでいく必要があります。現在、制度の見直しに関しまして検討を進めておりまして、年内をめどに取りまとめを行う予定でございます。
○豊田委員 ありがとうございます。
また、今、働きながら子供を育てるというときに、一人親世帯、母子家庭、父子家庭の方、私も地元で、経済的にも子育てをしていくのも大変だというお話をよく伺います。こうした一人親家庭を支えて子供の健やかな成長に資するきめ細やかな対策も、今回のパッケージの中であわせて充実させていただきたいと思っております。
最後に、財政の問題をお伺いしたいと思います。
社会保障の充実と財政的な持続可能性の向上というのは大切な車の両輪であります。例えば、十月の財政審、次期介護報酬改定では六%減という財務当局の一方的な方針が示されました。社会保障の伸びの抑制というのは、もちろん克服すべき課題であります。ただ、もちろん効率化すべきところを効率化していくことは必要であります一方で、少子化、高齢化に適切に対応していかなければなりません。
そのためには、サービスや政策の中身をしっかりと精査し、重点化すべきところは重点化する、そして効率化すべきところは効率化する。受益者の適切な負担のあり方も含めまして検討をし、そして、何よりも医療や介護や保育、福祉の現場で汗をかく方、そして患者さんや御家族、そうした救いを必要とされている方々の話をしっかりと聞き、その立場になって、その身になって真摯に考えて応援していくこと、国民の安心に応えていくことが必要と考えますが、御決意をお伺いしたいと思います。
○永岡副大臣 急速に少子高齢化が進展しております。社会保障費が増大する中にありまして、国民の安心を支える社会保障制度を次の世代にしっかりと引き渡していくためには、持続可能な社会保障制度を確立しなければならない、そういうふうに考えております。
このためには、必要な給付はしっかりと確保しながら、引き続き、制度についての不断の見直しというものを行っていきます。そして、社会保障・税一体改革の推進によりまして、制度の充実と、それから重点化、効率化を同時に進めることが必要であると考えております。
また、国民や関係者の理解を得ながら社会保障改革に取り組むことも非常に重要であると考えておりますので、改革の意義や方向性につきまして周知促進に努めることですとか、また関係者の御意見、これを十分に伺いながら制度設計を行うこともあわせて行ってまいりたいと考えております。
○豊田委員 ありがとうございます。
全ての女性も男性も輝く社会、皆様と御一緒に実現に努めてまいりたいと思います。
これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
本日は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について質問いたします。
残念ながら、有村大臣は参議院本会議があるということでございますので御出席願えないわけでございますけれども、赤澤副大臣と私と、男性が自分事として当法案を議論するということが当法案をより実効性のあるものにしていけるものだというふうに確信をしておりますので、しっかりと質問をさせていただきたいというふうに思っております。
当法案に関連しまして、私自身もさまざま情報収集をしてまいりました。実際に企業で働く男性あるいは女性について居酒屋ヒアリングをやってまいりまして、男性は十五名ぐらい、女性は四名ほどヒアリングを実際にしてまいりました。
おおむねそこで出た話としましては、この法案について、どうしても男性が取り残された気がするというような御意見がありました。そして、女性も、過分な登用によって企業で役職が上がった、役職が上がったんだけれども、私には少し荷が重いということで、プレッシャーがかかるし、げたを履かされているということも御自身で認識されておられて、後ろ向きな気持ちになるというような御意見もありました。
これはその方の御意見でありますので、実際にげたが履かされているかどうかは別としまして、そういう御意見がありました。そういう中で、同じスタートラインに立たせてほしいということが働く女性の思いではないか、このように思うわけでございます。
こうした少し誤解もあるようなところもありますので、そうした点、男性の立場から、男性が自分事として捉えられるような法案になっているかどうか、この点をしっかりと確認してまいりたいというふうに思います。
まず、この法案の目的についてお伺いしたいと思うんですけれども、働いている女性あるいは働きたい女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍するということが目的として明記されているわけでございます。また、男性の役割としましては、家族を構成する男女が、育児、介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を果たすということが明記されているというわけであります。
職業生活における男性の役割としては、この法案の目的においてはどのように考えておられるのか、赤澤副大臣に御所見をお伺いいたします。
○赤澤副大臣 濱村委員から、私と、男性二人でこの問題を議論する、男性が自分事としてしっかりこれを捉えられる法案になっているかをチェックする、全く大事な視点だと思いますし、ちょっとお時間をいただいて申し上げれば、先生に、九月の十一日だったかと思いますが、子ども・子育て支援新制度について、兵庫県の県議の皆様と一緒にわざわざ足を運んでいただいて、大変熱烈な御要望とそれから御示唆、御指導をいただいたところでありまして、その日ごろからのお取り組みに心から敬意を払うものでございます。きょう一緒に議論させていただくことを大変喜びといたします。
働く場面における女性の活躍の推進に当たっては、男性にも、当事者意識を持って働き方改革や職場風土改革などの取り組みを進めてもらうとともに、家事、育児に積極的に参画してもらうことは極めて重要でございます。本法案に基づいて各企業が策定する事業主行動計画において長時間労働是正など働き方や職場風土の改革に向けた企業の取り組みが促進をされ、役員を初め男性がその多くを占める企業の幹部社員の意識の改革や、あるいは女性活躍促進に向けた機運の醸成が進むことを期待しております。
また、先月十日に取りまとめた、この法案とは別の、すべての女性が輝く政策パッケージでございますが、その中でも、男性の家事、子育てへの参画促進、男性の意識改革と職場風土の改革などに関する取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
○濱村委員 目的といたしまして、本当にしっかりと男性が家事、育児に参画していくということであります。私自身も、実は、家に帰れば、三歳半と、あと、一カ月の娘、二人の娘の父親であります。育児をできる限りやろうというふうに思うわけでございますけれども、長時間労働というわけではありませんが、ほぼ休みがない仕事でございますので、ほとんど育児に参画できていないという自覚がございます。ですので、すき間を縫ってしっかりと子供と触れ合うということをやっておりますけれども、企業で働く皆さんも同じような思いではないかというふうに思うわけでございますけれども、しっかり育児ができる、そういう社会にしていきたいという思いはしっかりと共有させていただいたかというふうに思います。
そして次に、この法案における射程について、どういうものが範囲となっているのかについてお伺いしたいと思います。
基本的には、これは職業生活におけるということになっているわけでございますけれども、ただ、家庭生活との両立を図るために必要な環境整備という意味では、家庭生活もしっかりと手を入れていかなければならないんじゃないかというふうに思うわけでございます。そしてまた、家事というものも無休の仕事であるというふうにも思いますし、育児も社会参画という意味では非常に大事な大事な場面であるというふうに思うわけでございます。これを当法案だけで捉えるとなかなか十分な対策ではないんじゃないかというふうに思うわけですけれども、包括的な取り組みとしてはどのような取り組みを考えておられるのかということを確認させていただきたいのが一点。
そしてまた、我々公明党といたしましても、ことし五月に提案させていただきました、女性の元気応援プランというものを出させていただきましたけれども、「男性の家事や育児参加を積極的に支援する企業への助成や税制優遇措置を大幅に拡充すること。」ということを提案させていただいております。男性が家事、育児に参加するためには長時間労働を解決する必要があると思うわけでございますけれども、当法案でどのように対処しようとされているのか、副大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○赤澤副大臣 友党公明党におかれて、私ども、公明党女性議員九百六名全員が、本年の二月から四月まで三カ月間にわたって有識者や関係諸団体などへのヒアリングや地域の先進事例の視察等を行って、この女性の元気応援プランを取りまとめていただいたというふうに承知をしております。心から敬意を払うものでございます。
政府でも、このプランを参考にさせていただいて、全ての女性がおのおのの希望に応じて、家庭、地域、職場といったそれぞれの場において個性と能力を十分に発揮して輝いていただくことのできる社会の実現を目指し、先般、すべての女性が輝く政策パッケージを取りまとめたところでございます。
端的に言えば、法律の方は、国民に対する義務づけ等が必要なということで、企業に義務づけなどをする部分は法律に書いているけれども、家庭にはなかなか法律が入れないというところがありますので、家庭の中でサポートしていくという面でいうと、このすべての女性が輝く政策パッケージの方で対応していく、幅広い分野においてさまざまな状況にある女性を応援する施策を推進するということでございます。
議員御指摘のとおり、男女がともに、仕事と家事、育児、介護を両立できる環境を整備するために長時間労働を抑制することは極めて重要で、法案の第二条の「基本原則」において、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立を可能にすることを旨とすることを規定しております。今後、法案に基づく事業主行動計画策定指針において、男女を通じた長時間労働の是正など、働き方の改革に向けた取り組みなどを進めてまいりたいと考えております。
また、繰り返しになりますが、政策パッケージの中でも、長時間労働の抑制を初めとした働き方改革、多様で柔軟な働き方の推進に関する取り組みなどをしっかりと進めてまいります。
○濱村委員 ありがとうございます。
今副大臣から御発言いただいたとおり、すべての女性が輝く政策パッケージがまずあって、その中の主要な法案といたしまして当法案がある、そういうたてつけであるということをしっかり理解させていただきました。そういう意味では、パッケージの方であらゆる女性に対してしっかりとした支援をしていくということが政府の強い意思であるというふうに感じる次第でございます。
その上で、先ほども、具体的には行動計画策定指針がさまざまあるんだというお話もありましたけれども、この事業主行動計画について少しお伺いをしたいというふうに思います。
この件については、長時間労働をしっかり廃止していくということが非常に大事なわけでありますし、適正な時間で付加価値を得ていくということが非常に大事であるというふうに思うわけでございます。
きょう、資料をお配りさせていただいておりますけれども、この資料は、経済産業研究所さんがさまざま調査をされている、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業の方が業績がよい傾向が見られる、全く何もしていない企業を一とすれば、ワーク・ライフ・バランスに取り組んでいる企業は粗利が非常によいというような、そういった調査がこの手元にあるわけでございます。
そしてまた、裏面に行っていただきますと、フレックスタイム制度を導入している企業の生産性、全要素生産性と言われるTFPの水準がどうなっているのかというものがグラフになっております。
しっかりと、このデータを見る限り、取り組んでいる企業においては経営指標として非常にいい傾向が見られるということがデータとして実証されているというわけでございます。
これは女性が働きやすい環境をつくるということを念頭に置いているわけですけれども、これが企業の競争力に直結しているということになるわけでありますので、こうしたデータを厚労省から積極的に提示していただいて、経営者が積極的に事業主行動計画を、これも経営者が自分事としてこの取り組みについて参画していただけるように推進するべきというふうに考えるわけですけれども、いかがでございましょうか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
ワーク・ライフ・バランスに対する取り組みや女性が活躍できる職場環境の整備のための取り組みは、働きたい、働き続けたいと考える女性の希望の実現としてまず大きな意義がございますが、企業にとっても、長年にわたり育成してきた女性が出産、子育て期を通じて働き続けることによって企業の人材力を高める、また、グローバル化の進展の中で、組織内の多様性を高めてさまざまな人材能力を生かすことによって、イノベーションを促進して、市場環境の変化に対応する組織対応力を高めるといったこと、さらに、御指摘のように、女性が活躍できる職場環境づくりに向けた取り組みを行った企業は一定期間後に生産性の大きな上昇が見られ、それ自体が企業の競争力を高めるといった大きな利点があると考えております。
こうした女性の活躍推進がもたらすさまざまな利点について企業の認識を深めることは企業の取り組みを加速化する上で大変重要であり、本法案を成立させていただいた際には、施行に向けて、御指摘のようなデータを含め、しっかりと周知啓発を図っていきたいと考えております。
○濱村委員 今、事業主行動計画の中でしっかりと取り組んでいきたいということでお答えいただいたわけでございますけれども、出産とか育児で仕事、職場を一旦離れられた方々についても、中途採用として受け入れられるとかそういうことが想定されるわけでございますので、中途採用の受け入れの活性化状況とかも、ぜひ経営者に対して取り組みを行うように促していただきたいというふうにお願い申し上げます。
最後に、テレワーク、在宅勤務という言い方もございますけれども、この件についてお伺いしたいと思います。
テレワークの環境整備が進みますと、職場にいなくても仕事ができるという環境整備が整うわけでございます。多様な働き方の一つとしては推進するべきだというふうに私は考えるわけでございますけれども、このことが自宅を初めとする職場以外で仕事をやり続けることができることにつながる、そうなると仕事の持ち帰りじゃないか、そういった批判もあるわけでございます。これも実は、私が取り組んできた居酒屋ヒアリングで得たお話であります。
そうはいっても、当然、この法案についても、あるいは社会の流れとしましても、長時間労働の抑制あるいは多様な働き方の推進が命題であるわけでございますので、ある種の潜脱が行われるようなそういった指摘については解決していかなければいけない、対策を考えなければいけないというふうに思うわけでございます。
私も少し悩んだんですけれども、ここで気づいたこと、テレワークと長時間労働は本質的には全く違うものではないかというふうに思ったわけでございます。どういうことかというと、長時間労働の問題点というのは、職場において帰りづらい雰囲気、あるいは長時間働くということ自体が職場における評価の向上に結びつく、そういった問題点があるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。その結果、だらだら残業がなくならないというふうになっているのが今の現状だ、今の問題点はそこだというふうに認識しております。
これに対して、テレワークは、職場での仕事を切り上げることが可能なわけです。自宅に帰ることができるわけです。その上では、勤務場所が違うといっても、仕事を行うということも自分が自主的に選択できるという環境が既に整っているというわけでございます。
ですので、こういう意味からも、全然本質的には違うというふうに思うわけでございますけれども、この長時間労働の抑制とテレワークの問題点についてどのようにお考えでおられるのか、お願いいたします。
○大西政府参考人 長時間労働の問題点とテレワークの推進について御質問をいただきました。
長時間労働の抑制につきましては、まさに委員御指摘のとおり、長時間労働の慣行というものを見直していかなければならないというぐあいに考えておりまして、厚生労働大臣を本部長といたします長時間労働削減推進本部というものを厚生労働省の中に設置いたしまして、取り組んでいるところでございます。
この中では、いわゆる時間外労働の削減とか休暇の取得促進などの働き方の見直し、こういうようなものを企業に働きかけるというようなことについて、そういった取り組みを強化しているところでございます。
また、テレワークにつきましては、委員御指摘のとおり、仕事と子育ての両立など、ワーク・ライフ・バランスの向上につながる働き方であるというぐあいに考えております。なるべくクリエーティブな仕事を初めとしたさまざまな仕事におきましてそういった普及が図られて、私どもといたしましては、そういった支援を強力に推進していきたいというぐあいに考えております。
そうした中では、まさに委員御指摘いただきましたように、テレワークが、使用者が個々の勤務実態を把握しにくいという中で、長時間労働を助長するということをしっかり防止する必要もあるというぐあいに考えているところでございます。
現在、厚生労働省といたしましては、こうした課題を解決するために、テレワークの導入に取り組む企業への相談事業を実施しているところでございます。これは、テレワーク相談センターというものを設けております。
また、関係省庁と連携いたしまして、子育てと仕事を両立できるテレワークモデルを構築するための実証事業というものを始めているところでございます。こういった中でさまざまな問題点を解決して、よりよいテレワークのモデルを構築できるように努めてまいりたいと思います。
また、自宅から会社へのシステム、パソコンなどを持ち帰って安全にアクセスするための、そういった機器の導入のための中小企業に対する助成の措置なども実施しているところでございます。
このようなさまざまな対策を実施いたしまして、適正な労働条件のもとで質の高いテレワーク、こういったものができるように、しっかり対策を進めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○濱村委員 時間が参りましたので、これで終わりにいたしますけれども、使用者が労働者の労働時間を適切に把握できないというところ、これをしっかりと管理できるような仕組み、これはツールなりITによって十分できる部分があるかと思います。
あるいは、先ほど審議官にもおっしゃっていただいた、リモート接続をする、セキュアな環境の中で接続するにはどうすればいいか、こういった助成もやっているということでありますけれども、こうしたことをすることによって、接続している時間が何時間あったのかとかということも、労働時間としてどのようにカウントするかということをしっかりと、具体的なツールとして提供していくことも可能になると思いますので、ぜひしっかりと取り組みを進めていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、郡和子君。
○郡委員 民主党の郡和子です。
冒頭ですけれども、定足数に達していないんじゃないでしょうか。与党が解散の動きを示すなど、大変不真面目な委員会の運営になっているかと思います。こういうことでは、質疑、審議できないというふうに思います。
○井上委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○井上委員長 速記を起こしてください。
郡和子君。
○郡委員 そういうような風の動きが強くなっているせいでしょうか、席におられない議員も散見されますけれども、それでは、私、質問をさせていただきたいと思います。
一九八九年のベルリンの壁崩壊からちょうど二十五年になるドイツに、私、実は、先週、ドイツ政府の招聘で行ってまいりました。テーマは家庭と仕事の両立ということについてでございまして、政府の高官、それから経済団体、労働団体、先進的な取り組みを行っている企業、またそこに隣接する保育所などを見て回って、意見交換をさせていただきました。ドイツも同じように女性の参画を進めなければならない切実な事情を抱えているというふうなことを認識したわけですけれども、しかし、家族政策も雇用の支援につきましても日本の先を行っておりました。
また、デュッセルドルフでノルトラインウェストファーレン州の州議会の本会議を傍聴いたしました。議長は女性でありまして、議会本会議場には三割を超える女性の議員が座っておられましたけれども、演説をされたのを聞かせていただいたんですね。カリーナ・ゲーデケ州議長ですけれども、十一月九日、ドイツにとっては、東西を分断していた壁の崩壊のみならず、特別な意味を持つというふうにして演説を始められました。御承知と思いますけれども、一九三八年十一月九日、ドイツ各地で発生した反ユダヤ主義の暴動、ナチ政権による官製暴動の疑惑も指摘されている帝国水晶の夜であります。これは後のホロコーストへの転換点というふうに言われております。議長の演説ではそのことにも言及をされて、歴史に学ぶことの重要性というのを発信、改めて、負の遺産も、歴史に学ばねばならないということをお話しになられて、大変私は感銘をいたしました。
翻って日本はどうだろうかなと。負の歴史に学ぶ姿勢とは実は今逆の方向に行っているんじゃないだろうか、偏狭なナショナリズムや排外的な空気が広がってはいないだろうか。しかも、ヘイトスピーチを行う団体との親密な関係が取り沙汰される大臣がおられたり、それからネオナチ団体との関係が報じられる大臣がいたり、私は、ドイツで今の日本の状況を改めて大変考えさせられたわけです。
有村大臣、通告しておりませんけれども、どういうふうに思われるでしょうか。御感想を聞かせてください。
○有村国務大臣 お答えいたします。
今、郡委員が御紹介いただいたドイツのお話、強い興味を持って拝聴いたしておりました。歴史に学ぶことというのは極めて大事な価値だと認識をいたしております。
○郡委員 これ以上の言及、議論は終わりにさせていただきたいというふうに思います。
では、早速、この法案の質疑に入らせていただきます。
私自身は、女性の活躍が期待される背景として、単に労働人口が急激に少なくなることの穴埋め、確保という量的な側面だけでなく、むしろ、知識経済下におけるイノベーションの促進というのでしょうか、そういう質的な面においてこそ要求されているというふうに捉えているんです。
企業側にとっての女性活躍支援というのは、一つは、優秀な女性が活躍する社会だという企業イメージの改善ですよね。それから、男性だけではない多様な視点が入ってくるということによって、いろいろな製品開発ですとかサービスの拡充ということ、いわゆるイノベーションの創出などによって収入がふえていくという効果があるだろうというふうに思う。また、二つ目としては、従業員がずっと定着をしていくようになっていく。女性のきめ細かいいろいろな心配りが、さまざまな人事面でもいろいろな管理面でも大変大きな成果が上がってくるんじゃないかというふうに考えているわけです。
民主党政権時、二〇一二年の五月に設置されました女性の活躍による経済活性化を推進する関係閣僚会議、二〇一二年の六月に「「女性の活躍促進による経済活性化」行動計画 働く「なでしこ」大作戦」というのを設定させていただきまして、女性の活躍のために、社会、特に男性の意識改革、意識の変革、これを促すとともに、雇用機会、機会の均等を実現するための積極的改善措置、ポジティブアクションをとることを明確にいたしました。
行動計画の初めには、そのことが明記されているんです。
我が国経済社会の再生に向け、日本に秘められている潜在力の最たるものこそ「女性」であり、経済社会で女性の活躍を促進することは、減少する生産年齢人口を補うという効果にとどまらず、新しい発想によるイノベーションを促し、様々な分野で経済を活性化させる力となる。
女性の活躍のためには、社会、特に男性の意識が変わらなければならない。一方で、意思決定の場における女性の参画が進まなければ、社会も変わらない。こうした状況を打ち破り、女性の活躍が社会や男性の意識を変え、それらの意識の変化が女性の活躍をさらに促すという好循環に導くには、男性の意識改革と実質的な機会均等を実現するための積極的改善措置(ポジティブ・アクション)を車の両輪として進めなければならない。その際、「隗より始めよ」のとおり国家公務員から率先して行動を起こすことで、民間企業・団体、地方公共団体等にも取組を広げていく必要がある。
こういうふうに書かれておりまして、その後、さまざまなアクションプランの取り組みを策定いたしまして、女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦を実行いたしました。目標値も掲げさせていただきまして、二〇二〇年に二十五歳から四十四歳までの女性の就業率を七三%まで引き上げる、ただし、二〇一五年度の中間目標時にはその比率を六九・八%まで持っていく。本当に具体的な数字を示しながら策定させていただきました。
マザーズハローワーク、この制度もこのプロジェクトの一つだったというふうに理解をしておりますけれども、今回、大変注目を浴びているわけですが、その土台、根底にある、この延長線上に、私たちの働く「なでしこ」大作戦、これらのプログラム、プロジェクトというのがあるというふうに考えていいのかどうか、そこから確認をさせてください。
○有村国務大臣 郡委員にお答えいたします。
これまでも、歴代政権において、女性の活躍に関してさまざまな施策が積極的に講じられてきました。そして、その中においては、特に、自民党政権、自公政権、また民主党政権、また自公ということになりますが、民主党政権下におきまして、郡委員を初め、心ある議員が貢献をされてきたことに心を込めて敬意を申し上げます。
今回、今御言及いただきました民主党政権下の国家戦略室が作成された働く「なでしこ」大作戦の大きなポンチ絵を拝見させていただきましても、非常に気骨のある、また本当に大事だなという、本質的な議論をしていただいているというふうに私自身も考える次第でございます。
同時に、指導的地位に占める女性の割合が、先進諸国として、まだまだ比較して大きく下回っている、働きたいという希望を持っていても就業できていない女性がまだ三百十五万人もいらっしゃるなど、いまだ女性の力が日本社会において必ずしも十分に発揮されている状況ではないという現実もまだございます。
そういう意味では、安倍内閣で、これまでの総理の強いリーダーシップのもとに、この分野が大事だというだけではなくて、政府を挙げて最重要課題の一つが女性の活躍なんだということを位置づけておりまして、さらに一層踏み込んだ対応が必要だということで、本法案あるいはパッケージということをまとめさせていただいております。
○郡委員 この法案の第一条、「目的」を定めておりますが、「男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、」というふうにございます。
男女共同参画基本法は、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会を目指すというものでありますが、個性と能力を十分に発揮できる環境を整備するために必要な基本的な観点は何だと思われますか。これも質問通告しておりませんけれども、大臣、お答えください。
○有村国務大臣 質問通告はいただいておりませんが、個性と能力を発揮するためには、まず、やはり教育段階において、いわゆる固定的役割というのではなくて、男女ともに社会を構成して、そして願う人は、仕事もそして家庭もそれぞれの責任を負う、そして相応の仕事もデューティーも担っていくんだということの、その教育をしていくこと。そして、先ほど委員がおっしゃった男性の意識改革ということがありますけれども、男女ともに意識改革をしていくことは極めて大事だと思います。
その上で、それぞれの個性に応じて、あるいは能力に応じて、学校の選択、進学の選択、就職先の選択、あるいは伴侶の選択ということをしていただく。そういうことが、個性と能力を発揮するためには大きな前提になってくるかと理解をいたしております。
○郡委員 私は、それぞれが個性と能力を十分に発揮できるような環境を整えていくための基本的な観点は人権だというふうに思っています。
働きが報われる待遇の確保、これが女性の活躍にとって不可欠でありましょう。活躍推進法や労働政策審議会雇用均等分科会の建議には、女性の稼得力については残念ながら直接に触れられていないんですね。
