衆議院

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第12号 平成27年6月5日(金曜日)

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平成二十七年六月五日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 泉  健太君

   理事 河野 正美君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      今枝宗一郎君    岩田 和親君

      越智 隆雄君    大隈 和英君

      大西 英男君    岡下 昌平君

      加藤 寛治君    神谷  昇君

      木内  均君    新谷 正義君

      武部  新君    寺田  稔君

      長尾  敬君    平口  洋君

      ふくだ峰之君    藤井比早之君

      若狭  勝君    近藤 洋介君

      佐々木隆博君    津村 啓介君

      古本伸一郎君    山尾志桜里君

      足立 康史君    小沢 鋭仁君

      高井 崇志君    升田世喜男君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      池内さおり君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   国務大臣

   (内閣官房長官)     菅  義偉君

   国務大臣

   (国家公安委員会委員長) 山谷えり子君

   国務大臣         山口 俊一君

   国務大臣

   (社会保障・税一体改革担当)

   (経済財政政策担当)   甘利  明君

   国務大臣

   (男女共同参画担当)   有村 治子君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林崎  理君

   政府参考人

   (宮内庁次長)      山本信一郎君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 村田  隆君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    高橋 清孝君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 上羅  豪君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           義本 博司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           武田 俊彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           山崎 伸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 今別府敏雄君

   参考人

   (日本年金機構副理事長) 薄井 康紀君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月五日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     石川 昭政君

  池田 佳隆君     藤井比早之君

  加藤 寛治君     大西 英男君

  平口  洋君     新谷 正義君

  若狭  勝君     今枝宗一郎君

  小沢 鋭仁君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     青山 周平君

  今枝宗一郎君     若狭  勝君

  大西 英男君     加藤 寛治君

  新谷 正義君     平口  洋君

  藤井比早之君     池田 佳隆君

  足立 康史君     小沢 鋭仁君

    ―――――――――――――

六月四日

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 道路交通法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八号)(参議院送付)

 内閣の重要政策に関する件

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件

 栄典及び公式制度に関する件

 男女共同参画社会の形成の促進に関する件

 国民生活の安定及び向上に関する件

 警察に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣の重要政策に関する件、公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する件、栄典及び公式制度に関する件、男女共同参画社会の形成の促進に関する件、国民生活の安定及び向上に関する件及び警察に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本年金機構副理事長薄井康紀君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣府大臣官房審議官林崎理君、宮内庁次長山本信一郎君、警察庁長官官房審議官村田隆君、警察庁警備局長高橋清孝君、総務省大臣官房長福岡徹君、総務省大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、国税庁長官官房審議官上羅豪君、文部科学省大臣官房審議官義本博司君、厚生労働省大臣官房審議官武田俊彦君、厚生労働省大臣官房審議官山崎伸彦君、厚生労働省政策統括官今別府敏雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。

津村委員 おはようございます。民主党の津村啓介でございます。

 本日は、皇族の方々の数が減少しているという問題、そして、時間の許す限り、GDP統計の整備についてお聞きしたいと思っております。

 皇室の減少の問題でありますけれども、現在の皇室典範は、女性の宮家の方々が御成婚された場合、皇籍を離脱されるということになっておりまして、その結果、男性の皇族の方が、悠仁親王を除けば最近なかなかお生まれになっていませんので、皇族の人数自体は減少傾向にあると思います。

 まず、冒頭、山本宮内庁次長に事実関係を確認させていただきたいと思います。昭和天皇の御即位以降の皇族の人数の推移について、概略を御説明いただければと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 皇族方の人数につきまして、方ということでお呼びしておりますので、御承知いただきたいと思います。

 昭和天皇が御即位されました昭和元年では、皇族は六十一方でございました。そうしまして、戦後までは大体六十方台で推移をしておりまして、昭和二十二年の十月には、十四宮家六十六方でございました。この十月の十四日に、十一宮家五十一方が皇籍離脱をされておられます。したがいまして、三宮家十五方ということになったところでございます。天皇家と直宮家、三宮家ですね、十五方。

 その後、昭和の終わりごろにかけまして、二十方、二十一方ということになりまして、平成になりましてからは、二十方台の前半を推移してきております。平成十年には二十四方、その後、二十二方といったようなことで推移をいたしまして、現在は十九方でございます。

 したがいまして、天皇陛下と十九方の皇族。皇室は、現在、二十方で構成をされておるところでございます。

津村委員 ありがとうございます。

 今、二十方。私がいただいた数字では二十六年末は十九方と伺っているんですけれども、確認させてください。

山本政府参考人 皇族は十九方でございまして、天皇陛下は皇族ではないという典範上の位置づけになっておりますので、皇室という見方でいきますと、二十方により皇室が構成をされているというふうに御理解いただければと思います。

津村委員 ありがとうございました。

 その二十方のうち、未婚の女性皇族の方が七方いらっしゃると思います。この方々は御結婚をされれば皇籍を離脱されることになるわけだと思いますし、また、悠仁様はまだ未成年でありますので公務ができない、そして、三笠宮様は、御夫妻は今、九十九歳と九十二歳かな、九十代であられて、なかなか御公務というのは御負担が大きいというふうに思います。

 そういった意味では、これから実際に公務に携わられる皇室の数というのは非常に限られてくると思うんですけれども、公務の御負担について、今、宮内庁ではどういう工夫をされていらっしゃるんでしょうか。

山本政府参考人 今委員御指摘のように、女性皇族が婚姻をされますと皇籍を離脱されるということになっております。

 したがいまして、女性皇族の婚姻、あるいは、残念なことでございますけれども、薨去される、亡くなられるということがございますと、皇族の数が減少していくということになります。

 したがいまして、中長期的に皇族が減少をしていく場合に皇室活動の維持をどのようにしていくのかということは課題であるという認識を持っているところでございます。

 現在は、天皇陛下が中心に、二十方で皇室活動を行っていただいておるところでございますが、天皇陛下は、二十四年の手術で健康を回復されまして、現在、公務につきましては、今のままやっていきたい、何かあったら皇太子それから秋篠宮がいるので何の心配もしていないということで、宮内記者会のお誕生日会見でそのようなお言葉をされておるところでございまして、現在、そういう状況の中で、皇室の御活動に特に何か支障があるという状況ではございません。

津村委員 重ねて次長にお伺いいたします。

 かつて、前の宮内庁長官でいらっしゃいます羽毛田さんは記者会見の中で、天皇陛下につきまして、皇統の問題を初めとしてさまざまな御心労があるということを言及されて、二〇一一年の十月の五日には、時の総理大臣であった野田さんに対しまして、火急の案件だということで、皇族の数が減少していく中、皇族の皆様の負担がふえていくということを直接御説明に上がられています。

 それを受けまして、有識者会議等が開かれて、一定の報告がなされたわけですけれども、これは安倍政権になってから一旦白紙に戻されたというふうに私は理解しているんですけれども、第二次安倍政権が発足されてから、風岡宮内庁長官も定例の記者会見の中で、中長期的に見ると皇族が減るということは業務の実質の関係では課題であるというようなことを、これは昨年六月の記者会見ですけれども、言及をされています。

 こういった状況について、安倍総理に対して、あるいは菅長官でも結構かもしれませんが、宮内庁からはきちんと御説明はされているんでしょうか。

山本政府参考人 宮内庁といたしましては、今委員御指摘のようなことに関しまして、例えば皇室の現在の構成あるいは数、そういったもの、それから御活動の現状、それから御健康の状況等につきまして、内閣に対しまして、いろいろな機会に御説明をしてきておるところでございます。

 そういうことを踏まえて、内閣におきましては現在検討をしていただいているというように承知をしております。

津村委員 菅長官にお伺いいたします。

 野田政権のもとでこの問題についての報告書が出されていますが、その報告書の現在のステータスといいますか、政府としての扱いはどういうものですか。

菅国務大臣 まず、この全体問題の中で、この問題については極めて慎重に、そして丁寧に対応する必要があるというふうに思っています。

 その中で、男系の継承が、古来、例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえながら、今後、安定的な皇位継承の維持や将来の天皇陛下をどのようにお支えしていくか、そういう観点から現政権でもそこは対応させていただいている、検討しているということでありますし、野田政権の問題意識というのも私たちは十分理解をしているというふうに思っています。

津村委員 菅長官は、昨年二月にこの内閣委員会の場で私もやりとりをさせていただいて、今ほぼ一言一句そのときの御答弁をなぞられていると思いますけれども、その後、昨年の六月には、これは高円宮家の御成婚の案件があったときだと思うんですけれども、宮様が出雲大社にお嫁に行かれるということで、皇族が減るということの中での議論だと思いますが、報道もされておりますけれども、昨年六月三十日の記者会見で、皇族の減少問題への対応について、事務方に命じ、政府内で検討しているというふうに述べておられます。

 検討はどういう体制で行われているのか、担当部署、そして専属で議論されているスタッフがどれだけいるのか、兼務をされているのか、その人員の配置についてお答えください。

菅国務大臣 そのように私が申し上げたのは事実であります。

 そして、皇室の減少に今後どのように対応していくのか、ここについて、現在、内閣官房皇室典範改正準備室を中心に検討いたしておるところであります。当準備室の室員は計十一人で、全員が他の官職との兼務となっております。

 現在の検討状況でありますけれども、皇族の減少に伴って、将来、皇室活動の維持が困難になるのではないかという問題点について、私先ほど申し上げましたけれども、これは野田政権のときの論点整理、こういうものも参考にさせていただきながら、これまでの議論の経緯を十分検証し、国民各層に幅広く受け入れられる方策としてどのような選択肢があるのか、こういうことについて、今、丁寧に検討を行っているというのが実態であります。

津村委員 野田政権以来の議論ということで申しますと、例えば、直宮家の女性皇族が御結婚されてから、これを女性宮家として、新たに女性宮家を創設するという議論もありました。

 また、御結婚された女性皇族の方を、何か国家公務員のような特殊な地位といいますかポジションについていただいて、引き続き公務に御協力いただくという案もあったと思いますが、そういった具体的な案について、今どういう検討がなされていますか。

菅国務大臣 私は先ほどの答弁で、野田政権の論点整理も含めてということの表現をさせていただきました。そういう中で、さまざまな選択肢について検討させていただいているわけでありますけれども、現時点において、具体的にそれ以上のことは今は控えさせていただきたい。

 ただ、野田政権の論点整理というものも含んで検討させていただいていることは事実であります。

津村委員 六月二日の産経新聞の引用になりますけれども、三笠宮家の彬子女王様がいらっしゃいます。以前、女性宮家について、決めるのであれば早く決めていただきたいと語られたという報道がなされて、そのことについて、彬子様は、「当時の報道ではかなりの部分を省略されてしまったので誤解が生じてしまいました。」というふうに触れられた上で、「この問題に関しましては、できればきちんと多くの方で議論していただき、どこかで変えなくてはならないことだと思っていることは事実です。現状のように方針が論じられることなく、先送りにするだけになってしまいますと、その決定次第では人生設計を大きく変えなければならない女性皇族にとって、大変厳しいことであることを分かっていただきたくて申し上げました。」ということをお述べになっています。

 大変重い発言だと思いますが、長官はどう受けとめられますか。

菅国務大臣 まさに重い発言であります。

 そうしたことも含めて、皇室減少の中でどう対応していくかということは慎重に検討をさせていただいております。現段階においては、それ以上のことについては控えさせていただきますけれども、そうした問題意識は十分に私ども持った上で検討をしているということは御理解いただきたいと思います。

津村委員 私、これは毎年取り上げさせていただいています。長官は丁寧にお答えいただいていますし、きょうの御答弁はそこまでだろうというふうに想像するんですけれども、大変デリケートな問題でありますし、象徴天皇制という今の日本国憲法のまさに肝の部分について、俗な言い方でありますけれども、選挙向きのテーマとも思えませんし、与野党いろいろな思いを持っていらっしゃる議員の方がいらっしゃる中で、歴代政権がある意味では避けてきたテーマの一つだと思います。このテーマに正面から取り組まれたのは小泉さんであり野田さんであったと思いますが、残念ながら、その他の政権では余りこのテーマには光が当たらない。そういう中で、羽毛田長官の御発言があったり、現長官、次長もいろいろな御苦労をされているんだと思います。

 今回、佳子様が成年になられて華々しくデビューをされたということで取り上げられていますけれども、しかし、先ほど申し上げたように、いずれの日にか、女性皇族の皆様、御結婚をされれば、それは皇籍を離れるという今ルールになっている中で、非常にこれは、慎重かつ丁寧なのは結構なんですけれども、やはり今、彬子様の御発言のように、必ず解決しなければいけない、先送りは許されないテーマであることも事実であって、どういう言い方をしていいのかわかりませんが、今の安倍政権のように、民主党の私が言うのもおかしいかもしれませんけれども、非常にある意味で安定されて、ある意味で幾つかの政治的テーマに正面から取り組む姿勢をお持ちの政権がこういうテーマを避けて通るというのは、非常に未来に対して、あるいは国家の中枢のあり方についてやはり無責任な態度だと私は思うんです。

 これは、今、安倍政権、そして官房長官のお立場にある菅さんだからこそ扱われるテーマであって、ほかの人間には簡単にこれは扱えるテーマではないわけですから、この時間の空費というのは、菅長官、やはり歴史的な責任をお持ちだと私は思うんですよ。

 ですから、きょう何か具体的なことに踏み込んでいただきたくて申し上げているわけじゃありませんけれども、また来年同じようにこうやって質問するのは一年間の時間の空費だと思いますし、実際にそこには当事者であられる女性皇族の皆様、女性皇族だけではないと思います、日本の天皇制のあり方が問われる大変重いテーマだと思いますので、ぜひ早速検討を前に進めていただきたいと思いますし、それを私たちにもきちんと御説明していただける環境をつくっていただきたいと思いますが、最後に、この件、御所見を伺いたいと思います。

菅国務大臣 来年は津村委員から質問されないような形に、私たちは、まさに慎重な上にも検討を進めて、避けることなく、この問題は対応していきたいというふうに思います。

津村委員 このテーマと若干かかわりますけれども、少し角度を変えて、現在の皇室典範の抱える課題ということで、もう一つ別の論点を伺いたいと思います。

 お代がわりによって皇太子が不在になる現在の制度のあり方についてでございます。

 余り積極的に議論するテーマではないかもしれませんが、将来いずれの日にかお代がわりということがあった場合に、現状のままでは皇太子が不在になるという事態が生じます。その点について山本次長に伺いたいと思いますが、現在、法令または慣例によって皇太子殿下が務めることになっている公務にはどのようなものがございますか。

山本政府参考人 皇太子殿下におかれましては、国事行為の臨時代行に関する法律に基づきまして、例えば天皇陛下が外国を御訪問される場合などには、陛下から国事行為の委任を受け、臨時に代行されておられます。

 このほか、特に法律で明示をされているものではございませんけれども、外国御訪問ですとか、あるいは、国内のいろいろな、例えば全国障害者スポーツ大会、全国育樹祭といったような各種行事への御臨席、それから、外国からの賓客等に対します歓迎行事ですとか御接見ですとか、数多くの公務を担われておられるところでございます。

津村委員 今、法律的な事項とそれ以外のことがございましたけれども、仮にお代がわりということになって、現在の皇太子殿下が皇室典範のルールにのっとって次の天皇陛下になられた場合、秋篠宮様は皇太子になることはできませんし、今、皇太弟というルールは皇室典範にないわけですけれども、先ほどの国事行為の代行ということは、秋篠宮様初めほかの皇族の方が担うことはできますか。

山本政府参考人 今委員お話しのように、お代がわり、すなわち、現在の皇太子殿下が即位をされます、そうなりますと、男のお子様がおられませんので皇太子は不在になる、したがいまして、秋篠宮殿下が皇位継承第一順位の地位につかれる、このようになります。

 今おっしゃいました臨時代行につきましては、したがって、先ほど申し上げました法律に基づき、皇位継承第一順位の方が臨時代行のお仕事をされる、このようになるものでございます。

津村委員 他国との交流といいますか、国際的な行事において、皇太子あるいはそれに明示的に当たるポジションがないというのは、国際的に見ても制度の不備ではないかと私は思うんです。

 識者の中には、皇太弟という地位を皇室典範で明示するべきではないかという御意見や、また、現在の予算のルールでは、必ずしも明示されていませんが、直宮家、そして皇太子ということでなければ東宮にはなりませんので、予算面でも措置が十分できないのではないかということを懸念する声もございます。

