第21号 平成27年9月2日(水曜日)
平成二十七年九月二日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 信治君
理事 秋元 司君 理事 亀岡 偉民君
理事 田村 憲久君 理事 谷川 弥一君
理事 中山 展宏君 理事 泉 健太君
理事 河野 正美君 理事 高木美智代君
青山 周平君 石崎 徹君
岩田 和親君 小田原 潔君
越智 隆雄君 大隈 和英君
大野敬太郎君 岡下 昌平君
加藤 寛治君 神谷 昇君
木内 均君 熊田 裕通君
佐々木 紀君 助田 重義君
武部 新君 寺田 稔君
長尾 敬君 平口 洋君
福田 達夫君 松本 洋平君
宮崎 政久君 若狭 勝君
緒方林太郎君 近藤 洋介君
佐々木隆博君 津村 啓介君
古本伸一郎君 山尾志桜里君
小沢 鋭仁君 高井 崇志君
升田世喜男君 輿水 恵一君
濱村 進君 池内さおり君
塩川 鉄也君
…………………………………
国務大臣
(経済財政政策担当) 甘利 明君
内閣府副大臣 西村 康稔君
内閣府大臣政務官 越智 隆雄君
内閣府大臣政務官 松本 洋平君
内閣府大臣政務官 小泉進次郎君
国土交通大臣政務官 鈴木 馨祐君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 向井 治紀君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 谷脇 康彦君
政府参考人
(内閣官房内閣人事局人事政策統括官) 三輪 和夫君
政府参考人
(人事院事務総局人材局長) 大下 政司君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 鳥巣 英司君
政府参考人
(消費者庁審議官) 吉井 巧君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 宮地 毅君
政府参考人
(総務省自治行政局公務員部長) 北崎 秀一君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 藤城 眞君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 福島 靖正君
政府参考人
(水産庁増殖推進部長) 長谷 成人君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 和田 浩一君
政府参考人
(国土交通省航空局安全部長) 島村 淳君
政府参考人
(国土交通省航空局交通管制部長) 石崎 仁志君
政府参考人
(環境省総合環境政策局環境保健部長) 北島 智子君
内閣委員会専門員 室井 純子君
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委員の異動
九月二日
辞任 補欠選任
池田 佳隆君 助田 重義君
加藤 寛治君 佐々木 紀君
武部 新君 福田 達夫君
ふくだ峰之君 大野敬太郎君
同日
辞任 補欠選任
大野敬太郎君 ふくだ峰之君
佐々木 紀君 加藤 寛治君
助田 重義君 熊田 裕通君
福田 達夫君 武部 新君
同日
辞任 補欠選任
熊田 裕通君 小田原 潔君
同日
辞任 補欠選任
小田原 潔君 池田 佳隆君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
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○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案の審査に資するため、去る八月二十六日に、十一名の委員が参加し、仙台空港の視察を行いました。
この際、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。
最初に、国土交通省から、仙台空港の概要及び震災復旧並びに空港経営改革の概要について説明を聴取しました。
続いて、管制塔、航空管制運航情報官運用室、消防庁舎等の空港施設を視察いたしました。
次に、空港内において、佐々木名取市長、菊地岩沼市長及び宮城県の関係者並びに国土交通省の関係者の方々と意見交換会を行いました。
その主な内容は、空港民営化に期待する効果、民間事業者と地元との協議の機会確保の必要性、空港周辺整備による交通渋滞の懸念、仙台空港特定運営事業等優先交渉権者選定基準の内容などでありました。
以上が、今回の視察の概要であります。
なお、最後に、視察に当たりまして御協力いただきました関係の皆様方に深く感謝の意を表しまして、御報告といたします。
―――――――――――――
○井上委員長 この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、内閣官房内閣審議官谷脇康彦君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官三輪和夫君、人事院事務総局人材局長大下政司君、内閣府大臣官房審議官鳥巣英司君、消費者庁審議官吉井巧君、総務省大臣官房審議官宮地毅君、総務省自治行政局公務員部長北崎秀一君、財務省大臣官房審議官藤城眞君、厚生労働省大臣官房審議官福島靖正君、水産庁増殖推進部長長谷成人君、国土交通省航空局航空ネットワーク部長和田浩一君、国土交通省航空局安全部長島村淳君、国土交通省航空局交通管制部長石崎仁志君、環境省総合環境政策局環境保健部長北島智子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○井上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山展宏君。
○中山(展)委員 おはようございます。自由民主党の中山展宏でございます。
ただいま井上委員長から御報告がありました仙台空港の視察に関しまして、地元の名取市そして岩沼市の市長を初め宮城県や空港の御関係の方々から貴重な御意見をいただき、私としても大変知見を広げることができました。この場をおかりしまして、改めて御礼を申し上げたいと存じます。
国が管理する空港は、今、二十八ございます。その中で、仙台空港が初めて公共施設等運営権方式、いわゆるコンセッション方式でのPFIによる空港運営を行おうとされております。
初めに、大臣にお伺いします。
安倍政権においてコンセッション方式を強力に展開していこうとする目的、このようなコンセッション方式による事業が進むことによって期待される具体的な効果をお尋ねしたいと思います。
○甘利国務大臣 厳しい財政状況下で効率的なインフラの運営であるとか民間投資の喚起による経済成長を実現するためには、インフラ運営に民間の資金であるとか創意工夫を取り入れていくということが重要でありまして、コンセッション事業の推進が必要であるというふうに考えております。
コンセッション事業が進むことによりまして、公共主体にとりましては、財政負担の軽減を図りつつ公共サービスを提供でき、財政の健全化に資するということ、そして利用者にとっては、民間の創意工夫を生かした良好なサービスを享受できるということ、そして地域経済にとりましては、新たな民間の事業機会の創出につながることといった効果が期待できるというふうに考えております。
特に仙台空港のコンセッション事業は、地元宮城県も震災復興の起爆剤と位置づけておりまして、仙台空港を利用して東北地方への訪問客を大幅に増加させるということにより、東北地方全体の活性化につながることが期待をされています。
そういった各方面での効果が期待できるというふうに思っております。
○中山(展)委員 ありがとうございます。
今度は、仙台空港にかかわるコンセッション、民間委託について少し深掘りをさせていただきたいと思います。
今回の視察の際に、空港が立地している地元の市長さんがこのようなことをおっしゃっておられました。仙台空港は国際空港である、拠点空港であるけれども、ホテル一つ周辺にはありません、当初、このPFIの話が出たときに、面的開発というか周辺地域の活性化を非常に期待しておったんですが、今回のPFI、コンセッションは空港施設にかかわる部分のみになって、少し何か限定的になってしまったんじゃないかという話をおっしゃっておられました。
また、鉄道、仙台駅と空港を結ぶ仙台空港アクセス鉄道、これは仙台駅から十七分で空港にアクセスをするということでありますが、例えば、これは市長がおっしゃっておられたのは、仙台駅にチェックインカウンターというか、チェックインができないかと。そこで荷物を渡して、受け取ってもらって、手ぶらで仙台駅周辺を観光したりとか、また違うところに足を延ばしたりすることもできるんじゃないかとかという、いわゆる、鉄道を有機的にどうやって連携していくかということも考えていただきたいというような話もございました。
また、保安区域内で幅広く買い物ができる、空港の保安区域内に航空券を持たない人でも入っていただいて、立ち入り可能にして、買い物していただきたいというような御要望もいただいておりました。これは海外の空港でもやっていることでございます。
こういった、いわゆる面的な開発というか、周辺の活性化も含めて、今回の民間事業者の選定に当たって、地元の皆さんが、先ほど大臣がおっしゃったように、旅客数を今の倍増、六百万人、そして貨物量も約八倍に当たる、今六千トンのものを五万トンまでしていきたいという御意向もあります。こういった意向に沿えるような民間事業者の選定がどのようにこの辺を考慮して行われるか、お伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
仙台空港の運営事業の実施方針におきましては、空港及び空港周辺地域の活性化を推進し、もって内外交流人口拡大等による東北地方の活性化を図ることを目的としております。
このため、空港運営権者の選定に当たっては、空港用地外の事業者との連携に関する提案を求め、当該提案が空港及び空港周辺地域の活性化への寄与が期待できるものとなっているかを審査することとしております。
さらに、空港運営権者に対しては、自治体などの地域の関係者から成る空港利用者の利便向上を目的とした法定協議会がございまして、こちらの委員になることを求めております。この協議会への参画を通じて、周辺地域を含めた空港活性化が図られるよう、国としても協力してまいりたいと考えております。
○中山(展)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
今度は採算性のお話を伺いたいと思うんですが、仙台空港の収支状況は、直近、今国土交通省さんから発表されている平成二十五年度は、航空系事業と非航空系事業の収支は、トータルで約十億の赤字でございます。
国がPFIを導入するに当たって、空港ごとに独立採算になろうかと思います。今までは、国が管理する二十八の空港を、羽田空港は黒字である、また地方の空港で赤字のところも含めて、全体で交通機能の重要なインフラとしてあまねく運営管理をすることができていたんだと思いますが、今後、独立採算にしていかれるということをどのように考えておられるか。そして、独立採算が本当に実現できるようにどのように考えていらっしゃるかをお伺いしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
先生御指摘のとおり、東日本震災前の平成二十二年度の空港別収支では、仙台空港は営業利益で、航空系事業について約十一億の赤字、それから非航空系事業については約三億の黒字ということでございます。滑走路とターミナルビル等を同一の空港運営主体が一体的に運営するとともに、民間の経営ノウハウを活用することによりまして、航空系及び非航空系収入の増加や費用の低減が図られると期待をしております。
例えば、仙台空港と同規模の空港で民営化の成功事例として、私ども、オーストラリアのゴールドコースト空港ですとか、イギリスのルートン空港を把握しております。両空港におきましては、一体的な民間経営によりまして、物販、飲食等の非航空系収入を原資として着陸料を引き下げ、航空会社の誘致また利用者数の拡大に成功しているところでございます。
実際に、仙台空港の運営事業には三グループから応募が寄せられているところでありまして、我が国においても、民間企業の創意工夫により、諸外国と同様の取り組みが実現可能であるというふうに考えてございます。
○中山(展)委員 ぜひ、海外の事例も含めて、独立採算がかなうように、本当に皆様の知恵を、民間の方の知恵を結集していただきたいと思います。
今度は、空港の安全、安心の確保についてお伺いをしたいと思います。
今回の視察で、空港敷地内の滑走路の脇にありました消防施設を拝見いたしました。一般道は走れないぐらいの大きな消防車も三台保有しておられて、それも見せていただきました。
仙台空港は幸いにして、昭和三十九年に公共用として開港以来、重大事故は発生していないと伺いましたが、万が一のときに備えて、消防と救助の消防自衛団ですか、自衛組織を持っていらっしゃいます。その自衛組織を構成されていらっしゃる方は専門の訓練を受けていらっしゃるため、九州・長崎の国土交通省の空港保安防災教育訓練センターで訓練を受けていると伺っております。
これから民間委託になって、非常にコスト的にも激しい競争をされるんだと思います。そういったときに、この安全、安心、ましてや空港での事故、大きな事故につながる可能性もあります。その初動の態勢、一番重要な初期消防であったり、初動の人命救助を民間の皆様にお願いすることになります。こういった体制を、安全、安心に直結する業務についてどのような適切な実施を行っていただくようにお考えか、お教えいただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
安全、安心、私どもも大変大事なことだと思っております。したがいまして、コンセッション事業者に対して、国際標準に基づく空港の保安基準を遵守していただく必要があるので、民活空港運営法に基づきます空港保安管理規程の策定を義務づけ、規程に従った空港管理を実施させることとしております。
また、業務実施状況を確実に把握するため、実施契約において、事業者みずからのセルフモニタリングを義務づけるとともに、国みずから空港管理の安全性について定期検査を行うこととしております。その結果、万が一空港管理の安全性に影響を与えるようなおそれがある場合には、民活空港運営法に基づき、空港保安管理規程の変更命令等を行うこととしております。
国としては、これらの措置を通じまして、コンセッション事業者による空港の安全な管理運営に万全を期すこととしております。
○中山(展)委員 ぜひ安全確保をお願いしたいと思います。
続きまして、内閣府の方にお尋ねをしたいんですが、今回の法律改正は、専門的ノウハウを有する公務員を退職派遣させる制度を創設するということであります。民間委託をするに当たって、コンセッション方式を採用するに当たって、公務員の方が退職をし、派遣をする、籍を移されるわけであります、一時的にも。この方法でなければいけないというその意義。
私は、例えば、退職をされなくても、公務員のお立場で民間の皆様のそばに寄り添いながらアドバイスをして、その習熟したスキルを伝えていく、継承していくという方法もあったんだと思いますが、転籍をして、退職出向されて、同じSPCの中の一員として公務員の方が一時的にされる、その意義についてお教えいただきたいと思います。
○鳥巣政府参考人 お答えいたします。
これまで国や地方公共団体が運営してきましたインフラにつきまして、民間事業者に十分なノウハウがない場合がございます。コンセッション事業を円滑に立ち上げるためには、公務員がこれまで現場で培ってきた専門的なノウハウを民間事業者に確実に継承することが必要でございます。
例えば、仙台空港のコンセッション事業におきましては、滑走路の維持管理に関しまして、公務員が有する専門的なノウハウをしっかりと継承するために、事業の初期段階においてそのような公務員を派遣してもらいたい、現場できちっとOJTのような形でしっかりと継承していただきたい、そういう民間事業者からの強いニーズがございます。
このため、事業の初期段階におきまして、公務員をコンセッション事業者に退職派遣し、専門的なノウハウを確実に継承するというこの方式が、コンセッション事業の成功に不可欠なものと考えてございます。
○中山(展)委員 ぜひ、同じ釜の飯をいただきながらOJTを進めていただきたいと思います。
ただ、その一方で、職員の方一人当たりの派遣期間は三年、最大三年と伺っておりますが、なかなかスキルの継承が進んでいかなかった場合、後任が続いて行くというか、三年間三年間で公務員の方が退職出向されるというようなシステムが既成事実化するという懸念もございます。
この辺の懸念についてどうお考えか、お教えください。
○鳥巣政府参考人 お答えいたします。
職員一人当たりの退職派遣期間は、内閣府令におきまして三年以内というふうに明確に限定することを予定しております。また、PFI法に基づきました基本方針におきまして、派遣期間を事業の初期段階に限定するということも明確にすることとしておりまして、仮に再派遣するという場合におきましても、派遣期間は最大で五年程度ということを想定しております。
いずれにせよ、先生の御懸念もございますので、事業の初期段階における専門的なノウハウの継承という本制度の趣旨を逸脱することのないように、厳格に運用してまいりたいと存じます。
○中山(展)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
最後の質問であります。
大臣、我が国の社会インフラは本当に急速に老朽化をするとかねがね大臣はおっしゃっておられます。確かに、高度成長期以降に整備したインフラが、今後二十年間で、建設後五十年以上となるものが加速度的にふえてまいります。二十年後の平成四十五年には、道路橋の約七割、トンネルの約半分、五割、河川管理施設の約六割強、そして港湾岸壁の約六割が五十年以上経過するということになります。
厳しい財政状況のもとでこうした状況に対応するには、民間の資金、ノウハウを活用して既存施設の運営そして維持管理を行うことができるコンセッション事業は有効な手段と私も考えておりますが、甘利大臣の御見解をぜひお願いいたします。
○甘利国務大臣 御指摘のとおり、我が国の厳しい財政状況であるとかあるいは人口減少社会の中で、今後、大量の更新需要の発生が予想されます公共インフラの維持更新を着実に行っていくというためには、民間の創意工夫や資金を最大限活用することが重要であります。