女性が集中する非正規雇用の問題や、妊娠、出産によって退職する女性が過半になっている、男女雇用機会均等法から四半世紀を迎えているのにもかかわらず男女間の格差が大きいことなど、いずれも経済格差の要因になっていて、賃金等所得格差は、男女共同参画社会の達成が日本では本当にいまだ厳しい状況にあるということを顕著にあらわしているんだろうというふうに思います。日本のジェンダー平等指数を著しく低い位置にさせているのも、まさにこの稼得力の男女差なんだというふうに思います。
法律案が「基本法の基本理念にのっとり、」と言うのであれば、公正に報われる待遇、所得の確保、これを基本原則に正面から掲げなければならないというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
郡委員の問題提起は極めて大事な問題を提起していただいていると私自身も認識をしております。
御指摘の所得の男女差や男女の公正な待遇に関して、やはり男女ともに公正に報われる待遇の確保というのは極めて大事な価値で、ここは譲れないところでございます。男女同一賃金の原則は労働基準法に規定され、また、性別を理由とする差別の禁止、これも果敢に立ち上がっていかなければならないと、私自身、自分の人生においてもそうしてきたつもりでございますが、男女の性別を理由とする差別の禁止は男女雇用機会均等法に、それぞれ明記をされています。
この両方の法律をもとにしっかりとやっていただくということがこれからの社会をつくっていく上でも大前提だというふうに認識をしています。差別禁止や公正な待遇についてはこれらの現行法でしっかり対応していただかなきゃいけない、この姿勢は堅持しております。
本法案では、それでも、先進諸国と比較して管理職などの女性割合に依然大きな差があります。働く女性の約六割が第一子を出産したそのときに退職をしているといった現状を踏まえて、やはり事業主に対して、女性管理職の育成などさらに一歩進んだ積極的な取り組みをしていただきたいというふうなことを明確にしております。
○郡委員 シカゴ大学の山口一男教授が大変興味深いデータを示されました。これは労政審の中でも出されたデータでもあったんだろうというふうに思いますが、男女間の賃金の格差は男女の就業年数の違いではほとんど説明ができず、男女の昇進機会や年功賃金プレミアムの違いが要因であって、コース制や職能評価、人事考課の判断に性別が入ることが直接原因となっていて、女性の統計的差別、雇用、昇進の機会の不平等、コース別の採用の根拠など、これが根底にあるというふうに論じておられました。
男女間の格差の是正を施策としてもはっきり示すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
男女間の賃金格差につきましては、縮小傾向にはございますが、いまだ一般労働者の男性の賃金一〇〇とした場合の女性の賃金七一・三と格差がある状況でございます。この格差の要因を分析いたしますと、最も大きな要因は男女間の職階の違いでありまして、次いで勤続年数の違いとなっております。したがいまして、出産、子育て期の継続就業を可能とすることなどにより女性の勤続年数が延びて、さらに女性の登用が進めば、男女間の賃金格差は相当程度解消されることとなると考えております。
このような男女間の賃金格差のいわば二大要因でございます管理職比率と勤続年数の差異につきましては、この法案に基づく省令におきまして、大企業が行動計画を策定する際に状況把握をすべき必須項目とすることを予定としておりまして、これらの項目の把握、分析の結果、各企業において女性の継続就業や登用に向けた取り組みが進むことになり、ひいては男女間の賃金格差の縮小につながるのではないか、こういうふうに考えております。
○郡委員 その具体的な省令などについては、後にまたいろいろと質問させていただきたいと思っています。
私は、男女雇用機会均等法がありながら、なぜ進んでこなかったかといえば、均等法が内包する間接差別の是正がやはり重要なんだろうというふうに思っているわけなんですね。合理性の制限がかけられているがために、間接差別の定義が曖昧となっています。そしてまた、禁止事項がネガティブリスト方式で示されていて、リスト化されていない事項については間接差別とみなされない可能性が高いわけです。総合職と一般職という構成についても議論の余地が十分にあると考えておりまして、私自身は、本体であるべき雇用機会均等法の改正、これは早急に取り組むべきだというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
○安藤政府参考人 男女雇用機会均等法につきましては、平成十八年の法改正の附則に定められました施行五年後の検討規定に基づきまして、平成二十四年十月より施行状況を検討した結果、昨年十二月に関係省令等の見直しを行いまして、本年七月に施行したところでございます。
この見直しにおきましては、御指摘の間接差別の禁止の範囲について、従来の総合職の募集、採用から、全ての労働者の募集、採用、昇進、職種の変更へ禁止範囲を拡大する省令改正を行うとともに、セクシュアルハラスメントの予防、事後対応の徹底に向けました指針の改正や、適切なコース別雇用管理の運用に向けた指針の制定といったことを行ったところでございます。
今後とも、男女雇用機会均等法令の施行状況を勘案しまして、必要に応じ検討を行い、その結果に基づいて対応してまいりたいと考えております。
○郡委員 政省令の改正で一歩前進なのは間違いないとは思っています。しかし、やはり全ての女性が輝く社会を大いにうたわれるのであれば、こちらの雇用機会均等法の改正というのも避けて通れないというふうに思いますので、ぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
男女共同参画基本法の六条には、「家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、」云々かんぬんというふうになっているわけなんですけれども、しかし、この推進法の、本法案の基本原則の二条の二項には、「家族を構成する男女が、相互の協力の下に、育児、介護その他の家庭生活における活動について」云々と、「社会の支援の下に、」という基本法の六条の文言、言葉がすっぽりと抜け落ちております。入れるべきではないでしょうか。
基本法の基本理念から引いているというふうな御答弁が本会議の代表質問でもございましたけれども、男女共同参画基本法の基本理念にのっとるというふうにおっしゃるのであれば、やはり、「家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、」というふうにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
本法案第二条第二項は、平成十一年に成立いたしました男女共同参画社会基本法の基本理念の規定をもとにしてございます。「社会の支援の下」が盛り込まれていないという御指摘でございますが、本法案第二条第二項は、働く場面での女性の活躍のために特に重要な社会の支援として、行政、事業主による環境整備を行う旨を規定したものでございます。そういう意味で、この法案自体が社会の支援を規定しているということで、理念の方からは落としたものでございます。
○郡委員 それだけではないんですね。「社会の支援」というのは、やはりさまざまなところで支える仕組みなんですよ。ですから、わざとこれは落としたとしか私は思えなくて、何で落としたんだというふうに思うんです。うがった見方をすれば、それこそ、ジェンダーということに対して後ろ向きというふうな指摘もある、そういう御発言がこれまでも多かった安倍総理、妻は家にいてほしいというのが本音だというふうに私自身は思いますから、そういうようなところから、この「社会の支援」がすっぽり抜け落ちてしまったんじゃないのかなというふうにも思うところです。ぜひ入れていただきたいと思いますね。
それから、例えばシングルマザーですけれども、家族を構成する男女の協力関係というのは困難であります。一層の配慮が必要であります。しばしば、非正規雇用は仕事と生活の両立を求める女性の働き方の選択肢として広がってきた、こんなふうに説明をされるわけですけれども、それは、そもそもが性別役割分担体制を前提にしているからじゃないんでしょうか。
現状は、多くのシングルマザーが、低賃金、不安定、短時間、そういう仕事に従事しながら、生計を維持するために年間三百時間を超える長時間労働と、そしてまた、そういう中でも社会保障から排除されるという状況が起きている。仕事も家庭も両立をするのに大変な困難を強いられている。
こうしたシングルマザーの仕事と生活の実態に留意して特段の改善策を講じる、そういう対応になっているんでしょうか。
○有村国務大臣 先ほど政府参考人が御答弁されましたように、まさに男女共同参画社会基本法の基本理念の規定をもとにしております。「社会の支援」をあえて抜いたのかとうがった見方もという御指摘も拝聴して、なるほど、そういうふうに聞こえてしまうかもしれないと、私自身、正直思いました。
これは、何でこういうふうにしたのかということを私も省内で調べましたら、もともとの男女共同参画の基本法で「社会の支援」というふうに言っているんですが、この新法案で、両立、「家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境を整備することにより、」これで、支援だけではなくて環境そのものをつくらなきゃいけないんだ、より強くなったという思いを込めて、同じことだからということで落ちたというふうな背景は聞いております。
しかし、委員がおっしゃるように、やはりみんなで支援して環境をつくっていくことの事の重要性は私も共感するところでございます。
この法案は、職業生活を営み、または営もうとする全ての女性を対象としているものでありまして、委員が御指摘のように、シングルマザー、一人親家庭で、シングルでお父さんの方の御家庭もありますけれども、それぞれの御家庭が本当に必死で両立をしながら、お子さんの参観やあるいは弁当づくりなど、四苦八苦しながらやっておられる、その状況に対してやはり目を向けていくというのは当然のことだというふうに思っております。
「家族を構成する男女」というのは、これも基本法からそのまま引いてきている文言でございますが、女性が活躍するためには、男性についても働き方や意識の改革が重要であるという趣旨を平成十一年の中で意識されてつくられた文言だというふうに理解をしております。当然ながら、そういう意図で平成十一年につくられておりますので、施策や取り組みの対象でこの人たちを除外するんだ、この人たちに限定しているんだという趣旨のものではないと明確に理解をいたしております。
○郡委員 御承知のとおり、非正規労働全体に占める女性の割合というのが七〇・二%と、非常に高い割合を示しているわけです。
非正規労働の労働条件の見直しとしては、非正規雇用と正規雇用との賃金格差の是正、同一価値労働同一賃金の原則を確立すること、これが重要なわけですね。そういうふうになっていないのが残念ながら我が国でございまして、各国の女性の活躍を促す諸政策の特徴としては、多くの国で、ドイツもそうでしたけれども、出産、育児による就業継続を促す両立支援策に先立って、男女あるいはフルタイム、パートタイム、これらの賃金格差是正に積極的に取り組んでおられるわけです。
まずは同一価値労働同一賃金の原則を確立すべきではないでしょうか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
同一価値労働同一賃金、大変重要な概念だというふうに考えておりますが、何をもって同一価値と言うか、これがまた難しい問題でございます。
我が国においては、責任や能力などさまざまな要素を勘案して待遇が決定されるということが一般的でありまして、同じ仕事をしていれば同じ賃金を支払うといった仕組みを直ちに導入するとなると、これは乗り越えるべき課題がたくさんあるかなと思っております。
このため、まずは個々の事情に応じた均衡待遇を推進していくということが重要であると認識しておりまして、パートタイム労働者については、差別的取り扱いが禁止される労働者の範囲を広げるとともに、有期労働契約者については、労働契約法に有期労働契約に対する不合理な労働条件を禁止する規定を整備するといったように、正社員との均等待遇、均衡待遇の確保を推進してきたところでございます。
○郡委員 女性の社会進出が難しい要因の一つとして、男性労働者の働き過ぎというのが挙げられます。先ほどもいろいろと議論が行われていたように思いますけれども、私は、きょう資料を配っている二も参照していただきたいなというふうに思います。
とりわけ、男性労働者の育児の負担が重くなると思われる二十歳代後半から三十歳代の男性の長時間労働の割合が多いんですね。この年代の男性が家庭責任を担えないとなれば、女性は正規で働きにくくなる。つまり、家庭内の負担を負わなくちゃいけないその第一当事者にならざるを得ない、家庭外の有償労働との両立が困難となるということだろうと思います。
これを見ていただきたいんですが、男性が七十時間以上働いている場合の女性、その配偶者の働き方を見ていただいてわかりますように、始業時間、終業時間が一定の通常勤務というものよりも短時間というふうな、いわゆるパートタイムの労働者がぐんとふえている。時間が長時間労働をしている男性の妻ほどそういう傾向が多いというのがわかるわけであります。
一九九九年に策定された男女共同参画社会基本法ですけれども、これは、制度、慣行が人々の選択に与える影響を中立にするよう配慮するとしているわけですけれども、最も配慮されるべき制度、慣行の一つというのが長時間労働でありましょう。法定労働時間の遵守というのが何よりも重要だろうというふうに思っております。男性の働き方の見直しなどに言及されているものの、現在、女性の就業継続の最大のハードルになっているのは、長時間労働の是正についての具体的な施策や法的な整備がないから、そしてそれがほとんど含まれていないからなんだというふうに思っています。
政府の皆さん、先ほど有村大臣も、家庭にいる三百十五万人の女性たちを社会に出すためだというふうなことも話されたわけですけれども、子供を持つ有配偶者の女性の就業率をどうしたら上げられるのかというふうなことを考えるのであれば、当然のこと、男性の家事、育児参加を進めて、長時間労働を見直すといった男性の意識改革や働き方の見直しを進めること、これが重要であると思うんですけれども、この法律の対象には男性の育児休業の取得率の上昇なども該当するのでしょうか、どうでしょうか、確認いたします。
○向井政府参考人 お答えいたします。
働く場面における女性の活躍の推進に当たりましては、女性の積極採用や継続就業に向けた取り組みはもちろんのこと、男性の意識改革や協力も非常に重要であると考えてございます。
本法案に基づいて事業主が策定する事業主行動計画におきまして、男女を通じた働き方や職場風土の改革に向けた事業主の取り組みが促進され、女性の活躍推進に向けた機運の醸成が進むことを期待しているところでございます。
したがいまして、男性の育休取得率の上昇は、まさに本法案の趣旨にかなうものと認識してございます。
○郡委員 この法案に関係しているということだけれども、事業主がつくるものに期待をするということであるならば、また後ほど質問させていただきますけれども、大変弱いんじゃないだろうかというふうに思っていて、ちゃんと担保するものを規定しなくちゃいけないというふうに考えているわけです。
ところで、有村大臣、政府は、女性の活躍及び男性の育児、介護への参加の妨げとなっている職場における長時間にわたる時間外または休日の労働等の慣行の是正が図られるよう、労働者団体及び事業主団体と連携協力を図りながら、次に掲げる措置を講ずるものとする、一、時間外または休日の労働に係る労働時間の大幅な短縮を促進すること、二、所定労働時間を短縮し、または柔軟に変更することができる制度の導入、在宅で勤務できる制度の導入その他の就業形態の多様化を促進すること、これは、自民党、公明党の出された議員立法、もう一つの活躍法です。こちらには、今言ったように、長時間労働に関してちゃんと条文を設けていらっしゃるんですね。
提出されたときには政府に入っておられなかったわけで、当然、自民党議員として、このもう一つの活躍推進法を御存じだと思いますけれども、有村大臣、政府案には言及なしなんですよ。ぜひ加えられたらいかがでしょうか。
○有村国務大臣 郡委員にお答えいたします。
自民党、公明党による議員立法の動きがあったこと、また、その内容については承知をいたしております。非常に精力的にそれぞれの党内で検討されたものというふうに理解をいたしております。そこで、長時間労働に関して、プログラム法として、やはり改善をすべしというふうに明確な意思表示がなされていることは、私たちにとっても極めてありがたいことだと思っています。
前半、郡委員がおっしゃっていただきましたとおり、長時間労働に向き合わずして、女性の活躍というのは、理念の精神論で頑張れ、頑張れと言うのではなくて、本当に、時間のマネジメントと、男女の家族という意味でも、また就労環境という意味でも極めて大事で、避けては通れない、あるいはそこが本丸の一つというふうに思っております。
女性の職業生活、女性の活躍云々と言うのなら、まず男の働き方を変えてくれというふうに民間議員が官邸でおっしゃった言葉も非常に印象的で、共感をいたします。
この法案においては、第二条第二項の基本原則において、職業生活と家庭生活の双方の円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として行われなければならないという規定を明確に置いてございます。
今後、この法案を通していただければ、この基本原則にのっとってこれから国が策定いたします基本方針や、それに基づいて各事業者さんとかも参照されることになります行動計画策定指針、いわゆるガイドラインでございますが、において、長時間労働の是正への対応も必ず盛り込みたいと考えております。そして、具体的な成果を得るように努めてまいりたいと存じます。
また、先般十月十日に、すべての女性が輝く政策パッケージというのを発表させていただきましたが、ここに掲載しておりますとおり、第一義的な所管を負われる厚生労働省さんにおいても、長時間労働抑制などを強力に促すための所要の法的措置の検討等が進められているというふうに承知をいたしております。
そういう意味で、厚生労働省等々の関係省庁とも連携して、やはり、この法案のみならず、日本社会の問題として、長時間労働の是正に向けて具体的な成果が少しでも前に進んでいけるように、そしてその進み方が確実に、一過性のものではないように取り組んでいきたいというふうに考えております。
○郡委員 力を込めて言っていただきました。
基本原則の二条三項で、「女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならない。」というのがございます。
日本は本当に長時間労働なんですけれども、その長時間労働に耐えられず退職するのも、これは本人の意思というふうになるわけです。先ほどお示ししたように、配偶者が長時間労働であれば、女性はフルタイム就業が少なくなって、短時間労働を選択せざるを得なくなるわけです。
それから、資料の一ページですけれども、退職理由を見ていただきたいと思うんですが、勤務先の両立支援が不十分だった、あるいは非正規で、体調不良を理由に挙げられているわけですけれども、この背景というのを考慮する必要があるというふうに思っているんですね。
仕事へのやりがいが感じられない、将来的にキャリアが望めない、また、本人の意思のように見えるんだけれども、その裏には、配置、採用、育成、もうありとあらゆるステージにおいて男女の格差があって、また、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティーハラスメント、ジェンダーハラスメント、性的マイノリティーハラスメントなどハラスメントにもさらされていて、もうこんなんじゃとてもやっていけない、続けていけない、だからやめさせてください、これも本人の意思になってしまうわけです。しかし、そこにある、横たわっている問題の解決にはなりません。
この条項は、妊娠や出産、仕事と生活の両立にかかわる自由な自発的な意思決定と、この権利を阻むような取り扱い、慣行を取り除くという趣旨の理解でよろしいのでしょうか。つまりは、女性はそういうことは嫌だというふうにしっかりと言える権利が担保されているかということです。
○有村国務大臣 お答えをいたします。
本法案においては、男女共同参画社会基本法の基本理念を常に念頭に置いております。そして、その趣旨に従うものであることを明確にするために、第一条において、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとる旨を明確に規定してございます。
本人の権利を阻むような制度や慣行を取り除くことについては、この基本法の第四条、すなわち、「社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。」ということを平成十一年の基本法で明記されていますので、この考え方にのっとって配慮されることは当然のことだというふうに認識をいたしております。
○郡委員 本法案の第五条、「政府は、基本原則にのっとり、」「基本方針を定めなければならない。」とされています。しかし、基本原則もこういうふうにいろいろお尋ねしなくちゃわからないような曖昧な条項ならば、基本方針に定められる事項も余りにもぼんやりとしていて具体性を欠いているというふうに評価せざるを得ないと私は思います。
もう一つ資料につけさせていただいた「女性役職者が少ない理由」、企業の最も多くが挙げているのは、採用時点で女性が少なかったというのが五二・二%もあるんですね。管理職の女性比率と一般職員の女性比率、これは強い相関関係が見られまして、女性が企業における意思決定機関に登用されて活躍するためには、母集団となる女性社員の層を厚くしていくことが不可欠であろうというふうに思っています。採用の段階でも、まだ大変な男女格差が散見される。
それからまた、一方で、企業の管理職になっている女性の家庭状況を見ていただきたいと思うんですが、次のページですね、資料の四でありますけれども、管理職になっている女性の家庭環境は、男性に比べて未婚の方が多い、男性は一割未満ですのに、女性は四割であります。子供のいない人が圧倒的に多いんですね。つまり、そうじゃなきゃ仕事を続けて管理職になっていくのは難しい、こういうことなんじゃないでしょうか。非常に大きな問題がやはり残っているんだということだと思います。
それからまた、男女の昇進希望を見てみますと、課長以上の昇進意欲を持つ社員は、男性で五割から六割なのに対して、女性は一割未満と非常に少ないんです。女性の場合、仕事と家庭の両立が困難になるということを最もその理由として挙げておられるし、また、自分の雇用管理区分では昇進の可能性もない、周りに女性の管理職がいない、非常に残念なことを理由に挙げられているわけです。
基本方針には、ぜひ、だからこそ、募集、採用、配置、資格、昇進、育成、さまざまなステージで、格差是正に向け、公平公正な方向性を示すべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、募集や採用、配置など、職業生活の各段階におきまして、女性の活躍推進に向けた取り組みを進めていくことが極めて重要と認識してございます。こうした考え方のもと、本法案の第二条第一項におきまして、女性に対する採用、昇進などの職業生活の各段階における機会の積極的な提供を基本原則として定めてございます。
今後、基本原則にのっとり国が策定する基本方針やそれに基づき定める行動計画策定指針におきましても、職業生活の各段階における基本的な考え方や取り組みについて、この基本原則にのっとり検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○郡委員 ところで、ちょっと話題をかえさせていただきたいと思うんですけれども、有村大臣の個人的なことをお尋ねさせていただいて大変恐縮なんですけれども、まだ小さいお子さんがお二人おられるというふうに存じ上げているところです。
今、大臣という大変お忙しくて重要なポストにおありで、お子さんと接する時間がすごく短くなっているんじゃないだろうかなというふうに心配をしているんですけれども、お子さんと接する時間、今どれぐらいおありでしょうか。
○有村国務大臣 郡委員にお答えをいたします。
エールとも御心配とも、いただいて恐縮でございます。
さまざまな制約がある中で、会えるときには、本当にその時間、時間をいとおしく思って、かみしめていけるように努力したいと思います。
また、このような制約を受けているのは、全国で働きながらやっているお母さん、みんな同じ思いでやっておられる。彼らが、彼女たちが頑張っているんだから私自身もひるむわけにはいかないとみずからに言い聞かせて、また、子供にもそのように言われて、会えるときには大事にしたいというふうに思っております。
○郡委員 なかなか会える、抱き締める時間も少ないというのがにじんでいたというふうに思います。
有村大臣が家をあけて大臣という職に専念されておられるのも、その間にお子様を見てくださる方がいらっしゃるからだろうというふうに思います。そういうような環境の整った女性が、働いて、重要なポストにつく、あるいは未婚だったり子供がいないという女性たちが輝くポストにつくというふうなことでも、それは本当に残念ながら、その環境が整っている人たちでしかないわけで、全ての女性が輝くということにはならないわけですよね。ですからこそ、働く時間の問題、これについてしっかりと取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないだろうかというふうに思っているところです。
そして、さらにこんなことを、何か嫌らしい言い方かもしれませんけれども、有村大臣御自身の通信物にあった、両親が責任あるポジションについて仕事を続け、十数年以上たって家族機能が破綻し、親子関係において修羅場を経験している方も少なくない、こういう文書通信も見させていただきましたけれども、御自身の現在と大変な矛盾がある。本当に御心配をされているんじゃないかなと思うところであります。
さて、法案の方に戻りますけれども、都道府県、市町村の基本方針に基づく推進計画の策定が努力義務になっておりますが、義務規定になさらなかったのはなぜでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
本法案では、都道府県、市町村がその地域の実情に応じて定める都道府県推進計画及び市町村推進計画について規定してございます。
地方分権の観点から、地方公共団体の自主性を尊重するため、その策定は努力義務としているところでございますが、私どもといたしましては、できる限り策定いただくべく、地方公共団体を初め地域の関係者の尽力を期待するとともに、政府としても支援してまいりたいというふうに考えてございます。
○郡委員 時間がなくなりましたので、急ぎたいと思います。
事業主の行動計画、必須項目が四つでございまして、「その他」というふうにあるわけですけれども、今まで言及してまいりました男女の労働時間を加えるべきだというふうに思います。それからまた、男女の育休、介護休業の取得割合、取得日数の差異、これも加えるべきだというふうに考えています。また、民間で大きい男女間の賃金の格差についても必須項目で加えるべきではないでしょうか。男女の人事評価の差異についても加えるべきではないでしょうか。正規、非正規雇用の人数の割合、これらも追加すべきではないでしょうか。
ここを一緒にまとめて聞かせていただきますが、いかがでしょう。
○向井政府参考人 お答えいたします。
行動計画策定に向けました状況把握の項目につきましては省令で規定するということになってございます。
厚生労働省におきます労働政策審議会の建議におきましては、採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率の項目を必須項目として把握することが適当とされてございます。
当建議の内容も踏まえまして、さらに必須項目として把握すべき項目については省令の段階で検討してまいりたいと考えてございます。
○郡委員 もっと詳しくいろいろと伺わせていただくのは次の辻元委員に譲ることにいたしまして、私自身、大変大きなアドバルーンが、今回、全ての女性が輝く社会のためにということで、この推進法もその一つであるというふうに言われているわけですけれども、残念ながら、同じこの国会の中で、派遣法の改悪とも言えるものが行われようとしており、さらにまた、女子差別撤廃条約の批准をしておりながら、勧告を受けていることについても手をつけようとせず、また、社会の基本は自助、家族の助け合いの評価、また多世代同居の促進というように、安倍政権は家族を頼みとする文言が政策の中に散見をされるわけです。
女性の無償労働を当然として、社会的地位に対する差別への是正に後ろ向きな姿勢が見えて、私自身は強い懸念を持っているのです。これでは、男女平等意識が著しく低いと言われる国際批判から脱却できないんじゃないだろうか。推進法についてもまだまだ議論をさせていただきたいというふうに思っておりますけれども、国際社会の評価にたえ得る実効性のある制度設計を求めまして、きょうは十分聞けませんでしたけれども、質問を終えたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、辻元清美君。
