衆議院

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第16号 平成27年7月1日(水曜日)

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平成二十七年七月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 信治君

   理事 秋元  司君 理事 亀岡 偉民君

   理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君

   理事 中山 展宏君 理事 泉  健太君

   理事 河野 正美君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      越智 隆雄君    大隈 和英君

      岡下 昌平君    加藤 寛治君

      神谷  昇君    木内  均君

      熊田 裕通君    國場幸之助君

      助田 重義君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    武部  新君

      津島  淳君    寺田  稔君

      長尾  敬君    根本 幸典君

      平口  洋君    ふくだ峰之君

      福田 達夫君    前田 一男君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      務台 俊介君    山田 美樹君

      若狭  勝君    緒方林太郎君

      近藤 洋介君    佐々木隆博君

      階   猛君    津村 啓介君

      古本伸一郎君    山尾志桜里君

      小沢 鋭仁君    高井 崇志君

      升田世喜男君    輿水 恵一君

      濱村  進君    池内さおり君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   国務大臣

   (行政改革担当)     有村 治子君

   内閣府副大臣       赤澤 亮正君

   内閣府大臣政務官     越智 隆雄君

   内閣府大臣政務官     松本 洋平君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 重孝君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  利根川 一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  谷脇 康彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  林  伴子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  久島 直人君

   政府参考人

   (内閣官房原子力規制組織等改革推進室長)     中井徳太郎君

   政府参考人

   (内閣官房日本経済再生総合事務局次長)      岡本 直之君

   政府参考人

   (内閣官房行政改革推進本部事務局次長)      山下 哲夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       笹島 誉行君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房長)   幸田 徳之君

   政府参考人

   (内閣府消費者基本政策室長)           井内 正敏君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室次長)           刀禰 俊哉君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 安田 貴彦君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   前川  守君

   政府参考人

   (内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局長) 熊埜御堂武敬君

   政府参考人

   (特定個人情報保護委員会事務局長)        其田 真理君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            氷見野良三君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (総務省大臣官房長)   福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 長屋  聡君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 高野 修一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 伊藤 直樹君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   飯塚  厚君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮野 甚一君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房総括審議官)         荒川  隆君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月一日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     山田 美樹君

  池田 佳隆君     國場幸之助君

  越智 隆雄君     前田 一男君

  武部  新君     津島  淳君

  若狭  勝君     熊田 裕通君

  緒方林太郎君     階   猛君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     根本 幸典君

  國場幸之助君     助田 重義君

  津島  淳君     武部  新君

  前田 一男君     越智 隆雄君

  山田 美樹君     福田 達夫君

  階   猛君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  助田 重義君     池田 佳隆君

  根本 幸典君     高木 宏壽君

  福田 達夫君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     務台 俊介君

  高木 宏壽君     若狭  勝君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     青山 周平君

    ―――――――――――――

七月一日

 国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等及び外国公館等の周辺地域の上空における小型無人機の飛行の禁止に関する法律案(古屋圭司君外五名提出、衆法第二四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官山崎重孝君、内閣官房内閣審議官利根川一君、内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣参事官林伴子君、内閣官房内閣参事官久島直人君、内閣官房原子力規制組織等改革推進室長中井徳太郎君、内閣官房日本経済再生総合事務局次長岡本直之君、内閣官房行政改革推進本部事務局次長山下哲夫君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官笹島誉行君、内閣府大臣官房長幸田徳之君、内閣府消費者基本政策室長井内正敏君、内閣府規制改革推進室次長刀禰俊哉君、内閣府大臣官房審議官安田貴彦君、内閣府政策統括官前川守君、内閣府情報公開・個人情報保護審査会事務局長熊埜御堂武敬君、特定個人情報保護委員会事務局長其田真理君、金融庁総務企画局審議官氷見野良三君、消費者庁次長川口康裕君、総務省大臣官房長福岡徹君、総務省大臣官房審議官長屋聡君、総務省大臣官房審議官高野修一君、総務省大臣官房審議官時澤忠君、総務省情報流通行政局郵政行政部長武田博之君、外務省大臣官房審議官伊藤直樹君、財務省理財局次長飯塚厚君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮野甚一君、農林水産省大臣官房総括審議官荒川隆君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日も、この内閣官房そして内閣府のスリム化法案について質疑をさせていただきます。

 本当に世の中はいろいろなことが連日起こっていまして、きのうは新幹線の大変な事件がありまして、お亡くなりになられた方には本当にお悔やみを申し上げたいというふうに思います。また、よもやという事故というか事件でありまして、今後もさまざま安全対策もしなければいけないと思いますけれども、ああいったことがないようにということは、治安側だけの問題ではなく、国民全体としても取り組んでいかなければいけないということを冒頭申し上げたいと思います。

 さて、この法案についてですが、まさに今、内閣委員長がずっと政府参考人を読み上げました。かなりの数の方が、私の質疑ではお三方だけですが、トータルでいうとすごい数の方々が来られるわけで、まさにこれがスパゲッティと言われるゆえんかなというふうに思います。

 そういったことをいかにして整理しながら、そして内閣官房、内閣府に、これはある種の余力を残すということが大事なのかなと思います。どこの官庁も定員ぎりぎりで仕事をしているわけですが、内閣官房や内閣府というのは、そういった意味では一段高い立場として、余力を残しつつ、どんなことにも機動的に対応できるようにしておくということも大事であろうというふうに思っております。そういった観点から、またお伺いをしていきたいというふうに思います。

 まずちょっと、これにまつわってと言うと変なんですが、有村大臣は、内閣官房や内閣府の業務見直しということで、きょうこうして法案の御担当をされているわけですが、今、一方で地方創生の文脈では、政府全体をどうしていくか、かつては首都移転というか国会移転のような話もありましたが、今また政府機能の移転という議論が持ち上がってきております。

 石破大臣も、政府機能の移転をしたいということは盛り込んではいながら、しかし、実際にはなかなか役所の方も余り色よい返事はないというような状況であります。確かに、東京で勤務をすると思っていた各役所の職員さんが地方勤務になるということは、支分部局に行くことはあるかもしれませんが、本体そのものがもし地方に移るということになれば、さまざま、意思疎通の面で大丈夫か、あるいは国会に呼ばれたときは大丈夫かといろいろなことを想定するというのはある程度予想はされるわけですが、さはさりながら、それを言っていれば政府機能の移転というのはままならないわけであります。

 私の地元は京都でありまして、京都も、今京都府や京都市が挙げて主張しているのは、観光庁あるいは文化庁、京都は特に国宝のかなりの割合が存在しているということもございます。かつての首都でもございました。そういった意味からは、こういった京都への文化庁や観光庁の移転ということも前向きに政府としては真剣に御検討いただきたいというふうに私は思っておりますが、有村大臣、内閣府あるいは内閣官房のスリム化にまつわる、かかわる問題として、政府機能の移転ということについてどのようにお考えでしょうか。

有村国務大臣 おはようございます。泉委員にお答えをいたします。

 きょうに限って、このようなしゃがれ声になりました。冒頭、お聞き苦しい点、衷心よりおわび申し上げます。残念ながら、終日この声が続きそうでございますので、少しでも滑舌をましに、相努めたいと存じます。どうぞ御容赦いただきますれば、大変幸いに存じます。

 さて、本文に入ります。

 昨年十二月に閣議決定をされました、まち・ひと・しごと創生総合戦略にありますとおり、地方の発展に資するような政府機関について、関係自治体の御提案などを踏まえながら移転等の必要な措置を講ずることは、地方への新しい人の流れをつくることに資する、そういう取り組みだと私自身も認識をしております。泉委員から御紹介をいただきましたように、京都さんが自治体として積極的にお考えである旨、報道を通して私も承知いたしております。

 現在、石破地方創生担当大臣のもとで鋭意調整をされているものでございますが、ことしの八月末の期限までに提出された提案を、その後、公平性、透明性のあるプロセスのもとで検討されるというふうに伺っておりまして、この検討の状況を見守ってまいりたいと存じます。

 どこに部門を置くかという話もありますけれども、それと相まって、やはり行政機関のスリム化あるいは適切な布陣ということは、これからも考え続けなければならない課題だと思っております。

泉委員 所管外の大臣ということでなかなか慎重な御答弁だったかなと思いますけれども、石破大臣からは、地方とのやりとり、例えば京都府、山田知事とのやりとりの中では、地方に移転した場合のメリットあるいは効果を地方側が示しなさい、そういうことをおっしゃられているようです。私は、この考え方はいかがかなという気がしております。地方側がその効果やメリットを何か、例えば数字的に算出するとか、そういうことで政府機能の移転の是非を考えているのであれば、それは地方創生ということではないんじゃないかなと私は思っております。

 例えば、仮に文化庁が京都に移った場合に、東京と京都の行き来ということについて、これは経済効果があるという言い方もできれば、負担になるという言い方もできる。両面の見方ができるわけであります。あるいは、東京とすれば、それは政府機能が分散化したということになるわけですが、一方では、言い方としては、遠距離になったというふうに言えなくもないわけです。

 移転の持つ意味合い、あるいは、やはり、京都であれば、京都に文化庁が設置をされることの意義というものが大きいのであって、もし何でもかんでも効果、効率で、数字であらわせというものだとすれば、それは考え方として違うのではないのかなと私は思います。シンボルとしてということもありますし、実際に政府機能が分散をしているということが国家の多極的な繁栄につながるものであるというふうに思っております。

 これに関連してですが、通告は特段しておりませんけれども、今、例えば京都には、それこそ宮内庁の関係の土地はたくさんあります。御陵さんみたいなものも、さまざまな、かつての天皇あるいは皇后の御陵もたくさんあります。当然、京都御所もありますし、そこには京都迎賓館もございます。

 大臣は、京都迎賓館は行かれたことがございますか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 予定しておりましたが、期せずして入閣をいただいたので、その直後ということでキャンセルをして、まだ行ったことがありません。済みません。

泉委員 これはもう、世界各国の賓客も当然ながら迎えて、さまざまな外交も行われている場所でありまして、いわゆる最近の日本の観光ブームでいうとゴールデンルートの、東京そして京都、新幹線でずっと結んでいくところの、東京だけではない魅力を、日本文化をじっくり味わっていただく、それを一般の旅行者だけではなく海外の賓客の方にも、そういった東京だけではないところを見ていただくという意味で、京都の存在は非常に大きい。

 京都迎賓館ですとか京都御所というのは、ふだんから当然ながら警備、警護の対象にもなっておりますし、そういった意味で管理も大変行き届いております。例えば、こういうところで園遊会というものの開催をしてもよいのではないか、そういう御提言もいただいております。もちろんさまざまな制約がありますけれども、一方では、年に二回開かれている園遊会、それが、隔年でよいかもしれませんが、時にそういった地方開催、こういった京都迎賓館みたいなものがある場所であれば、十分私は対処が可能ではないのかなということもありまして、そういったことも、今後は、ぜひ宮内庁ですとか政府、内閣の方にも考えていただきたいということを冒頭申し上げたいと思います。

 さて、法案の方に入らせていただきたいと思います。

 前回の質疑も、あえてですが、一つ一つの部署について、そこが何名で、あるいはどの省庁からの職員で構成されているのかということを確認いたしました。

 その中では、例えば地球温暖化対策の推進、これは現在専従何名ですかというときには、ゼロ名というものがありました。この地球温暖化対策の推進というのは、COPが毎年開かれている中で、ある意味、柔軟性を持って国際問題に対処していかなければいけないという事情はあるにせよ、もう今、環境省も立派に存在をしております。

 きのうも実は、私的にですが、環境省の職員と話をしていたのですが、自分たちでも十分にやれるというふうな自負は環境省は持たれているわけでして、そういった意味で、総合調整機能が各省に新たに置かれるということであれば、それこそ、内閣官房が担い続ける必要はないのではないか。改めて、わかりやすく、環境省をトップとした体制でよいのではないかという話もさせていただいたところであります。

 その中で、やはりこの議論で気になったところが、例えばこの地球温暖化対策の推進というものをなぜ内閣官房に残すのかというその理由について、どのような選択肢が検討されて、そしてそういった結論に至ったのか。特に、政府の中でなぜそういう結論に至ったのかというところが実は不明であったという印象を持っております。

 前回の質疑で、そういった意味で問題点として感じたことは、一つは、政府内での検討の経過、そういったものが見えないということが一つ。そしてもう一つは、各省にさまざま部署が移管をした後の定員のあり方や兼任、併任のあり方、そういったところがいまいちはっきりしないというような感想を持っております。

 これは事務方で結構ですけれども、前回の質疑もそうでした、今回も同じような質疑が続くわけですけれども、例えば地球温暖化対策の推進ということで、これをなぜ内閣官房に残すのかということと、これをどのように議論したのかということを、改めてお答えをいただければと思います。

山下政府参考人 お答えいたします。

 今回、見直しに当たりましては、基本的には内閣官房、内閣府が政府全体の総合調整を担っているということを踏まえつつも、例えば、ある程度方向性が見えてきて、各省において現場に近いところで調整をした方がふさわしいというものについては移管をする、こういう考え方で整理をしたところでございます。

 御指摘の地球温暖化につきましては、その意味では、エネルギー全体をどうするか、震災の影響等もございまして、その辺をどうするかなど方向性をまだ検討していかなければならない段階であるということで、内閣官房に存置するということにしたものでございます。

泉委員 改めて山下さんにお伺いしたいんですけれども、その検討をいつ、誰がしたというふうに理解をすればよろしいんでしょうか。

山下政府参考人 検討の過程におきましては、与党においても調整をいただいたところでございます。また、政府においてもこれを並行して検討したということでございます。

 もちろん、政府の中でも昨年来検討、調整をしてまいったところでございますが、一方、今回、見直し対象の中には、省庁再編以降、議員立法により追加されてきたものも多くあることでございます。こういうところから、与党において御調整をいただきまして、それと並行して政府におきましても検討、調整をし、本年一月、与党からも御提言をいただきましたが、同じ一月に政府としても閣議決定をしたということでございます。

泉委員 今お話しいただいた、並行して議論をしてきたというところなんですね。

 与党の方は、その成果物として、自民党、公明党の行革推進本部が一月二十三日に出されたものがある。ほぼというか完全にこれを踏襲した形で、政府が一月二十七日に閣議決定をしているわけです。

 やはり政府のスリム化でありますから、与党は与党として検討することはあります。そしてまた、議員立法について、それをさばくというのは主に与党の仕事かもしれない。しかし、政府が主体的に議論をし、また、政府は、政党の意向だけではなく、純粋に政府として検討してきたという経緯、経過もあって当然だと思うんです。

 しかし、そういうものについて検討をしてきた経過ですとか、あるいはその検討の中身が、資料として我々全く拝見したことがないわけですね。何かそういう、この部署をどうしようということを検討してきた、その検討の経過ですとか内容を記した文書はございますか、政府の中で。

山下政府参考人 その意味では、成果といたしましては一月二十七日に閣議決定した閣議決定でございます。これは御指摘のとおり、与党提言と内容はほぼ同じでございますけれども、これも、与党提言の後、直ちに閣議決定をしているということは、その過程で政府においても調整をしてまいったということでございます。

 もちろん、政府においても検討、調整をしておったわけでございますけれども、閣議決定のように政府限りで決められるもの、それから、閣法のように政府が提案したものについては政府だけで検討することもできるかと存じますけれども、議員立法を含めて考えました場合、もちろん、政府の組織でございますから、政府も検討、調整するわけでございますけれども、政府で一から検討することはなかなか困難であるということは御理解をいただきたいと存じます。

泉委員 今、山下さんがおっしゃられたように、政府だけで検討することが可能なところもあるわけですよね。そういうところの検討の経過というものが我々に見えてこなければ、その検討の経過というか、検討が正しかったかどうか、あるいは、どんな選択肢が考えられていたのかがわからないわけですね。結論だけ示されているという状況では、その是非というのは非常に判断しにくいわけであります。

 そういった意味では、今後というと甘過ぎるかもしれませんが、政府の中で、この部署をこういうふうに動かしたいんだ、こういうふうに移管させたいんだということについて、やはり一つ一つ理由をお示しいただかなきゃいけないというふうに思います。それはぜひ、今後は何かしらやはり文書の形で、一つ一つの部署がなぜ今回例えば内閣府に移るのか、あるいは各省庁に移るのかということについては、理由もしっかりと記していただきたいし、そこに至るまでの、例えばどんな体制で検討をしたのかということもやはり示されなければ、議論がブラックボックスの中に行ってしまう。

 これはよしあしはあったと思うんですが、例えば、自民党から民主党に政権が移る過程の中で、よく民主党が当時批判をしていたのは、与党税調の中での議論というのは国民には全然見えないではないか、それは立派な議論も、精緻な議論もされているかもしれないけれども、国民に全く見えない、それがいきなり税制に反映されるということではわからないということで、多少大きな枠組みの変更にしてしまいましたけれども、当時、民主党政権のときに、政府税調にぐっと引き寄せて、議事録を全部残すというやり方をした。

 もちろん、さまざまな形でいろいろな無理もありましたけれども、議論の経過が見てとれるという意味では、そういう手法というのも大事というか、やはり検討の経過を残していくことの重要性というのはあると思います。

 改めてですが、そういった意味で、自民さんと公明さんの行革本部の中でこのスリム化を検討するに当たって、例えば政府行革推進本部は、何回ぐらいヒアリングに呼ばれたんでしょうか。

山下政府参考人 与党の行革本部において検討されました際に、各関係、検討対象のいろいろな部署がヒアリングに呼ばれて、そこで御説明、そして討議が行われております。たしか七、八回程度だったと存じます。主として、去年の夏ごろでございます。

泉委員 急に過去のことを全部思い出すことはできないと思うんですが、その際には、現状の説明と、役所としてはこの部署はこう残してほしいとか、この部署は移管をしてもいいと思っていますという、そういうサジェスチョンというのは役所側としてはしているんでしょうか。

山下政府参考人 まず、先ほどのヒアリングの回数でございますが、十回でございました。訂正させていただきます。

 その際には、与党の方からは、これの移管の可否などについてもいろいろお尋ねはございました。その際、ただ、政府の方としては、法律で決まっていたりする事務が多いものですから、基本的には、各部屋からは現状こういう理由でこうなっているのでという説明が多かったと記憶しております。

泉委員 急に過去のことを思い出さなければいけない状況で、申しわけありません。

 要は、与党の中で仮に十回ほど皆さんが呼ばれて検討されたとしても、他党の人間はそれを知るすべがないんですね。すべがない。これではやはり、今回の結論、閣議決定がなぜこういう形になったのかということについて、わからないんですね。わからない。

 大臣、今後の業務見直しに当たっては、どうか御留意いただきたいというか、せっかく検討はされたんだと思うんですよ。それが政府の中で検討されていて、与党と協議をしたり、あるいは何らか、私たちのときにはよく与党からそういった担当の議員が政府の中で呼ばれて議論するなんということも時々にはありましたけれども、どういう形にするかは別にして、やはりその議論の経過が他党のメンバーにも、委員にもわかるようにしなければ、一つ一つ確認をしなきゃいけないわけですね。そういうところが今全くこの法案については不明であるというところが残念なところであります。

 大臣、そういう点について、今回、与党が中心となって議論されたことは、それはそれで評価をいたしますけれども、その議論の経過が見えてこない、そういうことについての問題意識と、その上で、今後は、やはり政府の中でしっかりと検討の経過、経緯を残して、それを示すことができるようにしていっていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 泉委員の御指摘は、心から敬意を持って拝聴いたしておりました。

 全く不明というふうにおっしゃっていただきますと、ちょっとここは反論もしたくなるところでございますけれども、基本的に、前回の答弁でもさせていただきましたとおり、内閣官房及び内閣府のいわゆるスリム化という話は、民主党政権のときに行革エリアを御担当の岡田大臣から稲田新大臣になられたときに、法案化も含めて必要だという引き継ぎをされている旨、答弁として御報告をさせていただきました。

 そして、今回、確かに御指摘のとおり、与党の中でかなり御調整をいただいたという印象が強いのも事実でございます。その中には、先ほど御指摘、御議論ありましたとおり、議員立法が多いということで、特に今、超党派の議員立法も多うございますけれども、それぞれの分野で内閣官房が担ってきた、あるいは内閣府が担ってきたものに、応援団としての議員の先生方の与野党の思い入れがある、特にそれをまとめてきた自公の中の先生方に調整をしていただくということもあったから、その印象が強かったのだと思います。

 同時に、泉委員が御指摘いただきましたとおり、いろいろな意思決定に至るプロセスの透明化を図っていくということは極めて大事なことだと、私も心から賛同いたすところでございます。その中で、全く不明というところでございますが、例えば、委員が前回していただきました御質問でも、なぜこれが内閣府からほかの省庁に移管されるのか、あるいは内閣官房から内閣府にというお話があるのかということを一つ一つお聞きいただいて、私どもも心してお答えをしていく、きょうもそういう展開になろうかと思いますけれども、そういう意味では、国会答弁も透明化に足る一つのプロセスだというふうに思っております。

 ただ、本質的な御指摘は共感するところでございますので、これからもしっかりと留意してまいりたいと存じます。

泉委員 これは今後の教訓として、教訓と言うとちょっと仰々しいかもしれませんが、このプロセスの公開、これが委員会質疑の中でようやく出てくるのではなく、やはり一つの文書としてあらかじめ出てくる程度のものだと思います。そういったところは今後ぜひ留意をしていただきたいというふうに思います。

 そういった意味では、一応、事実関係として、これは私はわかりませんのでお伺いするんですが、自民、公明の行革推進本部の方には、内閣官房、内閣府のスリム化について、大臣は、例えばこの本部の方に行かれて、この議論の経過に御参加はされているんでしょうか。要は、その十回ほどの会合の中で、大臣がその会合に御出席されたことというのはあるんでしょうか。

山下政府参考人 有村大臣御着任以前のことでございますので私からお答えさせていただきますが、大臣が直接に出席をしてということはなかったと記憶しております。

泉委員 大臣、これは、いい悪いというよりも、おっしゃられたように着任の時期の話もありますし、もちろん、大臣とすれば、ちゃんと要請があったりすればやぶさかではないというお気持ちが恐らくあると思うんですね。

 しかし、こうして、一つ一つの部署についてどういう議論が行われてきて、そして、どんな選択肢がある中でこういう結論に至ったんですかということを確認しようと思えば、委員会としては、主に大臣にお伺いをするということになるんですが、その大臣はそういった議論の中にはなかなか入ってきていないというのがこれまでの経緯でありました。

 そういうところもぜひ、やはり政府としてどう関与していくのか、大臣が全部の議論に入るのはなかなか難しいというふうに思いますが、では、副大臣や政務官は例えばこの行革の本部の中での議論には参加されていましたでしょうか。

山下政府参考人 先ほど申し上げたヒアリングの場などでは、副大臣、政務官も出席はしていなかったと記憶しております。

 その場で、各担当室からいろいろ意見や事実関係などを確認の上、与党の方でも議論が行われ、我々もそれを伺いながら調整をし、その過程で副大臣や大臣に御説明及び御判断をいろいろ仰いだ、こういう流れでございます。

泉委員 そういった意味での、やはりどれほど政府が関与しているのか。行革推進本部が一月二十三日に決定をしたこの中身が、あえて言えば表現を丸のみされているというふうに見えてしまいますし、どうもやはり、政府内で独自の検討をされたというような形式というか状況は見えてこないわけですね。政府内で独自の検討をしたということは見えてこない。

 先ほどの議員立法の話については、私は、それは確かに与党の中でやられたらいいというふうに思いますが、議員立法ではない部分もあって、それは政府でも検討は可能であったと先ほど山下事務局次長のお話でもありました。例えば、総理大臣の命を受けてできた部署もあろうかと思います。そういったものについての政府の中での検討がどのようなものであったかというのは、やはり政府として示さなければならないのではないかというふうに思います。

 さて、また改めて具体的な話になっていきますけれども、アイヌ総合政策室ですね。

 アイヌ総合政策室は、現在何名の専従でありますでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、アイヌ総合政策室の常駐職員は十三名でございます。

泉委員 ありがとうございます。

 アイヌ総合政策室、今十三名ということでありますけれども、これはなぜ内閣官房に残すのか、また、ほかの選択肢は検討されたのか、お答えいただけますでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 アイヌ総合政策室につきましては、現在、アイヌ文化の復興等を促進するための民族共生の象徴となる空間、いわゆる象徴空間の整備及び管理運営に関する基本方針に基づきまして、象徴空間を二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に合わせて一般公開できますように、その構成施設である国立のアイヌ文化博物館及び民族共生公園の整備に関する関係省庁との調整、また、大学に保管されていますアイヌの方々の遺骨等の集約、返還に関する制度設計等、非常に重要な事項を行っているところでございます。

 これら象徴空間に関する取り組みにつきましては、関係省庁との役割分担を整理しつつ、アイヌ文化の復興等に関する政策の方向づけを行うものでございまして、内閣官房長官が座長を務めておりますアイヌ政策推進会議において、アイヌの方々の意見を聞きながら、機動的、弾力的に議論、検討することが必要でございます。このため、当該政策を担う事務局は、機動的、弾力的な総合調整を任務とする内閣官房が適当という判断に至りまして、今回、引き続き内閣官房にアイヌ総合政策室を置くということにいたしたものでございます。

泉委員 今のお話を伺いますと、例えばその国立博物館、そういったものができたり、さまざまな検討が終わった段階で例えば内閣府に移るとか、イメージとしてはそういうものになっていくということでしょうか。

林政府参考人 アイヌ総合政策室は、現在、先ほど申しましたように、アイヌ政策推進会議の事務局として、アイヌの方々の御意見を伺いながら、象徴空間の関係の検討ですとか、あるいは遺骨等の集約、返還に関する制度設計とか、いろいろやっております。

 こういった施策の検討、企画立案、総合調整をやっておりまして、このような役割を終えましたら廃止をするということは当然と思っておりますが、その期限については、まだ現時点では具体的に申し上げられる段階には至っていないというふうに認識しております。

泉委員 いや、今お伺いしたのは、アイヌ総合政策室は廃止になったとして、その後、それは例えば文科省が引き取るとか内閣府が引き取るとか、決まってはいないんですが、イメージとしてどう思われているかです。要は、政策分野として多文化共生に当たるのか、そうすると例えば内閣府が引き取ることが想定されるとか、あるいは、そうじゃなく、いわゆる博物館の部類なので文部科学省の方で引き取りますとか、そういうイメージはどんな感じなんでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生からお話ございましたように、アイヌの政策につきましては、非常に多岐にわたるところがございます。国立のアイヌ文化博物館は、おっしゃるとおり、文科省になりますし、あるいは、多文化の共生という観点からは、内閣府ということもあり得るかもしれません。

 現時点ではまだ、予断を持って、こちらに持っていくというところまで議論を進めているわけではございませんで、私どもとしては、まずはアイヌの方々の象徴空間をきちんとつくって、二〇二〇年にはそれを一般公開する、また、アイヌの方々の遺骨が全国の大学、研究施設に散らばっておりますので、これをきちんと集約する。まずはこちらをきちんとやって、それがきちんとできたところで廃止あるいは移管ということを検討していきたいというふうに考えております。

泉委員 スリム化とは直接関係ないんですが、今アイヌの問題に入っているのでちょっとお伺いしたいんですけれども、これは、アイヌ民族を、今後、我が国の中で民族の繁栄を願っていくというか、民族として自立しながら我が国の中で共生していくということを念頭に置かれているアイヌ政策だということでよろしいんですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、平成十九年に先住民族の権利に関する国際連合宣言というのがございまして、この採択を契機といたしまして、平成二十年に衆参両院で、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議をいただきました。全会一致で採択されたと伺っています。

 こういったことを踏まえて、私どもとして、しっかりアイヌ政策に取り組んでいく、とりわけアイヌ文化の復興を促進していくということが重要であるという観点から、現在、象徴空間の整備等に取り組んでおるというところでございます。

泉委員 続いて、東日本大震災対応総括室です。

 これは、私のいただいている資料では、いわゆる常駐職員がゼロですね。東日本大震災対応総括室、常勤職員ゼロであります。

 その業務が何なのかというところが気になっていまして、東日本大震災への政府対応の総括に係る企画及び立案並びに総合調整を行っているということが書かれていまして、何をしているのかなと。実際に役所の方にもう少し聞いてみると、当時の政府の対応が適切だったかどうかということを一応検討しているんですというお話でありました。しかし、もう少し掘り下げて聞いてみると、では、その検討の成果物はいつできるんだと聞いたら、つくる予定はありませんという話だったんです、大臣。