 この皇太子の不在が生じ得るということに関して、菅長官はどういう問題意識をお持ちで、政府内でどういう御検討がなされているか、通告させていただいております、伺わせてください。

菅国務大臣 お代がわりに当たって新たに皇位継承順位が第一となられる皇族については、今、山本次長から説明がありましたように、極めて重要な立場ゆえに多くの重要な御公務をこなされることになりますので、そのお立場の位置づけや、公私にわたりお支えする体制を早急に検討することが極めて大事だというふうに思っていますし、具体的な仕組みを確立すべきというふうに私は受けとめているところであります。

津村委員 これは、次長とそして菅長官双方にお願いしたいことですけれども、宮内庁長官は、この一年でも何度か総理に会われていますし、記者会見でそういう言及をされています。しかし、一般論として、先ほどの、皇室の今の現状についての御報告がされているということでありますし、その詳しい中身については必ずしも全て全て公の場でお述べになる必要はないと思いますが、しかし、皇族の減少の問題でありますとか皇室典範の抱える諸課題について、きちんと総理に伝わっているのかというところは、場合によってはコミュニケーション不足なんじゃないかというふうに思わざるを得ないんですね。

 これはどちらかというと、やはり実務にお詳しいのは宮内庁であって、いつも宮内庁長官は、記者会見でこのテーマになると、制度を考えるのは自分たちではない、なので、自分たちから制度のことについて言及するのは難しいということをおっしゃって、それはそうだと思うんですが、大変、菅長官も安倍総理もお忙しい中で、現場にどういう課題があるかというのは、それは聞かないとわからないわけですよね。

 そこはぜひ、問題意識といいますか、相当これは、両陛下も含めて、一時期は羽毛田長官が、皇統の問題でさまざまな御心労がとまでおっしゃっていることですから、ぜひきちんと御説明をいただきたいと思うんですけれども、次長、一言お願いします。

山本政府参考人 今委員御指摘のように、私ども、政策自体にわたって物を申し上げる立場ではないということではございますが、皇室の実態でございますとか、現状ですとか、問題点ですとか、そういったものにつきましては、これまでも努めてきたつもりでございますが、これからも官邸にしっかり、適時適切に、十分に御説明を申し上げてまいりたいと考えております。

津村委員 ありがとうございます。

 長官、九時半になりましたので、もうこれで結構です。ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。次長への御質問も、これで終わります。

 甘利大臣、大変お待たせして失礼をいたしました。時間が余りもうないので、一問に。大変申しわけございません。

 GDP統計について、論点がたくさんございますので、分科会等も含めて、また機会を改めて詳しくはお聞きしていきたいと思うんですけれども、大きな方向性として、私は、安倍政権が、アベノミクスということです、実質GDP、名目GDPに目標を置かれて、三本の矢ということでされているわけですけれども、これがうまくいっているのかどうかということを検証する際に、さまざまなKPIも出されていますけれども、やはりまずGDP自体を見るときに、そのGDPが統計として精度が悪ければ、それは、政策評価もできないし、政策を誤るもとになってしまうと思います。

 そういう意味で、GDP統計というのは非常に重要な統計でありますし、日本のGDP統計は、その精度あるいはサンプル数、あるいは過去の時系列の公表データの長さ、こういったものはずっと世界でも有数の整備された統計という地位にあったと思うんですけれども、残念ながら、近年、必ずしもそうではないのではないかと思わざるを得ません。

 と申しますのは、例えば公表時期。これは、早く公表することと正確に公表することは、いわばトレードオフの関係にあるわけですけれども、まず、速報性ということを見ても、一次QEの発表の時期というのは、先進国の中で日本が一番遅いです。また、一次QEと確報との乖離という意味でも、この一年間の四半期データを比較いたしますと、日本が昨年の第四・四半期は〇・七ポイント修正されているわけですけれども、それほど大幅な修正をしているのは、日本以外にはドイツが一四半期あるだけで、ほかの主要国はそこまで大きな改定はしていません。

 速報性、正確性という両面から、日本のGDP統計の安定性といいますか信頼性が問われる状況だと私は思っているんです。

 そんな中で、来年度、GDP統計は大きな基準改定の時期を迎えます。二〇〇八SNAに移行する、九三SNAから十数年ぶりの大きな改定を迎えるんですが、そんな中で、予算面あるいは定員面、両面から、人員が削減されている。実働人員という意味では、非常勤の方々が少しふえていますので、八十四人ということで維持されているんですけれども、定員面、予算面、どちらもGDP統計について余り統計整備に御熱心じゃないという印象を持つんですけれども、甘利大臣はこの問題についてどういう御認識でいらっしゃいますか。

甘利国務大臣 GDP統計は、その四半期の一月半後くらいに速報が出るわけであります。おっしゃるとおり、アメリカとイギリスですか、随分早いのは。ヨーロッパのドイツ、フランス、イタリーと比べてみますと、大体一月半、翌々月の中旬ということで、そんなにずれはないんだと思います。

 おっしゃるように、できるだけ早くということと、できるだけ正確にということ、この両方をどうやって満たすかということが極めて大事でございまして、ぶれについても、日本だけが相当ぶれているという御指摘がありましたが、数年ベースでさかのぼってみると、大体、そのぶれの範囲は、日本が特別はみ出しているということでもないんじゃないかなというふうに思っております。

 もちろん、今後とも、より正確性を高めていく、そして迅速性を高めていくための努力は、工夫はいろいろしていきたいと思います。

 人員の問題も、非常勤というかそういうことまで含めると、かなり充実はしてきました。ただ、数でいえば、やはり、まだ足りない部分があるというのは、他国に比べて数が少ないというのは事実としてあろうかと思います。

 これからも、人員面、予算面、それから統計のデータのあり方、いろいろとGDP統計を出す場合には、それを構成するデータの開示から、それをしっかり精査していくという時間的余裕が必要でありますから、構成する要素から何から検証していかなきゃならないんですけれども、御指摘をしっかり受けとめて、より正確でスピーディーな対応ができるように、予算面それから人員面、体制面でしっかり整えていきたいというふうには思っております。

津村委員 もう時間がございませんのでこれ以上は質問いたしませんけれども、甘利大臣、このGDP、といいますか日本の経済政策、アベノミクス、私たち野党ですけれども、これは成功していただかなきゃいけないわけで、日本の経済のためにこれはきちんと頑張っていただかなきゃいけないわけで、そのときにその尺度が不正確であれば正しい政策は打てないわけですから、これは相当なリソースを割いて、政権としてきっちりやるべきことだと思うんです。

 今、お手元に数字があるのかないのかわかりませんけれども、帰ってからでも結構ですから、予算であるとか定員であるとか、この数年、私、何度かこれは御質問させていただいていますし、資料はいろいろあると思いますので、今、GDP統計の整備ということがどういう状況になっているのか、ぜひ甘利大臣、ここはよくチェックをしていただきたいと思います。

 終わります。

井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時三十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日は、やはり年金の情報流出、現在で百二十五万件というふうに言われておりますが、これは純粋に考えれば大変大きな問題でありまして、恐らく、今フリーダイヤルに電話をかける方々でいえば、この百二十五万件に該当する方々ばかりではないわけで、相当な確認をしたいという方々がおられる現状であります。そういう意味では、全国民的問題だというふうに思っております。

 ですので、今回の政府の関連情報が漏えいをしたということについては、一つは、やはり国家の重大な情報漏えいですから、行政機関においての大きな問題であるということと、国民のレベルにおいても大きな被害が出ている、この両面が常にあるということを、官房長官以下、重く重く受けとめていただきたいというふうに思っております。

 その意味で、我々民主党も、毎日、対策本部を開いて、役所から話を伺っておりますが、対応が非常にわからないですね、見えてこないですね。これはやはりもう少し情報公開をしっかりやっていただかなければいけない、そのように思っております。

 改めてですけれども、官房長官は、これまでの会見の中でも、年金機構の理事長、内規違反等々があれば、これはやはり責任問題だということもお話しになられています。私は、ドローンの問題について、一度、官邸の責任問題という話をしたことがありますが、やはり危機管理という意味では同様の話でありまして、官房長官については、処分すべきはしっかり処分すべきという姿勢に立って、毅然とした対応をしていただきたいというふうに思っておりますが、まず、政府の責任をどのように整理されているか、お答えください。

菅国務大臣 まず、今回、日本年金機構から国民の皆さんの極めて大事な年金のさまざまな資料が漏えいしたことに対しては、皆さんにおわびを厚生労働大臣が申し上げていますけれども、私も全く同じ思いであります。

 それと同時に、徹底をして検証して、二度と再びこうしたことが起きることがないように、しっかりとした検証を行うことも大事だというふうに思いますし、国民の皆さんにとってまさに年金受給を第一に考えて万全の対策をとるということが、政府の今行うべき責任だというふうに思っています。

 そして、最終的には、検証が終わってから、しっかりとそこは処分を含めて対応したい、こういうふうに思います。

泉委員 官房長官、改めてですけれども、時系列の資料、厚生労働省からの資料でも一部出ておりますが、官房長官及び総理が今回の事態を聞かれたのはいつなのか、お答えをいただきたいと思います。官房長官と総理が今回の事象を聞いたのはいつなのか、そして、総理からはこれまで官房長官に対して何か指示はあったのか、この二点をお答えください。

菅国務大臣 私が秘書官から報告を受けたのは、五月二十九日の金曜日であります。そして、そのことについて私から総理に御報告をさせていただきました。

 そして、第一次安倍政権の中で、年金問題が次から次へと発生をして国民の皆さんに大変御迷惑をおかけしたものでありますから、そうしたことの経験の上に立って、国民にとって大切な年金、まさに国民第一に、万全を期すように。そして、当時のことを振り返ると、なかなか事実関係が当初は出てこなかったわけですから、やはり、包み隠さず、公開できることは全て公開するという基本姿勢のもとでこれは対応すべきだ、こういうふうに考えました。

泉委員 官房長官、サイバーセキュリティ戦略本部の本部長でもありますね。五月の二十五日にも官邸で開催をされております。そういうことも含めてなんですが、五月二十五日に、総理出席で、本部長たる官房長官も出席で、各大臣並んで首相官邸の中でサイバーセキュリティ戦略本部を開催している一方で、そのときに既に今回の事件は起こっていたわけですよね。しかし、今のお話だと、聞かれたのは二十九日だということであります。

 しかも、それは恐らく、官房長官、サイバーセキュリティ戦略本部の本部長というお立場でお考えいただきたいんですが、個人情報が流出したかもしれない、情報が流出したかもしれない、そういうような報告であったかと思いますが、報告を聞かれて、報告が遅いなと思われましたか、それとも、なるほどという感じでしたか。

菅国務大臣 なるほどとは、もちろん思いません。

 ただ、大変なことだなというふうに思いまして、それと同時に、やはりもう一度全体を、これはNISCを含めて精査する必要がある。そこを徹底して、どういう事象でこうしたものが起きたかということを、対応策、まず国民の皆さんに絶対迷惑をかけちゃまずいわけですから、今、応急的にとるべきこと、こうしたこともNISCと相談をしてしっかり対応するように、そういうことであります。

泉委員 サイバーセキュリティ戦略本部の本部長として、どんな情報を常日ごろ、サイバー攻撃というのは年間五百万件ぐらい政府機関に対しても行われているという中で、五百万件報告を聞くわけにはいきません。しかしながら、やはりサイバーセキュリティーの戦略をつかさどる長として、どんな情報を上げてもらわなきゃ困るとお考えなのか。

 例えば、今回は個人情報の流出です。個人情報の流出事案だから上げてほしかったのか、それとも、個人情報にかかわらず、政府の、行政の資料が何らか流出しているのであれば、それはしっかりと情報を上げてほしいというふうに思われているのか、いかがお考えですか。

菅国務大臣 それはやはり、政府のそうした資料が外へ出たときは、当然、私に報告してほしい、こう思うのは当然のことだと私は思います。

泉委員 ちなみに、今回のはサイバーテロだという御認識はございますか、官房長官。

菅国務大臣 今検証中でありますけれども、そうした可能性は極めて高いというふうに認識しています。

泉委員 私は、サイバーの世界とはいえ、なかなか目に見えないかもしれませんが、サイバーテロと言われたり、サイバー戦争と言われたり、恐らくそういう危機感を持ってこれまで組織もつくってこられたと思うんですね。そういう意味からすると、やはり攻撃を受けていることの重大性はもちろんのこと、行政の何らかの情報が漏れるというのはゆゆしき事態だ、官房長官がおっしゃったものと一緒だと思います。

 しかし、果たして今までの政府が、では、政府の情報が流出するたびにしっかりと本部長に情報を適時上げていたのか、これはぜひ点検をしていただかなきゃいけない、私はそう思います。恐らく、これまでの取り組みの中では、官房長官まで上がっていなかったケースが、私はあったのではないかというふうに思います。

 そして、官房長官、きょうお配りをした、厚生労働省、日本年金機構の資料をごらんいただきたいんです。「日本年金機構不正アクセス事案の経緯」というものですね。ようやくきのう厚生労働省から出てきたものでありまして、これまで本当に、ほとんどの時系列というものは出てこなかったわけです。

 しかし、これを見てもなお、まだまだ不透明なところがたくさんあります、本当はもう調べがついているんじゃないかということも含めて。

 私は、例えば災害が起こった際の政府が出す資料、内閣が出す資料、非常によくできていると思っているんです。それはなぜか。一つの省の情報だけではなく、あらゆる省庁の取り組み、また時系列、そういったものを政府としてしっかりと把握して、それを全て載っけている。厚生労働省第何報、国土交通省第何報、防衛省、警察、いろいろなところの情報が載って、役所はよく資料を出されますよね。

 ああいうものにしないと、これはテロの可能性もある、まさに政府に対する攻撃の可能性もあると官房長官はおっしゃったのであれば、これはどうでしょう、いつまで厚生労働省、日本年金機構のこのおおらかな時系列の経緯説明のペーパーにおさめておくのか。

 これは私は、やはり早急にかえて、官房長官の指示でまさにCYMATも送り込んだ、そういうことであれば、ちゃんと政府として統一した時系列のものを出すべきじゃないですか。

菅国務大臣 当然、時系列のものを提出することは、極めて必要性が高いというふうに私は思っています。

 また一方、不正アクセスを受けた段階で判明した事実を幅広く明らかにすることは、実態解明の能力とか、あるいは攻撃者にそうしたものを把握されて対抗措置をとられる、こういうおそれがあるということも私どもは考えなきゃならないわけでありますので、こうしたことを考える中で、出せるものは全て出す、これが基本だというふうに思います。

泉委員 繰り返しになりますが、私もそれでいいと思うんです。出せないものは出せない、それはわかります。ただ、この厚労省と日本年金機構のみでつくっているものというのは極めて不親切だし、不誠実と言わざるを得ませんよ。

 一方では、皆さん御承知のとおり、いろいろな新聞報道を見ると、この経緯表から抜けているものもいろいろあるんです。

 厚労省、きょうは副大臣にお越しいただいていますが、確認をしたいんです。例えば、二枚目ですね、五月の二十日から二十二日、二つのことが載っておりますけれども、この間に、五月の二十一日なんですが、東京の人事部門の人間がメールを開いたということが報道されておりますが、その事実は確認されておりますか。もし副大臣がお答えできなければ役所の方でも結構です。

山本副大臣 まず最初に、今回の、日本年金機構への不正アクセスが行われまして、国民の皆様方の大切な個人情報が流出したことにつきまして、日本年金機構を監督する厚生労働省の立場といたしまして非常に重く受けとめておりまして、おわびを申し上げたいと思っております。

 今お尋ねの件でございますけれども、五月二十一日のことを報道で私も存じ上げておりますけれども、こちらとしては、その件につきましては確認をしておりません。

泉委員 そうしましたら、ほかのマスコミに出ている話が事実かどうかという確認も含めてですが、五月の二十二日、この五月の二十二日といいますと、二台のパソコンで感染の疑いという情報も新聞に出ております。これが、五月二十二日で二台のパソコンで感染の疑いと書いてあるのが事実かどうか。

 そして、五月の二十五日、この時系列の紙では、「機構、一台のPCがウイルスに感染した可能性を確認。」というふうに書いてありますが、一台が情報を大量発信しているというふうな報道がなされております。単なる感染と情報流出、これはやはり分けて考えなければいけない大きな問題であります。そういった意味では、五月二十五日に一台が大量発信をしていたということが事実かどうか。