○辻元委員 民主党の辻元清美です。
この安倍政権肝いりの法案と言われております女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案の実質審議がきょうから始まったということになるかと思います。
そんな中で、きのう、おとといあたりから、来週にも衆議院を解散するのではないかというような情報が永田町を駆けめぐっております。
地方創生とか女性が輝くという社会をつくりたいと安倍総理もおっしゃっているのですから、これを全部リセットというか壊してしまうような解散はまさかないかと思いますが、どうしても打たれるというのであれば、私は、それは、安倍さん、いろいろ疑惑も出てきました、小渕優子さんのこと、松島さんのこと、後についた宮沢大臣の疑惑の問題とか、今の閣僚の皆さんはいろいろ言われています。よっぽど、疑惑隠し解散というか、一回チャラにしたいのかなと思わざるを得ない。
一方、アベノミクスもうまいこといっているかというたら、きょうはアベノミクスと女性の活躍の関係も後半質問したいと思いますけれども、なかなか厳しいですよね、副大臣、私の方を見詰めていらっしゃいますけれども。株価は上がっていると言われていますが、また一部の企業の収益は上がっていると言われていますが、輸出産業の実質の輸出量は上がっていないという中で、これは全部関係してくるんですよ、女性に。中小企業とか下請の皆さんは、原材料費が上がって非常に苦しい状況になってきている。その中小企業などで、特に非正規で働く人の大半は女性なんですよ。アベノミクスは、逆回転して、女性を輝かせるどころか、アベノミクスを続ければ続けるほど構造的に女性が苦しくなるんじゃないかとも懸念が持たれております。
また、子育て中の人たちはもう大変ですよ、二人、三人子供がいたら。子供はいっぱい食べます。教育費もかかる。今、輸入物価が上がっていることで物価が上昇しております。そんな中で、子供が二人、三人いる女性は、四苦八苦して、買い物に行くにも、一円でも安いところに行こうと。
アベノミクスも、どうもなかなか難しい。このまま金融緩和をして、どんどんどんどん異次元の金融緩和を一体どこまでやるのか、それにもめどがつかない。経済状況もかなり厳しいというような中で、これもリセットしたいと。
私は、来週解散をするならば、疑惑隠しと、口では女性の活躍とか地方創生と言っているけれども、結局、実態的にはアベノミクスが失敗という刻印を押されたくないので解散でリセットしようというように見えてなりません。
そうならないためにも、この法案、さて、原案を示していただいておりますけれども、私どもは幾つかの修正項目も指摘をさせていただいております。ですから、修正協議の中身も含めまして、幾つかまず質問をしたいと思っております。
一番最初に、大臣、私は思うんですけれども、安倍さんは最初、女性の活用と言うてはったんですよ。ところが、途中から、誰か多分指摘したんやと思います、活用はあかんでとなって、次に活躍と来たんですね。
活用という言葉が出てきた背景には、確かにいろいろなその現象があります、それも真なりという点があるんです。確かに、女性の社会進出が進む、そして女性が働く、ダブルインカムになるということをやりやすい国は、経済成長にも寄与している。しかし、経済成長などのために、少子高齢化を解決するために女性のさまざまな政策をやろうというのは本末転倒やと思うんですね。
女性の人権をしっかり守っていくとか、子育てしやすい社会をつくるとか、それから、後で選択的夫婦別姓など女性差別撤廃条約の中身についても少し触れたいですけれども、本来の男女平等というものを実現していった結果、女性も男性も働いて、さまざまな社会で活動して、もちろん主婦として主婦の仕事をされる方も含めまして、介護などもやりやすい、だから気がついてみたら経済的にも大きくプラスになっているねというのが筋だと思うんですよ。
そこで、まず、この法案の第一条の「目的」のところなんですけれども、私はちょっと違和感があったんですね。というのは、冒頭に、「この法律は、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応していくためには、」そして男女共同参画社会基本法にのっとりと来ているんですが、普通でいえば、男女共同参画社会基本法にのっとって、こうこうこういうことをやっていきましょう、その結果、少子高齢化の進展やそれから経済社会情勢の変化に対応できる社会になるんじゃないかと思うんですね。
ですから、冒頭にいきなり、これはやはり、安倍さんは女性の活用から入っているのかなと。そうでないならば、これは「目的」の一番最後に持っていく。そして、男女共同参画社会基本法の理念にのっとりというのを冒頭に持ってくる。
そして、全てのことは、先ほどから何人かの方が指摘されていますけれども、やはり人権の問題なんです、女性の問題は、突き詰めていくと。ですから、人権を尊重するということも入れた上で、そういう社会をつくれば、最終的に、少子高齢化の解決、それから経済状況も好転していくだろうということで、人権を入れて、そしてこれは順番を逆にする提案をしたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○有村国務大臣 辻元委員にお答えをいたします。
辻元委員がおっしゃったように、やはり一人一人の男女、とりわけ今、女性にフォーカスを当てているわけですが、一人一人の幸せや、安全で健全な、心穏やかになれる環境ということをつくって、そして、安全で健やかな地域、そして結果として日本社会の活性化が成っていくという、その順番は私も大変共感をいたします。何も国の未来のために産めよふやせよという話では全くないというふうに思います。それは委員おっしゃっていただきましたように、関連性はありますけれども、やはり私たちは、一人一人の幸せ、御家族の幸せ、地域の安全、そして結果としての国家の繁栄、活性化ということを狙っていかなければならないというふうに思っております。
総理がこうやって地域の活性化なり日本の活性化というふうにおっしゃっていたというのを、実は私も、大臣になって官邸にお伺いして、あっ、そういうことだったのかというふうに、総理のお言葉で気づいたことがあります。それは、日本の社会に、また経済界にとってもプラスになる、だから女性を活用して、そして登用を応援してくださいということで、その方が今まで関心がなかった男性にも賛同しやすい、聞き入れられやすい、そういう層も応援してもらわなきゃいけないからそこを強調している面もあるんだというふうに総理御自身がおっしゃって、なるほど、新しいウイングを広げようというふうな意図がおありになったんだなと、大臣になって気がついたことがございました。
そういう意味では、順番ということを御指摘いただきましたけれども、そもそもこの順番自体が、辻元委員の御提案に共感するところがございますということを明確に申し上げた上で、この急速な少子高齢化の進展など、こういうことがありますねということを前提に書いたこの順番は、そもそもの平成十一年の男女共同参画基本法の書きぶりを踏襲したものというふうに報告を受けております。
○辻元委員 今、総理の御発言がありましたけれども、これは法律ですので、最初に、男女共同参画社会基本法にのっとりということになっていますので、これはぜひ順番を後ろに回す、そして人権という言葉も最初に入れておいた方が、念のためですよ、いや人権は当たり前なんだというような話もありましたけれども、よりよくなると私は思いますので、引き続き御検討をいただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
○有村国務大臣 閣法で出させていただいておりますけれども、もとより、今、国会で、衆議院で御審議をいただいておりますので、それぞれの関係各位の、特に与野党の筆頭間でのお話もあるかというふうに思いますので、そこの推移をしっかりとお見守りした上で、私どもの主張もしていきたいというふうに考えております。
○辻元委員 これは、各党、ちょっと協議をさせていただきたいと思います。
それからもう一点、確認ですが、先ほど、郡委員の質問で、「社会の支援」という言葉を入れたらどうかという提案がございました。それも確かに理解もできるところであると大臣は答弁されたんですけれども、これも私たちは提案をしていきたいと思いますので、政府の方でもしっかり入れていくという方向で検討していただけますでしょうか。いかがでしょうか。
○有村国務大臣 「社会の支援の下」というのがなぜ落ちたのかということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
明確に私が確認したことは、そもそも、それよりも強い文言を入れたので、これは安心していただけるというふうに思っていたようでございまして、意図的にとか、あるいは深読みをいただくような意図で落としたというわけでは全くないという主張は御報告させていただきたいと思います。
当然、国会での御審議でございますので、これからの、それぞれの団体や組織を代弁して、あるいは国民の意見を代弁されている先生方での、特に両筆頭間の御議論ということを、推移を見守りつつ、私どもの方針も最終的に決定されるものと理解をいたしております。
○辻元委員 私どもも、それぞれ各党とこれから協議をしていきたいと思います。
今、もう一点確認をしておきたい点があるんですが、第五条の「基本方針」というところで、内閣総理大臣が基本方針を策定し、閣議決定を経るということになって、この基本方針を内閣総理大臣が策定するというのは、非常に重要な基本方針になると思うんですね。
このときに、基本方針を策定するに当たって、ヒアリング、例えば当事者ですね、さまざまな今支援をしている女性団体、先ほどシングルマザーのお話もございましたけれども、実情はそういうNPOなどの方がよく知っている場合もあるんですね。
私たちも政府でさまざまな仕事をしてきましたけれども、政府が把握していないような非常に網羅的な状況が把握されていたりということもありますので、そういう当事者団体や支援団体や、また、これは労使の関係というのが必ず入ってきますので、労働者を代表するような労働組合、またはそれにかわるような、労働者の声もしっかり吸い上げているような団体やまた個人の意見をヒアリングしたり、またこの過程で、パブリックコメント、多くの女性の皆さんが、やはり自分たちの基本方針をつくるんだという当事者意識を持っていただいた方がいいと思いますので、パブリックコメントも広く募集をされて、その意見をしっかりと反映していく。
よく、パブリックコメントの中には、もう聞きおくだけというか、いっぱい来ていますけれどもということもあるというような話も伝わる場合もありますので、そうではなくて、パブリックコメントをしっかりオープンにして、どういう形で反映していったかという、プロセスにもそういうさまざまな団体も関与しながら、私たちは、原発のときにやったときには、もう政府でやるというよりも、そういういろいろなことを、パブリックコメントの取りまとめやさまざまな意見を網羅的に聞くというようなことを主にやっているNPOなどもございまして、そういう人たちも一緒につくり上げていくということをやった経験があるんですが、そのヒアリング、各種団体や当事者、そしてパブリックコメントをしっかりと反映していく、そのプロセスを保障していくということが非常に重要だと思うんですが、いかがでしょうか。
○有村国務大臣 委員にお答えいたします。
今ほど辻元委員が御提案いただいたことは、極めて説得力のある、民主主義の意見を収れんさせていく、あるいは意見をいただいていく上での大事なプロセスだと私も思います。
御指摘いただきましたように、第五条の「基本方針」、内閣総理大臣がその案を作成し、閣議の決定を求める、また閣議決定後は遅滞なく公表するということで、御指摘いただいたように、大変重みのあるものになるというふうに理解をしております。
この法律を通していただきましたならば、成立後、早期の基本方針の閣議決定に向けて、御提案いただきましたパブリックコメントの実施などを通じて広く御意見を伺いつつ、速やかに検討を進めていきたいと存じております。
また、特に民間のところでございますけれども、厚生労働省の労働政策審議会での議論などを通じて、さまざまな団体や立場の方々、あるいは各地域の方々の御意見も伺っておられるというふうに理解をしております。
私自身、子育て支援のNPOさんとか、あるいは女性の、例えば犯罪被害者の方々を救済されている方々のシェルターに行ってみたりして、なるほど、ここでしかない意見、現場のみずみずしい本質的な意見があるなというふうに実感をしておりますので、どのように意見聴取をするかということは、パブリックコメント以外にもどのようなことがあるかということを真摯に検討いたしたいと存じます。
○辻元委員 どのように意見聴取をするかもオープンにされて検討された方がいいというように思います。これは本当に、あらゆる、女性だけじゃなくて、男性も当事者意識を持って、みずからの意識も変えなきゃいけないわけです。そして、企業も地方自治体も変わっていく。
でも、女性差別、賃金とかいろいろありますけれども、さまざまな問題というのは、慣習とか意識という部分で、それが大きな阻害要因になっていますので、どういうように、どういう人たちから、どういう団体から、どういうグループから話を聞いていくのかということも、そのプロセスもしっかりオープンにしながらやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、もう一つなんですが、実態把握。八条の「一般事業主行動計画の策定等」、この中で、まず企業の、それぞれの一般事業主の実態把握をする。この一般事業主の実態把握をどのようにすればいいのか。今のままだと、いろいろ企業の自主裁量に委ねられているところがあるんですね。そうすると、経営者の判断のみで、今実態はこうなっていますよ、この部分とこの部分だけ公表しておこうとなりかねないんですね。そうすると、本当にしっかりと実態把握ができるのか。
そこで、労政審の中でも議論が出たようなんですが、経営者のみの判断で実態把握をするのではなくて、そのプロセスを実効性のあるものにするために、現状把握、分析、そして分析に基づく目標設定、計画策定、情報開示、全ての段階において労使で協議をする。
例えばイギリスなんかだと、労働組合の代表者などが実態をよくわかっていますので。それから、この間からマタハラの裁判なんかもありますけれども、あれは、支援していたようなNPOなどがやはり声を上げたんですよね。
ですから、そういうものが、一般事業主の判断だけではなく、労使の協議などを通じて、把握や分析や、それから目標設定や計画策定や情報開示、私はそうやった方が、先ほど申し上げました、参画意識と当事者意識と、そして、一緒に変えていく、職場を一緒に変えなきゃいけないわけですから、効果があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。これは厚労省ですか。
○山本副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
今おっしゃっていただきました実態把握や、また、課題分析を含めまして、行動計画の策定、そして推進に当たりましては、着実にPDCAを回していただくということ、機能させていくこと、また、その際には、労働者に対するアンケート調査や労使の対話等によりまして労働者の意見を的確に把握することが重要であると考えております。先ほど引いていただきました建議にもそのことが明確に書かれております。
そのため、今後、行動計画策定指針を定めるに当たっては、その旨を盛り込んでいく方向で今検討させていただいておりまして、審議会においてこのことについてさらに議論を深めていただきたいと考えております。
○辻元委員 そうすると、どうしても、働く立場の方が弱い場合があるわけですよね。そんなの言うたら、やめさせられたらどうしようとか、やはりどうしても弱い立場になる場合があるので、これは、事業主がきちんと労使で協議をしているかとか、それから、さらにはきちんと労働者の声を聞いているかということはどうやって確認するんですか。
○山本副大臣 そういった点も含めまして、今回、指針の中にきちんと入れ込んでいくわけでございますから、審議会でしっかりと、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと考えております。
○辻元委員 私は、はっきり労使の間で協議をすべきであるということを規定することが、自主性に任せるというか、結局、ポジティブアクション、さまざまなものをつくってきました。男女共同参画社会基本法もそうでしたし、均等法もそうなんです。ところが、せいぜい努力義務ぐらいになっちゃうと、そういうようなことの積み重ねが今の日本のまだまだほかの諸外国とおくれている状況をつくり出しているのではないかと思いますので、私は、この分析とか、それからさらに行動計画をどうつくっていくかというのは、労使でしっかりと協議をしてやりなさいということを義務づけるぐらいやるべきだと思いますが、いかがですか。
○山本副大臣 御意見は重々よくわかっておりますけれども、この指針を定めるに当たっては必ずプロセスとして審議会をやっていかなくちゃいけないわけでありまして、そこでしっかりとそうした点も踏まえて御議論していただきたいと思っております。
○辻元委員 もう一点、この行動計画等。ちょっと先ほどからもお話がありましたけれども、この行動計画に基づいてしっかり実行がなされているかどうかのチェックはどこがするんですか、一般事業主について。
○山本副大臣 一般事業主がちゃんと取り組んでくださっているかどうかということなんですけれども、それに取り組んでいただくために、この法律のたてつけとしては、一般事業主にみずから意識を変えていただいて、着実にPDCAサイクルを回していただく、機能させていただく、こういうたてつけになっているわけでございます。
実際、その行動計画というのは公表されますし、そういった中で目標も立てられて、公表された中でおのずと達成に向けた努力がなされることと期待しておりますが、一つには、今回、新しい認定制度というものをつくらせていただきますけれども、各企業におきまして、こうしたところから、認定制度を、認定する仕組みを設けることで各企業における着実な取り組みの実施ということを促進できると思っております。
もう一つ、法律ではございませんけれども、来年度の予算におきまして要求中でございますが、厚生労働省の女性活躍推進のためのサイトにおいても、行動計画とともに取り組み状況についても掲載していただくよう今いろいろ検討しておりまして、具体的な事業主の取り組みが進むようにしてまいりたいと考えております。
○辻元委員 特定事業主の行動計画においては実施状況を公表するというのがありますので、一般事業主についても、やはりこれは、行動計画を立てるだけだったら、まあ言うたら悪いけれども、立てられるんですよ。それをやっているかやっていないかが公表されないと、ああ、すばらしい行動計画を立てているなというだけでは、これは実効性は乏しいと思うんですね。ですから、ここのところをやはり入れ込んだ方がいいと思いますが、いかがですか。
○山本副大臣 特定事業主のところにつきましては、もちろん国や地方自治体が率先してやろうというところの姿勢が見えるような形にしたいわけでございますが、一般事業主のところにつきましては、今回、きちんと実態を把握していただいて、よく社内で話し合っていただいて、そして目標をつくっていく、みずからが回していくような仕組みのたてつけになっておりますので、それを率先して出したいというのであれば、先ほど申し上げましたような見える化サイトのところでしっかり出していただければと思いますし、認定の仕組みを使っていただければと思いますし、まずそうした形で、一律にやるというよりも、自助的なところを進めていくような仕組みにさせていただきたいと考えております。
○辻元委員 今まで、男女の問題、さまざまな、特に働いている場合に、悪いことは隠すという傾向があるんですよ、いろいろなハラスメント。(発言する者あり)それはそうだと筆頭理事が横で言っているけれども。ですから、何をしたかが問題なんですよね。何をしようとして、何を実行したのか。だから、私は、残念ながら、その部分が抜け落ちていたら、非常にこれはかけ声倒れの法案になってしまうんじゃないかなというように思っているわけです。
ですから、これもちょっと与野党で、横を見ていますが、協議をさせていただきますので。ここの部分がないと、みんな、何だと。何かええことを言うているようやけれども、結局、計画を出して、いいところは認定しますけれども、やはり悪いところを問題にせなあかんのですよ。そこをどう担保していくか。これは、引き続きちょっと協議しますので、御検討いただきたいというように思います。
次に、問題は、やはり賃金格差です。大きな肝。賃金格差については、本法案が通ったら一般事業主はどのように改善される予定なんですか。賃金格差について公表を義務づけていない中で、どういうように賃金格差が縮まっていくというようにお考えでしょうか。
○有村国務大臣 委員御案内のとおりかというふうに思いますけれども、民間の雇用情勢に関しては、厚生労働省が第一義的には主管であることは御報告させていただきます。特に非正規雇用の方々など、男性雇用者の二割が非正規雇用、女性の非正規雇用の割合は五割ということで、女性の活躍全般、一般的なことを申し上げれば、女性の活躍を推進する上で、非正規雇用者の対応というのは極めて重要だと私自身も認識をいたしております。
そして、この法案を作成いたします前提となります厚生労働省部分の労働政策審議会の建議においても、先ほど副大臣から御紹介ありましたように、非正規雇用の問題は盛り込まれているものと承知をいたしております。
本法案に基づいて基本計画や行動計画策定指針を策定するに当たって、非正規雇用の問題についても十分検討して対応していただきたいというふうに思っております。
この支援というのは、やはり主管でいらっしゃいます厚生労働省さんが牽引役となっていただいて、私たち、女性活躍という点からもしっかりと後押しをしていく、そして連携を密にしていきたいと思っている分野の一つでございます。
○辻元委員 今、厚生労働省所管とおっしゃったんですけれども、これもよく解消していかなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。働き方は、厚生労働省です。そうしたら、女性輝く担当大臣は一体何をするのかとなってくるわけですね。
やはり、女性輝く担当大臣は、派遣のことから、それからハラスメントのことから、さらには育児休業のことから、全部やはりトータルに誰かが見なきゃいけないだろうということでいらっしゃるんだと私は思いますので、その観点からお聞きしているわけですね。
有村大臣にお聞きしますが、今、賃金格差、非正規の問題をおっしゃいましたよね。全非正規労働者の中の七割は女性ですよね。男女の賃金格差というのはどれぐらいあるか、有村大臣はどういう認識をされていますか。男女の賃金格差、男性を十としたら女性はどれぐらいですか。
○有村国務大臣 御通告いただかなかったので正確な数値はありませんけれども、男性を十としたら、おおむね七前後かというふうに理解をいたします。
○辻元委員 これは通告しなくても誰でも知っていると思います。(発言する者あり)いや、知っているよ。女の人はみんなこれで歯ぎしりしているんですよ。知っているでしょう。何回もこれは国会で議論してきた話です。議事録、大臣になったら全部お読みになった方がいいと思いますけれども、もう何回も何回もこの女性の賃金の問題はやってきているんです。七割ですよ。
そして、実際に、先ほどから申し上げていますように、女性の労働者の半分が非正規、そして、非正規雇用、男女合わせたうちの七割が女性なんですよね。そうすると、この非正規雇用の問題というのはまさしく女性問題なんです。そういう観点が必要です。
さらに、では、有村大臣にお聞きしたいと思いますが、こういう非正規の女性たちの不安や不満をいろいろお聞きになっていると思います。代表的なのを一、二挙げていただけますか。
○有村国務大臣 非正規の方々というのは、私の周囲にも当然たくさんいらっしゃいます。例えば一つ申し上げれば、いろいろな手当の部分で、同じような仕事をしている方々に比べて、手当がなかなかに充足されないという声は聞きます。
○辻元委員 今、手当とおっしゃったのは賃金、それから待遇の格差、それともう一つが、いつやめさせられる、雇いどめになるかもしれないという不安なんです。
ですから、派遣やその他、正規ではないという方々はみんな、こんな文句を言うたらやめさせられるんとちゃうかなということで、いろいろあっても我慢しなきゃいけないとか、ハラスメントに遭っても声を上げられないというケースが多いんですね。それが女性に多いということです。
では、非正規の賃金はアベノミクスで上がっているのか下がっているのか。安倍さんは名目賃金が上がっている、アベノミクスで上がっているとおっしゃるわけですが、実質賃金は下がっておりますが、名目賃金で結構です、非正規雇用者の賃金はいかがでしょう。
○姉崎政府参考人 非正規労働者の賃金につきましては、私どもの賃金構造基本統計調査という調査で、毎年六月分の所定内給与について調査を行っておりまして、それによりますと、事業所規模十人以上の民営事業所における一般労働者のうち、正社員、正職員以外の労働者の所定内給与額は、平成二十四年が十九万六千四百円、平成二十五年が十九万五千三百円というふうになっております。
○辻元委員 下がっているんですよ。
なぜ、アベノミクスで、あれだけ安倍総理が賃金を上げろと声を上げている中で、非正規雇用の賃金が下がっていると有村大臣はお考えですか。何でやと思います。
○有村国務大臣 さまざまな要因があるかと思います。直接の所管ではございませんけれども、やはり、非正規雇用の方々がある意味での調整弁になっておられるという側面はあるかと思います。
○辻元委員 幾つかの理由があるんですけれども、政府が調査された中では、介護労働者などのパイがふえてきた、非常に待遇、賃金が低いということで、賃金の平均が下がったんじゃないかというのを、きのう厚労省の人がおっしゃっていたりもします。
この介護労働者に着目すれば、女性が多いんですね、女性が。ということは、女性の賃金、女性が参画すればするほど、非常に厳しい状況のパイがふえているものだから、賃金が下がっていく。
それと同時に、もう一つは、先ほど申し上げました中小企業、零細企業ですよ。アベノミクスで、輸出の大企業は、あえて円安誘導と申し上げますが、為替差益でもうかっているように実態的には見えるけれども、輸出量は上がっていない。そうなると、実質的に中小企業や零細企業の発注量はふえない。
そして、中小企業や零細企業で働く非正規の数は一千二百二十万人、大企業は五百二十七万人。圧倒的に中小企業、零細企業が多いんですよ。非正規、二倍以上なんですよ。
となると、アベノミクスで、それこそどんどん金融緩和して回していくと、株価は上がっているように見えるわけですが、しかし、実体経済、特に中小企業、零細企業で働く女性たちにとっては、逆回転しちゃっているわけです。賃金が下がるんですよ。こういう構造になっています。
そして、さらに私は大臣にお聞きしたいんですが、今、労働者派遣法、私たちは改悪だと言っています。どんな点が問題だと言われていると認識していますか。これは女性と物すごく密接に関係しますよ。
○有村国務大臣 今、法案が提出され、まさに国会で審議をというところの段階でございますので、所管外の法案についてはコメントを控えさせていただきます。
○辻元委員 これは、まさしく女性の問題なんですよ、派遣の問題は。
大臣、先ほどから申し上げていますように、女性を輝かせるための大臣だったら、闘わなきゃいけないんですよ。女性が派遣でしんどい思いをする、それは絶対あってはならない。私だったら、気になって気になって仕方がないですよ、派遣法でどうなんのやろう、女の人がって。それが女性を守る大臣です。有村さん、こっちを向いてください。私はそう思いますよ。
それで、ちょっと申し上げたいんですけれども、結局、今まで三年で期限を切って、そして正社員にしていくという方向で改正がなされたんです。しかし、この三年ごとに人さえ置きかえればどんどん派遣で雇い続けることができる、そのポジションは。そして、三年でどんどん派遣を転々とさせられかねない。また、派遣元の会社が無期雇用で雇えばずっと派遣で雇い続けることができるとなっているわけです。
ということは、これは女性の活躍といいながら、非正規が多いんですよ、女性は。その中で最もしんどいのが派遣ですよ。そうすると、女性は一生涯、派遣のスパイラルです。派遣のスパイラルで派遣労働に縛りつけられかねないような法案を一方で出しておきながら、一方で、女性輝け、そしてアベノミクスだといって円安誘導で物価が上がり、原材料が上がり、中小企業はしんどくなっている。女性輝け、私は整合性がとれていないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○有村国務大臣 辻元委員にお答えをいたします。
