第8号 平成27年5月22日(金曜日)
平成二十七年五月二十二日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 泉 健太君
理事 河野 正美君 理事 高木美智代君
青山 周平君 池田 道孝君
池田 佳隆君 石川 昭政君
石崎 徹君 岩田 和親君
越智 隆雄君 大隈 和英君
岡下 昌平君 鬼木 誠君
加藤 寛治君 神谷 昇君
木内 均君 新谷 正義君
田所 嘉徳君 武部 新君
寺田 稔君 長尾 敬君
藤井比早之君 前川 恵君
松本 洋平君 宮崎 政久君
若狭 勝君 緒方林太郎君
近藤 洋介君 佐々木隆博君
津村 啓介君 山尾志桜里君
小熊 慎司君 小沢 鋭仁君
高井 崇志君 升田世喜男君
輿水 恵一君 中川 康洋君
濱村 進君 池内さおり君
塩川 鉄也君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 山谷えり子君
国務大臣 甘利 明君
国務大臣
(国家公務員制度担当)
(男女共同参画担当) 有村 治子君
内閣府副大臣 平 将明君
内閣府副大臣 西村 康稔君
総務副大臣 二之湯 智君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
衆議院警務部長 近藤 博人君
政府参考人
(内閣官房内閣総務官室内閣総務官) 河内 隆君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 山崎 重孝君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 藤山 雄治君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 槌道 明宏君
政府参考人
(内閣官房内閣参事官) 蔵持 京治君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 笹島 誉行君
政府参考人
(内閣府男女共同参画局長) 武川 恵子君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 樹下 尚君
政府参考人
(警察庁交通局長) 鈴木 基久君
政府参考人
(警察庁警備局長) 高橋 清孝君
政府参考人
(総務省自治行政局選挙部長) 稲山 博司君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 富山 聡君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 佐々木聖子君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 岡村 和美君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 滝崎 成樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 中山 峰孝君
政府参考人
(厚生労働省健康局長) 新村 和哉君
政府参考人
(厚生労働省医薬食品局食品安全部長) 三宅 智君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 藤井 康弘君
政府参考人
(経済産業省製造産業局長) 黒田 篤郎君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 清水喜代志君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 島村 淳君
政府参考人
(観光庁観光地域振興部長) 吉田 雅彦君
内閣委員会専門員 室井 純子君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
辻元 清美君 津村 啓介君
同月二十二日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 藤井比早之君
岩田 和親君 鬼木 誠君
加藤 寛治君 池田 道孝君
木内 均君 前川 恵君
平口 洋君 新谷 正義君
松本 洋平君 石川 昭政君
若狭 勝君 田所 嘉徳君
小沢 鋭仁君 小熊 慎司君
濱村 進君 中川 康洋君
同日
辞任 補欠選任
池田 道孝君 加藤 寛治君
石川 昭政君 松本 洋平君
鬼木 誠君 岩田 和親君
新谷 正義君 平口 洋君
田所 嘉徳君 若狭 勝君
藤井比早之君 池田 佳隆君
前川 恵君 木内 均君
小熊 慎司君 小沢 鋭仁君
中川 康洋君 濱村 進君
―――――――――――――
五月二十一日
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)
同月二十二日
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第八号)
同月二十一日
全ての子どもの権利が保障される保育・教育、子育て支援の制度の実現に関する請願(堀内照文君紹介)(第九九九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一〇一六号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣総務官室内閣総務官河内隆君、内閣官房内閣審議官山崎重孝君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房内閣審議官槌道明宏君、内閣官房内閣参事官蔵持京治君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官笹島誉行君、内閣府男女共同参画局長武川恵子君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長樹下尚君、警察庁交通局長鈴木基久君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省大臣官房審議官富山聡君、法務省大臣官房審議官佐々木聖子君、法務省人権擁護局長岡村和美君、外務省大臣官房参事官滝崎成樹君、厚生労働省大臣官房審議官中山峰孝君、厚生労働省健康局長新村和哉君、厚生労働省医薬食品局食品安全部長三宅智君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、国土交通省大臣官房技術審議官清水喜代志君、国土交通省航空局安全部長島村淳君、観光庁観光地域振興部長吉田雅彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。
○近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。
一般質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。
早速質問に入りたいと思います。
きょうは、TPP交渉に関連して、甘利担当大臣、菅官房長官、そして西村副大臣にお伺いをしていきたい、こう思います。
まず、甘利大臣にお伺いをいたします。
TPP交渉は、本当に、マラソン交渉といいましょうか、大変長い期間この交渉が続いているわけであります。報道によると、安倍首相の訪米もあり、交渉も、訪米の際には大きく前進した、こういうふうに報じられましたし、日米の差はかなり接近した、大詰めを迎えている、こういう報道もございました。
直近の状況をいえば、今現在、グアムで首席交渉官の交渉が続けられておるわけでありますけれども、他方で、米国議会の状況、TPA、いわゆる貿易促進権限法案でしょうか、こちらの状況の見通しが非常に厳しくなっているという報道もあります。したがって、月内の閣僚会合は難しいのではないかといったことも伝えられております。
この夏に向けての、オバマ政権下での合意に向けて、本当に今ぎりぎりのところかとは思うわけでありますけれども、担当大臣として、現状はどういった状況にあると御認識をされていらっしゃいますか。
○甘利国務大臣 先般、日米の閣僚会合を行いました。未明まで続いた閣僚会合、そのほとんどはワン・オン・ワンで、バイで行ったわけであります。
今回、日米が大きな山を越えることができないと、なかなか十二カ国で決着をつけるということは難しいと双方感じながら取り組んできました。まだ決着がついたわけではありませんけれども、大きい山は越えたというか、越えつつあるのではないかというふうに思っております。
十二カ国の閣僚会合を開く前提として、TPP十二カ国のGDPのシェアの八割を占める日米の見通しがつかないと、開いても決着が難しい、これが一つ。
もう一点は、アメリカ議会のTPA法案が成立をしないと、つまり、先生御承知のとおり、普通、各国は、条約の交渉権限というのは内閣が握って、議会にかからないという国と、内閣が握って、議会はその結果を承認するか否決するかを採決で決めるという、この二種類がほぼ全てだと思います。ただ、アメリカだけが特殊な関係があって、規制権限が議会にある。でありますから、他国と同じように、議会にかける場合にもイエス、ノーの二者択一というふうにするための法案がTPA法案だというふうに理解をいたしておりまして、それが整わないと、妥結をしたはいいけれども、また修正がかけられてということになると、リオープン、いわゆる蒸し返しになりますから、これではいつまでたっても決まらないということになります。
日米が決着、見通しがおおよそつくということと、それからTPA法案が成立をするという、この二つが大事な前提になってくるのではないかと思います。
日米は見通しがつきつつあります。TPAは今、上院で審議がなされていまして、まだいつということが明確に決まっているわけではありませんが、進捗しつつあると思いますから、こちらの見通しがつけば閣僚会合は開けると思います。ということは、来週からの閣僚会合は事実上延期せざるを得ないというふうに理解をしております。
○近藤(洋)委員 これまでの努力もあって、中身の、日米間の交渉自体は相当見通しがつきつつあるというか、距離感が近づいているという御答弁でございました。
そして同時に、この場でも私もかつて大臣に伺ったTPA法案、やはりこれがないと、最終的に合意はしたけれども蒸し返しになる、大臣の御指摘であります。全くそのとおりだと思います。これはぜひここを決着をつけてもらって最終的な合意に入らないと、逆にさらに、言葉はあれですけれども、我が国からすると、譲歩せよという話になってしまえば全く意味のない話になりますので、それができるまでは開けないという御判断もそれは当然だろう、こう思うわけであります。
そこで、大臣に伺いたいんですが、過日、米国のパウエル国務長官ら、これは米の軍の関係者の方々というんでしょうか、大物のOBの方々が、TPP交渉の妥結合意は安全保障の観点からも重要である、したがって合意を支持するという意見表明を米国において行った、こう報じられております。
交渉担当大臣として、この意見表明に対してどのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。これは軍関係者ですから外交ということなんでしょうけれども、交渉担当大臣として、日米間にTPP交渉が与える多面的な効果について、どういうふうに大まかお考えか、お答えいただけますか。
○甘利国務大臣 二つの点が言えると思います。
一つは、TPPという通商経済の交渉を通じて、およそ民主主義国家が共有する価値観がルールとして根づくことが大事。つまり、自由、民主主義、基本的人権、法の支配、今、TPP参加国はこういう共通の価値観で新たな通商ルールのベースをつくろうといたしているわけであります。これが、アジア太平洋地域、これから東アジアの国がさらに参加表明をしてきつつありますし、してくるであろうと思います。そういうところに根づいていくということと、それからもう一点は、やはり世界最強国のアメリカのプレゼンスが東アジアにしっかりと位置づけられるということ。
この二つは、経済、通商の範囲にとどまらず、外交、安全保障上の安定要因になる、アメリカのプレゼンスがしっかり根づくことが安定要因になるというふうに考えております。
○近藤(洋)委員 そうした大変幅広い意味で意味のある交渉だろうと、私も共通の認識に立つわけでございます。
そのTPP交渉でありますけれども、この交渉の現状について、先日のこの委員会でも西村副大臣にお伺いをしたのですが、これはやはり極めて重要な点なので、きょうは担当の甘利大臣、そして内閣のかなめである官房長官にもお伺いをしたい件が、どうしてもお伺いしたいので、あえて伺います。
これは、五月四日の、西村内閣府副大臣がワシントンにおけるナショナルプレスビルで行った記者会見でございます。委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、この記者会見の模様は、この別紙のとおりであります。
要点は、日米間でさまざまな差異は、議会の差はあれども、議員にテキストへのアクセス権を認めている。USTRは対外的に情報を出さないという条件で議員にテキストへのアクセスを認めているということを確認した、日本でも、戻ってから相談するが、来週以降、テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で少し調整したい、日本の場合は守秘義務がないので、どういうルールでどういうやり方をするか少し詰めないといけないが、検討したいという、これは発言そのものでありますけれども、西村副大臣は会見の冒頭にこのことを発言されております。
クエスチョン、それぞれ記者から言われて、与野党問わずにかと言われたら、そうですと言ったことであるとか、さまざまな記者からの問いかけに対して的確にといいましょうか、この時点では明快にこの情報開示についての論点を西村副大臣なりに整理をして、その課題克服に向けて取り組みたいといった旨の会見をされております。
この条件つきで情報開示するといった方向、これ自体は、私ども民主党も、情報開示の法案を維新さんと一緒に共同提案をしている立場上、極めて関心事でありますし、この方向はすばらしい発言であると歓迎をしたわけであります。私自身も、この場でも何度も情報開示の重要性を指摘しておりましたから、さすがは西村副大臣である、こう受けとめたわけでありますが、残念ながら、その後、撤回をされました。
これだけきちっと発言をしながら撤回をされるというのは、責任ある副大臣の行動としては異常なことであると考えますが、まず、甘利大臣は、西村副大臣のこの発言についてどのように受けとめて、そしてその後、どのように大臣として副大臣に指示をされたのか、お答えいただけますか。
○甘利国務大臣 連休中に、アメリカから私の携帯に連絡が入りました。西村副大臣からの連絡でありました。それは、日米の違いを踏まえて、違いはあるんだけれども、何かできることがあるか検討してみるということを話をしましたという連絡が来ました。私は、とにかく、国会での要求に対して何ができるか考えるのは当然やるべきこととは思うけれども、日米の仕組みに違いがあるのはよく踏まえてくださいねと言いましたら、それを踏まえてそういう発言をしましたということでありました。
その後、報道が、そうではない、私が西村さんから連絡を受けた趣旨と違う報道になっていたと感じました。
毎晩、番記者さん方が、私が帰ってくると取り巻かれていろいろぶら下がりを求められるのでありますけれども、その際に、あなた方の報道は西村副大臣が私に連絡をしてきた内容とちょっと違うよ、日米の差があって同じことはできない、けれども、何ができるか考えてみるみたいな話が電話で私のところに来ましたよ、あなた方の報道は全然違う報道になっていないのかということを言いましたら、いや、我々は報道のような理解をしましたと言われたものですから。
翌日か翌々日だったと思いますけれども、こちらから電話を入れまして、何か、あなたが私に言ってきてくれたことと日本の報道がちょっとずれているみたいなので、誤解を生んでいるみたいですよと言いましたら、自分もそういうことを承知したので、そういう意図ではないという会見を行いましたという返事でありました。これからも丁寧に自分の趣旨を説明したいと思いますということなので、ああ、それなら誤解は解けるでしょうねということで電話を切ったということが経緯でございます。
○近藤(洋)委員 大臣、御丁寧に御説明をしていただきましたが、まず、だとすると、このきょう添付をさせていただいている資料は、これは政府側から出された議事録でございますけれども、この議事録に書かれている中身、これは報道ではございません、議事録であります、この議事録で書いている西村副大臣の発言、これそのものは、大臣から見て違和感はなく受けとめられる内容ですか。
要するに、一定の条件はつける、日米の差はあれども、どういう条件をつけるかは別にして、国会とも相談しなければいけないけれども、与野党を問わずにドキュメントを、ここで言うところのドキュメントですね、ドキュメントを見せると。見せるということもここで明確になっておりますが、ドキュメントを見せると。もちろん、米国と同等に見せるかどうかは別にして、何らかの形で見せるということは、ここは明確なんです。どういう条件をつけるかは別にしてですね。これは与野党を問わず合意前に見せると。合意後に見せるというのは意味がないので。合意前に見せるという、この発言については、これは大臣、違和感はございませんか。報道ぶりではなくて、この発言そのものについてはいかがでしょうか。
○甘利国務大臣 会見議事録は、その後に私、手に入れまして、読ませていただきました。
西村副大臣が最初にアメリカから私にかけてきた電話の趣旨とこれを照らし合わせると、若干踏み込んで、言葉が走ってしまっている部分があるかなという印象は持ちました。
ただ、副大臣も、所管大臣として、この秘密保持契約の重要さを知りながら、国会で与野党の皆さんからの要求に何とか、どこまで応えられるんだろうかという、私から見ると丁寧で親切な思いが、言葉がちょっと走ってしまったのではないかというふうに思っておりますし、野党の皆さんもそういうふうに善意に解釈していただければありがたいなと思います。
ただ、それをそっくり読んで、電話の話とすると、若干言葉が走ってしまったかなという印象はあります。
○近藤(洋)委員 この点については、西村副大臣も、やや気持ちが先行してという御答弁もされております。
ただ、この発言自体は、そのまま素直にいけば、少なくとも事実は明らか、方向は明らかで、検討したい、来週以降、帰国し後検討したい、そして、それは国会議員にドキュメントを見せる、条件をつける、条件つきながらも見せる、そして、その方向で事務方で検討したいという方向なんですね。
まあ、走ったか走らないかは別にして、この方向については、大臣、御検討をいただける、こういう認識なんですか、今。
○甘利国務大臣 内閣委員会と農水委員会の連合審査の席で、私に野党の委員から、質問者から、何ができるか少し検討できないのかという話がありました。私は、あの時点で、非常に悩ましいことでありますけれども、何ができるかは検討してみますという答弁をさせていただきました。その後に、五月の一日だったと思うんですけれども、テキストの概要といいますか、それを公表させていただきました。私が国会で何ができるか検討してみますと申し上げて、それを受けて、五月一日に、ああいう形で発表させていただきました。西村副大臣は、米国で、さらにその後に、何ができるかということを自分なりに考えてみたいというお話だったと思います。
これは、日本だけで決めるということができないことであります。現に、寄託国のニュージーランドからは内々に、きちんと秘密保持契約、御承知の上なんでしょうねというのは、水面下で注意が来ているということもあります。これは、要するに、相手の事情があって、交渉中で、相手の国としては、そういうところまで行っている行っていないということを、まだ国内的に知らしめられないところがあるわけです。そうすると、それによって交渉が、まとまるものがまとまらないということも、可能性はなくはないと思います。でありますから、関係国がかなりぴりぴりしているんだと思います。
これから妥結をし、署名をしという手続がありますが、そのどこの段階でさらに踏み込んで何ができるかというのは、日本だけじゃなくて、関係国とやはり相談しなければならないと思っております。ですから、そういう意味では、全体の理解が進めば、この間、テキストの概要を発表させていただきましたけれども、それからさらに踏み込むことができるのかどうか、見通しがついてくるのではないかというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 菅官房長官、お忙しいところ済みません。
どうもちょっと甘利大臣、若干歯切れが悪いと思うんですね。甘利大臣も、本来は情報開示が必要だという思いをお持ちの大臣だと思うんですね。もちろん、交渉の難しさは知っていらっしゃるから。ただしかし、ここまで大詰めになってくると、やはり国民の理解なり議会の理解というのが必要だと必ず思われているはずなので。そういう中で、なかなかここまで歯切れが悪い。しかも、専門家の西村さんがここまで踏み込んでいることが、ここを全くストップしてしまうというのは、やはり異常事態だと思うんですね。
そうなるのは、やはり私は、何らかの動きがあった、それは内閣のかなめである官房長官が相当激高されたのか叱責されたのか、何かされたのかなと勘ぐってしまうんですね。一部報道には、菅官房長官が叱責をされた、こういう報道もあるんです。あんまり僕は菅長官が叱責するのは想像がつかないんですが、ただ、叱責された、こういうふうに報道もあります。叱責されたのかどうか、会われたときに相当厳しく注意をされたんですか。
