衆議院

メインへスキップ



第1号 平成28年1月13日(水曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十八年一月四日)(月曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   理事 亀岡 偉民君 理事 田村 憲久君

   理事 中山 展宏君 理事 泉  健太君

   理事 高井 崇志君 理事 高木美智代君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    岩田 和親君

      大隈 和英君    岡下 昌平君

      神谷  昇君    木内  均君

      北村 茂男君    高木 宏壽君

      武井 俊輔君    武部  新君

      中根 一幸君    長尾  敬君

      西村 康稔君    平井たくや君

      ふくだ峰之君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宮崎 政久君

      若狭  勝君    緒方林太郎君

      近藤 洋介君    佐々木隆博君

      津村 啓介君    古本伸一郎君

      升田世喜男君    山尾志桜里君

      輿水 恵一君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      河野 正美君    鈴木 義弘君

    ―――――――――――――

一月四日

 西村康稔君が議院において、委員長に補欠選任された。

平成二十八年一月十三日(水曜日)

    午後四時開議

 出席委員

   委員長 西村 康稔君

   理事 亀岡 偉民君 理事 平  将明君

   理事 武井 俊輔君 理事 中根 一幸君

   理事 中山 展宏君 理事 平井たくや君

   理事 緒方林太郎君 理事 柿沢 未途君

   理事 高井 崇志君 理事 佐藤 茂樹君

      あかま二郎君    青山 周平君

      池田 佳隆君    岩田 和親君

      大隈 和英君    大野敬太郎君

      岡下 昌平君    神谷  昇君

      木内  均君    北村 茂男君

      瀬戸 隆一君    高木 宏壽君

      中川 俊直君    長尾  敬君

      ふくだ峰之君    牧島かれん君

      松本 洋平君    若狭  勝君

      阿部 知子君    大串 博志君

      岸本 周平君    小宮山泰子君

      後藤 祐一君    篠原  孝君

      初鹿 明博君    古本伸一郎君

      江田 康幸君    濱村  進君

      池内さおり君    島津 幸広君

      浦野 靖人君    河野 正美君

      鈴木 義弘君

    …………………………………

   国務大臣

   (国家公務員制度担当)  河野 太郎君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   内閣府大臣政務官     牧島かれん君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    横畠 裕介君

   政府特別補佐人

   (人事院総裁)      一宮なほみ君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       三輪 和夫君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       若生 俊彦君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局長)          江畑 賢治君

   政府参考人

   (人事院事務総局給与局長)            古屋 浩明君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 柴崎 澄哉君

   内閣委員会専門員     室井 純子君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月四日

 辞任         補欠選任

  田村 憲久君     平  将明君

  泉  健太君     阿部 知子君

  近藤 洋介君     大串 博志君

  佐々木隆博君     岸本 周平君

  津村 啓介君     小宮山泰子君

  升田世喜男君     柿沢 未途君

  山尾志桜里君     後藤 祐一君

  輿水 恵一君     江田 康幸君

  高木美智代君     佐藤 茂樹君

同月十三日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     あかま二郎君

  武部  新君     中川 俊直君

  宮崎 政久君     瀬戸 隆一君

  阿部 知子君     篠原  孝君

  高井 崇志君     初鹿 明博君

  河野 正美君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  あかま二郎君     石崎  徹君

  瀬戸 隆一君     宮崎 政久君

  中川 俊直君     大野敬太郎君

  篠原  孝君     阿部 知子君

  初鹿 明博君     高井 崇志君

  浦野 靖人君     河野 正美君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     武部  新君

同日

 理事秋元司君及び谷川弥一君平成二十七年十二月二十四日委員辞任につき、その補欠として平井たくや君及び中根一幸君が理事に当選した。

同日

 理事田村憲久君、泉健太君及び高木美智代君同月四日委員辞任につき、その補欠として平将明君、緒方林太郎君及び佐藤茂樹君が理事に当選した。

同日

 理事中山展宏君及び高井崇志君同日理事辞任につき、その補欠として武井俊輔君及び柿沢未途君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

一月四日

 国民経済及び国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案(岸本周平君外三名提出、第百八十九回国会衆法第一九号)

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案(細田博之君外八名提出、第百八十九回国会衆法第二〇号)

 歳入庁の設置による内国税並びに労働保険料及び年金保険料等の徴収に関する業務の効率化等の推進に関する法律案(今井雅人君外六名提出、第百八十九回国会衆法第三一号)

同月十二日

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

西村委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言御挨拶を申し上げます。

 このたび内閣委員長を拝命いたしました西村康稔でございます。

 当委員会は、経済財政政策を初めとする内閣の重要案件から、行政改革、規制改革、少子高齢化への対応、全ての女性が活躍できる男女共同参画社会の実現、食品安全の確保、治安対策等の警察にかかわる問題まで、幅広く所管をいたしております。

 私は、当委員会が果たす役割の重要性をしっかりと認識し、委員各位の御指導と御協力を賜りまして、円満かつ規律ある委員会運営に努めてまいりたいと考えておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

西村委員長 理事の辞任についてお諮りいたします。

 理事中山展宏君及び高井崇志君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が七名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に

      平  将明君    武井 俊輔君

      中根 一幸君    平井たくや君

      緒方林太郎君    柿沢 未途君

   及び 佐藤 茂樹君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 国政に関する調査を行うため、本会期中

 内閣の重要政策に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに行政機構に関する事項

 栄典及び公式制度に関する事項

 男女共同参画社会の形成の促進に関する事項

 国民生活の安定及び向上に関する事項

 警察に関する事項

以上の各事項について、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

西村委員長 次に、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。河野国務大臣。

    ―――――――――――――

 一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案

 特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 このたび国務大臣を拝命いたしました河野太郎でございます。

 国家公務員制度を担当しております。また、国家公安委員会委員長を務めるほか、行政改革を担当し、内閣府特命担当大臣として規制改革、食品安全等を担当しております。

 西村委員長を初め理事、委員各位の御指導と御協力をよろしくお願い申し上げます。

 ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 まず、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 昨年八月六日、一般職の職員の給与及び勤務時間の改定に関する人事院勧告が提出されました。政府としては、その内容を検討した結果、勧告どおり、平成二十七年度の給与改定を行うとともにフレックスタイム制の拡充を行うことが適当であると認め、一般職の職員の給与に関する法律等について改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、全ての俸給表について、俸給月額を若年層に重点を置きながら引き上げ、勤勉手当の支給割合を年間〇・一月分引き上げること等としております。

 第二に、フレックスタイム制について、原則として全ての職員に拡充するとともに、育児または介護等を行う職員については、日曜日及び土曜日に加えて週休日を設けることができることとしております。

 このほか、施行期日、この法律の施行に関し必要な措置等について規定することとしております。

 引き続きまして、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。

 この法律案は、特別職の職員の給与について、一般職の職員の給与改定にあわせて、必要な改正を行うものであります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 内閣総理大臣等の特別職の職員の俸給月額及び期末手当について、一般職の職員の給与改定に準じた措置を行うこととしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。

西村委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局人事政策統括官三輪和夫君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、人事院事務総局職員福祉局長江畑賢治君、人事院事務総局給与局長古屋浩明君、総務省自治行政局公務員部長北崎秀一君、国税庁長官官房審議官柴崎澄哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古本伸一郎君。

古本委員 古本伸一郎でございます。

 当内閣委員会、今年初の委員会ということであります。委員長におかれましては、御就任おめでとうございます。また、大臣も御就任おめでとうございます。どうぞよろしくお願いします。

 理事に伺えば、別途所信の質疑というのは協議中と伺っておりますので、そのくらい、昨年の八月六日に人事院総裁より勧告を衆参両院議長及び内閣総理大臣は受け、それをハウスの意思として処理するという大変重要なハウスの責務を、臨時会を開催しなかったために言うならば四半期分放置しておった、こういうことでありますので、我が党としても、急ぎ本件を処理するに当たり、格別の配慮を恐らく我が党の理事もしたんだろうと思い、そのことを付言した上で質疑に臨みたい、このように思います。

 まず、給与勧告といわゆる働き方、労働時間勧告の二本立てで今般勧告を受けている、このように承知しています。

 給与勧告につきましては、この後の同僚議員の後藤先生に少し委ねたいと思いますが、総じて言いますと、党内の部門会議等々、議論をした際に出ましたのは、国家の台所が火の車のときに、民間準拠と称して賃上げしていいのかという御意見がございました。他方で、制度として労働条件を決める、議論をするシステムがない、つまり基本権を失っておりますので、こういう状況の中で勧告に従うというのはむしろ政治の責務ではないか。この両論が少しございました。

 そういう中で、台所が火の車だというのを少し事実関係の確認を事務方にするわけなんですが、二十六年度の予算ベースで五兆九百九十六億円だったと思います。二十七年度、幾らを予定していますか。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 国が負担をいたします人件費、これは、国家公務員の人件費分、それから……(古本委員「いや、数字だけどうぞ」と呼ぶ)失礼しました。

 国家公務員の人件費分で五兆一千五百六億円という数字でございます。

古本委員 この数字をまさに内閣として承認してくれということを出しているわけですから、よくそこはお願いします。

 それで、幾らふえるんですか。

三輪政府参考人 失礼いたしました。

 説明といたしましては、義務教育費国庫負担金等を含めて、国の負担全体で約七兆六千億という数字でございますけれども、それに対応いたしまして、増加分というのは約七百五十億という数字でございます。

 ただし、当初予算の枠内でおさまるということで、実際の補正としてお願いをしている数字は、トータルではマイナスという状況でございます。

 以上でございます。

古本委員 二十六年度ベースで五兆九百九十六億円でございます。二十七年度で五兆一千五百六億であれば、差し引きは五百十億の増なんじゃないんですか。

三輪政府参考人 失礼いたしました。

 当初予算の増ということではございませんで、先ほど御説明として申し上げました数字は、今年度の人事院勧告を実施することによって必要となるという数字の御説明でございます。

 以上でございます。

古本委員 ちょっとかみ合いませんので私の方から申し上げますと、総じて言えば、ネットで五百億の増なんです。委員長もまた後で調べていただければ。大臣もわかると思うんですけれども。

 では、この五百億が本当に日本国として、国家の財源として出てこないのかという話なんですね。

 党内で、国家の台所が火の車のときに、果たしてベースアップを民間準拠といってやっていいのかという意見もあった。でも、一方で、人勧というのは労働基本権がない中で当然だという意見があったんですね。

 そして、この五百億の数字がどれだけ莫大かということは国家の予算全体の議論が要るんでしょうけれども、バッファーが、ゆとりがあるとすると、伸び代なり縮み代があるとするならば、二十六年度ベースの数字で確認ですけれども、給与費が三兆八千億円、共済その他の言うならばレガシーコストが〇・七から〇・八、そして退職給与引き当て分が〇・四。引き算ですよ。残り約一千五百億円ぐらいあると思うんですが、これは何ですか。

三輪政府参考人 お答え申し上げます。

 手元に正確な数字はございませんが、御指摘の数字から拝察いたしますと、超過勤務手当に相当する数字であるというふうに思っております。

古本委員 つまり、超勤分を働き方改革をして縮減すれば、今回の人勧のボーナスプラス〇・一、官民較差是正分〇・三六程度はいわば自賄いできるわけなんです。

 今回、働き方改革の中で、人事院総裁から、「フレックスタイム制を活用していくための留意点」ということで、こういうくだりがございます。人事院総裁の言葉ですよ。フレックスタイム制は、ワーク・ライフ・バランスの推進にも資するものであることに留意し、フレックスタイム制の拡充を契機として、全ての職員の働き方の見直しを行い、超過勤務の縮減に向け一層積極的に取り組んでいく必要があると。