現在、まさに別の委員会で閣法が審議されるというこの段階でございますので、どのようなそしりや御批判やあるいはコメントをいただこうとも、私は、その法案について、直接の所管ではないところについてのコメントは控えさせていただきます。
では、女性活躍は何をするのかと先ほどから強く御言及をいただいておりますけれども、女性活躍に関しての、幅広い省庁と、あるいは自治体と、全国の知事会とも連携をいたしながら横串を刺していくということは、当然、リーダーシップを発揮していかなければならない。実際にその成果も一部見え始めておりますけれども、私自身が女性活躍と国家公務員という意味でのその国家公務員制度の担当としては、国家公務員の方々の働き方については直接権限が持てますけれども、厚生労働省さん、横串は刺しますけれども、ではこれは、とりもなおさず、ほかの省庁の権限や領域や責任に対して私が予算やその法的権限もない中でコメントをし、責任が負えるのかといえば、その所管をオーバーライドしていいという話にはなりません。
そこののりはわきまえて、大臣としての発言、言動をしていかなければならないということは、常にみずからに言い聞かせるものでございます。
○辻元委員 私は、派遣労働について、派遣法の今変えようとしていることについて、どういう不安の声、どういう問題点が指摘されると認識しているかと聞いたんですよ、多くの女性とか派遣で働く人たちから。だから、こういう点は問題点として指摘されているという御認識を持っているのかということを聞いたわけですよ。でも、所管じゃないからと。
その法案の中身をお聞きしたのではなく、皆、問題だということで声が上がっていますよ、女性からもたくさん上がっています。これは、特に女性で派遣で働いている人で、私、幸せやわと言う人に会うたことないんですよね。皆、しんどい、しんどいと。だから、どういう点が問題かということを聞いているわけです。いかがですか、大臣、どういう点を問題だと思っていると思いますか。
これは物すごく大事なところですよ、女性にとっては。だから私は、有村大臣が女性のために頑張るとるるおっしゃっているので、お聞きしているわけです。どういう点にこの法律改正、私たちは改悪と言っていますが、女性は不安を持っているとお考えですか。それなら答えられるでしょう。そんな声を聞いたことないですか、女性から。聞いたことないんだったら、聞いたことないとか、言ってください。
○有村国務大臣 辻元委員にお答えをいたします。
私も政治家でございますから、日々の報道は当然目にしておりますし、私も全国区の議会人ですから、当然いろいろなお声を聞いております。
ただ、厚生労働委員会において審議をされることであり、そして、安倍内閣のもと、自公の議員のそれぞれのプロセスを経て、そして法案が閣法として出されている以上、厚生労働委員会で御審議していただくものと理解をいたしております。
○辻元委員 今御答弁をなさっておりますけれども、では、どこがトータルに、女性の働き方や子育てのことや、またさまざまな慣習で差別を受けたときに、どの大臣が、みんなばらばらでやるんですか。それをトータルで見るのが有村大臣だと私は思っていたんですよ。違うわけですね。それぞればらばらでやればいいわけですね。
○有村国務大臣 今回、十月十日に、すべての女性が輝く政策パッケージを発表させていただきました。これは、今まで各省庁で出されたいろいろな取り組みの焼き直しではないかという御批判もございました。そこを否定するものではありません。実際に、続けられていたこともメニューにしたというのも事実でございます。新しいところもかなり出ていますけれども。
ただ、そういうパッケージがあったかといえば、一九七〇年代、八〇年代に、この分野、男女共同参画という言葉が出る以前の、女性問題対策というふうになされたときに、理念的に将来こういうことをやるべきだということのメニューがなされて以来、三十年何も、全ての各省庁横断のものはなかった。そういう意味では、それを一歩すること自体が、私はスタートを切れたというふうに思っております。
そういう横串はこれからも一生懸命やってまいりますけれども、再三申し上げますけれども、その横串を刺すということは、各省庁の権限や責任や立法や予算を飛び越えて私がオーバーライドできるということではありませんので、そこののりはわきまえます。
○辻元委員 横断的にと。結局、今の御答弁だと、のりをわきまえるというところが最後強調されたわけですよ。そうすると、それぞれの所管するところでやる。さっきから、厚労省で指針を決めるときにやるとかですね。
私は、この法案というのは、安倍総理、女性の活躍、二〇二〇年代に三〇%というのも別に数値として義務化されたわけでなくて、何でこれが出てきたのか。それだったら、雇用機会均等法の改正でいいんじゃないですか。男女共同参画社会基本法をさらに実効性のあるものにすれば、それで済むんじゃないでしょうかと思いますよ。
最後にもう一点、国際的な観点から大臣にお聞きします。
女性差別撤廃条約、これはまたほかの所管ですと言わないでいただきたいんです、女性輝く担当ですから。やはり、これは夫婦別姓なんですよ、選択的夫婦別姓。
大臣は、先ほどからも指摘されているように、日本女性の会というのに入っていらっしゃって、ここでいろいろな会合に出ていらっしゃいます。特に、選択的夫婦別姓に反対し家族のきずなを守る国民会議というところでも御発言されたりしています。
その中で、この会もそうですけれども、夫婦別姓は家族解体を導くと決議されたりしているわけですね。大臣も選択的夫婦別姓は家族解体を導くというような御認識を今まではお持ちだったようなんですけれども、これは理由がわからないんですよ。一回聞いてみたかったんですよ。何でですか。どういう理由ですか、家族解体って。何で選択的夫婦別姓にしたら家族が解体するんですか。
○有村国務大臣 委員にお答えをいたします。
選択的夫婦別姓が家族の解体につながるという発言をしたことは、私は一度もございません。発言をされた方に聞いていただきたいと思います。
○辻元委員 そうすると、この日本女性の会の九周年の、日本の家族が危ない、男女共同参画基本計画への夫婦別姓盛り込みの阻止をという集会で発言をされていますけれども、反対なんですね。では、選択的夫婦別姓は家族を解体させるものではないという御認識ですか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
夫婦別氏制と絡めて、それが家族解体になるとかならないとかということに関して発言をしたこともありません。
○辻元委員 世界じゅうで、法律で同姓を決めている国は、法律でですよ、日本だけなんですよ。あとインドが、法律では決めていませんけれども、慣習的にというのが実態なんですね。
日本の女性差別を、阻害してきた要因というのは、この日本女性の会の御主張のようなことがインターナショナルスタンダードからいえば全く通用しないし、選択的夫婦別姓でいえば、トルコは二〇〇二年、タイは二〇〇五年、これまた決めました。幾つか残っていたうちの国の一つなんですよ。
選択したい人に選択肢を与える、それの方が男女平等が進むということだと思うんですが、この意見には、大臣、いかがですか、賛同されますか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
当該問題に関しては、賛成、反対、それぞれ与野党ともに存在をいたします。国民に広くかかわる問題でありまして、また子々孫々の家族のありようにも関係することでございますので、まずは所管である法務省さんにおける今後の議論ということ、また国民意識の動向を見てまいりたいと考えております。
○辻元委員 今、子々孫々における家族のあり方にかかわるとおっしゃった。もう少し具体的に、どういうようにかかわるのか教えてください。
○有村国務大臣 辻元委員にお答えをいたします。
夫婦別氏になると、そこに生を授かった子供が、生まれた家族の子供が、どちらかの親と親子別姓になるということはよく指摘されるところでございます。
○辻元委員 それは選択制ですから、家族で決めるんですよ。
この家族で決めることが社会の崩壊につながるとか秩序を乱す、そういうような考え方そのものが、これは女性差別撤廃条約でもそうですが、女性差別的な法規定である。法律で決めているのは日本だけですよ。では、それ以外の国は、今御指摘されたようなところがあるから家族が崩壊しているんですか。何か問題あるんですか。
明治時代以前は、日本は別姓だったんです。これは確かに、意見が割れているのは、おっしゃるとおりなんです。しかし、三十代、四十代、若い人は、選択的夫婦別姓にしてくれという声の方が多いんですよね。ですから……(発言する者あり)多いんですよ、世論調査すればね。
それで、女性の問題というのは、制度を変えることと、本当に意識なんですよ。そういう人は国家を滅ぼすとか、そういう考えの人たちは社会の秩序を乱すんだと、一部の人でそう言っている人たちはいますよ。しかし、そういう考え方そのものが日本の足を引っ張ってきたと思います。
私は、有村大臣、ちょっとアンビバレントなんですよ。言っていることとやっていることが違うように見えてならないんです。ですから、私は本当に、女性輝く担当大臣とおっしゃるならば、しっかりと、女子差別撤廃条約に規定されている法規定も含めて、これを改善していくという方向で頑張っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
先ほどから御報告申し上げておりますように、夫婦別姓、別氏制度と家族解体云々というラインの発言は、私は一度もしておりません。そういう主張をされる方がいらっしゃるというのは理解しておりますけれども、それに賛同するしないにかかわらず、日本は表現の自由がある国でございますから、人の口に戸はたてられないというふうな思いもあります。
これに関して、例えばアメリカでは、結婚したら父親の姓にするという州もあるぐらいでございますから、それぞれの国においてそれぞれの国民世論の動向を見ていただいて、また立法をお考えになられる法務省さんが所管をされるという筋論、べき論は、私は変わることがないと理解をいたしております。
○辻元委員 来週解散とか言われている中での質問ですが、最後に一問だけ。
これは大臣自身が、「天使のほほえみ」という機関紙で、「国政の決断で迷いのある時など、一人で靖国神社にお詣りして、英霊にお尋ねする。国難の時に生命を捧げられた英霊が、「最後に守るべき価値観とは何か」をお教え下さるのだと思う。」とあるんですが、私、ちょっとびっくりしたんですよ。
大臣として合理的な判断をしていただかなきゃいけないんだけれども、英霊にお聞きに、この間も靖国神社に行かれたんですか。最後に守るべき価値観というのは、女性担当大臣として最も大事なことは何かということをお答えください。
○有村国務大臣 お答えをいたします。
辻元委員が引用されたその文章は、天使のほほえみという団体が、私の話を聞いて、勝手に議事録かのように書いていただいて、好意だとは思いますけれども、その内容に相当事実誤認があります。間違っているところもございます。この議事録でいいですかという、私の事務所に照会も一度もありませんで、あたかも私の発言がそれであったかのように書かれています。
それは私は問題だということで、うちの事務所に全く照会がない、そして事実誤認をかなり含んでいるということを申し上げて、先方は、有村事務所に確認をとっていません、文責も天使のほほえみということで、明確にホームページに書かれているというふうに理解をいたしております。
○辻元委員 終わりますが、なぜかというと、これは、安倍流富国強兵の産めよふやせよ、戦前そういうことがあったわけですよ。女性たちは非常に警戒しているわけです。ですから申し上げたわけです。
私、有村さんは本当に一生懸命やろうとされていると思いますよ、子育てしながら。ところが、やはり何か安倍さんも有村さんも、本当に女性の人権とか男女平等に真から賛同なさっているのかしらという目で国際的にも見られているということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 午後一時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十六分休憩
――――◇―――――
午後一時二十分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。三木圭恵君。
○三木委員 維新の党の三木圭恵でございます。
きょうは、有村大臣、赤澤内閣府副大臣、どうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案ということで、みずからの意思によって職業生活を営もうとする女性の職業生活における活躍を推進するという法案であるんですけれども、この法案が出ることによって、女性の人生というものがどういうふうに変わってくるのか。
子育てや介護との両立ということもございますし、女性の人生というのはいろいろ、さまざまだと思うんですね。結婚をする、結婚をしない、子供を産む、子供を産まない、また子供を何人産む、そういったことによって、それぞれ女性の人生というのは枝分かれがあって、いろいろな人生になってくると思うんですが、この法案によって、女性の人生の設計図というものをどのようにお考えになっているのか、有村大臣の方にお伺いいたします。
○有村国務大臣 三木委員にお答えをいたします。
委員御指摘のとおり、女性の置かれた状況というのはさまざまです。ライフスタイルも違いますし、また、ライフステージによって、感じられること、意思決定も異なってまいります。
どのようなライフスタイル、ステージにあろうとも、おのおのの希望に応じて、女性が家庭や地域、職場といったそれぞれの場で能力と個性が十分に発揮され、輝くことができる社会を実現していくことが重要だと考えております。
そして、安倍内閣のもとで、全ての女性がみずからの生き方に自信と誇りを持っていただくという意味では、確かに、女性の人生の設計図というふうに委員からお言葉をいただきましたけれども、人生のそれぞれにおいて、起点というか、分岐点ということもございます、迫られる意思決定を一つ一つ乗り越えていかなきゃいけない。そこにおいて、選択肢が幅広く提示されて、その中でみずからとられる選択肢に自信と誇りを持っていただけるような、そういう環境を整えたいというふうに考えております。
すべての女性が輝く政策パッケージを十月十日に発表させていただきましたが、委員御指摘のように、ワーク・ライフ・バランスや妊娠、出産、子育て、介護支援、あるいは、女性の登用を促す、非正規雇用で働く女性の処遇を改善する、また女性全体の健康を支援していく、母子家庭を支援していくなど、さまざまな状況にある女性を応援する施策をパッケージとして進めていきたいと考えております。
○三木委員 パッケージとして女性の政策を進めていっていただけるということで、私は、それは本当に大賛成でございます。
ただ、今回の働く女性ですね、職業生活における活躍ということで、三百人以上という企業で事業主行動計画をつくるというふうにしているんですけれども、結局、三百人以上の企業でないと、でないとと言うとおかしいんですけれども、中小企業でも、小さな会社でもできるところはあるかもしれませんけれども、結局、女性が働き始めて、妊娠や出産で休暇をとるということになった場合に、従業員数が少ない会社ですと、その休んでいる女性のポジションを、欠員を埋めなければいけないという現実があると思うんですね。
平成二十五年度の雇用均等室で取り扱いがなされている相談件数は二万一千四百十八件ということでございますけれども、労働者側からの相談を内容別に見ると、婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いに関する相談が二千九十件となっていて、前年度に比べて二百六十九件も増加しているわけでございます。相談数の増加が最も多くなっているのが、この相談ということになっているんですね。
また、事業主からの相談の方でも、育児・介護休業法に対する相談件数が三万三千六百三十二件となっており、事業主も大変苦慮している現状というのがうかがえるのではないかなと思います。
こういった、大企業ではない会社で働いている女性が妊娠、出産をする場合に、どういった施策、支援策というものがあるのか。いわゆるマタニティーハラスメントという言葉もございますけれども、こういった女性の生き方、大企業ではない企業に勤めている女性の生き方について、今回の法案ではどのような支援ができるのかということをお伺いしたいと思います。
○有村国務大臣 三木委員の御指摘、御提言は極めて大事なところだと思います。
全てが三百人以上の企業に勤められているわけではありません。多くは三百人未満の中小で頑張っていらっしゃる方々、その存在の前提があってこそだというふうに思っております。その方々も、いわゆる勤務先の大小にかかわらず、やはり安心して妊娠、出産、子育て、介護ということをしていきたい。男女にとって極めて大事な役割でございます。
そういう意味では、切れ目のない妊娠、出産支援の強化や、あるいは、来年四月一日からしっかりと施行をするということを明確にしております子ども・子育て支援システムということでも、これは就業していらっしゃらない方々に関しても門戸を開放しています。
そういう意味では、待機児童の解消加速化プランも実施をしていきたいと考えておりますし、就業をしているかしていないかにかかわらず、また、三百人以上の企業かどうか、三百人未満かどうかということにかかわらず、やはり全ての女性ということに門戸を開けるものでありたいというふうに願っております。
○三木委員 本当にこれは難しい仕組みづくりだと思うんですね。ある意味では、例えば、女性が妊娠、出産で欠員になったところを、ほかの男性が埋めるのか、またほかの女性が埋めるのかということは、法律で制定したからといってどう埋めていけるというものでもないとは思うんですけれども、やはりここが一番ネックになっていて、中小企業の方とかとお話をしますと、会社の社長さんなんかとお話をしますと、確かに優秀な女性は非常に多いんだ、だけれども、やはり彼女たちが結婚をして出産をしていくということの中で、育児休業や休暇をとっていくということの中で、その間をどうやって埋めていこうかということに非常に頭を悩ませると。
だから、やはりそういったところが一番の今我が国にある女性の活躍を妨げている要因じゃないかなというふうに、私の方では推測をしているわけでございます。
やはりこの法案の中ででも、そういった女性の、例えば、私が考えるのは、一つには、子育てをするときは一生懸命子育てをして、子育てが終わった段階で再就職をしたいという女性が数多くいらっしゃると思うんですね。それが今の、例えば子育てする、妊娠する、出産する、育児休暇をとる、出産休暇をとるといったときに、やはりそういった欠員を埋められないから、女性の場合も、しようがないからやめなきゃしようがないよねというふうになっていっていると思うんですね。それで、子育てをきっちりやって、子育てが終わってからもう一回再就職をしようとなると、今度はもう年齢制限なんかにひっかかって再就職がかなり難しいとかというような状況にも陥ってきていると思うんですね。
ですから、この法案の中で私はやはりきっちりと位置づけていただきたいのは、妊娠、出産に関して、小さな会社でもちゃんと妊娠、出産、育児に対して休暇がとれる体制をどのようにつくり上げていくかということと、女性が一旦会社をやめても再就職していく道を開いていく、そういった施策というのが一番大事じゃないかなと私は思うんですけれども、有村大臣の方のお考えをお聞かせください。
○有村国務大臣 委員の御指摘はごもっともだと共感することが多うございます。
この法案でも、家族を構成する男女が、相互の協力のもとに、育児、介護、その家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たしつつ職業生活における活動を行うために必要な環境を整備することによって、両立が可能となることということを基本原則にうたっております。
そういう意味で、極めてこれを堅持したいと思っておりますが、私自身も雇い主として、私の女性のスタッフが妊娠したときに、正直、彼女にどれだけ仕事を任せていいのか、それが心身の負担にどれだけいくのか、また、彼女の負担を軽減したときに周りのスタッフに対して負荷がかかるということに非常に悩んで、これは雇用主も大変だなというふうに共感をしたことがあります。
けれども、やはりそういう方々に関してもマタニティーハラスメントがないように、それは雇用関係のみならず、みんなで温かい社会を、やはり命を育むということに対して応援していくというポジティブキャンペーンも開いていかなければならないというふうに考えております。
施策もいろいろございますが、ちょっと先ほど、恐縮でございます、私、そらんじて三百人以上というふうに申し上げたようでございますが、三百一人以上ということで、謹んで訂正をさせていただきます。
○三木委員 本当に、私たち女性、有村大臣も女性でいらっしゃいます。それで、男性の方は多く働いていらっしゃるのは当然でございますし、国会議員の先生方も、男性の方は非常にやはり多いんですね。それで、女性の地位が低いというようなことは、日本では女性の地位が低いというふうに言われてはいるんですけれども、私は、女性が考える側でも男性が考える側でも一番大切なことというのは、子供の声だと思うんですね。
子供というのは、大人と違いまして意見を発するということができないわけですから、それをやはり大人である私たちが子供のことを一番に思ってそういう政策を打っていくというのは、私は一番大事なことだなというふうに考えております。
それで、有村大臣がエッセーの方に書かれていらっしゃること、いろいろ書かれていらっしゃって、御批判も質問の中で受けていらっしゃることだとは思うんですけれども、私は、個人的には、子供というのは幼少期はそばに置いて育てることが一番望ましいんじゃないかなというふうに思っている一人でございます。
女性として、母としてそういうふうに思うことはございますし、私も共働きで子供を育ててまいりました。衆議院議員になる前は、地方議員として一生懸命社会の中で貢献するように努めて働いてきたところでございます。ですので、やはり子供に対しての思いというのは非常に強い部分がございます。
しかし、いろいろな家庭で育っていく子供たち、そしていろいろな立場で、子供をサポートする母親として生活をされていらっしゃる女性の方、また、共働きで働きながら子供を育てていらっしゃる女性の方、また、その働いている女性の方でも、自分の生きがいを十分に体現して、輝くようにキャリアアップを目指していかれる女性の方もいらっしゃれば、やはり、子供のためといって、教育費にお金がかかるといって、一生懸命疲れた体にむち打って働かれる母親の方もたくさんいらっしゃるということなんですね。
だから、有村大臣がおっしゃったことは、何も働く女性を否定することではないというふうに私は考えております。働きながら子育てをする母、また、働く母親を持つ子供というのをしっかり国としてバックアップしていかなければならないという、共働きをしながら子育てをされてこられた有村大臣の強い決意の一つでもあるのかなというふうに私は感じておりますし、私もそういうふうに、子供ももう大分大きくなりました、高校三年生と大学二年生になりましたけれども、やはり今でも子供のことは一生懸命やらなきゃいけないという決意を持っておりますので、そういった意味で言われているんだなというふうに感じている次第でございます。
女性の労働というのはそういうふうに必ず二面性があるというのを、やはり私たちは考えていかなければならないなと思うんです。
これが非常に大切な論点になると私は思っておりまして、やはり、おかしな言い方ではございますけれども、子供を育てられるというのは非常に恵まれたことだと私は思っております。本当は女性としてすごく幸せなことなんだと。子宝に恵まれない女性の方もたくさんいらっしゃいますし、そういった幸せを実感しながら輝いていける社会というのがやはり一番日本の中には必要なんじゃないかなというふうに思うんですが、有村大臣の御所見はいかがでしょうか。
○有村国務大臣 三木委員にお答えをいたします。
心からの共感と敬意を持って今のお考えを拝聴しておりました。
委員御指摘のように、子供たちが声を持っているか、有権者としての権利があるかといえば、やはり二十から有権者としてのボイスを選挙で持つわけで、その声なき声にどれだけ思いをいたして、子供たちの安全や幸せや健全な育成のために思いをいたせるかというのは、これからの日本の盛衰ということを考えた上でも極めて大事で、もっともっとここは配慮をいたさなきゃいけないというふうに存じます。
御紹介をいただいたエッセーでございますけれども、私が申し上げているのは、委員御指摘いただきましたように、幼少期にやはり親子の時間が、一緒にいられるようにすべきだということを申し上げているので、一部野党の方から、これは肌を離さずというのが大事だということを言っただけで両立支援を否定しているというふうにレッテルを張っていただきましたが、両立支援を否定したことは一度もありませんし、私自身、その支援を受けて今子育て中のキャリアということを遂行しているわけでございます。
委員のお話を聞いていて本当に思うことは、恐らく選挙がなかったら女性の政治参画はもっと進むと思います。ただ、やはり民主主義国家でございますから選挙のいわば洗礼というのはあるんですが、この選挙の破壊力ということを考えますと、私も全国を常に回っておりますけれども、子育て中の女性の政治参画が最も薄い分野、最も薄い層だと思っておりますので、そういう意味では、委員のように、幸せも充足感も、そして苦難も経験されたその実感の上で参画をして、それをボイスを上げていただくという、この層が頑張らないでどうするという思いでおりますので、引き続きの御指南をいただきたいと思っております。
○三木委員 有村大臣の大変好意的な御答弁をありがとうございます。私も一生懸命頑張ってまいりたいと思いますが、選挙というお言葉が出ましたので、ちょっとびくっと反応してしまったのでございますけれども。
では、質問の方に戻らせていただきます。
事業主行動計画の策定における指針というものについてなんですが、各自の裁量に任されるということになっていると思うんですね。三百人以下は努力義務で策定するんですけれども、今の現状の状況の把握と改善すべき事情についての分析ということで、こういうふうに事業主行動計画をつくっていきましょうというふうな、ある程度の一定の目安というかそういうものはあるんですけれども、それがきっちりとやはり、事業主の方の裁量に任されているということで、このばらばらの基準で策定された各計画の、すぐれた取り組みを行う一般事業主の認定を行うというふうになるんですけれども、これはどういうふうにすぐれた取り組みをしている事業主ということを認定していくんでしょうか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
行動計画につきましては、女性の活躍に係る現状や課題が各社各様でありますことから、この法案においては、各企業がその実態をみずから十分に把握して課題を分析した上で、各社の課題を解決するのに最もふさわしい取り組みとそれに応じた数値目標を定めていただく、こういう仕組みにしております。
一方、認定制度につきましては、当該企業が女性の活躍状況の実績や取り組みの実施状況が一定の水準以上であることなどを対外的に明らかにすることによりまして、社会的な評価や選択につなげようという趣旨から創設するものでございます。
具体的な認定基準につきましては、法案を成立させていただいた後に、労働政策審議会において詳細を審議していただいて、その御意見を踏まえて決定することとなりますが、審議会での検討に当たりましては、女性の活躍状況の実績というかレベルとその取り組みの改善度合いの両面で評価を行うとか、あるいは、業種や企業規模の特性に配慮できるような基準にするというような方向性を念頭に置きましてさらに議論を深めていただくこととしておりまして、各企業のさまざまな行動計画に基づく取り組みを適切に評価、認定できるような基準の設定に努めてまいりたいと考えております。
○三木委員 ということで、お答えをいただいたんですけれども、まだ決まっていないということで受けとめさせていただいてよろしいんですかね。これから一定の水準で判断をしていく、労働政策審議会で両面を見て、きっちりその改善もなされていることも見て認定をしていくよということなんです。
これは、認定をされますと、第二十条に、「一般事業主の受注の機会の増大」、「国及び公庫等の役務又は物件の調達に関し、予算の適正な使用に留意しつつ、認定一般事業主その他の女性の職業生活における活躍に関する」、まあ、優良企業と認定されれば、物件の調達とかで優遇されるというふうな条文であると思うんですけれども、それで間違いないですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
そういうふうな認定がありましたら、優遇する場合が合理的な場合には、そういうふうな優遇ができるような調達のやり方をとっていけるようにしたいというふうに思っております。
