第9号 平成27年5月27日(水曜日)
平成二十七年五月二十七日(水曜日)午前九時二分開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 泉 健太君
理事 河野 正美君 理事 高木美智代君
青山 周平君 穴見 陽一君
池田 佳隆君 石崎 徹君
岩田 和親君 越智 隆雄君
大隈 和英君 岡下 昌平君
加藤 鮎子君 加藤 寛治君
神谷 昇君 木内 均君
工藤 彰三君 熊田 裕通君
新谷 正義君 武部 新君
武村 展英君 寺田 稔君
長尾 敬君 ふくだ峰之君
松本 洋平君 三ッ林裕巳君
宮崎 政久君 若狭 勝君
近藤 洋介君 佐々木隆博君
津村 啓介君 寺田 学君
本村賢太郎君 山尾志桜里君
小沢 鋭仁君 高井 崇志君
升田世喜男君 輿水 恵一君
濱村 進君 池内さおり君
穀田 恵二君 塩川 鉄也君
…………………………………
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 山谷えり子君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 辻 義之君
政府参考人
(警察庁刑事局組織犯罪対策部長) 樹下 尚君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 杉藤 崇君
政府参考人
(国土交通省総合政策局公共交通政策部長) 藤井 直樹君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
五月二十七日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 熊田 裕通君
石崎 徹君 加藤 鮎子君
加藤 寛治君 三ッ林裕巳君
平口 洋君 新谷 正義君
ふくだ峰之君 工藤 彰三君
若狭 勝君 穴見 陽一君
緒方林太郎君 寺田 学君
古本伸一郎君 本村賢太郎君
池内さおり君 穀田 恵二君
同日
辞任 補欠選任
穴見 陽一君 若狭 勝君
加藤 鮎子君 石崎 徹君
工藤 彰三君 ふくだ峰之君
熊田 裕通君 武村 展英君
新谷 正義君 平口 洋君
三ッ林裕巳君 加藤 寛治君
寺田 学君 緒方林太郎君
本村賢太郎君 古本伸一郎君
穀田 恵二君 池内さおり君
同日
辞任 補欠選任
武村 展英君 池田 佳隆君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)
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○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長辻義之君、警察庁刑事局組織犯罪対策部長樹下尚君、国土交通省大臣官房審議官杉藤崇君、国土交通省総合政策局公共交通政策部長藤井直樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。秋元司君。
○秋元委員 おはようございます。自民党の秋元司でございます。
質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
忙しいこの内閣委員会、法案が大変たくさんある内閣委員会で風営法改正を審議いただいたこと、この風営法改正を数年にわたりまして議連として取り組んだ一人として、大変感謝申し上げるところでございます。
きょう、私に与えられた時間はたった十五分でございますから、早速質問に当たらせていただきたいと思います。
今回の法改正の大きな意味は、いわゆる飲食を伴いダンスを提供できる施設、これを我々、一般的にクラブと呼んでおりますが、クラブを含めたいろいろな遊興をある一定の条件のもとで深夜営業できるようにするというのが今回の法改正の大きな意味であると思います。
そして、いわゆるダンス文化、クラブシーン、これを取り入れることによって町の価値を高めていき、そしてまた、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、多くの外国人が日本にやってくる中で、遊興というものを通じて日本文化に触れてもらったり、そしてまた、日本も、ある意味、世界の文化と比較できる、そういった文化の向上を目指していく、ここに大きな意義があると私は思っております。
そういったことの中で、きょうは少し、より文化が活性化していく、そういった視点から質問をさせていただきたいと思います。
今回、いわゆるクラブ等の施設が二十四時間、基本的には営業されるようにこの風営法改正でなっていくんですが、しかしながら、どこでも営業していいというわけでもない。そしてまた、本当に二十四時間営業できるのか。いろいろなことの中で、やはりそれぞれ、各自治体が定める条例で、いろいろなことが地域によって決められるという、そういった枠組みになっております。
そういったことを踏まえて、きょう、改めて問いたいのが、今回、新しく設けられた特定遊興飲食店営業のことであります。
この営業を営むことが認められる地域は基本的に条例で定められるわけでありますが、その条例は政令で定める基準に従って定めるということを今回義務づけております。そして、その基準というのは、現行の営業延長許容地域、すなわち現在は、基本的には風営法では十二時まで現行のクラブが営業できるとされておりますけれども、条例によって、一時間、夜の一時までは延長してもいいよ、そういったことを指定された地域がございます。
ですから、この地域が基本的に今回の特定遊興飲食店営業を営む場所だということになるんではないか、これが一つの参考になるんではないのかということが言われているんですけれども、営業区域を見た場合に、今回の法改正が行われると営業できなくなってしまう地域が出てくるのではないのかなということが、実は多くの今現在営んでいる業界の皆さんから心配の声が出てきておりますので、法改正後にできなくなることはないのかということを改めてちょっときょうは問うてみたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
特定遊興飲食店営業の営業所設置許容地域は、このたびの改正法案が成立いたしました場合には、政令で定める基準に従い条例で定めるということになるわけでございまして、具体的な地域の決定は都道府県の判断によりますけれども、先生ただいまお話ございましたとおり、現在、風俗営業について午前一時まで営業することができる地域、営業延長許容地域と申しておりますけれども、として、大規模な繁華街等が条例で指定されているところでございまして、こうした地域が営業所設置許容地域の指定に際しても参考になるというふうに考えてございます。
具体的なことはこれから政令で定めてまいりますので、関係の方々のいろいろな御意見とか、また実態とかを見ながら、適切に定められるように私どもとしてもやってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○秋元委員 やはり、警察というのは取り締まりをするという立場。そして、今回の法改正は、今までと違いまして、実は刑事罰が科されるということがあります。現在どういった形で世の中で営業されているか定かじゃありませんが、現在の営業の中で違反をすれば当然警察からの取り締まりを受けるということがあるわけでありますが、現在においては刑事罰はないわけではありますけれども、今後は刑事罰が科されるという、ある意味、重い法律になっていることは事実であろうかと思います。
現在、ちゃんと許可をとって営業されている業者が、これによって多くのところがなくなってしまう、そしてまた移転を強いられてしまう、こういった影響がないようにやってほしい。しかしながら、やはり地域等の特性または住民とのいろいろな話し合いというものもあると思いますから、当然その辺は考えていただきたいと思います。
いずれにしましても、日本また東京地域は、繁華街があったらすぐ裏に住宅街があるというちょっと特殊なエリアでもありますから、その辺をどのように配慮し考慮するかということと、そしてまた、特に大きな幹線道路につきましては、後ろがすぐ住宅街ということでありますけれども、路面に接するところについては、私はそれなりの配慮があってもいいのではないのかなということを感想として申し上げておきたいと思います。
また、東京都条例では、基本的には商業地域が指定地域とされております。ただ、例えば六本木の例なんかを見ますと、商業地域と近隣商業、非常に重なっておりまして、現在においても近隣商業地域に指定されているところで営業しているところも数カ所あるわけでありますから、その辺を今後どうするかということを踏まえて、政令での議論を深めていただきたいと思います。
もう一点の質問なんですけれども、今まで、現在の風俗営業の営業形態ですと、一度その許可をとりますと、未成年立入禁止ということになります。そして、風俗営業として許可をとれば、それは風俗営業の範囲の中の事業しかできなくなるわけでありますけれども、今回の特定遊興というのは、あくまで深夜の十二時以降の営業について許可というものが出される、そういう理解をしております。
同一店舗においては、例えば、普通のまともな時間は結婚式の営業があったり、もう一つは普通の飲食店の営業があったりして、そして十二時以降は、特定遊興という許可をとって、クラブみたいなああいった営業をするということをした方が、一つある店舗、同一店舗が有効活用されると私は思いますけれども、この二毛作について、どのような見解をお持ちか、お伺いしたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
特定遊興飲食店営業の制度は、客に遊興及び酒類の提供を伴う飲食をさせる形態の営業を深夜にわたって営もうとする場合には、事前に許可を受けなければならないとするものであり、営業時間の全てにおいて同様の形態で営業しなければならないというものではございません。
御指摘の営業につきましては、具体的にどのような形で営まれるのかを確認しなければ断定的なことは申し上げられませんけれども、一般的には、構造、設備の無承認変更に当たるなど法令の規定に違反する場合を除けば、特定遊興飲食店営業の許可を受けた者が、深夜以外の時間帯に、許可申請時に申告した方法と異なる方法で営業することは可能であると考えております。
○秋元委員 現在の風営法で営業が許可できる形というのは、まず、許可の申請を出すときに、構造の問題、そして、椅子の配置の問題も含めて、風俗営業で許可される形の営業形態の設備が整った形で申請を出すわけであります。そして、その形でもって同一の店の許可というのがおりるという理解なんですね。
しかし、二毛作ということになれば、当然、飲食営業と、そして今度、特定遊興である営業とは、多分、結婚式等をやるということになれば、多少、設備、構造は変わってくる、椅子の配置、そういったものも変わってくるということが予想されるわけであります。この二毛作、全く同じ、同一施設のまま使えば、それは簡単に二毛作ができると思うんですけれども、そういった構造物を変えたときに、それはどのような形で処理していくのか、ちょっと突っ込んだ話なんですけれども、現場の声としてお伺いしたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどもお答え申し上げましたとおり、具体的にどのような形になるのかというのを個別のケースでよく確認をさせていただかないと断定的なことは申し上げられませんけれども、ただいま委員の方からお尋ねがありましたことが、構造、設備の無承認変更になってくるというふうに評価されてまいりますと、やはりちょっと法に触れるような形になってまいろうかと思います。
ただ、個々具体的な事柄につきましては、個別にまた御相談をいただければ、よく検討したいというふうに思います。
○秋元委員 私はいつも思うんですけれども、極めて行政の裁量というのがある、もしくはその基準というものが一個一個、ケースによって変わってくる。基準が変わるというよりは、運用が変わってくるということを非常に私は心配をしている面があるんですね。
というのは、やはり現場現場、いろいろなことがあります。そして、警察もそれぞれ所轄によっていろいろな風習、文化があり、極めてきつい厳格な運用があったり緩いところとかいうのが多分あると思うんです。今現在でもやはり、法律は一つなんですけれども、運用方法が極めて地域によって変わるというのが実は警察行政の中であるというのが私の感想でありますから。
今回は、本当に、刑事罰が科されるような法改正になっておりますので、ぜひその辺を、運用をされる側、そしてそれを行政として執行する側、しっかり意思疎通をとっていただいて運用していただきたいというのが一番の私の希望でございます。何度も申し上げますが、今回、ある意味、罰則が強化された部分がありますから、ぜひその辺は警察庁としてもしっかり指導していただきたいと思います。
いずれにしても、今回の法改正に当たって、実は多くの皆さんからいろいろな心配する声もいただいております。
今後は、地域の協議会をつくって、地域側と、そしてこういった業を営む側とがしっかり話し合いを持ちながら、町をつくっていくということを協議する、そういったことも法の精神として盛り込まれておりますので、それはある意味、やはり行政、警察が真ん中に入って両者を調整する、そういったことが必要であると思いますから、この改正によっていい方向に向かうことを我々は望んでおりますけれども、違った方向に行くということだけは何としても避けたいなと思います。
やはり、日本の今の文化ということを考えたときにおいて、実は、音楽、ミュージックの分野においても、残念ながら、女性の団体のグループとか男性の団体のグループとか、限られているんですよね。もっともっと日本の文化、音楽文化についても、例えばダンスミュージック文化でも、いろいろなジャンルができてきて、それが競争し合いながら国民に楽しんでもらう、そういったことも必要でありましょうし、御存じのように、ロンドン・オリンピックのときのオープニングは、DJが登場して、クラブシーンを利活用したような形でオリンピックのオープンが始まった。日本もそういった時代が来てもいいんじゃないかなと思います。
今現在においては、残念ながら、こういったダンス文化というのがなかなか発展しづらいという環境の中で、実は、それに基づく多くの設備等もなかなか発展が進まない。昔は、レコードの針なんというのは、日本は世界ナンバーワンのレコード針の会社があったんですが、残念ながら、そういったものも日本ではもう消えてしまった、そういったことがあります。
ぜひ、今回の改正が、日本文化がさらに前進をし、そして、それを楽しむことによって、またはこれを利活用することによって、最初に申し上げましたが町の価値を高めていく、そういった法改正になることを祈りつつ、警察にも、そういった視点で今後とも行政の目で見ていただきたいということをお伝え申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 公明党の濱村進でございます。
本日は、風営法の改正ということで、私自身も、ダンス文化振興議員連盟の一員といたしまして、議連の会長である小坂会長、あるいは今質問に立たれた秋元事務局長と、公明党の窓口としてさまざまな議論を行ってまいりました。ですので、非常に思い入れがあるというわけでありますけれども、十五分ですので、早速中身に移らせていただきたいと思います。
今回、特定遊興飲食店営業ということで、ここで遊興という言葉が出てまいります。この遊興という言葉の定義ですが、先日の一般質疑であったかと思いますが、秋元先生が質問されて局長が答えられたりもしておりましたけれども、実は、これは法律で定義はされておりません。そういう意味におきましては解釈運用基準であるということでございますが、まず大臣にお伺いをしたいと思います。
この遊興の解釈につきましては、基本的にどのような考え方のもとで現在のような解釈となっているのか、お伺いをしたいと思います。
○山谷国務大臣 先日の一般質疑のときもお答えいたしましたが、遊興という用語は現行法でも既に使用されており、規制の対象となる遊興は、営業者側の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為に限られると解釈をされております。
具体的には、音楽を流して不特定の客にダンスをさせる行為、不特定の客にダンス、ショー、演芸等を見せる行為、歌、バンドの生演奏等を不特定の客に聞かせる行為、喉自慢大会等の不特定の客が参加する遊戯、ゲーム、競技等を主催する行為等がこれに該当することとされております。
こうした解釈は、警察庁のウエブサイトでも公表されており、また、実務上も定着しているというふうに考えております。
このような解釈となった理由でございますけれども、現行法上、飲食店営業を営む者は、深夜に客に遊興をさせてはならないこととされております。また、改正法案により新設しようとしている特定遊興飲食店営業は、深夜に客に遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる営業であり、これについては、許可制を初めとする所要の規制を設けることとしています。
ここで言う客に遊興をさせることとは、営業者側が客に積極的に働きかけて遊び興じさせることを指すと解されております。
これは、深夜に酒を飲む客に対し、営業者側が積極的に働きかけ、場の雰囲気を盛り上げながら遊興をさせれば、風俗上の問題が生じるおそれが特に高いことから、飲食店におけるこうしたサービスの提供を規制の対象とすることとしたものであります。
これに対して、積極的な働きかけを行わない場合は、一般に客は静かに酒を飲むこととなりまして、風俗上の問題が生ずるおそれが比較的低いと考えられることから、深夜に客に遊興をさせずに飲食店営業を行うことは禁止されていないところでございます。
○濱村委員 今大臣がおっしゃった中で、営業者側が客に積極的に働きかけることという考え方が御提示されました。
この基準、考え方というのはしっかりとこれからも維持されるものであるというふうに思うわけでございますが、私も、いろいろな方から心配の声も聞いているという状況であります。
どういう心配か。何が一体遊興に当たるのかよくわかりませんというような話でありますけれども、これは、実は時代によってもいろいろ変わるかもしれないというふうに思いますし、サービス形態がいろいろ変わってくると、そういったものも含まれるのではないかというふうに思うわけでもございます。
例えば、今現在あるものとして考えてみますと、数日間かけて行うようなロックフェスティバルみたいなものが野外で行われたりするわけでございますが、そういうものをある山の麓でやったりとか、そういうことはもう既に行われている。世界じゅうから音楽ファンが駆けつけてきて、そのイベントに参加するというわけでございますが、こういうものが該当するのかどうか、こうした具体的に心配するような声も聞いているわけでございます。
この法施行まで一年あるわけでございますので、施行前に、そうしたコンサート関係の業界や関連しそうな団体と意見交換をしながら、この遊興の解釈についてバランスをとっていただきたいというふうに思うわけでございます。
この解釈は、決して固定的なものではなくて、適切にコントロールしていく必要があるというふうに思うわけでございますけれども、これは局長にぜひお伺いしたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
客に遊興をさせることの基本的な考え方は、先ほど大臣の方から説明のあったとおりでございますけれども、先生からただいまお尋ねがございましたとおり、例示以外の新たな形態のサービスが出てくる可能性というものもあろうかというふうに思います。
そういったものにつきましては、できるだけ明確にして、可能であればそういったことも解釈運用基準の中に盛り込むとか、また、関係の方々から、こういう場合はどうかということであれば、できるだけそういうことを取り込んで、明示できるような形で、できる範囲内のことで努力してまいりたいというふうに思います。
○濱村委員 ぜひうまくコントロールしていただきたいというのが思いでございます。
例えば、コンサートを運営するような大規模な事業者であれば、自主的に、これが特定遊興に当たるのか、あるいはこれは深夜飲食に当たるのか、しっかりと確認するというふうに思うわけでございますけれども、もっと小さいような事業者さんは、なかなかそういうところに思いが至らないということもあり得るんじゃないか。つまり、深夜飲食でいいと思っていた、ところが、実際は特定遊興に当たるというようなこともあり得るんじゃないかというふうに思うわけでございます。
これをぜひわかりやすく国民の皆さんに提示していただきたいと思いますので、例えば、警察庁のホームページ、それこそ県警のホームページにリンクを張っていただいても結構です。そういうところに、深夜に営業する、イエスかノー、あるいは、それでイエスを選べば、酒を提供するか、イエスかノーとかというような形で、こういうのはイエス・ノー・チャートと言われますけれども、そういうものをつくって、これは遊興の定義も含めてしっかりと、事業者が安心して、これは何に当たるのかということがわかるような環境整備をしていただきたい、このように思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
現在、警察庁におきましては、風営適正化法の解釈及び運用の基準を定め、各都道府県警察に通達するとともに、警察庁のウエブサイトで公表して事業者への周知に努めているところでございます。