 そして、同じく、五月二十六日です、この時系列の紙にはありませんが、四台のパソコンから大量発信があった、こういう報道もなされております。

 言っておきますが、こんな報道、内部の人間がしゃべらない限り出るわけがないですね。何台のパソコンから情報を発信した、そんなもの、担当者以外で誰がわかりますか。そういうものが新聞に出ているんですよ。にもかかわらず、これが載っていない。しかも、副大臣が事実を確認していないということが、この答弁でなければいいなと思っているんですが、お答えください。

山本副大臣 さまざまな報道で、いろいろと特定した情報が載っていることは存じ上げておりますけれども、今こちらに書いていないことにつきましては、捜査上にかかわることもございますので、控えさせていただいているものもあるということを御認識賜れればと思います。

泉委員 全く御認識賜れないですね、それは。

 捜査機関の人間が時々話をしてしまうことも確かにありますけれども、しかし、やはり出ていること、それが事実としてどんどん世の中に広がっていくわけですね。否定をされるのであれば、否定をしていただかなきゃいけないし、マスコミも、別に言われたことを全て書いているわけじゃないと思いますよ。それなりの人間からそれなりの情報があったときにこう書いているわけで、やはり事実関係を明らかにしていただきたいということも含めてなんです。

 官房長官、改めてなんですが、ここに載せるべきかどうかというのは確かにあるんですが、先ほど私がお話をしたように、五月の二十五日には、総理大臣が御出席になられてサイバーセキュリティ戦略本部が開催をされております。そして、六月一日には、杉田副長官を議長とする対策推進会議が開かれておりますが、これは五月の二十一日にも開かれているんですね。しかし、この中では全く、恐らく議論もなされていないんだと思います。

 政府が全体として何をやったのか、そういうものがやはり国民に伝わる必要があるというふうに私は思っていて、書けること、書けないことはあるんですが、例えば、消費者庁が何日に通知文書、啓発文書を発信した、例えば、金融庁が何日に金融機関に連絡した、そういう総合的な政府の取り組みを載せるのが、やはり政府としての誠実な情報発信ではないでしょうか。それを、各省ばらばらで、何の一枚のペーパーにもなっていない状態で行われても、それは政府として国民にちゃんと対策を打っていますというふうに言えないんじゃないでしょうか。

 改めて、政府として統一の、出せないものは構いません、捜査中のもの、いろいろなもの、事情があるものは構いませんが、厚生労働省、年金機構というこのクレジットのままでは、やはり政府として、特に国民、被害者、そういう方々に対して何をしたのかというのは全くわからないですね。これはぜひやはり統一のものをつくっていただきたいと思いますが、いかがですか。

菅国務大臣 今のこの時系列の配付資料でありますけれども、これについては、厚生労働委員会のたしか理事会に請求をされて、どういう対応だったかということを提出するようにということで出した資料だというふうに私は承知をしております。

 先ほども私は答弁させていただきましたけれども、国民の皆さんにまさに御迷惑をこれ以上おかけしないような対応策を行うことが最優先で、今全力でこれに取り組んでおりますし、そしてまた、大臣のもとで、なぜこのような事案が発生したかという検証、これもきのうから、大臣がまさに独立性の高い検証委員会を実は立ち上げているところであります。

 そういう中で、一定程度のめどが立った場合、政府として改めて、今回のさまざまな時系列を各省庁取りまとめて提出するというのですか、しっかりと、これは次の対応策になるわけですから、そうしたものを取りまとめる必要というのはあるというふうに思っています。

泉委員 大臣が検証委員会を立ち上げられたという話がありましたが、官房長官、改めてお伺いしたいんですけれども、これは、政府において、国の行政機関で発生したサイバーセキュリティーに関する重大な事象という、いわゆるこれは役所の文書でいうと特定重大事象といいますけれども、もうその事態に入っているという理解でよろしいんですか。

菅国務大臣 百万を超える国民の皆さんの名簿を含めて、さまざまな情報が漏えいしたわけでありますから、ここについては最大限、国として対応すべきだというふうに思っています。

泉委員 サイバーセキュリティ戦略本部の本部長ですから、正確にお答えいただきたいんですね。

 ことしの二月十日に、サイバーセキュリティ戦略本部の決定がございます。サイバーセキュリティ戦略本部重大事象施策評価規則というのがありまして、サイバーセキュリティ基本法二十五条、「「国の行政機関で発生したサイバーセキュリティに関する重大な事象」(以下「特定重大事象」という。)」こういう定義がちゃんとなされております。

 特定重大事象なのかどうなのか、もう一度お答えください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 本年一月の九日にサイバーセキュリティ基本法が全面施行されたところでございますけれども、その中で、サイバーセキュリティ戦略本部の事務といたしまして、「国の行政機関で発生したサイバーセキュリティに関する重大な事象に対する施策の評価」、この中には「原因究明のための調査を含む。」となってございます。

 この法律に基づきまして、本年二月に開かれました第一回のサイバーセキュリティ戦略本部におきまして、重大事象施策評価規則というものを決定しております。

 この中で、特定重大事象といたしまして、例えば、情報の漏えいを伴う事象であって、国民生活または社会経済に重大な影響を与える、あるいは影響を与えるおそれがあるものと書いてございます。

 したがいまして、今回の事案につきましては、情報の漏えいが伴うものであって、国民生活、社会経済に重大な影響を与えるものであるというふうに考えております。

泉委員 ずらずら読まなくても、今説明したことをイエスかノーかで答えてくださいと言っているんですから、それは協力をしてください。ぜひお願いします。

 今まさに言っていただいたように、これはもう既に特定重大事象だそうです。しかし、そういう宣言めいたものも何もなければ、国民の誰も知らないという状況なんですが、定義にはぴったり当てはまるんですね。特定重大事象なんです。

 そういう認識を持ったら、持っているからこそ、私は、官房長官の指示でCYMATが厚労省に行っているというふうに認識していますよ。違いますかね。特定重大事象だからCYMATが行っている、違いますか。

菅国務大臣 ですから、先ほど私が申し上げたとおり、これだけ、百万を超える国民の皆さんの個人情報が漏えいをしたわけですから、そこは政府を挙げて取り組むのは当然のことであるという形の中で、私は最初、五月二十九日にこの事案を聞いたときに、やはりNISCも含めてしっかり対応するように、厚労省、年金機構だけでなくて、そこを指示したところだったんです。

泉委員 これは、ですから、サイバーにおける緊急事態みたいなものですよね。ですから、本当に官房長官には指導力を発揮していただかなきゃいけないというふうに思っております。

 この重大事象なんですが、しかしながら、結局、誰がどうやってこれを認定するというか、認知するというか、これは誰が決裁して、この事象になった、あるいはなっていないということを決めているのか。あと、これはいつからこういうことになっているのか。それぞれお答えいただけますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたけれども、サイバーセキュリティ基本法ができまして、二月のサイバーセキュリティ戦略本部の決定によりまして、そこからこの重大事象にかかわるメカニズムというものが起動をしているところでございます。

 それから、今回の認定でございますけれども、今申し上げた三つの類型の中で蓋然性が高いものについては、当然、重大事象として、今申し上げたメカニズムの中で処理をしていくということになっている……(泉委員「誰が」と呼ぶ)サイバーセキュリティ戦略本部が基本となりまして検討をしていくということになるわけでございます。

泉委員 本当にしっかり答えていただきたいんですが、では、本部でいつ決めたんですか。それはもう一度教えてください。いつ決めたんですか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 サイバーセキュリティ戦略本部の任務でございますけれども、その業務の一部が、その事務局でございます内閣サイバーセキュリティセンターに委任をされているという形をとっております。

 最終的には、サイバーセキュリティ戦略本部におきまして復旧あるいは再発防止策の評価を行う、これは戦略本部において行うということにされてございます。

泉委員 ちょっと、もうそろそろ、いいかげんに怒りますよ。いつと聞いているじゃないですか。答えてくださいよ、本当に。

井上委員長 答弁者、簡潔に、質問の趣旨に沿って答えてください。

 それでは、菅内閣官房長官。

菅国務大臣 センターから私がその事案の内容を聞いて、私が本部長でありますから、センター長にそこの対応をするということで重大事案という形になる、こう思います。

泉委員 今のは助け船ですからね。それをよく知っておいてください。

 でも、ありがとうございます。これが一つの歴史になっていきますので、そういう認定というか、これは大事です。書かれている以上は、ちゃんと、重大な事象であれば重大な事象として認めていただかなきゃいけないんです。

 それで、重大な事象として認めていただいたとしたら、これは、さっきの話に戻りますが、それこそ政府全体で取り組むべきことなんですよ。各省に任せる話じゃないんです。だから、私は、そこをはっきりしたかったんですね。

 やはり、特定重大事象だともう官房長官が宣言をされているという状態にあるわけですから、そうなると、官房長官にもいろいろな本部長としての権限がございます。それぞれが取り組んだものについての評価をされるわけですが、そこには資料の提出の権限ですとか、勧告の権限ですとか、そういったものがさまざまに備わっているわけですね。ですから、まさに指導力を発揮してやっていただかなければいけないわけです。

 その中で、施策の評価ということもあるんですが、事実上の陣頭指揮をとっていただくお立場として、事象発生の把握ですとか、被害の特定及び原因究明ですとか、被害の復旧及び再発防止に向けた施策、そして、復旧、再発防止等の評価、そういったものをそれぞれ行うことになっているんです。

 私、ちょっと気になるのは、このサイバーセキュリティ戦略本部の資料を見ていて、サイバーにおける攻撃が行われたので、行政機関はサイバー的被害を受けるわけですね。それによって、さまざま対策をとらなければいけないということはわかるんです。しかし、ここで言うところの被害の復旧という言葉に、では、それによる国民の被害の復旧が含まれているのかいないのか。実は、どうもこれは、あくまで行政機関の中の被害の復旧という言葉に限られているような気がしてならないんです。

 ですから、今後でも構いませんので、被害の復旧、二次的被害ですね、この情報流出によるさまざまな被害の復旧ということについて、まあ、サイバーセキュリティ戦略本部が行うべきことなのかどうかというのは確かにあります。ただ、では、それを政府内で誰が考えるのか。これは後ほどの質問にもちょっと出てくるんですが、実は、今その国民被害をとめる陣頭指揮役は、事実上余り見えてきていないんですね。

 厚生労働省は、まだ、各省を集めて、そういった意味での被害対策の全省庁に対する依頼をしていないんじゃないのかなと思いますが、大分後の質問の予定でしたが、厚労省、一点、一旦確認をしたいと思います。

 厚労省として、今回の事態を受けて、環境省は関係ないと思いますが、例えば金融庁ですね、あるいは消費者庁、啓発お願いします、あるいは警察庁、今回の事態はこういうことですと。それをバイではなくて、厚労省が呼びかけて、各省庁を呼んで会合を開いて、今回の対応、特に被害者に対する対応についての協議会等々を開いたことはございますか。

山本副大臣 今おっしゃったような協議会のようなものは開いておりませんが、関係各省には状況を御説明させていただきまして、既に動いていただいております。

 実施可能な取り組みにつきまして、後ほどの御質問にもあると思いますが、消費者庁だとか警察庁だとか動いていただいておりまして、今後も、今チラシ等を作成しておりますけれども、関係各省の関係機関にそういったものを置いていただく等々、いろいろな形で御協力を呼びかけているところでございます。

泉委員 繰り返しになりますが、これは甚大な被害であります。サイバーにおける甚大な被害であります。そういうことであれば、政府全体として指揮をしていただかなければいけない時期がもう来ているというふうに思いますので、改めてよろしくお願いをいたします。

 さて、改めて確認なんですけれども、きょうはNISCの関係も御答弁をいただくことになっていますが、この時系列の紙をごらんいただいて、いろいろな質問の中でも出てきていますが、五月の八日に、まず、厚生労働省が、「内閣サイバーセキュリティセンターより、「不審な通信を検知」との通報を受領。」したと書いてあります。

 改めて、この「不審な通信」というのが、確認ですが、厚労省内部から何らか情報の流出が見られるのではないか、そういうGSOCの検知があったということでよろしいでしょうか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、五月の八日、NISCの監視体制の中で、厚生労働省のシステムから部外に対して不審な通信が行われているということを感知いたしまして、厚生労働省に対して通報したということでございます。

泉委員 そうなんです。実は、やはり非常に大きくて、先ほど官房長官は、個人情報か否かにかかわらず、政府の情報が出ている、そのことには非常に関心を持っているということをお答えになられました。これは恐らく山口大臣も同様だと思いますよ。やはり、情報セキュリティーと言っていれば、政府の情報がいつの間にか動いているという兆候があれば、それは、ある種、防衛におけるスクランブルと同じようなものじゃないですか。そう思いませんか。

 そう考えたときになんです。今回の情報が、これはネットの世界ですからある程度は仕方ないかもしれませんが、まずはNISCの方から厚労省にその通知が行って、基本的には各省で対応する、そういう仕組みになっております。

 しかし、その厚労省が、今回、例えば、五月八日に一台、これが発覚した時点で、隔離をして、保守会社には持ち込んだ。しかし、ほかのパソコンのネット遮断あるいはLAN遮断は行わなかったわけですね。その一台ではない、ほかのパソコンの。これはなぜなのかということを改めて聞きたいというふうに思います。なぜ遮断を行わなかったんでしょうか。

薄井参考人 お答えを申し上げます。

 その前に、今回のことにつきまして、国民の皆様に多大な御心配をおかけいたしておりますことにつきまして、まことに申しわけなく、心からおわびを申し上げたいと思います。

 さて、本年五月八日にNISCの方から厚労省を通じて情報がございまして、その結果、探索をしたら、不審メールを開封したパソコンというのが確認をされたわけでございまして、御指摘ございましたように、直ちにケーブルを引き抜いて隔離して、ウイルス対策ソフト会社に解析を依頼する、そのウイルスソフトの更新版ができましたら、それをインストールする、こういった対策を講じたところでございます。

 その段階ではそういう対応をしたということで、全てのパソコンをインターネット接続から遮断するまでの対応には至らなかったところでございます。

 なお、資料にもございますけれども、ウイルス対策ソフト会社からは、情報の流出につながるタイプのものではないという連絡を、その後、受けております。

泉委員 おかしいですよ、それは大分後ですよ。外部に漏えいするタイプではないというのは、五月十五日の話ですよね。この資料が違うというんだったらまた問題ですが。

 改めてです。五月八日の時点で、ほかのパソコンについてネット遮断、LAN遮断を行わなかった。これは、官房長官、御認識いただきたいんですが、何もサイバーセキュリティーは官邸のみではないですね。各省でもそれぞれ御努力をされて、体制もつくっているはずです。厚労省にも厚労省で、CSIRTがおりますね。これは要員が何名なのか、そしてこのときに何か対応していたのか、答弁いただけますか。

山本副大臣 済みません、ちょっと今、数字を持ち合わせておりませんで、大変申しわけございません。

泉委員 各省にも、こういった事象に詳しい、対応できる方があらかじめおります。ですから、官邸から派遣されなければいけないということではなく、厚労省にも存在しているんですね。しかし、この間のここまでのさまざまなこの事案についての経緯の中では、一切出てこないですね。厚労省の中でそういう技術者が何かしたのかどうなのか。おられない、おられる。では、もう一回ちょっと。

山本副大臣 失礼いたしました。

 CIO補佐官という形で五名いるという形になっております。

泉委員 機構さん、その存在は御存じでしたか。あるいは、その方々に連絡をしましたか。

薄井参考人 お答え申し上げます。

 私ども、厚生労働省の方から情報が入ってきて、年金局を通じて、当該セクションと状況を報告いたしております。

 時点はちょっと明らかではございませんけれども、厚生労働省のそういう方と、来て、お話をいただいたということがあったように記憶をしております。(泉委員「八日のときに」と呼ぶ)八日ではなかったと思います。

泉委員 改めて機構にお伺いしたいんですが、ほかのパソコンのネット遮断、LAN遮断を行わなかったということについて、今でもそれは間違いではなかったと思っていますか。

薄井参考人 お答え申し上げます。

 どの時点でLANシステムから個人情報が流れていたかということについては今明らかではございませんで、今後の検証にまつ必要があるわけでございます。

 そういう意味で、現段階で評価することは難しいわけでございますけれども、インターネット環境に接続しているLANの中に個人情報を保持していた、これがこういうことにつながったということでございますので、その点につきましては、大変申しわけなく、事態を重く受けとめているところでございます。