中でも、コンセッション事業につきましては、公共施設等の運営を幅広く民間に委ねる方式でありまして、料金の設定や徴収、新技術、材料の採用等について民間の経営裁量を大幅に認めることが可能となりまして、その積極的な活用が重要であります。
内閣府といたしましても、今後とも、関係省庁と連携をしながら、コンセッション事業の積極的な活用の推進を図ってまいりたいと考えております。
○中山(展)委員 大臣の力強いお言葉をいただきまして、ありがとうございました。
最後になりますけれども、コンセッション方式、これは立地競争、地域間競争にもなります。仙台空港を皮切りに空港がこれからコンセッション方式を採用する場合に、機会の均等というか、競争は同じ条件でしていただいた方がいいと思います。ぜひ早目に空港のコンセッション方式の採用をほかの空港にも波及していただきたいと思います。
そして、きょうから、新国立競技場、設計、施工の公募になります。こういった国民的に非常に関心のある、資金調達の方法であったりとかということもございますから、ぜひPFIの手法を御検討いただきたいとお願い申し上げて、私からの質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○井上委員長 次に、濱村進君。
○濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。
本日は、PFI法改正案について御質問させていただきます。
私も仙台空港に視察に行かせていただきました。名取市長、そして岩沼市長、宮城県の皆様と意見交換する中で、非常に強く感じたのは、地元の産業振興のためにどれほど役立つのか、あるいは雇用をしっかりと確保していく、こういったところにも非常に期待をされているというところでございました。
空港の事業自体をPFIで民間運営委託していくということ自体、非常に可能性があるというふうに思っているところでございますが、実は、各空港、非常に収支の面では苦戦をしているというのも事実でございます。
各空港の事業収益について見てみますと、経常損益あるいはEBITDAを拝見いたしますと、非常にしんどい状況が確認できるというわけでございますが、航空系事業についてはほとんど赤字だ、こういう状況でございます。それを非航空系事業で賄ってトータルで黒にしていくというような、これがPFI事業を空港において導入するということのメリットではないかというふうには思うところでございます。
今、非航空系事業と私申し上げましたが、この非航空系事業、一体どういった事業が含まれるのか、確認をしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
非航空系事業とは、飲食、物販事業、それから不動産賃貸事業等を行っています空港ターミナルビル事業ですとか、空港用地内にあります駐車場事業のことを指しております。
なお、委員御指摘のとおり、多くの国管理空港においては、滑走路等の航空系事業については赤字、非航空系事業については黒字となっているところでございます。
○濱村委員 今、ターミナルビルの運営については、飲食あるいは物販でしっかりと収益を出していく、あるいは不動産事業、テナントとして貸し出しますよというような形で収益を上げる。あるいは、オーストラリアの事例とかでも、不動産収入であったりとかあるいは駐車場収入もしっかりと収益源となるということで御案内をいただいたわけでございます。
国内に目を向けてみますと、私は兵庫県でございますが、関西国際空港あるいは伊丹空港についてもコンセッション事業を展開しておるというところでございますので、これは一体的に管理しているわけでございますけれども、この収益についてはどのように評価されておられるのか、確認をしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
関西国際空港及び大阪国際空港については、平成二十四年七月に、新関西国際空港株式会社のもと経営統合が実現し、コンセッションによる運営委託を目指して事業価値の向上に努めてまいりました。
平成二十六年度、最新の決算では、特に外国人旅行者の増加等を背景に、新関空会社の航空系事業、非航空系事業を合わせた営業利益は、対前年度比百十七億円の増加、四百四十三億円となっておりまして、過去最高の利益でございます。
現在、新関空会社においては、コンセッションの実施のため、第二次審査に向けて、第一次審査通過者と対話等を行っているところでございます。十二月ごろのコンセッション実施契約の締結、それから、今年度中のコンセッションによる事業移管のため、引き続き国交省としても、関係者との調整を後押ししてまいる所存でございます。
○濱村委員 ありがとうございます。
この過去最高というのが、国を挙げて外国人観光客をしっかりと呼び込むということの取り組みの結果得られたものであるのか、あるいはまた、コンセッションをしたことによって得られた収益であるのか、これは判別が明確にできるわけではありませんが、いずれにしても、両方あると思うんです。そうした取り組みをしながら、しっかりと知恵そして工夫、これで収益を上げていくということができているわけでございますので、このコンセッション方式というのはしっかりと進めていっていただきたいということをまず申し上げておきたいというふうに思う次第でございます。
その上で、これは民間に運営委託をしていくということになったとしても、先ほど中山理事からの質問の中にもありました、安全性の確保あるいは防災対策ということはきっちりと、しっかりとやっていかなければいけませんし、レベルの維持が当然求められるわけでございます。
仙台空港でも、初期防災というか消防というか、そうした分野についても民間委託されるということになるわけでございますが、二分で人命救助をする、万が一事故が起きたとき、飛行機の機体は最悪諦めたとしても、全員の人命を救うんだということで、非常に高い専門能力が求められるというわけでございますけれども、このレベルの維持がしっかりなされるであろうかどうかということを審査していかなければいけないというふうに思うわけでございます。
このレベルの維持についてどのように審査される見込みでいらっしゃるのか、国交省に確認したいと思います。
○和田政府参考人 お答えいたします。
コンセッション事業者に対し、国際標準に基づく空港の保安基準を遵守させるため、民活空港運営法に基づき、空港保安管理規程の策定を義務づけ、規程に従った空港管理を実施させることとしております。
また、業務実施状況を確実に把握するため、実施契約において、事業者みずからのセルフモニタリングを義務づけるとともに、国みずから空港管理の安全性についての定期検査を行うこととしております。その結果、万が一空港管理の安全性に影響を与えるようなおそれがある場合には、民活空港運営法に基づき、空港保安管理規程の変更命令等を行うこととしております。
国としては、これらの措置を通じて、コンセッション事業者による空港の安全な管理運営に万全を期すこととしております。
○濱村委員 空港保安規程というものに従ってしっかりと定期検査等あるいはセルフモニタリング等を行っていただきながら、その審査基準をしっかりと維持していくということでございました。こうした取り組みをしながら、安全面もしっかりとやりつつ、その上で、収益性のよい事業者を選定していくということであるというふうに思います。
この収益性があるかどうかというところについては、非常にまだまだ議論の余地があるのではないかというふうに私は思っております。
まず、今、先ほど空港のターミナルビルの収益、物販であるとか飲食であるとか、賃貸あるいは不動産収入、そして駐車場収入というようなことが挙げられましたが、それ以外に何かないんでしたっけということもしっかりと議論をしていっていただきたいと私は思っておりまして、その一つ、ちょっとこれは可能性があるんじゃないかなというふうに思うのが保税地域の活用でございます。
保税地域、これは制度がずっとこれまでもあるわけで、財務省さんが管轄されて、しっかり運営されているわけでございますけれども、ここをしっかり活用していきたいというふうに考えております。
今、五種類の保税地域の指定とかというのがあるんですが、関税あるいは消費税を納めなくてもよいうちに、外国貨物をしっかりと、国内で積みおろしをしたり、そしてまた運搬、蔵置あるいは加工とか製造とか、こうしたことも空港に隣接させた状況の中で行うことができるというわけでございますが、それにより期待できる効果と、この制度を運営するに当たって気をつけなければいけない点とはどういう点であるのか、財務省に確認したいと思います。
○藤城政府参考人 お答えいたします。
保税地域とは、外国貨物、すなわち外国から到着をした貨物で輸入許可前のもの、または輸出の許可を受け、これから外国へ輸出する貨物を置くことができる場所として税関長が許可をした場所のことでございます。
保税地域に置いている間は、関税、消費税などを納付することなく、一定期間、貨物を蔵置することが可能となります。また、そこで外国貨物の加工、製造、展示などを行いましても、貨物を再輸出すれば関税、消費税などの納付を要しないことから、商取引の円滑化や貿易の振興というものに寄与するというふうに考えております。
他方で、留意点でございますが、不正薬物を隠匿した貨物がございましたり、あるいは、関税等の支払いが済んでいない外国貨物が国内に流入したり、そういうことがあってはいけませんので、保税地域における適正な貨物管理に努める必要があるというふうに考えております。
○濱村委員 今、保税地域は税関長が認めるということでございましたけれども、輸入をしっかりと促進していき、そこに産業集積しながら活性化をし、そしてまた物流の円滑化、こうしたものを促進していくというものでございますが、一方で、そこに紛れ込ませて薬物が取引されてみたりとか、あるいは、課税前のものが市場に出回るようなことがないようにということで、荷物のしっかりとした管理というものが必要であるということでございます。
これは恐らく、これまでほとんど大きな事件等もなかったわけであるかと思いますので、管理レベルが非常に高いんだというふうには思うわけでございますが、この保税地域自体、日本においてどれだけ活用されているのか。これはせっかくのいい制度なので、私は、仙台空港で活用されるかどうか、これもまた一つの論点として御検討いただければなというようなことも考えたりもしますけれども、これはどんどん、日本の産業全体においてもメリットがあることなのではないかというふうに思うわけでございます。
保税地域の指定について、現状、どのような活用状況であるのか、この点、確認をしたいと思います。
○藤城政府参考人 お答えいたします。
保税地域にはいろいろなものがございまして、五種類ございますが、例えば、保税工場などですと、民間企業の工場におきまして、外国から到着をした貨物で輸入許可前のものを加工したり、あるいは、これを原料として製品を製造することができる場所として税関長が許可した場所のことでございます。保税工場制度を活用して加工、製造している主な製品としては、例えば、加工食品、石油製品、自動車部品などがございます。
十年前の平成十七年と比較をいたしますと、保税地域全体では、五千七百八十六地域が五千二百三十六地域と減少しておりまして、また、今申し上げました保税工場におきましても、四百一工場が二百七十八工場ということで、全体としては減少傾向にあるというふうに認識しております。
○濱村委員 今ありましたとおり、保税地域自体、指定されているものが減っているということ、そしてまた、保税工場についても四百一から二百七十八に減っているということでございました。
そういう意味においては、非常にこれを活用し切れていない可能性があるのではないかというふうに思うわけでございますが、これは、現状は減っているというのが、それを活用しなくてもビジネスとしてしっかり回っているということであればいいわけでございますが、なかなか、日本というのは、原料が国内にあるわけでもございません。そういう意味においては、輸入をしっかり活用していくということは、ずっとずっと日本の国を経済的に支えるためには必要な観点であるというふうに思うわけでございます。
その上で、この保税工場、先ほど審議官からも御説明いただきましたけれども、部品の組み立て、自動車であったりとか、石油化学工業系の製品であったりとか、こういったものの製造もあるわけでございますけれども、一方で、例えば食品の加工についてもあるわけでございます。
食品加工というものでいえば、例えば缶詰みたいなものというのは容易に想像できるわけでございますけれども、昨今非常に活発化しているということであれば、医療用の食品についても、日本は非常に高い品質を持っているというわけでございます。この医療用の食品、冷凍食品にはなるわけでございますが、こうしたものを、食品の原材料を輸入してきて、それを空港の近くにある保税工場で加工をします、その加工をしたものを、日本国内でもいいんですけれども、海外に輸出するということは、日本の非常に高いレベル、品質を持った医療用食品が海外に展開できるということで、非常に強い強い産業になるのではないかというふうに考えるわけでございます。
こうした観点からも、ぜひ保税地域というものを活用していっていただきたいということを私は一言申し上げたいというふうに思いました。
全体を通しまして、私、もうあと残り、質問を特に考えておりませんので、つらつらしゃべるだけでございます。
入札のときに、しっかりとRFPを、事業者の提案内容がどういったものであるのか、あるいは、それを審査する側の目というものをしっかりと鍛えなければいけないんじゃないかというふうに思うわけでございます。収益事業自体がいいプランである、あるいは、これはちょっと現実性がないよねというようなプランである、こうした判断ができるかどうかというのも、これから日本を成長させていくためには非常に重要な観点でございまして、それを鍛えていくということ自体がPFI事業の活発化につながるというふうに思うわけでございます。
いずれにいたしましても、ぜひ国としても、RFPや審査基準、ここの見きわめる力ということを底上げできる、そうした環境整備を行っていただきたいということをお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、泉健太君。
○泉委員 民主党の泉健太です。
私も仙台空港の視察に行かせていただきまして、地元の首長さん、そして空港関係者に大変お世話になりました。ありがとうございました。また、この視察を御了承いただいた委員長、大変ありがとうございました。
さて、質問に入らせていただきます。
まずは、このPFI法案というのは、これまでも累次改正を進められてきたところであります。民主党も当然これまでも、このPFIの流れについては、活用すべきところは活用するべきだという姿勢で臨んでまいりましたし、特に、政権を担っていたときにはPFI推進委員会というものもつくりまして、平成三十二年までに十兆円規模にふやしていくという流れを我々自身も了として進めてきたところであります。
自民党政権というか今の政権が平成三十四年までに十二兆規模というところですから、流れとしては同じぐらいの規模を想定しながらこのPFIを推進していこうということであろうかというふうに思います。
そういった中で、幾つか確認もさせていただきたいわけですけれども、ちょっと質問の通告の中に入っていないことかもしれませんが、基礎的なことでありますので、確認をさせていただけたらというふうにも思っております。
平成二十三年の法改正のときに、そもそも、さまざまな事業者に対してのノウハウの移転というのは長期出張等々で可能ではないかということで、余り議論もされてこなかったという経緯もあります。それが、今回、事業者側からの、民間側からの要望が強かったということではあるとは思うんですが、長期出張というレベルではなく、退職手当の整備という法改正にまで至らなければいけないという形での、移籍というか、一度退職をしていただいて、もう一度職場復帰をしていただくというような手続をなぜあえてとらなければいけないのか。
繰り返しになりますが、長期出張という形でも十分対応が可能ではないかというふうにも考えるわけですが、改めて、長期出張では対応できない何かがあるのか、それとも、そういうことではないけれども、民間から本格的に転籍をしていただきたいという要望があったからということの今回の法案提出なのかということを冒頭お伺いしたいと思います。
○鳥巣政府参考人 お答えします。
先生おっしゃるように、コンセッション事業者の立ち上げについて、どのように人的な支援をするかということにつきましては、さまざまなものがございます。したがいまして、二十三年の改正のときにはさまざまな対応ができるような規定ぶりをしていただいたところと我々理解をしております。
ただ、事業によりまして、どの程度密に、要するに、どういうやり方で公務員が培ってきた現場感覚でありますとかノウハウみたいなものを継承していくのかというのは、非常にケース・バイ・ケースで個別性の高いものだろう。特に、今回は、滑走路面の傷みぐあいですとかあるいは航空灯火という飛行機の航行の安全に極めて重大な施設が、非常に詳細で複雑な基準にきちんと適合しているかといった、国家公務員が長い間現場で、現場のOJTのような形で習得してきたノウハウ、知識経験を確実に移転したいという、それでコンセッション事業を円滑にかつ安全に立ち上げたいという民間事業者の強い希望がございました。
我々としては、仙台空港が国管理空港でコンセッション事業を使う最初のケースでございまして、今後の模範となるものでございますから、万全を期すという意味で、事業者の希望も踏まえまして、このような形で、実際に現場に事業者の職員として勤務をしていただいて、相手方の職員につぶさに現場で手をとり足をとりという形でノウハウ、知識経験を継承する形をとらせていただきたいというふうに考えた次第でございます。
○泉委員 細かな確認ですが、今、たしか三つの事業者が、まだ決まっていないんですよね、残っておられるということで、当初五つでしたか、その皆様全てがそういうことを望まれたということでよろしいんでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
全ての候補者の方からそのような御要望がございました。
○泉委員 ありがとうございます。