いずれにしろ、副大臣がここまで言って混乱されたというのは、これは非常に恥ずかしい話ですね。恥ずかしい話だと思います。それは恥ずかしいだけでは済まないと私は思うんですが、まず何らかの注意は行ったのか。そして、現時点で、副大臣がこういった混乱を、私に言わせれば混乱だと思いますが、招いたことについて、内閣のかなめとしてどのように受けとめているか、御答弁いただけますか。
○菅国務大臣 私自身、実は報道で西村副大臣の発言を承知しました。見た瞬間に、誤解を生んではまずいなというふうに思いました。それは、まさに今、甘利大臣が答弁されましたけれども、それぞれの交渉参加国が秘密保持の契約に合意をした上で進めている、そしてまた、甘利大臣から、各委員会やさまざまな場所でどれだけ情報開示をすることができるかどうかと非常に悩んでいましたので。
ただ、残念ながら、アメリカと日本は仕組みが完全に違いますよね、委員御承知のとおり。通商の権限は米国は連邦議会にあるわけですから、そして罰則も極めて厳しいものがある、そういう中の米国と、日本は違いますので。
ただ、報道はその一部分だけよく切り取られて報道されることがありますので、私は甘利大臣に、誤解されるんではないか、そこはどうなんですかという話を電話で話しました。甘利大臣も同様の認識でありました。
そして、西村副大臣が米国から帰国をして、一連の経過について報告を受けました。本人から、伝え方が悪く誤った印象を与えてしまったことから、翌日ですか、記者会見で撤回をした、そういう報告を受けました。そういう意味で、誤った印象を与えてしまったことについて深く反省をしている、そういうことでありましたので、私からは、発言には十分注意するように、そういうことを申し上げました。
○近藤(洋)委員 報道を見た時点で、官房長官としては、うん、これは、こう認識をされ、甘利大臣と協議をされ、そしてその旨が甘利大臣から西村副大臣に行った。そしてその後、個別には注意をされた、こういうことですね。わかりました。さはさりながら、この重要局面にありますから、私は公開の必要性はあると思っているんですが。
官房長官、記者会見ですので、どうぞ離席していただいて、早目に。(菅国務大臣「会見、大丈夫です」と呼ぶ)会見、大丈夫ですか。そうですか。それでは、ちょっと一点、済みません、時間まで。
甘利大臣、事実関係だけ。このTPPの情報は、いわゆる特定秘密には指定をされておりますか。ないしは、される可能性はございますか。
○甘利国務大臣 現時点で指定されておりませんし、今後も指定されることはないと思います。
○近藤(洋)委員 いずれ最終的に公開されますからあれですが、では、途中の段階の文書も特定秘密に指定するということはございませんね。確認です。
○甘利国務大臣 ありません。
○近藤(洋)委員 ありがとうございます。
そうですね、特定秘密の要件には、この添付資料の二枚目にありますけれども、この要件を見れば、TPPを特定秘密に指定するのは相当無理がある、ここを素直に読んでも。冒頭ちょっと、安全保障上と幾らパウエル国務長官等が、日米関係と言ったところで、それを使ってこれに指定するのも相当無理があると思うので、それは賢明な御判断だろうと思います。
特定秘密ではないというレベルの話だとすると、各国間の取り決め、こういうことだと思うんですね、要するに政府が出されない理由は。だとすると、しかし大臣、ちょっとここは考え物で、要は、日本はまず公開をちゅうちょする理由として、日米間でいうと、違いはおっしゃるけれども、国会法百二十二条で既に懲罰規定があるわけでありまして、これは除名という一番厳しい懲罰規定を我が国も持っておりますから、院においてきちんとルールを定めて懲罰にかければ、これはきちんとした罰則が科せられる。刑事罰がないと言うけれども、米国でも現実、訴追されたケースはございませんから、米国も刑事罰は科されていないのでありますから、これは日米間の制度上の差はありません。守秘義務は院において整備をすればよい、こういうことだろうと思いますから、日米間は、ルールをつくれば差はなくなる、こういうことであります。唯一の違いは、立法府との違い、これは政府のたてつけの問題でありますけれども、そういうことだと思います。
もう一点、大臣、仮に日米間の合意が成立し、交渉が進んだ場合、米国のルール、いわゆる九十日前ルールというんでしょうか、これが適用されると、一つ間違うとというか、場合によってはUSTRが先に公表してしまう。米国政府が公表して、日本国民はUSTRのホームページでドキュメントを見るという摩訶不思議な事態に陥りませんか。これはいかがなものでしょうか。ここの時点は非常におかしいと思うんですね。その辺のハーモナイズも図らなきゃいけないんじゃないでしょうか。
やはり、TPPというのは、そういう公開のルールも多国間で交渉して足並みをそろえるというのも、私は大きな目的だと思うんです。私は、日本の国会議員のみならず、日本国民がUSTRのホームページにアクセスして交渉を知るなんというのは、これは大問題だと思うんですね。ここはやはり改善すべきであるし、大至急情報公開を具体的に着手すべき。決着が近いというのであれば、九十日ルールも目前になりますので、具体論を急ぐべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。いつまでに結論を出されますか。
○甘利国務大臣 九十日ルールというのは、いついつ署名しますということを議会に九十日前に通告します。開示は、六十日ルールです。署名の六十日前には、まず妥結が当然あります、妥結でこれでいいですということになって後、各国が署名するわけですけれども、妥結後、署名から逆算して六十日には開示をしますという米側の対応です。
これは、御指摘のとおり、ああ、そうですかだけで終わるわけにはいかないと思います。日本国民あるいは議会がUSTRのホームページにアクセスして一生懸命知る、そういう事態は避けなければなりませんから、そこは他の十一カ国とアメリカと調整をしなければならぬというふうに思っております。
○近藤(洋)委員 情報開示の必要性があるということを菅官房長官もぜひ御認識いただいて、政府において取り組んでいただきたいということを申し上げて、時間ですので、質問を終わります。
○井上委員長 次に、長尾敬君。
○長尾委員 自由民主党の長尾敬です。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
オリンピックを五年後に控え、現在、日本に外国の観光客の方々がたくさんいらっしゃっている、大変好ましいことだというふうに思っております。また、安倍内閣も、二十五年の十二月十日に、創造戦略の中で、世界一安全な日本、これを閣議決定している。同時に、物事には光と影、陰と陽がございますので、テロやあるいは犯罪のターゲットになる環境という見方も恐らく出るのではないかなというふうに思っています。
外国人の犯罪の問題、また温床になっているんじゃないかということについて、ちょっと議論をしていきたいと思っています。
来日の外国人の犯罪の検挙数は、全体的にも、平成十六年は四万七千人以上あったんですが、現在は一万五千人に、警察の大変な御努力で減っているということは事実。刑法犯、つまり凶悪犯、粗暴犯、窃盗犯、つまり我々の日常にかなり近いところにある犯罪が全体の六三・五%で、いわゆる入管法にかかわる部分は二五%と、ちょっと低いというのが、私は、いただいた資料で意外だなというふうに思いました。つまり、実際、来日の場合でも刑法犯の方が多い。
また、在日外国人の犯罪の検挙数においては、当然、入管法についても四・九%で低い。相変わらず、やはり刑法犯については七七・一%ということで、非常に高い状況になっているというところにあります。
そこで、矯正局にお尋ねしたいんですが、検挙されて裁判を受けて、収監、いわゆる刑務所に服役するという外国人の受刑者数についてちょっとお尋ねします。
○富山政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年末現在の速報値についてお答えいたしますが、刑事施設に収容中の受刑者、全体では五万二千八百六十人おりますが、そのうち、来日外国人受刑者が千八百八十二人、来日外国人以外の外国人受刑者が九百六十六人となっております。
○長尾委員 今のいただいた数字は、実は、今回初めて明らかになった数字というふうにお聞きしております。
つまり、合わせて二千八百四十八人ということになるわけですけれども、服役者の総数の中で大体五・四%ということになりますね。ちょっとあらあらの乱暴な比較になりますけれども、日本の人口が一億二千万人いて、うち、仮に在留外国人の方が二百十二万人いたとすると、全体の一・八%。刑務所の中では五・四%。日本も国際化という雰囲気になってはきていますが、刑務所の中もちょっと国際化しているという部分は深刻な状況として受けとめる必要があるかなというふうに思っています。
そこで、これこそが犯罪の温床ということまで言う気はありません。一つの懸念材料として、外国人の技能実習制度。
本来であれば、これはいわゆる開発途上国に対して日本のすぐれた技術を移転するために行うというのが建前でございますが、現実には、受け入れた企業の方がちょっと人権侵害的なことをしてみたり、これもまたいろいろな表と裏があるという状況の中で、私がちょっと深刻に思っているのは、正規に技能実習生として入国をされた方々の中で、途中で失踪をするという方々、何人ぐらいいるか。どの国が一番多いか、全体の約何割かということを御答弁ください。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
平成二十六年における技能実習生及び研修生の失踪者は、四千八百五十一人でございました。このうち、中国人が、三千六十五人、約六三%と最も多くなっております。
○長尾委員 平成二十二年からの累計になりますと、いただいた資料だと一万三千二百五十一人ということになります。
つまり、非常に崇高な理念のもとにつくられた制度が、失踪ということは、どこへ行ったかわからない、何をやっているかもわからない。
例えば、難民申請を繰り返すことによって、申請をして、自分は、申請中は違法ではありませんから就業が認められていますので、そこで、不法ではないこういう形での就労で日本国内に滞在する。この場合はネパール人の方が一番多いらしいんですけれども、一番多い方で六回も申請している。一回の申請をして、結果が出るのが大体平均二年五カ月ということで、物すごく時間がかかるので、かなりにわたって長期間滞在できる。この間に、いろいろな口コミで、こういう仕事という名の犯罪の入り口にいざなわれる可能性というのは、私は大いに懸念するべきところだというふうに思っています。
中国が多いのは、やはり入国実習生自体が多いので、分母に比例しているということで承知しております。
そこで、今般、この通常国会の中で、法務委員会なのか厚生労働委員会なのかというところなんですが、この技能実習制度の改正を予定しております。
本来、政府間の取り決めがない状態でこの技能実習制度が行われています。保証金を徴収している等の不正な送り出し機関の存在を、見直し後は、送り出しを希望する国との間で政府間取り決めを順次作成することを通じ、相手国政府と協力して不適正な送り出し機関の排除を目指すという資料をいただいています。
この排除の中に、いつも送られている送り出し機関、ここはいつも失踪が多いということでこの排除の対象になるんでしょうか、対象外なんでしょうか、あるいはそれを検討しているんでしょうか、御答弁ください。
○中山政府参考人 お答え申し上げます。
先生おっしゃるとおり、現在、技能実習制度につきましては、法律を提出いたしまして、制度の適正化に向けた見直しをやっております。
その一環といたしまして、実習生に保証金等の不当な金銭を要求する不適正な送り出し機関の排除を目的として、送り出し国との間で国レベルの取り決めを行うなどの対応を予定しております。先生が御指摘いただきました失踪者対策でございますけれども、それも国レベルの取り決めを行うという交渉の中で協力を求めることもあり得ると思っております。
国レベルの取り決めでございますので、相手国がございますので今確たることは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、外務省及び法務省と連携して、先生の御指摘を踏まえまして適切に対応していきたいと思っております。
○長尾委員 あり得るという御答弁をいただきました。ぜひそうしていただきたいと思います。
そして、ちょっとお手元の資料をごらんいただきたいんですが、これは池袋や新宿のフリーペーパーの広告なんです。
新しい温床じゃないかなという部分なんですけれども、黄色のところ、左上のところをよく見ていただきますと、「ビザの切れた方、なり済ましで入国した方、氏名生年月日の書き換えで」云々ありますが、「状況により逮捕経験者でも可能」、つまり合法的に在留できちゃうという状況ですね。留学生の出席率や単位の不足までこういう事務所はやるのかと不思議なんですね。右上、「在日ライフの素晴らしい参謀となるでしょう。」というようなチラシが配られています。
こういった、いわば悪徳業者のようなものの存在を認識されていらっしゃるのか。あとは、それに対する対処はどのようにされていらっしゃいますか。
○樹下政府参考人 御指摘のように、外国人向けフリーペーパーなどに犯罪を助長するかのような行政書士による広告が載せられ、繁華街、歓楽街等で配布されている状況があることについては、警察としても把握をしているところでございます。
警察としては、これまで、行政書士が来日外国人による在留資格変更のために電磁的公正証書原本不実記録等の犯罪を敢行した事案などを検挙しているところでございます。
いずれにせよ、引き続き、幅広く情報収集を行い、違法行為に対しては厳正に対処してまいりたいと考えております。
○長尾委員 この電話番号は消してありますけれども、電話をかけますと、もうそこになかったりとか、イタチごっこですので、ぜひ厳正に対処していただきたいと思います。
あと、警察の大変な御努力によって、あるいは入管の御努力によっていわゆる犯罪らしきものはどんどん減っていっていることは事実なんですが、逆に、成り済まし入国、つまり合法ではない、つまり堂々と、かの国において成り済ましで本物のパスポートで入国してくる。船に乗って入国、不法に入ってくるような時代じゃなくて、堂々と、場合によっては飛行機に乗って、ファーストクラスに乗って入国してくるというパターンがあるんですが、こういうものというのは実際検挙できるんでしょうかね。
○樹下政府参考人 御指摘の、他人に成り済まして我が国に入国、滞在する外国人の検挙につきましては、例えば平成二十六年中には、別件の窃盗事件を端緒といたしまして、他人名義のスリランカ旅券を使用して不法入国し、日本に不法在留していたスリランカ人を検挙した例、また、入国管理局からの告発により、他人名義のスペイン旅券を使用して不法入国したイラン人を検挙した例を把握しております。
今後とも、引き続き、幅広く情報収集を行うとともに、入国管理局との連携を強化し、同種事案の取り締まりを推進してまいりたいと考えております。
○長尾委員 検挙されて初めてその存在がわかります。実際に、警察の現場の方のお話ですが、どうも怪しい、しかし、出されたパスポートが本物であれば、これはもう職質において検挙できないというような状況にあります。二回、三回成り済ましで入れば、カメラやなんかで多分チェックできると思うんですけれども、初回、物事は一番最初が肝心でございます。
最後に、大臣、世界一安全な日本、今でも世界一だと思うんですが、総理はもっと上を目指していらっしゃるというふうに認識しておりますけれども、やはり警察だけじゃなく、入管や厚生労働省、あるいはほかの省庁との連携もなければ、この創造戦略にあるものがしっかりと実現できないというふうに思っております。
以上の話をお聞きいただいて、大臣の御所見をいただきたいと思います。
○山谷国務大臣 今後、我が国に入国、滞在する外国人の増加が見込まれる中、国民の安全、安心を確保するとともに、外国人の方にも安心して滞在いただけるように、関係機関が連携して、テロ対策を含む治安対策に万全を期すということがますます重要であるというふうに考えております。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催等もございます。水際対策や犯罪の取り締まりなどの諸対策が適切に講じられるようにするために、今後とも引き続き、法務省入国管理局、厚生労働省等の関係省庁と積極的な情報交換を行うなど緊密な連携を図り、しっかりと世界一安全な国づくりのために努めてまいりたいと思います。
○長尾委員 技能実習制度の改正や入管法の改正というのは内閣委員会でやるという雰囲気ではなかったので、あえてここで取り上げさせていただきました。
例えば、先ほどの成り済ましの入国についても、担当大臣でいらっしゃるいわゆる拉致問題についても、あるいは北朝鮮の一連の、例えば大韓航空の問題であるとかいうことについても、現にそういうものがある。しかし、繰り返しますが、それが明らかになったときに初めてそれを知る。では、成り済ましパスポートで何人ぐらいの人間が入国しているということは、現在わからないわけであります。わからない部分を決して放っているということではないと思いますが。
繰り返しになります。今この局面で、本当に、きょうは犯罪だけでありますが、やはりテロ対策という部分においても同じような、どこにでも切り口はあろうかというふうに思いますので、国家国民のために万難を排し、治安維持に努めていただきますようお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、神谷昇君。
○神谷委員 自民党の神谷昇でございます。
質問の機会をいただきまして、心から感謝申し上げます。
私の地元にあります関西国際空港も、開港して以来、はや二十一年でございます。我が国初の二十四時間空港、そしてまた海上沖五キロ、環境に優しい空港、地元と共存共栄できる空港として華々しく開港したのでございますけれども、地元の期待に十分に応えているとは言いがたい状態でございます。これからの泉州を展望いたしますと、やはり関空を中心に、基盤として、泉州の町づくりをいかに進めていくか、活性化をしていくか、これが大きな課題でございます。
そのときに、時あたかも、国は観光立国を目指し、ビジット・ジャパンを掲げて、ビザ要件の緩和、そして免税店の拡大など、外国人観光客の増加を非常に積極的に進めてこられました。高く評価をしているところでございます。
それと相まちまして、相次ぐLCCの就航、そしてまた円安が重なってまいりまして、当初の目標でございました一千万人、はや一昨年に達成をいたしまして、そして昨年は三割増し、そしてことしは、一月から三月まで、昨年の四割増しということで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの目標でございました二千万人に達するような勢いでございます。
このような中で、新たなる展開、戦略の構築が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
私は、つい先日、台湾の大使館の方とお話しする機会をいただきました。その方は、ゴールデンルート、主要ルートはもう見飽きた、私は今治市のタオル工場へ行ってきた、大変よかった、それでタオルをたくさん買ってきた、そういうお話でございました。もっと地方の魅力を発信してほしい、それで地方に免税店をふやしてほしい、こういうことでございました。
そういう観点から見ますと、泉州には、今、世界遺産登録を目指しております仁徳天皇陵を初めとする古墳群。そして、だんじり祭り。岸和田城。岸和田城の中庭に、あの昭和の天才的庭師重森三玲作の八陣の庭がございます。これは三国志の世界、諸葛孔明の世界であります。
和泉市には、葛の葉伝説、実は安倍晴明さんのお母さんは白ギツネであったという伝説がございます。「恋しくばたずね来て見よ和泉なる信太の森のうらみ葛の葉」。こういうお話を聞きますと、日本人そして外国人の方も、一度行ってみたい。葛葉稲荷神社に行ってみたいと思われる方は、私におっしゃってください。宮司さんが同級生でございますので、親切に案内をさせていただきたいというふうなこと。
それ以外にもいろいろとございます。工場を見学したいという方には、タオル工場ももちろんありますし、そしてまた毛織物工場、そして、だんじりの工房、そしてまたリールをつくっている工場、いろいろな工場があるわけでございまして、これらの地方の魅力、そしてそういう工場群を体系立てて整理をして、そして国と一致協力して世界にアピールしていく、それが今求められているのではないか。
そして、外国人観光客、ゴールデンルート以外にそういう地方の魅力を発信していただいて、そして地方に行きたい、そして泉州は、そういうことを国と協力しながら、泉州に来てもらいたい、そういうことが今、地方の活性化につながり、国の進めている地方創生につながっていくのではないかというふうに考えておりますが、国交省の見解をお尋ねしたいと思います。
○吉田政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、今後、外国人観光客の増加の効果を地域に波及させていくためには、いわゆるゴールデンルートあるいは東京周辺に集中している外国人旅行者を、全国津々浦々、各地域に呼び込んでいくことが重要と考えております。
そのためには、城跡や歴史的な町並み、地域の食など、各地域に豊富にある、地域の皆様が気づいていない魅力を徹底的にブラッシュアップして、日本ブランドとして内外に発信していくことが肝要と考えております。その上で、魅力のある複数の地域が連携をして、点から線、線から面へとネットワーク化して、海外に積極的に発信していくことが重要です。
あわせて、無料WiFi環境の拡充、多言語対応の強化など、外国人受け入れ環境の整備を促進していくことが重要です。