泉委員 その辺の意識だと思うんですね。

 どの時点で流れたかということの以前に、流れるかもしれない環境を遮断するのが大事なんじゃないでしょうか。副大臣、そう思いませんか。

山本副大臣 御指摘のとおり、今回、八日の段階で、NISCからの不審な通信を検知との通報を受けまして、不審な通信を行っているPCのLANケーブルを引き抜くといった対応等の応急措置はとったわけですけれども、結果といたしまして個人情報が流出しているということは、大変重く受けとめなくてはいけないことだと思いますし、反省すべき点があったのかどうかも含めて、この今回の検証委員会で徹底的に検証をさせていただきたいと考えております。

泉委員 もう既に反省はしていただかなきゃいけないと思いますけれども。

 やはりパソコンそのものの感染は基礎的な話であって、もうそこからすぐ拡大と流出ということを考えなきゃいけないはずですよ、これは。それが、あくまで当該パソコンのみ対処をしてしまったというところが大きな問題だというふうに思います。

 さて、次ですけれども、結局のところ、五月十九日に警察に相談をされて、五月二十八日に警視庁から連絡を受けたわけですね。しかし、この間、NISCからも、五月の二十二日、不審な通信を検知とまた連絡も入っていたりしているわけですが、結局、警察に相談してもなお、そして警察から五月二十八日にデータが発見されたと来るまで、厚労省がみずから情報流出を懸念することがほとんどなかったように見えるんです。

 それは、保守会社に任せっ切りにして、保守会社の情報をうのみにしていたということですか。うのみと言うと表現は悪いかもしれません。保守会社からの報告、ウイルス除去社からの報告を唯一の判断材料にしていたからでよろしいですか。

薄井参考人 私どもとしては、隔週、NISCからの情報も二回にわたってございましたけれども、私どものLANシステムの動向は保守会社に常にウオッチをさせております。

 そういうことの中で、当該セグメントというか、その端末だけではなくて、二十二日にあった段階では、その不審な通信が確認された拠点あるいは部門におきます全てのインターネット接続を遮断する措置をとったところでございます。いずれにいたしましても、保守管理会社の監視を受けながら、私どもとしてはその段階、段階での対応をとってきたわけでございます。

 全体につきまして、これがいかなるものであったかというのは、今後、検証にまつ必要があるというふうに思っております。

泉委員 これもこの時系列の紙からの確認なんですが、五月十五日、「ウイルス除去社から、「新種ウイルスは、外部に情報を漏洩するタイプではない」との解析結果を受領。」されたとあります。結果的には外部に情報が流出していた。

 改めてですが、機構として、あるいは厚生労働省としてでもいいんですが、この「タイプではない」という見解は今も変わっていないんでしょうか。

薄井参考人 これは、その時点でそのような情報をいただいたということをこのペーパーには書かせていただいております。

 そのことにつきましても、今後の検証の中で、一体どうであったかということについて検証がなされるものと考えております。

泉委員 検証がなされるものという話ではなくて、してもらわなきゃいけないんですよ。あなたたちがするんですよ、それは。

 それで、では、もう一度。そうすると、今、ウイルス除去社に対して、もう一回、このタイプの再確認をしてもらっているという理解でいいんですか、その作業をさせていると。

薄井参考人 ウイルスソフト会社も含めて、私ども、私どものシステムの保守点検業者の方にウオッチをさせ、そういうふうな原因の解析ということはお願いをしております。私どもも、必要な意見交換というか、そういうのをしながら進めていく必要があると思っております。

泉委員 これははっきりしてください。大事なことなんです。

 新種ウイルスが外部に情報を漏らすタイプではないということで解析が終わっているのか、終わっていないのかなんです。この時点で一度結論を出したのはいいかもしれないけれども、情報は流出していたわけですよね。そうすると、もしかしたら、まだ見つかっていないほかのウイルスで情報が流出したかもしれないわけです。

 それも含めて、この五月十五日の新種ウイルスが外部に情報を漏らすタイプではないというふうに結論づけているわけですが、その結論は今も変わらなくて、もうこの解析は終えているのか、もう一度再解析をさせるのか、そこをもう一度お答えください。

薄井参考人 お答え申し上げます。

 このペーパーにもございますように、その後も幾つか不審な事象があったわけでございまして、その都度、保守管理会社を通じましてウイルスソフト会社の方に検証をお願いし、それに対するワクチンといいましょうか、そういうふうなものをつくって、当てはめていっている、インストールしていっているわけでございます。

 そういう中で、どういうふうな問題があるかということを、その都度その都度、進めてまいっておりますし、現時点で、これまでわかっていること、わかったものについては対応する、わかっていないものについては引き続き検証する必要がある、こういうふうに思っております。

泉委員 改めてお伺いします。

 結局、ある一定の要件でそれぞれの会社と契約をされているのは、当然、政府全体のサイバーセキュリティーという意味で一定の水準を超えているはずだと思っているんですが、今回の会社の対応も、私は不十分ではないかと指摘されても仕方がない。しかも、これは民間の契約ではなく、国民の税金を使ってセキュリティーを任せている契約でありまして、それは当該パソコンからウイルスを除去するだけの契約ということではないと思うんです。

 これはいろいろな意味で、やはりさまざまな課題を今後検証していかなきゃいけないと思うんですが、ただ、わからないのは、どんな会社と契約しているのか全くわからないです。

 改めてですが、社名は何という会社なんでしょう。

薄井参考人 お答え申し上げます。

 日本年金機構が、直接、保守管理の契約を結んでおるところは、NTTデータ社でございます。

 NTTデータ社さんが、その後どのウイルスソフト会社にということにつきましては、セキュリティーの関係もございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

泉委員 これは確認ですが、保守会社のみの水準が確保されるだけじゃなく、そこから再委託というか、行くところの水準についても、このサイバーセキュリティーの中では一定の水準がなければならないということに、まあ、なっているんでしょうね、それはそうだと思いますが。

 その先はわからないということではやはり困りますので、これはぜひ、今後、社名についてもお出しいただくように、理事会でお諮りをいただきたいと思います。

井上委員長 理事会で協議します。

泉委員 あともう一つ確認をしたいのは、先ほど言っていた厚生労働省のCSIRTの要員の件ですけれども、これは五名おられたというような御答弁でありましたが、この方々は今回の事案についていつ認知をしたのか、それをまた資料としてお出しいただきたいというふうに思います。理事会で協議を。

井上委員長 理事会で協議します。

泉委員 続いてですけれども、これまで、この時系列の紙でいうと、五月の八日そして二十二日に、厚生労働省に対して二回の通知が行われておりますけれども、たしか、いただいた資料では、今年度に入って四回、厚生労働省に対しては通知がなされているというふうに認識をしております。その他の二回の日時を教えていただきたいと思います。

山本副大臣 年金機構に関するものと特定したのは、そのうちの二件という形になっておりまして、その他の二件のことについては、ちょっと申し上げる用意がございません。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 今年度、私どもNISCにおきまして感知をいたしました厚労省の事案についての通知回数でございますけれども、これは、計四回ということでございます。

 この中には、五月八日及び五月二十二日の本事案に関するものが、これは二件含まれてございます。それから、本事案とは別に、同じ五月二十二日に、非常に細かい通信量が出て特定ができなかったものが一件、それからもう一件、通信が完全には終了しなかった、フィードバックがなかったものが四月に一件、検知をしている。計四件ということでございます。

泉委員 ありがとうございます。

 さて、きょう、山口大臣にもお越しをいただいておりますが、少し、お立場としては直接この事案にかかわっておられるのかどうなのかというところが見られるわけですね。IT担当でもありますので、また、戦略本部においては副本部長ですね。ですので、大事な役割かと思いますが、山口大臣にはどの時点でこの事案の連絡があったのか、そして、この事案における役割というのは何かあるのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

山口国務大臣 まず、役割ということでありますが、私は、内閣官房の担当大臣として、サイバーセキュリティ戦略本部長である菅官房長官を支えて、サイバーセキュリティ戦略本部に関する事務を担当するというふうなことになっております。

 サイバーセキュリティ基本法第二十五条に規定をされておりますが、戦略本部の事務の中には、「国の行政機関で発生したサイバーセキュリティに関する重大な事象に対する施策の評価に関すること。」ということになっておりますので、この観点から、この事象にも対応しておるというふうなことであります。

 もう一つお尋ねの、いつかということでありますが、先ほどの厚労省の方の時系表ですか、これでもおわかりのとおり、二十九日の段階でいわゆる重大インシデントに当たる可能性があるというふうな判断をしたというふうな中で、私が話を聞いたのは五月三十日でございました。

泉委員 役所の方も、やはり副本部長でありますので、すぐにこれはお伝えをいただかなければいけないのではないのかなというふうに思います。

 そういったものも含めて、このサイバーセキュリティ基本法を改めて読ませていただいて、また、あるいはこれまでの政府のさまざまな会議を改めて見せていただくと、会議は非常に熱心に、また非常に先端レベルということをうたいながら、戦略も構築しているんですが、まさに、いざこうして起こってみると、いまだにやはり厚生労働省の枠内におさまっているな、政府全体として本当にこれは取り組まなければいけないんじゃないでしょうかということを私は思います。これをぜひ改めて認識していただきたいというふうに思います。

 さて、時間も少し少なくなってまいりましたけれども、改めて、五月の二十一日には、首相官邸でサイバーセキュリティ対策会議が行われております。もうこの事案が発生した後です。そして、五月の二十五日には、総理、官房長官も出席のもとで戦略本部会議が開催されています。そこには政府の各役所の役人さんもたくさん出席をされているわけです。

 この時点で総理や官房長官は全くお話を伺っていなかったということだと思うんですが、この会議に出席をしているメンバーの中で、この時点で今回の事案について部下から情報をもらっていた、そういう人間がいるのかどうか、改めて、NISC、そして厚労省、内閣官房に確認をしたいと思います。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもNISCにおきまして、今回の事案、情報が流出したということについて、報告、認知をしたのが五月の二十九日でございますので、戦略本部の開催時点においては、情報流出についての事案、認知はしておりません。

山崎政府参考人 日本年金機構から、今回、これが情報流出であるということを報告を受けましたのは、私ども年金局で五月二十八日ということでございましたので、この五月二十一日ないし二十五日の時点では、私どもの出席した者で、これが情報流出の事案だということを承知していた者はいないということでございます。

泉委員 きょう、谷脇さんにお越しをいただいております。NISCとして、これは適切な段階でのNISCに対する情報提供だったと考えておられるのか。それとも、本来は、NISCが通知をした中で、あるいは、厚労省が警察に相談をしていますよね。普通の役所が警察に対応を相談するというのは、やはり相当いろいろな思いがあっての、判断があっての相談だと思うんです。

 私は、NISCの方に部屋に来ていただいて、今回の質問のさまざまな事前ヒアリングをしているときに、NISCは消防の役割を持っています、火消しなんです、家を建て直すのは各省庁ですという話でした。

 しかし、火消しも、まさにGSOCだとかいろいろなセンサーで、火災報知機で検知させるということについてはやっているけれども、検知させて、中にはそれを放置している、いまいち対応が緩い、そういう役所があって、火が広がっていたわけですよね、今回の場合。そういうときに、やはり私は、NISCとして状況を把握しなくていいんだろうかというふうに思うんです。

 これは、今までの話では、NISCは基本的に通知をする側ですから、あとは役所ということでいいと思うんですが、まさに今回の実例を考えてみたときに、やはりその役所がどんな対応をしているのか、また、その対応が正しいのかどうか、いろいろな意味で、途中経過も含めて情報をいただく必要があるんじゃないかなというふうに思うんです。

 改めて、五月二十八日に、厚労省から個人情報が流出しているからということで連絡を受けたことについて、遅かったというふうには思いませんか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、厚生労働省から情報をいただいたのが五月二十九日金曜日でございますけれども、私どもNISCの中にも事故究明のチームをつくっておりますので、詳しくはその検討を待って評価をしていく必要があるというふうに考えております。

泉委員 かように、こうして実例が起こってみると、相当課題はあるなというふうに思います。

 NISCとして、今まで、各省が流出した資料の特定については、恐らくそこまでは行ってこなかったと思います。しかしながら、各省においても場合によっては特定できないケースもあるわけですが、ここは、官房長官、サイバーセキュリティーの基本として、これまでも、例えば国交省ですとかJAXAが情報を流出した場合には、ちゃんと適切に公表するということについてはやっております。何が流出したかということが確認とれればの話ですが、やはり情報が出たということについては誠実に公表しているわけですね。ですから、やはり今後も、全省庁、もし情報の流出が確認されれば、それを内部で隠蔽することはないと。

 私、なぜそんなことを改めて確認しなきゃいけないかといいますと、サイバーセキュリティーのルールの中で、個人情報にかかわるものだとか重大なものについては公表しなければいけないという立て方、少し前提条件がついているんですね。そこがやはり気になっていまして、行政情報というのは国民の財産ですから、それが流出したということが、機密に当たらなければです、機密に当たってどうしてもというものはあるかもしれませんが、やはり基本的に公表すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 今回、私が二十九日にその事案の報告を受けて、私は全体像にやや信じることのできない部分がありましたので、かつての社会保険庁の問題がずっと私の頭に残っておりましたので、NISCにチームをつくって、ここはまず全体像を把握する、それと、二次被害が発生しないような対応についても協力してやるべきである、そういうふうに実は思って、指示もしたのであります。

 ですから、また今回、法律、NISCの改正をさせていただいた中で、監査権限も実はありますので、こうしたものを駆使して、どうしても役所というのは自分の縦割りの中でおさめようとしますから、そうしたことがないように行うのが私の仕事だ、こういうふうに思います。

泉委員 きょうは越智金融庁政務官にもお越しをいただいておりますけれども、いわゆる国民の側の被害救済というか防止、これをしっかりやっていただきたいと思っています。

 きょう金融庁の観点からお越しをいただいたのは、やはり、今回、四情報が流出した中で、金融機関にさまざまな手続をされる可能性があるんじゃないかということも指摘をされています。それは偽造の免許証なんて普通ないよなんという話はあるかもしれませんが、アングラの世界ではやはりそういうものが存在している以上、厚生労働省としても責任を強く持って、幅広に各省に、こんな可能性があるからぜひ気をつけてくれというのは絶対言わなきゃいけないと思うんです。

 そういうことでいうと、ぜひ金融庁には、各金融機関に、窓口での本人確認、特にこういうものについて徹底する、厳格にするという通知を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

越智大臣政務官 お答えいたします。

 今議員御指摘のとおり、今回の個人情報の流出に関しまして、さまざまな、いわば二次被害ということが起こる可能性が指摘されているわけでございます。

 金融庁としては、例えば、不正に個人情報を取得した者が、年金受給口座を変更して年金の不正受給を企てたり、あるいは、同機構の職員等をかたって、年金番号等の変更には手数料がかかるという形で、そういう話を持ちかける等の新たな振り込め詐欺が発生するといったようなことは考えられるというふうに思っております。

 そういう中で、金融庁としては、今委員御指摘のとおり、金融機関にしっかりと対処をしてもらわなきゃいけないということで、昨日、四日でございますけれども、金融機関に対しまして、本事案に関する不正の防止や情報収集等の的確な対応を要請するとともに、当庁のウエブサイトにおいて広く注意喚起を行ったところでございます。

 具体的には、昨日、全銀協やあるいは地銀協、信託協会等々を通じまして、各金融機関にそういった要請を行ったということでございます。

 以上でございます。

泉委員 ありがとうございます。

 こういうことを厚労省が言わなきゃいけないんですよ。実は、私も数日前から金融庁に言ってお願いしていて、こういう通知を出してもらっているんです。

 そしてもう一つ、きょう、消費者庁の資料を出しております。

 この消費者庁の六月四日の資料で見ますと、一番下に書いてあります。なお、日本年金機構でも、不審な連絡があった場合の電話番号が設置されていますと書いてあるんですね。これは、幾つかのマスコミでも同様に、不審な電話があった場合の電話窓口ですというふうにアナウンスされちゃっているんです。

 しかし、厚労省さん、これは本当にこういう限定された電話窓口ですか。これは恐らく、不審な電話があろうがなかろうが、本人が確認していい番号じゃないですか。こうやって実はミスリードが始まっているんです。新聞にも載っていますよ。

