衆議院

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第2号 平成27年3月25日(水曜日)

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平成二十七年三月二十五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 泉  健太君

   理事 河野 正美君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      小田原 潔君    越智 隆雄君

      大隈 和英君    大西 宏幸君

      岡下 昌平君    加藤 寛治君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      門  博文君    金子めぐみ君

      神谷  昇君    木内  均君

      新谷 正義君    助田 重義君

      武井 俊輔君    津島  淳君

      寺田  稔君    豊田真由子君

      長尾  敬君    松本 洋平君

      宮川 典子君    山下 貴司君

      若狭  勝君    緒方林太郎君

      後藤 祐一君    近藤 洋介君

      佐々木隆博君    辻元 清美君

      古本伸一郎君    山尾志桜里君

      小沢 鋭仁君    高井 崇志君

      升田世喜男君    輿水 恵一君

      濱村  進君    池内さおり君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   国務大臣         上川 陽子君

   国務大臣

   (内閣官房長官)

   (沖縄基地負担軽減担当) 菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長)

   (海洋政策・領土問題担当)            山谷えり子君

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)

   (再チャレンジ担当)

   (クールジャパン戦略担当)            山口 俊一君

   国務大臣

   (経済再生担当)

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (女性活躍担当)

   (行政改革担当)

   (国家公務員制度担当)

   (規制改革担当)

   (少子化対策担当)

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   内閣府副大臣       平  将明君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   法務副大臣        葉梨 康弘君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  渡辺 一洋君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  佐々木裕介君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  北村 博文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房独立公文書管理監)        佐藤 隆文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 福井 仁史君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室室長代理)         富屋誠一郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武川 光夫君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  辻  義之君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    服部 高明君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          萩本  修君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           佐野  太君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官)  安藤 英作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    小林 利典君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 武藤 義哉君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     金子めぐみ君

  池田 佳隆君     山下 貴司君

  石崎  徹君     勝俣 孝明君

  武部  新君     勝沼 栄明君

  平口  洋君     新谷 正義君

  宮崎 政久君     門  博文君

  佐々木隆博君     後藤 祐一君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     津島  淳君

  勝俣 孝明君     石崎  徹君

  門  博文君     小田原 潔君

  金子めぐみ君     青山 周平君

  新谷 正義君     平口  洋君

  山下 貴司君     池田 佳隆君

  後藤 祐一君     佐々木隆博君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     助田 重義君

  津島  淳君     武井 俊輔君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     宮川 典子君

  武井 俊輔君     豊田真由子君

同日

 辞任         補欠選任

  豊田真由子君     武部  新君

  宮川 典子君     宮崎 政久君

    ―――――――――――――

三月十九日

 青少年健全育成基本法の制定に関する請願(柴山昌彦君紹介)(第三六九号)

 全ての子どもの権利が保障される保育・教育、子育て支援の制度の実現に関する請願(真島省三君紹介)(第三七〇号)

 同(本村伸子君紹介)(第三七一号)

同月二十四日

 全ての子どもの権利が保障される保育・教育、子育て支援の制度の実現に関する請願(池内さおり君紹介)(第五二八号)

 同(吉川元君紹介)(第五二九号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五六〇号)

 憲法違反の特定秘密保護法の撤廃に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五三八号)

 同(池内さおり君紹介)(第五三九号)

 同(梅村さえこ君紹介)(第五四〇号)

 同(大平喜信君紹介)(第五四一号)

 同(笠井亮君紹介)(第五四二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第五四三号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五四四号)

 同(志位和夫君紹介)(第五四五号)

 同(清水忠史君紹介)(第五四六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第五四七号)

 同(島津幸広君紹介)(第五四八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五四九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第五五〇号)

 同(畑野君枝君紹介)(第五五一号)

 同(畠山和也君紹介)(第五五二号)

 同(藤野保史君紹介)(第五五三号)

 同(堀内照文君紹介)(第五五四号)

 同(真島省三君紹介)(第五五五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第五五六号)

 同(宮本徹君紹介)(第五五七号)

 同(本村伸子君紹介)(第五五八号)

 同(畠山和也君紹介)(第五八七号)

 特定秘密保護法の撤廃に関する請願(藤野保史君紹介)(第五五九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官渡辺一洋君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣参事官佐々木裕介君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長山下哲夫君、内閣官房内閣審議官北村博文君、内閣府大臣官房独立公文書管理監佐藤隆文君、内閣府大臣官房審議官福井仁史君、内閣府地方創生推進室室長代理富屋誠一郎君、内閣府政策統括官武川光夫君、警察庁生活安全局長辻義之君、消費者庁審議官服部高明君、法務省大臣官房司法法制部長萩本修君、外務省北米局長冨田浩司君、文部科学省大臣官房審議官佐野太君、厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、中小企業庁次長小林利典君、防衛省大臣官房審議官武藤義哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野正美君。

河野(正)委員 おはようございます。維新の党の河野正美でございます。

 今国会より内閣委員会の理事を拝命いたしました。今後多くの重要法案の審議が予定されておりますが、私も微力ながら精いっぱい職務に当たらせていただく所存でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 また、きょうは、内閣委員会は特徴的でありまして、会派順というよりも、要求大臣の御都合にも合わせながらやっていくというふうになっているわけですが、昨年の解散・総選挙を受けまして内閣委員会で初めての質疑に立たせていただくのが私ということで、非常に緊張しておりますけれども、よろしくおつき合いをお願いいたします。

 まず、内閣委員会に関してでございますが、内閣委員会は、今もちょっとお話ししましたように、六人の所管大臣がおられる委員会でございます。今国会も多くの重要な法案が提出されるものと認識をしております。

 内閣官房、内閣府の組織見直しに応じて法案が提出されるとも聞いておりますが、大臣、副大臣、政務官の担務表を見ますと、大臣の数に比べ、副大臣、政務官が少なく、組織構成がやや複雑ではないかという印象も受けるところでございます。大臣、副大臣、政務官の政務のラインが政策分野によって異なっているということかなと思いますので、連携が非常に難しいのではないかなというふうにも認識いたしております。難しい問題だと思いますけれども、しっかりと、また国民の皆様にわかりやすい議論をお願いしておきたいと思います。

 さて、今回の大臣所信を伺いますと、規制改革と成長戦略という言葉があちこちに出てまいります。

 例えば、経済財政政策担当の甘利大臣の所信を聞かせていただきますと、「成長戦略については、農業、医療、エネルギー、雇用といった、いわゆる岩盤規制の改革を初めとして、より一層強力に実行、実現をしてまいります。」というふうに述べられております。

 続いて、規制改革担当の有村大臣の所信によりますと、「規制改革は、成長戦略の大きな柱です。既存の規制が時代に合ったものになっているか、国民生活の安定、向上や経済の成長、発展に寄与するものになっているか等の観点から、不断の見直しを行っていく必要があります。」というふうに強く述べられております。さらに、「農業改革については、先般、法制度等の骨格を取りまとめたところであり、法制化の段階でも引き続きフォローアップを行います。農業分野のほかにも、健康・医療、雇用、地域活性化、投資促進など、幅広い分野の規制改革に積極的に取り組みます。」というふうに述べられております。

 それぞれ主語が成長戦略か規制改革かという違いはありますが、それぞれの大臣の役割の違いはどのようになっているのでしょうか。その辺の連携についてもお聞かせいただきたいと思いますので、甘利大臣、有村大臣、それぞれお願いいたします。

甘利国務大臣 安倍内閣における成長戦略というのは、向こう十年間でGDPの成長率を名目で平均三パー、実質で二パー、これを達成するためのいわば構造改革というのを取りまとめたものであります。産業競争力会議は、これを具体的に設計して推進していくことを担当いたしております。

 成長戦略の中には、御指摘のように、再生医療の推進であるとか、電力システムの改革であるとか、あるいは農業関連の制度改革などの規制改革に係る施策も含まれておりまして、規制改革項目に関しましては、これまでも規制改革会議とも密接に連携をしたところであります。

 実は、私、この職を総理から拝命いたしましたときに、全体の本部が、再生本部というのがあります、そのもとに競争力会議がある、あるいはそれと連携して規制改革会議があります、そして科学技術政策の司令塔たる会議もあるわけでありますけれども、それをどうやってばらばらにしないでつないでいこうかということを考え、設計しましたときに、人でつないでいこうというふうに思いまして、会議と会議を兼務する人を一人二人充てるという設計をいたしました。

 そこで、産業競争力会議の議員に、規制改革会議の議長の岡さんとそれから金丸委員に両方兼務していただきまして、てんでんばらばらに動かないように人で連携させるという工夫もさせていただいたところであります。

有村国務大臣 お答えいたします。

 甘利大臣におかれては、産業競争力会議の御担当として、中長期的な経済成長の実現のために、我が国産業の競争力強化、国際展開に向けて成長戦略を具現化し推進することに取り組まれていらっしゃると認識をしております。

 私の方は、規制改革の担当として、経済に関する基本的、重要な政策に関する施策を推進する観点から、経済社会の構造的な改革を進める上で必要な規制改革の推進に取り組んでおります。

 甘利大臣御発言のように、それぞれの立場から安倍内閣の最重要課題であります我が国の経済の成長という共通の課題に取り組んでおり、人でつなぐというお話がございましたが、甘利大臣のもと開かれます産業競争力会議に私も出席をさせていただいておりますし、我が方の規制改革会議に甘利大臣に御出席いただくなど、相互連携を図っております。

 これまで、農業、雇用、健康・医療分野の各分野で両会議が相まって検討を進め、例えば、患者申し出療養を創設することで患者の治療の選択肢を拡大することになったこと、また、農地を集積、集約し大規模な生産性の高い農業の実現ということで農地中間管理機構を創設したことなど、両会議が相まって成果を上げてまいりました。

 今後とも、甘利大臣と連携をして双方の会議の相乗効果を上げていきたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 加えて、国家戦略特区という仕組みもございます。これは、国みずから主導して岩盤規制の突破口を開こうというものだというふうに認識をいたしております。この制度の所管は、お二人ではなく、実は石破大臣ということになっているかと思います。国会におきましては、当内閣委員会ではなく、地方創生特別委員会が所管というふうにも聞いております。

 この後、私は国家戦略特区制度における医学部新設ということを伺おうというふうに思っておりますが、これも文部科学省や厚生労働省など、きょうも来ていただいておりますけれども、所管が、いわゆる省庁横断的な議論が必要になってくる大きな問題だと思っております。規制改革、成長戦略という内閣の重要課題を担う大臣が複数存在することで、意思決定に時間がかかってしまうのではないかということを若干懸念しておりましたし、それぞれがばらばらに施策を進めてしまうのではないかという懸念もございました。今、相互に人でつないでいくということをお聞きしまして、しっかり頑張っていただきたいなと思うわけでございます。

 また、最初に述べましたように、いわゆる政務三役の方々でも意思疎通を図っていくのが非常に大変な作業かなというふうにも思います。どのように連携して対応されていくのか、お答えいただきたいと思います。

平副大臣 国家戦略特区担当副大臣でございます。

 今、成長戦略、規制改革の分野での連携が重要だという御指摘がありました。まさにそのとおりだと思っております。

 まず、甘利大臣、成長戦略との連携でありますが、基本的にアベノミクスは全員理解をしておりますし、成長戦略でやるべき規制改革、重点分野のいわゆる岩盤規制がどこにあるのかというのは共有をしておりますので、その辺で全くそごはないと思います。

 また、規制改革の分野におきましては、うちのラインでは国家戦略特区と地方分権を担当しております。有村大臣のところでは国全体での規制改革。それで、国家戦略特区はまさに岩盤規制を突破するドリルの刃先でありますので、さらには区域会議ということで、地方政府と事業者、さらには国も入って規制緩和をすると同時に担保措置をしっかりとる、そういう仕組みも持っておりますので、とにかくその国家戦略特区という政策オプションを使ってどんどん切り込んでいく。

 そういう中で、これは国全体でできるのではないかという議論になったりします、規制省庁との交渉の中で。そういったときは、有村大臣の方に引き取っていただいたり、また、有村大臣の方で、これは国全体では厳しいから国家戦略特区でやってもらいたいというものがあれば、またそれは御指示をいただく、そういう連携をとらせていただいているところでございます。

河野(正)委員 非常にさまざまな省庁、担当者で連携をしていただかなきゃいけないということで、また菅内閣官房長官、ぜひまとめてよろしくお願いいたしたいと思います。

 次に、国家戦略特区に関連いたしまして、医学部新設の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。

 私は、かねてより、医学部新設に関しては、地域臨床の現場で働く医師を医学部が吸収してしまうことになりかねない、これによって地域医療の崩壊につながりかねないということを懸念いたしております。我が党としての医療政策は、現在、私が医療政策調査会の会長を命ぜられまして、再検討作業を進めているところであります。まだ党として一定の結論を出したものではありませんが、早急に議論していかなければならない課題であるというふうに考えて行動いたしております。

 若干話がそれますけれども、東北地方の医学部新設についても、現在さまざまな問題が生じているやに認識をいたしております。

 先日、三月十日の衆議院予算委員会第五分科会でもお尋ねいたしましたが、当日は時間の制約もあり深くお聞きできませんでしたので、今回改めて伺いたいというふうに思っております。

 御承知のように、我が国では、一九七九年、昭和五十四年に沖縄県に琉球大学医学部が開学して以来、三十年以上に及んで医学部の新設はございません。先日の分科会での御答弁によりますと、平成二十五年十二月に、復興庁、文部科学省、厚生労働省で決定した基本方針において、復興のための特例措置として、東北地方に一校に限り医学部新設を可能とする方針を示したということであります。現在までの結果として、昨年、平成二十六年九月に東北薬科大学が条件つきで選定されたということであります。

 現在、来春の開学に向けてさまざまな検討や準備、調整などが行われていることと思います。一部報道によりますと、人材募集の見込みや教育内容、地域医療の将来像の具体的議論など、さまざまな問題点があるように見受けられます。私が目にしました記事のタイトルも、復興支援で医学部新設、激しい反発で議論混迷、医師不足解消見通せずというふうにありました。

 医学部新設が本当に震災からの復興や医師不足の解消に有効な政策なのかどうか、まず政府の認識をお聞かせいただきたいと思います。

佐野政府参考人 お答えいたします。

 東北薬科大学におきましては、これまで、先ほど先生がおっしゃられました、文部科学省に設けられました構想審査会において示されました選定条件に適切に対応することができるよう、東北各県、各大学等が参加する運営協議会を立ち上げ、六回にわたって、教員、医師等の確保や卒業生の地域定着等について議論を行ってきたところであります。

 具体的な議論といたしましては、教員、医師等の確保につきましては、地域医療に支障を来さないために、公募や選考に関する基準を設け、実際の採用に当たっては、個別に地域医療への影響を関係自治体へ確認することとし、今後も引き続き検証を行うこととされたと承知しております。

 また、卒業生の地域定着の観点からは、入学定員百名のうち五十五名に対しまして、地方への定着を促す授業料全額相当の修学資金制度を設ける予定であるとしておりまして、今後、引き続き各県と調整を行うこととされたと承知しております。

 東北地方の医学部新設につきましては、先ほども先生おっしゃられましたように、平成二十五年の十二月に、復興庁、文科省、厚労省で決定いたしました基本方針において、震災からの復興、今後の超高齢化と東北地方における医師不足、原子力事故からの再生といった要請を踏まえ、医学部新設について、一つに限定して認可を行うことを可能としたところでありまして、文科省としても、この趣旨に沿った医学部となるよう、引き続き指導助言を行ってまいりたいと思っております。

河野(正)委員 地域医療崩壊とならないように、よろしくお願いいたしたいと思います。

 話を戻します。

 今も答弁いただきましたように、東北地方に一校に限りということでございましたが、今後、特区制度を利用してさらなる医学部新設が考えられているというふうに聞いております。

 次に、こちらの特区制度を用いた医学部新設について伺いたいというふうに思います。国家戦略特区での検討状況についてでございます。

 千葉県成田市では、国際医療学園都市構想による規制改革要望が出され、それをもとにした国家戦略特区の検討が進んでいると思います。担当の石破大臣も結論を出すと発言されており、政府としての結論が近々示されるものではないかと受けとめております。

 先日の分科会でもお答えいただきましたし、繰り返しになり大変恐縮でありますが、まず、現在までの検討の進捗状況と今後の見通しについて、改めてお聞かせいただきたいと思います。

富屋政府参考人 お答え申し上げます。

 国家戦略特区における医学部の新設につきましては、平成二十五年十月十八日の国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針、日本経済再生本部決定におきまして、高齢化社会に対応した社会保障制度改革や全国的な影響等を勘案しつつ、国家戦略特区の趣旨を踏まえ、関係省庁と連携の上、検討することが決定されたところでございます。

 この決定以降、国家戦略特区ワーキンググループにおきまして関係省庁と検討を重ねてきたところでございます。昨年十二月に、東京圏国家戦略特別区域会議のもとに、国、関係地方公共団体及び関係民間事業者から成る成田市分科会を設置し、国家戦略特区ワーキンググループの委員や専門家からの御意見をいただきつつ、関係省庁を交え議論を行っているところでございます。

 今後、成田市分科会での議論を経て、医学部新設に関する基本的な考え方や方向性等について取りまとめを行っていく予定でございます。

河野(正)委員 先ほども文部科学省の方からお話しいただきましたけれども、やはり今、東北薬科大学の方でいろいろな問題が検討されているところでございますので、教員募集状況や学生の応募状況、さらに、こういったことに鑑みて、地域医療への影響というのを見つつ、しっかりこれらを知見として、基礎として、それから検討しても遅くないのではないかなというふうにも思っております。

 先日の予算委員会分科会におきましては、国家戦略特区での医学部の新設に対して、医療関係者などを中心に多くの懸念が寄せられていることを指摘させていただきました。具体的にちょっと詳しくお話をさせていただきたいと思います。

 まず、医師養成数の議論が必要である、医師不足対策にならず質の低下を招きかねない、国際的医療人材の養成は既に行われている、地域医療の再生を阻害するといった点が懸念事項として挙げられているかと思います。

 そもそも、少子高齢化がますます進むであろう我が国におきましては、医療人材がどの程度必要というふうに考えられているのでしょうか。

 ちょうど十年後、二〇二五年には、いわゆる団塊の世代と呼ばれる方々が七十五歳以上の後期高齢者となり、医療、介護など健康な生活のための医療従事者のニーズはふえていくことが予想されております。一方で、その後は少子化という問題が顕在化してくるわけであります。

 医学部は六年制でございますから、単純に考えても養成期間は六年以上ですし、臨床研修などを含めて考えれば、自立して診療が可能な医師になるためには十年以上かかるというふうに言われております。

 二〇〇八年、平成二十年以降、医学部全体で定員増の対応が既に行われています。二〇〇七年度、平成十九年までしばらくの間は七千六百二十五人だった定員が、二〇一三年度、平成二十五年度は九千四十一人、二〇一五年度には九千百三十四人になっているのかなというふうに思います。また、現在、この定員増加以降の医学生がまさに順次卒業を迎えている状況にあるというふうに思います。

 将来、我が国が人口減に転じることを予測するのであれば、短期的には医学部の定員増などで対応していくことが好ましい対応じゃないかなというふうに私は思っております。

 最近では、例えば、司法制度改革により日本各地に法科大学院が誕生いたしましたが、現在は相当数が厳しい結果になっているんじゃないかなというふうにも思います。一度設立したものを廃止するエネルギーというのは極めて大きいものだと思いますが、いかがでしょうか。政府の御見解をお聞かせください。

佐野政府参考人 お答え申し上げます。

 医師不足への対応につきましては、これまで平成二十年度から、厚生労働省とも連携いたしまして、医学部定員の増員を行ってまいりました。これは先ほど先生がおっしゃられたとおりでございます。これまでに平成二十年度から千五百九名の増員を行いまして、平成二十七年度の医学部入学定員は九千百三十四名となる予定でございます。

 また、地域の医師を確保するためには偏在解消等も必要であることから、地域医療への従事を条件といたしました奨学金や、地域枠といった入試枠を活用していることや、総合的な診療能力を有する医師の養成などを進めてきたところでございます。

 一方で、国際戦略特区におけます医学部新設につきましては、国際的な医療人材の養成等の観点から検討が進められているものでありまして、医師不足への対応とは趣旨が異なるものであるというふうに認識しております。

 先ほど先生もおっしゃられましたように、医療関係者から、医学部新設の問題といたしまして、教員確保のため医療現場から多くの医師を引き揚げざるを得ず、地域医療の崩壊を加速するといった点や、人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなるといった指摘があることは承知しておりますが、国家戦略特区におけます医学部新設につきましては、このような点も含め、現在、成田市分科会において検討が進められているところでありまして、文科省としても、オブザーバーとして参加して、引き続き検討してまいりたいと思ってございます。

河野(正)委員 医師不足とは違う観点ということでございましたが、やはり、地域偏在とか復興に対しての問題もありますので、ちょっとその辺はまた先にお話をさせていただきたいと思います。

 ところで、私自身も医学部の卒業生でございますし、現在、愛知医科大学の客員教授を務めさせていただいております。

 医学教育の現場におられる方から幾つか御意見をいただいてきたんですが、その中に、質の低下を懸念される声があります。まず、単純に医学部新設によって教員が分散化するということで、医学教育水準が一時的にであっても低下してしまうのではないかという懸念があるかなというふうに思います。

 そして、近年、医学部受験が非常に過熱しているという報道があります。一方で、理系離れということも言われているんじゃないかなと思います。医学部受験の過熱によって、技術大国として世界に誇れた我が国工業技術の低下がもたらされるんじゃないかと懸念される声も、心配される声もございます。今後、激減する若年層、減ってくる若年層を医療界ばかりに取り込んでいくのはいかがなものかといった意見もございました。過度に医学部だけ優秀な学生が集中するということで、技術大国としての地位がどうなってしまうのかというようなことを伺ったところであります。

 また、医学部というところは、当然ながら、人の命を扱う場所ですので、必ずしもきれいなことばかりでは済まされません。医師になるという強い志も必要ですし、相当な精神力を持っていないとだめだというふうに思っております。

 近年、そこでまた、留年する学生もふえているということを伺いました。やはり、絶対に医師になるというモチベーションを持って医学部に入ってこないといけない、若干その辺が希薄になっているんじゃないかなという教育現場からの意見も伺ったところであります。

 また、今回、国家戦略特区制度を用いた国際医療学園都市構想ということであります。しかし、既に、既存の医学部においても、世界各国の大学と交流協定を締結して、相互に学生レベルで行き来していることも決して珍しくないということであります。現状において、国際的視野を持った医師の養成は進んでいるものというふうに思っております。

 もう二十年以上も前ですけれども、私の時代であれば、なかなか海外の医学部に研修に行くということは、国内の病院に研修に行くことはありましたけれども、なかなか海外の大学まで研修に行くことはありませんでしたが、今は本当に、年間各大学十人とかそういったレベルで、夏休みやあるいは平時を利用していろいろ交換学生という形で行かれているというふうに伺っております。

 たとえ特区という形で一地域での導入であったとしても、医療従事者を初めとする人材が新設医学部に集まることで広く影響が及ぶおそれがあるというふうに思います。

 千葉県成田市における今回の計画に関しましては、昨年四月に千葉県医師会から反対声明が出されていると思います。それによりますと、千葉県では保健医療計画の見直しにより、三千二百六床の増床が認められ、各病院では、それに見合う看護師を含む医療従事者を確保できず、病床許可をとったものの病床が稼働できないところが数多くある、これに加えて、新たに大学病院ということであれば、六百床程度の病院が開設するということになりますので、地域医療崩壊に拍車をかけ、県民に多大な損害を与えることは明らかであるというふうに述べられております。同じ資料によれば、千葉県の看護師充足数は全国で四十六位だということであります。

 また、学校設置基準では、必要専任教員は百五十人程度と試算されているようでありますけれども、医学部の教員は、大学病院で実際に臨床業務、診療業務を行うこととなります。これらを勘案しますと、医学部が一つ新設されることにより、約三百人程度の医師がその大学病院に働くことになるというふうに思います。

 そういった三百人の方が地域医療の現場から大学に集まってしまうということになりますと、医師不足の地域におきましては、大学病院という巨大な基幹病院が誕生する一方で、身近な医療機関や地域の基幹となっている幾つかの病院が崩壊しかねないというふうに危惧されるところであります。大学病院は、御承知のように、研究機関でもありますので、きめ細やかな、患者さん本位の医療ができるとは必ずしも限らないというふうに思っております。

 今回の計画では、国際医療学園都市構想ということであり、開学に当たっての目標や理念としては、国際性豊かな医学教育のモデル事業であるとか、国際医療協力、地域医療で活躍する人材育成などの文言が記されております。また、日本型医療の輸出推進なども書かれております。

 国際医療協力を否定するわけではありませんが、るる述べましたように、地域医療が崩壊しかねない、そういったことを私は危惧しております。

 予算委員会第五分科会におきましては、私の質問に対し、塩崎恭久厚生労働大臣から、教員確保のため医療現場から多くの医師を引き揚げざるを得なくなり、地域医療の崩壊が加速する、人口減少など社会の変化に対応した医師養成数の柔軟な見直しを行いにくくなる、これから人口が減ってくるわけですから、それをどう考えるんだ、こういった指摘が寄せられている、大臣のもとにも懸念の声が届いていると御答弁をいただきました。

 こういった声は菅官房長官にも届いていますでしょうか。お尋ねいたしたいと思います。

菅国務大臣 私のところにもそうした声が来ていることは事実であります。

 たしか昨年だったと思います、河野議員から私、質問を受けたときに答弁をさせていただいたんですけれども、そうした声に耳を傾けながら、例えば国際的な医療に特化するとか、そういう方向で進めていきたいというような趣旨の答弁をさせていただいたこと、記憶にありますけれども、今も委員から具体的な指摘をいただきました。そうしたことを参考にさせていただきながら、地域医療崩壊につながるようなことは避けるべきだというふうに思っています。

河野(正)委員 ありがとうございました。

 さらに塩崎厚生大臣は、内閣府において現在検討中だが、やはり地域医療への影響は極めて重要だと考えている、内閣府における今後の議論においてもしっかりこの点については取り上げていただいて、そして、我々、厚生労働省でしょうけれども、とも連携していただきたいし、我々も連携してまいりたいというふうに思っておりますというふうに御答弁をいただきました。

 今大分お話しいただきましたが、内閣府の立場でこういった議論を取り上げる気持ちがあるのかどうか、さらに厚生労働大臣とも連携して検討されるのか、改めて官房長官、伺いたいと思います。

菅国務大臣 そこは当然そうさせていただきたいというふうに思います。

 ただ、趣旨としては、国際医療に特化するとか、従来型の医学部、医療大学ではなくて、そうした方向は明らかにしながら進めていく形になるというふうに思いますけれども、今、国家戦略特区の成田の分科会の中で検討している、こういうふうに報告を受けています。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 ある報道によりますと、三月十日の与党自民党の文部科学部会でも国家戦略特区による医学部新設問題が議題に上り、慎重に対応する要望が出たというふうにお聞きしております。その理由としては、人口減少社会の中で医師の需給見通しがどうなるのか、特区内に医学部を新設して本当に国際的な医療人材の育成につながるのかという観点からの議論が必要だと指摘されたと書かれておりました。改めて議論する考えになったということでもあります。

 今、官房長官からもお答えいただきましたが、例えば感染症などは容易に国境を渡って襲いかかってくる可能性がございます。爆発的流行ということになれば、地球規模で大きな脅威となりかねません。その他の分野でも、我が国のすぐれた医療技術を国際医療協力という形で役立てることは極めて大切なことだというふうに思っております。また、将来の医療を担う若い医療スタッフが堂々と国際社会で活躍することは、極めてすばらしいことではないかなというふうに考えております。

 しかし、目的が立派であっても、いかに崇高であっても、地域医療崩壊の原因となってしまうのでは困るんじゃないかなというふうに思っております。我が国は、医師の偏在とか、まだまだ対応しなければならない、被災地を初めとした国内の地域医療における課題がたくさん残されております。くれぐれも慎重な議論が望まれると思っております。当然、分科会等で検討され、その後、内閣におかれても検討されることだと思いますけれども、この点を踏まえて、よろしくお願いいたしたいと思います。

 話題をかえまして、最後に、マイナンバー制度を活用した医療費適正化について伺いたいと思います。

 マイナンバー制度につきましては、改めて法案審議の際にも質問させていただく機会があるかとも思いますし、また我が党の委員からも別に質問があると思いますので、今回は簡単に、総論的に触れさせていただきたいと思います。

 まず、マイナンバーの医療への活用に関して、現在までの議論や検討状況を教えていただけますでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 医療等分野での番号の活用につきましては、厚生労働省の研究会で昨年の六月から医療関係者それから保険者、有識者等で議論をいただきまして、昨年の十二月に中間取りまとめを行ってございます。

 この研究会におきましては、医療情報は機微性が高いものであることから特に保護すべきであるという意見がある一方で、より質の高い医療、介護の提供や医学研究の発展のために医療情報を積極的に活用するべきであり、番号の導入は必要であるというような意見がございました。

 また、医療分野におきます番号の仕組みにつきましては、二重投資を避けつつ、番号の一意性を確保する観点から、マイナンバー制度のインフラを活用する必要がある、あるいは、医療情報の機微性を考慮し、他の分野とは容易に結びつけるべきではないというような意見がございました。

 こういった御意見を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、まずは行政機関や保険者におきましてマイナンバーの利用を一層進めていくということから、自治体間の予防接種履歴の情報連携や、保険者間の健診データの連携の実現を図るとともに、医療保険のオンライン資格確認のシステムの導入に向けた検討を取り組んでいきたいと考えてございます。

 さらに、医療機関間の情報連携や医療・健康分野の研究で活用する番号につきましては、こうしたマイナンバーあるいはオンライン資格確認の基盤を活用していくという方向で検討していきたいと考えてございます。

河野(正)委員 今検討中ということではございますけれども、マイナンバー制度を医療分野にも導入することでどれくらいの経済効果が試算されているのか、わかればお聞かせいただきたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 民間におきましてはそのような試算はあることは承知してございますけれども、政府といたしましてそのような経済効果について試算を行ったことはございません。

河野(正)委員 民間によれば三千八百億円とも試算されているようでございますが、政府は検討していないということと認識いたしました。

 診療録や支払い明細、いわゆるレセプト等をマイナンバーと連携させ、効率よい医療を行っていくことが大切なんじゃないかなというふうに私は思っております。

 患者さんにおきましても、身体的負担軽減に加え、情報不足による重複した検査などを防ぐことにもなります。重複して同じ検査あるいは類似の検査を受ける身体的侵襲が軽減できるんじゃないかなと思います。例えば、レントゲンを使うような検査でありますと、二回同じような検査をすれば、やはり余分な被曝をすることにもなります。マイナンバーで情報を連携することによって、そういったことが避けられるのかなと思います。

 患者さんにとっても有利な上に、これから伸び行く医療費を抑制していくという観点からも有効なんじゃないかなと思いますが、この点の御見解はいかがでしょうか。

山口国務大臣 先生御指摘のように、診療情報等の医療情報をビッグデータとして利活用できるように環境整備をして推進していく、これは、今お話がありました経済的な観点のみならず、実は、健康長寿を実現して、救える命を守るというふうな観点からも大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 そして、診療情報のような機微な個人情報につきましては、特段の保護措置を講じていくとともに、このような個人情報であっても、一定の匿名加工処理を行ったものについては利活用を可能とする個人情報保護法の改正法案を今国会に提出いたしておるところでございまして、また早期に御審議を賜りますようにお願いをする次第でございます。

河野(正)委員 今お答えいただきましたように、医療関係者からは、個人情報保護についてさまざまな懸念が言われております。私は、先ほど来お話ししました、ビッグデータとしてしっかりと診療情報をリンクさせておくことが、マイナンバーの活用として極めて重要ではないかなと思っております。