 これは何をしているところなんでしょうね、そうすると。東日本大震災にまつわるさまざまな部屋は、いろいろな意味で存続しておきたいという気持ちはあるかもしれませんが、迅速な、最適化をしながら復興支援をしていこうと思うときに、特段の成果物を予定していない部署であれば、それはやはり整理統合してよいのではないのかなというふうに思うわけですが、改めて、この対応総括室は何かつくられる予定はありますか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災対応総括室は、まさに東日本大震災の対応について総括する、そういう部署でございまして、東日本大震災の教訓を今後に生かすための企画立案ということを行っております。

 特に、現在、私どもがやっておりますのは、東日本大震災の避難に関する調査というのをまずいたしました。地震、津波が起きたときに、被災者の方々、関係者の方々がどのように行動したのかということを、実態をきちんと調査する、それをまた将来の震災対策に生かしていこうということで調査をいたしております。この結果は公表をさせていただいております。

 また、現在は、東日本大震災の際の原子力発電所事故に伴う避難に関する実態調査ということで、福島の原発事故に際して、避難住民の方々、関係自治体、それから避難の支援者の方々がいつ、どのような情報を入手して、どのように避難して移動したか、こういった避難の実態をきちんと調査して、今後の教訓に生かしていこうということで、現在、調査をして、その取りまとめの作業をしているところでございます。

泉委員 でも、常駐者はゼロですね。

 そして、その避難の調査というのは、私も内閣府防災にいたことがありますけれども、当時は内閣府防災でやっていましたね。もちろん、東日本大震災は大変大きいものでしたから、また別な角度での調査というのが必要だと思うんですが、その東日本大震災の前にも三陸で地震があって、そのときにも、避難が、住民の皆さんになかなか警報に反応いただけなかったんじゃないかというようなことは指摘が既にされていて、そこで政府は調査をしていた最中に東日本大震災が起きたということでもありました。

 その避難調査の成果物はもうできている、そして原発事故の避難調査はまた別途する、しかし専従者はゼロ。その調査することはやぶさかではないわけですが、それをなぜわざわざこの内閣官房に置かなければいけないのかという理由なんですよ。それはなぜなんでしょうか。

林政府参考人 ただいま先生御指摘のありましたように、東日本大震災対応総括室は、職員は今十名おりますが、常駐者はゼロでございます。併任者として、内閣官房の者、それから内閣府防災担当の者、そして復興庁の者がそれぞれの執務室で勤務して、連携しながら業務をしております。

 なぜこれらの者かといいますと、まさに東日本大震災の発災時の対応を行いました内閣官房事態対処・危機管理担当の者、そして内閣府の防災担当、発災後の復旧復興を担当している復興庁ということで、これらの者たちが直接この総括室に併任をして総括室で調査等の業務を行うということは、直接、今後の震災対策に教訓を生かせるからということでやらせていただいているものでございます。

泉委員 それは、今行われている調査をもって、一応この総括室としては業務は終了でしょうか。ほかにもまだ何かやる予定ですか。

林政府参考人 まず、これまでやりました調査は、中央防災会議の津波避難ワーキンググループの最終報告などに反映をしております。さらに、現在やっております、原子力発電所事故に伴う避難に関する実態調査を行って、それを取りまとめているところでございます。

 これから東日本大震災の教訓を今後に生かすための総括をしていくわけでございますが、そういった総括、役割を終えた時点で廃止するということになりますが、現在まだ調査を進めているような状況でございますので、具体的にそれをいつというふうに申し上げることは差し控えさせていただければと思います。

泉委員 これは、伺っていても、その必要性というのは伝わってこないですね。全然伝わってこないですね。大臣は、伝わってきていると思われているかどうか、微妙な感じも私はしますけれども。こうやって残り続けている、何かしらあるんでしょうけれども、今回、整理の対象になぜならなかったのかというのはよくわからない感じがいたします。そういったことも含めて、やはりもう一度、繰り返しになりますが、議論の経過というものをしっかり、あらかじめお示しいただくということは大事ではないかなと思います。

 時間がそろそろなくなってまいりました。

 さまざまな部署があるわけですが、自殺対策と薬物対策が厚労省に移管されるということなんですけれども、現在内閣府で担当している職員は、これは形としては、厚労省に今度は出向いてそこで仕事をするということになるのか、改めての確認をしたいと思います。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、内閣府におきまして、自殺総合対策に関する事務に専任としてかかわっております職員は五名でございます。その出身省庁は、内閣府が二名、総務省が一名、厚生労働省が二名という形になってございます。一方、薬物乱用対策につきましては、ほかの業務との兼任の体制で行っておるわけでございまして、専任の職員はいない状態になっております。

 これら業務につきまして厚生労働省に移管した際に、この職員体制をどのように厚労省へ移管するかという御質問でございますけれども、本年一月の閣議決定におきましては、移管先において業務が支障なく行われるよう、移管前の人員体制が移管先に引き継がれることが基本とされておるところでございます。

 もちろん、業務の性質、継続性、あるいは兼務の状況等々も踏まえて考えていく必要があるわけでございまして、今後、移管先の厚生労働省とも協議しながら、適切に厚生労働省において業務が執行できるように対応してまいりたいと考えてございます。

泉委員 ということは、この法案が出てきている段階では、これは、今回の自殺と薬物以外にもいっぱい、多分そういうところがあると思うんですが、まだその協議は終わっていないという理解なんですね。

 そうすると、改めてですが、その基本的な考え方として、例えば自殺対策に五名いるという場合に、その体制を引き継ぐということは、厚労省内で厚労省の職員五名が体制を引き継ぐということなのか、内閣府からそこに二名が参画をして合計五名というイメージなのか、それはどちらなんでしょう。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 二つあると思います。一つは、その機構・定員の問題でございます。例えば、自殺の担当で、先ほど申し上げました五名のうち三名が定員でございます。これらを予算上どのように厚生労働省に移していくのかという問題が一つ。それからもう一つは、実際の職員配置の問題としまして、先ほど御紹介しましたような省庁から職員が来ている、これらについて、原則的な考え方はそのまま移していくということでございます。

 いずれにいたしましても、予算あるいは人事の世界でございますので、今後、協議をしながら、法案が制定されましたならば詰めていくということになろうかというふうに考えてございます。

泉委員 アルコール健康被害対策です。

 薬物対策は厚労省に移管されるんだけれども、アルコール健康被害対策は内閣府に引き続き置くということであります。そういうところだけ見ると違和感を感じなくもないわけですが、この理由、そしてまた、今後移管を想定しているのかどうかをお答えください。

幸田政府参考人 御指摘のアルコール健康障害対策基本法に関する事務でございますけれども、同法が平成二十五年に議員立法として制定されて、昨年六月から施行されておるわけでございます。まだ日が浅く、まさに政策の方向づけを行っている段階であることから、今回、見直しの対象とはしなかったわけでございます。

 ただ、一点、同法におきましては、施行後二年以内にアルコール健康障害対策に関する基本計画を内閣府において策定することとなっておりますけれども、さらに、附則におきまして、この計画の策定後三年以内にこの事務を厚生労働省に移管する旨が既に法律の附則に規定をされてございます。その意味で、今後、既に厚生労働省への事務の移管が予定されているというふうに理解をしております。

泉委員 もう質疑時間がありませんので、ちょっと他の項目は飛ばさせていただきますけれども、大臣、改めて、一つは、先ほど話があったように、議員立法が数多くできる中で、内閣総理大臣を本部長とするだとか、関係大臣を本部員とするというような議員立法は過去多々あったわけですね。それは、今国会で今検討されているような議員立法では、各党の行革本部の取り組みもあって、かなりそれを分散化、あらかじめ各省の誰かをトップにするという形に変わりつつあります。しかし、これはまだ各政党の自主的取り組みレベルというか、それは、例えば政権がかわったり、あるいは政党の考え方が変わればどうなるかわからないというところはあります。

 しかし、政府としては、内閣官房と内閣府には、やはり一定のそういった機動性ですとか業務が限定されるような形のものを目指しながら、内閣官房と内閣府の機能強化というものを図っていくというのは変わらないわけであります。

 大臣の方からなのか政府の方から各党に対して、そういった内閣府や内閣官房のあり方ということについてはぜひ御理解くださいというようなことを政府の側から各政党に発信してもよいのかなというふうにも思うわけですが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 およそどなたが政権をとろうと、恐らく、その中枢において内閣総理大臣の権限とリーダーシップを強化して、そしてその周辺で機動性あるいは即応性、あるいは方向づけということを戦略性を持ちたいということは、どの政権であろうとも考えることだと思います。

 その上で、今回は平成十三年の省庁再編から初めての法案改正でございます。足らざるところを御指摘いただきましたけれども、私どもなりにその整理、整合性はつけているつもりでございます。

 そういう意味では、今後も新しい政策が出てこようかというふうに思いますが、御指摘の点を踏まえて、サンセット、いわゆる期限づけで内閣官房あるいは内閣府から各省庁にお戻しをするというようなことをできるだけ御協力いただきながら、その原則を持ちながら、果敢に国家国民の要請に応えていく内閣府、内閣官房でありたいというふうに思っております。

泉委員 終わります。

井上委員長 次に、古本伸一郎君。

古本委員 民主党の古本伸一郎でございます。

 おはようございます。よろしくお願いします。

 国家行政組織法の一部を改正する法律案ということで議論が進んでおりますけれども、ただいまの議論を委員各位も委員長もお聞きになっていて、結局、自民党、公明党、与党の行革推進本部での議論がこの際閣法として出てきている、こういう状況なわけであります。

 我が党の中の議論、部門会議でも、同僚委員の中から、やはり、与党の行革推進本部のその議論に直接携わった方にお尋ねしないとわからない、そういうニュアンスのようなものもあるんじゃないかという議論がありましたことを、まず、ここで付言しておきたいというふうに思います。

 さりとて、今回は、内閣官房それから内閣府に限って見直すという提言が、自公、自民党、公明党、与党の行革推進本部から提言され、課題が惹起され、それを受けとめているという流れでありますので、そこに私も頭の中を整理して絞ってお尋ねしてまいりたいと思います。

 最初に、旧内閣府、二〇〇一年の省庁再編前の内閣府は、大体幾つぐらいの庁があったんでしょうか。

幸田政府参考人 突然の御質問でございまして、手元に資料がございませんけれども、省庁再編前は、総理府のもとに、経済企画庁を初め、科学技術庁、沖縄開発庁、環境庁、国土庁その他、十程度の庁が置かれていたのではないかというふうに記憶をいたしております。

古本委員 少なくとも、いわゆるSPのつく大臣がつくという意味では、総理府、経企庁、沖縄開発庁、科技庁、国土庁だったんじゃないかなという程度の理解は私も、記憶があるんですけれども。

 実は、内閣府全体を見直すというふうになったときに、一例を挙げれば、経企庁。今は恐らく、甘利大臣が経済財政全般をごらんになっておられ、我が国のGDPやらインフレターゲティングやら、いろいろなことの担当大臣なんですけれども、他方で、財政再建を議論するときは、これは当然、税収の、入りの議論もありますけれども、歳出削減もある。骨太が発表されたようでありますけれども、これは専ら財務金融委員会、麻生大臣のところで議論している。

 甘利さんを財務金融委員会に呼ぼうと思うと、かつては、与謝野さんのときは来ていらっしゃったんですけれども、他委員会でなんですけれども、並んで質疑をすることができた。これは委員会でお決めいただければ、それでハウスの意思としていいと思うんですけれども、やはり、旧経企庁機能が内閣府の中に溶け込んでしまっているために、結局、甘利担当大臣の担務が、財金で議論する上で薄れてしまっているというような構造的な問題。ハウスにおいて、本当に骨太のとおりになるんだろうか、成長戦略がそのとおりいくのであろうかという議論を、当内閣委員会ですべきなのか、財金委ですべきかというのが、これは実は古くて新しいテーマなんですよ。

 だから、恐らく、この内閣委員会は物すごく範囲が広いです。例のドローン法案も何やら出てくるというふうに伺っていますけれども、そこからそこまで、あそこからここまでやっていたら、実は、肝心かなめの、我が国の成長戦略をどうするんだ、あるいは財政再建をどうするんだという話が、結局、財金とこちらの間でぽてんヒットになるようなことがあってはならないという強い問題意識があります。

 その意味では、今般、自公の皆さんが、内閣官房、内閣府のスリム化ということで、大きく分けると、資料を事前にいただいていますけれども、犯罪被害者等の施策を国家公安委員会に移管することを初め、大きく六つの見直しということなんですけれども、それぞれの原局の担当の皆さんからしたら、それぞれ大変重たいことだと思うんですけれども、内閣府全体で課題があるならば、むしろ今冒頭に提言したような、旧経企庁の機能というのは果たしてそうでいいんだろうか、溶け込んでしまったようなことでいいんだろうかというようなこともぜひ御議論をいただきたかったなと思うし、提言しようにもしようがないという状況なわけであります。

 そこで、私の問題意識を申し述べた上で、出された法案の各論に入るんですけれども、移管をされた暁には、その座布団を移管するのか、人そのものが机ごと異動するのか。特に、大変専門性が求められる分野と仄聞いたします自死対策、それから食育、この二つに絞って、きょうは農水と厚労にお越しいただいていますので、机ごと行くのかどうか、お答えいただきたいと思います。

幸田政府参考人 まず、内閣府の方からお答えをさせていただきます。

 先ほどの泉委員の御質問と共通する部分も多いと思います。定員の移管の部分、これは、閣議決定にもございます機構・定員それから併任については、原則としては、そのまま移管して業務に支障がないようにしていくということでございます。その問題と、実際、人事としてどう張りつけていくのかというのはまた別だろうとは思います。

 ただ、例えば今の自殺対策で申し上げますと、専従職員五名のうち二名が厚生労働省から出向で内閣府の方に来ていただいているという状態でございます。また、二名は内閣府のプロパーの人間が担当しているということでございます。このような状況をどのように厚生労働省に持っていくのかにつきましては、今後適切に厚生労働省と協議をさせていただきたいと考えております。

古本委員 厚労と農水は答弁はいいんですか。どうぞ。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 自殺対策でございますけれども、これは今お話がございましたように、私ども厚生労働省でも、具体的な施策として、心の健康づくりですとか、あるいは経済的な事由ということで失業者に対する相談等々、具体的にはさまざまな施策を行っております。

 一方、現在内閣府で御担当いただいておりますように、関係大臣で構成される自殺総合対策会議の運営等の総合的な調整の業務ノウハウ、こうしたものについてはやはりきちんと引き継ぎをいただかなければならないというふうに考えております。

 そうした観点から、先ほど内閣府からも御答弁がありましたように、二十八年度に予定されている業務移管が円滑に行われるように、これから内閣府と十分御相談をさせていただきたいというふうに考えております。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 農林水産省の方は、今度は食育の関係事務を移管していただくことになるわけでございます。

 今、厚労省の方からお話がございましたが、同じように農林省でも、現在、食育の各種の事業につきましては、私ども、関係省庁と連携をしながら、団体とも調整をして、いろいろな事業に取り組んでおるところでございます。

 今般、内閣府からその総合調整の関係の事務をいただくということでございまして、人員なり予算についてしっかり引き継ぎをさせていただいて、遺漏のないようにしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

古本委員 組織をいじる場合には、これは民間も公務員の皆さんもそう大きな違いはないと思うんですけれども、新たな部ができるとか、ある課がどこかの部に課ごと行くとか、よくある話ですよ。なんですけれども、むしろそこで働く方々の専門性をぜひ高めていただきたいですし、自死対策ということは多分相当な専門性が要るでしょうし、恐らく、医官といいますか、メディカルな見地を持っておられる官僚、医務官、医官等々も頑張っておられると思いますので、そういう方々が、組織が見直されるから自分の仕事がコンバートされるとかいうことではなく、引き続いて新たな、机を持っていった先でもできるようにしていただきたいなという要望はしておきたいというふうに思います。

 さてそこで、委員長、私は、自死対策とか食育の中身は残念ながら素人です。単純にその専門性を持った職員が内閣府で今頑張っておられるという大前提に立って、その方々が厚労に異動するのか、農水に机ごと異動するのか、それとも、厚労の中で人選をして、誰かそういう人を選抜して新たなそこの机に異動さすのか、単純にそのことだけを聞いているんですね。

 先日ここでも、随分公の場でやりとりした自負がございまして、二日前に通告を終えようと思って、もう月曜日には通告しました。なんですけれども、大臣、委員長、このやりとりで、私、何回質問取りを受けたか。つまり、多分、相当過剰品質に、相当入念に準備を、しかも決裁を上げていくプロセスが大変なんじゃないかなと思うんです。

 他方、きょう、実態は知りませんけれども、きのうの夜中の例えば九時過ぎ、十時過ぎに通告したという人も多分いると思うんです。これはやはり徹夜で答弁を準備しなきゃいけないし、待機している各局の人たちも大変になると思うんですね。

 そこで、ちょっときょうは忌憚のないところで答えてほしいんですけれども、私の今回のたったこれだけの通告に対し、農水と厚労の原局、どのくらい作成に時間を要しましたか。正直に言ってください。たったこれだけの質問なんですから。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 詳細に具体的にどのくらい時間がかかったかというのは、私、承知をしておりません。

 ただ、今先生お話がありましたように、非常に早い段階で先生の方から御通知をいただいたものですから、きのう、夜の九時、十時ということではなくて、早い段階に私のところまで答弁のメモというのは届いております。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 全く同じでございまして、きのう、かなり早い段階に先生からの御連絡をいただいたものですから、私用のきょうのこういった答弁準備につきましては、昨日の勤務時間中に私のところで終了したところでございます。

古本委員 これは、局長や審議官がゼネラリスト過ぎて、多分、下から上がっていくときに、局長、審議官が御存じないことを委員会で委員から質問されると局長、審議官に恥をかかすというようなことで、あの手この手のセットアンサーを用意するんじゃないかと仄聞するんですよ。

 だから、本来、局長、審議官たる指定職の方々は、もう何を聞かれても答えられる、それは、何条何項のどこをそらんじてみろみたいな意地悪質問は相手にしなくていいですよ。そんなの、通告がありませんでしたと言えばいいと思うんです。大体ふわっとした質問なんですから、それを何でこんなに準備するのかということなんですよ、こんな分厚いセットアンサーを。これは皆さん方の責任だと思いますよ。

 人事局、きょう来ていますけれども、通告がなくて、もう何が飛び出すかわからないという体制だったら、丸腰で来ればいいんですよ。だって通告がないんですから。通告がなければですよ。というぐらいの通達を各大臣官房に出したらどうですか、人事局。

笹島政府参考人 お答え申し上げます。

 答弁作成というのは、御通告いただいてから、事務方、担当が答弁をつくって、幹部に上げてチェックをして、最終的には大臣に御説明してというようなプロセスを経るわけでございます。本日についても、委員からの質問通告は前々日にいただいておりまして、そういう意味では、きのうの勤務時間中に答弁の作成というのは終えることができたわけであります。

 一般的に、確かに、過剰品質というのが役所の長時間残業の一つの原因になっているんじゃないか。国会答弁に限らずです。そういった点はやはり見直していく必要があるんだろうと思いますし、幹部たるもの、いろいろな問いに臨機応変に答えるというのも重要な責務であろうというふうに考えております。

 したがいまして、国会答弁に関して申し上げれば、やはり下から順番に上げていって、係長がやった後、補佐がチェックして、補佐がチェックした後、課長に上げ、局長に行ったらまたもとに戻ってということがないように、我々なんかも心がけていることは、全体的な方針は幹部のところで一回決めてしまう、それから、大臣答弁ではない事務方答弁におきましては、余りにも細かいチェックをするのではなくて、やはり現場での対応というのを心がけるように我々も努めているところでございまして、そういった工夫というのは各省でもいろいろ取り組まれているというふうに理解しているところでございます。

古本委員 これは、私どもはさりとて野党ですから、自公の皆さんが野党のときにもいろいろとお世話になりましたことを思い出しますと、事柄によっては前日ぎりぎりの、いろいろなちょうちょうはっしがあっていいと思うんですけれども、閣法でありますし、もう随分前からいろいろな参考資料もいただいているケースであれば、私は現実的に、二日前通告ということは、実は与野党国対委員長申し合わせでもうサインしているんですよね。

 だから、そのことは今、我が党の泉理事に私はお預けをしておりますし、特に、女性の働き方を見直していこうというようなことを議論した当委員会が、そのパイオニアとなって、そういったことができればいいなと思っていることを改めて申し上げた上で、机を持っていくだけかどうか聞いただけで、さりとて相当入念な質問取りがあったのも事実なんですよ。

 だから、それは、局長、審議官たるものは、俺たちに任せておけぐらいのどんと構えた姿を見せたら、部下たちは物すごく気分的に楽になりますよ。仮に、通告を受けていない質問が出たとしても、そんなめちゃくちゃな質問でなければ、いやあ、冷や汗をかいたよぐらいの笑い話を昼御飯を食べるときにすればいいんですよ。おまえ、どんな質問取りをしていたんだぐらいのことをやる局長、審議官がおるからにして、必死でとりに来るんでしょう。

 だから、やはりお互いに改革しましょう。ハウスの側も、僕はここで提言します。委員長、ぜひ、私は泉筆頭にこの件を預けているので、委員長としても、当内閣委員会でそういう改革をしてみようというイニシアチブをとっていただきたいんですけれども。

井上委員長 内閣委員会に限る話ではないとは思いますけれども、国会全体として大事な問題だと認識して、考えていきたいと思います。

古本委員 ぜひ、そういう働き方、それから内閣官房を持っているという当委員会のハウスにおける使命というのは、井上委員長が一番重いと思っておりますので、御指導を賜りたい、このように思います。

 さて、きょう、農水、厚労がせっかく来てくれています。

 今回、食育と自死対策室を移すということだけに限っての、大変失礼ですけれども、私に言わせれば、範囲の小さい、限定的な改革提案なんです。

 農水、この間、いろいろな改革をやっておられますね。地方支分部局の見直し、統計事務の廃止にも至る等々を伺っています。あるいは、厚労の皆さんもいろいろな大きなことを思っておられるんじゃないかなと思うので、いい機会なので、自公行革推進本部からはこの二つだけの提言があったようですけれども、農水と厚労的には実はやってみたいと思っている大きな組織改革があるのなら、開陳してみてください。

荒川政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の食育の移管につきましては、大きな観点で、内閣府、内閣官房の機能の見直しという中で出てきた部分でございまして、この件につきましては、私ども、食育の推進に遺漏のないようにしっかり対応してまいりたいと思っております。

 それから、今先生から御質問ございました、農林省全体としてもっと何か組織についてのいろいろな検討はないのかというお話でございますが、これは、今国会に別途、農林水産省設置法の改正案を出させていただきまして、先般、成立を見たところでございます。

 御質問にもございましたが、私どもの現場の機関であります地域センターというのがあるんですけれども、そこの業務が、もっと現場の農業者の皆様方なり首長の皆様方としっかり意思疎通をしてやっていけるような改革をすべきだという契機がございまして、今般、地方参事官制度というものを入れさせていただきました。農政局長の出先として、農林水産省の所掌事務全般をしっかり発信する、また、事業者の方、農業者の方からの要望をしっかり受けとめる、そういった組織にするような大きな改革を先般やらせていただいたところでございまして、この十月の施行に向けまして、しっかり対応してまいりたいと思っております。

宮野政府参考人 御答弁いたします。

 私ども厚生労働省も、地方支分部局あるいは施設等機関を合わせまして約三万人の職員を抱える組織でございます。特にその中でも労働関係で、都道府県労働局、ハローワーク、監督署で約二万というような組織になっております。

 御案内のとおり、厚生労働省は大変たくさんの課題を抱えております。社会保障の見直し、あるいは働き方改革、そういった中で、こうした重点的な施策にいかに出先機関も含めて注力をしていくかという観点から、これまでもさまざまな組織の見直し等々も行ってまいりましたけれども、これからも引き続き私どもとしても取り組んでまいりたいというふうに考えております。

古本委員 農水と厚労の中身にこれ以上深くは入りませんけれども、例えば農水でいけば、本当に穀物メジャーに日本は、TPPですよ、例えば穀物の分野で本当に欧米のメジャー五社に勝てるんだろうかとか、あるいは、農家を支援するのか、農業という業を、産業施策としてやっていくのかとか、これはやはり、ある意味、政治の御意思で、政治から言われてやる改革もあっていいと思うんですけれども、人から言われてやるよりも、みずからそうやりたいと思って行う改革の方が迫力が出ますよね。

 ぜひ、今回は食育と自死対策室ということに限られていますけれども、不断の改革を中から提言してほしいなということを強く、特に事業官庁の農水と厚労は大きな役所ですので、それを求めておきたいと思います。

 そのときに、前大臣もいらっしゃるので、厚労で一言提言なんですけれども、大臣もぜひ聞いていただければありがたいんですが。

 省庁再編、二〇〇一年のときには、一府二十二省庁を一府十二省庁にぐっと小さくしましたね。あのときは、二〇〇一年、行革の嵐。これは、消費税をやるためにはまずは行革だという話で、与謝野先生に言わせれば、行革なんてギリシャ時代からあるんだ、だから、財政再建というのは歳入構造改革も同時にやらなきゃいけないんだという薫陶を伺ったこともあります。

 それでいきますと、厚生と労働がやはり一緒になったことの功罪両面がそろそろあるんじゃないですか、前大臣。もしそこを思い切って提言しようと思うと、中央省庁等改革基本法、二〇〇一年、ここが出発点で省庁再編がなされたんですけれども、実は、自公の皆さんの行革推進本部の出発点はここからは来ていませんよね。どこを見直そうか、内閣府がごちゃごちゃになっているので、トラフィックジャムになっているので、ここを直そうということありきで来ているような気がして、もっとワイドビューで見たら、さっき申し上げた経企庁的な機能が、財務省と常に共管していた方が本来いいんじゃないかとか、厚生と労働というのはもう一度見直してもいいんじゃないか。

 ヨーロッパ諸国では、御案内のとおり、パブリックヘルス、つまり医療と医薬、食品、それからソーシャルサービス、介護あるいは保育、さらにはソーシャルインシュアランス、つまり保険です、明らかに三つに分けて、それぞれに担当大臣がいますね。

 これは、いついかなるときも、どの政党が与党になり、どれだけすぐれた方が大臣の任につこうとも、これだけ範囲の広い、とりわけそこに労働も加わっていますから、これはむしろ国富の損失になるんじゃないかとさえ思うんです。

 なぜ自公の行革推進本部でそのぐらいの骨太な提言が出てこなかったか。岡田大臣から申し送りという話もあると、私も半分耳が痛いんですけれども、他方で、我が政権じゃできなかったかもしれない、それは。

 厚生労働省、もしコメントがあれば。

宮野政府参考人 省庁再編によりまして、旧厚生省と労働省が統合して厚生労働省になりました。これにつきましては、例えば、社会保障の問題と雇用の問題を一体として考えるというようなことで、メリットはあったというふうに私ども考えております。

 その一方で、今先生からお話ございましたように、省庁としては非常に巨大な省庁になっている。これは、田村前大臣が一番御苦労されて、御理解をいただいているところだと思います。

 ちなみに、平成二十五年、二十六年の政務三役の国会の発言回数が、厚生労働省は六千七百九十回ということになっております。こういう、一方で特に大臣にとっては大変な激務であるというふうに私どもも認識をしております。

 そういう中で、これは、引き続き国会の場でもこうした組織のあり方につきまして御議論をぜひ賜れればというふうに考えております。

古本委員 今申し上げた中央省庁等改革基本法、平成十年、今からもう十七年前の当時の法律に実は検討条項がなかったんですね。唯一あった検討条項というのが、役所の名前をどうするかというのがこの法律の時点ではまだ未定だったので、別途検討するということで、厚生労働省とか国土交通省ができたわけなんですね。

 むしろ、このとき、後世に申し送らなきゃならなかったことがあるとするならば、どんな組織も、改編したら、やはり定点で観測し、見直さなきゃなりませんね。それは、不断の努力を我々ハウスも、そして行政も怠ってはならないという思いでいっぱいなんです。

