第6号 平成27年5月15日(金曜日)
平成二十七年五月十五日(金曜日)午前九時一分開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 泉 健太君
理事 河野 正美君 理事 高木美智代君
青山 周平君 池田 佳隆君
石崎 徹君 岩田 和親君
尾身 朝子君 越智 隆雄君
大隈 和英君 大西 英男君
岡下 昌平君 加藤 寛治君
勝沼 栄明君 金子めぐみ君
神谷 昇君 木内 均君
木村 弥生君 新谷 正義君
武部 新君 寺田 稔君
中川 俊直君 中谷 真一君
長尾 敬君 長坂 康正君
橋本 英教君 ふくだ峰之君
前田 一男君 松本 洋平君
宮川 典子君 宮崎 政久君
若狭 勝君 緒方林太郎君
大西 健介君 近藤 洋介君
佐々木隆博君 古本伸一郎君
本村賢太郎君 山尾志桜里君
小沢 鋭仁君 重徳 和彦君
高井 崇志君 升田世喜男君
吉田 豊史君 輿水 恵一君
濱村 進君 池内さおり君
塩川 鉄也君 宮本 徹君
…………………………………
国務大臣 山口 俊一君
内閣府副大臣 西村 康稔君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
財務大臣政務官 大家 敏志君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 谷脇 康彦君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 露木 康浩君
政府参考人
(消費者庁審議官) 服部 高明君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 時澤 忠君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 青木 信之君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 吉田 眞人君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 岡村 和美君
政府参考人
(国税庁課税部長) 藤田 博一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 伯井 美徳君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官) 安藤 英作君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房年金管理審議官) 樽見 英樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 苧谷 秀信君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 武田 俊彦君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 学君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 藤井 康弘君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 石川 正樹君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 佐藤 悦緒君
内閣委員会専門員 室井 純子君
―――――――――――――
委員の異動
五月十五日
辞任 補欠選任
青山 周平君 中谷 真一君
池田 佳隆君 勝沼 栄明君
石崎 徹君 金子めぐみ君
武部 新君 中川 俊直君
平口 洋君 新谷 正義君
若狭 勝君 尾身 朝子君
緒方林太郎君 大西 健介君
辻元 清美君 本村賢太郎君
小沢 鋭仁君 吉田 豊史君
升田世喜男君 重徳 和彦君
塩川 鉄也君 宮本 徹君
同日
辞任 補欠選任
尾身 朝子君 若狭 勝君
勝沼 栄明君 前田 一男君
金子めぐみ君 石崎 徹君
新谷 正義君 平口 洋君
中川 俊直君 武部 新君
中谷 真一君 橋本 英教君
大西 健介君 緒方林太郎君
本村賢太郎君 辻元 清美君
重徳 和彦君 升田世喜男君
吉田 豊史君 小沢 鋭仁君
宮本 徹君 塩川 鉄也君
同日
辞任 補欠選任
橋本 英教君 長坂 康正君
前田 一男君 大西 英男君
同日
辞任 補欠選任
大西 英男君 宮川 典子君
長坂 康正君 木村 弥生君
同日
辞任 補欠選任
木村 弥生君 青山 周平君
宮川 典子君 池田 佳隆君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三四号)
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、警察庁長官官房審議官露木康浩君、消費者庁審議官服部高明君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、総務省大臣官房審議官青木信之君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長吉田眞人君、法務省人権擁護局長岡村和美君、国税庁課税部長藤田博一君、文部科学省大臣官房審議官伯井美徳君、厚生労働省大臣官房情報政策・政策評価審議官安藤英作君、厚生労働省大臣官房年金管理審議官樽見英樹君、厚生労働省大臣官房審議官苧谷秀信君、厚生労働省大臣官房審議官武田俊彦君、厚生労働省大臣官房審議官吉田学君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君、中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木美智代君。
○高木(美)委員 おはようございます。公明党の高木美智代でございます。
私は、マイナンバーについてまず質問をさせていただきます。
マイナンバーは、大きな可能性を持っている制度でございます。内閣委員会の委員派遣ということで、一昨年、デンマーク、スウェーデン、またエストニア、ドイツを訪問させていただきまして、その感を強くいたしました。
我が国におきます超高齢社会に対応した国民の利便性の向上、また公平公正な社会保障、またデータに基づいた正確な政策の実現、さらには手を差し伸べるべき人に適切な支援策を講じることができる、こういう内容でございますが、恐らく、日本における大きな潜在力を持っている、また可能性を持っているのは、このマイナンバー制度であると思っております。行革、成長戦略、また財政再建、社会保障改革など、我が国の課題解決に大きな役割を果たす重要な社会基盤であると思っております。
また、マイポータルではプッシュ型のサービスが可能になりますので、申請するという主義から、むしろ国民にサービスする政治への転換ということも可能性としてあり得るかと思っております。
ただ、これにつきましては、利活用と個人情報保護は車の両輪でございまして、我が党も、かねてよりそのような姿勢で、個人情報保護委員会の設置を提案、推進もさせていただき、ここまで参りました。いずれにしても、国民の理解を得つつ、利活用を進めていくということが肝要であろうかと思います。まずは、マイナンバー制度の円滑な導入に向けまして、全力を挙げるべきと考えております。
制度の広報につきましては、これまでも委員会で、多くの委員から、政府を挙げてきめ細やかな広報を行う必要がある、急ぐようにという指摘がございました。
例えば、文部科学省におきましては、学校教育の現場で子供たちに対して、また中小企業庁においては、中小規模事業者に対して、また厚生労働省においては、所管の医療、介護等の団体はもとより、障害者、高齢者などの情報弱者に対して、またさらには総務省においては、地方公共団体のみならず、地域の消防団とか自治会とか町会とか、そういう地域コミュニティーに対して、それぞれ適切な取り扱い等について理解、対応してもらえるよう、具体的かつ積極的な対応を行っていただく必要があると考えております。
それぞれの省庁における対応状況を簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
○伯井政府参考人 お答えいたします。
学校教育におきましては、社会保障や租税などについて社会科、公民科において指導することとしておりまして、その際、マイナンバー制度の意義や仕組みについても関連づけて取り扱うということが考えられるわけでございます。
文部科学省といたしましては、関係府省と連携しつつ、各学校においてこの制度について適切な指導が行われますよう、担当する教科の指導主事を集めた全国的な会議が夏にも行われますので、そうした場を通じまして本制度の周知にしっかりと努めていきたいというふうに考えております。
○佐藤政府参考人 お答えを申し上げます。
中小企業庁といたしましては、本年三月に、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合連合会に対して、会員企業に対するマイナンバー制度周知にかかわる協力を要請したところでございます。
ちなみに、日本商工会議所の方には、本省の方からさせていただきました。
さらに、経済産業省関係の八百十七の団体に、所管課室等を通じて協力要請を実施したところでございます。
また、四月には、内閣官房と経済産業省が連携し、中小企業関連団体を初めとする経済産業省所管団体に対する説明会を開催し、マイナンバー制度の導入に伴う業務フローの変更や情報システム改修等についての説明を実施したところであります。
今後も、全国三百八十五万の中小企業、小規模事業者にマイナンバー制度の理解を得るべく、引き続き、内閣官房と連携し、適切な広報に努めてまいりたいと考えております。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省といたしましても、マイナンバー制度の周知、広報を積極的に行っていくことは、制度の円滑な施行に向けて非常に重要と考えてございます。
このため、先月、所管の団体等、大体三百弱ございますけれども、そういった団体に対しまして、マイナンバー制度の周知、広報に対する協力依頼を行ってございます。この団体の中には、御指摘のございました障害者の団体等も含まれてございます。
引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、取り組みを推進してまいりたいと考えてございます。
○時澤政府参考人 総務省といたしましては、地方団体を通じまして、地域の経済、税、社会保障その他の関係業界団体や、自治会、婦人会、学校等の地域コミュニティーに対して、説明会の実施、幅広く周知、広報を展開していただくよう、地方団体に要請をしているところでございます。
また、現在、関係省庁とともに全都道府県を回りまして、マイナンバー制度に関する説明会を行っておりまして、地方団体に対しまして制度についての幅広い周知を改めて要請しております。
また、今後、地域コミュニティーへのさらなる周知のために、消防団や自治会のほか、行政相談委員に対しましても周知を行い、国民からの制度に関する相談にも対応していくよう要請するなど、よりきめ細かく広報活動を行っていくこととしておるところです。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
きょうは、代表的な省庁にお越しいただきました。
例えば、重ねて文科省におきましては、やはりお子さん一人一人までマイナンバーが振られるわけですので、そういう社会基盤を使いこなすのもこうしたお子さんたち、未来世代になります。また、学校から帰って親御さんたちに教える効果も大きいというのは、今までさまざまな、環境また放射能教育等々、影響が大きいところでございます。
小学校低学年、高学年、中学、高校、大学そして専門学校など、世代に応じたパンフレットとかDVDを作成するなど、IT室と文科省とでぜひともしっかり連携していただきまして、どちらがつくるとかどうするとかというところも、ぜひ省庁の縦割りを踏み越えていただいて、ぜひとも周知徹底、強く要請をしたいと思いますが、文科省、いかがでしょうか。
○伯井政府参考人 御指摘を踏まえまして、専門的な知見を有する関係府省ともしっかり連携をしながら、文科省といたしましては、教育的な観点、子供の発達段階から助言をしたり、協力したりということが十分対応可能でございますので、しっかりと関係府省と連携しながら進めてまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 それで、西村副大臣にお願いなんですが、また、これは個人情報保護と両輪でございますので山口大臣にもお願いなのですが、やはりこれは政府を挙げて、各府省においても広報の取り組みを加速させるために、やはりもう一回これは総理から各大臣に対して指示をしていただくなどして、各府省の関係団体等を通じた国民への、また事業者への直接的な周知、広報を積極的に行っていく必要があるかと思います。
この夏が一つの大きな山だと私は思っておりまして、ここで、聞いたことがないとか、内容を余り知らないとか、そういう国民の方たちの数をもうぜひともこれは減らして、また、できればもうゼロに持っていって、聞いたことはある、来ることも知っている、こういうところまで持っていくべきかと考えております。
ぜひとも、そこを積極的に推し進めていただきたいと思いますが、政府の認識、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。
今、各省も取り組んでおりますし、私ども内閣府としても、全ての国民、全ての事業者に関係する制度でございますので、御理解をいただくべく、三月にはテレビCMや、それから新聞広告なども活用して、第一弾の集中的な広報を実施いたしました。説明会も随時開いているところでございます。
また、三月初めの副大臣会議で、私から各省の副大臣に対して、もう一段、所管団体、関係業界への働きかけを依頼したところでございますし、それを受けて、各省から各関係業界団体への通知の発出などをしていただいていると思います。
今後、今いただいた御指摘も含めて、制度の周知の状況などをもう一度確認しながら、多様なメディアを通じて、わかりやすい資料の充実を図りながら、関係省庁とも連携して、政府を挙げたマイナンバーの周知の広報を積極的に展開してまいりたいと思います。
○高木(美)委員 ぜひ各省庁に、きょうは国交省とか農水省とか大きな役所は来ていただいていませんが、やはり担当者をしっかり置いていただく。これは、例えば今、西村副大臣がおっしゃった担当の副大臣、また担当の行政の方の責任者という、この両方をしっかりと置いていただいて、やはりこれは総合的に、今どこまで進んでいるのか、進捗状況を各省が確認しながら進めていきませんと、副大臣の会合で言ったからといって、では進んでいるかというと、なかなかその実感が伝わってこないので、きょうは応援団のつもりで申し上げておりますので、ぜひ総理からも一言そのような形で進めていくようにと。
これが失敗したら、私は、余りにこの痛手は、もう立ち直れないほどの、我が国にとってはもうこれはラストチャンスですので、そこの危機感を持っております。
風評被害とかデマ宣伝とか、または誤解とか、そういうことが走る前に、きちんと国民の皆様に本来の趣旨が伝えられますように、ぜひとも取り組みをお願いしたいと思います。
大臣、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 大変ありがたい御指摘また御激励をいただきました。おっしゃるとおりだろうと思います。
とりわけ、まだまだマイナンバーの周知徹底が、世論調査を見ても図られておらないというふうなことで、マイナンバーの直接の担当は甘利大臣でありますが、当然私も、ある意味、車の両輪の個人情報保護法の改正ということで、しっかり周知徹底をすべく、また、総理の方にもお話もしてみたいと思います。
○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。
国民にひとしくマイナンバーによって恩恵が届くようにするには、情報弱者への代理人制度のあり方など、早急に詳細を検討していただく必要があると思います。施設が代行できるという答弁もいただいておりますが、マイナンバーカードの申請時だけではなくて、その後、マイポータルも含めた利活用とか、総合的な今後の展開を視野に入れますと、在宅の障害者、単身高齢者、認知症の方とか、あらゆるケースに対応できる制度設計をしておくべきかと考えます。
厚生労働省または内閣府の共生社会担当、さらには、成年後見制度を所管している法務省、こうした関係省庁と協議を進めていただきまして、その結論に基づいて、協力をして周知徹底をそれぞれ一人一人に届くように図るべきだと考えておりますが、対応につきまして見解を伺います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー法では、法定代理人でなく、任意代理人による手続を広く容認しているところでございますが、代理人を利用する場合におきます具体的な手続につきましては、関係府省と協議の上、さまざまな広報チャンネルを使って、必要とする者に周知できるよう努めてまいりたいと考えております。
任意代理人を利用する場合として、例えば、施設に入っておられる高齢者の代理をその福祉施設の信用できる方が行うとか、成年後見制度を利用されていない方の代理を自分の子供が行うというふうなことも考えられます。
これらにつきましては、制度上もう既にできることになっておりますけれども、具体的にどういうふうに進めていくかにつきまして、関係省庁と早急に協議してまいりたいというふうに考えております。
○高木(美)委員 よろしくお願いいたします。
次に、今までマイナンバーがないということも一つの理由ですが、例えば、消えた年金問題への対応にどのくらいの経費がかかってきたのか。
また、医療保険のオンラインでの資格確認の仕組みができれば、医療費の請求間違いも減りますし、医療機関や保険者の事務の効率化に資するというメリットも生じます。現在、医療保険の請求間違いが何件あって、どのくらいの金額なのか、それぞれ数字でお答えいただきたいと思います。
○樽見政府参考人 まず、年金記録問題への対応に要した経費ということでお答え申し上げます。
平成十九年度から平成二十五年度までの実績と二十六年度予算額の合計でございますけれども、約四千億円でございます。
○吉田(学)政府参考人 医療保険の関係についてお答えをいたします。
被用者保険の審査支払いを行っております社会保険診療報酬支払基金が保険者に対してレセプトを請求した後に資格関係の請求誤り、例えば、資格喪失後の受診であったり、記号、番号が誤っていたというような場合のものにつきましては、平成二十五年度において、件数は約二百四十七万件、それに係る金額は約四百三億円でございます。
○高木(美)委員 平成二十五年は、この数字が今移行しているということですが、オンライン化ができる前のその数字、平成二十二年の数字もお示しいただけますか。
○吉田(学)政府参考人 二十二年度の同様の数字につきましては、件数において四百十四万件、金額について五百六十二億円でございます。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
マイナンバー制度の導入に係るイニシャルコストは多額でございます。ただ、メリットも大きいと考えております。少なくとも、今後は、こうした無駄は削減可能になるのではないかと考えております。
冒頭に申し上げたようなマイナンバー制度の効果を考えますと、政府は、こういったマイナンバー制度の導入効果について、専門的に試算した上で、費用対効果を広く国民に示していくべきと考えます。いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 御指摘のとおり、マイナンバー制度は、より公平な、公正な社会保障制度、あるいは税制の基盤となるものでありますし、行政の効率化、そしてまた国民の利便性の向上にも、実現する基盤として導入されるものでございます。
その利活用によってさまざまメリットが期待されるところでありまして、そのメリットに関する民間の試算によれば、年間数兆円の導入効果があるとも言われておりまして、なかなか定量化が困難な定性的な効果も含めて、マイナンバー制度の導入には十分な費用対効果が見込まれるものと考えております。
政府におきましても、多額の税金を投入して制度導入に必要なシステム開発を行うこともあります、国民に対して費用対効果をしっかりお示しする必要があると考えておりまして、昨年六月には、一定の前提を置いた大まかな試算をお示ししているところであります。
今後、制度やシステムの詳細がより具体的になってきておりますので、より正確で国民にわかりやすい費用対効果の示し方について、専門家とも相談しながら、ぜひ検討を進めたいというふうに思います。
○高木(美)委員 重ねて、向井審議官に伺いますが、このイニシャルコスト、導入に係る経費、当初六千億という話もありましたが、遠藤CIOとかなり、IT室のところでも、向井さんのところでも頑張っていただきまして、かなり削減されていると聞いております。数字をもしお示しいただければ、お願いしたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
総額でおおよそ三千億程度と考えてございます。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
それを考えますと、三千億、導入時のイニシャルコスト、その後の運用等につきましては、また詳細を詰めていただいて提示をしていただきたいと思います。
恐らく、このバランスを考えますと、十分、効果の方がはるかに上回っているということは確認させていただきたいと思いますが、西村副大臣、それでよろしいでしょうか。
○西村(康)副大臣 正確な数字は今の段階では申し上げることはできませんけれども、マイナンバー導入のメリットは投資額を上回るものがあるというふうに思っております。
○高木(美)委員 今回の法案では、特定健診につきまして、マイナンバーをつけて管理できるようになっております。
特定健診は機微な情報ですのでマイナンバーとひもづけするべきではないという御意見、御指摘も出ておりますが、私はむしろ、健康、医療情報を保険者と本人とで共有できる仕組みにすることが、健康、予防や介護予防の推進のためには不可欠だと考えます。そうした観点からも、健診情報にマイナンバーをつけて保険者が管理できるようにすべきと考えます。
今回の改正によりまして、既に保険者が持っている情報について、マイナンバーを利用できるようにすることで、より正確かつ効率的に健診情報を管理できるようになると考えます。そして、将来的には、国民がマイポータルから、保険者が管理している自身の健診情報を閲覧して、自身でチェックして、生涯にわたる健康管理が自分でできる、またそれをかかりつけ医が一緒にチェックしながらアドバイスができるというような、こうした可能性が広がると考えますし、私もぜひそのように進めていきたいと思っております。
ともあれ、これまで以上に安全で、自己コントロールのもとで管理できるようになるというメリットがむしろあると考えておりますけれども、特定健診の情報をマイナンバーの利用範囲に加えることとした趣旨と、マイナンバーで管理しても安全性は確保されることを、丁寧に厚生労働省に説明をお願いしたいと思います。
○吉田(学)政府参考人 お答えいたします。
趣旨と安全性についてのお尋ねをいただきました。
医療保険者におきましては、レセプトや特定健診データなどを活用いたしましたデータヘルスを推進しておりますけれども、生涯を通じた予防、健康づくりを進めるためには、個人が転職や結婚等により保険者を異動した場合でも、特定健診等の情報が円滑に引き継がれることが重要だというふうに思っております。
現在でも、個人の同意を前提として医療保険者間で特定健診等の情報の受け渡しができるようになってございますけれども、具体的な実施手順などが明確になっていないとか、あるいは、保険者は保険者ごとの被保険者番号で特定健診等の情報を管理しておりますので、受け渡す健診情報の検索が容易でないなどの課題がございます。
このため、厚生労働省といたしましては、現在進めております医療保険制度改革の中で、特定健診等の情報の受け渡しの方法等を明確化することとあわせまして、保険者間での特定健診情報の受け渡しが円滑に行われるよう、今回のマイナンバー法の改正により、保険者がマイナンバーを使って特定健診等の情報を管理できるように提案させていただいております。
保険者は、現在の法規定でも、保険給付の支給あるいは保険料の徴収などの事務においてマイナンバーを活用、利用することができますけれども、特定健診等の情報の管理も、こうした保険者が行う事務の一環でもあります。マイナンバーの活用は法の趣旨にも合致しているというふうに考えてございます。
また、特定健診等の情報の受け渡しは、今後とも個人の同意を前提としております。その上で、特定健診等の情報の管理をマイナンバーで行うことによりまして、目的外で使用された場合にはマイナンバー法に基づく罰則が科されることなどを踏まえますと、特定健診等の情報の安全性は確保されているというふうに考えます。
さらに、利用に当たりまして、マイナンバー法における特定個人情報の保護措置として、法の罰則、あるいは特定個人情報保護委員会の監視、監督の対象となるということになろうかと思います。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
健康保険組合などは民間ですよね。ですので、こうした特定個人情報に位置づけられることによって、先ほど監視、監督の対象下に置かれるというお話がありましたが、マイナンバーにしっかり位置づけられることによって、むしろ規制が厳しくなるというふうに受けとめてよろしいのかどうか。いかがですか。
○吉田(学)政府参考人 御指摘いただきましたとおり、今回の措置により、個人のプライバシー保護について、あるいは個人情報の取り扱いよりも重い規制が適用されるということになろうと思います。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
マイナンバー制度の導入メリットとしまして、税務署において、課税資料の名寄せが正確かつ効率的に行われるようになります。より公平公正な税務執行が可能になるわけですが、来年一月から、一月一日からスタートということになりますと、恐らく最初の対象になるのは、学生の方たちが多くやっていらっしゃる郵便配達、年賀状配達のアルバイト、ここから早速マイナンバーが適用されるというのがスタートかと思います。また、こういうことから、勤労学生の所得もより正確に把握できるようになります。
しかしながら、こういうことになりますと、これはある大学教授からの要請でございますが、マイナンバーの導入によって、学費や授業料を自分で捻出している苦学生が懸命に稼いだアルバイト代も確実に把握される、高所得者の所得、資産の把握は大変難しいのに対して、苦学生の所得は簡単にわかってしまう、そのために親の扶養控除から外れて負担がふえたりすることを心配している、何らかの対応が必要ではないか、こういう御要請を受けました。
所得税には、これも財務省から伺った話ですが、働きながら学業を続ける人の生活実態に配慮するために、勤労学生控除という制度が既にあります。しかし、その適用を受けている人は少ないと聞いております。少ないのは、そもそもこういう勤労学生控除という制度があることが余り知られていないからではないかと思います。
苦学生が不公平感を抱いたり、また、そこで混乱を生じることなく安心して学業を続けることができるようにする観点から、こうした制度の周知を幅広く丁寧に行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
所得税法におきましては、働きながら学業を続ける方の実態等を考慮するという観点から、御指摘の勤労学生控除が設けられております。給与所得等を有する学生のうち、合計所得金額が六十五万円以下、かつ、合計所得金額のうち給与所得以外の所得が十万円以下である勤労学生については、二十七万円の所得控除が認められております。
勤労学生控除の制度については、納税者の方や源泉徴収義務者に対しまして、国税庁ホームページや各種パンフレットの配布などにより、その広報、周知に努めているところでございます。
議員御指摘のとおり、勤労学生にとって大事な制度でございますので、給与等の支払いのある事業者に対し、関係民間団体の協力もいただきながら、さらなる広報、周知に努めてまいりたいと存じます。
○高木(美)委員 今財務省の御答弁にありましたが、六十五万以下のいわゆる給与所得、そこから始まるというお話ですが、そうすると、もとの所得は百三十万ぐらい、そこから控除が、百三十万以下であればこの控除の対象になると考えていいんでしょうか。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
例えば、勤労学生のうち、給与収入等の金額が百三十万円以下であり、他の所得がない方であれば、勤労学生控除の適用を受けるということになります。
○高木(美)委員 それで、文科省、伯井さんにお願いなんですが、こういう恐らく学生の方たちがほとんど知らない制度についても、今回、先ほどマイナンバーの周知徹底のときに、大学生、そしてまた専門学校等、また、高校生ももしかしたらアルバイトをここまで頑張っている方もいらっしゃるかもしれません。また、そうしなければ学業が成り立たないという高校生もいるかもしれません。
もちろん、奨学金を進めていくのは、私ども、これまでもやってきましたし、やる決意でおりますが、このような非課税がほとんどの奨学金の制度プラス、この百三十万という、ここにつきまして、ぜひとも文科省から、マイナンバーの周知徹底とあわせてお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○伯井政府参考人 御指摘を踏まえまして、国税庁とも連携しながら対応してまいりたいと思います。
○高木(美)委員 どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、個人情報保護法の改正案に移らせていただきます。
これまでの法案審議における政府からの説明によりますと、匿名加工情報につきましては、特定の個人を識別することができず、かつ、復元することができないものであるということですが、この復元することができないという要件について、これから個人情報保護委員会が設置されましたら、そこの規則の中で決められるものかもしれませんが、これまで個人情報保護法上、規定がなかったものです。実際に匿名加工情報を利活用したいと考えている事業者にとって、判断が難しいものと考えられます。
この復元することができないというのはどのような意味か、お伺いいたします。先日も、参考人の説明の中で、社会的通念上復元できない、その範囲である、詳しくは個人情報保護委員会の規則にまつべきだ、このようなお話もございましたが、答弁を求めます。
○向井政府参考人 お答えいたします。
復元できないようにするとは、匿名加工情報が、通常、人の技術力等能力をもって作成のもととなった個人情報を復元しようとしても当該個人情報に戻ることのないような状態にあることをいい、どのような手法によって復元を試みたとしても本人を識別できないといった、技術的側面から全ての可能性を排除するまで求めるものではございません。
どのような加工を施せばこの状態になるかを、今後、個人情報保護委員会が規則等でその基準を定めることとしておりますが、例えば、作成のもととなる個人情報と個別に関連づけられているID等の識別子を削除すること、それから、匿名加工情報データベース等に含まれる複数者間のデータ値を入れかえること、あるいは一定のノイズを付加すること等の一般的な手法を定めることを想定してございます。
さらに、これらの手法により実際にどのような加工を具体的に行うのかにつきましては、それぞれのサービスの特性、あるいは、取り扱う個人情報、匿名加工情報の内容に応じ、個人情報保護指針等による事業の実態を踏まえた自主的なルールに委ねることとしており、これらにおいて例示等が示されるものと考えております。
○高木(美)委員 参考人から御意見を伺ったときに、名簿事業者については早急に実態調査を行ってほしいという御意見が多くありました。名簿事業者と一口に言いましても、その範囲自体、またその実態が整理されておらず、また、現行法上も主務大臣が明確に定まっていないなどの指摘があります。政府内で担当する部局も不明確な状況と承知しております。
必要な規制のあり方を考えるためにも、まず、対象を整理した上で、実態調査が必要と考えますが、山口大臣の所見を伺います。
○山口国務大臣 昨年発覚をしました個人情報の大量漏えい事案、これを契機に、個人情報が本人の知らないうちに複数のいわゆる名簿事業者を介在して転々と流通をすることに対して、国民の皆さん方の不安が特に今高まってきておるというふうに思うわけです。このために、個人情報の流通経路とか、あるいは適法に流通したものであるかを迅速に把握できるように、トレーサビリティーの確保の観点から、第三者提供に係る記録の作成等、あるいは第三者提供を受ける際の確認等を個人情報取扱事業者の義務として新たに導入することにしております。
これは、いわゆる名簿事業者への対応を意識しておるものでございますが、今回の措置の実施による効果も踏まえながら、御指摘の実態調査の実施につきましては、どのような事業を行う者が対象になるか、これはもういろいろあるものですから、ここら辺のことも含めて、政府部内で関係省庁と相談をしながら検討してまいりたいと考えております。
○高木(美)委員 ぜひともよろしくお願い申し上げます。
この名簿屋対策の一環として盛り込まれたトレーサビリティー確保のための記録作成義務について確認をしたいと思います。
これまでの委員会における質疑におきまして、事業者にとって不必要に重い負担がかかるのではないかという問題意識が共有されております。
参考人からは、負担を回避するためには、対象を個人情報データベース等とすべきではないかという御意見もいただいております。本人同意があっても記録をとる、保存することとされていますが、それに伴う過度な負担が懸念されるところです。そのような対応を求めているのはほかの国にあるかと質問したところ、どうも日本だけではないかという参考人の答えもありました。
事業者の不安を取り除くためにどのような対応をされるのか、その点についてまず伺いたいと思いますが、ずっと個人情報データベース等にするのか個人データにするのかというさまざまな議論もあり、この際、丁寧に向井審議官から説明をお願いしたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
記録作成等の義務の対象を個人情報データベース等でなく個人データとしておりますのは、現在のインターネット社会におきましては、漏えいした個人情報が瞬時に広範囲に拡散してしまうおそれも高く、たとえ一人分の個人データであっても保護する必要があるということで、現行法も、基本的に保護対象を個人データとしております。
また、個人情報データベース等に該当しないような形にして不正に流出させる脱法行為を防止し、トレーサビリティーを確保する必要もあると思います。