○三木委員 ちょっと気になるんですけれども、優遇できるような調達というのは、一体どのような制度を念頭に置かれてこういう条文をつくられているのか。よろしいですか、説明してください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
基本的には、通常の調達は、いわゆる競争入札で行います。それは、価格だけの場合もありますけれども、それ以外に、総合評価方式といいまして、技術力とかいろいろなものを評価して、それと入札価格を総合的に評価して、それで入札する制度がございまして、そういう場合に、そういう認定を高く評価するというふうなことが考えられると思っております。
○三木委員 私は、認定企業を認定して、女性が会社を選ぶときに、ここは女性の活躍を推進してくれる企業なんだということをマーキングして、選びやすくするということには大賛成なんですけれども、今お答えいただいたように、今のこの段階で、優良企業を認定する基準というものがまだ曖昧であることと、入札を、総合評価の入札のときに点数を高くするというようなことを考えていらっしゃるようでございます。
それというのは、企業側からしてみたら、公共入札に入りたいがために、計画をちょっと自分のところでいいようにねじ曲げると言いますと言葉はきついですけれども、ちょっとごまかして書いてしまったりとか、数値を上げてしまったりとかということがあるんじゃないかなと思うんですけれども、それはどうやって確かめるおつもりでしょうか。
○安藤政府参考人 今回の認定制度には取り消しということもございまして、認定基準に合わなくなった場合には、それを厚生労働省の方で判断して取り消すことができるというふうになっております。
○三木委員 では、取り消しをする場合はどういうふうに、認定をしたのを取り消すというのは、随時調査をしていくということですか。それとも、何か誰かから、この会社はそんな数値と合わないことをやっているよというような声が上がったら調査に入るということでしょうか。
○安藤政府参考人 厚生労働省の出先機関でございます労働局には雇用均等室というものがありまして、そういったさまざまな端緒をもとに事業主のところにお伺いをして、報告徴収をするという活動をしております。今回の法案の中にもこの報告徴収の制度を盛り込んでおりますので、さまざまな端緒をもとにそういった調査に入るということも可能でございます。
そうした中で、認定取り消し事由に当たるというような事業主がいた場合には、手続をとらせていただくということになります。
○三木委員 私は、やはり一番心配しますのはその点なんですね、ここの条文の中では。
どういうふうに認定をするのか、認定をした企業が本当にその認定したとおりの事業主であるのか。また、それで公共調達を優遇されて、そういったことのために、何か女性が、おかしな言い方ですけれども、この法案が利用されるようなことになったら本当にだめだなというふうに思っております。
今のお答えの中でも、取り消しはできるけれども、どういうふうに企業に、本当にそれができているかどうかということを確認する作業とかというものが、やはりちょっと曖昧な気がしますので、そこら辺をもう少し精査していただきたいなというふうに思います。
これは要望で結構ですので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
私がこの法案から受けた印象というのは、マーキングして、例えば、新卒の女子大生が就職するのに、この会社がいいんじゃないかなとかというような目印をつけていくというようなこともできるなと。この法案の中では、やはりそういう、今から就職をしていくというような女性が結構メーンの法案じゃないのかなというふうに感じているんです。
一般的に、働く女性の活躍を推進するということは、本当に非常に賛成なんですけれども、一方で、今、本当に貧困にあえいでいるというか、最近、テレビとかでも報道されているんですけれども、子供の貧困ということで、非常に困窮した生活をされているという御家庭もございます。
本当に多くの子供たちが、日本ではそういう貧困率が高いというふうに報告をされているところでございます。日本は、OECD加盟国三十四カ国中二十五位となっている。子供がいる現役世帯のうち大人が一人の場合、シングルマザー、シングルファーザーというところだと思うんですけれども、大人が一人しかいない場合、貧困率が五四・六%に上っているということを、私は、非常に今の日本の中で危機感を持って考えているんです。
この現状を踏まえて、子供の貧困対策の推進に関する法律というのが、ことしの一月十七日に施行されたと思うんですが、この法律の中身を見ておりますと、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充していって、どんどんとそういう相談を受けていこうということだと思うんです。
その相談を受けた後、生活困窮者、本当に困っている方々というのをどのように救済していくのかというのが、この法律を見てもなかなか見えないものですから、それはどういった対応策があるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○有村国務大臣 大事な御指摘をいただきました。
子供の貧困問題は、母子家庭、父子家庭もございます、一人親家庭の、特に女性の貧困問題とも密接な関連がございます。貧困の世代間の連鎖を防ぐ観点から、やはり、窮状にある母子家庭に対する支援策を講ずることというのは極めて重要な課題だと認識をしております。
ことし八月に策定いたしました、文部科学省、厚生労働省と内閣府共管で、子供の貧困対策に関する大綱には、一人親家庭の保護者に対する就労支援や生活の支援について盛り込んであります。
また、私が大臣就任後に、十月十日に発表させていただきました、すべての女性が輝くパッケージにおいても御紹介をさせていただいているんですが、厚生労働省等と連携をしながら、一人親家庭の方々が、就労もする、またお子さんに保育の支援を受けられるようにするというのをワンストップでできるようにという取り組みを始めております。
今後とも、取りまとめとして内閣府がございますけれども、関係省庁としっかりと連携をして、子供の貧困対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。
委員御指摘のように、やはり、私自身、大臣になって思うことなんですけれども、本当に緊急の情報を必要とする人に、本当に的確で必要で十分な情報が、本当に必要なタイミングで届いているかどうかという意味では、媒体ももっともっと精査しなければならないというふうに思います。ワーカーを配置したからいいという話では全くありませんので、そこからどのように波及効果があるかということも見ていかなければならないというふうに思っております。
○三木委員 大臣、ありがとうございます。
子供の貧困というのは、一つには、本当に食べるものも、晩御飯に数百円しか使えないというような状況の財政的な貧困ということから、それともう一つは、やはり教育面の貧困ということが挙げられております。
本当にそういった緊急に支援の手を必要としているシングルマザーのお母さんたちというのは、なかなか、本当の意味で、救い出せるというとすごく上から目線のようで嫌なんですけれども、本当にそういうことが難しいなというふうに私は考えております。
それはなぜかというと、そういうソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカーに相談に行く時間もないというような方々が本当に多いんじゃないかなというふうに考えておりますので、ここのソーシャルワーカーから、この子の家庭はもしかしたら今貧困になっているんじゃないかとか、そういった情報をソーシャルワーカーの方が積極的に入手するようにして、入手をした場合には、この大綱を踏まえた概算要求の中でも、住居とか食料とかそういったことの本当に緊急避難的なもの、具体策というのは余り見えてこないので、また、そういったところもぜひ充実をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○有村国務大臣 いま一たびになって恐縮ですが、関係省庁と連携しながらも、やはり強い問題意識を持っておりますので、進めてまいりたいと存じます。
○三木委員 ぜひお願いをいたします。
それから、最後の質問になるかと思います。
これは、今の働く女性とは直接関係がないかもしれないんですけれども、日本の女性が誇りを持って輝く社会であるためには、日本が差別的な国であると国際社会から非難されないことが私は非常に大切だと思うんですね。
朝日新聞の件でございますけれども、従軍慰安婦について誤報を認めたわけでございます。誤報を認めたわけですけれども、日本政府の国連に対する働きかけがまだちょっと不十分な部分があるんじゃないかなというふうに感じております。
例えば、クマラスワミ女史は、いまだに強制連行があったとした報告書の訂正に応えていないというわけでございますが、有村大臣は、女性として、この従軍慰安婦の強制連行を記述した国連の報告書についてどのようにお考えでしょうか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
まず前提として、やはり日本の名誉のために一層の働きかけが必要かどうかということに関しての政府の見解及び立場は、総理及び官房長官、外務大臣等がこれまで述べられてきたとおりだというふうに思っております。
委員のお尋ねでございますが、女性としてどう思うかということを私は意識したことは正直ございません。やはり日本の政治家としてこの問題に取り組むという姿勢は明確にしてまいりました。
就任後に、記者会見でそのようなことを聞かれたこともございます。報道の自由はありますけれども、その自由は真実に基づかなければならないということのコメントは、かつて、大臣就任後もさせていただいておりますが、それ以上の、では、政治家個人としてどう思うかというようなことについては、やはり政府見解というのを既に発せられていますので、差し控えさせていただきたいと存じます。
○三木委員 ちょっと質問が、女性としてというのが悪かったのかなというふうに思っておりますけれども。
でも、やはり女性としてというのは、私は女性である前に政治家だとは思うんですけれども、日本の将兵が戦争中に他国の、朝鮮半島の女性を強制連行したというようなことは、大変事実誤認に基づいた不名誉な、国際社会に与えている日本に対する不名誉な見解だと私は思っています。
これは、やはり全力を挙げて私たち日本の政治家が声を上げていかないと、私たちの先祖が、日本のために立派に戦った将兵の方々がそういった汚名を着せられているというのは、私は非常に憤りを感じておりますので、ぜひ政府として、国務大臣のお一人として、政治家として、これからも有村大臣の今おっしゃった姿勢を貫いていただきますことをお願い申し上げます。
もう質疑時間が本当に少なくなってきましたので、今のが最後の質問になったところなのでございますけれども、有村大臣が、今後、今私が質問しましたこと全部を踏まえて、いろいろなことがございましたけれども、ぜひ、与党、野党の枠は超えて、私は、女性の大臣に非常に頑張っていただきたいなという思いを持っております。
さまざまなことがあったわけでございますが、だからやはり女性はだめなんだというふうに私は言われたくないので、有村大臣、ぜひ頑張っていただくよう、最後に決意のほどをお願いいたしたいと思います。
○有村国務大臣 四苦八苦しながら同じ子育ての喜びを共感して、みずからも育ててこられた、本当にそういう意味での同僚議員としてのエールをいただいて、大変恐縮に、またありがたく、勇気づけられます。
先ほど申し上げました、この層の政治参画が最も少ないというふうに思っています。皆さん、政治どころじゃない、選挙どころじゃない中で、髪の毛を振り乱しながら一生懸命母ちゃん業をちゃんとやっている、奥さん業をやっている、子供を育てている。だからこそ、選挙に出て、審判を受けて、そして議会の議席をお預かりしている私たちには、私たち個人というのみならず、やはり背負うものがある。ここでくじけるわけにはいきません。
そういう意味で、与野党の枠を超えて、みずからの生き方、襟を正してやっていく。そして、日本の名誉のために、あるいは国家国民益のために、私たちは、三センチでも五センチでもそれが前に進むように、ともに連携しながらやっていきたいと思っております。
ありがとうございます。
○三木委員 有村大臣、ありがとうございました。
ぜひ与野党の枠を超えて、子供たちの未来のために頑張っていくことを私もお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○井上委員長 次に、杉田水脈君。
○杉田委員 次世代の党の杉田水脈です。
質疑が始まる前に、有村大臣の先ほどの御発言に非常に勇気をいただきました。子供を持つ母親の質問が続きますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
私は、この今回の法案、一番最初のページを開きますと、男女共同参画基本法の基本理念にのっとりというようなことがまず最初に出てまいります。このことについても、本会議の方での質疑の中でもいろいろと質問をさせていただいたところでございますけれども、まず最初は、この男女共同参画基本法について質疑をさせていただきたいというふうに思います。
まず、男女共同参画基本法、この法律ができたときに、一体その時代のどこに問題があって、どういう社会を目指すためにこの法律が施行されたのか。この男女共同参画基本法の目的を含めて、どういう社会を実現したいと思ってこの法律ができたのかということをお尋ねしたいと思います。
○武川政府参考人 お答えいたします。
男女共同参画社会基本法の第二条に、男女共同参画社会の定義がございます。
それによりますと、男女が、社会の対等な構成員として、みずからの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を負うべき社会というのがございます。
○杉田委員 既に憲法のもとにおいて、基本的人権が尊重され、法のもとの平等というのがうたわれております。
先ほど答弁にありましたけれども、男女が社会的対等な構成員としてというふうにあるんですけれども、では、この当時、男女は社会的対等な構成員ではなかったんでしょうか。
○武川政府参考人 男女平等という観点では、実は、その基本法の中には、性別による差別的な取り扱いを受けない、また、社会の対等な構成員としてという記載がございますけれども、政治的な分野、経済的な分野におきまして参画が十分ではないという認識があったというふうに承知しております。
○杉田委員 では、この法律が施行されたのが平成十一年なんですけれども、そのときにどのような社会を理想としてこの法律が制定されたのかということをまずお尋ねしたんですが、それがないと、どこがゴールかがわからないですよね。
どこまで行けば、この法律が目指すべきところが実現されて、どこまで行けば、ああ、もうこれは成功したんだ、男女共同参画基本法は成功したから、もうこの法律は終わりましたという形になるのかというところを、どのように姿を描かれたのかということをお尋ねしているんです。
○武川政府参考人 お答えいたします。
男女共同参画社会基本法には、理念が五つ掲げられております。まずは、男女の人権の尊重でございます。男女の個人としての尊厳が重んぜられること、性別による差別的な取り扱いを受けないこと、それから、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること等、さらには、社会における制度または慣行について、中立的なものとなるように配慮されなければならない、また、政策などの立案及び決定に関しては、共同参画する機会の確保、さらには、家庭生活における活動と他の活動の両立を行うことができるようにするようなこと、そういったことが掲げられておりますので、そういったものが実現された社会ということになると思います。
○杉田委員 冒頭に申し上げましたとおり、憲法において、基本的人権というのが尊重されておりまして、男性も女性も法のもとでの平等がうたわれている状態にあって、では、当時は男女が性別による差別的な取り扱いを受けていたという認識だったんでしょうか。
○武川政府参考人 お答えいたします。
性による差別的な取り扱いを受けないということに加えまして、参画が男女とも政治的、文化的、社会的に確保される、そういったものが男女共同参画社会の定義でございます。また、能力、個性が十分に発揮できるということも定義にございます。そういった面でまだ課題があったということでございます。
○杉田委員 参画については私もいろいろ、問題があったというのもあるかもしれないんですけれども、単にこの法律、その参画のことについてだけ書かれているわけではないんですね。
例えば、第四条のところに「社会における制度又は慣行についての配慮」というのがあるんです。「社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、」「男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、」というのがあるんですけれども、では、このときに問題視された、社会における制度または慣行が男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあるというのはどういうことを指しているんですか。具体的にお尋ねしたいと思います。
○武川政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、男女共同参画社会基本法第四条に中立的なものとするということが書かれておりまして、これは、男女が社会における活動の選択をするに当たりまして影響を与えない、言葉をかえますと、社会における制度や慣行によって、その選択がある方向に誘導されたり、または、ある選択をしにくくなったりということがないようにということを意味しております。
例えば、具体的にということでございますので、去る十月十日に、すべての女性が輝く政策パッケージの中に、その中立という言葉が一点出てまいります。「働き方に中立的な税制・社会保障制度等への見直し」ということで、年末までに総合的な検討を行うとございますけれども、そういったものが働き方を抑制するような効果を持たないように、そういったことを具体的には指しているというふうに認識しております。
以上でございます。
○杉田委員 私がお尋ねしたかったのは、社会における制度や慣行が男女共同参画を阻害する要因になるおそれがあると書いてあるんです。どういう慣行とかがそうなのか。前回もこの内閣委員会で申し上げましたけれども、例えば、この間のノーベル平和賞を受けられたマララさんなんかは、女性に教育を受けさせてほしいということを言ったら銃撃をされたわけですね。それは本当に社会の慣行が男女共同参画社会を妨げているということになると思うんですね。そういったものが日本に存在したのかどうかということをお聞きしているんです。
○武川政府参考人 お答えいたします。
教育を受けさせると銃撃を受けるとか、そういったことはもちろん日本ではないと思いますけれども、例えば、税制でありますとか社会保障制度などによりまして、働いた方が家計の手取り収入が減るというような、そういうことがございますと、働き方を抑制してしまうというような効果をもたらすというようなことを書いている条文だというふうに認識しております。
○杉田委員 では、そういった税制などの制度以外に、ここに書かれているみたいな、社会における慣行が男女共同参画を妨げているという事例はなかったということですね。
○武川政府参考人 慣行といいますのは、ちょっと、私の記憶によりますと、例えば、自治会などで草刈りをするときに、男性がその一家から出てくるといいんですけれども、女性が出てくると働きが少し落ちるというんでしょうか、それで尻助金のようなものを一家が払わないといけないような慣行、そういうようなものが、この基本法を議論していた当時には、慣行としては例として挙げられていたように記憶しております。
○杉田委員 草刈りに出てくるのが男性か女性かということが慣行で、これがここにちゃんと条文として書かれてあるんですよ。そんなことぐらいしか挙がってこないということでこの法律がつくられたということが、そもそも本当に驚きを隠し得ないんです。
私は、もう決定的に、先ほど申し上げたような男女差別とか、そういったものは日本の社会にはなかったというふうに思っております。なかった上にこういう法律ができたから、後々、本当にナンセンスな、しようもない、男女平等みたいなものを振りかざす人たちが出てきて、ジェンダーフリーとかを言い出しておかしくなったということは、この後ちょっとその事例も紹介したいなというふうには思っておるんですけれども。
なかなか先に進みませんので、次の質問に行きたいというふうに思います。
同じく、この男女共同参画基本法の第六条のところに、「家庭生活における活動と他の活動の両立」というふうにあるんです。ここの文言では、「家庭生活における活動と他の活動の両立」というのがありまして、この間、本会議でも議論になっておりました「家族を構成する男女が、」というのは、ここの条文のところで出てまいります。
ここで、この男女共同参画基本法、平成十一年にできたときには、家庭生活における活動とその他の活動をどうやって両立するかということが論じられていたかと思うんですけれども、今回、男女共同参画基本法にのっとって出てきたこの法案は、なぜか家庭生活のことには全く触れられておりません。働く、職業生活のことについてのみの法案という形になっているんですが、なぜこのような形になったのかということについてお尋ねしたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
この法案は、基本理念といたしましては、この男女共同参画社会基本法の理念を踏まえておりますけれども、対象そのものが全て同じというわけでは決してございません。
現在、そういう意味では、幅広い政策につきましては、すべての女性が輝く政策パッケージ、これに幅広い諸施策が掲げられておりまして、全ての女性が輝く社会づくりに向け諸施策を推進しているところでございますが、その一環といたしまして、働く場面での女性の活躍に関しては、国、地方公共団体、民間企業の主体的な取り組みを加速化させることが不可欠であるということから、法律を制定することにより、各事業主の行動計画策定を促進し、女性の職業生活における活躍を推進するものというものでございます。
○杉田委員 女性の生活において、午前中からずっといろいろ質疑が続いておるわけですけれども、やはり職業生活と家庭生活というのは切り離すことができないと思うんですね。それをなぜ片手落ちのように職業生活だけにスポットを当ててこのような法律が出てきたのかというようなこと、まだまだこれは私も本当に全然納得がいかないところがあります。
我々は、これの修正案というか対立案みたいなものも、それこそ家庭生活とかも全て含んで、女性が輝ける選択肢をふやす、その選択をした女性が自分の選択に自信と責任を持って家庭生活なり職業生活を営んでいけるような環境づくりというのがやはり私は国に求められていると思いますので、そういったものを今、次世代の党で作成をしておるところであります。
もう一点お聞きしたいんですが、男女共同参画、きょう皆さんの方にお配りをしております資料の一番後ろの紙になるんですけれども、ここに、国の第三次男女共同参画基本計画の概要というのが挙げられておりまして、ちょっと印刷するときに黒くなってしまって見にくくなってしまったんですが、上の特徴の欄の3のところに、「二〇二〇年に指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%程度とする目標に向けた取組を推進」というのがあるんです。
ですから、今回この法案に書かれているようなことは、もう既に男女共同参画基本計画、第三次の基本計画の中に出てきているんですけれども、だったら、わざわざこういう新しい法律をつくらなくても、この法律の中でできたんじゃないかと思うんですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○向井政府参考人 現在、課長級以上に占めます女性の割合が民間企業で七・五%であるなど、社会のあらゆる分野において、二〇二〇年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも三〇%程度とするという目標は、大変高いハードルであると認識してございます。
このような現状を踏まえまして、さらに一歩踏み込んだ対応として、企業等の主体的な取り組みを加速させるために、国、地方自治体、一定規模以上の、従業員三百一人以上でございますが、企業に対します行動計画の策定、公表の義務づけなどを内容とする本法案を提出することによりまして、さらにこれを加速化しようというものでございます。
○杉田委員 もう一回お聞きしますが、では、この男女共同参画基本計画、第三次のものと今回の分というのは、これが上位にあって、それの手段としてこれがあるということですか。
○向井政府参考人 本法案は、基本理念といたしましては男女共同参画法を踏まえておりまして、そういう意味では、そういうふうな考え方も十分成り立つと思います。
○杉田委員 整理ができました。
私自身は、この三〇%というような形にするというのは、数値だけ目標を挙げて、そこのところに近づけないといけないがために、無理な女性の昇進とかそういうふうなことには絶対反対でありまして、これは逆に女性蔑視だというふうに私は思っています。三〇%にしないといけないから、あなた、上がってくださいとかというのは、おかしな話だと思っています。
これは、また質疑の機会があるということで、次回の機会に回したいと思います。
時間の関係がございますので、次に、次世代育成支援行動計画について質問をさせていただきたいと思います。
その前に、先ほど私、片手落ちという言葉を使ってしまったんですけれども、こちらの方は、今、訂正をさせていただきまして、一方だけにスポットを当てるのはおかしいのではないかというふうに言い直しをさせていただきます。
では、次世代育成支援行動計画なんですけれども、要するに、今までずっと少子化対策が、ひのえうまショック以降、日本の中でとられてきたわけです。エンゼルプランだとか続エンゼルプランとか、そういった新しい政策がずっと出てくる中で、鳴り物入りで始まったのが次世代育成推進法なんですけれども、この中で、今回の法律と同じように、各自治体だとか三百人以上の企業なんかに行動計画の策定を義務づけているわけです。
これはなぜ画期的であったかというと、それまで、割と少子化対策というのは、働く女性がちゃんと家庭生活と職業生活が両立できたらもっと子供を産むだろうというような、そういった考え方に基づいて、では、どうすれば両立がしやすくなるかということで、保育所をたくさん建てたりとか保育の環境を整えたりとかするところに終始していたんですけれども、この次世代育成推進法ができたときには、男性も含めた働き方も見直すような、そういった計画を企業とか自治体に義務づけたというところで非常に画期的だったわけです。
今回の計画の中でも、同じように、女性の職業生活における活躍の推進に関するそういった行動計画の策定というのを三百人以上の企業とかに義務づけておるんですけれども、これは私も本会議のところで述べましたが、対象が明らかに違うんです。
働く女性を対象とするのか、それとも次世代を担う子供たちを対象にするのかということで、主語は違いますが、ずっと計画のところまで落とし込んでいくと、例えば、企業が、どのように次世代育成をするのかというような計画を立てる場合には、もちろん、では、そこに勤める女性の方がどうやったら働きやすくなるかとか、そのために有休をとりやすくしようとか、時間短縮をしようとか、そういったこと、例えば会社の中に保育所をつくろうとか、そういう計画になってくると思うんです。
そうすると、今回義務づけている事業主の行動計画とかなりの部分が重なってくると思うんですが、ここの部分、どのように考えていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。
○向井政府参考人 次世代法につきましては、主に、先生御指摘のとおり、子供という観点、まさに次世代という観点から、いろいろな働き方等の計画をつくるというふうになっておりますけれども、今回は、むしろ、女性が輝く、女性が活躍できる、そういう観点から計画をつくるということになってございます。
したがって、重なる部分もありますけれども、切り口が違いますので、かなり異なるものではないかというふうに考えてございます。
○杉田委員 いや、切り口が違っても、出てきた計画が同じだったら一緒じゃないですか。それを聞いているんです。
○安藤政府参考人 先生御指摘のように、女性が活躍するためには、次世代育成支援対策推進法で取り組まれているような職業と家庭の両立の支援施策というものは、大変重要な施策の一つだと思います。