この改正法案が成立した場合には、特定遊興飲食店営業についても、必要な解釈及び運用の基準を定め、都道府県警察への指導や事業者への周知を図っていきたいと考えておりますが、ただいまの御指摘を踏まえまして、事業者からの相談への対応やウエブサイトへのさらにわかりやすい説明資料の掲出等につきまして検討してまいりたいというふうに思っております。
○濱村委員 ぜひ検討を積極的に行っていただきたいと思うんですけれども、安心できる事業環境をつくるという意味において、ちょっと確認をさせていただきたいんです。
これは、事業者が深夜飲食の届け出で営業していて、実は特定遊興に当たりますよというような、許可をとっていない場合に、こうした場合も、いきなり逮捕というわけではなくて、まず指導があって、その指導が、なかった場合にしっかりと捕まるというような流れであるというふうに思っているわけですが、この点、ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生お話ございましたとおり、現在でも、まず指導、あるいは広報啓発といったようなことを行うようにいたしておりまして、今回の改正法でできました制度につきましても、まずは指導といったような形で、自主的に事業者の方が法にのっとった、法に従った営業をしていただけるように、できるだけ努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○濱村委員 ありがとうございます。安心できるかと思います。
その上で、今回の改正では面積あるいは照度の基準が明確になったわけでございますけれども、この面積要件、どのような理由で三十三平米になったのか、お答え願えますでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
このたびの改正法案におきましては、特定遊興飲食店営業の営業所の面積の基準は国家公安委員会規則で定めることとしておりますけれども、余りにも小規模の店舗を認めますと、狭い客室の中でいかがわしい行為が行われるおそれがある、他方で、小規模の店舗を認めなければ、かえって無許可営業が横行するおそれもあるといったような双方の観点を踏まえつつ、適切な基準を定める必要があるというふうに考えております。
また、面積の基準を定めるに当たりましては、特定遊興飲食店営業では客への接待が禁止されていることに留意する必要がございます。
接待は特定の客を対象といたしましたものでございまして、これを行います風俗営業におきましては、洋室の客室面積は十六・五平米以上、約十畳以上というふうにされているところでございます。特定遊興飲食店営業におきましては、接待に該当しないようにするために不特定の客を対象としたサービスを提供する必要があることから、少なくとも、十六・五平米、約十畳の二倍程度の客室面積が必要と考えられるというようなことで、現在、一案といたしまして、約二十畳、三十三平米以上というようなところを考えているところでございます。
○濱村委員 今お話があったとおり、接待に当たってはいけないということで、不特定の客に対してサービスを提供するという考え方のもと、接待に当たるというのは十六・五平米、それの倍ということで三十三平米となっているわけでございますけれども、この三十三平米というのが、実はぎりぎりちょうど三十平米ぐらいで、今現在、音楽バーであったりDJバーというような呼ばれ方をするような店舗があったりするわけでございますけれども、今後、法改正後ですけれども、どのような営業をすることになるのか、どう整理するとよいのか、お答えいただければと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
この面積につきましては、これから国家公安委員会でいろいろな御意見を聞きながら定めていくものでございまして、現在、一案として、一つのものとして出させていただいておりますけれども、例えば三十三平米という形で決まりました場合には、先生がおっしゃったようなケースにつきましては、やはり何らかの形で三十三平米のところになっていただけるように御指導といいますか御助言といいますか、そういうことをさせていただきたいというふうに考えております。
○濱村委員 実は、これは面積で縛るというよりも、大事なのは、しっかりとこういう事業者が表に出てくるということだと思います。これに当てはまらないからといって届け出あるいは許可をとらずに営業していくという方がいらっしゃらないような状況にしていくということが非常に大事でありますし、表面でしっかりと協議をしながら進めていくということが非常に大事であるというふうに考えるものでございます。
そういう意味では、風俗環境保全協議会、地域の協議会でございますけれども、こうしたところに、警察署長、そして地域の、地元の方々と事業者の方々が参加されるわけでございますが、この事業者の、特定遊興飲食店営業等の営業所ということがあるので、最初実は特定遊興に当たらないという方々も含めてぜひ協議会を設置していただきながら、適正に、潜脱するような方々が出ないような運用をぜひお願い申し上げて、私の質問を終えさせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、寺田学君。
○寺田(学)委員 寺田学です。
きょうは風営法の改正について議論させていただきたいと思います。
以前、分科会でもちょっと質疑をさせていただきましたが、正直申し上げて、風営法の改正案が国会で議論をこのようにされるというふうにはにわかに信じることができませんでした。
私自身、二年間の落選がありましたが、二〇一二年ぐらいですか、落選する前ですけれども、クラブミュージックが好きで、クラブに国内、国外を問わず足を運んで自分の楽しみというものを十分に謳歌していた一人間として、国内で抱えていた風営法の問題というものを、一部のクラブ関係者そしてユーザーの方々が声を上げて、国会での改正を図ろうということを二〇一二年にやりましたが、このようなある種国会とは文化的な意味で、体質的な意味でもかけ離れたところの法改正というものをこんなに早く審議できるようになるのかなと思っていたのが二〇一二年でした。
落選してしまいましたけれども、その間に本当に、秋元先生含め多くの方々が御理解をいただいて、そして、委員長を含め、警察の方々、当局の方々を含めて、今までにないぐらいの考え方を転換して前に進めていただいたことにまずは感謝したいと思います。
その上で、まず一般論的なことを私自身述べながら質問をしたいと思うんです。
警察側としても、善良な風俗を保つためにさまざまな規制をし、例えばドラッグであるとか暴力事件であるとか、さまざまなことをなくすために規制をかけていくことは大事だと思いますが、その反面、文化というもの、そして人の人生においての楽しみというものは、国家公安委員長であったり辻局長であったり、個人それぞれさまざまなお考えがある、楽しみ方があるでしょうから、その文化が生まれる種ないしは人生の楽しみ方を曖昧な基準によって全て一網打尽に抑制的に規制をされるということは、人が生きる上でも、そしてまた日本がこれから文化的にもさまざま発展していく意味でも、私は非常に怖い問題だと思っております。
恐らく、辻局長は辻局長で楽しみ方があると思いますし、価値観があると思います。余り親交を持たないそういうクラブミュージックを楽しむ方々の価値観とは合わないかもしれませんが、十分、そういう方々の生き方、楽しみ方を尊重する姿勢を決して忘れず、これから当局として善良な風俗のために日々仕事に頑張っていただきたいというふうに思います。
その点について、ちょっと通告ではないですが、局長として何か御答弁があれば、よろしいですか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
今回の立法改正に当たりましては、私どもが具体的に法案の形で出す前から、規制改革会議あるいはダンス文化推進議連等々でいろいろな御議論がございまして、そういった議論を踏まえ、また有識者会議というようなものを設けて多様な意見を聞き、またパブリックコメントを実施して案について意見をいただくというような形で、いろいろな方々の御意見を聞きながら、まさに先生おっしゃったような、そういうニーズといいますか必要性、また、私どもも、風俗営業も含めまして適正に営まれて、また健全に営まれれば、これは国民に憩いを与える非常に重要な産業、営業であるというふうに考えております。
他方で、やはりそれに伴いましていろいろな問題、地域との問題等々がございます。その辺のところを、いろいろ兼ね合いを考えながら今回の法案をまとめさせていただいたところでございますけれども、また施行に当たりましても、いろいろなそういう方々のこれまでの御意見等々を十分に念頭に置きながら、施行をしっかりとやってまいりたいというふうに思っております。
○寺田(学)委員 直前に質問された濱村さんも質疑をされておりましたけれども、今私が質問したことに絡めてですけれども、やはり、今回の法改正によって道が開けるとともに、遊興の定義一つによっては、さまざまな今の営業形態、そしてそれを楽しむ方々の利益と申しますか権利というものが奪われる可能性があるということは、私は非常に懸念しているところであります。
一点、質問ですけれども、今回、ナイトクラブ、いわゆるクラブに関して実態を調査する意味でさまざまヒアリングされたと思いますが、遊興の定義いかんによっては、関係をするナイトクラブ、クラブ以外の方々と、しっかりとヒアリング、業界からのヒアリング等、局長、されたでしょうか、御答弁をお願いします。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
このたびの改正法案の検討に当たりましては、いわゆる三号営業の団体だけでなく、音楽バー等の業界からもヒアリングを行いました。有識者会議におけるヒアリングでございますけれども、当時、私ども、クラブ関係の方その他、この種のことで影響といいますか関連される団体の方々、できるだけいろいろな方に御紹介をいただいて、こういうのがあるよ、こういうところからもヒアリングした方がいいよとおっしゃられたものにつきましては可能な限りお越しいただきまして、それでやったつもりでございます。
○寺田(学)委員 御尽力ありがとうございます。
一点、御認識ですけれども、そのように御紹介をいただいた以外にもさまざまな業態の店舗、業態があるという、その存在自体はお認めになられますか。
○辻政府参考人 私、ちょっと今お尋ねの趣旨を必ずしも正確に理解していないかもしれませんけれども、今回、遊興という形のものが出てまいりますので、それに関連をしているかなというような営業の方につきましては、御紹介いただける範囲内においてはヒアリングのときにお越しをいただいたつもりでございます。
ただ、どんな団体があって、それがどういうものを代表しているのかというのはなかなかはっきりとしなかったりするところもございまして、その範囲内、限られた中でございますけれども、来ていただける方は当日来ていただいたところでございます。
○寺田(学)委員 一個お約束をお願いしたいんですが、辻局長、御尽力いただいて、さまざまな団体から、御紹介を受けた団体からヒアリングをされたと思いますが、それ以外にもさまざまな業態があります。生まれ変わりながらさまざまな業態が出てきますので、警察当局としては、解釈運用基準を決める、そしてまた日々変えていくこともあると思いますけれども、絶えず、さまざまな業界からヒアリングを積極的に行い、実態をしっかり把握していこうというお気持ちを持って取り組まれることを、一言でいいです、お約束いただけますか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
私ども、これまでも、風営適正化法の施行に当たりまして、いろいろな営業者の方、団体の方、関係者の方から御相談がございましたり、あるいは御要望等がございましたときには、誠実にお伺いして対応してきているつもりでございますので、そういう団体がございましたら、引き続きこれからも、御連絡をいただければ担当課の方でお伺いするということは当然させていただきたいというふうに思います。
○寺田(学)委員 善良な風俗を守るために取り締まる必要性自体を全て否定はしませんが、知らない及び先入観、そういう形で取り締まることのないように、実態をしっかり把握する努力を続けていただきたいですし、実態に合わせた形で頑張っていただきたいと思います。
その遊興ですけれども、営業者の積極的な働きかけにより遊び興じさせる行為に限られる、辻局長の前の答弁ですけれども、解釈運用基準が、具体的には、音楽を流して不特定の客にダンスをさせる行為ですとか、不特定の客にダンス、ショー、演芸等を見せる行為ですとか、歌、バンドの生演奏等を不特定の客に聞かせる行為、あるいは、喉自慢大会等の不特定の客が参加する遊戯、ゲーム、競技等を主催する行為と、物すごく幅広になっています。この遊興の定義自体にのっとった上で、善良な風俗を守るために取り締まるということなんだと思います。
何がそれに当たるかわからない。恐らく、辻局長が生まれてから今まで、さまざまな御経験をされたと思いますが、それとは全く違った経験を経ながら人生を歩んできて、楽しみ方を謳歌されている方々がいると思います。本当の意味で善良な風俗を害することはないにもかかわらず取り締まり対象になってしまうことは、誰にとっても不幸だと思います。
この解釈を、私がちょっといろいろ例示しますけれども、局長の御判断を仰ぎたいんですが、今申し上げた不特定の客にダンス、ショー、演芸等を見せる行為、これを深夜にお酒を提供しながら出したら、恐らくこの定義上当てはまると思うんですが、例えばの話ですけれども、深夜にお酒を飲ませながら、演芸ですけれども、歌舞伎を見せたら、それは善良な風俗を害するんですか。どういう局長としての御判断になりますか。
○辻政府参考人 今回の遊興の規制、今回のといいますか、現在、遊興というのが、客に遊興をさせてはならないということで規制されておるわけでございますけれども、それは、そういうようなことが行われると善良の風俗等を害するおそれが出てくるということでございまして、一つ一つのことを直ちに、ただ一個の、今のがどういうような形態で行われるかということによりますので、それで直ちに、では、これだと害するかというお尋ねをされましても、なかなかそれにお答えするのは困難かというふうに思います。
○寺田(学)委員 あなたが答えを出さない限り、やっている側としてみれば、自分たちの行為が当てはまるかどうかわからないじゃないですか。
深夜にお酒を出しながら落語を聞いたら善良な風俗を害するかどうか、何かしらの基準を、歌舞伎でもいいですよ、それに対する警察当局としての考え方をお話しになって、より一層、一段、具体的にどのような行為が警察の考える善良な風俗を害するおそれがあるというものに該当するのかということを考えていくんだと思います。その警察当局のおそれや考え方が適正かどうかということは、国会、また違った形で判断されるものだと思います。
まずは、警察当局としての考え方をはっきりしない限り、曖昧な定義のままで取り締まりを行っていく、解釈運用基準ですよ、それはわからないですよ。
もう一回申し上げますけれども、例えば、深夜にお酒を提供しながら落語を聞かせる、そういう業態が出てきた場合には、善良な風俗を害するおそれはあると判断するのか、ないと判断するのか。はっきり言えないとすれば、どのような点からどのようなことが考えられると当局としてお考えなのか。はっきり述べてください。
○辻政府参考人 この遊興の関係でございますけれども、先ほど申しておりますとおり、遊興というものは現行法でも既に使用されておるものでございまして、規制の対象となる遊興は、営業者の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為ということでございます。
深夜に酒を飲んで積極的に遊び興ぜられるとそういうおそれがあるということで、この規制の対象にしているところでございまして、個々の形態で、あるときに、では、善良の風俗を害した、害していないということではなくて、こういう形態というのが善良の風俗等を害するおそれがあるということでございます。
○寺田(学)委員 もう存立危機事態よりもはるかにはるかに曖昧ですよ。
今、営業者の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせる行為とお話しされましたけれども、積極的なというのは、どのような場合、積極的なと警察として考えるんですか。
○辻政府参考人 それは、お客さんがみずから、お店とかかわりなく遊び興ぜられるというものは除かれる。お店の方が盛り上げるような形でお客さんを遊び興じさせるというような場合でございます。
○寺田(学)委員 意味がわからないです。
働きかけというのは、お店側の生身の人間が直接働きかける行為だけを限定しているのか、設備として、当然そのことを目的として間接的に働きかけている場合も含むのか、どういう判断なんですか。
○辻政府参考人 一般的に申し上げますと、単に設備が設けられているというだけの場合は当たらないのではなかろうかというふうに思います。
○寺田(学)委員 設備だけがあれば大丈夫と。ただ、お店側としては、その設備を使って遊んでいただくことを目的として対価をいただいている場合もあるわけですよね。カラオケボックスなんて、それですよ。
一貫してカラオケボックスに対しては遊興に当てはまらないと言いながら、それ以外のことに関して一括して遊興に当てはまるゾーンに入れているのは、曖昧であり、本当の意味で善良な風俗を守るために現場に合わせてやっているかどうかということは、なかなか難しいと私は思いますよ。
私は、カラオケまで遊興に入れろということを主張しているのではなくて、曖昧だからこそ、今警察が行っている判断というものが合理性を欠いているのではないかということを申し上げているんです。
遊び興じさせる行為とありますけれども、店側が遊び興じさせたとしても、お店に来た人が遊び興じていない場合、それはどっちなんですか。
○辻政府参考人 これは営業行為として行われる行為を捉えておりますので、そのときたまたまそのお客さんが遊び興じなかった、おもしろくなかったということがありましても、お店としては遊び興じさせるというような形で営業されているということになりました場合には、遊び興じさせるということになろうかと思います。
○寺田(学)委員 深夜にお酒を提供させながら、生バンドが、お店側としてはじっくり聞いてもらいたいと思いながら、来た人が、その音楽がとても楽しくて遊び興じてしまった場合はどうなるんですか。
○辻政府参考人 ここでは生バンドの演奏をさせるということで、個々の音楽について、今の音楽は非常に静かな音楽だった、次はにぎやかだったということではございませんで、お店の方がお客さんの興をそそるような形で積極的に働きかけをして遊び興じさせるということになれば当たってまいりますので、ただいまのような場合には当たってこようかというふうに思います。
○寺田(学)委員 今御答弁いただいた内容の中で、遊び興じさせると判断する行為が、なぜ善良な風俗を害するおそれがあるんですか。
○辻政府参考人 この遊興の規制でございますけれども、ある特定のそのときに善良の風俗を害するかどうかということではなくて、営業者の積極的な働きかけにより深夜に酒を飲んでいるお客さんに対して興をそそってくるという行為が類型的に善良の風俗を害するおそれがある、こういうことでございます。
○寺田(学)委員 全く答えていないです。今、質問を、何個か具体例を言う中で、はっきりと具体例を局長はお話しされましたよ。生バンドがお客さんに対して遊び興じさせるためにやったら、それは遊興に当たると。その今局長がお話しされた具体的なものがなぜ善良な風俗を害するおそれがあるのかという、当局としての考え方を述べてくださいと言っているんです。
なぜ生バンドがお客さんに遊び興じさせることになるのか、その趣旨をお話しください。具体例に沿って。局長がお話しされた具体例ですから。
○辻政府参考人 先ほどから御答弁させていただいていますとおり、酒を飲んでいるお客さんに対しまして、深夜に積極的な働きかけによりまして客に遊び興じさせる、そういう行為がこれらの善良の風俗等を害するおそれがあるということでございます。それが生バンドという形かどういう形か、生バンドも、いろいろな形態があろうかというふうに思います。
○寺田(学)委員 いろいろな形態があるというのは、何に係った言葉なんですか。
もう一回お伺いします。生バンドが客にそのような形でお酒を提供しながら夜中にやることが善良な風俗を害するおそれがあるということにつながるのはなぜなんですか。今までずっと答弁されていることは、どういうことが遊興に当てはまるかを御答弁されていますけれども、なぜそれが立法の趣旨である善良な風俗を害するおそれに当たるのかということをはっきり答弁してください。
○辻政府参考人 先ほど来何回も答弁させていただいておりますけれども、生バンドを演奏して、お客さんの状況といいますか、そういうものを見ながら、これを興をそそるような形でやっていくということで、お客さんの方が、まず歓楽的、享楽的な雰囲気が高まる、過度になるというおそれが出てくるということでございます。
○寺田(学)委員 夜、生バンドでいい音楽を聞いてお酒を飲んだら享楽的になってしまうんだ、だから規制しましょうというのなんて、世界じゅう、そんなことを言っているのはうちの国ぐらいですよ。