また、地域の大きな魅力であります特産品や伝統工芸品をより多く買っていただき、地域における旅行消費の拡大を図るため、本年四月一日から開始しました免税手続カウンターの活用も促し、地方での消費税免税店の拡大に取り組んでまいります。
今後とも、観光庁といたしまして、こうした地域の取り組みを全力で支援し、外国人観光客の地方への誘客を推進してまいります。
○神谷委員 ありがとうございます。
もう二千万人が目標でなくなりました。新たなる三千万人を目標にして、一層地方と連携して展開をしていただきたいと思っております。
そう考えてまいりますと、泉州地区を考えますと、やはり外国観光客の方が来やすい状況をつくっていかなければならない。そこへ行くにはどうして行ったらいいのか、バスに乗るのか、鉄道に乗るのか、いろいろになってまいります。そういう面から見ますと、インフラ整備が大変重要となってまいります。
実は、最近伺ったお話でございますけれども、北川国交副大臣と太田大臣がお話をされた中で、大阪はインフラ整備が大変おくれているな、こういうことでありまして、大臣も実感として認識をされているわけであります。
今、国の方は、LRTまたバスを利用した地域公共交通システムの再構築を強力に進めておられまして、これは大変よいことだと思います。
それ以外にも、泉州の課題といたしましては、幹線道路の整備、これがまたおくれております。鉄道の高架化、これもおくれております。そしてまた、岸和田市民等々が待望しております、最近、南海電鉄さんが購入をいたしました泉北高速鉄道の南伸など、本当に多くの課題を抱えておりまして、これらのインフラを整備するためには多くの時間と多額の費用がかかるわけでございます。
一気にこれは進めることはできないかもしれませんけれども、やはり地元の願いをしっかりと国が捉えていただきまして、そして、国、府、そして地元の市、町と一体となった取り組みの中で、外国人観光客の方がより泉州に来やすい状況をつくっていかなければいけないと思いますが、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○清水政府参考人 お答えいたします。
ただいま御指摘ございましたように、観光資源と地域の特性を生かしていくためには、インフラを初めとした町づくりというのは非常に重要であるというふうな認識でございまして、国土交通省といたしましても、積極的に支援を行っているところでございます。
今後とも、地方公共団体からの御要望等も踏まえまして、地域の特性を生かした、地方創生にふさわしい町づくりを積極的に支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○神谷委員 ありがとうございます。
大臣もその辺を認識されているわけでございますから、ひとつ積極的に府、地元と進めていただきたいというふうに思っております。
そういう中で、今お話ししたように、インバウンド二千万人超えが間近になってまいりました。新たな目標三千万人を構築しながら、いかに展開していくか。その中でやはり心配なのは、先ほど長尾議員もおっしゃっていました、ちょっと違った観点でございますけれども、私は感染症に対する危険を非常に感じておるところであります。国内の二十一空港がもはや海外と非常に交流を深めてきております。そういうことから考えますと、感染症、すなわち、外国から感染症を持った方が入ってくるときにどうしていくかということであります。
日本は非常に、物事が起こらなければ危機管理体制ができないということがございまして、四年前の東北大震災の折でもそうでございました。東北電力は、津波を十四メーター強と考えて、あの津波から免れた。ところが、東京電力は甘く考えて、あのような津波災害に遭ったわけであります。
そうしますと、私が考えますのは、例えば空港。空港に大型飛行機が入ってきました。そのフライト途中に、感染症が表に出てきた、熱が発症してきた。そして、その患者さんが例えば関西空港に着いたとしましょう。そうすると、その患者さんをCAあるいは地上勤務員がわっと介抱しに行く。そのときにその患者が嘔吐したとしましょう。そうすると、嘔吐物が数人の乗組員にかかってしまった。さあ、大変であります。この方が仮にエボラ出血熱であったとしたら、五人や六人の方が介抱に向かうわけですが、その方々が全て感染をされる。
そうしたときに、その感染したと思われる方を高度安全病床に至急に運ばなければいけないけれども、関空の直近には二つしかないんですね。地方空港を見ますと、全くそれができておらない。そしてまた、そういう特定感染症指定医療機関が日本には三件、東京、千葉、大阪しかない。ほかには全くない。もっと恐ろしいのは、第一種感染症指定医療機関がないところもあるんですね。この体制のおくれ。
現実にこれは起こっているんです。例えば、中国からシンガポールに向かった二〇〇三年の二月、アメリカからの観光客がSARSにかかって、SARSとはそのときはわからなかったけれども、SARSにかかって、ハノイに緊急着陸した。そしてハノイの病院で治療を受けた。医師、看護師が数名、感染して亡くなったんです。これはもう現実に今あるわけです。そういう体制が今できていない。
ですから、関空を初めとする国際空港の検疫体制、そしてまた、高度安全病床はどうなっているのか、アイソレーターつきの、車椅子がどうなっているのか、それとも救急車があるのか、そして地方はどうなっているのか、その辺につきまして御答弁を賜りたいと思っております。
○新村政府参考人 今、感染症指定医療機関についてお尋ねがございました。
第一種感染症指定医療機関につきましてまずお答え申し上げますと、厚生労働省としては、全ての都道府県に第一種感染症指定医療機関が整備されるべきと考えておりまして、これまでも未指定の県に対して要請を行ってきたところでございます。
今般の西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生を受けまして、未指定の七県には改めて早期の指定に向けて要請を行っております。その結果、五県からは第一種感染症指定医療機関の整備計画を提出いただき、整備に要する費用に対する国庫補助の内示も行ったところでございます。残る二県につきましても、県内での調整を終え、早期の指定に向けて現在整備を進めているところでございます。
また、特定感染症指定医療機関につきましては、御指摘ありましたように、これまで全国で三カ所の医療機関を指定しております。関西空港の近くではりんくう総合医療センターが指定されております。これに加えまして、国際旅客数の多い中部国際空港があることを踏まえまして、愛知県内の病院におきましても特定感染症病床の整備を行ったところでありまして、今後、特定感染症指定医療機関の指定手続を進めることとしております。
○神谷委員 現実のことが、SARSのことにしましても二〇〇三年に起こっているわけなんですね。そういう世界の事例を見ながら日本の感染症対策をしていく、これをしなければいけないのに、原発のように事が起こってからでは遅いというふうに思っております。
そういうことで、感染症対策、私も初めての質問でございますので、今後、この問題についてさらに詳しく勉強をさせていただいて質問させていただきたいと思いますので、ひとつまたその辺をよろしくお願い申し上げます。
感染症といいますと、二十一世紀は感染症との闘いですね。特に大阪、東京、これは亜熱帯になってまいりました。そういう中で、感染症の研究も日本は大きくおくれております。BSL4の研究体制、武蔵村山市に一九八一年に完成をしておりますけれども、稼働はまだでございます。こういう研究体制さえ、先進八カ国でBSL4の研究機関がないのは日本だけなんですね。こういうことから見ても、感染症の対策は大変おくれている。
感染症はまさに、もう中にも入ってきているんです。昨年、どうでしたか。東京、デング熱。もう東京に潜っているんですよ。いつエボラ出血熱の感染が来るかもわからない。そういうことからしますと、日本の感染症対策はまさに後進国並みだというふうに考えなければなりません。早く先進国並みにするためにひとつ取り組みを強化していただきたいことを強く要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
まことにありがとうございました。
○井上委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
まず、私は本日、二回質問させていただきますけれども、一回目ということで、山谷大臣に特に交通安全対策ということについてお伺いをしたいと思います。
まず、大臣、これまでの人生の経験で交通事故に遭われたことはございますか。
○山谷国務大臣 ございます。
○泉委員 余り、それ以上お伺いする話じゃないかもしれませんのであれですが、私も高校のとき、一度ありまして、犯人が見つかるまで一カ月間ぐらいかかったわけですが、しかし、警察の方が粘り強く車を見つけてくださったのを思い出します。幸運にも軽傷であったわけですけれども。
本当に、全国、交通戦争という時期は脱しまして、今、大分件数も減っておりますけれども、しかし、特に高齢者、歩行者、そして夕暮れどきの事故、そういったものがまだまだ多数あるということで、警察が一生懸命取り組んでおられる、また全国の交通安全にかかわるボランティアの皆さんが大変懸命に取り組んでおられるということは敬意を表したいというふうに思います。
さて、大臣、まず数字的な話ですけれども、昨年の全国の交通死亡事故者数、これは何人になりますでしょうか。
○山谷国務大臣 昨年の全国における交通事故発生から二十四時間以内に死亡した者の数は四千百十三人、そしてまた、昨年の全国における交通事故発生から三十日以内に死亡した方の数は四千八百三十八人でございます。
○泉委員 大臣、お持ちであればで結構ですが、一年統計、三百六十五日で交通事故で亡くなられた方の数字、現在おわかりになりますか。もしわからなければ事務方でも構いません。
○鈴木政府参考人 失礼いたします。
平成二十六年の数字は、一年統計でございますが、まだ出ておりません。ちょっと古くて、平成二十四年の数字になってまいりますが、厚生統計の死者数でございますが、六千二百七十七名でございます。
○泉委員 今お話がありましたように、よくちまたで一番表に出てくる数字としては、二十四時間以内に亡くなられた方の数字ということでありまして、これが四千百十三名。そこから二十四時間以内には亡くならなかったけれども、三十日以内で亡くなる方、これが四千八百三十八名ということであります。一年統計というのは、今御説明があったように、少し統計資料の集計に時間がかかるということもありまして、発表がまだおくれておりますけれども、二年前の数字でいうと六千二百七十七ということであります。
きょう実は扱いたいのは、資料を配付させていただいておりますけれども、千葉県警で交通死百六十件過少計上と、記事を見るとセンセーショナルですが、これは〇四年から一三年までの十年間さかのぼって調査をしたところということが出ております。
これは、昨年の十二月にNHKが報道したのがきっかけになっての千葉県警の調査ということでありまして、千葉県警では、さまざまな理由、なかなか判別しにくい交通死亡事故があったとか、それを交通死亡事故の統計に載せるか載せないか、さまざまな中で、本来載せるべきものが載っていなかったというものもあれば、中には、この配付資料の見出しに書かれているように、「一部改ざんか 捜査へ」ということも書かれておりまして、単純な判断ミスということではなくて、中には事故内容が変わってしまっているというケースもあるということになっております。
改めてですけれども、この千葉県警の事案について、今何が事実なのかということについてお伺いをしたいというふうに思います。
まず、現在のところ、千葉県警で起こっている問題について、どこまでがわかっているのか、報告をいただきたいというふうに思います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
お尋ねの事案につきましては、部外からの指摘を受けまして、現在、千葉県警察において、交通事故統計に計上すべきところを計上していなかった事故の有無について調査を行っているとの報告を受けておるところでございます。現在、千葉県警察において事実関係を調査中ということでございます。
○泉委員 報道があったのは昨年十二月ですね。それで、現在調査中と。もう約半年ですね。ちょっとそれは時間がかかり過ぎじゃないですか。時間のかかる調査と時間のかからない確認というのが両方あるはずだと思うんですね。
例えば、最初の発端はある一件の交通事故だそうですけれども、それが統計に載っていないのではないかという外部からの指摘があったということであります。これは昨年末の話であります。そう考えたときに、まずそのケース、その事案について、それがどういう結果であったかということについての調査があり、そして、その結果以外にももしこのようなケースが想定されるのであればということで、この新聞記事でいえば、十年間さかのぼって調査をされている。
このさかのぼった調査についてまだ確定した結果が出ておらないというのは私は理解します。しかし、一番最初の発端となった事案についてまで、まさか半年たって事実確認ができていないということはあり得ないというふうに思いますが、改めて分けて御答弁をいただきたいと思います。全体調査については、まだ調査結果が出ていないということは了といたしますが、改めて発端となったケースについて御説明をいただきたいと思います。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
現在、委員御指摘のとおり、最初のいろいろと報道機関から指摘をされておる事案、それから過去にさかのぼっての調査、これを並行して進めさせていただいておるところでございまして、現段階で調査の結果は出ていないというのが現状でございます。
今委員の方から、判明した調査について、判明したもののみでも公表すべきではないかというふうな御指摘もございましたが、統計へ計上すべきものが計上されていなかったとしても、統計の修正については全体が明らかになった時点で行うべきであるというふうに考えておりまして、それからまた、当該事案についてもまだ調査中でございますので、現時点でお答えを申し上げることはできないということでございます。
○泉委員 これは一般質疑ですから余り不満は申したくありませんが、大臣、これはあり得ないと思いませんか。
私は、全体調査は続行中というのは理解するんです。しかし、質問通告というか、このことについて、私は少なくとも、先日ではなく、それ以前から、しっかりと調べてほしいという話をさせていただいていまして、それはそう難しいことではないはずですし、千葉県警も記者会見等々されて発表されている部分もあるわけです。もう少し答弁に当たってはしっかりと確認をしていただきたいと思います。
改めてですが、昨年十二月に指摘された事項、たった一件の事案について調査中というのはあり得ないですよ、それは。それはあり得ないですよ。そこはいかがな答弁かなというふうに私はお伝えをしなければいけないなというふうに思います。
全部が調査中といえば、これ以上本当にもう議論しようもない部分もあるわけですけれども、なぜこうして質問に立っているかといえば、交通安全運動が全国で行われていて、我々も一生懸命それに取り組んできましたし、私自身も担当政務官をしていたこともありますので、交通安全運動に一生懸命協力をさせていただいていました。やはりそれは日本において今成功しつつあるというふうに私は思っておりまして、これは党派を問わず本当に懸命な努力で、先進各国と比べても、非常に日本は、特にこの十年、十五年、交通安全対策については進展をしているというふうに思っておりますので、全体としては評価しております。
評価しているからこそ、ほぼもう結論の方に入っていくわけですが、今までは二十四時間統計の死者数で私たちは交通安全運動に特に取り組んできたわけです。その証拠に、全日本交通安全協会ですとか、あるいは交通安全基本計画等々の中でみんなが目標にしている数字、これは、平成二十七年までに二十四時間死者数を三千人以下とする、こういう目標を持っているわけでして、ここでもまさに二十四時間以内の死者数ということを数値目標の基準としているわけですね。
しかし一方で、医療も進展しております。二十四時間以内に一命を取りとめても、しかし、三十日以内に命を落とされる方々がおられる。これも大事な教訓である。一件一件の事故から学ばなければいけない、死亡事故として学ばなければいけないということであろうと思うときに、二十四時間統計の数字、この死亡者統計、今とっている中でいえば、先ほどお話をしたように、二十四時間統計と三十日統計と一年統計がある中では、どうしても二十四時間統計というのは一番少ない数字になってしまいますよね。一番少ない数字になってしまう、その数字が全国に広がっているという状況であります。
その数字を果たしてこれからも追いかけ続けるのがよいのか、それとも、世界各国と先ほど比べる話をしましたが、一応、世界各国との比較調査ということについては、主に三十日統計を我が国も使っているというか、世界各国も使っておりますので、世界と比較する場合は三十日統計ということになるわけですね。
そういった意味では、二十四時間統計は全く無意味だと思いませんが、ですから、私は、統計をとる必要がないだとか、統計をとるのをやめるべきだとは全く申しません。申しませんが、やはり三十日統計の中で交通死亡事故件数というものを見ていく、それをスタンダードとしていく、そういう考え方は今後検討していくべきではないのかな、こんなふうに思うわけであります。
大臣、例えば、交通死亡事故五千人を切ったというふうに我々は喜んだときがありました。五千人を切った年は平成二十一年なんですね。しかし、これは、先ほど話をしましたように、二十四時間統計でいえばの話なんです。では、三十日統計でいった場合、五千人を切ったのはいつなのかといいますと、昨年なんですね。これぐらい持つべき意識として変わってくる。ああ、もう随分前に五千人切ったのよねと思っていたら、実は、三十日統計でいえば、五千人を切ったのは昨年だったということになるわけです。
そういうことからも、やはり今こう順調に減っていっているからこそなんですが、この機に、まだまだ交通死亡事故は減っていないよ、前年比、トレンドとしては減っているけれども、しかし、まだまだ件数というのは数多くあるんですよという意識を国民の皆さんに持っていただくという観点からすれば、順調に減っている二十四時間統計ということだけではなく、この三十日統計の数字。
恐らく、警察に聞くと、それも発表しておりますとは言うんです。ただ、先ほどから話をしていますとおり、そもそも交通安全基本計画の目標そのものが、二十四時間死者数を三千人以下とすることというふうに、こっちの方を基準に置いておりますので、どうしても三十日統計の数字は隠れてしまうわけですね。
そういったところからも、ぜひとも大臣には、この三十日統計ということを、一時的に何か見た目の数字がふえてしまうということで印象がよくないかもしれませんが、できる限り、まだまだなんだよという思いを込めて、そして、二十四時間以内には亡くならなかったけれども、それ以降三十日以内に亡くなった方々のその教訓にしっかりと報いていくというか応えていくためにも、三十日統計というものを重視していくという姿勢を打ち出していただきたいというふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
○山谷国務大臣 第九次交通安全基本計画の目標として、「平成二十七年までに二十四時間死者数を三千人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する。」ということを目標にしております。大事なことは、世界一安全な道路交通を実現するために、交通安全対策をもっともっとということで強化していくということが大事だというふうに思っております。
警察の交通事故統計としては、交通事故死者数に関する統計数字として、二十四時間死者数及び三十日死者数を採用しているところでありますが、考え方といたしまして、二十四時間死者数については、交通死亡事故の発生状況に応じた効果的な交通安全対策を実施するため、交通死亡事故の実態をできる限り早く把握、分析する必要があることから、統計計上し、速やかに広報を行っているところであります。
これによって、交通死亡事故多発を受けた非常事態宣言の発出等による適時適切な国民に対する交通事故発生状況の周知、交通指導取り締まり、交通安全施設等整備の迅速かつ的確な立案など、タイムリーかつ適切な諸対策の実施が可能となっているものと認識しております。
また、三十日死者数については、交通事故発生から二十四時間経過後に亡くなる方が相当数おり、交通事故の実態を把握する上で必要であること、そして、諸外国の交通事故統計は三十日死者数のみを採用しているところが多くあり、交通安全水準についての国際比較に資することから、統計計上して、広報を行っているところであります。
泉委員よく御承知のように、警察としては、三十日死者数についても二十四時間死者数と同様に国民への周知を図っているところでございますが、議員の御指摘も踏まえつつ、三十日死者数の意義も含めた国民へのわかりやすい広報啓発のさらに充実に努めていきたいと思っております。
○泉委員 大臣、ちなみに、先ほどからお話をさせていただいているこの基本計画の中の目標ですが、達成できそうでしょうか。
○山谷国務大臣 非常に厳しい部分もありますけれども、しかし、目標に向かってしっかりと進めてまいりたいと思っております。
○泉委員 春の交通安全運動も行われていたわけですけれども、改めてその達成に向けたさらなる督促というか、ハッパをかけていただきたいというか、そういう思いを持っておりますので、どうぞよろしくお願いします。