 医療関係者から寄せられた懸念事項としては、例えば、女性であれば妊娠中絶歴などであるとか、男女を問わず感染症の既往とか、仮に情報が漏えい、流出したら大変なプライバシーの侵害になるということは除外すべきではないかなという意見がございました。

 しかし、私は、これらも含めてしっかりとリンクさせておかなければ、感染症の既往なども大事ですし、本当の意味での有用なデータにはなり得ないんじゃないかなというふうに思っております。

 ただ、そういった懸念があるように、仮に情報漏えいというものがあった場合は厳罰を科すなど、きちんとした本当に強い情報漏えいしないような手だてをとっていかなければいけないというふうにも考えております。

 実は、内閣委員会はさまざまな所管があって、連携をしていただくということでございますけれども、マイナンバーに関しても、今回考えられている法改正については甘利大臣が担当というふうにお聞きしておりますし、データの活用とか個人情報の保護になると山口大臣ということで今お伺いをいたしました。難しい課題もありますし、今後さまざまな議論があるかと思いますけれども、国民の視点を忘れず、個人情報はしっかり守る、一方で、我が国の財政状況も鑑みて、実際に公平で実のある制度にしなければならないと思っております。

 済みません、繰り返しになりますけれども、山口大臣、そういった個人情報をしっかり守ってビッグデータとして活用していくということについて、一言いただければ。

山口国務大臣 先生の御指摘、非常に大事な話でございまして、やはり個人情報として、これは要配慮情報ということも考えておりまして、しっかりとそこら辺の保護措置を講じながら、かつ国民の皆さん方の健康保持、あるいは経済的等々、さまざまな観点から判断をしていきたいと思っております。

河野(正)委員 では、時間が来ましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

井上委員長 次に、濱村進君。

濱村委員 公明党の濱村進でございます。

 本日は、所信についての質問ということでございますが、個人情報保護法改正について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、改正するに当たって非常に大事なポイントとして、立法事実を確認していきたいというふうに思うわけでございますが、そもそも今の我が国における個人情報保護法制がどのようになっているのか、こういった大きなところをしっかり現状認識として確認した上で、どのように改正しようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

 そもそも、きょう、余り時間がございませんので、本当に基本的なところについて伺いたいというふうに思っております。

 今、現状について、日本は、欧米の諸国から比較すると非常におくれているというふうな認識もあるわけでございます。どういうことかというと、例えば、第三者機関、プライバシーコミッショナーというようなものが存在しなかったり、あるいは、個人データの第三国移転については、それについての規定をしているものがなかったり、必ずしも法整備が万全であるという状況にはないというのが現状であるというふうに思うわけでございます。

 一方で、EUあるいはアメリカと比較をしまして、どういった位置づけであるのか、今の現状認識としてどのような状況なのかということをしっかりと確認した上で、どう改正されるのか、この点をまずお伺いしたいんです。

 日本は今、EUのレベルと比較すると、例えば、EUは、外国にデータを移転するときには非常に、EUではない国については第三国と言われますけれども、そういった国に対してデータを移転するときには、その国がそれなりの保護法制があるかどうかというのを確認する。この確認についてクリアすれば、EUの十分性が得られるということになるわけでございますけれども、日本は今現状ではそのEUの十分性を得られていない、得られるレベルにないというふうに認識しているわけでございます。

 今、政府といたしまして、この個人情報保護法制についてどのように認識されているのか、現状をお聞かせください。

山口国務大臣 今御指摘いただきましたように、現行の個人情報保護法、これが制定されてからもう十年余が経過をいたしました。当初この法案の策定にも実は若干私もかかわっておりまして、当時、フランスのプライバシー保護法等々、いろいろなものを参考にしてやっていったわけであります。その後、大幅な法改正は行われておりませんが、この間、この個人情報を取り巻く諸課題が生じてきたというふうに認識をしております。

 とりわけ、情報通信技術の進展に伴いまして、制定当時には想定をされなかった方法でパーソナルデータが社会に流通をする時代が到来した。このようなパーソナルデータの取り扱いについては、消費者側はプライバシー保護の観点から慎重な取り扱いを求めておられる一方、事業者側というのは、どのような措置をとれば適正な取り扱いになるかわからないということで、利活用にちゅうちょする。まさに、個人情報の定義とその適正な取り扱いにつきまして、グレーゾーンが発生をいたしております。

 また、企業活動がグローバル化をして、国境を越えて多くのデータが流通をする社会が到来しておりまして、今御指摘をいただきましたように、我が国はEUから実は十分性認定を得ておらないというふうなことで、我が国の企業の活動にも支障が発生をいたしております。これにつきましては先生も御案内と思うんですが、例えば独立した第三者機関が存在をしないとか、お話がありました越境データ、この問題についての規制がない等々があるわけでございます。

 さらに、実は欧米においても、二〇一二年以降、環境変化に対応した制度の見直しの検討が行われております。これは、EUは、EUデータ保護規制案の制定に向けた動きもありますし、米国におきましては、プライバシー権利章典、これの法制化に向けた動きも実はございます。

 こうした状況を踏まえまして、我が国においても、これらの課題に適切に対応して、個人情報及びプライバシーの保護を図りながらパーソナルデータの円滑な利活用を促進させていく、そして、新産業、新サービスの創出を実現していくための環境整備を行う、これを目的として、今回の個人情報保護法の改正を行うというふうなことでございます。

濱村委員 今大臣からもあったとおりでありますけれども、まず保護をしっかりした上で利活用、情報の利活用でございますけれども、それを新産業あるいは新サービスにおいて活性化していくということであるというふうに理解いたしました。

 EUあるいは米国におきましても法改正の動きもあるというわけでございますけれども、日本が実はEUのレベルになかなか追いついていないというところ、先ほど大臣からもございました、第三者機関がない、あるいは越境データの規定がない、あと、ほかにも、機微情報についてなかなか、個人情報というものの定義の中に機微情報というものが定義されておらなかったり、あるいは、五千件以下の個人情報を扱う事業者については免除規定があるといったようなものがございました。こうした内容があるので、なかなかEUの十分性の認証は得られないというのが現状認識である、今の日本の現状であるということは、まず確認ができたというふうに思います。

 実は、一方で、私自身も情報サービス産業におりましたもので、いかにデータを利活用していくのかというのは非常に大事なポイントで、これからどんどん利活用について促進をしていかなければ、世界的な経済競争についていけないというか、おくれをとってしまうというのもあるわけでございます。

 ですから、しっかりとまず保護についての環境整備を行った上で、その上でしっかりと利活用をしていくということが大事なわけでございますけれども、今現状ではもう既にそのような悠長なことは言っていられないというところもあって、同時進行で行っていかなければいけないというのもまた事実であろうかというふうに思うわけでございます。

 私のところにも実はさまざまな情報サービス産業の方々から、今回の個人情報保護法改正についていろいろな御意見をいただく機会がございます。その中にも、よく言われるのが、今回の改正において定義はどのように変わるのかというような話であります。

 実は、これまでも、定義につきましては、必ずしも明確であるというふうにはなかなか言い切れない部分もあったかというふうに思います。今現状の規定を読みますと、第二条にあるんですが、「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるものをいう。」というふうに言われているわけでございます。特定の個人を識別することができるものということでありますので、必ずしも、何かしら、氏名であったり生年月日、あるいは住所とか、そういうものだけに限るというわけではないんですが、なかなかそこが明確に、まあ議論がされてきたのであろうけれども、今の定義だけだと非常に幅が広いというところがございました。

 それを今回の法改正ではしっかりと明確に規定していこうではないかということだというふうに捉えているわけでございますけれども、今回の改正においては、この個人情報の定義、どのように明確に定義をされようとしているのか、お答えいただけますでしょうか。

平副大臣 ビッグデータ時代が到来をしている中で、個人の行動、状態等に関するパーソナルデータの利活用が求められる一方で、個人情報の範囲が曖昧となっており、企業がその利活用をちゅうちょしている状況にあるという認識は、全く我々も一緒でございます。

 そのような中で、現行法の個人情報の定義に含まれると考えられるパーソナルデータのうち、特に事業者や消費者団体から明確化の要請の高かったもの、すなわち、身体の一部の特徴をデータ化したものや、サービスの利用や個人に発行される書類に割り振られたものに関し、特定の個人を識別できるものとして政令で定めるものを個人情報として明確化することとしております。

 具体的には、例えば、身体の一部の特徴をデータ化したものについては、指紋認識データとか顔認識データなどを想定しております。また、サービスの利用や個人に発行される書類に割り当てられたものについては、免許証番号や旅券などを想定しているところでございます。

 いずれも、政令を定めるに当たっては、個人情報の保護と利活用のバランスを踏まえつつ、幅広く関係者等の意見を聞きながら適切に対応してまいりたいと考えております。

濱村委員 今、平副大臣からお答えいただいたとおりで、実は個人識別符号という新たな概念が出てきているというふうにも思うわけでございますが、これは何も今までの概念を拡大する、個人情報の定義を拡大するものではなくて、それを細分化してみた、それで再定義してみた、こういうことですよねということで分類したものがそれに当たるというわけでございます。

 その上で、今御説明いただいたような、身体の一部に関する情報、あるいはサービスに付随するような番号、こうしたものについても個人情報に当たりますよということで定義をされたということであるというふうに認識いたしました。

 その上で、この個人情報、容易に照合できるものについても含まれるとしております。これは改正前からもそうだったんですけれども、これは容易照合性と言われるわけでございますが、この容易照合性について少し確認をしたいわけでございますけれども、どのような場合に容易照合性があるというふうに言えるのか、この点、まず御確認させてください。

服部政府参考人 容易照合性でございますが、当該情報を保有する事業者において、他の情報との照合により特定の個人を識別することが可能か否かにより判断するものでございます。

 例えば、それ自体は個人識別性がない情報につきまして、特別の調査を行ったり、特別の費用や手間をかけることなく、個人を識別する他の情報との照合が可能な場合には、容易照合性があると考えられます。

 具体的には、個人情報取扱事業者が、氏名、生年月日、住所、電話番号が記載された顧客リストを保有しており、これとは別に商品購入履歴のリストがある場合におきまして、それぞれのリストに共通の整理番号が付され、それをもとにある商品購入履歴が特定の顧客にひもづく場合には、容易照合性があるものとして商品購入履歴も個人情報に該当することとなると考えられます。

濱村委員 今審議官からございましたとおり、顧客リストがあって、購入履歴があって、それを容易にひもづけるような番号があれば、簡単にそれが個人情報となってしまうというわけでございます。

 実は、そういう意味では、非常に個人情報の範囲というのは広いというふうに考えておりまして、これは現行の経済産業省のガイドラインにおいても非常に広く定義をされているわけでございます。事業者の中の取扱部門がそれぞれある、その取扱部門をまたがって情報を参照できる人間がいると、それは両方を照合することができるので個人情報になりますよというふうに言っているわけでございますが、一方で、それを個人情報ではないと言い切るのは難しいというようなことも、この規定はちょっと厳しいんじゃないかというような声も事業者からございました。

 この点、恐らく、今回は、個人情報保護委員会、第三者機関としてどのように運用していくのかというのが非常に大事になってくるかと思います。引き続きまた法案審議のときに明らかにしてまいりたいと思いますが、しっかりと議論をさせていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、最初に、河野談話に基づく政府による日本軍慰安婦問題の資料収集についてお尋ねをいたします。

 戦後七十年、いわゆる日本軍慰安婦問題の解決が求められております。きょうは河野談話以後の政府による関係資料の収集状況について質問をいたします。

 政府は、一九九一年十二月より関係資料の調査を開始し、元軍人等関係者や元日本軍慰安婦の人たちから聴取を行い、一九九三年八月、慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話、いわゆる河野談話を発表しました。河野談話は、「政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。」とし、一九九六年七月には、内閣官房の外政審議室長名の通知、「いわゆる従軍慰安婦問題に関連する資料等について(依頼)」、室長名をつけて平林通知と略称しますけれども、この平林通知を発出しております。この内閣官房内閣外政審議室の業務は、現在、内閣官房副長官補室に引き継がれております。

 最初に内閣官房にお尋ねをいたしますが、この平林通知の内容について御説明いただきたい。これは現在も生きている、有効だと思いますが、その点の確認もあわせてお願いします。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、慰安婦問題について、政府といたしましては、当時、関係資料の包括的調査を行いまして、平成四年七月六日と平成五年八月四日の二度にわたり、政府として全力を挙げて誠実に調査した結果を発表しているところでございます。

 御指摘のいわゆる平林通知でございますけれども、平成五年八月四日の河野元官房長官談話にございますように、資料の収集に関心を払うものとされていることから、平成八年に当時の内閣外政審議室長名で、平成五年八月四日の政府調査結果発表後も、慰安婦問題に関連する資料や情報の存在が判明した場合には、内閣官房において公開の手続をとるため、関係省庁等において内閣官房に報告すべき関係資料に該当するか否かを適切に判断された上で、関係省庁等に対して内閣官房に報告をするように求めているものでございます。

 現在も、この通知については効力を有しているものでございます。

塩川委員 関係府省に日本軍慰安婦関連の資料があれば内閣官房に報告することを求めており、写しを送付してもらう、内閣官房は写しを保管し、公開の手続をとるということで、今も有効だということでありました。

 重ねて内閣官房にお尋ねしますが、この平林通知発出後の資料の収集状況がどうなっているか。関係省庁から提出された年度別及び関係省庁別の件数を明らかにしていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成五年八月四日に河野元官房長官談話が発表された後も、関係省庁等から新たな慰安婦関連資料と判断されたものが発見された旨の連絡は受けているところでございます。

 現時点における機関別の件数を申し上げますと、警察庁より平成八年度に二件、防衛庁、当時または現防衛省でございますけれども、平成六年度に一件、平成七年度に六件、平成八年度に十九件、平成九年度に三件、平成十年度に十一件、平成十一年度に九件、平成二十六年度に二件の計五十一件、厚生労働省、当時でございますけれども、平成五年度に一件、国立公文書館、当時でございますけれども、平成十年度に二件、国立国会図書館より平成七年度に一件、外務省より平成八年度に四件の総計六十一件の報告を受けております。

 委員御指摘の平林通知発出後ということでございますと、少し時期が特定できない報告がございますけれども、平成八年度以降の状況に限って申し上げれば、総計五十二件の報告を受けているところでございます。

塩川委員 このように、一連の文書について内閣官房に報告があったところであります。

 省庁別にまとめてお話がありましたから、年度別の推移についてがよくわかりませんでしたけれども、整理すると、平成十一年度までは各省庁からの文書もあった、それ以降は少し間があいて、防衛省において平成二十六年度に二件が提出されるという経緯になっております。ですから、生きているからこそ、昨年度、防衛省から二件という形での報告があったということにもなるわけです。

 そこで、防衛省にお尋ねをいたします。

 防衛省は昨年度、二件の資料を内閣官房に報告しておりますが、そのうちの一件は、特殊慰安施設、いわゆる慰安所を営外施設として部隊が設置、運営するための営外施設規定であります。この資料について防衛省が内閣官房に報告するに至るプロセスには、その規定が関係資料であるとの外部からの指摘もあったんだと思うんですが、その経緯について説明をしていただけますか。

武藤政府参考人 お答えいたします。

 防衛省におきましては、内閣官房からの依頼に基づきまして、平成三年十二月からいわゆる従軍慰安婦に関連する資料の調査を行ってきております。

 昨年は、今御指摘ありました営外施設規定、それからもう一件、森川史料と呼ばれるものを内閣官房に提出いたしたところでございます。

 いずれの資料も、防衛省防衛研究所の戦史研究センター史料閲覧室において、一般の方からの御指摘等を受けまして、同センターの職員が改めて確認をいたしましたところ、いわゆる従軍慰安婦関連の資料に該当するということが判明をいたしましたことから、内閣官房に提出をしたところでございます。

塩川委員 一般の方、研究者の指摘で職員が確認をしたところ、該当する文書だったということで報告をしたということであります。研究者が発見をしましたこの営外施設規定を、その関係者と我が党の赤嶺政賢議員が指摘をしたことで、昨年五月、政府によって新たにいわゆる従軍慰安婦に関連する資料として確認されることとなりました。

 昨年、このように指摘を受けて、十数年ぶりに内閣官房に資料の報告が行われた以外は、政府の関係資料の収集の努力はとまっておりました。しかし、実際には、この間に多くの関係者からの指摘もあり、日本軍慰安婦関連の資料の発掘が行われております。

 例えば、二〇〇七年の四月に、林博史関東学院大学教授は、記者会見で、慰安婦の強制を示す文書として、東京裁判で証拠として採用された文書の幾つかを公表しました。

 その一つであります、インドネシア・ボルネオ島、カリマンタン、ポンチアナック、「日本海軍占領期間中蘭領東印度西部ボルネオに於ける強制売淫行為に関する報告」という文書があります。

 この文書の中においては、一九四三年の前半に、ポンチアナック海軍守備隊司令海軍少佐ウエスギ・ケイメイは、日本人はインドネシアあるいは中国の婦人と親密なる関係を結ぶべからずという命令を発しました。当時、全ての欧州婦人と事実上全てのインド系ヨーロッパ婦人は抑留されていました。彼は、同時に、公立性慰安所、オフィシャルな慰安所を設立するよう命令を出しました。これらの性慰安所は、二種に分類することになっていました。すなわち、三カ所は海軍職員専用、五、六カ所は一般人用で、その中の一カ所は海軍民政部の高等官用に充てられました。

 このように記され、さらに、その後のページにおいて、日本人と以前から関係のあった婦人たちは、鉄条網の張りめぐらされたこれらの性慰安所に強制収容されました。海軍特別警察がそれらの性慰安所に慰安婦を絶えず補充するように命令を受けていました。婦人たちは性慰安所からあえて逃げ出そうとはいたしませんでした。というのは、彼女らの家族が特警隊、特別警察隊によって直ちに逮捕されてひどくいじめられるからでした。一例として、このようなことのため、当の少女の母親が死んだことがあります。

 これを見れば、日本軍慰安婦関係の資料であることは明らかであります。

 そこで、内閣府にお尋ねいたします。

 国立公文書館はこの文書を保管していると思いますが、いかがですか。

福井政府参考人 お答えさせていただきます。

 御指摘の資料、「日本海軍占領期間中蘭領東印度西部ボルネオに於ける強制売淫行為に関する報告」につきましては、法務省から平成十一年度に移管を受けましたA級極東国際軍事裁判記録ナンバー五十二の一部として、平成十二年四月から既に公開しているものであると承知しております。

塩川委員 公開されているように、国立公文書館がこの文書を保管しております。

 そこで、重ねて内閣府にお尋ねをいたしますが、この日本軍慰安婦関係の資料について、さきの平林通知に従って内閣官房に報告、提出をしましたか。

福井政府参考人 お答えさせていただきます。

 当該文書は、平成八年七月二十四日付の御指摘の内閣官房からの通知、「いわゆる従軍慰安婦問題に関連する資料等について」の依頼がなされた以降に移管された文書でございますので、いわゆる従軍慰安婦に関連をする資料や情報に該当するか否かにつきましては、当時、当該文書を保有する省庁等において、独立行政法人国立公文書館に移管する前に判断するものと考えております。

塩川委員 それでは、法務省にお尋ねしますけれども、法務省は、この平林通知に従って、先ほど紹介をしました文書について内閣官房に報告し、提出する、そういう作業を行ったんでしょうか。

萩本政府参考人 委員御指摘の文書が法務省から移管された文書かどうかにつきまして、実は、法務省には現時点でそれに関する記録は残っておりませんのではっきりしませんが、国立公文書館の記録のとおり法務省から移管された文書であったとしましても、現在の法務省の所掌事務に照らしまして、法務省として、再調査をするなどして何らかの判断をするですとか、内閣官房に報告、提出するですとか、そうした立場にはないと考えております。

塩川委員 先ほど、内閣府の説明では、もともと、国立公文書館に移管される前に持っていた移管元の法務省が判断するものとしているのに、法務省の方は、もう既にその文書はありません、判断する立場にありませんということで、結果としては、宙ぶらりんになっているわけですよね。

 内閣府の答弁そのものも、実際に、今言ったことは言っているけれども、今述べたように、移管元が判断しなかった場合、つまり、法務省が判断しないまま国立公文書館に移管された場合についてどうするということは言っていないわけですよね。

 ですから、その点、有村大臣にお尋ねしますけれども、今のように、こういう状況というのは内閣府の答弁にもない事態になっているわけで、そういったときにしっかりとした文書を内閣官房に報告、提出するということが必要だと思います。

 もちろん、移管以前に法務省が判断すべきものだった、このことは当然言うべきことですけれども、これだけ明白な関係資料の報告、提出を怠った法務省の責任は極めて重大だと指摘をしつつも、しかし、現実には、移管前に内閣官房に報告、提出されずに国立公文書館に移管されてしまったわけですから、移管されてしまった以上は、平林通知に従って、国立公文書館が内閣官房に報告、提出するというのは当然ではありませんか。国立公文書館の担当大臣としてお答えください。

有村国務大臣 お答えいたします。

 時系列も大きなポイントになろうかと思っております。

 内閣官房から、いわゆる従軍慰安婦問題に関連する資料等についての通知が発出された平成八年当時、塩川委員御指摘のA級極東国際軍事裁判記録を保存していたのは法務省です。その際、法務省から内閣官房に対しての報告はなされず、その後、平成十一年度に記録が国立公文書館に移管されたものと私自身承知をいたしております。

 先ほど政府参考人が答弁されたように、内閣官房から通知が発出された後に国立公文書館に移管された文書が内閣官房へ報告すべき資料等に該当するか否かについては、そもそも、当該文書を保有する省庁等において国立公文書館へ移管する前に判断されるべきものと考えております。

 なお、委員御指摘の文書は、国立公文書館において既に公開され、デジタルアーカイブであらゆる人がアクセスを持てるような状況にございます。

塩川委員 先ほどの内閣府の答弁をなぞるだけでありまして、やはり政府として、この問題について、宙ぶらりんになっているわけですから、しっかりとした対応が必要であるわけです。

 内閣官房に聞きますけれども、今のように、移管元が判断しなかった場合に、国立公文書館が受け取っていますというときに、日本軍慰安婦に関連するような資料があった場合には、これはどう対応するんですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げているとおり、資料を保管する関係省庁等において、これに該当する文書であるかということを判断いただいて、適切に対応いただくというふうに考えております。

塩川委員 ですから、資料を保管しているのは国立公文書館なんですよ。その国立公文書館において、関係者、研究者の方からそういう文書があるという指摘があったわけです。

 先ほどの防衛省の例でいえば、防衛省に対して、研究者の方から、そういう文書があるんじゃないのかということの指摘があり、それを防衛省が確認をし、結果として、内閣官房に報告、連絡をするというふうになっているわけですから、保管をしている国立公文書館そのものが判断すればいいことなんじゃないですか。有村大臣、いかがですか。

有村国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、当該文書を保有する省庁においてそもそもその記録なり資料が判断されるべきだと思っております。

塩川委員 いや、答えていませんよ。

 だから、移管元が判断しないまま、今、国立公文書館に来ているんですよ。だから、保管をしている国立公文書館が判断をすればいいんじゃないですかと聞いているんですけれども、もう一回。

有村国務大臣 そもそもここに疑義があれば、その依頼、通知を出された内閣官房において調整されるべきものでありまして、そこが調整をしていないということでございますから、我が方は現状でよろしいという認識をしているということでございます。

塩川委員 いや、内閣官房の方は、保管をしている機関で判断をするということを言っているんですけれども、それが筋なんじゃないですか。

佐々木政府参考人 基本的には、先ほど来申し上げておりますとおり、資料を保有していた、あるいは保有しておられる省庁でこれに該当するかということを判断いただいて、内閣官房としては公開のための手続をとるためにこれを受け取る、そういう立場でございますけれども、委員御指摘の資料については、既に公開をされているものでございますけれども、御質問がございますので、資料の取り扱いにつきまして調整をしたいというふうに思います。

塩川委員 しっかり調整の上、平林通知に基づいて内閣官房に報告、提出をするという手続にのっとった対応ということを求めておくものです。

 この日本軍慰安婦問題については、関係省庁で資料収集が行われました。その一つとして、もともと国立公文書館もあるんですよ。国立公文書館が保有をしている文書についても内閣官房に提出されているんです。だから、平林通知というのは、かつて実際にそういう文書を提出した官庁に対してこの平林通知を出しているわけなんです。

 ですから、国立公文書館そのものがもともと、保有する文書を提出してくださいねと言われる該当の省庁になっているわけですから、その立場で当たっていただきたい、このことを改めて申し上げておくものであります。この内閣官房における資料の収集について、引き続きしっかりとした対応をとることを求めておくものであります。

 それでは、残りの時間で、秘密保護法についてお尋ねをいたします。

 最初に上川大臣にお尋ねいたしますが、この特定秘密保護法について、政府は、秘密の恣意的な指定を防止する、適正な運用を確保するという重層的な仕組みをつくったと説明をしてまいりました。個々の秘密のチェック機関として設置をされたのが、内閣官房の内閣保全監視委員会と内閣府の独立公文書管理監であります。

 確認しますが、この内閣保全監視委員会及び独立公文書管理監、この上に立つのは、いわば指揮監督権者になっているのは内閣総理大臣その人になると思うんですが、いかがですか。

上川国務大臣 ただいま御質問をいただきました適正な運用を確保するための仕組みということでございます。

 御指摘いただきました特定秘密保護法運用の適正確保を図るための事務を公正かつ能率的に遂行するため、内閣に内閣保全監視委員会、これを設置したところでございます。運用基準にのっとりまして、各行政機関の運用状況をチェックするということでございます。

 また同時に、この適正な運用の確保という観点から、先ほど御指摘いただきましたが、内閣府におきまして、特定秘密の指定等の検証と監察を行う組織といたしまして、独立公文書管理監、そして情報保全監察室ということで設置をされたところでございます。

 内閣保全監視委員会、そしてさらに独立公文書管理監、それぞれの立場で機能するということによりまして、適正な運用を重層的に果たすという仕組みになっております。内閣総理大臣のもとでのその二つの組織をしっかりと運用し、適正な、重層的なチェックをしていく体制ということでございます。

塩川委員 内閣総理大臣のもとに内閣保全監視委員会もありますし、独立公文書管理監もあるということであります。

 一方で、内閣総理大臣は、内閣府の長であり、内閣官房の主任大臣でもあります。もちろん、安全保障会議の議長としてみずから秘密指定にかかわるのが内閣総理大臣であります。

 そうしますと、その秘密指定が適切かどうかのチェックを指揮監督するのも総理大臣ということになります。ですから、秘密保護法の適正な運用を確保する仕組みというのは、総理大臣が秘密指定したものについては、それが恣意的なものかどうかチェックするというのは総理大臣自身というのが組織上の仕組みになっているということですよね。

上川国務大臣 ただいま内閣総理大臣との関係ということで御指摘がございましたけれども、そもそも、この特定秘密の指定等の検証、監察を行う独立公文書管理監でございますが、四党合意を踏まえまして、法の施行責任を負う内閣官房から組織上並列の機関として分離されている内閣府に設置するものであることに加えまして、多くの特定秘密を指定することが見込まれます例えば防衛省でありますとか外務省と分離されております。

 そして、指定を行う立場とチェックをする立場というのを、これを全て内閣総理大臣が兼ねているというような御指摘は当たらないというふうに考えております。

塩川委員 外務省や防衛省も含めて内閣のもとにあるわけですから、それを総理する総理大臣のもとにもあるわけですけれども。

 直接関与するという点でいっても、内閣官房のもとに内閣保全監視委員会がありますが、内閣総理大臣のもとに内閣保全監視委員会がありますが、内閣官房の主任大臣というのが内閣総理大臣であるわけですよね。あわせて、別に内閣府に独立公文書管理監を置いたと言いますけれども、内閣府の長は内閣総理大臣であるわけです。ですから、結局は自己チェックの仕組みということになるわけであります。

 そこで、外務大臣の委嘱により発足し、二〇一〇年三月に取りまとめが行われた、いわゆる「密約」問題に関する有識者委員会報告書に掲載されている事例を紹介したいと思います。

 外務省にお尋ねをいたしますが、ここで取り上げる密約問題というのは、一九六〇年一月の安保条約改定時の核持ち込みに関する密約問題のことであります。

 一九八七年四月の衆議院予算委員会で、中曽根康弘総理大臣は、「安保条約及びその関連取り決めである岸・ハーター交換公文あるいは藤山・マッカーサー口頭了解というものは厳然と存在し、それ以外の秘密協定というものはありません。」と答弁をしております。しかし、実際には討議の記録というのが存在をしていたわけであります。

 外務省にお尋ねしますが、この有識者委員会の報告書においては、この点について、「何より問題は、歴代の政府答弁が安保条約の事前協議に関して日米間には「交換公文」と「藤山・マッカーサー口頭了解」しかない、と事実に反する明白な嘘をつき続けたことである。」と指摘をし、その具体例としてさきの中曽根答弁を引用していると思いますが、そのとおりでよろしいですか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の有識者委員会の報告でございますけれども、これは、外務省が行いましたいわゆる「密約」問題に関する報告書の内容を検証するとともに、米側の資料、それから関係者の聞き取りを含む調査に基づいて、当時の時代背景を踏まえた歴史的評価を加えたものというふうに承知をしてございます。

 そういう意味で、報告書そのものにも書いてございますけれども、決定的な証拠がなくとも歴史研究者として推定できることについて踏み込んだ判断が行われているというふうにされているところでございます。

 そういう前提で、お尋ねの討議の記録に関連いたしましては、今先生が御紹介になったような記述があるところでございます。

塩川委員 歴史研究者として、有識者委員会の報告書においては、総理大臣が存在する文書を存在しないと明白なうそをついていた、このことを指摘していたわけであります。

 そこで上川大臣にお尋ねしますが、このように総理大臣がうそをついていた場合に、その総理に指揮監督される内閣保全監視委員会も独立公文書管理監も、総理の指定に関してチェックできないんじゃないですか。総理のうそというのはチェックできるんですか。

上川国務大臣 先ほどの御質問に対してもお答えいたしましたところでございますけれども、特定秘密の指定が適正に行われるようにということで、特定秘密保護法におきまして明確なルールを設けているというところでございます。

 また同時に、運用の適正性の確保ということで政令やまた運用基準等を極めて詳細に定め、あるいは、仕組みということについて多層的な取り組みで適正に行われるように配慮しているところでございます。

 この特定秘密保護法に限った話ではございませんが、制度論ということで、この法律の施行にかかわる公務員が国会の定めた法律あるいは閣議の決定に従うこと、これがおよそ期待されないことを前提とするということは、これは適当ではないというふうに考えております。

 あくまで、法律や施行令、また運用基準にのっとってしっかりと対応していくということを前提とした形で、この仕組みが二重三重にされているということでございますので、このことがしっかりと運用できるようにしていくということ、これによって結果が出てくるのではないかというふうに思っております。

塩川委員 質問に答えていないんですけれども。

 要は、今、上川大臣が説明されたように、法律とか閣議決定に従うことがおよそ期待されない、そういう公務員のもとでの制度のよしあしというのは論ずるのは適当ではないという趣旨のお話というのは、そもそも、でも、法律の趣旨に反するような、大体うそをつくわけですから、成り立たないわけですよ。

 ですから、秘密を指定する立場に立つ総理大臣が過去、明白なうそをついていたという事実があるわけで、このように、総理大臣が明白なうそをつくなど悪意を持って運用されたら、そもそもチェックができないんじゃないですかということを聞いているんですが、改めてどうですか。

上川国務大臣 ただいま申し上げましたけれども、適切なチェック機関をしっかりと持って、またルールにのっとって適正に評価をしていくという、このPDCAをしっかり回していくということが非常に大事ではないかというふうに思います。

