第10号 平成27年5月29日(金曜日)
平成二十七年五月二十九日(金曜日)午前九時六分開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 泉 健太君
理事 河野 正美君 理事 高木美智代君
青山 周平君 池田 佳隆君
石崎 徹君 岩田 和親君
越智 隆雄君 大隈 和英君
岡下 昌平君 加藤 寛治君
門 博文君 神谷 昇君
木内 均君 小松 裕君
鈴木 隼人君 武部 新君
寺田 稔君 中谷 真一君
長尾 敬君 藤丸 敏君
松本 洋平君 宮崎 政久君
若狭 勝君 佐々木隆博君
田嶋 要君 津村 啓介君
古本伸一郎君 山尾志桜里君
小沢 鋭仁君 高井 崇志君
升田世喜男君 輿水 恵一君
濱村 進君 池内さおり君
塩川 鉄也君
…………………………………
国務大臣
(内閣官房長官) 菅 義偉君
国務大臣
(国家公安委員会委員長) 山谷えり子君
国務大臣
(経済財政政策担当) 甘利 明君
国務大臣
(女性活躍担当) 有村 治子君
内閣官房副長官 加藤 勝信君
内閣府副大臣 小里 泰弘君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
会計検査院事務総局第一局長 桜田 桂君
政府参考人
(内閣官房内閣総務官室内閣総務官) 河内 隆君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 藤山 雄治君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 谷脇 康彦君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 別府 充彦君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 田和 宏君
政府参考人
(内閣府政策統括官) 武川 光夫君
政府参考人
(警察庁長官官房総括審議官) 沖田 芳樹君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君
政府参考人
(警察庁生活安全局長) 辻 義之君
政府参考人
(金融庁総務企画局審議官) 氷見野良三君
政府参考人
(総務省大臣官房総括審議官) 安田 充君
政府参考人
(法務省人権擁護局長) 岡村 和美君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 引原 毅君
政府参考人
(財務省大臣官房総括審議官) 迫田 英典君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 星野 次彦君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 可部 哲生君
政府参考人
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長) 藤井 康弘君
政府参考人
(厚生労働省政策統括官) 今別府敏雄君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 佐々木 良君
政府参考人
(海上保安庁総務部長) 天谷 直昭君
政府参考人
(原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山 啓君
政府参考人
(防衛省人事教育局長) 真部 朗君
参考人
(日本銀行企画局長) 内田 眞一君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
五月二十九日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 中谷 真一君
木内 均君 門 博文君
平口 洋君 藤丸 敏君
松本 洋平君 鈴木 隼人君
山尾志桜里君 田嶋 要君
同日
辞任 補欠選任
門 博文君 木内 均君
鈴木 隼人君 松本 洋平君
中谷 真一君 岩田 和親君
藤丸 敏君 小松 裕君
田嶋 要君 山尾志桜里君
同日
辞任 補欠選任
小松 裕君 平口 洋君
―――――――――――――
五月二十八日
TPP交渉からの撤退を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一四八号)
同(池内さおり君紹介)(第一一四九号)
同(梅村さえこ君紹介)(第一一五〇号)
同(大平喜信君紹介)(第一一五一号)
同(笠井亮君紹介)(第一一五二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一一五三号)
同(斉藤和子君紹介)(第一一五四号)
同(志位和夫君紹介)(第一一五五号)
同(清水忠史君紹介)(第一一五六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一一五七号)
同(島津幸広君紹介)(第一一五八号)
同(田村貴昭君紹介)(第一一五九号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一一六〇号)
同(畑野君枝君紹介)(第一一六一号)
同(畠山和也君紹介)(第一一六二号)
同(藤野保史君紹介)(第一一六三号)
同(堀内照文君紹介)(第一一六四号)
同(真島省三君紹介)(第一一六五号)
同(宮本岳志君紹介)(第一一六六号)
同(宮本徹君紹介)(第一一六七号)
同(本村伸子君紹介)(第一一六八号)
TPP交渉から直ちに離脱することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一一六九号)
同(池内さおり君紹介)(第一一七〇号)
同(梅村さえこ君紹介)(第一一七一号)
同(大平喜信君紹介)(第一一七二号)
同(笠井亮君紹介)(第一一七三号)
同(穀田恵二君紹介)(第一一七四号)
同(斉藤和子君紹介)(第一一七五号)
同(志位和夫君紹介)(第一一七六号)
同(清水忠史君紹介)(第一一七七号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一一七八号)
同(島津幸広君紹介)(第一一七九号)
同(田村貴昭君紹介)(第一一八〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一一八一号)
同(畑野君枝君紹介)(第一一八二号)
同(畠山和也君紹介)(第一一八三号)
同(藤野保史君紹介)(第一一八四号)
同(堀内照文君紹介)(第一一八五号)
同(真島省三君紹介)(第一一八六号)
同(宮本岳志君紹介)(第一一八七号)
同(宮本徹君紹介)(第一一八八号)
同(本村伸子君紹介)(第一一八九号)
関東大震災時の朝鮮人虐殺の真相究明を求めることに関する請願(近藤昭一君紹介)(第一二二二号)
同(横路孝弘君紹介)(第一二三七号)
同(辻元清美君紹介)(第一二五五号)
同(照屋寛徳君紹介)(第一二六七号)
同(吉川元君紹介)(第一二六八号)
特定秘密保護法を廃止することに関する請願(篠原孝君紹介)(第一二六六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
会計検査院当局者出頭要求に関する件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案(内閣提出第八号)
内閣の重要政策に関する件
公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件
栄典及び公式制度に関する件
男女共同参画社会の形成の促進に関する件
国民生活の安定及び向上に関する件
警察に関する件
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
各件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長内田眞一君の出席を求め、意見を聴取し、政府参考人として内閣官房内閣総務官室内閣総務官河内隆君、内閣官房内閣審議官藤山雄治君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣審議官別府充彦君、内閣府大臣官房審議官山本哲也君、内閣府政策統括官田和宏君、内閣府政策統括官武川光夫君、警察庁長官官房総括審議官沖田芳樹君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、警察庁生活安全局長辻義之君、金融庁総務企画局審議官氷見野良三君、総務省大臣官房総括審議官安田充君、法務省人権擁護局長岡村和美君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長引原毅君、財務省大臣官房総括審議官迫田英典君、財務省大臣官房審議官星野次彦君、財務省大臣官房審議官可部哲生君、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、厚生労働省政策統括官今別府敏雄君、経済産業省大臣官房審議官佐々木良君、海上保安庁総務部長天谷直昭君、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓君、防衛省人事教育局長真部朗君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第一局長桜田桂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高井崇志君。
○高井委員 維新の党の高井崇志でございます。
きょうは、おとといの風営法の審議に引き続きまして、大臣、局長には、お疲れのところと思いますけれども、もうしばらくおつき合いいただきまして、前回、質問でちょっと聞き切れなかった、時間がなかったギャンブル依存症の問題、それから、インターネットが普及するといろいろいいことがあるなと思うんですけれども、衆議院のインターネット中継がありまして、私の風営法の質疑を見ていただいた方から、いや、風営法にはほかにもこういう問題点があるんだという御指摘をいただきましたので、早速そのことも、きょうは旅館業についての問題点をちょっと御質問させていただきたいと思います。
それでは、まず、前回は、ギャンブル依存症といいますと、所管は、警察ではない、国家公安委員会ではなくて厚生労働省になるということで、ただ、厚労省の方には来ていただいていなかったので、改めてきょう、厚労省に来ていただいておりますので、ギャンブル依存症の定義というのはあるんでしょうか。また、ギャンブル依存症の実態調査というのを行っているのか、お聞かせください。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆるギャンブル等依存症の定義につきましては、世界保健機関による国際疾病分類の診断基準がございまして、そこで、かいつまんで申しますが、日常生活を損なうまでに患者の生活を支配する、頻回で反復する賭博のエピソードから成り立つというふうにされてございます。
また、ギャンブル等依存症の実態に関する研究結果といたしましては、平成二十五年度の厚生労働科学研究におきまして調査が行われておりまして、この調査によりますと、成人男女約四千人に面接調査を行った結果でございますが、ギャンブル依存の疑いのある方は、成人全体の四・八%、人数にして五百三十六万人と推計されるというように報告をされてございます。
○高井委員 ありがとうございます。
私もその数字は聞いておりまして、特に、おとといの質問でもしたんですけれども、男女比でいうと、男性が八・八%ですか、先進国、ほかの諸外国に比べても非常に高い数値になっているということなんです。
そういった現状を踏まえて、今ギャンブル依存症に対してどのような対策を行っているのか、質問いたします。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
ギャンブル等依存症につきましては、私ども、適切な治療と支援により回復が可能であるというふうに考えておりますが、その一方で、ギャンブル等依存症の方が必要な治療を受けられていないというような現状がございまして、そのための必要な環境を整備することが喫緊の課題であるというふうに考えております。
私ども厚生労働省では、平成二十六年度からでございますが、全国五カ所程度の医療機関を依存症治療の拠点機関として位置づけまして、そこで依存症に関する専門的な相談支援、依存症者の家族等への相談支援、また医療機関等の関係機関との連携、調整でございますとか、あるいは依存症についての普及啓発等を試行的に実施してございます。
また、平成二十七年度、今年度からはさらに、精神保健福祉センターの職員に対する研修でございますとか、あるいは精神保健福祉センターにおける依存症者の家族に対する心理教育プログラムの試行的実施を行うこととしてございます。
私どもといたしましては、こういった事業を通じまして、依存症対策の推進を図ってまいりたいと考えております。
○高井委員 今御説明いただきましたけれども、ギャンブル依存症というと、これはもう病気なんですよね。しっかりと国際的にも認められている、治療が必要な病気でございまして、そういう意味でいうと、これはギャンブル依存症問題を考える会の方がおっしゃっているんですけれども、ギャンブル依存症から立ち直ったとか更生したという言い方は決して言わないでほしいと。やはり回復したという言い方。それは、ほかの病気が、例えば、糖尿病から更生したとか立ち直ったと言わず、回復したと言うのと一緒で、このギャンブル依存症というのもそういった位置づけでしっかり考えていく必要があると思います。
我が党は、IR法を推進していくという立場で、法律も出させていただくということでありますけれども、今後、IR法が通って実際にカジノが行われるというようになった場合に、負の側面といいましょうか、やはり心配をしていかなければならないのが、このギャンブル依存症がふえるのではないかという点なので、ここも、法律が成立するかどうかということの前提は抜きに、今後、どのようなギャンブル依存症対策を考えておられるのか。今後の計画、対策をお聞かせください。
○藤井政府参考人 厚生労働省としての今後のギャンブル等依存症対策といたしましては、まずは、先ほども申し上げましたような、依存症治療拠点機関で行っております取り組みですとか、あるいは、今年度から新たに開始をいたします精神保健福祉センターの職員に対する研修等を着実に推進してまいることが肝要かというふうに考えてございます。
こうした取り組みを通じまして、地域において、医療ですとかあるいは相談支援等を担っていただく関係機関のギャンブル依存症への対応力を高めていくことで、先生おっしゃっていただきましたような、依存症の方々の治療回復に努めてまいりたいと考えております。
○高井委員 ぜひここは、今後もさまざまな場面でしっかりとフォローさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それと、ここからは通告しておりますので、大臣にお聞きいたしたいと思います。
実は、おとといの審議でも局長にはお聞きをしてお答えいただいたんですけれども、改めて大臣のお考えをお聞きしたいということで、パチンコ、風営法の七号というところで規定をされているわけでありますけれども、しかし、実態とかけ離れているのではないか。
つまり、ギャンブルではないということで、現金は扱っていないんだ、景品をもらって、その景品をたまたま近くにある交換所で、でも、近くといっても、ほとんど同じ建物の中にあるケースも最近は多々見受けられますし、あるいは、等価交換というのぼりが立っている。等価交換というのは、パチンコをやる人はわかると思うんですけれども、同じお金が、玉で、返ってくる、そういう意味の宣伝をするところもたくさんある。
あるいは、私はちょっと疑問に思うのは、例えば、テレビの地上波放送で堂々と、パチンコ番組で、幾ら投資して幾らプラスになりました、幾らマイナスになりましたみたいなことが放送されている。
そういうことを考えると、もう国民の誰もが、そういったお金に換金をされる、いわゆるギャンブルになっているのではないかというふうに考えていると思うんです。それを、風営法ではそうではないとずっと言っているわけですけれども、そういうパチンコをしっかりとギャンブルとして位置づけるというお考えはないか、大臣にお聞きします。
○山谷国務大臣 パチンコは実態としてギャンブルとなっているのではないかというお尋ねでございます。
まず、パチンコを風営法の対象としている理由でございますが、パチンコ営業については、適正に営まれれば国民に健全な娯楽を提供するものとなり得るものである一方、営業の行われ方いかんによっては、客の射幸心を著しくそそることなど、善良の風俗と清浄な風俗環境を害し、または少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあるため、客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業として、風営適正化法に基づき必要な規制が行われているというところでございます。
実態としてギャンブルではないかという御質問でございますが、パチンコ営業については、その営業の行われ方いかんによっては客の射幸心を著しくそそるおそれがあることから、現金を賞品として提供することを禁止するなど、風営適正化法に基づき必要な規制が行われているところであり、この風営適正化法で認められた範囲内で営まれている営業については、賭博罪に当たる行為を行っているとの評価を受けることはないと認識をしております。
○高井委員 私は、パチンコを例えば禁止しようとか、もうなくしてしまえという立場ではありません。そういうことは申しておりませんし、やはり実態として、法律というものが世の中の実態と合ったものになっていないと、国民の皆さんからすると、法律に対しての信頼を失うことになるのではないかということで、より実態に即して、またパチンコ業も、風営法の対象になっていることによって、後ほどちょっと財務省にもお聞きしたいと思うんですけれども、いろいろな税制上の優遇措置とか補助金とか交付金とか、そういったものが受けられないという状態になっている。
そういったことも考えると、風営法の対象ではなく、また別な法律なり形でしっかりと実態に即して位置づける必要があるのではないかと考えています。
ここは、でも、何度聞いても同じ答えじゃないかと思いますので、それでは、もう少し具体的なことを聞きたいと思います。
おとといの質問でも申し上げたんですが、非常にパチンコにのめり込む、依存症になる方というのは、若い人たち、二十歳になる成人前でギャンブルを始めた人が、ギャンブル依存症になっている方の八五%だ。これはある統計の数字ですけれども、そういうデータもあります。
そう考えると、やはりもうちょっと未成年者の入場禁止をしっかりと徹底する、あるいは成年かどうかを識別する。今、たばことかではそういったこともやられていますし、それから、今回、マイナンバーもスタートいたしますので、そういったことも考えれば、成年を識別するシステムというのを導入する、そういったことをこのパチンコ業に対して指導していくことが必要ではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○山谷国務大臣 パチンコ営業については、風営適正化法において、少年の健全な育成に障害を及ぼすことのないよう、営業者に対し、十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることを禁止するとともに、営業所の入り口に十八歳未満の者が立ち入ってはならない旨を表示することを義務づけているところでございます。
これらの規制に反する行為の取り締まり等を通じて、引き続き、パチンコ営業の適正化を進めるように警察を指導してまいりたいと考えております。
○高井委員 それではなかなか不十分じゃないかな、かなり若い方が自由に出入りできる雰囲気ではないかと思います。
あと、予防といいましょうか、やはり、ギャンブルに依存していくとこんな大変なことになりますよということをもっともっと普及啓発すべきではないかなと思います。お酒とかたばことか、あるいは公営競技、競輪、競馬などもかなりそういった宣伝をしている、CMなどで流しているように聞きます。
それに比べると、パチンコというのは、なかなかそういったPR、予防の普及啓発が十分ではないなと感じるんですけれども、大臣、ここをもうちょっと力を入れて取り組むというお考えはないでしょうか。
○山谷国務大臣 パチンコののめり込み問題への対策についてでございますが、その必要性、重要性を業界自身が理解し、積極的に推進することが重要だと認識をしております。
業界団体では、パチンコに関し問題を抱える者からの電話相談を受け付ける機関として、リカバリーサポート・ネットワークを設立しておりますが、この取り組みが広く認知されるよう、店内におけるポスターの掲示やポケットティッシュの配布など広報啓発活動に積極的に取り組んでいるほか、「パチンコ・パチスロは適度に楽しむ遊びです。」などののめり込み防止のための共通標語をパチンコ営業者の広告に挿入する取り組みも行っているところでございます。
警察といたしましても、それらの対策を含めて、パチンコののめり込み問題への対策については業界に対して継続的に要請を行っているところでありますが、引き続き、業界を適切に指導していくように警察を指導してまいりたいと考えております。
○高井委員 それでは、もう一点、おととい、これも私から申し上げたんですけれども、金額とか時間を自分で管理できるようなシステム、あるいは、家族からの申し出によってその依存症の方については入場を制限できるようなシステムというのも考え得ると思うんですけれども、そういったものの導入を指導するお考えはありませんか。
○山谷国務大臣 パチンコののめり込み問題への対策については、その必要性、重要性を業界自身が理解し、積極的に推進することが重要と認識しておりまして、業界団体としても、のめり込み防止対策としての営業所内外における注意喚起、広報啓発、そしてまた、先ほど申しましたリカバリーサポート・ネットワークの支援及び同機関の周知徹底、駐車場の見回り活動等児童の車内放置事案防止対策の実施等の活動を継続的に行っていると承知をしております。
警察としましても、それらの対策を含め、パチンコののめり込み問題への対策については、業界に対して継続的に要請を行っているところでありますが、引き続き、業界を適切に指導していくように警察を指導してまいりたいと考えています。
○高井委員 私が申し上げたいろいろなシステムとか制度は非常に有用ではないかと思います。ギャンブル依存症問題を考える会の方からも提案がありますので、ぜひ前向きに御検討いただけたらと思います。