 厚労省は、六月三日だったかのおわび文書の中では、それのみならず、さまざまなもので問い合わせできる電話窓口を用意しましたと書いてあるんです。だけれども、連携していないから、こうやって、不審な連絡があった場合のという限定がついちゃっているんですね。それがマスコミにも報道されているんですよ。これがまさに連携できていない証拠で、だから、集まってしっかりと協議をしてくださいということをお願いして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井でございます。

 引き続いて、私も、今回の年金流出問題について御質問したいと思います。

 今回、厚生労働省、それから日本年金機構、本当にずさんの一言だと思います。ただ、この件については、厚生労働委員会でも集中審議をやっております。この後、我が党の足立委員からも質問があると思いますので、私は、主に、今、泉委員もそうでしたけれども、政府全体のサイバーセキュリティーという観点から、この内閣委員会の所掌でもございますので、ちょっといろいろとお聞きしたいと思っております。

 まず最初に、NISCに、私は、おとといの内閣委員会でも御質問しました。五月の八日から二十八日まで、二十日間という長い時間、一体何をされていたのかと。それに対して、谷脇審議官から、こういう答弁でした。

 少し要約しますが、NISCにおきましては、サイバー攻撃等を検知した場合には、関係府省に通知を行い、所要の対策を講じるよう求めているところです、他方、各府省におきましては、被害拡大の防止、早期復旧のための措置を講じているところです、今回の事案については、厚生労働省における対応について随時必要な助言を行ってきた、助言の内容については差し控えさせていただきたい、大体こういう答弁だったんです。

 これは、厚生労働省にだけ助言をして、年金機構に対しては全く助言などはしていないということになるんでしょうか。もし、年金機構に対しても何かしているのであれば、お答えください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもNISCから厚生労働省に対して、直接的な助言等を行っているところでございます。厚生労働省を経由して、年金機構の方にさまざまなインフォメーションが行っているということでございますけれども、当然のことながら、御要請があれば、私どもの方から年金機構に対しましても助言をさせていただくということはやぶさかではございません。

高井委員 求めがあればということでしたけれども。

 では、今度は厚生労働省にお聞きしますが、厚生労働省は年金機構に対してどのような指導助言を行ったのか、できるだけ具体的にお答えください。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、五月八日、内閣サイバーセキュリティセンター、NISCから、日本年金機構の不審な通信を検知したとの連絡がありましたことから、日本年金機構にその旨を連絡したところでございます。これを受けまして、私ども厚生労働省からの指示で、日本年金機構におきましては、不審な通信を行っていたPC一台を特定した上で、LANケーブルを引き抜き、そのPCを回収したと承知しておるところでございます。

 その後も、不審メールの着信や警察への連絡等につきまして日本年金機構から連絡を受けておりましたが、五月二十二日には、またNISCから、日本年金機構の不審な通信を検知したとの連絡がありましたことから、日本年金機構にその旨を連絡いたしまして、また、これを受けまして、私どもの指示で、日本年金機構におきましては、不審な通信が確認された特定の地域ブロック本部全てのインターネット接続を遮断したと承知しているところでございます。

 さらに、五月二十二日以降、個人情報の流出があったということが判明したことを受けまして、機構におきまして、お客様の年金を守ることを最優先に、お客様の情報が不正に利用されて年金の手続が行われるなど、今後のお客様の年金支払いへの影響が出ることが万が一にもないよう、万全の対応をとるように指示を行ったところでございます。

高井委員 私が聞きたいのは、お客様への対応云々よりも、まさにセキュリティーという点が十分だったかというところを聞きたいんです。

 それでは、ちょっと質問をかえまして、厚生労働省にセキュリティー担当職員というのは何人いるんですか。これは通告していますので。あと、どういう経歴の方というか、つまりセキュリティー業務の経験がちゃんとある職員なのかどうか。そういうことも含めて、どういうセキュリティーの職員の体制になっているのか、お答えください。

今別府政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、官房長をCISOといたしまして、部局長を情報セキュリティー責任者、課室長を課室の情報セキュリティー責任者、さらには庶務係長を管理者という体制をとっております。

 PMO組織に四十名おりますが、セキュリティー専任というのが四名でございます。政府のCIO補佐官を五名配置いたしておりますので、その専門性あるいは経験に照らした助言をいただいて対応しております。

高井委員 CIO補佐官のほかに四名セキュリティー担当がいるということですね。ただ、CIO補佐官が必ずしもセキュリティーの専門ではないということもありますから、そう考えますと、それで十分なのかということで、もう一度最初の質問にちょっと戻るんですけれども、では、そのセキュリティー担当の方々はしっかりと、今回、年金機構に対して具体的な指導とか助言というのをされているんでしょうか。

今別府政府参考人 まず、先ほどの御質問に答えた部分でちょっと補足をしますが、政府のCIO補佐官というのは、まさにシステムの専門家でありますので、セキュリティーについての専門性あるいは経験も豊富な方々でございます。

 それから、今の御質問につきましては、五月の下旬からは、会議等で情報を共有し、必要な指導をしているということでございます。

高井委員 五月下旬というのはもう余りにも遅いですね。つまり、五月八日に、年金機構で問題が起こって、NISCが感知し、でも、NISCは直接、年金機構には指導助言はしない、厚生労働省を介してやる、そういう仕組みになっているんですね、法律上。だけれども、では、その間を経由する厚生労働省の体制がどうなっているのか。恐らく、私は、そこが十分できていないから今回こういうことが起こってしまったんじゃないかと思っています。

 それでは、NISCに今度は聞きますけれども、なぜNISCは、今、法律の建前上そうなっているともう言ってしまいましたけれども、年金機構に指導助言できないのか。それと、もう一つ、新聞報道にありますけれども、ペネトレーションテスト、これはサイバー攻撃への安全度を高めるためのテストということでありますけれども、このテストは年金機構は対象になっていなかったということですけれども、それはなぜなのか。それで、今回のような事案を受けて、今後、日本年金機構も対象にする考えがあるのか、お聞かせください。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 二点の御指摘をいただいたところでございます。

 まず、一点目でございますけれども、日本年金機構における個人情報の管理につきましては、日本年金機構法によりまして、機構が、厚生労働大臣の認可を受けて定めた業務方法書等に基づいて、厚生労働大臣の監督のもとで行うこととされておりまして、サイバーセキュリティーについても同様であると承知をしております。

 他方、省庁横断的な立場からサイバーセキュリティー対策を推進するためNISCが設けられておりまして、日本のサイバーセキュリティー対策を強化するという観点から、NISCの活動を適宜、また見直しも継続的にしていくことが必要だろうというふうに思っているところでございます。

 また、もう一点、ペネトレーションテストについてお尋ねがございました。

 委員御指摘のとおり、サイバーセキュリティ基本法の第二十五条におきまして、戦略本部は、国の行政機関それから独立行政法人を対象として監査を行うということになっております。

 日本年金機構に対する監査の実施でございますけれども、年金事務は、国の行政機関である厚生労働省の所掌事務を厚生労働省と日本年金機構が一体となって処理しているということでございまして、こうした事務実施における情報管理について、両組織を一体不可分のものとしてペネトレーションテストを含めた監査をすることは可能であるというふうに考えております。

 なお、ペネトレーションテストにつきましては、まずは今回の事案の全容解明がしっかり行われ、その原因を踏まえた対策が十分講じられた上で実施することが必要であるというふうに考えております。

高井委員 まさにセキュリティーの問題というのは非常に難しい問題です。日本全体でもセキュリティー人材の不足というのは言われております。そういう中で、内閣官房にまさに精鋭が百名余り集められているわけであります。そこが、こういう非常事態が起こったときにはやはり直接現場に出ていって、今はもう行っているんでしょうけれども、この初動の段階で行っていれば、こういう被害は起こらなかったのではないかというふうに思います。

 ただ、現場の方と話をすると、やはり百名という体制ではいろいろな現場に全部行くのはなかなか難しいということで、結局、厚生労働省に助言をし、そして厚生労働省がやる。でも、厚生労働省だって、今言った人数しかなくて、十分な対応ができていない。

 そういうことを考えると、私は、セキュリティーの問題というのは、これに限らず、これから非常にたくさんこういう事例が起こる可能性があるわけでございますから、ぜひ、セキュリティ本部長である官房長官にお伺いしたいと思いますけれども、今回のNISCの対応というのがこれで十分だったのか。厚労省とか年金機構に、特に年金機構に対してもっと助言すべきだったのではないか。あわせて、今の人数で、NISCはこれでいいのかということも含めてお聞きしたいと思います。

菅国務大臣 今回の事案については、今、厚生労働大臣のもとで第三者の皆さんによる検証委員会が開かれています。こうした検証を待ってから、その対応策をしっかり決めなきゃならないと思います。

 ただ、今日まで、私が二十九日から報告を受けて、この事案が発生をしたと、八日の日にNISCがここを発見したわけですから、そしてまたNISCが途中段階でも助言もしている。しかし、もし最初の段階でチームをつくってそこに派遣すればとか、いろいろなことを実は考えていることもこれは事実でありますので、まさに一段落して、検証してからですね、そこはしっかり対応していきたい、こう思います。

高井委員 まさに、私は、初期段階でNISCが前面に出ていれば、ここまでのひどい事案にはならなかったと思っています。今回の途中経過を見ると、そう思わざるを得ない。しかしながら、一方で、そういった人員とか体制が十分できていないということでありますから、落ちついてからとおっしゃいましたけれども、できるだけ速やかにそういった体制を検討していただきたいと思います。

 実は、きょうは、もう一つ、これは本当に、この年金機構がどうだったという検証も大事なんですけれども、今後同じようなことを起こさないということが非常に大事でありまして、そういう点では、私は、最も心配するのは地方自治体です。

 私は、たまたま、神戸市長、総務省出身の久元市長ですけれども、この年金の事案があったときに、神戸市長のブログを読みました。これはもう人ごとじゃない、そして、地方自治体は年金機構よりよほど個人情報を預かっている、早急に対策を打たなきゃいけないということで、神戸市では対策本部を開いて、やったということです。

 しかし、神戸市長だからこう気づいて、全国千七百以上の自治体が果たしてそういう対応をとるだろうかということを考えたときに、今回、NISC、厚労省、日本年金機構という、この三重構造というか、間に厚労省が入ったということで、私は、責任の所在も不明確になったり、あるいは、サイバーセキュリティーという非常に専門的な分野を持たなきゃいけないことが、知識が十分じゃない者が途中で関与したりということになるんじゃないかと危惧しているんです。

 きょう、総務省に来ていただいていますけれども、それでは、地方自治体を所管する総務省でのセキュリティーの体制、セキュリティーを担当する職員は何名いて、先ほどの厚労省と同じ質問ですが、どういう経歴の方が何名いるのか、そして、もっと言えば、地方自治体に対してそういう助言や指導ということができる体制にあるのか、お答えください。

原田政府参考人 お答えいたします。

 総務省の中で、住基ネットとかマイナンバーなどの個別具体のシステム以外の、地方公共団体の一般的な情報セキュリティー対策を担当しておりますのが地域情報政策室でございます。

 ここは、室長以下八名という体制でございまして、現在のところは、情報セキュリティー業務の経験者はいないところでございます。

 以上でございます。

高井委員 菅長官、そういうことなんですよ。

 私も、総務省出身なので、地域情報政策室というのが、そんな技術的なことをわかっている方はいない。CIO補佐官はいると思うんですよね。CIO補佐官のことはあえて答弁されませんでしたけれども、多分三、四名いるんだと思います。しかし、その方々が千七百の自治体を全て指導助言できるとは思えません。

 今回も、では、この答弁、どこが答えるんだというところで事務方では結構もめまして、総務省なのか、IT戦略室じゃないのかというような。つまり、非常に責任の所在が不明確になっている。

 しかし、繰り返しますけれども、日本年金機構も大事ですけれども、地方自治体は極めて大事でありまして、今回も、この標的型メールというのは、実は、年金機構の職員が非常に不注意で凡ミスをしたという話じゃないんですね。今、標的型メールというのは非常に巧妙になっていて、専門家に聞いたら、あれは誰でもあけてしまう、相当巧妙に、わからない形で攻撃が仕掛けられますので、これはあけた人をただ責めても問題の解決にはならないんです。

 そういうことを考えると、私は、セキュリティーを担当する職員の数というのをもっともっとふやして、NISCには二百人、三百人ぐらい体制にして、そしてNISCが直接そういったことをやっていくという体制にしていかなきゃいけないと思います。もしそうじゃないというのであれば、総務省にそこの部分をふやしていかなければならないと思います。

 これは、官房長官、ぜひ、今の、まあ、NISCだけじゃなくて、各省のセキュリティー担当職員が、この話を聞いても十分だと思われますか。そして、来年度の予算で早速これは大幅に増額してセキュリティー担当職員をふやす。あと、セキュリティーの人材が日本全国で足りないんですよ。その育成も力を入れていかなきゃなりませんけれども、官房長官、いかがですか。

菅国務大臣 そこは委員の御指摘のとおりだというふうに思っています。

 人材そのものを、今、例えばNISCに採用しようとしても、なかなか人材がいないということもこれは事実でありますので、この人材育成も含めて、ここはしっかり対応しなきゃならないというふうに思います。

 特に、二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが決定をいたしております。過去の大会の例等を見るにつれて、このサイバー攻撃というのは私どもの想像を絶するぐらいありますので、そうしたことも含めて、ここはしっかり対応していきたいと思います。

高井委員 本当に、二〇二〇年、東京オリンピックがありますけれども、もう何年も前のロンドン・オリンピックのときも物すごいアタックが実はあったということで、その教訓を生かして二〇二〇年を目指そう、そういう計画があるのは承知しています。しかし、今回、まさに、年金機構でこういう大問題が起こったわけでありますから、これはもう二〇二〇年なんて言っていなくて、今年度の予算で、来年度予算要求でしっかりと措置をしていただきたいと思います。

 それでは、少し日本年金機構の話にも戻りたいと思うんですけれども、それともう一つ、きょうは山谷国家公安委員長にも来ていただいていました。

 今回のこの件、五月十九日に警察、警視庁に相談を受けて、二十八日にそれを発見して、日本年金機構に伝えたということなんですけれども、この間、警察は十分な捜査であったのかどうか。

 あと、専門家という点で、警察にも専門家が十分いるのかどうか。こういう事案ですから、NISCと連携したのかどうか、もししていないんだとすれば、なぜしなかったのか。

 ちょっと二問に通告を分けておりますけれども、今、両方聞きましたけれども、あわせてお答えください。

山谷国務大臣 警視庁では、五月十九日に日本年金機構からの通報を受けまして、所要の捜査を推進してきたものと承知しています。

 その捜査の過程において、五月二十七日に、同機構から流出したおそれのある情報が日本国内のサーバーに保存されていることを把握しまして、当該サーバーのログ等を至急分析した結果、同機構からの情報流出が判明したことから、二十八日に同機構に対する情報提供を行ったものと承知しています。

 警察においてはこのように本事案について所要の捜査を進めてきたと認識しておりますが、今後も、引き続き関係機関とも連携して、事案の解明に向けた捜査を推進するように警察を指導してまいりたいと思います。

 本件情報流出が確認された後、NISCとも情報を共有しておりまして、引き続きNISCを初めとする関係機関と連携して、本事案についての捜査を尽くすように指導してまいりたいと思います。

高井委員 NISCと連携したとありますけれども、どの程度というか、具体的に。御担当の方でも結構ですけれども、わかれば。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 五月十九日の相談から二十八日までの間、基本的には警視庁のサイバー攻撃特別捜査隊というセクションが捜査を担当しております。このサイバー攻撃特別捜査隊と申し上げますのは、サイバー攻撃に関する情報収集とか被害の未然防止、犯罪捜査に専従する、サイバー攻撃捜査に係る技能と経験を有する捜査官を配置した専門の部隊でございます。

 そのサイバー攻撃特別捜査隊の捜査によりまして情報の流出というものを確認して、その後、それについて警察庁の方から速やかにNISCの方にその旨の情報を提供し、そういう意味で情報共有して連携しているという状況です。

高井委員 ちょっと具体的にはわかりませんでした。というか、私が聞いているところでは、セクショナリズムというか、警察にもそういうサイバーの専門部隊がいるので、そういうプライドもあるんでしょうか、なかなか十分な連携はとれていないんじゃないかなと思います。

 しかし、本当にこういう事案、日本国じゅうが、国民がこれだけ心配する事案になっているわけですから、先ほどの泉委員の話と同じことになりますけれども、やはり政府を挙げてこれは取り組むべき、これまでも不十分だったんじゃないかと思いますが、これからはなおのこと、しっかり取り組んでいただきたいと思います。