さて、国交委員会の方では、民活空港運営法というのが平成二十五年に制定をされました。今後の個々の空港の民営化、民活化ということが進んでいくんだと思うんですが、これは、国管理空港は国、そして県管理空港は県の判断に委ねられるということでよいのか、それとも、何か総合的に民活化を進めるような会議体というか組織体ができて、そこがどんどん進めていくような感じになるのか、ちょっと状況を教えてください。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
平成二十五年に成立、施行された民活空港運営法は、滑走路とターミナルビル等を同一の空港運営主体が一体的に経営することにより、空港運営の効率化を図ることを目的としております。このため、同法は、より地域の実情に即した空港運営が実現できるよう、地域の御判断により、選択肢の一つとして、いわゆるコンセッション方式による空港運営の民間委託を可能としたものでございます。
国としては、全ての空港において運営等の効率化が図られるべきとの考え方を基本としております。ただ、具体的にどのような手法をとるかは個々の空港の設置管理者の判断となると考えております。
したがいまして、県管理空港については県の御判断によることとなります。また、国管理空港につきましては、国が空港を抱える地域の実情を踏まえ、地域とよく御相談をさせていただきながら検討を進めているところでございます。
○泉委員 国としてですけれども、空港民活化、これを、今百弱ぐらいの空港がある中で、どの程度進むもの、あるいは進めるべきものというふうに想定していると言えますでしょうか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
現在、関西空港、伊丹空港につきましては、同空港を管理する新関空会社によりコンセッションの手続が進められております。
また、国管理空港につきましては、仙台空港が第一号案件として進んでおり、高松空港や福岡空港においても民間委託についての検討を地元の御意向を踏まえながら進めているところでございます。
また、地方管理空港につきましても、既に兵庫県の但馬空港においては運営権を設定した上下一体運営が実現しているほか、静岡空港や旭川空港等においても民活化の検討が進められていると承知をしております。
政府においても、集中強化期間の二〇一六年度末までに空港関係で六件のコンセッション方式の活用を目標としていることを踏まえ、これらの空港に係る自治体等関係者との協議を進めているところでございます。
空港民活化により滑走路とターミナルビル等を同一の空港運営主体が一体的に運営され、空港運営の効率化が図られるとともに、より地域の実情に即した空港運営活性化が実現するものと期待をしております。
○泉委員 今ちょうど但馬空港の話が出ましたので、こちらの方は公務員の派遣みたいなことというのは行われているんでしょうか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
但馬空港では公務員の派遣は行われていないというふうに承知をしております。
○泉委員 通告をしていないのでわかればなんですが、公務員の派遣が行われていない但馬空港は、航空系と非航空系の運営の一体化が図られて一月一日から運営されていて、滑走路ですとかあるいは消防ですとかは公務員の派遣がない状態で運営されているという理解でよろしいですか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
済みません、詳細についてはちょっと、手元に資料がございませんが、そのような一体的な運営委託がされているというふうに承知をしております。
○泉委員 後ほど仙台空港の具体的な話についても触れたいと思うんですが、今前段でおっしゃっていた御答弁ですと、やはり公務員の派遣というのが、こういう大変重要な空港の機能の維持ということであるからして、派遣が大事だ、長期出張ではない、それ以上の派遣も求められているということであるんですが、実際に但馬空港では、公務員の派遣がない形で滑走路の維持ですとか消防が行われているということを我々はどう踏まえればよいのかなという疑問は今感じているところであります。
さて、引き続き進みますけれども、平成二十七年六月三十日閣議決定の中で、経済財政運営と改革の基本方針二〇一五というのがございます。この中でもPFI、PPPの記述がありまして、「通常の公共施設整備・運営とのイコールフッティングを徹底する」ということが書かれております。
通常の公共施設整備、運営とのイコールフッティングを徹底するということの意味、これを教えていただけますでしょうか。
○甘利国務大臣 御指摘の、通常の公共施設整備、運営とのイコールフッティングにつきましては、PPP、PFIの活用を推進するために、公共施設の整備等に当たってPPP、PFI手法を用いた場合に、そうでない場合と比べて不利にならないよう、補助金や地方財政措置等に関して同等の措置がなされるということを意味するものであります。
一方で、コンセッション事業に移行することによりまして派遣をされることとなる公務員が待遇あるいは人事体制の面で不当な不利益をこうむることのないように、本制度による派遣に当たっては、まず本人の同意を前提とすること、それから派遣先の給与は派遣元の水準を基本とすることといたしておりまして、これらを適切に運用してまいりたいと考えております。
○泉委員 先ほどもオーストラリアの空港での成功事例があるというお話がございましたので、私の方からこの質問は飛ばさせていただきますけれども、視察をした仙台空港のことについて、特に安全面について確認をさせていただきたいと思います。
今回民間が担う予定の業務に、駐機スポットの運営、航空灯火、そして滑走路の管理等があるわけですね。きょうお配りをしている資料というのは、そのことに関しての空港における安全に関する情報の報告制度というのが平成二十六年からスタートをしておりまして、これら業務に関して、お話を伺うと、どうやら三段階のような感じで、重大インシデントというのが最も大きい事故等々、事故というか事象ですね。そして、重大インシデントについては仙台空港ではないというふうに伺っているんですが、この表に数字が並んでいます。
「空港内制限区域の事故や誘導路の破損、航空灯火等の故障などの発生件数」というのは、これは全国の空港の合算のデータですけれども、例えば、飛行機とそこに接続するタラップですとかあるいは他の車両が接触をして事故に至るケースや、進入してはいけない区域あるいは道路に誤って進入をしてしまうケースですとか、あるいは、台風の影響だとかということもあり電気施設等々が停電状態になったりというようなことですとか、そして、当然ながら、人が何か機材にぶつかって、あるいは機器から転落をしてけがをしてしまうケースですとか、そういったものがさまざま報告がなされているというふうに考えております。
そして、その下に「VOICES」というのが書かれておりますが、より細かな、こういった発生件数には上がらないけれどもヒヤリ・ハットという情報が寄せられているということでありますけれども、件数的に最も多いのは、この真ん中の数字で示されているデータの件数であります。
そういった危険も伴うというか、さまざまな重大な事故につながるかもしれない故障というものは現在でもあり得るということを考えると、こういったものは、やはり非常に丁寧にノウハウを伝授し、そして件数を減らしていくという努力をしていかなくてはいけません。
そういったところの中で、先ほどからお話が一つ出ていますのは、消火救難機能というものであります。航空機事故対応等の消火救難機能、私たちも実際に、消防車、そして、大きな、トリアージ等々もできる、大量の旅客を同時に手当てできるような資機材を積んだものも拝見をさせていただきましたけれども、こちらの方がちょっとよくわからないのは、現在の仙台空港は全て公務員がされているということなのか、それとも航空保安協会がされているということなのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。
○島村政府参考人 お答えいたします。
お尋ねの仙台空港における消火救難体制でございますけれども、まず、自治体消防機関との連携体制の構築や緊急時の現場での指揮命令を行うために国の職員が四名、また、緊急時に実際に消防車両等による消火救難活動を行うために委託先の民間職員が十八名の、計二十二名が配置されております。
○泉委員 支障がなければ、その民間というのはどちらになるか、教えていただけますか。
○島村政府参考人 仙台空港におきましては、航空保安協会と承知しております。
○泉委員 この辺が、現地に行って短時間で受けた説明ですのでなかなかわかりにくかったんですが、その航空保安協会、こちらの方が、今全体二十二名のうち十八名が既に航空保安協会の方々が業務に当たられているということで、国からは四名ということであります。その航空保安協会の業務の実施空港というのをホームページからダウンロードしますと、相当な数、二十以上の空港で既に業務を実施されている実績のある民間ということになるんだと思います。
そういった意味では、我々、現地では全国の空港の消防機能はこれまでみんな公務員がやっていたんだというようなイメージを少し抱いていたわけですが、既に、国派遣の方は各空港におられるのかもしれませんが、民間の方々が相当この消防業務に当たられているということなのかなと思っております。
それが、今回新しく仙台空港に民間事業者が一体経営として入られた場合に、どんな体制になるんでしょうか。
○島村政府参考人 移行後の実際の運営形態というのは運営権者との調整によるものかと思いますけれども、ここの中で議論されている関係におきましては、国の職員四名というのが消火救難作業の指揮命令それから地元自治体との連絡調整などをやるという業務を今担っておりますので、その部分については引き続き何らかの手当てが必要だろうというふうに認識をしておるところでございます。
○泉委員 その指揮命令や地元の消防との調整というのは、一定派遣期間が終わったら完全に民間に移る、しかし、それまでの間、公務員が転籍をしてこの業務を担うということでよろしいんでしょうか。
○島村政府参考人 お答えいたします。
基本的には先生のおっしゃるとおりかと思いますけれども、最終的にその職員が運営権者の方に移るのかどうか、このあたりは個人の判断に委ねられることと思います。
○泉委員 既に航空保安協会でさまざまな形でお仕事も受けられているということの中に、さらに新たな事業者が入っていく。これは、成田ですとか関空ですとか中部も既に民間の消防ということになるんだと思います。
しかしながら、先ほどの数字のデータをお示しした中でも、消防に関する支障を及ぼす事態というか、そういったものが幾つかあるのは事実であります。実際に、車両の点検中に転落をしたというケースだったり、消火の訓練をしようと思ったら放水ができなかったとか、そういった幾つかの事例が報告をされているところでありまして、そういったものも安全面の中でやはり落ちないようにということを徹底しなければいけません。
その意味で、消火救難の業務に携わる方々は全国的にどのように資質、能力のレベルの維持を図っておられるのか、研修がどのようになっているのかを教えてください。
○島村政府参考人 お答えいたします。
国においては、航空事故の発生時の消火救難活動に必要な技能の確保と向上を図るために、現在、長崎空港の隣接地に空港保安防災教育訓練センターという名の施設を設置しております。その施設において、国及び空港管理を行う地方自治体及び民間委託先などの職員に対し、先ほど申し上げました指揮指令活動や消火救助活動に関する研修を実施しておるところでございます。
○泉委員 ぜひそういった研修は今後も徹底をしていただきたいというふうに思いますが、せっかくこういった形で民間への一体的な運営を、コンセッション契約をしていくということでありますので、ずっと公務員がいなければいけないというような状況をつくらないということが大事だろうというふうに思いますので、自治体との調整あるいは指揮命令ということについても、それぞれの事業者が自前でその能力を確保できるよう、このセンターでの教育をしっかりしていただきたいというふうに思っております。
また、先ほどの長期出張ですとかの関係とは多少重なるところはあるかもしれないんですが、きょうお持ちをした資料の中での発生件数、この幾つかの事例を見ますと、それが公務員なのか民間事業者なのかはよくわからないんですが、本拠地空港と出張先の空港での手順の違い、例えば、ここで書かれているのは、トーイング手順の違いから整備士がその許可をとることを失念してしまったというケースですとか、前勤務地と同様の手順と勘違いし、牽引車の運転手が許可を受けたものと思い込んだとか、やはり空港空港によって手順が違って、それが事故に至るということがあるようであります。こういったことについても特に気をつけていただかなければいけないというふうに思います。
特に、これは公務員の側の方が、もしそういった出張ですとか転勤、そういったものがある場合には、その一つの空港だけを任された民間事業者以上にそういったさまざまな誤りというのが起こり得る可能性もあるでしょうし、例えば、航空保安協会がいい悪いという話じゃありませんが、大きな事業者が幾つもの空港の業務を受けるとそういったことに陥りかねないということはあろうかと思います。それぞれの空港の特性をしっかり学ぶ場というものも十二分に確保していただきたいということも重ねてお願いをしたいと思います。
さて、仙台空港では管制塔からも空港全体を見学させていただきましたが、その中で、仙台空港には滑走路が二つ、A滑走路、B滑走路があるということでありました。B滑走路は主に利用されている滑走路なんですが、A滑走路は滑走路全体の利用の二%しか利用されていないというふうに伺いました。
そういったことでいいますと、民間事業者が普通に経営をするという観点からいえば、九八%使っているB滑走路、そしてA滑走路は二%しか利用していない、民間事業者が幾つかございますが、全体の二%しか利用していない、しかし、滑走路そのものの機能は、二%だからといってその維持管理の手を抜いていいというわけではありませんので、恐らく経費をかけて管理をし続けているということになります。
そういった意味では、A滑走路の管理費と発着料収入ということでいえば赤字部門ということが言えると思うんですが、今後もこのA滑走路は存続するのか、もし仮に契約の中でA滑走路の存続が義務づけられているということであるとしたら、それは長期の契約の間ずっとそこに縛られるということになるのか、もう一度確認をしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
仙台空港のA滑走路でございますけれども、航空機使用事業者、それから行政機関等の保有する小型機や回転翼、ヘリコプターの離発着に利用をされております。御指摘のとおり、利用実績は、仙台空港の全体の約二・八%でございます。
これについては、東日本大震災からの復旧の際にA滑走路の存続について検討がなされたという経緯がございます。これにつきましては、航空事業者や宮城県からの御要望もありまして、維持をすることというふうになりました。
したがいまして、今回の運営委託に当たりましては、A滑走路を含めた現在の空港用地の全体を民間にお任せするということにしておりまして、民間の経営ノウハウによりましてA滑走路がさらに活用されるようになるといいなというふうに我々は考えているところでございます。
しかしながら、仮に運営権者が不採算を理由にA滑走路の廃止を希望した場合でございますけれども、これは、運営権者みずからの判断でおやめになるということができません。一般論でお答えをしますけれども、運営権者が空港用地内の基本施設の利活用について御提案をするような場合につきましては、地域や関係者とよく御協議をまずしていただきまして、その上で、最終的には設置管理者である国と御協議をいただきたいというふうに思っております。
○泉委員 ということですね。このA滑走路については、もし何か変更していきたいということがあれば、廃止をしたいということが伴えば、国との協議が必要だということであります。
さらに、これもちょっと質問の通告には入っていないんですが、そういった制約という意味での確認なんですが、海外でも採用されているようないわゆるプライスキャップ制というものは今回の中に含まれているんでしょうか。離発着料ですとかに一定の、誤りがないようにというか、制限をかけていくということでありますが、その確認をしたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
今回の運営委託に関しましては、プライスキャップという制度は取り入れてございません。
○泉委員 はい、わかりました。
もう時間もなくなってきましたので少し省きますけれども、今回の民営化で百三十五人の定員のうち何人が削減されるのかということを改めて確認したいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
今回の運営委託に当たりまして、まず国に残る業務というのがございます。これが、航空交通管制業務、それから、仙台空港事務所の今処理している業務ではありますが、近隣の空港の管理等を行っている業務、こちらの方も残ります。それらを除いた、いわゆる場面管理、それから土木施設や航空灯火の維持管理、保安防災、環境対策、こちらが民間委託をされることとなり、これに係る二十七年度の定員というのは今十二名ということになります。このうち何人の方が運営権者の方に行くかというのは、こちらは最終的には運営権者の御判断になると思います。
それから、済みません、先ほどの但馬空港の件でございますが、ちょっとわかったことをお答えいたします。
但馬空港の場合には、兵庫県が設置管理者でございますけれども、ターミナルビル会社に職員を派遣しております。その場合に、地方公務員の派遣等に関する法律というのがございまして、こちらに基づいて派遣をされているというふうになってございます。
○泉委員 ありがとうございました。
今後のPFI、PPPの推進ということについては、特に安全面ですとか運営の安定性ということは配慮をしながら、しかし、やはり民間の手法をしっかりと踏まえてその施設なりが活性化をしていくことをお祈りして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、古本伸一郎君。
○古本委員 おはようございます。民主党の古本でございます。