 つまり、働き方改革をして超勤を減らしていくということも含めて、フレックスタイムをツールとして使っていくということだと受けとめているんですけれども、正しいかどうかだけ答えてください。

三輪政府参考人 私どもも、フレックスタイム制の導入というのは、働き方の改革ということを通じて、超過勤務の縮減あるいは仕事を続けやすい環境の整備づくり、そういったことを通じて、公務能率の向上そしてまた人材の育成、そういったものに資するものであるというふうに受けとめております。

古本委員 政治家が育休をとるかとらないかというのは、両論あるようで、かまびすしいですけれども、やはり子育てをされている職員、これは男女を問わず、お子さんが朝発熱するかどうかは、今回のフレックス、四週間の単位で一週間毎に申告で働き方を、何曜日をフレックスとやるそうですけれども、パートナー同士、あるいは御夫婦かもしれませんが、今週はあなたね、来週は俺がフレックスだみたいなことを想定されているんでしょうけれども、残念ながら、子供はいつ発熱するかわかりません。そして、そのことを看護するのは親の責務だと思うんですね。

 そこで、前回の八月二十八日の質疑のときに、私は人事院に宿題を出しましたよ。その後の検討状況を含めてお尋ねしますよ。

 看護休暇というのがありますね。一人目五日、二人目で十日。この看護休暇の取得状況ですけれども、データが存在する平成二十三年実績であると三・六日とっているらしいですね。これは、平成十九年の三・〇日からコンマ六日ふえていますので、制度の必要性が高まっているんだろうと思います。

 他方、看護が必要な年代というのはやはり年によって違うと思うんですよ。小学校の高学年になれば、少しお弁当をつくり置いて、お母さんは仕事へ行くけれども、もしどうしても熱が高くなったら電話するんだよとか、そういうこともあるかもしれませんね。でも、それを三歳児、四歳児に言えますか。言えませんよ。だから看護休暇があるんですね。

 お子さんの年代別に、要看護者の年代別取得率を調べましたか。

江畑政府参考人 調査はいたしておりません。

古本委員 これは、大臣、ゼロ歳児から年長さんまで看護休暇が使えるそうです。でも、小学校一年生、七歳になって一年生に上がった途端に使えないんです。小学校一年生の、ランドセルに黄色いあれをつけている、やっと小学校に入った子に、御飯をつくり置いておいて、お母さんは仕事だからきょうは寝ておけと言えますか。私は忍びない。

 前回、私がこの適用を拡大したらどうかと言ったら、民間がやっていませんのでできませんという答弁をしたんです。だったら、まずはゼロ歳児から六歳児までの年代別適用状況を調べろと言ったんです。

 調べるべきだと思うんですけれども、どうですか。

河野国務大臣 そういう議論があったならば、これは人事院に改めて調べていただきたいと思います。

古本委員 ありがとうございます。心強いです。

 もう一つ。人事院、いいですか。この五日というのは、完全に消化し切っていない実態、三・六日ということも考えますと、五日をふやせと言っていないんですよ。やはり適用対象を少し、小学校の低学年ぐらいやってみたらどうかということなんですよ。その心は、今回のこのフレックスというのは、民間でいえばもう周回おくれですよ。とっくの昔に制度は入っています。この制度の成否の鍵を握るのは、評価制度とのリンケージだと思います。

 職場でA4一枚の書類を書く企画業務に携わっている役職員を想定しましょう。あるいは、国会の答弁でもいいですよ。国会の答弁を書く役職員でもいいです。答弁一枚あるいは企画書一枚を書くのに長時間労働で深夜まで残業して、局長に評価してもらいたい一心から、各職員、すばらしいと思いますよ。審議官に評価してもらいたい。それはそうでしょう、サラリーマンですから。

 でも、一方で、在宅で、テレワークで、お子さんが熱が出たので急遽年休をとって、それで夜メールで送ってきて、一枚企画書を書く。そっちの方が非常に効率よく、しかも紙の質も高いとしたならば、どっちの方が能力が高いですか。

 机にしがみついて長時間勤務によってA4一枚仕上げるのと、たとえ在宅でも、A4一枚、子育て、看護しながら、メールで、ファクスで送ってくる職員、どっちがいいですか、能力が高いか。

江畑政府参考人 一概に比較をするということはなかなか難しいかもしれませんが、投入した労力とその成果をあわせて考えた場合に、投入した労力に比べて成果が高いということであれば、そちらの方が評価が高いというふうに考えております。

古本委員 人事局、評価基準というのは働いた時間の長短ですか。時間の長さというのは評価の基準になるんですか。

三輪政府参考人 人事評価は能力評価それから業績評価でございますけれども、働いた時間の長短というものが直接人事評価につながるものではございません。

古本委員 大変いい答弁だと思いますね。

 執行機関は別ですよ。国税庁だとか税関とか、ああいうのは全く別ですけれども、これからは、企画立案に携わっている人はできるだけ早く帰って子育て参加するぐらいの働き方改革をすれば、実は超勤の一千五百億の縮減なんて、サービス残業をやろう、みんなで歯を食いしばろうと言っているんじゃないですよ。本当に五時に帰ればいいと思うんですよ。

 仕事が仕事をつくっている。組織の数だけ仕事をつくっている。したがって、組織の改廃、さらには上司とのコミュニケーション、目標の設定、根本的に見直さないと、このフレックスはうまくいかないと思いますよ。相変わらず、二時、三時まで、夜中まで机にしがみついて書類を書いてくれている職員が頑張っている。そして、子育てがありますからといって五時に帰っていった職員は何だ、あいつはのんきだなと。これがある限り、このフレックスはうまくいかないと思いますね。

 ぜひ象徴的な人事も含めてやっていただきたいと思うんですけれども、労働時間の長さとこの超過勤務というのはいたずらに削ったってサービス残業になりかねませんから、仕事の改廃を先にやるべきだと思うんですね。恐らく大臣とその辺の問題意識は一致していると思うので、済みません、段取りが悪くて残りが少なくなってきたので、ちょっと事実関係でもう一言言っていただきたい。

 フレックスでコアタイム二時間を今回提案ですけれども、総武線に揺られて、山手線に揺られて、赤ちゃんを抱いて登庁するのが大変だと言っているんですから、この二時間のコアタイムは、コアレスフレックスも場合によっては認めるということでいいですね。登庁しなくてもいいということを約束してください。

江畑政府参考人 お答えいたします。

 フレックスタイム制におきますコアタイムは、適切な公務運営を確保するため、職員は必ず勤務しなければならない時間帯として設けているものでございますので、育児、介護を行う職員についても、公務運営の確保の観点から、設定することが必要であるというふうに考えております。

 しかしながら、コアタイム時間帯の間でありましても、その時間帯に在宅勤務を行わせることが適当と各省各庁の長が判断される場合には、その時間帯に在宅勤務を命ずることは可能であるというふうに考えております。

古本委員 心強いですね。ぜひそれを各省の官房に指示をして、そういう働き方をみんなやってみればいいと思いますよ。そうしたら、机にしがみついていることが仕事ではないんだという、新しい公務部門の働き方になると思いますね。

 最後に、勢い、公務員の給料が高いんだとか、私たち国会議員の歳費が高いんだとか、そういう議論に消費税もある折からなりがちなんですけれども、今、国民各層の期待は、公務員もしっかり給料を取ってくれ、国会議員だっていいよ、そのかわり結果を出してくれと思っているんじゃないでしょうか。

 私は、公務部門で働く皆さんが、給料をおまえたちがまず削れということを言われて、やむを得ないなと思う人がいる大前提は、国家のお台所がいかに火の車かということを共有しない限り、これは無理ですよ。地公体だってそうです。各自治体のお台所がわからなきゃ無理ですね。それこそまさに労働条件を決める上での世に言うところの労使の話し合いだと思うんですけれども、それは今、制度として確立されていないんですね。これがない中でそれを理解しろと言われても、私は、公務員の皆さんの言い分はこれありだと思いますね。

 以上を踏まえまして、この公務員の給与、今回の人勧についてはこのとおり受け入れるべきだと思いますし、同時に働き方改革、今言いましたようにフレックスも入りますから、仕事の改廃をやらない限り、結局サービス残業になるだけだと思います。この十年、調べさせたら、超勤の予算は要求ベースで一千五百億。ずっとそうです。変わっていません。これでは仕事も減りませんね。

 仕事の改廃に向けた決意と給与、大臣に最後一言いただいて、終わります。

河野国務大臣 ここでフレックスタイム制を導入していただくというのが非常に大きな契機になると思いますので、霞が関の働き方というのをまず変えるというのが非常に大事なことだと思います。

 超過勤務時間というのはそれをはかる一つの物差しであることは間違いないと思いますので、この超過勤務を同時に減らしていくような仕事のあり方というのに先頭に立って取り組んでまいりたいと思います。

古本委員 ありがとうございました。

 終わります。

西村委員長 次に、柿沢未途君。

柿沢委員 柿沢未途でございます。

 二年連続の国家公務員給与引き上げとなるわけです。今回の給与法改正案、私として決して納得しているわけではありません。党内では、反対したいという声もあります。しかし、このように民間の感覚とかけ離れたような国家公務員給与の水準になってしまっているのは、むしろ、構造的な要因が大きいというふうに考えております。つまりは、人事院勧告制度そのものに内在している問題、要因が大きいのではないかと考えます。

 単に給与法改正案に反対し続けるのは野党ならできますけれども、きのう予算委員会で我が党の井坂信彦議員が指摘をさせていただいたように、政府・与党がこの人勧無視を連続して続けていけば、これはさすがに憲法上問題にされる、裁判上もそういうことになり得る。そういう意味でいえば、逆官民較差といいましょうか、今の国家公務員給与の水準について抜本的に仮にメスを入れる、こういうことであるとするならば、現在の人事院勧告制度そのものについてやはり改革のメスを入れる、それが必要なのではないかというふうに思っております。

 人事院勧告の前提となる官民給与比較の調査でありますが、これもきのう井坂議員が取り上げさせていただきました。五十人以上の事業所だけを対象として、事実上、大企業の社員だけを比較対象にしている。係長が八万人いて、部下なしが恐らく八割以上ではないかと言われてもいます。その係長を、係長という名の役職だからといって、民間の係長、部下も四人も五人もいる、そうした皆さんと比較をして給与水準をそろえているという形になっています。

 人事院勧告制度の前提となる職種別民間給与実態調査だと、全職種の民間給与平均は、ボーナスを含め、年額換算で六百六十万円ぐらいになっていますね。ところが、国税庁が調べている民間給与実態統計調査だと四百十四万円。同じ政府の統計で、同じ民間の平均ですといって、二百万円、一・五倍もの開きがあるわけです。

 これについて党内の勉強会をやったんですけれども、人事院の方から、「人事院勧告について」という資料をお出しいただきました。その中の一ページが、今お配りをしているこの「国税庁「民間給与実態統計調査」による民間給与と国家公務員給与について(平成二十六年)」こういう表題のペーパーなんです。

 一番下の方を見ると、「国税庁調査において、国家公務員の平均と同程度の勤続年数の階層の男性の給与水準(年間給与)をみると、国家公務員と同程度となっている。」と。国税庁調査は、勤続二十から二十四年の階層、男性で六百七十・八万円、国家公務員は、平均勤続年数二十二年、六百六十一・八万円、こういうことが額としても書かれているわけです。

 ああ、何だ、そうなのか、同じぐらいなのか、こう見れば、こう思いますよね。人事院の方もそういう説明をしていたんですけれども、しかし、これは党内から物言いがついて、調べてみたら、比較のやり方が違うではありませんか。