さて、千葉県警の話ですけれども、要は、グレーゾーンが存在するのかしないのかというところが気になるところでありまして、交通死亡事故か交通死亡事故ではないかということで、事前の説明では、例えばそれが駐車場で起きた場合カウントされるのかだとか、あるいは病気で亡くなった場合その判別に時間がかかるだとかいうことがあります。
しかし一方で、警察庁は、千葉県警に対して指導をその後行って、おかしなケース、判別しにくいケースについては本部長に報告する、そして改めてそのグレーゾーンの仕分けの仕方について指導もあったと思います。
これは事務方で結構ですが、現在、各都道府県警においても、そういった曖昧な事例が仮にあったとしても、うまく峻別して、グレーゾーンになって宙ぶらりんな形になるようなものはもうないということでよろしいでしょうか。
○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
警察においては、道路上において車両等の交通によって起こされた人の死亡を伴う事故を交通死亡事故として交通事故統計に計上しておるところでございます。
したがいまして、自殺への能動的な行動を起こしたものとか、医師の判断で病死と判断されたものとか、委員御指摘の道路交通法上の道路ではない道路外で発生したものについては、警察の交通事故統計には計上しないということでございます。
この基準については、各都道府県警察に警察庁より指導をしておりまして、各都道府県警察の方で適切に判断がなされて、計上がなされているものというふうに認識しておるところでございます。
○泉委員 最後に、ぜひ、この件については最終的な結果を含めて報告を待っておりますので、その点、警察の方、よろしくお願いいたします。
要は、全てが狂ってきてしまってはいけない。やはり正確な統計に基づいて全国で懸命に運動をされている方々があるということを忘れずに、こういったケースはどうやら過去にも他の県警でもあった、理由はいろいろあるでしょうけれども、そういった状況がございますので、今後、絶対そういったことがないようにお願いを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
○井上委員長 午前十一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十時二十四分休憩
――――◇―――――
午前十一時三十分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。小熊慎司君。
○小熊委員 維新の党の小熊慎司です。
通告に従って質問いたしますが、まずドローンについてです。
官邸の屋上にドローンが落ちていたということで、発見されるまで大分時間があった。私も、第一議員会館の官邸側にいるので、八階ですからよく見えるんですけれども、よく外を見て、官邸で菅官房長官や安倍総理がここで頑張っているんだなと思っていながら見ていたんですが、あそこに落ちているというのは、私も発見できなかったのはじくじたる思いであります。
実は、私自身もドローンを三機持っていて、一時期は私があれの犯人じゃないかともちょっとからかわれたんです。何で持っているかというと、残念なことですけれども、昨年のあの広島の災害のときに、その現状を把握するために使ったというのをニュースで見て、なお、私、福島県ですから、大震災、また、あの年、福島・新潟豪雨ということで私の地元もかなり被害をこうむって、現地に行ったんですけれども、やはり危険があるので、ああいうものを利活用できるなというのはありました。
また、県議会の当時、先輩議員が、そのときはドローンがなかったんですけれども、上空から俯瞰していろいろなものを見る、道路のあり方を見る、町を見るというのは重要だよといって、政務調査費を使ってセスナで空撮をしていた先輩もいて、これはやはり利活用して、我々政治家もいろいろな意味で使えるなというふうに思って購入していて、これからいよいよ、私のところは雪国ですから、春にもなって飛ばそうかなと思ったら、この事件があったのでなかなか飛ばせない。じくじたる思いでいるんですけれども。
今、ちょうど幕張メッセでドローン博を日本でもやっています。私の後援者の一人がアメリカに行って、ことしの一月にアメリカで全米家電協会主催で家電の見本市をやったときに、結構ドローンのブースがあったというんですね。
日本の場合は、こういう事件、また、きょう、少年のこともありましたけれども、規制の方に行っちゃうんです。規制は大事だとは思うんですけれども、やはりこれからの日本の成長戦略の中に、また、地方の過疎化対策であるとかいろいろな分野において利活用できる可能性を秘めているというふうに思います。
そういう意味では、まず活用をどうしていくか、その中でリスクをどうとっていくか、こういう進め方でないと、結局、日本はこの分野でもおくれてしまうんじゃないかな。今、各国でもいろいろな問題、事故も起きていますけれども、どっちかといえば、世界の潮流は、まず利活用をどうするか、その中でリスクをとっていく、規制をどうかけていくかというたてつけになっていると思うんですが、日本は残念ながら規制から入ってしまっています。
そういう意味で、このドローン、いろいろな可能性があります、未知数ですが、これをしっかりと日本の成長戦略、また、いろいろな活性化を含めて活用していくという意味の取り組みをまずお聞きいたします。
○平副大臣 お答え申し上げます。
小熊委員と認識を同一に持っております。ドローンは、さまざまな用途に使えるというふうに思いますし、私、地方創生も担当しておりますが、地方創生にも活用できると思っております。
そんな中で、政府の取り組みといたしましては、国家戦略特区を活用して、いわゆる近未来技術、ドローンとか自動運転、遠隔医療、遠隔教育、こういったものを実証実験していく。イノベーションが起きると、必ずそれを利活用するときに既存の規制がネックになったりするものですから、そういった規制も洗い出して、先回りして規制改革をするというようなことも考えているところでございます。
本年一月に、内閣府には近未来技術実証特区検討会を私の下につくらせていただきました。そして、その検討の成果として、三月十九日には、国家戦略特区諮問会議において秋田県仙北市など三つの区域を地方創生特区として決定をしましたが、特に秋田県の仙北市は、国有林、ほぼ十キロ四方ぐらいあるかと思いますが、あそこは実証実験をどんどんやっていただこうということで指定をさせていただいているところでございます。
先般、官邸にドローンが落ちるという事件がありましたので、政府としては、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議をつくって、必要な規制はしていく必要があると思いますが、その中でも、特区制度を活用した新技術実証を速やかに行うための制度改正等を検討するということでこの特区の活用が書かれたところでございます。
今後は、こういう特区を活用した実証実験をさらに進めてまいりたいと思いますし、今後取りまとめられる予定であります成長戦略の改定にも盛り込まれるよう、各省庁と調整をしてまいりたいと考えております。
○小熊委員 これも、今特区の話も出ましたけれども、仙北市でやっているということで、やってみてどうかという検証もしていかなきゃいけないんですが、これはスピード感を持ってやっていかないと、本当に今、世界の各国で、報道もほかの国の規制はどうなっているかという話の方が多く散見されるんですが、実際はその活用をどうしていくかという方が多いので、これはスピード感を持ってやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
規制の部分は、今副大臣からお話があったとおり、今でも道路のところでどうだとか、新しい法律、政府の重要施設とかありますけれども、公園はどうするかも自治体で条例でやっていますが、いろいろな分野分野でこの規制をどうするかというのがちょっと複雑になり過ぎているんですね。
私、御提案申し上げたいのは、この利活用の法律というか、その中に規制がすこんと入って全てを網羅できるようにした方が、いや、国交省でこうだ、農水省でこうだとなると、結局、いろいろな網にひっかかって、利活用しにくい。だから、私も本当に、今、どうやって飛ばそうかな、飛ばした結果何かにひっかかるのかなと思って、まあ室内型のでちょっと練習しているだけなんです。だから、そういう一くくりの法律の中で規制も入れていくという整理の仕方に持っていくんでしょうか、今、いろいろ包括的にやっていくというのは。
○平副大臣 今は、多分、規制については世界でも緩いんだと思います。アメリカなどに比べても緩くなっていて、ほぼラジコン飛行機の扱いだというふうに思います。
そういった中で、今、やはりドローンの、危険なところもありますから、一部、この上空は飛んではいけませんという規制も必要でしょうし、登録制も必要になると思いますので、必要な規制はしていく。一方で、ドローンのイノベーションをさらに進めるために、実証実験し放題というような特区もつくっていくということで、今、両方走らせるということになると思います。規制の方は、日常生活の安全を担保することに必要なものになるんだろうというふうに思っております。
○小熊委員 あと、民民の話になってくるんですけれども、これは世界でも起きていますけれども、飛ばしていて、落ちて、人にけがをさせた。これは民民の話になるんですが、そういうことも含め、民間の方と連携をして、一旦事故があったとき、個人に事故があったときとかを含めて、ドローンが活用される、何か事故があったとき、民民の話もちゃんと整理されるような仕組みづくりというのはあわせてやっていかないと、政府だけでやって、産業だけ育てて、でも民間で事故があったときは、それはこちらは知りませんではやはり成長していかない、発展していかないわけです。
そういった民民の部分のいろいろなことも含めて、総括的にどうあるべきかというのはやっていかなきゃいけないというふうに思っていますので、ぜひ、今後の取り組み、また注視をしながら議論させていただきたいというふうに思っています。
私は利活用がまずあるべきだという立場でありますが、それでもやはり治安のあり方というのは問われて、今回も、政府の重要機関の規制ですが、議長公邸は入っていて副議長公邸は入っていないというのもどうなのかなとも思ったんです。いわゆるISILの報告書も昨晩出ましたけれども、これは先ほど外務委員会で問題になっていました。この後、民主党の泉委員がやられるようですけれども、これはテロがドローンを使うということも想定されるんですが、こういうのも検証をしていかなきゃいけないんです。
これは通告はしていませんが、官房長官、これは報道が先で、我々外務委員にも何もない。内閣委員の皆さんにも聞いたら、何もない。これは重要な案件で、しっかり検証を国会としてもしていかなきゃいけない中で、報道があって、その後何時間後かに来るか、きょうの朝に来るかと思っていたら、何もない。こういう情報発信の仕方、報告の仕方、それは国民にしっかりお伝えするというのは大事なことだと思いますが、国会への報告が今回なかったというのは、ドローンを含め治安維持のことも議論しなきゃいけない中で、これは少し違うんじゃないかな。先ほど外務委員会でもほかの委員がここを指摘していましたけれども、この件について、もしコメントいただけるのであれば。
○菅国務大臣 この検証報告書についてでありますけれども、昨日、邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会と有識者の皆さんとの合同委員会の中で取りまとめを行って、そこで決定をしたということであります。政府としては、その検証を受けて、水際対策を含めて国際テロ対策はしっかりやっていきたい、そういう考え方であります。
きのう決定をしたわけでありますので、そのことについて国会に報告がないというお話でありましたけれども、実は、これは与党にもきのうの段階で出していますので、特別な報告はしておりません。
きのう決まったわけですから、結果として、そこの報告書については、関係するところにはできる限り早く報告書をお届けすべきだというふうに思っていますので、そこはこれからしっかり対応したいと思います。
○小熊委員 今官房長官が言われたとおりなんですけれども、きょうの段階でも何のアクションもなくて、委員会で問題になっていて、外務委員会の方では、こんなことだったら外務委員会はとまるよというところまでいっていたんですね。
もうこれは先に報道されてしまいましたから、今後、情報発信の仕方、報告のあり方、根回しの仕方というのは、もう一度考え直していただきたいなというふうに思っています。重要な案件です。
テロのことを考えれば、ドローンも、これを活用されれば、私、日本でテロというのはなかなかないんだろうなと思っていたら、過去を調べてみると、我が党の松木委員が藤波さんの秘書をやっているときに、翻訳本で、筑波大学の教授が殺されたのがあった。あれは世界各国でいろいろな被害者がいましたけれども、まさか日本でないだろうと思ったら、あったわけですよ、何十年も前に。
と考えると、日本も、そういう意味では決して遠い国の話ではなくて、我々もその当事者になりかねない部分がありますから、この治安維持のあり方、テロへの対応というのは真剣に考えなきゃいけないというふうに思っています。
そこで、今後いろいろな規制をかけていくという中で、考慮に入れていくという中で、原発施設についてもしっかりやっていかなきゃいけないと思っています。
九・一一があったときに、私はあのときも福島のあり方を見ていたら、テロ対策という看板が出ていて、福島県警の装甲車が一台原発施設には置いてあって、でも、常駐して必ずいつもいるのかといえば、そうでもなかったりして。
ちょうどそのときに、小泉政権下でしたからタウンミーティングをあちこちでやって、私もそこにたまたま抽せんが当たって行って、その他で手を挙げたら当てられて、そのとき、尾身さんが来ていました、小泉さんじゃなくて。原発のところにセスナが突っ込んだらどうですかと言ったら、セスナぐらいだったら守れますと言ったんですね、上から来ても。そうしたら、一週間後ぐらいに内閣府から電話が来て、あれはちょっと間違った答弁でした、横には強いけれども、上からはやはり弱いですと。
でも、タウンミーティングを会津大学とかでやっていたんですけれども、あそこの人は大丈夫だろうなと思って、修正の発言は私一人しか聞いていないので、うわ、これはちょっと問題だろうなと思ったし、いろいろな小説とか映画でも、核兵器の使用とかではなくて、まさに原発施設を乗っ取ってどうだというのがフィクションの世界ではありますが、これも決してフィクションだけで片づけられないところですよ。本当に、ドローンを一機飛ばしてそこを攻撃すれば、一大事になりますから。
原発施設に対するドローンの規制というのは、今、どういう検討段階にありますか。
○山谷国務大臣 まず、治安維持の観点からの規制についての警察としての考え方でございますけれども、法規制を含めたルールの策定が必要であると考えておりまして、関係府省庁連絡会議においても、こうした認識のもと、当面の取組方針が取りまとめられました。
今後、政府の方針に従って関係省庁において速やかにルールづくりの検討を行うこととしておりますが、警察としても、テロ等への対策を行うという観点から、こうした検討に積極的に参画してまいりたいと思います。
原発施設及び周辺におけるドローン対策の現状あるいは今後の対策についてでありますけれども、警察においては、全国の原子力発電所に対し二十四時間体制で警戒警備に当たっておりますが、先般、小型無人機に係る事案が発生したことを踏まえまして、原子力発電所の上空の監視やその周辺における不審者の警戒、検索を強化するなど、警戒警備の強化を行っているところであります。
また、原子力事業者に対しても、原子力発電所の上空の監視を含めた自主警備の強化を申し入れるなどして、小型無人機対策での連携強化に努めているものでございます。
今後とも、関係省庁や原子力事業者等と連携を図りながら、原子力発電所の警戒警備に万全を期すように警察を指導してまいりたいと考えております。
○小熊委員 九・一一が起きたときは、私はその一年後にアメリカへ行ってそれを見てきたんですけれども、あのときはそういう施設は軍隊が守っていたんですね。多分、日本もあのときに、テロ対策ということで警察と自衛隊でどうするんだというのが多分あったんですが、警察がやるということになったんですけれども。
だから、実際は、福島の原発も、事故が起きる前は、私は何回も見ていますけれども、警察じゃなくて普通の民間の警備会社がやっていて、これで大丈夫かなというのも思いました。今回、単なる地上だけじゃなく、今委員長が言われた空中のあり方、その影響力を排除していくという対策をやらなきゃいけないんですけれども、現状はそれがちゃんとできていないなというふうに思っています。
本当は、ドローンだけじゃなくて、さっき言ったような小型セスナ機が来たとか、ハンググライダーみたいなので来たとか、空中をどうするという意味では、小型無人機だけじゃなくて、治安維持のためにはそこまで思いをはせて対策をとっていかなきゃいけないと思うんです。
だから、小型無人機だけではなく、そういうことも意識されていますか、空中の治安を維持していくという意味で。それがないと、守っていくという意味では全部を網羅していないと思いますよ。
○山谷国務大臣 総合的に警戒警備体制を考えていきたいと思いますし、また、訓練等々も連携しながらやっているところであります。
○小熊委員 とりあえず、全国のほかの原発施設もそうですけれども、福島の場合は、特にまだ事故の起きた建屋になっていてほかの原発施設よりは脆弱なことは否めませんから、この安全確保というのはもっと本当に真剣にやっていかなきゃいけないというふうに思っています。
これは、ドローンだけに限らず、そういうことを含めて空中をどう守っていくかというのは、これから真剣に検討して対策をとって、法律ができただけで、では、実態は誰が守るのと。
県警も、福島県警の皆さん、頑張っていますけれども、福島県というのは人口に対して警察の数は少ないんですよ。まあ、福島の人は人がいいから、余り事件がないから警察が少なくても足りているかもしれないし。あと、福島県は北海道、岩手に次ぐ県土面積があって、しかも、県庁集中県じゃなくて分散県なんです。その中でも、少ない警察官の中で治安を守ってくれているんです。
そういう意味では、ぜひ福島県警に関しては特別の御配慮をお願いしたいなというふうに思いますし、福島県だけじゃなくて、原発施設やほかの、政府の重要施設も大事ですけれども、特に、とりわけ水道だって、これはいろいろなものをやられたら大変なことになりますよ。そういう公の施設の守り方というのは、しっかりとこれは、今回、官邸におっこったというのは本当に不幸なことでありましたけれども、これを契機にしっかり総合的にぜひ考えていっていただきたいというふうに思います。
あとは、警察と自衛隊のあり方、民間との連携のあり方も、今、何となくこれはバランスが悪いような気がしていますし、だから、実態は薄いなと思っていますから。県警の人がずっと張りついているわけじゃないですよ、あの原発施設に。警備会社の人ですよ。それを、テロが来て戦えって、戦えないですよ、何の武器も、警棒ぐらいしかないんですから。
だから、そういう現実も踏まえてどう守っていくかというのは、ぜひ現実に即した対応、あと、日本のこの仕組みの中でやれる対応というのは必要だと思いますし、そのブレーキもありながら、アクセルもしっかり踏んでいただくよう、平副大臣にお願いを申し上げまして、次の質問に移ります。
昨日も外務省の飯倉公館でレセプションがありましたけれども、島サミットが福島県いわき市で開催をされるということです。実は私の妻も、結婚する前に青年海外協力隊で南の島のサモアというところに行って、そのときからつき合っていたのでずっと文通だったんですけれども、済みません、そんな話。まあ、あちこちの委員会でこういうことを言っているんですけれども。それでいろいろかかわりがあって私も議連に入っていて、なおかつ、今回、福島県での開催ですから、これはすごくいいことだなと。福島は本州ですけれども、島がついていますから、我々もシマンチュだなと思っているんですが、次の島サミットは鹿児島か広島かどっちかになるんだろうなと思っているんですけれども。
この島サミット、これは外務委員会でも私は質疑していて、これは本当に、復興のあり方、また原発事故後のあり方、日本の安全、復興の姿を世界にしっかり見せていくいい契機になると思います。
ただ、それに先立って三月に行われた世界防災会議のときの政府首脳の発言においては、これは復興の姿の発信はしていましたが、原発事故についての言及は少なかったというのが印象でしたし、私の地元でも、原発事故の話は少ないねという話でした。
今回、この島サミットがまさに福島県で行われるわけですから、これを契機にしっかりと情報発信していかなきゃいけないと思います。
政府として、この島サミットの成果というのは、まだ、これはきょうから開催されるわけですけれども、どういったものを成果として獲得しようとしているのか、まずお伺いをいたします。
○菅国務大臣 まず、本日とあす、いわき市において、太平洋地域から十四の島国の首脳をお迎えして、第七回の太平洋・島サミットを開催いたします。
実は、昨年、この島サミットの場所をどこに決定するかというときに、総理の強い思い入れの中で、やはり被災地福島、そこで復興の姿を世界にアピールする、そういう思いの中でここをまず決定したということであります。そういう中で、防災、まさに気候変動や持続可能な開発といった主要なテーマに関して太平洋諸国の協力関係を一層強めていく極めて重要な会議であるというのをもとに今回準備を進めてきました。
今回のサミットにおいて、総理から太平洋諸国に対する外交ビジョンと今後の協力の方針というものを表明するとともに、参加首脳の間で共通の課題やこれから克服すべき、率直な意見交換を行って、太平洋を共有する仲間として協力関係というものを強化していきたい。