大臣、役職員の皆さん、連日お疲れさまでございます。
まず、甘利大臣、飛行場をよく利用されると思うんですけれども、こういうサービスがあったらいいなと思っているのを、ちょっと一つ二つ、いかがでしょうか。
○甘利国務大臣 閣僚になってからは強制的に別ルートであちこち運ばれるんですが、控室で、好きなあめがありまして、それをあるだけ全部ポケットに入れて出ることをしておりましたら、航空会社の人が、私が座ると袋に入ったのを別に一個持ってくるようになりまして、ありがたいサービスだと思っております。
○古本委員 大臣の御答弁の中に解があると思うんですね。
やはり、飛行場というのは食事をしたりお茶を飲んだりするわけなんですけれども、率直に言って、巷間言われている何とかランキングにトップテン入りするようなおいしいレストラン、食堂は余り見当たりませんね。当たったことがない。
あと、国際線、国内線によって違うんでしょうけれども、やはりお土産は買いますね。新鮮な海産物や、海のもの、山のもの、地のものを売っているお土産屋さんが入っているならば、飛行場までえっちらこっちらぶら下げて買っていかなくても、その場で、最後の飛行場で買える、すごくあったらいいなと思います。
そして、最後が、先生方はお迎えの車が来ているかもしれませんが、役職員の皆さんなら大体レンタカーを借りて次に、フライ・アンド・ドライブということになると思うんですけれども、とても遠いんですね。
多分、飛行場内の保安区域がなかなかそういうことで貸していただけない等々の理由があるのかもしれませんが、やはり食べるところ、お土産、そして、飛んでいってレンタカーを借りて自分で移動する、こういうのが民の感覚からすごく、改善されるとすてきな飛行場になるんだろうなと期待をするんです。
今、業者にいろいろと案を出させていると伺っていますけれども、今申し上げたような観点は入っているんでしょうか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
使いやすい空港を実現し、空港利用者の利便性の向上を図るためには、飲食店、物販店、それからアクセス等につきまして総合的に取り組むことが重要だというふうに考えております。
今、三つの案を審査しているところでございますが、それぞれいろいろな形で今申し上げたような点について御提案をいただいているところでございます。
○古本委員 決定するときは、最終的に入札の価格で決めるんですか。それとも、A社、B社、たとえ高い方の価格提示を、国にとって割損なコストを提示したメーカーであっても、中身が非常に魅力的であればそちらが選ばれることもあるんですか。
○和田政府参考人 お答えいたします。
価格だけで決めるものではございませんで、やはり利用者利便がどうなのか、それから地域の振興にとって役立つのかどうか、そしてまた価格はどうなのかといった点について評価項目を決めておりまして、その総合点が一番高い方にお願いをしようというふうに思っております。
○古本委員 これは最終決定権者は誰ですか。
○和田政府参考人 国土交通大臣になります。
○古本委員 時の大臣の一存ということはないんでしょうけれども、御省も組織として動いていますからね。ぜひ、これが結果としての妙な利権となるようなことのないようにお願いをしたいですし、何よりも、飛行場を利用される国民の皆さんにとっていい飛行場になったなというものをつくっていただきたいなと、応援したいというふうに思います。
一点だけ具体の論点で提起するんですけれども、若干技術的になるんですけれども、滑走路に灯火、ランプを埋めてあります。誘導ランプですね。皆さんも夜間飛行なんかされるとわかると思うんですけれども。現在の仙台空港で、このランプというのは埋め込んでおりますので、木ねじを外してふたをあけてランプを取りかえるという作業が要るんですけれども、年に一度ほど作業されているというふうに理解していますけれども、年間のこのメンテナンス費用というのは幾らですか。
○石崎政府参考人 御質問の灯火のメンテナンスの費用でございますけれども、仙台空港の例で申しますと、灯火全体で四千二百万ぐらいかかっておりまして、そのうち埋め込み型のメンテナンス費用につきましては一千二百万ほどかかっております。
○古本委員 これは恐らく人件費が大半だと思うんですけれども、実は、ふたをあけて取りかえるというのはなかなか面倒くさい作業ではあるんですけれども、重要な作業。
伺えば、それぞれの国交省が持っておられる規則、政省令、書き込んでいって、航空法ですから航空法に定めてあって、最終的には航空法施行規則、昭和二十七年規定のものが今も生きていて、灯器は、つまり明かりの器械は、その上を航空機の車輪が通過してもそれに耐える構造のものであり、かつ、航空機の離着陸に支障のないように設置と、これだけなんです。
つまり、これを満たせば、今度受託される民のセンスでこのランプの交換作業をどれだけ効率化するか。やはり総額で四千万ですから、そこでいろいろなプロフィットを出していこうと思うと大変だと思いますよ。それは民の裁量で自由にやっていいんですか。そういう幅を与えていただけるかどうかです。
○石崎政府参考人 ただいまの御質問の件でございますけれども、航空灯火は、航空機の安全な運航を確保するという観点から、国際基準に準拠いたしまして、今先生がお読みいただいたような一定の基準を設けております。
この基準でございますけれども、特定の器材の仕様でありますとか、具体の点検の周期というものは決めておりません。このため、運営権者の方で工夫を凝らして、その基準の範囲内でやっていただくことは可能でございます。
○古本委員 事ほどさように、これまで飛行場というとどうしても国交省航空局の全体の管理のもとで僕らは安心が担保されていましたけれども、これから民に渡すからといって、では灯火のメンテナンスを省いていいかといったら、よくないと思いますし、このバランスというのは非常に大事になりますね。他方で利益を出していかなきゃいけないということになりますので、ぜひいいコンセッションになることを御期待申し上げますし、私どもとしてはこの法案については大賛成というふうに思っておりますことを申し上げます。
大臣、仙台空港に委員長以下みんな行ったんですけれども、最後、関係者、名取の市長やら岩沼の市長とお別れして、帰る際にぱっと見たら、ここまで津波の潮位が来たという記録プレートが埋め込んでありました。やはりあれを見なきゃいけませんし、私たちは絶対に忘れてはならないんだろうなと思いました。
そこで、少し閣法の議論から外れるのかもしれませんが、私は絡んでいると思っているテーマをちょっと取り上げたいと思うんです。
実は仙台から福島第一原発までわずかに百キロですね。恐らく直線距離で百キロぐらいじゃないでしょうか。その福島第一原発から約百キロだと思いますけれども、北茨城市さんで、福島第一原発事故発災当時ゼロ歳から十八歳だったお子様を、市独自で、今福島県が全員に実施されておられる甲状腺がんのいわゆる検査をなさったそうです。
これは住民、市民の声を受けて独自にやられたということなんですけれども、検査結果は当局として把握されていると思うんですけれども、何人調査をかけ、何人甲状腺がんだったんですか。
○北島政府参考人 北茨城市が実施した甲状腺超音波検査事業につきましては、四千七百七十七人の受診者のうち三人の子供に甲状腺がんが発見されたとされております。
○古本委員 これは、全国的な平均値と比べて高い罹患率なんですか。有病者と言った方がいいんでしょうか。全国データと比べて。
○福島政府参考人 お答えいたします。
がん罹患数につきましては、各都道府県がそれぞれの都道府県在住のがん患者の情報を医療機関から集める地域がん登録というのがございますけれども、この地域がん登録につきましては、その対象となる患者が一般的に自覚症状があって医療機関を受診する方が多いということ、それから、医療機関に報告義務が現在はございませんで、全ての患者が登録されているわけではございませんから、登録数が実際の患者より少ない可能性がございます。
一方、北茨城市の調査は、無症状の住民の方を対象とした検診でございますから、甲状腺がんの発見率が地域がん登録のデータよりも高くなるということは想定されるわけでございまして、専門家による検討においても同様のことが指摘されております。
こういうことから、地域がん登録を用いて算出した罹患数の推計数と今回の北茨城市の検査結果を単純に比較することは適切ではないというふうに考えております。
○古本委員 今の答弁がわかる人というのはなかなかいないと思うんですよ。
実は大臣、私、おかげさまで野党暮らしも随分やりましたので随分質問しているんですけれども、これほどまで通告に苦労したテーマはないんです。物すごく役所にまたがっていて、それで、今、環境省が手を挙げましたけれども、それを制して厚労省が手を挙げた。
つまり、北茨城市の市民の皆様の声として、やはり心配だから検査してほしいという声があったと仄聞しています。独自で三千七百万円の予算を措置されて検査なさった。その結果が、つまり、四千七百人、これは実は、事故発災当時ゼロ歳から十八歳までの市民、対象が七千六百九十九名のうち、六二%を超える方が受診したというのは、相当な関心の高さだと思いますよ、保護者の皆さんも。
こういう高い意識のもと、多分なされたと思うんですけれども、その出た結果の三名というのが、厚労省なりが把握している全国的なデータと比べて、それが異常値なのか、まあまあそんなものなんだろうなのか、いや、もっと低いのであるなのかぐらい、国として把握していますかという質問なだけなんですよ、実は。これに答えがないということがわかったんです。驚きました。
ないんですよね、厚生省。環境省でもいいですよ。
○北島政府参考人 北茨城市が実施した甲状腺超音波検査事業につきましては、市の有識者の集まりである北茨城市民健康調査検討協議会におきまして、検査はスクリーニング検査であり、通常の健康診断と同様、一定の頻度で要精密検査、がんと診断される方がいること、平成二十六年度の精密検査の結果、三名が甲状腺がんと診断されたこと、この甲状腺がんの原因については、放射線の影響は考えにくいことが指摘されたと承知しております。
また、去年の十二月に取りまとめられました環境省の住民の健康管理に係る専門家会議の中間取りまとめでは、「今回の事故による放射線被ばくによる生物学的影響は現在のところ認められておらず、今後も放射線被ばくによって何らかの疾病のリスクが高まることも可能性としては小さいと考えられる。」とされております。
また、数の問題でございますけれども、御指摘の北茨城市の検査の詳細が不明であることから、単純に比較するのは難しいかもしれませんが、仮に、青森、山梨、長崎で行われたいわゆる三県調査と、北茨城市の甲状腺超音波検査の結果を比較できるとしても、三県調査と北茨城市の甲状腺超音波検査の有病者数に統計的に有意な差は見られないと考えております。
○古本委員 部長、三県調査といきなり読まれても、御存じない委員の人は何のことかと思って聞かれているわけです。
実は大臣、驚いたんですけれども、甲状腺がん、今、報道も盛んですから、国民的に大変関心があると思いますよ。このかいわいに住んでいる小さなお子さんを持っておられる親御さんの共通の不安だと思いますね。確認したところ、厚労省は、信頼できる都道府県十四県から抽出した結果から、データは二〇一一年データを持っておられるのが、厚労省の把握している数字ですよね。それだと、甲状腺がんは何万人に何人いたんですか、有病者というか罹患者は。
○福島政府参考人 二〇一一年のデータの信頼性、つまり報告がきちんとされておるというところの県のデータでは、ゼロ歳から十九歳の罹患率は、パーセンテージでいいますと〇・〇〇四%でございます。北茨城市の発見頻度は〇・〇六%ということになります。
以上でございます。
○古本委員 桁が一個多いじゃないですか、北茨城市。そうですよね。
確認しますよ。北茨城市の四千七百七十名中三名の方が罹患されていたということがわかった。これを単純に電卓をはじいたら〇・〇六%ですね。今、国が、厚労省として把握されている数字は何%とおっしゃいましたか。
○福島政府参考人 全国の罹患率ということでございますけれども、ゼロ歳から十九歳でいいますと、二〇一一年で〇・〇〇四%でございます。
先ほどお答えしたように、この罹患率については、医療機関を受診して、一般的に自覚症状があって受診した人を見つけた数であるがん登録と、元気な一般人も対象とするデータとを単純に比較することは適当でないというふうに考えております。
○古本委員 大臣、当委員会にはドクターの委員の先生もいらっしゃるし、科学者も多い委員メンバーで構成されていると思うんですね。私は事務系ですから、統計学とか疫学は全く素人ですけれども、素人なりにわかるんですけれども、事前にレクを受けたときに驚いたんですけれども、そうなんだと。
北茨城市は、そういう住民の声もあり、議会が判断されたのか市長が御英断されたかわかりませんが、こういう検査をしてみようということでなさったんです。これは平成二十五年と二十六年の二回に分けて、平成二十五年がゼロ歳から四歳、平成二十六年がゼロ歳からそれ以外の十八歳まで、あわせて二段階に分けて検査されたらしいんですけれども、検査した結果、罹患していたという人が見つかったんだけれども、それは二十五年、二十六年に甲状腺がんが発症しているのか、過去から、有病者というそうです、病がある方だったかはわからないので、このデータはストックのデータだという整理らしいんです。つまり、蓄積ですね。
発症率とか罹患率というんでしょうか、改めて病気になったという意味でいうと、厚労省が言っておられる二〇一一年というのは、その年に甲状腺がんになった数なので、これはフローの数であると。だったら、国としてのストックの数はあるんですかというと、これはないと言うんです。
つまり、ベンチマークするデータが、福島第一原発事故のあれだけの災害が起き、今なお福島に帰ることができない人がこれだけいて、また、福島県民は今、当時の十八歳以下、三十八万人全員対象ですよ、検査を受けておられる、そして百名余の方が甲状腺がんと診断されている、そういう状況にあってなお、実はその数字は異常値なのか正常値なのかをはかる物差しを国が持ち合わせていないということがわかったんです。
私の今の説明で正しいですよね。
○福島政府参考人 がんの場合、非常に小さい段階からだんだん大きくなっていくわけでございまして、それが疾病として把握される、あるいは健診でもひっかかってくる、もっと小さければそれはわからないわけでございまして、そういう面では、有病率、つまりストックという、先生の御表現で言えばストックでございますけれども、そういうものについて、有病率について明確に把握することは技術的に非常に困難でございます。
その上で、ですから、罹患率ということで、新たに発見された患者を登録するということでがん登録システムがございまして、そして、これについては来年の一月から、法律に基づくがん登録システムということで、きちんと把握をしようとするものでございます。
○古本委員 大事なことを私も言い忘れました。北茨城市が仮に今後毎年これを定点で観測していって蓄積すれば、国のデータと面が合うんだ、こういうことらしいんです。
それから、これは直線距離で百キロ前後なんだろうと思うんですけれども、たまたま北茨城市がこういう検査をなさいましたけれども、隣県、隣市、市町村等々ありますよね。これは、ほかの自治体も含めて、やはりうちも調べてみようというような動きがあった場合、国は財政的な支援をする予定はありますか。
○北島政府参考人 今回の原発事故による放射線に係る住民の健康管理につきましては、医学等の専門家の御意見を十分に尊重した上で、コンセンサスが得られた科学的知見に基づいて進めることが何よりも重要であると認識しております。
それで、この甲状腺検査を御要望する自治体もあることは認識しておりますが、これまでの専門家会議の中間取りまとめでは、福島県外における甲状腺がんの早期発見を目的とした甲状腺検査については、症状のない小児に甲状腺検査を実施すれば、放射線被曝とは無関係に、結果として生命予後に影響を及ぼさない甲状腺がんが一定の頻度で発見され得ることなどさまざまな問題を生じ得ることから、施策として一律に実施するということについては慎重になるべきとされております。
○古本委員 今、実は大臣、この問題というのは、環境省は公害扱いらしいんです。公害なんですって。だから環境省がヘッドクオーターになっておられる。これが公害かと思いますけれども、公害らしい。
今、部長は非常に正直に言っていただいたんですけれども、後半のくだりです。委員長も聞かれたと思いますよ。つまり、命を脅かさないようながんの診断まで検査をした結果わかってしまうので、いたずらに心配を喚起する必要はないと言っておられるんです。いやしくも国会で、環境省は答弁で、これを過剰診断、余計な診断を受けない方がいいのであるというふうに、誤解を招きかねない答弁もなさっているでしょう。
これは、過剰診断という言葉はどういう意味なんですか。国会で答弁されていますよね。
○北島政府参考人 過剰診断という言葉は、私どもの専門家会議では、定義が明確でないため使用しておりません。ただ、福島県民健康調査の検討委員会の中ではそういった文言が使用されていると思っております。
○古本委員 では、福島県民検査なるものは、国から七百億を超える基金を積んで、全県民を対象に検査なさっていますね。その県民会議からの答申で過剰診断という言葉を使っているんですけれども、この言葉は国も支持しますか。
○北島政府参考人 専門家の中での議論で出てきた言葉ですので、否定することはできませんけれども、定義づけが難しいということは専門家の皆さんも確認されている言葉だと思います。
○古本委員 医学はわかりませんが、聞きようによれば、胃カメラ検査をしたら胃がんが見つかるので胃カメラ検査は余りしない方がいいと言っているように聞こえますよ、素人が聞きますと。ぜひ国民にわかりやすくもっと説明をしていくことを強く求めますね。
そもそも、福島県の報告によれば、チェルノブイリより線量が少ない、事故当時ゼロ歳から五歳児で見つかっていないことなどから、事故との因果関係は考えにくいという最終的な報告、中間報告をされていますね。北茨城市も、放射線の影響は考えにくいという報告をされていますね。
だとすると、福島で罹患された患者さんたちや、子供たちや、北茨城の三名というのは、何が原因でそういうふうになったかということなんですけれども、一つには、もともと遺伝子学的、あるいは食習慣的、そういうもので発症したというケースがあるでしょうね。医学的なことですよ。