 そもそも私も、そして今いらっしゃる有村大臣につきましても、総理大臣の任命のもとにおかれまして、今のようなルールにのっとって適正に動けということでございまして、職務に忠実にこのことを、法律にのっとって対応していくということの使命の中でしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 ですから、その大もとの総理大臣がうそをついていたら成り立たないんじゃないですかということを聞いているわけであります。

 もう一つ外交文書を取り上げたいんですが、外務省にお尋ねをいたします。

 政府は、一月十五日に、中曽根元首相が防衛庁長官として訪米した一九七〇年九月の米国防長官との会談記録を公開しました。この会談記録を見ると、中曽根防衛庁長官は、国防の基本方針というのがあるわけですけれども、この国防の基本方針に関して、個人的な考え方であるが、世界の誤解を防ぎ国内のコンセンサスを維持するために核兵器は持たないと書いた方がよい、ただし米国の核兵器の導入については留保しておいた方がよいと思うと述べている。

 このように述べたという記録があるということは、そのとおりですね。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘の会談の記録は、本年一月十五日に公開いたしました外交記録公開で公開された文書だというふうに受けとめております。その中で、確かに先生御指摘のような記述があるとおりでございます。

塩川委員 一九七〇年、この会談記録の当時ですけれども、非核三原則が国是として確立をしておりました。このように、米国の核兵器の導入については留保しておいた方がよい、つまり、日本への米国の核持ち込みを容認するどころか、みずから求めている、そういう趣旨の発言となっているという点でも極めて許されないものであります。

 重大なのは、中曽根氏が、総理大臣時代の一九八二年十二月の衆議院本会議で、我が党の不破哲三委員長の追及に対し、「私が核兵器の導入を認めるような発言をしたことは全くありません。」と、ここでも虚偽の答弁をしているということであります。

 重ねて上川大臣にお尋ねしますけれども、このように、秘密の内容が明らかにされないということを盾にして総理大臣がうそをついた場合に、そもそもチェックのしようがないんじゃないのか、このことが過去のこういった具体的な事実に照らして言えると思うんですが、上川大臣はどのようにお考えですか。

上川国務大臣 今回の特定秘密保護法をまさに成立させ、そして適正にその運用を図っていくこと自体、仮に今御指摘のようなことがあったとするならば、そういうことがないように、情報の機密をしっかりと守り、また適切に運用していくという形の中で取り組んでいく。これは将来に向けてそのような方向性で持っていくべきではないかというふうに思います。

塩川委員 トップに立つ総理大臣自身がうそをついた場合にはそもそも成り立たないということこそ問われているわけで、そもそもうそをつくような政治そのものが許されないということであるわけで、このように、総理がうそをついて運用する場合に秘密指定のチェックができない秘密保護法の廃止を改めて要求し、廃案のための世論と運動を広げるために全力を挙げることを述べて、質問を終わります。

井上委員長 次に、秋元司君。

秋元委員 おはようございます。自民党の秋元司でございます。

 きょうは、本来は大臣所信、本来というか大臣所信なんですけれども、大分きょうは法案審査のつもりで質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。中身は、先般大臣の所信でも述べられておりました、今国会に改めて提出いただきましたいわゆる風営法の改正でございます。

 この改正につきましては、本来ですと、前国会で、臨時国会にも提出いただいて、そこで改正が成立する、そういう思いでございましたけれども、やむないハプニングがございまして、時間切れということになって、廃案となり、今国会に再提出をされたというものであります。

 この改正に向かっては、これまでいろいろな、これは特にダンス振興議員連盟という超党派の議連でも議論をしてきて、とにかく、今の風営法というのは余り時代に合ったものじゃないのではないか、こういったことが多く指摘をされて、議連においても一年間議論をして、本来、議員立法も提出しよう、そういう勢いを見せた流れもあったわけでございますが、政府の方で、当時は古屋国家公安委員長でございましたけれども、閣法での改正を行うということでございました。そういうことを含めて我々も議連も受けとめさせていただいたということで、ようやく今日を迎えているわけでございます。

 本来、この委員会でスムーズにというかトップバッターぐらいで法案審査してくれればありがたいと思っていたんですけれども、なかなかそうはいかないということもございましたので、早目に、きょうは少し中身について議論をさせていただきたいと思います。

 まず、きょうは大臣にお越しいただいていますので、この改正に対する趣旨と経緯について御説明をお願いいたしたいと思います。

山谷国務大臣 お尋ねの法案についてですが、三月三日、内閣から国会に提出され、今後御審議をお願いすることになっているところでありますが、ただいま御質問をいただきましたのでお答えをいたします。

 現行の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、いわゆる風営適正化法は、客にダンスをさせる営業を風俗営業として規制し、原則として、深夜においてこれを営んではならないとするとともに、風俗営業以外の飲食店営業にあっても、深夜に客に遊興をさせてはならないこととしております。

 しかし、近年、国民の生活様式の多様化が進み、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まっていることや、ダンスに対する国民の意識が変化してきたことなどを踏まえまして、政府の規制改革会議における検討の結果、ダンスに係る風営法規制の見直し等が盛り込まれた規制改革実施計画が昨年六月に閣議決定されました。

 これを受けまして、警察庁においては、外部の有識者から成る研究会から規制の見直しに関する提言を受けつつ、超党派のダンス文化推進議員連盟の議論も踏まえて、風営適正化法の改正について検討を行ってきたところであります。

 こうした経緯を経まして、ダンス自体に着目した規制を改め、客にダンスをさせる営業の一部を風俗営業から除外するとともに、特定遊興飲食店営業の制度を新設し、深夜に客にダンス等の遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる営業を許可制のもとで認めることを内容とする改正法案を今国会に提出したところであります。

 この法案は、ただいま申し上げたとおり、各方面から関心が高いものでございまして、ぜひとも今国会で成立させていただくようお願い申し上げます。

秋元委員 今大臣から経緯をお話しいただきました。本当におっしゃるとおりでございまして、この議論をさせていただきますと、大体の方は、えっ、ダンスというのは風営法なのとまず言われるわけですよ。そして、スポーツの一環でも行われている社交ダンス、ダンスホール、これも、別に飲食を伴わないダンスホールですらも、今現在は風営法の範疇に入っているわけでございまして、誰が見ても、えっ、ダンスが何で風営法なのかという疑問の声がずっと近年あり、今回の改正になったということだと思います。

 今回、警察も大分頑張っていただいた、私はこれは非常に評価をさせていただきたいと思っているんです。といいますのは、長年ずっと議論してきた中で、警察も、この件は改正とみずから踏み切っていただくということが、関係各位、いろいろあってなかなか難しいと言われる中でも、昨年夏に方針を、やろうということを決めていただいたら、夏休み返上で研究会をつくってもらって、そして秋には法案提出をしていただくという、大変すばらしいスピード感を持って今回踏み切っていただいた。やはりやればできるんだなということを改めて感じさせていただく場面でもございました。

 ぜひ中身のあるものに、中身は当然あると思っておりますけれども、今後はこの運用について、本当に適正かつ、そしてまた、今回、この改正ではちょっと重い、これまでと違う、刑事罰まで大分科されているという部分もございますから、運用の面について少しきょうは確認をさせていただきたいと思います。

 といいますのは、今回、この風営法の法律そのものに書かれている部分と、そして、やはりこういう法律の特質上、いわゆる国家公安委員会規則でこの法律が通った後定めていただいて、それをもって運用していただく部分が多くて、大体風営法に絡むような中身というのは、どのように運用されるかというのが一番ポイントでございますので、そういったことをなかなか法案審査の過程ではできない部分があるので、今改めて、その規則についても、今後どういったことを予定されているのかということを含めて、幾つか質問をさせていただきたいと思っております。

 実は、この議論をするときに、私が所属している議連がダンス文化振興議連ということでございましたから、ダンスに関することということで議論を始めたんですけれども、現在の法律のたてつけは、今大臣からも御説明いただきましたけれども、要は、遊興全般がかかっていて、遊興自身を深夜行うことが禁止というふうにされているわけであります。

 遊興というのは、言葉ではありますけれども、では遊興って何なのということを言われるんです。

 一般的な感覚からいうと、例えば、深夜、カラオケボックスは世の中にあって、誰もが楽しんでいる娯楽の一つだと思いますけれども、カラオケボックスはこれは風営法の範疇じゃないわけですね。同じ歌う行為なんですけれども、では遊興とカラオケボックスは何が違うのかとか、よくこれは多くの皆さんから、議連の中でも指摘をされたわけでございます。

 遊興というのは、一般的に言うと、働きかけをして、例えば同じカラオケで遊ぶという行為であったとしても、カラオケの機械が目の前にあって、それをお客さんがみずからの意思でとる分には遊興じゃないけれども、店側がカラオケをどうぞと言ったらこれは遊興になるとか、そういったことが遊興と遊興じゃないことの違いだということをよく私も聞かされたわけであります。

 今回の法改正も含めて、改めてこの遊興の定義について問いたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 遊興という用語でございますけれども、先生ただいまおっしゃいましたとおり、一般的には遊び興じるという意味でございますけれども、法律上、この遊興という用語は現行法でも既に使用しておりまして、風営法の中で規制の対象となっております遊興といいますのは、営業者の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為に限られるというふうに解釈しております。

 具体的には、音楽を流して不特定の客にダンスをさせる行為ですとか、不特定の客にダンス、ショー、演芸等を見せる行為ですとか、歌、バンドの生演奏等を不特定の客に聞かせる行為、あるいは、喉自慢大会等の不特定の客が参加する遊戯、ゲーム、競技等を主催する行為などがこれに該当するというふうにされておりまして、こうした解釈は警察庁のウエブサイトでも公表しているところでございます。

秋元委員 ですから、今回の改正は、確かにダンスということが、マスコミ、メディアはそれをクローズアップされますけれども、要は夜の遊興が深夜営業ができるようになったという、実は大きな、我が国としては画期的な改正だということを私は皆さんに認識していただきたいと思っているんです。

 といいますのは、日本の文化、確かに夜というのは、今現在もそうですけれども、基本的には寝るものだ、一般的に、昼働いて夜寝る。しかし、御存じのように、時代の変化によって、また仕事の働き方もいろいろありますから、当然、夜働いて、そして夜、仕事が終わって、そこからまた自分のプライベートな時間もある。

 そういった時代が進んでおりますから、何でもかんでも夜を全て閉めちゃうと、これは非常に町としても寂しい町になってしまったり、そしてまた、今後オリンピックもやってくるということになって、外国から来たお客さんも、何か夜は日本の町は寂しいんだねということになって、これはまた観光立国を目指す我が国にとっても決して魅力ある町とは言えない可能性もあるわけでございますから、そういった面で、遊興が悪という、そういった今回の改正だということを多くの皆さんに御理解をいただき、また知っていただきたいなということを、改めて私はこの場できょうは話をさせていただきたいと思います。

 今おっしゃっていただいた遊興なんですけれども、ダンスだけじゃなく、今お話があった喉自慢みたいなものだとか、もしかしたら生バンドみたいなもの、よって、いわゆるジャズバーみたいなところも、今現在は当然、深夜営業ができないわけでありますけれども、これによってできるようになっていくということであると思います。ですから、非常にこれは日本にとって、遊興が持っているいろいろなポテンシャルをもっともっと引き上げることによって、成長戦略ということにも資するんだなということを思うわけであります。

 ただ、遊興ができるからといって自由に何でもかんでもできるわけじゃなくて、やはりそれは当然規制があるわけであります。

 現在の風営法の改正では、ダンスをさせる、遊興をさせるという行為のみでいろいろとやっていたものが、今度は、行為規制というよりは、むしろ、それに対する周りの環境でもってある意味規制していこうというポイント。

 例えば、店の中であれば、照度、明るさですね、明るさが暗いのか明るいのか、これによって一つ規制のモードが入ったり。もう一つは、ダンスにおいては、客室面積が五十数平米がこれまでの許可基準だったわけですけれども、それだと、例えば東京みたいなところはなかなかそういう大きなスペースがとれないということもあって、許可をとらない、そういったいわゆる潜りみたいな店も大分あちらこちらにできている、そういったこともよく聞かれるわけであります。

 そういったことも含めて、今後、この運用の中でより議論していかなくちゃいけない、時代が進めばいろいろと議論をしていかなくちゃいけないわけでありますが、店の中の照度なんですけれども、今現在の法律でも、実は、風営法の第五号であれば、十ルクス以下の暗さであれば、これはもう既に風営法の枠に入ってしまうという、それが今の法律です。

 ですから、実は、今回改正したとしても、ダンスということについて、遊興全般をより分けたとしても、風俗営業の一号から八号から仮に今回外れたとしても、店が十ルクス以下であれば、これは低照度ということになるから、結局、風俗営業のカテゴリーから外れないということになってしまうわけなのです。

 そうすると、ダンスを演出するようなそういうホールなんかは、当然、暗い瞬間もあったり、もしくは明るい瞬間もあったり、いろいろな演出効果の中で場面があると思うんですけれども、照度をはかる測定の仕方とか、そしてまた客室の面積要件とか、この法律においてどのように規定され、そしてまた、今後運用の中で、国家公安委員会規則の中でもどのような方針を打ち出そうとしているのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 照度の測定方法につきましては、現行の風営適正化法施行規則第二十九条でございますけれども、ここにおきまして、例えば、食卓等の飲食物を置く設備がある場合はその上面、食卓等がない場合は、椅子があればその座面、座るところ、椅子がなければ客が通常利用する場所の床面などで測定する旨が定められているところでございます。

 他方、客に遊興をさせる営業におきましては、演出のために照度を下げる必要があることが一般的でございます。このため、この改正法案が成立した場合には、その後、風営法の施行規則で照度の測定方法を定めることとなるわけでございますけれども、これを定めるに際しまして、現在、以下の二通りの業態につきまして、所要の配慮を行うことを検討しているところでございます。

 その一つ目は、いわゆるクラブ、ナイトクラブのように、客に遊興をさせる部分で常に照明の演出を行う業態でございます。これにつきましては、原則といたしまして、遊興をさせる部分は照度の測定の場所とはせずに、飲食のための客席のみで測定をいたしまして、客席が常に十ルクス超であれば低照度飲食店には当たらないとすることを一案として考えております。

 ただ、その例外といたしまして、客席を極端に小さくいたしまして、店内のほとんどを暗くするといういわば脱法的な営業、これを防ぐために、飲食用の客席の面積が客室全体の面積の一定程度の割合以下となる場合には遊興をさせる部分も測定することをあわせて検討しているところでございます。

 それから、もう一つの形態でございますが、いわゆるショーパブのように、ショーの上演中に、ステージの方は明るくして、飲食のための客席の方の照度を下げるというような業態がございます。これにつきましては、営業時間の半分以上客席の照度が十ルクス超であれば低照度飲食店には当たらないこととするというようなことを一案として考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、照度の規制のあり方につきましては、営業実態を踏まえた実質的なものとなりますよう引き続き検討を進めるとともに、改正法が成立した場合には、照度の測定方法を施行規則で具体的に規定し、適切な取り締まりが行われるよう都道府県警察を指導してまいりたいというふうに考えております。

 それから、面積についてお尋ねでございますけれども、現在、委員おっしゃいましたとおり、ダンスをする営業につきましては、六十六平米という最低の基準がございます。これは、ダンスをする営業だからダンススペースが要るだろうというようなことで昔から定まっているところでございます。

 このたびの改正法案におきましては、特定遊興飲食店営業、深夜におきまして酒類を提供して飲食させる、そしてダンスなどの遊興をさせるという営業でございますけれども、これの営業所の面積の基準につきましても、国家公安委員会規則で定めることといたしておりますけれども、この際、余りにも小規模の店舗を認めますと、狭い客室の中でいかがわしい行為が行われるおそれというものがあります。

 他方で、ある程度規模の小さい店舗を認めなければ、かえって無許可の営業が横行するおそれというものもあるのでございまして、この双方の観点を踏まえつつ、適切な基準を定める必要があろうかと思います。

 また、面積の基準を定めるに当たりましては、この特定遊興飲食店営業につきましては、風俗営業と違いまして、客への接待というものはできないわけでございます。したがいまして、そのことに留意する必要があろうかというふうに考えております。

 接待は特定の客を対象として行うものでございまして、これを行います風俗営業におきましては、洋室の客室面積について、十六・五平米、畳で十畳でしょうか、それ以上という基準があるところでございます。

 特定遊興飲食店営業におきましては、先ほど申しましたとおり、遊興をさせている中で接待の形になってしまうといけないということもございまして、接待に該当しないようにするために、不特定の客を対象としたサービスを提供していただく必要があることから、少なくともこの十六・五平米の二倍程度の客室面積が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 以上のようなことを踏まえまして、この改正法案が成立した場合には、例えば、特定遊興飲食店営業の客室面積を三十三平米以上とすることを国家公安委員会規則で定めることが一案として考えられるかというふうに現時点では考えているところでございます。

秋元委員 ありがとうございました。

 本当に、照度が大分ポイントになると思うんですよね。ダンスホールについてもそうですし、例えばライブハウスなんかの遊興スペースもそうでありましょう。この照度、光の演出が多分店にとって非常に大事な要素になるので、これは多分、多くの業界の皆さんも関心を持たれていたところと思います。

 その整理として、ダンスフロア、踊るスペース、もうここははからない、ただ、飲食をするスペースだけは十ルクス以上に保ってもらうという、このすみ分けを運用においてしっかりやっていただくということが非常に大きな改正の前進だというふうに、ここは私は評価させていただきたいと思っています。

 衛生的にやるところは、それは徹底的に取り締まってもらわなくちゃいけませんけれども、ただ、問題は、その境というのが非常に、店のつくり上、光というのは別に壁があるわけじゃないわけなので、ここをどのようにして、意地悪をしたはかり方をすれば暗いという判断になってしまうでしょうから、今回は本当に、照度によって刑事罰が科される、そういう法律のたてつけになっておりますので、ぜひこの辺の運用をしっかりやっていただいて、適正な運用をここはぜひお願いしたいと思います。

 あと、今回、法改正がなされた後、今の法律では十二カ月以内に運用を始めるということが入っておりますけれども、実は、この風営法の許可をとる店というのは、許可になるまでのハードルが非常に大変なんですよね。

 というのは、当然、施設そのものに対して事前にチェックをするというよりは、全部営業ができる形に設備が終わった後、そして、公安委員会に行って、公安委員会からそこに調査に来てチェックをして、それからしばらくたってから許可がおりるという形になりますから、一般的に五十五日間で許可が出るというふうに言われていますけれども、場合によっては、何か二カ月も三カ月も待たされちゃってなかなか許可がおりないということもあるように聞いております。

 そうするとどうなるかというと、その間営業ができないということになっちゃって、下手すると、大きいホールであったら、家賃を三カ月間ずっと払ってはいるけれども、結局営業はできないから、三カ月間、場合によっては四カ月間、準備からすると下手すると半年間ぐらい、全く資産凍結されたまま許可がおりるまで待っている、そういったことにもつながっているということをよく聞きますので、ぜひ、この申請、許可取得の期間について、警察の方も、公安委員会も大変だと思いますけれども、スムーズな審査をして、五十五日でしっかり出るような体制をとっていただきたいと思います。

 また、今回、法改正して移行する期間、改正してから運用までが、一年以内にやるということでありましょうけれども、当然、今風営法の許可をとってやっている店は、この特定遊興に、もしこの法律が通るのだったら、自分たちはその許可をとって深夜営業も酒類提供もやりたいという希望者が出てきた場合には、スムーズに移行していかなくちゃいけないんですけれども、そのための対策としてどのようなことを考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思います。短くて結構でございますから。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 施行までのスムーズな移行ということでございますけれども、特定飲食店営業の制度は改正法の公布から一年を超えない範囲内において政令で定める日から開始がされますけれども、当該営業の許可申請につきましては、公布の日から九月を超えない範囲内において政令で定める日から認めることといたしておりまして、施行前に時間的余裕を持って申請がなされれば、申請内容に特段の問題がない限り、施行日から当該営業を開始できるよう配慮しているところでございます。

秋元委員 ありがとうございました。

 それで、ここからもう一つ大事な要点なんですけれども、今まで我が国のいわゆる公的な金融機関だとか、例えば保証協会だとかいうのは、こういう風営法の法律、特に風俗営業のカテゴリーに入っている業態というのは一切融資が受けられない、これが今の現状だったんですけれども、今回、この法改正によって、いわゆる風俗営業のカテゴリーからはダンスホールもしくはクラブという、また法改正した後は特定遊興という新しいカテゴリーに入っていくと思うんですけれども、そうなった場合、いわゆる公的な金融機関からのサービスというのはどのようになっていくのか。きょうは経産省からお越しいただいていますから、その辺、お答えいただきたいと思います。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業向けの公的金融機関でございます日本政策金融公庫、商工中金及び各信用保証協会におきましては、中小企業政策の目的などを踏まえまして、風俗営業法の対象業種の一部につきましては、従来から貸し付けや信用保証の対象となる場合もあるところでございます。

 まず、ダンスホールなど単に客にダンスをさせる営業については、これまでも貸し付けや信用保証の対象としておるところでございます。また、ナイトクラブなど客にダンスをさせ、かつ客に飲食をさせる営業のうち、食事の提供を主目的とする場合など、公序良俗に反するおそれが少ないと認められる場合についても、貸し付けや信用保証の対象としているところでございます。

 こうしたナイトクラブなどに対する今回の風俗営業法の改正案の成立後の取り扱いにつきましては、中小企業政策の目的や公序良俗の観点、あるいはこの法改正の趣旨などを考慮しながら、しっかり検討してまいりたいというふうに考えております。

秋元委員 しっかり検討ということでございますので、健全な形であれば、これはぜひ公的な融資のサービスというものも前向きに検討していただきたいと思います。これは、これから法改正した後、財務当局とのいろいろな議論があると思いますので、しっかり前に進めていただきたいと思います。

 今回の改正によって、ダンスが好きな人、こういった文化を楽しみたい人にとっては万歳ということなんでしょうけれども、一方で、こういった店ができるのは大体町の繁華街、中心だと思います。しかし、日本の場合は、残念ながら、繁華街と住宅街がもう表裏一体、本当に狭いスペースの中で混在しているということもあって、当然、町づくりを進めていくという皆さんの観点、またはきれいな町をつくっていかなくちゃいけないという方からは、実は一方で非常に懸念の声もあったのも事実でございます。

 特に、一番危険なのは、いわゆるクラブというところに入って遊んで、その後、今現在は十二時で終わるわけですから、出てくる。そのまますぐ帰ってくれればいいんですけれども、大体、その中で楽しんだ人は余韻というものが残るので、道端にずっとごろごろ座っちゃって、たむろしている。たむろしているのが世間から見れば怖いというふうに映ったり、場合によっては、ずっとそのまま延長で、店は終わっているんでしょうけれども、今度は、コンビニエンスストアでお酒を買ってきて、朝まで座っちゃって、そして小学生が通行するのに何かたむろしている。

 こういう風景は、本当に町としてはいかがなものなのかなということが常に指摘をされていたのも事実だと私は思いますので、やはり、きれいな町を残していかなくちゃいけないということと、そして、当然、ごみはしっかり、提供側の店も含めて一体として、お客さんもそうです、遊ぶ方についてはちゃんと自己責任でそういったことも、モラル、マナーを守っていただきたいということも含めて、今後、こういう文化を発信する町と、そしてきれいな町をつくっていく、やはりこの両方を我が国は目指していかなくちゃいけないと思いますけれども、そのための対策として、いわゆる風俗環境の保全について、どのような対策を警察として設けようとしているか、お答えいただきたいと思います。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員からお話があったとおりでございまして、やはり、町の人たちと一緒になって町をつくっていただくというような観点で、新しい事業者の方々も取り組んでいただく必要があろうかというふうに思っております。

 その一つとして、今回の法律では、事業者、地域住民、警察署長等から成ります風俗環境保全協議会というものを条例で設置することといたしておりまして、その場でいろいろ協議をしていただきながら、いい町をつくっていただければというふうに期待しているところでございます。

秋元委員 終わります。

井上委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 きょうは、IT担当大臣、山口大臣を中心に、IT、ICTの観点から御質問させていただきたいと思います。主に個人情報保護法を、主にというかほとんど、ビッグデータの推進の観点からお聞きしたいんです。

 その前に、きょうは大臣の所信質疑でもございます。私は、実は郵政省出身、総務省の出身で、二十年以上、ICT、ITの分野をずっとやってまいりました。この内閣委員会でもITの分野を中心にぜひ質疑をしたいと思っていますが、最初に、大臣の基本的な所信というか決意を改めてお聞きしたいと思っております。IT分野です。

 というのは、私は、この二十年間を見ておりまして、IT分野というのはなかなか進んでいないなと思います。私が郵政省に入ったころ、一九九三年、平成五年ですが、まだインターネットはありませんでした。そこから今のこの時代、時代は確かに進んでいるんですね。ところが、世界の民間企業でいうと、今、アメリカの時価総額トップスリーといったら、グーグル、マイクロソフト、アップルであります。しかし、では、我が国はどうかというと、決してそんな状況にはなっておりません。

 そして、行政の方でもいろいろ取り組んでこられました。二〇〇〇年のころ、IT基本法ができて、IT戦略本部ができた。IT、ICTというのは、いろいろな分野にまたがることでありますから、私がかつていた総務省だけが頑張っても難しい。やはりいろいろな省庁にまたがります。

 一方で、ICTというのは手段であります。いろいろな問題を解決できる。少子高齢化、あるいは防災対策、災害対策、地方創生、農業再生、そういったさまざまな分野を解決する手段でもあります。そういう観点で、いろいろな省庁を束ねてやっていくための強力なリーダーシップというのが必要だと思います。

 IT担当大臣というのは、代々おられるんですけれども、実はいろいろな大臣を兼務されている方が多くて、あるときのIT担当大臣は十も担当大臣を兼務されていて、自分がIT担当大臣であることすら認識されていなかった、そういうときもありました。今、山口大臣は決してそうではないと思います。それから、政府CIOが民間から遠藤さん、これは大変すばらしいことだと思っていて、ぜひ私は、遠藤CIOにもこの委員会にお越しいただいて、直接議論させていただきたいと思っております。

 きょうは、今いろいろICTに対する私の思いを申し上げましたけれども、ITに対しては大変造詣の深い山口大臣が就任されておりますので、大いに期待をしているんですけれども、一言、ちょっと決意というか思いをお伝えください。通告していないんですけれども、申しわけございません。

山口国務大臣 ありがとうございました。

 先生が入省をなさったのが一九九三年ということで、実は私も国政に上げていただいたのが九三年で、その後、郵政政務次官をやったりして、恐らくどこかで接触もあったんだろうと思いますが、私も結構この世界をずっとやらせてきていただいたという思いもございます。

 おっしゃるとおり、当初は、某総理がITをイットと言ったり、いろいろなことがありました。当時、アメリカがハイウエー構想等々をやる中で、やはり基盤整備もしっかりやっていく必要があるんだろうということで、当初はいろいろな制度をこしらえて、ともかく光化しようというふうなことで一生懸命やってきました。

 ただ、そういう過程の中で、やる気のある市町村等々は、例えば私の地元に神山町というのがあるんですが、引いた途端、利活用に進んでいくわけですね。ところが、宝の持ち腐れみたいな部分もあったりして、全体としてはなかなか思ったとおりには進んでおらないなということがあるわけです。

 当時、先生も御記憶があると思うんですが、IMT二〇〇〇というのをこしらえたと思うんですね。これからの総合戦略ですよ。すごくうまくできた計画で、ほぼそれにのっとってやってきたなという感じがあります。そういう中で、例えば電波に関しては、MVNO等を中心にして、恐らく日本が世界最高水準なんだろうと思うんですね、業者も含めて。

 そういったこともあるんですが、ただ、これまでの経緯の中で、総務省の部分、あるいは経産省がやっていますね、国交省がいつの間にか光ファイバーを引いていましたね、農水もやっていますね等々いろいろあるわけで、これをやはりしっかり束ねていくということが、横串を刺していくということが非常に大事なんだろうと思います。

 先般も民間のある方に聞きますと、環境はできてきているんだけれども、民間の利活用について、まだまだこれは本当に寂しい状況だというふうなお話もありました。

 そこら辺も踏まえながら、当然、私の方としては、内閣府としては、いわゆる司令塔機能ということでしっかりやっていくということでありますので、CIOとも協力をしながら、これがまさに利活用の面でも最先端を行くような格好で、しっかり頑張っていきたいと思います。

高井委員 ありがとうございます。全く通告していなかったのに、大変すばらしい、力強い御答弁をいただきました。

 本当に、先ほど、IT担当大臣がかつて認識していなかった大臣がいたというんですけれども、これは十も兼務して忙しかったということと、あと、それがゆえに事務方がほとんど大臣のところに入れなかった、説明に行く時間がなかったということが原因だと思っています。

 そういう意味では、大臣におかれては、事務方とあるいは遠藤CIOとはぜひ密接に、本当にこのIT、ICTというのは我が国の産業にとっても最も重要な産業でありますし、かつ、社会変革を起こす、先ほど言ったさまざまな課題を解決する大変重要な、しかし、我が国は諸外国に比べればおくれている、まだまだ利活用の面ではおくれていると私は思いますので、大臣の強力なリーダーシップをお願いしたいと思います。

 きょうは、実はこの後は個人情報保護法のことをかなり細かいこともお聞きするんですが、大臣所信の質疑でありますから、最初に大臣のお考えを聞かせていただきました。

 それでは、個人情報保護法が先般閣議決定されて、この委員会にも間もなく付託されるのではないかと思いますが、個人情報を保護する、守るという観点がもちろん大事ではありますけれども、しかし一方で、今申し上げたIT、ICT、ビッグデータ、パーソナルデータを活用していくという観点からも非常に大事な法律であります。

 今回、法律の「目的」に、こういった個人情報を適正かつ効果的な活用をするということが新たな産業の創出にもつながるんだという一文が入った、これは私は大変画期的な、すばらしいことだと評価をしています。しかし、その条文が入ったとはいえ、大事なのはその中身でございますから、ぜひこれからちょっとお聞きしたいと思います。

 実は、この法律の一番の肝は、個人情報の定義だと思います。今まで、この個人情報というものが非常に曖昧で、グレーゾーンが多くて、そしてグレーゾーンであると、民間企業は、では、何かやろうと思っても、いや、これは個人情報保護法にひっかかってしまうおそれがあるから、やはり疑わしいときはやらないでおこうとちゅうちょする、萎縮する、そういうことがあった。

 それを何とか明確化して改善しようという法律なのでありますが、実は、これからいろいろ質問をしますけれども、かなり大事なことを、政令や省令、規則、これからできる個人情報保護委員会の規則で決めるという構造になっています。

 しかし、規則で決めますといって先送りしてしまうと、そもそも法の趣旨そのものにかかわるような大きなテーマも、いや、それは政令で決めます、委員会規則で決めます、こういうことになってしまうと、そもそもこの法律の審議そのものも成り立たなくなるし、また関係事業者の方を中心に非常に不安が残る、そして委員会の質疑も十分なものにならないと思います。

 そういう意味では、きょう、あるいはこれから個人情報保護法の審査に入るときに、それは政令で決めますからとか、個人情報保護委員会というのがこれからできて、そこが決めることですから私は知りませんという答弁は、ぜひ、できるだけしないでいただきたい。それは、言ってみれば、今の大臣が、一年先に決めることは次の大臣が決めることですから、私は答弁できませんと言っているようなことに近いことではないか。

 やはり、今この法律を出している大臣は山口大臣であり、事務方の皆さんでありますから、今の法律の責任において答弁をしていただきたいと思いますが、これも通告していないんですけれども、大臣、それも、ちょっと決意というか、述べていただけませんか。

山口国務大臣 先生がおっしゃるとおりだろうと思います。私も、かつて野党のときに、政令で決めるというのはおかしいんじゃないかというふうなお話をしたこともございます。