そういう中で、やはり福島の食料品等を使っての晩さん会だとか、いろいろな意味で福島は食の安全も問題ないんだ、こういうことも含めて世界にアピールする、そういうことで成果を上げていきたいということであります。
○小熊委員 その際には、もう総理が何をしゃべるかというのは固まっているんでしょうけれども、外務委員会でもやっていたんですが、東日本大震災というのは、地震と津波だけの災害ではなくて、特に福島は原発事故という複合災害になっていますから、この世界防災会議での言及はやはり足りていなかった。
今回、特に福島で行われますから、これはしっかり言及もしてくれと。総理自身も、オリンピックを誘致するときに、そこをアンダー・ザ・コントロールと言っているわけですよ。であれば、それをしっかり訴えていかなければ、いろいろ問題がまだ継続中の災害ですから、そんな簡単なことではないんです、本当に。まだ復興も、復旧すら果たしていないんです、この原発事故に関しては。
私は会津ですから、遠く離れていて、放射能の影響というのはほぼないんですけれども、東京よりないぐらいですけれども、だけれども、風評被害とかいろいろなことがあって、官房長官の地元からも本当は中学校なんかはよく福島に来ていただいていたのも、修学旅行、関東の人は来なくなっちゃっているんですよ。
だから、そんな状況下にもありますから、しっかり情報発信をしていかなきゃいけないんですが、二十一日の官房長官の会見がちょっと気になったのが、福島県いわき市の力強い復興の姿をしっかりごらんいただきたいと。いわきで開催するからそうなんですが、では、この島サミットはいわきだけの復興なのかということがちょっと気になったので。大臣は心配りの方ですから、これはちょっとうっかり言ったと思うんですが、いわき市だけではないですよね、この復興の姿というのは。改めて、言い直していただきたい。
○菅国務大臣 そこは大変申しわけないと思います。いわき市で開催をするという形の中で私は申し上げたというふうに思っていましたけれども、いわきを限定したということであれば、そこは申しわけないというふうに思います。
いずれにしろ、参加首脳に対して、東日本大震災、なかんずく原発の被害のあった福島においてまずサミットを開催する、ここは総理の熱い思いの中で決定をしたということでありますし、また、甚大な被害を受けた地区で、復興の取り組み、こうしたものの御視察をいただくことにもなっています。そしてまた、晩さん会において、先ほど申し上げましたけれども、食品は全て福島産のものを用いて、安全であるということも世界に発信をしていきたい。そういう意味で、このサミットを何としても成功させたいというふうに思います。
また、先般、在京外交団を対象に、福島をアピールするセミナー及びレセプションが実施をされているわけでありますけれども、そういう意味で、各種発信の機会を捉えて、東日本大震災からの復興、特に原発の、福島の皆さんが今取り組んでいること、そして、水産物も含めて、そうした食物については全く安全だということをありとあらゆる機会に発信をしていきたいというふうに思いますし、官邸での米も福島産を今使わせていただいています。
○小熊委員 そういう意味では、きょうニュースでも見ましたけれども、韓国の輸入規制に対して、科学的根拠がないということで、WTOに提訴をされた。
政府、外務省の努力で、禁輸措置をとっている国がどんどん外れていって、科学的根拠に基づいての規制に変わっていますが、とりわけ貿易の取引の多いアジア地域の国が規制をかけているんですね。これは、韓国だけじゃなく、中国だってやっているし、台湾もいわれのない規制強化に入っていますから、今後強い対応でやっていただきたいと思います。
継続中の災害ですから、計算すると、ねじがおっこっていたという部類も含め、三日に一遍ぐらいトラブルがあるんですね、あの福島の原発施設で。そのたびに福島が福島がとネガティブな情報が流れていってしまいますから、それ以上のポジティブな情報を発信していかなきゃいけない。
今回、島サミットは本当にありがたいことですけれども、来年、サミットが日本で開催をされる。メーン会場は違うところになるんでしょうけれども、何か関連の会議はやはり福島で検討していただきたい。
今、福島県庁でも置かれている、オリンピックの関連事業の部門もあります。東京オリンピックの関連事業を福島でやっていただきたいというのは、もう一年前から私も予算委員会とかで言っているのは官房長官も聞いていると思いますけれども、でも、そのとき、残念ながら、自民党の席から、県議会の質問かと言われたんですよ。いや、福島の復興なくして日本の再生なしとみんなが言っていて、結局、そんなやじを飛ばすということが、これも風化だなと思いました。こういう問題が、結局は、福島のローカルの話であって、日本全体の話になっていない意識になっているんですよ。
沖縄の基地問題だってそうかもしれません。あれは、日本全体の防衛、このアジア地域の防衛というのもあるのにもかかわらず、沖縄のローカルなものに捉えがちです、我々も含め。
でも、そうではないという意味では、ここをしっかり意識して、なおかつ、具体的に、どこかでこういう発言をしていますだけじゃなくて、総理だって、アンダー・ザ・コントロールというのを見せるためには、いろいろな国際会議、いろいろなイベントをどんどん誘致してもらうということが必要だと思います。
今、風評被害の営業損害の補償のあり方も変わろうとしています。私は、やはりそれも考えていかなきゃいけないと思っています、いつまでも補償経済でやっているわけにはいきませんから。福島県の地域経済も自立していく。でも、いろいろな足かせがあるという意味では、やはりイベントとかそういう意味で、PRという意味では、これは永続的に、本当に収束するまでいろいろな手をかりなきゃいけないという意味では、ぜひ、今後もずっと、こういった、オリンピックを含め、福島でいろいろなものを開催する。
これは官房長官、政府が率先して対応をとっていただきたいと思いますが、もう時間になりましたので、一言だけいただければ。
○菅国務大臣 今、小熊委員から言われましたことは、これは政府として当然のことだというふうに私も認識しています。
例えば、この連休中、閣僚あるいは政務三役が数多く海外に行かれました。そのときには必ず、福島の輸入規制をしているところについては、その現状を説明して、何でもないんだということを必ず訴えるように、政府全体として今行っているということも御理解をいただきたいと思いますし、ありとあらゆる、これからさまざまな機会があるというふうに思いますので、そこはしっかりと発信するように努めていきたいというふうに思います。
○小熊委員 あと、最後、一点だけ細かい話を。
総理が獺祭をいろいろなところで活用されていますけれども、そこに会津の酒があると、会津と長州になるのでさらにいいんですが。ぜひ御検討をよろしくお願いしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後零時一分休憩
――――◇―――――
午後一時四十分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。池内さおり君。
○池内委員 日本共産党の池内さおりです。
きょうは、内閣官房報償費について、官房長官に質問します。
内閣官房報償費は官房機密費とも称されますが、安倍政権は二〇一四年度に内閣官房報償費を幾ら使用しましたか。
○菅国務大臣 平成二十六年度、国庫から支出された内閣官房報償費は約十四億六千万円でありまして、そのうち、内閣官房長官が取扱責任者である内閣官房報償費については約十二億三千万円であります。
○池内委員 年間十二億三千万円を支出している。大変に大きな額だと思います。
内閣官房報償費、いわゆる官房機密費とは、国が、国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費というふうにされていますが、この説明では、多額の税金の支出であるにもかかわらず、納税者、主権者である国民には、一体何に使っているか、イメージさえ湧きません。
現在使途を公開していないとしても、もう少し具体的に、どういう場面で使う経費なのか、明らかにすべきではないですか。
○菅国務大臣 報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、取扱責任者である官房長官、すなわち私自身の判断と責任のもとで、厳正かつ効果的な執行を行っているものであります。したがって、何に支出する経費かを明らかにするべきではないというふうに考えます。
しかしながら、報償費の執行に当たっては、官房長官の交代時及び毎年作成する内閣官房報償費の執行に当たっての基本的な方針に基づいて、政策推進費、調査情報対策費、活動関係費の三つの目的類型ごとに、真にその経費の性格に適したものに限定して使用しているものでありまして、厳正な執行に努めております。
○池内委員 官房機密費を実際に何に使っているか、我が党の志位委員長が二〇〇二年四月に暴露した機密費の出納帳には、背広代、パーティー代、せんべつ代などの使途が記載されていました。野坂浩賢元官房長官は、与野党国対に五百万円を渡した、最も多い使い道はせんべつだ、国会議員が海外視察に出かけるときに渡したと証言したことが報じられました。二〇一〇年四月には、野中広務元官房長官がテレビで、総理のところに一千万円、国対委員長、参議院幹事長に五百万円、毎月渡していたと証言をしました。
もちろん、この機密費を受け取った政治家の中に我が党の国会議員がいなかったことは、周知の事実です。
二〇一〇年八月には、鈴木宗男官房副長官が、九八年沖縄県知事選挙に機密費三億円を投入したと証言をしました。
官房長官の見解をお伺いします。
国民の税金を政治資金として仲間内で分け合う、ましてや、みずから支援する候補を当選させるための秘密の選挙資金として使う、こういうことは許されないと思いますが、内閣官房報償費いわゆる官房機密費は、こうした使途が認められているのですか。
○菅国務大臣 報償費は、内政、外交を円滑そしてまた効果的に遂行するために、内閣官房長官として、その都度の判断で機動的に使用をする経費であることから、その使途に特別の制限は設けられておりません。
昨年十一月七日のこの内閣委員会において、これは沖縄の知事選挙ですけれども、この選挙だけでなく、ほかの選挙にも使うことはありませんし、官房長官の政策判断のもとに、国益を担うために報償費を使わせていただきます、そのことが私の考え方でありますと述べたとおりでありまして、これに尽きるものであります。
○池内委員 背広代、パーティー代、せんべつ、こうしたものに使ったという証言、また、総理に一千万円、国対委員長、参議院幹事長に毎月五百万円渡した、そして知事選にも投入をした、元官房長官、元官房副長官の証言です。
日本の民主主義の根幹にかかわるこうした疑惑がありながら、官房機密費は、その使途の検証が行われることがなく、毎年十二億円という巨費が使い続けられています。闇に葬り去られ続けています。極めて重大な問題だと私は思います。
官房機密費の執行の記録がどうなっているのかをお伺いいたします。
内閣官房報償費取扱要領に、機密費のお金の流れを記録する会計書類の様式が定められています。きょうお配りした資料に記載されていますが、別記様式一、内閣官房報償費出納管理簿、別記様式二、政策推進費受払簿、そして、別記様式三、支払決定書です。
資料をぜひごらんいただきたいんですが、まず、この別記様式一、内閣官房報償費出納管理簿とは、機密費のどういうお金の流れを記録するものですか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
委員会配付資料の別記様式一につきましては、取扱責任者が、つまり官房長官が指名した事務補助者に記録を行わせる報償費全体の出納管理簿でございます。
これは、報償費に関しまして出入りがあった都度、事務補助者が記載するものであり、いわば報償費の執行状況の全てを管理するという意味合いで、全体を一覧できるという性格でつくられているものでございます。
○池内委員 国庫から支出されたお金は毎月一億円だというふうにお伺いをしていますが、まず国庫から機密費に支出をするお金をいつ、幾らもらったか、そしてそのお金がいつ、何に支払われたかが記載されるという答弁でした。
別記様式三についてお伺いしますが、官房長官みずからでなく事務補助者が支払った場合にいつ、誰に、どの目的類型で、幾ら払ったかを記録するものが別記様式三にある支払決定書という理解でいいでしょうか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
この別記様式三は、調査情報対策費及び活動関係費が、取扱責任者である内閣官房長官が指名した事務補助者をして出納管理等の実施事務に当たらせる内閣官房報償費でございます。
これは、支払いの適正さを担保するために、支払いの決定の都度、長官の支払い決定をいただくものでございます。ここに列記されてございますように、支払い決定の日付、支払い決定の額、目的類型別の区分、支払い相手方を書き、長官の記名押印をいただいた後、事務補助者が記名押印をするものでございます。
○池内委員 別記様式二、政策推進費受払簿についてお聞きします。
官房機密費の支出に当たって、官房長官みずからが支出する金額については、官房長官が受け取った額、前回受け取ったときからそのときまでに支払った額、受け取り時に残っていた額、今回受け取ってその時点で残っている額を記録したもの、それが別記様式二の政策推進費受払簿ということでいいでしょうか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
別記様式二は、国庫から支出された報償費のうち、内閣官房長官が政策推進費として使用する額を決めた場合に当該金額を区分し、その区分をする都度作成する文書でございます。
内閣官房長官みずからが記録管理し、事実上、長官の指示を受け、事務補助者が作成するものでございます。
以上です。
○池内委員 官房長官自身でなく事務方が支払った記録は、別記様式三、支払決定書に、支払い相手先、どのような目的で、幾ら払ったかの記録が残ることになります。これに対して、別記様式二、政策推進費受払簿では、官房長官が幾ら受け取ったか、前回の受け取りから幾ら使って、現在幾ら残っていて、今回幾ら受け取ったから今現在幾ら持っていますという、この事実しかわかりません。
問題はその先です。官房長官がそのお金をいつ、誰に、どのような目的で、幾ら支払ったのか、これを記載する様式は内閣官房報償費取扱要領にはあるのですか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
内閣官房報償費には三つの類型、政策推進費、そして調査情報対策費、活動関係費があるわけでございますが、調査情報対策費そして活動関係費につきましては、全ての支出先等について領収書等々確認できるものを保存しているところでございます。政策推進費につきましては、その性格上、必ずしもそういうものでない部分というのが生じているところでございます。
○池内委員 政策推進費受払簿に記載された金額を受け取って、いつ、誰に、どのような目的で、幾ら支払ったのか、これを記載する様式は内閣官房報償費取扱要領にはないという答弁でした。
そうすると、国庫から毎月一億円を受け取って、その中から官房長官が政策推進費をみずから使うとき、いつ、誰に、どのような目的で、幾ら使ったかの記録はないということですか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
内閣官房報償費は、先ほど官房長官が御答弁申し上げましたように、内閣が国の事務事業を円滑かつ効果的に遂行するため、内閣官房長官が、内閣の重要政策の企画立案、総合調整を的確に行っていくため、その情報収集、そしてまた合意形成に向けた交渉、あるいはまた協力依頼等に係る活動時に、その当面の任務の状況に応じた、すぐれて政策的判断のもとに、その都度最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費でございます。
この点につきまして、その具体的な使途について、高度の機密性が保持されて初めてその使用目的を達することができる経費という形で、予算審議におきましても国会において認められた上、執行していただいているものでございます。
○池内委員 同じ質問を官房長官にしますが、記録はないということですか。
○菅国務大臣 今、事務方で答弁したとおりです。
○池内委員 政策推進費受払簿に記載された金額を受け取って、いつ、誰に、どのような目的で、幾ら支払ったのか、その使途先などを記載する様式が内閣官房報償費の取扱要領にはありません。
官房長官の言われたもの、ないということでしたが、全て何も残していない真っ暗闇の状態なんでしょうか。
○菅国務大臣 報償費については、取扱責任者であります官房長官、すなわち私自身の判断によって厳正かつ効果的な執行を行っており、使途については全て把握をしております。
また、報償費の執行に関して、会計検査院が必要として、会計検査院長から特に申し出のあった場合は、官房長官みずからがその説明に当たることになっております。
○池内委員 記録もないということですか。もう一度お願いします。
○菅国務大臣 私の責任のもとで厳正かつ効果的な執行を行っておりました。
○池内委員 領収書も何もないんですか。もう一回。
○菅国務大臣 使途のことについて、これは国会で承認をいただいたものでありますので、それに基づいて厳正かつ効果的な執行を官房長官が責任を持って行っているということです。
○池内委員 別記様式三の支払決定書はこれまで情報公開がされたことがありません。しかし、いつ、誰に、どのような目的で、幾ら支払ったのか、記録が一応残っています、この支払決定書においては。ところが、この政策推進費として官房長官が受け取ったものには、その金額は政策推進費受払簿で残ってはいるものの、その金額をどのように使ったかを記録する公式な様式は今ありません。これでは検証が行えません。
時の政権が記録を国民から隠し続けても、記録があれば、最悪でも、国民の審判による政権交代があれば、そして交代した政権にその意欲があれば、記録をチェックすることが可能になります。官房長官が何に使ったのかは公式な記録に残っていません。非公式な記録であればいつでも破棄できるものにもなってしまいます。これでは、政権交代によってすら検証がなされない仕組みになっています。
官房機密費の使途の公式な記録を残さない現行の仕組みというのは、民主主義の国家の最低のルールさえ満たしていないのではないかと思いますが、いかがですか、官房長官。
○菅国務大臣 先ほど来申し上げていますけれども、まさに官房長官として高度な政策判断により、機動的に使用することが必要な経費であります。
そもそも相手方もあることでありまして、高度な情報収集や協力を得るために、領収書等を徴収することが困難な場合も多々あるわけであります。
○池内委員 今、領収書などをとることも困難と言いましたが、政策推進費として官房長官が受け取ったものは、その金額は政策推進費受払簿に残る。その金額をどのように使ったかを記録する様式は、現在の取扱要領にはありません。それはつまり、何を記録するかのルールさえ今ないということです。あるらしいのは、何が記載されているかわからないですけれども、官房長官自身がみずから管理するものである。
こんなずさんな手続で年間十二億円の血税が執行されていいのか。いいはずがないと私は思います。政治家の仲間内での分け合いや不正な選挙資金への活用すら可能なこのような税金支出は、断じて許されません。このことを指摘して、きょうは次の質問に移ります。
有村大臣にお伺いをいたします。
今、政府が進めている第三次男女共同参画基本計画において、いわゆるLGBTと総称される性的マイノリティーの方々をどのように位置づけているか、お答えください。
○有村国務大臣 池内委員にお答え申し上げます。
現行の第三次男女共同参画基本計画においては、男女を問わず性的指向を理由として困難な状況に置かれている場合や性同一性障害などを有する人々に対し、人権尊重の観点から配慮が必要である、このため、人権教育、啓発等を進めることが記載されています。
具体的施策には、法務省の取り組みとして、性的指向や性同一性障害を理由とする差別や偏見の解消を目指して、啓発活動や相談、調査救済活動に取り組むことが記載されてございます。
○池内委員 私も、いわゆる性的マイノリティー、性同一性障害の皆さんの公的書類などの性別記載について、この委員会でも何度か取り上げてきました。
地方自治体では、二〇〇四年に、不必要と判断した性別記載を削除する規則、規則で定める様式における性別の記載事項の整備等に関する規則を定め、男女などの記載を県の書類から削除しています。
こうした地方自治体による取り組みの一環に投票入場券の性別記載の削除があります。これについて、総務省にお聞きします。
○稲山政府参考人 お答えいたします。
投票所入場券でございますけれども、投票時における選挙人の性でございますとか本人確認の迅速化のほかに、投票場所でございますとか投票時間の周知等に資することから、市町村の選挙管理委員会におきましてこれを発行するように努めることとされているものでございます。
この入場券の記載事項につきましては、法令上、特に公職選挙法等に特段の規定はございません。男女別記載の取り扱いについても、各市町村の選管の判断により決定をしているところでございます。
そんな中で、市町村選管におきましては、性同一性障害の方々に配慮した具体の取り組みといたしまして、例えば、そもそも男女別の記載欄を廃止しているような例でございますとか、選挙人名簿との対照の便宜のために入場券にはバーコードが入っている場合もあるわけでございますけれども、そのバーコードの表示の中に男女別の記載を記載することによって、入場券そのものには漢字で男女という欄をなくすとか、あるいは、男性をゼロ、女性を一とするなど、入場券に記載された数字により区別をしている、こういったような例があるというふうに承知をいたしているところでございます。