 そういう意味では、今回の議論の出発点が、与党の行革推進本部から出されたところから来ていると言われてしまうと、なかなかこちら側にお尋ねするのにも歯がゆさを感じますし、今、有村大臣に、例えばなぜ厚生労働省のセパレートというような議論がしていただけなかったのかとお尋ねしようにも、前大臣の時代だと伺いましたけれども、そもそもお招きにあずかっていないと。これでは、ハウス側の責任ですよ、委員長。

 だから、やはり、与党の行革推進本部から出されたものが今後ともこういった形になるのであれば、当内閣委員会としても、委員会改革とでもいいましょうか、小委員会をつくってでもいいと思うんですよ。そのもとで与野党が事前に議論をしていれば、初めて聞きましたという質問が先ほど来飛び交っておりますので、これはお互いに不幸です。いい提言をお互いにしていこうと思うならば、そういった、例えば内閣委員会の下に小委員会を設けるようなやり方だってあると思うんですね。

 かつて建設省に入られた委員長、国土交通となりましたよね。これも巨大官庁だと思いますよ。いろいろな御持論も委員長もおありかもしれませんね。ぜひ、小委員会をつくってみてそういう議論をするというのも一つの切り口だと思うんですけれども、いかがですか。

井上委員長 理事会で協議したいと思います。

古本委員 ありがとうございます。

 中学生、高校生の社会の授業で、三権が分立しているということを学校の先生もお話をされる。やがてこれから十八歳に投票権年齢が下がる。そして、政治については踏み込んではならぬという当時の文部省初等教育局長通達が今も生きている、これを見直すという議論が与野党の中で惹起されているということは大歓迎であります。

 むしろ、子供たちが知れば知るほど、実はハウスというのは、与党が提案し、それを大体そのとおり、大体そのまま丸のみした政府側が閣法として出してくる、それを与党多数で議決して通していく。これは、先ほど泉委員が言わんとしていたのは、それを少しでもハウスの関与ということができるようにしようとしたのが、二〇〇九年の手前どもの、大変拙い政権運営であったんですけれども、結果的にせつない結果になりましたね。

 これは僕らは諦めちゃいけないと思っているんですよ。だから、ハウスの存在感を出すためには、実は与党の先生方も、この間、ある意味で、当時、我々も思い出しますけれども、まさに採決のときに、そのときに数で参加するということだけのミッションではおもしろくない。与党も部会で発意がありますね。与党は部会で発意があるんだけれども、実はこの意見は野党はどう考えているんだろうかということを考える心の広さみたいなものがあれば、もっと深まると思うんですね。

 委員長は、今突然のお尋ねで大変恐縮しましたけれども、ハウス改革ということのチャンスと権能を持っておられるわけでありますので、ぜひ今後とも御指導を賜りたいと思います。そのぐらい強い問題意識をこの件については持ってございます。

 その上で、役所の方に再度確認なんですけれども、組織を幾ら見直しても、働く皆さんの思いがそこについてこなければいけないということは冒頭申し上げました。厚労と農水、きょう原局が来ていますけれども、厚労の方だけ聞きますね。かつての省庁再編で厚生と労働が一緒になっていますけれども、役職員の思いは本音のところ、どっちなんでしょう、昔がよかったなと思っているんですか。

宮野政府参考人 お答えをいたします。

 個別の、特に古手の職員の思いはいろいろあろうかというふうに思います。

 ただ、私ども、平成十一年から、共通採用を厚生労働省になる前からしております。そういった職員が、古手の課長補佐、一番シニアな課長補佐あたりまでもう来ております。そういう中で、厚生労働省としての一体感というものは生まれてきているのではないかなというふうに考えております。

古本委員 つまり、国交省も、委員長御出身の旧建設と運輸で次官はたすきがけで出すんですか、そういうことでおさめて今日まで至っているんでしょうけれども、今や新国交省採用の職員がふえてくる時代になっていますね。だから、過去はどうだったかと問われても、もうわからない時代に入ってきます。そういう意味では、その前を知っている今の指定職クラスが今まさに声を出さなければ、現状に甘んじることになります。

 現状がすぐれてワークしているならば、見直す必要はありません。でも、そうではない、不自由なり、国民に対して行政サービスに不行き届きがあるというのであれば、不断の努力をしてもらいたいということを再度皆さんに要望しておきたいと思いますので、どうぞ今後とも、与党の行革推進本部なる場所に呼ばれ、いろいろな意見を述べる機会があるんでしょうけれども、議論を小さくしちゃだめですよ、ぜひ大きな議論ができるように。

 それで、そういうときには政治の応援もいるでしょう。そういう理解のある、あるいは応援しよう、思い切って見直したらどうだという意見を持っている議員は与野党を超えていると思いますので、ぜひそういう努力をして合意を形成していけば、思い切った組織の見直しができると私は信じております。

 そのことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

井上委員長 次に、河野正美君。

河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。

 ただいま審議中のいわゆる内閣府スリム化法案につきまして、二度目の質問に立たせていただきます。よろしくお願いいたします。

 前回、本法案の質疑におきまして、内閣府は積極的に総合調整機能を発揮し成果を上げてきているという御答弁がありました。内閣府の発足に当たっては、総合調整機能のみならず、知恵の場としての役割も期待されていると思います。内閣総理大臣のリーダーシップのもとで政策を方向づけるために、民間を初め多くの有識者からの知恵を政策に生かす場としての役割も担ってきたはずであります。

 具体的に申しますと、例えば経済財政諮問会議のような重要な会議において、民間で活動される方々が参加することでさまざまな知恵やアイデアを政策に取り入れていくことが可能となります。政策を霞が関や永田町からの視点だけで考えるのではなく、広く民間や政策を必要としている現場から考える、そうした姿勢は極めて重要だというふうに考えております。

 そこで、内閣官房、内閣府において、民間の方がどのようにその力を発揮されているのかを伺いたいと思います。

 具体的には、民間の人材に会議のメンバーとして参加いただいたり、職員などとして実際の職務、業務に携わっていただいたりといった形が考えられるかと思います。また、出向や人事交流の形で民間からの人材も登用されているというふうに思っております。現状をお示しいただきたいと思います。

幸田政府参考人 まず、内閣府からお答えをいたします。

 内閣府におきましては、内閣官房の総合戦略機能を助ける知恵の場といたしまして、これまで、経済財政諮問会議や総合科学技術・イノベーション会議などの重要政策会議、あるいは各種審議会などにおきまして、各界の有識者、学識経験者の方々に構成員として御参加をいただきまして、その知見を重要政策の企画立案に生かすよう努めてきたところでございます。

 このほかにも、内閣府の各部局に民間から出向等の形で受け入れを行っております。昨年八月十五日現在で合計二百四名の方々を、民間企業、あるいは弁護士、大学教授の方々を、官民交流、任期つきあるいは非常勤というような形で各部局にも参加をいただいているところでございます。

 こうした取り組みを通じまして、内閣府は、内閣の重要政策について積極的に総合調整機能を発揮し、骨太の方針ですとか、科学技術イノベーション総合戦略といった府省横断的な政策課題に関する方針や計画の策定に中心的な役割を果たすことができているというふうに考えているところでございます。

河野(正)委員 こうした内閣府の知恵の場としての機能がこれまでどのように発揮されて効果を上げてきたというふうにお考えかを伺いたいと思います。

 今回の業務の見直しでは、総合調整権限のみが対象となっているわけでありますけれども、内閣府の持つ知恵の場としての機能が今後どのように生かされていくのか、具体的な考えをあわせてお示しいただきたいと思います。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御答弁申し上げましたが、昨日、骨太の方針を閣議決定したところでございますけれども、このような内閣の重要政策に関する知恵の場としての総合調整等々につきまして、引き続き中心的な役割を果たしていきたいと考えてございます。

 特に、政府全体としての政策の方向づけについて、これまでも成果を上げてきていると認識しておりますけれども、引き続き、内閣の重要政策につきます政策の方向づけについて、知恵の場としての役割を果たしていきたいと考えております。

河野(正)委員 ありがとうございます。

 政策の方向づけということで、内閣官房、内閣府、しっかりとした働きをしていただきたいと思っております。

 次に移ります。

 本改正案は、内閣官房や内閣府が抱えている政策課題を他の省庁等に移しかえるというようなものであります。本法案が成立すれば、定員や併任の職員が減少するので組織がスリム化する、この法案は通称スリム化法案などと呼ばれますけれども、そういった理解でよいのでしょうか、確認をさせていただきたいと思います。

山下政府参考人 先ほど来も話に出ておりますように、政府が本年一月に閣議決定しました「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」におきましても、移管業務に係る人員については移管先の府省庁に移すということとしているところでございます。

 ただ、こういった見直しは、内閣官房、内閣府における業務のスリム化ということを目的としているわけではございませんで、むしろ、内閣官房、内閣府が、その機動性を確保することで、本来の役割である内閣の重要政策の方向づけに専念するとともに、各省が中心となって強力かつきめ細かく政策を推進できるようにすることによって、国の行政組織が全体として機能を最大限発揮することを目指したというものでございます。そのため、先ほど申しました一月の閣議決定でも、タイトルは、内閣官房及び内閣府の業務の見直しというふうにしているところでございます。

河野(正)委員 第二次安倍内閣の発足以来、内閣官房に追加された事務というのが実に二十にも及ぶわけであります。本法案によってスリム化を目指す一方で、事務がどんどん追加されている現状には、若干の矛盾というものも感じているところであります。

 スリム化というよりも、安倍内閣で所管の事務がふえ続け、重要課題ということで安倍総理もいろいろな課題を認識されているところなんでしょうけれども、そういったことによって事務がどんどんふえ続け、内閣官房、内閣府の仕事が一部押し出されてしまう形になったという見方もあるというふうに思っております。

 今回見直しの対象となった政策課題は、そもそも内閣としての重要政策課題であったからこそ、内閣官房、内閣府に置かれてきたものだというふうに思っております。

 今回移管される事務と今後も残される事務との違いが何なのか、見直しや移管の対象と事務に何か判断基準のようなものがあるのかどうか、政府の見解を伺いたいと思います。

山下政府参考人 御指摘のとおり、内閣官房、内閣府で行ってまいりました事務は、内閣としての重要政策ということで行っているものでございます。

 今回の見直しにおきましては、そこの重要性というところの認識は変わっておらないわけでございますけれども、先ほどと若干重複でございますが、内閣官房、内閣府がその重要政策について行う本来の役割を十分発揮できるようにするとともに、政府全体として政策をより強力に進めるためには、引き続き内閣官房、内閣府がいいのか、それとも各省という現場に近いところがいいのか、それに関連しまして、特に、内閣官房、内閣府で取り組んできて、ある程度方向性が煮詰まってきたものにつきましては、各省というより現場に近いところで総合調整も含めて行うことでよりきめ細かく実施ができるのではないか、そういう判断基準と申しますか観点で整理をしたということでございます。

河野(正)委員 何かわかりやすい具体的な判断基準、これで、これは残す、これは移管する、そういった誰もがわかりやすいものというのはないんでしょうか。

山下政府参考人 大変失礼いたしました。

 例えばで申しますと、今回、内閣官房から内閣府への移管でございますけれども、知的財産政策というものがございます。

 これは、内閣に置かれた知的財産の本部、そしてその事務局が内閣官房にあったわけでございますけれども、平成十六年度以降、毎年度、知的財産推進計画を改定して、取り組みを着実に進めてきております。二十五年には、知的財産戦略に関する基本指針というのを決めておりまして、今後十年間を見据えて長期的に取り組んでいくということにしているところでございます。

 ということで、今後は、恒常的、専門的に取り組んでいかなければならないということで、その任務にふさわしい内閣府に移管するというところでございます。例えば、これが一つの例でございます。

河野(正)委員 何かクリアにはわからないような気がいたしますが、しっかりとした判断基準を持ってやっていただきたいと思います。

 今回の質問に当たり、内閣官房と内閣府の職員の構成というのを調べてみました。平成二十六年度の定員は、内閣官房は千二十四人、内閣府は二千三百十四人。このうち、他省庁からの出向者の数は、内閣官房六百三十二人、内閣府五百七人。加えて、他省庁との併任が、内閣官房で千九百五人、内閣府が七百九十人に上るわけであります。

 先ほど来いろいろお話も出ておりましたけれども、出向者を省庁別に見ると、内閣官房では、総務省、内閣府、警察庁、防衛省、内閣府では、総務省、国土交通省、農林水産省の順に多くなっているようです。このような状況を見ますと、内閣官房や内閣府の職員の多くは、出身となる省庁があるということであり、特定の省庁に偏っている傾向があるとも思われます。

 内閣官房、内閣府において、各省庁からの出向について、どのような考えに基づき運用されているのでしょうか、教えていただきたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房におきましては、多くの出向者がおりますけれども、それぞれ、各部局の業務の内容等に応じて、関係省庁からその業務に適任と思われる人を出向者として受け入れるということでやっております。

河野(正)委員 これも何かよくわかりにくいなと思いますけれども、そういったことで適任者が来ているということで認識させていただきます。

 また、内閣府の幹部人事を見ていきますと、特定省庁の出身者が独占しているポストというのがあることがわかります。

 例えば、内閣府発足以来、科学技術・イノベーション担当の政策統括官は文部科学省であります。防災担当の政策統括官は国土交通省。それぞれの省の出身者しかこのポストにはついていないというようなことが現実であります。

 中央省庁再編時には、各省庁が内閣府のポスト確保に動いていると報じられていたこともあったと思います。

 このように、いわば各省の指定席とも見られる幹部ポストが散見されるのは、内閣官房、内閣府の機能を見直す上で看過できない状況にあるかというふうにも思います。幹部ポストが各省の既得権となるような運用はあってはならないという考えから、なぜ特定省庁出身者しかつかないポストがあるのか、その理由も含めて、政府の見解を伺いたいと思います。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府が国政の重要政策についての総合調整機能を十分発揮するとともに、内閣及び内閣総理大臣のリーダーシップ発揮を補佐してまいりますためには、各省庁からも広く人材を集め、英知を結集する必要があるというふうに考えております。

 この観点から、幹部人事の運用に当たりましては、出身省庁にとらわれず、当該職員の能力、適性を見きわめ、適材適所の人事を図っているところでございます。

 今御指摘がございました科学技術の政策統括官あるいは防災の統括官などの一部のポストにつきましては、確かに、実務経験ですとか専門性が特に必要となるポストでありますことから、結果的にこれまで特定の省庁からの出身者が続いているというポストであるということは事実でございます。ただ、それは一部でございまして、ほかの経済財政の統括官でありますとか沖縄の統括官、あるいは私の官房長のポストも含めて、さまざまな省庁の役所の人間が霞が関から就任をいただいているところでございます。

 今後とも、適材適所の考え方から、職員の能力、適性を見きわめた上で人事を行っていくというのが内閣府の方針でございます。

河野(正)委員 今御答弁いただきましたけれども、先ほど来、判断基準であるとか、そういった出向などの基準を聞いていましたところ、大体答弁が予想されたとおりかなと。適材適所でやられているということだと思います。

 本法案では、総合調整の権限を各省庁も持つことが可能となります。これまで内閣府が持っていた内閣の重要政策についての総合調整の権限を各省庁が持てるようになります。

 この流れを突き詰めていきますと、内閣府の存在意義が問われかねないような状況になるかとも思いますけれども、心配いたしますけれども、この点について政府の見解を伺いたいと思います。

赤澤副大臣 本法案において各省が内閣の重要政策に関する総合調整などを担えるように措置を講ずることとしたのは、現在、さまざまな事務が内閣官房、内閣府に集中しているということで、従来、内閣官房、内閣府に限られていた内閣それから内閣総理大臣を助ける役割を各省にも広げるということで、政府全体で重要政策に対しより強力に政策調整機能を発揮できるようにするためということでございます。

 今回の改正後においては、内閣府は、内閣の重要課題のうち、恒常的、専門的な対応が必要な特定の事項について総合調整を行い、例えば経済財政諮問会議などの重要政策会議を通じて、内閣総理大臣みずからがリーダーシップを発揮する場としての役割を引き続き担うのに対して、各省は、御指摘のとおり、閣議決定をした基本的な方針に基づいて総合調整を行うことになります。

 その総合調整の対象事項や内閣としての取り組みの方針、他の府省との協力関係などは、基本的な方針にあらかじめ可能な限り具体的に定めるようにいたします。それらの範囲内で総合調整の役割を担っていくということで、内閣の重要政策に関し、内閣府と各省で役割分担を図ることで、内閣府はむしろ、重要政策に関する司令塔機能など、本来期待される役割をより十分に発揮できるようになると考えておりまして、内閣府の存在意義が低下することはないというふうに考えてございます。

河野(正)委員 内閣府が仕事がふえてきてスリム化されるわけですから、今おっしゃいましたような司令塔の機能をしっかりと発揮していただきたいと思います。

 昨年九月に発足いたしました第二次安倍改造内閣で、女性活躍担当大臣が置かれ、有村大臣が担当されることとなりました。翌十月、その発足時に、すべての女性が輝く社会づくり本部が内閣官房に設置されております。本部の構成員は全ての国務大臣というふうになっておりますけれども、平成二十六年十月に設置され、六月二十六日に二回目の本部会合が開催されたというふうに伺っております。

 こうした本部の意義について、前回の質疑では、内閣総理大臣の強力なリーダーシップのもとで、関係府省間の調整や連携を図りながら内閣を統一して、政府全体として重要政策を強力に推進していくための体制として重要な役割を果たしているという御答弁がありました。

 法律に基づく本部は十八あるということであります。それぞれの設置の目的や内容が異なっているから比較できないという答弁でありましたけれども、改めて、開催頻度などの会議の実態をお聞きいたしたいと思います。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 法律により内閣官房において事務を処理しております内閣に置かれる本部、十八本部の開催頻度につきまして、例えば平成二十五年度から二十七年度で見ますと、六回以上開催しておりますのは六つ、三回から五回開催されておりますのは五つ、二回以下の開催のものが七つとなっております。

河野(正)委員 今御答弁いただきましたが、十八の本部のうち、二十五年度以降、昨日までに開催されたのが二回以下の本部というのもたくさんあるわけであります。また、特定の年だけ頻繁に開催されて、その後開かれなくなっているものもあるように見受けております。本部も必要がなくなったら廃止するなどの、そういった対応が必要ではないでしょうか。

 また、閣僚が一堂に会する機会としては、週に二度、閣議や閣僚懇談会もあるかと思います。あえて本部を設けなくても、内閣を統一して、政府全体として重要政策を強力に推進していくということは可能ではないかと思います。あえてなぜ本部を設ける必要があるのか、その意図を詳しく教えていただきたいと思います。

赤澤副大臣 内閣に置かれる本部は、全ての国務大臣を構成員として、内閣の重要政策課題について閣僚レベルで政府全体を調整する役割を担う機関ということでございます。

 社会経済情勢の変化により、府省横断的な対応を要する内閣の重要政策課題が増大する中で、内閣総理大臣の強力なリーダーシップのもと、関係府省間の調整や連携を図りながら内閣を統一し、政府全体として重要政策を強力に推進していくための体制として本部は重要な役割を果たしていると考えております。特に、各本部の事務局には専任のスタッフが置かれております。本部開催に向けて、日常的に関係省庁間の総合調整を行っているという実態がございます。

 こうした取り組みを通じて、本部は、政府全体の統一方針のもとで、関係省庁の施策を整理し、推進していくという重要な役割を担っているものと承知しておりまして、このような本部の機能を活用しながら、政府一丸となって時々の重要政策課題を解決していくことが重要であるというふうに考えております。

河野(正)委員 前回も実は質問させていただいておりまして、当時は越智政務官から同じような御答弁をいただいたところでありますが、やはりこういったことも含めてスリム化ということをしっかりと、事務量がふえないように考えていかなければいけないのかなと思っております。

 女性活躍大臣として、有村大臣、就任されて、間もなく十カ月を迎えようとされております。この間の取り組みを振り返って、女性活躍大臣としてどのような成果を上げて、現状で課題が残っているとお考えなのか、御認識を伺いたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 安倍内閣は、御案内のとおり、女性の活躍推進を内閣の最重要政策の一つとしています。十カ月になろうとする私の着任以来、女性活躍担当大臣という初めてのポストでございますが、まさにこの衆議院の内閣委員会で御審議をいただきました女性活躍推進法案の今国会の提出、そして、できるだけ早い成立のために全力を尽くしていきたいと思っておりますが、この二年でさまざまな取り組みを強力に推進することができている、進めているというふうに思っております。

 その結果、報道も、それから国民の皆さんの関心や期待も非常に高まっているというふうにみずからも認識をしておりまして、これは、国際社会、国際機関や報道、あるいは政治、あるいは投資家、海外の方からも非常に大きな関心があって、これは本物なのか一過性のものなのかということを厳しく、固唾をのんで待ってくださっているなというふうに思います。

 今後の目標としては、私は、この女性活躍というのは、当事者である女性だけの問題にすることなく、また、男女というものを限られたパイやあるいはポジションの奪い合いというゼロサムの構図にするのでは全くなく、むしろ女性が過ごしやすい社会をつくっていくことは、男女ともに暮らしやすい、高齢者にも、障害の有無にもかかわらず、お子さんがいても、そういう暮らしやすい社会の実現につながるということを納税者に実感していただくことが成否の鍵を握るというふうに思っています。

 もう一つだけ申し上げさせていただきますと、委員から御紹介をいただきました、六月二十六日に、すべての女性が輝く社会づくり本部において、女性活躍加速のための重点方針を取りまとめました。ことしから新たに、毎年六月をめどに重点方針を決定し、その方針に基づいて、内閣府、内閣官房のみならず、全省庁で、女性活躍推進のための予算や政策に反映させるという新たな取り組みをさせていただいた次第でございます。

 やはり私としては、長時間労働の是正、それから民主党の古本委員からも御案内いただきましたワークライフの実現、そういうみんなにとってプラスになるものを切り込んでこその分野だというふうに思っております。

河野(正)委員 時間も余りありませんので、ちょっとまとめて大臣にお伺いしたいことがございます。

 すべての女性が輝く社会づくり本部のホームページを拝見いたしますと、現在、日本トイレ大賞の募集に力を入れておられる様子でございます。

 国会議員に女性が少なかったころ、まあ現在も少ないというふうに言われていますけれども、議事堂内のトイレも少なかったというふうに聞いておりますし、トイレで物事をいろいろ考えていく、トイレという視点から考えていくことも大事だろうというふうに思っております。

 女性の活躍を推進するための取り組みとして、今なぜ日本トイレ大賞なのかということを伺いたいのと、あわせまして、通告のとき別々にしておりましたけれども、やはり、業務のスリム化法案ということを考えていくと、こういったことまで手を出していくのがどうなのかなという点がありまして、その点についてちょっと伺いたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 暮らしの質向上ということで、特別な晴れの日だけではなく、東日本大震災もございました、日々の穏やかな日常のためには日々の暮らしの質を上げていこうということで、女性活躍あるいは男女共同参画の視点から、有識者会議から御提言をいただいております。その中で、トイレというのは、男女ともに、トイレの問題から逃げ切れる人は誰もいないということでは、初めて政策的な俎上に上がっているかと存じます。

 それもあって、ちょっとそれだけがクローズアップされているのは、その判断は分かれるところでございますが、女性がトイレでいろいろなことを行っている、けれども、防犯上あるいは盗撮のおそれから公衆トイレに女性は入りにくいという現状がデータからも出ています。

 また、外国の方、障害の有無、あるいは高齢者の方には、和式トイレや、余りにも多過ぎるボタンがどこを押せばいいのかわからないという、今インバウンドの外国の方からも苦情が出ている次第でございます。

 あと、災害が多いので、日本のトイレを災害に強いトイレにしなきゃいけないということでございまして、そういう意味では、本当に各省庁にまたがったトイレの普遍的なことを内閣官房で取り扱っている次第でございます。

 このトイレ大賞というのは、私たちの日々の足元ということのトイレの環境を見ていただきたいということで、少なくとも今回はアドホックで、今回限りでやりたいというふうに思っていて、その反応も見ていきますけれども、私たちの日々の足元ということでの、見ていただくというきっかけとしてトイレ大賞を設けている次第でございます。当然、一つの機運ということをまとめて、それを収れんさせていくということになっていこうかというふうに思っております。

河野(正)委員 オリンピック・パラリンピックを見据えて、そういったトイレをしっかりと前面に出していろいろアピールしていこうということであると思いますし、今、中国人観光客の方が日本のトイレを爆買いしていくなどという報道もありますので、そういった意味で、いい意味でアピールしていく場面になっていけばというふうに思っております。

 次に移ります。

 今回移管される事務の一つに、犯罪被害者施策というのがございます。

 ちょっと時間も残りありませんので、通告を先送りして先に言わせていただきますが、実は、今回話題となっております、かつて殺人を犯した少年の書籍についてという問題を伺いたいと思います。

 被害者遺族の方は、精神的苦痛が甚だしく、改めて重篤な二次被害を受ける結果となっているというふうに訴えられております。

 実際、私の方にもいろいろな御意見をいただいているんですが、出版や表現の自由を守るということは言うまでもありませんけれども、被害者遺族をないがしろにするような無制限の自由が認められるべきではないのかなというふうに思います。どのようにバランスをとるかが重要であり、犯罪被害者等基本法の改正や第三次犯罪被害者等基本計画において取り組むべき課題ではないかなというふうに考えます。

 実は、一九七七年、アメリカのニューヨーク州で、サムの息子法という法律が制定されております。御存じの方も多いかと思いますが、犯罪加害者がみずからの犯罪物語を出版して得た利益については、犯罪者自身に渡すことをせずに、被害者遺族救済等に充てようといった趣旨だと思います。

 極めてこれは繊細な問題で、慎重に考えなければならない課題であると思いますが、犯罪被害者の二次被害対策の取り組みとあわせて、現状での政府としての考えを確認させていただきたいと思います。

安田政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、アメリカ合衆国において、各州レベルの法律で制定されている、いわゆるサムの息子法について、これまで内閣府において具体的な調査を行ったことがございませんことから、その詳細な内容や運用状況等については把握をしていないのでございますが、概要、犯罪者が自己の犯罪等について記述した著作物の出版等により収益を得ることを規制する法律と承知をしております。

 内閣府におきましては、現在、このような規制の必要性についての検討は行ってはおりませんが、仮に検討するとしても、表現の自由の保障との関係から、相当に慎重な検討が必要ではないかと考えております。

 また、現在、政府におきましては、犯罪被害者等基本法及び平成二十三年三月に閣議決定をされました第二次犯罪被害者等基本計画のもと、犯罪被害者等施策を推進しているところでございます。

 いわゆる二次的被害の防止につきましては、第二次基本計画におきましては、「捜査・公判、医療、福祉等の過程で配慮に欠けた対応をされることによっていわゆる二次的被害を受けることもある。」と指摘をされており、これを防止するための具体的な施策といたしまして、警察官や検察官を初めとする、犯罪被害者等と接する機会を有する職員に対する研修の実施、ビデオリンク等の措置の適切な運用等による刑事手続における犯罪被害者等に対する配慮、性犯罪捜査を担当する係への女性警察官の配置などを盛り込み、二次被害の防止に努めているところでございます。

河野(正)委員 実際に、被害者遺族の方が、本当に、二十年近くたって、またこういったことによって心を痛められているという現実がありますので、今後、これは本当に難しい問題ではあると思いますけれども、しっかりと検討しなければいけないと思います。

 時間が来ましたので、最後の質問をさせていただきます。

 今回の内閣官房、内閣府の業務の見直しは、基本的に組織を縮小する方向だと思います。内閣官房や内閣府の業務は経済社会情勢の変化に応じて随時点検すべきであり、三年後をめどに次回の全面的な見直しを行うとされています。しかし、点検すべきは、中央省庁全体の業務のあり方も同じではないでしょうか。

 本法案により、各省庁が総合調整権限を持つことによって、中央省庁全体の業務のあり方にも変化が生じてしまうのではないかと考えられます。

 我が維新の党は、道州制を初め、我が国の統治機構のあり方に強い問題意識を持って行動している政党でございます。高度経済成長が遠い過去のものとなり、厳しい財政状況にある我が国において、地方のことは地方が決める、自分たちのことは自分たちで決める、こういった政策が大切なのではないかと思っています。

 最後に、今後の見直しに当たっては、地方と国の行政のあり方、中央省庁全体の再編も視野に入れて検討する必要があると思いますけれども、有村大臣のお考えを伺いたいと思います。