冒頭の質問に戻りますけれども、辻局長は辻局長のお考え、今までの生い立ちがあると思いますが、それ以外で育ってきている方々もたくさんいます。警察の方々が日々御尽力をされて、善良な風俗を守るためにさまざま頑張られていることは敬意を表しますけれども、それ以外のあり方というのは山のようにあって、辻局長が御想像できないような、辻局長は、生バンドを夜中聞いてお酒を飲んだら享楽的になっちゃう、何か悪いことをしちゃって善良な風俗を害するおそれがあるんだと言われますけれども、実態を見てみてくださいよ。
そろそろ時間ですので、最後、お願いしますけれども、冒頭質問したとおり、さまざま、本当の意味で善良な風俗を害するような遊興かどうかということは、ケース・バイ・ケースで見ないと全くわかりません。それが当局の恣意性によって濫用されたときには、本当に、人の営みであったり、楽しい営みであったり、文化の芽を摘んでしまいます。ですので、局長、最後の御答弁でいいです。しっかりと現実を見て、解釈運用基準、改めて実態に即する努力をしていくという御答弁をいただけますか。そして山谷委員長、同じように御答弁いただけたらと思います。どちらが先でもいいです。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
解釈運用基準でございますけれども、改正法が成立いたしました場合、いろいろな御疑問に十分答えられるように、さらなる明確化ということにしっかりと努めてまいりたいというふうに思います。
○山谷国務大臣 ダンス文化の振興、そしてまたナイトライフの充実を求める国民の声というのは高まってきているわけで、そのためにこの今の審議をしているわけでございます。
個々の営業が特定遊興飲食店営業に該当するか否かは個別に判断していくというのは局長の答弁のとおりでございますけれども、ナイトライフの充実、そしてダンス文化の振興を求める国民の声というのも、精神も考えながら、適切な運用というのが大事だというふうに考えております。
○寺田(学)委員 ちょっと厳しい質問にはなりましたが、局長、この法案が通って一段落したら、局長が今まで善良な風俗を害するのではないかというおそれを持っているところの実態的なところを、一緒に、関係者とともに夜回って、実態をチェックしていくことをさせていただきたいなと思いますので、よろしくお願いします。
以上で質問を終わります。
○井上委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 民主党の津村啓介でございます。
山谷大臣に幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
今回議題になっております風営法、風俗営業という名前からもわかりますように、これは時代によって、社会のありよう、人間の営みのありようというのは変わっていくものでございますので、その時々に、時代の大きな流れ、社会、文化、経済の大きな流れをしっかりと、政府としても、あるいは立法府としても捉まえて、必要な改正、よりその時代に合ったものに時々変えていくのかなと。
そういう意味では、先ほど寺田さんの質問にもありましたけれども、今回、この改正はあくまでも二〇一五年の改正でありまして、また今後も、日本社会のありよう、風俗のありようというのは絶え間なく変わっていくものでありますので、これからも、場合によっては、改めて改正をしていくということもあり得べきものなのかなというふうに考えます。
そうした中で、では、改正をしていくときに、恐らくこの一年、二年のさまざまな動き、事件等もあったわけですけれども、より大きな、日本社会、風俗の大きなトレンドといいますか、歴史的な流れをしっかりと捉まえて、それに即した法案の議論をしていくべきだと思うんですけれども、ダンス営業の規制緩和の話に入る前に、まず、青少年犯罪のこの十年、二十年の大きなトレンドについて少し議論をさせていただきたいというふうに思います。
幾つかの統計を事前に調べさせていただいたんですけれども、恐らく一つの大きなくくりとして、刑法犯あるいは虞犯少年という言葉があると思うんですが、刑法犯少年と虞犯少年の近年の推移というのはどうなっていますでしょうか。
○山谷国務大臣 平成二十六年中の刑法犯少年の検挙人員は約四万八千四百人、平成十六年以降、十一年連続で減少をしております。
また、虞犯少年として家庭裁判所に送致あるいは児童相談所に通告した人員の合計について、過去十年間の推移を見ますと、おおむね減少傾向にありますが、平成二十三年以降はほぼ横ばいの状態となりまして、平成二十六年は千六十六人、前年と比べまして微増しているところでございます。
○津村委員 ありがとうございます。
私も、警察庁生活安全局さんが出されている少年非行情勢という資料を拝見しているわけですけれども、今おっしゃられた刑法犯につきましては、平成十七年が十二万四千人ほどに対しまして、直近、二十六年は四万八千四百人前後とおっしゃいましたけれども、三分の一強、かなり減少、しかもトレンドとしては、おっしゃったように十一年連続の減少ということで、非常に顕著なトレンドを示しております。
こうしたことは、今の日本の例えば教育であるとかそういうものがうまくいっているということなのか、それとも、警察行政の方針としてある種厳しくしたりあるいは少し緩くしたり、そういう警察サイドの方針の変化があるのか。いろいろな要因があるのかもしれませんが、大臣はこの刑法犯少年の顕著な減少傾向についてどういう背景があると分析されていますか。
○山谷国務大臣 刑法犯少年の検挙人員及び虞犯少年の補導人員は過去十年以上にわたって減少傾向にあるところでありまして、さらに刑法犯少年の人口比で見ても大きく減少しているところであります。
罪種別に見ますと、強盗、恐喝、傷害等の検挙人員が大きく減少していることなどを踏まえると、刑法犯少年の検挙人員及び虞犯少年の補導人員の減少傾向の背景については、これまでの官民一体となった街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策等の推進や非行防止教室の開催等が一定の成果を上げているのではないかと考えているところでございます。
○津村委員 ありがとうございます。
警察が頑張っているという御答弁でしたけれども、一方で、今回、風俗営業法の話をするわけですけれども、内訳を見ますと風俗犯というのがございます。この風俗犯につきましては、十年ほど前は毎年約三百人から四百人、三百人台で推移しているんですけれども、平成二十二年、二十三年と四百人を超えてまいりまして、平成二十四年、五年には五百六十とか五百二十とか、直近、昨年は少し減って四百四十五人ですけれども、この十年間でどちらかといえば増加の一途をたどっているということでございます。この背景はどうお考えでございますか。
○山谷国務大臣 少年による風俗犯、これは刑法犯のうち、賭博罪、強制わいせつ罪、公然わいせつ罪及びわいせつ物頒布等罪をいいますが、その検挙人員については、ここ十年の推移を見ますとおおむね増加傾向にありますが、二十年前と比較しますとほぼ同じ水準であり、また、平成二十六年に風俗犯で検挙された少年は、委員今おっしゃられた四百四十五人で、前年に比べると減少しておりまして、必ずしも一貫して増加しているという情勢ではございません。
罪種別に見ますと、いずれの年においても強制わいせつが多いのですが、最近はわいせつ物頒布等が増加しているわけでありまして、風俗犯が増加する背景について一概に申し上げることは難しいのですけれども、インターネットの普及等による少年を取り巻く有害環境の変化や、少年に限らず、子供や女性を守るため性犯罪の検挙を積極的に行っているということなどが背景にあるのではないかと考えております。
○津村委員 インターネットのことなんかは多分そうだろうなと思いながら聞かせていただいたんですけれども、先ほど、刑法犯全体の減少傾向は警察のキャンペーンがうまくいっているからだとおっしゃって、それで犯罪は減っていると。今度は、ふえているものについては検挙を頑張っているからというのは、ちょっと都合がいいのかなと思うんです。
もし、刑法犯全体がそうであるように、風俗犯についても官民挙げての犯罪減少へのキャンペーンがうまくいっているのであれば、風俗犯も減るべきだと思うんですけれども、そこは余りうまくいっていないんですか。
○山谷国務大臣 官民一体となった総合的な対策の推進というのをこれからもさらに進めていきたいと考えております。
○津村委員 少しブレークダウンして掘り下げていきたいんですけれども、ダンス営業のこともそうなんですが、地域によって相当、文化、風俗については差が大きいということで、今回の法律でも規制のありようをかなり条例とか地域の判断に委ねていこうという姿勢があるかと思うんです。
そのことに関連して、都道府県別に見ると少年犯罪とか風俗犯というのはどういう傾向にあるのかなというのを、私なりに少し調べてみたんです。いただいた警察庁さんの資料には、都道府県別の中長期のトレンドというのが見えるものがなかなかなかったので、人口比の数字を見させていただいたんですけれども、中学生の刑法犯の検挙、補導人員の人口比を見ますと、私の方で数字を少し紹介させていただきます。
全国の地域別で見ますと、生徒数千人当たりの刑法犯検挙、補導人員、中学生です。北海道は四・七人、東北が三・四人、東京、警視庁が六・九、関東は六・二、中部が六・四、近畿が十一・七、中国地方が十一・四、四国が十・〇、九州は八・九と、かなりはっきりと、西高東低といいますか、私が今読み上げた数字、だんだん数字がふえていったと思うんですけれども、人口比でいうと西の方が、刑法犯、少年犯罪が多い。そして、あえて言えば、東日本の中ではやはり東京が多いですし、関西でも近畿が多くて、ざっくり言えば都市部がやはり多いのかな。
これは、この後議論させていただく、ダンス営業が比較的都市部といいますか繁華街に多い話とリンクさせたいと思って伺っているんですけれども、大臣は、この少年犯罪の西高東低の傾向と都市部が比較的高いということについて、どういう背景があるとお考えですか。
○山谷国務大臣 平成二十六年の福祉犯送致人員は全国で約七千百人でありますが、都道府県別に見ますと、統計上必ずしも、御指摘のような大都市を抱える都道府県で増加傾向、それ以外の県で減少傾向とまでは言い切れないというふうに考えております。
また、平成二十六年の刑法犯の犯罪少年と触法少年の人口比を見ますと、おおむね委員御指摘のとおり、西高東低の傾向や地方に比べ大都市を抱える都道府県が高いといった傾向が見られます。
その背景については一概にはなかなか言うことが難しいところでございますが、いずれにせよ、一般的に都市部での繁華街では、少年が興味本位等から安易に犯罪を犯したり犯罪被害に遭ったりする機会が多くなるということも考えられますので、警察では、悪質性の高い事犯に重点を置いた積極的な取り締まりや有害環境浄化活動、少年の補導と保護などを推進しているところでございます。
○津村委員 一つおわびしなければいけないんですけれども、私、事前の通告で二つのことを今の問いに入れていたのをはしょったんです。前半の福祉犯のことは私は伺いませんでした。ですので、御答弁が少し、ちょっと別のことにお答えになったんじゃないかと思いますが、後段の部分、人口比の方の話だけに絞らせていただきます。
西高東低、都市部が高い、どちらもその傾向があるが一概に言えない。必ずしも詳細な分析はしていないということだと思うんですけれども、私は、警察行政のあり方といいますか、刑法犯等については法的に非常にリジッドにルールが決められているわけですし、その結果、統計も非常に豊富、いただいただけでもたくさんの統計があります。こういったものをしっかりと社会的、文化的あるいは教育との関連、こうした背景を、これはもう科学的に分析ができることだと思うので、例えば西高東低ということについても、これは非常に不思議な現象といいますか、何で西日本の方が少年犯罪が多いのかということも、これは警察行政のあり方なのか、それとも何か文化的な背景があるのかとか、かなりこれは深いテーマだと思うんですよね。
そういったことも、やはり警察行政のトップにあられる方が、いろいろな警察組織のリソースを生かして、しっかりと分析をされて、そして手を打っていただきたいと思います。多分、私は、今回、ダンス営業の法案審議だったので、それにかかわることで何かマクロの数字を見てみようと思ったら、たまたま気づきましたけれども、恐らく、ほかの数字なんかを見ていくと、もっともっといろいろな、顕著な、マクロ的な傾向があるんだと思うんです。
警察行政、特に現場の方というのは、そういうマクロというよりは、目の前にあるいろいろな大変な事件に追われている面があると思うんです。それはそれで敬意を表すべきことなんですが、やはり行政のトップにあられる大臣は、よりマクロ的といいますか、俯瞰した目で日本全体の動向をごらんいただきたいと思いますし、そのために、研究所のようなものなのか、あるいはそういう部署なのか、しっかりと体制を整えるべきだと思うんですけれども、御所見を伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 次代を担う少年の非行を防止し、健全育成を図ることは、大変重要だと認識をしております。委員が、さまざま、少年の検挙、補導人員等々の統計資料を読み込んで、問題意識を持っていただけていることを大変に感謝しております。
人口に比べてどうかというようなさまざまなデータがあるわけでございまして、今後とも、関係機関等と連携しながら、少年の非行防止に向けた対策が推進されますように、分析も含めて、警察を指導してまいりたいと考えております。
○津村委員 ありがとうございます。ぜひそのとおりしていただきたいと思います。
それでは、ダンス営業の話に少し具体的に入っていきたいと思うんですが、今回のダンス営業の規制緩和といいますか、風営法の改正については、業界団体あるいは優良な事業者の方々が、地域の清掃をしたりとか、いろいろ自主的な取り組み、氏名の確認とか自分たちでできるルールをきちんと努力もされながら、それこそ官民挙げて働きかけてきた一つの成果という面と、そしてもう一つは、政府の中でも、規制改革会議の中で提言があって、まさに官民双方から、時代のニーズに合わせた法改正をという議論が高まってきたんだと思うんです。
この規制改革会議の答申を少し読んでみますと、こういう記述があるんですね。「二〇二〇年の東京オリンピック開催が決定している中、ダンス文化を活用した魅力ある街づくりを進め、海外観光客を呼び込むためにも、風営法の見直しについて検討する。」これ以外のところには、そういう何か、風営法規制の見直しのきっかけみたいなことは余り書かれていないんですけれども、ここはすごく、経済面といいますか、オリンピックがあるし、海外の人も来たら日本で楽しんでもらいたいから法改正するというようなところが、ちょっと突出した記述に見えて、少し違和感があるんです。
大臣は、今回の法改正によって、日本経済にどういう効果が上がるというふうにお考えですか。
○山谷国務大臣 このたびの改正法案は、近年のナイトライフの充実を求める国民の声の高まりやダンスに対する国民の意識の変化、そして、規制改革会議や超党派のダンス文化推進議員連盟における議論等を踏まえて国会に提出されたものであります。
委員が今お読みになられた規制改革会議の部分でございますけれども、経済的効果については、警察において答弁するのはなかなか難しゅうございます。
○津村委員 今回、そうはおっしゃいますが、規制改革会議のこの答申を踏まえて、大臣が担当大臣として法案を提出されているんですから、そういう縦割り的な御答弁では私は満足できません。
きのう通告して、きょう御答弁ですから、この答申に対する具体的な数字まで必ずしも試算をしていないということであれば、それは仕方がないと思いますが、少なくとも、定性的な効果として、地域経済あるいはマクロ経済にこういった影響を持ち得るんじゃないかということは、大臣として当然見識を持っておくべきことだと思います。
改めて質問させていただきます。
○山谷国務大臣 この法案が成立すれば、ダンスホール等の客にダンスをさせる営業が本法による規制から除外されるほか、特定遊興飲食店営業の制度の新設、風俗営業の営業時間制限の緩和等の規制緩和がなされることとなります。
警察におきましては、ダンスを楽しんでいただくというこの法の精神とともに、風俗上の問題が生じるおそれがどうであるかということも警察行政としては大切なことであります。
経済的効果については、繰り返しになりますが、警察においてはなかなか答弁は難しゅうございます。
○津村委員 やはりその最後の一言はどうかと思うんですけれども。わかりました、きょうはこれ以上この件については問いませんが、やはり、TPPの議論をするときも、農水省さんだったり経産省さんだったりが、今後何年間の経済効果はこうですよと。それが正しいかどうかはさまざまな検証がなされると思いますけれども。
今回、安倍さんにしても、KPIということをおっしゃって、この規制を改革すればこういう効果があるよ、そうやって検証可能な提言をしているよということをこの二年半おっしゃってきているわけで、このダンスの問題については規制改革会議の中でKPIとして何か示されているわけじゃないかもしれませんけれども、やはり、規制改革、法改正をしていく上で、それが日本経済なり日本社会にどういう影響を与えるかということを、数字であったり、あるいはそれは定性的なことでも結構ですけれども、きちんと、この法案、この政策はこういうことのためにやるんだ、事後的に検証可能な形で議論していくのがあるべき姿だと思いますし、実際、安倍政権はそういう努力をされていると思いますので、KPIという言葉をこれだけ世の中に流布したわけですから。
大臣もぜひ、自分は警察なので経済のことはわかりませんみたいな御答弁じゃなくて、これはもう政権挙げての御努力なわけですし、成長戦略の一環だとまでおっしゃっているわけですから、もうちょっと大所高所から御答弁をいただけるように、また次回以降お願いしたいというふうに思います。
少し各論に入っていきますけれども、今回、今大臣もお触れになった、治安等にどういうマイナスの影響があるかということもしっかり見ていかなければいけないというお話でしたが、そのいわば予防措置といいますか、良好な風俗環境の保全を図るための規定の整備という形で、二つのことが例示されています。一つは営業所周辺における迷惑行為の防止措置、もう一つは苦情処理に関する帳簿の備えつけの義務づけですけれども、どちらもぜひやったらいいと思うんですが、具体的にどんなことをやるのかなというのがなかなかイメージができないでおります。
一点目の、営業所周辺における迷惑行為の防止措置についてですけれども、風俗行政研究会のこの提言では、例えば警備員の配置とだけ書かれているんですけれども、この警備員というのは誰がどういう形で配置して、それを配置されているかどうかは誰がチェックして、どういう態様でやっていくのか。また、例えばとありますけれども、警備員の配置以外でどういうことを考えていらっしゃるのか。
この迷惑行為の防止措置の具体的な中身について、大臣はどういうイメージをお持ちですか。
○山谷国務大臣 いわゆるクラブについては、特に深夜の営業に関し、騒音、酔客の迷惑行為等に起因する近隣住民とのトラブルが発生して、クラブ営業に対する取り締まり要望が警察に寄せられるなどしてきたところでございます。
また、改正法案の策定に先立ちまして開催された有識者会議のヒアリングにおいても、地域住民からクラブ営業等に関する苦情、例えば騒音のために睡眠薬を飲んで寝る生活が数年間続いたとか、また、酔客が公共の場で嘔吐、ごみの散乱、けんか等を行う等々の苦情について意見をお聞きしました。
こうしたことを踏まえまして、このたびの改正法案では、深夜の営業が地域住民の生活の平穏を害することのないよう、客による迷惑行為を防止するための措置を講じる義務を営業者に課することとしたものでございます。
具体的な内容としましてなんですが、例えば、従業員等による店内の定期的な巡視、掲示物、場内アナウンス、料金徴収時の声かけ等による注意喚起、営業所周辺で問題を起こしている客に対する注意、制止、従業員に対する教育等が考えられます。
こうした措置に関しては、このたびの改正法案が成立した場合に、国家公安委員会規則で明確に定めることを検討しているところでございます。
○津村委員 具体的なことを定めるということで、結構だと思うんですけれども、それをチェックするのはどういうやり方をするんですか。
○山谷国務大臣 国家公安委員会規則によって明確に定めまして、それぞれのお地元でそれが守られているかどうかということを行政として行われるものと承知しています。
○津村委員 ちょっと抽象的でわかりにくかったんですけれども、ぜひきちっとやってください。
もう一点の、苦情処理に関する帳簿の備えつけの義務づけということに言及されているわけですけれども、この帳簿には具体的に何を記載することを考えていらっしゃいますか。要件を明確にしていただきたいと思います。
○山谷国務大臣 改正法案においては、苦情処理に関する帳簿の備えつけは、国家公安委員会規則で定めるところにより行うこととしているところであります。
これを受けまして、このたびの改正法案が成立した場合に、国家公安委員会規則において、帳簿に記載すべき事項として、苦情の内容、原因究明の結果、改善措置等を定めるとともに、帳簿の保存期間等についても定めることを検討しているところでございます。
○津村委員 ごめんなさい、私が聞き漏らしたかもしれませんが、保存期間は結構ですけれども、何を書くとおっしゃったんでしたか。要件を明確にしてくださいと申し上げたんです。
○山谷国務大臣 これまでも地域の住民の皆様からさまざまな苦情が寄せられているところでありますが、お店の方としては、そういうのを聞いていないとか誰が聞いたんだとか、いろいろなことでうやむや、曖昧になっていたという現状がございます。