 ただ、この問題に関しては、もう御案内のとおりで、結構広範囲、あるいは詳細にわたる、あるいは事業者の皆さん方のいろいろな御意見もございます。ですから、そういった皆さん方のお話も十分聞きながら、詳細については、委員会とそうした方々とのいろいろな議論といいますか対話の中でこしらえていくという部分も大事でしょうし、恐らく認定事業者のガイドラインというふうな話もあるんだろうと思いますので、できるだけお答えできる範囲でお答えはしていきますが、先生も御案内のとおりでございますので、そこら辺は御理解をいただければと思います。

高井委員 ありがとうございます。

 私も役所出身でございますので、やはり事務方というのはどうしても守りに入りがちというか、大臣からそういう決意、方針を出していただけると、もう大方決まっている、もちろん詳細なことはお話しできないとしても、方針としてはこういう方針で、現行法をつくったメンバーとしてはこういう思いで政省令も決めていくんだという方針はあるわけでございますから、やはりそこは、詳細でなくても結構ですから、方針という意味では今回の質疑でしっかりと述べていただきたい。

 細かい質問をするので、事務方の方が答えたり、資料は事務方がつくることが多いと思いますけれども、そこはひとつ大臣も、そういう方針でしっかり答えていこう、そしていろいろな方の疑念をできるだけ少なくする法案審議にしていこうということを御協力いただきたいと思います。

 それで、具体的な質問に入ります。これは通告をしております。大臣にお聞きをいたします。

 先日、私は、予算委員会の分科会で大臣にお聞きをしました。そして、まさに、政省令をつくるに当たって民間企業の意見を聞いてくださいますかというのを聞いたら、大臣からは、ルールの策定に当たりまして、民間企業の皆様の意見聴取をしっかり行っていくというふうなことも実は想定しておるわけでございますという御答弁をいただいているんですが、では、具体的にどのくらい想定しているのかということで、もう少し突っ込んで聞きたいと思うんです。

 この民間の意見を聞くということは、規則を策定するに当たっては、技術や社会の進展、特にこのICTというのは非常に速い分野でございますので、そういった進展に対応するには、やはり民間の自主規制、民間がやる自主規制というのを最大限活用していく、そういう方針と考えてよろしいんでしょうか。

 具体的に言うと、規則の策定とか、マルチステークホルダー。マルチステークホルダーというのは、いろいろな関係者が寄り集まって物事を決めていく、そういった仕組みづくり。あるいは、認定個人情報保護団体というのができますけれども、それが定める指針などに、こういった民間企業や団体に一定の役割を与える、そういう理解でよろしいでしょうか。

山口国務大臣 お話しいただきましたように、個人情報の取り扱いというのは、情報通信技術の進展が著しい分野でありますことから、先ほども申し上げましたけれども、規制の制定を含む法の運用のあり方を検討するに当たりましては、当然、民間の方の自主規制に委ねることが必要な部分も多々あろうかと思っております。

 このような認識のもとに、今御指摘いただきましたように、民間の自主規制の活用とか、マルチステークホルダープロセスの考え方につきましては、事業者一般に共通するルールについては規則において定めるというふうなことにいたしますが、事業の特性等に応じたさらに詳細なルールについては、さっき申し上げた、認定個人情報保護団体が定める個人情報保護指針が活用されるということを期待いたしております。

 また、今回の改正におきまして、当該指針を定める際には、消費者を代表する者その他の関係者の意見を聞くように努めることというふうなことにもされておりまして、今回の法案につきましては、法の運用のあり方につきましては、個人情報保護委員会が全てを一律に定めるというのではなくして、ビジネスの実態を踏まえた民間の事業者等の意見を生かす点を十二分に考慮させていただいておるというふうなことでございます。

高井委員 今、消費者保護団体その他の団体の意見を聞くと。それは法律にそうなっているんでしょうけれども、まさに、その他のところが非常に大事だと思っていまして、消費者団体、個人情報保護が心配だというその方の意見は今までも十分聞いてきた経緯があると思うんですが、IT業界を中心に企業の意見というのがなかなか、事務方は聞いているよとおっしゃるかもしれませんけれども、やはりまだまだ不十分だと。そこはやはり大臣のリーダーシップで、ぜひ、そこはよくチェックして、しっかり聞けているのかというところは見ていただきたいと思います。

 今大臣がおっしゃったように、統一的な規則はいいんですけれども、本当に、この分野はさまざまな分野にまたがっていて、その規則を余り、統一規則をはっきりしたもの、大きなものを決めてしまうと、個々の分野に非常に足かせになる。この後の質問で申し上げますけれども、そういうことが非常に起こりやすい、起こる可能性、おそれがある分野でございますので、ぜひしっかり大臣にチェックしていただきたいと思います。

 続いての質問は、この法律の運用について。

 個人情報保護委員会が今度できますけれども、それが民間企業と連携する仕組みが必要だというふうに思っています。

 その中に認定個人情報保護団体というのができるわけですが、その役割というものにどういったものを具体的に想定しているのか。そして、認定個人情報保護団体がそれぞれの個人情報保護事業者を管理する上で、やはり一定の権限を委任していただかないとなかなか難しい、事業者にとっても認定個人情報保護団体に参加しようというインセンティブも生まれないわけでございまして、そういった権限をある程度委任していただけるということでよろしいでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正におきましても、認定個人情報保護団体に行政の有する権限そのものの一部を委任するというふうにはなってございません。

 ただ一方で、例えば今回の改正により新設いたします匿名加工情報の作成方法に関しましては、個人情報保護委員会規則で一律に定めることは基本的には困難な部分がございますので、その部分につきましては、詳細なルールを認定団体が個人情報保護指針として定め、その監督を行うこととしております。

 具体的に申しますと、認定団体は個人情報保護指針につきまして個人情報保護委員会に届け出るとした上で、認定団体が、その当該団体に所属する事業者に対しまして、当該指針の遵守に必要な指導監督などを行わなければならないというふうになっているところでございます。このように、個人情報保護指針を認定を受けた団体が定めてその遵守について責任を負うというふうなものにすることによりまして、認定団体によります監督機能の重要性が高まるというふうなことから、インセンティブにもなるのではないかというふうに考えてございます。

高井委員 その辺もやはり非常に大事なところでございますので、向井審議官、ずっとこの法律に携わってこられたと思います、よく御承知だと思いますので、ぜひそこもしっかりお願いいたします。

 先般、予算委員会の分科会で向井審議官にお尋ねして、個人情報保護の定義について、携帯電話の携帯番号、それから携帯端末のIDとかあるいはIPアドレスといったものが該当するんでしょうかという質問に対しては、向井審議官からは、該当しないという答弁をいただいております。

 ただ、端末IDとかIPアドレスというのは非常に数がたくさんありまして、例えば端末IDだと十数個種類がある、その十数個の種類をどう組み合わせるかによって、組み合わせ次第によっては、個人が特定されてしまう、個人情報になり得るというふうにも言われています。

 そうすると、例えばどの組み合わせをどうやったら、十幾つある、どう組み合わせたら、この場合は個人情報になるんだみたいなことを政府が一つ一つ全部、規則や政令で決めるんだろうかと。そして、それはどう組み合わせるかというのも、それぞれの業界ごとに、例えばゲーム業界であったり携帯業界であったり、皆違うわけで、そういったものは認定個人情報保護団体に任せるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 携帯端末ID等の話につきましては、これ単体を含むことにより個人情報となるような規定を今回追加したところでございます。

 したがいまして、複数ある場合は、容易照合性の方にまた戻るのかなというふうには考えておりますけれども、複数ある場合に、要するに、それが容易に照合できる複数のIDをもって個人が特定できるかどうかという問題に帰するのではないかと思いますが、それを全てガイドラインで書き切ることは基本的には不可能だと思っております。したがいまして、こういう場合、認定個人情報保護団体あるいは民間事業者の団体等が個人情報保護委員会に、事前相談に応じることや指導等を行うことになってございます。

 したがいまして、そういうふうなことで、できるだけ緊密に民間団体と個人情報保護委員会が意思疎通する必要があるんじゃないかと考えておりまして、委員構成とかあるいは目的等の規定で配慮しているところでございます。

高井委員 事前相談の窓口を設けるということかと思いますけれども、できるだけそこはやはり尊重していただきたい。明らかにおかしい、明らかにこれは個人情報を害するんだというようなときに、むしろ、事後的に規制をするというような性質のものではないかなと私は思いますので、そこは今後の運用になりますけれども、ぜひ、そういう趣旨からしっかりと運用を行っていただきたいと思います。

 これはもう一つ大臣にお聞きしたいんですけれども、今の話とも関連するんですが、今回の個人情報保護法の「定義」の中に「個人識別符号が含まれるもの」というふうに二条一項二号で書かれていまして、そして、その二項では、個人識別符号とは、次の各号のうち「政令で定めるもの」と、またここで「政令で定めるもの」といって、ほとんどが政令を見ないとわからないようになっております。

 こういった個人識別符号というのは本当に数え切れないほどありますし、今後もどんどん技術の進歩でふえ続けていくわけでございます。こういった状況を踏まえて、政令を定めるときには、こういった技術の進歩などをよくわかっていて、実際に個人識別符号を管理している、使っている民間事業者や業界団体と密に協議して決める体制をぜひつくってほしいと思いますが、大臣、いかがですか。

山口国務大臣 ただいまお話しのこの個人識別符号でありますが、これも政令で定めるというふうなことになっておりますが、民間事業者においてどのような情報がどういうふうに扱われているか、これを実態をしっかり踏まえるということが必要不可欠であろうと思っております。

 そのために、各種の情報を取り扱っております民間事業者あるいは業界団体を初め、広く国民の皆さん方の意見を聞くということは大変重要であろうと思っておりまして、具体的には、その際、民間企業の実務に関して十分な知識経験を有する者を構成員とする個人情報保護委員会における審議、当然、この審議の過程では、その委員会のもとに専門委員等々を設けながらいろいろと御議論をいただくということもあるでしょうし、また、政令案に対するパブリックコメント、これもあるだろうと思います。

 いろいろな手法を使いながらしっかり、民間の皆さん方の御意見を十分反映するような格好で持っていきたいと思っております。

高井委員 本当に、繰り返しますけれども、ITに造詣の深い山口大臣でございますので、ぜひそういう視点で、関係事業者の声をよく、本当に大臣が直接聞いていただくぐらいの、そういう場も設けて進めていただきたいと思っております。

 それでは、次の、ちょっと細かい話になって恐縮なんですが、匿名加工情報、先ほどからも出てきています。個人情報なんだけれども、誰かわからないようにする。氏名とか年齢とか、わからないように匿名化して、そして、それだったら活用してもいいよ、場合によっては第三者に提供したりしてもいいよという、これは今回の法律で非常に大きな目玉であります。

 この匿名加工情報については、法律の第三十六条というところにずっと出てくるんです。ところが、今申し上げた第三者に提供するときに対してさまざまな規制がかかるのではないかと思うんですが、実はこの法律の第四項にだけ「第三者に提供するとき」と出てまいりまして、そのほかの一項、二項、三項、五項には出てこないんですね。ただ、私は、これは三十六条全体が第三者に提供するときということを前提にした法律じゃないかと思うんですが、違うんでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 匿名加工情報そのものは、それを作成いたしました個人情報取扱事業者内部におきましても、匿名加工情報のもととなった個人情報取得の際の利用目的にとらわれることなく、第三者に提供しなくても自社利用が可能でございます。

 この点を明確にいたすために、三十六条は、匿名加工情報を作成した場合における義務として、第一項におきまして加工基準の遵守、第二項におきまして加工方法等の漏えい防止、第三項におきまして作成した情報の項目の公表義務、第五項におきまして匿名加工情報の識別禁止、六項におきまして安全管理措置を規定しております。これは、第三者提供のみではなく、自社利用の場合にもかかるというものでございます。

 これに加えまして、作成した匿名加工情報を第三者に提供する場合の規律として第四項を設けまして、あらかじめ、第三者に提供する情報の項目及びその提供の方法を公表するとともに、提供に係る情報が匿名加工情報である旨を明示しなければならないとしているところでございます。

高井委員 まあ、そういう答弁かなと思ったんですが。

 実は、匿名加工したものを自社で利用する場合というのはどういう場合かというと、いろいろな個人情報を会社で持っているんだけれども、セキュリティー上、万が一漏えいしてはいけないということで社内で持っておいたりするとき、あるいは業務委託とかしたりするときに、一部匿名化して保有するということがあるんですね。ところが、今のこの条文だと、そういう利用についても一々公表とか、いろいろ匿名加工情報というのは義務規定が、本来ある個人情報よりも厳しい規定というか、余計な事務が発生するということになってしまいます。

 そうすると、事業者とすると、だったら、今までは会社の中であえて匿名化していたけれども、では、もう匿名化せずに、生の個人情報のままでずっと保管しておかなきゃいけなくなるねと。そうすると、万が一漏えいしたときに、それが個人情報の漏えいになってしまうということで、私は、非常に事業者に余計な負担をかける法律になってしまっているんじゃないかと思いますが、いかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 匿名加工情報につきましては、まず、通常、個人情報を匿名化して別途保存しながら使うということがよく会社で行われていることは承知しております。

 ただ、その場合でも、通常は、別のIDと容易に照合することにより個人情報になり得るものとして、その一部が匿名化されているということではないかと思いますので、それが全体としては個人情報になるということが多分多いのではないかと思いますが、実態は、実際、匿名加工情報という場合は、そういう意味では、匿名加工されたものが切り離されて、それで安全管理措置とかが講じられているもののみが匿名加工情報でございますので、そういったものを利用するというのは、一種特殊な場合ではないかと考えられます。

 ただ、現実問題として、そういうふうなものがどういうふうに会社で管理されているかというのは多分ケース・バイ・ケースにならざるを得ないと思っておりますので、そこのところは、やはりまた、今後そういう実際の運用をしていく際に、常識的に、より安全、安全といいますか、わざわざそういうふうな危険を減らすためのようなものが匿名加工ということに当たることによりまして余計な負担が生じないような運用をする必要があると考えておりますので、そういう運用をする際にも、企業の実態をちゃんとヒアリングして、聞いてから定める必要があるというふうに考えております。

高井委員 本当にそのとおりだと思います。

 私も、会社の中でどういう運用とかをやっているかまで詳細にはわからないので、やはりそういったことを私も聞きますし、また皆さんの方でもしっかり聞いていただいて、本当に屋上屋を重ねるというか、法律ができたことによって、何の法の趣旨とも関係ないんだけれども、余計な手間が、法律に書いてあるからやらざるを得ないみたいな、そういうことはないように、ぜひこれからも注意していただきたいと思います。

 今の話と関連するんですけれども、法律では、「匿名加工情報に含まれる個人に関する情報の項目を公表しなければならない。」と書いてあります。しかし、項目の公表というのが、これを細かにすると、かえって公表したことによって、加工情報を復元する、個人情報に戻すということもできてしまう、これはセキュリティー上問題じゃないかという指摘があります。

 そういう意味では、細かな項目を公表するのではなくて、例えばお客様の氏名など個人を特定することにつながる情報を削除し、特定を禁止した上で第三者に提供しますといったような、ある程度包括的な公表で十分じゃないかと思いますが、いかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 細かいことを公表いたしますと、まさにみんなばれてしまうということでございますので、基本的には、例えば利用日時、居住する都道府県、性別、購買履歴等といった程度の項目だけを公表するというのが常識的かなというふうに考えてございます。

高井委員 今申し上げましたとおり、この匿名加工情報というのは非常に重要な分野でありまして、最後に大臣にここを、通告しておりますのでお聞きいたします。

 民間が自主的に匿名加工情報の加工方法とか公表の方法というのを定めることができるようにすべきではないか。個人情報の安全が阻害されないようにするためには、こういった匿名加工情報の公表等の義務規定、これが過剰なものにならないようにする配慮が必要だと考えますけれども、改めて大臣からも。

山口国務大臣 ただいま政府委員の方からお答えをしたように、匿名加工情報の加工方法とか、これをそれこそ逐一公表ということになりますと、逆に何のために加工したのかわからないような話になってまいりますので。

 今回、改正において新たに設けた類型、匿名加工情報の加工方法とか事業者の公表の方法につきましては、個人情報保護委員会が、専門家とか、先ほど申し上げましたように民間事業者等の御意見を聞きながら、その詳細を検討して、事業者全てに共通をする最低限の規律をこの委員会の方の規則で定めるというふうなことにしております。

 その上で、このような規則に加えて、事業の特性とかあるいは取り扱う匿名加工情報の内容に応じた詳細なルールにつきましては、まさに先生御指摘いただきましたように、事業の実態を踏まえて自主的なルールを策定できるようにしておるわけでございます。

 いずれにしても、委員会規則につきましては、個人情報保護委員会が、過剰な規制とならないように、個人情報の保護と利活用のバランスを踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

高井委員 ちょっと時間がもうなくなってきましたので、次に行きたいと思います。

 容易照合性、先ほど濱村委員も質問されて、ちょっと時間切れだったみたいですけれども、私ももう時間切れというか。

 容易照合性というのは、個人情報の定義の中に、他の情報と容易に照合することができる、その容易にというのがどういう場合かというところが非常に事業者の間では不安な、まあ現行法でももうそうなっていまして、そういう意味では、現行法を所管する消費者庁が答えられるんですけれども、しかし、消費者庁の今の見解ではなかなか難しい。

 つまり、簡単に言うと、データベースが二つあって、個人情報のデータベースと匿名化したデータベース、これを一人の人が両方アクセスできたらもうそれで容易に照合できるということになってしまう。それであれば、では、社長がいたらもうだめなのか、あるいはセキュリティーの担当一人の人が両方できたらだめなのかとか、非常に民間企業にとっては厳しい規定に、今の運用解釈ではそうなっていますので。

 私は、今回、この法改正を機に、新たに個人情報保護委員会に所管が移ると思いますので、この容易照合性については改めて、消費者庁というよりも、ぜひこの法律をつくっている、所管している大臣にお聞きをしたいと思いますので、これはちょっときょうは質問はしません、消費者庁も来ていただいたんですが、質問はいたしません。

 それでは、もう時間がございませんので、きょう平副大臣にも来ていただいていますので、海外との関係、個人情報の海外移転についてお聞きしたいと思います。

 先日、予算委員会分科会で向井政府参考人から、EUと同等の個人情報保護レベルでないとEUから認定されないという問題があり、それを意識しているという御発言がありました。しかし、必ずしも法律で同等レベルじゃなくても、例えばEUとアメリカではセーフハーバー協定というのを結んで、それによって海外移転できるようになっています。

 諸外国の最も厳しい水準に合わせてしまうと、こういったグローバル化が難しくなると思います。何でもそういった諸外国に合わせるということではなくて、これはやはり各国との交渉だと思いますので、しっかり各国と交渉していただくことが大事だと思いますが、現時点でEUとの交渉がどのような状況になっており、また、今後どのような方針で交渉を進める御予定か、お伺いします。

平副大臣 今御質問のありましたEUとの交渉の状況でございますが、EUとの関係においては、これまでの十分性の認定がございますが、その申請は行っておりません。今回の法改正を行うに当たり、EU内の関係部局と十分性の認定に関する情報交換を今行っている最中でございます。

 今後どのような方針で臨むのかということでございますが、EUからの十分性認証取得に係る取り組みを始めるに当たっては、まず、今国会に提出をさせていただいている個人情報保護法の改正法案の成立が不可欠でありますので、その作業に全力で取り組んでまいりたいと思います。

 何でもEU基準とは思いませんが、一方で、しっかりと情報も流通をさせなければいけない、両方両立をさせていきたいと思っております。

高井委員 もう恐らく最後の質問だと思いますが、それでは、第三者提供に係る記録の作成の問題についてお聞きします。

 法律では、個人情報取扱事業者が個人データを第三者に提供したときは、委員会が定める規則にのっとってその記録を作成しなければならないとあります。

 これは、通常、企業であれば、契約書を作成して、そしてそれを保管しているということで今対応していると思います。ここで法律ができた、新たに、別途何か記録を作成しなくても、こういった今企業で行われている契約書の項目があればそれでカバーされると理解していいでしょうか。これ以上の記録や保管を義務づけるというのは過剰規制だと思いますが、いかがですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 トレーサビリティーの確保のためには、提供する者に対しまして、日時や提供先に関する記録の作成、保存の義務づけ等を行っているところでございますが、先生おっしゃるとおり、通常の契約書でございましたら、誰からどこに何が移ったかというのは通常契約書に書かれてございますので、これで十分だというふうに考えてございます。

高井委員 また個人情報保護法の質疑のときに詳しくお聞きしたいと思います。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の党の小沢鋭仁でございます。

 大臣所信に対する質疑を行わせていただきます。

 テーマは二つ予定しておりまして、一つはIR法関連、もう一つはマイナンバー、こういうことであります。

 通告の順序はIRから、こういう話ですが、大臣を余り拘束してもいけませんので、お昼の時間にもかかりますから、ちょっと順番を変えさせていただいて、マイナンバーからやらせていただきたい、こういうふうに思います。

 このマイナンバーは、先ほども同僚の河野議員、高井議員からも関連の質問がございました。法案も出ておるわけでありますので、今後、その中でさらに具体的な質疑をしたいと思いますが、きょうは、ある意味では問題提起といいますか注意喚起といいますか、そういったところで一点だけ申し上げておきたいと思います。

 このマイナンバーを進めるに当たって、民主党政権のときにたまたま私も担当しておりました。そのときにずっと感じておりましたのは、私の政治活動の中で、これは政治家としてではなかったんですが、グリーンカードの廃止の問題というのがありました。これはもう御案内のとおり、もう法案ができて、準備の施設も建設を開始していたにもかかわらず、突如グリーンカードの廃止法案というのが出て、廃止になりました。

 それから、あと住基ネット。この住基ネットに関しても賛否両論が大変ありました。ある意味では個人情報、こういう話に関してであります。

 でありますものですから、ある意味では大変私も、何といいますか、身構えて対応したんですけれども、すうっと来ちゃっているんですね、このマイナンバーに関しては。ですから、そういった意味では世の中の意識も相当変わったのかな、こうも感じておりますが、同時に、今回の法案を見させていただきましたらば、預貯金に関する話になるわけですね。

 個人情報というのは、ある意味で一番プライバシーで言われるのは出生の話、それから健康状態、そして財産、こういう話があって、特に、グリーンカードのときはその財産。これはあの当時、マル優という制度がありましたから、そのマル優を超える超えない、こういう話もあったわけでありますが、そこが若干今と性質が違うと思いますけれども、そこに踏み込んでいくという話になると、ちょっとこれまた、社会においては今までと受けとめ方がかなり変わってくるかな、こういうふうに思います。

 まず、私の基本的な立場は、先ほどから同僚議員も言っていましたけれども、ITがこれだけ世界じゅうで進行している中で、それの効率化、利活用を積極的に図っていく、これはまず大賛成であります。私もその一端をずっと推進してきたつもりでおります。と同時に、プライバシー保護というのは、やはりこれは断固守らなければいけない。ですから、利活用をすると同時に、まさにそういった個人情報、プライバシーの保護をどうやって徹底してやっていけるか、こういう話だと思っておるんです。

 そこで一点質問です。海外で問題になっている事例というのは、当然、個人情報の流出、不正取得、国家による個人監視、主にそんなところだろう、こう思いますけれども、これはもう時間がないので私の方からの提案も含めて申し上げますが、要は、不正使用だとかそういったものに対する刑罰の強化とか、そういった話はいろいろお考えになっているようでありますが、大事な話は、補償の話というのが抜け落ちているように思います。

 そういった形で不正使用をされていったときに、これは民間が主に担うんだろうけれども、要は、こういった政策を進めるに当たっては、その補償をどう考えるかという話を国としても考えたらどうか、こういうふうに私は思うんですが、そういう補償みたいな話というのはお考えになっているのか、あるいは海外でそういった事例があるのか、お尋ねをしたいと思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 実は、私も民主党政権時代からマイナンバーの作成に携わっておるところでございますが、預金につきましても、その当時からやはり付番すべきでないかという意見が結構多数あったというふうに承知しております。

 そういう中で、補償といいますか、民事あるいは国家賠償というのは、損害賠償としては裁判を起こせばできるというのは当然でございます。その上で、さらに手厚い補償措置あるいは公的な保険みたいなものにつきましては、その当時、検討はいたしまして、諸外国も調べましたが、通常の民事以上の補償をするというのは、例えば個人情報保護におきますEUのいわゆるコミッショナーの課徴金、そういうものはありますが、そういう補償的なものにつきましてはなかったというところでございますので、当初のマイナンバーの案から入れなかったというふうになってございます。

小沢(鋭)委員 これは公的補償じゃなくていいと思うんですよ。民間のいわゆる保険、こういう話でもいいと思いますけれども、全体のそういう仕組みを、これはマイナンバーとは関係なくて、例えば普通のクレジットカードでもそうですけれども、そういった形で大変な財産的な損害を受けたときに損害賠償請求をしたって、なかなかそれは取れませんよね。

 ですから、いわゆる情報化社会において、そういった話をどうやって補償していくのかという仕組みを、これは政府、民間一体となってお考えになったらどうかという話を一点御提案を申し上げておきたいと思いますし、またマイナンバーのときにさらに議論したい、こういうふうに思います。

 そこで、大臣に一点御質問ですが、要は、預貯金に入るんですね、このマイナンバーの話が。そういったときに、さっきも申し上げたように、財産に関するデータが全部わかる、こういう話になります。ただ、これは申告制だ、こういう話になっていて、恐らく、申告なんだから、自分の権利としてそれは使えるだけ使ったらいいんだ、嫌な人は使わなければいいんだ、こういう話になるのかもしれませんが、一般の皆さんたちはなかなかわからないでしょうから、そういった意味で、預貯金まで入っていくということに関して、本当にそこまで必要性があるんだろうか。

 国会議員は、我々は御案内のように資産公開をやりますから、ですから、ある程度はそういうのは見られちゃって、あなたは余り財産ないねなんて僕なんかはしょっちゅう言われるんですけれども、それにしても、一般の人たちがそういった形で預貯金まで全部把握されるということに対する危機感というのは、さっきもグリーンカードの話を申し上げましたけれども、結構これから出てくるんだろうと思います。

 ですから、その必要性、なぜそこまでやろうとするのかという必要性、これは大体私も想像はついているんですが、それを大臣からおっしゃっていただきたいというのと、それに対する、ある意味では国民の皆さんたちに対する説得というか納得性、それをぜひお願いしたい、こういうふうに思います。

山口国務大臣 小沢先生から御質問をいただく中で、グリーンカードとか住基ネットのお話もあったんですが、私もそれぞれの経緯は存じ上げておりますし、かつ、住基カードに関しては、当初は、もっと利便性を高めたいという思いでいろいろやったんですが、結局は、数情報のみというふうなことでああいう格好になっております。

 今回も、お話しのとおり、例えば預貯金云々というふうな話の中で、たまたまテレビのニュースを見ておりましたら街角の声というのをやっていまして、えっ、預金、全部ばれるんですかみたいな話が出るんですね。これはかなり誤解があるわけですが、そこら辺は十分注意してやっていかなきゃいけないなと思っております。

 同時に、この預貯金の付番につきましては、従来の、マイナンバーの利用範囲の中で、社会保障の資力調査とかあるいは税務調査におけるマイナンバー利用の実効性を確保しながら、社会保障制度や税制の公平性を実現していくというふうな観点から実施をしていく必要があるんだろうと考えておりますが、今国会に提出をしました改正法案につきましては、金融機関の破綻時には預金保険機構等における口座の名寄せにも利用できるように手当てをしたり、あるいは激甚災害時などの円滑な預貯金の払い戻しにも利用できるというふうなことにするわけであります。

 お話しのとおり、これは、申告制といいますか、いわゆる預金者という、皆さん方の義務ではありませんので、私は出しませんよという方もおいでるだろうと思います。そういったことを踏まえながら、これはやはり、二の舞を踏まないように、慎重に進めていきたいと思います。

小沢(鋭)委員 ぜひ、今おっしゃっていただいたようなスタンスでお進めをいただきたい、こう思いますし、また、マイナンバー制度の法案の審議の際には、さらに具体的にいろいろと議論をさせていただきたいと思っています。

 ということで、次にIR関連に移りますので、大臣、もう結構でございます。維新の党は、大臣を不必要に拘束しないというのが一つの方針でございます。どうぞ。

 それでは、IR関連でございますが、まず、なぜここで質問させていただくかということに関して一言申し上げておきたいと思います。

 これは議員立法で、これまでは、自民党、維新の党、それから生活の党、三党で法案を出させていただいていて、そして継続審議になっておりましたけれども、昨年の解散・総選挙において廃案になった、こういう経緯がございます。内閣委員会に提出されておりました。こういった経緯があるものですから、この内閣委員会でその後の状況を踏まえて質問する、こういう話になります。

 議員立法に関しては、一言だけ御報告を兼ねてこの場で申し上げておくと、近く超党派の議連の総会を開かせていただいて、再提出の決定をさせていただきたいと思っています。ほぼ、それは、そういった準備が整ってまいりました。

 提出委員会は、これは皆さんも御案内のように、法案そのものは議長への提出ですから、議長への提出という形をとり、それからあとは、どの委員会に行くかということに関しては、各党協議の中で今後協議をしていただくということで議連としては対応したい、こういうふうに思っているところでございます。

 でありますので、この内閣委員会に来るかどうかはわからないんですが、少なくても、今、内閣の方に内閣官房特命担当チームというのがあるものですから、きょうはそれに関連して御質問をさせていただく、こういう位置づけだということを申し上げておきたいと思います。

 まず、内閣官房に設置した内閣官房の特命担当チームの根拠と概要、これを一通りおさらいしておきたいと思います。人数とか出身省庁とか、それも含めてお願いいたします。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 統合型リゾート、いわゆるIRにつきましては、昨年六月に閣議決定をされました「日本再興戦略」改訂二〇一四、この閣議決定におきまして、「IR推進法案の状況やIRに関する国民的な議論を踏まえ、関係省庁において検討を進める。」というふうにされたところでございます。

 この閣議決定を踏まえまして、昨年七月に内閣官房に特命事項担当の内閣審議官が置かれまして、そのもとに各府省庁からの出向による体制を整えたということでございます。

 現在、特命事項担当の内閣審議官三名のほかに、国土交通省、警察庁、財務省などからの出向者二十七名で構成をされております。

小沢(鋭)委員 ありがとうございます。

 要は、このIRに関しましては、実は二段階になっているんですね、これはこの委員会に所属していらっしゃる皆さん方はもう御案内だと思いますが。これはどういうことかというと、まず議員立法で推進法をつくり、そして、推進法の中で、一年以内に実施法をつくるべきものとする、こういう二段階にしました。

 この二段階にした最大の理由は、このIR法案は結構各省庁にまたがる案件が多いものですから、後ほど御質問します依存症の問題は厚労省だし、マネーロンダリングの話もあるし、犯罪防止という点では警察、こういう話もあるし、各省庁にまたがる話を議員立法で我々が全て網羅してつくるというのはなかなかこれは厳しい、こういう話があって、そういう意味では、まず、IRの推進法に関しては、基本的に、IRというのは一体何なのか、そしてそれは日本にとって本当に必要なのかどうか、そういった議論を大いに、国民的議論も含めて沸き起こらせていただいて、そして、それでやろうという話になったらさらなる細部も詰めていく、こういう話で考えたんですね。

 ただ、先行してこの内閣委員会でも幾つか質疑があったようでありますが、その先の、先ほど申し上げたような依存症の問題だとか犯罪防止の問題だとか、そういった話が詰まっていないから結局推進法もだめなんだ、こういう議論にもなって、これは卵が先か鶏が先かみたいな議論なんですけれども、やはりそれはセットになっていく、こういう話になります。

 だったら一本で最初からやればいいじゃないか、こういう話になるんですが、各省庁、これを閣法で出すという話は、これは自民党の皆さん方もなかなかそこまでは踏み切れない、こういう話になって現在二段階論になっている、こういう話なんですね。