ただ、女性が活躍するという観点からは、それだけにとどまることなく、採用でありますとか配置、昇進、教育訓練も含めた雇用管理の全てのステージにおいて積極的な機会を与えるといったような、非常に幅広い取り組みも含まれるものだと考えておりまして、確かに、重なるところはございますが、違った観点からの施策が多く含まれるものと考えております。
○杉田委員 こういった計画を策定しなさいと言われたときに、先ほども、やはり答弁の中には、重なる部分があるとは思いますがというふうになっているんですね。だったら、一本化すべきだと思うんです。
この次世代育成推進法は、本年の法改正で、本当だったら平成二十七年の三月までにこの法律が終わることになっていたんですけれども、十年延期されているわけですよ。わざわざこの法律を延期して、その上にさらに、同じような計画を立てさせるような、こういった法案が出てくるというのは、これはどうですか。実際にこの計画をつくる人たちの意見とかも聞いて、こういうのをつくるのは歓迎だとかいうような企業とかは実際あったんでしょうか。
○安藤政府参考人 本法案を提出するに際しましては、厚生労働省においては、公労使三者構成から成る労働政策審議会におきまして、御意見を拝聴し、建議をいただいて、それを受けた内容のものを法案に盛り込んでいただいたところでございます。
○杉田委員 きょう皆さんにお配りをしております、これは、一つの自治体がつくった次世代育成支援行動計画の事例でございます。
私は、これの策定の事業に携わっておりまして、これは前期の部分の概要版という形になっております。また、後期は後期で後期計画というのがあります。これは概要版でございますから、実際の報告書というのはかなり分厚いもの。これも、今はもう冊子ではなくてダウンロードできるような形になっておるんですけれども、ダウンロードして印刷して出したらすごく分厚くなるので、今回は、そういう紙の無駄はやめて持ってはこなかったんですけれども、概要版なんですね。
ちょっとこれは余談になるんですが、皆さん、この表紙の絵をごらんいただきたいと思います。こういうものの表紙をつくるときにも、男女共同参画基本法のおかげで、すごくクレームが入るんですよ。
例えば、最初に色をつけていたときは、お母さんのスカートをピンクにしていたんですね。そうしたら、女性がピンク色を着て、男性が例えばグリーンとかブルーとかを着ているのは、これはもう性別的な、そういうものを固定させてしまうことになるからだめだ、色を変えろというような形で、これは、お母さんが着ているのはグリーンのスカートになっていて、お父さんがなぜか赤いジャケットになっています。(発言する者あり)そうですね。普通のお父さんが、休日のときに赤いジャケットを着ているお父さんは余り私も見かけないなというふうには思うんですけれども。
その横にいるのが、多分これは、髪の毛をくくっているから女の子だと思うんですが、女の子がスカートじゃなくてズボンをはいているんですよ。こういうところまでクレームが入る。
先ほど申し上げたとおり、改めなければいけない社会的な慣行というのが、日本の場合はそんなに重大なことじゃないんです。先ほど申し上げたみたいに、教育を受けたいと言うだけで銃撃されるとか、イスラム教の国とかで、例えば、男性が亡くなって未亡人になったら外に出ることができなくて生活ができなくなってしまうとかというような、根本的な男女差別というのは日本にないので、この男女共同参画基本法ができてから、こういうナンセンスなことばかり起こってきているんですね。
例えば、この当時にできた新しい公共の建物なんというのは、女性トイレがピンクであるのはおかしいからグリーンになっていて、本当に間違って男性が入ってきたりとかするような、そういうふうなことが非常に起こっているんですね。子供たちが児童館なんかで使うカードとかも、男の子はブルー、女の子はピンクはいけないということで、女の子がグリーンで男の子が黄色かなんかにしたりとか。
何か、そういうしようもないところに気を使う、私はこれをナンセンスな男女平等と言っているんですけれども、結局そういうのが、教育現場では混合名簿みたいなものをつくって、でも、身体検査のときにはその混合名簿じゃだめだから、また分け直さないといけないとか、男の子も女の子もさんづけで呼ばないといけないとか、また、一緒になって男の子も女の子もかなり過激な性教育を受けるとか、そういったようなことにつながってきている。これがナンセンスな男女平等の一例だということで、ちょっと紹介をしたいと思います。
ただ、質問の本質はそこにあるのではなくて、この内容なんですよ。一枚めくっていただいて、「計画の策定にあたって」ということで、これは、かなりの計画の期間を、練って、先ほど、こういうのを立てるときにはパブリックコメントをきっちりやった方がいいとかというようなことを質問されていた議員さんもいらっしゃいましたけれども、やっています。パブリックコメントもやる、それから、市民の意識調査もやる、それの分析もやる。その中からさまざまな、基本的な考え方とかそういうことをきちっと立てた上で、重点施策はどれにするかとかというようなことを、これはかなり手間暇かけてやらないといけないんです。
この計画を立てるために一つの課ができました。私が勤めていた西宮市というのは人口が四十八万ぐらいの市でありますから、そういったところにも手をかけることはできますが、でも、ちっちゃな自治体であったら、こういったことはできないと思います。
ましてや、三百人以上の企業といってもさまざまありますから、こういう計画を立てるのが、例えばそれぞれの自治体や企業にとってどれだけしんどいことか、どれだけ人手を割くことか。そんなことをやっていてそこに人件費を割くんだったら、ちょっとでも子育て中のお母さんの有休とかをふやしてあげた方がよっぽどいいんじゃないかと思うような、そういうふうな、本当に計画を立てるというのはすごく大変だというようなことを私は申し上げたいんです。
そのあたりの労力というのと、今回これは、法案については、すごく簡単に書いていますよ。でも、これが、実際にやるところになってくれば、すごく労力を使ってしまう。その上で、先ほども申し上げましたけれども、ほとんどの内容がこういったものと重なってくるということについて、もう一回、どのように認識していらっしゃるのか、お尋ねしたいと思います。
○有村国務大臣 杉田委員からるるお話をいただきました。誤解のないようにということで、明確にさせていただきたいと思います。
委員御指摘のように、当時、やはり相当、社会的性差の差別ということは、立ち向かっていかなければならないですが、それぞれの、男性、女性のらしさを否定して、ジェンダーフリーなる言葉が横行をいたしました。そして、思春期の男女が嫌がっているにもかかわらず、お互いに体操服を脱がせたり、その脱着を無理やりさせたり、あるいは一緒に寝させたりなんということで、全国の親御さんから、それは問題があって、自民党にも多くの声があったことを記憶しております。
ここはやはり問題で、西宮におられたようでございますが、当時、全国で、男女のトイレの色が、赤、青とか、赤とか黒とかというのを全部黒にして、間違って男性トイレに行く、女性トイレに行くというのが全国で横行して、これが男女共同参画の目指すところじゃないということで、立ち上がった層もかなりあります。
ですから、ここで明確になんですけれども、男女局としても、中立的なものにする制度、慣行とは、男女の選択に対する影響や効果等を考慮して検討されるべきであって、例えば五月五日のこいのぼりやかぶと、あるいは三月三日のひな祭りのような慣行の趣旨をゆがめたり、あるいはそれを否定しているものではないということを明確に発言しておりますし、ジェンダーフリーという言葉も使っていないということも明確にしていますし、やはりそれは国民が望む本来の男女共同参画の理念にかなわないということを明言いたしておりまして、これはもっと広く知らしめるべき価値観の明確化だというふうに、私はそこは増強をさせていただきたいというふうに思っております。
それで、次世代法とそれから今回の女性活躍ということですが、全ての女性を支援させていただきたいと思っております。ただ、ここは、職業生活、仕事と家庭なり、あるいは家庭の子育てなり両立なりという、この側面に限って補強をしようという、この側面のスキームだということを明確にもっともっと私どもも報告しなきゃいけないと思います。
これが、全ての女性の、全てのパッケージとは私どもも全く思っておりません。まず第一弾というふうに認識をしていただいて、そこには、例えば女子学生の方々が就業するときに考えなきゃいけないこと、それは当然、まだ配偶者もいない、お子様もいらっしゃらないということなので、やはり、先ほど安藤局長からも、厚生労働省からも御答弁ありましたけれども、就業のあらゆるステージに対して女性の活躍あるいは登用を応援していくということ。
それから、次世代を産みたいあるいは産もうとしている人たちを支援するというのは、これはそもそもの目的が、主体としての女性と子供というのはわかりますけれども、主体もそもそも違いますし、目的も違いますので、別々に、丁寧にするというのは、それ自体、私は意味があることだというふうに大臣として思っております。
○杉田委員 大臣から本当に力強い御答弁をいただきました。私、本当に、大臣の今の御答弁を聞きながら、すごく感動をしました。そう言ってくれる大臣が今までなぜいなかったんだろうというか、本当に胸がすく思いがいたしました。全くそのとおりだと思いますし、ですから、男女共同参画というようなことが、そもそも間違った方向に行ってしまっている。
私もこの内閣委員会の中で、先の国会においてですけれども、この法律をもとに建てられた男女共同参画センターというのが全国の都道府県とか全国のある一定の規模以上の都市にあります。私も地元のところを回りましたけれども、とてもじゃないけれども、先ほど大臣がおっしゃったみたいな、例えばこどもの日のこいのぼりだとか、おひな祭りを大事にしようとかということとは逆のことをまだやっているんですよ。その当時というふうに大臣はおっしゃられましたけれども、まだまだその風潮というのは全く拭い去れていなくて、そういった限られたところでされています。
また、驚いたことに、当時の森大臣に、この男女共同参画センターとかが全国に建っていますけれども、これは何の根拠があって建っているんですかと言ったら、法的根拠はありませんと言われたんですね。法的根拠がないのに、ある一定の時期にこんなにたくさんの男女共同参画センターや女性センターというのが全国にぼこぼこ建ったということは、これ自身何かおかしいことで、そこに割かれた予算というのは、本当に笑い事じゃないぐらい割かれていると思いますよ。そういうところをきちっと正していく必要があると思います。
この男女共同参画基本法、平成十一年にできております。やはり私は、先ほども申し上げましたが、そのときに、目指す姿、そのゴール、目的が達成できているのであれば、きちっともうこれは見直して、もう達成できたので廃止します、それから、これ以上おかしな方向に行きそうなのであれば、それこそ早急に廃止というものを含めて考えていただくということもあるかと思います。
あと、やはり、大臣も、先ほどの御答弁の中にありましたように、女性の職業生活における部分というのは、ここ数年でよくなってきている部分というのもあります。
私も、随分古いころですけれども、女子大生で就職をしようと思ったときに、女性は要らないとかといって会社説明会の日も教えてもらえないとか、何かいろいろそういったようなこともありますし、説明会にやっと行けたと思ったら、うちは総合職で女性は採らないので嫌な人は帰っていいですとはっきり言われるような、そういうふうなこともありました。
ただ、いろいろなことが進んできているのは、私は、国が制度を定めてやったから進んできたのではないと思っているんです。先ほどからも続いておりますが、やはり、きっちり両立して、いろいろ頑張ってこられた、大臣もその一人だと思います、そういう方々がやってこられたから、だからどんどん女性の職業のところはよくなってきていて、私はそろそろ、こういった女性政策というのは足るを知るところに来ていると思っています。
先ほども申し上げましたが、管理職をうちは三〇%にしないといけないから今度昇進させてあげるよと言われて、うれしい女性は誰もいないです。やはり自分の能力をきちっと評価されて、それで管理職とかになるというのを皆さん目指して一生懸命仕事をしているわけなんです。それに対して、私は、これは、そういう頑張っている女性を支援するんじゃなくて、頑張っている女性を逆にばかにしてしまう法案になるんじゃないかというふうに危惧しております。
そこの部分だけ、その懸念についてどのように考えていらっしゃるのかということを最後の質問とさせていただきたいと思います。
○有村国務大臣 お答えいたします。
もとより、どのようなポジションにつかれる男女であっても、適切な能力や意欲や相応の人生経験を持っていらっしゃる、適材適所であるべきというのが大前提にございます。
そして、御懸念をいただきましたけれども、かえって女性を苦しめるようなことのないようにそれぞれ適材適所のポジショニングをしていただく、あるいは、そこにちょっとまだまだだなというときにはしっかりと育成をしていただいて、しかるべき経験なりあるいは度胸をつけていただいた上でポジションにつくことを応援していただくという土壌の環境をつくっていくように努力をしていきたいと存じております。
○杉田委員 ありがとうございます。
大臣が今御答弁になったことは、私は、女性にだけ必要なわけではなくて、若年層の男性も今非常に労働環境がしんどいところに置かれています。男女を問わず、先ほど大臣がおっしゃったようなことは必要になるのではないかということを指摘させていただきまして、終わります。
どうもありがとうございました。
○井上委員長 次に、三谷英弘君。
○三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。
本日は、この質疑者の方々の一覧を見ておりますけれども、午後は男性が私だけという中ではございますけれども、午前中の中谷委員そして濱村委員の勇気に私も鼓舞されながら、この質問、三十分頑張ってまいりたいというふうに考えております。
こちらにも肖像画が飾られておりますけれども、土井たか子衆議院元議長が先日亡くなったということにつきまして、私は先日、本会議における質疑の中で触れさせていただきました。
伊吹議長が報道各社に対してコメントとして発表した中では、女性初という枕言葉がふさわしくないという、本当にそういう方だというふうに表現をされておりましたけれども、本当の意味で能力があり、本当に活躍をされていた、そういう方なんだろうというふうに思っております。今、目の前にいらっしゃる有村大臣も本当にスーパーウーマンのお一人ではないかというふうに思っております。今こちらで質疑をされていた杉田さんもある意味そうなんだろうというふうに思うんです。
やはり、国会議員というのは、男性も女性も、この立場を考えると、平々凡々な人ではいけないという意味では、ある意味スーパーウーマンでありスーパーマンであるということがもしかしたら求められているのかもしれません。皆様からの税金をいただいて、その中で、いただいた報酬をはるかに上回るだけのリターンといいますか、しっかりと負託に応えて仕事をしていくということが求められるという意味では、それはもう持てる力を存分に発揮をしていかなければいけないということは、私は、そうなんだろうというふうに思っております。
その意味で、今こちらにいらっしゃる女性の議員の皆様の活動というものに日々ある意味勇気づけられながら、こちらで仕事をさせていただいているというところではございます。以上が枕言葉でありますが。
今、この法案が対象としているのは、そういうごくごく一部のスーパーウーマンではない方々にどのようにもっと社会に出てきていただくのか、これを本当に真剣に議論しなければいけない、そのための法律案なんだろうというふうに、私はこの法案を見て位置づけさせていただいております。
党内でさまざまな議論もありました。その中で、やはり一番大きな議論としてあったのは、こういう制度をつくってどんどん職業人として女性が社会に進出していくのはいいんだよというふうに言っておきながら、やはり状況というものがなかなかそれを許さないというようなことでは、なかなか社会進出といっても難しいだろうというふうな話もあります。
幾つもその障害があるということを承知で質問させていただくんですけれども、まず、やはり一番大きな問題としては、待機児童の問題というもの。本当にこれは数多くの、皆様、もう既に質問等々、関心を持たれて確認されているところではございますけれども、やはりこの環境整備という意味で、まずこの待機児童の問題。
私も、私の家には二人、娘がおります。両方とも今小学校に上がって、ちょっと手はかからなくなったようなところではありますけれども、しかしながら、やはり子供がちっちゃいというのは本当に大変だったというような状況がございました。
この待機児童の問題、果たして本当に解消できるのかどうかということについて、少子化担当大臣と、それから厚生労働省の御担当の山本先生か審議官ですかね、ぜひともこの解消の実現の可能性、そして、その時期について、まずは伺わせていただければと思います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
保育所の待機児童数につきましては、四年連続で減少しておりまして、平成二十六年の四月、二万一千三百七十一人となっております。
待機児童につきましては、平成二十九年度末までにその解消をするということを目指しまして、昨年四月に待機児童解消加速化プランを策定いたしました。このプランでは、平成二十五、二十六年度の二カ年で約二十万人の保育の受け皿を確保するということにしておりまして、既に約十九万人分を確保することが見込まれております。また、その後、二十七年度から三年間でさらに約二十万人分の受け皿の確保を進めていくこととしております。
この待機児童解消加速化プランでは、保育所等の整備や保育士確保対策、新制度を先取りした小規模保育への運営費支援など、五つの支援パッケージを提示いたしまして、自治体が取り組めるものから速やかに取り組んでいただけるように支援をしているところでございます。
今後、女性の就労がさらに進むことによります潜在的な保育需要も見込んだプランに基づきまして、待機児童ゼロを目指した取り組みを平成二十九年度末に向けて進めていきたいと考えております。
○三谷委員 今お答えいただきました、これは実は本会議でも確認をさせていただいたことなんですけれども、今の話ですと、ここ数年内に待機児童がゼロになるというような話になっているようではございますけれども、済みません、その前提としてちょっと一点確認をさせていただきたいんです。
先日、先日といっても少し前になりますけれども、横浜市の方で待機児童ゼロが宣言をされたというような話がございました。それに触発されて各自治体で待機児童の解消に向かってさまざまな施策を打っているんですが、この待機児童ゼロというものを行っていく、ある意味その責任主体といいますか実施主体というのがどうしてもよくわからなくなってしまうんですが、自治体にあるのか、国にあるのか、これはどういうふうな整理をされているんでしょうか。
○安藤政府参考人 実施主体といたしましては、基本的に自治体にございます。それを国が大きな制度をつくりまして支援していく、こういう構図になっております。
○三谷委員 そうですよね。自治体、もちろん、待機児童の数え方によっては待機児童の数に増減が出るというのはありまして、果たしてゼロと言っているところが本当の意味で、全くもって、待機児童がいる、いないということにつながる、それを意味しているわけではないという話もありますけれども、少なくとも、数え方というものを変えればゼロになるぐらい進んでいるんだという意味はあるんだろう、その程度の一定の効果はあるんだろうというふうには思っております。
例えば、私の地元の世田谷区とか目黒区においても、待機児童の問題というのは多かれ少なかれあるわけでございます。待機児童がいますよ、そして、自治体でしっかりと対策を打っていきますよと言ったところで、どうしても、予算がありません、場所がありません、人員がありませんということで、進まないんですよ。
では、国は、自治体が進みませんよと言ったら、それを解消してくれるだけの予算なり場所なり人員なり、これを手当てしてくれるということなのか。そうじゃないとしたら、幾ら、支援パッケージがあります、二十万人予定していますと言ったって、実際に実施するのが自治体だったら、絵に描いた餅で終わっちゃうじゃないですか。国が準備しているものと現場で進めるもの、これをどうやってつなげるのか、ここについてちょっとお考えをお聞かせください。
○安藤政府参考人 待機児童解消加速化プランにつきまして、そもそも、この四十万人というのは、一定自治体から出していただいた潜在需要も含めた数を積み上げて計画をつくっております。
そして、四月から始まる予定の新制度のもとでの自治体の計画につきましても、今、その見込みにつきまして報告を求め、それを積み上げて、もう一回引き直すという作業をしているところでございます。
そして、お尋ねの支援ですけれども、支援というのは、いわゆる箱物の保育所整備に係る支援、あるいは保育士の確保に向けた人づくりの支援といったようなパッケージを用意しておりまして、それにはさまざまな事業を組み合わせております。そこには予算措置も当然ございます。それを活用していただきながら、各自治体で実情に合った努力をしていただく、こういう仕組みになっております。
○三谷委員 ですから、実情に合った取り組みというものが、結局、自治体の方でも一定の費用の負担を求めて、それで、国の方でもそれに応じて何らかの形で支援をする。この費用割合というものは五分五分ということであろうと思うんですね。具体的な負担の内容というのはまた改めて確認させていただきたいと思いますけれども。
結局、地方自治体の方で財政の状況が許さないというようなことであれば、待機児童の解消というのは、幾ら国がパッケージを準備して支援しますよと言ったって、実際問題、全然、この待機児童の問題というのが認識されてからもう何年たっているのかということを考えたら、今さら、あと三年で、または数年で解消するというふうに言われたって、多分、多くの人がほとんど信用できないんじゃないかと思うんです。追えば逃げるかげろうのような、そういうものに見えていると思うんです。
では、具体的に、待機児童の対応が進まない自治体に対して特別な何らかの方策を講じるとか、そういったことをやって、具体的にゼロにしていくんだというようなことをそもそも考えていらっしゃるのかどうかということについても、ぜひお答えいただきたいと思います。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
自治体の財政状況が苦しいというのは承知しておりますが、今回の待機児童解消加速化プランの中では、先ほど二分の一というようなお話がありましたけれども、補助率のかさ上げをしておりまして、三分の二まで補助を上げているというような工夫もしております。これは来年度予算でもお願いをしているところでございます。
加速化プランということですので、そうした形で、通常の枠以上に国としても御支援を申し上げ、自治体にも頑張っていただく、そういうような支援をしているところでございます。
○三谷委員 地方自治体に頑張っていただくということなんですが、では、地方自治体が頑張らなければ、平成二十八年なり、四十万人の待機児童をゼロにするということは達成できないということですよね。
○安藤政府参考人 努力は国も自治体もしていかなければいけないものだと考えておりますけれども、消費税の増分につきまして七千億円を充てて、今後の待機児童解消というか、その増分につきましても手当てをしていくということになっております。これは国も地方分も含めての七千億ということでございますので、財源については一定程度確保されているというふうに考えております。(発言する者あり)
○三谷委員 ありがとうございます。非常に詳細なお答えも、隣からも聞こえておりますが、それはともかくといたしまして。
ですので、私が今何度もやりとりをさせていただいたんですけれども、幾ら国の方でさまざまなパッケージをつくって待機児童を解消していくんだというふうに言ったところで、自治体の方で予算を投じて、これは少なからぬ金額だろうというふうに思っておりますけれども、そういったものを投じて対応していかなければ、なかなか待機児童ゼロというものが達成できないという中で、この法律を拝見いたしますと、どうしても、こういう数値目標みたいなものをしっかりと設定して、それを達成させるということがなかなかできないんじゃないかというような思いもあるわけでございます。
もう一つ、環境整備という意味では、長時間労働というのも非常に子育て等々に関与される女性の社会進出を妨げていくというような状況もあるんじゃないかというふうに思っておりますけれども、この長時間労働の実態と、それから女性労働者の待遇というものの現状について少しお伺いできればというふうに思います。
○山本副大臣 まず、実態についてでございますけれども、平成二十五年度に我が国において週に六十時間以上働いていらっしゃる方は全体の八・八%になりまして、特に、三十代の男性の方につきましては一七・六%と大変高い水準となっております。こうした長時間労働というのは、おっしゃるとおり、ワーク・ライフ・バランスの実現であったり女性の活躍の障壁になっていると私たちも考えております。
このために、厚生労働省におきまして、大臣を本部長といたします長時間労働削減推進本部というものを設置いたしまして、著しい過重労働等の撲滅に向けました監督指導の強化、そして、時間外労働の削減など働き方の見直しに向けた企業や経済団体への働きかけの強化に省を挙げて今取り組んでおりまして、十一月は特に、過労死防止法も施行されたこともありまして、過重労働解消キャンペーンというものを行わせていただいて、重点的な監督指導を実施しているところでございます。
さらに、今、労政審におきまして、長時間労働の具体的な抑制策や年次有給休暇の取得促進等につきまして御議論を労使の間で行っていただいておりまして、これらの取り組みを通じまして、男女を通じた長時間労働というものの是正を目指していきたいと思います。
とにかく、女性の活躍の推進の鍵はこの長時間労働の是正にあると思っておりますので、しっかり頑張らせていただきたいと思います。
○三谷委員 ありがとうございます。長時間労働を何とか是正していかなければというような話は、本当にそのとおりだと思います。
それに関連して、いただいている資料でなんなんですけれども、きょう濱村委員の使用された「ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の方が業績が良い傾向がみられる。」という資料もありましたけれども、これは卵が先か鶏が先かみたいな世界なのかなとも思っておりまして、必ずしもワーク・ライフ・バランスに取り組んだら利益率が上がったよということではないんじゃないかなというふうに思っております。
どちらかというと、非常に利益率が高い企業だからこそ、ワーク・ライフ・バランスにも、それを重視していこうかなというふうになっていくんじゃないかなというような話もあります。なかなか利益率が上がらないというような企業が、一生懸命働いて何とか利益を上げているというようなこともやはりあって、そういう企業が、では、ワーク・ライフ・バランスで、もう残業なし、それと、もう仕事はしませんみたいなことで休みをふやしていきますというふうにやったら、利益率がもっと悪くなってしまう、だからワーク・ライフ・バランスの改善になかなか取り組めないというような話も、これは一方であるんじゃないかなというふうにも、それはそれで考えているわけでございます。
だからこそ、これは確認をさせていただきたいというふうに思うんですけれども、今回の女性活躍推進法案の中で、各企業に定めさせる数値目標なりを達成することが本当の意味で企業の利益になるのかということ。これは実は、先日の本会議場でも質問させていただいた内容ではあるんですけれども、やはりこの点が、ワーク・ライフ・バランスに取り組む、もしくは女性活躍に取り組む方が利益になるんだというようなことを、そうであるべきだというようなことで対策を進めてもらうということじゃなくて、本当の意味で企業のメリットになるんですよということをわかりやすくお答えいただければと思うんですが、その点、どうでしょうか。
○山本副大臣 恐らく、今、数値目標等を定めて、それをどういう形にするのか、一律にやってもいいのか、いろいろなそういったこと、企業の実情があるじゃないか、そういうお問い合わせだったと思うんですけれども、今回は、たてつけ方として、数値目標というものについては、状況把握だとか課題分析の結果を踏まえて、各社の実情に応じて、課題の解決を図るためにふさわしい目標を定めていただく。一律に何かこれをやりなさいという形のものにはなっていないということなんです。ですから、数値目標の定め方についても、企業の実情に応じたものになるような形で、一律の基準というものは設けません。