そのようなことがないようにするために、苦情の内容、そしてそれはどういうことが原因だったのか、そしてそれをどう究明して、どういう結果になっているかということ等々を記載すべき事項として考えていきたいと考えています。
○津村委員 究明したやり方まで、そこまで本当に書けるのかなというのは、ちょっと私、そんなに全ての帳簿を書けたらすごいなと思うんですけれども、まず苦情があった時間であるとか、苦情は電話なのか直接来たのかとか、あとは苦情を言ってきた人の名前、住所、こういったものは含まれますか。
○山谷国務大臣 国家公安委員会規則において、帳簿に記載すべき事項の内容を詰めていきたいと思いますけれども、ある意味、ファクトというのは大事だと思っております。
○津村委員 何かいま一つ煮詰まっていないような印象を受けますが、これから規則を定めるということですので、そこでは、ぜひ大臣、こういうものは非常に現場を大きく左右することですので、きちっと要件を明確にしていただきたいというふうに思います。
時間が押してまいりましたので、あと一問、二問で終わらせていただきますけれども、風俗行政研究会の報告書を見ると、かなり自由闊達な議論がされていて、これは質問としてはちょっと飛ばしますけれども、少し御紹介だけします。
これまでも、自主的な取り組みといいますか、ダンス営業をできるだけ地域の皆さんに認めてもらおうと、法律的には風営法の読み方でなかなか難しいところのあったクラブの関係者が、ごみ拾いをしたりであるとか、先ほどの迷惑行為の防止措置みたいなことを自主的にやってくるということが民間の取り組みとしてあったようですけれども、今回、法律で定まることによって、逆に言えば、やるべきことが明確になった分、そこに書かれていないことはやらなくていいかというような逆のインセンティブも働く可能性があって、せっかく民間でのいわば美しい取り組みが失われていくのは残念だなというふうに思うんです。
この風俗行政研究会にも、「優良な事業者に対して何らかのメリットを付与する制度の創設や、事業者団体等による優良な営業者の格付け等についても検討すべきではないかとの意見があった。」、こういうメリットといいますかインセンティブづけを提言されている御意見もあったようですし、私はこれは大変重要だと思うので、御検討いただきたいと思います。
最後の御質問ですけれども、報告書の最後の方に、私の最初の問題意識と重なるんですが、風俗営業という言葉自体もちょっとレトロな感じがいたしますし、報告書そのものを読みますと、「風俗営業という名称は、性風俗関連特殊営業と紛れが生じており、時代に合わなくなってきていることから、将来的には別の名称とすることも検討すべきとの指摘があった。」。うなずける指摘だと思うんですけれども、風俗営業の名称、それから目的が大きく変わってきているのではないかということについての大臣御自身の御感想をお聞きしたいと思います。
○山谷国務大臣 昨年開催されました風俗行政研究会では、目的について、委員から、薬物対策に関して業者に正面から何らかの義務を課すことは難しい面があるのであれば、将来的には、風営適正化法の目的を改正することも含めて検討すべきではないかとの指摘がございました。また、名称についても、風俗営業という名称は、性風俗関連特殊営業と紛れが生じており、時代に合わなくなってきていることから、将来的には別の名称とすることも検討すべきとの指摘もあったと承知しております。津村委員御指摘のとおりでございます。
この御指摘については、将来的な検討課題としつつ、薬物対策のさらなる推進や、風俗営業と性風俗関連特殊営業の混同がなされないための周知等に取り組んでまいりたいと考えております。
○津村委員 ありがとうございました。
時間が参りましたので、終わります。
○井上委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太です。
本日は、風営法、特にダンスの規制を今後変えていくということでの質疑をさせていただきます。
私もダンス議連の一員でありましたので、また、地元からもさまざまな実態を聞いてまいりましたので、先ほど寺田委員から話がありましたように、こうした形で、国民の声が通じて、現代に合った法改正の方向で進んでいくということは大変有意義なことであるというふうに思っております。
今回の法改正、ある意味、過去初めて、深夜における遊興を認めるというような改正であります。改めてですが、大臣、その趣旨を御答弁いただきたいと思います。
○山谷国務大臣 現行法上、深夜における飲食店営業については、客に遊興をさせることは禁止されております。これは、深夜に酔客に遊興をさせるサービスを提供した場合には、歓楽的雰囲気が過度なものとなったり、酔客が迷惑行為を行ったりして、風俗上の問題が生じるおそれがあるためでございます。
他方で、先ほどからも申しておりますように、国民の生活様式の多様化が進んで、ナイトライフの充実を求める国民の声が高まる中、いわゆるクラブについては、一定程度の深夜営業への需要があり、また、バンドの生演奏、ショー等についても、時間帯にかかわらず飲食をしながら楽しみたいとの需要があるものと考えております。
こうした情勢を踏まえまして、このたび、許可制、立地規制、年少者の立ち入らせ制限等の適切な規制のもとで、風俗上の問題が生じないような方法で深夜に客に遊興をさせる営業を営むことができるよう、特定遊興飲食店営業の制度を新設するものでございます。
○泉委員 今、津村委員からも話がありましたが、やはりこの風俗営業という言葉そのものが、社会と合致していないというか、社会の意識とずれがあるというふうに思っております。
よく、主に男性社会かもしれませんが、風俗という俗語は、まさに、先ほどお話のあった性風俗のことを指すことがほとんどであるという状況。
一方で、風俗営業法の風俗営業というのは、ナイトクラブ、ダンスホール、喫茶店、バー、キャバレー等々ですから、ここに行くときに風俗に行くというふうに使う方はほとんどおられないですね。
実は、風俗営業の中にも、多少、性風俗じゃないか、その境界線が曖昧なものも入っているのは事実であろうというふうに思いますけれども、一般的に、法律で言うところの風俗営業に行くことを風俗に行くというふうに使われる方はほとんどいない。そういうところの混乱が一つあるんだと思います。
そして、今回は特定遊興飲食店営業というカテゴリーができるわけでありますけれども、これは風俗営業ではないわけですね、風俗営業ではない。改めて、当たり前の御答弁かもしれませんが、特定遊興飲食店営業は風俗営業ではない、それでよろしいですね。
○山谷国務大臣 風俗営業は、適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供するものとなり得るものである一方、営業の行われ方いかんによっては、歓楽的雰囲気が過度なものとなり、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、または少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるため、必要な規制を行っているものであります。
なお、遊興飲食という要素を持つ飲食店営業も、深夜に含まれる場合には、善良の風俗等を害するおそれがあることから、風営適正化法で規制するということとしたことでございます。
○泉委員 その上で、もう一度お答えください。
特定遊興飲食店営業は風俗営業ではありませんね。
○山谷国務大臣 風俗営業は、今回改正後は、キャバレー、待合等、新一号営業、そして、新二号営業として低照度飲食店です。特定遊興飲食店営業は風俗営業ではございません。
○泉委員 もう一度整理したいのは、そもそも風俗営業とは何か。今大臣から御答弁をいただいたように、風俗営業そのものも、適正に営まれる限りは社会の潤滑油であり、有益で有意義だということなんです。風俗営業そのものもですよ、風俗営業そのものもそうなんです。
なおかつ、今回、特定遊興飲食店営業というのは、その風俗営業からも外れる。ということは、階段でいえばさらに一段下にあるというか、その健全度合いが強いというものだというふうに私は考えますが、そういう理解でよろしいですか。風俗営業ではないわけですから。
○山谷国務大臣 今回、特定遊興飲食店営業は、深夜遊興、そして酒類提供あり、十ルクス超えということでございます。
こうした遊興、飲酒という要素を持つ飲食店営業も、深夜に含まれる場合には、善良の風俗等を害するおそれがあることから、風営適正化法で規制することとしたところでございます。
○泉委員 満足のいく答弁ではないですが、明確に、風営法の中でいえば、性風俗関連特殊営業というカテゴリーがあり、そして風俗営業というカテゴリーがあり、その風俗営業というカテゴリーから外れてその他というところでほかのさまざま風営法の中で規制を受けているものがある、ある種、こういう階段状の法律になっているわけですね。そういった意味では、風俗営業ではなくなって、その他のというか、特定遊興飲食店営業となるわけですから、その趣旨をよくよく御認識をいただきたいというところであります。
そして、先ほど寺田委員からも話がありましたが、やはりこの遊興とは何かなんですね。これは本当にややこしいです。
先ほど話のあった解釈運用基準の中では、幾つか話が出ていましたが、遊興とは何かということとともに、飲食店営業者側の積極的な行為によって客に遊び興じさせることとなっているわけで、余計に難解なわけであります。
遊興をさせるとはどのようなものが当たるのかというのは、先ほど御説明がありましたので質問を飛ばさせていただきますけれども、さまざまな興行を見せる行為。そして、聞かせる行為、これは生バンドの演奏というのが先ほどありました。見せる行為、聞かせる行為。そして、参加させる行為、カラオケなどを舞台装置を設けて不特定多数に使用させる行為というふうに書いてあるわけなんです。
これも、そこまで書いてあって何でカラオケボックスがという話はまた別途あるとして、しかし、それはまあいいでしょう。できるだけ自由な世界にしておきたいなと思いますのでそれはいいんですが、改めて、この幾つか例示されている遊興でいうと、ナイトクラブのどの部分が何の遊興に当たるのかというのをもう一度御説明いただけますか。
○辻政府参考人 ナイトクラブの場合は、音楽を流しまして不特定の客にダンスをさせるということでございまして、通常は、DJなんかがおりまして、音楽をダンスをしやすいようにいろいろ音響設備をさわったりというような形で、お客様に対して営業者側が積極的に働きかけをして遊び興じさせるということで、現行法ではこれは風俗営業というカテゴリーでございますけれども、今般風俗営業からこれを除外いたしました場合には、この行為はこの遊興に当たるというふうに解釈しているところでございます。
○泉委員 いや、総合的な遊興に当たるという判断に至るまでの要素を今伺っています。
もう一度お伺いします。どの部分、今お話があったように、音楽なのか、DJなのか、客の何かの行動なのか、もう一度お答えください。何が具体的に遊興に当たるのか、教えてください。
○辻政府参考人 遊興に当たるかどうかということでキーになりますところは、営業者側の積極的な働きかけにより客に遊び興じさせるかどうかということでございまして、クラブの場合には、いろいろな音響設備を用いて演出的なことが行われましたり、あるいは照明設備等によりまして演出効果が行われたりというような、いろいろな行為が行われることとなるわけでございます。
営業によりましては、一言でクラブと言ってもいろいろなものがあるのかもしれませんけれども、総体的に申し上げますと、ただいまのようなところを捉えまして、営業者側が積極的な働きかけを行って客に遊び興じさせているのが一般的であろうということで、遊興に該当するというふうに申し上げているところでございます。
○泉委員 先ほどの質問の中では、機材があることそのものは遊興をさせることにはならないというお答えでしたが、それでよろしいですか。
○辻政府参考人 カラオケボックスのように、機材が単に置いてありましても、お客さんにお店の方の関与がないというようなものにつきましては、この遊興には当たらないというふうに解釈しているところでございます。
○泉委員 そうしますと、例えばライブハウス、これは、ライブハウスの運営者がみずから機械を操作して演出をする、ここで言うところの飲食店営業者側がというふうに明快にわかるものもあると思います。
一方では、いわゆるライブイベント、ライブハウスで行われるイベントというのは、外からそういう方々が来られて、そして機器を操作して、お客さんが楽しむ。もっと極端に言うと、お客さんがやってきて、その機器を操作して、みずから楽しむ。こういうことも考えると、これは非常に、カラオケボックスの機器の操作と同じじゃないかというふうにも解釈できるわけですが、いかがでしょうか。
○辻政府参考人 どのような行為が遊興に当たるのかというのは個別具体の事情に応じて判断されるべきものと考えておりますけれども、例えば、先ほど来申しておりますように、営業者による音楽や照明の演出、DJによる客への呼びかけ等の積極的な働きかけがあるようなものは、遊興に当たると考えております。
お尋ねのような行為につきましても、営業者が客に積極的に働きかけるようなものであるかどうかということをメルクマールといたしまして、遊興に当たってくるというふうに解釈しているところでございます。
○泉委員 そのまさに営業者というのがどこまでを指すかなんですね。営業者が、フリーのDJから、ちょっとおたくのライブハウスを使わせてもらえないか、いいですよと。ただ、経営者ですから、それは、どんな演出をしてどう盛り上げるかなんというのは、経営者としては別に何ら関与する話ではなくて、ただ、うちにはそういう機材はありますよ、どうぞお使いくださいということで、外からDJが来る、あるいは外からアーティストが来る、自分で曲を演奏する、それは生バンドまでいかなくても弾き語りかもしれない、いろいろなケースがあると思うんです。
でも、少なくとも、今の話でいくと、経営者、営業者が直接、営業者側としてその人が直接その演出をしてお客様を興じさせることは、これは遊興させるということになるけれども、お客さんや外からそういった方々が来られてそこで遊ばれているということであれば、これは遊興じゃないということでよろしいですね。
○辻政府参考人 ただいま委員の方からお尋ねがありましたようなケースにつきまして、ちょっと即断するのは困難かと思いますけれども、ただ、お店がライブイベントを行うという人を、ただいまお伺いしておりますと何か、招くといいますか、一体となったような形でお客様の興をそそるといいますか、積極的に遊び興じさせるというような形にも聞こえますので、そういうことであるとすれば、これは遊興に該当してくるのではなかろうかというふうに思います。
○泉委員 今の論点でいうと、お店側が主催をするライブイベントであれば遊興であろうということでしょうね。お店側が主催をしているわけではない、お店側が場を貸しているイベントであれば、それはお店側が遊興をさせているということにはならない。基本的にはそういう整理だと思いますが、いかがですか。
○辻政府参考人 これも具体的なことは、よく検討いたしませんと、なかなか即断、即答するのは困難なところがございますけれども、ただいまの場合ですと、もう一つ論点といたしまして、ここでそういう遊興をさせる飲食店営業というものを誰がやっているのかというような関係をよく確認する必要があるかというふうに思います。
○泉委員 やはり、非常にわかりにくいですね。本当に出たところ勝負で、恣意的な運用がされないとも限らないというところを多くの方々は恐れられているんではないのかというふうに思います。やはり、どの要素がどうして積極的な行為とみなされるのか、これが明確でなければ、本当に安心して営業ができないなというふうに思います。
ですから、改めてですけれども、裁判も幾つかありました。大阪におけるクラブの裁判というのがあって、二十六年に判決が出て、そして、その後、大阪地裁判決に対して検察側からの控訴の申し立てがあって、ことしの一月二十一日、その宣告がなされ、控訴は棄却ということになっておりますが、ある意味、この判決文を見ますと、今回の改正というのは、三号営業そのものがなかなか、もう成立しなくなってきているのかなということを感じます。なかなか政府側はお認めにならないかもしれませんが、やはり時代が変わって、ダンスそのもので一律に規制をすることが難しくなってきた、時代が変わってきた、かつては風俗文化だというふうにみなされていたダンスが、もはや日常文化化してきたということであろうと思います。
そして、ことし一月二十一日の判決文の中では、立法当時から想定されていた、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスをさせる営業は、それ自体の社交性の強さからして、飲食をすることと相まって、具体的な営業の態様次第では、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれのある営業形態であるが、これと異なり、それ以外のダンスについては、これを客にさせる営業によって男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成し、売春等の風俗犯罪を初めとした性的な逸脱行為を誘発するなど、性風俗秩序を害するおそれがある類型とは言えない、こういう文章になっております。
その中にも幾つか、さらにこの判決で言われていることがあって、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれがあるか否かを問わず一律に三号営業として規制の対象とすることは妥当ではないという文。
さらには、ここにはこうも書いてあるんですね。現在の規制が、飲酒するかしないかが要件となっているわけではない、そういうことではなく、多数の客が集まり遊興する施設であることや、営業時間が夜間であるということがこの規制の目的であって、飲酒そのものが要件となっているわけではないということも、実はこの判決には書かれているわけで、今回、そういった意味では、飲酒するしないで分かれているというところについても、ほかにもさまざまな営業形態というのはあるわけで、飲酒で分けることが果たして適切かどうかということも、実はこの判決の中では触れられているというところであります。
それはそれとして、今お話をした、何が遊興に当たるのかということで、演出は遊興に当たるのか。そして、私は、昨日、ダンスとは関係ありませんが、例えばショーを見せるということの、そのショーの範囲というのが何なのかということで、手品を見せたり、ビリヤードのプロがそこで競技をしているということが遊興に当たるのかという話を担当の方にお伺いしましたが、そこは、そうであるケースもあれば、そうでないケースもあるという答えであったりしましたので、やはり遊興というのは非常に難しいなということを感じました。
さて、次の質問に移らせていただきますけれども、一方で、基本的に、私は、自由にダンスをしていただけるような環境をつくっていくというふうに思っているわけですが、一点だけちょっと気になるなというところがあります。それは、保護者同伴であれば年少者の立ち入りが可能というところでありまして、これは、十八歳未満の子供、年少者ということになるわけですが、こう書いてあるということは、十八歳未満ですから、小学生でも、もっとちっちゃい幼児でもということになるという理解でよろしいんですよね。
○辻政府参考人 そのとおりでございます。
○泉委員 これは、私は、中高生ぐらいであれば、十時以降零時まで、保護者同伴であればという気もしなくもないんですが、何か業界等で小学生以下に対しては自主的にルールを定めようだとか、そういう動きは承知をされていますでしょうか。
○辻政府参考人 現時点、私の方では、そのような動きは承知はいたしておりません。
○泉委員 わかりました。
音量が音量なだけに、これは、逆に言うと、他のさまざまな風俗営業に係る施設とは多少違っていて、非常に大きな音量の中でありますので、小さい子供であれば健康に影響が出るというか、騒がしいところに、深夜、余りにちいちゃい子供がいるというのは、恐らくそんなに環境的にはよろしいとは言えないんじゃないかというところは、一点懸念をしているということをお伝えさせていただきたいというふうに思います。
改めて、もう一度、戻りますけれども、迷惑行為の防止措置、これについてはどんなものを想定されているか、もう一度お答えください。
○辻政府参考人 酔客の迷惑行為の防止措置の具体的な内容といたしましては、例えば、従業員等によります店内の定期的な巡視、掲示物、場内アナウンス、料金徴収時の声かけ等による注意喚起、営業所周辺で問題を起こしている客に対する注意、制止、従業員に対する教育等が考えられるところでございまして、こうした措置につきましては、このたびの改正法案が成立した場合に具体的な議論、検討を行いまして、国家公安委員会規則で明確に定めていただくということを検討しているところでございます。
○泉委員 ちょっとこれは確認ですけれども、深夜における酒類提供飲食店営業、バーや酒場の皆さんも、こういった迷惑行為の防止措置というのはとることになっておりますか。
○辻政府参考人 それは対象になっておりません。
○泉委員 そこは先ほど大臣からの御答弁でもありました。
確かに、クラブというのは、一つ、騒音ですとか振動というところの切り口はあるかなと思いますので、音が外に漏れないようにだとか、外でお客さんが騒がないようにというのはあるかもしれません。