○池内委員 国による取り組みについて、引き続き厚労省に確認します。
厚労省では、当事者の皆さんからの要望によって性別記載を削除するなどの配慮を行った事例として、どのようなものがありますか。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
社会保障分野におきまして性別記載を求めております証明書における取り扱いといたしまして、例えば、国民健康保険などの医療保険の被保険者証における性別の表記方法につきましては、被保険者からの申し出によりまして、やむを得ない理由があると保険者が判断した場合には、戸籍上の性別を被保険者証の表面ではなくて裏面に記載できることとしております。
また、精神障害者保健福祉手帳における性別の表記につきましては、性同一性障害の方々の団体からの御要望を踏まえまして、平成二十六年の四月からでございますが、性別欄を削除いたしております。
○池内委員 この秋から運用が開始されるマイナンバー制度において、番号カードに性別記載が法定されています。十五日の委員会で、私は西村副大臣にこの性別記載の問題について指摘をしたところ、西村副大臣は、性別を個人番号カードの表面に記載することについてさまざまな議論があると認識をしております、性別をカードの裏側に記載するかどうかについてさらに検討を行っていく必要があるというふうに考えておりますと答弁されました。
担当大臣である甘利大臣も同じ見解かどうか、お伺いします。
○甘利国務大臣 個人番号カードは、個人番号の確認とあわせて本人確認を行うための書類でありまして、本人を特定するために、氏名、出生の年月日、男女の別及び住所、この四つの情報を記載することといたしているわけであります。
性別を個人番号カードの表面に記載することについては、委員の御懸念を初めとするさまざまな議論があるものと承知をいたしております。裏面に書けという御主張と、一方で、マイナンバー自身が裏面に記載をされていますことから、性別を裏面に記載した場合に、性別の確認をする際にマイナンバーも見えてしまう、これを懸念する声もあります。表面四情報の管理とマイナンバーの管理はその重みが違うというところから、表側に情報を集めて、取り扱いを慎重にしなければならないマイナンバーは裏側で不必要に見られないようにしてほしいということだというふうに思っております。
個人番号カードの用途も踏まえまして、性別をカードの裏面に記載するかどうかについては、さらに検討を行っていく必要があるというふうには考えております。
○池内委員 個人番号カードを直接所管する総務省にも、この点を確認したいと思います。
○二之湯副大臣 性別を個人カードの表面に記載することについては、いろいろな議論があることは承知しております。
ただ、個人番号カードは健康保険証としても利用することを想定しております。したがって、その場合、医療保険の事務として性別の確認を行う必要がございます。
このような状況を踏まえ、性別をカードの裏面に記載するかどうかについては、さらに検討を行ってまいりたいと思っております。
○池内委員 私たちは、マイナンバー制度を発足させる二〇一三年の番号法案に対して反対をしてまいりました。ただ、マイナンバー法案を検討する過程では一切考慮がされなかった性的マイノリティーの要求が、今回は検討される、このことについては、性的マイノリティーの権利に対する政府の認識の前進というふうに受けとめたいと思います。
有村大臣にお聞きします。
有村大臣は、性的マイノリティーの人権の問題を計画の中に位置づけている、男女共同参画の担当の大臣でいらっしゃいます。また、担当されている国家公務員の中には、当然、性的マイノリティーの方々もいると思われます。今回取り上げた性別記載の問題は、まさに性的マイノリティーの当事者や関係者、市民の粘り強い取り組みがあって、それに応える地方自治体や厚労省の取り組み、そして今回はそれに加えて、内閣官房、総務省による新たな検討の表明がなされました。まさに関係者の努力によって、性的マイノリティーの人権保障の取り組みが一歩一歩進んできました。こうした努力が本当に大事だと私は思いますが、有村大臣のお考えをお聞かせください。
○有村国務大臣 お答えいたします。
御指摘のとおり、性的マイノリティー、とりわけ性同一性障害などを有する方々に関して、人権尊重の観点から、その教育、啓発等を進めて、差別や偏見をなくしていくことというのは極めて大事な価値だと認識をしております。
その上で、国家公務員採用試験における受験申込者の記載事項は、人事院が定めることでございまして、お尋ねの性別の記入欄の取り扱いについても、委員御案内かと存じますが、人事院において判断すべきものでございます。質問としては、人事院をお呼びになることができますので、その当事者であります人事院にお尋ねいただきたいと考えております。
その上で、一般論として申し上げれば、性別の記入欄は、女性の活躍推進に資する観点から、男女別の申込者を把握することなど、ジェンダー統計をしっかりと上げてほしいという声も、これまた多くの方々から御指摘をいただいていることでございまして、その必要性から設けられているものと理解をいたしております。
○池内委員 最後の質問になりますが、有村大臣に。
男女共同参画計画や国家公務員制度改革に当たっては、やはり性的マイノリティーの方々の要望にこれまで以上にしっかりと耳を傾けて立案をしていただきたいと思います。大臣の見解をお聞かせください。
○有村国務大臣 現在、第四次男女共同参画基本計画ということに向けて、策定専門調査会において議論が行われております。御指摘の点も含め、また先ほど私が答弁で申し上げた価値観ということもしっかりと含んだ上で、今後、検討してまいりたいと考えております。
○池内委員 質問は以上です。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、河野正美君。
○河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。
先日、小型無人飛行機、いわゆるドローンが首相官邸の屋上で発見された件につきまして、我々維新の党は、内閣委員会での集中審議を求めてまいりました。残念ながら、現在までそういった時間を設定していただいておりませんので、本日の機会を利用いたしましてお尋ねをいたしたいと思います。
いわゆるドローンの利活用につきましては、先ほど我が党の小熊委員の方からお話をさせていただいたかと思います。
私は、本日、我が国の中枢や極めて重要な施設の安全性という観点から質問をさせていただきたいと思います。
まず、今回の官邸屋上におけるドローン発見について伺いたいと思います。
四月二十三日の衆議院本会議におきまして、冒頭に私が質問させていただきましたが、その後、容疑者逮捕に至ったというふうに認識しております。捜査中の案件ということもあるでしょうが、その後の経過、いつから屋上にあったかなど、新たに判明した事実関係、現状について詳細を、これは可能な範囲で構いませんので、まずお聞かせいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。
御指摘の事案につきましては、本年四月九日午前三時四十分ごろ、四十歳の男が、港区赤坂所在の駐車場において、放射性物質の存在を示す標識を貼付した容器等を搭載した小型無人飛行機一台を遠隔操作し、これを総理官邸屋上に落下させ、同月二十二日に至りこれを発見した同事務所職員に発見時の対応を余儀なくさせたものでございます。
四月二十五日、警視庁におきまして四十歳の男を威力業務妨害容疑で逮捕したものであり、五月十五日に検察庁において起訴されたものと承知しております。
○河野(正)委員 今回、ドローンからは、直ちに人体に影響のあるものではない程度の微量な放射性物質が検出されたというふうに報じられております。健康に影響が出ない程度であったことは不幸中の幸いかというふうに思いますが、仮にこれが高レベルの放射性物質であったり、あるいは細菌やウイルスなど生物兵器に使われるような物質であった場合、極めて深刻な問題ではないかと思います。また、その被害は、現在までもこの一帯で収束できていない可能性すらあるんじゃないかと思います。
万が一、官邸がしばらく利用できないような状況に陥った場合、官邸の機能を維持するためにどのように備えられているのかを伺いたいと思います。
○藤山政府参考人 現実に官邸の機能をどこに移すかということにつきましては、それぞれの状況を踏まえて臨機に判断されるというふうに思いますけれども、平成十五年の閣議了解というのがございまして、緊急事態発生時における対応に関する閣議了解でございます。
これにおきましては、首都直下型等の大規模な地震が発生したときで、官邸の危機管理センターが使用できない場合の対応としまして、移設の順番としましては、第一に中央合同庁舎八号館、これは内閣府の建物でございますけれども、第二に防衛省、そして第三に立川の広域防災基地という順番に従いまして、内閣総理大臣または官房長官がその状況を勘案して定めるということにされておりまして、こうした閣議了解を踏まえて、適宜に判断されるということになろうかと思っております。
○河野(正)委員 今、三カ所お示しいただいたんですけれども、いずれも東京近郊ですので、本当に広域に被害が及んだ場合、大丈夫なのかなというふうに心配をしております。
次に、官邸の警備体制について伺いたいと思います。
本件発覚直後、内閣官房及び警察庁の方から、我々、内閣委員会の理事懇談会の方で御説明をいただきましたけれども、いずれも皆さん、重要な問題と認識しているというようなお言葉を述べられていたように思います。その割には、非常に責任感が希薄なんじゃないのかな、あるいは責任の所在が曖昧じゃないかなという印象を個人的には受けました。
そこで、官邸内外の警備体制の責任者が誰なのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 官邸等の重要施設の警戒警備につきましては、警察が責任を有しております。
○河野(正)委員 外と中で若干違う体制じゃないかと思いますけれども、その点はいかがになっているんでしょうか。
○高橋政府参考人 外につきましては、基本的に全て警察が責任を有しておりまして、中と申しましても、例えば要人、総理や官房長官の身辺の安全確保につきましては、やはりSPが担当しておりますので、警察が担当しております。そのほか、施設の管理ということになりますと、内閣官房の方も担当しておりますので、その辺、連携をとってやっているということでございます。
○河野(正)委員 また、今、そういうふうに幾つかの部署でやっておられると思うんですが、実際に体制をどのように決定しているのか。繰り返しになるかもしれませんが、今、外は機動隊で、中は官邸の警備隊ということで、別働部隊になっているんじゃないのかなと思います。それは誰がどのように、ここからここまではこの人たちがやりなさいという決定というのはどういうふうになっているんでしょうか。
○高橋政府参考人 総理官邸の警備につきましては、その専門部隊であります警視庁の総理大臣官邸警備隊が、身辺警護を担当しますSPでありますとか総理官邸の外周警備を担当する機動隊、それからさらに官邸の警務官とも緊密な連携を図り、警戒を実施しているという状況でございます。
○河野(正)委員 官邸内と外の警備体制は十分に連携がとれているという認識でよろしいでしょうか。はい。
そうしましたら、次に行きます。
結果として、上空から官邸に侵入を許してしまったということは、危機管理上、看過できない事態ではないかなというふうに思っております。
容疑者逮捕により、実は、約二週間もの間、発見されることなく存在していたということが報じられております。また、容疑者本人のものとされるブログによれば、「ヤフーニュースで「官邸にドローン」 遅せーよ職員!てゆーか警備員じゃないのか…二週間放置て…」というふうにあります。
御承知のように、警備員が見つけたというわけではなくて、官邸の職員の方が屋上を点検しているときに見つけられた、新任の方が研修ということで点検に行かれて見つけた、偶然見つかったということでございます。
今回の件を受けて、菅官房長官にお尋ねいたしますが、官邸警備についてどのように認識し、対応していらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○菅国務大臣 今回の事態を受けまして、杉田官房副長官のもとに関係各省の局長を集めまして、もう一度警備体制の洗い直し、その対応策を練っていたところでありますし、それに基づいて徹底してこれからは行っていきたいというふうに思います。
○河野(正)委員 しっかりと、やはり官邸が何かあるということであれば大変なことになりますので、注意していただきたいというふうに思います。
事件の後も、ドローンを飛ばそうとしている者は相次いで見つかっております。これまでは幸い飛ばす前に発見されているものの、既に飛んでいる場合には、官邸上空への侵入を阻止するということは極めて難しいことではないかと思っております。
今回の、容疑者がドローンを操縦したと言われている、先ほどおっしゃった赤坂の場所には、現在パトカーが常駐している状態というふうに認識しております。また、私がたまたま夜間に通りがかった際には、多くの警察官が、そのパトカー周辺にも自転車等で来られていたり、おられました。しかし、一度行われた場所だけ注目していても、本気で犯行を企てようとすれば、ほかにも場所は幾らでもあるんじゃないのかなと思います。
繰り返しにもなりますけれども、現状で飛行物体等による官邸敷地侵入をどのように防御するつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 官邸警備の詳細につきましてはお答えすることはできませんけれども、ドローンの関係では、まず、周辺でドローンを飛ばさせないための方策をとっております。これは、官邸の周辺エリアの警戒とか検索を徹底しておりますし、不審者に対する職務質問を強化しておりまして、ドローンによる侵入事案の未然防止に努めているというのが一つございます。
それからもう一つは、飛ばされてしまった場合の飛行中の小型無人機につきましては、上空警戒を徹底するなどによりまして、早期に発見し、その操縦者を早期に捕捉すること、それから、接近してくる小型無人機に対しては、資機材を有効に活用して対処することなどにより、その危害を排除するということとしております。
○河野(正)委員 本当に現実には厳しい問題だと思いますので、十分な対策をとっていただきたいと思います。
また、そもそも、我が国の官邸は大きなビルに囲まれております。先ほど小熊委員もお話ししていましたけれども、まず衆議院の会館からも真下に見えるというような状況にあります。また、周辺にもビルがたくさんあります。こうした状況というのは非常に問題じゃないかなと思います。
例えば、フランス等では、周囲のビルを買い取ったり、ビルに出入りする者の身辺調査などを行ったりするなどの対応をしているというふうに聞いております。また、首相官邸の場合、オフィスビルだけではなく、ホテルや飲食店が入っているビルなど、さまざまな不特定多数の人々が自由に出入りできるような環境にあると思います。
この点について、警備上の問題はないのか、認識をお聞かせください。
○高橋政府参考人 御質問の周辺のビルの対策でありますけれども、警察としましては、官邸周辺のビル等の高層建築物につきまして、屋上等から総理官邸に向けてドローンを操作することが懸念されますことから、ビルの管理者に対して、屋上の施錠管理を徹底すること、あるいは不審者を発見したときには迅速な警察への通報を依頼するというようなことで所要の対策を講じているところでございます。
○河野(正)委員 若干きのうの質問通告のときにはお話ししていたんですけれども、やはり周辺の方には、例えばこれからビルを建てるときとか、そういったことについて何か指導というか協力要請とかはされているんでしょうか。わかりませんか。
○高橋政府参考人 事前にそういう建築の計画がわかりますれば、警察として、お願いでありますけれども、そういう対策上必要なお願いはするということはございます。
○河野(正)委員 ありがとうございます。
やはりいろいろなことは考えておかなければいけないと思いますので、しっかり対応していただきたいと思います。
まさに昨日ニュースがありましたけれども、東京・浅草の三社祭りでドローンを飛ばすと予告していた十五歳の少年が、威力業務妨害の疑いで逮捕されたということでございます。この少年は、長野県善光寺の法要でもドローンを落下させ、さらに、東京都千代田区の憲政記念館付近や議員宿舎付近の公園でもドローンを飛ばそうとして、警視庁から厳重に注意を受けていたということであります。これからも愉快犯的にこういった事例が続く可能性が否定できないのではないかなというふうに思います。
また、現在、超党派で重要施設の上空のドローンを規制しようという動きもあると思います。
今回の少年のように、目立つ形で犯行予告などをしていれば、未然に防ぐことも可能であると思います。しかし、さきの総理大臣官邸の事例のように、逮捕覚悟やひそかに計画を実行されるのであれば、なかなか防御するということは難しいんじゃないのかなと思います。
また、この質問に先立ちまして、いろいろと調べておりましたら、昨日、五月二十一日の日経新聞朝刊の「記者手帳」というコラムに目がとまりまして、これは、衆議院の警務部においても飛んでいるドローン対策を研究中という記事でありました。妨害電波を飛ばすとか投げ網で捕らえる、こちらもドローンを飛ばして対抗する、そういったことが提案されているという記事でございました。
しかし、妨害電波等は携帯電話に悪影響を及ぼしてしまうということや、投げ網というのも、なかなか、本当に届くのかなと思いますけれども、実効性に乏しいんじゃないかということで、名案が出ていないというふうに書いてありました。
この記事では、警務部幹部のコメントとして、現実には素早く警察に通報するくらいで、一時間に一回は必ず国会の屋上を見回るなど警戒監視を強化しているが、手出しできない歯がゆい状態が続いているというように書かれております。
衆議院警務部として、現在どのような検討がされているのかをお聞かせいただきたいと思います。
○近藤参事 お答えいたします。
衆議院警務部におきましては、衛視が毎日、毎時間、構内の巡視を行いまして、不審者や不審物がないかチェックをいたしております。
なお、首相官邸でドローンが発見されました当日から、国会議事堂の屋上につきましても巡視を行っておりまして、警備強化に努めております。
不審なドローンを発見した場合には、警察と協力して、必要があれば付近への立入禁止等の危険回避をする措置をとるということを考えております。
それから、先生がおっしゃった昨日の日経新聞の記事でございますけれども、現状といたしましては、衆議院警務部としては情報収集の段階にある、そういうふうに御理解いただければと思っております。
○河野(正)委員 では、まさに今この質問をしている時間帯にももし飛来してきた場合はどのように対応されるか、もう一回お答えいただけますでしょうか。
○近藤参事 お答えいたします。
飛行中のドローンについてでございますけれども、これも同様に、院内におられる方々がドローンに近づかないように、これは危険回避のためですけれども、そのような注意を払うなどの、不審なドローンが落下した場合と同様の対応をとるということを考えております。
○河野(正)委員 よろしくお願いいたします。
官邸の警備体制につきましては今まで伺ってまいりましたが、新聞等で総理大臣の日程等を見ておりますと、渋谷にあります私邸で寝泊まりされている様子がうかがえるんじゃないかなと思います。
安倍総理におかれましては、海外交流も極めて活発に行われておりますし、国会では今後、安保法制を初め多くの重大な議論が控えておられますし、極めて激務ではないかなと思います。総理大臣が健康や心身の平安を保たれるように、そういった環境を整えることは重要だと思っております。本当に住みなれた我が家で生活されるということは大切なことじゃないかなというふうに理解しております。
ただ、その一方で、総理大臣が頻繁に官邸と私邸を往復することは警備体制確保の観点から非常に大変な問題ではないかな、大きな負担になっているのではないかと心配する声もございます。決してテロリストに屈しないと強く主張される安倍総理は、同時に、御自身がテロの標的となる危険と隣り合わせでもないかと心配をしているところであります。リスクをできるだけ低くする行動も求められるのではないかと考えます。
こうした点につきまして、安倍総理を支える官房長官である菅官房長官の認識を一言お聞かせいただきたいと思います。
○菅国務大臣 まず、内閣総理大臣に対してでありますけれども、専門的に訓練を受けたSPが昼夜を分かたず身辺の安全確保のために警護活動に従事しているほか、私邸周辺の警戒に当たるなど、所要の警備措置を講じていただいております。
また、厳しいテロ情勢の中にあっても、総理の身に万が一の事態を生じさせないよう、引き続き警察において万全の体制で警護に当たらせる所存であります。
そしてまた、総理が公邸、私邸、ここは、第一次政権の経験も踏まえまして、最良のコンディションで政治活動ができるように、総理自身がそこを考えながら、今、両方をうまく使い分けているんだろうというふうに思います。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
官房長官への御質問はここまででございますので、よろしければ退席していただいて。重要法案も控えておりますので、どうぞ。その後に厳しい質問をされる方がいらっしゃるかもしれません。
続けますが、総理大臣が私邸や別荘に滞在している際、飛来したドローンへの規制ということは何か考えておられるんでしょうか。