 それでは、もう少し時間がありますので、年金機構のことについてお話をしたいと思います。

 我が党で、おととい、水曜日に、夕方でした、年金機構の方に来ていただいて、それから厚労省に来ていただいて、今回の説明を聞きましたけれども、民主党さんと一緒に、同じような一枚紙が来ていただけで、時系列の説明は何もなく、我が党の議員が一つ一つ、一個一個聞いて、一個一個答えていくというようなことでありました。

 きのうになってこういった三枚紙が厚労の理事会に提出されたということですが、ここに書いているような内容は、すぐに担当職員から聞き取りをすれば、その日のうちに、月曜日じゅうにつくれるんじゃないかと思います。おととい聞いたときも、厚労省の課長さんは、精査中なのでわかりません、わかりませんということが繰り返されていました。非常にやはり不誠実と言わざるを得ない状況であったと思っています。

 それと、今回、情報流出した方へのおわびという文書が、これまた一枚紙で、まことに申しわけなく、心からおわび申し上げますとか書いていますが、しかし、おわびよりも、その次の、コールセンターを設置しましたとか、そういうことが書いてあるような、何か余り誠意の感じられないものでございます。

 我が党の河野委員からもぜひ聞いてくれと言われていますのでお聞きをしますけれども、民間企業で、去年、大手出版社が情報漏えいした際には、これをはるかに上回る件数でありましたけれども、たしか五百円という賠償をしたわけでございます。こういうお手紙一枚ということではなくて、何か具体的なそういう謝罪をあらわす、そういったことは年金機構としては考えていないんでしょうか。

薄井参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回、個人情報が流出をいたしました被保険者あるいは年金受給権者の皆様に、このような事態が生じたということにつきまして、深くおわびを申し上げたいと思います。

 今御指摘ございましたように、これらの対象の方々につきましては、年金事務所の窓口等でもきちっと確認できるようにということで、いわゆる二次被害というか、問題が起きないようにという対応をできるような措置をとることといたしまして、あわせまして、おわびの文書を送らせていただくということでございます。

 六月の三日から、四情報が流出した方を、一番問題でございますので、その方々から、受給者、そして被保険者ということで、受給者の方九千人につきましては六月三日に、それから、六月四日、昨日には被保険者の方約六千人に御送付を申し上げたところでございます。今後、それ以外の方につきましても順次おわびの文書を送らせていただきたいと思っておりまして、今月中にはそれを終えたいというふうに思っております。

 私どもといたしましては、何より国民の年金を守るということを最優先に考える必要があると考えておりまして、被害が出ないように、誠心誠意、全力で取り組んでいくというのが私どものやっていくべきことだと考えております。

高井委員 普通、それではおわびにならないですよね。民間企業であれば本当に潰れるんじゃないですかね、そういう対応であったら潰れてしまう会社はあると思います。

 そういう点も含めて、最後に官房長官に、通告していないんですけれども、ちょっとお聞きしたいと思うんです。ちょうど官房長官は、二〇〇七年、第一次安倍政権のときに総務大臣で、そして社会保険庁でさまざまな問題が起こりました。そのときに改革を担当したのは総務省でありましたので、人一倍思い入れがあると思います。

 実は、けさ、我が党は今回のこの年金流出問題の特命チームというのをつくって、その会合を開きました。そこに、郷原弁護士、年金業務監視委員会、去年三月に廃止されてしまいました、しかし、郷原弁護士からこの間の年金機構の話を聞いてまいりましたが、正直言ってあの社会保険庁のときよりもひどくなっているんじゃないか、改革をしたのに、まさに今回こういうことがあったのが象徴しているように。ほかにもいろいろ聞きました。

 特に、民主党政権時代にもその劣化は進んでいて、官房副長官の世耕さんが委員会で非常に追及をして、あの運用三号の問題で、当時の民主党の細川大臣はもう辞任寸前まで追い込まれた、しかし、その直後に東日本大震災が起こったという経緯をお聞きいたしました。その問題を初めとして、さまざまな、年金業務監視委員会の中で見てきても、この年金機構というのは本当にお粗末な状況になっているということをるる聞いてまいりました。

 こういったことを考え合わせ、そして今回のこの事案を受けて、私は、もう一度やはり年金機構そのものを抜本的に見直して改革をしていく、我が党は以前から歳入庁というものを創設すべきだということを訴えていますけれども、歳入庁の創設も含めて、ぜひ、年金機構の抜本的見直しに対して、官房長官の思いをお聞かせください。

菅国務大臣 私、先ほども申し上げましたけれども、二十九日にこの事態発生の報告を受けたときに、そのまま、報告が事実かどうかということに対しての不信感でいっぱいでありましたので、NISC、これは外になりますから、NISCもチームをつくって、そこは全面協力して、まず全体像を掌握すること、そして国民の皆さんに二次被害が及ばないようなことについてもしっかりと助言するように申し上げました。

 それは、やはり第一次政権のときに、次から次へと、当時の社会保険庁、言っていることが変わってくるわけですから、今回も、そうしたことがまずないように、全体像を掌握することから進めるべきだというふうに思っていました。

 私自身の年金機構への不信の念というのは、現実問題として、極めて大きなものがあることもこれは事実です。現に、2ちゃんねるとかテレビに職員の人が平気で出て、発信をしている、私どもが知らない、現場の人しかわからないようなことを平気で行っているような、まさにガバナンスのきいていない機構だというふうに私は思っていますので、今回、検証も、塩崎大臣が第三者委員会をつくっていますから、役所を全く入れませんから、そういう中で検証しますので、その結果として、そこは、抜本的な見直しというのは当然必要だというふうに思います。

高井委員 本当に安倍政権にとっても根幹を揺るがす大事態だと思いますので、厚労大臣に任せるのではなくて、官房長官みずから先頭に立って改革を進めていただきたいと思います。

 以上で終わります。

井上委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 ふだんは厚生労働委員会で仕事をしておりますが、まさに今るる討議をされて、審議がされておりますように、これは、ひとり厚生労働省にとどまるものではありません。むしろ、厚生労働委員会で議論をしているだけでは到底足りない。こうした観点で、私自身が厚生労働委員会からこの内閣委員会に出張してまいりまして、きょうは菅官房長官、甘利大臣、それから山本副大臣に質問をさせていただきたいと存じます。

 決して、野党でございますが、この問題、何か政府を追及するとかそういうことではなくて、むしろ、先ほども官房長官おっしゃったように、これは大変重大な事象が今起きているわけでありまして、政府、そして国会を挙げて、どうしたらこの事態を乗り越えて、国民の生活をお守りしていけるのか、これをしっかりと議論していく必要がある、こう思っておるわけであります。

 そうした観点で、きょう、午後の審議の冒頭、菅官房長官の方から、サイバーテロという言葉も含めて、今起こっている事態の重大性について若干コメントをいただきました。今起こっていることを、官房長官、政府がどう捉えておられるのか、改めて開陳をいただければと思います。

菅国務大臣 まさに国民にとって最も大事な将来の年金であります。この年金についてこうした攻撃があって、基本的な情報が流れた。これは政府としてあってはならないことであって、何としても二次被害を防ぐことに、まず、当面、全力を挙げる、それと同時に、しっかり検証して、二度と再びこうしたことが起こらないような体制をしっかり構築しなきゃならない、そういう思いで今この対応に当たっているところであります。

足立委員 今、官房長官がおっしゃった、そういう二度とこうしたことが起こらない体制をつくっていく、これはひとり厚生労働省の問題ではない。今もたびたびありましたが、政府全体で、菅官房長官のリーダーシップでしっかりやっていく、これはよろしいですね。

菅国務大臣 そこは当然やらなきゃならないというふうに思っていますけれども、まず、そのためには年金機構をもう一度しっかり見直ししていく、このことを極めて大事だというふうに思いますし、それを監督している厚生労働省、ここも、この問題について原点に立ち返って行うべき、こういうふうに思います。

足立委員 私は、検証自体も、厚生労働省が設置をした検証委員会じゃ足りない、こう思っています。これはちょっと、後ほど改めて取り上げたいと思います。

 まず、今回の年金情報の流出について、これはいろいろ拝見をしていると、これも若干、個人的には信じがたいことが起こっているんですね。要すれば、膨大な年金情報を取り扱っている基幹システムにある情報を、いわゆるインターネットにつながっているパソコンに、これを何らかの形で移している。こういうことがあるということ、これは事実ですね、事実かどうかだけ。

山本副大臣 おっしゃるとおりでございます。

足立委員 結局、年金機構あるいは厚生労働省にとっては何か当たり前のことのようでありますが、これは本当に当たり前なんだろうか。

 今、専門家の皆さんも発言をいろいろな局面でしていただいています。いろいろ拝見すると、いや、それはおかしいと言う専門家は非常に多いです。

 ちなみに、きょうは甘利大臣もお越しいただいているわけでありますが、税の問題、きょう国税庁においでをいただいています。国税庁においても、今、山本副大臣からあったような、年金機構で行われているような、そういういわゆる基幹システムから個人情報などをダウンロードするなどということがあるものですか。

上羅政府参考人 お答え申し上げます。

 国税庁におきましては、基幹システムの情報をインターネットに接続されたパソコンで扱う業務はございません。

足立委員 税についてもさまざまな業務が当然あるわけでありますが、当然でありますが、国税庁は、ダウンロードするなどということが介在するようなシステム構築にそもそもなっていないわけであります。

 それで、きょう、山本副大臣、今、厚労委でも集中審議で、恐縮でありますが、私は、もうこれはシステムの問題だ、年金機構あるいは厚生労働省が年金に関してつくってきたこのシステム設計がそもそも間違っているんだ、こう思います。

 さらに、ちょっと時間の関係もあるので申し上げると、先ほど菅官房長官は、年金機構に対する不信感、こうおっしゃいましたけれども、国民の皆さんは厚生労働省に対する不信感でもあるわけでありまして、私、個人的には、厚生労働省の官僚の皆さん、よくやっていらっしゃるし、敬意も表したいと思いますが、しかし、実際に、非常に厚生労働行政は煩雑で、かつ膨大で、果たして本当にこの問題は年金だけなのかなという思いを拭えません。

 山本副大臣、そういうダウンロードのような到底信じがたいようなオペレーション、これは年金機構だけ、ほかの健康保険、医療保険、介護保険等で行われていない、大丈夫ですか。

山本副大臣 社会保険の業務におきましては、業務の必要性に基づきまして、おっしゃるような、基幹システムからデータを抽出して職員のパソコンに一時的に保存することはございます。ただし、厚生労働省のセキュリティーポリシーなど各種のセキュリティーに関する規程等に基づきまして、例えば、ファイルの暗号化やパスワードの自動設定であったり、そうした各種の安全管理措置を講じるというのが大前提となっております。

 その上で、今具体的におっしゃいましたけれども、今言ったようなオペレーションの中で、例えば労災保険業務また雇用保険業務といったものを同様に、年金機構とはまた別ですけれども、安全管理措置をとった上で行うということはございます。

足立委員 すると、年金機構と同じような思想で医療も介護も恐らくできていて、今回たまたま年金機構で情報流出が発覚したわけでありますが、それと同じようなリスクが年金以外の社会保険についてもある、こういう御認識ですか。

山本副大臣 今、仕組みとして申し上げましたけれども、年金機構と同じような運用がなされているわけではございません。

 仕組みとしての問題もありますけれども、今回、本来であったらパスワードをかけていなくちゃいけなかったり、さまざま、ずさんな運用があったわけでありまして、そこのところはちょっと、今申し上げた具体的な業務のこととはまた別の次元の話になるのではないかと認識しております。

足立委員 年金機構ではずさんなオペレーションがあったが、ほかではない根拠は何ですか。

山本副大臣 例えば、今申し上げましたけれども、パスワードの設定につきましてはもう自動的になるような形をとらせていただいておりますし、安全管理措置はきちんと本省のところでもなされているという確認をさせていただいております。

足立委員 ほかでは確認しているが、年金機構では確認していなかったということですか。ほかは全て大丈夫だ、パスワード等、しっかりとセキュリティーポリシーがエンフォースメントされている、実施されているということを確認しているが、年金機構だけできていなかったんだということですね。ほかは全部確認したんですね。

山本副大臣 年金機構だけ運用のところを確認していなかったというわけではなく、今回、そういうルールがあったことを我々は認識しておりましたけれども、実態としてああいった形がとられていたということが後で判明しまして、私たちも認識したところでございます。

足立委員 ちょっと山本副大臣の御答弁、よくわかりません。

 菅官房長官、報道等で、きょう朝、ちょっとびっくりしたんですけれども、防衛情報の話が出ました。会見等で、官房長官の方から、確認をしたところ、そういう事実はないということで、本当に胸をなでおろしたところであります。

 改めて確認をいただいたのは、たまたまそういう報道があったから防衛省関係だったかもしれませんが、政府全体について。私は、実は、今の山本副大臣の御答弁がよくわかりません。なぜ年金機構で起こっていることがほかで起こっていないということを、確認をしているのかしていないのか、答弁がよくわかりません。何かそういうポリシーがあるというのはわかりますよ。しかし、それがしっかりと現場で守られていて、しっかりと情報が守られているということをちゃんと検証したとは思えません。

 菅官房長官、防衛省以外、大丈夫でしょうか。

菅国務大臣 まず、この事案が発生して、六月一日、これは、杉田官房副長官をヘッドにして、各省庁のサイバーセキュリティー責任者を集めまして、もう一度しっかりと指示をいたしました。それは、点検もするようにということでもあります。

 それと同時に、今の件でありますけれども、今後、まず検証をしっかりしていく。そういう中で、国民の大切な個人情報でありますから、これについては、ネットに接続された環境で扱うことは、やはり、今回の事態発生を受けて、もう一度見直しを含めて検討すべき、こういうふうに今考えているところであります。

足立委員 まさに、今、菅官房長官がおっしゃったように、これは膨大な、何か会社に私的な契約で個人情報を渡しているわけじゃなくて、国民の義務として、社会保険、年金に加入をいただいて、そして、国が責任を持って預かっている情報、これについて、やはり、その基幹システムからパソコンに、ネットにつながっているシステムにそもそもダウンロードしているという時点で、先ほど国税庁からも御答弁いただいたように、これは、国税庁はちゃんとやっている、大変ゆゆしき事態が、実は大変広がりのある形であるのかなということを疑わざるを得ないわけであります。

 官房長官、大変恐縮ですが、今まさにおっしゃったように、検証ということですね。厚生労働省のもとには、先ほど御紹介いただいたように、塩崎大臣のもとで検証委員会をつくられるということですが、これは、私が承知している限りは、年金情報の流出についてです。でも、今申し上げたように、では、ほかの社会保険、さまざまな保険者がございます、大丈夫か。ほかの省庁は大丈夫か。本当の意味でこれを機に検証する必要があると思います。

 特に、きょうの午後の審議でも出ました特定重大事象、私も改めてこの規則を拝見しましたが、特定重大事象については内閣のサイバーセキュリティ本部が、主体は本部なんです、本部がしっかりと特定重大事象について、その事象を把握し、そして、被害の特定、原因究明、これは規則の第三条に書いてあります、これを行うと書いてあります。

 そして、厚生労働省は、この規程の中では、特定重大事象が、対象事象が発生した単なる行政機関です。検証する主体じゃありません、検証の対象です。それが発生した行政機関こそ年金機構であり、そして、それを監督する厚生労働省のそのエリアで特定重大事象が起こったのだから、これを検証する主体はサイバーセキュリティ本部である、こう言わざるを得ないわけであります。

 長官、冒頭申し上げたように、私は心から、すぐに、厚生労働省の設置した第三者検証委員会の何かアウトプットを待つのではなくて、並行して、本部でしっかりと、菅官房長官のリーダーシップでぜひこの事態を掌握し、そして、被害の特定、原因究明、そして対策、一貫して責任を持ってやっていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

菅国務大臣 まず、NISCでありますけれども、新たなサイバーセキュリティ戦略の策定に向けて今作業を進めておる段階でこのような事案が発生したことを重く受けとめて、内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターの中に、厚生労働省と年金機構が行う調査を支援するために、情報セキュリティ緊急支援チームをまず派遣しています。それと同時に、原因究明調査チームを設置しました。そして、客観的、専門的立場から原因究明というものをしっかりと実施していきたいというふうに思っています。