一方で、嘔吐ですとか環境を害するみたいな話も先ほど出てきましたので気になったわけでありまして、お酒を飲むという意味では、深夜における酒類提供飲食店営業は同等であります。片一方に義務がかかって片一方に義務がかからないというのも、これまたおかしいなというふうに感じるわけですね。
当然ながら、迷惑行為の防止措置の部分で、外で暴れたらいけませんとか、外で騒がないでくださいというのは、大臣、居酒屋でも一緒ですよね。居酒屋でみんなでわあっと盛り上がって、外に出てワッハッハ、ワッハッハとやっていれば、それはうるさい。それで、クラブから出てくるのは片一方に防止措置がついて、居酒屋から出てきたにぎやかな集団は片一方でもし防止措置がないとすると、なぜ特定遊興の方には防止措置なるものがつくのか。これはちょっと不公平と言えませんか。
○山谷国務大臣 ナイトライフを楽しむということと地域住民等々に迷惑をかけるということは別問題でありますので、飲食店の周りでも、そのような迷惑な行為というのは、モラルの問題としていかがなものかと思います。
○泉委員 今、大臣のお言葉どおりというふうに私は思うんですね。
私は、先ほどから繰り返しですが、風営法全体を何も厳しくしろという話ではありません。ただ、法の規制を受ける者からすれば、なぜこちらに規制があってあちらに規制がないのか、そういったことはやはり気になるものだと思うんですね。
そういった意味で、夜中に飲食が伴うことによって享楽的な雰囲気になり、それでお店の外に対して何らかの迷惑をかけるということを想定されているのであれば、そこは公平にそのカテゴリーの中で対応をしていただかなければ、やはり法律としては実は欠陥、不公平ということじゃないのかなというふうに指摘をさせていただきたいというふうに思います。
同じように、苦情処理に関する帳簿で、これもバーや酒場について、あるのかないのか。そして、この帳簿については、どれぐらいの期限まで保管をされておくのか。もう一度お答えください。
○辻政府参考人 帳簿の保管期間につきましては、現時点でまだこのようにしようというところまで議論が煮詰まっておりませんで、今後、それについては国家公安委員会規則で定めさせていただくこととしているところでございます。
それから、先ほどの問いにちょっと戻ってしまうのですけれども、今回は、今まで禁止されておりました遊興、深夜における遊興ですね、それまでの遊興というのは何も規制がございませんでした。深夜における遊興というものを、今回は、いろいろな議論の中で、ナイトライフ云々かんぬんというようなところで認めていこうと。その際に今回種々の規制を入れさせていただいておるわけでございまして、その中で設けたものでございまして、それ以外のところについて新たな負担を課すというようなところは、今回の改正ではやらなかったということでございます。その点、ちょっと補足で答弁させていただきます。
○泉委員 そこは、今の法律の整理からいけば、勘違いをしていただきたくないのは、深夜における酒類提供飲食店営業は、そういった迷惑行為の防止措置云々というのはかかっていないんだということをよく理解していただきたいんです。その状態で今の風営法が運営されているということは、風俗営業から外れる今回の特定遊興についても、将来的には、深夜において酒類を提供しているお店と同等の規制にまでしていかなきゃいけませんよということです。うなずいていただいてありがとうございます。
これは、繰り返しになりますが、クラブの中で楽しんで外に出る人と居酒屋で楽しんで外に出る人で何か騒ぎ方が違うのかと言われれば、誰もそれが違うなんて言う人はいませんよ。それは人によるとしか言いようがない世界ですよ。
既に飲酒を伴う深夜営業はあるんです。飲酒を伴う深夜営業があっても、そこには別に迷惑行為防止措置は課していないわけですから、それが今の風営法なんだ、そこがスタンダードなんだという理解で、まず一個、階段からおろして、風俗営業から外して、特定遊興という世界をつくった。しかし、まだ外したばっかりだからちょっと不安ですという今の警察のお答えだと思うんですが、将来的にはこれは同等に並べていただかなければいけない、私はそう思います。
そういった意味では、苦情処理に関する帳簿というのも同じようなものだというふうに認識しておりますので、そこはよくよく業界に対してもさまざまな指導をしながら整理をしていただきたいというふうに思います。
さて、最後になりますが、きょうは資料をお配りしています。これは「京都のクラブ・ライブハウス等の立地状況」という資料、一覧を持ってまいりましたが、京都は、ざっと四十七ぐらいあって、そのうち普通に色が塗られていないものについては商業地域ですので、恐らくこれは朝六時までの営業が風営法で今後認められて、あとは条例でどうなるかということだろうと思います。
きょうは国交省にお越しをいただいております。もう一つ別に、地区計画というものがありまして、色で塗っているクラブやライブハウスについては、商業地域ではあるんですが、地区計画によって、この表の下、さまざまに、ナイトクラブ、ダンスホール、これらに類するものは建築してならないとか、風営法に該当する建築物は建築してはならないという規制がかかってくるわけですね。
地区計画でどう定められるかによって、クラブの営業ができるかどうかはわかりません、それは地区によりますというふうになってしまうのか。国交省に来ていただいておりますので、今後、建築基準法の別表の中からクラブ等々が抜かれていくのかどうかの確認をしたいと思います。
○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
本法案では、御指摘のような建築基準法の用途地域、用途規制につきましても、あわせて合理化する内容を盛り込んでございます。
具体的には、建築基準法の別表第二の改正によりまして、ナイトクラブ及びダンスホールにつきましては、現行では建築基準法も風俗施設として商業地域及び準工業地域以外での立地を認めておりませんが、この適用対象から除外をします。
その上で、まずダンスホールにつきましては、これはカラオケボックスなどと類似する性質を有してございますので、これらと同様に、第二種住居地域など一部の住居系地域を含めて立地を許容することといたしております。
次に、ナイトクラブにつきましては、これは劇場あるいはライブハウス、こういったものと類似する性質を有してございますので、これと同様に、近隣商業地域などにおいても立地を許容するという内容を盛り込んでございます。
それから、御指摘の地区計画についてでございますが、地区計画は、今私が申し上げた建築基準法の一般的な基準に加えまして、市町村がきめ細やかな町づくりをするために、上乗せ規制を地区計画という形ですることができるということにされている制度でございます。これの中でナイトクラブ、ダンスホールの立地を規制している場合がございますが、これらの地区計画も、多くの場合、現行の風営法あるいは建築基準法の規制に倣って制限内容を定めてございます。
したがいまして、もしこの法案が、改正されましたらば、その改正内容によります建築基準法なりの内容を十分周知いたしまして、適切な規制内容となるように市町村に促してまいりたいというふうに考えてございます。
○泉委員 ということは、現行の地区計画でナイトクラブやダンスホールが入っているとしても、それは建築基準法の別表だとかから抜き出して地区計画をつくっているわけですので、そういった意味では、風営法が改正されると風営法からはナイトクラブやダンスホールがなくなるわけですから、今のこの地区計画のままでいくと、こういったクラブ、ライブハウスは地区計画には該当しない施設になる。
もしですが、もし地元の住民の皆さんが、引き続きというか、クラブやライブハウスについて深夜営業を何か認めたくないという思いがある場合は、それは地区計画をもう一度定め直すという作業になるという理解でよろしいですか。
○杉藤政府参考人 お答え申し上げます。
地区計画の規制は、建築基準法に基づきまして、市町村の条例で制限内容を定めることとされておりまして、その条例の定め方によって、今回、風営法、建築基準法の改正によりまして自動的に抜ける場合もあろうかと思いますし、条例の定め方によっては、改めて条例改正をしないと抜けない場合もあろうかと思います。
また、抜けてしまう場合も、今先生御指摘のように、これは市町村がそれぞれの地域に即して決めるものでございますので、認めないという判断を市町村でされれば、改めて規制するといったことも制度上は可能でございます。
いずれにいたしましても、今回の改正内容を市町村にきっちり周知してまいりたいというふうに考えてございます。
○泉委員 これは非常に丁寧な、大事な作業が必要であると思っておりまして、一つは、各個店、店舗の努力。やはり、自分たちの扱いが国の方でも変わったということを丁寧に地元の住民に説明して、しっかりと自主的な取り組みをしますということも訴えながら、近隣との調和を図っていくということも大事です。
一方では、近隣も、目くじらを立てて、クラブだから、ライブハウスだからということでけしからぬということではなくて、どうやって共存していくのかということもやっていっていただかなければいけないというふうに思いますし、その間に立つのが、やはり今回、この風営法の改正に至った政府であり、そして警察庁であり、時に、この地区計画の説明という意味では国交省でありということだろうと思いますので、ぜひ、住民と、そして業界、また店舗が調和をとった形で話し合いが進んでいくように、また丁寧な説明をお願いして、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、河野正美君。
○河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。
ただいま議題となっております風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について、維新の党を代表いたしまして、高井委員と合わせまして六十分質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
いろいろな問題点が浮き彫りになってきているのかなと思っておりますが、まずもって、今回の風営法改正案は、社会の実情に合わせて規制を見直す動きであり、我が党といたしましても一定の評価ができるものと考えております。
しかし、社会でのダンスの位置づけが、きのう、きょうで急に変わったというわけではなく、かねてより、各方面から要望が寄せられていた事項であり、超党派で検討がなされていたものであるというふうに認識しております。むしろ、遅きに失した印象も受けるわけでございます。ここまで時間がかかった理由について伺いたいと思います。
また、本改正案は、昨年秋の臨時国会に提出されたものと同じ内容でございます。その際の改正案は、年末の衆議院解散により廃案となっております。ダンス関係者を中心に、法案の早期成立を望む声が多く聞かれていたところであります。廃案を残念に思われていたことと思います。結果として、衆議院の解散により法改正が遅くなってしまったわけでありますが、これらの影響についてもどのように認識されているか、あわせて伺いたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
現行法では、客にダンスをさせる営業は、適正に営まれれば客に健全な娯楽を与え得るものである一方で、営業の行われ方いかんによっては、歓楽的、享楽的雰囲気が過度なものとなり、風俗上の問題を生じさせるおそれがあることから、これを風俗営業として規制の対象としているところでございます。
しかし、近年、ナイトライフの充実を求める国民の声の高まりやダンスに対する国民の意識の変化が見られる中、三号営業の団体からは規制緩和の要望を受けてまいりましたが、四号営業の団体の中には、規制緩和と規制維持の双方の意見がございました。また、一部の地域の住民からも、現行規制の維持の要望を受けたというようなこともございまして、慎重に検討を進めてきたところでございます。
その後、ダンスに係る風営法規制の見直し等が盛り込まれた規制改革実施計画が昨年六月に閣議決定されまして、警察庁におきましては、この閣議決定を受けまして直ちに改正法案を作成して、昨年の臨時国会に同法案を提出いたしたということでございます。
ただ、これが廃案になってしまったということでございますけれども、このことにつきましては、これは提出をさせていただきました後の国会における法案の取り扱いのことでございますので、ちょっと私の方からはコメントをさせていただくことは控えさせていただきたいというふうに思います。
○河野(正)委員 当初はこれは議員立法での提出も予定されていたというふうに認識しておりますけれども、最終的に閣法として、今回、二度にわたって提出されて、きょう審議されているところであります。
これはやはり、それなりに議員立法として動いていたものを、政府として、問題があるということでしっかり閣法として提出されたという認識でよろしいんでしょうか。
○辻政府参考人 議連におきます議論と並行いたしまして、政府におきましても、規制改革会議におきましてダンス規制の問題が議論の対象になっておりました。そして、昨年六月に規制改革会議の第二次の答申が出されたわけでございますけれども、その出される日の六月十三日に、当時の国家公安委員会委員長から臨時国会に内閣から改正法案を提出したい旨の発表がありまして、ダンス文化推進議員連盟がこれを了承されたというような経緯というふうに承知をいたしております。
○河野(正)委員 次に、風営法の風俗営業の申請手続の実情について伺いたいと思います。
まず、申請から審査、許可に至るプロセスはどのようになっているのかを具体的に伺いたいと思います。
また、申請しても、現地調査まで極めて多くの時間がかかるというふうなことも聞いております。このため、円滑な事業計画の実施が困難とも言われているようです。申請から許可に至るまでどの程度時間がかかっているのか、お尋ねしたいと思います。また、都道府県ごとに、あるいは所轄警察署単位で差が生じているのかどうかもあわせてお答えいただきたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
まず、許可のプロセスでございますけれども、一般的には、風俗営業の許可の申請を行う者は、営業所の所在地を管轄いたします警察署に申請書を提出し、その後、当該警察署が人的欠格事由の確認、営業所における構造、設備の確認等を行い、欠格事由に該当しなければ、都道府県公安委員会が営業の許可を行うというような手続になってまいります。
それで、許可を取得するまでどのぐらいかかるのかということでございますけれども、ただいまのようなことを行いますその実態を踏まえまして、標準処理期間の目安を五十五日以内という形で定めているところでございまして、大方の県では大体この五十五日くらいのところで定められているものというふうに承知をいたしております。
いずれにいたしましても、当然、申請がございましたときにはできるだけ早く処理するようにはしたいと思っております。
○河野(正)委員 できるだけ早くということでも、今五十五日以内ということで、かなり事業者にとっては長いんじゃないのかなと思います。
許可申請手続に時間がかかればかかるほど営業開始がおくれてしまうということになりまして、大変なコストもかかる、無視できない額になってしまうのではないかなと思います。また、許可を受けようとすれば、先ほど構造上の問題とも答弁されましたけれども、そのように内装工事などを終えた段階で審査を受けなければならない。営業できる状態にありながら、ただ検査を待つためだけに家賃などの固定費がかかってしまうというようなことになってしまいます。営業される方の立場からすると大きな負担じゃないかなと思います。
規制当局として、政府は、審査に要する時間で事業者が営業機会を逸しているという認識をお持ちかどうか、お尋ねいたします。
○辻政府参考人 風営適正化法におきます許可の際に、ただいま申しましたとおりの調査が必要でございまして、一定の期間は要するところでございます。そういう意味では、その間というのは申請をされてから何日間かあるわけでございますけれども、いずれにしましても、できるだけ早く審査事務を進めてまいるように、私どもとしても都道府県警察を指導するようにしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○河野(正)委員 五十五日間というのはかなり、事業者さんにとっては大変長い期間ではないかなと思っておりますので、やはりそれは速やかに、五十五日以内にやってしまえばいいんだということではなくて、もうちょっと柔軟にスピード感を持ってやっていただければというふうに考えているところであります。
本改正案自体は、規制を緩和する取り組みといたしまして一定の評価をしたいというふうに思っておりますが、営業形態を細かく条件分けして類型化したため、事業者がその条件をクリアしているのかどうか正確に確認するとなると、そのプロセスにも時間がかかるのではないかと思われます。そうした懸念についてどのように考えられているのか、また、事業者が規制対象となるかどうかを予測しやすくする工夫も必要と考えますが、具体的にどのように対応されるつもりか、伺いたいと思います。
○辻政府参考人 このたびの改正法案でもって特定遊興飲食店営業という制度が新設されますけれども、許可の審査に関しましては、これまでの風俗営業の審査と同じようなところで、特段の差異がございませんので、こういう類型ができたということで手間がふえてくるということはなかろうかというふうに思っております。
また、わかりやすくするということで、先ほど濱村先生のときにもちょっと御答弁させていただきましたが、また先生からも御示唆がございましたけれども、いろいろな解釈とかをはっきりすると同時に、ウエブサイトの活用とか、事業者からの相談への対応とか、そういったことでわかりやすく御理解いただけるように、そういう工夫というものはぜひやっていきたいというふうに思っております。
○河野(正)委員 よろしくお願いいたします。
一度風俗営業の許可を得ますと、その後の営業実態の把握をしていくというのは非常に難しいのではないかなというふうに思っております。許可申請の際の営業状況がその後も許可した営業形態として維持されているのかどうか、どのようにチェックし、検証していくのかを伺いたいと思います。
○辻政府参考人 都道府県警察におきましては、風俗営業の営業所に管理者というものを置くことになっておりますけれども、この管理者に対しまして、おおむね三年に一回、講習を行っております。また、必要に応じまして営業所への立入調査を行っておりまして、そういうような中で営業の実態を把握していっているところでございます。
○河野(正)委員 今回の法改正案では、十ルクスを超えるかどうかで規制形態が変わってきます。照度をはかる場所、時間などによって条件に当てはまるかどうかも変わるというふうに認識をいたしております。店舗の営業実態を的確に捉えて審査を実施し、規制対象かどうかを判断しなければなりませんが、そういった手続は非常に容易ではないように考えます。
現時点において、こうした手法が営業実態を把握する適切なものとなっているとお考えかどうか。改正後の運用状況によっては手法の見直しも必要になってくるかと思われますが、いかがお考えでしょうか。
○辻政府参考人 ちょっとお答えになっているかどうかわかりませんけれども、このたびの改正法案では、特定遊興飲食店営業や深夜の風俗営業について、苦情処理に関する帳簿の備えつけ義務を課したり、風俗環境保全協議会の制度を設けたりすることといたしておりまして、こうした制度を活用することにより、営業実態の把握もよりしやすくなると考えているところでございます。
○河野(正)委員 やはり現実に運用していくと、十ルクスとかそういった照度の問題でもいろいろな現実にそぐわない点もあるかと思いますので、しっかりとやっていただきたいと思います。
時間もありませんので、先に進ませていただきます。
先ほど来いろいろお話がありましたが、風営法の目的は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するためと規定され、そのために風俗営業、性風俗関連特殊営業等を規制しているというふうに思います。その対象範囲は、いわゆる性風俗関連のサービスから、多様な形態の飲食、接待サービス、パチンコ、ゲームセンター等、多岐にわたります。
しかし、必ずしも風営法の規制対象は明確ではありません。例えば、深夜に音楽を楽しむという点では、クラブとカラオケボックスに大きな差がないように感じております。先ほど、居酒屋を出た後に騒ぐというお話がありましたけれども、クラブとカラオケボックス、どのように考えられているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○辻政府参考人 いわゆるクラブにおきましては、一般に、営業者による音楽や照明の演出、DJによる客への呼びかけ等の積極的な働きかけのもとで、客にダンスをさせることにより遊興をさせているところでございます。こうした営業所におきまして、深夜にわたって酒類の提供を伴う飲食をさせれば、改正法により新設される特定遊興飲食店営業に該当することとなってまいります。
これに対しまして、カラオケボックスでございますけれども、一般に営業者側は機械を設置するのみでありまして、客がみずから機械を使用して歌を歌っているものと考えております。このように、営業者が客に歌を歌うよう促すなどの積極的な働きかけを行っていない場合には、風営適正化法に言う遊興には該当しないことから、この場合には特定遊興飲食店営業には該当していない。そういうお店側の積極的行為というところでございます。