もう一つのケースは、やはり当時、沃素131、半減期八日でしょう、それを吸い込んだ、甲状腺に蓄積された、その可能性が考えられますよね。一〇〇%排除はできないと思っていますよ。
さらに、セシウム137、これは半減期何年ですか。三十年と伺っています。食物連鎖ということで考えると、そのセシウムが、三十年間は少なくとも半分の量が、海底か川の底か山林の土中かわかりませんが、残っていますよね。この質問も、そのセシウムは残っていますねという質問に、大臣、私は通告と質問取りに一日かかっているんです。たらい回しなんです。答えてください。
○長谷政府参考人 お答えいたします。
海産物を例にお話しさせていただきますけれども、御指摘のとおり、放射性セシウム137、物理的半減期は三十年ということで長く存在するわけでございますけれども、このセシウムは、海洋中におきまして、食物連鎖によって大型の魚類などに移行いたします。また、移行もしつつ、体内から排せつされ、水中の懸濁物に吸着され沈降したりする中で、徐々に海底に拡散していくものと考えております。
○古本委員 今水産庁が答えてくれましたけれども、ヘッドクオーターである環境省なり、厚労でもいいですよ、医官の立場でもいいですよ。
つまり、セシウム137というのは、食品からの放射性物質の大半はセシウムであるというふうに消費者庁のQアンドAに書いていますよ。きょうは消費者庁も来ていますよね。大半はセシウムなんでしょう、食品の中にある放射性物質は。これは九割がそうだと。半減期三十年、完全になくなるというのには三百年かかると言っていますね。
その間、今、十七都県、率直に言えば、静岡から以北、それから青森から以南、この間のゾーンに入っている十七都県は、全部、それぞれによって食料品の品目は違いますね。キノコ類を調べているところもあれば、海産物を調べている、いろいろ分かれていますけれども、この安全性の検査の主体はどこですか。
○福島政府参考人 食品中の放射性物質の検査でございますけれども、地方自治体が、原子力災害対策本部が決定したガイドラインに従って検査計画を策定し、基準値に基づくモニタリング検査を計画的に実施しております。
この基準値は、食品の国際規定を策定しておりますコーデックス委員会が採用しております年間線量一ミリシーベルトを踏まえるとともに、食品安全委員会による食品健康影響調査を受けて設定されているものでございます。これはセシウムについて設定しておりまして、半減期の短い放射性沃素については設定しておりません。
この検査の結果、基準値を超過した食品があった場合には回収、廃棄、あるいは、基準値を超過する食品が地域的広がりのある場合、そういう場合には出荷制限ということを行っております。
なお、厚生労働省では、また、各地で流通する食品を購入して食品中の放射性セシウムを測定するマーケットバスケット調査というものを実施しておりまして、この測定結果によりますと、この食品を摂取した人が一年間に受ける線量は、基準値の設定根拠である年間一ミリシーベルトのおおむね一%以下の水準であるというふうに推定をされております。
こういうため、市場に流通している食品を摂取することによる健康影響を懸念する必要はないと考えておりますけれども、引き続き、基準値を超過する食品が市場に流通しないように適切に取り組んでいきたいと考えております。
○古本委員 つまり、心配ないというふうに約束できるんですね。
つまり、食物連鎖というのはあるんですかという問いだったんですけれども、これはあるんです。魚を食べた人間にそのセシウムが蓄積することはあるのかといったら、これもあるんです。あるんですね。時間が終わったのであれですけれども、あるんですよ。あると聞きました。
だから、消費者の購買の自由は妨げられないですよ。やはりその表示、消費者庁の努力もいろいろあるんでしょうし、それからJASの規格もありますね、農水省の御努力もあるでしょうし、挙げて取り組んでいただいて、いたずらな不安を喚起する必要なんて全くないですね。安心して堂々と食べてもらいたいですよ。そのためには、きちっと保健所の定点検査も含めてやっていただきたいと思うんです。
最後に、北茨城のこういう事案やらを受け、今の食品検査体制をさらに範囲を広げたり強化する予定はありますか。
○福島政府参考人 先ほど申し上げましたように、現在のモニタリングは、原子力災害対策本部が決定したガイドラインに基づいて行われておりまして、これについては現行では変えることは考えておりませんけれども、現行の仕組みでしっかりやっていきたいと考えております。
○古本委員 食品についてはわかりましたが、先ほどのベンチマーク、ぜひ国を挙げて、大臣、一度研究していただきたいと思います。どうぞ安心してくださいと言えるなら、国としてそれは言うべきですね。自治体に任せているなんて、それはだめですよ。そのことを強く申し上げて、終わります。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、河野正美君。
○河野(正)委員 維新の党の河野正美でございます。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。
まず、PFIの現状と課題について、甘利大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
維新の党は、個人や地域が自立できる社会システムを確立することで、地域や個人の創意工夫、自由な競争によって我が国を活性化するということを目指して取り組んでまいりました。この思いは、いかなる政治状況にあろうとも変わることはないというふうに考えております。
さて、PFIは、民間の資金や知恵を生かし、より効率的に国民にとって必要な公共サービスを提供する枠組みであり、大いに拡充を進めることが重要だというふうに考えております。
PFIの仕組みができた平成十一年から十六年を経まして、PFIが当初の効果を得ているとお考えになっているのか、甘利大臣のPFIについての現状認識とその課題について伺いたいと思います。
○甘利国務大臣 PFI事業につきましては、PFI法が制定をされました平成十一年度から昨年度までの十六年間の合計で四百八十九件、約四兆五千億円の事業が実施をされたところであります。これによりまして達成をされた公的負担の抑制額につきましては、公表された案件のみについて見ますと、三百十三件、約八千五百八十五億円に上ります。
PPP、PFIにつきましては、平成二十五年から三十四年の十年間で十兆から十二兆円の事業規模を予定しておりまして、そのうち、コンセッション事業につきましては、平成二十八年度までの集中強化期間に二、三兆円の事業規模を目標として掲げ、推進をしているところであります。
引き続き、事業案件の掘り起こしを積極的に行い、関係省庁と連携してその推進に取り組んでまいりたいと考えています。
○河野(正)委員 PFIの枠組みでは、道路、鉄道、空港、港湾を初めとした公共施設であるとか、庁舎、宿舎などの公用施設、賃貸住宅や教育文化施設、廃棄物関連、医療、社会福祉施設などの公益的施設など、多種多様な施設が対象となっていると思います。
インフラの整備では利用が進んでいる印象がある一方で、医療施設、社会福祉施設では余り、PFIを利用しているといった例は少ないように感じるところであります。
それぞれの対象施設でPFIの活用状況がどのようになっているのか、制度の使われ方に差が生じているのであれば、その理由をどのように考えているのか、見解を伺いたいと思います。
○鳥巣政府参考人 お答え申し上げます。
PFI制度の活用実績は、PFI法が制定されました平成十一年度から昨年度末まで、事業件数で四百八十九件ということで、先ほど大臣から答弁があったとおりでございます。
これを分野別に見ますと、まず、一番多いのが学校、給食センター等の教育と文化の分野が最も多くて、百六十五件、全体の約三四%に当たります。次が、廃棄物処理施設、病院等の健康と環境の分野でございまして、八十五件、同じく全体の約一七%。次に、公営住宅、公園、下水道施設の町づくり分野が七十三件で、全体の約一五%になっておりまして、事務庁舎、職員宿舎等の庁舎、宿舎分野が五十六件、約一一%となっております。
実は、このほかにも、警察、消防施設、福祉施設等、さまざまな施設にPFI制度が活用されておるところでございまして、最近、広がりが大きくなっているということでございます。
○河野(正)委員 いろいろな分野で活用されているということでございますが、現在、いろいろニュースを騒がせているというか、注目を集めている新国立競技場の問題でございます。
再検討されているということですけれども、この建設に当たっても、PFIの枠組みを活用することで、より効率的に必要な競技施設等を整備することが可能になったのではないかなというふうにも思います。
これまで遠藤担当大臣を中心に検討が進められているというふうに認識しておりますが、PFIを初め公共サービスの効率的な実施のためのスキームに知見を持っている内閣府も、積極的に知恵を出していくべきではないかなというふうに考えるところでございます。見解を伺いたいと思います。
○西村(康)副大臣 大変大事な御指摘をいただいたと思っております。
御案内のとおり、新国立競技場の整備につきましては、八月二十八日に関係閣僚会議において決定をされました新国立競技場の整備計画に基づいて今後整備を進めていくものというふうに承知をいたしております。
この計画に基づいて、その中にも書かれておりますけれども、今後、民間からの積極的な提案を期待するということと同時に、大会後の民間事業への移行について、ビジネスプランの公募に向けた検討を早急に開始するというふうに聞いているところでございます。
御指摘のとおり、内閣府といたしましても、PFIに関するさまざまな知見を培ってきたところでございますので、その中で先進的な事例とかノウハウ、こういったものについてしっかりと積極的に情報提供などの協力を行ってまいりたいというふうに考えております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
空港におけるコンセッションの導入について伺いたいと思います。
冒頭で委員長から御報告がありましたように、先日、当内閣委員会で仙台空港におけるコンセッションの取り組みを視察してまいりました。宮城県や地元の岩沼市、名取市を初め関係自治体が連携をして、思いを一つとして、仙台空港というインフラを地域の発展に使い切る、その姿勢を実感してまいったところでございます。
仙台空港を初め、兵庫県営但馬空港、関西国際空港、伊丹空港など、そして、私のふるさとであります福岡空港、これらの空港施設のコンセッションの検討が各地で進められている現状だと思います。
質問通告はしておったんですけれども、もうるるいろいろ質問があっておりますので割愛させていただいて、福岡空港の課題についてお尋ねをしたいと思います。
現在、コンセッションの導入に向けて検討が進んでおります福岡空港は、滑走路が一本しかありません。滑走路一本で年間十七万回に迫る離発着を処理しており、大変な過密状態となっております。滑走路が一本しかない空港としては、離発着数そして利用者数ともに日本一だというふうに聞いております。離発着の多い朝夕の時間帯では、着陸した後、駐機スポットがあくまで誘導路等で待機させられることも多く、本当にしばしばというか、もう慢性的に到着遅延、出発遅延というような状況があります。
私も、福岡―羽田を何度も往復させていただいているわけですが、羽田空港も過密ですので、福岡空港でおくれると、また羽田で着陸できなくなってしまうということで、どんどんおくれていくということがあります。昨日も東京にやってくるときに二十分以上おくれたという状況もございました。
定時運航を目指して、当然ながら、関係者の皆さんは本当に努力をされていると思いますし、相当な緊張感を持って、緊張を強いられた状態ではないかなというふうに推察をいたします。大きな事故発生に至る前に、何とか余裕を持った運航スケジュールにしなくてはならないというふうに考えております。
私は、一九九六年、平成八年六月十三日に福岡空港におきまして、ガルーダ・インドネシア航空が離陸時に事故を起こし、オーバーランをして、三名のとうとい命が失われたということを近くで見ておりました。ジェット燃料に触れた消防の方々が化学熱傷を来したり、乗客の方々が後になってPTSDを発症するなど、医師として看過できないような大きな出来事がございました。
当時、私は、九州大学医学部附属病院で大学院生として臨床研究に従事しておりましたので、本当に、九大病院に救急車が搬送されてきて、緊迫した出迎えのシーンというのを目の当たりに見てまいりました。
話を戻しますが、このように、滑走路のみならず、誘導路も一本しかなく、駐機スポットの運用にも大変な苦労が生じているというふうに思われますが、現時点での福岡空港の駐機スポットの運用体制の状況とその課題について教えていただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
福岡空港においては、現在、国際線、国内線合わせて一日平均約四百五十便の定期便を合計三十二の駐機スポットにより運用しています。
これらスポットの割り振りについては、航空局の現地空港事務所が、航空会社と利用者である旅客の利便性を確保するため、各航空会社が希望する運航計画や当日の運航状況に基づき、密な調整を行っております。この調整を専用のシステムで行うことによりまして、多数の定期便に対し、限られたスポットを効率的に運用しているところでございます。
○河野(正)委員 仙台空港で実際に中に入って見させていただきましたけれども、スポットを、どこにとめるのかとか、飛行機の大きさもあるので、随分苦労されているんじゃないかな、ましてや福岡空港は非常に大変な思いでされているんじゃないかなと思って見てまいりました。
そのような厳しい混雑の続く福岡空港におきまして、コンセッションが実施され、駐機スポットの運用を民間が担うことで、まず第一は、安全性や定時運航確保といった安定性が損なわれてしまうことがあってはならないというふうに思います。
混雑の激しい福岡空港における安全性の確保とコンセッションの実施を両立するため、どのような取り組みが求められると考えておられるか、現時点での問題意識を伺いたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
空港運営を民間委託するに際し、空港の安全性の確保は第一に重要であります。国として、コンセッション事業者による空港の安全な管理運営に万全を期すこととしております。具体的には、コンセッション事業者に対しまして、国際標準に基づく保安基準を遵守させるために、空港保安管理規程の策定を義務づけ、規程に従った空港管理を実施させることとしております。これらにつきましては、事業者みずからのセルフモニタリングや、国みずからの安全性の定期検査を行うこととして、担保してまいりたいと思っております。
一方で、民活空港運営法に基づく基本方針におきまして、航空運送事業者、利用者双方にとって空港の魅力を向上させ、航空需要、旅客数、内外の交流人口の拡大等による地域活性化を実現することにより、空港や地域が相互にメリットを享受できるよう努めるということとなっておりまして、旅客の利便性の向上も大変重要でございます。
事業の適正な実施を確保しつつ、滑走路とターミナルビルを一体的に民間事業者に運営委託することによりまして、民間事業者の事業運営の自由度が向上し、より効率的、効果的なサービスの提供につながるというふうに考えております。
こうした取り組みによりまして、空港の安全性と旅客の利便性の両方について確保してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 本当に安全に運航するということがまず第一に優先されるべきだと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
福岡空港は、福岡市内へのアクセスのよさが高く評価されております。今後、コンセッション方式を採用すれば、その恵まれた立地を生かして、空港利用者はもちろん、地域で生活する多くの方々にとっても魅力のあるさまざまな事業が展開されるのではないかなと思っております。
現在、滑走路の複線化ということに関しましては、こういったコンセッション事業を通じて収益を上げて、ターミナルビルの収益等で予算を捻出するべきであるというふうな考え方にあるかと思っております。
その一方で、福岡空港周辺は、公共交通のインフラが十分に整備されているとは言えず、交通集中による道路渋滞が頻発をしております。福岡市の中心部からは都市高速道路であるとか市営地下鉄などのアクセスがあるわけですけれども、一方で、私の地元でもあります空港の東南部の方になりますと鉄路というのがありません。こういったことで、今後、福岡空港の魅力向上で多くの方々が利用されることになれば、より周辺道路の渋滞がひどくなるのではないかというふうに心配しているところであります。
仙台でも、地元の市長さんにお尋ねを申し上げました。仙台の方は、空港は市街地から離れていることと海側にあるということで、特に交通渋滞の懸念はないというふうにおっしゃっておりましたが、福岡空港は町の中ですからねと随分言っていただいたんです。
そういった意味で、今後、コンセッションの検討が進む中で、空港周辺、仙台ももちろん空港のところに限定してまず開発を、民営化されるということでしたけれども、こういった事業が進んでくれば、地域の交通体系の整備も視野に入れつつ連携して取り組んでいくことが求められるんじゃないかな、そういったところにも必要な予算というのがあるのではないかなと考えておりますが、現時点での見解を伺いたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
福岡空港は、福岡中心部から非常にアクセスにすぐれた空港であります。また、観光立国の観点からも、アジアから西日本への玄関口としてその機能を最大限発揮する必要があるというふうに思っております。このため、道路、鉄道などの空港アクセス機能の強化や周辺地域のインフラ整備は大変重要であるというふうに思っております。
空港運営の民間委託は、こうした空港周辺の交通体系の整備と緊密に連携して進める必要があるということについて、重要だと思っております。このため、空港運営権者に対しては、自治体などの地域の関係者から成る空港利用者の利便向上を目的とした法定協議会の委員になることを求めております。