有村国務大臣 御指摘でございますけれども、今回の目的が、内閣府の組織や機能を縮小することを目的の第一義に挙げているわけではございません。委員御案内のとおりでございますが、内閣官房、内閣府の、総理を補佐して総理のリーダーシップをする、そのキャパシティーを堅持するというのが本来の目的でございます。

 後半御質問いただいたところですが、省庁再々編については、平成十三年の省庁再編が、いわゆる橋本行革から実現に至った平成十三年まで四年以上の年月を要したこと、また、膨大な調整や、時の政権に相当な体力や支持率がなければできかねることという現状がございますので、これは統治機構の根幹にかかわるものでありますから、今回の見直しとは別に、慎重な検討をしていく必要があるという認識でございます。

河野(正)委員 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 内閣官房・内閣府スリム化法案について質問いたします。

 最初に、何問か大臣にお尋ねをいたします。

 今回の法案は、内閣官房、内閣府の事務のスリム化を図ると言われております。

 内閣法と内閣府設置法を見てみました。そうしますと、内閣法において、内閣官房の主任の大臣は内閣総理大臣であります。内閣官房長官は、内閣官房の事務を統括し、所部の職員の服務につき、これを統督する役割を担うとされています。また、内閣府設置法におきましては、内閣府の長は内閣総理大臣であり、内閣府の主任の大臣として分担管理事務をつかさどるとされており、内閣官房長官は、内閣総理大臣を助けて内閣府の事務を整理し、内閣総理大臣の命を受けて内閣府の事務を統括し、職員の服務について統督するとあります。

 そうなりますと、内閣官房、内閣府の事務のスリム化法案の審議なのに、内閣官房の主任の大臣であり内閣府の長である総理大臣が出席し答弁することがないばかりか、内閣官房の事務を統括し、内閣府の事務を整理する内閣官房長官も出席し答弁する、そういうことになっていないわけであります。

 これは率直に言っておかしいんじゃないかなと思うんですが、大臣はいかがですか。

有村国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 私が答弁をさせていただく妥当性、その根拠についてお尋ねをいただきました。

 この法案については、内閣総理大臣から、内閣官房、内閣府の業務の見直しに関する事務を行政改革担当大臣に担当させるとの内閣総理大臣指示書を明確にいただいておりまして、この指示に基づきまして、行政改革担当大臣の職責をお預かりしております私が取りまとめております。この見直しの担当が私であるために、この法案に関する国会審議も担当しているという次第でございます。

 なお、かつて、確認をいたしましたら、民主党政権下においても同様の取り扱いがなされているというふうに理解をいたしております。

塩川委員 実際、事務を統括するそういった内閣官房長官自身が忙しさをよく把握しているというか実態をよく認識しておられるわけで、そういう実情についてお聞きしたいわけです。そういうことこそ、しっかりとした議論の中身も伴う。

 スリム化だけではなくて、後でお話しするような、そもそも内閣官房、内閣府の事務、業務が膨らんできている、そういう実態というのが当然あるわけで、そういう中で官房長官がどういう役割を果たしているのか、どういうふうに認識しておられるのか、こういったことについてきちんと話してもらうというのは、審議を深める上で重要なことじゃないかなと思うんです。

 そういう点でも、本来は官房長官がしっかりと答弁に当たるべきものだということを思うんですが、もう一回、いかがでしょうか。

有村国務大臣 いま一度御報告をさせていただきますが、今回、官房長官がお忙しいから私が担当しているというわけではございません。あくまでも指示書に基づいての、明確な根拠がございますので、答弁に当たらせていただいている次第でございます。

 なお、この内閣委員会で官房長官もお呼びになれますので、この法案は私が担当させていただきますが、官房長官が答弁を外しているというわけではなくて、御党の御質問にもしっかりとお答えになっているお姿は日常的なものかと理解をいたしております。

塩川委員 法案審議に当たって、内閣官房長官が当たるべきじゃないのかと率直に思うわけです。まさに内閣官房の事務を統括する、内閣府の事務を整理するという役割ですから、そういった事務、業務というのは一体どうなっているのかというのを法案との関係でしっかりとただす機会こそ必要であります。

 この間の第二次安倍内閣、菅官房長官のもとで、本来官房長官が所掌、所管をするそういった事務、業務にかかわる法案が、官房長官が答弁に出てこないという場面が多いんですよね。例えば秘密保護法のときもそうでありました。あるいは、今議論しております安保法制の中身というのは、内閣官房でつくったものであります。まさに官房長官自身が中心を担っているわけで、過去、例えば、こういった法案についても、有事法制のときですとか、あるいはイラク特措法ですとかテロ特措法の改正案ですとか、こういうときにはいずれも内閣官房で当たっているということでいうと、官房長官が答弁に立っているんですよね。

 そういう意味でも、最近は、何とか法制担当大臣というか、要するに、法案にある意味特化をしたような大臣の配置という格好で、ほかの大臣を答弁要員にして、官房長官が答弁者になることを避けるようになっているということが実態としてあるんじゃないのか。私はそういうのはおかしいと思います。

 そういう点では、有村大臣にもう一度お聞きしますけれども、私はやはり、内閣官房、内閣府の事務の統括をし、あるいは整理をするという官房長官が本来しっかりと答弁に立つ必要がある。この間、そういう意味では、内閣官房に係る法案について内閣官房長官が答弁に出てこないというのはおかしいと思うんですけれども、その点について、憲法六十三条でも言う国務大臣の国会出席義務にも反するものじゃないかと率直に思いますが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 歴代の官房長官の政府代表としての国会への答弁と比して、現在の菅長官が国会の答弁が少ないという認識は持っておりません。本当に国政全般にわたって官房長官としての本来の職務を精力的におやりになっているという印象でございまして、今回の法案に関しては、私は指示書に基づいて、私が責任を持って答弁をさせていただきます。

塩川委員 第二次安倍内閣以降でも、先ほど言ったような秘密保護法もありますし、今回の法案もありますし、安保法制もありますし、官房長官が本来所掌するような事務に当たって、そこから出てくる法案について官房長官が答弁に立たないというのがこの間はっきり見えてきているわけで、私は、率直に言って、官房長官の国会出席義務のスリム化なんじゃないか、そっちの方が問われるんじゃないかということを思いますし、内閣官房の事務を統括する官房長官の説明責任や国会答弁義務を免れようとするこういうやり方というのは許されないということを申し上げておくものであります。

 次に、今回の法案が出される上で、一月の閣議決定がございました。内閣官房、内閣府の業務の見直しについてでは、内閣が取り組もうとする政策課題により機動的に対応し、重要政策に関する司令塔機能など本来の役割を十分発揮できるようにするとして、この法案が提出されているということです。

 内閣官房に関する重要政策に関する司令塔機能というのは、平成九年、一九九七年の行政改革会議の最終報告にあります内閣官房の五つの機能、企画立案機能、最高、最終の調整機能、情報機能、危機管理機能、広報機能、このことを指しているのかなと思うんですが、この点についてお答えいただけないでしょうか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 内閣官房の役割につきましては、平成十三年の省庁再編の土台となった行政改革会議の最終報告で、内閣の補助機関としての機能のほかに、国政の基本方針を立案すること、また、新たな省庁調整システムにおける最高、最終の調整をすること、そして、情報収集、分析をすること、危機管理、広報という機能を担うものというふうに整理をされております。

 今ほど委員から御指摘をいただきました重要政策に関する司令塔機能とは、内閣官房、内閣府が内閣、内閣総理大臣を助けるために行う内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整を意味するものであり、省庁再編時に整理された内閣官房の機能で申し上げれば、国政の基本方針の企画立案、最高、最終の調整がそれに当たるものだと承知をいたしております。

塩川委員 そうすると、情報機能とか危機管理機能とか広報機能というのはそうではないということですか。

有村国務大臣 直接当たるものとは認識しておりません。

塩川委員 企画立案機能というのは、例えば、ちょうど昨日閣議決定もされました、経済財政諮問会議の骨太方針ですとか、産業競争力会議、日本経済再生本部の日本再興戦略の二〇一五改訂版ですか、そういうもの、要するに、いわば成長戦略の策定などもこの企画立案機能に含まれるということでいいでしょうか。

有村国務大臣 そのとおりの理解でおります。

塩川委員 先ほど、危機管理機能というのは今言った司令塔機能には含まれないということなんですけれども、そうすると、危機管理機能についても、いわば司令塔機能に入らないということであれば、今後、スリム化をする対象として見直しの対象となるということでしょうか。

山下政府参考人 今回見直しを行いましたのは、先ほど申し上げた企画立案、総合調整に関する事務がいろいろふえてきたものについて見直しをしたということでございます。

 お尋ねの危機管理の部分につきましては、そういう意味では、これは、今申し上げております内閣官房、内閣府に集まってきております企画立案、総合調整機能とは別の、内閣官房の機能と認識をしております。

塩川委員 危機管理機能にかかわるような内閣官房の役割について、要するに、今後ということでもいいんですけれども、そういった見直しの対象とするということはあるんですか。

山下政府参考人 組織や事務につきましては、一般的に、当然、必要に応じ見直すということになりますので、そういうこともあり得るとは存じます。

 ただ、今回見直しを行いましたのは、一般的に、内閣の重要政策に関する企画立案、総合調整に関する事務が集中してきたことに対する見直しでございますので、今回そこの範囲に入っておるわけではございませんが、一般論として、当然、見直すということはあり得るとは存じます。

塩川委員 一般論と言いますけれども、基本は、今言ったように、企画立案機能それから総合調整機能に係る事務についての見直しということでやるものだし、今後もそういう方向で見直しをしていこうということですから、危機管理機能については、特段、今の時点で直接の見直しの対象となっているわけではないということであります。

 その上で、人員について確認なんですけれども、この前、池内議員の方で、内閣官房副長官補の分室についての質問をいたしました。今回、内閣官房副長官補の本室のことについてお尋ねするんですけれども、三人の副長官補の方がいらっしゃって、内政、外政、事態対処・危機管理担当の三つということなんですけれども、その人数について、本務で当たっている方、併任の方、その併任のうち常駐の方、その人数についてそれぞれ御説明いただけませんか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年度の内閣官房副長官補室の本室における本務者、併任者及び常駐併任者についてのお尋ねでございます。

 三人の副長官補がおります。内政の担当それから外政の担当の副長官補のもとにおります者が、本務者が四十九名、併任者が二百二名、うち常駐の併任者が百七名となっております。そして、もう一人の副長官補で事態対処・危機管理担当をしております副長官補のもとにおります者は、本務者が七十名、併任者が百十六名、そのうち常駐併任者が二十九名というふうになっております。

塩川委員 この内政担当と外政担当、これを分けてという数字は出ないものなんですか。

林政府参考人 それは難しゅうございます。

 今、副長官補室で抱えている課題は、内政、外政、両方にかかわる課題が多うございまして、その職員は、内政副長官補の指示のもとで、しかし、外交的な考慮もありますので、外政担当の副長官補にも相談しながら業務を進める、こういったものも多くございまして、分けることは難しゅうございます。

塩川委員 この内閣官房副長官補本室の事務について、今回のいわばスリム化の対象として俎上に上ったところというのは、具体的にどういうものがあるんでしょうか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房副長官補室の本室の事務も検討の対象になっております。

 実際、今回の法案に盛り込まれております道州制特別区域推進本部の事務でございますけれども、こちらについては今回の法案で内閣府に一元化するということになっております。

塩川委員 そういう形で、幾つか見直しということで内政、外政関係はあるんだと思うんですけれども、事態対処・危機管理担当のところというのは、直接今回見直しの対象ということではありませんので、手を触れていないということがあります。

 そういう場合に、やはり、成長戦略に資するような企画立案機能というのを、まさに重点的にそこに力を入れようということでもありますから、そういった事務、業務がまさにメーンの仕事として当然あるでしょうし、また、国家安保戦略等々、そういう基本方針の策定のこともありますし、そういったいわば成長戦略や国家安保戦略のような企画立案機能というのは、より充実する方向でというのがこの狙いということが当然あると思います。危機管理機能などについても、直接は今回の見直しの対象としないということが今法案の目的として挙げられると思います。

 そこで、実際に、どういう事務というか、どういう企画立案との関係で会議体が動いているのかというのをお聞きしたいんですけれども、官邸のホームページの中に、総理、副総理、または官房長官を構成員とする会議の一覧表があります。これは、この三者が直接入らないような場合も含めて、その他ということで列挙をしている。全部で八十七あると承知をしていますけれども、この八十七の会議のうち、第二次安倍内閣以降に発足した会議は幾つになるか、教えてもらえますか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 八十七のうち、第二次安倍内閣発足以降置かれた会議は五十でございます。

塩川委員 首相官邸ホームページに掲載されている、総理、副総理、または官房長官を構成員とする会議、全部で八十七ですけれども、第二次安倍内閣以降でつくったのが五十ということで、約六割が第二次安倍内閣でつくられた会議ということです。まさにそこで大きく膨らんでいるということがあるでしょう。

 そこで、この八十七の会議の中で、下部の組織、サブ組織も含めて、会議開催数が多いものということでお聞きしたいんです。

 規制改革会議と経済財政諮問会議、それから日本経済再生本部、これは下部には産業競争力会議が入っているわけですけれども、この三つの会議の開催数について教えてもらえますか。

林政府参考人 先生、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議のそれぞれの開催回数という御質問ということで承りました。

 まず、経済財政諮問会議の開催回数でございますが、第二次安倍政権発足以降では五十九回となっております。次に、産業競争力会議は、実は日本経済再生本部の下部組織でございますが、この開催は百回となっております。それから、規制改革会議は百七十三回となっております。

塩川委員 規制改革会議が百七十三回、日本経済再生本部、産業競争力会議を含んで百回ということですが、経済財政諮問会議の五十九回というのは、いわば経済財政諮問会議本体の開催数だと思うんですよ。そのもとに、「選択する未来」委員会とか、たくさんサブ組織があると思うんですけれども、その合計について教えていただけますか。

前川政府参考人 御説明申し上げます。

 経済財政諮問会議とその種の専門調査会の関係なんですけれども、経済財政諮問会議はいわば本会議主義をとっておりまして、専門調査会は名前のとおり専門的なことを調査するということでございます。したがいまして、先ほど先生が御指摘になりました骨太の方針であるとか、あるいは年末の予算編成の基本方針、これらは全て経済財政諮問会議本会議のみで審議をしております。

 御指摘のありました「選択する未来」委員会とかというのはありますけれども、実は、その開催回数は今持っておりませんが、そもそも経済財政諮問会議で議論していることは、専門調査会とは少し離れて本会議で議論している、そういう制度設計をしたのがもともとでございますので、そういう事情にあるということを御理解いただきたいと思います。

塩川委員 ホームページをクリックすれば、経済財政諮問会議のところに、今言った「選択する未来」委員会ですとか、いろいろな専門調査会等出てくるわけですよ。ですから、そこは一体のものであって、当然、本体の会議の方で議論するたたき台も含めて行っているわけですから、そういう数を数え上げれば百三十九回になるわけです。

 あと、例えば、それ以外でも多いのが、国家安全保障会議で五十九回、健康・医療戦略推進本部が五十八回、大体この五つぐらいが開いている回数が多い会議体ということになります。

 このように、会議開催数の多い経済財政諮問会議、日本経済再生本部、規制改革会議というのが、いわば経済産業政策の司令塔機能、または実際の調査等々を行う実動的な部隊の役割を果たしていると思うんですが、そういう理解でよろしいでしょうか。

前川政府参考人 私の方から経済財政諮問会議について申し上げます。

 諮問会議は、平成十三年の中央省庁等改革で、内閣及び内閣総理大臣の補佐、支援体制の強化を図るため、経済財政政策に関する重要事項について、有識者等のすぐれた識見や知識を活用しつつ、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的として、内閣府設置法に基づきまして内閣府に設置された合議制機関でございます。

 諮問会議につきましては、先ほど御指摘がありました昨日閣議決定された骨太の方針の策定など、その役割を十分に発揮しているものと考えております。

塩川委員 ばらばら答えられても困るので、この三者がどういう有機的な関係にあるんですかということが聞きたいんですけれども、今のままだと三つがそれぞれ答えるだけですから、ちょっと率直に答弁として意味がないなと思います。

 第二次安倍内閣が発足して最初の安倍総理の就任記者会見のときに、経済再生の司令塔として日本経済再生本部を創設する、経済財政諮問会議も再起動すると述べておられます。この日本経済再生本部のもとに産業競争力会議が設置をされました。

 あわせて、明けた二〇一三年の一月に規制改革会議を設置し、その翌日の第一回の規制改革会議では、安倍総理より、日本の経済再生、成長戦略実現のために規制改革に果敢に臨んでいくという意思表明がなされるとともに、改革の実現に当たって、規制改革会議と産業競争力会議との連携を図っていく旨の発言があったわけです。

 つまり、この三者の関係というのが、財政、金融、経済政策の総合的、戦略的な司令塔である経済財政諮問会議と経済再生の司令塔である日本経済再生本部の両者が連携をして司令塔機能を果たすようになっている。日本経済再生本部のもと、産業競争力強化や国際展開に向けた成長戦略の具現化と推進を図るというのが産業競争力会議であり、経済社会の構造改革を進める、政府流に言いかえれば、経済成長を妨げている政府の規制を見直して必要な規制改革を進めるというのが規制改革会議であります。安倍総理は規制改革会議と産業競争力会議との連携を図っていくとの発言を行っているのは、さきに示したとおりであります。

 こういった有機的に結んだいわば経済政策の司令塔ですけれども、第二次安倍内閣の発足の直後に、日本経団連が「国益・国民本位の質の高い政治の実現に向けて」という提言をしております。その中では、政策の司令塔の確立が必要である、省庁の縦割りを排し、国益に沿った改革を進めていくことが重要である、かつては経済財政諮問会議が大胆な改革を遂行した、第二次安倍内閣は同会議を復活させるとともに、日本経済再生本部を設置した、政官民が一堂に会した司令塔において、横断的な改革を迅速に断行していく必要があると述べています。政策の司令塔の確立について、安倍内閣と日本経団連は軌を一にしているものであります。

 政官民が一堂に会した司令塔と経団連も言っているわけですけれども、そこで質問ですが、経済財政諮問会議と産業競争力会議、それから規制改革会議の議員の総数と、うち民間出身者の方の数を教えていただけますか。

前川政府参考人 恐縮ですが、順次御説明させていただきます。

 経済財政諮問会議ですけれども、内閣府設置法第二十二条で、民間有識者の人数は議員総数の四割未満であってはならない旨規定されておりまして、現在の構成も十人中四名ですので、ちょうど四割でございます。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 産業競争力会議でございますけれども、全部で十八名のメンバーで構成されております。うち民間有識者の人数は九名で、率は全体の五割となっております。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 規制改革会議につきまして、委員は十五人、専門委員は十六人でございます。その中に、国及び地方の公務員の方はおられません。

塩川委員 今の規制改革会議は……(刀禰政府参考人「公務員はおらない、全部民間人です」と呼ぶ)ということですね。

 経済財政諮問会議が四割、産業競争力会議は五割、規制改革会議は専門委員も含めて全員ということで、もちろんこの民間出身の方には学者、有識者の方も含まれているわけでありますが、経済財政諮問会議には経団連会長が入っておられます。そのサブ組織にも、経団連の現役の副会長や、副会長、副議長出身企業の代表の方が入っています。

 また、安倍内閣でとりわけ重視されています産業競争力会議は、経団連副会長、副会長出身企業がメンバーとなっており、サブ組織にも財界、大企業代表が入っております。規制改革会議では、経団連副会長出身企業からメンバーが入っており、サブ組織のワーキンググループにおいても経団連副会長出身企業から入っているところです。日本経団連の会長、副会長を初めとして、大企業経営者など民間出身者が多数を占めるという状況にあります。

 次に、事務局の人数ですけれども、同様に、経済財政諮問会議、産業競争力会議、規制改革会議の事務局の人数と、そのうち民間出身者の数がどうなっているのかを教えてください。

前川政府参考人 諮問会議でございますけれども、諮問会議の庶務は、私、経済財政運営担当の政策統括官部局がやっておりまして、そこの部局の実員は四十四名でございまして、民間出身者はおりません。

 なお、この実員の枠外でございますけれども、非常勤の一般職として六名の民間出身者が在籍しております。

 以上でございます。

岡本政府参考人 お答えいたします。

 産業競争力会議でございますけれども、事務を処理するのは、内閣官房の日本経済再生総合事務局でございます。実員数は六十三名で、民間出身者は五名、比率は全体の約八%となっております。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 内閣府の規制改革推進室の室員は、現在合計三十七人でございます。そのうち、民間出身者として十七人の室員がございます。比率としては四六%になると存じます。

塩川委員 お答えいただきました。

 経済財政諮問会議については、非常勤の方、自治体からの方もいらっしゃいますので、その方も含めればトータルで五十六人で、そのうち民間の方が六人ということです。経団連からおいでの方もいらっしゃいます。産業競争力会議では、楽天ですとかみずほなどの銀行関係、規制改革会議も銀行や保険会社等々たくさん入っております。

 この場合の民間は、民間企業、大企業からの出向者の方ということであります。民間企業出身者が一定割合を占めるようになっています。安倍内閣の経済政策の司令塔を担う中枢に、経団連役員企業など大企業出身者が重層的に入っているということが、こういうところからも見てとれるわけです。

 その上で、具体的な例として、農協改革についてお聞きしたいと思います。

 安倍内閣が岩盤規制に突破口をあけると言っている分野として、雇用、労働、医療、農業と挙げられているわけですけれども、その農業分野、とりわけ農協改革に関してお尋ねをします。

 官邸には、総理を本部長とし、関係閣僚が参加をする農林水産業・地域の活力創造本部が置かれています。その第四回の会合、二〇一三年の八月八日ですけれども、そこでは、産業競争力会議や規制改革会議等の議論の進捗を踏まえ、検討内容を調整、追加していくとあります。

 そこでお尋ねしたいのは、なぜこういう農業分野の改革、農協改革を含むこの改革について産業競争力会議や規制改革会議等の議論の進捗を踏まえなければいけないのか、その理由について教えてもらえますか。

刀禰政府参考人 規制改革会議の関係につきましてお答えいたします。

 規制改革会議は、内閣総理大臣の諮問に応じまして、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制のあり方の改革に関する基本的事項を総合的に調査審議する事務をつかさどることとされております。

 そして、その会議におきまして、農業の分野についても思い切った規制改革に取り組んでいく必要があるとの議論が過去において行われたところでございます。

 平成二十五年九月より、農業ワーキング・グループにおきまして本格的な議論が行われましたが、その中で、現行の農協法では、中央会による組織、事業、経営の指導、監査の実施など、単協、連合会に対する指導権限等が規定されており、その見直しは、まさに経済社会の構造改革を進める上で必要な規制のあり方の改革であると考えられたところでございます。

 このような考え方、経緯を経まして、規制改革会議において農協改革が精力的に議論されたものでございまして、規制改革会議の検討項目として適切であると考えております。

塩川委員 経済社会の構造改革として農協改革が必要だということなんですけれども、そういう規制改革会議の議論を踏まえてということが重要なんだという話なんですが、いろいろな会議体があるわけですけれども、そういう中で何で農協改革を規制改革会議で取り扱うことになったんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 それぞれの会議体におきまして、それぞれの設置の目的がございます。規制改革会議におきましては、先ほど申し上げましたような、もともとの事務をつかさどるということになっておりますので、その中で、規制改革会議として、委員の皆様の御議論の中でこの問題を取り上げるということになった経緯でございます。

塩川委員 規制改革会議と産業競争力会議の議論のすみ分けみたいなものというのはあるものなんですか。その辺がちょっと、整理がつくようであれば教えてほしいんですが。

刀禰政府参考人 お答えをいたします。

 規制改革会議と産業競争力会議、それぞれが設置されておるわけでございますが、いろいろなこれまでの議論の中でも、連携をして議論を行うということで行われております。例えば農地中間管理機構の議論などは、それぞれの合同会議なども開かれまして議論を行っているということもございます。

 また、それぞれの会議で、それぞれのテーマについて決定をされたものについて議論を行っておりますけれども、事務方同士もいろいろな形で意見交換も行っておりますし、連携をしながら議論を行っているというところでございます。

塩川委員 いや、私の質問は、違いは何なのかというところなんですよ。

 産業競争力会議の方は、どうですか。

岡本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど先生からもお話がありましたけれども、競争力会議は、我が国産業の競争力強化、国際展開に向けた成長戦略の具現化ということでありまして、地方を見渡しましても、農業というものは非常に重要な成長戦略の具体的なテーマであるということで議論をしてきております。

 先ほどお話がありましたように、連携という意味では、規制改革会議の岡議長、競争力会議の方のメンバーにも入っていただいております。そういう意味で、規制改革会議の議論と競争力会議の議論を橋渡ししていただくような御意見をいただくということから、メンバーにも入っていただいて、農業の問題についても議論をさせていただいておるところでございます。

塩川委員 余り、違いの話としてよくわからないんですけれども。

 要は成長戦略ですよね。新しい産業を起こしていこう、競争力強化だというのがどちらかというと産業競争力会議で、規制改革会議というのは、経済社会の構造改革という話がありましたけれども、政府流の言い方では、経済成長を妨げている政府の規制を見直す、そういうことなのかな、そういう対象として農協が俎上に上がったということだと思います。

 そこで、実際に平成二十五年九月以降、ワーキング・グループで、農業についての思い切った改革が必要だというような議論が始まったということなんですが、ただ、第一回の規制改革会議、平成二十五年の一月のときに、ニチレイの浦野委員、今は相談役でしょうか、が、今までほとんど触れられることがなかったのだが、農地法の問題とか、あるいは経済事業と金融事業を一緒にやっている農協の問題とか、そういったところにもきちんと触れると発言をしておられます。いわばアグリビジネスの関係者の方から農協改革を行うという最初の提案があったということが、ここに見てとれるのではないでしょうか。

 そこで、実際、この規制改革会議において、農業ワーキング・グループのメンバー及び専門委員には、農協の関係者の方というのはいるんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えをいたします。

 農協の関係者というお話でございます。

 その言葉自体は幅広い概念でございますので、組合員も指すということであれば、委員及び専門委員に農協の組合員も含めた関係者がおられるかということは承知をしておりませんが、現職の農協役員ということでございますれば、委員及び専門委員から提出された履歴書を拝見する限り、農協関係者というのはおられないというふうに承知をしております。

塩川委員 農協関係者はいないということ。

 あと、この規制改革会議において、農協改革に当たって、協同組合原則についての議論というのは行われたことがあるんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 規制改革会議におきまして、農協改革と国際協同組合同盟の協同組合原則との関係について議論が行われたことはございません。

塩川委員 いわば協同組織の機関の協同組合における協同組合原則について、そもそものその立脚点についての議論はないということです。

 それともう一つ、ワーキング・グループの議論の中で、全中の指導あるいは監査というのが地域農協とか単協とか構成員たる農業者に対して弊害をもたらしたという事実について、具体的な指摘というのはあったんでしょうか。

刀禰政府参考人 お答えいたします。

 突然の御質問ではございますけれども、今御指摘のございましたような、全中の監査等について農業関係者からの具体的な意見があったということは承知をしておりません。

塩川委員 ですから、全中の指導、監査について問題だという事実について、具体的な指摘というのがないんですよ。

 そうしますと、農協法案というのは、相互扶助、助け合いの組織である協同組合の自主と自立というものを踏み破るものだ、農協関係者を置き去りにして、今紹介をしたような財界人が主導する規制改革会議が押しつけたものと言わざるを得ません。

 大臣にお尋ねをしますが、このように、農協改革といいながら、農協の当事者の意見も聞かずに、トップダウンで規制改革会議が議論を進めて、それをたたき台に政府が法案を出される、こういったやり方ということが、大臣がおっしゃっておられる司令塔機能なんですか。当事者の意見も聞かないで、トップダウンでやるというやり方が司令塔機能なのか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 今委員がおっしゃいましたけれども、当事者の意見を聞かないでというところでございますが、私の理解が間違っていなければ、規制改革の中の農業ワーキング・グループにおいて、JAグループから七回のヒアリングを行っていらっしゃいます、平成二十五年十一月から平成二十六年十一月、一年間に。金丸座長ともお話をしましたけれども、かなり丁寧にお話をされているという印象を持っております。

 そういう意味では、当事者の意見を聞かないというような認識は私どもは持っておりません。

塩川委員 要するに、訴えている中身の話ですけれども、協同組合原則についての議論もない、あるいは全中の指導、監査に問題ありということについての事実に基づく指摘もないということが、当事者の声も聞かないという実態を示しているじゃないかということを言っているわけです。