それでは、私が、なぜパチンコ業を風営法の対象にするのかというところを申し上げるのは、実は、風営法の対象になることによって、これも前回申し上げたんですけれども、雇用促進税制という、今パチンコ業界にたくさん若い方々が勤めておられますけれども、そういった税制の対象にはならないという実態があります。
これは、きょうは財務省に来ていただいていますけれども、なぜ雇用促進税制の対象にならないんでしょうか。
○星野政府参考人 お答え申し上げます。
先生御指摘の雇用促進税制でございますけれども、まず、政策税制の対象となる業種、事業者等につきましては、個々の措置ごとにその政策目的を踏まえて範囲を定めてございます。他の法令による規制の対象となっている業種については、その規制の目的とのバランスを考えて、あえて政策税制で支援すべき業種であるかどうかを検討し、対象業種を絞り込むといったようなことがございます。
御指摘の雇用促進税制につきましては、平成二十三年度税制改正で設けられたものでございますけれども、雇用の受け皿となる成長企業を支援するという政策目的を持っておりますが、これを踏まえつつ、他方、風営法におきまして、善良な風俗を保持する等の観点から特別な法的規制を設けている趣旨に鑑みまして、あえて雇用増加のインセンティブを付与することはふさわしくないとの考え方から、こうした規制を受けている事業者を対象から除外したものでございます。
○高井委員 こういう税制とか補助金とか、財務省の方にお聞きしたら、相当範囲が広いので、どれだけ風営法が除外されているかというのはなかなか答えようがないということなんですが、でも、かなり多くの部分が、風営法であれば除外、一律除外というような感じがいたしますので、そういう意味では、今御答弁いただきましたように、一つ一つの業種をよく見ていただいて、そこがまさに雇用の受け皿になっているのかどうかというようなことをよく御検討いただいた上で御判断いただきたいなと思います。繰り返しますけれども、パチンコ業というのを実態に合うような形に位置づけ直すということが大事ではないかと私は思っております。
それでは、残った時間は、旅館業について、風営法の対象となっていることでいろいろな問題というか課題がありますので、以下、お聞きをしたいと思います。
まず、こんなケースは風営法違反に当たるのではないかという質問なんです。
例えば、小学校の修学旅行で、到着がおくれて二十時以降に宴会場で食事をすることになった、あるいは、深夜便で到着した海外旅行者に零時過ぎに飲食を提供したら風営法違反になるのではないか、あるいは、就学前の児童を連れた家族旅行で来た方が宴会場を利用して飲食をしたら、許可を得ていないところがやったら風営法違反ではないかという御指摘がありますが、いかがでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
まず、前提といたしまして、風営適正化法は、もう御案内だと思いますが、当然、旅館自体を規制対象といたしておるものではございませんで、旅館の中で風俗営業を営もうとするというような場合に、その風俗営業の部分について規制をする、許可をとっていただく、こういうことでございます。
そこで、例えば、その旅館が風俗営業の許可を受けている場合に、年少者の立ち入らせ規制の対象となる場所はどこかと申しますと、それは、当該旅館の中で実際に風俗営業が営まれている区域ということになるわけでございます。
したがいまして、例えば、旅館内のある宴会場でコンパニオン等による接待が行われているような場合、その宴会場に十八歳未満の者を客として立ち入らせるということはできないわけでございますけれども、それとは別の宴会場で、接待を行っていない、風俗営業を営んでいないというところについては、十八歳未満の者に食事をさせるということは禁止されていないところでございます。
したがいまして、実際に風俗営業が営まれていない部屋であれば、小学生の修学旅行や児童を連れた家族旅行で食事をしていただくということは可能でございます。
また、零時過ぎに旅行者に食事を提供することについては、客を接待したり、あるいは客に遊興をさせたりということをしない場合は可能ということでございます。
○高井委員 つまり、風俗営業を営んでいる部屋はだめということなんですけれども、それは、コンパニオンの方がずっといる時間に子供を連れていくのはどうかと思いますけれども、別にコンパニオンさんがいない時間でも、その大広間、宴会場はもう風俗営業の場所ということですよね。
違うんですか。
○辻政府参考人 ちょっと説明が足らなかったかもしれませんけれども、先生がただいまおっしゃったような形で、今この部屋はコンパニオンさんがいらして接待をしています、そのときは年少者は立ち入りできませんよ、こうなっておりますが、そのお客さんも帰り、コンパニオンも全部帰ってしまった、その状態で、お料理を食べて、ただお食事をされるという場合は、そこは風俗営業は営んでいないというふうに考えておりますので、そこで、同じ部屋ですけれども、御家族で、子供さん同伴でお食事をしていただくということは問題はございません。
○高井委員 そうですか。何かその辺が現場まで本当に徹底されているのかなと。結構大きな旅館を営む方から今回聞いているお話なんですけれども、警察の方に指導を受けるときの基準が非常に不明確だと。
つまり、接待というのがあると風俗営業になる、接客ではなくて接待なんですけれども。では、例えば、宴会場で、仲居さんがそこでいろいろ会話を、料理を食べながらちょっと引きとめられて会話をするのは接待で、料理の説明だったらオーケーだとか、お酌はしちゃだめよとか。あるいは、私が聞いているのは、畳の部屋だとそれはもう接待、風俗営業の場所になる、畳じゃない、普通のレストランならオーケーだというようなことを聞くんですけれども、そういった、いろいろ解釈が分かれるようなことになるのは、接待の定義、判断基準、こういったものが明確じゃないからと思うんですが、それはどうなっているんでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
風営適正化法第二条第三項におきまして、「「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことをいう。」というふうに定義をされているところでございます。これは、慰安や歓楽を期待して来店する客の気持ちに応えるため、営業者側の積極的な行為として、相手を特定して、継続的な談笑、お酌、ゲームの実施、身体の密着等の興趣を添えるサービス等を行うことをいうものと解釈されているところでございます。
具体的な例といたしましては、特定少数の客の近くにはべり、継続して、談笑の相手となったり酒等の飲食物を提供したりする行為や、客とともに遊戯、ゲーム、競技等を行う行為等がこれに該当するとされておりますけれども、例えば、お酌はするけれどもその後速やかにその場を離れる場合などは接待には当たらないということで、そのあたりの解釈につきましては、警察庁のウエブサイトでも公表するなどして明確にするようにいたしているところでございます。
○高井委員 今も、身体の接触があるという表現がありましたけれども、ここまでは実際やっていないと思いますけれども、例えば、高齢者の方とか視覚障害者の方を手を添えて客室へ案内するのもどうなんだろうかとか、そういう議論が実際に旅館と警察の中で行われていたりする。この指摘をいただいた方からすると、では、アイドルの握手会はどうなんだと。歓楽的雰囲気といいましたか、よっぽどそっちの方が歓楽的な行為なのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
風営適正化法上の接待につきましては先ほど御答弁させていただいたところでございまして、高齢者や身体の不自由な方に対し体を支えたり誘導したりするために接触する行為は、当然のことながら、ここにいう接待には当たらない。歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことというふうに接待は定義をされておりますので、倒れそうになるというようなことで支えるとか、そういうことはここで申します接待には当たらないということで、このために、飲食店でそのような行為をされることにつきまして特段規制をしているということではないところでございます。
○高井委員 その基準が不明確だと、いろいろ現場では混乱が起きるという例じゃないかと思います。
もう一つ、ちょっと具体的な話で恐縮ですが、旅館の中にバーがあるというケースがありますね。そこのバーが入り口から見えたらだめなんだ、風営法の対象になるんだと。男性一人が接客しているようなバーで、ホテルのロビーに併設したようなところというのはあると思うんですけれども、これも入り口から室内が見えたらだめなんだ、そういう規制だと聞いているんですけれども、そのとおりなんでしょうか。
○辻政府参考人 お答えを申し上げます。
御指摘のバーが仮に風俗営業に該当する場合には、風営適正化法により、客室の内部が営業所の外部から容易に見通すことができないようにしなければならないこととされております。また、御指摘のバーが仮に風俗営業ではなく深夜飲食店営業に該当する場合は、風営適正化法上は外部からの見通しに関する規制は設けられていないところでございます。
○高井委員 その風俗営業になるかどうかという基準は、さっきおっしゃった基準ということでしょうか。この場合でも、男性スタッフが一人で接客しているというような場合はどうなんですか。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
具体的にちょっとどういうお店かわからないのでございますが、そこが風俗営業に当たればということでございまして、まさにその男性の方が、先ほど申しましたような意味での接待をおやりになるということであれば、風俗営業になっているのだと思いますけれども、一般的に申し上げますと、カウンターでバーテンダーの方が単にお酒をつくっておられるという場合に、それが風俗営業に当たるような営業形態なのかなということは、お尋ねをいただきましたときに、私もちょっと印象としては、イメージとしては持ったところでございます。
○高井委員 局長が事務方の責任者だと思いますけれども、なかなかそういう、局長でも判断に迷うようなケースというのがある。そのくらい曖昧だと、どうしても現場は厳しく厳しくとなっていく実態があるからこそ、こうしてわざわざ私にも申し出があったんじゃないかと思いますので、最後に大臣に、今いろいろ聞いていただいて、恐らく、大臣、こういう実態が現場ではあるということはなかなかお耳には入っていなかったんじゃないかと思いますけれども、今一連のことを聞いて、旅館業に対するこういった風営法の適用を見直すという考えはないでしょうか。
○山谷国務大臣 風営適正化法について、旅館業に関するものも含め、規制の具体的な内容や基準等を下位法令において明示するとともに、詳細な解釈を示した解釈運用基準を警察庁のウエブサイトで公表し、周知を図っているところでございますが、今委員からいろいろなケースについての質問がございました。同法の解釈をより明確に事業者に御理解いただけるよう、事業者からの相談への対応やウエブサイトへのさらにわかりやすい説明資料の掲示等について検討するとともに、こうした明確な解釈のもとで、同法が一層的確に運用されるように警察を指導してまいりたいと考えています。
〔委員長退席、亀岡委員長代理着席〕
○高井委員 現場をしっかり指導していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
○亀岡委員長代理 次に、輿水恵一君。
○輿水委員 公明党の輿水恵一でございます。
本日は、一般質疑のお時間、機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。
私の方からは、ちょっと大きないろいろなテーマについて、この際、一つ一つ確認をさせていただきたい、そんな思いできょうは質問させていただきます。
今、日本は、かつてない、今までにない人口減少社会を迎えている。また、世界でも類を見ない高齢化が進展する中で、いろいろな政策が岐路に立たされている。そこにどうやって適切に対応して持続可能な社会を構築していくのか、これが大きな大きな課題だと私は思います。
特に、高齢化が進展する中で、日本の誇る社会保障制度は給付総額がどんどん膨れ上がっていく。一方で、それを支える財源、そのサービスをどう維持していくのか、そういった課題もある。
また、人口減少する中で、最近、景気も回復している、労働力の需要はあるけれども、生産労働力人口も減少していく、こういった社会の中にあって、どのような形でこの日本の活力を維持していくのか、そういった課題もあるのかなと。
最近では、生涯現役、そんな言葉もあるんですけれども、一人一人、そういった本人の意思を尊重しながら、また意識をしっかりそういった点に持っていただきながら、さまざまな改革が必要であるのかなと感じております。
政府として、これから制度を改正する、あるいはガイドラインを引く、それだけではなかなかうまくいかない。国民の皆様がしっかりとそういった現状を認識して、また現実を理解しながら、政府と国民一体となって、その改革、またこの危機を乗り越えていく、そういった取り組みがこれから特に必要ではないか。
そういった観点でまず質問をさせていただきますが、内閣として、国民の理解と協力が必要と思われる重要な政策については戦略的な広報活動を積極的に展開するべき、このように考えますが、見解をお聞かせ願います。
○別府政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘のありましたとおり、内閣の重要施策を効果的に推進するというためには、国民の皆様の御理解を得るということがまず何よりも必要不可欠だと考えております。その意味で、まさに重要施策を戦略的に広報活動を展開していくということは極めて重要でございますので、当然、関係省庁はもとよりでございますけれども、政策テーマに応じまして、政府一丸となって積極的にやるべきだと思っております。
○輿水委員 ありがとうございます。本当に、できるだけいろいろな情報を適切に、効果的な、戦略的な取り組みをお願いしたい、このように思うわけでございます。
そこで、今、二〇二五年問題、いわゆる約八百万人の団塊の世代の方が七十五歳以上になられる、そのときの介護や医療の需要が相当高まってくる。それをどのような形でしっかりと受けとめていくのか。地域包括ケアシステムということも挙げられて、また、さまざまな制度改正、改革もプログラムに沿って進められているところだと思います。
このような改革の中にあって、やはり制度とか枠組みをそうやろうとしても、地域の住民の皆さんの意識、例えば病院完結型から自己完結型の医療と言われるんですけれども、いわゆる治す医療から、寄り添いながら、住みなれた地域で安心して家族とともに暮らしていく、そういったものを目指すにしても、本人も家族もそういったことを意識しながら、生活のあり方を、将来をしっかり見据えて準備していく必要もあるのかなと。突然言われても、なかなかそれができない。そういった意味では、しっかりとした広報活動が必要なのかと。
そういった意味で、二〇二五年に向けて社会保障制度改革を確実に進めていくためには、その制度を支える財源の確保や個々のサービスの適正化などにおける現状の課題を、それぞれの地域住民や自治体とちゃんと問題意識を共有しながら、そして、制度のあり方、改革の内容について理解を得て、適切に進めていく、そういった一体となった取り組みが必要だと思います。
そのためにも、先ほど内閣でも確認させていただいたように、厚生労働省としても適切な広報活動というものが必要だと思うんですけれども、その点についての見解、考えをお聞かせ願えますでしょうか。
○今別府政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のように、社会保障制度改革を進めるに当たって、まさに、地域の自治体なりあるいは住民と一体となった広報活動、啓発活動というのは非常に重要だと思います。
今、内閣府の方から答弁をいただいたように、政府としての広報活動はもちろんでありますが、それに加えまして、私ども、やはり地域の自治体、あるいは私どもの地方の支分部局を通じてさまざまな広報活動をやっております。
とりわけ厚生労働省といたしましては、社会保障制度の今の現状あるいは改革の意義、そういうものを理解していただくということで、次世代にきちんと引き継ぐという観点から社会保障教育というのを非常に重視しておりまして、去年の七月にまとまりました研究会の報告に基づきまして、全国の高校全てに教材を配って、教育委員会あるいは先生方の研究会まで出向いていって、実際の社会保障教育の実が上がるようにという努力も続けております。
引き続き、いろいろな活動を通じまして、できることは全てやるということで努力をしてまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
二〇二五年問題と言われても、二〇二五年というのはあっという間に来てしまいます。制度改革だけでも大変な中で、それと並行して、地域の皆さんの意識、協力、そういったものをしっかりと得られるような環境整備。
特に、私も現場で、今、地域包括ケアシステムという形でいろいろな取り組みをさせていただいているんですけれども、まだまだ、どういったイメージで、自分たちがどうやってこの地域で住まいを持って、そして医療と介護、いろいろなサービスが受けられて安心して住み続けられるのか、なかなかイメージが固まってこない。
そのイメージをどうやって現場と私たちが共有していくか。そして、そのイメージができないと、二〇二五年、なかなかその難しい問題を解決できない、混乱を来す可能性があるということで、お互いにそのイメージを共有しながら、目指すものを一つにして、何とかこういった少子高齢化、そして超高齢化社会の新しい日本のあり方、そういったものを追求しながら、情報も共有しながら取り組んでいきたい、また皆様とともに協力していきたい、このように思っていますので、よろしくお願いをいたします。
では、次の質問に移らせていただきます。
きょうは有村大臣にもいらしていただきまして、男女共同参画社会における労働者のワーク・ライフ・バランスについて質問をさせていただきます。
今のさまざまな社会情勢の変化に対して、男女共同参画社会を前提とした今後の労働のあり方、これも丁寧に分析をしていくことが必要かなと。人口が減少していく中での企業の生産性の維持や向上、そういったものを考えると、やはり働き手に負担がかかるというか、労働時間といった問題もいろいろ課題が出てくるのかもしれない。
また同時に、さまざまな中で、労働者の所得もしっかり向上させていくということが生活を支える基盤にもなってくる。将来の日本での働き方、また生活の仕方、あるべき姿をどう具体的にイメージしていくか、検討していくのか、これも今大事かな、このように感じるわけでございます。
人口が増加して経済が成長する時代から、人口が減少して経済が成熟してきている、またグローバル化による競争の激化、こういった中、また技術革新も、私も昔、技術畑で仕事をしていたんですけれども、三年に一回、新製品というか新しいものを開発すればよかったものが、会社にいるうちに、だんだん、二年に一つは新製品、一年に一つ、半年に一つ、そういうふうに競争が激化して、またその製品のライフサイクルも短くなってくる。そうすると、その一つ一つの負担も大きくなってくる。そういった状況がさまざま変化してくるわけでございます。
こういった中で、現在、ワーク・ライフ・バランスの推進、日本人の画一的だと言われた、働き過ぎと言われた日本の働き方が見直され、仕事一辺倒のスタイルから、仕事とともに趣味や家族との時間を大切にし、可能な限り短時間で効率的に働く、そういったことを今目指してきていると思います。
また、特に高齢化が進む中では、いよいよ介護という問題が各家庭に出てきたときに、長時間勤務やフルタイムの勤務が困難になる労働者もふえてくる。このような状況を踏まえて、今後、さまざまな問題をよく考えながら、働き方の見直しが不可欠なのかな、このように感じます。
そこで、働き方の実態及び課題をしっかり掌握するとともに、長時間労働の抑制や多様な働き方の実現に向けたワーク・ライフ・バランスの取り組みをまさに一層進展させることが今求められていると思いますが、有村大臣の見解をお聞かせ願えますでしょうか。
○有村国務大臣 輿水委員にお答えいたします。
委員御指摘の問題意識、全くもって共鳴、共感をいたします。
これから本格的に人口減少が厳しくなってまいります。その中で、とりわけ減少幅が最も厳しいのは、高齢者層でも若年層でもなく、労働生産人口、その減り幅が、最も厳しい割合で減っていきます。この現状を鑑みますと、我が国が将来にわたっても活性化を続け、持続的に成長していくためには、御指摘のワーク・ライフ・バランスの実現というのが最も大きな課題の一つの柱だというふうに認識をしております。
今まで子育てや介護などで時間制約があるという人が何人かいたという前提ではなくて、働き方に時間制約のある人がマジョリティー、大多数だという前提に立って、制度や仕組み、意識を変えていかなければならないというふうに思っております。その上で、多様な働き方や生き方が選択され、また尊重される社会になっていくという大きな変革を私たちができるかどうかが、日本の威信に直結するというふうに確信をいたしております。
仕事と生活の調和憲章及び仕事と生活の調和推進のための行動指針に基づいて政労使が連携して取り組みを進め、その効果を検証した上で今後の課題等を提示する調査の重要性は共有をいたします。
毎年、政府は、仕事と生活の調和レポートということを公表しておりますが、ことしも二月に仕事と生活の調和レポート二〇一四を出させていただきました。そのサブタイトルは、まさに「仕事は「時間」から「質」の社会へ」というふうになっております。
人は評価される物差しによってその能力を伸ばすというふうに言われます。そういう意味では、人を評価する物差しが、時間の長さではなく、まさに仕事の効果によって評価される、そういう土壌や仕組みや社会の意識ということを、果敢に、関係省庁とも連携をしながら、取り組みを加速させていきたいと考えております。
○輿水委員 ありがとうございます。まさに私もそのとおりだと思います。
そこで、具体的にワーク・ライフ・バランスを考えたときに、仕事をいかに効率的に、また圧縮した形で成果をしっかり出せる、そういった環境をつくるか。それがなければ、幾らワーク・ライフ・バランスを考えて、また会社でも思ったとしても、なかなか、やはり成果を出さない限りは会社も存続しない、また生活もできないという部分では、どうやってそこの圧縮した形で成果を追求していくのか、効率的な仕事のあり方というものを考えていくのか、これが大きな課題になるのかなと思うわけでございます。