国としても、このような地元自治体と運営権者との連携が適切かつ円滑に図られ、空港へのアクセスが強化されるよう支援してまいりたいと考えております。
○河野(正)委員 仙台空港の方は、そういった民営化によってしっかりと収益を上げて、飛行機の離発着に係る費用とかを安くしていこうということでありましたけれども、福岡空港は、何せ、今考えられているプランとしては、滑走路を一本つくるための整備費用をターミナルビルで捻出しようということでありますから、通常の利用客、送り迎えの方あるいは飛行機に乗る方以外の方に来ていただかなければいけないということになりますので、やはり周辺道路の整備、交通網の整備等々も一体化してしっかりと検討していただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次の質問に移ります。
専門的ノウハウの例として、航空灯火の運用、保守点検に関する業務も挙げられております。航空灯火施設の維持管理を中心とした業務は、市場化テストのもと、民間競争入札で事業者が決められ、実施されております。専門的ノウハウを持つのは公務員にとどまらず、こうした業務に従事している民間事業者も有しているのではないかなと思うところでありますが、あえて公務員の派遣が必要と考える理由について改めてお示しいただきたいと思います。
○鳥巣政府参考人 お答えいたします。
先生御指摘のとおり、既に現在、劣化した航空灯火の部品交換ですとか補修工事の実施等、こういった実作業につきましては民間委託が広く行われているところでございます。
しかしながら、実際にこうやって民間業者が実作業をした結果が、非常に複雑で詳細な基準にきちんと適合しているかどうか、ここをチェック、監督すること、あるいは、どういう具体的なケースに安全対策を講じていくべきか、こういった現場の判断というのは、やはり公務員が現場で長い間経験に基づいて培ってきました専門的なノウハウが必要不可欠でございまして、今後の課題は、コンセッション事業者に対しましてこういった専門的なノウハウを確実に継承していくということが重要だと考えております。
こういったことから、仙台空港のコンセッション事業におきましても、こういう専門的なノウハウを有する公務員をぜひ派遣していただきたいという民間業者から強い要望が寄せられたところでございます。このような要望を踏まえまして、今回、専門的なノウハウを有する公務員の派遣をきちんと制度化しようというものでございます。
○河野(正)委員 本年四月には、徳島空港で、航空灯火の維持管理の作業をしていた滑走路上に旅客機が着陸するという重大なインシデントが発生しております。
航空管制と滑走路や航空灯火などの施設の維持管理の主体が分かれることによって、連携が不十分となってしまい、安全性が大きく損なわれるような事態があってはならない、先ほど来お話ししているように、絶対安全でなければいけないと思います。この点についての見解を伺いたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の本年四月の徳島空港の事案は、防衛大臣が設置管理者であり、海上自衛隊が航空管制業務を行っている徳島空港で、管制官が作業車両に対し滑走路上での作業指示を、許可していたことを失念して航空機の着陸を許可したことに起因する重大インシデントということでございまして、現在、原因を調査中でございます。
一般論として申し上げれば、運営委託後も、運営事業者は、滑走路等の制限区域内への立ち入りや車両通行については、従来どおり、空港保安管理規程等に従って管制機関等と緊密に連携し運用することが義務づけられます。このため、国は、民活空港運営法等に基づいて、運営事業者に必要な規程の策定、遵守を義務づけることとしており、空港の安全な管理運営に万全を期すこととしております。
○河野(正)委員 同じく本年四月、広島空港で韓国のアシアナ航空機が着陸に失敗した事故がございました。これによって、計器着陸装置など多くの保安施設が損傷したというふうに聞いております。こうした事故が生じた場合、早急に施設を復旧させるとともに、代替できる装置の使用も必要になってくるんじゃないかなと思います。
コンセッションによって運営、運用されている空港でこのような事態が発生した場合、その復旧など、高額な費用がかかる場合もあるかと思いますが、事故対応のノウハウをどのように活用されるか、費用負担なども含めて、お答えいただきたいと思います。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
航空輸送の安全確保は航空行政の大前提であります。空港運営の民間委託におきましても、この考えは全く変わるものではございません。
先ほど申し上げた空港保安管理規程の中では、運営事業者が、航空機事故等の緊急時における関係機関との連携を含めた対応計画また訓練実施等について詳細に定めるということになっております。これらの実施状況を定期的に把握するとともに、国として、訓練の指導等を行ってまいりたいと思っております。
国としては、こうした措置を通じまして、運営事業者による空港の安全な管理運営に万全を期したいと考えております。
○河野(正)委員 最後に、PFIの今後の活用について、甘利大臣に伺いたいと思います。
PFIの目的は、そうしたPFIという事業形態を採用することにあるのではなく、より質の高い公共サービスをより効率的に提供することにあると思います。そのための手段の一つとしてPFIあるいはコンセッション事業というのがあるんだというふうに思っております。PFIの枠組みの利用促進のために工夫を進めることは必要ですが、手段と目的がひっくり返るような議論になってしまってはならないというふうに思います。
最後に甘利大臣のお考えを伺って、終わりたいと思います。
○甘利国務大臣 コンセッション方式を初めとするPFI事業は、民間の資金、経営・技術的能力を活用することによりまして効率的で効果的となる事業について実施すべきものであります。具体的には、VFM、バリュー・フォー・マネーが確保されること、それから民間の創意工夫が十分に生かせること等の場合に実施すべきものであります。
このために、内閣府といたしましては、PFI事業に関するガイドライン等を周知徹底することによりましてPFI事業が適切に活用され、財政の健全化や地域の活性化が図れるよう努めてまいりたいと思っております。
○河野(正)委員 ありがとうございました。
終わりますけれども、空港等に関しましては、しっかりと安全性を確保して決断をしていただきたいと思います。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 維新の党の高井でございます。
まず、先日の仙台空港の視察、本当に有意義な視察でありました。委員長初め関係者の皆様、アテンドをいただいた皆様には厚く御礼を申し上げます。
その関連の質問をきょうはしたいところなんですが、ちょっとその前に、私、サイバーセキュリティーについて、年金機構の情報漏えい事件以来、この内閣委員会でこれまでもう七回にわたって質疑を行ってまいりました。当初、六月に出る予定だった政府のサイバーセキュリティ戦略が、この事件を受けて大幅に修正をするということで、この間、もう二カ月近く時間がたって、ようやく先般このセキュリティ戦略が出てまいりましたので、年金機構の事件を受けて、どのように修正をされたのか、そして、特に私がずっとこの間指摘してまいりました地方自治体のセキュリティー対策、これが極めて重要だと思うんですが、その点についてどのように強化されることになったのか、お伺いしたいと思います。
○松本大臣政務官 お答えをいたします。
高井委員におかれましては、これまでもサイバーセキュリティーに関しまして、大変、さまざまな御質疑を通じて、さまざまな御示唆をいただきましてありがとうございます。
サイバーセキュリティーに関しましては、おっしゃるとおり、危機管理、安全保障の上からも、そして我が国の経済の成長を促進する上からも必要不可欠なものであります。
政府におきましては、新たなサイバーセキュリティ戦略の策定に向けて作業を進めてきたところでありますが、そのような中、日本年金機構におきまして国民の皆さんの個人情報が流出したことを政府としても重く受けとめておりまして、今回の事案を踏まえまして、追加的な施策を盛り込み、先月二十日に開催いたしましたサイバーセキュリティ戦略本部におきまして戦略案を決定させていただいたところであります。
そのポイントを申し上げたいと思いますが、新たな戦略案におきましては、政府機関情報セキュリティ横断監視・即応調整チーム、GSOCシステムの検知、監視機能、運用体制の一層の強化、また、監視、監査等の業務につきまして、政府機関に加えまして、重要業務を行う独立行政法人、政府機関と一体となって公的業務を行う特殊法人なども対象とすることなどの施策を盛り込ませていただいたところであります。
また、委員御指摘の地方自治体におきますセキュリティー対策につきましては、マイナンバー制度の円滑な導入に向けまして、特定個人情報保護委員会におきまして、関係機関と連携をいたしまして、監視、監督体制を整備、これは本年度中を目途としてやってまいりたいと思います。
また、総合行政ネットワーク、いわゆるLGWANにつきましては集中監視機能を設けるなどの、GSOCとの連携による国、地方を俯瞰した監視、検知体制を整備することにしております。
政府といたしましては、新たな戦略を踏まえまして、政府全体として、最適な予算、人員の確保など、サイバーセキュリティー対策の強化を遅滞なく図ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○高井委員 ありがとうございます。
私は、地方自治体が、やはり本当に、マイナンバーがスタートするということもあり、極めて大事だということで、先日、総務委員会でも同様の質問をさせていただきました。
ただ、今回の年金機構もそうですけれども、やはり厚生労働省が間に入る、地方自治体も、総務省が間に入るという体制では、総務省もセキュリティーの専門家がそんなに何十人もいるという体制にはまだなっていません。これはやはりNISCが、内閣官房サイバーセキュリティセンターがしっかりと前面に立って地方自治体のセキュリティー対策もやっていただきたい、そのことを御要望させていただきたいと思います。
セキュリティー関係はこれで終わりましたので、政務官、どうぞ御退室いただいて結構でございます。
それでは本題に入りたいんですが、もう一つ、マイナンバーについても、実は私もこの間ずっと質問してまいりました。甘利大臣が御担当でございますが、大臣はTPP等でお忙しいということで、余り大臣には質問してこなかったんですが、きょうはいらっしゃるということで、少し質問させていただきたいと思います。
まず、マイナンバー法の個人情報保護法との改正案が参議院で修正された、あす、衆議院の本会議でその修正部分についてのみ採決の予定だと聞いているんですけれども、ルール上、委員会ではもう質疑の時間がありませんので、ちょうど、きょうこういう機会がありましたので、ぜひ、今回の修正でどのような影響があって、そのための対策は大丈夫なのかどうかという点についてちょっとお伺いしたいと思います。
○小泉大臣政務官 私の方から、高井委員の御指摘、どんな影響かということについてお答えをさせていただきます。
先生、今おっしゃったように、この委員会で御審議いただき、衆議院で可決をいただきました個人情報保護法及びマイナンバー法の一部を改正する法律案については、先般、参議院において、日本年金機構におけるマイナンバーの利用開始を一定期間延期する、そういった経過措置を追加するなどの修正が行われて、修正可決されたものと承知をしています。
日本年金機構においては、来年一月より、被保険者等からの相談、照会業務でマイナンバーを利用することとしていますが、来年一月からのマイナンバーの利用が延期されることになれば、マイナンバーが利用できるようになるまでの間、従来どおり、基礎年金番号等を利用して、相談、照会業務が行われるものと考えています。
また、現時点において、再来年、二〇一七年一月から、年金の手続で使用する各種書類について、基礎年金番号にかえてマイナンバーの記載を求めることとしているほか、同じく再来年、二〇一七年七月からは、情報提供ネットワークシステムを活用して関係機関と情報連携を行い、住民票や所得等の情報を取得することにより、被保険者等の届け出の際の添付書類の一部を省略するなど、国民の利便性向上を図ることとしています。
しかし、今後の日本年金機構の対応状況等によっては開始時期の調整が必要となる可能性があるものと考えております。
いずれにしましても、今後、日本年金機構において、再発防止策をしっかりと講じて、国民からの信頼回復と再発防止に取り組んでいくものと承知していますので、こうした取り組みの中で日本年金機構のマイナンバーの利用についても国民の理解と信頼が得られるように、政府としてもしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○高井委員 私は、マイナンバーはぜひ予定どおりやっていただきたいという立場でございます。もちろんサイバーセキュリティーはしっかりやっていただかなきゃいけませんが、これは本当に、もう切りがないというか、どこまでいっても一〇〇%のセキュリティーというのは難しい中で常に対応をしていかなきゃいけないものでありますから、それを理由にどんどんどんどんおくらせるということは国民の皆さんの利便性を損ねると思っていますので、ぜひマイナンバーについては進めていただきたいと思っております。
きょうは、大臣にぜひお聞きをしたいことが一つ、二つあります。
それは、実は、この内閣委員会でも何度か取り上げ、また総務委員会でも先般取り上げたんですが、今回補助金が出ます、国が全額面倒を見るということなんですが、マイナンバーを導入するある自治体から、その補助金の金額とベンダーからの見積額が余りにも開きがある、四倍以上の開きがあるという情報が寄せられまして、そのことを質問しました。
政府からは、いやいや、それは補助金以上のことをいろいろオーバースペックでやろうとしているんだとか、マイナンバー以外のことも入っているんだというような、恐らくベンダーから聞いた情報でそういう答えなんですけれども、そのことを再度自治体に確認しても、いや、そんなことはないんですと。どうも自治体側とベンダー側そして政府の見解に食い違いがあると思っていまして、実は、このある自治体だけじゃなくて、幾つかの自治体からも同様の、四倍の開きというところまではないんですけれども、やはり予算が足りないという要請があります。
私は、こういったことをしっかりもう一度政府で検証をするべきではないかと思っておりまして、先般総務省にもお願いをしたんですけれども、ただ、総務省だけじゃなくて、マイナンバーを担当されている、この間は小泉政務官にお願いしましたけれども、マイナンバー担当の部局としてやるべきだと思っていますが、その一番の責任者である甘利大臣のお考えをお伺いいたします。
○甘利国務大臣 マイナンバー制度の導入に向けた地方公共団体のシステム整備に当たりましては、総務省と厚労省からそれぞれ必要な財政支援を行っているものと承知をしておりますが、地方公共団体の中には、各団体の判断で、自主的な判断で、マイナンバー制度の導入準備に合わせて、補助金対象外のシステム整備を行う団体や、付加的な機能やマイナンバー対応だけであれば必ずしも必要としないスペックを有する機器を調達する団体もあるというふうに聞いておりまして、そのような場合には、当然ながら、各団体において、補助金と別途一定の負担、差が生じるものと考えております。
なお、委員から内閣府の担当に直接御指摘をいただいた地方公共団体の実態につきましてでありますが、内閣府の担当からもベンダーへのヒアリングを行うなどの対応を行っていると聞いております。
今後とも、制度の円滑な導入に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。
○高井委員 もちろん、オーバースペックの別のものを入れている分は、それは地方自治体が当然自己負担するんですけれども、そうではないと言っている自治体からの意見もありますので、そこはぜひ、ベンダーだけから聞くのではなくて、自治体からもしっかり聞いていただいた方がいいのではないかということが一つ。
あと、今回、ベンダーは、まさにマイナンバー特需と。ある雑誌によりますと、マイナンバー関連だけで二から三兆円の市場だと。某大手ベンダーは、大体三年間で七百億円程度の需要があるということであります。もちろん、それだけの仕事をしていただくんだからもうけていただいていいんですけれども、しかし一方で、SEが足りないから、この十月までにあるいは来年一月までに間に合わせなければならないからどうしても高くなるんだというようなベンダーの主張に対しては、長期的に三年間で見て七百億もの収入が見込まれるわけですから、それを理由に値段が高騰するということは、私は、少しベンダーがもうけ過ぎということになるのではないかと。その分を自治体がかぶるということは絶対あってはならないことだと思いますので、その辺、よく自治体の言い分というのも聞いていただいて、適正な価格で実施できるように大臣としてリーダーシップを発揮していただきたいと思っております。
それともう一点、マイナンバーが続いて恐縮ですが、これも何度か指摘しているんですけれども、実は、直近の新聞報道で、八月三十一日の産経新聞では、東京商工リサーチの調査によると、マイナンバーの準備完了企業はわずか三%である、まだ未検討というのが三二%というデータが出ました。それから、きのうの日経新聞では、日本情報経済社会推進協会などが六月にまとめた調査によると、既に取り組んでいるや計画中は三割どまりで、七割は着手さえできていない。制度自体がわからない、何をすべきかわからないの割合は東京以外ではほぼ半数に達したということです。
企業がやるべき仕事、しかも、全国四百万全ての企業が、どんな小さな会社でも対応していただかなければならない。そして、やるべきことというのは、この雑誌の中にこういう特集も出ていて、来年、十二月までにやるべきこと、マイナンバーにかかわる業務の洗い出し、番号を集める対象者の洗い出し、制度のための社内規定をつくる、番号収集について対象者に周知する、それから、番号を収集する、本人確認を行うと。六つも重要な業務があって、これが全ての会社に周知されるというのは、これは大変、本当にできるのかなということが心配をされるわけでありますけれども、これは大臣、本当に大丈夫なんでしょうか。