一方で、個人情報データベース等に仮にしたとしても、事業者の負担が、個人データとすることと比べてそれほど変わらないのではないかというふうに考えられることもございます。
一方で、先生御指摘のとおり、日常的に大量の個人データの第三者提供を行う事業者、あるいは、提供先や提供の年月日に関する記録を特別に作成しなければならないとした場合の負担に対する配慮については十分認識しているところでございます。
例えば、記録事項について、関連会社に対して同一の事案について複数回にわたって個人情報を送付したり、同一の会社との間で反復継続して個人情報を提供したりするような場合には、一定の期間内に特定の事業者との間でどのような個人データを移転させたかを包括的に記載されるものとし、個々のやりとりに関する詳細な記録までは求めないとすることや、記録の作成方法について、記録すべき事項が、ログやIPアドレス等、一定の情報を分析したり、複数の情報を照合したりすることによって明らかになる場合には、その状態を保存しておけば足りることとすることを含めまして、事業者の意見も丁寧に聴取しながら検討させていただきたいと考えております。
○高木(美)委員 向井審議官、今おっしゃった個々の細かい記録は求めないというお話ですが、それはどういう場合に該当するのか、もう少し詳しくお願いできますか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
一定の個人情報を同一社との間で複数回行うような場合に、一度一度それぞれの情報を記録するのではなくて、いつからいつまでの間に何回ぐらいこういう情報をやりとりしたというふうな記録で間に合うということでございます。
○高木(美)委員 わかりました。
では、もう一つちょっと問題提起、関連します。今度は、第三者提供をする側についての疑念について確認したいと思います。
たしか寺田参考人とのやりとりの中でも、例えば、SNSやフェイスブックなど、第三者提供をした場合、本人同意があるにもかかわらず記録を残さなければならないのか、果たしてそれが必要なのか、こうした問題提起もありました。
参考人のお一人と、終了後、懇談した際には、規則を定める際に除外規定を設けて、そういう個々の細かいことについては、特段の権利侵害に当たらない場合は除くということを規則に盛り込んでいただくことも対応としてあり得るのではないかという示唆をいただいたところです。
具体的な対応をどのようにされるのか、今度は提供する側についても答弁を求めます。
○向井政府参考人 御指摘の場合、例えば本人がフェイスブック等にアップする場合に、基本的に大体そのまま載るようになってございますので、そういう、載るものを本人が全てコントロールできるようなものについては、そもそも提供に当たるのかという問題もあろうかと思います。
実際に、そのような場合に、例えば本人、あるいはフェイスブック等の、そういうSNSを運用している会社に全てそれを義務づけるのはやや無理があると考えられますので、それらにつきましては基本的に必要のない方向で検討してまいりたいと思っております。
○高木(美)委員 わかりました。ありがとうございます。
最後に、大臣に伺います。
個人情報保護法は、民間、行政機関、独立行政法人、この三者のほかに、各自治体がそれぞれの条例を定めております。いわゆる二千個問題と言われるものですが、規制やまた手続の内容に複数のパターンが存在しているというのが我が国の状況で、これがかえって利活用も、また保護も複雑化しているという状況があります。
これを解消するための第一歩として、条例の実態把握や条例の見直しに関する相談受け付け体制、自治体からの相談をしっかりと受け付けて、どこまでが上乗せ、横出しできるのか等々、定める必要があるのではないかと思います。
こういうことにつきまして、政府のどこが今後対応していくのか、また、これは不可欠な体制整備かと思いますが、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○山口国務大臣 先生御指摘のとおり、各自治体が保有をする個人情報の取り扱いにつきましては、今回、改正を行う民間事業者を対象とする個人情報保護法よりも先に、各自治体において、それぞれ条例を整備し始めておったというふうな歴史的な経緯もありまして、その内容に複数のパターンが存在をするというふうなことでございます。
しかし、現在、このように、さまざまな内容の条例が存在をしておりますが、例えばビッグデータ時代における医療情報の活用という観点からは、民間の病院の情報なのか、自治体の運営する病院の情報なのかを区別することなく利活用できることが望ましいというふうな指摘もあるものと認識をしておりまして、必要な措置を検討することが求められておると考えております。
いずれにしても、このような歴史的経緯とか、医療情報を初めとするデータの利活用ニーズ等を踏まえながら、委員御指摘の条例の実態把握、そして自治体からの条例の見直しに関する相談受け付け体制のあり方につきましては、これは条例ですから総務省とも深く関係するものですから、そこら辺と相談をしながら、適切に対応してまいりたいと思います。
○高木(美)委員 ありがとうございました。
以上で終わります。
○井上委員長 次に、近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介です。
極めて重要な法案についての質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝申し上げます。
ただ、本法案の質疑に入る前に、この法案も個人情報の保護、そして、いわゆるビッグデータ時代を迎えて、政府の情報管理の体制について整える法案でありますが、政府の情報公開のあり方、姿勢について、極めて重要な発言が政府高官、具体的には西村内閣府担当副大臣から先般ございました。この御発言について、まず、ただしてまいりたい、このように思います。
具体的には、TPP、環太平洋パートナーシップ協定の交渉の合意文書、いわゆるテキスト、交渉中の文書の国会議員に対する情報開示をめぐる西村副大臣の発言であります。
委員長のお許しを得て、資料を配付させていただいております。
本件については、昨日の内閣委員会の理事懇談会においても副大臣から御説明があり、理事からも質問、意見等があったと聞いておりますが、これは極めて重要な発言でございますので、委員の皆様にもこの発言の内容をごらんいただき、発言というのは、記者会見の発言を改めてごらんいただきたい、こう思うわけであります。
五月四日の重要な記者会見の西村副大臣の発言であります。
ワシントンDCにおいて、五月四日、現地時間十五時四十五分、ナショナルプレスビルの記者会見の席上で、西村副大臣は、冒頭発言で、米国の議会人と意見交換をしたとした上で、こう発言されています。
情報開示だが、今回、議員なりといろいろ話をして、USTRは対外的に情報を出さないという条件で、議員にテキストへのアクセスを認めているということを確認した。日本でも、戻ってから相談するが、来週以降、テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で少し調整したい。もちろん、日本の場合は、守秘義務がないので、どういうルールで、どういうやり方をするのか、少し詰めないといけないが、検討したい。これは冒頭発言でございます。
こういった冒頭発言を受けて、記者から幾つかの質問を受けておりますが、これは添付資料のとおりであります。
テキストを開示する方向で検討するとのことだが、対象はどういう立場の国会議員かという質問に対しては、副大臣は、それも含めて検討する、どういう形で見てもらうか、対外的に情報を漏らさないということをどう担保するか、米国は厳格にやっている、ある議員は、何か漏らすと訴追されると強く言っていた、日本には、守秘義務というもの、罰則がないので、このあたりをどうするか考えないといけないし、そうしたこともあわせて、どういう範囲でアクセスを認めるか、日本に帰って検討したいと、極めてきちんと答えられておりますね。
途中では、与野党を問わずにという問いに、そうですね、はいと言ったこと。合意前に国会議員が見られるようにという問いに対しては、そういう方向で検討したいと明確に答えられております。
冒頭発言からの、問い、答えであります。極めてきちんとしたお答えであります。
私は、この発言、報道を受けて、当時、ゴールデンウイークで地元回りをしておりましたが、TPP交渉、私も、民主党政権時代、経済産業副大臣でありました。当時は内閣府が一元的にこれをやるということではなかったので、経産副大臣としてもこの交渉に、交渉というか、まだ交渉参加のための交渉でございましたが、かかわってまいりました。いろいろな意見のある中で、私は、交渉参加を否定することはおかしいという立場に立っておりましたが、党内いろいろな議論がございましたが、前向きに取り組んでまいりました。
そういう中で、TPPというものは避けては通れないという主張をさせていただき、すぐ選挙になりましたが、当時、与党の議員の中には、TPP交渉参加絶対反対、うそつかない、ぶれないと言った方々もたくさんいらっしゃいましたけれども、これは交渉参加は避けられないという主張を言った一人であります。
ただ、そういう中で、情報開示は必要だという思いで見ておりましたし、もちろん、日米間の違いはあるということは私自身も承知しておりましたけれども、そこを踏み越えて、西村副大臣が、この最終局面の中でいよいよそういう判断を、方向を示されたな、さすが西村副大臣だなと、一種感動を持ってこの報道を受けとめたわけでございます。
個人的な話でありますが、西村副大臣は、私と当選も同期であります。党は違えども、同期の副大臣の御活躍をずっと見てまいりましたけれども、さすが西村副大臣、最終局面において、やはり党派を超えての理解が必要だということでこの発言をされ、いよいよ準備をされるんだなと受けとめておりました。
ところが、その後、否定したのかしないのかよくわからない、会見のような会見でないものをされ、そしてその後会見をされ、現在に至っておるわけでございます。
副大臣、これまできちんとした記者会見をしながら、なぜこの発言を撤回されたのか、いまだ昨日の農林水産委員会の答弁を伺っても私には理解できません。
改めて、なぜここまで明確に発言をされながら、これを撤回される必要があったのか、その理由は何なのか、お答えをいただきたいということが一点と、少なくとも、この発言の時点では、五月四日の時点では、やはり何らかの形で国会議員に対して公開を行うべきと明確に御判断をされた上での発言だということをお認めいただきたいのですが、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。
今御指摘のありましたように、五月四日、アメリカの現地時間でありますけれども、TPP交渉に関する情報の開示につきましての私の発言によって誤解、混乱が生じましたことを本当に反省もしておりますし、おわびを申し上げたいと思います。
その上で、御説明したいと思います。
御案内のとおり、TPP交渉は、交渉参加国の中で、秘密保持という約束のもと交渉が進められております。外部に情報を漏らさない、そういう約束のもとで交渉が進められているわけでありまして、各国ともに、情報開示について苦慮しながら進めてきたところでございます。
その中で、アメリカで一定の議員にアクセスを認めているという報道もありまして、私もその確認もしていたところでありますが、十分によくわからなかったこともあり、今般、訪米中に、アメリカの議員と私も直接情報交換をし、意見交換をし、その中で、アメリカの開示の状況についても接してきたところでございます。
そうした中で、国会でもこれまで、情報開示をすべきだということで、いろいろな質疑の中で強く言われてきておりましたので、私自身も何か工夫ができないのかということを常々考えてきていたところでありますし、今般、そのような米国での状況に接し、また、直前の超党派でのセミナーでも情報開示の議論にもなり、話題にもなり、そうしたことから、情報開示に何らかの工夫ができないかという私自身の思いが強く出てしまいまして、あのような誤解を与えるような発言になってしまいました。
米国と日本の違いはあることも御案内のとおりだと思いますけれども、通商権限が議会にあるということ、それから連邦議員に守秘義務があり、そして情報を外部に漏らした場合の罰則まであるというような、制度が大きく異なる中で、私の発言が、アメリカと同一の対応ができるというような誤解を与えてしまった。これは、同一の対応はやはりできないわけでありまして、その点、私の発言が誤解を招きましたので、この点について私は撤回をしたところでございます。
引き続き、何か工夫ができないのかということをその後も考えてきておりますし、しっかりとこの点については検討してまいりたいというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 副大臣に引き続き伺います。
誤解と言いますが、ですから、同一というのは、米国の議員と全く同じ、ないしは米国と全く同じことはできないという意味において誤解を与えたというのならば理解はできますが、全くではなくて、少なくとも国会議員に対して何らかの形で見せるという意味においては、これは誤解も何もないんですよ。要するに、違いがあると副大臣は十分認識をしておりますし、認識をしている上で、違いはあると認めた上で公開をしたいとこの会見ではおっしゃっております。これは誤解の余地がございません。
ですから、全く同じ、全く米国と同一であると受け取られたら、それは確かに若干の誤解があったという西村副大臣の御発言はそうかと思いますが、そうではなくて、確認したいんですけれども、この場で御発言しているのは、さはさりながら、国会議員に文書を見せる、もちろん制限はつける、当然です、制限はつけた上だけれども見せるという点では変わらない、こういうことでよろしいんですか。
○西村(康)副大臣 日米の違いがある中で、御指摘のように、アメリカと同一、同様なやり方はできない、しかし、日本の制度、制約を前提として、そのもとで何か工夫ができないのかということを私は申し上げたかったわけでありまして、それがさらに言葉が走ってしまったわけでありますので、私としては、日本の制度、制約のもとで何か工夫ができないか、それを検討していきたいという趣旨で申し上げたわけでございます。
○近藤(洋)委員 その何かというのは、見せるということですか。お答えください。
○西村(康)副大臣 情報開示のあり方について何らかの工夫ができないかということでございます。
○近藤(洋)委員 全く何か意味不明ですよね。では、ここまで明確におっしゃっていたときのこのお答えは一体何なんですか。そこまで、何か工夫ができないかという程度の認識であれば、こういった記者会見にはなりようがないのではないでしょうか。
少なくとも、与野党問わずに、要するに、くどいようですけれども、それも含めて、どういう形で見てもらうかと答えているんですよ、副大臣。副大臣の御発言ですよ、この一ページ目のこれは。いいですか。クエスチョンの最初、テキストを開示する方向で検討するとのことだが、対象はどういう立場の国会議員か。それも含めて検討する、どういう形で見てもらうか。この見てもらうかは、テキストですよ。何をということにすれば、文脈でいえば。明らかにテキストを見るということについての問い、答えをしているわけです。
こういうやりとりをしていて今の御答弁というのは、一体この記者会見というのは、では、全く虚偽のことを発言されていたんですか、西村副大臣。どういうことなんでしょうか。
○西村(康)副大臣 繰り返しになりますけれども、私としては、できる限りの情報開示をしなければいけない、国会でも何度も御質疑いただいたところでありますし、そんな思いを持って、アメリカの今回の開示の状況についても意見交換しようという思いでアメリカに参りました。アメリカでの状況も聞き、そしてまた、さまざまな場で、セミナーを初めとしていろいろな場で、情報開示についても話題になりました。
そんな中で、私自身の思いが強く出過ぎましてこういう発言になったことを反省もし、責任も感じているところでございますけれども、誤解を与えた部分について、私なりに反省をして撤回をさせていただいたところでございます。
ただ、思いは、日本の制度、制約のもとで、情報開示について何らかの工夫ができないのかということを思っておりましたし、そのことの思いが強く出たこういう発言ということで、本当に反省もいたしております。
○近藤(洋)委員 副大臣、私は、はっきり言って、副大臣がこれだけの記者会見をされて、実際撤回されて今のような御答弁になるというのは、率直に言って常識では考えられない。そうしたことをされる副大臣は、率直に申し上げて、本来であれば、これは信任に足らずと言いたいところなんです。あり得ない、こう言いたいところなんです。
でも、あえて言わないのは、それはやろうとされていることが正しいことだからなんです。西村副大臣がまさに踏み出そうとされたことは、政治家として正しいことをおやりになろうとされたから、私は拍手をもって迎えたいと思っていたし、すばらしいことをやろうとされている方に対して、なぜここまで踏みとどまらなければいけないのか。恐らく副大臣御自身も、じくじたる思いがあると思うんですよ。
だって、西村副大臣ほどの方が、まさに通商交渉の何たるかを経済産業省の官僚として経験を積まれ、かつ、TPP交渉も、きのうやきょうやられた副大臣じゃございませんよ。第二次安倍内閣発足以来TPPにかかわり、甘利大臣が体調不良のときは、まさに名代として、大臣として交渉に携わった、日本国代表としてかかわった方でありますよ。まさに閣僚級の方、まあ、副大臣ですから閣僚級なんですけれども、まさにそうした方なんですよ。
その副大臣がここまで踏み込んでいるんです。大変すばらしいことであり、何でこのようなことになってしまっているのかということなんですね。
副大臣に伺います。この発言をされて、甘利大臣ないしは官房長官と、この発言後、この件についてどういうお話をされましたか。
○西村(康)副大臣 五月四日の私の発言の後、大臣には連絡をしまして、このようなことを申し上げました、アメリカとの違いも話しましたということで報告をしました。
その後、私は、夜にテレビでいろいろ報道を見て、私の発言が、アメリカと同様の開示を認める方針を固めたとか、そういう報道に接したものですから、私自身の判断で、翌日のニューヨークでのぶら下がり、先ほど御質問もありました、ぶら下がり会見が予定をされておりましたので、その場を利用してこれは真意をしっかり話さなきゃいけないということで、その会見があることと、それから、マスコミ各社の出席の状況を確認したところでございます。
ところが、実際にその場でぶら下がり会見に来た社が少なかったわけでありますし、翌日の報道も確認しまして、これは報道が全くなかったということで、その翌日の夕方以降だったと思いますけれども、ロスで改めてしっかりと話さなきゃいけないということで、私自身が判断をしてロスで会見を開いた次第であります。
この間は官房長官とはお話をしておりません。帰ってきてから御報告をさせていただきました。
以上です。
○近藤(洋)委員 その報告の際、叱責を受けられたわけですか、官房長官から。
○西村(康)副大臣 私から経緯等御報告を申し上げて、中身について幾つか御指摘がありました。これ以上のことは申し上げるべきではないと思います。
○近藤(洋)委員 ですから、注意を受けたのですか、官房長官から。お答えください。大事なことですから。
○西村(康)副大臣 日米の違いがあるので同じような開示はできないということを、これは私もそういうふうに思っておりましたし、そのことについて官房長官から御指摘もあり、双方確認をしたわけでございます。
○近藤(洋)委員 ですから、官房長官は、要するに、不用意な発言だったなという趣旨の注意を促したということなんですか、官邸として、官邸というか政府として。要するに、これは、副大臣、ある意味で失態ですから。会見をして、違う形で流れて、それを訂正したわけですから。それに対して官房長官は何の注意もしなかった、こういうことですか、逆に言うと。注意しなかったら、またおかしいんですよ。
○西村(康)副大臣 私として御報告をして、そのことについて、幾つかの内容についての御指摘をいただいて、私自身は、反省していること、あるいは撤回をしたことを申し上げて、そのことについて御報告して、指摘をいただいたということであります。
○近藤(洋)委員 副大臣、非常にわかりにくいですよね。
恐らく、これは想像するに、今のような御説明だと、西村副大臣ほどの人が、要するに通商交渉のプロの方が、しかもそれだけの責任を負ってこられた方がこれだけの会見をして、しかも、これは実はもう一つおかしいと思われる点があるんですよ。
というのは、ワシントンの後、翌日、副大臣が今御答弁されたように、否定のぶら下がり的なコメントを出した、会見が人が少なかったので報道されなかった、そして、再度、もう一日やった、こういう御答弁がございましたよね。まさにそのとおりなんですよね。
ところが、その最後の会見をやる前の時刻に、我々民主党の農林水産部門会議を開いているんですね。そのときに、何と内閣府の事務方は、西村副大臣は否定の記者会見をしていて、そうしたことももう明確に報じられているというような趣旨の発言をしているんですね。
何を言いたいかというと、率直に申し上げて、二回目の記者会見なるもの、これは記者会見でも何でもありません。別に通知をしておりませんから。西村副大臣の二回目の記者会見は、たまたまそこにいた人に声をかけて、あれは違うよといった立ち話。私は新聞記者の経験がありますから、あれは記者会見という代物ではございません、きちんとした通知をした会見ではございませんから。そういったもので過ごしておって、正式な記者会見は、西村副大臣がおっしゃった最後の会見なんですね。その最後の会見をやる前に、何と内閣府は我々に対して、もう西村副大臣は正式な記者会見をして否定したということを先走って報告しているんですね。火消しに走っている、こういうことなんです。
このこと一点をもってしても、いかにその西村副大臣の発言を、東京の官僚たちないしは官邸なのかわかりませんが、何らかの力が働いて火消しをしようとしているところが見てとれるわけです。
東京の方では、西村副大臣のその決意を西村ショックとかいって、失礼な言い方をして騒いでいるという話も聞きました。これはショックでも何でもない。副大臣のある意味で政治家としての重大な政治判断なんです。
それをなかったことにしようというふうに、一生懸命、我々民主党に対していいかげんな説明を役所側はしているんです。西村副大臣が記者会見をする前の時刻に、もう否定会見をしたというレクチャーをしているんです。これはこれでとんでもない、率直に言って、役所側の許されざる行為だと我々は思うわけでありますけれども、そういったことも、副大臣、許しているんですよ。あなたがきちんと記者会見をする前に、役所側はもう我々に対して、否定記者会見をしましたという報告をさせているんですから、非常に問題だ、こう思いますね。
こういったことを一つとってみても、今回の件は非常に不可解ですし、大問題だ、こう思います。
副大臣、この問題ばかり余り長くしたくないのであれなんですが、副大臣はこの問題の担当副大臣であり、かつ、長くかかわってきた方というだけではなくて、政治家としても、我々は同期だというふうにも申し上げましたけれども、自民党の総裁選にも立候補されたキャリアを持つ方ですよ。自民党の総裁選に出るというのは、誰でも出られる話じゃないんですよね。二十人の推薦人を集めなければいけない。それは民主党も一緒でございます。我々同期で、民主党も含めて、自民党も含めて、そういった代表選なり総裁選に出たのは西村さんが最初だった、こう思います。その後、馬淵議員とか出てまいりましたけれども。
そういう意味においては、政治家の発言であるとか記者会見の発言であるとかの重さというのは重々承知をされていると私は思います。
ですから、伺います。
国会議員への公開でありますけれども、工夫をされたいとおっしゃいましたが、いつまでに本件、結論を出されるんですか。いつまでに国会議員に対して情報開示をするという仕組みを確立していくのか、ぜひ明確に方針を副大臣の責任においてお示ししていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○西村(康)副大臣 お答え申し上げたいと思います。
まず、事務方がどのような説明を民主党の部門会議でしたのか、これは私もまた確認をしたいと思います。
これも繰り返しでありますが、四日のワシントンでの記者会見の後、夜に報道を見て、私が何か訂正をしなきゃいけない、真意を話さなきゃいけないというふうに思いまして、翌日、ジャパン・ソサエティーでの超党派のセミナーがあって、その後、ぶら下がり会見が予定をされていたものですから、これは、実は、去年もおととしも、私、ジャパン・ソサエティーで話しまして、その後、ぶら下がり会見が同じように行われておりましたので、その場を利用してぜひ真意を説明したいということで、その会見、いわゆるぶら下がり会見がセットされていること、それから、出席の状況なども確認をしたところでございます。
ただ、この主催がジャパン・ソサエティーなものですから、領事館を含めて、少し伝言ゲームになったところがあるかもしれませんけれども、私としては、その場で、来られたマスコミの方に真意を申し上げて、アメリカと同様なことはできない、日本の制度のもとで何ができるか検討したい、そういう趣旨でありました、そういう趣旨のことを申し上げましたので、想像するに、その時点でのことを内閣府の事務方は御説明申し上げたんじゃないかと思いますが、この点、しっかり確認をしたいと思います。
その上で、今申し上げたとおりでありますけれども、日本の制度、制約のもとでどういう情報開示、情報提供ができるのか、これについては真剣に、しっかりと考えてまいりたいと思います。
五月一日の時点で、テキストの概要について、これまで以上に詳しい内容も公開をしたところでありますし、この点、私自身、真剣に考えてまいりたいと思いますし、甘利大臣とも相談をして、できる限りの情報開示に努めてまいりたいというふうに思います。
○近藤(洋)委員 我々民主党は、維新の党と共同提案で、TPPにかかわる情報開示の議員立法を提案しております。当委員会に提案をしておる、前国会から何度も提出をしておるわけですが、なかなか議論に付されておりません。西村副大臣もいっときは真剣にこれをやりたいと発言したわけでありますから、政府においてもこれだけの声がある話でありますから、本法案が、この閣法が終わった後には、ぜひ我々の議員立法の法案を議論していただきたいということを強く委員長に申し上げたい、こう思うわけであります。
もう時間も迫っているので、閣法の議論に入りたい、こう思います。
山口大臣にお伺いしたいと思います。
まず、個人情報保護法案であります。
委員長のお許しを得て、資料の二枚目でありますけれども、この法案の第一条の目的規定には、このように書かれているわけですね。個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他個人情報の有用性に配慮しつつ、個人情報の利益保護を目的とする、このように書いておりますけれども、この個人情報の適正かつ効果的な活用を政府部内で主体的に考えるという部局はどこになるのか、大事な点なので大臣にお答えいただけますでしょうか。
○山口国務大臣 御指摘の、個人情報の適正かつ効果的な活用というふうなことでありますが、今回の法改正におきまして個人情報保護委員会の任務等に追加をしたものでございまして、改正後は、新たに設置をされる個人情報保護委員会が主として担当するというふうなことに相なります。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。
今大臣に御答弁いただいたとおり、個人情報保護委員会が個人情報の適正かつ効果的な活用を担う、主体的にこれについても考える部局になる、こういうことであります。
この五十一条でありますが、下線を引かせていただいております。目的規定と同様のことが書いてあるわけでありますけれども、この文言、そのとおり読むと、五十一条において、「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護するため、個人情報の適正な取扱いの確保を図ること」とあります。
となると、個人情報保護委員会の任務の主目的というのは、個人情報の権利利益を保護することということで、これはよろしいわけですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
現行法では、利活用を意味する、有用性に配慮しつつというふうに規定されておりますが、今回の改正で、情報通信技術の進展等に伴うビッグデータを用いたビジネス等、個人情報の利活用のニーズが増加している点を踏まえ、この有用性を強調する観点から、目的規定あるいは任務規定におきまして、有用性の具体例といたしまして、新たな産業の創出等を明示することとしたものでございます。
個人情報の保護と利活用というのは、ある意味トレードオフではありますが、そうでない部分もあろうかと思います。これらをバランスよく活用あるいは保護していくというのが個人情報保護委員会の目的だと考えてございます。
○近藤(洋)委員 向井さん、引き続き、ちょっとこれは大事な点なので。
上手に御答弁されていますけれども、私が伺いたいのは、主目的はどちらだと。バランスよくと書いていますけれども、これはよく読むと、やはり、しつつ、しかし、個人情報の権利利益を保護するというのがあくまで主目的なのがこの委員会なのかなと、素直に読むと読み取れるんですが、そういうことなんじゃないんですかというのを確認しているんですが。
○向井政府参考人 主目的というのが、主か従かというのを区別するのはなかなか難しい部分もあろうかとは思いますが、第三者委員会、いわゆる三条委員会の性質上、個人情報の保護というのを目的として書いておるところでございますけれども、それを主というか、個人情報の保護自体も利活用に資するところもございますので、そういうのをあわせてバランスよくやっていくということだろうというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 向井審議官の御答弁はなかなか巧妙ではございますけれども、ここがちょっとわかりにくいんですね。
大臣、何を言いたいか。向井審議官も、それを想定してお答えをいただいているわけですけれども、まさに、本来、個人情報保護委員会は、名前のとおり、いわゆる利活用というアクセルということの必要性を配慮しつつも、しかしながら、保護というある意味ではブレーキについて考える組織なんですね。両方を考えると言うけれども。でも、名前は、もともとはブレーキというか、保護ということの組織なわけですね。そうすると、やはり本質的に矛盾するものを抱える組織だ、こういうふうに思うわけであります。
そもそも、やはり、我々の一つの大きな問題、課題として、このビッグデータ時代の中で、世界最先端のIT利活用国家を築こうと、九〇年代からずっと我々はこの取り組みをしてきて、気がついたら、ややおくれてきたということ、オープンデータ等々もおくれてきたという問題意識がある中で、個人情報の利活用に向けて、本質的には、場合によっては、利活用のための別の組織なのか、法体系的にも促進法的なものが本来は必要なのではないかということなのであります。
個人情報保護法としての法体系は、これはこれで結構なんですけれども、もっとやろう、ビッグデータ時代で環境を整えようとするならば、今後、促進法ということも一つ視野に置くべきではないか、こう思うわけでありますが、大臣は双方の御担当の大臣でありますから、双方をごらんになるお立場としていかがでございますでしょうか。
○山口国務大臣 お答えをさせていただきます。
双方のというふうなお話ではございましたが、そういった意味では、いかにうまくバランスをとるかというふうなことになろうかと思います。
先ほどの答弁にもありましたように、今回の改正で、従来よりも利活用が念頭に置かれるということは、これはもう間違いない話でございまして、そういった個人情報の有用性を強調するという観点から、その具体例として、新たな産業の創出等というふうなことを明示することにしております。
その上で、具体的な改正内容の大きな柱としては、今回の法改正において、匿名加工情報というものを新たな類型として設けました。これでパーソナルデータの新たな利活用の道が開けていくのではないか。これはもう先生も御案内のとおりで、欧米諸国にも先例のない初のものであるというふうなことで、まさにパーソナルデータの利活用先進国へ導いていくものであろうと思っております。
したがいまして、法改正後に設置をされる個人情報保護委員会は、利活用の促進にも相当程度配慮をしながら、バランスを持って対応を行っていくというふうなことが期待をされております。
同時に、いろいろ御指摘いただきました。確かにごもっともというふうな思いもあるんですが、今回の法律の附則で、御案内のとおり、三年ごとの見直しを置いております。政府としても、必要な場合には所要の措置を講ずるというふうなことにしておりまして、御指摘のような措置の必要性も検討しながら、政府としては世界最先端IT国家に向けて対応してまいりたいと思っております。
○近藤(洋)委員 いたずらに保護委員会の、ここは引き続き聞いてまいりますが、法体系のあり方としてもぜひ御検討いただきたい、こう思いますし、促進という観点から我々も議員の立場で提言をしてまいりたい、こう思うわけであります。
続いて、特に個人情報保護委員会、これから制度設計は規則で決めていく。この規則、私も今回この法案を見て、これは大変な制度設計だな、ただ、具体的に踏み込んで聞こうと思うと、大体規則に任される点がかなりあるということなので、具体論をなかなかこの委員会の場で聞けないな、こういうふうに思ったわけです。裏を返すと、規則で相当のことが決まっていくということだろう、こう思うわけですね。
そうだとすると、私は、やはりできる限り、個人情報保護のブレーキの観点からだけの検討が主にならないように、さまざまな制度設計において利用促進の観点からも検討が行われるような配慮、ワーキンググループ等をつくっていかれるんでしょうけれども、運用において、規則の制度設計において民間の声をきちんと聞いていくたてつけが非常に重要になろうか、こう思うわけでありますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 私も同感でございまして、今回の法案における具体的な制度の詳細につきましては、もう御案内のとおりで、情報通信分野というのは技術とかサービスの進展、目まぐるしく進歩したり変化をしたりしております。また、我が国企業のグローバル化に伴う情報の国境を越えた流通、これも増加をしておりますので、そういった国際的な整合性を図ることも重要であるというふうなことで、社会の変化に柔軟に対応できるように、政令や委員会規則で定めるというふうなことにさせていただいております。
これを定めるに当たりましては、事業者の自主的なルール等との関連性も考慮して、法案成立後、施行までの間、できるだけ速やかに検討を開始する予定でございまして、同時に、パブリックコメントも活用したり、あるいは民間企業や消費者の皆様方の御意見も伺うというふうなこともし、かつ、委員会の審議におきましても、各分野の委員、専門委員の御意見も踏まえるというふうなことで、いろいろと配慮しながらやっていきたいと思っております。