 それと同時に、私、先ほど申し上げましたけれども、当然、今後検証していく中にあって、委員から御指摘のありました、国民の大切な個人情報をインターネットで接続をされた環境で扱うことについて、政府全体としてもう一度見直しを検討すべきだというふうに私は今考えているところであります。

足立委員 ありがとうございます。

 長官のお考えはよくわかりまして、ぜひ、今答弁いただいたように、菅官房長官のところで直接、検証、ハンドリングをしていただきたいと思います。

 確認ですが、事務方でも結構ですけれども、今長官が御答弁くださったサイバーセキュリティセンターの中に、検証チームとおっしゃったかな、一応、チーム長というか、実際に検証するヘッドはどなたになりますか。

谷脇政府参考人 お答え申し上げます。

 NISC内に置いております原因究明調査チームのチーム長、これは、参事官二名を配置しているところでございます。

足立委員 実務的なテーマですから、それも結構でありますが、長官御みずから、この事件が起こった直後に長官みずから動かれた様子を先ほども開陳いただきましたのでそこは心配しておりませんし、ぜひ長官のもとで、今おっしゃった、谷脇審議官も当然陣頭指揮をとっていただいて、検証のほどお願いをいたしたいと思います。

 先ほど、菅官房長官の方から、不信という話にも絡んで、例えば、まだよくわからないところに職員が何かネットに出てというような御紹介をいただきました。私は、なかなか時間がなくて、まだ直接拝見はしていませんが。

 私は、罰則というか、若干、今回のことを、きょうこちらに参るに当たって、罰則をちょっと確認したんですが、マイナンバー法は結構しっかりとした、これは、甘利大臣のもとでマイナンバー法、しっかりとした罰則の規定がございます。いろいろな法体系の中では、四年以下の懲役もしくは二百万円以下の罰金、これをどうかという評価はあるかもしれませんが、少なくとも関連する法体系の中では引き上げられています。一方で、日本年金機構、一年以下の懲役または百万円以下の罰金。

 一年と四年、これは、これからマイナンバー制度のもとで、多少スケジュール、甘利大臣の方から、場合によっては、検証結果によっては、年金の接続、年金がマイナンバーを使うことについてはスケジュールを検討するというお話をいただいていますが、いずれ接続をすれば一つの体系になるわけですから、罰則も本当は平仄がとれていないとおかしいわけでありまして、昔ながらの日本年金機構、ほかもそうです、社会保険全般、これから国民の皆様の個人情報を扱うに当たっては、罰則の体系、これは果たしてどこまで検討されたかわかりませんが、今回の事案によって、私は、日本年金機構を初めとするマイナンバーとひもづいていく先の情報管理についても、特に行政機関の職員に対する罰則を見直していく必要があると思います。

 まず、山本副大臣、厚生労働省として、日本年金機構の罰則、これを見直す考えはありませんか。

山本副大臣 今御指摘いただきました件につきましては、個別の件につきましては、現在、警察庁において捜査中でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますけれども、罰則等の法令整備が不可欠ではないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、今回の検証結果を踏まえまして、また検討させていただきたいと存じます。

足立委員 このテーマ自体は甘利大臣に事前にはしっかりと通告をさせていただいていませんが、もし今、こういう罰則の体系について、私は、少なくとも、マイナンバー法が、法案ですね、罰則について十分に留意をして整備をしてこられていることは承知をしています。今私が指摘したこれ、マイナンバー法だけでいいのか、もし御見識がございましたら御開陳をいただければと思います。

甘利国務大臣 マイナンバーというのは、非常に機微な情報、つまり、もう生まれたときから生涯使うナンバーであって、行政事務全般にかかわってくるということでありますが、この取り扱いは特に慎重にするということで、罰則が設けてあります。

 ただ、先生、これも、意図して、故意にやった場合の懲役云々なんですね。これが、ちゃんとした手順を踏まずに、そういう意識はなかったんだけれどもこうしてしまった。例えば今回の年金機構の取り扱いなんというのは、内規で、パスワードをかけてちゃんとやること、それを、怠慢ですよね、そういう場合には、例えばマイナンバーの場合でも、意識して漏らしているわけではないから、非常に難しいところだと思うんですね。ですから、取り扱いの内規についてもきちっと共通して厳しくやっていく。

 もちろん、マイナンバーというのはアクセスできる人が限定されていますし、マイナンバーは、今回の情報のデータベースみたいなところとはまた別に保管されて、ファイアウオールができて、ネット回線とは別な専用回線で、しかも、暗号で取り扱うということになっていますから、事故が起こらないようにしていますけれども。

 人のヒューマンエラー、しかも、それが、故意にやったならば、ばちっと罰則がいきますけれども、そうじゃないときの内規違反について、きちんと、厳しい内規を共通で設けさせるみたいなことは必要なんじゃないかというふうに思っています。

足立委員 ありがとうございます。

 まさに、今、甘利大臣がおっしゃったような、統一的なそういう規範を整備していくことが、もう絶対に欠かせないと思います。

 特に、今、きょう、厚生労働省山本副大臣においでいただいていますが、本当に、年金機構で起こった問題、これは、ほかの社会保険にもし波及したら、要は、マイナンバーの多くは税と社会保障なわけでありまして、国税がしっかりされているであろうことはわかりますが、一方の大きな枠組みである社会保障を担当している厚生労働省の行政、私は、厚生労働省に任せておくだけでは絶対に確保できない、実際に確保してきていないわけでありますから、甘利大臣のお取り組み、ぜひそこは、マイナンバー、統一の規範、規程、そうしたものをつくっていただいて運用していただく、お願いをいたしたいと思います。

 最後に、これは日本で起こった事案でありますが、いろいろ報道を拝見していると、アメリカでも多くの個人情報の流出が起こっていることが、もう足元でも報道されています。米国の歳入庁、あるいは社会保障番号、あるいは、さらに言えば連邦人事管理局、膨大な情報が出ています。

 ただ、私は、日本は、そうした番号制度ということでいうと、先進国で最後発、ほかの先進国はみんな番号制度があります。もう大分前につくられているわけです。一方で、日本は、まさに最後発であるがゆえに、ほかの先進国の経験を踏まえた、世界最強の情報セキュリティー、サイバーセキュリティーというものを公的機関にしっかりと構築していく余地が十分にこれからある、こう思っています。

 ぜひ、その点、甘利大臣の御見解を開陳いただければと思います。

甘利国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、先進国は、もう既にマイナンバーは導入している。そこで起きている問題を、一番後発部隊として参画する日本は、克服したシステムを導入できる。つまり、最後に参画しながら、一番先頭に行けるという可能性があるわけですね。

 ですから、ここは、各国がどういう問題で悩んで、どういう問題で失敗しているかをしっかり検証して、それに対処するということが大事だと思います。

 例えば、情報が芋づるで検索できちゃうとかは、行政機関ごとに分断管理をしていく、あるいは成り済ましについては、アメリカなんというのはぺらぺらの紙ですから、写真も入っていない、成り済ましは簡単ですよね、そこからどういう、写真を入れるとか、パスワードを入れるとか、暗号化するとか、いろいろな手法がありますから、これは、先に導入した国の失敗事例は、言ってみれば、より確固たるシステムを導くための、いわば宝の山になるわけですから、それをしっかり検証して織り込んでいくという姿勢でやっていきます。

足立委員 ありがとうございます。

 もう質問は終わりますが、きょう討議をさせていただきましたように、厚生省の検証に任せるのではなくて、まさにきょう御紹介をいただいたように、内閣官房でしっかりと、検証チーム、CYMAT、そして、今、甘利大臣が御紹介をくださったような点を十分に踏まえて、世界最強のサイバーセキュリティーを何としても確保いただきたいと思います。

 今、甘利大臣が、芋づる式、こうおっしゃった、これは本当に国民の間にも誤解があります。あたかも、今回の問題でマイナンバー制度全体が揺らぐのではないかという報道が一部にございます。年金の取り組みはおくれるかもしれませんが、それは年金の足元をしっかりと固めることであって、マイナンバー制度自体は、まさに甘利大臣が今御紹介くださったように、芋づる式に引っ張られていくようなことにはならないような、アメリカにはないような最先端のシステムであるということをできるだけもっと国民の皆様にわかるようにPRしていただいて、その上で、税以外の社会保障分野、これは年金に限らず社会保険全般について、これからマイナンバー制度がどんどんどんどん、来年から運用されて、実際に社会に深くマイナンバーというものが使われていけばいくほど、行政機関に加えて事業所にもマイナンバーが出回るわけでありまして、今まさに甘利大臣がおっしゃった、そうした運用の規範、これをぜひ確立いただくようお願い申し上げて、私からの質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、池内さおり君。

池内委員 日本共産党の池内さおりです。

 きょうは、情報セキュリティー問題について、まず初めに質問させていただきます。

 日本年金機構において、百二十五万件に及ぶ個人情報流出という重大な問題が起きました。日本年金機構は、先月、当委員会で審議をしたマイナンバーを付番する個人情報を大量に保有する機関です。

 今回の個人情報流出も極めて重大な問題ですが、これがマイナンバーつきで流出した場合、さらに深刻な問題となることは明白です。日本年金機構のような公的な機関が保有する個人情報をマイナンバーで情報連携するということが、マイナンバーの安全性の根拠の一つとされてきましたが、今回の日本年金機構の個人情報の流出は、それが幻想だったということを明らかにしたと私は思います。

 きょうは、マイナンバーで情報連携を行うことが想定されている公的機関、日本年金機構、保険組合、また地方自治体が保有する個人情報データベースを守るための基本的なセキュリティーシステムについて質問したいと思います。

 六月二日の参議院の連合審査で、山口大臣は、マイナンバーのシステムを例に、インターネットからの不正アクセスを遮断する二つの基本的な方法について答弁をされました。

 まず一つは、いわゆる物理的な遮断です。山口大臣はこう述べました。今回のマイナンバーのシステム、これに関しては、この情報提供ネットワークシステム、それと各機関の職員のメールシステムというのは実はつながっておりませんと。インターネットとつながっている職員のメールシステムと情報提供ネットワークシステムがつながっていないという答弁です。つながっていないものに、そもそもネットからアクセスすることはできないと思います。

 次は、ファイアウオールによる遮断です。山口大臣は、マイナンバーシステムと業務システムとの間には強固なファイアウオールを設けると答弁をされています。この場合、ファイアウオールが突破されるというリスクがあると思います。また、そのリスクも、ファイアウオールが強固であるかどうかによって変わってくるものだと思います。

 まず、厚労省に質問します。

 日本年金機構は、年金に関する個人情報データベースは基幹システムである社会保険オンラインシステムに保存しており、今回個人情報が流出したネットに接続された情報系システムとはつながっていない、いわゆる物理的に遮断された状態なのか、それとも、つながっているがファイアウオールによる遮断なのか、どちらですか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保険オンラインシステムと日本年金機構LANシステム、いわゆる情報系のシステムのネットワークでございますが、この両者は、論理的に分離というふうな言い方をしておりますが、物理的には、一応そのスイッチのところで線はつながっているのでございますが、両者の間で情報のやりとりは一切できないというように遮断されているということでございまして、ファイアウオールによる遮断よりは、より強固な形で分離されているという状況でございます。

池内委員 社会保険オンラインシステムの方に保存されている個人情報を、CDなどの媒体でわざわざネットに接続されている情報系システムに移して、そちらから今回流出していて、このことも重大な問題だと思いますが、この問題については、私は別の機会に議論をしたいと思っています。

 きょうは、次に、健康保険者について、最大の被保険者を抱える協会けんぽのシステムについて厚労省に質問します。

 協会けんぽの個人情報データベースが含まれているシステム、これは、管理として、物理的遮断なのか、それともファイアウオールなどで遮断する方法なのか、答えてください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 協会けんぽのシステムに関するお尋ねでございますけれども、協会けんぽでは、加入者の方の個人情報を扱うデータベースである基幹システムと、職員が日常業務で使用するシステムにつきましては、物理的には接続されております。

 ただし、職員のパソコン端末と外部ネットワークとの接続に当たりましては、IPS、侵入防止システムやファイアウオールで不正なアクセスを事前に防止するとともに、ウイルス対策ソフトを導入して、ウイルス感染の駆除等の対策を講じているところでございます。

池内委員 組合健保についてはどうでしょうか。

 現在、組合健保の数は幾つあって、それらがどのように組合員の、被保険者の個人情報データベースを抱えているシステムを不正なアクセスから守っているのか、どのような形か把握していますか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 まず、健康保険組合の数でございますが、平成二十七年六月一日現在で、千四百三の健康保険組合となっております。

 この健康保険組合のシステムにつきましては、組合ごとにそれぞれ異なるシステムになっておりますので、厚生労働省において個々の組合の状況を全て把握しているわけではございませんけれども、厚生労働省といたしましては、各組合に対して個人情報の適正な管理に努めるよう指導しており、情報漏えいを防止する観点から、ファイアウオールの設置などの安全管理措置を講じるよう通知しているところでございます。

池内委員 次に、総務省に質問します。

 地方自治体には、住民基本台帳、地方税、国民健康保険など、複数の重要な個人情報データベースがあります。これらのデータベースをつなぐシステムは基幹系システムと呼ばれていると私も承知していますが、これらの基幹系システムについては、職員が業務で使うインターネットとつながっているシステムとは物理的に切り離して設計するようなガイドラインになっているのか、それとも、ネットにつながるシステムとつながっていてもいいけれども、その間をファイアウオールで遮断するというガイドラインになっているのか、ガイドラインの中身をお答えください。

原田政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体は個人情報を多く取り扱っておりますことから、十分な安全管理措置を実施することが行政の信頼性の確保のためにも重要であると考えておりますし、責務であると考えております。

 総務省が策定しております地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン、この中では、自治体が所有するネットワーク全般につきまして、外部のネットワークとの接続は必要最低限に限定することとした上で、仮に接続する必要がある場合には、庁内全てのネットワーク、情報システム等の情報資産に影響が生じないことを確認して、許可を得なければならないとされているところでございます。

 基幹系システムは、ネットワークの中でも非常に重要なものだというふうに考えております。

池内委員 今言われた方針だというのはわかるんですが、実際に、各自治体が、物理的遮断なのか、それともファイアウオールによる遮断なのか、どちらの方式で役所の中のシステムをつくっているのかというのは把握されていますか。

原田政府参考人 個々の自治体の対応状況につきましては、全体として把握していないところでございます。

池内委員 山口大臣に質問をいたします。

 最初に山口大臣の答弁を紹介させていただきました。個人情報のデータベースのあるシステムが、職員が業務で使ってネットにもつながっているシステムと、そもそもつながっていなければ、ネットから侵入するということは不可能だ、原理的に不可能だと思います。年金機構のように人の手で個人情報を移動させない限り、やはり不可能だと思います。

 その一方で、ファイアウオールは、物理的につながっているものを人為的に構築したシステムで遮断する。山口大臣は、強固なファイアウオールを設けると言われました。ファイアウオールには強固なものとそうでないものがあるということだと思います。

 きょうの私の質問は、マイナンバーのシステムと年金機構、保険者、地方自治体の個人情報のデータベースシステムの関係ではなくて、そうではなくて、これまで議論をしてきた年金機構、保険者、地方自治体の個人情報のデータベースシステムと、それらの団体の個々の職員が使っている、業務で使っているインターネットにつながっているシステムとの関係のことなんです。

 年金機構は物理的に遮断しているから、原理的にはもともとのデータのところまで侵入されるということはないと思いますが、保険者の方はファイアウオールでの管理というふうになっています。こうしたファイアウオールに不正アクセスをされて、サイバー攻撃をされて突破される、そして、結果として個人情報が流出するという心配はないでしょうか。

山口国務大臣 委員御指摘のとおり、ファイアウオールといってもいろいろあります。そのレベルを上げたり下げたりもできるわけでありますが、いずれにしても、ファイアウオールというのは、不正通信を遮断するというふうなことで、セキュリティーの確保に大変重要な役割を果たしております。政府統一基準におきまして、ファイアウオールによる不正な通信のアクセス制御を基本的な対策の一つというふうに位置づけをしております。

 しかし、このセキュリティーの確保に当たりましては、例えばソフトウエアの更新、あるいはパスワードを入れて暗号化をするというふうな運用段階があるわけでありますが、そうしたことも含めて、システム全体にわたる対策を継続してとっていく必要がある、常に最新のものにしておくというふうな必要があるわけであります。