○河野(正)委員 今御説明いただきましたけれども、先ほども、居酒屋の外で騒いでいるとどうなのかという話もありましたし、カラオケボックスとクラブの違いとか、きのうからの安保法制の審議でもそうですけれども、やはり国民にとって、なるほど、そういうことで規制が必要なんだ、あるいは法改正が必要なんだと明らかにしていくことというのは大切だと思いますので、そういった国民の御理解を得られるような法改正であっていただきたいなというふうに思っております。
次に行きます。
先ほどもいろいろイベントの話は出ましたが、海の家など期間を限って野外で営業するサービスも、いわゆるクラブと同じようなサービスを提供している例があると思います。多くの海水浴場などでは、夏を迎えると海の家が開設され、老若男女、いろいろな方が訪れておられます。
しかし、その一部では、大音量で音楽をかけて踊るといったクラブのような営業を行っていて、騒音を初めとして周辺環境への悪影響を指摘する声が聞かれると思います。
こうした期間限定あるいは野外での営業形態については、風営法上、どのように取り扱われているんでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
現行の風営適正化法及び施行条例におきましては、許可の期間が限定されている風俗営業についても、地域規制の例外を認めるなどの特例を設けつつ、基本的には通常の風俗営業と同じ規制がなされております。
また、野外における飲食店営業につきましても、当該営業が設備を設けて客に接待をし、または深夜における遊興をさせる営業であれば、風俗営業または特定遊興飲食店営業として、今後は規制の対象となってまいるところでございます。
○河野(正)委員 いわゆる料亭など、一般に法事とか慶事があるときにお子さんが出入りするような場所でも風俗営業が適用されていたりとか、風営法というのは非常にわかりにくい、現実にそぐわないところも多々あるかと思いますので、その辺は今後しっかり検討していかなければいけない問題だなというふうに思っているところであります。
先ほど泉委員の方でもちょっと触れられておりましたけれども、ダンス規制の見直しに当たっては、大阪のミナミで営業していたクラブが風営法違反、無許可営業で検挙されたことが大きなポイントであったとも報じられています。
本事案の事実経過、そして、本件は地裁、高裁で無罪判決が下ったということで、取り締まり当局としてどのように受けとめられているか、簡単で結構ですので、お答えいただきたいと思います。
○辻政府参考人 お答えいたします。
御指摘の事件は、平成二十四年四月、大阪市北区内のクラブにおきまして、無許可で三号風俗営業を営んだ容疑で大阪府警が検挙したクラブ経営者につきまして、平成二十六年四月に大阪地裁が無罪判決を下し、平成二十七年一月に大阪高裁が検察側の控訴を棄却する判断を下し、現在、大阪高検が最高裁に上告しているところと承知をいたしております。
上告中の事件でございますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。
○河野(正)委員 この裁判の争点の一つとしては、摘発を受けたクラブが提供していたサービスがそもそも風営法の規制対象だったかという点かと思います。店舗側は、純粋に体を動かしながら音楽を楽しんでいただけで対象外、一方、検察当局は、男女が近接した空間でダンスをすることで享楽的な雰囲気を醸成するから風営法の規制対象になるということだったと思います。こういったところで、裁量的な規制とかいう批判をしっかりと受けとめて考えていっていただかなければならないなというふうに思っています。
時間もありますので、先に進みたいと思います。
風営法では、深夜に客に遊興をさせるサービスも規制対象としておりますが、何が遊興に当たるのかは、先ほど来議論されているように、必ずしも明確ではないと思います。例えば、ホテルやバーが音楽の生演奏を深夜に行うと規制対象になり得る可能性があるため、サービスの提供を控えるといった動きもあったかと思います。
五年後の二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、内外を問わず多くの方が我が国を訪れるこの機会に、風営法の規制対象を、より明確な、事業者にとって予測可能性の高い規制へと不断に見直していくべきではないでしょうか。少なくとも、事業者の相談や照会に迅速、適切に対応できる体制が求められるというふうに考えておりますが、山谷大臣の御見解を伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 風営適正化法による規制については、これまでも、規制対象となる営業の実態の変化等を踏まえて必要な見直しを行ってきたところであります。今後とも、さまざまな社会的事象や関係各方面の意見を踏まえつつ、適切な規制のあり方について検討してまいりたいと考えております。
ホテルでの生演奏を控える動きというのは、そのようなことは規制しておりませんので。事業者それぞれの状況があると思います、丁寧に御説明等々してまいりたいと思っております。
○河野(正)委員 よろしくお願いいたします。
次に、条例による規制について伺いたいと思います。
営業地域制限によって、現在、法にのっとって営業している店舗が営業できなくなるという心配の声があります。また、他地域に比べて逆に営業内容の魅力が半減してしまうという声も聞いております。そのような事態が生じ得ると考えておられるのかどうか、既存店舗の営業への影響をどう考えているのか、政府としての認識を伺いたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
現行法上、いわゆるクラブを初めといたします風俗営業は、原則として午前零時から日の出時までの間は営業してはならないこととされております。
このたびの改正により、条例で定める地域におきましては特定遊興飲食店営業が認められることとなりますが、当該地域以外の場所において、現在合法的に営まれている三号営業につきましては、特定遊興飲食店営業に移行することはできないものの、法改正後に従来からの営業ができなくなるということはございません。
例えば、許可を受けて深夜にわたらず営業しているクラブでございますけれども、客席の照度が十ルクス以下であれば、新たな許可なく低照度飲食店営業に移行することができますし、それより明るい照度であれば一般の飲食店営業に移行することとなり、いずれも従来と同様に、午前零時まで、風俗営業は現在、原則午前零時でございますので、そこまでは客にダンスをさせる営業を継続することが可能でございます。
○河野(正)委員 時間もありませんので、通告していたより先に行きたいと思います。
また、先ほど来、これは風俗営業等の、苦情処理等を帳簿につけたりすることが求められるという話もあったかと思いますけれども、このような義務を怠った場合、事業者にどのようなペナルティーが科せられるのか、伺いたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
このたびの改正法案では、深夜の営業の規制緩和により地域住民の生活の平穏を害することのないよう、営業所周辺における客による迷惑行為を防止するための措置を講じる義務等を課すことといたしております。
こうした義務は、営業者の遵守事項として規定することとしており、これに違反した場合には指示処分の対象となるとともに、その処分にも違反した場合には営業停止命令等の対象になり得るものでございます。
○河野(正)委員 やはり、こういったきちんとしたルールを設けていくことというのは大切ですけれども、そこに地域差があっては非常に業者の方も混乱されると思いますし、適切に運用をしていただきたいなと思います。
残り時間が余りありませんので、先に進ませていただきますが、違法薬物乱用の温床となるんじゃないかといった懸念について伺いたいと思います。
いわゆるクラブなどが麻薬や危険ドラッグなどの温床となっているとの批判や不安は絶えないと思います。平成二十三年度厚生労働科学研究費補助金で実施されたクラブユーザーにおけるMDMA等のクラブドラッグ乱用実態に関する研究というのでは、クラブ利用者の三二・七%に大麻、九・一%にMDMAの使用経験があるといった結果が出ております。一方で、事業者の立場から客の行動をつぶさに監視しておくことは困難であり、薬物対策の面での事業者の役割には限界があるというふうに考えられます。
こういったクラブと薬物の関係についてどのように考えているのか、法改正によって薬物乱用対策はどのような効果があるのか、そういった認識を伺いたいと思います。
○樹下政府参考人 議員御指摘のクラブの利用者の薬物使用履歴等に関する報告書については承知をしているところでございます。
薬物対策につきましては、いわゆるクラブにおける薬物乱用という側面も含めて、さまざまな角度から情報収集を進め、取り締まりを推進するとともに、薬物の危険性に関する広報啓発活動についても積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 よろしくお願いいたします。
次に、いわゆるギャンブルに関連してお尋ねをいたしたいと思います。
今国会には超党派の議員立法によるIR法案が提出されており、いわゆるカジノを我が国でも可能とするような動きが加速しているかというふうに思っております。我が国には、競馬、競輪、ボートなど、多くの公営ギャンブルが既に存在をいたしております。カジノだけを殊さら禁止する現状も、果たしてこのままでいいのかどうか、見直していくことが必要じゃないかというふうに考えております。日本人も、マカオやラスベガス、あるいは近くでは韓国などに旅行すればカジノに興じることが可能でございますし、かたくなに国内でのカジノを禁止するのもいかがなものかなというふうに思います。
また、MICEなど、我が国においても大規模な国際展示場などが必要だと思いますし、外貨獲得という機会を逸しているように思っているところでもあります。
来る国内でのIRの実現に向けて、規制当局はどのように受けとめられているのか、山谷大臣の認識をお聞かせいただきたいと思います。
○山谷国務大臣 IR法案、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案については、先般国会に提出されたと承知をしております。
仮に、カジノを合法化する特別立法がなされる場合、警察といたしましては、地域の風俗環境の保持、少年の健全育成、暴力団等の排除等といった観点から対策を講じる必要があるものと認識をしております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
やはり、しっかりとそういったことを検討していかなければいけない時期じゃないかなというふうに思っているところであります。
また、IRの議論では、ギャンブル依存症の蔓延を心配する声が大きいというふうに思っております。しかし、もう既に我が国ではギャンブル依存症に悩まれている方、御本人や御家族の方も含めればたくさんおられるというふうに思います。むしろ、ギャンブル依存症対策を抜本的に進めるまたとないチャンスと捉えて前向きに考えていくことも必要かなと思っております。
先ほど、薬物のところでもちょっとお話を伺いましたけれども、私、もともと精神科の医者でございますので、そういった意味も含めて、しっかりこういった依存症対策、我が国は、言葉では言っていても、なかなかそれを、現実に対応する施設がないというふうに思っておりますので、そういったこともしっかりと今検討しなければならないのかなと思っております。
最後に、観光クルーズ船について伺いたいと思います。
私の出身地であります福岡は、アジアのゲートウエーを自任しているところであります。そして、一時期不幸な時期もあったんですけれども、V字回復を見せまして、再び大規模なクルーズ船の寄港がふえております。こうしたクルーズ船内での飲食や接待などのサービスは、どのように規制を受けるものなのか。例えば、アメリカ船籍のクルーズ船はカジノが可能だが、日本船籍では不可能という理解でよろしいんでしょうか。
このような例は、まさに、規制が実態と見合っていない上、我が国がクルーズ船市場で競争する上で不利益をこうむっているんじゃないかなというふうにも感じるところであります。このような例について、規制当局はどのようなお考えであるか、伺いたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
現行法上、日本の領海や港で営業を行うクルーズ船等に設置された飲食店についても、深夜において客に遊興をさせる行為は禁止されております。また、客にダンスをさせ、かつ飲食をさせる営業であれば、現行法では風俗営業として規制されるということになっているところでございます。
○河野(正)委員 福岡など、私は見ていますと、大きなクルーズ船が、本当にビルのようなクルーズ船が博多湾に泊まっていて、そして早朝、大量のバスがそこの埠頭に来て、そこから一気にそれで観光とかあるいは買い物をされて、また夜帰って、寝るときはその船の中で宿泊されているという例が多いように思っているところであります。
したがいまして、現実に日本国内ではというようなことがあれば、非常に、施設も使えないとか、さまざまな面で矛盾を生じるのかなというふうに思っておりますので、こういった点もしっかりと検討しなければいけないというふうに考えております。
また、先ほどもお話ししましたように、風営法、いろいろな面で現実にそぐわないところがあると思いますので、しっかり今後も検討をしていかなければいけないと思っておりますし、政府におかれましてもしっかり検討していただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 維新の党の高井でございます。
河野委員に引き続いて、三十分間質問をしたいと思います。
今、河野委員からも質問いたしましたけれども、風俗営業の許可に要する期間が、標準処理期間が五十五日ということでありますけれども、実態、営業されている方からすると、実質二カ月、営業前から、繁華街ですから結構家賃も高い、そういう高い家賃でこれを借りておかなければいけないということで、もうちょっと早くならないのかという非常に強い要望をいただいております。
これは先ほど局長が答弁されましたけれども、通告していますので、大臣にぜひ、この標準処理期間を一カ月ぐらいに、三十日ぐらいに短縮できないものかどうか、伺いたいと思います。
○山谷国務大臣 風俗営業の許可申請に当たっては、人的欠格事由の該当性、営業所の構造、設備等の調査が必要でありまして、その実態を踏まえて標準処理期間の目安を五十五日以内と定めているものであります。このため、直ちにこれを短縮するというのは困難でございます。
しかしながら、いずれにしましても、申請手続に特段の問題がない限り、できる限り早く審査事務を進めるように警察を指導してまいりたいと考えております。
○高井委員 ありがとうございます。
実際、聞きますと、申請して大体一カ月後ぐらいに初めて店舗に見に来るというか検査に来るということで、その三十日は何をやっているんだろうかと。恐らく、今、欠格事由を調べるとか、そういうことはあるんでしょうけれども、それであれば、例えば、店舗を借りるのをもうちょっと遅くしても大丈夫なような配慮とか、何らかの工夫があるんじゃないかと思いますので、ぜひそのあたりを改めて全国の都道府県警察の方にも相談をしていただきたい、指導していただきたいと思います。
それでは、今回の改正の内容についてお伺いをいたしますが、今回は、三号営業、ナイトクラブ等という説明資料をいただいております、約四百軒ぐらいが対象のこの三号営業というのを三つに分ける、新二号営業、特定遊興飲食店営業、それから飲食店営業ということです。
それぞれ分ける、四百軒余りのものを三つにも分けるというのも、何でそんなに細かく分けるのかなと思いますし、あるいは、その分ける基準が、明るさ十ルクス以上とそうでないものでまず分ける、それから、深夜営業するものと深夜営業しないもので分ける、それから、深夜営業の中でも酒類を提供する場合とそうでない場合で、三つに場合分けをして、そして三つにカテゴリーが分かれているわけです。
まず、それぞれ、なぜ照度で規制を分ける必要があるのか、十ルクスというその根拠も含めて、なぜ照度で分ける必要があるのか、お聞かせください。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
十ルクスという点でございますけれども、これは、現行法の中では、十ルクス以下で営業いたしております飲食店につきましては既に風俗営業ということになってございます。
ただ、既にクラブとしての許可とか料理店としての許可とかをとっております場合には、十ルクス以下でありましたとしても、それはそちらで許可をとっていますので、改めまして低照度飲食店としての許可はとらないということになっておるんですけれども、今回、クラブ等三号営業につきましては、その実態に合わせていろいろな形で整理をしておりますので、その際に、低照度のものにつきましては、既にございます低照度飲食店に入るということで、十ルクスというところで低照度飲食店に入る線を現行法に従って決めているところでございます。
○高井委員 もう一つ、なぜ照度で規制を分けるのかというのも通告しています。
○辻政府参考人 申しわけございませんでした。
低照度で営まれる飲食店営業につきましては、やはりそこで風俗上の問題が生じたり、少年の健全育成上の問題が生じたりといったようなことがございまして、昭和三十年代に、この低照度飲食店というものを規制の対象、風俗営業に入れました。その際の議論で、この十ルクスというところの線が決められたということでございます。
○高井委員 昭和三十年代から十ルクスということだそうですけれども、明るさでそんなに変わるものなのかというのは非常に疑問です。時代によっても変わるんじゃないかと思います。
それと、照度をどうやってはかるのか。クラブなんかでも、いろいろな、時間や曲によって明るさが変わったりすると思いますけれども、それはどうやってはかるんでしょうか。あるいは、場合によっては、恣意的な取り締まりが、一瞬でも十ルクス以下になったら規制が入るというようなことにつながるのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
照度の測定方法につきましては、現行の風営適正化法施行規則におきましても、第二十九条におきまして、例えば、食卓等の飲食物を置く設備がある場合はその上面、食卓等がない場合は、椅子があればその座面、椅子がなければ客が通常利用する場所の床面等で測定する旨が定められておりまして、今回、公安委員会規則を定めていくに当たりましては、こういったことを参考にしたいと思っております。
それから、たまさか何か照度が一瞬暗くなったというのでこれは十ルクス以下だ、こういうことではございませんで、やはり十ルクス以下での営業というふうにみなせるような、そういうような状況を前提としているものでございます。
○高井委員 それでは、お酒の提供の有無で規制を分ける理由は何ですか。
○辻政府参考人 このたびの改正法案では、客に遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる営業を深夜にわたって営業するものということにいたしております。
これは、酒類を提供しない飲食店におきましては、飲酒による自制心の低下がないため、仮に深夜に客に遊興をさせたとしても、風俗上の問題を生じさせるおそれは比較的小さいというふうに考えております。
これまで、深夜に遊興をするというのは禁止されているわけでございますけれども、それを解除するに当たりまして、よりそういう問題が少ないものにつきましては対象にしないということで、酒類を提供しない飲食店は外した。酒類がある場合には、やはり風俗上の問題を生じさせるおそれが提供しないよりは高いということで分けたところでございます。
○高井委員 それでは、営業時間で規制を分ける理由は何でしょう。
○辻政府参考人 深夜でございますけれども、これは、その他の時間帯と比較をいたしますと、一般に多くの人々が睡眠をとっておりますことから、人目も少なくなりますし、このため、規範の逸脱に対する社会の制御機能が低下する時間帯と言うことができようかと思います。
また、深夜は、日中の勤務時の緊張から解放され、長時間にわたって慰安を求め続ける者が多くなる時間帯でございまして、こうした者が風俗上の規範を逸脱するおそれもございます。
このため、深夜は風俗上の問題が発生しやすい時間帯であると考えておりまして、深夜における営業については一定の規制が必要であるということで、現在も深夜につきまして規制をしているところでございます。
○高井委員 明るさもそうですけれども、お酒も、どこからがお酒かというようなところの区別がない営業形態というか飲食もやはり多いわけですし、営業時間も、いろいろな、時代に応じて暮らしのライフスタイルというのが大きく変わってくる中で、一律に十二時あるいは一時という時間で線を引くということが果たして時代に合っているのかというのを、もともと私はすごく疑問に感じておりましたし、今回、この三号営業を三つのカテゴリーに、四百軒弱しかないものを三つの基準に分けるというのも、これはいかがなものかというふうに思います。