これも御案内と思うんですが、委員の顔ぶれにしても、しっかり、そういった専門家といいますか、企業で十分やってこられた方々等々も入っていただいて、まさに総合的に御議論をいただきたいというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 大臣が今お答えいただいたように、現実の、非常にイノベーションというのは、技術革新の速い分野でもございますので、そういった動きにきちっと追いつけるようなメンバーの体制であるとかということをぜひ工夫していただきたい、こう思うわけでありますし、国会としても、どういうものができていくのかというのを注視していきたいということを申し上げておきたいと思います。
続いて、また、今大臣も御答弁いただきましたが、国際的な制度間のハーモナイゼーションということも、これは重要になるわけであります。
現在、特にヨーロッパとの関係でありますけれども、EUでありますけれども、これまた、あえて言うと不思議なことでありますが、ヨーロッパからは、日本は個人情報保護関連制度が不十分な国である、こういうふうに認定をされており、個人情報の移転が現在認められていない、こういうことと相なっています。これだけの先進国で不十分というのもいかがなものかという気はするんですが、それはEUがお決めになることですから、現在では不十分ということであります。
だとすると、今般の法改正によって、このEUからの情報の移転が認められるということに相なるというふうに政府としては御認識をしているのかということが一点と、また同時に、今回の法改正によって、EUさらには米国というものの、各国間の移転というものが可能になるというたてつけになるという御認識なのか、お答えいただけますでしょうか。
○山口国務大臣 御指摘のとおりで、今回の法改正は、EUの十分性取得、これをかなり念頭に置きながら、これが可能になるような制度設計ということも意識をして進めたということは事実でございます。
特に、独立した第三者機関の整備とか、機微情報に関する規定の整備、あるいは小規模取扱事業者に対しての法の適用とか、越境データ移転についての制限、さらには開示請求権の明確化、これは、我が国の制度がEUから見て不十分とされておる点としてこれまでに公にされた資料等から推測をされておりますが、これにつきましては、今般の法改正において必要な対応を行っております。
しかしながら、EUの十分性取得につきましては、明確に取得条件が示されておるものではない、もう先生も御案内のとおりで、あれっと思うような国もだめというふうな話があったりするわけで、そこら辺は、この法案の成立後、引き続いてEU側の担当部局とも積極的に情報交換を行ってまいりたいと思っております。
また、今回の法案におきましては、新たに、外国の第三者への個人データの提供に適用される規定、これも設けることにしておりますので、提供先の第三者が我が国の個人情報保護法に基づくものと同様の措置を講ずる体制を整備しておる場合、あるいは提供先の事業者が所在をする外国の個人情報保護制度が我が国と同等の水準にあると認められた場合、そして外国の第三者への提供を認める旨の本人の同意を得ておる場合という三つのケースいずれかに該当する場合は、EU、米国など外国の第三者に対しまして、国内と同様に個人データを提供することが可能というふうになっております。
○近藤(洋)委員 ちょっと質問をはしょりますが、EPA交渉なども含めて、ぜひこうしたことを進めていただきたい、こう思うわけであります。
続いて、マイナンバーについて伺いたいと思うんです。
まず、基本的なことで、マイナンバーを管理する、膨大なデータなわけですけれども、基本的なことで恐縮なんですけれども、サーバーというんでしょうか、データベースのサーバーはどこに設置をして、どこがどう管理するものなんでしょうか、お答えいただけますでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー制度の情報連携の中核を担います情報提供ネットワークシステムにつきましては、本番のための本番用センターと被災時運用を行うためのバックアップセンター、二拠点を日本国内に整備いたします。
整備場所の基準といたしましては、万一の震災等を考慮し、各データセンターには、異なる大陸プレート及び異なる電力会社管内に立地する場所等の必要な要件を定めて設置していくこととしております。
なお、情報提供ネットワークシステムの運用管理は総務省において行うこととなります。
以上でございます。
○近藤(洋)委員 これは非常に大事なことなわけですね、この管理というのは。
そして、一つお伺いしたいのは、NISCの方にも来ていただいていますが、マイナンバーのセキュリティー確保なんですよね。内閣サイバーセキュリティセンター、NISCとどのように連携をして、サイバーセキュリティー、もしこのサーバーがサイバーアタックに遭ったらどうなるかということなわけであります。これは極めて大事なことだろうと思うんですが、どういった連携を行っていくのか、お答えいただけますでしょうか。
○西村(康)副大臣 大変大事な御指摘だと思います。
マイナンバー制度の情報連携の中核を担うコアシステムである情報提供ネットワークシステム、これにつきましては、システムの性質上、当然のことでありますけれども、サイバーセキュリティーの確保が最重要というふうに考えております。
このため、情報システムの企画、設計、構築、運用、各段階を通じて、情報セキュリティーに関する政府統一基準等に基づく各種対策をしっかりと適切に講じていくという方針で進めておりまして、NISCから必要な助言、情報の提供を受けつつ、しっかりと連携して、このシステムのセキュリティー確保に万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 これは膨大なデータですし、大変なシステムだと思うわけですけれども、NISC側は、政府側が予定しているロードマップどおりに進めた場合、セキュリティー上万全だと現時点で担保できますか。できないと言われても困りますが。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
マイナンバー制度に関連する情報システムを含めまして、情報システムのセキュリティーを確保するためには、今副大臣から御答弁ございましたとおり、情報システムの企画、設計、構築、運用の各段階を通じまして、昨年の五月に改定をいたしました政府統一基準等に基づく各種の対策を適切かつ継続的に講じていくことが重要であるというふうに考えております。
NISCといたしましては、本年の一月に全面施行されましたサイバーセキュリティ基本法の趣旨を十分に踏まえまして、政府機関、地方公共団体等との連携を強化するとともに、積極的な情報共有を通じまして、マイナンバー制度に係るサイバーセキュリティーが確保されるよう万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 ぜひ、これは極めて重要なことなので、サイバーアタックに対する備えをしっかりしていただきたい、こう思うわけであります。
時間ですので、最後の質問に移りたいと思います。
預貯金口座への付番の件でございます。これは、銀行側に聞くと、本当は質問しようと思ったんですが、システム開発、全銀協側は、膨大なシステムを開発しなければいけない、通知もしなければいけない。いろいろな数値の出し方はあるようでありますけれども、十億や二十億の開発費ではないわけですね。恐らく全国銀行協会で三百億から数百億の開発費がかかる、開発費をかけて番号を付す、こういうことなんですが、実際、本当に全部番号がつくかどうか、預貯金者がつけてくれるかどうかわからない、こういうことなわけであります。
それだけ民間企業が開発費、人もかけて何もなかったとなると、これはこれで困ったものでありまして、大臣、お伺いしたいのは、やはり、ある程度預貯金者が届け出を自主的に行うようなメリットというのをわかりやすく付すべきだろうと思うんですね。その際に、例えばですけれども、短期的でもいいんですけれども、口座が、ついたところの口座は税金が少し安くなるよとか何かのことがないと、一気に番号を広げるということを考える際は何らかの大きなメリットをつけていかないとならないのではないか、こう思うんです。
そうしたメリット策を政府内でちょっと検討すべきではないかと思うんですが、そのことを伺って、質問を終わります。大臣、どうぞ。
○山口国務大臣 今御指摘をいただきましたが、今回の預貯金者、これは任意で告知するなどというふうなことで、付番される預貯金口座につきましては、金融機関の破綻時とかあるいは激甚災害の発生時などに、マイナンバーを利用した円滑な預貯金の払い戻しが可能になる等のメリットがあるものというふうに考えておりますが、確かに一挙に付番ということにはなかなか結びつきにくい面もあるんだろうと思います。
ただ、一方においては、先般もエストニアに行ってまいりましたが、結構何年もかけて積み上げてきているわけですね。そういったこともありますし、同時に、これはさっきも申し上げた三年後の見直しということもございます。
そういったいろいろなことを考えながら、ただ、御指摘もございますので、これ以外にさらなるメリット、税金はちょっと難しいかもわかりませんが、何かないかといろいろ考えてみたいと思います。
○近藤(洋)委員 終わります。
○井上委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
本日、個人情報保護法の審議ということで、またマイナンバーの審議ということで立たせていただきましたけれども、先ほど近藤委員からも西村副大臣のことについては少しお話がありましたので、私も、その質疑を通じて、聞かれたことをも含めて、改めてもう一度確認をしたいというふうに思います。
我々としては、西村副大臣の御発言というのは大変、国会での議論を受けて、最大限の努力をされるということであったと思います。
衆議院、この内閣委員会でも、まさに内閣府副大臣ということでありますので、昨日、理事懇の中で、西村副大臣にお越しをいただいて、経過と経緯の説明をいただき、また、撤回、陳謝をされたという報告をいただいたところでありますが、その中でも、特に、西村副大臣が訪米をされて、その意を得たりということでこの会見に至ったということでありました。
アメリカ議会下院の歳入委員会貿易小委員長のティベリ小委員長、そして日米TPPコーカスの共同議長のブスタニー議員、そして前の貿易小委員長のニュネス議員と意見交換をして、その後に、セミナーもあり、こういったアクセスを認めていることを確認したということでありますので、各議員とのどんなやりとりがあったのかということについては大変注目をしております。
そういった意味で、その会談の報告を出していただきたいということをきのうの理事懇でもお願いさせていただいておりますので、委員長、改めてそのことを理事会で協議をお願いしたいというふうに思います。
○井上委員長 理事会で協議します。
○泉委員 そして提出もお願いをしたいというふうに思います。
さて、改めて、西村副大臣。私は、こういう発言をして、先ほどからの話であるように、アメリカと同様のことはできないということは、ある意味、近藤委員も含めて、もうよくわかったということであろうと思います。それは訪米をされる前からよくわかったという話であって、全ての人たちがそれを前提で今回の経緯を見ておるという状況であります。
その意味では、アメリカと同様の情報公開や情報へのアクセスはできないということがわかった上で、なおかつ、五月四日、私は、西村副大臣は、テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で少し調整したいということであったと思います。そして、きょうのやりとりを伺っていても、ある意味、その気持ちは変わっておられない。そして答弁でも、引き続き何かできないかというふうに申されております。
やはりこのことは大変大きいことでありまして、副大臣としては、副大臣として五月四日に記者会見をされて、そして、アメリカと同じようなことができるというふうに伝わったことについては申しわけなかったということであったけれども、しかし、引き続き努力をしていくということはおっしゃられているわけですね。
ここは、簡単に言えば、ゼロ回答はあり得ないということだと思いますよ、私は。ここまで状況がわかった上で発言をされて、そして真意については伝わっていなかったということをおわびなされて、それはわかった、では、それは忘れましょうとなった場合に、引き続き副大臣の責任は、これは何らかできないかと全てわかった上でおっしゃられているのであれば、ゼロ回答はないよということだと私は理解しています。
まさかゼロ回答で、国会議員に対して何も情報が開示できないということはないでしょうね。
○西村(康)副大臣 まず、日米の違いがあること、これは事前に承知をしている部分もありました。ただ、私ども、USTRに対して、どういう形で情報開示を行っているのか、どういうルールで行っているのかと。この点、これは国会の質疑の中でも聞かれて私も答弁しましたけれども、十分な情報が得られていなかったものですから、精査をしますというふうに大臣も私もお答えをしてまいりました。
そのこともあって、今回、アメリカで議員といろいろ意見交換、情報交換をする中でわかってきたこともございます。罰則がある、訴追をされるといったようなこともわかってまいりました。そういったことを通じて日米の違いが明確になってきたわけでありますけれども、私の発言は、日米の違いがあるにもかかわらず、御案内のとおり、同様なことができるかのようにとられてしまったこと、これを反省し、撤回をしたところでございます。
その上で、先ほど来申し上げていますとおり、日本の制度、制約のもとで何か工夫ができないのかということはその時点でも強く思っておりましたし、今も同じ気持ちでおりますので、引き続き、甘利大臣ともよく相談をしながら、工夫ができないのか、これはしっかりと考えてまいりたいというふうに思います。
○泉委員 先ほどのやりとりを伺っていて少しわからなかったんですが、これは、やはり発言についてここまで大きな話題になって、そして副大臣も各委員会で説明を強いられているということでありますので、改めて、政府としてこの発言をどう捉えているのかということがある種明確でなければいけないと思います。
その意味で、先ほどの大臣とのやりとりや官房長官とのやりとりというのはよくわからないんです。大臣や官房長官はその発言について注意をされたのかされていないのか、されたのであればいつされたのか、それとも、あくまで注意ではないと西村副大臣は認識されているのか、改めて確認をお願いします。
○西村(康)副大臣 甘利大臣とは、訪米中、一度、五月四日の記者会見の後、連絡をしまして、私がこういう発言をしてこういう記者会見をしましたということは申し上げました。
その後、私はテレビを見て、報道に接して、改めて言わなきゃいけないということで、ニューヨークでのぶら下がり会見を利用してやろう、そのときに真意を話そうというふうに思ったわけであります。その後、ニューヨークでのぶら下がり会見のときは記者が少なくて、翌日報道も全くなかったものですから、ロスでも会見をやろうというふうに話したわけであります。
それから、甘利大臣とその時点で確認をしましたのは、確認をしましたというか、お話、中身があったのは、日米での違いがある点、同様のことはできないという点を確認して、私も記者会見でも日米の違いも申し上げましたということでお話をしたわけでございます。その後、もちろん帰国してから大臣に報告をして、私なりに反省をして撤回をしましたということをきちっと報告申し上げました。
それから、帰国してから官房長官ともお話をして、反省をしている点、それから撤回をした点を申し上げたわけでございます。
○泉委員 五月四日があり、そして、その後の対応について、大臣と相談されながらさまざまな対策をとっていったということはわかります。それはそれとして、大臣とある種の危機管理をしなきゃいけない。しかし、その一連の過程を通じて、現在に至るまで、総括的に今回の件について注意を受けたという認識はお持ちですか。大臣から注意を受けたんだという認識はお持ちですか。
○西村(康)副大臣 当然、私が発言をしたことが誤解を与えたわけでありますし、そのことを撤回したということを申し上げたわけでありますので、明確にどういう言葉でどういうふうに言われたか、今、記憶しているわけではありませんけれども、私自身は、こういうことはしてはならないということを肝に銘じておりますし、ある意味で、大臣とのお話の中では、どういう言い方をしたかは記憶はありませんけれども、しっかりやれよなという趣旨でのお言葉をいただいたと思っております。
○泉委員 それに対して、申しわけございませんでしたというふうにおっしゃられたということでよろしいですか。
○西村(康)副大臣 私からは、大臣には、申しわけありませんでしたということは申し上げました。
○泉委員 官房長官とのやりとりについてもなんですが、これも同様という考えでよろしいでしょうか。さまざまな経過、経緯の説明をされた、それに対して、やはりそういう発言は慎むようにというふうに言われた、そして、わかりました、申しわけございませんでしたという形でやりとりがあったという理解でよろしいですか。
○西村(康)副大臣 帰国しましてから、この一連の経緯と、特に私が撤回をした点、それから、私自身が非常に反省をしておりますということ、申しわけありませんでしたということは申し上げまして、その内容について、日米でやはり違いがある点などお話をいただいておりますので、私自身、注意しなきゃいけないということを改めて感じたわけでございます。
○泉委員 わかりました。
それでは、改めてです。
私、冒頭お話をしましたけれども、副大臣が記者会見でお話された方向性は間違っておりません。そして、その努力をするということについては、アメリカとの違いを十分認識した上で、現在も、今もなお副大臣は、引き続き何かできないかということを具体的に検討していきたいというふうにおっしゃられているわけです。
アメリカとの違いも理解している、日本の制約も当然理解している、その副大臣が、何かしらできないかと言っているということは、これはまさか、何も考えずに、何も方策なく、何も想定せずに、ただ希望的観測であったり、ただ気持ちだけでこのことを述べているとすれば、それは私は間違いだと思いますよ。
副大臣としての、公職としての、ただ感情としての言葉を、いろいろな人たちと、議員と会談をしたから私はできると思っている、検討したいと言ったことが、実は中身が何もなくて、もしゼロ回答だったら、TPPの交渉が終わって合意に至る経過の中で、もし日本の議員に対するアクセスが今と何も変わらないということであれば、これは私は責任問題だと思うんですよ。
大変申しわけないですが、やはり副大臣の御発言ですから、何もなかった、一生懸命頑張ったけれども、一つも知恵も浮かばなかったし、一つも実らなかったでは済まされないんですよ。そう思いませんか。
○西村(康)副大臣 お言葉、本当に私自身も反省をしなきゃいけないということを改めて痛感しているところでございます。
日米の違いがあるということ、日本の制度のもとで何ができるか、何か工夫ができないかという気持ちは今も持っておりますし、それから、繰り返しになりますけれども、十二カ国の中で秘密保持契約を結んで、外部に漏れないという約束のもとで、これまで交渉も進めてきております、信頼関係を持って進めてきております。そういったことも含めて、頭に置きながら、どういったことができるのか、何か工夫ができないのか、情報開示について引き続き真剣に考えてまいりたいと思います。
○泉委員 それは、甘利大臣も同様の考えだということでよろしいですか。
○西村(康)副大臣 昨日、本会議で甘利大臣も答弁されました。引き続き検討していきたいという御答弁だったと思います。
○泉委員 私は、再三申し上げましたように、やはり、副大臣がここまでおっしゃられている、全ての前提がわかった上でここまでのことをおっしゃられているということは、大変重たいというふうに思っております。ぜひ最大限の御検討をいただきたいというふうに思います。
まあ、ないとは思いますが、もしそれで全く何の成果もないということであれば、これは副大臣、大きな責任問題だというふうに私は思っております。一定のけじめをつけていただけますか。
○西村(康)副大臣 反省もし、責任も強く感じているところでございます。引き続き、情報開示、どういった工夫ができるのか、しっかりと真剣に考えてまいりたいと思います。
○泉委員 ちょっと待ってください。
反省をしというところ、勘違いしていただきたくないんですね。この発言が行き過ぎた、アメリカと同じような形で伝わったということについて御反省をされるのは、それは幾らでも結構です。しかし、まさか発言全部が撤回されたということじゃないですよね。まさか思い全部が撤回されて、このことを追求するということをやめてしまったわけではないわけで、今もなお具体的に、実際何ができるかを考えていきたいとおっしゃられているということは、私は繰り返し言いますが、ゼロ回答はあり得ないということですよ。
何かができると思っているからこういう発言をしているんです、副大臣は。そういうことなんですよ。何もフルスペックでやってくれということまで、できれば一番いいですが、それは無理だということは我々もわかっています。わかっている。でも、何かはできるよねということは今もなおおっしゃられ続けているわけです。今もなお我々は期待を持ち続けているわけですよ。
ということは、ここまで期待させておいて、何にもないということはないですね。そして、もし何にもないということであれば、これは責任問題ですよということで、改めて、そのときはけじめをつけられますね。
○西村(康)副大臣 私の発言が、アメリカと同様な開示ができるかのように受け取られてしまったこと、これについて誤解や混乱を招いてしまったことを反省し、責任を感じているところでございます。
一方で、そのとき持っておりました思い、これは御指摘のとおり、情報開示、何らかのことを、工夫ができないのかという気持ちは今も強く持っておりますので、引き続き考えていきたいと思いますが、五月四日のときにも、繰り返しになりますので、もう釈迦に説法ですけれども、そのときもしっかりと申し上げておりますけれども、外部に漏れない、日本にはそのようなルールがないということも含めて、そうした制約、制度のもとで何らかの工夫ができないか、これは引き続き真剣に考えていきたいと思います。
○泉委員 この問題、余り長くやりとりもしたくないんですが、改めてですが、これは思いだけあるじゃだめなんです、副大臣の場合は。副大臣の場合は、全く、ですから、責任は変わっていないですよ。何らか議会アクセスを向上させるということを発言しているわけですから。
真意は違ったというのは、あくまでアメリカと同じような議会アクセス、これはできない、それについての誤解は反省していると。しかし、何らかやるということについては、まさに明言しているわけです、副大臣の責任において。これは明言ですからね。何かやるということについては明言しているわけですから、それはやらなきゃいけないですよ。それをやらなければ、うそになりますよ、本当に。これはうそになる。だから、けじめをつけていただきたいというふうに言っているんです。
改めて、最後にもう一度、これはゼロ回答はあり得ないかどうか、ゼロ回答ではないですよねということの確認と、そのときにはけじめはつけていただけますね。
○西村(康)副大臣 日本の制度、制約のもとでどういった工夫ができるのか、情報開示、何か工夫をしてできないのかというようなこと、これは私の立場で真剣にしっかりと考えて取り組んでいきたいと思います。
○泉委員 続いて、この法案の中身に入らせていただきたいというふうに思います。
参考人質疑ですが、大変貴重な御意見をたくさんいただきました。四名の参考人からの御意見というのは大変貴重であります。
これまでも私は委員会質疑を伺っていまして、一つは個人情報の定義であります。特に、大臣も再三御答弁されていますが、携帯電話番号であります。
これは、今までの答弁では、やはり一律に携帯電話番号ということでくくることはなかなか難しいねという話でありまして、特に法人契約とプリペイド、これについては個人と言っていいのかどうかというところがあるということもございますので、そこを検討しながら考えていきたいというところまでの御答弁だったと思います。
私、宇賀参考人にお話を伺いました。個人の持つ、個人所有の携帯電話番号と法人契約やプリペイドみたいなものを技術的に区別することはできますよねというような質問をしたときに、可能ですというようなお話もございました。
そういったことも踏まえて、そろそろ、法人契約やプリペイドのこともありますのでという形での曖昧な御答弁からもう一歩前に大臣には進んでいただきたいというふうに思っておりまして、やはり、個人の携帯電話番号ということについては個人情報という整理をしていく必要があるのではないか。個人の、そこについて改めて確認をしたいと思います。
○山口国務大臣 今回の法案は、現行法におきまして保護対象に含まれると考えられるもの、情報単体から特定の個人を識別することができるものを個人識別符号と明確化をして政令で定めることとしておるわけであります。
この個人識別符号、これに該当するものを政令で定める際の基準、今後、民間企業とか消費者の御意見等も踏まえて検討していくというふうなことに相なりますが、現時点におきましては、情報単体から特定の個人を識別することができるか否かの判断を行う際の基準、これは以前から申し上げておりますが、情報が一意であるか等個人と情報の結びつきの程度、情報の内容の変更が頻繁に行われていないか等情報の不変性の程度、そして、情報に基づいて直接個人にアプローチをすることができるか等本人の到達性、これらの要素を勘案してというふうなことになります。
御指摘のとおりで、法人とかプリペイドは個人情報にはならないということなんでしょうけれども、個人の契約しておる携帯電話番号、これは、電話しますと直接本人にもつながりますし、個人との結びつきが大変強いというふうなことでありますが、同時に、サービスとか運用実態もさまざまありますし、結構番号を変える方もおいでるわけでありまして、そこら辺の実態、あるいはまた諸外国における取り扱い、技術動向、これもあるでしょう、そういったことも注視をしながら、社会実態等を反映して、該当性が明確になるように努めてまいりたいというふうに考えております。
現段階では、そこまでで御勘弁をいただければと思います。
○泉委員 向井審議官も来られていると思いますが、過去の答弁の中で、携帯電話番号やメールアドレスなどは個人情報だと一概には言えないという御答弁もされていると思うんですが、まさに、一概には言えないということについては、法人契約やプリペイドがあるから一概には言えない、こういう理解でよろしいですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
一概に言えないという趣旨は、もちろん契約形態もございますが、技術動向、それから諸外国の状況、その他全てを踏まえまして、一概に言えないということでございます。
○泉委員 ありがとうございます。
携帯電話番号、仮に番号が変わっても、大臣がおっしゃったように個人に到達するということは間違いないことでありまして、私、この一連の個人情報の議論を聞いていて、やはり、法律の中の立て方と一般庶民の感覚にはまだちょっとずれもあるんだろうなと思うんですが、少なくとも、一般庶民のそれぞれの認識でいくと、情報に対する気持ちの悪さというか、そういうものを感じるかどうかというのは大きいような気がします。
これは、法律にはしにくいかもしれませんが、大事にすべきことでありまして、ですから、ビッグデータも、もし個人がわかるような形で使われればデータが使われたことが気持ち悪いでしょうし、あるいは、何らかの理由で自分の手元に情報が到達をすれば、電話がいきなりかかってきたり、いきなり訪問客が来たり、あるいはメールが来たり、そしていろいろな商品あるいはカタログが届いたり、こういうときに、何でだというところで気持ち悪さを感じる。そこに至る経緯の中で何があったのかということに対する不信がやはり業を萎縮する可能性もあるんだろうというふうに思います。その気持ち悪さというものは、ばかにはできないというか、重視をするべき感覚なのかな、そんなふうにも思っております。
そういった意味で、携帯電話にいきなり業者から電話がかかってくるだとか、メールアドレスに全然知らないところから広告のメールが来るというのは、やはりいい気分のするものではないですね。
一方で、これもなかなか気持ち悪いという人も多いものですが、いわゆる行動ターゲティング広告、リスティング広告とかこういうものは、確かに、個人情報というか、パソコンを扱っている本人に届いているというよりもパソコンに届いているという方が正しいものであると思います。個人、例えば、私がパソコンを使っても井上委員長がパソコンを使っても、そのパソコンの過去の履歴を通じてそういった広告が表示されるということであろうと思いますので、これは一概に個人情報云々ということじゃないかもしれません。
しかし、世の中ではまだまだ、そういうリスティング広告みたいなものというのは、リマーケティング広告とかいろいろ言われますが、気持ちの悪さを感じる方々も結構おられますね、過去一度検索したものがずっと広告で出続けるということについて。こういうのもまだまだ、それをどう拒絶するかだとかについても、多くの方がルールを知らない、操作方法を知らないということもあったりします。
そういった気持ちの悪さみたいなものについて、配慮の行き届いた個人情報保護ということにやはりしていかなければいけないんじゃないのかなというふうに私は思います。
ちょっと時間の関係で幾つか質問を飛ばさせていただきますけれども、利用目的の変更のことについて質問をさせていただきたいというふうに思います。
今回、「関連性を有すると合理的に認められる範囲」ということの中で、「相当の」という言葉が抜かれたわけであります。より利活用を促進していこうという趣旨はよくわかるわけです。
政府の方から私もヒアリングを受けた際に、どんなことを想定して、何が変わるのかということ、これは多くの方はわからない状況じゃないかなと思いますので、何か事例はないかというお話をさせていただきました。
そのときに、その事例だけじゃないとは思うんですけれども、あえて出てきた事例というのが、例えば電力会社が、顧客に省エネを促す目的で、家庭内の機器ごとの電気使用状況を収集し、その使用量等を分析して顧客に提示していた、省エネを促す目的でですね。そのサービスをしていたんだけれども、その情報を用いてその顧客の安否確認サービス、確かに可能ですね、電力を使っているかどうかで安否がわかる、確かにそうですね。安否確認サービスや、あるいは、家電の制御技術の研究開発を行う。当初は省エネを促す目的だったけれども、違う目的で使う。
こういう場合、認められるのかどうかというような話の中で、政府側としては、こういうものは以前は認められなかった可能性があったけれども、これを認めていけるようにするんだということでありました。
私は、同じ社内、例えば電力会社であれば、電力会社の中で目的が変わっていくというのは、関連事業という意味合いもあるでしょうから、そこはある程度関連性はあるのかなというふうに思います。一方では、これが別会社による安否確認サービスということになると、やはりそこは違ってくる。意思確認、本人同意、これは必要であろう、第三者提供はそもそもそういった意味ではできないわけでありますので。そういったところについては、やはり、内部で使うものであればいいし、外部で使うということであればまた違う制約がかかってくるということであろうと思います。
その点について、この「相当の」という言葉が抜けることによってどんな違いがあるのかということを改めて御説明いただきたいと思います。
○山口国務大臣 これは、現行法上、「利用目的を変更する場合には、変更前の利用目的と相当の関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えて行ってはならない。」こう規定をされておったわけでありますが、この「相当の関連性」というふうな文言について、ある意味、余りに厳格な解釈、運用がなされておるというふうな現実が実はございます。
一方、これも釈迦に説法でありますが、情報通信技術、これの飛躍的な進展によって、ビッグデータの収集、分析、これが可能になって、事業者の中には、取得をした個人情報を当初想定できなかった、し得なかったような新事業あるいは新サービスで活用したいというふうなニーズがあるにもかかわらず、これまでの厳格な解釈、運用を踏まえて利用をちゅうちょしておるというふうな実態もあるというふうに聞いております。
そのために、今回の改正では、「相当」の部分、これを削除して、事業者が機動的に目的変更することを解釈、運用上、可能にするものでありますが、変更できる利用目的の範囲につきましては、本人が通常予期し得る限度内であるというふうなことを想定しております。
これによって、先ほどもう既に先生から御指摘いただいたようなことがしっかり自信を持ってできていくようになっていくんだろうと思います。
○泉委員 きょう、総務省にもお越しいただいております。
これは、あくまでこういう例があればということですが、例えばですが、アプリ事業者が、購入された商品のアフターサービスに用いる目的で個人情報を取得していた、そういう中で、当該商品に係る事故等のトラブルが生じた際に、製品事故情報を本人へ通知する、これについては利用目的の変更と言えるでしょうか。
○吉田(眞)政府参考人 私ども総務省では、電気通信事業者の個人情報の取り扱いにつきましては、個人情報保護法に基づきましてガイドラインを設けております。
今御指摘の部分につきましては、恐らく、個別具体的な事例に即して考える必要があろうかと思いますけれども、一般的に、商品のアフターサービスに用いる目的で個人情報を取得していた場合に、当該商品に係る事故情報を本人へ通知するということが、一律に不当である、不適切でできない、利用目的の変更はできないとか、あるいは一律に可能であるとかということもなかなか言いがたい面はあろうかと思います。あくまでも、個別事例に即して判断することが必要ではないかというふうに考えております。
○泉委員 続きまして、匿名加工情報についてです。
懸念として寄せられているのは、例えば、捜査機関から業者に対して、一度匿名加工した情報をもう一度再特定してくれ、犯人の捜査のために必要なんだなんというような要請が来たらどうするんだ、いやいや、再特定はできませんと拒否をしてよいのか、それとも、やはり捜査機関から言われたら対応しなきゃいけないのか、そんな懸念も出ております。
きょう、警察庁にお越しいただいておりますので、御答弁をお願いします。
○露木政府参考人 お答えいたします。
個人情報保護法の改正案第二条第九項でございますけれども、匿名加工情報の定義規定がございますが、特定の個人を識別できないように個人情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該個人情報を復元することができないようにしたものというふうに規定をされております。
したがいまして、今の規定のとおり、事業者が匿名加工情報を特定の個人が識別できるように復元することは困難であるということでございますので、私ども捜査機関がそのような求めを事業者に行うということは想定されないというふうに考えております。