 何と、この国税庁の民間給与実態統計調査というのは、例えば特殊勤務手当、あるいは超過勤務手当、つまり残業代ですね、これを入れた数字になっているんですよ。しかし、この六百六十一・八万円という国家公務員の数字には、こういう特殊勤務手当とか、超過勤務手当、残業代が含まれていない数字ではありませんか。

 先ほど国家公務員の超過勤務手当が一千五百億ですか、そういう話がありましたけれども、言ってしまえば、民間は残業代を入れて、残業代が入っていない国家公務員の数字と比べて、同じですよと言っている。これは極めてミスリーディングな数字ではありませんか。

 しかも、我が党内から物言いがついたら、実はこういうことでしたと初めて出してくる。こういうやり方をしていることについて大臣はどう思われますか。

河野国務大臣 公務員の給与につきましては、労働基本権が制約されているその代償措置として人事院勧告という制度がございます。政府としては、この人事院勧告を尊重するというのが基本方針でございます。

 我々政府は、国家公務員の雇い主でございますので、人事院という第三者機関が出してきた勧告はきちっとこれを尊重してまいりたいと思っておりますし、第三者機関である人事院がいろいろな調査を適切にやっているものと思っておりますが、この人事院勧告という制度は、国民の皆様がそれを理解し、納得している上で成り立っている制度だというふうに思っております。

 国民の皆様がこの制度ですとかあるいはその前提となる調査を理解し得ない、あるいは納得し得ないということになれば、この制度は成り立たないわけでございますので、立法府において、国民の代表である議員の皆様がこれについて議論をしていただいて、国民の皆様の理解を広げるか、あるいは国民の皆様が理解できないということになるか、それによって人事院というのはその勧告の前提となる調査をいろいろ変える。かつて人事院は調査のやり方を変えたということもございますので、これは国会で国民の代表たる議員の皆様が大いに議論していただきたいと思います。

柿沢委員 河野大臣の御答弁は、きのうと基本的には同じで、行政府の長たる大臣として人事院という機関に対してどうだこうだと言うのは差し控えたいというような前提を置きながら、しかし、適正に調査をやっておられるものと信じてこの人事院勧告の制度を尊重している、こういうお話がありました。

 きょう、政府参考人として人事院の給与局長がお見えでありますからお伺いをするんですけれども、これは、今申し上げたとおり、民間には残業代を入れてかさ上げした給与水準の数字を出して、国家公務員は残業代を入れずに、その他の手当も入らずに、こういう形で数字を並べて、同じぐらいです、こんなミスリーディングな、いわば私に言わせればだましのテクニックみたいなことを使って、国家公務員給与は民間と比べてそれほど高くありませんということをやっているのは、一体何なんですか。そして、完全なイコールフッティングで数字を出し直す必要があると思いますが、御答弁をお願いします。

古屋政府参考人 現在お示しされた資料でございますが、この資料ともう一枚別途出させていただいておりまして、そこでまず人事院調査と国税庁調査の違いというものを示させていただいておりまして、まず対象労働者、例えば国税庁調査でいうと、いわゆる非正規の職員それから生産労働者等が入っている、それから勤続年数も大きな違いがあるということを……(柿沢委員「全然関係ないじゃないですか、答弁は」と呼ぶ)いや、ということを前提にいたしまして、そもそも、ですからそういう意味での比較がなじまない、平均給与の比較はなじまないということを申し上げた。

 さらに、その後の問題としまして、例えば、国税庁調査の中でも、勤続年数の違いというものがございますので、勤続年数を国家公務員の勤続年数に近い形で試算というのができるので、それで試算をした場合の結果というのを示させていただいた。その場合には、国家公務員の給与水準に結果として近くなっているということを示したものでございまして、基本的にはその調査の対象、調査項目が違うということは、その場でも申し上げたというところでございます。

柿沢委員 全く納得がいきません。

 河野大臣にお尋ねしても同じ答弁になると思いますけれども、私は、まなざしを見て、また、私自身そう思いたい気持ちもありますし、河野大臣も私が感じているのと同じ感想をお持ちではないかと思います。

 きのうの予算委員会のやりとりでも出ましたけれども、国会でどういう問題提起が行われたか、これが皆さんの調査の手法を変える一番大きな要因になってきたというふうに思いますので、これだけ言われているわけですから、私は、適切に対応していただけるものと、この段、切りがありませんので、考えたいというふうに思います。

 それで、今度、統一会派で勉強会をやってみたんですけれども、官公労と近しい関係を持つ民主党の議員からも、人事院勧告制度はもう制度疲労を起こしている、こういう発言があって、私は非常におっと思ったんです。その上で、その方は、やはり人事院勧告制度の廃止を含めて、公務員の人事給与制度のあり方を抜本的に変えることが必要だ、こういう認識を示されておられました。

 確かに、単年度の人勧がいいだ悪いだ、しかも、そのバックグラウンドには先ほど言ったような官民比較のゆがみまであるわけですから、こういうことを論じていても始まらない、こういう要素があると思います。

 国家公務員制度の担当大臣であります河野大臣にお伺いをいたしますけれども、今後も人事院勧告制度のもとで国家公務員給与の決定をする、それを続けるということが望ましいのかどうか、これを基本認識としてお伺いしたいと思います。

河野国務大臣 国家公務員の労働基本権が制約されている以上、その代償措置であります人事院勧告制度を尊重していくというのが今の政府の方針でございます。

柿沢委員 いや、大臣、国家公務員制度担当、つまり、かつては国家公務員制度改革担当の大臣であるからこそ、ここは大臣としての問題意識を語っていただかなきゃならないところだと思うんです。

 今までそういう改革の法案を、我々立法府としても、また行政府としても提案し、通してきた数々の実例があります。それは、その当時の政権及び担当大臣の問題意識や、あるいは与党、野党の議論に基づいてそうした改革を行ってきたわけです。現状こうなっているからそうするんですということであれば、これはもう、国家公務員制度担当大臣としては、現状追認という姿勢であらゆることに臨むということが河野太郎大臣の基本姿勢だ、こういうことになってしまいますよ。ぜひ御答弁ください。

河野国務大臣 きのうもがっかりさせてしまったようでございますが、現在の制度というのがあるわけでございますから、まず国会でしっかり御議論をいただいて、政府としては人事院勧告を尊重するというのが政府の基本姿勢でございますが、もし人事院勧告あるいはその前提となる調査について国民の理解が得られないというならば、そこは立法府でまずしっかりと議論をしていただいて、もしそういう問題があるとすれば人事院が是正をすることにつながると思いますので、そこは立法府に大いに議論していただきたいと思います。

柿沢委員 立法府、私どもにボールを投げ返していただきましたけれども、我々としても、こうしたことについて、人事院の廃止、人勧の廃止を含めた法案を早急につくって国会に提出する、こういうことを会派としてやっていこうという議論を今進めております。

 もともと、国家公務員制度改革基本法の十二条に、政府は、協約締結権を付与する職員の範囲の拡大に伴う便益、費用を含む全体像を国民に明示し、その理解のもとに、国民に開かれた自律的労使関係を措置するものとするということが法律上明記されています。しかしながら、先ほど来出ておりますとおり、労働基本権の回復、また自律的労使関係の措置というのはいまだ行われていない、これが実情であります。

 現政権また河野大臣は、この国家公務員制度改革基本法十二条に書かれている自律的労使関係の措置についてはどのように対応していかれるおつもりか、ぜひお伺いをできればと思います。

河野国務大臣 国家公務員制度改革基本法の第十二条には、議員のおっしゃるとおり、自律的労使関係を措置するとされております。この自律的労使関係制度については、昨年度三十六回、今年度、今日まで二十四回、職員団体と意見交換を実施しております。

 しかし、多岐にわたる課題がございまして、例えば、労使交渉が長期化をする、あるいは交渉コストが増加をする、あるいは公務の停滞をもたらすおそれがある、そうしたことから、引き続き慎重に検討する必要があると思っております。

柿沢委員 これも党として開いた勉強会に、実は現連合会長、当時事務局長の神津里季生さんにお見えをいただいたことがあります。そのときは、連合とも他流試合のつもりでディスカッションしようという趣旨だったんですけれども、私は、先ほど冒頭申し上げたような、国家公務員あるいは地方公務員、公務員給与の水準が民間と比較して逆官民較差の状況になってしまっているんじゃないだろうか、こういうことについていろいろ率直に述べさせていただきました。

 その際に、これも神津会長、当時事務局長から非常に意外とも言えるお話をいただいたんですけれども、実は、自律的労使関係の回復、また労働基本権の回復をやって、労使協議、労使交渉で公務員給与を決定していくということになると、先ほど古本委員がお話をされたとおり、今の国家財政の状況を踏まえて言えば、これは恐らく、公務員給与が上がるか下がるかといえば、下がる方向になるだろうと。現に、地方公務員に関して言えば、こうした形で国家公務員よりも削減幅の大きい、結果としてそうしたカットが進んできたような経過も現実にあるわけですね。

 こういう財政事情、まさに、かつて人勧凍結をやったころと比較しても、それより悪化していると言っても過言ではないこの財政事情の中において、労使交渉、労使協議によって給与決定をやっていくとすれば、それは恐らく引き下げというような結論を受け入れざるを得ないということになるのではないか、そういうことを認識しつつも、この労働基本権の回復、自律的労使関係の回復ということについてぜひ実現をしてもらいたい、こういうことを神津さんはその場でおっしゃっておられたわけです。

 人事院勧告を実施せずに単年度で過去最大の給与削減を行った例は平成二十三年ではなかろうかと思います、二〇一一年ですね。つまりは、東日本大震災後の国家公務員給与の七・八%の特例減額であります。一気に七・八%カットするということなわけですから、後に回復しましたけれども、しかし、これはいわば大変ドラスチックな措置であったと思います。このときは、政権を担っていたのは民主党でありました。

 こういう形でカットをするに当たっても、政府は恐らく、労使協議というものをやった上で一定の合意を得てこういうことを進めてきたのではないかと思いますが、このときどうであったかということをお尋ねさせていただきたいと思います。

河野国務大臣 平成二十三年六月、おっしゃるとおり民主党政権でございますが、「国家公務員の給与減額支給措置について」を閣議決定いたしまして、国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案を国会に提出いたしました。

 それに当たって、公務員労働組合連絡会及び日本国家公務員労働組合連合会と協議を行いました。このうち、公務員連絡会とは合意に至りましたが、日本国家公務員労働組合連合会とは合意できず、今、訴訟を提起され、係争中でございます。

柿沢委員 少なくとも労使の協議というものを行った上、その上に立ってこうした給与減額が行われる、これは当たり前のことではありますけれども、仮に私たちが今回の給与法で反対ということになれば、もう目の前で、労使協議を経ずしていきなり削れということを言うに等しいわけですので、そういう意味からも、なかなかこの段、困難があるなということを思います。

 それで、先ほど申し上げたように、私たちは、自律的労使関係の回復を含めた、総合的な公務員制度そのものの、また人事給与制度そのものの抜本的な改革を行うことを通じて、国家公務員総人件費二割削減を実現していくんだということを掲げさせていただいております。それなくして、国家公務員の給与水準やあるいは総人件費を削減していくという、この二割というような方向性を実現していく方途はやはりないのではないかというふうにも思っております。

 しかるに、今、国家公務員人件費削減ということについては、総額をなるたけ抑制していくということは政府も掲げておられると思いますけれども、どのような形で、しかも、具体的な数値目標を掲げて、あるいは総人件費の抑制の計画を立てて、こういうふうに実行していくんだ、こういったものはあるんでしょうか。そのことをお伺いさせていただきます。