そこで、このワーク・ライフ・バランスの取り組みを進めていくためには、まさに仕事の質を高める、いわゆる生産性を向上させる、こういったことが重要であって、ここがなくしてライフの方になかなか時間を割けないと思うわけでございますけれども、この点についての有村大臣の見解をお聞かせ願えますか。
また、それを何とかやるためには、何としても生産を向上させなければいけないと思うんですけれども、できましたら、そういったことに対しての決意もお聞かせ願えますでしょうか。
○有村国務大臣 お答えいたします。
ワーク・ライフ・バランスを実現していくためには、それぞれの意識改革も重要でございますが、何よりも、組織のトップの継続したコミットメントが不可欠だと認識をしております。トップが継続して言い続けて、行動し続けて、励まし続けて、仕組みを不断に見直していただくということが肝要だと考えます。
短時間で成果を出す働き方に変えていくことが重要だということを考えますと、特に私が委員と問題意識を共有した上で強調したいのは、単に生産性を上げるということ、ここは誰も反対されないわけですが、一般的に申し上げますと、日本は、現業、とりわけ生産現場での効率性やあるいは生産性は世界トップレベルだと指摘されます。その一方で、事務職、いわゆるホワイトカラーの生産性がOECDで比較しても極めて低いと指摘をされます。そういう意味では、事務職、ホワイトカラーの生産性を上げていく。
とりわけ、この中では、単に効率をちまちまと上げるという段階ではありません。それを引き続きやりながらも、大胆に仕事を見直して、業務の削減を含めて、大幅に業務のあり方、進め方を変えていただく。そのためのトップとしての決断と裁量ということをできるようにしていきたいというふうに思っております。
そして、これを進めることは、単に倫理的にいいというだけではなくて、企業の競争力の強化、世界で対等に伍していき続けるためにも、社会の生産性を高めて、我が国の持続可能性に貢献するのだということのメッセージも常に出していきたい。その実現に向けて、先ほど御紹介した取り組みなど、関係省庁と連携しながら強めていきたいというふうに考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。まさにその取り組み、本当に期待をしているわけでございます。
現場の、私も仕事をやる上でイメージを結構大事にするんですけれども、例えば家庭に介護が必要なお父さん、お母さんがいらっしゃる、でも、重要な仕事を抱えて、そして能力がある、そういった方が介護があるということで会社を退職するようなことがあっては、また非常にもったいない話。
そういう意味では、私も企業にいましたので、まず集まって、問題点に対して現状を共有して、それぞれ、誰がいつまでにどういった調査をして、ここで持ち寄って解決策を追求しようじゃないか、そして、それぞれ散ってやるわけです。まず、そういった会議の場なんかは、テレワークとよく言われるんですけれども、一定の時間に、家でもどこでも一緒になって会議をする時間帯を決めていく、そして、そこで打ち合わせる。打ち合わせたことを、今度は自分なりに、現場に行かなければいけないこと、デスクワークでできること、整理をしながら、そして成果を求めていく。
そのときに、会議に出るときにはヘルパーさんに来てもらう、また、現場に行って調査をしなければいけないとき、計画的にこの日は来ていただいて、あるいはショートステイを使って、そして仕事と介護を両立させながら、より効率的な仕事を実現していく。
そういったモデルとかイメージを持ちながら、具体的にテストをしながら、それを横に展開していく。そういった具体的なイメージを持ちながら、このワーク・ライフ・バランス、何としても実現をしていただきたい、このように思うわけでございます。
そして、今、ちょっと具体的なイメージということでお話をさせていただいている中で、一つだけ、もし答えていただけるのであればということで質問させていただきます。
先日、小泉政務官がここで、少子化対策ということで私的な意見を述べられました。私、非常に感動しまして、今、第三子に対していろいろな対応というか支援があるんだけれども、私としては、第三子まで届かない、まず第一子にしてほしいんだ、そういった現場の思いというのは、ああ、なるほどなと。第三子となると、二人目があって三人目で遠い話だ、余り自分たちには関係ない、でも、第一子に支援があるとなると、これはという、そういった思いになるという現場の意識、ああと思いました。
そんなときに、これが適切かどうかわからないんですけれども、三十歳以下で結婚してお互いに子供が生まれた場合はその支援が倍になるとか、そして、とにかく第一子が生まれることによって二子、三子の可能性が生まれてくる、そういった現場、現実のお声を聞きながら、その生活に根差した形での制度の推進というものがより効果的な政策につながってくるのかなと。そういった面では、本当に現場の意識をよく確認しながら、また、実態の中で即した制度の取り組みが必要かと思うんです。
ちょっと申しわけないんですが、この点について、もし御感想があれば一言いただけるとありがたいんですけれども。
〔亀岡委員長代理退席、委員長着席〕
○有村国務大臣 この三月に、今後五年間のありようを定めていく少子化社会対策大綱を閣議決定させていただきました。そこで初めて、第三子以降の多子世帯をさらに応援していこうという価値観を明確にさせていただきました。同時に、少子化対策という意味では、妊娠、出産、子育てという従来の段階だけではなくて、そもそも結婚の機会を応援していこうという価値観を初めて出させていただきました。
時間の制約で短くいたしますが、この三十年で、第一子を出産するお母さんの年齢は実に四年もおくれて、ビハインド、後ろになっています。一九八〇年代は二十六・四歳で第一子出産、今、お母さんたちは全国平均で三十歳を超えました。そういう意味では、第一子が授かれるような、そしてその希望がかなうようなこと、そしてそれが若い段階でできるような、そういう支援ということを積極的にやっていきたい。
問題意識を共有して、第一子が生まれないと第三子も生まれませんので、そういう意味では、早い段階で希望がかなうようなところに集中的にここは加配をするなど、重点化を明確にしていきたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございました。突然で、どうも済みません。
では、次の質問に移らせていただきます。多文化共生ということで聞かせていただきたいと思います。
今、日本、約二十万人の定住外国人の方がいらっしゃる。そういった定住外国人の皆様が、ここで子供が生まれて、また新しい第二世が成長する、そういった一つ一つの段階において、安心してここで暮らせて、そして日本の社会を担う一員としての自覚を持ちながら成長していくことは非常に大事なことだ、また、そのことが日本の将来の安心と安全、さらなる成長にもつながってくるというふうに私は考えているわけでございます。
この取り組み、まず、国として、どのような形でこの多文化共生に対しての取り組みを進められているのか、教えていただけますでしょうか。
○武川政府参考人 内閣府におきましては、平成二十年以降の厳しい経済状況のもとで生活困難な状況に置かれました日系人を初めとする定住外国人を支援するため、関係府省から成る日系定住外国人施策推進会議を開催し、累次にわたって対策を策定いたしております。
昨年三月には、永住者として在留する者の割合の高まりなどの日系定住外国人に関する情勢の変化を踏まえ、「日系定住外国人施策の推進について」を取りまとめたところでございます。具体的には、日本語教室の実施、公立学校による受け入れ体制の整備、日本語コミュニケーション能力の向上等を目的とした就労準備、医療通訳が置かれた病院の整備等の施策を盛り込んだところでございます。
内閣府におきましては、引き続き、関係省庁や自治体と連携しながら、日系定住外国人施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
内閣府として、こういった取り組みが進められている。しかし、今、日系の定住外国人ということで、地域には、日系でない外国人の方もたくさんいらっしゃると思います。それぞれ現場で対応されている。
そういった取り組みの中におきまして、総務省として、地域での取り組みに対してどのような認識をお持ちなのか、お聞かせ願えますでしょうか。
○安田政府参考人 外国人住民が増加している現在、自治体にとりまして、外国人住民との多文化共生に取り組むことは重要な課題になってきているというふうに認識してございます。
総務省におきましては、平成十八年に多文化共生プランを提示いたしまして、各自治体において、地域の実情に応じた多文化共生の計画や指針の作成を促してきたところでございます。このプランの提示から約十年が経過いたしまして、外国人住民の出生地が多様化し、また高齢者対策や就学、就労支援施策の比重の高まりなど、施策、課題の重点もシフトしてきていると認識しております。
総務省といたしましては、時代に対応し、地域の課題解決に資する多文化共生施策を推進してまいりたいと考えております。
○輿水委員 どうもありがとうございます。
今、内閣府の方では、日系定住外国人、そういった形でさまざまな取り組みを進められて、地域で現場に即した取り組みが進められている。日系定住外国人約二十万人ということで、約一割、それ以外の百八十万人、その皆さんがまだいる。それぞれの地域でいろいろな取り組みをされている。
今後は、この全体観に立って、日系外国人の方も、また地域に住んでいる方も、総務省また内閣府とよく連携をとりながら、全体としてどういった形で、将来、外国定住者の方が、安心して、この日本の環境の中で、一人の、支える一員として大きく成長できるか、生活できるか、そういったこともぜひ考えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、核兵器のない世界を目指しての日本のリーダーシップについて伺いたいと思います。
先日、NPTの再検討会議では、残念ながら最終文書の採択には至らなかった。しかし、その際、日本が核の非人道性を一生懸命訴えて、そして、広島の地、また被爆地で、そういった皆さんを集めて、NPTという会議ではなくて、新しい、民間レベル、また一人一人の思いから新しい情報を発信していく、そういった土壌はできたのかな、このように考えているわけでございます。
まさに原爆が投下されて七十年の節目に当たる、こういったときに、あらゆる人脈を使いながら、被爆地である広島と長崎に世界のリーダーあるいは世界のミュージシャンや俳優などを迎えて、新たな核兵器のない世界へのメッセージを発信し、そのことで世界じゅうの核を廃絶するための意識を醸成していく、こういった取り組みも必要かと思うんですけれども、考えをお聞かせ願えますでしょうか。
○引原政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は、核兵器のない世界の実現のためには、核兵器国と非核兵器国が協力をしていくということが不可欠であると認識しておりまして、そのための触媒として、核兵器の非人道性に対する認識の共有というのは極めて大切でございます。
核兵器の非人道性の認識を高めるためには、ただいま委員御指摘ありましたように、各国の政治指導者あるいは若者、世界じゅうのさまざまな人たちが広島、長崎を訪れて、自分の目で被爆の実相に直接触れていただく、それによって、核兵器のない世界に向けた思いを共有していただくということが大変有意義でございます。これが、核兵器のない世界の実現に向けた機運を高め、国際的な核軍縮・不拡散の推進につながるものと認識をしております。
こうした観点から、我が国といたしましては、例えば、昨年四月に軍縮・不拡散イニシアチブの外相会合を広島で開催いたしました。その際に、このグループのメンバーの外相その他多くの方々に被爆の実相に直接触れていただく、あるいはこのグループ参加各国の若者によるユース非核交流プログラムといったようなものも実施したところでございます。
また、そのほかにも、これまで、さまざまな機会、各国要人や国際機関の長の訪日の機会等には、広島、長崎への訪問の機会を設けるように努めているところでございます。
また、我が国は、先週閉幕いたしました二〇一五年NPT運用検討会議の初日に、岸田大臣から、一般討論演説の中で、世界の政治指導者あるいは若者が被爆地を訪問し、自分の目で被爆の実相を見ていただく、このことを呼びかけ、最終的にコンセンサスは成立いたしませんでしたけれども、全体議長により提示された最終文書案にもこの趣旨が盛り込まれたというところでございます。
今後の具体的な取り組みといたしましては、例えば、本年八月に広島で予定されております国連軍縮会議、あるいは十一月に長崎で予定されておりますパグウォッシュ会議、こうした会議を通じて、その会議の参加者に被爆の実相を見ていただく、あるいはその機会に、広島・長崎ピースプログラムとして、二万人を超える若者の方々に被爆地を訪れていただく、こういったことを予定しております。
こういったことも踏まえて、今後とも、さまざまな機会を活用しながら、唯一の戦争被爆国として引き続き被爆の認識を世界に広めていく、こうしたことを通じて、核軍縮の取り組みにおける国際社会の機運の向上ということに努めてまいりたいということでございます。
以上でございます。
○輿水委員 どうもありがとうございました。
唯一の被爆国として、そういった核軍縮への機運を、また、世界のそういった意識の醸成をしっかりと進めていただきたい、このように思います。
あと、きょう、ギャンブル依存症の実態の調査という質問もあったんですけれども、本当に時間の都合で、次回に回させていただきたいと思います。
本日は大変にありがとうございました。
○井上委員長 次に、小沢鋭仁君。
○小沢(鋭)委員 維新の党の小沢鋭仁でございます。
一般質疑ということで質疑をさせていただきます。
先日までの個人情報保護法あるいはマイナンバーのときにやり切れなかった、いわゆる保護と裏表になるサイバーセキュリティーの問題を主にテーマで取り上げたい、こういうふうに思っております。
ただ、サイバーセキュリティーの問題に入る前に、まず、我が国全体の危機管理の全体像を確認させていただきたいと思うわけであります。
サイバーセキュリティーだけではない、一般的に危機管理、こういう話がありますね。この間もドローンの問題をこの委員会でもやらせていただきましたが、危機管理全体の全体像をおさらいしたいと思います。御説明いただけますか。
○藤山政府参考人 我が国の危機管理の体制ということのお尋ねでございますが、まず、内閣法の十五条というのがございまして、ここで、内閣官房に内閣危機管理監を置くこととされております。内閣危機管理監は、内閣官房長官等を助け、危機管理を統理することとされております。
具体的には、危機管理監を中心としまして、危機管理を担当する内閣官房副長官補というのがありまして、このもとに、緊急事態の対処のため、内閣の審議官あるいは内閣参事官等所要の人員を配置しておりまして、危機管理に万全を期しております。
運用でございますけれども、現実に緊急事態が発生した場合におきましては、危機管理監を室長とする官邸対策室、これは特に大規模事案の場合でございますけれども、置くことになります。そのもとに関係省庁の局長級から成る緊急参集チームを招集するといったようなことをやりまして、政府として、初動措置の万全を期すというような対応を行うということにしております。
○小沢(鋭)委員 危機管理監という役職は私もよく承知しているんですが、そうなると、いわゆる責任者というのは、その上の官房長官、こういう形になるんですか。
○藤山政府参考人 危機管理を担当する閣僚ということになりますと、内閣官房長官ということになります。
○小沢(鋭)委員 もう一つ、サイバーセキュリティーに入る前に、危機管理といえば、国民が一番心配する問題は核施設ですね。ですから、核施設に対する危機管理は今どうなっているかという点をお聞かせいただきたいと思います。
いわゆる原子力発電所は、ある意味でいえば、民間の電力会社が運営している、こういう話になりますから、民間企業によって管理をする、こういう話が基本だろうとは思いますけれども、ただ、事件がもし起こった場合の重大性あるいはまた公共性、こういうことで考えれば、政府としてもそういったことに対する対応というのはある程度やはりやっていなきゃいけないんじゃないか、こう思うわけであります。
まず、そういった原子力発電所、核施設に関する危機管理はどうなっているかという点を御説明いただけますか。
○片山政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、原子力発電所に対する核セキュリティーの確保というのは極めて大事な課題だというふうに考えてございます。
原子炉等規制法に基づきまして、事業者に対しまして、テロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めているところでございます。
具体的には、原子力施設の周辺に立ち入り制限区域、周辺防護区域を設けまして、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、また、警備員による巡視を実施することを要求しております。
さらに、海水冷却ポンプなどの屋外にある重要な施設、あるいは原子炉建屋内の重要な設備を大きな衝撃から守るために、周辺に防護壁を設置することなどを規制要求として求めているところでございます。
これらの措置につきましては、原子力規制委員会が、事業者の実施します核物質防護措置の内容や体制について審査を行うとともに、とられている措置の有効性について定期的に検査を行うということとしております。
さらに、原子力発電所の警備について申し上げますと、警察の銃器対策部隊が二十四時間体制で常駐警備などを実施するとともに、海上保安庁では全国の原子力関連施設の周辺海域に巡視船艇を常時配備しているというところでございます。
いずれにいたしましても、原子力規制委員会といたしましては、関係省庁とも連携しつつ、原子力発電所などのセキュリティーの確保に万全を期してまいりたいというふうに考えてございます。
○小沢(鋭)委員 外国ではいわゆる軍隊による警備、こういう話があるやに聞いておりますけれども、今の規制庁さんの御説明だと、まず警察権、こういうことになるわけですね。警察もしくは海上保安庁、こういう話になるわけですが、それで十分だ、こういう認識なんでしょうか。
○片山政府参考人 原子力規制委員会といたしましては、我々のミッションというのは、事業者に対して自主警備の範疇でできるあらゆる措置を講じることを担保するというのが我々のミッションだというふうに考えてございます。その上で、先ほど御説明いたしましたような警備体制というものを警察及び海上保安庁の方でしっかりととっていただいているものというふうに認識をしております。
○小沢(鋭)委員 先ほどの立ち入り制限区域の設定、こういう話ですが、これはどこがやるんですか。規制庁がやるんですか、それとも民間会社がやるんでしょうか。
○片山政府参考人 立ち入り制限区域、周辺防護区域の設定をすること自体は、規制委員会が規制上の要求事項として事業者に対して要求をしております。
その上で、事業者が、置かれている施設の状況などを勘案いたしまして、この区域を具体的に設定いたします。その設定が妥当かどうかを規制委員会が審査をし、なおかつ、その有効性が確保されているかどうかを定期的に検査で確認する、こういう仕組みになってございます。
○小沢(鋭)委員 そうしますと、まず一番とにかく心配なのはテロですよね。それも、いわゆる直接的な施設へのテロの問題、それから、この間ドローンの話がありましたけれども、上空から、これはミサイルも含めて考え得るわけですね。そういったことも含めて、今、規制庁の方はしっかりと考えていただいている、こういうことでよろしいんでしょうか。
○片山政府参考人 お答えいたします。
ドローンを含みます小型無人航空機の問題につきましては、今、関係省庁の連絡会議の中で政府として対応が検討されているものと承知しております。原子力規制庁もその中に参画をして対応を検討してございます。
具体的には、事案が発生した直後から、原子力事業者に対して、上空からそういう飛来物が来た場合にそれが発見できるように、日常の巡視のルートあるいは屋上の確認ということを指示してございます。
また、核物質防護措置を求めております全ての原子力事業者に対しまして、今後さらにそういった措置の有効性を向上させるために、監視カメラの設置等の措置を講じることを今検討を求めているところでございます。
○小沢(鋭)委員 いわゆるテロとかミサイルとかそういった大規模事案に関して、警察とかそういったところとの協議というのはしているんでしょうか。
○片山政府参考人 お答えいたします。
核セキュリティーの確保につきましては、幾つも関係省庁がかかわる問題でございまして、関係省庁連絡会議を設置して、常日ごろから連携をとっているところでございます。
また、事業者に対しましては、最低年に一回、核物質防護の訓練というものを義務づけております。それに当たりましては、事業者のみならず、治安機関と連携をしながらの訓練ということも行われているところでございまして、そういう意味で、規制の中で各事業者それから治安機関が連携しながら、しっかりとした警備体制の有効性というのが確認できるようなことを常日ごろからやっているところでございます。
○小沢(鋭)委員 サイバーセキュリティーの話に入りたいと思いますので、核施設に関してはこのくらいにしますが、しっかりと御対応を改めてお願いしておきたいと思います。
それでは、本題のサイバーセキュリティーに入らせていただきたいと思います。
報道を見ておりましたらば、この二十五日ですか、政府の方でサイバーセキュリティ本部の会合が行われておりますね。昨年にサイバーセキュリティ基本法ができてからは初めて、それから戦略を更新するのは二〇一三年以来二年ぶり、こういうことでございます。
まず、このサイバーセキュリティーの問題、どういったシステムで、全体像がどのような形でサイバーセキュリティーに対応しているのか、お聞かせいただけますでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
近年、サイバー攻撃の態様は一層複雑、巧妙化をしておりまして、我が国の重要な情報の窃取を意図したと考えられる攻撃が発生するなど、その脅威は深刻さを増しているところでございます。したがいまして、サイバーセキュリティー対策は我が国の危機管理にとって必要不可欠なものであるというふうに認識しております。
このため、政府におきましては、今委員御指摘のとおり、昨年秋の臨時国会で成立をいたしましたサイバーセキュリティ基本法に基づきまして、本年一月、内閣にサイバーセキュリティ戦略本部を設置いたしまして、情報集約機能の強化、あるいは関係府省への監査権限の付与など、我が国におけるサイバーセキュリティー推進体制の一層の強化を図ったところでございます。