 国や地方自治体の情報システムについても、こうした全体的かつ継続的な対策を講ずることによって、セキュリティーの確保に万全を期していきたいということでございます。

池内委員 今御答弁いただいたように、ソフトウエアの更新とかパスワードとか、また継続的な対策ということは本当に大事だと思っております。

 個人情報が流出した年金機構の情報系システムも、当然、こうしたセキュリティー対策はしていたと思うんです。ところが、そこを突破されて、情報が流出した。現在、インターネットの接続をそもそもやめているということです。インターネットに接続をしないということが、要は、物理的に遮断をするということが最大の不正アクセス対策であるということは、今のこの現状から見ても明らかだと思います。

 マイナンバーのセキュリティー対策について、そしてそれ以前に、それぞれの個人情報への不正アクセス対策が万全かどうかというのは、私もこの委員会で引き続き議論をさせていただきたいというふうに思います。

 山口大臣への質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

 次に、自治体業務アウトソーシング問題について質問をいたします。

 五月二十六日の経済財政諮問会議で、民間議員は、公的分野の産業化等の具体的推進という提起を行い、「経済再生の実現に向けて」という報告を行いました。その中のアウトソーシングの新展開の事例として、東京の足立区が紹介をされています。

 足立区の事例はどのようなものですか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 足立区に確認いたしましたところ、平成二十六年一月より戸籍窓口業務について民間委託を開始したほか、会計業務、介護保険業務についても段階的に民間委託を開始しているところとのことでございました。それから、国民健康保険業務は、民間委託の開始時期を含めて現在検討中とのことでございました。

池内委員 今、平成二十六年一月からというふうに御答弁いただいたんですが、この民間議員の提言の足立区の事例に関して、「専門性が高いが定型的な業務の外部委託に未着手」というふうに書いてあります。「備考」として、「有識者議員によるヒアリング時の足立区資料に基づき作成」というふうに注意書きがなされています。

 私は、これは足立区から資料をいただいたわけなんですが、二〇一五年三月十三日に足立区長が民間議員に説明した資料になっています。その中で、戸籍・住民窓口の業務の民間委託というのは二〇一四年一月から本稼働とされています。なので、ここにある「未着手」というのは、実際にはもう一部開始されているわけで、間違った表記だと思いますが、いかがですか。

林崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の資料においては、足立区作成の資料の中で、窓口業務や国民健康保険業務等の専門定型的な業務につきまして、外部委託が「手付かず」というふうに表現されております。これらにつきまして、御指摘の資料の中においては、「未着手」というふうに表現をしたところでございます。

 足立区に確認したところ、足立区では、窓口業務等、一部については外部委託を既に実施しているところでございますけれども、全国的にはこれらの業務の外部委託が進んでいない傾向にあるということから、「手付かず」というふうに表現されたと聞いております。

池内委員 足立区ではもう既に始まっているという答弁だったと思います。

 NHKは、五月二十三日に、五月二十六日の諮問会議の場で提案されるこの民間議員の提案の内容のうち、足立区の事例について報道しました。その中身は、区役所の窓口や入札などの業務を民間に委託して経費を抑制した東京足立区など、無駄削減に向けた先進的な取り組みを全国で展開していくべきだとしています、このように報道されています。

 経費を抑制した、このように過去形で報道していますが、足立区で実施されている民間委託、戸籍・住民窓口業務の民間委託について聞きますが、実際に経費は抑制できたんでしょうか。

林崎政府参考人 足立区に確認いたしましたところ、足立区では戸籍窓口業務の民間委託によって年間約一千万円余り費用が増加をしているということでございますけれども、また同時に、申請窓口をそれまでの八窓口から十六窓口というふうに倍増させたとか、あるいは発券機やフロアマネジャーを設置して、これは複数名設置をされたということでございますけれども、いろいろ区民サービスの向上も実現したということであって、単純な比較は困難ということでございます。

 また、民間委託によりまして、正規職員を、ケースワーカーとか、あるいは高齢者の孤立対策といった少子高齢化に伴って増大をしている福祉業務などにシフトさせていると聞いているところでございます。

池内委員 きょう、私は、足立区がつくったこの資料、足立区区民部戸籍住民課が作成した資料を持っております。

 この窓口のサービスの現状についてという資料なんですが、二〇一四年度の収支について、足立区の認識としても、委託料二億二千六百八十万円、そして委託に伴う人件費減というのは二億一千四百九十二万円、差し引き五百五十八万円のプラスになっているということ。さらに、先ほど答弁があったように、やはり経費はかさんでいるということが明らかだと思います。区長自身も記者会見の中で経費増加ということを認めています。

 そこで、甘利大臣に質問をいたします。

 五月二十六日の諮問会議で、安倍総理は、公的分野の産業化について、経済再生と財政健全化を両立する鍵である、甘利大臣には、その優良事例の全国展開など、それを進める施策、市場創出効果について、関係大臣と調整して提示し、しっかりと推進していただきたいという趣旨の発言を行っています。

 ところが、民間議員の提言というのは、足立区の民間委託で経費がふえたということは一切言わずに、これを推進せよと。そして、民間議員の立場からすれば、これを推進した場合、民間企業はもうかっていいかもしれませんけれども、住民はこのように負担がふえるということになっております。

 このような事業を全国展開などとんでもないと思いますが、大臣の見解をお伺いいたします。

甘利国務大臣 全国の自治体がいろいろ自主的な取り組みを行っておられます。コストパフォーマンスがいい事例は、その原因を検証して見える化をして、同じようなことをやっている自治体、同じような規模で同じような構成要素の自治体と比べてみて、片方がコストパフォーマンスが高い場合には、その原因を探して、同じような対応がそこでもできたとしたら、そこのコストパフォーマンスが上がるわけであります。

 民間議員が指摘した足立区の例がベストプラクティスに該当するかどうかというのは、議論の余地があろうかと思いますが、我々がやろうとしていることは、全国でいろいろな自主的なトライをしている、その中で一番コストパフォーマンスがいい事例の横展開ができれば、サービスの質を落とさずコストを安くできるとしたら、それは地域住民にとってもいいことであるという認識なのであります。

 この足立区の例は、先ほど政府委員から説明がありましたように、そのコスト自身は上がっているようでありますが、それによって、やろうと思っていてできなかったような業務に人を配置することができたということですよね。生活保護のケースワーカーであるとか、あるいは高齢者の孤立対策とか、今まで言ってみれば手つかずであった業務に、それによって余剰になった人員を配置することによって、その業務ができた、つまり、サービスの質は上がりましたということであります。

 仮に、外部委託なりをしないでそれをやった場合にはどのくらいのコストがかかるのか、それとも比較をしてみるということが、本当の意味での、実際にコストが余計かかっているのか、あるいはかかっていないのかということにもなるんじゃないかというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、横展開をしていくのはいい事例、検証してみた結果、いい事例をコストパフォーマンスの悪い自治体に、参照として実行してはいかがですかということを勧めていくという方法でやっていきたいというふうに思っております。

池内委員 コストパフォーマンスのよいものというふうにおっしゃられましたが、この足立区の戸籍・住民窓口業務というのは、コスパの面で見ても、私は全国になど絶対に拡大してはいけないというふうに思います。

 足立区の説明資料でも、この足立区の取り組みというのは、今、戸籍・住民窓口業務の民間委託、そしてそのほか、国民健康保険業務の民間委託、会計管理業務の民間委託、介護保険業務の民間委託、このようにありまして、最終段階で年間一億円の減などというふうに言っていますけれども、実際には、もう既に始まっている業務というのは、このうちの戸籍・住民窓口業務の民間委託だけなんです。その戸籍の窓口委託、民間委託というのが、既に経費がもう十分かさんでいるということだと思います。そして、区長も認めている。

 この業務も、始めるときには、経費削減になると思って始めてみたけれども、実際にはその反対の結果に今なっています。この事実をやはりしっかりと受けとめるべきだと私は思います。

 なぜ民間委託した方がお金がかかってしまったのか。そこには、やはり戸籍業務の作業の手順が本質的に民間に向かないということがあると思います。必ず公務員が責任を負わなければならない手順が中に含まれています。民間事業者は、その作業に直面するごとに公務員の指示を仰ぐというプロセスが必要になります。

 実は、このプロセスは、偽装請負として労働局からの指導の対象ともなり、削減した公務員を後からもとに戻さなければならなくなった。そして、作業手順のところで一々区の職員と相談したり確認を受けたりするぐらいだったら、私は、全ての手順を一人でできる公務員、区の職員がやった方が十分に効率的だというふうに思います。

 足立区の事例は、先進的などと言えるものではなかったというのが実態です。

 住民負担増で、民間のもうけ先をふやす、こういう民間委託は、幾ら新しい取り組みであったとしても、全国展開など論外、もう既に住民の負担が明らか、私は論外だと思います。そもそも、自治体の公的事業というのは公務員がしっかりと住民に責任を持って行うべきだ、このことを私はきょうは強調し、次の質問に移りたいと思います。

 甘利大臣への質問はこれで終わらせていただきますので、御退席いただいても結構です。ありがとうございます。

 続きまして、研究現場の保育の問題について質問をさせていただきます。

 三日の当委員会で、私は、女性活躍推進法を審議させていただいた際に、女性研究者の皆さんの実情を取り上げて質問をいたしました。その際、有村大臣は、私の質問の答弁の中で、特に保育の問題に触れられ、このように答弁をされました。

 とりわけ大学、大学院キャンパスでの保育園ということは、単に大学に勤められている職員のためにあるだけでなくて、学部生の判断は分かれるところではございますが、院生、博士論文を書いている方々にとっては、子育てで保育園を、キャンパスで見ていただける、そういう利用を促進すると下村文科大臣も明言されていらっしゃいますので、具体的にタックルをしていかなければならないというふうに思っております、このようにおっしゃいました。

 私も、研究者の保育環境の問題については、とりわけ女性の研究者にとって極めて切実な問題というふうに考えておりましたので、まず初めに、有村大臣に、この保育所問題についての大臣の思いをお伺いいたします。

有村国務大臣 池内委員にお答え申し上げます。

 ただいま御紹介いただきましたとおり、さきのこの内閣委員会での私の発言で明確にいたしましたが、女性研究者が研究活動を継続するためには、保育環境など、今後も改善していかなければならない課題がございます。

 女性研究者が研究活動と出産、育児などを両立することが可能となるように、文部科学省において、高等教育機関における託児施設の整備等を促しておられ、これを進めておられると理解をいたしております。これは、女性活躍の視点からも、着実に取り組みを進めていただきたいと私自身も願っております。

池内委員 ありがとうございます。

 では、実際には幾つの大学に保育園が設置されていますか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 保育施設が設置されている国立大学は、平成二十七年一月時点で五十大学、公立大学については、平成二十六年五月時点で九大学でございます。

池内委員 私立大学はどうですか。

義本政府参考人 お答えいたします。

 私立大学に関しましては、設置者でございます学校法人が、教職員、学生等の状況を踏まえまして、みずからの判断によりまして保育施設の設置、運営を行っておりまして、文科省としては網羅的な設置の状況を把握しておりませんが、例えば、大学内に託児施設を設けて、学部生、大学院生が利用する場合には利用料金を一部補助している大学ですとか、あるいは学内に保育施設を設置し、学業、就業復帰のための利用の場合には入所予約制度を設けている大学等があると承知しているところでございます。

 私立大学につきましては、規模、組織の状況等、多様でございまして、保育施設に対する必要性も多様であると考えられますけれども、委員御指摘のとおり、女性の活躍を推進する観点からも、把握につきましても含めまして、とり得べき対応について検討してまいりたいと存じます。

池内委員 ぜひ、全体像の把握を進めていっていただきたいと思っています。

 国公立、私立大学の設置がわかっている保育施設の定員数、また希望者数はそれぞれどうなっているか、お聞きします。

 また、博士、院生などの方々にとっては、子育てで保育園を、キャンパスで見ていただける、そういう利用を促進すると下村大臣も明言をされていらっしゃいますのでという答弁もありましたので、各大学の保育園に非常勤講師のお子さんはどれくらい入っているのか、このような数を教えてください。

義本政府参考人 お答えいたします。

 各大学の保育施設におきましては、非常勤講師の子供がどの程度受け入れられているかについては承知してございません。

 各大学の保育施設が受け入れている子供の保護者の属性につきましては、全大学の状況を把握することは難しいところでございますけれども、非常勤講師の子供の受け入れを対象としている大学や、実際にその対象として受け入れている大学があるということは承知しておるところでございます。

池内委員 数は把握されていないということでしたが、やはり大学の保育所の整備というのは本当に大切だと思います。その一方で、大学の保育所に預けられないという研究者もいらっしゃいます。

 有村大臣にお聞きしますが、非常勤講師で、各地の大学で講義をする場合、大学を移動するたびに子供を連れていくことはとても困難です。保育園を探すのも本当に大変、保育園そのものを見つけられないということもあり得ます。あるいは、一こま九十分でカウントをされ、保育園に預けにくいという声も、私は実際に聞いてきました。

 非常勤講師の場合、フルタイムの研究者に比べて、その実態に見合った環境整備、対策が求められていると思います。こうした点にも目配りが必要だと思いますが、御見解をお伺いいたします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 非常勤で働く方々も含め、女性研究者の活躍のためには、それぞれの状況に応じた保育サービスの充実や多様な働き方が実現されることなど、仕事と子育て等を両立できる環境整備が適切になされることが肝要だと認識をいたしております。

 例えば、文科省においては、女性研究者の子育て等と研究との両立支援として、女性活躍を含む研究環境のダイバーシティー実現に関するすぐれた取り組みを行う大学等に対する支援、出産、子育てによる研究中断後に円滑に復帰できるよう、すぐれた研究者に対する経済的支援などの取り組みを実施しておられます。また、厚生労働省においても、大学等を含む事業所内保育施設の設置、運営に対する金銭的な助成を行っておられます。

 そういう意味では、今後とも、女性研究者が活躍できる環境整備に向けて関係省庁と連携をして、女性活躍という視点で取り組みを進めていきたいと考えております。

池内委員 多くの非常勤講師の皆さん、本当に制度の谷間で苦しんでおられる方々はたくさんいらっしゃると思いますので、研究者の保育環境の整備、また非常勤の実態に見合った、ニーズに合った対策を私もしっかり勉強して取り組んでいきたいと思います。

 質問を終わります。ありがとうございました。

井上委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。

     ――――◇―――――

井上委員長 次に、内閣提出、参議院送付、道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。山谷国家公安委員会委員長。

    ―――――――――――――

 道路交通法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

山谷国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。

 この法律案は、最近の交通情勢に鑑み、七十五歳以上の運転者に対する臨時の認知機能検査制度を導入するとともに、運転免許の種類として準中型自動車免許を新設すること等をその内容としております。

 以下、項目ごとにその概要を御説明いたします。

 第一は、高齢運転者対策の推進を図るための規定の整備であります。

 その一は、公安委員会は、七十五歳以上の運転免許を受けた者が認知機能が低下した場合に行われやすい一定の違反行為をしたときは、その者に対し、臨時に認知機能検査を行うこととするものであります。

 その二は、公安委員会は、臨時の認知機能検査を受けた者が、一定の基準に該当するときは、その者に対し、当該認知機能検査の結果に基づいて高齢者講習を行うこととするものであります。

 その三は、公安委員会は、認知機能検査を受けた者が、認知症のおそれがあることを示す一定の基準に該当したときは、その者の違反状況にかかわらず、臨時に適性検査を行い、またはその者に対し一定の要件を満たす医師の診断書を提出すべき旨を命ずることとするものであります。

 第二は、運転免許の種類等に関する規定の整備であります。

 その一は、自動車の種類として、新たに準中型自動車を、運転免許の種類として、新たに準中型自動車免許及び準中型自動車仮免許を設けるものであります。

 その二は、運転免許の欠格事由として、十八歳に満たない者に対しては、準中型自動車免許及び準中型自動車仮免許を与えないこととするものであります。

 その三は、公安委員会は、準中型自動車免許を受けた者で当該免許を受けた日から一年間に違反行為をし、一定の基準に該当することとなった者に対し、再試験を行うこととするなどするものであります。

 第三は、その他の規定の整備についてであります。

 これは、酒気帯び運転または過労運転等の違反行為をし、よって交通事故を起こし、人を傷つけた場合について、運転免許の効力の仮停止の対象とするものであります。

 なお、この法律の施行日は、運転免許の効力の仮停止の要件に関する規定については公布の日、その他の部分については公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日としております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十日水曜日午前八時二十分理事会、午前八時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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