 要は、規制改革会議の議論というのが、農協改革において規制を外し、株式会社が自由に農地の取得ができるようにする、その方向性を示すものでもありますし、JAの信用、共済事業の分離も狙われているところで、アグリビジネスの企業や銀行、保険会社の関係者が農協改革に深くかかわっているという点は極めて重大であります。

 規制改革会議と産業競争力会議の議論が優先をされて、その結果、財界代表の意向を反映した政策が決定をされる、こういったやり方というのが、個別政策に限らず、きのう閣議決定をした骨太ですとか日本再興戦略ですとか規制改革実施計画というのもまさに企画立案たるものですが、財界、大企業のメンバーが入っての中身ということを指摘しておくものであります。

 そこで、次に、こういった基本方針の企画立案に当たって、財界や大企業のメンバーが入って議論をリードしているだけではありません。安倍内閣は財界と二人三脚になって行動している、その例として、総理の外遊のことを取り上げたいと思います。

 第二次安倍内閣以降、安倍総理は、歴代総理の中で最も外遊が多い総理となっています。日本再興戦略の重要な構成部分であるインフラシステム輸出戦略で、トップセールスというのを強調されております。

 そこで、質問は、第二次安倍内閣発足以降、民間人を同行させた総理外遊について、その訪問期間、訪問国、会社、団体の数、人数というのを明らかにしていただけますか。

伊藤政府参考人 お答えいたします。

 第二次安倍内閣のもと、平成二十五年四月から本年一月までの間に安倍総理の外国訪問に参加した民間企業等の関係者につきまして、外務省として把握しておりますのは、次のとおりでございます。

 平成二十五年四月二十八日から五月四日、ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦及びトルコ訪問の際、総勢百十八社、三百八十三名に御参加いただいております。

 平成二十五年五月二十四日から二十六日、ミャンマー訪問の際には、総勢四十三社、百十七名に御参加をいただいております。

 平成二十五年八月二十四日から二十九日、バーレーン、クウェート及びカタール訪問の際には、総勢九十二社、二百十名に御参加をいただいております。

 平成二十五年十月二十八日から三十日、トルコ訪問の際には、総勢十社、三十五名の御参加。

 平成二十六年一月十日から一月十四日、コートジボワール、モザンビーク、エチオピア訪問の際、総勢四十七社、百二十一名の御参加。

 平成二十六年一月二十五日から一月二十七日、インド訪問の際、総勢二十八社、七十七名の御参加。

 平成二十六年七月六日から十二日、ニュージーランド、オーストラリア、パプアニューギニア訪問の際は、総勢三十九社、四十三名の御参加。

 平成二十六年七月二十六日から八月四日、メキシコ、トリニダードトバゴ、コロンビア、チリ及びブラジル訪問の際、総勢六十八社、二百五十九名の御参加。

 平成二十六年九月六日から八日、バングラデシュ及びスリランカ訪問の際、総勢三十五社、百五十一名の御参加。

 平成二十七年一月十六日から二十一日、エジプト、ヨルダン、イスラエル及びパレスチナ訪問の際、総勢四十六社、百六十名の御参加。

 以上でございます。

塩川委員 今御紹介いただきましたように、第二次安倍内閣発足以降、経済ミッションを行った外遊だけで十回に及びます。訪問国は延べ二十七カ国、会社数は延べ五百二十六社、延べ参加人数は千五百五十六人にもなります。

 続けてお尋ねしますが、こういった外遊に当たって、政府専用機を活用するわけですけれども、政府専用機に民間人を乗せて同行させたという総理外遊というのは、第二次安倍内閣の以前にはあるんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年四月二十八日から五月四日までの安倍総理のロシア、中東訪問のときに、経済人、同行の方に政府専用機に御同乗いただいておりますけれども、それ以前に政府専用機に民間企業関係者を乗せた総理外遊はございません。

塩川委員 そういう意味では、第二次安倍内閣発足から、安倍総理が政府専用機を使って、政府専用機は二機あるでしょうから、一機は総理が乗って、もう一機にというか、その辺の分担はあるんでしょうけれども、そういうように、いわば安倍総理が前のめりで推進をしているということであります。

 平成二十五年の四月、五月の総理外遊というのは、今答弁ありましたように、初めて政府専用機に経済人を乗せてトップセールスを行ったものであります。ロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコを訪問し、百十八の企業、三百八十三人が参加という大規模な経済ミッションでありました。

 原発の売り込み外交が大きな話題となりました。アラブ首長国連邦、トルコと原子力協定で合意をし、サウジアラビアと交渉に合意をしたと聞いていますが、そういうことでよろしいでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 平成二十五年四月二十八日から五月四日のロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコへの総理の御訪問についてのお尋ねがございました。

 委員からお話がございましたとおり、その訪問に際しましては、民間企業から百十八社、三百八十三名の経済ミッションに御同行をいただいたところでございます。

 特に、民間の経済ミッションが参加をされた行事という観点から申し上げますと、ロシアにおきましては、日ロ首脳の昼食会への御同席やロシア直接投資基金主催の会合に加えて、エネルギー投資環境、医療、極東シベリア開発分野における協力の文書の署名ということにも御関与をいただいたところでございます。

 また、中東におきましては、当時のサルマン皇太子の晩さん会への御出席、あるいはアラブ首長国連邦におきましても、皇太子主催の晩さん会への御出席、日・UAEビジネスフォーラムにも御出席をいただきました。また、トルコにおきましては、日・トルコ合同経済委員会、日・トルコ首脳会談への同席をいただいたところでございます。

 トルコにおきましては、委員から御指摘がございましたように、原子力発電における協力ということも一つのテーマとして総理に御訪問をいただいたところでございます。

塩川委員 原発外交でかかわっているということについて、一部でありますけれどもお答えもありました。

 時間がないのでちょっと進みますけれども、この総理外遊のときには原発メーカーの方も御一緒されたんでしょうか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十五年四月二十八日から五月四日の御訪問についてのお尋ねでございます。

 その外遊に参加をされた企業の中には、原子力発電の事業に関与しておられる企業も含まれております。

塩川委員 今お答えがありましたように、原発メーカーの東芝や日立、三菱重工業がそろって参加をしております。

 私は、今、福島の現状を考えれば、東電福島第一原発事故の収束もしていない、また、多くの被害者、被災者の方がいらっしゃる、その賠償の問題が解決をしない、もとの生活を取り戻すことができない、そういった中で、原発再稼働もとんでもない、原発輸出など国民の理解を得られない。こういうことを推進する今の原発輸出のあり方そのものに対して国民が厳しい批判の声を上げているということを受けとめるべきであります。

 経済ミッションでは、原発輸出だけではなくて、トルコでは、ボスポラス海峡の横断地下鉄ですとか、イズミット湾の横断道路橋の受注なども行っています。

 また、次に大規模な総理外遊というのが、二〇一四年七月から八月の中南米訪問でした。同行した経団連会長が、今回の総理訪問は中南米諸国と我が国との交流拡大に向けて新たな歴史を切り開く画期的なものだった、その歴史的な訪問に我々経済界が同行できたことを大変うれしく思っていると述べておりましたが、そこで行われたことはTPPの推進であります。EPA、TPPにより日本企業の投資環境を整備するよう要請しているものでした。

 いわば、そういった実利につながる大企業の幹部を連れて外遊に行く。安倍内閣の成長戦略にある、企業の稼ぐ力、世界で一番企業が活動しやすい国づくりというのは、まさに大企業の要望に応えるものというのがここの実態にもはっきり見えてくるんじゃないでしょうか。

 こういった経済ミッションに民間人が同行する場合、誰が選考するのか、その選考基準はどういうふうになっているのか、わかりますか。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 総理大臣の外遊時の経済ミッション参加企業の選定についての御質問でございます。

 参加企業をどのような形で選定するのかということについては、総理の御訪問の目的や意義、それぞれの訪問国への日本企業の進出状況、二国間の経済関係、こういったことを踏まえまして関係省庁等から広くお声がけをさせていただいております。これに応じていただいた企業の方々に御参加をいただいている、こういう現状でございます。

塩川委員 こういった総理外遊時の経済ミッションの同行者の選定について、昨年の一月二十九日の日本経済新聞にこういう記事が紹介されていました。「「今度の首相外遊に御社の社長に同行してもらいたい。誰にも相談せずに、返事は私のこの携帯にお願いしたい」。ある商社の渉外担当は、経済産業省幹部からこんな勧誘を受けた。」ということです。以前は経団連がメンバーや段取りを整える窓口だったが、今の安倍政権では首相補佐官の長谷川榮一氏が企業のリストをつくり、経産省が対象者を一本釣りで勧誘するといいます。

 官邸におります長谷川総理大臣補佐官・内閣広報官が、経産省初め関係省庁を通じて企業に幅広く声をかける、そういう段取りをしているということでしょうか。

伊藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 繰り返しになるところもございますけれども、総理の御訪問の目的、意義、訪問国への日本企業の進出状況等を踏まえながら、関係省庁等から広くお声がけをさせていただいております。

 このお声がけは、オール・ジャパンで幅広い分野で当該国との経済関係を強化していく、そこにどう貢献できるか、あるいはトップセールスというその総理の御訪問の趣旨にかなうか、官民連携をどういう形で推進していくのか、こういう幅広い観点から、関係する省庁から企業の方にお声がけをし、これに応じていただいた企業に御参加をいただいているということでございます。

塩川委員 二〇一四年の経団連夏季フォーラムで、安倍総理自身がこの経済ミッションについて、成果を上げていますから、お誘いをしたら、ぜひわかったと言って応じていただきたいと述べているというので、要するに、官邸側からお誘いがあって断らないでねということをわざわざ経団連のフォーラムで発言をしておられるわけですから、人選は総理の意向で官邸サイドが行い、官邸からの呼びかけに企業側が応ずる形になっているというのが実態であります。

 有村大臣には、所感で結構なんですが、一言お聞きしたいんですけれども、こういった今私が紹介しました総理のトップセールスというのは、実態とすれば、今までやったことがない政府専用機に財界人の方に乗ってもらって、各地におけるさまざまな経済ミッションを果たすことになる。そういったときに、やっていることといえば、トルコを初めとした原発事故の教訓をないがしろにするような原発輸出の推進であり、また武器輸出の問題が問われるような事例もありました。

 日本農業や地域経済を破壊するTPPを推進する、こういった総理のトップセールス、それがいわば今の内閣官房、官邸の機能強化の中で行われている。私は、そういった官邸の機能強化というのは、国民生活よりも大企業の利益を優先するものになっているということが明らかだと思うんですが、大臣の率直な御意見をお伺いいたします。

有村国務大臣 突然の御指名でございますけれども、やはり、デフレを脱却する、そして経済を再生させる、それから東日本大震災の復興、また被害ということを最小化させるということを大変重要な安倍内閣の目的にしているわけですから、それに資するもの、また、国富ということで、そのような原資になるための国富を満たすためにも、あらゆる手段を当然ながら合法的に進めていくというのは安倍内閣にとって極めて大事な価値であり、私は、御指摘のようなそごは見当たらないというふうに認識をいたしております。

塩川委員 前のめりになっているのは明らかであるわけで、安倍内閣の経済政策の基本方針や重要、重点政策をつくり上げる過程を見ても、歴代トップの回数になる外遊に大企業や財界人を連れていくトップセールスにしても、安倍内閣の実情というのが、いわば財界の財界による財界のための内閣ということが見えてくる。そういったのが官邸機能の強化の実態じゃないのか、国民生活にそれで目を向けているのかということが厳しく問われるということを申し上げて、質問を終わります。

井上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。階猛君。

階委員 民主党の階猛です。

 きょうは質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。

 私、民主党の中で、内閣府特命担当NC大臣という役職を拝命しておりまして、行政改革を担当しているということで、きのうこの法案についての賛否も一任をいただきました。したがって、きょうの質問の答弁いかんで採決において我が党の対応が決まるということですので、ぜひしっかりとした答弁をお願いしたいと思います。

 早速質問に入りますけれども、まず、野田内閣の一番最後の方、平成二十四年の十一月二日あるいは十二月七日に閣議決定を行いました。お渡ししております資料一という方をごらんになっていただきたいんですが、資料一の左半分が十一月二日の閣議決定、そして右半分は、これは抜粋ですけれども、十二月七日の閣議決定であります。

 こちらを見ていただきながらお尋ねしたいんですが、まず、今回の法案はこの二つの閣議決定も踏まえられてのものだというふうに理解しておりますが、これで間違いないでしょうか、大臣。

有村国務大臣 階委員にお答え申し上げます。

 ただいま御紹介をいただきました、野田前内閣のもとで、平成二十四年十一月また十二月に、会議等の廃止や会議に関する事務の移管などを行われたというふうに承知をしております。

 そして、午前中の審議でも御紹介申し上げましたけれども、そもそも行革という観点に関しての内閣官房及び内閣府のスリム化に関しては、当時の岡田大臣から稲田新大臣に移られたときに、法案化も含めてという事務手続あるいは引き継ぎをさせていただいておりますので、そういう意味では踏襲しているものという認識でございます。

 安倍内閣においても、引き続き、不要に肥大化することがないよう努め続けなければならないというふうに思っております。

階委員 踏襲しているという御答弁でしたので、以下、個別具体的に伺います。

 まず、この資料一の左側の十一月二日の方で、1の1、「所期の目的を達成したもの等については、廃止」とありますが、今の政権、一月二十七日の閣議決定を見ますと、こちらでは、設置期限をもって廃止されたものが列挙されております。他方で、政府の意思で積極的に廃止したものはこの一月二十七日の段階では見当たらないんですが、これ以外に積極的な政府の意思によって廃止したものというのはありますか。事務方でも結構ですよ。

林政府参考人 お答えいたします。

 安倍内閣におきましても、この閣議決定の考え方を踏まえまして廃止したものがございます。例えば、PFI法改正法案等準備室、公文書管理検討室、独占禁止法審査手続検討室などは役割を終えましたので、その組織はその時点で廃止をいたしました。

階委員 次に、同じ閣議決定の1の2ですけれども、「時間が経過するなどし、関係省庁間での調整に委ねられるものは、最も関連の深い省庁等に移管し、政策調整機能を活用して、調整を進める。」、こういう文言がありますけれども、これに基づいて移管そして政策調整機能を活用した例というのはございますか。

山下政府参考人 もともと、省庁改革以来、考え方としまして、関係省庁間での調整に委ねられるものは関係の深い省庁同士で直接やるというのが考え方でございます。

 ただ、明示的に、ここにのっとって、今何か、今回の閣議決定までの間に移管したというものがあるわけではないのでございますが、まさに今回の今お諮りしております法案におきまして、各省に調整事務を移管するということにしておりますのは、その考え方でございます。

階委員 今、最後のところ、私はちょっと疑問に思ったんですけれども、この資料一の閣議決定の「政策調整機能を活用し」というのは、これはもともと国家行政組織法にある機能ですよね。ところが、今回の法案では、それを使うのではなくて、新たに総合調整機能を付与したんじゃないんですか。

 私が聞いているのは、この1の2に基づいて移管し、政策調整機能を活用した例はあるのかと聞いているわけで、それは違う、ありませんという答えになると思いますが、それでいいですね。うなずいていただければ結構です。はい。正確に答えてください。

 それでは、引き続き質問しますけれども、今度は1の3のところですけれども、「内閣官房と内閣府の間の事務分担については、内閣の機能強化を図るため、一体としての機能発揮に十分留意しつつ、2の進捗に合わせて、見直しを進める。」ということです。

 今、参考人の答弁によれば、そもそも2はやっていないということですから、3もやっていないのではないかと思うんですが、いかがですか。どうぞ。

山下政府参考人 御指摘のとおりでございます。

階委員 ここまでのところで大臣に御確認いただきたいんですが、我々の政権のときの閣議決定を踏襲するとなっていますけれども、やや不十分ではないか。1の1、2、3というふうに伺ってきましたけれども、1の1というのは幾つか例はあったようですけれども、2とか3というのが不十分ではないかと思っています。

 それから次に、同じところの2ですけれども、「新たに内閣官房及び内閣府が担う政策やそのために置かれる機関については、内閣官房又は内閣府がその任務に照らして引き続き担うべきものを除き、サンセット化又は一定期間経過後の見直しを基本とする。」ということなんです。一月二十七日の閣議決定にはそれに関するような文言が入っておりますけれども、その一月二十七日より前の段階で、今申し上げたような文言に基づいて、サンセット化または一定期間経過後の見直しというものを定められた例というのはあるんですか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房におきましては、例えば法曹養成制度改革推進室というのがございます。これは、設置をいたしましたときに、サンセットということで、平成二十七年七月十五日を設置期限とするということで、明確に総理決裁に書き込んで決定をしておるところでございます。

階委員 その例は私もいろいろかかわりがあったので承知していますけれども、安倍政権のもとで新たに設置される機関あるいは新たに内閣官房及び内閣府が担う政策というものについて、一般的に、サンセットとか一定期間経過後の見直しといったものは、政府の方針として定めていたのでしょうか。一般的なことをお尋ねしています。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事務の一部におきまして、例えば議員立法ではございますけれども、死因究明の法律が二年の時限立法であったとかいう例はございますけれども、先生御指摘のように、一般的にサンセットが設けられたのかという問いだとすれば、一般的には設けられてございません。

階委員 ここでも大臣に御確認いただきたいんですが、この十一月二日の閣議決定の2で言っていることについても、安倍政権の方では踏襲が十分されていないと思われます。

 今、十一月二日の閣議決定について確認してきました。大臣は踏襲されていると言いましたけれども、私は、今確認したとおり、十分踏襲されていないんではないかと思っていますが、この点について御見解をお願いします。

有村国務大臣 先ほどの答弁でも、また午前中も、前回においても、民主党政権でお考えになられた行革の精神ということは踏襲をしております。

 今お尋ねをいただきました「内閣官房及び内閣府の本来の機能を向上させるための事務分担の見直しの基本方針」という意味では閣議決定がなされていますし、私どもとして、その閣議決定を否定するような閣議決定はその後いたしておりませんので、その基本方針は引き続き踏襲しているという姿勢でございます。

階委員 姿勢は了としますけれども、具体的に書かれてあることがちゃんと実行されないと、我々としてはせっかく引き継いでもらった意味がないと思いますので、この点はぜひ、まだまだ不十分な点があるということを御認識いただいて、さらにきっちりとここに書かれてあるようなことを進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 今頂戴いたしました御指摘も踏まえて、私どもは今回、国家行政組織法の改正ということに臨んでおりますので、御趣旨を体して、当然、民主党政権と自民党政権ということではアプローチが違うかもしれませんけれども、サンセットを設けるとか、あるいは方向性が定まりしときには各省庁にというところで、姿勢の大部分の志は共有しているもの、また、それを踏襲して強化していくべきものというふうに考えております。

階委員 ぜひこれからもしっかりとした取り組みをお願いします。

 そこで、先ほど確認したうちの1の2に関連して伺いますけれども、「関係省庁間での調整に委ねられるものは、最も関連の深い省庁等に移管し、政策調整機能を活用して、調整を進める。」という文言があったんですが、これの具体例はないという話でありました。

 それでは、なぜ移管し、かつ政策調整機能を活用してこなかったのかということについて、参考人で結構ですのでお答えください。

山下政府参考人 御指摘の二十四年の閣議決定にございます政策調整システムといいますのは、省庁再編のときに閣議決定してつくった仕組みでございます。この中では、内閣官房、内閣府が行う総合調整に加えて、各省同士できるだけ相互に調整する、それから、内閣官房、内閣府が調整省というものを指定した場合には、そこに調整を行わせることができる、そういった仕組みを、これは平成十二年でございますけれども、以前に閣議決定したところでございます。これに基づきまして、今、国家行政組織法でも、各省は相互に調整をするということになっておりまして、そのこと自体はかなり進展しているとは思っております。

 ただ、先ほど、それに応じた移管がないということを申し上げました点につきましては、今、内閣官房、内閣府におきましては、政府全体の方針をつくって、それにのっとって総合調整をするということができるわけなんでございますが、各省の場合には、今申しました調整省の指定という形で、調整の部分だけ請け負うという形でありますのが現行の仕組みでございます。

 現行では、各省にはその所掌する分担管理事務しか所掌範囲がございませんので、それを超える部分について企画立案をすることが現行制度ではできないわけでございます。そのために、政府全体の立場的な調整をしようとしたときに、どうしても、内閣官房、内閣府で企画立案をして、その調整だけを各省に委ねることはできるわけでございますけれども、それ以上はできないというところがあるわけでございます。

 つまり、現に今、内閣官房、内閣府でやっております調整といいますのは、政府全体の見地から企画立案して総合調整をしておりますので、それを移管するということがなかなか現実的に難しかったという原因だろうと考えております。

階委員 なかなかわかりづらい説明ではあったんですけれども、政策調整機能というのは国家行政組織法の二条二項に書かれておりますけれども、実際には、閣議決定でどこそこの省が調整を行うということだけではワークしない、そこで、何か今回新たに設ける総合調整機能の条文が必要ということなんだと思うんです。

 そもそも、内閣府が総合調整機能を発揮できた前提には、ほかの府省より一段高い上に位置する、そういう組織的な位置づけというのもあったと思うんですね。今回、各府省は、横並びの関係の中で幾ら総合調整機能を与えたとしても、これまでの政策調整機能が十分果たされなかったというのと同じようなことが起きるのではないかという危惧があるんですけれども、なぜこの総合調整事務を行わせることによってうまくいくのかということを、もう一度ちゃんと御説明いただけますか。

山下政府参考人 先生御指摘の内閣府が一段高いというところにつきましては、現在の制度では、内閣官房及び内閣府が内閣や総理を助けて、企画立案、総合調整をするという任務が与えられております。そういうところが一段高いと言われるゆえんだと考えております。

 今回の法案では、内閣官房、内閣府に加えまして、各省も必要に応じて、その任務に関連する特定の内閣の重要政策について総合調整を担うことができる、内閣や総理を助けて、総合調整を行うことができるということで、条文上、内閣府と同様に内閣との関係を位置づけてございます。

 また、内閣府におきましては、内閣府特命担当大臣がございまして、この特命担当大臣には、各省大臣等に対する勧告や総理に対する意見具申などの法律上の権限が与えられているわけでございますが、今回の法案に基づいて各省が総合調整を行う際には、各省大臣にもこれと同じ権限を与えることにしてございまして、現在の内閣府と同じ権限を各省大臣に与えるよう法案上手当てをしてございます。

階委員 閣議決定で定める方針に基づき総合調整を行うということも定めていますよね。そこで、私は、閣議決定で定める方針というのが具体的にどうなるかというのが大事だと思っています。

 前に事務方にヒアリングしたところ、既に例はあるんだということで、ことしの三月二十四日の閣議決定、遺棄化学兵器問題に関する基本方針というのを見せていただきました。このケースでは、内閣官房から内閣府に事務を移管するケースでございまして、その基本方針は三つの項目から成っております。一つ目は基本的な方針ということで、どういう業務を行うのかということが概括的に書かれております。その次が大事だと思っていまして、二点目として、一に基づき行う事務の内容と関係省庁ということで、総合調整を行う、遺棄化学兵器の場合だと内閣府、それと関連する外務省とか、あとは内閣府以外の連絡調整会議を構成する関係省庁はということで、関係する各役所の役割分担が書かれています。

 私は、これを見る限り、極めてシンプルといいますか、最小限のことしか書いてなくて、これで果たして、一段高い内閣府ならまだしも、同列にある府省から総合調整をするときにちゃんと機能するんでしょうかと思ったんですけれども、このような基本方針の書き方は、今の例は内閣官房から内閣府の例でした。同じような書き方で内閣府から各府省に移すときもやられるんですか。

山下政府参考人 各省に総合調整をやらせる場合の閣議決定については、まだ作成しておりませんので、今段階ではっきりしたものがあるわけではございませんが、先生御指摘のように、実際にこの閣議決定に基づきまして各省で総合調整をやるときには、それがちゃんと内閣の方針にのっとってなされる、また、関係各省との調整、協力がきちんとなされるということが重要でございますので、その取り組み方針ですとか他の省との協力関係等、可能な限り具体的に定めるという予定にしてございます。

 それにのっとって、担当省もそれに沿って調整をするということでございまして、案件とか状況によって、物によって異なるところはあるとは思いますけれども、具体的に定められるものはもうできるだけ具体的に定めるという予定でございます。

階委員 そこで大臣に確認したいんですけれども、今申し上げたように、内閣官房から内閣府に移管する場合は、もともと総合調整機能を持つ内閣府ですから、ある程度概括的な閣議決定の方針でいいのかもしれませんが、今後は、内閣府ではなくて、各府省において総合調整機能を発揮しなくてはいけないという、新しい閣議決定のあり方が求められると思うんですよ。

 これまでのようなシンプルな関係府省の役割分担ではなくて、より総合調整機能が横並びでも発揮しやすいような、しっかりとした、踏み込んだ閣議決定、基本方針の決定をするべきではないかと思っています。この点について大臣の所見を伺います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 極めて本質的な御指摘をいただいているというふうに思います。まさに、今後定めることになる基本的な方針ということをどれだけ精緻に書けるかということが、そして、その閣議決定ということをもっておもしや実効力を高めていくかということに成否がかかっていると私も認識をしています。

 先ほど政府参考人から御答弁させていただきましたけれども、閣議決定が将来的になされる基本的な方針の中では、可能な限り具体的に各省との協力関係や取り組み方針、関連の法案がどこだということを明確に書き込むことが求められます。

 そして、あってはいけないことですが、総合調整を行う省が万々が一その省の利益を優先するということは、基本的には想定されません。あくまで、内閣の意思に従って、政府全体の見地によって調整を期待するものです。

 しかし、万が一各省が総合調整を行った結果が政府全体の意思あるいは見地から適切でないと考えられる場合には、内閣法の第六条に基づき、内閣を代表する総理大臣が必要な指揮監督を行うことになってございます。

 この発動がなされる前に、総合調整の実効性と信頼性を保っていきたいと考えております。

階委員 今大臣が言われたように、一つには、総合調整を担う役所が、それを役得のようにして自己の省益を図るといったようなことがあってはならない。他方で、関係する各省は、縦割り行政の弊害に陥って総合調整が機能しなくなる、行政の効率性、実効性が落ちてしまうということも避けなくてはいけないということで、ここの基本方針、閣議決定のあり方は大変重要だと思いますので、今の御答弁のとおり、しっかりやられるようにお願いします。

 そこで、次の質問に移りますが、一月二十七日の閣議決定におきまして、一番最後のところに「その他」とありまして、「内閣官房及び内閣府の業務は経済社会情勢の変化に応じ随時点検すべきものであり、三年後を目途として、次回の全面的な見直しを行うこととする。」ということがあります。

 しかしながら、今回の法案には、三年後の見直しということはどこにも法文上出てきておりません。この理由を教えていただけますか。事務方でも結構です。

山下政府参考人 今回、法案にその見直しを盛り込んでおりませんのは、通例ということではございますけれども、法律に見直し規定を設けるということは、一定期間経過後にその法律で講じた措置について見直すという場合が多いと認識しております。

 本年一月の閣議決定に「見直し」と書いておりますのは、本法案で措置を講じたものということではなくて、全般的に、現在また三年後の時点で、内閣官房や内閣府が担っている事務について、いわば第二弾として見直すというものであることから法案には盛り込んでいない、政府として閣議決定で決めているということでございます。

階委員 法文に盛り込まれていないと不安に思うわけですね。

 そこで、大臣に、この三年後の見直しについてはちゃんとやるんだということをどのように政府において徹底していくのかということについてお尋ねします。

有村国務大臣 まずは、閣議決定をしているという事実を鑑みても、この方針ということは明確になってございますし、それを遵守していきたいというふうに思っております。

 また、では、三年後しかしないのかというお問い合わせがあるかもしれません。やはり、その間に国家国民にとって性急な課題が内閣官房、内閣府に集中するような事態があったら、三年ということを待たずにまたその見直しをするという態度は留保させていただきたいというふうに思っております。

階委員 ここにも「随時点検」とありますから、三年を待たずにやることもあるということを今おっしゃったわけですね。それとともに、三年後の見直しも全面的にやるというお話ですから、これもきっちりやっていただきたいと思います。