その中で、実態問題として、やはり、営業時間というのが法律なり条例で決まっていても、守っていない店舗というのが極めて多い、後を絶たないのが実態であることは警察も承知していると思いますけれども、そういう現状をどのように認識されているのか、お伺いします。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
現行法におきましては、飲食店において深夜に客に遊興をさせることが全面的に禁止をされているところでございます。
このたびの改正法案では、こうした深夜遊興の全面禁止を改め、深夜に客に遊興と酒類の提供を伴う飲食をさせる特定遊興飲食店営業の制度を設けることといたしております。
改正法案が成立いたしました場合には、こうした新たな制度の適切な運用に努めるとともに、風俗営業等の営業時間制限についても遵守されるよう、事業者への指導に努めてまいりたいと思っております。
○高井委員 余りお聞きしたかった答えではないんですけれども。
結局、守られていない実態がこれだけあるということは、法律が時代に合わないんじゃないか、世の中の実勢と法律が乖離している場合はやはり見直していく必要があるんじゃないかと私は思っておりますので、きょうは時間も限られておりますのでこれ以上聞きませんけれども、かなりこの風営法の根本的な問題、課題じゃないかと思いますけれども、ぜひまた御検討いただきたいと思います。
それと、今回、時間の延長ができるようになった、ある意味、規制緩和というか、実態に即すように一歩というか半歩前進だとは思うんですけれども、ただ、ちょっと気になるのが、営業延長の許容地域というのが指定される施行令七条の二というところでこう書いています。店舗が多数集合していて、かつ、風俗営業の営業所が一平方キロメートルにつきおおむね三百カ所以上の割合で設置されており、住居集合地域等に隣接しない地域の場合、条例で延長できるということかと思うんですが、この根拠、特にこの一平方キロメートル、三百以上というこの根拠は何なんでしょうか。
○辻政府参考人 ただいまお尋ねのございました一平方キロメートルにつきおおむね三百カ所ということでございますけれども、これは、営業延長許容地域の規定が設けられました平成十年の改正時でございますけれども、その当時における全国の商業地域における風俗営業並びに深夜において営まれる酒類提供飲食店営業及び興行場営業の営業所の平均密度でございまして、この政令では、これを上回る地域であるということを求めているものでございます。
○高井委員 この基準によりますと、私の地元の岡山では、岡山市の繁華街中心部、それから隣にある倉敷市、人口四十万程度の町の繁華街、それから水島という工業地帯があって、ここも昔、今は大分廃れてしまったんですけれども、その三カ所が該当するということなんですが、しかし、岡山県で三カ所だけなんですね。
例えば、津山市という人口十万ちょっとの県の北の方にあるところにも、やはりそういう飲食店は集積しているわけです。そこの人は、岡山市まで飲みに来ようと思ったら一時間以上かかるという地域。しかし、津山ではこの対象にならないから延長ができないというわけで、私は、この規定はつまり、大都市、都市部をより栄えさせ、そして、岡山でいえば津山という地域であるとか、地方都市、小規模な都市のそういった飲食店はもう延長できないということですから、まさに今、政府の方針である地方創生、地域の活性化という点と反するのではないかと思いますけれども、いかがですか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
まず、ただいまの地域でなくても午前零時までは風俗営業を営むことができますので、そういう意味では、ニーズのある方は、零時までの時間帯においてそういう営業で楽しまれることはできるということでございます。
ただ、逆に、娯楽と憩いを提供する営業所が密集している歓楽街におきましては、深夜時間帯においても風俗営業を利用したいという需要がやはり高いということが言えましょうし、また、当該営業を歓楽街で営むことについて、ある意味、地域としてのコンセンサスというか、それがございますので、地域住民からも一定の理解が得られることが期待されるというふうに考えているところでございます。
このようなことで、このような基準を定めさせていただいたということでございます。
○高井委員 今の理由では、結局、では、田舎の人は早く寝ろ、十二時以降はもう帰りなさいと言っているように聞こえますよね。歓楽街だったら需要があるといっても、でも、夜遅くまで飲みたいという人は別に田舎だろうと都市部だろうと変わりないと思いますので、私はこれはいかがかなと思います。
局長に聞くのもちょっと酷かというか、むしろ大臣に聞くべきだったなと思うんですけれども、ぜひ大臣、聞きませんけれども、安倍内閣の地方創生の方針、そういう大きな方針に沿って、この点についてもちょっと御検討いただきたいと思います。
それでは、この営業時間、私は、どちらかというと、ライフスタイルも変わってきて、一律に十二時あるいは一時で規制する必要はないんじゃないか、それはもう個人の自由に任せてもいいんじゃないかと思います。
それと、確かに、深夜は寝る時間だというのもわかりますが、しかし、逆に、今終電というのがこの東京に住んでいてもあるわけで、結局、終電を過ぎると、何か朝までいなきゃいけないということで特に若い人たちがより盛り上がる、そういう実態があることを考えると、終電というのをもっと遅くというか、むしろ二十四時間。
世界の大都市を見ると、ニューヨークを初め、二十四時間、地下鉄や鉄道が動いている。あるいは、私はヨーロッパに住んでいたこともあるんですが、ヨーロッパなんかでも、トラム、路面電車がかなり遅くまで走っていたり、あるいは都市間交通は深夜でも、日本だと寝台列車みたいなのに乗らなきゃいけなくなりますけれども、普通に夜中でも走っているという実態があります。
きょうは国交省に来ていただいていますので、私は、こういった諸外国に比べて日本の深夜の公共交通が非常におくれていると思うんですけれども、その理由は何でしょうか。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の大都市におきましては、深夜の運行としまして、主に終電の終了後、郊外に向かうバス、こういったものがメーンであろうかと思っております。終夜運転ということについて見ますと、これは、大みそかでありますとか、そういった特別な期間以外には余り行われていないという現状にあろうかと思います。
こういった深夜の公共交通をもし拡大しようということを考えました際には、まず、十分な需要が見込まれるかどうか、この点が課題になるというふうに考えております。さらに、駅員、乗務員、こういった運行を確保するために必要な人員をどうやって賄うかという問題もあろうかと思っております。
さらに、先生の御指摘の鉄道につきまして申し上げますと、線路、信号、電気など各設備の保守、さらには更新、こういったことを安全確保の観点から実施する時間、これはどうしても必要でございます。さらに、騒音の問題、振動の問題というのも鉄道の問題でございますので、こういったことについてまた考慮する必要があるものと考えておるところでございます。
○高井委員 今御説明いただいたような問題というのは、多分、諸外国どこでもあるんだろうと。日本、特に東京を考えますと、世界のまさに大都市の仲間入りというか、もう本当にトップを争う大都市でありますけれども、しかし、ちょっと寂しいな、なぜだろうなと、なかなか納得できないところがあります。
もう一問通告していますけれども、まさにこれから二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを控えて、二千万人の訪日外国人、何かきのうのニュースでちょうど、三千万人に上方修正するというニュースを見ましたけれども、どんどん外国人観光客も来るという中で、やはりアメリカやヨーロッパの方々というのは、そういう公共交通が深夜でも発達している中で東京に来て、それが東京に来たら、十二時とか一時で公共交通も終わる、お店も建前は閉まる、実際はあいていますけれどもね。ですが、特に公共交通がとまってしまう。
これは、民間企業がやっている、国としてやっている部分じゃないので、なかなか国としてこうすべきとは言えないのかもしれませんけれども、しかし、私は、国としてもうちょっと音頭をとってそういったものを進めていく、さっき部長がおっしゃった民間企業のいろいろな課題を解決していく必要があるんじゃないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
諸外国の例を改めて調べてみますと、まさに終夜運転を行っている例、さらには、人の移動を活発化させて町の魅力を高めようということで、新たにそういった時間帯にも運行を行おうとしている大都市の例、そういったものがあるということは承知をしているところでございます。
先ほど申し上げたような深夜運行を実現するに当たっての課題というものは確かにあるわけでございますので、先ほど委員の御指摘にありましたオリンピックを控えていることもあります、東京を初めとした各都市における深夜時間帯の公共交通のあり方については、先ほどのような問題をどういった形で解決ができるか、こういったことを含めて、交通事業者の方々あるいは地方公共団体の方々、こういった関係者の方々とよく相談してまいりたいと考えておるところでございます。
○高井委員 交通という面では警察も関係してくるんじゃないかと思いますし、きょうの議題である風営法の善良な風俗環境を維持するという意味でも、先ほど申し上げましたとおり、終電がなくなったからもう朝までいるしかないみたいな人たちを自分の帰りたい時間に帰らせてあげるという意味でも、私は、公共交通を深夜も走らせるということは非常に意義のあることだと思いますので、ぜひ、国交省、あるいは警察とも協力していただいて、東京オリンピックがあるわけでございますので、御検討いただきたいと思います。
それでは次に、きょうの議題とは少しそれるんですけれども、先ほど河野委員からも話があったIRに関連いたしまして、我が党はIR法の推進を非常に力を入れてやっておりますが、一方で、その負の側面とも言われるギャンブル依存症対策についてもいろいろ検討を進めております。
先般も、我が党の勉強会に、ギャンブル依存症問題を考える会という会の田中さんという女性の代表、御自身がみずから言っていますけれども、三代にわたるギャンブラー、ギャンブル依存症、御自身もそうなんだとおっしゃっていますけれども、この方からいろいろお話を聞きました。
これは厚労省の調査の数字ということなんですけれども、二〇一四年で、ギャンブル依存症と目される方が五百三十六万人いるということであります。これは比率にすると、男性のうち八・八%、それから女性のうち一・八%がギャンブル依存症だと。これは世界各国の数字と比べると、世界はほとんどはもう二%以下、二%、一%、日本だけ突出して、男性八・八%というのは非常に高い。
その原因はどこにあるかと考えると、この田中代表いわく、パチンコだと。パチンコが八割その原因だというふうに分析されておられる。日本は諸外国に比べて、どこに行ってもパチンコ屋さんがあるということで、私は何かそれを潰せとかいう立場ではないんですけれども、パチンコ屋さんがギャンブル依存症対策というものをとられていないところに問題があると思っています。
ギャンブル依存症というと、警察は所管じゃないとおっしゃるので、パチンコ、パチスロ依存症についてどのような対策を考えているのか、お聞かせください。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
パチンコ営業につきましては、風営適正化法におきまして、パチンコ営業者に対して、著しく射幸心をそそるおそれがある遊技機の設置や現金及び有価証券の提供を禁止しているほか、遊技料金や賞品価格を一定の範囲内にとどめる規制を行っているところでございます。
警察といたしましては、風営適正化法の各種規制に反する行為の取り締まり等を通じて厳正に対処するとともに、パチンコへののめり込み問題に関しましては、業界団体に対し所要の助言を行うことで、引き続き、パチンコ営業の適正化を進めてまいる所存でございます。
団体におきましても、パチンコののめり込み問題というものは大変重要な課題であるというふうに認識しておられまして、種々の取り組みをしておられますけれども、さらなる取り組みを今後ともやっていこうということで、いろいろ検討しておられるところというふうに承知しております。
○高井委員 助言と今おっしゃいましたかね、というレベルで、対策を義務づけるというようなところまでなかなかいかない。それは、パチンコというのがいわゆるギャンブルではない、風営法で遊技だと、七号というところの営業に該当するわけですけれども、よく皆さん御存じのとおり、私は、実態をあらわしていないんだろうと。パチンコ屋さんに行って、景品と交換して、たまたま景品と現金を交換してくれる交換所がすぐそばにあるという、もう誰が見てもおかしいだろうというようなことがまかり通っているというか、法律上そうなっているというところに問題がある。この際、しっかりとパチンコというものを正確に位置づけるということが必要じゃないかと私は思います。
それはパチンコ業界にとっても、実は、風営法の対象になっていることによって、例えば雇用促進税制の対象にならない。若い人がいっぱい働いていますよね、正社員で働いている人がいっぱいいるのに、その税制の対象にならないわけです。ですから、そういった面でも、パチンコ業界にとっても位置づけてあげることが有用なんじゃないかと私は思います。
その上で、しっかり位置づけた上で義務も課すということで、先ほどのギャンブル依存症問題を考える会の田中代表は、一つ大事なことは、まず制限をすることだと。やはり、のめり込んでいる方について、金額とか時間の自己管理のシステムをつくるとか、あるいは家族の申告によって入場を制限できるシステムをつくるとか。
それから、あと大事なのは、やはり若年者がほとんどのめり込むそうです。ギャンブル依存症の方の平均使用額というのは一千二百九十三万円だそうです。依存症にかかったかなと初診で来る方が大体四十歳ぐらい。ですが、実際に、この会が百六十三人のアンケートをしたところ、実に、二十歳からギャンブルを始めたという方は一五%にすぎない、あとは未成年の段階でギャンブルを始めたという人が八五%いると。つまり、やはり若いときにギャンブルを始めること、しかも、その後初診が四十歳ですから、二十年間ずっと放置したまま、そして、もうどうしようもなくなって来るということであります。
そう考えると、例えば成人を識別するシステム、今度マイナンバーなどが導入されますので、そういうのも可能になりますし、あるいは、未成年の方の入場を禁止するということももっと徹底するということをやっていかなきゃいけない。あるいは、予防教育ですね。お酒とかたばこの未成年はやめましょうという教育は、学校でも、あるいはテレビでも一生懸命やっていますけれども、パチンコでそういったことが果たしてしっかり行われているのかというと、行われていないと思います。
このあたりは、私は、結局、風営法でそういう曖昧な位置づけになっていることから、警察も助言とかいうレベルしかできないで終わっているんじゃないかと思いますので、最後に聞きたいのは、この七号営業、マージャンとパチンコというのが該当しますが、これを実態に即して見直すというお考えはないか、お聞きします。
○辻政府参考人 警察といたしましては、先ほども御答弁させていただきましたとおり、風営適正化法において著しく射幸心をそそることがないようにいろいろな規定を置かせていただいておりますけれども、こういった規定をしっかり運用、適用していく、さらには、事業者の団体等に対しまして、のめり込み問題に関しまして所要の助言を行っていく、また指導していくというような形でこの問題に取り組んでいくということを考えておりまして、お尋ねのような見直しを行うということを今考えているというところはございません。
○高井委員 大事な問題だと思いますので、今後、大臣にもまた御質問したいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございます。
○井上委員長 次に、穀田恵二君。
○穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。
二〇一二年、レッツダンスの風営法からダンス規制の撤廃をの署名運動が始まり、私も、同年六月に質問主意書で、風営法で規制の対象となるダンスとは何かを問い、さらに、二〇一三年、風営法からダンス規制を撤廃すべきと予算委員会分科会で質問を行いました。その際に、下村文科大臣は、穀田議員の話は説得力がある、国際社会では社交ダンスが踊れないというのは通用しない、もっとダンスが文化として広まる国でありたいと答弁しました。
また、署名の提出に呼応してダンス文化推進議連が結成されました。ダンス関係者、業界団体、繁華街の地元自治会などから積極的にヒアリングも行い、ダンス議連として改正案もまとめました。その改正案は、風俗営業の中からダンスの文言は削除、深夜遊興の禁止の制約の中でダンス飲食店の枠を設け、クラブなどでダンスが深夜も踊れるようにとしたわけであります。私は、ダンス議連の中で、遊興の定義を限定し、ダンス飲食店とした新たな規制を行わないように主張しました。
一方、政府からは、ダンスだけを例外的に遊興から除くのではなく、新しい特定遊興飲食店という枠のもとで深夜の遊興も認めるという今回の風営法改正案が提出されました。
まず、確認したいと思います。改正案でダンスの文言は全てなくなったのか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
このたびの改正法案は、ダンス自体に着目した規制を改め、客にダンスをさせる営業の一部を風俗営業から除外することなどを内容とするものでございます。
この改正法案により、風営適正化法の条文からダンスという文言は全てなくなることとなります。
○穀田委員 今ありましたように、風営法からダンスの文言が削除されることになった。当然のことです。しかし、ダンスを含めた遊興という枠の中で、さらに広く規制しようとする問題があります。ダンスに自由をと求め運動してきた方々からも、懸念の声が出されています。
そこで、まず、ダンス規制がいかに世の中の常識からかけ離れたものであったかについて、少し触れたいと思います。
大阪のクラブ、ヌーンが、二〇一二年四月に、風営法違反で摘発されました。金光正年氏が経営しています。ヌーンは、大阪・梅田の近く、JR京都線のガード下にあり、近隣の住民とのトラブルもなく、長年営業していた、関西での草分けとも言えるクラブです。新しい音楽に出会える場として人気のクラブです。金光さんは、風俗営業を営んでいるわけではないので摘発は不服と主張し、裁判となりました。
このクラブは、何を根拠に風営法違反で摘発されたのか、明らかにされたい。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の件につきましては、平成二十四年四月、ナイトクラブその他設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせる営業を、許可を受けずに営んだとして、大阪府警が、風営法の三号営業の無許可営業の容疑で検挙したものと承知をいたしております。
○穀田委員 クラブ、ヌーンでのダンスが、風営法の対象とするダンスであると、どのような根拠で判断したのか。法廷で、摘発現場にいた七人の警察官が証言しています。また、当日の客も証言に立って、どんな身体動作をしていたか、動作を示しながら証言をしています。
判決文でも例示されています。どんな身体動作だったのか、述べてください。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
大阪地方裁判所の判決文、平成二十六年四月二十五日宣告でございますけれども、これでは客の店内での動作につきまして、次のとおり言及されております、少し長くなりますけれども。
フロアでは、男女双方を含む約二十人程度の客が立ったまま音楽に合わせて体を動かすなどしていた。具体的には、その場でジャンプしたり、音楽のリズムに合わせて左右にステップを踏んだり、ステップに合わせて手を左右に動かしたり、頭をうなずくように上下に動かしたり、膝を上下に曲げ伸ばししたり、左右の足を踏みかえたり、両足のかかとを上げ下げしたりするなどしていた。中には、ボックスステップを踏み、地面に手をつけた体勢から足を出したり、腰をひねったりして踊る者もいた。もっとも、客同士で体を触れ合わせるようなダンスをしている者はいなかった。
フロアにいた客は、ステージ側よりもDJブース側により多く集まっており、客同士の距離は、近いところでは約三十センチメートル程度であったが、客同士の体が接触しているような状態になかった。
フロアにいた客は、上記のとおり音楽に合わせて体を動かすなどしていたほか、椅子に座って音楽を聞いている者もいた。また、バーカウンター等のフロア……(穀田委員「長いな」と呼ぶ)では、こんな程度で、済みません。というような内容でございました。(穀田委員「高裁は」と呼ぶ)
続いて、大阪高裁の判決文、平成二十七年一月二十一日宣告でございますが、これでは次のとおり言及されております。
男女合計約二十人の客が音楽に合わせて踊っていたが、客同士で体を接触して踊る様子は見られず、平成二十三年三月二十六日及び平成二十四年三月三十日に警察官が本件店舗の営業を確認した際にも、そのようなダンスが行われている様子は見られなかったといったような内容でございます。
済みません、長くなって申しわけありませんでした。