○泉委員 ありがとうございます。
捜査機関が匿名加工した情報を再特定するように求めることはないということでありました。
ちょっと、大西委員とやりとりしまして、五分ほど私の質問時間を大西委員からもらいますので、民主党の時間内でさせていただきます。
さて、続いて、いわゆる名簿屋対策であります。
この名簿屋の問題については、この委員会でも再三取り上げられました。やはり難しいですね。誰しも名簿を持っております。我々も名簿を持っておりますし、誰しも名簿を持っている時代、不法に取得をした名簿を売買する、あるいは不法に統合した名簿を売買する、そういった悪徳業者というものもあるでしょうし、一般的には顧客名簿を当然抱えている普通の事業者がおりますので、そういったところ、普通の事業者については過度な負担が求められるようなことがあってはならないということで、一つ一つ配慮をこれからしていただかなければいけない、それがまず基本的にあると思います。
そこでなんですけれども、参考人質疑でも、やはり何とかしてこの名簿屋対策はしていただきたいという御意見が数多く出されました。そういった意味では、いろいろと、法律の中でどう仕組みをつくっていくのかというのはありますが、例えば古物商なんかは、別法で古物商として法律がかかっていますねという話。要は、流通するものが名簿なのか、それとも古物なのかという違いなんだから、そういったこともうまく使って名簿屋対策を、切り出しができるんじゃないかという御意見もございました。
そういう中で、この名簿屋対策について、まず、基本的に大臣がどのようにお考えになられているかをお聞かせください。
○山口国務大臣 いわゆる名簿屋対策でありますが、御指摘のとおり、大変大きな問題でございまして、国民の皆さん方の関心も非常に高い。
今回、個人情報保護法の改正で、御案内のとおり、トレーサビリティーの確保等のさまざまな規定も設けることにしております。これによって、やはり、いわゆるそういう名簿事業者に対して、相当なある意味での対応にもなってくるのではなかろうか。そういった中で、名簿事業者の皆さん方がどういうふうなことになっていくんだろうかというふうなことも、しっかり注視をしていかなくてはいけないんだろうと思っております。
これは確かに、お話しのとおり、一般論としては、特定の事業を行う事業者に対して、特別の法令等を設けていわゆる業規制を行う、これは可能であろうかと思います。ただ、もうこれも御存じのとおりで、多くの事業者が何らかの形で名簿を取り扱っておるというふうなことが考えられるわけで、しかも、その量も全く違ってくるんだろう、この範囲の切り出しというのが非常に難しいなと。適切な事業を行っておる方にまで過度な規制がかかってしまうというふうな問題もあろうかと思います。
今、実は、政府部内においても、関係省庁と相談をしながら、関係省庁連絡会というふうな中でさまざまに検討しておるわけでございますが、どうか議会の方としても、ある意味、これは議員立法というふうなことも視野に置きながら御検討賜ればと思う次第でございます。
○泉委員 大臣から御示唆もいただいたところでありますけれども、議員立法を促す御発言もございましたので、田村筆頭そして高木筆頭とよくよく話をして、我々も前向きに対処してまいりたいというふうに思います。
まさに今、その業規制、確かに、例えば普通の企業でも、派遣労働者が随分とふえるようになってからは、各企業ごとに派遣会社を持つケースだとかも出てくる。そういう意味では、新しく各企業に広く法律がかかってくるということもあったりするわけでありまして、そういった意味では、私は全く不可能ではないんだろうなと。
こういった古物商を例にとりながら、業として、反復性ですとか継続性ですとか、当然一定の要件はあると思いますけれども、一般的な名簿の流通とはまた違う、一定の規模で行うものについては、やはり業として行うものということのくくりが何らかできるのではないのかなと思っておりますので、ぜひ、まずここは議員立法かもしれませんが、その連絡会の議論の進捗も教えていただきながら、いい形をつくっていきたいというふうに思います。
一方で、どんどんこの個人情報の法案の審議、そして、今後法案ができ上がってくれば、当然ながらさまざま細かな点も決まっていくわけですので、やはり私は、今、連絡会もあるということですが、この名簿屋の実態調査、これはぜひ行っていただきたいというふうに思います。
そしてまた、実態調査をしていただけるということであれば、その上での、どんなポイントについて調査を行うのかということについても、この場で御説明いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 これは今回の改正法もあるわけでありますけれども、その状況も見ながらというふうなことになろうかと思いますが、御指摘の実態調査、この実施につきましては、名簿や名簿事業者の具体的な対象範囲とその実態の把握方法、これも含めて、今回の措置の実施による効果、これも踏まえながら、今後、先ほど申し上げましたいろいろな機会の中で検討を進めてまいりたいし、その中でまた、今申し上げたどういうふうな形で実態調査をやっていくかということも検討を進めていきたいと思います。
○泉委員 これは、かつて私も、探偵業法という法律を立法したことがあります。自民党は葉梨先生と一緒にさせていただきましたけれども、これも、考えてみると、探偵、中にはよからぬ方法で身辺調査をしている人たちもたくさんいる中で、業法をつくるということはそれを一定認めるということにもなるじゃないかという議論が随分ありましたが、しかし、その探偵業法をつくることがやはりできたわけですね。
そういった意味では、登録制みたいなことになるんだと思いますが、やはりこういうものは十分可能であろうというふうに思います。しかし、まずはこの実態調査、これをぜひお願いしたいというふうに思います。
そして、もう一つ、これは名簿屋ということではないんですが、まさに先ほどお話をしたように、一般の事業者にトレーサビリティーの確保ということについての過度な負担があってはならない。特に小規模事業者においてはそれは大変重要な影響を及ぼすというふうに思います。
そういった意味では、ぜひ法施行後に、事業者、特に小規模事業者への実態調査をしていただきたいというふうに思っておりますが、いかがお考えでしょうか。
○山口国務大臣 確かに御指摘のとおりなんだろうと思います。
この規律の導入、これによりまして、事業者にとって、とりわけ小規模事業者に過度な負担になるというふうな懸念も示されております。具体的な記録の作成方法とか記載事項について定める個人情報保護委員会規則の策定に当たりましては、事業者の負担に最大限配慮をして、事業者の方々の御意見、これも丁寧に聴取をしながら検討することがぜひとも必要であろうと思っております。
さらに、法施行後も、その実態について適宜ヒアリングを行う等、適切な運用のあり方を検討していくということは大変重要であろうと認識をしておりまして、その際には、特に御指摘の小規模な事業者にどのような影響が出ておるかという点についても丁寧に聴取をしてまいりたいと考えております。
○泉委員 ぜひ、名簿屋の実態調査、ヒアリング、そして一般事業者、特に小規模事業者へのヒアリングや実態調査、これをお願いしたいというふうに思います。
さて、続いて、個人情報保護委員会であります。
私は、個人情報保護委員会の概要というものを今回見させていただいて、ちょっと不思議だなと思ったこともあるんです。
例えば、たしか常勤の委員が今後五人ということだと思うんですが、一方で、委員については次の六分野のものが含まれることとなるということで、わざわざ、恐らく重要だからという視点で六つの分野に分けて、個人情報の保護及び適正かつ効果的な活用に関する学識経験のある者とか、消費者の保護に関して十分な知識と経験を有する者というふうに六分野が定められているわけですね。
どれも重要だから六分野を定めているんですが、常勤は五名という、ちょっと何か中途半端な感じがするわけでして、これはある意味、どちらかにそろえてもよいのかななんというふうには思ったりします。
ここで私が一つ指摘をしたいのは、政府からいただいた資料の中で、民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者とあるわけですね。
これが、民間企業に所属をする方で経験豊富な方ということになると、かなり幅は広いですね。しかし、今回の個人情報保護法の場合は、かなり専門的であったり、技術的であったり、特に、先進的な、さまざまな世界的な技術の現場の態様についてわかる人がいなければ、これはなかなか、企業一般についてわかっている、例えば取締役の経験者とか経団連の誰々という世界とはまた全然違う話として、専門委員の中には入ってくる可能性はあると思うんですが、やはりこの委員の中に、私は、いわゆる当該産業界、こういったさまざまな、個人情報を扱う中でも、最近でいうとインターネットの世界だとかスマートフォンの世界だとか、こういう世界の中での、特に企業の現場で働いている方で技術にお詳しい方、こういうカテゴリーもこの六分野以外につくるべきじゃないのかなと。
私、政府の方に事前にヒアリングをしたときには、民間企業の実務に関して十分な知識と経験を有する者で読めますから、もしかしたらそういう人も入るかもしれませんという話だったんですが、しかし、大臣もおわかりのように、同意人事というのは大体それなりの年齢の人が入ったりすると考えると、なかなか、現場で技術で本当によくわかっている方々というのは、まだ若年層の方々が多かったりするわけです。
やはりそういった最先端の技術がわかる方々で、業界をある程度代表する方になるかもしれませんが、そういった観点の方が、この専門委員だけじゃなく、委員の中にも入るべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 今回の規定等は、もう先生おわかりの上でおっしゃっておられるんだろうと思いますが、専門家につきましては、これは、民間企業の実務に関する専門家として任用する。専門分野を限定されていない委員として任用することも実はできます。さらには、個人情報保護委員会には、委員長及び委員のほかに専門委員も置くことができる、これは御案内のとおりでございまして、これらの人選を通じて、個人情報保護委員会全体としてバランスのとれた、そして御指摘の、やはり実務に詳しい方ということも念頭に置きながら、同意人事でございますから、御相談をさせていただくというふうなことになっていこうかと思います。
○泉委員 そこはぜひ、技術によく精通された民間企業の方、これを委員の方に含めるということを私の方からは要望したいというふうに思いますが、改めて、それを御検討いただけますでしょうか。
○山口国務大臣 大変大事な御指摘でございますので、当然、それはもう念頭に置きながら検討を進めてまいります。
○泉委員 もう少しお時間をいただきまして、民主党の範囲内でさせていただきます。
事務局の人選であります。また専門委員もそうなんですが、まず、専門委員の人数というのは大体どれぐらいを想定されているのか。そして、事務局の人選は、これは参考人質疑の中でも議論をされたわけですけれども、特に消費者団体ですね、消費者団体の方々はそんなに団体に資力がないので、出向させるとか消費者団体側でお給料を負担して事務局の中に入れていくことはちょっと難しい、しかしながら、やはり事務局の中には消費者団体の観点を持った方々には入ってもらいたいし、入れてもらいたい、そういう御要望がありました。
そういう中で、もう一回繰り返しになりますが、専門委員の数がどれぐらいを想定しているのかというのがまず一つ、そして、消費者団体などからはどのように事務局のメンバーなんかを採用していこうとお考えなのか、お答えください。
○山口国務大臣 改めて申し上げますが、専門委員、これは実は、正直申し上げて、財務省との調整でございます。やはり委員の数よりは当然多くの専門委員というふうなことは念頭にはありますが、これは予算の状況を見ながら判断せざるを得ないというふうなことであります。
同時に、職員でありますが、事務局でありますが、これは五十二名でスタートいたしたい。ただ、うち三十九名はマイナンバーの方になりまして、個人情報保護法の担当というのは十三名というふうなことになるわけでございます。
その中身でありますが、これはさまざまな分野からの採用に努めていきたいと思っております。保護と利活用のバランスのとれた十分な体制というのが必要であろうと思いますが、民間企業あるいは消費者団体からの登用、これにつきましては、もう御案内の、国と民間企業との間の人事交流に関する法律がございますので、これに基づいて、民間企業の実務経験者の交流採用も可能かというふうに考えております。また、それ以外の専門家等、交流採用が困難な方については、任期つき採用、これを可能とするために、これまた財務省と協議をしておりまして、そこら辺の財源を確保しながら、バランスのとれた人材配置にしていきたいと思っております。
○泉委員 ありがとうございます。
前向きな御答弁をいただきました。消費者団体についても任期つき採用ということをぜひお願いしたいというふうに思います。
国民の皆さんからは、やはりこうして主務大臣制から保護委員会ということになれば、当然、注目も集まると思いますし、先ほど私、冒頭申し上げましたように、いろいろな方々が、何でうちにこんな情報が来るんだ、あの企業はもしかしたら個人情報保護法に違反しているんじゃないか、要は、こういう通報のようなものが今後来ることは想定されると私は思います。
きょうは、国民生活センターのことも伺いたくて、消費者庁にお越しをいただいたわけですが、この国民からの通報ということについては、個人情報保護委員会あるいは政府全体という意味で、どういうような体制で受け付けになられるのか、大臣そして消費者庁、お答えください。
○山口国務大臣 国民の皆さん方からの個人情報の取り扱いに関する苦情、これにつきましては、当然、新たに設置をする個人情報保護委員会、そして消費者庁所管の独立行政法人国民生活センターのいずれにおいても、苦情相談口として国民の皆さん方からの苦情等を受け付けるというふうなことにしております。
そして、この苦情を受け付けた後は、個人情報保護委員会及び国民生活センターのいずれも苦情の処理のあっせんを行う、まずはあっせんを行うというふうなことになりますが、個人情報保護委員会の場合は、その後の処理経過について、苦情等に係る事業者に報告を求める、あるいは、当該事業者が個人情報保護法に違反をしておる場合には、指導、助言等、必要に応じた権限を行使することができるというふうなことになっております。
そして、国民生活センターが行った苦情処理のあっせんにつきましては、当然、消費者庁の協力のもとに個人情報保護委員会と情報共有を図っていくというふうなことにしておりまして、この情報をもとに個人情報保護委員会は先ほど述べたとおりのさまざまな対応を行うことができるというふうなことにしております。
事業所管大臣、これは、個人情報保護上、個人情報保護委員会の委任を受けて立入検査等を行うことを任務とするものでございまして、消費者等からの苦情の受け付けを行うということは想定はしておりません。
○服部政府参考人 消費者庁の方からも若干補足させていただきます。
消費者庁は、法改正後も、消費者問題として対応すべき問題につきまして、個人情報に関連するものも含め、消費者の利益の擁護及び増進を図る観点から関与するということになっております。
また、国民の相談の利便性を損なわないようにする観点から、国民生活センター及び消費生活センター等では引き続き個人情報に関する苦情相談を受け付け、対応させていただくこととしております。
消費者庁といたしまして、新設される個人情報保護委員会と連携しつつ、個人情報に関する問題についても、このように、国民の皆様の利益の擁護及び増進を図るべく取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
○泉委員 最後に、あと一問だけさせていただきたいというふうに思っております。
きょう、経産省にもお越しをいただいているんですが、一つ、実例に近いようなものかもしれませんが、よくある話として、例えばスマホでアプリを利用しようと思いますと、そのときには、個人情報の取り扱いがあれば、個人情報の取り扱いに関する本人同意をとるという作業が一つ一つ必要になってくるわけですが、これは恐らく民法でいえば未成年は親の同意も必要ですねということになると思うんです。
ただ、普通、スマホを持っている方でアプリをいろいろとさわっている中で、未成年がみんな親の同意を得ているとも考えにくいわけであります。
経産省の方の個人情報保護に関する経済産業分野を対象とするガイドラインというのを見せていただきますと、法定代理人の同意を必要とする子供というのは十二歳から十五歳という書かれ方、ガイドラインにはなっているというふうに思っておりますけれども、このガイドラインの解釈で今後も運用されるということで、経産省、そしてその後、山口大臣で結構ですが、よろしいでしょうか。
○石川政府参考人 お答えさせていただきます。
今御指摘がございました個人情報の保護に関する経済産業省分野を対象とするガイドラインにつきましては、現在の時点で、QアンドAにおきまして、法定代理人などから同意を得る必要がある子供というものにつきましては、一般に、十二歳から十五歳までの年齢以下を指すものということで記載をさせていただいております。
また、この法律が改正された後につきましての御指摘につきましては、個人情報保護委員会がこのガイドラインを設定するということでございますので、今までの事例なども踏まえて、そこでまた改めて検討がなされるものというふうに理解をさせていただいております。
以上でございます。
○山口国務大臣 今経産省の方からも答弁がございましたが、今回の改正内容、これは御指摘の同意の点について直接影響を与えるものではないと思いますが、現行の主務大臣によるガイドラインは、個人情報保護委員会に当然移管をされまして、改めて作成をされるというふうなことになることから、その際には、各事業分野におけるこれまでの運用というのを踏まえながら、事業者にとって決して過度な負担にならないようにというふうなことで対応してまいりたいということでございます。
○泉委員 そこはぜひ、よく事業者からヒアリングをしていただくということが大事だと思います。
もう一つは、事業を展開することにも恐らく時間がかかるわけでありまして、はい、こう決まりましたから、いきなりこう変えてくださいといっても、これはなかなか対応できるものじゃないと思いますので、その辺のガイドラインの作成と提示を早くしていただきたいということをお願いして、私からの質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、大西健介君。
○大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。
私は、当初、十一時十分からということだったんですけれども、実は、その直前まで厚労委員会で質問しておりまして、その分、泉委員がしっかりとやっていただいた、親心だというふうに思っていますが、しかし、思った以上に長引いたものですから、私の予定していた質問はちょっとはしょりながらしていきたいというふうに思っておりますので、その点は御了解ください。我が党の持ち時間は十二時五分までということでございますので、その範囲で質問させていただきたいというふうに思っております。
私も、内閣委員会で質問しませんかと言われて、気軽に受けたんですけれども、改めてこの法案を見直してみると、本当に広範多岐にわたっていて、また複雑で、何から質問しようかなと思うんですが、まずは、やはり個人情報の定義というところからお聞きをしたいというふうに思います。
きょう、お手元に、パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子案の時点の、十二月時点の説明資料の抜粋を配らせていただいていますが、一ポツで「個人情報の定義の拡充」ということでありますので、当初は、やはり個人情報の定義を拡充していくということだったんだというふうに私は理解をしております。ただ、IT業界とか経済界からは、余り個人情報の定義が拡大されると利活用に支障になるということで、反発というのもあったというふうに聞いております。
そこで、具体的なことについてちょっとお聞きをしたいんですが、既にこの委員会でも大臣から御答弁があったというふうには聞いておりますが、改めて、スマホとかパソコンの端末機のID、これが個人情報に当たるのか当たらないかについて、そしてまたその理由について、大臣の方から御答弁いただきたいと思います。
○山口国務大臣 御指摘の携帯電話の通信端末ID、このような端末を識別するためだけの情報、これは単に機器に付番をされるものでありまして、今回の法案に定めます利用者ごとに異なるように割り当てられたというものではないというふうなことから、いわゆる個人識別符号には該当しないというふうなことで判断をいたしております。
○大西(健)委員 資料の次のページは新聞記事でありますけれども、こういうふうに記事になるということは、おやっというふうに感じる人が多いんだというふうに思います。
「端末ID 個人情報に含まず」、また、見出しには「経済界や自民の要求反映」というふうにありますけれども、やはり今、確かに機器に付番されるものではありますけれども、この記事の中の、線も引いておきましたけれども、例えばネット広告業界でつくる業界団体は、端末IDについては個人情報に準ずる扱いにすべきとのガイドラインを定めているということであります。つまり、そういう業界の中でも既に端末IDというのは個人情報に準ずる、そういうものなんだと扱われていると。さらには、ここにもありますが、端末IDだけでは確かに所有者が誰だか知ることは難しいけれども、正確な位置情報や行動履歴などを組み合わせていくと、個人を特定することもできるんじゃないかということが言われております。あるいは、SNSのIDとかメールアドレスと名寄せすれば、これも個人が特定できるんじゃないかというような指摘もあるんです。
そうすると、私は、やはり、端末IDは個人情報に当たらないといきなり言ってしまうのはちょっと狭く解し過ぎじゃないかなというふうに個人的には思っております。
そういう中で、では次に、携帯の電話番号、これはどうなんだということですけれども、再び資料の一枚目に戻っていただいて、ここでは「個人情報として新たに位置付けるもの」として、(一)、(二)といって二つの類型を示しているんですけれども、(二)の最後のところですね、丸括弧で、例として携帯電話番号と。これは昨年の十二月時点の説明資料ではありますけれども、携帯電話番号は、昨年の十二月の、個人情報の定義を今後拡充していくんだという説明資料においては、まさに(二)の類型で携帯電話番号が例として挙げられている。ということは、私はやはり携帯電話番号というのは当てはまるのかなと。
一方で、携帯電話番号は本人の申し出があれば即日に番号を変えることもできる、あるいは、前の人が使っていた、別の人が使っていた番号をまた再利用してほかの人が使うという場合もあるということを考えると、これは個人が特定できる情報には当たらないという意見もあるということであります。
そこで改めて、今度は携帯電話番号、これが個人情報に当たるのか当たらないのか、またその理由について、大臣から御答弁いただきたいと思います。
○山口国務大臣 この件は先ほど泉委員にもお答えをいたしました。ちょうど大西先生はまだおいでておりませんでしたが、お答えをいたしたわけであります。
携帯電話番号、これは直接その番号を利用する人間にアプローチができます。極めて個人との結びつきが強いものであるというふうなことが言えるわけですが、同時に、さまざまな契約形態、プリペイドだったり法人契約だったり、あるいは運用実態もさまざまございます。そういった中で、現時点において一概に個人情報、個人識別符号に該当するとは言えないものというふうに考えております。
今御指摘いただきました昨年十二月の骨子案、これにおいて携帯電話番号を実は例示しておったというふうなことにつきましては、骨子案では個人情報の新たな類型を法律レベルにおいて規定しました。これらの類型にどのような情報が該当するかにつきましては、情報通信技術の急速な進展等に柔軟に対応できるように政令を定めるというふうな枠組みを示したものでございまして、その際、参考資料として御指摘の携帯電話番号を例示したというふうなことでありますが、これらは正式に政令で定めることまでその時点で決定しておったものではございません。
その後、骨子案をもとに条文化していく中で、消費者の方々あるいは民間企業の方々からの御意見等を踏まえて、携帯電話番号につきましては、さまざまな契約形態、先ほど申し上げました運用実態がある中で、現時点において一概には個人情報に該当するとは言えないというふうな判断に至っておるものでございます。
今後、政令の制定、運用に当たりましては、諸外国における取り扱い、あるいは技術動向もございましょう、これらに注視をしながら、社会実態をしっかりと反映したものに、そして該当性が明確になるようにというふうなことで努めてまいりたいと思っております。
○大西(健)委員 今お話があったように、確かに、プリペイドの携帯みたいなものもありますよね。ただ、キャリアを変えても携帯番号はそのまま持ち続けることができたりということでいうと、だんだん個人と結びついていくのかなというところもあります。
今大臣の御答弁の中に、社会実態をという話がありましたけれども、私もその部分が重要じゃないかなと思っていまして、法律的な定義を離れても、一般の国民の皆さんが、何が個人情報なんだろうなといったときに、携帯の番号というのは多分個人情報なんだろうなと思っておられるみたいな、そういう国民の意識みたいなものも判断の中に一定程度やはり考慮していただく方がいいんじゃないかなというふうに私は思っています。
その中で、次の資料ですけれども、これは、NRIセキュアテクノロジーズ株式会社というところが、少し前の調査になりますけれども、個人情報に関する消費者意識調査というのを行った結果であります。
ここでいくと、線を引いておきましたけれども、メールアドレス五三・五%、携帯電話、これは携帯電話と氏名とかじゃなくて携帯電話のみで五二・五%、「消費者の意識としては必ずしも個人が特定できる情報を「個人情報」と捉えているわけではなく、個人情報保護法での定義とのずれが認められる。」とまさに書いてあるんですが、一般の皆さんは、個人情報と言われて何か頭に浮かぶのは、やはり携帯番号というのは個人情報なんじゃないのかなと思われているんだと思うんですね。
こういうことというのは、やはり法制度をつくっていく上で、消費者の意識と実際の制度というのが余りかけ離れるというのも私はいかがなものかというふうに思うんですが、今後、政令で定めていくに当たって、こういう消費者の意識をどういうふうに考慮されるべきと大臣はお考えか、お答えいただきたいと思います。
○山口国務大臣 当然、御指摘のように、消費者といいますか、やはり国民の皆さん方の思い、お考え、これもしっかりと把握をした上で、先ほど申し上げました、まさに社会的な実態をしっかり踏まえた上で判断をしていく必要があろうかと思っておるわけです。
ただ同時に、一方においては、今お示しいただきました世論調査でありますが、やはりその後、いろいろな技術あるいはサービスの変化、多様化によって、国民の皆さん方の意識、あるいは年代層によってまたさまざまな意識もあろうかと思います。そこら辺をしっかり踏まえて今後検討していきたいと思います。
○大西(健)委員 ぜひ、意識というのも含めた社会的な実態というのを踏まえた検討をお願いしたいというふうに思います。
先ほども、今回、個人情報の定義に当たって二つの類型をというふうにお話があったんですけれども、これは昨年の十二月時点の資料なのでちょっと古いですが、まさにこの二つ目の類型、符号というものを保護していくということでありますけれども、例えば、新経済連さんを初めとするインターネット業界の中には、そもそも文字や数字単体で個人を特定することなんてできない、だから、例えば、この(二)の類型というのはそもそも余り意味がないんじゃないか、事実上これに該当するものはないんじゃないかとまで言っておられるということなんです。
大臣、こういう見解に対して御所見があれば、ぜひお願いしたいというふうに思います。
○山口国務大臣 個人情報ということを考えた場合に、情報単体から特定の個人を識別することができるか否か、この判断がやはり大事なわけで、その判断を行う際の基準は、一つは個人と情報の結びつきとか、情報の不変性とか、あるいは直接個人に、いわゆる本人到達性、そこら辺の要素があるわけであります。
先ほど携帯電話に関して御答弁を若干申し上げましたが、個人識別符号、これの該当性の判断基準としては、さまざまな要素を総合的に判断するというふうなことにしておりまして、これらの要素に該当するものであれば、現時点では、例えば旅券番号とか運転免許証番号とか、文字や数字単体であったとしても個人を特定することができる場合があるというふうに考えられるわけでございます。
いずれにしても、今後、政令の制定あるいは運用に当たっては、これまた諸外国における取り扱いも大事でありますし、技術動向等もしっかりと見ながら、民間企業とか消費者の皆さんの御意見も踏まえることによって、再度申し上げますが、社会実態を反映して、該当性が明確になるように努めていきたいと思っております。
○大西(健)委員 改めて、私も見てみて、あと御答弁もきょうも伺って思うのは、端末IDなんかは当たらないと言われている一方で、まだまだちょっとよくわからない部分があるな、まさに今後の政令の定め方いかんだなというふうに思いますので、その部分においては、今おっしゃったように、広く関係者の御意見を聞いていただきたいというふうに思います。
それでは、次の質問に行きたいと思います。
先ほどの近藤委員の配付資料を見ていると、これもちょっとかぶっているのかなというふうに思いますが、EUから第三国への個人情報の移転については、EUは、同程度の個人情報保護に関する法制度や保護措置が整備されている国に対しては移転が可能というふうにされている。これが十分性認定というふうに言われているそうでありますが、この点、残念なことですけれども、我が国は、個人情報の保護に関する法整備が不十分として、EUからは現状では十分性の認定を受けることができていない。このため、例えば、現地の従業員の氏名等の個人情報でさえ、本社で管理するには、個人情報保護に係る契約を別途締結しなければ本国に転送すらできないというような支障が現状あるというようなことを民間の企業の方々から伺っております。
今回、この法改正が行われれば、EUから十分性認定を受けることができる、環境が整うという理解でよろしいのか否かについて、御答弁をいただきたいと思います。
○山口国務大臣 お話しのとおりで、今回の法改正、これはもう当然、御指摘があったEUの十分性取得が可能になるようにということも念頭に置きながら制度設計をしたというふうなことでございまして、特に、これまでに公にされておる資料から推測をしておるわけでありますが、EUとしては、独立をした第三者機関の整備、あるいは機微情報に関する規定の整備、小規模取扱事業者に対しての法の適用、越境データ移転についての制限、開示請求権の明確化、ここら辺を我が国の制度がEUから見て不十分というふうにされておるわけでありまして、これらは今回の法改正において全て必要な対応を行っておるわけでございます。
そういったことも踏まえながら、ただ、EUの十分性取得につきましては、明確に取得条件が示されておるのではないんですね。近藤委員も御指摘でありましたが、結構、恣意的とは言いませんが、どうしてこの国とはだめなんですかみたいなところも若干ございます。
法案成立後、引き続いてEUの担当部局とも積極的に情報交換をして、せっかく念頭に置きながら進めてきたわけでありますから、しっかり成果を上げていきたいと思います。
○大西(健)委員 これは企業、業界の中にも非常に高い関心がありますので、ぜひそうしていただきたいと思います。
逆に、本法律案の第二十四条、外国にある第三者への個人情報の提供について定められていますけれども、ここには、我が国と同等の水準にあると認められている個人情報保護に関する制度を有している外国というのが定められている。
具体的にはどういう国を想定しているのか。例えば、反対に、我が国と密接な経済関係があるアメリカであったりEUというのは、我が国と同等水準と認められる個人情報保護に関する制度を有している外国に当たるのかどうなのか。この部分について御答弁をいただきたいと思います。
○山口国務大臣 今回の法案におけます、我が国と同等の水準にあると認められる個人情報の保護に関する制度を有している外国につきましては、これは個人情報保護委員会規則で定めるというふうなことにしておりまして、具体的には、委員会設立の後に、対象国の個人情報保護法制とか、あるいは監督体制等を勘案して、当該国の個人情報の保護に関する制度が我が国と同等水準にあるかどうか、これを総合的に判断して定めるというふうなことになろうかと思います。
ですから、今、一義的には、アメリカはどうだとは申し上げられませんが、先生の御推測のような方向でいくと思います。
○大西(健)委員 先ほどお話をしたように、EUの十分性認定を今回の法改正によって受けることになるようにしたいというのもそうですし、逆に言えば、当然のことながら、密接な経済関係があるアメリカやEUとの間では、こういう情報のやりとりということについてもスムーズにいくような形にしていただきたいというふうに思います。
少し細かいですけれども、ここで言う、外国にある第三者ということについて確認したいと思います。例えば、日本の企業が外国に置いている駐在事務所とか現地法人等、これは第三者ということになるのか、それとも、言い方は悪いですけれども、身内になるのか。この辺はいかがなんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
第三者でございますので、いわゆる法人格が別の関連会社とか子会社、外国にあるそういうものにつきましては第三者に当たります。一方で、日本の法人格を持ったままという、いわゆる外国支店のようなものにつきましては第三者に当たらないと考えております。
○大西(健)委員 今の御答弁だと、第三者性というのは法人格をもって判断するというお答えだったというふうに思いますが、こういう細かいところを含めて、まだまだ今回の法改正でどうなるんだろうというのを、民間の企業実務を行っておられる方々というのは非常に注目をされているということでありますので、そういう細かいところについても、またわかりやすく、ぜひ情報提供していただきたいというふうに思っています。
少し飛ばしまして、個人情報について。
例えば、私たちが地元で政治活動を行っているとよく耳にするのが、個人情報保護への過剰反応がさまざまな地域の協力の妨げになっているんじゃないか。何かPTAの活動とかも、昔みたいになかなか名簿をつくれないとか、そういうようなお話とかもよく耳にします。
この点で、東日本大震災の直後に、自治体が保有する災害時要配慮者の個人情報を民間支援団体に提供して支援や安否確認を実施した自治体というのは、岩手県と福島県の南相馬市の二つの自治体のみだったというふうに言われております。ただ、これは、それを教訓にしまして、二〇一三年に災害対策基本法を改正したときに、避難行動要支援者名簿の作成義務と、自治体と支援団体との間で事前情報共有を促す条項というのが、この災害対策基本法改正案の中に盛り込まれたということであります。