○高橋政府参考人 別荘等の総理の訪問先につきましても、SP等の警察官が常時身辺で警戒もしておりますし、周辺の警戒もしておりますので、それらの警察官が訪問先の上空の監視も含めて必要な警戒を行っているというところでございます。
○河野(正)委員 次に、接近時の対応ということで、今、御答弁にも若干あったかと思いますが、伺いたいと思います。
例えば、高速で移動中の車などをドローンで捕捉するということは難しいかもしれません。しかし、渋滞あるいは信号などで停止した場合、総理に限らず、閣僚、重要人物の乗っている車の上にドローンで何か爆発物等を落下させることは可能なのではないかなというふうに危惧いたします。そして、安倍総理は時折でしょうか、盛んにでしょうか、ゴルフもされていらっしゃると思います。
こういった際の上空警備をどのように考えられているのかを教えていただきたいと思います。
○高橋政府参考人 まず、総理が車両で移動している際の警護体制でございますけれども、総理が車両により移動する際には、総理車の直近にSPが運転する警護車を必ず配置しておりまして、周囲の状況をしっかり判断して、何かあれば退避するとか所要の措置をとることにしております。
それから、ゴルフ等につきましても、基本的には先ほどと同じ答弁になるんですけれども、SPが必ず直近、身辺におりますので、そういう者が上空の監視等を含めて必要な警戒を行っているということでございます。
○河野(正)委員 ドローン規制のあり方について伺いたいと思います。
与党を中心に、ドローンなどの無人小型飛行機が官邸等の上空を飛行することを禁止する議員立法が早急に検討されていると認識をしております。しかし、その対象は、国会や最高裁判所など官邸周辺の施設にとどまっております。ドローンの無秩序な飛行が危険を及ぼす施設は、これらにとどまらないと考えております。
例えば、小熊委員も若干触れましたけれども、原子力発電所なども該当するのではないかというふうに考えております。また、御承知のように、原発は、とまっていたとしても、非常に、極めて多くの危険性をはらんだ施設であると思いますので、閣法も考えられているというふうに言われておりますけれども、政府の認識についてお尋ねいたしたいと思います。
○蔵持政府参考人 お答えいたします。
小型無人機の対応につきましては、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議におきまして、政府一丸となって検討を進めているところでございます。
五月十二日に開催された同会議におきまして、小型無人機に関する当面の取組方針というのを決定されたところでございます。この方針におきましては、「緊急に取組を開始する事項」といたしまして、重要施設に関する「警戒警備態勢の強化」であるとか、あとは、「安全・安心な運航の確保等に向けたルール作り」を行うことを決定されたところでございます。
小型無人機に関しましては、これまで航空法の規制の対象外ということでありましたけれども、ロボット革命における産業育成や振興の観点とのバランスに配慮しながら、まずは、安全、安心な運航の確保に向けたルールを整備するということで、現在、関係省庁間での検討が進められているところであります。五月中にルールの骨子を取りまとめまして、関係者に対する周知等調整を経た上で、今国会に必要な法案を提出すべく、今現在準備を進めているところでございます。
○河野(正)委員 一方で、東京都は、都立公園でドローンを飛ばすことを禁止し、他の自治体にも同様な動きが広まっていると思います。冒頭に述べましたように、ドローンの有効な利活用は多くの可能性がございます。ドローンを飛ばすこと自体が罪とみなされるような雰囲気となっていることは、極めて遺憾に思っております。
まず、国が管理する公園等においてドローンを使用することはできるのか、見解を伺いたいと思います。
○高橋政府参考人 国が管理する公園でのドローンの飛行についての御質問だと思いますけれども、特段、現時点、規制されているというふうには承知しておりません。
○河野(正)委員 一応通告させていただいておりまして、皇居周辺の公園等々では、管理している環境省等へも働きかけているということだったので、そうお答えいただけるかなと思ったんですが、それでよろしいでしょうか。
では、もう一回お願いします。
○高橋政府参考人 済みません。
警察としましては、そういう公園の状況を踏まえまして、総理官邸でありますとか皇居等の重要施設周辺の公園につきましては、ドローンの操作場所となり得ますことから、その管理者に対して、ドローンの飛行を禁止するよう働きかけを行っております。具体的には、北の丸公園とか皇居外苑について環境省等にお願いをしているということでございます。
○河野(正)委員 ありがとうございます。ちょっとどっきりいたしました。
ところで、確認ですけれども、街頭でドローンを所持しているだけで警察官による職務質問を受けるようになってしまうのか。現在あるいは今後、警察がどのような考えで取り締まりに臨んでいるのかをお答えいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 ドローン自体は禁制品でも危険物でもございませんので、それを持っていることだけで捜査の対象になるということではございませんけれども、総理官邸や皇居等の重要施設の周辺において小型無人機を操作しようとしている者を警察官が発見した場合には、その飛行により周囲に危険を及ぼす可能性がありますことから、小型飛行機を飛行させないよう必要な措置、指導とかお願いというレベルでありますけれども、そういう措置を講じるということにしております。
○河野(正)委員 どのような技術であれ道具であれ、使う人間によって利便を高めることにもなり、危害を加えるようなことにもなってしまいます。肝心なことは、規制と活用のバランスをどのようにとればいいかという点であるというように思います。
例えばイギリスでは、無人小型飛行機を自由に飛ばせる空間を指定するなど、技術の向上、活用の観点からの取り組みも進められています。我が国でも、ドローンの技術を防災や災害、治安対策などさまざまな分野で活用するとともに、技術そのものの革新を進めるための環境を整えていく必要があると思います。
政府の取り組みでは、ことし二月に策定されたロボット新戦略が取り上げられていますが、今後、小型無人飛行機の技術についてどのような姿勢で臨んでいくのか、きょう経産省の方に来ていただいていますので、お願いします。
○黒田政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の、本年二月に日本経済再生本部で決定されましたロボット新戦略におきましては、インフラ、災害対応分野を今後のロボット活用を進めるべき重要分野の一つとされまして、いわゆるドローンを含む小型無人機の活用を含めたインフラ維持管理、例えば橋梁等のインフラ維持管理、あるいは土砂災害、火山等の災害対応のロボットの研究開発を支援するということとしてございます。
具体的には、現場で真に使えるロボット開発を進めるため、国交省と連携しながら、まずは、経産省が開発を資金支援しました小型無人機につきまして、国交省の直轄のフィールドで実証実験を行いまして、現場の評価をまた開発現場にフィードバックするという形で研究開発を進めているところでございます。
現在、先ほどの御答弁にありましたようなルール整備とあわせまして、このロボットがさまざまな場面で有効かつ安全に活用されるような世界一のロボット利活用社会を実現するように取り組んでまいりたいと思っております。
以上でございます。
○河野(正)委員 来年には我が国でサミットが開催される予定と聞いております。また、五年後の二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックの開催も控えております。危機管理や警備体制を整える際には、決して縦割りではなくて、文字どおり政府一丸となって取り組んでいくこと、そして次々とあらわれる新たな技術に適時適切に対応できるような体制が求められるというふうに思います。
事件、事故を起こさないための危機管理、そして警備体制はもちろん重要ですが、不幸にして仮に起きてしまった場合の対策も万全にしておかなければならないと思います。
最後に、山谷国家公安委員会委員長の認識を伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 国家の行政機関の中枢である首相官邸の屋上に小型無人機が落下した、その発見に一定期間要したことについては、非常に重く受けとめているところでございます。
来年開催される主要国首脳会議や平成三十二年に開催されますオリンピック・パラリンピック東京大会では、世界じゅうから多数の要人、選手団、観光客が集まります。国際的な注目度の極めて高い行事であるため、テロの格好の対象ともなり得るということでございます。
こうした行事において我が国が開催国としての責任を果たすため、関係省庁と緊密に連携して、国民の皆様の理解と協力を得ながら、本日、委員から御指摘がさまざまございました小型無人機を利用したテロ等への対策を含め、警備に万全を期すよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 一〇〇%の安全ということはないと思いますけれども、限りなく一〇〇%に近い努力をしていっていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太でございます。
本日二度目の質問になりますけれども、よろしくお願いいたします。
また、官房長官もお越しいただきましてありがとうございます。
私自身は、通告は、ドローンの問題を初めとした官邸の危機管理、これがまず一つ、そしてもう一つは、安全保障法制が始まるということで、やはり官房長官の御見解を伺いたいということで予定をしておりましたけれども、まず、ちょうどきのう、まさに公表、発表されました邦人殺害テロ事件の対応に関する検証委員会の検証報告書、このことについて御質問させていただきたいというふうに思います。追加質問になりますことをどうかお許しください。
きのう、私もテレビを見ておりまして、官房長官がお映りになられている姿も拝見をさせていただきましたが、後藤健二さん、湯川遥菜さん、この二名が大変残忍な殺害をされたということで、日本国民全員が怒りを持ってこの事態を受けとめているということであろうと思います。
そしてまた、政府におかれましては、大変長期にわたる各方面における御努力をなされまして、中山副大臣もヨルダンの方で本当に懸命な御努力をされたことを含め、外務省、警察庁、その他各省職員、また官邸内部、本当に心から、そのことに対しての御労苦に敬意を表したいというふうに思います。
その前提で、この報告書が出ましたので、少し私も報告書について触れさせていただきたいというふうに思います。
まず、私が報告書が出る以前から少し気になっていたことがありまして、一つ一つの事案を形で捉えると、それは人質事件。人質事件と呼ぶ場合とテロ事件と呼ぶ場合がもしかしたらあるのかなと。
私は、これまでは、我が国の中では、人質がとられた事件は基本的には人質事件というふうに世の中では扱われてきたような感じもするんですが、今回はどちらかというと、ほとんど、人質事件ということは多少報道もされたかもしれませんが、主には政府の発信は、やはりテロ事件というような発信のなされ方をされていたというふうに思います。
例えば、過去、ダッカの人質事件ですとか、もちろん、国内においても人質事件というのはあろうかと思います。誰か国民が不当な勢力あるいは個人によって拘束をされ、何かしらの要求を受けているというこの状態は人質事件であるというふうな解釈だろうと思いますけれども、改めて、今回のこの後藤さん、そして湯川さんの事件というのは人質事件だという認識でよろしいですか。
○菅国務大臣 相手がISILという、ある意味で国家でもなく、しかし、テロリスト、そういう中で行われた事案でありましたので、政府としては、今回についてはテロ事件という形で対応をさせていただいてきたところであります。
○泉委員 私も、恐らく、人質事件というもの一つ一つ想定をしていくと、人質事件全てがテロとはなかなか呼べないような、純粋なと言うとおかしいですが、まさに身の代金を要求し、それのみで単純に解決できるようなものについては、これはなかなかテロとは言いがたいかもしれないなというふうに思うんです。
一方で、なぜ今回この事件をテロと呼ぶのかといえば、今、官房長官がおっしゃったように、相手が不当な要求をする勢力であったり、実情がよくわからない勢力であったり、非常に残忍性を持っていたりということであろうと思います。そういう意味で、テロと呼ぶに間違いないというふうに私は思います。
ただ一方で、これは認識の問題というかイメージの問題かもしれませんが、常にテロ、テロ事件と言うことは、それは今回でいえばISILですね、その団体を指して、テロ行為を行っている者という意味でテロ事件ということになろうと思いますが、人質事件となれば、それはやはり被害に遭った人間を主体に考えるものだと思うんですね。
この報告書にも数多く、やはり人命の救助というか、人命を守るということに最も重きを置いてきたというふうには思うんですけれども、ともすれば、テロに対する闘いというもののみがクローズアップされることによって、個人の命が軽んじられてしまうのではないかというような懸念も私は一部あるのではないのかというふうに思っております。
例えば、この報告書の中、非常に難しい書かれ方だと思いますが、九ページには、「政府としては、テロには屈しないとの基本的立場を堅持しつつ、人命を第一に対応し、」という言葉が書かれておりまして、テロには屈しないとの基本的立場を堅持しながら、人命を第一に対応する、これは非常に難しい対応であろうかな、そんなふうに思います。
その中で、非常に今回、特に日本からも遠い地域であり、なかなか情報もつかめないという厳しい環境もあったかと思いますが、テロには屈しないというこの言葉の意味、これが何を指すのかということであります。
例えば、過去、我が国は、超法規的措置で政治犯を解放したということもあったかと思いますが、これはテロに屈したというふうに思われますでしょうか。
○菅国務大臣 私は、結果的にそうだったと思います。
○泉委員 続いて、イスラム国の関連、ISILの関連でいいますと、例えばフランス。これは四名の人質が、何らかの形ででしょうけれども、解放されております。フランス政府もそこに関与をされて、たしか被害者というか人質の方は、解放された後のコメントで、フランス人でよかった、フランスは自国民を見捨てない国なので私はフランス人でよかったというコメントを出されている。それが正しいかどうかは別にして、フランスの人質が政府の交渉によって解放されたということがございます。
これは、ある意味、テロに屈するということになるんでしょうか。
○菅国務大臣 どういう形でフランスの方が解放されたかは定かではありませんけれども、私は、そのことがテロに屈したということには、内容がよくわかりませんから確たるものはありませんけれども、必ずしもそうではないと思います。
○泉委員 イタリアも、二名の方が何らかの形で解放されております。いろいろ身の代金の額は報道ベースでは伝わっているという状況です。
そうすると、テロに屈するということは、相手側と交渉をすることがテロに屈することなのか、それとも、相手側の要求に応じることがテロに屈することなのか。具体的には、相手側の要求に応じるという場合には、多くは一つは身の代金ですね。ですから、例えば政府が身の代金を払う、これはテロに屈するということなのか。そして、具体的な、さっき言ったような政治犯の釈放とかそういったものに応じる、これがテロに屈することなのか。
官房長官にとっては何がテロに屈するという行為なのかということをお答えいただけますか。
○菅国務大臣 テロを恐れる余りに、卑劣な暴力を行使するテロリストの要求や、その意図を酌んだ行動をとることがテロに屈するというふうに考えております。
ただ、人命を救出する、まさに日本政府は、日本国民を無事に救出することが政府の最大の責任だというふうに思いましたので、私たちは、総力を挙げて、奪還のためにありとあらゆる可能性を駆使してきたということであります。
例えば、私たちは、直接ISILには、交渉する相手方もわかりませんから、そういう意味で、あの中東の中で勢力のある、さまざまな部族の責任者だとか、あるいは宗教の責任者だとか、あるいはヨルダン国やトルコ国、こうしたさまざまな外交努力だとか、そうした救出のために政府としては全力を尽くすことができたというふうに思いますけれども、結果は、本当に申しわけない結果だったというふうに思います。
○泉委員 その意味では、テロに屈する、屈しない、特に、交渉をすること自体、アクセスをすべくあらゆるチャネルを使う、あるいは使おうとすることそのものは、テロに屈するという意味ではないという、今うなずいていただいていますが、そういうことであろうかと思います。最終的に、相手方の希望をかなえてしまうような、これは屈するということかもしれないけれども、最大限アクセスに努めるというような御趣旨であったというふうに思います。まさにそういうことではないのかなというふうに思います。
非常に単純化をしてしまいますと、先ほどお話しをしたようなフランスやイタリアでは、時に、身の代金の要求に応じ、人質が解放される。ヨーロッパ諸国は、結構そういった話が散見されていると認識しております。
一方で、アメリカやイギリスは、これは基本的には交渉に応じないという国であろうかなというふうに思います。もちろん、例外もいろいろあるでしょうけれども。アメリカやイギリスは、大胆な救出作戦そのものを模索するという立場でありますので、そこは、ある種、応じないことと大胆な救出作戦をするということはセットで考えられているので、交渉には応じないという姿勢を堅持ができるということだと思います。
一方で、我が国は、恐らく、大胆な自衛隊を活用した直接的な救出作戦ということ、これは想定はなかなかしにくい、できないわけですね。そうすると、我が国は、ともすればですが、救出作戦もできないけれども、テロには屈しないからといって相手と交渉をしないとか、そういう国になってしまう可能性がある。私はそれではいけないというふうに思うんですね。
今お話の中で、私自身も安心をある意味いたしましたけれども、今回のこの報告書の中でも書かれておりますけれども、さまざまな過去の類似の人質事件の経験等も踏まえて、必要な説明、助言を国内御家族にはされる一方で、あらゆるチャンネルを使って、何とかして相手側にアクセスできないかと。
これは、相手側にアクセスできないまま相手側の要求に応じるというのは、不当な要求が不当なままになってしまうことも含めて、やはり、少なくとも相手側に何らかの要求があるのであれば、その要求をしている本体、本人、またそれが正当な要求なのかというか、それが間違いのない相手側からの正しいメッセージなのかということも含めて、一つ一つを確認していかなければいけないということであろうと思いますが、そういう努力はこれからも必ず最大限にやっていく国家なんだということを、改めて御決意をお述べいただきたいというふうに思います。
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、まさに国民の生命を守る、これがやはり国家としての最大限の責務であるというふうに思っておりますので、今回につきましても、日本としては直接交渉はできなかったんですけれども、さまざまなルートを行使して、邦人救出のためにそうした対応はしていたということであります。
○泉委員 さまざまな形で、この事件が表面化して以降、一応、政府としてはそれ以前もということかもしれませんが、御家族への対応あるいは初動について十二分に対応してきたということが書かれているわけです。
当初は、政府としては、十二月三日までの対応というのは、「事案の性質上秘密の保全に留意するとともに、」それは当然です、「静かな形で、関係国と緊密に連携しつつ、情報収集に全力を挙げ、邦人の保護を最優先に対応した。」というふうに書かれておるんですが、相手側が不当な集団であることは明白である、しかし、やはり人質事件であるということが最も先に来るべきであって、そういう意味では、相手がいかに不法な、不当な集団であろうとも、やはりそことアクセスをする努力、これは政府としては今後もしていただきたいということを、私からまずお願い申し上げたいというふうに思います。
そういう意味で、十二月三日まで、静かな形でと書いてあるんですが、本当に最大限の、相手側との、ある種、静かなりとも積極的な情報収集に当たられていたかということが私は問われているのではないのかなというふうに思います。
これは、この報告書になかなか書きにくいこともあったかと思いますけれども、ぜひ今後も、こうした人質事件が起こらないこと、まずこれが第一ですので、政府としてのその予防対策も行っていかなければいけませんが、最大限の政府としての努力、人命を守る努力をお願いしたいというふうに思います。
そして、続いて、通告のあった質問に移らせていただきたいというふうに思います。
まず、ドローンを初めとした官邸の危機管理について質問をさせていただきたいというふうに思います。
今、政府、与党両方でこのドローン対策が進んでいるという状況でありますけれども、ですから、議員立法の方も進んでいるという状況であります。
今、私も、民主党の側でこの議員立法の担当をさせていただいておりまして、自民党の福井照先生と一緒に議論をさせていただいておりますが、ここでは主に、議員立法としては、重要施設におけるドローン規制を行っていこうということになっております。
野党側法案担当者としてなかなか見えにくいのは、政府と与党がどういう仕切り、仕分けで、何を議員立法でやり、何を政府が担当しようとしているのかというのがちょっと見えない部分がございます。