河野国務大臣 大変厳しい財政状況でございますので、国家公務員の総人件費に関する基本方針というものを定めまして、職員の年齢構成がだんだん高齢化しておりますので、ほっておくと構造的に人件費がふえるということを抑制する、及び簡素、効率的な組織をつくることによってこの総人件費を抑制していく、そういう方針でございます。

柿沢委員 私は、今申し上げたとおり、国家公務員総人件費の削減、公務員制度の改革ということは、ぜひ、一つの目標を立て、計画を立てて実行していくということが必要だと思います。工程表、ロードマップをつくって、そしてそれに必要な制度改革も行って、そうやって進めていくことが必要だと思います。

 なおかつ、もちろん職員団体との協議も必要になるでしょう。もっと言えば、国家公務員制度改革基本法という法案は、そもそも、当時の与党のみならず、当時は野党だった民主党の賛同も得て通した経過のある法律であると記憶をいたしております。

 そういう意味で、ぜひ、国家財政がこういう状況で、やはり国家公務員の給与を右肩上がりに上げ続けて、人勧の調査の結果がこうだったからといってそれを続けていくわけにはいかない、いわば制度疲労を起こしているものだという認識は実は共有できている部分もあるわけですので、与野党なく、そうした計画を策定し、実行していくということができるような環境をつくっていくことが大事ではないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

河野国務大臣 議員の問題意識はよく理解できるものがございます。

 ただ、現在の制度であれば、これは代償措置としての人勧を尊重しなければならないというのが政府の立場でございますので、この人事院勧告という制度に問題があるという意識であれば、ぜひ立法府でさらなる活発な議論をお願いしたいと思います。

柿沢委員 最後はがっかりという一言をちょっと申し上げざるを得ないかもしれませんが、しかし、河野大臣には期待をして、また人事院にも期待をしていますから、ぜひ襟を正して頑張っていただきますようにお願いして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、後藤祐一君。

後藤(祐)委員 民主党・維新の党・無所属クラブの後藤祐一でございます。

 まず冒頭、今柿沢委員からも、そして先ほど古本委員からもありましたけれども、やはりこの人事院勧告制度の制度疲労ということについて、ぜひ河野大臣、立法府に投げるのではなくて、公務員制度改革基本法十二条は政府がきちっと検討していただいて、その結果どうするかということについてはいろいろな判断があり得ると思いますけれども、あの法律は、ボールは政府側にあるというふうに理解しております。

 これまでも何十回と組合関係の方も含めて御議論いただいているということはありがたいことだと思いますが、その都度その都度、今の人勧制度でいいのか、労働協約締結権を回復しなくていいのかという目線で、十二条に基づいて検討をし続けていただかなくてはいけないと思いますが、これについて、もう一度大臣の御見解をいただきたいと思います。

河野国務大臣 基本法の十二条がございますので、政府としてはそこをしっかりと検討してまいりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、やはり交渉のコスト、あるいは交渉の長期化、あるいは公務の停滞といったおそれがありますので、ここについては慎重に検討せざるを得ないというふうに思っております。

 もう一つは、現在ある制度に問題があるという御認識であれば、現在の制度を変えるという道もあるわけでございまして、我々政府は公務員の雇い主でございますから、第三者機関である人事院の勧告を尊重するという立場にございますので、それについては立法府で活発な御議論をお願いしたいと思います。

後藤(祐)委員 ぜひ、ボールは政府側にあるということを御認識いただきたいと思います。

 その上で、我々は、やはり労働協約締結権を回復して、人事院は廃止をして、そういった制度をつくりたい、そういう法案も出させていただきました。この内閣委員会でもさんざん議論をさせていただきました。ですが、残念ながら今はそういう状態にない中で、人事院勧告は尊重せざるを得ない。この給与法に関しては人事院勧告に従ったものということで、基本的には賛成のスタンスできょうは質問させていただきたいと思います。

 ただ、これまでの経緯の中で大変気になるのは、国家公務員の給与が決まって、それを踏まえて地方公務員の給与を条例で決めることになるわけですが、通常であれば、秋に臨時国会があって、秋のうちに国家公務員の給与が決まる。それを踏まえて、十二月議会あたりで地方公共団体においては条例で地方公務員の給与が決められるわけですが、ことしに関しては、臨時国会がなかったものですから、今の時点になってこの給与法案をやっているわけです。

 幸い、今、一月にこうやって議論になっているからまだめどが少しずつ立ちつつあるのかもしれませんが、これは地方公共団体にとってはたまらない話なんですね。この法律ができて、それから条例改正の案をつくって、しかも、地方公共団体だけではなくて、その結果を受けて、さらに、病院の関係ですとか給与がはねるようなところもあるように聞きます。これを年度内に行わないと、これは年度を越えてやることはできませんから、という中で、本当に全国の地方公共団体は今困っているんですね。

 きょうは配付資料で二枚配っておりますけれども、二枚目の方に、既に十二月の議会に地方公共団体の給与改定の条例を提出した、そして議決した都道府県、政令市だけですけれども、以上の団体が既にやっているわけでございます。

 ただ、これについては、きょう土屋総務副大臣にお越しいただいておりますけれども、副大臣は武蔵野市長をやられていたということで、国と市の両方の事情をよくおわかりだと思いますので、きょうお越しいただいております。この土屋副大臣のお名前で、「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」という配付資料一枚目の通知を十二月四日に出されております。

 この中で、その紙の九、一番下のところ、「地方公共団体における職員の給与改定の実施は、国における給与法の改正の措置を待って行うべきものであり、国に先行して行うことのないようにすること。」という通知を出されております。

 しかしながら、二枚目にあるように、一部の地方公共団体においては既に条例が制定されております。これについて、この条例制定は地方公共団体の条例制定権を行使したにすぎず、私は問題ないことだと考えますが、土屋副大臣の御見解をいただきたいと思います。

土屋副大臣 今、後藤先生が御指摘をいただきました、また事前に通知をいただきました案件の根本は、非常に重要な御指摘だと思うんですが、それは、国の国民主権としての法律制定、法治国家と、それから地方自治のあり方に関することでありまして、そういったことを念頭に置きながら個別のことについて答弁させていただきたい、このように思います。

 今の御指摘のあったことにつきましては、地方公務員法上の、地方公務員の給与決定に当たっては民間事業の従事者の給与等とともに国家公務員給与も考慮事項とするという、いわゆる均衡の原則がありますので、この法律に従って我々はしかるべき措置をとるわけであります。これは毎年、例年行っていることでございますが、これは法律事項でございますので、我々としては一定の見解を出したい、このように考えている次第でございます。

後藤(祐)委員 問題ないとお考えですか。つまり、まだ給与法は成立していないわけですが、幾つかの団体においては条例が既に制定されております。これは法律上問題ないと考えてよろしいですか。

土屋副大臣 今申し上げましたとおり、我々は、地方公務員法の原則に従って、地方公務員法を所管する省として、この法律にのっとってお願いをしているわけでございますが、御承知のとおり、現在、我々が地方公共団体に対して申し上げるところは技術的な助言ということになるわけであります。したがって、これに基づく何か規制措置はございませんので、残念だけれども、まあ、残念であります。

後藤(祐)委員 違法ではないということでよろしいですか。残念という意味は、違法ではないということでよろしいですか。

土屋副大臣 法の趣旨からいきますと、地公法上明快な規定があるわけですから、法治国家としての法秩序からいきますと、地方公共団体もできればその趣旨を尊重していただきたいということですが、しかし、これは技術的助言でございますので、残念だとしか言いようがない、こういうふうに思っております。

後藤(祐)委員 答弁がないんですが、違法ではないということでよろしいでしょうか。確認させてください。これは全国の千八百の自治体が見ています。

土屋副大臣 違法かどうかが厳しく争われたことはありませんが、我々が今発出しておりますのは技術的助言でございますから、おのずからそのような受けとめ方があるだろうと思います。というのは、それ以上でもない、それ以下でもないという受けとめ方があると思います。

後藤(祐)委員 違法ではないというストレートな言い方はしないけれども、違法ではないということかなと思いますが。

 地方公務員法第二十四条三項においては、「職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。」とあって、つまり国の職員の給与を考慮しなければいけないということをおっしゃっているんだと思いますが、この考慮する、どの程度、どう考慮するのか、何を、どのファクターをどの程度考慮するのかということについては、それは当該地方公共団体が判断するということでよろしいですか。

土屋副大臣 後藤先生も御存じのとおり、今、先ほど御指摘があったように、国家公務員の場合には、人事院が適切と思われる給与を勧告いたします。それを尊重するということになります。

 一方で、都道府県等は人事委員会を持っておりますので、人事委員会が適切と思われるものを委員会として勧告するわけでございますが、その際、各都道府県の人事委員会は、人事院の勧告を参考にしながらやるわけであります。

 ところが、一般市は、千七百四十一の市区町村は、人事委員会を持っているところは一市しかありませんから、逆にどういうことかといえば、人事委員会が行っているような独自の調査とかそういったことはできないわけであります。公平委員会設置であります。したがって、そういう権限がないわけですから、当然、都道府県等がやった、人事委員会が行ったその答申を参考にしながら調整していくということになるわけであります。

 したがって、こういう仕組みになっておりますので、独自性の問題と、とりわけ市町村においては独自の調査をやっているということはないと私どもは理解をいたしております。

後藤(祐)委員 去年の八月の人事院勧告が出る前に例えば地方が決めちゃった、これは確かに、二十四条三項との関係で、配慮していないと言われてもしようがないと思うんですが、八月に人事院勧告が出て、国の数字はこうなりそうだということがかなり予想できて、去年の十二月四日には人事院勧告どおりの給与法を出すという方針が政府として示され、その確度はかなり高くなり、そしてことしの一月四日には閣議決定されて給与法案が出てくるわけです。国会で法律が通るわけですが、国の数字というのがかなりの程度、時を経るごとに予測可能になってくるわけです。

 という中で、給与法が成立しないと地方公務員法二十四条三項の配慮が全くなされていないというのはやはり言い過ぎであって、例えば人事院勧告が出たところとかいろいろな節目の中で、この配慮の仕方というのは地方公共団体ごとにいろいろあり得るし、特に臨時国会が開かれない場合の実務の停滞を防ぐという意味でも、ここは大目に見ていただきたいというふうに思います。

 特に懸念されるのは、この総務副大臣通知を守らずに地方公共団体が先行して条例改正をしてしまうと、特別交付税とかそういった別のところで総務省にいじめられるんじゃないかということを懸念して、やはりそれはやめておこうという声は、実際これは聞いています、そういうお声を。総務省はそんなつもりはないと言うでしょうが、実際に地方公共団体では、そういういろいろなことを恐れて、あれはやめておこう、これはやめておこうということになってしまうわけです。

 まず、条例を先行して仮にやってしまった場合であっても、何らの不利益も総務省ないし国は行わないということを約束していただきたいと思います。いかがでしょうか。

土屋副大臣 今の御意見の中には二つポイントがあるかと思います。

 人事院勧告が出たら、そのことが、相場が出ているじゃないか、標準が、目標値みたいなものが出ているんじゃないかという御指摘がございます。

 これについては、御承知のとおり、国家公務員と地方公務員は、給与体系なんかは似ておりますが、等級のあり方とか間差とか昇給の仕方とかというのは、それぞれ表が違います。こういうこともあるので、これはやはりそれぞれの中で従来のやり方を参酌しながら、人事院勧告が出たから直ちにそれを適用できるというものではないと思います。