しかし、災害に備えて平時から個人情報を官民で共有しようとすると、新たに条例を定めるか、個人情報保護審議会の答申を経るなどの手続が必要になってくる。ここで出てくるのが、条例という壁であります。いわゆる二千個問題。自治体ごとにそれぞれ個人情報保護条例というのがあって、それを全国全部合計すると約二千個になるんじゃないかと。
例えば、県立病院の医療データという話になってくると県の条例になりますが、県ごとに条例が違っていると自治体間の連携が難しいとかいう話でありますけれども、個人情報保護法やマイナンバー法を改正するごとにこの二千個の条例の改正手続というのが発生をするというような煩雑さもあるのではないかという指摘があります。
この点については、地方自治の本旨というのがありますから、これは地方自治体の条例制定権は侵害できないんだという意見もある一方で、自治体の条例をまとめて自治体個人情報保護法みたいなのを制定すればいいじゃないか、こんな意見もある。
自治体ごとに個人情報保護条例がばらばらに存在していることによって生じる問題と、それをどうクリアすべきと考えておられるかについて、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
○山口国務大臣 大西先生、当初御指摘のように、実は私、個人情報保護法を最初にこしらえるときのPTのメンバーでもございまして、まさかあそこまで厳しく皆さん方が対応するとは正直思っておりませんでした。町内会の名簿にしても、あるいは学校の連絡名簿にしても、全く出てこなくなった。びっくりしたわけですが、そういったことも踏まえて今回の改正があるわけです。
同時に、各自治体、結構さまざまな条例を今策定していただいております。その区域の特性に応じて、その保有する個人情報の適正な取り扱い、この必要な施策を策定して、及びこれを実施する責務を有しておるというふうなことで、各団体におきましては、適切に基本的には判断をされるべきものであろうと思うわけでありますが、しかし、今回、法改正が国としても行われる。
同時に、例えばビッグデータ時代におきまして、医療情報の活用という観点からは、民間の病院の情報なのか、自治体の運営する病院の情報なのかを区別することなく利活用したいというふうな御指摘もございます。
自治体の条例の見直しに関しては、いろいろ相談受け付け等については、政府部内において、関係省庁と相談をしながら適切に対応していきたいと思っております。先生も御案内のとおりで、条例は基本的に国の法律に反してはならないというふうなことになっていますが、ただ、その上積み的な規制はできるわけですね。そこら辺も含めて、とりわけ総務省等としっかりと打ち合わせをしながら検討していきたいと思います。
○大西(健)委員 ぜひ、法改正後いろいろな問題が出てくると思いますので、相談を含め丁寧に御対応いただきたいと思います。
残された時間はわずかですけれども、いろいろと寄せられているマイナンバーについての不安や疑問の声について、ちょっと細かいことを聞いていきたいと思うんです。
例えば、フリーで仕事をしているジャーナリストさんみたいな場合、原稿料とか講演料というのを、今までだったら、振り込み口座をお示しして、ここに振り込んでくださいということでよかったんですけれども、今後は、支払い側の会社が作成する支払い調書にマイナンバーを記載しなきゃいけないので、一回ごとにマイナンバーを教えてくださいと言われる。そうすると、投稿する先の雑誌や講演場所が違うと、人によっては年間百件とか二百件とか、自分のマイナンバーを相手に伝えなきゃいけない。そうなると、やはりどうしても漏えいのリスクとかというのも高まってくるというふうに思うんですけれども、そういう不安の声に対してどのようにお答えになるか、お願いいたします。
○向井政府参考人 お答えいたします。
事業者等が講演料や原稿料の支払いをする際には、税法により、マイナンバーを記載した源泉徴収票を作成し、税務署に提出することが義務づけられておりますので、先生御指摘のとおり、フリーランスの人が複数の事業者に対しまして講演や原稿執筆を行う場合には、それぞれ依頼のあった事業者等に対してマイナンバーを提供することとなってございます。
これらのマイナンバーをよく使われる方、ないしはよく受け取られる業態というのはある程度特定されてございますので、それらの方に、事業者におきましては、マイナンバーの漏えい防止のために安全措置を講じることがマイナンバー法により義務づけされておりますし、また、それに従いまして、特定個人情報保護委員会がマイナンバーの適正な取り扱いに関するガイドラインをつくっておられます。これらをまず周知徹底するのが一番大事だと思っております。
また、フリーランスのそういうふうなマイナンバーをよく使われる方につきましては、ぜひ個人番号カードを取得していただいて、個人番号を取得いたしますと電子的に本人確認する方法もございますので、これらを利用していただきたいというふうに考えております。
○大西(健)委員 おっしゃるとおり、ある程度そういう人たちというのは特定できると思いますので、ぜひそこに集中的にいろいろなケアをしていただきたいと思います。
またこれも細かい話ですけれども、マイナンバー取得の際、個人番号の確認とともに運転免許証やパスポートで身元確認を行うことになっていますが、こういう写真つきの免許証とかパスポートを持っていない、例えば高校生のバイト、年末に年賀状の配達で高校生のバイトを大量に雇う場合には、免許証とかがなければ健康保険証や住民票といった公的書類が二種類必要ということになると、大混乱になるんじゃないかと思います。例えば、こういうとき、学生証というのでオーケーになるのかどうなのか、端的にお答えいただきたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
高校生とかそういう方こそマイナンバーカードをとっていただきたいのですが、一月のアルバイトは間に合いません。そういうこともございまして、学生証も身元確認書類としたいと考えております。
○大西(健)委員 そろそろ時間が来ていますので最後にしたいと思うんですけれども、従業員の個人番号、マイナンバーの取り扱いについて、事業者においては、物理的な保管場所への入場制限などに加えて、個人番号取り扱いに関する各種規定の作成、整備、電子データを保管する場合には安全管理措置に対応したシステムの整備など、各事業者に非常に厳しい安全管理措置、機密管理の義務が今回の法改正によって課されることになる。
また、その対応をするには大きな事務負担が発生するという意味で、既に現段階でも、事業者が個人番号に関する安全管理業務を外部委託しようという検討を始めておられるところが多い、また、そういう業者さんも動き出しているということでありますが、例えば機密管理の徹底や事務負担を軽減するためにそういう安全管理措置を外部委託したんだけれども、事業者が必ず保管することになっている給与所得者の扶養控除等申告書、ここにはマイナンバーが載っているんですね。
だから、安全管理措置を自分のところで抱えていると大変だから、せっかくお金まで払って外部委託したのに、扶養控除等申告書は手元に置いておかなきゃいけなくて、そこにはマイナンバーが載っかっちゃっているので、外部委託したのに何にもならないみたいな話になってしまっては、これはどうなんだという声があります。
この点、例えばマイナンバーの安全管理措置を第三者のそういうデータ管理会社みたいなところに委託をしている場合に、給与所得者の扶養控除等申告書を第三者に保管管理させるということは可能なんでしょうか。いかがでしょうか。
○藤田政府参考人 お答えいたします。
源泉徴収義務者が給与所得者から給与所得者の扶養控除等申告書の提出を受けた場合には、源泉徴収義務者はこの申告書を保存するものとされております。個人番号が記載された申告書の提出を受けた場合には、源泉徴収義務者は、番号法に基づきまして、個人番号関係事務実施者として安全管理措置を講ずる必要があるわけでございます。
仮に源泉徴収義務者がこの申告書の保管管理を第三者に委託した場合、これはもともと認められておるわけでございますけれども、委託を受けた第三者が今度は個人番号関係事務実施者として番号法上の安全管理措置を講ずることが必要となります。
ただし、源泉徴収義務者の方も、一切何もなくなるわけではなくて、保管管理を委託した申告書について、安全管理措置自体を講ずる必要はございませんが、委託先において適切な安全管理措置が図られるよう、委託者に対して必要かつ適切な監督をする義務が番号法上、課されておるわけでございます。
○大西(健)委員 時間ですので終わりますけれども、今の話も相当細かい話ではありますが、あるいは従業員からマイナンバーを取得するときの本人確認に、雇用関係があって、本人に相違ないことが明らかに判断できる場合には身元確認不要というようなことがありますけれども、例えば個人番号利用事務実施者が認めるときというのは具体的にどんなときなんだということになると、これは各省が出す告示で細かいことが決まってくるということなので、現時点だとそういう細かいことが、民間の事業者にとっては、これはどうなんだ、あれはどうなんだというのが、わからないことがかなり、まだまだ多い。
そういう中で不安というのも高まっているというふうに思いますので、我々もそういうことを皆さんから耳にしたときにはぜひ役所の皆さんにもちょっと照会をしてお答えをしたいと思いますが、ぜひ皆さんの方でもそういう細かい実務上の疑問とかにも丁寧にお答えいただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五分休憩
――――◇―――――
午後三時二十一分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。重徳和彦君。
○重徳委員 維新の党の重徳和彦です。
質疑に立たせていただきまして、ありがとうございます。四十分ほどお時間をいただいております。
私は、まずマイナンバー、今回、まだ本体が施行前における改正だという点を踏まえまして、質疑をさせてください。
いわゆる住民基本台帳ネットワーク、住基ネットが十年ほど前に導入されたときにも、当時は、初めての経験ということで、国民総背番号制などと言われて、それの是非が相当議論がなされました。批判も多かったです。ですけれども、このほど福島県矢祭町も加入するということになりまして、一息ついたというか、定着してきた感があるなと思っております。
他方で、今回のマイナンバーというのは、住民基本台帳ネットワークとは、ちょっとというか、かなり今後の展開が違うなというふうに感じております。特に、まだ施行はされておりませんので、国民的にどう受けとめられるのかも、ことしの十月あるいは来年の一月以降の様子を見なきゃわかりませんが、さらに三年後をめどに利用範囲も拡大が検討されていく、そして民間活用も視野に入る、こういったものでございます。
ちょっと確認しておきたいんですけれども、マイナンバー、特に数字というものが個人個人に渡されるマイナンバーと、住基ネットにおいても住民票コードなんという数字がありますけれども、このあたり、どう違うのか、違いは何かということを確認させてください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
住基コードは、もちろん国民にそれぞれ通知されているわけでございますけれども、基本的には住民基本台帳にかかわる事務に、さらに、例えば年金なんかで年金番号が二重付番されないような確認には使われておりますけれども、基本的には住民基本台帳事務に限られて使われている。
一方で、マイナンバーは、むしろ、税、社会保障、災害の一定の閉じた分野ではありますが、かなり広い分野にわたってマイナンバーを使って名寄せをするとともに、情報を連携することを前提につくってございます。もちろん、使える範囲あるいは情報を連携する範囲というのは、全て法律で書き切ってございますので、ポジティブリストで書き切っておりますが、そういうふうなことを前提としておりますので、一種、見える番号と申しますか、他人に知られ得る番号というふうなことになっているということでございます。
ただ、日本の場合ですと、国民一人一人を特定する手段としては、通常、住基台帳を使うか、それとも戸籍を使うかの二種類だろうと思われますが、既に住基コードがあることから、住基コードからマイナンバーを振り出す、そういう仕組みをとったものでございます。
○重徳委員 そうですね、大きく言えばそういうことであります。
結局、住基台帳ネットワークについては、どこまで行っても行政の中の世界でしか使われていない。番号も、もちろん、自分が何番なのかというのはほとんどの国民の皆さんは知らないということでありまして、いい意味で日本の役所というのは割と信頼性も高くて、かつ、もちろん問題が起きないように常に議会がチェックするという機能もビルトインされていますので、そういう意味でも比較的安心感を持ってこれまで運用され、そして定着してきたのじゃないかな、こんな印象を持っております。
ですが、マイナンバーはこれからどんどんと広げていこうと。推進論者はすごいですね、本当に、何にでも使っちゃえ、こういう感じの論者もいますので、どうなっていくんだろうか、ここがわからないんです。
その意味では、現段階では、マイナンバーも行政の中、公的機関の中でしか使われないような規定になっておりますけれども、今後民間に広く活用されてこそ、いろいろな意味での利便性だとか経費節減効果が出てくるんだ、このような論者というか、多分、政府としても既に想定していると思うんですが、こういう段階であります。
まだマイナンバーは施行されていません。だから、自分の番号が何番かも国民的にもわかりません。どういう形であれ、マイナンバーを、個人番号カードを使ったことがある国民はまだ一人もいません。こういう段階で、今回、既に利用範囲を拡大する改正、これまでも何度か行われてきたということでありますが、後ほど各論はやりますけれども、いずれにしても、この段階で既に利用範囲を拡大するための改正を行う、この点について、もっと慎重でなきゃいけないのではないかと思うんですが、大臣のお考えをお聞かせください。
○山口国務大臣 先ほど住基ネットのお話もお伺いをしておりまして、恐らく重徳先生も、総務省時代、大変御苦労をなさったんだろうと思います。
私も、党の方で結構当時はいろいろな将来展望を夢見ながらやったわけですが、御案内のとおりでありまして、そういった中で、マイナンバーはやはり、いかに国民の皆様方にしっかりと普及をさせていくか、これが一番大事なんだろうと思います。
今御質問いただきましたいわゆる利用範囲の拡大ということでありますが、メタボ健診情報の管理とか預貯金付番など、今般の改正法案で新たに追加をするマイナンバーの利用事務は、実はいずれも現行のマイナンバーの利用範囲としております。
これは基本理念の三条二項に出ておりますが、社会保障、税、災害対策等に関する行政事務の範囲内の事務であるというふうなことでありまして、これらの事務につきましては、マイナンバーの利用事務に追加をすることによって、より公平公正な社会保障制度や税制の実現、あるいは行政の効率化とか国民の皆様方の利便性向上に資することが期待できるというふうなことでございます。
○重徳委員 総論的なところは今確認できましたが、少しずつ各論に入っていきたいと思います。
私は、マイナンバーについて、今大臣が言われた税、社会保障などの公平公正性の確保、それから効率性の確保といった意味で、前向きに考えている部分もあります。特に、社会保障といっても、その給付の前提となる所得情報とか資産の情報、これをちゃんと把握しないと、いたずらに給付ばかりふえていくというようなことも現にあるというふうに言われておりますし、昨年、医療介護総合確保法が成立をしまして、その中にも一部こういった趣旨の改正も行われております。
これも若干総論的にはなりますけれども、今回、預貯金には預貯金口座に付番できることになりました、任意ですが。私も、これはどっちかというともっと広げていく、いずれ義務化するような方向の方がいいんじゃないかと思っているんです。
ですが、このマイナンバーが将来的に目指している公正公平性ということからすると、金融資産は今回道が開かれたわけですが、とりわけ不動産の資産の方にも何らかの形で付番をしていくことを考えていかなければ、結局、マイナンバーが目指す崇高な、大きなビジョンというものが実現できないんじゃないか、いつまでたってもたどり着けないんじゃないか、こう思うんですが、この点、政務官、どのようにお考えでしょうか。
○松本大臣政務官 マイナンバー制度はより公平な社会保障制度や税制の基盤となるものでありまして、委員御指摘のとおり、用途の拡大というのは大変意味のあるものだと思っております。
政府が国民の所得や資産をどのような方法で、どこまで把握するのか、それに伴う国民の負担なども勘案をした上で、社会保障制度、また税制といったそれぞれの制度の中で検討されていくべきものと考えているところでございます。
○重徳委員 余り答えになっていなかったような感じがしますけれども。各論を詰めていかないと、これはなかなか一概には言えない部分ではあるんでしょう。
では、ちょっと一つ各論を出しますが、去年、それこそ隣の田村筆頭理事が大臣時代に随分議論をさせていただいた医療介護総合確保法なんですが、その中の一つの重要な項目として、特養などに施設入所するときにかかる費用がありますね。食費とか居住費、これは原則、本人負担なんですけれども、ただ、住民税の非課税世帯である入居者については、申請に基づいて補足給付というものが支給されて負担が軽減される、こういう仕組みがあります。
これの見直しが、昨年、法改正が行われまして、非課税世帯というだけじゃだめだ、資産を勘案する必要があるということで、今資料をお配りしておりますが、下の「要件の見直し」、下から三つ目、預貯金等が勘案されることになりました。単身では一千万円超、夫婦世帯では二千万円超の預貯金がある場合は、補足給付は支給されませんよ、こういう内容なんですね。
これに対しまして、預貯金は現金として口座に預けてあるものだけれども、預貯金がたくさんあったら給付はもらえないんだけれども、では、その預貯金を引き出して、そして土地を買いましょう、土地をたくさん持っています、何千万円分持っていますという人は給付がもらえるじゃないかという指摘を、我が党の清水鴻一郎議員が何度も田村大臣に対しまして質問をさせていただきました。
これは結局、先送りだというような検討はしているけれども、今はまだだめだみたいなことなんですが、しかし、議事録をちょっとチェックしたところ、昨年五月九日には、当時の原老健局長は、不動産を担保とした貸付制度を引き続き具体化に向けて取り組むという御答弁がございました。
つまり、リバースモーゲージと言われますね、不動産を担保にお金を借りる、そして、最終的には、その方が亡くなったときにその不動産を売り払って借金を返す、こういう仕組みなんですが、こういうようなことを導入して、少しでも資産のある方にまで給付をするという公平性を欠く部分をなくしていこうじゃないか、こういう提案を清水議員が幾度となく指摘をされていました。
ですが、昨年の時点では、五月の時点では、これから引き続き検討していきますという状況だった、今回の法案は、とりあえず金融資産だけでもまずはやらせてくれというような内容の政府案で、最終的に成立をしたわけですが、その後、この検討状況というのはいかがでしょうか。
○苧谷政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘がありましたように、補足給付に不動産要件を追加することにつきましては、不動産は預貯金と異なりまして、現に居住している場合があるなど、直ちに現金化して活用することが難しいという課題がございます。
このため、補足給付の資産勘案を検討した平成二十五年度の社会保障審議会介護保険部会におきましては、補足給付のかわりに不動産を担保とした貸し付けを行う仕組みを検討したところでございます。
しかし、この仕組みを実現するには、貸し付けの対象者や不動産の評価方法、業務を受託する機関の確保、担保不動産の処分方法などの実務、体制面での課題があるとの指摘もあったところでございまして、平成二十六年度の医療介護総合確保推進法における改正は見送ったところでございます。
このため、不動産にマイナンバーを付番する議論以前に、まずは不動産を担保とした貸付制度などの検討が必要であり、これまで指摘のあった課題も含め現在検討しているところでございまして、現在、民間のシンクタンク、金融機関等の関係者の知見も参考にしつつ検討を行っている段階でございます。
不動産の勘案自体は大変重要な検討課題と考えておるため、引き続き検討していきたいと考えてございます。
○重徳委員 重要な課題であるけれども引き続き検討というのは、いつまでというのも何もないし、早急にやるという言葉も今なかったので、そういうことを目指しているのかどうかも今の御答弁でははっきりしませんね。
やはり、重大な公平性確保のための手段だと思うんですよ。預貯金を持っていたらアウトだけれども、土地ならいいよというのは、これはなじみのない人も多いかもしれませんが、私もそんなにお金はありませんけれども、お金を持っている人あるいは資産を持っている人は、それをどういうふうにとっておくと一番いいかということは一番最初に考えることですから、こんな抜け穴のあるような制度では、やはりこれからもずっとその不公平な状態が続くと思うんです。
だから、今、松本政務官にもぜひ認識をいただきたいんですけれども、マイナンバーの前提として、こういった課題をクリアしなければ、幾らマイナンバーを少しずつ、まずは任意、そのうち義務化と言っていたって、預貯金口座ばかりしっかり把握できたって、不動産が全然野放しでは、目指すべき姿が全然実現されていかないんです。
もう一度、厚労省の方から、いつまでにということをちょっとここで明言できませんか。
○苧谷政府参考人 御指摘の問題は極めて重要な課題であるというふうに考えてございますが、先ほど申し上げましたような課題を一つ一つクリアしていかなきゃいけませんので、なかなか、導入の今現在の時期ですとかそういうのは、今、もう少し検討させていただきたいと思っております。
○重徳委員 去年の五月から言っていることですから、一年たったけれどもまだ全然だめ、そういう答弁なんですかね。
しかも、非常に重要な指摘だと思います。ずっと清水議員がこれにこだわっていた意味も、当時から私もなるほどと思っておりましたが、いよいよマイナンバーという段階に入ってもなおめどが立っていない。
海外ではやっているわけですから。海外の事例は既にありますよね。去年は、田村前大臣の答弁も含めて、土地を持っていても必ずしも売れるかどうかわからないとかいろいろなことを言われましたが、仮の給付をしておいて、後で取り戻せるものは取り戻す、土地を売れれば売って取り戻すというやり方とか、いろいろ弾力的なやり方があると思うんです。
だから、社会の不公正性を是正するために、今は何遍聞いても同じ御答弁でしょうから。
では、前向きな答弁をできるなら今お願いしたいんですけれども、いかがでしょうか、頑張っていただけないか。
○苧谷政府参考人 御指摘の問題意識を考えまして、現在の検討の段階では、今先生も御指摘になりました、不動産を担保としての貸し付け、それから、その土地を借り上げて、それをかわりに貸しましょう、そして上がった地代で補足給付のかわりにするというようなこと、いろいろな方法がありますよということが一応報告書として上がってまいりました。
ことしは、それを踏まえまして、いろいろアンケートして、では実際にそういう業者はいますかということを今調べようというふうにしております。その結果、ある程度やっていただける業者さん、これは業者さんがいないと実は実現できないものでございますので、やれる人がある程度いるとか、そういうことがわかってくれば前向きに進められると思っておりますので、できる限りそういう方向で進めたいというふうに思っております。
○重徳委員 少なくとも、去年の五月の段階で、みずほ銀行がリバースモーゲージに取り組み始める、そういう記事も指摘しながら清水議員は質疑に立たれておりましたので、全くこの世の中で誰も取り扱えないという状態ではないと思うんです。
ですから、この問題は引き続き検討していただきたいし、いろいろな場において、私も関心を持ってその後押しをしていきたいと思っております。
次に、今は推進すべきだという進めるべき点について指摘を申し上げましたが、次は逆に、もっと慎重じゃなきゃいけないんじゃないかという点について申し上げます。
それは、医療情報の取り扱いなんです。
今回、改正案の中では、個人情報保護法二条三項に要配慮個人情報として病歴というのが入りました。この要配慮個人情報に病歴が位置づけられることによって、どういう効果があるのでしょうか。特に、マイナンバーにひもづけされるようなことはないというふうに考えていいんでしょうか。どういうものなんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
今回の法案では、人種、信条等、事業者が正当な理由なく取り扱うことによって差別や偏見を生ずるおそれがあるため特に慎重な取り扱いが求められる個人情報を要配慮個人情報として定義することとしており、病歴についても、法律上、要配慮個人情報に当たるものとしているところでございます。
要配慮個人情報は、原則として本人の同意なくして取得してはならないこと、それから、一定の手続のもとであらかじめ本人の同意を得ずに第三者提供できるとするオプトアウト手続、第三者提供には、同意をとって提供する場合と、後から自由にできますよということでオプトアウトという形でできるもの、二種類ございますが、そのオプトアウト手続による第三者提供を禁止するということになってございます。
そういうことで、病歴も要配慮個人情報に当たるとすることにより、本人の意図しないところで当該本人に関する病歴の情報が取得されること、及びそれに基づいて本人が差別的取り扱いを受けることを防止することが期待されるものでございます。
一方で、マイナンバーのひもづいた情報は、マイナンバー法上、個人情報保護法の特例措置がございまして、より厳しい情報の保護が求められております。例えば、情報の漏えいにつきましても、個人情報保護法ですと、要配慮情報も含めまして、基本的には、そういう違反があった場合には、現在ですと主務大臣、改正法ですと個人情報保護委員会の命令があり、その命令に従わない場合に罰則ということになりますが、マイナンバー法ですと、一定の要件を満たしますと、そういう情報データ、マイナンバーづきの情報データを漏えいするだけで罰則がかかるというふうになってございますので、マイナンバー法の方がより厳しい、そういうふうな個人情報の保護が求められるということになってございます。
○重徳委員 一般法である個人情報保護法による罰則よりも、マイナンバー法というか、マイナンバーにおける罰則の方が厳しいということはわかりましたが、要配慮個人情報に位置づけられたからといってひもづけが行われないわけではないということですね。つまり、行われるわけですね。行われるということですが、罰則を厳しくするというだけでこの趣旨は守られるんですか。どういうお考えでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
病歴等につきましては、現時点では、今回、マイナンバー法の対象にはしていないところでございまして、厚生労働省で検討はされているというところでございます。
今回は病歴とまでいかないメタボ健診ということでございますけれども、基本的には、そのメタボ健診も同様にマイナンバーをひもづけることによりまして、通常ですと漏えいには罰則は直接はかからないんですが、今回は直接に罰則がかかるとか、取り扱いにつきましても通常の個人情報よりも重い管理義務がかかるとかいうふうなことがございますので、これらにつきましては、特にそういうプライバシーの問題をさらに広げるようなことにならない。特に、今回のものは保険者間のメタボ健診の情報の異動でございますので、それも法律でそれしかできないように書いてございます。
したがいまして、そういうふうなメタボ健診の情報にマイナンバーをつけたからといって、法律に違反して他の情報とひもづくようなことはない、システム上もそういうふうなシステムを組みたいというふうに考えております。
○重徳委員 不安がよぎりますね。
今回はということで審議官はずっと御答弁されていますけれども、今回は病歴にかかわる情報はマイナンバーの対象としていない、それから、今回は保険者間でしかその情報は流通させないということでありますが、さっきから言っているように、今後、施行後三年たったら、また利用範囲を拡大する、利用のされ方も拡大する、こういうことが見込まれているし、それを推進すべきだという方も大勢いて、私も、資産情報は進めるべきだとは思いますが、病歴、それから、今ちょうど審議官が言われましたメタボ健診情報、これだって、病歴かどうか、ぴたっとはまるかどうかわかりませんが、近いところにあるし、場合によってはちょっと重なりますよね、恐らく。
こういったあたりも非常に、それでもいいんだ、進めるんだということで、もう腹を決めているんだったら、それはそういうふうに言っていただきたいんですが、いや、そうじゃないよ、やはり、要配慮個人情報というのは、病歴を初めとした大変プライバシーにかかわる情報だから、漏らしちゃいけない、漏らしたら厳罰が待っていると。こういう仕組みにはなっているものの、とりあえず今回はというようなお答えなんですよ。
それで、今回の改正では、今審議官が言及されました、メタボ健診がマイナンバーにひもづけをされるということになっているんですが、これは明確に病歴じゃないという整理なんでしょうか、確認をしたいと思います。
○向井政府参考人 メタボ健診情報にもいろいろな情報が入っているということは、もう先生御承知のとおりだと思いますので、その中で、今回の個人情報保護法の改正によりまして、病歴というのを今後細かく決めることになろうかと思いますが、その中に含まれるものも入り得ると思っております。
○重徳委員 入り得るんですよね。ちょっと今の御答弁は矛盾すると思うんですよ。
病歴は、今回、マイナンバーひもづけにはしていないんだよというお話を今されましたよね。だけれども、メタボ健診情報も病歴になり得る。どっちなんですか。
○向井政府参考人 舌足らずで申しわけございません。
最初に申し上げましたのは、いわゆるカルテ情報でございます。医療機関で持っておりますカルテ情報につきましては、今回、マイナンバーには入っていない。それで、健診情報を今回入れております。
一方で、病歴というのはそれとは別の概念でございまして、カルテ情報は、まず基本的には入るだろうと考えますが、健診情報によりましても、健診の中にはほぼ過去の病歴的なものも入っておりますので、そういう場合は病歴に入るものと考えております。
○重徳委員 これは非常にわかりにくいんですよね。今説明を聞いても、一応の説明にはなっていたと思いますが、こういう紛らわしいようなことになっているんだったら、むしろ、病歴だけじゃなくて、健診とか診療とか調剤とか、そういう医療にかかわる個人情報は要配慮個人情報に位置づけて、きちんと守っていくということも考えられると思います。
マイナンバーにひもづけされるされないの線引きも曖昧だと思いますが、メタボ情報というのも何か幅がありますし。そういう意味では、今回は、私がこの法案を見て理解したのは、メタボ健診情報というのは病歴ではないよ、ないからこそ、ひもづけはありだよという整理なのかなと思って、一応、政府案はそういうことなんだなというふうに一旦理解は、理解というか、そういう頭の整理だったんです。
だけれども、本来は、メタボ健診情報はやはり病歴の一部じゃないか、というか一部重なるじゃないか、であればひもづけをすべきではない。あるいは、要配慮個人情報には、病歴だけじゃなくて、そもそも健診情報も機微な情報たり得るわけだから、それも含めて入れて、したがって、ひもづけなし。いずれにしても、簡単にひもづけちゃったらいけない情報なんじゃないかと思います。
そこで、メタボ健診情報というのは、誰がどう扱うことを想定されているんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
メタボ健診情報をマイナンバーで管理するのは保険者でございます。
そして、保険者が変わるということは、例えば会社が変わるとか、あるいは、高齢になって高齢者医療になるとか、保険者が変わることはよく起こることでございますが、その間に、現行でも引き継ぎはできることになっておりますが、個人を特定できないがために引き継ぎが必ずしもうまくいっているとは言えない状況でございます。その引き継ぎを確実にするためにマイナンバーを利用するというものでございます。
○重徳委員 各保険者もそれなりに取り組んではいると思うんですけれども、保険者の中での取り組みを今の段階ではよりしっかりやっていって、その間を結びつけるのはもう少し後に、きちんと議論した後でもいいんじゃないかという感じがいたします。
それから、今、私の見解として申し上げたことについてなんですが、病歴だけじゃなくて、診療とか健診とか調剤とか、それから、この間、河野委員が本会議でも質問されましたけれども、遺伝情報とかそういうものも、この要配慮個人情報に含まれないということなんですが、もっとこの分野の情報は含めるべきじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーにおきます、マイナンバーをひもづける、ひもづけないの基準と、それから、そういう意味で、今回の個人情報保護法上の要配慮個人情報の病歴に入るか入らないかの基準というのは、やはり基本的には違うものだと思っております。
そういう中で、病歴に何が入るかは今後検討することになろうかと思いますが、先生おっしゃるような例えば投薬、投薬というのは病気がわかるという意味では病歴の一部になり得るものだと思っておりますので、そういうようなものを含むことも十分あり得べしとして検討させていただきたいと思っております。
○重徳委員 何か余りちゃんと整理されていないような印象がするんですけれども。
やはり医療情報は、うがった見方かもしれませんけれども、しかし、各分野の業界、企業からすれば、企業にとっては非常に有益というか、重要な情報なんですよね。例えば金融機関だとか、特に生命保険会社からすれば、この人の医療情報というのは、自己申告よりもより客観性、専門性の高い情報が含まれているのであれば、非常に欲しい情報じゃないですか。あるいは、会社だって、採用する側からすれば、その人の健康状態とか過去の医療に関する情報というのは、やはり、あるなら見たいものですよね。
だから、そういう意味では、今後どういう展開で民間にマイナンバーにかかわる情報が広がっていくかはまだわかりませんけれども、そういう情報にアクセスすることが合法だという状況にはもちろんならないと思いますが、しかし、不正なアクセスだって当然考えられるわけですから、民間開放を視野に入れると、今議論の対象となっているような投薬の話とかメタボ健診の話とか、そういうことも含めて、医療に関する情報というのがマイナンバーとそもそも何らかの形で結びつくようなことは避けなければならないと思うんですけれども、どうお考えですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