院のことは院のことというふうにおっしゃるところはあると思いますので、少なくとも、政府としては何をしようとしているのかということについてお答えいただきたいと思います。
○菅国務大臣 ドローンのこの事案が発生をして、官邸でそうした対策会議を開くのは、これは当然のことでありますけれども、党としても、いち早くこの警備について、二階総務会長を中心に議員立法をやろうということの動きの中で、私ども官邸にお越しをいただきました。そして、党としては、とにかく重要施設の警備体制、そうしたものを取り急ぎ今度の国会でということでありました。大変力強く実は思ったところであります。
今、委員が民主党のその政策の責任者だということでありますけれども、議員立法というのは、それぞれの政党の中で方向性を出していただければ、ある意味で、時間がかからなくて応急的に対応することができるわけでありますので、まず緊急的に、重要施設の警備を中心に、議員立法ということでお願いをさせていただいているというふうに思っています。
また同時に、これは、ただ、主要な施設だけではなくて、国民の皆さんのこれからの生活、また生命とか安全、そういうものにも大きな影響が出てくる案件でありますので、すぐやるべきこと、また長期的にやるべきこと、そうしたものを政府としては取り組んでいるところであります。
特に、先ほど小熊議員からもありましたけれども、規制だけでなくて、やはり、将来についても、これは活用すべきだ、いろいろな活用方法もあるだろうというふうに思いますので、そうした全体の中で政府は今取り組んでいる、そういうふうに御理解をいただければありがたいと思います。
○泉委員 少し抽象的なお話でありましたけれども。
私は、ドローン対策を初めとした官邸の危機管理というふうに今回実は考えておりまして、ドローンは、注目を集めて世の中を席巻しているような状態ですね。そのドローンは防いだけれども、実は何か似たようなものは防げなかったというのが最も格好悪い対応ではないのかなと思っておりまして、やはり、一定、しっかりと、ドローン対策を通じてというか、ドローン事件を発端として、官邸の危機管理というものがそれなりに見直されなければならないというふうに思っております。
まず、官邸内の警備体制ですけれども、ドローンの発見に至るまでたしか二週間ぐらいかかったということでありましたけれども、そもそも、屋上、屋根の部分が定期巡回の対象になっていなかったのではないかという話もございました。そういう警備の問題ということが一つ。
そしてもう一つは、官邸にも当然、官邸をいかに守るか、官邸の中でいかに避難をするかというさまざまなマニュアルがあると思うんですが、屋上に何かが落下をする、何かが飛来をする、あるいは何かが散布をされる、こういうことについて想定をされた何かマニュアルというものが存在していたかどうか。これをお答えいただけますか。
○菅国務大臣 総体的に私がお答えしたいと思いますけれども、総理大臣官邸は国家の行政機関のまさに中枢であります。ここに今回のような事案が発生したことについては、政府としては大変重く受けとめておるところでありまして、二度と再びこうしたことがないように、その見直しをすべく、官房副長官を中心に、関係省庁の警備責任者を集めて、今、対応策をとっておるところであります。
個別具体的なことについては、事務方から答弁させたいと思います。
○山崎政府参考人 官邸内の警備につきましては、平成十四年に総理大臣官邸が始まりましてから、現在の供用開始に伴いまして、官邸事務所に所属する警務官が警備に当たってございます。それからまた、警視庁の官邸警備隊、機動隊と緊密に連携しつつ警備を行う体制となってございます。
具体的にどのようなマニュアルがあるとかないとかにつきましては、事柄の性格上、答弁を差し控えたいと思います。よろしくお願いいたします。
○泉委員 多少は予想はしていますけれども、しかし、もう終わったことで、これから対策もしていかなきゃいけないというか、もう既に対策はしていただいているはずだと思うわけですが、何もわからないのでは、こちらも言いようがないので。まあ、しようがないかもしれませんね。
しっかりとマニュアルをそれぞれつくって、私、再三言いますけれども、ドローン対策、ドローンが飛来したから上の方ばかりまた見ていると大変なことでして、ちゃんと下も前も後ろも見ていただかなきゃいけないし、常にそういう視点を持って考えていただきたいということであります。
さて、きょうは資料を配付しておりますが、まず資料の一枚目を見ると、「シークレットサービス長官が引責辞任、ホワイトハウス侵入事件で」ということなのであります。
先ほど、官房長官から、ある種国民に対するおわびの言葉があったかなというふうに思うわけですが、アメリカではこれぐらい重たいということなんですね。これぐらい重たいんだと。長官ですよ、長官。シークレットサービス長官が引責辞任をする。ホワイトハウスに男が侵入した事件。やはりこれぐらいの責任感を持っていただくということが非常に大事ではないのかなというふうに思います。緊張感ですね、そういった緊張感をやはり持っていただかなければいけないというふうに思います。
官房長官、改めて、官邸の警備体制も含め、起こってしまったことについて、官邸内部、担当者に対して、この一件を受けて、どのような指示というか言葉を述べられたんでしょうか。
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、行政のまさに中枢機関である総理官邸にこのような事案が発生したことに対して、極めて重く受けとめておりまして、私はすぐに事務の官房副長官を呼びまして、この警備体制をもう一度、一から見直しをするように指示したところであります。
○泉委員 どなたかは何らかの責任というのはとられたんでしょうか。
○菅国務大臣 官房副長官のもとで、関係省庁、この警備は省庁をまたがる部分もありますので、そうした責任者を集めて対応策をとり、そのために今取り組んでいるところであります。
○泉委員 そういった意味では、何かしら処分を受けた方は誰もいないということですね。
○菅国務大臣 この事案を機に、二度と再びこうしたことがないように徹底をすることで、今全力で取り組んでいるというところであります。
○泉委員 外部からなぜ起きたんだだとか責任をとれと言うのは簡単なことでありますので、私はこれ以上、今、責任をというお話はしません。
しかし、次ですね。このシークレットサービス長官が引責辞任をしたのは、一発で辞任をされたわけじゃなくて、不祥事が相次いだことを受け引責辞任というふうにこの記事にも書いてあります。やはり緊張感を持って官邸の警護に当たるべしという、我々はまさに水を浴びせかけられたわけでありまして、私も官邸に今いるわけじゃありませんが、政府の中枢にいる全ての人間がそういう意識を持たなければならないということであろうかと思います。
そういった意味では、二度とこういう類いのことを起こさないということであろうと思いますし、起きたときには、やはりこれはもう責任問題になってくるんだということはぜひ御認識をいただきたいというふうに思います。
さて、ドローンでありますけれども、今、さまざまに協議をさせていただいております。
ちょっと、この資料をめくっていただきますと、非常にわかりやすいようで、いろいろなことを考えなければいけなくて、まず、国土交通省の資料で「航空法上の航空機である場合とそうでない場合」というものがありまして、基本的には、航空機は航空法で規制をなされますので、当然ながら、飛行機等は規制対象になるわけです。飛行機、回転翼航空機、ヘリですね、滑空機、グライダー、飛行船、そして超軽量動力機というのもそうなんですね。こういうものは航空機になるわけです。あるいは、無操縦者航空機というのも、飛行船のイメージでしょうか、そういったものが航空機。
しかし、ドローンは、御案内のとおり、右側の「人が乗ることができないもの」の三番目、模型航空機という部類に入りますので、このところは航空法の規制外ということになります。気球も、どこ吹く風で飛ぶものですから、「航空の用に供することができないもの」という分類になっております。
今回は、模型飛行機を主には規制しようという考え方であるわけなんですね。では、模型飛行機を規制すれば十分なのであろうかということが私の一つの論点であります。
ページをもう一回戻っていただくと、先ほどのシークレットサービス長官の下、「米議会敷地に小型ヘリ侵入、操縦の郵便局員逮捕」、これは最近です。先月の十六日、テレビでごらんになられた方もあるかもしれませんが、小型ヘリコプター、ジャイロコプターで連邦議会議事堂の芝生に着陸ということがございます。
もう一度ページを開いていただくと、先ほどのハンググライダー、パラグライダーというところが出てくるわけなんです。
実は、私の資料の、さっき説明したジャイロコプターという小型ヘリコプターは、これはぎりぎり超軽量動力機、航空機の方に当たるということであるんですけれども、ハンググライダーやパラグライダーは人間が飛ぶための補助機みたいなことでありまして、航空機ではないんですね。ですから、今回の、我々が今考えているところの対象外なんです。
実は、このパラグライダーは、単純に全く動力をつけずに飛ぶパラグライダーと、モーターパラグライダーというものがありまして、皆さんもごらんになられたことがあるかもしれない、後ろに扇風機みたいな大きなものをつけてパラグライダーをするものですね。
ハンググライダーやパラグライダーは、普通は上昇はできないわけですけれども、モーターがつけば、長時間航続することもできれば、浮揚することもできるわけであります。そういった意味では、上空を旋回することもできるようなものなんですね。
さて、実は今、議員立法の協議中なんですが、現在、原案の中では、模型航空機のみが対象になっておりまして、私は、モーターパラグライダーというものの侵入の可能性というものはやはり考えなければいけないのじゃないか。非常に小型ヘリコプターと似ている性質を持っているということなんですね。
きょう資料としてはお持ちしていないんですが、過去にもあったんです。一九九四年十月三十一日、「パラグライダー 皇居の上空を旋回 規制なく警察困惑」、こういう新聞記事もあって、二〇〇〇年代にも、モーターパラグライダーで皇居の上空を旋回した人間があるということになっているようですが、いずれも、残念ながら航空法の対象外ということで、困ったことをしてくれちゃ困るよということで帰されているというような状態であります。
しかし、ドローンのことが今回明らかになったように、上空を旋回できるわけですね。ですから、着陸したら住居侵入罪で逮捕できますなんていう話は一方であるわけですが、着陸せずに上で何かしらの行動ができる可能性があるということを考えると、さあ、これは危険でしょうか、危険じゃないでしょうかという話になってくるわけなんです。
ドローンというのも、あるいは小型ヘリ、無線操縦のラジコンヘリみたいなものも、なぜ今回規制をするのか、そしてなぜ危険なのかということを考えた場合、それは、もしかすると何か危険物を運ぶかもしれない、そして危険物を散布するかもしれない、そういう可能性があるわけでして、それと同種の機能というか役割を果たすことができる、それがこのモーターパラグライダーだとすれば、これはやはり同じように危険が生じるのではないかというふうに考えております。
事務方で結構ですけれども、通告もしておりますが、政府としては、このモーターパラグライダー、重要施設の上空を旋回されたり、それがテロに使われたりという危険はないとお考えでしょうか。
○菅国務大臣 今委員御指摘のパラグライダーやジェットパック、こうしたものについて、確かに、人が操縦するものでありますから、官邸の周辺だとか重要施設に来た場合は、ある意味で、発見することはドローンと比較をして容易かなというふうには思いますけれども、しかし、まさに先ほど御指摘いただきましたように、緊張感を持って、ありとあらゆる可能性、テロを含めて、そうしたものを排除するためには、こうしたものも何らかの対応策というのは当然考えるべきであろうというふうに私は思います。
○泉委員 官房長官、ありがとうございます。
私も冒頭お話ししましたが、ドローンは規制しました、次の日に別なものが飛んできたけれどもこれは規制対象物に入っていませんでしたでは、余りに格好悪いわけですね。ですから、やはりそういった可能性のあるものをいかに排除するかということが大事でして、どうしても、ドローンが来たとなると、ドローンだ、ドローンだとドローン対策に陥ってしまうという、そこは気をつけなければいけないと思っております。
私自身は、ハンググライダー及びパラグライダー、この中には飛行に際し原動機を用いるものを含むということでさっき言ったモーターパラグライダーというものも入れて、それを誰かが装備して、その操縦によって飛行する、またそのことによって対象施設に危険を生じさせる、そのために使用されるおそれがあるものを規制するという考え方、こういうふうにしていくことがまさに当面万全な対策ではないのかな、そんなふうに感じているわけであります。
ただ、気をつけなければいけないのは、今我々が考えている法律の中では、ドローンについては妨害または破損ができる、侵入した場合にはそういった措置ができるということになっているわけですが、これは、パラグライダーになると人が乗っていますのでなかなか撃ち落とすということにはならなくて、墜落の危険を生じさせるということについては非常に限定はしていかなければいけないということはあろうかと思います。
さはさりながら、事例として九〇年代にも二〇〇〇年代にも、ビル風がいっぱい吹くからこの周りは大丈夫だよなんていう説明も政府の中にはあるんですが、皇居なんというのは、それはまさに飛べますよね。そこから今のモーターパラグライダーであれば議事堂に至り、官邸に至るというのは十分あり得ることだというふうに私は思っておりまして、ここはぜひこういったことを加えていくということが大事であろうなというふうに思います。
さらに言えば、今回、資料の中にもつけさせていただいておりますけれども、地図がありまして、今想定をしているものは国家の重要施設ということで、国会、首相官邸、最高裁、皇居、そして赤坂御所の敷地、区域及びその周辺を飛行禁止地域としようということを今想定しているところでありまして、特に、白抜きの字で地図に書かれているところが対象地域、そして、そこから三百メートルということでありますので、全体としては少し面的な規制がかかるということがイメージされます。
ただ、これも詳しく見ていくと、この時点では副議長公邸は対象外でありますし、衆議院あるいは参議院の宿舎も、点線の中に含まれるものは対象なんですが、一部この地域内に含まれないものもある。例えば衆議院の青山宿舎なんというのもそうでしょうし、乃木坂にある衆議院の副議長公邸もそうでしょうしということで、それは今後やっていかなければいけませんし、中央省庁も半分が今この点線で囲まれているエリアでありますので、そういったことも今後考えていかなければいけない。
さらには、当然ながら、原子力施設、そして自衛隊や警察をどうするのか、そういうもろもろも含めて今後考えていかなければいけませんが、それは第二弾、あるいはそれ以降ということになっていくんでしょう。
しかしながら、繰り返しになりますが、国家の重要施設に対する危険物の飛来をやはり何とか阻止しようということの趣旨でありますので、今お話をさせていただいたモーターパラグライダーということについては、ぜひともこれを入れていけるよう頑張ってまいりたいというふうに思います。
さて、もう一つ安全保障の話をさせていただこうと思っておりました。ただ、これについては、非常にもう時間が限られておりますので、今後にさせていただきたいというふうに思います。
官房長官、一点だけでありますけれども、党首討論の中で安倍総理はおっしゃいました。海外の領土や領海に入っていくことは許されないという発言を安倍総理は再三なされたというふうに認識をしています。これは、武力の行使を目的として、戦闘行為を目的として海外の領土や領海に入っていくことは許されないという、二つの修飾語というか、前提の言葉がついているわけです。
いわゆる海外派兵はない、外国の領土に上陸して戦闘行為を行うことを目的に武力行使を行うことはないというふうにおっしゃられているわけですが、とはいいながら、海外の領土、領空、領海にある種自衛のための攻撃を行うということは当然あり得る、兵隊が上陸するという話ではなく、日本の自衛隊が時と場合によっては相手国の領土、領海に対して攻撃を加えなければいけないときがある、それはそういう解釈でよろしいですね。
○菅国務大臣 政府は、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領域へ派遣する、いわゆる海外派兵でありますけれども、これについては、一般に、自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないものというふうに解しています。
その上で、他国の領域における武力行動であって、新三要件に該当するものがあるとすれば、憲法上の理論としては、そのような行動をとることが許されないわけではないというふうにも考えます。
いずれにせよ、これまでも繰り返してまいりましたけれども、自衛隊が武力行使を目的として、かつての湾岸戦争だとか、あるいはイラク戦争での戦闘、すなわち、一般の方々が思い浮かべるような、敵を撃破するために大規模な空爆や砲撃を加えたり、敵の領土に攻め込むような行為に参加することはないということであります。
○泉委員 終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
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○井上委員長 次に、内閣提出、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。山谷国家公安委員会委員長。
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風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○山谷国務大臣 ただいま議題となりました風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
この法律案は、最近における風俗営業の実情及びダンスをめぐる国民の意識の変化等に鑑み、客にダンスをさせる営業の一部を風俗営業から除外するとともに、設備を設けて深夜においても客に遊興をさせ、かつ、客に酒類の提供を伴う飲食をさせる営業について新たに許可制度を設けるほか、風俗営業の営業時間の制限について条例により緩和することができる範囲を拡大すること等をその内容としております。
以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。
第一は、客にダンスをさせる営業に係る規制の見直しについてであります。
その一は、キャバレー等の客にダンスをさせ、かつ、客の接待をして客に飲食をさせる営業について、料亭等の客の接待をして客に遊興または飲食をさせる営業に含めて規制することとするものであります。
その二は、一定の場合を除き、ナイトクラブ等の客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業を風俗営業から除外し、そのうち客に酒類を提供するものについては、都道府県公安委員会の許可を受けた場合には、特定遊興飲食店営業として深夜においてもその営業を営むことができることとするものであります。
その三は、ダンスホール等の客にダンスをさせる営業を本法による規制から除外することとするものであります。
第二は、特定遊興飲食店営業に関する規定の整備についてであります。
その一は、特定遊興飲食店営業を営もうとする者は、公安委員会の許可を受けなければならないこととし、許可の基準として人的、物的欠格事由を設けることとするものであります。
その二は、営業所の構造、設備の維持、照度の規制、騒音及び振動の規制、接客従業者に対する拘束的行為の規制等、特定遊興飲食店営業者等が遵守すべき事項や禁止行為について定めるとともに、これらに違反した場合における公安委員会の行政処分についての規定を整備するものであります。
その三は、特定遊興飲食店営業者の団体の届け出に関する規定を整備するものであります。
第三は、良好な風俗環境の保全を図るための規定の整備についてであります。
その一は、風俗営業者や特定遊興飲食店営業者が深夜にその営業を営む場合に、客が営業所の周辺において他人に迷惑を及ぼすことがないようにするために必要な措置を講じなければならないことや苦情の処理に関する帳簿を備えつけなければならないことを義務づけることとするものであります。
その二は、風俗営業や特定遊興飲食店営業の営業所が集中している地域等、特に良好な風俗環境の保全を図る必要があるものとして条例で定める地域における風俗環境保全協議会の設置に関する規定を整備するものであります。
その他、風俗営業の営業時間の制限の緩和に関する規定の見直し、ゲームセンターへの年少者の立ち入らせについて条例により制限することのできる事項の拡大等所要の規定の整備を行うこととしております。
なお、この法律の施行日は、ダンスホール等を本法の規制から除外するための規定については公布の日、特定遊興飲食店営業の準備行為に係る規定については公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日、その他の部分については公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る二十七日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時二十四分散会