政府といたしましては、このサイバーセキュリティ戦略本部を司令塔といたしまして、関係省庁と連携をしながら、サイバーセキュリティー対策に万全を期してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小沢(鋭)委員 最近話題になったのは、ソニーのアメリカの映画会社、それに対するサイバーアタックが行われて、映画を公開するとか公開しないとか、大変話題になりましたよね。たしかこれはオバマ大統領まで登場して発言をした、こういうような話があって、これは北朝鮮からのサイバーアタックだ、米国はこういうふうに認定をして、ある意味で、国と国との関係、こういうような話にまでなっている、こういうことだろうと思うんですね。
そういう意味において、ある意味では大変重要な課題になっているわけですけれども、例えば、サイバーセキュリティーに関して、集中的にそういう研究をしている機関とか、そういうものは今存在しているんでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
サイバーセキュリティーの分野におきましても、やはり技術開発、研究開発というのが非常に重要な分野でございます。そういった意味では、総務省所管のNICT、それから産業総合研究所、こういったところにおきまして、こうしたサイバーセキュリティー関係の研究開発などに取り組んでいるところでございます。
○小沢(鋭)委員 アメリカの例を見ると、軍もやり、あるいはまたCIAもやり、こういう話になっていて、仮想空間、サイバー空間というのは、ある意味では、領海、領空、領土、それに次ぐ一つの空間体だ、こういう話でありますし、さらにはまた、これは、インターナショナルという言葉なんかが不要な、ある意味ではもう当然な世界になっているわけですね。
ですから、そういった意味において、大変重要で、なおかつ広い対応が必要だ、こう思っているわけで、しっかりとその本部の方で各省庁連携をとってやっていただきたい、こういうふうにまずお願いをいたします。
その上で、ちょっとお尋ねをいたしますが、政府機関へのサイバーアタック被害という点をお聞かせいただきたいと思います。
聞くところによりますと、毎日すさまじい数のアタックがある、こういうふうに聞いているんですね。衆議院の方も、去年でしたか、何か衆議院のシステムにアタックがあったということがありますが、そういった状況をお聞かせいただけますでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
政府機関に対するサイバー攻撃でございますけれども、これへの対応につきましては、私ども、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCにおきまして、各府省等にセンサーを設置いたしまして、サイバー攻撃あるいはその準備動作などを二十四時間三百六十五日検知をする業務を行っているところでございます。
政府機関への脅威と認知されたサイバー攻撃等の件数でございますけれども、平成二十四年度、百八万件に対しまして、平成二十五年度はその約五倍の約五百八万件、六秒に一回攻撃を感知しているという状態でございます。
また、この監視活動によりまして不正アクセス等を検知した際には、私どもNISCから当該政府機関への通報を行っておりますけれども、平成二十五年度におきましては、百三十九件の通報を行ったところでございます。
さらに、政府機関が受信をいたします不審なメールにつきまして、情報の集約と注意喚起を行っているところでございますが、平成二十五年度におきましては、三百八十一件の注意喚起文書を各府省に発出しているところでございます。
このように、近年、サイバー攻撃の態様が一層複雑、巧妙化をし、その脅威が深刻さを増しているところでございまして、サイバーセキュリティー確保はますます重要な政策課題となってきているものというふうに認識をしております。
○小沢(鋭)委員 もう一回確認ですが、平成二十四年が百八万件、平成二十五年、五百八万件でよろしいですか。(谷脇政府参考人「はい」と呼ぶ)すごい数ですよね。
これで、今まで何か支障が起こったことというのはあったんでしたか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
政府機関におきまして、例えば、攻撃を受けまして、そして中央省庁等の情報システムのパソコンが感染をいたしまして、情報が一部外部に送信されたといった可能性があるというような発表が行われているところでございます。そういった意味では、被害が発生しているということでございます。
○小沢(鋭)委員 これまた新聞報道によりますと、三月十八日に政府はサイバー攻撃に対するサイバー訓練を行った、こういう報道があるんですが、これは、訓練というのはどうやって、警察庁がトップであった、こういう話も出ているんですけれども、どういう形で評価をしたんですか。ちょっと興味があるものですから、お聞かせください。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の訓練でございますけれども、十二省庁の参加を得まして、そして、疑似的なLAN環境、情報システムの環境を構築しております総務省のシステムを利用する形になりますけれども、各省庁四人一チームという形で、さまざまな課題をどんどん付与してまいりまして、そして、タイムトライアル方式で、それぞれの区間賞、それから全体の総合力を見るといったような訓練を行ったところでございます。その結果といたしまして、警察庁が優勝をしたということでございます。
こういった取り組みを通じまして、各省庁のサイバーインシデントに対する対処能力の向上、強化を図ってまいる、こういった狙いで行っているところでございます。
○小沢(鋭)委員 とにかく、五百八万件、こういう話は、裏返して言うと、誰かが五百八万件をやったんですよね、サイバーアタックを。五百八万人の人という意味ではないですけれども、同じ人が何度ももちろんやっているんでしょうが、そこのところにはそれだけのアタックがある、こういう話であります。コンピューターというのはむちゃくちゃ速いですから、そういう意味では、一瞬やれば、同じことを一秒の間に何回、こういう話もカウントになるのはわかりますけれども、いずれにしても、改めて、すごい数があるんだな、こういうことでありますし、しっかりと対応をお願いしたい、こう思います。
サイバーとは若干違うんですけれども、割とそれに類似の話で、最近のいわゆるクレジット社会でのクレジットカードの問題、これをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
もう我々もクレジットカードでの決済というのが日常茶飯事になっているわけでありまして、このクレジットカードでの決済の被害とか事件とか、そういったものに対しての御説明をお願いできますでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
日本クレジット協会が実施いたしました調査によりますと、平成二十六年、暦年でございますが、クレジットカードの不正使用による被害額は約百六億円でございました。
○小沢(鋭)委員 具体的にどんなケースがあるかみたいな話は御説明いただけますか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
この被害額百六億円のうち、偽造カードによる被害が約十八億円、それから、クレジット番号を盗まれた盗用被害というのが非常に多くございまして、これが約六十億円を占めております。
○小沢(鋭)委員 こういう被害に対しての対応というのはどういうふうになっているんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
政府といたしましては、平成二十年に割賦販売法を改正いたしまして、クレジットカード会社に対しまして、先ほど申しましたように、番号盗用による被害が一番多いという観点から、情報保護のために必要な措置を法律上義務づけたところでございます。
それからまた、最近、加盟店からのカード番号漏えいが発生しているということを踏まえまして、クレジット取引のセキュリティー対策全般を強化するという観点から、本年三月に、クレジットカード会社に加えまして幅広い関係業界等が一体となって協力して取り組んでいくということを目的といたしました、クレジット取引セキュリティ対策協議会を立ち上げたところでございます。
この検討を進め、対策、取り組みの加速を図ってまいりたいと考えているところでございます。
○小沢(鋭)委員 もう少しこれは詰めたいなとも思うし、法的な対応なんかもこれで足りているのかな、こういう思いがありますが、ほかにも通告をして来ていただいているところがありますので、とりあえずクレジットの話はこれまでということで、銀行のサイバーセキュリティーについて質問をしたいと思います。
まさに、我々の銀行預金、郵便貯金も含めてですが、もう本当に、ネットの中での取引も行われていて、そういった意味では、キャッシュを持つなんということはほとんどないわけですね。例えば、私がもし百万円預けていたとして、その金融機関でサイバーアタックが行われてなくなっちゃう、こういう話も十分あり得る、こう思うわけでありますけれども、銀行のサイバーセキュリティーに関しては、どういう対応を政府としては求めているか。
時間もありませんので、ついでに。普通は、銀行に関してのいろいろな取り締まりというのは金融商品取引法になるわけですね。ただ、金融商品取引法にはサイバー攻撃は想定されていない、こういうふうに理解しておりますが、そこに関して金融庁はどのようにお考えになっているか。
二点お願いします。
○氷見野政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、銀行業務もほとんどシステムに依存するようになっておりますし、取引もインターネット経由がふえておるということで、銀行のサイバーセキュリティー対策というのは極めて重要になってきておると思います。
二つ目の御質問にもかかわりますけれども、金融庁といたしましては、銀行法に基づきます監督指針あるいは検査マニュアルでサイバーセキュリティー対策についてチェックポイントを定めておりまして、本年の四月にも、最近の展開を踏まえまして、規定をアップデートしたところでございます。
それで、どういった点を金融機関に求めておるかという点でございますが、まず、銀行関係のサイバーアタックとしては、銀行のシステム自体が攻撃を受ける場合と、インターネットバンキングをされておられるお客様が攻撃を受ける場合と、二種類があるわけでございます。
まず一つ目の、銀行自身がアタックを受けるときの対策としましては、まず、システムに不正に侵入されないようにする入り口対策、これは当然講じるわけでありますけれども、入り口で防御し切れない場合、一旦入り込まれた後の内部対策、さらに、入り込まれた後、持ち出していく情報、お客様の情報みたいなものを監視する出口対策ですとか、そういった多段階で防御体制をしくということを求めております。また、実際に問題が生じたときの緊急対応のためのチーム、これは組織内CSIRTと呼んでおりますが、そうしたチームをつくるとか、コンティンジェンシープランを策定するといったこと、また、顧客データなどについてはバックアップセンターを用意しておくとか、そういった点を求めておるところでございます。
また、二つ目の類型であります、インターネットバンキングをしているお客様が攻撃を受けるという場合でありますけれども、そうしたことを防ぐためには、お客様本人の指図であるということが確認できるための認証の方法を、より高度なものにするとか、複数の対策を組み合わせる、あるいはお客様の取引状況をモニタリングして異常な取引は検知して対応する、さらにはお客様への注意喚起、また、被害に遭われたお客様への補償については銀行界で申し合わせを行っておるところですが、こうした対応が行われているところでございます。
ただ、非常に変化の激しい分野でございますので、私どもも日々研さんいたしまして、関係機関ともよく連携しながら、適切な監督に努めてまいりたいと考えております。
○小沢(鋭)委員 この問題ももうちょっと詰めたいんですけれども、時間がないので次に行きたいと思います。
情報セキュリティーの技術者の育成、こういう話で、ロンドン・オリンピックのときに対応した話がありまして、いわゆるトップガンと呼ばれる、対策チームを率いる能力のある人材を必要としている、こういう話がありますが、その人材育成に関してお聞かせいただけますか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
独立行政法人情報処理推進機構、IPAの試算によりますと、我が国国内の情報セキュリティー技術者は約二十六・五万人おりますが、そのうち約十六万人が必要な能力を満たしていない、また、潜在的に約八万人不足しているとされております。そういった意味では、質的にも量的にもセキュリティーを担う人材が不足をしているという状況でございます。
こうした中、平成二十六年五月、政府といたしまして、新・情報セキュリティ人材育成プログラムを決定いたしまして、人材の育成に努めているところでございます。
具体的には、大学や産業界の全国的なネットワークを通じた実践的な専門人材の育成ですとか、国内外の参加者が攻撃と防御の能力を競い合うコンテストなどの場を通じた突出した人材の発掘、組織内のネットワークを模擬した大規模環境を用いた実践的なサイバー防御演習の実施などを行っているところでございます。
また、本年一月に全面施行されましたサイバーセキュリティ基本法を踏まえまして、人材育成を含む新しいサイバーセキュリティ戦略を本年六月を目途に政府として決定すべく、検討を進めているところでございます。
二〇二〇年、委員御指摘のオリンピック・パラリンピック東京大会に向けまして、セキュリティー人材の育成は極めて重要な課題であると考えておりまして、政府といたしましても、引き続き、セキュリティー技術者の育成、確保に向けた施策を展開してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○小沢(鋭)委員 ちょっと時間が来ちゃったんですが、辻さんに最後に一点。
この話、本当に、さっきも言ったように、国際的にどこに犯人がいるかわからない、こういう話ですよね。そういった国際連携について一言御説明をいただいて、終わりにしたいと思います。
○辻政府参考人 お答え申し上げます。
サイバー犯罪は、容易に国境を越えて行われ、一国だけでは解決できない問題でございます。
警察では、これまでも、ICPO、国際刑事警察機構でございますけれども、こういったところ、あるいは刑事共助条約、サイバー犯罪条約等の国際捜査共助の枠組みを活用するとともに、各国の捜査機関との緊密な連携や情報共有を推進することにより、国境を越えて行われるサイバー犯罪に対処しているところでございます。
さらに、本年四月には、ICPOのサイバー犯罪対策等の拠点であります国際刑事警察機構シンガポール総局、頭文字をとってIGCIというふうに呼んでおりますけれども、これが開所されたところでございまして、このIGCIを通じまして、サイバー犯罪に係る多国間の捜査協力の一層の促進が期待されるところでございます。
複雑、巧妙化するサイバー犯罪に対処するため、今後とも、外国の捜査機関との連携強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小沢(鋭)委員 時間ですので、終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、佐々木隆博君。
○佐々木(隆)委員 おはようございます。
きょうは、甘利大臣、この間、TPPで一度議論させていただいたんですが、引き続き甘利大臣といろいろ議論をさせていただきたいと思います。
きょうはTPPに触れる時間はありませんので、そこまではいかないと思いますが、大変御苦労いただいていることと、頑張っていただいている、我々、むしろTPP反対の立場ではありますが、その中で甘利大臣には大変御奮闘いただいているというふうに私は感じておりますので、ぜひ日本の思いをしっかり受けとめて頑張っていただきたいということを申し上げたいと思います。
きょうは、経済対策一般について、所管する甘利大臣に、情報といいますか思いをどこまで共有できるかわかりませんが、できるだけ共有したいという思いでいろいろと質問させていただきたいと思います。
つい先日、二十日ですか、GDPの速報値が出されてございます。二・四%増ということの発表でございますけれども、そのGDPの速報値について、甘利大臣としてといいますか、政府としてどのように分析しておられるのかということについてお伺いをしたいと思います。
それと関連をしますが、ジニ係数の話がよくこれと連動して出されるんですが、受け取りのジニ係数が〇・五五三六、再配分後が〇・三七九一というふうに公表されておりますが、これもあわせてお伺いをしたいと思います。
○甘利国務大臣 TPP交渉に対する激励、ありがとうございます。
GDPのこの一―三の速報値が発表されたところであります。
実質GDP成長率は、前期比、年率でいいますと二・四%の伸びとなりまして、二四半期連続でプラス成長となりました。
それから、これも大事なんですが、名目成長率であります。これは前期比で年率七・七%という極めて大きい伸びでありますが、少しげたが履かせてあるわけでありまして、原油価格の下落の影響によって輸入デフレーターが大幅に低下をして、それがGDPデフレーターを上昇させた結果、こうなっております。三、四%引いたところが正確なところかなというふうにも思っております。
いずれにいたしましても、実質、名目とも大きな伸びになっているということは、堅調に景気が回復しているということで、歓迎したいと思います。
要因でありますけれども、これは、個人消費それから住宅投資といったいわゆる民需の項目が増加したということが挙げられます。
細かく申し上げますと、民間消費、これが一―三期〇・四%、住宅が一・八%、それから設備投資が〇・四%ということになっております。
全体としての判断でありますけれども、雇用それから所得環境の改善が続く、そういう中で、実は、これまで改善の動きが見られていた企業部門では、設備投資はおおむね横ばいという判断であります。それから、生産の一部では若干弱さも見られる。企業部門では改善に一服感が見られる。しかし一方、申し上げましたように、家計部門で前向きな動きが見られるようになった。でありますから、緩やかな回復基調が続いているという判断をしているところであります。
それから、ジニ係数というお話がありました。
OECDが五月の二十一日に公表したわけでありますが、実は、このバックデータはまだ直近のものが供給をされておりませんで、これは二〇〇九年のデータによるものであります。
OECDの格差に関する報告書では、この三十年近くに、多くのOECD参加諸国の所得格差が拡大をして、格差が重要な政策アジェンダになってきたという状況を紹介した上で、成長の果実を分配して格差の縮小を図るために幾つかやることがある、それは、女性の活用であり、雇用の促進であり、技能の向上、教育、それから所得再分配といった政策の必要性を指摘しているわけであります。
格差の問題につきましては、基本的には、分配するためにはその原資が必要でありますから、分配する原資を経済成長によってまず第一義的にしっかり確保することが必要である。それをどう分配していくかということになるわけであります。格差が固定化されずに、人々の許容範囲を超えたものにならないということが大事だと思っております。
御指摘のジニ係数の動向を見ますと、我が国の場合は、当初の所得に比較して、税とか社会保障による再分配後の所得の格差というのはおおむね横ばいで推移をしているというふうに思っております。それから、相対的貧困率につきましては、おおむねこれは緩やかに上昇している。この背景でありますけれども、単身の高齢者世帯であるとかあるいは母子家庭の増加ということが影響しているものというふうに認識をいたしております。
対策としては各種手を打っておりますが、具体的な政策として、高校等の奨学金制度の拡充であるとか、あるいは単身の親世帯の就職の支援であるとか、いろいろそういう政策的な支援をしていくことと、それから再分配機能としては、所得税と相続税の最高税率を引き上げて税による再分配機能を強化している等々に取り組んでいるところでございます。
○佐々木(隆)委員 今OECDのことも触れていただきましたが、OECDのこの報告によると、OECDの格差が拡大しているという平均が九・六倍というふうに公表されておりますけれども、日本だけを見ますと、八〇年代で七倍、九〇年代で八倍、そして今回、十・七倍ですから、むしろ拡大し続けている。直近がないと今大臣おっしゃられましたが、この数字を見る限りにおいては、格差が拡大をしているのではないかというふうに見ざるを得ないと思うんですね。
この後、相対貧困率で見ますと、日本が今一六・一でありますけれども、OECDの平均は一一でありますので、それよりも、日本の場合は貧困率が平均値よりも高いということになるわけです。それらの中で、幾つかの要因を少し大臣と議論させていただきたいというふうに思うんです。
実は、今大臣の方からも、税の幾つかの対策の中で、奨学金だとか単身の親とかあるいは税の再配分とかいうことについて触れられましたが、これは、ことしの三月十日、麻生財務大臣が国会答弁で、所得税は昭和六十年代ぐらいから大幅な累進緩和をしてきた、再配分の機能が低下したという指摘がなされているというふうに、再配分の機能が低下しているということを答弁でおっしゃっておられます。それから、二〇〇九年の経済財政白書ですが、これによると、我が国は税による再配分効果が極めて小さいというふうに言っておられるわけですね。
そういった状況の中で、幾つかの要因を少し議論させていただきたいんです。
まずは雇用という面で見ますと、きょう皆さん方のところに配付をさせていただきましたが、非正規雇用が、グラフが拡大し続けているのは、これはもう御案内のとおりであります。棒グラフの下の方が正規雇用で、上の方が非正規雇用。非正規雇用の割合は俗に四割に届くとよく言われていますが、三七・七%なんです。問題はその裏なんですけれども、階層別に見た場合に、平成九年と平成二十四年の比較ですけれども、一千五百万以上あるいは一千万以上のところはそんなに格差は開いていないんです。ところが、二百万以下のところで格差がずっと拡大をしているというのが、二ページ目のところですね。下層という言い方をしたら申しわけないんですが、所得の低いところの人たちの方で格差が拡大をしているというふうなことが公表されてございます。