その手の、いわゆるカルテ情報をどう扱うかというのは厚労省において検討されているところでございますけれども、おおむね考え方は二通りあるのかなと。
一つは、まず、病診連携で、地域でカルテ情報を病院から診療所にやりとりしたりするのは既に何カ所もできておりますけれども、そういう場合、そういうものにマイナンバーをひもづけるべきだという考え方。一方で、そういうのはマイナンバーとは別の符号でひもづけるべきだと。ただ、その場合も、その別の符号というのがマイナンバーとひもづいているのか、ひもづいていないのかというのは、両方あり得るんだろうというふうに思っております。
一方、先生、多分御承知だと思いますが、日本医師会は、マイナンバーとは別のIDを使えというふうに主張しているというところでございます。
そういう中で、今後どういうやり方がいいのかというのは、そういう医療界の意見を聞きながら、厚労省においてIT室とともに検討していくことになろうかと思いますが、マイナンバーの民間利用という場合にぜひお考えいただきたいのは、マイナンバーそのものを利用拡大する場合、それからマイナンバーカードを利用拡大、そのマイナンバーカードの利用拡大というのは、そこにありますICチップの空き容量を使う場合と、そこに載っております公的個人認証機能を使う場合がございまして、多分、民間が最も欲しがっているのは公的個人認証利用。
したがいまして、マイナンバーそのものを民間に自由に使わせるということは当面あり得ないというふうに考えておりますし、むしろ、民間といっても半公的な、今回は預金保険機構というのがありますけれども、何といいますか、より公的な部分に限られるものであろう。
一方で、純粋な民間は、そういう公的個人認証なんかを使ってより利便性の高いものにしていく必要があるのではないか、そういうふうに考えております。
○重徳委員 ちょっと議論が先に進んじゃった感じがしますが、一回整理をして、大臣、今までお聞きのところの御見解も聞いてみたいんですが、今、向井審議官は、カルテ情報については今後の議論だ、マイナンバーとは別の仕組みを考えることもあり得ると。これから検討しますということだと思うんですけれども、ただ、メタボ健診情報も私は非常に気になっているんですよ。その範囲も必ずしも明確ではありません。ですから、これは医療における、カルテの情報じゃないかもしれないけれども、重要な個人情報だと思うんですね。
ですから、冒頭申し上げました、国民がマイナンバーを、個人番号カードをまだ手にしてもいないそういう段階で、しかも、今後は民間開放が見込まれる中において、わざわざ前倒しをしてメタボ健診情報をマイナンバーにひもづけするという規定になっておりますが、これは本当にいいんでしょうか。これはもっと慎重に考えるべきではないかと思うんですけれども、大臣、いかがですか。
○山口国務大臣 メタボ健診情報といっても、いろいろあるんだろうと思うんですね。単に腰回りが何センチであるとか等々、いろいろあると思うんですが、それをやはりきちんと整理をした方がいいんだろうと思います。情報によっては、それこそ機微な情報と考えられる部分も、たとえメタボ健診情報といえどもあるんだろうと思います。そこら辺はしっかり整理をしていくということも必要なんだろうと思いますが、同時に、個人情報保護法の方では、いわゆる機微に触れるといいますか、そういった情報に関しては、別途、厳重に、これは個人情報としてしっかり守っていくというふうなことにも相なるわけであります。
同時に、今回、マイナンバー、先ほど御答弁したとおりでありますが、法の範囲の中で広げるわけですが、カテゴリーとして、国民の皆様方の御理解をいただきやすいというか、御理解をいただけるであろうというふうなこともこの背景にはあるんだろうと思います。そういったことで、いずれにしても、これは慎重に進めていく必要があるだろう。
同時に、医療情報等については、もっともっと厚労省の方でもしっかり話を煮詰めていただきたいというか、しっかりと検討、勉強していただきたいと思っております。
○重徳委員 大臣、メタボ情報は機微な情報も含まれ得るというような趣旨の御答弁だったと思うんですけれども、だから、今回、本当に改正の中に入れちゃっていいのかということなんです。
腰回りの数字が機微か機微じゃないかは、人にもよるかもしれませんし、受けとめ方にもよるかもしれません。だけれども、そういうことを含む、やはり人によっては、これは知られたくないという非常に機微な情報たり得ると思うんです。だから、預貯金の情報とは全然質も違いますし、社会保障、税の目的ならいいんだというのも、だけれども、社会保障といったって、先ほど松本政務官に聞いたような給付の前提となる資産情報とか、こういうものと、それとは違う病歴に近いようなことというのは、やはり相当質が違うと思うんです。
このメタボ情報というものは、むしろ、先ほど審議官が言われた、マイナンバーとは別の医療情報のためのシステムの方に入れた方がいいんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○山口国務大臣 先ほどお答えもさせていただいたわけでありますが、医療等の情報の連携、これに関しましては、医療情報の中に、まさに先ほど来御指摘の機微な内容が含まれるというふうなことを踏まえた制度設計というのが恐らく必要なんだろうと思います。
このために、今、厚生労働省の方でも慎重な検討が行われておるというふうなことを聞いておるわけでございまして、その動向を注視していきたいというふうなことでございます。
○重徳委員 最後に、審議官に確認だけしたいんですが、今言われた医療に関するネットワークというものは、マイナンバーと違って、例えば、任意に参加できるとか、番号の変更ができるとか、病歴も場合によっては消去できるとか、そういうことも含めて、マイナンバーと違うものとしてこれから検討をされると思ってよろしいでしょうか。
○安藤政府参考人 お答え申し上げます。
御案内のとおり、マイナンバー法におきましては、マイナンバーが利用できる行政機関、事業につきましては、行政機関等の法定された行政事務でございます。そういったことで、御案内のとおり、医療保険者は保険事務ということで特定健診情報を取り扱うということになってございます。
一方、医療機関につきましては、そもそもマイナンバー法の枠組みの外でございますので、私ども、昨年の五月から、三師会等を含めます医療関係者、保険者、有識者等で研究会を開いてございまして、その中で、医療現場等で使います情報をどういった個人番号で管理するのかということを議論してございます。
その議論におきましては、マイナンバーそのものを用いるということでの議論の方向ではございません。その議論の中で、先ほど先生が御指摘をいただきましたが、例えば、本人の同意のもとで希望する患者が番号を持つ仕組みにすること、あるいは、共有する情報の範囲について患者の選択を認める仕組みにすること、あるいは、番号を変更できる仕組みにするようなこと、そういったことも医療関係者の方から意見をいただいております。そういったことも、昨年の十二月に取りまとめました中間報告の中に入れてございます。
いずれにしましても、非常に安全性、信頼性といったものが重視される情報でございますので、今後とも関係者と十分に議論をして、御納得いただけるような結論に達していきたいと思っております。
○重徳委員 時間切れですので、ここで終了させていただきます。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、吉田豊史君。
○吉田(豊)委員 維新の党、吉田豊史でございます。
実は、私は消費者特の委員会にも所属しておりまして、今週は山口大臣に、SOSのナンバー、困ったときの一八八という番号のことについても質問させていただいておりました。この委員会で、マイナンバー制度について、また数字なんですが、質問させていただきます。
私はいつも質問のときに申し上げるんですけれども、きょうは、わからないなりに勉強した国会議員というよりも、一般の国民としてのこのマイナンバーについての理解の状況、そういう形で質問させていただいて、地元では、この四十分間、やはり聞いてくれる人もおります。時代が時代で、インターネットで全て中継するとか、そういうふうになっていますので、マイナンバーということを、もちろん、まだ知らない人もおるだろうし、いつからだとかそういう基本的なこと、それから、何に使うのか、そういうことも含めてこの時間で質問させていただいて、そして理解を深めていただこうというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
まず初めに、マイナンバーについて、なぜマイナンバーを導入することにしたのか、なぜ今必要なのか、このことについて、基本的なことですけれども、改めて確認させていただきたいと思います。
○西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。
マイナンバー制度は、行政を効率化していく、それから、国民の利便性を向上させる、そして、より公平公正な社会を実現する、こういった目的のために導入される基本的なインフラとして私どもは理解をしております。来年一月から運用開始ということであります。
具体的にどういうことが考えられるか、マイナンバー制度によってどういうふうなことが実現していくのかということですけれども、一つに、社会保障や税に係る各種行政事務の効率化、これはマイナンバーで本人特定もしやすくなりますので、効率化が図られる。
それから二つ目に、さまざまな手続において、これは住民の側でありますけれども、従来、提出しなければいけなかった添付書類、こうしたものが削減されるということ、これは利便性の向上につながるわけであります。
それから三点目に、いわゆるマイナポータルというものを活用して、行政側から国民に、プッシュ型と呼んでおりますけれども、こういうサービスができますよということをネット上でお知らせをすることができる、しやすくなるということであります。
それから四点目として、より正確な所得の把握が可能となりますので、社会保障や税の給付と負担の公平化が図られる、こういった効果があるものというふうに考えております。
○吉田(豊)委員 今ほどお聞きしましたような一から四まで、非常にいいことずくめだなというふうにぱっと聞いて思うわけです。
まず、そのマイナンバーというものが、これは来年の一月からということですけれども、そうなりますと、私も一人の国民ですから、このマイナンバーについての案内ですとか、それから、それがどうなるかということ、いつごろ国民に届くかというその流れについて確認させていただきたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーは、ことしの十月五日に住民票のある住所に順次届けられる、通知カードという形で、紙のカードでございますが、紙のカードで名前と番号の書いたものが届けられるということになっております。
十月五日現在を基準にいたしますので、早い市町村ですと十月の半ばぐらい、それから、大都市になりますと、どうしても事務が時間がかかりますので、十一月の二週目ぐらいになるのかなというふうに思っております。
これは、一応、基本的には世帯単位で、それで簡易書留でお送りするということになってございますが、一方で、DV等もございますので、申し出ていただければその住所にお送りするというふうな仕組みになってございます。
それから、マイナンバーを通知するときに、マイナンバーカードの申請書が同封されてございます。これにつきましては、写真を張っていただいて、それで送っていただく、あるいは、QRコードがついてございますので、スマホから申し込んでいただくことでも結構でございます。その上で、カードにつきましては、来年の一月以降、できましたら通知が届きますので、とりに行っていただく。
それから、マイナンバーそのものは、一月以降の税、社会保障に関します、国民の皆様が税務署ないし社会保険の当局に出す書類にマイナンバーを書いていただくというふうになるということでございます。
○吉田(豊)委員 お聞きしていまして、しょっぱなからもう何か難しくなってきているんじゃないかなというような感じがするんですけれども。
まず、とにかくナンバーが、その案内が届きますと。これは、確認しますけれども、私のところも、妻と子供三人、一緒の世帯に住んでおりまして、幼稚園児もいますけれども、幼稚園児の子供の分も届くことになるんでしょうか。
○向井政府参考人 住民票を有する者全員でございますので、まさに生まれたときからマイナンバーが付番されるというものでございます。
○吉田(豊)委員 そういうことであれば、子供の分も含めて対応していかなくちゃいけないということになるんだと思います。
それで、今おっしゃった中のマイナンバーカード、個人番号カードについて、これはどのようなもので、そして、これについての利用の可能性が、多分、非常に夢のある話だとか社会インフラだとかということにつながっていくんだと思うんですけれども、私なりに、このマイナンバーについて新聞記事を幾つか調べてみました。
そうすると、いろいろ、これからの展開については、非常におもしろい、あるいは効果的なこと、先ほど副大臣がおっしゃったような四つの項目についても、この段階でいろいろ進んでいくんだなという想像はできるんですけれども、それの基本になるであろうこの個人番号カード、これについてもう少し具体的に説明していただきたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
まず、マイナンバー制度につきましては、例えば、税務署に書類を出すとか、あるいは福祉の給付を申請するとかいう場合に、マイナンバーを書くだけではなくて、そのマイナンバーが真正であるかということと、まさに本人であるかを確認していただくというふうになっております。
これは、アメリカなんかで、番号制度、アメリカの場合ですとソーシャル・セキュリティー・ナンバーでございますが、これらが番号のみで本人確認をしたがために成り済ましが多数起こった。その反省から、厳格な本人確認をお願いしている。
その本人確認と番号確認の手段といたしまして、まず、番号を確認できるものとして、先ほど申しました通知したときの紙のカードがございますが、これは写真がありませんので本人確認はできませんので、別途、免許証等の本人確認書類が必要となります。この番号の確認と本人確認を一枚でできるものがマイナンバーカードでございます。これがマイナンバーにおけます利用方法でございます。
次に、一般的な本人確認、例えばスマートフォンを買うときとか、あるいは口座を開設するときとか、そういうときには、免許証なんかも主に使われますが、マイナンバーカードも、これで通常の本人確認もできるというものでございます。
次に、マイナンバーカードのICチップには公的個人認証という機能が載ってございます。公的個人認証というのは、一言で言いますとインターネット上の本人確認でございます。
現在、ネットバンキングなんかをする際には、よく免許証のコピーを送れとか、あるいはスマホで撮って送れとかということがございますけれども、この公的個人認証を使いますとそういうことが不要で、一発で送れるというふうな仕組みでございます。
これまでは、その署名を検証する、本人を確認する者が公的な者に限られておりましたけれども、今回のマイナンバーを創設するときに民間にも開放するということになりますので、今後、そういうネットバンキングをする銀行等が署名検証者となって、より便利なインターネットバンキングができるとか、本人確認を必要とする、そういうふうな取引におきまして、ネット上でやることが格段に便利になるというふうに考えられます。
さらに、マイナンバーカードのICチップの空き容量がございます。これは今の住基カードでもございまして、主に市町村等が図書館カードのかわりに使ったりしているところでございますけれども、この空き容量につきましても今回民間開放されますので、例えば民間の何らかのIDを入れることによりまして別のカードの代替ができる。民間でいろいろなカードが出ておりますけれども、その代替になり得るものというふうに考えております。
○吉田(豊)委員 今ほどの説明をお聞きしていまして、やはりマイナンバーというもの自身は、通知することでそれぞれ全ての国民が知ることができるということだと思うんですけれども、ここから、セットで送られてくる個人番号カード、マイナンバーカードですね、ここのところに一緒に進んでもらわないと、さまざまなこれからの展開の方につながっていかないんだろうというふうに思うんです。
このマイナンバーカードの制度を進めていくということについては、当然、マイナンバーカードの取得も含めて進めてもらいたいという考え方でよろしいんですか。それとも、御自由に、来るけれども、やりたい人だけつくってくださいという話なのか、そこら辺を確認させていただけますか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
一応、写真入りのカードでございますので、行政の側から勝手にお配りするということはできない、そういう性質上、申請によりというふうになってはございますけれども、私どもといたしましては、国民全員にできれば持っていただきたいと思っております。そのために、マイナンバーカードの手数料は無料となってございます。公的な身分証明書で無料のものはマイナンバーカードだけでございます。
○吉田(豊)委員 私もそうだろうなと思います。その上で、今ほどの答弁をいただいたところにも、やはり写真をつけて、そして身分証明書としての役割を担わせていくということなんですね。
そうすると、そのカード自身、身分証明書ということになると、取得のプロセス、それから取得する中身についても、私は非常に、例えば身分証明書というと、私は一番わかりやすいのは免許証ですわ。免許証というものを取るときに、必ず運転免許センターまで行って、そして所定の写真の機械の前に立って、ちょっとにっこりし過ぎるとやり直しですとかと言われるくらいに、写真についても非常に厳しいものを求められての身分証明書の役割を果たしているんじゃないかなと一般には思うんですね。
これが、今回は、通知カードからマイナンバーカードにいくに当たっては、写真をつけるという形になると思うんですけれども、この写真一つをとっても、これはどういうふうにしてやるんですか。
○向井政府参考人 写真は基本的には自分で撮っていただかないと、写真が撮られたものを送っていただくというスタイルになってございます。
ただ、背景を白地といいますか、模様つきでないようにしていただきたいとか、そういうのは幾つかございますので、それらについても、申込書に書くとともに、広報でしっかりと周知してまいりたいというふうに思っております。
○吉田(豊)委員 私は、これはやればいいと思っている人間なので、けちをつけたいわけではないんです。
その上で、例えば写真一つをとっても、これは、例えば免許証というのは更新があるんですよね、運転免許証は当然、期間期間で。それも、何か色までつけて期間を決めたりとか、そういうのをやっていますけれども、このマイナンバーカード、これについては、実際のところ、どれぐらいの更新スパンを予定しているのかということをお聞きします。
○向井政府参考人 お答えいたします。
通常十年を考えてございますが、未成年者につきましては五年を考えてございます。
○吉田(豊)委員 未成年者はもちろんそうですし、通常、大人でも十年たてば状況も顔も雰囲気も変わっていくでしょうし、子供なんかはもう五年でも別人になっていくだろうというところもありますので、もう少しこの辺は運用されていく中で精度を高めていただく必要があるんじゃないかなと私は考えています、身分証明書の役割を担うということですので。
次に、身分証明書ということになれば、当然、いろいろな場面に登場してくる機会もふえてくることが想定されます。その上で、世の中、本人確認という、クレジットカード一つをとってもそうですけれども、カードには暗証番号というか、そういういろいろな番号を持っていますよね、カードとセットになった。これについては、今回のマイナンバーカードというのはどういうふうな準備をしているんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカードにはもちろんマイナンバーがついてございますが、マイナンバーは基本的には法律で認められていないところで使うわけにはいかない。一方で、シリアル番号をつけますと、それがまたマイナンバーとひもづく危険性もございますので、今回は苦渋の決断として、番号は振っておりません。
したがいまして、裏面にマイナンバーが書いてございますので、表面をコピーしていただくというのが一番あり得る話かなと思っております。
○吉田(豊)委員 そうすると、そのマイナンバーがさまざまな、先ほどの副大臣のお話によりますと、私もそうだと思いますけれども、いろいろな手続とかそういうものを簡素化していくに当たって、これで認証していくというときに、持っているものとそれが本人と合致していますよということを何らかの形で照合していく、そのときに、例えばパスワードですとか、それからセキュリティーの番号ですとか、こういうものも必要になると思うんですが、これについてはどういう体制が今整えられているんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーカード、例えば公的個人認証なんかは、当然、カードリーダーの上に置いてパソコンから送るというスタイルになってございますので、例えば、本人を確認する場合には六桁以上の記号、英数混合みたいなイメージでございまして、それ以外に、認証には一旦本人確認したものと同一であるという認証もございまして、これは数字の四桁というふうになっておりまして、幾つかの暗証番号を使い分けるスタイルになってございます。
○吉田(豊)委員 当然そういうものは必要だろうと思う一方で、私は、いろいろなことの手続の簡素化をするためにこういうものが必要だ、それは当然わかるんです。そうなんですが、カード社会、そして数字社会というかパスワード社会になってきていますので、さまざまな、一人の個人が、パスワードという意味でも、覚えておかなくてはいけない番号というものがもう本当に多くなってきているなというふうに思うんです。
このことというのは、それこそ消費者の大臣を目の前にして思うことですけれども、やはりこういう、覚えておかなくちゃいけない、だけれども、覚え切れないし、またそのことによって悪用されるとか、いろいろなケースということも想定される。
私は、数字あるいはナンバーで物事を管理していくことの効率を追求することは非常に賛成です。でも、一方では、そこでのセキュリティーといえばいいか、安全をどう同時に担保していくのか、このことについても非常に重要な配慮が必要だなというふうに感じております。
お聞きしたところによりますと、このマイナンバーカードにおいても、英数の六桁、それから、また別途、四桁を三パターン入れることができて、そしてそれ以外にまたセキュリティーコードもあって、そして本体のマイナンバーですか、そういうことを言うと、本当に数字で埋め尽くされているようなカードなわけですわ。でも、それがさまざまなことのために必要だということも理解できるし、だけれども、そこが大丈夫なのかなという不安も私はスタート前に思うところでもございます。
その上で、こういう制度自身をやっていくときに、根本的に国民の皆さん、私もそうですが、不安に思うのは、やはり個人情報だと。きょうの委員会に少し出ておるだけでも、当然、特定個人情報という言葉があるわけですけれども、非常に重要なものをカードの中に入れて扱うわけですね。そうなったときの漠然とした不安といえばいいか、あるいは過去にもそういう個人情報というものが大丈夫ですよと言われていながらも問題が起こっているというのが現実の今の社会ですから。
改めて、この制度をやっていくに当たって、さまざまなそういう不安といいますか、こういうものについての、本人自身が自分の情報というものが自分のコントロール下に置かれているかということをきちっと確認しておくべき、仕組みはあってしかるべきと思うんですが、そこが何か、どのように制度として準備されているかをお聞きしたいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー制度におきましては、法律に従った部分だけに限りますが、マイナンバーつきの情報を、例えば市町村の所得情報を年金の保険料の減免に使うというふうに、情報をやりとりする仕組みになってございますが、そのやりとりのログを本人がパソコンから、マイナポータルという形でポータルサイトをつくりまして、そこに公的個人認証でログインしていただくことによりまして、自分のログを見られる、要するにどこからどこに自分の情報が移ったかというのが見られるような仕組みを整備しておるところでございます。
○吉田(豊)委員 このマイナポータルというものを実際に私は見ていませんので、どういう形で運営していくのか、その使い勝手のこともあるでしょうし、このあたりになってくると、本当に年配になってこられた場合は、では、そういうこと自身をまず覚えられるのかという問題ですとか、マイナポータルで見られますよと言われても、それは何ですかから始まるわけですね。
だから、こういうことが今回のマイナンバー制度というものが始まるときにきちっと用意されていますよということと、そういうことの情報自身が悪用されないようにということも含めて、丁寧な周知ということを改めてここでお願いしたいなというふうに考えます。
今ずっと取得についての疑問を聞いてまいりました。今度は、来年の一月からということです。
私は、地元で、十何年ほど前ですけれども、小さな有限会社をつくりまして、その会社を経営してまいって、本当にうまいこといかなかった会社なんですけれども、ただ、中小零細の企業の経営者とすれば、雇用関係についてもさまざまな手続とか仕事とかというのがあることは実体験しておる人間でございます。
その上で、今回のマイナンバー制度というものは、さまざまな手続の簡素化ですとか利便性、こういうことが大きな狙いにあるというふうにお聞きしますので、ここについて少し確認していきたいと思います。
まず、会社の雇う側からすると、一人の人間を雇うときに、当然、雇用保険があったり健康保険、年金、それから先々には源泉徴収票の発行ですとか、いろいろそういう作業があるわけですけれども、こういうことについて今回のマイナンバーというものが役に立つということをお聞きするんですが、それは具体的にどういうことなのかを説明いただけますか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
今先生が御指摘になりましたような、例えば源泉徴収の書類あるいは社会保険の書類等をマイナンバーつきで提出することによりまして、まず名寄せが可能になってまいります。名寄せが可能になった上で、まず税の分野ですと、例えば不正な控除等が防げるとかいう、税の公平性に資するというのがございます。それから、社会保険につきましても、例えば年金の重複が完全になくなるとか、そういう利便性がございます。
そういうふうな、名寄せがあると同時に、情報を連携することによりまして、国民の皆様から見れば、これまで年金の保険料の減免は住民票と所得証明を持ってこい、こういう話になるわけですが、そういうものが必要でなくなる、そういうふうな効果もあると考えてございます。
○吉田(豊)委員 そうすると、マイナンバー制というのが来年の一月から始まるということであれば、雇う側からすれば、もう既にそのことについての準備といえばいいか、知っていなくちゃいけないという状況になるわけでしょうか。
○向井政府参考人 マイナンバーをつけて出していただく、その態様によるのではないかと思っております。
それで、大きな会社で全てもうシステムに入っている、しかもカスタムして、つくり込んであるようなシステムにしている場合は、既に改修する必要があるのではないかと思っております。それらにつきましては、昨年かなり広報いたしまして、大企業につきましてはおおむね一通り一巡したのではないかなと。
さらに、小さい中小になりますと、もちろんシステムは使っておりますが、いわゆるでき合いの、よく宣伝しているようなシステムを使っている場合は、そういうシステム業者が対応して配付するはずでございますので、それは大丈夫であろうと。
もっと小さな、実際、紙でやっていますみたいな、その人は、システム対応は要りませんので、まさに、そういう書類を出すまでに従業員からマイナンバーを確認していただく、そういうふうなことでございます。
要するに、それらの態様に合わせて適時適切に広報してまいりたいというふうに思っております。
○吉田(豊)委員 特に最後のところの、大企業、中企業、そういう連絡が行きやすいところはいいんですけれども、本当に中小零細というところにしてみますと、やはり、せっかくのマイナンバーというものがあって、それをぜひ使ってもらわないと、なじんでもらわなくちゃいけないし、それを会社の経理ですとかさまざまなことについてもやはり生かしていかなくちゃいけないということだと思うので、周知というのは非常に重要だなと今思います。
雇われる人自身は、もちろん、マイナンバーというものが誰であろうと雇用者からすれば必要ですから、番号を出してくれということになると思うんですけれども、これは、今ほどの手続の幾つかは家族とかもかかわってくるわけですよね。こういうことについても、マイナンバーというものは雇用者側が集めてくれという話になるわけですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
被扶養者が関連するような調書、届け出書が幾つかございまして、それらの場合につきましては、大抵の場合は、従業員に家族のマイナンバーを書いていただいて、それを会社側へ提出するというスタイルになろうかと思っております。
ただ、三号被保険者の届け出、これは一回だけですけれども、これだけは会社が本人を、要するに三号被保険者そのものを確認する必要がございますが、実際に会社に来ていただくというのは無理なことがございますので、むしろ代理を使っていただくというふうなことも考えられるというふうに考えております。
○吉田(豊)委員 先ほどの答弁でも少しいただきましたけれども、結局、雇う側からすると、全て雇う側が雇われる人の情報、マイナンバーですね、それについて直接管理するところから、やはり委託したりとか、当然、その業務については回していくということ、これはあるわけです。
そのときに、マイナンバーというもの自身は、見えるということが特徴でしょうけれども、でも、見せてはいけないという部分もあってという、この両方のところの、守らなくちゃいけない情報だから、特定情報だからと、この部分をきちっと関係する人たちに対して、重要な個人情報なんだよ、だから、そのための特段の配慮というものが必要だぞということについてどのような配慮がされている、あるいはその指示、指摘がされているのかということを確認したい。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバーにつきましては、通常の個人情報よりも厳重な安全管理措置が必要というふうに法律上なってございまして、これらにつきましては、特定個人情報保護委員会がもう既にガイドラインをつくりまして、その広報資料も多数、いろいろなパターンでつくっているところでございまして、私ども内閣官房と一緒になって企業にそういう広報をしているところでございます。
先ほど申しましたように、大企業は一通り一巡したのかと思いますが、先生御指摘のような零細につきましてはまだまだかなと思っておりますので、さらに、例えば税理士ですとか社労士ですとか税務署、末端と連携しながらやっていく必要があるのかなと。
これらの安全管理義務につきましても、大企業のような大量に持っているところと、中小のようにわずかに、例えば、場合によっては紙で持っているところとはやはり違いますので、それらにつきましても、管理の態様は、やはり中小は中小の実態に即したガイドラインをつくっているところでございます。
○吉田(豊)委員 このマイナンバー、やはり今お聞きしても、来年の頭にはもう始まる、そして、それについて理解した上で、その情報、マイナンバー自身を扱っていかなくちゃいけないという現実というか、現場がそうなっていくわけですから、改めてこの周知というものをしっかりしていただきたいと思うんです。
例えば、いろいろな広報の仕方の一つとして、中小零細であっても、当然、金融機関とかそういうところには行くわけですよね。そのときに、ポスター一つがあって、マイナンバーが、いついつからこういうのが始まって、これが必要なんですとか、こういうような意味での広報ということもぜひやったらいいと思うんですけれども、そういうことの検討はもうなされておるんでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
先生の今の御指摘も非常に重要だと思います。ぜひ金融機関なんかにも協力を依頼したいと思いますが、そういうふうなあらゆる業界、関係業界等、全ての団体に当たってみまして、できる限り広報に努めたいと思っております。
○吉田(豊)委員 まず、始めるときに、ぜひこれはスムーズに始めていただかないと、今ほどのお話をお聞きしていましても、例えば、雇う側とすれば、通知カードからマイナンバーカードまでスムーズに進んだとしたときに、カード自身を持ってこられるとかという話もあると思うんですよね。そうなったときに、では、それが悪意が入ったときには、今度は、そういうカードを間違った使い方という可能性だって、最初はやはりわからないわけですから、どれだけ重要なものかということとか、それから何が入っているものかとか。こういうことについても、さまざまなケースとかを想定されると思いますけれども、早目早目の周知、そして、その取り扱いについてのしつこいくらいの説明というものが必要じゃないかなというふうに感じるところです。
最後に、今度は、このマイナンバーの利用の方向のところですけれども、副大臣の方から、四番目ですね、正確な所得の把握という項目も頂戴しました。これは確かにそのとおりで、私、財金の方におりますので、こういう個人の資産ですとか、それからストックも含めて、ストックについては重徳さんの方で質問していらっしゃいましたけれども、こういうようなものをどう把握していくかということ自身が、このマイナンバーというものの今後の使い方とすれば非常に重要なポイントだろうとも感じています。
その中で、改めて、預貯金口座にマイナンバーを付番していくという考え方の狙いを説明していただけますか。
○山口国務大臣 今回の改正法案に盛り込みました預貯金口座へのマイナンバーの付番、これにつきましては、先ほど西村副大臣の方からもお話がございましたが、社会保障制度において所得や資産を適正に把握する観点、あるいは適正、公平に税務を執行する観点等、また、利用者の方々にとっては、例えば金融機関が破綻したときに、しっかりとその保証といいますか、預金保険機構がしっかりとその機能を果たすことができるかとか、あるいは激甚災害のときにスムーズな支払い等々ができる等々、そういったメリットもあるわけでございます。現行法で認められております資力調査とかあるいは税務調査の実効性を高めるというふうなことを主たる目的としておるわけでございます。