 とりわけ、国会で御議論をいただいて給与法が成立するまでは、それはあくまでも人事院の勧告であって、それはそういう扱いではなかろうかと存じます。

 二点目の御質問の、では特交やあるいは普通交付税に何かペナルティー的な要素、こういう言葉は法律ではありませんけれども、しかし、こういうことを適用するのかということについては、とりたてて減額とかそういったことは、明らかな違法のものがない限り考えておりません。あくまでも技術的助言で、残念である、こういうことになるわけでございます。

後藤(祐)委員 それは違法であったとしても、それを江戸長崎式にやっちゃいけないと思いますが。

 きょうは内閣法制局長官にお越しいただいておりますけれども、今のようなことを恐れて地方公共団体は条例制定を、本来条例制定権があるのに、しないということが現実に起こっているとするならば、これは、「法律の範囲内で条例を制定することができる。」と憲法九十四条はしているわけですけれども、先ほど違法ではないと。はっきりは言いませんが、技術的助言ですから違法ではないんです、これは。

 であるとするならば、今の運用、すなわち、こういった総務副大臣通知九を出して、ああ、これに違反するといじめられるかもしれないなと思って、本来あるべき条例制定権を差し控えるというようなことが現実に起きているんだとすると、これは憲法九十四条の考え方からすると、ややこの趣旨に反する面があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

横畠政府特別補佐人 土屋副大臣からも御答弁を申し上げているところでございますけれども、地方公務員の職員の給与については条例で定まるわけでございます。地方公務員法第二十四条、現行第三項でございますけれども、均衡の原則がございまして、国の職員の給与も考慮しなきゃいけないということになっております。

 国の職員の給与というのは、これは法律で定められるものでございます。すなわち、国権の最高機関であり唯一の立法機関であるこの国会において可決いただいた法律によって初めて確定する、そういう性質のものでございます。

 したがいまして、地方におきまして職員の給与の改定をまさに適正に行うためには、地方公務員法二十四条三項の規定を踏まえる必要があるわけで、また、その前提として、公務員の給与に関する国会における御議論にも留意する必要があるのではないかと考えられるところでございます。

 したがいまして、国における給与法の改正の措置を待って行うべきという総務副大臣の通達については、まことに正当なものであろうかと考えます。

後藤(祐)委員 河野大臣にお伺いしたいと思いますが、地方公共団体の条例制定権というのはこの程度の保護しかされていないんです。

 やはり、憲法の中でも、第八章、地方自治に関する規定というのは非常に弱い。つまり、日本国憲法ができるときに、そこまで地方自治を大切にしようという考え方が今ほどなかった中でできた条項だと思うんです。

 今、憲法改正についていろいろな議論が出てきております。緊急事態条項とかありますけれども、地方自治に関する第八章の規定は、実は、民主党と維新の党の政策合意の中でこれを例示して、憲法改正を目指すということで我々は合意しています。つまり、野党も含めて、民主、維新の党も含めて、おおさか維新の党も恐らく地方自治に関してはもうおっしゃっておられますので、相当幅の広いところに関して、この地方自治に関する憲法改正というのは議論が可能だと思うんです。

 これについて、河野太郎衆議院議員としての、政治家としての御意見を賜りたいと思います。

河野国務大臣 議員はわかっていてお聞きになっていると思いますが、河野太郎衆議院議員は現時点で閣僚の一員でございますので、政府としての立場を公の場では申し上げることにしておりまして、我が政府の立場は、副大臣並びに法制局長官が答えたとおりでございます。

 ただ、議員の問題意識はよく理解をしておりますので、これも立法府で盛んに御議論されるべき問題というふうに思います。

後藤(祐)委員 河野太郎大臣、ぜひ暴れていただきたいと思いますね。本当に河野太郎大臣に私は期待しているんです。行政改革もそうですし、こういった憲法改正なんかも含めて少し刺激するような活動を国民はみんな期待していると思いますので、ぜひ、別に今言えとは申しませんので。憲法改正はこれからいろいろ議論が出てくると思います。

 ちょっと話をかえますが、地方自治なり地方分権なりでそういう議論を本来すべきであって、政府機関の地方移転、こういう小さいことを余りやらないでいただきたいんですよね。

 残念ながら、消費者庁と一緒に、国民生活センターというのが相模原にあるんですけれども、これについてはもう移転するかのような発言をきのうの記者会見でされておられて、商品テスト、研修については四月以降、徳島県で研修及び商品テストをテストしてくださいというような御発言をきのうの記者会見でされておられます。

 研修というのは日本じゅうから何千人という人が来るんですけれども、徳島空港に行ける飛行機というのはどこから飛んでいるか御存じですか。羽田と福岡からしか来ないんですよ、徳島空港というのは。全国から何千人の人が集まって研修をやるのに、こんなやりにくいところはないんです。

 いろいろなメリット、デメリットはあると思うんですが、そういったことも含めてもう少し慎重に考えていただきたいと思いますけれども、大臣の本件に関しての御見解をいただきたいと思います。

河野国務大臣 平前内閣府副大臣もそこに座っていらっしゃいますけれども、今、政府として、地方創生の一環として、中央官庁の地方移転の可能性というのを探っているところでございます。

 徳島県からは、消費者庁、消費者委員会並びに国民生活センターの徳島県への移転ということが提起されておりますので、私としては、まず課題をしっかりと抽出し、その課題がクリアできるかどうか、課題がクリアされれば移転をすればいいというふうに思っておりますので、現段階では、どんな課題があるのかをさまざまなテストを通じて抽出する、そういう段階でございます。

後藤(祐)委員 終わります。ありがとうございました。

西村委員長 次に、島津幸広君。

島津委員 日本共産党の島津幸広です。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、野党が憲法五十三条の規定で要求した臨時国会の開会を政府・与党が拒否しました。そのために、人事院勧告に基づく本法案の審議が大幅にずれ込んだわけです。

 本来なら昨年中に審議し、年末のボーナスにも反映できたわけですけれども、年明けの通常国会になったわけです。しかも、補正予算とは直接関係のない本法案の審議を予算委員会の審議日程に合わすために、短時間の非常に窮屈な審議になりました。国家公務員の給与の改定とともに、フレックスタイムの問題も含まれています。当然しっかり時間をとって審議すべきところをわずか二時間、与党は質問を放棄しました。これで当委員会の責務が果たせるんでしょうか。

 我が党はこうしたやり方に強く抗議して、質問に入ります。

 今回、人事院は、民間賃金よりも低いとして、国家公務員の月給を〇・三六%、ボーナスを〇・一カ月分引き上げるよう勧告しました。これを受け入れて本法案が出されたわけですけれども、これで全ての職員の月給が上がるわけじゃありません。実際に手取りとして上がる職員は行政(一)でどれほどいるんでしょうか。

古屋政府参考人 今お尋ねの行政職俸給表(一)の適用職員について見ますと、今回の俸給表水準の引き上げにより俸給の実支給額がふえる職員というのは一万九千六百六十四人、割合では一四%でございます。また、地域手当の改定によりまして支給割合が上がる職員は七万三千五百七十二人となっておりまして、割合では五二%。今の二つ、今回の俸給と地域手当の改定により実支給額がふえる職員ということで見ますと八万一千五百十二人ということで、割合では五八%となっております。

島津委員 公務員給与を平均二%引き下げる給与制度の総合的見直しが昨年から実施された結果、大幅な賃下げとなる、そのための緩和措置として三年間は現在の給与を保障する、こういう措置がとられているわけです。ですから、多少の賃上げがあっても、そこに吸収されるために上がらない職員も出てくる、賃上げにはつながらないということも生まれる。

 給与というのは、生活する上で必要な生計費です。その生計費の引き上げが必要と勧告されているにもかかわらず、上がらない職員が多数出てくる。俸給で見るなら、行政(一)で、今御答弁あったように一四%しか上がらない。地域手当が上がるといいますけれども、これは地域間格差が拡大するということで、問題です。全国知事会なども、給与制度の総合的見直しの際、この地域手当が配分されることに対して、「地方においては、公務員給与に準拠した賃金を支給している事業所等が多いことも踏まえると、結果として、官民を通じて地域間格差が拡大することとなりかねない。」、こう懸念を表明しているわけです。実際に地域間格差も拡大しています。

 それでは、給与の引き上げがあった二〇一四年と一五年、行政(一)の年収はそれぞれ何%上がったんでしょうか。

古屋政府参考人 平成二十六年勧告、二十七年勧告での平均給与の変化ということで、二十六年勧告におきましては、同じく行政職俸給表(一)の適用職員で見た場合には、月例給は平均で〇・二七%、千九十円の引き上げ、特別給が年間〇・一五月分の引き上げとなっておりまして、これらを合わせた年間給与では平均一・二%、七万九千円の引き上げとなっております。

 また、二十七年勧告においては、月例給は平均〇・三六%、千四百六十九円の引き上げ、特別給は年間〇・一月分の引き上げとなっておりまして、これらを合わせた年間給与は平均〇・九%、五万九千円の引き上げとなっております。

 また、職員個々人について見ると、このほか、個別の昇給等により給与が上昇する職員もあるということでございます。

島津委員 二〇一四年度の消費者物価指数は対前年度比で二・九%上昇しています。物価上昇にも追いついていない、消費税分も吸収できない、実質賃金は目減りしているわけです。生活水準にはほど遠い状態だと言わなければいけません。

 今、アベノミクスで日本経済と国民生活は深刻な状況に陥っています。二〇一四年度は、国内総生産はマイナスだったにもかかわらず、大企業の収益がふえるというかつてなかったことが起きています。大企業の内部留保は三百兆円を突破しました。一方、国民の所得や消費は実質で三年前を下回ったまま。こういう状況のもとで、国民の所得をふやし、消費を拡大し、税収も上げるという好循環をつくり出すことが、日本経済を健全な発展に導く鍵となります。

 政府も賃上げの必要性を認めて、経済界も今、賃上げを言い出しています。人事院で二年連続のベースアップが勧告されながら、多くの職員が賃上げにつながらない。その大もとにあるのが、給与制度の総合的見直しです。

 賃上げは官民ともに進めていかなければなりません。そのために、政府自身が人件費抑制の手段と言ってはばからないこの給与制度の総合的見直しは中止すべきじゃないんでしょうか。どうでしょう。

河野国務大臣 平成二十六年度の人事院勧告におきまして、人事院が、地域の民間給与の実態を調査した上で、地域間の適正な給与配分の実現を図るため、俸給表と地域手当の見直しなどを内容とする給与制度の総合的見直しが勧告され、それに従って、給与法の改正によりこの勧告を実施したところでございます。

 国家公務員の給与については民間準拠を基本として改定を行ってきておりまして、その際、地域ごとの民間給与水準をより的確に公務員給与に反映させることが公務員給与に対する国民からの理解を得る上でも重要であると考えておりまして、今後とも、給与制度の総合的見直しを着実に実施してまいりたいと考えております。

島津委員 民間に準拠して、民間を調べてということですけれども、民間と公務が賃下げを競い合っていたのでは、日本の経済は一向によくなりません。

 公務員給与は、地方公務員の給与にも民間給与にも影響するわけです。それがこの総合的な見直しで賃下げとなる、地域間格差も広げる、二年連続でベースアップがあっても多くが賃上げにならない、これでいいんでしょうか。

 人事院は、労働基本権が制約された公務員の代償機関です。公務員全体の利益を守る機能を発揮することが必要なのに、その役割を果たしていない。また、政府にも使用者として職員の暮らしを守る責任がある。これも果たしていない。このことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 本法案に含まれているフレックスタイム制の問題にかかわってお聞きしたいと思います。