 でありますので、そういった意味では、議員立法として、私もその一端を担って頑張ってまいりますが、同時に、各省庁にまたがった案件をそれぞれの省庁の皆さんが集まってしっかりと議論を尽くしてもらう、それは極めて大事なことだというふうに私は思っているんですね。それを昨年の六月に日本再興戦略の中で決めていただいて、それをつくっていただいたというのは、そういった意味では、私としては大変評価をしたい、こういうふうに思っています。

 そこで、審議官三名、プラス二十七名のスタッフ、総勢三十名、こういうことでありますが、まず、この一年間どんな活動をされてきたのか、予算を含めて御報告をいただければと思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 昨年の七月以降、諸外国におきますIRの事例に関しましての制度あるいは実態等について、調査あるいは情報収集などを行ってまいりました。

 例えば、IRが観光振興とか産業振興とか地域振興などに与える効果ですとか、それから、犯罪防止、治安維持など、日本再興戦略に昨年書かれておりますような事項につきまして、問題を生じさせないための制度上の措置、こういったことについて情報収集、調査などを行っております。

 予算に関しましては、内閣官房の既定の予算で対応しております。

 以上です。

小沢(鋭)委員 ざっくりとした御報告でありますが、これは、いわゆる国民的な議論を深めていただくために、もうちょっと情報提供をされたらいいんだろうと思いますが、そういう御用意はございますか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 私どもとして調べましたものにつきましては、必要に応じて御紹介をさせていただくこともあろうかと思いますが、当面、まず、私どもとして、いろいろな海外事例の調査をしたことにつきまして、私たちでの勉強材料として十分に蓄積をしていきたいというふうに思っております。

小沢(鋭)委員 ぜひ、これはせっかく国民の税金である予算を使ってやっている作業でありますので、いろいろな場面で具体的な調査の報告をしていただくように、これは御要望を申し上げておきたいと思います。

 その中で一点、気になる新聞報道がありましたよね。これは、私の手元にあるのは二月十九日付読売新聞ですが、「カジノ候補地 横浜・大阪」「政府は、カジノを中核とした統合型リゾート(IR)について、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックまでに横浜市と大阪市の二カ所で開業を目指す方針を固めた。」こう書いてあるんです。いろいろな調査の情報提供は大いにしてもらいたいと思うんですが、こんなことも決めたんですか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のあった報道のような事実は全くございません。

 政府といたしましては、昨年の成長戦略の改訂版にのっとりまして、必要な調査、情報収集をやっているところでございます。

小沢(鋭)委員 ぜひそこは、声を大きくして、渡辺さん、きちっと否定をしておいていただいた方が。世の中を紛らわせるといけませんので。改めてここで聞かせていただいたのは、正式に国会の場で否定をしていただいた、こういうふうに私としては受けとめさせていただきたい、こう思います。

 それから、その活動の中で、ぜひその一端も御披露いただきたいんですが、やはり、先ほど来申し上げているように、このIR法案に関しては、心配をされる方が結構多くて、ある意味でいうと賛否両論の法案だ、こういうふうに私どもも思っているんですね。

 そういう中にあって、この前お亡くなりになったリー・クアンユー・シンガポール元首相が、我々議連の中でつくっているDVDでもその発言を御紹介しているんですが、シンガポールが大きな二つのIR施設をつくったんですけれども、それがかなり成功しているというのはもう皆さん方も御存じだと思うんです。それをつくるに当たって、リー・クアンユーさんは、私はカジノは嫌いだ、しかし、カジノを含むという理由だけで、いわゆるIR、統合リゾートをシンガポールが否定してしまうならば、それは我が国にとって、国際観光とか産業振興とかそういった観点から考えて大変大きなマイナスなんだ、だから私はIR法案に関して一歩踏み込むべきだと思っている、こういう発言をされているんですね。

 実は私も、リー・クアンユーさんと同じだなんてそんな僣越なあれではないんですが、カジノそのものは余り私はやりませんが、この統合リゾート、IRという都市開発は、日本にとって不可欠だ、こう思ってやらせていただいています。

 また、世界各国を見ても、百二十カ国を超える国々がもう既に行っている事業を日本が一歩踏み込めないという話は、これは本当に日本にとってマイナスだ、こういうふうに思っているわけで、ぜひそこは、また皆さん方の御理解をいただいて推進したいと思っているんです。

 特に、反対派の皆さんが一番心配している依存症の問題、これは維新の党でも、精いっぱい勉強しようということでプロジェクトチームをつくってやらせていただいているわけでありますが、その政府の特命チーム、依存症に関しての調査でお聞かせいただけることがあったらお願いしたい、こういうふうに思います。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 諸外国では、ギャンブル依存症の予防や治療という観点から、例えばカジノの入場規制や治療、相談体制の充実といったさまざまな対策が講じられていると承知をしております。

 このうち、カジノの入場規制につきましては、例えば、本人や家族の申請などに基づきまして、カジノへの入場排除措置ですとか、入場日数の制限をかけるといったこともやっておりますし、もう一つ例を挙げますと、韓国では一律の入場日数制限をやっております。また、シンガポールでは自国民などから入場料の徴収をやっている。こういったようなさまざまな対策が講じられております。

 また、治療、相談体制につきましては、相談窓口の設置ですとか専門家の育成などが図られているというふうに承知をしております。

 以上です。

小沢(鋭)委員 諸外国、いろいろな対策を打っています。

 まず、結論から申し上げますと、ギャンブル依存症に対する我が国の対応は、恐らく先進国から比べて十年、三十年おくれ、こういう説があります。まず、ギャンブル依存症そのものが認知をされていない、こういうことだろうと思います。

 そこで、我が国の依存症対策、こういう話になるんですが、隣に前厚生大臣の田村さんがいらっしゃいますけれども、田村大臣のときに、このギャンブル依存症のアンケート調査をされて、発表しているんですね。これが意外と、意外とというか予想以上に我が国の依存症が高い、こういう話になってきているんですけれども、それについて厚労省の方から御説明をいただきたいと思っていますが、私からは三点、具体的には、調査対象、調査内容、調査評価、この三点が本当に国際基準に合致しているんだろうか、こういう話を含めて御答弁お願いします。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の調査は、平成二十五年度の厚生労働科学研究の一つといたしまして行われたものでございまして、無作為抽出をいたしました成人男女七千五十二人のうち、承諾を得られた方四千百五十三人、これは五八・九%に当たりますが、この方々に調査を実施したものでございまして、SOGSという世界的に最も多く用いられております簡易スクリーニングテストでございますが、これによりまして調査が行われたものでございます。

 結果につきましては、これはあくまで研究成果の一つであると私ども捉えておりますけれども、御案内のように、ギャンブル依存の疑いのある方は、男性で八・七%、女性で一・八%、男女計で四・八%と報告をされております。

 国際比較という意味では、調査方法につきましては、同じ研究において、比較対象とされております諸外国におきましても同様の手法を用いているということをこの研究の中で確認していただいておりますので、調査方法に違いはないというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 調査方法に関しては世界各国と同じだ、こういうお話なんですけれども、これは本当に異常に高いんですよ。圧倒的に高いんです。八・五でしたか、今、男性で言われているのは。

 例えば、ギャンブルという話の中に、いわゆるカジノ以外は含んでいますか。

藤井政府参考人 一点申し上げられますのは、御指摘の数値につきましては、日本の場合は、調査対象に、パチンコですとかスロットですとか、いわゆる遊技に当たるものも含めた調査になっているということはございます。

小沢(鋭)委員 今、ちょっと雑談で隣の田村さんと話していたんですが、日本にはカジノはないんですよ。だから、そういう意味では、調査のいわゆる対象そのものがまず違う、こういう話が一つです。ですから、そこは、はっきりと分けていただかなきゃいけない。

 たまたま、田村大臣が記者会見の中で、これはIR法案と関連するものとは思わない、IR法案を否定するものとは思わない、こういう発言をされたのを私も聞いておりまして、田村さんから答弁もいただきたいくらいなんですが、そういうわけにはいかないので、私から紹介するということだけで終わりますけれども、まずそれが一点ですよね。

 それから、だとしても、日本にそういったギャンブル依存症があるということは間違いない、事実だというふうにやはり見るべきだ、私はこう思います。

 そこで、日本におけるそういうギャンブル依存症に対する認識あるいは対応、これはどうなっていますか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 日本におきましては、WHO、世界保健機構が策定をいたします国際疾病分類でギャンブル等依存症は病的賭博として定義をされておりますので、私ども厚生労働省におきましても、ギャンブル等依存症は精神疾患であるというふうに認識をしてございます。

 ギャンブル等依存症につきましては、そういう認識ではございますけれども、疾病概念として確立をいたしましたのがやはりまだ近年であるということもございまして、私どもといたしましては、研究や依存症者への支援あるいは普及啓発を初めといたしまして、依存症対策全般につきまして、さらにさらに推進を図っていく必要があるというふうに認識をしております。

 特に、ギャンブル等依存症につきましては、適切な治療と支援により回復が可能であると私どもは認識をしておりますけれども、依存症の方が必要な治療を受けられていないというふうな現状がございまして、適切な治療を受けられるよう必要な環境を整備するということが喫緊の課題だというふうに認識をしております。

 したがいまして、厚生労働省といたしましては、まず、本人や家族が気軽に依存症に関する相談ができるような体制の整備、また、医療機関、行政、自助団体の連携体制の整備、さらに、依存症者が必要な医療を受けられる体制の整備等を、必要な取り組みの柱として掲げているところでございます。

小沢(鋭)委員 環境整備を推進したい、こういう御発言は評価をしたいと思いますが、具体的に、程度の問題でいえば、本当に足りないんだと思いますよ。先ほど例で申し上げたシンガポールは、一年間の予算は二十五億円です。日本は幾らですか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 ギャンブル等依存症に特化したものではございませんけれども、依存症対策全体の予算といたしましては、私ども、平成二十六年度で約四千万円、平成二十七年度予算案におきましては約一億円をそれぞれ計上してございます。

小沢(鋭)委員 数字が全然違うでしょう。先ほど言ったいわゆるアンケート調査では、日本は高い、こう言っているんですよね。にもかかわらず、そういう程度ですよ。各国が二十億とかという話のときに、日本は、今言った四千何万あるいはまた一億という話ですから、これはそういうことを心配される方たちの気持ちもごもっともだ、こういうふうに私は思います。

 ですから、これは、やはりそこにもっと政府自身が関与していく、これがまず一点必要だと思います。

 当然これは、各国の制度を調べてみますと、タイプとしてはいろいろあるんです。ヨーロッパでは、政府が認めたカジノに対して義務化している国が多いですね。それから、オーストラリアは政府の関与が極めて積極的です。アメリカは業者の自主性、こういう話があります。アジアの国は、さっきのシンガポールも韓国も入場制限とか、渡辺さんがおっしゃったような、啓蒙活動がメーン、こういうような話になっていますが、いずれにしても、政府がやはりそれなりの覚悟を持って進めなきゃいけないということは事実だと思うんですね。

 そのためには、では、どういう予算をつくるのかといったときに、各国それぞれが、いわゆるそういった業者の、入場料であるとかあるいはまた売り上げの一部であるとか、そういった話をそういった対策に使っているんですね。そういうことを、実際に渡辺さんは調査されてきていると思うし、あるいは厚労省含めて、やったらどうですか、今後。

藤井政府参考人 入場制限等々も含めまして全体の話はまた政府全体として議論していくべき課題だというふうに考えておりますけれども、厚生労働省といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたように、依存症対策、まだまだ拡充していかなければいけないという認識に立ってございます。

 例えば、平成二十六年度、今年度から、私ども、全国五カ所の医療機関を依存症治療の拠点機関として位置づけまして、依存症に関する専門的な相談支援でございますとか、関係機関や依存症者の家族等との連携及び調整、あるいは依存症についての普及啓発等を試行的に実施するなどの取り組みを行っているところでございます。

 そういった取り組みの成果なども十分に踏まえていきまして、予算の確保等も踏まえまして、今後とも依存症対策のさらなる推進を図ってまいりたいと考えております。

小沢(鋭)委員 ぜひお願いしたいと思いますが、厚労省だけじゃやはり足りないということだと思うんです。厚労省が今の意識を持っていただくのは大変重要だし、評価したいと思いますが、先ほどから話が出ているパチンコ、スロット、あるいはまた公営の競馬、競輪、そういった話を含めていきますと、厚労省だけではやれないでしょう。だからこそ、内閣の特命チームが重要なんですよ。

 渡辺さん、そこのところを含めてちゃんとやってくれるという話を、一回ちゃんと決意を言ってくれませんか。そこのところをもうちょっと重点的にやってくれませんか。

渡辺政府参考人 お答えいたします。

 私ども内閣官房の特命担当事項のメンバーといたしましては、先ほど申し上げましたような諸外国におけるIRの事例の調査、情報収集などをやっておるところでございます。

 今、小沢委員がおっしゃった政府全体の取り組み体制につきましては、また別途議論をして、政府全体として取り組んでいくべき、検討していくべき課題だというふうに認識はしております。

小沢(鋭)委員 ぜひこれは政府全体で取り組んでいただくことが必要だと思いますし、きょうはチームの事務方の皆さんに来ていただいていますので、今度は、関係大臣あるいはまた担当の副長官を含めて、そういった皆さんにもしっかりとまたお願いをしていきたい、こういうふうに思っています。

 もう一つ、最後に、こうした依存症対策というのは、公的機関がやるのも重要なんですが、先ほどは、だから業者の皆さんたちという話をしましたね、同時に、NGOの活動というのは極めて重要なんですね。

 先ほど厚労省の方からいろいろなお話がありましたけれども、そういったNGOの皆さんたちが自助グループをつくって活動したりしています。あるいはまた、精神科医の皆さんたちが、ある意味では、認知行動療法というんですか、そういう話をやったりもしています。そういったところにまで目配りをしてやっていくことが必要だと思っていますが、それに対しての御意見をお聞かせください。

藤井政府参考人 依存症対策につきましては、先生御指摘のように、医療機関あるいは自助団体との連携体制の構築、整備が大変重要な課題だというふうに考えておりますので、そちらの方も今後とも充実を図ってまいりたいというふうに考えております。

小沢(鋭)委員 終わります。

 ただ、最後に一言。本当に心配をされている方が多いということは十分わかっておりますから、そういったことにしっかりと対応して、百二十カ国以上が既に踏み出しているこのIRを日本においてもきちっと成功させていくという基本方針でぜひとも政府はやってもらいたいし、私も頑張りたい、こう申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 午後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時二十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十分開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。山尾志桜里君。

山尾委員 きょうは、私からは、主に少子化社会対策大綱、最近出されたものですね、それと子供の貧困対策に関する大綱、そしていわゆる女性活躍推進法について御質問したいと思います。

 有村大臣とは三月二日以降の質疑ということで、どうぞよろしくお願いします。

 今回出されたこの少子化社会対策大綱なんですけれども、極めて特徴的なことは、「施策に関する数値目標」「別添二」とありますけれども、かなり項目が細かく立てられて、そのほとんどにおいて、目標値と、そして目標とされる年限、年限と目標数値がかなり細かくセットされているということが特徴だというふうに思います。細目はともかく、私、この方針自体はとてもいいことだと思います。

 この狙い、有村大臣が期限と数値をかなり具体的にセットをされたその狙いというのは、どこにあるんでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 まず、この分野に強い関心と知識をお持ちの御質問をいただいていると思っております。

 今回出させていただきました少子化社会対策大綱については、今の時代の少子化対策、特に税金を投入してさせていただくわけでございますから、今の時代の、またこれからを生きる子供たちにもちゃんと申し開きができるものをつくっていこう、そのためには、国民の中で賛否両論分かれるものも含めて、その批判を恐れずに今日本が迎えている現実を率直にお伝えしていこう、その批判を恐れないでということを最初の段階から皆さんと一緒に価値観として共有をしてきました。

 私自身、提案を受けて、随分大胆な目標だなということもかなりあったんですが、その中で、その目標を達成するということを最大の狙いにしながらも、これを達成するには大変だぞ、では、どこをどう予算をつけて、応援団をつけてやっていかなきゃいけないのかということに、光を当てたい項目ということをかなり章立てをさせていただいたつもりでございます。

 そういう意味では、御批判も含めて議題に上って、あるいはお茶の間の話題に上って、自治体で検討していただけるような土壌ができたら、それ自体、第一歩が歩めるのかなという思いも持っております。

山尾委員 そうであれば、これは少子化社会対策大綱の問題なのか、子供の貧困に関する大綱の問題なのか、いろいろな考え方があると思いますけれども、子供の相対的貧困率についても、どっちに入れる、入れないは、これはいいんです、正直。でも、子供の相対的貧困率について、今、一六・三という問題意識がある。それについて、この少子化、これだけ細目を立てたんですから、この貧困率についても年限を区切って目標数値を設定すべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

有村国務大臣 OECDの子供の貧困率という指標は、委員御案内のことかと存じますが、調査の年に得られたフローの所得をもとに算出をされているため、ストックと言われる資産、不動産、預貯金等の現有の状況が反映されていないという特徴がございます。このため、貧困の状態をあらわすものとしては必ずしも十分ではないという認識がございます。

 もう一つ、学習支援や保育など、現金ではない、政府が子供に対して提供する現物のサービスの充実等が、現金の動きを捉えている貧困率の改善には反映されないという、現実的な問題もございます。

 現金給付と現物サービスというのはそれぞれに政策効果があって、子供の貧困対策は、両者ともにバランスをとりながら行っていくことが重要だと考えております。

 子供の貧困率、OECDのだけを捉えると、指標の一つであることは明確に認めます、この対策全体の達成目標とすると、現金給付に重点が置かれて現物サービスの提供が適切に行われなくなる、あるいはそこに光が当たらなくなるということを懸念して、この大綱では削減目標を盛り込まないとした経緯があるというふうに承知をしております。

 委員の御指摘のとおり、では、本当に、子供の貧困対策ということを捉えるためにということで、どのようなことがあるのか。

 まず、率直に、私自身も思うことは、今まで、子供の貧困に関する調査研究がこの日本社会において必ずしも十分に行われてきたとは言えない。その反省に基づいて、その現実を直視してこそ、そこに光が当たるというふうに思います。

 そういう意味では、委員の御提言も含めて、何が本当に子供の直面する現実を把握するために確かな、信憑性のある指標となるのか、そこの研究をすること、また、そのはるか前提とあって、子供の現実を捉えるための、まず現状ということをどのように捉えることができるのか、誰からの、どういう視点を情報として私たちが学び取るのか、そこから始めなきゃいけないというふうに思っている次第でございます。

山尾委員 現状を捉えるのにどれだけ時間がかかるのかということなんですね。子供は子供時代を終えてしまうのではないかというふうに私は本当に憂慮しております。

 この少子化対策大綱が出まして、これ自体を批判しているんじゃありません。でも、この一つの素材に、こういういろいろな取り組みをしている方と話しますと、この少子化対策大綱には、例えば、食育に関心を持っている国民の割合を七四・六から九〇にするとか、このテーマでこれだけ細かいところを区切っている、いわば、食育に関心を持つことは大事だけれども、その国民の割合を設定するなら、子供の貧困率、ちゃんと基準をつくって設定してくださいよ、こういう話になるわけです。この思いはわかっていただけると思います。

 今、この基準自体の問題というところで二つ挙げていただきまして、これは総理もおっしゃっている理由ですよね。

 ただ、そもそも、この貧困対策の大もととなっている法律、子どもの貧困対策推進法ですけれども、この問題意識をあらわした、いわゆるお役所がつくったポンチ絵を見ますと、最初に、子供の貧困が問題だと。この問題意識の「現状・背景」という項目で四つ挙がっているんですね。一つ、子供の相対的貧困率が一六・三%である。二つ、子供がいる現役世帯のうち大人が一人の貧困率は五四・六%である。三点目、生活保護世帯の子供の高等学校進学率が九〇・八%である。四点目、世代を超えた貧困の連鎖がある。

 私が言いたいのは、四点目は抽象論ですから、要は、これは問題だねというその意識がスタートした最大の三つの項目のうち二つは、相対的貧困率からスタートしているわけなんです。

 そんなに、適切ではない、十分ではない、捉え切れないと言うんだったら、このスタートの部分が、この子供の貧困という問題の存立そのものを、だって、指標自体が適切でないとおっしゃるんだったら、ある意味否定することになってしまうんじゃないかという問題意識が一つあります。

 今、大臣から、今まで研究が不十分だから研究をするんだとおっしゃいました。

 では、聞きます。

 貧困の大綱の方、二十二ページに、「子供の貧困に関する新たな指標の開発に向けた調査研究」という項があります。ここにこう書いてあるんです。「必要となる新たな指標の開発に向けた調査研究の実施について検討する。」とあるんです。これは、いつ検討が始まって、いつ検討が終わって、いつ調査研究が実施されて、いつ指標が開発されるんでしょうか。

有村国務大臣 今、委員から御指摘いただきました子どもの貧困対策の推進に関する法律のポンチ絵、私も拝見しました。

 確かに、OECDのものが引用をされています、現状認識のその背景として。私は、これを否定しているわけではなくて、これが全てというわけではないというふうに、決して否定している文言を申し上げた意図ではなかったんですけれども、やはり、現物給付と現金給付、両方を、光を当てて格上げしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 国会でお決めいただきましたこの法律、たしか全会一致だったと理解しておりますが、子供の貧困対策に関する大綱がこの法律に基づいてできました。

 二十五の指標がございますが、この二十五の指標も、上げた方がいいのか下げた方がいいのか、その価値観が必ずしも明確ではないという指標も、正直、私が拝見しても思いますので、その改善を図りながら五年間やっていきますが、やはり、信頼性のある指標にはどのようなものがあるか、その指標を改善した先に本当に貧困の改善がしっかり図られるのかどうかということを精緻に研究する必要があるというふうに考えております。

 この予算で、厚生労働省と内閣府が子供の貧困に関する調査研究を進めるための経費を計上しています。厚生労働省七千七百万、我が方の内閣府で千六百万。

 いつまでにやるんだということでございますが、やはり予算だけではなくて、子供の貧困をよくわかっていらっしゃるスクールソーシャルワーカーなど、その数の部分、データの捕捉だけではなくて、子供の貧困に実際に向き合っていらっしゃる方々からの直接のヒアリングで知見を速やかに重ねるよう、私から大臣政務官及び担当部局に対して明確な指示を出しておりまして、先月、その第一回を実施しました。

 その中では、単にスクールソーシャルワーカーをふやせばいいという話じゃなくて、学校によって、スクールソーシャルワーカーを本当に仲間として、インナーとして機能できているところと、なかなか学校現場にもスクールソーシャルワーカーが溶け込めていない、また、スクールソーシャルワーカーのステータスそのものもなかなか安定しないという現状もわかってきました。

 そういう意味では、厚生労働省、文部科学省とともに、生活の支援、保護者に対する就労の支援、経済的支援の施策を総合的に推進して、この現状を把握するということをできるだけ速やかに、委員がおっしゃるように、そのうちに子供が大人になってしまうということのないように、その危機感は全くもって共有をいたします。

山尾委員 ぜひ、早くしていただきたい。

 このまま、いわゆる信頼できる指標がないという理由で目標値設定をしないと、五年後に何が起こるか、何か私には見えるような気がするんです。

 例えば、スクールソーシャルワーカーがふえましたね、スクールカウンセラーの配置率がふえましたね。就学援助制度に関して、周知状況、これは要は、市町村が、学生が入学するときとか進級するときに、こういう制度があるよという書類を生徒に配付したかどうかということですね、こういうものを配付するようになりましたよ、これはよかったね。一方で、相対的貧困率、これは改善しませんでした、これは残念だったね。改善できたものもあればできなかったこともありますね、こういうふうになっちゃうと思うんですね、五年後に。

 ぜひ、そういうことがないように、五年内にしっかりと適切なこの指標をつくっていただいて、もし必要だとおっしゃるのであれば。私は、相対的貧困率でやればいいと思いますよ。でも、それでも不十分だと、そこまでおっしゃるのであれば、つくる責任は与党・政府にあると思いますので、年限を区切ってつくって、しっかりと目標値を設定していただきたいというふうに思います。

 一言、よろしいですか。

有村国務大臣 委員の御提案を真摯に受けとめます。

 そのための予算計上ということで、二十七年度予算を国民の税金からお預かりして計上しているわけでございますから、問題意識を共有して、心して努めてまいりたいと存じます。

山尾委員 この少子化社会対策大綱、これは、いわゆる項目、数え方によって数が変わるかもわかりませんけれども、私が数えたら七十七ある。七十七それぞれに期限が区切ってあって、目標数値がセットされている。

 これは、細目はいろいろ言いたいことがあります。でも、一つ、なぜ入っていないんだというのが夜間保育です。

 延長保育がありますね。病児保育もありますね。放課後児童クラブもありますね。でも、夜間保育はセットされていないんですね。なぜ夜間保育は挙げていないんでしょうか。

有村国務大臣 働き方が多様化する中で、夜間保育などの多様な保育に関するニーズが高まっている。そして、ワーク・ライフ・バランスの推進に努めつつ、こうしたニーズに応えていくことは重要な課題だと私も認識をしております。

 間もなくでございますが、ことし四月に施行する子ども・子育て支援新制度では、この部分ということにも改善が見られます。例えば、保育の必要性を認定する要件で、今までは昼間の就労ということに限定されていた就労の条件が、新しい制度では、夜間の就労も含めた就労に拡充されることになりました。

 それゆえに、昼間働いている、働いていないということではなくて、働いている、それは夜の時間であっても保育の必要性の認定の要件になるというのは大きな一歩だと思っております。そして、その夜間保育も施設型給付の対象として行われることになります。

 そういう意味では、少子化大綱においては、延長保育の目標値を設定しております。延長保育の一環として行われる夜間の保育ニーズに対応した保育の提供ということに関しては、消費税の財源を活用して適切に対応していきたい、そういう前向きな思いを持っております。

山尾委員 新制度の方には夜間保育の前進を入れ込んだとおっしゃいますけれども、それはそれで必要なことであって、ここに目標設定されたほかの、病児保育だって放課後児童クラブだって新制度でもちゃんと前進があるわけで、それでもなお、さっきおっしゃったように、やはりここは光を当てる必要があると感じた七十七項目を選んで、目標値設定をこの大綱に入れてくださったんだと思いますね。

 だからこそ、なぜ新制度には入れ込んで、そして、ほかのものについてはこの大綱にも入れ込んでいるにもかかわらず、夜間保育については入れていないのか。延長保育と夜間保育は同じではありませんので、やはり今の答弁では不十分かなというふうに思います。

 これは百八十三回国会で、安倍総理自身が施政方針で言ったんですよね。私、自民党の総理がこういうことを言うのにびっくりしました。多様な保育ニーズに応えるためには、休日・夜間保育も拡充していかねばならないとおっしゃったんです、総理が。休日と夜間保育について拡充、拡大と充実が必要だと。

 そうしたら、これはやはり大綱で挙げるべきなんじゃないですか。いかがですか。

有村国務大臣 お答えをいたします。

 少子化社会対策大綱に向けては、有識者の方々の会議体を持っております。そして、これは子ども・子育て支援新制度を検討する大きな会議体がございますが、これとはメンバーを異にいたしますので、子供たちのために何が必要かという議論は共通してございますけれども、その会議体、それぞれの会議体で議論をしていただいて、与党プロセスを経て閣議決定まで至っておりますので、その中で、現在のあり方でよしという意思決定のプロセスを重ねてきているわけでございまして、入れていないと言われれば、現在入っておりませんが、その背景ということは、それぞれに議論をもんでいただいて、それぞれでいただいた意見はできる限り反映してきたということも、これまた御報告させていただきたいと存じます。

 ただ、だから、入れていないからということで除外するという意図は全くないことも、総理の御発言ということもしっかりと肝に銘じて、現場の皆さんとともにやっていきたいというふうに思っております。

山尾委員 もし有識者の会合に出たらやる、出なければやらないということでは、政治家のいる意味がないですし、何のための女性が輝く大臣なのか、少子化担当大臣なのかというふうに、私は正直、今の御答弁を聞いて思いました。大臣であれば、いろいろな形でリーダーシップを発揮することができるでしょうから、もし問題意識を持っていただいたなら再考願いたいと思います。

 次に、少し女性活躍法案について、残りの時間でお伺いをしたいと思います。

 女性活躍推進法案二条の二項、「家族を構成する男女」とあります。これは前国会でも議論になりました。そのとき有村大臣は、母子世帯を排除するものではないというような趣旨で御答弁なさったと受けとめたんですが、間違いないですか。

有村国務大臣 委員おっしゃるとおりでございます。

 この法案の語句というのは、平成十一年に成立した男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、職業生活を営み、または営もうとする全ての女性を対象としているものでありまして、家族形態等によって対象が変わるものではありません。

 したがって、シングルマザーの方々など、いろいろな状況におられる女性の方も当然対象になるという認識でございます。

山尾委員 だったら、やはり文言を変えた方がいいですよ。文言だけ見れば、これをシングルマザーの人あるいはそのお子さんが見たら、自分たちは排除されているというふうに感じますよ。

 大臣が、女性が輝く政策パッケージでしたか、あそこの冒頭に、心ない言葉で傷つけてはいけない、生き方を軽んじてはいけない、こういうようなことを書かれております。正確に言うと、誰もが心ない言葉で傷つけられることがなく、生き方を尊重されるような社会づくりをするんだと。だったら、まさにシングルマザー、母子世帯が排除されているかのように読めてしまう「家族を構成する男女」、この受けとめる人によっては心が傷つく言葉は変えた方がいいと思います。いかがですか。

有村国務大臣 御指摘の第二条第二項の「家族を構成する男女」という言葉は、相当皆様から評価が高かった平成十一年の男女共同参画社会基本法、この基本法を相当皆様基盤にしておられて、その理念ということをしっかりと尊重すべきという御意見は与野党からいただいている、民主党さんからもいただいている意見でございました。その中の語句をそのまま引っ張ってきたということでございます。

 大臣として議事録に残る答弁ということを意識しても、この「家族を構成する男女」というのは、男性だ、女性だということを決め打ちするというのでは全くなくて、女性の活躍のためには男性についても働き方や意識の改革が重要であるという趣旨を、男女共同参画基本法の表現をそのまま引用して規定したものであり、施策や取り組みの対象を限定する趣旨のものでは全くないということを大臣の答弁として議事録に残させていただきます。

山尾委員 平成十一年ですよ。今、平成二十七年。十六年の時が経過をしているんです。

 そして、もう一つ言いますと、平成十一年の文言、評価が高かったかどうかとありますけれども、平成十一年の文言というのは理由にならないと思いますよ。だって、平成十一年の文言にあった「社会の支援」という言葉は逆に今回落としているじゃないですか。変えようと思えば変えられる、削除しようと思えば削除できる、付加しようと思えば付加できるんですよ。なので、この点について平成十一年を引き合いに出されるのは余り適切ではないというふうに思います。

 もう一つお聞きします。

 この同じ「家族を構成する男女」ということですけれども、この「家族」の中に、いわゆる同性パートナーとしてともに生きる家族、ここでは女性と女性の同性パートナーとしましょう、こういう家族は入りますか。

有村国務大臣 「家族を構成する男女」という文言は、婚姻、血縁、あるいは縁組などを基礎として生活上の関係を有する集団単位を指す幅広い概念であり、どなたかを除外するという概念には全くなっておりません。