また、男女格差も、世界の中では百四番目と、大変低いところにあるわけでありますので、非正規雇用の問題とか、いわゆる階層分解とかあるいは男女格差とか、こういったことが現実には広がってきているのではないかというのがこれらのデータから読み取れるわけでありますが、その点についての分析とお考えを伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 まず、議論の前提といたしまして、OECDのデータ、貧困度合いを比較するというデータが、日本の統計は、厚労省の統計と総務省の統計と両方やっております。厚労省の統計ですと、先生御指摘の一六・幾つですよね、OECDの中では劣等生。しかし、総務省のデータですと一〇・幾つで、OECD平均値よりいい数字になっているんですね。これは、対象のとり方とかいろいろあります。
それで、委員会でも議論になりました。そのときに、両方をきちんと整合性をとったデータをOECDに提供するということからした方がいいということで、今その調整をやっております。委員会でも、それをせよということの御指摘をいただいて、今させているわけでありますが、多分、六月上旬にはその調整結果が提示できると思います。
OECDには、直近では、厚労省のデータだとこう、総務省のデータだとこうと、両方出してありまして、日本は二つのスタンダードが出ちゃっているものですから、この整合性をとるという作業をしております。ですから、今まで出している厚労省のデータよりは改善をされているというふうに思います。
それから、今御指摘のこのグラフでございます。この一番の原因は、申し上げましたように、非正規の参加率がふえているということがまず挙げられると思います。それから、高齢者世帯がふえているという、この二つが大きい原因、それから母子家庭の増加、それぞれが原因だと思います。
非正規がふえるというのは、景気がデフレで悪い状態から改善をしていくときに、まず、雇用というのは、非正規からスタートして、それから正規にとつながっていくわけで、いきなり正規がどんとふえるという現象には残念ながらなかなかならないのであります。その非正規、つまり、所得がゼロだった人が、労働市場に参加をして、百万なり二百万なりという所得環境に変わってくるということが一番大きい原因だと思います。
我々も、この安倍政権下で取り組んできたことは、男女の賃金格差を縮めていこうということと、正規、非正規の賃金格差を縮めていこうということに取り組んでおります。ですから、政労使の三者の会議でも、使用者側から、正規の賃上げだけじゃなくて、非正規の時間当たり単価も引き上げましたという報告が随分来ました。統計をとってみますと、男女間の賃金格差、それから正規、非正規の賃金格差は縮まっているということは事実であります。
それから、もう一点、直近の統計をとりますと、正規が非正規に変わっちゃうということと、非正規が正規に変わるという、これはいい方の変わり方だと思いますけれども、この二つの比較をします。働き盛り世代、つまり十五から六十四まで、いわゆる働き盛り、一般的な労働世代の中での比較をしますと、直近では、正規が非正規に変わる比率よりも、非正規が正規に変わる比率の方がふえてきております。これはいい傾向だと思います。
それから、最近では、正規の有効求人倍率がかなり上がってきました。これも景気の回復の中でいい傾向が出ていると思います。
もちろん、それで全部済んでいると言うつもりはございません。最賃を上げていく。最賃も、この我々の二年間で、十五円、二年目で十六円と上がりました。その前、もちろん民主党政権下でも頑張られたわけなのは認識しておりますけれども、三年間平均で十二円でした。
ただ、この十二円もなかなか立派なものだと思います。私が労働大臣のときの経験では、最賃というのは、二円、三円上げるのに大騒ぎだったんです。それが二桁がずっと、民主党政権下で平均で十二円で三年間続いている。安倍政権になって十五円、十六円。これは、昔から見れば、相当それぞれの政権が努力をしているあかしだというふうには思っております。
○佐々木(隆)委員 今のOECDに提供しているデータですか、それについてはぜひ統一をしていただきたいと思います。我々が議論をするときに、こっちが厚労省の方で質問するといったら、そっちは総務省で答えるというのでは、いつまでたってもかみ合わない議論になりますので、ここはやはり、調査の基準も含めて明らかにしていただいて、統一をしていただくということで、同じデータで同じ議論をしていくことが必要だというふうに思いますので、そこはよくお願いを申し上げたいと思います。
今大臣から、景気全体が少し上向いていることは私もそうだとは思うんですが、その中で、今幾つかお話をいただいた男女間のことや、あるいは正規、非正規の関係については、一定程度私も理解をしてございます。
ただ、世界から比べて総体が低いという、特に男女の場合なんかは、特に女性の場合ですが、低いときに、それが上がったからといってそれで満足できる状態にはまだないということは、共通認識として持っていかなきゃいけないと思います。
もう一つは、子供についてであります。
子供の貧困率というのは一六・三というふうに言われていて、相対貧困率が先ほど一六・一というふうに申し上げたので、これを上回っている状況に今あるわけであります。就学援助という制度を利用している人たちもふえているという数字が出てございます。また、これはよく使われる数字ですが、高校の中途退学者が、経済的事由を理由とするものが、これもふえているというような状況で、いわゆる親の貧困が子供の学歴に影響してしまうということに固定化してしまうのではないかということが大変心配されているわけでありますが、これらについて今の分析、そしてお考えを伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、大事なことは、貧困の連鎖が起きてはいけない、親が貧困なら子供も貧困というその連鎖を断ち切らなきゃならない、これは全く共通の認識でございます。
現状がどうなっているかということを申し上げると、残念ながら、子供の貧困率というのは、相対的貧困率と同様に、長期的な傾向としては、緩やかではありますけれども上昇をしています。これはいいことではありません、日本の未来を支えていく子供の健やかな育ちを支えて、将来、社会での活躍につなげていくということが、我が国経済社会の成長の源泉になるわけでありますから。
冒頭、共通の思いを持っていますと申し上げたように、子供の将来がそのまま生まれ育った環境によって左右されるということがないように、子供の貧困対策に取り組むことは極めて重要だというふうに思っております。
現在、政府といたしましては、昨年の骨太方針を踏まえまして、子供の貧困政策に関する大綱を策定し、子供の貧困対策を総合的に推進していくというところであります。
若干先ほど申し上げましたけれども、この大綱の中で、当面の重点施策として教育の支援があります。高校生等奨学給付金の拡充、あるいはスクールソーシャルワーカーの配置の拡大等ですね。それから、保護者に対する就労の支援、一人親家庭の親の就業支援、しっかりした収入が得られるような職につくことを支援していく、これが子供の教育に対する支出をしっかり確保していくということにもなろうかと思います。それから、そのほかに、生活の支援であるとか経済的支援に取り組むということにいたしております。
子供の貧困対策の重要性を踏まえて、ことしの骨太方針の策定に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○佐々木(隆)委員 ありがとうございます。
これは、子どもサポーターズとしま、東京の豊島区の、代表をしておられる谷口太規、弁護士さんのようでありますが、が言われているのは、努力次第で自分の未来が変わるという発想を子供が持てないことが問題だと。要するに、親のそういう姿しか見ていない、努力すれば頑張れるというようなことを目の当たりにすることができない状況が続くということが大変問題なんだということを指摘されてございます。
そういった意味も含めて、子供の貧困にぜひ取り組んでいただきたいのと、もう一つは、今重要なのはやはり女性だと思いますね。
これからですが、政府は今、女性活躍ということで法案を出されているわけでありますが、一歩前進というか、半歩前進だとは思うんです、そういう法律ができるということは。
しかし、外国、いわゆるクオータ制を取り入れている国はもう百カ国ぐらいあるというふうにも言われておりますし、それからもう一つ問題なのは、無償労働、いわゆる家事労働をどうやって評価するかということについて、パパクオータというのをやっている国もあるんだそうでありますが、そこが女性の役割だというふうに固定しないというようなさまざまな取り組みがやはり必要なんだろうというふうに思います。
時間がなくなってまいりましたので、今、個人の格差がどうなるかということについてお尋ねをいたしましたが、もう一つは、やはり地域の格差という問題があろうかというふうに思います。
これは、先日、TPPのときにもお示しをさせていただいたデータを配付させていただいております。
一次産業の高い地域がそのまま賃金格差にもなっているというのが、裏側の四ページ目のところがそうなんですが、一次産業の比率の高いところがそのまま今度は賃金は低いというような状況になっているということはこの前もお示しをさせていただいたんですが、今、私も地方創生特にも入っていて、この後、採決もあるんですが、地方を支えているのは一次産業と中小企業です。その一次産業と中小企業を、私は、創生ではなくて再生をどうやってするかということが何よりも必要だと思うんですね。
そういった意味では、一次産業と中小企業の再生というものについて、大臣のお考えを伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 おっしゃるとおり、地域間所得格差を分析しますと、就業者の構成比によるところが多いです。一次産業が多いところは所得が低い、製造業とかあるいは金融、保険とか情報通信のような職種の就業者が多いところは地域所得が高いというふうになっております。
おっしゃるとおり、一つは、所得の高い産業をどうやって育てるかというのもあると思いますが、一次産業をどう高所得化していくかということは基本であります。御指摘のとおりだと思います。私が経産大臣時代に農商工連携というのを打ち出しましたし、民主党政権下では六次産業化というテーマで、これはまさに、一次産業の生産性を上げ、所得を上げていくということであります。これが引き続いて、地方創生の柱の一つとして、委員御指摘は地方再生ですか、の柱として一次産業の所得環境をどう改善していくかということに取り組んでまいるというところでございます。
○佐々木(隆)委員 時間が迫っておりますので、あと一問だけ、お願いを申し上げたいというふうに思います。
今後、全体的にどう成長をつくり上げていこうとされているのかという点についてお伺いをしたいと思うんです。
例えば、きょうも何か円安になったという報道が出されておりましたが、円が十円安くなると一部上場企業は一・九兆円もうかるというふうに言われてございまして、そのほかの非上場企業はマイナス一・二兆円だというふうに言われています。いわゆる輸出が多いか輸入が多いかということだと思うんです。日本の株式会社の数は百二十万社と言われていて、では、一部上場の企業はどのぐらいいるのかというと千七百五十社でありますから、〇・一五%でございます。〇・一五%の人たちが一・九兆円もうかって、その他の人が一・二兆円マイナスするというのが、円がわずか十円動いただけでそういう状況ができてくるということでもあります。
これも前に論議をさせていただきましたが、二〇一三年度の市町村の平均所得、あくまでも平均ですが、これでも格差が拡大しているというふうに言われてございます。これは、小泉時代よりも格差が広がったというふうにも言われてございます。
小泉時代の改革を支えたのはレンタル企業の社長さんでございました、諮問委員の方は。安倍政権を支えているのは人材派遣の方でありまして、日本のGDPを言うときに、個人消費と設備投資、個人消費が六割、そして設備投資が二割だとよく言われます。設備投資がレンタルになって人材が派遣になっちゃったら、これはどっちも伸びないということになっちゃうわけで、ここの考え方というものを、先ほど来大臣自身はおっしゃっておられますが、固定的な雇用と設備投資にしっかり回るという仕組みをやはりつくっていかない限り、GDPを押し上げるということにはならないと思うんですね。
その辺、最後にお伺いをさせていただいて、質問にさせていただきたいと思います。
○甘利国務大臣 企業収益は最高益を更新しています。次もそれをさらに更新すると思います。要は、原資はあるわけですから、それをどう経済の再生、好循環に使うかといったら、賃金を上げる、これは要請しました。下請代金を上げる、要請しました。設備投資が、若干ふえていますけれども、まだ弱いです。償却が済んだ設備で運営しているほど企業はもうかります。しかし、それは短期的な思考です。中長期に向けて競争力を上げるということは、生産性を上げることです。そのための設備投資をしてほしいということを今要請しているところであります。
生産を増強する投資ではなくて、生産性を上げていく、原資をより稼げるような投資をやれば、競争力はついてくる。それをしっかり再配分していくのは、政府がいろいろと適切な策を立てて再配分をし、貧困が固定化しないように取り組んでいきたいと思っております。
○佐々木(隆)委員 時間が参りましたから、きょうはどうもありがとうございました。
マクロだけ国会で論議しても、結果、地域にはしっかり根づかないことになります。それぞれの業態別とか地域別とか、やはりミクロの分析も必要だということを、ある意味でそこは思いを一致させていただいたのではないかというふうに思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、古本伸一郎君。
○古本委員 おはようございます。古本伸一郎でございます。
きょうは、甘利大臣さらには官房副長官、加藤副長官もお出ましをいただいております。
まず、委員長のお許しをいただきまして資料をお配りさせていただいておりますが、めくっていただきまして、三ページをごらんいただきたいと思います。
現在、安保法制については、特委で連日の議論があるわけでありますけれども、ホルムズ海峡への機雷の敷設云々は安保特委に譲るといたしまして、その任務に当たる自衛隊員の皆さんの内面的な部分やらその処遇やらについて少し、あちらの方はいろいろな解釈論でヒートアップしているようでありますので、こちらは、副長官にお出ましいただいています、人事局長も兼ねていると承知しておりますので、少しその辺を議論させていただきたいと思います。
実は、自衛隊員の皆さんの宣誓書というのはよく議論になるんですけれども、改めて、警察職員、消防職員、さらに海保、海保の皆さんも連日の尖閣、東シナ海、南西諸島の警備に当たっていただいているわけでありまして、少し並べて見てみました。
警察と消防は、会議録に残す意味で少し読み上げましょうか、警察は、「何ものにもとらわれず、何ものをも恐れず、何ものをも憎まず、良心のみに従い、不偏不党且つ公平中正に警察職務の遂行に当ることを固く誓います。」消防、「全体の奉仕者として誠実且つ、公正に消防職務の遂行に当たることを固く誓います。」そして海保、きょう海保も来ていただいていますけれども、代読しますと、「不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓います。」
問題は防衛省なんです。せっかく来ていただいていますから、防衛省、この自衛隊員の宣誓書の、とりわけこの下線つきのところをちょっと読み上げていただいていいですか。
○真部政府参考人 失礼いたします。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」
以上です。
○古本委員 これは、自衛隊員二十五万人全て宣誓されていると承知しております。
事に臨んではというのはどういう意味なんでしょうか。防衛省。
○真部政府参考人 この今読み上げさせていただきました部分につきましては、服務の宣誓全体の趣旨ということになろうかと思いますが、我が国の独立と平和を守るという自衛隊の任務の性格から、隊員一人一人に要求される重い責任を自覚させるとともに、隊員となったことによって生じた責務を国民に対して宣誓する趣旨のものでございまして、このため、服務の宣誓における、事に臨んでは危険を顧みずということにつきましては、まさに危険を顧みないことが要求されるような各種の任務、防衛出動を初めといたしまして、領空侵犯対処や海賊対処、PKO等々、平素からこういうことが要求されるあらゆる種類の任務の遂行を前提としたものでございます。
○古本委員 今、局長、防衛出動を初めとおっしゃいましたね。
資料の二ページ。これは内閣府が行われた政府広報ですので間違いないと思いますが、これの前段に、自衛隊の皆さんを支持しますか、要するに、親近感を覚えますか、応援しますかと国民に聞いたら、もう戦後最高ですよ。今、九割を超えています。圧倒的な国民の皆さんの支持のもとで、自衛隊員、陸海空それぞれ頑張っている、心強いという思いで国民が支持していますね。大変とうといことであります。
同時に、この問いの四で、どういうことで自衛隊を評価しているのかという問いかけを問うたところ、八割を超える方が災害派遣ですよ。東日本大震災で昼夜を分かたず行方不明の皆さんを必死で捜すあの姿に、雪降る山村の山奥に、豪雪災害でお年寄りの方をおぶって救出するあの陸自の迷彩服に、心強いと思っている人が八割です。
今回、政府が目指しておられる平和安全法制ですか、あの事柄に当たるだろうというのは大体国民の何割が期待しているとここから読み取れるんですか。これは政府のアンケートですからね。
○真部政府参考人 今回の安全保障法制に関しましては、これは政府としてということになろうかと思いますが、この種の、今御紹介いただいた種類の調査といったものは、私の承知している限りは行われていないのではないかと思います。
○古本委員 少なくとも、この選択肢の中でいえば、海賊対処行動だとか、まさに機雷掃海をせんとする、その読み取れるのは幾つかありますよ。きょうは、これはこれ以上問いませんけれども。余りそんな分野には期待していないということは読み取れますよ。
さて、そういう中で、過去、防衛出動、自衛隊法七十六条、発動したことはありますか。
○真部政府参考人 これまで防衛出動が下令されたことはございません。
○古本委員 今回の安保法制が、国会の議論の行方にもよりますけれども、仮に成立した暁には、今回の安保法制に基づいて派遣されるであろう出動は、自衛隊法六章に定める行動、各種行動がありますけれども、どれに該当しますか。
○真部政府参考人 今回、各種の新たな任務が今の安全保障法制の中に含まれておりますので、それによって異なるかと思いますが、例えば、一例を申し上げれば、いわゆる存立危機事態といったようなことが起こった場合には、先ほど申し上げました防衛出動によって対応することが可能となるところでございます。
○古本委員 副長官、つまり、新三要件を満たした場合には、三要件は、御案内のとおり、必要最小限の実力行使にとどめるべきと言いつつも、実力行使というのはすなわち防衛出動なわけでありますよ。
この防衛出動をした場合、私は、隊員の皆さんの心の中は、国民の皆さんがこぞって、自衛隊、本当にありがとう、本当にお疲れさま、自分たちのために出動してくれるという気持ちで、船で行くのなら、岸壁にみんなで見送りに行く話ですよ。そのときに、広く国民の理解のもとに派遣されたいと思っていると思いますよ。したがって、あっちの特委の議論は、私は、非常に丁寧にやった方がいいと思っているんです。
さて、副長官、この防衛出動をする場合に、過去、イラクのサマワに派遣したときの手当等々も調べていただいたんですけれども、サマワに派遣したとき、あれは防衛出動じゃありませんよね。そのときで日当は幾らでしたか。
○真部政府参考人 手当の額、正確に言いますと、いわゆるイラク特措法に基づく政令で定めておりまして、業務の態様によって金額は変わっておりますが、最高額ということで申し上げますと、日額二万四千円でございます。
○古本委員 今、日額二万四千円という話がありましたけれども、このイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法施行令でやっております。施行令で、内閣総理大臣が定める著しく困難なものを行う場合に、日当二万四千円。これは防衛出動じゃありませんからね。
今度の三要件を満たしたら、防衛出動。防衛出動、特殊な、極めてとうとい任務についていただくこの日当は幾らか、今決まっていますか、副長官。
○真部政府参考人 防衛出動に関しましては、防衛出動手当が支給されることになっております。
具体的には、防衛出動を命じられた場合に、まず共通に認められる勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労条件及び勤務の危険性、困難性その他の著しい特殊性に応じて支給される防衛出動基本手当と、防衛出動時における戦闘またはこれに準ずる勤務の著しい危険性に応じて支給される防衛出動特別勤務手当に類別されております。この二種類がございます。
これらから成りますところの防衛出動手当の具体的な支給額については政令で定めることとされておりまして、その点につきましては引き続き検討中ということでございます。
○古本委員 せっかく甘利大臣も内閣の中枢にいらっしゃいますので、実は、安保法制というのは、多分、御党、政府・与党の最大の関心事ですよね。派遣する自衛隊員の皆さんの身になって考えていただきたいということを今言っているんです。何と、史上初の防衛出動を想定しているにもかかわらず、その際の手当はまだ考えていないということなんです。ぜひ、人事局長でもある副長官、これは官房長官にも総理にもきちんとお伝えいただいて。
自衛隊員は、では幾ら払うのなら行くという話じゃ全く違いますよ。本当に国民の応援と理解のもとで派遣をされたいと思っていると思いますよ。それを補うものとして、その処遇がいかにありなんという話を今お尋ねしているんです。ぜひ、副長官の、この件に関する、処遇に関する人事局長としての御決意を伺いたいと思います。
○加藤内閣官房副長官 今委員御指摘のように、自衛隊の諸君の皆さん方は、これまでもいろいろな意味での勤務に当たっていただいておりまして、そして、特に最近、自衛隊の方々の任務は多様化し、国際化し、いろいろな業務がふえている。そうした事態に、これまでも適切にその処遇の確保には努めてきたところでございます。