 まず聞きたいのは、何のためのフレックスタイム制なのか、端的にお答えください。

三輪政府参考人 職場において、男女ともに、ワーク・ライフ・バランスを推進して、柔軟で多様な働き方によって、育児、介護を抱える方も含めて、全ての人がそれぞれの状況に応じて働き続けられるような仕組みへの転換を図ることは官民共通の課題であるというふうに認識をいたしております。

 今般、フレックスタイム制を拡充することによりまして、柔軟で多様な勤務形態の選択肢を用意して、職員がその能力を十分に発揮し、高い意識を持って効率的に勤務できる環境を整備して、公務能率の向上、人材の確保にも資するということを目指すものでございます。

島津委員 確認しておきたいんですけれども、法案では、フレックス制度の導入によって、勤務時間の割り振りの際に、希望者本人の申告に基づいて個人単位に適用される、こうなっています。

 そうすると、本人の意思に反してフレックス勤務時間の割り振りを押しつけることはないという理解でいいんでしょうね。これは確認です。

三輪政府参考人 フレックスタイム制は、公務の運営に支障がないと認める場合に、職員の申告を経て勤務時間を割り振るという制度でございます。職員が申告を行わないのに、各省各庁の長が一方的に割り振りを行うということはできないものでございます。

島津委員 できないということでした。

 ただ、職場で強制がある、こういうことが今後出てくる可能性もあるんですけれども、その場合には、違法だから厳しく是正していただきたいと思います。

 本人が希望してということで適用されるわけですけれども、今答弁にあったように、公務の運営に支障がある場合、希望どおりの勤務時間にはならないわけです。法案の趣旨から見て、なるべく希望がかなえられることが望ましいんですけれども、現実にはやはり厳しい状況があると思うんです。なぜなら、長時間労働をしなければ業務をこなせない、こういう実態があるからです。

 政府は、二〇一四年の新成長戦略で、雇用制度改革の中心に「働き方改革の実現」を位置づけています。その項目の一番目に「働き過ぎ防止のための取組強化」を掲げています。政府自身も働き過ぎを認めているわけです。

 では、国家公務員の働き過ぎの現状はどうなっているのでしょうか。年平均の残業時間、その時間別の割合がわかったら教えてください。

江畑政府参考人 国家公務員の平均年間超過勤務時間数は、業務の繁閑に応じまして年ごとに多少の増減があるところではございますが、平成二十七年国家公務員給与等実態調査によりますと、平成二十六年は全体平均で二百二十九時間となっておりまして、組織区分別に見ますと、本府省が平均三百六十四時間……(島津委員「全体でいいです」と呼ぶ)以上でございます。

 時間区分ごとの分布は把握をしておりません。

島津委員 前年よりも減っているのは確かなんですけれども、しかし、今お答えがあったように、これだけ多くの残業があるわけです。

 超過勤務の縮減に関する指針で定められた超過勤務の上限目安時間三百六十時間を超えた職員は、私の調べでいくと、職員の割合は二一・八%、五人に一人がこれを超えている。

 しかも、この時間というのは時間外手当が払われた数字です。実際には、数字にあらわれない残業が横行しています。たとえ仕事をしていても勤務時間とは認められず、一定のみなし規定はあるものの、働いた時間全てが超過勤務手当の対象になるわけじゃありません。

 私が聞いたある職員は、そういうことで、ただ働きの超過勤務があるわけですから、しかし、実際に働いた金額ともらった超勤を見てみたら、時間当たりで計算したら、忙しいときには時給五百円になる、こういうときがあったそうです。家族からは、その辺のコンビニでバイトをした方がいい、こういうふうに言われたといいます。霞が関不夜城はブラックバイトよりむごい、こういう訴えをされました。

 こうした不払い残業を含めた時間外労働の実態を調査したアンケートがあるんです。霞が関国家公務員労働組合共闘会議が二〇一四年の残業実施アンケートを行いました。ここで、月三十時間以上の残業をした割合は三二・八%、三人に一人です。月八十時間以上は九・六%です。厚生労働省が労働災害認定の過労死ラインにしているのがこの月八十時間以上残業。十人に一人が過労死ラインを超えて仕事をしているんです。

 ある職員は、午前二時、三時にタクシーで帰宅しても睡眠時間を確保できない、一年間で五十日も職場に泊まり込んだことがあると言っていました。深夜帰宅も五十日ぐらいあったといいます。別の職員も、月八十時間ほどの残業になると、家にはただ寝に帰るだけ、真夜中に夕食を食べてすぐ寝て、すぐ起きて仕事に行く毎日、本当に毎日がつらいと話していました。

 大臣、こういう働き方は異常だと思いますが、どうでしょうか。

河野国務大臣 おっしゃるとおり、大きな問題があると思います。

 長時間労働が当たり前になっているかの今の霞が関の風潮をやはり根本から、価値観から変えていかなければならないというふうに思います。

 政府といたしましても、働き方の見直しを総合的に進めようということで、ゆう活をやったり、ワーク・ライフ・バランスの推進強化月間を設けてみたり、あるいはそうしたことを施行させた職場ごとに大臣表彰をやってみたり、テレワークの推進といったことを入れたり、人事評価への反映を徹底しよう、いろいろなことをやっておりますので、超過勤務時間を縮減するために一生懸命頑張ってまいりたいと思います。

島津委員 働き方の見直しやワーク・ライフ・バランスだけにとどまらない問題もあると思うんですけれども、それはまた後で議論します。

 政府は、今お話もありましたけれども、昨年夏、いわゆるゆう活を実施しました。国家公務員が率先して朝型勤務を実践することを求めてきたわけですけれども、この試みはフレックスタイム拡充の一環でもあり、その目的の一つに長時間過密労働の是正があるとも思います。

 その後、ゆう活等に係る職員アンケートが行われています。その結果を見て私は驚いたんですけれども、「定時以降の業務を縮減できたと感じますか?」という設問に対して、「変わらない」「増加した」と答えた人が五六・五%に上っていました。中でも、「増加した」と答えた人は、ゆう活を実施しなかった人が五・五%なのに対して、ゆう活を実施した人は七%、ゆう活をやった人の方が多いわけです。「休暇が取得しやすくなったと感じますか?」の設問にも、六三%が「あまり感じない」「まったく感じない」というふうに答えています。何でこんな結果が出たと考えているんでしょうか。

三輪政府参考人 御指摘のゆう活についての職員アンケートでございますけれども、ワークライフバランス推進強化月間、昨年の七月、八月の期間でありますけれども、定時以降の業務について削減できたというのが約四割、変わらないというのが約五割、増加したというのが六・七%、こういう回答結果でございました。

 その期間中に定時退庁あるいは二十時の退庁ができなかったという理由を各省庁の人事担当課の方に伺ってみたのでございますけれども、返ってきた回答といたしましては、国会関連業務、予算等の要求業務、あるいは異動や採用に係る人事関連業務、こういったものが事由として多く寄せられたという状況でございます。

島津委員 やはり働き方だけでは解決できない問題があるわけです。

 異常な残業、長時間労働というのは健康もむしばんでいます。先ほど紹介した労働組合の実態調査、残業実態アンケートでも、不調を訴えたり通院治療をしているなど、三五%が不健康な状態だと回答しています。過労死の危険を過去に感じた、現在も感じているが三割にも上っています。

 不合理な仕事の進め方、人員配置の問題も要因の一つですけれども、やはり業務量そのものが多いことが大きな要因だと思うんです。長時間残業をなくすには、業務量を減らすか、業務量に見合う職員数が必要になるんです。

 そこで、聞きたいと思います。

 政府は、「国の行政機関の定員の純減について」を閣議決定し、二〇〇六年から定員の削減を進めてきました。この結果が出ていると思うんですが、どうなっているんでしょうか。数字でお示しください。

若生政府参考人 御指摘の、平成十八年六月三十日に閣議決定されました「国の行政機関の定員の純減について」、いわゆる定員の純減計画でございます。これは平成十八年度から二十二年度までの五年間の計画でございますけれども、これに基づきます純減数、全体で一万七千四百七十三人でございます。

 また、この純減計画に盛り込まれなかった……(島津委員「それだけでいいです」と呼ぶ)はい。失礼しました。

島津委員 五年間で一万七千以上もの職員が減らされているわけです。

 それでは、国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づいて、二〇一五年度から五年間の定員の合理化目標も決められていると思うんです。その目標がどうなっているかも教えてください。

若生政府参考人 今御指摘のありました現行の定員合理化計画でございますけれども、これは、一昨年七月に閣議決定しました国の行政機関の機構・定員管理に関する方針に基づきまして、平成二十七年度以降、行政機関全体で毎年二%、五年で一〇%以上の合理化をするということを基本として取り組むこととされております。

 なお、この合理化数でございますが、これは、この合理化を原資としまして新たな行政課題に対して必要な増員を行う、こういうことを前提としたものでございまして、先ほどの純減数とは別のものでございます。(島津委員「目標の人数があるでしょう」と呼ぶ)

 具体的な人数でございますけれども、純減数とは性格が異なることを前提としまして、五年間での数でございますが、二万九千六百七十二人でございます。

島津委員 補充があるとはいえ、二〇一五年度からの五年間でさらに一割もの人員削減が行われるわけです。

 国家公務員の定数は、一九六九年に成立した行政機関の職員の定数に関する法律、いわゆる総定員法によって定員の最高限度が決められています。その上で、今も答弁があったように定員削減計画が策定され、毎年総定員が減少しています。

 定員は、一九六七年度から、郵政民営化や独法化などを除いて、九万二千人も減っています。業務の複雑化、多様化など、業務量に見合う人員に改善していく必要があると思うんですけれども、どうでしょう、大臣。

河野国務大臣 国家公務員の定員については、財政健全化の観点も踏まえつつ定員の合理化を行ってきたところでございます。

 その一方で、各府省から業務量を踏まえて増員要求が内閣人事局に提出され、これを審査する中で、必要なところには増員を措置してまいりました。例えば、二十八年度の審査ではテロ対策やサイバーセキュリティー対策、火山防災、入国審査、税関、検疫、こうしたところに、人件費予算の配分の方針に基づいて、内閣の重要政策に係るものとして重点的に増員を措置いたしました。

 今後も、切り込むところは切り込みながら、内閣の重要課題に適切に対応する体制を整備しつつ、めり張りをつけて審査してまいりたいと思っております。

島津委員 めり張りと言いますけれども、実際には各省庁の云々という答弁が今あったわけですけれども、政府全体が削減していくという方針のもとで、今議論してきたように、相当の人数が減っているわけです。

 この定員削減をしてきた結果、人口千人当たりの公的部門における職員数の国際比較を見てみますと、千人当たり、フランスでは八十九・一人、イギリスでは六十九・三人、アメリカは六十四・一人、これに対して日本は三十六・二人なんです。中央政府の職員に限っても、フランスは二十四・六人、イギリスは五・五人、アメリカ四・四人に対して、日本は二・七人です。

 それでは、給料が高いのかというと、公務員、公的部門職員の人件費の対GDP比でも、OECD三十三カ国平均が一〇・五%なのに対して、日本は五・九%で最低なんです。

 これ以上の定員削減は、行政機関の機能を脆弱にして、憲法で保障された国民の権利保障機能の低下を招くおそれがあります。それぞれの国の機関の需要に見合った体制を再検討し、国民の求める公務公共サービスの効率化、効果的な運営を図るべきだと思うんですけれども、どうでしょうか。改善が必要です。