山尾委員 とすると、この文言の「家族」の中に、女性と女性の同性パートナーとしてともに生きる家族も入るという御答弁ですか。確認します。

有村国務大臣 そういう皆さんも、全ての女性が輝くということの趣旨の中で、誰も除外するものではないということでございます。

山尾委員 もう一度聞きます、これは大事なことですから。この法案の二条二項の「家族」に、女性と女性の同性パートナーの家族は入りますか、入りませんか。

有村国務大臣 集団単位を指す幅広い概念でございます。そのパートナー、女性同士のパートナーも対象になります。

山尾委員 まずは今の御答弁がしっかり議事録に残って、その点は私は悪いことじゃないというふうに思います。

 でも、あえて言います。入るんだったら、文言を変えた方がいいですよ。だって、もう一度言いますよ、誰もが心ない言葉で傷つけられることがなくですから、もし、シングルマザー、母子世帯も入る、そしてまた女性同士の同性パートナーも入るということを今はっきり御答弁されたなら、明らかに入らないと読める文言は変えた方がいいと思います。再考していただけませんか。

有村国務大臣 私は、女性活躍担当大臣、男女共同参画担当大臣としての職責を負う大臣として、どなたかを除外するものではない、男女ということも、一人親家庭あるいは母子家庭ということ、女一人で生きていらっしゃる方々も除外するものではないと明確に議事録に残しておりますので、誤解を生む余地はないというふうに思っております。

 そして、平成十一年が古いとおっしゃいますけれども、与野党ともにこの趣旨を尊重すべしという御意見で、今回、私たちが思いつきでこの文言を引いたわけではないということは、いま一度御報告させていただきたいと思います。

山尾委員 思いつきで書いたんじゃないかということは全く言っておりません。私が言ったのは、平成十一年から平成二十七年、十六年たって、やはりいろいろな社会の状況は変わっています。同性パートナーに対する意識だって、ここ一年を見たって大きく変わっているじゃないですか。そういうものをちゃんと反映させていくべきではないですかという意味合いで言いましたので、御認識いただければというふうに思います。

 あと数分ですので、最後に一つ。ワンテーマいけないかもわかりませんけれども。

 大臣、イコール・ペイ・デーというのは御存じですか。

有村国務大臣 何月何日かという御質問が来たら存じ上げませんけれども、恐らくは、名前からして、イコールワーク、イコールペイということを尊重しようという取り組みがなされる日でないかというふうには印象を持ちます。

山尾委員 残念ながら違うんです。イコール・ペイ・デーというのは、男性が一年働きますね、女性がそれと同じだけ賃金を得るためには、一年プラスアルファ、余分に働かなきゃいけないんです。一年プラスアルファ、何月何日まで働いたら男性の一年分と同じだけの賃金に女性が達するかというのがイコール・ペイ・デーです。

 日本は、二〇一五年は四月十日です。要するに、昨年一年、一年年限が違いますけれども、昨年一年働いた男性の賃金を女性が稼ぐためには、プラスことしの四月十日まで女性が働いてやっとイコールになるんです。それがイコール・ペイ・デーです。日本は四月十日。きょうは三月二十五日なので、まだ達していないんです、去年の男性の一年分に。

 なぜこんなことを申したかというと、男女の賃金格差とみんな言うんですけれども、それが本当にどういうことなのかということを有村大臣にも委員の皆さんにもわかっていただきたかったから御紹介をさせていただきました。

 議論はどこまでできるかわかりませんが、そこから一つ問題意識を申しますと、女性活躍推進法のいわゆる企業に公表が義務づけられている指標の中に、賃金格差は入っていないんです。これは入れるべきだと思うんですけれども、なぜ入っていないんでしょうか。入れなかった理由を教えてください。

有村国務大臣 委員御案内の上で御質問かと存じますが、企業が状況把握をする項目については、そもそも厚生労働省の労働政策審議会において議論してきたものだというふうに認識をしております。

 きょうは厚労省の方がいらっしゃいませんので、その断りを明確にした上で、労政審では、採用者に占める女性比率、また勤続年数の男女差、それから労働時間の状況、管理職に占める女性比率を必須項目とすべきと議論されたというふうに理解をしております。

 御指摘の賃金格差については、男女間の管理職比率の違い、また男女間の勤続年数がそもそも違っているというのが、賃金格差を生む最も大きな二つの要因であるというふうに理解をしておりまして、この最も大きな要因をなす二つは必須項目とされているところでございます。

山尾委員 では、最後に。先ほどの夜間保育が入る入らないのときもそうなんですけれども、女性が輝く大臣、パッケージにして横串を通して、どうやったら本当に女性と子供が幸せになれるのかという目線で、パッケージにして横串を刺すのが大臣の役目だとしたら、ぜひ、労政審の会議だとか有識者の会議だとか、そういう理由だけで答弁を終わらせないでいただきたい。また引き続き御議論をお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、輿水恵一君。

輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。

 本日は、質問の機会を与えていただきまして、感謝を申し上げます。

 私からは、有村大臣の所信における、共生社会に向けての障害者施策に関しまして質問をさせていただきます。

 障害者権利条約が、署名から約七年の歳月を経て、昨年の一月二十日に批准をされました。この条約は、障害者への特別な権利を主張するものではなく、他の市民との平等性を追求するものであり、例えば、障害のある方が公共交通を利用してどこかへ移動しようとする際、さまざまな不都合を軽減したり、解消したり、また、情報入手における問題を除去するなど、社会への参加のしやすさや生活の質の平等性を追求するものであります。まさに、共生社会の構築という課題のど真ん中にあるものだと私は考えております。

 我が国において、この障害者権利条約の批准に向けて、二〇一一年七月に障害者基本法の改正がなされ、二〇一二年六月には障害者総合支援法、そして一昨年の六月に障害者差別解消法が制定をされました。これらの法律に基づく取り組みが現在推進されているところではございますが、今回は、障害者権利条約の条文に照らし合わせて、現場のさまざまな課題に対するこれらの法律に基づく政府の考え、これについて確認をさせていただきたいと思います。

 初めに、障害者の監護のあり方でございます。

 障害者は、家族と同居していなければ生活が維持できない場合が多く見受けられます。私の地域にも、知的障害者のお子さんを監護しながら、毎日必死に生活を送ってこられた御家族がいらっしゃいます。そして、監護が長く続くうちに、息子さんは四十歳を超え、御両親においては高齢化による体力の低下などが見受けられ、監護の限界も見え隠れしている状況でございます。

 権利条約の二十三条五項には、「地域社会の中で家庭的な環境により代替的な監護を提供するようあらゆる努力を払う。」とうたわれておりますが、急激に高齢化が進む日本において、児童から成年までの障害者の監護のあり方についてどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、特に、両親が高齢化した際の障害者の監護のあり方につきましては、今後高齢化が進展する我が国社会において大きな課題であると認識いたしております。

 現在、障害者の監護につきましては、社会全体で取り組む必要があると考えておりますが、障害者基本法第二十三条におきまして、障害者の意思決定の支援に配慮しつつ、障害者及びその家族その他の関係者に対する相談業務、成年後見制度の施策または制度が適切に行われるべきと規定されているところでございます。

 両親が高齢化した際の障害者の監護につきましても、相談支援や成年後見制度を初めとするこれらの施策が、国や地方公共団体が有機的に連携しながら実施されることが重要と考えております。

輿水委員 ありがとうございます。

 次に、障害者の活躍の機会の創出について伺いたいと思います。

 少子高齢化が進む中で、全ての人々が活躍できる社会の構築は喫緊の課題であると思います。障害者権利条約の二十七条には、「労働市場において障害者の雇用機会の増大を図り、及びその昇進を促進すること」とあります。

 ここで、障害者の就労の現場では、実際に生活の介助を受けていた障害者が一般就労した場合に、その支援が受けられなくなることがあります。このことが障害者の就労の大きな妨げになっております。ここでの問題は、雇用施策と福祉施策が分断されている、そういった点があると思います。

 今後は、収入に応じた福祉サービスの利用のあり方も含め、雇用施策と福祉施策とを組み合わせて活用できる制度の検討も必要と考えますが、見解をお聞かせ願えますでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 障害者の社会参加におきましては、就労が可能な場合におきましては、その就労機会の社会全体での確保、提供が重要であると考えております。このため、基本法におきましては、障害者の優先雇用、あるいは作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充等が規定されているところでございます。

 一方で、就労の場において障害者の活躍を支えていくためには、福祉施策と連携することも大変重要だと考えております。したがいまして、基本計画におきましても、人生における全段階を通じて適切な支援が受けられるよう、教育、福祉、医療、雇用等の各分野の有機的な連携のもと、施策を総合的に展開し、切れ目のない支援を行うことを盛り込んでおります。

輿水委員 なかなかその有機的な連携が今うまくいっていない状況の中で、今後粘り強くその辺の取り組みを進めていただきたい、このように思っております。

 次に、障害者の情報コミュニケーションに関する取り組みについて伺います。

 自然災害が数多く発生する日本において、災害による被害を最小限に抑えることも重要でございます。そのために必要なのが情報やコミュニケーションでございます。

 権利条約の九条では、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる場面に完全に参加することを可能とすることを目的とし、情報等を利用する機会を確保するための措置がうたわれております。災害時だけではなく、日常生活においても、適切な情報の入手と伝達は安全な生活を営む上で基本的な権利であると思います。

 そこで、障害者を含め全ての人々が正確な情報を適切に得られる社会を構築するために、情報や通信などの情報コミュニケーションに関する法的基盤の整備も含め、積極的な取り組みが必要と考えますが、見解をお聞かせください。

武川政府参考人 障害者基本法第三条におきまして、「全て障害者は、可能な限り、言語その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保される」と規定されておりまして、さらに、同二十二条におきまして、情報の利用におけるバリアフリー化等について必要な施策を講ずることとされております。

 政府といたしましては、障害者基本計画におきまして、情報アクセシビリティーを分野別の重要施策として位置づけたところでございまして、これらの施策をしっかりと進めるとともに、このアクセシビリティーにおける課題につきまして、関係省庁と情報を共有しながら、その向上を図ってまいりたいと考えております。

輿水委員 次に行かせていただきます。

 障害者、特に精神疾患や認知症の方の居住地を選択する権利の擁護について伺います。

 障害者権利条約の第十九条に、「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わない」とあります。

 ここで、我が国における二〇一三年時点での精神疾患のある患者の全国の数は三百二十万人、うち三十二万人を超える方が入院していると聞いております。諸外国に比べ、この入院は桁違いに多い状況であることは皆さんも御存じのとおりだと思います。また、今後、日本における認知症の方は七百万人を超えるとも言われております。

 この精神疾患やまた認知症の方の行動・心理症状への対処として一時的に病院への入院も必要な場合があるかと思いますが、これらの方々の居住地を選択する権利の擁護についてどのように考えているのか、お聞かせ願えますでしょうか。

武川政府参考人 お答えいたします。

 精神疾患や認知症の方の居住地を選択する権利につきましては、基本法第三条において、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。」と規定されております。政府といたしましても、障害者の地域社会との共生の実現が重要と考えております。

 したがいまして、その実現のために、精神医療提供体制の確立や相談機能の向上、多職種によるアウトリーチの充実、地域相談支援の提供体制の整備、人材育成や連携体制の構築等を基本計画に盛り込みまして、居住の選択の支援をしっかりと図ることといたしております。

輿水委員 ありがとうございます。

 今、一通り質問をさせていただきました。

 障害者権利条約、これは、前文二十五項目と本則五十条から成る、二十一世紀に入っての初めての重厚な人権条約であると思います。全ての国民が人権及び基本的自由を差別なしに完全に共有する社会に向けて、新しい羅針盤とも言えるものであると思います。

 この障害者権利条約五条三項に、「締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するための全ての適当な措置をとる。」と明記されているところでございます。いよいよ、差別の撤廃や合理的配慮という明確な指針を受け、障害のある人とない人が対等に活動できる社会を目指し、さまざまな場面で取り組みが進むものと期待をしているところでございます。

 障害者権利条約を批准し、国連に対しての条約履行に関する報告に向けても、障害者基本法の障害者基本計画の推進、あるいは障害者差別解消法の制定を受けての社会における合理的配慮のガイドラインの策定などが着々と進められていると思います。

 これらを受けて、全ての人々が安心して地域で暮らし続けられる社会、また、障害者や高齢者がその能力を最大に発揮できる社会、そして全ての人々が正確な情報を的確に受け取れる社会の実現など、全ての国民が人権及びそういった自由、また一つ一つの権利を享受できる、そういった社会の構築、いわゆる共生社会の構築に向けて、最後に有村大臣のお考え並びに決意を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

有村国務大臣 輿水委員にお答えいたします。

 まずもって、大きな使命感、情熱を持って御質問いただいていますこと、また、従来から取り組んでいただいていることに感謝を申し上げます。

 障害者施策は、御指摘のとおり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性や能力を尊重し支え合う、まさに共生社会の実現を目指して、幅広く国民の理解を得ながら推進していくことが重要だと私自身も痛感をしております。

 輿水委員御紹介いただきましたように、障害者権利条約の趣旨、理念を踏まえて、障害者基本法、また、二十五年九月には第三次障害者基本計画に基づき、障害者の皆さんの自立と社会参画を推進するための充実に取り組んでまいりました。

 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法の施行に向けて、先月、二月二十四日に、同法に基づく基本方針を閣議決定いたしたところでございます。来年四月の施行に向けて着実に準備をして、障害者に対する不当な差別的取り扱いの禁止及び合理的配慮の提供を通じて障害者の自立、社会参画を促していきたいと考えております。

 おっしゃるように、合理的配慮ということですが、合理的配慮という言葉だけを聞いても、皆さん、何それという感じですので、例えば、合理的配慮には、筆談とかこういうことが皆さんできるんですよという、その具体例をより多くの方々にわかってもらって、気持ちはあるけれどもなかなか行動に移せないという方々が少なくなって、実際にその気持ちを行動で共生社会に貢献していただけるような、そういう事例も多く御紹介しながら、内閣府特命担当大臣として、総合調整の役割を十分に果たして、障害者施策が政府全体で着実に図られるよう全力を尽くしたいと考えております。

輿水委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

井上委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党の後藤祐一でございます。

 まず、官房長官にお伺いしたいと思いますが、三月二十日の金曜日の参議院予算委員会の安倍総理の答弁で、我が軍という御発言がございました。

 これに関連して、きょう、官房長官の記者会見で、自衛隊は我が国を防衛することを主たる任務としているので、このような組織を軍隊と呼ばれるのであれば、自衛隊は軍隊の一つということだ、また、自衛隊は一般的に国際法上は軍隊に該当する、そういうことになっているというような御趣旨の発言をされておられます。

 自衛隊は、ある意味で軍であるということでしょうか。

菅国務大臣 私が記者会見で申し上げたのは、記者の方から質問がありましたので申し上げました。

 自衛隊は、憲法上、必要最小限度を超える実力を保持し得ないなどの制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なっているというふうに考えています。

 ただ、他方、自衛隊は我が国を防衛することを主たる任務とする組織であって、このような組織を軍隊と呼ぶのであれば、自衛隊も軍隊と呼ぶことができるというふうに申し上げました。また、自衛隊は、一般的には、国際法上は軍隊に該当するものであるというふうに承知をいたしております。

 ですから、このように、自衛隊が軍隊であるかどうかは軍隊の定義いかんによるものであり、これについては、政府として従来から一貫をして申し上げているところであります。

後藤(祐)委員 自衛隊は我が国を防衛することを主たる任務としているので、このような組織を軍隊と呼ばれるのであれば、自衛隊は軍隊の一つだというふうに御答弁がございましたけれども、それは国際法上の話を別としてもそうなんでしょうか。

菅国務大臣 自衛隊の任務は、我が国を防衛することを主たる任務とする組織でありますから、その組織のことを軍隊と呼ぶのであれば、これは自衛隊も軍隊であるということを申し上げているところです。

後藤(祐)委員 国際法上の面を別として、今の御答弁ですと、軍隊と呼べるとなると、それは憲法九条との関係でどう説明するんでしょうか。憲法九条違反ではございませんか。

菅国務大臣 今申し上げましたけれども、自衛隊が軍隊であるかどうかというのは軍隊の定義いかんによるものであって、政府としては、一貫して今日までそのことを政府の見解として申し上げているところであります。

後藤(祐)委員 国際法上のものでなくて、軍隊であるという概念が存在するということでよろしいですか。日本の自衛隊は、国際法上の面を別として、軍隊であるという側面を持つということでよろしいですか。そして、それは、憲法九条で保持することが禁止されている陸海空軍その他の戦力との関係ではどうなるんでしょうか。もう一度御答弁ください。

菅国務大臣 今申し上げましたように、軍隊の定義いかんによるものであり、これは政府として一貫して、自衛隊については、そのことは申し上げているところであります。憲法上、自衛隊はあくまで自衛隊であります。

後藤(祐)委員 自衛隊は、通常、演習なんかを行うときに、軍事演習と言わずに総合演習と呼んだり、軍という言葉をできるだけ避けて、それは九条を意識してだと思いますが、いろいろな表現をされてきているわけでございまして、今の御答弁は、やはり、自衛隊が、国際法上の面を別としても、定義いかんによっては軍隊であるという、これは歴史的にも非常に重要な答弁だと思います。

 過去、日本の総理大臣、その他の大臣、あるいは副大臣、政務次官、政務官、いろいろな方がおられると思いますが、政府の答弁、政府の公式見解、あるいは公式な文書において、自衛隊のことを軍ないしは軍隊と述べたことは過去あるんでしょうか。

菅国務大臣 平成十三年の五月八日に、土井たか子当時衆議院議員から、小泉内閣発足に当たって、答弁書の中で、「自衛隊が軍隊であるかどうかは、軍隊の定義いかんに帰する問題である。」、そういうことを申し上げています。

後藤(祐)委員 その答弁は、定義いかんによるといって、軍隊であると断定していませんよね、今のお話ですと。今のところは断定していないわけです。過去あるんでしょうか。もし、今わからないのであれば、過去そういったものがあるかどうか調べて、この委員会に提出いただけないでしょうか。

菅国務大臣 私の先ほど来の答弁は、軍隊の定義いかんによるものである、これはずっと申し上げていることでありますし、政府として従来から一貫して、今の答弁書で答弁しているように、そこは全く変わっていないということです。

後藤(祐)委員 その答弁ははっきり断定していないんです。だからそこは変わっているんです。

 過去、軍ないしは軍隊である、定義いかんによっては軍隊であると断定したようなものがあるのかどうかを調べた上で、ぜひこの委員会に提出いただけるよう委員長にお願いしたいと思います。

菅国務大臣 先ほど来申し上げていますのは、軍隊であるということを私は断言していませんよ。私が申し上げているのは、自衛隊は我が国を防衛することを主たる任務とする組織であって、このような組織を軍隊と呼ぶのであれば軍隊と言うことができるということまでであります。

後藤(祐)委員 そのような定義は、政府として正しい定義だと思いますか。

菅国務大臣 先ほど、土井たか子衆議院議員に対する答弁書についても申し上げたとおりで、自衛隊が軍隊であるかどうかは軍隊の定義いかんに帰する問題であるということを、小泉内閣当時、平成十三年五月八日に申し上げております。

後藤(祐)委員 質問にお答えください。

 自衛隊は我が国を防衛することを主たる任務としているので、そのような組織を軍隊と呼ばれるのであればという、この軍隊の定義は、政府の見解としてこの定義は正しいですか。あるいは、この定義は正しくないというのであれば、軍隊と呼べなくなるはずでありますが、このような定義はあり得るということですか。

菅国務大臣 自衛隊は、先ほど申し上げましたが、憲法上は紛れもなく自衛隊であります。

後藤(祐)委員 軍隊の定義について政府の公式見解を文書にしてこの委員会に提出することを求めます。対応いただけますでしょうか。委員長、お取り計らいください。

井上委員長 この件につきましては、理事会で協議したいと思います。

後藤(祐)委員 それでは、次に参りますが、菅官房長官、この件だけでございますので、本当は特定秘密の話も聞いていただきたいんですが、お忙しいでしょうから、これで結構でございます。

 続きまして、特定秘密の話に行きたいと思います。

 きょうは上川大臣、有村大臣、両方来ていただいております。有村大臣はチェックする立場の大臣であり、上川大臣は特定秘密の法制度全体についての大臣だと認識しておりますが、一つ一つ聞きたいと思います。

 まず、事務方からの御説明の中で、文書等になっていない、人の記憶だけにある、頭の中だけにあるようなインフォメーションについても特定秘密となり得るという説明を受けましたが、これは事実でしょうか。

上川国務大臣 文書化をされていない特定秘密ということについては、そのとおりであると思います。

後藤(祐)委員 文書化だけでなく、そのインフォメーションが人の記憶にのみ存在するようなものについて、特定秘密になり得るという理解でよろしいでしょうか。

上川国務大臣 お尋ねの件でございますけれども、個々の具体の事案に即して判断をしていくということでございますので、一概にお答えすることはできないということでございますが、いろいろな情報、つまり、文書にならない形で持っている情報ということにつきましては、それは法律の中でそのように規定されているところでございます。

後藤(祐)委員 あり得るという御答弁と受けとめました。

 脳の記憶にあるものの中で二種類あると思うんですね。一つは、例えば、北朝鮮の拉致問題に関する交渉については、これは特定秘密の一つであるということは既に示されておりますけれども、この前、北朝鮮に日本の外務省の職員が行きました。北朝鮮のある高官の方から、何らかの音声で、特定秘密に該当し得るあるいは該当するインフォメーションが、情報という言葉はやや錯綜するので、きょうはあえてインフォメーションという言葉で言いますが、発せられた。その発せられた、それを聞いた瞬間から特定秘密になるという理解でよろしいですか。

上川国務大臣 具体的な一つの場を設定してのお尋ねでございますけれども、具体の事案に即して判断するということでございますので、一概にお答えすることはなかなか難しいということでございます。

 一般論として申し上げるということでございますけれども、既に指定されている特定秘密に該当する情報を新たに入手する、そういう状況だというふうに理解をしたとするならば、その情報につきまして各行政機関が適切に保護、管理できる状態、つまり、各行政機関におきまして特定秘密の取り扱いの業務を行う職員が情報を入手した時点から特定秘密としての取り扱いをすべきものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 つまり、今のケースでいうと、一般論でいいんですけれども、音声が発せられて、情報、インフォメーションを入手した時点から特定秘密に該当すると。これは非常に重要な事実だと思います。

 二種類あると先ほど申し上げたのは、今のケースのように、交渉していて音声で聞きました、まだ文書にしていません。確かにこのインフォメーションも保護する必要がありますから、その場合、文書にするまでの間が文書でないのは、ある意味、仕方がない面があるかもしれません。

 法律の三条二項というのがございまして、これは配付されていると思いますが、大きな紙の二ページ目、三条二項一号では「特定秘密の表示をすること。」となっていて、今のようなケースでは、表示できませんから、三条二項の二号で、一号に掲げる措置によることが困難である場合に該当するということでよろしいですか。音声で聞いた、入手はした、特定秘密に該当するインフォメーションであって、まだ文書にするいとまがないような状況は、この三条二項二号の困難である場合と考えてよろしいですか。

上川国務大臣 ただいま委員がおっしゃった三条二項、それに該当するというふうに思います。

後藤(祐)委員 逆に、三条二項二号は、今のいとまがないようなケースが入ることが明らかになりました。これは初めてなんですね、今明らかになったのは。

 それ以外のケースで、例えば、逐条解説なんかですと、非常に小さいものなので記述できないだとか、あるいは、契約している企業に対して、やがて行きますよ、用意しておいてくださいねというようなケースだとかというのが記述されています。そういったケースが三条二項二号の困難な場合に当たるとされておりますが、今言った三つの場合、つまり、いとまがない場合と、すごく小さいなど物体に化体することが大変困難な場合と、企業なんかとの契約の場合に用意しておくですとか、そういった場合を除いて、どういった場合が困難である場合なんでしょう。

 特に、記憶にしか特定秘密が存在しない状態で、いとまがあったケース、文書化しようと思えば文書化できるのに、脳の中にのみある状態でずっと置いておく、つまり墓場まで持っていくようなケースというのは、特定秘密保護法で想定しているんでしょうか。三条二項二号の困難である場合というのには、いとまがあったのに文書化をしていない、単に人の記憶にのみ存在するような特定秘密というのは存在するんでしょうか、概念上あり得るんでしょうか。

上川国務大臣 ただいまの御質問の中の幾つかのケースということで御指摘がございましたけれども、文書にするいとまがある場合におきましても、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため特に秘匿することが必要である情報につきましては、特定秘密として保護すべきということで、該当するものがあるというふうに思います。

後藤(祐)委員 墓場まで持っていくケースがあるということですね、墓場まで持っていく特定秘密があるということですね。これは驚くべき事実であります、驚くべき事実であります。文書化する時間がない、ほんの数分とかそういったときはまだわかりますよ。

 そうしますと、配付資料の二ページ目の条文、三条三項との関係はどうなるんでしょうか。

 三条三項は、三条二項二号に掲げる措置を講じた場合において、三条二項一号に掲げる措置を講ずることができることとなったときは、直ちに当該措置を講ずるものとする。つまり、特定秘密の表示をすることができることとなったときは、直ちに特定秘密の表示をすると三条三項には書いてあります。墓場まで持っていくことは、この三条三項に違反しませんか。

上川国務大臣 ただいま委員が御指摘のこの三条の事項でございます。

 一項の規定につきましては、この指定をしたときには文書等に特定秘密について記録するということでございますし、また、それ以外の、またはということで、情報を取り扱う者に通知をする、こうした規定になっているところでございます。

 原則として文書にする、これにつきましては、直ちに、あるかないかは問わずとして、原則としては文書化をするというのが大原則であるというふうに思っております。しかし、それ以外であるからといって、保全されることができないということになりますと、そこのところについては問題があるということでございますので、例外的な形の中で、そうした措置も法律上には認められているということでございます。

 ただ、実態におきましては、先ほど来のお話がありましたように、文書にして、そしてそれを保全していくということであるというふうに思います。

後藤(祐)委員 三条三項違反ではないかということについて答弁してください。

上川国務大臣 違反ではないと考えます。

後藤(祐)委員 なぜですか。三条三項は、直ちに特定秘密の表示をしなきゃいけないんですよ。いとまがある場合ですよ。時間があったのに特定秘密の表示をしないというのは、明らかに三条三項違反じゃないですか。なぜゆえに違反しないと言えるのか、理由を説明してください。

上川国務大臣 この法の第三条三項につきまして、文書化できるようになったときには表示をするということでございますが、このところにつきましては、基本的には、文書化できる特定秘密は文書化することが管理上有益であるということ、そして、実際にそのように措置されるのが通例であるというふうに考えているところでございます。

 特定秘密にはさまざまな態様のものがあるということでございますので、先ほど来委員がおっしゃっていたような、非常に小さなものに対してはなかなか難しいとか、化体ができないというような事例もございますので、法律上、文書にならない特定秘密も否定されていないというふうに考えております。

 また、文書化されていなくても、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるために特に秘匿することが必要である情報につきましては、特定秘密として保護すべきだというふうに考えます。あくまで、法の三条三項はそのような趣旨であるというふうに理解しております。

後藤(祐)委員 質問に答えていただけますか。質問に答えていません。小さい場合なんというのはもう別にしているわけです。

 墓場まで持っていくケースの話をしているんですよ。いとまがあって、脳にしか記憶がない場合、そういった特定秘密について、三項の直ちに特定秘密の表示をしなければならないものとするということ違反になってしまうことについて、三項違反でないと先ほど答弁されましたけれども、その理由をもう一度お答えください。

上川国務大臣 三条の三項につきましては、文書になったら表示をすべしということでございまして、情報につきまして必ず文書にすべしという規範ではないという趣旨で三条三項があるというふうに考えます。

後藤(祐)委員 だとすると、いとまがあって、記憶にしか存在しない特定秘密であって、文書化することができないものが存在するということですか。

上川国務大臣 この三条三項を含めまして、文書化をするということが全てできるものではない、そういう法の趣旨でございますので、原則として特定秘密は文書化する、これは管理上非常に有益であるということでございますし、また実際にもそのような形で文書化をしているということでございます。

 ただ、法律上、文書にならない特定秘密につきましても否定されていないというふうに理解をしております。

後藤(祐)委員 つまり、いとまがあって、脳の記憶にしか存在しない特定秘密であって、文書化することができない、そういった特定秘密が存在するということですね、今の答弁は。

上川国務大臣 個別具体でいろいろな形で判断をしていく必要があるということでございますので、今のように、委員がおっしゃったような、一般論として脳にというようなお話がございましたけれども、それがどうだということについて直ちにお答えすることはなかなか難しいということでございますが、一般論ということで、先ほど来申し上げておりますが、既に指定をされている特定秘密に該当する情報を新たに入手したような場合につきましては、その情報について各行政機関が適切に保護、管理できるような状態ということで、その情報を入手した時点からその取り扱いをするという形の中で対応していくべきということでございます。

 文書になっているかどうかということにつきまして、特定秘密として保護されるということについての要件ではないということを申し上げたところでございます。

後藤(祐)委員 脳の中の記憶にしかない特定秘密であって、いとまがあって、文書化するいとまがあったにもかかわらず文書化していないものが概念上存在するということが明らかになりました。そして、そういった特定秘密が概念上存在するということが明らかになりました。

 そして、今の大臣の答弁からしますと、これをきちっと管理しなきゃいけないわけですね。管理できるんですか、脳みそにしかないものを。忘れたらどうするんですか、その方が。あるいは、入手した時点、すなわち人から音声か何かで聞いた情報、インフォメーションを脳に記憶します、それをそのまま正確にその方が再現するかどうか、わからないじゃないですか。

 どうやってその特定秘密を保護するんですか。忘れてしまうケース、修正してしまうのではないかというおそれ、これに対してどう対応するつもりですか。これは、特定秘密を保護しなければならないという要請からしてもおかしいと思いますが、いかがですか。

上川国務大臣 運用基準におきましては、行政機関の長は、特定秘密に指定する際に、当該指定に係る情報を他の情報と区別することができるように記述をするということ、そして、その情報が指定の理由があるということを記すものとされているところでございます。

 指定の対象となる情報の記述、そして指定の理由ということに照らしますと、当該指定に係る情報を取り扱う職員、そして、入手した情報のうち、何が特定秘密であり、何が特定秘密でないのかということがわかるように指定をされているということでございます。したがって、職員が特定秘密に該当する情報を入手した段階で、何が特定秘密に該当するかどうかということがわかるということでございます。

 先ほど来申し上げておりますけれども、通常は、特定秘密を入手した場合に、その情報を文書化する、そしてその文書に特定秘密の表示が行われるということでございまして、これにつきましては、運用基準にのっとってしっかりと行うということでございます。

 そして、この表示につきましては各省の保全責任者が行うということでございますので、多くの場合は、その文書によりまして行政機関の長を含む幹部に報告をされるということになるというふうに思っております。

後藤(祐)委員 現時点でそのような特定秘密は存在しますか。つまり、いとまがあって、人の記憶の中にしか存在しない特定秘密は、現時点で具体的に存在しますか。

上川国務大臣 ただいまの御質問でございますが、二十六年末までに指定された特定秘密につきまして、その特定秘密を記録する文書が存在しないものがあるか否かにつきましては、把握をしておりません。

後藤(祐)委員 調査した上で、この委員会に提出していただけますでしょうか。存在するかしないかだけで結構です。あるいは、存在する場合は何件存在するのかを報告いただけないでしょうか。

上川国務大臣 特定秘密の指定につきましては、それぞれの省庁で御判断をされるということでございますので、その限りでございます。

後藤(祐)委員 上川大臣から、特定秘密を保有する全ての行政機関に存在するかどうかを確認して、それを取りまとめてこの委員会に提出していただけないでしょうか。

上川国務大臣 ただいまの御指摘でございますけれども、現在、各行政機関内で保有しております特定秘密文書の件数について集計をしているところでございますが、指定された特定秘密ごとの文書件数、そしてそうではない件数ということについては、集計する予定は今のところございません。

後藤(祐)委員 墓場まで持っていく特定秘密が概念上存在し、それが実際に存在しているかどうかもお答えできない。そして、調べてほしいと言ったら、調べるつもりはない。これが特定秘密の実態ですよ。