○甘利国務大臣 冒頭御指摘されましたこの調査であります、八月三十一日の産経新聞に掲載の案件ですが、これは株式会社東京商工リサーチがことしの六月から七月の期間に行ったインターネットによるアンケート結果として、先月十一日に公表したものと承知をしております。
マイナンバー制度の導入に伴いまして、民間事業者におきましても、さまざまな手続におきましてマイナンバーを取り扱う必要がありますから、施行に向けた準備をしっかりと進めていただくことがもちろん重要であります。
周知、広報につきましては、事業規模別に配慮しまして実施することが重要であると考えておりまして、具体的に申し上げますと、動画、DVDや小規模事業者向けのチェックリストなど、わかりやすい媒体を作成、配布するとともに、各地での民間事業者向けの説明会に講師を派遣しているところであります。
今後とも、経済団体や税理士会あるいは社労士会などの各種団体の協力も得ながら、事業者向けの説明会を全国各地で開催していくなど、事業規模別に配慮したきめ細かな周知、広報に努めてまいりたいと考えています。
○高井委員 私もIT業界の出身でございまして、いろいろなIT企業さんとのつき合いがあるんですけれども、セミナーなんかをやっている方とも会うと、非常にやはり、本当に間に合うんだろうかという本音を聞きます。
この新聞、きのうの日経新聞でも、全国各地で対策セミナーを開くIT企業によると、地方の企業は首都圏に比べて八カ月程度理解がおくれていると。私も率直に、私の地元岡山も含めて、地方の企業に対する周知というのはやはりおくれているんじゃないかと。
政府の皆さんは、やはり大きな商工会議所とかあるいは税理士会、社労士会とか、そういうトップに伝えればそこからおろしてくれるだろうというふうにちょっと考えているところがあるんじゃないかと思いますが、そういう組織ではありませんというか、本業の、本当にかかわる部分だったら末端までおりるのかもしれませんけれども、マイナンバーというのはちょっと人ごとというところも多いと思いますので、なかなか、その組織のトップに言ったから全国、地方まで行き渡るということではないと思います。
これは本当に危機感を持ってやっていただかないと、ことしの十月あるいは来年一月になって、全然知らなかったという企業、しかもこれは法律上罰則がかかる話でありますから、大混乱になるという可能性は私は十分あると思っていますので、ぜひこれも大臣のリーダーシップでしっかり取り組んでいただきたいと思います。
それでは、いよいよ本題に入ってまいりますが、まずは、空港の民営化という観点でお伺いをさせていただきます。
実は、私は二〇一〇年、前回、民主党政権、政権交代があったときに民主党の議員でありました。そのとき、事業仕分けというのがあって、そのときに空港整備特会の担当をさせていただきました。いろいろ空港の民営化について検討し、そして二〇一〇年の五月に、決算行政監視委員会の分科会でしたけれども、当時の前原国土交通大臣に、全国二十七ある国管理空港は全て民営化すべきだという質問をいたしました。前原大臣からも前向きな答弁があって、その結果、二〇一三年に民活空港運営法という法律ができて、今回、仙台空港の民営化初め、民営化の流れができてきていると思っています。
実は、そのとき、あわせて航空管制業務の民営化ということも質問いたしました。先般視察に行った方々は、あの航空管制業務、三人の方が非常にぴりぴりした仕事ぶりをしていて、あれを見ると、なかなか民営化というのは難しいんじゃないのと思われたかもしれませんが、実は世界各国の情勢を見ると、当時私が調べた情報ですけれども、先進国で航空管制を国がやっているのはフランスのみで、アメリカ、カナダは独立行政法人、それからイギリス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランドは株式会社化されている。
当時、四千二百人、航空管制業務をやっている公務員がいるんですけれども、その航空管制の幹部の方の発言で、実は民営化を望んでいるんだという、雑誌だったか、ちょっと記憶していないんですけれども、そういうことも委員会で紹介をさせていただいて、当時の前原国交大臣にお聞きをしました。前原大臣は、航空管制についてはなかなか難しいという答弁ではあったんですけれども。
きょうは、この航空管制については通告はしていませんが、事務方でも結構ですから、この航空管制も含めて、通告しているのは、全国二十七ある国管理空港は全て民営化すべきだと思いますけれども、今の政府のお考えはいかがでしょうか。
○鈴木大臣政務官 高井先生におかれましては、空港の民営化等々、長年のお取り組みということで、本当に敬意を表したいところであります。
今御質問のところでありますけれども、まず、今、仙台空港以外では、例えば高松であるとかあるいは福岡、そういったところにつきまして、民間への運営委託についての検討というものを地元の意向も踏まえながら進めているところでありまして、ほかの全体的な話として申し上げれば、二十七の国管理の空港については、基本的には、しっかりと民営化検討は俎上には上げる。その上で、なじむものもあればなじまないものもあるし、あるいは地元の意向というものは極めて大事な点になってきますので、そうしたものも踏まえてこの検討は進めていきたいというところであります。
そして、管制ということでありますけれども、これはやはりなかなか難しいという認識については、現在もそうした認識で、今検討というところはしていないという状況になっております。
○高井委員 わかりました。
管制業務については、今回は通告もしていませんし、これ以上申し上げませんけれども、私ももう一度しっかり勉強して、また議論をさせていただきたいと思います。
それでは、もう時間が大分なくなってきたので、一つ飛ばして、今回、仙台空港は、第三セクターの二社から、今コンペ中の民間企業の三つあるうちのどこかになるんでしょうけれども、そこに経営が譲渡されるということであります。
具体的な収支見積もりなどは、それぞれコンペで決まった民間企業が当然やるんでしょうが、しかし、今回民営化するに当たって、政府として、第三セクターから民間企業に経営を譲渡するということによってどの程度の収支が改善されるという見込みがあるのか、お聞かせください。
○鈴木大臣政務官 今の御指摘の点でありますけれども、実際の数字というところで申し上げれば、今手続中の事業者ごとに提案が相当程度異なるものですから、定量的にこのぐらいということはなかなか試算ができない状況でありまして、その点は御理解をいただきたいと思います。
現状の仙台空港ですけれども、滑走路等の航空系の事業が赤字で、そして空港ターミナルビル等の非航空系の事業が黒字というのが現状でありますけれども、基本的に、このコンセッションあるいは民営化というものを進めれば、海外の事例等々でも明らかなように、まずは非航空系のところでさまざまな民間のそうしたノウハウでその利益をさらに最大化することで、例えば着陸料を下げていろいろな新たな需要を生み出すとか、そういったさまざまな、航空系についてもいい面での波及がされるということは、実際、いろいろな事例でも明らかなところであります。
そうしたところで、今後、民間の委託ということを進めていく中で、確実にこの収支というものは改善をしていくことができるであろう。
ただ、今申し上げましたように、それぞれの事業者で、どの事業者ということはまだ決まっていない段階で、なかなかそうした定量的なことというのは申し上げにくいところでありますけれども、しっかり収支の改善というところはきちんと進めていくことができると認識をしております。
○高井委員 それでは、もう時間があと少しですので飛ばしまして、最後に、PFI全体の推進についてお伺いしたいと思います。
昨年の六月に集中強化期間の取組方針というのが政府で決まって、平成二十八年度までに、事業規模でいうと二から三兆円、それから、件数でいうと、これは空港が六、水道が六、下水道が六、道路が一ですかね、こういった目標が定められていると思うんですけれども、その達成の見込みはどうなんでしょうか。
また、この集中強化期間というのが終わった後は、当然、今後もPFIを進めていくべきだと思うんですけれども、どのようにこれを進めていくお考えか、お聞かせください。
○西村(康)副大臣 お答えを申し上げます。
御指摘のとおり、昨年六月に決定いたしました集中強化期間の取組方針におきまして、コンセッション事業のそれぞれの分野別の目標も設定をしているところでございます。
現在までに、但馬空港等二件のコンセッション事業が開始をしたところでありまして、現在、御案内のとおりの関西空港及び大阪国際空港、それから仙台空港、大阪市の水道、浜松市の下水道、愛知県の道路公社などのコンセッション案件について、事業実施に向けた具体的な検討を進めているところでございます。
内閣府といたしましては、本年六月に閣議決定いたしました骨太方針においても、例えば、人口二十万人以上の地方公共団体等において、多様なPPP、PFI手法導入を優先的に検討するよう促す仕組みを構築するというふうにしたところでありますし、今後、地域における官民連携のネットワークを図ること、あるいは、地方公共団体間のノウハウを共有する、こういったことを目的としました地域プラットホームの活用等を通じて、コンセッション事業の掘り起こし、そして具体化に向けてしっかりと積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○高井委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今回の法案は、コンセッション事業の円滑かつ効率的な実施を図るため、専門的ノウハウを有する公務員を退職派遣させる制度を創設する等の措置を講ずるものであります。
特に、国、自治体管理の滑走路等の航空系事業とターミナルビル等の非航空系事業の一体経営を図るための障害を取り除こうというものであります。仙台空港などにおいて、専門的ノウハウを有する公務員を事業初期段階に派遣することについて民間から強いニーズがあったというふうに聞いております。
そこで、最初に国交省の方にお尋ねをいたします。
このコンセッションの案件について、宮城県は、PFI事業者に、旅客ターミナル運営会社と貨物ターミナル運営会社の第三セクター二社を譲渡するということになっておりますが、その譲渡額は幾らでしょうか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
仙台空港ビル株式会社及び仙台エアカーゴターミナル株式会社の株式について、空港運営権者に対する譲渡価格は五十六億八千七百五十万円となっております。
○塩川委員 よく五十七億円ということで、これについては、知事の発言などを拝見しますと、村井知事は、この五十七億円について、ほぼ出資見合い、これで県は利益を上げようという気はありません、最低の価格にさせていただいたとか、新設すれば三百億円以上、破格の値段だ、このように記者会見ですとか日経などの報道で述べているということが紹介をされております。
それから次に、仙台空港ビル会社の二〇一三年度と一四年度の経常利益が幾らかを教えてもらえますか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
仙台空港ビル株式会社の経営状況ですが、平成二十五年度は約六億五千万円の経常黒字、平成二十六年度は約六億三千万円の経常黒字となっております。
○塩川委員 大きな黒字の額でありますけれども、旅客数がほぼ同規模、年間三百万人規模の他の空港のビル会社と比較をしますと、例えば熊本の場合は三億四千万円、長崎が三億二千万円、宮崎が二億四千万円、いずれも二〇一四年度ですが、仙台空港のビル会社の場合には六億三千万ということで、非常に大きな利益を上げているということが見てとれると思います。
そうしますと、仙台空港のPFI事業の案件というのは、参入事業者に対する自治体による多額の財政支援なしには成り立たない案件なんじゃないかなと思うんですが、そういうことでよろしいですか。
○和田政府参考人 決してそういうことではございませんで、宮城県としても、地域の活性化のために、民間事業者の創意工夫でさまざまな取り組みを行うことによってコンセッションというものを考えていこうというふうにおっしゃっていると聞いています。
○塩川委員 当初、宮城県は、赤字の三セク鉄道会社、アクセス鉄道の方についても譲渡も考えていたけれども、かなわなかった、国の方があくまでも空港にかかわるものという線引きをしたということですけれども、本来、交通アクセスを含めて一体的に行うということもあるわけで、駐車場などは入っているわけですから、そういった点でも、結局は、県としてもアクセス鉄道の赤字の解消に県費を八十五億円も投入している。
結局は、赤字のところはそのままにして、黒字のところを民間の事業者に持っていくといった対応については、今回、自治体による多額の財政支援を行うという形でのPFI事業については、地元の宮城県内でも疑問や批判の声もあるということは受けとめていただきたいと思います。
次に、公務員派遣について国交省にまずお尋ねしますが、なぜ今回、公務員派遣を行うのかということについて教えてもらえますか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
現在、国が行っております業務のうち、滑走路の点検、維持管理に関する業務ですとか、航空灯火の運用管理に関する業務ですとか、駐機スポットの運用管理に関する業務につきましては、高度な専門的なノウハウが必要な業務でございまして、こういうような業務に関しては、民間委託をするに当たって、一定の期間、共有をしながら仕事を進める必要があるというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 空港コンセッション方式に参入を検討している事業者の要求、要請があったわけであります。
大臣にお尋ねします。
PFIというのは、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して、公共施設等の建設、維持管理、運営等を行うものですが、今回の仙台空港の場合をとってみても、民間事業者が経営能力及び技術的能力を持っていない、民間にノウハウがない、加えて、自治体の財政的な支援を前提に行うというものになっているということを考えると、結局、自治体による実質的な補助と国家公務員のノウハウを提供されることがなければ仙台空港のPFIは成り立たないわけで、その点では、民間事業者にとって非常に都合のよい話ではないかと率直に思いますが、大臣はどのように受けとめておられますか。
○甘利国務大臣 今回の事案、仙台空港のコンセッション事業におきましては、ターミナルビルのみならず滑走路等の空港施設まで、幅広くその運営を民間に委ねることといたしておりまして、民間事業者に対し大きな事業運営の自由度が認められ、その創意工夫が発揮しやすいものとなっているところであります。
このために、管理者が空港の収支等の情報を事前に開示した上で三者の民間事業者が入札への参加を表明しているところでありまして、今後、最終的にコンセッション事業者が決定された後は、民間事業者としてその資金や創意工夫を最大限活用しまして利用者の大幅な増加等を達成することによりまして、仙台空港の収益の改善、ひいては地元経済の発展に大きく貢献するものと期待をしているところであります。
○塩川委員 この間でいえば、空港のコンセッションについては二〇一一年にコンセッションの仕組みをつくり、二〇一三年には航空法、空港法の改正をしてそれを支援し、さらに今回、二〇一五年に新たに公務員派遣のスキーム、次から次へと法改正をして作業を行っていくということであれば、自治体による県のこういった大きな黒字の事業所を譲渡するということを含めて、いわばコンセッション方式の成功事例をつくるための特別扱いなんじゃないのかということは率直に言わざるを得ません。
そこで、今回の法案の中身ですけれども、公務員派遣の仕組みについて確認をしたい。
最初に人事院にお尋ねしますが、民間企業に国家公務員を派遣する官民人事交流法というのがあります。この官民人事交流法というのはどのような制度なのかについて説明をお願いいたします。
○大下政府参考人 官民人事交流法による交流派遣でございますが、行政運営における重要な役割を担うことが期待される職員に民間企業の実務を経験させることを通じて、効率的かつ機動的な業務遂行の手法を体得させ、かつ、民間企業の実情に関する理解を深めさせることによりまして、行政の課題に柔軟かつ的確に対応するために必要な知識及び能力を有する人材の育成を図ることを目的とするものであります。
各任命権者は、交流派遣をしようとするときには、あらかじめ、交流派遣に係る職員の同意を得た上で、当該交流派遣の実施に関する計画を作成し、当該計画が官民人事交流法及び人事院が定めます交流基準に適合するものであることについて、人事院の認定を受けなければならないこととされているところであります。この交流基準は、所管関係にある民間企業への派遣の制限等、人事交流の制度の適正な運営のため必要な事項について定めているものであります。
交流派遣をされました職員は、交流派遣の期間中、公務員の身分を保有したまま、公務員としての職務には従事せず、当該職員と民間企業との間で締結した労働契約に基づいて派遣先民間企業の業務に従事することになります。
○塩川委員 人材の育成を図ることが目的ということで、公務員の身分を保持したまま派遣をされるということであります。今回の改正案の中身とはその点が違うわけで、いわば、官民人事交流法においては、自分が担当している業務をそのまま民間で行う仕組みというのは法律に抵触するという整理になっているわけであります。
内閣人事局にお尋ねします。
国家公務員について、復帰を前提として退職をし、その後戻ってくる、そういう点では通算した身分を保障する、そういう復帰を前提として民間企業に派遣する仕組みというのは現行はあるんでしょうか。
○三輪政府参考人 お答え申し上げます。
国家公務員の復帰を前提とした出向制度についてのお尋ねでございます。
現行法では、国家公務員を退職して地方自治体、独立行政法人、国立大学法人、特殊法人等に出向した場合、公務への復帰を前提とした措置がなされております。このほかにも、中部国際空港株式会社等のように、株式会社形態の中にも個別法において公務への復帰を前提とした措置が行われているものもございます。