 次に、今見たように定員が減らされているわけですけれども、同時に、一方でふえているのが非正規職員です。この非正規職員への依存度、一般職の常勤の国家公務員と非常勤職員の割合はどうなっているんでしょうか。

三輪政府参考人 私ども内閣人事局で取りまとめをいたしました一般職の国家公務員在職状況統計表というのがございますが、これによりますと、平成二十七年の七月一日時点で、非常勤職員の総数は約十四万人という状況でございます。

島津委員 十四万というお答えだったんですけれども、そのうち委員、顧問、参与職員、保護司を除くとどのぐらいになるんでしょう。

三輪政府参考人 御指摘の、委員、顧問、参与約二万人、無報酬の保護司約五万人等、そういったものが含まれておりまして、それを除きました事務補助職員約二万人、職業相談員等約二万人、統計調査員約八千人等を合わせますと、約七万人という数字でございます。

島津委員 七万人が非常勤で実質的には働いている。その大部分は、今お答えがあったように、事務補助、技術補助、技能、労務職員、医療、教育、専門職員、職業相談員などです。常勤の国家公務員と仕事内容が重なっています。実際には、非常勤、非正規の職員がいないと業務が回らないというのが現状なんです。

 定型的な業務を行う職務とされている行政職俸給表(一)一級適用の常勤者数と事務補助の期間業務員数を見ると、常勤が一万十四人に対して期間業務員は八千六百四十一人、常勤の八六%に上っています。

 これを省庁別に見てみますと、国土交通省の事務補助職員は常勤の二・二倍以上、厚生労働省では、行(一)一級だけでなく、二級適用の職員を加えた常勤職員より、事務補助、職業相談員などの期間業務員が四・三倍にもなっています。ハローワークは非正規職員で維持されている、こう言われているいわれです。他の省庁も、全体として非常勤職員への依存度は極めて高くなっています。

 つまり、政府が目標を掲げて定員を減らしているんですけれども、仕事量はそれほど減らずに人手不足になり、非正規で賄っている現状が恒常化しているわけです。

 大臣、正規職員の枠、定員をもっとふやすべきじゃないんでしょうか。

河野国務大臣 常勤職員がつく官職は、国の行政組織において所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職として、厳格に定員管理をしております。他方、非常勤職員がついている官職は、常勤的に置かれる官職ではなく、その時々の業務の状況に応じて臨時的に任用しているものでございます。

 このような業務の性質の違いがありますので、非常勤職員を直ちに常勤化するのは困難だと思っております。

島津委員 実際には、恒常的に同じような仕事をしている人がたくさんいるわけです。

 今、日本社会全体の働き方の問題が問われています。今、非正規雇用が四割を超えている、大企業などが正社員、正規労働者を非正規に置きかえる。これは、なぜそんなことをするかといえば、賃金が安い上に、いつでも首を切ることができるからなわけです。これによって、国民の所得が減り、消費が萎縮し、物が売れずに、またリストラをする、この経済の悪循環が今生まれています。政府が率先してこれを断ち切らなきゃいけないんです。

 一九六九年の総定員法の際に、参議院の内閣委員会で附帯決議がつけられています。そこでは、「行政需要に応じた人員を確保し、職員の労働が過重にならぬように努めること。」「定員外職員については、その実態について速やかに検討し、定員化を含めて合理的な処遇の改善を図ること。」としています。この立場で改善していくことを強く求めたいと思います。

 時間がありませんので簡単にしたいと思うんですけれども、同じ仕事をしていても、常勤と非常勤では、身分の不安定さ、処遇の格差などが長年続いています。

 法務省の資料によりますと、事務補助職員の一番低い時給は八百十九円になります。東京の最低賃金は九百七円、これより低い。地域手当を含めてやっと九百六十七円。期末手当を含めた年間の賃金は、ワーキングプアと言われている貧困層の年収二百万円を少し上回る程度。

 厚生労働省のハローワークの非常勤職員で見ると、年収百七十五万円から三百万円程度。常勤職員には支給される扶養手当、住宅手当、寒冷地手当も支給されません。昇給もない。ハローワークで聞いてきたんですけれども、一年目の非常勤の新人も十年働いている非常勤も同じ賃金、新人の指導もベテランの非常勤が行うのに同じ賃金なのでむなしくなる、こういう話を聞いてきました。

 常勤職員と同じ仕事をしていても格差がある。非常勤の間でも矛盾がある。職務給原則が守られず、均等待遇とはほど遠い状況です。賃金差別だという意見もあります。

 大臣、こうした正規と非正規の格差や経験が賃金に反映されない矛盾は改善する必要があると思うんですが、どうでしょう。

河野国務大臣 非常勤の国家公務員につきましては、各府省において、人事院の通知を踏まえ、常勤職員の給与との権衡を考慮して給与を支給することとされております。職務内容に応じて適切に処遇されることが重要だと思っております。

 内閣人事局としては、人事院が定めた通知を各府省に周知徹底を図り、人事院とも連携しつつ、非常勤職員の適切な処遇の確保に努めてまいりたいと存じます。

島津委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うんです。

 もう時間がありませんので、最後に、政府や人事院は、柔軟な働き方を選択するようにすることがワーク・ライフ・バランスや働き過ぎ防止に結びつくと強調しています。しかし、ワーク・ライフ・バランスなどを目的にするなら、まず、勤務時間の短縮や、超過勤務を初めとした職場の長時間超過密労働を是正するために、定員増を初め実効性ある措置を講ずるべきです。このことを指摘して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

西村委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おおさか維新の会の浦野靖人です。久しぶりの質問で少し緊張しておりますけれども、よろしくお願いをいたします。

 まず最初に、我々おおさか維新の会はこの法案には反対をさせていただきます。

 我々おおさか維新の会は、公務員給与の総額カットを公約にさせていただいている政党ですので、まさかこの法案に賛成なんてできるわけがありませんので、反対であります。

 ただ、私は、今ここで働いておられる公務員の皆さんはすばらしい人たちだと思います。人事院勧告でもっと働き方を変えなさいというふうに今回もありますけれども、我々議会がこうやって、もう今は五時四十分を超えていますけれども、こんな時間に委員会を開けば、皆さん仕事せざるを得ない。

 私たちは、議会改革もやっていこうと提案させていただいております。我々が委員会の時間とか国会の議論の時間をしっかりと決めてあげれば、公務員の皆さんも残業しなくてもいいかもしれない。そういった協力を我々がしなければ、恐らく公務員の皆さんはこの自由な働き方ができないだろうと思っています。

 うわさでは、わざと夜遅くに質問要旨を投げて公務員の皆さんを縛っている方がいらっしゃるというふうにもお聞きしたことがあります。これはあくまでもうわさです。公務員の皆さんは誰だろうなというのを御存じだとは思いますけれども、ほんまにいてたらね。そういった方も議員の中にはいらっしゃいますので、そういったところから改革をしていかないと、この人事院勧告で言われているようなことは絶対に実現できないということをまず議員の皆さんにやはりわかっていただいてもらわないといけないと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 質問に入りますけれども、この人事院が発表している数字、月額で比較をする数字ですけれども、四十一万四百六十五円、年に直すと四百九十二万五千五百八十円、この数字が皆さん公務員よりも高いということで今回引き上げるということですけれども、この数字というのは、民間給与、民間で働いていらっしゃる人たちの給与をしっかりと公平公正に、統計学上も数字を出しているという保証がどこでされているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

古屋政府参考人 人事院といたしましては、国家公務員法二十八条の情勢適応の原則に基づき、国家公務員の給与水準を民間企業の従業員の給与水準と均衡させるということを基本に勧告を行っております。

 その際には、役職段階、勤務地域、学歴、年齢等が主な決定要素ということになっておりますので、公務と民間の給与の比較を行う際には、単純比較ではなく、まさにこれらの要素を同じくする同種同等の者同士を対比させるというラスパイレス方式により精密な比較を行っております。

 また、一部抽出でもちろんやっておりますので、それに関してはもとの数値に逆数を乗じまして本来あるべき姿に戻しているということで、正確にもとの姿に戻っているというふうに考えているところでございます。

浦野委員 次に、国税庁にも同じように民間給与実態調査の数字があります。実は、人事院が発表している額と、これは今までの質問の中でもありました、過去のこういった法案の質問の中でもたびたび取り上げられてきております。今回も、平成二十六年の数字を見ますと、四百十五万というのが国税庁の調査の結果でした。

 もちろん、サンプル数が格段に国税庁の数字の方が多いです。サンプル数が多いということはそれだけ正確な数字を反映しているということになると思うんですけれども、大臣は一体どちらが民間の一般的な皆さんの給与実態の調査をより正確に反映しているとお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。

河野国務大臣 政府といたしましては、国家公務員の労働基本権が制約されている代償措置としてこの人事院勧告があるわけでございますので、これを尊重するという基本方針のもと、人事院がその前提となる調査についても適切に行われているというふうに思っております。

 いろいろな調査があるようでございますが、それぞれの調査にはそれぞれの目的があり、それに応じた調査が行われていると思いますので、ここでどちらがどうと言うのは政府としては差し控えたいと思います。

浦野委員 今大臣がおっしゃったように、この人事院の封筒にも書いています、人事院が本当に中立公正であるならば、大臣の答弁は正しいと思います。しかし、それを担保するところがどこなのか。人事院を指導監督できる省庁というのはないですよね、今のところ。

 では、例えば人事院が意図的に数字をつくり上げるために意図的にいろいろな数字、データを抽出してこの比較をしていた場合、それは一体誰が確認できるんですか。我々、この委員会でも省庁、人事院の答弁を何回も聞かせていただいていますけれども、どうやってこの数字を出しているかというのは、何回説明を聞いてもわからないんです。

 国民の皆さんが理解をされているかというと、できないと思います。だって、いろいろな数字を掛けたりとか、先ほどの答弁の中にもありましたけれども、戻したりだとかいう言葉が出てきます。ではその計算式を出してもらえますかと言っても、出してもらえません。完全にブラックボックスになっているんですね。それが誰の目にも明らかに見える、やはりそういった透明性がない限り、人事院の行っているこの人件費、給与水準というのは全くの砂上の楼閣だというふうに私は思っております。

 だから、私は、この数字、もちろん人事院の皆さんは決められたルールの中で仕事をして数字を出されている、それはもう重々わかっております。しかし、そのもとになるものは全て自分たちでそのルールも決めているわけです。この数字を使いましょう、こういう計算式を使いましょう、これも全て人事院の方が決めているんです。では、その数字がおかしかったとき、誰がその注意をするんですか。それができないのが今の現状です。

 そこは、私は、国民の皆さんと本当に同じ目線に立って給与を決めていくのであれば、そのブラックボックスを少しでも見えるようにしていただかなければいけないというふうに思っておりますので、これからさらにそういった努力をするという答弁もこれまでも大臣もされておりますし、人事院もそういうふうに言っています。であるならば、やはり透明性をもっと上げることがまず第一だというふうに思っていますので、よろしくお願いをいたします。

 我々おおさか維新の会は、大阪で公務員の人件費カットをやってまいりました。よく、反対をされる方々は、公務員の給料を下げることによって経済に冷や水を浴びせることになる、逆に、給料が上がることによって経済がよくなる、好転すると。確かにそういう面は想像ではできます。しかし、では、本当にそういったことが現実的に証明をされている数字があるのかどうか、お答えをください。

三輪政府参考人 数字というお尋ねでございます。

 公務員給与の引き上げが経済に与える影響ということにつきまして、具体的な数字の算定というものは私ども行っておりません。

 デフレの脱却と経済再生への道筋を確かなものにするために、賃上げの実現に取り組んで、民間主導の自律的な経済の好循環を確立するということが重要でございます。

 政府といたしましては、人事院勧告制度尊重の基本姿勢のもとで、経済の好循環を推進するマクロ経済政策と整合的であるということからも、人事院勧告どおり国家公務員の給与改定を行うことが適当であると判断をしたものでございます。