 私は、次回の全面的な見直しという場合に、これから内閣府とか、あるいは内閣官房とか、人員をどうしていくのかということもあわせ考えていくべきだと思うんですね。今回、定員とかその面については余り踏み込んだ検討がされていなかったような気もするんですが、定員については、この一月二十七日の閣議決定では、「内閣官房及び内閣府の移管業務に係る機構・定員、併任者等の人員は、業務移管先の府省庁に移すこととする。」、こういう一文があるだけです。

 この表現は、結局のところ、人員は移管前と移管後でふえも減りもしないという理解でよろしいんですか。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の機構・定員、人員等につきましては、今後の検討ということになるわけでございますけれども、今回、政府全体としてのスリム化を目指しているわけではなく、内閣官房、内閣府の業務のうち、一部をその関係の深い省庁へ移していくということでございますので、基本的には政府全体でスリム化をするということではございません。(階委員「質問の答えとしては、ふえるのか減るのか」と呼ぶ)

 そこは、細かに見ていきますと、ふえる部分、減る部分があるかもしれませんけれども、基本的には、今ある人員、機構・定員、併任を業務に支障がないように移管先の省庁へ移すわけでございますので、そういう、基本的な考え方としては、ふやしたり減らしたりするというものではないということでございます。

階委員 ふやしたり減らしたりするものではないということですけれども、まず、今回なぜ内閣官房と内閣府をスリム化するかといえば、大臣の御答弁でもキャパシティーを確保するという表現があったと思うんですね。要は、パソコンで言うと、たくさんソフトが入り過ぎて、動きが悪くなっているので、少しソフトを外して、それでパソコンが動きやすいようにしようということだと思うんですよ。

 キャパシティーがふえるためには、その外出しした仕事は内閣府あるいは内閣官房にいた人は今後は担当しない、そうしないと、個々の人員で見た場合にはキャパシティーはふえてこないわけですね。ところが、話を聞いておりますと、移管した業務と内閣府に残される業務とをこれまで兼任していたケースは、移管後も実は兼任することも、これはどっちかはっきりしないんですけれども、あり得るようなことを聞きました。

 これは、もし移管後も兼任してしまえば、その人について見ると、移管前と移管後で仕事の負担は変わらないわけで、何らキャパシティーはふえないのではないかと思うんですけれども、この点については、本当のところ、どうなんですか。

幸田政府参考人 移管に当たりましては、個別の事務ごとに今の体制を検討していく必要があると考えてございます。

 例を挙げて申し上げますと、例えば犯罪被害者に関する施策に関しましては、今、参事官以下の体制が専任の体制でございますので、考え方としては、それほど難しくなく移管していくことができるのかなと考えております。

 一方、例えば自殺の対策の担当を考えてみますと、補佐以下の五人の体制は専任でございますけれども、参事官について申し上げますと、子ども・子育て本部の参事官を兼務しております。そういう意味において、そういう兼任をしている人員というものをどのように処理していくのかというのは、今後、移管先である厚生労働省と調整をしていく必要があると思います。

 先ほど、個別に見たときに、例えば、新たな増員が必要になってくるような場面もあるかもしれませんし、場合によっては減る部分もあるかもしれないと申し上げましたのは、そういう個別の調整を、特に内閣府の中で兼任の人間が担当している場合にどのように移管していくのかというのは今後の検討という意味で、先ほどそう申し上げたということでございます。一概にはなかなかお答えしづらいということでございます。

階委員 例外はあるにせよ、今回の法案の趣旨、すなわち内閣府のキャパシティーをふやすという意味からすると、移管した後は、内閣府にいる人間はその移管されたものについては携わらないというのが原則であるべきだと思うんですけれども、そうじゃないんですか。

幸田政府参考人 先生の御指摘は全くそのとおりでございます。組織としてのキャパシティー、例えば大臣から見たときのキャパシティーとかそういう意味においては、余力ができる部分があると思います。

 ただ、個別に担当している職員のレベルで見ましたときに、そこをどう処理していくのかという問題があるということを先ほど申し上げた次第でございます。

階委員 大臣にも確認したいんですが、キャパシティーを広げるという意味では、単に仕事を移す、しかし仕事のやり方は従来どおりだと意味がないわけでして、内閣府にいる人間は移した仕事についてはもうかかわらずに済む、そして内閣府の仕事に専念できるということによって個別の人員のキャパシティーというのは生まれてくると思うんです。

 この点について、大臣もそうだねと言っていただくと私としては我が意を得たりと思うんですが、いかがでしょうか。

有村国務大臣 個別に移管した先の定員なり、あるいはどのような任務を何人くらいでされるのかというのは、今までの趣旨が落ちないようにということと内閣府の機能を低下させないということは極めて大事な価値でございます。

 同時に、定員や機構というのは、これは野党からも大変に強い関心のあるところで、かなり厳格に運用しているものですから、将来のことは定まった言い方ができないというのも御理解いただければありがたいと思います。

 基本的には、階先生が御指摘のとおり、キャパシティーという意味では、兼務、併任ということでございますが、基本的に、各省庁に移管したものは、今までやっていた人間がそこの省庁に行くというのが前提。行かない兼務であれば、やはり、何と何を兼務するのかですけれども、そこに仕事が残っているということのないようにしていくというのが大原則であり、その原則の実効性を高めていくということでなければ、本論の趣旨はかなえられないというふうに思っております。

階委員 ありがとうございます。

 そこで、その原則を確認した上でなんですけれども、その原則を貫くとすれば、今度は、業務を移管しますと、移管された業務について、今まで携わっていた内閣府の人員が携われなくなるということで、移管を受けた役所の方で人員が足りなくなる可能性が出てくるわけですね。

 ここで人をふやしたいというのが切なる願いなのかもしれません、受け入れた役所の側では。でも、そこで人をふやしてしまうと、結局は役所が肥大化してしまう。スリム化といいつつ、実は定員は肥大化したというのは笑えない話でございまして、移管された後も、移管された業務について安易に定員をふやさないということも確認したいと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。

有村国務大臣 この法案を出させていただいている準備もしているのが行革でございますが、私も行革担当大臣として定員・機構の厳格な運用ということに職責を得ております。そういう意味では、焼け太りということのないようにしていくというのは当然のことだと思っております。

階委員 それと、今職員の定員の話をしていましたけれども、あえて内閣府特命担当大臣の数についても質問をさせていただきたいと思います。

 調べますと、内閣府特命担当大臣と名のつく大臣というのは現状八人いるということです。その中でも、例えば財務省や経済産業省とか、そういった内閣府以外の省庁の大臣、国家公安委員長はこの際除きますけれども、そういうものを兼ねている人が三人だ、残りの五名が純粋な内閣府特命担当大臣ということで、有村大臣もそれに入るわけですね。

 この委員会でも議論になっていたと思うんですが、いわゆる逆ピラミッドで、内閣府の仕事をしている副大臣、政務官というのは三名ずつとなっています。そもそも、大臣は、副大臣、政務官との整合性を考えれば三名でいいような気もするんですが、五名にして逆ピラミッドにしているのはなぜなんでしょうかということをお尋ねします。大臣でも事務方でもいいです。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣の数につきましては、内閣法によって定めがございます。その中で、各省大臣以外の大臣ということで、これは任命権者は総理でございますので、総理の御判断によって内閣府を本府とする特命担当大臣の数が五名というふうになっておるわけでございますけれども、その一方で、やはり副大臣、政務官の数、これも内閣府設置法によりまして、副大臣三名、政務官三名というのが省庁再編の当初からそのような形で定まっておるわけでございます。さまざまな御議論があってそのようになったというふうに聞いてございます。副大臣三名、政務官三名という数も、各省と比べれば内閣府が一番多いという状況であるというふうには認識をしております。

階委員 要は、内閣法で五人任命しても定員はオーバーしませんよということでこうなっているんだという説明だと思うんですが、そもそも、内閣法の二条二項を見ると、「国務大臣の数は、十四人以内とする。ただし、特別に必要がある場合においては、三人を限度にその数を増加し、十七人以内とすることができる。」ということであります。

 今、オリ・パラとか復興とか期限つきの大臣を除いても十七人、つまりこの内閣法二条二項のぎりぎりいっぱいの枠を使っているわけですね。ということは、特別に必要がある場合だということで三人を増加させているという理解なわけですよ。

 この規定、あるいは運用からすると、仮に現在は五名が妥当だとしても、それは特別に必要があるからであって、今後、内閣府の業務を見直して内閣府をスリム化していくのであれば、当然特別な必要性というのが低下してきて、大臣の数は原則である十四人に向けて減らしていくのが筋だと思うんですが、この点について、大臣、いかがでしょうか。

有村国務大臣 いま一度のお答えになりますけれども、やはり、内閣の構成については総理がお決めになられることというのりはわきまえなければならないと思います。

 今回の改正をもし通していただけるようであれば、閣議事項を含め十の事務が他省庁に移管されることになりますが、特命担当大臣、副大臣等の事務負担は軽減されます。

 同時に、内閣官房とともに内閣が取り組もうとする政策課題により機動的に、また、内外の時々刻々と変化する時勢に対して司令塔機能などの本来の役割を発揮するという本来の目的を具現化しようとすれば、今回の見直しをもって直ちにおっしゃるような特命担当大臣の削減につながるものではないというふうに考えております。

階委員 今、総理大臣の権限とかそういうことではなくて、法律の解釈ということで行革担当大臣にお聞きしているわけです。

 原則は十四人です、ただし、特別な必要がある場合は三人までふやすことができるということで、このただし書きの、特別に必要があると言えるかどうかというところで、今、もし、五人というのが特別な必要があって五人にしているのであれば、これから業務を減らしていくんだったら、それは、特別な必要性というのが低下していって、特命担当大臣の数も減らしていいのではないか、そういうふうに法律上は読めると思うんですが、いかがですか。

有村国務大臣 お答えいたします。

 特別な必要があると総理がお考えになって、現在の布陣になっているものだというふうに思っております。

 そして、今回、通称スリム化法案というふうに言われますけれども、減る一方なら原則論は当然当てはまるわけですが、今後、これから、国家国民の要請に応えるということで、減る一方というふうな認識はしがたいという意味では、本来のキャパシティーを持っておくということが目的でございますので、直ちに特命担当大臣の削減につながるというふうには必ずしも認識をしていないということを率直に申し上げた次第でございます。

階委員 隗より始めよという言葉がありまして、有村大臣もまさに内閣府特命担当大臣です。内閣府、内閣官房をスリム化していく、業務をスリム化していくとともに、究極的には大臣もスリム化して数を減らしていくということも目標に置くことによって、なお一層求心力が生まれ、この改革も進むのではないかと思うんですけれども、これは大臣としてのお考えを聞かせていただければと思います。

有村国務大臣 貴重な御意見の一つとしては傾聴に値するというふうに思いますが、先ほどの委員のお言葉をかりれば、純粋な内閣府特命ということでございますが、私自身の所掌を見ましても、大変広くわたっていて、将来的には内閣府特命担当大臣が少なくなっていくだろう、少なくすべしという原則論には耳を傾けますが、そうなる事情が将来あるかどうかということまでは予見ができないというのが率直な偽らざる所感かと思います。

階委員 そつのない答弁でしたけれども、私は、もし行革担当だったとしたら、そこを目標にしているんだというふうに言ったら、やはり大臣の覚悟というものが示されて、行革というものがもっと進むのではないかなと思ったので、あえてお尋ねしました。

 それでは、論点を移しますけれども、内閣官房と内閣府というのは、多分、一般の人からすれば違いがよくわからない。検察と警察も違いがわからないとよく言われるんですが、内閣官房と内閣府の違いもなかなか一般の人にはわかりづらいと思うんですね。

 大臣、一言で言って、この違いというのは何でしょう。

有村国務大臣 一言でお答えできるかどうかはなかなか難しゅうございますが、そもそもは省庁再編のときから来ています。その区割りという意味では、総合性、戦略性の確保ということでの官邸、内閣機能の思い切った強化を図るということを目的として内閣官房の充実、そして、一定の方向性が定まったものを専門的、恒常的にやるということで内閣府の新設、その整理がなされた、それを踏襲しているというふうに考えております。

階委員 多分、インターネットでこの答弁を聞いた人は全くわからないんじゃないかと思うんですが、この件について私が役所の人に聞いたところ、内閣官房というのは会社でいうと社長室だ、内閣府というのは総合企画部だというふうに言った方がいました。私も会社にいたことがあるので、そう言われた方がまだぴんとくるところはありますけれども、ただ、よくよく考えてみると、大臣も御答弁されたように、内閣官房に二千九百人もいます。どこの会社の社長室に二千九百人もいるんだという気もしますし、内閣府も三千百人ということですから、非常に大きな社長室と総合企画部を我が政府は抱えているということなんですね。

 スリム化というときに、内閣官房の仕事を内閣府に移すということもやられていたりしますけれども、そもそもこの違いがはっきりしない中で、これを別組織にしておく意味が本当にあるのかどうか。例えば、ヨーロッパ大陸の方では、首相府ということで両者が一体となった組織があったり、あるいはイギリスでは、内閣府という組織に内閣官房の機能と内閣府の機能を一元化したりしております。将来的には日本もそういう方向を目指した方が、私は、より効率的、機能的な業務運営ができるように思うんですが、この点について大臣の御見解を伺います。

有村国務大臣 洋の東西を問わず、為政者であれば、リーダーとしてみずから考えることをどのように具現化していくか、そのためにどのような行政組織の布陣が的確かということは考え続けるものだと思います。

 行政組織のあり方については、唯一の絶対的な正解はないというふうに思っておりますが、省庁再編時には、今委員が御指摘のとおり、総理府なりということで、内閣官房と内閣府を一緒にした強大なものという議論がなされたものというふうに理解をしております。

 しかし、実際に、内閣官房と内閣府を分けたという省庁再編時の意思決定ということを踏襲しましても膨大に膨れ上がっていくわけですから、そういう意味では、総理に近いところをできるだけスリム化して機動力を確保していくという意味では、現在の布陣で的確であるのではないかという思いで今回の法案改正に臨ませていただいております。

階委員 この点については大変大きな話でもあるので、また私の方でもちょっと研究して、大臣と御議論させていただければと思います。

 そして、個別の移管される事務について少しお尋ねしていきたいんですが、内閣府から各省に移転されるものの中で、総務省に移転される情報公開・個人情報保護審査会というのがございます。

 これについては、そもそも、その前身である情報公開審査会ができるときに、迅速性を確保しつつ統一性のとれた運用を確保するためには、全国に一つ置かれる権威の高い機関とする必要があるという理由で内閣府にこれまで置かれてきたという経緯があるわけです。

 また、先般、行政不服審査法という法律が改正されましたけれども、これも、当初の政府案は平成二十年のときに出されておりますけれども、その段階では、情報公開・個人情報保護審査会を総務省に新設する行政不服審査会の方に吸収しようという案があったわけです。ところが、これも紆余曲折を経て、最終的な改正案では、行政不服審査会だけを総務省に設置して、情報公開・個人情報保護審査会は従来どおり内閣府に置いているという経緯がありました。

 こうした経緯を鑑みると、情報公開・個人情報保護審査会をなぜ総務省に移管するのだろうかという疑問があるんですけれども、この点について説得的な理由を説明してください。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 情報公開法あるいは個人情報保護法でございますけれども、これらの法律につきましては、もう先生よく御存じのとおり、総務省が所管している法律、制度でございます。その制度に関する審議会は、原則としては制度所管省庁に置くのが原則だろうというふうに考えておりますことに加えまして、やはり総務省に置くことによりまして、制度官庁と審査会との連携、あるいは審査会の審議結果を法律の運用に機動的に活用していくというようなことも可能になるのではないかというような観点から、今回、制度所管官庁である総務省へ移管することとしたものでございます。

 ただ、移管に当たりましては、極めて強い権限を持っておりますこの審査会の調査審議権限等々についてはそのままの形で、あるいはその委員につきましても、引き続き全政府的な見地から、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命するという枠組みは変えずに移管をするというふうにしたものでございます。

階委員 先ほど、情報公開審査会ができるとき、権威の高い機関ということを言われていたと指摘しました。これを総務省、横並びの省庁の一つに移されることによって、権威性という意味では低下するのではないかと思われますが、今の御答弁を聞いていてもその点に配慮した検討はされていないように思ったんですが、この権威性ということについてはいかがお考えですか。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 権威性という意味が非常になかなか難しいわけでございますけれども、その意味におきましては、国会同意人事あるいは総理任命であるという権威性は保ちながら、なおかつ、もとからこの審議会が持っております強い法的権限はそのままの形で移管をしておりますので、御指摘のような懸念はないのではないかというふうに考えてございます。

階委員 では、総務省にも来ていただいているので、受け入れ側についてもお尋ねします。

 行政不服審査法が改正されて、行政不服審査会というのが総務省にできる。できるときに、先ほど言いましたように、平成二十年段階では、行政不服審査会を新たに設けて、そこに情報公開・個人情報保護審査会を吸収しようという案があったと思います。今回、図らずも情報公開・個人情報保護審査会が総務省に移った場合、新設される行政不服審査会とこれを合体させようという考えはないということでよろしいですか。別個独立だということでよろしいですか。

高野政府参考人 お答えを申し上げます。

 行政不服審査法の改正案、それがもう成立をいたしておりますので、それに従いまして、不服審査会が設けられる。一方、それとは別個に、内閣府の見直しの関連の中で、情報公開・個人情報保護審査会を内閣府から総務省の方に、関連が深いということで移管をする法案の審議をお願いしているところでございます。

 したがいまして、総務省といたしまして、現時点におきまして二つの審査会を、仮にこちらで移行がなされた後のときに、現時点におきまして、統合を検討するという立場はとってございません。

階委員 現時点におきましてということは、この先どうなるかわからないというふうにも聞こえますけれども。

 これは、江戸のかたきを長崎で討つじゃないですが、平成二十年の案というのは、野党が一緒になって、まず情報公開・個人情報保護審査会というものの独立性とか権威というものにも影響があるだけではなくて、一緒にすることによって何か新たなポストをふやして、これは定員をふやしたりポストをふやすという材料に使われるのではないかということで、反対した経緯があるんですね。

 こういうことを考えると、現時点ではじゃなくて、ちゃんと今後もこの二つの組織というのは切り離して運営していくんだということを明言してもらわないと納得できないんですけれども、もう一度答弁を求めます。

高野政府参考人 お答えを申し上げます。

 それぞれの前提としている法律がございますので、その法律の規定をきちんと執行できるように、きちんとした体制をつくっていくことが必要だと考えてございます。

 したがいまして、二つの審査会を統合するということを検討しておりません。

階委員 一方で、こちらは過去の経緯を重んじてということだと思うんですが、消費者委員会についてはいろいろ検討した結果内閣府に残したということで、これはこれでいいと思うんですけれども、内閣府に消費者委員会を残すということであれば、私は、情報公開・個人情報保護審査会も内閣府に残してよかったのではないかと思ったんですが、あえてこちらの消費者委員会は内閣府に残し、情報公開・個人情報保護審査会は総務省に移した。これは何か取り扱いをわざわざ分ける理由があるのかなという気がしたんですけれども、この点についてはいかがですか。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会を内閣府に残した理由でございますけれども、先般、高木委員からの質問の中にもございましたように、昨年十一月の時点の自民党の提言におきましては、消費者問題全般、消費者委員会も含めまして消費者庁へ移管するとの提言をいただいたところでございます。その後、与党内で御議論が行われ、本年一月の自民党、公明党の与党提言におきましては、消費者委員会につきましては現状維持とされたものと承知をしております。

 この提言を踏まえまして、政府においても慎重に検討いたしました結果、消費者委員会につきましては引き続き内閣府に存置するというふうにしたものでございます。

階委員 だから、なぜそのように、消費者委員会については内閣府に残せたのであれば、同じく、権威性とか独立性が要求されるという意味で、情報公開・個人情報保護審査会も内閣府に残さなかったのでしょうか、なぜ取り扱いを分けたのでしょうかという趣旨の質問です。

幸田政府参考人 お答え申し上げます。

 与党内でもさまざまな御議論がありましたので、その全てを私どもから答えるのは必ずしも適切ではないと存じますけれども、消費者委員会につきましては、消費者庁、消費者委員会が発足してからまだ五年であるというような経緯も含めて、それから、当初、消費者委員会の設置につきまして、消費者庁に置くという政府提案を国会におきまして議員修正が行われたというような経緯も踏まえて、さまざまな御議論がされたというふうに承知をしております。そういった経過、経緯も踏まえて、消費者委員会については内閣府に存置するということにしたものでございます。

 ただ、内閣官房、内閣府の事務全般につきましては、随時点検をしていくものでございますので、今後、再度の検討の対象になるというふうな理解をしてございます。

階委員 それでは、最後、やや法案を離れますけれども、小泉政務官にお尋ねします。

 予算委員会で我が党の渡辺周議員が、中央省庁の地方移転の問題を取り上げました。今、地方創生の中で、中央省庁の中で移せるものは地方に移していこうということだったんですが、候補先のリストに、そもそも地方、しかも種子島の宇宙センターとかそんなものまで入っていたということで、全く意味がないではないかという指摘があって、これを見直すということで、恐らくもう検討は進められていると思うんですが、この中央省庁の地方移転の進捗状況についてまずお伺いします。

小泉大臣政務官 広島県東広島市の酒類総合研究所、これは東京の方には今、東京事務所があるんですが、こちらの方を東広島市の方に持っていきたい、そういった提案が具体的にありまして、関係者、皆合意のもとに移そうということになりまして、八月いっぱいまで政府の機関を移転する提案の募集を受け付けておりますけれども、前倒しでできるものはやろう、そういうことで、提案期間ではありますが、早速これを実行に移すということで、きのう発表させていただいた次第です。

階委員 ただ、それ以外の例は寡聞にして聞いておりません。

 それで、そもそもリストを見てもなかなか地方にはイメージが湧きにくくて、説明会もやっているようですけれども、さらに手を挙げやすくするためには、中央省庁の本体も分けられるものは分ける。今回、業務移管というのが法律で決められましたけれども、業務を移管する際に、これを果たして東京に置く必要があるのかどうかというところも検討していただいて、地方への移管対象リストに載せていくべきではないかと思うんです。そういった観点から業務の見直しを進めていくというのも大事なことではないかと思うんですが、小泉政務官と大臣からお答えをお願いします。

小泉大臣政務官 私も、階委員と同じように、やはり共感する部分はあります。こういった政府機関の移転等の話になれば、行政的な、官僚的な手続で進むというのは限界が見えているというのは、やはり多くの方の共通認識じゃないでしょうか。

 そういった中で、今回、まず、地方の皆さんから自主的に、創意工夫を生かして、自分たちの地域に仮に国の機関が移転してくるとしたら、地元の資源、そして地域の特性を生かした場合、どの機関が一番地域の活力につながっていくのか、まずこれをしっかり考えていただきたい、そういった上で、提案が上がってきた場合、それに関する情報提供等、全力で支援をして、その実現に向けて汗をかいていきたいというのが今回の八月いっぱいまでの提案の募集の趣旨だと思います。

 その上で、きのうの酒類総合研究所の東京事務所の東広島への移転を初め、これにとどまらずにどこまで実現に、件数をふやしていけるのか、そして、それが中身を伴って、ただでさえそういったものというのはさまざまな抵抗がありますから、それを政治的な力も発揮しながら形にしていけるのか、まさに地方創生に対する政府の覚悟というのが問われていると思いますので、そこはしっかりと認識をしながら進めていきたいと考えております。

有村国務大臣 御党の午前中の泉委員からも同様の御指摘をいただいたかというふうに思います。

 まずは、地方創生の方で八月末まで募集していらっしゃいますので、その経緯を見たいと思いますけれども、今、小泉政務官がおっしゃったように、どの省庁のどういう機能が我が町、我が地域に親和性が高いのかということを冷静に考えていただいて、その地域の強みあるいは文化的ストックということをいま一度考えていただいて、売りにしていただく契機になればありがたいというふうに思います。

階委員 終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井崇志でございます。

 質問の本題に入ります前に、私は、午前中の古本委員の質問、御提案に大変賛同をいたします。

 きょうも、今、政府参考人の方が何と十四名も来られておりまして、私もちょっとびっくりしたんですが。そんなに質問した覚えもないというか、大変びっくりしております。

 それは、先ほど、午前中、古本委員もおっしゃっていましたけれども、やはり水も漏らさぬ答弁をしなきゃいけないということで、官僚の皆さん、幹部からは、質問取りの方々に、とにかくもう絶対漏らしてくるなというようなことで来られる。ですから、私のきのうの質問取りも多分四十人ぐらいの方が、部屋に入り切らないので二十人ずつ二部に分かれてやったりしたんですけれども、やはりこれは、委員長にも先ほど御提案がありましたとおり、もちろん国会の側も、全て水も漏らさぬ答弁をしてもらわなきゃいけないんだという姿勢でもいけないと思いますし、また、幹部の皆さんも、質問通告がないものについては答えられないということでいいと思うんですよね。

 ですけれども、政府参考人が答えることでは答え切れない一歩踏み込んだことも、政治家、幹部の皆さんは答えられるわけでありますから、ぜひ、私もちょっと人がいいものですから、政府参考人でいいですよと言ってしまったんですけれども、反省をして、次からやはり政治家の皆さん、幹部の皆さんにしっかり答弁をしていただきたい、そう思っております。

 その上で質問に入りたいと思いますが、私は、この間、今回がもう四回、五回目ですかね、日本年金機構の年金情報流出問題について、しかし、これは、厚生労働省とか年金機構の問題を取り上げるというよりは、内閣委員会ですから、政府全体のサイバーセキュリティーをやはりもっとしっかりしなきゃいけないんじゃないかという観点から質問を繰り返しました。

 非常に喜ばしいことに、今回の日本再興戦略の中で、私が提案申し上げたことをかなり取り入れていただいていて、私は非常に評価をしております。

 ただ、幾つかちょっと疑問点があるので御質問いたします。

 まず、これまで私が問題にしてきたのは、NISC、内閣サイバーセキュリティセンターが中央省庁と独立行政法人くらいまでしかその監査とか監視の権限が及んでいないというところに、今回、特殊法人である日本年金機構が漏れているし、それからもっと大事なのは、マイナンバーがスタートしたら地方自治体、ここを一体どうするんだ、その体制が不十分じゃないかということを申し上げて、そのためにはサイバーセキュリティ法の改正が必要じゃないかということを前回御質問し、平副大臣から前向きに検討したいという御答弁をいただきました。

 今回の日本再興戦略では、私が指摘した、中央省庁や独立行政法人に加えて特殊法人も監査の対象に、あるいは監視の対象になっていたり、あるいは、地方自治体が整備する総合行政ネットワーク、LGWANも監視の対象になるというような記述があるんですが、これは法改正なくできることなんでしょうか。

松本大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 本年一月に全面施行させていただいたサイバーセキュリティ基本法におきまして、内閣においては、サイバーセキュリティ戦略本部及びその事務局であるNISCを置きまして政府全体の司令塔機能を果たすことなど、サイバー攻撃への対処体制の強化を図ってきたところであります。

 しかしながら、サイバー攻撃の脅威が巧妙化、深刻化しておりまして、さらに、今回の日本年金機構の事案などを踏まえまして、改めて政府におけるサイバーセキュリティー対策を抜本的に強化をする必要があるという認識は、委員御指摘のとおりであります。

 新たに法制化する必要があるのかないのかということでありますけれども、先日、委員が御質問をされた際に平副大臣からもお答えをさせていただきましたけれども、例えば、日本年金機構は厚生労働省と一体的に運用しているので、今の法律でも読み方によってはNISCが関与できるというふうに考えておりますという答弁をさせていただいたと思うんですけれども、そうした考えに基づきまして、現在、厚生労働省の検証委員会のほか、NISCの原因究明調査チームが、専門的、第三者的立場から調査を行わせていただいているところであります。

 しかしながら、委員からの御指摘も踏まえまして、これらの結果等も踏まえながら、サイバーセキュリティ基本法のあり方も含めまして、さらなる機能強化に向けた検討というものを加速させていただきたいと考えております。

高井委員 私も、やはり、運用の中でぎりぎりできる範囲を日本再興戦略で書いたのかなと思いますけれども、もう少し抜本的な対策となると法改正が必要だと思いますので、我が党でも提案を今準備しておりますし、政府におかれてもぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 それでは次に、日本再興戦略の中で、私も指摘させていただいて、入れていただいてよかったなと思うところに、マイナンバーの関係で、こういう記述があります。「地方自治体のマイナンバーのセキュリティ監視・監督機能を十分に発揮させる観点から、特定個人情報保護委員会が、関係機関と連携し、専門的・技術的知見を有する体制を立ち上げるとともに、監視・監督方針を速やかに策定する」と。