○吉田(豊)委員 そのお考えは私もそうだろうと思いますし、それをどう進めていくかということなんですが、スタートの段階からは、これは任意ということですよね。その中で、私自身も、通帳に番号を振る、それを管理できるようにするということは、まあ、言葉は悪いですけれども、人の財布をのぞくなじゃないですけれども、そういう感覚というのはやはり一般の方は当然持っていることでもありますでしょう。
一方では、最初からきちっと、マイナンバーを導入するに当たって付番していくぞということを義務化していけば、もっと認知度も高まっていった可能性はあるんじゃないかなと思うんですが、これについて、最初はそうしていないというのはどのような判断からかを確認したいと思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
まず、義務化が比較的容易なものは新規口座でございます。一方で、既存の口座というのはなかなか義務化するのは無理があるのかなというのがございます。それから、そういう意味では、将来的にどうするかというのは今後検討するにしても、少なくとも、今大臣の御答弁いたしましたような目的からすれば、よりそれを進めていくというのは、当然、そっちの方向になるのではないか。
そういう中で、やはり、マイナンバーになれていただくということも含めて、無理なく預金の口座にひもづけるためには、まず義務をかけずに使えるようにしてみたらどうかと。その利用状況を見まして、附則でも見直し規定がございますが、随時適切に見直す必要があるのではないかというふうに思っております。
また、そのための、メリットをどうするかとかというのも御議論はあろうかと思いますし、特に既存の口座についてどうやってやっていくのかというのは方法論的にも非常に難しいものがございますので、これらについても検討を進めたいというふうに思っております。
○吉田(豊)委員 そして、具体的には、今おっしゃった、新規口座開設のときが一番それをやりやすいわけですけれども、それは、来年の一月からもう、マイナンバーをつけてと言ったらつくんですか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
もちろん、義務化はされていませんが、基本的にはマイナンバーを書く欄を、申込書に書いていただくというのが一番望ましい形かなというふうに思っております。
その上で、既存の口座につきましては、もちろんつけるということは可能でございますので、何らかの形でつけていただくというのが一番望ましいのかなというふうに思っております。
○吉田(豊)委員 幾つかお聞きしてまいりまして、これをやるということに当たって、私は、最初に西村副大臣がおっしゃった四つの狙いについて、きちっと実現していくために、まず最初にマイナンバーとマイナンバーカードについて国民の皆さんになじんでもらうというか、親しんでもらうというところがスタートだろうと思います。そういう意味での、半年後にもう始まるわけで、その周知ということからすれば、しつこいですけれども、私も当然地元での消費者であり、あるいは経営者であるというところからすると、知らないというのが私の現実でした。ですから、これを改めて、もう時期が迫っていて、これが実際に動き始めるんだぞというところの周知をお願いしたいというふうに思います。
これをやることによって、私は、先々の狙いとして、やはりさまざまな行政サービスについてのスリム化といいますか、コストを省く、そして効率よくしていくという、非常に大きな行政改革の狙いも、意味もあるんじゃないかなというふうに感じるわけです。そうなったときに、当然、これは初期投資があって、その上に最終的にはどれぐらいの大きさの規模の効果を狙っているかという話が、数字で言うのはいいかどうかわかりませんけれども、あると思います。
改めて、今回のマイナンバーの制度をやっていくに当たっての初期投資のコストの部分、それから、この変化によってどれぐらいの規模の削減といいますか、いろいろなものの効果を狙っているのかということについて、大臣にお聞きしたいと思います。
○山口国務大臣 このマイナンバー制度、これによりまして、先ほど来お話がありましたように、行政の効率化とか、あるいは国民の利便性の向上、公平公正な社会の実現、これに寄与するものであるんですが、効果のうち、定性的なものにつきましては検討過程からお示しをしているものの、定量的な効果を含むものにつきましては、平成二十六年六月三日に政府の第六十四回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部における甘利大臣資料として、マイナンバー制度の効果をお示ししておるわけであります。
一つには当面の効果、そして、職員の業務変更、業務そのものの見直し等を実施することによって得られる効果、そして、制度を見直すことにより見込まれる効果、それぞれ定性的な効果に加えまして、平成二十六年六月三日の時点において試算をすることができるものに限って、一定の前提を置いた粗い試算を行った定量的な効果もお示しをしておるところでございます。
○吉田(豊)委員 ありがとうございます。
何でも、やはり変化していく、それから仕組みというものに手をつけるときにはコストがかかるというのは当然のことだと思いますし、それから、改めて得られるものは大きいということ。
そして、戻りますけれども、やはりこの制度というもの自身が、非常に重要な個人の情報を扱うというセンシティブな、また、これは本当に一歩間違えば大きな個人の侵害とか被害とかにもつながっていく部分でございますので、このマイナンバー制度の導入についての、改めて、やってみなくちゃわからない部分があるのは当然そうだと思いますけれども、そのときにきちっとした対応ができる、そういう準備も整えていただきたいということをお願いして、私の質問とさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 それでは、私からは、先日の参考人質疑で大変有益な貴重な提言がありましたので、それに関連しての基本的には大臣のお考えなり対処方針を御質問させていただきたいと思います。
その前に、午前中の質疑で泉委員から、個人情報保護委員会の委員にIT技術に詳しい民間企業の出身者をぜひ強く要望したいという話がありましたけれども、私も同じ思いでございますので、加えて私からも強く要望させていただきたいと思います。
それでは、先日の参考人質疑で、私の質疑に対していろいろお答えいただいた中で、最も時間も割いてお聞きをした、そして、きょうの午前中に高木委員それから泉委員からも同様の指摘があった問題で、名簿屋対策、条文でいうと二十五条、二十六条、それから罰則が八十三条というところがございます。
ここが、大臣にもう一度、私からも御説明したいんですが、もともとは、大綱といいましょうかパーソナルデータ検討会の段階では、個人データベース等という定義は、要するに個人データの集積ですから、いわゆる名簿、たくさん集まった名簿を第三者に提供するときには記録をとりなさいとか、そういう義務があった。しかし、法制局で恐らく議論があって、答弁の中にもありましたけれども、脱法的に一個一個を抜き出して第三者提供する場合であったって、それはやはり問題が生じるんじゃないかということで、もともと名簿だったものが、一個一個の個人データを一個提供するだけでも記録をとらなければならないという問題が生じるのは、これは規制が行き過ぎじゃないか、過剰規制じゃないかということを私は問いました。
四人の参考人からは、それぞれ、長田参考人は、例えばこういうことを言っています。
長田さんは地婦連という連合会の事務局次長ですけれども、例えば、いろいろな県の連合体ですから、県の会長の住所を教えてくださいという問い合わせが誰かからあったときに、その住所を教えただけで、例えば口頭であるいは電話で連絡先を教えただけで、それでも記録をとらなきゃいけない、誰に教えたのか、いつ教えたのかとか、そういった記録をとらなければならないというのは、これはちょっと行き過ぎじゃないか、よくわからない状況だというようなお答えがありました。
あるいは、IT企業の寺田参考人からは、やはりこういったものが、ネット上のサービスというのが、海外の企業に対してそういったことが現実的に可能かどうか、そういったこともぜひ詰めてほしいという話がありました。
それから、宇賀参考人と坂本参考人、お二人は法律の専門家でございますが、お二人からは、そもそも個人情報保護法の中で名簿業者を規制するというのは難しいんじゃないかと。ですから、しっかりとまずは実態調査をして、名簿屋規制そのもの、業として規制することを検討してほしい、そういうお答えがございました。
この四人のお答えを聞いて、大臣としてどのようにお考えになり、そしてどのような対処をされるおつもりか、お聞かせください。
○山口国務大臣 私も、ざっとではありますが、参考人の皆さん方のお話の議事録も拝見しております。
今、高井先生からお話がございました参考人の方々の御意見でありますが、トレーサビリティーの確保の必要性についてはそれぞれ御賛同いただいておるということだろうと思うんですが、その対象が、個人情報データベース等ではなくて、個人の個人データとしておるために事業者に過度な負担がかかるのではないかというふうな御懸念であろうと思うわけです。
ただ、これはもう先生も御案内のとおりで、現在のインターネットの社会におきましては、漏えいした個人情報、これがもう瞬時に広範囲に拡散をしてしまう。そして、非常に取り返しのつかないようなことになってしまうというふうなことで、たとえ一人分の個人データであっても保護する必要があり、現行法も、基本的には保護対象を個人データというふうにしておるところでございます。
いわゆる名簿屋等に関しましても、個人情報データベース等に該当しないような形にして、いわば小出しですよね、そういった格好で流出をさせるような脱法行為も防止をして、しっかりとトレーサビリティーを確保する必要があることから、適切な保護を図るために個人データというものを対象にする必要があろうと考えておるわけであります。
また、これは事業者への過重な負担になるのではないかというふうな御懸念もごもっともでありますので、これは丁寧に対応していくということなんだろうと思います。例えば、具体的には、記録の作成が必要になる場合における具体的な記録の作成の方法とか記載事項につきましては、これは個人情報保護委員会の規則で定めるというふうなことにしておりますが、この規則の策定に当たりまして、事業者の負担にはもう最大限に配慮していって、事業者の意見もしっかり丁寧に聴取をしながら検討していく必要があるんだろうと思っております。
○高井委員 個人データにした法の趣旨というのは理解はできるんですが、しかし、法律を厳密に突き詰める余りに過剰な規制、過剰な負担になってはいけない。それは、事業者というと、皆さん、企業を思い浮かべるかも、中小企業とか零細企業が大変なのかなと思うかもしれませんけれども、これはもう、例えば町内会とか、あるいは一人の個人商店、八百屋さんとか、そういう人であったってやはり対象になるわけでございます。
長田さんだって、連合会の中の名簿、連合会も対象になり、その名簿を誰かに一人だけでも教えただけで記録を残すということは、それはやはり幾ら何でも行き過ぎじゃないかということなので、政省令でそれを配慮するという大臣の御答弁は理解しますが、しかし、本当に具体的にそれはどうやって配慮できるのか、もうちょっと具体的にお聞きかせいただかないとちょっと不安な面が多いので、これは向井審議官で結構ですので、お答えください。
○向井政府参考人 お答えいたします。
具体的な作成法、記録すべき事項等は、個人情報保護委員会規則で定めるということになってございます。
これらについて定めるに当たりましては、当然、関係する事業者からの意見を踏まえて内容を精査する必要がございます。例えばでございますが、記録の作成方法につきましては、書面または電子データのいずれでもよいものとし、さらに、別途特別に紙ファイルやデータベースを作成しなくても、年月日、提供の相手方等の記録すべき事項がログやIPアドレス等の一定の情報を分析することによって明らかになる場合には、その状態を保存すれば足りること。あるいは記録事項につきましても、年月日の記録につきましては、一定の期間内に特定の事業者との間でどのような個人データの移転をさせていたかを包括的に記載されるものとしまして、個々のやりとりに関する詳細な記録までは求めないとすることなどが考えられます。
なお、先生の御指摘の、電話で一個だけ情報を漏らした場合というのは、提供したその態様、目的等によって、ちょっとケース・バイ・ケースかなとは思いますけれども、典型的におっしゃったようなことにつきましては、そういうことがあるとかというふうな感じの記載でも可とするようなことも考えられるのではないかというふうに思いますので、定性的にそういうことを書くことも考えられますので、その辺につきましても、基本的には事業者からよくヒアリングして、困るというものの中で合理的なものについては、できるだけ耳を傾けて定めていくことが肝要であるというふうに思っております。
○高井委員 もう一度向井審議官にお聞きしたいんですけれども、確認なんですけれども、これはやはり、そういった悪質な名簿事業者のような方を取り締まるというか摘発するというか、防止するということが本意であって、今言った、長田参考人がおっしゃっているように、ある県の会長から地婦連の会長の連絡先を教えてくれと電話が来た、それに対して電話で答えたということの記録を残せというのは、それはそこまでは求めない、そういう政省令を書くということでよろしいんですか。
○向井政府参考人 それがいわゆる個人情報の第三者提供の範囲に当たり得る場合とない場合もあろうかとは思うんですが、基本的には、そういう場合に記録を残すというふうなことまで求めることはないのではないかと。例えば今の事例ですと、地婦連の中で地連とのやりとりが一年に数回ありますということの記録があればいいのではないかというふうな感じがいたします。
○高井委員 なるほど。
前段でおっしゃった、ログなんかでオンライン、ネット上はいいよというのは非常にありがたい、IT企業の皆さんなんかは、もうそれで安心して、喜んでいるわけですが、まさに長田さんのような個人のケースで、そこは本当に、一件一件報告を求めるなんというのはナンセンスだし、年間何回あったかとかいうのも、一回だけ聞かれて一回だけ答えるというケースもあるんじゃないかと思うので、私は非常に、ちょっと法律的にどうなのかなと。私だけじゃなくて、法律の専門家の方からもそういう指摘をいただいているんですけれども。
ここはぜひ、政省令でしっかりやるというふうにおっしゃっていただいて、大臣もちょっとよくここを、本当に大きな問題だと、この個人情報保護法をずっと検討してきたパーソナルデータ検討会の専門の委員であった法律学の専門家の方から何人か御指摘いただいている点で、泉委員も、それから高木委員も心配して、何度も確認している点でございますので、ぜひここはしっかりと対応していただきたいと思います。
それでは続いて、同じ参考人質疑の中で、寺田参考人から、マルチステークホルダープロセス、いろいろな方の意見を聞いて、しっかり政省令をつくってくださいという指摘の中で、私からの問いかけに対して、マルチステークホルダープロセスの自主規制ルールの枠組みの創設ということを提案されていたので、では、具体的にどんな枠組みだったり、どんな政府からのサポートが欲しいんですかという問いをしたところ、いろいろ答えられたんですけれども、まず一つは、やはりマルチステークホルダーで考えていく指針というものを、その上位に来る委員会規則の中にどんどん組み入れていく、そういうことをぜひやってほしいということ。
それから、委員会が本来行うべきことの一部を、認定個人情報保護団体にもそういった一定の権限を持たせてほしいということ。
あるいは、いろいろな課題が発生したときに、いきなりその企業、事業者に対して個人情報保護委員会が直接指導するのではなくて、認定個人情報保護団体というのをせっかくつくるわけですから、そこを介して対応する。これは、欧米なんかでもそういう仕組みがあるそうでして、逆にそういったことがないと、認定個人情報保護団体なんて誰もならないんじゃないか。今四十一あるのを、ふえていくと思うんですけれども、そういうインセンティブもないんじゃないかという話。
あるいは、支援という点については、消費者団体の中で、こういうICTの知識にたけた方が少ないので、そういった方を育てていくような支援というものもぜひやってほしい。
こういったことを言われたんですけれども、こういった点について、大臣のお考えや対処の方針をお聞かせください。
○山口国務大臣 その前に、先ほど御指摘いただいた、ある同じ会の会長さんの名前を教えたら、これは記録しなきゃいけないのかというお話は、若干、向井さんの答弁にも入っておったんですが、恐らく、個人情報の第三者提供には当たらないのではないか。恐らく、公的な立場の方々のリストというのは、本人の同意のもとに結構出ていますから、そこら辺はそういった点でクリアできるのかなと思いますが、いずれにしても、個々対応とは申しませんが、しっかり丁寧にやっていく必要があろうかと思います。
今の、指針を作成するインセンティブ、これに関しましては、今回の法案におきましては、個人情報保護指針を個人情報保護委員会に届け出をするというふうなことになっております。指針の内容を国の施策に反映するというふうなことが一つ可能であるということですね。
それから、認定団体の権限を強化するというふうな観点から、指針を委員会に届け出ていただいた上で、これを遵守させるための指導、勧告等の措置、これは実はこれまでは努力義務だったんですが、これを義務へと強化しております。これによって指針の実効性がより確保されていくために、認定団体に参加をして指針を遵守する事業者への国民の信頼もより高まってくるというふうなことも期待されますし、そういったことで認定団体に対するインセンティブというのは結構あるのではないかなと思っております。
さらにまた、認定団体に個人情報保護委員会の一定の権限を移譲するというふうな御意見もございましたが、これはもう御案内と思うんですが、我が国の法制上、いわゆる法違反を是正するための行政権限の行使、これは行政機関が行うことというふうにされておりまして、実際にも、個人情報保護委員会が一元的かつ迅速に対応することが相当であろうと思っております。
そもそも、認定団体による適正な指針の策定及び監督、これがしっかりと行われれば、個人情報保護委員会による行政権限の実際の行使までいく必要が実はなくなるわけですよね。そういったことからも、認定団体の重要性というのは十分あるのであろうと思っております。そういったことで、行政権限の移譲まで行うということは適当ではないというふうなことであります。
また、マルチステークホルダープロセス、この実施のための支援というふうなことでありますが、事業者及び消費者の意見を代表する方々にとって過度な負担とならないための工夫等につきましては、政府としても、しっかりと必要な情報提供とか普及啓発に努めてまいりたいと思っております。
○高井委員 それでは、同じ寺田参考人に対しての私の質問で、実は、五月八日の内閣委員会で私が山口大臣に質問をしましたところ、匿名加工情報の加工方法につきまして大臣から、委員会規則において、必要最小限、例えば、氏名を削除するとか、住所の市町村以下を削除するとか、生年月日を年代に置きかえるなど、最低限の規律を定めることとしていますという答弁だったんですが、事業者としてはそれで問題ないですかと聞いたところ、寺田参考人から、この答弁で決められてしまうと、非常に大きな問題になると考えていると。
例えばということで、例えば市町村を削除といっても、東京を対象にしたビジネスの何かアンケートとかやって、東京都とくくられても何の役にも立たないとか、あるいは、ファッション関係で何か分析しようと思って、二十代、三十代、四十代とくくられても、もうほとんどファッションの対象は二十代の人だったみたいな。
そうすると、やはりどうしても、対象の大きさ、ここによって大きく変わってくる話なので、一概にそういう、市町村で削除とか、生年月日を年代に置きかえるとか、それではだめじゃないかということを答えられているんですけれども、それについての大臣の見解をお伺いします。
○山口国務大臣 これは、この規則におきましては、基本的には、特定の個人を識別することとなる項目を削除することぐらいのことを実は考えておりまして、氏名の削除云々というのはあくまで例示として申し上げたわけで、例えば、詳細な項目を一定のまとまりや区分に置きかえることというような、いわゆる一般的な手法を定めるというふうなことにとどめておきたいというふうに思っております。
今、高井先生お話しのとおりで、いわゆる認定個人情報保護団体において、それぞれいろいろな事情がおありになろうと思うんです。それぞれの中で具体的には決めていただくということで、再度申し上げますが、私の答弁においては、今申し上げた一般的な手法の具体的な加工イメージの例として氏名の削除とか生年月日云々というふうなことに言及をしたものでございまして、個々のケースにおける加工イメージにつきましては、おのおののサービス等の特性とか、取り扱う個人情報とか匿名加工情報の内容、これに応じて企業等の自主的なルールに委ねるというふうなことにしておりますので、寺田参考人の御懸念のようなことは、規則において具体的な内容を定めることは想定をしておりません。
○高井委員 それでは、最後にもう一問。
長田参考人にお聞きした意見で、これは私の持論なんですけれども、今回の個人情報保護の審議なんかを見ていても、消費者代表の方の意見というのは長田さんのような方が代表されて、長田さんはICTに大変お詳しいのでそれでもいいんですけれども。ただ、長田さん本人も認めていましたけれども、やはりライトユーザーだけじゃなくてヘビーユーザー、いわゆるネット世代と言われる、こういった方々が一般的にどう使うかという意見をもっと代表する消費者代表というのを、やはり審議会なりそういった検討会の場にも入れるべきだし、なかなかそういう人が見つからない、そういう団体がないということで、そういった人を育てていくということも重要な役割じゃないかということを長田参考人もおっしゃっているんですけれども、その点についての大臣の御見解をお願いします。
○山口国務大臣 これはお話しのとおりでございまして、まさに幅広い皆さん方からしっかり意見を聞くということが大事でありますし、インターネットの利用状況、年代あるいは地域によって大きな格差がございます。例えば徳島はかなり低いんですけれども、私の地元は。
そういった、いろいろな意見を集約した御議論を賜るというふうなことになってくるわけでありますから、今回の改正によって策定をする政令とか規則、ガイドライン、この検討に当たりましても、パブリックコメントを実施するのみならず、各種検討会、シンポジウム等、さまざまな機会を設けて、今お話のありました、若い世代とか、特にヘビーなネットユーザーを含む、幅広い皆さん方の御意見を聞くように努めてまいります。
○高井委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、池内さおり君。
○池内委員 日本共産党の池内さおりです。
きょうは、最初に、個人情報保護法改正案及び番号制度に関連して、いわゆる性的マイノリティーの方々、とりわけ性同一性障害の皆さんの人権保護、個人情報保護の問題について質問したいと思います。
個人情報保護法改正案では、新たに要配慮個人情報の定義を定め、その取り扱いについてより厳格に定めています。
要配慮個人情報の定義について改正案は、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪歴、犯罪により害をこうむった事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取り扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいうと規定しています。
この新しい定義の意義について、山口大臣にお伺いいたします。
○山口国務大臣 ただいま先生からも若干お話がありましたが、この要配慮個人情報、これに関しては、人種、信条、病歴等々、事業者が正当な理由がなくて取り扱うことによって差別や偏見が生じるおそれがございます。特に慎重な取り扱いが求められる個人情報を、今回類型化して、特別の規律を設けるというふうなものであります。
このような規律を設ける意味合いといいますか、意義というのは、本人の同意を得ない取得を原則として禁止して、かつ、あらかじめ本人の同意を得ずに行う第三者提供の対象から除外をする、その規律を設けることによって、本人の意図しないところで当該本人に関する要配慮個人情報、これが取得をされること及びそれに基づいて本人が差別的取り扱いを受けることを防止する必要があるというふうなことでございます。
また、日本におきましては、要配慮個人情報に関する特別の規律が法律上設けておられなかったことによりまして、日本の個人情報保護の制度が十分な水準にあるというふうな認定がされませんでした。EUから日本に個人情報を移転することが制限をされておったということもございます。
そういったことから、個人の権利利益を保護しながら、国際的にも整合性のとれた規律とするために、要配慮個人情報の規律というものを設けることにしたわけでございます。
○池内委員 先日、参考人として意見を述べられた宇賀参考人は、ジュリストの鼎談の中で、要配慮個人情報について、情報の性質に着目してカテゴリカルに定める場合と情報が取得、利用されるコンテクストに着目する場合があると指摘し、続けて、「一般的には機微性に欠ける個人情報であっても、コンテクストによっては、きわめて機微性が高くなることは、ストーカー被害者にとっての住所情報を考えれば明らかです。カテゴリカルな機微情報の法定が、それ以外の情報が機微情報たり得ないことを意味するわけではないことには絶えず留意する必要があると思います。」と指摘をされていました。
基本四情報とされる住所情報も、ストーカー被害者あるいはDV被害者にとっては機微性が高くなる。基本四情報とされる性別の情報も、きょう私が取り上げる性同一性障害者を含むトランスジェンダーと言われる、性別に違和感を感じている人々にとって、とても機微性が高くなる問題だと考えます。
今回の改正案において、要配慮個人情報の規定に含まれない個人情報で、一般的には機微性に欠ける個人情報であっても、コンテクストによっては極めて機微性が高くなる場合があるということは明らかだと思います。こうした個人情報の取り扱いについて最大限配慮し、できることを進めていくことが、とりわけ行政機関には求められていると思いますが、山口大臣はどのようにお考えですか。
○山口国務大臣 私も先生のおっしゃるとおりであろうと思います。
実は、私も、この要配慮個人情報の府内の議論のときにも、こういうことはどうなんだということでコンテクストの一例を挙げて議論をしたわけでございますが、要配慮個人情報の取り扱いというのは、原則として本人の同意を必要とするなど、他の個人情報に比べて規律を強化するというふうなことになるために、事業者が萎縮をし、過度な負担とならないように、要配慮個人情報の類型というのは、差別や偏見等の原因となり得るものを、憲法の規定とか他の規律を踏まえて限定的に規定をするということが必要だとは思います。
ただ、他方、仮に要配慮個人情報に該当しないものであっても、その内容によっては、不適切な取り扱いによって権利利益侵害が明らかに生じるということは想定をされますので、事業者において状況を踏まえて慎重に取り扱わなくてはならないということは当然と考えております。
この点、先般の参考人質疑でもお話が出ておったようでございますが、要配慮個人情報にされなかったことで、配慮は要らないと反対に解釈をされるべきではないというふうな御認識があったようでございますが、これは私もそのとおりだろうと思っております。
したがいまして、そのような誤解が生じないように、今後、要配慮個人情報の内容や規律を設けた趣旨について周知する際にはしっかりと留意をしてまいりたいと考えております。
○池内委員 同じ質問を副大臣にもお聞きします。
○西村(康)副大臣 山口大臣がお答えになったとおりでありますけれども、一般的に機微性が高くない個人情報であっても、その内容によっては、不適切な取り扱いにより権利利益侵害が生じ得ることが想定されるものもありますので、そのような個人情報の取り扱いについては、必要かつ可能な限度で配慮すべきものと考えております。
○池内委員 一般的には機微性に欠ける個人情報であっても、コンテクストによっては機微性が高くなる、そして配慮が必要だという御見解でした。
私は、基本四情報とされる性別も、先ほど来指摘しているように、性同一性障害者を含むトランスジェンダーと言われる、性別に違和を感じている人にとって機微性があると考えます。
そもそも、性同一性障害については、その性別の記載に関して特別法がありますが、その認定要件などには議論があるところで、きょうはその議論は行いませんが、特例法がつくった枠に当てはまらず、性同一性障害であると認定されていない人の中にも、性別に違和を感じている人々は相当数存在しているということは私は指摘をしておきたいと思います。
続けて、法務省にお聞きします。
性同一性障害には強い偏見と差別があり、その人権保護は政府にとっても課題となっています。この点について説明をお願いします。
○岡村政府参考人 性同一性障害とは、生物学的な性、すなわち体の性と、性の自己意識、すなわち心の性が一致しないため社会生活に支障がある状態であるとされております。
性同一性障害に関しては、体の性と心の性との食い違いに悩みながら、周囲の心ない好奇や偏見の目にさらされたりして苦しんでいる人々がいるものと承知しております。
内閣府が平成二十四年八月に実施いたしました人権擁護に関する世論調査によりますと、性同一性障害に関し、現在どのような人権問題が起きていると思うかとの質問に対する複数回答として、職場や学校などで嫌がらせやいじめを受けるとの回答が三二・六%、就職、職場で不利な扱いを受けるとの回答が二八・八%、差別的な言動をされるとの回答が二八・一%などと複数回答でなっております。
○池内委員 今法務省がお示しくださったように、性同一性障害の人々は、社会の中で偏見の目にさらされて、場合によっては昇進を妨げられたりするなどの差別を受けてきました。根強い偏見や差別がある。性別を知られることによって不利益を受ける可能性がとても高い。当事者を含む市民の運動の中で、性別記載を削除する地方自治体もふえています。国においてもこうした配慮が始まっています。
厚労省にお聞きします。精神障害者保健福祉手帳の性別記載はどのようになっていますか。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
精神障害者保健福祉手帳は、精神保健福祉法施行規則において定められました様式に氏名、住所、生年月日、障害等級等を記載することとされておりますが、性別欄につきましては、性同一性障害の方への配慮から、これは、まず平成十八年より同欄への記載は任意とするような運用を行ってきたところでございます。
その後、そうした中で、平成二十五年に、やはり性同一性障害の方々の団体から性別欄の削除について御要望がございまして、これを踏まえまして、平成二十六年の四月より性別欄を削除したものでございます。
○池内委員 では、続けて、健康保険証の性別欄についてもお聞かせください。
○武田政府参考人 まず、国民健康保険証について申し上げますと、被保険者証における性別の表記方法につきまして、性同一性障害の方からの御要望を踏まえ、平成二十四年九月に、被保険者からの申し出により、やむを得ない理由があると保険者が判断した場合につきましては、戸籍上の性別を被保険者証の表面ではなく裏面に記載できることをお示ししてございます。
なお、この取り扱いにつきましては健康保険などでも同様でございますので、現在、各保険者の判断で適切に対応いただいているものと考えております。
○池内委員 健康保険証は、その健康保険証という性格から、性別を削除することはできないけれども、それを裏面に書いてもよいという方法で配慮されているということでした。
マイナンバー法では、性別を含む四情報が番号カード、通知カードに記載されることが法定されています。番号カードでは性別を表と裏どちらに記載することになっているか、お答えください。
○時澤政府参考人 お答えいたします。
個人番号カードには、番号法上、氏名、住所、生年月日、性別及び個人番号等を記載することとされております。
個人番号カードは、個人番号の真正性を証明する手段であるとともに、個人番号を利用しない手続におきましても広く本人確認書類として活用されるものでありますので、番号法上、個人番号の利用が認められない者が個人番号カードの券面をコピーするなどして個人番号を取得してしまうことがあり得ること、こういったことを考慮いたしまして、個人番号は裏面に記載することとしておりまして、その他の記載事項につきましては表面に記載することとしているものでございます。
○池内委員 性別を記載する必要があったとしても、裏面に記載するなどの配慮は行われましたか。
○時澤政府参考人 さまざま検討いたしましたけれども、先ほど申し上げましたように、個人番号が券面に表記されるということが、これを裏面にすることによりまして、利用が認められない者が不正にコピーすることを避けるということから必要であるということもありますので、現在のような取り扱いをすることが適当ではないかということで、現在決めたところでございます。
○池内委員 番号カードは希望しなければつくらなければいいとしても、その場合は必ず通知カードを提示することが求められるようになります。働いて給料をもらう人は、アルバイトの人も含めて番号の提供を求められ、その際には、番号カードをつくっていない人は、免許証など身分証明をするものとともに通知カードを提出しなければなりません。
その通知カードには性別を記載するということが法律で定められています。性別記載で苦しんで、差別を受けたり不利益をこうむっている人々が、漏れなく性別記載から逃れられない仕組みになっています。裏面に記載するなどの最低限の配慮すら今ないということが明らかになりました。これでは、マイナンバー制度というのは、法務省が指摘するところの、周囲の心ない好奇の目にさらされ、昇進などを妨げられたりするなど不要な人権侵害を引き起こして、偏見と差別を助長するものと指摘せざるを得ないと私は思います。
副大臣の御見解をお聞かせください。
○西村(康)副大臣 大変大事な御指摘をいただいていると思います。
性別を個人番号カードの表面に記載することについて、さまざまな議論があると認識をしております。個人番号カードを健康保険証としても利用することも想定しておりまして、その場合、保険医療の事務として性別の確認を行う必要があるということもございます。それから、今御指摘のあったような点も配慮が必要だということもあると思います。
こうしたさまざまな議論があることを承知しておりますけれども、今後、個人番号カードの用途も踏まえて、性別をカードの裏側に記載するかどうかについて、さらに検討を行っていく必要があるというふうに考えております。
○池内委員 事実の問題として、性別記載に苦しんでいる当事者が各地で声を上げて、国民健康保険証、介護保険証、年金手帳、障害者福祉手帳など、配慮を国も行ってきています。その上で、健康保険証の性別記載というのは、法律事項でなくて省令事項にすぎない。裏面に記載するなどの配慮もしています。