ただし、各企業におきます状況把握だとか課題分析の的確な実施に資するような有効な手法等は、省令だとか行動計画策定指針とかにおいて示していかせていただこうと思っておりまして、こうしたことによって、御懸念があるような、会社の実情に全然合わないようなものになるという話ではなくて、各社に応じた形で目標設定がなされるものだと考えております。
○三谷委員 どうしても、例えば、政治の世界におりますと、数値目標なり、公約の中でいろいろなことを申し上げます。それを全く卑下するつもりも何もないんですけれども、言ったら言いっ放しで、実現されなくてもそのまま次に流れてしまうということは、それはもう、少なからずこの世界にはあるのかなというふうに思ってはいるんです。
一方で、民間企業における数値目標の意味合いというのは物すごく大きなものがあって、一旦立てた数値目標というのは何としてでも達成をしなきゃいけないというふうな、ある意味、相当なオブリゲーションが生まれてくる。例えば、今期の売上目標は幾らですと言ったら、それが達成できなかったら経営責任にもつながる、それぐらいの大きなものだったりするわけであります。
その意味で、二つあって、そもそも、どう見たって達成できるよねという低い数値目標しかつくらなければ、何だ、その程度のことしかやらないのかというふうなことで文句を言われちゃうわけです。
だからこそ、ある意味、企業にとってちょっと困難かな、チャレンジングかなというような数値目標を設定させられる、そうすると、無理をしてでもそこの数値目標を達成しなきゃいけないというような、本当にこれは、ただ単に認定をさせる、そしてその取り組みを公表させるというようなことだけなのかもしれないんですけれども、相当な影響を生じかねないものだというその危機感をぜひとも持っていただけないかなというふうに思っているわけでございます。
その意味で、やはり数値目標というもの。さまざまな事件がございます。先ほど何度も確認させていただきました待機児童の問題というのも、これが解消されない中で、ベビーシッターを使って、全く会ったことがないベビーシッターに子供を預けて、そしてその結果、子供が亡くなってしまうというような、それは本当に極端な例かもしれません。
しかしながら、何らかの形で虐待をされたりとか、ネグレクトに近いような形で、一応ベビーシッターに預けてはいるけれども、残念ながらちゃんと応対してくれない、そういった話も聞こえてくる中で、やはりこの環境整備というものを先に進めていかなければ、民間企業がこの数値目標を設定した、そして、環境が整っていない中で、おまえは昇進させるだの、女性管理職の一定割合というふうに言われたら、やはりお願いだからやめないでくれというような話で、事実上、さまざまな職場の強制力で、子供のことはそういうベビーシッターに任せて働かざるを得なくなっちゃって、被害を受けるのは子供だというようなことになりかねないということは、ぜひともしっかりと、こういう危険性があるということで、理解をしていただければというふうに思います。
そうならないように、この法案が、どのタイミングでかわかりませんけれども、通った際には、具体化する際にそういう配慮をしていただければというふうにお願いを申し上げます。
それから、そういう意味で、先ほど杉田委員の質問の中にもあったと思いますけれども、次世代育成支援対策推進法というものとの関係、それについても改めて確認をさせていただきたいというふうに思っております。
くるみんマークというものがどれぐらいの効果を上げているのかというところについてお答えいただければというふうに思います。
○安藤政府参考人 くるみん認定取得の効果につきましては、昨年度、効果検証研究会というものを置いて検証を行いました。
くるみん認定取得企業については、未認定企業に比べて、男性の育児休業取得の促進や、出産、育児を理由とした退職者の減少、男性、女性従業員の制度利用促進、学生、顧客、社会全般に対するイメージアップなどに効果があったと評価する割合が高くなっております。
また、未認定企業と比較して女性の離職率が二・七%ポイント低下しているというような推計がなされたところでございます。
先般の次世代法の改正におきましては、法施行後十年の取り組みを踏まえて、企業における両立支援のさらなる取り組みを推進するために、くるみん認定基準についても見直し、さらに、より高い水準の両立支援の取り組みを行っている企業を評価するプラチナくるみん認定制度もつくったところでございます。こうした取り組みをさらに推進していきたいと考えております。
○三谷委員 くるみんマークの認知度というのはどれぐらいあるか、そういう数値はお持ちでしょうか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
認知度は手元にございませんけれども、直近、九月末までの数字で、千九百六十四だったと思います。認定企業数がそうなっております。今年度中に二千という目標がございまして、達成可能と考えております。
○三谷委員 千九百六十四もの認定がなされているということですけれども、正直、勉強不足なんだと思いますけれども、私はよく知りませんでした。
ぜひともその認知度について、改めて、あるんじゃないですかね、どのくらい知られているかという数値があるんじゃないかというふうに思うんですが、お答えいただきたいと思います。(発言する者あり)では、後で。それは随時確認していただくとして。
結局、このくるみんマークというものに関して、どれぐらい効果があるか、どれぐらい知られているか。そもそも知られていなければ、そういった周りへの波及効果というのもなかなかないわけでございますから、ここの失敗を、失敗と言ったら現時点で言い過ぎなのかもしれないですけれども、欠点を今回の認定でどういうふうに生かしていくのか。その辺の工夫というものがあれば、それもあわせてお答えいただきたいと思います。
○山本副大臣 認知度の数値的なものがあるかどうかも含めて、また確認して後でお伝えさせていただきたいと思います。
この認定制度につきましては、おっしゃるとおり、しっかり知っていただいて、かつ、この認定制度で認定された企業なんだということが、企業の姿勢として、女性活躍を頑張っている会社なんだと評価されるような仕組みにしていきたいと思っています。
今、この具体的な認定基準等につきましては、これは労政審でもう一回しっかりと議論させていただく形になっております。中でも、やはり女性の活躍状況の実績と、また改善度合いの両面で評価を行うとか、業種、企業規模の特性に配慮した基準とするという方向性で今検討をさせていただいておりまして、これを踏まえて、客観性の担保された適切な認定基準をしっかりと設定してまいりたいと思います。
しっかり、前大臣も前におられますけれども、この認定制度が機能するように我々頑張っていきたいと思っておりますので、応援のほどもよろしくお願い申し上げます。
○三谷委員 ありがとうございます。
時間もほぼ限られているというような状況ではないかというふうに思いますけれども、この女性活躍推進法というものを踏まえて、女性活躍担当大臣といたしまして、少子化対策もしくは女性の活躍というものに向けてどのように取り組まれていくか、最後にその辺の思いというのを述べていただければというふうに思うんです。
○有村国務大臣 三谷委員にお答えをいたします。
女性活躍の点からも、先ほどの待機児童の御議論を敬意を持って拝聴しておりました。とても大事なことだというふうに思っております。同時に少子化担当もいたしておりますので、ありがたく拝聴いたしました。
来年四月から、予定どおり、子ども・子育て支援新制度、全国で期待もいただき、また御懸念も御心配もいただいておりますが、何とか官民挙げてこのプロジェクトを成功させなきゃいけないというふうに思っております。
予算、総理の判断によります。時期、総理の判断によります。
また、人員でございますが、器をつくっても、保育士の先生方の確保というのが全国でやはり窮乏されています。ここに関しては、保育士の先生方の処遇改善というのを何としてでもやりたいというふうに思っております。
場所、トイレのない雑居ビルで本当に子育てが集団で行われていいのかどうかというのは、甚だ私は疑問を持っております。匍匐室が狭くなることが本当に子供たちの福利厚生になるのかどうかということは、少子化担当大臣として明確に疑義を呈さなければならないというふうに思っております。
そういう意味では、明確に子供たちの安全と福利厚生ということを考えて、少子化対策及び子ども・子育て支援新制度及び女性の活躍ということを進めていかなければならない。心して努めてまいります。
○三谷委員 時間がなくなりました。最後はちょっとコンフリクトがあるのかなと思った部分はあるんですけれども、時間がありませんので、これで質疑は終了させていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、高橋千鶴子君。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
きょうから本委員会で審議入りした本法案が、今国会、成立はほぼ不可能ではないかという風向きになってまいりました。
この局面、この限られた質問時間では到底網羅できるものではありませんが、我が日本共産党は、ことし十月二十一日、「女性への差別を解決し、男女が共に活躍できる社会を」という政策提言を発表しております。来年は、女性差別撤廃条約批准三十年です。成立云々以前に、曲がりなりにも女性の活躍をうたう本法案の審議を通して今後の政府の取り組みに生きることを期待して、質問したいと思います。
法案は、一人一人の女性が希望に応じて個性と能力を十分に発揮できるという女性の活躍実現のために、国、地方公共団体を含む事業主が、一つは状況の把握を行い、二つは課題を分析、三つは目標を設定するとともに、四つは指針にある効果的取り組みを参考に自社の課題解決に必要な取り組みをまとめた行動計画を策定、公表するという枠組みになっております。
その状況把握、一番最初のところですが、四つの必須項目、一つ、採用者に占める女性比率、勤続年数の男女差、労働時間の状況、管理職に占める女性比率、これを省令で規定し、なお、任意項目を規定するというふうになっております。
これは、労働時間の状況ですとか、管理職の登用ですとか、そういうのは、なぜこれを必須にしたかというのは、これまで言ってきたことからもよく推察できるんですけれども、では、なぜ賃金格差について必須にも任意にも盛り込まなかったのでしょうか。
○安藤政府参考人 状況把握につきましては、先生先ほど御指摘のとおり、四つの必須項目として把握すべきところと、労働政策審議会における議論でそのような結論が出ているところでございます。
我が国の男女間の賃金格差の要因を分析いたしますと、最も大きな要因は男女間の職階の違いでありまして、次いで、男女間の勤続年数の違いとなっております。男女間の賃金格差の二つの一番大きな要因でございます、いわば管理職に占める女性比率と勤続年数の男女差について、必須項目として把握、分析を行うことにより、これらに係る課題を解消するための取り組みが各企業で行われる、ひいては男女間の賃金格差の縮小につながるものと考えております。
必須項目のほか、各社の実情に応じて把握することが効果的と考えられる任意項目につきましては、法案が成立した後、施行に向けて労働政策審議会において議論を深めることとしております。
○高橋(千)委員 もう一回、局長に質問したいと思います。
資料の一枚目に、男女間賃金格差の要因と国際比較というのがございます。先ほど答弁にあったように、一番の要因が職階であるという話がありました。確かに、左を見ますと、賃金格差の要因、一〇・三ということで、一番大きい格差があるわけなんですね。それで、国際比較、これは七一・三%で、韓国が最低なわけですけれども、しかし、この間、韓国が精力的に取り組んでいるということは本会議でも指摘をされたとおりであって、非常に、最下位クラスであるということが明らかであると思います。
だけれども、これは、労政審の中で厚労省が、雇用均等・児童家庭局自身がつくった資料でございまして、さまざまな要因を解消していけば、諸外国と同じ水準になれる、あるいはそれ以上になれるということをしっかりと指摘していると思うんですね。
ですから、一つ一つの課題、やはり、一つじゃないんです、一つや二つではないんですね、それらをしっかりと状況把握に盛り込まなければ、課題にもならないし、解決にもならないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○安藤政府参考人 女性の活躍に関する現状につきましては、各社各様でさまざまでございます。その中で、把握すべき項目も各社で異なっていることが考えられます。
その中で、共通の必須項目を選定する場合には、設定する場合には、これが余りにも多い項目でありますと、極端に企業にも負担になって取り組みが進まないということも考えられます。そうした中で選定をして、多くの企業に共通する課題として選定をされたのが、この四つの必須項目であるというふうに考えております。
○高橋(千)委員 正直、ちょっと驚きました。余りにも多い項目と。あれこれではなく、この男女賃金格差というのがやはり最前線で議論されなきゃいけないわけでしょう。きょうもさんざんそういう議論があったと思います。その問題意識がやはり大きく指摘をされなければならないのではないかと思います。
大臣、先ほどから御自身の言葉で熱弁を振るっておられたのを見ておりました。ぜひ大臣にお答えいただきたいと思います。
男女賃金格差は、全体でいいますと、女性の二人に一人が非正規労働者という総合的な問題はございます。ただ、同じ職場の中でも、やはり、コース別雇用管理区分など、さまざまな問題がございます。単に勤続年数が短いから、要するにM字カーブの問題だとか、そういう話に矮小化してはならない、こう思うんですね。その問題意識はあるのかどうか、大臣に伺います。
○有村国務大臣 高橋委員にお答えをいたします。
もとより、厚生労働省所管の労働基準法におきまして、男女同一賃金の原則、第四条、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。」というふうに明確に書かれておりますし、この労働基準法の精神にのっとり行政なりあるいはそういう指導がなされるもの、そうしていかなければならないというふうに思います。
○高橋(千)委員 ここで厚労省が所管していると言っちゃえば、この法案の意味そのものがなくなっちゃうんですよ。審議会の中でも使用者側はさんざん、労基法四条に書いているからいいんだ、そういう議論をしてきました。それを踏襲してはならないんだ。だから、わざわざこの内閣委員会で女性が輝くという法案を出しているんじゃないですか。それで同じ議論では、やはり済まないですよね。
大臣、手を挙げましたけれども、もしあったら。
○有村国務大臣 高橋委員の御主張は理解できる、共感できるところがございます。ただ、どこを根拠にどのような発言をしているかということに、根拠規定を明確にするというのも大臣の務めなものですから、ここを根拠に進めていかなきゃいけないということで、そもそも私どもが持っている法案ではなくて、厚労省さんがお持ちの所管でございますから、そこは事実として申し上げられることに何のそごも感じておりません。
ただ、委員がおっしゃるように、長時間労働とかあるいは賃金格差、これは差異によるもの、職位によるものという御答弁が安藤局長から、厚労省からございましたけれども、やはり女性の就労ということで収入が上がっていくように、特にぎりぎりのところでやっていらっしゃる一人親家庭の方にも温かい目が向くようにという問題意識は当然持っておりますし、そこに省庁横断的な横串を貫きたいという思いも当然強く持っております。
○高橋(千)委員 ここだけ議論しているわけにいきませんので、もう一度、大臣に後で登場していただきますので、少し具体の話をしていきたいと思います。
労政審の雇用均等分科会の「女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について」、つまり、この法案のいわゆる指針の基礎となることを検討した分科会の報告の中では、「雇用管理区分ごとに把握する必要性についてさらに議論を深めることが適当である。」こういうふうにされたわけですね。つまり、宿題になっているんだと思います。そこを本当に前に踏み込んでいただきたいと思います。
そこで伺いますが、ことし七月一日施行で、男女雇用機会均等法施行規則が改正されました。そのうち、間接差別となり得る範囲の見直しがされましたが、その具体的内容と理由について簡潔にお願いします。
○安藤政府参考人 男女雇用機会均等法では、性別以外の事由を要件とする措置であって、ほかの性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度不利益を与えるものとして男女雇用機会均等法施行規則で定めている措置を合理的な理由なく講じることを間接差別として禁じているところでございます。
以前は、施行規則で定める措置として、総合職の募集、採用について、転居を伴う転勤に応じることを挙げておりましたが、今回の男女雇用機会均等法施行規則の改正により、総合職の限定を外すとともに、募集、採用に加え、昇進、職種の変更を措置の対象に追加する見直しを行ったところでございます。
間接差別については、平成十八年の男女雇用機会均等法改正の際に、今後、「機動的に対象事項の追加、見直しを図る」ということが附帯決議として盛り込まれていたところでございまして、平成二十年十月から、労働政策審議会雇用均等分科会におきまして公労使で議論を重ねた結果、間接差別については、その禁止範囲について、事業主側に予見可能な範囲とすべきという意見があった一方で、総合職に限定する必要性はないといった御意見もありました。
こうした意見を踏まえて、今回の改正に至ったものでございます。
○高橋(千)委員 最初にお話しした賃金格差の根っこにあるものの一つを、今議論を始めております。
資料の二枚目に、厚労省の広報資料をつけておきました。「男女雇用機会均等法で禁止している「間接差別」の対象範囲が拡大します」ということで、大変わかりやすい資料になっております。雇用管理区分自体が本当は間接差別という指摘もされているし、ILOや国連女性差別撤廃委員会からも、たびたびこの枠組みの解消を勧告されているということをまず指摘しておきたいんですね。
とはいえ、今回の施行規則の改正は、やはり現場の声に応えたものだと思っております。総合職だけの非常に限定した募集、採用のときだけ、転居を伴う転勤について要件としていたものを、全ての労働者、しかも、募集、採用、昇進、職種の変更ということで広げたということは、まさに現場の声に応えたものかなと思っております。
そこで、一つ具体の話をしたいと思うんですが、採用時にはほぼ男女比が五割である社会保険診療報酬支払基金は、課長以上の管理職側に占める女性の割合は、二等級まで行きますと一割程度になってしまいます。これは、長年にわたり昇格者の選考に当たって転勤調べを行って、実際に昇格した職員の九五%以上が実際に転勤しています。つまり、事実上、転居を伴う転勤が昇給の要件となってきたわけです。
そうすると、これはまさに、今回禁止された間接差別に当たるのではないでしょうか。
○安藤政府参考人 個別のケースについての判断についてはお答えを控えさせていただきたいと存じますが、労働者の昇進に当たりまして、転居を伴う転勤に応じることができることを要件とするというのは、間接差別となるおそれがある措置の一つとして厚生労働省令で定められているところでございます。これが間接差別と認められるには、転勤を要件とすることに合理的な理由がないということ、これがさらに要件になるわけであります。
合理性の有無につきましては、個々の事案について個別に検証する必要がございまして、法違反の事例を把握した場合には都道府県労働局においては適切に指導をやっていく、こういうことになっております。
○高橋(千)委員 支払基金は、民間法人とはいえ、診療報酬、レセプトを扱う、つまり厚労省の医療政策そのものを支えるお膝元であります。そういう意味でも国の責任は大きいし、全基労、全国社会保険診療報酬支払基金労働組合が繰り返し国にも要請してきたもので、十分承知をしている問題だと思うんですね。ですから、これは個別案件だからお答えにならないというのはわかってあえて質問しておりますので、その点は本当に合理的理由があるかないか、しっかりと見ていただきたいと思うんです。
というのは、基金は、全基労の訴えに対して、二等級昇格者の配置に当たっては、全国四十七都道府県に展開する全国広域的な組織なんだ、それから、ポストは支部ごとに定数が定められているから、要するに希望者と同じ定数なわけじゃないんだと言っているし、三つ目には、管理監督者としてのキャリア形成、人材育成、能力開発及び支部間の人事交流による職場の活性化が必要であることから必要なんだと答えているわけなんです。ことしの六月なんですけれども。
ところが、この間の人事異動で二等級の昇格者状況を見ますと、それぞれの支部に、支部というのは要するに各県に一つずつあるわけですけれども、昇格ポストがあいているにもかかわらず、わざわざ遠距離の転勤先に異動している。宮城から栃木、神奈川から兵庫、石川から山形、京都から徳島というようにであります。
つまり、昇進適齢期に対して必要なポストがないということではなく、あっても遠距離転勤をしなければならない。これを本当に合理的な理由があると言えるのでしょうか。これは一般論でよろしいですので、お答えください。
ポストがあるにもかかわらず、遠距離転勤と昇給、昇格がセットになって、これが結果として女性の割合を下げることになっている。こうした問題を、やはり状況を把握し、課題として解決するべきではないでしょうか。
○安藤政府参考人 一般論としてというお尋ねでございましたけれども、遠距離転勤を昇給、昇格の要件とすることが間接差別に当たるかを判断するための合理性の有無につきましては、今おっしゃられましたようなケースにつきましても、さらに、人材育成のあり方や組織運営上の人事ローテーションの必要性など、個々の企業の実態を踏まえて個別に判断されるべきものであると考えております。
こうした考え方につきましては、男女雇用機会均等法及びこれに基づく省令において示されているところでございまして、法令に基づき、まずは、個々の企業において、転勤が合理的なものであるように、そのような運用をしていただきたいと考えておりますが、都道府県労働局において法違反の事例を把握した場合には適切に指導してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 私、今、大変控え目な質問をいたしましたよね。要するに、一般論である、しかも、状況を把握し、課題として解決すべきではないかという問いであります。つまり、個々の事情、ちゃんと状況を把握すればよろしいんじゃないでしょうか。
○安藤政府参考人 個別のケースにつきましての取り扱いについてお答えするのは控えさせていただきたいと思いますが、そのようなケースがありました場合には適切に対応してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 間接差別として対象になるおそれがあると認めているわけですね。
そのときに、その状況把握もしない、それは個々の事情だからといったら、前に進まないじゃないですか。おそれがあるのを訴えて証明しなければ前に進まない、それではだめなんだということで問題提起をしていますので、しっかりとお願いをしたいと思います。
資料の三枚目を見ていただきたいと思うんですが、これは、実は支払基金の単身赴任者がどれだけの距離を異動しているかを調べたものであります。
一番多い方が百五十九人、これは百キロから三百キロの異動でありますけれども、一番遠くて千五百キロ以上。どのくらいかといいますと、大体ですが、仙台から博多間になります。それが六人。そして、千百キロが、東京―博多間くらいになるんですが、これが四十四名もいるわけなんですね。
私がここで問題にしているのは、要するに、女性差別はだめだといって、男性だけが遠距離転勤をやればいいなんということを言っているのではないんです。ここは本当に、単身赴任の比率は、下についているように、五七・四%に上るんですね。そうすると、ワーク・ライフ・バランスもあったものじゃないんですよ。
単身赴任の方は、待つ人もいないことから、長時間労働になります。これが本当に現場の実態です。また、一旦単身赴任が始まったら二十年以上も転々としている、こういう人もたくさんいらっしゃるんです。これは、逆に言うと、全国に支部があるんだから、もう少し希望が生かされるはずじゃないかと思うんですね。だから、こういうことが実態としてある。
それを、あくまで一般論で伺いますけれども、単身赴任をできれば避けられるように努力する、あるいは単身赴任であっても長期間にしないということはやはりこれから大事なことだと思いますが、大臣に伺います。
○有村国務大臣 高橋委員にお答えをいたします。
基本的には、民間の就労関係については厚労省の御担当ということをまず申し上げた上でなんですが、高橋委員の問題提起としての、単身赴任をなるべく、男女ともに、可能であれば避ける、あるいは長時間の労働にしないということは重要かどうかと私の認識を問うていただきました。
私は、やはり可能であれば、それを避けるような方策があるのであれば、大事な価値観だというふうに思っております。
特に、待っている人がいないから長時間になるというふうな現場の声だというふうに御紹介をいただきましたけれども、結婚されたカップルが、単身赴任を前提としてどちらかが赴任をしてしまうと、やはり物理的にばらばらに住んでいるというところで、子供が授かりにくくなるという制約も受けます。
そういう意味では、私自身、女性活躍担当として、また少子化担当として、企業の方も含めて、官民問わずですが、ぜひ二十代から三十代の妊娠力がある方々のカップル、結婚されたカップルに関しては、単身赴任を前提としない、単身赴任が当たり前というふうにならないようにしていただきたい、特に、結婚したばかりとか子育て世代というところにはそこを御配慮いただきたいということを内外で申し上げております。
そういう意味では、高橋委員の問題提起に対して、私も共感すること大だということを明確にさせていただきます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
今の大臣の答弁をぜひ踏まえまして、今度は山本副大臣に伺いたいと思うんですけれども、前回の均等法改正のときにも、実は、法の理念に仕事と生活の調和を明記せよという指摘をしましたし、争点となりました。
ただ、雇用均等分科会では、やはり使用者側は、性別による差別以外の異なる観点を均等法に入れることは趣旨が曖昧になるので賛成できないという指摘をして、そもそも定義が曖昧とまで主張をしているんですね。しかし、これが、その根っこにある考え方が、やはりさまざまな間接差別につながっているのではないかと思うんですね。
ですから、本当に、そういう議論を踏まえて均等法を見直しましょうということが、平成十八年、二〇〇六年の改正時の附則において施行五年後の検討規定が設けられ、議論を重ねてきたわけですね。でも、結果として、さっき紹介したような施行規則の改正や指針の一部改正などにとどまって、法改正に至らなかった。なぜでしょうか。
○山本副大臣 プロセスにつきましては、今御説明いただいたとおりでございますけれども、十八年の男女雇用機会均等法改正法の附則に定められた施行五年後の検討規定に基づきまして、労政審で平成二十四年十月から十一回にわたりまして議論がなされました。
性別を理由とする差別の禁止、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止、セクシュアルハラスメント対策、ポジティブアクションの効果的推進方策、法の履行確保、男女間賃金格差等々、多方面にわたり法の施行状況等について検討を行ってまいりました。
こうした公労使の三者における議論の結果といたしまして、間接差別の禁止範囲を拡大する省令改正を、先ほど局長の方から説明させていただきました省令改正を行うとともに、セクシュアルハラスメントの予防、事後対応の徹底に向けた指針の改正等に取り組むことが適当とする報告が平成二十五年九月に取りまとめられたわけです。
厚労省が決めたというよりも、ここの公労使のところでしっかりと決めていただいたわけでありまして、この結果を踏まえて、厚労省において省令改正などの措置を行って、本年七月にこれを施行したところでございます。
今後とも、男女雇用機会均等法令の施行状況等を勘案しながら、必要に応じて検討を行って、その結果に基づいて必要な対応はしっかりと行ってまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 非常に残念に思いますね。
それぞれの規則の改正ですとかが、それはプラスに働いていると思いますけれども、抜本改正をやはり私たちは求めていきたいと思うし、そのための議論も、非常に貴重な議論を積み重ねてきたと思うんです。