 このマイナンバーについては、NISCではなくて、特定個人情報保護委員会がという記述なのでありますが、これは法律上そうなっているということは承知しているのでありますけれども、まず、それでは、この特定個人情報保護委員会が整備する監視、監督体制というのは、どのような体制、どのような規模になるんでしょうか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、昨日閣議決定されました「日本再興戦略」改訂二〇一五において、特定個人情報保護委員会が関係機関と連携し、本年度中を目途に監視、監督体制を整備するとされております。

 特定個人情報保護委員会は、マイナンバー法によりまして、地方公共団体を含めマイナンバーを取り扱う全ての者に対して、必要な指導、助言、立入検査等の監督権限がございまして、再興戦略の記載にありますとおり、マイナンバーのセキュリティー確保に必要な体制として、今年度中を目途に専門的、技術的知見を有する体制を立ち上げたいと思っております。

 特に、全国約千八百の地方公共団体が個人番号利用事務を行うことになりますので、その監視、監督体制としては数十名の単位を念頭に置いておりますけれども、具体的な規模につきましては、今後、関係機関とも連携、協議の上、実効ある体制を整備してまいりたいと思います。

高井委員 それはセキュリティーの専門部隊として数十名ということでよろしいですか。そうですか。

 特定個人情報保護委員会、今現在五十名程度、五十名弱と聞いていて、これを七十名ぐらいまでふやすというように聞いておりますけれども、では、さらにそれにプラスして数十名のセキュリティー部門をふやすということですか。なるほど、わかりました。

 それでは、続いて、先ほどのこの日本再興戦略の記述の部分で御質問しますが、今度は地方自治体のシステムもあわせて、「総合行政ネットワーク(LGWAN)について集中的にセキュリティ監視を行う機能を設けるなど、GSOCとの情報連携を通じ、マイナンバーシステムに係る国・地方全体を俯瞰した監視・検知体制を整備するとともに、地方自治体のセキュリティ対策に関する支援機能の強化を図ること等により、マイナンバー制度のセキュリティ確保を徹底する。」という記述がございますが、これについてはどのような体制を考えておられ、可能ならば、人数とか予算額とか、そういったことも教えていただけたらと思います。

時澤政府参考人 御指摘の部分のうち、LGWANの集中的な監視と自治体のセキュリティー対策に対する支援、これを私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 LGWANにどのようなセキュリティー監視を行う機能を設けるか、あるいはGSOCとの連携、こういったことが考えられるわけでございますが、まだ予算額等につきまして現時点では未定でございまして、実施の時期も含めまして、今後、NISCを初め関係機関との連携の上、検討を行っていきたいと考えているところでございます。

 また、自治体のセキュリティー対策に対する支援機能の強化についてでございますが、日本年金機構の情報漏えい事案を受けまして、総務省では、地方公共団体等に対しまして、個人情報を含む重要情報の適正な管理についての通知、それから、既存住基システム等におけます個人情報の標的型攻撃対策の徹底についての通知を発したとともに、全国の自治体セキュリティー対策責任者を招集した緊急会議を開催いたしました。

 今後、総務省内に専門家による対策検討チームを立ち上げることといたしておりまして、お尋ねのありました地方公共団体セキュリティー対策に関する支援機能の強化の詳細につきましては、現時点ではまだ確定をしておりませんが、先ほど申し上げました対策検討チームの検討等も踏まえまして、マイナンバー制度のセキュリティーの確保に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、マイナンバーシステムに係る国、地方全体を俯瞰した監視、検知体制の整備についてお答え申し上げます。

 御指摘のとおり、再興戦略の中で「マイナンバーシステムに係る国・地方全体を俯瞰した監視・検知体制を整備する」というふうになっておりまして、予算額などにつきましては、関係省庁と連携しまして今積み上げているところというふうに認識をしておりますけれども、いずれにしましても、NISCが政府全体の司令機能を果たしつつ、当委員会を含む関係機関と連携してサイバーセキュリティー対策に万全を期すことができるようなしっかりとした体制を構築してまいりたいと思います。

高井委員 実は、今のこの六行を私が読み上げたところで、お二人が、総務省と特定個人情報保護委員会が答弁されましたけれども、質問のレクの段階では、どっちが答えるんだみたいな、お互い顔を見合わせるような場面もありました。また、今のお二人プラスNISCがここはかかわってくるということで、マイナンバーのセキュリティー体制というのは大変国民の皆さんが不安に思い、また関心の高い分野でありますけれども、どうも、なかなか一元的なしっかりした体制というのがまだできていないのではないかなというふうに思います。

 小泉政務官、きょう来ていただいていますけれども、マイナンバーの所管の政務官ということでお越しいただいています。御承知だと思いますけれども、セキュリティー人材というのが我が国に大変不足をしていると言われておりまして、NISC、内閣官房がその中心機能を担っていますけれども、そこでも人を集めるのに大変苦労しているような段階で、今回の日本再興戦略でも、民間の方を集める仕組みをつくるような記述がありました。

 こうした、NISCがやっている、それだけ人が足りない中で、さらに今度、特定個人情報保護委員会でも数十名、私、数十名というのは結構、そんなに集めるんだとちょっとびっくりしましたけれども、それくらい集め、さらに総務省も、今現在ではセキュリティー対策の人が少ないと聞いております。そういう状況で、果たしてうまくいくんだろうか。私は、もう少し一元化して、NISCがやはり一番専門家が集まっていますから、そこに人も予算も集めて、そして権限も集めてやるべきではないかというふうに考えているんですけれども、このあたり、マイナンバーの責任者の小泉政務官のお考えをお聞きします。

小泉大臣政務官 高井先生のセキュリティー人材不足に対する危機感というのは、私も全く共感しています。

 中長期で考えれば、このセキュリティー人材や、またデータを扱うようなそういった人材というのは、重要性また必要性がどんどん増してくると思うので、だからこそ、さまざま教育の世界では、プログラミング教育が必要かどうかとか、いろいろな議論が出ているんだと承知しています。

 ただ、その中で、今の体制の話で言えば、ざっくり言うと、国のことはNISCがしっかりと見て、そして地方公共団体に対しては、これは特定個人情報保護委員会が監視権限なども持っていますので、これを連携させて、どうやって有機的に動かしていくかというのが今の考え方であります。

 ただ、御指摘のような、人材をしっかり集めなければいけない、ここはまさにみんなで取り組んでいかないと、そして確保しないといけないことですので、人材確保ができるようなそんな体制をしっかりと整備してまいりたい、そう考えております。

高井委員 自治体のネットワークでいうと、もう一つ総務省もかかわってくるんですね。つまり、三者がかかわっていて、私は正直、この間見てくると、どうもちょっとエアポケットができてしまうんじゃないか、つまり、消極的権限争いというか、いや、そこはうちじゃないよとなってしまう可能性が否定できないと思っていますので、ぜひここは、小泉政務官と松本政務官、セキュリティーの御担当だと思います、菅官房長官がセキュリティ本部長ですので、よく御相談いただいて、そういう切れ目のない体制になるように。

 それからあと、予算額、人員が圧倒的に足りない。私は、倍増、三倍増が必要だと。これだけの国民が不安にさらされている、また、これだけじゃない、本当に氷山の一角だと思いますし、あるいは今、サイバーテロ、本当に戦争にも発展しかねないという状況でありますから、ここはしっかりと来年度予算で予算をとっていただきたいということをお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 郵政の話です。今回の法律によって、郵政民営化推進室が廃止になるわけですが、ちょっとそれに関連してお聞きしたいのです。

 先般、自民党の特命委員会が六月二十六日に出した郵政事業のあり方に関する提言というのがありまして、その中で、特にゆうちょ銀行の限度額の引き上げが最大のテーマでありと書いてありますし、これを九月末までに二千万円に、そして二年後までに三千万円、そして近い将来には限度額を完全に撤廃すべきという提言が出されていますが、これを政府としてはどのように受けとめておられますか。

長谷川大臣政務官 お答えいたします。

 自民党がまとめた提言については、昨日、高市総務大臣のところにお持ちをいただきまして、直接受け取らせていただきました。

 限度額の見直しにつきましては、他に金融機関がない地域にお住まいの方や高齢者が、年金や退職金が振り込まれるなど、限度額を超過しお困りになるといった利用者の利便性という観点、あるいは、株式を上場する予定であることから、日本郵政グループの企業価値の向上という観点を考えれば、これは一定のメリットがあるという認識をしています。

 同時に、平成二十四年の郵政民営化法改正法案に対する附帯決議、あるいは郵政民営化法に規定されている、他の金融機関等との競争関係に影響を及ぼす事情、金融二社の経営状況その他の事情なども勘案していくことが必要だというふうに考えます。

 総務省としては、今後、提言の内容をよく確認する、それから、各党における議論もよく踏まえながら、関係各省庁と連携して、郵政民営化委員会で議論していただくことも含めて、対応について検討したいと考えております。

高井委員 これも総務省が答えましたけれども、当初はどこが答えるんだろうかと。内閣官房に、郵政民営化委員会という組織があり、総務省とあと金融庁が、それぞれ三者がかかわりながら決定をするという、非常に複雑というか責任体制も不明確だなというふうに思っております。

 それでは、きょう金融庁にも来ていただいていますので、今回のこの提言に対しては、全銀協や第二地銀、信金、信組、猛反発と新聞には書いておりますが、そういう状態の中で、こういった金融業界を所管する金融庁としては、この提言をどのように受けとめておりますでしょうか。

氷見野政府参考人 私ども、ゆうちょ銀行につきましては、日本経済の再生、地方創生、上場の成功につながるようなビジネスモデルを築き、企業価値を持続的に向上させていくことを期待しているところでございます。

 本件につきましては、私どもといたしましても、郵政民営化委員会において、上場に向けて幅広い観点から御議論いただいてはというふうに考えておりますけれども、先ほど御指摘ありましたとおり、三省庁、よく連携しまして、そごのないように対応してまいりたいと考えております。

高井委員 金融庁としての見解を聞きたかったんですけれども、なかなかお答えできないのかなと思います。もうこれ以上は聞きません。

 それでは、もう一つは、財務省がやはりこの日本郵政の大株主というか、今、株をこれから。それで、日本郵政は先日、上場申請をもうされたんですよね。新聞報道によれば、早ければ十月にも上場したいという意向を表明しているということで、単純に、一般的に考えれば、限度額が撤廃される、あるいは引き上げられるということになれば、日本郵政の企業価値も高まるのではないかなと考えますけれども、この株式上場、株主という観点から、財務省はどのように受けとめておりますでしょうか。

飯塚政府参考人 お答え申し上げます。

 自由民主党の提言を受けた政府としての対応につきましては、先ほど先生御指摘のように、担当省庁でございます金融庁と、それから総務省、内閣官房において検討されると考えられますので、財務省として、この点について何か申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただ、いずれにいたしましても、日本郵政の株式につきましては、先生御指摘のように、本年度半ば以降の売り出し、上場に向けて現在準備が進められているところでございまして、財務省といたしましては、復興財源確保の観点からも、日本郵政において企業価値を高め、より一層魅力ある企業になることを期待しているところでございます。

高井委員 財務省もなかなかお答えしづらいところもある。それは一方で、この自民党の提言にもありますけれども、必ずしも限度額撤廃が企業価値を高めるとは言えないという意見もある。つまり、今、貸付業務も行えない、あるいはこの超低金利にあってはそういうふうにはならないんじゃないかという意見もあるようです。

 しかし、私は、この自民党の提言にもありますけれども、国民、利用者の利便性が高まるわけでありますから、お客様が喜ぶサービスを提供するということは、これはやはり企業価値が高まると単純に考えていいのではないかなと思っておりますので、そういう意味では、これはぜひやるべきだという立場なんです。

 これは自民党さんの公約ですよね。去年の衆議院選挙のときの公約で掲げられた、私は大変大きな公約だったと思います。私は実は郵政省出身で、郵便局で働いたこともあって、かつては郵便局の皆さんに選挙を応援してもらったこともありましたが、今回は、この自民党の提言があるからやはり自民党を応援しないといけないんですと多くの郵便局関係者の方から言われました。

 これはやはり私は極めて重い公約だと思いますが、小泉政務官、所管外で恐縮ではありますけれども、一人の自民党政治家として、私はこの公約は大変重いと思っておりますが、小泉政務官の御見解をお伺いします。

小泉大臣政務官 経済の再生の主役は民間ですから、民間の金融機関の反対等、そういった意見は傾聴に値するな、そういった感覚を持っております。

高井委員 かなり踏み込んだというんでしょうか、わかりました。もうこれはこれ以上聞きません。

 もちろん、我が維新の党も民間活力でという立場。もちろん党の中にはいろいろな意見があります。ただ、金融機関というのも、これまで護送船団方式と言われたまさにその象徴だった業界でもあり、そういった中で、ゆうちょだけを規制して縛っておいて、それで自分たちがいいんだという立場は、やはりもっともっと競争を促進するという観点からも、私は、ゆうちょについての限度額は見直すべきだというこの点は、自民党の公約に賛成でございます。

 これからの議論、しかし三者が三様で非常に大きな議論になると思いますが、これは政令で決まるということで、国会で審議できないのが大変残念だし、ちょっとおかしいんじゃないかなという気もしますが、ぜひいい結論を出していただきたいと思います。

 それでは、三つ目。

 時間があと五分しかないんですが、今回、移管されない、存続されるものに、私がずっとライフワークとして取り組んでいるITがございますので、そのことも聞きたいと思います。

 まず、IT総合戦略室がこの中心を担っていますけれども、その人数、出身省庁別、それから自治体とか民間から何人来ているかという人数を教えてください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年四月一日現在で、省庁の職員数は三十四名でございます。省庁別では、総務省十二名、経済産業省五名、法務省三名、厚生労働省三名、財務省二名、農林水産省二名、警察庁二名、内閣官房一名、内閣府一名、消費者庁一名、国土交通省一名及び独立行政法人国立印刷局一名でございます。

 地方自治体の職員はおりません。

 それから、民間につきましては、IT総合戦略室長の遠藤内閣情報通信政策監、いわゆる政府CIOでございますが、民間出身の特別職の公務員でございます。そのほか、民間の職員数は三十五名でございます。

高井委員 三十四名プラス民間の職員三十五名、六十九名ということですね。わかりました。

 それでは、総務省と経済産業省、それぞれIT政策を中心に担う省庁だと思いますが、それぞれIT政策に係る人数を教えてください。

福岡政府参考人 総務省におきましては、ICT政策を実施するため、情報通信国際戦略局等の三局を主体に情報通信行政を推進しているところでございます。

 この三局の平成二十七年四月一日現在の人員は、一部郵政行政を含みますが、八百四名でございます。

石川政府参考人 経済産業省のIT政策にかかわる人数でございますけれども、本年七月一日現在で百十人でございます。

 具体的には、商務情報政策局におきまして、ハードウエア産業やソフトウエア産業、また、電子商取引や情報処理の促進といったことを担当させていただいております。

高井委員 私は、今回の法律は非常に評価しております。内閣官房、内閣府に人も予算もふえるとやはり機能しなくなる、そこで、各省に総合調整権限を与えて、そしてそこが総合調整をやっていくというのは、これからの時代の流れだと思います。

 そういう意味では、私は、IT総合戦略室も、今度また三年後には見直しをするというふうに聞いておりますので、そのときには、ぜひもう各省に任せて、総合調整権限を付与すべきと思っています。

 というのも、さっき申しましたように、六十九人しかいなくて、圧倒的に人手が足りないなという印象があって、私は総務省の方にはもっと、総務省から百人ぐらい出向してIT総合戦略室を運営したらどうだと。つまり、ITというのは横串機能ですから、各省にまたがるので、そういう総合調整が大事なんですね。しかし、それよりも、各省でそれぞれ総合調整権限を付与してやるという仕組みになったわけですから、私は、総務省が、今回はあれですけれども、三年後にはこのIT総合戦略室の機能を担うべきだと思いますけれども、総務省、いかがですか。やれますか。

長屋政府参考人 お答え申し上げます。

 IT総合戦略室でございますけれども、これはIT総合戦略本部の事務局機能を担っておりまして、政府全体のIT政策の実質的な司令塔として総合調整機能を発揮しているところでございます。

 こうした中にありまして、総務省は、IT総合戦略室及び各府省庁と連携しまして社会全体のICT化を推進している、こういう役割を担っております。

 三年後の見直しにつきまして、現時点で具体的に言及するということはなかなか難しゅうございますけれども、見直されるに当たりましては、まず、これまでIT総合戦略室が総合調整機能を発揮してどういった成果があったかといったことも踏まえながら、総務省といたしましても、現在のIT総合戦略室が担っている機能が政府部内で最大限に発揮できるような、そういった観点から積極的に見直しに協力していきたいと思っております。

高井委員 総務省は既にこういう総合調整的な各省にまたがることをやっていますので、私は十分できると思います。

 最後に大臣に、有村大臣にまだ一つも聞いていませんでしたので、通告していますけれども、この三年後の見直し、IT総合戦略室もその検討対象になるのかどうか、最後にお聞かせください。

有村国務大臣 進行の都合上、短くいたしますが、やはり政府全体として政策をより強力に進めるためにはどのような布陣が行われるべきかということを考え続けることになります。そういう意味では、御指摘の機能も三年後をめどとして全面的な見直しをするという予定をしておりますので、IT総合戦略本部がどこにあるべきかということの是非も含めてしっかりと検討をしていくことになります。

高井委員 これで終わりますが、もうできるだけ例外なく各省に移した方がいいと私は思いますので、ぜひ御検討をお願いします。

 以上です。

井上委員長 次に、升田世喜男君。

升田委員 昨年末に初当選をさせていただきました、維新の党の升田世喜男でございます。どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

 質問内容がかぶることがあるかもしれませんが、御容赦賜りたいと思います。

 内閣委員会に所属をさせていただいて、これまで、さまざまな議論を聞かせていただき、また勉強もさせていただきました。正直、内閣委員会に関係する大臣の職務の多さに大変驚いておりまして、有村大臣は特命大臣として、規制改革あるいは少子化対策、男女共同参画といった内閣の重要政策に関して担当され、加えて、女性活躍担当あるいは行政改革担当、国家公務員制度担当と、三つの事項を担当されているわけでありますが、普通に言って相当大変ではないかな、こんな思いもいたします。

 まず、これまでかかわってきて、大臣、どんな感想をお持ちか、お聞かせいただければと思います。

有村国務大臣 思いをはせていただいて、ありがとうございます。お答えいたします。

 内閣府特命担当あるいは内閣の大臣として、本当に私自身が所管する分野も極めて広い、また極めて時事的な問題、今日的課題解決に向けての政策ということでございますので、私自身の所掌においても、道を開くというのはかくも厳しいものなのかということを日々感じております。恐らくほかの大臣も同じような思いで、日々、緊張感の中でやっておられると思いますので、今回のスリム化法案というのは極めて大事だなと実感を持って、提出責任者としても思いますし、スリム化の恩恵をこうむりたいと、後々の大臣のためにも思っている次第でございます。

升田委員 政治の大先輩から、歴史は女性のものだ、こういうお話も聞いたりしまして、有村大臣にはぜひ頑張ってほしいな、こんなふうに思います。

 それでは、質疑に入らせていただきます。

 内閣の最高責任者である内閣総理大臣がその指導性を十分に発揮できるような仕組みを整えることが必要であるとして、肝いりで、内閣が実質的な政策論議を行い、トップダウン的に政策の形成、遂行ができるように機能強化を図ってきたと思いますが、十五年前の中央省庁再編の改革、その一つは省庁のスリム化であり、縦割り行政の打破であり、内閣である官邸機能の強化であったと伺っております。政策課題によっては複数の省庁にまたがる、それを、総理主導のもと、リーダーシップを発揮して、他の省庁よりも戦略的かつ高機能的に対応してきたと私は認識しております。

 今回、内閣官房と内閣府の機能を見直すということでありますが、十五年前の中央省庁再編の改革と今回の改正をどのように評価されているのでしょうか。大臣の御見解をお伺いします。

有村国務大臣 平成十三年に行われました省庁再編に先立ちまして、橋本行革から四年間かけて実行に移されました。そういう意味では、この構想ができてから二十年近くたつ今、今回のスリム化法案を出させていただくに当たって、私も当時の背景や哲学ということを学ばせていただくことがありますが、二十年近くを経ても歴史の評価にたえ得る、そういう構想をお持ちであったな、そして、その後、この十四年に、時々の変化がございますけれども、その経済や社会の変化にもたえ得るような本質的な議論をなされてきたな、今見ても何ら色あせる議論ではなかったので、そういう意味では、先人の御労苦や先見性ということに改めて敬意を持って接しているところでございます。

 同時に、その趣旨を尊重するのであれば、やはりその趣旨にのっとった形で、内閣官房や内閣府が肥大化することのないようにと、省庁再編後初めて、今回、法改正に臨んでいる次第でございます。そういう意味では、必要であれば法改正も辞さないというメッセージをその十四年前の志にのっとって堅持させていただくということも、これまた健全で大事なことかと考えております。

升田委員 今回の法案の名称は、内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案でありますが、私を含め皆さんはこれをスリム化法案、こう呼んでおります。

 これは、与党の行政改革推進会議での論議の中で、このような名称が、提言書がまとまったと聞いておりますが、国民の目には、政府が一丸となって取り組んでこられた政策が今回移管されるわけであります、その政策が、安倍政権の重要課題であるという項目からそぎ落とされ、スリム化され、外されてしまったと見てしまう向きもあろうかと思います。

 私はそうは思っておりません。私はそうは思っておりませんが、私が一番懸念するのは、今までせっかくうまくやってきたことが、移管されることで逆に後退してしまう、そういうところを心配しております。内閣官房や内閣府が、我々の手を離れたので後は任せきりになってしまう、どうしてもこういう傾向が出てしまうのではないかな、これは大変よろしくないことだと思います、普通に考えて。

 このことについて有村大臣の御答弁をお願いしたいと思います。

有村国務大臣 お答えいたします。

 升田委員は、私はそうは思っておりませんがとおっしゃっていただきましたが、国民の皆様、あるいは、例えば議員立法などに精力的にお力をいただいていた先生方の御趣旨もあります。国民の皆様からして、外されたんじゃないかというような、よもやそういう認識が広がらないようにしなきゃいけない。それは今後の、実際に移管したときの人員の布陣、あるいは政策の強化ということで、その評価にたえ得るような実績を乗せていかなきゃいけないというふうに思っています。

 当然、総合調整という権限、権能も持っていただくことになりますので、趣旨を生かすからこそ、どこが的確にすることが一番行政機能を効率化させることができるか、効果をとれるかということで臨んでいることを御報告させていただきます。

升田委員 私は、先ほど述べさせていただきましたが、スリム化になってだめになっていくというふうには思っておりませんが、そういう声もあるものですから、お尋ねをさせていただいた次第でもございます。

 今回の改正は、霞が関の文化を変える画期的な改革につながることが重要だ、私はこう思います。現在の縦割り行政の弊害を取り除き、内閣の意思や方向性が明確に反映され、その上で確実に、そして早期にその政策が実現されることを期待して各省庁に移管するわけでありますので、これは意識改革というのが極めて重要だと思います。

 今まで内閣府が担当していた調整権限を各省に付与することにより、コントロールがきかず、責任のなすり合いや縄張り争いなどの事態が起こらないよう、うまく機能するために努力していただくのは当然ですが、想定どおりにいかない場合、これはどのような対応をするのか。

 先ほどと同じような質問になって、同じようなことでありますけれども、どうしてもこの辺が私は気になるものですから、再度お尋ねをさせていただくということでございます。御答弁をお願いします。

有村国務大臣 お答えいたします。

 私も大臣にならせていただいてから十カ月がたとうとしておりますが、その間、内閣官房、内閣府のスタッフの皆さんと一緒に仕事をさせていただいて、出向して、それぞれその省庁オリジナル、いわゆる本籍を持っている方々が内閣府、内閣官房にいらっしゃるわけですが、本当に、政府一体となっての仕事に、省庁のいわゆる省益というのと必ずしも一致しないところでよくおやりになっているなと思うことが少なくありません。国民として勇気づけられることも少なくありません。

 そういう意味では、内閣府、内閣官房で責任を持ってやってきた仕事を、その実績も生かして各省庁に御担当いただく、そして、その際には総合調整機能を担うということを法的担保も含めて今回堅持していくわけでございますから、当然ながら、内閣の趣旨、あるいは志、あるいは方向性に沿った調整が行われるというふうに思っています。

 ただ、升田委員が御指摘のとおり、万々が一、それが政府の意思と違う場合もあるのではないかという御懸念に応えようとするならば、やはり各省の取り組みが政府全体として適切でないと考えられる場合には、内閣法の第六条に基づいて、内閣を代表する総理大臣が必要な指揮監督をして、万が一にも各省庁の省益に走ることのないようにということの、そこのブレーキが機能するというものを持っております。

升田委員 私も、今大臣が冒頭、前段にお答えしたように、もし不調になった場合どうするのかな、またもとに戻すのかな、こんなことを考えておったわけですが、それは総理大臣がしっかり対応するということだと承りました。

 調べてみますと、平成十二年五月の三十日に閣議決定された政策調整システムの運用指針、これには今回の事務移管とよく似た運用方針がありました。

 内容は、内閣官房及び内閣府が、必要に応じ、一つまたは複数の府省を調整省として指定し、総合調整において必要な府省間相互の政策調整の取りまとめを行わせることができるとすることでありますが、これまで活用された実績はないとされておりますけれども、活用されなかった理由というのはどういうものなのでしょうか、お伺いいたします。

山下政府参考人 御指摘の政策調整システムの運用指針、省庁再編の際に閣議決定をされたものでございます。

 省庁再編以来、現行の制度では、内閣を助けて、内閣の重要政策について企画立案、総合調整を行う役割は、内閣官房、内閣府に限られております。ですが、全て内閣官房、内閣府では大変だということもございまして、御指摘の閣議決定の中で、内閣官房、内閣府が内閣全体にわたる政策を企画立案した後に、特定の省を調整省として指定して、その省に関係省庁間の取りまとめを行わせる、そういう仕組みを閣議決定したところでございます。

 ただ、実際には、今申し上げましたように、この仕組みは、指定された省にとりましては、みずからが企画立案していない案、内閣官房、内閣府がつくりました政策について、内閣官房、内閣府にかわって調整の部分だけをやるという仕組みであったことなどから、結局、活用されるに至らなかったというところでございます。

 そのために、今回の法案では、各省にも、内閣を助けて、企画立案、総合調整を閣議決定により行うことができるという改正を盛り込んでおりますが、この場合には、各省において内閣全体の政策の企画立案から総合調整までができるようになる、こういう違いでございます。

升田委員 ただいまの答弁を聞きまして、ああ、そうなのかなと思いましたけれども、普通に言って、これはできてから十五年間ぐらいになるんですかね、それで一度も使われないということになりますと、いわゆる、何かしら形だけのもので魂が入っていないというような感じを受けまして、また、そんな感じのことを今回の法制案の改正でもまた言ったりするのはちょっと懸念があったなというふうに思います。

 では、次に移らせていただきます。

 今回、政府として、初めての試みで、内閣官房の五つの事務を内閣府に移管、一元化、また内閣府の九つの事務を各省等に移管するという法律でありますが、そもそも論として、どのような経過で今回の内閣官房の五つの事務と内閣府の九つの事務が決定されたのか、教えていただきたいと思います。

山下政府参考人 省庁再編以降、省をまたがる重要政策課題がふえてきたことから、内閣官房、内閣府にはいろいろ事務、課題が追加されてきたところでございます。

 そういう中で、直近では、昨年来、与党及び政府において検討してまいりまして見直しを行ったわけでございますけれども、その際には、内閣官房、内閣府は重要政策に関する司令塔機能というのが本来の役割でございますので、これが十分発揮できるようにするということとともに、個別の施策につきましても、政府全体としてその施策をより強力に進めるためにはどこが担うことが適当なのかという観点から見直しを行ったものでございます。