今お話がありました防衛出動手当に関しては、先ほど御説明ありましたように、政令で定めるということにされておりますが、具体的な水準が今決まっていないということでございます。そうした具体的な防衛出動手当の額等については、事態の形態、危険度等を総合的に勘案するとともに、手当等のバランス等を含め、防衛省内で検討するということでございますけれども、今委員の御指摘も踏まえて、まずしっかりと防衛省内で検討をしてもらい、それを我々は受けとめていきたい、こういうふうに思っております。
○古本委員 防衛出動は国会の事後承認もあるわけですから、仮に、万一、今回の安保法制が成立した場合、運用が始まるわけでありますので、派遣するだけしておいて、あとはゆっくり考えますでは、隊員、御家族、そして何より国民の皆様が納得しないです。ぜひ、再度、この問題はしっかりやりますと約束してください。
○加藤内閣官房副長官 委員御承知のように、この防衛出動というのは、今回の平和安全法制にもかかわりますけれども、その成立の前、今の時点においても当然規定もございますし、先ほど申し上げた、政令で決めるということでございますから、今の御指摘も踏まえながら、先ほど申し上げた視点に立ってしっかりと防衛省においてまずは検討するように努めていきたいと思います。
○古本委員 参考までに、海保は今、尖閣警備に当たっていただいていますけれども、幾ら出ていますか。
○天谷政府参考人 お答え申し上げます。
尖閣諸島周辺の領海内において巡視船艇が外国公船に対し一定の対応をした場合、こうした場合ですけれども、特殊勤務手当といたしまして一日につき千百円が支給されることとなってございます。
○古本委員 これは、石垣管区がメーンとはいえ、全国から海保の船が集まって、保安庁の職員の皆さんが連日命がけですよね。あの荒い波の東シナ海でですよ、ましてや体当たりしてくる船もあるかもしれないという中で、副長官、聞けばたった千百円ですよ。
与党の先生方も、勇ましいこともいいんですけれども、やはりきちんとそういうところも見てあげないと、これは保安庁の職員もたまらない。この際、海上保安庁の方もきっちり見ますとお約束してください。
○加藤内閣官房副長官 今説明のありました海上保安庁の手当についても、いろいろな視点に立って議論をされた結果としてその水準に至っているんだろう、こういうふうに理解をするところであります。
ただ、いずれにしても、海上保安庁であれ、それぞれの厳しい勤務に当たっているそうした職員の方々に対する処遇というのは、適切に対応できるように今後とも努めていきたいと思います。
○古本委員 副長官、ここでどうぞ。ありがとうございました。
それでは、甘利大臣、今のやりとり、担務以外ですけれども、私は、安倍総理にじかで本当に胸襟を開いて物が言える甘利さんだと見込んで、今のやりとりもきっちり甘利さんのお立場からも議論していただきたいと思うんですけれども、お約束していただけませんか。
○甘利国務大臣 直接の所管ではありませんけれども、そして自衛隊員は支払われる賃金の多い少ないによって使命感が変わるということはないわけでありますが、しかし、御指摘のとおり、時に命をかけてやる任務であります。それにふさわしい処遇は必要だと思いますし、政府としても、欧米諸国の対応等々、どういう水準になるのか等々も参考にしながら、適切な対応をしていくものというふうに思っております。
○古本委員 もう少し踏み込んでいただきたいとは思いますが、では、本業の方でお願いします。
きょうは日銀に来ていただいていますけれども、先般、五月の政策決定会合で、引き続き年間八十兆での緩和を続けるということでありますけれども、日銀、きょう、円・ドルは幾らですか、これを続けるということでいいですか。
○内田参考人 お答え申し上げます。
現在、百二十三円台で推移しているということだと思っておりますが、この方針につきましては、毎回の政策決定会合で決定するということでございますので、経済、物価情勢を踏まえて毎回決定させていただきたいというふうに思っております。
○古本委員 そうしますと、ちょうど民主党政権が最後のころ、十二月末ですので、二〇一二年、円・ドルは七十九円平均でした。それからマネタリーベースは百三十八兆でありましたけれども、今、ざっくり言って、円の価値はどのぐらい、円の価値ですよ、減っていますか、日銀。
○内田参考人 八十円程度から百二十円程度になっているということですから、五割程度の辺かなということかと思っております。
○古本委員 二%の物価上昇目標は日銀として諦めていない、よろしいですか。
○内田参考人 量的・質的金融緩和を始める少し前ですけれども、二%という目標を掲げたわけでございまして、これはしっかりと達成していきたいというふうに思っております。
○古本委員 二%の目標の議論の出発点は、手前どもの政権で社保・税一体改革の議論をしたときに、消費税八%、一〇%、二段階に分けて税率引き上げをする際に、経済が非常によくないときに、とはいえ財政再建、さらには社会保障目的財源という議論の中で、景気条項というのを設けて、党内の大変な議論がありました。最終的には三党で合意しました。自民党の皆さんと公明党の皆さんと合意しましたけれども、そのときの大前提だったんです。経済成長、物価上昇がそのくらいいかないと、およそ消費税はできないだろうという前提だったんです。
今回消費税を安倍総理が先送るに当たって、この景気条項、つまり、物価上昇を見た上で消費税を判断するという景気条項はどうなったんでしょうか、日銀。
○内田参考人 消費税は当然政府の御判断ということでございますけれども、私どもは、二%の物価安定の目標に向けて量的・質的金融緩和を着実に推進しているというところでございますし、これを続けてまいりたいというふうに思っております。
○古本委員 景気条項はなくなったということを御存じないんですか、日銀は。
○内田参考人 政府におかれて御判断されたということかと思っております。
○古本委員 よほど触れたくないのか、お答えにならないんですけれども、それはもうみんな知っていますよ。景気条項はなくなったんです。
きょうは財務省もお越しいただいていますが、景気条項がなくなったということは、物価の上昇にかかわらず、二〇一七年の四月一日には消費税は一〇%になる、こういう理解でよろしいでしょうか。
○迫田政府参考人 お答えをいたします。
今国会で成立をした改正税法の中で景気判断条項は削除されているわけでありますので、法律どおりそれを引き上げるというのが今の政府の姿勢でございますが、それが実現するために景気をどういうふうにきちっと維持していくか、そういうことの政策対応もまた求められているというふうに承知をいたしております。
○古本委員 ただ、景気条項は、大臣、なくなったんです。したがって、物価上昇のいかんにかかわらず、機械的に上がるものではないと私も思っていますけれども、少なくとも与件ではなくなったという理解なんですね。
さてそこで、このまま円安が独歩安に仮になった場合、財政再建という観点からいえば、どういう影響が想定されますか。つまり、日本国債は円建てですから、基本的には為替フリーと理解していますけれども、経済、景気に与える影響を総合的に考えて、この財政再建という観点と円安というのは、何か一つ、意見が言えますか。
○迫田政府参考人 お答えをいたします。
まず、為替の動向について言及することは差し控えたいと思いますけれども、その上で、一般論として申し上げれば、為替相場の円安方向への動きは、輸出企業、あるいは海外展開をしている事業者等にとってはプラスとなるわけでございますけれども、その一方で、円安方向への動きに伴う輸入価格の上昇は、原材料価格の上昇等を通じてマイナスの影響を及ぼすといったような形で、経済に対してさまざまな影響を与え得るということでございますので、経済に対してさまざまな影響を与えるということになりますと、結果として、財政、例えば税収の動向といったようなものにも一定の影響を与えるものと考えているわけでございます。
いずれにしても、我が国、現在、政府の立場としては、経済再生と財政健全化の両立ということにしっかり取り組むということでございますので、従来どおり、こうした路線で努力をしていきたいと考えております。
○古本委員 つまり、円安は、どうしても両面ありますね。ただ、マーケットも含めて非常に歓迎していると私は理解していますし、そのおかげで安倍さんの支持率も非常に高いんだろうと思っています。
その際に、問題は、このまま円安が仮に進んでいった場合、輸入物価が上がるとおっしゃった。そうすると、結果として、日本の借金の対GDP比という観点で見れば、輸入物価上昇によるGDPの膨らみによって、対GDP比、債務残高比率が下がる、まさかそういうことを期待して誘導しているわけではないと思っているんですけれども、日銀、意見ありますか。
○内田参考人 私どもの金融政策は、あくまで日本経済のためにやっているということだと思っております。
○古本委員 日本のバランスシートという見方を仮にしたならば、民主党政権は経済に非常に音痴であるという皆さんのレッテル張りのおかげでえらい目に遭っていますけれども、実は、野田財務大臣が七年ぶりの為替介入をしたと私は承知していますよ。
民主党政権下で介入した為替介入総額、介入玉はどのくらいありますか。
○可部政府参考人 お答えいたします。
民主党政権におきましては、約十六兆四千億円の円売り・ドル買い介入を行ったと承知しております。
○古本委員 これは自国の通貨を守るために戦ったと思いますよ。あのとき、アメリカはしんどかった。非常にそういう局面で、向こうは必死でドルを守ったでしょうね。我々は、本当に、巨大なアメリカのパワーと対峙して、非常に踏ん張った。
でも、アメリカは日本のGDPの何倍ありますか。このまま日本がマネタリーベースを膨らませていくと、多分、アメリカは最終的にFRBは五百兆ぐらい出したと思っていますけれども、そのレベルにいってしまいますね。日本はGDP四分の一ですよ。
財務省、十六兆で介入した玉は、今は結果としてバランスシートに寄与していますか。
○可部政府参考人 個別の取引を切り分けて損益をお答えすることはちょっと難しい面がございますが、今委員お尋ねございました、介入時の基準外国為替相場でドルに換算した介入額を仮に現在の基準外国為替相場で評価したとすれば、二十四兆七千億円余りとなりまして、民主党政権における円売り・ドル買い介入額との差は、プラスで八兆三千億円という規模になります。
○古本委員 最後に、大臣。
日本は基軸通貨じゃありませんので、なかなか、為替をフリーにしていくというのは永遠の課題だと思うんですけれども、やはり為替の安定化が第一ですね。今、円安だといっても、実は、ある人から見たらまだ円高かもしれません。大変難しいオペレーションを今大臣は担っている。財政再建も担当されている大臣であります。昨今の、一般に言われている円安基調にある中で、財政再建とあわせて、大臣としての今後のかじ取りについてのお考えを最後にいただきたいと思います。
○甘利国務大臣 安倍内閣の使命、至上命題は、デフレから脱却をするということです。その前提が達成される中で、社会保障をしっかり永続性を確保するとか財政再建の見通しを立てるということです。
デフレ下で財政再建というのは、これはできないと思います。デフレというのは、究極は経済規模が小さくなってくるわけです。税収は経済規模掛ける税率で入ってきますから、母体を大きくしていくということが、税率が一定でも収入がふえていくということになります。
その際に、為替は次第に、今世の中、世界の共通認識として、介入がしづらくなってくるんだと思います。ですから、政策的な対応として、結果として円安になったということは許容されるのであろうと思いますけれども、円安を目標に何かをしていくということは次第に許されなくなってくると思います。
為替がどのくらいが適切かというのは、閣僚は言ってはいけないことになっています。かつて、八〇年代は過度の円高だったと思います。では、現状が過度な円安かというと、そこまではまだ言い切れない。基本的には市場が判断するもの。そして、御指摘があったかと思いますけれども、円の価値というのは、強い方が価値があります。強くても経済がちゃんと回っていくということが理想だと思います。
今は、では円が例えば八十円になったとしたらやっていけるかといったら、日本経済はやっていけないと思います。しかし、日本経済が足腰が強くなって、より円高でもやっていけるということになれば、それは経済と円の強さというのが両立していくと思います。今は、ファンダメンタルズに合ったレートであることを、それが定着していくことを期待しているところであります。
経済の再生と財政の再建が両立していくように、そうすれば社会保障の継続性も担保されていくというふうに思っております。
○古本委員 財政の再建、最後で言っていただいたんですが、物価上昇のいかんにかかわらず、二〇一七年四月、消費税一〇%という理解でよろしいですね。
○甘利国務大臣 日銀は、安定目標として二%近傍というのを掲げています。これは、二%より低ければ二%を目指す、高ければ二%までに抑え込むという両方の意味があろうかと思います。
そして、消費税による物価の上昇というのはワンショットであります。我々は、毎年毎年わずかな、わずかというのは、二%前後の物価が上昇していく、そして賃金はそれをオーバーライドしていくという経済を達成する。世界標準の健全な国家の成長というのは、実質成長が二%程度確保されて、名目はそれを若干上回っていくという形があらまほしき姿だと思います。
あらまほしき姿に向かって取り組んでいきたいと思います。
○古本委員 やると大臣がおっしゃっていただくまで、また当委員会にお招きしたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
――――◇―――――
午後二時開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。田嶋要君。
○田嶋(要)委員 民主党の田嶋要でございます。
きょうは、内閣委員会に機会をいただきまして質問させていただきますことを、委員長初め委員の皆様に心から感謝申し上げます。どうもありがとうございます。
きょうは、ちょうど口永良部島、今、火山爆発ということで大変お忙しい中でございますが、副大臣、政務官には御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
そういうような、火山の方も大変突然やってくるわけでございますけれども、きょう、私の質問は、原子力の、原発の方の避難に関する質問をさせていただきまして、政務官として現地におった経験も踏まえまして、今どのようにそれが改善をされているのかも含めて御教示をいただきたいというふうに考えております。
それでは、最初にまず、オフサイトセンターの関係でございます。
オフサイトセンターというものがオンサイト以外にあるわけでございますけれども、私もそこにおったわけでございますが、改めて、どういうミッションを持ったセンターであるかということをお答えいただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
オフサイトセンターのミッションということでございます。
オフサイトセンターにつきましては、原子力災害特別措置法の緊急事態の応急対策拠点として指定された施設でございます。原子力の緊急事態が発生した場合の国の原子力災害現地対策本部が置かれる場所でございます。
そこにおきましては、国の関係機関あるいは関係自治体、専門機関、それから原子力事業者が参集をいたしまして、原子力災害合同対策協議会を組織いたしまして、相互の情報交換あるいは活動に関する調整を行うこととなっております。
また、この現地対策本部におきましては、住民の防護あるいは支援の最前線、あるいは自治体との現地調整拠点として、原災本部長の指示あるいは各種対策の実施、オフサイト対策の支援に係る連絡調整、自治体との具体的対策の検討、調整、こういったことを実施するものでございます。
○田嶋(要)委員 原発事故の際に現地の対策本部が置かれるということでございましたが、三・一一のときにはこのオフサイトセンターはどのように活用されたか、そして、そこからどういうことが教訓として得られたかということを教示していただきたいと思います。
○小里副大臣 オフサイトセンターに関する教訓としましては、発電所の近傍にあったことから建物内の放射線量が上昇してしまったこと、あるいは、これに備えた放射線防護設備等を備えていなかったこと、また、余震等による通信回線の途絶などによりまして通信設備が十分機能しなかった、衛星電話のみでこれを行ったというような実態がございました、などの理由によりまして、機能不全に陥ってしまったと認識をいたします。結果として、三月十五日に現地本部を福島市の方に移さざるを得なかったわけでございます。
この反省を踏まえまして、平成二十四年八月に、当時の原子力安全・保安院がオフサイトセンターのあり方に関する基本的な考え方につきまして取りまとめを行いまして、これに基づいて要件を見直しいたしました。
具体的には、発電所との距離につきまして、原則五キロから三十キロの範囲といたしました。また、衛星電話を含めた通信設備の多重化や、自然災害の発生に備えた非常電源等の設置、放射性物質遮蔽のための空気浄化フィルターの設置等を新たに要件としたところであります。さらには、万が一オフサイトセンターが使用できなかった場合は三十キロ以遠に代替施設を確保するということにしたところでございます。
○田嶋(要)委員 まさに五キロ以内にあったということですよね。五キロ以内にそういう立派なものが用意されて、私も中も入らせていただきましたけれども、多くのコンピューターやスクリーン画面等、全部そろっていたにもかかわらず無用の長物になってしまったと、非常にむなしさを現地で覚えた記憶がございます。
それを五キロから外に置いたということでありますが、であれば、そこは、今後は、同じように、どういう規模かわかりませんけれども、仮に爆発が起きるようなことがあっても、仕事にたえられるという理解でよろしいですか。
○小里副大臣 そのように認識をしております。
なぜ五キロから三十キロかといいますと、これは、一つは自治体間の連携が確保できるように、また情報収集がしっかりできるようにというようなことから、この範囲としたところでございます。
また、万が一の場合は、申し上げましたとおり、代替施設を三十キロ以遠に備えることとしておりますので、いかなる事態に対しても対応できると考えているところであります。
○田嶋(要)委員 また一方、私は福島県庁の五階に結果的には陣取ることになったわけでございますが、そこはそことして、例えば東京電力の第一あるいは第二、浜岡、そして本社と通信回線で結んだテレビ会議を朝、昼、夜と、そんなような形で、土日も含めて毎日やらせていただきましたが、そういったことをやるにつけ、どこにそういったオフサイトセンターがあるかということは、さほど差はないのかなというような印象もあるわけでございます。
逆に、県庁のような、いわゆる災害に対してのコントロールタワーがあるところの方がむしろ都合がいいこともあったのかもしれない。当時、百名ほどの方がいらっしゃいましたけれども、東電の方はもちろんのこと、自衛隊の方、警察の方、放射線医学研究所からの出向の方、大勢いらっしゃいました。むしろその方が都合がいいのかなという感じもいたしたわけでございます。
改めて、今回、余り近くには置かないということで、五キロから三十キロ。しかし、県庁ということではなくて、やはりそういった範囲内にオフサイトセンターを設けることのメリット、裏を返せば、福島県庁の五階のような場では何か不都合なことがあったのか。やはりオフサイトセンターはオフサイトセンターとして設ける必要があるんだということを改めて御説明いただきたいと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
まず、福島県庁の方にオフサイトセンターを三・一一のときは移転をいたしました。御指摘のように、移転したことによります不都合が生じたということは特になかったというふうに考えております。
ただ、やはり発電所の近くにこれを設置するという必要性でございますけれども、オフサイトセンターの機能といたしまして、初動対応において、まず緊急時のモニタリングを実施いたします。これは発電所の周りを中心としてモニタリングカーを走らせるなどいたしまして測定いたしますし、それから、もう一つ大事なことは、住民の避難が今どういう状況になっているか、これをきちっと把握する必要がございます。三・一一のときも、双葉病院にまだ人がおられるということを現地の職員が確認したといった経験もございました。
したがって、そういう現地に即した具体的な対策を実施するという観点から、先ほど申しましたような五から三十キロ圏、すなわち発電所の比較的近傍のところに設置する、こういう考え方をとっているものでございます。
○田嶋(要)委員 むなしさを覚えることが今後ないようにしっかりやっていただきたいんです。
それでは、現状、原発は動いておりませんけれども、当然、動かそうとしている原発も含めて、今既にこのオフサイトセンターというのは着々つくられているという理解でよろしいのかどうか、現状どこまで進んでいるのかを御答弁いただきたいと思います。
○小里副大臣 御指摘をいただきましたような考え方に基づきまして、現在、原発から五キロ圏内にあるオフセンターにつきましては移転を進めているところでございます。これは本年度中には完成をする見通しであります。
こうした施設面の強化に加えまして、継続的に防災訓練を行いまして、そこから反省点とか改善点を見出しながら、不断の努力においてしっかりと改善を図って、緊急時にハード、ソフト両面からしっかり対応できるように努力をしてまいる所存であります。
○田嶋(要)委員 後ほどお伺いしますが、これは質問としては通告していないですが、当然、住民避難計画の前提というふうに理解してよろしゅうございますか。これは政府がつくる建物でございますけれども、住民避難計画にとって非常に必須なものでございますが、今、九州の方の再稼働の議論もございますけれども、住民避難計画にとっての必須のものであるというふうに理解してよろしいですか。
○山本政府参考人 オフサイトセンターにつきましては、発電所が稼働するしないにかかわらず、避難計画とともに、きちっと国として整備をしていくというものでございますので、必ずしも法律上もそういう要件になっているわけではございませんが、先ほど副大臣から御答弁させていただきましたように、全国のオフサイトセンターをしっかり整備していくということで対応してまいりたいと思っております。
○田嶋(要)委員 最後に、もう一つだけお伺いします。
きょう、たまたま火山が爆発したわけでございますが、このオフサイトセンターというのは事故が起きたときに役立つものとして用意されているわけですが、そういうことですと、逆に言えば、ふだんは使っていないという認識でございます。これは、ふだんももう少し何か有効活用することはできないのかどうか。逆に、大惨事のときに全然使えなかった経験があるので、ふだんから使った方が、言ってみれば、動かしておく、何でも、行ってみたら使えなかったみたいなことが起き得ますので、消火器みたいなものですね、いろいろ使っておくということ、使いなれておくということも大事なような感じがするんです。