マイナンバー法は、番号カード、通知カードに漏れなく性別を記載することを定めている。しかも、番号カードでは、裏面に記載するなどの配慮を行うことも今後検討だということでしたので、ぜひこれは前向きに進めていただきたいというふうに思います。
もう一つお聞きしたいのは、この性別記載について、そもそも性別を記載することが本当に必要であったのか、真剣な検討が必要だったと思うんですが、その経過を教えてください。法律をつくるときの話です。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー法につきましては、基本的には住基台帳を基本としているということから、基本情報として四情報を書くというふうなことで、性別も書くというふうなことになっております。
○池内委員 番号法案をつくり上げる過程では、住民基本台帳ネットワークシステムと最高裁判決との関係が議論されてきたということは私も勉強させていただきました。
その最高裁判決は、基本四情報について、「秘匿性の高い情報とはいえない。」という判決をしています。でも、だからといって、そのまま基本四情報をオープンにしていいのかといえば、やはり私はそうならないと思うんです。
そもそも、住基ネットの場合、その情報が流れるのは基本的に自治体間のネットワークの中だけです。住民票コードも、いわば見えない番号でした。住民カードも、名前だけで性別の記載のないカードもつくることができるというふうになっていると思います。
ところが、今度は、見える番号として全員に付番されて、本人確認については、これまで性別記載のない運転免許証などでも進めることができたところを、この番号制度のもとでは、少なくとも性別記載がなされた通知カードを漏れなく提示しなければならない。住基ネットワークの判例をそのままマイナンバー制度に適用するには飛躍があるというふうに思います。
実際のところ、最高裁が「秘匿性の高い情報とはいえない。」といっても、これまでの議論で明らかにしてきたように、自治体や厚労省は、性別記載について、秘匿性が高い場合があると。そういうときにはいろいろな配慮を行ってきています。
やはり、マイノリティーの権利に行政が無関心であってはならないと私は思いますので、このマイナンバー法の法案づくりの過程で、ぜひとも今後も真剣な議論をしていっていただきたいと思います。
私たちは、マイナンバー法案に対して、深刻なプライバシー侵害のおそれなどがあるということを指摘して、反対をしてきました。性別記載の問題についても、このまま実施に突き進めば、人権問題をさらに大きく広げることは明らかであると思います。そのことを指摘して、きょうは次の質問に移りたいと思います。
マイナンバー法案の改正に関連して、マイナンバー制度の費用便益分析について質問をいたします。
十三日の参考人質疑で、私は、宇賀参考人がジュリストの鼎談の中で、国民への説明責任を履行するためには費用便益分析を示すべきだとの要求はマイナンバー法案の国会審議でも繰り返し出され、衆参の両院の内閣委員会では、費用対効果を検証した上で予算等を作成することが附帯決議されましたと述べていることを取り上げました。私も当時の議事録を調べてみましたが、党派に関係なく、多くの委員がこの問題を取り上げていました。しかし、結局、費用対効果の試算というのは、法案審議時には政府から提出がされませんでした。
西村副大臣にお尋ねいたします。政府は、この費用対効果の試算あるいは費用便益分析の試算を明らかにしていますか。
○西村(康)副大臣 お答えをいたします。
マイナンバー制度に係る費用便益分析についてでありますけれども、費用に関しましては、マイナンバー制度の導入に必要なシステム開発費用の見込み額等を、現行法の検討過程から、国会質問等を通じてお示しいたしております。
他方、効果に関しては、定性的な効果については検討過程からお示しをしているものの、定量的な効果を含むものについては、平成二十六年六月三日に、政府の第六十四回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部における甘利大臣提出資料として、マイナンバー制度の効果をお示ししているわけでございます。
そのマイナンバー制度の効果では、当面の効果と、それから職員の業務変更、業務そのものの見直し等を実施することにより得られる効果、それから制度を見直すことにより見込まれる効果について、それぞれ定性的な効果に加えまして、平成二十六年六月三日の時点において試算ができるものに限って、一定の前提を置いた大まかな試算、粗い試算を行った定量的な効果をお示ししたところでございます。
○池内委員 昨年六月三日に、甘利担当大臣は、第六十四回IT総合戦略本部において、マイナンバー制度の効果を資料として提出し、現時点で定量的に試算することができるものに限って試算をしましたが、例えば年間で九千百十人分の事務効率化が見込まれて、仮に、このうち、国、地方の税務職員等の効率化分を調査とか徴収等の歳入事務の方に充てますと、年間約二千四百億円の増収効果が見込まれますと発言をされています。
きょうは、そのときの資料を皆さんにお配りをさせていただいています。配付資料としてお配りしてあります。
ごらんいただくと、1当面の効果、2職員の業務変更、業務そのものの見直し等を実施することにより得られる効果、そして、3制度を見直すことにより見込まれる効果の三つに分けてあって、さらに、青色の部分が番号の活用、黄色がカードの活用、赤がマイナポータルの活用とされています。
資料の中段にある、2の職員の業務の変更、業務の見直し等を実施することにより得られる効果の「税・社会保険料の徴収及び給付の適正化」の最初の一番左上のところに、甘利大臣が発言された二千四百億円の税増収が記載されています。この二千四百億円というのは、どのように算出したものでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
マイナンバー制度の導入に伴い整備する情報提供ネットワークシステム等の稼働により見込まれる国、地方の税務職員等の業務効率化分について、二千四百億円の増収効果があるとの試算に当たりましては、まず、当面の効果といたしまして、税務関係事務の効率化として掲げている千九百八十人分の事務について、職員の業務変更を前提に、仮に、調査、徴収事務に充てることとした場合の効率化分に、職員一人当たり見込まれる年間滞納整理済み額一・二三億円を乗じたものでございます。
この一・二三億円は、平成二十三年度の都道府県税の滞納整理済み額である九千五百十二億円を、その徴収事務にかかわる職員数の七千七百十六人で除した額として計算したものでございます。
○池内委員 つまり、都道府県の徴税職員一人当たりの滞納の回収実績一・二三億円を算出し、マイナンバー導入によって、その効率化で浮くであろう税務職員の人数千九百八十人を掛けて、二千四百億円を算出したということでいいですか。
○向井政府参考人 そのとおりでございます。
○池内委員 この式の意味というのは、二千四百億円算出の意味というのは、一人当たりの滞納の回収実績が一・二三億円なので、回収に当たる徴税職員をふやせばふやすほど税収が上がる試算になっています。千九百八十人ふやせば二千四百億円、一万人を仮にふやしたとしたら一兆二千三百億円の税収になる、そういう計算式になっているということでよろしいですか。
○向井政府参考人 どういうふうな表現にするかというのは、なかなかこういうものを出すときは難しいところでございますが、私どもといたしましては、一応、一定の仮定を置くということしか計算のしようはございませんので、現状の一人当たりの徴収額がふえた分もそのまま当てはまっておると仮定した場合につきましてはこういう額になりますという説明のもとに、こういうものを出しているということでございます。
○池内委員 職員をふやせば一人当たり一・二三億円の増収になるというのであれば、そもそも、マイナンバーの効率化と関係なく、職員をふやせばいい話だと私は思うんです。
しかし、現実はそんなことは全くないので、実際のところ、徴税の職員というのは横ばいで推移をしています。マイナンバーの効果として二千四百億円の税収増という甘利担当大臣の説明というのは、ほとんど非現実的な仮定の上に成り立っている、本当に私は絵そらごとではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
地方の税務職員が必ずしもふえていないというのは御指摘のとおりでもございますが、それは、地方の財政的な面、いろいろな面があろうかと思っております。
そういう中で、マイナンバーのこういう、何といいますか、試算を出そうとするときには、当然、こういうものは行政の効率化というのが必ず出てまいりますので、人員の減というのが出てまいります。ただし、その人員の減というのは、人員の減として書いてございますが、その中で、それをどういうふうに表現するか。
そういう場合に、必ず、市町村長、知事の方は、市町村は人が足らない、だから、こういうので浮いたものを別の業務に充てて、ぜひ、サービスの向上あるいは徴税の強化等々に充てたいというふうにおっしゃいます。
そういうふうなことを踏まえまして、仮に、今足らない税務職員の人数を少しふやせば少し税収が上がるのではないかという考えのもとに書いたものでございますが、もちろん、これはあくまで仮定でございますので、こうなるというんじゃなくて、こういうふうな仮定を置いてこういう計算をすればこうなりますという、そういう説明でございます。
したがいまして、この数字を全部足したような効果みたいなものは、この紙に一つも書いてございませんので、そういうつもりでつくったものでは決してございません。
○池内委員 先日、坂本参考人も、職員の人が専念すれば取り立てられるものであれば、職員をふやして二千四百億円を取りに行った方が早いですよね、実際、税金が取れていないのは、例えば、赤字の企業が消費税を払うだけのお金も残っていないから払えません、こういうのがたくさんたまりたまっているはずなんですけれども、そういうところは、行っても取れないですよね、幾ら職員が暇になって取り立てに専念しても無理だというふうに発言されました。
リーマン・ショック、東日本大震災、消費税増税、この間の経済状況の中で、坂本参考人も指摘をした、払いたくても払えないという草の根の庶民の実態を全く無視して、マイナンバーを導入すれば二千四百億円の増収効果があるんだ、こういう試算というのは、私は国民を愚弄するものだと思います。このマイナンバー制度の効果の試算は直ちに撤回をすべきだと思います。
ことしの秋からのマイナンバーの通知を前にして、いまだにまともな費用便益分析を示すことができていないというのは、そもそも巨額の投資に見合う便益がないということを示しているのだ、そういうことを強く指摘して、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、宮本徹君。
○宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。
本法案は、マイナンバーの利用範囲を拡大して、預貯金の口座にまでマイナンバーをつけて、銀行などに管理を義務づけるというものになっております。
まず、お伺いしますけれども、そもそもマイナンバー制度は、国民の側が導入してほしいと望んだ制度なんでしょうか。
○西村(康)副大臣 マイナンバー制度は、より公平公正な社会保障制度、あるいは税制の基盤、そういったものをつくっていくインフラであるということと同時に、情報社会において行政の効率化、そして国民の利便性の向上を実現するための基礎的な基盤、インフラとして導入をするものでございます。
このマイナンバー制度の立案に当たっては、全国四十七都道府県でシンポジウムを開催し、雑誌、新聞等を活用した情報発信を行ってきました。国民各層各界の御理解を得られるように努めてきたところですけれども、平成二十三年十一月の内閣府が実施をいたしました世論調査におきまして、約六割の国民がマイナンバー制度は必要だと思うとして、必要だと思わない、これが二七%ぐらい、わからないが一五%ぐらいですけれども、これを大きく上回っておりまして、国民の一定の理解のもと導入されることになったというふうに理解をいたしております。
○宮本(徹)委員 余りいいかげんなことを言ってほしくないんですけれども、番号制度の認知度、そのころかな、二十三年十一月の調査で、内容まで知っているというのは一六%しかいないじゃないですか。内容を知らないのに必要だというのは、いいかげんな聞き方をしたことで、そういう答弁をされたら困るんですよ。
それで、マイナンバー制度導入への国民の懸念というのは何なんでしょうか。
○西村(康)副大臣 お答えをいたします。
マイナンバー制度に対する国民の懸念につきましては、ことしの一月に内閣府が実施をいたしました世論調査において、一定割合の国民が、一つには、個人情報が漏えいすることにより、プライバシーが侵害されるおそれがあること、それからまた、マイナンバーや個人情報の不正利用により、被害に遭うおそれがある、こういったことの懸念を持っているとの結果が明らかになっているところでございます。
一方、政府としては、こうした国民の懸念に対しまして、制度面、システム面の両面から対応措置を講ずることとしているところでございます。
○宮本(徹)委員 一定の方が懸念というよりも、はるかに多い数が懸念を示していると思うんですけれども、この内閣府の調査では、懸念は特にないと言っているのが一一・五%しかいないということですよね。プライバシーが侵害のおそれ、三二・六%、個人情報不正使用により被害に遭うおそれ、三二・三%、国により個人情報が一元管理され、監視、監督されるおそれがあること、一八・二%ということで、国民のかなり多数の方が、これだけいろいろ政府が宣伝してくる中でも懸念を抱き続けているということになっております。
麻生太郎副総理は、二年前に財務金融委員会で、当時の法案について、普通預金にマイナンバーがつかないことについて聞かれたわけですね。こう答えているんですね。
マイナンバーを「適用する範囲、活用できる範囲というものを預金口座にまで広げるというようなことが適当という結論が仮に世論として出た場合、それは必要な法的措置を講ずるということに我々はしていくべきなんだと思っております。」ということで、そのとき、これは入れないのは個人情報の問題だとかの心配があるからだという答えを当時麻生副総理はされているわけですけれども、マイナンバーを預金口座にまで広げることが適当だという国民の世論なんかはないんじゃないですか、大臣。
○山口国務大臣 預貯金付番につきましては、社会保障制度の所得、資産要件を適正に執行する観点とか、あるいは適正、公平な税務執行の観点等から、金融機関の預貯金口座をマイナンバーとひもづけをして、金融機関に対する社会保障の資力調査とかあるいは税務調査の際にマイナンバーを利用して照会できるというふうなことにすることによって、現行法で認められている資力調査や税務調査の実効性を高めるものであるというふうなことから、マイナンバー制度の基本理念に資するものであり、国民の皆様方の御理解が得られるものと考えておるところであります。
○宮本(徹)委員 それは大臣の希望的推測であって、現時点で国民の世論があるのかということに対して、世論があるということは答えられないわけですよね。確認します。
○山口国務大臣 やはり、この制度の骨格といいますか中身が十分周知徹底をすることによって、私は、国民の皆様方の御理解というのは上がってきておるというふうに思いますし、今回のさまざまな議論の中でさらに国民の皆さんの御理解を得ることはできると思っております。
○宮本(徹)委員 順序が逆なんですよ、やることの。法律をつくる順序としては、国民の世論がどうであろうが、つくってから説明して回るんじゃなくて、まず何よりも国民の世論を得るのが大事だというのは、二年前に副総理が言っていたわけですよ。副総理ですよ。その立場に立ち戻るべきだというふうに思います。
もともと、マイナンバーの利用範囲の拡大は、法律の附則では、法施行後の三年をめどに検討というふうにされてきたわけですよ。ですから、法施行前から利用範囲を拡大するのは、この法律の附則にも、そしてこの間の国会答弁にも反しているということを言わざるを得ないというふうに思います。
そして、このマイナンバーを預金口座までつけていこうというのは、大変なコストと労力もかかることになります。政府税調のディスカッショングループの中で、銀行業界から、既存の口座までマイナンバーを付番していくためには一千億円以上のコストがかかる、そして、例えば、三井住友さんでしたか、窓口に来てもらい手続をやってもらったら、顧客二千五百万人にやってもらう、二千五百万口座やろうと思ったら、単純計算して六年かかりますよ、それをやったとしても、住所が変更になっている人だとかいろいろな人がいて、全員に付番することは無理ですよということをおっしゃっておられました。
これだけコストもかかり労力もかかるということが言われていて、なぜ法の実施の前から預金口座にマイナンバーをつけることを焦っているのかと疑問でならないんですよね。
今回、先ほどお話がありましたけれども、預金口座にマイナンバーをつけるのは、適正な資産調査と税務調査のためだということになっております。
私は、主税局の方に、預金口座にマイナンバーをつけるメリットを直接お伺いしましたけれども、言っていたのは、税務調査が迅速になるという話しかなかったわけです。
税務署で第一線に立たれてきた方にもお話を伺いました。結局、口座にマイナンバーをつけたとしても、正確な所得把握というのは税務調査でいえば簡単じゃないんだということを言っていましたよ。脱税するような人というのは、本人名義でない口座がいっぱいあるわけですし、口座の売買もやられている。ですから、正確な税務調査というのは、こういうことじゃなくて、結局、ベテランの税務職員の人海戦術しかないんだということをおっしゃっていました。
ですから、正確な税務調査という点では大きなメリットはないということだと思うんですよね。ですから、こんなものに莫大なコストと労力をかけることは疑問だということをその税務署の元職員の方もおっしゃっておられました。
こうなってくると、一体、三年を待たずに預金口座へのマイナンバーの付番を急いでいる本当の理由は何なのかというのをお伺いしたいと思います。
○山口国務大臣 先ほどの税務調査のお話でありますが、やはり悪質ないわゆる脱税、犯罪につながるような、そういうところもあるんだろうと思います。それはそうなんでしょうけれども、ただ、真面目にやっておられる方々に関しては、この番号付番によって恐らくしっかりした税務調査が進むものと考えております。
今御質問のマイナンバー法でありますが、この附則の第六条第一項、検討規定がございますが、その中には、社会保障、税、災害対策以外の幅広い行政事務でのマイナンバーの利用や民間でのマイナンバーの利用に広げることを念頭に置かれた規定でありまして、今回の改正とのそごは生じないと考えておりますし、預貯金付番につきましても、社会保障制度の所得、資産要件を適正に執行する観点とか、あるいは適正、公平な税務執行の観点等から、金融機関の預貯金口座をマイナンバーとひもづけして、金融機関に対する社会保障の資力調査とかあるいは税務調査の際にマイナンバーを利用して照会できるようにすることによって、現行法で認められている資力調査や税務調査の実効性を高めるために行うものであります。
○宮本(徹)委員 だから、現行法の範囲の税務調査は税務署としてはやれるわけですよ、はっきり言って。それがやや迅速になるだけという話ですよ、今回のマイナンバー制度でできることというのは。税務署は税務署で、国税庁はちゃんとしたシステムを持っているわけですから、それで銀行に照会もしてやっているわけですよ。
それで、五月五日の毎日新聞のマイナンバー特集に、財務省幹部の声としてこういうことが紹介されておりました。「利用範囲が限定されたままでは、マイナンバーは財政を悪化させる要因にしかならない」、こう書いてありました。なかなか率直なコメントだなというふうに思いました。
山口大臣、預金口座にまでマイナンバーの範囲を広げる本当の狙いは、国民の負担をふやして財源を確保する新たなことをやろうとしていることなんじゃないんですか。私はそう思っているんですよね。
まず、ちょっと経過を振り返ってみたいと思いますが、預金口座にマイナンバーをつける議論のこの間の出発点は、税と社会保障の一体改革だったというふうに思います。
番号制度、マイナンバー法案化の前にまとめられた二〇一〇年十二月、社会保障・税に関わる番号制度に関する実務検討会中間報告には、番号制度に期待される効果が次のように書かれておりました。このような番号制度の活用により、所得情報の正確性を向上させることができ、その結果、真に手を差し伸べるべき人に対しての社会保障の充実や、負担、分担の公平性、各種行政事務の効率化が実現できるとありました。
その後、二〇一二年の社会保障・税一体改革関連法で、民主、自民、公明の三党合意により修正されて成立した消費税増税法の七条は、番号制度の本格的な稼働及び定着を前提に、低所得者に配慮する観点から、給付つき税額控除などの施策の導入について、所得の把握、資産の把握、執行面での対応の可能性などを含めさまざまな角度から総合的に検討する、こういう文言が盛り込まれたわけでありますが、これは事実ですよね。
○大家大臣政務官 お答えいたします。
先生御指摘のように、税制抜本改革法にはそのように書かれています。
ただ、御留意いただきたいのは、マイナンバー制度の導入に伴って法定調書等に番号が記載されることによって現状よりも効率化するという点がある一方、導入後も、番号のつかない国民所得やマイナンバーが付されない預貯金口座の存在など、所得、資産の把握には一定の限界は残るものというふうに考えています。
○宮本(徹)委員 事実は確認していただきました。
では、今回、出されているこの法案では、先ほど言った消費税増税法七条に規定する給付つき税額控除の導入に関する総合的な検討、これを反映した内容というのは含まれているでしょうか。
○向井政府参考人 お答えいたします。
含まれておりません。
○宮本(徹)委員 含まれていないということでありました。
そして、この法案について税務面の検討を行った政府税調のマイナンバー・税務執行ディスカッショングループというのがあります。マイナンバーの活用を検討しましたこのグループの中で、最終日に、出席した委員からこういう意見が出たんですね。「番号の活用というのは、そもそも社会保障と税の一体改革という理念から始まったものですので、その具体的な活用例として、消費税の引上げ後の低所得者対策としての給付付き税額控除が、確か消費税の増税法でも記されていると思うのですが、この点に関して記述が全く見られなかったのはどうしてなのか」、こういう意見が出されたわけですね。
ですけれども、この意見というのは、結局、このディスカッショングループの中間整理には全く反映されないということになりました。
ですから、結局、低所得者への配慮である給付つき税額控除については、この間、マイナンバー制度の一番初めに出てきた話なのに、一切検討が行われていないわけですよね。一方で、三党合意で決めた社会保障国民会議の報告書にのっとって、国民の負担をふやす方の検討は着々と進んでいるという状況があります。
きょう、ことしの四月二十七日に財務省主計局が財政審に提出した資料を持ってまいりましたけれども、これを見ると、こう書いています。「全制度を通じ、マイナンバーも活用しつつ、所得だけでなく、高齢者を中心に預貯金等の金融資産も勘案して、負担能力に応じた負担を求める。」とあります。これはどういう意味でしょうか。
○大家大臣政務官 お答えいたします。
医療や介護などの社会保障制度を維持していくためには、年齢や就業先にかかわらず、負担能力に応じた公平な負担を求めることが必要と考えています。
こうした観点から、委員御指摘の四月二十七日の財政制度等審議会では、医療・介護分野において、高齢者に対して利用者負担を求める際、マイナンバーも活用しつつ、所得だけでなく預貯金等の金融資産も勘案して負担能力を判断する仕組みとする必要があるのではないかと提案をさせていただいたところであります。
○宮本(徹)委員 それで、この中の資料を見ると、いろいろな制度がマイナンバーを活用して、金融資産も勘案して負担増をしようという話がいっぱい出てまいります。
例えば、後期高齢者の窓口負担、現在の一割から三割にしようじゃないか。七十歳から七十四歳の医療費の窓口負担、現在、一割から二割に引き上げる最中でございますが、これも三割に引き上げようじゃないか。それから高額療養費の自己負担限度額を引き上げようじゃないか。介護保険の利用料の一割から二割の負担というのは、今現役並み所得ということを言っていますけれども、これも金融資産を勘案して、少ない年金生活者の人も大きく負担してもらおうじゃないか。介護保険の利用者負担の限度額も引き上げようじゃないか。高齢者への負担増のオンパレードが、この四月二十七日、マイナンバーを活用して、出てきております。
山口大臣、お伺いしたいと思いますけれども、結局、預金口座にマイナンバーを付そうとしている本当の目的というのは、全ての高齢者の金融資産を調べて、一定の資産を持つ低年金の生活者にも負担してもらう、一定の資産があれば、低年金の年金生活者の皆さんだって、たくさん、負担増をしてもらうということなんじゃないんですか。
○山口国務大臣 先ほど来のお話というのは、財政審としてのお考えもあるんだろうと思いますが、もう委員も御案内のとおりで、もともとマイナンバーというのは、そういったことではなくて動き出して議論としては始まっておったわけです。
しかも、今回の改正法によりまして将来預貯金付番が進んでいるというふうなことを前提にして、もちろん、新たな制度設計がなされる可能性については否定するつもりはありませんけれども、しかし、今回の改正は、年金の給付額等を適正なものにするために、マイナンバーを利用して対象者の預貯金口座を調べることを目的としておるものでありまして、高齢者の金融資産を調べて、一定の資産のある低年金者の負担を引き上げるためというふうなことを目的としておるものでは全くございません。
○宮本(徹)委員 いや、そう言いますけれども、私が先ほど来言っていますけれども、税務調査だとか資産調査とか現行法の範囲のものに、それこそ銀行業界に一千億円もかかるようなことをやらせるというのは、本当に、それこそ費用対効果で見たらつじつまが合わない話なんですよね。それは山口大臣はそういうところまで考えていないのかもわからないですけれども、政府の全体のところでは、こういうことを考えて、マイナンバー制度というのは大きく動いてきているんじゃないですか。
そして、この財政審にはこう書いてありますよ。団塊の世代が後期高齢者になり始める直前の二〇二〇年度までに、受益と負担の均衡がとれた持続可能な制度を構築することを目的として進める必要があるというふうに書いています。
ですから、この財政審の考え方としては、二〇二〇年度までに、マイナンバーも活用して、高齢者にも一定の資産があれば負担してもらうんだということを目指してやっているということじゃないですか。それが政府が急いで進めようとしている狙いなんじゃないんですか。
この四月二十七日の財政審の資料では、負担増の対象として、夫婦で二千万円の預貯金を保有する世帯が例示されております。夫婦で二千万円というと、大体単身者の場合は一千万ということになりますけれども、負担増を求める対象世帯の預金額が夫婦で二千万円と例示している根拠というのは何なんでしょうか。
○大家大臣政務官 お答えいたします。
もう御承知かと思いますが、介護保険の分野においては補足給付というのが支給されることになっていますけれども、昨年六月に成立した法律では、夫婦世帯で二千万円を超える預貯金等を有する場合、補足給付の対象外にするという見直しが行われたところであります。これを踏まえまして、今御指摘の四月二十七日の財政審の資料において、その一定の貯蓄の一つの例として二千万円という水準をお示しさせていただいたところであります。
いずれにしましても、この二千万円という金額はあくまでも一つの例でありますので、具体的な制度設計については今後検討されていくものと考えております。
○宮本(徹)委員 特養ホームのホテルコストの負担増を始めるのが夫婦で二千万、単身で一千万だから、それをもとに例示として書いたんだというお話でございましたけれども、例示だといっても、結局、この事務局案が議論のスタートになるわけですよね、これからこの制度設計をするときに。
高齢者の預貯金というのは何なのかというのを私たちはよく考えなきゃいけないと思うんですけれども、やはり、高齢者にとって預貯金というのは、これから何歳まで生きるかわからない、そしてどれだけ負担が生活費にかかるのかもわからない、医療費も介護費用もかかるかわからない、そういう中での生活の糧なわけでありますよ。将来が全く予見できないからこそ、そして将来が予見できないような我が国の社会保障制度の貧困さがあるからこそ、みんな預貯金をためているわけでありますよ。自営業者なんかでいえば、わずかな国民年金しかない、そういう中で、現役時代に一生懸命預貯金を積み上げる方もいらっしゃるわけですよ。
単身者で一千万というのは、豊かな老後を送るのに十分な貯金と必ずしも言えないですよ、はっきり言って。そして、もしわずかでも残れば子供たちへ、孫たちへと思いながら、節約しながら貯金を積み上げてきているわけでありますよ。富裕層でない一般庶民の方々の貯金を当局が把握して費用をさらに取っていこう、私はこういうことは許されないというふうに思います。
そして、一度金融資産を勘案する制度を設けたら、持続的な社会保障制度のためだということで、初めは一千万だというところが、九百万、五百万というふうに引き下げられていく危険だって大いにあるわけですよね。
ですから、本来だったら、資産のことを考えるというんだったら、富裕層や資産家の金融資産への課税強化だとか所得税の総合課税だとか、そういうことこそ検討すべきなんじゃないですか。
○大家大臣政務官 お答えいたします。
これも繰り返しになりますけれども、社会保障制度においては、持続可能性を高める観点からも、資産も含めた負担能力に応じた負担へと、負担のあり方を見直していく必要があるというふうにまずは考えております。
他方、税制においては、先生のおっしゃるとおり、再分配機能の回復を図るために、二十五年度の税制改正で所得税の最高税率を引き上げました。それから、金融所得課税の見直しもさせていただき、相続税の見直し、これは基礎控除の引き下げで、五千万プラス一千万掛ける相続人数から、三千万プラス六百万掛ける相続人数、及び最高税率を五五パーに引き上げました。それから、二十六年度の税制改正では給与所得控除の見直しもさせていただきました。
ということでありますけれども、ただ、やり過ぎれば勤労意欲や事業意欲、また富裕層や資産の国外への流出等がありますので、どのような影響を与えることがあるのかということも考えた上で、総合的に考えていくことが必要であるというふうに思っています。
○宮本(徹)委員 所得税にしても相続税にしても、過去の最高税率からしたらまだまだはるかに低い状況なのは御存じのとおりだというふうに思います。この間少しは戻しましたよと言うんだけれども、これだけ格差が拡大しているわけですから、負担増を富裕層にもっとしっかり求める、こういうことこそ必要だと思うんですよ。そういうことを検討せずに、低中所得者層と低年金生活者層を狙い撃ちにするように預貯金にマイナンバーを入れていくということは、私は許されないというふうに思います。
社会保障の負担に金融資産を勘案するということになれば、これまで言っていた、税務調査の際に金融資産が幾らあるかというのを銀行に国税庁が、税務署が照会するというような、一部の人に対する限定的な使い方ではなくなるわけですよね。病院にはみんなかかるわけですから、みんなの資産を把握していくということで、全預金口座にマイナンバーが付番されていることを想定しているというのが財務省の提案だというふうに思います。
ちょっと山口大臣にお伺いしますが、預金口座のマイナンバーの付番について、近い将来の義務化というのを視野に入れているんでしょうか。
○山口国務大臣 今回御審議をいただいております改正法案における預貯金付番に関する規定の見直しがございますが、これは、改正法附則十二条第四項におきましては、預貯金付番の規定の施行後三年をめどとして、預貯金者等から適切にマイナンバーの提供を受ける方策及び改正後のマイナンバー法の施行状況について検討を加えて、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、所要の措置を講ずることというふうなことになっております。
三年後、どういうふうな見直しをするかでありますが、少なくとも、現時点では全く予断は持っておりません。この法案が成立をすれば、この規定に基づいて、その後、検討されていくものであろうと思います。
○宮本(徹)委員 全く予断を持っていないということなんですけれども、実際は、義務化しなければできないようなことの検討が既に政府部内で始まっているということなわけですよ。ですから、本当に、初めは義務化しませんよ、しませんよと預貯金口座への付番を導入しておきながら、後では義務化しますよ、こういう制度ですよというのは、これは全く国民だましになっていくというふうに思います。
そして、残された時間がわずかになってきましたけれども、山口大臣は、三月二十五日の本委員会の答弁で、次のように言っております。
「例えば預貯金云々というふうな話の中で、たまたまテレビのニュースを見ておりましたら街角の声というのをやっていまして、えっ、預金、全部ばれるんですかみたいな話が出るんですね。これはかなり誤解があるわけですが、そこら辺は十分注意してやっていかなきゃいけないなと思っております。」というふうに答弁されております。
仮に、ここに書かれているように、七十歳以上の医療費の窓口負担を金融資産を勘案して決める方式にしたら、少なくとも、七十歳になれば、病院の窓口でいざ支払いということになったら、この人は金融資産がどれぐらいあるのかというのが全部わかっちゃうんじゃないですか。
○大家大臣政務官 お答えいたします。
現在も、既に、負担割合が異なる仕組みというふうになっておりますので、金融資産を勘案することが直ちにプライバシー上問題になるということは考えておりません。
ただ、仮に具体的な制度設計を行う場合には、宮本委員が御指摘のような観点も含めて、幅広く検討していくことが必要だと考えております。
○宮本(徹)委員 いや、現在高い方が、現役並み所得ということで高いというのは、そういうのがプライバシーを侵害していないというのは物すごい認識の誤りですよ。
昔、子供医療費も、所得制限がある時代がありましたよね。この東京でもあったわけですけれども、そうしたら、あの人はお金がある、あの人はお金がないと、窓口で全部わかるような状況があったわけですよ。
ましてや、支払いのとき、○○さん、きょうは一万五千円ですなんと言われて、ああ、あの人は国民年金だと言っていたけれども、いっぱい貯金を持っているんですねみたいな話になっていく。事業者にもみんなわかっていくということです。
国民にこういうことを隠して、預貯金にマイナンバーを付番していく突破口をまず開いていくということはとんでもない。この法案の撤回を求めて、質問を終わります。
○井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
次回は、来る二十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後六時二分散会