以上でございます。
○塩川委員 個別法によって措置されたものを除いて、国家公務員について復帰を前提として民間企業に派遣する仕組みがあるのかについて、もう一回お願いします。
○三輪政府参考人 お答え申し上げます。
個別の法律に規定されたもの以外の御質問でございますけれども、退職手当法あるいはその施行令におきまして、一定の株式会社、例えば、首都高速道路株式会社あるいは日本政策投資銀行、そういった株式会社形式のものが指定をされているという例はございます。
○塩川委員 そういう指定されているものを除いた民間企業に復帰を前提として派遣する仕組みはありますか。
○三輪政府参考人 お答え申し上げます。
退職手当法、それから、先ほど申しました個別の法律によって指定されているもの以外ということになりますと、先ほど来ございますような官民人事交流法、これは、御指摘のように、退職ということではなく、公務員の身分を有したままの派遣ということでございますけれども、そういう仕組みということになります。
以上でございます。
○塩川委員 では、そういうのを除けばないということですね。
○三輪政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま申しましたような法律の規定のあるものということのみでございます。
○塩川委員 要するに、そういう法律上の規定がない場合については現行上派遣する仕組みがないということでありました。
今回の法案は、国家公務員が民間企業の営利活動に直接奉仕することになる初めての制度ということになります。
次に、総務省にお尋ねします。
地方公務員についてでありますが、復帰を前提として民間企業に派遣する仕組みというのはどうなっていますか。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
公益的法人等派遣法がございまして、この第十条に定めます退職派遣制度は、地方団体と特定の法人との間で締結された取り決めの内容に従って、地方団体の職員が任命権者の要請に応じて一旦退職した上で、当該特定の法人の職員等として業務に従事するものでございます。
この場合の派遣先の法人につきましては、地方団体が出資している株式会社のうち、その業務が公益の増進に寄与し、地方団体の事務事業と密接関連性を有し、人的援助が必要なものとして条例で定められるものに限定しているところでございます。
以上であります。
○塩川委員 三セク派遣法の説明をされました。
要するに、出資もしていない民間企業に地方公務員を派遣するという仕組みは初めてということですね。
○北崎政府参考人 お答えいたします。
研修を目的としたような派遣はございますけれども、退職をして、またそこの民間企業から帰ってくるというものにつきましては、公益法人、いわゆる三セク派遣法が全てでございます。
以上であります。
○塩川委員 ですから、出資をしていない、いわば公益性を持たないと判断される民間企業に地方公務員を派遣する初めての制度ということになります。
今までできなかったことを可能とするわけですけれども、大臣にお尋ねします。
営利を目的とする民間企業の業務に公務員を従事させるということは、公務の公正性及び信頼性を損なうことになりはしないのか、この点についての大臣のお考えをお聞かせください。
○甘利国務大臣 本法案によります公務員派遣制度は、コンセッション事業者に専門的なノウハウを確実に継承することによりまして、コンセッション事業の円滑な立ち上げを確保することを目的としているものでありまして、その際に、不必要に派遣期間が長期にわたることのないように、派遣を事業の初期段階に限定するということとしております。具体的には、一人当たりの派遣期間は三年以内としまして、事業全体の派遣期間も最大で五年程度を想定しております。
いずれにいたしましても、事業の初期段階における専門的なノウハウの継承という本制度の趣旨を逸脱することのないように厳格に運用してまいりたいと考えています。
○塩川委員 憲法十五条の二項に、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」というふうに規定されているように、営利企業の業務に国家公務員を従事させるということはこれまで認めてこなかったわけであります。公務員みずからが担当している業務を民間企業でそのまま実施する、こういう制度というのは容認できないということを申し上げるものであります。
あわせて、こういったスキームの安全性、公共性が担保されるのかということですけれども、今回の法案を活用して民間事業者が検討しているビジネスモデルというのは、国、自治体管理の滑走路等の航空系事業とターミナルビル等の非航空系事業の一体経営を行うことで効率化を図り、物販、サービスなどのもうけを着陸料引き下げに充てて、LCC誘致で顧客増を狙うという、好循環ということを考えておられるということであります。
そこでお聞きしたいのが、今回のスキームで、コンセッションを担う民間事業者に譲渡される施設等に仙台空港の駐車場の問題もあると思うんですけれども、国交省にお尋ねしますが、仙台空港の駐車場は、現行、空港環境整備協会が管理運営していると承知をしています。十七の国管理空港の管理運営を担っております。仙台空港における駐車場については、昨日お聞きしましたら、二〇一三年度の経常損益は一億六千二百万円の赤字となっています。これはなぜなのか、教えてもらえますか。
○和田政府参考人 済みません。ちょっと今手元に資料がないので、調べた上で、後ほどお答えさせていただきます。
○塩川委員 きのう、その件では事前に資料要求もし、説明を求めていたわけですけれども。
地域への補助事業を実施している、大震災復興の事業が多かったということですけれども、そういうことでよろしいですか。
○和田政府参考人 大変失礼をいたしました。
仙台空港の駐車場事業については、一般財団法人空港環境整備協会が実施をしております。東日本大震災により甚大な被害をこうむった仙台空港及びその周辺地域の復旧復興等に資するため、周辺自治体における防災資機材の整備等の取り組みに多くの助成を実施したことが一因にあるというふうに承知をしております。
○塩川委員 そういう点では、復旧復興に資するために地元自治体への助成を行ったということが、結果として、一億六千二百万円の赤字が二〇一三年度で出ているわけであります。
この空港環境整備協会が管理運営している駐車場というのは、各空港ごとの独立採算なんですか、それともプール制なんでしょうか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
各空港個別収支ではなくて、全体で収支を管理してございます。
○塩川委員 全体で収支を管理している。プール制だから全体の上がりがあって、しかし、このように復旧復興のためということで必要な支出を行うということがプール制だからこそ可能になっているんじゃないのかと思うわけであります。
今回のこのスキームによりますと、これは仙台空港の駐車場の分だけ切り出すという形になると承知しているんですけれども、それでよろしいですか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
先生御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 そうしますと、全国プール制だからこそ、災害時の特別な支出が可能となったわけであります。それが今回、仙台空港の駐車場だけ切り出すような場合に、これは全国、同じような例も当然そうだと思いますけれども、まさに東日本大震災のような大規模災害があって、復旧復興を図ろうと、全国的な支援の一環として、全国一体の、そういった団体からのしかるべき地元被災自治体への財政支援というのが行われてきたのが、個別に切り分けられるとできなくなってしまうんじゃないのか。現行でいえば、今言ったこの協会の対応でやっているわけですけれども。
そういう場合に、このPFI、コンセッション方式の場合に、事業者の方が責任を持つのか、あるいは国なのか、そういう整理というのを考えたときに、結果とすれば、こういった切り出されるようなやり方で進められるということが災害時の特別な対策をとることを困難にすることになりはしないのかと思うんですが、いかがですか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
空港環境整備協会全体の努力でそこは引き続き収入を上げる努力をしていただいて、今までの業務に支障が生じないようにやっていただくということかと思います。
○塩川委員 でも、切り出されるわけでしょう。切り出された際に、では、もとのところからお金を持ってくるのかといったら、そういう話にならないわけですよね。
そう考えたときに、結局は、切り出された中の収支でやりましょうといった際に、災害時における対応というのが現行よりも後退することになるんじゃないのかという懸念を言っているんですけれども、もう一回。
○和田政府参考人 駐車場の事業を民間に委託した場合には、運営権者がそこは全体の事業の中で災害復旧の関係の措置についても適切に対応していただきたいなというふうに思っております。
○塩川委員 答えになっていないわけで、要するに個別の収支の枠内でしかできないんですよ。しかし、現行のプール制であれば、ほかの上がりで入れましょうということになっているわけですから、災害時の緊急の対応というのも可能じゃないのか、それが今回のように切り出されたら後退することは明らかじゃないかということについて、明確な説明がありませんでした。
公共交通機関は、ネットワークによって公共性、採算性を確保しております。個々に切り出されればそのメリットが失われることになるということを指摘せざるを得ません。
きょうは議論の時間がありませんから紹介だけですが、仙台空港の着陸料値下げによるLCCの誘致の場合に、仮に仙台空港の利用者がふえても、周辺地域の利用者が吸い取られてしまうことになりはしないのか。山形空港とか福島空港とか花巻空港の運営が困難になるということも危惧されるわけで、こういった今回の法案に基づくやり方というのが公共交通政策をゆがめることになりかねないということを指摘しておくものであります。
残りの時間で、安全対策の問題ですけれども、公務員派遣対象となる公務員のもとで委託業務を行っている事業者があります。これはきょうの質疑の中でも紹介されていましたが、消火救難体制を担うような業務については委託の事業者が担っておられる。十八名の職員がいて、その際に公務員派遣で四人の人が入るということです。コンセッション方式が採用された場合には、コンセッションの運営権者のもとで業務を行うことになるわけであります。
いずれも、退職派遣の対象となる公務員というのは、安全に関する業務だと思うんですが、どのような業務が今回対象となるのか。退職派遣の対象となる公務員の数について紹介してもらえますか。
○和田政府参考人 お答えをいたします。
公務員派遣の対象となる業務については、最終的には民間事業者からの要請に応じて検討することになりますけれども、主なものを申し上げれば、滑走路の点検、維持管理に関する業務ですとか、航空灯火の運用管理に関する業務ですとか、駐機スポットの運用管理に関する業務等が対象となり、これらの業務に関するノウハウを有する職員を派遣することを想定しております。
仙台空港における現在の国の業務量及び担当職員数を勘案すると、おおむね十名程度の派遣となるのではないかと想定をしております。
○塩川委員 そういった切り出されるところで、消火救難体制については委託の事業者などが担っているわけであります。
大臣にお尋ねしますが、やはり効率性を追求するといった中で、営利優先についての、委託業者への経費の削減ですとか保安防災体制の後退の懸念ということも考えられるんですけれども、この点について大臣はどのようにお考えでしょうか。
○甘利国務大臣 コンセッション事業は、これまで公共が実施してきたインフラ運営を民間に委ねるものでありまして、引き続き安全性が確保されることは極めて重要であるというふうに考えています。
このために、実施契約等におきまして確保されるべき安全基準について規定すること、管理者が安全基準の遵守状況を的確に把握すること、そして、コンセッション事業者の対応が不十分な場合には、管理者が必要な指示等をすること等によりまして、コンセッション事業の的確な実施を確保することといたしております。
これらを厳格に運用することでコンセッション事業におきまして安全性が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えています。
○塩川委員 現行でも、やはりさまざまな経費節減の要請があるということをお聞きしております。直接人命にかかわらないような機器の更新ですとかあるいは性能向上を先延ばしせざるを得ないような実態があるということをお聞きしております。航空保安業務に影響を及ぼすことによる運航の遅延ですとか利便性の低下も懸念されるというお話でありました。
やはり公共交通におけるコスト優先の問題点というのは、例えば、あの笹子トンネルの事故などにもあらわれているわけです。民営化をされた中日本高速道路会社が引き起こした笹子トンネル事故というのは、点検もずさんだったわけですけれども、会社は、この維持管理コストの三割減というのを経営計画に上げていたわけであります。
コスト優先で安全対策が軽視される懸念は拭えないということを申し上げて、質問を終わります。
○井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより討論に入ります。
討論の申し出がありますので、これを許します。池内さおり君。
○池内委員 私は、日本共産党を代表して、PFI法改正案に対して反対の討論を行います。
反対する第一の理由は、空港の安全性や公共性を確保する公的な責任を曖昧にするとして反対した国管理空港等のコンセッション事業をさらに進めるためのものだからです。
我が党は、国管理空港等をコンセッション事業の対象とする二〇一三年の民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律案に対して、空港施設運営権の売却は、民間資本のもうけ、利潤獲得のために、国民の共有財産である空港を利用、活用させようとするものであり、空港の安全性や公共性を確保する公的な責任を曖昧にするものとして反対しました。
この法改正に基づいて、現在、仙台空港では、コンセッション事業のための民間事業者の選定を進めていますが、本法案は、このコンセッション事業を進めるために、これまで空港で働いてきた専門知識、技術を持つ公務員を引き続き民間事業者のもとで業務につけることができるようにしようというものであり、認められません。
民間が公務より効率的な経営ができるというのがPFIの理念のはずですが、仙台空港のコンセッション事業が示しているのは、公務員の助けなしにPFIが進められないという事実です。
仙台空港は、そもそもPFI事業として成り立たず、理念が神話であることを示すとともに、本法案は、コンセッション方式自身が公務員の助けなしに成り立たないということを認めたものにほかなりません。公共性や安全性を後退させるコンセッション方式の追求自身をやめるべきです。
第二の理由は、退職派遣という手法で公務員の民間企業への派遣を可能とすることが公務員の全体の奉仕者としての性格をゆがめるものだからです。
憲法十五条は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と定めています。本法案は、退職派遣という手法でこの原則に穴をあけ、民間企業であるコンセッション事業者のもうけのために公務員を働かせるための改定であり、認めることはできません。
以上、反対討論とします。(拍手)
○井上委員長 これにて討論は終局いたしました。
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○井上委員長 これより採決に入ります。
内閣提出、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○井上委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、亀岡偉民君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を聴取いたします。泉健太君。
○泉委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一 「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン」を踏まえ、公共施設等運営権方式を含むPFI事業やPPP事業に係る事業規模目標の達成に向け、地方公共団体及び公共施設等運営権者からの要望を受けて関係省庁等との調整を行う総合窓口について一元化を図ること並びに会計・税務等の専門家の派遣等、PPP/PFI推進のため必要な措置を講ずること。
二 PPP/PFIの推進に当たっては、指定管理者制度や包括的民間委託等、多様な官民連携手法の特徴を整理した上で、適切な手法が活用されるよう努めること。また、手法の選択に当たっては、手続の透明性が確保されるよう十分に留意すること。
三 公共施設等の統廃合に当たっては、PPP/PFIが積極的に活用されるよう努めること。
四 民間事業者への公務員の派遣等に当たっては、民間事業者からの要請を十分踏まえて実施するものとし、公務員の新たな天下りの手段との疑念を抱かれることのないよう、その運用に万全を期すこと。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。甘利国務大臣。
○甘利国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
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○井上委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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○井上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時八分散会