例えば、原発のある場所というのは、エリアにしますと十二カ所か十三カ所かあるようでございますが、そこでの火山ということも当然あるし、今回もこういうふうに火山が起きたということで、何かそういう活用方法というのはあり得るんですか、どうですか。ちょっとこれは質問通告なしですけれども。
○山本政府参考人 オフサイトセンターの日々の管理運営でございますが、もちろん、設備の維持管理は毎日きちっと把握をしているところでございますし、それから、少なくとも年に一回は各地域ごとに防災訓練が実施されますので、実際にはそこに緊急参集の要員が集まりまして、実際の資機材を使って訓練をいたします。これは年に一遍のことでございます。
それ以外にも、オフサイトセンターには原子力規制庁の規制事務所が併設されてございますので、日々の防災に関するところ、あるいは規制に関するところでございますが、そういう連絡調整のためにも、東京との間でテレビ会議室も使って連絡調整をさせていただいておりまして、そういう意味では、資機材の活用についての習熟というのは日々積ませていただいているというところでございます。
○田嶋(要)委員 そういう意味で、まさかのときのための習熟という意味では理解いたしましたが、私がお伺いしたかったのは、火山のような違う災害にとっても活用できるような工夫というのはあるのかないのか。これは、原発でしか使えない機能しかそろっていないわけじゃなくて、目に見えるか見えないかの差はあっても、住民が避難するという意味では一緒なわけですよね。だから、最大限活用できるように工夫できているんですかということを教えていただきたいんです。
○山本政府参考人 まず、オフサイトセンターの立地しておりますのは原子力発電所の近傍でございますので、近くに火山があるか、あるいは風水害の災害が発生するような場所かどうかというのは、なかなか難しいところがあります。
もちろん、この施設は、国の交付金を使いまして県が実際には整備してございます。それで、もし、そういうほかの用途でどうしても緊急に必要だということでありましたら、協議の上、別の災害でも使うということは十分可能性があるというふうに考えております。
○田嶋(要)委員 私が先ほど申し上げたとおり、全然そのための場所じゃない県庁の五階がオフサイトセンターになったんですよ。そういう意味では、ちゃんとそろっているところは役立つんじゃないかな、かなりお金もかけてそういう整備をするわけですからね。それが有効活用できるように、ぜひお願いしたいというふうに思います。
それでは、次の御質問でございますが、次はSPEEDIについてお尋ねします。
この言葉は有名になりまして、私も政務官時代に非常に苦労したのが懐かしいと言ってはあれですけれども、本当に苦労しました。
これは、当時は情報を出さないことに大変厳しいお叱りを受け続けておったわけでございますが、御案内のとおり、最近、お手元の資料でつけてございますけれども、SPEEDIは原発事故の避難判断には使わないという規制委員会の方針が出たわけでございます。
まず、今後は使用しないというような決定の中身とその理由に関して、御答弁いただきたいと思います。
○片山政府参考人 お答え申し上げます。
原子力規制委員会では、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓ですとか、あるいはIAEAが定める最新の安全基準を踏まえまして、緊急時に住民の防護措置を迅速かつ的確に実施するための仕組みを整備してまいりました。
具体的には、原子力災害対策指針におきまして、まず、施設の状態を踏まえて緊急事態を判断するための基準及びそれに基づき講ずべき防護措置の内容をあらかじめ定めますとともに、これに基づきまして、放射性物質の放出の前に、予防的措置として、PAZ、おおむね五キロ圏内でございますが、PAZにおいては避難、UPZ、おおむね五キロから三十キロ圏内でございますけれども、UPZにおいては屋内退避をすることといたしております。
さらに、事故の鎮圧がうまくいかず、放射性物質の放出に至った場合につきましては、緊急時モニタリングの結果を踏まえまして、あらかじめ定められた放射線量の基準に照らして追加的な防護措置を実施すべき区域を特定し、避難や一時移転などの措置を講ずることとしております。
こうした考え方に基づきますと、住民の防護措置を実施するに当たってはSPEEDIなどの予測的な手法を利用する必要がないことから、今般、原子力災害対策指針にもその趣旨を反映したものでございます。
○田嶋(要)委員 何か突然そういう判断がおりたわけでございますけれども、三年前にそれだけ強く厳しくお叱りを受けておった側としてはあれという感じでございますが、これはもともと文科省ですよね。文科省の後、今、原子力規制委員会に引き継がれておるので、過去のいろいろなことまで御答弁いただくのはあれですけれども。
しかし、では、そういったことは最初はわかっていなかったことなんですか。要するに、最初は、役に立つから何百億円もかけて入れたわけですよね。何でこんなふうに話が変わったのか、そこら辺をもう少し御答弁ください。
○片山政府参考人 お答え申し上げます。
SPEEDIにつきましては、一九七九年のスリーマイルアイランドの事故の後に、当時の日本原子力研究所において開発が進められてきたものでございます。開発の当初は、原子力施設の周辺環境における放射性物質の分布状況ですとか、それに基づく被曝線量などの予測に使うということを想定して開発されてきたと承知しております。
その後、それを防災にも使えるのではないかということで、たしか昭和六十年ぐらいから、原子力防災への活用ということが始まったと承知をしております。
その際の考え方でございますけれども、SPEEDIというのは、それ自体で予測ができるものではありませんでして、まず、いつ、どれぐらいの放射性物質が放出をされるのかという入力条件がないと計算ができないものでございます。その前提として、原子炉から放出される放射性物質の量、あるいは、いつ出るのかというタイミングが把握できるという前提でSPEEDIを使うということになっていたものと承知をしております。
SPEEDIによる予測線量をもとに、各種防護措置について、個別に定められていた基準に照らして避難などの判断をその都度行っていくというのが従来の防災の考え方であったというふうに承知をしております。
今般、福島の事故というものを踏まえまして、そもそもSPEEDIに入力すべきデータというのを得ることというのが極めて難しい、なおかつ、あくまでも予測的手法でございますので、実際に起きることがそれと違った場合に、かえって避難行動をとられる住民の方をリスクにさらしかねないということも勘案をいたしまして、このような原子力災害対策指針を策定させていただいたというところでございます。
○田嶋(要)委員 スリーマイルということは七九年でございますよね、かなり古いところからの話だということで、導入してそれを原子力防災に使えるんじゃないかと考えていたけれども、いわゆる元データが要ります、インプットがないことには正確にはじけませんということですけれども、それは普通、聞けばそういうふうに思いますよね。これは三・一一まではそういうことはわからなかったんですか。
○片山政府参考人 お答えいたします。
その当時、どういう認識で原子力防災の体制を構築していたのかということについて、今ここで私がお答えするのはなかなか難しいんですけれども、恐らく、そういう予測が可能であるという前提に立って仕組みを構築していたということではないかと思います。ある種の安全神話に陥っていたということではないかというふうに思っております。
東京電力福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえまして、今回、IAEAの考え方というのも取り入れて原子力災害対策指針を改め、新たに策定したということでございます。
○田嶋(要)委員 ということは、これはスリーマイルが契機であっても、世界のほかの原子力を扱っている国ではこういうSPEEDIが使われていた場所はないという理解でいいですか。その辺、御存じありませんか。これは質問通告なしですけれども。
○片山政府参考人 お答えいたします。
諸外国で具体的にどのような予測的手法が実際に使われていたのかということをつまびらかに承知はしておりませんけれども、SPEEDIというのは一つの予測的手法、特定のある種の計算コードの名称でございます。それ以外にも、そういう拡散計算をするような計算コードというのは世の中にたくさんございます。諸外国においてもそういうものを持っている機関は当然あろうかというふうに思います。
ただ、住民の避難の判断においてそういう予測的手法のみに基づいて行うということは、近年では行われていない。むしろ、IAEAの安全基準というものは、施設側の状況に応じて予防的に防護措置をとる。放射性物質が放出された後は、モニタリング結果に基づいて防護措置をとるというのが今のIAEAの基本的な考え方になっているというふうに承知しております。
○田嶋(要)委員 今起こっている火山の噴火と比較すると何が違うかといえば、これは見えるものがないということなんですよね。火山の噴火の場合は、ああやってもくもくテレビに映されますから、こっちに逃げろ、あっちに逃げろと、それなりに見えるから判断もできますけれども、どこが何マイクロシーベルトなのか何にもわからないわけですから、みんなおっかなくて仕方がないわけですね。だからこそ、予測数字というのが本当は欲しいと思うんですよ。見えないからこそ、なお一層。
しかし、今回、原子力規制委員会が出した結論というのは、SPEEDIは余り役立たないということじゃなくて、むしろ、住民避難にとって悪いものだ、間違いを起こす可能性がある、そういう結論だということでいいんですね。
○片山政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになりますが、SPEEDIという拡散計算をするものに入力するデータとして、いつ、どのようなタイミングで放射性物質の放出になるかということをぴたりと当てて計算するというのができない以上、それに基づいて住民の避難を指示するということにはやはり危険が伴うというふうに認識をしております。
○田嶋(要)委員 予測が本当は求められる、避難している国民の方は、本当は予測してほしいと思うんですけれども、それはやはり結論的には難しい。それで、今回、モニタリングポストというものを充実して、実際に測定されたデータを見て、こっちに逃げろ、あっちに逃げろ、中に残れ、そういうことが決まっていくというふうな理解だと思いますが、今後は、そのモニタリングシステムをさらに充実させることが、要するに、原発事故の住民避難のときの基本情報としてはそれが全てだという理解でよろしいんですか。
○小里副大臣 いろいろな角度からこれは考えないといけないと思いますが、万が一の事態が不幸にして発生した場合は、まず原発自体の置かれている状況、そしてまた臨時のモニタリング調査に基づくデータをもとにしながら、避難計画に基づく避難誘導をしっかり行っていかなきゃならないと認識をしております。
○田嶋(要)委員 これも当時からふやしておったのはそのとおりでございますが、関係者の間だけで情報共有されるのでは意味がなくて、やはり、先ほどから繰り返しですが、見えないものですから、それこそ国民一人一人のスマホにきっちりデータが、いつでも見られるという状況をふだんからつくる必要があるんだろうと私は思います。
そういう意味で、今充実させていただいておるということでございますけれども、やはりそうしたシステム開発とかいうことも含めて、事故対応している方だけの情報では意味がございませんから、一人一人の住民にしっかり情報が届くようにしていただきたいということをお願い申し上げます。
それでは、三つ目でございますが、住民避難計画でございます。
この住民避難計画は、今、九州、川内原発の話もありますけれども、どの自治体に作成義務があるのか、御確認します。
○山本政府参考人 避難計画の対象の自治体でございますけれども、先生御案内のとおり、規制委員会が作成いたしました原子力災害対策指針におきましては、五キロ圏をPAZ、それから三十キロ圏をUPZというふうに決めてございますので、これらのPAZ及びUPZの対象区域が含まれる自治体がこの住民の避難計画を作成する義務がございまして、具体的には、現在、二十一道府県の百三十五の市町村にその作成義務がございます。
○田嶋(要)委員 先ほど来お伺いしてまいりました、いわゆるオフサイトセンターに関してのこと、それからSPEEDIというものは今後は使わないことになってモニタリングポストにかわった、いろいろな三・一一の反省を踏まえて、それを教訓として、いろいろ変わってきたわけでございます。それは基本的にはいい方向に変わっていくんだろうと信じたいわけでございますけれども、そうした住民避難計画なるものが本当にいざというときに使えるものなのかということに関しまして、原子力規制委員会というのは計画の妥当性を評価するのでしょうか。
○片山政府参考人 お答え申し上げます。
地域の防災計画、避難計画につきましては、災害対策基本法に基づいて関係自治体が作成するということになってございます。
政府としても、この取り組みを全面的に支援するため、各地域ごとに設置をした地域原子力防災協議会において、内閣府が中心となり、原子力規制庁を含む関係府省庁が関係自治体と一体となって地域防災計画の充実強化に取り組んできているところでございます。
また、具体化、充実化が全体として図られた地域については、その地域防災計画が原子力災害対策指針などに沿った具体的で合理的なものであることを地域原子力防災協議会で確認をし、原子力規制委員長も参画をいたします原子力防災会議において国として了承するということとされていることと承知しております。
このプロセスの中で、原子力規制委員長及び原子力規制庁がかかわっていく、そういう仕組みになっているところだと認識しております。
○田嶋(要)委員 やはり、これはよく指摘もされるところでございますけれども、原発というのはどこからどう見ても国策なわけでございまして、再稼働という話も今出ておるわけでございますが、現在の避難計画の実効性ということに誰が一体最終的な責任をとるのか。現場任せでいいのか。もちろん、現場の細かいロジスティクスのことは現場にしかわからないことがたくさんあります。たくさんありますが、しかし、三・一一の経験も踏まえて、大所高所からこれでいこうということをやはりしっかり国が責任をとれるような手続というのが私はできてしかるべきだと思うんです。今そこが非常に曖昧になって、法定もされていないということを私は申し上げたいと思いますが、副大臣、その点、御答弁を前向きにお願いしたいと思います。
○小里副大臣 原発事故から国民の生命、身体、財産を守ることは、これは災対法等に基づく国の責務であります。また同時に、自治体におきましては、住民の生命、身体、財産を守る責務があるところでございます。
先ほど事務方からお答えをしましたように、避難計画等の作成の義務は、地域に精通した自治体にまずあります。ただ、一方では、災対基本法に基づき防災基本計画を策定いたしますが、本年三月にこれを修正しておりまして、すなわち、各地域に地域原子力防災協議会を設置して、国と自治体が一体となって防災計画、避難計画をしっかり充実強化を図っていくということが定められております。
また、緊急時の対応が具体的で合理的なものであることを確認した上で、これを、総理が議長、全閣僚がメンバーとなっている原子力防災会議に報告し、了承するということになっておるところでございまして、すなわち、おっしゃる避難計画の実効性につきましては、国と自治体が共同責任でこれを行っていくべきものと認識をするところでございます。
また、同協議会において、避難計画、地域防災計画の策定支援とともに、訓練を通じて、先ほど年一回は必ず行うということでありました、反省点をしっかり抽出して具体的な改善につなげる、そういう不断の努力をしっかり行っていくべきでありまして、地域の防災、避難計画につきましては、継続的に改善充実を図ってまいるべく、政府として、住民の皆様の安全、安心をしっかり意識しながら取り組んでまいりたいと認識をしております。
○田嶋(要)委員 実態としてはやれているんだということをおっしゃりたいのだと思いますけれども、やはり、国策だということ、最後に、万が一の大事故が、また三・一一のようなことが起きる場合のことも備えて、しっかり、総理大臣以下、国の責任だということを法定して明確にしていただくということが私は必要だということを申し上げたいと思います。
それでは、最後に一問だけお伺いしますが、原発の避難者の住宅支援の打ち切り方針という話がニュースなどで流れておりまして、関係者の間で懸念が起きておるわけでございます。
今回、なぜそうした話が今、表に出ているのかということをお伺いしたいと思います。
○松本大臣政務官 東日本大震災によります応急仮設住宅の提供につきましては、災害救助法に基づく応急救助といたしまして実施をしているものでありまして、発災当初から、地震、津波、原子力災害で一律に取り扱ってきているところであります。
福島県における応急仮設住宅の六年目への延長につきましては、現時点において正式な協議書が福島県から提出をされておりませんので、具体的な内容についてお答えできる状況にはございませんけれども、福島県とも引き続き協議をいたしまして対応してまいりたいと考えております。
○田嶋(要)委員 ありがとうございます。
火山の方もやっておられて政務官も大変だと思うんですが、きょうは、この点に関しまして、超党派の議員連盟から申し入れもさせていただきました。
お手元の資料の二ですが、時間はゆっくりございませんけれども、大事なことは、新たにまた大惨事、今回の火山のようなことがいけば、みんなの目がそっちに行き、マスコミもそっちに行きますね。どんどん時間の経過とともに風化ということが起きてしまうということを、特に我々は戒めなきゃいけない。
もう四年も過ぎた福島ですが、こういったアンケート、そしてこの後ろについている一人一人の声、本当に泣けてきますよ、泣けてくる。これを見ても、一家で離散して住んでいる人が半分いるんです。五割以下の人しか家族で一緒に住めていない。私も今でも福島へ行きますけれども、なじみの焼き鳥屋へ行っても、そのお兄ちゃんも、奥さんは離れたところに住んでいるとか、そういう家族がたくさんいるのを目の当たりにします。だからこそ、やはりこれを忘れちゃだめだと思うんですよね。
だから、やはりこういう方々の住宅というのは命にかかわるものです。一番最後のページをごらんいただいても、何が大事か、健康と賠償と住宅、これが常にトップスリーなんですよ。健康と住宅と賠償問題。だから、ここはぜひ慎重な対応をお願いしたい、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、池内さおり君。
○池内委員 日本共産党の池内さおりです。
きょうは、前回に引き続いて、官房機密費についてお伺いをいたします。
官房長官に質問いたします。
五月二十二日の当委員会で、私は、官房報償費取扱要領で示されている官房機密費の会計書類、内閣官房報償費出納管理簿、政策推進費受払簿、支払決定書を示し、官房機密費がどのように記録されているかを質問しました。
国庫から支出され、官邸が受け取ったお金が出納管理簿に記録をされる。その後、事務方が支払ったものは、支払決定書に、いつ、誰に、どのような目的で、幾ら支払ったかの記録が残る。その一方で、官房長官みずからが使ったお金は、政策推進費受払簿に記録はされますが、その先、いつ、誰に、どのような目的で、幾ら支払ったか、この記録はないとのことでした。驚くべきことだと思います。
前回、官房長官はその答弁の中で、報償費の執行に関して、会計検査院が必要として、会計検査院長から特に申し出のあった場合は、官房長官みずからがその説明に当たることとなっておりますと答弁をされました。
会計検査院に質問します。
安倍内閣の官房機密費の執行について、いつ、どのような検査を行いましたか。
○桜田会計検査院当局者 お答えいたします。
内閣官房報償費の検査につきましては、内閣官房の会計経理についての検査の一環として実施しておるところでございます。
内閣官房に対する会計実地検査でございますが、平成二十四年十二月から二十六年九月までの間では、二十五年二月、二十五年七月、二十六年一、二月、二十六年七月の計四回実施してございます。
○池内委員 官房長官に質問します。
官房長官は、会計検査院長から特に申し出のあった場合は、官房長官みずからがその説明に当たると答弁をされています。先ほど会計検査院から答弁があった二〇一三年の二月、七月、二〇一四年一月、二月、そして二〇一四年七月、このときは官房長官みずから会計検査院長に説明をされたということでいいでしょうか。
○菅国務大臣 会計検査院に報償費の執行に関して私が直接に説明を行うことはありませんけれども、事務方を通じて毎年検査の場において的確に対応しておりまして、会計検査院から特段問題を指摘されたことはありません。
○池内委員 会計検査院にお聞きしますが、会計検査院ではこれまで官房機密費についてどのような問題を指摘していますか。
○桜田会計検査院当局者 お答えいたします。
内閣官房報償費の執行等に関する指摘でございますけれども、内閣官房及び外務省におきまして内閣官房報償費の適切な執行等を図るよう、平成十三年九月二十七日に、内閣総理大臣及び外務大臣に対しまして、是正及び改善の処置を要求しております。
これは、いわゆる松尾事件が発生したことなどを受けまして、会計検査院が事件の発生原因及びその背景について解明するとともに、宿泊費差額の支払い財源とされました内閣官房報償費の執行体制は適切かなどについて検査を行ったものでございます。
会計検査院では、この検査の結果に基づきまして、一点目といたしましては、内閣官房及び外務省において、総理大臣外国訪問におけるおのおのの事務分担を明確に定め、その事務の分担に応じみずからの責任において予算を執行すること、二点目といたしまして、内閣官房において、内閣官房報償費の出納、保管に係る事務補助の内容及びその実施手続を定めるとともに、管理状況が十分把握できるよう、その執行体制を整備すること、三点目といたしまして、内閣官房において、内閣官房報償費の出納、保管につきまして定期的に内部監査を行うなど、報償費が適正に使用されているかどうかの確認を内部で行うことができる体制を構築すること、以上の三項目につきまして改善の処置を要求したところでございます。
○池内委員 機密費が秘密の資金であること、その事務が内閣官房と外務省の双方にわたることを巧みに利用して競走馬やマンションの購入に不正流用するという大変な事件については指摘をされてきたという答弁でした。