○穀田委員 だから、これが何が問題なのかということが、誰が考えたかて、あるわけですよ。しかも、これは警察官の証言で、今、三月二十六日及び三十日に、本件の店舗の営業を確認したと、内偵まで行って、やっているわけですよね。
だから、そのようなダンスが行われている様子は見られなかったというところまで言っているということが大事なんですね。だから、およそ何の違反なんだということなわけですよ。
そこで、大阪地裁、大阪高裁は、三号営業、風営法の対象とするダンスとはどう判断したのか、そして、ヌーンではダンスはどうだったのかということについて、簡潔に述べてください。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
まず、大阪地方裁判所の判決文でございますけれども、許可の対象とされる三号営業とは、形式的に「ナイトクラブその他設備を設けて」といったような風営法の文言に該当することはもちろんのこと、その具体的な営業の態様から、歓楽的、享楽的な雰囲気を過度に醸成し、わいせつな行為の発生を招くなどの性風俗秩序の乱れにつながるおそれが、単に抽象的なものにとどまらず、現実的に起こり得るものとして実質的に認められる営業を指すと解するのが相当と言っております。
続いて、大阪高等裁判所の判決文ですが、ここでは、立法当時から想定されていた、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスをさせる営業は、それ自体の社交性の強さからして、飲食をすることと相まって、具体的な営業の態様次第では、男女間の享楽的な雰囲気を過度に醸成するおそれのある営業類型であると。
これと異なり、男女が組になり、かつ、身体を接触して踊ることを通常の形態とするダンス以外のダンスについては、これを客にさせる営業によって男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するようなことはないといったような趣旨でございます。
○穀田委員 だから、簡単に言うと、性風俗秩序を害するおそれがある類型とはおよそ言えないということが裁判では出ているわけですよ。そういう実態を、地裁、高裁と二回も連続しているのに、またこれを不服だとして上げるそっちの態度が本当にいかがわしいと言わなきゃならぬわけだけれども。
証言によると、警察官は、事前に、何が風営法の対象のダンスに当たるかについて、大阪府警察本部生活安全課から資料を取り寄せたと。その表には、ダンスに当たるかどうかが示されていて、ステップを踏めば丸、ダンスだ、ステップの幅は一メートル程度だ、腰をくねらせるのはどうか、三角だ、リズムに乗って軽い上下運動はダンスではないと。こんなことまで議論してやっているわけですやんか。
なぜこういう問題が出てきているかということで、それぞれが別々の判断基準を法廷で述べたことが極めて問題なんですね。
いずれにしても、単なる身体運動であって、男女間の享楽的雰囲気とは無縁だということは、誰が見ても、警察官が見てもそう思わざるを得なかったわけですよ、これは。そして、性風俗秩序を害するとして風営法で規制しなければならないようなダンスだとはおよそ思えないし、そうでないことは明らかだ。
私は、さきに述べた質問主意書で、風営法で規制されるダンスとはどんなダンスかということを問いました。そうしたら、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するダンス、こういう回答があった。ところが、現場ではどういう判断をしているか。体を動かせばダンスだと解釈をして拡大解釈をする。しかも、先ほど述べたように、捜査の過程では内偵を行い、当日も何人もの警察官が現場を見ているのに、これは風営法の対象のダンスではない、男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するダンスではないと誰一人疑問に思わないのか、言えなかったのか、こういうのが一番の問題だと思うんですね。
大臣、そこで、こういう判決についてどう思わはりますか。
○山谷国務大臣 御指摘の件につきましては、大阪高裁が最高裁に上告中と承知しておりますので……(穀田委員「大阪」と呼ぶ)大阪高裁が最高裁に上告中と承知しておりますので、コメントは控えたいと思います。
○穀田委員 係争中だからというのはわかるんだけれども、ちょっと、もう一遍答弁し直した方がいいんじゃない。
○山谷国務大臣 大阪高検が最高裁に上告中であります。
○穀田委員 だから二回聞いたわけですけれども、僕は高裁がするというのは初めて聞いたなと思って。まあ、いいですけれども。
だから、係争中だからといって、こういった問題の指摘の中身からして、いかにでたらめかということが誰でもわかるわけですよね。先ほど答弁の中で、国民の声を聞いてとたしか山谷大臣はおっしゃいましたけれども、やはり国民の声というのを聞いてみてどうなのかということを、係争中ではあったとしても、こういうものがいかにでたらめかということは、私は言うべき筋じゃないかなと思うんですよね。
これは、現場の警察官の恣意的判断の問題だけではありません。
私は、風営法の対象は接待としてのペアダンスであって、シングルダンスは対象でないんじゃないかという質問を二〇一三年にしました。基本的にはそうだが、タップダンスなども対象としてきたというふうに答えて、警察庁による、シングルダンスも対象だとする恣意的判断が今回の事態を招いていると私は考えます。
問題は、それが裁判を通して断罪された。だから、警察にはダンス文化を語る資格はなく、何が性風俗秩序を乱すのかの見識もない。そこが国民の常識とかけ離れているということを私は言いたいと思っています。
さて、大阪、京都、東京でたくさんのクラブが摘発されました。
自分たちは性風俗秩序を乱すような風俗営業ではない、そもそもクラブは、格好いい、クールな文化だ、金光さんはそうおっしゃっています。ところが、取り調べで、法律にはダンス、飲食と書いてある、だから風俗営業だ、その無許可営業だといって、十日間も二十日間も勾留され、連日の尋問で精神的にも経済的にも追い詰められたと。そして、多くの経営者はダンスをさせていたと認めて罰金を払わされた。その多くがクラブ経営者としての夢を奪われました。
ダンス文化にどれほどの打撃を与えてきたか。ワールド、バタフライ、ブラックボックス、トライアングル、ヌーン、ジュール、グランカフェなど、京都、大阪で摘発され、クラブ経営をできなくなった多くの方々から私は話を聞きました。
幾ら、風俗営業ではない、クラブは文化だと言っても、取り調べの人は誰も聞いてくれなかった、結局認めるしかなかった、毎日冷たい弁当を食べていて、子供の顔が浮かんで、外に出られるんだったら何でもいいという気持ちになったなど、無念のそういう思いを語っていただきました。
法律を拡大解釈して権力を振るい、ダンス文化を萎縮させ、真面目な経営者から事業を奪った。大変な職権濫用だったと私は考えます。結局、その人たちも風俗営業は行っていなかったのに、ダンスの恣意的判断で彼らへ重大な被害を与えた。
この点については、大臣、いかがですか。どう思いますか。
○山谷国務大臣 ダンス文化の振興とナイトライフの充実というのは、国民のニーズでもございます。
ただ、個々の状況がありますので、適切に判断をしていきたいと思います。
○穀田委員 どうも国民の声を聞いている感情の話とはとても思えませんし、反省が全くないということだけは確かですな。
そこで、法改正では、クラブは風俗営業の三号営業ではなくなる。しかも、もともと三号営業の対象ではなかったんですね。ところが、改正案で、ダンスは、もっと広い遊興という枠の中で今まで同様許可制として規制を受けることになります。本来、許可制の対象ではないダンスと遊興を新たに許可制の対象とするものであります。
ダンスをめぐる現場の恣意的判断のでたらめぶりをヌーン裁判が明らかにしました。そのことが遊興でも同様に起こるのではないかと懸念しておられる方がたくさんいらっしゃるわけですよね。
今までは、深夜遊興の禁止は遵守事項でありました。今回、許可制の特定遊興飲食店という新しいカテゴリーが生まれることになる。そうなると、深夜酒類提供飲食店が、警察による恣意的な解釈で、これは遊興だ、無許可営業だと、風営法の目的を離れて摘発される懸念がある。
なぜ深夜遊興が禁止されなければならないのか、簡単にお答えください。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
深夜飲食店営業は、深夜という風俗上の問題が発生しやすい時間帯に多くの酔客を相手とする営業でございます。こうした営業におきまして、仮に営業者側が積極的に働きかけて客に遊興をさせた場合には、歓楽的雰囲気が過度なものとなり、風俗関連事犯や酔客の迷惑行為等の問題が発生するおそれがございます。
これを防止するために、飲食店営業におきまして、深夜に客に遊興をさせることが禁止されているものでございます。
○穀田委員 酔客を相手にしてと言っていますけれども、これも調べて言ってほしいんだよね。大体、クラブで飲んでいる率とそれからカラオケで飲んでいる率というのは明らかに違うんですよ。クラブで飲んでいるといってもほとんど少ないという実態もあるのに、何かすぐ酔客といえば話がいいかと思って、そんな、ごまかしたらあきまへんで。
それで、性風俗の乱れにつながらないとされたクラブのダンスも深夜になると遊興に含まれる、だから、善良の風俗を害するということになるわけでしょう。
私はそこで言いたいんだけれども、遊興とは何か。おもしろく遊ぶこと、特に、料理屋や待合などで酒を飲んだりして遊ぶこと、また、遊び興じること、特に、酒色に興じることと辞書にあるんですね。まさに、接待行為と一体となった二号で言う遊興。酒色とあるように、男女間の享楽的雰囲気を伴ったものであります。深夜遊興は、接待を伴わないものであります。そこで、これはダンスだと言った同じ警察が、今度は、これが遊興だと判断するということになるわけですね。
だから、そこで聞きたいと思うんですけれども、もし仮に法改正案が通った場合に、特定遊興飲食店の許可を受けずに深夜飲食店が遊興をさせた場合はどうなりますか。
○辻政府参考人 それは許可を受けなかった場合には、無許可営業ということになります。(穀田委員「二年、懲役のことも言ってよ」と呼ぶ)それにつきましては、許可制度の担保手段として、二年以下の懲役の罰則がついてございます。
○穀田委員 ちょっと質問を飛ばすとすぐ混乱するという悪い癖があるね。二年以下の懲役と二百万円以下の罰金、そっちを言ってくれなきゃ。そのことも忘れているようではどないすんねんな。これまでは行政指導だったわけでしょう。それが二年以下の懲役と二百万以下の罰金となる。
では、具体的に聞きましょう。パブでワールドカップを見て客が盛り上がる、そのとき、店主が、みんなで日本を応援しようと声をかけて盛り上げたとしたら、店の積極的行為として遊興になるのか。簡単に。
○辻政府参考人 一般的には、スポーツバーは、営業者側はテレビ等でスポーツの映像を流すのみでございまして、客がみずから映像を楽しむものと理解しております。たまさか、そのお店の方が声をかけられたということでもって遊興の営業をしたというふうには考えておりません。
○穀田委員 だから、これも不思議なもので、たまさかとわざわざ言うんですよ。たまたまかけなかった、では、しょっちゅうかけておったらあかんということなわけやね。ということなんですよ。こういうごまかしをしたらだめですよ。
それで、カラオケを客が自発的に歌うのは遊興じゃないけれども、店主やママがサービスで歌えば遊興となるのか。結論を言ってください。
○辻政府参考人 再三答弁させていただいておりますとおり、遊興とは、営業者が客に積極的に働きかけて遊び興じさせることということで解釈をいたしておりますので、ただいま先生からございましたものが、客に積極的に働きかけているということであれば、それに当たるというふうに思います。
○穀田委員 そこなんですよ。積極的に働きかければと。先ほど来、ずっと朝からの答弁を聞いていても、何が違反なんだと聞かれたら、今の時点で正確に、先ほど歌舞伎の話も出ましたよ。そうしたら、違反なのか違反でないのかというと、その時点で判断するみたいな話をして、国会でもはっきり答弁ができないのに、どないして下は、下と言うと叱られちゃう、訂正します、現場では判断すんのやということになりますやんか。
しかも、今ありましたように、今どう言ったかというと、店の積極的行為となると、それは誰が判断するんですか。私は積極的にやったわけじゃない、みんなから言われてつられてやった、それをしょっちゅうやっていたということになると、だめなんでしょう。
○辻政府参考人 取り締まりについての個々のケースにつきましては、やはり実際の証拠関係みたいなことがございますので、なかなかここでちょっと一概にお答えするのは困難かと思います。
○穀田委員 証拠関係が出て、さっきのダンスのときだって、その警察官は法廷で証言していて、それがないのにもかかわらず、やるようなことをやっているんでしょう。
だから、客観的にそういう基準を示せないということで、どないして皆さん、これを今後申請しますねんな。だから、客がカラオケを歌ってよいのに、店の人が歌えば無許可営業で二年以下の懲役、二百万円以下の罰金という直罰です。これも、大臣がおっしゃるように、国民の声からいうとどうもかけ離れているなと思うんですね。
だから、店側の積極的な行為を基準としていますけれども、規制の目的からすれば、性風俗の乱れにつながる遊興を基準として、限定して規定すべきなんですよ。そして、それらは風俗営業として規制すべきなんですよ。それ以外の遊興については、深夜であるという条件があるにしても、直罰を伴う許可制にする必要はないと言わなければなりません。
遊興として例示されているのは、興行を見せる行為、生演奏などを聞かせる行為、喉自慢大会など競技色のあるものなどです。接待のある二号営業の遊興とは全く異質なものであります。わざわざ風営法で原則禁止にしなければならないほど性風俗秩序を乱すものなのか。どのような危険性を想定しているのか、お答えいただきたい。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
深夜におきまして、お酒を飲んだ状態で、そしてその客に対して営業者が積極的に働きかけを行いました場合には、風俗上の問題が生じるおそれがある、歓楽的雰囲気、享楽的雰囲気が過度になりまして、風俗上の問題が発生する、生じるおそれがある、こういうことでございます。
○穀田委員 今のお話でも、前の話を二つばかり言った後で、最後に、おそれがあると来ますやんか。おそれって誰が判断すんのや。そんなことで、では、我々一人一人が、営業しようと思う方々がどないしてそれを判断しますねんな。そんなもの、おそれがあるとやられたら、何でもやられちゃいますやんか。そういう問題だということが、この審議ではっきりしたと思うんですね。
私は、本当に規制が必要な営業形態が生まれれば、必要に応じて規制したらいい。しかし、現在遊興として例示されているものにグレーゾーンと言えるものがあるか。性風俗を乱すとして許可制としなければならない、抽象的にとどまらず、現実的な危険はないということじゃないかと思うんですね。
ヌーン裁判の判決は、地裁、高裁ともどう言っているか。法で営業を規制する際は、法の目的の趣旨から離れ、過度に、広範に規制してはならないと厳しく戒めているんですよね。だから、今お話ししたように、過度に、広範に規制してはならない、趣旨から離れる、この三つのことを言っているんですよ。今局長の答弁で言いましたのは、おそれがあるとまで話をしているわけだから、いかにそれが広範囲になるかということは目に見えていると思いますね。
だから、遊興のうち今までダンスだけが無許可営業の対象だったが、これからは、夜に何かしようと思ったら、一々警察の判断を仰がなければならなくなる。深夜の性風俗の乱れを防止するという目的からして、本来規制の必要のないものまで対象が広がり過ぎているし、罰則は極めて厳しいと言わなければならない。つまり、過度で、広範だということだと思うんですね。しかも、本来の法規制の趣旨から離れて、権力を濫用しないという保証はどこにもない。
ダンスに自由をとの運動で、せっかく時代おくれの風営法の規制を撤廃できたかに見えて、警察は、ダンスだけじゃなくて、ライブからイベントまで、新たな警察の直罰の対象にしようとしているということが、今回の法改正案の中心だと思うんですね。
今見てきたように、深夜遊興に対する規制の目的が不明確であって、対象が一層広がり、罰則も厳しくなる。権力の濫用に対する反省もなく、権力の濫用を防止する保証もない。これを世間では何と言うか。焼け太りと言うんです。結局、ヌーン事件のような誤った摘発をさらに広範囲に引き起こすことになる。風営法の改悪と言わざるを得ないと私は思います。
このことを指摘して、終わります。
○井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。池内さおり君。
○池内委員 私は、日本共産党を代表して、風営法改正案に対して反対の討論を行います。
反対する理由は、曖昧で、極めて広範な行為を含み得る遊興を対象として、風俗営業の規制を準用する規制権限を警察に与える特定遊興飲食店営業の新設は、深夜に営業する事業者に対して、警察による恣意的かつ広範な介入、権力の濫用を招くおそれがあるからです。
今回の法改正の発端となったのは、警察が恣意的な解釈でダンスクラブを次々と摘発してダンス文化を萎縮させ、真面目な経営者を苦境に追い込んだことでした。関係者だけでなく、広範な国民から厳しい批判の声が上がり、風営法からダンス規制の削除を求める署名がうずたかく積み上がったのは当然のことでした。
警察が風営法のダンス規定を根拠に無許可営業として摘発したダンスクラブ、ヌーンの裁判で、裁判所は、地裁、高裁と二度にわたり、警察の恣意的な解釈を断罪し、無罪を言い渡しました。この裁判の中で、警察が風営法の規定をいかに濫用するか、その姿がまざまざと、そしてはっきりと示されました。
警察の権力濫用の根拠となったダンス規定が、今回の改正でその一部が削除されたことは、署名運動の大きな勝利です。ところが、警察は、それを埋め合わせるかのように、今回、特定遊興飲食店営業として、新たに遊興を対象とする許可、規制権限を考え出してきました。
遊興は、ダンスを含むだけでなく、さらに広範かつ曖昧な概念です。深夜には、ライブハウスやカラオケ、さまざまな事業やイベントが行われていますが、それを風俗営業並みの規制の対象とする根拠も明らかではありません。そして、そのどれが特定遊興として新たな規制の対象になるのか。警察の判断に委ねられています。そして、無許可営業と判断された場合、ダンス営業を摘発したのと同じ、罰金二百万円以下、懲役二年の直罰の対象となります。この権限が濫用されないという保証はどこにもありません。これは、改正ではなく、改悪そのものです。
ダンスの自由を求めて、ダンスクラブ、ダンス教室、あるいは大学のサークルなど、多くの関係者が署名集めに奔走しました。その署名運動を逆手にとって、みずからの権限を拡大する今回の改悪のやり方も、主権者の意思をねじ曲げるものと言わなければなりません。
このことを最後に厳しく指摘して、反対の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○井上委員長 これにて討論は終局いたしました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、亀岡偉民君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。
○泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。
一 風俗営業及び特定遊興飲食店営業について、営業所の構造や設備等の基準を定めるに当たっては、照度及びその測定方法並びに面積について具体的かつ明確に定め、基準の趣旨や内容について周知を図ること。
二 特定遊興飲食店営業の営業可能な地域の指定に関しては、関係する事業者や地域住民の意見の聴取に配慮し、政令において適切に定めること。
三 本法の施行前から風俗営業や飲食店営業を営む者が、本法に基づく規制について円滑に対応できるようにするため、周知を行い、行政手続法第六条の趣旨に鑑み、速やかに適切な措置を講ずること。
四 特定遊興飲食店営業が少年の健全な育成に障害を及ぼすことがないよう、年少者の立ち入らせに関する規制を厳格に運用するとともに、特定遊興飲食店営業者がその業務の適正化と営業の健全化を図ることを目的として組織する団体による自主的な取組を支援すること等により、適切な措置を講ずること。
五 特定遊興飲食店営業の新設及び風俗営業の営業時間制限の緩和等に伴い、営業所の周囲の風俗環境が大きく変化する可能性があることから、その影響に留意するとともに、風俗環境保全協議会を活用すること等により、良好な風俗環境が保全されるよう努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。山谷国家公安委員会委員長。
○山谷国務大臣 ただいま御決議がありました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
―――――――――――――
○井上委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○井上委員長 次回は、来る二十九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十八分散会