資料の四枚目に「昇進意欲と「やりがい」」というふうな資料、これは八月二十六日に武石委員、公益委員の方から出された資料ですけれども、「一般社員の昇進希望の職位と「仕事のやりがいスコア」」ということで、これは、役付でなくてもよいというのは男性より女性がちょっと多いけれども、でも三割ですよね。だけれども、係長あるいは課長と上っていくに従ってやりがいは増しているということで、決して女性がやる気がないわけでもないし、あるいは能力がないわけでもないんだということがさまざまな角度から議論されてきたと思うんですね。やはりそこをもっと踏み込んでほしかったなということで、これは重ねて要望をしたいなと思っております。
そこで、やはり均等法が乗り越えられなかったことがこの法案に反映しているんですね。そのことをやはり指摘しないといけないなと思うんです。
均等法のポジティブアクションについて、雇用均等分科会の議論において、労働者側は、男女間格差解消を解決するために集計したデータに格差があった場合は、事業主は数値目標を設定し、取り組むことを義務化してはどうかと提言をいたしました。大変似た議論ですよね。使用者側は、各企業の実情に応じて行う現行の方法が理にかなっていると述べて、公益代表からも、企業にはそれぞれの実態、それぞれの課題が違うので、実態に合った取り組みがポジティブアクションだと考えている、こういうふうな議論があった。
そうすると、今回、本法案においても、数値目標を、一律の項目の設定を義務づけるのではなくて、事業主が選ぶという点について、業種によって、事業主によって多種多様だということとか、経営判断の一環である、そういう答弁まであって、結局、これは均等法改正に踏み込めなかった議論を踏襲しているものだと言わざるを得ないんです。これでは、やはり実効性があるとは思えません。
それぞれ公表する項目も違う、ばらばらだ、これをどうやって客観的に評価するのか、どうやって実効性を持つのか、伺います。
○有村国務大臣 お答えいたします。
高橋委員がおっしゃるように、働く場面での女性の活躍を実現するためには、企業などにも当然コミットしていただくことが極めて大事だというふうに私も思います。
その上で、どのように企業がコミットしていただくかという上では、強制的なものというよりも、やはり主体的な取り組みを加速していただく、みずからの意思で、みずからのスタッフとみずからの企業の思いでやっているというふうに御認識をいただくことが民間セクターでも大事だというふうに思っております。
そして、企業など、あるいは地方自治体、国もそうですけれども、行動計画が策定されて取り組みが促進されることは、これまでにはない女性活躍推進のための実効的な仕組みであるというふうに私どもは考えております。
数値目標に関しては、一律、これをやってくださいというふうに義務づけるのではなく、そもそも、厚生労働大臣とそれから安倍総理の御議論のもとで、定量的なもの、目標をつけていただくということも、最後、強いリーダーシップ、粘り強いリーダーシップでやっていただいたということに、担当の大臣としてもありがたいと思っております。
やはり、どのような現実を見据え、いかなる目標を設定し、それをどのようにプレゼンしていくのか、また、その見え方に対して、その団体なり企業なりがどのように社会に投げかけていくのかということ自体、その団体なり企業なりの経営判断なりあるいはこれからの姿勢ということを示す大事な指標になりますので、実効性という意味では、そのいい例ということをどんどん御紹介して、こういうやり方もあるんだということの好例を皆様に積極的に広報することによって触発を広げていきたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 どこに横串が入って全体としてそれが引き上がっているのか、何が引き上がっているのか、何が課題なのかというのがやはり見えてこないなと思っております。さらにこれは議論を続ける必要があるのではないかなと思っています。
そこで、最後に一問伺いたいんですが、行動計画策定指針に盛り込む先進事例、今少しお話がありましたけれども、あるいは、効果的取り組みとして勤務地限定正社員などを積極的に推奨する立場なのでしょうか。
勤務地、労働時間、職種などを限定して働くことは、新たなジェンダー格差につながっていくという指摘もございます。実際、ことし八月二十六日の雇用均等分科会の中でも、先ほど紹介した武石先生は、勤務地限定社員が、賃金は正社員に比べて八五・七八%と非常に低いし、昇進の上限が最初から設けられている、これは六割の企業で設けられている、教育訓練の機会も少ない、そういう限定正社員の声を紹介して指摘をしておられます。
こうした賃金、処遇などの実態も見るべきだし、これで、それぞれのところで、やりました、限定正社員をふやしましたということで、働きやすい職場になりましたとなっては困るんです。多様な正社員が女性の活躍の切り札と見るのはおかしいと思いますが、御意見を伺います。
○有村国務大臣 我が方のスタッフが先生と意見交換をさせていただいたときに、この分野は厚生労働省の所管の内容であるということは先生も御承知の上だということで私は報告を受けておりますが、基本的に、多様な正社員ということが切り札だという発信を私自身あるいはうちのスタッフがしたことはございませんけれども、やはり、地域限定社員という勤務地を絞った働き方は、育児や介護の事情、転勤が難しい方などに対して、就業機会を提供したり、あるいは就業の継続を可能とする面で、希望していらっしゃる方々もいらっしゃるという前提もあるかというふうに思います。
委員が御指摘されましたような御懸念ということが払拭されて、女性活躍にも資するものとなるように、今後も厚生労働省で取り組みが進められることを期待いたしますし、その経過を見守った上で、適切なときに、私も適切なタイミングで発信をしたいというふうに考えております。
○高橋(千)委員 一言だけ。
均等法は、一九八五年、労働者派遣法とセットで生まれました。今回は廃案になると思いますけれども、やはり、そのときに絶えず女性のニーズとか多様な働き方という形で女性を切り札にして、しかし現実は差別なんですよ。そこに本当に切り込んでいかなければだめなんだということを指摘して、発言を終わります。
○井上委員長 次に、小宮山泰子君。
○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。
きょうは、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律ということで質疑をさせていただきます。
平成九年に、それまでの、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律を大幅に改正することで男女雇用機会均等法が成立し、平成十一年四月に施行されております。また、平成十一年六月には男女共同参画基本法が施行され、男女が、社会の対等な構成員として、みずからの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、ともに責任を負うべき社会の実現を目指すとされました。
女性が、家庭生活だけでなく、本人の希望に即して仕事を得て大いに活躍でき、その際には男女間で均等な待遇を受けることについては、これまでの法制でもうたわれ、制度上では整っているということになるはずです。
しかし、実態として、採用時、昇進、結婚、出産など、さまざまな時点で、本人の意思だけでなく、明確に会社内での制度となっているか否かにかかわらず、均等な待遇とは言えない現実がございます。
これまでの法制でなぜ実現できていないのかの分析や反省の上に立たないと、法律名だけ女性の活躍を推進するといっても、効果が上がらないという同じ失敗を重ねていくことになるのではないかと、この法案を見ていて痛感いたします。実感いたします。
労働政策審議会雇用均等分科会で、平成二十六年九月三十日の報告書、「女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みの構築について」では、「日本の働く女性の現状」「女性の活躍のために解決すべき課題」「女性の活躍が求められる日本社会の背景等」と章立てがあり、「新たな法的枠組みの構築」の章で、基本的枠組みとして、状況の把握を行い、課題を分析し、目的を設定し、行動計画を策定、公表するなどの内容の法制を十年程度の時限立法とすることが適当だとまとめています。
この報告書からは、新法の法制を行うことが目的化していて、なぜ必要か、そのことによってどのように解決するのかといった立法のための事実に乏しいのではないかと感じるところであります。
改めて伺います。
これまでの経緯と、本法案が新たに必要となる理由をお伺いいたします。
○有村国務大臣 小宮山委員にお答えをいたします。
先ほど、同じ失敗ということで、失敗という言葉も随分強いお言葉だなというふうに拝聴をしておりましたけれども、与野党ともに、本当に心ある男女の議員がかなり立法作業に携わられて、そして審議、議決をいただいて数々の立法ができてきた。そして、日本で女性が普通参政権を持つ、投票の権利を持つというふうになってからも七十年弱しかたっていないということを考えると、それぞれの政策、政権でやってこられた、それが失敗かどうかというところは、私は議論が出るところだというふうに思います。
それぞれ貢献があるにもかかわらず、いまだに、働けていないけれども働きたいという女性が三百十五万人もいらっしゃる、そして、まだまだ女性が潜在的な力となっているということを考えれば、提出の意義というのは私はあるというふうに思っております。
○小宮山委員 参政権を得てからの話は伺っておりません、正直。先ほど言っていますけれども、直近では平成十一年の話ですので、十三年ほど前の話です。なぜこの十三年の間に進まなかったのか、そこをきちんと理由を伺いたいと言ったのに、残念ながら、また法律をつくらなければ実現できないと言っているようにしか聞こえません。しかし、実際に、今までできなかったことの分析もきちんとしなければならないんでしょう。
では、もう一回、視点を変えて伺います。
この法案ができれば、どのように効果が見込まれるのでしょうか。本当に、マタハラは後ほど聞きますけれども、残念ながらやっと、女性の差別ということで、最高裁も決定を出されました。でも、これが最初だという言葉が必ずつくんです。これができれば本当に、先ほどからも、きょう何度も出ていると思いますが、賃金の格差とか、そういったものがなくなるんでしょうか。いつになったら、統計上等、女性と男性の賃金格差というものの表がなくなるんでしょうか。どのように効果を見込んでいるのか、お聞かせください。
○有村国務大臣 委員にお答えをいたします。
私も、そのように効果が見込まれて、そして、そのような法案の立法意義がなくなる日が一日でも早く来ればいいというふうに思っております。
やはり今回の女性活躍推進の取り組みを加速化させるために、国も、地方公共団体も、民間事業主も、それぞれ現状把握をしていただいて、そして、なぜこのような現状になっていたのか、なぜ進んだのか、あるいはなぜ進まなかったのかという分析をしていただくこと、そして、これから何を目指していくかということを明言化していただく、これは一歩だというふうに思っております。
そして、その動きを事業者にもお願いすると同時に、そもそもの男女の働き方、長時間労働に対しても、これは国全体の大事な問題として、省庁横串で、また官民挙げて問題意識でやっていただきたい。安倍政権で、安倍総理みずからもおっしゃっている。それは、より大きな、問題提起としてのプライオリティーを上げていくという意味では、私は大変意義があるものだと考えております。
○小宮山委員 昭和五十四年、一九七九年に国連総会で採択された女子差別撤廃条約は、一九八一年に発効し、日本も一九八六年に批准しております。この中には、本当に多くの女性たちが頑張って、この運動に携わられました。しかし、同条約の選択議定書については、一九九九年に国連総会で採択され、二〇〇〇年に発効し、世界の百八十五カ国が批准しておりますが、日本は、二〇一四年現在、不採択のままにとどまっています。
世界じゅうで当たり前に行われていることであり、コンセンサスとなっていることが日本ではおざなりとなっているということが、これからもわかると思います。女性が社会で活躍していくことを応援しようと政権が言っても、進歩だと言っても、実効性が乏しくなるのではないか。この点は疑わしいと重ねて指摘させていただきます。
大臣は、この女子差別撤廃条約の選択議定書が不採択のままにとどまっていることに対して、どうお考えになっているのか、御所見を伺いたいと思います。
○有村国務大臣 委員の御質問にお答えを申し上げます。
御指摘の女子差別撤廃条約選択議定書につきましては、外務省が御担当、所管であるということは御案内のとおりだと思います。
現在の岸田外務大臣も御発言をされています。鋭意外務省が検討中であるというふうに了解をしておりますので、外務省を初め関係省庁との連携でどのように進められるのかということに私も傾注をいたしたいと存じます。
○小宮山委員 ぜひ、女性が輝く担当大臣として、この名称もどうかと思うんですけれども、大臣、外務大臣に対しても、また閣内に対しても、この議定書の採択に際し、リーダーシップをとり、そしてコンセンサスを日本国内、そして政治の中でとっていただきたいと思います。
やはり、今ここの内閣委員会でなぜこういう質問をして、担当大臣を置かれているのかということを考えれば、ほかの大臣が、ほかの省庁がやっているから注視するということを求められているのではないんだと思います。やはりその点をしっかりと御理解いただきたい。
そうでないから、今まで、女性のさまざまな法律、法制的には平等にはなったかもしれない、しかし、現実の社会ではなかなかそのようにはなっていない、そういった面が残ってしまったというのは事実だと思います。だからこそ、今回この法案が出てきたと思いますので、ぜひ、有村大臣、担当大臣として閣内におきまして努力をいただきたいと思いますが、その思いはいかがでしょうか。改めて伺います。
○有村国務大臣 お答えいたします。
委員も今御紹介いただきましたが、民主党政権下においても、民主党も先送りを決断されていらっしゃいますので、やはりいろいろな課題があるんだと思います。その課題のいろいろな側面ということを、各方面の意見も踏まえつつ、現在、政権を担っている自公政権においても、外務省が検討していらっしゃるということでございますから、それぞれの意見ということの収れんを見守っていかなければならないというふうに理解をいたしております。
そもそも所管外でございますので、その経緯をしっかりと見たいというふうに、女性活躍担当大臣として先ほどから申し上げている次第でございます。
○小宮山委員 私にはやはり人ごとだと言っているようにしか聞こえないのは、残念であります。
本年十月二十三日、先ほど指摘いたしましたけれども、最高裁は、マタニティーハラスメントによる職場での降格は違法であると判決を下しました。
副主任の職位にあった理学療法士である女性が、妊娠のため、軽易な業務への転換、労働基準法六十五条第三項、を求めたところ、副主任を外され、その後、育児休業の終了後も副主任に戻してもらえなかったことから、就業先に対して、副主任を外したことは雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律九条第三項に違反する無効なものであるなどと主張して、管理職、副主任の手当の支払い及び債務不履行または不法行為に基づく損害賠償を求めていました。
労働審判事件におけるマタニティーハラスメント関連の件数は把握されているのでしょうか。裁判所に確認したところ、把握していないと聞いております。
厚生労働省都道府県労働局雇用均等室では、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、パートタイム労働法に関する相談、紛争解決の援助、是正指導などに取り組んでおり、その状況の取りまとめをした資料も公表を行っていると伺っております。
厚生労働省では、各地労働局に寄せられた相談の中でマタニティーハラスメントの件数や割合などについて把握しているのか、簡潔にお聞かせください。
○安藤政府参考人 厚生労働省では、毎年、全国の都道府県労働局雇用均等室で取り扱った相談などの状況について取りまとめて、公表を行っているところでございますが、平成二十五年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられました男女雇用機会均等法に関する労働者からの相談は一万一千五十七件、うち同法九条に規定する婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取り扱いに関する相談は二千九十件で、相談件数に占める割合は一八・九%となっております。
○小宮山委員 ありがとうございます。
細かな数字等はありますが、女性の活躍する社会の実現を目指す上では、こうした事案の件数についてもさらに調査をし、そしてきちんと把握をしていくことで、その減少に向けての対策が正しく行われることになるのではないかと考えております。
このことについて、大臣の御所見を伺います。
○有村国務大臣 小宮山委員おっしゃるように、マタニティーハラスメントに対して立ち上がっていくこと、そしてその妥協を許さないことは、極めて大事なことだというふうに思っております。
働きたい女性がやむを得ず離職を強いられるあるいは離職することなく、能力を最大限に発揮できる社会の実現に向けて、妊娠、出産、あるいは妊娠・出産期を取り巻く降格等の不利益取り扱いが起こらない職場づくりを進めていくことは極めて重要だと、私も意を強くいたします。
職場における不利益の取り扱いがないようにとするだけではなくて、現在マタニティーマークをしている妊婦さんが公共交通機関を使っているときに足をひっかけられて転びそうになられたりとか、あるいは、おなかの膨れている妊婦さんに対して、肘でつつかれたりとか、これは私も記者会見で明確に何度も申し上げていますが、労働環境ではないですけれども、これは犯罪に近いというふうに思っております。
そういう意味では、労働環境かどうかということにかかわらず、日本のどこに行っても少なくとも妊婦さんが安全で安心できる社会でなければ、日本の民主主義国家の成熟度合いが問われるというふうに思っていますので、こういう差別やあるいは偏見や嫌がらせということには果敢に立ち上がっていかなきゃいけない。ここは私もしっかりと、直に担当でございますし、私自身の問題意識が非常に強いところでございますので、引き続きここの部分のアラートはかけてまいります。
○小宮山委員 この法案、なかなか土台がはっきりしないということもありますので、よくわからない部分がたくさんありますので、逐条に近いですけれども、どんどん質問いたします。簡潔に、全てお答えいただきたいと思います。
法案第二条の二項では「家族を構成する男女が、相互の協力の下に、」とございます。この文言は、男女共同参画基本法の六条と関係すると思いますが、この「家族を構成する男女が、」と法文に明記した意義について説明いただきたいと思います。
あわせて、この法案の賛否は別にいたしましても、「家族を構成する男女が、相互の協力の下に、」は削除するか、家族を構成する者が協力のもとになどと修正した方が妥当なのではないか。男女といいましても、家族の中には、さまざまなものがございます。構成するのが必ずしも夫婦、俗に、男性と女性の夫婦とは限らないこともありますので、この点をお聞かせください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
「家族を構成する男女」という表現は、女性の活躍のためには、男性についても働き方や意識の改革が重要であるという趣旨を、男女共同参画社会基本法の表現を引用して記したものでございます。したがいまして、施策や取り組みの対象を限定する趣旨ではございません。
また、本法案は、職業生活を営み、または営もうとする全ての女性を対象としておるものでありまして、家族形態等によって対象が変わるものではないと理解してございます。
○小宮山委員 そうはいいましても、政府の方で、ここではありませんけれども、夫婦の控除とか、さまざまなことを考えますと、今の政府の中においては、家族を構成する者はやはり男女、男性、女性というところにほとんど集約されてしまっているのではないか。
子どもの貧困対策の法律が昨年通りました。その中では、やはり母子家庭、父子家庭、または、祖父母等を含めて、そういった方とお子さんや女性だけであったりと、さまざまなこともございます。
また、今回の法案の中において、職場生活と家庭生活という切り分け方は不明確なのではないかと考えております。この点、地域社会での生活は家庭生活に含んでいると考えるのか否か、そのあたりもお聞かせください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
男女共同参画社会基本法第六条におきまして、「家庭生活における活動と他の活動の両立」という規定がされてございますが、これを踏まえまして、本案については、他の活動の中の職業生活と家庭生活、そういう文言を使いまして、「職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立」などを規定しているところでございます。
また、地域社会での全ての活動が家庭生活に含まれるとは言えませんが、町内会あるいはPTA活動など、家族の構成員、例えば小学校に通う子供を持つ親の立場として、PTA活動に参加する場合などとのかかわりの中で、家庭生活に含まれる場合もあるものと考えてございます。
○小宮山委員 次に、法案第四条の「事業主の責務」についてお伺いいたします。
この中においては、みずから行う取り組みの努力義務と行政の取り組みへの協力の義務化は、むしろ逆で、みずからの取り組みを義務化し、行政の取り組みへの協力は努力義務とされた方が適当ではないかと考えます。所見とともに、法案の規定の理由について御説明ください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
本法案におきましては、一定規模、三百人以下の一般事業主の取り組みについては義務づけを行っておりません。そういうことから、事業主全体の責務規定である第四条における取り組み、実施についても努力義務としたものでございます。
国または地方公共団体が実施する女性の職業生活への協力につきましては、行政主体と事業主とが一体となって取り組みを進めることで、女性の活躍を強力に推進していくため、「協力しなければならない。」との規定としたところでございます。
なお、類似の枠組みを持ちます次世代育成支援対策推進法におきましても同様の構成となってございます。
○小宮山委員 少し時間がなくなってまいりましたので、通告の分を飛ばさせていただきます。
事業主行動計画策定指針における総務大臣の役割についてお伺いいたします。
法案第七条において、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、事業主行動計画策定指針を定めることとされています。
本法案の運用に関しては、内閣府及び厚生労働省での事務作業が伴うものと考えられますが、七条での事業主行動計画策定指針の部分だけは、総務大臣がかかわることとされております。地方公務員の雇用主である都道府県、市町村がかかわることだから、とりあえず入れておこうかということなのか、なぜ総務大臣が入っているのか、その役割について、また必要性についてもお伺いします。
○向井政府参考人 お答えいたします。
総務大臣は、特定事業主のうち、地方公務員法制を所管する総務省の主任の大臣といたしまして、地方公務員である女性の活躍に関する取り組みを推進していただくという観点から入っているものでございます。
○小宮山委員 特定秘密保護法案、昨年、大変強行な形で採決に持ち込まれました。また、今もこの国会の中でその関係の施設がつくられようとしております。しかし、今後、その法案に関しましてその当時は担当大臣がいましたけれども、実際、では、誰が責任を持つのかという、無任所の大臣のままというのでは、結局、後々大変難しい問題が起きてくるというのは、この一年、実感をしているところでもあります。
残念ながら、有村大臣が今つかれている女性の活躍担当大臣も無任所でありますので、何年もつのかというのもわからないところであります。
本来であれば、そこまでしっかりと、担当大臣がきちんと、男女共同参画の方が私はしっくりくるものですから、そういう担当大臣、特定の大臣をつくるならまだわかるのですが、全て兼務ということが、今、結局のところ、役所、省庁をしっかり持ったところの大臣の縦割りがそのまま続いたからこそ、今までどんなに法整備をしてきても進まなかった点が多くあるというのは、大変悔しい思いを女性としてするところでもありますし、それを、縦割りだったものを横でやるからこそ、今、有村大臣のついている担当大臣の意義が大きくあるんだというふうに考えております。
本当に時間がないので、さまざま質問をしようと思っているんですが、またの機会があればさせていただきたいとは思いますが、少し早目に。
正直、今回、臨時国会召集に関しましては、地方創生と女性ということで安倍総理は召集をかけられました。それにもかかわらず、私も議運の理事会に出ておりますけれども、地方創生は特別委員会までつくって審議をする、しかし、女性の方は、当初、本会議での登壇もなく、そして、こうやって委員会での質疑ということでありました。女性、女性と言う割には大変軽い扱いだということを議運の理事会で抗議もいたしました。結果、委員会だけではなく、本会議での登壇というようなことにもつながったと思う節はございます。
しかし、ふたをあけてみれば、この審議自体も、三日ぐらいで採決したいと言っていたなど、非常に、後回し。特に、法案が本会議に立ってからしばらくあってこの審議に入るということを考えてみても、大変、扱いとしては、普通の、一般の法律のままであります。
ましてや、今、衆議院の解散が言われている中で、報道ベースではありますけれども、地方創生の法案は参議院で通すが、それまでだというようなこともあります。結局、この法案は通らなくてもいいというような扱いになる。これまた非常に軽い扱いであります。
安倍内閣は、女性の利用、政治姿勢が、本当に、こういった法案の扱いからも明らかなんだと思います。
男性も女性も、さまざまな方がいらっしゃって社会はできている。それぞれが自分の人生を謳歌し、そして、きちんと選択できる社会をつくる。これが今の政治の役割であり、世界の中では、どんな保守的な、アメリカの州でも同性婚も認める、そういう時代に入った中において、日本のこの審議の中というのは大変おくれている。いまだにこういうところでやっているのか。
女性という言葉、正直、この女性が輝く環境というのは、大変タイトルはすてきです。安倍内閣、本当に法案のタイトルをつけるのがうまいですよ。ただ、中身がない。現実をしっかり捉えていない。
もし本当に女性の立場を感じるならば、現在置かれていることを考えれば、派遣法にしても、低賃金で働いている方々が多い、そこをやめさせるのが担当大臣としての責務だったと思います。本当に低賃金で働き続けるというようなことをやめさせない限りは、能力のある方が必ずしも、その能力やそして意欲、夢をかなえるという社会はできないんだと私は感じております。
また、国会におきましても、今私がここに立たせていただいて実感するのが、私が初当選したころにはまだクールビズがございませんでした。ですので、暑い中もネクタイ、男性の方々は本当に、ネクタイに上着をきちんと着ていた。(発言する者あり)いや、結構脱いでいる方は多いんですよ、初めから。それを私たちは先輩の、女性だから余り脱ぐことはございませんでしたけれども、男性の方々の中では、先輩が、暑くても我慢して着るんだと。
それはやはり、国民の代表としてこの正式な場にいること、そしてその気概というものがあらわれていた。特に、憲法をつくっていた真夏、そこでもしっかりと羽織はかまだった方もいらっしゃると伺いました。そういった中で、議会というものをきちんと私たちの先輩方は守る、そういう気概を持っていた。今これを指摘した途端にほとんどの方が上着を着られましたけれども。
本当に、随分質問しなきゃいけない項目を残しましたけれども、正直、こんなに軽く扱われているという女性政策やその立場というものがあらわれた今回の国会だったということを強く指摘させていただきたい。(発言する者あり)審議時間も短いでしょう。済みません、不規則発言に答えてはいけませんね。今、不規則発言が聞こえましたけれども、私が聞いているところによると、大変短い審議時間でこれも上げようとしている。私自身が感じた議運での扱いも大変軽いものでございました。
大変悲しい思いもしますし、何よりも、女性自身もしっかりと力をつけて、そして、本当の意味でエンパワーメント、女子差別撤廃の選択議定書が採択されるよう努力をしていきたいと思います。
以上で質問を終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
○井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、明十三日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時二分散会