こうした問題と並んで、それ以上に官房機密費が注目をされたのは政治への流用です。前回も私はこの委員会で指摘をしましたが、元官房長官が新聞やテレビでその使途や金額について証言をしています。野坂浩賢元官房長官が、二〇〇一年一月の新聞のインタビューで次のように証言をしました。
最も多い使い道はせんべつだ。国会議員が海外視察に出かける時に渡した。若い議員には三十万円ぐらい、委員長になると百万円ほどになる。現地の昼食会にでも使うのだろう。
せんべつを受け取る人は与野党問わない。だが、共産党は呼んでも取りに来ない。長官室に呼んで渡すのが基本だが、自ら要求してくるつわものもいた。
(長官だった一九九四年七月からの一年半に)三回ほど与野党の国会対策委員会幹部に渡したことがあった。法案通過だったか難しい政局を乗り切ろうとしてだ。一回当たり計五百万ぐらい。金で解決するのかと矛盾を感じたが、実際には効果があったのとなかったのとが半々だった。
一度に最も多く出したのは、外遊で村山(富市首相)に持たせた約一千万円だろう。夏休みと言っても彼には別荘も何もないから「何とかならないか」と相談されて、那須での滞在費を出したこともある。
会計検査院は、こうした機密費の使い方について、問題を指摘してきましたか。
○桜田会計検査院当局者 お答えいたします。
内閣官房報償費の執行等に関しましては、先ほど申し上げましたとおり、平成十三年九月に、内閣官房報償費の適切な執行等を図るよう、内閣総理大臣及び外務大臣に対して、是正及び改善の処置を要求してございます。
御質問の報道の事柄につきまして、検査報告に掲記したものはございませんが、ただいま説明しましたような会計検査院の指摘によりまして、内閣官房と外務省におきまして、事務の分担に応じみずからの責任において予算を執行したり、内閣官房において、内閣官房報償費の出納、保管についての執行体制を整備するなどの改善が図られたところでございます。
○池内委員 会計検査院は、こうした機密費の使い方を問題なしと判断したということでしょうか。
○桜田会計検査院当局者 お答えいたします。
お尋ねの報道の点でございますけれども、当時、そのような報道がありましたことは承知してございます。
一般的に申し上げますと、会計検査院では、さまざまな報道も参考といたしまして検査を実施しているところでありますが、お尋ねの報道の事柄につきましては、検査の結果を検査報告に掲記したものはございません。
いずれにいたしましても、報償費の検査に当たりましては、引き続き厳正に検査を行ってまいりたいと考えてございます。
○池内委員 会計検査院は、官僚の不正流用は指摘をしましたが、政治家たちへの資金の配分については指摘をできずに来ています。官房長官が機密費の執行について会計検査院の検査があると言われても、こうした経過を考えれば、そのチェックは、機密費の数々の疑惑、また疑問に応えるものではないということを私は強く指摘したいと思います。
そして、官房機密費の使途について、数々の疑惑が解決されないままに今日に至っています。とりわけ重大なのは、前回も指摘しましたが、選挙への投入という疑惑です。
二〇一〇年八月に、鈴木宗男官房副長官が、九八年沖縄県知事選挙に機密費三億円を投入した、小渕内閣の時代に、沖縄県知事選挙の稲嶺陣営支援のために官房機密費を三億円使ったと聞いていると証言をしました。
きょうは、やはり九八年に行われた名護市長選挙に機密費が使われていたのではないかということを強く示唆する資料を紹介したいと思います。
きょう、皆さんにお配りしている資料です。これは、我が党の大森猛議員が二〇〇一年四月四日の決算行政監視委員会に提出をした資料です。
九八年四月に、週刊誌が、高級料亭から銀座のクラブまで、首相官邸の官房機密費使用明細すっぱ抜くということで報道されたものです。その使途先と金額をまとめたのが、お配りした資料です。めくっていただくと、使途先と金額の根拠となった官邸の銀行振り込み書のコピーがあります。
この資料は、大森議員だけでなく、塩川議員も二〇一〇年三月十日の内閣委員会で提示をして、官房機密費の使途先を問いただしました。
使途先として最初に目が行くのは、高級料亭やクラブへの巨額の使用です。
そして、さらに私が注目をしたのは、琉球総合開発、那覇ハイヤーという項目です。最初にこの明細を報道した週刊誌は、この明細について、九八年二月末、総理官邸首席内閣参事官の名で支払われた一カ月分の明細だと報じました。琉球総合開発とは、沖縄を代表するホテル、ハーバービューホテルを当時、経営していた会社です。菅官房長官がことし四月五日に翁長県知事と会談されたホテルでもあります。
九八年、単に沖縄の観光に行ったのであれば、これは不正支出だと思います。しかし、この時期には、官邸が沖縄に重大な関心を持つ明確な理由がありました。
九八年の一月、二月に沖縄で何が行われていたか。九七年十二月に名護市においてヘリポート基地建設の是非を問う住民投票があって、翌九八年二月八日には名護市長選挙が行われました。まさにそのど真ん中に、官房機密費が沖縄で使用されている。そのホテルに誰かが秘密に宿泊し、ハイヤーを借りてどこかに行った。誰が考えても、名護市長選挙絡みの支出だと私は思います。
九八年の名護市長選挙から沖縄県知事選挙まで、これらの疑惑について、鈴木元官房副長官を初め、この振り込みを行った首席内閣参事官など、関係者から事情を聞き、真相を明らかにするべきではないですか。官房長官、いかがですか。
○菅国務大臣 まず、今委員から御指摘のあった大森委員の配付した資料でありますけれども、当時の議事録を確認しましたけれども、出所を明らかにされないまま質問をされているというふうに承知していますし、出所が不明な文書について内容をお答えすることは困難であり、また、その真偽についても調査を行う必要もないというふうに思っています。
そしてまた、鈴木宗男議員の話がありましたけれども、まさに公文書等の管理に関する法律に基づいて定められております内閣官房行政文書管理規則においては、会計関係書類の保存期間を五年といたしております。したがって、九八年やその前の年の会計書類というのは、既に保存期間を経過していることから、保存はしておりません。
○池内委員 この振り込み先に出てくるのは、実在する、あるいは当時実在した料亭やホテルになっています。振り込まれた銀行、当時の官邸職員も出てきます。極めて真実性が高い証拠だと私は思います。
しかも、きょう私が指摘した沖縄での支出、この振り込みの中でも、なぜ沖縄の支出がいろいろな料亭の名前が出てくる支出と並んで出てくるのか、不思議だと私は思いましたが、しかし、振り込まれた時期を考えると、名護の市長選挙の時期に当たっている。鈴木元官房副長官の証言もある。ぴったりとおさまるところにおさまって、逆に、まさにこの振り込み自体が官房機密費の支出として真実性を増すものになっていると私は思います。
官房長官は、二十二日の答弁で、昨年十一月七日のこの内閣委員会において、沖縄の知事選挙にも他の選挙にも使うことはありませんと明言を、答弁をされました。この答弁は私は当然のことだと思いますが、昨年の内閣委員会では、「私の判断のもとで、そういう使い方はしません。」という答弁でした。この「私の判断のもとで、」というのはどういう意味でしょうか。秘密の資金で選挙に介入することは違法であり、違法な資金で民意をゆがめることは許されないという意味なのか、それとも、政策的に使わない、使った方がよいという判断になれば選挙結果を闇の資金で変えることも許されるという意味でしょうか。
○菅国務大臣 いずれにしろ、報償費の執行に当たっては、官房長官の交代時、毎年、年度別に作成をしますけれども、内閣官房報償費の執行に当たっての基本的な方針、一が政策推進費、二が調査情報対策費、そして三が活動関係費、この三つの目的類型ごとに、真にその経費の性格に適したものに限定して使用しておりまして、厳正な執行に努めているところであります。
○池内委員 官房長官が、私の判断のもとで使わないと答弁をされた、その答弁が最初に行われた十一月七日は、まさに辺野古新基地建設ノーが最大の争点となった歴史的沖縄県知事選挙の真っ最中でした。しかも、その翌日には、官房長官みずからが沖縄入りを計画されていた。そのシチュエーションで、これまでの公式答弁、選挙に使わないとは言わないと答弁ができたか。その場合の沖縄の怒りというのは想像に余るものがあると思います。沖縄の戦いが、官房長官の、機密費を選挙には使わないという答弁を引き出したのだと私は思います。
しかし、本当に使わなかったのか。それは全く別の問題です。検証される必要があります。事務官の記録でも、保存をきちんとやって、国民に検証の機会を保障することが必要だということは言うまでもありません。
今回配付した資料に示された銀行の振り込み、これは事務方の支出であって、現行の仕組みでは、支払いの決定書としてその記録が残る仕組みになります。もう一度確認しますが、事務方の記録の保存期間は何年ですか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
公文書等の管理に関する法律に基づいて定められました内閣官房行政文書管理規則におきまして、会計関係書類の保存期間を五年としているところでございます。
以上でございます。
○池内委員 それ以前の記録は全て破棄されたということですか。
○河内政府参考人 お答え申し上げます。
この文書管理規則に基づいて保存期間を五年としておりますので、基本的に、保存期間を経過しているものについては保存をしていないところでございます。
○池内委員 私がきょう示した資料を裏づける記録というのは、もう既に破棄されていると。
今回、官房長官は、沖縄県知事選挙では使わないと答弁したことに関して、それが事実だったのかどうか。最低限、事務官が記録した支払決定書、これは国民に情報公開されるまで破棄をしない、こう約束するべきではないでしょうか。官房長官、いかがですか。
○菅国務大臣 私は、先ほど申し上げましたけれども、まさに、内閣官房報償費の執行に当たっての基本方針に基づいて厳正に執行をいたしているところであります。
そして、先ほどの、沖縄の選挙に報償費を使うのかと問われ、これに答えなかった場合に、私が知事選等において選挙の公正を害するような方法で報償費を使うのではないかというような根拠のない臆測を生じさせかねない、そういう懸念に従って、極めて異例でありますけれども、私は、ほかの選挙にも使うことはありません、官房長官の政策判断のもとに、国益を担うために報償費というのを使わせていただくというのが私の考えであり、私の判断でそうしたということを申し上げたところであります。
○池内委員 根拠がないとおっしゃるのであれば、ぜひとも信頼に足るように根拠を示していただきたいというのが私の質問の趣旨です。
二〇一〇年八月に、鈴木宗男官房副長官が、九八年、沖縄県知事選挙に機密費三億円を投入したと証言をした。
私は、きょう、九八年に官邸から流出したと見られる官房機密費の振り込み書から、九八年二月の名護市長選挙に官房機密費が使用された疑惑を明らかにしてまいりました。
そして、昨年の県知事選挙、辺野古新基地建設ノーが最大争点となった歴史的沖縄県知事選挙で本当に官房機密費を使わなかったのか。
先ほど引用した野坂浩賢元官房長官は、最後にこう結んでいます、「領収書はもちろん帳簿すらない。公金を使っているという良心だけが歯止めだ。」と。
沖縄の県民の民意を踏みにじり続けている官房長官に、良心というものの存在を沖縄の皆さんは期待できるのでしょうか。機密費の執行について、官房長官は、厳正かつ効果的な執行を官房長官が責任を持って行っていると答弁をされてきましたが、私は、官房長官は本当にお金に清廉なのか、わかりません。残念ながら、多くの国民もわかりません。
官房機密費の使途先、記録をしっかりと残し、国民的な検証が必要だということを最後に強く指摘して、機密費についての質問を終わります。
○菅国務大臣 根拠もなく、この委員会の中でそうした発言というのは極めて私は失礼だと思いますよ。
私自身は、まさに、沖縄の県民の皆さんに寄り添いながら、基地負担軽減のために全力で取り組んでいる、このことをはっきり申し上げたいと思います。
○池内委員 沖縄県民の民意は、基地建設反対が多数です。その声に一度でも耳を傾けたことがあるのかと私は言いたいと思います。
そして、疑惑がこれほどあるのだから、根拠がないとおっしゃるのだったら、みずから根拠を示してください。そのことを私は強く訴えて、機密費の質問は終わります。官房長官、もう結構です。
次に、ヘイトスピーチの問題について質問をいたします。
昨年の総選挙のおよそ半年前、二〇一四年の三月十六日に池袋で行われたヘイトスピーチの現場に私は立っていました。池袋の町は、ヘイトに反対をする市民が多数集まって騒然としていました。実際に繰り広げられている圧倒的な言葉の暴力を目の当たりにし、私は、こんなに悲しくなる、怒りを覚えるデモというのは生まれて初めてのことでした。いい韓国人も悪い韓国人も全員殺せ、朝鮮人、首つれ、毒飲め、飛びおりろ、こういう、再現することすらはばかられる、おぞましい言葉に私自身も打ちのめされました。こうした言葉を投げかけられているさまざまなルーツの人々の気持ちを想像して、私は、大事な友達をずたずたに傷つけられたような、また私自身がぼこぼこにおとしめられたような、本当に許せない思いを持ちました。
ヘイトスピーチは絶対に許さない。その後、選挙に立候補したときの私の政治家としての信条の大きな柱になりました。そして、差別を許さず路上でともに闘っている多くの仲間に支えられて、私はきょうこの場所に立っています。この問題は、さらに多くの皆さんと力を合わせて、何としても改善していきたいというふうに思っています。
政府の取り組みについて、法務省の取り組みから質問をさせていただきます。
毎年、人権啓発のために出されているパンフレットがあります。私も何度も読ませていただきました。このパンフレットの中で、昨年の八月、ヘイトスピーチはどのような位置づけでしたか。
○岡村政府参考人 昨年七月発行の法務省の啓発冊子「人権の擁護」におきましては、外国人の人権に関する項目の中で、特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動が公然と行われていることがヘイトスピーチであるとして、社会的な関心を集めていることに言及するとともに、外国人の人権を尊重するよう呼びかけを行っております。
○池内委員 昨年の夏に発行されたパンフの位置づけは、ヘイトスピーチの言及についてはあるものの、外国人の人権は尊重しましょう、こういうアピールだったと思います。率直に言って、外国人の人権の中の一つの問題という押し出しというのには、私自身は不満を感じていたところでした。
ところが、その後、きょう資料として皆さんにお配りをしていますが、これは法務省の出したポスターです。「ヘイトスピーチ、許さない。」この取り組みを開始されています。
八月のパンフレットの発行以降、ヘイトスピーチの問題についてはどのように取り組みを進めてきましたか。
○岡村政府参考人 それまでの外国人の人権をテーマにした啓発活動に加え、こうしたヘイトスピーチがあってはならないということを理解しやすい形であらわした、より効果的な啓発活動に積極的に取り組んでおります。
その一環として、ヘイトスピーチを許さないといったメッセージをポスターなど各種媒体において明確に示すとともに、ヘイトスピーチによる被害などの人権に関する問題の相談窓口をわかりやすく周知するなどしております。例えば、スポット映像をインターネットの動画サイト、ユーチューブの法務省チャンネルで配信しているほか、東京、大阪を中心としたJRの主要駅構内におけるデジタルサイネージといった電子広告も実施いたしました。
○池内委員 そのような取り組みの変化、明らかに法務省の取り組みは昨年の秋ごろを境にギアが変わったというふうに思いますが、その理由を教えてください。
○岡村政府参考人 近年、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動につき、ヘイトスピーチであるとしてマスメディアやインターネット等で大きく報道されるなど、社会的関心が高まっておりました。そして、平成二十六年七月には国連自由権規約委員会から、同年八月には国連人種差別撤廃委員会から、日本政府報告審査における最終見解において、それぞれ、我が国に対してヘイトスピーチへの対処が勧告されました。このような情勢の中、国会の審議においてもヘイトスピーチに関する御議論が活発となり、総理大臣や法務大臣から、ヘイトスピーチに関する啓発の充実について言及がありました。
以上のことなどを踏まえ、法務省の人権擁護機関では、これまでの外国人の人権をテーマにした啓発に加えて、ヘイトスピーチに焦点を当てた啓発活動を平成二十六年十一月から実施することとしたところであります。
○池内委員 法務省が対応を切りかえてきた流れがとてもよくわかりました。
私も、地元の駅で、この黄色いポスターを見て、とても感動しました。発行元が法務省となっていて、公の機関がこのようなスタンスを明言することにとても勇気をもらいました。ぜひこうしたメッセージの取り組みを一層発展させていってもらいたいと思います。
人種や性別や障害のあるなし、こうした問題にかかわらず、私たちはこの社会で既に一緒に生きていると私は思います。
私自身が在日コリアンの皆さんの存在をしっかりと認識したのは、大学に入ってからでした。それまで確実に出会っていたはずですけれども、私は気づいていませんでした。ある在日コリアンの三世の友人が私に言いました。時の政権の意向で在日の権限というのは制限をされてきた、私はさおりさんとは違う、常に不安を感じながら生きている私たちの存在、苦しみを考えたことがありますかと。この言葉が私は今も心に残っています。
既に私たちはともに生きている。ところが、ヘイトスピーチというこの醜い行為によって、私たちの社会の構成員が排除され、傷つけられ、存在をかき消されるようなことは、私は断じて許してはならないと思います。
国家公安委員会の、警察を所管する山谷大臣に、ヘイトスピーチに対する認識をお聞きします。
○山谷国務大臣 愛と平和、互いに敬愛し合う社会の実現ということを願っております。そうした意味で、ヘイトスピーチは許さない、そういう社会を実現していきたいと思います。
特定の国や民族を誹謗中傷し、名誉を損なわせ、対立と憎悪の心をあおっていくということは、そもそも許されるものではなく、私の信条とも全く相入れません。差別のない、愛と平和、調和に満ちた寛容な社会を実現していきたい、そのためにも、差別的言動は極めて憂慮すべき問題であって、あってはならないと考えております。
警察では、いわゆるヘイトスピーチと言われる言動やこれに伴う活動については、刑法の名誉毀損罪や威力業務妨害罪等が成立する場合は、法と証拠に基づいて取り締まるなど、厳正に対処しているものと考えております。
警察職員に対する人権尊重に関する教育、また職員等に対する必要な周知の徹底、引き続き、適切に対応するよう指導してまいりたいと思います。さらなる努力を重ねてまいりたいと思います。
○池内委員 きょうは、もっともっとヘイトスピーチの問題について質問を予定しておりましたが、時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。
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○井上委員長 次に、内閣提出、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。有村国務大臣。
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女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○有村国務大臣 ただいま議題となりました女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化その他の社会経済情勢の変化に対応していくためには、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性がその個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍することが一層重要となっていることに鑑み、男女共同参画社会基本法の基本理念にのっとり、女性の職業生活における活躍を迅速かつ重点的に推進し、もって豊かで活力ある社会を実現することを目的として、本法律案を提出する次第です。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本原則を三点定めております。
一点目は、みずからの意思によって職業生活を営み、または営もうとする女性に対する職業生活に関する機会の積極的な提供及びその活用を通じて、その個性と能力が十分に発揮できるようにすることを旨として行われなければならないこととしております。
二点目は、職業生活と家庭生活との円滑かつ継続的な両立が可能となることを旨として行われなければならないこととしております。
三点目は、女性の職業生活と家庭生活との両立に関し、本人の意思が尊重されるべきものであることに留意されなければならないこととしております。
第二に、政府は、基本原則にのっとり、女性の職業生活における活躍の推進に関する基本方針を定めることとしております。
第三に、内閣総理大臣、厚生労働大臣及び総務大臣は、基本方針に即して、事業主行動計画策定指針を定めることとしております。
第四に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主は、女性の職業生活における活躍の状況を把握し、改善すべき事情について分析した上で、事業主行動計画策定指針に即して行動計画を策定し、公表すること等としております。
第五に、国及び地方公共団体の機関等においても、事業主としての行動計画を策定し、公表することとしております。
第六に、常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主並びに国及び地方公共団体の機関等は、女性の職業選択に資するよう、女性の職業生活における活躍に関する情報を定期的に公表することとしております。
このほか、女性の職業生活における活躍の推進に関し、必要な事項を定めることとしております。
この法律の施行期日は、公布の日からとしておりますが、行動計画の策定等については、平成二十八年四月一日としております。また、この法律は、平成三十八年三月三十一日限り、その効力を失うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要でございます。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る六月三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後三時七分散会