 せめて文書化してください。正確に言うと文書等化、文書以外のものもあるから。記録してください。記録しないものが管理できるんですか。そこはよくお考えになって、墓場まで持っていく特定秘密というものは存在してはならない、私は絶対そう思います。

 こういうところを政治家である大臣が、役所がそう上げてきたとしても、そんなものは通るわけがないと言って、きちっと対応すべきなんじゃないんですか、大臣。よくお考えになって、調べてください。そのうち、もう一回聞きます。

 次に行きます。内部通報。

 内部通報、内部でなくてもいいですね、通報制度といったものについては既にでき上がっていると聞いていますけれども、特定秘密保護法施行令十二条二号に、「職員に対する特定秘密の保護に関する教育」というものを行政機関の長は行うとされておりますけれども、この「教育」の中に通報に関する項目は含まれているんでしょうか。

 つまり、通報制度はできました、窓口はここですというものはホームページには載っています。ですが、特定秘密を取り扱う者が全員そのことを知っているかどうかは危ういです。きちっと、通報制度というものの存在、駆け込み先、通報先はここであるということを全ての取扱者に知らせているんでしょうか。

上川国務大臣 ただいま委員から御指摘もございましたけれども、各行政機関におきまして、内部の通報の窓口の設置について、設置されているというふうに思います。

 各行政機関におきましては、先ほどお話がございましたとおり、特定秘密保護法の施行令の第十二条に定める職員に対する教育等によりまして、周知に努めているというふうに承知をしているところでございます。

後藤(祐)委員 努めているということは、全て周知されているかどうかわからないということですか。

 少なくとも法務省においてはいかがでしょうか。特定秘密の取り扱いをする全ての職員の方に対し、通報制度の存在とその窓口を知らせているでしょうか。

上川国務大臣 周知に努めているという言い方につきましては十分でなかったというふうに思いますが、周知をしているというふうに承知しております。

後藤(祐)委員 この通報制度、その通報先の一つに国会、特に衆議院、参議院の両院に情報監視審査会、きょう参議院でも委員が指名されたと伺っておりますが、今月三十日にもそれぞれで一回目が開かれると伺っておりますけれども、ここを通報先に加えていただけないでしょうか。

 先日、議院運営委員会での質疑の中で、この話は加藤官房副長官にも申し上げました。そのときに副長官は、「この制度が始まってまいりますから、そういったことも踏まえながら考えていくべきものだと思います。」と答弁されておられます。

 通報先が、今のところは、各役所の中でしかないんです。それでは、怖くて通報できません。公益通報者保護法については、お二人、この前呼んだときも、有村大臣よく御存じでなかったけれども、外部に、弁護士事務所なんかを窓口にされたりしているんです。その一般法たる公益通報者保護法を使わずに新たな体系をやるのであれば、それ相応の、役所外にどこか通報先をつくらないと、機能しません。

 ただ、漏えいするとまずいですから、その通報先は気をつけなきゃいけない。そういう意味で、情報監視審査会というのはある意味で通報先としてふさわしいと思いますが、通報先に加えることを御検討いただけないでしょうか。

上川国務大臣 ただいまの御指摘でございますけれども、政府によりまして、情報監視審査会への対応につきましては、この審査会発足ということでございまして、そうした中で検討、整理されるべき問題であるというふうに考えております。

 官房副長官の御発言があったということでございますけれども、そちらの方でしっかりと対応していただくということでいきたいと思います。

後藤(祐)委員 いや、副長官に任せちゃだめですよ、上川大臣は担当大臣なんだから。

 情報監視審査会がそういう議論になった場合にはぜひ協力をいただきたいと思いますし、その場合には、特定秘密を提供していい先というのは限定列挙なんです。法改正が必要になるんですね。つまり、この通報制度自体が法律に位置づけられていないところが問題なんです。通報者が保護されるということは、まさに公益通報者保護法が法律でもってできているということと並びでいけば、法律でこれはきちっと安全を確保してあげなきゃいけないんですよ。

 この特定秘密保護法の見直しが検討される時期もあるでしょうから、そのときの見直し事項としてきちっとやっていただきたいと思いますし、情報監視審査会でそういった議論が起きた場合には積極的に対応いただきたいと思います。

 次に、適性評価に行きたいと思います。

 適性評価は、少なくとも衆議院では十九日までに適性評価を終了したというふうに伺っております。職員に既に辞令がおりて発令されています。

 政府内における特定秘密の適性評価、これは、公布日である二〇一三年十二月十三日から二年以内に実施とされています。まだ終わっていません。今作業中だと思いますが、どの段階でしょうか。つまり、個票みたいなものができて、個票を実際の適性評価を受ける方に対して渡して、記入していただいて、それを集めて、その中身を精査して、人によっては、外部の方に本当にそれが正しいかチェックいただく、そんな流れになるんじゃないかと思いますが、どの段階まで行っているんでしょうか、そして、いつごろ終了するんでしょうか、上川大臣。

上川国務大臣 適性評価の実施状況ということでございます。

 昨年の十二月十日のこの法の施行以降ということでございますけれども、各行政機関におきまして、質問票等の記載、提出などの適性評価の手続を開始して、そして、それぞれの行政機関におきまして、その進捗も含めましてしっかりと対応しているというふうに思っております。

 ただ、全てにつきましてどの程度進捗しているかということにつきましては把握をしておりません。そして、そのことにつきましては、二年以内という実施でありますけれども、それぞれの行政機関におきまして、やはり、既にそうした扱いをしていくということでございますので、なるべく早くそのことが実現できるようにしていくべきだというふうに思っております。

 政府全体につきまして、相当数の者がこの適性評価の対象になるということが見込まれるわけでございまして、現時点では、御質問でございますけれども、進捗あるいは今の時点でどうかということについてはお答えすることが難しい状況でございます。

後藤(祐)委員 適性評価が必要な方の数はどのぐらいでしょうか。

 これは、昨年六月四日の内閣委員会の私の質問に対して、特別管理秘密の段階では、中央省庁で六万四千五百、都道府県警で二万九千、内閣情報調査室関連の契約相手方の事業者で約千、防衛秘密の、これはちょっと答弁中で明らかじゃなかったんですが、契約業者だと思いますが約三千三百、合計すると約十万というような御答弁がございました。

 適性評価の必要な人数は何名程度でしょうか。これは、予算要求の根拠だとか、いろいろなところで既に把握されているはずだと思いますので、御答弁いただきたいと思います。

上川国務大臣 ただいまの御質問でございますけれども、政府全体として今どのくらいを対象とするのか、そうした御指摘がございましたけれども、相当数の者がこの適性評価の対象となるということが見込まれるわけでございますけれども、対象者数がどの程度ということにつきましては、現段階でしっかりとした数値でお答えすることができません。

後藤(祐)委員 それはきちっと把握した上で、この委員会に報告いただけないでしょうか。

 というのは、適性評価を受ける人の数というのは、特定秘密を知り得る人の数というのはそういう規模なんだなということで、非常に意味がある数字なんです。特管秘のときには御答弁いただいているわけです。

 大まかな数でいいですから、この委員会に、今の段階で把握し得る数で結構です、各省から聞けば、各省は把握しているはずですから、御報告いただけないでしょうか。少なくとも法務省については、法務大臣でもあられる上川大臣、把握されておられるんじゃないでしょうか。この二点、御答弁ください。

上川国務大臣 先ほど申し上げたように、政府におきましては、それぞれの行政機関の中で、それぞれの特定秘密に関して、しっかりとした形で、それを扱う者については指示をしなければいけないという意味では、丁寧にやっていただかなければいけない案件だというふうに思います。

 先ほど来のお話の中で、相当数の者がこれの対象になるというふうには申し上げたところでございますが、確たる数字につきましては、ただいまのところ、申し上げることができないということでございます。

後藤(祐)委員 委員長、今の適性評価を受ける人数、概算で結構ですから、各行政機関の分を取りまとめて、この委員会に提出していただけるよう、理事会で取り計らっていただけないでしょうか。

井上委員長 理事会で協議します。

後藤(祐)委員 特定行政文書ファイルに行きたいと思います。

 配付資料の一枚目の左側に定義がございます。つまり、公文書管理法に規定する行政文書ファイル等という概念がございますが、その中で、特定秘密である情報を記録してあるもの、つまり特定秘密を含む行政文書ファイルのことでありますが、この特定行政文書ファイル等の名称、保存場所、保存期間、満了したときの措置については、独立公文書管理監に報告するということとされています。その資料の右側のページの(イ)というところでございます。

 これは既にもう作成されておられるんでしょうか。そして、独立公文書管理監に報告しているんでしょうか。これは各行政機関の義務だと思いますので、法務省分について既に作成及び報告されているかどうかについて、上川大臣、お答えください。

上川国務大臣 ただいま御質問の行政文書ファイル等ということでございますけれども、こちらにつきましては、年度ごとにまとめるということを原則としているということでございます。したがいまして、そのようなタイミングに合わせまして、各行政機関において、特定行政文書ファイル等につきましても適切に作成されるものというふうに考えております。

 ただ、各行政機関におきまして、実際の特定行政文書ファイル等の作成、保有状況がどうなっているのかということにつきましては、承知をしておりません。

後藤(祐)委員 年ごとでなく年度ごとですね。としますと、もうすぐ平成二十六年度が来週で終わります。その段階で少なくとも、平成二十六年度分なのか、過去からの分も合わせてなのか、最初であれば合わせてなんでしょうね、というものが、それなりの作業時間はかかるのかもしれませんが、一回この三月三十一日の段階で期限を切って、その段階での特定行政文書ファイル等を作成し、独立公文書管理監に報告するという理解でよろしいでしょうか。

上川国務大臣 基本的に、行政文書ファイル等でございますけれども、これは公文書管理法及び行政文書の管理に関するガイドラインというところに指示があるわけでございますが、年度ごとにまとめるということを原則としているということでございます。したがいまして、そのようなタイミングに合わせまして、各行政機関におきましても、この特定行政文書ファイル等につきまして適切に作成されていくというふうに考えております。

後藤(祐)委員 この特定行政文書ファイル等は、衆参両院の情報監視審査会には提供されるんでしょうか。また、世の中に公開されるんでしょうか。あるいは、例えば国会議員である私が求めた場合、提供していただけるんでしょうか。

上川国務大臣 まず、この特定行政文書ファイル等につきましては、情報監視審査会ということで、これは個別の対応ということになります。審査会が発足するということでございまして、そうした中で検討、整理すべき問題であるというふうに思っております。

 現段階ではまだ具体的な御要望が明らかでないということでございますので、お答えすることにつきましては難しいということでございます。

 国会の情報監視審査会から必要な情報の提供を求められた場合につきましては、これを尊重し、そして国会法等の規定に基づいて、各省庁におきまして適切に対応されるものというふうに考えております。

 公表につきましてのお尋ねもございました。

 公表につきましては、この特定行政文書ファイル等の名称につきまして、行政機関の長は、毎年一回、独立公文書管理監に報告することということでございまして、その公表につきましては、各行政機関の考え方を確認してみたいというふうに思っております。

 また、後藤委員のように国会議員への提出ということにつきましては、各行政機関におきまして個別具体ということで判断されるものというふうに考えております。

後藤(祐)委員 法務大臣として、法務省分を世の中に情報提供していただけませんか。

上川国務大臣 検討させていただきたいと思います。

後藤(祐)委員 この特定行政文書ファイルのそれぞれの題名がわからないと、今回、特定秘密の指定管理簿の三百八十二、今三百八十七になりましたけれども、あの名前じゃ何にもわからないんです。あの題名でわかりますか。有村大臣、チェックする立場の担当大臣として、あの三百八十七の特定秘密指定管理簿のそれぞれの題名でわかりますか、中に何が入っているか。わかるわけないんですよ。そうなりますと、次はこの特定行政文書ファイル等なんです。これを世の中に対して公表できなかったら、また隠しているという話になるわけですよ。

 ぜひ、今、御検討させていただきますということでございましたけれども、特定秘密担当大臣として、率先垂範する意味でも、法務省分はきちんと出す、各省も出してくださいという形で、積極的な、自発的な情報提供の形で世の中に知らせていただきたいと思います。

 次に、特定秘密指定管理簿に行きたいと思います。

 これは三月十三日、十六日、十七日に、防衛省以外の九つの行政機関から、なぜか私にのみ示されました。私が予算委員会で要求していたからということですが、衆議院予算委員会が終わった三十分後に最初のものが来ました。

 本来これも、それぞれの行政機関というよりは内閣官房が取りまとめて、出てみると大したものじゃないわけですよ。この特定秘密指定管理簿を積極的に、自発的な情報提供をすべきではありませんか。なぜそれをしないんですか。今、民主党のホームページにだけ載っていますよ。そんなことでいいんですか。世の中に対して特定秘密指定管理簿はもう明らかになっているのに、なぜそれをまとめて掲示することをしないんですか。あるいは、各省がそれぞれというのであれば、各省がそれぞれ自発的にホームページに載っけるべきじゃありませんか。やっていただけませんか、上川大臣。

上川国務大臣 ただいまの特定秘密指定管理簿ということでございますけれども、各行政機関が保有しているという管理簿でございます。現時点ではまとめて公表するという予定はございませんけれども、各行政機関の考え方を聞いてまいりたいというふうに思っております。

後藤(祐)委員 もう世の中に公表されているものなんですよ。何でそういうことができないんですか。そういうところを政治のリーダーシップでしっかりやってほしいんですよね。これを情報公開請求した方が民間の方でおられます。防衛省分は八月七日まで待ってくださいと言われたそうです。

 この特定秘密指定管理簿は、少なくとも一月三十日の時点では、独立公文書管理監はその写しをお持ちでした。いつできたのかよくわかりませんが、十二月二十六日に指定されていますから、十二月二十六日には指定管理簿はできていたはずです。私のところに来たのが一番早いもので三月十三日。二、三カ月かかっているわけです。何をしていたんですか。これは、黒塗りをどこにするかということに少し時間がかかるのはわかります。結果として五件の題名について黒塗りをされてきました。

 通常、情報公開請求をした場合、三十日以内に情報公開請求に対しては答えなきゃいけないんです。なぜこんなに時間がかかったんですか、上川大臣。法務大臣は特に黒塗りの文書がありましたけれども、何でこんなに時間がかかったのか、法務省のケースでも結構ですからお答えください。

上川国務大臣 後藤委員からの資料要求等がございまして、この特定秘密指定管理簿につきましては、各行政機関がそれぞれ保有しているものであるということでございます。先ほども委員から御指摘ございましたけれども、それぞれの行政機関におきまして、不開示情報の該当性につきまして精査する必要があるということで、一定の期間を要したものでございます。

 情報公開法の開示決定等の期限につきましては、三十日以内というルールがございます。また、それにつきまして、事務処理上の困難な理由ということで、さらに三十日以内に限って延長することができるという旨も規定しているところでもございますが、そういう意味では一定の期間を要したものというふうに思っておりますけれども、なるべく早く出していくべきことではないかというふうに思っております。

後藤(祐)委員 今この時点ででも、新しく指定されている可能性があるわけです。我々は常に請求し続けなきゃいけないんですか。指定されて直後にするのは難しいことはわかります。今の答弁の、できるだけ早くというところで、少しの間は置いていいですから、黒塗りをどこにしたらいいかというのを考える時間はいいですから。でも、三十日というのは一つの目安なんじゃないんですか。そのぐらいで自発的情報提供を今後引き続きしていただくことをぜひお願いしたいと思います。

 それでは、少し時間がなくなってまいりました。

 独立公文書管理監が特定秘密あるいは特定秘密を含むインフォメーションを求めた場合、各行政機関は理由を疎明して拒否することができます。この疎明の理由は、どんな理由があり得るんでしょうか。

 これは、国会法の議論ですとか特定秘密保護法の議論のときなんかに、国会との関係で主に議論されましたけれども、人的情報源だとかサードパーティールールに該当するようなものはなかなか出すのが難しいような議論がありました。

 ただ、同じ内閣の中にある独立公文書管理監に対してすら示せない、その疎明の理由として合理的理由と言えるものを挙げてください。

有村国務大臣 お答えいたします。

 検証、監察の過程で進捗状況あるいはその手法を具体的に明らかにすることは、検証、監察を実効的に進める上で支障が生じるおそれがあることから、お答えを差し控える必要があると考えております。

 委員がおっしゃったように、疎明をしていただくということでございますが、ヒューミントのことなどは承知しておりますけれども、では、ほかにどういうものがあるかということはお答えを差し控える必要が、今後適正に検証、監察をする上でも大事なことだと認識をしております。

後藤(祐)委員 サードパーティールール、すなわち、ほかの人に知らせないでねということを条件に他国などから入手した情報が特定秘密になった場合に、このサードパーティールールを理由に独立公文書管理監に提供できないという言いわけ、疎明をされる可能性がゼロではないと思うんです、今の答弁からすると。

 もしそうなんだとすれば、独立公文書管理監の下にいる職員は、特定秘密をいざという場合に見られるように適性評価を受けるべきじゃありませんか。適性評価を受ければ、そのようなことを理由に提供できないと言うことはできなくなると思うんです。

 独立公文書管理監下におられる方々が適性評価を今受けておりませんが、これは法的に受けられないから受けないんですか。法的に受けられるかどうかを明らかにするとともに、受けるべきではないかということについての御見解も聞きたいと思います。上川大臣。

上川国務大臣 ただいまの御質問、特定秘密の取扱者以外に適性評価を行うことにつきましての御質問でございましたので、私の方からお答えさせていただきたいというふうに思います。

 行政機関の長から独立公文書管理監に対する特定秘密の提供につきましては、これは法律の十条に基づくものでございます。これは、独立公文書管理監及びそのもとに置かれている情報保全監察室の職員につきましては、適性評価の対象とならないという規定でございます。

 適性評価につきましては、安全保障上の必要によりまして特定秘密を取り扱う者を対象とする制度ということでございまして、そのことを前提といたした形でさまざまな適性評価を行うということでございますので、今申し上げたように、独立公文書管理監のもとで働く皆様に対しては、適性評価の対象にならないということでございます。

後藤(祐)委員 時間が来たので終わりますが、これは法律上できないということなんでしょうね。法改正をして、これは対象に含めるべきだということを提案させていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、緒方林太郎君。

緒方委員 民主党の緒方林太郎でございます。

 貴重な時間をいただきまして、本当にありがとうございます。

 まず最初に、西村副大臣。まず最初にお伺いしたいのは、翠光トップラインという会社、そしてジェイトップラインという会社、御存じだと思いますけれども、いかなる御関係でございますでしょうか。

西村(康)副大臣 今、二社のお名前をおっしゃられたと思いますが、私、同じ会社かどうか、含めてわからないんですが、最初の方の翠光トップラインという会社は存じ上げております。

緒方委員 この翠光トップラインという会社は、ことしの二月二十七日に、景品表示法の違反ということで、窓ガラス用フィルムに関する表示がおかしかったということで、消費者庁から措置命令を受けております。

 そして、西村副大臣、一月二十七日にレク要求を消費者庁にしておられますね、この件で。この件についてしておられます。

 まず、この件について、どちらでレクをされましたでしょうか、西村副大臣。

西村(康)副大臣 この翠光トップラインについてのお話を、私の知り合いを通じて事務所の秘書に連絡がありましたので、その内容について消費者庁に確認すべく、中身ではなくて、どういう手続なのかという、そのことについて副大臣室で話を聞きました。

緒方委員 この翠光トップライン社の不正事案、何かどうも措置命令に対して異議を唱えているようでありますけれども、最初にこれを副大臣が知ったのはいつですか。この事案を知ったのはいつですか。

西村(康)副大臣 記憶が定かではありませんけれども、先ほど申し上げたとおり、私の知り合いを通じまして事務所に連絡があり、秘書が対応しました。その秘書から報告を受けたのが最初であります。

緒方委員 この翠光トップライン社と西村副大臣、例えば、個人献金があるとか、この会社から企業・団体献金があるとか、もしくは代表者等からのパーティー券の購入があるとか、そういうものはございますでしょうか。

西村(康)副大臣 献金はございません。きのう念のため確認をしましたけれども、会社、個人ともございません。

 パーティーは、今、大規模なものは慎むように、自粛をするようにということでありますので、小規模なセミナーを開催しておりますが、過去に一度来られているようであります。

緒方委員 これを副大臣室で聞くというのは、内閣府の消費者庁のその話で措置命令に関するものを、その措置命令が下される一カ月前です、一カ月前にそういう形で副大臣室において聞くというのは、これは何らかの圧力になるというふうにお思いになりませんでしたか。

西村(康)副大臣 私が話を聞いたのは、景表法の一般的な手続についての説明を受けましたが、何か依頼をしたとか、それから圧力をかけたとか、こういうことは一切ございません。

 それから、副大臣室になったのは日程上の都合だというふうに思いますけれども、今後、誤解のないようには十分注意をしたいと思います。

緒方委員 ここに、私、レク要求の資料を持っておりますけれども、別に景品表示法の一般的なことについて聞きたいとはどこにも書いてなくて、翠光トップラインという会社がこういう措置命令の関係でいろいろあるけれども、これがその後どのようになっているか、課長以上の方から話を聞きたいというふうになっています。

 これが消費者庁の行政に萎縮効果をもたらしたというふうにはお思いになりませんか。

西村(康)副大臣 私が内容について説明を受けたのは、現在調査中であるということと、それから、措置命令に係る一般的な手続についての説明を受けました。

 繰り返しますが、私から何か便宜を図るような依頼をしたことは一切ありませんし、圧力をかけたことも一切ありません。ただ、副大臣室でそういう話が、これは日程上の都合だと思いますけれども、話をしたということを含めて、今後、誤解なきように細心の注意を払っていきたいというふうに思います。

緒方委員 これはちょっと、内閣のかなめ、官房長官にお伺いをいたしたいと思います。

 自身が所属する官庁の措置命令について、その自分自身の政務三役室で聞き取りをするということ自体が不適切だというふうに、官房長官、思いませんか。

菅国務大臣 私は、どういう状況でということは、今初めて二人のやりとりの中で知ったわけでありますけれども、今、西村副大臣が答弁されたように、その全体について、どういうことだということの意見聴取だということであれば、私は問題ないというふうに思います。

緒方委員 いや、これは、その前提としてではなくて、具体的事例について聞くということでレク依頼をしていて、そしてそれが措置命令に関するものであった。一般論じゃない、一般論というか、景品表示法の細かいことについて聞いているわけではないんです。具体的な社を出して、そしてこの件について聞きたいというふうに言えば、役所に萎縮効果が働くというふうにお思いになりませんか。もう一度。

菅国務大臣 先ほどの西村副大臣の答弁ですと、そういう今の緒方委員の質問とは若干違って、全体として話を聞きたいという形で副大臣室に来てもらった。これは、日程上、そういうことはよくあることだと思います。大臣室なりでレクとかを受けたいということは、日程上、そこは私はおかしくないと思いますよ。

緒方委員 これは、大臣室、副大臣室、政務官室で聞くと、やはり、他省庁でなくて、しかも自分の役所ですから、これは一線を引くべきだと思いますし、この件はまた後日追いたいと思いますけれども、一般論として、この件を自分の部屋で聞くということが圧力になるというふうに私は思います。この件は同僚等々含めて後日また話をしていきたいと思いますので、質問に移らせていただきます。これからはこういう話じゃありません。

 内閣委員会の所信の質疑ということでお伺いをいたします。

 私が、内閣府とか内閣官房ということで時々違和感を持っているのが、こちらにきょう国務大臣の方が並んでおられますけれども、皆様方、法令にほとんど名前が出てこないんですね。法令に直接名前が出てくることがほとんどなくて、内閣府の特命担当大臣というのは、実際に権限を行使するときは、法令上は内閣府の大臣である内閣総理大臣が実質的に権限を行使する、実質的にというか、法令上の権限を行使するということになっています。

 それぞれの内閣府特命担当大臣の方々というのは、それぞれの内閣府の所掌事項を担当はしているけれども、担当ではあるけれども主任の大臣じゃないんですね。主任の大臣でない。例えば、有村大臣が今回、女性関係の法律を国会に出されますけれども、あの法律を見てみて、内閣府特命担当大臣がこれこれこういう権限を行使するとかいうことは一言も書いてないんですね。全て内閣総理大臣か他省庁の大臣ということになっております。

 この内閣府特命担当大臣が、担当しているからその責任を、責任感を持ってやっていることを否定するものではありませんけれども、実際に権限を行使するときに、内閣総理大臣を経由してしか行使できないこと、これはおかしいと思いませんか。

菅国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、主任大臣ではないわけであります。

 ただ、内閣総理大臣を助けて、命を受けて内閣府の事務を所掌する、そういう中で、専権事項、専決で処理すること、ここも総理にかわってできることでありますので、いずれにしろ、責任を持って職務を実行に移してもらえる、そういう体制にはなっているというふうに思います。

緒方委員 恐らく、実際の担当、そして所掌事項と責任の所在というのが、法令上においては別になっているということであります。

 これは恐らく、内閣府特命担当大臣それぞれの方々は、今おられる方々がそうであるとは言いませんけれども、自分は担当だけれども主任の大臣でないということで、最終的に、最後の最後の責任者は自分ではないのだというふうな思いが生じないとも限らない。

 あるお役所の人と話していると、そういう大臣がかつていたそうであります。自分は担当だけれども主任じゃないからなというふうに口走った大臣がいたと聞いています。これは別に他党たたきをするつもりはありませんが、自民党政権であります。こういったことが生じることというのは、制度として望ましくないというふうに自分自身は思っています。

 内閣府特命担当大臣が何でこんな制度になっているかというと、恐らく、それぞれの内閣の課題に機動的に対応するから、そういう理屈だろうと思いますけれども、例えば、沖縄問題とかそういったものというのは、事実上、常に内閣府の中に置かれるわけですよね。機動的だどうだということでもなくて、機動的であることと、さっき言ったように、主任の大臣である、主任の大臣でないということは、別に二律背反ではないと私は思います。

 機動的に対応しながら、それぞれ内閣府特命担当大臣が主任の大臣となるようなシステムにする方が私は適当だと思いますけれども、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 今、数置く担当大臣のうち、金融、沖縄及び北方、消費者及び食品安全、この三つについては必置という形になっています。それ以外は、委員から御指摘がありましたけれども、それぞれの時の課題に対応するために置くことができる。そういう意味で、時代の要請に応えることができる柔軟性のある対応が可能になってくるというふうに思っています。

 ただ、委員の言われていることも、そこは一理あるというふうに私自身も思っておりますが、ただ、現実問題として、それぞれの時代の要請に応えるために柔軟性というものも、そこは必要じゃないでしょうか。

緒方委員 少なくとも、必置のものについては主任の大臣とすべきじゃないかなと思いますね。金融とか沖縄北方とか、そういったものについては制度をよく考えていただいて。

 今、内閣官房と内閣府の権限関係の整理を、これはたしか有村大臣のもとではなかったかと思いますが、整理をされておられます。今国会に法律が上がってくるというふうに聞いております。

 これを行政改革と呼ぶかどうかはわかりませんけれども、今、内閣官房と内閣府というのは、見ていると、何でもかんでも押し込まれていて、これは何の役所なんだと思うぐらい、それぞれ担当がわけがわからない。大臣はたくさんいるけれども、副大臣、政務官になると、どんどんボトルネックになっていって、むちゃくちゃ所掌が多いということもあったりして、いろいろ難しいことはあるんだろうなと思いますけれども、行政改革の観点から、この件、将来の課題として検討していただけませんか、有村大臣。

有村国務大臣 お答えいたします。

 緒方委員御案内のとおりかと思いますが、特命担当大臣は、平成十三年の省庁再編時に、内閣総理大臣がその指導性を十分発揮できるようにするというために、総理大臣の命を受けて省庁横断的な政策課題について強力な調整を行う、そのために、内閣総理大臣を助ける役割ということを担うために導入をされています。

 委員が御指摘いただきましたとおり、今回、内閣官房及び内閣府の見直しということを、法案を提出しておりますけれども、その中で私どもがやろうとするのは、やはりおっしゃるとおり、何でもかんでも内閣官房、内閣府というものではないというふうに思っております。そこをしっかりと整理するということで法案を出させていただきますが、省庁再編やあるいは主任ということを変えるというスコープはこの法案には盛っておりませんので、取り急ぎ、内閣官房、内閣府のスリム化ということに専念をしてまいりたいというふうに考えております。

緒方委員 この件は、そんなに与野党対決とかそういう内容でもなくて、権限と実際にやっていることの間のすき間がないようにそろえていこうというのが一番すっきりすると思うんですね。

 大臣の皆様方は、国務大臣としていろいろと権限を持っておられて、それを行使する、専決事項を受けて、代理決裁だと思いますけれども、そういうことをやるというわけでありますが、実は、皆様方が法令上行使できる権限というのがほとんどない、極めて限られているということについては、ぜひ御認識をいただければ、将来の課題としていただければというふうに思います。

 それでは、テーマを移したいと思います。官房長官、ここで結構でございます。

 行政改革の関係で、公益法人、それが改革されて新しい公益法人に移ったもの、さらには、かつて、旧公益法人であったけれども、一般財団法人、一般社団法人に移行していったものというのが、二〇〇八年から制度がスタートしまして、二〇一三年末だったと思いますけれども、二〇一二年末、一三年末、ちょっと忘れましたけれども、そこで終わって、現在、新公益法人と新一般法人に移行しているわけであります。

 この中で、私が非常に危惧をしていることが一つあります。非常に危惧をしていることがあります、それは今既に起こっていることですけれども。

 公益法人時代に、公益法人というのが非常に問題だ、役所からお金が行って、そして天下りが来てと。そういう状態の、役所が認可を出して設置した公益法人がそういう役所の天下りの温床になっていたということが問題になりました。

 そして、そういった法人の中で、新しく公益法人を選んだところもありますけれども、新しく公益法人の認定を受けたところもありますけれども、一般社団法人、一般財団法人を選んだ、そういう法人も結構あるんですね。

 これは、役所からお金も行っている、人も行っているということで、がちがちにつながっている、そういう公益法人がたたかれて、けれども、その公益法人改革の後にせえのドンで移ってみて一般法人になってみたら、ディスクロージャーもかからない、何もかからない、そういう状態になって、けれども実際、まだ役所から何十億というお金が流れて、そして役所のOBが引き続き天下りをし続けている、そういう一般社団法人が結構あります。

 これは、行政改革の観点から問題だというふうに思いませんか、有村大臣。

有村国務大臣 平成十八年になされました、公益法人制度改革関連三法案ということで、この改革では、広く民間における非営利活動の健全な発展を促進する観点から、御指摘のように、これまで一体となってきた法人格の取得と公益性の判断ということを完全に分けまして、行政の一定の関与のもとに税制優遇を手厚くする公益法人制度をしっかりと打ち立てる、また、別のカテゴリーとして、登記のみによって法人格を取得することができ、より民間の自主性、自立性を生かす一般法人制度が創設されました。

 おっしゃる一般法人制度の方は、一般法人法に規定されておりまして、この所管は法務省でございますので、私がそこにコメントする立場にはございません。

緒方委員 それでは、法務副大臣が来ておられます。

 今言った、公益法人として非常に問題があるといろいろ思われていた団体が、恐らく心の中で、もうこんなに公益法人と言われたらたたかれる、だから、一般社団法人、一般財団法人を選ぼうということで、いろいろな役所とお金もそして人もがちっとつながったまま、せえのドンで一般法人に行ってしまった後、今、何のチェックもかからない状態、ディスクロージャーも非常に緩い、ほとんどない、そういう状態にあることは、一般法人法を所管する法務省として問題だと思われませんか。

葉梨副大臣 法律を所管いたします法務省の副大臣としてお答えをさせていただきます。

 今も有村大臣からも御答弁がございましたけれども、公益性の有無にかかわらず、法人格を準則主義によって取得することができるということで、一般的な法人制度というのが設けられております。