浦野委員 我々、大阪でいろいろな改革、公務員の人件費の削減もかなりきつ目にやってきました。それをなぜしたかというと、やはり大阪府の財政がよくないからこそ、皆さん協力してくださいと。もちろん議会も協力をしておりました。三割カットをしておりました。その上で、皆さん方にも御負担をお願いしたいということで、もちろん大阪府の職員も理解を、一〇〇%してくれていたかどうかは別にして、協力をしてくれました。

 我々が公務員の人件費を上げる、それはもちろん経済効果はあるでしょう。しかし、それ以上に、補正予算に反対をされている野党各党が討論でもおっしゃっていました、民間の給料はよくなっていないんだと。よくなっていないのに公務員の給料だけ上げるんですかと僕たちは思います。

 私たちは、それならば、民間の給料ももっと上げるようなことをまず先にしていかないと、最後に公務員の給料を上げていくというのが本来の姿だと思っております。

 答弁をいただいた三輪さんは、私が初めて地方議会、大阪府議会で議員になったとき、大阪府にいらっしゃいました。最後、副知事として、ついこの間まで大阪府にかかわっていらっしゃった。橋下府政、松井府政を少し内部で見てきたと思います。

 これは通告も何もしていないのでどうお答えになるかわからないですけれども、率直に、大阪府の職員はみんな人件費をカットされて仕事をしてきましたけれども、内部で、そのことによって何かやはりテンション、モチベーションが下がったとかいったこと、どういうことが起こっていたかというのを少しお話ししていただけたらなと思うんですけれども、いかがですか。

三輪政府参考人 それぞれの自治体でそれぞれの財政状況あるいは経済状況、そういうものに基づきましてそれぞれの中で大変ぎりぎりの判断がなされたものというふうに思っておりまして、職員の受けとめ方というものもいろいろなものがあっただろうというふうに思っておりますし、私もいろいろな方からさまざまな感覚、感情というものを聞いてきたなということでございますが、ちょっとその一々の内容については、なかなか難しい面もございますので、控えさせていただきたいと思います。

浦野委員 副知事のときなんかは特に、執行側ですから、いろいろと職員に言われたこともあっただろうと思います。でも、我々がそういう努力を重ねた結果、今、大阪府政がちょっとずつですけれども回復に向かっていっているというふうに私たちは考えています。

 やはり、民間の皆さんにいろいろな負担をお願いする前にまず自分たちが身を切る改革をしなければならないということをもう一度申し上げて、質問を終わります。

 以上です。

西村委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 改革結集の会、鈴木義弘です。

 貴重な質問の時間をいただきましたこと、まずもって厚く御礼を申し上げたいと思います。

 ずっと質問を聞いていたんですけれども、千兆円を超える借金が国にありながら、それでも給料を上げていっていいのかどうかというような議論が一番最初にあってしかるべきなのかなと思います。一般の民間企業であれば、それだけの借金を抱えていて給料を上げていくのかといったときに、答えは推して知るべしだと思います。

 今回上程されている法律の改正案の中で、私は県会議員からお世話になっているんですけれども、人事評価については一貫して取り組んできた一人であります。課題解決能力をどう人が判断するのかということで、特別昇給を認めたり、今回も法律の改正案の中に入っている、期末手当、勤勉手当と言われるところを少し成果主義を入れて上下をつけていこう、こういう制度になっているんですけれども、果たして、人を判断、評価するに当たって、客観的な指標がきちっと今の時点でつくられているのかどうかということです。それをまず初めにお尋ねしたいと思います。

河野国務大臣 国家公務員の人事評価につきましては、能力評価と業績評価の二つを実施しております。

 能力評価は、職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力を評価するものであって、課長などの職位ごとの客観的な評価基準、例えば、コスト意識を持って効率的に業務を進めているか、あるいは、所管行政を取り巻く状況を的確に把握し、国民の視点に立って、行政課題に対応するための方針を示しているかといったことに照らして、職員が実際に職務上とった行動がこれに該当するかを評価しております。

 業績評価は、職員がその職務を遂行するに当たり上げた業績の評価であって、職員が評価者との面談を通じて明確に設定した業務に関する目標について、その達成度を評価することとしております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 ある職員の方と話をしたら、いろいろな政策課題があるんですけれども、いかに予算をとってくるかが、いい職員なんだそうです。ですから、一千万の予算を、財務省にかけ合ってこの予算をつけてもらえる、それがどういう使い道になるかは別にして、その予算を獲得できるのがいい職員だという評価なんだと言うんです。ですから、コスト意識はない。一千万の予算を九百万で上げて、百万円コストを下げたからその職員が評価されるという人事評価になっていないんです。だから、いつまでたっても、コストを下げましょうというインセンティブが働かない。

 今大臣がお答えになりましたけれども、そういうふうにコストを下げようということ、効率性を求めようということをきちっと職員が意識していれば、もっと少ない予算で、もっと効率のいい行政ができるはずなんです。

 なぜそういうことを申し上げるかといえば、生産労働人口は確実に下がっていっている中で、公務員の絶対数は極端には減っていかないんです。

 では、お金を稼ぐのは民間の人で、お金を使うのは行政側、これをきちっと考え方を変えていかない限り、幾ら民間から並べたような給料体系で公務員の方を評価しようといっても、民間は中で競争しているわけです、外と。行政の場合は、国は一つしかない、県も一つ、市も一つしかない。だから、民間と、ほかの企業と競争するような原理になっていないんです。

 だから、内部の中できちっと評価するような競争の原理を働かさなければ、内部自浄というより、新陳代謝も図れないし、コスト意識も生まれていかないと思うんですけれども、そこの点、大臣はどうお考えですか。

河野国務大臣 予算をとってきた人間が評価をされるということはよく言われていることでございます。しかし、能力評価の中には、コスト意識を持って効率的に業務を進めたかどうかというのが評価の基準になっているわけでございますので、今おっしゃられたように、何でもいいから予算をとってきた者が評価されるかといえば、国が定めている評価の基準とは全く違うところで評価がされているとしたら、それは正されなければならないことだと思います。

 このコスト意識を持って効率的に業務を進めるというところがどのように実際に評価をされているのかというのは、一度きちんと確認をしてみたいと思います。

鈴木(義)委員 それと、自分が政策立案したものがあったとして、その後何年かして異動していくわけですね。課題解決能力を発揮してある施策を立ち上げました、それで、一年か二年もしないうちに自分は異動になるんです。それがうまくいけばラッキー。失敗したら、では誰が責任をとるのか、それが今まであやふやの中で人事評価というのはされてきたんじゃないかと思うんです。

 そこのところが、責任の所在がはっきりしているのか。失敗をしたんだったらそれなりにペナルティーを科さなければいけないし、うまくいったら褒めてあげる、当たり前の話だと思うんです。民間ではそういうふうにやっているのに行政がなぜできないのかというところですね。大臣、そこのところをお答えいただければと思うんです。

河野国務大臣 人事評価としては、一定の評価期間の中で一人一人の職員がその職務を遂行するに当たって上げた能力を評価しているわけでございます。

 長期的な政策課題については、政策のPDCAのサイクルを回していくというのが大事なことであって、これはむしろ政務の方が評価をされるべきものなんだろうと思います。長期的にこういう政策をやるんだというのが正しかったかどうかというのは、それは選ばれた政治家、政務の方が責任をとるべきものであって、職員はその期間の間にその方針に向かってどれだけその能力を発揮したかによってそこは評価をされるべきものであって、本来政治家が評価されるべきものを職員に押しつけるべきではないと思います。

 ただ、そこの切り分けが難しいというのは現実にあると思いますので、そこをきちんとどのようにやっていくかというのは、これはなかなか難しい、永遠の課題なんだろうと思いますが、そこはやはり、国民に納得いただけるような評価というのをしっかりやっていきたいというふうに思います。

鈴木(義)委員 大臣から、政治家が責任をとらなくちゃいけないというふうにお答えをいただけたんだと思うんですけれども、では、今まで、いろいろな事案があったり、うまくいったときもあればうまくいかなかったこともあったと思うんです。それで政治家が責任をとったことがあったのかということですね、政策的なものも含めて。何かうやむやのうちにするっといなくなってしまったとか、過去のことは過去のことなんだからそれはもういいじゃないか、臭い物にはふたをすればいいんだから、後は違うことを考えればいいじゃないかということでは、やはり今の大臣の御答弁のようにはならないんじゃないかと思うんです。

 政治家がやはり襟を正すんだったら正していかなくちゃいけない。それが身を切る改革ということなんじゃないか、私たちはそう定義しているんですけれども、そこのところのお考えをもう一度お聞かせいただきたいと思います。

河野国務大臣 政治家が評価される、あるいは政治家が責任をとるというのは、政治家個人においては選挙で国民の審判を仰ぐということでありますし、政権ということでいえば政権交代ということになるんだろうと思います。それは、これまでもそういう形で責任をしっかりとったということはたびたびあったというふうに認識をしております。

鈴木(義)委員 ぜひ、人事評価をするに当たって、オープンな議論の中で、きちっとそれに基づいて職員の方が適正な評価、これも、職員の方と話をすれば、やはり人の好き嫌いで自分の部下を評価したりするんだそうです。私たちもそうですね。人間ですから、好きな人、嫌いな人がいますから。ですから、そこのところをどこまで客観的な評価の仕方ができるのかというのが一番問われている。

 あとは、やはり一度失敗したときに、どこまでだったらペナルティーを科せられるのかというところ。減点主義でずっと職員の評価をしてきた時代が長かったんだと思うんですけれども、やはりそれはそれで一つの評価としては見るんだけれども、いいことをやったんだったら、それもきちっと評価をしてあげる。過去と現在と未来というような切り口で人の評価の仕方をしてもらいたいなというふうに常々思っているんですけれども、その辺の大臣の考え方をお聞かせいただきながら、それを現場に落としてもらえればありがたいなと思うんですが、いかがでしょうか。

西村委員長 既に時間が来ておりますので、簡潔に御答弁願います。

河野国務大臣 それぞれの職員に最大限の能力を発揮してもらうためには、おっしゃられたように、減点主義だけではだめで、能力を発揮したときにはきちんと加点ができる、一度バツがついてもそれをまた取り返して前へ進むことができる、そういう制度であり運用でなければならないんだろうと思いますので、霞が関でしっかりそういうことができるように、先頭に立って頑張ってまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

西村委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

西村委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

西村委員長 この際、ただいま議決いたしました両案中、一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、中根一幸君外二名から、自由民主党、民主・維新・無所属クラブ、公明党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。緒方林太郎君。

緒方委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    一般職の職員の給与に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項について、十分配慮すべきである。

 一 人事院勧告の前提となる官民給与比較調査について、引き続き正確な官民給与の実態把握に努め、国家公務員の適正な処遇の確保を図るとともに、国民に対する説明責任を果たすこと。

 二 国の厳しい財政事情を鑑み、国家公務員の総人件費に関する基本方針を踏まえ、実効性のある総人件費管理に努めること。

 三 自律的労使関係制度について、国家公務員制度改革基本法第十二条の規定に基づき、国民の理解を得た上で、職員団体と所要の意見交換を行いつつ、合意形成に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

西村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

西村委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河野国務大臣。

河野国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、その趣旨を踏まえ、配慮してまいりたいと思います。

    ―――――――――――――

西村委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

西村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.