 すなわち、内閣官房、内閣府で企画立案や総合調整を行ってまいりました事務におきましても、だんだん方向性が固まってまいりまして、後はこれに、後はといいますか、引き続き重要さはもちろん変わらないわけでございますけれども、それにのっとってきめ細かい施策を進めていかなければならないというふうに判断される場合には、むしろ、各省の方が現場に近いところにおるわけでございますので、そういうところで、現場に近いきめ細かな施策をしていただきながら、関係省との調整もあわせてやってもらう、こういうことの方が有効であろう、こういうことを個別に検討して、このような案をまとめたものでございます。

升田委員 これは時間的な目安なんというのはあるのでございますか。

山下政府参考人 恐縮でございます。時間的な目安とおっしゃいますのは、いつごろから始まった、どのくらい経過したかという趣旨だと存じます。

 一概に何年たったら移管するということが決められるものではございません。といいますのも、その課題に応じて、大体の方向性が見えてくるまでにかかる時間というのも違いますし、それから、始めて後、いろいろ状況がまた変化することもございます。なので、一概にどのくらいでということではございませんが、やはり、始めて一定程度たって、その間にいろいろ計画をつくったり、計画をまとめてそれにのっとった施策が推進されてきた、そういった状況を見ながらということでございます。

升田委員 私の聞いた範囲の中では、三年を大体のめどにとか目途とか、そういうお話を聞いたんですが、いかがでしょうか。

山下政府参考人 大変失礼いたしました。三年ということで申しますと、それは見直しのことだと存じます。

 今回、このように見直しを行って、御提案させていただいているわけでございますが、内閣官房、内閣府が担う業務については、やはり社会経済情勢の変化に応じて随時点検することが必要になると考えておりまして、それで、一月の政府の閣議決定におきましても、次回三年後を目途として全面的な見直しを行うということとしているところでございます。

升田委員 私の方が何か舌足らずな質問をしたみたいで、失礼しました。

 今、三年を目途として見直しということですが、何かしらの基準がないといけないのは、それはそうだと思います。ただ、そこで、時間軸もそうでありますけれども、難しいとは思いますが、成果の基準、いわゆるここまで熟したからいいなとか、これも難しいと思います。時間軸ではなくて、そのような基準というのもある程度想定するといいましょうか、その辺も必要ではないでしょうか。

山下政府参考人 目的は、むしろ、繰り返しで恐縮ですが、方向性が見えてきて、現場に近いところで調整をする方がより進むであろうということでございますので、その趣旨では、どういう観点で見直していくかということにつきましても、今後も、次回三年後の見直しもございますので、また引き続き検討してまいりたいとは思っております。

 ただ、どうしても課題ごとにいろいろ違いますので、ちょっと一概に、なかなか機械的なものは難しいかとは思っておりますが、狙いはそういうことでございますので、できるだけそういう趣旨に即した見直しがまた今後もできますように研究をしてまいりたいと存じます。

升田委員 いま一度申し上げさせていただきますけれども、内閣府、内閣官房である程度時間をかけていわゆる方向性を出した、それで移管をするわけでありますが、ぜひ、その後のフォローといいましょうか、目配りといいましょうか、ここが極めて私は大事だと思いますので、その辺をしっかり対応していただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、個々の課題の中での自殺対策についてお尋ねをさせていただきたいと思います。

 昨日も、東海道新幹線の「のぞみ」車内で焼身自殺を図るといった衝撃的な事件が発生しました。この事件によって、女性一人が巻き添えになってお亡くなりになっております。心から御冥福をお祈り申し上げます。また、多くの方々が負傷するという痛ましい事件でもあります。七十一歳の男性がどういう経緯、経過で焼身自殺に至ったか、これから捜査及び調査で徐々に明らかになると思います。

 今回の法案では、自殺対策は厚生労働省に移管されます。しかし、この自殺対策は、厚生労働省を初め、警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、文部科学省、農林水産省、経済産業省、国土交通省と、これだけの省庁が関連する重要な政策でもあります。

 内閣がその重要な政策だとして取り組んできた自殺対策を、厚生労働省に特別の機関として設置される自殺総合対策会議がこれからは一手に引き受けることになるわけでありますけれども、自殺対策の取り組みがこのことで後退するのではないかということが危惧されるわけでありますが、現在の自殺総合対策会議の責任者である内閣官房はこの辺のことをどう考えているのか、お答えをいただければと思います。

赤澤副大臣 内閣府においては、自殺対策基本法の施行、平成十八年十月から今日まで、国を挙げて自殺対策の推進に取り組んできております。

 この間、関係省庁、地方公共団体、民間団体など、さまざまな関係者の御努力により、平成十年以降三万人を超えた状態で高どまりを続けてきた自殺者数は近年減少傾向にございまして、昨年は約二万五千人まで減少した、着実に成果が出てきていると考えております。

 一方で、委員御指摘のとおり、これは本当に重要な問題で、いまだに二万五千人という、非常に大きな自然災害、そういったものよりも大きな規模でとうとい命が失われているということですから、引き続き自殺対策を強力にさらに前に進めていく必要がある、これはもう委員も私も、ほとんどの先生方は共通認識だろうと思います。そういう意味で、対策の重要性は全く不変であります。

 ただ一方で、先ほどの七十一歳の方については、報道などでは年金苦というようなこともちょっと書いてありました。いろいろな知見を我々は得られていまして、不動の一位がまず健康問題です。うつ病を患っておられる方とかが相当多いという、不動の一位が健康問題で、二番目が経済・生活苦、三番目が家庭問題ということになります。

 そういったことがわかってきて、政策を打つ優先順位もおのずと決まってきて、それが、先ほどから事務方も言っております、一定程度取り組みが進められ、政策の方向性が見えてくる、優先順位がどこかわかってくる、何を優先して政策を打てばいいかわかってくる。こうなってくると、先ほどの、一位健康問題、あるいは第三位家庭問題といったようなところを主に今所管している厚生労働省、ここに本格的にこれからも、彼らがより細かい知見を持っていますので、強力に厚生労働省が中心になって進めてもらうということに、さらに政策の実が上がる、そういうことが期待できるだろうと我々は思っております。

 多くの省庁にまたがる課題であることは、全く委員御指摘のとおりでありますが、自殺対策の推進に支障が生じないよう、予算や体制面についても必要な措置を講じますし、円滑に業務も引き継いでまいります。先ほどから御説明のあります調整権限、内閣総理大臣への意見具申とか、あるいは各省庁に対する勧告などもきちっと法的に手当てをした上で、厚生労働省にしっかり取り組んでもらって、今まで以上にしっかりした取り組みが展開できるものと期待しておりますし、そうでなければならないというふうに考えてございます。

升田委員 実は、私の地元であります青森県は、悲しいかな、自殺者が非常に多いんですね。今は十二位にまでなった、これでもよくなったということで、かつては、秋田の人には申しわけないんですが、青森か秋田かと言われた時期がございました。ようやく十二位にまでなった。自殺の原因というのは、今御答弁いただいたように、健康の面とか、あるいは年金、経済の面とか、いろいろお話を聞くと介護疲れとか、そういうようなこともあります。ですから、任せたらそれでいいんだというのではなくて、ぜひしっかりとこれは目配りをしてほしい。

 日本人が、この日本国に生まれて、みずから命を絶たなきゃいけないというのは、これは悲しいことだと思うし、また、国としても、これは避けていかなきゃいけないことだと思うんです。人口減少で移民政策がどうのこうのと言われているさなかでありますけれども、私は、基本的には、移民はなるたけ避けるべきだ、こう思っておりますので、ぜひ対策にはしっかりと取り組んでほしい、このように思います。

 時間がだんだんに迫ってまいりました。最後の質問にさせていただきたいと思います。

 国の仕事をする行政職員は大事な人材であるということは言うまでもありません。私の地元でも、公務員の自殺者が意外と多いと聞いております。人事院によれば、一般職の国家公務員の自殺者、十年前の平成十六年は百二十二人、一番新しいデータ、平成二十五年は五十九人、少なくなっています。この十年、数としては減っておりますけれども、しかし、率で見ますと、職員十万人に対する値でありますが、平成十六年は一九・〇パー、平成二十五年は二一・五%でありまして、数は減っているが、死亡率はむしろふえているわけであります。

 政府の一番の足元である一般職国家公務員、この自殺者が多い現状をどのように考えておられるのか、あわせて、現在、自殺に至らない対策としてどのような取り組みをされているのか、お伺いをしたいと思います。

有村国務大臣 最後でございますし、私の方からお答えをさせていただきます。

 行政改革担当大臣としても、国家公務員制度担当大臣としても、御指摘の公務員の自殺防止ということは本当に政府挙げてやっていかなきゃいけないことだと思っています。

 端的に申し上げると、やはり、長時間労働の是正ということは避けては通れないというふうに思っています。いみじくも、本日七月一日から、全国で二十万人以上の公務員が参画いたします、ゆう活ということで、夕方早く帰ろうというキャンペーンをいたします。先ほど民主党の古本委員からも大事な御指摘をいただいておりました。質問通告、女性活躍を論じる内閣委員会から通告の是正をしていこうというふうに野党の方からもおっしゃっていただいたことは大変ありがたいことだと率直に受けとめております。

 率直に申し上げると、提出をしていただく時間が極めて遅い政党というものの傾向も出てきております。そういう意味では、全党挙げて御協力をいただいて、確かに、国家公務員も地方公務員も大事な大事な国民なんだということで、みんなのワーク・ライフ・バランス、なかんずく公務員の自殺を減少していくためにも、長時間労働の是正ということに与野党を問わずお力をいただければ大変ありがたいと存じます。

升田委員 時間が来たようでありますけれども、最後に一言お許しをいただいて。私は、なるたけ早く通告して、頑張っていきたい、こう思います。

 今、「あったかいんだからぁ」という歌がはやっておりますが、この歌、大好きなんですけれども……(発言する者あり)もう終わりましたか。ある施設に行きましたら、正しい人よりも温かい人の方がとうとい、こういう言葉と出会いまして、やはり、温かい人間関係、温かな言葉がけ、こういうものがやはり自殺の対策には有効ではなかろうかな、このことを申し上げさせていただいて、終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、小沢鋭仁君。

小沢(鋭)委員 維新の党の小沢鋭仁でございます。

 今、自殺の問題で、升田委員から本当にある意味では人間味あふれる言葉が出ていました。また、大臣の方からは、できるだけそういった長時間労働をなくしていく、こういうような御趣旨の発言もありました。

 先ほど来議論を聞いておりまして、もう既に何回か出ているんですが、委員会の質疑そのものも本当に変えていかなきゃいけない、こういうことなんだろうと思います。通告を早くするというのは当然あっていいし、私もそれは心がけたい、こう思っております。

 同時にまた、国会の委員会というのは、これは一九九九年ですが、いわゆる国会改革をしまして、議員同士が大いに政策の議論をする、そういう場にしよう、こういう国会改革をしたわけですね。そして、冒頭、委員長から政府参考人の皆さんの名前が読み上げられるんですが、かつては御案内のように全部一括で国会が始まるときに承認をしていた話を、いわゆる政府委員の皆さんたちではなくて議員同士の議論の場にしよう、こういう話の中で、そういった制度はなくそう、こういう話にして、しかし、特別な場合は参考人という形で出てもらおう、こういう話になったんですが、もとのもくあみといいますか、もとに戻っちゃったといいますか、先ほど来お話が出ているように、政府参考人の皆さんたちが大勢参加をいただいて審議が行われている、こういう現状でございます。

 こういった話は、我々政治家同士、本当にお互い反省して、これは国会改革の議論になりますが、政府のという話ではありませんけれども、まず、もう政府参考人の読み上げなんてやめた方がいいと思いますね。これはまた国会の方で提案したいと思いますが。そういう意味で、きょうは、ぜひ政治家同士の議論をさせていただきたい、こういうふうに改めて申し上げます。

 それから、今回の法案に関しては、具体的な中身ももちろんお尋ねいたしますが、いわゆる内閣のあり方、まさに内閣官房、内閣府という意味でいうと、内閣のあり方そのものも大変大きなテーマだろう、こう思っておりまして、そういった意味では、少しそういう議論もさせていただくことを御理解いただいて、入らせていただきたいと思います。

 まず、先ほど議論が出ておりました、いわゆる調整機能の問題、この問題から入らせていただきたい、こういうふうに思います。

 御案内のとおり、内閣官房の役割の中では、先ほど答弁にもありましたけれども、企画立案と同時に、いわゆる調整機能を行う、これが内閣官房の大きな役割になっているわけですね。それを、方針が決まったものに関しては各省庁に委ねていく、こういう話になっているわけですが、これは具体的にどこが判断して、どういうものを省庁に委ねていくのかという基準といいますか、それがあったら教えていただきたい。

 これは私の経験から申し上げると、先ほど大臣は、各省庁の所管を超えていろいろ内閣府の皆さん頑張っていらっしゃるという話をおっしゃいました。私もそういうことを感じる部分もありますが、同時に、いまだに各役所というのはかつての帝国主義みたいな、いわゆる自分たちの領地というか案件というか、それを拡大していくことにこんなに熱心かと思うような、絶対にこれは譲らないぞというような話を感じることも、結構、実はあったんですね。

 ですから、やはり、そういった意味では、政治の場面においては調整機能が物すごく重要だ、それこそは本当に内閣官房の最も大きな仕事ではないかとも思うものですから、それを委ねていく、こういう話は一体どういう基準で誰が判断して渡していくのかということをお聞かせいただきたいと思います。

山下政府参考人 先ほど来お答えさせていただいておりますが、簡潔に申します。

 内閣官房は、基本的には、機動的、弾力的に立案をするところでございます。ですので、例えば、方向性をこれから築き上げていかなければいけないような任務がふさわしいわけでございます。

 内閣府は、恒常的、専門的な企画立案、総合調整、経済財政のようなものを任務としております。したがいまして、ある程度方向性もありつつも、かなり恒常的、専門的に担っていかなければならない業務がふさわしいわけでございまして、そのために、例えば、今回の中では知的財産などを内閣府に移管することとしておるわけでございます。

 一方、企画立案、総合調整があるといいましても、方向性がある程度見えてまいりまして、むしろ現場に近いところで、きめ細かく政策を判断できるところでやった方がいいものについては、各省に移管していくということでございます。

 判断につきましては、なかなかこれは機械的にこういうものというメルクマールは難しいわけでございますけれども、今回、一月に方針を閣議決定し、法案をまとめるに当たりまして、政府の中でこういう判断をしてまいりました。

 ただ、その過程では、これも先ほど来お答え申し上げていますとおり、与党においても昨年来御検討いただき、与党と政府において検討して、それを一月の閣議決定という形でまとめた、こういう経緯でございます。

小沢(鋭)委員 要は、どこが最終的に判断して決めますか。これは内閣官房から各省庁の方に渡すんだとか、そういう案件はどこが判断しますか。これは逆に言うと、山下さんじゃなくて内閣官房の方に聞きたいんですが、それで大丈夫だ、こういう感じをお持ちですか、内閣官房の御担当の方は。

林政府参考人 お答えいたします。

 そこは問題がないようしっかり内閣官房の中でも検討をして、内閣府ないし各省に渡していくということが重要と考えております。

小沢(鋭)委員 林さんでしたか、問題がないようにしていきたいというのは、もちろんそのとおりだと思いますが、問題が起こらないようにどうするかという話を聞いているわけであります。

 例えば、今は、省庁をまたがる話に関しては、関係閣僚会議と呼ぶんですか、私がかつて政権にいたときは閣僚委員会、こういう呼び方をしていました。今の関係閣僚委員会というのはどこがつくるんですか。

林政府参考人 一般的に、関係閣僚会議につきましては、私どもの内閣官房副長官補のもとにあります副長官補室の方で検討して設置をするというのが基本でございます。その場で、特に新たに起きた案件につきまして、どのような方向性で物事を決めていくのか、政府の方針をどのような方向性でやっていくのかというのを官邸のリーダーシップのもとできちんと検討し、そして各省に、それぞれこの仕事をということで、必要であれば割り振っていくといったようなことをやっております。こうした形で総合調整というのを、関係閣僚会議を通じて行っております。

小沢(鋭)委員 ということは、基本的には、官房のところ、もっと具体的に言うと、案件に関しては副長官補のところで判別をしていく、そういうことでよろしいでしょうか。

山下政府参考人 基本的には、おっしゃるとおりでございます。内閣官房を中心にいろいろ検討いたします。一方で、受け取る側といいますか、そちらとの調整ももちろん必要になってくるわけでございますけれども、そこと調整しながら、内閣官房、内閣府を中心に検討するということでございます。

小沢(鋭)委員 これは有村大臣も、かつて環境問題で、私いろいろ議論もさせていただいたことがあるんですが、気候変動の話なんかは、まさに各省庁またがる話でやっていましたね。そういった案件なんかを、これはもう、決定的に、省庁におろせないですよね。各省庁、これこそ本当に、各省帝国主義ですよ。

 先ほど、いろいろな役所がいっぱい出てきてという話が出ていましたが、本当に、気候変動に関係あるのかと思うような役所が、みんなざっと出てくるわけですよ。それぞれみんな発言をしないと納得しない。ですから、そういった意味では、そういうことを調整することこそが極めて重要だし大事だし、こういう話になっていて。

 今は、先ほど林さんから話があったように、具体的には副長官補のところで相当さばいてもらっているわけですね。ですから、その副長官補のところでさばく話が、もういいよ、こういう話で各省庁に実務的におろしていくということでは、それはそれでいいんですけれども、そこをしっかりやらないと、本当に何が何だかわからなくなるのではないですかということを申し上げておきたいと思います。

 おろしたとしても、かなり実務上の話になるとしても、依然として各省庁の意見が錯綜するということはあり得ると思います。これは、おろすだけじゃなくて、調整機能を付与するだけではなくて、決定機能を、権限を与えるという話がないとなかなか決定にならないと思うんですけれども、そこのところはどういうふうに御判断になっていますか。

山下政府参考人 これは、各省に移管する事務は、内閣府からの移管する事務でございますけれども、先ほど来お答え申し上げておりますように、今は内閣府が行っております仕事及びその権限を、そのままに各省に移管をいたします。

 したがいまして、今、内閣府も内閣を助けて、企画立案、総合調整をやっているわけでございますが、移管後も、各省が内閣を助けて、企画立案、総合調整をやるということでございます。したがいまして、最終的に決定するのは常に内閣でございますけれども、それを助ける仕事という意味では、今の内閣府と同様、最終的に内閣が決める直前までのその役割を各省にちゃんと付与するということでございます。

小沢(鋭)委員 いや、ちょっとよくわからなかったんですが、内閣府も依然として関与するというようなお話でしたか。ちょっと、済みません。

山下政府参考人 大変失礼いたしました。そういう意図ではございません。

 先生御指摘のように、各省へ移管した場合にも、そのときに各省できちんと企画立案をして総合調整ができるようにいたしますということでございます。

小沢(鋭)委員 今、副長官補のところは、人員、スタッフ、大体何名くらいになっているんでしょうか。内政、外政、それからあと危機管理ですかね。危機管理はいいので、内政、外政のところだけ、ちょっと教えていただけますか。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣官房副長官補のもとにおります職員でございますが、副長官補の本室におります者で、内政、外政担当の副長官補のもとにおります者は、全体で本務者が四十九名、それから併任者が二百二名となっております。

小沢(鋭)委員 併任者というのは、普通どちらにいるんですか。

林政府参考人 併任者には二つのパターンがございまして、一つは常駐併任者、もう一つは非常駐の併任者でございます。

 常駐の併任者は、これは内閣官房に常駐しております。非常駐の者は、各省と併任がかかっておりますので、いわゆるその親元の省庁と併任という形でおりまして、親元の省庁にふだんはおりますが、与えられた職務のときには、内閣官房副長官補のもとに駆けつけて、その指示のもとで仕事をするというふうになっております。

小沢(鋭)委員 要は、恐らくそこがまさに政権の実務の中枢だ、こういうふうに私はずっと思っております。そうはいっても、組織上はその上に、副長官がまずあって、そして官房長官がいる、こういう形になるわけであります。

 そこで、お尋ねなんですが、我々が実は政権に関与したときにやりたいと思っていた話は、官房長官の仕事が、ある意味では余りにも集中し過ぎていて、それはざっくり分けると、いわゆる政策案件と、いわゆる人事を含めて事務案件と、二つに分かれるんじゃないか。そういう意味では、官房長官の名前はそのままでもいいんですけれども、いわゆる国家戦略的なそういう政策案件は、そういったところをまさにつくって二つに分けないと。

 今の菅長官は大変能力のある人だとは思いますけれども、とにかく余りにも案件が多くて、ここにいらっしゃる役所の皆さんもそうですけれども、何か事があれば全部官房長官のところへ飛び込むわけでしょう。

 ですから、そういった議論というのはあり得ないんでしょうか。どなたに聞いていいかよくわかりませんけれども、もし、大臣でも、個人的な見解でも結構です。

有村国務大臣 小沢先生にお答え申し上げます。

 冒頭から敬意を持って拝聴いたしておりますが、本当に含蓄のある御質問を続けていただいていると思っています。

 それでもまだ省益に走る人間もいるというのは私も痛感します。省益と国家国民益のベクトルの乖離を少しでも同じような方向性にしていくところに政治主導というものがあるのだと思います。

 そういう意味では、環境大臣として小沢大臣、私も野党筆頭として若げの至りで随分舌鋒鋭く質問をさせていただいたことを、数年前のことを思い出しますけれども、政務三役を活用されていたというその趣旨は本当に多としたいというふうに思っております。

 その中で、政治主導という中では、おのずから権限、権能が官房長官に集中をいたします。その事務的な処理という意味では副長官補室が本当に機能しているというふうに思いますけれども、内閣府に特命担当大臣を置き、そして重要政策に関して各部施策の統一を図るために必要である場合には、官房長官にかわって総理を助けるというふうにしてございます。

 そういう意味では、今回の内閣官房、内閣府の事務の一部を各省に移管すること、また、内閣官房、内閣府に限られている総理大臣を助ける役割をも各省に広げていくこと、こういう見直しをして、結果的に官房長官の負担軽減を図っていくということは、当然ながら国益にも資するというふうに考えておりますので、引き続きその趣旨は貫いてまいりたいと存じます。

小沢(鋭)委員 政務、事務、二つに分けるということに関して、賛成だ、反対だというのはなかなか言えない話でありますので、今の大臣の御答弁で了とさせていただきたいと思います。

 ということになりますと、いわゆる特命担当大臣というような形で官房長官のところに集中する話を分担していく、こういう話は私も十分あっていいと思っていますが、そうなってくると、大臣の設置の人数とか、これは内閣法第二条第二項というんですか、現行のまさに上限が決まっていますね。それに加えて、今回は附則という形でオリンピック・パラリンピックの担当大臣を、これは時期が確定というか先に見えるものですから、恐らく附則という形で改定してまさに今回任命されたわけでありますが、もうちょっとその辺はフレキシブルに考えたらどうか。

 今回のスリム化全体、スリム化の話は私は賛成ですよ。それはそれでいいんだけれども、これだけじゃ足りないので、もっと、先ほど来話も出ております、省庁再編から約十四、五年ですかたっておりますし、そういう全体像、大臣の数を変えていくとか、あるいはまた省庁の再々編も含めて考えるとか、そういった話は、自民党の去年の選挙公約では何かそういう提言があったやに承知していますが、政府の中ではそういう話はあるんでしょうか。

有村国務大臣 結論から申し上げれば、具体的な案はノーということでございます。

 委員御案内のとおり、省庁再編によって一府十二省庁とされたことに伴い、国務大臣は十四人を基本ということで、本当に、小沢先生から、上限を変更できるようにというふうに野党からおっしゃっていただくのは大変うれしい、勇気づけられることでございます。実際、そうもしたいだろうなと、総理もお考えだろうなと勝手にそんたくするわけでございますが、これに先んじての御質問では、大臣を少なくすべし、その意気込みやいかんという御質問もまた野党からいただいている状況でございますので、今のところは、やはり、法律を根拠に持つ次元で大臣をふやしていくということが、国民の、また現下の状況に鑑みても、適切なのではないかというふうに考えます。

小沢(鋭)委員 維新の党が具体的にどういうふうに言っているかというのはちょっと私も把握して言っていませんでして、個人的な意見として申し上げたんですが。だけれども、私が言ったのは、一概にふやせばいいという話ではなくて、フレキシブルにしたらどうでしょうか、こういう話を申し上げました。

 というのは、御案内のように、我が党は統治機構の改革というのを大きな旗印に掲げていて、その心は、やはり時代のニーズに合った組織に変えていくことが重要だ、こういう話が大もとなものですから、そういったところは、もう少し、かちっかちっと法律で全部定めなくてもいいんじゃないか、こういうふうに思います。

 もっと言いますと、省庁再編も含めて、これは私の個人的な見解だというふうには申し上げるんですが、それと同時に、日本アカデメイア、そこで長期ビジョン研究会の報告というのでありますけれども、省庁設置法があるので役所はそれに縛られちゃうんですね。だから、その省庁設置法を廃止しろとこれは昔から私は言っているんですが、そのくらい大胆な行革論というのをお考えになったらどうでしょうか。

山下政府参考人 現在、国務大臣をどれだけ置くか、それから、それぞれの大臣にどのような行政事務を分担管理させるかについては、国会による行政府の統制の観点から、直接に法律で定めるべき事項であると解されているところでございます。ただ、御指摘のように、いろいろ御議論があるところであろうとは存じます。

 ただ、この点に関連しまして一つ申しますと、各省設置法で各省それぞれの所掌事務を定めているわけでございますが、その中には、行政処分など、国民に直接行使する、国民の権利利益にかかわる事務も多く含まれているところでございます。

 これらにつきましては、国民に行使するその権限について、個別の法律、これは講学上は行政作用法といいますけれども、行政作用法の中でその権限者、責任者を明示するために、○○大臣はこの許可をするとか、そういうふうに規定されているところでございます。

 設置法をなくしてフレキシブルにするという場合には、こういう個別法の方の規定をどうするかというところにまで及ぶ話ではございまして、この辺まで含めて慎重に検討する必要があるかと考えております。

小沢(鋭)委員 大変難しい話だというのは私も承知しているんですけれども、ぜひ、そのくらい大胆な取り組みを政府が行っていただけることを、大臣、副大臣にも御提案を申し上げておきたいと思います。

 時間がもうありませんので、最後に一点だけ、具体的な話を聞きます。

 原子力規制組織等改革推進室の廃止という話が、今回、法律案件ではないんですが出ていますよね。これは私、本当に心配しておりまして、具体的に福島第一の話やなんかが全部終わっているんだったらいいんですけれども、終わっていないじゃないですか。

 具体的に何をやっていくかというのをフォローアップするところだというのはきのうも通告、レクのときに聞いたんですが、もともとこの話は、国会の委員会と政府の委員会で、福島第一のあの事故の原因に関して結論が一致していないんですよね。原因に関して結論が一致していないのに何をやるんだという話がそもそも論であるんだということを私はあらゆるところで言っているんです。

 そういう中で、これをもう廃止しちゃうという話は本当に大丈夫か、こう思っているんですが、廃止したら、その業務はどうなるんですか。もうやらないということになるんでしょうか。どこかに移管するんでしょうか。

中井政府参考人 お答えいたします。

 福島第一原子力発電所事故を初め原子炉の運転等に起因する事故の原因の究明につきましては、原子力規制組織等改革推進室ではなく、現在、原子力規制委員会本体が担当しておりまして、現在も規制委員会において継続的に取り組んでいるものと認識しております。

 今般、この原子力規制組織等改革推進室は規制委員会設置法附則の三年見直しの任務の終了に伴いまして廃止ということでございますが、廃止される際には、この任務といたしまして国会事故調の報告のフォロー等をやってきてございますが、こういう業務を適切に引き継ぐこととしてございます。適切にどの部署に引き継ぐかということについて、今後調整してまいるところでございます。

小沢(鋭)委員 えっ、まだ決まっていないんですか。

中井政府参考人 はい。適切な部署に引き継ぐということで、どこに引き継ぐかは、今後調整してまいるところでございます。

小沢(鋭)委員 大臣、ここはしっかり見ておいていただけませんでしょうか。やはりまだ福島第一の話は世界じゅうが心配している話だし、なおかつ、現にいろいろな状況が進行している話ですから、これをそのまま廃止しちゃう、どこかに引き継ぐ、その引き継ぐ先も決まっていないという話は、いや、これはちょっと驚きましたが、困ります。しっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十三分散会


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