 私ども、この法律を所管しているということでございますけれども、御指摘のように、国から補助金を受けている、それから再就職の受け皿となっているというようなことで、その補助金がどのような適正な使われ方をしたのか、あるいは、再就職のあっせんということはなくなったはずなんですけれども、かつてあっせんをしていたようなところがどのような形でそれを後々透明性を確保するかというようなことについて申し上げますと、これは一般的な法人の準則といいますか、この法律というよりは、補助金の使い道といったような形の面が高いんじゃなかろうかなというふうに私は思います。

 私どもとしては、まさに、一般社団法人それから一般財団法人の通則を所管している立場でございますので、今の御質問にお答えする立場にはないかなというふうに思います。

緒方委員 つまり、そういうことなんです。

 この件、かつていろいろと問題があると言われた公益法人が、そのまま、役所とつながったまま、せえのドンで出ていってしまったときに、役所の行革担当部局は、それは一般法人法の世界ですねということで、内閣府の行政改革のフロントの方は、自分たちの話じゃないですというふうに言われる。では、法務省の方に聞いたら何と言うかというと、それは、一般法人法を我々は法として所管しているだけであって、個別のそういった問題点については、それぞれのお金を出していたり、つまり、横串を刺して検討しようということをする役所がどこにも存在しない、どこにも存在していない、今のポジションだと。

 しかし、実態問題として、そういった一般法人があるのであれば、横串を刺して。そして、そういうところは、やはり役所に対する依存度が高いわけですよ。役所からお金が流れている、そしてそこに再就職をされている方もいるというのは、単に法人の形態が変わって、もちろん税金関係とかもいろいろ変わっていると思いますけれども、ただ法人形態が変わっただけで、法人形態が変わったからそこはもう野放しでいいんだというのは、行政改革のあり方としておかしいと私は思いますけれども、有村大臣、いかがですか。

有村国務大臣 まず、御報告させていただくべきことは、この公益法人制度の改革というのは、国会での審議を経ての公益法人制度だということ、これは国民の代表のこの国会で審議をされたものということを明確に申し上げます。その上でののりとして、一般法人法は法務省の所管だと。

 それで、今委員がおっしゃったように、国家公務員の再就職あるいは口ききということは、しっかりとこれは見える化をして問題にしていかなきゃいけないという問題意識はございます。どのような法人かということは別にして、国家公務員の再就職に関しては、官民の癒着につながりかねない公務員OBの口きき、あるいは、予算、権限を背景とした再就職のあっせん等の不適切な行為ということをしっかりと取り締まっていかなければなりません。

 平成十九年の国家公務員法改正により、各府省による再就職あっせんの禁止等の厳格な規制を導入しております。監視体制として、再就職等監視委員会を設置しています。そして、ここで是正勧告、それが守られない場合は公表もしております。

 厳格な監視のもと、こうした不適切な行為を厳格に規制しているところであり、今後ともこの面において再就職に関する国民の疑念ということをしっかりと払拭していくことは、国家公務員制度の担当としても引き続き堅持したいというふうに考えております。

緒方委員 それは、今あるこの現象を中央官庁側から見た上で、再就職というところについてはやらせていただくということですけれども、その結果として、存在している一般法人の中でお役所に対する依存度が著しく高いものについては、これは出し先から見るんじゃなくて、出した先の一般法人についても、お役所に対する依存度が著しく高いものについては、そこはその視点から一つ一つの法人をチェックしていくというのが行革の一番、最も美しい姿だし、あるべき姿だと私は思います。

 もう一度お伺いします。有村大臣、そういうふうにお思いになりませんか。

有村国務大臣 当然、行革担当大臣として、不断の見直しなり、お預かりしている税金の効果的、効率的な使い方ということに目を光らせることは大事なことだと思います。

 さはさりながら、一般法人法を法務省がお持ちになられている中で、そこをオーバーライドしていいというわけにはいきませんので、そこののりはわきまえたいと思います。

緒方委員 それはまさに総合調整の行政改革の視点を持った上で、一般法人法という法律があるけれども、行政改革の視点から見ることは排除されていないと思うんですね。

 先ほども言いましたけれども、どっちの役所から見ても、内閣府から見ても法務省から見ても、どっちもうちじゃないといって物すごく消極的な権限争いをした結果、役所に依存度が著しく高い一般法人はよかったよかったと思って、その存在を続けている。

 そして、一般法人のそういう法人を幾つか私は見てみました。ディスクロージャーは公益法人の時代に比べて明らかに下がっている。損益計算書等々の公開についても、そういう法人のウエブサイトを見ても出てこない。これは、私、問題だと思うんですよね。お互いが消極的な権限争いを今この件についてしているんです。

 別にこれは党派色がある話でも何でもないです。日本の行政改革、そして一般法人というのが適正にあるために、このことについて、私はもう一歩踏み込んだ取り組みをしていただきたいというふうに思いますが、恐らくこのままいっても多分同じ答弁が返ってくるだけだと思いますので、少しテーマをかえたいというふうに思います。

 上川大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。

 先般、補助金を受けた企業からの献金ということで、上川大臣も少し社会の厳しい声にさらされたということがあったと思います。そのときに大臣が言われた理屈というのは、それは一般法人から補助金をもらったものであり、環境省所管のエコリース促進事業費補助金というものについては、これは環境省から直接もらったものでないから、それは問題ないのだというふうに、たしか上川大臣はそういうお話をされたと思います。

 しかしながら、環境省のウエブサイトを見てみると、環境省のウエブサイトでばんばんこれを宣伝していて、環境省がこれをやりますというふうに言っているんです。間に一般法人を挟んだからといって、政治資金規正法上の規制を免れるというのは、それは一般法人というものをある意味抜け道にしてやっているというふうに言われても仕方ないわけですよね。

 一般法人法を所管しておられる大臣として、この件に問題意識をお持ちではありませんか。

上川国務大臣 ただいま委員の方から、私の政党支部に関しての寄附ということで、この間、国会の中でも御指摘がございまして、私の方から御説明をさせていただいたことに触れて、今御質問をいただいたというふうに思っております。

 基本的に、政治資金規正法のあり方に関する問題ということでございまして、この政治資金規正法にのっとってどうかということについて、今般の私自身の対応につきまして説明をさせていただいたところでございます。

 このあり方の問題につきまして、こうしたことにつきましては、国会において十分に御議論いただきたいというふうに思っておりまして、まずは現行法のもとで何ができるのかということについて政党においてお考えいただくということで、こうした必要な御議論をいただくべきものではないかというふうに考えているところでございます。

緒方委員 しかし、大臣が所管しておられる一般法人法に基づいて設置されている一般法人が、間に、単に、役所が直接補助金をマネージするのではなくて、マネージする団体として新しい別の法人をつくって、それこそ、この団体はESCO推進協議会というところではなかったかというふうに記憶をいたしておりますが、この団体なんかは、多分恐らく役所から直接お金が行って、それを補助金として配る、その事務をやっている団体だというふうに思います。

 こういうことに一般法人が使われること自体は別に悪いことではないと思います。けれども、その結果として、補助金が行ったところから寄附が行って、それで大臣がいろいろと問題を指摘されたわけであります。これは確かに、最終的には政治資金規正法の話であります。しかし、一般法人法を所管しているのは大臣であります。

 大臣、こういうふうに一般法人が使われ得ることについて、法務大臣として問題意識をお持ちになりませんか。

葉梨副大臣 一般法人法を所管いたします法務省の副大臣として答弁をさせていただきます。

 今御指摘のように、一般の社団法人、一般の財団法人が補助金を受けるというようなこともございます。ただ、株式会社もまた補助金を受けるということもございます。それであれば、会社法の世界を、補助金を受けた会社についてはディスクロージャーを変えるのか、そういうような議論にもつながる議論であろうかと思います。

 基本的には、補助金の世界というのは、先ほども、内閣府と法務省とで消極的権限争いをされているというようなことでお話がございましたけれども、内閣府が所管されているのは公益社団法人でございます、法務省は一般社団法人、一般財団法人です。私が先ほど答弁をいたしましたのは、それぞれ補助金を出す省庁が、それぞれその補助金の使い方の適正化についてはしっかりとこれは責任を持っていくべきである。

 ですから、例えば○○省という省が、ある補助金を、一般の会社であれ、株式会社であれ、あるいは一般社団法人、財団法人であれ、そういうところに出したということであれば、そのそれぞれの省庁が、その補助金が適正に使われるということについては責任を持つべきではないかというようなことを申し上げたわけで、必ずしも内閣府と一般社団法人等を所管する法務省とで消極的権限争いをしているというような認識で申し上げたわけではございません。

 その意味で申し上げますと、今御指摘もございましたけれども、一般社団法人それから一般財団法人の仕組み、これはかつて権利能力なき社団とかいういろいろなものがあったわけです。公益性があるものについては民法で監督の規定がありましたけれども、それを公益財団法人、公益社団法人という形にして、まさに法人格の取得ということで一般社団法人、一般財団法人の制度をつくったわけで、制度全体の問題であるというふうには私は考えておりません。

緒方委員 先ほどの話を少し蒸し返されたわけでありますけれども、私がずっと言っているのは、そこまで言われるなら私も言わせていただきますけれども、今言われているのは、それぞれの官庁から出ていることについて、いろいろなお金が出ている、人が出ている、その出口についていろいろな規制があって、それを見ていくべきだと言うけれども、一般社団法人として横串をつけてそれを見ていくことも、入り口だけじゃなくて出口のところもチェックすべきではないですかというふうに聞いたら、その件については、内閣府の方は、それは一般法人法の話で我々は関係ありません、そして法務省の方は、我々は法を所管しているだけであって、そこまでやることはいたしませんというふうに言うから、だから消極的な権限争いに結果として、別に、法務省が悪意を持っているとか、内閣府が悪意を持っているとか、そんなことを言っているんじゃないんです。だけれども、結果としてそういう状態が生じているではないかということを、これは真摯な思いで指摘をさせていただいているんです。

 結局、これが野放しになっていることが、本当に国民の目から見て、公益社団法人としてがちがちにつながっていたところが一般法人になりました、お役所からばんばんお金が行っています、そして天下りの話もどんどん行っています、けれども、それは一般社団法人ですからもうどうしようもありませんねというのが国民から理解をされるかといえば、これはされないんですよ。されないと思いますよ。だから言っているんです。

 この件はまた次の機会にお話しさせていただきたいと思いますけれども、本当にこの件は非常に問題が多い。そういう団体が野放しになっていること自体、横串を刺して、恐らくこれは私は内閣府ではないかと思いますけれども、行政改革の観点からチェックをしていただきたいというふうに私は思っております。

 もう一度だけ、有村大臣、答弁をお願いいたします。

有村国務大臣 再三のお話でございます。法人格に対して、国が、あるいは内閣府が、あるいは行革の観点からどれだけグリップが持てるのかどうかということ、しっかりときょうの議事録も拝読しながら、また現場の御意見も聞いてみたいと思います。

緒方委員 次にテーマを移したいと思います。特定秘密保護法であります。

 これは、後藤さんが先ほどから非常に詳しくやっておられますが、私が前々からずっと疑問に思っていることというのがありまして、安全保障、これが特定秘密保護法のキーワードになっております。この安全保障というのは、その定義、そしてそれが範疇とするところ、それはいかなるものなんでしょうか、大臣。

上川国務大臣 特定秘密保護法につきまして所掌させていただいております。その立場でお答えさせていただきたいと存じます。

 この特定秘密保護法の第一条、まさに定義規定でございます。安全保障につきましては、「国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することをいう。」ということで、特定秘密保護法に定義をされているところでございます。

 この第一条につきましては、安全保障の意味内容を明確にする必要があるのではないかということで、実は、国会審議の過程におきまして定義がこのような形で置かれたというふうに承知をしているところでございます。

 さらに、この保護法におきまして、第三条の第一項規定ということでございますけれども、第一条に照らして、「我が国の安全保障に関する情報」、これにつきましては、「別表に掲げる事項に関する情報」として規定しているところでございまして、特定秘密保護法上、この規定にのっとって考えると、我が国の安全保障に関する情報というのは、別表に掲げられている四つの事項と二十三の項目に該当する情報という形で、定義、概念をしっかりと明確にする、このことについて、国会上で審議をされた上で、このような形でこの法律に規定をさせていただいたところでございます。

緒方委員 ちょっと変なことを聞きますけれども、この安全保障の範疇の中に、例えば経済安全保障とか、エネルギー安全保障とか、そういったものというのは入りますか、大臣。

北村政府参考人 お答えいたします。

 安全保障という言葉につきましては、「一般に、外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障すること」というふうにされております。この点につきましては、以前、平成二十三年十一月二日でございますが、我が国の安全保障戦略と環太平洋経済連携協定(TPP)の関係等に関する質問主意書という中で、政府として答弁させていただいているところでございます。

 また、ここにおきますところの「国家及び国民の安全」ということでございますが、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく、平和で平穏な状態に保たれていることとされているところでございます。

 領土保全あるいは国民保護といった世界以外の、例えば経済社会的な事項というものが概念として安全保障の範疇に含まれるかということになりますと、国としての基本的な秩序の平穏というものに関するものであれば、それは含まれ得るということになりますけれども、具体的に、それでは特定秘密保護法上の取り扱いということになれば、先ほど大臣から御答弁いたしましたとおり、特定秘密保護法の別表に掲げる事項というものだけがこの法律上の安全保障関連情報としては対象となっているということでございます。

緒方委員 後で議事録を見てみたいと思いますけれども、ないわけじゃないということだったというふうに、ただ、具体的に今、何だということではないけれども、あり得ないわけではないということだったと理解をいたしました。

 そうすると、今、主意書でそう答えたと言いますが、将来の為政者がいかようにも解釈できるところが出てくるのではないかと思います。私は、特定秘密保護法の意義そのものを否定するわけではありませんけれども、ただ、解釈が、これは将来、すごく悪いことを考えている人間が悪いことに使おうと思えば、いかようにも使えるものでありまして、定義規定をもう少し今後の審議でいろいろと議論させていただければというふうに思っております。

 今の政権の方が悪意を持っているとか、そういうことを言うつもりはありません。ただ、これがそういう法律であるということは、自分自身、肝に銘じていきたいと思います。

 最後に一つ。山谷大臣、海洋政策担当相ということでお伺いをさせていただきます。

 我が国の排他的経済水域、大陸棚というものについてお伺いをいたしたいわけですが、いろいろな役所のサイトを見ていると、基本的には二百海里を主張することができるというふうにいろいろなところに書いてあります。けれども、実際に、きょうお配りしました資料を見てみると、排他的経済水域及び大陸棚法という法律でありますが、この法律を見てみると、二百海里を主張できるということがどこにも書いてないんですよね。

 日本の領土、領海を守る立場にある山谷大臣、私は二百海里まで本来主張すべきだというふうに思います。けれども、この法律を見る限り、どこにもそんな規定がないんですね。おかしいというふうに思いませんか。

山谷国務大臣 領土、領海は守り抜かなければならないと考えております。

 委員がおっしゃられる二百海里の問題でございますが、沿岸国は、向かい合っている海岸を有する他国との領海基線の間の距離が四百海里未満の場合、当該他国との間における排他的経済水域または大陸棚の境界画定について当該他国との合意に達するまでの間、国連海洋法条約を含む関連する国際法に基づき、当該沿岸国の領海基線から二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚についての権原を有します。

 我が国は、このような関連する国際法に基づく権原を踏まえ、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律において、我が国が国連海洋法条約に定めるところにより沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する排他的経済水域及び大陸棚をそれぞれ定めているところでございます。

緒方委員 ほとんどお答えになっていないんですよね。

 この法律に、今言われたもともと二百海里を主張できるというその根拠が、どこを見ても見出せないんですよね。どこを見ても、現行の法律を見て、もともと二百海里を主張するんだけれども、その結果としてこういうふうになるという、その結果のところしか書いてないんですよね。

 今、日本は中国とも大陸棚の問題で、いろいろな形でもめているところがあります。法律のところで二百海里を主張することができるような規定が、この排他的経済水域及び大陸棚法のどこにも存在をしていない。それは、場合によっては、日本が今後、国際交渉をしていく上で不利になるというふうに思うんですけれども、山谷大臣、いかがですか。

山谷国務大臣 沿岸国の基線から二百海里までの排他的経済水域、EEZ及び大陸棚を主張することができると国連海洋法条約ではされているわけですが、委員がおっしゃられるのは、国内法でさらに規定すべきではないかという意味ですね。(緒方委員「はい」と呼ぶ)

 排他的経済水域及び大陸棚に関する法律は、我が国が主権的権利等を行使する排他的経済水域及び大陸棚をそれぞれ定めているものであり、我が国が関連する国際法に基づき有する権原について定めたものではありません。

 しかし、かかる権原について国内法上の規定がないことは、我が国の領海基線から二百海里までの排他的経済水域及び大陸棚について関連する国際法に基づき有する我が国の権原に何ら影響は与えるものでございません。

緒方委員 それはちょっと答弁としてきついですね。正直、きついと思いますよ。

 本来、国際法というのがあって、二百海里を主張できると。それはそうなんだけれども、国内法で書いてあるところがそこに一つもなくて、何も書いてないけれども、もともと国際法で主張できるものはできるんだと言われても。

 私が懸念しているのは何かというと、この法律、ちょっと長いので読みにくいですけれども、これを見る限りは、相手国との合意がなければ日本が主張できるのは中間線までだ、日本は最終的に中間線で最後は折り合うんだということがこの法律で書いてあります、何の合意もないときは。合意があるときは別の線だということが書いてある。

 しかし、例えば日本と中国との関係で、中国は、大陸棚の主張で、中国の基線のところから沖縄トラフまでを主張しているんですよね。沖縄トラフまでを主張している。そして、日本は相手と合意がなければ中間線だというふうに書いてある。この状態で国際司法裁判所にせえのドンで持っていったら、解決する線は中間線と沖縄トラフの間で引かれてしまうのではないか、そういう懸念を私は持っているわけです。わかりますか。

 日本の法制度というのは、将来、行くかどうかわかりませんけれども、国際司法裁判所に行ったりすることも想定しながらつくっていくべきだと思うんですね。日本は満点をとって中間線なんです。中国は満点をとれなくても中間線よりも日本寄りのところで線が引けてしまうというような、そういう法制度になっているのではないかということを懸念しているわけです。

 山谷大臣、今すぐ包括的な答弁を求めることはいたしませんけれども、領土、領海に対して思いが深い大臣だというふうに理解をいたしております。この件、もう少し研究していただいて取り組んでいただけないでしょうか、大臣。

山谷国務大臣 緒方委員が長きにわたって質問や、また質問主意書をお出しになられていることを承知しております。

 国際法に基づく権原を踏まえ、排他的経済水域及び大陸棚に関する法律において、我が国が国連海洋法条約に定めるところにより沿岸国の主権的権利その他の権利を行使する排他的経済水域及び大陸棚をそれぞれ定めておりますが、ただし、同法の規定は、我が国が関連する国際法に基づき有する権原に何ら影響を与えるものではございません。

緒方委員 最終的に落ちるところが中間線になることは、それはそれで一つの解決策だと思います。今、白樺、楠と言われた海底油田があるところとか、あれはちょうど中間線のところですけれども、そこに落とすためには、中国が沖縄トラフまでを主張している以上は、日本も中間線の向こうまで主張して、そこから用意ドンでスタートしない限り、恐らく、国際法で議論し続ける限りにおいては、最後は中間線にすら落ちないんですよね。

 日本人は生真面目なので、この法律をつくるときに、何か打って出るような、少しはったりをかますような、そういう法律のつくりというのをしないんですけれども、その結果として、これは論理的に考えると、先ほど言ったように、沖縄トラフのところと中間線のところの間に線が引かれるようなことになってしまえば、日本の貴重な海底資源が損なわれることになると思うんですよね。

 法律は法律だけれども、国際法で定められている二百海里の権原、それはもともとあるものであって、そこは別に動きも何もしないんだ、その中でこの法律を定めただけだと言っても、けれども、この法律を見る限り、この法律を例えば英訳して外国人に渡したときに、ああ、日本人はマックスで、フルマックスのところで中間線なんだなというふうな印象を与えることというのは大いにあり得るというふうに思います。

 日本がこれからこういった問題を中国と深めて議論していくときに、やはり対外的に、国際法で、中間線の向こうまで、二百海里まで主張しちゃうと実は上海に当たっちゃうんですけれども、そこまではともかくとしても、けれども、もともと二百海里を主張することができるんだと主張していることは私もよく知っています。だけれども、それを法律上裏づけるものが現在のEEZ及び大陸棚法の中に存在をしていないという、その問題意識はぜひ共有をいただきたいというふうに思います。

 もう答弁は求めません。この件、海洋政策担当相として、山谷大臣、問題意識がおありだと思いますので、一生懸命に頑張っていただければというふうに思います。

 質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。

井上委員長 次に、池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 きょうは、二〇一三年十二月に閣議決定された独立行政法人改革等に関する基本的な方針について質問いたします。

 まず、内閣府にお聞きします。

 この基本的な方針について、「各法人等について講ずべき措置は、別紙のとおりとする。」とされ、別紙に「各法人等について講ずべき措置」が記されています。この各法人につき講ずべき措置については、どのようなプロセスを経てこの閣議決定に盛り込まれることになったのか、お伺いいたします。

山下政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年二月に設置された行政改革推進会議がございます。これは総理、関係閣僚、有識者から構成されている会議でございますが、この会議では、同年六月に制度見直しを中心とした中間的整理を行った後、同年九月に独立行政法人改革等に関する分科会を開始いたしました。同分科会のもとには、有識者から成る四つのワーキンググループが設置され、各府省、法人から丁寧にヒアリングを行いながら、各法人のあり方について検討を進めました。

 平成二十五年十二月の閣議決定、独立行政法人等に関する基本的な指針の別紙に定めました、各法人について講ずべき措置は、これらの検討の成果を取りまとめたものでございます。

池内委員 独立行政法人改革等に関する分科会の第一から第三のワーキンググループでは、複数の独立行政法人について議論をしています。それに対して、第四ワーキンググループでは、独立行政法人都市再生機構のみ議論をしています。

 この第四グループが都市再生機構、URを検討するに当たり、前担当大臣は検討の視点を提示しています。高度経済成長に伴う大都市圏の住宅供給という初期の政策目標は既に失われている一方、居住者の高齢化、低所得化が進展しているという実態のもと、今後のURの役割を明確にするとあります。

 有村大臣にお聞きいたします。

 居住者の高齢化、低所得化が進展しているという実態についてどのように認識されていますか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 稲田前大臣が提示された視点を踏まえて、第四ワーキンググループで議論した結果取りまとめられました報告書においては、委員御指摘のように、URを取り巻く現状として、我が国の少子高齢化が進み、高齢者の居住の安定の確保が大きな課題となる中、UR賃貸住宅の居住者の高齢化、低所得化は顕著であるとの認識が示されております。同時に、URの問題点として、事業資金のほとんどを有利子負債、当時で約十三兆円に依存する脆弱な財務構造であるということも指摘をされています。

 私としても、こうした現状について同様の認識を持っております。

池内委員 都市再生機構が五年ごとに行った調査がワーキンググループの報告書にあります。二〇〇〇年定期調査、二〇〇五年、二〇一〇年。それぞれ高齢化は、二一・三%、二九・四%、三五・四%となっており、低所得化についても、二五%、二七%、三二%へとふえています。まさに居住者の高齢化、低所得化が進展している。

 こうした実態を受けて、第四ワーキンググループの報告書も、UR賃貸住宅の居住者の高齢化、低所得化は顕著である、高齢者や低所得者は、建てかえによる比較的新しい団地も含めて大半の団地に居住し、地域によっては公営住宅の代替的な役割を担っている実態もあると指摘をしています。そして、こうしたことから、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、住宅セーフティーネット法では、UR賃貸住宅は公営住宅や公社住宅等と並ぶ公的賃貸住宅と位置づけられ、既存の住宅の有効活用を図りつつ、高齢者や低所得者、被災者、障害者、子供を育成する家庭その他住宅の確保に特に配慮を要する者、要配慮者が安心して住み続けられるよう、住宅セーフティーネットとしての機能を果たすことが要請されるとしています。

 有村大臣にお聞きします。

 こうした要請を踏まえて、URの賃貸事業について、今後の役割をどのように認識されていますか。

有村国務大臣 池内委員御指摘のとおり、まさに、UR賃貸住宅事業については、高齢者や低所得者等の要配慮者が安心して住み続けられるよう、住宅セーフティーネット機能を果たすことが時代の要請だというふうに私自身も認識をしております。

 具体的には、団地の統廃合などにより規模を計画的に縮小していくとの前提の上で、民間市場では住宅の確保という意味でさまざまな制約を受けがちな要配慮者に対して、例えば、更新料や礼金を求めず、保証人も不要といったユニバーサルアクセス、これは、例えば、民間の住宅の確保という意味でいろいろな制限を受けがちな高齢者や子育て世代であっても障壁なく入居できることを指しまして、URは、まさにこれを担保しているわけでございます。

 更新料や礼金を求めないで、保証人を不要としているというところでこれを担保しているわけですが、そういう特性を生かして住宅機能としてのセーフティーネット機能を果たすことが、今の時代に照らして重要だという認識を持っております。

池内委員 団地の統廃合については、住宅セーフティーネットの議論とは筋が違うのではないかということを指摘しておきたいと思います。

 その上で、顕著である高齢化と低所得化、これらはかなりの部分で重なり合っていることは明らかです。もちろん、若年層の非正規雇用の拡大など低所得化は社会問題ですが、高齢化はほぼストレートに低所得化に結びついていることが明らかです。定年等で退職し、年金生活になれば、所得は激減します。

 全国公団住宅自治会協議会が二〇一四年九月に行ったアンケートで、二百三十一団地、九万三千百二十八戸、回収率四一・三%、この大規模な調査結果があります。

 アンケート結果を見ますと、世帯収入は、七割が三百六十万円以下、二百五十一万円以下は五一・二%、年金だけしか収入のない世帯も四二・九%に上っています。

 こうした方々が安心して住み続けられる、URの賃貸住宅がセーフティーネットとして機能するためには、低所得者でも支払うことのできる低廉な家賃であるということが居住者にとって最大のポイントであることは明らかだと思います。

 大臣の見解をお聞かせください。

有村国務大臣 委員御指摘のとおり、また、私が賛同を明確に申し上げたとおり、高齢者や低所得者等の要配慮者に対する住宅セーフティーネットの機能を果たすことは極めて重要なことだと認識をしております。

 そのための施策として、UR賃貸住宅では、更新料、礼金を求めない、また保証人も不要とするなど、ユニバーサルアクセスが保証されています。

 また、二十五年の閣議決定では、居住者の高齢化等に対応して、福祉医療施設を誘致するなどの対策を講ずることにいたしております。やはり、高齢化と低所得化ということで、近場に医療があるということは極めて大事な価値だと思います。

 また、さらに、家賃についても、低所得の高齢者等に対する家賃軽減措置等が設けられており、私が手持ちの資料では、三万七千八百世帯が、家賃改定に伴う上昇分の一部を低減している高齢者、母子、障害者、子育て、生活保護世帯に対しては、家賃改定特別措置というのも設けられていると理解をいたしております。

池内委員 さまざまな施策をされていることは私も存じておりますが、その中でも、低所得者、高齢者、こうした居住者にとって家賃の問題が一番の不安の要素になっている。

 この認識について、いかがでしょうか。

有村国務大臣 家賃ということは、極めて大事なことでございます。その必要なところに必要な支援の手が届くということでの家賃軽減措置が設けられていて、それが機能していると理解をいたしております。

池内委員 低所得化、高齢化に伴い、居住者にとって低廉な家賃であるということは一番の願いになっています。

 先ほどのアンケートの中にも、七二・六%の人が家賃負担が重いと回答しています。また、公団住宅に住んでいて不安に思うことについては、値上げや高家賃で家賃が支払えなくなることが一番多く、六五・一%に上っています。

 ある七十代の女性は、赤羽台団地に住んで四十五年が過ぎ、がんを患い何度も入退院を繰り返している、契約から十年が過ぎ家賃の減額もなくなった、どこへ相談していいかもわからない、引っ越しをする体力もないと。家賃負担の重さが生活を圧迫する大きな要因になっているということが、ひしひしと伝わってきます。

 ぜひとも、有村大臣を初め政府の皆さんには、高齢化また低所得化しているときに、居住者が安心して住み続けられる低廉な家賃、この問題を進めていっていただきたいと思います。

 次の質問に進んでいきたいと思います。

 二〇一三年十二月の閣議決定では、「低所得の高齢者等に対する政策的な家賃減額措置について、公費で実施することを検討し、平成二十六年度中に結論を得る。」このように書かれています。

 この部分は、低所得者、高齢者に対する政策的な家賃減額措置そのものを拡大するということを含んでいるのか、それとも、国とURの負担割合について言及しているものなのでしょうか、お答えください。

有村国務大臣 さきに提出いただきました第四ワーキンググループの議論というものでは、低所得の高齢者等に対する家賃軽減措置の一部がURの負担になっていることについて、これを政策として求めるのであれば、そのコストはURではなくて公費で負担すべきであるとの方向性が示されていました。

 これを踏まえ、委員御指摘のように、平成二十六年度中に結論を得る旨の閣議決定がなされています。

 その閣議決定の内容というのは、家賃軽減措置に関するURと公費の費用負担の配分について、つまり、どこのお財布から出すかということを検討することを定めたものでありまして、居住者に対する家賃軽減措置の水準について定めたものではないという認識、承っております。

 この二十六年度中に結論を得るというのは、まさに、セーフティーネットということを住宅機能としても発揮するために、URが負担していた家賃減額措置の一部について国が予算措置をするというところで反映されており、二十七年度の予算案では、十二・六億円を計上している次第でございます。

池内委員 確認なんですが、高齢化、低所得化が進行する中で、家賃負担が一番のポイントとなっている人々に対して、高優賃などURが既に行っている家賃の減額措置を拡大するというような方向性は、閣議決定の中には含まれていないということでしょうか。

有村国務大臣 前大臣のときに行われた閣議決定の内容には、どちらの財布から出すかということでございますので、その住居機能としてのセーフティーネットを果たすということからも、公費でしっかりとそれを後押しして、そういう政策、セーフティー機能を果たすための、そこをしっかりと固めようという意思がうたわれたと認識をしております。

池内委員 高優賃については、拡大する予算にはなっていないと私は聞いています。

 公費投入は、高齢化、低所得化が進む居住者に直接向けられたものではないということが明らかになりました。先ほど、アンケートの声を紹介いたしましたが、こうした居住者の声に応える中身にはなっていません。それどころか、閣議決定には、継続家賃の引き上げ幅の拡大等の家賃改定ルールの見直しを行うとさえ書かれています。居住者の不安を広げています。

 私の選挙区の足立区でも、安心して住み続けられる家賃制度を求める意見書が足立区議会に提出されています。この意見書は、このまま機構が家賃制度の見直しを進めることになれば、機構の持つ公共的な役割は十分果たされず、長く住み続けたいという居住者の願いはかなわないことになると述べ、家賃の減額措置などの拡充を求める中身になっています。足立区議会では、この意見書を議決しました。

 こうした住民の声に応えることこそ、住宅セーフティーネットとしての役割を果たすことになる。居住者の高齢化、低所得化という実態に即して、安心して住み続けられる家賃制度への改善を怠るならば、URはセーフティーネット機能を果たせないということは明らかです。高齢化、低所得化する居住者が次々とURから立ち退きをせざるを得なくなるという事態になりかねません。これでは、居住者や市民の理解を全く得られるものではないということを強く指摘したいと思います。実態に即して責任を果たすなら、何よりも、安心して住み続けられる低廉な家賃が不可欠です。

 この問題については、私はこれからも取り組んでいくということを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会


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